平成13年06月05日中野区議会本会議(第2回定例会)

1.平成13年(2001年)6月5日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(44名)
  1番  吉  原     宏        2番  伊  藤  正  信
  3番  きたごう  秀  文        4番  高  倉  良  生
  5番  やながわ  妙  子        6番  鈴  木  光  子
  7番  佐  伯  利  昭        8番  平  島  好  人
  9番  む と う  有  子       10番  長  沢  和  彦
 11番  牛  崎  の り 子       12番  山  崎  芳  夫
 13番  高  橋  ち あ き       14番  市  川  み の る
 15番  岡  本  い さ お       16番  こしみず  敏  明
 17番  飯  島  きんいち       18番  小  串  まさのり
 19番  はっとり  幸  子       20番  佐  藤  ひ ろ こ
 21番  来  住  和  行       22番  樋  口  き こ う
 23番  若  林  ふくぞう       24番  古  木  謙 市 郎
 25番  し  の  国  昭       26番  斉  藤  金  造
 27番  斉  藤  高  輝       28番  大  泉  正  勝
 29番  柿  沼  秀  光       30番  木  村  勝  昭
 31番  細  野  た い じ       32番  岩  永  し ほ 子
 33番  昆     ま さ 子       34番  小  池  ひ ろ し
 35番  岩  田  み つ る       36番  伊  藤  岩  男
 37番  西  村  孝  雄       38番  江  口  済 三 郎
 39番  藤  本  やすたみ       40番  川  上     進
 41番  近  藤  正  二       42番  江  田     徹
 43番  池  田  一  雄       44番  小  沢  哲  雄
1.欠席議員(0名)
1.出席説明員
 中 野 区 長 神 山 好 市        助     役  池 田   學
 収  入  役 藤 原 惠 一        教  育  長  子 安 圭 三
 政策経営部長 渡 辺 征 夫         行財政改革担当部長 石 神 正 義
 企 画 課 長 金 野   晃        総 務 部 長  沼 口 昌 弘
 総 務 課 長 西 條 十喜和        区 民 部 長  内 田 司 郎
 地域センター部長 柳 澤 一 平       環 境 部 長  正 木 洋 介
 保健福祉部長 浦 野 純 子         福祉担当部長  本 橋 一 夫
 都市整備部長 宮 村 光 雄         土木担当部長  石 井 正 行
 教育委員会事務局次長 須 﨑 英 夫
本会の書記は下記のとおりである。
 事 務 局 長 山 岸 隆 一        事務局次長  佐 藤 栄 時
 議事調査担当係長 栗 原   望       区議会事務局主査 藤 塚 喜 正
 区議会事務局主査 大 石 紀 久       区議会事務局主査 巣 山 和 孝
 区議会事務局主査 永 田 純 一       区議会事務局主査 長 崎 武 史
 書     記 渡 辺 伸 郎        書     記  松 原 弘 宜
 書     記 西 田   健        書     記  三 浦 正 貴
 書     記 飯 田 浩 一        書     記  佐 藤 雅 俊

 議事日程(平成13年(2001年)6月5日午後1時開議)
日程第1 第61号議案 出資を目的とする財産の交換について

      午後1時04分開議
議長(斉藤金造) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
 昨日の会議に引き続き一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 佐 藤 ひろこ
 1 区財政と都区財政調整について
 2 江古田の森整備について
 3 障害のある子ども達への地域生活支援について
 4 その他

議長(斉藤金造) 最初に、佐藤ひろこ議員。
     〔佐藤ひろこ議員登壇〕
20番(佐藤ひろこ) 2001年第2回定例会に当たり一般質問をいたします。
 きょうこちらに来るときにも、小泉さんおもしろいよとか、田中真紀子さんすごいよねとか、皆さん国会のテレビに見入ってしまっていて、政治が今おもしろいという話題で持ちきりでした。それに比べて区議会は、有名人もいないし、地味なところでのやりとりですけれども、一番地域に身近な政策を議論するところとして私たちは議会を大切に取り組んでまいりたいと思います。ただ、本会議は、私も質問原稿を用意しますし、理事者の方も取材の中で答弁を用意されていく経過の中で、普通の委員会の質疑応答とは違いまして、かなり、わりと形どおりのやりとりになるところもあると思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 最初に、区財政と都区財政調整についてお伺いいたします。
 非常にわかりにくい都区財政調整制度です。国で言うところでいきますと、地方交付税がかなり似た制度になるのかなというふうに思います。今、地方交付税の減額を小泉さんが打ち出しまして、それが問題になっております。地方交付税は、いわゆる地方にむだな公共事業を誘導する財源になっていたり、東京都及び私たち23区には地方交付税は交付されていなかったりするので、東京に住む者からしては、地方交付税の見直しは、何か拍手で迎えたいような気がするものです。しかし、地方交付税は、全国どこに住んでいても、一定の水準の住民サービスを保障するためのものであり、自治体間の格差を埋めるためのものでした。一方、国は地方交付税を使って地方自治体の事業を誘導していきます。これがいわゆる公共事業と言われる部分です。片方で、そのおかげで地方債の発行で赤字が膨らんできました。そして、急に今回一転して地方の自立を図るということで、一番重要な国税の移譲を地方自治体にしないままに、地方交付税の減額だけを行う提案がされています。それで本当に地方分権、地方自治に向けた改革を行うことになるのでしょうか。きのうの夕刊によりますと、政府の地方分権推進委員会の最終報告案でも、地方交付税の減額よりも、国税の所得税の一部を地方税の住民税に振り向ける、根本の税源移譲を行うべきであるということが強調されております。構造としては、都区財政調整制度で言われている問題点と似ていると思います。都区財政調整制度も本来的には都から区への税源移譲を行うべきだと思います。23区は地方交付税の不交付団体ですが、地方交付税の減額がもし行われるとすると、その影響はないのでしょうか。あるいは、不交付団体の特別区は減額があると、逆に何かが増えてメリットがあるのでしょうか。
 また一方、道路特定財源の見直しも行うということが言われております。特別区にはどう影響があるのかお伺いいたします。国からの地方道路税などの国税が含まれている地方道路譲与税、自動車重量譲与税などは、区においても道路整備事業に使う財源としてカウントされています。しかし、実際は区の一般財源に組み込まれているので、既に何に使ってもいい状態になっているので、影響はなさそうにも思えますが、どうなのでしょうか。道路特定財源がもし一般財源化するとするならば、地方道路譲与税はなくなるのでしょうか。一般財源化されると、その財源は特別区にはどのような形で回ってくることが予想されるのでしょうか、お伺いいたします。
 昨年度から、都区財政調整制度は地方自治法に明確に位置付けられた地方交付税制度に準じる財源保障制度になりました。中野区はお隣の杉並区、渋谷区、新宿区に比べ基準財政収入額が低く、都区財政調整交付金への依存度が約4割近くと高い区です。基準財政収入額に組み込まれない特別区民税の15%分も大変少なく、基準以上に独自に使える財源が近隣区に比べて大変少ない区だということが言えます。だから中野区にとっては都区財政調整交付金は大切な財源であり、この財源をどれだけたくさん増やすことができるのか、どう有効に使いこなすのかが財政運営上重要なポイントではないでしょうか。
 先日の臨時議会で出された、清掃車の買入れの議案について、総務委員会の中でも、財政調整交付金の中野区における運用の仕方が問題にされていました。清掃車購入のための財源は財調でカウントされているのに、中野区はそれを使って購入するのではなく、起債を起こして清掃車の財源に充てるというものです。現在の一般財源の足りない分を補うために財調で計算されているお金を使い、購入費そのものは借金をして先送りしてしまい、後年度の区民税分からの支払いにするというものです。利子分を余分に支出しても、そうせざるを得ないほど区財政がやりくりで大変だということでしょうが、そんなふうに財調財源を使っていることも、現在の区財政を自転車操業状態に陥らせてしまっている一因ではないでしょうか。
 財政調整交付金は一般財源で色がついていないお金だから、何に使ってもいいと言われています。しかし、財政調整交付金は基準財政需要額を細かい計算の積み上げの結果出された数字で、色がついていないどころか、1円の単位に至るまでその目的についてきちんと計算された上での数値です。
 人口35万人の標準区を設定し、標準的な事業量と単価を掛け合わせて標準的な需要額を出し、そこから国や都の補助金や使用料や手数料を引いたものを人口で割って単位費用を出し、それに中野区なら中野区の人口、あるいは施設数など、そして必要に応じて補正係数を掛けて事業費を出し、事業費をトータルして中野区の基準財政需要額を出し、そして特別区民税などに85%掛けた額を基準財政収入額として基準財政需要額から基準財政収入額を引いたものが、財政調整交付金の額になるわけです。随分複雑な制度で私も理解が十分ではありませんが、単純に考えると、財政調整交付金を増やすためには、基準財政需要額をできるだけ多く積み上げる必要があるのではないかと思いました。
 普通交付金を算定するもとになる基準財政需要額は、特別区が合理的に妥当な水準で行政を執行する場合のあるべき財政需要額として算定される額で、事務事業のうち標準的、普遍的な経費が算定されているそうです。そのとおりに交付金を使っていれば、お金が足りなくなることもなく、財政難にもならないわけですが、自治体としての独自性は失われます。中野区は過去、教育、福祉の中野として、先進的な施策を展開し、独自性を出して頑張ってきました。財調財源のパイも大きく、右肩上がりの財調が予想されたときにはそれでよかったかも知れませんが、区民税をはじめとした財源が縮小状態になると、基準にとらわれず運営してきたことが、財政難から脱することができない足かせになってしまっているのではないでしょうか。すべて基準どおりに行う必要はありませんが、財調財源の基準を重要な目安として、どこで基準以上の独自施策を展開するのか、どこは基準以下のお金の使い方に抑えるのか、基準財政需要額をしっかり見極め、積み上げるためにも考える必要があると思います。何度もこの議会でも問題にされている学校の耐震補強工事の費用についても、カウントされているものはしっかり使わなければならないと思います。また、この質問の後で述べる、東京都の福祉改革推進事業ですが、区の一般財源分は基準財政需要額の経費として算定されているので、一般財源分は出しにくいとか言わずに、しっかり手を挙げて使うべきだと思います。また、知的障害児通園施設の管理運営経費は通所定数に応じて加算されているようですから、定数を増やすことが交付金を増やすことにもなるのではないでしょうか。これも後で述べる、江古田の森の都市計画公園整備事業は、財政調整交付金を活用し、基準財政需要額を伸ばす方法ではないでしょうか。
 都区財政調整交付金の活用方法について、区長はどのように考えているのか御見解をお伺いいたします。
 2番目に、江古田の森の整備についてお伺いいたします。
 区民の方たちが毎月1回、森の学級と名付けて、江古田の森の自然観察会を開いています。江古田在住の学校の先生たちが案内役になり、親子で体験を呼びかけ、子どもたちや地元の学校の先生も参加しています。5月に参加しましたが、中野区にこんなすてきな森が残っていたことを改めて知り、感動いたしました。ユリの木の並木、古い時代の化石にも出てくる大きな木です。白っぽい花がたくさん落ちていましたが、カラスが蜜をついばみ、花を落とすそうです。甘い香りの白い花をいっぱいつけたニセアカシア。また、ここはいろいろな木を育ててきたところで、桜の木を送ったお返しにワシントン市から送られたハナミズキの木を初めて植えたところでした。日本におけるハナミズキの木の発祥地だったそうです。今、その当時の木は残っていませんが、区民の方たちがそれを記念して植樹した若木が2本育っています。カブト虫の幼虫がいそうなコナラの雑木林、思いっきり枝を伸ばしたイチョウの大木の葉は、まちの中の街路樹にある切れ目があるイチョウの葉と違い、珍しい切れ目のない葉でした。また、江古田の地名の由来であるエゴの木もありました。森の中に水たまりができていて、そこにオタマジャクシの卵がひも状にたくさんあって、子どもたちの目が輝いていました。最後に、アオダイショウをつかまえるというおまけもありました。
 中野区で珍しく貴重な自然が残されている江古田の森を大切に保存し、子どもたちと自然とのふれあいの場として散策路をつくり、区民に開放してほしいと思いますが、国と協議していい方法を考えていくおつもりはないでしょうか。自然の保護や散策路づくりには、区民の知恵と力をかりて森を整備してはいかがでしょうか。
 江古田の森整備は、保健福祉施設ゾーンの老人保健福祉施設を先行整備する方針で、この間、公設公営か民設民営かをめぐって議論がされ、民設民営でいくとしたものの、用地の取得方法、財源をめぐって適切な方法が提示されないままになっています。土地開発公社で先行取得したときの国との契約では、来年度の末までに区が買い取れない場合は、違約金を払うことになっています。その買い取り期限をどうするのか、整備主体を民間に変更するためにはどうすればいいのか、厚生労働省と協議中だそうですが、片方で、国からは都市計画公園部分の用地を早く中野区で買ってほしいと催促されています。
 単純に考えれば、区民にとっては、なぜ国から財政難の区が公園用地を買わなければならないのか、国が国民でもある区民のために公園用地を無償で提供すべきではないか、という疑問の声も上がっています。区の方は、国に用地を無償で提供できるのだから、国が区に無償で用地を貸すこともできるはずです。都市計画公園用地を無償で借りる交渉はできないのでしょうか。それができないのなら、催促されても購入せずにそのままにしておくことはできるのでしょうか。その方が自然が守られていいという区民の声もあります。
 区民税をあまり使わず、都市計画交付金と財政調整交付金を財源に使って、都市計画公園として取得する方法があるそうです。どのような方法でしょうか。本当に区は区民税であまり負担しなくて済むのでしょうか。負担しなくて済むのなら、なぜその方法がすぐとれないのでしょうか。都市計画公園用地についての検討状況を教えてください。
 次に、障害のある子どもたちの地域生活支援についてお伺いいたします。
 子どもが小さく、親も子も不安なときに、最初に戸をたたくのがアポロ園です。療育センターアポロ園の事業概要のとびらに、大きく理念としてこう書かれています。「人はすべて人間として生き、その成長の道を歩みます。障害児は生まれながら、あるいは偶然にも「障害のある」という現実を抱えて生きていかねばなりません。障害児は障害児である前にひとりの子どもです。どんな障害があろうと生きてきた重みに変わりはありません。一人ひとりがさまざまな可能性や感性を持った子どもです。子どもであるということから出発すれば、ごく普通の生活(家庭での育児、幼稚園や保育園、学校での生活)が保障されなければなりません。私たちは、障害のある子が自分の持っている力を十分に発揮し、地域のなかでともに生活できるよう援助します。」と書かれております。職員の方々が積み重ねてきた努力や、何を大切にしてきたかの思いが表れています。これからは、ますますその役割が重要であり、必要とされていると私は思います。
 アポロ園の中に心理の専門職を置いて処遇を決定していくことが必要である、という議会質問もあり、専門職の位置付けについて検討がなされたそうです。それも必要かも知れません。しかし、専門性や処遇の決定に固執するあまり、これまでアポロ園が大切にしてきた親の心のケア、地域の中での生活支援の視点を見失ってはならないと思います。理事者の答弁の中にもあった「療育相談を希望する場合は、多くはどのように育てていけばいいのかといった相談が多く、必要以上の発達の評価的な応答や診断的な発言をあえて避け、具体的な援助方法について相談に当たることを第一に考えている」という姿勢を表明されました。大切なことだと思います。大抵の場合、医療機関などで子どもの「障害」について告げられ、親は途方にくれたり、不安にかられたり、絶望のふちに立たされたりします。何とか治療できないだろうか、もっと発達させてやりたいと、より専門的なアドバイスや判断を求めがちです。しかし、そういう親子を不安や絶望から救い上げてきたのは、多くの場合、専門性による判断や方向付けではなく、親子の不安や悩みに寄り添い、ともに考えようとする職員の熱意だったと思います。
 アポロ園の福祉職をはじめとする職員の方々は、地域での生活を支援していくことの大切さを実践の中で痛感し、それぞれの専門性にとらわれず、生活支援、心のケアを第一にし、親子とともに悪戦苦闘していらっしゃったことと思います。自殺まで考えながら悩み抜いている親、一人で子どもを抱え孤立し、閉じこもってしまっている親子、その親子が救われたのは、アポロ園で出会った同じ悩みを持つ親の輪であり、親のグループづくりを支援したり、親子の生活支援を行ってきた職員の方々との出会いでした。人という漢字は、人と人が支え合う様子をあらわしますが、人は人の輪によって支えられて生きるのだということを幾度も痛感する場面に私は出会いました。卒園後も在園中の出会いを生かして、お互いの地域生活を支え合う自主グループが幾つも立ち上がっています。そういう人の輪づくりを側面から支え、地域で生きる場を切り開く力を親子が持てるように支援する、そのことにアポロ園の大きな役割と意義があり、中野の療育センターアポロ園の良さだと私は思います。
 英語でアポロ園は「アポロエン・ハンディキャップ・チルドレン・カウンセリング・アシスタンス・センター」と紹介されています。アポロ園が大切にしなければならない機能と理念を表した英訳だと思います。今後ともアポロ園がつくり出してきた理念を忘れず、親子が地域で生きる力をつける支援を第一に、熱意を持って取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 生きる力がわいたり、子どもを育むのは人と人との支え合いの関係です。地域での生活を支え合うためにさまざまな取り組みが親や関係者、本人たちから始まっています。アポロ園の同窓会から出発したのが「いるかの会」です。子どもの年齢や障害の枠を超えた親同士のネットワークを地域につくっていこうと、情報交換や交流の場づくりをしています。その「いるかの会」から、今度は学童クラブをつくろうと「いるかクラブ」が生まれました。区の学童クラブへ障害のある子どもが通えるのは6年生までです。中学へ行ってからの学童クラブをつくろうと、この7月からとりあえず地域センターを借りて始めるということです。杉並区では、同じ目的のグループが区の施設を常時借りて活動しています。中野区にも空き施設があれば、そういったグループの方たちにどんどん貸していく施策がとれないものでしょうか。
 また、生活実習所に通う子どもたちと親が中心になって、カラオケや散策や調理実習などの余暇活動を行っている「スマイルスマイル」というグループがあります。今度は、そこから地域で住み続けられるようにとグループホームを目指して「ひまわりの舎」が発足し、会員同士で資金を出し合ってマンションの一室を借りて準備を始めています。会員宅を借りての宿泊体験から始まった「オレンジミント」というグループは、東京都地域福祉振興財団の補助金を受け、ビルの一室を借り、外出や料理教室、レスパイトケアに入浴サービスと活動を広げてきています。しかし、地域福祉振興財団もことしは新規受け付けは休止し、新規のグループが活動資金を得るのが難しくなっています。ほかにもたくさんのグループの芽生え、また、活動実績があります。10人ぐらいから100人ぐらいまでのグループまで、活動はさまざまですが、どれも地域の中で生きる場をつくりたいという意欲にあふれています。それらのグループへの情報提供や活動の場の支援や、また、逆にたくさんのグループから情報を得て、必要な人にその情報を提供したり、情報交換の場をつくったり、活動の相談に乗ったり、コーディネートする役割を果たしていただきたいと思います。いかがでしょうか。障害者福祉会館がその役割を担っていくのでしょうか。
 また、そういうグループの発展とともに、学校の空き教室など、どこか区の空き施設をぜひ貸してほしいという声があちこちからあがっております。そこで、空いている施設は廃止されたり、縮小されたりということでたくさんあるはずなので、どこか空いている施設の情報がわかりやすく集約されているところはないかと探しました。しかし、それはありませんでした。契約管財課ではないかと言われて訪ねてみたところ、契約管財課の所管になったものはわかりますが、他の部課で所管しているものはわからないので、それぞれに聞いてほしいと言われました。何か一目瞭然にわかるものはないかと、中野区公有財産表を契約管財課からお借りして見てみましたが、以前は議会の各控室にも配られていた資料です。昨年の3月のものしかなかったのですが、一目瞭然にはなかなかわかりません。普通財産のところを見ても、使っていない施設がすべて書いてあるわけではありません。例えば、旧上高田地域センターが見受けられなかったりしました。中野区公有財産規則によると、公有財産の指導統括は総務部長が行うとされています。また、行政財産の用途を廃止しようとする場合生じた普通財産は、原則的には速やかに総務部長に引き継がなければならないと書いてあります。総務部ですべてを把握しておかなければならないのではないでしょうか。わかりやすく集約しておいてほしいと考えますが、いかかでしょうか。そして、売却だけではなくて、その使い方については、区民と一緒に検討する機関をぜひ持ってほしいと思います。
 昨年の決算特別委員会で、東京都のがんばろう東京福祉という包括補助事業をこれからの福祉施策の新たな展開を目指して積極的に活用すべきであると質問をいたしました。さまざまなグループが立ち上がっていくためには、場所と同時に、次は資金が必要です。東京都は社会福祉法の改正の中で、自治体として欠かせない基盤整備の一つとして、基本事業に自立生活支援センターを入れております。人口10万人に1か所ということですから、中野区にはあと二つつくれる計算になります。それに先ほど紹介しましたように、既に民間グループで始めようとしている重度の知的障害者のグループホームも、この東京都の包括補助事業の対象にぴったり当てはまります。区民やNPOや民間法人の多様な動きがある今、都の包括補助事業を活用して、多様な福祉事業の基盤整備を図るために積極的な取り組みを期待したい。これは昨年質問したところです。それに対して理事者からは「これらの事例は推進すべき施策と考えております。13年度に向けて先駆的な事業として、中野区が新たな施策に取り組めるよう都と協議していく」と答弁をいただきました。使える財源はどんどん申請して、新たな事業をどんどん展開すべきです。今年度東京都からも福祉改革推進事業の考え方が示され、もうすぐ都に申請する時期だと聞きますが、今年度はどのように申請を考えていらっしゃるのでしょうか。
 障害を持つ子どもたちが増えてきたのでしょうか。地域に子どもたちを出していこうと考える親たちが増えてきたのでしょうか。アポロ園では待機者が多くなり、生活実習所や福祉作業所などの通所施設も定員を超える状況になってきているということです。区は通所施設の必要性は認めていても、財政難の言葉の前に足踏み状態を続けておりますが、近くに通える場所をもっとふやしていくことが必要です。財源を確保する手だてについて、現在どのように検討されているのかお伺いいたします。
 2年後から障害者の福祉サービスも措置から契約へと利用者がサービスを選択するやり方に変わります。しかし、利用者が必要なサービスを選択できると言われた介護保険サービスは、サービスの基盤整備の遅れで、選択できるほどのサービスが整わず、1年たった今、さまざまな問題点が出てきています。障害者のサービスがこのような事態とならないために、障害者のホームヘルプや緊急一時保護など、地域で生活するために必要なサービスを提供する拠点をたくさん確保しておく必要があると思います。しかし、一方で知的障害者のためのホームヘルプサービスは、大変利用者が少ない現状にあると聞いております。ニーズが少ないわけではないと思います。子どもが大きくなればなるほど親たちは疲れ果ててきます。しかし、一方でこの子は自分でないとだめだと手をかけてしまうものです。親だけで、あるいは家族だけで子どもに対応しなくても済むように、子どもたちがいろいろな人たちと触れ合って社会の中で生活ができるようになるために、地域のサービスをどんどん使っていこうと私たちの意識を変えることも必要かも知れません。
 中野区にある社会福祉法人が運営する唯一の知的障害を持つ人たちが暮らしている入所施設、愛成学園では、昨年12月から24時間いつでも対応できます、という「サポートセンターくりっく」という地域生活支援サービスを始めました。このようなサービスを提供しているところを区もどんどん活用してサービス基盤を確保し、障害を持つ子どもたちも大人になってもずっとこの地域で生活していく基盤をつくっていく必要があると思いますが、どのように検討されているのでしょうか。
 先日、6月2日、3日と社会福祉協議会主催のスマイルまつりが行われ、参加してまいりました。2001年ボランティア国際年記念ということで、ボランティアレボルーションがメインタイトルです。さまざまなボランティア団体の参加がありました。まさに人と人との支え合いネットワークです。支え合いを確かなものにするためには、仕事として支える人の存在も欠かせません。ボランティアで心の病を持つ人たちを支えてきたグループが、今度はNPO資格を取り、しっかり働く場づくりに向けて歩みを始めたこともわかりました。また、親が倒れて障害を持った人の生活を具体的に支えるためのサービス調整会議が区の職員の呼びかけで始まった、という話も聞きました。会議に参加しているのは民間の法人やNPOだそうです。きょう、2回目の会議が持たれているということです。区の役割、区民の活動、NPOとの協働など、これからの福祉をつくりだすキーワードが具体的な現場から見えてきそうです。とても力づけられました。
 以上で私の一般質問を終わらせていただきます。
     〔区長神山好市登壇〕
区長(神山好市) 佐藤議員の御質問にお答えいたします。
 まず最初に、区財政と財政調整についての御質問でございます。
 地方交付税の減額、あるいは道路特定財源の見直しというようなことが、今、国で行われているが、どういう影響が出るのかということでございますが、現在、国で検討中ということで、詳しい内容はまだ決まっていないわけでございます。区財政への影響という点については、現時点ではっきりとしたものはございません。といいますのは、地方交付税、これは御質問の中にもありましたように、東京都特別区には来ておりません。ですからこれがどういうふうに変わるのかという点、この点も直接影響ということはないんではないかというふうに思っているところでございます。これらについては、今後、国の動向等慎重に見守っていかなければならないというふうに思っております。
 また、特定財源、これにつきましても、区の方に現在関連のある税目といいますか、これは自動車取得税とか、あるいは地方道路譲与税、自動車重量譲与税、これは地方譲与税として来ているものですが、これは一般財源化の性格を持っておりましょう。特定財源という扱いではございません。大きな都市計画道路なんかの工事が始まりますと、これについての整備費用といいますか、こういったものは都市計画交付金という形でまいりますけれども、この費用についても、現時点で中野区にはあまり影響が出ておりません。今後、道路の整備等でどういう影響になってくるのか、影響が出てくるものはあるというふうに考えております。
 なお、財政調整についてどう考えているのかということでございますけれども、23区はそれぞれ独自性がございます。それぞれに重点施策も違ったものを持っているということが前提でございますし、財調基準は23区の標準的な姿を示したというものでございます。したがって、この財調基準にあわせて行財政運営を行うということは、自治体本来のあるべき姿ではないというふうに思っております。それぞれの区の重点事業、また、目標というようなものにあわせて運用すべきものだというふうに思います。健全な財政運営を行う上で、この財調基準は一つの目安になるというふうに考えております。常に意識していかなければならない部分だというふうに考えております。財政調整の基準財政需要額を上げるために努力しなければならないんではないかということですが、これは御質問の中にもございましたように、人口とか施設、あるいは面積、こういったものを一つの基準としてつくっている。また、それぞれの事業内容、こういったもので個々に算定をして積み上げていくという要素もございますので、標準的なものを落とされないようにといいますか、この努力をしていかなければならないというふうに思っております。また、23区共通で標準化していかなければならないというようなものは、区長会でも十分協議をしながら、都に対して要請をしていきたいというふうに思っております。
 ただ、これからの財政調整は、都と区の間の調整だけではなくて、23区間の調整、水平調整という問題も出てまいります。この財源というのは道路特定財源等とはまた違いまして、固定資産税、住民税の法人分、あるいは土地保有税、こういった部分で、その総額から現在52%が特別区の配当分ということで配分されますので、現状ではこの52%をできるだけ引き上げるという努力をしていかなければならないというふうに思っております。
 なお、江古田の森、障害のある子どもたちへの地域生活支援、その他の項目についての御質問をいただきましたが、所管部長からそれぞれお答えさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
   〔福祉担当部長本橋一夫登壇〕
福祉担当部長(本橋一夫) 私からは、江古田の森整備と障害のある子どもたちの地域生活支援などの御質問にお答えをさせていただきます。
 まず、江古田の森の整備についてですが、公園整備はここでの保健福祉施設整備と密接に関連していることから、保健福祉部と都市整備部が一緒になって厚生労働省と交渉をしているところであります。この江古田の森の公園の計画区域の管理につきましては、用地の取り扱いを含め、さまざまな点で土地を所有している厚生労働省との協議を整えることが必要となっております。厚生労働省は、国立病院の独立行政法人化が具体的な日程に上がっているため、この公園計画区域につきまして、早期買い取りを区に求めてきております。そういった状況の中で、暫定利用の話し合いはなかなか難しい状況にあります。したがいまして、現時点では、例えば、御質問にもありましたように、引率者を含めての自然環境教育などに利用できるよう、厚生労働省と協議、要請をしていきたいと考えております。
 次に、障害のある子どもたちの地域生活支援についてでございますが、まず区の取り組みといたしましては、療育センターアポロ園が、発達に遅れがある、またはその疑いのある子どもたち、その保護者が地域で生き生きと豊かな生活が送れることを目指して事業に取り組んでおります。
 内容といたしましては、子どもの持つさまざまな能力を引き出すための指導や、通園や保育園等への巡回訪問等により行うとともに、療育相談等を通じて保護者を精神的にサポートし、孤立化しないよう、また、成長の過程で生じるさまざまな問題に対して、解決能力を身につけていけるよう援助を行っているところでございます。
 また、障害のある子どもたちの療育は、各成長段階のニーズに対応した適切な相談、援助体制の整備が欠かせません。そのため、平成10年度から保健福祉センターや保育課、地域センター、小・中学校、都の養護学校などで構成する子どもケアネットワークを設置して、専門的観点からの情報交換、個々の処遇の検討に取り組んでいるところであります。今後はさらに、住民団体やボランティアグループとのネットワークづくりにも力を入れて、地域での生活支援のための連携強化に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、ボランティアグループとのかかわりについてでございますが、障害のある方々が住みなれた地域で安心して生活を続けていくためには、行政による在宅福祉施策を充実するとともに、地域のボランティアグループなどによる支援が不可欠であると考えております。区は、これまでも障害者の自立支援グループの活動を支援してまいりましたが、今後もボランティアグループの交流事業等を進めて、ネットワークづくりに努めてまいりたいと考えております。また、区とボランティアグループ、グループ同士の交流を通じて互いの活動状況を知るとともに、連携・協力関係をつくり、その情報を障害者やボランティアグループなどに提供できるように努めていきたいと思っております。
 また、ボランティアグループや親の会などの活動について、幾つかの支援についての御提案を含めての御質問がございましたが、施設の提供については、公共施設としての公平性の確保などさまざまな制約がございます。そういう中で情報提供なども含め、具体的にどんな支援が効果的、また妥当、そして可能なのか等について検討してまいりたいと考えております。
 次に、社会福祉基礎構造改革に向けて区内のさまざまな社会資源の活用との御質問についてでございます。
 区では、介護や家事援助等を必要とする在宅の障害者の方々に対する介護人の派遣、保護者の病気等によりまして緊急に一時保護が必要になった場合の事業等を実施しております。緊急一時保護施設についてみますと、現在区内には区立施設が3か所、6床あります。利用者の状況に対しましては、量的には一応充足していると考えてはおりますが、随時の利用などには十分対応しきれていないという状況にあります。御質問にもありましたように、愛成学園をはじめ、民間施設によるサービスの提供もなされているところでございます。今後は、利用者の選択の範囲を広げようという改正社会福祉法の趣旨を踏まえまして、区と民間がどのようにサービスを担い合うのが効果的か、などについて検討していきたいと考えております。
 次に、これから整備を進めていく障害者福祉施設についてですが、区といたしましては、民間活力の活用を基本として、国や東京都の制度に基づく施設基準に適合した施設の整備を促していきたいと考えております。国や都の基準に適合した福祉作業所等につきましては、国や都からの運営費補助がございます。区としての対応につきましては、施設の状況や区立等の施設における処遇等とも勘案をしながら、必要な対応を検討していきたいと考えております。
  〔行財政改革担当部長石神正義登壇〕
行財政改革担当部長(石神正義) 私からは、江古田の森整備につきまして、公園用地の取得に関する御質問に、また、都の包括補助支援制度についての御質問にお答えいたします。
 公園の用地の取得につきましては、国の都市計画公園整備事業、これを基本に用地費の3分の1を国庫補助金、残りの15%を都市計画交付金、その他は起債で賄うということになってございます。また、起債の元金償還相当分につきましては、財調交付金が措置されると、こういう仕組みがございます。しかし、起債の利子等に対する一般財源の充当ということは必要でございます。
 現在、都市計画公園用地の取得に当たっての財源措置の状況など、他区の事例調査、または都の問い合わせなど、この仕組みの活用の適否、また、江古田の森全体の整備時期、こういったことについて検討しているところでございます。また、公園用地につきましては、区としては2.7ヘクタールにつきましては、従来から無償譲渡、または無償貸与での交渉をしてきており、まだ結論に至ってございません。
 次に、都の包括補助支援制度でございますけれども、この都の包括補助支援制度は、福祉改革のために緊急に整備が必要な事業及び新たな仕組みをつくるための事業への補助制度ということから、平成12年度より14年度の3か年間に限り設けられたものでございます。区の取り組みといたしましては、平成12年度にこれまで区の単独事業として行ってきました財産保全サービス、また、福祉オンブズマン事業などのほか、先駆的な事業といたしまして、障害者への就労支援システム、こういった構築に活用してきました。13年度につきましても、昨年同様子どもや障害者等に対する福祉施策の貴重な財源として考えております。区は、これまで国や都の補助金などについては積極的に活用していくという方針を示しているところでございます。本制度につきましても、できる限り活用していくという考えで取り組んでおります。
    〔総務部長沼口昌弘登壇〕     
総務部長(沼口昌弘) 公有財産の管理についてでございます。
 これにつきましては、公有財産管理規則に基づきまして、総務部を中心に各部で管理しているところでございますが、空き教室など利用目的がなくなったものにつきまして、わかりやすく一元的に整理したものを資料として作成しておくことは必要であると考えておりますので、検討します。
     〔佐藤ひろこ議員登壇〕
20番(佐藤ひろこ) 再質問いたします。
 1番目の財政調整交付金のいわゆる有効な活用について、23区で都に対して考えるとかということは、議会の中でもいろいろと御答弁があったところなんですけれども、それを中野区としてどのように今後財政調整交付金に対して考えていくのかという、いわゆる考え方をもう少しお聞かせいただけますか。先ほどの区長さんの御答弁だと、そういった標準的な制度の中で運営しているとか、23区で共通にやっていかなければいけないことだとかという一般的な御答弁でしたので、中野区として財調をどう活用していくのか。私の方でも申し述べましたように、例えば、基準財政需要額をより増やす方向の事業をもっともっと取り入れていく方向でこれから組み立てていくとか、さまざまなやり方があると思うんですけれども、お聞かせいただければと思います。
 それから、江古田の森のところですけれども、江古田の森のところで仕組みの御説明をいただいたんですが、一般財源のところでは、多少経費がかかるわけですが、その活用しかないというか、都市計画公園として取得する方法であれば、だけど今の御答弁で言うと、活用の適否についてまだ考えているとかというふうな御答弁だったんですけど、それはずっと考えてきたことなので、今、現段階でなぜその方法に踏み込めないのか。では踏み込めないんだったら、無償の交渉の方もずっとやっているわけですけれども、なぜ今滞っているのか、もう少しその原因についてお話しいただけますでしょうか。
 それから、3番目の障害のある子どもたちの地域生活支援のところです。質問の趣旨がどこまで伝えられたのかなという気がしないでもないんですけれども、要するに当事者の方たちの活動をもっとさまざまな面から支援してほしいということを申し述べたわけです。具体的には、東京都の包括補助事業ですけれども、昨年度の質問の御答弁で、いろいろ挙げました事例について、推進すべき施策と考えているということで、それがきちんと取り組めるように都と協議していくということでした。どのように今年度はなるのかについて、もう少し詳しく教えてください。
 とりあえず以上で、よろしくお願いいたします。
     〔区長神山好市登壇〕
区長(神山好市) 再質問にお答えいたします。
 財調については、先ほど申し上げましたように、23区の基準というものがございますので、これを区で何か事業をやって大きく膨らませるということは、非常に難しい問題だと。その区に配当される範囲で予算編成をやっていかなければならないわけですけれども、その一般財源ではなくて、特定財源、ある事業をやる。これについては、特定財源措置をされるというものがございます。こういったものについては、個々の算定が必要になってまいりますので、その努力は常にやっていかなければならないというふうに思っております。財調基準そのものを変えようという場合には、先ほど言いましたように、23区それぞれ共通でこの項目についてはどうするかという協議をやって変えていかなければなりませんし、そういった努力は常にやっていくつもりでございます。
  〔行財政改革担当部長石神正義登壇〕
行財政改革担当部長(石神正義) 再質問にお答えいたします。
 江古田の森整備に関する用地の取得でございますけれども、公園の整備だけについての用地取得について、一般財源について御説明いたしましたけれども、江古田の森整備全体に対してどのような整備の方法、スケジュールでやっていくのか、これは一般財源がだいぶ必要になってくる、また、その後の財政運営等を考えていくということから現在検討しているということで、先ほども答弁しましたように、江古田の森全体の整備時期などについて検討しているところであるということでございます。
 また、都の包括補助金でございますけれども、これにつきましても、補助金がすべて10分の10、100%来るものではございません。事業によって2分の1ということでございます。また、12、13、14という3か年間に限っての補助金でございます。一度事業をやった場合には、その後の財源措置をどうしていくのかを含めながら、事業を一つずつ検討していかなければならないということで、先ほど答弁しましたように、積極的に活用できる方策を検討しているということでございます。
議長(斉藤金造) 以上で佐藤ひろこ議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 牛 崎 のり子
 1 「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書について
 2 学校開放事業について
 3 高齢者福祉住宅について
 4 放置自転車対策について
 5 西武新宿線の急行地下化について
 6 その他

議長(斉藤金造) 次に、牛崎のり子議員。
     〔牛崎のり子議員登壇〕
11番(牛崎のり子) 2000年度第2回定例会に当たり、日本共産党の立場で一般質問を行います。
 最初に、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書の中学校歴史教科書について伺います。
 「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を政府が検定合格させたことに対し、内外から批判が広がっています。
 「つくる会」の中学校歴史教科書は、既に137項目の修正を求められて検定合格したものですが、この教科書全体を貫く基本姿勢は本質的に変わっていません。日本の歴史学者からは51か所も史実についての誤りが指摘され、検討を求められています。韓国国会は2月28日に抗議の決議を行い、韓国政府は5月8日、25項目もの再修正を要求しています。次いで、中国政府も5月16日に8項目の修正要求をしています。
 修正要求の最大の問題は、日本が行った侵略戦争と植民地支配について、アジアを解放し、独立をもたらしたと美化し、肯定しているところにあります。
 「つくる会」の歴史教科書は、アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼んで、侵略戦争であったことを認めていません。韓国併合、植民地支配への反省がありません。また、「従軍慰安婦」の事実を無視し、南京大虐殺を否定しています。さらに、神話をあたかも史実のように描き、日本の歴史を天皇の権威が一貫して存在したかのように描いています。第二次世界大戦後失効となった大日本帝国憲法・教育勅語を礼賛さえしています。これらは日本の歴史であるとともに、韓国・中国の歴史にも大きくかかわるものです。自国の歴史の隠蔽、歪曲に異議を唱えるのは当然のことです。
 この教科書を検定合格させたことは、日本政府が検定基準の一つにしている「近隣諸国条項」にも、植民地支配と侵略に痛切な反省を表明した1995年の村山首相談話、1998年の日韓共同宣言など日本の対外公約にも明確に反しており、厳しい批判を受けています。
 日本政府がこれまで「表明」してきた「おわび、反省」さえ踏みにじり、歴史を歪曲し、侵略戦争を美化する教科書を検定合格させてしまったことは、日本が今後アジアと世界にどうかかわるかに直結する重大な問題です。
 第二次世界大戦で日本と同じ侵略国だったドイツやイタリアでは、自国の侵略戦争の事実と、これへの反省を内外に明らかにして、教科書にも明記しています。そのことが近隣諸国の信頼を勝ち取る結果となっています。
 第二次世界大戦が日独伊3国による侵略戦争だったということと、近隣諸国に多大な犠牲と被害を与えたということは、歴史の事実であり、これへの批判と反省は、日本においても、世界においても、戦後政治の原点ともいうべきものです。日本は戦後、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、いずれの国家も自国のことのみに専念し、他国を無視してはならないと誓ったはずです。侵略戦争の反省に立って、日本国憲法の前文に明記されたこれらの決意は、憲法の個々の条文に意見はあっても、国民共通の認識となっています。
 私たちは、そもそも今の検定制度そのものには反対ですが、今回このような教科書を検定合格させた政府が、政府自からの責任で合格を取り消すように求めています。この教科書が引き起こした問題にあいまいな態度をとることは、日本の民主主義を危うくするものであり、日本が国際社会で活動する前提を失わせるものになるからです。こうした大前提を公然と否定するものが、21世紀を担う子どもたちの教科書に値しないことは明らかです。
 本来教科書は、執筆者の学問的な主張や創意を生かしたものとして、常識的な意味の個性があっていいものです。それが子どもにとって魅力にもなるものです。しかし、「つくる会」の教科書は、個性といって済ますわけにはいかないものです。侵略美化という教科書として看過できない内容を持つ上に、教育勅語を全文記載し、礼賛しているなど極めて特異なものです。
 この「つくる会」の公民教科書は、核兵器は現実にはなくせないと言わんばかりの核兵器廃絶に疑問を投げかけるコラムまで載せています。今、世界が平和のために大きく動き出しているときに、世界の国々、世界の人々と連帯をして平和をつくる日本にしようという考えはどこにも見当たりません。憲法擁護非核都市宣言をしている中野区として見過ごすことはできません。これだけ重大な問題の多い教科書だからこそ、数え切れないほどの批判が集まっています。中野の子どもたちに対する教育行政の責任者として、この内容と批判をどのように認識しているのか、教育長の見解を伺います。
 関連して、教科書採択について伺います。
 中野では、この「つくる会」の圧力に呼応する形で2000年12月8日、子安教育長が教科書づくりを前提とした「国民の歴史」を定例校長会で配布するという事件が起きました。多くの区民や団体から、教科書採択の適正・公正が失われ、不当な圧力の影響を受けることになりかねないなどの危険性を危惧し、教科書採択の事前運動を応援していることになるなど、配布した「国民の歴史」の回収と謝罪などを求めた抗議が集中し、教育長が「御迷惑をおかけした。議会、行政、教育委員会、区民の皆さんにおわびする」と謝罪を表明したという忘れるわけにはいかない出来事がありました。
 その後、区民の教科書問題への関心が高まるもとで、中野の教科書採択の仕組みがつくられましたが、当初の案に区民の意見が加えられた、より改善されたものになっています。選定調査委員会のメンバーは、当初案では、学校関係者は校長5名でしたが、校長、教頭で3名、教諭3名となり、2名だった保護者と区民もそれぞれ3名となりました。教科書展示会には区民の意見箱が設置され、子どもたちの意見も聞くようになっています。
 2月24日付の朝日新聞の社説でも、「現場の声を排除するな」の見出しで、特定の教科書と絡んだ運動に惑わされることなく、最善の教科書を選ぶための論議や工夫をしてほしいと書いてあります。教育行政区民参加条例、憲法擁護非核都市宣言を掲げる区として、区民の意見を尊重してつくった制度を最大限に生かす取り組みを積極的に行うべきと思いますが、見解を伺います。
 次に、校庭遊び場開放事業についてお尋ねします。
 この事業は、子どもたちに放課後の遊び場として、学校の校庭を年間を通して開放してきたものです。地域に遊び場の少ない中野の子どもたちにとって大切な施策であったことは、多くの学校関係者や地域住民が認めていたところです。子どもたちに元気に遊んでほしいと、学区域内の住民が校庭開放協力員として献身的な努力をされてきたもとで、38年間も続いてきた事業です。ところが、ことし4月からは行財政5か年計画によってこの制度は廃止となり、土、日、祭日は民間業者に委託されています。月曜日から金曜日までは学校の校務主事がかかわっています。
 私たちは教育委員会に対し、このシステムでは学校現場での混乱が予測されること、それによる子どもたちへの影響が心配なことなどを指摘してきました。しかし、教育委員会は、これまでの学校開放事業と同じように継続できると答弁してきました。
 そこで、この間の状況について調査をしましたところ、わずか2か月間で子どもたちの利用が著しく減少している学校や、遊びづらくなっているところなど、子どもたちにとって魅力が薄れてきている実態が見えてきました。平日は開放員がだれもいない、今までは5時まで遊べたのに、4月から2時からしか遊べなくなった、遊具室が閉まっていて遊具で遊べない、つまらないので来たくなくなった等々、子どもたちからは次々に不満の声が飛び出しています。
 学校現場からは、3人しかいない校務主事から、1人を開放事業に張りつけられない、両立は難しいとの意見が出ています。担当の主事としては、事務と開放事業の両方を手がけなければならないが、事務作業に手をとられ、子どもたちへの対応がどうしても不十分になってしまう。5時に終わるために子どもたちに早くから片付けさせるのはしのびないなど、職員からは子どもたちへの十分な対応ができないつらさが語られています。これでも今までの開放事業と同じなどと言えるでしょうか。教育委員会の見解を伺います。
 子どもたちにとって、これまでの開放事業がどんなに楽しいところであったかは、利用数の数字が明確に物語っています。教育要覧によると、2000年度は1校1日当たり平均48人以上が利用していました。全体で38万2,000人にもなります。これまでの魅力あふれた学校開放が、子どもたちの心を動かさない制度になってきています。私が指摘した問題点を早急に改善し、充実させるために指導するなど検討すべきです。お答えください。
 次に、高齢者福祉住宅について。
 高齢者のための住宅施策の充実について伺います。
 ひとり暮らしの60代の男性から、「立ち退きを迫られている。不動産屋さんを7軒も回った。見て歩いた部屋の数は10か所を超す。気に入ったところが見つかっても、契約の段階になると、高齢者はお断り、保証人がいなくてはだめだと断られた。区で何とかしてもらえないものか。」また、ひとり暮らしの55歳の女性は、「10軒不動産屋を回ったが、大家さんがいやがるからと門前払いのところもあった。さらに、一度入ったらなかなか動かない、保証人もよっぽどしっかりした人でないとだめと断られた。年を取ることが悪いのかとほとほと情けなくなった。何とかしてほしい。」また、生活保護受給者の60代のひとり暮らしの女性は、「大腸がんの術後の障害があり、銭湯に行けない。風呂つきの部屋を保護の条件で見つけるのはひと苦労だ。5か月前から5か所ほどの不動産屋に依頼をしているが、いまだにどこからも返事がない。公営住宅に何とか入れないか」といった相談を受けました。
 高齢者、障害者にとって保証人問題など深刻です。不動産業者や家主への協力要請をするなど、何らかの手だてが必要であると思いますが、いかがお考えでしょうか、お伺いします。
 区は、宅建協会などの協力を得て、100軒ほどの空き部屋情報を入手し、必要な人に提供していますが、成立する例は少ないと聞いています。民間の空き部屋を高齢者が利用しやすい仕組みづくりも必要だと思います。紹介したように不況の影響もあり、公営住宅の入居を希望する相談も増えています。特にひとり暮らしの高齢者の相談が多く、高齢者の住宅問題は、今後、ますます重要な課題になってきています。
 現在、区では高齢者アパート、障害者アパートなどもあり、高齢者、障害者の住宅要望にこたえていますが、今後、基本的には高齢者福祉住宅にシフトしていくことになるので、高齢者福祉住宅の増設はますます重要になってきています。2000年6月現在の高齢者住宅の入居者は、男性26人、女性91人、合計で117人となっています。最近の高齢者福祉住宅の応募状況を見ますと、97年は募集4人に対して77人。98年には募集4人に対して94人。99年は募集2人に対して72人となっています。それぞれ倍率が20倍、24倍、36倍と年々高くなっています。本年度の募集は、4館で九つの空き部屋はすべて世帯用で、単身者用はゼロという状態です。
 現在、行財政5か年計画の推進事業として、野方六丁目に単身用20室の高齢者福祉住宅の建設が進められています。完成が期待されるところですが、まだまだ全く足りません。本町四丁目の高齢者福祉住宅の建設計画は、3年後の2004年度となっていますが、一日も早く計画を実施してほしいという要望も強く、これだけ多くの待機者がいるのですから、前倒しも含めて検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 これらも含めて、現在、できる限りの工夫をしているということですが、高齢者の住宅問題をもっと重く受けとめて、最大限の努力をすべきです。需要と供給についてどのように予測をしているのでしょうか、伺います。また、高齢者の切実な要望にどのように応えようとしているのか、今後の見通しをお聞かせください。
 次に、放置自転車対策について、特に自転車駐車場問題を中心にお聞きします。
 駅周辺の至るところに雑然と大量に放置されている自転車は、高齢者や障害のある人々をはじめ、歩行者の通行を妨げ、まちの景観を損ねるとともに、人々の気分、感情を重くしています。高齢者や障害のある人、子どもたちが安心して歩けるようなすっきりとした町並みを実現することは、だれもが望むところです。
 駅周辺の放置自転車対策は、これまで多くの議員が会派を超えて取り上げ、さまざまな提案もなされています。ことしの一般会計予算に、総合的で具体的かつ実効性ある対策を求める附帯意見がつけられましたが、この問題は区政の重要課題の一つです。区のいっそうの検討、努力を求めたいと思います。
 私は、今回は自転車駐車場の管理運営の問題に絞って今後の対策をお聞きします。
 ことし3月26日付で、2000年度事務監査結果報告が出されました。監査対象となったものは、中野区の自転車駐車場の管理運営についてです。この内容は、私が日ごろから感じていることや、区民から寄せられる意見や苦情とほぼ一致をしております。この報告では、自転車駐車場の利用率の低さを問題にしています。1日利用の平均利用率を見ると、鷺宮北の130%、都立家政南の216%と高いところがある反面、東中野南6%、中野坂上駅8%、中野南11%、東中野駅13%など、30%を下回るところが8か所もある。定期利用は、東中野南19%、中野坂上駅23%、東中野駅28%と30%以下が3か所ある。両方を通して東中野南とできて間もない中野坂上駅、東中野駅の利用率が特に悪くなっていると、以上のように具体的な数字を挙げて指摘しています。
 この事務監査結果報告は、「利用者の立場に立った自転車駐車場運営」の項を起こし、自転車駐車場の案内表示、利用手続きの簡素化とPR、アンケート調査等の実施、ラック式置場の改善、自転車駐車場の共通利用などの問題指摘と具体的な改善提案を行っています。
 私は、ここでも述べられているように、利用者の立場に立つということが重要な視点だと思います。区民、つまり利用者の立場に立って、どうしたら自転車利用者に駐輪場を利用してもらえるのかを検討すべきと思います。
 区は、監査委員報告で具体的な提案がなされている事項について、どのような検討をされているのか、お答えください。
 沼袋地下駐輪場も利用率の低い駐輪場の一つです。近隣住民から、このままではもったいないので、放置自転車の一時保管場所など有効利用を考えるべきではないか、との意見が出ています。区民の意見なども聞きながら、有効利用について積極的に考えるべきだと思います。どのように検討されているのか、お答えください。
 利用率を高めるために定期利用者に対する割引や学割の制度を持っている区があります。新宿区は一般の定期利用が1か月1,800円です。3か月では5,000円と400円安くなり、さらに学割の制度もあって、1か月1,400円、3か月では4,000円と、一般に比べて1か月400円、3か月で1,000円安くなっています。杉並区の場合は、条例で65歳以上と学生の場合は、一般の利用料から1か月当たり200円安い料金設定をしています。練馬区では、屋根なしで一般の定期利用は、1か月1,500円、3か月で4,200円と300円安くなっています。学割は1か月1,100円、3か月3,100円とそれぞれ400円、1,100円と安く設定をされています。いずれも定期購入の期間が長くなれば格安になり、さらに学割の制度も設けて、学生の負担を軽減することによって、利用しやすいような配慮がなされています。
 中野区では、遅ればせながら3か月の定期利用者に対する割引制度を始めることになりました。学生に対する割引制度も当然実施すべきと思います。不況の中で多くの学生は本当に厳しい生活を余儀なくされています。表面は恵まれているように見えても、生活費や学費を稼ぐアルバイトに追われ、それでも生活が成り立たず、中途退学をする学生が増えているのが現状です。このような学生に社会の一員としての社会的ルールを守るように、駐輪場を利用するように誘導することは大事な取り組みです。そのために、具体的な誘導策として学生割引を設けることが重要です。急いで検討すべきと思いますが、いかがですか、見解を伺います。
 中野区は、1999年に駐車場利用率を引き上げるための一つの方策として、従来の利用料体系を改め、個別駐車場の条件を勘案したきめ細かな料金体制をつくり、あわせて料金の引き下げを行いました。これにより、利用率が当時で5ポイントから10ポイント以上伸びました。最近の資料によりますと、場所によっては利用率が大幅に伸びているところもあります。この経験から見ても、駐車場の利用率が低いことの要因を正しく突きとめ、利用者の立場に立ったきめ細かい対策をとれば、成果を上げることができると思います。
 ことし中野区は、放置自転車の引き取り手数料を3,000円から、いきなり5,000円に引き上げました。先に述べたように、きめ細かな駐車場の料金体系をつくったときと比べて、あまりにも乱暴なやり方と言わざるを得ません。最初に挙げましたように、監査委員の監査報告で取り上げているような区民の立場、利用者の立場に立った総合的で系統的、きめ細かな対策が必要になっています。
 ことし、自転車対策協議会を開くための予算が計上されています。公共交通機関などの駐輪場対策が主な議題に考えられているようですが、この問題だけに限らず、区民の意見や要望を十分に汲み上げて、実効性のある取り組みができるようにすべきと思いますが、最後に決意を伺いまして、この項の質問を終わります。
 最後に、西武新宿線の急行地下化の問題について伺います。
 西武鉄道が1987年に認可された西武新宿線複々線化事業の先取り運賃として、運賃を値上げして乗客から集めた工事費を、西武池袋線立体化交差事業に流用していたことがわかりました。これは、日本共産党の緒方靖夫参議院議員の要求で、国土交通省が国会に提出した資料で明らかになったものです。
 国土交通省によると、西武鉄道は先取り運賃によって定期外運賃で10円、通勤定期で1か月310円を運賃に加算し、7年間で156億円を積み立てました。このうちから、新宿線には調査設計費として25億円を支出しましたが、残り131億円は池袋線の工事費などに流用されています。しかし、新宿線の積立金が池袋線の工事費等に使われていたことは、議会には一切報告されていません。
 西武鉄道が複々線化工事のために先取り運賃を取りながら、1995年に工事の延期を一方的に決めたとき、輸送人員が当初の計画に比べて減少していることを理由の一つに挙げました。しかし、輸送人員の減少は、新宿線よりも池袋線の方が大きいこと、開かずの踏切の数は、池袋線の56か所に対して、新宿線が62か所と新宿線が6か所も多いことなどを考えれば、新宿線の複々線化工事が無期延期にされていいはずがありません。西武鉄道が新宿線の先取り運賃を積立金として留保せずに、池袋線の工事費等に流用したことは、利用者はもとより、中野区にとっても見過ごすことのできないことです。これも、西武新宿線が工事凍結に至った要因の一つと言わざるを得ません。
 西武鉄道は運賃改定のときに、先取り運賃を利用者に還元する意味で、10円の運賃値上げを先送りしました。これによって先取り運賃問題は解消したと考えているのでしょうが、西武鉄道の道義的責任がなくなるわけではありません。中野区として、西武鉄道に厳重に抗議すべきと思います。あわせて、この問題の事実経過を区民の前に明らかにすべきと思いますが、見解を伺います。
 都の関係部局と西武鉄道で構成する西武新宿線検討会が、ことしの2月にもたれたと聞いています。西武新宿線の新宿から上石神井間の急行地下化を内容とする複々線化工事が、西武鉄道の一方的な理由で無期延期をされてから6年が経過しています。この間西武鉄道に対して、中野区からも区議会からも事業再開を強く要求し、国の運輸政策審議会にも都知事にも要請を重ねてきましたが、残念ながら進展はありませんでした。この間、中野通りの立体交差事業の計画がつくられましたが、環境破壊の問題に加えて、急行地下化による複々線化工事を求める周辺住民の反発で、この計画が凍結をされたという経過もあります。
 先ほどの緒方靖夫議員の質問に対する政府委員の答弁によりますと、いわゆるボトルネック踏切は、全国で約1,000か所あり、そのうち東京都内に360か所も集中しているとのことです。そのうち西武鉄道だけで実に125か所、35%もあるとのことです。京王電鉄とJR東日本がそれぞれ75か所、小田急電鉄37か所と比べても、西武鉄道が踏切対策をいかにおざなりにしているかがわかります。急行の地下化を内容とする複々線化事業の再開は、沿線住民はもとより、中野区民の道理ある当然の要求です。区は、区民を代表する当事者として、西武鉄道に複々線化工事の再開を改めて強く求めるべきです。そのために、都と西武鉄道がつくっている西武新宿線検討会が、当初計画どおり急行地下化の推進でまとまるように、中野区は積極的な働きかけをすべきと思いますが、いかがでしょうか、決意をお聞かせください。
 これで私の質問は終わります。
     〔区長神山好市登壇〕
区長(神山好市) 牛崎議員の御質問にお答えいたします。
 教科書問題、学校開放事業並びに高齢者福祉住宅、自転車対策につきましては、それぞれ教育長、担当部長からお答えいたします。私の方から、西武新宿線の複々線化の問題についてお答えをさせていただきたいと思います。
 この御質問については、昨日の本会議質問でもお答えをしたところでございますけれども、西武新宿線の複々線化事業、昨年の春行われました運輸政策審議会で新たな鉄道計画に位置付けられなかったと。区としては、国土交通省あるいは東京都に対して要請をし、陳情もしてきたところですけれども、残念ながらここで位置付けがされなかったというようなことから、西武鉄道の姿勢というのも非常に消極的になった。これは6年前に西武で延期ということで私のところにも来ました。ただ、延期というけれども、先が見えてないし、また、料金について返還をするという説明もあったけれども、返還をするという方法は一体どうやってやるのか、既に払った人に返すというわけにはいかないはずだしということで話をしたときに、同じ7年間値上げをしないで返還をしますという説明があった。そういった取り組みから、事実上延期ということなのか、中止なのかと。中止とは言わないけれども、延期だということを再三言っていました。これについては、区としては東京都と一緒になって複々線化を早く実現をするように、ということを引き続き要望してきたところでございます。
 この要望について、さらに渋滞解消に向けた対策ということも考えていかなければなりませんので、道路と鉄道との立体交差といったものについての調査検討も行うということにしているところです。
 区としては、この動きを踏まえまして、東京都に対して中野通りの踏切渋滞解消に向けた取り組みということを要請したところでもございます。早い時期に、具体的な成果が得られることを期待しているところです。区としては、この検討会の状況を見ながら、積極的に対応していきたいというふうに思っております。東京都の副知事、担当局長等にも会って、中野として今のこの状況を早く解消したいし、先の見える計画にしてほしいということを要請しまして、副知事からは一緒に頑張っていきましょう、ということで答えをいただいているところでございます。これからも一緒になって、区の立場でさまざまな要望をぶつけていきたいというふうに考えております。
     〔教育長子安圭三登壇〕
教育長(子安圭三) 教育問題で2点御質問がございました。私の方からは教科書の問題についてお答えをさせていただきたいと思います。
 まず、教科書の問題について2点御質問がございました。1点は、新しい歴史教科書をつくる会の教科書についての御質問でございました。
 御案内のとおり、教科書の内容につきましては、さまざまな考え方がございまして、現在、私どもは教科書の採択事務を進行中でございます。そのことにつきまして、今、ここで申し上げることは控えさせていただきたいというふうに思います。
 それから、仕組みについてのお尋ねがございました。教科書選択の仕組みにつきましては、区民の意見を聞き、また、議会での御論議をいただき、教育委員会で検討し、現在の採択の仕組みができ上がったものでございます。現在、この仕組みの趣旨を生かすべく、公募の区民や保護者の代表等を含めた教科書選定調査委員会を中心に採択の作業を進めるとともに、教科書展示会において広く区民の意見を聞き、各学校での児童・生徒の意見をまとめるなどの取り組みをしているところでございます。このことは、区民参加条例の本旨を十分生かしているというふうに私どもは考えているところでございます。
 〔教育委員会事務局次長須﨑英夫登壇〕
教育委員会事務局次長(須﨑英夫) 学校開放事業についての質問にお答えをいたします。
 協力員の廃止に伴う学校開放事業への対応につきましては、校務主事制度の導入及び業者委託によりまして、これまでと同じように遊び場開放事業やスポーツ開放事業などを、区民の方々が御利用できるように努めているところでございます。制度の移行に際しましては、学校はじめ関係者と十分に連携をしながら進めてまいりました。その結果、学校現場からの報告でも、特に大きな混乱もなく、現在はおおむね円滑に運営できているものと考えておるところでございます。今後とも、現行システムでの事業推進を図っていくつもりでございます。
   〔都市整備部長宮村光雄登壇〕
都市整備部長(宮村光雄) 高齢者福祉住宅と西武新宿線の急行線地下化に関する御質問にお答えいたします。
 初めに、高齢者福祉住宅についてでございます。
 まず、保証人がいないために住宅が借りられない高齢者に対し、区はこれからどう対応していくのか、という御質問ですが、東京都では本年3月に報告されました、ひとり暮らし高齢者等入居身元保証人制度検討委員会の提案に基づきまして、身元保証制度の創設を検討しているところでございます。区といたしましては、今後、都の制度の活用を含めて不動産業者や家主の理解、協力を得られるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、本町四丁目の高齢者福祉住宅は建設が16年度になると聞いている、前倒しすることができないかという御質問です。
 本町四丁目の福祉住宅につきましては、行財政5か年計画に基づきまして、今年度基本計画の検討、平成14年度基本設計に着手、実施設計、工事を経まして、平成16年度開設を目指しております。現在、土地の形状の問題や周辺との調整、併設される福祉施設との関係など幾つかの課題がある中で、基本計画の検討を始めているところでございまして、計画をさらに前倒しすることは困難でございます。
 3点目は、高齢者の将来の住宅需要をどのように予想し、高齢者の要望にどのようにこたえていこうとしているのか、という御質問です。
 住宅に困窮する高齢者世帯の将来の住宅需要につきましては、現在、住宅マスタープランの改定作業の中で検討しているところでございます。しかし、住宅課の相談窓口や高齢者福祉住宅、高齢者アパートの応募などを通じまして、住宅に困窮する高齢者の方々のさまざまな声はお聞きしているところでございます。区としましては、現在、財政が厳しい中でも区有地を活用した高齢者福祉住宅の建設等に取り組んでおりますが、それと併せて、都で検討が進められております身元保証制度や、あっせん制度を活用した民間住宅への入居支援策により、高齢者の住宅確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、西武新宿線の急行線地下化に関しまして、特定都市鉄道整備事業による上乗せ運賃の積立金の一部が、西武池袋線に流用されているということを知っているか、などの御質問にお答えいたします。
 西武鉄道に改めて確認したところ、特定都市鉄道整備事業は、池袋線複々線化工事と新宿線複々線化工事の二つの工事を一つにまとめ、一つの整備事業計画として昭和62年に認定をされております。平成6年度までは先行していた池袋線の工事に主として積立金の充当を行ってきたところですが、流用ということではなく、平成7年に新宿線の工事を整備事業計画から除外する認定を受けたことから、新宿線の利用者には積み立てた156億円を、平成7年9月の運賃改定から加算運賃10円を引き下げるということで、7年間かけて還元しているということでございます。また、平成13年3月の参議院国土交通委員会での質疑の中で、流用という表現をされた質問に対しまして、政府参考人が、「正確に申しますと」と前置きをして答弁した内容と、この内容は同様でございまして、流用という表現は当たらないと理解しております。
   〔土木担当部長石井正行登壇〕
土木担当部長(石井正行) 放置自転車対策についての3点の御質問にお答えをいたします。
 まず、利用率の低い自転車駐車場があるけれども、利用率が悪い理由は何か。それからまた、区では利用率の向上に向けてどのような検討を行っているのか、とのお尋ねでございます。
 区の自転車駐車場の利用率は、全体としては年々向上しつつございますが、依然として利用率が2割程度と低い自転車駐車場もございます。先ほど御指摘いただきましたように、東中野駅、中野坂上駅の地下自転車駐車場などの利用が低迷をしてございます。これらの自転車駐車場は、地下の利用が面倒であるとか、遠回りになるという理由から利用が低いものと分析をしております。自転車利用者のまた交通マナーの悪さもその一因であると考えております。
 このため、4月から5月にかけまして、すべての放置自転車に自転車駐車場の案内チラシを配布し、PRの強化を図ってきたところでございます。また、既に始めてございますが、今月からはすべての放置自転車に10回程度、違法駐輪の警告チラシを配布する予定でございます。また、4月からは自転車駐車場内に投書箱を設置いたしまして、利用者の意見を運営に反映するよう努めているところでもございます。
 これら利用率の低い地下式の自転車駐車場などにつきましては、周辺の撤去も強化しながら、平成12年度事務監査結果報告にございます、利用者の立場に立った対策のあり方や、また、他自治体の地下駐輪場の実情なども参考にしながら、利用率の向上へ向けた検討と取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 次に、学生割引を導入する考えはないか、というお尋ねでございます。
 自転車駐車場利用料につきましては、この7月の定期利用分から引き上げを実施することとしております。その際、長期利用の促進を図るため、3か月定期利用料の割引制を新たに導入することにしてございます。今回の利用料改定では、学生割引を導入するものではございませんけれども、学生割引につきましては、自転車駐車場利用料のあり方を含めまして、今後の検討課題とさせていただきたいと考えております。
 3点目でございます。今年度に中野区自転車等駐車対策協議会を設置し、検討することとなっているけれども、どのような姿勢で取り組むのか、というお尋ねでございます。
 今年度に設置いたします中野区自転車等駐車対策協議会では、鉄道事業者、道路管理者及び警察署など関係機関とともに、平成12年度事務監査結果報告や区民のさまざまな意見を踏まえ、自転車駐車場の整備を含めた放置自転車のより効果的な対策について、検討していきたいと考えておるところでございます。
     〔牛崎のり子議員登壇〕
11番(牛崎のり子) まず最初に訂正をさせていただきますが、「2001年度」と書いてあるんですが、「2000年」と読んでしまいまして、大変失礼いたしました。訂正をさせていただきます。2001年度の第2回定例会です。
 再質問をさせていただきます。
 最初に、教育長のつくる会の歴史教科書の内容についての批判、それに対してどのような認識をしているかということのお答えですけれども、そういうようなお答えしかやはりできないのかということで、大変残念に思っておりますけれども、教育長の場合には、ここでも御紹介しましたように、教科書の前提になるということが言われていた「国民の歴史」を配布するなどという経過があるわけですから、その立場からいっても、先ほどのようなお答えは、私は納得できません。とにかくこれだけの批判があり、海外からもさまざまな意見が寄せられています。少なくとも、中野の子どもたちの将来にかかわることですので、もっときちんとした御返答を私はいただきたいというふうに思います。
 中野の子どもたちに本当に責任を負うならば、先ほどのような御答弁にはならないはずですし、そのことにきちっとした御返答がいただけないということは、「国民の歴史」を配布したということが、やはりそういう前提があって行ったのだということを疑われてしまってもやむを得ないことですし、教育長はこれに対しても謝罪をしたわけではなくて、お騒がせしたことに御迷惑をかけた、ということで、私たちも、区民も、教育関係者も謝罪したというふうには思っているわけではないので、その点をもう一度お願いします。
 それから次は、遊び場開放事業についてです。これまでの学校開放事業と同じようにやるように努めているということだけれども、十分連携をとりながらというふうにおっしゃっていますけれども、現場から何も声が聞こえてこないということでは不十分ではないでしょうか。少なくとも私が調査した中では、現場の声も、子どもたちの声も、父母や、また地域の方たちの声も上がってきているわけですから、やはりきちんとした現場の声を、また調査もするなどして、つかまえてほしいというふうに思います。こういうふうな実態があるのにもかかわらず、全く同じように行っているし、何も特に問題はないというふうに言い切っているということは、やはり子どもたちがそのためにどういう立場になっているか、どういう影響を受けているかということですから、子どもの教育の問題にかかわる立場にいらっしゃる方の御返答としては、これも納得がいきませんので、きちんとお答えをいただきたいと思います。
     〔教育長子安圭三登壇〕
教育長(子安圭三) 再質問にお答えをしたいと思います。
 私は今、私もこの教科書採択事務の教育委員の一人でございます。そういった立場から、現時点で教科書採択に当たりましては、公平、公正を第一としておりますので、この特定の教科書にこの場でその内容についての私の見解を述べることは、やはり差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
 〔教育委員会事務局次長須﨑英夫登壇〕
教育委員会事務局次長(須﨑英夫) 学校開放事業の移行に当たりまして、我々も非常に心配をいたしました。そういうこともありまして、移行後いろいろな形の中で学校現場、あるいはPTAの方々の御意見を伺ってございます。そういったことを背景として、学校現場からは特に大きな混乱はなかったという評価をいただいているわけでございます。
 ただ、この問題については大きな改革をしたわけですから、1学期、様子を十分見て、その中で実態はどうだったのかということを再評価するということについては、現在、検討をしているところでございます。これにつきましては、過日の文教委員会でも私の方からそのようにお答えをさせていただいてございます。また、それを裏付ける仕組みとして、現在、校務主事制度の検討協議会を設置してございます。そういった問題点があった場合には、その場で議論をして解決をしていこうと、こういう体制をとってございます。そういう中で、この制度が十分に機能するように努めていきたいというふうに思ってございます。
議長(斉藤金造) 以上で牛崎のり子議員の質問は終わります。
 議事の都合により暫時休憩いたします。
      午後2時53分休憩

      午後3時13分開議
議長(斉藤金造) 会議を再開いたします。
 一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 はっとり 幸 子
 1 行財政5か年計画における区民との協働について
 2 食の安全確保について
 3 児童・生徒の意識調査について
 4 交通バリアフリー法施行に伴う基本構想づくりについて
 5 みどりの保全について
 6 その他

議長(斉藤金造) はっとり幸子議員。
    〔はっとり幸子議員登壇〕
19番(はっとり幸子) 2001年第2回定例会におきまして、市民自治を進める立場から一般質問をいたします。
 まず、行財政5か年計画における区民との協働について伺います。
 今、どこの自治体も景気の低迷による財政難を克服しようとして必死という状況の中、中野区の2000年度決算は辛うじて黒字となったようです。しかし、単に景気の低迷による税収の落ち込みだけではない要因を抱えている中野区では、まだまだ困難な時代が続くと思われます。今年度から始まった行財政5か年計画については、議会でもさまざまな議論があり、私たち市民自治フォーラムとしても、かんかんがくがくの議論をしながら意見を述べ、提案などをしてきたところです。とりわけ行財政改革を進めていく区政運営の基本的な理念については、区民との協働に重きを置くべきであると主張してきました。
 ホームページを開きますと、あちこちの自治体で21世紀新たな時代の幕開けにふさわしく、市民との協働、市民とのパートナーシップで行政運営を進めていくための施策展開をしていることがよくわかります。これまで事業実施の主要な担い手であった役所の役割を大きく見直し、市民との協働による積極的な事業の推進を図るために、新しい中期計画などの策定に着手している自治体が幾つも見られます。そうした中で、これまで長く住民参加をうたってきた中野区が、なぜこれほど取り組みがないのか、どのようにお考えなのでしょうか、お尋ねします。
 中野区は、これまで自主・参加・連帯の区政運営の基軸を地域センターと住区協議会構想に置いてきました。しかし、現状を見ると、とてもそうは思えません。区民参加は、有名無実となっているのが実態ではないでしょうか。区長も管理職が集まったある会合のあいさつで、「参加の区政を標榜してきたが、それを理解していない管理職が多過ぎる」という意味の発言をされたと聞いています。
 行財政5か年計画には、基本的な考え方の中に区民との協働を据え、区と区民の役割分担の見直しが強調されています。しかし、区民との協働を進める具体的な施策については、何も書かれていません。区民や民間が担えることには、行政の関与を小さくしていくことばかりを言いますが、それでは区行政、職員は一体何をするのでしょうか。区は、多様な行政需要にこたえ切れないとか、区だけではやり切れないとか、区と区民の役割分担を明確にするといいますが、区民の目からはただひたすら身軽になり、責任放棄をしているようにしか見えません。協働における区の役割をこのように考えている、ということを区民に明らかにして、区の責任を表明する必要があるのではないでしょうか。区民との協働とはどういうことか、区のお考えをお示しください。
 区民との協働に関連して、団体への補助金の見直しについて1点伺います。
 私は、これまで二度区の補助金の見直しについて質問をしています。昨年の第4回定例会では、佐藤議員もこの問題について質問しています。行財政5か年計画では、団体への活動補助について助成そのものの廃止、助成単価の引き下げ、助成期間の短縮、補助金の削減などを行っています。しかし、こうした既存の補助金、助成金をただ削減していくだけでは、活動する区民の元気が失われてしまいます。区民との協働を進めるという視点から、区民の活動への補助のあり方を根本から見直していくことが必要です。すべての団体補助を一度白紙にし、その上で区内の既存の団体、新規の団体などのすべての団体からの補助申請を受け、それに対する補助の必要性などの観点から、第三者による委員会の審査などを経て支援することを再度提案します。また、私のこれまでの質問、佐藤議員の質問以降どのような検討をしてきたのか、あわせてお考えを伺います。
 次に、食の安全確保について伺います。
 まず、遺伝子組み換え食品について伺います。
 遺伝子組み換え食品については、種を超えての遺伝子組み換えの可能性やアレルギー症状、また、子孫への影響などの不安があります。この不安を解決する一つの方法が表示の問題です。未然防止の観点と市民の健康を守るため、また、消費者の選択権を確立するために遺伝子組み換えの表示が必要です。東京都の消費モニターアンケートでは、表示マークは高齢者にも一目でわかるものが望まれています。このたび、JAS法が改正され、4月から遺伝子組み換え食品の表示の義務化がスタートしました。市民からの声を受けた中野区議会をはじめ全国の議会、自治体から国への意見書が出されていたところです。東京都は、このJAS法表示制度にあわせて都内に流通する食品に都独自の認証マークをつけ、消費者にとってより見やすく、わかりやすい表示を実現するということです。JAS法、食品衛生法による規格基準化に伴う表示では、認証をつけることにはなりませんが、都は、ガイドラインを策定して事業に協力を求めるということです。使用するマークのデザインは、市民へのマーク表示の周知を図る趣旨から公募をしたところ、100件の応募があり、7月に発売の予定とのことです。
 しかし、醤油、植物油など組み換えDNAが検出できない加工食品や、組み換え食品が原材料の5%未満の加工食品については、表示の対象になっていませんし、慢性毒性検査などについても不十分で、検査方法の検討など対応を充実していく必要があります。
 遺伝子組み換え食品の安全性審査については、ことし4月食品衛生法の改正が行われ、義務付けられました。東京都は、市民の不安にこたえるため、ことしは未審査の遺伝子組み換え食品の流通を確認するために、検査機器の整備を行って監視・検査体制を整備していくということですが、区としても、市民の不安にこたえるために、区としての役割を果たすべきと思いますが、お考えをお聞かせください。
 ことしもまた食中毒の多いシーズンを迎え、6月1日に例年実施されている都の食品衛生夏季対策がスタートしました。新聞報道によれば、8月31日までの期間中、660人の職員が15万軒の飲食店を対象に立ち入り検査を行うほか、3万5,000点の食品を検査するということです。1日の初日は、中央区の築地市場場外に、都と中央区の職員13人が派遣され、魚介類や食肉、惣菜類の販売店など123施設を対象に、品質保持期限や原材料が正しく表示されているかどうかをチェック、その結果、4件の不適事例があり、適正表示などを指導したということです。区は、この期間中、遺伝子組み換え食品やアレルギー物質を含む食品の監視・指導なども含めたものとして実施することが必要だと思いますが、どのようなお考えでしょうか。
 2点目に、食品安全委員会についてお聞きします。
 第2期中野区食品安全委員会は、区長の諮問を受け安心できる食生活の実現に向けて、消費者、事業者、行政の具体的役割について答申を出しています。3者の連携の場づくり、的確な情報提供、区のホームページの活用、普及啓発事業の推進、食品安全確保のための監視・検査の充実、行政内部の横の連携、区民がどこに問い合わせをしても、必ず知りたいことに対応できる体制づくりなど、行政の具体的な役割として示された事柄について、どのように取り組みをしてきているのでしょうか。
 食品シンポジウムの開催については、今年度より休止となりました。しかし、経費をかけなくても、例えば、懇談会の開催や食品安全委員会を公開して意見交換することなど実施できないでしょうか。また、食品安全委員会は、条例により設置され財源も国の補助金を充てています。食の不安がますます大きくなっている現在、3期終了後、公募委員を増やすなどしながら、4期に向けて積極的に委員会を展開していくことが求められています。食品安全委員会にかかわる以上3点について、区の見解を伺います。
 次に、児童・生徒の意識調査については割愛をさせていただきまして、交通バリアフリー法施行に伴う基本構想づくりについて伺います。
 昨年11月から交通バリアフリー法が施行されています。議会におきましても、これまで何人かの議員の皆さんからこの問題についての質疑が行われています。今議会でも昨日、岡本議員が質問をされたところです。
 改めて言うまでもありませんが、この法は旅客施設の新設と大改良の場合には、法で規定された基本方針に沿って移動円滑基準に適合するバリアフリー化を義務付けました。また、車両への導入目標も明示されています。
 旅客施設については、区市町村が一定の旅客施設を中心とした地区を重点整備地区と指定し、基本構想を策定の上整備を進めることができるようになりました。駅周辺のまちづくりのためには、基本構想策定が重要です。
 基本構想には、区市町村が重点整備地区について駅や周辺の道路、広場、信号機などのバリアフリー化を一体的に進めるための方針や実施事業などを盛り込むことが必要であり、この基本構想に基づいて交通事業者、道路管理者、都道府県公安委員会はそれぞれ具体的な事業計画をつくり、バリアフリー化を進めていくことになります。
 国土交通省の資料によれば、今年度基本構想の策定を予定している自治体は、東京では目黒、杉並、北、町田、八王子、府中の各区市です。
 昨日、岡本議員もこうした紹介をされ、基本構想策定について質問されました。私も、今年度実施するバリアフリー実態調査と連動させて、この調査の結果を生かして中野区の基本構想策定をしていくことが、今後の中野区のまちづくりを進めていく上で重要であると考えています。どこに、どのようなバリアがあり、そのバリアをどのように改善するかを発見する作業がバリアチェックの活動です。そうした活動をしている区民、団体があります。区が行うバリアフリー実態調査の設計の段階で、団体の代表だけでなく、公募による当事者の参加も検討する必要があると思います。そうした結果を生かして基本構想を策定することは、市民参画のまちづくりを一歩進めることになります。昨日のお答えの中で、区の基本構想策定に向けた意思を述べられましたので、重なってしまい大変恐縮ですが、あらかじめ担当理事者には通告しておりましたので、改めて私からも区のお考えをお聞きしたいと思います。ただ、策定の時期についてはお答えがありませんでした。内容についての検討もこれからとお聞きしておりますので、また機会を見て内容についても提案させていただきたいと考えています。
 最後に、みどりの保全について伺います。
 ことしの春、上高田四丁目にある都営住宅の多くが建て替えのために取り壊されました。現在は、都営住宅建設用地として鉄線で囲われ、立ち入り禁止の看板がかけられています。広い範囲にわたって粗大ごみの不法投棄などがあり、無残な姿になっていますが、約1ヘクタールのこの用地には、樹齢50年以上と見られるメタセコイヤ、イチョウ、ケヤキ、アカマツ、クスノキなどの巨木がそびえ、コブシや23区内では珍しいたくさんの実をつけた10メートルの高さのマグワなどもあります。先月、5月1日にこの用地に隣接しているちびっこ広場の運営委員が植物の専門家とともに行ったこの地域の植生調査では、在来品種であるホウチャクソウ、キンミズヒキ、フタリシズカ、ムラサキケマンなどを含む約200種類の植物を確認しています。また、日本野鳥の会の専門家のお話では、同地域に生息する鳥の種類も多く、オナガ、ムクドリ、シジュウカラ、ツグミ、ヒヨドリなど17種が確認されています。これは、都内でも指折りの豊かな環境を誇る明治神宮や六義園に相当する種類だそうで、区内では貴重なみどりの宝庫となっています。
 ことし2月8日、区の条例に基づき新たな都営住宅の中層団地建設について、都の東部住宅建設事務所が主催して近隣住民への説明会が開かれました。しかし、説明会で示されたA、B、C3棟の建て替え計画では、前述した区内でも有数の緑地の大半が失われる可能性が高いと考えられます。都営住宅に現在も居住している世帯及び現在は退去しているけれども、建て替え後は戻りたいとの希望を持っている世帯などが居住できる住宅棟は、環境への十分な配慮をした上で建設し、残りは自然公園として貴重なみどりを保全することが必要だと考えます。居住者の権利の確保と自然との共生を目指した、新たな住宅計画案を住民と行政がともにつくることを考えていくべきです。東京都住宅局は、都市計画法の開発許可にかわって、「都が行う公共住宅建設に関する地域開発指導要綱」を定め、公共住宅を建設する場合における周辺の生活環境の整備について、区市町村の意向の確認について、また、都及び区市町村が策定する長期計画等と整合するよう配慮すると規定しています。
 そこでお尋ねしますが、東京都はこの建て替え計画をいつ策定し、区に対してはいつ提示をしてきたのか、これまで東京都とどのような協議を行ってきたのかお答えください。
 中野区は、ことし3月にみどりの基本計画を策定しました。中野のみどりの将来像を、「みどりを守り、みどりに守られ、自然の息吹を感じ、環境と共生するまち」として掲げ、身近な生活の視点からの「暮らしの中から見たみどりの将来像」と、中野区全体の中に空間配置した場合の「区内全体のみどりの将来像」として示しています。そして、区内における大規模な緑地として、旧江古田療養所跡地、哲学堂公園、旧中野刑務所跡地、警察学校、新井公園、旧東大附属跡地、上高田グラウンド周辺の7か所を指定しています。ただし、上高田グラウンドそのものは野球場とテニスコートだけですから、近接する都市計画公園予定地や都営住宅など周辺の緑地を取り込まなければ大規模緑地とはなりません。
 また、昨年3月に策定した中野区都市計画マスタープランの上高田地域におけるまちづくりの方向についての記述1では、災害に強く、安全で安心して暮らせる住環境づくりとして、上高田四丁目地区にある「特定住宅団地地区」を建て替える際には、周辺の住環境と調和を図りつつ、土地の高度利用による良質な住宅供給とともに、みどりの保全・育成やゆとりある空間を確保するなど、地域のまちづくりへの活用を進めるとしています。
 さらにその方向についての5では、みどりを育み、自然とふれあうまちづくりが述べてあり、「みどりの軸」は植樹帯の位置や河川沿いの公園の充実、公共施設や周辺建築物などの緑化推進により、みどり豊かな空間を育成するとともに、みどりの軸を骨格とし、みどりとオープンスペースの拠点や地域の公園などを有機的に結び、みどりのネットワークを形成する、としています。
 みどりの基本計画、都市計画マスタープランにおけるこれらの項目で強調されている「みどりを保全する」という区の姿勢とこの都営住宅建て替え計画は、明らかに矛盾しています。区はどのようにお考えかお答えください。
 2月8日の説明会は、建築基準法に基づき、建て替え計画のいわゆるA棟建設にかかわる日影の影響が出るおそれのある周辺住民に対して行われただけと聞いています。しかし、この計画の周辺環境に及ぼす影響の大きさを考えれば、不十分です。対象をこの計画に関心を寄せる多く人々にも広げ、改めて都市計画公園の対象地域を含めたこの計画案全体に関する説明が必要です。また、世田谷区、板橋区などの都営住宅建設に見られる自然との共生を目指す新しい公共住宅づくりのためにワークショップの開催など考えられると思います。都への働きかけが求められますが、区はどのようにお考えでしょうか、お尋ねします。
 最後に、区は、今後、区内全域のみどりの保全についての取り組みをどのようにしていくのかお考えをお聞きして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
     〔区長神山好市登壇〕
区長(神山好市) はっとり議員の御質問にお答えいたします。
 私からは、まず最初の行財政5か年計画における区民との協働についての御質問でございます。
 よその区でNPOなど新たな住民運動とのパートナーシップ、協働について事業委託をしたり、育成のための事業をつくったり、研究会をつくるなどさまざまな動きがあるのに、中野ではなぜこういう取り組みはできないのか、また、区の役割は何だというふうに考えているのかということでございますが、区としては、NPOを含めて民間の活動団体に対して区民との協働、あるいは区民と区との役割分担ということを踏まえまして、介護保険事業での運営委託、NPOに関する講座の開催、女性向け起業講座などさまざまな取り組みを進めてきたところでございます。
 区民とのパートナーシップ・協働の関係ということにつきましては、区と区民との役割分担を明確にすること、主体的に取り組んでいただける環境づくりをしていくこと、これらが大切なことだというふうに考えております。区の役割としては、行政からの情報提供や情報共有の仕組みづくり、活動のきっかけづくり、場の提供、相談や調整などがございます。こういったことが必要だというふうに考えております。協働においてより大切なことというのは、行政が援助という名のもとで、補助金で縛ったり、あるいは行政の補完といったようなことによって、区民と団体の主体性を損なうようなことがあってはならないということでございます。自主と参加と連帯ということを常に念頭に置きながら、今後も取り組みをしていきたいというふうに考えております。
 なお、団体補助、食の安全、バリアフリー調査の問題、みどりの保全につきましては、それぞれ担当部長からお答えさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
  〔行財政改革担当部長石神正義登壇〕
行財政改革担当部長(石神正義) 私からは、区民との協働についての御質問のうち、団体補助の見直し、これについてお答えさせていただきます。
 行財政5か年計画の策定に当たりましては、団体の活動補助についてもすべての事業を見直しの対象といたしまして、個別に判断したところでございます。見直しに当たりましては、区の役割と区民の役割につきまして、48年度に見直した補助金の基準をもとに今回整理を行いました。公益上必要な補助といったことだけに行うということにしたところでございます。公益的な活動に対して区がどのように関与するかは、さまざまな分野の活動について、それぞれに政策目的に基づいて検討を行うというものでございます。そうした判断を第三者にゆだねるということは、非常に難しいというふうに考えてございます。
   〔保健福祉部長浦野純子登壇〕
保健福祉部長(浦野純子) 私からは、食の安全確保についての御質問にお答えします。
 まず、遺伝子組み換え食品の安全性について、区の果たすべき役割についてのお尋ねでございますが、遺伝子組み換え食品の安全性につきましては、国、都、区が相互に役割を分担し、国が安全性審査の基準づくりや違反農作物輸入時の水際での防止に努めるとともに、東京都は広域流通食品の監視・分析と事業者団体への情報提供などを実施しています。
 一方、区の役割としましては、国や都などから情報の収集に努め、区民の不安にこたえるため、食品関係営業者や消費者に対し、それらをわかりやすく情報提供を行っていくとともに、監視・指導の際に適正な表示がなされているか監視し、指導を実施していくことであると考えております。
 次に、食品衛生夏季対策に遺伝子組み換え食品の監視・指導も含め実施することについてのお尋ねでございますが、毎年都と特別区では協力して、6月から8月の食中毒多発期に食品衛生夏季対策を実施しているところでございます。都では、これにあわせて遺伝子組み換え食品の監視を行うとしてございますが、区でも、この期間に遺伝子組み換え食品の適正表示にかかわります監視を実施する予定でございます。
 また、アレルギー物質を含む食品につきましては、その本格的実施は来年4月からでございますが、夏季対策の中であわせて適正な表示指導に努めていきたいと思っております。
 3点目、食品安全委員会についてのお尋ねでございます。
 第2期食品安全委員会答申に示された行政の具体的役割を受けての区の取り組みについて、お答えいたします。
 区は、食品安全委員会第2期答申を受けまして、消費者、事業者、行政の3者の連携の場づくりに向け、保健所主催の暮らしの安全展に消費者団体と事業者団体からも参加いただくとともに、消費者団体主催の消費生活展には、保健所から食品の安全をテーマに参加するなど、3者の連携に取り組んでいます。また、区民への的確な情報提供につきましても、シティテレビや区のホームページを活用して、食品の安全情報を提供しているところです。さらに、食品安全確保の充実を図るため、監視の充実や事業者の自主管理を推進するとともに、平成12年度からは、区民からの持ち込み検査を実施し、安全性の確認の要望にこたえてきたところであります。
 次に、食品シンポジウムにかかわるお尋ねでございますが、従来より消費者団体から保健所に対し意見交換の場を持ちたいという働きかけがあり、区としましても、そのような要請には積極的に対応しております。また、事業者を対象とした食品取扱者講習会や業態別講習会には、消費者の方々にも参加いただき、情報共有の場を設けてきたところであり、今後もこのような消費者、事業者、行政が交流できる場を推進していきたいと思っております。
 最後に、食品安全委員会の今後の展開についてのお尋ねでございますが、中野区食品安全委員会は、全国の自治体に先駆け設置し、これまで活動してきた実績があります。現在3期目の委員会も終盤を迎えていますが、区における食品の安全にかかわる施策の充実を図り、区民の健康を増進するために一定の役割を果してきたものと認識しており、食品の安全をめぐる状況を注視しながら今後の展開を考えていきたいと考えています。
   〔都市整備部長宮村光雄登壇〕
都市整備部長(宮村光雄) まず、交通バリアフリー法施行に伴う基本構想づくりについてお答えいたします。
 昨日もお答えしたとおりでございますが、今年度実施いたしますバリアフリー実態調査は、地域のバリアフリー化に向けた構想策定の基礎資料とするものでございます。この調査結果を踏まえまして、交通バリアフリー法の基本構想の策定については、今後、十分検討してまいります。
 次に、みどりの保全についててございます。
 上高田四丁目の都営住宅団地の建て替えに関しまして、都はこの計画をいつ策定し、区に対していつ提示してきたのか、都とどのような協議をしてきたのか。また、みどりを保全する区の姿勢と今回の建て替え計画は矛盾していると思うがどうか。都市計画公園の対象区域を含めた全体計画案に対する住民への説明会の開催などを都に働きかけるべきだと思うが、どうか。最後に、区内全域のみどりの保全について、今後の区の対応をという御質問でございます。
 上高田四丁目都営住宅の建て替えにつきましては、昨年10月に居住者との間で基本的な合意が得られたとのことで、区はことし初め基本的な方向について説明を受けております。その後、住宅局では建て替えに先立ちまして、平成12年度事業として計画しました遺跡調査、地質調査、木造住宅の除却工事を、近隣住民への説明を行った上で実施したものでございます。建て替えの具体的な計画案につきましては、今後、東京都住宅局に協議を求めていくこととしております。その際には、みどりの保全整備につきましては、都市計画マスタープランやみどりの基本計画の趣旨を踏まえまして、土地の高度利用による良質な住宅供給やゆとりある空間の確保などとともに、住宅局に要望してまいりたいと考えております。また、地域への説明会の開催などについても、住宅局との協議の進捗に応じて要望してまいりたいと考えております。
 最後に、区内全域のみどりの保全につきましては、行財政5か年計画に基づきまして、先ほどの都市計画マスタープラン、あるいはみどりの基本計画の将来像を目指した公園の整備、緑化の推進等に区民と協働して取り組んでまいりたいと考えております。
    〔はっとり幸子議員登壇〕
19番(はっとり幸子) 再質問いたします。
 最初の区民との協働というところで、区長がおっしゃるように区民の活動の主体を損なってはならないということは、本当にそのとおりだと思います。ただ、それだけで今まで、そこの点がわりあい重きを置かれて区は、私に言わせれば、何もしてこなかったというような実態があると思いますので、やはりこれから新しい時代に向けてどうしていくのか、ということをもう少し明快に、具体的にということで御質問させていただいたんですけれども、お願いいたします。
 それから、補助金の問題についてなんですけれども、個別に判断をしているというお話がありました。その判断の基準は、20年前の補助金検討会の答申に基づいてというお話だったと思いますけれども、これまで約20年間、本当に補助金については、確かに区としても悩ましい問題ではあるというふうに私も思いますけれども、なかなか担当課、それぞれの事業課に補助金というのがついていますし、なかなかそこで顔を知った関係ということになりますと、お互い人間同士ですから、切れないというような状況もありますので、やはり第三者にゆだねるということの必要性というものが私はあるというふうに思います。
 先ほどのお話では、区としての政策についての責任というような意味で、第三者にゆだねることはしないというお話でしたけれども、例えば、我孫子市、もう3年ぐらいになりますか、私たちの会派で補助金に関する視察でお話を伺ってきたんです。それはスタートする前だったので、今回、どういうふうにスタートしてからどうだったかということを財政課の方にお聞きしました。やはり財政効果については、今1,000万の財政効果、約1,000万ということでした。それと、白紙に戻して申請方式にしたということで、新しい区が知らなかった団体、市民の公共的な活動をしている団体が入ってきて、それはとても区にとってもよかったというようなお話もあって、両面でそうした取り組みへの効果というものがあったというふうに聞きました。
 第三者にゆだねない、責任ということでおっしゃるのはわかりますけれども、でも20年間やはりそれが、あの答申どおりやってこれなかった、それはやはりそこに問題があると思いますし、やってこれなかった内部の行政と区民とのいろんな関係を考えますと、第三者に決定をゆだねるということも必要ではないかなというふうに思うんですけれども、その点についてお伺いをしたいと思います。
 それから、みどりの保全についての上高田四丁目都営住宅の建て替えですけれども、本当に今どんどん進んでおりますし、大変区が急いで取り組みをしてくださらないと、なかなか環境保全、これだけの貴重なみどりを守るということにはつながっていかないと思うんです。それで1月の、ことし初めというふうにお話がありました、お聞きになったそのときから今までに地域の方々の意見聴取については、区はどのようにされてきたのか、その点について再質問をさせていただきます。
     〔区長神山好市登壇〕
区長(神山好市) はっとり議員の再質問にお答えいたします。
 区民との協働、もう少し具体的にということでございますけれども、民間の活動団体、この活動団体に対して行政が援助、あるいは支援というような形で関与していくということではなくて、それぞれの役割分担を明確にしていくということが必要だというふうに考えております。
 そこで、先ほど申し上げましたように情報の提供、あるいは情報の共有の仕組みづくり、活動のきっかけづくり、場の提供とか相談、調整、こういったことが行政として果していかなければならない役割だというふうに考えております。特に、業務の委託というような形が出てまいりますと、これは協働とはまた違った形で事業の主体と受託者との立場というようなことにもなりますし、これは委託なんかのケースとは、また別にはっきりと分けていかなければいけないというふうにも思っております。そんな中で、それぞれの団体、区民の主体性というものを損なわないように、個々に判断をしていかなければならないというふうに考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
  〔行財政改革担当部長石神正義登壇〕
行財政改革担当部長(石神正義) 再質問にお答えいたします。
 20年間答申どおりにやってこれなかった、こういうことを考えると、その判断を第三者にゆだねてもよいのではないかということでございますけれども、今回の行財政5か年計画の策定に当たりましては、こういった反省に立ちまして、全庁を挙げてすべての事業を見直すということから始めたものでございます。そういう中で今回、区と区民の役割を改めて明確にしようということから、さらに切り込みを行うということをしたものでございます。政策目的に基づいて個々にその公益的な活動について判断をしていくということでございまして、その判断を単純にそういった経験もなく、第三者にゆだねていってしまうということについては、現状の中では非常に難しい。今の中、5か年計画でやってきた内容を十分理解してもらうという活動にすべきではないかというふうに考えてございます。
   〔都市整備部長宮村光雄登壇〕
都市整備部長(宮村光雄) みどりの保全についての再質問にお答えいたします。
 先ほども答弁申し上げましたけれども、区といたしましては、建て替え計画の中身についての協議をまず優先させたいというふうに考えておりまして、近々住宅局から具体的な話を聞くということになっております。地域からの声につきましては、今のところ特に私のところには届いておりません。
 先ほどからみどりの保全ということで、非常に重点を置いて御発言をいただいておりますけれども、私どもはこういった住宅団地の建て替えに当たりましては、みどりの保全ももちろん大事ですし、一方では、高齢者を含めまして公共住宅の確保、あるいは道路を含めた公共空間の確保等もあわせて調和のある整備を図っていくべきであろうというふうに考えておりますので、そういう視点で調整を図ってまいりたいというふうに考えております。
議長(斉藤金造) 以上ではっとり幸子議員の質問は終わります。
 お諮りいたします。議事の都合により本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(斉藤金造) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
 本日は、これをもって延会いたします。
      午後3時58分延会