1.令和3年(2021年)3月2日、中野区議会第一・第二委員会室において開会された。
1.出席委員(42名)
1番 市 川 しんたろう 2番 竹 村 あきひろ
3番 日 野 たかし 4番 渡 辺 たけし
5番 間 ひとみ 6番 河 合 り な
7番 斉 藤 ゆ り 8番 立 石 り お
9番 羽 鳥 だいすけ 10番 高 橋 かずちか
11番 加 藤 たくま 12番 吉 田 康一郎
13番 木 村 広 一 14番 甲 田 ゆり子
15番 内 野 大三郎 16番 杉 山 司
17番 ひやま 隆 18番 小宮山 たかし
19番 い さ 哲 郎 20番 小 杉 一 男
21番 若 林 しげお 22番 内 川 和 久
23番 いでい 良 輔 24番 小 林 ぜんいち
25番 白 井 ひでふみ 26番 いながき じゅん子
27番 山 本 たかし 28番 中 村 延 子
29番 石 坂 わたる 30番 近 藤 さえ子
31番 浦 野 さとみ 32番 大 内 しんご
33番 伊 藤 正 信 34番 高 橋 ちあき
35番 平 山 英 明 36番 南 かつひこ
37番 久 保 り か 38番 森 たかゆき
39番 酒 井 たくや 40番 むとう 有 子
41番 長 沢 和 彦 42番 来 住 和 行
1.欠席委員
な し
1.出席説明員
中野区長 酒井 直人
副区長 白土 純
副区長 横山 克人
教育長 入野 貴美子
企画部長 高橋 昭彦
企画課長(企画部参事事務取扱) 石井 大輔
情報システム課長(企画部参事事務取扱) 平田 祐子
基本構想担当課長 永見 英光
財政課長 森 克久
広聴・広報課長 高村 和哉
業務改善課長、ユニバーサルデザイン推進担当課長 藤永 益次
総務部長 海老沢 憲一
危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝瀬 裕之
総務課長、特別定額給付金担当課長 浅川 靖
職員課長、人材育成担当課長 中谷 博
経理課長 吉沢 健一
危機管理課長、新区役所整備課長 中村 洋
区民部長 青山 敬一郎
文化国際交流担当課長 矢澤 岳
戸籍住民課長 伊藤 正秀
税務課長 矢島 久美子
保険医療課長 伊藤 廣昭
産業観光課長 堀越 恵美子
子ども教育部長、教育委員会事務局次長 戸辺 眞
子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小田 史子
保育園・幼稚園課長、保育施設利用調整担当課長 渡邊 健治
指導室長 宮崎 宏明
地域支えあい推進部長 鳥井 文哉
地域包括ケア推進担当部長 藤井 多希子
地域保健福祉調整担当課長、中部すこやか福祉センター所長、中部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 高橋 均
介護・高齢者支援課長、高齢者支援担当課長 葉山 義彦
健康福祉部長 岩浅 英樹
保健所長、地域医療連携担当課長事務取扱 向山 晴子
障害福祉課長 菅野 多身子
生活援護課長、生活保護担当課長 中村 誠
保健予防課長 松原 弘宜
新型コロナウイルスワクチン接種担当課長 瀬谷 泰祐
環境部長 朝井 めぐみ
環境課長 波多江 貴代美
都市基盤部長 奈良 浩二
都市計画課長 安田 道孝
公園緑地課長 林 健
建築課長 小山内 秀樹
住宅課長 池内 明日香
まちづくり推進部長 角 秀行
中野駅周辺まちづくり担当部長 豊川 士朗
中野駅新北口駅前エリア担当課長 小幡 一隆
中野駅周辺地区担当課長、中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 石橋 一彦
1.本会の書記は下記のとおりである。
事務局長 長﨑 武史
事務局次長 小堺 充
議事調査担当係長 鳥居 誠
書 記 立川 衛
書 記 若見 元彦
書 記 野村 理志
書 記 鎌形 聡美
書 記 松丸 晃大
書 記 細井 翔太
書 記 有明 健人
書 記 五十嵐 一生
書 記 髙橋 万里
書 記 本多 正篤
1.委員長署名
午前10時00分開議
○山本委員長 定足数に達しましたので、ただいまから予算特別委員会を開会します。
第6号議案から第10号議案までの計5件を一括して議題に供します。
初めに、委員会運営について御相談したいことがございますので、委員会を一旦休憩し理事会を開きたいと思います。
委員会を休憩します。
午前10時00分休憩
午前10時04分開議
○山本委員長 委員会を再開いたします。
昨日と先ほど開かれたの理事会の報告をします。
初めに、本日の委員会運営についてですが、総括質疑4日目は、1番目に市川しんたろう委員、2番目にむとう有子委員、3番目に近藤さえ子委員、4番目にいながきじゅん子委員、5番目に石坂わたる委員、6番目に小宮山たかし委員、7番目に竹村あきひろ委員、8番目に立石りお委員、9番目に吉田康一郎委員の順で9名の総括質疑を行うことを確認しました。
また、本日は総括質疑最終日でもあり、午後5時を過ぎる場合でも質疑を続行し、委員長判断で適宜休憩を入れるということを確認しました。
次に、要求資料の区民3について、内容に誤りがあったため訂正した旨、理事者から申出があり、これを了承しました。
正誤表をアップロードするとともに、訂正のあった要求資料のデータを差し替え、タブレット型携帯端末等で閲覧できるようにしてありますので、御確認ください。
以上が理事会報告ですが、質疑はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議ありませんので、そのように決定いたします。
ただいまから総括質疑を行います。答弁される理事者は答弁前に大きな声で職名を述べるようお願いをいたします。
それでは、質疑に入ります。市川しんたろう委員、質疑をどうぞ。
○市川委員 皆さん、おはようございます。本日総括質疑最終日でございますので、皆さんどうぞよろしくお願いします。
令和3年第1回定例会に当たり自由民主党議員団の立場から総括質疑を行わせていただきますので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
早速質問に入らせていただきます。質問は通告どおりなんですが、諸般の事情でちょっとはしょっているところもありますので、どうぞ理事者の皆様、御協力よろしくお願いいたします。
まず初めに、区役所新庁舎に向けたICT環境整備についてお伺いいたします。
昨年、我が会派で渋谷区本庁舎に視察へ行ってまいりましたが、ICT関係が非常に充実しており、中野区と渋谷区は隣り合わせの区であるにもかかわらず、渋谷区の先進的な環境整備の在り方は多くの参考にすべき点があると印象を受けました。環境整備が職員の働きやすさ、生産性を効率的に上げていくことにつながっていくところも考えるところです。つまり新庁舎移転は、業務改善を行う最大のチャンスであり、数十年に一度の機会と捉え、この機会を逃してはならないと考えるところです。
初めに、お伺いをいたしますが、スケジュール的にも新庁舎への移転は令和6年度で、3年後になります。今後のシステム構築、またシステムの精査、検証等に試行テストが必要だと思いますが、現在検討段階にあるスケジュールについてお示しをください。
〇平田情報システム課長 新庁舎のICT整備のスケジュールでございますが、来庁者の利便性向上のための窓口サービス、AIなどの活用による事務効率化、庁内情報システムの無線化などの検討を進めているところでございます。
構築スケジュールにつきましては、現在策定中でございますが、来年度中には整理をし、地域情報化推進計画のアクションプランに盛り込む予定でございます。また、令和5年度中にはできるように進めたいと考えているところでございます。
○市川委員 コロナ禍の状況ではありますが、区民サービスの根幹となる新庁舎の整備は大変重要であり、移転に向けた検討についても、現状より一層加速化させて推進させていただくべきと、そういうふうに考えています。
国は、2020年5月に「自治体情報セキュリティ対策の見直しについて」を公表し、同年12月に地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを改定することにより、三層の対策、こちらを見直すことになりました。つまり事務効率を向上させていけよと、そういったメッセージだったと思っています。中野区もそれを受けて三層分離の仕組みについて見直しを行い、情報安全と利便性の両立に向けた検討を行うこととしています。
現状では、職員がインターネットを閲覧するために数分かかって、業務に必要な情報を検索するにも手間取って、区民からの問合せにも迅速に対応できないと聞いているところでもあります。テレビ会議を行う際にも、多くの資料を相手方とスムーズに共有することも難しいと、そういった話も聞こえてくるわけです。区民サービスにも影響を与えていることから分かるように、まずは職員の働き方に直結するネットワーク環境の改善を早急に図る必要があると考えています。
そこで伺いますが、今後の新庁舎に向けて具体的にどのようなネットワーク環境を構築していくのかを伺います。
また、残された時間は極めて短いことから、新庁舎移転を待つのではなく、現庁舎から取り入れるべき業務改善だと思うんですが、そちらも併せて伺います。
そして、その三層分離、それの完了時期を明確にお示しください。
〇平田情報システム課長 ネットワーク環境でございますが、昨年12月末に国から新たな地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインが示されてございます。今後、同ガイドラインを参考としまして、情報安全と利便性の両立ができるよう見直しをする考えでございます。
また、三層分離を含む統合ネットワークの再構築につきましては、令和4年度から令和5年度を予定しておりまして、新庁舎を目途として進める予定でございます。
再構築に当たりましては、現庁舎で実施可能な内容がございましたら、費用対効果を見つつ取り入れることも検討してまいりたいと考えてございます。
○市川委員 先ほど庁舎移転の前に現庁舎でも検証する必要がある。今、お話の中にもあったんですけども、現庁舎では職員が日々使用しているシステムの改善と新庁舎で新たなICT環境の構築というのは同時進行で行われていくべきだと、それは御担当の方も多分御認識あると思います。
まず、職員が日常的に使用している現庁舎での環境についてなんですけども、財務会計、文書管理、勤怠管理等の内部情報システムは画面展開が非常に遅くて、直感的な操作が難しいなど、リプレース以前のシステムよりも使いづらく、非効率的であると、そういったお話を非常に多く聞いているところです。また、改善をしてほしいとの意見や、要望を申し入れても何の対応もされていない、こういった声も聞こえてくるんですね。日々懸命に区民のために働いている職員、そういった方たちのためにしっかり確認をしていただきたいと思います。そして、現システムの使い勝手をしっかり検証していってほしいと思います。
今後、スピーディかつ容易な操作性を有する内部情報システムの導入が必要ではないかと思います。加えて、職員が使用しているワープロや表計算、プレゼン資料作成といった標準的ソフトや、メール機能等のグループウエアシステムについても、コストを節減して、非効率で汎用性の低いシステムになったのでは、結果として全職員が非効率的な業務を行うことになって、それにかかる時間も経費も非常に大きな損失を与えるんではないかと思います。ぜひ使用者にストレスなく効率的に仕事ができる機能や汎用性を優先したソフト、システムを導入していく必要があると考えます。
そこで伺いますが、そういった取組を結果的に区民サービスの向上、充実につなげていくためにどのように改善を図っていくのか、検討しているのか。また、その検討内容もお示しください。
〇平田情報システム課長 職員が日常的に使用するメールやグループウエアなどのオフィスソフトにつきましては、業務効率の観点から使いやすさが最も重要だと考えているところでございます。
新庁舎整備に向けたグループウエア等のコミュニケーションツールの導入検討の中では、職員の意見も聞きながら、最善のものを導入していきたいと考えているところでございます。
○市川委員 これ、今非常に重要なことなんですよ。これは今、職員も、今日は総括質疑、区民のためにやっているわけですけども、後ろで職員も皆さん聞いています。本当にこれはやる気があるのかどうか、平田課長、どうなのかというところを皆さん気にしていると思いますので、今お話ししていただいたようなことをしっかり守っていただく、それはぜひよろしくお願いいたします。
加えて、先ほど視察に伺ったと申し上げた渋谷区では、当たり前のように、職員が無線LANの環境の中で、モバイルPCを持ち歩き、場所を選ばない働き方を実践し、チャット機能やウェブ会議など多様なコミュニケーションツールを使用して業務を行っておりました。
中野区でも、新庁舎移転までこうした環境を整備し活用することは、職員の業務の効率化、生産性向上のために必須であると考えています。これらは職員の働き方を大きく変えるものであり、できるだけ早く、新庁舎移転前から試行導入した方がいいと思いますが、検討状況はいかがでしょうか。
〇平田情報システム課長 現在の庁舎に無線LANを整備するためには、多大な工事費用がかかるということから難しいと考えておりますが、一部チャットなどのツールにつきましては、テレワークの仕組みと同時の整備を予定しているところでございます。来年度中から導入したいと考えております。
○市川委員 ぜひ検討を進めていただきたいと思います。
最後に、ちょっと通告はしてないんですけども、ちょっとお伺いしたいんですけど。第4回定例会、前回の定例会の中で、我が会派の加藤たくま議員から、テレワークの推進、ICT整備についてお伺いをさせていただきました。この際には、ハードは総務部、ソフトは業務改善課、そういった部をまたいでやっていると、そういったところがあって、今後一体となって推進していくという話があったと思うんです。これについては、今そういう一体的な取組が行われているのかどうかというのはいかがでしょうか。
〇平田情報システム課長 組織的には別々の組織ではございますが、推進に当たりましては、十分情報交換をしながら進めたいと考えているところでございます。
また、来年度には、検討のための体制整備もしたいと考えているところでございます。
○市川委員 ぜひ、連携していただくのも重要だと思うんですが、本当に今先ほど話があったように意見交換、そしてグリップという言い方がいいか分かりませんけども、しっかり責任の所在もはっきりさせていただきたいと思いますので、これは要望とさせていただきます。
次に、職員の働き方についてお伺いいたします。
職員の働き方についても、大きな転換期を迎えております。それはコロナ禍におけるリモートワーク、在宅勤務の普及である。しかし、なかなか自治体におけるリモートワークは進展していないのが現状です。
今システムの質問をした際にも申し上げたとおり、その要因の一つは、自宅からPCを使って役所の庁内ネットワークにアクセスができない、そういったところなのかなと思っています。これは今後、新型コロナウイルスが終息を迎えた後にも、新たな感染症の出現、災害時等の緊急事態における業務継続性の確保を得ると、そういった観点から、今後の職員の働き方を検討していく中で大きな障害であると考えています。今後、システムの改善が図られれば、必要な職員数も大きく変わってくるんではないかなと思っています。
そこで、初めに伺いますが、我が会派のいでい議員の一般質問の中で、政策の棚卸し、事業の最適化という質問をさせていただきました。この観点は非常に必要で、選択と集中により取り組むべき課題を見つけられると、そういうふうに考えています。今後、業務の効率化が図られたという前提で、適正な職員数を検討すべきかと思いますが、担当課の見解はいかがでしょうか。
○中谷職員課長 区政構造改革の検討を進めていく中で、ICTの活用や業務の委託化の推進など、事業の執行方法の見直しや事業の廃止、縮小などの職員定数の削減につながるような取組を十分検討するとともに、新たな行政需要を十分精査し、その上で必要な職員定数を見定める必要があるというふうに考えてございます。
○市川委員 そこで検討された人数、仮に現在の2,000人体制、2,000人という数字よりもし低かった場合はどのように整合させていくのか、教えてください。
○中谷職員課長 2,000人よりも少ない場合には、職員定数条例の改正は不要となりますが、現在、人事構想の中で定めている定数計画に変更が生じる内容であれば、新たな職員定数管理計画として定めていく必要があるというふうに考えてございます。
○市川委員 そういう短期的なビジョンの作成と同時に、中長期的に職員の数を管理というか、確認をしていかなきゃいけないんだろうなと思います。
新卒職員の採用方法などで、今後の職員の世代間の数の平準化を図っていく、これは現在も課題となっていて、これまでも多々検討されてきました。その課題解決と並行して、将来の適正な職員定数を検討していくことで、先ほど御答弁いただいた検討結果を実現可能なものにしていくということができるんだと思いますが、御担当の考えはいかがですか。
○中谷職員課長 将来の職員定数を検討していく中で、職員の年齢構成の偏りを解消するために、経験者採用の比率を高めることや、新規採用者数を一定数に抑制することが必要と考えてございます。そうしたことを具体的にシミュレーションすることで、実現可能な職員定数を計画していきたいというふうに考えてございます。
○市川委員 そこで、もう一つ考えなきゃいけないのは、職員の数と一緒に人件費というものをどうやって考えていくのかなということだと思います。人件費が今後肥大化していくことは防ぐことも併せて対策する。そこで今後、テレワーク、在宅勤務を推進するのであれば、在宅ワークの際になかなか思ったような成果が得られず、役所に出勤した際に処理し切れなかった業務を行って、超過勤務になって、それが人件費を増大させる、そういう事があってならないんだと思っています。
そこで大事なのは、職員の評価、何をもって成果とするのかをシステムの改修と同時に策定していくべきと考えています。これはいかがでしょうか。
併せて聞きたいのは、そこで勤務状況の管理監督ができ、しっかり成果物をチェックしていく、このことが重要だと思うんですが、その辺についてはいかがでしょうか。
○中谷職員課長 職員の評価につきましては、個々の職員が1年間の業務の目標を年度当初に個人目標として定め、その達成状況により業績評価を行うとともに、能力態度評価を併せて行うことにつきましては、テレワークを行う場合も変わりはございません。
勤務状況の管理監督や成果物のチェックにつきましては、在宅勤務時に1日ごとに作成する復命書の内容や、在宅勤務中に作成した資料などの成果物を確認することで実施してまいりますが、ICTを活用したテレワークを本格的に実施する際には、情報システムを活用した手法についても検討するなど、勤務状況や業務の成果をしっかりと確認できる仕組みとすることが必要と考えてございます。
また、テレワークの実施に当たりましては、かえって業務効率が下がるようなことがないように、事前に対象業務の内容を十分確認した上で所属長が承認するなど、各管理職がしっかりと管理をしていく必要があるというふうに考えてございます。
○市川委員 そういった、今おっしゃっていただいた取組をしっかり検討して実行していくことが、区長のおっしゃっておられる無駄、むら、そういったものをなくし、それが組織の再編、ひいては構造改革、そういうものにつながるんではないかなと思っているんですけども、職員課から見ていかがでしょうか。
○中谷職員課長 区政構造改革の検討を進めていく中で、無駄やむらをなくすような事業の見直しや改善も進め、それにより必要となる職員体制や組織を見極めることができるように、具体的な取組の検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○市川委員 今後の職員数については、この項の冒頭で申し上げたように、しっかり政策の棚卸し、事業の最適化を行い、今後、事業の計画段階から、この事業に何人必要でどういった業務が必要なのか、しっかり効果的に図られていくことを期待したいと思いますので、よろしくお願いします。
要望させていただいて、この項の質問は終わります。
次に、アフターコロナを見据えた区の観光政策についてお伺いをいたします。
昨年の第3回定例会の総括質疑の中で、マイクロツーリズムについてお伺いをさせていただきました。その中で、新型コロナウイルスの影響下では、これまでのように来街者の増加を見込んだ政策を取り組んでもしばらく効果は出ない。そうだろう、では、どのような観光の形があるのか。それは日常型の観光、つまり地域の住民が地域の魅力をしっかり理解し、中野の魅力を中野区民が再発見していくこと、地域内で日常を過ごしていただくことによって、これまで区の外に向けられていた消費が区の内側に向けられていくこと、そういったことが重要なんではないかなと申し上げさせていただきました。
そこで、初めにお伺いさせていただきたいのは、本年8月に完成を目指す基本計画、そこで素案たたき台が出ていますけど、その中でお示しされている、マイクロツーリズム、記されております。今後、マイクロツーリズムへの取組は実施していくことで間違いないか、確認させてください。
〇堀越産業観光課長 マイクロツーリズムの考え方につきましては、さきに御報告した中野区基本計画の素案たたき台の中にも、今後の課題として記載をしているところでございます。
新型コロナウイルス感染症の影響下におきましては、住民自らが魅力を理解し、発見していけるような日常的な観光をつくり出していく、マイクロツーリズムの視点が大変重要なものと捉えているところでございます。
○市川委員 こちらに関して、詳細にどんなことに取り組んでいくというのは、同じく素案たたき台の中の施策7の中で、主な取組の欄で記されているわけです。情報発信事業と並んで、地域イベントの推進とございます。
以前、総括質疑の中で、まちめぐり博覧会の事業が、当時の既存事業の中ではマイクロツーリズムという考え方に一番近いんではないか。その後、検討、改良を重ねていく必要はあるにしても、一番近いんではないのか、そういうふうに申し上げて、御答弁の中でも、前向きに進めていくとあったと思うんですが、今回構造改革における事業見直し対象となって、中野区からの助成金、これは消滅をしたわけです。
このまちめぐり博覧会のどこに特異性があったのかというと、やっぱり中野区と商店街をはじめとした経済界の皆さんと一緒になって、キリンだったり、JRだったり、大学だったり、そういったものが一堂に会して一つの事業に取り組むというところに効果があったんではないかな、いい機会になったんじゃないかなと思っています。
こういったイベントに関与がなくなった以上、中野区は今後どんな代替事業を行っていくつもりなのか。また、素案たたき台の中で記されている地域イベントの推進というところも具体的に教えてください。
〇堀越産業観光課長 実行委員会に対する負担金の予算は削減となりましたが、中野まちめぐり博覧会の開催自体は、最終的に実行委員会が決定することでございます。実行委員会が開催する判断を行った場合には、PRへの協力など、広報活動等での支援を行う予定でございます。
これまでの観光事業のうち、アニメーション事業につきましては、今年度、企業等の協力を得まして、無観客オンラインでの生配信により実施をしたものもございます。今後もマイクロツーリズムの視点を踏まえまして、発信方法も工夫しながら、地域の様々なイベントの魅力を発信するなど、支援を行っていきたいと考えてございます。
○市川委員 今PRとかという話があったんですけど、関連事業にも積極的に支援をしていただきたいなと思っています。また、中野区がリードしていく、明確なビジョンを持って取り組んでいただきたいと、このように思っております。
一方で、この予算特別委員会の中でお話があったように、4月から段階的にワクチン接種が始まって新型コロナウイルス収束に向けて重要な局面を迎える、そういった状況です。これまで申し上げてきたコロナ禍における観光ということと並行して、アフターコロナにおける観光政策についても検討していく必要があるというのは、所管の皆さんも共通の認識だと思います。
先ほどからお話ししているたたき台を見てみると、観光の在り方の再構築という表現がございます。ここでの再構築という表現を見ていると、今後の3年、5年、そのさらに10年後の観光について、理念、ビジョン、戦略、そういったものを構築していく、そういうニュアンスだと私は捉えました。
そこで伺いますが、ここで記されている観光の在り方の再構築というのは、所管部では今どのように検討しているのか、教えてください。
〇堀越産業観光課長 観光事業につきましては、現在策定を進めております基本計画の素案たたき台の中で、おおむね3年、5年後の目指す姿などの案についてお示しをしているところでございます。その中で、新型コロナウイルス感染症の影響も鑑みまして、観光事業の在り方の再構築も行うこととしてございます。今後、区民や議会等の御意見を踏まえまして、検討を重ねてまいりたいと思ってございます。
○市川委員 検討を進めていく、それも重要と思うんですが、今後、観光分野は来年度から広聴・広報課に移ると聞いております。今後、再構築された観光政策、そういう観光ビジョンみたいなのは広聴・広報課で検討されていくことになるんでしょうけども、私としてはこの組織の改造については非常に間違っていると思っています。それは今後の中野のにぎわいを創出していくのは、産業、商業、観光、それが重層的かつ効果的に進めていく事業と考えているからです。
そこで、お伺いをしたいんですが、今まで同じ組織でこれ、事業を進めてきたわけですね、産業、商業、観光。これ、同じ組織の中で事業を進めてきたメリット、何があったのか、それを教えてください。
〇堀越産業観光課長 観光事業は、これまで東京商工会議所中野支部や、中野工業産業協会、中野区商店街連合会など各経済団体の協力を得ながら進めてきたところでございます。また、キリンホールディングスや東映アニメーション、ブシロードなどの区内企業とも連携をして事業を進めてきたところでございまして、産業振興の他の施策と併せて実施することによる相乗効果はあったと考えてございます。
観光事業が産業担当の所管でなくなることで、区内経済団体や企業などと直接連携する機会は減る可能性がございますが、一方で、新型コロナウイルス感染症の影響下におきまして、マイクロツーリズムを進めるに当たりましては、広聴・広報課の発信力やシティプロモーションなどと併せて行うことによりまして、より効果的、効率的に行えるものと考えているところでございます。
○市川委員 広聴・広報課の発信力、それは分かるんですけども、それは別に、その組織を一緒にしなくても、その力は使えるんじゃないかなと思っているんですよ、僕個人的には。だから、本年度に関して言えば、未曾有の緊急事態宣言だったり、新型コロナの影響下、そういった外的要因で観光という分野はなかなか力を発揮し切れなかっただけなのかなと、そういうふうに思っています。
もし、仮に、万が一、そこだけ取って、今所管の皆さんの機動力が落ちていると評価をしたんであれば、それは軽率な判断だったと言わざるを得ないと思いますよ。この状況下でも、産業分野、商業分野において対策を取っていた、これまで取ってきたわけです。そういった経験、そういった観光政策、生きてくると思っているんで、今後、遠くない将来、また再び産業、商業、観光が重層的に取組ができる組織の再構築を願って、要望して、この項の質問を終わりにさせていただきます。
次に、中野の駅周辺ですね、中野駅周辺のエリアマネジメントについてお伺いさせていただきたいと思います。
こちらについては、ちょっと省略をさせていただきまして、エリアマネジメントを今後円滑に進めていくためには、公共空間の活用が大きな鍵を握っていると私は考えています。今後、中野駅周辺の基盤も整備されてくるわけですが、その後、その基盤を基にした公共空間を活用する上で、規制緩和が非常に重要かと考えています。
例えば、規制緩和や道路占用に関してのルール、公園の活用、様々なものがあって、四季の都市(まち)で言うところの「しゃれ街条例」、そういった活用が挙げられると思います。そういったものを今後活用していくことがエリマネの一丁目一番地かと思いますが、区の見解はいかがですか。
〇石橋中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 エリアマネジメントにおける公共空間の活用というのは、極めて重要であるというふうに考えています。地域がエリアマネジメントに求めるにぎわいとか、安心・安全に対する取組というものは、公開空地を含めた公共空間活用の在り方が極めて重要であるという認識です。各開発地区でのエリアマネジメント推進の基本となるものであるというふうに考えています。
また、中野駅周辺全域におけるエリアマネジメントにおきましても、各地区の公共空間活用の柔軟化、あるいはそのためのルール化というものが求められておりまして、今後設立をする予定の中野駅周辺のエリアマネジメント協議会なるものというところにおきまして、規制緩和の活用も含めて検討の取組を進めていきたいというに考えています。
○市川委員 今、中野駅周辺エリアマネジメント協議会というお話が出てきました。そういった、今お話をした規制緩和、ルールづくりについては、今おっしゃられた協議会の中で議論をされて、ビジョンがつくられ、そしてアクションプランになって、そういったものが作成されていって、そこにどんなものが必要なのか、これは明確にしていくんだと思うんですけども、担当課長が今考えているところで、今後のエリアマネジメント協議会の進め方、展望、そういうものをお示しください。
〇石橋中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 中野駅周辺のエリアマネジメントにつきましては、中野駅周辺全域で展開することでこそ効果が発揮される、また効果が高まる事項について、関係者で協議検討し、具体的な取組を進めていくものであるというふうに考えてございます。
現在の予定では来年度、協議会を設立したいと思っております。まずは設立後、中野駅周辺の将来像をソフト面から描いた将来ビジョンを策定していく予定でございます。その後、そのビジョンの実現に向け、必要な取組を進めていくものというふうに考えてございます。
○市川委員 やはり、このエリアマネジメントという考え方を見ると、これ、地域の方たちとの意見交換はもちろん必要ですね。庁内じゃなくて、区役所の外に向けた、そういった議論も必要なんですけども、今、エリアマネジメントって、非常に多岐にわたる概念が存在すると思っています。
最後に確認をさせていただきたいのが、協議会の設立の前に、庁内で多岐にわたるエリアマネジメントの概念、そういったものを部署の垣根を越えて検討していくことが望ましいと思いますが、現在の所感を聞いて、この項の質問を終わります。
〇石橋中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 委員おっしゃるとおり、エリアマネジメントは多様な主体だとかあるいは多様な事業、これが複雑に関係し合う総合性の高い取組であるというふうに認識をしてございます。現在のエリアマネジメント担当を中心に、今後関係各課による協議体制を構築し、全庁的に取り組む予定でございます。
○市川委員 ありがとうございました。
次に、脱炭素社会実現に向けた区の取組についてお伺いをさせていただきます。
脱炭素社会に向けた取組というのは、中野区以外の各自治体でもそれぞれ行っているところであり、中野区においても、理念だけをうたうのではなくて、実現可能な政策はどんなことなのか、しっかり実行していく必要があると思います。
様々なエビデンスから見るに、現状の中で中野区が行えることは限られている、こういうふうに思うんですね。それを念頭に質問をさせていただきます。
先日、区民委員会の勉強会で、産業技術研究所の歌川学先生より、自治体の温暖化対策について御講演を頂きました。2017年度の中野区のCO2の排出割合で、家庭部門は52%、業務部門は27%であり、家庭部門が大半を占めることが住宅都市である中野区の特徴でございます。また、排出エネルギーは64%が購入電力であり、中野区の世帯自動車所有率は全国でもトップを争う低さで、中野区における自動車によるCO2の排出量がそもそも少なくて、全体の10%です。中野区において、自動車由来のCO2排出量をさらに減少させていくのは大変厳しい、なかなか難しいんじゃないかなと思っています。
中野区が2050年までに脱炭素社会に向けて生まれ変わるためには、家庭部門からのCO2の排出量、そういったものを抑制する、これに主軸を置くべきと考えるところです。そのためには、各家庭において排出抑制、排出量抑制に向けた省エネ、そして電力を創る創エネと、両面から進めていく必要がございます。
創エネは、電力自由化によって、中野区の住宅環境下では、発電量による売電はあまり利益が生まれないため、蓄電によりどれだけ自給自足にできるかが重要であって、中野区としては来年度の予算にその蓄電池設置に補助金を計上しております。その点は評価をしております。この蓄電池システムに関してですが、一律10万円の補助で125件分が予算措置されておりますが、今後効果などを検証していく上で、この金額、件数についても検討するべきで、金額を一律にするのかどうか、この辺も議論しなきゃいけないんだと思います。蓄電池の大きさについても様々あって、容量が大きくなっていけば、当然高価なものになっていく。そこから考えると、一律の金額ということでなくて、購入金額も相対的に補助額を決めていくことが必要なんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇波多江環境課長 令和3年度に予算化をしておりますので、それで実施する蓄電システム導入支援制度の実績を分析するなどいたしまして、設備の購入金額に比例した補助についても検討をしていきたいと考えております。
○市川委員 一方、省エネに関しては、高断熱住宅への建て替えが大きく寄与すると、これは区民委員会でもお話が出ていました。ハウスメーカーに伺ったところ、現在、新築住宅を建てる場合、長期優良住宅を建設することがスタンダードであると。長期優良住宅というのは、バリアフリー、可変性、耐震性、省エネ性、居住環境維持保全計画、そういった劣化対策のところ、そういったことがされている住宅であります。中野区では、長期優良住宅に認定されると、エコポイント5,000円分を付与されることになっていますが、そもそも通常、長期優良住宅、かつ家という大きな買物をする方に対して、5,000円というインセンティブが――それがインセンティブになっているとは到底思えないですね。
そこで、ちょっと教えていただきたいんですが、このエコポイントが5,000ポイントというのは、環境部としていつ、どのように積算したものなのか。それが現在でも妥当なものであると認識をしているのか。併せて、今年度の長期優良住宅の認定件数と、この制度を使ってエコポイントの付与を受けている件数を教えてください。
〇波多江環境課長 この5,000ポイントを付与する制度につきましては、平成23年度の10月から始めた制度であって、いわゆる補助制度ではなく、区民意識の啓発、動機づけのための制度でございました。ポイント数、5,000ポイントは妥当であると考えております。
また、長期優良住宅の区内認定件数は、令和3年2月末現在で126件ございまして、中野区高断熱建築物の認証制度の認証件数は、同じく2月末現在、24件でございます。
○市川委員 その認定件数と付与を受けている件数、そこ、ちょっと乖離があるんだろうと。これはしっかり周知されていないからなんではないかなと。5,000ポイントの価値を見いだせていただけないのもあるかもしれませんけども、先ほど申し上げたように付与ポイントを上げることも検討すると同時に、周知されているのかということをしっかり検証しなければならないのであります。
そこで伺いますが、長期優良住宅の認定、審査をしている建築課では、認定を受けた区民に対してエコポイントの付与に関して御案内がされているのか。環境部との連携は取れているのか。教えてください。
〇小山内建築課長 建築課において、長期優良住宅の申請書を受け付ける際に、エコポイント付与に関しての案内を行っているところでございます。
また、環境課が作成している中野区高断熱建築物の認証制度のパンフレット、このようなピンク色のもので、これにも申請書がついておりますが、認定書をお客様のほうへ渡す際に、このパンフレットと一緒に手渡しをしており、必ず手渡しをしておりますので、環境課と連携し、今後も周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。
○市川委員 ぜひよろしくお願いいたします。
今申し上げたように、他部署との連携はもちろん、環境部自身も今後大きな旗振り役として、あらゆる情報を収集して、情報発信する必要があると思っています。相談窓口を設置するというお話が出ていますが、それに合わせて、現在の情報収集、これ、いろんな情報が環境についてはあるので、これについて現状の取組状況を教えてください。
〇波多江環境課長 国や都の助成制度の情報につきましては、特別区の環境・公害主管課長会から示される省エネ・創エネ予算の見込み等とともに、国や都から送付されるパンフレットや冊子、ホームページ等で情報収集をしておりまして、これらの情報について、区のホームページにリンクを貼るなどして、区民の皆さんに情報提供をしているということでございます。
○市川委員 来年度以降、現状行えることはしっかり精査をしていただいて、今、幾つか例を出させていただきましたけども、国や都の制度も活用できるものに関してはしっかり区民に活用していただくべく周知をしていただきたい。まずはやれることをやるという、そういう姿勢が脱炭素社会の実現に向けた一歩目になると考えています。
それと同時に、先ほど申し上げたように、環境部には大きな旗振り役として、庁内に対しても、区民に対しても、どんな脱炭素社会、環境政策を提示できるのか、掲示できるのか、示せるのかということが非常に重要だと思います。
最後に、ゼロカーボンシティ宣言、脱炭素社会と、様々な表現、こういったものがテレビや新聞や、そしてこの議会の中でも目にすることが多くなってまいりました。今後完成する中野区基本計画、改定予定になっていく中野区環境基本計画の中で、分かりやすく、区民にどんな社会像、どんな社会の形を示していけるのか。このテーマは、先ほども全庁的に取り組むと答えていただいているわけですけども、どういった形を示していくのか。検討内容を教えてください。
〇波多江環境課長 まず、環境負荷を少なくするライフスタイルが区民や事業者の皆さんに浸透し、環境に十分配慮したまちづくりが進むことで地球温暖化を防止し、気候変動に適応した活力ある持続可能なまちが実現しているという社会像を描いていきたいと考えておりまして、脱炭素社会の実現に向けては、改定をしている中野区基本計画の中で重点プロジェクトに掲げ、全庁的な視点で組織横断的に取り組むということで考えてございます。
○市川委員 ぜひ今後、しっかり様々な検討を行って進めていただきたいんですが、近隣の区にもそういった先進的な取組をしている豊島区とかございますので、そういう他区の状況もしっかり鑑みて、やっていただきたいと思います。
私の質問は以上でございます。
最後に、新型コロナウイルスが一日も早く収束することを心から願って、私の総括質疑とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。終わります。
○山本委員長 以上で市川しんたろう委員の質疑を終了いたします。
次に、むとう有子委員、質疑をどうぞ。
〇むとう委員 区民の方からお寄せいただきました御意見を基に質疑をいたします。持ち時間は30分です。機敏な行動と簡潔明瞭な御答弁の御協力をよろしくお願い申し上げます。
なお、5番目の自殺対策を最後に変更させていただきます。
1番目、予算編成方針と予算についてお尋ねをいたします。
昨年9月に、区長から各部長宛てに出された2021年度予算編成方針についてには、次のように記載されています。
新型コロナの影響により日本経済は戦後最悪の落ち込みとなっている。来年度の一般財源は、今年度当初と比較して約92億円の減収を見込んでおり、リーマンショック時以上の影響がある。これまで積み立ててきた財政調整基金は、取崩しを前提とするのではなく、歳出の抑制に努めた上で、真に必要なサービスを実施するために、基金活用を図ることが必要である。
さらに企画部長から、20%削減した要求限度額が通知されています。
この方針及び通知に基づき、減額された予算が提案されると思っていました。しかし、実際には、一般財源は、想定より低いとはいえ、72億円の減収となり、リーマンショック後の2010年度予算の55億円の減収を超える厳しい状況です。それにもかかわらず、前年度予算より4億1,800万円増の1,472億4,100万円となり、2019年度に次ぐ2番目の高額予算です。20%削減するどころか、増額となっており、理解できません。
また、財政調整基金は、「取崩しを前提とするのではなく」としながらも、財政調整基金からの繰入金は前年度の31億円から38億円増の69億円となっています。主な基金の積立繰入れ計画は、2020年度の計画から僅か1年で大きく下方修正されており、基金枯渇への転落感が否めません。財政的危機意識があるのかないのか、よく分からない予算です。
新型コロナ対策のように、命に関わる予算は削減するわけにはいきませんが、命に関わらない事業については、大なたが振るわれるのかと思っていましたが、そうでもなく、反感を回避された酒井区長らしい予算との印象を持ちました。
そこで、他の議員の質問とも重なりますが、いま一度区長にお尋ねいたします。
予算編成方針の通知を踏まえた予算だとお考えなのか。拘束力のない方針や通知なので、9%の削減で上出来だとお考えなのか。さらに、このような予算で持続可能な区政運営になり得るとお考えなのか。区長の見解をお聞かせください。
〇酒井区長 令和3年度予算が予算編成方針等を踏まえているかどうかについては、予算編成方針に沿って予算編成を進め、歳出削減についても、部長通知で提示した削減額を目指し取り組んできたところでございまして、令和3年度予算は、予算編成方針等を踏まえた予算であると考えております。
9%削減の結果につきましては、目標達成に向けて構造改革の視点も踏まえながら、歳出削減に努めてきたところでありまして、一般財源充当事業費は、令和2年度当初予算から削減し、成果はあったと認識をしているところでございます。
令和3年度予算は、以上を踏まえて持続可能な区政運営を行うための予算でございまして、現在直面している財政的な非常事態に対処するとともに、新たな行政需要に応じた効率的、効果的なサービス展開を図るため、行財政の構造的な改革を集中的に進める考えでございます。
今後、令和3年度予算編成の取組をさらに強化して、限られた財源の選択と集中を図り、持続可能な行財政運営を確立させていく考えでございます。
〇むとう委員 ありがとうございました。この4日間、多くの議員が同じ質問をされていて、本当に区長との今の見解と私たち議員との見解の相違というのを大きく感じているところです。予算化された事業の中に、真に必要なサービスだと理解しがたい事業が多々あることを申し添えて、次の質問に移ります。
区長車についてお尋ねをいたします。
昨年9月の決算総括質疑で、前区長が4期16年間、区長車を廃止したことで、想定約1億3,600万円削減したことを指摘し、酒井区長も必要に応じてタクシーやハイヤーを使用し、区長車を廃止してはいかがかと質疑したところ、区長車は機能的で合理的であるので活用するとの区長答弁でした。
2020年度予算では、区長車運行経費1,241万円が計上されていましたが、2021年度予算には見当たらず、予算説明書補助資料110ページに、タクシー及びハイヤー使用料87万1,000円が計上されています。これは財政難の中、議会車の予算化を見送ったことに触発され、区長自らの努力で歳出抑制を図る決断をなされ、1,153万9,000円の削減額を生み出されたという理解でよろしいでしょうか。区長にお尋ねいたします。
〇酒井区長 通常時でございましたら、区長が公務のため移動する際には、より時間を効率的に使って、移動に伴うリスクを回避するため、区長車を活用することが合理的であるという考え方に変わりはございません。しかし、今般の厳しい財政状況を考慮し、令和3年度の区長車の運用を取りやめることは、私が自ら判断したことでございます。
なお、委員からも今お話が出ましたけれども、議会におかれましても、議会車の運用について同様の御配慮を頂いたと聞いておりますので、この場をお借りして感謝申し上げます。
〇むとう委員 取りあえずよかったというふうには思っております。区長車及び議会車は、財政難の中で、真に必要なサービスだとは思えないので、削減されたことを高く評価いたします。
次に、東北復興大祭典なかのについてお尋ねをいたします。
2011年3月11日に発生した東日本大震災からあと数日で10年を迎えます。東北地方を中心に2万2,000人余りの死亡、行方不明者が発生しました。沿岸部のまちを津波が破壊し尽くす様子や、東京電力第一福島原発によるメルトダウン発生は世界中に大きな衝撃を与えました。地震と津波の恐ろしさに加え、見えない、臭わない放射能の恐怖に打ちのめされました。10年たった現在も、原発事故の収束の目途は立たず、放射線量も下がらず、家があっても帰れない、広大な帰還困難区域があることを忘れてはなりません。今なお原発の敷地内では、約3,000人の作業員が日々汚染水対策や廃炉に向けた作業を行い、被曝労働者が使い捨てされている実態から目を背けてはいけません。震災と津波、原発事故の記憶を風化させないことが重要です。
さて、被災地への継続的な支援や区民の防災意識の向上、震災の記憶風化防止を目的に、東北復興大祭典なかのを開催する意義は理解しますが、ふらっと立ち寄った一区民の目には、目的よりお祭り感が強く、反発を恐れずに言えば、財政難の中で真に必要なサービスだとは私は思いません。
当初予算(案)の概要26ページ、予算額は1,634万7,000円、前年度当初予算は2,605万5,000円であり、1,000万円削減したように見えますが、今年度はコロナ禍で縮小開催となり、補正後の予算額は455万8,000円でした。2012年から始まり、10年間で約8,309万円の支出です。2012年から16年までは500万円前後でしたが、2017年から倍の1,000万円以上になっています。
その理由は、共催団体がなくなり、拠出金がなくなったからだと伺っています。この事業は、区長が名誉会長となる実行委員会が主催です。同時開催されている震災復興祈念展は中野区が主催です。実行委員会は任意団体ですので、大祭典の総事業費の収支額は不明です。2020年度の決算はまだ出ていないので、2019年度で言えば、中野区の負担金1,402万4,494円は、実行委員会の総事業費から出店料や広告収入などの収入を引いた金額の何%に当たるのでしょうか、お答えください。
〇浅川総務課長 実行委員会におけます支出から収入を差し引いた金額は、区が100%分担金として支払っております。
〇むとう委員 100%ということは、分かりやすく言えば、財源の面では区が丸抱えをしている事業ということです。
当初予算(案)の概要26ページには、自主財源の確保策について検討していきますとの記載がありますが、任意の実行委員会が主催しているにもかかわらず、財政面は、区が100%負担しているのは問題だという認識を区が持っているという理解でよろしいでしょうか、お答えください。
〇浅川総務課長 財政的に困難な中、区や実行委員会が新たに財源を確保し、大祭典を実施することが大切だと思ってございます。クラウドファンディングの活用等により、幅広く寄附を募るなどの具体策を実行委員会とともに検討していきたいと思っております。
〇むとう委員 では、今後は負担金というか、予算額は減っていくようにしていきたいということでよろしいでしょうか。
〇浅川総務課長 自主財源を募っていくという方向で検討しているところでございます。
〇むとう委員 ということは、中野区の負担額は減るんですか、減らないんですか、どちらでしょうか。
〇浅川総務課長 減っていくためには努力をしていくということでございます。
〇むとう委員 任意団体ですから、100%区が財政的に支援しているというのは、やっぱり改めていかなければいけないのではないかと私は思っています。
中野に居ながらにして、東北6県のお祭りを見ることができるのは楽しいという御意見があることは承知していますが、開催目的は楽しむことではないので、財政難の中、1,634万円もの税金を投入して、次年度どうしても開催しなければならない、真に必要なサービスだとする根拠をお答えください。
〇浅川総務課長 ただいま委員がおっしゃったように、回を重ねるごとにこの祭典が認知され、東北地方の祭りの文化、それからグルメを楽しみにしている区民が多くいらっしゃるというのも事実でございますが、これまでの東北復興大祭典なかのの取組は、東日本大震災の記憶を風化させることなく、区民の防災意識を高めるきっかけづくりに役立ってきたと認識してございます。
今年は震災後10年目の節目の年でございます。先ほど申し上げました自主財源の確保に加えて、委託の規模を縮小するなど、運営上の工夫をしつつ、10周年の祭典が意義深い内容となるよう実行委員会と協議しながら実施していきたいと思ってございます。
〇むとう委員 確かに、東日本大震災から10年目の節目であるからこそ、私はこれまでとは違う、楽しくにぎわうお祭りではなく、失われた貴い命に思いをはせ、静かに祈る新たな祭典の在り方や、お金をかけずに震災復興祈念展のみの開催というのも検討すべきだったのではないかと思うんですけれども、区はそうは思いませんか。
〇浅川総務課長 趣旨の大切さはそうでございますが、それを区民の方に、東日本大震災の記憶を風化させることなく、また絆の中で、中野区の防災意識をさらに高めるきっかけとなるように、祭りの要素も必要であり、その中で何のために復興大祭典を行っているかという本来の目的も忘れずにやっていくということ、それが大切だと思ってございます。
〇むとう委員 開催目的を参加する区民一人ひとりに分かるようなお祭りの在り方にぜひ改めていただきたいということを要望しておきます。
なお、かつての中野まつりをくむ区民主体のにぎわいフェスタの実行委員会への区の補助金というのは、会場全体の警備などに僅か100万円であることを申し添えて、次の質問に移ります。
新型コロナウイルスワクチンの接種についてお尋ねをいたします。
2月27日付東京新聞で、中野区保健所を舞台にしたドキュメンタリー映画の撮影が進められているとの記事を読みました。新型コロナで忙殺される職員の姿は大きな社会問題となる、確かにいい映像だとは思いますけれども、新聞には取材風景の写真も出ておりました。御覧になった方、多くいらっしゃるかと思いますけれども、本当に執務室の中なんですね。書類が机の上には広がっている。電話がかかってくれば電話の応対もしている。そんな中の撮影なんですね。これが長期間にわたって行われていたということを、私は全く知らなくて、新聞記事を読んでびっくりしたところなんですけれども、本当に個人情報の取扱いというのがどうなっていたのかということが大変気になっているところです。
通告していなかったので、質問はしませんけれども、これ、きちんと委員会などで報告をしていただけたらというふうに思っています。
また、健康福祉部長から、保健所への問合せを控えるように私は言われていたので、議員からの問合せは駄目で、カメラ取材はオーケーだったんだと、腑に落ちない気持ちであることも申し添えておきます。
さて、先日の一般質問でもお尋ねしましたが、コロナワクチンはいまだかつて人類が使用したことのない人工的な遺伝子を体に入れ、体内で抗原を作らせるものであり、どのような副反応が発生するのか、不明です。だからこそ、万が一に備え、補償について知っておく必要があると思っています。
2月9日の衆議院予算委員会で、厚生労働大臣がワクチン接種後の副反応は、国の予防接種健康被害救済制度で、死亡した場合は遺族に4,420万円が支払われ、日常生活全般で介護が必要となる1級の障害が生じた場合は年額505万6,800円を支給すると答弁しました。ただし、厚生労働大臣が健康被害を認定した場合のみです。
しかし、このワクチンの副反応は未知であるため、ワクチンとの因果関係を国に認めさせるのは、かなり高いハードルです。この救済制度に関する申請受付と給付の実務は区が担うことになります。区は区民を守る立場から、もしも健康被害が出たとき、事務的な申請受付ではなく、国に対して副反応による因果関係が適正に認定されるよう、医師の協力と丁寧な相談体制と責任ある申請受付を行っていただきたいと願いますが、どのような受付業務をなさるおつもりなのか、お答えください。
〇瀬谷新型コロナウイルスワクチン接種担当課長 制度につきましては、以前から予防接種についてあるものでございます。委員おっしゃるとおり、被害を受けた方に寄り添って丁寧な申請受付を行ってまいりたいと考えております。
〇むとう委員 くれぐれも事務的に「はい」って言って、不備がないということで受け付けるのではなくて、きちんと正確に適正に国が因果関係の認定に使えるように、本当に医師の診断書の書き方であるとか、懇切丁寧に受付していただきたいというふうにお願いをしておきます。
ワクチンによる重篤な副反応と言えば、2013年頃から大きな社会問題となった子宮頸がん予防として接種したHPVワクチンによる全身の疼痛、知覚障害、運動障害、記憶障害等の深刻な副作用被害です。元気だった中学生が自力で歩けず、車椅子生活になってしまった姿がテレビで報道されました。しかし、国は因果関係を認めず、2016年にはHPVワクチン薬害訴訟全国弁護団が結成され、63人の被害者が国と企業に対して責任の明確化と救済を求めて、東京、名古屋、大阪、福岡の4地裁に一斉提訴し、今なお係争中です。
副反応に対する救済制度はあるというだけじゃなくて、救済しない制度とならないよう、区は適正な認定を国に求めていただきたいと願っています。子宮頸がんワクチンのこの裁判については御存じですか。
〇向山保健所長 厚生労働省の関連もございますし、また様々関連学会の御意見も含めて、了知をしてございます。
〇むとう委員 きちんと救済されるように、新型コロナで何かあっては困るんですけれども、万が一のときに、区民の立場で申請受付をしていただくということを重ねてお願いしておきます。
次に、景観計画策定についてお尋ねをいたします。
日本では高度成長期以降、全国どこに行っても地域全体の調和、美観、伝統を軽視した住宅やビル、工場などが次々に建設され、町並みや自然環境から調和や地域ごとの特色が失われていきました。良好な景観や環境を求めるよりも、経済性が優先され、建築基準法や都市計画に違反しない限り、どのような形態の建築物でも建てることができる、建築自由の国とやゆされる状況になっていきました。その結果、無秩序な町並みが形成されています。
遅まきながら、日本でも2005年に景観法が全面施行され、地方自治体の景観に関する条例や計画に実効性と法的強制力が備わりました。2012年に完成した中野駅北口駅前広場は、2010年に策定した中野駅現北口駅前広場等の整備景観形成等の方針で示された緑陰樹木による緑の陰の広場空間となるはずでしたが、現在に至っても樹木による緑の陰など全くありません。このように、景観形成方針では、法的強制力がないため、区でさえも自ら決めた方針を簡単にほごにできます。
2月5日の建設委員会で、中野駅駅前広場デザイン等整備方針案が示されましたが、これもまた単なる方針では法的強制力がありません。新しい中野をつくる10か年計画(第2次)では、2010年から着手し、2013年に景観計画を策定することになっていました。
そこで、2013年9月の決算総括質疑で進捗状況を伺ったところ、当時の都市基盤部参事から、職員の力ですばらしい報告書ができている。年次は示せないが、順次進めていくとの答弁でした。
2年後の2015年2月の予算総括質疑で、再度、民間の勝手な開発に歯止めをかけるだけではなく、区が行う駅周辺の大規模開発のためにも、法に基づく景観行政団体となり、景観計画を早急に策定すべきではないかと質疑し、同じく都市基盤部参事は、基本方針を取りまとめ、検討するとの答弁でしたが、一向に進みませんでした。
10か年計画(第3次)では、またまた振出しに戻り、2016年から着手し、2019年に景観行政団体へ移行することになっていましたが、またしても着手されませんでした。中野区で景観計画の言葉が出てきてから、既に10年が経過しています。この10年間で、残したい景観も壊され、町並みは大きく変化し、駅周辺の大規模開発も進んでいます。10年間も放置してきて、今さら景観などと言い出しても手遅れ感がありますが、突然、2020年度予算で、景観方針策定委託等1,144万7,000円が新規で計上され、2021年度も予算説明書補助資料275ページ、景観方針策定委託等で788万7,000円が計上されています。2か年にわたる委託内容について、簡潔に御説明ください。
〇安田都市計画課長 お答えいたします。本年度の予算額は、景観方針の基本的な考え方の検討や規制誘導方法の手法の分析、また景観資源等の調査を行ってございます。
なお、新型コロナウイルス等の影響を考慮して、区民等の景観資源に関する意見交換会や学識経験者のアドバイス等を受ける予定でありましたが、この部分は見送ってございます。
来年度の予算額でございますが、780万円余であり、景観方針の取りまとめ、景観ガイドラインの作成、景観資源等の抽出を行い、新型コロナウイルス等の感染症の予防の状況を見ながら、専門家等のアドバイスを受けて資料を作成する予定です。
〇むとう委員 2年にもわたって基本的な考え方をまとめるということなんですけれども、今年度、まだ決算はこれからですけれども、1,144万7,000円使われて、さらにまた委託で788万円も上乗せして委託する、2,000万円も基本計画、基本方針――まだ方針です――考え方の基本にお金をかけるということでしょうか。
〇安田都市計画課長 今年度は1,140万円の予算額のうち、執行額は570万円でございます。新型コロナウイルス等の――繰り返しになりますけども――影響で、区民等の意見交換会とか、学識経験者のアドバイス等は見送ってございます。
来年度は、景観方針の取りまとめに加えまして、こういった作業を進めていく予定です。
〇むとう委員 ということは、今年度は半額だけれども、2年間にわたって委託をするということなんですけれども。最初に景観形成の基本方針を策定しようとしたときに、2010年頃ですけれども、職員自らの力で基本方針に至る報告書が作成されたと聞きました。基本的な考え方ぐらいは委託などせず、職員が自力でまとめてほしいものです。今となっては、幻の報告書は行方不明で、現在の都市計画課長が読んでいないことは残念です。
景観法が施行されて15年が経過し、国土交通省によれば、2020年3月31日時点で、景観行政団体になり、景観計画は604自治体、23区内では20区で策定されています。23区の中で景観行政団体になっていないのは、中野区と中央区と葛飾区ですが、その3区の中で景観施策を全く行っていないのは中野区だけです。2月5日の建設委員会での報告によれば、今後の予定はわざわざ「(中長期的視点で対応)」と記され、2020年度に景観方針の基本的な考え方をまとめ、2021年度に景観方針策定とガイドラインを含む手法の整理、2022年度以降に景観行政団体へ移行し、景観計画策定ということで、3度目の予定変更です。
中長期的とか、2022年度以降というのは、何年先までを想定しているのでしょうか。中野区の表玄関である中野駅周辺の大規模開発に景観計画は間に合うのでしょうか、お答えください。
〇安田都市計画課長 景観行政団体となるためには、景観方針の策定のほか、区として、景観形成の具体的指針となるガイドラインの策定が必要となります。また併せて、東京都から景観事務に関する移管を受ける調整手続が必要でございます。これらの手続や業務を着実に行って、早期に景観行政団体に移行できるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えています。
〇むとう委員 何年先までを想定しているのかと聞いているんですが、それは答えられないんでしょうか。
〇安田都市計画課長 できる限り早急に進めていきたいと思います。目標としましては、再来年度を目標に進めていきたいと思います。
〇むとう委員 では、再来年度ですね。本当に、進める進めると言って、この間ずっと進めてきませんでしたので、3度目の正直としてしっかりやっていただきたいというふうに思います。
景観方針策定の目的のところに、引きつける、魅力的、快適さ、美しさ、愛着と誇り等の言葉がちりばめられていますが、映像が全く浮かびません。どのような景観を残し、どのような景観を創造したいのか、具体的に一言でお答えください。
〇安田都市計画課長 景観都市づくりの主な要素は、例えば中野駅周辺などの開発によって生ずる都市景観、新たな都市景観の創出、また国の名勝指定を受けた哲学堂などの歴史的・文化的資源を生かした町並みの創出、また、区民や権利者が主体となった周辺と調和した良好な町並み形成などの取組がございます。これらはいずれも区民意向や、専門家を交え、区として目指す良好な景観づくりを共有して形成していくものと考えてございます。
〇むとう委員 良好な景観というのはどういうものですか。
〇安田都市計画課長 良好な景観といいますのは、やはり主体として、区民や区ももちろんですけれども、皆さんがよい町並み、安全な町並み、快適な町並み、資源を生かした町並みの創出であると考えてございます。
〇むとう委員 ちっとも、ごめんなさい、きれいな言葉をおっしゃってくれるんだけれども、映像が浮かばないんですよね。やはり区として、もう本当に景観は失われておりますけれども、どんな景観を創造していきたいのかということをしっかり描いていただきたいというふうに思います。
この景観計画策定については、予定を3度も変更して、私はやる気のなさが露呈していると思っています。しかし、安田課長の熱意を信じて、手遅れ感はありますが、今度こそしっかり策定し、雑多な建物の林立に歯止めをかけていただきたいと願っています。
大変申し訳ありませんが、最後に、自殺対策についてお尋ねする予定だったんですが、時間がなくなってしまったので、子どもの自殺対策ということで、子ども文教委員会分科会の方で質問をさせていただきます。
どうもありがとうございました。終わります。
○山本委員長 以上でむとう有子委員の質疑を終了いたします。
次に、近藤さえ子委員、質疑をどうぞ。
〇近藤委員 無所属の近藤さえ子です。よろしくお願いいたします。
新型コロナウイルス感染症の影響などで、日々激務に追われていらっしゃる職員の皆様の御尽力に感謝して、質問に入らせていただきます。
質問も4日目で、他の委員の方とかなり重なるところがありますけれど、御了承ください。
生活保護について伺います。
生活保護制度は、最後のセーフティネットと言われています。必要な方に必要な支援がしっかりと届くことが大事です。そのことを大前提として質問いたします。
令和3年度当初予算の案の概要、財政運営の考え方、21ページに記載されている一般財源ベースの財政フレーム、令和3年度から令和5年度の予測の歳出の部分を見ますと、扶助費、令和3年度165億円、令和4年度171億円、令和5年度174億円、令和6年度178億円、令和7年度182億円と、毎年6億円、3億円、4億円と扶助費が増加しています。これはどのように算出したのでしょうか。
〇森財政課長 扶助費の見込みでございますが、金額が大きいものということで、生活保護費、教育・保育施設給付、介護給付、訓練等の障害の給付、それからそれ以外のその他の扶助費というような形で分けて算出しておりまして、生活保護費については、リーマンショックの際の影響を踏まえて推計をしておるところでございます。教育・保育施設給付については、公定価格の上昇率等を勘案して推計をしておりまして、介護給付、訓練等給付については、平成30年度から令和3年度の平均の伸び率を乗じているところでございます。
それ以外の扶助費については、令和元年度の決算や今年度の決算見込みを踏まえて推計をしているといったようなことでございます。
〇近藤委員 扶助費のうち、生活保護については、これはどのような金額の推移を見込んでいるんでしょうか、今後。
〇岩浅健康福祉部長 令和3年度は、一般財源ベースの財政フレームの扶助費のうち、生活保護費に関するものは約40億円、その後約3億円ずつ増加することを見込んでおります。
〇近藤委員 今後の伸びを見込んで算出しているとおっしゃることなんですけれど、新型コロナウイルス影響は計り知れず、リーマンショックのときよりも高齢化はどんどん進んでいますので、生活保護費は本当にこれから想定よりも増えていってしまう可能性も大いにあると思います。
新型コロナウイルス感染症の影響で、生活保護を利用する人が増えているようですけれど、本年度の4月から1月まで生活保護費申請者は昨年と比較してどのぐらい増えたのでしょうか。
〇岩浅健康福祉部長 今年度4月から1月までの生活保護申請は769件でございます。昨年度の同時期が639件でございましたことから、130件の増となっております。
〇近藤委員 コロナウイルス感染症の影響がこれからも続くと思います。130件増ということですけど、新型コロナウイルス感染症の影響で収入を失った方、あるいは失業してしまったという方は、住宅確保給付金などの制度を使って就労に結びつけていただき、生活保護に至らないように、あるいは生活保護になってしまったとしても、就労阻害要因のない方は初期の就労支援体制が必要であると思いますが、どのように就労に結びつけるのでしょうか。
〇岩浅健康福祉部長 生活保護を受給された方につきましては、ケースワーカーによる助言のほか、生活保護受給者を対象とした就労支援プログラムというものを用意してございます。就労支援による面接を行った後に、必要な支援を行っているものでございます。
まず、経験やスキルを生かして就職を見込まれる場合には、ハローワークの窓口であります中野就職サポートを紹介させていただきまして、その前の段階にある方につきましては、中野就労セミナーで必要な講習等を受けていただくなど、個々の状況に応じた対応を行っております。問題なく働ける方につきましては、保護開始後、すぐにこのプログラムにつなぐよう案内をしているところでございます。
〇近藤委員 いろいろ取り組んでいただいているとは思いますけれども、令和2年度の中野区健康福祉部事業概要の保護開始の理由を見ると、世帯主・員の疾病、平成31年212人、率にすると39.1%、収入、手持ち金の減少は433人、率にすると59.4%です。最初は手持ち金が少なくなってしまった生活保護となってしまった方が、保護廃止は、就労や就労以外の自立に比べて圧倒的に死亡という出口になってしまいます。高齢の方が多いということもあり、たとえ病気でなくても、就労や自立に結びつけることはなかなか難しいとお聞きしました。
中野区基本計画(素案たたき台)には、一人ひとりの状況に応じた包括的な自立支援を行う必要があると書かれていて、就労支援やケースワーカー等による継続的な支援を実施するとありますが、今後も生活保護が増えると想定していますが、就労支援員やケースワーカーの人数は足りているのでしょうか。
〇岩浅健康福祉部長 ケースワーカーにつきましては、社会福祉法に規定する標準数に比べまして、現在でも20名ほど不足をしている状況でございます。就労支援員は、現在会計年度任用職員1名で対応しております。今後、新型コロナウイルス感染症の影響等で、生活保護受給者が増加している現状を踏まえまして、自立支援を進めていくためには、体制の強化も含めて検討する必要があるというふうに考えております。
〇近藤委員 新型コロナウイルス感染症の影響か、完全失業率が上昇したのは11年ぶりという状況です。仕事を探すといっても、就労阻害要因のない被保護者と、様々な課題を抱える被保護者とは、また自立によっての取組の方法も違うと思いますし、現在は仕事もなかなか見つからないと思いますが、基本計画(素案たたき台)に書かれているように、一人ひとりの状況に応じた包括的な自立支援に、就労支援員やケースワーカーの増員や専門性は欠かせません。
福祉事務所の現業員は、社会福祉主事任用の資格が求められていますが、ケースワーカーのうち、社会福祉主事任用資格を所持している割合はどのようになっているのでしょうか。
〇岩浅健康福祉部長 社会福祉主事任用資格を持っているケースワーカーの割合は、60%でございます。
〇近藤委員 一人ひとりの状況に応じた包括的な自立支援が大事だと、区は分かってはいらっしゃる。しかし、ケースワーカーの数は足りない。社会福祉主事任用資格も6割しか持っていない。そのような状況では、訪問活動をして的確な生活状況の把握も改善もできない状況であると思います。そもそも基本計画(素案たたき台)に書かれている、一人ひとりの状況に応じた包括的な自立支援とはどのようなことを言うのでしょうか。
〇岩浅健康福祉部長 お一人おひとり、目指す姿は異なってくると思いますけれども、必要となる御本人、その他の、その世帯の個々の課題に応じまして、例えばハローワークやすこやか福祉センター、子ども家庭支援センター、社会福祉協議会など関係部署、関係機関と連携をして課題解決を目指す、切れ目のない支援ということが包括的な自立支援というにつながっていくと思っております。
〇近藤委員 特別区の統計、令和元年度版を見ますと、中野区の生活保護世帯数は6,739世帯、杉並区の生活保護世帯数は6,526世帯、人口が倍ぐらい違いますので、中野区の保護率は22.5%、杉並区の保護率は12.8%となっています。中野区と杉並区を比較してみると、世帯数、被保護人員、ほとんど同じですから、生活扶助、住宅扶助、介護や医療扶助の金額もほぼ変わりませんでした。
しかし、二つ大きく金額が違う項目がありました。一つは、中野区では、就労自立給付金の費用が約189万円、杉並区は約366万円。杉並区は中野区の約倍の金額が就労自立給付金として支払われているんです。これは杉並区は中野区よりも、より多くの人を就職に結びつけているということです。
以前、杉並区の福祉と暮らしのサポート拠点ウェルファーム杉並を視察したとき、1階には就労支援センター、生活自立支援窓口、子ども・子育てプラザ、2階には福祉事務所、社会福祉協議会、3階には消費者センター、在宅医療・生活支援センターなど、4階は区民の集会所とボランティアセンターがありました。
視察した当時、3年ぐらい前は、新卒の就職率もよいときでしたけれど、私の周りには就職できない若者も少なからずいました。このような就労支援センターなら、もう既に社会から落ちこぼれてしまったと思いがちな若者が気軽に相談ができるという、よい施設であるなということを思いました。新型コロナウイルス感染症の影響で仕事を失っても、素早く就労支援の仕組みが大切です。たとえ一時的に生活保護になってしまっても、自立に向けてのまさに包括的な取組が求められます。
しかし、これから中野区が行おうとしている施設の配置は、生活保護は教育センターの場所、暮らしサポート等や社会福祉協議会は区役所、若者の相談や支援の場となる子ども・若者センターは中央一丁目と、それぞれがとても離れています。素早い包括的な支援と、貧困からの早期の自立への体制が取られているとはとても思えません。
生活保護の施設配置については、皆さんがかなり質問されていますので、ここでは改めてお聞きしませんが、まさに今後ますます支援が必要な人に対して、自立に向けての包括的な支援が受けられる体制の強化が必要なのですけど、残念ながら人的にも施設の配置にも、これは大変危惧するところだと思います。
そして次に、生活保護扶助費の中で最も多いのが医療扶助費です。これを抑制していくことが必要であると思いますが、どのような対応を行っているのでしょうか。
〇岩浅健康福祉部長 区民健診の受診勧奨によりまして、早期発見・早期治療につなげ、重症化を防ぐこと、また重複受診などのチェック体制や適正な実施の指導などを行っているほか、長期入院者の退院促進を行っているところでございます。
〇近藤委員 医療扶助の約半分が入院費ですので、重症化を防いでいく取組が大切です。先ほど中野区と杉並区の就労自立給付金の差の話を例に出しましたが、就労自立給付金以外に、中野区と杉並区で支払われている扶助費でもう一つ金額に差があったのは、葬祭扶助費です。杉並区が2,212万8,519円、中野区は4,269万2,754円で、こちらは逆に中野区が2倍です。中野区では多くの方が亡くなるまで生活保護を受けているということです。
担当にお尋ねしますと、「御病気の高齢者が生活保護になるのですから」と言われます。確かに自立できない高齢者の方が困窮し、生活保護に至ってしまえば、そこから抜け出すことは容易でもありません。だからこそ、今ますます高齢化社会になっていくのですから、区が言う誰一人取り残さないアウトリーチ活動を発揮され、8050問題やひきこもりの方などを早期に発見し、自立、就職へと結びつけていただきたいと思います。
人は、突然高齢者になってしまうわけではありません。生活保護受給者への支援も大切ですが、その一歩手前の生活困窮者への支援が大切です。現在、そして今後の対応をお伺いします。
〇岩浅健康福祉部長 自立相談支援機関であります中野くらしサポートにおきまして、就労支援ですとか、家計改善支援、住居確保給付金など併せて支援を行っているところでございます。
今後も、庁内、庁外、関係部署、関係機関、一緒になりまして、よりサービス内容の充実ですとか、機能の拡充を検討してまいりたいと考えております。
〇近藤委員 先日、地域包括ケア推進調査特別委員会で学習会の講師を務められた東洋大学社会福祉学部、藤林慶子先生によると、23区で地域包括ケアの仕組みが成功している自治体として杉並区も挙げていらっしゃいました。杉並区は生活保護に関して、申請の難しさなどマイナス面も聞きますが、地域包括ケアシステムについては確かに進んでいます。
中野区も毎年億単位で生活保護費が伸びていくことに対して、御病気の高齢者が多いのだから仕方ないと諦めるのではなく、区が示す一人ひとりの状況に応じた包括的な自立支援を行うための体制づくりに、ここ本当に真剣に取り組んでいただかないと、生活保護費で本当に大変なことになると思います。ぜひ検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、高齢者施策について伺います。
介護予防について伺います。この質問も、昨日の久保委員と重なるところがあるのですけれど、御了承ください。
新型コロナウイルス感染症が流行する中、重症化リスクが高い高齢者が外出を控えています。友人と出かける、会合に参加する、介護予防で体操に通うなど、様々なことを控えています。外に出ること自体が、高齢者にとって介護予防の一つだったのですが、介護予防の教室に通っていた高齢者も家にひきこもりがちです。このような状況下、区が行っていた介護予防事業はどのような影響があったのでしょうか。
〇葉山介護・高齢者支援課長 お答えします。緊急事態宣言の発出や会場の都合などによりまして、一部休止となった事業もございました。休止中は、感染予防や健康維持に向けたチラシ、ポスターや冊子による注意喚起や啓発に取り組んでまいりました。
地域の会場で実施する「なかの元気アップ体操ひろば」につきましては、昨年7月からオンラインによる体操を導入しているところでございます。
〇近藤委員 オンラインといっても、突然のことで、高齢者でIT機器を上手に使えない方も多くいらっしゃると思いますけれど、その何か対策はされたのでしょうか。
〇葉山介護・高齢者支援課長 オンライン体操ひろばを導入する際には、IT初心者向けのオンライン講習会を開催いたしました。
〇近藤委員 オンライン講習会はどのような形で行われたんですか。
〇葉山介護・高齢者支援課長 オンライン講習会でございますが、シニアICT講習会といたしまして、昨年8月に、前半3回をスマホ、パソコン、iPad等に関して何でも自由に聞ける相談の機会を設けました。9月には、つながることをメインにしたZOOMやLINEと、乗換ナビやグーグルマップなど、生活に役立つ無料アプリに関する講習会を3回行ったところでございます。3月には、セキュリティ講習会の開催を予定しているところでございます。
〇近藤委員 セキュリティ講習会はどのようなやり方をするんですか。
〇葉山介護・高齢者支援課長 セキュリティ講習会でございますが、オンラインでの講義をメインにしてございます。事前にZOOMの操作をサポートする機会、体験会等を設ける予定でございます。
〇近藤委員 講習会にいらっしゃる方はIT機器に慣れていない方も多いと思いますので、セキュリティ講習会も開催するということはとてもよいことだと思います。ぜひ丁寧な御指導をお願いいたします。
これらの事業は、今年度の予算の中で行われるということですが、予算的には今年度の予算内でオンライン講習会、セキュリティ講習会を行っても足りるということでしょうか。どのようなやりくりをされたんですか。
〇葉山介護・高齢者支援課長 講習会などにつきましては、その年の課題解決に向けた講座等の経費を充ててございます。また、オンラインの導入につきましては、既存の介護予防事業の契約を変更して対応しているところでございます。
〇近藤委員 介護が必要な高齢者を介護している家族の中には、デイサービスが中止になってしまって、家でずっと高齢者と2人でいるので、介護をするほうも気が休まらないであるとか、高齢者が誰とも話さないで独りでずっと家にいるので認知症にならないか心配であるとか、介護が必要でない高齢者の方も様々な事業がお休みで行くところがないなどの声を聞きます。来年度も新型コロナウイルス感染症の状況は不透明ですが、そのような状況でも、高齢者が介護予防に取り組めるような事業の工夫をしていただきたいと思いますが、来年度に向けてはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
〇葉山介護・高齢者支援課長 当面、この新型コロナウイルスの影響は続くものとして、感染予防策を徹底しながら、顔を合わせる対面での介護予防事業を継続するとともに、オンラインツールやICTを活用した新たな取組も進めてまいりたいと考えております。
〇近藤委員 新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、指定管理者に委託しているスポーツ施設や文化施設には、利用料収入が減少したために補正予算を使い、補償しました。しかし、事業等を利用していた区民には何もサービスとしては返ってきませんでしたが、区の職員は工夫をされて、コロナ禍でもできることを考え、高齢者の介護予防に取り組まれました。そして、ちゃんと高齢者はパソコンが不得意ではないか、セキュリティに気をつけなくてはいけないのではないかと、区民のことを考えて講習会を企画しています。とてもありがたい対応だと思います。今後も工夫して、高齢者の介護予防に取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございました。
障害児・者への理解について伺います。
「中野区障害者計画・第6期障害福祉計画・第2期障害児福祉計画(案)」の中に、障害のある人に対する理解が「ある程度進んでいる」、「十分に進んでいる」と回答した人の割合が、令和2年度の現状値は36.5%と低く、5年後の令和7年度の目標値も41.5%と低いことが記載されていました。平成28年、2016年には、障害者差別解消法、平成30年、2018年には中野区ユニバーサルデザイン推進条例が施行されるなどして、以前よりも障害児・者への施策が進められてきていますが、障害のある方への理解も広がってきているとは思いますが、まだまだ不十分であるのが現状のようです。
障害のある方への理解を進めるためには、子どもの頃から多様性を認め合いながら育つことが重要であり、学校教育はその役割が大きいと思いますが、学校の中でも、特に発達に課題がある児童・生徒への理解についてお聞きします。
私は平成28年度、2016年と、平成29年度、2017年に学校教育に関するアンケートの結果、学校は特別支援教育や発達障害等に対して、保護者に対して説明を行っているのかという項目で、「不十分」、「答えられない」、「分からない」との評価が多いのですが、どのように取組をしているのですかと質問しました。平成28年度は、「保護者の理解促進は欠かせないものと考えており、教育委員会において、パンフレットを作成し、全家庭に配布しています。また、各校において学校だよりで特集を組んだり、保護者会に合わせて講演会を開催するなど、分かりやすく伝える取組を行っているところです」というお答えを頂きました。
しかし、平成20年度のアンケート結果も、学校は特別支援教育や発達障害等に対して保護者に対して説明を行っているかとの同じ項目で、「不十分」、「答えられない」、「分からない」との評価が相変わらず多いので、再度どのような取組をしているのかとお聞きしました。そうしたところ、「特別支援教育の理解促進に向けましては、研修会の開催やリーフレットの作成、各学校での周知を行っているところでございますが、保護者の理解度を直ちに高める成果には結びついていない現状でございます。今後は、さらに特別支援教育の活動や成果も踏まえまして説明するなど、理解促進に努めてまいりたいというふうに考えてございます。区は、昨年度に引き続き、中学1年生の保護者を対象に、特別支援教育のリーフレットの配布や学校だより、パラリンピアンによる講習会の開催などを通じて、児童・生徒や保護者に対して理解促進に取り組んでいます。今後も特別支援教育の意義や重要性につきまして、保護者の方たちにきちんと分かるように、特別支援教育の活動や成果について示すなど、分かりやすい、丁寧なアプローチを行っていきたいというように考えてございます」とお答えになっているのですけど、それから2年がたった2019年度の学校評価外部評価、学校教育に関する保護者アンケートの結果についても、学校は特別支援教育や発達障害等に関して保護者へ説明を行っているという同じ問いに対して、保護者の回答は小学校、「不十分」、「答えられない」、「分からない」は33.1%。中学も「不十分」、「答えられない」、「分からない」が34.1%で、どの項目よりも小学校、中学校ともに「不十分」と「答えられない」、「分からない」の合計が多くなっているのです。
アンケートの結果を見る限りでは、教育委員会が分かりやすいアプローチをしていると思い取り組んでいる方法では、なかなか児童・生徒や保護者には特別支援教育や発達障害への説明としては届いていないように思います。
学校では、児童・生徒に対して特別支援教育や発達障害、多様性への理解など、どのように教えているのでしょうか。現在の取り組みを教えてください。
〇宮崎指導室長 学校では、インクルーシブ教育の理念に基づき、人権教育や道徳教育の視点から、偏見や差別の未然防止や思いやりの気持ちを育む教育を推進しているところでございます。
また、バリアフリーやユニバーサルデザインについても、体験活動などを通して理解を深め、共生社会の基盤づくりに努めているところでございます。
特別支援教育を推進していくためには、それを担う教員が様々な障害の特性を知ることはもちろん、児童・生徒誰にでも有効な指導方法や環境の整備などについて理解を深めていくことが重要であると強く認識しております。
教育委員会では、これまでもこうしたことに関わる研修や各校での研究を推進してきたところでございますが、今後も区や各校の課題を踏まえながら、さらに充実してまいる所存でございます。
〇近藤委員 学校は児童・生徒に対し、今までもパラリンピアンによる講習会など、そういったことをいろいろ行ってきたんですね。ただ、子どもたちは、目に見える身体に障害のある方への理解はできても、目に見えない発達障害などの方への理解はなかなかしにくいのだと思います。学校は、児童・生徒が1日で一番長く過ごす場所です。他人を思いやる気持ちを育てる道徳などはとても大事ですので、ぜひこれからも、来年度も取り組んでいただきたいと思います。
また、教師への研修も始められたようですけれど、特別な支援を必要とする児童・生徒がクラスの中で理解され、有意義な学校生活が送れるように、さらなる努力をしていただきたいと思います。
学校における指導以外では、子どもたちに対して、障害のある方への理解を深める取組を考えているとお聞きしましたが、今後はどのような取組を行っていくのですか。
〇菅野障害福祉課長 今年度制定いたしました中野区手話言語条例及び中野区障害者の多様な意思疎通の促進に関する条例の普及啓発の取り組みの一環といたしまして、小学生を対象に、子どもたちが手話に親しむための啓発用の下敷きの配布を予定しております。また、令和3年度は、障害者団体の御協力を得ながら、障害のある方が小学校に出向いて行う出前講座の実施につきまして、現在検討を進めているところでございます。今後も、子どもの頃から障害に関する知識、理解を深められるよう工夫をしてまいります。
〇近藤委員 ぜひ、アンケート取ると、毎年毎年理解できていないというのは、本当にやっぱり真剣に受け止めなくてはならないと思います。本当に障害のある子、方たちに理解が深まるような取組をしていただきたいと思います。
多様性を受け入れて理解していくというのは、子どもたちにとってはとても時間のかかることですけれど、家庭、学校、地域が一緒になって、人を思いやることができる子供たちをぜひ――子育て先進区なんですから、もうそこを本当に一番大事だと思いますので、ぜひそういったことが伝わる教育ですとか、地域の活動ですとか、率先してやっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
これで私の全ての質問は終わります。ありがとうございました。
○山本委員長 以上で近藤さえ子委員の質疑を終了します。
次に、いながきじゅん子委員、質疑をどうぞ。
○いながき委員 無所属のいながきじゅん子です。
まず、区政構造改革について伺います。
新型コロナウイルスの発生、感染拡大により厳しい財政状況が見込まれる中、持続可能な行政運営を実現していくために、行財政の構造的な改革を集中的に進めるとのことです。区議会の議事録を確認いたしましたが、「持続可能な中野区の行財政のために」というくだりは、既に平成13年、今から20年前にも全く同じことが叫ばれていました。
この20年間、区は財政状況が厳しくなると、「持続可能な区政運営のために」を錦の御旗に、行財政改革の実行計画をつくっては、歳出を一時的に絞るものの、そのうち人口が増え、税収が持ち直すと、今度は区民サービスの充実を掲げ、歳出と財政規模をどんどん拡大させるというこのパターンを繰り返してきました。
結果、当時から今日まで、中野区の一般会計の予算規模はほぼ右肩上がりに増え続け、来年度の当初予算額は1,472億円になると示されました。区の人口はといいますと、この20年間で8%の増加、特別区税の収入額は22%の増加です。しかし、一般会計の規模については、この20年間で876億円から1,472億円と、実に68%も増加しています。しかし、今後の人口減少、高齢社会においては、もはやこれまでと同じ20年間は二度と繰り返すことはできないと心得、構造改革というのであれば、これまでの常識を本気でひっくり返すくらいの心意気で取り組むべきです。
しかし、今回の構造改革の素案たたき台を見る限り、今後、自治体として当たり前に取り組んでいくべき内容ばかりで、構造改革という名にふさわしい改革が本当に実行できるのか、全く不透明です。8月に策定予定の実行プログラムでは、中長期的な取組について、工程表や財政効果などを含め、構造改革という名にふさわしい具体的な内容が示されるのでしょうか。
〇石井企画課長 構造改革の実行プログラムにつきましては、中長期的な取組として、デジタルシフトと窓口の適正化、区有施設の財産経営、内部事務の効率化など、約20の事項について検討を進めているところでございます。現状と課題を整理いたしまして、今後の検討方針や目標、3か年の工程表などを取りまとめることを想定してございます。財政効果など目標を定めることも必要と考えておりまして、可能なものは数値化を検討してまいります。
○いながき委員 構造改革のキーワードとして、民間活力の活用を掲げられていますが、短期的な取り組みの状況の中に、民間活力導入可能性調査見直しとあります。これは矛盾しているのではないでしょうか。
〇石井企画課長 民間活力導入可能性調査に関する費用につきましては、主に用地活用検討に係る調査でございまして、これまでの実績を踏まえて精査をしたものでございます。
構造改革におきましては、民間活力の活用を進める考えでございまして、内部事務や管理事務の委託化、PPPの活用による施設整備などの検討をしてございます。
○いながき委員 構造改革においては、一つひとつの事業を精査し、改善や見直しを図ることも必要ですが、思い切ってやめるべきことをやめ、増えすぎた事業及び業務量を整理し、真に職員が担わなければならないことに集中することが非常に大切です。来年度予算編成で目標としていた経常経費20%カットが、9%しか達成できなかったとのことですが、やめるということを決断しませんと、来年度は9%もカットはできないと思います。
例えば、毎年全庁的にかなりの種類のチラシやポスターが制作され、掲示配布されています。今現在は新型コロナウイルスの影響で、通常よりは減少しているようにも見えますが、庁舎や庁外施設の壁には、恒常的に啓発やお知らせのポスターやチラシが所狭しと貼られています。しかし、細かい文字で書かれたものも多く、それらを一つひとつ丁寧に読んでいる方を見たことがありません。また、とにかく多くのチラシが並んでいますが、それらを手に取っている方も見たことがありません。
町会の掲示板でも、消防や警察からのものも含め、常にたくさんのチラシが貼られていますが、餅つき大会などイベントのお知らせ以外はほぼ見られていないようです。このほかに、各種パンフレットが毎年様々制作されておりますが、これらの紙物の制作のためにどれくらいの時間や労力、印刷、運搬等のコストがかかっているのか、意識されたことはあるのでしょうか。
今はトランクルームサービスなど、物を置くためのスペースが有料で貸し出される時代です。庁舎内外において、印刷物の保管のために使われている区有スペースも立派なコストであると捉えるべきです。各部署で紙の広報啓発物が何気なく占領しているスペースや倉庫のスペースを足し合わせると、結構な広さになるのではないでしょうか。これらのコストについて、区としてはどのように認識されていますでしょうか。
〇高村広聴・広報課長 委員が御指摘のように、区全体としては非常に多くの広報物があり、それらの作成、運搬や配布などに関する経費、それから労力、先ほど言われた配布スペースなどに多くのコストがかかっていると認識してございます。
各課の事業におきまして、紙媒体の広報物を作成する場合には、予算編成に当たってその評価、見直しを行い、必要性を確認するとともに、他の媒体への移行可能性について検討しているところでございます。
○いながき委員 次に、紙の広報物の効果について伺います。
一例として、証明書のコンビニ交付を取り上げさせていただきますが、この事業はいつから始まり、現時点での利用率は全体の何%なのでしょうか。
〇伊藤戸籍住民課長 コンビニ交付サービスは、平成24年2月1日から開始でございます。
それと、本年1月末現在、証明書交付数に対するコンビニでの証明書交付数の割合は約11.1%でございます。
○いながき委員 屋外の区のお知らせ掲示板でこのポスターを見かけた方もいらっしゃるかと思います。2か月に一度、区報でもお知らせされているとのことですが、実際の利用率はいまだ低い状況です。マイナポイントが付与され、マイナンバーカードを取得する人が増えたことや、戸籍や税の証明書も取得できるようになったことで、今後はサービスの利用者も増えていくかもしれませんが、広報にもそれなりに力を入れてきたにもかかわらず、利用率はほとんど上がりませんでした。証明書のコンビニ交付に限らずですが、紙の広報物の効果について、区としてはどのように認識をされているのでしょうか。
〇高村広聴・広報課長 デジタルツールを利用しない方をはじめ、紙媒体による情報発信が必要、または有効である場合が少なくありませんが、一方でデザインや表示内容、配布場所や時期などへの配慮が不足しており、広報効果が低いものも散見されると認識してございます。
広聴・広報課の広報クリニックやセミナーを充実するとともに、実務的なガイドラインを作成して、全庁的に広報物の無駄を減らす一方、紙媒体による情報発信の広報効果を高めてまいりたいと考えてございます。
○いながき委員 何かにつけて紙のチラシやポスターを作って広報啓発するという作業は、これまであまりに当たり前に行われてきたと思うのですが、そういったことにもメスを入れるのが構造改革なのではないかと思います。
民間企業でしたら、広報宣伝効果がはっきりしないツールを検証することなく、毎年コストをかけ続けるということはあり得ません。先ほどの証明書のコンビニ交付の件もそうですが、ポスターやチラシでの広報を強化する前に、まずはサービスの中身に改善すべき点があるのではないか、そちらのほうに目を向けるべきです。
マイナンバーカードの申請手続や受け取りの煩雑性など、利便性が低く、窓口に行ったほうが早いと思われているのではないか。例えば、そういったそちらのほうを改善するほうが利用率向上につながり、重要だと考えます。
民間企業では、紙のカタログやパンフレット、チラシをどんどんデジタル化しています。今後は区もそれらを作成する際には、作ること自体が目的となってしまっていないか、その効果と必要性を厳しく検証し、最小限に絞っていくべきではないでしょうか。
〇石井企画課長 構造改革の取り組みの方向性といたしまして、あらゆる業務、手続の効率化や省力化、デジタルシフトを推進して業務量を削減することを掲げてございます。
紙媒体のチラシなどにつきましても、広報の仕方やサービス内容を検証いたしまして、徹底的に効率化を図りながら、質の高い行政サービスの提供に取り組んでまいります。
○いながき委員 次に、区有施設整備計画について伺います。
まず、更新経費についてです。
更新費に充当できる特定目的基金額は、令和元年度末で社会福祉施設整備基金が35億1,500万円、義務教育施設整備基金が179億6,900万円です。財政調整基金の一部を施設改修分として使えるとしても、その残高は、令和元年度末で279億円であり、全部合わせてもおよそ494億円です。今後の基金積立繰入計画では、4年後にこの残高が半分になるということで、毎年84億円、20年間で1,911億円、40年間で3,378億円の更新経費を支払えるのか、財源についてはどのように考えているのでしょうか。
〇石井企画課長 区有施設整備計画におきましては、施設更新経費を積み上げた将来推計と併せまして、一般財源ベースの財政フレームをお示しするところでございます。この財政フレームでは、基金や起債の活用のほか、用地の売却益などによって施設整備の財源を確保しておりまして、全体の収支は均衡をしてございます。
○いながき委員 次に、この中で記されている区有施設数についてですが、用途が廃止されたものも含まれているのでしょうか。例えば、旧常葉少年自然の家はいまだ解体されておらず、毎年警備費用を支払いながら、区有施設として保有していたはずですが、この施設数には含まれているのでしょうか。
〇石井企画課長 常葉少年自然の家ですが、売却の方向性を既に決めているということでございまして、区有施設整備計画の対象にはしてございません。
○いながき委員 では、区有施設整備計画ということで、区有施設という位置付けであるのであれば記載すべきだと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
〇石井企画課長 繰り返しになりますけども、売却の方向性は既に決めているということで、この対象にはしていないところでございます。
○いながき委員 ほかに含まれていない施設というのはあるのでしょうか。
〇石井企画課長 ほかに、備蓄倉庫などの小規模な建物や、別のまた計画で策定をする予定である自転車駐車場を除き、全ての建物は対象にしてございます。
○いながき委員 そうすると、ここに記されている施設数ですとか、延べ床面積の数字も、どこまで実態を反映しているかというのが疑問に感じるところです。
続きまして、昨年オープンしました総合体育館の延べ床面積は、旧中野体育館の2.16倍、現在計画中の区役所新庁舎は現庁舎の1.82倍の延べ床面積です。区は、施設を改築するたび、規模とイニシャルコストを膨らませてきました。
私は、平成28年の総括質疑で、建て替えのときだけお金をかけ、後の改修については、財政難を理由になかなか進めない、これは問題であり、改築の際のルールを定めるべきではないかと指摘させていただきました。当時の企画御担当は、「既に小・中学校については標準モデルを策定しているが、他の施設についても新築あるいは改築をする際、将来的な提供量や提供手段を精査するとともに、ライフサイクルコストの視点を踏まえたものとなるよう、一定の標準モデルの検討を進めていきたい」と答弁なさいました。検討は進んだのでしょうか。
〇石井企画課長 今回の施設更新経費の試算に用いました更新単価でございますが、今後の施設整備の目安になると考えておりまして、これに物価変動などを加味していくことになると考えております。これからはいわゆる標準モデルというような、同じ類型の施設を幾つも造るというよりは、集約化や複合化によって施設の再編を行っていくという考えでございます。地域の拠点として必要とする面積や機能に加え、防災性や環境性、ユニバーサルデザインなどの設計上の工夫、近隣地域への配慮など、共通に配慮すべき点を踏まえた上で、様々な条件の中で個別に施設の計画をしていくというふうに考えております。
○山本委員長 ここで休憩にしたいと思います。
13時まで委員会を休憩いたします。
午前11時59分休憩
午後1時00分開議
○山本委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、総括質疑を行います。
いながき委員、質疑をどうぞ。
○いながき委員 前区長の就任時には282施設、52万5,000平米だった区有施設が、今回の区有施設整備計画(素案たたき台)では245施設、43万3,000平米まで減少しています。施設の数については単純に比較できないかもしれませんが、延べ床面積を見る限り、前区政では全体量を確実に減らしたことが分かります
酒井区政になってからは、前区政で決定した学校の再編や保育園の民営化を一部進めてはいるものの、当時の計画をストップ、あるいは縮小したものもあり、20年後の総延べ床面積の見込みは、現在よりも増えています。延べ床面積の縮減という目標は掲げなくてよいのでしょうか。
今後の財政状況を鑑みた上で、施設の再編も民営化も、この計画で示されているもの以外は、今後必要ないというお考えでしょうか。確認をいたします。
〇石井企画課長 区有施設には、小・中学校のように、長期的な人口動向を見据えまして配置するものと、日常生活圏域、または広域の視点からバランスを見て配置するものがあると捉えてございます。
目標につきましては、総量というより、施設分類ごとの配置の考え方や配置数を示すのが妥当であると考えております。
今後の持続可能な行財政運営を目指すためには、さらなる施設の再編を進めていく必要があると考えておりまして、今回の区施設整備計画の策定後も、引き続き検討を行ってまいります。
○いながき委員 最後に、ファシリティマネジメントについて伺います。
ファシリティマネジメントについては、15年前の2008年3月に策定された施設白書の中で、既に考え方の活用について言及されており、私も以前の総括質疑で、この導入や人材育成について提案をさせていただきました。
しかし、今回の区有施設整備計画で、これからファシリティマネジメントを行っていく必要がある、人材育成を進めていくと、15年前とまた同じことが記載されており、全く進んでいないことが分かりました。今後、10年後、20年後にもまた同じことを繰り返すのではないかと危惧しています。
計画の中でも触れられていますが、早急に公共施設マネジメント課のような専門部署をつくり、全区有施設のコストや利用率などを踏まえて評価検証をし、個別及び全体のマネジメント計画をつくり、実行していくべきではないでしょうか。
〇石井企画課長 施設の再編は、区政構造改革に位置付けておりまして、これを着実に進めていくため、来年度4月1日付の組織改正の中では、企画部の中に担当部長を設置することとしてございます。
区有施設整備計画は、中長期的な施設の再編及び利活用等を示す区有施設全体のマネジメントの計画でございます。個別の施設の現状分析に当たりましては、新地方公会計による財務書類を用い、施設別財務書類などによって課題を整理し、中長期的な個別の施設更新計画を見直し、適切な投資判断を行っていく考えでございます。
○いながき委員 ありがとうございました。
次に、中野駅新北口駅前エリア再整備について伺います。
先月、野村不動産を代表企業とする施行予定者候補が選定されましたが、選定された最大の理由を分かりやすく御説明を願います。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 施行予定者候補の提案内容は、全体的に評価が高く、特に再整備事業計画のコンセプトを確認する重点評価項目における提案の具体性、実現性が評価されたものでございます。例えば、公共公益性の向上につながる空間整備として、中野駅西側南北通路からつながる歩行者動線が北に延び、中野四季の都市(まち)と中野五丁目を結ぶ東西道線と交わるなど、通路や広場の配置が明快で分かりやすいというところが高く評価されたものでございます。
○いながき委員 歩行者動線があまりによ過ぎると、駅とホールの往復になってしまい、回遊性が薄れてしまうのではないでしょうか。施行予定者候補にJR東日本が入っているからだと思いますが、提案書では、商業施設について、駅ビルと一体的に運営を行うことで、来街者のまちへの回遊性を高めるとあります。
しかし、本当にそうなるのでしょうか。逆に、このエリア内で消費行動が完結してしまい、五丁目商店街など周辺への回遊及び経済波及効果が限定的となってしまうのではないでしょうか。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 再整備事業計画では、歩行者ネットワークの整備や結節点における広場空間の整備などを誘導し、中野五丁目をはじめ中野駅周辺の回遊性を高めることを方針として掲げております。
施行予定者候補の提案におきましても、この方針に基づきまして、歩行者ネットワーク、広場空間、周辺地区とをつなぐ歩行者デッキなどが計画をされているものでございます。
○いながき委員 施行予定者候補の提案では、ビル風が相当強くなってしまうのではないか。中野通りが歩けなくなってしまうのではないかと危惧しておりますが、何か対策は講じられるのでしょうか。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 施行予定者候補の提案では、風環境のシミュレーションを実施した上で、周辺地域への環境負荷低減と改善を図る計画としているというふうに記載をされております。
本事業は、環境アセスメントの対象となる予定でございまして、事業実施に伴う環境への影響については、今後の事業計画の検討の中で確認をしていくことになります。
○いながき委員 市街地再開発事業の円滑な推進において、資金計画は非常に重要です。これを重点評価項目にしなかった理由を改めて伺います。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 民間事業者募集の提案項目は、提案を求めた内容に対応して6項目を設定しておりまして、資金計画については、評価項目のうちの事業推進計画において評価をしております。評価項目はいずれも重要であると考えておりますが、特に重点評価項目については、再整備事業計画に掲げる拠点施設整備のコンセプトに基づき、設定をしたものでございます。
○いながき委員 今回選定された施行予定者候補は、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画策定の事業協力者、アドバイザーという立場でした。今回の公募に当たり、応募者との質疑応答が公表されていますが、その中で、公平な事業者公募を担保するため、事業協力者に提供された資料を全て他の応募事業者にも提供してほしいという質問がありました。それに対し、区の回答は、全ては提供できないというものでした。応募受付時には、施行予定者候補と次点事業者のほかにも手を挙げた事業者がいたとのことですが、これが提供されていれば提案書を提出した事業者はもっと増えていたのではないでしょうか、伺います。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画の検討過程におきまして、区は事業協力者に資料は提供しておりますが、その検討過程で設定条件が変わったり、内容が変わってしまったものがございまして、事業協力者に提供した全ての資料を提供することは、実際には困難であります。
今回の事業者募集に当たりまして、検討の前提となる必要資料については、全エントリー事業者に対して提供しておりまして、公平性は確保されていると考えております。
○いながき委員 審査委員会のコメントで、施行予定者候補の提案は、重点評価項目における提案の具体性、実現性が評価されるとあります。具体性、実現性については、これまで事業協力者として再整備事業計画づくりに携わっていた施行予定者候補の点数が高くなって当然なのではないでしょうか。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 今回の民間事業者募集では、募集要項公表から提案書提出まで5か月以上の期間を設けております。区としては、各応募者の十分な検討期間が確保できたと考えております。
○いながき委員 この計画の中で、施行予定者候補にとって一番負担が重いのは、7,000人ホールだと思います。提案書を見ると、グローバルネットワークとプロデュース力を有する大手広告代理店による運営とありますので、協力事業者として名前が挙げられている電通さんが行うことが想定されます。こちらは東京都の有明アリーナにおいて、国内初のコンセッション方式のアリーナ管理運営事業を今年6月から始めるとのことですが、それ以外のホール運営の実績や経験はあるのでしょうか。同様に、代表企業の野村不動産についても伺います。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 今回の民間事業者募集では、多目的ホールの管理運営実績について、参加資格要件としては求めておりませんので、区としては把握はしてございません。
今後の事業計画の検討に当たっては、区として、多目的ホールの安定的、継続的な施設運営について施行予定者候補に求めてまいります。
○いながき委員 応募者とやり取りされた質疑応答の中で、「長期にわたる施設の運営や維持管理における長期とはどの程度の期間を指しているのか」という問いに対し、区は「30年ほどを想定している」と回答しています。仮に、7,000人ホールが整備されたとして、30年を過ぎた後、区に想定外の負担が生じることはないのでしょうか。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 提案に当たりましては、具体的に管理運営を想定できる期間ということで、30年という期間を設定したものでございます。
多目的ホールにつきましては、民間事業者による整備、所有、運営を求めておりまして、施行予定者候補の提案は、「文化を原動力とした中野100年のまちづくり」を開発コンセプトとした、より長期にわたる持続的なまちづくりが提案をされていると考えております。
○いながき委員 区に想定外の負担が生じることはないのかという質問をさせていただきました。その懸念について、お答えをもう一度お願いします。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 考え方として、民間事業者による整備、所有、運営を求めておりますので、民間事業者の負担でということでございます。
○いながき委員 区として事業内容に関わる要望事項を整理し、協議していくとのことですが、事業計画作成までの間、いつまでにどのような形で施行予定者候補と協議していくことを考えているのでしょうか。
また、施行予定者が正式な施行者となるのはいつの段階なのでしょうか。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 現在、施行予定者候補と基本協定に関する協議を進めております。今後の協議の進め方についても併せて確認をしております。基本協定締結後、施行予定者と調整ができた段階で、今後の進め方、スケジュールなどを御説明したいと考えております。
また、事業の検討が進み、市街地再開発事業の事業認可をもって、施行予定者は施行者となるものでございます。
○いながき委員 施行予定者候補の提案書を見ますと、どこにでもあるような高層ビルとホールという印象を持ちます。サンプラザのDNAとして記憶、名前、形を継承するというお話でしたが、区民の要望が高い形について、もう少し工夫はできないものなのでしょうか、伺います。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 審査委員会の講評では、施行予定者候補の提案につきまして、建物壁面の圧迫感の軽減に関して、今後のさらなる検討を求めると指摘がございます。今後、建築物の外観や景観形成につきまして、中野サンプラザのDNA継承における形、そういった視点も含めまして協議を行ってまいります。
○いながき委員 分かりました。区と区民にとって、よりよい再開発になりますよう要望いたしまして、私の全ての質問を終了いたします。ありがとうございました。
○山本委員長 以上でいながきじゅん子委員の質疑を終了いたします。
次に、石坂わたる委員、質疑をどうぞ。
○石坂委員 質問をいたします。
1項目めとして、人事と人材育成について伺います。
(1)として、新型コロナウイルス禍の人的資源管理について伺います。新型コロナウイルスは、中野区役所の人的資源管理にも大きな影響を与えています。
まず、保健所について伺っていきます。保健所の保健師の配置は、昨年度が保健師7名、本年度が保健師8名かと思いますが、保健所の保健師の平均超過勤務時間は、前年度と今年度でそれぞれ平均でどのような状況でしょうか。
〇中谷職員課長 前年度は保健師7名の平均で、1か月当たり16時間、今年度は保健師8名の平均で1か月当たり34時間でございます。
○石坂委員 ありがとうございます。そして、すこやか福祉センターから保健所に応援に入っている保健師の超過勤務時間は、前年度と今年度でそれぞれ平均どのようになっていますでしょうか。人数も含めて教えてください。
〇中谷職員課長 すこやか福祉センターの保健師の超過勤務時間は、前年度が35名の平均で1か月当たり4時間、今年度が34名の平均で1か月当たり9時間となってございます。
○石坂委員 では、保健所配置の保健師以外の事務職員等の超過勤務の変動はどうでしょうか。
〇中谷職員課長 保健所の保健師以外の職員の超過勤務時間につきましては、まず保健予防課が、前年度は12名の平均で1か月当たり3時間、今年度は16名の平均で1か月当たり22時間でございます。次に、保健企画課が11名の平均で、前年度は1か月当たり8時間、今年度は1か月当たり25時間でございます。最後に、生活衛生課が前年度は32名の平均で1か月当たり3時間、今年度は33名の平均で1か月当たり6時間となってございます。
○石坂委員 いずれも2倍を大きく超えているところも含めて、増えているところは心配な状況です。なお、民間の場合に適用される労働基準法による時間外労働の上限規制の定めについて、これは民間企業の場合の規定ではありますが、この基準の上限を超えている保健師の方がいるのかどうか、教えてください。
〇中谷職員課長 1名おります。
○石坂委員 心配な状況だと思います。
では、新型コロナウイルスに直接関わる部署で、体調を崩し、長期の休みを取る管理職の人数はどうなっていますでしょうか。
〇中谷職員課長 2人でございます。
○石坂委員 また、新型コロナウイルス禍に影響を受ける産業振興課や生活保護の部署も大変な状況であるかと思いますが、これらの状況を職員課では把握をされていますでしょうか。
〇中谷職員課長 新型コロナウイルス感染症への対応で、新規事業の立案や相談件数の増加などにより業務量が増えている部署につきましては、応援体制の要請などを受けており、把握をしてございます。
○石坂委員 では、新型コロナウイルスの対応など、年度途中で欠員あるいは廃止となっている課長職はどうなっていますでしょうか。
〇中谷職員課長 生活保護担当課長と大和町まちづくり担当課長が新型コロナウイルス感染症への対応に伴い、年度途中で欠員となってございます。
また、その他の理由で、中部すこやか福祉センターと北部すこやか福祉センターのアウトリーチ推進担当課長が年度途中で欠員となってございます。
それぞれ生活援護課長、防災まちづくり担当課長、各すこやか福祉センター所長が兼務しているという状況でございます。
○石坂委員 かなりしわ寄せ等が心配な状況が生じているかと思います。
では、保健師はもともと数を抱えていたのがすこやか福祉センターですので、すこやか福祉センターに関して、より詳しく伺いたいと思います。
保健所のほうに人が取られる状況の中で、業務の内容や担当するケース数、相談数の状況が増えるなどの影響はいかがでしょうか。
〇高橋中部すこやか福祉センター所長 お答えいたします。保健所へのすこやか福祉センター保健師の応援派遣については、現在各すこやかから1人ずつ派遣している状況です。応援職員の派遣に伴い、業務内容の変更はないものの、他の保健師が担当するケース数や相談数が増えるなど、一定の影響が出ていることも事実でございます。しかし、これまでもすこやか福祉センター内で保健師へのフォローを職場全体の課題として捉え、対応を図ってきており、今後も状況に応じ、職場全体での業務分担の調整や協力体制を強化することで、応援派遣による影響を最小限にしていきたいと考えております。
○石坂委員 職場のほうでかなり頑張っていただいているかと思います。なので、保健所に派遣に行っている職員はもちろん、そうじゃない職員にも様々影響が出ている状況かと思います。
では、そこで、またさらに確認のために伺いますが、現在、所長とアウトリーチ推進担当課長がいる2か所のすこやか福祉センターにおいて、2人の管理職の役割分担はどのように行っていますでしょうか。
〇高橋中部すこやか福祉センター所長 所長は、すこやか福祉センターにおける業務全般の進行管理を担うとともに、所属職員の指揮監督を行っております。
アウトリーチ推進担当課長は、区民活動センターを拠点としたアウトリーチ活動の推進や町会等の地域活動の支援のほか、保健福祉包括ケアに関する業務を担っております。
○石坂委員 では、一方で、現在、先ほど2名抜けているという話がありましたけれども、所長のみという形で管理職がなってしまっているすこやか福祉センターにおいて、アウトリーチ推進担当課長が担っていた役割は所内でどのように分担されていますでしょうか。
〇高橋中部すこやか福祉センター所長 現在、中部及び北部のすこやか福祉センターにおいては、所長が兼務発令を受け、アウトリーチ推進担当課長としてのその役割を担っております。
ただし、会議や行事への出席など、所長1人では対応困難な場合、担当の係長に代理出席を依頼するなど、すこやか福祉センター内の調整により対応しております。
○石坂委員 あくまでも代理という形ではありますが、頑張っていただいている係長がいらっしゃるということです。
今は、緊急事態宣言も出ている中で地域団体の活動や公益活動団体の活動も少なくなっていますが、やはりこれが通常の量に戻り始めたときに、管理職の手が足りなくなる可能性が高いのではないかと思われます。
私が議員となりました2011年には、東京都から来ている医師資格を持つ管理職が5名いて、保健所に2名、すこやか福祉センターに3名が配置されていましたが、現在は勤務ができている管理職1名、休職中の管理職1名、管理職ではない職員1名の計3名となっています。医師資格を持つ管理職を追加で都に出してもらう、または休職中の職員との入れ替えも求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇中谷職員課長 保健予防課長の公衆衛生医師の配置につきましては、昨年3月に公衆衛生医師の保健予防課長が体調を崩してから、再三にわたり代わりの公衆衛生医師の配置を東京都に対して求めてきたところでございます。東京都も公衆衛生医師の配置が必要であることは認識をしておりますが、必要な人数の医師を確保できていない状況にあると聞いてございます。1月に行われた東京都とのヒアリングの場におきましても、4月1日には公衆衛生医師の保健予防課長を配置するよう、強く要望してきたところでございます。
○石坂委員 4月1日からという話で頑張っていただいていると思いますが、引き続き頑張っていただければと思いますし、やはりもともと私が議員になったばかりの頃は5名いた医師ですので、しっかりと人数の確保、東京都に働きかけていただければと思います。
また、全体的に管理職が欠けている状況の中で、管理職試験受験資格のある人の中から、課長や課長心得を増やしていくことや、任期付の管理職の採用、東京都からの管理職の派遣なども考えるべきではないでしょうか。もし既に行っているのであれば、どのようなアプローチを行っていますでしょうか。教えてください。
〇中谷職員課長 管理職の受験勧奨や外部人材の活用、都や国、他区から派遣など、これまでも様々な手法により管理職の確保に努めてきたところでございます。今後も引き続き必要な管理職を確保できるように努めてまいります。
○石坂委員 なお、今回の新型コロナウイルス禍において、保健師は手当の増がなされました。また、職員全体では、一方で期末手当の削減がなされました。しかし、間接的に新型コロナウイルスの影響を受けている部署も多々あります。現在、業績によって、行政職員の期末手当支給日に、勤勉手当額に差がつく形となっていますが、部内で数の調整がされています。少なくとも現状では、新型コロナウイルスの影響から、在住、在勤在学者を守るために身を粉にしている職員に対しては、部内での人数制限を緩和したり、他部署と調整をして勤勉手当の支給額を増やすべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇中谷職員課長 今年度の人事評価から、業績評価に「3+(プラス)」という新しい階層を設け、勤勉手当の額が若干上乗せされるようにしたところですが、新型コロナウイルス感染症への対応で、兼務等の応援体制に協力した職員につきましては、分布制限を設けずに評価できるようにしたところでございます。
○石坂委員 しっかりと頑張っている職員が評価される形にしていっていただけますよう、お願いします。
また、(2)として、平常時について伺っていきます。
まず、課長――これは課長心得を含む――になることができ、現に課長等になっていない職員の数を承認予定年度別の内訳も含めて教えてください。
〇中谷職員課長 管理職選考の合格者が13名で、昇任予定年度別の内訳としましては、令和3年度が1名、令和4年度が3名、令和5年度が7名、令和6年度が1名で、現在待機中の者が1名でございます。
○石坂委員 では、現在課長になれる人が1名、課長心得になれる人は12名いるという理解でよろしいでしょうか。
〇中谷職員課長 そのとおりでございます。
○石坂委員 その上で、課長の人材ということで伺いますが、管理職試験を受ければ、課長や課長心得になることができ、管理職試験を受験していない職員の数と、受験をしているが、合格をしていない職員の数が分かるように人数を教えてください。
〇中谷職員課長 令和2年度の管理職選考の有資格者が526人で、受験者は13人、そのうち合格者が9人で、不合格者が4人でございます。
○石坂委員 資格があっても受験をしない方も多いというところも気になるところです。管理職試験の受験勧奨は何か行っていますでしょうか。
〇中谷職員課長 各所属長が受験勧奨を行っているほか、職員課による勉強会や模擬試験の実施、受験者への個別指導などを行っているところでございます。
○石坂委員 職員課のほうでも行っている、また各課の所属長のほうでも行っているものと思いますけども、やはり職員課による新規採用職員であるとか、若手の職員、係長級の職員、管理職試験の受験資格を得た職員など、時期を捉えた形で、管理職を目指したいと思ってもらえるようなロードマップを示すことや、職員課、場合によっては区長自らによる受験勧奨などを行うべきではないでしょうか。
〇中谷職員課長 本人の意識や上司の意見から、将来の管理職となるべき人材を早い段階から職員課が把握し、管理職候補者の育成という観点から、管理職になるために有意義な職務経験を効率よく経験させられるような人事異動を行っていくことが必要と考えておりまして、今年度から試行的に実施し始めたところでございます。
○石坂委員 今年度から試行的にやっているということではございますけども、今回のコロナ禍では、全体的に管理職、非管理職を問わず、人のやりくりが福祉系の部署から多くなされ、しわ寄せの偏りが気になります。中野区は現在、複線型人事を行い、非管理職においてはエキスパート職員とゼネラリストの通常の職員がいますが、ゼネラリストのほうの職員の育成では、他部署への応援が可能な人材を長期に育成する考え方を持って異動させること、また管理職を目指す職員の育成においても、その道の専門家という未来の課長候補を育成することをもちろん行いつつ、一方で管理職になる前に複数の専門性を身につけ、区の一大事に際しては、全く別の専門性を持つ部に異動しても即戦力になれる人材育成も必要ではないでしょうか。
また、管理職志望の非管理職職員や、管理職から見て、管理職の候補生として育成したいと考えられる職員には、区政全般を見渡せる部署やマネジメントを担う部署を経験させることも必要だと思いますが、いかがでしょうか。併せてお答えください。
〇中谷職員課長 職員の育成に当たりましては、様々な職場で即戦力となれるように、職種に応じて必要とされるスキルのうち、基本的なものは入区して10年以内のジョブローテーションで一通り習得できるような人事異動を行っていく必要があると考えてございます。
また、管理職の育成に当たりましては、どんな職場でも対応できる人材や、特定の分野に精通した専門性の高い人材をバランスよく確保できるように、候補者を育成していく必要があると考えてございます。
それから最後に、将来管理職となることが期待される職員には、管理職になるために有意義な経験を効率よく積むことができるような人事異動を行っていく必要あるというふうに考えてございます。
○石坂委員 効率よく人事異動を行っていく際には、もちろん全体を見渡せる部署ですとか、マネジメントを行う部署の経験も含まれるという理解でよろしいでしょうか。
〇中谷職員課長 そのようになります。
○石坂委員 ぜひお願いします。
それから、課長については、現在、複数の課長を兼務することが多くなっています。兼務する場合には、将来的に合併する見込みである場合や、政策形成上必要がある場合を除き、こうした兼務を早急に解消するとともに、どうしても兼務が必要な場合には、関連性のある部署や連携を行う必要がある部署で兼務をするようにすべきではないでしょうか。
〇中谷職員課長 管理職のポストの数に管理職の人数が不足をすることから、担任する業務量やスパン、部下の数などを総合的に勘案して、専任の管理職を配置するか、兼務とするか、判断をしているところでございます。本来、専任の管理職を配置すべきポストをやむを得ず兼務としている状況もありますので、そうした兼務につきましては、できるだけ早く解消したいというふうに考えてございます。
○石坂委員 しっかりとしたやりくりをしていただければと思います。
さらに、今後重点プロジェクトとして取り組みたいとしている3項目や、現状でも取組がなされているユニバーサルデザインや、環境負荷の少ない低炭素社会の実現などを進める上で、これらについて、各課に精通した職員がいる状況をつくることや、その施策を主導する課の大半の職員が専門性を持って各所管に指示や進捗管理をする立場に立てる意識と経験を持つことが大切です。
区役所内の研修を散発的に受けるのではなく、資格取得制度のように系統的、計画的に受けることや、研修の受講による知識の向上や業務に生かせる気づきがあったのかについて、少なくとも区役所内で職員課が行う研修については効果測定を行うこと、一定の要件を満たした人を認証して、職員課で人材として把握をして、異動する際において考慮することが必要ではないでしょうか。
〇中谷職員課長 研修の計画的、体系的な実施や効果の測定、受講履歴の活用などにつきましては、これまでも実施してきているところでございますが、今後もより効果的な手法について検討していきたいと考えてございます。
○石坂委員 しっかりと検討を進めていただければと思います。
それで、これまでの質問を踏まえつつ、2項目めの組織と政策について伺っていきます。
横断的な取組が必要なことについて、先日、区民委員会での環境に関する学習会において、講師の先生から、とある自治体では環境問題に力を入れたいと考えた首長が、通常の組織の一角ではなく、区長直下に環境に関する部署を置いたという話がありました。
つまり、今後の子育て先進区、地域包括ケア、持続可能なまちの三つの重点プロジェクトとして考えている予定のところや、あるいは現状の環境SDGs、ダイバーシティインクルージョンも視野に入れたユニバースデザインなど、横断的な取組が必要な政策について、部署横断的で各部への推進の働きかけ、政策調整、進行管理をすることについて、専門性のある課に役割を持たせるべきであり、イニシアチブを担う課には専門性を持つ職員を配置して、知識、経験を高め、各部署に対して指示を出せる権限、それを実現する予算が必要であり、各部署がばらばらに動くのではなく、各部署にイニシアチブを取る部署と連携をする体制が必要です。さらに、連携調整の取りまとめ役をしっかりと組織上明確にすべきです。
まず、関連性を持つ課については各課に、関連性が乏しい課についてはケアを行う課の中に、専門性を持ち、施策を全庁的に主導する課との連携や調整、各課の課内で推進や施策のチェック、改善の提案ができる連携推進役の係をつくるなり、主査を含む係長級の担当者を設けることが必要ではないでしょうか。
また、施策を主導する課に、知識や経験など専門性に裏打ちをされた形で、各部署に対して指示が出せる権限、それを実現する予算をつけて各部への推進の働きかけ、各課における連携調整役の職員とのやり取りをする機能、権能、政策調整、進行管理をする役割を持たせるべきと思いますが、いかがでしょうか。
そして、さらに連携調整を担う会議体を組織において明示的に位置づけ、その施策を主導する課、課長の役割も明示した組織とすることが必要と思われます。
以上3点、まとめてお答えください。
〇中谷職員課長 組織横断的な課題への対応に当たりましては、連携や調整を行う会議体や、それを構成する組織や職員の役割を明らかにするとともに、必要な権限や予算を執行できる体制を構築することが必要であると認識をしてございます。
○石坂委員 まとめる部署としてもですし、各部署の中にもそうした機能を持たせ、もっと人を置いていくという理解で大丈夫でしょうか。
〇中谷職員課長 基本的には、主導していく側で必要なことだと考えてございまして、関連する部署とかにつきましては、基本的には組織というよりは、そういった関連にどういった対応をするかというところをきちんと明らかにしていくことが必要かなと考えています。
○石坂委員 責任の所在が曖昧にならない形で進めていただければと思います。
なお、経営本部体制と事業部制があった頃と比べ、常任委員会などで質疑応答の場において、私たちの部署や課はこう考えていますが、取りまとめをするところがそれを聞き取ってくれない、私たちの判断ではなく決められてしまったので、決められた背景や理由のことをよく分からないというようなやり取りが増えてしまっています。
現在、区政の重要方針及び重要な施策の企画及び総合調整をし、施策の方向性を明らかにするとホームページにも書かれている政策企画会議や政策調整会議がありますが、両会議それぞれ条例、要綱、規則の中でどのように規定され、どういったメンバー構成で、どういった役割を与えられているのか、教えてください。
〇石井企画課長 まず、政策企画会議でございますが、中野区政策企画会議等の設置及び運営に関する規則の規定により設置されまして、区長が主宰し、副区長、企画部長、総務部長、企画部企画課長で構成されてございます。必要があると認める場合には、部長及び課長を政策企画会議に出席させるものとしてございます。
政策企画会議の役割でございますが、区政の重要方針及び重要な施策の企画及び総合調整をし、施策の方向性を明らかにするためのものでございます。
また、政策調整会議におきましては、この運用で設置しているものでございまして、政策企画会議の事前調整や、その他の政策課題につきまして、庁内調整を行っております。
また、当会議の構成については、政策企画会議と同様でございまして、規則等の規定はしてございません。
○石坂委員 各部長が、正式なメンバーではなく、必要がある場合にというところが受け身にならないかどうかが心配なところです。やはり各部が自分たちの頭越しに決められてしまったという意識を持つのではなく、施策がつくられる背景や政策立案過程、どう実行されていくのかについてしっかりと説明責任を果たすことができ、議員からの質問、あるいは区民からの声に応えられるようにすることが必要ではないでしょうか。
〇石井企画課長 政策立案過程におきましては、各所管と調整の上、事案決定をしてきておりますが、今御指摘のようなことというのは、組織の統制の課題として真摯に受け止めていきたいと考えております。
策定中の基本計画における重点プロジェクトをはじめ、組織横断的に取り組まなければならない政策課題も多く、権限と責任を明確にした推進体制を構築していきたいと考えております。
○石坂委員 しっかりと明確にしていただければと思います。やはり連携がうまくいかずにばらばらになってしまうことですとか、責任の所在が不明確になることが心配ですので、しっかりと統一感のある区政運営を進めてください。
その上で具体的な施策として、3項目めとして、防災について伺っていきます。
以前、通常の避難所に関して、新型コロナウイルス禍における現状、避難所で発熱者がいた際に部屋を分けての対応がなされる旨の報道がありました。二次避難所においても、当然新型コロナウイルス禍への対応が求められます。その上で、(1)として、二次避難所と障害児・者について伺います。
まず初めに、二次避難所における感染予防として、新型コロナウイルス禍や今後の感染症流行に備えた二次避難所への消毒用アルコール、マスク、体温計、アクリルパネルなどの備蓄はどのように考えられていますか。
〇山田防災担当課長 二次避難所の感染予防についてでございますが、今年度、避難所の感染予防対策として、マスク、手指消毒液に加え、非接触型体温計、防護衣、間仕切りなどを新たに各避難所や区の集中備蓄倉庫に配備したところでございます。
二次避難所用の物資については、二次避難所が一部民間事業所であることや、備蓄倉庫の確保ができないことなど、様々な課題があることから、各避難所や区の集中備蓄倉庫に備蓄し、二次避難所の開設に合わせて、運営人員と併せて移動及び移送することとしております。
今後、二次避難所の避難スペースの確保について、所管部署や民間事業者とも継続的に協議検討していきたいと考えております。
○石坂委員 しっかり協議を進めていただければと思います。
次に、二次避難所においても、発熱者が出た場合には、部屋を分けるなどの対応を考えておくことが必要だと思われます。現状と今後はどのような対策を検討するのか、教えてください。
〇山田防災担当課長 避難所における感染症や発熱者などの避難スペースのゾーニングは、大変重要であると認識しているところでございます。区では、避難所の感染対策として、感染者や感染疑いのある避難者の受付要領や避難スペースのゾーニング方法などを盛り込んだマニュアルを作成し、避難所ごとに適正な運営を行うこととしております。
二次避難所においても、そのマニュアルに基づき対応する予定でございますが、高齢者や基礎疾患を有する方など、感染重症化リスクの高い方々の避難が多数見込まれることから、保健所や医療機関との緊密な連携についても併せて取り組んでいきたいと考えております。
○石坂委員 次に、二次避難所に避難をした際に、御本人の障害に関する情報や、利用している福祉サービスなどの情報の共有がやはり課題になると思います。検討を始める必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか。
〇菅野障害福祉課長 二次避難所が開設された際には、主に避難所の施設職員や区職員が運営を行ってまいりますが、被災した障害のある方の保護者や介護者の方などにも運営に御協力をいただきまして、連携して対応することとなります。お一人で避難してこられた方の情報共有の在り方につきましては、今後検討してまいりたいと考えております。
○石坂委員 しっかりと進めていただければと思います。
また、現状では、障害者の方など、一旦通常の避難所に避難をした上で、後で二次避難所に移動する想定となっています。避難所運営に関わる人に向けて、障害者の対応をしっかりとしてもらえるような手引、対応マニュアルのようなものを作成すべきだと思いますし、また障害者だけではなく、LGBTや海外にルーツを持つ人の対応についても、当事者の声を聞き、対応についての手引、マニュアルのようなものを作るべきと思われますが、いかがお考えでしょうか。
〇山田防災担当課長 現在、避難所の運営委員会において、各避難所の避難所運営管理マニュアルが策定されており、要配慮者の避難支援、二次避難所の開設など対応要領について定めているところでございます。
一方で、障害者、外国人の方や性的マイノリティの方に対する具体的な支援内容については明記がないことから、国や都の指針、他自治体の取組、また関係団体などの意見を踏まえ、今後改正を予定している避難所運営管理マニュアルに盛り込んでいきたいと考えております。
○石坂委員 ぜひお願いします。
次に、(2)として、同性カップルと同性パートナーシップ宣誓の取扱いについて伺います。
中野区パートナーシップ宣誓を利用しているカップルの場合で、災害時に避難所で生存していた場合の情報しっかり連絡をしてもらうことについては、家族と同様に扱ってもらうことはできますでしょうか。
〇山田防災担当課長 避難者の安否に関する情報の開示については、本人同意が原則であり、避難所に避難した全ての避難者に対し、公開の可否について確認していることから、同性カップル等であっても御希望があれば可能となります。
○石坂委員 では、死亡や重体で意識がない、その場合に、確認が取れない場合、どのようになりますでしょうか。
〇山田防災担当課長 意識がない方など同意が取れない場合については、公開できないことから、確認は不可能になります。
○石坂委員 そうなんですね。やはりそうやって課題が残っていると思います。
その上で、(4)で、同性パートナーシップ宣誓について伺っていきます。
同性パートナーシップ制度については、全庁的に法律的な制約などにより、同性カップルが除外される場合を除き、夫婦や家族と同様に行政サービスを受けられ、守られることについて、ユニバーサルデザインの担当から各部署への連絡は、どのようにこれまでなされてきましたでしょうか。
〇藤永ユニバーサルデザイン推進担当課長 区では、平成30年度にパートナーシップ宣誓を開始するに当たって、庁議や通知により各部署に対して取組内容の周知を行ってございます。これ以降も、ユニバーサルデザインの職員向けの手引書作成や、研修等を通じて継続的に全庁的に共有してきたところでございます。
○石坂委員 それでも、これまでやり取りをさせてもらったりですとか、ほかのことでも、完全に十分じゃないかなと思うところがあります。そうした状態の中で、同性カップルについて、区の全事業において、区の判断で可能なものについては、家族と同様に扱えるように全部署に検討してもらうことをユニバーサルデザイン推進担当のほうから徹底してもらうことが必要と思われますが、いかがでしょうか。
〇藤永ユニバーサルデザイン推進担当課長 区では、本年度より犯罪被害者等支援事業で配偶者を支援対象としている事業についても、宣誓者を対象としたところでございます。
本年3月に――今月でございますが、昨年度実施した宣誓者に対する行政サービスに係る現況調査の継続調査を行う予定であり、この際、委員御指摘のとおり、改めて各部署に対して検討の働きかけを行っていく予定でございます。
○石坂委員 部署ごとに差があるのは気になるところですので、しっかりとユニバーサルデザイン推進担当のほうで進行管理などしながら進めていっていただければと思います。
また、今回の質問で取り上げたことに限らず、全般的な部分として、やはり様々な施策において、部署間連携ですとか、施策の調整が今後ますます重要になっていきます。全庁的な取組や横断的な取組においては、やはり今回取り上げたことに限らず、様々な課題があると思いますので、しっかりと各部署が責任を持って、主体的な意識を持って、連携調整をして様々な施策を進めてもらえるよう求めます。
以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
○山本委員長 以上で石坂わたる委員の質疑を終了いたします。
次に、小宮山たかし委員、質疑をどうぞ。
○小宮山委員 大変長らくお待たせをいたしました。ただいまより小宮山たかしの総括質疑をさせていただきます。
きょうはひな祭りのネクタイでやってまいりました。
今から2年と8か月前、酒井区長が当選したとき、私は人前でこそ泣きませんでしたけれども、家に帰ってから1人で泣きました。これで中野区が変わる、私の声も区政に届いていくだろうと。あれから3年近くたちましたけれども、私が唱える市民活動活性化、文化芸術振興、生物多様性保全や緑化推進や河川の利活用、あるいは新型コロナに関する情報公開など、決してニッチな話題、特殊な課題ではないと私自身は考えているのですけれども、なかなか私の思いが区政に反映されていかない。そういう意味では、私の声がきちんと届いているかという意味に限って言えば、あれ、田中区政のときとあまり変わらないなと。あのとき流した涙は一体何だったんだろうかと、最近少しずつですが、思い始めています。
かつて本会議で、私は訴えました。平和の森公園の再整備をきっかけに、区民の意識が環境を守ること、緑と自然を守ることに大きく傾いている。それが酒井区政誕生の原動力の一つであったことを決して忘れず、基本構想に反映すべきであると。私は、自分としては正しいことを正々堂々と訴えたつもりでしたけれども、基本構想は一文字も変わらなかった。
基本構想の中には、緑という漢字が一番文字あるだけですよ。基本構想には、緑化推進のみならず、生物多様性や河川利活用をもっと盛り込むべきであるということを私は委員会でも何度も何度も繰り返し訴えてきましたけれど、「のれんに腕押し」、「ぬかにくぎ」、「豆腐にかすがい」、「猫に小判」でした。「豚に真珠」とは言いませんけれども。私は今の基本構想案には納得がいっていない。たとえほかの議員が全員賛成をしても、私は今の基本構想には賛成はできないと考えています。
さて、これ、本題ではないんで、そろそろ本題に移ります。
ちょうど1年前の本会議、一般質問におきまして、私は保育園の選考に関する情報公開を求めました。今回、その1年前の質問で訴えたにもかかわらず、できていないことが幾つかありますので、それについて質問をさせていただきます。
まず、保育園の情報公開を求める私の質問に対する区長答弁としては、OCRの導入によって事務の効率化を図るとともに入所選考のAI化に向けた検討準備を進めるとのことでした。このOCR導入やAI化の検討準備状況を教えてください。
〇渡邊保育施設利用調整担当課長 申請書類の手書き文字を認識するOCR化や、認識した文字をシステムへ自動入力するRPA化につきましては、今年度中にシステム構築を終え、令和3年度から本稼働する予定でございます。
また、保育入所選考のAI化につきましては、今年度中に既成のパッケージシステムが区の入所選考にどの程度正確に対応できるかを確認する実証実験を終え、令和3年度に精度を高めるためのシステム構築をし、令和4年度からの本稼働を目指しているところでございます。
○小宮山委員 文字の読み取りの自動化とか、そういった準備は今年度はしているとのことでございます。具体的なことは私もよく分かりませんけれども、専門家の助言を得ているとはいえ、通常の業務と並行して、不慣れなOCR化やAI-OCR化業務をこなしていくことには、非常な御苦労のあることと思います。しかし、そのしわ寄せが区民に行くのはなるべく避けていただきたい。
昨年の一般質問におきましては、一次選考の応募者総数の発表の時期について、杉並区のようにもっと早く出せないかということに私は言及いたしました。しかし、今年はまだそれが発表されておりません。認可保育園の一次選考の応募者総数と承諾者数について教えてください。
〇渡邊保育施設利用調整担当課長 4月入園の一次選考の応募総数は1,936人、利用承諾者数は1,491人でございます。
○小宮山委員 ありがとうございます。今年は例年に比べると、比較的承諾者数が多かった。まだ二次選考がありますが、待機児童の数もかなり減るものと期待をいたします。
1年前の質問では、一次選考の詳しい申込み状況、園ごと、クラスごとの応募者状況が、2019年、2020年と2年連続して非公開になってしまったことにも言及をいたしました。私が質問で取り上げた結果、今年は園ごとの応募状況を公開していただいたんですけれども、その時期は1月の後半、発送の直前でありまして、見落としてしまった区民も多かった。多くの区民は、自分が応募した園の倍率もよく分からないまま、不安な気持ちのまま年を越して、そして結果発表を迎えました
杉並区のように、まずは1度、年内に応募者総数の速報値を出す。速報値を出すのは、提出された書類の数を数えるだけなんで、そんなに難しくないと思うんですよ。その後、なるべく早い段階で、速やかに園ごと、クラスごとの詳細値を出す。迅速に情報公開をしていく。そういうことはできませんか。
〇渡邊保育施設利用調整担当課長 保育入園の応募総数の速報値や保育園ごとの応募者数につきましては、保護者の関心も高いことから、事務作業のOCR化やRPAの導入を進めるなど、事務の効率化を図ることで、公表の時期を早めていきたいと考えております。
○小宮山委員 ありがとうございます。迅速な情報公開は、区政の信頼性を高めていきます。そして、情報公開をしていくことにはお金もほとんどかからないんです。ぜひ前向きに御検討を、導入をよろしくお願いいたします。
今年は、1月29日(金曜日)に保育園の一次選考の結果が発送されました。金曜日に発送したのでは、土曜日に到着する人と、月曜日に到着する人が出てきてしまう。例えば2018年は、木曜日に発送したにもかかわらず、土曜到着する人とか月曜到着する人が出てしまったということがありました。
保育課長は大体2年ぐらいで変わってしまいますけれども、私はこれまで10年間、中野区の保活をずっとずっと見続けてきました。私はその長年の経験から、このままでは到着日に差が出てしまいますよ。結果を知るタイミングが、日曜日を挟んで2日もずれてしまっては不公平になりますよ。だから半日でもいいから早く発送してくださいと、事前に課長に伝えておきました。にもかかわらず、今年は通常の発送をしたと聞いております。その結果、私が危惧していたとおり、土曜日に到着する人と月曜日に到着する人が出てしまった。中野区の南半分、中野郵便局圏内の区民で、土曜日に到着したという人は、私の知る限りでは1人もいませんでした。事前にお願いをしていたにもかかわらず、どうして迅速な発送ができなかったのか、教えてください。
〇渡邊保育施設利用調整担当課長 保護者への一次選考の結果通知につきましては、区が公表している予定日に郵送したところでございます。
現在、申請書類のOCR化や入所選考のAI化など、事務処理の効率化を進めているところであり、今後、結果発送までの事務処理期間を短縮し、配達日に差が生じない曜日に発送していきたいと考えております。
○小宮山委員 OCR化を進めると同時に、通常業務もこなさなければいけない、それはなかなか大変な状況であったことと思われますけれども、それでもやはり結果を知るタイミングに大きなずれが出てしまっては、その後の動きにも影響が出ますし、不公平になってしまう。今、高校や大学受験の結果発表は、オンラインで済むそうですね。保育園の結果発表についても、オンライン化はできないものでしょうか。
〇渡邊保育施設利用調整担当課長 入所選考の結果通知につきましては、事務作業のOCR化や入所選考のAI化を進めることで、少しでも早く保護者や保育事業者に送付していきたいと考えております。
また、結果通知は申込み番号をホームページで公表したり、メールによって送付するなど、申請者の利便性向上に向け、検討していきたいと考えております。
○小宮山委員 先ほども言いましたけれども、今入所選考のAI-OCR化、あるいはAI化という大きなプロジェクトを推進していくその一方で、例年どおりのアナログ手法による通常業務、通常選考を進めていくのには大変な御苦労があることと思います。そのために本来業務にしわ寄せが出てしまっている、いろんなことがどうしても後手後手になってしまったのかなということは、何となく今お話を聞いて伝わってまいりましたけれども。
私もいろんな状況は理解したいと思いますけれども、何年か前にも保育園の入所選考業務がパンクして、区民に大きな影響が出てしまったということがありました。役所側の事情によって、区民にそのしわ寄せが行くのはなるべく避けていただきたい。また、迅速な情報公開は区政への信頼を高める最善の手段の一つであると承知をしていただきたいと、繰り返しお願いを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。ありがとうございます。
つい先週まで、中野駅の周辺では、街中丸ごとアール・ブリュット美術館というイベントが開催されていました。アール・ブリュットも決してメインカルチャーではない、サブカルチャーですから、非常に中野らしい、すてきなイベントだと、私は毎年楽しみにしています。
あのイベントは、中野駅周辺の商店街と作品を管理する愛成会が中心となって企画運営をしているもので、財源としては東京都の商店街に対する補助金を使っています。中野区は、都の規定に基づいて費用の5分の2を負担しているようですが、そこに区としての主体的な意思とか判断はほとんど働いていない。東京都のルールで、出さなきゃいけないから出している、その程度の関わりしかしていないんじゃないのかなと私は受け止めています。もっと区として積極的にアール・ブリュットを育て、応援していかないと、そのうちどこかの自治体が美術館を造ったりして、中野区からアール・ブリュットが流出しちゃうんじゃないのかなと、私はそんな危惧も感じております。
中野区発祥のおもちゃ美術館が新宿区に誘致をされて大成功した、そういう苦い思いはもう二度と繰り返したくないものであります。
さて、いさ委員の質問で、類似のテーマで大変すばらしい質問をされておりましたので、私はささやかに質問をさせていただきたいと思います。
今回の要求資料、区民の34番、コロナ禍における文化芸術支援策を出していただきました。ありがとうございます。
23区のいろんな区で、国や都からの補助は恐らくほとんど受けずに、独自の文化芸術支援策を行っていますけれども、中野区はどうでしょうか。来年度予算で文化財関連以外に、目ぼしい新規、もしくは拡充の文化芸術関連事業、関連予算は一体何があるでしょうか。教えてください。
〇矢澤文化国際交流担当課長 お答えいたします。来年度予算におきまして、文化芸術に関する新規事業等は盛り込んでございません。
なお、区の文化施設におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による利用料金収入の減収等を考慮しまして、来年度、指定管理を増額する予定でございます。
○小宮山委員 新規は何もないということでございます。そして、文化施設の指定管理者に対しては、新型コロナの補填をすると、そういうことでございます。私はこの先、これから申しますけれども、指定管理者は、今現在の指定管理者に中野区の文化芸術関連事業を任せていっても、お金を幾らやっていっても、中野区の文化芸術活動、あまり活性化していかないんじゃないのかな、そういうふうにも考えております。この先、これから述べますけれども。
昨年度、区政の施政方針の演説の中で、文化芸術施策の推進については、1項目、1ページを割いて言及をし、「文化」という単語が15件、「芸術」という単語が8件使っていました。今年の施政方針演説では、「文化」という単語は、15件から6件に減りました。「芸術」という単語に至っては、8件から0件になりました。コロナ禍において、文化芸術なんかには構っていられない、文化芸術は不要不急のものであると、そういう判断や方針転換があったのかなと思います。
区長は、昨年の施政方針の中で、文化芸術活動実態調査を基に、今後の文化芸術施策を展開していきたいと述べていましたので、昨年度行った文化芸術活動実態調査をひもといてみます。
まず、調査対象として無作為抽出された区民3,000人と、区内の文化芸術団体741団体に調査をしたとされております。私は、中野区の市民活動に関してはそれなりに詳しい、恐らくこの部屋の中では、理事者の皆さんも含めて、杉山議員か私が中野区の市民活動に関して一番詳しいと思うんですけれども、はて、中野区に住所が把握できる文化芸術団体が741団体もあるのかなということをまず疑問に思いまして、どんな団体があるのか資料を取り寄せてみました。すると、団体の中には、政治団体とか、マンションの管理組合とか、どう解釈しても文化芸術団体ではないものがちらほらと含まれている。よくよく聞いてみますと、文化芸術団体にアンケートを取ったと公言しておきながら、実際は区内四つの文化施設を過去2年以内に使った団体全てに送ったということでありました。そういう水増しをすると、アンケートの信頼性、そのものが揺らいでしまいますから、無作為抽出と変わらなくなってしまいますから、気をつけていただきたい。
次に、設問を見てみます。「子どもの文化芸術体験について重要だと思いますか」、「文化芸術に触れたり、活動することの重要性についてどう思いますか」、「あなたは芸術や文化を鑑賞したり、文化イベントに参加することに興味・関心がありますか」、こういう設問がずらずらと並んでいるんですが、これ、一言で言えば、文化芸術は重要ですか、文化芸術は好きですか、そういう同じことを手を変え品を変え聞いているだけですよね。一々これを聞いて、一体どうしたいのか、それがよく分からない。アンケートの結果、もし文化芸術が重要だと思う人が少なければどうしたのか、多ければどうしたのか、フィフティ・フィフティだったらどうしたのか、何のための質問なのか、その質問の先にあるものがよく分からないんですよ。アンケートの結果がどう出ようと、誰が何と言おうと、文化芸術は重要なんですよ。
「No Music No Life」、人間が人間らしく生きていくためには、文化芸術は絶対に必要なんですよ。自分が感じた喜びや悲しみを、怒りや楽しみを他者に伝えるための表現手段の一つ、それが芸術じゃないですか。
日本神話にも歌と踊りが出てくるように、世界中、どこに行ったって歌と踊りは必ずある。文化芸術が重要だと思うかどうか、そんなアンケートをこの中野区で税金使ってやることですか。文化芸術が重要かどうかなんて、検証するまでもない。「No Music No Life」、「No Art No Life」ですよ。
中野区の地域活性化のためには、文化芸術の振興にこそ、その鍵がある、私はそう考えております。不退転の決意を持って、文化芸術に取り組んでいただきたい。とりわけこのコロナ禍においては、文化芸術の火を決して消してはならない。区として独自の支援策を打ち出すべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇矢澤文化国際交流担当課長 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、継続的な文化芸術活動を行うことができる環境整備をする必要があると考えてございます。今後も、国や東京都23区の動向を踏まえ、区民や団体が安心・安全に文化施設を利用できるよう、新しい生活様式に対応した取組や、区立文化施設等利用に係る効果的な支援の在り方につきまして検討してまいりたいと考えてございます。
○小宮山委員 もうちょっと突っ込んだ回答が欲しいところではありますけれども。
半年前の決算特別委員会におきまして、私はなかのZEROの指定管理者をそろそろ変えたほうがいいんじゃないかと提案いたしました。が、また改めて同じ事業者、JTBと野村不動産の関連会社が選定をされてしまいました。これで4期20年の間、指定管理が決定したわけですが、同じ人が同じポジションに長く居続けることには、よいことも悪いこともあるというのは皆さんもよく御存じのことと思います。これから5年間、なかのZEROでどんな文化芸術振興事業が開催されていくのか、しっかりと監視をしていきたいと思います。
半年前、私は中野区の生涯学習支援サイト、まなVIVAネットがひどい、ひど過ぎるのではないかと指摘をいたしました。あれから半年が過ぎて、改めて、一体どれだけ改善したのかチェックをしてみると、ほとんど改善がされていなかった。ですから、今回の総括質疑でも取り上げるつもりでいろんな質問を用意して、課長とも綿密な打合せをして、課長はその後、指定管理者との打合せもされたんでしょうけれども、先週金曜日に質問原稿をほとんど完成させて、今回の質問をより分かりやすくためするためのパネルでも作ろうかと思って、まなVIVAネットを開いてみると、私が打合せをしていた質問で指摘しようと思っていた問題点がほとんど直されてしまっていたんですね。
さらには、何と、まなVIVAネットのリニューアルまでもが発表されておりまして、区議会議員、10年やっていますけれども、質問を準備している段階で、こんなに速いスピードで改善をされてしまったということは初めてでありまして、これが民間のスピード感なのかと驚くと同時に、たった数日で直せるならば、今まで半年、一体何をしていたのかという怒りと、その両方を感じております。
だから、今回ちょっと質問をしにくい部分もあるんですけども、大体予定原稿のとおりの質問をさせていただこうと思います。
このまなVIVAネットには、生涯学習の指導者情報が載っておりまして、区内で例えばピアノとか英語とかいろんな習い事をしたいという人に対して、指導者を紹介する情報ページがございます。その中でホームページを持っていて、まなVIVAネット上にリンクを張っている指導者のうち、私、リンクを全て踏んでみました。そしたら、リンクが生きていた人が31件、リンクが生きていない、どこにもつながらないという人が27件もありました。生きているリンクが31件、生きていないリンクが27件、さらに2年以上更新されていないものが5件、あとは中野区に住んでいないし、中野区で活動もしていない、中野区との関係、関連がよく分からない人も混ざっているし、中には指導者のリンクを踏むと、よく分からないフレグランスサプリの宣伝ページに飛んでいくものもありまして、区が公式に運営するサイトのリンク先がよく分からないサプリの宣伝広告になっている。そして、その状態が恐らく何年もずっと放置されている。有効活用されていない。こんなのを放置しておいていいんですか。
この半分腐ったようなサイトができてから、もう10年以上たつと思います。ここに載っている人たちは、まだ全員お元気で生きていらっしゃるんでしょうか。
〇矢澤文化国際交流担当課長 まなVIVAネットの登録者の中には、長期間連絡が取れず、現況確認ができない登録者もいる状況でございます。
○小宮山委員 区民が問合せをしたら、家族が出て、父はもう死にましたとか言ったら、そんなサイトは二度と使いたくないですよ。でも、その可能性がこのまなVIVAネットには少なからずあるということですよね。区の公式サイトとはとても思えない、ひどい、ひど過ぎますよ。この中には、既に活動する意思や能力がない人も一定数含まれていると思います。
今後のサイト運営に関しては、1年に1度ぐらいは生死の確認、活動意思の確認、内容の更新をしていくべきではないですか。
〇矢澤文化国際交流担当課長 まなVIVAネットの登録情報につきましては、文化施設指定管理者におきまして、年に1度、登録内容の変更の有無や、登録継続の意思確認等の現況確認を行い、登録内容の更新をしているところでございます。今後は管理者による登録の削除など、運用ルールの見直しを検討してまいりたいと考えてございます。
○小宮山委員 年に1度の確認をしていたら、生きているリンクが31件、生きていないリンクが27件なんて、そんなひどいページになるわけないですよ。だまされないでいただきたい。課長もしっかり監視をしていただきたいと思います。
半年前に私が議会で同じようなことを指摘しても、全く改善されていない、やる気がないにも程がある、そんな事業者と契約を更新したことも私には信じられない。こんな半分腐ったようなサイトがあるばかりに、中野区の生涯学習支援はもう15年も停滞をしている。時代が進む中での停滞は、これ、すなわち後退であります。
区の担当者は、指定管理者に指導をしていただいたはずだと思うんですね。しかし、指定管理者がその言うことをきちんと聞いていない。これこそがいわゆる多選の弊害というものじゃないですか。今まで15年、生ぬるいやり方でやってきたことを、2年や3年で異動してしまう区の課長からあれこれ言われたくないんでしょうよ。
しかし、この指定管理者には3億3,000万円の指定管理料を支払っているほか、新型コロナの悪影響を補填するということで、7,000万円を追加支援することにもなっている。金はきちんと出しているんですから、もっともっと口を出して、契約をきちんと履行していただき、遂行させていただきたい。まなVIVAネットを直さなかったら金は出さないよと、そのぐらいの駆け引きとか寝技はしていただきたいものであります。
この半分腐ったようなまなVIVAネットは、今さら中途半端に手直しをするよりも、一旦全てぶっ壊して白紙にして、ゼロから構築していったほうがいいと思う。この指定管理者には運営する意思も能力もないことが過去15年、そしてこの半年で明らかになりました。できれば、この指定管理者に任せることをやめて、何かもっと別の方法を考えていかないと、中野区の生涯学習支援はぼろぼろになってしまうし、既にぼろぼろになっている。ここを頼る区民はほとんどいないし、ここを頼った区民の期待に応える能力も情報も、ここは持っていないじゃないですか。
ですから、何らかの形でまなVIVAネットをリニューアルしてはどうですかという提案をしておいたんですけれども。そうしたら、そういう提案をしておいたんですけども、そうしたら何とまなVIVAネットが新しくリニューアルをされますということが先週の金曜日に、私の質問よりも前に、まなVIVAネットのホームページにアップされておりまして、取りあえず課長の口から今後どうなるのか、発表をお願いいたします。
〇矢澤文化国際交流担当課長 近年、情報収集、発信の手段は大きく変化しており、まなVIVAネットの運用につきましては改善の余地があり、今後見直しを図る旨、昨年9月の総括質疑で申し上げたところでございます。
区として、生涯学習情報発信をさらに充実させるため、4月からは「なかの学び場ステーション」としてサイトをリニューアルすることで、これまでの区内文化団体やサークル、指導者情報を発信するほか、さらに利用しやすいウェブサイトとなるよう、今後見直しを図ってまいりたいと考えてございます。
○小宮山委員 私の要望が実現したということで非常に喜ぶべきことなんでしょうけれども、ちょっとタイミングを、何というか、早くてよかったなと思っております。
先週末に、まなVIVAネット関連の最大のイベントである、まなVIVAフェスティバルというイベントがなかのZEROで開催されたので行ってきました。私が会場に入ると、観客というか、お客さん3人いました。3人全員、区議会議員だったんですけれども。
それで、中野区の生涯学習支援の根幹をなす、まなVIVAネット、その年に1度の最大のイベント、そのイベントに部門が三つありまして、発表部門の参加団体は何と2団体、展示部門の参加団体、何と4団体、このぐらいの広い部屋に4団体が展示をしていました。体験部門、ちょっと多くて6団体、幾らコロナ禍とはいえ、中野区の生涯学習支援活動の1年の集大成である、まなVIVAフェスティバルの参加団体は、全部合わせて12団体、ここの指定管理者は今まで15年やってきて、その程度のネットワークしかつくれていないというのもおかしいと思うんです。
そして、そもそも、もっと言えば――質問にはしませんけれども、そもそも生涯学習支援と地域活動推進とどう違うんですか。例えば無料塾を支援していくべきなのは、本当は生涯学習支援じゃないのかなという気もしないでもないんですよ。だから、その辺の交通整理もぜひしていただきたいと思います。
ここの指定管理者、何度も繰り返しますけれども、15年やった割には大した成果が出ていないなと。12団体しか集められない。こんな広い部屋に4団体しか集められないような指定管理者に、またこれから5年も任せていく、契約を更新してしまったわけですから、きちんと監視をしていっていただきたいと思います。
私も、いずれ、一般区民のふりをして、窓口に相談に行ってみたいと思います。決算・予算特別委員会と2回も続けて同じテーマで質問をするとは思いませんでしたけれども、3回目がないように、きちんと指導監督をしていっていただきたい、そう要望いたしまして、私の全ての質問を終了いたします。ありがとうございました。
○山本委員長 以上で小宮山たかし委員の質疑を終了いたします。
次に、竹村あきひろ委員、質疑をどうぞ。
〇竹村委員 緊張しますね。令和3年第1回定例会予算特別委員会に当たりまして、所属政党は国政政党、略称・NHK党、会派の所属はありません。無所属議員の立場から総括質疑をいたします。(「頑張れ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
質問は通告どおりで、その他はありません。
初めに、今なお新型コロナウイルスの影響は深刻で衰えを見せません。詳細が不明なこの感染症に対応する医療関係者、感染拡大防止に関連します各所皆様の御尽力に感謝を申し上げます。
さて、この非常時において公的機関の発する情報は極めて重要であり、生活に密接し、区民・国民生活の安心・安全・安定をもたらす重要な要素と言えようかと思います。スマホなど機器類の発達、利用拡大、ネット通信環境の向上から、情報収集手段の主流は動画にシフトし、例を挙げれば、観光庁のホームページにインターネットテレビと称する動画配信サイトが設置され、また某動画配信サービスを用いての公式動画サイト運営など、インターネットを利用した動画の視聴が十二分に普及している状況を裏付けるものだと考えます。
我が中野区においても、米国カリフォルニア州に本社を置く企業、グーグル社が運営する動画共有サービス、ユーチューブにて動画発信を行っておりますが、中野区の動画発信についてお聞きします。
区動画発信の現状、前年比、例えば閲覧数、登録者数、掲載動画本数などについて現状を伺います。
〇高村広聴・広報課長 中野区公式ユーチューブチャンネルにより、感染症の予防啓発、防災、保育園などを中心に積極的な動画配信に努めておりまして、動画閲覧数は昨年度2,735から今年度2月20日現在で5万3,716、チャンネル登録数は昨年度末69から現在533、動画公開数は昨年度22に対して今年度91と、それぞれ増加しております。
〇竹村委員 すごい数字ですね。前年度よりの改善点、具体的な改良箇所を伺います。
〇高村広聴・広報課長 1本の動画を短くすること、また1本の動画に多くの内容を詰め込み過ぎないこと、ユニバーサルデザインの観点を持つ一方、クオリティにはあまりこだわり過ぎず、積極的に動画を制作配信する意識を持つようにしている点が改善点でございます。
〇竹村委員 ありがとうございます。消防の方の縄の動画はなかなか、すぐ活用できるんじゃないかなと思って、面白く、参考にさせてもらっております。
ちなみに、区公式SNSとのすみ分けはどのようになっておるでしょうか、伺います。
〇高村広聴・広報課長 ツイッターは拡散性が高いため、広く区の情報を掲載する一方、文字の制限があることから、リンクを貼るなどによって発信しております。動画は印象的なシーンだけを掲載しています。
LINEは子育て世帯を中心として情報発信し、ホームページへのリンク率が高いため、ホームページへの誘導を積極的に行っています。
フェイスブックは中年層の利用が多いことを意識するとともに、画像の掲載に努め、できるだけ楽しい情報を掲載するようにしてございます。
ユーチューブについては、保育園の紹介など多くの情報を一目で伝えることに適した対象をできるだけ選んで動画を制作するとともに、拡散性が低いことから、ツイッターなどほかのSNSと連動して発信するように努めているところでございます。
〇竹村委員 詳細にありがとうございます。
動画の制作や掲載の基準、例えばこれは区長発信の掲載が必要であるといった判断や、再生リストの追加など、運用及び管理に関する基準はありますでしょうか、伺います。
〇高村広聴・広報課長 2014年に定めた中野区公式ユーチューブチャンネル運用基準というのがございます。これにより運営しておりますが、配信する内容を具体的に定めたものとはなってございません。現在、感染症の予防啓発、防災、保育園や、危機時、あるいは記者会見の区長メッセージを発信しておりますが、今後これらの閲覧数などを踏まえつつ、広報アドバイザーの助言も受けながら、動画制作の目安やルールなどを定めていきたいと考えてございます。
〇竹村委員 ありがとうございます。私も調べたところ、この運用基準ができている前にサイトが立ち上がっているなどの現実がありましたのでルールづくりはしっかり進めていただきたいと思います。
そして、この動画発信の効果といいましょうか、評価などについて伺います。
〇高村広聴・広報課長 定量的な効果測定は実施しておりませんが、例えば新型コロナウイルスの定額給付金の手続を案内した動画を配信し、その結果、問合せが著しく減少するなど、動画配信の効果は感じているところでございます。
評価については、今年度の運用状況に基づき、広報アドバイザーの見解も踏まえつつ、今後実施したい。その結果に基づき、改善につなげていきたいと考えてございます。
〇竹村委員 動画発信は、情報、ほかのSNSもそうですけれども、無造作に発信すればよいというものではないと考えております。掲載動画の本数であるとか、それから視聴閲覧回数である、それから登録者数もそうなんですけれども、それぞれ目標設定の有無はあるんでしょうか、伺います。
〇高村広聴・広報課長 現在目標数の設定はしてございません。今年度の運用状況に基づき評価を行う中で、目標値の設定についてもちょっと検討してまいりたいと考えてございます。
〇竹村委員 目標値、これからということで、あまり高い数字はいろいろ難しい部分もあると思いますので、そこは特に自治体が発信する情報の、例えば数が多ければよいというものではありませんので、慎重な目標設定を頂きたいなと思います。
それから、今後の動画の活用について、区の今後の方針とか、あとは展望がありましたらお聞かせください。
〇高村広聴・広報課長 今後、5Gの普及も見込まれるところでありまして、また区としても、動画と連動可能な情報発信ツールが今増えてきておりますので、効果的な動画制作配信に一層努めていきたいと考えてございます。
〇竹村委員 よい感じのことばかりは実はないのが世の常だと感じておりまして、ネットを活用しての情報発信は、実は懸念もあります。昨年行われました米国大統領選挙においては、候補者のSNSが制限されたという、そういう話も聞いております。
一私企業に依存した情報発信は、今後、政治情勢などで制限されかねません。このようなリスクについて、区の見解を具体的にお聞きしたいと思うんですけれども、繰り返しますが、中野区の動画発信は、冒頭触れましたように、米国企業、グーグル社の動画共有サービス、ユーチューブを利用しているわけですけれども、企業の独自規制に基づき、区の動画発信が停止されるなどの可能性は否定できないと思いますけれども、そうなった場合の対応、区の動画発信におけるリスク管理に関し、見解や具体策について伺います。
〇高村広聴・広報課長 中野区がユーチューブにより動画を配信しているのは、それが多くの区民が利用している、あるいは利用可能なものであり、区民に情報を届けるための有効なツールだからでございます。民間企業が運営するサービスであり、自主規制などの可能性はあると認識しております。仮にそのような事態となった場合は、現在のLINE、あるいはフェイスブックによる動画配信を行うことで代替するとともに、例えばデイリーモーションなど、ほかの動画配信サービスの利用なども検討したいと考えてございます。
〇竹村委員 デイリーモーションって、たしか企業がフランスの企業だったと思うんですけれども、御存じの方は、プラットフォームのリスク管理をされていて、止まった場合のレスキューの施策など、そういう施策がなされていると思うんですけども、かなり一般的ではない、特殊性が高い話だなと思って聞いておりました。
一つの提案、停止時の、動画を止められたときの一つの対策として、提案といいましょうか、例を挙げますと、区の管理するサーバーに動画のデータを保存して、ホームページからのリンクによって視聴を可能とする方法が考えられると思います。区作成の動画の保存及び必要なときに視聴できる、オンデマンド視聴と言うんでしょうかね、そういう視聴とか、それから動画の配信に関し、もしこれを行うとした場合にかかる費用や設備投資、人員などの負担に関し、区の見解をお聞かせください。
〇高村広聴・広報課長 委員御指摘の方法で動画を配信することは可能ではありますが、それを実現するためには、先ほど御説明があったように、導入と運営経費に相応の経費がかかるということ、また容量が大きくなるため、ホームページにアクセスしづらくなるという可能性が高いというふうに認識してございます。さらに、受け手側の環境によっては、動画を閲覧することができない場合もあります。以上により、現実的な方法ではないと考えてございます。
〇竹村委員 詳細にありがとうございます。困難であることは一定の理解をいたします。
ネット環境整備への設備投資や技術的知識に関する区民からの相談など、対外的な理解促進や対応は極めて専門性が高い上に、知識や理解も一様でないため、区担当の負担も相当に大きいと推測できます。しかも、この緊急時において、区政の中で優先度や比重から、今後の課題と言える面も多分にあろうかと思います。その上で、動画活用の独自の取組に関し、特筆すべき案件がここで御紹介できるものがありましたら、お聞かせいただけますでしょうか。
〇高村広聴・広報課長 委員より、先ほど感染症の話、危機管理の話もありましたが、そういったものの啓発動画のほか、例えば区立保育園の入園を希望される保護者向けに、保育園の案内を紹介した動画や、現場の保育士さんが自ら作った子供向けの手遊び動画は再生回数も比較的多く、自治体ならではの手作り感もあるもので、今後の動画制作の一つの方向性になるものだと考えてございます。
〇竹村委員 具体的な事例をお聞きしまして、非常に楽しみだと感じております。
発展的な取組は全庁的といいましょうか、区職員の参加も必要な要素と思います。動画発信に関し、区庁舎内での評価、特に担当部署以外の評価など、もしそういうお声がありましたらお聞かせいただけますでしょうか。
〇高村広聴・広報課長 広報アドバイザーによる助言や広報クリニックを受けられることが庁内で浸透してきており、先ほども御紹介ありましたが、避難所の機材の操作紹介の動画や、保育園の紹介動画は、各現場からの意向を受けて、広聴・広報課で助言、監修して制作したものでございます。また、問合せが非常に増えておりまして、動画制作の手順やポイントを説明した職員向けの動画を今、制作しておりまして、近日中に配信する予定でございます。
〇竹村委員 これに付随してなんですけれども、何というんでしょうか、動画に御自身が映る、要するに職員の皆様が動画に参加されるということに関して、現状、または今後の可能性について、見解をお聞かせください。
〇高村広聴・広報課長 先ほども御紹介しましたが、現役の保育士さんによる手遊び動画などの自治体職員が出演する動画は、情報の受け手にとって信頼性と親近感、双方を感じてもらえるものではないかと考えてございます。
また、職員自らが動画制作に携わることで、広報への意識が高まるということも実感しておりますので、動画の制作や動画への出演を職員に促していきたいと考えてございます。
〇竹村委員 ユーチューブの機能を生かした動画活動について、例えばライブ配信、それからアンケート機能を活用した動画づくりなど、発展可能性と利活用について、見解をお聞かせください。
〇高村広聴・広報課長 新型コロナウイルスの感染拡大により、密集を避ける必要性が一層高まっていることから、区の業務によってはライブ配信を行うことは有効であると認識しており、どういったものがより適しているかということを検討しているところでございます。
〇竹村委員 ユーチューブのライブ配信の条件は、それほど敷居が高くないと感じておりまして、ウェブカメラとパソコンがあれば、実は即時実施可能です。それからモバイル端末、皆さんがお持ちのスマホとかiPadであれば、そのサイトの登録者人数が1,000人以上であれば即時実施可能と。比較的容易だと思うんですけれども。
ライブ配信を行うとした場合に区が負担する費用、人員などの規模はどれくらいのものと推測できますでしょうか。
それから、ライブ配信が適する、需要が見込まれる場面はどのようなものがあるとお考えでしょうか。見解をお聞かせください。
〇高村広聴・広報課長 区が負担する費用は、動画を撮影する職員数人の人的コストだけだというふうに認識してございます。例えば、和太鼓の演奏や祭りなど文化芸術に関するイベントや、プライバシー保持などは慎重に扱い、十分に担保する必要がございますが、子どもの行事などについてライブ配信を活用してはどうかと考えてございます。
〇竹村委員 ありがとうございます。いろいろ伺いまして、動画発信に関する政策の一端が確認できました。
情報は生活を豊かにし、便利な社会を実現するツールとも言えます。基礎自治体である中野区の情報発信は重要であると同時に、5G、そして次の6Gといった、これからの情報通信時代に応じ、双方向通信の進化の発展など、区民参加も含めた、これからもなお一層充実した動画発信に期待いたします。
次に、来庁せずとも、各種証明書の発行や税などの納付が可能な電子情報処理組織の使用、いわゆるオンライン手続などに関し、我が中野区では、本年3月1日よりLINE Pay株式会社が提供する電子決済サービスLINE Payと、PayPay株式会社が運営するキャッシュレス決済サービスPayPayを利用しての納税や保険料などの支払いサービスが開始されましたが、これらのことについて伺います。
LINEPay、またはPayPayの選択理由で、主なものは何がありますでしょうか、伺います。
〇伊藤保険医療課長 今回導入いたしましたスマートフォン決済は、現在住民税、国民健康保険料等の納付に印字されているバーコードを使用しており、このバーコードはコンビニエンスストア収納や、既に導入済みのモバイルレジ決済に使用しているものでございます。
このバーコードには、区がコンビニエンスストア収納、モバイルレジ決済を実施するに際し、契約している収納代行業者のメーカーコードが記載してございます。この収納代行業者が取り扱うスマートフォン決済はLINE Pay、PayPayのみというのが選択理由でございます。
〇竹村委員 ありがとうございます。
一つ飛ばさせていただきまして、区民の利用向上は、基礎自治体である中野区の重要な施策であると認識しております。それと同時に、利便が向上するのはよいことなんですけれども、安全性、犯罪被害に遭わないための措置や制度に関し、実はこのアプリに関して強い懸念を持っています。このアプリの安全性の検証、確認や情報漏えい、不正利用など、実際の事故事例などについて、区の見解をお聞かせください。
〇伊藤保険医療課長 一つにつきましては、令和2年9月9日発表のドコモ口座を利用した不正出金から始まり、9月16日までにLINE Pay、PayPay、メルペイ、キャッシュ等でもこれの決済サービスを利用した不正出金が明らかになった事例が1点ございます。
もう一つにつきましては、12月7日に発表されました、PayPayの管理サーバーにある加盟店に関する営業情報への不正アクセスに関するもので、これにより加盟店の代表者名、生年月日のほか、PayPay従業員の氏名、所属などをアクセスされた可能性があるというものでございます。
〇竹村委員 このアプリの安全性の検証というのは行っているんでしょうか。
〇伊藤保険医療課長 9月に発生いたしましたキャッシュレス決済サービスを通じた銀行口座からの不正出金に関しましては、LINE Pay、PayPay、いずれの事業者も、その後、銀行口座との連携に対しての本人確認の強化を図ってございます。
サーバー不正アクセスに関しましても、事業者側の発表の範囲でございますけれども、システムの監視を強化したとのことでございます。
また、いずれの事例につきましても、スマートフォン決済の利用者がそれを利用することにより、被害を受けたというものではないと認識してございます。
〇竹村委員 ありがとうございます。
キャッシュレス決済に関する事件、事故はメディアや企業、当該企業の発表などから把握することになると思うんですけども、関連省庁からも次のような注意喚起が繰り返し発信されています。
例えば昨年、令和2年10月14日に、金融庁、警察庁、消費者庁など関係省庁と業界団体が連名で、身に覚えのないキャッシュレス決済サービスを通じた銀行口座からの不正な出金に御注意くださいという配布物等、注意喚起がなされました。
11月10日、金融庁は監督局長名にて、電子決済等代行業者に対し、電子決済等代行業者のセキュリティの高度化等について、要請という文書を公表し、業者に対するセキュリティの高度化について要請しました。利用者に対しても、ホームページにて、自身の銀行口座に不審な取引がないか、いま一度御確認いただくとともに、口座情報の管理に御注意願います旨、掲載しております。
さらに、12月8日、加藤官房長官は定例会見で、PayPayの2,000万件以上の情報流出事件問題について、金融庁、経済産業省、内閣サイバーセキュリティセンター ――これ、NISCと略すそうなんですけれども――が原因究明などに着手している旨、発表しております。
さらに、今年、令和3年1月29日、NISCは声明文を発表し、特定製品の利用者に注意を促しました。その表題も、「Salesforceの製品の設定不備による意図しない情報が外部から参照される可能性について」というもので、このSalesforceというのは、米国カリフォルニア州に本社を置く、ネットクラウドのシステム構築や顧客管理を提供する企業です。この社名を記載しての注意喚起です。
メディアの取材によれば、NISCの担当者は、明らかになっているのは氷山の一角、楽天やPayPay社だけの問題なら注意喚起は出さないが、国民の個人情報がさらされる懸念があるのは見過ごせないため、今回発表したと説明しています。
このアプリに関連したこれら公的機関が繰り返す注意喚起に対し、区の御見解、御認識を伺います。
〇伊藤保険医療課長 銀行口座からの不正出金に関しましては、本人確認の強化が図られたと認識してございます。
御指摘にあるような外部から情報参照が可能になるという件に関する内閣サイバーセキュリティセンターの注意喚起につきましては、PayPay株式会社が業務で使用するシステムに関するもので、当該アプリ自体の問題ではないこと、前述のとおり、同社が既に対策を取っていることから、当該アプリを使用することについては危険があるとは考えてございません。
〇竹村委員 ありがとうございます。
ということは、区は当該アプリそのものの危険性についてはどのように、アプリの危険性そのものというのはどのように認識しておられるんでしょうか。
〇伊藤保険医療課長 繰り返しになりますけれども、こちら、アプリの問題ではないといったようなところで認識してございますので、使用することについては危険があるということではございません。
〇竹村委員 ありがとうございます。
ちょっと繰り返しになっちゃいますけれども、では、安全性を担保する取組に関しては具体的な施策などありますでしょうか、伺います。
〇伊藤保険医療課長 これまでのところ、スマートフォン決済の利用者がそれを利用することにより被害を受けたという事例は報告されていないこと、また、今回の事業者との契約に関しましては、機密情報の確実な管理を求めており、問題はないと考えてございます。
〇竹村委員 ありがとうございます。
利便性の向上は喜ばしいこととは思うんですけれども、その反面、仕様や利用そのものに安全な懸念があるならば、そこを担保してのサービスだと思いますので、基礎自治体の役割は大きいかと思います。今のように、お答えいただきましたように、総合的に安全を判断しての導入だと思うんですけれども、このLINEやPayPayに関しては、乗っ取り、なりすまし、情報漏えいなどの危険性、安全性などが懸念されると思うんですけども、これは、このアプリは、総務省などが推進する電子署名や認証システムを導入しておりますでしょうか。
それから、もし不採用であるのならば、その代替措置の有無など、見解をお聞かせください。
〇伊藤保険医療課長 御指摘の渋谷区の事例でございますけれども、本人確認を必須とする住民票等の発行でございまして、こちらにつきましては、総務省のほうからお話がありますけれども、今回、区が進める税、保険料の収納には、窓口などでも本人確認を一切必要としていないといったようなところから、総務省の指摘には当てはまらないと考えてございます。
〇竹村委員 ありがとうございます。細かい説明を後でしたいと思いますけれども。
私がここで問題と考えているというか、指摘しております点は、取り扱うもの、住民票や税金とか、保険料の支払いなどの対象の差異ではありません。利用するアプリケーションの危険性についてを申しております。
この当該アプリ、LINEやPayPayは、多数の情報漏えいや不正送金などのトラブルが発生しました。加えて、前述のとおり、官公庁からの指導、さらには直接総務大臣や監督官庁の書面による通知の事実があります。犯罪の深さや、被害の拡大を意味しています、これは。
問題が内在する一方で、利用者の広がりはその利便性を裏付けるものです。たくさんの人が使っていらっしゃいますかね。制度の導入、すなわち利用を促す当事者として、中野区は利便の一方向のみを強調するのでなく、他方として依然残る問題点の指摘、利用者に対し、注意喚起を図るべきと考えます。端的に言うのであれば、便利になりますよ。便利になります。しかし、情報が漏れたり、不正送金の被害にも気をつけて、そのような発信をすべきと思います。
その上で、情報管理について。地方税法上、証明書の交付や納税に関し、厳密な本人確認を求めていないと見受けられますけれども、地方税法上の認められる第三者納付などの制度と、中野区の納税者情報の管理の関係、関連について、区の見解を伺います。
〇矢島税務課長 納税証明書等は、本人または代理人からの請求により交付いたしますが、交付申請の際は本人確認書類の提示や委任状を求めるなど、厳格な本人確認を行っております。
納税につきましては、税証明のように新たに税情報を提供するものではなく、御本人の自宅に送付いたしました納付書に記載されている住所、納税額等で支払いを受けるため、窓口で厳格な本人確認は要しておりません。
また、地方税法で規定されている第三者納付は、納税保証人や担保提供者になった者が自己の氏名で支払う場合のものであり、第三者による税の納付は本人にとって不利益とならないことから、認められているものでございます。
〇竹村委員 ということは、端的には、税が納付されていれば、実際に支払っている人と名義人の関係は区としては関与しない、こういう解釈でよろしいんでしょうか。
〇矢島税務課長 区は納付書を御本人宛てに送付しております。その後、御本人が納税を本人以外の者に委任しても、本人名義の納税を行う場合は、実際の支払い者と納税者の関係には関与をいたしません。
〇竹村委員 ありがとうございます。
一つ飛ばさせていただいて、このアプリを導入するということは、すなわち中野区が利用促進を行うことと解釈できます。アプリの情報漏えいや不正利用、IDの乗っ取りなど、安全に関しては、あくまで使用者個人の責任によるものとの解釈でよろしいでしょうか。
制度の導入推進者としての責任というのは厳しい言い方だと思うんですけども、関係当事者として、区の見解をお聞かせください。
〇矢島税務課長 当該アプリの事業者は、法令により、情報セキュリティや利用者保護が義務づけられており、これに違反する場合は、法令に基づき、国が改善命令や登録取消し等を行うこととされております。アプリの安全性に関しましては、当該アプリの利用者に損害が生じないよう、事業者が責任を負うことが法令により定められております。
区は、地方自治法に基づき、収納代行事業者に対し、収納事務の委託を行っており、委託業務に係る個人情報の処理などが適切に行われるよう、委託事業者を管理する責任がございます。
〇竹村委員 ありがとうございました。
キャッシュレス決済の取組は、先行事例などもあって、中野区は慎重に導入したと解釈しております。今後進展するであろうインターネットの活用をしての各種手続に関して、それら導入時は、利用する区民にその利便と危険性を明確に説明するなど、正しい情報提供を丁寧に行うように要望いたしまして、質疑を終わります。ありがとうございました。
〇山本委員長 以上で竹村あきひろ委員の質疑を終了いたします。
次に、立石りお委員、質疑をどうぞ。
○立石委員 令和3年予算特別委員会において、総括質疑をいたします。質問は、4番の自治体DX推進計画については取り下げさせていただきます。
まず、財政運営について、既にほかの委員の指摘と重複するところがございますが、伺います。
新型コロナウイルスの影響で昨年7月の時点では、令和3年度一般財源が令和2年度から100億円以上減収すると言われておりました。この時点では、施設更新をスケジュールどおり進めれば、令和5年に財政調整基金及び義務教育施設整備基金が枯渇するおそれがあるという状況でした。9月に示された令和3年度一般予算編成方針では、一般財源の主要財源、92億円減少するという見立てで、令和3年度当初予算では68億円減ということで、予算編成方針時よりも減少額が24億円少なくなっているという状況です。歳入のぶれは中野区政の生命線となりますので、伺ってまいります。
先日、第10次補正予算で、特別区民税約7億円の増額、特別区財政調整交付金約8億円減額になっておりますが、こちらの原因について確認をさせてください。
〇矢島税務課長 令和2年度の第10次補正予算で、特別区民税の主な増減は、納税義務者数の増、1人当たりの平均所得の増及び高額な株式等に係る譲渡分離課税分の増と過年度分の調定額の見込み差によるものでございます。
納税義務者数は1,425人増で、2億2,300万円の増。1人当たりの平均所得金額は5万7,843円増で、6億5,700万円の増、高額の株式等に係る譲渡所得等を有する納税義務者が13人いるなど、4億1,200万円の増となっております。
滞納繰越分につきましては、収入率の上昇により、滞納繰越分の収入額は2,700万円の増となる見込みでございます。
当初予算編成に当たりましては、人口や東京都の就業率、所得金額、土地株式売買動向などを勘案し、税収の推計を行っておりますが、見込み差が生じたものでございます。
〇森財政課長 では、特別区交付金の減につきまして御答弁申し上げます。
特別区交付金でございますが、調整税、こちらが新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、令和2年度当初と比較をいたしまして、固定資産税が約109億円、市町村民税の法人分が約329億円、法人事業税の交付対象分が約23億円、合計で約461億円、今減収になったということでございまして、この結果、普通交付金の総額も約241億円減となりまして、中野区のシェアから計算すると約8億円の減ということで、補正予算に計上したというところでございます。
○立石委員 ちょっと時間が、すみません、急ぎます。
特別区民税については、令和元年度中の所得に課税がかかっていて、収納率についても今のところ新型コロナの影響があまりないということで、特別区交付金については、例年、算定残というのを見込んでいたということで、今回、新型コロナによる減収と相殺されたということです。
令和3年度の見積りに関しても、令和2年度と同様に行っているんでしょうか。
〇森財政課長 今、委員お話しのとおり、特別区交付金について、例年算定残が生じておりまして、それを想定して歳入見積りを行っているというところでございますが、令和2年度の調整税の決算見込みによりまして、算定残による再調整というのは結局令和2年度においては実施されなかったというようなことでございます。
ですので、そういったことも踏まえまして、令和3年度の予算見積りに当たりましては、その算定残の想定といったものについては、控除した上で見積りを行っております。
○立石委員 交付金については東京都が算定するものですので、区として見積り工夫の制度というのは難しいと思うんですが、対応されたということで。
中野区の一般会計に占める特別区交付金構成比は22.7%で、最も高く、歳入予測のずれが区財政に与える影響が最も高い財源とも言えます。本格的に影響が出てくるのは令和3年度以降ということですけども、基本計画の財政フレームの特別区交付金は令和4年度以降、順調に回復となっていますが、この指標、用いられている経済成長率というのは、現在の緊急事態宣言の影響が含まれていないということで、歳入と推計値、ずれてくるのかなというふうに考えております。
中野区は、これまで持続可能な財政運営を行うため、財政調整基金年度間調整分150億円をためて、歳入が不足した場合、年50億円、3年間、その財源を繰り入れてしのぐという方針を示してまいりましたが、令和3年の時点で既に149億円と、150億円を割り込んでいるわけですけども、今後首都直下型地震、世界的な経済危機が訪れたことを想定し、持続可能な財政運営を行うために年度間調整分150億円まで積み足す、維持するという必要があると思いますが、そちらについてはどう考えますか。
〇森財政課長 厳しい財政状況が続く中でも、必要な区民サービスに対しては財源を投入いたしまして、推進していく必要があると考えております。財政調整基金の年度間調整分への積立てにつきましても、厳しい状況ではございますが、適時適切に行っていく必要があると考えております。
○立石委員 現実には、今は厳しいと思います、施設の更新の目的基金もためないといけませんし。ただ、個人的に、この財政フレームの歳入と数値はあまり当てにならないというふうに思っていまして、今後の状況によって上振れするか、下振れするか分からない中で、区としてその方針をしっかり持っていただきたいなと思っています。
上振れした際には、財政調整基金に積むのか、特定目的基金に積むのか、利子負担を減らすために起債の償還に充てるのか、財政運営の軸となる考えについて伺います。
〇森財政課長 歳入が上振れした場合の対応についてでございますが、当然その時々の基金残高の状況ですとか、起債を幾ら発行しているかとか、そういう起債の状況なども踏まえて、その都度その都度の状況によって判断をしていくということで考えております。
○立石委員 一定の柔軟性というのは、今の現状では理解ができるところですが、新型コロナが収束して、例えば3年後ですとか、そういうときには、他の委員も指摘しておりますが、施設整備基金をつくって、年度間調整分から繰入れが柔軟に行えないように、しっかり計画的に積み立てていけるようなことも示していただきたいと思います。
今年度予算編成方針で、構造改革の八つの視点を用いて、20%シーリング目標を掲げて、現状9%でしたというところですが、当初予算概要の財政フレームの一般事業費という、これ、経常経費に当たると思うんですが、令和3年度は213億円で、令和4年度から令和7年度まで211億円、横ばいになっております。新規拡充事業が増えれば、経常経費、増加していくのかなというふうに思うんですけども、この推計値は現実的な数値と言えるでしょうか。
〇森財政課長 現在直面をしております財政的な非常事態に対処するとともに、新たな行政需要に応じた効率的、効果的なサービス展開を図るため、一般事業費については毎年見直しをかけていくということを前提としておりまして、今お話のとおり、同額を設定しているところでございます。
今後、行財政の構造的な改革を集中的に進めていく考えでございまして、歳出の削減、抑制に努めていくということでございますので、この数値については適切であると考えております。
○立石委員 構造改革等を進めつつ、ここを圧縮していくという考えだとも思うんですけども、予算編成の過程を見ている中で、目標額を達成できなかったというところですので、こちら、きちんと根拠のある対策を取っていただきたいと思いますし、あまり見立てが甘いと、ほかのところにも影響が出ますし、留意していただきたいと思います。
次の質問は飛ばさせていただいて、債務負担行為、総額685億円と、こちら、内訳を確認させてください。
〇森財政課長 債務負担行為でございますが、新規設定分、令和3年度に新規設定したものは148億円余、148億1,713万9,000円ということでございまして、令和2年度までに債務負担行為を設定した継続分ということで申し上げると、令和3年度以降の支出予定額を申し上げると、537億4,259万5,000円ということでございまして、今、委員お話しの685億円余ということになるものでございます。
○立石委員 債務負担行為、基金や起債を充当している分、一般財源の持ち出し自体はそれほど大きくないということだと思うんですけども、今後施設の整備も、これ、平準化してちょっと先送りしているんじゃないかという指摘もさせていただきますが、今後将来世代の負担が大きくなっていくわけですから、ふだん、決算のときに示している将来負担比率ですか、のようなものを予算段階で設定をして、将来にどのぐらい負担が発生するのかということを示し、区民の方にも、今の厳しい財政状況を理解していただくということが必要だと考えるんですが、そちらについてはいかがでしょうか。
〇森財政課長 今お話しいただいた債務負担行為については、先ほど一般財源が少ないというふうにおっしゃっていただいていましたが、10億円余ということで今想定をしているところでございます。
それで、将来の負担の部分につきましては、今お話しいただいている債務負担行為の残高ですとか、公債費負担比率、起債残高などを見て、予算段階においては、将来の財政負担と考えているというところでございます。
お話があった、決算時における将来負担比率というものについては、なかなか予算段階では計算して出すというのは難しいところではございますが、そういった今お話しした将来の負担の数値などもしっかり見ていきながら、財政運営に当たっていきたいと考えております。
○立石委員 本来決算で示すもの、同様のものを予算で示すのは無理だと思うんですけども、工夫をして、その負担が見えるような表、こちらは私もちょっと勉強して、今後機会があれば提案してまいりたいと思っております。
続いて、区有施設整備計画で、平準化、複合化を踏まえた更新経費の推計がありました。平準化した場合、20年間の更新費は2,223億円から1,911億円で、312億円削減とされているように見えるんですけども、40年間の更新費で見ると、116億円の削減にとどまりますし、年平均の更新費も87億円から84億円と、削減額は3億円しか変わっていないという状況で、これが複合化、平準化という効果よりも、単純に更新の時期を先延ばししたようにも見えるわけです。
とはいえ、先延ばしをしていなければ、基金が令和5年には枯渇するという見通しだったわけですから、仕方がない部分もあります。しかし、ふだんから基金を積み立てていれば、スケジュールの後ろ倒しの影響を抑えることもできたはずですから、平準化によって将来に負担を先送りしているとも言えます。こちら、複合化について、総務委員会でその効果というところをお伺いしたところ、なかなか数値として示すのは難しいというお話でしたが、複合化が進んでいない要因をどのように分析されていますか。
〇石井企画課長 現在、区有施設全体の約半分が複合施設でございますが、さらなる複合化を進める際の課題といたしましては、今回の施設整備計画の計画期間中には、新たな複合施設の整備が可能な大規模用地が少ないこと、また住居専用地域の区有地を活用する場合におきましては、用途地域上の制限から、整備できる用途が制限されていることなどが挙げられると考えております。
○立石委員 今、用途地域上の制限というお話がありましたが、ほかの区を見ていると、商業地域に高層の区有施設を建てて複合化している事例などもよく見られまして、中野区は住居専用地域の割合が高く、容積率が低いのかなというふうに感じているんですが、その傾向として、23区近隣と比較してどうなんでしょうか。
〇石井企画課長 中野区は8割弱が住居系の用途地域でございます。特別区平均約6割を大きく超えているという状況でございます。区内におきましては、近年の複合施設の事例といたしまして、富士見中学校跡に整備した南部すこやか福祉センターがございますが、中野通り沿いは近隣商業地域でございますけれども、30メートル奥まるとすぐに第一種低層住居専用地域となりまして、非常に難易度の高い施設計画であったと捉えております。
特に、区立小・中学校統合後の跡地活用につきましては、住居専用地域内にある場合がほとんどであるため、用途地域上の制約を受けることとなりまして、施設の複合化や十分な床面積を確保するということが大きな課題となっているところでございます。
○立石委員 当然、この用途地域、住居専用地域が多いというのは、皆さん認識された上で取り組んできたと思うんですね。今回、10年の施設整備計画が示されますが、施設更新については20年、40年、今後、永続的に発生してくるわけで、ここの課題というのは、容積、用途地域の変更や容積率を高めていく取組というのも、次の時代の課題になると思うんですが、その点についてはどのように考えますか。
〇石井企画課長 用途地域や容積率の変更につきましては、区有施設の建築、更新を理由として行うということは難しいと考えております。周辺地区の一体的なまちづくりのルールの導入ですとか、道路などの基盤整備が必要であると捉えてございます。将来のまちの姿を見据え、地域の拠点として集約化、複合化された区有施設を整備するためには、周辺まちづくりと整合を図り、連携して取り組んでいくことが必要であると考えております。
○立石委員 実際、複合化できなかった課題として、一つの要因として、用地がなかったり、容積率の問題だったりというのもあると思うんですけども、新庁舎に関しては総面積が増えていて、保健所だったり、生活保護の窓口を外に出したという経緯もありますので、その問題だけでは当然ないと思っていますし、区有施設設備整備計画、まだ完成していないので、残りの期間でしっかり詰めていただきたいと思います。
○山本委員長 ここで休憩にしたいと思います。
15時20分まで、委員会を休憩いたします。
午後2時57分休憩
午後3時19分開議
○山本委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、総括質疑を行います。
立石委員、質疑をどうぞ。
○立石委員 引き続き、よろしくお願いいたします。
基本計画についてです。基本計画素案のたたき台、計画期間の中で、2021年から2025年まで5年間となっております。ただし、これ、「区を取り巻く社会経済情勢が大きく変化した場合は、財政状況等を踏まえ、計画の変更を必要と判断した場合など、必要に応じて改定してまいります」とありますけども、これ、財政状況を踏まえて必要に応じて改定とは、具体的にどういう状況を想定しているでしょうか。
〇永見基本構想担当課長 基本計画につきましては、構造改革の取組を踏まえた財政状況でありますとか、計画の前期における各施策の実施状況についての評価や検証、そういったものを通じて改定の判断を行うという考えでございます。
○立石委員 構造改革プログラムの状況を見極めて、その上で後期の事業について具体化をしていく。スケジュール的な意味合いなんですかね。それとも、例えば財政的に当初予算が組めないような状況になることを想定して、抜本的につくり変える、そういった内容を想定しているんでしょうか。
〇永見基本構想担当課長 先ほど申し上げました評価であったり、検証の結果、後期における事業の内容などについて変更する必要があると判断した場合には改定すると、そういった考えでございます。
○立石委員 なので、これは持続可能な財政運営、財政的に危機が訪れたというものではなくて、スケジュールの進捗状況を見直し検証していく中で、後期に具体化していくということですか。
〇永見基本構想担当課長 繰り返しにはなりますけれども、評価検証を行った結果、そういった事業などについて変更する必要があると判断した場合に改定を行うということで考えてございます。
○立石委員 承知いたしました。私、財政危機を想定したものだと思っておりましたので、先ほど述べたように、区民税だったり特別交付金が推計値を大きく下回った場合、仮にですけども、財政がかなり厳しい状況にありまして、歳入の見通しという意味では、外出制限が緩和されて消費活動がいつ頃戻ってくるかというのが大きな要因になるわけです。
ワクチン接種開始に伴って、新型コロナウイルスの外出自粛の緩和がいつ――想定より早まれば、その分歳入の回復も早いでしょうし、反対に長引いた場合というのは、財政危機が訪れてしまう可能性があって、改定を予定している令和5年の時点から計画に着手しては手遅れになるわけですから、ファイザー製のワクチンの接種を先行して開始しているイスラエルの動向なども注視していただきたいと思います。
ふだんの財政課の自治体の職員の役割を超えていると思いますが、非常事態ということで、こちら、要望させていただきます。
続きまして、空き家対策についてです。
所有者不明の管理不全空き家は、長年放置されているため、複数の問題が発生をしています。老朽化によって倒壊のおそれがある場合は建築課、ごみ屋敷化している場合は環境課、ハクビシンが出た場合は保健所が対応しております。管理不全空き家の所有者と接触することは難しいので、関連部署で情報を共有し、解決に当たっていただくことが求められます。
2018年10月に策定された空き家対策基本計画の中では、空き家をABCDでランクして、合計852件存在します。そのうち、利活用可能な空き家が半数程度、大きな損傷が見受けられるランクCの空き家は312と、ランクDの、明らかに傾斜している、破損している空き家は78棟存在します。空き家対策基本計画の中では、予防、利活用、除却と、3ステップ示しているわけですが、除却をする場合は、勧告、戒告などを行った後、行政代執行となります。代執行となれば、所有者の私有財産を除却して、その費用を請求することになるわけですから、慎重に進めなくてはなりません。特定空き家に認定されてしまうと、固定資産税が約6倍になるなど、ペナルティが発生するという状況です。行政が勧告、戒告などを行う前に、本来であれば所有者が自らの意思で除却していただくことや利活用につなげることが必要と考えます。
そこで、令和3年度当初予算で空き家対策の推進について、197万円の予算がついておりますが、この事業の目的と内容を確認させてください。
〇池内住宅課長 管理不全空き家の予防や利活用を推進するため、空き家のワンストップ相談窓口の運営や、空き家の状況を確認するための現地調査に関する委託経費、また危険老朽化空き家の対応のために、緊急安全措置等に係る予算を計上しているところでございます。
○立石委員 現在、住宅課では、空き家に関する様々な相談に対応していると思うんですけども、特に状態が悪い空き家については、所有者からの相談よりも近隣住民など第三者からの苦情が多いというのが実情だと思います。
空き家の所有者を特定するために、登記簿の確認や固定資産税の支払い状況など調査を行っていると思いますが、所有者が特定された後はどのようにアプローチされていますか。
〇池内住宅課長 まずは登記簿の取得により、登記簿上の所有者を確認し、その上で所有者の正確な最新情報を得るために固定資産税情報、住民票上の情報により所有者を特定してまいります。所有者の特定後は、文書にて空き家の状況や問題箇所について通知するとともに、指導や助言を行い、自発的な解決を促しております。
○立石委員 先ほどの質問で、今年度から空き家ワンストップ相談窓口の運営委託というものが開始されたということですけども、区が把握している所有者をその相談窓口へつなげたりして、利活用の促進を図っていくことが必要と考えますが、そちらについてはいかがですか。
〇池内住宅課長 区がこれまでの調査により把握しております空き家の所有者につきましては、空き家の管理状況に応じまして、適切な維持管理や利活用の検討を促す対策を進めてきたところです。
区が把握している所有者に関しましては、不動産関係団体、建築関係団体、法律関係団体等の専門家が所属する専門相談窓口を紹介しまして、具体的な利活用へと導いていけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○立石委員 ありがとうございます。
それと今年度、居住支援協議会が設立されますが、その取組に、住宅の困窮する住宅確保要配慮者と民間賃貸住宅のオーナー双方に対して、行政、不動産関係団体、居住支援団体等が連携し、入居前から退去前まで、切れ目ない適切な支援を行うとあります。住宅確保要配慮者の入居促進に合わせ、管理不全空き家の発生予防、利活用策として、空き家セーフティネット住宅としても活用することが期待できると思いますが、セーフティネット住宅の普及促進に関して、居住支援協議会との連携も必要と考えますが、いかがですか。
〇池内住宅課長 設立を予定しております居住支援協議会では、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居促進のために不動産事業者、それから居住支援法人及び福祉関係団体などが相互に連携する体制を構築するものでございます。
居住支援協議会の活動と連携しながら、セーフティネット住宅への活用につきましても、空き家の所有者への周知啓発を行ってまいりたいと考えております。
○立石委員 現在、新型コロナの影響で、住宅確保要配慮者に対して東京都がホテル、住居を提供したりしているというところで、仮に東京都がその提供をやめた場合、区もそういった役割を担う可能性がありますので、そちらについても備えていただきたいと思っています。
空き家の利活用は、資産活用でもあると考えられます。中には、空き家を活用したシェアハウスですとか、カフェなど事業展開の企画を持っており、資産活用の提案もできる事業者がいると思います。区は今までそういった提案を受けたことはございますか。
〇池内住宅課長 幾つか民間事業者から空き家を利活用した事業につきましては、情報提供を受けたことはございます。
○立石委員 そういった、まさに民間活力、こちらを空き家の利活用促進につなげていくことが非常に重要だと考えますが、そちらについてはいかがですか。
〇池内住宅課長 令和3年度は、不動産関係団体、建築関係団体、法律関係団体等の専門家が所属する団体と連携しまして、相談窓口におきまして、空き家利活用等についての様々な相談を受け、不動産市場への流通をはじめとした空き家利活用を促進いたします。
そのほか、民間事業者による空き家を活用した具体的な提案や相談が区にされた場合、空き家利活用の促進として適当であるのであれば、その目的や内容により、関係所管と調整いたしまして、行政としては協力していきたいと考えております。
○立石委員 中野区としては、所有者の情報、個人情報だったりするので、直接民間事業者に提供というのはできないと思うんですけども、そういったワンストップ窓口に、民間事業者の企画書みたいなものを置かせていただいて、所有者の方がこれを見て、「あ、いいですね」ということになれば、そこで自然なマッチングが発生して、民間活用、活力が使えるというふうになると思います。
私も様々、区民の方から、空き家活用というと、やっぱりコミュニティスペースとか、地域の拠点というところで、中野区としても整備してほしいという要望は多々頂いております。ただ、今、区財政、厳しい状況で、そういった施設を持つというのは難しいんですが、まさにそういうものを造りたいという民間事業者に対して、管理不全の空き家を修繕したり、そういうところを利活用を図っていただきたいと思っております。
中野区の空き家対策に従事する専属の職員は1名ですよね。今回、この事業に対する予算も197万円ということで、今後、管理不全、対処しなくてはいけない空き家の数は物すごいというか、さっきの話で言うと、数百件規模であるわけですけども、当然、これを除却するとなると、1軒1,000万円から2,000万円かかって、基本的には所有者の方にお支払いいただく形になるんですけども、支払いが難しい方がいらっしゃったり、中野区の負担となる可能性もあるわけですから、こういった予防、利活用の取組について、しっかりと進めていただきたいと思います。
ちょっと前半早口でしゃべってしまったんで、時間が余ってしまったんですけども、これにて私の質問を終了させていただきたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。
〇山本委員長 以上で立石りお委員の質疑を終了いたします。
次に、吉田康一郎委員、質疑をどうぞ。
〇吉田委員 育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会、吉田康一郎です。よろしくお願いいたします。
通告順とは変わりますけれども、本日は、まず、中野駅周辺まちづくりについて。次に、基本構想・基本計画と国民保護計画について。関連しますので、これについて。3番目に、都市マスタープランについて。そして次に、子育ての支援に関して、予算編成の考え方について、そして基本計画について、併せて質問し、そして次に公園行政について。最後に、その他、ワクチンの接種の副反応への対処について。時間のある限り、順番に質問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
最初に、新区役所の整備について伺います。
1月29日の中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会において、中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備民間事業募集の選定結果について、区は、野村不動産を代表事業者としたグループを施行予定候補として選定したと報告がありました。
この今回の民間事業者募集は、施行予定者候補としての能力などが備わっているかを審査する公募型プロポーザル方式とのことであります。選定結果として、今回パースや提案概要が公表されていますが、この内容でこのまま事業計画がつくられるのか、伺います。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 今回の民間事業者募集は、募集要項に記載をしている一定の前提条件に基づきまして、応募者に提案を求めたものでございます。今後、施行予定者は、本提案内容を基に関係権利者、関係機関と協議、調整を進めながら、事業計画や資金計画をつくっていくということになります。区として、提案内容の継承を求めてまいりますが、今後の協議、調整によりまして、内容は変更となる可能性があるものと考えております。
〇吉田委員 今後、提案内容を変更するのであれば、どのような点を変更していくのか。また、野村不動産グループの提案は、高層棟が1棟というものであり、壁面が長大でビル風がひどくなると推測をされます。他の議員も質問されましたが、こうした点も変更を求めていくのか、伺います。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 民間事業者募集では、審査委員会の公表におきまして、施設計画における中野通り側のにぎわいの形成や壁面の圧迫感の軽減など、今後さらなる検討を求める点が指摘をされておりまして、こうした点につきましては、今後の事業計画作成の中で改善を求めてまいります。
また、ビル風の影響につきましては、本事業は環境アセスメントの対象となる予定でございますので、事業実施に伴う環境への影響について、今後の検討で確認をしていくこととなります。
〇吉田委員 そういうことであれば、能力を選定するということではなくて、事業内容についてもかなり議会としても意見が言える場が欲しかったなというふうに思うんですね。
提案内容の審査においては、資金計画の確認が重要であると考えます。資金計画の従前資産評価について、特別委員会の質疑では詳細が説明されませんでした。施行予定者の候補、次点候補、それぞれ幾らで評価をされていたのか、具体的な金額を伺います。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 民間事業者募集の審査に当たりましては、提案概要書を公表しておりますが、資金計画を含みます提案書そのものは公表しておりません。従前資産の具体的な額についてもお示しはしておりません。資金計画については、審査委員会での公表でも触れられておりまして、従前資産評価の考え方を御説明いたしますと、施行予定者候補の提案は令和元年度の路線価を基に算出をしておりまして、次点候補の提案は、令和元年度の路線価を基に、時点修正して算出をしてございました。
〇吉田委員 これ、中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会のときには御説明なかったんですよね。野村不動産が令和元年の路線価、東京建物は令和2年の路線価ということであります。
野村不動産は、令和元年度路線価基準、すなわち区役所の再整備事業計画と同じ559億円、東京建物は最新の令和2年度路線価を基に評価額を算出したということは、令和2年には中野五丁目67――67というのは、これはサンプラですが――の路線価は14.57%上昇しておりますので、640億円、国と都の分を合わせると1割増しで、700億円と算出していることになります。この計算は合っていますか。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 計算上は合っているというふうに思います。
〇吉田委員 合っていますよね。
それで、つまり、東京建物は野村不動産よりも、少なくとも80億円高く区の従前資産を評価し、それでも採算が取れる事業能力を示していたということであります。この80億円をどう捉えるかであります。
これまで区が、今に至るまでずっと区議会にしてきた説明というのは、定期借地方式は取れません。新区役所の整備費は254億円ぐらいかかるけれども、前払いの地代だと、180億円しか地代を受け取れないので、差し引き74億円マイナスだから、70年定期借地という方法は取れませんと、これが区の土地を売らないと事業ができないという説明でありました。そうですね。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 以前、こういう御説明だったかと思います。
〇吉田委員 その足りないという金額、しかも、足りないと言って、我々区議会が、有志が、それでもいいからとにかくきちんと数字を示すべきだと言って、自分たちでも政務活動費を使って、評価額をちゃんと算定できる会社に委託調査をして、その上で区に、とにかく定期借地だったら幾らになるんですかというふうに聞いたら、定期借地は取らないということをプロポーザル方式だということを決めた後で、渋々出してきた数字がありました。しかし、それが12月6日の中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会のときに、私はもう追及しましたけれども、あるいは1月8日の中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会でも説明しましたけれども、非常にずさんな数値で、期待利益率を0%というふうに見なければ出ないような数字、世の中では通用しないような数字を出してきて、74億円足りませんと言ってきたわけであります。
我々区議会有志が大手不動産鑑定会社に委託調査した結果を、私は、昨年の1月20日の中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会で報告した数字は70年定期借地前払いで前提を置かなければ、750億円から1,080億円、アリーナやホテルなど採算性の低い機能を含めると利益が20%下がって約600億円、都と国が区の計画に付き合ってくれなければ、さらに、その面積1割ですから、1割下がって、540億円から777.6億円という前払い地代が、容積率を緩和しなくても出てくるという数字を示しました。区役所の整備費254億円の少なくとも倍以上になるということを示して、区の再考を促していたわけであります。
区は再考しなかったわけですけれども、74億円が足りないと、この説明の上で、今回、東京建物は令和元年から令和2年で地価が約15%上がっているから、80億円多く区の財産を見てくれた。74億円、飲み込めるわけですよ、売らなくても。
このように、あるいは、中野区は今回20%のシーリングをして、削減しなきゃいけないって言った数字、100億円上回りますか。上回らないですよね。従前資産を高く評価するということは、このように事業実施に当たり、最も重要な要素の一つであります。
ところが、提案書の審査では、資金計画の評価が含まれる項目、事業推進計画の配点は、200点中20点しかなく、施行予定者候補と次点候補の評価結果の点差は0.5点しかありません。この配点は、全く妥当でないと思うんですね。野村不動産のプレゼンの案と、そして東京建物のグループが出した案と、100億円積み増せば、いかようにでも改善できるんですよ、100億円多めに出せば。この0.5という差、東建が100億円余計に出せると言っても、野村の案は100億円以上の価値があると、そういうことですか。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 今回の評価についてでございますけれども、募集要項の公表前に審査委員会に御意見を頂きまして、審査委員会で確認をした上で区が決定をしたということでございます。
今回の募集では、施設計画、資金計画、管理運営計画と多岐にわたる提案を求めておりまして、評価の項目については、提案書の内容に沿って設定をしております。こうした評価項目に従って、審査委員会で採点をしていただいた結果、今回の結果になっているというふうに認識しております。
〇吉田委員 この審査委員会の方が審査をしてくださった、この配点自身は誰が決めたんですか。審査委員会の委員が決めたのか、区が決めたものをこれでいいですかと審査委員会に示したのか、どちらですか。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 先ほどと重複になりますが、募集要項公表前に、審査委員に評価項目配点について御意見を頂きまして、審査委員会で確認をした上で区が決定をしたというものでございます。
〇吉田委員 配点について、委員から意見はありましたか。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 若干の配点の、細かい配点の御指摘というのはございましたけれども、若干修正をした上で区が決定をしたというものでございます。
〇吉田委員 ちょっと今のはよく分かりません。要するに従前資産について、200点中20点ということについて、多いとか少ないとか、もうちょっと増やすべきだとか、こういう御意見はあったんですか。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 その点についての意見はなかったかというふうに思います。
〇吉田委員 区が決めたわけです。区が決めた案に乗って、審査員は、とにかくそれぞれの配点の中で加点をした、採点をしたということであります。
豊島区の庁舎跡地の活用事業は、定期借地を活用した事業であって、公募で事業計画に関する提案と資金面の提案も求め、具体的な一括前払い地代の提案額も含めて評価するというような仕組みでありました。議会も、いろんな業者のプロポーザル、従前資産評価とか、いろんな金額を数字で確認をしながら、この選定作業を審査することができたわけです。
中野区は、今の御説明があったとおり、まず、定期借地にするか、再開発事業にするかについても、区議会に対して、数字を示さないで、決まった後で、定期借地についても調べてみてくれと言ったら、でたらめな数字を出してきて、そしてその上で、区議会が、こんな適当な数字はしようがないけども、少なくともプロポーザルの評価外でもいいから、区が土地を持ち続けた場合についての考え方を各事業者に求めてくれと言って、それは区はやってくれた。しかし、本日に至るまで、今日この日に至るまで、それぞれの事業者が従前資産を幾らで評価をしたかを公表できないと。私は、御説明の中から推計した数字を申し上げて、これは多分妥当であろうと、いろんな裏を取って妥当な数字だと認識をしておりますけれども、今日に至るまで区は区議会に対して数字を全く示したことがないんですが、そういう認識で、私は合っていますか。
〇小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 従前資産の評価についてですが、今回の再整備事業ですけれども、法令に基づく手続の公正性、透明性、補助制度による確実な事業進捗、そういったところから市街地再開発事業を想定しているものでございます。
市街地再開発事業を想定した上で、今回の募集ということを進めております。市街地再開発事業における従前資産評価ですが、権利変換時点の評価になりますので、本事業で想定しているのは令和5年度の評価になるというものでございます。
ですので、最終的には、今回提案で様々な考え方がございましたけれども、令和5年度の評価になるというふうに考えております。
〇吉田委員 それね、事業者を区は議会に諮らずに選定して、その後で、1社に絞った事業者が令和5年、何でもいいですよ、こんな金額で資産を評価してくれます、これ、適正なプロセスですかね。私は全く適正じゃないと思う。どんな自治体においても、区役所はちゃんと数字を議会に示して、その議会を元に、定期借地でいくのか、再開発でいくのか、議会も納得して、理解して、その上で、じゃ再開発でいくんだったらその再開発で、どの事業者がどういう、区の資産についても、あるいはどういう建物についても、何をするについても、きちんとした能力なんというものじゃなくて、こういう案ですよというものを示して、区議会も、こういう能力の、こういう内容なんですね、こういうふうに区の大事な虎の子の土地を評価してくれるんですね。その上で選定をしていくというのが、まともな普通のよその議会でやっている、こういう再開発――再開発というか、再整備に当たってのプロセスなんですね。中野みたいなやり方しているところ、ほかにないですよ。
これまで資産評価の数字や考え方などが示されない中で、区が一方的に公募条件や評価の配点を決め、事業手法を決定して、そして従前評価の金額や具体的な提案内容も示さずに、区議会には何にも知らせないまま、施行予定候補を決めて、そしてこの後、中身を知らせないまま協定を結ぼうとしているわけですよ。このような進め方は、完全な議会軽視ですよ。議会は何にも判断材料がない。数字も示さない。何にも示さない。
このような進め方で適正な内容が選定されたと、私は自信を持って賛成できません。よその区議会と区役所の関係に比べて、中野区役所は中野区議会議員を非常にばかにしていると思いますよ。これでも、予算全体に反対するなんて大人げないことはできない、賛成しなきゃねと、そういう立場に落とし込められるとしたら、何と我々中野区議会議員はみじめな立場なのかと。ここまでばかにされていいのかと。ここまでばかにされて、ばかにされていると気づかないのはばかだと、私はこのように思うんですね。
何でこんなやり方を強引に進めるのか。前の区長さんの引いた路線で、今の区長さんが決まる前に進めた方式だったかもしれない。でも、これ、何度も何度も議会から、いろんな方がいろんな立場で、いや、このやり方ちょっとやり直してください、考え直してくださいと。区の土地を売らなくても、売ったときと同じだけの立派な再整備ができる可能性があるんですよ、その可能性をきっちりと検討してくださいと。
でも、やらないのは、区長、これ、お聞きしますけれども、今、折しも、菅総理大臣の――あの方、実直な方だと思うんですけど、ちょっとあの方には似つかわしくないような、やからみたいな風体の長男さんの会社が接待とかいろいろな問題、起こしていますよ。そういう問題があるんじゃないのかと疑う向きが出てきてもおかしくはない。こんな議会に、何にも数字も示さない、何も示さずに強引に何とか協定までたどり着こうとする。これは、区長は何かその事業者と不適切な関係があるんですかと、あるいは何か利益供与を受けているんですかと疑われても致し方ないような状況ですよ。そんなことはないんであれば、そんなことないと、ここで明言してください。
〇酒井区長 民間事業者の募集手続は、公平性に配慮して公正に進めているところでございまして、区長として利益供与を受けているということはございません。
中野駅新北口駅前エリア再整備事業は、パブリック・コメントや区民との意見交換を経て、取りまとめた新北口駅前エリア再整備事業計画に基づいて進めております。
また、民間事業者募集に当たっては、募集概要を事前に議会報告をしておりまして、提案内容の審査は、区の関係者の入らない、外部有識者のみで構成する審査委員会において、匿名で実施している公平な手続だと考えております。
〇吉田委員 これね、公式見解はそうなるんでしょう。けれども、私、指摘をしていることは、一見公正に見えるけれども、何でほかの区がやるように数字を示さないんですかと、この疑問に答える御答弁ではないんですよ。
もう昨年の12月、1月、そして今に至って、事業者さんの中で100億円も多く、中野区の資産を見て、能力を示してくれている、要するに損益分岐点が100億円高くても事業できますよと能力を示しているところがある。でも、そこが何だか加点も少なくて、次点候補になった。別にその事業者から私も利益供与を受けているわけじゃなくて、客観的に言っているんですよ。
そして、その上で、その事業者さんたちだけでなくて、はた目から見て、一般の不動産鑑定会社から見ても、今、この二つの事業者が示しているような事業計画は、区の財産を売らなくても、定期借地制度で前払い、あるいは普通借地、いろんなやり方あると思いますけれども、区の土地を売り払わなくてもできますよと言っているんですよ。
であれば、改めて、ここで強引に協定まで何とかたどり着こうじゃなくて、この段階で、能力を示した段階、協定を結ぶ、至る前の段階で、区役所として区議会に初めて数字を公表して、業者の選定プロセスを明らかにしてほしいんですよ。協定を結んでから事後承認で、こういう数字でしたじゃなくて、協定を結ぶ前の段階で議会に数字を示してほしいんです。その議会を軽視しない、ほかの役所と同じように、議会が、我々も区民の代表ですから、そして予算を審議させる場もある地方自治法に定められた権能を持っていますから、ちゃんと数字を示して、区で一番大事な、400億円とか、500円億円とか、区の予算が1,500億円だったら3分の1ぐらい、大事な駅前の案件ですよ、自分の区役所の建て替えも含めた。数字を示して、議会に協定前にきちんと諮るということをしてもらえませんか。
〇酒井区長 民間事業者公募に当たって提出のあった、土地のみに権利変換した場合の考え方については、現在、内容の詳細を施行予定者候補に確認をしているところでございます。
資産活用の考え方につきましては、今後の計画、調整の過程で、経済状況や事業計画検討における提案内容の継承、事業スケジュール等を考慮しつつ、公的資産の有効活用や公共施設の適正配置の観点から総合的に判断をするものだと考えております。
まずは、基本協定は締結をし、お互いの立場や役割分担を明確にした上で検討を進め、土地と床へ権利変換した場合や、土地のみに権利変換した場合など、具体的にメリット・デメリットを整理して示し、議会にも示し、区として最も有効な資産活用方策を検討していきたいと考えております。
〇吉田委員 大変残念な御答弁であります。売らないで済む土地を何とかかんとかして売ってと、このやり方を変えないということで、非常に残念に思います。
次の質問に移ります。国民保護計画について伺います。
一般質問でも指摘をいたしましたが、いわゆる国民保護法について、武力攻撃事態について自治体の責務を定めています。ところが、今般示された中野区基本構想と中野区基本計画(素案たたき台)には、武力攻撃事態における住民保護対策について一切記載がありません。これでは、誰一人取り残さないどころか、誰一人生き残れない、誰一人守らない区政の基本構想と基本計画と言わざるを得ません。基本構想及び基本計画に、区民の生命、財産を守る自治体の責務として位置付け、明確に記載をしなければならないと思いますが、見解を伺います。
〇永見基本構想担当課長 基本構想の文案におきましては、区政運営の原則であります「基本構想を実現するために」の中で、危機の発生時における区の対応の原則について記載をしているものでございます。
また、これを受けて基本計画(素案たたき台)におきましては、区政運営の基本方針の中で、危機の発生時全般について、職員の危機管理能力の強化や、対策本部を核とした危機管理体制の強化等について記載をしているものでございます。
基本計画におけます国民保護に関する記載については、他の自治体の事例等も参考にしながら、改めて検討しているところでございます。
〇吉田委員 最後にね、改めて検討すると言っていただけたので、安堵いたしました。今の記載では、災害に対する対策としてはよく読み込めますけども、武力行使事態に対する対処として、私は一般的には読めないと思うので、改めて検討をお願いします。
そして、質問の中で、有事における想定外の状況の中でも、区民の生命、身体及び財産の保護を着実に行いつつ、機動的かつ迅速的な対処の実施がなされるよう万全を期していくと、力強い御答弁をいただきました。これはこれでありがたいことであります。
そこで、住民の訓練ということについて伺います。
テロ、爆破事案についての訓練を、区の職員が機動隊等とやったという御答弁を頂きましたが、大事なのは、区民・住民の対処、避難訓練になります。これについてどういう御見解でしょうか。
〇中村危機管理課長 ただいま御質問いただきました武力攻撃事態などを想定した訓練の実施については、区の国民保護計画において定めているところでございまして、今後必要に応じて、東京都など関係機関との協議なども検討してまいります。
〇吉田委員 ちょっと一つ質問飛ばしますが、平成29年、北朝鮮がミサイルを相次いで発射したことを受けて、自民党の国民保護の在り方に関する検討チーム、北朝鮮核実験ミサイル問題対策本部、国土強靱化推進本部が相次いでシェルター、核及び多目的シェルター、この整備の推進を検討し、政府に取組を提言しました。
令和元年12月には、立憲民主党の熊谷裕人参議院議員が、核シェルターの普及状況に関する質問主意書を提出し、Jアラートで国民に退避を促すのであれば、核ミサイルの着弾にも耐え得るような核シェルターの普及を図るべきではないか。唯一の被爆国である我が国は、政府主導で核シェルターの普及のための検討を始めるべきではないか。アメリカ、ロシア、イギリスのような水準の核シェルターの普及を実現すべきではないかと、政府に問うたことは把握しているでしょうか。把握しているのであれば、区としてどのように考えているのか、伺います。
〇中村危機管理課長 ただいま御案内いただいた内容については、把握しているところでございまして、必要に応じて情報収集を行い、適切に対応してまいります。
〇吉田委員 立憲民主党にも立派な議員がいるんだなと改めて思うわけでありますよ。
そして、シェルターの基準が国には定められていないということは御答弁ありましたけれども、では、座して待つのではなくて、国や都に、シェルターの基準、これは実はもうアメリカも含めて、世界はスイスの基準でもって、この核シェルターの整備を行っているというのはデファクトスタンダードになっているんですが、国や都に設置の基準などを要請する必要があるんじゃないかと考えますが、見解を伺います。
〇中村危機管理課長 ただいまの質問の国民保護計画については、国や都の計画との整合性を図る必要がある一方、御案内のシェルターについては、法令に定義がないことなどから、国や都へ要請することは考えてございませんが、今後も国民保護に関する必要な情報収集等は適宜適切に行ってまいります。
〇吉田委員 国や都が基準を定めなくても、変な国は撃ってくるときは撃ってくるんですよ。そして、住民に被害が出るときは出てしまう。
今回の武漢ウイルス対策としての隔離や自宅療養のキャパシティー、こういうのも、シェルターがあったら、もうちょっと状況は違ったと思うんですね。
区でも、シェルターの使用の確認など、既存の避難施設の機能の強化、民間への情報提供、支援の検討など、区民の生命、財産を守る区政を始めていただきたい、このように思いますが、区長の見解を伺えますか。
〇中村危機管理課長 御質問のシェルターの仕様の検討などについては現時点では考えてございませんが、今後も区の国民保護計画に基づき、必要な情報収集を図るなど、適切に対応してまいります。
〇吉田委員 たくさん質問を用意しておりましたけれども、時間もなくなってしまいましたので、これで質問を終わります。
引き続き、様々な問題について取り組んでまいりますが、議会を軽視せずに、公明正大に数値を示しながら、車の両輪として区政を進めていただく区政を念願いたしまして、質問を終わります。
○山本委員長 以上で吉田康一郎委員の質疑を終了いたします。
また、以上で総括質疑を終了いたします。
明日3月3日(水曜日)からは各分科会が開催されます。本日の委員会終了後、会場設営を行いますので、持参された資料等につきましては、机の中のものを含め全てお持ち帰りいただくようお願いをいたします。
次回の委員会は、3月9日(火曜日)午後1時から当委員会室において開会することを口頭をもって通告いたします。
以上で本日の予算特別委員会を散会いたします。
午後4時00分散会