1.平成30年(2018年)6月29日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(41名)
1番 加 藤 たくま 2番 若 林 しげお
3番 日 野 たかし 4番 杉 山 司
5番 ひやま 隆 6番 山 本 たかし
7番 渡 辺 たけし 8番 細 野 かよこ
9番 羽 鳥 だいすけ 10番 いでい 良 輔
11番 高 橋 かずちか 12番 内 川 和 久
13番 木 村 広 一 14番 甲 田 ゆり子
15番 小 林 ぜんいち 16番 中 村 延 子
17番 内 野 大三郎 18番 小宮山 たかし
19番 広 川 まさのり 20番 欠 員
21番 佐 野 れいじ 22番 北 原 ともあき
23番 伊 東 しんじ 24番 平 山 英 明
25番 南 かつひこ 26番 白 井 ひでふみ
27番 森 たかゆき 28番 いながき じゅん子
29番 石 坂 わたる 30番 小 杉 一 男
31番 い さ 哲 郎 32番 大 内 しんご
33番 高 橋 ちあき 34番 伊 藤 正 信
35番 篠 国 昭 36番 小 林 秀 明
37番 久 保 り か 38番 酒 井 たくや
39番 近 藤 さえ子 40番 むとう 有 子
41番 長 沢 和 彦 42番 来 住 和 行
1.欠席議員
な し
1.出席説明員
中 野 区 長 酒 井 直 人 副 区 長 本 田 武 志
政 策 室 長 朝 井 めぐみ 経営室長、新区役所整備担当部長 髙 橋 信 一
都市政策推進室長 奈 良 浩 二 地域支えあい推進室長 野 村 建 樹
区民サービス管理部長 上 村 晃 一 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 戸 辺 眞
健康福祉部長 小 田 史 子 保 健 所 長 向 山 晴 子
環 境 部 長 白 土 純 地域まちづくり推進部長 角 秀 行
都市基盤部長 豊 川 士 朗 政策室副参事(企画担当) 杉 本 兼太郎
経営室副参事(経営担当) 石 濱 良 行
1.本会の書記は下記のとおりである。
事 務 局 長 吉 村 恒 治 事務局次長 古 本 正 士
議事調査担当係長 鳥 居 誠 書 記 立 川 衛
書 記 若 見 元 彦 書 記 井 田 裕 之
書 記 冨 士 縄 篤 書 記 野 村 理 志
書 記 鎌 形 聡 美 書 記 遠 藤 良 太
書 記 松 丸 晃 大 書 記 古 谷 友里香
書 記 吉 田 光 洋 書 記 有 明 健 人
議事日程(平成30年(2018年)6月29日午後1時開議)
日程第1 第47号議案 中野区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
午後1時00分開会
○議長(いでい良輔) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、伊東しんじ議員、平山英明議員、長沢和彦議員、中村延子議員、いながきじゅん子議員、高橋かずちか議員、小林ぜんいち議員、いさ哲郎議員、酒井たくや議員、渡辺たけし議員、高橋ちあき議員、久保りか議員、森たかゆき議員、北原ともあき議員、加藤たくま議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員、細野かよこ議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。
中野区議会議員 伊 東 しんじ
1 施政方針と区長の選挙中の公約について
2 その他
○議長(いでい良輔) 最初に、伊東しんじ議員。
〔伊東しんじ議員登壇〕
○23番(伊東しんじ) 平成30年第2回定例会に当たり、自由民主党議員団の立場で、新区長の施政方針と区長の選挙中の公約について質問いたします。その他はございません。
まずは、酒井区長の当選をお祝い申し上げます。
私ども自民党は、今回の選挙に際し、革新区政の再来だけは阻止すべく戦ってまいりましたが、結果は御承知のとおりです。なぜ、我々が革新区政の誕生を忌み嫌うのかは、中野区の歴史をひもとけば明確であります。そのため、最初に戦後の中野区政の歩みを振り返ることといたします。
戦後、日本経済は昭和29年から20年間続いた高度成長期に大きく力をつけ、産業も鉄鋼・造船・化学などの重化学工業を中心に飛躍的発展を遂げました。この間、国民所得も順調に伸び、2倍以上に成長しました。昭和48年第一次オイルショックが起こり、それを境に日本経済はいわゆる安定成長期に入り、産業も重化学工業にかわって自動車や家電の輸出産業の躍進が進み、安定的な成長が平成の初頭まで続きました。
こうした日本経済の成長を背景に、中野区政では選任制であった区長の選挙が安定成長期初頭の昭和50年に復活し、昭和54年の区長選挙において、日本共産党や進歩的文化人でつくる「みんなで中野をつくる区民連合」を支持母体とする青山良道氏が当選し、23区で唯一の革新区政が誕生し、中野の革新区政が始まりました。青山区政時代は、土地を購入しては施設、公園整備が進められ、あらゆるサービスを区が抱え込み、それを担う職員数も増加し続けました。こうした行政運営も安定成長経済に支えられ、伸び続ける税収があって実現し、推移してきました。
この安定成長も平成3年バブル経済崩壊により終えんを迎え、経済は低成長期に突入し、20年にも及ぶ不況が日本を包みました。
中野区政では安定成長期の終盤の昭和61年、青山区長が在任中に急逝し、その後行われました区長選挙において、当時助役であった神山好市氏が革新勢力の支援を受け当選、平成14年まで神山区政が続きました。この神山区政の2期目にバブル経済が崩壊し、減収、財政逼迫の時代が到来しましたが、神山区政はこうした減収の流れを読み切れず、サービスの拡充や施設の開設を続け、財政破綻の道を歩み始め、区債発行残高は279億円から501億円に膨らみ、ピーク時290億円あった基金も57億円に減少しました。
当時の23区の平均基金残高が261億円で、中野区はこれを大きく下回るとともに、23区中23番目の基金残高となり、財政再建団体の基準水域に近づくに至りました。こうした抜き差しならない区財政の中、田中区政が誕生し、財政健全化に取り組み、現在の財政構造が確立されました。しかし、革新区政時代に建設された区有施設について、整理再編、更新という課題がいまだ重い負担を残されています。
こうして振り返れば、中野の革新区政時代は経済の動向に疎く、計画性なく、やみくもに施設、職員をふやし続け、中野区の財政状況の悪化を招いてきました。
今回、区長は立憲民主党、日本共産党の支援を受け当選されたことから、我々はこれまで再建の道を歩んできた区の財政が再び無軌道な放漫経営へ逆戻りすることを懸念し、危惧します。現に、区長の選挙中の公約、施政方針を見ると、区政の健全化から逸脱し、再び施設・職員をふやそうとする力が働いていると感じます。また、区政全般に対する認識についても疑問符を投げかけざるを得ず、掲げた政策の実現はスタートからつまずきが危惧されるものとなっています。
我々自民党は、中野を取り巻く諸課題の解決や、将来的にも安定した財政に裏打ちされた区民サービスの拡充を希求しており、区長が革新勢力の圧力による放漫経営の道を歩まれるのであれば、その道に立ちふさがり、正面から対峙することは避けられません。そうした観点から自民党を代表して質問してまいります。
区の抱える諸課題について、私の認識は、現在、中野区だけでなく日本全体が過去に経験したことのない多くの重大な課題に直面していると感じております。しかし、区長は施政方針で、直面していきます、とおっしゃられています。そうした課題に対する認識、対峙姿勢に緊迫感が感じられません。また、超高齢化社会の到来、人口減少、グローバル化の進展、国の財政政策による影響など区を取り巻く社会経済情勢は大きく変化し、備えとして新たな基本構想を制定したいと述べられています。
そこで、少子高齢化、人口減少社会、生産労働力不足、社会保障の不安払拭、グローバル化、枯渇するエネルギー資源対策などの諸課題をどのようにとらえ、どう対処すべきか、区長のお考えを伺います。
続いて、区長が区長選に際し示した公約、政策協定や、今定例会で示された所信表明に照らして質問を行ってまいります。
最初に、基本構想、基本計画について伺います。
区長は、政策協定、施政方針説明で、基本構想と10か年計画の見直しを掲げ、区民ワークショップや審議会による見直し方針を示しました。見直しの目標は、「多様な生き方や個性、価値観を受け入れることのできる地域社会を築き、区民の皆さんが将来にわたって安心して暮らし続けていける中野」とされました。あまりにも漠とした目標であり、ユニバーサルデザイン推進条例の焼き直し程度の印象にしか受けません。このような目標のもとでは、区民や審議会委員の方も前向き、建設的な議論をしにくいのではと考えます。
改定の具体的方向性も示さず、全てを区民や審議会に丸投げすることを考えていらっしゃらないとは思いますが、そうだとしたらあまりにも主体性に欠け、リーダーとしての資質を疑わざるを得ません。区長として、基本構想改定の理由と改定の必要性のある項目について詳細な御答弁をお願いします。また、施政方針説明では、見直しスケジュールが示されませんでした。スケジュールについてもお示しください。
次に、区長の区政への住民参加についての考えを伺います。
区長は政策協定において、区政を担う上で住民参加を基本とするとし、そのために形骸化した自治基本条例を再生し、憲法と自治基本条例に基づく区政への住民参加を訴えました。
また、施政方針では、自治の原点である住民参加を促す区民との対話の場を設け、参加を工夫し、政策形成に当たって政策立案から決定、実施、評価に至る過程を区民に検証可能な状態で公開し、区民が主体的に政策づくりに関与できる環境づくりを行いますと表明され、自治への区民参加、政策への区民関与を重視する姿勢を示されました。
区政への区民の積極的な意思表明は大切であり、自治への住民の参加も重要です。しかし、この意思表明が単なる好き嫌いや単なる要求にとどまるのであれば、住民の参加による自治とは言えません。意思表明の結果に責任を持ち、参画することが真の住民自治と私は考えます。
そこで、住民参加について伺いますが、区長は憲法と条例に基づく区政への住民参加を目指すとされましたが、区長の言う憲法に基づく区政への住民参加の真意について、具体的な御答弁をお願いします。
続いて、区長の言う自治基本条例の形骸化、再生について伺います。
現在の自治基本条例は、1章総則において目的、自治の基本原則、区民、議会、執行機関、区長の役割、責務が定められ、2章では行政手続の明確化、行政運営の公平性、公正性の確保と透明性の向上、行政活動の目標設定と達成度の評価による改善や公益通報、不利益救済、個人情報保護について規定され、3章、4章では区民参加の手続、区民合意の尊重、5章では条例の位置付け、6章で条例の区政への反映の検証、見直しについて定めています。
現在の行政手続は、条例に定められた手続きにのっとり住民参加が反映されており、形骸化との指摘は、私は当たらないと考えます。区長は、何をもって自治基本条例が形骸化しているとするのか。具体的に、自治基本条例の形骸化している点、自治基本条例再生会議をもって再生すべき点について御答弁をお願いします。区民への丸投げでないことを期待し、お尋ねいたします。
次に、憲法擁護、非核都市中野区宣言の推進について伺います。
中野区において憲法擁護・非核都市の宣言は昭和57年、青山区政時代に宣言されました。宣言では、国際平和の希求や戦争放棄を位置付けた憲法を擁護し、核廃絶の訴え、人類の暮らし、命の営みを守るとしています。
また、平成2年の神山区政時代には、宣言に基づき中野区における平和行政の基本に関する条例が制定されました。条例には、憲法の基本理念である恒久平和の実現に努めるとともに、区民が平和で安全な環境のもと、人間としての基本的な権利と豊かな生活を追求できるよう、平和行政を推進するとし、日本国憲法に規定する平和の意義の普及、平和に関する情報の収集及び提供、国内及び国外の諸都市との平和に関する交流、その他、この条例の趣旨に基づき区長が必要と認める事業といった、四つの事業の推進を掲げております。
区長は、政策協定で憲法擁護、非核都市中野区宣言の推進を掲げましたが、施政方針において平和行政については全く触れていません。平和行政をどのように進めるのか伺います。また、区長の平和維持、安全保障に対する御見解を求めたいと考えます。御答弁をお願いします。
続いて、政策協定で区政を転換する基本的課題について、基本構想と10か年計画の区民参加による全面的検証、見直し。形骸化した自治基本条例の再生による、区民が主役の活力ある区政の復活。区民の財産である公共用地の安易な売却計画。基金の使い道は区民参加で決める。この四つの項目が政策協定に掲げられ、区政転換の基本的課題とされています。さらに、この1項目目の基本構想と10か年計画の区民参加による全面的検証、見直しの段では、1.緑と樹木、貴重な広場を犠牲にする平和の森公園再整備、哲学堂公園整備などの計画、2.1万人アリーナなど、巨大開発偏重の都市整備事業、3.公立幼稚園廃止、全公立保育園民営化、児童館など子育て施設の統廃合などの計画、これらを急いで検討すべきとされました。
これについて、最初に3項目に多用されている「など」という表現について伺います。
項目には、「平和の森公園再整備、哲学堂公園など」、「1万人アリーナなど」、「公立幼稚園廃止、全公立保育園民営化、児童館など、子育て施設の統廃合など」と、短いセンテンスの中に4回も「など」という言葉が用いられています。「など」とは、言外の含みを持つ表現であり、例示以外に何らかがそこに存在することの示唆に当たります。一つひとつの「など」について、具体的な説明を求めます。答弁をお願いします。
次に、3項目の政策決定に係る区民参加手続について伺います。
この3項目はこれまでも方針、計画あるいは設計といった政策決定、事業化の手続におきまして、区民参加による意見聴取が行われてきたと私は認識しております。こうした手続きについて検証し、区長の認識、見解を伺ってまいります。
平和の森公園再整備では、基本計画策定時に3回の区民説明会、3回の意見交換会とパブリックコメントを行い、さらに基本設計時に3回の区民説明会が行われ、手続きに瑕疵は見当たりません。しかし、区長は、2期工事の300メートルトラックとバーベキューサイトの必要性について再検討するとされました。その理由をお尋ねします。
また、区長が言う2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けてのアスリート支援との相関関係について、区長の見解を求めます。
哲学堂公園整備については、基本計画策定時、基本設計時に区民説明会・意見交換会をあわせて4回と、さらにパブリックコメントが行われ、これも回数こそ少ないが、手続き上の瑕疵は見当たりません。しかし、区長は利活用のビジョンをいま一度議論し、ビジョンに基づく駐車場、学習展示施設、管理棟の必要性、規模を判断するとされました。区長の言う利活用のビジョンとは一体何なのか。哲学堂公園周辺の歴史・文化の価値・魅力を磨き、より多くの来街者を集める都市観光拠点の形成のための公園自体の利活用のビジョンであるのか、哲学堂公園内の諸施設の利活用ビジョンを示すのか、真意をとらえかねています。
いずれにせよ、哲学堂公園及び哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画の中に位置付けられ、議論を重ねた計画に対し再検討を求めるのですから、議論すべき利活用について具体的内容と、その理由についても示すべきと考えます。御答弁をお願いします。
1万人アリーナは、中野四丁目新北口地区まちづくり方針案で、大規模な集客交流施設として他の施設とともに方向性が示され、策定の過程で2回の意見交換会が行われました。また、アリーナの検証も、スポーツ産業インフラであるスタジアム・アリーナ改革推進のため、平成29年度スポーツ庁に設けられた「スタジアム・アリーナ改革推進事業先進事例形成支援」の委託事業を受け、官民連携による(仮称)中野駅新北口駅前エリアアリーナ整備官民連携協議会が検討を行い、ことし3月にはその報告書がまとめられています。
報告書では、中野駅新北口駅前エリア再整備事業の全体計画に触れ、その中でアリーナの位置付けや社会動向、事業構造、収益性、アリーナによる周辺地区への影響等、さまざまな角度から検証がされています。区長は、この検証結果のどこに不足があり、再度の検証を必要とされるのか、具体的な御答弁をお願いします。
関連して、区長が選挙中に発言された中野サンプラザの存続について伺います。
今回の選挙戦では、区役所・サンプラザ地区再整備事業に関連し、にわかにサンプラザの存続が争点とされ、酒井区長も勢いからサンプラザを残すとの発言をされたようです。区長は、こうした発言のほか、当選後の都政新報の取材に対し、サンプラザの存続の可能性は当然あると発言し、さらには今まで残すか否かの議論がされなかったとまで発言されました。また、中野駅周辺の再開発計画をゼロベースで見直し検討するため、区民参加の検証委員会で再検討するとも発言されています。その真意について伺います。サンプラザ存続に対する区長の見解を改めて伺います。
次に、中野駅周辺再開発計画の見直しについて、検証委員会の構成と検証項目、検証期間についても伺います。
次に、公立幼稚園廃止、全公立保育園民営化、児童館など子育て施設の統廃合などの計画について伺います。
こうした教育・子育て関連施設について方向性が示され、議論の上確定したのは13年前の基本構想、10か年計画制定時であり、10か年計画にもしっかりと位置付けられております。この基本構想については、区長もみずから、制定に際し区民ワークショップやシンポジウムなど広範な区民参加による議論を経て、制定されたとおっしゃっておられます。しかるに区長は、みずから認める区民参加による合意形成の上に成り立っている、これら教育・子育て関連施設についての見直し計画を覆し、区立施設の存続を訴えられました。その理由は、区立保育園、区立幼稚園は区が運営のノウハウを保持し、民間事業者の指導・評価を行うためとされました。
しかし、幼稚園、保育園の評価は第三者評価が監督官庁によって求められ、評価基準も示されています。こうした状況下にあって、幼稚園、保育園の評価のためや指導のために区立施設を存続させることの区長の方針は根拠に当たらないと考えます。御答弁をお願いします。
次に、児童館について。
区長は、廃止が決まっている児童館は、子育てにかかわる多世代が地域で交流する機能として必要としています。しかし、児童館によって行われてきた放課後の児童の居場所と学童クラブは学校内に設置され、民間事業者に運営委託されるキッズ・プラザに移行。同じく児童館で行われていた子育て広場は、区有施設はもちろん民間の施設も含め、多様な形で施設整備、開設され、民間への運営委託による子育て親子の交流の場の提供と交流の促進、子育て等に関する相談、援助の実施、地域の子育て関連情報の提供、子育て及び子育て支援に関する講習等の実施を目指す方向性が示されています。
こうした機能転換の情報を提供せず、廃止による不安をあおる行為は、明らかに事実を歪曲した情報操作、ブラックプロパガンダであります。区長の見解を伺います。
こうして区長が急ぎ検討すべきとした3項目の政策決定に際しては、いずれも自治基本条例にのっとった区民参加により政策決定がなされてまいりました。また、政策決定に当たっては関連する請願、陳情も多数議会に寄せられ、議会はこれら一つひとつの請願、陳情に対して丁寧に審査を行い、それぞれに意思を示してまいりました。さらに、予算編成や事業化の過程では、議案という形で議会の判断が求められ、その都度、議会意思も示してまいりました。区民の直接の参加のほか、議会の議決を経た政策を覆すことは、住民参加や議会をも否定することにつながり、民主主義の否定にもつながり、断じて許容することはできません。
区長は、基本構想の制定を区民ワークショップや審議会をはじめ、多くの区民と意見交換を重ねるという一方で、3項目の検討だけは急ぐべきとしています。これでは、区長が言う区民参加や丁寧なプロセスを重んじる区民参加は口先だけの底の浅いものととらえられかねません。3項目の検討と同時並行して進む基本構想、10か年計画の策定プロセスとの関連について、区民の参加による政策決定を重視する区長の政治姿勢に照らして、御答弁をお願いします。
次に、3項目の政策変更による影響について伺います。
平和の森公園再整備は、2期工事も含め既に工事契約が結ばれており、その財源に都市計画交付金が見込まれています。また、2期工事もことし10月着手が予定されており、受注業者はその準備のため既に資材を発注していると聞いております。また、開設時期は平成31年度を予定しており、この段階での方針変更は発注者による契約変更で、一定の違約金の発生が想像されます。また、政策変更の手続きについては、工事の遅延や開設時期の遅延にもつながります。
哲学堂公園整備についても、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに主たる整備の完了を目指す哲学堂公園及び哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画にのっとり事業化が進み、予算が編成されています。同時に、学習展示施設の設計では、変更の内容いかんによっては設計費、コンサルタントの委託料といった新たな財政負担が生じるだけでなく、国の名勝指定も視野に協議を進めてきた関係機関や東京都、民間協力事業者との信頼の失墜も想定されます。
また、1万人アリーナを含む区役所・サンプラザ地区の再整備事業も連動する中野駅地区整備計画や中野駅西側南北通路・橋上駅舎等事業との密接な関係にあり、スケジュールも連動しています。全体スケジュールに影響を及ぼさないことを前提に事業内容の検証を行うとすれば、検証期間は三、四カ月程度に限られることが想像できます。区長が言うゼロベースでの見直しとなると、経済的な損失ははかり知れず、区役所・サンプラザの土地を活用して区庁舎建設の財源を捻出する構想の破綻にもつながる可能性があります。こうしたまちづくり事業の見直しによる影響について説明を求め、区長の対応を伺います。
また、公立幼稚園廃止、全公立保育園民営化、児童館など子育て施設の統廃合などの計画見直しは、区有施設の長期保全計画である公共施設総合管理計画の見直しが必要とされ、施設の維持、更新に要する財源の新たな負担が必要とされます。また、区長は、児童館について一定程度の存続と言われますが、地域間で施設の偏在が生じないよう公平性を担保すれば、一定程度の存続にとどまることは想定できず、全館存続、最低でも区民活動センター圏域に1館の存続が求められることが想起され、必要な経費も相当額に達します。これは、明らかに小さな区役所による経営の合理化方針に逆行し、施設、職員の増加につながり、先祖返りの政策と言えます。区長が一定程度存続させるという施設数を存続させることによる財政への影響について、単年度の経常経費に加え、施設維持、更新に要する費用も含め、御答弁をお願いします。
区長は、待機児童対策に保育園の新規開設の促進、保育人材確保、保育の質向上に向けた対策を実施するとしていますが、区立施設を継続するに必要な経費を待機児対策や行政サービスの拡充、質の向上に振り向けるべきと考えます。区長のお考えを伺います。
次に、区長は、区民の財産である公共用地の安易な売却計画を見直すとしていますが、施政方針では触れられず、公共用地の安易な売却計画がどの計画を指すのか明確に示されていません。区の計画で公共用地の利活用や売却について触れられているのは、10か年計画と公共施設総合管理計画があり、10か年計画では未利用施設5カ所について売却の方針が示されていますが、あくまでも方針であり、温暖化対策推進オフィスのように活用を方向転換した例もあります。また、公共施設総合管理計画では、6項目の方針を掲げて資産は有効活用するとしています。何をもって公共用地の安易な売却計画とし、どのような見直しを図るつもりなのか、御答弁をお願いします。
続いて、区長の基金に対する御所見を伺います。
政策協定では「基金の使い道は区民の参加で決めます」と、随分乱暴な表現を用いられ、基金の使い道に触れています。これでは、毎年の予算議会でまちづくりや基金をターゲットに繰り返す共産党の組み替え動議と何ら変わらず、全体を俯瞰し、長期的視野に立って政策を立案すべき区長候補が結ばれる協定とは到底考えられません。基金の使い道は区民の参加で決めますとした真意を具体的に説明してください。
中野区の基金総額は、冒頭触れたように革新区政時代に57億円まで減少し、現在は676億円にまで回復し、総額としては不安のないように見えます。しかし、基金は、基金の目的や将来生じる行政課題への認識に基づく政策的判断により決定されるものであり、基金総額をもって論じるべきものではありません。また、区の基金は、財政調整基金、減債基金、特定目的基金から構成され、それぞれ条例に目的、使途が定められています。そこで、中野区が現在置かれている現状と将来に生じる区政課題に照らして、区長のそれぞれの基金についての分析、見解をお伺いします。
質問の最後に、すこやか福祉センターの8カ所整備の考え方について伺います。
すこやか福祉センターは、地域包括ケアシステムの重要な要であり、区民全体を対象とした、よりよい地域包括システムの構築を目指すのであれば、すこやか福祉センターの機能強化は必須であります。現在のすこやか福祉センター4館は、圏域が広過ぎること、同時に対象人口が多過ぎることから、我が自民党が現在の圏域を分割し、4館から8館へ増設を求めたのに対し、区は8館構想をさきの定例会で示されました。
しかるに、区長は、施政方針においてすこやか福祉センターの8カ所整備の考え方について再検討するとされました。全ての区民を対象とした地域包括ケアシステムの構築、すこやか福祉センターの機能強化、認知症対策・支援などをうたわれた区長が、8カ所を見直し4カ所へ戻すとは想像しがたく、発言からの真意が伝わりません。説明を求めます。
今回の選挙結果と区長の公約、施政方針を聞くにつけ、私は2010年に誕生した民主党政権による国政運営を思い起こしました。さまざまな公約、マニフェストを掲げ、国民の期待を一身に受け誕生した民主党政権でしたが、公約実現のため目論んだ埋蔵金は事業仕分けによっても見出せず、単なるパフォーマンスと揶揄され、「コンクリートから人へ」のスローガンに基づいて利根川水系の多目的ダムの八ツ場ダム工事を中止させ、いたずらに混乱を招きました。
また、日本の安全保障の基軸である米軍基地問題にしても、鳩山由紀夫氏は沖縄の普天間基地を取り上げ、「最低でも県外」と県外移設を公約し目指しましたが、進展は見られず、既定路線であった辺野古移転計画も暗礁に乗り上げました。遅々として進まない基地問題に不信を募らせたオバマ大統領に対し、鳩山首相は「トラスト・ミー」と重ねての早期決着を確約したのですが、結果はさらなる信用の失墜を招いただけでした。
菅内閣でも政策の実現は進まず、さらに発生した東日本大震災によって危機管理能力の低さが露呈し、結果として3年にわたる国政における政治空白を招きました。中野区政において政治空白が生じないことを願いまして、私の全ての質問を終わります。御静聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 伊東議員の質問にお答えいたします。
まず1点目に、施政方針の中での少子高齢化などの諸課題への対応というところでございます。少子高齢化と人口減少の進行、特に生産年齢人口の減少は、地域経済の減退と地域活動の担い手不足を生む主な原因となると認識しております。また、医療、介護、福祉、子育てなどの社会保障費の増大、税収の減少などさまざまな課題に今後直面していくと考えております。このため、子育て第一の地域社会の構築や、全ての区民を対象とした地域包括ケアシステムの構築、まちの魅力の向上などの取り組みを推進し、区民の皆さんが将来にわたって安心して暮らし続けていける中野のまちをつくっていきたい、そのように考えております。
次に、基本構想の改定理由、項目、スケジュールについてでございます。現在の基本構想は、平成17年に制定して以来2回改定しておりますが、広範な区民参加による議論を経たものは制定時のみでございます。以来、それから13年が経過しております。この間の区を取り巻く社会経済情勢の変化、人々の暮らしや価値観の多様化なども踏まえ、多くの区民の皆さんと意見交換を重ねながら、次の時代の中野の姿を改めて描いていきたいと考えております。
基本構想の制定に当たっては、年度内を目途に審議会を立ち上げ、あわせて区民ワークショップ等の区民主体の検討組織を発足させることなどを考えています。スケジュール等の詳細は、今後検討の上、お示しいたします。
それから、憲法に基づく住民参加の項でございます。憲法第92条には、地方公共団体の運営に関する事項については地方自治の本旨に基づいて法律で定めることとされております。区政への住民参加は、その自治体の住民の意思に基づくという住民自治にのっとったものであり、こうしたことから憲法と自治基本条例に基づく住民参加と表現したものでございます。
それから、自治基本条例の再生の点でございます。自治基本条例には、区民の区政への参加の権利を保障する理念について既に規定されておりますが、政策に反映された区民の声はわずかであったと認識しております。施策の企画立案、検討の段階から区民が意見を表明し、それを施策に反映するよう改善していきたいと考えております。
次に、平和行政の推進、平和維持と安全保障についてでございます。区は、平和行政の基本に関する条例に基づいて、日本国憲法の基本理念である恒久平和の実現に努めるとともに、区民が平和で安全な環境のもとに人間としての基本的な権利と豊かな生活を追求できるよう、平和行政を推進してきております。今後も、憲法擁護、非核都市宣言の精神に基づいて、平和の意義の普及に向けて平和事業を継続して推進していきます。
安全保障政策は、国の重要な責務でありますが、今後も憲法擁護、非核都市の宣言を行った自治体として積極的に平和行政を推進していく、そのように考えております。
次に、施政方針の中の急いで検討すべき3項目に含まれる政策ということで、「など」という表現についてでございました。この「など」については、それぞれ長寿命化計画に基づく公園施設の管理と方針、それから子育て広場を含む子育て施設、子育て施設の機能転換、それから中高生の居場所づくりの計画ということで「など」を考えております。
それから、次に平和の森公園の第2工区工事内容再検討の理由についてでございます。これについては、多くの区民の皆さんがトラック機能、それからバーベキューサイトの必要性に疑問を持っており、十分な議論が必要と考えたため再検討を行うものでございます。
次に、300メートルトラックの見直しとアスリート支援の関係でございます。東京2020大会を2年後に控え、今後スポーツの機運がさらに高まっていくことを契機として、中野から優秀なアスリートを持続的に誕生させる仕組みをつくり、区民が一体となって応援する文化をつくっていきたいと考えております。そのためには、一定のスポーツ環境の整備が必要であると考えております。しかし、300メートルトラックの整備を見直した場合であっても、新体育館やスポーツコミュニティプラザなど今後もスポーツ環境は充実していく方向でございます。それらの施設を活用して、さまざまな競技力向上の取り組みを実施していきたいと考えております。
それから、哲学堂公園の整備における利活用ビジョン、この再議論の意味についてでございます。これについては、学習展示施設、管理棟などのあり方から文化財的価値の活用による観光への寄与について再議論が必要であると考えております。
次に、アリーナ協議会報告書についてでございます。区では、昨年11月にスポーツ庁の採択を受け、中野駅新北口駅前エリアアリーナ整備官民連携協議会を開催し、ことしの3月に報告書を取りまとめたところでございます。協議会は、有識者や区内経済団体などの委員により、アリーナを基点としたまちづくりのあり方や収益性の高いアリーナに向けた整備と運営のあり方などが議論されたものであり、これ自体には不足はないと考えております。検証については、整備するとしている集客交流施設がアリーナという施設形態か、それから1万人という規模でよいのかどうか、これを改めて議論したいと考えております。
続きまして、中野サンプラザについてでございます。中野サンプラザは、ことし開業から45年を迎え、中野のシンボルであり、区民の愛着や思いが詰まった施設であると認識しております。中野サンプラザの存続については、まず区民の声をしっかりと聞き、区として方向性を示していきたいと考えております。
一方、現在の中野駅の混雑状況やバリアフリーなどを踏まえると、中野駅西口改札を早期に開設することが必要である、そして、関連する都市計画手続を進めなければならないことも認識をしております。したがって、中野サンプラザの存続の議論は、できる限り集中して行っていきたいと考えております。
続きまして、再開発計画の検証についてです。検証については、さまざまな手法を考える中、できるだけ早期に議論を始められるよう、平成27年6月に設置され、学識経験者や区内経済団体、関係団体、公募区民などで構成する区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議や、区民と区長の対話の場を活用する方向で考えております。こうした会議体では、まず中野駅周辺のまちの発展や中野区の知名度向上に寄与してきた中野サンプラザのあり方を集中的に議論し、一定の議論を経た段階で区としての方向性を示していきたいと考えております。検証期間については、中野駅西口改札の開設に関連する都市計画手続を踏まえながら、適切に取り組んでまいりたいと思います。
次に、民間施設の指導・評価についてということで、民間の幼稚園、保育園の指導・評価についてでございます。この民間保育所における第三者評価は、おおむね3年に一度実施されております。区は、この第三者評価とは別に、定期的に指導、検査を実施し、助言を行っているところであります。指導、検査を行うに当たっては、民間保育所の運営に一定の評価をすることが前提であり、施政方針説明にある指導・評価はこうした区の指導の仕組みを述べたものでございます。民間保育所へのきめ細やかな指導、経験に基づく助言を行っていくためには、やはり運営ノウハウを持つ職員の確保が必要であると考えております。
また、区立保育園を一定数残すことにより、日常的な私立保育園の保育に関する相談、助言、区主催の研修への参加など、私立と区立が連携して保育の質の向上に寄与することが可能になると考えております。
次に、児童館の廃止でございます。児童館については、小学校内に放課後子ども教室推進事業としてのキッズ・プラザを整備するほか、子育て広場事業を地域展開するなど、児童館の機能の移転を終えた時点で当該児童館施設を廃止するという方針でこれまで取り組んできております。今後の児童館については、児童や子育てなどに係る現状や課題に応じた機能や役割について整理するとともに、多世代が地域で交流する施設としてのあるべき姿をしっかり議論した上で、必要な施設数や配置を考えていきたいと思います。
次に、急いで検討すべき3項目と基本構想の関係についてでございます。政策協定において、急いで検討すべきものとした平和の森公園、それから哲学堂公園再整備の見直しなどについては、基本構想、基本計画の改定を待たずに、区民の参加を得ながら早急に検討してまいりたいと思います。
次に、平和の森公園、哲学堂公園の見直しによる影響についてでございます。見直しにより事業がおくれる場合は、両公園ともに社会資本整備総合交付金等の特財確保が困難になることが想定されております。また、既に工事等の請負契約が交わされている平和の森公園については、見直しの規模によっては請負者の損害を区が負担することになります。哲学堂公園については、国の名勝指定の可否、それから文化財的価値の活用に大きく影響する可能性があると思っております。したがって、それらの影響が最小限に抑えられるように検討していきたいと考えております。
次に、中野駅周辺まちづくりの見直しによる影響についてでございます。中野駅新北口駅前エリアにおけるまちづくりについては、中野サンプラザのあり方の議論を踏まえたものとする考えでございます。中野駅西口改札の開設にはおくれが生じないように取り組んでまいります。
一方、中野駅新北口駅前エリアにおける都市計画手続は、計画検討が行われている周辺地区にも関係しており、その影響を最小限に抑えられるよう検討してまいりたいと思います。
次に、区立幼稚園等の存続による財政への影響についてでございます。区立幼稚園、保育園、児童館について、職員による運営として存続させる場合には、人件費や建てかえ時の経費について区財政への影響も当然あると考えております。
その区立施設の存続による経費の活用についてでございます。これについては、子育て施設の区立存続で生じる財政負担は待機児対策や行政サービスの拡充、質の向上に振り向けるべきという御意見でございました。待機児対策など喫緊の行政課題については、財源を優先的に振り向けて早急に検討して対応していかなければならないと考えております。一方で、子育てサービスの質の維持、向上のためには、区立施設を残すことも必要であり、これらについてはやはり財政的な負担は避けられないだろうと考えております。適切な財政運営のもとで、これらを推進してまいりたいと思います。
次に、公共用地の売却計画についてでございます。現在の新しい中野をつくる10か年計画(第3次)では、商工会館を売却することとしていますが、公共用地としての活用の検討が足りていないと感じております。今後は、区民の財産である公共用地については、用途が廃止になった場合も区民の意見を聞いた上で、公共用地としての新たな活用方法等を十分に検討してまいりたいと考えております。
区政課題への基金の活用についてでございます。各基金とも今後の事業計画に照らし、その目的に沿って計画的な積み立てを行っているところであると認識しております。今後、学校施設や老朽化した区有施設の建てかえ、まちづくりや道路等のインフラ整備など、財政負担が見込まれる課題が山積している状況でもございます。起債の活用とともに、効果的に各基金の繰り入れを行い、安定的な財政運営を行っていく考えでございます。
すこやか福祉センター整備の再検討についてでございます。すこやか福祉センターは、地域包括ケアシステムの推進拠点として今後もさらに機能を強化していく必要があると考えております。子どもや障害者等、支援を必要とする全ての区民を対象とした地域包括ケアシステムを構築していくためには、新区役所におけるアウトリーチ業務の考え方、それから(仮称)総合子どもセンターの相談支援体制とすこやか福祉センターの役割分担、それから連携のあり方等、総合的な検討を行う中ですこやか福祉センターの設置数についても今後見定めていきたいと考えております。
以上で私からの答弁を終了します。
〔伊東しんじ議員登壇〕
○23番(伊東しんじ) 何点か再質問をさせていただきます。
最初に、憲法に基づく区政への住民参加の真意についてお伺いしました。区長は、憲法第92条に触れられ、住民自治のことに触れられましたけれど、もう1点、団体自治については触れられておりません。また、憲法には第92条だけではなく、第12条について国民の自由と権利、こうしたものが触れられております。それについての区長の認識、これは特に団体自治につきましては、この先の再質問にもつながることなんですけれど、自治基本条例に基づく住民参加、これによる政策決定の中で区民の皆さんの声が政策に反映されていない、それが区民参加の手続に対する形骸化という観点での分析をされていますが、区が政策決定をするに当たっては皆さんの声を参考にする、それともう一方で、団体自治、区政の継続性、さまざまな角度の分析に基づいて政策決定をするものであって、全ての区民の皆様の声を政策に反映しなければならないということではないと思います。さまざま、その理由について、反映できない理由について丁寧な説明は必要だろうと思いますけれど、全ての声を政策に反映するということはなかなか難しい部分があろうかと思います。それについてのお考えをお伺いしたいと思います。
それから、300メートルトラックと、アスリートの支援についてなんですけれど、例として新体育館やスポーツ・コミュニティプラザのスポーツ環境を整えてまいります、そうしたもので整備していきますということですけれど、中野区では中学校の校庭でも1周200メートルのトラックを確保する校庭を持っている中学校はまれであります。大体が150メートル程度、そうしますと、当然コーナーもきつくなります。公式競技の場、400メートルトラックにおける陸上競技等にはやはり慣れていない、そうしたことも想定できます。一定の舗装の安定性、学校の校庭ですと土ですので、競技場にはやはり環境が違い過ぎるという観点から、私は一定程度、400メートルあればいいんですけれど、中野区において400メートルトラックを確保することは無理だと思います。ですから、最後のチャンスとして、この300メートルトラックは整備されるべきじゃないかと考えます。御答弁をお願いします。
それと、サンプラザについてなんですけれど、選挙戦中盤からサンプラザを残せという声は確かに大きくなってきましたけれど、このサンプラザを中野区が取得に至った原因というのは、これは平成16年に中野区は52億9,000万円かな、約53億円という価格で取得しました。そのときにさんざん議論したのは、この取得の目的は何なのか、区ははっきりとそのときに中野区の活性化と中野駅周辺まちづくりの推進を図るという説明をされていますし、取得の際に、中野サンプラザ取得運営等事業に関する実施方針にもそのことは明記されています。また、取得後、議会のチェックがしっかりとその運営等に及ぶようにということで、議会の議決をすべき事件等に関する条例も制定されておりまして、その中にもこの中野区の活性化、中野駅周辺のまちづくりの推進を図るための取得だと明言されております。それに対して、我々も議決という形でしっかりこたえています。それを覆すのでしょうか。
また、先ほど説明したように、区は53億円という価格で取得しました。ほとんどが融資です。最初は出資という形でしたけれど、それは取得時に区が議会の説明に反する取得の方法を選んだから、取得から6年経過した時点で融資に変えられましたけれど、まだその融資残高は44億円も残っています。毎年5,000万円しか元本が返せない、利子が8,900万円もかかっている、そうした状況の中で、実際はこの運営を続けることがいいのか、中野区がはっきりと取得の目的を示して、さらにその財産を新庁舎建設の原資とすると公表していることについて、もう一度区長の見解を求めます。
以上で再質問をやめます。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 伊東議員からの再質問にお答えいたします。
まず1点目、団体自治について、それから住民参加についての具体的な中身をということだと理解しております。まず、団体自治についての見解ですが、これは主に憲法で定まり、地方自治法にも規定がございますが、これについては国や、上位、例えば東京都、それから国との関係において団体自治というものは保障されるものであって、今回の住民参加についてという点では、これは関連はしていないということで私は触れてございません。
そして、住民参加の仕組みについてでございます。パブリックコメントや意見交換会など、自治基本条例の中で定まっている手続きがございます。これらについて、ここ近年の実績を見ますとやはりほとんど原案どおり、そこから、「てにをは」レベルじゃないと変わっていない、そういう現状があると私は認識しております。そういう点について、実質的に住民参加の権利を保障する上では、こういう計画立案段階からの参加を保障する、それが実質的に必要であろうと考えております。その点について、この自治基本条例の再生会議等で議論してまいりたいと考えております。
それから、300メートルトラックについての再質問でございます。この区内で1周200メートルしかとれないという、中学生等の練習環境については十分認識してございます。ただし、既存の平和の森公園の草地広場については、大変大勢の方が利用されている、その大勢の方の利用実績等と、それからこの300メートルトラックをつくったときの利用頻度、そこを考えたときにどうやって考えるか、そこを私はいろいろな区民の方の御意見を聞きながら再度検討したいと考えております。
それから、サンプラザについてでございます。サンプラザについては、御指摘のとおり、選挙の時点で一大争点として取り上げられまして、いろいろな見解、それから区民の皆さんの意見を伺うこともありました。その中で、やはり私が感じたのは、サンプラザを残す残さないの議論、これまで議会も、それから区のほうでも議論はしてきたというのは認識しておりますけれども、いま一度区民の皆さんにそこの経緯も含めてしっかり説明をする必要があると考えております。それぐらい、今、サンプラザの存続についての情報公開、情報提供というのがこれまであまりされていなかったというふうに認識しております。そこについて、今回の会議などを用いながら、しっかりと区民の皆様に、これまでの経緯を踏まえてサンプラザの存続についても議論をしていただきたいと思っております。
〔伊東しんじ議員登壇〕
○23番(伊東しんじ) 1点だけ再々質問をさせていただきます。
私の質問の中でも、さまざまな政策変更を進めたいと、区長の考えに対し、これまで行ってきた政策決定の手続き、これはしっかりと説明したつもりです。その中で、私ども議会が区民の皆さんから寄せられた請願、陳情、これをしっかりと審査して一定の結論を示してきた、そして区からも議案、予算という形で議会の判断を仰いできた、その一つが先ほど言いましたサンプラザ取得ということでございます。また、その利活用、これを丁寧に議会の議決に付すべき事件等に関する条例を制定し、その中にしっかりと区の活性化、駅前開発の原資とするということがうたわれている。それを覆すんですか。議会が態度表明した、14年前に取得しています。その間ずっと、延々とこの議論をして、区もそれにのっとって政策を順次展開してきて、事業化にやっとこぎ着けた、それを覆すんですか。
区長は、先ほどの再質問に対する答弁で、区民の皆さんに説明していきますと最初にはおっしゃった。しかし、後段では、区民の皆さんと議論を交わしと、一つの答弁の中で二つの見解を示されている。どちらなんですか。為政者としての責任ある答弁を求めます。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 伊東議員の再々質問で、私の先ほどの説明の中で、区民への説明をしていく、それから議論すると、二つの表現が入ったということでございます。これについては、先ほど申し上げましたとおり、サンプラザのこれまでの経緯について、しっかりと区民の皆さんにお知らせをしていなかった、これはやっぱり行政としての責任もあると思っております。これについては、もう既に区議会の皆様の議決を得て方針が定まっているところでございますので、まずは区民の皆様にこれをしっかりと説明してまいりたいと考えております。
○議長(いでい良輔) 以上で伊東しんじ議員の質問は終わります。
中野区議会議員 平 山 英 明
1 新区長の所信表明について
2 東京で一番安全な中野を目指すことについて
3 その他
○議長(いでい良輔) 次に、平山英明議員。
〔平山英明議員登壇〕
○24番(平山英明) 平成30年第2回定例会に当たり、公明党議員団の立場から一般質問を行います。
6月18日に発生した大阪北部地震により犠牲となった方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。
「民主主義は対話から始まる」とは、哲学者であり教育者でもあったジョン・デューイ博士の言葉です。まずは、対話による区政を掲げて初当選された酒井新区長にお祝いを申し上げます。また、同僚議員も1名誕生いたしました。よろしくお願いいたします。
我が党の立党精神は、「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」でありまして、私どももこの精神のままに日々さまざまな世代の区民と対話を心がけているところです。一言で対話といっても、積極的に意見をされる方もいれば、考えを伝えるのが苦手な方、自分の考えを伝えることを遠慮される方もいらっしゃいます。対話の中から区民の声を、小さな声、声になりにくい声まで受けとめ、区政に反映させるということは決して簡単なことではなく、誠実に我慢強く重ねていかなければならない。そのためには、こちらも勉強し、成長しなくてはならないと日々感じております。
ともあれ、区長が対話による区政をどのように進め、そのことにより中野がよりよくなっていくか否かは、しっかりと見定めてまいりたいと思います。
それでは、通告どおり質問を始めます。先ほどの伊東議員の質問と重なる部分もあって、割愛するところもあれば、改めてお聞きをさせていただくところもあることを御了承ください。
区長選であれほど対話を強調されながら、所信表明では一度も対話の2文字を発せられなかったのは不思議な思いがいたしますが、議場は議論の場ですので、新区長並びに理事者の方々は、質問に対してはあいまいな、また回りくどい表現などではなく、明確な答弁をお願いいたします。
それでは、初めに、新区長の所信表明について伺っていきます。
選挙という民主主義の最重要の手続を経て、区民の負託により誕生した新区長です。区長が選挙の際、区民と約束したことについては、投票された方が全ての公約に賛意を示したかは定かではありませんが、一定の民意と受けとめております。また、今後4年間の区政運営を新区長に託そうとされた結果であることも重く受けとめております。
他方、我々も推薦した候補者の政策を訴え、多くの区民に賛意をいただいたと思っておりますし、何より、さきに述べたとおり、日々区民との対話を繰り返し、さまざまな御意見はもちろん、困っている方々の声をお聞きしているとの自負もあります。
まだ議員として1期のころ、当時の先輩議員から「所信表明に対する質問は簡単である。自分ならば次の中野をこうするとの所信を書き、区長のそれとの相違点を尋ねればいい。」と教えてもらったことがありました。本来であれば、少子高齢化、人口減少が進み、他方で財政面においては区有施設の更新が迫るなど難しいかじ取りが求められる中で、区民が安心して暮らし続ける中野であるための今後4年間の明確なビジョンと具体的な手法、そして覚悟をお聞きし、それに対し、我々が思い描く未来の中野の姿を示して、よりよい区政のための議論を行いたかったところです。多様性の尊重を訴えられながら、ユニバーサルデザインの推進への言及もなく、また、任期中に開催を迎える東京都内の首長として、東京オリンピック・パラリンピックにも触れられず、そして、防災対策については後でつけ加えられたかのような印象を受けたことは寂しい限りです。
新区長の所信表明をお聞きし、一言で率直な感想を申し上げると、薄い、あるいは軽いとでもなるでしょうか。そのため、具体的に伺っていくに当たり、区長の認識の確認が多くなること、また確認のため、選挙時の公約などを引いての質問もあることを御承知おきください。
まず、区政課題に対する認識と区政運営の基本姿勢についてです。
所信表明を聞かせていただいた限り、区長の区政課題への認識は、今後の人口減少と人口構成の変化により、区がこれから「過去に経験したことのない多くの重大な課題に直面して」いくこと、住民参加が行われているとは言えない区政であることの二つであったかのように思いました。そして、課題に対してのみずからの区政に対する基本姿勢は、子育て世代に選ばれる中野区を目指すことと、地域包括ケアシステムを着実に構築すること、そして、今後は区民本意の区政を進めていくことの三つであったかと理解をいたしました。
課題認識が「過去に経験したことのない多くの重大な課題に直面」の一言だけなのは何か意図があるのか、あるいは認識が欠けていらっしゃるのかはわかりません。課題を具体的に示されないまま述べられた二つの重要政策と基本姿勢となる四つの柱も、お聞きする限りでは、それだけでは区が直面する課題に対処できるとは思えません。
まず、中野区が「過去に経験したことのない多くの重大な課題」とは一体何か。具体的にお答えをください。
6月22日付の都政新報に掲載された新区長就任後のインタビューでは、投票率が上がった理由を今まで投票に足を運ばなかった子育て世代が投票に参加してくれたと、独自の分析をされていました。その発言があった上で「子育て第一の地域社会」の構築を区の抱える最重要課題の一つとされると、果たして公平な判断なのかと疑念を生じます。
子育て支援も地域包括ケアシステムの構築も、優先すべき重要な政策であることは否定をいたしません。しかし、ほかにも、首都直下地震や頻発する風水害等、災害への備えや、区政の持続可能性を維持するための財政運営上の課題。変化する人口構成に対処するための都市基盤の強化や住宅ストックの問題。子育て世代だけでなく、多くの人や企業などから中野が選ばれるための中野駅周辺を中心としたまちづくり等、急ぐべき区を取り巻く重要課題は山積をしています。
区が毎年実施している「中野区区民意識・実態調査」の昨年の結果がさきの委員会で報告されました。これも区民の声です。施策への評価・要望を見ると、区が特に力を入れていると評価できる施策は「駅前などの重点的なまちづくり」が31.3%と最も高く、次は「みどり・公園」15.8%です。また、今後特に力を入れてほしい施策については、「防災」(24.7%)が最も多く、以下「高齢者福祉」(23.1%)、「子育て支援」(21.2%)、「みどり・公園」(18.6%)、「防犯」(17.5%)と続きます。
今回の選挙で争点化して争われた駅前などの重点的なまちづくりや、公園や緑については、これまでの区政の実績が高い割合で評価されていると見ることができます。また、今後力を入れてほしい施策の1位は防災であり、子育て支援は3番目となっています。区長の認識とはずれがあるようにも感じますが、御見解を伺います。
改めて、「子育て第一の地域社会」の構築を、区が抱える最重要課題の一つとされた理由を伺います。
防災対策を今後4年間の区政運営の柱の中に入れられなかったのはなぜでしょうか。四つの柱のほかとは、どのような位置付けなのでしょうか。伺います。
住民参加のあり方についての区長の認識についてお尋ねをいたします。
さきの都政新報のインタビューでは、これまでの施策の中で「区民合意が取れているか疑わしいものがある」と発言され、所信表明では「これまでに策定した計画や政策には、本来主役であるべき区民の声が十分反映されているとは言えず、これまで述べたように、一部の施策については見直しも必要であると考えて」いると述べられました。ここで言う区民とは、区長となられてからの発言ですから、直接意思を示す区民だけではなく、32万余の区民を指すと思っております。
「民主主義とは手続である。」、これも先輩議員に教わったことです。年々その意図するところが少しずつわかってきたように思います。中野区における行政運営の手続の基本を定めたものは「中野区自治基本条例」です。その自治基本条例にも「行政手続」として、第9条に「執行機関は、区民の権利及び利益の保護に資するため、行政手続に関し共通する事項を定め、行政運営における公平性及び公正性の確保並びに透明性の向上を図らなければならない。」と記されています。また、区民の区政への参加の手続として、第14条に区民参加の手続等、第15条に住民投票、第16条には住民投票の請求及び発議について、それぞれ定められています。
区長は、同条例について、公約の中では「有名無実化してしまった自治基本条例の再生を目指して、区民参加による「自治基本条例再生会議」を設置します。」とされています。「有名無実化してしまった自治基本条例の再生」とは、どのような意味なのでしょうか。条例自体に足らざるところ、あるいは改正が必要なところがあるとお考えでしょうか。伺います。
これまでの区政運営の中で、自治基本条例に基づく手続に瑕疵があったとお考えでしょうか。伺います。
「これまでに策定した計画や政策には、本来主役であるべき区民の声が十分反映されているとは言えず」と言われましたが、これではこれまでの計画や政策全てと取れます。議会側の責任にもかかわりますので、もう一度真意をお尋ねいたします。
区民合意が取れているか疑わしいとは、どのような基準に基づく判断なのでしょうか。区民合意がないとは議会でもよく使われる会派がある言葉ですが、何をもって区民合意がないと言えるのか、明確な根拠はいまだに示されていないように思っております。区長が言われる区民合意が取れているとは、どのような状態を指すのでしょうか。伺います。
自治基本条例、第14条第2項に「執行機関は、区民の参加により示された意見を踏まえ、区民の総意又は合意点を見極めるものとする。」とあります。執行機関とは地方自治法上、当区では区長のことです。区民参加の公平公正な手続を経て合意点を見きわめるのが、区民から負託を受けた区長の役割であり、その判断を見きわめるのが議会の役割なのではないでしょうか。同条例の区民参加等にかかわる事項について、区民の合意点を見きわめるのは区長であるからこそ、私は軽々に区民合意のあるなしとの発言はなさるべきでないと考えますが、御見解を伺います。
「政策形成にあたっては、政策立案から政策決定、政策実施、政策評価に至る過程を区民に検証可能な状態で公開し、区民が主体的に政策作りに関与できる環境づくりを行います。」とも言われました。しかし、所信表明では、これから区民の意見を聞いて検討する政策もあれば、既に取り組みを決定されているものもありました。一般的に政策とは方針も含むことを考えると、区民意見を聴取することなく、幾つかの政策を既に決定されたことになります。区長の言う政策形成のプロセスと矛盾はないのでしょうか。伺います。
対象となる政策の範囲については、何を基準とされるのでしょうか。自治基本条例で定められている区民参加の手続等にある事項によるのでしょうか。伺います。
財政運営に対する基本姿勢についても何点かお尋ねをいたします。
将来にわたり区民に安定して継続的にサービスを提供していくためには、行政の持続可能性は欠かせない要素です。今回の所信表明で、区長から財政運営についての考え方をお聞きできなかったのは大変残念です。
まず、区長が候補者のころの本年3月に、「区民の声を聴く中野区政を実現させる会」と結んだとされる政策協定について、お尋ねをいたします。
まず前提として、「区民の声を聴く中野区政を実現させる会」とは、どのような会なのか、会の構成を伺います。また、政策協定は結ばれたのか、確認のために伺います。
政策協定の中の「田中区政を転換する基本的課題」の中に、「区民の財産である公共用地の安易な売却計画」とありますが、もとより安易な売却計画などあってはなりません。これまでに安易な売却計画があったと認識されているのでしょうか。また、今後の計画の中にあるのでしょうか。そうであれば、具体的な計画をお示しください。
「基金の使い道は区民参加で決めます。」ともあります。基金は条例の設置目的により、その使途が示されています。例えば財政調整基金であれば、「年度間の財源の調整を図り、中野区の財政の健全な運営に資する」ために設置された基金であり、何らかの事業を行うために財源として財政調整基金を当てるような性質のものではありません。そして、具体的な基金の活用は、区長が提案し、議会が議決によって決定するものと認識しています。ここで言う基金とは、どの基金を指しているのでしょうか。伺います。また、基金の使い道を区民が決めるということは、どのような意味なのか、伺います。
進む高齢化と人口減少の影響が与える歳入減少と歳出増大の可能性や、防災や高齢化社会に対応するための都市基盤の強化、区立学校をはじめとする区有施設の更新などを考えると、今後ますます厳しい財政運営となっていくことは明らかです。安易に財政調整基金を取り崩し、将来にわたり経常経費を圧迫するようなことは厳に慎むべきです。また、職員の定数管理についても同様です。
前区長は、財政再建からスタートをし、区民とともに不断の改革を行い、これまで行うことのできなかったまちづくりなどを進めるほどの財政体力を身につけました。新区長のスタートは、現状だけを見ると余裕があるかのように見える財政状況の中からの区政運営だけに、強い懸念を抱いています。予算編成権を持つ区長として、現在お考えの財政運営に対する基本姿勢をお答えください。
基本構想と基本計画の改定についてお尋ねをいたします。
現在の中野区基本構想と10か年計画についても見直しを言及されましたが、前区長の政策や行政運営を否定して当選されたわけですから、当然であろうと思います。
まず、基本構想、基本計画改定のスケジュールについて伺おうと思っておりましたが、先ほど伊東議員の質問に対して、今後検討するということで具体的なスケジュールは示されませんでしたので、伺っても同じ答えかと思いますので、この質問は割愛をいたします。
次にいきます。基本構想、基本計画の期間をそれぞれ何年とお考えでしょうか。私は、基本構想は10年先を見据える必要があっても、基本計画は時代の流れの早さを考えると、5年の計画とすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。伺います。
さきの政策協定に「基本構想、基本計画を区民参加で全面的に検証し、見直す」とあり、その際、急いで検討すべきものとして3点記されています。そして、所信表明をお聞きすると、この3点は忠実に守られようとしているように見えます。ここにある、急いで検討とは、どのような手続で行われるのでしょうか。基本構想、基本計画改定スケジュールの中で行われるのでしょうか。伺います。
3点のうち一つは、「1万人アリーナなど、巨大開発偏重の都市整備事業。」です。1万人アリーナとの表記は、現在の10か年計画の中にはありません。基本構想、基本計画にないものをどう検証し、見直すかは不思議ですが、そこはさておき、まず巨大開発の定義を教えてください。また、何をもって偏重とされるのでしょうか。伺います。
警察大学校跡地の再開発についても巨大開発と、同様の批判をされる方々もいらっしゃいました。開発によってでき上がった中野四季の都市(まち)も、区長は巨大開発偏重の都市計画事業であったとお考えでしょうか。伺います。先ほどの安易な売却計画も同様ですが、恣意的ともとれる形容詞をつける表現は区民の判断を鈍らせる危険性があります。今後、注意を払われてはいかがでしょうか。伺います。
子育て支援と学校教育で触れられた内容についてお尋ねをします。
私も子育て世代の一人ですが、中野を選ぶ、また中野に住み続けるための大きな課題は住宅問題ではないでしょうか。私の地元の大和町では、防災まちづくりのための道路拡張が進んでいますが、現在まで新たに沿道に立った集合住宅は、ほぼ子育て世代には手狭な面積です。サービスも重要ですが、適切な住宅ストックが確保されなければ、区長の目指す子育て世代に選ばれる中野区とはならないのではないでしょうか。子育て世代に選ばれる中野を目指すためには、空き家の活用やまちづくりを進める中で、地域の中に多世代が暮らせるための住宅政策が必要ではないでしょうか。伺います。
所信表明の中で、公教育の充実を図り、全ての子どもの学びと育ちを支える区政への転換を進めると言われました。区長選の公約では、区立小学校の卒業生の3人に1人は私立の中学校に進学するという現状があるとし、「信頼される公教育を目指して、教育長は、民間人を登用します。またモデル校を設け、学校長を公募します。小中一貫校を設立します。」とされています。私立中学への進学率は、23区の中では中野が突出して高いとは思えません。現在の区の教育は、全ての子どもたちの学びと育ちを支えるものではなく、また区立小学校の教育には信頼がないと本当にお考えなのでしょうか。伺います。
区長が感じられる中野の教育の課題を解決する手段として、民間人の教育長、学校長の登用とされていますが、現状の課題は何で、民間人登用によりどう変わるとお考えなのか、丁寧な説明を求めます。民間人の教育長、学校長の登用は、中野の教育行政の大転換です。本当にそのおつもりがあれば、当然所信表明で触れられるべきことでした。
平成26年7月17日付の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律について(通知)」では、「教育長の任命の議会同意に際しては、新「教育長」の担う重要な職責に鑑み、新「教育長」の資質・能力を十全にチェックするため、例えば、候補者が所信表明を行った上で質疑を行うなど、丁寧な手続を経ることが考えられる。」とあります。文部科学省が昨年9月に行った「新教育委員会制度への移行に関する調査」によると、回答があった1,374の市区町村のうち、議会で所信表明のみを行ったのは252自治体で、所信表明に続き質問を行ったのは79自治体が既にあります。今定例会で教育長の同意案件の提出を予定されていますが、文部科学省の通知どおり丁寧な手続を経るべきと考えます。議会に対しては、手続についていまだ申し入れはないようですが、議会側から求めることもできるのでしょうけども、区長のお考えを伺います。
小中一貫校設置についても公約ですが、既に進んでいる学校再編計画との関係をどのようにお考えでしょうか。伺います。
保育園の待機児童対策として、「待機児童の多い地区を中心に保育園の新規開設を促進し、待機児ゼロを目指します。」と述べられました。国は平成31年10月から幼児教育の無償化を実施予定ですが、さらなる保育ニーズの増加が考えられます。待機児ゼロを何年度中までに達成されるおつもりか、伺います。
かねてより、「足立区待機児童解消アクション・プラン」のような具体的な計画を策定し、保育施設の整備を行うべきと訴えています。そのおつもりはあるのか、伺います。
区立保育園、区立幼稚園、児童館ともに一定程度存続させるとし、その数と配置は中野区における子育て環境がどうあるべきか、全体像を定めて決めるとされました。何ともわかりにくい表現です。全体像を定めるべき計画は、基本計画なのか、それとも別の個別計画なのか、伺います。
既に説明会等が開かれて進んでいる保育園の民営化や、統合校新校舎に設置予定のキッズ・プラザについては現行計画のままなのでしょうか、伺います。
子どもや親子が楽しめる公園について、公園は多様な区民の財産であり、子どもや親子だけを中心に考えることには違和感を覚えます。エリアごとに必要な公園の機能を示し、計画的に整備を行う公園の再整備計画策定が必要であることは以前より要望しており、区も同計画を策定すると答弁をしています。改めて新区長に、公園再整備計画を策定するおつもりがあるのか、また、あるのであればいつまでに策定をされるのか、伺います。
民間事業者との協働により公園の整備や維持管理を行うとも述べられましたが、これまで進めてきた区内産業の育成や障害者雇用の推進との整合性はとれるのでしょうか、伺います。
公約には、中野駅周辺まちづくりの中で民間の子どもの遊び場施設を誘致するとされています。中野駅周辺という区内の一等地にそのような施設が本当に必要なのでしょうか。新たな遊び場については、子どもの心身ともの成長に資するため、都心には貴重な緑豊かな環境を生かし、子どもが遊びを通じて想像力を養えるような場の提供が必要ではないでしょうか。練馬の「こどもの森」や「渋谷はるのおがわプレーパーク」のような、泥んこになって遊びを創造できる施設を江古田の森公園などへ設置すべきと求めてきましたが、区長はどのようにお考えでしょうか。伺います。
中野駅周辺まちづくりについて伺います。
中野サンプラザについて言及されなかったのはなぜでしょうか。就任直後の記者会見では、サンプラザについて存続の是非も含め検討するとおっしゃっていました。例えば6月16日付の朝日新聞には、「前区長の田中大輔氏が提唱した、2024年度前後にサンプラザを解体し、区役所・サンプラザ地区に1万人アリーナなどを建設する構想については、一次凍結を明言」「今年度中に方向性を出したい。サンプラザを残す場合のコストやデータを区民や議会に示し、議論する」と語ったと報じられています。議論すると語っていますね。区長の就任後、初めての判断といっても過言ではないものが、所信表明で言及されなかったことには何か意図があるのでしょうか。言及されるべきであったと考えますが、言及されなかった理由を伺います。
そもそも判断の結果、仮にサンプラザをしばらくの間存続するのであれば、区役所・サンプラザ地区の検討は当面の間白紙となり、1万人アリーナについてはわざわざ税金を投入し、検証する必要などありません。現状のサンプラザ存続の是非を検討するのであれば、所信表明の中で1万人アリーナ云々など言わず、まずは中野サンプラザに絞って検証されるべきではありませんか。伺います。
区役所の新庁舎建設については、どのようなお考えをお持ちでしょうか。現行計画のまま進められるのでしょうか。新庁舎建設については、現行計画では一時的に起債を行うなどの可能性はあっても、原則その資金は区役所・サンプラザ地区再開発の中から捻出する予定となっています。我々も「中野区役所の位置の変更に関する条例」には賛成はしたものの、財源の担保のない区役所移転については慎重にならざるを得ません。時期や財源も含めた区役所の新庁舎建設についてのお考えを伺います。
中野駅周辺まちづくりについては、アリーナの検証以外の言及はありませんでしたが、ほかは現行計画どおり進めるとの理解でよいでしょうか。特に西口改札駅前広場の都市計画がおくれないかを懸念します。御見解を伺います。
この項の最後に、すこやか福祉センターの配置についてもお尋ねをいたします。
すこやか福祉センターの機能を強化する一方、今後の地域包括ケアシステムの構築に合わせ、8カ所の整備の考え方は再検討すると言われました。「地域包括ケア体制の推進に向けた取り組み(案)について」、それで報告された考え方を一たん白紙とし、再検討するという理解でよいのでしょうか。伺います。
8カ所整備は、人口動向や構造の変化により、中部すこやか福祉センター圏域をはじめ各圏域での業務に支障が出ていることから、すこやか福祉センターが担当する「圏域」を見直し、対象とする人口規模の抑制、適正化を図るためのものでした。再検討となると、これらの課題解決は先延ばしとなってしまいます。再検討する目的が今後の地域包括ケアシステムの構築に合わせてでは説明が不十分です。詳細な説明を求めます。
以上伺って、この項の質問を終わります。
次に、2項目目として、東京で一番安全な中野を目指すことについて伺います。
安全は、区民が安心して生活を送るための必須要件です。6月18日早朝の通勤時間を襲った大阪北部地震では、5名の尊い命が犠牲となりました。そのうち2人がブロック塀の倒壊の犠牲となったこと、また、1人の9歳の女子児童は、既存不適格のまま放置されていた公立小学校のブロック塀が原因であったことから、本来最も安全であるべき学校の安全確認と、通学路を含めたブロック塀の設置状況を危惧する声が高まっています。
文部科学省は、翌19日、全国の小学校・中学校設置者に対して、敷地内のブロック塀についての緊急点検を実施するように緊急の要請を行い、国土交通省は21日に一般建築物におけるブロック塀のチェックポイントを作成し、特定行政庁などに対してチェックポイントに基づいて安全点検を行うように通知を行うなど、国も矢継ぎ早に緊急の対応を行っています。
区も地震の翌日から緊急点検に動き、学校施設は点検を完了し、現在幼稚園、保育園、児童館等子ども施設、その他区有施設の点検を進めており、一部結果は子ども文教委員会で報告されたとも聞きました。迅速な対応を評価するとともに、確実な安全確保をお願いいたします。
今後の課題は、民間所有のブロック塀に対する対応です。今回の大阪北部地震を教訓に、ブロック塀の倒壊等による被害を回避するためには、危険なブロック塀などの撤去を進めるべきと考えます。大阪市では、地震で倒壊するおそれのある民間所有のブロック塀について、撤去や建てかえの費用を補助する市独自の制度を創設すると表明しました。通学路に限らず対象とする方針です。中野区においても、まずは地震で倒壊のおそれのある民間所有塀などについて調査すべきと考えますが、お考えを伺います。
私の住む大和町、また若宮地域等木密地域においては、狭小道路の沿道に老朽化したブロック塀が使用されている建物が目立ちます。また、防災まちづくりの観点からブロック塀の撤去費用の助成などを含む新たな制度を構築すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
また、避難路の確保や焼けどまり効果など防災面でも高い効果がある生け垣設置についても、一定の条件を満たしたものについては塀の撤去の際、生け垣助成の活用を推奨すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
所信でも触れられた木造住宅耐震補強工事に対する助成制度の創設について、現在区が進めている防災まちづくりは、道路の拡張や空地の確保と建てかえや共同化等の促進です。23区で唯一実施していないからとの理由はわかりますが、中野区固有の都市基盤の課題も考慮した上での判断でなければ、現在の防災まちづくりの進展に影響が出る可能性も考えられます。慎重な検討を求めますが、いかがでしょうか。伺います。
本年3月に策定された中野四丁目新北口地区まちづくり方針には、「中野四丁目地区を対象範囲としたスマートな環境・防災都市づくり戦略を踏まえ、地球温暖化対策を視野に入れた低炭素化につながる環境配慮とともに、災害時業務継続地区の構築に向けた防災強化によって、グローバル都市にふさわしい環境性と防災性に優れた持続可能な中心拠点の形成を目指します。」とあります。同地区のまちづくりについては、一部再検証との発言をされていますが、環境と防災に対してはどのようにお考えでしょうか。中野駅周辺は東京トップレベルの災害に強い安全安心なモデル都市とすることを目指すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
平成20年第4回定例会での久保議員の一般質問で、中野四丁目地区のにぎわいのシンボルとして、防災・防犯や地域情報を発信する地域FMスタジオの開設を求め、平成22年の第2回定例会では、勇退した同僚議員がネットにおける地域FMの放送開始とユーストリームのサテライトスタジオを警察大学校等跡地内の施設への整備を求めるなど、折に触れ中野四丁目地区への地域FMスタジオの設置を求めてまいりました。今後、中野四丁目地区まちづくりの進展いかんにもよりますが、中野区役所新庁舎など、同地区内でまちの魅力から防災・防犯情報に至るまで発信できる地域FMも開設されてはいかがでしょうか。お伺いをいたします。
学校再編に伴う通学路の延伸による、児童の安全に対する不安の声を保護者から耳にします。かねてより高齢者と子どものIoTを活用した見守りについては、会派として求めており、近くは昨年第4回定例会での日野議員の一般質問に対し、当時の教育長から「子どもの見守りサービスにおいてビーコン機能などのIoT技術をどのように活用するかにつきましては、今後検討すべきものと考えておりまして、助成制度などにつきましてもその中で検討していくこととしたいと考えております。」との答弁があったところです。区長は公約で「徘徊対策としてIoTを活用した見守り体制を構築」するとありましたが、あわせてIoTを活用した子どもの見守り体制も構築すべきではないでしょうか。
以上を伺いまして、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 平山議員の質問にお答えいたします。
まず最初に、過去に経験したことのない多くの重大な課題という点についてでございます。超高齢社会の到来と人口減少の進行によって、医療、介護、福祉、子育てなどの社会保障費が増大する一方、生産年齢人口の減少による税収の減少、それから地域活動の担い手不足など、世界でもこれまでに例のない課題に直面していくと、そのように考えております。
次に、区民意識・実態調査との乖離、防災対策等の位置付けについてでございます。施政方針説明では、4年間で取り組むべき施策のうち区政運営の柱として、中野区を子育て先進区へ、安心して地域で暮らし続けられるまち中野、区民とともに進めるまちづくり、区民と向き合う区役所への転換、四つを掲げておりました。
防災対策については、区民の身体、生命、財産を守るという点から区が取り組むべき最重要課題の一つであると認識しており、これら四つの柱立てとは別に、注力すべき施策として具体的な事業に言及したものでございます。駅前などの重点的なまちづくり、みどり・公園などについても、今後力を入れていくべきものと当然考えております。
子育て第一の地域社会の構築を最重要課題の一つとした理由でございます。核家族化の進行や、親の就労形態の多様化など、子どもや子育て世代を取り巻く環境が大きく変わってきております。子ども・子育て環境の樹立を図り、子育て世代が働きやすく、安心して子育てしやすいまちとしていくことで、中野の魅力が増し、子育て世代が中野を選び、住み続けてもらえることになります。また、中野区の未来を切り開き、発展させるための人材の確保や地域のきずなをより強くすることにつながるものと考えており、区の最重要課題の一つとして位置付けたところでございます。
次に、自治基本条例の見直しについてでございます。自治基本条例には、区民の区政への参加の権利を保障する理念について、既に規定されておりますが、政策に反映された区民の声がわずかであったと考えております。これは、パブリックコメント、意見交換会によって変更したものの数がわずかであったということを指し示していると考えております。政策の企画、立案、検討の段階から区民が意見を表明し、それを施策に反映するように今後改善してまいります。区民参加による会議において、条例改正が必要かどうかは含めて検討していきたいと考えております。
自治基本条例に基づく手続について、瑕疵があったかどうかという御質問でございます。手続に瑕疵があったとは言えないとは考えておりますが、区民に対しての情報提供の姿勢、それから施策の立案段階から積極的に意見を求めていく姿勢が足りないものであったと考えております。
それから、区民合意がとれているとはどのような状態を指すのかという御質問でございます。区民合意がとれている状況とは、検討に必要な期間を設け、議論を尽くした状態と考えております。また、その区民合意点を見きわめるのは、区民から負託を受けた区長の役割であると考えております。区民合意点の見きわめに当たっては、施策等への区民意見の取り扱いについて、区民の皆さんに真摯に説明し、理解を深めていくことが大切であり、そうした姿勢が区民の合意点を見きわめ、説明責任を果たすことにつながると考えております。
次に、政策形成のプロセスについてでございます。施政方針説明では、平和の森公園の再整備や最大1万人収容のアリーナ構想などを見直し項目としましたが、これらについても改めて区民の意見を聞きながら見直しの方針を決定していきたいと考えております。基本的には、今後の政策づくりについて、これから区民の参加を求め、進めていくという考えでございます。
政策形成プロセスの公開対象でございます。区民に検証可能な状態で公開する施策の範囲については、自治基本条例第14条で掲げる事項を基本と考えてはおりますけれども、区民参加をさらに進めるための方策を検討する中で公開する範囲についても考えてまいります。
次に、区民の声を聴く中野区政を実現させる会についてでございます。この会については、区民、それから政党の地区代表者、政治団体などが共同代表を務める団体であり、この団体と政策協定を締結しております。
この政策協定の中での公共用地の売却計画についてです。これは先ほどの伊東議員からの質問でもありましたけども、商工会館を売却することとしているけれども、この公共用地としての活用の検討が足りていないと感じておりました。
次に、基金の活用についてでございます。基金の使い道は区民参加で決めるという文言がございました。基金の使い道を区民が直接決めるというのではなく、全ての基金の活用も含め、財政一般について広く区民の意見を、皆さんの意見を聞き、それを予算編成などで進めてまいると、そういう意味でございます。
財政運営に対する基本姿勢についてでございます。今後、学校施設など老朽化した区有施設の建てかえなど、大きな財政負担が見込まれる課題が山積していると考えております。一方で、区政運営の四つの柱に掲げた、中野区を子育て先進区へ、安心して地域で暮らし続けられるまち中野、区民とともに進めるまちづくり、区民と向き合う区役所への転換について、着実に取り組みを進めていく必要があります。そのためには、最少の経費で最大の効果が上がるよう、歳入の動向を見定め、今後とも歳出抑制に努めていくことが必要であると考えております。その上で、基金や区債を効果的に活用して、課題解決を進めつつも、区民サービスを停滞させないよう、安定的な財政運営を行ってまいります。
次に、基本計画の期間でございます。長期的な計画は、社会環境の変化が激しい中で実効性の確保が困難であると考えております。今後策定していく基本計画の期間については、御指摘のとおり5年間が適当であると考えております。
急いで検討すべき事項ということでございます。政策協定において急いで検討すべきものとした平和の森公園や哲学堂公園再整備の見直しなどについては、基本構想、基本計画の改定を待たずに、区民参加を得ながら早急に検討してまいります。
次に、巨大開発偏重の都市整備事業について。まずは、巨大開発についてでございます。これまで区が取り組んできた中野駅周辺や区内各地区で行われている大規模の開発事業を指しております。こうした事業の中には、区民の十分な理解が得られにくいものもあったかと考えております。中野四季の都市(まち)については、現在では多くの区民に親しまれている空間となっておりますが、開発の経緯ではさまざまな声があったと認識しております。まちの骨格となる都市整備事業については、区民の理解を得ながら推進する必要があると考えており、正確な情報をもとにコミュニケーションを図っていくことに努めてまいります。
次に、多世代が暮らせる住宅政策についてでございます。子どもから高齢者まで、あらゆる世代が地域の中で快適に暮らすことができるための取り組みとして、適切な住宅ストックへの誘導や活用など、住宅政策の一環として検討を進めていく必要があると考えております。
次に、学びと育ちを支える区政への転換と教育の現状でございます。施政方針説明中の全ての子どもの学びと育ちを支える区政への転換という表現についてでございますが、これは人、もの、金など経営資源の投入のあり方を見直し、学びと育ちを支える施策の区政の中での優先順位を上げていく、方向転換の意味で使った表現でございます。子育て先進区を目指して、現在の区の公教育をさらに発展、充実させていきたいと考えております。
また、現在の中野区の教育は一定の評価、信頼を受けているものととらえておりますが、さらなる教育の充実を図るためには教育委員会、学校の運営に新たに民間の経営感覚の視点を取り入れた取り組みや、業務改善をさらに進めていく必要があると考えております。その解決の手段の選択肢の一つとして、民間人の登用の可能性について検討している、そういうことでございます。
教育長の議会同意の手続についての御質問でございます。教育長の議会同意に際しましては、議会から求められた場合についても文科省の通知を踏まえ、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
小中一貫校設置と学校再編計画との関係でございます。現在の学校再編計画に基づく小中学校の再編後の長期的な展望として提案したところであり、学校再編計画については地域の理解を得ながら着実に進めていこうと考えております。小中一貫校設置については、子どもたちがじっくりと学ぶことができる教育環境の提供、また今後の人口減少社会の中での学校運営、地域コミュニティづくり、支え合いの地域づくりの視点などを考えた場合に、小中一貫校、これが最適な学校運営の形ではないかと考えております。
次に、待機児童ゼロの達成年度でございます。平成30年度当初の待機児童ゼロを目指して、さまざまな取り組みを進めてきたところでございますが、引き続き新規誘致園を開設するなどして平成31年度当初の待機児童ゼロを目指してまいります。
保育施設の具体的な整備計画についてでございます。区は、中野区子ども・子育て支援事業計画において区全体を一つの区域として需要見込みと確保方策を現在定めております。今後の保育施設の整備については、現在の待機児童の地域的な偏りなどを考慮しながら進める必要があると認識しております。民間施設の誘致についても、地域偏在を踏まえ対応しているところでございます。保育施設の整備については、来年度、中野区子ども・子育て支援事業計画の改定作業が予定されていることから、今年度具体的に検討を進めて反映できるようにしてまいります。
子育て環境の全体像についてということで、区立保育園等の施設の配置等については区の基本計画である10か年計画でその方向を示しているところでございます。子育て環境がどうあるべきかという全体像については、区の新しい基本計画で示す予定でございます。
保育園の民営化、キッズ・プラザの現行計画についてでございます。現在進められている個別の計画の見直しにより、職員の採用や財政負担など区の後年度負担やさまざまな影響が想定されることから、これについては慎重に検討すべきであると認識はしてございます。
公園再整備計画の策定と時期について、老朽化した既存公園を効果的かつ効率的に更新するためには、公園施設の現状を踏まえた長寿命化計画と合わせて、再整備計画を策定する必要があると思っております。現在、遊具に関する長寿命化計画は策定済みでございますが、他の公園施設も含んだ長寿命化計画の方針を年内に策定する予定でございます。その後、平成31年度に既存公園の再整備計画策定に着手したいと考えております。
民間協働による産業育成や雇用との整合についてということで御質問がございました。公園の規模や立地などのポテンシャルに応じた民間活用の検討を進めていきたいと考えております。公園の維持、管理業務が区内産業の育成や障害者雇用支援に寄与しているということは認識しております。公園の管理、運営における民間活用において、それらに対する影響にも配慮しながら進めてまいります。
プレーパークの導入について御質問がございました。多様な公園活用を可能とする都市公園法の改正を踏まえて、公園マネジメント担当を新たに設置して、公園の管理、運営における民間活用、民間連携について検討を進めているところでございます。要望いただいているプレーパークの導入についても、民間活用、地域連携により公園の魅力を高める手法の一つとして検討を行っております。
次に、中野サンプラザの言及、検証についてでございます。施政方針説明では、柱となる区政運営としてさまざまある取り組みの中から選択して説明したところでございます。中野駅周辺まちづくりについては、これまで一貫して主張してきた1万人アリーナの検証について触れたところでございます。中野サンプラザは、区民の愛着や思いが詰まった施設であり、まず区民の声を聞き、中野駅西口改札の早期開設を視野に入れながら、サンプラザについてはしっかりと説明していく、そのように考えております。
新庁舎建設の時期と財源についてでございます。現庁舎は、間もなく築50年を迎えようとしており、老朽化をはじめとしたさまざまな課題を抱えていることから、早期の新庁舎建設が必要だと考えております。新庁舎については、用地を現体育館周辺に確保していることから、区役所・サンプラザ地区再整備の計画検討を踏まえつつ、スケジュールどおり整備を進めていけるよう調整してまいりたいと思います。
新庁舎の施設整備費については、現区役所・サンプラザの資産を有効活用して生み出すこととこれまでされております。その資金計画の詳細については、今後検討してまいります。
中野駅周辺まちづくりについてでございます。中野駅周辺まちづくりは、平成24年6月に策定した中野駅周辺まちづくりグランドデザイン・バージョン3に基づき、各地区の整備を推進しております。現在、中野駅南側の中野二丁目地区や中野三丁目地区においては既に面整備事業が進んでおり、中野駅北側の囲町地区や中野二丁目新北口西エリアでは地元地権者による市街地再開発準備組合が計画検討を進めております。いずれの地区整備も、中野駅西口改札の新設を見据えて事業や計画検討を進めており、中野駅西口改札や新北口駅前広場整備を着実に進めていく必要があると考えております。新北口駅前広場をはじめ周辺の街区再編に伴う都市計画変更については、関連する事業との整合を図り、おくれが生じないように手続を進めてまいります。
すこやか福祉センター整備の再検討についてでございます。すこやか福祉センターは、地域包括ケアシステムの推進拠点として今後もさらに機能を強化していくという必要があると考えております。子どもや障害者等、支援を必要とする全ての区民を対象とした地域包括ケアシステムを構築していくためには、新区役所におけるアウトリーチ業務の考え方、(仮称)総合子どもセンターの相談支援体制、それからすこやか福祉センターの役割分担、連携のあり方等、総合的な検討を行う中ですこやか福祉センターの設置数についても見定めていきたいと考えております。
それから、環境防災都市についての御質問でございます。区では、平成29年12月に中野四丁目地区を対象範囲とした中野駅周辺におけるスマートな環境都市づくり戦略を策定し、平成30年3月には中野四丁目新北口地区まちづくり方針を策定し、平常時、非常時ともに安全安心な空間創出を方針の一つとして掲げたところでございます。中野四丁目地区は、中野四季の都市(まち)における高い環境性と防災性を生かすとともに、中野四丁目新北口地区や囲町地区における新たなまちづくりの推進によって災害時業務継続地区としての機能強化を図り、環境防災都市づくりを先導していく考えでございます。
〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕
○都市基盤部長(豊川士朗) 私からは、東京で一番安全な中野を目指すことについてのうち、担当する事項について御答弁をいたします。
まず、民間が所有する塀の調査についてでございます。これまでも幹線道路におけるブロック塀等についての調査を行い、特に危険な塀の所有者に対しまして注意喚起を促してきたところでございます。現在も区民等からブロック塀の安全性の有無に対する問い合わせをいただいておりまして、職員が現地を確認いたしまして、必要に応じて所有者に安全への取り組みをお願いしているところでございます。今後は、私道、公道を問わず、一定の範囲でのサンプリング調査を実施いたしまして、その結果等を踏まえて調査範囲の拡充を含め調査手法について検討してまいります。
それから、木造住宅密集地域におけるブロック塀の撤去助成についてでございます。大和町など木造住宅密集地域における狭隘な道路のブロック塀の除却への助成につきましては、今後実施をする調査を受けまして、精査をした上で、防災まちづくりの一環として財源確保も含めた対応策を検討してまいります。
それから、木造住宅耐震補強工事に対する助成制度の創設についてでございます。今月の18日に大阪府北部を襲いました地震の被災状況や被害の原因等が明らかになるにつれ、区内における住宅の耐震化や沿道への安全対策の取り組みを促進することが喫緊の課題であると改めて認識させられたところでございます。
東京都は、住宅の耐震化対策に積極的に取り組む区市町村に対しまして、より手厚い助成制度を平成30年度より実施をしてございます。このため、区といたしましても、当方針を踏まえまして、建物の除却、耐震改修、建てかえなど多様な助成のあり方を検討してまいります。また、助成について見直し検討を行うに当たりましては、これまで進めてまいりました建てかえや共同化等を主体とした防災まちづくりとの整合性を図っていきたいと考えております。
〔環境部長白土純登壇〕
○環境部長(白土純) 私からは、東京で一番安全な中野を目指すことについての御質問のうち、生け垣設置助成活用の推奨についてお答えいたします。
スペースの関係で生け垣の設置ができない場合もございますが、既存のブロック塀の撤去は生け垣の設置を促進する絶好の機会であると考えております。したがいまして、今後庁内で情報を共有し、ブロック塀の撤去の際に生け垣設置助成制度の活用を検討してもらえるよう、設置者に対する働きかけを行ってまいります。
〔政策室長朝井めぐみ登壇〕
○政策室長(朝井めぐみ) 私からは、地域のFM放送についての御質問にお答えいたします。
地域版FM局を導入する場合、運営費やエリアの電波干渉等が課題になると考えております。今後の中野駅周辺のまちづくりの進展の中で、エリアの防災対策や地域版FM局の効果などを十分に検討してまいりたいと考えております。
〔経営室長髙橋信一登壇〕
○経営室長(髙橋信一) 私からは、IoTを活用した子ども見守り体制の構築についてお答えいたします。
IoT技術を活用した子どもの見守りについては、渋谷区、調布市において実証実験に取り組んでいるところであり、区としてはその実証実験の結果等を参考にするとともに、さまざまなIoT技術の進展を注視しながら、中野区の実態に即したよりよい安全対策のあり方について検討を重ねてまいりたいと考えているところでございます。
〔平山英明議員登壇〕
○24番(平山英明) 再質問いたします。幾つもあるんですけども、とりあえず最初のほうから伺っていきます。
まず、防災対策の件、ちょっと御答弁に御無理があるのかなと思って聞かせていただきました。なぜかというと、防災対策も自分は最重要課題と考えている、だからこそ、あえて別立てにしたんだとおっしゃっていますけども、私が記憶している限り、区長の施政方針説明では今後4年間の区政運営の基本姿勢を四つの柱とするとされているんです。その基本姿勢の中に入っていないわけですよ。防災は基本姿勢の外なんだ、それを別立てというのはちょっと御無理があるかと思いまして、いま一度伺いますけども、さまざまなことはあるでしょう、しかしながら、本来であればこの四つの柱の中に入れるべきであった、あるいは五つ目の柱とすべきであるというふうにお認めになったほうがよろしいんじゃないかと思うんですけど、それについて改めて伺います。
続きまして、自治基本条例に基づく手続には瑕疵がなかった、だけども、足りない部分があった、これは難しいところなんですね。瑕疵はなかった、瑕疵はないまま手続が完了して、次の手続にどんどん行政手続としては進んでいく。それを過去まで全部さかのぼって見直すということは、やっぱりなかなかできないわけなんですよ。直近でいろいろな御意見を言われたことを受けて、今回の施政方針あるいは公約の中で言われているんでしょうけれども、それはそれとして、この区民合意ということについてもう1回だけ確認をさせてください。
答弁では、必要な期間を設けて必要な議論をするというようなお話をなさいました。それって、自治基本条例に書いてある手続そのものなんですよ。自治基本条例に基づいている手続がきちんと完了しているのであれば、区民合意は得られていると判断すべきなんですね。区長のおっしゃるままで言うとですよ。ただ、区民合意というのは、実は前回の自治基本条例ができるときに、区民合意という言葉をどう使うか、使うか使わないかというのが徹底的な議論になったというふうに聞いています。結果、今の自治基本条例のような表現になっているということを考えると、今後あまりお使いにならないほうがいいんじゃないかと思って伺いましたが、これについては回答がなかったので、改めて伺います。
私は、安易な売却計画はあるんですかと聞いたんです。商工会館というのは安易な売却計画という認識でよろしいんですかという質問です。
この基金のところは、全くお答えになっていなくて、基金の使い道は区民参加で決めますということは、これは財政一般のことであって、区民の声を聞いていく、それはそのとおりなんですけど、ここに書いてあるのは、基金の使い道は区民が決めると書いてあるんですね。この意味を問うているんです。これに区長はサインをなされているはずなんです。当然、ここに書かれている文言に対しては責任を持っていかなくちゃいけない。私は、むしろ、ほかの財源よりも基金こそ使い道が、使途がはっきりしているものであって、ここに出てくるような要素ではないと思っているんです。そのことについて、もう一度お考えを伺います。財政一般的な話を聞いているんじゃなくて、基金の使い道は区民参加で決めるという意味を聞いていますので。
これもちょっと御無理があったかなと、公教育の充実を図り、全ての子どもたちの育ちを支える区政へ転換を、方向転換、これね、このまま文章を読むと、そうでないものを転換するという意味になるんですよ。これを方向転換とされたのは、ちょっと無理があったのかなというふうにも思いましたが、これはもう一度お聞きしても同じようなお答えが出るでしょうから、その下の、民間の教育長を登用することにどんな教育的視点があるのか、どう変わるのかということに対して、民間の視点を入れていくという答弁しかなかったんです。これだけじゃわからないんです。具体的な、丁寧な説明をしてください。
小中一貫校、これはいいや、時間がなくなっちゃいますね。
ここ、要するに、区立保育園、区立幼稚園、児童館の一定存続の議論の中で、これは基本計画で定めますとおっしゃいました。ということは、10か年なのか、5か年なのか、新たな基本計画ができるのにどう考えても2年はかかるんじゃないかと思っているんです。早くても1年。その間は、このことについての考え方は定まらないわけなんですね。定まらない間、既に説明会等が行われているところの保護者というのは、非常に不安な思いをされています。これに対して、おっしゃったことはごもっともなんですけど、慎重な検討だけでとめられてしまうと、区民の不安ははかり知れなくなってくる。あるいは、それは民営化しないでくれ、してくれ、いろいろな意見がどんどん湧いてくることになってしまう。これについては、速やかな判断を求める意味で伺ったんですけど、現状のまま、計画のままなのか、改めて伺います。
最後、まちづくりのところは、区役所の財源のところは、前段で述べられたアリーナとか、その前のサンプラザというものが解決をしない限り、区役所の財源って生み出せないわけなんです。区長は現行の考え方とおっしゃったので。そうである場合に、区役所はスケジュールどおりに移転をする、だけども肝心の財源となるものが担保できない、この状態はまずいんじゃないかと質問しているんです。スケジュールはそのままだけども、財源については今後、やっぱりそれはまちづくりの中から生み出していくような話もされていらっしゃいましたけども、それでは、例えば起債をかけてしまって、その利息を払う期間が膨大なものになってしまう危険性もある。これはもともと我々が危惧をしていたことなんです。だから、本当に区役所はそのままで、財源はということが、この一連の答弁の中で一貫性がとれていないような気がするので、この点だけを確認して再質問とさせていただきます。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 平山議員の再質問についての答弁をさせていただきます。
まず、防災対策についてでございますけれども、四つの基本の柱の中には確かに入れてございませんでしたが、私も中野区民、野方に住む者として、木密対策というのは喫緊の課題だというのは十分認識しているところでございます。その点では重要課題ということには変わりがないと思っております。
それから、自治基本条例について、瑕疵はなかったということでございます。御指摘のとおり、さかのぼるのは困難である、これまでの手続が積み重なっていて、さかのぼるのは困難だと思っておりますので、今後その見直しについて、今後の手続については実質的にそこを担保していくように改めていきたい、そのように考えております。
それから、区民の合意という言葉についてでございます。期間や議論を尽くしたということで、そこで成熟したかどうか、それを見定めるのが区長の責任だと考えております。
それから、商工会館についての見解でございます。商工会館については、やはりあそこは土地的にも非常に利用価値の高いところでございますので、そのまま保持をして、利活用の方策はほかにも考えられると考えておりますので、それについての売却というのは安易ではないかということで使った次第でございます。
それから、基金の使い道について、区民で決めるという表現でございますけど、これはまさしく多数決というか、区民で議論して、ワークショップで決めるとか、そういう意味ではございません。皆さんの意見を幅広く聞きながら、基金については考えていくと、そういう意味でございます。
それから、方向の転換の話でございます。これについては、やはり中野区としては公教育についてのお金の使い道、優先順位が今まで高くはなかったというふうに認識をしております。それについては、大きくここは優先順位を変えていく、その意味での転換という意味でございます。
それから、民間の教育長について、これはやはり公教育の現場において、例えば評価をして、PDCAサイクルを回し、そこで改善できるものは改善していく、そしてコスト意識を持ちながら最小限の経費で最大の効果をつくっていく、そんな民間の手法を存分に生かしながら、教育の質を向上していくと、そういう考えでございます。
それから、基本計画についてでございます。基本計画については、保育施設については今手続中のものというものもございます。これについては、リスク等をしっかりと判断して、なるべく早くそれをどうするかというのは、不安をあおらないように定めていきたいと考えております。
そして、最後にサンプラザの件でございます。区役所の財源ということで考えていくということでございますけれども、これについては、区役所については財源をしっかりとこの駅前再開発も含めて計画をしていくということで、今後詳細な計画については詰めていくということでございますので、サンプラザの見直しについて、サンプラザを残すことについてもしっかりこれまでの区の経緯を踏まえながら説明をして、これまで従来どおり、説明したとおり、区役所の整備についての資金計画は詳細に検討していくと、そんな考えでございます。
○議長(いでい良輔) 以上で平山英明議員の質問は終わります。
議事の都合により、暫時休憩いたします。
午後3時11分休憩
午後3時30分開議
○議長(いでい良輔) 会議を再開いたします。
この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 長 沢 和 彦
1 区長の政治姿勢について
(1)施政方針説明について
(2)核兵器廃絶について
(3)その他
2 子ども施策について
(1)子どもの貧困の克服について
(2)待機児童の解消について
(3)区立幼稚園について
(4)児童館と学童クラブについて
(5)「子どもの権利条例」について
(6)その他
3 高齢者施策について
(1)地域包括支援センターについて
(2)「地域共生社会」について
(3)その他
4 震災対策について
5 その他
○議長(いでい良輔) 長沢和彦議員。
〔長沢和彦議員登壇〕
○41番(長沢和彦) 2018年第2回定例会に当たり、日本共産党議員団を代表して一般質問を行います。
6月18日の早朝に起こった大阪北部地震により、お亡くなりになられた方の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様に対してお見舞いを申し上げます。
酒井直人新区長の御就任をお祝い申し上げます。
日本共産党は、市民団体である「区民の声を聴く中野区政を実現する会」の共同代表の一人として、酒井直人さんと政策協定を結び、区長選挙を戦いました。私ども日本共産党は、政策協定に基づき、区民要求実現のために努力を重ねていく決意です。
それでは、質問に入ります。
初めに、区長の政治姿勢について、施政方針説明についてお伺いをいたします。
区長は、施政方針説明の中で、新たな基本構想の制定について言及されました。何をどのように改定するのかが大事であると同時に、現行の基本構想については「広範な区民参加による議論を経たものは制定のみで」あったことを指摘し、「基本構想の制定に当たっては、区民ワークショップや基本構想審議会をはじめ、多くの区民の皆さんと意見交換を重ねて、次の時代の中野を思い描いてまいり」たいと述べられました。大変重要な考え方であり、区政運営の最上位に位置する基本構想を区民参加により制定を進めようとされていることを高く評価します。その上で、何点か伺います。
2005(平成17)年に制定した基本構想は、基本構想審議会を設置し、多くの区民が参加したワークショップも繰り返し開催されました。しかし、それを受けて区が提案した基本構想や「10か年計画(第1次)」は、ワークショップに参加した区民が望んだものとは違う内容のものが出され、決められていったと多くの区民が感じました。2001(平成13)年3月からの、区民への痛みの押しつけとなった「行財政5か年計画」と、2003(平成15)年2月につくられた「経営改革指針」によって、「小さな区役所」、「成果の重視」、「市場・競争原理の活用」などの視点が取り入れられ、目先の採算・効率の追求や、「民でできることは民で」として、職員体制の維持・強化が図られないなど、こうした計画・指針がフィルターとなり、当時はやったニュー・パブリック・マネージメント、新しい公共経営の考えを前面に出す形で、今日の基本構想と10か年計画が制定・策定された経緯があります。前区長が当時の基本構想を変えたいという理由は、策定を検討していた10か年計画の邪魔にならぬよう、計画のための基本構想、計画に都合のよい基本構想にする必要があったからです。
区長には、徹底した情報提供・公開と区民との情報共有、区民参加と区民との双方向による議論、説明責任等を実施し、区民の権利の保障と住民自治を基本とした参加を根幹とした区政の指針及び計画となるよう、基本構想の制定と基本計画の策定に取り組んでいただくことを求めます。見解を伺います。
区長が施政方針説明の中で述べているように、「中野区は自治基本条例を制定し、区民の区政への参加の権利を保障し、参加の仕組みを作ってきました」。問題は、それが生かされてきたのだろうかということです。区長が施政方針説明の冒頭に述べられたように、「区民参加のあり方」が問われたのが今般の選挙だったと思います。その点では、主に区の姿勢、区のトップの姿勢が政策決定過程を左右していたわけです。同時に、より住民参加を促していくための制度の構築を検討してみてはいかがかと考えます。
例えば、地域における課題の解決をより重層的に行う仕組みを構築するなどです。中野区では、町会・自治会等の各団体が活発な活動を行い、地域を支えていますが、一方で多様化する住民ニーズなどから、個々の団体だけで解決を図ることが難しいこともふえています。また、現在、町会・自治会による地区町連の推薦によるメンバーの構成により、区民活動センター運営委員会によるさまざまな取り組みが行われています。しかし、ここでもメンバーが固定化されがちで、その方々もいろいろな役割を担っているため忙しいのが実情だと聞きます。先般、「区民の町会・自治会活動への参加の促進に関する検討会」の報告書が議会に示されました。町会・自治会みずからによる量的・質的な強化を図ることが求められ、そのための支援も必要です。同時に、住民参加を意識的に追求していくことも大切になっていると考えます。
例えば、横須賀市での地域運営協議会、各地域活動団体の連携、ネットワーク化などを図り、地域で暮らす人々が主体となって地域の課題を解決するための地域自治組織として運営されています。各地域運営協議会では、地域の課題などについて話し合う「地域運営協議会と市長との車座意見交換会」なども開催されています。
また、上越市では、市の全域に地域自治区を設置して、各区に地域協議会を設置、身近な地域の課題について、そこで暮らす住民の皆さんみずからがその解決方法等を議論し、地域の意見を取りまとめ、市長に意見を伝えるための機関となっています。
他の自治体においても、地域課題の解決を図るための組織やネットワークがつくられ、住民自治が実践されています。
もともと中野区においては、区民活動センターの前身である地域センターを中心に地住構想が掲げられ、住区協議会により活動実践が行われてきました。再び同じ構想をと言いたいのではありません。ただ、区民活動センターを中心とした区内15の地域、ここでの地域コミュニティは歴然と存在しています。それを生かしていく仕組みを検討されてはいかがかと考えますが、御見解を伺います。
次に、中野駅新北口駅前エリア、区役所・サンプラザ地区の再整備について伺います。
施政方針説明では、「中野四丁目新北口地区まちづくり方針において掲げた集客交流施設としての最大1万人収容のアリーナについて検証を行い、あるべき施設の規模、用途、スケジュール等について丁寧に議論してまいりたい」と述べています。
また、区長は就任会見で、「区長選で争点となった中野サンプラザ解体や1万人収容のアリーナ建設などの中野駅北口整備計画について『一度立ち止まる』と述べ、凍結を表明し…学識経験者らによる検証委員会を発足させ、答申を受けた上で方針を決める」と述べられたことが報じられました。
検証委員会の発足は大事ですが、さまざまな角度と立場からの検証が必要であり、きちんと区民からの公募を取り入れるなど、区民参加をこの事業においても図るべきと考えますが、見解を伺います。
次に、核兵器廃絶について伺います。
アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長が、6月12日にシンガポールで米朝首脳会談を行いました。両首脳が署名した共同声明では、金委員長は「朝鮮半島の完全な非核化への強固で揺るぎない決意」を表明し、トランプ大統領は「北朝鮮に対する安全の保証の提供」を約束し、米朝両国が「平和と繁栄を望む両国民の願いに従って新しい米朝関係を樹立」し、「朝鮮半島に永続的で安定した平和体制を確立」することを宣言しました。我が党は、長年にわたって厳しく敵対してきた米国と北朝鮮が初の首脳会談を行い、朝鮮半島の非核化と平和体制構築を進め、両国関係を敵対から友好へと転換させるために努力することで合意したことに対して、心から歓迎するものです。
日本政府においては、対話による問題解決のための真剣な努力を行うこと、そして、日朝首脳会談の実現を願うものです。その際、核・ミサイル、拉致、過去の清算など両国間の諸懸案を包括的に解決して国交正常化に進もうという2002年の日朝平壌宣言を踏まえた交渉が大切であると考えます。
核兵器をめぐっては、唯一の戦争被爆国である国民の願いは、核兵器の廃絶です。核兵器禁止条約の発効・批准もその過程における重要な取り組みです。「憲法擁護・非核都市宣言」を掲げる中野区として、平和と核兵器廃絶のために積極的に発信をしていただきたいと思います。
さて、現在、平和首長会議に参加しているのは、ことしの6月1日現在、世界で7,595都市。日本で1,725都市です。東京都においては昨年10月以来、参加が続いています。現在、都内自治体では22区が参加、26市と5町でも全ての自治体が加盟しています。加盟していないのは、島嶼である利島村、三宅村、青ヶ島村、そして中野区だけです。平和首長会議は、核兵器廃絶を目指してさまざまな活動を展開しています。区長には参加を表明していただきたいと考えますが、いかがですか。伺います。
次に、子ども施策について伺います。
初めに、子どもの貧困の克服についてです。
区長は、施政方針説明の中で、「中野区を子育て先進区へ」と述べられました。子育てしやすい区政への転換は多くの区民・保護者の願いです。
主に経済格差によって生じている子どもの貧困への対策が、国とともに地方自治体での取り組みが待たれています。その点で、区内の子どもの状況把握が欠かせません。区は「これまでも子育て支援サービスをはじめとしたさまざまな領域で、支援の拡充や所得に配慮した利用者負担を行うなどにより、課題を抱える家庭の状況を把握してきた。これにより、必要な支援が適切に行われるよう、施策を展開してきている」と述べてきました。相談事業の充実や子育て関連の施設や施策実施の中で実態を承知することもあるでしょう。しかし、表面化しにくい面もあります。子育てにかかわる事業の申請時だけにとどまることなく、子どもの貧困の実態調査を実施していくことが必要ではないでしょうか。見解を伺います。
子育て支援を目的に、国保に加入する18歳未満の多子世帯の均等割の軽減について伺います。
国民健康保険の保険料は、応能割である所得割と、世帯員の人数に基づいた均等割を合算して保険料額を定めています。しかし、他の被用者保険は均等割負担を求めていません。それゆえ、多子世帯の国保料が高くなっています。第1回定例会本会議でも同様の質問をさせてもらい、その際「平成30年度の保険料率の算定に当たり、所得割と均等割の賦課割合について、均等割を低くすることで低所得者と多子世帯の保険料負担に配慮したい」との御答弁でした。
今年度から、多子世帯の国保料の減免に踏み出す自治体が各地で出てきています。「国保の都道府県化」のもとでは、地方単独の保険料軽減に充てる法定外繰り入れは“解消すべき繰入"と扱われますが、国保法の規定によって「保険料の減免に充てるため」の繰り入れは“続けても良い繰入"に分類されています。国保法第77条は、被保険者に被災・病気・事業の休廃止などの「特別な事情」がある場合、区市町村の判断で保険料を減免できることを規定しています。この規定を活用し、多子世帯を「特別な事情」と認定することで、負担軽減を図ることの検討をしてはいかがでしょうか。伺います。
次に、待機児童解消について伺います。
初めに、ことし4月1日の待機児童数は何名だったのか、昨年度と比べてどうであったのか、伺います。
区が進めた区有施設・公有地の活用による待機児童解消緊急対策における保育施設整備、いわゆる認可外区立保育施設について伺います。この区立保育施設は、中野駅を境に北部地域に7カ所整備されました。家から離れている。通勤で利用する駅から遠い。就学前から通年で通えない。などの保護者の声を聞きます。整備に当たっては、公園を一時閉鎖する。園舎整備のため公園の樹木を伐採した。住民・利用者からの反対や見直しの意見があったにもかかわらず強行をしました。しかし、結果は5月時点で約3割程度の入所にとどまりました。緊急対策として区立保育施設の整備、そのことはやむを得なかったと思いますが、あまりにも検討が不十分だったのではないでしょうか。区は、このたびの結果をどのように受けとめていますか。伺います。
待機児童対策は、認可保育園の増設を基本に進めることが必要です。そのために、一つは保育園の整備場所を区が責任を持って提供・誘致することが有効であると考えます。廃校となった旧小中学校の一部を活用した増設や上高田四丁目都営住宅の公園予定地での増設。また、現在民営化に移行するため仮園舎として使用している民間委託の保育園の場所についても、移行後、保育園増設に活用することを検討してはいかがでしょうか。
二つ目に、保育士不足を解消するために一層の保育士への処遇改善支援を実施することを求めます。御答弁ください。
区立保育園の民営化について伺います。
区長は、全園民営化の方針を見直すことを明言しました。我が会派として再三述べてきましたが、今日の民営化は待機児童解消に逆行します。区は「1園当たりおおむね10人程度の保育定員の増加が図られる見込み」と言いますが、待機児童の多い0歳児から2歳児の定員枠はさほどふえません。区は、民営化に人員を割くよりも、待機児童対策の強化にこそ人員を割くべきです。区立保育園を残すのであれば、退職不補充を改めて、区職員として保育士を採用することが必要です。新卒採用であれば、人件費を圧迫することにはなりません。現に、2015(平成27)年度から3年間は新規に区保育士を採用してきました。区立保育園の民営化は一度ストップして、待機児童解消を最優先とした保育行政を行うべきではないですか。伺います。
次に、区立幼稚園について伺います。
区長は、施政方針説明の中で区立幼稚園について「存続させる」ことを明言されています。先日、会派で区立かみさぎ幼稚園と区立ひがしなかの幼稚園を視察させていただきました。学級編成は、3歳児・4歳児・5歳児のクラス、3年保育を希望する保護者が多いのが現状です。かみさぎ幼稚園では、71名の幼児数に対して特別な支援を必要とする幼児は18名、ひがしなかの幼稚園では、73名の幼児のうち4割を超える幼児が対象であるように、特別な支援を必要とする幼児が大変多く通っています。区立幼稚園の存在が欠かせない理由の一つがここにあります。改めて、区立幼稚園の役割についての見解を求めます。
来年度から、区立幼稚園における幼稚園型一時預かり事業が実施されます。預かり時間は14時から17時を予定し、通常の幼児教育(保育)時間後の実施になるかと思いますが、人員体制の強化が必要となるのではないでしょうか。伺います。
次に、児童館と学童クラブについて伺います。
区長は、児童館の全館廃止に反対を表明し、存続を求めて選挙戦を戦われました。多くの子育て世代、子どもたちから歓迎されたと思っています。
施政方針説明では、「児童館の全廃についても見直し、一定程度存続させる」と述べられました。中野区では、以前は1小学校区に1児童館という構想のもとで児童館が配置されていました。キッズ・プラザを小学校内に整備することで、児童館廃止とU18プラザへの転換が進められてきましたが、その後、U18プラザについても廃止となりました。地域で望まれている施設をなくしてしまうことには、やはり問題があります。
中野区で子育て中の保護者で構成する子育て環境向上委員会という団体が、「『子育ての悩み』どこに(誰に)相談してましたか?」という「子育て世代へのアンケート調査」の結果報告書をまとめています。報告書の中で、「ママ友(パパ友)」に次いで、「児童館(職員や相談員への相談)」が多かったことがわかります。児童館の仲間づくり事業でママ友ができたという声も多かったとの記述もありました。
子育て支援の拠点として、地域にバランスよく配置し、機能も充実していく必要があるのではないでしょうか。「一定程度存続させる」と言いますが、どのような構想をお持ちなのでしょうか。伺います。
また、中高生の居場所づくりも必要です。現在、中高生に対しては、活動発信応援助成を実施して、中高生の活躍機会、発表機会をふやす活動を応援しています。この事業を続ける上でも、中高生の活動場所は欠かせないと思います。中高生の居場所としては、どのような構想をお持ちなのでしょうか。また、施設配置や運営に当たっては、ぜひ中高生たちの参画を促してほしいと考えますが、答弁を求めます。
学童クラブについてお聞きします。
学童クラブの待機児童数は、ことしの4月時点で80名。この事業においても待機児童の解消を図ることが求められています。個別に要件を把握しながら入所を決定しているとは思いますが、新3年生が退所する事態が生まれていることや、キッズ・プラザ併設の学童クラブにおいては、キッズ・プラザを代替場所として利用していることを聞きます。しかし、学童クラブは、放課後に保育が必要な児童の生活を保障する役割があります。学童クラブの質を確保しながら、待機児童解消を図ることを求めます。今後どのようにして待機児童を解消していくのでしょうか。伺います。
この間、学童クラブの待機児童対策として民設民営による増設が行われてきました。現在、全ての学童クラブが民間事業者による委託により事業が行われています。区が「運営ノウハウを保持し、民間事業者に対する適切な指導・評価を行う」ためには、また、適切な支援を行うのであれば、学童クラブ事業においても直営での運営が一定程度必要ではないでしょうか。新たに増設をしていく際には、直営での学童クラブ運営の実施を検討されてはいかがでしょうか。伺います。
また、学童クラブ保育料について1点伺います。
学童クラブの在籍児童で、2人以上の児童が在籍する世帯があります。現在、学童クラブ保育料は1人4,400円、おやつ代1,250円が加わると5,650円になります。兄弟で在籍すれば1万円を超える負担です。子育て支援の観点から、2子以上の児童が在籍する世帯に対して、学童クラブ保育料の減額の検討を求めますが、いかがですか。伺います。
次に、子どもの権利条例について伺います。
区長は、選挙のさなかに「子ども権利条例の制定」について言及されました。
日本において「子どもの権利条約」を発効したのは1994年5月です。それから24年と四半世紀近くが経過しましたが、子どもたちをめぐる状況の厳しさは今なお続いていると言えます。子どもは、小さいときから人間として扱われることを通じて、かけがえのない存在として、人間としての尊厳と豊かな個性を持つものとなります。子どもの権利条約は、子どもの「人格の完全なかつ調和のとれた発達」に向けて、子どもの権利が「子どもの最善の利益」を考慮して、子どもを取り巻くあらゆる場において実現されることを求めています。そのために、第一に、子どもが保護の対象・客体であるだけでなく、何よりもまず権利の主体であり、しかもその権利を子どもみずからが行使することができるとの立場に立っています。条約を貫くこの基本的思想は、条約の随所にあらわれていますが、とりわけ、「自己の意見を形成する能力のある子どもは、自己に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利」を認めて、子どもに意見の表明の権利を保障している点に端的にあらわれていると思います。
国連の子どもの権利委員会においては、法制度や運用だけでなく、子どもたちが置かれている現実が具体的にどれだけ変わったのかが厳しくテストされ、審査されることになっています。子どもの権利委員会からは、日本政府に対して、幾度となく勧告が出されています。
そこで伺いますが、子どもの権利条例の制定に当たっては、いかなる考え方や方法で進められようとしているのでしょうか。中野区の教育や子育て施策にどのような形で生かされていくとお考えですか。また、例えば、他市で実施しているような子どもの権利状況の改善を図るための制度――子どものオンブズパーソンを設けることも検討されてはいかがかと考えますが、御答弁を求めます。
次に、高齢者施策について。初めに地域包括支援センターについて伺います。
区長は、すこやか福祉センターの機能の強化について言及され、8カ所整備の考え方については再検討することを述べられました。
先般、地域包括支援センターについては、区が整備しようとしている8カ所のすこやか福祉センターに併設する考えであることが報告されていました。超高齢化が進む中で、地域包括支援センターが区内8カ所で足りるのかという議論があります。同時に、現在は全ての地域包括支援センターが委託業者により運営されています。2006年の介護保険制度改正によって地域包括支援センターの設置が義務付けられましたが、現在の8カ所以外で、当初のように区直営の基幹型地域包括支援センターの設置が必要ではないでしょうか。伺います。
次に、「地域共生社会」について伺います。
厚生労働省に設置された「『我が事・丸ごと』地域共生社会実現本部」が言うところの「地域共生社会」とはいかなるものでしょうか。「地域住民や地域の多様な主体が『我が事』として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会」としています。理念的に同意できる部分はあります。しかし、国や自治体の責任をあいまいにし、地域住民に地域生活課題解決の責任を丸ごと丸投げするように受け取れもします。
シドニー・ウェッブが著した『防貧策』は、社会福祉領域における公私関係論を論じた歴史的著作と言われています。同書においてウェッブは、「新たな支援方法を常に追求し、困難な事例に対しても愛情に溢れたケアを心がけ、民間部門が、公的機関だけによって実施される比較的低水準のサービスを上回るサービスを実践・実施することで、結果的に公的サービスにおける健康で文化的な水準を押し上げる効果がある」と指摘しています。これを「繰り出し梯子理論」といいますが、ここには現代に通じる示唆があると考えます。地域における住民協働の運動・実践が、公的サービスを上回る内容を有することがしばしばあります。この住民協働の運動・実践が、私的サービスを公的サービスに昇華させる流れが、あたかも繰り出し梯子が伸びるように見えることから、そう命名されました。
例えば、介護保険における訪問介護事業は、1956年に長野県で制定された「家庭養護婦派遣事業」を端緒として自治体に広がり、1963年に老人福祉法に「老人家庭奉仕事業」として法定され、介護保険法では8条2項に明記されました。保育運動においても同様の状況がありました。
現在、政府が言う「地域共生社会」は、社会保障などの公的サービスを縮小したところに、その代替として地域住民に地域解決責任を負わせるものであり、住民協働の運動・実践とは全く異なるものです。確実に超高齢化社会が到来するもとで、国の責任とともに、特に影響の大きい高齢者分野における住民協働の社会の実現に向けた区の公的責任の発揮、専門性に裏付けられた支援が欠かせないと考えますが、見解を求めます。
次に、震災対策について伺います。
施政方針説明で、「木造住宅の耐震補強工事への助成制度の創設」に触れられました。実効性のある制度にしていくことが欠かせません。他区においては、制度はあるが耐震化が期待したほど進んでいないことも報告されています。助成制度の要件をどのように設定していくかなどは、検討が必要になってくると考えます。
現在、中野区の木造住宅の耐震化率は86.9%です。目標は、平成32年度までに95%。平成37年度までに100%を目指すことにしています。木造住宅の耐震補強工事の助成については、実効性のある制度の創設とするためにも、制度設計のところから関係者を含めての検討を求めますが、いかがですか。伺います。
ブロック塀等の安全性確保についても伺います。
大阪北部地震では、学校のブロック塀の倒壊による痛ましい事故がありました。国も全国の自治体に点検を指示し、東京都からは、教育庁地域教育支援部義務教育課長名で、区市町村教育委員会宛に「学校におけるブロック塀等の緊急点検等について」という依頼文書が出され、点検結果について報告をすることになっています。
学校や公共施設にあるブロック塀等の点検は可能であり、耐震性や安全性を確保するための措置はできます。一方、民家のブロック塀等についての安全の可否は困難です。しかしながら、倒壊等による事故を防ぐと同時に、避難路の妨げにならないことも求められます。東日本大震災の際には、区内の狭隘道路においてブロック塀が倒壊し、道路をふさいでしまった状況が見られました。
現在、区では生け垣助成を実施していますが、2014(平成26)年度から2016(平成28)年度の3年間で申請は10件と伺っています。ブロック塀等の撤去が思うように進んでいないのが現状のようです。そこで伺いますが、2002(平成14)年度以前まで実施していたブロック塀等の撤去への助成について検討してみてはいかがですか。答弁を求めます。
阪神・淡路大震災、東日本大震災では、電気器具の転倒による火災や停電後の電気復旧時に火災が発生する通電火災が多発しました。震災時に電気が原因となる火災対策に効果的とされるのが感震ブレーカーです。区長は、施政方針説明の中で「木造住宅密集地域への感震ブレーカーの普及などにも取り組む」と述べられました。現在、中野区では、感震ブレーカーの設置を希望する区民にはあっせんをしていますが、実績件数は芳しくありません。
木造密集地域である、東京都が調査・報告で示した建物倒壊危険度ランクの高い地域などは、緊急的な安全対策が求められます。きめ細かな普及・啓発が大事になっていると思われますが、どのように普及を進めていくのでしょうか。伺います。また、まずは災害時要援護者への支援として、高齢者や障害者のみ世帯に対して感震ブレーカーの助成を実施してみてはいかがでしょうか。伺います。
家具転倒防止器具の取り付け助成についても伺います。
現在、中野区では高齢者及び障害者等の災害時要援護者の方の安全確保を図るため、家具転倒防止器具の取り付け工事を無料で行っています。地震が起きるたびに家具の転倒防止設置の必要性が強調されています。東京都からは、器具の取り付けに対して包括補助対象事業として2分の1の補助が出ることになっていますが、器具の取り付けだけでなく、器具代についても補助が出る事業です。ところが、中野区では、家具転倒防止器具の代金は自己負担になっています。ここでも安全性を確保するための家具転倒防止器具の設置を進めていくための普及・啓発が大事になっていますが、同時に、器具代の補助についても検討してはいかがですか。伺います。
以上で全ての私の質問を終わります。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 長沢議員の質問にお答えいたします。
まず1点目に、基本構想、基本計画の検討についてということでございます。新しい基本構想の制定や基本計画の策定に当たっては、多くの区民の皆さんと意見交換しつつ、それらを踏まえて検討をしていきたいと考えております。基本構想については、多様な生き方や個性、価値観を受け入れ、区民だれもが安心して暮らし続けていくことのできる、次の時代の中野のまちを区民とともに思い描きたいと考えております。
次に、多様化した地域課題の解決についてでございます。新しい地域のコミュニティを生かしていく仕組みなど、より住民参加を促していくための制度構築ということでございますが、それぞれの地域において防災や安心安全、見守り、支えあいや子育て支援等、住みやすく、魅力ある地域づくりを目指して多くの団体が地域課題への取り組みを行っており、これらの活動を区民活動センターの運営委員会が現在支援しております。今後、さらに多くの区民や団体がこれらの活動に参加し、課題の解決を図れるよう、アウトリーチチームによる人材育成や活動の支援にも力を入れていきたいと考えております。
1万人アリーナ検証における区民の参加についてでございます。1万人アリーナについては、中野四丁目新北口まちづくり方針において掲げられたものでございますが、規模や事業の妥当性、まちにとっての影響など、区民や有識者を交えた議論が必要だと考えております。会議体については、さまざまな手法が考えられる中、できるだけ早期に議論を始められるよう、平成27年6月に設置され、学識経験者や区内経済団体、関係団体、公募区民などで構成する区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議を活用する方向で考えております。このほかに、区民と区長が直接対話する場などの活用も考えております。
平和首長会議への加盟でございます。区は、平和行政の基本に関する条例に基づき、日本国憲法の基本理念である恒久平和の実現に努めるとともに、区民が平和で安全な環境のもとに人間としての基本的な権利と豊かな生活を追求できるよう、平和行政を推進してきております。23区中22区が加盟しているという、この平和首長会議については、加盟する考えでございます。
保育園の民営化、それから待機児童解消優先策についてでございます。区立保育園の民営化は、民間の活力を活用して多様な保育ニーズに対応することと、老朽化した施設を建てかえることとあわせて、定員も拡大するというものでございます。現在進められている個別の計画の見直しにより、職員の採用や財政負担など区の後年度負担やさまざまな影響が想定されることから、これについては慎重に検討すべきであると認識しております。
区立幼稚園の役割についてでございます。中野区においては、私立幼稚園を中心に幼児教育の環境が整備され、地域的偏在の解消を図るため区立幼稚園が配置された経緯がございます。区としては、幼稚園、保育園等、区立、私立を問わず、就学前教育の充実に向け、保幼小連携による教育の充実を進めているところでございます。例えば、発達に課題のある児童の保育について、区立園の持つノウハウを私立園と共有するなど、連携しながら取り組みを進めてまいります。区は、国の方針に基づき、これまで区立幼稚園2園を認定こども園として整備してまいりましたが、幼児教育の充実を図りつつ、多様化する保育需要の受け皿として幼稚園の区立の認定こども園化についても検討してまいります。
それから、児童館を一定程度存続することについてでございます。児童館では、遊びによる健全育成や子育て相談、乳幼児の母親等の仲間づくり、地域育成団体の活動支援などを行っております。今後、児童や子育てなどに係る現状や、課題に応じた機能や役割について整理するとともに、あるべき姿を定めた上で必要な施設数や配置を考えてまいります。
次に、中高生の居場所についてでございます。中高生の意見表明の場として、従前からのハイティーン会議に加えて、地域の育成者の健全育成の取り組みに対する支援を拡充したほか、中高生への施策としては中高生活動発信応援助成事業や、先輩に学ぶライフデザイン応援事業を行い、中高生の社会体験機会を支援する施策の充実を図っているところでございます。中高生の活動支援については、中高生の活動そのものに注目した支援を進めてきたところでございますが、中高生がその運営に主体的に参加できる活動拠点といった視点も求められていることから、新たな活動拠点のあり方については中高生の参加を得ながら検討してまいります。
学童クラブの待機児解消と直営での運営についてでございます。学童クラブの待機児童対策としては、ニーズの将来予測に基づき、区立学童クラブの定員拡大のほか、民間学童クラブの誘導により適正配置を行う予定でございます。学童クラブ運営は、多様化するニーズへの対応やキッズ・プラザ事業との連携のとれた一体的運営等を勘案し、民間事業者へ委託しているところでございます。区職員による助言や指導と事業者の創意工夫により、良好な運営がなされており、おおむね保護者の満足度も高いと考えております。従事職員の勤務形態等の面からも、直営は考えておりません。
学童クラブ在籍児童の第2子以上に対する保育料軽減措置について質問がございました。多子対策等含む学童クラブの保育料のあり方については、本定例会中にお示しをする予定でございます。
次に、子どもの権利条例、子どものオンブズパーソンについての質問でございます。日本が子どもの権利条約を批准してから約二十数年がたちますが、区ではこれまで条約の趣旨が基本構想をはじめ新しい中野をつくる10か年計画や子ども・子育て支援事業計画に盛り込まれていることから、条例制定についてはこれまで検討してきませんでした。
私は、「中野区を子育て先進区へ」を区政運営の柱の一つとしてまいります。子どもを地域社会全体で見守り、希望ある未来に向けて子どもが成長することができるまちの実現を目指すとともに、区と区民が子どもの権利を保障する意義をしっかりと共有し、区政を進めていくことが必要であり、子どもの権利条例を制定することが必要だと考えております。子どもの権利条例を制定している多くの自治体では、人権の侵害に関する相談や救済申し立てに係る制度を構築しており、条例制定とあわせて検討してまいります。
〔子ども教育部長戸辺眞登壇〕
○子ども教育部長(戸辺眞) 私からは、子ども施策について、まず子どもの貧困実態調査についしてでございます。
これまでの妊娠・出産期から切れ目のないさまざまな支援の中で、所得に応じた利用者負担や個々のサービスごとにさまざまな課題を抱える家庭の状況に応じて必要な支援を行うよう取り組んできております。こうした中で、子どもの生活実態やニーズに関しては、各施策の利用状況等に加えて、東京都等での同様の調査結果により確認をしているところでございます。
しかしながら、子育て世帯を取り巻く環境は変化していることから、子どもの生活実態を調査して区の施策の有効性や認知度、また支援のニーズ等を把握し、施策の見直しに反映していくことが必要であると考えてございまして、具体的な調査方法等について研究、検討をしてまいります。
次に、平成30年4月1日時点の待機児童数という御質問でございます。平成30年4月1日現在での待機児童数は、昨年の同時期より204人減り、171人でございました。
次に、待機児童解消に向けて行った緊急対策の結果についてでございます。昨年度、待機児緊急対策といたしまして、区立保育室7室を整備したところでございますが、整備の前提条件といたしまして、早期に工事に着手し、平成30年4月に開設が可能な場所という条件だったため、地域的に偏りが生じているというものでございます。その地域的な偏りに加えまして、開設当初の入所率が低いということにつきましては、施設完成が平成29年度末近くであったため、入所希望者募集を2次募集から開始したことによって、周知が不足していたことがその一つの要因であると考えてございます。
平成30年4月1日現在の7室合計の入所率は33%で、最も入所が低かった施設は7%でございました。7月1日の入所予定者数は49%となり、低い施設でも10%にふえ、徐々に利用は進んでございます。これらの施設は、年度途中に復職する方や転入される方の受け皿になると考えてございまして、今後は地域ごとの保育需要を踏まえ、新規施設を整備することで待機児童を解消してまいりたいと考えてございます。
次に、待機児童の解消に係ることで、認可保育所用地、保育士の処遇改善という御質問でございます。区有地の保育施設への活用につきましては、例えば温暖化対策推進オフィスの保育施設への活用など、区全体で検討し、方向性を決めているところでございます。今後も、さまざまな用地の活用について検討してまいります。
保育士の処遇改善につきましては、昨年度から保育士に内定し、就職決定した方への就職奨励金の支給や、保育所従事職員への宿舎借り上げ支援事業として補助金を支給しているところでございます。今後も保育士確保に係る支援策について検討し、対応してまいります。
次に、区立幼稚園についての御質問でございます。一時預かり事業の人員確保についてでございます。幼稚園型一時預かり事業に従事する職員については、保育士等の資格を有する職員を配置する必要があると認識してございます。平成31年4月の事業開始に向け、今現在準備を進めているところであり、事業実施に当たり、必要な人員配置についても検討しているところでございます。
〔区民サービス管理部長上村晃一登壇〕
○区民サービス管理部長(上村晃一) 私からは、多子世帯への保険料の負担軽減対策についてお答えいたします。
国民健康保険法第77条には、特別の理由があるものに対し保険料を減免し、またはその徴収を猶予することができると規定されており、中野区では災害等で生活が著しく困難となった方の保険料を免除しているところでございます。多子世帯につきましては、国の制度の問題として解決すべきことと考えてございますので、区として保険料を減免する考えはございません。
〔地域支えあい推進室長野村建樹登壇〕
○地域支えあい推進室長(野村建樹) 私からは、高齢者施策についてお答えをいたします。
まず、基幹型地域包括支援センターについての御質問でございました。基幹型地域包括支援センターの役割は、各センター間の調整やケース対応への後方支援等を通じまして、相互に連携し、効果的な取り組みを実現するところにございます。
現在、区ではすこやか福祉センターが基幹型の役割としてセンター間の相互調整や後方支援、他機関との連携支援を行っております。また、本庁におきましては、認知症の初期集中支援や在宅療養相談における医療介護連携支援、また虐待対応等の権利擁護業務を行ってございます。今後ますます地域包括支援センターの充実が求められており、基幹型機能を含めまして、すこやか福祉センターの強化について検討してまいりたいというふうに考えでございます。
続きまして、地域共生社会における公的責任という御質問でございました。中野区におきましては、だれもがその人らしく、住みなれた地域で暮らし続けられるように、区は地域包括ケアシステムの推進に取り組んでいるところでございます。この中におきまして、公的責任はセーフティネットとして支援が必要な区民を一人も取りこぼさず、サービス等の支援につなげること、虐待等を防止し、権利を擁護すること、また必要なサービス基盤を整備するとともに、その質の維持、向上を図ることのほか、住環境ですとか、就労など、全庁的な取り組みによってハード、ソフトの支え合いのまちづくりを進めることにあるというふうに存じております。
〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕
○都市基盤部長(豊川士朗) 震災対策についてお答えをいたします。
まず、木造住宅の耐震補強工事への助成制度の創設についてでございます。区では、これまで東京都の防災都市づくり推進計画に示されました整備地域を中心とした総合的な防災まちづくりを推進してきたところでございます。平成30年度より、東京都は住宅の耐震化対策に積極的に取り組む区市町村に対して、より手厚い助成制度を実施する方針を示したことから、区といたしましても東京都のこの方針に即した助成のあり方について検証いたしまして、耐震化率向上に向けた取り組みを関係方面とも御相談しながら検討していきたいと考えております。
それから、ブロック塀等の安全性確保についてでございます。今後、実施いたしますブロック塀等の調査結果を踏まえまして、通学路などを含む狭隘な道路のブロック塀等への支援制度につきまして、財源確保も含め総合的な対応策を検討してまいります。
それから、木造住宅密集地域への感震ブレーカーの普及と助成についてでございます。区では、感震ブレーカーを普及させるため、その他の防災用品を含めたパンフレットを作成いたしまして、一般価格より安価な価格であっせんをしているところでございます。このパンフレットは、区有施設での窓口配布や、ホームページに掲載するとともに、総合防災訓練をはじめ各種防災訓練等において配布をしております。
地震時の出火防止対策の一つとして、感震ブレーカーの設置は一定の効果があることから、現在行っております感震ブレーカーのあっせん制度に加えまして、一層の普及促進策としてどのような手法や効果があるのか、とりわけ高齢者や障害者のみの世帯にはどのような手法が適切かなどを至急検討していきたいと考えてございます。
それから、家具転倒防止器具の取り付け助成についてでございます。今回の大阪府における地震では、家具の転倒による被害者があり、家具転倒防止器具に対する普及啓発の必要性かつ重要性を認識しているところでございます。中野区内においては、この家具転倒防止器具が十分に普及しているとは言えず、今回と同様の被害が見込まれることから、より一層の普及啓発が必要であると考えてございます。これまで、器具については多くの種類がありまして、また金額にも幅があることから、個人負担の範囲内で選択していただいてきたところでございます。今後、さらなる普及を図るため、利用しやすい助成制度のあり方を検討してまいります。
○議長(いでい良輔) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。
中野区議会議員 中 村 延 子
1 所信表明について
(1)これからの区政運営について
(2)「区民と向き合う区役所への転換」について
(3)中野駅新北口駅前再開発について
(4)公園再整備について
(5)その他
2 その他
○議長(いでい良輔) 次に、中村延子議員。
〔中村延子議員登壇〕
○16番(中村延子) 平成30年第2回定例会に当たり、立憲民主議員団の立場から一般質問を行います。
質問は通告のとおりです。これまでの質問と重なる部分もありますが、私たち会派の立場から質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず初めに、所信表明についてのうち、これからの区政運営について伺います。
酒井直人区長におかれましては、6月10日に行われた区長選挙で3万6,758票を獲得し、初当選を果たされたこと、心からお祝い申し上げます。投票率も前回に比べ4.96%上がり、34.45%、得票率は39.5%となりました。まだまだ高い投票率とは言えませんが、過去20年間で一番高い投票率になりました。酒井区長への期待感と区政への関心が高まったことへのあらわれでもあると感じております。
区長は、これまで22年間、区の職員として中野区政に御尽力されてきました。その中で、区長選挙に立ち上がろうという決意をされるまでには、大きなエネルギーが必要だったことは容易に想像ができます。区政の何を変えるべきと感じ、立ち上がったのか、酒井区長自身が立ち上がらなければいけないと思い至った改善すべきところはどこだとお考えなのか、伺います。
しかしながら、選挙戦を通じても、これまでの区政について評価をされている部分についても御発言がありました。私たち会派も、これまでも議会の場やそれ以外でも、前区政のさまざまな功績については評価をしてきたところです。酒井区長は、財政運営の考え方など、これまでの区政をどこまで踏襲していくのか、伺います。
施政方針説明の中で、「政策決定過程での『区民参加のあり方」が問われた選挙」だったとおっしゃっております。中野区では、自治基本条例を制定しており、その中で区民の区政への参加の権利を保障しています。参加の仕組み自体はありますが、説明会やパブリックコメントで区民から出された意見が反映されていることはほとんどなく、これまでもたびたび形骸化をしていると申し上げてきました。酒井区長が考える「区民参加のあり方」はどうあるべきなのか、お答えください。また、選挙戦を通じては、対話を重視する区政への転換をお話しされておりました。人々の暮らしや価値観が多様化する中で、多様な生き方や個性、価値観を受け入れることのできる地域社会を築いていくためには、さまざまなバックグラウンドの方々との対話は重要になると考えます。多様な区民との対話をどのように行っていくのでしょうか、伺います。
区議会との関係についても伺います。現在、区議会議員は41名おりますが、私たち議会も中野区民から選ばれた区民の代表です。議員はそれぞれ直接区民の身近な存在として、その生活の実態に触れ、その多様な声を聞き、それらを会派を通じて議会全体の政策として反映していくことが私たち議会の基本的な仕事です。住民参加のあり方を構築していく際には、議会との関係についてもしっかりと考えていくべきだと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
所信表明の中では、基本構想と基本計画についても触れられています。基本構想の制定に当たっては、区民ワークショップや基本構想審議会をはじめ多くの区民と意見交換を重ねて策定をしていくとおっしゃいました。その方向性については支持をするところですが、区政が変わったことをスピード感をもって区民に示していくことも大切だと考えます。いかがでしょうか、伺います。
この項の最後に、区長の任期について伺います。今回の選挙選では、多選に対する批判を繰り返し訴えられていました。御自身の多選に対する見解と、御自身の在任期間についてどのようにお考えか伺い、この項の質問を終わります。
次に、「区民と向き合う区役所への転換」について伺います。
酒井区長は、6月15日の区長就任あいさつの中で、「これからの中野区政をつくっていく上で、最も重要な役割を果たすのが区政の最前線で常に区民と接している職員の皆さんです。臆せず地域に飛び出し、区民と交流する機会をふやしてください。区民の皆さんともフラットな関係、すなわちまちづくりのパートナーとして関係をぜひ築いてください。また、組織の中でも自由闊達に議論する環境を整えていきます。職層を超えて、フラットな場をつくり、私をはじめ、だれもが遠慮することなく議論する組織風土をつくっていきましょう」とお話をされました。また、施政方針説明の中でも職員提案制度の改善や地域に飛び出し活躍する職員の育成などによってボトムアップ型区政への転換を図り、区民と向き合う区役所づくりを推進しますと述べられました。
まず、職員提案制度の改善について伺います。この制度は、平成14年から始まりましたが、平成22年以降、一つも提案が上がっていないことはこれまでも指摘をしてきました。また、区長のアイデアボックスも制度としてはあるものの、同じく平成22年以降、一つも提案がありません。スタートした初期のころには、毎年数件の提案がありましたが、だんだんと減ってしまったことには、求められていた質が高過ぎてしまうためではないかと推測します。区長が話されたようにフラットな感覚で、でき上がった政策だけではなく、小さな改善点も提案できるよう、間口を広げる必要があると考えますが、いかがでしょうか。提案された改善策が適当でなかったとしても、職員が抱えている問題の根底を理解することも必要と考えます。問題意識を無下にしない区役所文化をつくっていくことがよりよい提案につながっていくと考えますが、いかがでしょうか。御見解をお聞きします。
現在、採用二、三年目の職員の研修には、政策立案の研修も含まれています。この中には、新任管理職と一緒に具体的な政策立案について学ぶものもあると聞いています。この研修の成果物は、区長や副区長に報告されていると伺っております。こういった研修を通じた政策立案も提案制度の対象としてみるなど検討をしていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
酒井区長は、おもてなし運動推進委員として初期のころから区役所内の改善活動に力を注いでこられました。全国でのネットワークづくりにも御尽力され、K-netの立ち上げにもかかわられ、事務局長も務められておられました。改善活動には一層思い入れが強いのではないかと思います。一方で、おもてなし運動への取り組みは、分野で温度差があるようにも感じています。現在のおもてなし運動は自発的な取り組みであり、仕事の範疇外という認識ですが、それでも全ての分野が取り組んでおります。また、職員提案制度やおもてなし運動は、それぞれが独立した取り組みであり、組織的に評価をしていくような仕組みにはなっていません。しかしながら、職員にとって自分の提案で区政が改善されていることは、モチベーションにもつながると考えます。評価をしていく仕組みについても今後検討をしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。御見解をお聞かせください。
区長就任あいさつの中では、中野区職員は全国一の政策集団になってほしいとも御発言されました。この10年で大幅に職員が入れかわることを考えれば、一人ひとりの能力を最大限に引き出していくことは組織としてとても重要です。研修や人材交流など、あらゆる手段で人材を育成していくことが必要だと考えます。中野区は、昨年度から人材育成担当を設け、取り組んできました。ことし3月には人事構想もまとめられ、今後人材育成ビジョンを改定する予定です。これまでも人事交流や職員派遣など人材交流はしてきているところですが、さらに活性化をしていく必要があると考えます。他自治体との交流や、民間も含めてさらに検討していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
若手職員の中には、自主研究グループで時間外に活動されている方々もいらっしゃいます。酒井区長をはじめとする中野区職員が2010年に始められた自主勉強会NAS、Nakano After Sixの略ですが、現在も毎月1回行われております。毎回さまざまなバックグラウンドの講師をお呼びし、今では中野区職員だけにとどまらず、区民や他自治体の職員なども多く参加をしています。私を含め、区議会の皆さんでも参加をされたことがある方は多くいらっしゃるかと思います。現在は、ほかにも区役所内で勉強会が立ち上がっているとのことです。こういった自主研究グループや勉強会に対しては、人材育成担当で補助制度を設けており、講師の謝礼、会議室の利用、機材の貸し出しなどに対し支援をし、区としてもバックアップをしている状況です。しかし、あまり利用がないとも伺っています。このように自主的に政策を勉強する職員へのサポートは非常に意義深いと思います。周知に努めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
研修や勉強会だけではなく、区長が若手の職員と対話をしていくこと、今仕事や職場で抱えている課題を直接聞く機会も重要だと考えます。区長みずからがフラットな職場づくりをしていく必要があると考えます。庁内での対話集会も考えていくべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
区長が掲げる地域に飛び出し活躍する職員の育成には、環境整備が必要だと考えます。奈良県生駒市では、地域貢献活動促進のため、職員が報酬付きの副業に従事することを認め、「ワークライフコミュニティバランス宣言」を行っています。地方公務員法第38条第1項で、職員が報酬を得て事業・事務に従事するときは任命権者の許可が必要と規定をされており、昨年8月1日付で「地域貢献活動を行う職員の営利企業等の従事制限の運用について」を施行し、許可基準や手続など明確化をしています。
中野区でも「職員の兼業許可等に関する事務取扱規程」に基準を定め、本来の職務に支障が出ない範囲に限るなどのルールのもと、兼業を認めています。報酬を得ずに公益的な活動をしている職員もたくさんいるものの、消防団活動など、中には報酬を受け取れないことが地域活動への参加を妨げる一因となることもあるため、この規程により許可をすることは地域で活躍する職員の育成につながると考えます。区では、これまでに利用実績もあると聞いていますが、なかなか多くないことも事実です。地域で活躍する職員の育成に寄与するため、周知等に努めるべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
次に、モバイルワークについて伺います。モバイルワークもまた、地域に職員が飛び出していける環境整備に寄与すると考えます。中野区でも、職員が出張先などから庁内の情報システムにアクセスできるようなモバイルワーク環境の整備について、新庁舎への移転予定の平成35年ごろを目指し導入を検討されています。今回の施政方針説明の中でも、地域に飛び出す職員について触れられており、環境整備さえ進めることができれば、新庁舎移転を待たずとも導入ができると考えますが、いかがでしょうか、伺います。
モバイルワークを含むテレワークを実現するためには、業務の見直し、システムの検討、制度・庁内ルールの作成が挙げられます。4月25日に豊島区のモバイルワーク導入当時の高橋邦夫元情報管理課長からお話を伺いました。モバイルワークを推進するため、豊島区では電子決裁率を100%にし、また、全ての管理職にタブレット端末と携帯電話を配布し、出先でも決裁できる環境をつくり出しました。中野区の電子決裁率は、平成29年度実績で77%ですが、今後の庁内情報システムの構築により電子決裁率も上がり、また、その後に仕組みの構築を進めることができれば、庁内移転よりも早く導入することができると考えます。昨年から議会対応で全理事者がタブレットをお持ちです。こうした資源も有効活用ができるようになると考えます。御見解をお聞かせください。
次に、RPAについて伺います。人口減少社会の一方、行政需要は多様化しており、業務の効率化は避けて通れない課題だと考えます。RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略で、これまで人がシステム上で、いわばパソコンで行ってきたマウスやキーボードの操作を、ソフトウェア型のロボットに任せ、作業を自動化する手法のことです。世界的に導入が進んでおり、日本でも一昨年の2016年がRPA元年と呼ばれて以降、昨年、ことしと急速に普及しつつあります。
RPAはデジタルレイバーとも呼ばれ、教えられた定型業務であれば、24時間365日、迅速に、正確に働いてくれるというのが最大のメリットです。導入に当たっては、既存のシステムを改修する必要がなく、従来の業務プロセスのまま、人が担っていた部分をソフトウェアに置きかえることが可能です。また、動作の設定や運用にプログラミング等の専門知識が必要なく、商品によってはマウス操作だけでシナリオが作成できるようになっています。さらに、導入コストも数十万円からと、従来のシステム開発を考えると極めて安価であり、費用対効果が非常に高いと言えます。
行政でのRPA導入事例はまだ多くないのが現状ですが、最も先行している自治体の一つが茨城県つくば市です。同市は、本年1月から4月にかけて、RPAの活用について民間事業者との共同研究を行い、年度内の本格導入を目指しています。市民税課の新規事業者登録業務や電子申告に関する業務、通知書等の印刷業務など5業務にRPAを導入した結果、作業時間が79.2%、年間換算で336時間の削減が見込まれるという結果となりました。また、市民窓口課の異動届受理通知業務においては、削減率が83.3%、年間換算にすると71時間が削減できるという結果が出ています。市民税課の業務全体の5%にRPAが適用できた場合、年間で1,400時間以上の作業時間が削減できると見込まれており、今後はほかの部署にも順次導入される予定となっています。このほかにも、先進的に導入された自治体では、業務の効率化について大きな成果を上げています。
RPA導入は、単に人を機械に置きかえて人員を削減するということではなく、ロボットが対応可能なものはロボットに任せて、その分、人でなければできない、区民の心に寄り添った相談業務であるとか、創造的な仕事に限られた人材を投入し、行政サービスの向上を図ることができるということです。中野区でも早急にRPAの導入を検討していくべきと考えます。試行的に一部の分野からスタートし、成果を見て、できるだけ多くの分野に広げていくべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
次に、中野駅新北口駅前再開発について伺います。
今回の区長選挙を通じ、中野駅前、とりわけサンプラザをどうしていくかは大きな争点として、公開討論会での議論や新聞などの報道でも取り上げられてきました。中野サンプラザに愛着を持っている多くの区民やアーティストからも、さまざまな媒体で発信がありました。酒井区長は、御自身の公約には、「新サンプラザを新たな中野のランドマークへ」というタイトルで、有識者を交えた1万人アリーナ計画検証委員会を立ち上げます。スポーツ用途ではなく、私は、現在と同様に文化発信の拠点として区役所・サンプラザ地区を生かしたいと考えています。と記載をしています。就任直後の区長記者会見では、中野サンプラザを残すのか残さないのかという点についても検証をしていきたいと御発言されていました。一部の方々にとって中野サンプラザは、中野のアイデンティティになっており、結果的に残すことができないにしても、コスト面などその理由等、区民に公開をした上で議論を進める必要があると考えます。
まず、区長が公約に掲げた検証委員会については、どのような会議体になるのかお示しください。また、どのようなプロセスで中野サンプラザのあり方について検証していくのか、お考えをお示しください。検証委員会の開催のスケジュールについても、あわせてお聞かせください。
中野駅新北口駅前エリア再整備については、都市計画変更の手続として原案が7月に示される予定でしたが、その原案には中野サンプラザ跡地に道路を通す方向性が位置づけられています。中野サンプラザ継続の是非が含まれる以上、一たん見合わせるべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
一方で、この都市計画変更の原案には、中野駅西口の整備にかかわる部分も含まれています。今回出されない場合は、西口改札の着工にも影響が出てくるものと思われますが、それに関してはどのようにお考えか、お聞かせください。今回、中野サンプラザのあり方が大きな争点となったわけで、再整備をどうしていくかについては広く区民に公開した上で議論をしていくべきと考えます。その上で、できる限り西口の整備に関しては、完成スケジュールにおくれが出ないよう努力をしていく必要があると考えますが、いかがでしょうか、伺います。
いずれにしても、中野サンプラザと区役所エリアに関しては、これまでは新区役所の建設費用に充てるとしておりました。基金を使うことも区役所・サンプラザ跡地の活用も、区民の財産を使うことに変わりはないですが、中野サンプラザを残す検証結果になった場合は、これまでの考え方ではない方法で新区役所建設費用221億円の捻出をする必要が出てきます。こうした課題の洗い出しを早急に進めた上で、検証委員会での議論がされるべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
次に、公園再整備について伺います。
今回の選挙戦では、公園再整備についても大きく議論されました。まず、平和の森公園再整備について伺います。
酒井区長は、御自身の公約に「平和の森公園の草地広場は残します。第二期工事で予定されている300メートルトラックは、不要です。草地広場を残します。」と記載をしています。所信表明の中でも、「第2工区の工事内容について、もう一度区民の皆さんの意見をしっかりとお聞きしたうえで、300メートルトラック、バーベキューサイトなどの必要性についても判断いたします」と触れられました。区民の意見をどのように聞いていく予定なのか、伺います。その上で、第2期工事についてどのようなスケジュール感で判断をしていくおつもりなのか、お示しください。
平和の森公園再整備については、1期工事と2期工事、一括契約をしています。2期工事の内容に変更が出る場合は、違約金などが発生する可能性もあります。選挙を通じて広場が自由利用できることを求める区民の声は多く、一定程度は必要な経費とは考えておりますが、区長はその点についてどのようにお考えか、伺います。
次に、哲学堂公園再整備について伺います。
中野区はこれまで、哲学堂公園及びみずのとう公園を核とした都市観光拠点の推進について、井上円了氏の没後100年に当たる2019年に国の名勝指定を目指し、再整備の設計を進めてきました。この事業に対し、今年度11億7,400万円という多額の予算が計上されています。3月14日の建設委員会には、「哲学堂公園再生整備基本設計及び学習展示施設基本設計について」が報告されました。もともとの素案の段階からは設計変更されたものの、児童遊園の位置に学習展示施設を建設し、現在の1,600平米から1,200平米になってしまうものとなっており、これまでの哲学堂公園の児童遊園を使われていた方々には少なからず影響が出てくると考えます。
これまで中野区は、哲学堂公園一帯の観光拠点化を進めてきていますが、そもそもこのエリアが本当に観光拠点となると考えるのでしょうか。区長のお考えをお示しください。我が会派も、文化財の保全に関しては理解を示してきました。一方で、観光拠点としての可能性がどれくらいあるのか、以前に雑誌で哲学堂公園のPR事業を実施していながら、その効果も把握しておらず、観光拠点となり得るのか、区が調査しているようにも見えません。地域に愛される特色ある公園づくりには反対をしませんが、国の名勝指定を受けるために区民の皆さんの使い勝手が悪くなるのであれば、それは見直していくことも必要だと考えます。
もし哲学堂公園にある特色ある文化財の空間をより深く理解してもらうために学習展示施設が必要なのであれば、今ある管理棟の場所に建てるなど、配置についても再検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。名勝指定に関しても、区長自身が文化庁などの関係機関と交渉をするなど、でき得ることをやっていくべきと考えますが、いかがお考えでしょうか、伺います。
公園としての価値を上げることも重要ですが、区民の財産である公園が区民に愛されなければ元も子もないと考えます。地域の理解を得ながら、哲学堂公園再整備を進めていくべきと考えますが、御見解をお聞きし、この項の質問を終わります。
その他はございません。以上で私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 中村延子議員の御質問に対してのお答えをいたします。
まず最初に、区政の改善すべきところは何だったと私が考えていたという御質問でございます。まず、前区長のもとでは、職員が地域に出向いて区民の声を聞いて、それを施策に反映させるという組織づくりが十分ではなかったと思っておりました。職員提案制度の改善や、地域に飛び出し活躍する職員の育成などによって、ボトムアップ型区政への転換を図ることが必要であると考えております。今後は、これまでよりもそういった視点をより重要視する区政運営に転換してまいりたいと思います。
それから、区政運営の踏襲についてでございます。前区政が行った政策で、財政再建や中野四季の都市(まち)の整備によるにぎわいの創出について、私は評価をしておるところでございます。政策決定過程での区民参加のあり方や、一部の施策については検証や見直しが必要であると考えておりますが、大きく方向性を変えるということは考えてはおりません。
区民参加のあり方についてでございます。区政への区民参加を進めるために、区は区民へ情報を積極的に公開し、政策について丁寧に説明していく必要があると考えております。今後は、区の計画や施策を立案する段階から広く情報やデータを公開し、区民の意見を募集する、区の政策立案過程の見える化を進めてまいりたいと考えております。
それから、多様な区民との対話をどのように行っていくのかという御質問でございます。区政への区民参加を促すため、区民と区長の対話の場を設けたいと考えております。対話のテーマを広く区民から募集するほか、区報やホームページ、テーマに応じて関心の高い区民にダイレクトメールを送付するなど、多様な方が参加していただけるよう工夫してまいりたいと思います。
次に、区議会との関係という御質問でございます。区議会は、区民を代表して重要な意思決定を行う議決機関でございます。区民の区政への参加を進めるに当たっては、区議会との議論もしっかりと重ねながら、よりよい仕組みとなるよう努めてまいります。
次に、基本構想制定に当たってのスピード感をもってということでございます。基本構想の制定に当たっては、年度内を目途に審議会を立ち上げ、あわせて区民ワークショップ等の区民主体の検討組織を発足させることなどを考えております。議論の早い段階から区民の参加を積極的に進め、可能な限り早期に制定できるよう取り組んでまいります。
次に、区長の在任期間でございます。区長が長期にわたり在任することにより、継続性が保たれる反面、一定の方向に区政が偏ったり、停滞したりするおそれがあることから、区長の在任期間は3期12年までが適当であると考えております。
次に、職員提案制度の改善についてでございます。これまでの職員提案制度は、提案内容の完成度の高いものを採用する制度であったため、提案件数が結果的に少なかったと考えております。このため、まずは身近なところから、小さなことでも自分なりのアイデアを出してもらって、そうした提案を関連部署等で検討し、改善策に仕上げていくような仕組みを検討してまいりたいと思います。
そして、職員提案制度の活用についてでございます。御指摘の政策立案研修については、政策立案の基礎スキルの養成、立案能力の向上を目的として、採用2年目、3年目の職員に対して段階的に今実施しております。そのうち、政策形成ゼミナールでは、新任管理職と採用3年目職員がともに具体的なテーマを設定して、政策を立案し、区の幹部に報告を行う取り組みを実施しているところでございます。研修を通じて立案した政策を職員提案制度の対象とすることを検討してまいります。
それから、職員提案制度やおもてなし運動を評価する仕組みに関してでございます。職員提案制度やおもてなし運動は、職員の主体的な取り組みによって組織や職員を活性化し、区民満足度の高い区役所をつくることを目的としておりました。各職場での区民の視点に立った事務改善などの取り組みについては、おもてなし運動発表会において評価を行い、表彰するとともに、全職員で共有するようにしてきたところでございます。今後は、改善に取り組んだ職員をさらに積極的に評価するように工夫をしてまいります。
それから、民間や他自治体との人材交流についてでございます。区は、これまでも多様な行政需要に的確に対応するとともに、人材育成の観点から国や他自治体への派遣や任期付き職員の活用等、人材交流に努めてきたところではございますが、今後は積極的に人材交流を行ってまいります。
自主研究グループの活動支援についてでございます。職員が自主的に知識や能力の向上に努めることは、非常に重要なものだと考えております。自主研究グループに対する支援については、講師謝礼等の経費に対し助成金を交付し、支援をしているところでございます。自主研究グループ活動支援については、職員研修実施計画や研修広報紙で周知を行っているところでございますが、さらに周知を強化し、幅広く活用されるよう働きかけを行ってまいります。
区長の若手職員との対話についても御提案がありました。フラットな職場づくりのためには、職員や職場が抱えている課題を忌憚なく話し合える環境を整備することが重要だと思っております。現在、一部の職員研修で区長と対話する場を設けているところではありますが、今後、区長みずからが直接、積極的に職員と対話できる機会を含めて、効果的な方策を検討しながら進めてまいります。
次に、職員が報酬付きの副業に従事することについての御提案です。報酬を得て地域貢献活動に従事する場合は、職務の公正、円滑な執行に支障がない場合等は現状でも許可しているところではございますけれども、今後は積極的に職員への周知を図って、この制度を利用する職員をふやしてまいりたいと思います。
次に、モバイルワーク環境の整備でございます。タブレット端末などを活用して、出張先などの庁外から庁内情報システムにアクセスして、メールやスケジュールの確認、それから電子決裁を行うことができる環境を整備し、職員の働き方改革をさらに進めていきたいと考えております。これまでの検討では、モバイル端末の活用に合わせて庁内の無線LAN環境を整備し、会議におけるペーパーレスの推進等を図る観点から、新庁舎整備と時期を合わせて検討してきたところでございます。しかし、庁外からのアクセスについては、技術的にセキュリティを確保した手法も確立されつつあり、先進自治体の事例もふえていることから、時期を前倒しして実施したいと考えております。使用する端末については、使用する業務の範囲や必要な機能、性能、導入時期、台数、コストなどを総合的に検討する必要がありますが、既に導入している議会資料閲覧用タブレットを有効活用することも含めて、検討してまいります。
次に、RPAの早期活用でございます。RPAについては、対象業務を見きわめて導入することにより、着実に業務効率の向上が見込まれると認識しております。RPAの導入に適した業務について全庁的に調査を行い、抽出していきます。まずは、最も効率的に効果が出てくると期待できる業務を絞り込んでスタートし、徐々に対象範囲を拡大し、全庁的な業務効率の向上につなげてまいります。
次に、1万人アリーナの検証についてでございます。1万人アリーナについては、中野四丁目新北口まちづくり方針において掲げられたものでございますが、規模や事業の妥当性、まちにとっての影響など、区民や有識者を交えた議論が必要だと考えております。会議体については、さまざまな手法が考えられる中、できるだけ早期に議論を始められるように既存の会議体を使って活用していくことを考えております。このような会議体では、まず中野駅周辺のまちの発展や中野区の知名度向上に寄与してきた中野サンプラザのこれまでの経緯を丁寧に説明していくことを考えております。
次に、都市計画変更及び西口改札整備のスケジュールでございます。中野駅新北口駅前エリアの都市計画変更については、昨年12月に都市計画変更の素案を示し、原案の検討を進めているところでございます。南北通路、橋上駅舎等整備については、区とJR東日本で締結した実施設計に関する協定に基づいて、JR東日本が南北通路、橋上駅舎、駅ビルからなる道路一体建物に関する設計作業を現在進めております。区とJR東日本では、南北通路、橋上駅舎の早期開業を目指して事業を進めており、現在道路一体建物の工事に先立って、準備工事である支障移転工事等に秋ごろから着手できるよう協議、調整を進めております。
中野駅新北口の都市計画変更手続は、今後の新北口駅前エリアのあり方についての議論を踏まえて進めることとなりますが、南北通路、橋上駅舎の事業計画や整備スケジュールに影響を及ぼすことのないよう適切に判断して進めてまいります。
検証に伴う課題についてということでございます。区は、これまで中野駅新北口駅前エリア再整備事業において、現在の区役所と中野サンプラザなどの土地、建物を活用し、エリア一帯における面的整備とともに、新区役所整備の財源を生み出す考えを示してまいりました。この再整備事業は、新区役所整備のほか、中野駅地区整備や周辺地区のまちづくりとも密接に関連しており、再整備事業の組み立てを変更することによる影響について課題として整理しているところでございます。区民や有識者を交えた会議においては、再整備事業の概要とともに周辺事業との関係についても説明した上で、議論を進めてまいります。
公園再整備の平和の森公園の区民意見の聞き方等についてでございます。第2工区の工事内容変更の複数案を区が作成しまして、区民との意見交換会などを開催して進めてまいります。
工事内容変更に関するスケジュールについてでございます。工事内容の変更検討や変更契約手続に伴う工事の遅延により補償金等が発生しないよう、変更する場合は第3回定例会での変更契約議案提案を目指して進めてまいります。
工事内容の変更による違約金等についての御質問でございました。第2工区の内容の変更については、できるだけ違約金などが発生しないよう検討を進めてまいります。
哲学堂公園の学習展示施設の配置等についての御質問がございました。観光拠点となり得るのか、それに伴って学習展示施設の配置等についても再度検討を進めてまいります。学習展示施設の配置を根本的に見直す場合は、年単位で事業がおくれる可能性もあるため、国の名勝指定への影響や補助金の影響を今確認しているところでございます。
それから、国の名勝指定について、区長自身が文化庁などの関係機関と交渉するなどということでございましたが、首長が直接協議したほうが有効な事項があれば、私はみずから積極的に出向いて行う所存でございます。
最後に、公園の整備についての地域の理解についての質問でございます。公園をはじめとした区民のための公共施設整備は、地域の理解を得るためのプロセスが重要であると認識しておりますので、そのように進めてまいります。
○議長(いでい良輔) 以上で中村延子議員の質問は終わります。
お諮りいたします。
議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(いでい良輔) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
次の会議は、7月2日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
本日はこれをもって延会いたします。
午後4時55分延会
会議録署名員 議 長 いでい 良輔
議 員 内野 大三郎
議 員 森 たかゆき