1.平成28年(2016年)6月8日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(42名)
1番 加 藤 たくま 2番 若 林 しげお
3番 日 野 たかし 4番 木 村 広 一
5番 ひやま 隆 6番 山 本 たかし
7番 渡 辺 たけし 8番 内 野 大三郎
9番 羽 鳥 だいすけ 10番 北 原 ともあき
11番 高 橋 かずちか 12番 内 川 和 久
13番 甲 田 ゆり子 14番 小 林 ぜんいち
15番 白 井 ひでふみ 16番 中 村 延 子
17番 細 野 かよこ 18番 小宮山 たかし
19番 広 川 まさのり 20番 い さ 哲 郎
21番 佐 野 れいじ 22番 いでい 良 輔
23番 伊 東 しんじ 24番 平 山 英 明
25番 南 かつひこ 26番 小 林 秀 明
27番 森 たかゆき 28番 石 坂 わたる
29番 いながき じゅん子 30番 小 杉 一 男
31番 浦 野 さとみ 32番 伊 藤 正 信
33番 高 橋 ちあき 34番 大 内 しんご
35番 市 川 みのる 36番 篠 国 昭
37番 久 保 り か 38番 酒 井 たくや
39番 近 藤 さえ子 40番 むとう 有 子
41番 長 沢 和 彦 42番 来 住 和 行
1.欠席議員
な し
1.出席説明員
中 野 区 長 田 中 大 輔 副 区 長 川 崎 亨
副 区 長 本 田 武 志 教 育 長 田 辺 裕 子
政 策 室 長 髙 橋 信 一 経 営 室 長 篠 原 文 彦
都市政策推進室長 奈 良 浩 二 西武新宿線沿線まちづくり担当部長 角 秀 行
地域支えあい推進室長 野 村 建 樹 区民サービス管理部長 白 土 純
子ども教育部長、教育委員会事務局次長 横 山 俊 健康福祉部長 瀬 田 敏 幸
保 健 所 長 寺 西 新 環 境 部 長 戸 辺 眞
都市基盤部長 尾 﨑 孝 政策室副参事(企画担当) 海老沢 憲 一
経営室副参事(経営担当) 朝 井 めぐみ
1.本会の書記は下記のとおりである。
事 務 局 長 小 田 史 子 事務局次長 古 本 正 士
議事調査担当係長 佐 藤 肇 書 記 関 村 英 希
書 記 大 野 貴 子 書 記 細 川 道 明
書 記 井 田 裕 之 書 記 冨士縄 篤
書 記 田 中 寛 書 記 遠 藤 良 太
書 記 鎌 形 聡 美 書 記 松 丸 晃 大
書 記 香 月 俊 介 書 記 亀 井 久 徳
議事日程(平成28年(2016年)6月8日午後1時開議)
日程第1 第61号議案 平成28年度中野区一般会計補正予算
第62号議案 中野区ユニバーサルデザイン推進審議会条例
第63号議案 中野区名誉区民条例
第64号議案 中野区情報公開・個人情報審査会条例
第65号議案 中野区行政財産使用料条例の一部を改正する条例
第66号議案 第二中学校体育館等特定天井落下対策等工事請負契約に係る契約金額の変
更について
第67号議案 清掃車の買入れについて
第76号議案 もみじ山文化センターホール天井耐震補強等工事請負契約
日程第2 第68号議案 中野区民活動センター条例の一部を改正する条例
日程第3 第69号議案 中野区民住宅の一部を改正する条例
第70号議案 中野区大和町中央通り沿道地区における建築物の制限に関する条例
第71号議案 中野区自転車駐車場条例の一部を改正する条例
第72号議案 特別区道路線の認定について
日程第4 第73号議案 中野区立幼稚園条例の一部を改正する条例
第74号議案 中野区保育所保育料等の徴収等に関する条例の一部を改正する条例
第75号議案 中野区立学校設置条例の一部を改正する条例
午後1時00分開議
○議長(北原ともあき) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 加 藤 たくま
1 ICTを用いた新しい施策・事業評価等について
2 マイナンバー制度について
3 平和の森公園および新中野体育館について
4 熊本地震を教訓とした災害対策の在り方について
5 その他
○議長(北原ともあき) 最初に、加藤たくま議員。
〔加藤たくま議員登壇〕
○1番(加藤たくま) 4月に発生しました熊本地震におきまして、熊本・大分県を中心に被災された方々にお見舞い申し上げるとともに、自衛隊・消防関係者による救助活動、中野区を含めた各行政の支援・復旧活動に敬意を表します。
まだ評価をするには時期尚早とも思いますが、各メディア調査によると、政府の対応を「評価する」という解答が5割を超え、東日本大震災などで得られた教訓が生かされているものと感じられます。熊本地震を教訓とした災害対策のあり方については、通告どおり4番で触れさせていただきます。
アベノミクスにより、株価は4年間でおよそ2倍、有効求人倍率は1.34に増加、日本の家計金融資産は5年間で1,476兆円から1,741兆円となり、265兆円増加、そのうち85兆円がタンス預金・預貯金となり、デフレマインドがなくなれば、景気がさらによくなっていくと思われます。
第一の矢、金融政策、第二の矢、財政政策は相当程度の成功をしておりますが、第三の矢、成長戦略は規制緩和、新たな学術研究などが伴う政策のため、その効果があらわれるまで少し時間がかかるものです。成長戦略に関しては政府に全て任せるものではなく、中野区でもできるものがあると私は思っております。そこで1番に、中野の成長戦略に資する可能性がある技術に関して質問をさせていただきます。ほかの質問は通告どおりで、その他はございません。
それでは1番、ICTを用いた新しい施策・事業評価等について。
中野区のICT施策の最終的なゴールは二つあると思います。一つ目は、中野区民と行政をつなぐこと、二つ目は、中野区の産業の振興です。ほとんどの人が携帯電話、スマートフォン、タブレット、パソコンのいずれかを所有しており、それら媒体を介することで中野区民と中野の行政、産業をつなぎ、過不足なく情報の送受信ができることが最終的なゴールと思われます。過不足なく情報を送受信するには、区民へ行政・産業からの情報が自動的にスマホなどに送られるプッシュ配信が不可欠です。そのためのポータルアプリが必要となってきます。
ポータルアプリは、自分が望めばプッシュ配信以外の情報、別のアプリも得られるものであるべきです。例えば、ことしから中野ごみ分別アプリが始まります。そのポータルアプリを使いまして、そういうごみアプリができましたよというようなプッシュ配信がされたり、また、そのプッシュ配信されたごみアプリが欲しいとなれば、自分でそれをインストールする、そういう形が望ましいと思われます。
さきの第1回定例会で私が総括質疑させていただいた、ゲリラ豪雨などの浸水予測情報などのリアル情報もプッシュ配信されることも可能だと考えております。要するに、今後の中野のICT施策推進は、中野のポータルアプリをつくり、区民にそのアプリをインストールしていただき、プッシュ配信する、これがこのICT施策のゴールになるのではなかろうかと考えております。
Nakano Free Wi-Fiのサービス向上は、それ自体が増加とかを目的にするのではなく、あくまでICT施策の推進、そのポータルアプリをインストールしていただくきっかけづくりにすべきだと考えております。Nakano Free Wi-Fiを増加させるなどの手段の目的化をするのではなく、何のためにICT環境を整えるか、しっかりとしたビジョンを持ってやっていくべきです。とはいえ、そのインターネット環境がなければ、ICT施策も推進させていくことはかないません。そこで、Nakano Free Wi-Fiについて質問させていただきます。
2015年10月からNakano Free Wi-Fiが開始されておりますが、利用者の推移はどのようになっているでしょうか。また、店舗にあるWi-FiをNakano Free Wi-Fi Plusというのに加入させるサービスもありますが、その加入状況についても伺います。
また、それぞれの数が増加するように、中野区として何か対策をこれまで行ってきたかということについて、併せてお伺いいたします。
次に、中野区の新しいICT関連の社会実験についてお伺いいたします。冒頭で挙げました中野の成長戦略の一つになるのではなかろうかと私は個人的には思っております。
ことしの3月から、中野でICTを利活用した社会実験が行われており、この実験内容を応用することができれば、今後の中野において新しい施策や事業評価スキームの創出ができるのではないかということで、その実験の最新の知見と新たな試みについての提案を説明するとともに、それに関する質問をさせていただきます。
中野区は「区内のICT・コンテンツ関連産業の集積・促進及びICTコンテンツを活用したICT、産業振興の促進を図る」ことを目的として、ICTCO(イクトコ)、一般社団法人中野区産業振興推進機構があります。その機構と情報サービス連携コンソーシアムが、中野区における地域経済・観光の活性化、防災計画でのデータ活用を目的として、中野北口サンモールと中野四季の都市(まち)を歩いている人の人数や流れの分析を行う動線解析の実証実験を始めました。
この実証実験は二つありますが、一つ目のサンモールにおける実験では、歩いている人が持っているスマートフォン、ここから出ているWi-Fiなどを代表とした電波をBeaconといわれる機械で、そのセンサーで受信することで、どれだけの人数が通過したかカウントすることができます。このセンサーはサンモールに既に12カ所設置してありまして、そのセンサー付近の通過人数をカウントしています。そのセンサーから拾う電波から個人情報が流出することはないということで、安全だそうです。
また、スマホが移動していない、つまり、そのスマートフォンを持っている人が移動していないということも確認できるため、どこの店舗に入ったかとか、そういった情報までも得られるということです。4月から行った実験結果から、朝から夕方まではサンモールを通過する客が多く、夕方以降は滞在、つまり店に入っていると思われる割合が増加することがわかってきました。センサーの設置条件によっては、店舗ごとに人数をカウントすることもできるのではなかろうかということです。
二つ目の実験に関しましては、四季の都市の実験ですが、ビデオカメラで得られた動画とPIV解析と呼ばれる画像処理方法によりまして通過人数をはかる試みを中野区と共同研究しているということです。さまざま手法を組み合わせることで人の流れ、動線解析を行うのに非常に有効な手段が確立されようとしております。サンモールに設置されているというBeaconのセンサーは、今、1台初期投資で3,500円程度で、1カ月のランニングコストが600円程度と非常に安価なものです。人数をはかるのに非常にすばらしい技術だと思われます。
例えば、四季の都市で開催されるイベントで、スタッフが参加人数を勘定するというのは、非常に困難なことです。そこで、この実証実験のプロジェクトメンバーに伺ったところ、サンモールの実証実験のように通過する人数を一本的なこういったものではかるのではなく、面的なものを、センサーを張ることによって人の配置や流れをはかることができる、そこの四季の都市にどれだけ人がいて、どれだけの人が動いたかということがはかれるということです。現在の実証実験のネクストステージとなる、この面的な動線解析が実現すれば、イベントの事業評価が容易になり、時間帯、天気、コンテンツの中身、あと、宣伝方法など、何がイベント人数の増減に効いてくるかが見えてくると思われます。
そこで質問ですが、今後さまざまな形で社会実験がさらに拡充していく中で、さまざまな許可が必要になってきます。さらに実証実験を進められるように、区としてバックアップをしてはいかがでしょうか。このICTCOの技術、いろいろなすばらしい技術が出てきておりまして、中野からの成長戦略ということで、全国、世界に発信できるものと期待しております。
また、Beaconにはプッシュ配信機能もあります。Wi-Fiでスマホなどに情報を送る機能があります。中野駅北口でNakano Free Wi-Fiでアクセスした状態でサンモールに入れば、Wi-Fi機能がオンのままでありますので、プッシュ配信することが可能です。四季の都市にBeaconを設置することで、イベント時には四季の都市にいる参加者のみにプレミアムなイベント情報をプッシュ配信するなどの楽しんだ情報などを、ポータルアプリを介してインストールしてもらうというような仕掛けを考えていくことも可能となってきます。
そこで質問ですが、中野区のICT施策のさらなる推進のためには、Nakano Free Wi-Fi、Beacon、ポータルアプリなど、複合的、重層的なサービスが必要となっていくと思われますが、区の御見解はいかがでしょうか。
また、Beaconのほかの利用方法として、区有施設にBeaconを設置することによって、施設の訪問者数を計測、中野の情報のプッシュ配信も可能になってきます。公共施設に利用者人数だけで評価するというものではありませんが、そういったイベントの人数などをはかるということによって、これが行われたことによってこういった人数がふえているとか、そういった分析が可能になってくるのではないかと思います。
また、堅実なPDCAサイクルの循環に資する技術になるものではないかと考えております。中野のICT施策がさらに推進されることを期待しまして、この項目の質問を終わります。
二つ目に、マイナンバー制度についてお伺いいたします。
マイナンバーカードの交付が非常に遅れております。これまで遅くなっている理由としまして、地方公共団体情報システム機構、通称J-LISのシステム障害と言われておりますが、不完全なシステムのまま作業が進み、個人情報の流出リスクが高まるよりは、しっかりとしたシステム構築がなされてから作業が進んだほうがいいに違いないため、この遅れはある程度致し方ないと理解しておりますが、あまりに発行が遅れております。
6月1日付で中野区ホームページを確認したところ、「非常に多くの方から申請をいただいており、マイナンバーカードの申請からお渡しまでに数カ月かかることが予想されています」と書いてあります。それで期間が明確になっておりません。なかの区報5月20日号の9ページには、マイナンバーカードを申請した方へという欄があり、「申請が集中しているため、申請から交付まで5~6カ月の期間がかかっております。交付通知を順次郵送するので、もうしばらくお待ちください」とありますが、これだけでは区民の心配を拭うことができないと思われます。全員が全員、半年程度遅延するかよくわかりませんが、そのぐらいのスケール感で待っていただかなければならないということを区民の方々にお伝えすべきだと考えております。
そこでお伺いいたします。中野区のせいではないとはいえ、区民の方々が心配しておりますこのマイナンバーカードの交付の遅れにつきまして、その辺、どのような対応をなされていくかということをお教えください。
マイナンバーカードの導入による現在のシステムのメリットとして、電子確定申告e-Taxなどの電子申請、免許証などのかわりになる公的な身分証として使えるようになる、コンビニなどで住民票、印鑑登録証などの公的な証明を受けられる程度と限定的です。しかし現在、中野区においてマイナンバーの申請者は、世代別に言うと40代が最も少なく、70代の方々が最も多いと聞いております。その理由として、マイナンバーカードの申請には免許証がわりの身分証になるということが挙げられると思います。そのために免許証を持っていない人が、今回は無料でつくれるためマイナンバーカードの申請がふえていると考えられます。まだ限定した機能でありますが、一定の利便性の向上が見られ、マイナンバー制度による効果があると思いますが、事業性も上がっていただかなければ困ります。
そこで伺いますが、コンビニ交付の状況と、現在のマイナンバー制度ができたことで中野区としてどのようなメリットがあるかをお伺いいたします。
現状では限られた機能ではありますが、将来的にはさまざまな機能拡張が考えられていると伺います。私が最も期待するところといたしましては、病院・診療所間でのデータ連携です。医療等分野の個人情報の適切な活用は、患者へのより安全で質の高い医療・介護の提供に不可欠です。
日常の健康管理や災害時の対応でも、国民みずからが診療・服薬の履歴を把握するニーズが大きいです。多くの薬が処方されることによって生じる副作用、また、残る薬、残薬という問題がありますが、その解消が期待できます。
10種類以上の薬を処方され、副作用で記憶が低下し、認知症と誤診されたり、適切に服用できず昏睡状態に陥ったりするケースなど、高齢者入院のおよそ1割が薬による有毒作用だと言われております。さらに最近の調査では、あまりに多くの薬が処方されることによって、飲み残しなどの残薬を知らずにさらに新たな薬が追加され、深刻な副作用を引き起こしている実態が明らかになっております。高齢者がどのように薬を飲んでいるかを把握しないまま、投薬が先行する医療体制の問題が指摘されている残薬は、在宅の高齢者だけで500億円に迫ると見られております。その解決のためには、なぜこの薬を飲んでいるのか、バックアップデータを把握できる仕組みが必要です。適切な薬を適切な量、処方することは、健康を向上させることに資することになります。
また、無駄というか、過剰に処方されているかもしれない薬を減らし、社会保障費の支出を抑えることにも役立ちます。また、このようなビッグデータは最適な医療のあり方を導き出すことも可能とするわけで、大きな期待ができるところです。しかし、そのためには国からの方針が打ち出されたときに、いきなりの対応ができるように準備する必要があります。
そこで質問ですが、今後さまざまな領域でマイナンバー制度の利活用が推進される中で、区はどのように対応するお考えがあるのか伺います。
この項はこれで終わります。
それでは3番、平和の森公園及び新中野体育館について。
平和の森公園の、完成するまでの歴史的経緯をたどると、当初は体育館が求められておりました。中野区議会史 区政50周年記念によると、昭和41年6月の第2回定例会で、中野刑務所敷地等国有地解放特別委員会を設置し、刑務所敷地などの区内の国有地解放運動を行うことになりました。区内の町会連合会、PTA連合会、体育協会、婦人団体連絡協議会、青年団体協議会、労働組合協議会、商店街連合会、産業会、工業会の団体によって全区的に署名運動が展開され、昭和41年11月の第4回定例会に議員提出議案第6号「中野刑務所敷地解放に関する意見書」が上程され、原案どおり可決し、12月13日には議員全員の名前で法務大臣と大蔵大臣へ提出されました。
この意見書の趣旨は「中野刑務所を一日も早く移転し、その跡地を公園、野球場、競技場、プール、体育館の文化体育施設に利用できるように解放してください」というものでした。その後、陳情、請願等を何度か行いますが、その要望はかなわず、昭和46年4月の区議会で、総理、法務、大蔵の各大臣に宛てて刑務所跡地を公園、運動場として活用し、緊急時の避難場所として活用したいという要望書を提出しました。
同年11月10日、解放同盟と区議会の主催で中野刑務所移転促進区民大会を開催しました。大会後の署名運動には区民が続々と参加し、約12万人の署名が集まり、都議会への陳情と同時に提出しました。都議会の特別委員会は、全会一致で中野刑務所の敷地解放を採択し、総理、自治、大蔵、建設の各大臣へ意見書を提出し、移転促進運動は大きく前進しました。
刑務所の解放運動が始まった昭和41年、当初の区民の悲願は、改めて言いますが、「中野刑務所を一日も早く移転し、その跡地を公園、野球場、競技場、プール、体育館の文化体育施設に利用できるように解放してください」ということです。また、昭和56年の中野刑務所跡地利用計画区民協議会の報告書によると、公園の基本計画案とその考え方において、第一に防災公園としての機能の確保、第二に家族を中心としたレクリエーションを楽しめる多目的な空間を重視すべきとしております。
そこで伺いますが、区としても同じような、今言ったような歴史的経緯を踏まえた認識をお持ちか、お伺いいたします。議会史、区民協議会報告書のとおりであるとすれば、この50年間時が流れましたが、そして環境も変わりましたが、さきに発表された平和の森未開園部分に新中野体育館ができることにより、当時の区民がかなうものになると考えております。
また、体育館建設予定地である未開園部分と現存の平和の森公園の敷地面積を足しますと、約6.5ヘクタール、現在中野で一番広い江古田の森公園は6ヘクタールであり、今度の体育館ができることによって、敷地面積は中野区内で一番広い公園となります。
また、区におけます中央体育館を有することから、中野区の健康増進施策のシンボリックで、地域のみならず中野区民全員が楽しめる、にぎわいのあるスポーツ施設に生まれ変わっていかなければなりません。そして、中野区最大の公園かつ中央体育館の利用者は、地域の方々ではなく、中野区全員を対象とした中野区の中心の施設でなければいけない、そういうことです。区民全員が利用者で、解放時間帯は常に活気、にぎわいがあふれる施設のイメージを計画に盛り込んでいただきたいと考えます。現在の案では、一つひとつの施設が独立したような計画に考えられます。中野の中心施設という役割を認識し、にぎわいを創出する総合的かつ包括的なさまざまな仕組みが必要となってくると考えます。コンセプトは、人を集めてにぎわいのある公園をつくる、そういうことです。区民全員が行きたいと思える中心施設となっていかなければ公共性が担保されず、区としては不作為と言われても致し方ありません。そこで、幾つか質問させていただきます。
一つ目、多目的広場です。多目的広場となる少年スポーツ広場に夜間照明が設置され、現在よりもグラウンドを広くする計画案となっているということですが、日中は子どもたちが使いやすいように優先権を与えるなどの配慮があってもよいかと思います。そこで伺いますが、多目的広場の今後の活用の展望を区はどのようにお考えか伺います。
二つ目、陸上トラックですが、先日、台東区の台東リバーサイドスポーツセンターを視察したのですが、200メートルトラックで今回計画している300メートルのものよりは狭いですが、通常、陸上部が利用しているようです。そして、休日になりますと、中学校、高校の運動会が開催されることもあるということです。中野区内の中学校のグラウンドは非常に小さく、私が先日南中野中学校の運動会では150メートルトラックで、インコースを走る子どもたちは非常に大変そうで、明らかにアウトコースの学生とはフェアな条件ではないように見られました。また、校庭スペースには限りがあるため、父兄はシートなどを敷いて運動会を観戦することはできず、全員立ち見となっております。みんながシートの上に座って、ピクニック気分のような形での運動会、そういったにぎわいのあるイベントが平和の森公園のこの場所で行われることを希望します。
そこで伺いますが、陸上トラックはどのようなコンセプトでつくられるおつもりか、区のお考えをお聞かせください。
3点目に、ウォーキング、ジョギングコースについてですが、区のスポーツ拠点としての位置付けであれば、女性でも夜安心して走れる、そういった明るい公園づくりが必要になってくると思います。現状では、利用するなと言わんばかりの、暗がりが多い、危険を感じる園内です。物理的・雰囲気的に明るくするためには、まず、茂みを減らすことが重要です。そして、夜間照明をふやすことが重要になってくると思います。ジョギングコースにある程度の園路灯を入れていただくのはもちろんですが、多目的広場の照明を利用して、その明かりをジョギングコースにも入るようにすれば、物理的にも雰囲気的にも明るくなってくるものと考えます。
そこで伺いますが、ジョギングコースはどのようなコンセプトでおつくりになるか、そのお考えをお聞かせください。
最後、4点目、体育館内の施設配置・サイズ感についてお伺いします。
体育館が完成すれば、野球場、園路、草地ひろばの利用者は、体育館の更衣室、シャワー室を使いたくなることが想定できます。しかし、現在の計画では更衣室、シャワー室は体育館の中ほどに位置しているため、泥汚れを外から持ち込みかねない状況が想定されます。区のスポーツの拠点ということになるのであれば、野外施設との関連性を高めていただければと思います。
また、現体育館でよく言われているのは、各施設の狭さです。さまざまなイベントを拝見しますが、試合自体はもちろんできているんですが、観客が入れるようなスペースが少ないように思われます。そこで質問ですが、区としては現在の体育館と比較して、どのような点を変更していこうとしているのか、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
かつて、警察大学校等の開発に対して反対を表明した人々が、開発が整って四季の都市で行われるイベントに参加しているように、平和の森に新たに整備される新体育館の諸施設に反対する人にも、完成後に利用され、行われるイベントに進んで参加してもらえるような、よりよい施設整備を望み、この項の質問を終わります。
4点目、熊本地震を教訓とした災害対策のあり方について。
熊本地震が発生した際には、東日本大震災で得られた教訓から、被災していない各自治体の初動は非常にすばらしいものがあったと聞きます。しかし、被災した自治体は人生で体験するかどうかと言う確率の自然災害に対してノウハウを持っているわけではなく、実際に起こってしまったら、幾ら訓練を積んでも対応は困難となります。それはどの自治体でも同じで、中野区においても例外ではありません。ほかの自治体より地震等災害の教訓を得て、事前に準備する以外方法はありません。東日本大震災でも非常に教訓になることはありますが、津波が発生することがない中野区においては、今回の熊本地震から得られる教訓のほうが多いと感じております。クライシス・マネジメントの観点から、想定できるものは全て事前に対応し、有事の際の負担を軽減することが重要です。まだ災害調査のさなかで、しっかりとした検証はなされておりませんが、現段階で中野区はできるのではないかという2点を挙げさせていただきます。
一つ目が災害対策本部です。災害対応中は議会を開催することは非常に困難な状況であるため、議会棟の本会議場及び委員会室などを使用することが災害対応中はありません。議会棟は災害対策に資するスペースになるべきと考えます。この本会議場を災害対策本部として使いまして、委員会室を各所管の部屋とすれば、動線的には非常によいものがあると考えられます。7階会議室で行われている図上訓練を拝見したところ、電話・インターネット・防災無線などの情報インフラ、机・椅子・パソコン・スクリーンなどの備品が必要であり、いきなりこの部屋を災害対策本部にするというのは難しいとは思いますが、その検討の価値はあるかと思います。まずは有事の際、この部屋とか委員会室を職員が寝泊まりする場所にできるのではないかということで、そういったことを提案させていただきます。
そこで質問ですが、区の災害対策本部が継続的に機能し続けるために、区職員の休憩場所が欠かせません。議会棟を含めて現庁舎で災害時に活用しない部分を点検し、休憩場所の確保に取り組んではいかがでしょうか。回答を求めます。
二つ目、支援物資の運搬方法です。支援物資が倉庫に滞る事態がメディアから見受けられました。東日本大震災を受けて、各自治体に支援物資を早急に被災地に送る体制が備わっていることが確認できた今回の熊本地震でありました。しかし、支援物資を受け取る自治体側が対応し切れなく、混乱したように感じました。支援物資を送る側は練度が上がってきますが、受け取る側の練度を上げるのは非常に困難です。中野区においては、区役所、都立富士高校、都立稔ヶ丘高校を支援物資の集積所とするということですが、中野区が災害時の輸送協定で東京都トラック協会中野支部、赤帽と連携して集積所から各避難場所に配布するルールとなっていると聞いております。しかし、熊本の事例より、中野区においても職員の混乱が予想され、支援物資を各避難場所に送ることが非常に困難だと考えられます。ここで抜本的に支援物資の配布ルールを変えることで職員の負担を軽減させてはいかがでしょうか。
また、熊本地震では、復旧・復興段階の移行に時間がかかり、混乱も生じてきているようです。被災後、速やかに復旧・復興へ移行できるよう、区は復旧・復興手続に必要なものや具体的な計画を事前に整備しておくべきだと考えます。現在、区が有事になる前にできることを検討されていることがあれば、御教示いただければと思います。
これで全て私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 加藤議員の御質問にお答えをいたします。ICTを用いた新しい施策、事業評価等についてであります。
Nakano Free Wi-Fiの状況についてですが、Nakano Free Wi-Fiは昨年10月からサービスを開始し、11月のアクセス数は9,247件だったのに対し、ことしの4月は2万1,718件と2.3倍に伸びてきました。
また、民間店舗が参加するNakano Free Wi-Fi Plus、これは5月末現在で81アクセスポイントとなり、こちらも順調に伸びているというふうに思っております。利用の増加に向けて区報やホームページでの周知に加えて、アクセスポイントでの路上シートの添付、それから利用ガイドの配布など、認知度を高める工夫を行っているところであります。また、商店街に御説明をするなど、民間店舗に対する働きかけも行ってきたところであります。
ICT実証実験、Beaconを活用した実証実験の促進についてという御質問がありました。
Beaconと言われる無線通信機器などを活用した人流計測、人の流れの計測ですね、人流計測の実証実験は、中野駅周辺における高度な環境情報都市整備に関する共同研究、この協定に基づいて区と産業振興推進機構が共同して研究を進めているものであります。この研究には幾つかの大学の研究者の方が参加をしておられると、こういう形になっております。Beaconによって歩行者の流れや交通量を計測し、平常時のまちの状況を把握・分析することで観光イベントやあるいは非常時の対応など、さまざまな活用も考えられることから、有効な取り組みであると認識をしております。今後も実証実験の実施に当たっては、区として関係機関との調整や情報提供など、研究活動が円滑に進むよう支援を行うとともに、実証実験で得られるデータの活用や情報発信の検討など、相互に連携しながらより効果的な政策形成に資するよう、取り組みを進めてまいります。
Nakano Free Wi-Fiの利活用についてであります。
Nakano Free Wi-FiやBeaconなど、さまざまな情報インフラの整備・活用によって、平常時のタウン情報や非常時の災害支援情報など、適時適切に情報を発信していくことが必要であると認識をしております。スマートフォンなどの情報端末の利用者もふえており、アプリを活用した情報の収集・発信の強化も視野に入れ、具体的な事業展開ができるよう検討していきたいと考えていきたいと考えております。
マイナンバー制度についてであります。マイナンバーカードの取得期間の周知についてであります。確かにおくれているところです。
マイナンバーカードを取得するまでの流れは、まず、希望する区民が地方公共団体情報システム機構、いわゆるJ-LIS、このJ-LISに申請をいたしますと、J-LISからマイナンバーカードと交付通知書が区のほうに届きます。それを受けて、区のほうでは申請者に対してカード交付通知書を送付いたします。それを受けて、申請者の方が予約をしていただいて区役所に来庁してもらい、マイナンバーカードを受け取っていただくと、こういう流れになっております。このマイナンバーカードの交付が始まった本年1月から、J-LISのカード管理システムの障害の発生により、交付事務が滞っておりました。この間、申請者への交付通知書の送付数を制限せざるを得なかった、こういったような状況になっております。しかしながら、カード管理システムの障害が改善されたということでありまして、今後は交付通知書の送付数を徐々にふやしていくことができるというようになったということになっております。
また、適宜区報やホームページでカード申請者にお知らせをするとともに、申請者からのお問い合わせについて丁寧に御説明をしていきたい、このように考えております。
それから、マイナンバー制度のメリットに関連をして、現在のコンビニ交付の状況、また、マイナンバー制度のメリットなどについての御質問がありました。
コンビニでの証明書交付サービスとして、住民基本台帳カードを利用して住民票の写しや印鑑登録証明書を取得した数は、平成26年度では2万5,700枚、平成27年度には2万6,200枚を超えており、交付数全体の9.4%に達している状況となっています。今後マイナンバーカードの普及により、さらにコンビニ交付が増加し、窓口での交付数が縮減されれば、3月、4月の繁忙期における窓口の混雑緩和などが図れるだろうと考えております。
マイナンバー制度のメリットの一つとして、地方公共団体間の情報連携により、情報の転記や入力などに要している労力が大幅に削減されるとともに、申請時の添付書類の省略などによって区民の負担も軽減されるなどの効果が期待できると考えています。このマイナンバーの利活用、これが今後重要になってくることであります。マイナンバーカードを活用したサービスの将来像として、国は母子健康手帳のデジタル化や病院間でのデータ連携、救急隊員による救急時における情報確認などの例を示しているところです。
また、マイナポータルという個人用のサイトをインターネット上に開設し、そこにプッシュ型で情報提供したり、ワンストップでの電子申請などを行うといったようなことが検討されているところです。区といたしましても、区民の利便性向上と行政の効率化を一層推進するため、国の進捗状況を適切に把握しながら、マイナンバー制度に対応した利活用を進めるシステム基盤の整備等に取り組んでまいります。
平和の森公園及び新中野体育館についての御質問がありました。平和の森公園設置までの経緯についてであります。
跡地を公園や野球場、競技場、体育館等に利用したいとした昭和41年の国への意見書は、刑務所解放を要望する約6万5,000の署名をもって提出されたものであり、まさに中野区民全体の要望であったことがうかがえるわけであります。この意見書の提出を契機として、刑務所敷地解放運動が活発化し、今日の平和の森公園へとつながったものであります。平和の森公園誕生の原点においては、公園や運動場等文化体育施設が23区中最も不足している状況から、当時の区民が運動施設を要望していたという事実については十分に認識をしているところであります。その後、中野刑務所の廃止、払い下げが決定し、結成された中野刑務所跡地利用計画区民協議会においても、防災公園としての機能確保、子どもの自由な遊びや大人の健康づくり、軽運動ができる多目的な空間を基本的な考えとして整備することとしたものであり、防災機能の拡充や公園機能の拡充を目指した今回の再整備計画は、この考えに沿ったものであると考えております。
多目的広場の活用の展望について。上高田と哲学堂の両野球場は、昼間と比較して夜間の利用率が高く、大人の野球は夜間利用のニーズが高いと考えております。平和の森公園の多目的広場の整備に当たっては、現在の少年スポーツ広場の面積を拡張するとともに、大人の夜間利用のニーズを踏まえて照明設備を設置する予定であります。夜間の利用時間が拡大することで子どもの昼間の利用についても配慮しながら、地域イベントなど多目的に活用できる広場として整備をしていきたいと考えております。
陸上トラックのコンセプトについてであります。区内には、陸上競技に取り組むことのできる環境が少なく、全天候型の300メートルトラックを整備することで中学校の部活動等が充実し、競技水準の向上を通じたスポーツ機運の高まりが期待できると考えています。平和の森公園の草地広場は、現在も遠足やラジオ体操、防災訓練など、多様な形で占用されており、トラックの整備を行うことで陸上競技に限らず施設を利用した新たなニーズも生まれてくる可能性があると思います。今後学校や地域の声を酌み取りながら、さまざまなイベントでの利用など、区民の利便性が高まる新たな活用についても検討をしていきたいと考えております。
ジョギングコースのコンセプトについて。園路には防犯上必要な照明設備を設置し、ウォーキングやジョギングにも使いやすいコースとして整備をいたします。公園内の既存樹木は、景観の骨格となる緑は残しつつ、密度調整によって明るく快適なものとし、四季を感じられる落葉樹や草花を補植することを検討しております。
新体育館の現体育館からの主な変更点について。新体育館は、スポーツ振興の中心となる体育館として、全区レベルの大会を円滑に行うことができる設備を備えたメインアリーナ及びサブアリーナを整備するほか、武道場やトレーニング室、会議室等についても拡充し、幅広い区民にスポーツ機会を提供する施設として整備する考えであります。
また、公園内の体育館として、公園利用者の利便性を高めるため、屋外テラスやカフェ、売店等を設置するほか、屋外スポーツ機能との連携を図り、屋外施設の利用者にとっても利用しやすい施設として整備する考えであります。老朽化している現在の中野体育館の課題の解消や屋外スポーツ機能との円滑な連携を図っていくため、区民大会を円滑に実施できる施設の充実、更衣室やシャワー室の機能等について、今後基本設計を行っていく過程で検討してまいりたいと考えております。
私からは以上です。
〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕
○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、熊本地震を教訓とした災害対策のあり方についての御質問にお答えをいたします。
初めに、区職員の兵たん機能についての御質問でございます。
区は、災害対策本部が継続的に機能するよう、職員用の飲料水や食料を備蓄するとともに、職員の休憩場所の確保などにつきましては、災対各部が庁舎内で調整し、対応しているところでございます。災害時の議会棟の活用につきましては、議会としての活用もあると思われますので、基本的に要請することは考えていないところでございます。
次に、受援体制の整備についての御質問でございます。
熊本地震の事例を踏まえ、今後区として災害時相互応援協定を結んでいる自治体や団体の円滑な受け入れを行い、被災者の救援や復旧等に活用できるよう、受援の体制を構築し、地域防災計画に反映させていきたいと考えております。
復旧・復興手続の事前準備についてでございます。
区は、平成16年に中野区震災復興マニュアルを整備しているところでございます。今年度、都は区市町村震災復興標準マニュアルの改定に取り組む予定であることから、この改定マニュアルと、熊本地震をはじめ、平成16年以降に経験してきた地震災害の事例を踏まえて中野区震災復興マニュアルを確認し、必要な計画の整備に取り組んでまいります。
また、復旧・復興の手続等で区民が迷わないよう、必要な手続き等をわかりやすく案内するホームページなどの事前準備についても今後検討してまいりたいと考えております。
○議長(北原ともあき) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。
中野区議会議員 伊 東 しんじ
1 地域自治と圏域について
(1)中野区における地域自治について
(2)施策と地域自治の圏域について
(3)その他
2 熊本地震の検証と中野区地域防災計画について
(1)中野区の熊本地震被災地支援について
(2)熊本地震被害の検証と中野区の被害想定について
(3)避難所運営本部の機動的な活動体制と訓練について
(4)り災証明について
(5)その他
3 その他
○議長(北原ともあき) 次に、伊東しんじ議員。
〔伊東しんじ議員登壇〕
○23番(伊東しんじ) 平成28年第2回定例会に当たり、自由民主党議員団の立場で質問いたします。
質問項目は、1、地域自治と圏域について、(1)中野区における地域自治について、(2)施策と地域自治の圏域について、2、熊本地震の検証と中野区地域防災計画について、(1)中野区の熊本地震被災地支援について、(2)熊本地震被害の検証と中野区の被災想定について、(3)避難所運営本部の機動的な活動体制と訓練について、(4)り災証明について。その他はございません。
自治体財政の厳しさから、行政に全てのサービスを依存することが事実上困難な中、提供してきた公共サービスの一部をNPOや企業、地域コミュニティなど、多様な主体が提供すべきであるという考え方が生まれて、地域自治の重要性が指摘され始めて久しくなります。
地域自治について、内閣府地方制度調査会の第27次答申で「基礎自治体内の一定の区域を単位とし、住民自治の強化や行政と住民との協働の推進などを目的とする組織として、地域自治組織を基礎自治体内の判断によって設置するべきこととすべきである」とされ、地域自治組織の制度化が求められ、それに呼応する形で地方自治法や合併特例法が見直され、地域自治区が位置付けられました。今回の質問は、こうした地域自治区ではなく、中野区の特性に鑑みた地域自治について質問させていただきます。
最初に、中野区における地域自治について。
区の基本理念である中野区基本構想では「地域の課題は地域住民がみずから考え、みずから決定し、みずからの責任で未来を切り拓いていく。いよいよ本格的な地方分権時代の到来となります。中野区に暮らし、自治体を築き上げている区民が10年後の中野区を「多彩なまちの魅力」に満ち、「支えあう区民の力」であふれる「わがまち」としていくため、全ての区民が力を合わせて行動する道しるべ」と定め、八つの領域で見た将来像のⅤ 支えあう地域のきずなとして、町会・自治会に多くの人が参加し、地域コミュニティの核としてさまざまな活動を行う団体と連携して、地域の課題を自主的に解決する。また、公的なサービスを補完し、より柔軟できめ細かな日常生活のニーズを満たす活動が地域団体、公益団体や民間活動により形成されているとしています。
さらに、10年後に実現するまちの姿においては、町会・自治会は地域での課題を解決するため、地域活動の中核として他の公共団体と連携を深めている。町会・自治会、大学、NPO、民間企業等の広範な連携が行われ、地域活動や公益活動が活発化しているとしています。
また、こうした将来像の実現を目指して、5章の行財政運営の基本原則では、区政運営への区民参加と地域における自己決定、自己責任に基づく地域自治によって中野の自治を推進しますとされ、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)では、地域での課題解決に向けて期待される住民の役割、担い手の発掘・育成、区の果たすべき役割等を位置付ける条例制定を検討しますとしています。
こうしたことから、地域自治とは、みずからの取り組みにより課題解決に当たる地域活動、公的サービスを補完する公益活動を指すのでしょうが、中野区自治基本条例、中野区区民公益活動の推進に関する条例において明確な位置付けがありません。そこで、改めて区の地域自治に対するお考えをお尋ねするとともに、新たに検討される条例と地域自治の位置付け、関係についてどのような考えをお持ちなのか、伺います。
続いて、施策と地域自治の圏域について。
これまで中野区は、施策に応じさまざまな圏域を定め、施策展開してまいりました。例として、近年盛んに用いられているすこやか福祉センターの4圏域、通学区域としての小学校区、中学校区があります。ほかにも地域防災圏域と重なり、地域自治の拠点とされる区民活動センター圏域があり、町会・自治会域は歴史も古く、地域住民に一番身近でなじみ深いものとなっており、住民自治の底辺を構成しております。それぞれの圏域について考えますと、すこやか福祉センターは地域包括ケア体制により、子どもや高齢者、障害のある人が住みなれた地域で安心して自立した生活を送れるよう、生涯にわたる健康づくり、子どもの健やかな成長、高齢者や障害のある人たちの生活を支援するための拠点とされ、今後ますます施策圏域として重要になると考えられますが、圏域が広く、なじみにくいとの指摘があります。
そこで、施策展開に当たっては、区民活動センターを積極的に活用し、身近な取り組みの試みや福祉サービスの提供・相談、乳幼児親子の居場所づくりなどを行うなど、区民活動センターの活性化に留意すべきと考えます。区の御見解を伺います。
次に、小学校区、中学校区について。
これらの通学区域は、かつては町会・自治会域と肩を並べるほど歴史もなじみも深い圏域でありました。しかし、少子化による統合再編と指定校変更の基準緩和により、地域社会とのかかわりが著しく薄れるとともに、すこやか福祉センター圏域ほどではないにしても、区域が町会・自治会域を超えて広がり、地域性が薄らいでいます。そうした中で、町会・子ども会では、指定校変更により、地区内の子どもの実態把握が極めて困難になり、子ども会に至っては、指定校変更している子どもの入会がなく、会の運営・存続に支障を来しております。
また、青少年育成地区委員会では、学校再編による校区割りの変更で、今後の事業への参加募集や活動内容、広報のあり方について再考が求められながらも、青少年の育成活動に懸命に取り組んでおります。
一方、区は「中野区子ども・子育て支援事業計画」で、子どもや子育て家庭と地域の連携の強化に向け、学校を含めた地域の中で子どもと子育て家庭の問題・課題を共有し、解決に向けた取り組みを進めるため、中学校区を単位に地区懇談会を設け、すこやか福祉センター圏域による地域子育て支援拠点事業の展開を図っていますが、教育、福祉に重きが置かれるとともに、この圏域を小中学校再編計画に合わせて見直すとし、さらに広範かつなじみ薄いものとなる可能性があります。
また、「中野区子ども・子育て支援事業計画」では、「子どもは地域の大人たちに見守られながら、さまざまな体験をすることで心豊かに成長する」「そうした活動を青少年育成地区委員会、町会・自治会、商店街などが活発に行っている」とし、町会・自治会・地区委員会などに青少年育成活動を委ねているのが現状です。拡充が進むキッズ・プラザも、中野区キッズ・プラザ条例に位置付けられている事業も放課後の遊び場の提供にとどまり、地域住民と協力して子どもに多様な体験、交流及び仲間づくりの機会を提供することや、家庭、地域及び学校と連携し、子どもの健全な育成を図ることについてはほとんど機能しておりません。
そこで伺います。地区懇談会の区域割りを見直す際、現状の圏域よりもさらに身近な圏域に見直すとともに、キッズ・プラザの活用等を含め、地域における青少年の育成活動の支援を区として強化すべきと考えます。区の御見解を伺います。
続いて、区民活動センター圏域について。
その歴史をさかのぼれば、町会が組織された昭和16年に起源し、その後80年の間に町会連絡事務所、出張所、地域センターの変遷を経て、現在の区民活動センターに至っております。圏域は、出張所から地域センターに改組された際には、出張所の担当地域を基本に歩行圏域を考慮し、1平方キロメートルを超える範囲を見直し、調整が行われた結果、11出張所から15地域センターへと区割り変更されました。その後、区は「多くの地域団体の活動は、地域センターエリアの区分を中心に行われていることから、15カ所の地域センター施設を転用し、区民活動センターとして開設する」と説明し、区民活動センターへの転換が図られました。同センターの位置付けは、基本構想では区民の意思に基づいて運営される地域自治の拠点としての機能とし、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)では、「地域の課題の解決に向けた活動の拠点」としています。
また、区民活動センター条例では、「地域の課題の解決に向けた地域住民の自主的かつ主体的な取り組み促進のため、住民による地域自治の活動の拠点」と位置付け、行う事業の筆頭に「地域の自治活動及び公益活動」を挙げていますが、実際には地域支えあい推進室の地域包括ケア分野の見守り支えあい活動拠点としての役割・機能がクローズアップされ、10か年計画において指摘があるように、地域の中での認識度、住民の積極的な関与については一部にとどまっています。この要因に、効果的な施策展開による圏域の広域化が上げられます。私は、効率的な施策展開を否定するわけではなく、関係諸機関が施策圏域に内包される区民活動センター圏域に留意した協力体制に改め、その上で10か年計画で言う地域での課題を解決する活動の充実支援を行い、自治活動に参加しやすい仕組みが必要と考えます。区の御見解を伺い、この項の質問を終わります。
続いての質問に移らせていただきます。
ことし4月14日に熊本地震が発生し、いまだ被災者の皆さんの生活を脅かしております。心より被災者の皆様へお見舞い申し上げるとともに、犠牲となられた方々へ哀悼の意を捧げます。
この地震は、九州熊本地方を震源とする内陸地殻内で発生した群発地震で、本震はマグニチュード7.3、最大震度7、震源地に隣接する熊本市では震度6強、6弱が記録され、中野区地域防災計画での東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3、区内の震度6強、6弱とする想定地震と合致しています。このことから、今回の熊本地震の検証と中野区地域防災計画について質問させていただきます。
最初に、中野区の熊本地震被災地支援の概要と現地からの報告についてお伺いいたします。
続いて、熊本地震被害の検証と中野区の被災想定について、最初に避難者、避難生活者について伺います。
熊本県災害対策本部の発表では、熊本地震による熊本市の避難状況は、本震発生当日の16日、14時30分時点で開設避難所数227カ所、避難者数5万244人とされ、本震から3日後の19日9時の時点では、開設避難所数256カ所、避難者数6万7,201名とピークに達し、本震1週間後の23日には開設避難所数255カ所、避難者数4万713人と小康状態を示し、一月後の5月15日には避難所数87カ所、避難者数3,305人とされ、現在も2,000人の方が避難を続けています。
一方、熊本市が27年度改定した地域防災計画では、布田川・日奈久断層帯・中部を震源域とするマグニチュード7.6、最大震度7の地震による被害想定は避難生活者4万4,600人、疎開者を含む避難者数は6万8,616人とされ、地震規模・避難者とも今回の地震は想定の範囲内となっております。中野区地域防災計画の震災被害想定では、避難者数7万6,807人、避難生活者は4万9,925人とされ、それに対して避難所49カ所、合計4万8,600人の収容を計画しております。
そこで、中野区地域防災計画の避難者並びに避難生活者の想定について、今回の熊本地震に接し、区の御所見を伺います。
続いて、建物被害について伺います。
熊本県災害対策本部の発表では、熊本市内の住宅は全壊2,095棟、半壊9,546棟、一部損壊が5万3,682棟と報じられ、市の地域防災計画における建物被害想定の全壊1,387棟、半壊4,504棟に対し、全壊棟数では1.5倍、半壊に至っては2倍に達しています。そこで、熊本市の建築物耐震改修促進計画を見ると、市内の住宅総数は26万2,460戸、そのうちの約14%に当たる4万3,860戸が昭和56年に制定された新耐震基準以前に建築され、かつ耐震性が十分でない建物とされ、その内訳は、戸建て木造住宅3,742戸、その他共同住宅等6,440戸とされています。一方、改訂中の中野区耐震改修促進計画では、住宅総数約18万5,000戸のうち、耐震性が不十分な木造住宅1万5,100戸、非木造住宅1万3,390戸、合計2万8,490戸とされ、その割合は約15%に達し、地域防災計画の被災想定は、建物棟数7万2,285棟中、全壊棟数を2,241棟、焼失棟数を加えると7,222棟と見込んでいます。
そこで、熊本市の被害実態並びに被害想定に照らして、中野区の被災想定が高くなっている要因と中野区耐震改修促進計画改訂後の住宅耐震化の具体的な取り組み方針について伺います。
続いて、水、食料、生活必需品等の確保について伺います。
熊本地震では、水や食糧の配給に長蛇の列ができ、2時間、3時間待ちも珍しくない状況が散見され、1日におにぎり1個から2個しか口に入れられない状況などの報道がありました。熊本市地域防災計画では、食料備蓄はアルファー米総量10万4,550食ほか、缶詰パン、乾パン、栄養補助食品、ミルク等とされ、合計22万1,178食分が用意されておりました。しかし、前震から4日経過した17日ころには備蓄も底を尽き、支援物資の供給も滞り、さきの報道のような状況が生じたようです。
支援物資の供給については、政府による被災自治体への要請を待たずに物資を送るプッシュ型支援により、総量として263万食が被災地内の中継拠点にいち早く届けられたのですが、その中継拠点のスタッフ数と経験不足、また、中継拠点から先の供給方法を支援物資のニーズ把握が可能な避難所の求めに応じるプル型を採用していたため、物資の滞留が生じました。この問題も、支援物資を民間事業者に委託するなどし、市町村、避難所に直接送る仕組みに変えたことで解消いたしました。機動力を有するプッシュ型支援も、受け手側自治体の混乱による物資の滞留やニーズ予測が外れた場合に支援物資の余剰・不足といった欠点も抱えております。
いずれにせよ、それぞれの避難所の実態やニーズの把握、その集約の迅速化が機動的な支援の鍵となるようです。そこでまず、中野区の備蓄について、地域防災計画の水、食料、生活必需品等の確保の方針では、区民・事業者は災害に備え、平時から3日分程度の飲料水、食料、その他災害用物品を蓄えるように努め、発災後3日間は都区役割分担に基づき区が1日分を目標に備蓄、調達し、2日目以降は都が必要量を備蓄、調達するとされています。大都市東京の被災は被災総量が多く、より大きな混乱を招くため、まずは区民・事業者、被災者みずからの備蓄が重要となります。しかし、現状ではまだまだ備蓄の必要性について区民の認識が低く感じられ、さらなる広報努力と備蓄奨励策を講じる必要を感じます。区の御見解をお尋ねします。
続いて、区の備蓄物資、資機材と保管場所について伺います。
区は、かねてより備蓄倉庫10カ所、避難所備蓄倉庫47カ所などに災害に備え備蓄物資、資機材を配備してきています。まず、その総量並びに配備されている備蓄物資の総量について、今回の熊本地震を参考に、再考すべき点の有無について伺います。併せて、配備資機材について、総量とその改良すべき点、その内容で追加配備すべき資機材等の有無について伺います。また、都区の役割分担の具体的な内容についても伺わせていただきます。
次に、備蓄倉庫、避難所備蓄倉庫の設置場所について伺います。
現在、合計57カ所の備蓄倉庫、避難所備蓄倉庫は、区立の小学校27校、中学校14校、区有施設10カ所、都立学校2校、国立学校1校、私立学校2校、民間施設1カ所に設置されています。これら倉庫のうち、学校設置の倉庫は、白桜小学校のように急増した児童により教室数の不足が生じ、備蓄倉庫を移さざるを得ないところや、学校再編や校舎改築により、倉庫の再配置だけでなく、避難所自体の再計画を検討しなければならないものもあります。学校に限らず、区有施設においても、旧東中野小学校が東中野区民活動センターに転換され、改築される間の一定期間使用できない倉庫もあります。こうした諸課題について、区の対応を伺います。
続いて、支援物資受け入れ体制について伺います。
さきに触れたように、熊本地震における支援のあり方やその受け入れ体制については、東日本大震災などの教訓が生かされたもの、あるいは生かされなかったもの、それぞれ散見されました。これら教訓から、区として各避難所への避難実態や対象区域の被災者実態を迅速かつ的確に把握する必要性を強く感じます。現在、中野区は避難所収容者情報を紙媒体による収集・連絡・集計するとしています。この方法は、通信回線によらないため確実性が高い一方、迅速性に欠け、同時に多くの従事者を必要とする弱点があります。この弱点を克服し、支援を効果的に受けるために被災者支援システムがあります。このシステム導入には、現状の災害時通信回線の規格の低さ、専用通信回線確保にかかる初期投資の大きさ、民間汎用回線の不確実性などの問題がありますが、職員2,000人体制になった今、限られた職員を有効に配分し、より高い効果を目指すべきではないでしょうか。
民間企業がクラウド化された被災者支援システムを、初期投資、運営経費ともにローコストに提供する今、区もこれらを検証し、早期導入し、限られたマンパワーの効果的な配分を目指すべきと考えます。御見解を伺います。
次に、避難所運営本部の機動的な活動体制と訓練について。
避難所運営本部は、区施設管理者、地域防災会で構成されます。この避難所運営本部の庶務部、物資調達部、保健衛生部などに加え、新たに要支援者の安否確認等を行う避難支援部が新設され、区も後方支援に避難支援班を組織し、対応に当たり、避難行動要支援者の災害時の支援体制をより確実にする方針が示されました。ひとたび災害時避難所が開設されると、数百人単位で避難者が集まり、安否確認、救援活動、避難者支援が同時に始まり、避難所運営は大変な混乱が予想されます。そんな中、これら一連の活動が機動的に行動できる組織体制の構築と日ごろの訓練が重要になると考えます。
そこで伺います。災害時、無用な混乱を生まないために避難所運営本部組織と地域防災会組織の整合性はとれているのでしょうか。また、避難所開設訓練の開催状況はどのようになっているのでしょうか。区は、職員震災図上訓練を毎年実施していますが、コントローラー役を配した避難所運営訓練を実施し、災害時、より機動的に行動できるよう備えるべきと考えます。区の御見解をお尋ねします。
この項の最後に、り災証明について伺います。
応急対策が一段落すると、被災者の皆さんは生活再建に向け行動を起こし、その第一歩がり災証明で、り災証明は生活再建、支援金や応急仮設住宅入居、住民税減免等、住民が国や自治体からの支援を受けるのに必要不可欠とされ、被災後、迅速、正確かつ公平に発行されることは、被災者の生活再建の一助になります。その手続は、申請、調査、証明書交付の順に進み、調査は申請に基づき建築構造技術者がその建築物の内部に立ち入り、災害対策基本法の規定に基づいて行われ、その結果に基づき住民基本台帳、家屋台帳、被災状況という三つのデータベースを確認・照合の上、り災証明が交付されます。
熊本市の場合、り災証明申請受け付けは前震発生翌日の4月15日から始まり、5月末時点で約7万5,000件に申請に対し、一次調査済みは6万5,000件、証明書交付件数は3万4,000件で、交付のおくれにより被災者の不満が高まる事態も生じているようです。そこで、申請から調査、証明書の交付の流れをできるだけスピーディーに行うための中野区の体制について伺います。迅速処理に欠かせない調査要員が大幅に不足すると指摘の中、区の要員確保と実働体制はどのようになっているのか、不足を補うための民間人の登用などの道を開く方策はないのでしょうか、お伺いします。
続いて、さきの質問に関連しますが、区の地域防災計画で被災者台帳やり災証明等についてシステム化されていないと課題を指摘する、被災者支援システムについて。
これについて議会も勉強会を開催したり、区もデモンストレーションの見学を行ったりするなど、調査研究を進めてきました。また、東京都も住家被害認定調査からり災証明の発行、生活再建支援に至るまでの業務を総合的にマネジメントし、効率化と都内全域での標準化に向け、国と共同し「り災証明発行システム」を平成23年開発、翌24年から区市町村によるシステム導入を支援してきました。区もこのシステムを検証し、拡張性あるシステムの導入に向け、情報システム、住民記録、り災証明の発行、都市計画等の関連部署と検討を行っていると認識しておりますが、残念ながらいまだ導入に至っておりません。
そこで、東京都が導入支援を行っている「り災証明発行システム」をいまだ導入しない理由について伺います。また、区が考える拡張性のあるシステムとは、具体的にどのようなもので、それに向け関係機関、関係部署との調整がどのように進んでいるのか、最終的にいつ導入、運用に至るのかを伺います。
以上をもちまして、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 伊東議員の御質問にお答えをいたします。地域自治と圏域についての御質問であります。
まず第一に、地域自治に対する区の考えと条例制定についてということであります。
住民相互のつながりを基礎とする地域のコミュニティにおいて、地域活動の核となる町会・自治会がさまざまな公益活動を行う団体と連携し、みずからの意思で地域課題へ対応する姿が区の描く地域の自治であります。こうした考え方に基づく新しい中野をつくる10か年計画では、町会・自治会がこうした良好な地域社会づくりのための区の重要なパートナーであることの位置付けや、また、その活性化のための区や住民の役割などを規定した新しい条例の制定について検討する旨を示しているところであります。
すこやか福祉センターと区民活動センターの圏域についてであります。
区が設定をしております四つのすこやか福祉センターの生活圏域は、介護サービス基盤などの計画的な整備のための単位圏域であり、また、配置する職員が専門知識や経験を組織的に継承することによって、地域を効果的にマネジメントしていくためのエリアであるというふうに考えております。見守りや支えあい、子育て広場など、具体的な地域事業の展開については、区民活動センターのエリア、これをその活動にふさわしい圏域での取り組みとして取り組みを進めているということでございます。
次、地区懇談会の区域割りについてであります。地区懇談会が中学校単位、また、小中学校が学校再編計画によって今、さまざまな変動要素があるといったようなことからの地域での一定の活動上のふぐあいといったようなことについての御指摘も含めての御質問でありました。
学校再編計画では、小中連携教育の推進のため、小学校と中学校の通学区域の整合を図っているところです。したがいまして、地区懇談会につきましても、子どもの育ちと子育て家庭を支える地域づくりを効果的に推進するため、引き続き中学校区を単位として開催を進めてきているところであります。こうした地域施策、また地域での育成活動との連携・協力といった観点から、キッズ・プラザの機能充実でありますとか、あるいはこの中学校区を単位とした連携のあり方、これを実際に効果あるものとしていくための方策などなど、さまざま検討を進めて、より改善をしていくべきことがあろうかと考えているところであります。
区民活動センター圏域を基本とした取り組みについて。先ほど言いましたように、地域でのさまざまな活動の中心となるのが区民活動センター圏域と考えております。町会・自治会を核とした地域の自治活動について、区民活動センターを拠点に、その圏域における課題解決に取り組むことを想定しているところであります。区としては、こうした地域活動への区民の参加促進や活動の担い手の拡大についての支援強化を図っていきたいと考えております。
熊本地震の検証と中野区地域防災計画について、熊本地震への支援の概要と派遣職員からの情報についてであります。
区は、熊本市からの要請に伴って飲料水や食料の物資支援を行ったほか、被災建築物危険度判定員2名、それから保健師等を4名、それからり災証明発行事務支援の職員2名、これらを熊本市に派遣いたしました。また、宇土市からの要請に伴い、5月16日から仮設住宅入居事務支援の職員を常時2名体制で派遣をしているところであります。派遣した職員からは、被災地の建物倒壊の状況、また、熊本市の物資集積所の状況、それから避難所における保健指導の状況、また、り災証明書発行窓口の状況、市役所の主な機能を移転した宇土市民体育館の状況といったことについて報告が来ているところであります。
熊本市の避難想定を踏まえた区の避難者想定の考えであります。
区は、東日本大震災を踏まえて平成24年に都が公表した首都直下型地震の被害想定のうち、中野区の被害が最大になる想定を採用しております。人口73万人の熊本市と人口約31万人の中野区の避難者数及び避難生活者数の想定が近いことから、避難者については区のほうが厳しい状況を想定しているものと考えております。熊本地震では、震度6弱以上の地震が7回発生するなど、想定を超えた地震にもかかわらず、熊本市の避難者数が想定の範囲内におさまった、その理由については区として把握できておりません。今後国等が調査を行った場合、その結果を分析し、必要な対応を行っていきたいと考えております。
中野区の建物被害想定と住宅耐震化の効果ということです。
区が想定している地震と熊本市が想定している地震はパターンが異なるほか、熊本市と中野区では地形や管轄面積が大きく異なるなど、さまざまな違いがあるため、最大想定震度が同じ6強ではありますが、双方の比較というのは困難だと考えております。したがいまして、建物被害の規模が異なっているという理由の分析、これもまだできていないという状況です。熊本地震について国等の調査が行われた場合、その結果を分析して必要な対応に結びつけていきたいと考えております。
中野区耐震改修促進計画では、震災対策上危険性の高い地域の木造住宅の建てかえによる耐震化を促進することが重要と考え、整備地域や火災危険度の高い地域を指定し、建てかえを促進するなど、耐震性、防火性、地域環境の向上に向けた取り組みを図ることとしております。また、不燃化特区や都市防災不燃化促進事業区域では、老朽建物の除却や建てかえ促進についても取り組んでいるところであります。
区民への備蓄の広報と奨励策の実施についてであります。
中野区民意識実態調査によれば、区民の飲料水や食料の備蓄率が年々減少していることから、区は区民に備蓄を促していく必要があると考えております。区はホームページで備蓄の必要性について広報するとともに、防災用品のあっせんを行っております。また、毎月実施する防災体験デーにおいても、防災用品の展示を行うなど、備蓄の必要性を積極的に御指導させていただいているところであります。今後もさまざまな機会を活用し、備蓄に関する広報に努め、区民の備蓄率向上を図ってまいりたいと考えております。
区の備蓄のあり方についてであります。食料の備蓄につきましては都区で分担をし、区が1日分、都が2日目以降は確保するということになっております。都は現在、この備蓄の役割分担について見直しを提案しており、都区で調整を図っているところであります。食料以外の備蓄物資や資機材につきまして、熊本地震を踏まえて必要量や品目について改めて精査をしたいと考えているところであります。
学校再編等に伴う備蓄倉庫の対応についてであります。
避難所は学校の体育館などを利用することから、備蓄倉庫については避難所の敷地内に確保することが望ましいと承知をしております。学校教育や区民サービスの観点から、敷地内に確保できない場合でも、できる限り避難所近くの区備蓄倉庫に物資を置くことで対応をしているところです。また、区がつくる新しい施設などで備蓄スペースの確保に努めております。
防災用のシステムの検証・導入についてであります。
新しい中野をつくる10か年計画で、災害対策を実施する防災センターの機能強化を進めることとしております。災対本部、地域本部、関係機関と迅速、効果的に連携、情報共有できる防災システムについて、他自治体の例などを参考に導入に向けて検討しているところであります。
私からは以上です。
〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕
○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、避難所運営本部の機動的な活動体制と訓練について及びり災証明についての御質問にお答えをいたします。
まず、避難所組織と防災会組織の整合性、避難所訓練の状況についてでございます。
災害時の地域防災会の役割は、負傷者の救出、初期消火、避難誘導、災害時要配慮者の支援、避難所の開設運営などがあり、地域防災会は避難所運営も行っておりますので、おおむね組織編成の整合性は図られているものと考えております。避難所運営本部の組織構成につきましては、災害時避難行動要支援者対策を担う避難支援部の新設などの変更があることから、必要な見直しを検討していきたいと考えております。また、実働、図上を含めた避難所開設訓練は、この3年間で72.9%の避難所が実施をしているところでございます。
次に、コントローラー役を配置した避難所運営訓練の実施についての御質問でございます。
区は、2年前から避難所運営ゲーム(HUG)という図上訓練機材を導入し、避難所で避難所運営に関する図上訓練を実施しております。まずはHUGで避難所運営に伴う課題とその課題をどのように解決すべきか考える機会を避難所役員などの参加者に持ってもらい、避難所運営能力を高めていきたいと考えております。
また、避難所に災害時避難行動要支援者に対する安否確認、避難支援の役割が設けられるなど、避難所の役割が変わりつつあることを踏まえ、避難所における中野区職員震災図上訓練のような、より実践的な図上訓練の実施について研究していきたいと考えております。
次に、り災状況の調査員確保策と実働体制についてでございます。
区では、焼失によるり災は消防署が調査を代行することとしております。倒壊によるり災状況調査について調査員が不足する場合は、都や他の自治体に要請することとしております。り災状況の調査に当たり、建築士や土地家屋調査士に被害状況調査の一部を委託している自治体もあることから、り災状況調査の民間活用について検討していきたいと考えております。
また、り災状況調査及びり災証明発行の迅速化を図るため、システム化の検討を進めていきたいと考えております。
最後に、り災証明発行システムの導入についてでございます。
区は、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)おいて、都及び他自治体が採用しているり災証明システムを導入することとしております。都はり災証明発行だけでなく、都と区市町村が連携した被災者支援を行える災害時都民台帳システム(仮称)を整備することから、このシステムの導入を検討していきたいと考えております。
〔伊東しんじ議員登壇〕
○23番(伊東しんじ) 2点ほど再質問させていただきたいと思います。
最初に、区民みずからの備蓄強化について。けさほどもこうして読売新聞、1面トップに公的備蓄、流通備蓄についての調査結果が報じられております。このように今回の地震において国民の意識が備蓄に集まっております。こうした機会を捉えて、年々備蓄率が低下している区民のみずからの備蓄について、より一層の強化が必要かと思っております。もちろん区として広報、あるいはいろいろな事業展開してきたことは承知しているんですけれども、それをもってしましても年々備蓄率が下がるというような実態を考えますと、この機会を捉えてさらに強化の仕組み、効果的な方法を模索するべきと考えております。御答弁ではちょっとその辺が弱かったように感じますので、ぜひ瞭解な御答弁をお願いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
続きまして、避難所運営本部の体制についてです。私がお聞きしたことは、整合性がとれているかとお聞きしたんですが、確かに組織としては、機能としては、それぞれ機能的な組織体制がとられているんですけれども、地域防災会で用いられている班の名称、それがいざ震災が発生した場合には、避難所運営本部の組織の中に組み込まれます。そして、そこでの名称が食い違っておりますと、にわかに普段訓練をしている名称のほうになじみがあるわけですから、混乱を来しやすいと。もう一度その辺を検証して、もちろん災害対策本部という大きな組織が上にあって、避難所運営本部があって、それで平時の防災会の活動があるということを認識していますから、その三つの組織の名前、名称が混乱を来さないような工夫をお願いできないかということで質問させていただきました。
以上、2点につきまして御答弁をお願いしたいと思います。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 再質問にお答えいたします。私のほうからは、備蓄を高める取り組みについての再質問に関連してお答えをさせていただきます。
区は、先ほど言いましたようにホームページ、あるいはあっせん、それから毎月行っております防災体験デーによる展示など、さまざまな方法で備蓄の必要性を訴えているところですけれども、結果として区民の備蓄率は下がっているという状況があります。東日本大震災以来、5年の月日がたったといったようなことも影響しているのかというふうには思っております。そういった意味では、今回の熊本大地震の影響といったようなものが区民の意識の中で薄れないうちに、こうした備蓄に対する意識を高揚していくということが大変重要なことになってきているというような認識を持っているところであります。今後、総合防災訓練での紹介コーナーを設け、充実していくということ。それから、区民が日常的に購入している保存食を災害用に備蓄する日常備蓄の考え方、こうしたことの広報についても、さまざまな形で機会を捉え、備蓄の向上、こういったことについて区として積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。
〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕
○都市基盤部長(尾﨑孝) 再質問にお答えをいたします。避難所組織と防災会組織の整合性でございます。
確かに、組織の中のさまざまな名称等が避難所組織と防災会の中で食い違いがあるというような点が指摘されております。内容については十分検証した上で、混乱のないような形の組織として再構築できるかどうか検討してまいりたいと思います。
○議長(北原ともあき) 以上で伊東しんじ議員の質問は終わります。
中野区議会議員 むとう 有 子
1 耐震化の促進について
2 公園及び公衆トイレの整備について
3 清掃事業について
4 その他
○議長(北原ともあき) 次に、むとう有子議員。
〔むとう有子議員登壇〕
○40番(むとう有子) 区民の方からお寄せいただきました御意見をもとに質疑いたします。耐震化の促進についてお尋ねいたします。
4月14日に発生した震度7の熊本地震はその後も続き、被害を受けた住宅は10万7,923棟とのことです。地震の脅威を再認識した5月上旬、耐震化特集という中野区のお知らせが各戸配布されました。「我が家は大丈夫なの?耐震化は進めたい、でもどうすれば……」というタイトルは、人口密集地に暮らす多くの区民の方が思っていることです。「1981年より前の建物は、木造住宅耐震診断士無料派遣制度を御活用ください」と書かれており、担当に区民の方が問い合わせたところ「診断の結果、改修補強が必要になっても補強工事の助成はありません」とすまなそうに職員の方がお答えになったそうです。改修資金がない以上、診断の結果が怖いですし、診断してもらう意味がないと区民の方から言われました。このような区民の経済状況を区は認識するべきです。
耐震改修促進計画改定素案によれば、2015年度末に90%の達成を目指していた木造住宅の耐震化は84.6%にとどまり、耐震性が不十分な住宅が2万8,490戸もあります。中野区の助成は東京都震災対策条例で位置付けられている整備地域と、火災危険度ランク4以上の地域に限り、建てかえ助成のみを行っています。建てかえるには巨額の自己資金が必要になるため、耐震化はなかなか進みません。23区の中で中野区だけが少額でできる耐震補強の助成金制度がありません。お隣の渋谷区では、住宅の一室のみ、壁4カ所を内側から補強する簡易な補強工事に、限度額18万円ですが、木造住宅簡易補強助成を行っています。耐震化を進めるために、このような事例などを参考にして、少額でできる木造住宅簡易補強助成制度の創設を求めます。お答えください。
改定素案には、建てかえ・耐震改修について新たな施策の導入を検討し、取り組むとも記載されていますが、どのような施策を検討しているのでしょうか。簡潔にお答えください。
区長は「耐震補強などみずからの財産と命を守る対策は、みずからの責任で対策をとるべきであり、公的資金の助成を行うことは考えていない」との御答弁を繰り返しておりますが、改定素案には「区民の生命、財産の保護及び地域の被害の軽減を図るため、住宅の耐震化については優先的に取り組む」と記載があります。この記載内容の実行を求め、次の質問に移ります。
公園及び公衆トイレの整備についてお尋ねいたします。
区内には大小合わせて165カ所の公園があります。何らかの遊具のある公園は109、何もない公園が56もあります。中野区の公園の多くが1970年代に整備され、使えなくなった古い遊具は撤去するだけで、新しい遊具の設置は全くなされていません。かつて私が子育てをしていたころ、いえの近くにある新井東公園には木製の階段や坂道やつり橋が一体となった遊具があり、多くの子どもたちが楽しく遊んでいましたが、既に撤去され、古タイヤが5本地面に半分埋められているだけで、子どもが遊ぶ姿を見かけることはほとんどありません。このような古いタイヤしかない公園も遊具ありの公園にカウントされています。
その一方で、公園は園庭のない41の保育所の園庭の代替として利用されています。待機児対策として基準を緩和し、園庭のない保育所を増設するなど、質より量とする国の方針には反対ですが、現状を踏まえると、保育園担当と連携して利用する保育所の意見や要望を調査し、遊具の新たな設置も含めて公園遊具の整備に取り組むべきと考えます。区の見解をお答えください。
先日、中野駅北口にある公衆トイレを使用した高齢の男性が、和式トイレで立ち上がれず困ったとの苦情が届きました。北口公衆トイレの女性用には和式と洋式がありますが、男性用は和式が二つで洋式がありません。トイレはその国の文明度をあらわすと言われています。中野駅周辺を世界に開かれた経済の活動とにぎわいの拠点、東京の新たなエネルギーを生み出す活動拠点、最高レベルの生活空間、都市観光の推進を目指すのであれば、中野駅北口公衆トイレの改修が必要です。
区有施設のトイレは、生活様式の変化や高齢化に伴いトイレ改修を行い、全てのトイレに洋式が設置されています。しかし、公園内外の公衆トイレは、新設を除いては、計画的改修が行われていませんでした。洋式、和式の設置状況をお尋ねしたところ、驚くことに公園管理分野で把握しておらず、私の求めに応じ、あわてて職員が現地調査を行い、実態の把握をしてくださいました。トイレ箇所数115のうち、男女共用で和式のみが43カ所、女性用で和式のみが7カ所、男子用で和式のみが9カ所あり、トイレットペーパーを設置しているトイレはわずかに17カ所でした。まさに中野区の文明度があらわれています。公園設備長寿命化計画を策定中だそうですが、洋式トイレの設置やトイレットペーパーの設置、性別に関係なく利用できるユニバーサルトイレの設置など、計画的な公衆トイレの改修整備を求めます。区の見解をお答えください。
最後に、清掃事業についてお尋ねいたします。
日々の暮らしで排出されるごみの収集、運搬処理、処分という一連の清掃事業は、区民生活を衛生的に支えるためになくてはならない自治体の仕事です。ごみの焼却工場は東京23区清掃一部事務組合が23区共同で行っているにもかかわらず、23区共通の分別ルールがありません。そのためか、異動の激しい中野区では、他自治体からの新住民や外国の方など、ごみや資源の出し方のわからない人が多く、分別の徹底が課題です。分別が不徹底なため、焼却不適正なごみや有害ごみが可燃ごみに出されると、焼却炉が故障して高額な修理費の支出や、ダイオキシンや水銀など有害化学物質が発生し、環境汚染や健康被害、労働者のけがや死亡事故などを引き起こす原因になっています。
清掃一部事務組合が清掃工場で実施した2015年度常時搬入物検査結果による中野区の不適正ごみ搬入率は45.9%で、23区中ワースト4位でした。検査台数74台のうち34台が「不適物がサンプル体積の10%以上ある。搬入可能な寸法を超える不適物がある。プラントを損傷させるなど処理施設の運営に支障を来すおそれのある不適物がある」というC判定でした。優良集積所認定制度や監視カメラの活用、退職不補充で職員数ぎりぎりの中で行っている排出指導班や小規模集合住宅対策班が改善成果を上げていますが、住民異動が多い中野区では指導が追いつかない現状があるのではないでしょうか。職員の増員を図るべきです。区は、この検査結果をどのように受けとめているのか、不適物とされたものはどのようなものなのか、さらなる分別の徹底をどのように取り組むお考えなのかをお答えください。
清掃工場に搬入される可燃ごみについては、ごみ質、長さ、大きさ等、23区共通の認識と基準を策定するべきと考えます。区の見解をお答えください。
なお、中野区がワースト4位との検査結果は、4月に事務連絡として一部事務組合から区に通知されており、他区では議員の求めに応じて情報提供がなされましたが、私は中野区から情報提供を拒まれ、一部事務組合から情報提供を受けたことを申し添えます。今後、風通しのよい区政情報の提供を求めるとともに、誠意ある答弁を求めて質問を終わります。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) むとう議員の御質問にお答えをいたします。
耐震化の促進について、住宅耐震化向上に向けた新助成制度の創設についてであります。
木造住宅密集地域での被害を防ぐため、整備地域内や火災危険度ランクの高い地域での建てかえを優先的に促進することで耐震化の向上を図っているところであります。今後熊本地震を踏まえ、国や都から新たな方針等が示された際には検討が必要となると考えますが、現時点では新たな助成制度については考えておりません。
それから、住宅の耐震化促進を図る施策の内容についてであります。
改定素案では、耐震改修促進計画改定素案、この改定素案では、これまでの中野区耐震改修促進計画で実施してきた施策の実施状況を踏まえ、課題等を整理し、方向性を示しているところであります。今後の取り組みとして、これまで以上に相談体制や助成制度を周知すること、また、耐震診断の必要性、耐震改修広報の周知、耐震改修促進税制の普及など、きめ細かな対応と多様な情報発信をしていく考えであります。
私からは以上です。
〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕
○都市基盤部長(尾﨑孝) 公園及び公衆トイレの整備についてでございます。公園遊具について、公園が保育園の園外活動等によく利用されていることは承知しております。遊具等の整備に際しては、地域の意見を聞くとともに、利用者となる近隣の保育園等の意見も聞いているところでございます。
トイレの計画的な改修整備についてでございます。公園トイレにつきましては、高齢者や障害のある方、乳幼児を連れた方など、多目的利用に対応したトイレ等を逐次設置しておりますが、今後も計画的な改修整備を進めていく考えでございます。
〔環境部長戸辺眞登壇〕
○環境部長(戸辺眞) 私からは、清掃事業についての御質問にお答えいたします。常時搬入物検査の結果についてということでございます。
不適正搬入は、清掃工場の運営や周辺の環境に影響を及ぼすことにもつながるものであり、今後より一層適正な搬入を図っていきたいと考えてございます。
次に、不適正搬入物として指摘された品目という御質問でございます。ごみ袋に入れられ、排出された上がけ布団やベッドパッド、さらにじゅうたんやカーペットなどが主な指摘物でございます。こうした布団や敷物類は本来粗大ごみで出すべきところ、ごみ袋に畳んだ状態で燃やすごみとして排出されたものでございまして、収集に当たる職員も判別が困難だというものでございます。
それから、不適正搬入率の改善に向けての区の方策でございます。布団類は粗大ごみで出していただくことや分別の仕方、品目等について区報やホームページへの記載の拡充、今後導入予定のごみ分別アプリの活用、さらにごみ集積所での排出指導を強化するなど、適切な分別の周知徹底に努めてまいります。
最後に、可燃ごみに係る23区の統一ルールをという御質問でございます。清掃一部事務組合では、清掃工場への持ち込みの統一基準を定めてございます。区としては今後もこの基準に適合した搬入の遵守に努めてまいります。プラスチック製容器包装など、各区の実情に応じて資源化を進めているところでありまして、プラスチックの含有率と燃やすごみの性状というものは各区異なるところでございます。今のところ、清掃工場に搬入する燃やすごみの基準について、清掃一部事務組合からは特段の意見、要望は聞いてございませんが、今後とも各区、清掃一部事務組合十分情報共有しながら適正搬入の確保に努めてまいります。
○議長(北原ともあき) 以上でむとう有子議員の質問は終わります。
議事の都合により暫時休憩いたします。
午後2時57分休憩
午後3時20分開議
○議長(北原ともあき) 会議を再開いたします。
この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 近 藤 さえ子
1 ごみ問題について
2 その他
○議長(北原ともあき) 近藤さえ子議員。
〔近藤さえ子議員登壇〕
○39番(近藤さえ子) 無所属の近藤さえ子です。ごみの問題について伺います。
まず、不適切なごみ出しについてです。
近隣のごみ集積所に3月下旬、洗濯機が置かれていました。ちょうど引っ越し、移動のシーズンです。引っ越しする人が捨てていった物と思われます。御近所の方が区に電話をして引き取りを依頼しましたが、清掃職員が引き取りに来るまでしばらく日にちがあります。その間、このごみ集積所には生ごみとびん、缶などが仕分けされていない状態で出されたごみ、カーペット等の粗大ごみなど不適切なごみの投棄が続き、洗濯機の不適切な投棄が引き金となり、皆が勝手に不要物をここに捨てていってしまったようです。このようなごみ集積所は、不適切なごみの投棄が始まると、一度にごみの山となってしまいます。
区では近年、監視カメラの設置、優良集積所認定制度の実施、小規模集合住宅の集積所設置指導等をして不適切なごみの排出が行われないように取り組んでいます。しかし、一部の人にはそのような取り組みが伝わっていないのか、無視しているのかわかりませんが、不適切なごみの投棄はなくなりません。
区では、従来行ってきた指導班による排出指導に加え、専従の小規模集合住宅対策班を設置し、小規模集合住宅への取り組みを強化したと伺います。今回の件でも何度か集積所に指導班が来てくださいました。すると、不適切なごみの投棄をする人は確実に減りました。現在、区が行う指導班による排出指導、特に小規模集合住宅対策は不適切なごみの投棄を抑える効果があると思います。清掃事務所の指導班の組織体制、内容はどのようになっているのでしょうか。
ことしの3月に発表された第3次中野区一般廃棄物処理基本計画では、従来行ってきた指導班等の排出指導に加えて、平成20年度から小規模集合住宅の取り組みを強化し、平成26年度は104件の改善指導を行ったとなっていますが、改善指導後の小規模集合住宅の排出の状況はどのようになっているのでしょうか。効果を教えてください。
私はこれまでも毎年のようにごみの質問をしてきています。それは、赤ちゃんからお年寄りまで、区民一人ひとりの、誰もの日常の日々に関係のある大切な問題だからです。区民一人ひとりがルールを守り、気持ちよく暮らし、中野区を美しいまちにしていきたいと願っています。
中野区に占めるアパート等集合住宅の割合は、80%と聞いています。不適切なごみの投棄が続く現状で、1年間に104件の改善指導では少ないと感じますが、いかがでしょうか。小規模共同住宅のごみの対策にぜひ力を入れていただきたいと思いますが、職員体制の強化が必要ではないでしょうか。
さらに踏み込んで、家庭ごみの減量について質問いたします。
家庭ごみの削減が大変重要であると考え、私は再三にわたって他の自治体の取り組みを紹介してきました。しかし区では、ごみの水切りの勧め、高額なコンポストのあっせん紹介のみで、具体的な区民への意識啓発を呼びかける取り組みが見えてきていませんでした。中野区は、プラスチック容器包装回収、ペットボトルの集積所回収、びん・缶回収、古紙回収など分別ごみの回収は進んでいるのに、家庭ごみの資源化だけは全く進まないように感じています。そのような状況で、ことしの3月に発表された第3次中野区一般廃棄物処理基本計画では「生ごみの資源化については調査、研究を重ねてきましたが、他の資源より分別の徹底が難しいこともあり、資源化には至りませんでした」となっています。どのような調査、研究を重ねてきたのでしょうか。
先日、私は視察で金沢市に行きました。観光都市金沢は、ごみ減量化をするために市長を先頭に段ボールコンポストに取り組んでいました。市内の各婦人会で家庭ごみ削減に取り組み、自分たちのまちを自分たちできれいにするという意識を高めています。コンポストでできた堆肥は市内のJA(農協)で商品券と交換されます。市民がごみを削減し、自分でつくった堆肥が活用され、さらに商品券をもらえるのですから、誰もが自然にごみ削減に協力する仕組みがつくられていました。
もちろん、金沢市と中野区では事情も勝手も違います。ごみからつくられた堆肥を引き取るJAもなく、同様の仕組みを構築することは難しいと思いますが、商店街と連携して完成した堆肥を区内商品券と交換するような工夫も考えればできないことはないと考えます。その回収した堆肥を使い、区民とともに区民と区内公園の花壇づくりに生かす等、さまざまな可能性を調査、研究していただき、「きれいなまち中野区」づくりの一歩を踏み出していっていただきたいと思います。
また、私は以前にも江東区のごみ対策の例をお伝えしてきました。江東区は4種類の機材(森の仕組みの生ごみリサイクル・ベランダdeキェーロ、EMぼかし、段ボールコンポスト)を使って3年間家庭ごみの資源化のモデル事業に取り組み、一家庭で1カ月に平均7キログラムの削減に成功しました。1,000の家庭が取り組めば70トンのごみの削減になり、財政効果も410万円の削減という検証でした。そのデータをもとに、昨年2015年から4種類の機材を使った資源化を本事業としてスタートしました。区報等で生ごみの資源化にチャレンジする区民を募集し、4種類の機材の中から1種類を提供します。昨年度は169世帯の申し込みがあり、今年度は100世帯の新規募集があったそうです。担当職員に話を伺いましたが、堆肥の行き場の問題や募集人員が予想を下回るなど、課題はいろいろあるそうです。しかし、何より区としてのごみの減量化に取り組む真摯な姿勢に協力しようと考える区民が確実にふえたそうです。
また、江東区の区民向けのごみ減量パンフレットには、まず、ごみ全体の9割が燃やすごみが占めていること、埋め立て処分場延命化の問題などが記載され、生ごみを減らす五つのポイントという5段階ステップが記載されています。ステップ1、必要な分だけ買おう。ステップ2、食べる分だけつくろう。ステップ3、食べ残しをしないようにしよう。ステップ4、ぎゅっと絞ろう、ごみの水切りがここです。ステップ5、堆肥化しよう。そして、堆肥化まで進めた人を上級者として、あなたもできるところから始めてくださいと区民へのごみに対する意識付けに取り組んでいます。ほかにもごみ減量のアイデア「私のごみダイエット」を区民から募集する。ごみダイエット家計簿の配布等、ごみ減量が江東区政の重要な課題であることが伺えます。
このように、工夫を凝らして生ごみの減量化と資源化に取り組んでいる自治体もある中、中野区ではごみ減量の取り組みや区民の意識喚起の努力も見えないまま家庭ごみを有料化して、区民に費用負担を求めようとしています。初めから区民に費用負担を求めるのではなく、さまざまな取り組みを通じたごみ減量への意識の啓発を進め、区民と一体となって課題の解決に取り組むことが必要であると思います。いかがでしょうか。
現在、区では中野に観光客を呼び込もうと観光のPRに予算を使い、区の魅力を多くの人に知ってもらうためにさまざまな取り組みを行っています。また「中野区に住みたい」と多くの人に選ばれる区になるように努力をしています。観光に力を入れている金沢市、区民のごみ削減意識を喚起し、住みよいまちを目指す江東区、中野区も区民が日常生活を気持ちよく過ごせる環境をつくることで初めて「住みたいまち中野」につながると思い、このごみの問題を重要な課題として区を挙げて取り組んでいただきたいと思います。御清聴ありがとうございます。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 近藤議員の御質問にお答えをいたします。指導班の組織体制、内容についてです。
清掃事務所では、廃棄物の不適正排出の抑制に向けた排出指導について、指導班、小規模集合住宅班の2班体制で臨んでいるところであります。指導班は技能長をリーダーとした11名体制で、排出状況の改善が必要なごみ集積所の調査、見回りやごみ集積所監視カメラの運用監視、事業系一般廃棄物の適正排出に関する指導等を行っております。小規模集合住宅対策班は技能長をリーダーとした4名体制で、小規模で専用のごみ置き場が設置されていないなど、排出環境の整備が必要な集合住宅の実態調査及びオーナーや管理会社、さらに居住者への排出指導を行っているところであります。
改善指導の効果について。改善指導の結果、排出状況が良好となった104件は、継続的に監視しているところであり、おおむね適正な状況が継続しているものと認識をしております。
改善指導の件数について。区ではこれまで、小規模集合住宅の排出指導に必要な集合住宅のオーナーや管理会社情報、排出状況の現状確認など、基本的な情報の収集を行うなど、効率的、効果的な指導業務を行ってきたところであります。平成27年度は平成26年度の取り組みを踏まえ、改善指導を強化し、332件実施したところであります。今後も計画的な排出指導を重ね、全体の改善につなげてまいります。
職員体制の強化についてという御質問について。これまでの排出指導は、一定の成果があったものと認識しており、当面は人員増強の必要性はないと認識しております。
ごみ資源化の調査、研究について。生ごみを発酵させ、発生するメタンガスを利用し、電気などのエネルギーに転換するいわゆるバイオマスによる資源化や、生ごみ減量化に向けた普及啓発のあり方について調査、検討を進めてきたところであります。バイオマスを活用した資源化については、委託事業者、費用対効果の面で課題が多く、現時点では困難でありますが、将来的には有効な方策と考えており、引き続き先進事例の調査研究を続けていきたいと考えております。
生ごみ減量化の普及啓発については、子ども、若者、成人、それぞれの世代や外国人にターゲットを絞るなど、効果的に周知を図っていくこととしたところであり、環境教育の充実、ごみ分別アプリの導入、易しい日本語や写真、図表によるわかりやすいチラシの活用等について、今後逐次導入していくこととしているところです。
生ごみの減量などに向けた取り組み、金沢市や江東区の例などを引いての御質問でした。家庭において食べ物の残渣を出さない、残り物の上手な使い回しなどを情報提供するエコクッキングレシピの開発など、生ごみの発生を抑制するための取り組みを強化していくこととしております。
また、環境学習や出前講座の充実、ごみの分別の徹底や生ごみの水切り励行への協力についても積極的に働きかけてまいります。御紹介のあった江東区は23区内の取り組みですので、有効な実績を上げていくものかどうか、十分に注目をしていきたいと考えております。
○議長(北原ともあき) 以上で近藤さえ子議員の質問は終わります。
中野区議会議員 いながき じゅん子
1 震災対策について
2 その他
○議長(北原ともあき) 次に、いながきじゅん子議員。
〔いながきじゅん子議員登壇〕
○29番(いながきじゅん子) 無所属のいながきじゅん子でございます。4月に熊本県で発生した地震によりお亡くなりになった方々に対し、謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
これまであまり危険性が叫ばれてこなかった九州地方で、しかも観測史上初めて震度7の揺れが連続して起きたということで、災害は我々の想像を超えた形でいつでもどこでも起こり得るのだということ、地方自治体は事前に地震の規模や被害を想定し、それに合わせた対策をしておけば十分であるということではなく、それを超える可能性についても常に考慮しつつ対策を講じておくべきであると改めて感じております。
それではまず、避難所について質問いたします。
地域防災計画では、中野区における被害が最も大きく見込まれている東京湾北部地震が起きた場合、想定される避難生活者数は4万9,925人となっています。区内の避難所の収容想定人数の合計は5万人ということで、一時的にはほぼ全員の避難所が確保されることとなっています。
さて、避難所のほとんどは区内の小中学校であり、Is値0.6以上という区の耐震基準では、耐震化率は既に100%となっています。しかしながら、国や東京都の基準に基づけば、本来これらの学校に求められるIs値は0.75であり、それを下回るIs値0.6台の学校が幾つかあります。区は、区役所本庁舎については、耐震補強工事後も国や都の基準であるIs値0.9に満たないことを理由に、早急に建てかえしなければならないと言っています。では、学校についてはそのままでよいのでしょうか。区立小中学校が被災して機能不全となれば、避難所としての役割が果たせなくなるだけではなく、その後の授業も再開できなくなります。学校についてもできるだけ高い耐震性を保っておくべきだと考えます。Is値が0.75に満たない学校の中には、区立小中学校再編計画2次の中で今後統合、改築予定のところも含まれていますが、それ以外の学校については今後何らかの対応を行うのでしょうか、お答えください。
災害救助法では、避難所の設置機関は7日間のみとなっており、基本的にはそれを超えて避難者を受け入れ続ける場合は、特例申請を行って期間を延長することになります。首都圏で大震災が発生した場合は、期間延長されることが確実とは思いますが、学校側も授業を再開しなければなりません。その際には、自宅が全壊するなど大きく破損して戻れない避難者が移動するための新たな避難先が必要となります。東京都によりますと、都内全体で供給できるプレハブの応急仮設住宅数は5万から8万戸ということです。中野区内におきましては、区内の応急仮設住宅の建設用地の合計は4万2,000平方メートル、1戸当たり29.7平方メートルという国の基準で計算いたしますと、建設戸数はおよそ1,400戸ということで、想定される4万9,925名の避難者全員が仮設住宅に入らないとしても、全く足りなくなることが予想されます。応急仮設住宅の建設と、その入居事務やそこに入れない避難者の受け入れ先探しは東京都が広域的に行い、区はその事務代行をする形となっています。しかし、行き場のなくなった避難者を目の当たりにしながら都の動きを待たねば、区は何もできないという事態は避けなければならないと考えます。東京都は、民間の不動産団体と協定を結び、災害時には避難者向けに賃貸住宅の空き室を借り上げ、みなし仮設住宅として提供することになっているとのことですが、その具体的戸数や場所などの情報は区と共有されておらず、区内の被災者がスムーズに移動できるかは疑問です。
ある民泊仲介会社は所有者に協力してもらい、災害時の緊急宿泊場所として被災者に空き部屋を無償提供するというサービスを行っています。区も東京都任せにするのではなく、災害時に空き部屋を提供することに同意してくださる区内の不動産会社やNPO、個人等を募り、事前登録していただくなどしていざというときに1人でも多くの避難者の滞在先を速やかに確保できるよう備えておくべきではないでしょうか。見解を伺います。
しかしながら、避難所にも長期間いられない、応急仮設住宅も十分供給されないことが予想される中野区内においては、やはり震災が起きてもそこで暮らし続けることができる耐震性に問題のない安全な住宅に住むことが区民の皆様にとってベストの震災対策であり、区はその実現にむけて全力で努力すべきだと考えます。区は現在、昭和56年以前に建てられた木造住宅について無料で耐震診断を行い、これまで一定の成果を上げられていますが、熊本の震災で区民の防災への関心が高まっているこの時期にこそ、この事業の強化・拡充が必要ではないでしょうか。
中野区は、アパート、マンションなどの民間賃貸住宅が多く、戸数ベースで全体の65%を占めています。その中で、昭和56年以前に建てられた耐震性を満たさない古い木造賃貸アパートが2,000棟以上あり、耐震化率は70%に満たない状況です。これまでの大規模地震ではこのような木造賃貸アパートが特に大きく被災しました。居住者の人命保護の観点や建物の倒壊や火災で周辺家屋や道路、住民に与える影響の大きさを考えますと、このような木造賃貸アパートの耐震化に力を入れていくべきではないでしょうか。
現在、昭和56年以前に建築された在来工法による木造共同住宅の耐震改修工事を実施すれば、工事後10年以内に震度6強以下の地震で全損した場合に、工事費その他を区が所有者に補償、助成するという区独自の制度がありますが、残念ながら2006年4月に制度がスタートして以来、10年間で利用件数はゼロ件ということで、内容の改善を検討するべきだと考えます。
また、区は区の無料耐震診断や木造住宅密集地域における建てかえ助成制度、建てかえや耐震補強工事に伴う固定資産税や都市計画税の全面免除など、さまざまな制度や相談窓口等について区報やホームページだけではなく、所有者宛てに直接郵送でお知らせするなどして、1軒1軒個別に、着実にアプローチする方法も必要なのではないでしょうか。区内に住んでいない所有者もいることから、一定の効果が見込めるのではないかと考えますが、区の見解を伺います。
これまで、建築基準法の見直しがあった昭和56年と平成12年以降に建てられた建物については、耐震性に問題なしとみなされておりました。しかし、熊本の震災では震度7の地震が2回来るという想定外の揺れがあったものの、現在の耐震基準で建てられていた家屋のうち、倒壊してしまったものとほとんど被害が出なかったものと、同じ地域内でも建物によって被害に大きな差が出ています。今後、夏ごろまでに国土交通省が原因を調査し、とりまとめる方向で動いているようですが、数値上では耐震基準をクリアしていても、地盤の弱さや建物自体の経年劣化や施工の不具合、どのような工法を採用するかで十分な耐震性を発揮できないケースがあることは以前から指摘されておりました。特に、平成10年までは中間検査が義務化されておらず、完了検査を受けた建物も25%程度と言われており、設計施工に問題があってもそのままになってしまい、結果として数字上の耐震性を満たしていない建物が一定数あると考えられます。
そこで伺います。現在、区の無料耐震診断は昭和56年以前の建物しか行っておりませんが、このような実態を踏まえ、昭和56年より後に建てられたものであっても、例えば法定耐用年数を超えたものについては無料耐震診断の対象としてはいかがでしょうか。また、本格的な耐震診断を受けるかどうかの判断材料として、建物所有者が事前に自己診断ができる簡易チェックシートのようなものを作成、配布してもよいのではないでしょうか。区の見解を伺います。
以上で私の質問を終了いたします。ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) いながき議員の御質問にお答えをいたします。震災対策について、区独自の応急仮設住宅の確保策についてであります。
都は、住宅に困窮する被災者に対し、都営住宅をはじめとする公的住宅や民間賃貸住宅の借り上げ、仮設住宅の建設により住宅を供給することとしており、都内で十分な戸数が確保できない場合には、他道府県に応急仮設住宅の供給を要請することとしております。区は、都が行う応急仮設住宅の確保について、応急仮設住宅建設用地の提供や区営住宅の空き部屋の提供を行うこととしております。都は原則として入居希望者の行政区域内の応急仮設住宅を割り当てることとしているため、これに区としては可能な限り協力し、区民が区内の応急仮設住宅に入居できるよう取り組んでいきたいと考えております。借り上げ型の応急仮設住宅確保等に関連しては、東京都との協力の中で区としても独自の方策も含め、着実に確保できるような方法を検討していきたいと考えております。
それから、賃貸住宅に対する耐震改修の助成制度の見直しと普及啓発の取り組みについてであります。賃貸住宅にかかわるこの制度につきまして、思うように実績の上がらない制度であるといったようなことも十分に承知をしているところであります。啓発普及等の努力の問題もあるかと思いますが、当面現在の制度を継続しつつ、さらに利便性のよい制度となるよう見直し、検討を行ってまいります。耐震化に向けた普及啓発では、例年協賛する耐震フォーラムの開催に合わせて、新聞の折り込み広告で3万戸配布の実施、また、広報紙への定期掲載などに取り組んでいるところであります。
また、老朽危険家屋の調査においては、木造賃貸アパート等の建物に破損が見受けられる場合、建物所有者等を特定し、維持管理や修繕を行うように文書を発送し、協力を求めているところであります。
無料耐震診断の範囲の拡充についてであります。耐震診断助成制度は、旧耐震基準の建物に限定されており、新たな東京都耐震改修促進計画においても対象範囲の変更が行われていないことから、当面見直しは考えておりません。しかし、最近の建築確認申請の動向を見ると、新耐震基準以降の建てかえが見受けられるようになってきております。法定耐用年数を超えても、適切な維持管理及び改修工事を実施することで建物の寿命は延びるといったようなことから、情報提供の一つして維持管理診断シートのようなものを検討していきたいと考えております。熊本県での地震の結果等々の分析を踏まえ、昭和56年以降の建物についての取り扱いについても、今後必要があれば見直しを行ってまいります。
〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 避難所としての小中学校の耐震性の質問でした。中野区区有施設耐震改修計画では、阪神・淡路大震災及び東日本大震災において建物の耐震性能をあらわす指標であるIs値が0.6以上の建物に損傷が見られなかったことから、Is値が0.6未満の小中学校について平成27年度までに耐震改修工事を行ったところでございます。今回の熊本地震における建物の耐震性については、現在国において調査、分析を行っているところでございまして、その動向を注視してまいりたいと考えております。
○議長(北原ともあき) 以上でいながきじゅん子議員の質問は終わります。
中野区議会議員 石坂 わたる
1 地域包括ケア及び地域福祉全体の在り方について
(1)地域包括ケアについて
(2)地域包括ケアを踏まえた子どもの地域福祉について
(3)その他
2 高次脳機能障がい者の支援について
(1)就労に向けての支援について
(2)その他
3 その他
○議長(北原ともあき) 次に、石坂わたる議員。
〔石坂わたる議員登壇〕
○28番(石坂わたる) 質問いたします。1、地域包括ケア及び地域福祉全体の在り方について、(1)地域包括ケア全体について伺います。
地域包括ケアは本来、高齢者のみならず、児童やひとり親、障害児・者、生活困窮者など、幅広い対象への福祉活動を包括するものです。他自治体では、三重県伊賀市のように、高齢者、障害、児童の各福祉における「関係計画における課題の共通化や連携の見える化」、「データの分析や重ね合わせ」、「生活者の視点による連携イメージの検討」の実施によって地域包括ケアシステムのイメージ図の作成を検討してきた、こういった自治体もあります。中野区においても「中野区健康福祉総合推進計画や高齢、介護、障害、子ども、健康に関する各計画における共通部分の分析」、「関係計画の連携や共通化に関する検討」、「目指すべき姿のイメージ化」、中野区が目指す地域包括ケアの形を考えるに当たっては、このようなプロセスを経ることが必要と思いますが、いかがお考えでしょうか。
また、高齢者福祉・障害者福祉・子育て支援では、各部署の窓口、民間の委託先、すこやか福祉センターの区直営部分など、多様な主体が担い手となっています。これらの高齢者、障害、子どもに関する相談支援事例を集約・整理し、相談支援の在り方や各窓口間の連携など、目指す支援体制のイメージ化を行い、区民のあらゆる福祉的なニーズを考えることが必要ではないでしょうか。
また、そのためには保健師や福祉のエキスパート職員などの子ども・障害・高齢者の福祉に関する部署での勤務経験が豊かな職員を配置し、施策のあり方を考えていくことが必要と思いますが、どのようにお考えでしょうか。
なお、地域包括ケアでは、「認知症や介護予防」、「機能維持・回復」、「家族によるケア対象者への不適切なかかわり方やその虐待の防止」、「家族の支援」など、さまざまな取り組みが展開されます。そのためには、常設の場か、事業を行う際に優先的に利用可能な「場」が重要です。場所なくして、利用を促したい人に定期的に来てもらうことはできません。障害の有無を問わず、また、妊産婦も含めて、子どもから高齢者まで気軽に通えるスペースを身近な場所に設置すべく、検討をしっかり進めていただきたいと思います。その上で、一例として伺います。高齢者の認知症・介護予防の取り組みや介護をしている家族の支援は待ったなしの状態です。地域包括ケアをどのように整備するのかについてのイメージをしっかりと踏まえた上で、例えば高齢者会館での認知症・介護予防の取り組みの強化や、介護をしている家族の支援強化を進めてはいかがでしょうか。
(2)地域包括ケアを踏まえた子どもの地域福祉の在り方について伺います。
埼玉県和光市では、「わこう版ネウボラ」という仕組みがあります。健常の乳幼児から学童期の子どもに対する以下の取り組みは、他の自治体でも行われています。例えば、ショートステイ、デイケア、訪問型子育て支援、栄養マネジメント、プレママ教室、ファミリーサポート、時間外延長保育、病児・病後児保育、学童保育クラブ、予防接種、健診などがあります。
これらについて、和光市の場合は加えて子育て世代包括支援センターがネウボラ拠点として位置付けられています。そして、母子保健ケアマネジャーや子育て支援ケアマネジャーが配置され、妊娠・出産・子育てに関する相談支援を一貫して行い、母子保健・福祉・経済的問題等に対応します。住民がさまざまな産前産後ケア事業などを利用する際には、ケアマネジャーへの相談、相談結果に基づく申請書の作成と担当マネジャーへの申請、書類審査後に決定通知・サービス利用券を市から発行という手順を経て「サービス開始」となります。
現在、中野区では、「支えあい推進室のすこやか福祉センター」、「保健所の保健予防分野」、「子ども教育部の子ども家庭支援センターや子育て支援分野や保育園・幼稚園分野」などがそれぞれ取り組みを行っています。また、子どもへの対応は学校教育や教育相談等との連携も欠かせません。行政サイドで子どもに関する取り組みについて施策の組み立てや連携・調整を行う部署を明確にすることが必要だと思いますが、いかがお考えでしょうか。
また、子どもに対する窓口を明確化し、その窓口には区の子ども関係の行政サービス全体像に精通し、区民のニーズに合わせたコーディネートや相談体制ができる専門の職員を配置すべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。
2番としまして、高次脳機能障がい者の支援について伺います。(1)就労に向けての支援と、(2)のその他の順番を入れかえて伺います。
まず第一に、「高次脳機能障害者のための相談窓口の設置」と、その明確化について伺います。
高次脳機能障害は中途障害であることから、家族や本人が障害そのものをなかなか受けとめられないケースが多々あります。そうした中、支援先がうまく見つからない状況や、「相談」から「心身の訓練」、そして「自立に向けた支援」といった先行きの希望が持てない状況になると、諦めてしまう傾向もあるようです。また、入院先の病院から、障害の状況に合わない支援先が紹介されてしまうという場合もあるようです。
先日、杉並区における高次脳機能障害者の就労に向けた支援を視察してきました。杉並区では、平成27年度の高次脳機能障害に対する相談支援件数は延べ2,259件、実人数が111人、そのうち就労に関する相談が518件だったとのことです。これに対して、中野区は統計の数え方に差があるとはいえ、平成27年度の高次脳機能障害に対する相談件数が264件、就労に関する相談件数が5件です。杉並区と中野区の人口比から考えても、高次脳機能障害者の相談件数はまだまだ少なく、ニーズが潜在化しているものと思われます。これはやはり、区民に対して相談窓口を明確化できていないことも一因にあるのではないでしょうか。
「高次脳機能障害や支援についての知識や総合的なコーディネートのスキル」のある職員から、障害に関する相談、福祉の手続、再就職や職場復帰に関する情報が得られ、支援先につないでもらうことができる「高次脳機能障害についての相談やコーディネートの窓口」を区が明確にする必要があるのではないでしょうか。そして、当事者や家族を含む区民、区内の医療機関、あるいは区外でも、近隣の大きな病院の医療ソーシャルワーカーに対して広く周知をする必要があるのではないでしょうか。
第2に「リハビリテーションの場の整備」です。
高次脳機能障害の中でも、身体の障害がない、知的・精神面での障害がある方のリハビリテーションについては、東京都の制度を利用しても、期限が終了した後に行き場がない人がいるようです。また、区外の就労支援施設の利用は、本人が抱える認知等の障害によって、交通機関を乗りかえての移動が難しい人も少なくありません。区内の現状は、「つむぎ」が行う専門相談とニコニコ事業団が行う就労支援があります。しかし、その中間に当たるリハビリテーションが欠けています。これらの支援機関や区が連携をし、本人にとっても身近な場所でリハビリテーションが受けられるよう、区内で支援が完結する仕組みをつくることが求められます。
なお、高次脳機能障害については、個別の対応が求められることも多いです。そのため、自分の障害に合った通える場所があり、そこで生活の自立に向けたリハビリテーションや就労に向けたリハビリテーションなど、複数のプログラムが用意されていることが必要です。こうしたことを区直営で行う場合でも、委託で行う場合でも、ある程度高次脳機能障害に対して専門化した人を配置できるようにすることが必要ではないかと思われます。
少なくとも、常設でなくても、機能回復のためのリハビリテーションと就労に向けてのリハビリテーションのそれぞれについて、高次脳機能障害に特化したプログラムがあり、そこを当事者が利用できるような仕組みが必要ではないでしょうか。また、それを区直営ではなく委託等で行う場合には、高次脳機能障害に精通した職員の採用や配置や研修等に職員のスキルアップを図るための支援のあり方を考えるべきと思いますが、いかがでしょうか。
質問は以上です。御答弁のほどお願いいたします。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 石坂議員の御質問にお答えいたします。
地域包括ケア及び地域福祉全体のあり方について、地域包括ケア検討のプロセスについて。
中野区の目指す地域包括ケア体制は、高齢者、障害者、妊産婦など、全ての人が自立して暮らせる地域づくりということになっております。こうした総合的なケア体制の構築を図るためには、対象別の個別事業計画や地域での取り組みを分析し、基盤となる共通部分や領域ごとの特徴を十分に把握し、全体像をつくり上げていく必要があると認識をしております。
保健福祉のエキスパート職員による施策の検討が必要ではないかといった御質問です。現在、地域包括ケア推進担当には保健師や社会福祉士を配置して、当面高齢者対策を優先させて検討に当たっているところであります。今後必要に応じて各領域の専門職も交えた体制を組み、総合的な地域包括ケアの検討を進めてまいります。
高齢者会館での認知症、介護予防についてであります。今後の高齢者人口の増加を想定すると、介護予防拠点の一つとしての高齢者会館の取り組みの重要性はさらに増していくものと考えております。効果的な介護予防プログラムや人材面での育成など、高齢者会館の運営団体に対する支援を強化し、機能的な充実を図ってまいりたい、このように考えております。こうした中で、介護をしている家族の支援といったようなことについても視野に入れてまいりたいと考えております。
それから、子ども施策組み立ての所管についてであります。子ども教育部が子ども施策全般の担当であり、実際のサービス推進に当たっては地域支えあい推進室と連絡調整をして進めているところであります。
地域包括ケアを踏まえた子どもの地域福祉についての専門相談員の配置についてであります。これまで本庁舎3階の子ども総合相談窓口では、区民のさまざまな相談にワンストップで対応してきたところであります。本年10月からは個々の相談者のニーズや状況を的確に把握した上で必要なサービス担当につなげていく役割を担う子育てコンシェルジュを配置することとしております。また、地域の身近な相談窓口であるすこやか福祉センターにおいては、保健師や福祉職等の専門職が実際の支援や相談等について継続して総合的に対応しているところであります。
私からは以上です。
〔健康福祉部長瀬田敏幸登壇〕
○健康福祉部長(瀬田敏幸) 私からは、高次脳機能障害者の支援についての御質問にお答えをいたします。
まず、高次脳機能障害に特化したリハビリテーションの実施でございます。身体障害者手帳を持っていない高次脳機能障害者の機能回復については、障害者地域自立生活支援センター「つむぎ」におきまして、昨年7月から毎月第3日曜日に高次脳機能障害者当事者の交流と認知機能、リハビリをかねたグループリハビリを開始しているところでございます。
また、就労に向けてのリハビリにつきましては、東京都が行う就労準備支援プログラムにつなげてきております。高次脳機能障害者に対する機能回復や就労に向けたプログラムのあり方については、今後検討する必要があると考えております。
次に、高次脳機能障害相談窓口の周知についてでございます。区内4カ所のすこやか福祉センターでは、さまざまな障害についてワンストップで総合的に相談に当たっているところでございます。高次脳機能障害の専門的な相談につきましては、障害者地域自立生活支援センター「つむぎ」を御紹介するなど、各相談機関が連携することがよりよい支援につながると考えております。さらに、再就職や職場復帰には当事者への支援のほか、企業への継続的な支援も必要となるため、中野区障害者福祉事業団とも連携を図りながら支援を行ってまいりたいと考えております。昨年は中野区医師会の後援をいただいた高次脳機能障害に関する講演会を開催するなど、医師会との連携も図っているところでありまして、各相談窓口の役割をより明確にしながら、当事者や医療機関等への周知の方法について工夫してまいります。
○議長(北原ともあき) 以上で石坂わたる議員の質問は終わります。
中野区議会議員 小宮山 たかし
1 認証保育園の「保活」情報提供について
2 桃園公園の廃園について
3 「子育てメッセ」について
4 その他
○議長(北原ともあき) 次に、小宮山たかし議員。
〔小宮山たかし議員登壇〕
○18番(小宮山たかし) ここ数年、中野区内の人口は右肩上がりでふえ続けています。ことし6月1日の区内のゼロから4歳児人口は1万1,272人となり、かつて平成18年に「平成26年には8,435人になるだろう」と区が予測していたよりもはるかに大きな人口の伸びを記録しております。そもそもの予測そのものが稚拙であったことは今回は指摘しませんが、こうした予想外の人口増と併せて区内の保育需要も伸び続け、区内ではことし257人と過去最多の待機児童が出ました。区が待機児童の解消に向けて努力をしていることは私も評価いたしますが、それでも足りない、まだまだ足りないというのが現実であります。
こうした状況の中、認可保育園を希望しても入れなかった方の事実上の受け皿となっているのが認証保育所、保育園であります。これまで認証保育所のいわゆる保活において区が関与することはほとんどありませんでした。隣接区である新宿区や渋谷区の認証保育所では、自区民を優先的に入れるようにと区からの指導があり、法的拘束力のない指導であるにもかかわらず、それに従っている保育園が少なからずあり、門前払いとなってしまった中野区民がいるという話です。中野区の場合、認証保育所の園児のかつては3割、今は2割が他区民であるという公式データもあり、隣接区のいわば草刈り場のようになっているという話も聞いております。これまでもある程度の指導はしてきたのでしょうが、区の予算を投入して認証保育所を誘致し、設立後も各種のサポートをしている中で、やはり中野区としても隣接区同様に区内の認証保育所には中野区民を優先的に入れていただくような働きかけを一層強くするべきではないでしょうか。
次に、認可保育園とは異なり、認証保育所の入園審査方法は園によってさまざまであります。認証保育所への入園を希望する保護者は園に電話をかけ、見学の予約をしたり、いつからどんな方法で入園選考を行うかということを複数の保育園に対して行います。最終的に認可園に入園した方も含め、恐らく数百人の区民が延べ数百カ所の認証保育所に対して同じことを問い合わせる。このように区民が個々に情報収集に当たることは区民の負担になることはもちろんですが、保育園側にとっても通常保育の妨げになっていると現場の声も聞いております。保育の現場では、一瞬目を離しただけでも大きな事故が起こりかねません。どの保育園がいつから、どんな方法で入園選考を行うか、見学希望者はいつ、どうすればいいのか、そうしたいわゆる保活にかかわる基本情報ぐらいは区が公式にとりまとめ、区民に情報提供してはいかがでしょうか。
次の質問に移ります。先日、中野郵便局の東側にある小さな公園、桃園公園が道路拡張工事に伴い休園となりました。今後、同公園は廃園になるそうです。この議場で言えば、ちょうど傍聴席と同じぐらいの小さな公園ですから、区民生活に与える影響はあまり大きくないのかと思いきや、決してそうではありません。この公園の近隣にはひまわり保育園、なかのまるのなか保育園、中野二丁目保育室など園庭のない保育園が多くあり、特に夏場はたったの1カ月ではありますが、じゃぶじゃぶ池が設置されるため、近隣保育園にとっては子どもたちの健やかな成長に欠くことのできない重要な公園であったと私は認識しております。道路拡張による廃園はやむを得ませんが、中野駅南口エリアにはほかにないじゃぶじゃぶ池の確保を含め、今後の代替となる公園をきちんと確保するべきでありますが、いかがでしょうか。
また、ここで私に一つアイデアがあります。今、四季の森公園の水景施設では、暑い日になるとたくさんの子どもたちが水を眺めて遊ぶ憩いの場となっています。同じような水景施設は実は宮前公園にもありましたが、1996年ごろのO157騒動をきっかけにその流れをとめてしまい、その後の機器の不調などから復活しなくなってしまいました。ことしも暑い夏が予想されます。中野駅南口エリアからのアクセスも悪くはありませんし、桃園川緑道を使えば園児たちも安全に移動ができます。今こそ宮前公園の水景施設を新たな防災機能を持たせたリニューアルを加えつつ、復活させてはいかがでしょうか。
次に、中野区は子ども・子育て支援事業計画の中で「地域で子育て広場事業や乳幼児親子の居場所づくり事業を実施する団体の情報の収集及び共有などにより、事業間の連携を図り、子育て支援ネットワークを強化する」とうたっております。中野区が子育て支援ネットワークを強化するに当たり、中野区の民間子育てネットワークのハブである、この私のところに一体いつ連絡が来るのか首を長くして待っているのですが、今のところまだ中野区からのコンタクトはありません。児童館やU18の廃止を容認するわけでは決してありませんけれども、児童館やU18なき後の中野区の子育て支援活動の担い手を今から育てていくことは区の責任であり、絶対に必要なことであります。
他区を見てみますと、子育て支援活動者や団体同士の横のネットワーク形成を目的として、「子育てメッセ」などの名称で子育て支援活動者が一堂に会するイベントを開催しています。また、そうしたイベントは各種の子育て支援活動の紹介や区が行っている各種の子育て支援事業の紹介も主目的としているそうです。例えば新宿区では、ことしで7回目を数える子育てメッセを、実行委員会と区が共催という形で次の日曜日に開催します。その総事業費は約200万円だそうですが、地域家庭教育支援基盤形成事業費補助金で国と都から3分の2の補助を受けているため、区の自己負担は3分の1だそうです。杉並区や世田谷区でも類似の形でイベント運営がされています。
全てに共通しているのは、経費のほとんどを区が負担していること、事務局を区役所や区施設内に置き、チラシ作成や出展ブースの管理などイベント運営にかかわる面倒な雑用や事務局機能は区が担当していること、実行委員は企画を練ったりアイデアを出したりする程度の比較的負担の軽いかかわりで済んでいることです。中野区にも、なかの育フェスという民間の子育て支援活動団体の連合体となかのZEROの指定管理者の共催によるイベントはありますが、有料のブースを出展するには5,000円以上の出展料がかかるなど、参加者の負担も大きく、また、ボランティアで活動している複数人の実行委員の負担も、はたから見ているとかなり重そうです。区がこうしたイベントを主催して、事務局機能までをも担うことで実行委員の負担を軽減し、区内の子育て支援活動団体と有機的にかかわっていく、そうしたかかわりの中で区が望む子育て支援団体の情報の収集やネットワークの強化は自然とできるようになっていきますし、児童館なき後の区の事業への協力要請などもしやすくなります。
今、中野区ではいろいろな団体や個人がボランティアベースでさまざまな子育て支援活動を行っています。中野区はこれまで、そうした民間の子育て支援活動に対して大したサポートはしてきませんでした。情報を告知する方法は、今どき街角の掲示板程度しかなく、区報にも区ホームページにも中野区子育て応援サイトにも民間の子育て支援情報は取り上げてくれません。「おひるね」に掲載されているのも、ごく一握りの定期的な活動をしている団体のみです。区として、そうした民間のボランティアベースの子育て支援活動を育成、支援していくことで、大きなお金はかけずとも、将来の中野区の子育て支援活動をもっと活性化させることができる、中野区をもっと子育てしやすいまちにしていくことができると私はそう信じています。中野区でも子育て支援活動団体の紹介、子育て支援活動者同士の横のネットワークづくり、区が行う子育て支援事業の紹介を目的とした区主催による新たな中野区版「子育てメッセ」の開催をしてはいかがでしょうか。御清聴ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 小宮山議員の御質問にお答えをいたします。認証保育園の保活情報提供についてであります。
認証保育所へ中野区民を優先的に入れる働きかけをすることについて。
入園の適否については、各認証保育所が判断するものとなっており、区を超えて相互に利用されるケースも少なくないところであります。6月1日現在、認証保育所を利用している中野区民のうち、区外の認証保育所を利用している割合は約15%となっております。これまでも保育の必要な状況が同一であるなど、判断の余地がある場合においては区民を優先するよう働きかけをしてきたところであり、今後も協力を依頼していくところであります。認証保育所は東京都の制度ということもあり、強制的に中野区民でなければといったような強引な働きかけというのは難しいものだというふうに考えております。
区民に対する認証保育所の入園に関する情報提供について。
認証保育所については、入園相談の際に認可保育園等の説明とともに個々の状況に応じて御案内をしているところであります。募集の時期や手続などについては、それぞれの認証保育所ごとに異なっていることから、随時紹介ができるようにホームページに掲載できるようにしているほか、毎年2月ごろには区報で認証保育所の御案内も行っているところであります。今後もこうした方法によって区民に情報提供してまいります。
私からは以上です。
〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕
○都市基盤部長(尾﨑孝) 公園についての御質問にお答えをいたします。桃園公園の代替となる公園の確保についてでございます。
桃園公園は、中野二丁目土地区画整理事業に伴う道路整備のため、4月18日より休園しております。この土地区画整理事業の中で、桃園公園の代替となる公園が整備されることになっておりますが、どのような施設を整備するかは中野二丁目土地区画整理事業組合と今後調整していく予定でございます。
じゃぶじゃぶ池にかわる機能につきましては、可能な限り中野駅南口エリアで確保したいと考えておりますが、現在のところ、どこにつくるか決まっていないところでございます。
次に、宮前公園水景施設の復活についての御質問でございます。
宮前公園の池流れは、平成2年の公園改良の際に整備をいたしましたが、平成8年に発生したO157(腸管出血性大腸菌)の感染防止が全国的な課題になったことを契機に、機能を停止することといたしました。その後、施設の老朽化もあり、現時点で復活は考えておりません。
〔子ども教育部長横山俊登壇〕
○子ども教育部長(横山俊) 私からは、子育てメッセについてお答えいたします。
区主催の子育てメッセを開催してはどうかとのお尋ねでございました。御質問にありました子育てメッセにつきましては、子育て関係団体の活動を紹介するとともに、団体同士の横のつながりを拡大していくことなどを目的としたイベントの通称であると承知しております。中野区といたしましては、同様のイベントでございます「なかの育フェス」に対しまして後援をしておりまして、区の子育て支援事業のPRブースを出展するなどの協力をしているところでございます。
子育て関係者のネットワークづくりや子育て関連事業のPRにつきましては、すこやか福祉センターや子育て支援ハンドブック「おひるね」等をはじめとしたさまざまな媒体を通じて行っているところでございまして、今後もこうした取り組みを進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(北原ともあき) 以上で小宮山たかし議員の質問は終わります。
中野区議会議員 渡 辺 たけし
1 平和の森公園の陸上トラックについて
2 本町図書館、東中野図書館の統合について
3 その他
○議長(北原ともあき) 次に、渡辺たけし議員。
〔渡辺たけし議員登壇〕
○7番(渡辺たけし) 「おおさか維新の会」の渡辺たけしです。質問に先立ちまして、さきの熊本地震によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、被災されました皆様におかれましては心からお見舞いを申し上げ、質問に入らせていただきます。
初めに、平和の森公園の陸上トラックについて質問いたします。
平和の森への体育館移設に伴って、草地広場へ1周300メートルの陸上トラックが建設されるという計画が発表されて1年が経過しました。その後、未開園地区の部分に新体育館が建設されることや、それに伴う草地広場の面積も広がったりしたことで、当初の計画より大幅に変更がありましたが、私個人としては平和の森への新体育館の建設や多目的広場の拡張には賛成でしたが、300メートルの陸上トラック建設については反対でした。
理由は二つあります。一つ目は「そもそも区民ニーズが本当にあるのか」ということです。理事者側の説明では、中野区の陸連関係者や中学校からのニーズがあるということでしたが、アンケートをとった時期を考えると、1周400メートルの陸上トラックを前提とした質問であったと考えられます。本格的な陸上競技をしている人たちが300メートルのトラックを求めているとは思えず、区民ニーズのないものをつくったところで、「ほんの一部の人たちが利用する施設になるだけではないのか」というのが一つ目の理由でありました。
二つ目は、1周400メートルのトラックをつくるのならまだしも、それができないのであれば、「高額な費用をかけて1周300メートルという中途半端なトラックを無理につくる必要なんかないのではないか」という思いが、多くの中野区民の偽らざる気持ちなのではないかという理由でした。
ところが、区内の中学校や陸上関係者を中心に取材を行ったところ、当初の予想とは大きく異なる取材結果となりました。まず、300メートルトラックについてのニーズですが、区内の中学校の陸上顧問の先生や校長、副校長先生に話を聞いたところ「1周300メートルの陸上トラックでも、完成した暁には積極的に利用していきたい」という意見が多数を占めました。陸上顧問の先生からの主な意見としては「学校のグラウンドは狭いため、他の部活動の練習と重なり、使用できるとしても占有ができない。多少場所が遠くても、部活動終了後は現地解散にしたり、放課後や土日の練習場所としても積極的に利用していきたい」「中学生であれば、1周300メートルのトラックでも十分練習場所として活用できるし、地面が合成ゴムのタータントラックであれば、それだけでも本番に備えた本格的な練習ができる」というものが挙げられます。
また、区内中学校の校長、副校長先生からは「狭いグラウンドではなく、陸上トラックを使用して運動会の会場として利用できるとありがたい」という話もいただきました。先ほど自民党の加藤議員からもお話がありましたが、小中学校や町会、また、先月行われた障害者の方々の運動会の会場として利用することも考えれば、区民ニーズ、特に小中学校を中心に利用範囲を広げていくことができるかと思われます。
しかし、陸上トラックを定期的に利用する区民は、区民人口の1%である3,100人もいるかどうか。区民全体の1%にも満たない人たちのために大金をかけてトラックをつくるというのは素直に賛成できるものではありません。陸上競技に興味のない区民の方々の大半はそのような意見でありました。福岡県の久留米総合スポーツセンターにある陸上トラックの地面を砂地から全天候型に対応したトラック改修費用は、昭和59年の時点で3億2,500万円かかっております。一概に同じとは言えませんが、陸上トラックの建設費用は恐らく数億円規模のものとなることは間違いないと思われます。この費用が税金の無駄遣いと言われないためにも、利用者からの収益確保を目指し、建設費用を回収するような投資的な意味合いを持たせることが税金の無駄遣いと言われる批判を回避できる一つの方法なのではないでしょうか。
千駄ヶ谷にある東京体育館に併設されている1周200メートルの陸上トラックの運営状況について調査したところ、平日で1日200人から300人、土日は500人から700人、月間延べ数で1万人程度の利用者がいました。会社終わりの社会人の利用が多く、平日は23時までの運営を行っており、主に陸上競技の愛好者がリピーターになっています。また、神宮外苑が近いことから、ランニングステーションとしてロッカーの貸し出しも行っており、そちらでも大きな収益を生み出しておりました。平和の森公園の周辺にジョギングコースをつくる計画があるという話も理事者から聞いております。新体育館にランニングステーションのような機能を設ければ、中央線沿線沿いに住んでいるジョギング愛好家の社会人を、平和の森公園へ足を運ばせるような魅力的なコンテンツになるのではないでしょうか。
運営、管理については民間への管理委託になるという話を伺っておりますが、委託管理を考えているのであれば、区の収益につながる入札条件を出すべきであり、管理会社が収益を上げやすい運用環境を整える必要があります。また、入札条件にも収益の何割かは区に入るような条項を入れるなど、トラック建設にかけた金額を回収できるような仕組みを構築しないと、税金の無駄遣いと言われても反論できません。健康寿命を促進して医療費の削減を目指す区の方針は理にかなっており、そのためのスポーツ施設をつくることは大いに賛同するところではありますが、子どもからお年寄りまで多くの区民が気軽に利用できる施設でなくてはいけません。
そこで伺います。社会人をターゲットにした夜間でも利用できるようなナイター設備の設置などをして、利用者獲得のための設備投資をきちんとするのか、そもそも陸上トラックに使う予算を回収する算段や意気込みを持っているのか、区の見解を伺いましてこの項の質問を終わります。
続きまして、本町図書館、東中野図書館の統合について伺います。
今定例会で自民党のいでい議員からも質問がありましたが、新しい中野をつくる10か年計画の中で、本町図書館、東中野図書館を統合し、第三中学校と第十中学校の統合新校への整備を行い、地域解放型学校図書館の設置を行うという計画が記載されました。
23区の中でも、公債比率がダントツに高い中野区としては、施設の維持、管理費を削減するためにも施設の統合、集約を図り、コスト削減に努めることはごくごく当たり前のことであります。ただし、施設の統合、集約はコスト削減につながる一方、区民目線では施設が減って行政サービスが低下していくという思いを持たせる側面もあり、その部分の不満を解消するためにも、蔵書数の確保だけではなく、新たな図書館の魅力をつくり出す創意工夫を取り入れていかなくてはなりません。
公明党の日野議員も何度か提案されていましたが、読書通帳の導入もそのうちの一つではないでしょうか。山口県にある下関市立図書館は、平成22年に当時の指定管理事業者が目玉事業の一環として全国で始めて読書通帳を取り入れたのがそもそもの始まりなのですが、もともとは韓国国内で行っていたものであり、既に韓国では学校図書館にも読書通帳を取り入れています。銀行ATMのような専用端末に通帳を入れると、自分が読んだ本のタイトルや貸出日が記録できる仕組みや、読書履歴を目に見える形にすることで子どもの読書意欲を促進させ、ひいては図書館利用の活性化につながる効果を狙ったものです。下関図書館では、導入前と比べて貸し出し利用の回転率が2倍にはね上がり、近隣の小学校にある図書館の貸し出し利用率も向上したという波及効果もあったというデータが出ております。
また、年配の利用者の方も、今までどの本を借りたのかうろ覚えだったのが、通帳履歴を確認することで今まで借りてきた本を把握することができて、同じ本を借りることがなくなり助かっているという声も上がっているとのことでした。岐阜県にある海津図書館では、日付と本のタイトル以外に本の購入価格も記載されており、自分が借りた本を買って読んだ場合、どれぐらいのお金がかかっているのかがわかるようになっており、子どもたちも貯金がたまっていくような感覚で通帳を利用できる仕組みとなっております。これは自治体側でも、本来買って読むべき本が、図書館の貸し出しサービスを利用して無料で読んでいるという行政サービスの恩恵を受けている部分が金額でリアルに可視化されているということで、自治体側でも住民サービスを提供しているというアピールができるというメリットもあります。
そのほかにも、来館者数日本一で年間100万人以上が集う「究極の図書館」と言われている岡山県立図書館では、カフェスペースを設けて親子でゆったりと本を読める空間を提供していたり、著名な作家が死去した際などは、翌日にその作家が執筆した本のコーナーを設けるなど、時節に合わせた展示会を随時行い、来館者の興味を引く工夫を行っています。近年ではWi-Fiを設置している図書館もふえており、インターネットを活用しながら図書館で資料を調べている利用者もふえてきております。図書館の数を減らすことで交通面での利便性が悪くなる住民もふえてきますが、さまざまな新しいサービスや工夫が盛り込まれた図書館に生まれ変わることで、図書館に行きたいという思いを強く喚起させることはできます。物理的距離がふえた分を、そのような思いを持たせることで十分にカバーできるのではないでしょうか。
「中野駅北口の開発や陸上トラックの建設ではお金をかけようとしているのに、児童館は廃止していこうとしているし、図書館も減らされていく。行政は私たちの日常生活を見ていないのではないか」という言葉を多数の子育て世代の区民の方々からいただきました。行政の目は、常に区民にも向いているということを伝える意味でも、十中跡地にできる新しい図書館にはこのような読書通帳の導入や区民がくつろげるカフェスペース、Wi-Fi環境の設置など、足を運びたくなる魅力的な図書館の建設をどこまで目指しているのか、区の見解を伺いまして、私の全ての一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 渡辺議員の御質問にお答えをいたします。平和の森公園の陸上トラックの設備と設備費の回収についてということであります。トラックのニーズについて、足で確認をしていただいたことに敬意を表したいと思います。
トラックにつきましては、単独でトラックをつくるわけではなく、平和の森公園という全体の状況の中にトラックを配し、また、新体育館との相乗的な効果といったようなことで、整備全体での効果を発揮していきたいと考えております。このトラックにつきましては、自由使用を基本とする公園園路として整備をするということでありますので、受益者負担を計上したトラック使用料などの設定、公園園路ですので、そういった使用料の設定は考えておりません。ただし、占用利用の場合には原則として占用料を徴収するということになってまいります。
体育館のランニングステーション的な利用なども含めての御提案もありましたけれども、施設の利用に関しては、一定の考え方に基づいて利用者の負担といったようなものも求めていきたいと思っておりますが、施設の目的との関連の中で、必ずしもそこで収益を上げなければいけないといったようなところまでは考えるべきではないのかなというふうに考えているところです。
園路の照明の話になりますが、園路という関係で、警察庁の安全安心まちづくり推進要綱などに従って照明設備を設置する予定でありまして、トラック利用料の専用照明というのは設置することは現在考えておりません。
私からは以上であります。
〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 本町図書館、東中野図書館の統合についての御質問にお答えをいたします。
第三、第十中学校統合新校に併設する図書館では、ビジネス支援、教育や子育てに関する図書、資料やレファレンスサービスを充実させるほか、電子書籍の導入など、ICT環境の整備を図る考えでございます。また、学生やビジネスパーソン等の個人の学習や作業、グループ活動が可能なスペース、乳幼児親子が安心して読書を楽しめるスペースを用意することなど、快適な読書活動を行うことができる環境を整備する考えでございます。
また、読書通帳についての御質問がございました。それにつきましては、その記載事項である本のタイトル、作者名、貸し出し日などについて、現在区が普及に取り組んでいる手書きの読書ノートに記載できるようにしてございまして、今後その改善についても検討してまいりたいと考えております。
○議長(北原ともあき) 以上で渡辺たけし議員の質問は終わります。
中野区議会議員 内 野 大三郎
1 違反広告物除却協力員制度について
2 区内の花とみどりの保護について
3 その他
○議長(北原ともあき) 次に、内野大三郎議員。
〔内野大三郎議員登壇〕
○8番(内野大三郎) 平成28年第2回定例会に当たり、日本の文化と伝統を守る無所属議員の立場で一般質問をさせていただきます。
質問に先立ちまして、4月に発災した平成28年熊本地震においてお亡くなりになった方々へお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々へのお見舞いを申し上げます。中野でできる支援として、義援金の拠出をしましたが、先月二度にわたり、阿蘇市と熊本市へ情報収集と復興支援へ行ってまいりました。今回の地震では、益城町、南阿蘇市、熊本市が被害の大きい箇所として報道されていますが、阿蘇市も相当な被害を受けておりました。
また、熊本市内の状況は先日の木村広一議員の防災対策についての質問でもありましたとおりで、各家庭への支援はまだまだ足りていないのが現状です。被災された皆様の一日も早い復興復旧を祈念いたしまして、質問へと移らせていただきます。
質問通告にあるとおり、1、違反広告物除却協力員制度について、2、区内の花とみどりの保護についてで、その他の項目はございません。
違反広告物除却協力員制度について。
中野区には、違反広告物除却協力員実施制度があり、これは東京都の条例に基づき、区が処理することとされた屋外広告物について、区民と区が一体となって良好な景観の形成及び風致の維持を図り、もって良好な区民生活の向上に資することとしています。
具体的には、電柱や街路灯などの所有者に無断で張り出された各種広告などを一定の登録協力団体に撤去をお願いするものです。業界団体の一員として、私も数年前から地元町会の範囲内ではありますが、除却協力員として活動していたところです。地元の皆様や業界団体並びに区の道路監察担当者の多大なる協力のもと、中野駅南口周辺では一定の効果があり、近年ではほとんど違法広告を見ないようになりました。しかし、他の地域では三角コーンでの違法広告や所有者に許可なく張り出された張り紙などが目立っております。
この制度は、区と区民団体との信頼関係の基礎の上に成り立っていますが、団体登録・実施計画・結果報告・撤去物の処分と、関係者の負担があることも事実であり、登録をちゅうちょしているところもあると聞きます。みずからのまちをみずからの手できれいにしようという近年のボランティア機運があるため、こうした団体は増加傾向にあるとは思いますが、当制度が発足してからの参加団体数の推移をお尋ねします。
また、協力団体の数や活動してもらえるエリアをさらにふやすため、簡易なビラやチラシを作成し、啓発に努めていただきたく、お願い申し上げます。違法・不法の監視の目が多ければ多いほど、人口増加の一途をたどる中野区にとって安心・安全のまちの担保になり得ると考えています。このようなボランティアの協力とともに、区も法的正義を全面に出した積極的な取り組みを進めることを期待しています。
次に、区内の花とみどりの保護についてです。
日本には四季を愛でる文化が数多くあります。自然と文化とが共生している社会がこの日本社会です。都市化した中野には、四季の花と緑を感じる機会が郊外の自治体と比べて少ないのが現状です。そのため、昭和53年に「中野区みどりの保護と育成に関する条例」が制定され、第4条で区長にみどりの保護と育成に関する基本計画の策定を義務付けております。この条文に基づき、昭和57年に基本計画の本論作成、その後、三度にわたり計画の変更を行ってきたところです。そのための裏付けとしての緑の実態調査を過去に複数回にわたって行い、さらに今年度の予算で緑被率調査を含めた緑の実態調査を実施する予定にしているとのことです。そこで、区内の花やみどりの保護について、特に公共的なみどりの保護について伺います。
区には、先ほど触れました「中野区みどりの保護と育成に関する条例」があり、その中で区長のみどりの施策推進に関する責務や、全ての人のみどりの保存や回復の努力義務を規定しています。しかし近年、区の関係する公共的なみどりの保護について疑問のある事例が発生をしています。例えば、産業振興センター敷地における建物の建設に伴うみどりの問題、平和の森公園の再整備の問題、JR東中野駅付近の線路沿いの桜の木の問題などです。これらは、いずれも必要があって今ある樹木を伐採するというものです。しかし、伐採した際の樹木の回復の措置についての説明が不足しているのではないかと感じています。この区条例では、その第9条で「何人も現存する樹木の保存を心がけ、やむを得ず伐採する場合には樹木等の回復に努めなければならない」旨、規定しています。この規定は区にも適用されるものであります。
先ほど挙げた三つの事例においては、反対する方もいらっしゃるようでありますが、それは樹木の回復措置の説明が十分ではなかったからであり、それが十分であれば、より多くの方の納得が得られるはずだったと思うところであります。今後は区が必要あってこうした樹木の伐採などを行う場合には、その回復措置について十分説明をしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
以上で私の全ての質問は終了します。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 内野議員の御質問にお答えいたします。
違反広告物除却協力員制度についてであります。この制度は、平成19年度に発足し、3団体39名で開始したものです。今年度は7団体85名の協力員に委嘱をさせていただき、活動をしていただいているところであります。毎年区報による協力員の募集を行っておりますが、協力団体や活動エリアを拡充するため、より効果的な方法も検討していきたいと、このように思っております。
まちの良好な環境、美観を区民みずからの手で守っていただくという意義のある制度でありますので、充実を図ってまいりたいと、このように思っております。
私からは以上です。
〔環境部長戸辺眞登壇〕
○環境部長(戸辺眞) 私からは、区内の花とみどりの保護について、区内の公共的なみどりの保護を図るべきだというような御質問でございます。
区では、中野区みどりの保護と育成に関する条例に従いまして、みどりの保護と育成に適切に対応しているところでございます。施設の整備や樹木の老朽化など、さまざまな状況により既存の樹木を伐採せざるを得ない場合も当然想定されるところでありまして、そうした場合には移植や、新たに植樹をするなどの対応により、みどりの保護、育成を図っているところでございます。
また、施設の規模や敷地の条件などにより、同一敷地内での移植や新たな植樹が困難となる場合には、区内全域の施設整備の中で新たなみどりを確保するなど、みどりの保護と育成を図っているところでございます。今後とも樹木を伐採せざるを得ない場合には、区のみどりの保護育成に関する考え方を十分説明してまいりたいと考えてございます。
〔内野大三郎議員登壇〕
○8番(内野大三郎) 再質問させていただきます。一つ目の違反広告物除却協力員制度については、もう少し、平成19年に発足してから平成28年までの間に3団体から7団体、39名から85名にふえたという話ですけれども、10年近く経つ割には二桁どまりというふうになっているようです。そこで御提案したいのは、手続き上の問題が少し煩雑であるので、保険の関係もありましょうけれども、事故がないように、またトラブルがないようにしながらも、もう少し入り口のハードルを下げるような工夫がされればいいなというふうに思っておりますので、その点、何かまた一歩踏み込んで制度を丁寧に運用できるかどうかということを再質問させていただきます。
それから、二つ目の問題についても、先ほど私が事例として挙げました三つの問題については、その先の計画、もしくはみどりの保護についての回復の措置についての計画が何かあるのかどうか、その点を含めて再質問させていただきます。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 再質問にお答えをいたします。平成28年度からの新規団体が4団体ふえているところです。町会であったり、ことぶき大学の卒業生の方たちのグループであったりというふうに、活動団体の幅が広がってきているということはいい傾向かなというふうに思っております。そういう形で幅広い方が参加していただく上で、もっとハードルを下げるような区側の取り組み、対応といったようなものがあれば、さらに参加が広がっていくということも考えられるということで、そうしたことについても検討をしていきたいと、このように思っております。
〔環境部長戸辺眞登壇〕
○環境部長(戸辺眞) 再質問にお答えいたします。議員御質問の産業振興センター、平和の森公園、それからJR東中野駅のそれぞれの事例の中で、どのような対応をされたかというような御質問でございます。
まず、産業振興センターの消防団分団の施設につきましては、樹木の一部を移植する、また新植もするという計画で対応しているところでございます。
それから、平和の森公園の再整備におきましては、対処が必要となる既存樹木については、可能な範囲で移植するということを基本方針にしているというものでございます。また、移植できないものにつきましては、可能な範囲で再資源化を図っていくと。未開園部分につきましては、草地や中高木を新設するというものでございます。
また、JR東中野駅近くの桜並木につきましては、大規模公園の新設などに合わせて区内全体でみどりを確保するという方針で臨んでいるところでございます。
○議長(北原ともあき) 以上で内野大三郎議員の質問は終わります。
中野区議会議員 細 野 かよこ
1 生活困窮者の自立支援について
2 直下地震の備えについて
3 その他
○議長(北原ともあき) 次に、細野かよこ議員。
〔細野かよこ議員登壇〕
○17番(細野かよこ) 市民自治を広げる中野・生活者ネットワークの一員として質問いたします。
初めに、生活困窮者の自立支援について伺います。
2015年4月から施行された生活困窮者自立支援制度は、生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を目的とし、社会保障と生活保護の間を対象とした制度としてスタートしました。自立相談支援、住居確保給付金の二つの必須事業、就労準備支援、一時生活支援、家計相談支援、学習支援の四つの任意事業、就労訓練の一つの認定事業からなる制度で、当区では必須事業に加え、四つの任意事業のうち、就労準備支援、学習支援の二つが実施されています。事業がスタートして1年が経過しました。事業に取り組んできて感じていることは何か、併せて、見えてきた課題は何か伺います。
2015年12月の厚生労働省の懇談会資料の中に、家計相談支援事業について興味深い報告があります。家計相談支援事業は、家計に関する相談、家賃、税金、公共料金等の滞納の解消、債務整理の支援、貸し付けのあっせんなどを行う事業で、家計の視点から専門的な指導や助言を行い、相談者の早期の生活再建を目指すものです。資料によると、家計相談支援事業を利用した場合、利用しない場合に比べて、家計改善では約3.3倍、債務整理に関しては約5倍、対人・家族関係の改善でも約1.8倍の支援効果があり、さらに、就労収入の増加割合が2倍以上高く、家計改善だけでなく、生活習慣の改善、住まいの確保・安定、自立意欲の向上といった生活の質の向上などにも寄与するなど、事業効果が高いことが挙げられています。
そこで、当区ではまだ取り組まれていない家計相談支援事業に着目にして3点質問いたします。
2016年4月現在、23区の中で家計相談支援事業を実施している区は16です。東京都では、2018年度をめどに全自治体でのこの事業の実施を要請しており、事業を実施していない区と市に対する支援として、東京都生活再生相談窓口での家計相談を広域実施していますが、昨年度、当区の自立相談支援窓口を経由して都の生活再生相談窓口につながったのはゼロ、つまり、都の支援策である家計相談につなげられていない状況です。
先日、家計相談支援に従事している方に話をお聞きしました。自立相談支援の担当者が家計相談支援事業の位置付けや有益性を理解していないと、家計の問題が放置されたままのことがあり、一旦は就労などで生活再建ができたかのように見えても、収入はあってもローンの返済ができないなど、根本的な問題の解決になっていないため、再び生活困窮に陥ってしまうと指摘されています。家計相談は、同じ人を再び生活困窮者にしないという意味でも大変有効な事業だと考えます。家計相談支援事業を実施していない当区においては、実施態勢が整うまでの間は、東京都の支援策である事業を積極的に使い、連携していくべきだと考えます。区の見解を伺います。
国や東京都では、自立相談支援、家計相談支援の従事者を対象にした研修を実施しています。当区の自立相談支援の担当者、窓口担当者がこうした研修に参加し、家計相談支援事業への認識を深めることが必要だと考えますが、区の考えはいかがか伺います。
家計相談支援事業は、生活再建の効果が実績として挙げられており、家計を見ることで相談者の生活全般を把握し、隠れた問題の発見にもつながる、まさに生活困窮者自立支援制度の肝になる事業だと考えます。生活困窮者の早期発見、早期支援に向け、当区でも家計相談支援事業をできるだけ早い時期に実施すべきだと考えます。事業実施に向けた区の考えを伺いまして、次に直下地震の備えについて伺います。
2013年末に内閣府が、30年以内に70%の確率で直下地震が発生すると発表しました。この20年あまりの間に、阪神・淡路大震災、中越地震、中越沖地震、東日本大震災、そして今回の熊本地震と、震度7クラスの大地震がこれだけ起きています。これらの地震から学んだものを、これから起きる可能性の高い大規模地震への備えとして、自治体と住民それぞれが積極的にかかわっていく必要があると考え、今回は被災者の健康に焦点を当てて伺います。
まず、発災直後から誰にでも起こるトイレ対策についてです。
内閣府は、熊本地震の直後に「避難所におけるトイレの確保、管理のガイドライン」を公表しました。これは、避難生活を支援する行政が取り組むべき事項のうち、トイレの確保と管理に関しての指針を示したもので、災害時におけるトイレ問題が心身に与える影響の重要性、とりわけ女性や高齢者、障害者、子どもなどへの決め細かな配慮の必要性からガイドラインを作成したと聞いています。本テーマにつきましては、昨年の第2回定例会で「緊急事態が起きた場合の男女のトイレ設置比率を1対3にすべき」と示したスフィア・ハンドブックを取り上げ、避難所運営における参考資料の一つとしていきたいとの答弁をいただいています。今回発表されたガイドラインでも「被災状況下でのトイレの個数の目安」の項でスフィア・ハンドブックが参考にされ、例えば避難所となる学校では、女子30人につき1基、男子60人につき1基を基準に設置とあります。
そこで、一つ目の質問です。当区における避難所へは、どれくらいの避難者が来ると想定されているのでしょうか。また、想定人数に対してトイレはどのくらい確保されているのか伺います。
内閣府のガイドラインを受けて、必要なトイレの確保をどのように行っていくのか、2点目として伺います。
ここまでは区のトイレ対策に関して伺ってまいりましたが、どこの自治体でも行政だけでトイレを確保するのはとても厳しい現状があります。そこで、災害時のトイレは区民一人ひとりの日ごろの備えが非常に重要です。自助として区民ができる災害時のトイレ対策として、凝固材と袋がセットになった災害用トイレや簡易トイレの準備をもっと呼びかけていく必要があります。それには区の防災担当だけでなく、防災リーダーの力を活用して積極的に地域で出前講座を実施したりするなど、自助の必要性を伝える必要があると考えます。区の見解を伺います。
次に、エコノミークラス症候群の回避についてお聞きします。
熊本地震では、頻発する余震への恐怖などから建物の中で眠れず、車で寝泊まりする光景が多く見られました。過去の震災でも問題となっていましたエコノミークラス症候群は、こうした車中泊で足を伸ばして寝られなかったり、トイレが汚い、少ないなどの理由で水分を控えたりして起こる体の症状で、命の危険を伴います。地震で助かった命を避難生活で落とすことがあってはならないと考えます。区は、エコノミークラス症候群に対してどのような対策をお持ちか、伺います。
最後に、液体ミルクの導入についてです。
災害時に必要度の順位が高いものとして、乳児用の粉ミルクが挙げられますが、災害時には水がない、容器の消毒ができないなどの状況が発生するため、乳児の親たちから液体ミルクの導入を求める声があがっています。液体ミルクは常温で保存がきき、そのままで飲ませられますが、現在国は乳児用の食品を「粉乳」と限定しており、国内では液体ミルクは認められていません。したがって、国内での製造・販売もされていないため、個人輸入などで手に入れるしかない状況です。先ごろの熊本地震でも、国会議員のグループが緊急輸入し、注目を集めていました。区は、液体ミルクについてどのような認識を持っておられるかをお聞きしまして、私の全ての質問を終わります。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 細野議員の御質問にお答えいたします。
生活困窮者の自立支援について。自立支援制度の事業実施後の所管及び今後の課題について。
区は、平成27年4月1日に生活困窮者自立支援法が施行されたことに基づき、生活困窮者に対する相談支援や就労に関する支援などを実施してまいりました。生活困窮者自立支援法は、生活保護に至る前の段階の自立支援策を強化することによって生活困窮者の自立の促進を図ることを目的としているところです。これまでの区の取り組みについては、一定の成果は上げているものと認識しております。今後の事業の推進に当たっては、生活困窮者の状況を的確に把握するとともに、より効果的な支援に結びつけることが課題であると捉えているところです。
都が実施している広域の家計相談支援事業の利用についてであります。
これまで区は、自立相談支援事業において生活困窮者の抱えている課題を評価・分析するとともに、課題解決のために必要な支援を実施しており、家計に関する相談支援についても必要に応じて実施してまいりました。今後も生活困窮者の自立を促進するために、都の家計相談支援事業についても情報提供に努めてまいります。
生活困窮者自立支援制度に関する研修について。生活困窮者自立支援制度は平成27年度からの取り組みであり、制度を円滑に実施するために区職員や委託事業者の担当者は国や都が主催する研修等に参加してまいりました。今後も自立支援制度全般について研修等に積極的に参加することにより、区職員や委託事業者の担当者の知識習得や能力向上に努めてまいります。
家計相談支援事業の実施についてであります。家計改善の必要がある生活困窮者に対しては、現在実施している自立相談支援事業において適宜アドバイスを行うとともに、必要に応じて都が実施している家計相談支援事業の利用につなげることで適切な支援ができると考えているところです。
私からは以上です。
〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕
○都市基盤部長(尾﨑孝) 直下地震の備えについての御質問にお答えいたします。避難所の災害用トイレ配備の状況でございます。
災害用のトイレには、マンホール式、ため込み式、簡易型など、種類によって処理能力に違いがございます。区の備蓄物資としてマンホールトイレ199基、ため込み式250台、簡易トイレ250台及び便袋を24万9,000袋配備しております。また、都の寄託物資に簡易トイレが1,000台ございます。処理能力に違いがあり、単純には言えませんが、発災当初にはおおよそ30人に1台の割合で使用可能と言える状況でございます。
次に、災害用トイレの増強についてでございます。トイレの備蓄につきましては、発災当初に必要な数量は確保していると言える状況でございます。仮に避難所でトイレが不足する場合には、仮設トイレを緊急調達するなどにより対応したいと考えているところでございます。
次に、災害用備蓄トイレの広報でございます。区が簡易トイレをあっせんしているほか、区のホームページ、各防災訓練、毎月実施する防災体験デーにおいて簡易トイレの展示を行うなどの広報をしております。今後も広報に努め、区民の理解を図ってまいります。
次に、エコノミークラス症候群対策についてでございます。
避難生活の長期化により発生するエコノミークラス症候群等の傷病については、避難所を巡回する区災害対策本部保健予防班の保健師が保健衛生指導、健康相談・援助、同じく医師会などの四師会が医療救護活動を行うことになっております。
最後に、乳児用液体ミルクの導入についてでございます。液体ミルクは国内では製造・流通していないことから、現在導入は困難でございます。粉ミルクから液体ミルクへの切り替えにつきましては、国内で液体ミルクが取り扱われるようになった時点で検討してみたいと考えているところでございます。
○議長(北原ともあき) 以上で細野かよこ議員の質問は終わります。
以上をもって質問は終了いたしました。
これより日程に入ります。
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第61号議案 平成28年度中野区一般会計補正予算
第62号議案 中野区ユニバーサルデザイン推進審議会条例
第63号議案 中野区名誉区民条例
第64号議案 中野区情報公開・個人情報保護審査会条例
第65号議案 中野区行政財産使用料条例の一部を改正する条例
第66号議案 第二中学校体育館等特定天井落下対策等工事請負契約に係る契約金額の変更について
第67号議案 清掃車の買入れについて
第76号議案 もみじ山文化センターホール天井耐震補強等工事請負契約
○議長(北原ともあき) 日程第1、第61号議案から第67号議案まで及び第76号議案の計8件を一括上程いたします。
理事者の説明を求めます。
〔副区長川崎亨登壇〕
〇副区長(川崎亨) ただいま上程されました第61号議案から第67号議案まで及び第76号議案の8議案につきまして、一括して提案理由の説明をいたします。
第61号議案、平成28年度中野一般会計補正予算は、歳入歳出にそれぞれ7億2,448万4,000円を追加計上するものです。これにより、既定予算との合計額は1,291億3,313万7,000円となります。
初めに、この補正の歳出予算の内容を説明いたします。
まず、子育て支援費ですが、児童扶養手当法の改正により、その内容に則した手当額を支給するに当たり、児童扶養手当システムを改修する経費1,928万4,000円を計上するものです。
次に、保育園・幼稚園費ですが、待機児童解消に向けて賃貸物件型認可保育所及び小規模保育事業の施設の誘致を行うため、整備費の補助に係る経費並びに建物賃借料の補助に係る経費7億520万円を追加計上するものです。この補正の歳入予算といたしましては、国庫支出金2億1,066万5,000円、都支出金1億3,336万8,000円及び繰入金3億8,045万1,000円を追加計上するものです。
第62号議案、中野区ユニバーサルデザイン推進審議会条例は、ユニバーサルデザインによるまちづくりを推進するため、区長の附属機関として中野区ユニバーサルデザイン推進審議会を設置するに当たり、その所掌事項、組織、委員の構成等について定めるものです。
この条例の施行時期は、公布の日です。
第63号議案、中野区名誉区民条例は、名誉区民の称号を贈る条件、選定方法等を定めるとともに、その選定を適正に行うため、区長の附属機関として中野区名誉区民選定委員会を設置するに当たり、その設置、所掌事項等を定めるものです。
この条例の施行時期は公布の日です。
第64号議案、中野区情報公開・個人情報保護審査会条例は、現在の中野区情報公開審査会及び中野区個人情報保護審査会を統合し、新たに区長の附属機関として中野区情報公開・個人情報保護審査会を設置するに当たり、その設置、所掌事項等を定めるものです。
なお、この条例の制定に伴い、関係条例について所要の規定整備を行うため、この条例の附則で中野区議会等の求めにより出頭した者等の費用弁償に関する条例、中野区区政情報の公開に関する条例及び中野区個人情報の保護に関する条例を改正します。
この条例の施行時期は、平成28年9月1日です。
第65号議案、中野区行政財産使用料条例の一部を改正する条例は、南部すこやか福祉センターの施設の目的外使用に係る使用料を定めるものです。
この条例の施行時期は、平成28年9月1日です。
第66号議案、第二中学校体育館等特定天井落下対策等工事請負契約に係る契約金額の変更については、平成28年第1回定例会において議決をいただき、締結しました第二中学校体育館等特定天井落下対策等工事に係る請負契約について、公共工事設計労務単価の引き上げに伴い、工事金額を増額する必要が生じたため、契約金額を1億9,926万円から1億9,987万9,920円に変更するに当たり、議会の議決をお願いするものです。
第67号議案、清掃車の買い入れについては、財産の取得に当たり、議会の議決をお願いするものです。取得する財産は、一般廃棄物の収集・運搬に使用する清掃車3台で、取得に要する金額は2,627万3,664円です。
第76号議案、もみじ山文化センターホール天井耐震補強等工事請負契約は、もみじ山文化センターホール天井耐震補強等工事に係る請負契約を締結するに当たり、議会の議決をお願いするものです。
契約の方法は一般競争入札、契約の金額は14億7,424万5,200円、契約の相手方はフジタ・協永・武蔵野建設共同企業体です。
なお、この工事の完了予定は、平成29年3月です。
以上8議案につきまして、よろしく御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○議長(北原ともあき) 本件について御質疑ありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(北原ともあき) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。
上程中の議案は、会議規則に従い、総務委員会に付託いたします。
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第68号議案 中野区区民活動センター条例の一部を改正する条例
○議長(北原ともあき) 日程第2、第68号議案、中野区区民活動センター条例の一部を改正する条例を上程いたします。
理事者の説明を求めます。
〔副区長川崎亨登壇〕
〇副区長(川崎亨) ただいま上程されました第68号議案につきまして、提案理由の説明をいたします。
第68号議案、中野区区民活動センター条例の一部を改正する条例は、南中野区民活動センターの位置を変更するとともに、同センターに置く施設及びその使用料を定めるものです。
この条例の施行時期は、平成28年9月12日で、一部は公布の日です。
以上、本議案につきまして、よろしく御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○議長(北原ともあき) 本件について御質疑ありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(北原ともあき) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。
上程中の議案は、会議規則に従い、厚生委員会に付託いたします。
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第69号議案 中野区民住宅条例の一部を改正する条例
第70号議案 中野区大和町中央通り沿道地区における建築物の制限に関する条例
第71号議案 中野区自転車駐車場条例の一部を改正する条例
第72号議案 特別区道路線の認定について
○議長(北原ともあき) 日程第3、第69号議案から第72号議案までの計4件を一括上程いたします。
理事者の説明を求めます。
〔副区長川崎亨登壇〕
〇副区長(川崎亨) ただいま上程されました第69号議案から第72号議案までの4議案につきまして、一括して提案理由の説明をいたします。
第69号議案、中野区民住宅条例の一部を改正する条例は、ロイヤルドミニオン及びトラスティ野方の借り上げ期間の満了に伴い、これらを廃止するものです。
この条例の施行時期は、ロイヤルドミニオンに係る改正規定については平成28年10月10日、トラスティ野方に係る改正規定については同年11月1日です。
第70号議案、中野区大和町中央通り沿道地区における建築物の制限に関する条例は、建築基準法第68条の2第1項の規定に基づき、大和町中央通り沿道地区における建築物の制限を定めるものです。
その主な内容は、用途の制限、敷地面積の最低限度等のほか、この条例に違反した者に対する罰則を定めるものです。
この条例の施行時期は、公布の日です。
第71号議案、中野区自転車駐車場条例の一部を改正する条例は、中野二丁目土地区画整理事業により、中野南自転車駐車場を移設するため、その位置を変更するものです。
この条例の施行時期は、平成28年10月1日です。
第72号議案、特別区道路線の認定については、特別区道の路線を認定するに当たり、議会の議決をお願いするものです。
この路線は、区有通路、河川管理用通路等を特別区道路線として認定するもので、区間は中野区大和町四丁目492番1から498番4まで、延長は263.24メートルです。
以上4議案につきまして、よろしく御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○議長(北原ともあき) 本件について御質疑ありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(北原ともあき) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。
上程中の議案は、会議規則に従い、建設委員会に付託いたします。
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第73号議案 中野区立幼稚園条例の一部を改正する条例
第74号議案 中野区保育所保育料等の徴収等に関する条例の一部を改正する条例
第75号議案 中野区立学校設置条例の一部を改正する条例
○議長(北原ともあき) 日程第4、第73号議案から第75号議案の計3件を一括上程いたします。
理事者の説明を求めます。
〔副区長川崎亨登壇〕
○副区長(川崎亨) ただいま上程されました第73号議案から第75号議案の3議案につきまして、一括して提案理由の説明をいたします。
第73号議案、中野区立幼稚園条例の一部を改正する条例は、低所得の多子世帯について保育料の軽減を図るため、規定を整備するものです。
この条例の施行時期は公布の日で、平成28年4月以降の月分の保育料について適用します。
第74号議案、中野区保育所保育料等の徴収等に関する条例の一部を改正する条例は、低所得の多子世帯等について保育料の負担軽減を図るため、規定を整備するものです。
この条例の施行時期は公布の日で、平成28年4月以後の月分の保育料について適用します。
第75号議案、中野区立学校設置条例の一部を改正する条例は、中野区立小中学校再編計画(第2次)に基づく学校再編に伴い、中野神明小学校、多田小学校及び新山小学校を統合し、新たに南台小学校及びみなみの小学校を設置するとともに、大和小学校及び若宮小学校を統合し、新たに美鳩小学校を設置するものです。
この条例の施行時期は、平成29年4月1日です。
以上3議案につきまして、よろしく御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○議長(北原ともあき) 本件について御質疑ありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(北原ともあき) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。
上程中の議案は、会議規則に従い、子ども文教委員会に付託いたします。
次に、請願の常任委員会への付託について申し上げます。
お手元に配付の請願付託件名表(Ⅰ)に記載の請願につきましては、記載のとおり所管の常任委員会に審査を付託いたします。
平成28年第2回定例会
平成28年6月8日付託
請願付託件名表(Ⅰ)
《総務委員会付託》
第1号請願 平和の森公園再整備基本計画について
○議長(北原ともあき) 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時15分散会