平成18年12月04日中野区議会文教委員会(第4回定例会)
平成18年12月04日文教委員会
中野区議会文教委員会〔平成18年12月4日〕
文教委員会会議記録
○開会日 平成18年12月4日
○場所 中野区議会第5委員会室
○開会 午後1時02分
○閉会 午後4時09分
○出席委員(9名)
飯島 きんいち委員長
酒井 たくや副委員長
北原 奉昭委員
久保 りか委員
はっとり 幸子委員
小串 まさのり委員
篠 国昭委員
昆 まさ子委員
江田 とおる委員
○欠席委員(0名)
○出席説明員
教育長 沼口 昌弘
教育委員会事務局次長 金野 晃
教育経営担当課長 小谷松 弘市
教育改革担当課長 相澤 明郎
学校教育担当参事 大沼 弘
指導室長 入野 貴美子
生涯学習担当参事 村木 誠
生涯学習推進担当参事 生涯学習担当参事兼務
中央図書館長 倉光 美穂子
○事務局職員
書記 西田 健
書記 廣地 毅
○委員長署名
審査日程
○要求資料の提出
1 今回の一連のいじめ問題に関する緊急アピール等の資料について(指導室長)
○所管事項の報告
1 今回の一連のいじめ問題に関する教育委員会の対応について(指導室長)
2 その他
○所管事務継続調査について
○その他
委員長
定足数に達しましたので、本日の文教委員会を開会いたします。
(午後1時02分)
本日の委員会の審査(資料1)について御協議したいので、委員会を暫時休憩いたします。
(午後1時02分)
委員長
委員会を再開いたします。
(午後1時02分)
本日の審査日程のうち、既に要求しております資料の提出がありますが、こちらは所管事項の報告の中であわせて説明を受けたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
御異議ありませんので、そのように進めます。
なお、審査に当たっては、午後5時を目途に進めたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
また、3時近くになりましたら、休憩をとりたいと思います。
それでは、前回に引き続き所管事項の報告を受けたいと思います。
それでは、今回の一連のいじめ問題に関する教育委員会の対応についての説明を求めます。あわせて、前回の委員会で要求しました資料の提出がありましたので、補足説明も受けたいと思います。
入野指導室長
今回の一連のいじめ問題に関する教育委員会の対応について(資料2)御報告申し上げます。お配りをいたしました資料の1枚目をごらんいただきながら、よろしくお願いいたします。
8月17日の今治の中1、9月9日の滝川の小6、10月11日の福岡の中2の子どもたちのいじめを原因とする自殺ということを受けまして、本区におきましては10月18日、11月1日の校長会において、重大性を認識して、いじめの兆候をいち早く把握して、迅速に対応する必要があるということで、校長を通じて指導したところでございます。9月9日の自殺を受けてからのことについて、きょうは御報告を申し上げたいと思います。
9月14日。9月9日、8月17日の子どもたちの自殺を受けまして、本区におきましては、今まで配られております文科省の点検項目例を参考に、生活指導に関する内容や体制の再点検、指導の徹底を文書にて指示いたしました。
10月11日の福岡の事件を受けまして、さらに23日付で10月の末から11月いっぱいにかけまして、いじめといいますか、いじめ防止を中心とするふれあい月間を緊急に実施することと、実施後の調査について通知をしたところでございます。本来ですと11月1日からのものを、10月23日に繰り上げまして、そのような対応をいたしました。
さらに11月7日には、「いじめを原因とする自殺予告文書への対応について」ということで、教育委員会へ報告を指示いたしました。都教委の通知の前にこれを指示したところでございます。
追加の資料(資料3)の1、1、2ページにあります「緊急アピール」文が11月8日付でまいりましたので、東京都教育委員会の教育長の緊急アピール文をその次の日に配りまして、必ず全校集会または--これが水曜日でございましたので、下校も間際なこともありましたので--小学校においては場合によっては校長の全校放送をして、必ず校長の方から全校児童・生徒に周知することを指示いたしまして、実行してもらいました。
11月9日は、「いじめを原因とする自殺予告文書に関する対応について」ということで、この週の土曜日、日曜日、先日の文教委員会でも御報告させていただきましたとおりに、管理職の出勤及び不測の事態に備えることを指示いたしまして、土日における、学校における教育相談にも当たってもらおうということで、そのような出勤を指示いたしました。あわせて学校の警備会社の方にも巡回の強化と、各警察署にも御協力をお願いしたところでございます。生涯学習館の運営委員や校庭開放の方々にも御協力を依頼して、対応したところでございます。
こども110番につきましては、11月1日にこども110番の校内掲示用のカードを校長会で依頼してございましたが、この11日、12日に関しましてはこども110番を事務局の方へ、留守番電話ではなくこちらへつなげる工夫をいたしました。さらに、このこども110番につきましては、改めてポスターを印刷しまして、全校、それから関係の区の機関に掲示していただくように依頼をいたしました。
15日につきましては、いじめ問題について教育長メッセージをホームページに掲載し、11月20日、追加資料としてお出ししました2の資料の3ページから6ページにございます「文部科学大臣からのお願い」という文書を各学校へ送付すると同時に、家庭への通知を指示いたしました。
この間に、2番に書かれてございますように、先ほどもお話をしました校長会、または19日の代表校長会におきまして、中野区としての考え方をお話しすると同時に、校長先生方の方からは、早期発見、未然防止についてそれぞれ取り組んでいらっしゃること、またはこれからどのようなことが取り組めるかの協議をいたしました。
10月19日につきましては、生活指導主任会に改めて研修を実施をいたしまして、20日には教育委員会でいじめ問題についての協議をいたしました。2番の方は自殺予告前までの対応でございます。
これらを受けまして、自殺予告、自殺の事件を受けまして、教育委員会としては学校支援ということで、生活指導上の諸課題への指導・助言ということで、指導主事が小学校11校、中学校4校を訪問したところでございます。
今後、12月15日金曜日の教育委員会におきまして、今後のいじめ対策について協議をする予定でございます。
今のところの取り組みの状況は、このようなものでございます。
続けてお話をさせていただきます。
お配りしましたこれの2枚目にあったかと思いますが、教育委員会に報告のあったいじめの件数、11月29日までという部分をごらんいただければというふうに思います。今回の追加資料ではなくて、前回の資料の方でございます。
18年4月から11月29日まで、私どもの方へ報告または連絡がありましたものに関しましては、すべてで25件ございます。小学校18件、中学校7件ということで、今のところ25件ある状況になっております。
その対応でございますが、これにつきましては学校から、または保護者から、このような言葉を使って第一報が上がったということで分類をさせていただいております。複合的な部分が実態としてはありますが、一番初めの報告でどのような状況であったかというところで判断して、複数回答にはならないように分類をしたものでございます。
小学校においては、ごらんいただけるように「からかい」が4件、それから「悪口」という部分でございますが、「くさい」とか、「きもい」とか、「○○菌」とかというような言い方を言われたということで、小中学校それぞれ4件ずつ上がっております。「強要」に関しましては、日ごろの言動について「きつく友達に注意をされた」というような部分が「強要」というところで、小学校1件が上がっております。「仲間はずれ」、「暴力」、「無視」については、書かれているとおりでございます。
これを月ごとに見てみますと、やはり今回の一連の事故がありましてから、10月、11月がやはり多くなっておりまして、10月、11月で18件、私どものところに報告が上がっている状況になっております。
いじめに対する学校の対応例でございます。下段でございますが、教育委員会への報告・相談及び指導主事による指導・助言というような部分、それから、書いてございますように教育相談の実施、いじめにかかわる事項についての学級指導、それから、フリーステップへの通級ということを学校が促したということ、これが2件ございます。当事者同士、子ども同士、または保護者を交えての相互の話し合いを行ったりするケースもございましたし、それに加えまして、子ども・家庭・先生と、あと警察等の助言を得ながらという部分もございます。担任による学級指導、それから座席の変更である程度良好な方向へ向いた例もございます。転校に関しましては、小学校2件、中学校1件がございました。10月に私どもの方へ、細かなものまでも含めて報告を再度促したところ、先ほどお話をしましたように10月、11月で18件という報告が上がってきたという状況でございます。この中には、子ども同士はもう、学校の働きかけによって仲よく過ごしているにもかかわらず、保護者の方がいじめと訴えてきたケースもございました。そのようなケースも含めて学校と私どもがいじめと認識したものについて、25件上げさせていただきました。
それでは、3枚目の方へまいりたいと思います。
「最近の子どもの状況について(3年間)」と書かれたものでございます。不登校といじめについて。これにつきましては、教育委員会の方で、先ほどお示しをしましたように報告をさせていただいたものでございます。あわせて、今回追加の資料でお配りしました資料3、7ページから9ページの「平成17年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査について」、この調査書が今、いじめの部分だけ入ってございますが、これをもとに私どもが報告をしております3年間分の結果でございます。
ここに書かれておりますように、調査におけるいじめの定義というものは、先ほどの文科省の資料の8ページの上の方の「記入に当たって」というところに書かれているものでございます。「この調査において「いじめ」とは、「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの。なお、起こった場所は学校の内外を問わない」とする」というような、これを私どもは調査上の定義というふうにとらえて報告をした件数でございます。
過日もお話を申し上げましたとおり、17年度においても学校から、先ほどのように苦情等で報告が上がっておりましたものは、1年間を通じて小中学校合わせて9件ほどございましたが、この「一方的に」という部分と「継続的に」というところの定義に合わせて、ゼロという報告をしたところでございます。
今回の報告に当たりましては、資料の説明も含めて以上のような経過でございます。今後事務局といたしましては、先ほどもお話をいたしましたように、今後の私どもの、そろそろ来年の教育課程の編成の時期に当たっておりますので、来年の6月、11月の取り組みを学校の方にどのようにお願いをするかであるとか、または、今回の議会の方でもお話が出ております相談体制を再度どのように見直すかということについて検討をしてまいりたいというふうに思っております。
委員長
それでは、ただいまの報告に対して御質疑ありませんか。
篠委員
流れ自体は新聞報道等でも概略理解できてはおるんですが、今回の教育再生会議の緊急提言というのがありましたよね。それで、与党からも大分反論が出ているというか、信用しないような発言が聞かれるんですけれども、ただ、その前に、教育再生会議自体の人員構成が「安倍さん、何を考えているんだ」というような入り方で、いわゆる人権派というんでしょうか、そういった人たち漏れなく、よい言い方をすればバランスよくと言うんでしょうが、入っていると。
こういう問題が大きく起こる前に、今年の5月に国立教育研究所が出した「生徒指導体制のあり方についての調査研究」というのがあるんですけれども、御存じですか。
入野指導室長
はい、存じております。
篠委員
今度の教育再生会議の緊急提言よりかなり厳しい内容だったと思うんですね。ゼロトレランス、要するに寛容者なしの指導の導入を明記しているという点ではかなり画期的なことで、なかなか受け入れられないというほど激しい内容になっているところもあるんじゃないかと思うんです。1990年ごろから、いわゆるゼロトレランス導入ということが米国で言われ出したと聞いているんですが、日本の場合は昭和50年ごろにいじめが起きたときに、学校現場が荒れて、そのときの対応自体はどっちかというとまるで逆の方向をとったと思うんですね。規則を廃止し、生徒の自主性とか主体性を重んじて、教師が目線を下げて信頼関係でやりなさいという、いわゆる現在に引き継がれるカウンセリング的な指導という流れ。現実としては、結果的に生徒を厳しく叱る土壌が失われる。処罰もできなくなっていじめが起こるというような弱点も出てきているわけですけれども、それに対して教育委員会は、文科省の提言を受けての行動のみで、中野区自体で「これはいけない」というような話し合いの会が持たれたことはありますか。
入野指導室長
10月20日におきましては、今回、教育委員会として話し合いの会を持ちました。さらに、毎年、学校への次の年度の指導目標を御検討いただく際には、中野区は今までのいろいろな経緯から、人権尊重教育の前に、生命尊重の教育ということを第1番に挙げてございます。その中で御検討をいただいているところでございます。
篠委員
日本にも、ニューヨークの地下鉄は乗れない。怖くて、ニューヨークに行ったら地下鉄は乗らない方がよろしかろうというような宣伝が伝わってくるような事態を立て直したときに、やはり、あのときは市長、ジュリアーニとおっしゃったかな。要するに「破れ窓の理論」というんでしょうか。その時点で大騒ぎしてその芽を摘んでおこうという。これといわゆるゼロトレランスというのは連動すると私は思っているんですが、しかしながら今回、スクールカウンセラーに対する予算というのは、国を挙げてつく方向になると思うんですね。ところが、だからあの学校にも、この学校にもという流れを受けるのは簡単なんですが、文教委員会としては、現在のスクールカウンセラーに任せちゃえばいいという流れの弱点が学校現場に出てきていないかという検証が必要だという問題提起を、精神科医の和田秀樹さんなんかがおっしゃっていますよね。
要するに、カウンセラーに相談すると、「嫌だったら学校へ行かなくていいのよ」という理論にぽとっと落ちちゃう可能性、新聞紙上や何かでもそういう発言をいっぱい見るんですけれども、現実的には、授業をサボりたい生徒が相談に行っちゃっているような事実というのがあったとしたら、これはつかまなきゃいけないわけですし、そのことによって現実、学校の規律が乱れているというような指摘というのは、地域からは大変上げづらい。これは教育委員会に問題意識がなければ、とても切り込みをすることができない範疇に入っちゃうと思うんですね。
そこへもってきて、金で解決みたいにカウンセラーの数をふやせばいいというような流れ、怒濤の流れを今後受けなきゃならないときに、やっぱり中野区の教育委員会としてはそういったところの切り込みを、あるいは研究を必要とすると思うんですけれども、いかがですか。
入野指導室長
そのような議論があることは承知しております。
中野区においても、心の教室相談員を特別に実施しておりますが、基本的には一番子どもたちの様子をわかっている学級担任を中心とした教員が、校長の指導のもと一丸となって当たること。さらに、家庭・地域と協力を受けて当たることが第一だと考えております。カウンセラーに任せることなく、カウンセラーの専門的な助言も受けながら、学校として対応していくように、さらにそういう体制を充実してまいりたいというふうに考えております。
篠委員
教育再生会議のメンバーを見てもそうなんですが、あるいはテレビに登場する方々の9割方は、いわゆる人権派の教育学者だと思うんです。そういった中で、現実には中野区に麻薬が入り込んでいるとか、そういったところまではないんだろうとは思うんですけど、アメリカではあるわけだから、油断をするわけにはいかない。そういったところまでもし行っちゃった児童・生徒がいるとしたら、相当毅然とした態度を求められる。それは差別であるという大合唱が必ず起きても、しっかりと中野区の教育委員会が対応をするといった姿勢が、事件が起きる前に必要とされると私は思っているんですね。
そういった中でこのいじめの問題、だれもが経験もしたし、加害者にもなったり、被害者にもなったりしたことのある現実ですから、全員が文教委員みたいなもので、その中で際立って譲れない一線というのを教育委員会は出してくる必要があるし、小中学校に指令、あるいは話し合いの機会を持つ必要まで生じると思うんですけれども、いかがですか。
入野指導室長
先ほどお話をしましたように、12月15日の教育委員会で検討していただこうというふうに考えております。また、学校との話し合いにつきましても、10月に代表校長会等行ったところでありますが、これからもそのような機会は持ち続けてまいりたいというふうに考えております。
小串委員
ちょっと確認だけさせていただきたいんですけど、先ほど説明いただきました資料、平成15、16、17の数字と、11月29日までの18年度の数字。これは連動して考えていい数字ですか。
入野指導室長
先ほどの3枚目の資料におきましては、文科省の調査の定義に合った数字でございます。口頭でお話をしましたように、17年度におきましても、私どもに報告が上がってきたという数字においては9件ございました。先ほどの2枚目の方の数値は、そういう意味では文科省の定義に沿ってということではなくて、私どもの方へ報告が上がった数字が25件ということでございます。
小串委員
そうすると、これとこれとは、いわゆるいじめに対する定義付けが違うということですか。(「はい」と呼ぶ者あり)
そうすると、17年度ゼロになっているこの資料に基づいて、この定義付けの延長としての平成18年度の現在の数字をちょっと教えてください。
入野指導室長
今の段階でのお話でよろしゅうございましょうか。
今の段階では、7件という形になると思います。(「小中」と呼ぶ者あり)
小中。すみません。
中が3件、小が4件という形になります。
小串委員
ゼロ・ゼロの方のベースの数字でちょっと質問をさせていただきたいんですけれども、この先の平成14年とか、先の数字はちょっとこれではわからないんですが、いずれにしても15年で小学校で8件、中学校で10件、18件。16年度が小学校8件の、中学校7件、15件という2けたの数字が報告されていたのが、急に平成17年度ではゼロ・ゼロになってゼロになったと。これを当時、どう評価しておられたのかということなんですが、要するに、ゼロになって「ああ、よかった、よかった」というふうに理解をしていたのか、「ちょっとこれは、統計上のぬるさがあるんじゃないか」というような疑いの目で数値を見ていたのかということによって、評価が分かれてくると思うんですよね。どのようにこのゼロ・ゼロというベースを評価されましたか。
入野指導室長
私どもは、数が少ない多いということではなくて、学校がいかに早期に発見して対応できているかということで評価をしております。ですので、ゼロ・ゼロであったからこれでいいというふうに評価はしておりませんで、この報告が上がりました際に、先ほどお話ししました、私どもがつかんでおりました9件について、再度学校の方に問い合わせをしております。そうしましたところ、先ほどもお話をしましたように、一方的にということと、継続的にという、この定義には当てはまらないということが判明しましたので、ゼロ・ゼロということで報告をいたしました。
小串委員
ゼロ・ゼロであって、今年度においては今7件というお話でしたが、この数字というのは一連の、ここのところのいじめに対する報道がかなり頻繁に行われていたということを受けての数字なんでしょうか、それとも、それ以前にもう既に7件あったという数字なんですか。急に上がってきた数字ですか。
入野指導室長
先ほどもお話を申し上げましたが、10、11月で18件上がっております。ですので、細かく申し上げますと、4月に1件、6月に2件、7月ございませんで、8月に3件、9月に1件ということで上がってきております。この様子を見ますと、11月、私どもが改めて10月に、細かなものも含めて報告を再度促したということの結果で、10月、11月にふえているということでございます。
先ほどの定義に当てはまるということに関しましては、10月の方がやはりまだ継続という部分になっております。その前のもので上がってきたものに関しましては、一応の収束を見せているという報告をいただいております。ただ、引き続き指導はしていくという状況になっております。
小串委員
そこで比較的、その数字を信じるならば、当区では他の自治体に比べると落ちついているのかなという印象は受けるんですけれども、大切なことは、常日ごろどのように児童・生徒にいじめということを起こらないように指導しているかということだと思うんですね。その辺について教育委員会の方で各学校に、機会あるごとに連絡をされたり、連携をとられたりされていると思うんですけれども、実際問題として、学校で子どもたちにどのような指導がされているのかということで、その状況をちょっと簡単に御説明していただきたいと思うんですけれども。
入野指導室長
生命を尊重する教育、それから自他を尊重する教育ということで、道徳教育を中心に特別活動等でお話をしているというのが1つでございます。子どもたちにということについては、そういうふうな取り組みが一番大きなものかというふうに思っております。
その中で、いじめというふうな部分を取り上げて行っている事例もございますし、友達に嫌なことをされた場合にどのような対応をしたらいいのかという、そういう対応についての授業を行っているところもございます。そのような実践があるということでございます。
小串委員
そういうことはよく、本会議場でも答弁されるし、この委員会の中でも、そういうふうにしていますという話は聞くんですよ。それはそれで、そういうことなんでしょうけれども、私が聞きたいのは、せっかくこれがテーマできょう委員会があるようなものですから、もうちょっと掘り下げて、例えば校長先生が朝礼のときに、少なくとも1年に一遍は「お友達をいじめちゃいけないよ」というような話をするとか、学校の先生が道徳の時間に具体的にこういう事例をつくって、こういう指導を子どもにしているとか、あるいは保護者に対しては文書で、あるいは保護者会等で、そういう問題をこういうふうな事例で戒めているというような、よりもうちょっと具体的な形で。それで、こういうふうにしたらこの学校ではこういうような改善があったとか、そういうような形で具体的に説明をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
入野指導室長
先ほどの、1つは、接し方についてというような学習をやっている学校の事例を挙げたいと思いますが、例えば友達にとても嫌な悪口を言われたという事例を子どもたちに提示いたします。そのときにどんな気分になるかとか、言われた方はどうなのか、言った方はどういう気分だったのかということをプレーでやらせていきまして、それで、どういうような対応がお互いにとっていいのかというようなことを学ばせていく実践がございます。そういう実践の場合には、学校によっては公開日に行って、そういうところを保護者の方に見ていただくというような実践もございますし、道徳でそういう部分を、教材をいろんな形で取り上げまして、道徳公開講座の後の話し合いのところで、著名な方に講演をいただくのではなくて、保護者の方の代表、教員の代表、地域の方の代表が子どもたちの心のありよう、今のありようについて話し合う機会を持つところで、やはり相手を傷つける言葉遣いですとか、大人同士の間の中に何か課題はないであろうかとか、その解決のためには、やはりまず心と心を通わせるあいさつが大事なんじゃないかと。それから居場所が子どもにあることが大事なのではないかというようなお話し合いがされたということも、私どもはとらえております。
道徳の教材はいろいろなものがございまして、学年に合わせて、低学年ですと実際に自分のことというよりかは、ほかの者の擬人化したもののお話の中からそういう部分をとらえてみるとか、例えば1本の橋を両方から渡ろうとしている動物がいたときに、「どけ」と言って自分が渡るかどうかというようなお話をもとにして考えていくでありますとか、そのような事例があるというふうに私どもとらえております。
小串委員
たしか今室長おっしゃられたような、NHKの特集で、夕方の報道特集か何かでオーストラリアの事例が紹介されたのを、たまたま私見ていて、「ああ、なるほどな」と思ったんですけれども、いじめる側といじめられる側に分けてケーススタディというのかな、そういうような中で実際にいじめられたときの感じを子どもたちに、嫌な思いというものも体験をさせて、そういうことを通じていじめを減らしていくというか、そういうような試みをして、それが結果的にいじめの減少につながったというようなNHKの報道を見て、それなんかおもしろいなと思って見ていたんですけれども、やっぱり一つには、きちっといじめというものを子どもたちにわからせるためのこういうような事例というものを参考にして、ひとつ各学校で工夫しながら、いじめというものがどうしていけないのかということを教えるというのは、やっぱり教育委員会として重要なことだと思いますので、ぜひそのような取り組みをお願いをいたしたいというふうに思いますが、もう1点の方の生命の尊さを教えるということがありますよね。一般質問でもちょっと質問させていただきましたけれども、一般的に生命の尊さを教えるということなんですけれども、これもまた具体的には、どのようなことを、どのように教えているのかというのをちょっと、一度お聞きしたいと思っていたものですから、あわせてちょっと教えてください。
入野指導室長
道徳のような機会で、物語ですとか、実際の自分たちが育てているものについて学んでいったりする場合もございますけれども、基本的にはやはり今、植物ですとか、小動物ですとかということを飼育したりすることを通しても、子どもたちは具体的に生命の大切さを感じているところでございます。そういうことだけではなくて、実はほかの教科で、自分が生まれたときの保護者の方の思いですとか、自分の祖父母が亡くなったときの本人の思いですとか、そういうものも具体的には教材として取り組んでいる事例もございます。
篠委員
ただ、具体的な行動を今後とっていくというのもよく伝わってくるんですけれども、文教委員会で各委員がおっしゃることも、その場ではもちろん披瀝してもらいたいなという思いは切なんですが、例えば教育委員会としては「生命を大切にする」とか、なかなか具体的な、ここから先を言ってしまうと押しつけになりはしないかという遠慮もどうしても感じられるんですよね。
例えば地区委員会なんかでは、あいさつ運動をしましょうとか。ただ、それを教育委員会発でやったとしたら、必ず「それは何を考えているんだ」という御意見の人の意見も寄せられる可能性はある。しかしながら文教委員会では、人格感性とか、命を大切にとか、その先の根源的なものを見つめてとか、世界平和とか。ただ、抽象的なものは子どもにすとんと落ちないというのを金曜日にもちょっと触れたんですけれども、ただ、各学校で「今月はこういう目標でやろう」というような、あいさつ運動と決める学校もあるでしょう。そしたら授業の前にみんなでどなるというようなことがどれほどの効果があるかということに対する検証だって、進めるべきなんですよ、本当は。ただ、それは教育委員会発ということじゃなくて、文教委員会の委員の一人が申し上げたというとらえ方をすれば、教育委員会がそれを発表することで十分できる。
いろんなことを一まとめにして、親が子どもに「これだけは守れ」なんて強く言うことはできる。例えば藤原正彦さんがどこへ行っても言っているのは、「卑怯なまねはするな」、これが親の教えであったと。具体的に二つ、三つ。いっぱいで一人の子どもをいじめるとか、細かく具体的に書いてありましたけれども、学校で自発的にそういう標語を言うのであれば、「卑怯なまねをしない」で地域から食いつかれる筋合いもないと思いますけれども、現代流の言葉で学校の言葉を編み出して、必ず朝みんなで、読書の前に言うとかというような具体的な行動を通して学校経営を進めるということが、私は非常に大切だと思う。
会社だって、自分の会社を本気で繁栄させるためには、心を一つにしてそれから入っていくというぐらいで、行政だって、小さい行政に至っては、夕張みたいにならないための工夫のために、みんなで標語を唱えて行動に入るということだってあり得る。そういう具体性との連動ということを、だれかから押しつけられるんじゃなくて編み出したらどうかという、文教委員会での強い意見があったというような言い方で教育委員会事務局が披瀝するのは、私は一向におかしいことではないと思うので、ぜひそういう取り組みもしていただきたいということを要望しておきます。
小串委員
途中だったから。もうこれで最後にしますけれども、要するに、いじめ問題というのは今、一連のような報道をされていることも含めて、水戸黄門のような勧善懲悪なことではないと思うんですよね。例えば自殺した状況というものを見ても、加害者がいて被害者がいるという、そう単純に、テレビで生々しく葬式の中にカメラが入っていって。ああいうふうにやられればやっぱり、自殺した家族ということを、情の部分では非常にかわいそうだと思うけれども、もっと奥にはさまざまな問題というものが含まれているんだろうなというふうに、私は常に思いながら見ていたんですけれども、単純に言わせていただくならば、A君というのとB君というのが、ちょっとした口論が起きたとしますよね。それでいろいろ口論をしていて、A君がB君にちょっとちょっかい、手を出したと。そうしたら相手が「何するんだ」と言ったら、実は殴った方が泣き出した。その状況を見ただけだと、単純に泣かせた方が悪くて、泣いている方が被害者というようなとらえ方をしてしまいますね。特に日本人というのはそういう情の部分に流されやすい民族性がありますから。
ただ、その状況というものをきちっと調べて、その事情というものをいろいろ探る中で、実はどっちが悪いとかということも言えないし、あるいは、むしろこの子の方が悪いというようなことだってあるわけだから、単純に一つのマニュアルがあって、これによっていじめを解決できるなんていう代物ではないと思うんですよね。ですから、本当に常日ごろからやっぱり学校として、いじめることの卑怯さということを教えると同時に、文部科学大臣も言っていましたけれども、やっぱり生きる勇気ということの大切さをきちっと教えていくということが、私はすごく必要なことだと一方では思うんですね。
それと同時に、やっぱり家庭が一番最終的に子どもの、いいも悪いも含めて責任をとらざるを得ないのが家庭ですから。私は自分の子どもがいて、「学校が悪い、悪い」と言うのは簡単だけれども、確かに学校も悪いのかもしれないけれども、最終的にうちの子が、それぞれの子が、例えば不幸にして自殺をしてしまったというような状況にもし陥ったならば、やっぱり一番被害を受けるのは家庭ですから、家庭に「こうしてください」と。こういうことが起きた場合には、こういうような対応をしてもらいたいということを、やっぱりきちっと、教育委員会が家庭にものを言わなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うんですね。すべてを学校で解決しようと思ったら、これ絶対できないですよ。今、何でも「学校、学校」と親は言いますよね。だけど、それだけでは解決できない部分というのがあるから、少々、マスコミ受けは全然しないと思うし、そんなことを言えばたたかれるかもしれないけれども、少々たたかれることを覚悟しても、やっぱり家庭教育の大切さというものを常に訴え続けていただきたいと思うんですけれども、最後にその辺だけちょっとお聞かせいただければ終わりますので。
入野指導室長
個々のケースになりますと、御家庭の御協力が不可欠というふうに私どももとらえております。実際、先ほどお話をいたしました転校というケースに関しましても、教育委員会としては、それがいいのかどうか、保護者の方ととことんお話をさせていただいた上で、どうしてもというケースに限ってそういう対応をとっておりますので、今後ともそのような対応でまいりたいというふうに思っております。
昆委員
前回の文教委員会でもちょっとお聞きしたんですけれども、教育委員会の方でつかんでおります件数が、文科省の定義に該当しているかどうかということの件数だったということで、ゼロという報告も出ているし、今伺えば、該当しないものとして、例えば17年度は9件あったんだというお話ですよね。18年度は、29日のところで25件。これも文部科学省の調査等の定義の中には該当しないと。該当している件数としては、今のところ7件というふうな御答弁があったというふうに思うんですけれども、その定義を改めてきょう出させていただきました資料で見てみますと、例えば調査3、いじめの状況というところで、先ほどから御答弁に出されておりますように、マル1のところで「自分より弱い者に対して一方的に」というのと、それから「身体的・心理的な攻撃を継続的に加え」というのがあって、「一方的に」と「継続的に」に該当しないから、これは文部科学省の調査に一致する件数ではないというふうに御答弁されておりますけれども、ここの三つの定義を改めて読んでみますと、1についても、2についても、これはいじめる側の定義なのではないかなというふうに思うんですよね。一方的にいじめているか。それに該当しませんよ。継続的にいじめているか。それに該当しませんよということですよね。3が初めていじめられている子どもの気持ちで言えば、「深刻な苦痛を感じているもの」ということで、3で初めていじめられている子どもの心理といいますか、そういうものがここの3のところで出てきているんですけれども、この定義そのものが今のいじめの実態を把握するということでは、この3つの定義で果たして正確なものがつかめるのかどうかというふうに疑問を持たざるを得ないんですけれども、その点についてはどのように感じていらっしゃるでしょうか。
入野指導室長
中野区教育委員会といたしましても、この定義に関してはまだまだ不十分であるということで、今までも、この調査ではなくて、私どもに報告を上げていただくものに関しましては、「いじめ」という言葉を使われたり、「にあたると思われたもの」を上げていただいているところでございます。
昆委員
やはりいじめの定義、文部科学省で出してきているものですから、それに対して中野の教育委員会で勝手に項目を変更するとかということはもちろんできないのは承知で質問しているんですけれども、その定義によって件数だとか、いじめに対する見方だとか、対応の仕方だとか、そういうものが変わってくるというふうに思うんですよね。
なぜかと言ったら、例えばこの資料の9ページなんですけれども、いじめの対応というところを見ると、ここのところには幾つかの項目が出されておりますよね。まさにこれはいじめの内容になるんじゃないでしょうか。
そうしますと、1件のいじめであっても複数の対応に該当する場合は、それぞれについて1件と数えることということと、最初の「いじめの状況」の定義、「記入にあたって」という調査に当たっての定義というのが、ものすごい矛盾をしてしまっているというふうにとらえざるを得ないんですけれども、その点についてはどのようにお感じになっておりますでしょうか。
入野指導室長
文科省の定義に関しましては、このような様態が複雑に絡み合って、一方的に継続的にということでの調査でございますので、そういう調査の仕方であったということでございます。
私どもとしましては、先ほどもお話をしましたように、対応の仕方が若干、先ほどの資料とは違っておりますけれども、こういうことはすべていじめに当たるであろうということと、それから、これは複合的に行われるであろうということは考えております。
昆委員
とにかく、この定義そのものがやっぱりおかしいというふうに私は思っています。
弱い者に対して一方的にというのは、強い者が弱い者に対して攻撃をかけるということですから、それはいじめる側なんですよね。それから、「身体的、心理的な攻撃を継続的に加え」と、これも強い者が弱い者に対して継続的に攻撃を加えるということですから、調査の中身がいじめる側を件数としてとらえようとしたのか、いじめられているというふうな立場の件数をとろうとしたのか、ここのところでは本当にわからないものになっているというふうに思うんですよね。
ですから例えば、中野区の、きょうのところで報告がありました18年度の、教育委員会に報告のあったいじめの件数なんですけれども、まさにこういう内容が、受ける立場の者にとって、こういうことをされているよというふうに思っていることが、いじめの件数というふうになるのではないでしょうか。対応ですね。からかいだとか、悪口だとか、強要だとか、幾つかの項目がありますけれども、そういうものでとても自分が心理的に苦痛だ、友達にそんなことを言われて嫌だ。学校に行くのも嫌だ。僕はいじめられている、私いじめられているというふうに思うことがいじめの実態であって、そういうものをどうつかむか、その実態をどうつかむかというところに目線を置かなければ、ちょっと違ったものでの報告内容になっていて、全国各地で起きている状況を見ますと、例えばきのういじめられたからすぐ自殺だということではないと思うんですよね。本当に親にもだれにも言えずに、悩み、悩み、自分の心の中で本当に、小さいながら葛藤しながら自分の命をみずから絶つわけですから、そこには何日かというか、長い時間があると思うんですよね。そういうふうな長い時間のどこで、だれがその子に手を差し伸べて、その実態をつかんで、その対応策をつくって対応することによって命を救うという、そういうことになるんだと思うんです。
ですから、いじめというものをつかむときに、文部科学省のこういう実態で中野区の教育委員会としても振り分けて、そこには該当しないからありませんでしたというふうな報告の仕方は、私はとても疑問に思ってならないんですが、この点について、ちょっとくどいようですけれども、もう一度お答えください。
入野指導室長
中野区といたしましても、今の8ページの下に書いてあります、個々の行為がいじめに当たるか否かは、いじめられた生徒の立場に立って行うことということを中心に、今後とも、今までと同じように、いじめはどこでもあるということと、やはり受けとめる子どもたちの立場に立つということで、きちっと調査をしていきたいというふうに考えております。
昆委員
本会議等でも質問が出されておりますけれども、中野の教育委員会としての独自の調査というのは検討するというふうな御答弁だったかなというふうに思いますが、独自調査というのは今後考えていらっしゃるんでしょうか。
入野指導室長
これに関しましては、実態の調査につきましては、各学校がこの1カ月におきましてそれぞれの方法で行っております。面接方法をとった学校もございますし、ペーパーによって調査をした学校もございます。すべての小中学校で行われておりますので、その実態をこちらが把握をするという形で調査をしているところでございます。
昆委員
その調査の仕方なんですけれども、それは項目だとか、そういうものはどういうふうになっている調査なんでしょうか。調査の中身ですね。それは子ども、児童・生徒に対する調査ですよね。その項目というのはどういう中身のものの内容になっているんでしょうか。
入野指導室長
各学校が子どもの実態に合わせてということで行われたことでございますので、幾つか把握していることだけお話をいたしますと、やはり自分が嫌だと思うことをされた経験があるかどうか。それで「ある」とか。「その内容は」ということで聞いた学校もあるようでございますし、一人ひとり担任が面接をして聞き取ったという学校もございます。中野区教育委員会として一定の、同じ項目でというお話をしたことではございません。
昆委員
そうしましたら、その調査の結果というのは、どういうふうにまとめられるんでしょうか。そのまとめたものから何か教育委員会としての今後の取り組み等を検討するというふうなものになるんでしょうか。その点についてはどのように考えていますでしょうか。
入野指導室長
子どもたちの実態について課題が出てきたものは、その対応をしてまいりたいと思います。
それから、この一月ちょっとで各学校が取り組みました中身についての課題につきましては、やはり家庭への協力という部分が多少薄いように思いましたので、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
久保委員
いじめに対する学校の対応例というのが先ほど報告ありましたけれども、実際にこの10月、11月の中で、スクールカウンセラーとか心の教室相談員、またこども110番、そういったところに寄せられている相談というのは何か変化はあったんでしょうか。
入野指導室長
私どものところへということでは特段に、先ほど挙げました25件のうちの11月の部分が16件とかなり多いという、その部分でございます。これにつきましては、直接教育委員会という場合もありますし、学校のカウンセラーということもありますし、教育相談室ということもございますので、個々別々ではございませんが、かなりふえている状況にあるというふうにとらえております。
久保委員
ふえているというのは、例えば内容にも変化があったんでしょうか。また、それが児童や生徒から寄せられているものなのか、また、一連のこういった報道によって不安に思われている保護者の方からも電話相談などもあるかと思いますが、その辺の変化というのはどうでしょうか。
入野指導室長
この9月、10月におきましてはほとんどが学校からということでございまして、その学校の先といいますのは保護者が一番多いように思います。それ以前はすべて保護者からの御相談でございました。
久保委員
やはりこういった報道があったことによって、児童・生徒の方への影響ですとか、今までは相談をしなかった子どもたちが直接相談をしてみようとかということで、そういった変化というのは見られているんでしょうか。
入野指導室長
私どものデータでは、ちょっとそこまで読み取ることができません。
久保委員
データでは読み取ることができなかったということは、直接教育委員会の方にはそういった訴えがなかったということですね。
また、報告を受けた内容からして、現実に今、一連の報道のようなことが心配をされるようなことというか、そのように受けとめられるのではないかとか、今後そのように発展をしてしまうのではないかという御相談というのはあったんでしょうか。
入野指導室長
今のところ、自殺という部分においては、私どもとしては、その前で食いとめられているというんでしょうか、それを感じられるような内容は直接私どもの対応に当たってもなかったかととらえております。
ただ、先ほども申しましたように、子どもたちの気持ちの部分でございますし、いろいろな、これからのこともございますので、引き続き指導と見守りは続けていく必要があるなというふうには思っております。
久保委員
11月11日、12日というのは、各管理職の方が学校に一日出勤をされていて、私もちょっとある学校にお邪魔をいたしました。
そういった2日間の中で、通常の学校では先生に話を聞いていただけないというようなことで訪れた方がいらしたりとか、また何か特別なことは、その日というのは、ほとんど学校が、管理職の方が出勤をされているということがテレビ報道などでも知られていた方がいたかと思いますが、何か特別なことがありましたでしょうか。
入野指導室長
私どものところへは、学校からは特段にないという報告を受けております。
久保委員
例えば、教育委員会に報告がなくて、学校サイドだけで受けとめている問題ですとか、そういったことがあるようなこと。それは承知していないということなので、今この場でも言っていただけないかと思いますが、そういうことというのはないんでしょうか。
入野指導室長
報告の中ではございませんでしたけれども、今回のいじめということだけではなく、確かに土日に相談できる体制をということでもお願いをしましたので、いじめということだけではなくて、いろいろなお話があったかというふうな想像はできるところでございます。
いじめの相談だけではなく、土曜日、日曜日に管理職が保護者や子どもたちの相談を受けられるという態勢をとったことによる影響といいましょうか、効果はあったかなというふうにとらえております。
久保委員
それは一つの効果があったのではないかと私も思うのですね。また今後もこういった土日の、管理職に限らずですけれども、相談をできるような学校での体制ですとか、さらなる相談の窓口の強化ですとか、何か今後必要だと感じていらっしゃるところはないですか。
入野指導室長
いろいろ御質問もございまして、今の時代ですので、さらにフェース・トゥ・フェースでできるように充実すべきですというお話ですとか、または反対に言いますと、顔を見ないでも相談できる体制ですとかというような御質問もいただいておりまして、私どもとしましても、今後そういうような相談体制の充実は考えてまいりたいというふうに思っております。また充実の方向性としましては、ほかの部署との相談体制等の充実の上に立たないとならないかと思いますので、そういう部分でも考えてまいりたいというふうに思っております。
久保委員
そういった充実はきちっと図っていただきたいと思うんです。
あと、この緊急アピール。これは家庭に対しての周知がされているんでしょうか。また、「いじめを許さず、尊い命を守るために」というこの緊急アピールというのは、何か家庭の方から反響等はあったんですか。
入野指導室長
この文書そのままというようなことではないと思いますが、それぞれ今回のことを機会に、学校だよりですとか、学級だより、学年だより等で、家庭の方にいろいろお願いをした、このような趣旨のことをお話をしたということは報告を受けております。
久保委員
お便りというのは、ほとんど子どもの手から保護者に渡らないということで、いろいろ今、緊急のメールなどということも教育委員会は利用されていると思うんですけれども、そういった意味での情報発信というのは、文書以外には何かあったんでしょうか。
入野指導室長
私どもは11月15日に教育長のメッセージの部分で、教育委員会のものを載せさせていただきました。窓口についても改めて、教育委員会のホームページにこども110番のことですとか、窓口について載せましたと同時に、各学校へポスターを配付いたしました。現在、一人ひとりに配るカードについては検討中でございます。
都教委、文科省のアピール文につきましては、それぞれホームページで公開等をしておりますので、特段にこちらでそれを載せるということはいたしませんでした。
久保委員
緊急の情報メールなどを使ってこういったものを保護者向けに発信をするということはなさらなかったんでしょうか。
入野指導室長
これについては今回、教育委員会としてはメールを使ってということはいたしませんでした。
久保委員
教育委員会としてはしてなくても、学校によってはそういった対応をされたところもあるんですか。
入野指導室長
把握してございません。
久保委員
私はやはり、こういったシステムがせっかく中野区にあるわけですから、ここにもいじめなどの問題対策室とかのお電話番号というのが出ておりますけれども、多分50%もこのお便りを子どもたちが保護者に見せているとは思えないんですね。これをまた逆に情報発信することによって、もしかしたら保護者の方で何か気がついた点ですとか、それこそ先ほどもフェース・トゥ・フェースというような時間をとってはできないかもしれないけれども、メールとか電話での問い合わせをしたいと思っている方もいらしたかと思うんですが、その辺を再度検討されるということはないでしょうか。
入野指導室長
今、先ほどお話ししましたように、子ども一人ひとりに配るカード等も今検討中でございますので、その中で再度検討してまいりたいというふうに考えております。
久保委員
先ほどほかの委員からもお話しありましたけれども、やはり学校にいる時間というのがすべてではありませんので、子どもたちは、例えば学校で傷を負ったものというのを、家庭に持ち帰っています。そういう中で本当に保護者が気がつくことによって、しっかりと、事を未然に防ぐこともできると思いますし、また気分を切りかえていくこともできると思うんですね。
そのためには逆に、保護者の方がそういった情報をしっかりとつかんでいくことが大事だと思いますし、実際のところ、私も何件か御相談を受けた中で、いじめられる側の保護者の方は相談にみえても、いじめる側の保護者の方が相談に来るということはほとんどないと思います。そういった方が保護者会に出ていらっしゃるかとか、学校の先生からの連絡にきちっと受けていただけるかというと、実際のところは、そこまで学校の先生が家庭に対して指導を行っていくというのは非常に難しいです。全く、会いたい方には保護者会ですとか、PTAの行事などでも、おいでになっていただいて話をする機会というのはほとんどないのではないかなというふうに感じるんですね。その中でどうやって学校側は、そういった方たちにも今の現状を知っていただくために促していくのかということを考えると、私はそこまで今の現状で学校の先生にさせるというのは、非常に難しいのではないかと思っています。
その辺のところでやはり、情報をしっかりと発信をしていくという、そこまでしか今できないのではないかなと思うんですね、学校側からして。であるならば、逆に言ったらば、家庭に対しての部分というのは、教育委員会や学校側からはなかなか入り込めない部分ですので、あとは学校においていかなる家庭の環境がそれぞれ子どもたちが違っていようとも、同じ学校の中では平等感を持ち、またその中で本当にいじめに対しても同じような教育や指導を受けていく。そこでしか改善はできないのではないかと思いますし、またそれが一つの学校の意義であったり、教育の意義であると私は思うんです。どんな家庭環境にあっても、しっかりとした教育が受けられる、そういう平等のもとに中野の公教育があるんだというようなことをしっかり示していく必要があるのではないかと思うんです。
その中で今、いじめに対してだけではなく、さまざまな学校の問題に対して、区として緊急を要する課題というのは何だと思われますか。
入野指導室長
委員お話しのように、学校が負う部分も非常に大事だというふうに考えております。もちろんそれは重要な部分だというふうに考えておりますが、いじめというものに関しましては、人間の性という言い方をしていいかどうかわかりませんが、どうしても自分より弱い者を見つけて優位に立ちたいというような部分は、大人も子どもも変わらない部分があるのかなというふうに思っております。
ということからすると、社会全体の問題というふうにとらえておりますので、子どもたちのこういう問題については、社会全体で考えて、保護者も、地域社会も、学校も一緒になって考えていくという体制づくりが大きな問題かなというふうにとらえております。
久保委員
社会全体で取り組むことは当然のことですし、もっと言うならば、家庭だし、保護者でしょうと思ってしまう部分がたくさんあります。しかし、それができないのでこういった問題も起きているのが現状だと思います。
社会全体でということで、だれかが、どこかの責任にしているうちは、何も変わらないのではないかと思います。やはり教育の場において絶対的にいじめは根絶をしなければいけないし、人間として行ってはいけないということを、徹して学校の中で子どもたちに指導をしていく。それがやはり教育なのだと思うんですね。
その辺のところで、例えば今、病欠の担任の先生がいらっしゃったりとか、指導力不足の先生がいらっしゃるというようなことも言われています。その辺において、きちっとした学校での指導ができないというような、そのような問題点はないんでしょうか。また、今回のことに対応するために、そうしたところにもしっかりと何か手厚いフォローというか、入れていく必要性というのは、教育委員会としては感じていないですか。
入野指導室長
社会全体の問題としてとらえる、それから学校教育においては一人ひとりの教員の見る目というんでしょうか、それから育てる力という部分が課題かというふうに思います。
それにつきましては、それぞれの教員の個性もございますし、特性もございます。それを補うのが学校総体であろうかと思っております。学校全体で組織的に取り組んでいくことが大事だと思いますし、我々教育委員会としてはそれを支援していく、指導主事の派遣ですとか、他機関との連携ですとかというところで支援をしていくことが重要かなというふうにとらえております。
久保委員
支援をしていくことが重要だということで、具体的にはいつから、どのような支援をされる予定なんでしょうか。
入野指導室長
支援の中の一つは、今までも行っております私どもの学校訪問の際には、必ず一人ひとりの教員の特性を見つめながら、その学校に合った指導・助言をしていくということが一つですし、それぞれの、ここのところ研修会でこのいじめに関しましても、子どもたちの問題に関しましても、重点を置いて研修を行っております。それは初任者研から、2年目、3年目、10年目、校長・副校長に至るまで、それぞれの世代に応じた研修を行っていくということが2点目だというふうに思っております。場合によっては一緒に中に入って、指導主事が実際に問題に当たっていくということも、今後出てくるかなというふうに思っております。学校の要請を受けて、その状況に合わせた支援を行っていきたいと思います。今までも行っておりますが、今後ともそれは強化してまいりたいというふうに考えております。
久保委員
しっかりと強化をしていただきたいと思いますし、社会全体の問題であったとしても、家庭の問題であったとしても、中野の小学校・中学校においては絶対にいじめを許さない、そういった教育は絶対していかないという、そういう強い姿勢を見せていただきたいと思うんですね。
そういったものというのが、やはり子どもたちにも大きな影響を与えていくと思います。教育委員会そのものがいじめを許さないのだという姿勢を見せることによって、子どもの意識も変わっていくと思うんですね。その辺をしっかりお願いをしたいと思います。
それから、会議・研修会などの報告の10月19日の代表校長会のところで、いじめの早期発見・未然防止について、幼小中の代表と教育委員会幹部との協議というのがあります。中野区では非常に幼小中の連携というのが細かく持たれていて、非常に情報交換もできていると思うんですが、やはりいじめの芽というのは小さいときからあると思います。小学校・中学校になって突然そういった、子ども同士でいじめが行われるというのではないと思うんですね。そういった点では、幼稚園とか保育園の中での人間形成をしっかりと行っていく中での教育にも光を当てていかなければいけないと思うんですが、その辺はいかがお考えでしょうか。
入野指導室長
この問題に関しましては、現実、教育相談に幼稚園の保護者から相談があったりすることもございますので、小学校以上の問題というふうにはとらえてはございません。
また、一番の課題は、これを継続的にやはり私どもは指導していく必要があるかというふうに思っております。小学校の問題が小学校だけで終わるとは限りませんので、幼小中の連携、または保育園からの連携ということは、非常に重要なことだというふうにとらえております。
江田委員
何点かお願い方々質問したいと思うんですが、一つ、最近の傾向なんですが、例えば10年スパンで見た場合に、いじめにかかわるさまざまな傾向の変化というものは見てとれるんでしょうか。あるいは、そういう分析みたいなものはやられておられるんでしょうか。
入野指導室長
中野区といたしましては、毎年のこの調査をある程度分析をしております。全国的なものと比べまして一つ言えることは、特徴的なのは、中学校よりも、中野区は小学校の件数が多いということでございます。
さらに、中学校で言いますと、ここ17年度の様子を見ますと、中1、中2、中3、そう変わりはないんですね。それと、状況を見ていきますと、小学校で一時収束したものが、また違った形で中学で出てくる可能性も、多いわけではございません、そういうこともあるというふうな状況でございます。
江田委員
いじめについては、統計を今まで文教委員会でいただいておりませんでしたので、どんなふうな変化があるのかというのはあまりわからないんですが、不登校の方はずっと文教委員会で資料をいただいていましたよね。それで、一時期相当ふえてきて、少し下がってきている、そういう状況にあるというふうに思っておりますが、この不登校との関係、いじめが原因になって不登校になっているとか、そういったことのデータというのはありますか。
入野指導室長
特にそれに特化してとっているわけではございませんが、先ほどのペーパーでもわかりますように、2枚目でございます。このいじめが原因でフリーステップルームの方へ通級を開始したという件数を2件というふうに御報告させていただきました。そういうようなケースもあるということでございます。
江田委員
フリーステップに行くようになったというのは、前進面で切り開けている方だと思うんですが、そういうふうにつながる、つながらないにかかわらず、不登校になっている子どもたちの中で、いじめが原因でそういうふうになっているというケースがどの程度あるかどうか。要するに、不登校の中にも病気とかいろいろありますよね。そういうものが原因となって不登校になっているという件数がどの程度あるかというのは、わかっているんでしょうか。
入野指導室長
不登校の方も同じように調査を、そういう意味ではしてございます。ただ、いじめということでの調査はなかったかと思います。心因的なものとか、怠学傾向ですとかということで、現在の傾向としては複合型という部分の分類がございまして、それが一番多いという状況でございます。
江田委員
一時期、いじめる側が悪いに決まっているけれども、いじめられる側にも問題があるという、そういうとらえ方というのは随分ありましたよね。特に不登校の子どもを持つ親御さんたちが、いろんな運動体があって、そういう方々は自分の子どもに対して、不登校になったとしても、「あなたはあなたの、今のままでいいんだよ。あなたの存在そのものが大事なんだよ」という言い方で、そういう子どもたちを気持ちのフォローをしていくというようなことがいろいろ言われていますけれども、少なくともかつてのような、いじめられる側にも問題があるという、そういう考え方、とらえ方というのは、学校現場では当然払拭されているだろうと思うんですが、そこら辺はどうでしょうか。
入野指導室長
現在は、いじめられる方にも問題があるというようなとらえ方はしていないかというふうに思います。
といいますのは、現在のいじめは多少変わってきておりまして、リーダー性が薄くなっている分、いじめられていた子がいじめる側になり、いじめる側がいじめられる側になるというような状況もございますので、一概にそういうふうに判断をするということは極力避けているという状況でございます。
江田委員
私がお聞きしたかったのは、要するに、被害者が加害者になるという、そういうケースというのは随分私どもも話としてはお聞きしているんですが、つまり、いじめられるいろんな原因がありますよね。いじめられるに至った直接的な原因がいろいろあるんだけども、そのことを「あなた、直しなさい」、そういうことよりも、やっぱりまずその子を助けなきゃいけない、フォローしなきゃいけないという意味では、その子の持っているさまざまな問題点も含めて、まず子どものそういうありのままの状態できちっと受けとめてあげる。そのことがまず一番肝心だというふうにいろんなことで言われているように思うんですが、そういう意味での学校の現場でのとらえ方というのはどういうふうになっているかという、そういう趣旨なんですが。
入野指導室長
申しわけありません。そういう意味でも、子どもたちをまず守ることが第1だというふうに考えておりますので、まず守り抜くということを第1に考えて、その次に、そこに至った原因を探っていくというような対応をお願いしております。
江田委員
現場の話、あるいは親御さんからの相談等もいろいろ受けるんですが、なかなか現実にはそうきれいにはいかないという問題がいろいろ抱えているようです。ぜひ、そういう点での指導・援助を強めていただきたいというふうに思います。
先日、こういう話をお聞きしました。中学校の子どもが差別用語であだなをつけられて、名前を呼んでもらえないで、差別用語で常に学校の中でも呼ばれていると。それで、そのことを聞いた人が、そういうことがあるよということで親御さんに話したんだけれども、親御さんも比較的おおらかな人で、「うちの子は少しトロいからそういうふうに言われるんでしょう」ということで、あまり気にもしなかった。
ところがある日、実際にその親御さんと子どもが一緒にいるところに、親だというふうに知らないで、その友達が差別用語で呼んで、それでその親御さんの方がえらい傷ついて、自分の子どもがこんなふうに言われていたのかということで初めて怒りがわいて、学校にも話に行く、それから子どもにもいろんなアプローチをする、そういうケースがあったようです。
それで、相談を受けていたその方が、その子どもに「君はそういう言葉で呼ばれていることに対して反発しないのか」という話をしたら、「しょっちゅう言われているから、僕はもう別に気にしていないよ」という話をその場ではしていた。
ところが、お母さんがそういう動きをして、いろんなことがあって改めて親御さんが子どもに話を聞いたら、そういうときには三つの方法をとっていたと。一つは、その子はスポーツ施設に通っていたようですが、とにかくそこに行って気持ちを発散させるのが第1。第2が、弟がいるそうなんですが、弟をけったり、殴ったりする。それでうさ晴らしをする。三つ目は、とにかくどこでもここでもあてなく歩き続けると。子どもですから、夜の10時、11時には帰ってくるようですけれども、とにかく気持ちがおさまらないときは歩き回る。そういうふうにして自分の気持ちをおさめていたということを話したそうですけれども、結局、学校もそういうことには気がつかない。肝心の、一番そばにいる親御さんも気がつかない。しょっちゅう子どもと接している地域の人たちも、子どもから言われるまでそのことについては全く気がつかなかった。親御さんもその話を聞いて、「ああ、確かに夜遅くになって帰ってくることがある。心配して探し回ったけれども、子どもの方から帰ってくるので、最近はあまり心配もしていなかったけれども、そういうことが原因になっていたのか」ということで、親御さんも改めて知って、子どもの内心、子どもの気持ちがどういう状態に置かれていたか、それに気がつかなかったということに対する親の至らなさを反省したという、そんな話をお聞きしましたけれども、こういうケースというのは意外とあるんだろうと思うんですよね。
あるんだけれども、親も、それから先生も、それから地域の人も、接しているけども、全くそこら辺が見抜けないというか、気がつかないというか。それで、子どももそれを悟られないようにしているという、そういうことがやっぱり、今で言ういじめの一つの特徴なのかなということを、その話を聞きながら改めて思いました。
そういう点では、確かに先生方が子どもの状態にもっと敏感になって、いかに子どもの変化をつかむかということは、教師としての立場としては非常に重要なことだし、そのことはぜひ徹底していただきたいと思うんですが、それだけではやっぱり問題は解決しない。先ほど室長は社会的な問題だという話もされましたけれども、そういう意味では、学校の中だけの取り組みではない、もっと中野区全体の、区長部局も含めた、例えば児童館だったり、あるいは学童クラブだったり、それから子どもの育成にかかわるさまざまな団体であったり、そういうところとの協力・連携、そういったことも非常に重要になってきているというふうに思うんですが、そこら辺についてはどのような考え、あるいは取り組みをしておられるでしょうか。
入野指導室長
実際、地教懇につきましては、過去の不幸な事件を受けまして、地域で中野区全体の子どもたちの健全育成に取り組もうということで強化された経緯があるというふうに聞いております。現在でもそのようなお力をかりているところでございます。さらに、子ども家庭部の方の電話相談におきましても、毎年何件か子どものいじめの相談があるようでございます。それにつきましては、私どももすぐ情報をいただいて、学校とともに連携をしているところでございますし、学校と教育委員会だけではという部分があれば、子ども家庭部を中心にケース会議を開いていただいて、対応してきているところでございます。
現在もそういう部分で対応しておりますので、さらに充実していく方向でやってまいりたいというふうに思っております。
江田委員
先ほど昆委員が、実態をどういうふうにつかむかということの大切さということで幾つか質問しておられましたけれども、やっぱり学校の教師を通じてでは見えない部分がたくさんあるんだと思うんですね。そういう点で言えば、子どもの立場、あるいは子どもの目線でこの問題をどうつかむかということが、非常に重要なんだろうというふうに思います。そういう意味で、いろんなところが直接子どもに対するアンケート調査をやったり、そうした形での、子どもに直接聞くという形での実態をつかむ取り組みをいろんなところでやっております。これは私、とても大事な取り組みだというふうに思うんですね。担任の先生が面接で子どもにいろいろ話を聞いて実態をつかもうとする、その努力はもちろん否定しませんけれども、だけども、担任の先生に「僕、いじめられてるよ」、あるいは「こんなつらいことがあるよ」というふうに直接言えるという状態であればまだまだ力がある状態で、場合によってはそういうことすら、いわゆるチクるとか、そういうこととの関係、あるいは教師との信頼関係などで、あるいは自分のプライドの関係とかあって、とても話さないというケースというのはたくさんあろうかと思うんですね。だからそういう意味で、実態をつかむという点では、いろんなやり方があるんでしょうけれども、子どもの目線でつかむという点に一層努力をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
それで、この前、犬山の教育委員会のホームページを、例の一斉学力テストとの関係で調べて、いろいろ勉強していたんですが、その中で、犬山の市長さん、今度辞職をして知事の方に出るということで、市長をおやめになったようですけれども、その市長が議会での質問に対する答弁で、何か政府の外郭団体の委員にもなっているようで、そういうところに行くと、文部科学省の中でいろんな議論がされていると。ところが、文部科学省の役人になったり、あるいはそういう外郭団体の諮問委員として参加してくるような人たちというのは、非常に学力のある人たちだと。言ってみれば、これまでのさまざまな受験競争の中でいい成績をとり、いいキャリアを積んできた人たちで構成されている。そういう人たちの中でいろんなことを議論する場合、どうしても、いかに学力を引き上げていくか。そういう意味ではお互いに切磋琢磨、競争し合うことが大事だという、そういうものにどうしてもなっていきがちだ。そこに大きな問題点があるということを、犬山の市長さんがみずからそういう話をしておられました。
そういう点では、中野区の教育委員会も含めてですけれども、いろんな計画をつくったり、取り組みを考えていく。つくる側は当然、よかれと思って一生懸命やるわけですけれども、時として、いわゆる学校で落ちこぼれた状態のままにずっと成長してきた子ども、「勝ち組・負け組」という言葉をよく使われますけれども、そういう意味では、学校の成績の点では非常につらい思いをしてきた、そういう子どもたちの気持ちを十分くみ取れない場合がある。そこに政府の計画のさまざまな問題点があるのではないか、そういう言い方をしていました。
今回、緊急アピール、文部科学大臣とか、それから都教委等が出している、そういう文書もいただいたんですが、そういう意味ではいろいろ練れた文章だというふうには思うんですけれども、どうしてもやっぱり上から子どもに対して、こうあってほしい、あるいはこうしなさいよ、頑張りなさいよという、そういうものにどうしても、上から出していく文書というのはなりがちだというふうに思うんですね。少なくともやっぱり中野区の教育委員会が取り組む場合、あるいは子どもたちに向けて出していく場合には、子どもたち自身の気持ち、あるいは子どもたち自身の立場に立った文章になっているかどうかというのが、非常に大事なことだというふうに思うんですね。上からの一方的な、言ってみれば、こうあってほしい、こうしなさいよということではなくて、子どもたちの置かれている状況をしっかりつかみながら、その子どもたちに語りかけていくような取り組みでなければいけないのではないかというふうに思いますが、最後にその辺の視点についてお聞きしておきたいんですが。
入野指導室長
中野区教育委員会としましては、教育ビジョンでも、私どもの学校の教育指導目標においても、子どもたち一人ひとり、子どもたちに目線を置いた取り組みにということをまず第1に置いておりますし、そういう表現になるように検討しているところでございます。
今回におきましても、各学校におきましても、取り組みの中に児童会活動や生徒会活動の中で、子どもたち自身に考えさせる中で、先生方も一緒に考えていくという取り組みを、学校現場でもそのような取り組みに広がっておりますので、私どもとしましては従来どおり、子どもたちを目線に置いた取り組みを推進してまいりたいというふうに思っております。
江田委員
最後にしますけれども、答弁としてはそういう答弁として受けとめておきたいと思うんですが、実際に、ますます子どもたちの世界での競争が、大人社会での競争と同じようにますます激しくなっていこうとしているというのが、率直な状況だと思うんですね。来年、全国一斉学力テストの導入とか、それに基づいて安倍首相の計画によると、予算編成等もそれでいろいろ変化していくとか、そういったことがいろいろ計画されていますが、いずれもそれは学校と子どもたちにとって非常に強いプレッシャーにもなるでしょうし、競争を強いていくことにもなるだろう。そういう意味では、今の教育のあり方が、そういう置かれている状態から子どもたちを開放し、大事にしていくという方向ではなくて、一層厳しくなってくるんではないかということを非常に危惧をしております。
そういう点で、先ほど御答弁いただいていますけれども、一人ひとりの子どもたちをいかに大事にしていくかということが、きちっと教育委員会の方針として貫かれていかないと、学校独自でそれをやろうとしてもなかなか困難だ。もちろん中野区教育委員会も、都教委があり、文部科学省があって、そこからいろんなものが来ますから、その中での中野区の教育委員会の取り組みですから、独自にあれこれするというのは難しかろうと思うんですが、その点が私は非常に今後重要な問題になっていくのではないかというふうに思っておりますので、重ねて、一人ひとりの子どもたちを大事にする、そういう教育のあり方を一層模索していただきたい。現場にもそういう援助をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。これは要望で結構です。
はっとり委員
いろいろ質疑があったところですけれども、こういう一つ大きな問題が出てくると、どうしても、「学校は何をしていたのか」、「教育委員会はどうだったのか」というようなやりとりになってまいります。私たちも文教委員会で、こういう場で質疑をさせていただいても、何となくワンクッション、ツークッション置いたような、御答弁そのものが、なかなかおっしゃっていることの意味がここでは、細かいことをお話しになれないために、やはり受けとめるときにとても、それはどういうことなのかというような、受けとめ切れない部分もあるんですけれども、今私自身は、子どもたちが育つ間の学校との関係で言うと、やはり自分の子ども中心に考えがちで、授業参観なんかに行っても、自分の子どもたちがクラスの中でどうかというような、本当に中心にしか見られなかったものが、一地域の住民として今、いろんな形で学校から、1年間を通していろんなお便りが、これまでなかったぐらいことしなんかも多いんですね。授業参観もそうですし、それから1年間通したイベントですとか、すごくいろいろいただいて。それから、学校がどういう取り組みをしているのか。「校長室の窓から」という、校長先生御自身の思いもシリーズで届けられたりとか、本当に今までにない、保護者だけでなくて地域に対する取り組みが進んでいるように思うんです。
一つそういうところに、私自身も全部に出られるということは年間通してないんですが、でも幾つか出ていくと、授業参観だけを見ていると、たった1時間足らずで、例えば道徳の授業にしても「こういう授業でどれだけの子どもたちに、どれだけのものが浸透していくのかな」というような、すごく心配してしまう部分もあったんですけれども、今、例えば私は自分の地域の学校をずっと1年間通して見ていて、いろんなイベント、それから日常的な授業が一つのテーマで行われているというのにようやく気づかされて、「あ、こういうことでやってきたんだな」というのがわかるという。本当にようやくというような感じなんですけれども、そういう中で、子どもがいじめに対応するいろんな形で、問題が起きないような、友達同士のコミュニケーションを深めるだとか、そういうことについて授業の中でも、あるいは作品展。つい先週、地域の学校で作品展があったんですが、やはりそういうものも、自分の思いを表現するというようなことがテーマになっていて、「ああ、そうか。ここの学校の方針として、子どもたちにこういう取り組みを、授業をはじめとしてさまざまな、1年間を通したイベントに、行事にこういうふうにやっているんだ」ということが、ようやく1年間通してわかってくるというようなことを、私自身が経験したところなんですね。
そういう中で、はっきりいじめということではなくても、道徳の授業などで「命を大切にする」というようなテーマで、それぞれ学年ごとに授業が行われていて、もちろんその授業をするためには、学年だけではなくて、先生方皆さんでどういう授業をするのか、その授業で何を獲得するのかというようなことが議論されながらその授業を行って、その後、保護者との懇談会もというような、ことしはそうだったんですね。
そういうところで、これまでは全部で、地域の代表、学校の代表というようなところで、大勢の場でそういう懇談をやりますと、もう先生の側からもほとんど意見も出ない。地域から何か聞かれても、それにしらっとして先生方も答えないというような状況があったものですから、こういうふうに何か工夫が、もっと地域や保護者とコミュニケーションがとれるような何かいい工夫がないものかなと思っていたら、ことしは学年ごとに全部それぞれだったんですね。そうすると、やっぱりいろんな意見も出てくるし、私なんかも集中して、私はテーマから選んで5年生に行ったんですけれども、その5年生の学年の先生、ほかの先生も含めたすごくいい話し合いができて、そこに地域も入ってというような、本当に地域の学校。前は何か、学校と地域がとても離れていたものが、ようやく最近、地域の中の学校ということが私たちには感じられるような取り組みが、少しずつ進んできているのかなということを実感しているんです。
それで、先ほども指導室長の御答弁にあったように、社会全体の問題とか、地域社会が解決していかなければならない問題がいろんな形で--このいじめもそうですけれども--起きていて、その中で、じゃ、学校が、じゃ、地域の私たちがどうするかということが今、問われているんだろうと思うんですね。改めて今、これから教育委員会として学校に対してやらなければならないことというのが、やっぱりあると思うんです。私たちも、テレビにしろ、新聞にしろ、報道を毎日、毎日、読んだり見たりということがすごく多いんですよね。そうすると、だんだん論点が変わってきたり、いろいろ考え方が変わってくるというようなことがありますよね。私たちもやっぱり、これまでのいじめ、例えば10年前の鹿川君の時代のときもそうだったんですけれども、そのときの対応とまた新たな時代の対応ということで、新しい考え方が出てきたりということがあると思うんですね。
せんだっての都政新報なんかに書かれていた、いじめで亡くなった子どもの親の意見なんかでも、いじめについての指導をしないでほしいというような考え方が示されていて、いじめの指導をしないでほしいって、どういうことなのかなと、私なんかも受けとめかねてしまうようなところもあったりはするんですけれども、やっぱり日常的な、今ある、今やっているそれぞれの学校の取り組みの中で、やっぱり命を大切にするというような、そういう取り組みの中で、改めていじめの指導ということの難しさというのもあると思うんですけれども、今学校の中での取り組みの先生たちが抱えている困難さというか、そういうものについての教育委員会としての把握というのは、どういう形で、どういうふうにされているんでしょうか。
入野指導室長
具体的な個々の事例において学校と対応していく中で、私どもがとらえていくケースもございますし、例えばお話をした生活指導主任ですとか教務主任との研修会を催しておりますし、それは毎月ございますので、そういう中での報告の中で具体的に私どもが耳にしたり、とらえたり、相談を受けたりするケースもございます。
はっとり委員
今回いじめの、たくさん連鎖という状況の中で、学校訪問をされていらっしゃいますよね。その学校訪問の中では、指導主事の方がいらしているようですけれども、それはどういう形での学校訪問の内容なんでしょうか。
入野指導室長
特にこの学校にいじめがあってということでお伺いした学校ではありません。
学校訪問を指導主事がいたしますときには、学校からこの問題について一緒に考えてほしいとか指導してほしいということで、問題が幾つか上がってまいりますので、それに重点を置いて指導・助言をするという形をとっています。それに際しましては、全クラスを指導主事が参観させていただきまして、その中でとらえた問題をお話をさせていただく場合もあります。特に、子どもの問題行動については、そういう中で外部の指導主事だから目につく、気がつくというものもございますので、そういうことでお話することもあります。さらに、先ほどお話ししましたように、学校の方から「今これが子どもたちの指導で課題になっているので、どうしてもこれについて指導してほしい」ということで、いじめですとか、子ども関係の難しさについて助言を求められることもございます。
概してそういうようなことで、先生方の指導上のことで指導主事が指導・助言をするという形になっております。
はっとり委員
1点ちょっとお聞きしたいんですけれども、きょうの毎日新聞で、いじめ加害側の出席停止の問題で、昨年までの10年間の文部科学省の小中学生のいじめ対策の中で出席停止ということを掲げていた。その問題については、47都道府県のうち43の都道府県では一度も適用されていなかったということがわかったというような、これは毎日新聞の独自の調査のようですけれども、文科省としては都道府県別人数の公表を拒んでいるということなんです。今回の教育再生会議でも出席停止ということについては盛り込まないというような方向でというような報道もあるところですけれども、いじめを主な理由に出席停止となったのは10年間で、公立の小中学校延べ24人というふうに書かれていて、沖縄と埼玉だけのようなんですけれども、あと、そのうちの二人が不明ということで、どこの都道府県かわからないということで、もしかしたらそれは東京ということもあるのかも、それはちょっとよくわかりませんけれども、出席停止ということをめぐっては、現場ではかなり、やはり問題が多いのではないか。そういうことはなかなかできないんじゃないかということで、どこの都道府県でも実施されなかったということが、報道ではそういうふうにありますけれども、中野区の教育委員会としては、出席停止の問題についてはどのようにお考えでしょうか。
入野指導室長
中野区の教育委員会といたしましても、管理運営規則の一部の改正を13年度にいたしまして、出席停止の部分を変えてきたところでございます。他の児童または生徒に傷害ですとか精神の苦痛、または財産上の損失を与える行為等、またそれから授業を妨げる行為等々を例示として挙げたところなんですが、教育委員会としましても、出席停止を行うことによって周りの子の被害を食いとめるということもございますが、私どもの責任としましては、この出席停止を受けるような子どもたちに関しても最後まで指導していく、育成していく責任がありますので、出席停止をとらなければならない事態が起きたにしても、そのときの対応をしっかりと、学習権の保障ですとか、そのときの指導の体制ですとかということもあわせて整えて望むというふうな考えでおります。
実際、今のところ、出席停止を行った例はございません。
はっとり委員
現在、いじめられている子がまた逆の立場になるというようなことも往々にしてあるという、学校の先生方のお話なんかもお聞きしておりますけれども、実際に加害者がまた学校じゃなくて、塾だとか、別の場で被害者になっているというような、そういうケースもたくさんあるということも聞いておりますし、やはり加害者を厳罰化して矯正させるということではなくて、その子の家庭の問題に何とか地域の人たちも含めて入っていけるような、その子どもたちを本当に受けとめられるような取り組みが地域全体で必要なんだろうというふうに思うんです。
やはり、これからの私たちの地域の中でのありようということが、本当に大きく問われているんだなということを日々実感しながらやっていかなきゃいけないんだなというふうに思うんですけれども、ぜひまた、これからも、各学校。モデル校としていろいろコミュニケーションだとか何だとか、テーマを決めて道徳授業が行われたりとかということはあるとは思いますけれども、これがモデル的にではなくて、全校の取り組みとして、やはり地域に開かれたというよりも、地域の学校として、地域の人たちとの連携がしっかりとできていくような、つながりが生み出せるような取り組みをこれからもお願いしたいというふうに思います。
委員長
3時になりましたので、もしよければここで休憩をしたいと思います。
3時15分まで、委員会を暫時休憩いたします。
(午後3時01分)
委員長
委員会を再開いたします。
(午後3時16分)
休憩前にさかのぼりまして、報告事項の質疑を続けます。
そのほか、御質疑ございませんか。
北原委員
1点だけですけれども、お伺いします。
今回の一連のいじめの件で、特にマスコミなんかに顔を出した学校長がおられるわけですけれども、その中で、いじめがあったと認識していなかったとか、あるいはいじめだと思わなかったとか、こうした発言がテレビ画面を通じて広く国民に伝わったわけですけれども、こうしたことで中野区の校長会が何回か開かれているわけですけれども、まさに学校を統括する責任者である学校長がいじめに対して、あるいはこういう事件が起きたときにどのようなマスコミ対応をするかということは、非常に重要な意味を持つと思うんですね。
そういうことで教育委員会として、校長会を通じたり、あるいは各校長に直接何らかの指導というのか、そういうようなことをされたかどうかということをお尋ねしたいと思います。
入野指導室長
今回のことに限らず、マスコミの方の対応に関しましては、お話しできることはお話をきちっとしていただきたいと。事実に基づいて、隠すということはなくというお話をまずしております。それと、難しい対応に関しましては、教育委員会の方へ御連絡いただいて、一緒に対応するというような、基本的なことはお話をしております。
また、校長会の方や副校長会に危機管理の方の研修会をしておりまして、マスコミ対応等についてもお話をするという機会はございました。
北原委員
かつて、子どもたちの中でいじめというのが、学校が把握できないほど潜行して行われていく。潜っちゃって、なかなか担任の教師とか、家族にとってもわかりにくいというようなことがあって、カウンセラーの配置とか、心の相談員を配置するなどしていろんな対応をされて、今回も学校側の方から地域に届けられたり、あるいは保護者に届いているようないろんな学校だよりを見ると、非常に、今までにないような新しい取り組みを入れたということで、多分、潜行した部分については表に出てくるような状況をつくっていると思っておりますので、その点については大変評価するんですけれども、特に改めて申せば、学校長がいじめがあると、あるいはいじめがあったということ、あるいは解決に時間がかかったとか、そうしたことが学校の評価、ひいては学校長の評価につながっているということはあるかどうか、お尋ねいたします。
入野指導室長
先ほどもお話をいたしましたように、いじめがあるなしではなくて、やはりいかに学校組織として対応できるだけの組織をつくっていて、迅速に対応できるか。初期対応ができるか、それから発見も早くできるか、そして速やかに真の解決に結びつけられるまでの対応が学校でとられたかということで、私どもは評価されるべきだというふうに考えております。
そういうことを思っておりますけれども、このいじめのことについて、即、教員の評価であるとか、校長の評価であるとかというふうにあるなしでとらえていることではないということは、教育長の方からのアピールの方にも書かせていただいているところでございます。
北原委員
わかりました。
それから、もう1点。先ほど、いじめにあって、学校からフリーステップの方に行かれた方が2名と。あと、転校の方が小学校と中学校合わせて3名というお話がありましたけれども、最近3年間ぐらいの間でフリーステップの方に行かれた児童・生徒が、学校の方に再び戻ってきたというようなケースについて、もし事例がありましたらお尋ねいたします。
入野指導室長
いじめが原因でということではつかんでございませんけれども、フリーステップルーム自体は学校復帰を目指している場所でございますので、毎年たしか3割以上が何らかの形で学校へ戻ることができているというふうにとらえております。例えば試験の最中だけでも戻るとか、行事の最中だけでも戻るとか、それから、保健室までは行けるとかというような状況で学校へ戻っていくというふうなステップを踏んで復帰に臨んでいるという現状はございます。
北原委員
いい方に向かっているとは思いますけれども、いじめが原因でフリーステップの方に児童・生徒が行かれた。最終的には学校に復帰して、子どもたちと同じような学校生活を送れるようにするというのが、最終的な目的ではあると思うんですね。その辺についてやっぱり、フリーステップの方へ行ったからもうそれでいいんだというよりは、やはり確実に復帰させていくんだと。それが最終的にはいじめをなくす大きな要素になるというような、そのぐらいの覚悟を決めてぜひ取り組んでいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
入野指導室長
そのようにしてまいりたいというふうに考えております。
ただ、先ほどのスリーステップに通っている事例につきましては、本人はともかく、保護者が学校には通わせたくないというケースで、とりあえず学校と保護者との話し合いでフリーステップを選んでいるというようなケースもございますので、ケースに合わせた指導を今後とも続けてまいりたいというふうに思っております。
篠委員
当分はこのいじめの議論が続くんだと思うんですけれども、また静かになるだろうと間違いなく思っていますが、いずれにしましても、すべての受け皿が区立の小中学校にあるわけですよね。信用できないとなれば、中学校は選ばれない。地元の中学校は選ばれないという厳しい現実があることを避けて通ったら中野区の損失でありますし、どうも思想的な行動のみ目立つとか、見渡す限り問題を抱えていない学校がないとか、あそこにも問題を抱えている、ここにも問題を抱えている。解決し切っていないとかというのは不思議に伝わりまして、区立の評価を下げる原因になりかねませんので、その視点から目を離さないことの方が私は最終的には大切だと思っております。
そういう意味で、こういうときには「優しく、生徒の視線で」という議論が必ず主流になるんですけれども、生徒の視線に目を合わせれば合わせるほど教育は力を失います。やはり楽をしたい。宿題なんか出さない方がいい。少々の挫折であったら、挫折した者同士探し合って握手して、ストレス解消するのは、決して向上のバネにはならないわけですよね。次にどうしてもこの傷つけられた自分のプライドをはじき返してみせようという、その子どものバネを大人が先回りして、何が何でもなくしてやるというのは決していい教育でもないわけで、そういった意味で教育委員会に求められているものは大変大きいと思いますので、学校再編、統廃合という大きな問題を抱えている。その中で遠慮して、本当は持っている案件だけど、力強い中野の教育ということから目を離さない行動をとるには避けて通れないということを承知の上で避ける可能性まで秘めているというふうに私は思っているんです。
議論が、競争はなくせという大合唱が必ず、こういうときを機にして来年の全国一斉テスト等でも、30年も40年も実施できなかったという現実も持っているわけで、そういったことも含めてぜひ、教育委員会の決意を、この問題を通して、区立の小中学校、力強い中野区ということから目をそらさないコメントをいただきたいと私は思っています。
沼口教育長
いじめの問題、今日はかなりいろんな方から御意見もいただきましたけれども、やっぱりこの問題は私は本音で議論しない限りは本質が見えてこないといいますか、形式的な話だけではなかなか難しいかなと思います。
それで、基本的にはやはり私は、最後は、人間の持つ生命力といいますか、再生力みたいなものがあると思いますけれども、やっぱりそれをきちんと育てていくということが一番重要なのかなと。今、篠委員もありましたけれども、いろんな力を大人がみずから、子どものそういう力をそいでいくというようなことがあってはならない、そのように考えています。
そういう基本の上に立って、いろいろこれから教育行政についての課題、たくさんありますけれども、そういうことを踏まえながらあらゆる問題に対応していきたい、そのように考えてございます。
酒井委員
すみません。さまざまいじめの問題が出たんですけれども、少しだけ聞かせてください。
やっぱりいじめのこういった事件が出てきた中で、道徳教育や情操教育というのが非常に大切になってくると思うんです。それで、その他さまざま、本当に数年前では考えられなかったような事件が起こっておる中、こういった道徳、情操教育の必要性というのがある中、一方で週休2日制になりまして授業日数が減り、そして体力・学力を上げよう、上げよう。学力を上げよう、体力を上げようという中で、道徳教育というものの位置付けというのをどうしていくのかというのが非常に大切だと思うんですね。そのあたりをちょっと、どういうふうに考えておるのか。それか、授業日数が減ってもそこは大丈夫なんですよというのを、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
入野指導室長
現実に、道徳の授業を最低限行わなければならない授業時数というものは変わってございません。5日制の前も、今も変わっておりませんし、学校は大事に、その時間も、さらにほかの時間の中でもこの道徳の教育というのを行わなければなりませんので、大事に行っているところでございます。
酒井委員
今やっぱり、そうは言われましてもなかなか、さまざまやらなければいけないことがある中、どうしてもそういうのがちょっとおろそかになってしまうような感があったので、ちょっと教えていただきたかったんですが。
それと、もう1点なんですが、いじめの指導・対策等々で、最初委員会の中の議論で、生命を大切にする教育というのがございましたかね。ちょっとそちらの内容をもう1回だけ教えてください。
入野指導室長
中野区教育委員会の学校の指導目標の具体的な基本方針のまず第1番目に、「生命を大切にする教育の推進」というのを挙げております。2番目が、「人権を尊重する教育の推進」ということで、3番目は、「生きる力を育む教育の推進」ということで、ここ何年間かは取り組んできております。まず、人権を尊重する教育の推進の中に生命を大切にする教育を入れるということではなく、中野区としては、学校の教育活動全体を通して、生命を尊重して健康に生活する態度を育てるということをまず1番に挙げて取り組んできているというところでございます。
酒井委員
今回のいじめの問題においての、そういった生命を大切にするというお話のところで聞きたかったんですけれども、なぜかと言いましたら、やっぱり先ほどから生命を大切にしなければいけない、生きる勇気を持っていかなければいけないと言われますが、いじめられている子にしますと、生きる勇気なんてもう持てない状況ですよね。そうしたら、明るい未来もなかなか見えてこない中、やっぱりみずから命を絶ってしまう。一方で、さんざんいじめられたけれども、今こういった方だとか。僕ちょっと、今、いいたとえの方が思い浮かばないんですね。プロレスラーの人しかちょっと思い浮かばないもので、あまり名前の通っていない方なので。
そういう事例も多々あると思うんですね。だからやっぱり、いじめられても、例えば中学校に行く、高校に行く、その都度、都度で環境が変わることによって、そういうのがなくなるということもあると思います。それによってさまざまな明るい将来が見えてくるというのを、そういったことの中にちょっと入れてほしいなだとか、もしくは学校でそういうのもいじめの問題のときに取り上げていただけたらいいなと思いまして、要望になるでしょうかね。それをちょっとお聞きしたかったんです。
入野指導室長
やはり道徳の授業の中だけでなくて、子どもたちは非常に、自分の居場所があるというんでしょうか、生きていく価値があるというんでしょうか、さらに、これからの人生に希望がある、今もあるということですけれども、そういうものを中心に生命を尊重するという。それは自分もそうですし、相手もそうだということで指導してきているところでございます。
言葉が足りなくて申しわけございません。
飯島委員
私から、質問というより、資料の出し方について注文をつけておきたいと思います。
教育委員会資料で、教育委員会に報告のあったいじめの件数というのをいただきました。こういうときはぜひ、ゼロだった学校。小学校でこういう、件数18ですから、当然報告のなかった学校もあるわけですよね。あるいは二つ、例えば「悪口」と「からかい」があったところとかというような、もちろん中学の場合も一緒ですけれども、ぜひそういう、報告のなかった学校数が幾つ、あるいはダブルカウントのところが幾つというふうに、もう少し実態が見えるような、校名まで出せとは言いませんので、そういう形で資料をぜひおつくりいただければ、もう少し皆さんも全体の状況の把握ができる。
例えば、ゼロというのはプラスの場合もあるし、マイナスの場合もあります。気がつかないということだってあるかもしれないので、ぜひそういう意味では、文教委員会でこういう時間を設けましたので、出していただく資料によってはまた違うことがあったかもしれないので、ぜひその点はお願いしたいし、今のようなことでゼロ報告のあった学校、小学校、中学校、数がわかれば教えてください。
入野指導室長
小学校が11校、中学校が6校から報告が挙がってきております。
委員長
ほかにございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
次に、報告事項、その他、理事者の皆さんから御報告、これ以外にございますか。
それでは、以上で本報告及び要求資料についての質疑を終わります。
それでは、委員会を暫時休憩して、幼児総合施設に関する報告――情報提供を受けたいと思いますので、よろしいでしょうか。
それでは、委員会を暫時休憩いたします。
(午後3時35分)
委員長
委員会を再開いたします。
(午後3時58分)
他に報告はありませんか。
なければ、以上で所管事項の報告を終了いたします。
次に、閉会中の当委員会の所管事項継続調査について(資料4)お諮りいたします。
お手元に配付の文書に記載された事項について、引き続き閉会中も調査を要するものと決定することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
御異議ありませんので、そのように決定いたします。
議題のその他に入ります。
今定例会中で予定した案件は以上で終了いたします。したがって、明日は委員会を開会しないということでよろしいでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
それでは、次回の日程を協議したいので、委員会を暫時休憩いたします。
(午後3時59分)
委員長
それでは、委員会を再開いたします。
(午後4時09分)
休憩中に確認しましたとおり、次の委員会は2月7日午後1時から当委員会室で行うと。場合によっては、当日こども図書館の職員会議があるそうですけれども、もし可能ならばそれも考えておきたい。このことは一応、対応はしてみますが、だめになる場合もあると、あらかじめ御了承してください。
以上で本日予定した日程はすべて終了いたしますが、委員、理事者の皆さんから特に発言はございませんでしょうか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
なければ、以上で本日の文教委員会を散会いたします。御苦労さまでした。
(午後4時09分)