1.令和3年(2021年)2月18日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(42名)
1番 市 川 しんたろう 2番 竹 村 あきひろ
3番 日 野 たかし 4番 渡 辺 たけし
5番 間 ひとみ 6番 河 合 り な
7番 斉 藤 ゆ り 8番 立 石 り お
9番 羽 鳥 だいすけ 10番 高 橋 かずちか
11番 加 藤 たくま 12番 吉 田 康一郎
13番 木 村 広 一 14番 甲 田 ゆり子
15番 内 野 大三郎 16番 杉 山 司
17番 ひやま 隆 18番 小宮山 たかし
19番 い さ 哲 郎 20番 小 杉 一 男
21番 若 林 しげお 22番 内 川 和 久
23番 いでい 良 輔 24番 小 林 ぜんいち
25番 白 井 ひでふみ 26番 いながき じゅん子
27番 山 本 たかし 28番 中 村 延 子
29番 石 坂 わたる 30番 近 藤 さえ子
31番 浦 野 さとみ 32番 大 内 しんご
33番 伊 藤 正 信 34番 高 橋 ちあき
35番 平 山 英 明 36番 南 かつひこ
37番 久 保 り か 38番 森 たかゆき
39番 酒 井 たくや 40番 むとう 有 子
41番 長 沢 和 彦 42番 来 住 和 行
1.欠席議員
な し
1.出席説明員
中 野 区 長 酒 井 直 人 副 区 長 白 土 純
副 区 長 横 山 克 人 教 育 長 入 野 貴美子
企 画 部 長 高 橋 昭 彦 総 務 部 長 海老沢 憲 一
危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝 瀬 裕 之 地域包括ケア推進担当部長 藤 井 多希子
健康福祉部長 岩 浅 英 樹 環 境 部 長 朝 井 めぐみ
都市基盤部長 奈 良 浩 二 企画部企画課長(企画部参事事務取扱) 石 井 大 輔
総務部総務課長 浅 川 靖
1.本会の書記は下記のとおりである。
事 務 局 長 長 﨑 武 史
議事調査担当係長 鳥 居 誠 書 記 立 川 衛
書 記 若 見 元 彦 書 記 野 村 理 志
書 記 鎌 形 聡 美 書 記 松 丸 晃 大
書 記 細 井 翔 太 書 記 有 明 健 人
書 記 五十嵐 一 生 書 記 髙 橋 万 里
書 記 本 多 正 篤
議事日程(令和3年(2021年)2月18日午後1時開議)
日程第1 第6号議案 令和3年度中野区一般会計予算
午後1時00分開議
○副議長(平山英明) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 山 本 たかし
1 区長の施政方針について
2 新庁舎移転に向けた職員の働き方について
3 区有施設整備計画について
4 高齢者のフレイル予防について
5 環境施策について
(1)来年度の取組みについて
(2)清掃事業について
(3)その他
6 公契約条例について
7 その他
○副議長(平山英明) 初めに、山本たかし議員。
〔山本たかし議員登壇〕
○27番(山本たかし) 令和3年第1回定例会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問をいたします。
質問ですが、5、環境施策について、(1)来年度の取組みについては取り下げさせていただきます。その他はございません。
まず、最初に区長の施政方針説明についてお伺いいたします。
緊急事態宣言解除後における第4波への不安と対策について、各所で英知を尽くしている状況の中、昨日から日本でもようやく新型コロナウイルスのワクチン先行接種が始まったところですが、すぐに集団免疫を獲得とはいきません。区には、区民が安心で着実な接種体制の構築を求めるところです。
一方、3日前の15日には日経平均株価が30年半ぶりの3万円台の大台を超え、実体経済との乖離が進んでおります。通貨の価値が安くなり、物価が上がるインフレリスクを懸念する声も多く聞かれるようになり、消費者物価指数の動きと生活実感がますます合わない状況になれば、新型コロナ感染症の影響が身体的・経済的立場の弱い人たちへ直撃している中にあって、区としては今と近未来の経済状況で影響が出ている方々にしっかり目を配り、区民の命と暮らしを守るために必要な取組に関しては、国の支援を待つまでもなく、基礎自治体として行っていただきたいと思います。
区長は施政方針説明で区内経済に関して、地域経済を立て直し、街の明かりを絶やさないよう区を挙げて取り組んでいくと発言されましたが、先日、報道で、東京都が緊急事態宣言の解除後にプレミアム付商品券を発行するための財政的な支援を検討しているとありました。昨年12月の中野区緊急応援プレミアム付商品券事業として販売した、総額7億1,500万円分のなかのわくわく商品券は全て売れ、有効期間を短縮したことから地域への即効性もあったと考えております。まだまだ地域経済の先行きは見通せず、息切れせざるを得ない状況に追い込まれる事業者も増えかねない中で、この都の動きが明らかになった際は、今回の検証も踏まえて区として機を捉えてやるべきだと考えますが、見解を伺います。また、今後、地域経済に対して区としてどのように取り組んでいこうと考えておられるか、伺います。
また、中野駅新北口駅前エリア再整備事業の施行予定者を選定しましたが、「eスポーツやアーバンスポーツなど新たな文化を創造し情報発信していくことが可能な多目的ホール」との事業者提案の事業が紹介されておりますが、eスポーツはインターネットゲームが主たるものであり、現在、子どもたちへのゲームの影響など様々なところで議論され、意見が割れております。事業者からの提案の中にあったとはいえ、あえて区長が施政方針で紹介するとなると、中野区が積極的に是とする方針に受け捉えられかねません。区としてeスポーツに対する立場についての見解を伺います。
区では現在、構造改革に鋭意取り組んでおりますが、区長が職員時代から熱心に活動されていた自治体改善運動の中で、いわゆる全国大会とされる全国改善改革実践事例発表会について、今年度は中野区でやることになっていたかと思いますが、どうなりましたでしょうか。この改善運動については、これまでの区政改革のムーブメントと親和性があると感じます。構造改革とコロナ禍、コロナ後の新しい時代において、足元の業務改善にふだんから地道に取り組むことが一層必要で、職員の意識改革につなげていかなくてはなりません。
今の庁内は伸び代がある若い職員が多いため、新しい発想を生み出す提案力・行動力など引き上げていかなくてはなりません。ソフトとハードとハートの環境整備に努めていくことが今重要かと考えます。中野区の改善運動の状況と併せて、区長の見解を伺います。
2月4日の当初予算案を紹介する区長記者会見では、見直しであるスクラップ・アンド・ビルドを先に示しましたが、これは区民サービスを落とさないために内部努力がまず先だとの区長の政治姿勢だと理解しています。金額としてはまだまだですが、大小合わせて不断の改善を今後も継続的に取り組んでいける体制構築を求めて、次の質問に移ります。
次に、2番、新庁舎移転に向けた職員の働き方について伺います。
さきの総務委員会報告によると、新庁舎で目指す職員の働き方のコンセプトとして、新庁舎では「職員の創造性を引き出し、効率的でセキュリティにも配慮した区民満足度の高い行政サービスを提供すること」と報告がありました。職員が業務に合わせて適切なスペースを選択し、効果的に働けるような環境を整備するとのことであり、中野区も今後テレワークやリモート会議が実施しやすくなるよう検討しているところだと思いますが、これからの職員の働き方について伺います。
まず、今年度の新型コロナウイルス感染症拡大防止のために実施した在宅勤務について伺います。在宅勤務については、在宅でできる業務が1日分の業務量に相当し、成果を上司が確認できる場合に実施できるとのことですが、在宅で業務に使用できるパソコンもない状況で、在宅勤務の実績、つまり1日分の業務量に相当する成果の確認は、誰がどのようなもので確認していたのでしょうか。伺います。
また、実施期間と実施率について、職場によって大きく異なると聞いております。これについてはどのような理由があるとお考えでしょうか。また、実施実績をどのように把握し、検証を行ったのか伺います。
保健所は今でも人手が不足しております。密を回避するための在宅勤務を行う前に、まずは保健所の人員を十分に確保することを優先すべきであり、その上で区役所全体としての職員配置を考え、在宅勤務は実施されるべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
自宅では、なかなか集中して仕事ができないという話がメディアや私の周りからも聞こえてきます。民間会社においても、テレワークの実施率は20%程度のようですが、今後、テレワークは全職員の何%ぐらいの実施を予定しているのでしょうか。また、テレワークの実績や成果をどのように把握していくのでしょうか。伺います。
また、同一職場で複数人の希望があった場合、人数制限などの制約は当然出てくるかと思いますが、公平性が担保されるよう、優先順位の基準などを設ける必要があると考えます。区の見解を伺います。
区役所は、区民や事業者と密接に関係する業務が多いと思いますが、テレワークによる支障について検討する必要があります。今後テレワークを導入するに当たり、テレワークを選択できる職場と、窓口職場など実施ができない職場が出てくると考えます。テレワークができる職場に異動希望が集中することも予想されます。そのような職場の偏りや不公平感のない制度を構築し、進めていくべきと考えますが、答弁を求めます。
新型コロナ感染症もまだまだ終息が見えない状況ですが、一方で審議会などの必要な会議や相談業務等は、時期を逸することなく進めていかなければならないと考えています。区役所でウェブ会議ができる環境の整備状況、開催状況はどうなっているのでしょうか。各部の職員が必要に応じて、使いやすいウェブ会議ができる会議室を早急に設けるべきと考えますが、いかがでしょうか。
区役所新庁舎では、職員が業務に合わせて適切なスペースを選択し、効果的に働くことを目指しているとのことであり、新庁舎整備の検討と併せて、テレワークやウェブ会議、ペーパーレス会議など、職員が働きやすいシステム導入やネットワーク環境構築に向けて検討状況と導入スケジュールについてお示しください。
この項の最後に、ペーパーレスの推進と判こレス、押印廃止の検討状況について伺います。
今後、職員が効果的・効率的に働き、区民サービスをさらに向上させていくためには、ペーパーレスを推進し、紙や場所にとらわれないで働ける環境をつくっていかなくてはならないと考えています。ペーパーレスについては、庁舎移転を契機に取り組む自治体も多いと聞いておりますが、近年、新庁舎を整備した豊島区では3年以上かけていると聞いております。お世辞にも、今の中野区役所ではペーパーレスが推進されているとは言えませんが、令和6年度の庁舎移転までの間にどのように取り組む計画でしょうか。伺います。
また、ペーパーレスの取組と同様、区民の方がわざわざ役所に来なくても手続が済ませられるように、判こレス、押印廃止の取組を進めていくべきと考えます。現状、役所の手続で押印を求めるものは幾つあり、将来的にどのような内容、割合の手続について押印が廃止できると考えているのか、伺います。あわせて、判こレスの推進に当たり、判こをベースにしたアナログなやり方から、オンラインをベースにしたデジタルな手法へと仕組みや事務処理方法を見直していくことが必要ですが、今後どのような体制やスケジュールで推進していく考えでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。
次に、3番、区有施設整備計画について伺います。
高齢化に伴い、生活援護を必要とする方は増加傾向にある中、新型コロナ感染症に伴い生活困窮に陥り、約1.5倍になるなど、さらなる増加を示しております。これに伴い、区は生活保護受給者の増加と、それに伴うケースワーカー職員の増員に対応できるようにするため、新庁舎での執務スペースの不足を理由に、新庁舎開設に合わせて現在の教育センターへ生活援護機能を移転する計画を示されました。
区民サービスに大きく関わることについて、3月に庁内決定したものを10月の委員会で報告されたことは、手続としてよくなかったと思っております。生活援護を必要とする区民の方々は、戸籍、税、国保、介護、障害福祉など、様々な他部署との連携が欠かせないことも多いため、新庁舎には相談機能を一部ではなくしっかり残し、相談できる内容やサービスを充実させるとともに、オンラインも含めた相談環境の仕組みづくりが必要と考えますが、見解を伺います。
また、区として構造改革や新庁舎に向け、デジタル化を強力に進めようとしているところです。職員や区民が新庁舎やすこやか福祉センターに行かずとも教育センター内で完結できる業務となるよう、整えていく必要があると考えます。福祉サービス向上のために、業務の効果的・効率的な新システムの構築も考えるべきではないでしょうか。伺います。
また、さらにその数年後には保健所機能も現教育センターの土地に移す計画が示されており、築年数とスペースの関係から建て替え予定かと思いますが、地域に対し十分な説明を尽くし、地域の理解を得て、親しまれる施設であるべきです。地元町会が会議室として使用していることや、施設に接続している早稲田通り公園では防災イベントとしても使用しており、深い関わりがあります。地域に開放するスペースを設けるべきではないでしょうか。伺います。
次に、4番、高齢者のフレイル予防について伺います。
コロナ禍において地域活動があらゆる場所でストップし、地域での高齢者の虚弱、いわゆるフレイルに対する不安が高まっています。区では昨年の緊急事態宣言期間である4月から、アウトリーチ職員により、「3つの密についての説明」「5つの心がけ」「元気アップ体操」などの案内が書かれたチラシを配布し、高齢者に啓発を行いましたが、長期化するコロナ禍において、区としてさらなる対策に早急に取り組む必要があります。
まず、平成29年から行われている区歌に合わせて動く元気アップ体操ひろばですが、区長が職員時代に取り組んだ区民の健康増進に寄与する評価できる事業の一つです。この元気アップ体操ですが、コロナ以前から見ても開催地域が広がっていない現状と感じます。屋根ありの場所で探されておりますが、感染症感染防止の観点から、屋根なしの条件に緩和して探すことで地域を拡大していくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
また、コロナで集えなくなったことにより、オンラインで開催を呼びかけたところ、これまでそうした集いに参加したことがなかったシニア男性も参加されたと伺いました。シニア世代においても、御家族に教わって学ぶ方や、御自身で努力される方など多くおられ、ネットやSNSを活用される方々も増えてまいりました。介護予防としてシニア世代にITを活用してもらうことが時代の要請だと感じます。昨年、シニア向けのIT講習会を1回行われ、シニア情報セキュリティ講習会が来月に予定されておりますが、ITに慣れていただける機会をさらに増やしていければ、屋根なし会場の雨天時においても、地域での元気アップ体操ひろばのオンライン開催が可能です。ITに慣れていただける機会をさらに増やしていってはいかがでしょうか。また、オンラインでできる介護予防メニューを増やしていってはいかがでしょうか。伺います。
国の法改正により、基礎自治体が保有する医療・健診・介護などのデータを横断的に活用できるようになり、全国に先駆けて練馬区では令和3年度当初予算の目玉事業として高齢者保健指導専門員が、病院での受診結果・健診の受診結果・介護保険利用時の利用結果を集めた国保データベースシステムを横断的に活用して、健康面でリスクが高いと推定される高齢者を抽出し、専門員と地域包括支援センターで情報を共有連携し、ハイリスクの方には個別アプローチ、機能低下のおそれのある方には健診勧奨や講座を実施するなどとする、高齢者みんな健康プロジェクト事業を行うとしています。中野区でも高齢者に対してのデータを収集、分析して、効果的に施策に結びつけていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
次に5番、環境施策について、(2)清掃事業について伺います。
今年度予算ではスケルトンカーが導入され、既に子どもたちの環境学習にて使われております。私たちの暮らしから出るごみを通して環境に対する深い理解につながっており、家庭での会話の中でもごみについて出ることで、保護者に対しての啓発にもつながっており、改めて評価しているところです。
区はこれまで、様々な対策などを通じてごみ減量に努め、区民1人1日当たりのごみ排出量が2019年度は23区で最も少なくなりました。一方、このたび2018年から区長会が見直しを行ってきた清掃負担の公平がようやく決着し、その中で区収集可燃ごみの減量について、23区全体として平成20年度比で1人当たり20%減の達成を目指すこととなりました。中野区は他区以上にごみ減量の努力を行ってきたと評価しておりますが、今回23区全体としての目標値が示されたことについて、区の見解を伺います。
区はこれまで退職不補充という考えの下、清掃事業が区に移管されて以降、清掃事業に従事する職員の採用を行ってまいりませんでした。しかし、地域住民の多様なニーズに応え得る良質な清掃事業を持続していくためには、排出指導業務を権限上委託業者に任せることはなじまず、雇い上げ会社自身も働き手を集めることが難しくなってきており、現状でも多大な協力をいただいている状況です。災害時においても、他自治体では直営職員が力を発揮しており、区として一定程度は職員数を確保すべきと考えておりますが、区の見解を伺います。
2020年5月の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議による提言の中で、「今後の行動変容に関する具体的な提言」として、ごみの廃棄についても五つの視点で注意が呼びかけられています。1、ごみ袋の空気を抜いて出す。破裂防止にもつながります。2番、ごみ袋はしっかり縛って封をする。3、生ごみは水切りをする。4、ふだんからごみの減量を。5、自治体の分別・収集ルールの確認を。以上を環境省が呼びかけとして周知しておりますが、3、4、5番目についてはこれまでも区が啓発してきたことですが、1、2番目については、これまで全ての区民に対しての啓発をしてきてはおりません。
区では、在宅療養者となられた方の中で食品の在宅療養者セットを希望された方には、5項目のほか、「ペットボトルとプラスチックは今回例外的に燃やすごみとして出す。びん・缶は洗ってから1週間程度置いてから資源ごみへ」と書かれた案内を一緒にお渡ししています。しかし、在宅療養セットを希望しなければ、この案内は届いておりません。また、御自身での簡易キットや民間検査など、診療所以外での検査の場合では届かず、当然、無症状者にも届いていないため、清掃現場職員は依然危険と隣り合わせと考えております。
新型コロナウイルス感染拡大が終息しない状況の下、収集職員の安全を守るためにも、在宅療養者のみならず全ての区民に対して、ごみ袋の空気を抜いて出すことや、ごみ袋はしっかり縛って封をすることを、この機会を捉え、ごみ出しのニューノーマルとして周知啓発する必要があると考えます。区の見解を求めます。
この項の最後に、今後再び夏の暑い時期を迎えることとなりますが、感染拡大防止下における収集職員の暑さ対策についてどのように行うつもりでしょうか。伺って、次の項目に移ります。
公契約条例について伺います。
公契約条例については、令和2年度の予算の主な取り組みになっていたにもかかわらず、先日の総務委員会では、新型コロナウイルス感染拡大による経済状況の悪化を理由に、慎重に進めていくとの報告がありました。
そもそも公契約条例の機運が高まったのは、リーマンショック時などの急激な景気の落ち込みの際に不当なダンピングの実態が明らかになったからです。むしろコロナ禍により景気が後退局面に転じつつある今こそ、労働者の賃金水準など労働環境を確保する制度の構築が求められています。公契約条例の理念では、事業者と使用者が対等であることもうたっており、事業者への理解を深めていくことが重要だと考えます。また、来年度には北区でも積極的な検討が始まる予定と伺っております。
公契約条例について、改めて区は来年度どのように取り組む予定なのかお聞きします。また、いつ条例の制定をする予定なのか伺いまして、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 山本議員の御質問にお答えいたします。
最初に、地域経済の立て直しについての御質問でございます。今後の国や東京都における地域振興策の動向にも注視し、連携しながら区として取り組んでまいります。今後、東京都から示されると考えられるプレミアム付商品券事業の補助制度等の詳細が示された段階で具体的な検討を行ってまいります。また、地域経済の立て直しを図っていくには、個々の事業者の支援と地域全体の活性化の両面から施策を講じていく必要があると捉えております。今後、緊急事態宣言解除後に向けては、気を緩めずに感染防止対策の徹底を働きかけてまいります。あわせて飲食店のテイクアウト、デリバリー事業などをさらに推奨するために、先日、商品券を使用できる店舗の新たな紹介パンフレットを作成したところでございます。
次に、eスポーツに対する区の立場についてでございます。中野駅新北口駅前エリア再整備事業における民設民営の多目的ホールにつきましては、アーバンスポーツやeスポーツなどのスポーツ系エンターテインメントをはじめ、多様なイベントに対応できるよう求めていたものでございまして、施行予定者候補の提案ではそうしたコンセプトが見受けられました。eスポーツにつきましては、急速に市場が拡大しており、国や都、業界などの動向を注視しつつ、eスポーツによる様々な影響も含めて情報収集に努めてまいります。
次に、改善運動の状況についてでございます。中野区の改善運動は、区政運営に対する職員の自由な発想と創意工夫を生かした職員提案や、職員のボトムアップによる改善の取組によって、区民サービスの向上や行政の効率化を進めるとともに、組織の活性化と職員の意識改革を図ることを目指して実施をしているところです。今年度予定していた全国都市改善改革実践事例発表会、これが新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し中止いたしましたが、これに代えて全国22の自治体の改善事例集を作成し、改善の共有を行う取組を進めております。また、区における改善運動、「OneUp↑チャレンジ」につきましては、各職場で定めた改善プランを実践する取組を実施しておりまして、来月には各部から優秀事例九つを集めた庁内の発表会を実施する予定でございます。各議員の方々にも出席いただけるよう御案内をいたします。このほか、日常業務から生まれる気づきやアイデアといった小さな提案を行う取組についても実施し、この3年間の提案数も75件、131件、160件と増えてきているところでございます。
続きまして、新庁舎移転に向けた職員の働き方についてで、在宅勤務の成果の確認についてでございます。在宅勤務を行う場合には、事前に在宅で行う業務の内容と事務量を明らかにして、所属長の了承を得た上で実施をしているところでございます。在宅勤務の終了後には、1日ごとに在宅勤務の成果等を復命書に記入し、次回出勤時に所属長に報告することとしております。在宅勤務の成果の確認につきましては、復命書の内容のほか、職員が在宅勤務中に作成した資料等の成果物を所属長が確認することによって実施をしております。
続きまして、在宅勤務の実績の把握と検証についてでございます。在宅勤務は業務の内容によって実施しやすいものとそうではないものがございます。職場によって実施状況は異なる状況にあります。在宅勤務を実施する場合には、自宅への出張をしたものとして、庶務事務システムに入力をしております。在宅勤務の実施状況につきましては、庶務事務システムによってデータを抽出することで実績を把握して、実施しやすい職場などの検証をしているところでございます。
続きまして、在宅勤務と保健所の人員確保の優先順位についてでございます。保健所の業務量の増加に対しましては、全庁的な職員の応援体制や人材派遣の活用によって、必要な人員を確保してきたところでございます。在宅勤務の取組は新型コロナウイルスの感染拡大防止を図り、各職場におけるクラスターを避ける目的もあって進めてきたところでございますが、新型コロナウイルス感染症対策のために必要な応援体制の確保について、優先して行っているところでございます。
次に、在宅勤務の今後の実施予定でございます。在宅勤務の取組は、在宅で実施できる業務の種類や量も限られていることから、具体的な実施目標を定めて実施していく予定はございません。在宅勤務の実績や成果の把握につきましては、復命書や在宅勤務中に作成した成果物を確認することで実施してまいりますが、ICを活用したテレワークを本格的に実施する際には、情報システムを活用した手法についても検討していく必要があると考えております。
また、在宅勤務は業務の成果が高まるように運用するべきであり、職場や職務によって実施率も異なると考えておりますので、具体的な実施の可否は職場ごとに判断されるべきと考えております。しかし、ICTを活用したテレワークを本格的に実施する段階におきましては、職場運営上、人数制限などの一定の支援は必要と考えております。
次に、在宅勤務の実施職場についてでございます。ICTを活用したテレワークを導入するまでには、テレワークを実施しやすい業務や職場を整理し、職員に周知するとともに、介護や育児等でテレワークの必要性が高い職員を優先的に配置できるようにするなど、職務の成果が高まるための働き方として活用が図れるよう、運用したいと考えております。
続きまして、ウェブ会議のできる会議室の整備についてでございます。新型コロナ感染防止の観点から、関係者が1か所に集まらなくても会議等を開催できるウェブ会議等の必要性が高まっております。区でも昨年4月にウェブ会議用有料アカウントの取得や地域BWAの活用による環境整備を行って運用してきたところでございます。一方で、地域BWAは庁舎の北側でつながりにくいなどの課題もあって、携帯電話回線によるモバイルルーターの導入、ウェブ会議機材の増強、庁舎内会議室への有線によるインターネット回線整備など、安定したウェブ会議ができる会議室等の整備に着手しているところでございます。
次に、新庁舎に向けたシステム等の整備スケジュールでございます。職員の働きやすいシステム環境の整備のため、ネットワーク環境やデータセンター再構築についての検討を進めており、現在策定中の中野区地域情報化推進計画のアクションプランに位置付けた上で、令和4年度から令和5年度にかけてネットワーク環境の再構築及びデータセンター再整備を行う想定でございます。ペーパーレス会議などにつきましては、新庁舎整備を見据え、現庁舎でも可能な範囲で適宜導入し、運用についての検証も行っていく想定でございます。
次に、新庁舎移転を見据えたペーパーレスの推進です。ペーパーレスを推進するためには、ICT環境の整備と併せ、職員の意識や文化も変えていく必要がございます。他の自治体でも、庁舎移転に合わせて3年以上かけて取り組んでおりますから、中野区でも既に検討体制を立ち上げたところでございまして、今年度から集中的に取り組んでいく計画でございます。令和6年度の新庁舎移転を見据え、現庁舎からペーパーレス会議の推進をはじめとした新しい働き方を実践、検証するほか、紙文書の削減目標を定め、文書量の調査、削減、検証を繰り返し、着実な成果をもって移転準備を完了させたいと考えております。
最後に、押印廃止に係る取組についてでございます。現在、2017年の手続調査を基とした追跡調査を業務改善課から全庁に対して実施し、年度内を目途として当該調査を取りまとめておりまして、押印を求めている手続数などは精査中でございます。今後の押印廃止の推進につきましては、調査の取りまとめ後に区としての取組方針を示す予定でございます。取組を推進する具体的な体制やスケジュール等については、方針検討の中で考えてまいりたいと思います。
〔健康福祉部長岩浅英樹登壇〕
○健康福祉部長(岩浅英樹) 私からは、区有施設整備計画のうち、生活援護課の相談機能につきましてお答えいたします。新庁舎開設に合わせまして、生活援護課は教育センター跡施設に移転をいたしますが、生活相談など相談機能の一部につきましては、新区役所庁舎に配置することを検討しているところでございます。
〔企画部長高橋昭彦登壇〕
○企画部長(高橋昭彦) 区有施設整備計画についての御質問のうち、福祉サービス向上に向けた新システム整備についてお答えいたします。
福祉業務については、昨年12月に国が発表いたしました自治体DX推進計画におきまして、生活保護や介護保険、障害福祉などが自治体情報システムの標準化、共通化の対象となっていることから、今後、区として組織横断的な体制で臨むことが必要になると考えてございます。生活保護を含め、福祉サービスの向上、業務効率化に向けたデジタルシフトの進め方につきましては、地域情報化推進計画を改定する中で、アクションプランに全体的な進め方をお示ししたいと考えているところでございます。
もう一つ、教育センター跡地の活用についてお答えいたします。教育センター跡地に計画する生活援護事務所は、その後の建て替えを含め地域の御理解をいただき、公共施設として区民に親しまれる施設としていかなければならないと考えてございます。現在の教育センターや早稲田通り公園につきましては、地域住民にイベントなどで利用されていることは承知しております。地域の声を伺いながら、施設の計画を検討してまいります。
〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕
○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、高齢者のフレイル予防についてお答えいたします。
まず、なかの元気アップ体操ひろばの拡充についてです。屋根がない屋外での体操ひろばの実施につきましては、高齢者を対象としていることから、椅子の用意や突然の雨などの天候の変化に対する対応等、幾つかの条件があると考えます。その一方で、屋外での実施は密を避けられることなど、感染予防の観点から効果的であると考えられますので、条件が整えられる会場がございましたら、検討してまいります。
次に、オンラインでの介護予防についてです。体操ひろばは令和2年7月からオンラインを試験的に導入し、緊急事態宣言中の現在は全てオンラインで実施しているところでございます。高齢者の中でもITに積極的に取り組んでいる方々は多く、高齢者によるサポート体制の構築に向けて検討を始めているところでございます。そのほか、双方向でのコミュニケーションが可能なオンラインの利点を生かした介護予防の取組につきましては、今後も積極的に検討を進めてまいります。
最後に、高齢者施策におけるデータ活用についてです。高齢者施策におけるデータ活用は非常に重要であると認識しております。国保データベースシステムだけではなく、中野区独自の要支援者情報台帳システムも併せ、丁寧にデータ分析を行い、ポピュレーションアプローチや個別アプローチに生かしてまいりたいと考えております。
〔環境部長朝井めぐみ登壇〕
○環境部長(朝井めぐみ) 私からは、環境施策についての御質問のうち、初めに23区全体の可燃ごみ削減目標についての御質問にお答えいたします。
昨年度、中野区民1人1日当たりのごみ排出量は460グラムであり、23区で最も少なくなったところでございます。今回、可燃ごみの減量につきまして、23区全体として平成20年度比で1人当たり20%減の削減目標が示されたところでございます。昨年度の中野区の可燃ごみは平成20年度比で約14%の減でございました。区といたしましても、平成20年度比で20%の削減を目指してまいります。
次に、ごみ袋の出し方の周知啓発についての御質問でございます。現在、自宅療養者などに新型コロナウイルス感染症に関するごみの出し方につきまして、区ホームページなどにおいて、ごみ袋は空気を抜いてからしっかり縛って、封をして出していただくようお願いをしております。御提案のございました全ての区民に対する周知につきましては、いわゆる無症状の新型コロナウイルス感染者が排出するごみによる感染防止対策にもなると考えておりまして、区ホームページや「資源とごみの分け方・出し方」リーフレット、「ごみ分別アプリ」などを活用いたしまして、周知をしていきたいと考えております。
それから、感染拡大防止下におけます収集職員の暑さ対策についての御質問でございます。夏場の高温や多湿といった環境での収集作業時のマスクの着用は、熱中症のリスクが高まるおそれがあるというふうに考えております。そのため、感染防止機能を考慮した上で、夏場に適したマスクを購入することを検討しているところでございます。
〔総務部長海老沢憲一登壇〕
○総務部長(海老沢憲一) 私からは、環境施策についてのうち清掃事業に従事する職員の確保について、それと公契約条例についてお答えしたいと思います。
清掃事業に従事する職員の確保についてでございますが、清掃事業に従事する現業系の職員につきましては、これまで退職不補充とし、委託化を進めてきたところでございます。一方、区民や事業者への適正排出指導など民間委託になじまない業務があることや、大規模災害時にも廃棄物の収集運搬を安定して実施できる体制を確保するという必要があることから、一定規模の直営の職員体制を維持することも検討する必要があるというふうに考えてございます。直営で維持する職員体制の在り方等につきましては、職員定数管理計画を策定する過程において検討してまいります。
次に、公契約条例についてでございますが、昨年、事業者等の意見聴取を行ったところでございますが、条例制定に反対する意見や、事務負担増を懸念する意見が多数寄せられていることから、公契約条例に対してさらに理解を深める取組が必要であるというふうな認識を持っているところでございます。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりまして、説明会など十分な機会を持てていないのが実情でございます。また、経済状況の悪化による事業者の動向についても注視していく必要があるというふうに考えているところでございます。そのため、今後も状況把握を継続し、慎重に進めていくことといたしますが、条例に関する勉強会を開催するなどして、事業者等の理解及び協力を高めまして、令和3年度内の条例制定を目指してまいりたいというふうに考えてございます。
○副議長(平山英明) 以上で山本たかし議員の質問は終わります。
中野区議会議員 木 村 広 一
1 施政方針説明について
2 新型コロナウイルス対策について
3 脱炭素社会の実現について
4 その他
○副議長(平山英明) 次に、木村広一議員。
〔木村広一議員登壇〕
○13番(木村広一) 令和3年第1回定例会におきまして、公明党議員団の立場で一般質問を行います。
質問は通告のとおりで、その他で高齢者肺炎球菌ワクチン接種についてお伺いいたします。質問が重なる場合もありますが、我が会派の立場で質問をさせていただきます。
1、施政方針説明について、まず財政運営について伺います。
施政方針説明では財政の見通しとして、「一般財源については令和2年度当初予算額の水準に戻るまでに相当の期間を要する」とし、社会保障費の増加、人口減少と少子高齢化の進展による影響、区有施設が更新時期を迎えるなど「財政負担は増大し、大変に厳しい財政状況が続くと見込んでいます」としています。厳しい財政状況下では、歳入を補完する財政調整基金の活用、区民生活に必要な財源を確保する特定目的基金の計画的な運用が求められます。
財政調整基金について、年度間調整分は、二、三年の財政危機に対応するため50億円分を3年分、150億円を維持するという考え方としていますが、中野区基本計画(素案たたき台)の基金の積立て・繰入れ計画によると、基本計画終了時点での財政調整基金残高は107億円、次期基本計画終了時点では90億円とされています。このうち年度間調整分はそれぞれ幾らを想定しているのでしょうか。お伺いいたします。
今後10年間では、年度間調整分を150億円まで戻せない理由は何でしょうか。また、区長は、一般財源については令和2年度当初予算額の水準に戻るまでには相当の期間を要すると述べられていますが、令和2年度は現行計画の想定を59億円も上回る堅調な税収であったと認識しています。令和2年度の額が目指すべき水準とお考えなのでしょうか。それとも、安定した財政運営に必要な額を別に設定されているのでしょうか。お伺いいたします。
施政方針では、特に年度間調整分を150億円必要とすることについて、維持するとも見直すとも言及はありませんでした。懸念するのは、年度間調整分150億円を確保することで、区民サービスの低下や必要な公共事業の延伸を招くことがないかということです。財政規律は堅持しつつも、景気後退のときこそ、苦しむ区民や区内事業者を支えることを最優先した上での財政調整基金への積立てとすべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
次に、基準となる一般財源について伺います。
基本計画(素案たたき台)では、基準となる一般財源は687億円と設定し、経常的な経費の削減に努めるとともに、財政調整基金などの繰入れや積立てによる財政調整を通して歳入規模を一定に保つと、基準額以外はその運用をこれまでと同じとしています。財政調整基金などとはあるものの、この基準設定以来、基準を上回った歳入のほとんどが財政調整基金へと繰り入れられています。これまでに、基準を上回った歳入の基金への積立て状況はどのようになっていますでしょうか。お伺いいたします。
基準となる一般財源規模については、これまで多くの議員が質問してきましたが、平成30年度690億円、令和元年度710億円、令和2年度750億円、令和3年度687億円と、ここ数年、毎年のように基準額が変更されており、「基準」と言うにはいささか無理がある状況です。また、この基準により、特定目的基金よりも財政調整基金の積立てが優先されてきた側面も否めません。当面の間は687億円を基準として変動することなく堅持し、これまで同様に運用されるお考えのようですが、基準となる一般財源に基づく財政運営の在り方は、一定の役割を終えたのではないでしょうか。今後はむしろ施設等の改修・改築に合わせた計画的な特定目的基金への積立てを優先し、基金と起債のバランスを崩すことなく、将来世代の負担を標準化する財政運営へと方向転換を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
次に、中野区区有施設整備計画について伺います。
総延べ床面積の考え方では、区有施設についても集約化・複合化などによって、延べ床面積や維持管理コストの縮減を図ることを基本とするとあります。今後、中野区は2035年までは人口が増加すると見込んでいますが、生産年齢人口は2025年をピークに減少すると予測されています。つまり、人口は増えても歳入は増えないと言え、総延べ床面積の縮減の方向性は理解できます。しかし、それによる区民サービスの低下は避けるべきであり、少子高齢化が進む中での必要な区民サービスの変化も踏まえる必要があります。
延べ床面積や維持管理コストの縮減を図る前に、必要な区民サービスに対する必要な区有施設の規模、考え方を数値などで具体的に示すべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
区有施設の維持管理経費に関して、2019年度の単年度35億7,000万円と示しているのみで、将来推計が示されていません。維持管理費は財政フレームの一般事業費等に組み入れているとしていますが、施設更新費だけでは施設整備計画が適切かどうかを判断することはできません。維持管理経費の推計も明確にし、イニシャルコスト、ランニングコストを合わせたライフサイクルコストの将来推計を示すべきではないでしょうか。お伺いいたします。
次に、区政構造改革について伺います。
区政構造改革の取組の方向性の一つとして、デジタルシフトの推進を掲げ、その効果として行政サービスを効果的に提供するとしています。しかし、デジタルシフトの効果が効率性の向上のみとしか読み取れず、具体的な効果が見受けられません。国がデジタル化を推進する目的は、今後の超高齢社会による高齢者人口の増、生産者人口の激減の中で、行政が限られた財政、人員でサービスを提供し続けることにあります。よって、デジタルシフトにより、サービスの向上とともに、人件費、施設、費用のコスト削減の効果がどれぐらい見込まれるかが指標となると考えます。区政構造改革では、デジタルシフトによるコスト削減の財政効果を早期に検証し、今後の施策に活用すべきではないでしょうか。お伺いいたします。
また、デジタルシフト以外も含め、区政構造改革実行プログラムでは、指標や目標を数値化して示すべきではないでしょうか。お伺いいたします。
次に、液体ミルクについて伺います。
我が会派として、災害用備蓄物資として液体ミルクの購入をすべきと求めてきたところですが、乳幼児用液体ミルクを災害用備蓄物資として導入する予定になったことは評価いたします。また、賞味期限切れ前の液体ミルクをどのように活用するかも様々提案してきたところです。今回予定している備蓄予定数と保管方法について、また、賞味期限切れ前の液体ミルクを再利用する方法、配布先をどのように考えているのか、併せてお伺いいたします。
この項の最後に、SDGsについて伺います。
区を取り巻く社会状況等の変化の項目では、SDGsの推進を掲げていました。これまでSDGsの推進を区の基本施策で取り組んでいくことを要望してきた我が会派としては、一歩前進したと評価しております。今後は、SDGsの掲げる原則の具現化、目標の実現を区の施策で具体的に推進していくことが必要です。今後さらに検討される基本計画、また個別計画においてSDGsの取組が展開されることを強く要望いたします。
今後の中野区においてのSDGs展開において、区民、地域団体など、SDGsの理解、協力が必要不可欠です。広報やセミナーなど、SDGsの区民の認知度、また理解を浸透させる取組を推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
SDGsを展開することは、地方自治体が世界的な課題解消へ取り組むという自治体活動の高度化とも言えます。世界共通言語とも言えるSDGsを中野区が推進していることをアピールすることは、外国人を含む中野区を訪れる方への中野区のイメージアップにもつながります。他の自治体でも実施しているところですが、駅や区有施設などで、中野区としてSDGsを取り組むことをアピールしてはいかがでしょうか。お伺いし、この項の質問を終わります。
2、新型コロナウイルス感染症対策について、まず生活困窮者支援について伺います。
新型コロナウイルス感染症の影響により、国内において失業者が増加しています。1月29日に発表された総務省の労働力調査によると、昨年12月における就業者数、雇用者数は、初めての緊急事態宣言が実施された昨年4月以来、9か月連続で減少、完全失業数は11か月連続で増加となっています。私も1月以降、失業し、資金がなくなって生活ができないという相談を多数受けています。
1月21日、2月1日両日にわたり、公明党新型コロナウイルス感染症対策本部並びに生活支援PTは、政府に対して、緊急事態宣言を踏まえた生活困窮者支援に係る緊急提言を行いました。政府は緊急提言を受け、次々とその対策を実施しております。その中で公明党が特に提唱してきました生活保護の弾力運用、住居確保給付金の制限撤廃、総合支援基金の強化について確認させていただきます。
1月29日に厚生労働省より「保護の要否判定等における弾力的な運用について」の事務連絡が発出されました。生活保護の弾力運用とは、受給の認定に当たり、稼働能力の活用、資産・自動車等の取扱いを留保し、一時的に生活保護を利用しやすくし、生活を立て直し、脱却しやすくすることです。既に昨年4月より繰り返し弾力運用についての通知が出ていますが、今回は初めて、資力要件の中で生命保険や学資保険の留保について記述しております。
確認ですが、区においても生活保護の要否判定等における弾力的な運用がされているのでしょうか。資産の処分、保険の解約を求めることなどなく、コロナ禍における適切な判定が行われているのでしょうか。お伺いいたします。
次に、住居確保給付金について伺います。
住居確保給付金の「1人、人生1回」の制限が撤廃され、住居確保給付金の支給が一旦終了した方に対して、令和3年3月までの間、3か月間の再支給を可能とすることになりました。これにより、コロナ禍以前に住居確保給付金を活用した方は、コロナ禍においても利用できないという課題が解消されることになります。3月までの期間限定のため、支給が終了した全ての方への周知を速やかに実施すべきではないでしょうか。また、その申請方法はどのようになっているのか、お伺いいたします。
次に、総合支援資金について伺います。
社会福祉協議会が行う個人向けの緊急小口資金等の特例貸付けについて、緊急事態宣言の延長等に伴う経済的支援策として、総合支援資金の再貸付けが国で実施されます。明日2月19日から全国の市区町村社会福祉協議会において申請の受付を開始する予定です。再貸付けにおいて貸付け対象者は、緊急小口資金及び総合支援資金の貸付けが終了した者となっています。これにより、緊急小口資金と合わせて最大200万円貸付け可能となります。これも申請期限が令和3年3月末となっています。
対象者への周知を速やかに実施すべきではないでしょうか。また、その申請に対する窓口の負担にきちんと対応できるよう対策を講じるべきではないでしょうか。お伺いいたします。
次に、重層的支援体制整備事業について伺います。
改正社会福祉法に基づき、来年度から重層的支援体制整備事業が新設されます。令和2年6月に改正された社会福祉法に基づき、市区町村において、地域住民の複合化・複雑化した支援ニーズに対する包括的な支援体制を整備するため、対象者の属性を問わない相談支援、多様な参加支援、地域づくりに向けた支援体制と一体的に行う重層的支援体制整備事業が実施されます。これは地域共生社会の実現を目指した地域づくりを目的とし、「断らない相談支援」と言われるものです。介護、障害、子ども・子育て、生活困窮の幅広い分野の連携を推進することになります。終焉の見えないコロナ禍で生活に窮する方々、制度の間で苦しんでいる方々に支援を届けるために重要な取組です。
区では、社会福祉法に基づく地域福祉計画が今年8月に策定予定ですが、この計画に重層的支援体制整備事業を盛り込んではいかがでしょうか。お伺いいたします。また、重層的支援体制整備事業への移行準備事業には、国から4分の3の補助が行われます。中野区も移行準備事業を実施してはいかがでしょうか。お伺いいたします。
この項の最後に、文化施設指定管理団体への補填について伺います。
2月15日の補正予算質疑で確認いたしましたが、文化施設指定管理団体への施設利用料金補填、令和2年度分の総額が1億8,054万円余と試算されているということです。施設利用料金の補填は、文化庁から減収に対する適切な運用を求めていること、中野区指定管理者制度ガイドラインにおいては、大規模な自然災害等により、区が指定事業を制限した場合等は、その間の逸失利益及び指定管理料は区が負担することと定めており、補填対応には理解をするものです。しかし、臨時的な対応とはいえ、億単位の一般財源が何の財政効果もなくつぎ込まれることに関しては、ぜひ再検討を要望するものです。
例えば、来年度以降でキャンセル料補填という状況が発生した場合、文化支援という名目で施設使用料の利用者への補助を検討してはいかがでしょうか。施設の利用がなく、それを区が全額補填しなくてはいけないのであれば、仮に定員が50%削減の条件下で区が補助をし、利用料を半額にした場合、利用団体は採算が合い利用する可能性があります。補助をした分はもともと補填しなくてはいけない分ですので、区の補填額は変わりません。利用団体への支援として、また、利用してもらった分、店舗、自動販売機、コピー機など少額ですが、指定管理団体の収入が増え、区としてもその分の補填の必要がなくなる効果も期待できます。事態が起きてから対応するのではなく、想定した対応を検討しておいてはいかがでしょうか。お伺いし、この項の質問を終わります。
3、脱炭素社会の実現について伺います。
我が会派は、昨年10月28日に区長に令和3年度予算要望を提出させていただき、環境施策の一つとして、ゼロカーボンシティ宣言実施を要望させていただきました。先日2月9日、区民委員会でのゼロカーボンシティ宣言の考え方の報告では、今年の8月には宣言を実施するとのことで、大変評価するものです。大事なのは、単なる宣言に終わらせることなく、具体的な二酸化炭素削減への取組を始めることです。
ゼロカーボンシティ宣言は、第4次環境基本計画策定と併せて行われるとのことです。第4次環境基本計画では、2030年までの中野区二酸化炭素等排出削減目標値を示すことになります。国は2050年度までには二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする方針を表明し、東京都は今年1月27日に、2030年に2000年比で二酸化炭素等50%削減の方針を示しました。国も都もこれまでと次元の違った二酸化炭素排出量削減に取り組もうとしています。二酸化炭素排出量削減に関しては、2月9日の区民委員会で私の質問に対し、大幅な削減目標を設定する方向性という答弁をいただくなど、様々質疑をさせていただきましたが、改めて確認をさせていただきます。
ゼロカーボンシティ宣言とセットで策定される第4次環境基本計画、また基本計画においては、二酸化炭素排出量削減目標値を国、東京都の方向性に見合った、従来より高水準で示すべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
基本計画(素案たたき台)では、脱炭素社会の実現が盛り込まれました。脱炭素社会の実現を組織横断的な対応をする重点プロジェクトに位置付けるのであれば、環境施策推進状況を全庁的に管理すべきと考えます。
そのための仕組みとなるルール、会議体など従来と異なる対策を講じるべきではないでしょうか。お伺いいたします。
今後、区有施設の建て替えが続く中野区は、区民に環境への配慮を率先して示すチャンスでもあります。今後の区有施設建て替えでは、断熱建設、省エネ機器導入、再エネ100%電力など、二酸化炭素排出削減に効果がある方針を明確にしてはいかがでしょうか。お伺いいたします。
東京都は2030年までに都有施設で使用する電力の再生可能エネルギー100%化を目指しています。行政の率先行動として大事な取組と考えます。中野区においても、区有施設で使用する電力の再生可能エネルギー100%化を目標にしてはいかがでしょうか。お伺いいたします。
また、同じく各地域でまちづくりが推進されている中野区で、まちづくりにおいても率先して環境施策の浸透を図るべきです。法令にのっとった環境対策を実施していますが、交通量の減少、緑化推進、民間への働きかけなど、より区の環境施策、目標値等を実現するために取り組むべきです。
例えば、都市計画マスタープランに区の環境基本計画の目標を実現するための各施策を位置付け、脱炭素社会に向けた取組を実施すべきではないでしょうか。お伺いいたします。
一方で、民間住宅の高断熱化の進展がないと区の省エネの対策にはならないと考えます。区では2011年から23区初の取組として、高断熱建築物認証制度をスタートしましたが、その申請件数は年間20件から30件と伺っています。現在、エコポイント500ポイントをインセンティブにしていますが、誘導策になっていないのではないでしょうか。よりインセンティブになる制度を充実させてはいかがでしょうか。お伺いします。
また、断熱建築を含めた、民間住宅での省エネ機器、省エネ設備、再エネ普及などを推進する相談窓口の設置、補助金の活用などを総合的にアドバイスする体制などの推進事業を検討してはいかがでしょうか。お伺いし、この項の質問を終わります。
その他で、高齢者肺炎球菌ワクチン接種費用について伺います。65歳以上の高齢者の死亡原因では、肺炎は、がん、心疾患に次ぐ第3位で、高齢が進むにつれ、その割合が増加しています。その対策としては、肺炎球菌のワクチン接種が有効とされています。我が会派では、令和3年度予算要望で肺炎球菌ワクチン接種費用について要望させていただいております。東京都の令和3年度予算概要では、高齢者肺炎球菌ワクチンの定期予防接種補助事業が示されています。令和3年から5年の3年間、自己負担分を2,500円を上限として都が補助するとのことです。
都の補助事業を活用し、受診者の負担軽減を行い、ワクチン接種のさらなる向上を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いし、全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 木村議員の御質問にお答えいたします。
1点目、施政方針説明についてで、基本計画(素案たたき台)における年度間調整分残高についてでございます。基本計画終了時点、令和7年度における年度間調整分の残高は63億円、次期基本計画終了時点、令和12年度では62億円を想定しております。
続きまして、年度間調整分残高150億円に戻せない理由と、必要な一般財源の額の設定についてでございます。年度間調整分につきましては、厳しい財政状況が続く中でも必要な区民サービスに対しては財源を投入し、推進していく必要があると考えていることから、区民の命と健康を守るための施策に最優先で取り組むための歳出を見込んで基金活用を計画したところでございます。安定した財政運営に必要な一般財源の額につきましては、現時点において一定の歳入見通しを立てているものの、令和4年度以降の経済状況は不透明な部分がございまして、具体的な額を想定するのは難しいと考えております。基本計画(素案たたき台)でお示しした財政見通しでは、歳入より歳出の額が大きい、いわゆる歳出超過の状態が続くことから、歳入確保と歳出削減の取組を行って、歳入超過の状態に近づけていくことが必要だと考えております。
続きまして、財政調整基金への積立てについての考えです。厳しい財政状況にあっても、必要な区民サービスについては財源を投入して推進していく必要があると考えております。その上で財政調整基金に積立てをしていく考えでございます。
次に、これまでの財源超過分の積立てについてでございます。令和元年度以降、基準となる一般財源規模を超過した額につきましては、令和元年度が64億円、2年度が34億円となっております。各年度の積立額につきましては、令和元年度は財政調整基金に30億円、義務教育施設整備基金に20億円、まちづくり基金に10億円及び道路・公園整備基金に4億円となってございます。令和2年度は財政調整基金に10億円、義務教育施設整備基金に20億円、まちづくり基金に4億円を積み立てております。
次に、財政運営方法の見直しについてでございます。新型コロナウイルス感染症の影響によって先が見えない中で、当面の間、これまでと同様に基準となる一般財源規模を設定して歳出の削減に努め、財政運営を行っていくこととしたところでございます。計画的な基金への積立ての考え方を含め、中長期的な視点で区財政をどのように運営していくかという新たな考え方については、継続して検討してまいります。
次に、必要な区有施設の規模や考え方についてでございます。区有施設には小・中学校のように長期的な人口動向を見据えて配置するものと、日常生活圏域または広域の視点からバランスを見て配置するものがあると捉えておりまして、施設分類ごとの配置の考え方や配置数を示すのが妥当であると考えております。今後必要となる区有施設の規模につきましては、区の人口推計や各施設の利用状況、費用対効果などを踏まえて見定めるとともに、社会やニーズの変化に応じた区民サービスの在り方を検討し、配置の適正化を図ってまいります。
続きまして、維持管理経費の将来推計についてでございます。区有施設整備計画における区有施設全体の維持管理経費の現状につきましては、施設の増減などによって経年比較が困難なことから、令和元年度の積算額のみ計上したものでございます。施設整備に当たって、ライフサイクルコストの視点を持つことは必要だと考えておりまして、この考え方を示す上で施設整備におけるライフサイクルコストの試算を参考モデルとして掲示することを検討しているところでございます。
続きまして、デジタルシフトによる財政効果の検証についてでございます。構造改革実行プログラムの取組の方向性において、新区役所整備等を契機としたシステム導入や例規の見直しを行うデジタルシフト、この推進を掲げておりまして、行政サービスの効果的な提供を目指すこととしております。財政効果を検証しながら取組をさらに推進していくため、毎年度行う進捗状況の確認の中で実績効果を集約し、施策への反映を行ってまいります。
次に、構造改革実行プログラムの指標の数値化についてでございます。構造改革実行プログラムの指標や目標につきまして、可能なものは数値化を検討し、実行プログラムとして取りまとめていく予定でございます。
続きまして、液体ミルクについての御質問でございます。現在想定している備蓄数量は、避難者数や乳児の割合などを考慮し、125ミリリットル入りの紙パック780本を予定しておりまして、その保管方法につきましては、災害時の活用を踏まえ、二次避難所となる区立保育園に分散して保管する予定でございます。また、今回導入を想定している液体ミルクは賞味期限が6か月のものでございまして、賞味期限が過ぎる前に保育園等の給食として活用するなどの再利用を検討しております。
続きまして、SDGsの推進についてでございます。SDGsの推進に当たりましては、まず、区職員がその理念や目標を学び、施策展開に活用できるよう育成をしてまいります。その上で、区民生活や事業者の事業活動に浸透させていくため、区報や区ホームページをはじめ、区有施設の活用など、区民等の目に広く触れる方策を検討し、積極的な広報啓発活動を進めてまいります。
生活保護の要否判定等における弾力的な運用についての御質問でございます。本年1月29日付厚生労働省通知に基づいて、新型コロナウイルス感染症の影響によって一時的に生活困窮となったと考えられる方につきましては、加入している保険の解約をせずに保護の適用をしたり、自営業の方の事業用機械器具類、自動車の保有について容認したりするなど、柔軟な対応を行っているところでございます。
続いて、住居確保給付金の再支給の周知及び申請についてでございます。区ホームページ及び区報への掲載のほか、2月10日に対象となる約1,550人の方に対して、郵送で再支給についての案内文を送付したところでございます。その案内の中で申請要件、必要書類及び申請期間等について周知を図っております。住居確保給付金の申請につきましては、今回の再支給を含め、郵送で申請を受け付けております。
次に、総合支援資金の再貸付けの周知等についてでございます。総合支援資金の再貸付けにつきましては、中野区社会福祉協議会ホームページへの掲載や窓口でのチラシ配布のほか、対象者全員に郵便で周知をする予定であると聞いております。また区としても、区のホームページへの掲載及び窓口でのチラシ配布を行う予定でございます。また、申請に対する窓口負担に対しましては、原則、郵送での申請を案内するとともに、現在サンプラザに開設している受付窓口を増設し、人員も増強して対応するということで聞いております。
次に、重層的支援体制整備事業についてでございます。区では既に令和元年度よりすこやか福祉センターにおけるアウトリーチチーム人件費や区民活動センターなどにおける地域活動支援業務について、地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制構築事業、いわゆるモデル事業として補助を受けてきております。令和3年度の移行準備事業については、国からも情報提供がございまして、実施していきたいと考えております。こうしたことから、8月策定予定の中野区地域福祉計画におきましては、重層的支援体制整備事業について基本的な考え方を盛り込んでいく予定でございます。
次に、文化支援策についてでございます。文化施設につきましては、令和3年3月31日までを対象に、新型コロナウイルス感染症を理由として施設利用をキャンセルした場合、利用者に対し利用料金を全額返還し、その分を区が補填、補償しているところでございます。区民や団体が安心・安全に施設を利用できるよう、文化施設の利用料金に係る効果的な支援の在り方について、御提案の内容も踏まえ検討してまいります。
最後に、高齢者の肺炎球菌ワクチンについてでございます。高齢者肺炎球菌ワクチンは、成人肺炎の25%から40%を占める肺炎球菌性肺炎の重症化や、死亡のリスク低減に有効なワクチンであり、平成26年10月から法定接種に位置付けられているものでございます。東京都は被接種者の経済的負担軽減によって接種率の向上を図るために、自己負担額の一部補助事業を予算化する予定でございます。中野区としても高齢者肺炎球菌ワクチンの接種率向上の重要性は認識しておりますので、補助事業の活用について検討してまいりたいと考えております。
〔環境部長朝井めぐみ登壇〕
○環境部長(朝井めぐみ) 私からは、脱炭素社会の実現についての御質問のうち、初めに、二酸化炭素排出量削減目標値についての御質問にお答えいたします。
現在、改定を検討しております中野区環境基本計画等において、ゼロカーボンシティ宣言を見据え、2050年に向け二酸化炭素排出量を実質ゼロとするよう、2013年度比における2030年度までの削減目標を設定することを検討しております。
次に、区有施設の環境面の方針についてでございます。区内の大規模事業者である区が建築物の脱炭素化を進めることは重要であると考えております。中野区基本計画の重点プロジェクトである活力ある持続可能なまちの実現を推進する中で、区有施設の脱炭素化に向けた方針についても検討してまいります。
次に、使用する電力の再生可能エネルギー100%化でございます。現在、区役所本庁舎や保健所など、11か所の施設で再生可能エネルギー100%の電力を選択しており、小・中学校など46か所の施設で、清掃工場の焼却熱を利用した二酸化炭素排出係数の低い電力を選択しております。今後、再生可能エネルギー100%の電力の供給状況を見ながら、区有施設の脱炭素化に向け電力の切替えを進めてまいります。
次に、中野区高断熱建築物認証制度の充実についてでございます。区は温暖化防止対策として、区内の建物の高断熱建築物への新築、増築、改築の際にポイントを付与することとしております。地球温暖化の影響に適応する対策であるとともに、高断熱の建物では空調にかかる電力を削減できるため、エネルギー由来の二酸化炭素排出量の削減にも寄与しているところでございます。区としては、都や国の助成制度の活用を含め、住宅の様々な高効率化を進めていくことが必要であると考えており、高断熱化の誘導策についても充実を検討してまいります。
私から最後に、省エネルギー等の普及を進める相談窓口の設置などについての御質問にお答えいたします。区はこれまでなかのエコフェアにおきまして、省エネアドバイス等の相談窓口を設けるなど、区民に向けた省エネルギーに関する学習機会を提供してきたところでございます。今後は区民の住宅の建て替え時などに高断熱住宅や高効率設備導入についての国や都の補助制度など総合的に案内し、相談や助言を行う窓口の設置を検討してまいります。
〔企画部長高橋昭彦登壇〕
○企画部長(高橋昭彦) 脱炭素社会の実現についての御質問のうち、重点プロジェクトの進め方についてでございます。
重点プロジェクトの推進に当たりましては、重点プロジェクト全体について企画部が進行管理を行うほか、組織横断的な政策課題について各部が主体性を持ち、全庁的に対応していくために、各プロジェクトに所管部を定め、関係部をメンバーとする推進会議等を設置することを想定してございます。脱炭素社会の実現に向けては環境部が所管部となり、関連部と連携しながら推進していく考えでございます。
〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕
○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、脱炭素社会の実現についての御質問のうち、区のまちづくりにおいて環境施策の浸透を図ることといった御質問についてお答えいたします。
改定中の都市計画マスタープランでは、全体構想の中で地球への環境負荷の少ない都市づくりの方針を設定し、この中で再開発事業等に伴う省エネルギーや再生可能エネルギーの利用促進、環境負荷の少ない公共交通や移動手段、都市緑化の推進など、脱炭素のまちづくりの推進について示すこととしてございます。
○副議長(平山英明) 以上で木村広一議員の質問は終わります。
中野区議会議員 小 杉 一 男
1 新型コロナウイルス感染症への対策について
2 生活保護行政について
3 保育行政について
4 安心した住まいの確保について
5 ジェンダー平等について
6 その他
○副議長(平山英明) 次に、小杉一男議員。
〔小杉一男議員登壇〕
○20番(小杉一男) 2021年第1回定例会本会議において、日本共産党の立場で一般質問を行います。
質問の内容は通告どおりで、その他の項は福祉ガソリン券の利用について伺います。
初めに、新型コロナウイルス感染症への対策について、まず事業者への支援について伺います。
内閣府が2月15日に発表した2020年の国内総生産速報値は、実質で前年度比4.8%減と、リーマンショック後の2009年以来11年ぶりのマイナスになりました。これは戦後2番目の大きさです。個人消費は5.9%減と最悪の落ち込みを示しました。こうした中で、中小零細企業の多くは経営危機に直面しています。中小零細企業は国内の雇用者の7割を雇用しています。中小零細企業の経営が悪化すれば、多くの国民の暮らしも不安定になります。国の持続化給付金や家賃支援給付金、東京都の協力金など、現時点で使える支援策は全て活用した方も、既にその費用は底をつき、さらなる支援策がなければ事業の継続ができないとの声も少なくありません。昨年秋の日本共産党議員団が実施した2020年中野区民アンケートでは、「開店休業状態、6か月売上げゼロ円。今後1年以上、元に戻らないと思います」など、悲痛な声も届いています。
伺います。中野区は昨年の第4回定例会で、浦野区議の質問に対し、「事業者の現状の把握に現在努めている」「より現状を深く把握してまいりたい」と答弁されましたが、区内事業者の現状をどのような形で把握していますか。
昨年6月に中野区は新型コロナウイルス感染症への対策及び当面の区政運営として、三つの対策を掲げました。その一つが、地域経済における負の連鎖を断ち切るための緊急対策、商店街や民間事業者、経済団体等と連携した取組などの事業者支援です。
新型コロナウイルス対策緊急応援優遇について取り上げますが、中野区は新型コロナウイルス感染症の影響による区内中小企業の状況悪化に対応するため、中野区産業経済融資の一部の資金について、本人負担率を無利子とする優遇措置を設けています。この優遇は区が1.9%の利子を補給し、本人負担がなく融資を受けることができます。1月22日現在、987件の事業者が利用しています。しかし、東京都の信用保証料の補助は一部にとどまっています。事業を営む方から、その不足分を区が補填して、事業者が負担なく利用できるようにしてほしいと要望を受けました。
伺います。東京都の信用保証料の補助の不足分を区が補填することを検討すべきではないでしょうか。
昨年5月に、区は新型コロナウイルス感染症緊急経済対策室を設置しました。この緊急経済対策室は、経済対策及び生活支援事業の総合的な企画及び調整を行うとしています。しかし、同会議室の会議は行われていないと伺っています。支援事業の調整にとどまり、対策事業の立案を行う本来の役割を果たしていないのではないでしょうか。
伺います。緊急経済対策室においては、事業を評価・見直し、新たな施策を企画、提案していく役割をしっかりと果たすべきではないでしょうか。
新型コロナ禍における非常事態を脱して、中小零細企業が自力で事業の継続が図れるようになるまで、政府、地方自治体は支援することが求められます。国の持続化給付金や家賃支援給付金、東京都の協力金などの支援を継続すべきです。新型コロナの影響で派遣切りや失業に遭った方から、引き続く支援を求める声も多くいただいています。
改めて伺います。区は昨年の第4回定例会で、必要に応じて東京都や国に対して継続的な支援を求めると答えていますが、東京都や国に対して、持続化給付金や家賃支援給付金の再給付や、雇用調整助成金の拡充などの支援策を求めるべきではないでしょうか。
続きまして、相談・支援についてです。
中野区は、「新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中野区民もしくは中野区内事業者のみなさまへ」のリーフレットを作成し、国や東京都、区が行う各支援制度の紹介をしています。現在このリーフレットを区民活動センターや地域事務所、すこやか福祉センター、区庁舎総合窓口とともに、サミットストアに協力いただき5店舗に配置し、延べ発行部数は4,600部以上を発行しています。制度が変わるたびに内容を更新し、合計6回発行しています。リーフレットはとても分かりやすく好評で、とりわけスーパーでの受け取りがよいそうです。今後の見通しが立たない区民が、リーフレットを見て、必要と思われる制度を問い合わせたり申請したりすることができています。
伺います。今後も引き続きこのリーフレットを更新していただくとともに、区民の皆様が手に取りやすい配置場所を増加させるための努力をしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
中野区でも全国と同様に児童虐待の通報件数が増加傾向となっており、特に授業再開の昨年6月と夏休み明けの9月に増えたそうです。夏休み期間、閉鎖的で孤立した子育て環境で、周囲にも困難が気づかれにくかった結果、学校などの再開後に発覚されたと思われます。すこやか福祉センターに寄せられる子育て相談も、2019年4月から12月の約2,000件であったものが、2020年の同期間には約6,000件と3倍に増えました。これは乳幼児健診の中止のお知らせの通知を見たことをきっかけに、相談が多く寄せられました。
コロナの流行長期化で、孤独、孤立の問題は一層深刻さが増しています。独居高齢者に限らず、自ら外部との関わりを避けるひきこもり状態が続く若年層もおり、体調不良に気づかれることもなく、孤立死といった事態も進行しています。ワンオペ育児をしている保護者や専業主婦のひきこもりも、孤立し悩んでいながらも、見えにくいがゆえに潜在化しがちです。病気や障害を持った方も通院や施設利用を控えざるを得ないことで、心身の低下とともに困難を訴える気力も失われる、見逃されています。コロナの長期化で人との関わり合いが薄まる中で、悩みや困り事があっても周囲が気づけず、孤立によって助けを求めづらくなっています。
伺います。気楽に相談ができるように配慮することが求められます。区が行う相談事業の周知の機会を増やし、各種支援機関と連携するなど拡充が一層必要であると考えますが、いかがでしょうか。
昨年12月に開催されたアウトリーチ活動事例発表会でのシンポジウムで、和気純子都立大学教授が発言されました。中野区は2020年時点で65歳以上の4割の方が単身世帯になっているそうです。そして、男性は女性よりも2.6倍もの支援につながりにくく、中高年独り暮らし男性をコミュニティにつなげるにはどうしたらいいのかなどが論点に挙げられました。私は人として「受援力」――いわゆる「助けて」と言える力を高めていく啓発活動が重要だと考えます。
そこで伺います。誰もが社会的孤立をせず、地域の中で人と関わりながら生きていくことができるように、中高年の独り暮らしの男性や、子育てをする保護者など、孤立しやすい傾向のある方などを主な対象とした学習会などを実施することにより、本人の気づきや周囲の方々の理解を深める取組を区として行うことが必要と考えますが、いかがでしょうか。
続いて、医療・介護への支援についてです。
新型コロナウイルスに感染した入院患者が家族と面会できず、最期の言葉も交わせずに人生を終えられることが、今や当たり前となっています。御遺体とも対面できません。そうした中で、家族とのみとりをケアする取組が広がっています。中央区の聖路加国際病院では、昨年、ガラス越しの面会から別室でのタブレット越しの面会に変更しました。療養する患者さんの顔を見て、家族は励まし涙する。最期のお別れも交わし合う。
新型コロナウイルス感染症以外の疾病であっても、感染防護のために家族などの面会を制限しているのが現状です。中野区内の病院での実施は一部にとどまっています。区内の病院に入院されている方の御家族から、「この7か月面会ができない中、母の機能は確実に低下しています。リハビリもなく拘縮も進み、刺激も少なく、認知症も進んでいるのではと心配です。心のケアは家族にしかできません」と、オンライン媒体による面会を望まれています。
伺います。区内の病院、介護施設でのオンライン面会の状況はどのようになっていますか。
厚生労働省は昨年5月に、高齢者施設等の場合はオンライン面会を行うことが望ましいと通知し、予算化。東京都も、包括支援事業としてのICT機器の購入費を助成しています。埼玉県草加市や大阪府吹田市では端末の費用を助成しています。病院に対する国の予算化は残念ながらありませんが、千葉県松戸市が上限30万円の補助を行っています。区内の病院ではなかなか取り組みづらい状況ですが、支援があれば実施できるところもあると伺っています。
伺います。区としての病院、介護施設でのオンライン媒体を通じた面会のためのWi-Fi機器の購入や設置費への補助など、何らかの支援を行うべきではないでしょうか。答弁を求め、この項を終えます。
次に、生活保護行政について伺います。
現在の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って、あらゆる働き手の仕事や生活が崖っぷちに追い込まれ、多くの方が生活困窮の状態となっています。現在、生活保護の扶養義務照会があることで生活保護の申請をためらう方が多くいます。一般社団法人つくろい東京ファンド、これは中野区にありますが、昨年末と今年の1月に実施した調査で、生活が苦しくても生活保護を利用しない人の3人に1人が「家族に知られるのが嫌だから」が理由と回答しました。厚生労働省も、扶養義務者に対する扶養照会の取扱いについて、扶養義務者であっても、被保護者や長期音信不通者などは除外することを示しました。
伺います。まず、生活保護の扶養照会は何に基づいて行われていますか。また、中野区では扶養照会について、申請者からの聞き取りや関係者への通知など、どのように対応していますか。
2017年の厚生労働省の調査によると、直系血族(親子)の場合、照会件数1万7,000件のうち、金銭的な援助が可能と回答したのは330件、1.9%にすぎませんでした。兄弟姉妹であれば1万9,000件のうち140件、0.7%だけでした。
伺います。中野区においては、2019年度で生活保護申請者、扶養照会を行った件数と金銭的な援助を申し出た件数、その割合はどれほどになっていますか。
田村憲久厚生労働大臣が、生活保護申請をためらわせる扶養照会は義務ではないと明言するとともに、今より弾力的運用ができるように努力したいと答え、厚生労働省は昨年12月にホームページに「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにでもあるものですので、ためらわずに御相談ください」との呼びかけを掲示しました。これらは小田原市の「生活保護のしおり」や長野県のホームページなど、先進事例を踏まえて動いたものと見られます。
改めて伺います。生活保護は国民の権利と、「生活保護のしおり」やホームページに明示し、誰もが生活保護を申請しやすくなるように最善の努力をすべきではないでしょうか。答弁を求め、この項を終えます。
続いて、保育行政について伺います。
まず、保育士の処遇改善についてです。党議員団アンケートでは、子育て先進区として取り組んでもらいたい施策について伺ったところ、保育・子育てでは「保育士の処遇改善」が46.4%と最も多く、区民の中で保育士の処遇改善を気にされていることが分かりました。ある若い保育士の方から、保育士の処遇改善をもっと続けて保育士の成り手を増やすこと、若い母親が子育てに不安を持たずに子どもを産めるような社会を整えてほしいとの期待も寄せられました。
保育の専門性は、学校を出て資格を取得したからといって担保されるわけではなく、保育の現場での経験を積み重ねることで専門性は培われます。保育園でも幼稚園でも働き続ける条件があってこそ、経験の積み重ねができ、保育の質が向上するのです。しかし、残念ながら中野区での私立保育園の現場では、どの職員も頑張っているけれども、多くの職場で定着率が低いと伺っています。
伺います。中野区として、民間保育園での定着率を上げるために何をしようと考えていますか。格差なくよりよい保育を中野区の子どもが受けられることを目指す子育て先進区にするためには何が必要と考えていますか。
私立認可保育所は、国・都・区が毎月支払う委託費で運営されています。それは公定価格に基づき、預かる年齢別の子ども1人当たり単価の積算で決まります。使途は人件費と事務費、管理費の三つです。国は人件費は7割から8割と想定してきましたが、2000年に委託費の弾力運用がされたことで、人件費を他の使途に使えるようになり、保育士の賃金が抑えられる事態となりました。保育士等キャリアアップ補助金の賃金改善実績報告書に係る集計結果、平成31年3月によると、東京都内の私立保育園の人件費比率は、社会福祉法人立では70.5%ですが、株式会社立では51.9%と低水準にとどまっています。
伺います。中野区には私立保育園で人件費比率が50%を下回る保育園が現時点で何か所あり、区はどのような対応をしようとしていますか。
区が私立保育園に委託費や補助金を出しても、それらが保育士などへの人件費に振り向けられずに、他の保育所の開設費や本業以外の事業に使われてしまうのは、区からすると認めがたい問題です。例えば世田谷区では、保育の質の確保・向上のための職員の処遇を安定的に確保するため、前年度の実績で人件費比率が50%未満の場合は、一部の事業費加算を支給しない制度があります。世田谷区では毎年、私立保育園の決算書を会計事務所に提出し、人件費比率を算出しています。近年には50%を下回るところがないそうです。これは担当者によると、年度当初に法人に対し、この制度の趣旨について説明し、理解し、努力していただいた結果、50%を下回る保育園がないとのことです。こうした努力を中野区においてもすべきではないでしょうか。
伺います。中野区においても他区のような取組の工夫をしていくべきではないでしょうか。改めて求めます。
次に、保育定員と保育所の整備についてです。
ある利用者から、「子育てしながら仕事も必要な時代に待機児童がこんなに多く、入りたい園への競争率が厳し過ぎる。正社員並みに働かないと、ほぼ入園できない現実です」との抗議の声もありました。こうした利用者からのニーズをしっかりと受け止めていく必要があります。昨年4月の時点での保育定員は449人分増加しました。今年度は認可保育園の整備は7施設の予定が2園にとどまっています。
伺います。今年の4月1日時点では保育定員はどれほど増加し、全体ではどれぐらい確保できる見通しでしょうか。
中野区は東京都待機児童解消区市町村支援事業を活用し、東京都から13億2,000万円ほどの補助を受け、保育施設の施設整備を進めてきました。この制度はゼロ歳から2歳の待機児童数以上の定員拡大などを行うことが要件とされた事業です。2年連続要件を満たさなければ、補助金上乗せの対象外となります。
伺います。昨年度は要件を満たさなかったですが、今年度は要件を満たすことができますでしょうか。
昨年においても認可保育所の誘致をしても、地域偏在があって待機児童の解消には至りませんでした。地域に暮らす利用予定者のニーズを丁寧に把握していくことが必要です。そして、利用者の希望にかなう保育施設を事業者の協力を得ながら整備していかなければ、せっかく誘致をしても経営困難な保育施設が増えてしまう懸念があります。
伺います。地域偏在を解消させるために、区として今後どのような努力をしていくおつもりでしょうか。また、区は保育の需要を踏まえ、各保育施設の経営安定や保育の質を担保させるためにどのような支援を行っていくおつもりでしょうか。答弁を求め、この項を終えます。
次に、安定した住まいの確保についてです。
賃貸住宅に住む高齢者などから、区営住宅に入居することができないかとよく尋ねられます。中野区内には最低居住水準未満の民間賃貸住宅に居住し、公営住宅の入居収入基準以下の世帯が約3,000世帯あるとされています。住宅に困窮した方が公営住宅の募集に応募しても、宝くじを申し込んだときのようだと嘆くことが当たり前になっています。今年度では区営住宅では空き家2戸の募集に225人が、高齢者福祉住宅では空き家1戸の募集に91人が申し込みました。補欠を除き、それぞれ113倍、91倍の高倍率となっています。
現在、区内には区営住宅が16か所、高齢者福祉住宅は9か所あります。区営住宅は建設から50年を超えるところが3か所、平均40.6年となっています。第3次中野区住宅マスタープランでは、区営住宅の建て替えの検討を行うとしているものの、区営住宅と高齢者福祉住宅ともに現状維持の供給目標値を掲げるにとどまってきました。これでは住宅に困窮する世帯の方々の期待は到底受け止めることはできません。新たな住宅マスタープランでは、しっかりと受け止めてほしいと思います。
伺います。今こそこうした住宅政策を転換し、今後は十分な量の公営住宅戸数を確保させるために、区営住宅の建て替えを住宅マスタープランにしっかりと盛り込み、目標を持って整備すべきではないでしょうか。
加えて、改めて伺います。また東京都に対しても、都営住宅の建て替えなどの新設整備を求めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
2025年には高齢者の単身世帯が701万人に増加する見通しです。しかし、孤独死などの不安、保証人がいないなどの理由で、賃貸人の8割が高齢者に対し拒否感を持っています。中野区で実施されてきた「あんしんすまいパック」の利用が進まず、見直されようとしています。私も昨年第3回定例会で、生前の安否確認等を含めた生活支援を拡充するよう検討を求めました。住宅確保要配慮者の方々が安心して居住できるように、区やオーナー、不動産会社、サービス提供会社が連携し、改善が進むよう一層の努力を求めたいと思います。
第3回定例会の総括質疑で、セーフティネット住宅の登録数が伸びない要因として、改修費補助、家賃低廉化の補助制度の利用実績がないことや、電子申請手続の負担、登録要件の構造などの基準を満たす必要があること、登録によって確実な入居者の確保が保証されていないことが挙げられました。
伺います。3月に設置する居住支援協議会において、セーフティネット住宅の改築、改修を促す方策を具体的に検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。答弁を求め、この項を終えます。
次に、ジェンダー平等について伺います。
2月12日、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、日本オリンピック委員会臨時評議員会で、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と女性を蔑視する発言を行い、辞任を表明しました。女性蔑視を当たり前のように発言し、悪びれず、批判されれば、解釈の仕方だと開き直る姿勢は許しがたいです。これは日本社会の女性差別の構造的なゆがみをあぶり出しました。
中野区基本計画(素案たたき台)では、ジェンダー平等をゴールの一つとするSDGsの推進を取り上げたことは評価いたします。ジェンダーとは、社会的・文化的につくられた性差ですが、女性の人権の拡大とエンパワーメントだけでなく、多様な性の在り方や全ての人の人権も包含していると言われています。
現在のコロナ危機は、日本社会の深刻なジェンダー格差を浮き彫りにしました。コロナ禍で真っ先に職を失ったのが非正規の女性の労働者、学校が休校になれば休業するのは女性。シングルマザーの家庭は深刻な生活苦に直面し、医療・介護・保育など、社会に不可欠なエッセンシャルワーカーの劣悪な待遇、女性の自殺率の大幅増など、女性たちが深刻な状況に追い込まれている実態が社会に投げかけられました。これらの背景には、医療・社会保障の切捨てや、女性活躍をてこにした成長戦略を原因とする不安定な雇用の問題も横たわっています。これらをただし、ジェンダー平等社会を実現する契機とさせるべきです。
そこで伺います。こうした日本のジェンダー格差について、区はどのように認識しているのか伺います。
昨年、政府は男女共同参画社会基本法に基づき、第5次男女共同参画基本計画を策定させました。策定に向けて6,000件を超えるパブリック・コメントが寄せられるなど、ジェンダー平等を目指す世論と運動はかつてなく高まっています。
今回の改定が、世界水準から立ち後れた日本の現状、新型コロナ禍で浮き彫りになったジェンダー格差を打開し、必要な法整備も含めて実効ある計画となるように、日本共産党は政府に対し、1、政策・意思決定の場に男女半々の目標を掲げて取組を行うこと、2、男女ともに人間らしく働き続ける労働ルールの確立、3、医療、介護、保育などケア労働従事者の待遇改善、4、女性に対するあらゆる暴力の根絶と健康支援などを提案しています。
中野区としては、男女共同参画・多文化共生推進審議会での審議が始まっています。
伺います。今後、審議会での答申を受けて、区としての考えを踏まえた条例の制定、そして、その先に具体的な施策展開へつなげていくことが大切と考えます。その際、ジェンダー平等の視点も大切な視点と考えますが、区の見解を伺います。
パートナーシップ宣誓制度ができて3年がたちます。実績は1月末現在、67件、そのうち公正証書などの受領証も併せて交付した件数は7件とのことです。2月からの受領証は小型化し、財布にも入れられるようになります。
この3年間の実績を踏まえ、パートナーシップ宣誓制度をファミリーシップも加えることを検討すべきではないでしょうか。これは足立区や明石市が実施しています。2者のほかに、家族として暮らしている子ども、未成年がいる場合でも、子どもを含む家族の関係を届け出てもらった場合には、併せて証明するものです。
伺います。ファミリーシップや他自治体との連携の追加など、パートナーシップ宣誓制度を拡充させることを検討すべきではないでしょうか。答弁を求め、この項を終えます。
最後に、その他では、福祉ガソリン券の利用について伺います。
福祉ガソリン券を利用されている方から、「なぜ割高なガソリンスタンドしか指定されていないのか。後払いでもいいので、どこでも買えるようにしてほしい」と要望が寄せられました。中野区では、一定の所得基準額以内の身体障害者などの方へ福祉タクシー利用券と福祉ガソリン券を御本人が選択し、利用できるようになっています。福祉ガソリン券の場合は、区と契約した指定ガソリンスタンドで券を出し、その場で補助を受けることができます。利用後には指定事業者が区に5%の手数料を含めて請求する仕組みです。指定のガソリンスタンドは、中野区にあるガソリンスタンド10か所のうち5か所のみにとどまっています。
伺います。利用者の利便性を高めるために、さらに指定ガソリンスタンドを広げる取組を検討すべきではないでしょうか。
ガソリンの価格は市場に委ねられているため、変動します。利用する指定ガソリンスタンドの価格を調べると、高いところが多いようです。練馬区では対象者が申請すれば、利用の可否にかかわらず、4か月ごとに助成費用を振り込む方法を取っています。渋谷・新宿・杉並各区では、事後に対象者が領収書を添付して申請するやり方です。
伺います。他区の事例などを参考にしながら、利用者がより利用しやすくなるように、ガソリン費の助成の実施方法について検討するべきではないでしょうか。答弁を求め、全ての質問を終えます。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 小杉議員の御質問にお答えいたします。
初めに、事業者の現状把握について。新型コロナウイルス感染症への対策についての事業者の現状把握についてでございます。区は東京商工会議所中野支部や中野中小企業診断士会、金融機関等と連携し、聞き取りを行うなどして区内事業者の現状の把握に努めているところでございます。また、現在、区内経済団体等が実施している事業所調査の結果等も活用して、より現状を深く把握していきたいと考えております。
続きまして、信用保証料補助についてでございます。現在の新型コロナウイルス対策緊急応援優遇制度は、利子の全額支給による事業者支援を行っているところでございますが、小規模企業特例資金につきましては、都の融資制度と連動し、信用保証料について半額の補助が受けられる仕組みとしているところでございます。信用保証料を含めた融資制度の今後の展開につきましては、事業者の動向や国や都の取組状況等を踏まえ検討してまいります。
続きまして、新たな経済対策事業についてでございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う経済対策及び生活支援事業の企画立案に当たりましては、これまで緊急経済対策室が調整を行い、適宜関連部と打合せを行ってきたところでございます。今後も区内の飲食店のテイクアウト、デリバリー利用などをさらに推奨する取組を行うことや、東京都が予算化を進めているプレミアム付商品券事業の補助制度の活用など、引き続き地域経済の立て直しを図っていくために必要な取組の全庁的な企画調整を行う体制として、その役割の強化を図ってまいります。
続きまして、東京都や国への要望についてでございます。新型コロナウイルス感染症への対策に関する国等への要望として、中野区からは先日、特別区長会に要望事項を提出しております。その要望には、中小企業の長期的な経営安定化のため、給付金等による支援の継続や拡充を図ることという内容も含めたものとしております。これまでに実施されている支援策の効果や区内事業者の今後の経営状況等を踏まえて、引き続き必要に応じて東京都や国に対して継続的に支援策を求めてまいります。
続きまして、新型コロナウイルス感染症の支援一覧、リーフレット、こちらの更新と配布場所の増加についての御質問です。新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、デジタルツールを利用しない方への情報提供が改めて課題として浮き彫りとなったところでございます。なかの区報は原則月2回の発行で即時性に欠けるとともに、紙面の都合上、掲載する内容が限られることから、今後も新型コロナウイルス感染症への支援制度などについて新たな仕組みが創設されるたびに、リーフレットを更新してまいりたいと考えております。また、配布場所を増やすよう努めてまいります。
次に、相談・支援の拡充についてでございます。区民が必要とする相談事業や相談機関などにアクセスしやすいように、周知方法や頻度について改善をしてまいります。また、すこやか福祉センターを中心とした区と各種関係機関との連携を拡充し、オール中野で包括的に相談・支援を行う体制を推進してまいりたいと考えております。
続きまして、社会的孤立を防ぐ取組についてでございます。国では、新型コロナウイルスの影響で深刻化する社会的な孤立、孤独問題に省庁横断的に対応する体制をつくると聞いております。区としても、中野区の地域包括ケア体制の構築に当たって、孤立、孤独の問題は最重要課題の一つであると捉えているところでございます。孤立しやすい傾向のある人への支援と、それを地域で支えていくための取組は大変重要なことと認識しております。御本人とそれを支える御家族や、地域の方を対象とした学習会や相談体制、啓発活動など、様々な支援方法について検討してまいります。
次に、区内病院等のオンライン面会の実施状況についてでございます。区内病院においてオンライン面会を実施しているのは3か所、介護施設においては12か所でございます。
次に、オンライン面会のための区の支援でございます。オンライン面会に必要な機器等の購入や設置は、病院の状況や環境に応じて実施するものと考えております。支援の必要性については、病院医療を所管する東京都に働きかけてまいります。介護施設のうち、まだオンライン面接などを実施していない施設につきましては、東京都のICT活用促進事業補助金などを活用した整備を促してまいります。
続きまして、生活保護行政について、生活保護の扶養照会についてでございます。民法877条に扶養義務が規定されておりまして、生活保護法第4条第2項に、親族による扶養が生活保護に優先することが規定されております。これに基づく、厚生労働省社会・援護局長通知に基づいて実施をしております。本人からの聞き取り及び戸籍調査等によって、重点的扶養義務者を確認し、本人と親族の関係を考慮した上で、援助が期待できると考えられる場合に扶養照会を実施いたします。区内在住の場合には、原則として扶養義務者宅を訪問し、区外の場合は郵送で援助の可否をお尋ねする文書を送付しております。
次に、生活保護の扶養照会の実績です。2019年度の生活保護申請は765件でございましたが、保護を開始した729件のうち、約4分の1に当たる186世帯については扶養照会を実施しました。金銭的援助を受けられた件数は1件のみでございましたので、結果として、保護開始世帯のうち扶養照会による金銭的援助を受けられたのは、割合としては0.1%でございます。
続きまして、生活保護は権利であることの明示についてでございます。これまでも区ホームページ、配布用の「生活保護のてびき」及び「生活保護のしおり」には、憲法第25条を引用の上、権利であることを明示してまいりました。今後も権利であることがより一層理解され、申請をちゅうちょされることのないよう工夫してまいります。
次に、保育行政についてでございます。最初に、保育士の定着率の向上について。保育士が継続的に勤務して専門性を高めながら、子どもの気持ちや発達を理解することは、保育の質を確保するために必要なことであると認識しております。区では認可保育所の運営費について、国の基準に加えて保育士を1名増員配置するための経費や、パート保育士の雇用に要する経費などを加算しているほか、保育士等の宿舎の借り上げを行う事業者への補助を行っているところでございます。
続いて、人件費比率50%を下回る保育園に対する対応でございます。人件費比率50%を下回る保育園は12園でございまして、個別に指導を行い、経過を注視しているところでございます。現在、認可保育所に対する指導検査の結果はホームページで公表しておりますが、令和3年度から全ての認可保育所の人件費比率を公表することについて、民間保育所へ説明したところでございます。民間保育所は国の基準額に加え、区の加算額等で運営されております。区の加算率を減らした場合には、保育現場への影響が大きく、保育の質にも影響することが懸念されることから、加算率の取扱いについては慎重に判断していく必要があると考えております。
次に、認可保育所の保育定員についてでございます。令和3年4月1日時点の認可保育所の定員は、昨年よりも360人増加しまして、7,520人分を確保する予定でございます。
次に、待機児童解消区市町村支援事業についてでございます。今年度はゼロ歳から2歳児の待機児童数以上の定員を確保できる見込みでございますので、補助金の返還も生じないと認識しております。
次に、待機児童解消の取組についてでございます。保育需要の高い地域での保育施設の誘致を進めることで、待機児童を解消してまいります。
最後に、保育園の経営の安定と保育の質の確保についてでございます。区では民間保育所の経営安定のために、国の基準に加え、消耗品や備品等の購入費などの運営充実費や施設の賃借料加算を支給しております。また、令和3年度から定員未充足となっている地域型保育事業や認証保育所に対しては、減収に係る補助を行う予定でございます。一方、保育の質を確保するためには、今年度、保育の質ガイドラインを区内の保育所及び幼稚園に配布し、保育士や保育事業者を対象に13回研修を実施したところでございまして、引き続き保育者等の専門性を高めるため研修等の機会を提供していく考えでございます。
〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕
○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、安心した住まいの確保についての御質問にお答えいたします。
まず初めに、区営住宅、福祉住宅の供給促進についてでございます。平成29年には国において住宅セーフティネット法の改正が行われ、セーフティネット住宅の登録制度が始まったことを受け、区としても国が推進している民間賃貸住宅ストックを活用した登録制度の普及促進を行ってきたところでございます。現在改定を進めている住宅マスタープランにおいても、民間賃貸住宅を活用した住宅セーフティネットの登録制度の普及促進に引き続き取り組むこととし、区営住宅及び福祉住宅は現状の戸数を維持していく考えでございます。
次に、都営住宅の供給促進についての東京都への要望でございます。都営住宅の建て替えの際には、東京都が行う公共住宅建設に関連する地域開発要綱の規定に基づき、東京都が区市町村と協議することとなっており、これまでも第3次住宅マスタープランの施策展開に基づき、様々な世帯が居住できるようファミリー向け住戸の供給促進について東京都へ要望してきたところでございます。東京都住宅マスタープランでは、都営住宅については、既存ストックの有効活用と管理戸数の抑制を図るとの方針が示されていることから、区としては今後、区内の都営住宅の建て替えが行われる際には、住宅戸数を増やすことを求めるのではなく、引き続き多様な世帯のための住宅の確保などについて東京都と協議を行ってまいりたいと考えてございます。
次に、セーフティネット住宅の供給促進についてでございます。区内のセーフティネット住宅の供給促進に当たっては、居住支援協議会において民間賃貸住宅のオーナーや不動産店への啓発に取り組むほか、セーフティネット住宅の登録情報を広く区民に周知し、住宅確保が困難な区民が利用しやすい体制を構築していくことが重要と考えてございます。居住支援協議会の活動において、セーフティネット住宅の登録に当たっての相談体制を構築する方向で現在検討を進めておりまして、区としても居住支援協議会と連携し、より効果的な登録促進の方策について検討してまいりたいと考えてございます。
〔企画部長高橋昭彦登壇〕
○企画部長(高橋昭彦) ジェンダー平等についてお答えいたします。
初めに、ジェンダー格差への認識についてのお尋ねでございます。これまでの取組により、男女平等は前進しているものの、今もなお社会には性別による固定的な役割分担意識や、それに基づく制度や慣行が存在し、男女平等の達成にはさらなる努力が求められている状況にあると捉えてございます。区が豊かで活力のあるまちとして発展していくためには、性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮し、共に社会に参画して責任を分かち合うことが重要であると認識してございます。
続いて、男女共同参画・多文化共生等の推進におけるジェンダー平等の視点についてでございますが、男女共同参画・多文化共生推進審議会におきまして、男女共同参画等、多文化共生、年齢・世代、障害の四つの視点に留意し、区民等が多様性を認め合いながら、あらゆる場面において個性や能力を発揮できる地域社会の実現に向けた基本的な考え方等について整理をしていく予定でございます。ジェンダー平等の視点につきましても、男女共同参画等の一つの考え方として、審議会において議論する予定でございます。
もう一つ、パートナーシップ宣誓制度の拡充についての御質問でございます。パートナーシップ宣誓制度については、区における制度導入以来、全国的に広がりを見せておりまして、今年度に入ってから、東京都や他の区市と制度内容に加えて、連携に係る情報交換を行っているところでございます。多様な生き方、個性や価値観を受け入れることができる地域社会の実現に向けて、当事者の声や他自治体の取組等を参考にしながら、今年度は受領証のカード化、手続期間の短縮を行ったところでございます。今後も制度の継続的な見直しを図ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(平山英明) 質問時間は終了しておりますので、これ以上の答弁は結構でございます。
以上で小杉一男議員の質問を終わります。
議事の都合により、暫時休憩いたします。
午後2時58分休憩
午後3時15分開議
○議長(高橋かずちか) 会議を再開いたします。
この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 内 川 和 久
1 基本構想・基本計画・区有施設整備計画について
2 コロナ禍における区内業者支援について
3 行政報告の検証について
4 その他
○議長(高橋かずちか) 内川和久議員。
〔内川和久議員登壇〕
○22番(内川和久) 令和3年第1回定例会一般質問におきまして、自民党の立場で質問をさせていただきます。
質問は通告どおり、4番、その他はございません。
1番、基本構想・基本計画・区有施設整備計画について。
このたび、当初の予定より大分遅れましたが、基本構想・基本計画・区有施設整備計画について素案たたき台が報告されましたので、幾つかお聞きします。
2019年10月に中野区基本構想審議会より出された答申には、冒頭に「今後の中野区は、中野駅周辺のまちづくりの進展など、区の新たな可能性を生み出す最大の好機となり得る進化の時期を迎える」とあります。また、「安全・安心と未来を創るまちづくり」として、「災害等の課題への対応による安全・安心なまちづくりとあわせて、多様な都市機能が集積する中野駅周辺のまちづくりや、西武新宿線沿線での連続立体交差化を契機とした沿線まちづくりを、新たな中野の未来をつくるチャンスと捉え、まち全体の価値が向上し、まちの魅力が区内外に発信される持続可能なまちづくりを進めていくことが求められる」ともあります。
私は、中野区の魅力として、タワーマンションやオフィス開発が進み、新たなビジネス拠点へと変貌した職住近接型の住宅地というのが中野の売りだと考えています。このチャンスを生かし、東京23区の西部における新たな活力とにぎわいのシンボルとして、100年に一度と言っても過言ではない中野駅周辺のまちづくりによる価値の向上と魅力を具体的にどのように区内外、また世界へ発信していくのかが問われると思います。今後の区の広報戦略についてお伺いいたします。
2019年度の基本構想に関するアンケート結果によると、10年後に目指すまちの姿として、子育て・教育が一番大切だと回答した人が37%と最も多い。子育て・子育ちが楽しくなる地域環境においては、駅周辺のまちづくりの進展に合わせて、ファミリー向け住宅の供給が促進され、住み続けたいと思える環境が整っているとあります。また、基本構想審議会自治・共生・活力部会の課題として、区内経済活動の活性化においても、子育て世帯が住むことで、まちに活気が生まれるとともに、需要が喚起され、区内経済が活性化しているとあります。さらに、審議会の都市・防災・環境部会においては、中野区は、子どもの出産を契機に他の自治体に転出している状況があり、子育て世帯の安住を促す必要があるとしています。
基本計画においては、居住面積や子育てに資する施設・サービスを備えた住宅を誘導するとして、子育て支援住宅普及促進事業の検討・実施をするとのことですが、具体的にその内容についてお答えください。また、今後テレワークの定着に伴い、都心から地方へという住居の郊外化が明確になってくると考えます。転出意向にある子育て等の世帯を中野区に住み続けたいと思わせるためには、その住環境施策をどのように考えているのか、見解をお聞かせください。
基本構想検討案には、それを実現するために、持続可能な財政運営を進めますとして、安定的な財政基盤を構築していくために、最小の経費で最大の効果を上げる持続可能な財政運営を基本とするとありますが、これは民間では当たり前の考えです。令和3年度予算においてそれがどう反映され、どう実現されているのか、具体的にお答えください。
基本計画について。
基本構想を実現させるために、総合的、計画的な行政運営を行い、区が取り組む基本的な方向性を示すとしています。このたび、重点プロジェクトとして、子育て先進区の実現、地域包括ケア体制の実現、活力ある持続可能なまちの実現が示されました。この活力ある持続可能なまちの実現に関しては、議会からの意見を基に後から追記されたものです。推進するプロジェクトとして、新型コロナウイルス感染症からの経済の回復、サブカルチャー等のコンテンツを活用した地域ブランドづくりからの産業の活性化、中野駅周辺各地区のまちづくりによる新たな活力とにぎわいの創出、環境配慮型のライフスタイルへの転換、区有施設や行政活動における脱炭素化等、どれも重要なファクターであり、骨子の段階でこれらが重点プロジェクトから落ちていたことが理解できません。
基本計画は基本構想、区有施設整備計画と密接に関係し、同時期に策定が進められていることから、後から追記された「活力ある持続可能なまちの実現」が基本構想・区有施設整備計画にどう影響し、どう反映され、変更されていくのか、お答えください。
財政状況・財政見通しについては、一般財源については2022年度以降増加と想定していますが、基準となる一般財源規模は当面687億円を基準とするように示されています。区は基準となる一般財源規模は直近数年間の平均値により算出すると考えを示したところですが、その考え方を変更するのでしょうか。歳出を抑え、将来に備えて計画的に基金への積立てを行っていれば、今回のような不測の事態にも堪えられたはずです。区の見解をお聞きします。
また、財政運営等の考え方については、財政調整基金等の積立てや取崩しによる財源調整を行うとしていますが、令和2年第3回定例会における行政報告によって示された、「これまで積み立ててきた財政調整基金については、取崩しを前提とするのではなく、歳出の抑制に努める」としています。令和3年度予算編成と矛盾するもので、その整合性について見解をお聞かせください。
区有施設整備計画について伺います。
区有施設整備計画は、その策定が当初の予定から大幅に遅れ、令和3年8月の策定とされています。策定の根拠となる基本計画とは同時期の策定ですが、きちんと整合性は取れているのか。基本構想、基本計画、財政フレームの修正に合わせて、その都度調整が必要になってきますが、できているのか。また、行財政の構造改革における施設の再編の視点と併せて検討を進めるとしています。同時期に実行となる構造改革実行プログラムのエッセンスはどう生かされ、どう具体的に取り込まれているのでしょうか。加えて、平成29年3月策定の公共施設総合管理計画の改定も含まれているとされていますが、主にどの部分が改定になったのか、お示しください。
施設活用の主な手法として、機能が同じ複数の施設を集めて一つの施設とする集約化、機能が異なる複数の施設を集めて一つの施設とする複合化を図るとありますが、見る限り、期待どおりに数字として表れていないと考えます。また、区有施設の再編は長期間に及ぶため、施設・土地などの区有資産をマネジメントする専管組織を設置するとありますが、具体的に来年度の組織見直しの内容についてお答えください。
資産の有効活用に関しては、未利用となる土地・施設について、民間活力の活用を最大限図るため、民間事業者との対話の機会、サウンディング型市場調査を行うとありますが、事業者公募前の段階で参入しやすい公募条件の設定は、民間事業者の都合のよいものになってしまわないのか不安を感じます。区の見解についてお答えください。
施設更新経費の将来推計として、今後20年間に必要となる更新経費は、施設の再編及び財政負担の平準化を考慮し試算すると1,911億円、1年平均96億円となるとのことです。再編・平準化をしない場合と比べ、更新経費は312億円減少する見込みとのことです。しかしながら、前提条件として、小・中学校は建築後50年で建て替えをするという基本を、建築後70年での建て替えを基本とするに変更、さらに小・中学校の改築は各年度1校の工事着手としています。
施設整備に関連する基金の積立て・繰入れ計画においては、義務教育施設整備基金への積立ては、2021年から2025年までゼロとし、2030年においては基金からの繰入額は合計210億円、その時点で残高は3億円まで減少してしまいます。これは決して計画的な積立て・繰入れと言えません。現行の「新しい中野をつくり10か年計画(第3次)」においては、ステップ1からステップ3まで毎年10億円積み立てております。昨日の大内議員の質問に対して、財政状況がよくなれば積立てをするとの答弁がありましたが、毎年度決まった定額を計画的に積み立てるべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
基本構想でも述べましたが、子育て世帯が住むことで、まちに活気が生まれるとともに、需要が喚起され区内経済が活性化している。また、子育て世帯の安住を促す必要があるともしています。そこで、東京都認定の子育て支援住宅認定制度は、安全性や家事のしやすさに配慮され、子育てしやすい環境づくりのための取組を行っている都認定の優良な住宅制度です。集合住宅であることや、面積50平方メートル以上、その他基準はありますが、メリットとして、信頼度の向上・都ホームページによる物件のPR、整備費の一部補助金活用、容積率の緩和等です。子育て支援住宅に関しては、民間はもとより、区有施設の建て替え、利活用においても、子育て先進区に向けた具体的な施策として、今後積極的に取り入れていくべきと考えますが、区のお考えをお聞かせください。
地域子ども施設整備の基本的な考え方について、地域包括ケアシステムの推進に向けた取組を進めるとともに、子どもたちの健やかな成長・安心して子育てができるまちを目指し、地域子ども施設整備を進めるとしています。区有施設整備計画によると、児童館は集約・複合化をし、新たな機能を備えた児童館へ順次移行とし、中学校区に1館、合計9館にするとの予定です。
その再整備において求められる機能として、1、遊びの場、2、子育て支援活動、3、地域の見守り、4、ネットワーク支援としていますが、これだけ多くの機能を有するには、それなりのスペース、職員体制、経費がかかるものと考えますが、区の見解をお答えください。
また、学校外に居場所を求める児童のためともしていますが、放課後の子どもたちの安全・安心な遊び場と位置付けられているキッズ・プラザとの整合性、共存は可能と考えているのか、区の見解をお聞かせください。
2、コロナ禍における区内業者支援についてお伺いします。
ここでは、中野区として区内経済をどう下支えしていくのか伺います。過去にも質問をさせていただきましたが、今後、厳しさが増すことが予測される区内経済に鑑み、地域インフラ事業の担い手となる区内に本店を置く事業者の受注機会の確保は重要と考えます。令和3年度以降の入札・契約に係る取組として、制限付競争入札の拡大の必要性に関し、区の見解をお聞かせください。また、業務委託契約においても、当然、競争性を確保した上で、区内業者を優先すべきと考えますが、併せてお答えください。
3、行政報告の検証についてお伺いいたします。
さきにも述べましたが、令和2年第3回定例会において行政報告が行われました。その内容としては、新型コロナウイルス感染症の影響は、区民生活・経済・社会へ大きく影響する。感染拡大防止や医療・生活・経済支援の取組も進めていく。また、今後の財政運営は厳しい状況であることから、財政的な非常事態と言わざるを得ないとしています。行財政の構造改革の推進を訴え、持続可能な区政運営のためには、区長は不退転の決意で取り組んでまいりますと結んでおります。私たちは非常に期待しました。しかしながら、財政調整基金は取崩しを前提としないとした約束は破られ、経常経費の削減にも踏み込んでいかなければならないとしましたが、目標数値には遠く及ばなかったのではないでしょうか。
また、業務改善の観点から、効率化・省力化・デジタル化を推進し、業務量を削減し、適正な定数管理を実現するとしましたが、このたび、職員定数条例は令和5年度を目途に2,000人から2,100人へ増やすという報告がなされました。これは行政需要が増加する中にあっても、職員定数を極力維持しつつ、多様なニーズに応えていきたいとした施政方針説明とも矛盾します。
さらに、行政報告の結びの部分では、行財政の構造改革からスタートするとしましたが、基本計画・区有施設整備計画、これらの素案たたき台を見る限り、とても十分とは言えません。施政方針説明においては、区の財政運営を安定的に進めるために、中長期的な展望を視野に入れ、区政構造改革の取組をするとのことですが、いつ実現できるのでしょうか。不退転とした区長の決意を改めてお聞きして、全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 内川議員の御質問にお答えいたします。
最初に、基本構想・基本計画・区有施設整備計画について。中野駅周辺まちづくりの広報戦略についてでございます。中野駅周辺のまちづくりは、オフィスと住宅棟から成るシンボル性のある高層タワーや、新たな文化を創造し発信していく多目的ホールなど、区民はもちろん、中野を訪れる人々の交流を深め、にぎわいを創出する東京西部都市圏のシンボル空間となる未来への夢と希望にあふれるものであると考えております。その実現に向けて、都市計画決定や拠点施設の整備など、各イベントの都度、プレスリリースや記者会見、SNSをはじめとした区の広報媒体の組合せによって、区内外に情報と魅力を発信するとともに、広報アドバイザーの支援を受けながら、戦術的にメディアに働きかけていきたいと考えております。
次に、子育て支援住宅普及促進事業についてでございます。子育て支援住宅普及促進事業は、居住者の安全性や家事のしやすさなどに配慮され、子育てしやすい環境づくりのための取組を行っている優良な認定住宅の普及を促進するものでございます。子育て支援住宅として認定を受けることによって、信頼度の向上や、東京都や区のホームページにおいての物件のPR効果などが、民間賃貸住宅のオーナーや整備事業者にとってのメリットでございます。区は認定を行う東京都と連携し、民間賃貸住宅のオーナーや整備事業者に対して、認定制度の内容やメリット等を情報発信してまいります。また、民間の不動産団体や建築団体との連携によって相談体制を構築し、子育て支援住宅の普及を推進していく考えでございます。
次に、子育て世帯の定着に向けた住環境の施策です。子育て世帯が住み続けたくなるまちを実現するためには、暮らしやすい住宅、住環境の誘導や、子育て家庭にとって魅力的な空間、施設等の充実に取り組む必要があると考えております。放課後等の子どもの居場所や魅力ある公園などの住環境の充実を図るとともに、そうした区の住環境の魅力を子育て世帯に向けて効果的に情報発信をしてまいりたいと考えております。
次に、最小の経費で最大の効果を上げる財政運営の令和3年度予算への反映についてでございます。令和3年度予算は、構造改革における短期的な取組や各部における事業の見直しなどによって、令和2年度当初予算と比較して、一般財源充当事業費は約8億円減少したところでございまして、国や都の支出金などの特定財源も活用しながら、区の一般財源の負担を抑えつつ事業展開を図る予算としております。
次に、新たに追加した重点プロジェクトについてでございます。活力ある持続可能なまちの実現については、昨年第4回定例会の常任委員会における質疑を踏まえ、改めて区として検討を行い、三つ目の重点プロジェクトとして追加したものでございます。重点プロジェクトを追加したことによって、基本構想や区有施設整備計画への直接の影響はございませんが、重点プロジェクトに設定した取組については、基本構想で描くまちの姿の実現に向けて、組織、人員体制の整備と予算の計上を行いながら着実に推進していく考えでございます。
基準となる一般財源規模についてでございます。令和3年度予算は新型コロナウイルス感染症の影響により大幅な一般財源の減収が見込まれ、過去の歳入決算額を踏まえることや、今後の歳入見通しを立てることが難しかったことから、基準となる一般財源規模につきましては、予算編成開始時点における一般財源の収入見通しによって、687億円と定めたところでございます。基本計画(素案たたき台)でお示しした今後の財政見通しでは、一般財源は令和4年度以降回復傾向を見込んではおりますが、新型コロナウイルス感染症の影響によって、今後の経済状況は不透明でございます。景気の下触れリスクもあることから、基準となる一般財源規模は当面687億円を維持することとしたものでございます。
次に、財政調整基金の取崩しの考え方についてでございます。基準となる一般財源規模の範囲内で歳出の一般財源充当事業費を組むことを基本としておりまして、その考えに変更はございません。令和3年度予算編成におきましても、財政調整基金の取崩しを前提とせず、歳出削減に努めてきたところでございまして、その上で、真に必要な区民サービスの実施のために、必要に応じて基金からの繰入れによる財源調整を行うものでございます。矛盾があるとは考えておりません。
次に、区有施設整備計画における構造改革の視点についてでございます。区有施設整備計画では、効果的かつ効率的に区民サービスが提供されるよう、区民の日常生活圏域等を踏まえた適正配置、機能に応じた施設の再編を基本方針に盛り込んでおります。この視点は、構造改革プログラムにおいても同様に位置付けることとしておりまして、中長期的な視点で施設の再編に取り組んでまいります。
次に、公共施設総合管理計画の改定内容についてでございます。区有施設整備計画は、公共施設総合管理計画(建物編)を改編・改定したものでございます。基本方針については、新たに施設再編や配置の考え方を盛り込み、施設更新経費及び延べ床面積の考え方については、時点更新をした上で今後の計画を反映させ、改めて積算したところでございます。
区有資産をマネジメントする専管組織の設置についてでございます。区有施設の再編は、区政構造改革実行プログラムの中の柱の一つに位置付けておりまして、来年度の4月1日付の組織改正の中で企画部に担当部長を設置して計画策定を進めるとともに、企画課の中に構造改革係と施設マネジメントを所掌する担当係長を新たに設置し、具体的な施設配置計画の取組を進めていく予定でございます。
続きまして、サウンディング型市場調査についてでございます。サウンディング型市場調査は区有施設や未利用地の有効活用を検討する上で、民間事業者から市場動向や事業採算性、具体的な提案などを伺う場であると認識しております。事業者を公募する際には、サウンディング型市場調査の結果を参考に、区として公募要項を取りまとめ、目的や条件などを明確にした上で実施する考えでございます。
次に、義務教育施設整備基金への積立てについてでございます。義務教育施設整備基金への積立てにつきましては、厳しい財政状況が続くことから、令和3年度予算においては計画できてはおらず、基本計画の素案たたき台においても、令和12年度まで毎年度の計画的な積立てはできておりません。しかしながら、今後も学校施設整備の計画は着実に進める必要がございます。多額な財政負担が見込まれることから、基金と起債をバランスよく計画的に活用していくことが必要であります。一定の考え方を持って基金への積立て計画を立てられるよう検討してまいります。
次に、子育て支援住宅の区有施設活用についてでございます。子育て先進区の実現に向けて、民間による子育て支援住宅整備の誘導を想定しているところでございまして、民間住宅と公共施設の複合施設を民間活力の活用によって整備する場合には、国や都の子育て支援住宅整備に係る制度の活用などを検討していきたいと考えております。
新たな機能を備えた児童館の運営についてでございます。新たな機能を備えた児童館における機能強化に向けては、学童クラブ室として活用していたスペースを活用する考えでございます。職員体制につきましては、必要な機能に応じた効果的な配置を行い、効率的な事業運営を進めるものでございます。今後の施設運営につきましては、民間活力の導入も視野に検討を進めていく考えでございます。
次に、児童館とキッズ・プラザの共存についてでございます。キッズ・プラザは、小学校の校庭や体育館も活用して展開される放課後の児童の安全・安心な居場所であります。また、児童の中には学校外にも居場所を求めるニーズは一定数ございます。児童館は乳幼児から中高生まで幅広い利用を想定する施設でございます。地域の見守り機能、ネットワーク支援機能を強化した新たな機能を備えた施設として、キッズ・プラザと共存する有用な施設であると考えております。
最後に、区政構造改革の取組に対する決意についての御質問でございます。構造改革における中長期的な課題につきましては、今後おおむね3年間で集中的に取り組む考えでございまして、本年8月の策定を予定している構造改革実行プログラムとして取りまとめてまいります。取組につきましては適宜検証し、目標達成に向けたリーダーシップを発揮して、この難局を乗り越えていく覚悟でございます。
〔総務部長海老沢憲一登壇〕
○総務部長(海老沢憲一) 私からは、区の発注における区内業者の支援についてお答えいたします。
区は平成23年度から区内業者の技術力向上、技術者の育成・確保を図ることを目的として、区内業者が優先的に受注できるよう、地域要件を付した制限付競争入札を実施しているところでございます。今後厳しさを増すことが予想される区内経済に鑑み、令和3年度以降の工事請負契約等の発注に当たっては、制限付競争入札の金額・規模を拡大し、区内業者の受注機会を増やしていきたいというふうに考えているところでございます。また、業務委託契約につきましても、業種、業務によりまして、入札の競争性の確保に影響を与えない範囲で区内業者を優先して指名することで、区内業者の受注機会の拡大に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
〔内川和久議員登壇〕
○22番(内川和久) 再質問をさせていただきます。
一つは、財政調整基金の取崩しを前提としないということだったんですけれども、真に必要な区民サービスにはそこを使っていくと。その真に必要な区民サービスというのはどういう基準で、どこでどう選ばれたのか、そこら辺をまずはお聞きしたいと思います。
それと、一般財源規模、財政状況がよくなれば基金は積んでいくという答弁がありましたけれども、一時期750億円まで増やして、それを一気に687億円まで来年度下げています。先ほど、しばらくはその687億円という規模を堅持するということだったんですけれども、財政が上向いてきても、数年間はその687億円という規模を堅持するのか。そして、その場合は基本計画、5年をめどにということなんですけれども、基本計画は狂いが生じないのか、実行が可能なのかというところを聞いていきたいと思っています。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 内川議員の再質問にお答えいたします。
まず1点目ですね。基金の取崩しを前提とすることなく、今年度の予算については、まずは既存の一般財源の中の使い道について精査をしたところでございます。当然その中には、真に必要な区民サービスというものがございまして、そこについては、極力区民のサービスに影響がないような形で見直しをしたということで、趣旨を理解していただければと思っております。
2点目につきまして、687億円をここ当面は維持せざるを得ないということでお伝えをしているところではございます。現在の状況としては、一般財源歳入の規模が数年で急激に改善するということはなかなか予想しがたいところもございます。当面この687億円をラインとして、我々としては一般財源をまずは確保していきたいと考えております。
○議長(高橋かずちか) 以上で内川議員の質問は終わります。
中野区議会議員 斉 藤 ゆ り
1 地域共生社会における社会教育と生涯学習について
(1)なかの生涯学習大学について
(2)シニア世代が地域につながる施策について
(3)社会教育施策について
(4)図書館行政について
(5)その他
2 すこやか福祉センターと区民活動センターについて
3 学校教育について
(1)令和の時代の学校教育環境整備について
(2)幼児教育について
(3)その他
4 その他
○議長(高橋かずちか) 次に、斉藤ゆり議員。
〔斉藤ゆり議員登壇〕
○7番(斉藤ゆり) 令和3年第1回定例会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問いたします。
質問は通告のとおりで、その他はございません。
1、地域共生社会における社会教育と生涯学習について。
最初に、なかの生涯学習大学についてお伺いします。以下、生大と呼ばせていただきます。
生大は55歳から82歳までのシニアの世代を対象にした社会教育事業で、約50年の歴史があり、これまで8,000人以上の卒業生を輩出し、今も多くの方々が地域で現役で活躍しています。3年進級制のカリキュラムは、地域入門講座から文化講座まで多岐にわたっています。その目的は、地域で新しいライフスタイルを創造する、地域のために活動する意欲を培う、地域社会への主体的参加の促進を図るとされており、これは地域住民や関係団体が主体となって、一人ひとりの暮らし、生きがい、地域を共につくっていく社会の構築を目指すという「地域共生社会」の理念と合致したものとなっています。
このたび、区は令和3年度予算で検討中の主な取り組み(案)において、なかの生涯学習大学をシニアの生涯学習事業と地域での応援事業に再編する検討を進めることにしました。しかしながら、多くの区民は昨年12月20日号の区報での数行の掲載で初めてこの見直しについて知ることになり、区報の情報だけでは詳細が分からず、次年度から生大自体がなくなってしまうのではないかという不安を覚えた方もありました。区報の説明はもう少し分かりやすいものにすべきではなかったでしょうか。また、在校生や生大の卒業生を中心に組織された地域ことぶき会など、直接関係する方々には説明の場が必要ではないでしょうか。令和5年度まで新入生の募集はしないとのことですが、コロナのため、今年度は断念し来年度の入学を考えていた方もあったと聞いています。再編に当たっては、現在の事業と新しい事業とがうまく接続するように進めるべきです。募集は中止されることがないようにと考えますが、いかがでしょう。
今回、生大再編をキーワードに、シニア世代の取組の課題と地域共生社会における社会教育と生涯学習について考えてみたいと思います。
シニア世代が地域につながる施策について、一層の充実を求めます。
ある卒業生が、入学時は地域の仕組みはもちろんのこと、自分の所属町会や災害時の避難所も知らなかったと話されていました。仕事を長く続けてこられ、地域になじみがなく過ごしてきた方々は、リタイア後は所属がなくなり、これからどのように過ごしていくのか思案することになります。このとき、我がまちで過ごすための様々な選択肢が示され、共に助け合える仲間ができる、そんな地域コミュニティにつながることができれば、リタイア後の方々の暮らしは豊かになります。健康で、地域で活躍するシニア世代が増えることは、地域コミュニティの活性化だけではなく、地域の見守り・支えあい活動や防災・防犯の取組などを進める上でも、医療・介護経費減といった面からも有効です。生大は、こうした意味からも大事な事業でした。
とはいえ、近年、生大の入学希望者が減少してきています。これは高齢者の就業の機会提供の場でもあるシルバー人材センターでも同様の傾向があります。平成30年度内閣府の生涯学習に関する世論調査では、地域社会での活動を促す方策として、情報提供が必要と答えた方が一番多く、42.3%でした。退職年齢が上がっていることも一因かもしれませんが、それでも選択肢としての情報提供は必要です。
シニアの生きがいや地域活動についての情報提供がいま一つ足りないということはないでしょうか。出産の際は「かんがるー面接」があり、子育てのための情報提供があります。シニアの地域デビューに、子育て同様、案内を一元化して分かりやすく示してはどうでしょう。例えば、江戸川区ではホームページトップに熟年情報というボタンがあり、情報につながりやすくなっています。現在の中野区のホームページでの高齢者サービスの一覧は、介護・福祉がメインとなっていて、なかなかシニアの生きがいや地域の活動まで行き着きません。ホームページを改善する、ハンドブックなどを作成して配布するなど、シニア向けの情報提供の強化に努めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
このたび、地域での応援事業を検討するとのことですが、卒業生がスムーズに地域で活動していくことが難しいという課題があり、この点が再編の理由の一つであると私は認識しています。
例えば「すぎなみ地域大学」は、地域社会づくりを担う人材の育成が目的と明確に述べられています。中野区でも各所管においての講座や社会福祉協議会で地域の担い手養成講座などが開設されています。こうした地域活動につながる講座を拡充することも大切ですが、一方で、地縁のない方にとっては、講座を受講しても次のステップに進めません。これは生大の課題というよりも、現在の区の体制の課題でもあります。会の立ち上げなど助成金制度はあっても、新たな活動をスタートする場合、地域という場所で活動につなげるための直接の支援がありません。
地域ニーズとのマッチングや既存団体の紹介をするなど、中間支援の体制を整えないとならないと考えますが、いかがでしょうか。
なかの生涯学習大学という名称にもある「生涯学習」は、文字のとおり生涯にわたって学び続けることを指します。カルチャースクールに通うといった個人的な学びや、学校教育も含めた、学習者から見た幅広い概念です。こうした生涯学習実現のために実施される組織的な教育のうち、学校教育以外のものを「社会教育」といいます。国は、自治体として方向性を明らかにして「社会教育」を進めていくことを求めています。
中野区基本計画(素案たたき台)の政策12において「生涯現役で生き生きと活躍できる環境をつくる」、政策15において「生涯を通じて楽しく健康に過ごせる環境をつくる」に施策が示されています。スポーツや社会教育訪問学級事業など進められている分野もありますが、実は、それ以外で社会教育の在り方について考え方が見えません。
地域共生社会における社会教育施策をどのように考えているでしょうか。これはどの区民も生きがいを持って過ごす、個人の学びによって得た知識や自身の持つ能力や経験をこのまちで生かしていく、このまちを共につくっていく、そうした社会をどう描いていくのかということにつながります。これは行政が行う社会教育です。学習機会を充実させるだけでは済まされるものではありません。
生大には中野の歴史や文化を学ぶ講義があります。受講して中野のよさを知って愛着を持ち、地域に貢献していこうという気持ちを持ったとおっしゃった方がいました。このたびのなかの生涯学習大学再編は、つまりは区の社会教育施策の再考につながるのかもしれません。生大の再編は中野区の社会教育施策の位置付けの中で検討されるよう望みます。いかがでしょうか。
中野区で発行している「生涯学習&スポーツ」という冊子がありますが、最初のページがイベントから始まり、産前産後ケアなど多くの講座が網羅されていて、逆に分かりにくいように思います。区内情報の掲載について内容を調整するなど、来年度は編集を見直されてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
地方自治体は、社会教育法に基づき社会教育主事を教育委員会に置き、社会教育の全庁的な調整を行うように求められています。しかしながら、中野区においては、現在補助執行という形で区民部に配置されています。組織の在り方は、一つのメッセージでもあります。これから構造改革が進められます。社会教育・生涯学習の分野を教育委員会に設置し、今後、区として社会教育施策をしっかり進められるよう望みますが、いかがでしょう。
さて、図書館は社会教育施設の一つです。身近な区民の学びや活動の場として非常に大切な施設です。一方で、この先デジタル化が進み、コロナ禍における新たな生活様式が進む中、図書館の姿は大きく変わっていくことが考えられます。現在、ネット予約を行い、区内希望館で貸し借りができますが、今後、区外図書館とも連携ができるようになるかもしれません。貸し借りの作業も機械で行われ、資料はデジタル化され、電子書籍での貸出しも始まるでしょう。本棚を見たければ、バーチャル図書館のパソコン上の画面で本を手に取ることができるシステムも身近になっていくかもしれません。区民の学びのためにレファレンス機能は重要ですが、これもネットワークでつなぐことで、対面でなくても相談が可能になります。貴重な資料は電子化され、館内のスペースに余裕ができるでしょう。ゆったりと本を楽しんだり、学習のスペースを拡大することができます。子どもに向けての読み聞かせや、アイデア創出のためのミーティングなど対面の有用性は明らかです。
今回、多くの図書館を見学に行きましたが、武蔵野プレイスや杉並区立中央図書館など、カフェや閲覧室が工夫されていて、1日いても飽きない空間となっていました。図書館は人が集まる場所です。そうした場所は大切にされなければなりません。
今後の図書館政策において、こうした変化についてどのようにお考えになるのか、お聞かせください。
杉並区立中央図書館はリニューアルについて、区民のワークショップ形式で意見聴取しました。こうした活動により、区民にとって愛着のある図書館が生まれます。中野区でも新たな図書館整備はこのような方式を検討されてはいかがでしょうか。
現在、中野区の図書館行政に関しては、令和元年度に「今後の図書館サービスのあり方検討会」で検討の取りまとめが行われたという状況になっています。
平成30年度のデータによると、児童書の区民1人当たりの蔵書数は23区中21位、貸出し数は22位で対策が必要です。ほかにも閲覧席が少ないなど、あり方検討会において問題提起された課題は、今後どのようなスケジュールでどのように解決されていくのでしょうか。
図書館配置については、区有施設整備計画(素案たたき台)でも計画が示されていません。地域開放型学校図書館は、来年度開設のみなみの小学校、美鳩小学校、第一小学校の実績を見て次の令和小学校以降の配置を考えるとしていますが、先行3校は当初予定よりも少ない2,000冊からのスタートです。他区の地域開放型学校図書館の事例で言うと、千代田区立まちかど図書館の公共図書館蔵書数は2万5,000冊、渋谷区立臨川みんなの図書館は7万7,000冊で、蔵書数の差は明らかです。千代田の昌平まちかど図書館では、学校図書館との入り口に警備員が配置されていました。子どもたちは休み時間に指導員と共に来館して、楽しそうに本を選んでいました。2,000冊での利用実績がその後の参考になるのかは疑問です。
開放型学校図書館は乳幼児親子が本に親しむ場としても考えられていますが、現在でも児童館には1,000から2,000冊の本がある図書室があります。資料費を予算化し、区立図書館との連携事業などで子どもの読書の機会を確保することはアイデアとして考えられます。
図書館配置計画は、学校図書館の整備も含め、丁寧な議論を経て計画されるように望みます。今後どのようなスケジュールでどのように検討されるのでしょうか。
2、次に、すこやか福祉センターと区民活動センターについてお伺いします。
昭和50年から住区協議会とともに順次設置された地域センターは、平成23年に区民活動センターと地域事務所に再編されました。また、同時期にすこやか福祉センターが開設され、地域の組織は大きく姿を変えました。今年度は設立10年目の節目の年となります。
地域センター構想は、住民自治・コミュニティ政策の観点から、当時全国でも珍しい取組でした。居住地域を単位として区民参加を求める形態は、基本的には区民活動センターに引き継がれましたが、大きな違いは、区民活動センターでは町会・自治会を中核に組織された運営委員会を設置し、区はそこで地域活動支援に関する業務運営を委託したという点でした。
コロナ禍、人と人との交流が難しくなったとき、力を発揮したのは、やはり顔の見える間柄、地域のつながりだったと言えます。
地域の活動が広がるよう、地域団体の活動支援や団体間のネットワークづくりを進めることは、区民活動センターの第一義的な業務ですが、先ほども生大地域支援のところで触れたように、地域で新たに活動したいと思う方々に対しての支援体制は構築されていません。また、地域団体の連携も課題があるところです。より地域活動に就業できるよう、事務局員の業務内容見直しが必要ではないでしょうか。すこやか福祉センターにおけるアウトリーチ・地域包括ケア推進においても、これからさらに充実した取組が求められる中、職員配置の検討もあるでしょう。
基本構想での「つながる はじまる なかの」の実現のために、区民活動センター運営委員会、すこやか福祉センター、地域支えあい推進部、そして社会福祉協議会との連携体制についても、「互いの強みを生かす形で」を合い言葉に、業務の見直しをしてはいかがでしょう。
地域コミュニティ研究によると、地域自治や地域連携は、そのまちにそうした素地があるとスムーズに進んでいくそうです。10年一昔、温故知新と言いますが、この中野の地方自治の歴史を振り返りつつ取り組んでいただければと思います。
3、学校教育について。
令和の時代の学校教育環境整備についてお伺いします。コロナ禍以降の学校は、今後その姿を変えていくでしょう。大きな困難は、時に社会がより発展していくための変革の原動力になると言われますが、GIGAスクール構想はまさにコロナを契機に実施が早まりました。ICTを活用した学習が進み、学習の形態も変化していくでしょう。懸案だった少人数学級も、小学校においては2025年までに全学年で35人に移行することになりました。また、外国語科がスタートした小学校高学年では、教科担任制度が令和4年度をめどに導入される可能性が高くなりました。こうした令和の時代の変化を見越して、地域との連携や教員を支えるスタッフ確保など、新たな教職員体制も検討されることになるでしょう。
学区域の人口推計も考慮しながら、35人学級や新しい指導のニーズにも対応できる余地のある施設整備を計画していく必要があります。現在策定中の計画においてどのように配慮され、進められているでしょうか。
幼児教育について。区立幼稚園の運営形態について、その後の検討状況について伺います。
子育て世帯の半数以上が保育園に子どもを預ける時代となりました。しかしながら、区の調査によると、幼稚園需要は今後も横ばいとされています。中野区では、保幼小中15年間の学びの連続性を踏まえたカリキュラム連携に取り組んでいます。区立園においては区立学校と様々な実践活動が積み上げられており、これは公立園こその強みと言えます。また、以前より確認されているとおり、区立園では多様なお子さんの受入れをしている現状があります。
待機児童解消対策としては、幼稚園一時預かり事業の拡大での対応も一定程度は可能です。認定こども園化の選択肢もありますが、懸案の幼稚園教諭の人事硬直化対策としては疑問が残ります。
近隣の練馬区、豊島区は区立園が3園で、あとは私立園、世田谷区は区立園5園で私立園53園と、設置割合が中野区と似ています。また、預かり事業もそれぞれ中野区同様に20人から30人で実施されていますが、いずれの区立幼稚園も大半が定員割れしています。一方で中野区はほぼ100%が続いています。
中野区では子どもと過ごす時間を大事にしたい、保護者活動を望んでいる、園庭が大事にされているなど、保育内容が好きだという理由で区立幼稚園に通いたいという世帯が一定程度いると考えられます。多様なニーズに対応するというなら、認定こども園ではなく、中野区立幼稚園に通いたいというニーズを誇りに考えることも必要ではないでしょうか。
区長は区立園を訪れて、区として公立幼稚園を持つことの意義を話されていたと聞いています。今後も区立幼稚園としてこの2園を残していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 斉藤議員の御質問にお答えいたします。
初めに、なかの生涯学習大学の再編に関する説明についてでございます。12月20日号なかの区報を御覧になって、なかの生涯学習大学の在校生や卒業生から、再編の理由や内容、令和3年度の実施の有無などについて質問をたくさんいただいたところでございます。今後、在校生や卒業生に向けた説明の機会を設け、丁寧に説明を行っていきたいと考えております。
次に、なかの生涯学習大学と再編後の事業の接続についてでございます。新型コロナウイルス感染拡大防止の対応として、令和2年度に休校としたことから、令和3年度につきましては、令和2年度の1年生、それから3年生までを対象として開校する予定でございます。1年生につきましては定員に満たない状況でございますので、受入れ環境も整うめどが立ったため、追加募集を行います。
なかの生涯学習大学につきましては、3年制のプログラムで実施しておりまして、令和5年度に再編及び機能充実を図ることから、今後、新入生の募集は行いませんが、令和4年度につきましても、地域における活躍を応援する場を継続的に提供できるよう、現在のなかの生涯学習大学との接続も考慮しながら検討を進めます。
次に、シニア世代も生きがいづくりや地域活動に関する情報提供の強化についてでございます。今後、シニア世代の地域での活躍応援事業を進めるに当たって、ホームページの樹立やハンドブックの作成などによって、シニア世代の生きがいづくりや地域活動デビューにつながる情報提供の充実を図っていきたいと考えております。
次に、シニア世代を地域につなげるための支援についてでございます。区は、地域で活躍しようとする人材の地域デビュー等を応援する取組として、議員御指摘の地域ニーズのマッチングや、既存団体の紹介のほか、様々な地域情報の提供、ネットワークづくり支援、新たな団体の立ち上げや運営の支援など、いわゆる中間支援の機能強化について検討を進めております。この中でシニア世代を対象とした支援についても検討してまいります。今後効果的に地域につなげるための支援が行えるよう、中野区社会福祉協議会とも協議を進めてまいります。
次に、社会教育施策の在り方についてでございます。社会教育施策を推進することは、区民自らの文化的教養を高めるだけではなく、区民の生きがいづくりにつながると考えております。今後も多様な学習環境や機会の充実を図ることで、区民が生涯を通じて主体的に学び続けることができるよう進めてまいりたいと考えております。
また、なかの生涯学習大学の再編におきまして、生涯学習を支援する機能と地域の様々な活動へのデビューや活動継続を応援する機能を分化し、ニーズに応じてそれぞれが効果的に機能するよう再編することで、それぞれの機能を充実することを目的として検討を進めてまいります。
「生涯学習・スポーツガイドブック」についてでございます。区内では、生涯学習やスポーツ・文化芸術活動に関する様々な講座、教室、イベントなどが行われております。こういった区民の多様な活動を支援することを目的として、これらの事業内容を一つの冊子にまとめ、区民に広く活用いただいているところでございます。今後も区民によって、より分かりやすい情報が提供できるよう、ホームページの活用も含め、掲載内容などについても検討してまいります。
社会教育施策の補助執行についての御質問です。現在、社会教育に関する事務につきましては、図書館に関する事務を除いて、教育委員会から区長の補助機関に補助執行を行っておりまして、区の生涯学習、スポーツ活動、文化芸術活動などの施策と一体的に進めているところでございます。今後の社会教育施策の展開に向けましては、区民にとって生涯にわたり学び続けることができる環境を整備することが必要だと思っております。組織体制については今後検討してまいります。
続きまして、すこやか福祉センターと区民活動センターのところで、地域活動支援のための運営委員会事務局業務の見直しについてでございます。区民活動センター運営委員会の運営状況を把握する中で、庶務的な業務が負担であるという運営委員会の声も聞いているところでございます。運営委員会が地域の自治活動及び公共活動の推進や、地域活動団体への支援についてさらに注力できるよう地域ごとの課題を把握し、改善方法について検討してまいります。
最後に、地域活動の促進に向けた関係機関の連携体制の見直しについてでございます。地域団体の活動支援に当たって、区民活動センター運営委員会、区、社会福祉協議会がそれぞれの役割に沿って総合的に支援を行うことか必要であると認識しております。アウトリーチ活動なども含め、地域活動支援がより効果的に行えるよう、関係機関とそれぞれの役割、連携方法について協議し、見直しを行っていくところでございます。
〔教育長入野貴美子登壇〕
○教育長(入野貴美子) 私からは、初めに図書館行政についての御質問にお答えいたします。
まず、図書館の今後の姿についてでございます。ICTの普及や新型コロナ感染症の拡大を背景として、新たな生活様式が定着する中、図書館サービスについても、滞在型利用の場を確保するとともに、ICTの活用などによる一層の利便性向上を図る必要があると認識しております。これまでにもインターネットによる図書の検索や予約、電子メールによるレファレンスサービス等を実施しているところでございますが、来年度開設する中野東図書館においては、今後の図書館の在り方も踏まえ、おはなし会を行う子どもの部屋にプロジェクションマッピングの設備を設けるほか、ティーンズルームやコワーキングスペース、飲食ができるラウンジなど、新たな機能を取り入れてまいります。
次に、新たな図書館整備に向けた区民の意見聴取についてでございます。中野東図書館の整備に向けて、平成28年度に基本計画等に係る意見交換会を実施しております。今後、新たに整備・改築する際には、ワーキングショップ等参加型の意見聴取についても検討してまいります。
図書館運営の課題への対応についての御質問です。今後の図書館のあり方検討会においては、子どもの読書環境のほか、滞在型利用やサービス網などについて御意見をいただきました。その中で子どもの読書活動についてはブックスタート事業を開始したほか、新設する中野東図書館では子ども専用フロアと閲覧スペースを設けるなど、滞在型利用の充実を図ってまいります。また、区立図書館と学校図書館との連携強化についても進めているところでございまして、その他の運営面の課題につきましては、指定管理者とともに引き続き協議してまいります。
次に、図書館配置計画についてです。今後の図書館配置の在り方については、電子図書の普及状況等を踏まえて検討することとしておりまして、地域開放型学校図書館についても、令和3年4月に開設する3館の運営状況を検証しながら検討することとしております。
今後の図書館の在り方については、令和3年度に教育ビジョン(第3次)の改定や、子ども読書活動推進計画(第3次)の改定を予定しておりますので、その検討と併せて施設配置の在り方についても検討してまいります。
次に、学校教育についての御質問ですが、これからの学校施設整備については、学級編制基準の改正やGIGAスクール構想等のこれからの学校教育への対応だけでなく、学校施設に求められる新たなニーズにも柔軟に対応していけるよう、適切な改築及び改修を計画的に進めていくことが必要であると考えております。こうした点に配慮しながら、中野区立小中学校施設整備計画改定に向けた取組、検討を進めているところでございます。
最後に、今後の区立幼稚園の運営形態についての御質問ですが、区立幼稚園の運営形態等につきましては、教育委員会において検討しているところでございます。検討結果につきましては、保護者等に丁寧に説明してまいりたいと存じます。
○議長(高橋かずちか) 以上で斉藤ゆり議員の質問は終わります。
中野区議会議員 日 野 たかし
1 中野区基本計画について
2 今後の教育環境の変化に対する取り組みについて
3 在宅避難の取り組みについて
4 口腔ケアについて
5 その他
○議長(高橋かずちか) 次に、日野たかし議員。
〔日野たかし議員登壇〕
○3番(日野たかし) 令和3年第1回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。
質問は通告のとおりで、その他はありません。
初めに、1番、中野区基本計画について伺います。
区長は、2018年の区長就任直後の施政方針において、今後4年間において具体的に取り組むべき区政運営の四つの柱として、「中野区を子育て先進区へ」「安心して地域で暮らし続けられるまち、中野」「区民とともに進めるまちづくり」「区民と向き合う区役所への転換」の四つの柱を示されました。その後、この四つの柱については、「基本構想・基本計画を策定していく過程で、その考え方や具体的な施策について明確にしていきます」と述べられています。
ところが、昨年の施政方針では、この四つの柱のうち「区民と向き合う区役所への転換」が、「三つの取組を支え、推進する行財政運営」と改められました。区政運営の柱とまでしている方針の一つが変わっているにもかかわらず、現在までその説明がなされていません。
基本構想は2020年6月に改定される予定が2021年3月に、基本計画は2021年3月に策定される予定が2021年8月に変更となりました。今定例会では中野区基本構想が議案提出される予定となっており、さきに行われた各常任委員会では、中野区基本計画(素案たたき台)が示されたところです。この基本計画(素案たたき台)は第1章から第5章までの構成となっており、順番に、計画の基本的な考え方、策定の背景、重点プロジェクト、基本目標別の政策・施策、区政運営の基本方針となっています。
基本構想・基本計画で四つの柱について、考え方や具体的な施策を明確に示すとされていましたが、中野区基本計画(素案たたき台)には四つの柱自体はどこにも示されていません。具体的にどのように示されているのか、伺います。
第3章、重点プロジェクトについては、「組織横断的に対応することが必要な政策課題に対して重点プロジェクトを設定し、基本計画の期間内において重点的に取り組んでいきます」とされています。重点プロジェクトは「組織横断的な施策」という位置付けよりも、中野区が一番力を入れる施策だというものにするべきと考えます。区長が就任当初から基本構想・基本計画に四つの柱の考え方を具体的に示していくと宣言されていたわけですから、柱の考えは重点プロジェクトに示すべきと考えます。
この重点プロジェクトに挙げられているのは、子育て先進区の実現、地域包括ケア体制の実現、活力ある持続可能なまちの実現の三つです。子育て先進区の実現については、四つの柱のうちの一つに関するものであり、理解できます。では、ほかの三つの柱はなぜ重点プロジェクトに位置付けられていないのでしょうか。例えば、四つの柱のうちの一つである「安心して地域で暮らし続けられるまち、中野」については、防災の観点も含めるべきと考えます。防災対策については、水害対策としての河川の整備、避難所となる学校施設や広域避難場所となる大規模公園等の整備、災害情報などの広報、日常からの災害時避難行動要支援者の把握など、これだけ見ても組織横断的に行われる非常に重要な施策です。
近年では、毎年のように発生する風水害への備えや、これまでに経験したことのない災害への備えも必要です。昨年度は2度の大きな台風が発生し、区では水害時の一時避難所を開設しました。先日13日には、福島県沖を震源とする震度6強の地震が発生し、広い範囲で被害が出ています。現在はコロナ禍での複合災害対策も重要な課題です。重点プロジェクトには、むしろ「安心して地域で暮らし続けられるまち、中野」を加えて、区民の命を守る防災対策を明記すべきではないでしょうか。
先日行われた総務委員会では、第2次中野区地域情報化推進計画(基本方針・素案たたき台)が示されました。この中で、未来に向けた中野区の新しい姿をスマートシティ中野と位置付け、テレワークの推進やバーチャル区役所の実現に向けての取組など、組織横断的というより、全庁的な取組とされています。さらには、「区民等が手続や相談のためにわざわざ来庁しなくても済むように、AIを活用した電子手続のワンストップ化や、テレビ会議システムを活用した遠隔相談、ウェブ会議など、ICTを利活用したバーチャル区役所の実現を目指す」と具体的に示されております。ふだん区役所に赴くことが困難な高齢者や障害者の方にも、オンラインによりリアルな窓口業務と同じレベルの対応の実現を目指すのであれば、これは区長が宣言された柱のうち、「区民と向き合う区役所への転換」そのものなのではないでしょうか。
デジタル化の推進というこれだけ全庁的な取組が重点プロジェクトに位置付けられていないことは疑問です。防災対策と同じく、重点プロジェクトには「区民と向き合う区役所への転換」を加え、デジタル化の推進を明記すべきと考えます。重点プロジェクトの位置付けと盛り込む内容は見直していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。伺います。
次に、第4章の基本目標別の政策・施策に示される個別の施策から伺います。
政策3の施策6には「誰もが身近に文化芸術に親しめる環境づくり」とあります。この施策の方向性は「中野らしい歴史・伝統文化の保存、継承及び活用を進め、区民が身近に触れ、感じることができる環境づくりを進めます」とされており、基本計画の前期には「哲学堂公園保存活用計画の策定」が示されています。哲学堂公園は昨年3月に国指定名勝となり、浜離宮や浅草寺と並び、東京都では14番目の名勝となります。名勝は文化財保護法第109条第1項において規定された国指定の文化財の種類の一つです。
私が、一昨年の第4回定例会一般質問において、哲学堂公園及び哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画の見直しがいつ行われるのかと質問したのに対し、「文化財は保存するだけではなく、地域の資産として積極的な活用が求められているところです。国の名勝指定を受け、文化庁と協議し、哲学堂公園全体の価値を高めるために、令和2年度、保存活用計画の検討を開始する考えです」との答弁でした。しかし、哲学堂公園の名勝指定から間もなく1年となりますが、いまだに保存活用計画は策定されておらず、基本計画(素案たたき台)の事業の展開を見ると、前期に保存活用計画の策定とありますが、来年度の新規事業には盛り込まれていません。一方で、まだ区の所有になっていない旧中野刑務所正門については、来年度保存活用計画の予算がつけられています。しかも、こちらは全て一般財源なのに対し、哲学堂公園は国指定名勝であり、4分の3の補助金を見込めるとのことです。
国指定名勝となった哲学堂公園の保存活用計画に予算がついていないのはどのような理由なのでしょうか。計画はいつ策定するおつもりでしょうか。また、策定されるまでの間、どのような保存・活用を行っていくのでしょうか。併せて伺います。
以前の質問では、文化財の防火・防災対策についても伺いました。そのときの答弁は、「国の名勝指定後の文化財的価値を考慮し、さらなる防火対策を検討していきたい」とのことでした。これまでどのような防火・防災対策を検討されてきたのか伺っていませんが、そもそも保存活用計画が策定されなければ策を講じることもできません。今月11日には長野県の国指定登録有形文化財「松籟(しょうらい)荘」が全焼する火災もあったばかりです。
改めて伺います。文化財を守るための防火・防災対策について、区はこれまでどのような検討をし、どういった対策を講じていくおつもりでしょうか。
昨年10月には、独立行政法人国立文化財機構に新たに文化財防災センターが設置されました。この文化財防災センターは、文化財が被害に遭わないようにする減災の取組や、災害時の被災文化財の救援活動の支援を行うことなどを目的としています。
施政方針説明で、区長は「中野らしい歴史・伝統文化の取組として、区民が身近に触れ、感じることができる環境づくりを進めるとともに、文化財保護の観点から旧中野刑務所正門の保存・活用に向けた検討を進めます」とおっしゃいました。国指定名勝の哲学堂公園など、区の文化財を災害から守るためにも文化財防災センターとの連携を取りながら、文化財の災害対策に取り組んではいかがでしょうか。伺います。
以前の一般質問では、文化財保存活用地域計画の策定についても取り上げ、区における文化財保存活用地域計画策定の要否も含め、検討するとの答弁でした。文化財保存活用地域計画についてはどのような検討が行われてきたのでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。
次に、今後の教育環境の変化に対する取り組みについて伺います。
昨年、新型コロナウイルス感染拡大による学校の休校や緊急事態宣言を受け、政府はGIGAスクール構想の早期実現に向けて教育現場のICT化を急速に進めました。GIGAスクール構想では、児童・生徒向けの1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することが求められてきました。端末確保について、中野区は3月までに小・中学校の児童・生徒1人につき1台のタブレット配備が進められているところです。
一方、学校におけるネットワーク環境の整備について、今年度は既存校内LANの更新及び無線アクセスポイントを増設し、校内のネットワークの高速化を図るとされていますが、肝心のインターネットで外とつながるバックボーン回線が細いために、根本的な改善とはならないことが課題です。現在は複数のアクセスが集中した場合などにインターネット接続の遅延など、接続しにくい状況とのことです。ネットワークの改善について、区では来年度、ネットワーク改修計画を立て、再来年度、改修工事を行うとのことですが、小・中学校の児童・生徒に1人1台のタブレットが配備されても、ネットワーク改修工事が実施されるまで1年以上通信環境は現状のままです。
端末の整備を進めると同時に、バックボーン回線改修も早急に進めるべきではないでしょうか。回線速度が改善されない間、学習系ネットワークからのインターネット接続の利用についてはどのような運用をしていくおつもりでしょうか。伺います。
国では、昨年12月に「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」等の改訂が行われ、三層分離の見直しや業務の効率性・利便性向上のための取組など、具体的な施策が挙げられています。当区においても、このガイドラインにのっとったネットワーク環境の見直しが行われる方針と聞いています。一方で、学校の校内LANも庁内系ネットワーク、校務系ネットワーク、学習系ネットワークとそれぞれ分離されており、三層分離構成になっています。GIGAスクール構想の推進により、ICTツールの活用がより求められている中、十分なセキュリティ対策を講じた上で、利便性向上のための見直しは必要と考えます。
庁内ネットワーク環境の見直しを行うのであれば、校内ネットワーク環境も同様に見直しをするべきではないでしょうか。伺います。
GIGAスクール構想の実現により、学校の情報システムにおいては、今後ますます専門性の高い知識、スキルを要した人材が必要になります。特に、子どもたちが利用するICT学習環境の効率性・利便性向上を図るためには、教育委員会に学校の情報セキュリティ対策、ICT環境整備を進める新たな担当を設置し、人材を確保すべきです。このままでは、重点プロジェクトに位置付けられている子育て先進区の実現どころか、他自治体にも大きく遅れを取ることになりかねません。御見解を伺います。
GIGAスクール構想を進める上で、教職員への支援も欠かせません。今年度は、区立学校の臨時休業期間中のオンライン学習や学習系クラウドサービスの導入などもあり、ICT支援員を小・中学校各校に1名ずつ配置するよう募集をかけました。結果的には、各校1名ずつの支援員は確保できず、31名のICT支援員を予定していましたが、実際には半数以下の12名とのことでした。ICT支援員の役割としては、教員のICT活用能力の向上のためとされていますが、実際の学校現場では、初めて使うタブレット端末やツールの基本的な使い方など、教職員指導の下、ICT支援員が児童に直接教えることもあったと聞いています。
ICT支援員は各校を巡回して対応されていたということですが、今年度はこの体制で学校側が求める支援要請への対応は十分にできたのでしょうか。伺います。
来年度は教育委員会事務局にICT支援員4人程度を配置し、要請のある学校に派遣するとのことです。来年度は小学校の低学年も含めて全児童・生徒がタブレット端末を使うことになるため、教職員のみならず、特に低学年の児童への支援依頼ということも想定されるのではないでしょうか。4名の体制でどこまでの支援を担っていく想定なのでしょうか。伺います。
ICT支援員は教育情報コーディネーターやICT支援員能力認定の資格を持つ人を委託すると伺いました。この方々にこれまでの経験やスキルを生かして、例えば授業や家庭学習で使えるICT学習教材や役立つ事例集など、自由に利用可能な教材のアーカイブを区のほうで用意できれば各校への支援にもなると思いますが、いかがでしょうか。伺います。
今年度はGoogle MeetやGoogle Classroomなどを初めて導入したということもあり、保護者から使い方などについての問合せが学校に集中してしまったということもあったそうです。今後、低学年の児童にも対象が広がり、家庭でICT学習などを行うことを考えると、端末操作などについての問合せが増えることも想定されます。家庭からの問合せが各校に集中することがないよう、工夫をする必要があるのではないでしょうか。例えば、教育委員会のほうで一括して問合せを受けられるような窓口を設けてはいかがでしょうか。伺います。
小学校の35人学級についても伺います。先日の子ども文教委員会では、中野区立小中学校施設改築の基本的な考え方(案)について報告がありました。この報告では、令和3年から令和12年までの学校施設改築案と令和13年度以降の学校施設改築案が示され、学校施設改築の基本方針として、「これからの学校教育や社会情勢の変化にも柔軟に対応でき、また、地域における最大の公共施設として良好な施設環境の維持、発展が可能なものとなるよう整備を進めていく」とされています。
政府は昨年12月に、小学校の少人数学級を来年度より段階的に拡充することを決めました。東京都では、既に小学校1年生と2年生が35人学級になっていることから、実質、東京都では令和4年より小学校3年生から少人数学級の拡充が始まります。令和2年度5月時点の児童数を基に計算すると、令和4年から段階的に35人学級が拡充されていく場合、中野区立小学校では、4年間で19クラス分増えることになります。
学校施設改築のスケジュールよりも先に少人数学級の拡充により、使用される教室数が増えることが想定されます。現在でも空き教室は算数の少人数学級などにも利用されていることから、学校現場の対応も必要と考えます。また、教室数が増えることにより、学校によって子どもたちの教育環境に差が生じないよう十分配慮をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。伺います。
35人学級が拡充されていくと、学級数が増える分、教員の確保も必要となります。今後は質の高い教員をどう確保していくかということが全体の課題と考えます。近年では、教員採用試験の倍率も低迷しており、都から配属された教員をいかに育てていくかということは大事な課題ではないでしょうか。
35人学級を見据え、中野区立学校での教員研修はさらに充実させていく必要があると考えます。教職員の質の確保に向けて、区としてどのような取組をしていくお考えか伺って、この項の質問を終わります。
次に、災害時の在宅避難について伺います。
近年の自然災害は、これまでに経験したことのない災害が数多く発生しています。この項では、災害対策のうち在宅避難に絞って伺っていきます。
現在、新型コロナウイルス感染症が流行している状況において、災害時の避難所運営は、密を避けるため、避難所での1人当たりの面積を増やすことにより、受入れ人数は限られてきます。特に区民34万人を抱える中野区においては、必然的に、避難所に避難する人より在宅避難となる方のほうが圧倒的に多くなります。在宅避難の課題として考えられるものは、例えば、デジタルデバイスを持っていない高齢者など、最新情報の入手が困難となる可能性があります。また、過去の大震災では、在宅避難している方が避難所の食料などの支援物資を受け取ることができないと思い込み、過酷な避難生活を送っていたケースもあります。
在宅での避難生活を乗り越えていくには、区民一人ひとりが日頃から食料品や生活必需品を備えておくことが必要ですが、それでも支援を必要とする方は一定程度いることは想定されます。そういった方々への災害時の情報伝達について、例えば、災害により通信インフラ等が寸断され、区からタイムリーな情報を伝達することができない場合を想定すると、「ここに行けば情報を得られる」「避難所に避難した方に限らず、在宅避難の方もここに行けば支援物資を受け取ることができる」というような内容を平時から区民に伝えておく必要があると思います。
埼玉県では、大地震発生時、自宅に避難する場合に役立つグッズの使い方をまとめた「防災マニュアルブック~自宅サバイバル編~」を昨年作成しています。当区では、中野区地域防災計画(第42次修正)案が今定例会で示される予定となっておりますが、在宅避難への備えや、どんな支援物資をどこで受け取れるかというような内容を防災ハンドブック等にまとめて掲載するようにしてはいかがでしょうか。伺います。
三鷹市では、被災後も自宅で生活する在宅避難者に対して、生活に必要な資機材を配備した施設で、地域の共助の取組の拠点として「災害時在宅生活支援施設」を整備しています。この施設は主に仮設トイレ等が設置できる公園などが指定されており、災害時には、仮設トイレ設置や炊き出しの実施、救援物資等の配給が行われるとのことです。平時の管理・点検等は市が行うとされ、災害時には、そのエリア内の町会・自治会等の地域住民が運営を行うとされています。
在宅避難者への支援の在り方の一つとして、今後、当区においても災害時にこうした施設の設置を検討してはいかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。
最後に、口腔ケアについて伺います。
口腔内細菌と内科疾患との関連性、そしゃくの機能と老化・認知症との関連性など、口腔環境が高齢者の全身の健康と密接に関連していることが、近年明らかになってきました。口腔ケアは、単に歯や歯茎のためだけではなく、生活援助に加えて全身疾患の予防など、生命の維持・増進に直結したケアでもあります。
1月26日、閉会中の地域包括ケア推進調査特別委員会にて、「中野区高齢者保健福祉計画・第8期介護保険事業計画」(案)についての報告がありました。「オーラルフレイル予防について、一部計画案に反映されること」が示され、総合的な介護予防・生活支援の推進には「口腔機能の衰えは、筋力等の身体機能の低下より先に訪れます」と加筆されています。
オーラルフレイルとは、僅かなむせ、食べこぼし、発音がはっきりしない、かめない物の増加などのささいな口腔機能の低下から始まる心身の機能低下につながる口腔機能の虚弱な状態のことです。オーラルフレイルを放置すると、様々なリスクがあると言われていることから、オーラルフレイル予防を推進している自治体もあります。
口腔機能の衰えの進行を未然に防ぐために、オーラルフレイル予防についてどのような取組を進めていくのか、区のお考えを伺います。
「歯の健康と口腔ケア」に関する計画を多くの自治体が示し、条例が施行されている自治体も多く見受けられます。当区においても、高齢者を対象とした口腔ケアに関する普及啓発事業を推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、中野区における「歯と口腔の健康計画」はどうなっているのか、伺います。
現在、全国的に歯科衛生士不足が叫ばれています。中野区においても、昨年度末に常勤の歯科衛生士が退職し、現在は6名の会計年度任用職員が業務を担っています。しかし、区の重要課題として体系的に口腔ケアを推進するためには、一定のスキルを持った常勤の歯科衛生士が必要ではないかと考えます。御見解を伺います。
最後に、災害時の口腔ケアグッズの備蓄と口腔ケアグッズ携行の普及推進について伺います。
震災後、避難所等で肺炎や脳梗塞が急増していたとのデータがあります。災害時は水や口腔ケア用品の不足により、口腔内をきれいに保てなくなり、肺炎などが急増した原因の一つには、口の中のばい菌が繁殖しやすくなったためとも言われています。災害備蓄に口腔ケアグッズについてはどうなっているのでしょうか。また、災害時、家庭での災害備蓄にも口腔ケアグッズを加えることの普及啓発や、入れ歯を避難する際に忘れることのないように啓発することも大事であると考えます。
災害時の口腔ケアグッズの配備について、区のお考えを伺い、以上で私の全ての質問を終わります。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 日野議員の御質問にお答えいたします。
初めに、中野区基本計画について、四つの柱と基本計画の関係についてでございます。基本計画(素案たたき台)におきましては、四つの柱を踏まえ、重点プロジェクトとして、子育て先進区の実現、地域包括ケア体制の実現、活力ある持続可能なまちの実現の三つを設定するとともに、区政運営の基本方針の冒頭に、対話・参加・協働に基づく区政運営を掲げているところでございます。再編等を行ったという結果でございます。
次に、重点プロジェクトへの防災施策の追加についての御質問です。基本計画における重点プロジェクトは、今後の社会状況の変化等を踏まえ、組織横断的かつ重点的に取り組んでいく観点から、三つに絞り込んで設定したものでございます。防災施策につきましては、区民の関心も高く、都市基盤の面にも課題があり、近年の大規模災害の発生からも、その重要性については十分認識をしているところでございまして、昨年度より一層の防災・減災対策を進めていくために、中野区国土強靱化地域計画も作成したところでございます。基本計画におきましても、区を取り巻く社会状況等の変化において課題認識を述べるとともに、災害対策に関わる二つの施策を設定する形で位置付け、着実に対策を進めていく考えでございます。
次に、重点プロジェクトへのデジタル化の追加についてでございます。デジタル化の推進については、素案たたき台の区を取り巻く社会状況等の変化において課題認識を述べるとともに、区政運営の基本方針において、デジタルシフトによる行政サービスの質と生産性の向上として位置付けているところでございます。社会全体におけるICTの浸透や、新型コロナウイルスの影響による生活様式の変化からも、行政のデジタルシフトをより一層加速していく必要があると認識しておりまして、基本計画と同時期に中野区地域情報化推進計画の策定を予定しております。同計画に基づいて取組を推進していく考えでございます。
重点プロジェクトの記載内容につきましては、素案の作成に向けて常任委員会の質疑等を踏まえ、現在検討を行っているところでございます。
続きまして、哲学堂公園の保存活用計画についてでございます。哲学堂公園の保存活用計画の策定に向けて、国庫補助金の申請書の作成など準備を進めてきたところでございますが、財政状況を踏まえ、来年度予算への計上は見送りとなりました。今後の計画策定に向け、引き続き準備をしてまいります。計画策定までの間は、災害復旧等の緊急性のある整備以外は行うことができないため、軽微な現状変更について、文化庁、東京都教育委員会と都度協議の上、現状変更許可を得ながら行ってまいります。
次に、文化財保存活用地域計画についてでございます。区域全体を対象とする文化財保存活用地域計画につきましては、都道府県が策定する文化財保存活用大綱、こちらを勘案しながら策定されるものでございます。そのため、今後策定される予定の東京都の大綱を踏まえ、哲学堂公園保存活用計画など個別の文化財保存活用計画との位置付けとも合わせながら、計画策定の要否も含め引き続き検討してまいります。
哲学堂公園の防火・防災対策についてでございます。哲学堂公園の防火対策として、現在は指定管理者による日中の巡回と、夜間の機械警備による24時間監視を行っているほか、年1回、消防署の指導の下に自衛消防訓練を実施しております。国の名勝指定を踏まえて、文化財的価値を損なわない範囲での防火設備の機能向上のための改修や、警備会社による常時監視などについて、今後策定予定の文化財保存活用計画の中で検討してまいります。
最後に、文化財防災センターとの連携についてでございます。昨今頻発する自然災害のみならず、火災においても貴重な文化財が損なわれ、また失われてしまう事例が後を絶ちません。文化財防災センターは、災害発生時に文化財を守るための活動を行う機関であることから、区内の貴重な文化財を守るため、東京都を通じて連携を図り、様々な知見を得てまいりたいと考えております。
〔教育長入野貴美子登壇〕
○教育長(入野貴美子) 私からは、今後の教育環境の変化に対する取り組みについての御質問のうち、初めに、GIGAスクール構想の実現に伴う環境整備についてお答えいたします。
学習系ネットワークの運用方法についてですが、1人1台の端末整備に備えて、今年度は校内のネットワーク回線の工事とアクセスポイントを増設いたしました。学校からインターネットに接続する回線は、一旦、区役所のデータセンターで集約してから外部へ接続しているため、すぐに増強することは困難であり、インターネットに接続する環境整備については来年度検討し、その後、工事を予定しております。
整備までの間は、通信のデータ量や速度に制限を受けることになり、インターネットへの接続では、オンラインミーティングのように常時双方向のデータが流れるような場合に動きが悪くなる場合がございます。学校には、双方向ではない使い方や使用する時間帯の工夫についてお願いすることや、クラウドへ保存したデータを視聴することなどをお願いしております。
校内ネットワークの見直しについてです。校内のネットワークは、主に教職員が児童・生徒の成績等を扱う業務で使用する校務系ネットワークと、児童・生徒と教職員が授業等で使用する学習系ネットワークと二つございます。学習系ネットワークは現在、区の統合ネットワークの一部を活用してインターネットに接続しているため、今後改善を図ってまいります。一方、校務系ネットワークは児童・生徒の成績等を扱うため、セキュリティ強化の観点からインターネットから分離しております。一方、校務事務には外部とのデータの送受信などもあることから、個人情報以外の情報が送受信できるようにネットワーク環境を見直していく予定でございます。
次に、ICT学習支援員の配置の効果についてでございます。今年度は学校が臨時休業した際の児童・生徒の家庭でのオンライン学習を支援するために、ICT学習支援員を12名採用し、1人の支援員に複数校を巡回してもらうなどの対応を行ったところでございます。ICT学習支援員の役割としては、オンライン授業に用いる機器、アプリの設定や調査、動画作成等の支援が主なものでございました。昨年夏休みに入る前に実施した各校の取組状況の調査等では、小・中学校全校においてオンライン等の授業を進める準備ができている状況を確認しているところでございます。
次に、次年度のICT支援員の配置についてです。次年度は区内を四つのブロックに分けて、各ブロックの拠点校にICT支援員が1人ずつ常駐し、ブロック内の小・中学校を巡回することにしております。ICT支援員は児童・生徒及び教員の機器の操作方法や活用支援はもとより、教職員に対するインターネットを活用した教育活動の提案や、他市区の事例等の情報提供などを行ってまいります。ICT支援員の配置のほかに端末機器の操作方法の紹介や、不具合が発生した場合の対応としてヘルプデスクを設置することにしております。各校を巡回し、効果的な授業の進め方などの支援や取組状況について助言をしている教育情報化専門員と4名のICT支援員とが情報を共有するなど、支援の質の向上、均一化を図ってまいります。
ICT支援員の活用ですが、現在、各校が授業のために作成した動画やICT研究指定校の研究成果などは、区全体で共有できるようになっているところでございます。今後はさらに様々な教育活動の成果のデジタル化を進め、教材の共有化を進めてまいります。
次に、家庭からの問合せ対応についてです。児童・生徒への1人1台端末を配布する際には、保護者向けのマニュアルを用意し、保護者会などで丁寧に説明したいと考えております。臨時休業時の対応と異なり、端末の基本的な操作については学校で児童・生徒に指導し、操作方法を習得した上で家庭で使うようにすることが基本であると考えております。家庭で使用している際の機器の不具合などの問合せについては、学校を通してヘルプデスクやICT支援員につなげることを想定しております。教育委員会で窓口を一元化するよりも機動的な対応ができると考えております。
次に、小学校の35人学級についての御質問にお答えします。学校施設における小学校35人学級への対応ですが、小学校35人学級の運用により、新たに必要となる普通教室については、各学校と協議の上で、現在は別の用途で使用している空き教室等を活用しながら整備していく予定でございます。どの学校においても良好な教育環境が十分に確保できるよう、各学校と協議しながら、学校施設の改修等を計画的に進めていきたいと考えております。
最後に、35人学級も見据えた教員の質の確保に向けた取組についてです。教員の育成を図るには、特に初任者から3年未満の若手教員への指導が重要と考えております。研修担当の退職校長を学校に派遣して個別に指導するなど、教員個々の状況に合わせて丁寧な育成を図ってきたところでございます。35人学級の一人ひとりの子どもに教員の目が届きやすくなるという利点を十分に生かしていくためには、子ども一人ひとりの学習状況を把握し、それぞれに応じた指導を行っていく力が一層求められます。1人1台端末を活用して個別学習を支援したり、それを学級全体で共有しながら学びを深めたりする指導力が身につけられるよう、本区の実態に合った具体的・実践的な研修を充実し、これからの時代を担う教員の資質能力向上をさせてまいります。
〔総務部長海老沢憲一登壇〕
○総務部長(海老沢憲一) 私からは、GIGAスクール構想の実現に伴う環境整備についての中で、教育ICTを推進する担当の設置と人材の確保についてお答えいたします。
これまで学校におけるICTの推進につきましては、学校教育課の学校経営支援係の職員と会計年度任用職員の教育情報化推進員が中心となって進めてきたところでございます。これに加えまして、来年度の組織改正により、学校教育課に教育情報システムを所掌する担当係長を新たに設置するほか、職員定数を1名増員する予定でございます。
基本的には、そうした組織・定数の中で対応していく考えでございますが、さらなる体制の強化が必要な場合には、情報システム課の職員に兼務発令を行い、スキルの高い職員を活用するということも検討していきたいと考えております。
〔危機管理担当部長滝瀬裕之登壇〕
○危機管理担当部長(滝瀬裕之) 私からは、在宅避難の取り組みについて。まず、在宅避難への備えや支援物資についてお答えを申し上げます。
現在、在宅避難などに備え、自宅で備えていただく備蓄品や、ふだんから多めに食品など買っておき、使ったら使った分だけ買い足し、常に食品など備蓄する方法を「中野区民防災ハンドブック」に掲載し、普及啓発を行っているところでございます。
一方、在宅避難者に対する支援物資の配布場所や受け取り方法は、中野区地域防災計画や避難所運営管理マニュアルに記載しているところではございますが、「中野区民防災ハンドブック」には記載がなく、広く区民が目にする媒体での周知が必要であると認識してございます。今後は「中野区民防災ハンドブック」をはじめ、中野区ハザードマップやホームページ等を通じて、自宅で備えていただく備蓄品などと併せて掲載するなど、区民に分かりやすい周知方法を検討してまいります。
続きまして、災害時在宅生活支援施設の設置についてでございます。中野区では、避難所が災害時在宅生活支援施設の役割を担っており、その運営は地域防災会、施設管理者や区が組織する避難所運営委員会が総力を挙げて行うこととなります。新たに災害時在宅生活支援施設を設置することにつきましては、現行の避難所機能を分散することとなり、避難所の運営体制の確保など様々な課題が生じることから、今後、地域防災会の意見や他自治体の取組などを踏まえ研究してまいります。
最後になりますが、口腔ケアについてのうち、災害時の口腔ケアについて、口腔ケアグッズについてお答え申し上げます。現在、区は紙おむつやタオルなど一部の生活用品を災害備蓄として配備しているものの、歯ブラシや歯磨き粉など、口腔ケアグッズについては未配備であることから、協定団体である歯科医師会の意見や、他自治体の取組などを踏まえ、備蓄の充実について検討していきたいと考えております。
また、家庭内での備蓄につきましては、「中野区民防災ハンドブック」に必要な生活用品として歯ブラシなどを掲載し、普及啓発を進めているところではございますが、今後ホームページやハザードマップなど様々な媒体を活用し、一層の周知に努めていきたいと考えております。
〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕
○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、口腔ケアについての御質問にお答えいたします。
まず、オーラルフレイル予防の取組でございます。区では介護予防・日常生活支援総合事業、いわゆる総合事業の中の短期集中予防サービス事業として実施している「なかの元気アップセミナー」におきまして、口腔機能改善をテーマとして健康寿命の延伸を図るコースを開催しております。また、一般の高齢者を対象として、高齢者会館等でも口腔ケアを取り上げたプログラムを実施しております。口腔ケアは運動、栄養などとともに介護予防の基本であると考えておりまして、今後ともこうした取組を推進してまいります。
次に、口腔ケアの普及啓発と区の計画についてでございます。区では歯と口の健康や、かむ力、飲み込む力について分かりやすく記載したリーフレットを作成して配布しております。また、すこやか福祉センターが区民の求めに応じて地域で実施する健康出前講座で口腔ケアを取り上げるなど、普及啓発に努めているところでございます。
一方、在宅療養している方や、かむ力や飲み込む力が衰えてしまった方を対象として、スマイル歯科診療所内に設置した在宅療養(摂食・えん下機能)支援センターにおきまして歯科衛生士が相談を受けるほか、必要に応じて歯科医師が訪問して口腔機能チェックなども行っているところでございます。歯と口腔に特化した計画はございませんが、現在策定中のスポーツ・健康づくり推進計画におきまして、子どもから高齢者まで、各ライフステージに合わせた口腔ケアを含む食育の推進と食生活の支援について取り上げる予定でございます。
最後に、常勤の歯科衛生士の必要性についてでございます。現在、区では6名の会計年度任用職員をすこやか福祉センターに配置して、歯科衛生士としての知見を生かしながら、講習会や相談業務などの啓発事業を通じた口腔ケアの推進に取り組んでいるところでございます。今後の職員体制につきましては、現在の取組の成果を検証した上で、さらに充実することが必要かどうか検討したいと考えております。
○議長(高橋かずちか) 以上で日野たかし議員の質問は終わります。
お諮りいたします。
議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
本日はこれをもって延会いたします。
午後4時58分延会
会議録署名員 議 長 高橋 かずちか
議 員 加藤 たくま
議 員 浦野 さとみ