令和3年02月17日中野区議会本会議(第1回定例会)

.令和3年(2021年)2月17日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(42名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  5番  間     ひとみ         6番  河  合  り  な

  7番  斉  藤  ゆ  り        8番  立  石  り  お

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  高  橋  かずちか

 11番  加  藤  たくま        12番  吉  田  康一郎

 13番  木  村  広  一       14番  甲  田  ゆり子

 15番  内  野  大三郎        16番  杉  山     司

 17番  ひやま      隆       18番  小宮山   たかし

 19番  い  さ  哲  郎       20番  小  杉  一  男

 21番  若  林  しげお        22番  内  川  和  久

 23番  いでい   良  輔       24番  小  林  ぜんいち

 25番  白  井  ひでふみ       26番  いながき  じゅん子

 27番  山  本  たかし        28番  中  村  延  子

 29番  石  坂  わたる        30番  近  藤  さえ子

 31番  浦  野  さとみ        32番  大  内  しんご

 33番  伊  藤  正  信       34番  高  橋  ちあき

 35番  平  山  英  明       36番  南     かつひこ

 37番  久  保  り  か       38番  森     たかゆき

 39番  酒  井  たくや        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席議員

      な  し

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  白 土   純

 副  区  長  横 山 克 人      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  高 橋 昭 彦      総 務 部 長  海老沢 憲 一

 健康福祉部長  岩 浅 英 樹      保 健 所 長  向 山 晴 子

 環 境 部 長  朝 井 めぐみ      都市基盤部長  奈 良 浩 二

 まちづくり推進部長 角  秀 行      企画部企画課長(企画部参事事務取扱)  石 井 大 輔

 総務部総務課長  浅 川   靖

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  長 﨑 武 史      

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  立 川   衛

 書     記  若 見 元 彦      書     記  野 村 理 志

 書     記  鎌 形 聡 美      書     記  松 丸 晃 大      

 書     記  細 井 翔 太      書     記  有 明 健 人      

 書     記  五十嵐 一 生      書     記  髙 橋 万 里      

 書     記  本 多 正 篤

 

 議事日程(令和3年(2021年)2月17日午後1時開議)

日程第1 第6号議案 令和3年度中野区一般会計予算

 

午後1時00分開議

○議長(高橋かずちか) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了願います。

 この際、お手元の一般質問一覧表のとおり、大内しんご議員、酒井たくや議員、白井ひでふみ議員、羽鳥だいすけ議員、内野大三郎議員、伊藤正信議員、山本たかし議員、木村広一議員、小杉一男議員、内川和久議員、斉藤ゆり議員、日野たかし議員、いでい良輔議員、河合りな議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、いながきじゅん子議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員、竹村あきひろ議員、立石りお議員、吉田康一郎議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 

 中野区議会議員 大 内 しんご

 1 新型コロナウイルスワクチン接種について

 2 施政方針説明について

 3 区政構造改革について

 4 その他

 

○議長(高橋かずちか) 最初に、大内しんご議員。

〔大内しんご議員登壇〕

○32番(大内しんご) 令和3年2月17日、中野区議会第1回定例会におきまして、自由民主党議員団のトップで質問をさせていただきます。

 最初に、いよいよ今日から医療従事者に対して始まりました新型コロナウイルスワクチン接種について、2番目に、順番を入れ替えまして区政構造改革について、3番目に施政方針説明についての質問をさせていただきます。

 新型コロナウイルスワクチンは、感染者の拡大を防止し、国民の生命と生活を守る切り札として大いに期待されているところですが、区における接種については、医療機関における個別接種と集団接種を組み合わせていく方向で検討を進めていると聞いています。高齢者の方については、基礎疾患を有する方も多くいると考えられるため、副反応への対応やそのリスク把握などの観点から、過去の病歴などの確認が容易な医療機関での接種が望ましいと考えます。ぜひ多くの医療機関で接種ができるようにすべきと考えます。

 また、集団接種については、会場の確保とともに、医師・看護師をはじめとする医療従事者の確保が不可欠です。開始当初に供給が予定されているファイザー社製のワクチンについては、欧米で10万人に1人程度の頻度でアナフィラキシーが発生することが報告されています。これらの副反応に対して適切に措置が行える体制を整備する必要があるため、接種後15分から30分の経過観察を適切に行わなければならない一方で、こうした副反応を強調するような報道などによって区民の間に過度な不安が起こり、接種を控える風潮が広がることも懸念されています。

 また、今回のワクチンそのものの効果、接種間隔や2回といった接種方法を逸脱した場合の効果など、現時点で明らかになっていないといった課題もあり、これらは区だけでは難しいところですが、国、都道府県、ワクチン製造企業などとしっかり連携して、区民に対し適時適切に分かりやすく情報提供をしていく必要があります。

 今回のワクチン接種に関する経費は、国が全額負担すると聞いていますが、医療従事者の支援や感染症防止対策などを適切に行い、多様な接種場所を確保することによって、希望する区民が速やかに安心して接種できるよう準備を進めていただくようお願いをいたします。

 以下、まとめて何点かお伺いします。

 まず、ワクチン接種のスケジュールについては国が主導していると認識していますが、現時点ではどのような予定になっているのでしょうか。

 二つ目に、区は、集団接種や個別接種など、それぞれどこで実施する予定なのかお伺いします。

 三つ目に、今回のワクチンは任意とのことですが、どのぐらいの区民が接種することを想定しているのでしょうか。

 四つ目に、ワクチン接種については、集団接種を行う医師等の従事者の確保はどのように行う予定なのかお伺いをいたします。

 次に、区政構造改革についてお伺いをいたします。

 区は、第3回定例会の行政報告で、今後の財政見通しについて、令和3年度の一般財源は約92億円もの減収が見込まれるとし、財政的な非常事態であるとの認識を示しました。そこで、令和3年度からのおおむね3年間は抜本的な行財政の構造改革を集中して取り組むことが不可欠だとし、これに不退転の決意で臨むと宣言をしました。その後、第4回定例会の一般質問におきまして、区が進めようとしている抜本的な構造改革の内容は具体的に何なのかをただしたのに対して区は、令和3年度予算編成における事業の見直し、廃止など短期的取組と、基本計画を視野に中長期的な取組として施策・施設・組織の再編を行っていくとし、8月には実行プログラムを策定して示すとの回答があったところですが、いまだ改革の全体像が示されたわけではありません。

 区長は、施政方針説明において、令和3年度における構造改革の成果として、事業や内部事務の見直し、経常経費予算額が前年度と比べ約9%削減することができ、前例のない削減率を上げることができたと胸を張る発言がありましたが、この数字についてはいささか疑問が残るところですが。

 しかし、第3回定例会の行政報告において、次年度の減収見込みに対して、財政調整基金の取崩しを前提とした予算編成はしないと宣言し、予算編成当初は20%の経常経費削減を目標として進めるとしていました。しかし、不退転の決意で臨むとの発言もありましたが、結果として構造改革初年度の成果が9%削減、この程度では令和4年度以降も財調基金を取り崩し続けることになるのではないかと危惧しているのは私だけではないと思います。

 前田中政権で整理された一般財源規模の考え方は、区の収入を見つつ、身の丈に合った歳出構造をつくることでした。この考え方は、歳入がどう変動しようと区としての歳出を徹底的に見直す姿勢でした。歳入がどう変動しようと、区の基準となる歳出のレベルを規定し、それを守ること。景気がどう変動しようと、区の歳出構造、強靭でぶれない歳出構造をつくることこそが中野区の構造改革だったと思います。コロナ禍においても、それに堪え得る強靭な財政を中野区は目指していたはずです。

 しかし、今の区政は、同じ言葉を使いながら、この一般財源規模の基準額を引き上げました。3年前の平成30年の690億円から、令和2年は60億円も膨らませ750億円に増やしたことは、メタボ体質と前回指摘をさせていただきました。区は、その財政基準の考え方を見失ってしまった3年間で基準が上下し、税収が落ち込みそうになると、来年度は687億円まで一般財源基準額を減額しました。前にも指摘しましたが、そもそも3年前の基準を固く守っていれば構造改革など必要なかったと考えられます。早い話、この基準となる一般財源規模の考え方を改めることこそが区の構造改革ではないでしょうか。残念な事に、それを壊しておいて構造改革をやろうとしているようにも見えます。

 現区政は、新しく区政を担当した瞬間に、潤沢にあった収入で予算規模を肥大化させてしまい、結果、構造改革をしなければならない区政にした責任の重さをよく考えていただきたいと思います。例えば人件費は、学校給食業務の民営化、学校警備の機械化、保育園民営化、図書館指定管理者化、庁舎警備の委託化を行い、義務的経費の削減に努めてまいりました。この効果は人件費において、中野区財政白書によれば、平成12年度314億円、職員数は約3,300人でしたが、20年経った令和3年度における予算では、人件費は213億円、職員数は約2,000人になり、区の職員が行っていた区民サービス等を民間に委託し、年間100億円という人件費における改革を行い、財源を捻出することができました。

 さらに大きな課題は、今後の基金の運用方法です。平成30年度末において700億円あった基金は、3年後の令和3年度末には458億円まで減少し、240億円も基金が減っています。信じられないスピードで失われております。さらに先日示された基本計画(案)では、後期基本計画時の令和8年には基金残高は167億円、約530億円も減額され、なくなってしまう計算になります。新たな基本計画では、中野区の貯金、将来のための基金はあっという間になくなってしまいます。この基金計画について持続可能な区政と言えるのか、区の見解をお伺いします。また、来年度においては、最終的にどの程度財政調整基金を繰り入れることにするのかについてもお伺いをいたします。

 今回は、区は自らの政策の失敗により呼び込んだ財政非常事態宣言により構造改革を行おうとしていますが、この構造改革も内容の乏しさ、スピード感、一貫性のなさから構造改革とは程遠いと見受けられます。そもそも構造改革という言葉の意味をごく一般的に捉えると、政策の構造、施設の在り方、組織の構造そのものを変えていくということにならないでしょうか。国の構造改革は、郵政民営化、国鉄民営化など大きな反対を受けながらも大きな組織に大きく切り込み、同時に国民サービスの向上を目指したものでした。現在の中野区においては内容的に事業見直しの範疇から出ておらず、構造改革とは言えないものです。もっと抜本的な大きな改革案を示さないと、場合によっては区民サービスにまで踏み込むような内容にならないと、今後の区の財政運営に支障を来すのではないかと危惧をしています。今まで行ってきた行政改革などとは違う、今まで区が行ってきた大胆な民営化などに匹敵する構造改革はできるのでしょうか。区長の御覚悟をお伺いいたします。

 区長は施政方針で、構造改革は新しい基本計画の施策の推進を下支えするものと説明しましたが、さきの総務委員会で報告された区政構造改革の考え方では、財政的な非常事態に対処し、持続可能な区政運営を目指す目的で改革を進めるとしており、言わば基本計画が政策のアクセル、構造改革がブレーキの関係、矛盾する関係にもならざるを得ないというふうに思われ、しっかりとした構造改革と基本計画の整合性を取ることができるのか危惧をされます。

 構造改革実行プログラムの中長期的な検討項目の内容いかんによっては、新しい基本計画におる財政フレームなどの内容などが大きく影響を受けるのではないかと思います。例えば施設の再編において、図書館の在り方や新たな児童館機能の運営における直営、委託等の方向性によっては職員の定数や財政負担が大きく変わり、基本計画の内容が変わってしまうのではないかと思います。

 また、構造改革実行プログラムは、個別課題の取組を毎年確認、検証して、次年度の取組に反映させ、3年間をめどに集中的に取り組むとしていて、計画期間は5年間である新しい基本計画の内容が5年間変更されないとすると、計画期間中に整合性が損なわれるのではないかということも危惧しているところです。

 そこでお伺いしますが、構造改革の実行プログラムが新しい基本計画の下支えとするなら、むしろ構造改革の内容をしっかりと固め、新しい計画をこれに合わせて策定すべきではないでしょうか。お伺いします。

 また、構造改革の進捗状況や成果によっては、基本計画の内容を途中の段階で見直す必要が出てくるのではないかと思われますが、いかがでしょうか。

 さきの総務委員会で報告された構造改革の考え方では、基本的な取組の柱として、新区役所整備等を見据えた区民サービスの向上や効率化を図るデジタルシフトを強めることを挙げており、改革の視点として、行政手続の簡素化、サービスの再編、職員の働き方改革を進め、適正な定数管理につなげていくこととしています。3年後の新区役所の開設は、紛れもなく業務改善、区民サービス向上の絶好の機会です。財政的に大変厳しい状況ではありますが、構造改革を集中的に行うこの3年間で、将来を見据えた計画的な業務改善を進めることによって将来的な経費削減につながっていくと思います。

 今後策定する構造改革の実行プログラムでは、新区役所開設を契機として、ペーパーレスの推進など職員の働き方を抜本的に見直し、内部事務の効率化、手続や相談機能の集約化など組織の再編を進めることで、スリム化された職員体制の下、区民サービスの向上を目指すべきだと思います。

 そこでお伺いいたします。実行プログラムでは、新区役所整備に向けてどのような区民サービスの向上や業務の効率化の内容を盛り込んでいるのかをお伺いいたします。

 三つ目に、施政方針説明についてお伺いをいたします。

 令和3年の施政方針説明を熟読してみましたが、新型コロナウイルス感染症に伴う対応が中心となるのは仕方がないにしても、熱く区の将来を語るような記述には乏しい感じが否めません。全般的に、これまで既定路線で実施してきた取組の延長線上の事業紹介が中心となっているように感じます。取り分け区長就任以来の最重要施策である子育て先進区に向けての取組ですが、これと言った目玉となる事業が見えてきません。子育て先進区の実現を見ても、セーフティネットの強化や、地域全体で子育てを応援する体制づくりといった理念的な言葉は出てきますが、それらを実現するための具体的な方策の記述が見えてきません。区長は施政方針説明の中で、コロナウイルス感染症の拡大によって子どもと子育て家庭の生活環境に大きな影響が生じるとして、子どもの視点での学び、体験の支援、生活支援に力を入れて取り組んでいくとしています。子育て支援策の推進は、区長が描こうとしている子育て先進区に向けた一丁目一番地の政策であると思います。

 令和3年度には児童相談所機能を含む子ども・若者支援センターが開設されます。区長も言っているように、この開設は子育て施策推進の大きな機会となり、他の区をリードするような取組が求められていると思います。しかし、児童相談所の設置や子ども・若者支援センターの開設による相談支援体制の強化については、前区長が進めてきた政策です。酒井区政として独自の取組について、理念ではなく、子育て先進区に向けた具体的な子ども施策、事業展開をどのように進めていこうとしているかお伺いいたします。

 また、区長は、子ども・若者支援センターの開設を機会として、どのような子育て支援を進めていくつもりなのかを伺います。

 子育てに当たってのセーフティネット機能の充実も大切なことですが、全ての子どもたちの育ちを支える環境づくりが重要であり、区長も施政方針説明の中で魅力的な環境づくりに取り組むと言っているところです。その一方で、先般の総務委員会で報告された区有施設配置の考え方では、小・中学校の改築時期を財政負担の平準化を理由に遅らせることとし、中野本郷小学校や桃園第二小学校については改築に当たっての基本設計の策定が延期され、開校時期が遅れたままとなっており、その後の計画については明らかにされていない状況です。

 そこでお伺いします。小・中学校の環境整備の推進は、子育て先進区をうたっていく上で必要不可欠な政策であると考えますが、計画の平準化によって各学校の改築時期が大幅に送ることとなるとすれば問題です。教育環境の充実についてどのように考えているのかお伺いします。

 次に、区内事業者への支援ですが、新型コロナウイルス感染症は、現在3月7日まで緊急事態宣言が延長されています。緊急事態宣言の効果が徐々に現れ、1月に比べ最近は減少傾向にありますが、第2波から一旦立ち直りを見せつつあった区内経済、特に営業時間短縮を余儀なくされている飲食店をはじめ多くの事業者に再び大きな試練をもたらしています。

 区長は、施政方針説明の中で、地域経済の立て直しに対して区を挙げて取り組んでいくと説明しました。今後ワクチンの接種状況によっては感染拡大に歯止めがかかることも期待されていますが、第4波に襲われるという予測もある中において、区内経済の下支えは必須の状況にあると思います。来年度の予算の中で、これについてどのように取り組んでいくのか考えをお伺いいたします。

 また区長は、この1年間で、区民の生活や経済活動においては、テレワークやオンライン会議が浸透するなど知恵と工夫で危機に対応することが見られると述べています。区の事業実施においても、区民を集めて行うイベント、説明会等、人が集まる事業の延期、中止を余儀なくされ、職員の働き方も制約を受け、区政運営が大きな影響を受けた1年になりました。新型コロナウイルス感染症の拡大を理由に区政運営を停滞させないことが必要であり、民間企業に倣ってウェブでのコミュニケーションの手段を早急に進める必要があります。

 昨年5月の臨時会において、テレワーク環境の構築のための補正予算1億3,700万円余が計上され、区は一刻も早い導入を計画しましたが、しかし、いまだにその構築が進んでいないばかりか、区民とのウェブ会議ができる環境も十分になっておらず、民間企業に比べて甚だ遅れた状況にあります。区は円滑に事業実施を進めるため、少なくともウェブ会議が十分に行える環境を早急に整備すべきと考えますが、お伺いいたします。

 以上、3点について御質疑をさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 大内議員の御質問にお答えいたします。

 1点目の新型コロナウイルスワクチンの接種についてで、初めにワクチン接種のスケジュールについての御質問です。現時点で高齢者につきましては、3月中旬に接種券を発送し、4月以降の接種開始を予定しております。また、高齢者以外の区民につきましては4月下旬に接種券を発送し、基礎疾患のある方、高齢者施設等の従事者を優先して、5月中旬以降の接種開始を予定しております。

 なお、開始当初に供給されるファイザー社製ワクチンは、21日間隔で2回の接種が必要でございます。区は、国からの具体的な指示とワクチンの供給があれば4月1日から接種が実施できるように準備をしているところでございます。

 続きまして、ワクチンの接種場所についてでございます。区はワクチンロスが生じにくく、1日に多数の接種が可能な集団接種と、身近なかかりつけ医による医療機関での個別接種を並行して実施することとしております。集団接種は、15か所の区民活動センターのうち1日に3か所ずつ実施をし、巡回をいたします。また、中野区医師会と中野区薬剤師会の協力の下、中野区医師会館においても週に数日ずつ実施する方向で現在調整しているところでございます。一方、個別接種は、アンケートによって地区医師会を通じて調査を進めておりますが、区内約100か所の医療機関を見込んでおります。

 次に、ワクチンの接種想定についてでございます。高齢者につきましては、65歳以上人口の65%に当たる4万7,000人、その他の区民につきましては、対象人口の50%に当たる約12万9,000人が接種することを現在想定しております。円滑にワクチンの供給がなされた場合、接種開始から4か月間で全区民の約55%、約18万6,000人の接種が完了することになります。区としては、その後も医療機関による個別接種を継続し、希望する全ての区民が接種できるよう準備をしてまいります。

 最後に、集団接種の医師等の確保についてでございます。集団接種のうち区民活動センター実施分につきましては、医師、看護師、受付事務等の専任チームを確保いたしまして、安定的に派遣可能な民間の機関の活用を予定しておりまして、事業者とは随時調整を行っております。また、中野区医師会館での実施分につきましては、接種予診を担う中野区医師会と、ワクチンの調整を担う中野区薬剤師会に従事者確保の調整を依頼しているところでございます。

 続きまして、区政構造改革についての項で、1点目が、基本計画における持続可能な区政についての御質問でございます。

 最初に、基金の減少につきましては、必要な区民サービスを実施するために、適時の基金活用を計画した結果でございまして、これは適切であったと考えております。現在直面している財政的な非常事態に対処するとともに、新たな行政需要に応じた効率的、効果的なサービス展開を図るため、行財政の構造的な改革を集中的に進めていく考えでございます。区政を進める上での無駄、無理、むらの解消、改善を進め、限られた増減の選択と集中を図って持続可能な行財政運営を確立させ、新しい基本構想で描く中野のまちの姿の実現に向けて、新たな基本計画の取組を着実に進めてまいりたいと考えております。

 続きまして、令和3年度の財政調整基金からの繰入額についてでございます。令和3年度予算における財政調整基金からの繰入額は、およそ69億円ということでございます。

 続きまして、構造改革に向けた姿勢についてでございます。今般の区政構造改革におきましては、急速に進むデジタル化や変化する価値観、行動様式に適応した行財政運営を実現するために、中長期的に施策・施設・組織、この三つの再編に取り組むものでございます。今後の区政運営に当たって必要とするものには集中して資源を投入し、それ以外のものは徹底的に効率化を図っていくため、方向性を明確に示すリーダーシップを発揮してまいりたいと考えております。

 続きまして、構造改革と基本計画の関係性についてでございます。構造改革の趣旨は、主に基本計画、素案のたたき台の第5章、区政運営の基本方針に記載しておりまして、具体的な内容につきましては、構造改革実行プログラムの中で明らかにする考えでございます。基本計画の各施策に記載した事業につきましては、構造改革の検討の中で具体的な手法や実施方法等をさらに検討し、効果的・効率的に実施をしていく考えでございます。

 次に、構造改革の成果を踏まえた基本計画の改定の必要性についてでございます。基本計画については、構造改革の取組を踏まえた財政状況や計画の前期における各施策の実施状況について、評価や検証を行った上で必要に応じて改定を行う考えでございます。

 続きまして、構造改革実行プログラムにおいて新区役所整備に当たって取り組む内容についてでございます。区民サービスにつきましては、窓口における手続のワンストップ化や各種手続のオンライン化、行政手続における脱ハンコ、この取組など、来庁しなくとも各種のサービスが受けられる区役所への転換などについて検討しているところでございます。

 業務の効率化におきましては、ペーパーレスの推進やワークスペースの合理化による働き方改革を進めるとともに、業務のデジタル化に向けて集中的な投資を行うことなどによって、職員が最大限の能力を発揮し、区民サービスの向上につながるように検討しているところでございます。

 次に、施政方針説明についての御質問で、1点目に、子育て先進区に向けた施策の展開についてでございます。子育て先進区の実現に向けて、新しい基本計画において重点プロジェクトを設定し、組織横断的に取組を進めていくことを予定しております。プロジェクトの内容として、子ども子育て家庭に対するセーフティネットの強化、子育て・子育ち環境の整備、地域全体で子育てを応援するための体制の整備を掲げておりまして、これらに重点を置き取組を進めていく考えでございます。

 続きまして、子ども・若者支援センター開設後の支援体制についてでございます。区は子ども・若者及びその家庭に対する支援を総合的に実施し、子ども・若者が健やかに成長できる環境を整備するため、子ども・若者支援センターを開設いたします。子ども・若者支援センターの開設は、児童虐待を生まないという視点に重点を置くとともに、その理念を地域全体で共有し、地域が一体となって児童虐待を発生させないための取組を推進していくきっかけとなる大切な機会であると考えております。また、子ども・若者支援センターでは、社会生活への適応に課題のある若者についても、その状況を総合的に把握し、段階的に自立につながるような相談支援を開始いたします。今後は、子ども・若者支援センターが中心となって、関係機関、地域のネットワークと連携し、相談支援体制を強化してまいります。

 次に、教育環境の充実についての御質問でございます。今後の学校設置整備におきましては、複数校の改築が集中することによって単年度当たりの過度な財政負担を避けるため、建築後70年までを目途に単年度当たり1校程度の改築を順次実施していく考えでございます。これによって、建築後70年まで使用する学校施設も生じてきますが、改築前の学校施設においては良好な教育環境をしっかりと確保し、改築済みの学校施設との間に著しい格差が生じることのないよう、適切な維持管理及び改修等を計画的に実施してまいります。

 次に、区内経済の下支えについての御質問でございます。地域経済の立て直しを図っていくには、個々の事業者の支援と地域全体の活性化の両面から施策を講じていく必要があると捉えております。令和3年度予算におきましては、主な取組として、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者の経営安定化等の支援や商店街振興施策を盛り込んでいるところでございます。

 最後に、ウェブ会議環境の整備についてでございます。新型コロナ感染防止の観点から、関係者が1か所に集まらなくとも会議等を開催できるウェブ会議等の必要性が高まっておりまして、区でも昨年4月にウェブ会議用有料アカウントの取得や地域BWAの活用による環境整備を行い、運用してきたところでございます。一方で、地域BWAは庁舎の北側でつながりにくいなどの課題もあり、携帯電話回線によるモバイルルーターの導入、複数人が同時に使えるウェブ会議用スピーカーマイク、広角カメラセットの増強、庁舎内の会議室等への有線によるインターネット回線整備など、円滑な事業実施のため安定したウェブ会議環境整備に着手しているところでございます。

〔大内しんご議員登壇〕

○32番(大内しんご) 再質問させていただきます。

 来年度において最終的にどの程度財政調整基金を繰り入れるか、69億円とお話ありましたけれども、そもそもこういった基金は繰り入れないで予算編成を組むといった考え方も示されておりました。1年間で69億円というと、中野区で自由に使える財政調整基金は150か160億円といった考え方も示されている中で、このままでいくと3年待たずしてこの財政基金が底をついてしまうということになってしまうんですけれども、その点について再度、この69億円という数字についてお聞きをしたいと思います。

 また、あともう一点、小・中学校の建て替えといいますか、この計画の平準化ということで、今おおむね70年を目安ということにされておりますが、これも今までは、毎年当初予算で10億円のそういった学校の建て替え基金を積んでいましたけれども、来年度からはそういった基金も積まないと、場合によっては、最終的にお金がもし残った場合はそういった基金に積むといった考え方もちょっと聞かれておりますが、そもそも毎年10億円積んでいたものを積まなくなった。それによって、この改築というか、学校の建て替え等が遅れているのではないかと思います。もう一度この点について、70年という数字がまず適当なのか、基金を毎年、今まで積んでいたお金を来年度からは積まないといった考え方を示されておりますが、これについてもう一度お答えをお願いしたいと思います。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 大内議員の再質問にお答えいたします。

 まず、1点目です。財政調整基金の繰入額69億円についてということで、それについての考えということでございます。まず、区の財政調整基金としては、年度間調整分としておよそ150億円ということで見ていたところでございます。この今回の歳入の減、これについて最初から基金を繰り入れるということで当初から予算を組むということになると、この3年で枯渇をしてしまうと。年度間としては50億円ぐらいしか見ていないということなので、最悪の場合にはすぐに枯渇をしてしまうというおそれもございました。ということで、構造改革ということで短期的に、それから中期的にも財政を切り詰めて、そこの減額分というのを何とか補っていく必要があるということで取り組んできたところでございます。

 歳入の見込みとして当初92億円と申しておりましたけれども、最終的に69億円ということで、あと3年度ぐらいですか、歳入としては厳しい状況が続くということなので、引き続き構造改革プログラムによって歳出を抑制していきたいと考えております。

 それから2点目です。学校の平準化の御質問でございます。構造上は70年もつということでございますので、それについて我々としては、先ほども申しましたとおりに、単年度の過度な負担を避ける、それから我々のマンパワーの問題もございます。毎年毎年1校ずつ計画的に建て替えていくということでは、この70年という期間をもって改築していくということが必要であると考えております。

 また、基金の積立てについて、10億円、これが来年度からは難しいということでございます。これは、今般の財政上の落ち込みということで当面この積立てについては厳しいということでございますけれども、財政が上向きになれば、その学校改築の基金についても当然積み立てていくという考えでございます。

○議長(高橋かずちか) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 酒 井 たくや

 1 新型コロナウイルス感染症対策について

 2 施政方針説明について

  (1)令和3年度当初予算(案)について

  (2)区政構造改革について

  (3)中野駅新北口駅前エリア拠点整備について

  (4)その他

 3 中野区区有施設整備計画について

 4 新区役所整備に向けた体制づくりについて

 5 人事について

 6 特別区の自治と特異性について

 7 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、酒井たくや議員。

〔酒井たくや議員登壇〕

○39番(酒井たくや) 令和3年第1回定例会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問をいたします。

 質問は通告のとおりでありますが、5番の人事はまたの機会にさせていただきます。7番のその他はございません。

 それでは質疑に入ります。

 1番、新型コロナウイルス感染症対策についてお尋ねします。

 まず、ワクチン接種の体制について。こちらは重なる部分もございますが、立場も違いますので、どうか御理解いただき、御対応いただければと思います。

 国は2月14日、ファイザー社の新型コロナウイルスワクチンの製造販売を特例承認しました。民間の調査機関による全国世論調査では、実に81%の方がワクチンに期待すると答えております。また、本日より医療従事者へのワクチン接種もスタートします。厚生労働省は大会場の集団接種ではなく、地域の診療所での個別接種を中心とする練馬区モデルを推奨しており、注目を集めております。区が診療所の予約状況を把握した上で、週2回、各診療所にワクチンを小分けにして配送することにより多くの診療所の協力を得られております。かかりつけ医が行う個別接種を基本とすることにより、アレルギーや基礎疾患への対応などにも安心で、近場で早期にワクチン接種できる利点があります。とはいえ、いかに短期間で多くの方々に接種できるかは、集団接種と個別接種の双方の強化を図ることが求められます。区として、現状の取組とスケジュールについて確認します。

 厚生労働省と川崎市は1月27日、ワクチンの接種を円滑に進めるため集団接種の訓練を実施しました。課題は予診の相談時間の短縮でした。区として、予診時間を1人当たり3分程度と想定しておりますが、不安な高齢者は予診が長引く可能性もあり、予診での滞留は接種数への影響も生じ、人の流れが止まれば密の状態も心配されます。

 福島県相馬市などは、ワクチン接種券の発送時に意向調査はがきを同封し、基礎疾患の有無を書き込んで返信してもらい、接種会場においての効率化も図るそうです。区としては接種券に予診票を同封するとのことですが、接種会場における円滑な体制づくりについてどうお考えかお聞きします。

 ワクチンの集団接種は、前例のない一大プロジェクトであります。会場設営や受付、接種、接種後の経過観察といった流れについては、入念なシミュレーションや模擬訓練も実施すべきです。お聞きします。

 次に、広報についてお尋ねします。区民のワクチンに対する不安を払拭し、納得して接種することができるよう、十分な説明責任と分かりやすい広報が重要です。ワクチンの効果とリスクを包み隠さず最新情報が更新されるたびに説明すること、接種についてはあくまで個人の判断であり、その判断のために区民が求める情報も当然タイムリー、的確に届けること、副反応を含め有害事象についての相談窓口の周知の徹底もしかりです。区報の臨時号の検討や専用サイトを設けたQ&Aの作成やチャットボットなどの活用も図るべきです。ワクチンの広報についてお聞きします。

 次に、在宅療養者への対応についてお尋ねします。年末年始の第3波においては、入院すべき患者が入院できず、自宅療養中に命を失われた事例が相次ぎました。また、軽症・無症状の感染者が自宅や宿泊療養施設での療養中に死亡する事例もありました。患者本人や周囲が気づかないまま病状が進行し、容態が急変悪化する事例もあり、新型コロナウイルスの恐ろしい特性でもあります。

 板橋区は、訪問診療を専門とするファーストドクターとの連携により、自宅で療養あるいは入院待機をする患者の状態悪化時に、速やかに往診での初期対応や必要に応じて酸素投与、緊急搬送が行える体制を整備しており、24時間通した健康観察も受けられます。今後、第4波の可能性も否定できず、区として在宅療養者への対応を検討すべきです。見解をお聞きします。

 在宅療養者への対応について、もう一点お尋ねします。在宅療養者の中には、グループホームといった高齢者施設において療養をされる方も含まれます。施設で一たびクラスターが生じれば、入院も難しくなるかもしれません。特にこれらの施設で療養をされる方の中には、中等症以上の方、本来であれば入院をするべき方が多く含まれており、施設内での陽性者のケアはもちろんのこと、そのほかにもゾーニングをはじめ、職員さんの負担も相当になると聞きます。高齢者施設における在宅療養者へのさらなる支援も必要であると考えますが、お聞きします。

 次に、医療機関・医療従事者への支援についてお尋ねします。区としてもこれまでに、PCRセンターの設置をはじめ、医師会の指導・協力の下、様々新型コロナウイルス感染症対策を打ってまいりました。これから控えるワクチン接種においても同様です。全国的にも陽性者数が多い都内多くの自治体において、逼迫する医療の状況を鑑みた医療従事者や医療機関への様々な支援に取り組んでおります。中野区としても医療従事者、医療機関への支援に取り組むべきと考えますが、見解をお聞きします。

 この項の最後に、保健所マネジメントについてお尋ねします。新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認されてから1年が経過し、保健所においても長丁場の対応を強いられ、心身ともに大変な負担となっていると聞きます。区としても兼務発令や応援職員の投入など様々な保健所への支援体制に取り組まれていることは理解しますが、現実として、保健所職員の6名が体調不良により病気休暇、病気休職を取得している状況です。第3波が来た今年1月は、超過勤務が月間45時間以上の職員は14名に上ります。また、超過勤務が最も多い職員の今年度の超過勤務の月間平均は85時間だそうです。保健所のマネジメントを強化し、保健所の負担を軽減する方策にこれまで以上に取り組むべきです。お聞きします。

 以上で、この項の質問を終わります。

 2番、施政方針説明についてお尋ねします。こちらでは、1点目、令和3年度当初予算(案)については、子どもの貧困対策と財政運営についてお尋ねします。

 子どもの貧困対策について。令和3年度予算(案)では、経済的な理由などによる食事の支援が必要な家庭への配食事業や、子ども食堂の運営支援の拡充をします。また、さきの令和2年第4回定例会において、我が会派のひやま議員が提案した就学援助の拡充にも取り組まれます。このような子どもの貧困対策への取組は高く評価するものであります。

 新型コロナウイルス感染症による経済への影響は、今後ますます格差を拡大させ、子育て家庭の厳しい生活実態が予想されます。これからは、例えばひとり親世帯などへの手厚い支援も求められるでしょう。区長は、子どもの貧困対策として今後は何に力を入れて取り組まれるおつもりなのか具体的にお聞きします。

 次に、財政運営についてお尋ねします。来年度予算では、基準となる一般財源規模は、歳入減から687億円と設定されました。この考え方は、11年前の平成21年度予算から導入されました。この間13年間で、基準となる一般財源規模は実に七度も変更されており、基準をなしていないように感じます。財政運営の根幹となる、基準となる一般財源規模の明確な設定の考え方が必要です。当初は、歳入一般財源規模の過去10年間と将来の5年間の平均値で設定しました。例えば制度改正などがなければ5年に一度はこのような考え方により設定をする、もしくは標準財政規模に一定シーリングをかけた数値にするなどの考え方もあるはずです。私はこれまで明確な考え方を示すべきと再三申してまいりました。区長は就任以来、新しい基本計画において、新たな考え方、基準を明らかにするとおっしゃっていましたが、どのようにお考えかお聞きします。

 基本計画(素案たたき台)で示された財政フレームでは、財政調整基金への積立ては、令和4年度以降は約20億円の決算剰余金を見込んでおります。リーマンショック時の平成21年度から5年連続で決算剰余金は20億円を下回ってもおり、これは非常にタイトな財政運営となり、今まで以上の予算執行においての工夫が求められます。また、今年度の基金積立計画と基本計画における基金積立計画を比較すると、令和6年度の基金残高は、財政調整基金が185億円減、義務教育施設整備基金は127億円減となります。二つの基金を合わせると実に300億円基金が今年度の積立て計画から減となります。新型コロナウイルスによる財政の影響はここまで大きく影を落としております。この現状を踏まえた区政構造改革プログラムと施設整備計画の策定が重要です。区長のお考えをお聞きします。

 この項の2点目は、区政構造改革についてお尋ねします。新型コロナウイルス感染症により厳しい財政状況が見込まれる中、行財政の構造改革を集中的に進めるとし、令和3年度予算編成においては、短期的な取組として経常経費の見直しに取り組み、72項目、約5億円もの見直しが行われました。今後は、おおむね3年を目途とする施策・施設・組織の三つの抜本的な再編に取り組む構造改革実行プログラムを策定するとしております。

 令和3年度予算に対する取組の努力は一定評価するところでありますが、短期的な取組であるので抜本的な見直しには至っておりません。短期的な取組では、経常経費20%の見直し目標を掲げられておりましたが、これから3年間の構造改革実行プログラムの目指すべきゴールは現状示されておりません。例えば、来年度より児童相談所の運営がスタートします。この児童相談所には当然、新たに運営経費と人員配置が必要となります。また、新型コロナウイルス感染症による経済への打撃は歳入減と併せて、歳出面では生活保護費などの扶助費が増となることも容易に予想されます。このような新たな行政ニーズに対応することと併せて、歳出の増と歳入の足らざるに応える持続可能な区政運営に必要なヒト・モノ・カネを定量化することが必要ではないでしょうか。区政構造改革の目指すところについてお聞きします。

 他方、構造改革による事業などの見直しにより、組織の政策提案能力に何かしらの悪影響を及ぼしているのではないかと懸念しております。現に新年度予算査定において、各部からの新規事業の提案が少なかったとも聞きます。厳しい財政状況下、何を提案しても採用されないだろうというふうなマイナスマインドになってしまっては、区民にとって大きなマイナスです。

 困っている方に手を差し伸べ、必要な政策にはしっかりと予算付けをし、手厚い公助を押し進めるためにも構造改革があると私は考えております。このような考えを全庁に共有していただきたいと思います。ある種、企画部が政策立案をしながら相反するスクラップをはじめとする構造改革を進める中、企画部をはじめとした各部の政策提案の在り方や担保をどう考えているのかお聞きします。

 この項の3点目に、中野駅新北口駅前エリア拠点整備についてお尋ねします。中野駅新北口駅前エリアの施行予定者候補に、外部有識者で構成する審査委員会の審査結果を経て野村不動産株式会社を代表とするグループを選定しました。計画概要によると、事業規模1,810億円の一大プロジェクトであります。今後は、基本協定を締結することにより、施行予定者として正式決定する予定です。

 事業規模1,810億円の基本協定の締結に当たり幾つかお尋ねします。今回の公募は、企画設計書を審査するものではなく、施行予定者としての能力等を総合的に審査したものでありました。そこで気になるのが、この企画提案書の内容がどこまで担保されるのかです。例えば、審査委員会の講評では、施設計画における、中野通り側のにぎわいの形成や建物壁面の圧迫感の軽減と、事業の推進計画における資金計画の確実性において、さらなる検討が求められております。

 まず、資金計画の確実性の指摘についてですが、特別委員会の議論から推測すると、野村グループが補助金を次点候補者よりも約100億円程度多く見込んでいると想像でき、この補助金の見込みの違いに私は懸念を抱いております。この補助金が満額交付されなければ、提案書にある公共性は高いが採算性の低い施設などは見直されるかもしれません。反対に、採算性の高い施設を増やさざるを得ないのではないでしょうか。他方、中野通り側のにぎわいの形成や建物壁面の圧迫感の軽減についての改善が求められております。区民にとってのよい変更は区として求めるべきですが、場合によっては不利益な変更が求められることもあるかもしれません。

 また、再整備事業計画を策定した令和2年1月から、新型コロナウイルス感染症により社会や価値観は大きく変わっており、最大時7,000人の多目的ホールをはじめ、オフィスやホテルに与える影響は非常に大きいものと考えます。募集要項において、基本協定の内容には、提案内容の継承が盛り込まれておりますが、提案内容の変更が施行予定者から求められた際はどう対応するのか、議会との関係も併せてお答えください。また、協定内容は締結前に議会に示すべきと考えますが、お聞きします。

 次に、権利変換についてお尋ねします。区民の財産である駅前の好立地の土地の権利変換をどのように行うのかは、区民にとっても最大の関心事であり、行財政にも大きく影響を与えます。区としての権利変換に関する考え方と今後のスケジュールについてもお聞きします。

 次に3番、中野区区有施設整備計画についてお尋ねします。

 同計画は、基本構想・基本計画における施策展開と持続可能な行財政運営の実現に大きく影響を及ぼすとともに大変に重要な計画であります。

 そこで幾つかお尋ねします。まず、計画の改定時期について。同計画は、令和3年度から令和12年度までの10年間を計画期間とし、社会経済情勢の動向を見定めながら必要に応じて計画を見直すとありますが、現在見直し時期は定めておりません。10年間を前期2年、中期3年、後期5年としており、後ろになればなるほど抽象的になってもおります。通常このような計画は、折り返しの5年が経過した時点で見直しを行うものであります。また、連動する上位計画に当たる基本計画が5年計画であることを考えると、施設整備計画は5年を経過した時点で見直す考え方が必要ではないですか、お聞きします。

 次に、施設の更新経費の将来推計についてお尋ねします。平成31年2月に策定された施設白書における今後40年間の建物の更新経費の試算額は年平均55億円でありました。今回示された施設整備計画では、更新経費は年平均86億円となっておりました。これは全国共通に公共施設の更新経費を試算できるソフトを活用していたものを、都市部の実勢価格に置き換え試算したからでありますが、2年前の試算から30億円の乖離は、財政運営に大きな影響を与えるものであります。

 また、これまでは更新経費の基準額は、特別区財政調整交付金の基準財政需要額として算定されている建物の改修及び改築経費を踏まえ、年間47.8億円を標準歳出額としておりました。平成31年に試算した年平均の更新経費55億円では、標準歳出額を約7億円超過するため、更新経費を13%削減する財政負担軽減策が示されており、今回の年平均更新経費86億円と照らし合わせると43%もの更新経費の削減が必要となります。持続可能な施設更新経費についてはどうお考えかお聞きします。

 施設整備計画(素案たたき台)では、今後、機能別区有施設数や総延べ床面積の減少があまり期待できず、私はこれに危機感を若干感じております。素案たたき台以上の踏み込んだ延べ床面積の減少や施設の見直しに取り組む必要もあるのではないでしょうか、お聞きします。

 次に、主な施設の配置についてお尋ねします。例えば医療機関誘致については、これまでも旧中野中跡地に誘致するという方針でありましたが、プロポーザルの不調も受け、今回、桃園第二小学校と桃花小学校の改築時の代替校舎として活用する考えが示されました。これに関しては地域の要望であり、歓迎するところであります。しかし、手放しで喜んではならないと考えます。区は、これまで団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けた、地域包括ケアシステムを支える回復機能の病床を持った医療体制の構築が不可欠であるとの考えの下、医療機関の誘致に取り組んできました。プロポーザルの不調の報告は令和2年5月に行われましたが、その際にも、今後も医療機関の誘致は必要であると答弁されております。また、基本計画における重点プロジェクトの一つに地域包括ケア体制の実現とあります。しかし今計画では、医療機関誘致については、今後未利用となる学校跡地で検討するとは触れられておりますが、どこにいつ医療機関を誘致するかの具体の記述はありません。これでは今後10年間の医療機関の誘致を断念していると感じざるを得ません。区として、基本計画の重点プロジェクトに掲げる地域包括ケア体制の実現を支える医療機関誘致についての考え方を示すべきではありませんか、お聞きします。

 また、スポーツ・コミュニティプラザに関しては、これまでは区内4圏域に1施設ずつ整備するとされておりましたが、今計画では、施設数は3と変更されております。令和2年1月に報告された今後の区有施設の整備の考え方において、スポーツ・コミュニティプラザは、これまでの成果を検証し、今後の配置の在り方を検討するとありましたが、これまで検証の報告はなく、4施設から3施設へと変更されております。これに関してもお考えを示すべきです。これは地域図書館と地域開放型学校図書館においても同様で、最上位計画である基本計画を策定する大前提として、それぞれの施設の在り方の考え方を整理すべきではないですかお聞きします。

 以上で、この項の質問を終わります。

 次に、新区役所整備に向けた体制づくりについてお尋ねします。

 新庁舎への移転まで3年余りとなっていますが、新庁舎整備はこれまでの仕事のやり方を見直し、区民サービスをさらに充実させていく最大のチャンスと考えます。建物だけ立派になっても、肝腎の中身が変わっていないようなことは決してあってはなりません。移転までの3年間、1年1年の成果が向こう何十年にも大きく影響することを鑑みると、新庁舎整備に取り組む組織、人員体制を強化すべきと考えます。今年度の組織体制は、施設整備は総務部の新区役所整備課、ソフト・システム部門の検討は企画部の業務改善課、情報システム課が担当しております。バラバラでは非効率であり、それぞれ密接な関係があることから、施設整備、業務改善、システム構築を一体的にスピード感を持って推進できる体制を整備すべきです。業務改善は、各課の業務を十分に理解し、改善案を提案し、対話しながら課題解決に取り組んでいくといった難易度が高い業務となります。また、システム構築についても、各課の業務改善の取組に連動し構想を練ることが必要です。開発からテストまでに相当の時間を要することを考えると、短い時間で効果的に導入の検討を進めていかないと、移転までに間に合わないといった事態になりかねません。今こそ選択と集中により新庁舎整備に当たっての体制を強化すべきと考えますが、お聞きします。

 豊島区では、新庁舎移転に向け、多岐にわたる課題を確実に解決していくため、新区役所整備の担当課が課題の進行管理を行い、各所管が主体的に課題に取り組む体制を構築したと聞きます。横浜市では、各部の庶務担当課を新庁舎整備課の兼務とし、率先して移転準備を行ったほか、文書担当と情報システム担当が同じ組織でペーパーレスとシステム構築を推進したそうです。中野区においても、新庁舎移転に向けた各部の取組状況を全庁で共有し、進捗管理する仕組みを構築すべきだと考えます。また、ワンストップサービスの充実や総合相談窓口機能の構築、統合型GISの整備など、一つの部署にとどまらない組織横断的な課題に対してどのように取り組んでいくのかお聞きします。

 最後に、特別区の自治と特異性についてお尋ねします。

 平成12年4月1日、改正地方自治法の施行により、特別区が都の内部団体から基礎的な地方公共団体に明確に位置付けられました。この平成12年、都区制度改革では、都区の役割分担の原則が法律上規定され、住民に身近な事務として、清掃事業、その他の事務が都から特別区に移管されました。併せて、都区財政調整制度の法定により特別区の財政自主権が強化されました。区のマークを入れた清掃車がまちを走るようになった都区制度改革から20年の節目の今年度において、都区財政調整交付金の配分割合が、0.1%ではありますが増となったことは感慨深いものです。

 また、昨年11月に住民投票において否決された大阪都構想により、改めて特別区制度が注目されました。大阪都構想住民投票の投開票日翌日の11月2日の新聞報道では、都幹部が「大阪都構想が住民投票で賛成多数となれば、23区の権限強化を求める気運が高まることを懸念していた」という記事もありました。この記事に都側の特別区に対する姿勢や考え方が凝縮されているように私は感じました。

 現状の都と特別区における課題を整理するに当たり、平成12年、都区制度改革において都区で合意に至らず課題として積み残された主要5課題を無視することはできません。簡略すると、財源配分割合への今後の協議、小・中学校への改築需要急増への対応、都区双方の都市計画事業に見合った都市計画交付金の配分などがあります。この件に関しては、平成18年2月に都と区で整理がされましたが、特別区側がとても納得いくものではなく、その後、都区の在り方検討委員会において議論することとなりました。しかし都側は、特別区の区域の再編がセットでなければ議論に応じないとし、平成23年以降は書面会議のみで議論のテーブルにも着いていない状況であり、都側の上から目線と強気の姿勢を感じます。

 そのような中、児童福祉法改正により、特別区において児童相談所を設置できることとなり、令和2年度都区財政調整協議会の協議の結果、特例的な対応として財源配分が変更されました。今後は、令和4年度に改めて協議をする予定であります。特別区として、児童相談所の体制を強化・充実させ、子どもを虐待から守るためにも、この令和4年度の都区協議に向けて準備を整える必要があります。区長には、特別区の自治権拡充のため、区長会において議論の活性化や世論の喚起にも取り組んでいただきたいと考えます。見解をお聞きします。

 今夏に都議会議員選挙も予定されます。特別区側の主張や、特別区がこれまで歩んできた歴史により理解が深まり、都議会でも議論が活発にされることを期待します。

 次に、特別区の特異性についてお尋ねします。23の特別区は基礎自治体として同種、類似する業務を行っているため、スケールメリットを生かすことで業務の効率化やコスト削減につなげることができる可能性があると考えます。また、コスト削減にとどまらず、例えば連携・共同による情報の共有化がもたらす住民サービスの向上なども期待できるはずです。

 特別区長会調査研究機構において渋谷区は、特別区のスケールメリットを生かした業務効率化についての報告もしているところであります。効果が期待できる分野として、1、防災システムの広域連携、2、物品・サービスの共同調達の可能性、3、電子自治体情報基盤があります。3番の特別区がICTを活用して連携するための電子自治体情報基盤の実現効果は、特別区全体で年間1,000億円もの効果が試算されてもおります。現状、職員の採用などは特別区人事・厚生事務組合において23区共同で実施しており、それによる経費や業務の節減、スケールメリットもあります。このような研究を研究で終わらせずに実走させることができるように、区長には議論をリードしていただきたいと存じます。それこそが構造改革なるものではないでしょうか。お考えをお聞きし、全ての私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 酒井議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、新型コロナウイルス感染症対策について、ワクチン接種スケジュールについてでございます。

 現時点で、高齢者につきましては3月中旬に接種券を発送し、4月以降の接種開始を予定しております。また、高齢者以外の区民につきましては4月下旬に接種券を発送し、5月中旬以降の接種開始を想定しているところでございます。区は、国からの指示及びワクチンの供給が整えば、4月1日から開始することを目途に準備を進めております。

 続きまして、集団接種の円滑化についての御質問でございます。今回の集団接種におきましては、従来の他のワクチンと同様に、区は接種券と予診票を一括して送付をし、事前に記入をしてから接種会場に来場することを想定しております。

 また、同封するチラシで、予約をする前に接種への不安や個別的な質問に対する相談機関の周知をし、不安を解消した上で、円滑で安全な接種体制を確保してまいります。

 続きまして、集団接種のシミュレーションなどについてでございます。集団接種を円滑で安全に実施するためには、マニュアルの整備に加えて、シミュレーションの実施と検証は重要であると認識をしております。区は地区医師会等と連携をし、複数回のシミュレーションを実施することを検討しております。

 続きまして、ワクチン接種の広報についてでございます。区が接種券に同封するチラシ、区報、ホームページ、コールセンター等を通じまして、今回のワクチンの有効性、安全性を周知するとともに、予約、相談、接種方法等を分かりやすくお知らせしていく予定でございます。加えて、都や国に対しても十分な広報を行うよう働きかけてまいります。

 続きまして、自宅療養者への対応についてでございます。区では自宅療養し、または入院待機のために暫定的に自宅で療養している方の健康管理のために、毎日連絡を取って健康状態を確認しております。これまでは詳細な聞き取りを続けるとともに、病状の急変に際して、医療機関や東京消防庁との協力もあり適切な対応をとることができていると考えております。しかしながら、今後の様々な状況変化を想定し、これまでの事例を通じた課題を検証した上で、さらに適切な対応に取り組んでまいります。

 次に、高齢者の施設療養の支援でございます。医療体制が逼迫をし、高齢者施設の利用者が感染しても入院できない場合の支援につきましては、利用者と施設職員を守っていくためにも必要なことと考えておりまして、医師会、訪問看護事業者、訪問介護事業者、病院等関係機関等との連携体制の下、安心して療養できる体制を検討してまいります。

 続きまして、医療従事者・医療機関への支援についてでございます。区はこれまで、医療機関への支援として、区内診療所がPCR検査を開始する際の準備金の交付等を行ってまいりました。その結果、発熱外来等の外来診療機能は、区内では年末年始も含めて充足していたと考えております。一方、昨年末の都内全域における患者の急増によって入院医療などが逼迫した状況となったため、1月7日に緊急事態宣言が発出されました。御指摘の医療従事者・医療機関の支援につきましては、国や都などの施策について情報収集し、研究をしてまいります。

 保健所の負担軽減についてでございます。新型コロナウイルス感染症への対応に当たりましては、これまでも保健師や事務職員の応援体制や人材派遣の活用などによって、保健所の職員に過度の負担がかからないように対応してきたところでございます。来年度の組織改正と職員配置に当たりましては、保健所の保健師の定数を増やすほか、新たに保健所次長を設置いたしまして、事務職の管理職を配置する予定でございます。保健所次長には、新型コロナウイルス感染症対策に関する保健所の応援体制の調整や新規事業の企画立案、補正予算の調整等を担任させ、保健所のマネジメント力を強化することによって、新型コロナウイルス感染症への対応が長期化する中でも職員が無理なく持続的に対応できる体制を構築してまいります。

 続きまして、施政方針説明についての中で子どもの貧困対策の取組についてでございます。

 子どもの貧困対策として、学び・体験の支援、生活の支援、体制づくりと連携促進に取り組んでいくことを考えております。その中でも、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえると、食事の確保などの生活支援、子どもの学びの支援について早急に対応を図る必要があり、取組を強化してまいります。また、子育てと仕事を1人で担い、日常生活に困難を抱えやすいひとり親家庭につきましては支援策を拡充していく必要があると認識をしておりまして、必要な取組を検討してまいります。

 次に、持続可能な行財政運営に向けた考え方についてでございます。持続可能な行財政運営に向けて、現在直面している財政的な非常事態に対処するとともに、新たな行政需要に応じた効率的・効果的なサービス展開を図るため、行財政の構造的な改革を集中的に進め、持続可能な区政運営を確立しなければならないと考えております。新型コロナウイルス感染症の影響によって先が見えない中で、当面の間、これまでと同様に基準となる一般財源規模を設定して歳出の削減に努め、財政運営を行っていくとしたところでございます。

 続きまして、厳しい財政状況を踏まえた対応についてでございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済の停滞は区の財政にも大きく影響を及ぼしておりまして、基本構想に描く10年後のまちの姿を実現するためにも、歳入歳出の均衡を図り、財政規律を確保していくことが求められております。このため、区政の構造改革は不可欠であり、おおむね3年間で集中的に取り組んで、施策・施設・組織の再編を進めなければならないと考えております。構造改革実行プログラムとしてこれを取りまとめてまいります。また、区有施設整備計画の策定に当たっても、より具体的な方策を示してまいります。

 次に、区政構造改革の課題の数値化についてでございます。構造改革実行プログラムにおける中長期的な課題につきまして、目標を定めることは必要だと考えております。可能なものは数値化を検討してまいります。

 続きまして、区政構造改革を進める上での政策提案についてでございます。今後の区政運営に当たりまして、必要とするものには集中して資源を投入し、それ以外のものは徹底的に効率化を図っていくために、方向性を明確に示すリーダーシップを発揮していく考えでございます。政策提案に当たりましては、やるべきことを決めて、そのために必要となる資源を確保するために、必要性が低くなったものを廃止するビルド・アンド・スクラップや、現場の職員の声を受けとめるボトムアップによって、より最適な政策形成を目指してまいります。

 続きまして、中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備についてでございます。施行予定者候補に対しましては、提案内容の継承を求めているところで、今後、提案内容の変更が求められた場合も、提案の前提となっている中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画の遵守を求めてまいります。また、再整備事業計画に沿った範囲での内容の変更などにつきましては区と協議することとなりますが、その際の協議に関しても、基本協定に定めるものとして議会にも適宜報告をしてまいります。基本協定につきましては、3月以降できるだけ速やかに締結したいと考えておりまして、協定の概略につきましては事前に議会に報告する予定としております。

 続きまして、権利変換の考え方と今後のスケジュールについてでございます。権利変換で保有する資産につきましては、今後の計画、調整の過程で、公的資産の有効活用や公共施設の適正配置の観点から総合的に判断していく考えでございます。区は早期に地権者として資産活用の検討を進め、権利変換等について適宜施行予定者と区で協議しながら事業化を推進してまいります。

 次に、中野区区有施設整備計画についてで、初めに、区有施設整備計画の見直し時期についてでございます。区有施設整備計画は長期の計画であることから、計画途上の見直しは必須であると考えておりまして、5か年計画である基本計画の改定に合わせて見直しを行うことを想定しております。

 次に、持続可能な施設更新経費の考え方についてでございます。今回の区有施設整備計画における施設更新経費の将来推計は、新庁舎や総合体育館などの大規模施設、小・中学校の更新経費を実勢価格とするなど、今後見込まれる経費を積算したものでございまして、2年前に作成した総務省の試算式とは異なる積算となったため乖離が生じたものでございます。今後の施設の更新に当たりましては、計画的な保全による耐用年数、更新時期の延伸や、施設の集約化・複合化による建築費、維持管理費の抑制など、財政支出の平準化や負担軽減を図ってまいります。

 続きまして、施設の再編についてでございます。今後の区有施設の再編に当たりましては、施設における区民サービスの提供の在り方を検討し適正化を図っていく必要があると考えております。施設の集約化や複合化、民間活力の活用、未利用地・未利用施設の活用・処分などの検討をさらに進めてまいります。

 次に、医療機関誘致についての考え方についてでございます。超高齢社会を迎え、区が地域包括ケアシステムを構築するためには、在宅療養の充実とともに、かかりつけ医を支援する病診連携の推進や、医療従事者の育成等を担う中核的な医療機関が必要であります。また、新型コロナウイルス感染症などの新興感染症に的確に対処するには、保健所やかかりつけ医との連携の下に入院患者の受入れ等を行う地域医療の拠点となる病院が欠かせないことが明らかとなりました。現在、東京都が実施している地域医療構想の検討会においても活発に議論がされておりまして、このように医療機関誘致の必要性はますます高まったと考えております。なお、誘致の考え方につきましては、今定例会の常任委員会において報告を行う予定でございます。

 各施設の在り方についてでございます。各施設の在り方につきましては、これまでの経緯を踏まえ、今後のサービス提供、施設運営などを検討する必要がございます。課題を整理しているところでございます。検討状況については適宜報告をしてまいります。

 続きまして、新区役所整備に向けた体制づくりについて、まずは新庁舎整備に係る実施体制の強化についてでございます。新庁舎への移転は、施設本体の整備と併せて、これまでの働き方を改善する絶好の機会でございます。区民サービスのさらなる充実に向け、従来の発想や仕事のやり方を大きく変えていく必要があると認識をしております。移転までの限られた期間で仕事のやり方を見直し、それと並行して情報システムの構築・改善を効率的に進めていくには、相当の決意と覚悟を持って取り組まなければならないと考えております。施設整備と業務改善、システム整備が一体となって検討できる実施体制を整備してまいります。

 次に、各部の主体的な課題検討と組織横断課題の検証体制についてでございます。新庁舎移転に伴う課題は広範囲にわたるため、検討を遅滞なく着実に進めるためには、各部が主体的に課題を分析し、解決に向け取り組んでいくことが必要不可欠となります。また、部や課の枠組みを越えた組織横断的な課題につきましては、関連する部署で構成し、部長級の責任者を配置した検討プロジェクトチームを設置しているところでございまして、今後、鋭意検討を進めていくこととしております。さらに、これらの進捗管理につきましては、随時全庁で共有、協議する仕組みを構築し、実効性ある取組について強力に推進していきたいと考えております。

 次に、特別区の自治と特異性について、初めに令和4年度都区協議に向けた議論についてでございます。昨年6月の区長会総会におきまして、児童相談所関連経費の算定に伴い、令和4年度に行う都区財政調整協議に向けて、区側の主張に沿った整理となるよう議論構築をしていくことが確認されたところでございます。区としても児童相談所の設置を目前にして大変重要な協議となることから、主体的に提案を行ってまいります。昨年10月の都知事との懇談においても、区の実情に見合った人的支援、財政支援の配慮に関して要望を行ったところでございます。今後も様々な機会において働きかけてまいります。

 最後に、特別区長会調査研究機構の研究成果についての御質問でございます。特別区長会調査研究機構におきましては、特別区が抱える様々な課題の解決に向けて、学識経験者等を交えた研究を行っておりまして、今年度は中野区が提案した債権管理に関する手法と組織の在り方をはじめ12項目にわたって研究が行われております。区政構造改革は、こうした研究成果を区政運営において有効に活用するためのよいきっかけであると考えておりますので、具体的な方策について検討を進めてまいります。

○議長(高橋かずちか) 以上で酒井たくや議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 白 井 ひでふみ

 1 施政方針説明について

  (1)新型コロナウイルス感染症対策について

  (2)新しい基本構想・基本計画について

  (3)生活困窮者への支援策について

  (4)環境施策について

  (5)その他

 2 がん検診(胃がん内視鏡検査)について

 3 住宅施策について

 4 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、白井ひでふみ議員。

〔白井ひでふみ議員登壇〕

○25番(白井ひでふみ) 令和3年第1回定例会に当たり公明党の立場から一般質問を行います。

 質問項目は、1、施政方針説明について、(1)新型コロナウイルス感染症対策について、(2)新しい基本構想・基本計画について、(3)生活困窮者への支援策について、(4)環境施策について、(5)のその他はありません。2、がん検診(胃がん内視鏡検査)について、3、住宅施策について、4、その他については、生活応援券についてお伺いいたします。

 それでは、施政方針説明について、(1)新型コロナウイルス感染症対策について、初めにワクチン接種についてお伺いいたします。

 東京都においては3月7日まで緊急事態宣言が延長され、高止まりであった新規感染者数や入院者数、重症者数に減少傾向が見られるようになってきました。一方、感染リスクが高いとされる変異種の国内での感染例が多く確認されるなど、予断を許さぬ状況にあることに変わりはありません。感染抑止の鍵は何といってもワクチン接種であることは全世界共通の認識であり、取組となっています。本日2月17日、我が国において初の医療従事者向けのワクチン接種が国立病院機構東京医療センターにおいて始まりました。中野区においても前代未聞の大多数の区民の方へのワクチン接種事業を安全かつ迅速に実施するために、区として万全の体制整備、職員の拡充を行うように、公明党議員団として要望を行ってまいりました。

 先日の厚生委員会の報告では、区としては、3月から医療従事者へのワクチン接種が始まる予定とし、一般の高齢者向けのワクチン接種券の郵送が3月中旬から、3月下旬から予約受付、4月上旬からはいよいよワクチン接種を開始するとの段階的なスケジュールの発表がありました。また、ワクチン接種の方法については、区民活動センターや医師会館での集団接種会場と指定する個々の医療機関での個別接種会場の併用で行い、ワクチンの接種場所を選べるようにするとの報告もあったところです。予約方法を含め、区民へワクチンに関する正確な情報を周知することが大切となりますが、区民の皆様へのお知らせの意味を込め、質疑時間の都合上、絞ってお伺いいたします。

 中野区に住民票がない人、住民票登録地が区外の場合やかかりつけ医が区外にある方の場合、ワクチンの接種はどのようにすれば受けられるのか、基礎疾患の治療を行っている主治医と、一般的に言われるかかりつけ医との違いを含め、説明を求めます。

 集団接種や指定医療機関での個別接種に対応できない方について、施設の入所者や例えば外出することがままならない介護等の等級の重い方などの場合、ワクチンの接種について特別な配慮が必要であると考えます。区はどのような接種方法を検討しているのか伺うとともに、様々なケースが考えられますが、例えば訪問による接種など、ワクチン接種を希望する全ての方に行き渡るように配慮ある施策の展開を求めますが、併せてお伺いいたします。

 続いて、広く新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いいたします。

 昨年よりこの間、公明党議員団として、新型コロナウイルス感染症対策の緊急要望を区長に対して幾度となく行ってまいりました。第一次の感染拡大を受け、自宅での療養者の増加に備え、療養者の支援と区内の感染拡大防止の観点から、外出しなくても生活が送れるように食料品などを給付する自宅療養セットの配布を実施すべきと政策提案、推進を行ってまいりました。区は、新型コロナウイルス自宅療養陽性者緊急支援事業として、自宅療養者へ食料品などの配布を行ってきましたが、このたびの第3波と言われる第2回目の緊急事態宣言下、喜ばしいことではありませんが、大いにこの制度が役立ったと聞きます。区としての、これまでの自宅療養セットの活用状況をお伺いいたします。

 多摩地域では、東京都が同様に自宅療養者へ食料などを配布する事業を展開しており、中野区においても1月25日から都の同事業が展開することとなったとの報告が過日の厚生委員会でありました。都の支援の対象は、4日以上の療養期間がある自宅療養者本人のみとなっており、中野区はこれまで対象者の要件を広く認め、療養セットの配布を希望する区民へ支援してきましたが、今後は都の支援要件に満たない3日分、また1週間を超える延長の期間での食料支援のみを続け、日用品の配布は原則終了すると聞きます。ここで、原則の意味を確認しておきます。

 区の自宅療養セットの内容は、もともとは未発症者や入院の必要がない容態の方への食事に対応した品目を想定しています。入院が必要な容態の方にも対応できる食料品目の充実や、また、都の療養セットの品目のほうが充実しているとの声も聞かれます。都と比較しても遜色のない品目へと充実を図るべきと考えますが、お伺いいたします。

 自覚症状のないまま容態が急変する可能性がある新型コロナウイルス感染症に対して、自宅療養の際に、動脈血の酸素飽和度を簡便に計測できるパルスオキシメーターの活用についても、公明党議員団として要望してきたところです。また、都議会公明党としても、各区市町村にパルスオキシメーターの配布を推進してきたところでもあります。そこで、中野区におけるパルスオキシメーターの所有数を確認のためお伺いするとともに、この間の活用状況についてお伺いをいたします。

 生活主体者の入院等により残された介助を必要とする高齢者や障害者等の陰性者の支援策を訴えてきたところです。新規感染者の抑制が進んでまいりましたが、入院調整に時間を要した事態を踏まえ、加えて介助を必要とする陽性者の支援策も必要となってきていると考えます。区は介助を必要とする陰性者の支援について事業者と交渉を進めているところと聞きますが、進捗状況をお伺いするとともに、介助を必要とする陽性者への支援についても検討が必要であると考えますが、お伺いいたします。

 次に、保健所機能の強化について伺います。一時期の新規感染者の急速な増加に伴い、保健所職員が過度な労働時間となっていたと聞きます。これからワクチン接種も始まります。新規感染者の抑制が進んでいるものの、区の他の通常業務を制限しての保健所への職員の増強を行うとともに、現在行っている2週間周期の職員のローテーションを見直し、さらに業務遂行に重きを置いた職員体制の強化を行うべきと考えますが伺います。

 また、職員の増強により保健所自体が密とならないように、十分な作業空間が確保できるよう、周辺施設も含め労働環境への配慮を求めますが、区の見解をお伺いいたします。

 次に、新しい基本構想・基本計画について伺います。この項では、一連の計画として、区有施設整備計画、財政フレーム、区政構造改革についても伺います。

 初めに、区営住宅の改修・改築について伺います。平成30年10月の住宅・土地統計調査によると、家計を主に支える者の年齢の65歳以上の割合は26.6%となっています。これに対し、令和3年2月時の区営住宅使用者が65歳以上の世帯割合は、鷺宮六丁目アパートが一番高く84.2%、次いで弥生町五丁目アパート80.8%、弥生町三丁目アパート75.0%と続き、全住宅では66.1%となっており、調査の時期にずれがあるものの約2.5倍もの大きな差となっています。

 建築年数で見ると、全14住宅のうち50年を経過しているものは、現在53年の江原町アパートと52年の野方六丁目アパートですが、10年後には半数の7住宅が築50年を経過することとなります。区は、区営住宅の耐用年数を70年とし、それまでの間は、中野区区営住宅長寿命化計画に基づき必要な改修を行うとしていますが、同計画は今年度中に改定予定であったものが、基本計画、区有施設整備計画の遅れにより、いまだ改定作業が進んでいません。加えて、さきの常任委員会で示された区有施設整備計画においては、区営住宅の改修や改築について何ら具体的な言及はありませんでした。

 我々の元に届けられる居住者の方からの声の多くは、住宅のバリアフリーに関すること、特にエレベーターの設置についての強い要望です。入居者の中には、上層階に住む御高齢の方が歩行困難となり、住み慣れた住居を転居せざるを得ない御相談がありました。我が会派として、幾度となく区営住宅の改築やバリアフリーを含む改修を求めてきましたが、これから10年でさらに高齢化が進む中、改築やバリアフリーの具体的な計画が示されないのは大変遺憾です。区の基本計画、区有施設整備計画に区営住宅の建て替えや改修計画について明示すべきと考えますが、伺います。

 次に、新しい区役所について伺います。昨年の10月に突如、新庁舎の整備事業についての進捗状況の報告が行われ、生活保護に関する窓口業務を新庁舎の外に移設するとの報告がありました。区として庁舎外に移すとの計画決定は、遡ること昨年の5月に決定されており、この間報告がなかっただけではなく、新庁舎の基本設計を終えて、実施設計の段階になって変更したこと、また、庁舎外に移すその理由が、今後の生活保護の受給者増に対応できるようスペースを柔軟に変更できる施設に移すとの理解に苦しむ内容です。また、複数年で約1億円のコンサル費用をかけて新庁舎の窓口業務の支援について受けたアドバイスには、生活保護の窓口の業務は含まれていないとの説明もありました。さらに、区有施設整備計画では、教育センターの跡地に生活保護の事務所と保健所を複合化するとの案が、このコロナ禍の中で示されたところです。生活保護に関する窓口業務を新区役所に置かないとする区の考えの決定時期、その理由を改めて問うとともに、生活保護に関する窓口業務を新区役所に置かないとする区の考えの見直しを求めますが、お伺いいたします。

 次に、医療機関の誘致について伺います。超高齢社会の本格到来に備え、医療・介護の連携拠点となる地域医療機関の誘致を進める必要があると訴えてきたところです。区の基本計画の重点施策に地域包括ケアが位置付けられており、自宅での高齢者の生活を支える施策の拡充・充実がなければ、日々の生活に困窮する高齢者が増えるばかりです。区有施設整備計画には、今後未利用となる学校跡地との記載のみで具体的な記載がありません。改めて、医療・介護の連携拠点となる地域医療機関の誘致について区の考えを問うとともに、誘致場所を計画に明示すべきと考えますがお伺いいたします。

 次に、児童館について伺います。幾つか児童館を残すとしてきたその数は、中学校区域に一つとなり、学童クラブ、キッズ・プラザの整備計画については現行のまま整備を進めることから、児童館は新たな児童館となると説明をされてきましたが、このたびの区有施設整備計画では、新たな機能を備えた児童館との名称に改められましたが、肝心の残る児童館の場所が未記載のままとなっています。新たな機能を備えた児童館の配置について、区有施設整備計画で示すべきと考えますが、お伺いいたします。

 加えて、施政方針において、区民施設を活用しての一時預かりを試験的に実施すると述べられました。区の現行の保育園における一時保育の検証もないまま、さらに新規の事業についてのスキームの報告もないまま試験的に実施するとの弁は拙速過ぎると感じます。もとより一時保育の充実は必要との判断ですが、保育園の待機児解消策、それに伴う定員割れとなる保育園の減収補助の支援とともに、一時保育の利便性を高める施策の検証にまず取り組むべきと考えますが、伺います。

 この項の最後に、持続可能な区政運営とせんがために区政の構造改革が必要であり、区有施設の再整備を行う必要がある、そしてその必要な財政面での裏付けとなる財政フレームを表し、区の基本構想・基本計画が成り立つとの質疑応答をこれまで何度も確認してきたところです。区の基本構想・基本計画は一連の流れの集大成と言えます。しかし、区有施設整備計画や区政構造改革は未確定の事項が多過ぎます。未確定ということは、財政フレームに反映できていない事項が多いことにほかなりません。基本構想・基本計画、区有施設整備計画、区政構造改革、財政フレームとの整合性が本当に取れているのか、また、次の基本計画の改定について区の見解を求めます。

 次に、生活困窮者への支援策について、この項では、子ども配食、子ども食堂事業について伺います。

 今年度の補正予算で、年度の途中から始まった子ども配食事業や従来の子ども食堂事業の支援拡充について要望してきたところです。来年度予算では、子ども配食事業や子ども食堂事業の拡充が予定されていますが、その内容についてお伺いいたします。

 子ども配食事業については、要保護児童対策地域協議会の支援の下、見守りを行っているところですが、子どもたちを一番よく見ている学校の先生や民生委員さんなどからの情報をくみ上げ、本当に困っている家庭へ、子どもたちへ支援をつなげてもらいたいと望みますが、お伺いをいたします。

 次に、環境施策について伺います。

 今年度、事業の執行統制の対象となり延期となった蓄電池の助成事業について、来年度は事業を始める予定となっています。改めて、新規事業となる蓄電池の助成事業の概要をお伺いいたします。

 さらに、環境施策が基本構想・基本計画の検討段階で新たに重点プロジェクトに加えられ、現在その内容が検討中となっています。新しい区の基本構想にSDGsの理念が盛り込まれ、環境施策を区の重点プロジェクトと位置付けたことは評価いたしますが、具体的な取組内容が主として蓄電池への助成制度のみでは、SDGsを掲げることも、重点プロジェクトの名にも値しないのではないかと感じます。区として重点プロジェクトとしての名に値する環境政策の取組を構築すべきと考えますが、伺い、この項の質問を終わります。

 次に、がん検診についてお伺いいたします。新型コロナウイルス感染症の影響で、区の全事業が執行統制の対象となった中、今年度、新規事業としてスタートした数少ない事業です。コロナ禍の中、健診控えが進んでいると言われますが、今年度の胃がん検診内視鏡検査の実施状況を伺います。

 また、今年度の内視鏡検査の対象は50歳代のみとなっています。今後、検査対象者を拡大すべきと考えますが、令和3年度以降の取組をお伺いいたします。

 胃がん内視鏡検査を始めるに当たり、検査精度を高めるため、中野区は研修を実施したと聞きます。効果的な検査を実施するために、区はどのような取組を行ってきたのかお伺いいたします。

 次に、乳がん検診について伺います。乳がん検診の視触診については、国指針は推奨しないとしています。これまで乳がん検診の視触診について見直しを求めてきたところですが、来年度からの取組についてお伺いをいたします。

 次に、住宅施策について、高齢者や障害者など民間賃貸住宅での住み替えを支援するために区が取り組む、見守り、葬祭費、家財整理がパッケージ化された、「あんしんすまいパック」制度についてお伺いいたします。

 高齢者や障害者が住み慣れた地域でいつまでも暮らし続けていくためには、地域包括ケアの基盤として住宅施策は欠かすことができないと、これまで述べてまいりました。住宅白書には、民営借家率が6割を超える中野区の現状が明らかになっており、賃貸物件オーナーが、高齢者や障害者が住むことを拒まない賃貸住宅を増やしていかなければ、住むことに困る高齢者や障害者が増えることが容易に考えられます。賃貸物件オーナーが高齢者や障害者が住むことを拒まないように、支援策を充実させることが大切となります。その一つが、中野区の独自施策である、見守りと葬祭費、家財整理をパッケージ化した「あんしんすまいパック」制度です。過日の建設委員会において、このあんしんすまいパックについて、来年度からは葬祭費の保険を受けてくれる事業者がなくなるため、あんしんすまいパックから葬祭費の保証がなくなるとの報告がありました。

 そこで、葬祭費についていま一度学び直し、気づいた点を伺います。生活保護受給者が亡くなった場合、葬祭費は生活保護費の葬祭扶助制度から実費、20万9,000円を上限として支給されます。故人が生活保護を受給しておらず、親族が葬祭を行う場合、個人が各種健康保険に加入していれば、申請により葬祭費、例えば後期高齢者医療制度加入であれば5万円が支払われることとなります。では、生前、生活保護を受給しておらず、資産がなく、身寄りがない方がお亡くなりになった場合、生前、生活保護を受給されていた方と同じく、生活保護法の葬祭扶助が適用され、火葬費用のみが支給対象となりますが、親族ではない第三者が費用を区に請求した場合、支給が受けられるのか、また、葬儀を行う者がいない場合、区の責任で火葬を行うこととなるのかお伺いをいたします。

 身寄りのない方の火葬費用について、親族でない第三者の申請により区が費用負担を行うのであれば、あんしんすまいパック制度の組立てを大きく見直す必要があると考えますが、伺います。

 また、民間賃貸住宅オーナーや不動産業者、介護事業者など関係団体に葬祭費用についての制度の周知を行い、高齢者や障害者の入居を拒まない賃貸住宅を増やす取組を進めるべきと考えますが、お伺いいたします。

 4、その他においては、生活応援券について伺います。新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んだ消費を喚起するため、東京都では緊急事態宣言の解除後に、プレミアム付商品券を発行するための財政的な支援を検討しているとの報道がありました。上乗せは30%、デジタルであれば3分の2を、紙であれば2分の1を補助するとの見通しとなっています。中野区においても、この補助制度を活用した新たなプレミアム付商品券事業を検討すべきと考えますが、伺って私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 白井議員の御質問にお答えいたします。

 まず、最初に新型コロナウイルス感染症対策について、住民登録がない方等への接種についてでございます。新型コロナウイルスのワクチンは住民登録地での接種を原則としておりますが、単身赴任の方や下宿中の学生など一定の要件を満たす場合には、事前の申請があれば、実際の居住地で接種できるとされております。また、基礎疾患がある方の場合には、その疾患の治療に当たっている医師、すなわち主治医がワクチン接種の実施医療機関であれば、区外の医療機関であっても接種を受けられる予定でございます。

 なお、日本医師会によりますと、かかりつけ医は身近な地域で健康に関して何でも相談でき、必要に応じて専門の医療機関を紹介する医師としており、主治医とは異なる場合もあると考えられます。

 続きまして、会場に行けない方の接種についてでございます。高齢者施設等につきましては、当該施設の嘱託医によって接種を行うほか、地区医師会等と調整を行って、医師等を施設に派遣して接種することを想定しております。外出困難な要介護度の高い高齢者・障害者等への接種方法は課題であると認識をしております。国、他自治体から情報収集するとともに、在宅支援診療所等の意見を聞きながら検討してまいります。

 続きまして、自宅療養セットについての御質問でございます。区の新型コロナウイルス自宅療養陽性者緊急支援事業によって自宅療養セットを配布した実績は、令和3年2月15日現在、食料品が442セット、日用品が407セットとなっております。区が配布する食料品セットは、一般的なレトルト食品のほか、おかゆやゼリーなども含んで、幅広い年齢層や体調に対応できるよう多種多様な品目とするよう努めてきたところでございますが、対象者から御要望があった場合には可能な限り対応してまいりたいと考えております。また、日用品につきましても、御要望があった場合には対応してまいります。

 続きまして、パルスオキシメーターについてでございます。区では令和2年2月以降、自宅療養が始まることを想定し、他の自治体に先駆けてパルスオキシメーターを随時発注し、現在では東京都からの交付分と合わせて180個を所有しております。入院待機者のうち咳など呼吸器症状のある方や、自宅療養者のうち高齢者及び基礎疾患を有する方など一定の基準の下で、医療職が個別の状況を詳細に把握した上で貸与をしております。現在、自宅療養者の重症化リスクを把握するなどリスクアセスメントの有効な機器として活用しておりますが、不測の事態にも備え、必要に応じて個数を増やすことも考えております。

 続きまして、陽性者の支援に係る取組でございます。区では、介護する家族などが入院、施設療養となった場合に、残された陰性の要介護者を支援するため、障害者につきましては1月に訪問支援と受入施設を、高齢者につきましては2月に訪問支援の体制を整えたところでございます。陽性の高齢者、障害者につきましては入院できることが基本と考えますが、入院体制が逼迫した場合の支援につきましては、医師会、訪問看護事業者、訪問介護事業者等関係機関と連携を図りながら、安心して療養できる体制を検討してまいります。

 次に、保健所の体制強化についてでございます。新型コロナウイルス感染症への対応に当たりましては、これまでも職員の応援体制や人材派遣の活用などによって保健所の職員に過度の負担がかからないように配慮してきたところでございます。来年度の組織改正と職員配置に当たりましては、保健所の保健師の定数を増やすほか、新たに保健所次長を設置し事務職の管理職を配置するなど、保健所の基礎的な体制を強化していく予定でございます。今後も必要に応じて増強をする考えでございます。そのほか、突発的な業務増加等に対しましては、各部からの応援体制を迅速に行えるように進めてまいります。

 次に、保健所の労働環境についてでございます。保健所の応援体制や人材派遣の活用等によって保健所で従事する職員等の人数が増え、保健所で新型コロナウイルス感染症への対応に従事する職員等の執務スペースが過密な状況にあることは認識をしております。新型コロナウイルス感染症対策に関する業務量は新規感染者数に影響されるため、応援体制の規模も日々変化しているところではありますが、基本的には保健所内の様々な空きスペースを事務室として活用するなど、適正な労働環境を確保できるように努めてまいります。

 次に、新しい基本構想・基本計画についてのうち、区営住宅の建て替え、改修についての御質問でございます。区営住宅は、一定の所得基準以下の住宅困窮者向けの住宅としてのセーフティネット機能を果たしておりまして、耐用年数70年を見据え、計画修繕を実施しながら適切に管理運営を進めております。現在築年数が最も経過している区営住宅でも築53年ほどでございまして、当面建て替えは予定しておりません。したがって、今後10年間の取組を示す区有施設整備計画に盛り込むことは考えておりませんが、住宅マスタープランの中で建て替えに向けた方向性を示すとともに、今後、個々の住宅の管理状況等を見極めながら、適切な時期に建て替え等の具体的な手法を検討していく考えでございます。

 続きまして、生活保護機能についての御質問でございます。生活保護に関する窓口、事務室については、今後、生活保護受給者が増加した場合でも支援業務を十分に行えるよう、他の施設に整備することを令和2年3月に方針を確認したところでございます。また、本年1月には、中野区区有施設整備計画(素案たたき台)におきまして、将来的には自立生活支援を充実させた生活援護事務所及び保健所の合同庁舎を整備することとして、それまでの間、生活援護事務所は現在の教育センターの位置に配置することをお示しをしたところでございます。生活援護事務所は他の施設に整備を行うこととなりますが、今後、生活保護に至る以前の生活困窮者への対応強化として、新庁舎への生活困窮者相談機能の配置や、すこやか福祉センターとの連携強化等を検討してまいります。

 次に、医療機関の誘致に関する区の考え方についてでございます。超高齢社会において区民の暮らしを支えるには、医療・介護の連携拠点となる医療機関が不可欠であると認識をしております。また、災害や新興感染症などに的確に対処するには、保健所やかかりつけ医との連携の下、入院患者の受入れ等を行う地域医療の拠点となる病院のニーズも顕在化したところでございます。現在、東京都が実施している地域医療構想の検討会において、これらの課題に関して活発な議論が始まっておりまして、区としては医療機関誘致の必要性がますます高まったと考えているところでございます。なお、誘致の考え方につきましては、今定例会の常任委員会において報告を行う予定でございます。

 次に、医療機関を誘致する場所についてでございます。医療機関を誘致するには、区内に相当規模の用地を確保する必要があります。区有施設整備計画には、今後、未利用となる学校跡地を候補地として検討していく旨を示す考えでございます。

 次に、児童館の配置と区有施設整備計画についてでございます。児童館の配置につきましては、小学校の改築等に伴うキッズ・プラザ及び学童クラブの整備に合わせて、順次中学校区に1館の配置としていく予定でございます。具体的な配置につきましては、立地、築年数、規模等を総合的に勘案し、検討を進めているところでございまして、今定例会で報告する予定の区有施設整備計画(素案)、こちらにおいてお示ししたいと考えております。

 次に、一時保育の充実策についてでございます。現在、区立保育園におきまして、在籍児童の欠員が生じた場合の一時預かり事業を実施しているところでございます。欠員利用型一時保育は、在籍児童と一緒の保育となるため、保育の安全性を図るための取組がより一層必要となります。また、在籍児童が定員過多となった際には一時保育の利用確保が担保できないため、一時保育サービスの安定的な提供が難しい点が課題となっております。欠員利用型一時保育を区立保育園以外の保育所へ拡充することにつきましては、課題を整理、分析し、区有施設における一時預かりの試験実施の内容と併せて検討を進めてまいります。

 次に、基本構想・基本計画と財政フレームとの整合性についてでございます。基本計画(素案たたき台)で示した財政フレームにつきましては、基本計画における各施策の主な取組の展開や、区有施設整備計画における施設更新経費の将来推計に基づいて積算をしておりまして、整合を図りながら作成したものでございます。今後10年間の収支均衡は保たれてはいるものの、扶助費や施設更新経費などの増加が見込まれることから、構造改革における中長期的な取組によってさらなる財政健全化を図っていく必要があると考えております。基本計画につきましては、構造改革の取組を踏まえた財政状況や計画の前期における各施策の実施状況について評価や検証を行った上で、必要に応じて改定を行う考えでございます。

 次に、子ども配食事業や子ども食堂運営助成金事業についてでございます。子ども配食事業は、子ども家庭相談における支援策の一つとして、食事の支援が必要な家庭に対して配食を行い、配達時に家庭の状況を把握することによって相談支援の充実を図っているものでございます。令和3年度は、今年度より10世帯増の計30世帯分を予定しております。子ども食堂運営助成金事業は、生活に課題を抱える子どもたちに食事や食材を提供するとともに交流活動を行う地域団体に対し、活動経費を助成するものでございます。令和3年度は、今年度より助成対象を2団体増やして12団体として、1団体当たりの助成金額も引き上げる予定でございます。

 子ども配食事業の充実についてでございます。現在子ども配食事業は、子ども家庭支援センターの相談支援の家庭で、子ども配食事業を案内し、希望される御家庭に配食を行っているところでございます。令和3年度は、地域で子どもや子育て家庭と接する機会が多い学校や保育施設、民生児童委員等との連携を図って、関係機関からの情報を得ながら配食支援の必要な子どもに着実に食事が届き、相談支援が充実できるよう取り組んでいきたいと考えております。

 続きまして、蓄電システムの導入についてでございます。この助成制度は、太陽光発電設備と連携する4キロワットアワー以上の蓄電容量を有する蓄電システムの導入経費の一部を補助するものでございます。太陽光発電設備と蓄電システムとの連携によって、日中に太陽光により発電された余剰電気を夜間にシフトして使用することが可能となります。そのため、電気事業者からの購入電力を減らし、再生可能エネルギーを最大限に活用することになり、区内の民生家庭部門における二酸化炭素排出量の削減、脱炭素社会の実現に貢献するものでございます。補助対象は、区民及び集合住宅等の管理組合、地域団体でございます。令和3年度は1件当たりの補助額は10万円、助成件数125件を見込んでおります。

 次に、重点プロジェクトの取組についてでございます。区はゼロカーボンシティ宣言をし、基本計画や環境基本計画の中で取組や目標値を定め、2050年に向けて二酸化炭素排出量実質ゼロを目指してまいります。脱炭素社会の実現に当たりましては、組織横断的に対応していくことが必要であるため、基本計画の重点プロジェクトに位置付け、推進会議等を設置する予定でございます。重点プロジェクトを推進する中で新しい取組の展開についても検討してまいります。

 私からは最後に、新たなプレミアム付商品券事業の実施についてでございます。区では現在、新型コロナウイルス感染症の緊急対策として、プレミアム付商品券事業を実施しているところでございます。東京都が検討中のプレミアム付商品券事業に対する財政支援につきましては、報道されている内容は確認はしておりますが、東京都からまだ事業の詳細等は示されておりません。区としては、現在行っているプレミアム付商品券事業の効果等を検証しつつ、今後、東京都の補助事業の詳細が示された段階で検討を行っていきたいと考えております。

〔保健所長向山晴子登壇〕

○保健所長(向山晴子) 私からは、一連のがん検診についての御質問にお答えを申し上げます。

 まず、今年度の胃がん内視鏡検査の実績についてでございますが、区は今年度、新たに胃がん内視鏡検査を導入しており、検査の期間は令和2年12月から3年2月まででございます。現時点での胃がん内視鏡検査の申込みは514件、そのうち12月の検査実施実績は74件でございました。

 次に、内視鏡検査の対象者についてでございます。今年度の胃がん内視鏡検査については、検査期間が3か月と短期間であり、今後、内視鏡検査についての振り返りを行う必要があると考えてございます。

 対象年齢の拡大については、検証の後に判断することが適切であるため、令和3年度については、本年度と同様に対象者は50歳代とする方向で検討してございます。

 なお、胃がん内視鏡検査の対象者については、来年度開催予定のがん検診精度管理連絡会で協議を行い、令和4年度に向けて拡大するよう努めてまいります。

 次に、胃がん内視鏡検査の区の取組についてでございます。がんによる死亡率の低減には科学的な根拠に基づき、安全で効果的な検診を実施する必要がございます。今般、区が胃がん内視鏡検査を開始するに当たり、中野区がん検診精度管理連絡会において議論を行い、全国を見渡しても先駆的と言える撮影方式の統一化やクラウドを用いた二重読影を導入しました。また、東京都がん検診センターの講師による悉皆研修を開催するなど、様々な取組を重ねてきました。今後も区民の健康増進に資するため、胃がん内視鏡検査の精度を向上させるよう取組を継続してまいります。

 私からは、最後になりますが、乳がん検診の在り方でございます。がん検診に関する国指針では視触診は御指摘のとおり推奨されておらず、仮に実施する場合は、乳房エックス線検査と併せて実施することが求められています。現在、区は乳がん検診の在り方について、現行の視触診と乳房エックス線検査を実施する方式に加えて、乳房エックス線検査のみを実施する選択制の導入を視野に入れ検討を行っております。今後、がん精度管理連絡会の意見を聴取し、乳がん検診の実施方式について改善を図っていきたいと考えております。

〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕

○健康福祉部長(岩浅英樹) 私からは、住宅施策に関して、あんしんすまいパック制度についての御質問のうち、資産、身寄りのない方が亡くなったときの火葬費用についてお答えを申し上げます。亡くなった方に火葬費用に充てられる資産がない場合で、第三者が火葬の手配を行う場合は、生活保護の葬祭扶助を適用し、現物給付を受けることが可能でございます。

 また、葬儀を行う方がいない場合には、墓地埋葬法第9条に「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。」と定められており、区内で亡くなった方の火葬につきましては区が行うこととなっております。

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、あんしんすまいパックの見直しについての御質問にお答えをいたします。あんしんすまいパックにつきましては、死亡時の保証内容から葬儀費を除くとともに、安否確認方法の充実やサービス内容に応じた料金設定など、利用者や民間賃貸住宅オーナーの双方のニーズに沿ったサービス展開へと見直しを行うこととしてございます。葬儀費の費用負担につきましては、生活保護受給者でない場合においても、区が法に基づき支給する仕組みについて、関係所管と連携し周知を図り、高齢者、障害者等の住宅確保要配慮者の入居促進に努めてまいりたいと考えてございます。

○議長(高橋かずちか) 以上で白井ひでふみ議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後3時03分休憩

 

午後3時25分開議

○議長(高橋かずちか) 会議を再開いたします。

 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 羽 鳥 だいすけ

 1 区長の政治姿勢について

  (1)施政方針説明について

  (2)新型コロナウイルス感染症対策について

  (3)中野区基本計画・中野区区有施設整備計画について

  (4)その他

 2 中野区環境基本計画について

 3 西武新宿線連続立体交差事業について

 4 羽田空港新着陸ルートについて

 5 その他

 

○議長(高橋かずちか) 羽鳥だいすけ議員。

〔羽鳥だいすけ議員登壇〕

○9番(羽鳥だいすけ) 2021年第1回定例会において日本共産党議員団を代表して一般質問を行います。

 初めに、1番、区長の政治姿勢について、(1)施政方針説明についてお尋ねいたします。

 一昨日行われた施政方針説明では、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する下でどのような区政運営を行っていくのか、重要な方向が示されたと思っています。特に区長が重視している子育て先進区の実現の項目では、「生まれ育った環境に左右されることのない地域社会を実現するため、セーフティネットの強化を図ってまいります」、「貧困の連鎖を断ち切るという『未来』を見据えた視点とともに、現在困難を抱えている子どもへの対応を早急に進めるという『今』を大切にした視点が重要になります」など、来年度に区長が何をしたいのかという思いが伝わってきたように思います。また、地域包括ケア体制の実現についても、「地域の中で孤立している区民や、心身・生活上の課題を抱えながらも、様々な理由により自ら声を上げることができずにいる区民を把握していくことの困難さも、現場から上がってきています」と述べ、地域包括ケア体制の実現のために区として重視したい方向が示されたと思います。誰一人取り残さない区政実現のために、具体的かつ積極的な施策展開を要望いたします。

 施政方針説明において、「令和3年度予算編成において、極力区民サービスを低下させないよう配慮しながら事業や内部業務などの見直しを行いました」と述べ、こうした認識で予算編成に臨んだことも重要だと考えます。

 消費税増税に続く新型コロナウイルス感染症の拡大で区民生活も疲弊しています。我が会派が昨年実施した区民アンケートには4,628名の方に御協力いただきました。その中で、この1年の暮らし向きについて伺いました。約半数の方が「悪くなった」と回答しており、その理由は、1位が給与、2位が消費税でした。今後、コロナ禍でますます苦しくなる区民の苦難軽減のため、必要に応じて積極的に基金も活用し、財政出動していく必要があると考えますが、区長の見解をお尋ねいたします。

 中野駅新北口地区のサンプラザ跡施設についてお尋ねします。先日の議会で施設概要が報告されました。235メートルの超高層ビルと最大収容人数7,000人のアリーナなどからなるものです。区は今後、施行予定者候補との基本協定締結に移るとしています。しかし、施行するに当たって区側の考えが十分に煮詰まったものになったと言えるでしょうか。中野区区有施設整備計画(素案たたき台)にも、「権利変換により保有資産については、今後の計画・調整の過程で公的資産の有効活用や公共施設の適正配置の観点から総合的に判断するものとし、権利床の民間事業者への貸付や土地のみでの所有も視野に入れて検討します」と書かれているだけで、区として、この区の財産をどのように活用したいのか不透明です。区の態度が決まらないうちに基本協定締結などということになったら、民間事業者の都合に振り回されてしまうことは想像に難くありません。基本協定の締結は、区としての資産活用方針をしっかりと定めた上で臨むべきではありませんか、見解をお尋ねいたします。

 新型コロナ感染症対策について、まず、PCR検査の拡充についてお尋ねいたします。新型コロナ感染症の感染拡大を抑えるには、無症状者も含めたPCR検査の積極的な拡充こそ必要不可欠という、我が党が昨年から一貫して訴えてきた方針の重要性が、いよいよ明らかになっていると思います。新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、検査の文脈で言うと、宣言を解除した後の都道府県で最も大事なこととして、感染リスクの高いところを中心に、無症状者に焦点を合わせた検査をやることによってリバウンド、再拡大を防ぐことだと述べました。尾身氏は続けて、リバウンドを防ぐためには、感染源を早く予兆する、隠れたものを早く予兆すると同時に、それによって感染の経緯がしっかりとモニターできると発言しました。

 この間、東京都の新規感染者は減少傾向にありますが、同時に接触歴等不明者の割合も減少傾向です。感染が急拡大する下で接触者追跡が行えず、無症状の感染者を見逃しているのではないでしょうか。感染者の減少に伴ってPCR検査件数が減っていることはさらに重大です。この1年間を見ても、新規感染者数が減少したときに検査件数も減らしてしまい、感染抑え込みを図らなかったことが第2波、第3波を招いてしまったことは明らかではないでしょうか。

 全国の自治体では今、無症状者も含めたPCR検査の実施事例が広がってきています。都内でも世田谷区や墨田区、葛飾区、羽村市などでは、高齢者施設や介護施設での社会的検査の実施、もしくは費用の補助が行われています。中野区感染症発生動向調査週報においても、施設内感染が発生していることが示されています。感染拡大を抑えるには、これまでも再三指摘してきたように、無症状者を含む感染者の早期発見と早期保護・対応が不可欠です。国もようやく社会的検査の実施に足を踏み出し始めています。厚生労働省は2月4日、高齢者施設でのPCR検査の計画を出して、検査を3月中に終え、実施状況を報告するように求める通知を出しました。東京都は、都内の高齢者施設や障害者施設にアンケートを行い、希望する施設にPCR検査を行う計画を出しましたが、1回の検査ではクラスターの発生は防げません。施設におけるクラスター発生を防ぐためにも定期的なPCR検査が欠かせません。新型コロナは、発症2日前から感染を拡大させることが分かっており、クラスター発生を完全に防ぐためには週2回のPCR検査を行う必要があります。区は、高齢者施設や介護施設、保育施設、医療機関の職員が定期的にPCR検査を受けられる体制を構築すべきです。見解をお答えください。

 また全国では、大阪府泉佐野市が65歳以上の高齢者を対象とした無料のPCR検査を実施します。千葉県松戸市では、全市民を対象としたPCR検査への補助事業を行います。栃木県那須塩原市では、プール方式を用いて1人200円でPCR検査を行えるようにしています。昨日は千代田区もPCR検査費用補助を4月から始めると発表しました。先ほど紹介をした区民アンケートのPCR検査についての拡充についての質問では、「希望する区民はいつでも受けられるようにしてほしい」が76.2%、「濃厚接触者だけでなく、接触があった人まで行ってほしい」が12.5%と、圧倒的多数の区民、9割近くの区民がPCR検査の拡充を求めています。区民に対しても、安価もしくは無料でPCR検査を受けられる体制を構築すべきではないでしょうか。

 また、この提案を実施した場合、無症状の陽性者が増加し、ホテル療養や自宅療養が増えることが想定されます。今、全国で自宅療養中に死亡するコロナ患者が相次いでいます。1月29日付東京新聞では、自覚症状がないまま血中酸素飽和度が下がる「ハッピー・ハイポキシア」という状態になり、無症状や軽症だと思い込み、本人が気づかないまま重篤になっている可能性を指摘しています。この間、自宅療養中に亡くなる方が相次いでいると報道されています。私の知人にもコロナに罹患した方がいて、療養や後遺症のつらさや不安を語ってくれています。区は自宅療養者に対しては1日1回の電話による経過観察を行っていますが、これでは容態の急変を見逃すおそれがあります。こうした事態を防ぐのに有効なのがパルスオキシメーターです。中野区は現在、東京都から貸与された分も含めて180台を所有していますが、パルスオキシメーターを貸し出しているのは、自宅療養者のうち高齢者や基礎疾患がある方など一部にとどまっているとのことです。江戸川区では1,000台を導入し、自宅療養者全員にパルスオキシメーターを貸し出しています。重症化リスクをいち早く察知するためにもこうした取組が必要ではないでしょうか、区の見解をお尋ねいたします。

 また、自宅療養者が多くなれば、経過観察のための人員が必要となります。濃厚接触者の追跡調査は保健師がやらなければなりません。人員体制の強化は区としても課題だと認識していると思いますが、現状では保健師や看護師を募集しても人が集まらないとも聞いています。保健所の体制が強化できないから検査の拡充に足を踏み出せないということになってしまってはいないでしょうか。経過観察は現在、事務の職員も行っていると聞いています。経過観察要員としての強化を含む体制の拡充が必要ではないでしょうか、答弁を求めます。

 PCR検査を行い、陽性になれば、2週間の自宅待機期間が生じます。正社員ならば、その間の給料はある程度保障されますが、自営業者やフリーランスなどの方は感染が収入減に直結してしまいます。そうなれば、当面の暮らしのために、体調が悪くても仕事をするということにつながりかねません。陽性になった方はしっかりと休める体制づくりが必要ではないでしょうか。国民健康保険における傷病手当金・見舞金の事業者への支給は、昨年取り上げた時点よりもさらに広がり、傷病手当金は5市2町、傷病見舞金は10市2町が行っています。中野区においても改めて対象を事業者やフリーランスなど給与所得者以外にも拡大するように求めます。答弁を求めます。

 続いて、医療機関への支援をお尋ねします。区はPCR検査センターと協力して行政検査を受け入れる医療機関30か所に対して50万円の補助金を支給しています。区内でこの補助金を受け取っている診療所の方から、マスクなどの現物支援と併せて大変助かっているとお話を伺いました。同時に今、医療現場の方が不安に思っていることは、もしコロナが発生してしまったときには、その現場の責任にされてしまっているということだと伺いました。一たび感染が確認されれば診療は止めざるを得ません。小さな診療所ではそのことが経営に大きな影響となることは想像に難くありません。杉並区では、PCR検査を実施する医療機関が従事者の感染等でやむを得ず休業した場合、業務再開または縮小による経営継続に必要な経費を助成する事業を行っています。中野区でも同様の取組を検討してはどうでしょうか。

 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に関連してお尋ねいたします。新型コロナウイルス感染拡大を抑える切り札として期待されているワクチンですが、1月に世界15か国で行われた世論調査において、日本はワクチン接種意欲が最低だったと報じられています。そこには政府の新型コロナ対応への不信感もあれば、1年でワクチン開発ができるのかといった技術に対する不安など、複雑な要因が組み合わさっていると感じます。2月8日付朝日新聞「科学の扉 ワクチン短期開発のわけ」という記事を読み、私自身、今回の1年という超短期でワクチン開発に数十年の科学の成果が詰め込まれているということを初めて知りました。

 ワクチン接種を順調に進めるためには、体制を整えることともに、区民の不安な思いに応える周知が極めて重要と考えます。また同時に、ワクチンを接種したからといってウイルスに感染しないかは明らかになっていません。しかし一般には、ワクチンを打ったからもう安心という心情も生まれ得ると思います。周知においては、併せてこうした事態に対する注意喚起も十分に行う必要があると考えます。区はどのような周知を考えているでしょうか、お答えください。

 続いて、中野区基本計画・中野区区有施設整備計画についてお尋ねいたします。

 まず、基本計画についてですが、先日、委員会報告された基本計画(素案たたき台)の重点プロジェクトにおいて、脱炭素化が盛り込まれたことに安堵しています。世界で気候変動対策にとって勝負の10年と言われているときに、重点プロジェクトに入っていないのでは認識が疑われてしまいます。しかし私は、「活力ある持続可能なまちの実現」という重点プロジェクトの中に「脱炭素社会の実現を見据えたまちづくりを展開します」という項目で設けている記述の仕方にはいささか疑問があります。

 グリーン・リカバリーという言葉を御存知でしょうか。この言葉は、コロナ禍からの復興の鍵として世界で大きく注目されています。これはコロナ禍からの復興に当たって、地球温暖化の防止や生物多様性の保全を実現し、よりよい未来を目指していくことを目指すものです。そのポイントは、一つ、地球温暖化対策の国際協定であるパリ協定の達成に貢献すること。二つ、国連のSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも一致した施策を実施することにあります。つまり、コロナ禍からの復興に際して強力な経済対策が実施されることを大きな機会として、一気に持続可能な社会を実現しようというものです。現在の項目建てでは、1、産業の活性化、2、まちづくり、3、脱炭素が「活力ある持続可能なまちの実現」というプロジェクトの並列的な課題として並べられています。気候変動対策は、あれこれの課題と並列されるようなものではなく、前提とされるものです。脱炭素社会を実現してこそ持続可能なまちが実現されるのであり、産業の活性化もまちづくりも脱炭素社会の実現に資するように進められなければなりません。重点プロジェクト3について、脱炭素社会の実現を全面に出した記述に改めるべきだと考えますが、区長の認識はいかがでしょうか、お答えください。

 私は今回の基本計画の改定に当たって、「誰一人取り残さない」という文言が重点プロジェクトや施策の様々な場面に入っていることを高く評価したいと思います。区長の言う「協働・協創」の実現のためにも、自分が取り残されていないという実感は必要不可欠です。2012年9月に内閣官房社会的包摂推進室がまとめた報告書「社会的排除にいたるプロセス~若年ケース・スタディから見る排除の過程~」では、社会的排除について、「物質的・金銭的欠如のみならず、居住、教育、保健、社会サービス、就労などの多次元の領域において個人が排除され、社会的交流や社会参加さえも阻まれ、徐々に社会の周縁に追いやられていくことを指す。社会的排除の状況に陥ることは、将来の展望や選択肢をはく奪されることであり、最悪の場合は、生きることそのものから排除される可能性もある。」と述べています。そしてその対策として、「リスクの共通性、複合性を念頭に置いた包括的な『社会的包摂政策』が必要」と述べています。

 基本計画において、こうした社会的排除に対応した社会的包摂政策の観点が必要だと感じます。日本における実質的に最初で最後のセーフティネットである生活保護行政については明日、小杉区議が触れますが、我が会派は再三、体制などの不備を指摘してきました。日本の生活保護の捕捉率の低さは、多くの国民が金銭的欠如に苦しめられていることを意味します。捕捉率を引き上げる施策及び成果指標の設定が必要ではありませんか、お答えください。

 保健医療サービスからの排除はどうでしょうか。全日本民主医療機関連合会が経済的事由による手遅れ死亡事例を毎年調査し、毎年少なくとも数十人が亡くなっていることを明らかにしています。経済的事由によって区民が保険医療サービスから排除されていることがあるのではないでしょうか。区民に十分な保険医療サービスを提供するための施策と十分な保険医療サービスを受けられていると感じる区民の割合といった成果指標の設定が必要ではないでしょうか。

 今回触れた中身は、誰も取り残さない区政を実現するための一例にすぎません。困ったときに手を差し伸べてもらってこそ、区への愛着、何かしたいという気持ちが生まれるのではないでしょうか。ぜひ基本計画において社会的包摂の視点を入れていただきたいと要望いたします。

 中野区区有施設整備計画についてお尋ねいたします。

 先日報告された中野区区有施設整備方針(素案たたき台)は、「区財政の見通しの厳しさが増す中」としつつも、全体として区民施設の削減を極力行わないように考えられたものではないかと考えます。しかし同時に、児童館を現行の18施設から各中学校区に合わせた9施設にするという方針は、簡単に納得できるものではありません。「施設再編・管理の基本的な考え方」には、「区民の日常生活圏域等を踏まえた適正配置」となっています。子どもの日常生活圏域は小学校区・中学校区となりますが、児童館の利用実態は乳幼児と小学生が過半を占めており、区が行おうとしている中学校区の配置とは合っていません。住民からすれば、なぜそのような判断になったのか理解し難いのではないでしょうか。中野区区有施設整備計画の策定に当たっては、区民の納得と合意をしっかり取るよう努力すべきだと考えますがいかがでしょうか。また、そのために考えている取組をお答えください。

 中学校区に一つの配置とした場合、地域によっては最寄りの児童館がかなり遠くなるところも生まれます。例えば明和中学校区では、現行では若宮・大和西・鷺宮・西中野・大和の五つの児童館がありますが、計画を実行すれば一つに再編されることになってしまいます。私の家の近所にある若宮児童館では、これまで地域の住民が協力して多彩なイベントを実施してきました。こうしたことができたのは、地域の身近なところに児童館があり、区職員が児童館にきちんと配置されていたからこそです。児童館の再編に当たっては、一律機械的に再編するのではなく、地域の状況を考慮して行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、2番、中野区環境基本計画についてお尋ねいたします。

 区は、来年度に中野区環境基本計画を改定するための作業を進めています。現在、世界ではこの10年間がパリ協定の目標である気温上昇を2度未満に抑え、1.5度未満に近づけるようにするための最後の機会だとみなされています。それだけに今回の改定において、中野区が2030年度までにどれほどの排出削減目標を掲げるのかが極めて重要です。国は昨年、菅首相が、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにするという目標を表明しました。東京都は1月27日に小池都知事が、温室効果ガス排出量を2030年度までに2000年度比で半減させると表明をいたしました。排出削減目標を決めるに当たって、昨年の第3回定例会でも取り上げたカーボン・バジェット、炭素予算という将来までの二酸化炭素排出量の上限を推計した上で目標を決める方法が効果的です。先日、区民委員会で行った学習会において講師をしていただいた産業技術総合研究所の歌川学先生は、中野区のカーボン・バジェットは、2017年度排出量の15年分に当たる二酸化炭素換算で1,400万トンであり、そこから2030年度には2013年度比で59%程度の排出削減が必要だと述べられていました。中野区でこうした目標を掲げる必要があるのではないでしょうか、お答えください。

 中野区は区全体の排出の約半分が家庭部門から排出されており、次いで業務部門からも排出が多くなっています。これらの部門でどのように排出削減を進めるのか、具体的な施策がなければ全体の排出削減目標を定めても意味がありません。

 長野県では、2050年までに最終エネルギー消費量を7割削減するとともに、これを上回る再生可能エネルギーを生産して、実質的な排出量ゼロを達成する行程表、「長野県気候危機突破方針ロードマップ」を作成しています。中野区においても、どのような施策で何年までにどの程度排出量を削減するのか、家庭部門、産業部門など部門ごとの排出削減の目標と行程表を作成すべきではないでしょうか、お答えください。

 2017年度は家庭部門からの排出は52%、業務部門が27%を占めています。しかし、購入電力に着目をした場合、中野区の二酸化炭素排出構造の姿は大きく変わり、購入電力由来が64%の排出量を占めていることが分かります。大規模な排出削減を進める上では、電力をこれまでの化石燃料由来から再生可能エネルギー由来に切り替えるエネルギーシフトが絶対に欠かせません。それだけに、2025年、2030年にどれだけの世帯、事業者でエネルギーシフトを進めるのかの目標設定を行う必要があるのではないでしょうか、お答えください。

 省エネを進められるような施策を講じることも非常に重要です。業務部門の場合、家庭よりも電気の使用箇所・使用時間が長く、省エネ機器に設備更新した場合、削減量は家庭に比べても大きくなります。また、家庭部門においても、以前にも断熱の重要性は触れたことがありますが、区内でほとんど浸透していない高断熱建物認証制度ではなく、新たな施策展開が求められているのではないでしょうか。家庭や事業者のエネルギーシフトを応援するために、創エネ・省エネの設備助成を設けてはいかがでしょうか、お答えください。

 大規模事業者としての中野区の努力も非常に重要です。これから建設する建物は当然2050年以降も残ります。それだけにこれらの建物が排出ゼロを達成できるかどうかは事業者としての区の排出量に直結します。新築の区有施設について、災害期の活用の観点も含め、省エネと創エネを組み合わせてエネルギー消費量を実質的にゼロにすることとした建物ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)を最低条件にするとともに、既存の区有施設について断熱改修などの省エネ、太陽光や地中熱の活用といったエネルギーシフトを行い、区有施設の脱炭素化を早急に実現する方針を持つべきではないでしょうか、お答えください。

 都市計画や再開発においても脱炭素の視点が極めて重要です。先日発表された中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備の中身においては、環境面について「ZEBを目指した省エネルギー性能」と明記されています。今回はこういった提案になっていますが、事業者募集要項では「地区内や周辺地域の環境性向上に資する施設整備」という文言しかありません。今後もこういった募集要項では、大量の二酸化炭素を排出する再開発が行われる可能性もあります。また、これらの大本にある中野区都市計画マスタープランの改定に当たって、脱炭素のまちづくりに沿った全体構想及び地域別構想の記述の充実が必要です。中野駅前をはじめとする都市再開発でZEBであることを求めるなど、改定される中野区都市計画マスタープランについて、脱炭素を実現するための方策を示すべきではないでしょうか、お答えください。

 中野区が高い目標と実効性ある計画を持つことを求め、この項の質問を終わります。

 次に、3番、西武新宿線連続立体交差事業についてお尋ねいたします。

 区は現在、西武新宿線野方駅以西の連続立体交差事業について、西武鉄道に野方1号踏切除却の技術的可能性について委託調査をさせています。今年度末で調査が終わり、その後、結果が報告されることになると思います。2,260万円もの費用をかけた調査ですが、区は高架化を前提とした検討のみをさせていることを明らかにしています。その理由として区は、2014年に発表した中野区独自の構造形式の比較検討において、高架化が最適という判断が出たからだとしています。しかし、その判断には疑問があります。これは都議会の井荻駅-西武柳沢駅間の連続立体交差事業に係る都市計画の議論の中なのですが、我が党都議団が都に対して、地下案の検討に際して複線シールドで検討したのかどうかを聞いても、東京都は一切まともな回答をしません。また、東京都が行った野方駅-井荻駅間の連続立体交差事業の比較検討においても、地下案の検討は多数の施工実績がある複線シールドではなく、単線シールドによって検討がなされています。そして、先ほど紹介した中野区独自の比較検討においても、地下案は単線シールドでの検討となっています。当然のことながら、単線シールドで地下化するとなれば用地幅が現在の線路幅を超え、高架仮線方式と同様に多数の用地買収が必要となります。それに費用面での比較を加えれば、地下方式が不利になることは目に見えています。これは高架案が最適という結論を導くためにするやり方ではないでしょうか。

 横浜市は、相模鉄道本線の鶴ヶ峰駅連続立体交差事業において、複線シールドでの地下化を採用しています。また、過去の高架化事例で、多数の用地買収が必要になり、施工期間自体が高架化のほうが長かった実績も見込んで決定をしています。こうしたことを考えれば、複線シールドで検討を行えば最適案が変わる可能性もあったのではないでしょうか。調査委託の前提となる2014年報告の構造形式の比較検討において、区は地下案について複線シールドの検討をなぜ行っていなかったのか、お答えください。

 これまで何度も言っていることですが、野方以西の連続立体交差事業について、区内全線地下化を事実上諦め、高架化を前提に調査委託をさせていることなど、現状は住民に何も知らされていませんし、議論をする機会も与えられていません。各駅周辺まちづくり検討委員会でのまちづくり検討においては、構造形式にとらわれずまちの課題を検討するという名目で、西武線について触れることを許されていません。これは政策決定過程からの区民参加と矛盾するのではないでしょうか。この間行われてきた意見交換会においても、区は事業者である東京都に参加を求めることもせず、構造形式についての区民の疑問に答えられていません。西武新宿線の構造形式について住民と意見交換する場を設けるべきではなでしょうか、お答えください。

 最後に4番、羽田空港新着陸ルートについてお尋ねいたします。

 昨年に取り組んだ中野区民アンケートにおいて、羽田空港新着陸ルートについてどう思うかの設問では、全体としては、「騒音や落下物対策をきちんとすればよい」が49.2%、「環境悪化、落下物の危険が増えるため中止」が39.5%、「分からない」が11.3%という結果でした。同時に、年齢や職業別に回答を見てみると興味深い結果も得られました。年齢別で見ると、年代が上がるほど反対の声が増えていくとともに、職業別の回答では、正社員や非正規など労働者の賛成は多い一方、無職や家事専業といった日中は区内にいると思われる方は反対が多くありました。ここから見て取れるのは、航空機が中野区内上空を飛ぶのを目の当たりにしている方は反対が多いということです。区はこうした区民の声に耳を傾けてもらいたいと思います。

 我が党はかねてから、騒音被害や落下物の危険が排除できない都心上空を低空飛行するルートは撤回すべきと主張してきました。区は、対策は取っているなどと言ってきましたが、その中身は見舞金など事故が起こった後の被害補償にすぎません。昨年12月4日に那覇空港発羽田行きの日本航空機が那覇空港の北約100キロメートル、高度約5,000メートルにてエンジンブレードの破損・落下事故を起こし、航空重大インシデントと認定されています。事故原因はいまだ調査中とのことですが、エンジンブレードの疲労破壊も指摘されており、そうであれば、いつ落下物となるかは全くの偶然で、下手をすれば当該航空機は羽田行きであったことから中野区内に落下したかもしれません。この事故について区はどう認識しているのでしょうか、お答えください。

 また、このような事故を前にして、都心上空低空飛行はやめるよう国に対して意見すべきではないですか、お答えください。

 羽田空港の増便のためと、このルートを導入しておきながら、コロナ禍の下で需要は低迷し、増便の根拠はどこにもありません。都民の安全・安心な生活を脅かす新ルートは撤回をすべきです。

 以上で私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 羽鳥議員の御質問にお答えいたします。

 まず最初に、施政方針説明についての基金の活用についてでございます。厳しい財政状況の中におきましても、必要な区民サービス等に対しては財源を投入し、推進をしていく必要があると考えているところでございます。適時適切に基金を活用し、区民の命と健康を守るための施策に最優先で取り組んでいきたいと考えております。

 続きまして、新北口駅前エリア再整備事業に係る資産活用についてでございます。基本協定は、区が施行予定者として選定したことを確認し、区と施行予定者が協力して本事業の事業化を推進するに当たって、役割分担や提案内容の継承など必要となる事項を定めるものでございます。区は早期に地権者として資産活用の検討を進め、権利変換等について適宜施行予定者と区で協議をしながら事業化を推進してまいります。

 続きまして、新型コロナウイルス感染症対策についてで、積極的疫学調査についてでございます。区は令和3年1月8日付厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部通知及び1月22日付東京都通知によって、調査の対象を医療機関や高齢者施設の関係者や同居者等に絞り込む臨時的な対応を行っているところでございます。軽症者や無症状者を見逃すおそれがあるとの疑問に対しては、東京都のモニタリング会議において、感染経路不明者の改善やPCR検査に占める無症状者の割合が上昇していることから、そのような事実はないと考えております。いずれにしても、本件につきましては臨時的な措置であるため、区としては今後の状況を注視しながら適切に対応してまいります。

 次に、施設等職員に対するPCR検査についてでございます。区では現在、重症化しやすい高齢者施設において1名でも陽性者が発生した場合については、当該施設のスタッフ全員及び同一フロアの入居者等幅広くPCR検査を実施してまいりました。また病院におきましては、院内感染が疑われる事例について広範な検査を実施しているところでございます。一方、重症化リスクに乏しい保育園については、積極的疫学調査の結果、濃厚接触者を特定してPCR検査を実施してまいったところでございます。御指摘の定期的なPCR検査につきましては、検査の間隔、精度に関する課題や施設の意向を確認しながら今後の在り方について検討してまいります。

 次に、PCR検査の拡充についてでございます。区は医師会の協力を得ながら、昨年4月にPCRセンターを設置するとともに、PCR検査を行う区内医療機関に補助を行うことで検査機関の拡充に努めてまいりました。区は、積極的疫学調査によって把握された濃厚接触者などに対する行政検査のほか、かかりつけ医や東京都発熱相談センターを通し、必要な区民の方には医師の判断の下で検査を受けられる体制が整っていると考えております。現在、国は民間の安価な検査についても、その質や医療機関との提携の情報を公開する準備を進めており、希望者は適切な検査機関を選択できるようになります。そのため、区として独自に検査を拡充する検討は行っておりません。

 続きまして、パルスオキシメーターについてでございます。区では他自治体に先駆けて、令和2年春からパルスオキシメーターを随時購入し、さらに東京都からの交付分と合わせて活用しております。入院待機者のうち咳など呼吸器症状のある方や、自宅療養者のうち高齢者及び基礎疾患を有する方など一定の基準の下に、医療職が個別の状況を詳細に把握した上で貸与をしているところでございます。現在のところ自宅療養者全てに貸し出すことは考えておりませんが、今後とも自宅療養者の健康管理を適切に行い、重症化を防ぐための機器として有効に活用してまいります。

 続きまして、自宅療養者の増加に伴う保健所の体制強化についてでございます。自宅療養者への経過観察や疫学調査など、新型コロナウイルスの陽性者の安全確保や感染拡大等の防止のため、保健所の業務を着実に実施していく必要があることから、これまでも保健師や事務職員の応援体制や人材派遣の活用等によって必要な人員を確保してきたところでございます。来年度は保健所の保健師の定数も増やす予定でありますが、それでも人員不足が生じるようでございましたら臨機応変に応援体制や人材派遣の活用によって対応していきたいと考えております。

 次に、傷病手当金・見舞金の支給対象の事業者への拡大についてでございます。現在、国の制度設計に基づいて、給与等の支払いを受けている国民健康保険の被保険者を傷病手当金の対象としております。自営業者には他の制度で様々な支援がなされておりまして、現時点では傷病手当金の対象に加える考えはございませんが、今後の国の動向等を注視し、適切に対応してまいります。

 次に、医療機関への経営支援についてでございます。区はこれまで、PCR検査を実施する医療機関に対して支援金や準備金を支給するなどの支援を行ってまいりました。医療機関に対しましては、国や都の施策によっても様々な支援が行われていることから、医療従事者の感染等によりやむを得ず休業した場合に、区が経営継続のための支援を行うことは考えておりません。

 次に、区民の不安を解消する広報についての御質問です。接種券に同封するチラシ、区報、ホームページを通じて、今回のワクチン接種の説明などを周知していく予定でございます。ワクチンは接種によって発病予防効果や重症化予防効果が明らかではありますが、感染自体の予防効果は明らかになっておりません。したがって、ワクチン接種を受けた方についても、これまでと同様にマスク着用や手洗いなどの基本的な感染予防を継続的に行うように、チラシや区報等を通じて啓発することを考えております。

 次に、基本計画・区有施設整備計画についてで、重点プロジェクトにおける脱炭素社会の実現についてでございます。脱炭素社会の実現に当たりましては、SDGsにおいても提唱されているとおり、環境、経済、社会、この三つの側面から相乗効果を生み出していく必要があると考えております。三つ目の重点プロジェクト「活力ある持続可能なまちの実現」では、経済、まちづくり、環境について記載をしておりまして、これらをはじめあらゆる分野において脱炭素社会の実現を視野に入れて取組を進めていく必要があると考えております。そうした視点も踏まえ、重点プロジェクトの記載についてはさらに精査していく考えでございます。

 次に、生活保護の捕捉率を引き上げるための施策及び成果指標についてでございます。区民の資産把握ができないため、捕捉率を成果指標とすることは困難でございます。区としては収入や資産が基準以下となり生活に困窮した方は誰もが生活保護を受ける権利があるということを周知する努力を続ける必要があると考えております。引き続き関係部署、関係機関との連携に力を入れ、誰一人として取り残さないという立場で支援をしてまいります。

 次に、保健医療サービスに関する施策等の設定についてでございます。基本計画は区政の今後の方向性を示すものであることから、国民健康保険制度など国の制度等に基づいて運営していくことが義務付けられている事務につきましては、成果指標の設定は行わない考えでございます。国民健康保険につきましては、経済的な事由等によって必要な医療の受診が妨げられることのないよう、法令の規定に基づいて保険料や一部負担金の軽減の仕組みの適切な案内と適用を行っているところでございます。今後も法令に基づいて適切に対応してまいります。

 次に、区民の納得と合意についてということで、区有施設整備計画(素案)の段階で意見交換会等を実施し、御意見を伺った後に案の段階でパブリック・コメントの手続を行う予定でございます。意見交換会等でいただいた意見は受け止め、児童館の配置について区としての考えをしっかり説明をしてまいりたいと考えております。

 私から最後に、児童館の再編についてでございます。児童館の配置につきましては、小学校の改築等に伴うキッズ・プラザ及び学童クラブの整備に合わせて順次中学校区に1館の配置としていく予定でございます。具体的な配置につきましては、立地、築年数、規模等を総合的に勘案し検討を進めているところでございます。今定例会で報告する予定の区有施設整備計画(素案)においてお示ししたいと考えております。

〔環境部長朝井めぐみ登壇〕

○環境部長(朝井めぐみ) 私からは、中野区環境基本計画についての御質問のうち、初めに中野区の二酸化炭素削減目標の在り方についての御質問にお答えいたします。

 現在、改定を検討しております中野区環境基本計画において、ゼロカーボンシティ宣言を見据え、2050年に向け二酸化炭素排出量を実質ゼロとするよう、2013年度比における2030年度までの削減目標を設定することを検討しております。

 次に、部門ごとの排出削減目標や行程表についての御質問でございます。現段階では、国が2050年に二酸化炭素排出量実質ゼロを達成するための2030年度の部門ごとの排出量削減目標を示していないことから、区としても、部門ごとの排出量削減目標や行程表の作成は困難であると考えております。国が2030年度の部門ごとの排出量削減目標を明らかにした段階で、区の部門ごとの排出量削減目標の設定についても検討したいと考えております。

 次に、エネルギーシフトに向けた目標値の設定についての御質問でございます。区の二酸化炭素排出量削減のためには、再生可能エネルギー電力へのシフトが重要であることから、都が実施をしています再生可能エネルギー電力「みんなでいっしょに自然の電気」への切替えを進める事業の周知などを行っているところでございます。今後も、家庭や事業者における再生可能エネルギー電力への切替えを推進してまいります。区は再生可能エネルギー電力の契約世帯数等を把握できないことから、世帯数や事業者数の目標値の設定は困難であると考えております。

 次に、区民、事業者向けの設備助成についての御質問でございます。区は令和3年度から家庭等に向けた蓄電システムの導入支援を始めることを考えております。今後、都の実施している補助制度などを参考にし、家庭や事業者を対象に再生可能エネルギーの活用や省エネルギーなどに資する設備の助成についても検討してまいります。

 次に、区有施設の脱炭素化実現のための方針についての御質問でございます。区内の大規模事業者である区が建築物の脱炭素化を進めることは大変重要であると考えております。中野区基本計画の重点プロジェクトである「活力ある持続可能なまちの実現」を進めていく中で、区有施設の脱炭素化を実現するための方針についても検討してまいります。

 私からは最後に、羽田空港新着陸ルートについての御質問にお答えいたします。国土交通省は、昨年12月の重大インシデントにつきまして、区内航空会社に航空機のエンジンのファンブレードの点検頻度の引上げを指示するなど、再発防止対策を講じていると聞いております。国により、航空輸送の安全が確保されることが重要であると考えております。羽田空港の新飛行経路につきましては、国が昨年6月と12月に固定化回避に係る技術的方策検討会を実施しており、区としてこの検討の内容を注視していきたいと考えております。

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、中野区環境基本計画についての御質問のうち、都市計画マスタープランと脱炭素のまちづくりについての御質問にお答えをいたします。

 改定中の都市計画マスタープランでは、都市の骨格をつくる全体構想の中で、地球への環境負荷の少ない都市づくりの方針を設定し、この方針に基づき各地区の特性等を踏まえたまちづくりが展開されるよう地域別構想を定めることとしてございます。この中で、再開発事業や大規模建築等に伴う省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの利用促進及び都市緑化の推進など、脱炭素社会に向けた都市づくりの考え方を示す予定でございます。

〔まちづくり推進部長角秀行登壇〕

○まちづくり推進部長(角秀行) 私からは、西武新宿線連続立体交差事業についてお答えさせていただきます。

 地下案におけます複線シールドの検討についてです。2014年に区議会に報告いたしました構造形式の地下案については、現在事業中の中井駅から野方駅間の連続立体交差事業が単線シールドを予定していることから、野方駅から井荻駅間についても同じ工法である単線シールドにて検討しております。

 次に、区と住民による構造形式の意見交換会についてでございます。連続立体交差事業の構造形式につきましては、事業主体である東京都が選定するものであり、都市計画法の手続も東京都が進めていくものでございます。東京都が行う都市計画法の手続の各段階において説明会や意見書の提出など、区民の皆さんに意見を表明していただける機会が設けられております。そのため、構造形式について区が独自に住民と意見交換する場を設けることは考えてございません。

〔羽鳥だいすけ議員登壇〕

○9番(羽鳥だいすけ) 中野駅新北口地区の資産活用基本協定の締結について再質問いたします。役割分担などを施行予定者候補と協議をしながらということであったんですけれども、質問の趣旨としましては、区としての資産活用方針をしっかり定めてから基本協定の締結というふうに臨まないと、その役割分担の話合いの中で事業者の都合に振り回されてしまうのではないかというふうな問題意識があるからです。つまり、区としての資産活用、土地で持つのか、中に何の施設を入れるのかなど、区が何をやりたいのかということを定めた上で基本協定の締結に臨むべきではないかという質問でしたので、再度答弁を求めます。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 羽鳥議員の再質問にお答えいたします。

 資産活用方針については、この基本協定の締結と併せて、平行してしっかり検討していくというところでございます。この基本協定の締結後においても、協議の中で施行予定者とその資産活用についての協議自体は行うということで考えてございます。

○議長(高橋かずちか) 以上で羽鳥だいすけ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 内 野 大三郎

 1 区長の施政方針説明について

 2 自殺対策について

 3 区内の無電柱化について

 4 区内の緑化政策について

 5 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、内野大三郎議員。

〔内野大三郎議員登壇〕

○15番(内野大三郎) 令和3年第1回中野区議会定例会において、都民ファーストの会中野区議団の立場から一般質問いたします。

 質問は通告のとおりです。その他はございません。

 質問に先立ち、今月13日深夜に発災した東日本大震災の余震で被害に遭われた全ての皆様にお見舞い申し上げます。また、今般の新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになりました方々にお悔やみを申し上げるとともに、罹患された方々へお見舞い申し上げます。今なお感染者が減っておらず、新型コロナウイルス感染症対策に御尽力されていらっしゃいます医療従事者の皆様、エッセンシャルワーカーの皆様、保健所及び区の職員の皆様に心より感謝申し上げます。

 それでは質問に入ります。

 施政方針説明について幾つかお聞きします。

 初めに、2、次世代に引き継いでいくためにの項です。「一般財源については令和2年度当初予算額の水準に戻るまでには相当の期間を要する見通しです。」とありますが、相当の期間とはどの程度の期間を見込んでいるのでしょうか。また、会派として歳入を増やす策を求め続けてきましたが具体的に何か案があるのでしょうか。区民税を多く払える担税力のある所得者層を増やすことも必要と考えていますが、いかがでしょうか。

 次に、「令和6年度の新区役所への移転を見据え、おおむね3年間で取り組む構造改革実行プログラムを取りまとめます」とありますが、構造改革実行プログラムでは具体的な数値を示せるのでしょうか。3年間で具体的な数値目標を定めるべきであると考えています。そして数値目標を示した結果、その実現の進捗度合に応じて、その結果につきどのような責任を考えているのか、区長の構造改革実行プログラムに向けての決意のほどをお聞かせください。

 「行政需要が増加する中にあっても職員定数を極力維持しつつ、多様なニーズに応えていきたいと考えています。」とありますが、さきの総務委員会での報告では、このままでは定数増は避けられそうもないということでした。職員定数管理と業務効率によるデジタル化は車の両輪と考えています。また、時代とともに多様化する行政需要ならば、時代とともにすたれていく行政需要もあるはずです。デジタル化による行政サービス、区有施設、さらには組織のそれぞれの再編によって、工夫次第で定数維持は可能と考えられるのではないでしょうか。最終的に職員数は今後増員するのか、現状維持なのか、減員なのか、方向性をどのように考えているのでしょうか。

 続きまして、4、中野の現在(いま)と未来(あす)をつくるためにについてお聞きします。

 この項では、(1)子育て先進区の実現について、まずお聞きします。区長の先進区のイメージをお聞かせください。「先進」という言葉は、辞書的な意味では、先を行く・他より優れているということですが、先進的な事例、先進的な取組などとして使われる場合、常にトップランナーであり、注目の的で、他の範となることであると理解しています。23区において他に例を見ない子育て先進区宣言自体は先進的でありますが、宣言からかなりの時間が経過していながらも、他区や全国から「中野はすごいね、子育て頑張っているね」という印象を持たれているかというと、メディアの露出も含めてまだ力弱く感じてしまいます。過度に目立つ必要はありませんが、耳目を引く発信力のある施策とキャッチフレーズを考案していただきたいと、重ねてお願いいたします。

 次に、地域包括ケア体制の実現の項です。関わりのある高齢者の方の遺言書作成をお手伝いいたしました。その方は、御主人にもお子様にも先立たれて、30年以上独居生活をしておりますが、このたび遺言を作成し、数少ない親族に財産をお譲りすることになりました。しかし、その御親族も高齢の場合には、相続人が1名だと相続が発生する前にお亡くなりになる場合も想定し、事前にもう1名の相続人候補を指名する必要があり、どなたにお願いするかお尋ねしたところ、「介護をしてくれている事業所があるここの区に寄附をしたい。一人でいても寂しくなく、お昼もおやつも出してくれる。車での送り迎えもしてくれる。こんないい世界を教えてくれた事業所に行きわたるように区に寄附をしたい」と申されました。他区ではありますが、非常にいいサービスを提供しているからだと思います。こうした思いの方も珍しいかもしれませんが、相続人のおられない方には、こうした遺産承継の仕方もあるということを啓発してはいかがでしょうか。介護事業者や士業の専門家向けと介護サービスの利用者向けの啓発とが必要かと思いますが、いかがでしょうか。

 次に、活力ある持続可能なまちの実現についてお尋ねします。中野駅新北口駅前エリア再整備事業において、このたび野村不動産株式会社を代表事業者とするグループが選定されました。これは事業者名が完全に非公開で、外部有識者で構成された審査委員会における審査が行われたとのことで、公平性の担保がされたとお聞きしています。しかし、事業協力者として長年手弁当で区と開発コンセプト等を共有してきた事業者と新たに参入をしてくる事業者とでは、スタート時点でその情報と人的環境において相当な情報量の差があったことは否めません。私たちが存命のうちにもう二度とはないであろうこうした大事業でありながら、当初からその検討手法に様々な疑問が呈されていたことも指摘しておきます。我が会派から別途詳しくお尋ねすることになります。とはいえ、審査委員会の審査の結果、次点候補者も含め、両事業者とも相当に実力があるグループが競争したことにより、さらなる未来に向けての議論が必要です。

 さて、これから事業内容の具体化を図っていくことになろうかと思いますが、今般公表された青写真は区民の目にしっかり焼きついてしまっています。この青写真と拠点施設整備のコンセプトとが、現在の中野駅北口エリアについて区民が持っているイメージとが重なっているのでしょうか。こうした区の考え方は、事業者と区民との間に立ってコンセプトの共有をするべきと考えています。今後、示された青写真からの齟齬が生じないよう、区民に対し、事業費の点も含めしっかりと説明するべきですが、いかがでしょうか。

 さらに、施政方針説明では、「これまで以上に区民や区議会の御理解と御協力が必要であり、適時適切な情報提供や意見交換などを行っていきます。」とありますが、意見交換というのは何を想定しているのでしょうか。区民の声を聞く、議会の意見を尊重するのであれば、意見交換の中で区民や議会で多とする意見があれば、そのとおりに計画変更することができるような意見交換なのでしょうか、お尋ねします。

 次に、区民とともに区政を運営していくためにについてお聞きします。この項で、「今後急速に進むデジタル・トランスフォーメーションに対応し、国や東京都との連携を進めるため、デジタル化を推進していきます。」とあります。東京都では、令和2年度に12億円であった行政手続のオンライン化の予算を、令和3年度で26億円へと増額されました。この背景には、都には年間1,100万件以上の申請があり、AI等の活用や申請の電子化は、都民の利便性にとって、また業務効率化のためには必須であるとの考えから、都の権限で手続方法の変更が可能な119ある手続のうち102の手続を令和3年度中にオンライン化するというものです。都では、昨年の第3回都議会定例会において、東京都行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例、いわゆる東京デジタルファースト条例を制定、今年の4月から施行予定です。この条例の目的を実現するため、都は区市町村における行政手続デジタル化モデル事業として、都がモデル手続を5個程度選定し、区市町村の窓口手続などのデジタル化を推進し、住民・事業者の利便性向上と行政の効率化・簡素化を実現するとともに、区市町村職員のデジタル化に関するノウハウを向上させる事業として予算化しており、行政全体のデジタル化の底上げを推進していくとしていますが、区としてどう取り組んでいくおつもりなのか伺います。

 この項の最後に、令和3年度予算案の概要についてです。令和3年度について、都ではオリンピック・パラリンピック誘致成功の以前から、都債の減債をして起債余力を強める計画的な運用をしてきました。これは、リーマンショック時の反省や、想定し得ない今回のコロナ禍のような事態をある程度見越していたとお聞きしています。中長期的な財政政策が今のコロナ対策の費用を賄っているというのが現状かと思います。こうした中長期的計画をしてきた都の見通しというのは、言わば財政の思想信条のようなものです。財政を持続可能とするためには、区財政の思想信条を持つことも必要だと感じています。区の見解をお尋ねします。

 自殺対策についてです。コロナ禍において自殺者が急増しています。人口10万人当たりの自殺による死亡者数である自殺死亡率は、平成24年から平成29年までの5年間で、全国では18.5人、東京都では18.3人ですが、中野区は20.5人となっており、不名誉ながら比較的高い数値を毎年出してしまっています。区では令和元年10月に中野区自殺対策計画を策定、その計画を現在実行中です。全国では、春先に自殺者数が増加し、年末にかけて減少していく傾向でありますが、中野では9月頃にまた増加するという特徴もあり、9月と3月での啓発を重点的に実施していただいております。また、年代別に見ても、男性では20歳未満、30歳代、50歳代で、女性では20歳から30歳代、50歳代から60歳代での自殺者数が全国平均よりも高い傾向が見受けられます。区としては、若年者対策として、SOSの出し方に関する教育や若者向け普及啓発にて、区内の高校、短期大学、大学、専門学校などと連携して学生への啓発を実施しているところであります。しかし、厚生労働省の統計では、昨年10月の全国の自殺者数は2,231名と突出し、その前4年間、10月の平均値1,698名を大きく上回りました。男女別でも、10月だけ見ても男性1,342名、女性889名と、他の月と比べても男女比が近接しています。

 2月12日の厚生委員会では、自殺対策ゲートキーパー研修の動画配信についての報告がありました。今までは対面でのゲートキーパー研修をしてきたものの、コロナ禍でオンラインの研修に切り替えましたというだけの味気ない報告で、コロナ禍における自殺者数の増加という現実に直面している危機感は残念ながら感じられませんでした。

 横須賀市では、消防団の団員の皆様全員にゲートキーパー講習を受講させたとも聞きました。その結果、平成22年から減少傾向が続いております。中野区では、残念ながら児童が亡くなる事例もあるため、教職員向けの研修も実施を検討してみてはいかがでしょうか。さらに、LINEなどのSNSを活用したり、ハローワークとの連携や、来年度設置予定の児童相談所でのDVや虐待などの相談窓口との連携など、ありとあらゆる手段を洗い出して検討していただきたいと思います。

 複雑な精神的状況や社会環境の悪化など、自殺に至る本人の心理状況は一言では言い表せないほど複雑になっています。自殺対策の決め手はこれと言ったものがない以上、尽くせる手を尽くしまくる必要があると感じています。特にコロナ禍で社会的な不安が蔓延している今だからこそSOSを見逃さない、手を差し伸べる機会を発信することが重要です。実はこうした取組は、地域包括ケア体制の充実へとつながるものと思っています。きめ細やかに行政からの発信が届くことによって、最悪の事態を免れることができるはずです。

 昨日の報道によりますと子どもの自殺が過去最多とのこと、文部科学省の有識者会議も早急に対策を提言するとのことです。区長は施政方針説明でも、「中野区の最大の財産はやはり人であることを実感」したとのことなので、この財産を一人でも失うことのない、対策を早急に講じるべきです。今から抜本的な対策を講じてもらいたいと考えますが、区の見解をお尋ねします。

 3、区内の無電柱化について。

 現在、無電柱化推進計画が令和元年11月に策定され、現在の推進計画で、無電柱化優先整備路線として総延長約8.3キロを定めており、その優先整備路線が整備された後に、今後に無電柱化整備すべき路線として、さらに43キロを定めています。この計画が終了するのはこの先何年経ってからなのでしょうか。また、その結果として、現在0.7%にとどまっている区内の無電柱化率が何%になるのでしょうか。

 区の計画によりますと、無電柱化優先整備路線は、令和10年度までに着手する路線としておりますが、その次の、今後に無電柱化整備すべき路線まで含めると、現在の計画が完了するまでにはかなりの時間がかかると考えられます。現在の推進計画の改定や見直しの時期がいつ頃になるのかお尋ねします。当然、無電柱化優先整備路線と今後に無電柱化整備すべき路線の整備完了の前には、次なる計画を立てなければならなくなるので、実施可能なエリアを早めに選定したり、既に無電柱化されている周辺との景観の連続性や防災対策などの観点から、できるだけ早く区内の無電柱化を進めていく必要があると思います。

 現在、中野二丁目では市街地再開発事業と土地区画整理事業との一体施行を行っているところでありますが、大久保通りとJRの線路沿いの道まで、幅13メートルの道路が無電柱化されて、南口の千光前通りとのつながりができることになります。一方で、中野二丁目の産業振興センター南側に面した東西道路は、この13メートル道路に接続し、無電柱化優先整備路線である補助122号線の中野年金事務所のところまで約450メートルあります。このたび、この中間地点にあるS字坂の住宅地が、セットバックにより宅配便のトラックや普通乗用車が通ることができる道へと生まれ変わりました。この道は、私が40年以上前の幼稚園時代から軽自動車が通るのが精いっぱいの道で、町内でも課題の多い道でした。スポーツクラブへ行く親子自転車がピークの時間帯では数百台は通ると言われているこの道にも電柱がたくさん立ち並んでおります。事故が起こってから計画をつくるのではなく、拡幅され便利になったタイミングで新たな無電柱化エリアとしていくことが求められると考えていますが、区のお考えをお聞かせください。

 東京都では、令和3年度の無電柱化の推進で区市町村への財政支援を強化させる予定です。都の補助メニューをしっかりと見定めた上で、抜け落ちのないように連携をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、区の見解をお尋ねします。

 4番、区内の緑化政策について。

 昨年の第4回定例会において、区内の樹木管理について質問をいたしました。樹木台帳は来年度に取りまとめの予定とのことですが、この樹木台帳を生かして、全区的に樹木管理が適正に行われ、上を向いて歩くことが楽しい中野区にしていただきたいと思います。

 さて、昨年の二つ目の質問で、民間団体との協働を提案いたしました。民間団体の知恵をしっかりと活用した仙台市の好事例を紹介いたしましたが、コロナ禍で交流の場がセットできずにいるとのことです。ただ、オンライン会議が徐々に浸透してきているので、まずは顔合わせだけでも早急に実施をして、来年度には早速実務的な勉強会を開催してはいかがでしょうか。区長に緑についての熱い思いを伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

 樹木の樹形をきれいに整えることでまち歩きが楽しくなり、住む方のシビックプライドをくすぐります。例えば、なぜ住んでもいない多くの方がよい季節になると神宮外苑を歩いたり、皇居の周りを走ったりするのでしょうか。気持ちのいいまちを歩くことで人はリフレッシュできるからです。

 さらに勉強会を重ねていくことにより、財政効果が見えてくることになります。毎年予算をつけて樹木管理をすると、樹木本来の美しさや木の命を守るよりも、発注されたときに樹木をただ切って枝などを処分することが目的化してしまいます。しかし、時間をかけてきれいな樹形を整えてあげれば、強い剪定は不要になります。樹木管理は切ることではなく、育てることを目的にすべきです。しかも、正しく剪定されれば、3年から5年は、いわゆるぶつ切り剪定自体はしなくてもよいこともあります。樹木管理の貴重な予算を使い、強い剪定で樹形を崩して剪定の頻度を増やすのではく、その樹木らしい姿に整えつつ健全に大きく育てて、緑の価値を高めることが重要だと考えます。このようにすれば、基本的な樹形ができているので管理費はむしろ軽減できると言えます。落ち葉などの困り事も、樹形が整い、シビックプライドが醸成され、商店街の通りに人が増えれば、地元の皆様が積極的に管理に協力してくれるようになると思われます。区の御担当者も昨年の質問後は、空を見上げて樹木を見ることを意識するようになったとのことです。上を向いて歩くことで、区内の緑化政策が上向きになることを期待しております。

 以上で全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 内野議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、区長の施政方針説明についての項で、一般財源の回復の見通しについてでございます。先般お示した基本計画の素案たたき台において、現時点においては、一般財源の令和12年度までの見通しを立てておりまして、少なくともこの10年間では、令和2年度の水準には戻らないと予測をしております。このため、歳出抑制とともに歳入の確保をさらに進めていく必要があり、構造改革における中長期的取組として、債権管理の強化や未利用地の利活用など様々な角度から検討しているところでございます。また、区民の生活を支えていくため税収を増やしていく視点も持ちながら、活力ある持続可能なまちづくりや都市政策を推進していく考えでございます。

 構造改革実行プログラムの進捗管理についてでございます。構造改革における中長期的な課題につきましては、今後おおむね3年間で集中的に取り組む考えでございます。本年8月の策定を予定している構想改革実行プログラムとして取りまとめてまいります。それぞれの課題につきまして目標を定めることは必要でございます。可能なものは数値化を検討してまいります。取組につきましては適宜検証し、目標達成に向けたリーダーシップを発揮して、この難局を乗り越えていく覚悟でございます。

 次に、今後の職員定数の方向性についての御質問です。今後の職員定数につきまして、現時点で考えられる行政需要を基にした推計では、令和4年度までは2,000人の上限の範囲内で維持はできますが、令和5年度には2,000人を超える見込みでございまして、令和4年度末までに職員定数条例を改正し、定数を増やす必要が出てくると考えております。職員定数の主な増要因は、児童相談所の職員や生活保護のケースワーカーの配置基準に適合するための増員、再任用短時間職員のフルタイム職員への移行に伴う定数内職員数の増加などでございます。令和4年末までの約2年間の政策の動向や児童相談所における虐待通報件数、生活保護受給者数の推移、業務のデジタル化による効率化の効果も見極めて、現時点での推計どおり職員定数を増やす必要があるのか見極めてまいりたいと考えております。

 次に、子育て先進区のイメージについてでございます。区が目指す子育て先進区は、子どもがすこやかに育ち、子育てをする上で必要な環境が整っており、子どもと子育て家庭の満足度の高いまちであります。それとともに、そうした区の子育て環境が区内外に認知されており、多くの子どもと子育て家庭から選ばれるまちでございます。この子育て先進区の実現に向けて、新しい基本計画において重点プロジェクトを設定し、組織横断的に取組を進めていくことを予定しております。重点プロジェクトを推進していく中で、施策、事業の充実を図るとともに、子育て家庭に認知されるような効果的な情報発信の手法についても検討してまいります。

 次に、区への寄附についてでございます。区では随時寄附を受け付けておりまして、申込みの際に、寄附の目的を区政全般、教育、社会福祉、まちづくり、新型コロナウイルス感染症対策事業の中から選ぶことができるようになっております。相続人のいない方の意思を実現することは大変意義深いことだと考えますが、遺産承継に関する啓発につきましては、相続という大変デリケートな問題を含んでいることもございますので、他自治体の例を参考にしながら研究してまいります。

 次に、中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備についての御質問です。現在、区と施行予定者候補で締結する基本協定につきまして、できるだけ速やかに締結できるよう協議を進めているところでございます。締結後は、市街地再開発事業に向けた事業計画の検討や詳細のスケジュール調整を進めることとなります。今後、都市計画の手続が必要となるほか、本事業は区の財産を活用する事業でもあるため、区としては事業内容を区民と共有しながら進めるべきであると考えております。このため、情報提供や意見交換について今後具体的な進め方を施行予定者と協議してまいります。

 最後に、区内の緑化政策について、民間団体との実務的な勉強会についてでございます。日々の生活の中で適切に管理された緑があることで、四季の変化へ潤いを感じるきっかけとなるだけではなく快適な生活環境を形成するものであると考えております。様々な民間団体と意見交換をしていくことは大切であると考えております。今後、オンライン会議も含めて実施方法等について検討してまいります。

〔企画部長髙橋昭彦登壇〕

○企画部長(髙橋昭彦) 私からは、区長の施政方針説明についての御質問のうち、初めに、行政デジタル化の底上げについてお答えさせていただきます。

 現在改定を進めてございます中野区地域情報化推進計画において行政サービス分野のデジタル化については、五つの柱の一つとして位置付けているところでございます。特に新区役所整備を見据え、区民の皆様の利便性向上に向けた電子申請の拡充や、職員のデジタル活用スキル向上などに積極的に取り組んでいく考えでございまして、アクションプランに具体的な進め方を盛り込む予定でございます。また、その推進に際しましては、都や国の施策との連動、また補助金の活用なども図ってまいりたいと考えているところでございます。

 続きまして、もう一つ、財政運営に当たっての考え方でございます。これまでの財政運営は、基準となる一般財源規模を基にした予算編成、また公債費負担比率10%程度を上限とした起債活用といった基準を設けて進めてきたところでございます。今後、相当の期間厳しい財政状況が続くと見込まれることから、当面は現在の財政運営の考え方を継続する考えでございますが、中長期的な視点で区財政をどのように運営していくかという新たな考え方については継続して検討していきたい、そのように考えてございます。

〔保健所長向山晴子登壇〕

○保健所長(向山晴子) 自殺者対策についてのお尋ねでございますが、厚生労働省が発表しました令和2年における自殺者数の暫定値は全国及び東京都において増加をし、中野区においても、平成28年から減少傾向にあったところが、令和2年については増加をしております。区独自の要因分析は実施しておりませんが、全国的な傾向として令和2年度の自殺動向は例年とは明らかに異なっていること、また、政府の各種の支援策が自殺の増加を一定抑制していると言われております。区としては、平成21年から継続してきておりますゲートキーパー研修や各種の普及啓発事業を着実に進めるほか、今年度より開始をしております自殺のメール相談事業など、様々な手段を活用して自殺予防に取り組んでまいります。

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、区内の無電柱化の質問についてお答えをいたします。

 まず、無電柱化の補助金の活用状況でございますが、区では既に設計費等も含めて、都の無電柱化チャレンジ支援事業の補助金と国の交付金を最大限活用して事業を推進しており、地区や要件により適切な補助導入を図っているところでございます。

 次に、無電柱化の進捗率でございますけれども、現在、無電柱化推進計画の優先整備路線と、今後に無電柱化すべき路線に位置付けられている路線を全て整備したときの無電柱化率は約16%というふうになってございます。

 次に、今後の無電柱化計画についてでございます。中野区無電柱化推進計画は2028年度までに着手する無電柱化優先整備路線や今後に無電柱化整備すべき路線を選定しており、現在の技術や制度の下で実施可能であると考えているものでございます。幅員4メートル程度の区道では現時点では技術的に難しく、今後一層の知見の集積や技術革新が必要であるというふうに考えてございます。

 また、無電柱化の技術的な課題についてでございます。無電柱化は、電線類を収容する管路をはじめ、電線の分岐や管理に必要となる特殊なますなど、多くの構造物を道路下に埋設する必要がございます。こうした中、区道の道路幅員が限られる上、住宅が密集するため、上下水道等のライフライン、埋設物が輻輳しており、各占用事業者との調整や施工方法等も、広幅員の都道と比較して難易度が高くなっているところでございます。さらに、変圧器等の地上機器の恒久的な設置場所の確保が課題であるというふうに考えてございます。

○議長(高橋かずちか) 以上で内野大三郎議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 伊 藤 正 信

 1 施政方針説明について

 2 令和3年度予算の概要について

 3 新型コロナウイルス感染症対策について

 4 区の危機管理体制について

 5 中野区立小中学校施設整備計画について

 6 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、伊藤正信議員。

〔伊藤正信議員登壇〕

○33番(伊藤正信) 令和3年第1回定例会に当たり、自由民主党議員団の立場で一般質問をさせていただきます。

 まず初めに、施政方針説明について伺います。

 施政方針説明では、新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためにをはじめとして、七つの項目についてそれぞれ述べられておりますが、具体性に欠けている内容になっていると感じております。そこで何点か伺います。

 今年に入ってからの感染者の急増に対しては、各部からの応援職員を増加させ、保健所業務に対して全庁を挙げて臨んでいるとのことですが、具体的にどの部署から何名職員を配置させているのか伺います。

 区内の経済回復に向けてなかのわくわく商品券を販売し、区内商店における買物や飲食などの商業支援を行っておりますが、現在、第3波における営業時間短縮や緊急事態宣言の発出などによりさらに打撃をこうむっております。閉店を余儀なくされている現状に悲痛な思いを抱いておりますが、区民の命と健康を守る取組を進めながら地域経済を立て直し、まちの明かりを絶やさないよう区を挙げて取り組んでいきますと述べられておりますが、どのような方法で救済をするのか、また、区は、新型コロナウイルスの影響により閉店となった店舗の現状を把握されているのか伺います。

 2の次世代に引き継いでいくためにでは、区は令和3年度の予算編成において、極力区民サービスを低下させないよう配慮しながら事業や内部業務などの見直しを行い、過去10年間で類を見ない9%の予算圧縮を行いましたと声高らかに主張しております。しかし、その額はどの程度なのかは示されておりません。また、一方で、区は構造改革を進めるとして、施策・施設・組織の三つの再編に取り組み、持続可能な区政を目指していくと言っておりますが、先ほども大内議員も触れておりましたが、内容を聞いてみても、ほとんど毎年の業務改善の域を出ていません。内容は非常に小粒なものであると考えます。構造改革という同じ言葉を使っていませんが、まさにこれまで中野区はこれらの改革を行ってきたのであります。保育園の民営化、児童館の廃止、図書館指定管理者制度の導入、庁舎警備の委託化、学校用務委託化など民営化を行い、またこの効果は、例えば人件費の削減に顕著に表れております。

 昨年の第3回定例会で指摘したとおり、人件費は平成11年頃300億円ほどあったものが、令和3年度予算においては200億円まで圧縮されています。このことから区は、毎年100億円にも及ぶ余剰財源を生み出しております。毎年です。この財源は、ほかの区民サービスに注がれております。これまでの改革が生み出した果実は確実に区民利益につながっております。そこから考えると、聞いている構造改革の内容、そして施設整備計画においても施設の整理、統合などほとんど進んでいない状況を見ると差が歴然であります。言葉は重いです。区政を担っている人の言葉は大変重いです。軽々しく構造改革などという言葉を使わないでほしいと考えます。明らかに改革する力は衰えていると私は思います。そこで伺います。これまでの改革に比べ、区が今やろうとしている改革があまりにも小粒と思っておりますが、区長の考えをお聞かせください。

 4の中野の現在(いま)と未来(あす)をつくるためにでは、新たな基本計画については、基本構想の実現を図るため、基本構想に四つのまちの姿を基本目標とし、20の政策と56の施策、三つの重点プロジェクト、子育て先進区の実現、地域包括ケア体制の実現、活力ある持続可能なまちの実現を進めようとしておりますが、この重点プロジェクトは、組織横断的に対応することが必要な施策課題に対して、政策及び施策を効果的かつ効率的に推進するとしておりますが、組織の権限や責任が見えにくくなり、課題があるように感じます。具体的にどのように進めていくのか伺います。

 そして5番の、区民とともに区政を運営していくためには、対話・参加・協働に基づく区政運営を行おうとしております。しかし、先日の区民委員会に先駆けた区長の記者会見において、旧中野刑務所正門の取扱いに関することが一方的に発信されました。対話を本当にやるということなのか、議会に対して何らはっきりした説明もなく、このことがマスコミ宛てに発信されたことはいかがなものかと考えます。この議会との議論を無視したかのような一方的な発信が果たして対話の区政運営なのだろうか、この予算記者会見の姿勢が対話の区政と矛盾すると私は思いますが、区長の考え方を伺います。

 次に、令和3年度予算の概要について伺います。

 令和3年度一般会計の予算規模は1,472億4,100万円、前年度に比べ0.3%、4億1,800万円の増であります。歳入について一般財源は当初見込まれた92億円の減少まではいかなかったものの、70億円弱というリーマンショック時を超える減収であり、非常に厳しいものとなっております。そこでまず、特別区民税については、今年度予算から4.8%の減を見込み、約16億9,000万円の減となっておりますが、来年度の税収減についての見込みをどのように行ったのか伺います。

 特別区交付金については、今年度予算から11.1%減、41億円の減を見込んでおります。東京都の調整税の減収が要因だと思いますが、具体的にどのように見込んだのか伺います。

 歳出については、これまで進めてきた区内各地のまちづくりや待機児童対策、児童相談所設置準備、学校施設準備、新型コロナウイルス感染症対策等に取り組むとされ、施政方針説明で述べられているように、区民の命と健康を守るための施策は最優先で進めるために予算を計上したことだと思いますが、疑問が残る施策も散見されます。旧中野刑務所正門の保存・活用に向けた検討もその一つであります。先日開かれた区民委員会と子ども文教委員会に旧中野刑務所正門の取扱い方針が報告され、概算経費として、正門移築(曳家)関連工事等で、令和3年度から8年度までに約4億9,600万円、正門公開開始後の経費で、令和8年度以降毎年約100万円が示されました。厳しい財政状況で構造改革を進めると言っている一方で、これほどの経費がかかる事業を進める必要があるのか非常に疑問であります。構造改革で生み出した財源を、区民サービスの充実ではなく、旧中野刑務所正門の保存に充てるのか、この状況下で旧中野刑務所正門の保存・活用に向けた検討を進めようとしている意義について伺います。

 昨年の第3回定例会において、これまでの議員経験から、かつて区が取り組んだ行財政改革と現在の状況について質疑をいたしましたが、このとき区長は、場当たり的な財政運営ではないという答弁でありました。しかし、私としては今の財政運営や今後について不安を感じております。

 そこで、今後の基金計画と財政運営について伺います。区は財務規律の基本として基準となる一般財源規模を定め、これを超過する歳入については基金に積み立て、歳出についてはこの基準に合わせることで安定的な財政運営を進めていこうとしておりますが、令和元年度は710億円、令和2年度では750億円、令和3年度においては687億円と毎年変更しております。基準となる一般財源規模についてどのように考えているのか伺います。

 また、平成29年、平成30年には、基金の残高が700億円ありましたが、たった3年で500億円まで減少しております。酒井区政になり減少の一途をたどっております。これに危機感はないのか併せて伺います。

 区長は施政方針説明において、一般財源については令和2年度当初予算の水準に戻るまでには相当の期間を要する見通しと述べ、大変に厳しい財政状況が続くとされております。今後も厳しい財政状況が見込まれる中、区はどのような財政運営をしようとしているのか伺います。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。

 新型コロナウイルス感染症は、緊急事態宣言が出されて以降、若干の減少傾向は見られるものの、依然として収束の見込みが立たない状況が続いています。最近は家庭内感染や施設内感染、職場内感染などが増え、一気にクラスター化しかねない状況が増えております。特に高齢者施設では、施設内で感染を広げるばかりでなく、感染者を収容する病院が見つかりづらく、見つかっても医療だけではなく、介護も必要になり、医療機関の負担が大変大きくなるなど多方面に影響を及ぼします。また、高齢者は重症化しやすいと言われており、感染が即、命の危険につながりかねません。このような状況にあって、高齢者施設への対策を急ぐ必要があります。施設で過ごす高齢者はもちろん、施設で仕事に従事される方も含めて対策が求められます。そのためには、まず感染者を特定し、感染を広げないためにも徹底した検査をする必要があると思います。区は、区内にある高齢者施設に対し、従事者を含めた徹底的調査をする予定はあるのでしょうか、伺います。もし検査をするのであれば、どのような規模でどのような検査を考えているのでしょうか。

 ウイルス性感染症にはワクチン接種が有効であると言われ、国において検討が進められている一方で、報道では、4月から高齢者に対して接種が始められると伝えられております。接種については各市町村において実施されるということで、一律な対応が求められます。全区民への一律の予防接種はこれまで経験がなく、かなりの困難が予想されます。目まぐるしく変わる状況に的確に対応し、国や東京都からの情報をキャッチし、医師会や病院などの医療関係機関との協力体制やワクチンの確保、実施会場の検討、確保など的確に行っていくことが求められます。これだけの規模のワクチン接種は、どこでも初めての試みであり、それぞれの自治体がどこまで本腰を入れて準備するのかで大きな差が出てくるのではないかと危惧しております。

 そこで何点か伺います。区民のワクチン接種に先立ち、医療従事者への先行接種が予定されておりますが、医療従事者とは、医師、看護師をはじめとして、医療に携わる職業全体を示すものだと思いましたが、厳密な定義付けはされていなく曖昧であることから、訪問看護師、柔道整復師、訪問介護職員などの医療に携わる職業の団体から、医療従事者としてのワクチンの先行接種を求める意見があると聞いておりますが、区としてはどのように考えているのか伺います。医療の資格保持者だけではなく、病院に勤務する職員や頻繁に出入りする業者の方など医療全体に携わる職業の方々にワクチンの先行接種を行うべきと考えます。

 次に、ワクチンの接種率の目標については、それぞれの世代、対象者で目標数値を設置していくことと思いますが、具体的に接種率をどこまで上げればコロナウイルスの収束、または集団免疫の獲得につながると考えているのか見解を伺います。

 次に、ワクチン接種の会場については様々な区民の状況、ニーズに合わせてワクチン接種が受けられるよう検討を進めるべきと考えますが、現在、区におけるワクチン接種の検討はどこまで進んでいるのか、スケジュールや接種場所は、先ほど大内議員からの質疑に対して答弁もありましたので、この区内15か所の区民活動センターでの会場と伺っておりますが、その会場の安全対策をどのように施そうとしているのか伺います。

 また、ワクチン接種は区民の関心も高く、私も多くの区民から聞かれます。接種を順調に進めるためには、区民の御理解と御協力の下に進める必要があり、そのためにも早めに周知することが必要だと考えます。ワクチン接種の広報についてはどのように行うのか伺います。

 まだまだコロナウイルス感染症への対応は続くことから、現在の状況が収まった後でも、第4波が来ることを想定して継続して適時適切に必要な対策を打っていく必要があると考えます。昨年の第4回定例会においては、その時点の感染状況を注視しつつ、感染拡大防止と経済再生の両立を図る対策の検討を進めてきたとの答弁がありましたが、しかし、傍目から見ても対応が後手に回っていることは指摘せざるを得ません。今回の感染症は、人類にとって経験したことのない大規模なものだったこともあり、限界があることも承知はしております。しかし、この状況から得られた教訓も多くあったのではないでしょうか。この経験を生かすためにも、ぜひこれまでの対応についてしっかり検証し、次に備えるべきと考えます。今後は、どのような新たな政策、対応が必要と認識しているのか、また、これまで区が実施してきた補正予算や、予備費対応による様々な各政策についての最新の検証状況と併せて伺います。

 次に、区の危機管理体制について伺います。

 新型コロナウイルス感染症対策に取り組む体制について伺います。施政方針説明でも触れられておりましたが、区では緊急事態宣言の再発令を受け、1月18日には、危機管理等対策本部会議の下に、副区長をリーダーとする新型コロナウイルス感染症感染防止対策チームを設置したとのことですが、昨年来、会議体ばかりが立ち上がっている印象を受け、それぞれの会議体がどのように動いているのか、機能しているのかについても不明瞭です。いまだにどこの部署がコロナ対策の旗振り役を担っているのか見えません。庁内には様々な会議体、組織が設置されておりますが、危機管理対策などの会議や、緊急経済連携室とこのたび設置された新型コロナウイルス感染症感染防止対策チームとの関係性及びそれぞれの開催状況や検討内容について伺います。

 緊急事態宣言についても期間が延長され、今後、宣言が解除されたといっても、まだまだそのときの状況を機微に見極め、その都度その都度適切な対策をスピード感をもって実施していく必要があります。全庁を挙げて各部が連携、一体となってコロナ対策に取り組めるよう司令塔となる部署を定め、区長がリーダーシップを発揮し、全力で取り組んでいくべきだと考えますが、どのような認識でいるのでしょうか伺います。

 最後に、中野区立小中学校施設整備について伺います。

 先日の子ども文教委員会で、中野区立小中学校施設改革の基本的な考え方(案)についての報告がされました。学校施設は児童・生徒の学びの場であると同時に、地域のコミュニティの拠点、災害時における防災拠点としての役割を担っており、学校施設に求められる機能は時代とともに変化し続けます。

 今後、改築を行う学校施設については、長期間にわたり効率的に使用し続けられるだけではなく、これからの学校教育や社会情勢の変化にも柔軟に対応でき、また、地域における最大の公共施設として良好な施設環境の維持、発展が可能なものとなるよう整備を進めていくこととしております。

 また、学校施設の更新時期については、改築が済んでいない既存の学校施設は建築後70年までに順次改築を進め、改築までの間は、改築済みの学校施設との間に教育環境面における著しい格差が生じることのないよう適切な維持管理及び改修を計画的に実施していくとされております。学校施設改築期間の考え方では、以前は建築後50年をめどに学校施設の改築に着手することとしておりましたが、区有施設整備計画にも記載されておりますが、建築後70年で建て替えを基本としたことは、どのようなことから示されたのか、考え方を伺います。

 小中学校再編計画によって、昨年は美鳩小学校、みなみの小学校の新校舎が完成いたしました。今年は4月に中野第一小学校が完成し、9月には中野東中学校が完成をいたします。学校施設改築の進め方として現在、改定に向けた検討を進めているとのことですが、計画期間を令和3年度から令和12年度の10年間として、その期間中に改築工事に着手する学校施設について、その時期や、手法について、整備着手の順序は現在調整中とあり、改定素案に記載していくとされております。中野本郷小学校など小学校は6校、第二中学校など中学校は3校、合わせて9校の整備時期についてどのように検討を進めていくのか伺います。

 また、改築整備費用については、財政負担の平準化を推進していくようでありますが、基金と起債を計画的にバランスよく活用することや国庫支出金の確保など、効率的・効果的に進めていかなければならないと思います。整備経費の計画はどのように考えているのか伺います。

 中野の子どもたちがよりよい教育環境の下で学校生活が送れるように施設整備計画を着実に進めていくことを要望し、私の全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 伊藤議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、保健所の応援職員の配置についての御質問です。保健所の応援体制として、保健所以外の保健師42名に保健予防課への兼務発令を行っておりまして、各すこやか福祉センターの合計32名のほか、地域包括ケア推進課、子育て支援課、保育園・幼稚園課、障害福祉課、保健企画課から合計10名の保健師を配置をしております。そのほか、この間に、全庁の職場から事務職などの38名の職員に、期間を区切って保健予防課への兼務発令を行っております。企画部から5名、総務部から3名、区民部から4名、健康福祉部から18名、環境部から2名、都市基盤部から3名、まちづくり推進部から3名の職員を配置しているところでございます。このほか年度途中に、保育園・幼稚園課から保健師1名、選挙管理委員会事務局から事務職1名の職員を保健予防課へ異動させて体制強化を行っているところでございます。

 次に、地域経済の立て直しについての御質問です。地域経済の立て直しを図っていくには個々の事業者の支援と地域全体の活性化の両面から施策を講じていく必要があると捉えております。今後、緊急事態宣言解除後に向けては、気を緩めずに感染防止対策の徹底を働きかけてまいりたいと考えております。

 併せて、飲食店のテイクアウト、デリバリー利用などをさらに推奨するために、先日、商品券を使用できる店舗の新たな紹介パンフレットも作成したところでございます。

 また、今後の国や東京都における地域振興策の動向にも注視して、連携しながら区として取り組んでまいります。今後、東京都から示されると考えられますプレミアム付商品券事業の補助制度等の詳細が示された段階で具体的な検討を行っていく予定でございます。

 次に、区内商店の現状把握についてのお尋ねでございます。区内商店の現状につきましては、産業経済融資等に伴う各種相談業務や各商店街からの聞き取りなどで把握に努めているところでございます。閉店理由を新型コロナウイルスの影響に限定した具体的な数値の把握は困難ではございますが、今後、中野区商店街連合会の加盟会員数の変動等となって、その傾向が現れてくるものと考えられます。各店舗の状況につきましては、今後、同連合会の実施している各商店街の実態調査やスクラム事業等において、今回のプレミアム付商品券事業の効果と併せて把握してまいりたいと考えております。

 続きまして、構造改革の取組についてでございます。令和3年度の予算編成に当たって、構想改革の短期的な取組として、極力区民サービスを低下させないよう配慮しながら事業や業務の見直しを行ったところであります。今後はデジタル化を踏まえた行政サービスの再編、区有施設再編のさらなる検討、優先度の高い行政課題に注力するための組織の再編など中長期的な課題に取り組んで、持続可能な区政運営を目指してまいります。

 次に、重点プロジェクトの進め方についての御質問です。重点プロジェクトの推進に当たりましては、重点プロジェクト全体については企画部が進行管理を行うほか、組織横断的な政策課題について各部が主体性を持ち全庁的に対応していくために、各プロジェクトに主管部を定め、関連部をメンバーとする推進会議等を設置することを考えております。

 続きまして、予算プレスの発表における旧中野刑務所正門の保存・活用に関する説明についての御質問でございます。予算プレスの発表につきましては毎年度、議会に審議をいただく新年度当初予算案の主な事業について会見を開いて報道機関に対して説明しているところでございます。旧中野刑務所正門の保存・活用に向けた検討につきましても、予算案の主な事業の一つとして説明したものでございますが、保存・活用の具体化に向けては、さらなる議会との議論が必要だと認識をしております。今回は日程が変更となったため委員会報告に先行する形となりましたが、今後は議会への丁寧な調整の上、対外的に説明をしてまいりたいと考えております。

 続きまして、令和3年度の税収減の見込みについてでございます。特別区税収入見込みにつきましては、区の1月1日現在の15歳から64歳までの生産年齢人口に過去5年の生産年齢課税率の平均値を乗じて、当初課税所得割納税義務者を令和2年度当初課税に比べ3,473人の減、19万1,211人と見込みました。それに1人当たりの総所得金額を乗じ、所得控除及び税額控除を差し引き、税率を乗じた調定額に対して目標収納率を乗じて推計をしたところでございます。その結果、令和2年度当初予算と比較して16億8,500万円余、この税収減の見込みとなったものでございます。

 特別区交付金の見込みについてでございます。普通交付金につきましては、来年度の東京都の調整税の見込みが、今年度当初と比較して全体で約672億円、3.6%減の約1兆7,735億円となっていることから、この調整税のフレームを基に過去の中野区のシェア等を勘案して算出しているところでございます。特別区交付金につきましては、今年度は15億円を見込んでおりましたが、調整税の減を踏まえて来年度は10億円といたしました。その結果、特別区交付金は、本年度予算から41億円、11.1%減の327億円を見込んだところでございます。

 次に、旧中野刑務所正門の保存・活用に係る意義についての御質問でございます。旧中野刑務所正門の取扱いにつきましては、文化財保護審議会の答申や教育委員会からの意見、説明会での区民の意見などを踏まえて再検討を行って、先日の常任委員会において曳家により移築する旨を報告したところでございます。旧中野刑務所正門につきましては、文化財保護審議会の答申においても、我が国のレンガ造り建築の技術的、意匠的到達点を示すものとして極めて重要であるなど、文化財的価値があるとされておりまして、区として保存、公開し、活用する必要があると考えております。

 続きまして、基準となる一般財源規模についてでございます。新型コロナウイルス感染症の影響によって先が見えない中で、当面の間、これまでと同様に、基準となる一般財源規模を設定して、歳出の削減に努め財政運営を行っていくこととしたところでございます。令和3年度予算は、新型コロナウイルス感染症の影響によって大幅な一般財源の減収が見込まれ、過去の歳入決算額を踏まえることや今後の歳入見通しを立てることが難しかったことから、基準となる一般財源規模につきましては、令和2年度予算編成における基準額750億円から変更し、予算編成開始時点における一般財源の収入見通しによる687億円と定めたところでございます。

 次に、基金の活用についてでございます。基金の減少は、必要な区民サービスを実施するために適時の基金活用を図った結果でございまして、適切な運用であると考えております。一方で、令和3年度以降、厳しい財政状況が続く見通しでございます。歳出の削減に努めないと基金の枯渇の可能性もあると考えております。今後も区民生活に必要な取組を縮小させることなく、施設の更新等を着実に実施していくためには、構造改革を進める中で歳出削減に努め、一定規模の基金残高を維持できる、将来を見通した基金計画を立ててまいりたいと考えております。

 次に、今後の財政運営についてでございます。大変厳しい財政状況が予想される中で、現在直面している財政的な非常事態、これに対処するとともに、新たな行政需要に応じた効率的、効果的なサービス展開を図っていかなければなりません。この難局を乗り越えていくために、区政を進める上での無駄、無理、むらの解消、改善を進め、限られた財源の選択と集中を図っていくとともに、区民生活を支える目線で対応すべき課題を整理し、中長期的な視点を持って行財政の構造的な改革に取り組んでいくことを考えております。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてで、高齢者施設の検査についてでございます。東京都は2月9日に都内各保健所長宛て、高齢者施設の従事者等の検査の徹底について事務連絡を出したところでございます。この事務連絡の中で、クラスター発生リスクの高い高齢者の入所施設等のうち、特に介護度の高い方が入所する特養、老健及び医療介護院、障害者・障害児入所施設について、唾液検体用PCR検査キットを送付し、検査を集中的に実施するとしております。区としては、精度管理や頻度の問題などを含め、今後のPCR検査の在り方について検討していきたいと考えております。

 次に、ワクチン接種の医療従事者等についてでございます。国の示す接種順位に従って医療従事者の接種は3月以降、各区市町村の協力を得ながら、都道府県が主体となって接種を進めるものでございます。現時点で示されている医療従事者等の範囲は、病院、診療所において新型コロナウイルス感染症患者または疑い患者に頻繁に接する機会のある医師、その他の職員であり、診療科や職種は限定されてはおりません。訪問看護ステーションの訪問看護師は、1月25日付の自治体説明会資料で医療従事者等の範囲に含まれることとなりましたが、現時点では柔道整復師や訪問介護の職員は含まれておりません。区は関係団体からの要望等を国に伝えていく考えでございます。

 次に、集団免疫についての御質問です。区は高齢者について、インフルエンザワクチンの接種率を参考に65%を想定しております。また、そのほかの方については50%を想定して、集団接種及び個別接種を調整しているところであります。一般的に、疾患による差異はございますが、人口の一定割合以上の人が免疫を持つことによって感染症が流行しなくなり、間接的に免疫を持たない人も感染から守られる状態を集団免疫と呼んでおります。国は、現時点では新型コロナウイルスワクチンによって集団免疫の効果があるかどうかのエビデンスがなく、分かるまでには時間を要するとしていると私は認識しております。

 次に、接種の安全対策についてでございます。各会場等、集団接種及び個別接種において安全対策としては、アナフィラキシーショック等の重篤な副反応が生じた際にも対応できる医薬品や応急処置の機器を備えるとともに、15分から30分程度の経過観察が行える場所を確保する予定で考えております。

 次に、ワクチンの接種の広報についてでございます。区では2月12日からホームページにワクチン接種の準備状況を掲載し、順次、最新情報に更新するとともに、SNS等も活用して情報発信をしてまいります。区報につきましては、2月20日号をはじめとして、必要に応じて随時情報を掲載する予定でございます。今後とも国や東京都、日本感染症学会等の情報を整理し、分かりやすく情報提供に努めてまいります。

 次に、新型コロナウイルス感染症対策の検証についてでございます。この新型コロナウイルス感染症の第3波は収まりつつあるものの、緊急事態宣言解除後も当面は気を緩めることなく、感染拡大防止の意識啓発が必要であると認識しております。その上で、感染や行動制限によって心身に影響を受けた区民への支援など、潜在化したニーズをくみ取ってきめ細やかな個別の支援策を講じていくことが必要だと考えております。これまでに区が取り組んできた対策を検証し、今後の取組に反映していくために実施状況を取りまとめ、事業開始から一定期間を経過した対策事業につきましては、有効性、効率性、適正性、この観点を踏まえ評価を行っております。各事業の実施状況につきましては、本定例会中の各常任委員会において報告をする予定でございます。

 次に、感染症に関する会議体についてでございます。危険管理等対策会議は、私を座長として各種会議等で検討した全庁的な事項についての共有、協議、決定の場としており、原則週1回の定例会議に加え、必要に応じて臨時に開催もしております。新型コロナウイルス感染症緊急経済対策室は、区内経済対策及び生活支援策の総合調整を行うために組織したものでございまして、適宜各部との調整業務を行っております。このたび設置した新型コロナウイルス感染症感染拡大防止対策チーム、これは副区長の指揮の下、ワクチン接種の実施体制など、感染症の急拡大に対応した緊急的な対応策を随時協議し、迅速に実施に移すために設置したものでございます。

 最後に、区の危機管理体制における私のリーダーシップについての御質問でございます。区長として、区民の生命・生活を守ることを最優先に、様々な感染拡大防止対策に取り組んでまいりました。今まさに、過去に例のない大規模なワクチン接種や自宅療養している陽性者等への訪問診療の体制構築などが喫緊な課題でございます。適切かつ迅速な対策を講じていく必要があると認識しております。今後も私がリーダーとなる危機管理等対策会議などを通じて全庁で連携を取り、職員一丸となって感染症対策に取り組んでいけるようリーダーシップを発揮していきたいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、中野区立小中学校施設整備計画についての御質問のうち、まず、学校施設における建築後70年での改築の考え方についてお答えをいたします。

 学校施設については適切な維持管理を実施し、コンクリート及び鉄筋の強度が確保できていれば、70年から80年程度の耐用年数があるとの考え方が文部科学省から示されております。中野区立小・中学校においてもこの要件を満たしているものと認識しているところでございます。こうしたことから、今後の財政負担の平準化を進めていく必要性も踏まえ、学校施設は建築後70年までに改築を実施することとし、単年度当たり1校程度の改築工事着手を原則として、計画的に学校施設の改築を進めていくものとしたものでございます。

 次に、各学校施設の改築時期についての御質問でございますが、各学校施設の改築時期は、それぞれの学校施設の改修実施状況、改築中に使用する代替校舎の状況、将来の児童生徒数の動向及びまちづくりなどの地域事情等を総合的に勘案して検討し、設置してまいりたいと存じます。

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

○企画部長(高橋昭彦) 学校改築の整備費用計画についてお答えをいたします。学校施設整備は多額の財政負担を伴うものであることから、公債費負担比率10%程度を上限とした起債活用、また、将来を見通した基金活用、国庫支出金等の最大限の活用により、年度によって過度な一般財源の負担が発生しないよう適切な整備費用計画を定めていきたいと、そのように考えてございます。

○議長(高橋かずちか) 以上で伊藤正信議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時27分延会

 

 

 

会議録署名員 議 長 高橋 かずちか

       議 員 加藤 たくま

       議 員 浦野 さとみ