令和3年09月24日中野区議会決算特別委員会

.令和3年(2021年)9月24日、中野区議会第一・第二委員会室において開会された。

.出席委員(40名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  5番  間     ひとみ         6番  河  合  り  な

  7番  斉  藤  ゆ  り        8番  立  石  り  お

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番     欠  員

 11番  加  藤  たくま        12番  吉  田  康一郎

 13番  木  村  広  一       14番  甲  田  ゆり子

 15番  内  野  大三郎        16番  杉  山     司

 17番  ひやま      隆       18番  小宮山   たかし

 19番  い  さ  哲  郎       20番  小  杉  一  男

 21番  内  川  和  久       22番  若  林  しげお

 23番  高  橋  かずちか       24番  小  林  ぜんいち

 25番  白  井  ひでふみ       26番  いながき  じゅん子

 28番  中  村  延  子       29番  石  坂  わたる

 30番  近  藤  さえ子        31番  浦  野  さとみ

 32番  大  内  しんご        33番  伊  藤  正  信

 34番  高  橋  ちあき        35番  平  山  英  明

 36番  南     かつひこ       37番  久  保  り  か

 38番  森     たかゆき       39番  酒  井  たくや

 40番  むとう   有  子       41番  長  沢  和  彦

 42番  来  住  和  行

.欠席委員(1名)

 27番  山  本  たかし

.出席説明員

 中野区長    酒井 直人

 副区長     白土 純

 副区長     横山 克人

 教育長     入野 貴美子

 企画部長    高橋 昭彦

 構造改革担当部長、構造改革担当課長事務取扱 石井 大輔

 企画課長、ユニバーサルデザイン推進担当課長 堀越 恵美子

 基本構想担当課長永見 英光

 財政課長    森 克久

 広聴・広報課長 高村 和哉 

 情報システム課長白井 亮

 総務部長    海老沢 憲一

 防災危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝瀬 裕之

 総務課長、特別定額給付金担当課長    浅川 靖

 職員課長、人材育成担当課長       中谷 博

 防災危機管理課長田邉 敏幸

 防災担当課長  吉澤 直樹

 生活・交通安全担当課長         藤﨑 洋文

 区民部長    鳥井 文哉

 文化国際交流担当課長          矢澤 岳

 戸籍住民課長  伊藤 正秀

 税務課長    竹内 賢三

 保険医療課長  伊藤 廣昭

 産業振興課長、マイナンバーカード活用推進担当課長 平田 祐子

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長  青山 敬一郎

 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小田 史子

 子ども・教育政策課長、学校再編・地域連携担当課長 濵口 求

 子ども政策担当課長           青木 大

 保育園・幼稚園課長           渡邊 健治

 保育施設利用調整担当課長、幼児施設整備担当課長 藤嶋 正彦

 指導室長    齊藤 光司

 学校教育課長  松原 弘宜

 子ども教育施設課長           塚本 剛史

 子育て支援課長 滝浪 亜未

 育成活動推進課長細野 修一

 児童福祉課長、子ども家庭支援センター所長 古川 康司

 地域支えあい推進部長          角 秀行

 地域包括ケア推進担当部長        藤井 多希子

 地域活動推進課長高橋 英昭

 区民活動推進担当課長          宇田川 直子

 地域包括ケア推進課長          小山 真実

 北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 原 拓也

 鷺宮すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 大場 大輔

 健康福祉部長  岩浅 英樹

 保健所長、地域医療連携担当課長事務取扱 佐藤 壽志子

 スポーツ振興課長古本 正士

 新型コロナウイルスワクチン接種担当課長 瀬谷 泰祐

 環境部長    朝井 めぐみ

 環境課長    波多江 貴代美

 ごみゼロ推進課長伊東 知秀

 都市基盤部長  奈良 浩二

 都市計画課長  安田 道孝

 道路課長    井上 雄城

 公園緑地課長  林 健

 建築課長    小山内 秀樹

 住宅課長    池内 明日香

 まちづくり推進部長           豊川 士朗

 中野駅周辺まちづくり担当部長      松前 友香子

 会計室長    吉村 恒治

.本会の書記は下記のとおりである。

 事務局長     長﨑 武史

 事務局次長    小堺 充

 議事調査担当係長 鳥居 誠

 書  記     立川 衛

 書  記     若見 元彦

 書  記     鎌形 聡美

 書  記     松丸 晃大

 書  記     田村 優

 書  記     細井 翔太

 書  記     有明 健人

 書  記     五十嵐 一生

 書  記     髙橋 万里

 書  記     本多 正篤

 書  記     金木 崇太

1.委員長署名


午前10時00分開会

○ひやま委員長 定足数に達しましたので、ただいまから決算特別委員会を開会します。

 認定第1号から認定第5号までの計5件を一括して議題に供します。

 総括質疑に入る前に、委員会運営について御相談したいことがございますので、委員会を一旦休憩し、理事会を開会したいと思います。

 委員会を暫時休憩いたします。

午前10時00分休憩

 

午前10時08分開議

○ひやま委員長 委員会を再開します。

 9月22日(水曜日)及び先ほどの理事会の報告を行います。

 初めに、本日の委員会運営についてですが、総括質疑は、1番目に木村広一委員、2番目に間ひとみ委員、3番目に伊藤正信委員、4番目にむとう有子委員、5番目に近藤さえ子委員、6番目にいながきじゅん子委員、7番目に石坂わたる委員、8番目に小宮山たかし委員、9番目に竹村あきひろ委員、10番目に吉田康一郎委員の順に10名の質疑を行うことを確認いたしました。

 また、本日は総括質疑最終日であり、午後5時を過ぎる場合も質疑を続行し、委員長判断で休憩を入れることを確認いたしました。

 次に、総括質疑における答弁訂正に関して協議を行いました。

 理事者の皆様におかれましては、正確な答弁を徹底していただきますよう、改めてお願いをいたします。

 以上が理事会の報告ですが、質疑はありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○ひやま委員長 なければ、ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ひやま委員長 御異議ありませんので、そのように運営いたします。

 ただいまから総括質疑を行いますが、答弁される理事者は、答弁前に大きな声で職名を述べるようお願いいたします。

 それでは質疑に入ります。

 木村広一委員、質疑をどうぞ。

○木村委員 おはようございます。おとといに引き続き総括質疑を行います。

 3、環境施策についてのうち、食品ロス削減推進計画の策定についてお伺いいたします。食品ロス削減推進計画については、令和元年から久保議員が策定を要望してまいりました。今年3月の区民分科会で策定を改めて要望させていただいたところ、二、三年後に策定したいとの答弁でした。新型コロナの影響もあるとはいえ、東京都も既に昨年度策定し、方向性もデータもある程度そろっており、早期の策定を重ねて要望させていただいたところですが、その後の検討状況はいかがでしょうか、お伺いいたします。

○伊東ごみゼロ推進課長 食品ロス削減推進法では、区が食品ロス削減推進計画を策定するに当たりましては、まず国が定めた基本方針及び東京都が策定しました計画を踏まえて定めることとされてございます。国は令和2年3月31日に食品ロスの削減推進に関する基本的な方針を閣議決定し、都はこの国の方針を踏まえ、令和3年3月30日に食品ロス削減推進計画を策定したところでございます。そのような状況から、区としましても来年度、令和4年度に計画の策定に取り組みたいと考えてございます。

○木村委員 来年度策定ということで大変にありがとうございます。環境基本計画との整合、また実効性を高めるために、2030年度までの数値目標を設定すべきではないでしょうか。国・都は2000年度比で、2030年度末までには半減の目標を設定しています。しかし、既に目標を設定している区は、例えばまだゼロカーボンシティ宣言をしていない台東区でも2019年度比で半減など、より高い目標を設定している区が多いです。ゼロカーボンシティ宣言を実施する中野区においては、食品ロス削減推進計画策定時に、それに見合う目標を設定すべきではないでしょうか、お伺いいたします。

○伊東ごみゼロ推進課長 まず数値目標の到達年次でございますが、現在、第4次中野区一般廃棄物処理基本計画を策定中でございまして、この計画では2030年度までの数値目標を設定してございますので、食品ロス削減推進計画における目標の到達年次についても、これを踏まえ、検討していきたいと考えてございます。また、目標数値の設定でございますが、国及び都の削減目標を踏まえ、また、他区の削減目標も参考にしながら、中野区における食品ロスの現状や課題を把握した上で、削減目標を設定したいと考えてございます。

○木村委員 区が基本計画で重点プロジェクトとして追加して設定した環境施策でございます。区の本気度が問われます。環境基本計画とともに、数値目標のもと、着実な推進を改めて要望し、この項の質問を終わります。

 次に、4、防災対策についてお伺いいたします。初めに、浸水想定区域における要配慮者利用施設について伺います。地域防災計画別冊では、要配慮者利用施設は高齢者施設、子ども施設など180施設が指定されています。この180施設は、これまで掌握が難しかった民間施設、小規模施設など、東京消防庁との情報共有により、浸水想定区域における要配慮者利用施設を全て掌握することができたとのことです。浸水想定区域における要配慮者利用施設の避難確保計画の作成と避難訓練実施状況をお伺いいたします。

○吉澤防災担当課長 要配慮者利用施設は現在169施設となっており、避難確保計画の作成状況は本年4月時点で59施設でありましたが、個別相談等の積極的な働きかけによって、9月17日の時点で107の施設が作成済みとなっております。今年度中に全ての施設が作成できるよう、継続的に該当施設に対し支援してまいります。避難訓練に関しましては、計画提出時に訓練実施について働きかけておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、実施できていない施設が多い状況となっております。

○木村委員 今年度、大変努力をいただいて策定というか、避難計画の推進をしていただいたと思います。その避難確保計画ですが、提出するひな形を見ましても、基本情報と機材と避難場所の指定とルートの確定の基本的な情報のみであります。基本計画作成は重要な第一歩でございますが、避難訓練を実施する中で、実際に入所者を避難させられるのか、施設ごとの課題を抽出し、施設関係者以外の支援が必要な施設があるのかどうかを掌握して、その支援の計画も検討すべきではないでしょうか、お伺いいたします。

○吉澤防災担当課長 現在、多くの施設が避難訓練を実施できず、計画の実効性について検証できていない状況となっております。区としては、立ち退き避難訓練だけでなく、施設の実情に応じ、施設職員のみで避難経路を確認する訓練など、課題の抽出ができる訓練について、防災関係機関等との連携を含め、支援していきたいと考えています。また、本年5月の水防法の一部改正により、提出された避難確保計画に対し、必要な助言・勧告ができるようになったことから、計画作成の相談を受けた際や受領した計画に不備がある場合は、施設管理者等に適切な助言を行っているところです。一方で、想定される浸水深度から危険度の高い施設や、訓練実施結果報告から水害が発生した際に配慮すべき施設については、避難の開始・完了の報告など相互に情報共有を図り、適切な避難支援に当たれるよう対象とすべき施設の把握に努めてまいります。

○木村委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、水害時要支援者の避難計画についてお伺いいたします。区では災害時に1人では避難が難しい方、要支援者の安否確認や避難支援を円滑にするために、災害時個別避難支援計画書の作成を進めています。この個別避難支援計画は、震災時と水害時に分けた内容となっているのでしょうか、お伺いいたします。

○高橋地域活動推進課長 個別避難支援計画は災害時及び水害時を想定した内容となっておりまして、内容を分けているものではございません。

○木村委員 そうであれば、個別避難支援計画が水害時では適切な内容になっているのか、確認していきます。要支援者が浸水想定区域に住んでいる場合、このことを要支援者、また支援者に区が伝える、また認識を確認するということはできているのでしょうか、お伺いいたします。

○高橋地域活動推進課長 個別避難支援計画を送付する際に、震災時における区内の避難所や広域避難場所、また地震への備えを記しました「中野の防災」を同封しているところでございますけれども、水害関連の周知は行っておりません。

○木村委員 水害時の避難場所というのは個々人で異なります。個別避難支援計画では震災時の避難場所を記載することになっていますが、要支援者、支援者が震災時と水害時の避難場所が異なることを理解していないと危険な避難になる可能性もあります。要支援者が移動が困難であれば、垂直避難を優先することになります。個別避難支援計画では水害時の避難場所を決めるようになっているのでしょうか。なっていないのであれば、浸水想定区域に住んでいる要支援者には、垂直避難も含め、水害時の避難場所を個別避難支援計画に反映させる取組をすべきではないでしょうか、お伺いいたします。

○高橋地域活動推進課長 個別避難支援計画には、水害時の避難所は記載されてございません。避難行動要支援者及びその支援者に対しまして、水害時における避難場所に関する適切な周知と理解を促すことが必要であると考えております。

○木村委員 支援者がケアマネージャーや民生委員などに集中している可能性もあります。その場合、支援者が対象者全員を支援することは困難な場合があると考えます。区は支援者の実態把握はしているのでしょうか、お伺いいたします。

○高橋地域活動推進課長 個別避難支援計画における支援者は、親族、知人、その他、この3区分としてございます。このため、支援者がケースワーカー等の特定の方に集中しているかどうかにつきましては把握できておりません。今後、調査用紙を修正するなどにより、支援者の詳細な実態把握に努めてまいりたいと考えております。

○木村委員 よろしくお願いします。その上で、支援者が要支援者の状況によって優先順位をつけて支援することも考えられます。水害は避難にある程度時間をかけることができ、他の協力も得ることができます。支援者が適切に避難支援をできるようにすべきです。個別避難支援計画では水害時の注意事項はありません。水害時の基本である垂直避難にも触れていません。風水害版の要支援者用の防災マニュアルを作成し、要支援者、支援者に配布し、適切な支援、また避難の検討をする機会を作るようにすべきではないでしょうか、お伺いいたします。

○高橋地域活動推進課長 区では中野区ハザードマップを作成・配布することにより、水害時における避難情報の入手方法、日頃の備え、避難行動のタイミングを検討するためのタイムラインのほか、洪水時及び土砂災害のハザードマップなどについて周知しているところでございます。このような既存資料の活用のほか、要支援者及び支援者が適切な避難を検討できるような情報提供につきまして、マニュアル等の作成も含め、防災担当と連携して検討してまいりたいと考えております。

○木村委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、神田川の本郷橋での歩行者通行についてお伺いいたします。初めに、本郷橋の神田川護岸整備事業の進捗状況、今後の予定についてお伺いいたします。

○井上道路課長 本郷橋の進捗状況、今後の予定についてですが、東京都から護岸整備工事につきましては8月に契約をしたと聞いてございます。本郷橋の架け替え工事は令和5年度までの予定となってございます。

○木村委員 今、本郷橋の通行止めが長期間となっております。今後も通行止めが見込まれるのであれば、工事中止期間は近隣住民が移動しやすいように、歩行者道路のみでも使用できるように検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

○井上道路課長 東京都では、既に契約済みの工事において、本郷橋に仮設の歩行者通路を設置するというふうに聞いてございます。

○木村委員 地域からの要望でもありますので、早期の実現を要望して、この項の質問を終わります。

 次に、5、地域のデジタル化についてお伺いいたします。7月に報告された中野区地域情報化推進計画素案の目標と情報化に向けた取組では、様々な地域経済のデジタル化が取り上げられていました。地域活動でのキャッシュレス化は、区民の利便性向上が目的の主になり、徴収率向上のような目に見える費用対効果がなくても着実に推進していただきたいと思います。その一つとして、区民活動センターのキャッシュレス化があります。区民の利便性向上として、他施設のキャッシュレス化にもつながるため、実施前提で検討すべきではないでしょうか、お伺いいたします。

○高橋地域活動推進課長 区民活動センターをより多くの人が利用できるよう、利便性の向上を図る必要性があると認識しているところでございまして、窓口のキャッシュレス決済につきましても導入に向けて検討してまいります。

○木村委員 よろしくお願いいたします。新型コロナの影響によりまして、町会の回覧板を活用できない状況があります。回覧板での情報提供の大多数は、区が提供する様々な団体の書類、また、チラシであります。私も町会の広報を担当していますが、回覧板の内容がデジタル化されていれば、非常に情報提供がしやすいことを実感しています。町会に関わりが薄い若い世代などへの情報提供、また、回覧板や掲示板ではできない情報の記録・確認が可能です。回覧板のデジタルのページがあれば、それを区民活動センターや町会がホームページ、SNS等で情報提供に利用することができます。区が町会に提供する情報を区のホームページにアップする電子回覧版ページの作成を検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

○高橋地域活動推進課長 区や公共機関などからのチラシ等によるお知らせの周知に関しまして、日頃から町会・自治会の皆様には多大な御協力を頂いているところでございます。町会・自治会の皆様の負担軽減や情報提供の利便性向上のために、電子回覧版ページの作成につきまして検討してまいります。

○木村委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、デジタルデバイドについて伺います。新型コロナウイルス感染症により行政手続や医療分野などにおけるデジタルが注目されていることを契機に、シニア世代のデジタル対応力を向上させ、格差のない社会をつくることは行政が取り組むべき重点課題の一つと考えます。国や都の事業などにおいてもデジタルデバイドの解消が言われていますが、それらを活用し、本年度、区では新たな事業実施などが考えられないでしょうか、お伺いいたします。

○白井情報システム課長 国の事業としましては、スマートフォン教室を大手携帯キャリア事業者が区内で開催していることを確認してございます。また、自治体地域向け講習会の一環で、介護予防のシニアICTサポーターの育成などで活用を行っております。都の事業としましては、都が各自治体の施設などを活用して開催しますスマートフォン教室や相談会が予定されております。区として開催希望の申請を現在行っておるところで、前向きな感触を得ているところでございます。これらの事業の実施場所として、区民活動センターなどを活用して、区内全域で開催ができるよう調整を行ってまいりたいと考えてございます。

○木村委員 ぜひ実施できるようにお願いいたします。今後のデジタルデバイドの解消については、スマートフォン講習会などの啓発の機会を増やすとともに、スマートフォンを所持していない方への対応も必要と考えます。我が会派でも既に提案をしていますが、渋谷区でモデル的に開始したスマートフォン貸出しを含め、受け手側の環境整備も考慮すべきと考えますがいかがでしょうか、お伺いいたします。

○白井情報システム課長 例えば、地域に密接に関わる区民の方たちを主に対象として事業を展開するなど、今後の活用に向けた発信源となるような方たちから段階的に対応する体制をとれないか、検討しているところでございます。具体的な事業としましては、都の補助金を活用するなどしまして、スマートフォン等の一定期間の貸出し事業、研修や実機を利用したイベント等の開催ができないか、検討をしてまいりたいと考えています。

○木村委員 よろしくお願いいたします。その上で、港区では高齢者デジタル活用支援員を設置して、地域で高齢者などが直接相談できる窓口などを設置しています。啓発も重要ですが、継続して使っていくためには、研修を行った後のサポート体制はさらに重要と考えます。区ではそういった取組は考えられないでしょうか、お伺いいたします。

○白井情報システム課長 御指摘のとおり、区民の方を継続的にサポートしていく体制は重要であると認識してございます。現在検討中の次年度以後の事業におきまして、そういった視点も取り入れられないか、継続して研究をしてまいりたいと思います。

○木村委員 情報化推進は、高齢者の生きがいづくり、日常の見守り、災害時の掌握・連携など、最も期待できるこれらの課題に軸足を置いて進めるべきと考えます。特にコロナ禍では、定額給付金事務やワクチン接種予約を通して、これらの課題と対策が見えてきたのではないでしょうか、お伺いいたします。

○白井情報システム課長 高齢者に視点を置きました情報化推進における課題としましては、ICT機器を使ったことがない、持っていても有効活用できないというデジタルデバイドの解消であると認識してございます。つながりや交流機会の提供と併せまして、オンラインを活用した相談、講座開催の実施や、引き続きパソコン教室やスマートフォン教室を開催するとともに、スマートフォン等の一定期間の貸出し事業、研修や実機を利用したイベント等の開催ができないか検討し、デジタルデバイドの解消に向けた継続的な事業を行ってまいりたいと考えてございます。

○木村委員 地域のデジタル化、また、区民のデジタルデバイドの解消は区の施策を左右することにもなります。早期の取組を要望し、この項の質問を終わります。

 最後に、6、認知症施策についてお伺いいたします。認知症検診は東京都が2019年度からスタートした事業で、補助は10分の10となっております。中野区では来年度から実施するとのことでありますけれども、この認知症検診の認知機能検査の対象基準、また、受診勧奨の方法はどのように考えているのでしょうか、お伺いいたします。

○小山地域包括ケア推進課長 2022年度に75歳になる方へ認知症に関するパンフレットとチェックシートを同封した受診勧奨通知を送付したいと考えているところでございます。

○木村委員 今、75歳ということですけれども、75歳だけを対象にして受診勧奨を送付するということですけども、なぜ75歳に限定するのでしょうか。

○小山地域包括ケア推進課長 現在、認知症検診検討委員会において検討しているところでございますけれども、認知症専門医から認知症状の出現率が上昇し始める75歳の方に実施することが効果的であるという助言を受けまして、75歳の方を対象とする予定でございます。

○木村委員 効果だけ考えれば、そうでありますけども、実際これは検診でありますので受診率向上を目指すべきであります。受診勧奨を限定したとしても、受診はチェックシートの結果の有無にかかわらず、年代を問わず、希望する方全てが受診できる体制にしてはいかがでしょうか、お伺いいたします

○小山地域包括ケア推進課長 認知症に関しましては早期発見が重要になっていることから、受診勧奨対象者以外にも、希望する方についてはチェックシートを配布するなど、その辺りのスキームを含めまして事業の規模を検討したいというふうに考えております。

○木村委員 ぜひよろしくお願いいたします。受診に際しまして、認知症という言葉は抵抗がある方がまだ多いというふうに思われます。例えば、物忘れ予防などの受診をしやすい名称を検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

○小山地域包括ケア推進課長 先行自治体の事例からも、今年度開催をしている認知症検診検討会においても、受診率を向上させることが大きな課題となってございます。検診の名称に関しましても、気軽な受診につながるような工夫をしたいと考えているところでございます。

○木村委員 新型コロナの影響で行動範囲や運動範囲が狭まって、認知症の進行が進んでいることも考えられます。できる限り広範囲の掌握、また、対応を要望しまして、この総括質疑を終了とさせていただきます。御清聴、誠にありがとうございました。

○ひやま委員長 以上で木村広一委員の質疑を終了します。

 次に、間ひとみ委員、質疑をどうぞ。

○間委員 令和3年第3回定例会決算特別委員会にて、立憲民主党・無所属議員団の立場から質疑をさせていただきます。時間が限られているので、早速、質疑のほうに入らせていただきます。

 最初に、妊娠・出産・子育てトータルケア事業について伺います。

 まず、産後ケアカードについてお聞きします。妊娠20週以降の妊婦を対象に行うかんがるー面接に対し、これまで重ねて改善を求めてきました。令和2年度はかんがるー面接の委託先が変わり、一部事業の利用できる時間数や利用料の変更もありました。今回要求した決算特別委員会資料厚生56によると、産後ケアカードの発行数が令和元年度に約2,000枚だったものが令和2年度には約1,000枚と半減しており、かんがるー面接数に対するケアカードの発行割合も77.9%から41.6%へと激減しています。この状況に対し、区がかんがるー面接時にケアカード発行を抑制しているのではないかとの懸念の声も聞きますが、この発行数が減少した理由について、どのように分析しているのか、お尋ねします。

○原北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 かんがるー面接において産後ケアカードを未発行とした理由を見ますと、多かったものは、パートナー以外の親族のサポート体制が見込める、長期の里帰りの予定がある、新型コロナウイルス感染症が心配で人との接触をしたくないといったものがございました。また、産後ケア事業につきましては、訪問や通所など人との接触を要するため、新型コロナウイルスの感染拡大初期の不安感の大きさが利用申請に結びつきにくかった主な要因であったと考えてございます。なお、今年度におきまして、カードの発行件数は例年並みの発行件数になるものと予測してございます。

○間委員 ありがとうございます。もし新型コロナを理由に使う予定がないとか、サポートを見込めるとか、そういった理由で利用しないというふうにおっしゃったとしても、必ずしも例えば安産とは限らないし、サポートしてくれる方が必ず来てくれるとも限らないので、あと産後の回復というところも個人差があるというところを含めて、面接した保健師等がもしかしたらということはありますよということを逆に丁寧に説明をして、そしてケアカードの発行につなげるというのが本来の役割だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○原北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 区では、妊娠から出産、子育てまでの個々のニーズに応じた切れ目ない支援を行うためにトータルケア事業というものを実施してございまして、そういった観点からは妊産婦の方全てが支援を必要とする存在と考えてございます。現在、保健師の面接を含めましたかんがるー面接プラン作成を含む妊産期相談支援事業の改善につきまして、サービスの担い手側の意見も踏まえまして、検討を進めているところでございます。

○間委員 ありがとうございます。

 次に、産後ケア事業の対象者は支援を必要とする者とされていることは承知していますが、東京都からは国のガイドライン等に定めるほか、支援を必要とする者の認定は各区市町村に委ねていると聞いています。区はこれまで、かんがるー面接等を通じて支援が必要であるか否かを判断し、必要と考える方にのみケアカードを発行していますが、先ほど、そもそも妊産婦全員が支援を必要とする存在であるという旨をおっしゃっていたとは思いますけれども、現状はそういうふうに思えません。

 杉並区のほうでは、産後ケア事業の利用に当たっては申請制をとっており、たった三つの申請理由の中から当てはまる理由にチェックを入れれば申請可能です。育児への不安な気持ちを抱えているということは支援を必要としている人であるという杉並区の解釈、姿勢がうかがえます。中野区としても、かんがるー面接のプラン作成の在り方の見直しや、妊産婦全員が希望すれば支援が行き届くよう、産後ケアカードの発行の見直し、考え方の見直しを早急に行い、子育て先進区らしい妊産婦支援を実現すべきと考えますが、区の見解を伺います。

○原北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 御指摘のありました産後ケア発行の考え方の見直しにつきましては、支援を必要とする方が適切にサービスを受けられるよう、担い手側の体制も踏まえまして、子育て先進区実現の観点から検討してまいりたいと考えております。

○間委員 担い手側のことも大事だとは思います。もちろん今、予約ができないとかといったことも聞きますので、そちらのほうももちろん大事なんですけれども、そもそもやっぱりかんがるー面接の在り方、カードの発行の仕方というところの考え方、体制については、基準だったりとか、そういったところに関しては本当に本当に見直していただきたいなと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。コロナ禍で、これまでに増して孤独な子育てをしている妊産婦さんがたくさんおります。ぜひぜひ改善をよろしくお願いします。

 次に、ファーストバースデーサポート事業について伺います。決算説明書381ページ、令和2年度11月より開始したファーストバースデーサポート事業は、配布件数が2,086件、決算額が2,870万1,747円に対し、事業経費残が1,357万8,253円となっていますが、こちらについて御説明ください。

○原北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 ファーストバースデーサポート事業は、検診など行政との関わりが少なくなる1歳前後のお子様のいる世帯を対象といたしまして、アンケートを送付し、トータルケア事業の利用状況や満足度の把握を行うとともに、事業の改善と相談支援につなげることを目的に実施しているものでございます。なお、アンケートの回答があった世帯に対しましては、カタログギフトなどの育児パッケージを配布し、子育ての支援を行うものでございます。事業経費の残が発生した主な要因といたしましては、育児パッケージの配布が2,500件を想定していたところ、2,086件の配布にとどまったこと、想定よりも配布する育児パッケージの契約の単価を低く抑えることができたためでございます。

○間委員 すみません、2,500件が2,080件で、ちょっと見込みが違ったというところをもう一度御説明ください。

○原北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 2,500件というのは、例年の出生届ですとか、かんがるー面接を受けている方の数から想定していたところでございますけれども、育児パッケージの送付につきましてはアンケートの御回答があった方というところでございますので、実際に回答のあった方に対してお送りしたものに対して、支払いの額が下がったというところでございます。

○間委員 ありがとうございます。子育て用品のカタログギフトや第二子以降の方は子育て商品券がもらえるということもあって、アンケートの回収率が高いと聞いています。同調査では、これまで難しかった産後ケア事業等のサービスを利用しなかった方からも、その理由を聞くことのできる貴重な機会です。利用しなかった理由としては、新型コロナの影響以外にどのようなものがあったのでしょうか。また、調査からどのような意見が得られたのか。ニーズをどのように分析し、来年度予算につなげていくか、お考えをお聞きします。

○原北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 事業等を利用しなかった主な理由で新型コロナウイルス感染症の不安に関するもの以外では、事業を必要と考えなかった、里帰りから戻った時点や転入した時点で事業の対象期間が終了したといったものが挙げられるところでございます。また、産後ケア事業等の利用者のうち、満足度において、やや不満、不満と回答された方からは、利用可能期間や回数、1回当たりの時間が短い、施設まで行くのが大変といった御意見を頂いてございます。今後とも事業を利用しなかった方や利用しづらかったという声に向き合い、担い手側の状況も踏まえながら、妊娠・出産・子育てトータルケア事業の充実に努めていきたいと考えてございます。

○間委員 実際の対象者の方々の御意見というのは、こちらのアンケートによって聞けているのかなという印象があります。理由を書くスペースがあまりにも狭いなどありますけれども、様々改善していただくと、より多くの御意見を聞けると思います。

 次に、アンケートでは産後ケア事業が利用しづらかったという声もあったと思います。区が令和2年度から中部・南部のすこやか福祉センターでのデイケアを廃止したこと、そして産後ケア事業等の利用実績の7割を占める区内の助産院は北部に集中しているため、南部や東部にお住まいの方を中心にアクセスしづらい現状が考えられます。区南部における産後ケア事業等のサービスを受けられる施設の開設を切望する声は多く、また、事業の担い手側からも区南部への施設開設に向けた支援を要請されています。新たな施設開設に向け、区も何かしら支援を行うべきではないでしょうか。

○原北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 サービスの担い手であります助産師会からは、区の南部への施設開設に向けての支援を要望されているところでございまして、現在のところ、開設可能な建物の条件などを助産師会側で検討していると聞いてございます。区といたしましては、情報の提供なども含めまして、どのような支援が行えるか、今後検討してまいりたいと考えております。

○間委員 ありがとうございます。これまで父親等向けの講座の拡充の必要性を訴えてまいりました。同アンケートの回答から、父親等向け講座構築の参考になるような意見は聞くことができたのでしょうか。

○原北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 母親からパートナーなどにどのようなサポートを望むかという声、内容につきましては、少数ではございましたが、父親向け事業拡充の要望がございました。また、子育ての悩みとして、父親向け事業の拡充の要望のほか、パートナーの育児参加への意識が高くないことや育児経験が少ないこと、多忙で育児に参加したくてもできないといったような声が寄せられております。このような意見を踏まえまして、今後の事業の改善に当たっていきたいと考えております。

○間委員 ありがとうございます。回収率がよく、産前・産後の支援に関する様々な意見が聞けるアンケートというのはなかなかありません。可能な限りニーズを聞き取れるよう、最大限の工夫をお願いいたします。また、アンケートを返送いただけなかった方の中に支援を必要としている方がいる場合もありますので、2度目のお知らせを送っているとのことですが、引き続きのアプローチをお願いいたします。

 次に、オンラインの活用について伺います。これまでオンライン面談・相談へのニーズはあったと思いますが、すこやか福祉センターにおける相談体制の構築がスムーズにいかなかったことは残念です。新型コロナの影響がなくとも、体調管理の難しい妊産婦にとって、オンライン面談・相談は非常に有効な支援手段の一つとなるため、利用しやすい相談体制の構築を期待します。令和3年度に開始したオンライン相談の実験件数については、日野委員の質疑に対する答弁で、かんがるー面接で9件、子育て専門相談で5件ということでした。これまでオンラインでの実施に現場職員が不安を感じる部分もあったかと思いますが、計14件の実施経験を経て、顔の見えるオンライン面談・相談の意義は十分理解できたのではないでしょうか。将来的には全庁的なオンライン相談体制の整備をすることが求められます。すこやか福祉センターは全庁的な展開を見据えて、ノウハウの蓄積を担っていく立場と考えますが、いかがでしょうか。

○大場鷺宮すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 今後すこやか福祉センターでのオンライン相談を継続していくことで、様々な問題や課題については改善を行い、また、他自治体の取組も参考にしながら、そのノウハウの蓄積に努めてまいりたいと考えております。

○間委員 実績を重ね、オンラインならではの運用のコツなどをつかんでいっていただきたいと思います。

 次に、産前・産後サポート事業として、初妊婦や乳児、その家族を対象とした教室や講座を実施していますが、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえた開催状況と、区がオンラインで行っているものについて、併せてお聞きします。

○原北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 産前・産後のサポート事業につきましては、実習や参加者同士の交流を主な目的としていることから、新型コロナウイルス感染症対策を徹底いたしまして、会場規模に合わせて定員をほぼ半減した形で開催しているところでございます。これらの事業の中で、現在オンライン形式で行っているものはない状況でございます。

○間委員 オンラインの実施はこれまで要望してきましたが、取り組まれていないということですね。例えばBP1プログラムは、近い月齢の赤ちゃんを育てるママ同士が集まり、子育ての相談や喜びを分かち合うことのできる仲間づくりができる事業ですので、コロナ禍でも定員を半数程度に抑えるなどして開催されたことは高く評価いたします。一方で、参加希望者が多いこんにちは赤ちゃん学級、いわゆる両親学級などは、事業は実施しているのに満席になり参加できなかったという声も聞きます。本来、希望者全てが参加できるものであるべきです。コロナ禍の令和2年度のこんにちは赤ちゃん学級の参加者数は前年度の6割弱でした。両親学級をオンラインで開催している文京区、世田谷区、大田区、江東区などは、一度に50組まで参加可能であったり、グループワークをすることで地域のつながりをつくることを意図するなど、参加希望者の参加の機会を奪わない工夫をしております。また、杉並区など独自の動画を作成し、YouTubeなどで配信している自治体も多々あり、多様なニーズに応えています。区としても他区の事例を参考にして、オンライン講座の開催やYouTubeなどでの動画配信等、事業改善に取り組まれてはいかがでしょうか。

○原北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 参加者の多い事業につきまして、オンラインによる開催や講座等の動画配信を行うことは、参加機会の確保や子育てに関する情報の提供を図る観点から有効なものであると考えてございます。一方で、現在、産前・産後のサポートとして行っている講座につきましては、実技の実習や参加者同士の交流を目的としていることから、お集まりいただく形での開催の効果も高いものだと考えてございます。今後、運営を委託している事業者との調整をしながら、実施による効果も含め、検討してまいりたいと考えております。

○間委員 ありがとうございます。先ほど申し上げましたけれども、オンラインの開催であっても参加者同士の交流というのは図ることもできますので、他区の事例を参考にしていただきたいと思います。

 次に、父親等向けの栄養講座は、育児に対する知識の向上と育児参画を促し、大変有意義なものと考えます。コロナ禍の現状としては、定員8名の講座を合計8回開催で、最大でも1年で64名の参加しかできません。こちらもすぐに満席になるということで、ニーズの高い事業であることを示しています。今後、父親等向けの講座の拡充も図るべきであると訴えてきましたが、現在の検討状況を伺います。

○原北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 子育てにおきまして、父親の育児参加は欠かせないものであり、父親向けのサポート事業につきましては、これまで頂いた御意見などを踏まえまして、開催日の工夫などを行ってきたところでございます。また、妊娠・出産・子育てトータルケア事業の中でも、より推進していくべきものと位置付けており、頂いた御意見を踏まえまして改善・充実させていきたいと考えてございます。

○間委員 土曜日に開催していただいたり、工夫はしていただいていると思いますので、今後も拡充をよろしくお願いいたします。限られた人員、限られた財源の中で、より多くの妊産婦やその家族、もちろん妊娠を望む方も含め、より多くの方に情報や支援を届けていただくよう要望して、この項を終わります。

 次に、保育行政について伺います。これまで我が会派は、保育の質の向上の必要性について訴えてまいりました。そして、保育の質ガイドラインが令和元年3月に策定されました。保育の質の向上のために、あるべき保育の姿を示し、共有することは大切ですが、保育者が健全な労働環境の下で働けることが大前提にあります。新型コロナ感染のリスクと闘いながら保育の現場を支えてくださっている何人もの保育士さんから相談を受け、共に解決の道を模索したことから、保育士の処遇について、まず伺います。

 委託費の弾力運用が可能になり、本来、人件費に充てられていたものがその他の目的に使えるようになったことで、運営する運営法人の経営資金として活用され、人件費を抑えた運営がなされているケースもあります。そのほか、保育士等の宿舎借り上げ補助8万円のうち、事業者負担とされている8分の1の1万円に関しては、これまで区が負担してきましたが、令和3年度は事業者負担となっていることも人件費をより削減する方向に拍車をかけないか、懸念しているところです。

 そこで、まず伺います。都の補助金の関係で、社会福祉法人の人件費比率に関しては都が把握していると思いますが、区が把握できる株式会社の区内認可保育所の令和2年度の人件費比率の状況についてお伺いします。

○渡邊保育園・幼稚園課長 令和2年度の株式会社運営の認可保育所の人件費比率は、平均56%でございます。

○間委員 昨年度人件費比率が50%以下だった園に関して教えてください。

○渡邊保育園・幼稚園課長 昨年度人件費比率が50%だった園は12園でございます。

○間委員 その12園、昨年度人件費比率が50%以下だった園の中で、今年度の調査でも50%以下だったところはありますか。

○渡邊保育園・幼稚園課長 今年度も50%以下だった保育園は7園でございます。

○間委員 ありがとうございます。人件費比率を参考にし、処遇改善のための独自の取組を行っている自治体もありますので、中野区としても引き続き改善のための支援をしていく必要があると考えます。令和3年度からは、区が把握できる認可保育所の前年度の人件費比率を公表するとのことですが、そのスケジュール等はどうなっていますか。

○渡邊保育園・幼稚園課長 人件費比率の公表に当たりましては、事前に民間保育所に十分周知する必要があると考えております。昨年度末、民間保育所に説明をいたしましたが、今年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、対面での説明ができていない状況でございます。今後、民間保育所に改めて説明した上で公表していきたいと考えております。

○間委員 4月入園の申込みの開始は10月です。本来であれば申込み前に公表されていることが望ましいと思いますが、いかがでしょうか。

○渡邊保育園・幼稚園課長 民間保育所への十分な周知ができていない状況でございますので、今後、改めて民間保育所に説明した上で公表していきたいと考えておりますので、10月の公表は難しいと考えております。

○間委員 公表に当たっての丁寧な許可取りというのは必要なことだと思います。次年度以降はスムーズな公表ができるようになると思いますので、今年度も可能な限り早い段階での公表をしていただきたいと思います。人件費比率というところ、50%という基準というのはどのぐらい大事か、50%という数字が基準になるのかというところは分からないところではありますけれども、本来七、八十%と言われているところですので、しっかりとなぜ50%以下であるのかというところを分析していただいて、しっかりと支援をしていただきたいと思います。

 令和2年は新型コロナウイルスの感染拡大により、区は4月13日から6月の間、保育所の臨時休業と園児の登園自粛要請を行いました。その際、区は、委託料はこれまでどおり全額支払う旨の通知をしており、ほとんどの保育所は通常どおりの賃金を保育士等に支払いましたが、一部保育所では欠勤扱いにするなどして、通常どおりの賃金を支払わないケースもあったと聞いています。この際の区の対応を御説明ください。

○藤嶋幼児施設整備担当課長 臨時休業となりましても保育士等の給与は通常どおり支払うよう、根拠となる法令や国からの通知等を示して指導いたしました。

○間委員 様々な通知や働きかけなど、でき得ることはしていただいたと聞いています。今回相談を受けていたケースでは、結果的に第三者組織の協力を得て賃金は支払われたと聞いていますが、本来、保育士等に支払われるはずの国民の税金が緊急措置の裏側で事業所運営のほかの経費に使われてしまうような事態は避けなければなりません。区は、明らかに違法ではないが制度の趣旨に反した運営を行う事業者がいた場合、どのような対策をとるおつもりでしょうか。保育所運営に何らかの問題があった場合において、区として関与できること、権限についても併せて伺います。

○藤嶋幼児施設整備担当課長 区としては、子ども・子育て支援法に基づき対応を行っております。まず巡回指導によりまして適切に保育事業運営を行うよう指導していきます。その中で法令違反等、そういった可能性が認められましたら指導検査のほうを行います。指導検査でも改善されない場合、さらに改善に係る勧告、命令というふうに指導をしてまいります。

○間委員 保育士等の突然の退職は、通っている園児の生活にも大きな影響が及びます。一斉退職となれば一時的でも人員不足となり、保育の質が保てません。また、突然担任が辞めてしまうことで園児が心理的に影響を受けることもあります。園内で起こっている問題をいち早く区がキャッチし、支援することが必要と考えますが、保育者や保育士等からの区の相談体制の充実を図るとともに、相談窓口についての周知が必要と考えます。見解を伺います。併せて、相談の実績についても教えてください。

○渡邊保育園・幼稚園課長 区には、保育園に子どもを預けている保護者のほか、私立保育園の保育士からの相談も寄せられております。保護者や保育士等には区の相談窓口を案内しておりますが、引き続き相談しやすいよう周知してまいります。また、令和2年度の電話での相談実績でございますけれども、61件でございました。

○間委員 周知をしていなくても61件の実績があるとのことです。これがしっかりと周知することによって、もっともっと相談があるのかもしれません。そこのところ分かりませんけれども、いつでも相談を受けられるということの周知は必要と思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、保育の質ガイドラインについてお話しようと思いましたが、ここは飛ばさせていただきます。保育の質ガイドラインは目的を持って作ったと思いますけれども、その目的を果たしていない内容かなということを感じておりました。ここに関しては河合委員のほうにお渡しして、分科会のほうで聞いていただきたいと思います。

 次に、保育所の検査・巡回指導について伺います。現在の検査・巡回指導はどのように実施されていますでしょうか。

○藤嶋幼児施設整備担当課長 巡回指導につきましては、保育施設の事故防止等のために実施しております。定期的に実施するものと事故等が発生したときに実施するものがございます。実績といたしましては、令和2年度は166回、令和3年度につきましては、新型コロナウイルスの感染症の対応というところで電話で行ったものも含みますけれども、現在までに149回実施しております。検査につきましては、主に運営基準を遵守しているのか確認するために定期的に行います一般指導検査と、一般指導検査でも改善が見られない場合や保育施設の運営に重大な支障を及ぼしているおそれがあると認めるに足る理由があるときに行います特別指導検査がございます。令和2年度は、一般指導検査31回、特別指導検査を3回、令和3年度につきましては、現在までに一般指導検査11回、特別指導検査を1回実施しております。

○間委員 あってはならないことですけれども、保育所側に虐待やグレーゾーンと言える行為があった場合、区はどのように関わりますか。

○藤嶋幼児施設整備担当課長 まずは該当園のほうに巡回指導を行いまして、虐待など不適切な運営を行っている疑いがある場合には、関係機関と連携いたしまして特別指導検査のほうを行います。

○間委員 たとえ保育士さんがそのような現場を目の当たりにしたとしても、園からの犯人捜しを恐れて口をつむぐ場合もあります。区が日頃から事前通知なしの訪問を行うことで、相手に警戒されずに訪問できるようになり、虐待や不正の現場を押さえやすくなると考えますが、いかがでしょうか。

○藤嶋幼児施設整備担当課長 現在でも保育士の配置状況を確認する場合など、検査の目的に応じまして、事前通告なしでの検査のほうも行っております。今後も目的に応じた手法で検査のほうを行ってまいりたいと考えております。

○間委員 ぜひよろしくお願いします。

 次に、児童相談所が区に来ることで認可保育所の認可権限が区に下りてくると聞きます。区としては、さらに検査・指導等を厳格に実施すべきと考えますが、見解をお聞きします。

○藤嶋幼児施設整備担当課長 児童相談所の設置に伴いまして、現在実施しております子ども・子育て支援法に基づく指導検査に加え、児童福祉法に基づきます指導検査のほうも行うこととなります。子ども・子育て支援法に基づく検査につきましては、保育施設の適切な運営というところに主眼を置いて検査を行っているところでございますが、児童福祉法に基づく検査につきましては、入所者の処遇や職員の配置、勤務条件、経理、設備の状況など、管理運営全般について把握するために、児童福祉法に加えまして、労働基準法など関係諸法にも適合しているのか検査してまいります。従来の検査や巡回指導に加えまして、児童福祉法に基づく検査についても的確に実施してまいりたいと考えております。

○間委員 ありがとうございます。区が保育の質の維持・向上に対して、しっかりと取り組むことを要望しまして、この項の質問を終えます。

 ちょっと時間がなくなってしまいました。最後に、環境施策について一つだけ伺いたいと思います。3番目の質問をしたいと思います。区として様々なイベントや冊子など、普及啓発に取り組んでいると思います。環境施策に対してです。この環境施策、これまで行ってきた普及啓発の在り方は、現状からは十分とは言えず、大胆な改革・改善が求められると考えます。中野には十分過ぎるほどのリソースがあります。区内企業や商店街などとコラボしたイベント等の企画やオンラインの講演会など、「○○×環境」、できればもう一つを掛け合わせる形で、中野にある様々なリソースとコラボレーションして展開していくことは可能です。サブカル×環境×子育て、若者×環境×スポーツなど、アイデア創出をすれば尽きることがないはずです。区民の中には、気候変動を食い止めなければならないからと行動変容する人もいれば、かわいいとかエモいとかで行動変容する人もいるわけです。今定例会でゼロカーボンシティ宣言をするわけですから、世田谷区の事例や徳島県上勝町のような先進的な取組を参考にして、一定以上のコストをかけた独自の環境施策への取組を検討していただきたいと思っていますが、同時に比較的低コストでも実現可能な、ありとあらゆるユニークな普及啓発を仕掛け、中野のポテンシャルを生かした環境施策の展開に挑戦してみてはいかがでしょうか。

○波多江環境課長 普及啓発ということでございますが、今年度は新渡戸文化中学校のSDGs研究ゼミから要請があったところ、区が出前講座を実施したことをきっかけに、子どもたちの研究成果をエコフェアで発表してもらうことになり、連携を生かした取組を予定しております。来年度はゼロカーボンシティ宣言をより広く区民・事業者に啓発するための講演会などを現在検討しているところでございます。

○ひやま委員長 総括質疑の途中ですが、質疑時間が超過しておりますので、これで間委員の総括質疑は終了します。

○間委員 ありがとうございました。

○ひやま委員長 次に、伊藤正信委員、質疑をどうぞ。

○伊藤委員 おはようございます。自民党の4番手ということで、限られた時間を頂いておりますので頑張ってまいりたいと思っております。限られた時間なので、順番を変えたり、また、質疑通告をさせていただいたんですけれども割愛させていただくこともありますので、どうか御了承いただきたいと思います。

 まず初めに、令和2年度の決算について伺います。令和2年度の決算は、御承知のとおり特別給付金の事業をはじめとした多くの新型コロナウイルス感染症対策経費を計上したため、過去最高額の決算となりました。補正予算は11号まで編成し、予備費も補正予算で2億円を増額して5億円にして、多数の新型コロナ対策事業を行っております。また一方では、新型コロナウイルスの影響により経済状況の先行きはいまだ不透明で、令和2年度決算や令和3年度の現時点での歳入状況は、想定よりもいいようですが、決して区の財政に余力があるとは言えず、手綱を緩めることなく、構造改革で絞れるところは絞り、また、安易な無計画な新規拡充事業の予算計上などは極力慎重に対応するべきと考えております。また、後に質問させていただきますけれども、教育行政に関しては小・中学校施設整備計画は、中野で教育を受ける子どもたちの未来への投資として考えて、計画を先送りすることなく着実に進めるべきと考えております。

 令和2年度は3年ぶりに区債を発行し、起債残高が240億円となりました。基金残高は前年度より増加しましたが、経済状況の先行きが不透明な状況では、今後、起債残高が増えて、一方で基金残高は減少し、貯金よりも借金のほうが多い状態になってくるんでしょうと思っております。そこで伺いますけれども、今後の起債残高と基金残高の見通しと、その見通しを踏まえた財政運営をどのように考えているのか、お伺いをいたします。

○森財政課長 現在お示ししております基本計画におけます財政フレームの中においては、まず基金の見込みですが、令和6年度まで減少していく見通しということを思っています。令和7年度以降は徐々に回復傾向かなと思っていますが、230億円から280億円で推移するという見込みを立てております。また、起債残高でございますが、学校施設整備や新区役所整備等に区債を活用することから、令和6年度に599億円、600億円近くなるということなんですが、令和7年度以降については、おおむね440億円から490億円の範囲で推移する見込みを立てております。安定した持続可能な財政運営を進めるため、効果の上がっていない事業の見直しを進め、必要な財源を確保した上で対応すべき課題を整理し、必要な事業に選択と集中を図って、中長期的な視点を持って財政運営を進めていく、取り組んでいく必要があると考えております。

○伊藤委員 基金残高が今600数億円、あとは借金も結構あるようですから、きちんとした考えを持って財政運営に当たっていただきたいなと思っております。

 また、さきの8月25日の区民委員会において、令和3年度の特別区の税金、区税ですね、当初課税状況についての報告がありました。その中で特別区民税の現年課税分の調定額は329億円との報告でありましたけれども、令和2年度の特別区民税の現年課税分調定額は幾らだったんでしょうか。

また、それを踏まえて区の見解をお伺いしたいと思います。

○竹内税務課長 令和2年度特別区民税現年課税調定額は約340億円でございまして、今年度の令和3年度当初課税調定額約329億円と比較いたしますと約11億円の差がございます。新型コロナウイルス感染症の影響は複数年続くと予想されておりまして、税収の動向につきましては引き続き注視をしてまいりたいと考えてございます。

○伊藤委員 新型コロナの影響で区民税が下がるだろうという予測なんでしょうけれども、本当に楽観視できない、これからも注視していかなければならないということで受け止めさせていただきます。ありがとうございました。

 次に、2番、区長の政策進捗状況について伺います。区長は中野区を子育て先進区にする公約を掲げており、現在策定中の新たな基本計画案の中でも、一つ目の重点プロジェクトとするなど、政策に力を入れて進めようとしております。子どもの健やかな育ちにとっては大変重要な課題であるとは思いますけれども、公約の中に児童館、区立幼稚園、保育園など、区立施設を存続すること、待機児童をゼロや子育て世代が楽しめる公園整備などを挙げております。そこで、待機児童ゼロについてはこの間、施設整備や補助制度の創設などで、様々な対策によって本年4月には25名まで減少したということです。0歳から5歳までの保育施設の入所の児童数、待機児童数の推移というのをお伺いしますが、いかがでしょうか。

○藤嶋保育施設利用調整担当課長 まず保育施設の入所児童数でございますけれども、こちらにつきましては保育所等の整備によりまして毎年度増加しておりましたが、令和3年度は6,682人で、前年度6,950人から268人減少となっております。これが新型コロナウイルス感染症の影響などによる一時的なものなのか、今後も減少傾向が続くのか、注視してまいりたいと思います。また、年齢別では例年0歳児が少なく、1歳児はおおむね同数となっており、令和3年度におきましては0歳児573人、1歳児以上は各年で1,200人前後の入所者がございます。また、待機児童数につきましては、平成29年度375人から、以降、毎年度減少いたしまして、令和3年度は25名となっております。年齢別で待機児童が多いのは例年0歳から2歳のところでございますけれども、令和3年度待機児童におきましては、1歳児21人、2歳児4人ということで、0歳児の待機児童はいなかったというところでございます。

○伊藤委員 これまでも待機児童の問題に関しては、様々な議員から質疑もさせていただいておりますけども、酒井区政になってから待機児童の解消に向けたこれまでの取組と、いつ頃には公約であるゼロ、もう25人とはいえ、地域の格差もあるわけですよね。ゼロに近づくなど今後の対象児童数の見通しと取組についてお聞かせください。

○藤嶋保育施設利用調整担当課長 平成30年以降、民間保育所の新規誘致、建て替え支援、区立保育園の民営化などによりまして39施設、整備を行いまして、これにより保育定員を1,960人増やすことで待機児童の解消を図ってまいりました。今年度も認可保育所の整備を進めていることから、来年度の待機児童数は今年度より減少する見込みと考えております。地域の保育需要に見合った整備を進めることで待機児童の偏在を解消し、待機児童ゼロを目指してまいります。

○伊藤委員 待機児童ゼロも大切なんですけども、我が会派からも高橋議員や市川議員からも質問がありましたけれども、定員割れも発生しているわけですよね。その辺もしっかりと受け止めて、今後の大きな課題として進めていかなければいけないなとは思っております。また、区内の公園の数か所に子どもが楽しめる複合型の遊具を設置することや禁止事項が多い公園のルールを見直すとされておりますけれども、平和の森公園など再整備した公園などでは子どもが遊んでいる様子が見られますけれども、区の公園全体でどのぐらいの複合型の遊具の設置を行ったのか、また、公園のルールの見直しなどはどの程度まで進んでいるのか、お伺いをいたします。

○林公園緑地課長 令和元年度以降、老朽化による更新等も含め、24公園に複合遊具を設置したところでございます。公園の利用ルールにつきましては公園再整備計画の中で検討してございまして、公園の利用ルールの見直しの基本的な考え方については、第3回定例会中の常任委員会で御報告申し上げる予定でございます。

○伊藤委員 今度の委員会で報告するということなんですけれども、具体的なところはいいんですけども、概要でどのようなところを、ルールを見直したのか、お伺いいたします。

○林公園緑地課長 主な内容といたしましては、再整備を行う公園の利用ルールの見直し、それから基本的なルールの緩和、それから公園利用の提案制度の創設などを検討しているところでございます。

○伊藤委員 今こうして子育て環境の整備なども質問させていただきましたけれども、進んでいる部分はあるようですけども、子育て先進区ということを挙げている割には、中野区ならではの、これといった目玉という事業が見えてきません。冒頭に触れましたように、子育て先進区の実現は基本計画の中にも重点プロジェクトの1に挙げております。また、先日の補正予算の中でも、ワクチン接種の中野サンプラザでの集団接種ですね、その優先枠に関しても、たしか高齢者を優先にして、それから40歳以上の方ということで補正予算の審議がありましたけども、我が大内幹事長からも、40歳というよりも30歳の方々が、いわゆる未就学の子育てをやっている世帯が先じゃないかなという意見もさせていただいたんですけども、それはかなわず、そういうこと一つとっても、子育て先進区であるならば、やっぱりそういったところに配慮をするべきだなと思っております。

 また、区長が公約として挙げているのは、地域包括ケア体制の実現ということでありますけども、昨年6月の一般質問で、私もコロナ禍における高齢者支援としての地域の見守り、支え合いについて質問をした際、区長はニーズ等を把握しながら、地域の見守り、在り方について検討したいと述べておりました。この在り方はどのように検討を進めたのか、お伺いいたします。

○高橋地域活動推進課長 昨年来、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によりまして、アウトリーチ活動や戸別訪問が制限され、支援を必要とする高齢者を早期に発見し、支援に結びつけることが難しい状況が続いております。このような状況におきましても、町会・自治会や民生・児童委員をはじめとする地域活動の担い手の皆様によりまして、ポスティング、電話、短時間の訪問など、様々な工夫を凝らした高齢者の見守り活動が行われているところでございます。従前の対面による見守り活動に加えまして、ICTを活用した支援の仕組みづくりについて検討してまいります。

○伊藤委員 また、今後、地域の見守り、支えあいの推進の公約の達成に向けて、どのような取組を進めていくのか、お伺いをいたします。

○高橋地域活動推進課長 町会・自治会や民生・児童委員をはじめとする地域の団体・機関の連携強化とともに、すこやか福祉センターや包括支援センターなどと各関係機関とのネットワークづくりの強化、さらには民間事業者との協定の締結などを通じまして、高齢者支援としての地域での見守り、支えあい活動のさらなる活性化を図ってまいりたいと考えてございます。

○伊藤委員 ぜひ進めていただきたいなとは思っておりますけれども、今、子育て先進区と地域包括ケアに関連して、また、地域での見守り、支えあいについて伺ってきましたけれども、いずれ新型コロナウイルス感染症拡大の影響があったとしても、ここ数年、実績については十分な成果がなかったように感じております。何かこれからやりますというような感じで、状況であるとは思いますけど、別に批判しているわけではありませんけれども、政治家にとっては、この公約というのは大変重要な約束事でありますので、重いことであります。区民の負託を得て当選した以上、職を全うするということもありますけども、やっぱりきちんと公約を果たしていくべきだと思いますが、区長、今のやり取りを聞いて、御見解を頂ければありがたいですが、どうですか。

○酒井区長 私が公約に掲げた政策のうち、子育て先進区や地域包括ケアの実現につきましては、中野区の基本計画案で重点プロジェクトに位置付けておりまして、御質疑いただいたもの以外にも、子どもの権利条例の制定などに向けた検討、男女共同参画・多文化共生等の推進、公契約条例に向けた検討、蓄電システムの導入、木造住宅耐震改修助成など、様々取組を進めているところでございます。私の掲げた政策につきましては、基本計画、区有施設整備計画に盛り込んだところでございまして、より推進体制を整えて、実現のステップをさらに進めて、新たな区政運営を展開してまいりたいと考えております。

○伊藤委員 まだ3年ですから、今こうやって中野区のまちづくりや学校の整備なんかも形になってきたのは、前政権からの計画がどんどん進んでいった結果だと思いますので、今のお話を受け止めさせていただきます。

 時間がありませんので、ちょっと順番を変えさせていただいて、鍋横区民活動センターの整備についてお伺いをいたします。

 令和2年第3回定例会で鍋横区民活動センター等整備基本計画(案)について、地域の合意が得られなかった、令和2年度の予算執行について時期を見直すということでありましたけれども、現在は執行時期や併設する施設の見直しを含めた検討を進めているという答弁がありました。続く第4回定例会では、地域の意見を踏まえて併設する施設の考え方や区民活動センターの整備内容を見直して整備を進めていきたいという答弁がありました。これらの経過を踏まえて、地域には現在どのような経過をどのように説明されたのか、お伺いをいたします。

○高橋地域活動推進課長 スケジュール変更につきまして、鍋横区民活動センター運営委員会、鍋横区民活動センター建設検討委員会に対しまして文書配付は行ったところでございますけれども、広く地域住民を対象とした説明はしていないところでございます。

○伊藤委員 文書で配付されたということでありますけど、私も一応文書を頂きました。その中には様々な事情で、財政難でもあるし、中止やむなしというようなことでありましたけども、地域全体には説明がなかったということであります。それもどうかなとは思ったんですが、整備計画の延期の文書の中には、後日改めて説明を行うとありました。もう1年たっているわけですよね。その後日とはどういうことを指すのか、伺います。

○高橋地域活動推進課長 現時点におきまして、再開時期及びその後のスケジュールが確定しておりませんで、これらの見通しがついた段階で鍋横区民活動センター運営委員会、鍋横区民活動センター建設検討委員会をはじめ、広く地域住民の皆様に御説明をしたいと考えております。

○伊藤委員 前々からお話をしているんですけども、新しくなる鍋横区民活動センターは、皆さん御承知のとおり鍋横地区全体の中心地であり、住民が日常的に利用する鍋横商店街の中央にあって、また、新中野駅にも近いです。通勤・通学や買物に訪れる多様な地域住民によって活用される可能性が大いにあるんですね。そして、今現在でも鍋横区民活動センター運営委員会などでは大変いろいろな事業を行っており、地域活動も活発であります。高齢者の行う事業や、また区民交流のための多くの事業で、イベントも年間を通じて数多く行っておりますけれども、建設の整備には民間活力の活用の方法もあると思うんですが、私は、区民活動センターと高齢者機能を設けた単体の施設でもよいのではないかと思っております。また、南部の地域にはホールといった文化施設がほとんどありません。100席ぐらいの規模のホールや、レイアウトが自由にできる音楽活動やスポーツのできるスペースも必要と考えます。区有施設整備計画の案では、新しい鍋横区民活動センターの開設は、たしか令和8年度から令和12年度という、すごい長いスパンで新設を考えているというんですけども、そうなると早くても5年、遅ければ9年、10年かかってしまう。我々鍋横地域の区民の皆さんは、この新しい区民活動センターを非常に楽しみにしておりますので、その辺ぜひ考えを頂きたいなと思っております。いかがでしょうか。

○高橋地域活動推進課長 御指摘いただきましたとおり、令和2年1月に策定しました鍋横区民活動センター等整備基本計画(案)につきましては、地域合意が得られていると言えない状態にございます。地域の皆様からは様々な意見を頂いているところでございまして、地域の皆様と改めて話し合いをさせていただき、鍋横区民活動センター等整備基本方針を修正した上で、新たな基本計画(案)を策定してまいりたいと考えております。スケジュールにおきましては、中野区区有施設整備計画(案)では、新しい鍋横区民センターは令和8年度から令和12年度の間に開設するとしておりまして、計画に基づいて整備ができるよう進めてまいります。

○伊藤委員 区民というか、鍋横区民活動センター運営委員会の中にも建設検討委員会というのがあって、様々な要望もさせていただきました。ぜひ地域の要望も踏まえながら、建設の検討を早急にしていただきたいなと思っております。これは要望にさせていただきます。また、他にもあるんですけども、それはまた次の機会にお話をさせていただきたいと思います。お願いします。

 新型コロナウイルス感染症についてお伺いをいたします。中野区の計画では対象区民の67%、接種率を挙げておりますけれども、これは11月頃までには達成するのかな、その辺、達成にどのぐらいの接種回数を必要としているのか、その辺をお伺いいたします。

○瀬谷新型コロナウイルスワクチン接種担当課長 9月20日時点の接種状況に基づく想定接種率までの残回数につきましては、1回目接種が6,800回、2回目接種が3万6,400回であり、11月中には想定接種率の67%に達すると見込んでおります。今後、接種を希望する方が想定接種率を大きく超えてくる可能性もあることから、接種を望む全ての方が早期に接種できるよう、関係機関と調整しながらワクチンの確保に努めていきたいと考えております。

○伊藤委員 ワクチン接種の拡大に向けて、各自治体が若年層に接種を促す取組を進めております。仕事や学校で日中に都合がつかない人たち向けに夜間の接種会場を設けたというところもありますし、また、食事券や商品券など特典をつけているところも多いと聞いております。接種率を向上させていくためには、やっぱり若い人たちなどに対して正しい情報を得られるようにすることが大事だなと思っております。区としては、まだ接種していない方々にどのように周知して、理解をして、接種率の向上につながっていくのか、お伺いをいたします。

○瀬谷新型コロナウイルスワクチン接種担当課長 区ホームページによるワクチンの接種状況に加えまして、ワクチンに関する質問、相談先などを紹介するページなど、正確な情報の周知を行っているところであります。また、詳細な内容やインターネットで広がっている誤情報等については、厚生労働省のホームページを紹介しているところです。行動範囲の広い若い方への接種促進については、若い方の健康・命を守るとともに、高齢者や持病のある方、家族を守ることにもつながるため、今後とも広聴・広報課とも協議しながら、効果的な広報について工夫していきたいと考えております。

○伊藤委員 新型コロナの感染の拡大を防ぐためには、やっぱりワクチンの接種、2回ということがかなり大きな効果があるんだろうと私は思っていますので、67%は想定になっておりますけども、ぜひパーセントを上げるためにも周知をしていただきたいなと思っています。この件は、これでよろしいです。

 あと、区有施設整備計画について、様々質疑をさせていただきたいと思っていたんですけども、時間の関係でちょっと絞らせていただいて、建築後50年をめどに学校施設の改築に着手するという考え方を変更して、70年をめどに単年度当たり1校ずつ改築していくこととしております。これは学校施設について、適切な維持管理を実施し、コンクリート及び鉄筋の強度が確保されていれば70年から80年程度の耐用年数があるとの考えが文部科学省から示されており、中野区の小学校・中学校においても、条件を満たしていれば70年度程度まで使用できるという認識であるということでありますけれども、それぞれの学校において耐久性を確かめる調査などは実施したのか、お伺いをいたします。

○塚本子ども教育施設課長 各学校施設におきましては、これまで耐震度調査を実施してございます。その際に、実際にコンクリートの劣化状況を確認してございます。なお、建築基準法第12条に基づく検査といたしまして、毎年、学校の敷地、構造、そして建築設備、これらについて損傷、腐食、その他の劣化状況等の点検を実施してございます。

○伊藤委員 ありがとうございます。それから中野区の学校、たしか10年間で9校改築をする予定ですけれども、その中でも中野本郷小学校の改築については、昨年度実施予定だった基本設計作業を財政難を理由にして突然計画を中止いたしました。本当は令和6年度の完成に向けて、地域でも改築推進委員会で協議を進めていたところでありますけども、地域や保護者への説明が十分に行われていたかというと、ちょっと疑問が残っております。新校舎整備に向けて、今後の計画について、改築推進委員会や保護者への説明というのはどのようにされていくのか、お伺いをいたします。

○塚本子ども教育施設課長 中野本郷小学校の新校舎整備、これにつきましては現在お示ししてございます中野区立小・中学校施設整備計画改訂版の案、こちらにおきまして令和4年度から、改めて基本設計作業を開始することとしてございます。こちらの小・中学校施設整備計画を策定した上で、速やかに改築推進委員会の皆様、そして児童保護者に対しまして新たな整備スケジュールなど、これらについて丁寧に説明を行い、新校舎整備に関する理解を得てまいりたいというふうに考えてございます。

○伊藤委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。それで、この小・中学校の施設整備計画ですね、先ほども言ったように1年に1校ずつ改築していくんですけども、非常に過密なスケジュールであります。この計画を進めていかなければ余分な経費がかかっていくんじゃないかなと思っています。そこで、確実に計画を実行に進めていくということについて、どのように考えているのか、お伺いいたします。

○塚本子ども教育施設課長 学校の改築でございますが、児童・生徒だけでなく、学校活動、そして家庭生活にも大きな影響を及ぼすものでございますので、計画どおりに進めていく、そういったことが重要であると認識してございます。このことにつきましては教育委員会事務局だけでなく、庁内全ての関係する部署、これらの共通認識としまして連携、そして協力をし合いながら、確実に計画を実行していきたいと考えてございます。

○伊藤委員 ぜひよろしくお願いいたします。時間がもう過ぎましたので、私の全ての質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

○ひやま委員長 以上で伊藤正信委員の質疑を終了します。

 次に、むとう有子委員、質疑をどうぞ。

○むとう委員 区民の方からお寄せいただきました御意見をもとに質疑をいたします。持ち時間は33分です。機敏な行動と簡潔明瞭な御答弁の御協力をお願いいたします。

 財政指標についてお尋ねをいたします。2020年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延により、予算化した事業の中止や見直しを余儀なくされ、不用額は74億7,608万円となりました。この中には新型コロナによる未執行だけではなく、相変わらず契約落差による不用額も相当額含まれていることが気になります。見積りの精度を上げて、契約落差の額を減らすさらなる努力をまずはお願いいたします。

 さて、2020年度の決算における実質収支比率、経常収支比率、公債費負担比率、財政力指数などの財政指標はおおむね健全な数値とのことで、安心したいのですが、中野区財政白書110ページ、中野区における課題と今後の方向性についてを読むと、将来世代への負担が重く、大変気がかりです。

このページでは、1、有形固定資産減価償却率、2、将来世代負担比率、3、基礎的財政収支、4、区民1人当たりの行政コスト、5、受益者負担比率の五つの指標から、主に以下の分析結果が記載されています。1、中野区の公共施設が23区平均より大幅に老朽化が進んでいること。2、借金額が23区平均より大幅に多い223億円であり、将来世代に負担が重くのしかかること。3、基礎的財政収支が23区平均より大幅に低いマイナス148億円となっており、現行の行政サービスや公共施設整備費等の支出が税収や国からの補助金などの収入に見合っていないこと。4、区民1人当たりの行政コストが23区平均より大幅に高い44万円となっており、行政活動が非効率であること。5、受益者負担率は23区平均より低い3.3%であることです。単年度の財政指標はおおむね健全な数値としつつも、違った指標で見方を変えれば、中野区の未来は暗くて不安ということになります。この状況をどのように改善すれば中野区に明るい未来をもたらすことができるのか、分かりやすく簡潔に御説明をお願いいたします。

○森財政課長 今、五つの指標についてお話しいただきましたが、特に有形固定資産減価償却率については、お話しあったように施設の老朽化が23区平均より進んでいるということでございまして、ここについては特に財政運営上も大きな課題と捉えているところでございます。施設の老朽化が進んでいるということは、近い将来、多額の更新経費が必要となっていることが想定されまして、ですので、区有施設整備計画を踏まえて、改修コストの低減ですとか、財政負担の平準化など、効率的・効果的にそういった改修コストを投資していく必要があるだろうと。計画的に老朽化対策を進めていくことで、改善を図っていく必要があると考えているところでございます。それ以外の指標につきましても、今委員にお話しいただきましたが、そういった課題も分析しながら、まず計画的な起債の発行や償還、それから事業見直し等による歳出削減などにしっかり取り組んで、一つの目安としては23区平均といったところに近づけていくといったようなことで、改善を図っていきたいと考えているところでございます。

○むとう委員 何となく分かりました。改善方法が分かっているのであれば、そのようにしっかりと行っていただきたいというふうに思います。なお、このページの記述は会計年度任用職員の方と伺いました。この方を採用した1年目の2019年度決算からこの分析が作成されたそうです。このような有能な方を会計年度任用職員から職員に採用し直す検討を求めて、次の質問に移ります。

 公園の環境改善についてお尋ねをいたします。個人情報保護の観点から、今さらですが、とある公園と表現いたします。区内にある、とある公園と区道が特定個人によるハトへの餌やりにより感染症の原因となる大量のふん尿と羽毛で汚れており、公園としての機能不全に陥り、区有財産だけではなく、近隣の家々の生活環境も脅かされて早四、五年が経過します。私も議会で四、五回質疑しておりますが、残念ながらいまだ解決には至っておらず、状況は全く改善されていません。前区長のもとで餌やり禁止の看板と監視カメラが設置され、注意に従わない特定違反者により公園が汚染され、他の利用者の迷惑になっている状況もあり、区立公園条例を踏まえ、対応や指導を進めていく。また、特定違反者が自宅敷地内でハトへの餌やりを行い、周辺地域に不衛生な状況を発生させた場合には、物品の蓄積等による不良な生活環境の干渉に関する条例により、餌やり行為の中止を指導、勧告、中止命令、過料等の措置対応も検討していくとの答弁でした。その後、現酒井区長となり、2018年12月の一般質問では、法による過料や損害賠償請求、条例による指導、勧告や中止命令、過料等の措置をとるとの力強い答弁でした。2019年2月の一般質問では、2019年2月12日、餌やりをしている本人宅を訪問し、口頭による指導、注意を行い、条例の概要を手渡した。今後、条例に基づき必要な調査手続を行った上で、文書による指導、勧告、命令など、適切に対応していくとの答弁でした。

 相手のあることで、対応の難しさも理解いたしますが、口頭指導を行ってから既に2年7か月が経過しました。条例に基づく対応の進捗状況をお答えください。

○波多江環境課長 中野区物品の蓄積等による不良な生活環境の解消に関する条例に基づきまして、決められた手続に従って、経過を踏まえながら慎重に対応をしているところでございます。個別の区の動きについては、こういう場所ではちょっとお答えしかねるところがございますので、御理解をお願いしたいと思います。

○むとう委員 なぜ答えられないんでしょうか。先ほど言いましたように、言っているんですよ、きちんと。2019年2月12日に訪問してということで、前回の答弁ではきちんと答弁がなされていましたが、急に言えなくなってしまったのはどうしてでしょうか。

○波多江環境課長 具体的には様々な対応を進めているところです。しかしながら、条例に沿った行政処分に係るようなこと、具体的な経過については公の場所では答弁しかねるところでございます。ただ、しっかりと条例を踏まえた対応を進めてきておりますので、そこはしっかりと今後も解決に向けてしっかり進めてまいりたいと考えております。

○むとう委員 条例に基づいて進めていると言っていても、2年7か月、条例の歩み、こんなに遅くてよいのでしょうか。行政にはスピード感が求められています。ましてや、先ほど言いましたが行政コストが高い中野区です。こんなにぐずぐずの対応では区の本気度が見えません。条例があっても、それに基づく業務の遂行が粛々となされなければ意味がありません。区の職員は近隣に住んでいません。しょせん他人事なのでしょうか。毎日そこに暮らす近隣住民の生活環境に思いを寄せれば、一日も早い対応をするべきです。酒井区長は当選後すぐに現場を見に行ってくださいましたが、この速度では解決できないまま区長の1期目が終わってしまいます。4年も5年も進まない条例に基づく対応の在り方について、行政のトップである区長のこの事案に対する行政評価をお答えください。

○酒井区長 委員の御指摘のとおりです。私も現場を見に行きましたところ、やはり周辺の環境には非常に負荷がかかっておりまして、これは一刻も早く改善したいという思いで私も指示をしてきたところでございます。この動物への餌やりにつきましては、条例に基づいて対応しているところでございます。報告は受けておりますけど、慎重な状況判断や様々なアプローチなど、工夫をしながら進めているところであります。しかしながら、できる限り公園の環境が早く改善できるように、区としても精いっぱい取り組んでいくつもりでございます。

○むとう委員 スピード感を持った対応をくれぐれもお願いいたします。

 次に、ブックスタート事業についてお尋ねをいたします。2020年度新規事業として、子どもの読書活動推進のために0歳児対象のブックスタート事業を始めました。この事業は三、四か月健診通知にブックスタート引換券を同封し、各図書館で月に1回実施するお渡し会で配布と読み聞かせの実演を行う事業です。なお、指定管理者に241万4,000円で委託し、絵本2冊とパンフレット1冊を布製のトートバッグに入れて配布しました。子どもの心を豊かに育てる教材として、0歳児の家庭に絵本を配布するこの事業は大いに賛成です。主要施策の成果93ページに配布計画960セットに対して、実績は502セットと記載されています。コロナ禍で0歳児の親子が外出を控えることは想定できますし、配布数が伸びない中で、図書館がコロナで2か月休館した際に送付するなど、違うお渡し方法を検討しなかったのでしょうか。

○濵口子ども・教育政策課長 ブックスタート事業は委員御指摘のとおり、0歳児親子を対象に図書館で絵本等を配布することで親子の触れ合いや読み聞かせの大切さを伝えるとともに、図書館を知ってもらい、それを機会に継続的に来館してもらうことを目的としているため、一律の郵送等を検討してございません。

○むとう委員 今年度も同じお渡し方法ですか。

○濵口子ども・教育政策課長 今年度につきましても昨年度同様で、変更はしてございません。

○むとう委員 内部評価欄に「配布数が少ないため、ニーズの分析等により配布数の増加を図り、コスト削減を目指す必要がある」との記載があります。第一子の方にとっては、読み聞かせの実演は参考になるかもしれませんし、区としては近くにある図書館を知ってもらい、利用してほしいとの思いは理解します。しかし、本を読む場所は図書館に限りませんし、子育て経験者や共働き家庭にとっては、わざわざ図書館に行き、読み聞かせ会に参加しなければもらえないという事業設計に私は最初から違和感を持っていました。配布数が少なかった原因は、コロナ禍だけではなく、子育て経験者や仕事をしている保護者への配慮不足ではないかと考えます。コスト削減を目指すのではなく、配布方法の再検討を求めますが、いかがでしょうか。

○濵口子ども・教育政策課長 現在、長期入院や里帰り出産のため、図書館にブックスタートパックを受け取りに来られない方に限り、個別対応しているところでございます。そうした事情にない保護者の方につきましても、御希望がある場合は相談に応じるなど、柔軟な対応を検討してまいりたいと考えてございます。

○むとう委員 様々な配布方法を検討していただきたいと思います。来なければあげないよというのは、あまりにもけちくさいやり方かなというふうに私は感じております。ブックスタート事業の充実・拡充を願っておりますので、次の質問に移ります。

 清掃事業についてお尋ねをいたします。コロナ禍で家庭ごみ量が増加し、清掃事業費が増加しました。清掃一部事務組合分担金も1億円増加し、11億5,567万円となりました。2020年度の予算総括質疑で指摘しましたが、分担金の増加は今後も続きます。その要因は耐用年数を超える15工場の建て替え経費とプラスチック焼却による燃焼温度上昇に伴う設備機器の修繕費や薬剤費の増加によるものです。分担金を抑えるためには、1、可燃ごみ量の減量、2、23区全区でプラスチックを燃やさず資源化すること、3、不適正ごみの混入を防ぎ、ごみ質の均一化を図ることです。

 2019年5月、東京都はゼロエミッション東京を宣言し、プラスチックの焼却量を40%削減する方針を示し、区市町村によるプラスチック製容器包装の分別収集促進のための補助金を用意しました。都に遅れた国でも6月、プラスチック資源循環促進法を可決しました。しかし、相変わらず23区はプラスチックの資源化についてはバラバラの判断で、清掃工場に搬入する可燃ごみの質に差異があります。焼却炉の安全操業と経費削減、地球温暖化防止の観点からもプラスチック焼却を見直し、全区での資源化を区長会などで提案するよう再三求めましたが、2020年度予算総括質疑で、清掃主管部長会で検討し、結果を踏まえて対応したいとの答弁でした。検討の進捗状況をお答えください。

○伊東ごみゼロ推進課長 現在、清掃主管部長会におきまして、各区におけるプラスチック製容器包装やその他の製品プラスチックの資源化の現状や検討状況等について調査を行っているところでございます。今後はその調査結果を参考にしまして、プラスチックの排出量削減及び循環利用に関しまして、より効果的な対策について検討を行っていくこととしてございます。

○むとう委員 その検討はいつまでに出てくるものですか。

○伊東ごみゼロ推進課長 いつまでというのは、この場で申し上げることができませんけども、先ほどの調査が、7月に各区のほうに調査依頼が来まして、8月10日までということでございますけども、それは今、部長会事務局のほうで整理をして、今後検討してまとめていくということでございますので、時期について、ちょっとこの場では申し上げることはできません。

○むとう委員 中野区としてもプラスチックの資源化、一部やっておりますけれども、製品プラスチックについてもやっていくおつもりはありますか。

○伊東ごみゼロ推進課長 製品プラスチックの資源化につきましては様々な課題がございますので、方向としては国・都も製品プラスチック、全てのプラスチックについての資源化という方向がありますので、方向としては資源化というふうに担当としても考えてございますけども、それを行うためには様々な課題がありますので、しっかり実現できるような形で検討していきたいというふうに考えてございます。その具体的なものは、先ほど言いました23区清掃主管部長会で検討しているというところでございます。

○むとう委員 分かりました。

 次に、何度も繰り返し質問をしておりますけれども、清掃工場常時搬入物検査による不適正ごみの混入率は、2018年度は38.7%、2019年度は41.2%、2020年度は多少改善され40%で、ワースト4位と順位は悪化しています。ベスト1位は12.5%の中央区です。中野区の可燃ごみは焼却炉を損傷させるなど、処理施設の運営に支障を来すおそれのある不適物があるという結果です。この結果の評価と改善策について、お答えください。

○伊東ごみゼロ推進課長 まずこの不適正搬入でございますけれども、清掃工場の安全で安定的な稼働に支障を来すおそれがあるため、減らさなければならない重要な課題であるというふうに認識してございます。この不適正搬入を防止するためには、ごみ等の分別・排出ルールの徹底が重要でございまして、引き続き区報、ホームページ、あと、ごみ減量リサイクル通信誌による啓発、あと、ごみ分別アプリのさらなる普及、そして昨年度導入しましたが、スケルトン清掃車を活用した環境学習ですとか、地域に出向く出前講座、そういったものを積極的に実施するなどして、さらなる普及啓発を行ってまいりたいと考えてございます。また、収集職員に対する事例等研修についても、さらに充実を図り、集積場における排出指導ですとか、小規模集合住宅の管理会社の指導を継続的に行っていくことにより、さらに不適正搬入の防止に努めていきたいというふうに考えてございます。

○むとう委員 毎回同じような答弁なんですけれども、一向に結果としては出てこないという現状があります。区移管から22年、職員の採用をしていない区は中野区を含めて5区だけです。職員を採用し、育成しなければならない限界に来ていることが不適正ごみの混入率の結果に表れていると思います。他の議員の質疑に対して、採用するとの答弁でしたが、次年度の清掃職員の採用予定についてお答えください。

○中谷職員課長 令和4年4月1日付の新規採用の中で清掃事業の技能系職員を採用するということにつきましては、来年度の職員定数の配分の中では難しい状況にございます。これまで清掃事業につきましては、技能系職員の退職不補充により委託化を進めてきたところでございますが、大規模災害の発生時にも安定した清掃事業を確保していくためには一定規模の直営を維持する必要があるというふうに認識をしてございます。今後の技能系職員の退職者数の推移や職員の年齢構成を勘案し、令和5年度以降の職員の採用の時期や人数について、具体的に検討していきたいと考えてございます。

○むとう委員 ありがとうございました。2023年度には採用するというふうに思っていますので、意に反するようなことにならないように、しっかりと採用をお願いしたいと思います。

 次に、保育園経費についてお尋ねをいたします。他の議員の質疑と多少重複いたしますが、毎年の状況を確認させていただきます。決算説明書265ページによると、私立認可保育所167園と地域型保育事業31園の保育経費給付総額は101億5,885万円です。使途は人件費と事務費と管理費です。国はこの経費の7割を人件費と積算していますが、人件費を上限なしで他への流用や同一法人が運営する他の福祉施設への資金流用や積立も可能とする規制緩和を行ったため、保育士の賃金が上がらず、他の業種よりも保育士の年収が低い原因となっています。人件費率が50%以下はブラック保育園と言われています。私の毎年の質疑で、保育園課長は50%を目安に人件費を充当するよう働きかけると答弁していますが、成果は見られず、毎年50%以下の保育園が存在します。先ほどの御答弁で、2020年度の株式会社園の認可保育所の人件費率の平均が56%で、50%未満は12園とのことでしたが、小規模保育施設も含めると50%未満は14園あると思います。その中で最低の人件費率をお答えください。

○渡邊保育園・幼稚園課長 人件費比率が最も低い保育所の人件費比率は35%でございます。

○むとう委員 35%。ちなみに平成29年度の最低は36%でしたので、最低がさらに更新されました。法的根拠がないにせよ、中野区としては50%を人件費に充当するよう働きかけているはずですが、成果が全く出ません。2020年度は保育の質の向上を図るために、区は保育所運営充実費加算額を児童1人当たり1,000円から1,300円に引き上げました。私立認可保育所に対する区独自の加算額の総額と1園当たりの加算額をお答えください。

○渡邊保育園・幼稚園課長 認可保育所71園に対する区独自の加算額の総額は29億5,623万円余でございます。1園当たりの平均は4,163万円余でございます。

○むとう委員 ありがとうございます。4,000万円も中野区が独自加算をしているという数字です。世田谷区のように、人件費率が50%未満の保育所には区の事業加算をしないという策を講じるべきではないかと何度か質問しております。2017年9月25日、検討するとの答弁でした。では、世田谷区では人件費率50%以下の保育園があるのかないのか御存じでしょうか、お答えください。

○渡邊保育園・幼稚園課長 他区の保育所の人件費比率につきましては把握してございません。

○むとう委員 御存じないということは、答弁の中で、4年前ですか、検討すると言ったにもかかわらず分からないということは検討していないということですので、私のほうからお教えいたしますけれども、世田谷区では人件費率が50%未満の園は、ないんです。ちなみに、世田谷区は定員100人の園で区加算額は約1,200万円、中野区の3分の1の金額でも功を奏しています。事業加算として4,000万円もらえるか、もらえないかは死活問題です。効果てきめんだと思います。人件費率が50%未満の保育所には区の独自加算を支給しないという策を早急に講じることを求めます。お答えください。

○渡邊保育園・幼稚園課長 人件費比率50%を下回る株式会社運営の保育所は、令和元年度は35園中12園、令和2年度は47園中12園と、割合としては改善しております。引き続き個別指導等を行い、注視していく考えでございます。また、民間保育所は国の基準額に加え、区の加算額で運営されております。区の加算額を減額した場合、保育現場への影響が多く、保育の質にも影響することが懸念されることから、加算率の取扱いにつきましては慎重に判断していく必要があると考えてございます。

○ひやま委員長 委員会を休憩します。

午後0時00分休憩

 

午後0時00分開議

○ひやま委員長 委員会を再開します。

 休憩中に確認したとおり、むとう委員の質疑時間は残りあと7分程度ということですので、質疑を続行します。むとう委員、どうぞ。

○むとう委員 ありがとうございます。ぜひ検討してほしいんですよ。本当にこの独自加算がなければ保育園運営はなかなか厳しいわけです。だからこそ効果があるんですよ。だから世田谷区は50%未満に支給しないということで、50%未満の保育園がないわけです。だから当然、中野区でも独自加算を支給しないということをすれば、50%未満の園がなくなるということだと私は考えます。お給料の低さは保育の質に大いに影響します。子どもの命を預かり育む、責任の重い仕事に見合うお給料の実現を目指して、次の質問に移ります。

 公衆トイレにトイレットペーパーを設置することについてお尋ねをいたします。2011年からおよそ10年間、幾度となく公園等の公衆トイレにトイレットペーパーの設置を求めてまいりました。2020年度予算総括質疑では、策定中の公園再整備計画の中でペーパーの設置を検討していきたいとの答弁でした。次年度予算化を考えているのか、検討の進捗状況をお答えください。

○林公園緑地課長 公園等のトイレへのトイレットペーパー設置につきましては、現在、公園再整備計画の中で設置する方向で取りまとめ中でございます。

○むとう委員 ありがとうございます。設置する方向という答弁が出ましたので、とても安心しました。でも、中野区はペーパーの設置に10年かけてもできない区として私の周辺では有名になっております。酒井区長の1期目での予算化の実現を願って、次の質問に移ります。

 民間学童クラブについてお尋ねをいたします。子ども文教要求資料87、民間学童クラブ運営費補助金一覧を新規で要求させていただきました。資料の作成ありがとうございました。この資料と資料47、学童クラブの定員と登録児数、待機児童数を基に質問をいたします。補助金額は1,500万円から3,000万円です。15の民間学童クラブのうち、定員を満たしているのは僅か6か所、定員数の過半数以下が4か所あります。行政コストが一番高い学童クラブでは、児童1人につき年間164万円、一番低い学童クラブでは年間47万円で、3.5倍の開きがあります。この行政コストの差を念頭に置いて、小学校の中に設置している学童クラブに待機児童がいるにもかかわらず、その校区にある民間学童クラブが過半数割れをしているという現状についての課題認識をお答えください。

○細野育成活動推進課長 御紹介いただきましたとおり、小学校区の中で待機児童が発生する一方で民間学童クラブが定員の過半数割れをしているという実情がございます。立地条件等で定員より利用児童が少なくなっているというようなことがあるものと認識しておりますし、また、民間学童クラブへの希望が少ないことにつきましては、キッズ・プラザが併設されており、その利用で足りている状況もあるものというふうに認識してございます。

○むとう委員 そういう課題認識を持ちながらも、こんなに多額の金額を補助金として払い続けて、今後もこの方向でやっていくというお考えですか。

○細野育成活動推進課長 今後につきましては、キッズ・プラザをより御活用いただけるような取組も進めてまいりますし、一方で、現状の民間学童クラブにつきましても、利用数の増を図るための取組を進めたいと考えております。例えば、送迎サービスなどの運営の工夫や就学時の児童の保護者への周知を工夫することによって、その取組を進めていきたいというふうに考えてございます。

○むとう委員 やはり行政コストということを念頭に置く必要もあるんじゃないかというふうに私は思います。多額の税金をつぎ込んで民間学童クラブを設置しても、ニーズがなければ意味がありません。私の考え方とは違いますが、基本は学校の中にある学童クラブに入りたいというのが区民ニーズのようであり、そもそも区も統合新校の中に学童クラブを設置するとの基本を変えていないのであれば、希望する児童が全員入れる面積を確保して新校舎を建設するべきだと思います。民間学童クラブに空きがあっても入らず、設置目的の異なるキッズ・プラザで待機する児童がいることを分かっていながら放置しているのは、区の無策だと私は思います。6月の一般質問で、児童館、学童クラブ、キッズ・プラザについて総合的な再検討を求めましたが、明確な答弁はありませんでした。再検討しないのであれば、せめて新庁舎を建設する際には、希望する児童が全員入れる面積を確保した学童クラブの設置を求めますが、いかがでしょうか、お答えください。

○細野育成活動推進課長 キッズ・プラザ併設の学童クラブにつきましては、現状も施設や運営規模の制約の中で最大限の定員を確保しているところでございます。今後につきましては、学童クラブに対する需要を見極めるとともに、キッズ・プラザも活用していただけるように対応していきたいというふうに考えてございます。

○むとう委員 学童クラブとキッズ・プラザって設置目的が違いますよね。学童クラブの待機児にキッズ・プラザを利用してもらいたいというのは、ちょっとおかしくありませんか。そういう感覚ですか、区は。もう一度お答えください。

○細野育成活動推進課長 確かに学童クラブとキッズ・プラザは、そもそも目的も異なるところではございます。しかしながら一定程度、学童クラブ利用されている方の中でも、キッズ・プラザのほうを後に選択していただける方もいらっしゃることも事実でございますので、そういったことも踏まえまして、利用者がより一番いい形で、行政コストという面でも最大限減少できるような方策を考えていきたいというふうに考えます。

○むとう委員 学校の中にある学童クラブに入りたい、だけど入れない、民間の学童クラブは遠くて嫌だ、いろいろな条件でやっぱり合わないということもあり、しようがなくてキッズ・プラザで過ごすという状況があるということを認識していますか。

○細野育成活動推進課長 御紹介いただいた小学校区の中で、学校の立地と合わないというふうなことも考え、さらに学校の隣にも民設民営で学童クラブを設置した事例がございますが、その上で引き続きキッズ・プラザを御利用いただいた上で併設の学童クラブで待機という、そういったこともございました。そういった方々に対しまして、実情につきまして、その保護者の方とも十分調査をした上で、今後の対応については検討していきたいというふうに考えます。

○むとう委員 学童クラブについては、学校の中だ、児童館は要らないとか、いろいろありまして、結局、児童館を学童クラブ専用館にするなどといろいろ言っております。だから、これって本当であれば区民ニーズに応えて、学校の中でしっかり面積を確保すれば、他のものは要らなくなってくるわけですよね。本当にあっちにもこっちにも学童クラブがあるということは、行政コストの点からいっても問題だと思いますので、繰り返しになりますが、新校舎を建設する際には、きちんと希望する全員を入れてあげることができる学童クラブの設置を強く求めて、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

○ひやま委員長 以上で、むとう有子委員の質疑を終了します。

 ここで休憩にしたいと思います。1時10分まで委員会を休憩します。

午後0時09分休憩

 

午後1時09分開議

○ひやま委員長 委員会を再開いたします。

 休憩前に引き続き、総括質疑を行います。

 近藤さえ子委員、質疑をどうぞ。

○近藤委員 無所属の近藤さえ子です。よろしくお願いいたします。令和2年度は新型コロナウイルス感染症対策に追われた1年でした。現在も感染症の終息には至らず、職員の皆様の心労は絶えることがないと思います。日々の御尽力に感謝して、質問に入らせていただきます。

 3番の高齢者等の人権擁護については、時間の関係で、またの機会にさせていただきます。

 まず、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。

 (1)窓口職員を新型コロナウイルス感染症から守る対策について伺います。全国、東京都での新型コロナウイルス感染者の増加に伴い、今年8月には中野区の戸籍住民課でも感染者が出ました。そのとき、職場は消毒されたのですが、消毒範囲がとても狭い範囲で、職場で働く職員たちはとても不安であったという声を伺いました。その1か月前には、中野区にある窓口業務を伴う大規模な民間事業所でも多くの感染者が出ましたが、消毒をする範囲がほんの一部で、陽性になった職員たちは広く社内を動いているので、もっと広範囲に消毒をしなくても大丈夫なのかと、その会社の社員からも消毒のことについて質問されました。この2件は全く別のところで新型コロナウイルスの感染があった現場なのですが、消毒についての不安の声は同じだったので、区は職場内で感染が発生した場合、どのように消毒が行われるのか、消毒の基準のようなものがあれば教えてください。

○中谷職員課長 特に消毒の方法などの決まりや基準といったものはございませんが、感染者が使用していた机や窓口のカウンター、共有物品など、ウイルスが付着している可能性のある物品のアルコール消毒を各職場で行うよう徹底をしてございます。日頃から新型コロナウイルスの感染予防のために手指消毒や共有物品の消毒など、小まめに行うように全庁に対して周知しているところでありまして、それぞれの職場において対応しているところでございます。

○近藤委員 2件とも社員・職員たちが疑問に思った初期の段階で迅速に広い範囲での職場内の消毒が行われていれば、戸籍住民課でも多くの感染者を出すことはなかったのではないかと思いますが、どうだったのでしょうか。

○伊藤戸籍住民課長 戸籍住民課では、日頃から窓口カウンターや筆記具、共用テーブル、業務端末などの消毒及び職員の手指の消毒を徹底してございました。さらに感染者が発生したときには、使用していた机や業務端末などの消毒を行ってございました。保健所からは感染者の発生を防ぐために、職員が小まめに消毒できるように、共用のテーブルや業務端末のそばに消毒液を増やすほか、執務室内の空気の換気や職員の密な状態を解消することが必要であると指導され、直ちに実施してございます。今後も日常での消毒や換気を徹底していくほか、職員の密な状態を解消することで感染者を出さないようにしていきたいと考えてございます。

○近藤委員 私は業者が消毒をしてくれるものだとばかり思っていたんですけれど、この取材で初めて、職場内の人たちが自分たちで行うということで驚いたのですが、私が見た限りでは、大勢の感染者が出た民間企業も戸籍住民課も、その両方の事務所は明らかに感染防止の機能が低かったと思います。戸籍住民課では今回の件を踏まえて、これまでの新型コロナウイルス感染防止対策から、どのように改善したのでしょうか。

○伊藤戸籍住民課長 マイナンバーカード交付係執務室の一部パーティションの撤去や、窓口のビニールカーテンの切り下げを行ったほか、大型扇風機の増設やサーキュレーターの位置を変えたこと、高い位置にある窓を開放するなどで空気の循環を改善いたしました。また、窓口でマイナンバーカードの受付業務を行っていた委託事業者のスペースを窓口の外に設けたことや、執務室内で行っていた作業を係の執務室の外にスペースを設けて行ったことで、執務室内での職員の密な状態を改善いたしました。さらに、これまで以上に消毒液を増やし、職員が共用で使用するテーブルや業務端末のそばに置き、職員が小まめに消毒できるように改善してございます。

○近藤委員 戸籍住民課は区役所の中でも換気が十分にできにくい場所であり、働いている職員、会計年度任用職員、委託職員と大勢の職員が出入りをし、区民との接触も多い部署です。職員たちは、いつ自分も感染してしまうのではないかと不安であったと思います。換気の悪い場所に大勢の職員が働き、少しの範囲でしか消毒されないことに不安を感じ、職員がなぜもっと消毒をしないのでしょうかと尋ねると、消毒をするとそれぞれ各自の行動がおろそかになるから消毒はしないと言われたそうです。職員、会計年度任用職員、委託職員、誰もが自分たちは新型コロナウイルスに感染したくないに決まっています。自分たちは精いっぱい感染予防のために行動していると思います。その不安な気持ちでいるときに、その言葉はあまりにもひどかったのではないかと思いました。区では職員が業務を行う上で不安にならないように、継続的に新型コロナウイルス感染予防対策に努めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○中谷職員課長 職場における新型コロナウイルスへの感染に対する職員の不安を払拭し、職員が安心して業務を行うことができるように、今後も継続的に職場における感染予防を周知徹底していきたいと考えてございます。

○近藤委員 この取材の中で分かったことなんですけれど、消毒の経費は各課で持つということが分かりました。消毒等にかかる予算も手間も全て感染した部署が持たなくてはならないというのも、この取材を通して初めて知りました。大勢の職員を抱えて、換気も悪い場所で働かされて、住民対応に追われる部署に対して、自己責任ばかりを押しつけるのではなく、区全体として換気対策、密にならない工夫など、さらなる改善を求めていきたいと思いますけれど、よろしくお願いいたします。

 次に、スポーツ施設への新型コロナウイルス感染症対策について伺います。令和2年度決算におけるスポーツ・コミュニティプラザ、以後スポコミと言います、3館それぞれの指定管理料、新型コロナウイルス感染症による補償額は幾らになりますか。

○古本スポーツ振興課長 スポーツ・コミュニティプラザにつきましては、令和2年度は中部スポーツ・コミュニティプラザと南部スポーツ・コミュニティプラザとをまとめて指定管理を行っておりましたことから、この二つの施設は合算した数値でお答えをいたします。順に、中部スポーツ・コミュニティプラザと南部スポーツ・コミュニティプラザの令和2年度の指定管理業務経費は1億566万8,355円、補償額は848万4,020円、鷺宮スポーツ・コミュニティプラザにつきましては指定管理業務経費が9,576万8,447円、補償額は1,973万8,551円でございました。

○近藤委員 中部スポコミと南部スポコミで一括払い、鷺宮スポコミは別ですが、今年度から3施設一括支払いとなりましたので、指定管理者は三つの施設の中でメニューなどが調整でき、地域の施設それぞれの内容の充実度に差があっても、指定管理者としては一括の振込ですので、何も問題がない仕組みとなっています。今までの指定管理者が行ってきた教室への参加人数の少なさなどを見ても、民間企業のよさ、利益を上げなくてはつぶれてしまうという努力をしなくても、区からの指定管理料が入ってくることに甘えていると感じていました。指定管理業務プラス補償費として3施設で2億2,000万円余りの税金を投入したスポコミは、新型コロナウイルス感染症で休館していた時期は、区民に対してどのようなサービスを提供していたのでしょうか。

○古本スポーツ振興課長 施設の利用中止期間中も窓口業務等は行っておりまして、施設の予約や会員登録の受付業務、利用料金の収納業務のほか、中止となりました教室の参加料や団体利用料金の還付事務等を行ってございました。

○近藤委員 区の介護・高齢者課では、職員がなかの元気アップ体操ひろばをオンラインによる体操として導入したり、コロナ禍で高齢者が運動できるように工夫されていましたが、こちらは当然の事務手続だけで、特に区民へのサービスの提供はありませんでした。上高田・哲学堂運動施設、妙正寺川公園運動場の利用制限等に伴う指定管理者業務経費の補償は3施設で724万3,669円と、補償額はスポコミと一桁違う少なさです。これはどういうことなのでしょうか。

○古本スポーツ振興課長 令和2年4月から6月初めにかけまして、利用中止期間以降でございますが、屋外施設につきましては人数制限等は行わず、基本的に通常の運営を行っていたことによりまして、指定管理者への補償額も少なくなっているものでございます。

○近藤委員 屋外ですから感染対策をしながら利用することができたということですね。中部スポコミには運動場がありますが、これはコロナ禍でも感染対策をしながら利用できたと思いますが、哲学堂運動施設などの野外スポーツ施設が利用を許可されていた緊急事態宣言中に、中部スポコミの運動場は何回使われたのでしょうか。

○古本スポーツ振興課長 令和2年度におきまして、緊急事態宣言が発令されておりました期間で屋外施設の利用を認めておりましたのは令和3年1月から3月まででございまして、この3か月の間に中部スポーツ・コミュニティプラザの屋外運動広場の延べ利用件数は261件でございました。

○近藤委員 3か月で延べ利用件数という件数で261件では、他施設に比べたらかなり少ないとは思いますが、取りあえず利用できたことはよかったです。昨年の他のスポーツ施設の予約は、キャンセルが出た場合に当日の時間ぎりぎりまで別の人が予約できるシステムになっているということを申し上げました。中部スポコミは使用日の3日前までしか対応できず、キャンセルが出てしまったときはそのスペースは空き状態になっているので、もったいないので改善を求めましたが、予約の改善はできましたか。

○古本スポーツ振興課長 施設の有効活用を図りますため、予約の取り消しは利用の3日前までに行うこととなっております。その後、利用の前日までは他の利用者が予約をできるようにしてございます。今後は、新規の団体登録の際などに施設の予約は利用日の前日まで行うことができるということを広く周知するよう改善したいと思います。

○近藤委員 まだ改善は、3日前ということで進んではいませんけれど、改善の方向で進んでいるということなので、ぜひ改善していただきたいと思います。私は今まで散々、地域スポーツクラブ事業の運営方法の問題点について指摘してきましたが、昨年の決算の内部評価では、スポコミの施設管理及び地域スポーツクラブの事業運営について、指定管理者の専門性を生かした官民連携による手法として妥当であると評価していましたが、それがなぜ急に構造改革の対象となったのでしょうか。昨年の行政評価が間違っていたということですか。私が長年言い続けてきたことが急に理解できたということですか。それならばよかったのですが、あまりにも急な運営の見直し、どのようなことか御説明ください。

○古本スポーツ振興課長 令和元年度の内部評価では、建物でありますスポーツ・コミュニティプラザの施設管理も含めて総合的に評価を行いまして、官民連携の手法による事業の運営という観点から適正であると評価をしたものでございます。一方で、地域スポーツクラブは、これまでの取組の中から会員が中心となりまして自主的に活動を行う団体が増えてきておりまして、今後はこのような動きを区として支援していく必要があるというふうに考えまして、構造改革実行プログラムの案の項目としてございます。

○近藤委員 言い方はそういう言い方ですけど、だんだん気がついてきたということは本当によかったです。本来の地域スポーツクラブの意義を見直して、区民の自主的な活動を増やし、指定管理料は極力抑えていくべきと考えますが、区の見解を教えてください。

○古本スポーツ振興課長 構造改革実行プログラムの案では、戦略の2、公助の体制強化と共助の促進の中にこの地域スポーツクラブの考え方の見直しを位置付けてございます。会員が主体的に運営する総合型地域スポーツクラブの活動により、効果的な事業運営を目指しますとともに、事業費の削減等にもつなげていきたいと考えてございます。

○近藤委員 ぜひ事業費の削減をお願いしておきます。コロナ禍でも指定管理者には大変甘い区ですが、コロナ禍でスポーツ施設を使う区民にはどうだったのでしょうか。上高田・哲学堂運動施設は予約方法も区民にとって利便性がよく、指定管理者としては特に問題がないようですが、これはスポーツ施設だけに限らないのですけれど、区民が驚かれたことを一つ申し上げます。緊急事態宣言下で野球場・テニスコートも20時までの使用です。ですから通常の夜間の時間帯は19時から21時までになっていますが、1時間しか使えない状態です。照明代は1時間しか使っていないので、2時間2,800円のところ、1時間1,400円を徴収していました。しかし、利用料は2時間ほど徴収していました。他の区内施設もそうですが、これはどこでどのように決まったのですか。

○古本スポーツ振興課長 20時をまたぐ夜間枠につきましては原則使用中止でございますが、利用料の減免措置が行われないということを利用者が同意した場合に、例外的にその利用を認めているものでございます。緊急事態宣言に伴う区有施設の使用・貸出しの考え方につきましては、区の危機管理等対策会議で確認をされておりまして、全庁で統一的な取扱いとなっているものでございます。

○近藤委員 それでは、なぜ照明代は1時間にしたのですか。

○古本スポーツ振興課長 野球場やテニスコートの照明設備につきましては、使用する時期や時間帯により料金が発生するものでございまして、実際に使用いただく時間に応じた御負担を頂くことになっているのが理由でございます。

○近藤委員 でもテニスコートなども、実際に使った時間は1時間ですよ。では、なぜそれは2時間分にしたんですか。

○古本スポーツ振興課長 先ほども申し上げましたが、20時をまたぐ枠につきましては原則使用中止でございます。利用者の方が減免措置が行われないということに同意いただいた場合に、例外的に利用を認めているものでございまして、区有施設の使用・貸出しの考え方については全庁的な取扱いとなってございます。

○近藤委員 テニスコートを使用している区民が、他区は使用時間分だけしか徴収していないけれど、中野区は使用していない分も払うのはおかしいと思い、指定管理者ではなく、区にその疑問を問い合わせたそうです。私もこの方に言われて、杉並区、練馬区、東京都の施設に電話をかけてみました。電話をかけた自治体は、全てが使用した分の時間だけ支払うことになっていました。中野区は、スポーツ施設使用料は他区と比べても安く、利用者は大変ありがたいと思っています。緊急事態宣言でも屋外のスポーツができるようにしてくださった区の対応はとてもよかったと思います。しかし、この方の問いに理論立てて答えられなかったせいか分かりませんが、2時間が主要単位ですので御不満でしたら利用されなくても結構ですよ、もともと緊急事態宣言が出ているのですから使ってほしくないのですよという趣旨のお答えをされたと聞いています。私が他の施設に1時間分でよいのですかとお尋ねしたところ、練馬区も杉並区も、もちろん使った分だけ頂きます、御迷惑をおかけして申し訳ございませんと丁寧な対応が返ってきました。1時間分しか使用していないのに2時間分を払ってもたくさんの抽選者がいるということは、利用者はお金を払いたくなくて問い合わせたのではなくて、納得できる説明を受けられればよかったのだと思います。区民に対して丁寧な対応をしていただきたかったと思いますが、いかがでしょうか。

○古本スポーツ振興課長 区内のスポーツ施設を利用いただくに当たりましての注意事項等は、区や指定管理者のホームページ、そのほかチラシ等で周知に努めているところでございます。窓口や電話での問い合わせに対しましても、区の方針や規定などを分かりやすく説明いたしまして、丁寧な対応を心がけて、多くの区民の皆様に施設を利用していただけるよう努めていきたいというふうに考えてございます。

○近藤委員 今話した消毒の件もテニスコートの料金の件も、区がもう少し職員や区民に寄り添い、説明していれば、不安や不満が発生しなかったと思います。コロナ禍で今までにないプラスのお仕事、対応に追われているとは思いますが、区民に丁寧な対応をお願いします。そして、区から補償されるから問題ないと安心しているスポーツ施設・文化施設等の指定管理者などには、もっと工夫をされて区民サービスの向上に努めていただくように指導していただきたいと思います。

 次に、新たな機能を持つ児童館について伺います。財政白書を見ますと、区民1人当たりの行政コストについて説明が書かれています。区民1人当たりの行政コストが低いほど、行政活動が効率的に実施されていることを意味しており、一方で、高いほど効率的ではないことを意味していますとあります。その観点から考えますと、児童館は区民1人当たりの行政コスト1,779円、キッズ・プラザは584円となっています。児童館よりキッズ・プラザのほうが行政活動が効率的に実施されているという見解ということでよろしいですか、御説明ください。

○細野育成活動推進課長 児童館の行政コスト計算書に計上している費用のうち、人件費が76.8%、物件費が23.2%でございます。キッズ・プラザは物件費のみでございまして、その大半が事業運営委託費でございます。両施設の運営形態の違いや利用者数の違いから、区民1人当たりの行政コストに差が出ているものと認識してございます。また、両施設とも使用料を徴収する施設ではございませんので、いかに低コストで利用者の満足度を高める運営に努めるかが今後重要であるというふうに考えてございます。

○近藤委員 となると、保育園の1人当たりの行政コストは7,857円ですから、キッズ・プラザ、児童館などと比べても、最も行政活動が効率的に行われていないということになります。しかし、保育園の場合は、共稼ぎの家庭が増える中、子どもを預けなくては親は働きに行けないので、改善しなくてはいけないところはたくさんありますが、たとえ行政コストが非効率であったとしても、今後も保育園にかかる区民1人当たりの行政コストは大きくても仕方がないということだと思いますが、いかがでしょうか。

○渡邊保育園・幼稚園課長 保育園では標準の保育時間が11時間と長いことや、0歳児から5歳児の年齢の低い児童を預かるため、職員の配置基準も厳しく、手厚いことなどが児童館やキッズ・プラザに比べ行政コストが高くなっている理由でございます。

○近藤委員 子どもを保護者に代わって見守り、育ててくれるのですから、保育園に人件費がかかるのは当然のことだと思います。では、学童クラブ・児童館の行政コストはどこで抑えればよいのでしょうか。前区長は児童館を廃止し、キッズ・プラザを全小学校に入れていくことを計画し、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)で掲げていましたが、その計画作成の途中で意見交換会、パブリック・コメントには、いつも多くの児童館を存続してほしいという区民の声が寄せられていました。そして、3年前に酒井区長が児童館を残すことを公約にして区長に選ばれました。私は小学生の放課後の居場所を小学校の中だけにしたくないという思いから、児童館廃止の前区長の考えに反対して、何度も児童館を残してほしいと質問を重ねてきました。しかし、前区長時代は何を聞いてもキッズ・プラザがあるから大丈夫ですというお答えで、子どもたちの育ちや児童館の必要性などの点には耳を傾けてくれませんでした。多くの区民が児童館が必要であると言っているのに、一貫してキッズ・プラザで解決しようとしていたのは、まさに行政コストを最優先しての考えだったと思います。しかし、酒井区長は行政コストがかかっても新たな機能を備えた児童館を9館残すことを決めました。児童館を残すこと自体は大賛成です。しかし、先日9月2日に子ども文教委員会に示された新たな機能を備えた児童館についてを見ますと、これが残してほしいと熱望した児童館の姿なのかと疑問に思いました。共稼ぎの保護者が多い中、小学校低学年にとっても最も必要性の高い場所である学童クラブをなぜ新しい児童館の中に入れないのでしょうか。

○細野育成活動推進課長 新たな機能を備えた児童館につきましては、学童クラブ移転後のスペースの活用を考えています。そのスペースを活用して機能強化を図っていく考えでございまして、新たな機能を備えた児童館には、学童クラブスペースをいずれ移転してなくなる形で考え方をまとめさせていただきました。

○近藤委員 では、なぜ新しく建てる学校でさえも、学校に学童クラブを全て入れていっていないんでしょうか。

○細野育成活動推進課長 こちらにつきましては、学校内でキッズ・プラザと学童クラブを一体的な運営を目指しているところでございますが、限られた学校施設の中で両方の、キッズ・プラザも学童クラブも、ともに最大の効果を得られるように活動場所の確保に努めているところでございます。

○近藤委員 練馬区では学校の中に学童クラブを入れていますが、児童館の中にも学童クラブがあります。中高生の居場所もあります。小学校低学年も児童館で遊ぶことができます。中野区の新たな機能を備えた児童館、わざわざ学童クラブを外に出して、学校の中には入り切れず、民間学童クラブを増やして、民間学童クラブを誘致できなかったところは学童館までして独立した感をつくる、どう考えても行政コストが無駄にかかっているとしか思えません。新たな機能を備えた児童館、一番優先されるのは学童クラブを今ある児童館に残すことではありませんか。

○細野育成活動推進課長 学童クラブにつきましては、キッズ・プラザ併設型を基本に整備をしていく考え方でございます。児童館につきましては、この間様々な機能を強化してやっていくということを申し上げておりますが、学童クラブではなく、子どもの居場所としての機能は重要だと考えておりますが、そのほか、地域の見守りやネットワーク支援、そういった活動を強化していきたいという考えから現状のような計画になっているところでございます。

○近藤委員 私の地元には北原児童館があります。児童館のすぐそばには北原小学校があります。1年生の足でも、遠い学校南門からでも3分ぐらいで児童館に着きます。今までの児童館が機能していますので、学童クラブも小学校低学年の居場所も児童館の中にあります。それをわざわざ学校にプレハブまで建てて学童クラブを確保したり、学校の中にキッズ・プラザを造る必要はありません。小学校高学年、中高生、地域の人たちも、小学校低学年、学童クラブの子どもたちも一緒に過ごすことができています。職員たちは相談にも乗ってくれます。区が新たな機能を備えた児童館と言っている機能は、ほとんど網羅されています。休日の開館も、もう20年以上前からNPOの方たちが行っています。もし新たな機能を持つ児童館になってしまったら、一番肝腎な小学校低学年の子どもたちの居場所が学校だけになってしまいます。9館残す新たな児童館を、学童クラブを存続させ、わざわざキッズ・プラザは造らず、今までの機能でいたほうが行政コストもかからず、子どもたちの居場所が減らないと思いますが、いかがですか。

○細野育成活動推進課長 学童クラブにつきましては、需要の高まりが引き続きございます。こちらについては、放課後の安全・安心な居場所としてキッズ・プラザを造り、併設する学童クラブを設け、定員も最大限そこで賄えるように進めていきたいという考え方でございます。それ以外にも、子どもの居場所や地域の支援が必要というふうに考えまして、キッズ・プラザ、学童クラブのほかに児童館も一定程度整備していく必要があるというふうに考え、現状の9館を残していくという考え方ということを述べさせていただいております。

○近藤委員 少し細かいことを確認させてください。前区長の時代は、教育長が小学校高学年は習い事や塾に行っているので、児童館はほとんど使わないので、小学生の居場所はキッズ・プラザだけでよいとおっしゃっていました。新たな機能を持つ児童館は小学校高学年も居場所となりますが、急にこの数年で高学年は習い事や塾に行かなくなったのでしょうか。

○細野育成活動推進課長 急に行かなくなったということではないと考えておりますが、高学年児童や中高生が塾などで多忙な生活の間に立ち寄り、交流したり、各自の興味・関心に応じて仲間と活動ができる場を用意する必要があるというふうに考えます。児童館がコーディネートをし、高学年の児童や中高生の活動を支援する地域活動につなげるように取組を行ってまいりたいと考えてございます。したがいまして、キッズ・プラザの整備に伴って児童館内の学童クラブを移転させた後の施設も活用して、順次、高学年児童や中高生の利用しやすい施設に整備していきたいというふうに考えてございます。

○近藤委員 学校の中の学童クラブとキッズ・プラザ、子どもたちの居場所は夏休みでも学校の中となりますが、この点は新たな児童館ができることによって学童の子どもたちに変化はありますか。やはり1年中、学校の中の学童クラブで過ごすということになりますか。

○細野育成活動推進課長 夏季休暇中とかはそのようなことになります。キッズ・プラザ併設の学童クラブの場合は体育館や校庭も利用が可能です。長期休業中は併設のキッズ・プラザや様々計画されている行事や活動を利用していただきたいというふうに考えてございます。
○近藤委員 結局、学童クラブの子どもたちは学校の中に1年中いるということですね。このままでは学校の中の学童クラブ、キッズ・プラザ、新たな機能を持つ児童館、学童館、民間学童クラブと施設だけがたくさん残り、今までの児童館のよさはなくなり、行政コストだけが膨らんでいきます。新たな児童館の機能を見ますと、乳幼児、小学生、小学校高学年の居場所以外、相談機能、地域スペース、中高生の勉強スペース等は児童館でなくても、区民活動センターや図書館、高齢者会館などの施設をうまく活用することでも作れます。何より需要の大きい学童クラブを今までのように児童館に入れることと小学生誰もが自由に使える児童館にすることが行政コストを抑えて区有施設を有効活用にすることになると思いますが、いかがでしょうか。

○細野育成活動推進課長 学童クラブが学校内に移転をということを申し上げてきました。学童クラブが移転した後のスペースにつきましては、乳幼児親子の強化のためのスペースや高学年児童及び中高生の学習場所などとして活用していく考え方でございます。今後、児童館につきまして、地域の活動の拠点としても活用していただいて、全体の健全育成や包括ケアに資する施設にしていきたいというふうに考えてございます。

○近藤委員 小学生に絶対的に必要な機能、学童クラブと小学校低学年の居場所を児童館から出していくということは、新たな機能を持つ児童館はいつでも別の用途として利用可能な施設となります。結局は児童不在の児童館を9館残し、児童館廃止を先延ばしにしただけではないかと危惧します。開館日が拡大されるということですが、児童館は予約の要らない区民活動センターでも、お金を出して入場する民間の子どもの施設でもありません。単なる遊びの場を提供している場所ではないので、仲よしグループだけの集まりや、例えばお父さんのいない子どもが休日に児童館に来て、乳幼児を連れて集まっているお父さんたちを見て疎外感を持つようなことがあってはなりません。平日も地域団体の拠点や学習スペースにしようとしていますが、児童館はただの場所貸しの建物ではありません。新たな児童館は、今までの職員の皆様が築いてきたような母子・父子家庭のお子さんも、両親とも育児に関われない家庭のお子さんも、障害を持つお子さんも、外国人のお子さんも、それぞれのお子さんの家庭環境が大きく違っていても、温かい見守りの中で子どもたちの健全育成に寄与できる児童館となるのでしょうか、御見解を教えてください。

○細野育成活動推進課長 児童館も含めまして、キッズ・プラザ、学童クラブ全体で地域の子どもたちの、または子育ての見守りを行っていく必要があると考えます。児童館につきましては今後、学童クラブ移転後のスペースも活用して、より地域のネットワーク支援や地域の見守り活動を行っていきたいというふうに考えておりまして、そのような取組で子どもたちを温かく見守る施設として運営していけることはできるというふうに考えてございます。

○近藤委員 温かく見守る、温かく見守るとおっしゃいますけど、子どもたち、いないんですからね、そこに。温かく見守りようがないですよね。児童館の本来の目的は、児童福祉法が示す児童に健全な遊びを与え、その健康を増進し、または情操を豊かにすることを目的とする施設です。児童不在の大人たちのたまり場・居場所とならないようにしていただきたいです。学校にも家庭にも居場所がない子どもにとって、今までの児童館が果たしてきた役割は大変大きいのです。この子どもたちが温かい見守りの中で遊びが確保されることが何よりも大事であるとお伝えして、私の質問は終わります。何か御見解があったらお願いします。

○細野育成活動推進課長 居場所ということにつきましては、児童館から近隣にできたキッズ・プラザのほうに利用が移っているという傾向も見られます。居場所機能については両方で賄っていくことが重要と考えておりますので、キッズ・プラザも御利用していただきながら、児童館も計画では数を最終的には九つとする計画でございますが、両方を御活用、それぞれの特徴に合わせて御利用いただいて、児童館を運営する側といたしましても、児童館の運営だけではなく、地域の子ども施設全体の運営をより丁寧に進めていくことで、全体の子ども施策の向上に向かっていきたいというように考えてございます。

○近藤委員 ぜひ児童館廃止の先延ばし案とならないようにお願いいたします。どうもありがとうございました。

○ひやま委員長 以上で、近藤さえ子委員の質疑を終了します。

 次に、いながきじゅん子委員、質疑をどうぞ。

○いながき委員 無所属のいながきじゅん子です。

 二つ目の質問については機会を改めさせていただきます。

 さて、先日の本会議での一般質問でも、なかの生涯学習大学については取り上げさせていただきました。その際にも申し上げましたが、区は3月の本会議にて全会一致で採択された陳情内容への誠意ある対応を行わないまま、結論ありきで再編という名の解体を強行しようとしています。今回の総括質疑では、まずこれまでの区の陳情への対応について改めて確認し、次にそもそもの再編の必要性や妥当性についてお聞きします。なお、質疑ではなかの生涯学習大学を生大という略称で呼ばせていただきますので御了承ください。

 まず陳情の主旨の1番目、新入生の募集停止を撤回し、継続を求めるというくだりについてです。区は、さきの本会議の私の一般質問に対して、令和4年度のなかの生涯学習大学の新入生募集は行わないと改めて答弁されました。これは区として陳情の主旨1を無視した御発言であることをお認めになりますか、伺います。

○宇田川区民活動推進担当課長 新入生募集につきましては、陳情審査の過程で令和4年度に区民の学ぶ機会を奪うことがないように、それから令和4年度の募集をしないというのは見直してほしい、それから空白期間が生じないようにといった御意見・御要望を頂きました。このことを踏まえ、現在、令和4年度の区民の学ぶ機会が途切れることなく継続できるよう、再編に向けた検討を進めているところでございます。今後、在校生・卒業生など、陳情者を含めて様々な御意見を伺いながら検討を進めていきたいと考えております。陳情の主旨を無視したものとは考えておりません。

○いながき委員 これは、これまでの不当な意思決定プロセスや十分な検証の欠如、また、再編後の具体的な姿が示されていないことなどから、なかの生涯学習大学としての新入生の募集停止の決定は受け入れられない。撤回し、募集の継続を要望するという意味であります。前期の厚生委員会でも、私を含む複数の委員から賛同の意見が出ております。区は陳情の解釈を自己都合で大きく曲解していると言わざるを得ません。

 次に、主旨二つ目の説明会についてです。今年2月に2回、区議会議員を排除したクローズドの空間で生大受講生や卒業生などの関係者に向けた説明会が開催されました。前期の厚生委員会にて、課長がこの説明会について、12月20日の区報に生大の新入生の募集停止と再編とが突然掲載され、生大がなくなってしまうのかという多数の心配の声が上がったため、その説明不足を補い、状況説明をするものであったと説明されています。また、実際、主旨にあるような再編理由や事業の姿、現行制度からの移行計画については全く説明がなかったと参加者の皆さんから聞いております。陳情の主旨二つ目で求められている説明会は、いまだ一度も開催されていないという認識でよろしいでしょうか。

○宇田川区民活動推進担当課長 令和3年2月20日と27日になかの生涯学習大学の受講生と卒業生を対象とした説明会を開催いたしました。2月20日はオンラインで開催して参加者50人、27日はオンラインと会場の併用で開催して、合計で参加者77人という状況でございました。ここでは令和3年度予算で検討中の主な取組案に対して頂いた御意見・御質問を踏まえて、1番目として、今なぜ再編をするのか、2番目として、なぜ二つの機能に分けながら検討するのか、それから3番目として、再編はどれほど財政効果があるのか、4番目として、今後新入生の募集はしないのか、5番目として、再編についての説明会の開催、6番目として、再編について検討する過程での区民意見の聴取はしないのかといったことにつきまして御説明するとともに、再編の検討をするに際して基本となる中野区地域包括ケアシステム推進プランが目指すまちの姿ですとか、新しい中野区基本構想の、当時(案)でございましたけれども、そこで10年後に目指すまちの姿ですとか、中野区基本計画、当時素案のたたき台でございましたけれども、そこでの重点プロジェクトですとか、基本目標別の施策・政策等について御案内もしたところでございます。大変たくさんの御意見を頂くことができたと思っております。今後、なかの生涯学習大学の再編の考え方について議会への報告を予定しております。議会への報告後、改めて御説明するとともに、意見交換をする機会を持つ予定でございます。

○いながき委員 長々説明されましたが、陳情の主旨にある内容ではなかったと理解しております。

 次に、主旨の3番目、在校生や卒業生を含む区民の意見を幅広く聞く意見交換会の開催を求めるという内容についてです。今年3月12日の厚生委員会にて、現場の思いを反映するための意見交換会をいつ行うのか、少なくとも第3回定例会くらいまでには一定終わらせないと間に合わないのではという当時の渡辺委員の質疑に対し、課長はどういう形で意見交換をしていくのか、意見聴取をさせていただくのかという方法を含め、急ぎ検討し、スタートを切れるようにすると答弁なさいました。そこで伺いますが、この定例会初日までに意見交換会は開催されたんでしょうか。

○宇田川区民活動推進担当課長 先ほどの答弁の繰り返しとなりますけれども、今後、なかの生涯学習大学の再編の考え方を議会に御報告した上で、説明の機会と併せて意見交換の機会についても持っていきたいというふうに考えているところでございます。また、これに限らず、再編の検討を進める過程では意見を伺いながら進めていきたいと考えております。

○いながき委員 今後じゃ駄目なんですよ。ちゃんとやってから再編の案を出していただかないと。

 続けます。また、区民との意見交換ができないまま時間切れになった場合はどうするのか、その場合はきちんと報告してもらえるのかという渡辺委員の質疑に対し、当時の担当部長が、それについては適時適切に報告したいと答弁をしていました。その後、適時適切な状況報告は議会に対して行われたんでしょうか。

○宇田川区民活動推進担当課長 第3回定例会で、なかの生涯学習大学の再編の考え方について報告を予定しているところでございます。今後、議会に御報告をしながら検討を進めていきたいと考えております。

○いながき委員 状況報告はなされていないというふうに理解をしました。ここまで区は陳情の内容や区議会での意見に全く答えないまま、今定例会で再編の御報告をされようとしています。これは全くもって陳情に対する誠意ある対応とは言えないと改めて申し上げます。

 ここからは再編の効果や妥当性について伺います。そもそも区は再編の検討に当たり、生大についての検証を十分に行っていないのではないでしょうか。課長は今年3月12日の厚生委員会で、生涯学習大学については、ことぶき大学から変わって10年たっていますけれども、その間に区を挙げて組織的な検証というのは実は行ってきておりませんし、多分議会にも御報告したということもないまま10年間来ておりますと御答弁をされています。このような状況で、受講生や卒業生、議会の声も聞かずに、突然再編と新入生募集の停止を決定し、昨年12月の区報で発表したとすれば、行政としてあるまじき行為です。再編を検討するに当たり、生大について十分な検証を行ったのか否か、改めて伺います。

○宇田川区民活動推進担当課長 ことぶき大学を見直して、なかの生涯学習大学としてスタートしたのは平成21年4月でございます。このときに、なかの生涯学習大学の目的として、自己啓発を通して生きがいを持ち、地域の中で新しいライフスタイルを創造する、それから二つ目として、自らの豊かな経験を生かして、共に学び合いながら地域のために活動する意欲を培う、そして最後三つ目として、地域で活動できるよう必要な知識・技術を高め、地域社会への主体的参加の促進を図るという三つを定めております。それから10年以上、この三つの目標を掲げて、検証ですとか、その結果に基づく大きな見直しなどは行うことなく、当初の考えや実施方法により実施してきたところでございます。基本構想の改定、それから基本計画策定の検討と並行しまして、令和元年度に区民部において検討・検証を行い、今後、なかの生涯学習大学が掲げる目的の二つ目と三つ目をより効果的に達成し、卒業後の地域での活動につなげることを目的として、町会・自治会や友愛クラブをはじめ、区民による公益的な活動の支援を所管している地域支えあい推進部に所管を移したところでございます。

○いながき委員 本件は、構造改革の八つの視点の中の公民役割分担の明確化に基づき検討されたということです。まず、この事業の今年度の一般財源の額は110万円です。現在、特別区において生大のような市民大学事業を実施している区は22区、そのうち17区が直営ですが、従事職員数は中野区の3名に対し、特別区全体の平均は単純計算で7名です。この状況で委託する意味は何なのでしょうか。どのような効果があるのかも含めて御説明を願います。

○宇田川区民活動推進担当課長 構造改革の八つの視点のうち、公民役割分担の明確化については、必ずしも直営で実施しているものを委託による実施に見直すということを想定しているものではございません。なかの生涯学習大学につきましては、構造改革の短期的な取組として、公民役割分担の明確化の視点などを踏まえて、令和3年度からこれまでなかのZEROの指定管理者に委託していた運営業務を見直し、ことぶき大学やなかの生涯学習大学の卒業生から運営スタッフを募集して運営するという方式に切り替えております。また、再編につきましては現在検討中ではございますけれども、直ちに企画・運営全てを委託するということは想定しておりません。

○いながき委員 運営委託費を少し削減したことが構造改革というふうにおっしゃっているように聞こえますが、それはちょっとおかしいのではないかと思います。これまでの御説明のように、生大を生涯学習事業と地域での活躍応援事業と二つの事業に分割して所管を分けるのであれば、これまで以上に従事職員数や業務量、予算額が増えてしまうのではないでしょうか。構造改革を叫びながら、それに逆行する方針ではないかと思いますが、伺います。

○宇田川区民活動推進担当課長 なかの生涯学習大学につきましては、先ほど御答弁しましたとおり、令和3年度予算に反映させる短期的な取組として改革を行っております。長期的な取組とは位置付けておりません。なかの生涯学習大学が担ってきた生涯学習を支援する機能と地域での活躍を応援する機能がそれぞれ効果的に機能するよう再編し、それぞれ機能が充実できるよう検討を進めているところでございます。したがいまして、構造改革の提案と矛盾するというふうには考えておりません。

○いながき委員 構造改革に矛盾しているかどうかが重要ではなくて、これまでのような生大の事業を二つに分けるのであれば、これまで以上に職員数や業務量、予算額が増えるんじゃないかということをお聞きしているんです。お答えください。

○宇田川区民活動推進担当課長 今回再編をいたしまして、生涯学習を支援する機能と地域で活躍することを応援する機能を充実するということでございますので、経費の削減ということを目的としているというところではございません。

○いながき委員 それですと、もともと令和3年度予算編成において、区の財政状況に鑑みて検討した事業の見直しの中にこれが入っているんですよ。財政状況は関係ないということだったら、ますます何でこの再編を行うのか、よく分かりません。

 次に、中野区にとっての地域の担い手の定義とは何であり、どのように位置付けをされているのでしょうか、伺います。

○宇田川区民活動推進担当課長 地域では町会・自治会、それから民生・児童委員協議会、赤十字奉仕団、友愛クラブ、青少年の育成活動など、支援団体による活動のほか、まちなかサロンですとか、子ども食堂、フードパントリー、子育て支援活動、環境活動、文化・芸術活動、スポーツ振興の活動、学校支援ボランティア、更生保護の活動など、地域において区民による多彩な公益活動が展開されております。このような地域における区民による様々な公益活動を担っている方たちを地域の担い手というふうにしているところでございます。より多くの方々、そしてより多彩な方々、多様な方々がこうした地域における公益的な活動の場に参加して活躍されることが、新しい基本構想が目指す10年後の姿の実現につながるものと考えているところでございます。

○いながき委員 2021年度の地域支えあい推進部の事業概要によりますと、生大の卒業生の地域参加率は、平成30年度95.9%、平成29年度93.7%となっています。その地域活動の中には、区のおっしゃる地域の担い手としての活動も多く含まれています。エビデンスに基づく区政と言いながら、この数字を無視するのでしょうか。また、文部科学省超高齢化社会における生涯学習の在り方に関する検討会の報告書資料でも、生大が学習成果を地域の活性化につなげている事例として掲載をされています。これらの実績があるのに、なぜ再編する必要があるのでしょうか。

○宇田川区民活動推進担当課長 委員から話がありました生涯学習大学の卒業生アンケート調査についてでございますが、これは卒業1年後の方を対象とした調査と、卒業生の団体で活動している方たちによる交流会がございますが、そちらに参加した方たちを対象とした調査、この二つの調査を合わせたものでございます。これらの対象者に14の活動を挙げて、地域活動に参加しているかということを複数回答可として回答を頂いております。回答者数から、この質問で特に活動していないと回答した方を除いた数を基に地域参加率を算出しているというものでございます。この地域参加率には、地域で行っている趣味の活動なども含んでおりますし、また未記入の方も含んでいる数字となっております。また、平成29年度、それから平成30年度のアンケート調査では、入学前から行っている活動もお尋ねしていますけれども、入学前から行っている活動として地域の町会・自治会と回答している方は、平成29年度実施アンケートでは23.7%、それから30年度実施のアンケートでは30.6%となっております。このアンケート調査の地域参加率の高さのみから、なかの生涯学習大学で学んだことによって地域参加につながったと結論づけるのはなかなか難しいというふうに考えております。そういったことから、再編については検討していく必要があると考えているところです。

○いながき委員 御自分たちが実績として出した数字に対して、生大の成果、実績とはいえないと自己否定するというのは、私はどうかと思います。

 生大を解体して新しい講座を開設した結果、地域の担い手はどのくらい増えると想定していらっしゃいますか。町会・自治会などの地縁組織の会員数も本当に増えるんでしょうか。

○宇田川区民活動推進担当課長 再編につきましては現在検討中でございますけれども、このプログラムの中で、必修のプログラムとして生涯学習と、地域で活動したり、地域の活動に参加する意味といったことを学んだり、御自身で考えるプログラムを取り入れることを検討しております。また、中野区内の地域活動を知って体験等をするプログラムや団体を自ら立ち上げるプログラムなどについても検討しているところでございます。そして、1年間の最後に、これも必修でございますけれども、学んだ方たちを今後の活動につなげるフォローのプログラムというものも検討をしております。地域の担い手がどのくらい増加するか、お答えするのは難しい状況ですけれども、受講した方を御自身の活動につなげる出口支援機能を充実することによって、現在より増加を見込んでおります。また、こうしたプログラムの充実により、町会・自治会や友愛クラブなど、会員数の増加にも寄与できるものと考えているところでございます。

○いながき委員 ちょっと質問を飛ばします。

 そもそも生大は社会教育事業であって、地域の担い手を養成・輩出する場ではありません。生大の事業目的にも、地域のために活動する意欲を培う、地域社会への主体的参加の促進を図ると書かれているだけであります。それをねじ曲げて、区にとって都合のよい地域の担い手の養成の場としようとする発想自体がそもそもおかしいのではないでしょうか。

○宇田川区民活動推進担当課長 なかの生涯学習大学は社会教育・生涯学習という面も持っております。社会教育や生涯学習は、あくまでも主体的な学びを基本とするものではございますけれども、先ほどの御答弁と重なりますが、なかの生涯学習大学はことぶき大学から移行するに際しまして、三つの目的を定めています。その一つが自己啓発を通して生きがいを持ち、地域の中で新しいライフスタイルを創造するということ、二つ目が自らの豊かな経験を生かして、共に学び合いながら地域のために活動する意欲を培うというもの、それから三つ目として地域で活動できるよう必要な知識・技術を高め、地域社会への主体的参加の促進を図る、この三つの目的で10年以上にわたって実施をしてきたものでございます。目的の二つ目、三つ目は、地域の担い手の育成、地域での活躍を応援する機能ということとして捉えているところでございます。

○いながき委員 しかも、多くの生涯学習事業がカルチャーセンター的な内容にとどまっている中で、教育基本法第3条に定められた生涯学習の理論にのっとった事業でありながら、地域につながる存在をも輩出しているのが他の自治体の市民大学事業にはない生大の大きな特徴であります。国や東京都、他の特別区からも注目されていると聞いています。この3年くらいの間、受け入れた取材や視察、問い合わせなど、何件くらいあったのでしょうか。件数と内容について伺います。

○宇田川区民活動推進担当課長 まず令和元年度なんですけれども、なかの生涯学習大学は全国市民大学連合により優良市民大学に選ばれております。視察、取材、問合せ等につきましては、区として正式な依頼を受けて行ったものは、令和3年度の日本社会教育学会の報告のみでございます。ただ、職員が記録等で残しているものによりますと、令和元年度につきましては、台湾の大学の学生さんへの事業説明、講師が所属する大学で職員が事業説明を行った例がございます。このほか、講義に他の自治体等が参加した例が6件、大学の卒論の作成等の取材を受けた例が2件ございます。いずれも講師の先生からの御依頼によるものでございます。令和2年度につきましては、講師の先生からの御依頼を受けて東京都福祉保健局や民間研究機関からの取材が2件、同じく講師の先生からの御依頼による事業紹介等が7件、他区からの取材が1件、6区から新型コロナウイルス感染症対応についての問合せがございました。また、他県からの視察が1件ございました。また、なかの生涯学習大学の在校生によるチームICTという活動をしているグループがあるんですけれども、こちらのグループが東京都福祉保健局の研修で活動報告を行っております。令和3年度につきましては、日本社会教育学会で社会教育主事が報告をするとともに、講師から依頼でチームICTが日本シニア学会で報告を行っています。このほか、講師からの依頼による取材等が1件、それから自治体等が参加した例が4件、5区から新型コロナウイルスの問合せがございました。

○いながき委員 ちょっとまた飛ばします。

 先日、9月9日に生大のプログラムとして実施した区内で活動する団体を紹介する事業は評判がよかったと聞いています。地域団体についての講義だけでなく、今回のような団体PRの場を生大のカリキュラムにうまく組み込むことで、より多くの受講生・卒業生が地域団体につながる大きなきっかけになるのではないでしょうか。また、現在、社会福祉協議会が地域活動応援のための講座を既に実施しています。ファミリーサポートやほほえみ事業の協力会員さんが実際に活動をスタートする前の事前研修代わりにそれらの講座の受講を推奨されているとのことです。同じように、生大受講生が卒業後、スムーズに地域につながるような講座をこちらで用意してもらえばよいのではないでしょうか。ほかにも、様々な工夫を凝らすことで、現行の生大の枠組みを維持しつつ、地域の担い手をさらに増やすことは十分可能であり、わざわざ生大を廃止・分割する必要性はないと思いますが、いかがでしょうか。

○宇田川区民活動推進担当課長 令和2年度に支えあい推進部が所管することになりましたことから、その強みを生かすという意味で、令和2年度の臨時企画プログラムの中でも町会連合会、民生・児童委員協議会、友愛クラブ連合会、それから社会福祉協議会等に御協力いただいてパネルディスカッションを行い、地域の活動を紹介させていただいています。今年度はこれらの団体のほか、保護司会、国際交流協会やシルバー人材センターにも御協力をいただいて、パネルですとかチラシ等で区内の活動を紹介するという「中野を知ろう、集まれ中野の仲間」というものを開催したところでございます。こうした工夫については昨年度から実施してきているところでございますけれども、地域の活動を知ったり、今後の地域で自分がどのような活動をしていくか考えたりするためには、個別に対応できるプログラムが必要ということを痛感しているところでもございます。こうした工夫だけで生涯学習を支援する機能の充実や地域での活躍応援機能の充実を図るということは難しいというふうに考えているところでございます。

○いながき委員 税金で学んだ方々が地域につながってないという理由で生大を再編しようとしているにもかかわらず、その後、学ぶだけで終わる生涯学習事業を新たに立ち上げようとしていることにも大いなる矛盾を感じます。2009年にことぶき大学からなかの生涯学習大学に変えた理由が、学びで終わらせずに地域へつなげることであったにもかかわらず、またそれを二つに分けて、学びたいだけの人たちの受け皿として生涯学習事業を新たに立ち上げるというのはおかしいのではないでしょうか。

○宇田川区民活動推進担当課長 再編につきましては現在検討中でございます。生涯学習を支援する講座等については、学びを中心としたプログラムとなりますけれども、先ほどの答弁と重なりますが、年度の最後に必修で、これらの活動を考える、振り返って御自身たちの活動を考えるプログラムを用意するということで検討を進めております。また、地域での活躍を応援する講座等を併せて選択できるような工夫も検討しているところでございます。

○いながき委員 生大は、最初はその気はなくとも、仲間と時間をかけて学び、活動する中で、何か自分も地域のためにできることをやってみようというボランタリー精神や意欲を引き出し、育てる場となっています。また、自分一人で立ち上がり、周りのみんなを引っ張っていくことはできないけれども、誰かリーダーがいたらついていきたい、力になりたいという人も少なくありません。そういう方々も地域の担い手として欠かせない大切な存在です。やる気がある人が応援講座を受けて、その気になっても、地域活動は一人では成り立ちません。生大は地域活動のリーダー的存在だけでなく、潜在的な担い手の発掘の場、きっかけづくりの場として大変貴重な存在となっています。区はその価値を不当に低く評価しているのではないでしょうか。

○宇田川区民活動推進担当課長 なかの生涯学習大学の三つの目的は、さきに御答弁させていただいたとおりですけれども、この目的を達成するために、生涯学習を支援する機能と地域での活躍を応援する機能を併せ持っているということがなかの生涯学習大学のよさであり、魅力であるというふうに認識をしているところです。また、なかの生涯学習大学では、豊かな社会経験を積み、専門的な知識や技術などを持ちながら、これまで地域と関わったことがないという方が受講されているという特徴もあるかと認識しております。こうした方たちが御自身の経験や知識、技術を生かして、何らかの形で地域につながっていただけることで、地域はより豊かなものになっていくものと考えているところでございます。

○いながき委員 生大を再編した新しい事業を令和4年度からスタートするということですが、これから議会報告をはじめ、段階を踏んで進めていかなければならない状況なのに、間に合うのでしょうか。そもそも再編は令和5年度の予定だったはずです。なぜそこまで急ぐのでしょうか。

○宇田川区民活動推進担当課長 中野区基本構想も改定されております。それから中野区基本計画(案)もまとまったところでございます。こうしたことを踏まえ、検討を急いでいるというところです。今後、陳情の主旨を踏まえ、なかの生涯学習大学の在校生や卒業生など、陳情者の方も含めて広く区民の皆さんと意見交換を行いながら、なかの生涯学習大学の接続も考慮し、空白期間が生じることがないよう検討を進めたいと考えております。

○いながき委員 最後に、区長にお聞きします。区長は職員時代から、なかの生涯学習大学の再編、期間の短縮に大変積極的だったと伺っております。今回の現行生大の廃止、再編計画は区長肝煎りのプロジェクトであり、主導されたと考えてよろしいでしょうか。また、区長が生大を再編すべきと考える最大の理由は何でしょうか。御担当からは、区長は仕事を通して生大や地域のことに大変お詳しいと聞いています。ぜひこれまでの御経験に基づいたお考えをお聞かせください。

○酒井区長 まず今回御質問いただいた中で、1点目に申し上げたいことというのは、この生涯学習大学の事業というものも区が行っている事業の一つでございます。我々、全ての事業に対して効果と成果をちゃんと確認をして、改善すべきところはすべきということで、全ての事業に対して毎年見直しを行っていることでございます。ですから、今の生涯学習大学のやり方、進め方が、何も問題がなくて、改善すべきところがないということではないということを最初に申し上げたいと思います。そして、私が区長に就任をして感じた課題としては、地域の活動の現状を見ましたところ、区民の皆さんの声を聞く機会も大変増えまして、自らも足を運んで地域の様々な活動の状況を把握してきたところでございます。その中で、中野区においては、より豊かな暮らしを実現するために、区と区民との協働や協創というものをまちづくりの基本として大切にしていく必要があるということで、今回基本構想の改定及び基本計画の策定に取り組んでまいりました。その中で、やはり担い手というものがまちづくりにとってこれからは必要であるということと、地域包括ケアを実現する中でも、その考え方を社会教育の中でも生かしていく必要があると感じたところでございます。また、基本構想が掲げる10年後のまちの姿「つながる はじまる なかの」、これを実現するために公益活動の支援・機能の充実とともに、多様な人材が地域で活躍できるよう支援する機能の充実が欠かせないと考えております。

 なかの生涯学習大学につきましては、特に地域包括ケアを進めていく上で、よさを生かしながら、生涯学習を支援する機能と地域での活躍を応援する機能、それぞれ充実する必要があると考えております。

○いながき委員 もちろん生大については、陳情者の方々も私も改善すべきところは改善すべきと、それはそう考えています。それを突然、再編後の姿や効果も示さず、明確な根拠もなく、一方的に生大を解体・再編することを決めた区の政策決定プロセスには大いに問題があります。併せて、全会一致で採択された陳情をここまでないがしろにするなど、議会や区民を軽視する中野区の姿勢も今回の質疑で改めて明らかになったと考えています。結論ありきで、議会や区民の声に真摯に耳を傾けようとしない区の姿勢は、今定例会でも多くの議員が取り上げた生活援護課の事務室配置問題にも表れています。これは基本構想に示された区民に信頼される対話と参加の区政とはかけ離れたものであります。

 最後に、今回の生大再編について、生大と関わりの深い早稲田大学名誉教授の増山均先生からメッセージを頂きましたので、最後にそれを読み上げさせていただきます。当方は現在、早稲田大学を定年退職し、直接大学での教育に携わっておりませんが、在任中は15年以上、なかの生涯学習大学の講師として世代間交流のゼミなどに関わらせていただきました。私の感想を一言で集約すれば、なかの生涯学習大学とそこで学んで地域で活躍している多くの卒業生の皆さんは中野区の無形文化財であるということに尽きます。中野区を支え、輝かせていく無形文化財とでも言うべき人材を次々に育ててきた生涯学習大学の伝統を放棄することになれば、それは価値ある文化財を廃棄するに等しい愚策だと思います。存続と発展の道を進めることこそが中野区の未来を切り開く方策だと考えています。早稲田大学名誉教授、増山均。

 以上をもちまして質問を終了します。ありがとうございました。

○ひやま委員長 以上で、いながきじゅん子委員の質疑を終了します。

 次に、石坂わたる委員、質疑をどうぞ。

○石坂委員 質問いたします。

 子どもの人権についての(1)国のこども庁創設の動きについてお伺いいたします。児童福祉法の改正を皮切りに、児童関係の法律において子どもの権利の保障や、それに伴う行政の取組の拡充が進んできました。縦割り行政を廃止し、子ども関連の行政組織を一元化する国のこども庁が作られると、子どもの権利の保障、保育者支援、医療的ケア児、障害児対応を含めた医療・療育・教育・福祉の相互連携など施策の充実が国レベルで進み、市区町村にも波及してくることとなると思われます。こうした国の動向は、中野区が目指す子ども施策と共通する部分も多いと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○青木子ども政策担当課長 子どもの権利保障につきましては、平成28年の児童福祉法改正に始まり、様々な子どもに関係する法律において、その趣旨が盛り込まれてきました。また、本年6月に閣議決定された政府の経済財政運営と改革の基本方針2021において、子どもの権利を保障することや、困難を抱える子どもへの支援等が抜け落ちることのないような行政組織の創設が掲げられているところでございます。区は、区民に最も身近な基礎自治体としまして子どもの権利に関する条例を制定し、子どもの権利を保障していくための取組を進めていくこととしておりまして、このことはこうした国の動きと軌を一にするものであると認識してございます。

○石坂委員 こども庁の議論が急速に進んだのは、自民党の若手国会議員の有志が立ち上げた「Children Fristの子ども行政のあり方勉強会」によるウェブアンケートに1万7,000人が回答し、合計件数が4万8,000件となったことがあると言われています。そして、具体的な提案要望の集計結果の1位が教育費の負担軽減や公教育の質、そして性教育の徹底などを含む教育費負担の軽減と公教育の質の向上が約5,100件、2位が子どもの命を最優先に守る体制の強化や被虐待児の支援と虐待親への指導を含む子どもの命を最優先に守る体制強化と子どもの意見を聞く仕組みづくりが約5,000件になっています。また、同勉強会は子どもの権利条約を踏まえたこども庁創設に向けた緊急提言も行っています。中野区でも、公教育はもちろん、保育や児童福祉の質と安全、性や命についての正確な知識を得て自他の性や命を大切にする力を育成すること、こうした子ども向けの取組や社会環境全体に対する意見を聞く仕組みを整えるとともに、全ての人が取り残されることなく、その機会を設けることが必要であると思いますが、いかがお考えでしょうか。

○青木子ども政策担当課長 子どもの意見表明につきましては、児童の権利に関する条約の中でも重要な要素の一つであると認識してございます。審議会の答申の中でも、子どもの意見の尊重、とりわけ参加の仕組みを条例で規定する必要がある旨、御提案いただいているところでございます。区としましては、子どもに優しいまちを実現する上で、子どもの意見の尊重は重要であると考えておりまして、この考え方を条例の基本理念として規定していくことを考えてございます。

○石坂委員 菅首相が退陣の意向を表明したことを受け、こども庁創設の行方が危ぶまれていますが、国の動向を注視しつつも、国の状況に左右されることなく、先端を行く覚悟で進めることが必要であると思われますが、いかがでしょうか。

○青木子ども政策担当課長 いじめや虐待、貧困など困難な状況にある子どもや、多様な背景を持ち、それが理解されず苦しんでいる子どもがいると認識しております。その中にあって、子どもの権利を保障し、子どもに優しいまちづくりを進めることは、区民に最も身近な基礎自治体として重要な責務であると認識してございます。全ての子どもの権利が保障されるように、虐待や体罰の防止、子どもの意見表明の機会の確保、貧困の防止などの取組を進めていく考えでございます。

○石坂委員 ()として(仮称)中野区子どもの権利に関する条例について伺います。初めに、既存のユニバーサルデザイン推進条例や現在検討中の人権を尊重した多様性を認め合う条例との関係性や位置付け、すみ分けについてお答えください。

○青木子ども政策担当課長 いずれの条例につきましても、人権を尊重することというものが基礎となっていると認識しております。その中で、子どもの権利に関する条例につきましては、子どもの人権尊重の視点から、全ての人が生まれながらにして持っている人権が子どもであることを理由に侵害されることがないよう、これを保障していくことを目指したものでございます。

○石坂委員 そして、子どもの意見を聞く仕組みとマイノリティへの配慮ですが、今回の条例では子どもはその意見、考え及び思いを表明することができ、自己に関する事項について、その意見等が尊重されるとされています。障害児についての意思表明の権利と、それを保障するための機会の提供や支援などはどのように進めていきますでしょうか。

○青木子ども政策担当課長 これまで特別支援学級を含めた区立中学校、区内の高校、国際交流協会等への出前授業やウェブ等による意見聴取を行いまして、これらを踏まえた上で条例の検討を進めてきたところでございます。障害の有無にかかわらず、全ての子どもは意見を表明することができ、その意見が尊重されることが重要であると考えており、多様性を前提としつつ、子どもの意見の尊重や参加の仕組みにつきまして検討を進めてまいりたいと考えてございます。

○石坂委員 その中で参加の仕組みを作っていただけるということですけども、そもそも本条例を作る際の障害児からの声は、どのように機会を設けて反映しているのかどうか教えてください。

○青木子ども政策担当課長 これまでの条例の検討過程におきまして、特別支援学級を含めた区立中学校等への出前授業やウェブによる意見聴取を行って、検討を進めてきたところでございます。

○石坂委員 過去の質問でそうした機会を設けるようにということを言ってきましたけど、今回その機会を設けていただいて助かっています。よかったと思います。

 その上で伺いますが、これまでハイティーン会議や成人式の実行委員は障害児者を排除していない募集をしているようですが、実態として、いまだコミュニケーションや内容理解に支援が必要な知的あるいは視聴覚の障害者等の参加がない状況が続いています。今回の条例で設置が予定される子ども会議も、参加を促す工夫、参加者を選定する上での工夫、実際に参加をする際の配慮がなされ、そのことが募集段階から明示されることで、安心して合理的な配慮を受けながら参加ができ、声を聞いてもらえると思ってもらえなければ、障害児者は目に見えない壁に阻まれて参加ができません。どうお考えでしょうか。

○青木子ども政策担当課長 子ども会議は、区政などへの意見表明及び参加の機会の一つとして開催するものとして検討しているものでございます。子ども会議に多様な背景を持つ子どもの意見が反映されるよう必要な配慮を行っていくことは重要であり、こうした視点も持ちながら検討を進めていく考えでございます。

○石坂委員 具体的にどのような配慮が可能であるのか、しっかりと明示しながら進めていただければと思います。

 また、クローゼットの中にいる子どもたちの意思表明についての課題もあります。見た目が多くの日本人とさほど変わらない東アジア系の外国にルーツを持つ子、LGBT児、生活困窮者家庭の児童などは、特に口にしなければ他児、ほかの子どもたちに紛れることができ、マイノリティであることを知られたり、いじめられたりすることなく、直接的な差別偏見にさらされずに子ども時代を過ごす場合も少なくありません。しかし、それゆえに自らや家庭に向けられた心ない言葉を傷つきながら聞き流したり、うそをついて周りに同調したりといった経験をする子、マイノリティ当事者であることを必死で隠している子、息苦しさを吐露することや改善を求めたりすることを躊躇する子も少なくありません。そして、そうした積み重ねが自己肯定感の低さ、社会不適応行動、刹那的な生き方に至る場合もあります。目に見えにくい子の声を対面などの子ども会議の場面だけではなく、電話、SNS、メールなどの手段を通じて、顔や名前が出せない子の声もしっかりと聞ける機会も設けるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○青木子ども政策担当課長 子ども会議は、区政などへの意見表明及び参加の機会の一つとして検討しているものでございまして、これに限らず、子どもへの意見聴取につきましては多様な手段を用意することが重要であると考えております。電話やメール、SNSなどを活用していくことも検討していく考えでございます。

○石坂委員 チャンネルが多いことが成果につながると思いますので、ぜひ様々な子どもに対応できる形でお願いいたします。

 次に、子どもが受ける暴力やマルトリートメントについて伺います。(仮称)中野区子どもの権利に関する条例の考え方(骨子)での文言を見ますと「身体的または精神的な暴力を受けないこと」とありますが、それ以外の性的虐待やネグレクトも重大な問題です。また、私は平成24年の決算総括質疑でマルトリートメント、すなわち児童虐待とまではいえないものの、大人から子どもへの不適切な関わりについて質問をし、当時の課長からマルトリートメントは養育支援ケースというふうに把握をしており、平成24年9月末現在でおおむね200件程度との答弁がありました。性的虐待やネグレクト、そしてマルトリートメントを受けないことも条例で明示すべきではないでしょうか。

○青木子ども政策担当課長 本条例におきましては、子どもの権利を保障するために重要となる理念等を規定することを考えております。子どもの最善の利益を考慮し、性的虐待やネグレクト、マルトリートメントの防止の視点なども含め、子どもの権利保障の取組を進めてまいりたいと考えてございます。

○石坂委員 しっかりと取組という形で、具体的に進めていっていただければと思います。

 次に、いじめ、体罰を受けないこととあります。中野区いじめ防止等対策推進条例では、第2条でいじめの対象を「児童等」とした上で、「児童等」の定義を学校に在籍する児童または生徒を言うと規定し、幼児が除外されている問題を当該条例制定時の討論で私は指摘をいたしました。本条例でのいじめについて、幼児は含まれるでしょうか。

○青木子ども政策担当課長 本条例は、幼児を含めた全ての子どもの権利を保障するということを目指したものでございます。

○石坂委員 しっかりと幼児のいじめについても取り組んでいただけるということで、期待をしております。

 4、その他で、条例の文言について幾つか伺います。家庭の環境、経済的な状況、社会的身分、国籍、障害の有無、性別、性自認、性的指向等により差別されないこととあります。なお、障害については、障害者差別解消法では不当な差別的取扱いに加えて、合理的配慮をしないことが禁止されています。障害者差別解消法未満のことを条例で定めても仕方がありません。また、本条例の趣旨から考えれば、合理的配慮を障害児のみに保障すればよいものでもありません。さきに述べた対象に対する不当な差別的取扱いの解消に加えて、合理的配慮も明示すべきではないですか。

○青木子ども政策担当課長 子どもの権利保障の取組を進めていくに当たっては、当然にユニバーサルデザインや障害者差別解消等の趣旨を踏まえる必要があると認識してございます。一方で、本条例におきましては、全ての子どもの権利を保障するために重要となる理念等を規定することを考えておりまして、条約の一般原則にもなっている差別の禁止を規定することを考えてございます。

○石坂委員 当然その中には取組として、合理的配慮も視野には入っているということなのかどうかを一応確認させてください。

○青木子ども政策担当課長 進めていくに当たりましては、当然にユニバーサルデザインや障害者差別解消等の趣旨を踏まえて進めていきたいと考えております。

○石坂委員 ありがとうございます。しっかりとお願いいたします。

 次に、国籍という表現について、人権を尊重し、多様性を認め合うための条例の答申では、国籍、人種、民族という表現をしています。日本国国籍を持っていても、親の一方が海外にルーツを持つ場合などもあります。表現を改めるべきではないでしょうか。

○青木子ども政策担当課長 多様な背景を持つ子どもがいることを前提として、子どもの権利保障の取組を進めていくということが重要であると認識しているところでございます。こうしたことを踏まえた上で、表現方法については、さらなる検討を進めてまいりたいと考えております。

○石坂委員 しっかりと形になる形で検討を進めていっていただければと思います。

 次に、2項目として、生理ナプキンについて伺います。まず先般、中野区は家庭の事情等により生理用品を用意することが難しい方に防災備蓄品の生理用品を配布することとしました。なお、対象者を女性に限定していないことや配布窓口にて専用カードを提示すれば口頭で伝えなくても受け取れるようにしたこと、本人確認を不要としたことを高く評価します。ただ、ナプキンに同封の相談案内に掲載された性的マイノリティの相談の枠組みが女性のための相談となっていることが気になります。女性に限定した表現は次の機会には考えるべきではないでしょうか。

○青木子ども政策担当課長 生理用品の無償配布に当たり、同封したチラシにつきましては、生理用品を受け取った区民の中で課題を抱える方々を適切な相談窓口につなげることを目的として、性的マイノリティ相談も含めた多様な相談窓口を掲載し、作成したものでございます。御指摘の点も踏まえ、今後とも多様性に配慮した取組に努めてまいりたいと考えております。

○石坂委員 情報が載っていること自体はいいことだと思いますので、この整理の仕方、気をつけていただければと思います。なお、外科的手術をしていない等で戸籍上は女性であるが、本人の性自認は男性で、ホルモン治療によりひげも生えているトランスジェンダーの方もいます。なお、性同一性障害としてのホルモン治療は、公的医療機関や生活保護の医療扶助の対象外です。そのため、生活が困窮した際、こうしたトランスジェンダーの当事者がホルモン治療を中断すると、ひげが残ったまま生理が始まります。今後の平常時の生活困窮者向けの生理用ナプキン配布では、見た目が男性でも、職員はあれこれ聞いたり、意外そうな顔をすることなく、生理用ナプキンを相手に渡せるような意識を持って配布に臨めることや、トランス男性が安心してナプキンをもらいに来れるようにすることが必要だと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○青木子ども政策担当課長 区としましては、職員においては職員研修を通しまして性的マイノリティの方の困りごとや必要な配慮など、必要な知識と対応スキルの習得に努めており、引き続き研修を通して職員の意識の向上を図るとともに、当事者の声等も踏まえ、適切な対応を努めてまいりたいと考えてございます。

○石坂委員 ありがとうございます。

 次に、担当は代わると思いますけども、災害時の生理用ナプキンの配布でも同様の取扱いができるようにすべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○田邉防災危機管理課長 災害時の避難所における生理用品の配布についてお答え申し上げます。避難所運営において、物資の管理や配布については防災会を中心とした避難所運営委員会やボランティアが担うこととなっております。今後、避難所運営マニュアルにも様々な方がいることへの配慮や心構えを記載し、周知を図っていきたいと考えております。

○石坂委員 しっかりと徹底していただくことですとか、あるいは、区のふだんの配布のほうでカードがあることなども踏まえた形で進めていっていただければと思います。

 次に、広告を見ると無償で生理用ナプキンが手に入る仕組みが区役所本庁舎の女子トイレに導入されることになりました。しかし、女子トイレではなく、多目的トイレ利用者でナプキンを必要とする人もいます。例えば車椅子利用者、ナプキンの交換に介助が必要な人、トランスジェンダーなどです。男女別ではない多目的トイレでも生理用ナプキンが手に入るように、新たに機器を設置するか、すぐには難しいようであれば、多目的トイレ利用者や介護者等が申し出れば別途ナプキンを入手できるようにすべきではないでしょうか。

○滝浪子育て支援課長 子育て家庭の母親の健康維持、ジェンダーギャップの解消や生理用品を購入する経済的負担の軽減を図るため、持続可能な事業として事業者と連携し、生理用品無料配布システムを今回導入いたしました。機器の設置に当たりましては、女子トイレだけではなく、多目的トイレも含めて事業者が実地調査しておりまして、多目的トイレにはいずれも設置することができませんでした。今後も、多目的トイレに新たに機器を設置する際には個室内の設備配置などを確認の上、設置の可否を判断していくとともに、機器が設置できない場合の配布方法につきましては検討してまいりたいと考えております。

○石坂委員 しっかりと検討していただきたいと思いますし、特に新庁舎に今後なっていく中でも考えていただかなければならないかなと思います。というのも、障害等により女性のトイレが使えない人だけがこうした機会を得られない、ナプキンを入手できないということが長期的に放置されることは中野区ユニバーサルデザインの考え方や国レベルでの障害者差別解消法にそぐわないと思われますが、これはいかがお考えでしょうか。

○滝浪子育て支援課長 これにつきましても、先ほどと同じく、そのような思想に反することとなることがないように、機器の設置でありますとか配布方法について検討してまいりたいと考えております。

○石坂委員 ぜひお願いいたします。また、東京都は9月から全ての中高一貫校や特別支援学校を含む都立学校の女子トイレに生理用品を配置する方針を明らかにしました。区でも全ての区立学校の女子トイレや多目的トイレにナプキン等の設置をすべきではないでしょうか。

○松原学校教育課長 区立小・中学校におけます生理用品についてでございますが、養護教諭などが必要とする児童・生徒の心身の状況などを把握いたしまして、十分な配慮のもとに保健室において渡しているところでございます。今後とも児童・生徒の健康面や指導面など様々な観点から、学校と相談しながら適切に対応してまいりたいと考えております。

○石坂委員 しっかりと東京都の動向も確認をし、どのようにやっているのか把握しながら進めていっていただければと思います。

 そして次に、児童館ですとか今後検討されている中高生向けの施設など、10代の子どもが使う子ども施設はどのようになりますでしょうか。

○細野育成活動推進課長 生理用ナプキンは児童館にも準備してございますが、必要な方が利用できるように、今後より周知を行っていく予定でございます。また、今後整備する予定の中高生施設につきましては、他の区立施設と同様に機器の設置なども視野に入れて検討してまいります。

○石坂委員 特に、用意はしてあっても周知がされていないと使う発想にならないので、しっかりと周知を含めて進めていただけますよう、お願いいたします。また、将来的には全ての区有施設の女性トイレや多目的トイレでトイレットペーパーと同様にナプキンが手に入る方法や、それ以外の民間施設への設置も当たり前となるような啓発を進めていくべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。

○滝浪子育て支援課長 本庁舎に導入した生理用品無料配布システムの利用状況を踏まえまして、事業者と協議の上、今後、他の区有施設への設置などにつきましては検討してまいりたいと考えております。今後、多くの区民が利用する様々な区有施設へ設置を進めていくことで、このようなシステムや取組について、広く区民や民間事業者の方々に知る機会としてまいりたいと思っております。

○石坂委員 当然、置いてあることに気づいてもらうのもそうですけども、置いているんですよということの打出しということも含めてお考えになっていただけるということでよろしいでしょうか。

○滝浪子育て支援課長 そのような周知もしてまいりたいと思っております。

○石坂委員 ぜひお願いいたします。

 次に、3個目ですね、犯罪防止・再犯防止と更生支援について伺います。

 まず(1)として、多問題家族・機能不全家族の支援とアダルトチルドレンについて伺います。アダルトチルドレン、いわゆるACは子ども時代に親との関係で受けた心の傷が現在の生きづらさやパーソナリティーに影響している状態を指す言葉です。もともとはアルコール依存症の家族であったACであるアダルトチルドレン・オブ・アルコホリックス、いわゆるACOAが注目を集めることとなりましたが、現在は機能不全家族のACであるアダルトチルドレン・オブ・ディスファクンショナル・ファミリー、いわゆるACODも含められます。フリードマンなどは、家族の機能を大きく五つに分類し、性的欲求の充足と規制をする性的機能、社会に適応できる人間を育成する社会化機能、共同生活の生産と消費の単位である経済機能、安らぎや憩いの場としての情緒安定機能、相互に扶養援助する福祉機能があります。もちろん家族の機能は時代や社会状況によって変化し、役割の一部が福祉や教育サービスなどに外部化されていますし、多様な家庭の形態があります。しかし、生活困窮、引きこもり、高齢者や障害児者の介護や介助の負担、困難な育児、家庭内の暴力などを抱えた多問題家族では、暴力や不仲や無関心などで家族の機能を大きく損なわれ、機能不全家族となるリスクが高まります。こうした多問題家族に対し、どのように状況を把握して、切れ目や落ち度のない支援を行っていきますか。また、機能不全家族となった家庭に対し、どのように状況を把握し、どういう形で支援を行っていますか、お答えください。

○大場鷺宮すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 すこやか福祉センターにおきましては、乳幼児健診等の各種事業や相談、医療機関等の関係機関、地域からの情報提供があり、職員が関わっていく中で多問題家族や機能不全家族を把握しているところでございます。また、すこやか福祉センターのアウトリーチチームが日頃から潜在的な要支援者の発見に努め、関係する機関への支援へとつなげております。多問題家族や機能不全家族への支援は、複雑で多岐にわたるため、関連する機関・団体との連携が重要であり、情報を共有しながら総合的・包括的支援を行っているところでございます。

○石坂委員 ありがとうございます。なお、LGBTの子どもの場合、性的指向や性自認を示す言葉であるSOGIをひた隠しにしている場合が多く、親から子どもへの無自覚なマルトリートメントが行われたり、親にSOGIを知られてしまった場合に、虐待やマルトリートメントを受けたりする場合もあります。先日も区内で生活困窮支援をしているシェルターのスタッフから、子どものSOGI、性的指向・性自認について理解できない母親から、トランスジェンダーであることを理由に家を追い出された高校生から支援を求められた話がありました。このケースでは本来、家を追い出された子どもを保護すべき施設が、その子がトランスジェンダーであることを理由に受け入れを断ってしまい、支援に当たっていた弁護士が困ってしまう状況に至りました。また、その結果、本来子どもの支援はしない生活困窮者支援のシェルターがその子の支援に奔走する事態となりました。区は、児童がトランスジェンダーであるという理由で、虐待などにより家族から逃れるための施設が受け入れを拒む場合の支援策を考えておくことや、そもそも施設が受け入れを拒まず、いざというときに協力をしてもらえるよう、施設職員への理解促進や日頃から受け入れを想定した施設の在り方の検討を促すべきと思われますが、いかがでしょうか。

○古川児童福祉課長 何らかの理由で家族と生活ができなくなった児童に対しては、その対応手段の一つとして、社会的養護施設の利用が考えられるところでございます。近年、児童養護施設に関しましては、施設の改修等に合わせて小規模化や個室化が図られ、LGBT児童の受け入れの環境は徐々に整ってきていると理解しておりますが、社会的養護施設全体では施設上、または運営上の制約もあり、受け入れが厳しい状況ではないかと受け止めているところでございます。子どもの最善の利益を実現するため、あらゆる児童を受け止めていただけるよう、社会的養護施設との連携の中で様々な子どもたちへの理解について進めていきたいというふうに考えてございます。

○石坂委員 ありがとうございます。しっかりとお願いいたします。なお、子ども、障害者、高齢者を問わず、保護のための措置や福祉のサービス契約時も起こり得ます。ほかの部署でもしっかりと取組を進めてもらえるようお願いいたします。

 なお、機能不全家族で育った子は、成人後も自己肯定感、自己有用感、自己効力感が低くなることがあります。そして、将来、他者との信頼関係の確立、親密な恋愛、自分の人生の方向性に確証を持つこと、私は私でよかったと思う感情に課題を抱える場合があります。これらはストレスに対する脆弱性、1人では抱え切れない不安や絶望、様々なストレスをもたらし、過剰適応、AC、抑うつ、自殺企図、触法行為、アディクション―例えば薬物、アルコール、処方薬などの物質への依存ですとか、セックス、ギャンブル、過食、嘔吐、買物などへの行為の依存、また恋愛依存、共依存など人への依存などがあります。これらを含めたアディクションです―などに至るということがあります。犯罪に至る経緯は様々で、これで全ての犯罪がなくなるわけではありませんが、犯罪行為を含む様々な問題の発生を防ぐとともに、子どもを含む家族の構成員がより安定した幸福な生活を過ごせるよう、多問題家族や機能不全家族に関わることが必要です。成人も含め、機能不全家族で育った家庭の子どもは障害名や診断名がなく、生活困窮や暴力などの表立った形で問題がなくても、心の傷や自己肯定感の低さなどの困難を抱えている場合があります。こうしたケースもすこやか福祉センターで対応できるようにすべきと思いますが、いかがでしょうか。

○大場鷺宮すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 すこやか福祉センターにおきましては、保健師や心理職などの専門職による電話や来所による相談、家庭訪問を行っております。また、必要に応じて専門医師による相談を行っているところでございます。機能不全家族で育った家庭の子どもや大人に対する課題は複雑で多岐にわたるため、個々の状況を把握するため、ケース検討会議や様々な関係機関と連携を図り、適切な支援へとつなげているところでございます。

○石坂委員 ありがとうございます。

 ここまで質問、聞いてきましたけれども、その上で改めて(2)の初犯及び再犯の防止について、これまでのところを踏まえて伺います。保護司の支援を受ける人の中に、軽度の障害や何らかのマイノリティ性を持ち、生きづらさを抱えた人が少なくないとの話を耳にします。また、覚醒剤防止の際の「ダメ。ゼッタイ。」という言葉がありますが、このタイプの取組の効果は、ハイリスクの渦中にいる人に対しては限定的です。まず、クレプトマニア、いわゆる窃盗症や薬物依存症、性依存症による触法行為などを依存症の回復プログラムや自助グループにつなげていくこと、次に機能不全家族で育った人や軽度の障害児者を含めた福祉や他の支援から漏れ続けた人など、社会に対する不信感や不適応を強めてしまった人の不適応行為や孤立の解消が必要です。孤立の防止は行政の責務であり、こうした取組がハイリスク層となる可能性がある人の犯罪防止にもつながります。「ダメ。ゼッタイ。」型だけではない形の啓発も増やすべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○宇田川区民活動推進担当課長 依存症や不適応行為や孤立などの生きづらさを抱えた人を孤立させることなく、適切に必要な支援につなぐためには、まずこうした方たちの状況や適切な支援について理解を深める普及啓発や研修などが必要と考えております。こうした取組を進めながら、今後、生きづらさを抱えた様々な人への理解につながるメッセージの発信方法なども含めて、啓発について検討していきたいと考えております。

○石坂委員 しっかりと実効性ある形で検討いただければと思います。なお、初犯後に執行猶予となったか、刑務所に入ったかにかかわらず、再犯防止の支援やその他の福祉につながらなかったことで再犯を繰り返す人もいます。一方、再犯後に初めて更生支援計画を作成する東京精神保健福祉士協会の司法ソーシャルワークにつながった、とある触法精神障害者の方から、初犯のときにこうした支援につながっていれば再犯に至らなかったのではないかという声を私も1人の精神保健福祉士として耳にしています。触法障害者を含む触法者への再犯防止や更生支援を進めるべく、職員の知識を高めることや支援力の向上、適切な支援につなぐなどのネットワーク構築が必要ではないでしょうか。

○宇田川区民活動推進担当課長 中野区再犯防止推進計画では、重点課題の2として、誰もが安心して自分らしく健やかに暮らすという課題の中で、犯罪をした人たちが抱える複雑な課題に配慮した支援や薬物依存者の回復に必要な医療や相談支援を掲げているところでございます。また、計画の推進体制としては、職員の理解促進と対応力の向上を掲げております。再犯防止や更生保護については、これまで主に国の検察庁や矯正施設、保護観察所などが専門機関として担ってきておりましたけれども、この再犯防止推進計画を策定したことにより、情報の共有や連携が図れる状況となってきております。国の専門機関などと連携・協力体制のもと、職員の知識を高めたり、支援力の向上や適切な支援先につなぐためのネットワークづくり等を進めるための研修等を実施していく予定でございます。

○石坂委員 ぜひお願いいたします。

 その他として、家族の支援について少しだけ触れておきます。各種依存症者向けの家族向けの自助グループなどでは、本人を依存症に追い込んでしまった家庭が数多く参加し、家族全体の回復を目指していますが、様々な事件で加害者の家族が責められることや家族が自ら自責の念に駆られて自分を追い詰めてしまうことなどにより、家庭の機能不全をより深刻にしてしまう場合があります。家族の相談に乗り、家族の支援を行うことや家族を責め立てない啓発が必要と思われます。再犯防止の推進と併せて、家族支援についても考えるべきと思われますが、いかがでしょうか。

○宇田川区民活動推進担当課長 中野区再犯防止推進計画では、重点課題の2で誰もが安心して自分らしく健やかに暮らす、犯罪をした者等が抱える複雑な課題に配慮した支援の中で、立ち直りに必要な支援を行うに当たって、本人や家族などの意向を尊重するということを明記しております。これは本人だけでなく、家族に対する配慮や支援が必要という考えに基づくものでございます。今後、生きづらさや複雑な課題を抱えた人への理解を深める啓発や研修を進める中で、加害者の家族についても着目していくことが必要と考えております。

○石坂委員 他自治体では、犯罪防止、再犯防止、更生支援について、当事者や家族や支援者が区役所等に相談に行っても窓口が明確にされておらず、たらい回しに遭ったり、適切な対応が得られない場合が数多くありますが、中野区では今回取り上げさせていただきましてもよく分かりましたが、すこやか福祉センターがこうした役割を担えるということが本当によい仕組みになっていると思います。

 なお、犯罪を行いました人の背景に、障害、貧困、不適切な養育の積み重ねを抱えた人が数多くいる現実があります。しかし、障害、貧困、不適切な養育を受けた人全てが犯罪に至るわけではないこと、抱えてきた課題そのものではなく、課題に対して適切な対応や支援がなされず、孤立と放置をされた人の一部が通常よりも高い触法行為のリスクの高さを抱えること、最終的に触法行為に至る人であっても至らない人であっても、同様な適切な支援や対応を誰もが必要としていることを申し添えて、以上で私の質問を終わらせていただきます。

○ひやま委員長 以上で、石坂わたる委員の質疑を終了します。

 次に、小宮山たかし委員、質疑をどうぞ。

○小宮山委員 大変長らくお待たせをいたしました。小宮山たかしでございます。3時少し回ったあたりで一区切り入れられたらと思います。

 最近、どうも呼吸が苦しい。こうやって演説をしていても息が続かないことがある。おかしいなと思って病院に行くと、ぜんそくの疑いがあると生まれて初めて言われまして、ついでに睡眠時無呼吸症候群についても検査したところ、1時間に30回呼吸が止まっていて、血中酸素濃度も低いし、重症ですよと言われまして、ただでさえ肥満なんですけれども、呼吸器系の基礎疾患が二つもあるということで、私がもしコロナになったら、この場所には二度と帰ってこられないかもしれない。そんな悲壮な覚悟を胸に秘めながら、命を燃やす思いで今回の総括質疑をさせていただきたいと思います。私が死んだら、それが法律的にもし可能なのであれば、遺灰の半分はふるさと信州の千曲川に流していただきたい。残りのもう半分は地元の神田川でいいかなと思ったんですが、よくよく考えてみると、神田川にはそこまでの思い入れはないし、思い出もない。川の中に入ったこともないし、魚を釣ったこともない。ただ橋の上とか川べりから眺めたことしかないんですね。そんな神田川に遺灰を流すぐらいなら、人柱として新区役所建設のコンクリートの中にでも溶かし込んでくれたほうがいいかなと。皆さんは嫌がるかもしれませんけども、私としてはそんなふうに妄想するわけでございます。

 ふるさとを離れて30年、今もこうして目を閉じれば、悠々と流れる千曲川、柔道着を着て土手を走ったり、その土手で大人の本を見つけたり、魚を釣ったり、好きな子と花火大会に行った若き日がありありと浮かんでくる。死んだら骨を流してもらっても構わないと思えるような郷土愛、これこそがシビックプライドじゃないですか。私たち区政を担う者は、中野区で暮らす全ての人たちがそうしたシビックプライドを持てるように、美しく魅力的な区をつくっていかなければならない。私の残り少ないかもしれない命をそこにささげていきたいと思うわけでございます。

 さて、まだ話は続きますけれども、世界四大文明は全て大河、大きな川のもとに生まれました。ここ中野区でも区内を複数の河川が流れ、その河川の近くから古来の遺跡などが発見されております。古来より人は河川、水辺を中心に社会生活や生産活動を営んでまいりました。川は環境であり、資源であり、文化であり、歴史であり、産業でもあった。にもかかわらず、中野区の河川行政は人と河川をなるべく隔てる方向にこの半世紀進んできたように思うんです。高度経済成長期の河川は、下水が流れる不衛生などぶ川でしたし、また、大雨が降ると水害をもたらす危険で迷惑な存在として河川はこの半世紀扱われてまいりました。しかし、今は下水や処理施設の発達により、区内の河川も随分ときれいになってきた。先日、神田川の工事関係者にお話を聞いたところ、区内の神田川にもエビや小魚がいるというお話でした。また、利活用できる土地の少ない中野区にとって、河川や川べりというのは残された数少ないラストフロンティアである。今こそ河川の利活用を考えていくべきである。群馬県みなかみ町の山奥には毎年180万円、福島県喜多方市の森林整備には毎年60万円、何だかんだで合計280万円もかけて中野の森なんて造っている場合ではないと私は考えております。

 こちらのチラシは杉並区の環境活動推進センターが2017年に開催したイベントのチラシ、善福寺川に入って水質や生き物を調べようというチラシです。杉並区環境活動推進センターが主催している。一方、こちらのチラシは新宿区みどり公園課のチラシ。今年の夏ということで、コロナを避けてオンラインイベントにしたようですが、神田川の生き物について学ぼうというチラシ。新宿区みどり土木部みどり公園課みどりの係が主催している。いずれも区が主催しているんですよ。中野区で区内の河川を区民と一緒に調査をしたりとか、区民が河川に親しみや愛着を持てるようなイベントを区が主催したということはあまり記憶にない。というか、全く記憶にないんですけれども、もし中野区でこうした類似のイベントを区が主催するとしたら、どこの課が扱うのか。環境課が扱うのか、それとも道路課が扱うのか、一体どの課が所管となるんでしょうか。

○波多江環境課長 仮に生物多様性に関連して環境保全に関するイベントを開催するとしたら、環境課が中心となって検討することとなると考えております。

○小宮山委員 どうも中野区の環境課、今回は環境課というお答えでしたけれども、どうも中野区の環境課、公園緑地課、道路課というところは、生物多様性とか自然との関わり、河川との関わり、緑との関わりに関する役割分担がはっきりしていないことがあるように思うんです。何がリーダーシップと責任を取っていくのか。環境、公園、道路、それぞれがこれはうちの仕事ではないということをお互いに思っている。河川に関して、さらに東京都も絡んできますから、東京都がやればいいと思っている節もある。そうやってお互いに河川は自分の所管じゃないと考えてきた結果、上流でも下流でもやっていることを中野区は今まで全くやってこなかった。今、区内で河川に降りる手段は、管理用の足かけはしごしかありませんけれども、上流の杉並区でも下流の新宿区にも、区民が河川と親しむための立派な親水テラスなどの施設がある。どうして中野区にはそれがないのか。必要がなかったから造っていないのか、造っていないから降りたくても降りることができないまま来てしまったのか。卵が先か、鶏が先かという話だと思うんですよ。今、神田川でも妙正寺川でも東京都が大きな工事をやっているじゃないですか。ああいう工事のついでに、河川に降りる手段や親しめるような施設などを造っていただくわけにはいかないものですか。

○井上道路課長 親水施設の整備についてですが、中野区内の河川は都市型河川であり、集中豪雨等はもちろん、中野区内で雨が降っていなくても、上流部で雨が降ると水位が急激に上昇することがございます。したがって、親水施設を設置する場合には、安全に河床まで降りられる階段や監視員の配置等、十分な安全体制を整える必要がございます。親水施設の整備について、今後、河川改修が進められていく区間で実現可能か、研究していきたいと考えてございます。

○小宮山委員 新宿区は、そういったいろんな問題をちゃんとクリアしているんですよ。ぜひ新宿区の例に学んでいただきたい。下流でやっていることが上流でできないわけないと私は思うんですよ。せめて中野区でも、最初は単発のイベントでも構いませんから、区民と河川の距離をもっと近くしていただきたいと思います。

 今、DASH海岸とか新宿DASHとか、都会の身近な自然を再生していくというテレビ番組も大変人気を博しておりますし、中野区のような都会の子どもたちに命の大切さを教えるためにも、できるだけ豊かな自然と触れ合える機会を積極的につくってあげたいと思っております。中野区の河川には、ごく一部を除いて魚や目に見える水生生物はほとんどいませんけれども、ちょっと環境を整えるだけで、上流の杉並区からじゃんじゃん下りてくるはずなんです。新宿区ではアユの遡上が毎年確認されている。杉並区では確認されたことがない。中野区は調査そのものをしたことがないので分からない。さて、新宿区のアユは一体どこで行方不明になってしまったのかといえば、どう考えても中野区じゃないですか。子どもたちの情操教育、自然教育のため、そして郷土愛、シビックプライド醸成のため、そこに暮らす人々の心の潤いのため、河川環境への意識を高めて、河川環境美化や防災の意識を高めていくため、改めて河川行政を見直し、東京都にも働きかけて、神田川や妙正寺川などの区内河川の再生整備をしていくべきである。活用できる土地の少ない中野区において、河川とその周辺は最後に残されたラストフロンティアであると重ねて訴えまして、この項の質問を終了します。

○ひやま委員長 小宮山委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。

午後3時01分休憩

 

午後3時20分開議

○ひやま委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き、総括質疑を行います。

 小宮山委員、質疑をどうぞ。

○小宮山委員 改めまして小宮山たかしでございます。また無駄話から始めさせていただきますと、私の質問は小さな怒りをコツコツと積み重ねて、最後に大きくドカンと爆発させる質問でございまして、その小さな怒りを積み重ねている最中に休憩になってしまいまして、ちょっとやりにくいんですけど、さて、次に中野区の緑化推進について伺います。さきの本会議で群馬県や福島県に中野の森を造ることの愚かさを私は訴えました。中野区内ではどうしても、どうしても、どうやっても削減できないCO?をほかの自治体で削減しようというのがカーボンオフセットの考え方であります。では、中野区は緑化推進のための努力を限界ぎりぎりまで、もうこれ以上はどうやってもできないというところまで本当にきちんとやっているのか、やり尽くしているのかどうか。また、CO?削減とはまた別に、緑豊かで花いっぱいの美しいまちをつくる、それによってシビックプライドを醸成していくための努力を一体どれだけしているのか。それを今回は検証してみたいと思います。

 まず皆さんに伺いますが、中野区内で、桜は例外として、年間を通して花がきれいに咲いているすてきな花壇のある公園、どれだけ御存じですか。区内の隅々まで知っている区議会議員の皆さん、そして理事者の皆さんであれば、そういう花いっぱいの公園、最低五つぐらいはパパッと思い浮かべられるのかなと思うんですが、いかがでしょうか。私は区内の全公園の9割ぐらいに足を運んだことがありますが、日比谷花壇が管理している広町みらい公園のほかには、花壇がすてきな公園、あと一つぐらいしか思いつかない。昨日、もしかしたらと思って西町花の公園、その名も西町花の公園ですよ、ハトのうんこがたくさんある公園、そこに行ってみましたが、花はほとんどありませんでした。ハトのうんこはいっぱいありましたよ。

 では、ここで各地の写真を見ていただきます。こちらは豊島区の、その名も千早フラワー公園、区が民間の事業者に花壇管理を委託しているそうでございます。私は20年近く前にこの近所に住んでいた。今回この質問をするに当たって、そういえば豊島区にはいつも花いっぱいの公園があったなと、20年たっても印象に残っているような花いっぱいのすてきな公園です。現地に行くと、長いホースを使って水やりをしているおじいさんがいたので、ここを管理している方ですかと声をかけてみたところ、管理しているわけじゃないが、家にいても暇でしようがないので、勝手に水をやっているんだとのことでした。これこそがシビックプライドであり、こういう気持ちをもっと育てていくべきだと私は思うんです。

 そして、こちらは新宿区の北柏木公園、5月に行ったら花いっぱい、9月に行っても花いっぱいですよ。これは一体誰が管理しているんですか、区民が管理しているのか、それとも区から委託された民間の事業者が管理しているんですかと新宿の公園課に聞いてみました。すると、なんと新宿区のみどり土木部みどり公園課の西部公園事務所という区の組織、区の職員さんが直接管理をしていると。新宿区の公園には、このような区の職員が直接管理しているという公園が幾つかありますと、そういうお話でした。

 さて、お次は中野区でございます。我らが中野駅の南口のロータリーの中心、南口改札の真正面に大きな円形の花壇がございます。この中で誰一人知らない人はいない。中野区を訪れた人が最初に目にする中野の顔とも言える花壇でございます。春の季節は桃の花が咲いて大層美しいのですけれども、先日撮った写真がこちらでございます。群馬や福島での植林事業に280万円もかける一方で、中野駅南口駅前花壇はまるでジャンルだ。今検索できる方、駅前花壇と画像検索してみてください。駅前にこんなジャングルみたいな花壇を持っているのは全国で中野区だけですよ。

 江古田地域にあります江原公園に行くと、れんが造りの立派な囲いがございます。そろそろ一度質問しておこうと思いますが、この立派なれんが造りの囲いの中に土が入っている。これ、一体何ですか。この中に土をためて一体どうするのか、教えてください。

○林公園緑地課長 昭和60年度に改良工事を行った際に花壇として設置されたものでございます。当初は花壇として花がございましたが、その後、花の代わりにツツジを植栽したところでございます。子どもたちが花壇の上で遊んだりして、樹木がうまく生育せず、裸地となっているところでございます。今後どのように活用していくかは、地域の声なども聞きながら検討してまいりたいと考えているところでございます。

○小宮山委員 花壇じゃないのかなと思ったら、やっぱり花壇でしたか。私、ビオトープの可能性もあるのかなと思いました。第4次環境基本計画素案の中では、中野区は小・中学校にビオトープを造ると言っています。ビオトープの定義というのは大変曖昧なものでして、生き物が生きる空間があれば、そこはビオトープなんです。例えばこの部屋の隅っこにクモが巣を張って、それで生きていたら、そこはビオトープなんですよ。金魚鉢の中で金魚が生きていれば、それはビオトープなんですよ。ビオトープとは何であるのかという定義をはっきりさせないままに、あたかも何かすばらしいものを造るかのようなことをうたっている環境基本計画で、こういうまやかし、ごまかしはもうやめるべきですよ。

 話が少しそれましたけれども、中野区は区内の緑化推進や、それによるCO?削減を頑張って頑張って、限界ぎりぎりまで努力をして、やれることは全てやり尽くして、それでもどうしようもないから、わざわざ群馬に行って、ナビを使っても行けない山奥に毎年180万円もかけて森を造っているはずじゃなかったんですか。福島や群馬の山奥にかける計280万円があれば、中野駅前の花壇も江原公園の花壇も花いっぱいにできると思うんですよ。

 そして、中野区は緑化推進事業の一環として、区内の緑化推進に尽力した個人や団体を表彰するなかのみどりの貢献賞という賞を運営しております。この応募者数のデータ、私が独自にまとめてみました。平成24年度の初年度には23件の応募がありました。それ以降、飛んで平成27年には5件、そこから毎年、6件、4件、9件、3件、3件と順調に応募者数を減らしている。今年の応募者数、一体何件ありましたでしょうか。

○林公園緑地課長 今年度は、緑の保護育成活動部門1件、子ども緑化活動部門1件の計2件の応募があったところでございます。

○小宮山委員 この賞は全部で5部門ありますよね。全部で5部門あるのに、2件というふうに聞こえたような気がするんですが、聞き間違えたかもしれないので、もう一度、できれば大きな声でお願いします。何件だったでしょうか。

○林公園緑地課長 繰り返しの答弁となり恐縮ですが、今年度は緑の保護育成活動部門1件、子ども緑化活動部門1件の計2件の応募があったところでございます。

○小宮山委員 やっぱり間違いない、2件とのことでございます。毎年毎年、応募者数を順調に減らしている。5部門あるのに2件の応募しかない。応募者全員が毎年、毎年か分からないけど、応募者全員がほぼ受賞している。授賞式典には10万円以上のコストをかけている。意味あるんですか、これ。しかも、このみどりの貢献賞をよく見てみますと、個人のプライベートな庭を表彰しているケースも散見されるんですね。中野区内でガーデニングができるような一定以上の広さの庭を持っているというだけで、1億円ぐらいの不動産資産を持っていてもおかしくない上級区民だと思うんですよ。区議会議員の皆さんの中でも広いお庭をお持ちの議員さん、多分10人もいない、5人いるかどうかも怪しいんじゃないかなと思うんです。誰でも自由に出入りできるようにオープンにしているならまだしも、もしかしたら高い塀の中にあるお庭かもしれない。そういう上級区民の個人的なお庭を区が表彰する意味が一体どこにあるんですか。中野区の一般区民は、そもそも庭のない人とか、庭があっても大したことない人がほとんどなんですよ。そういう一般区民からすると、上級区民のプライベートなお庭を区がわざわざ表彰するということは、何とももやもやするお話です。このなかのみどりの貢献賞も応募者がいないんですから、無理やり表彰するのはもうやめて、中野区の緑化推進政策を根本から見直して、そこから出直したほうがいいと私は考えております。

 ちょっと時間があるので、何か課長のほうから、みどりの貢献賞について、今後どうするべきか、考えがありましたら、急な質問で恐縮ですが答弁をお願いいたします。

○林公園緑地課長 区民の方もいろいろいらっしゃいまして、特にこの賞自体は別に富裕層を対象としたものではありません。どなたでも応募できるものです。件数を減らしているというところなんですけれども、今後、周知なんかもしっかり力を入れて、また応募件数を増やしていきたいというふうに考えてございます。

○小宮山委員 すみません、突然。ありがとうございます。いろいろ今後見直していただきたいと考えております。

 そして、次の写真になります。こちらの写真でございます。こちらは杉並区の公園で2月に撮った写真です。なんてことのない小さな公園の花壇に、真冬の2月だというのに複数種類の花が咲いている。杉並区の花咲かせ隊というボランティアの皆さんが手入れをしていらっしゃるようです。杉並区では、そうしたボランティアの皆さんに花の苗、肥料、園芸用具、腕章などを支給して、現在132団体、1,000人の方が活動をしていらっしゃるそうです。類似の公園ボランティア制度はどこの自治体にもありまして、ボランティアに対して花の苗、肥料、資機材の提供、専門家のアドバイスなど様々な便宜を図っている。

 実は中野区にも公園の花壇ボランティア制度がございます。中野区では杉並区の5分の1、約25ぐらいの団体が活動しているそうです。中野区がそのグループに何を提供しているかといえば、何一つ提供していない。場所だけですよ。あとは全部自腹で、何もかも全て自腹でやってくださいねというのが中野区の制度なんです。区内の花壇のうち、過去に花と緑のコンクールや、なかのみどりの貢献賞を受賞した花壇を私は10か所程度見て回ってきました。皆さん頑張っていらっしゃるのはよく分かりましたし、私が見たタイミングがたまたま悪かったんでしょうけれども、その中でこの花壇はすばらしい、この花壇だったらこのまま杉並区に持っていっても見劣りはしない、そう思えた花壇は、個人的にそう思えた花壇は1か所ぐらいしかありませんでした。

 区内のとある小学校の前には小さな公園がございまして、そこを公園ボランティアの皆さんが一生懸命手入れをしていらっしゃる。でもね、自腹はちょっと大変だということになったんでしょう。近くの小学校の小学生や、その保護者から募金を集めて、例年だとその募金も使って公園花壇の整備をしているそうでございます。今年はコロナで募金集めはしていないそうですけども。小学生の小遣いを使って整備されている花壇が区内にはあるんですよ。繰り返しますよ。小学生の小遣いを使って整備されている公園花壇が区内にはあるんですよ。それを知ってか知らずか、知りませんけれども、中野区内での緑化推進はもういくら頑張ってもできませんから、仕方ないから群馬や福島に行って、中野の森を造りますとか言って、何の利用価値もない森に毎年280万円も使っておきながら、中野駅前花壇はジャングルじゃないですか。江原公園の花壇には土しか入っていないじゃないですか。挙げ句の果てには小学生の小遣いで花壇が整備されている。ふざけんなって言葉がもうここまで出ていますけど、そういう下品な言葉は議会の品格にふさわしくないので、やめておきますけれども、本当にこれでいいんですか。CO?削減と区内緑化推進のため、現在自腹で活動していただいている公園の花壇ボランティア制度を見直し、充実させてはいかがでしょうか。

○林公園緑地課長 現在の公園のボランティアによる管理作業としましては、花壇造りや清掃、除草などがございます。現在、既に他区の事例を研究し始めており、今後は公園の花壇造り等を行っている人たちからも意見を聞き、制度の改善に努めていく予定でございます。

○小宮山委員 ありがとうございます。ぜひ制度の改善、先進事例を学んでやっていただきたいと思います。

 それで、群馬の森の問題、河川の問題、緑化推進の問題、あとは生物多様性の問題、こういう環境の問題は選挙であまり票にならない。だから、これまであまり誰も関心を払ってこなかった問題ですけれども、SDGsとか地球温暖化とかを考えると避けては通れない。誰かが声を上げていかなければならない問題です。私は政治生命をかけて、今まで述べたような環境の問題に取り組んでいきますからね。中野区の環境行政に何か問題があるたびに、群馬の森に金をかけている場合かと、ねちねちと言い続けていきますからね。中野区の環境行政において、金がない、予算がないということは言い訳にならない。群馬の森には金をかけているんですから。これは私の専売特許でも何でもないですから、ほかの議員の皆さんも、中野区の環境行政に何か問題があったときには、群馬の森に金をかけている場合かとぜひ突っ込んでいただきたい。理事者の皆さんも、それを覚悟しておいていただきたいと脅しておきまして、この項の質問を終了します。

 次に、中野区の生涯学習支援サイト、元まなVIVAネット、学び場ステーションについて質問をいたします。半年前、予算特別委員会におきまして、私がこれを取り上げると通告した何日か後になって、突如このサイトのリニューアルが公表されました。2021年下半期に大幅改修を予定しており、4月からは徐々に機能・性能やデザインを新しくしていきますと書いてあるのに、4月からこの半年、変わったことといえばタイトルだけですよ。こういったホームページ作成に詳しい人に、この手のサイトは通常どのくらいの期間で作れるものですかと聞いてみたところ、クライアントの意図や予算や工数にもよりますが、通常は1か月もあれば作れますよと、そういう話でした。

 私は中野区の市民活動、とりわけ子育て支援活動に関しては非常に詳しい。そしてネットワークも持っています。しかし、中野区で市民活動をする人の中で、この学び場ステーションを有効活用しているとか、ここを使うと便利ですよとか、ここで相談に乗ってもらってよかったという話は、この10年間、一度も、一度も聞いたことがない。生涯学習支援をするならば、現場にもっと出てネットワークを広げていく、アウトリーチをしていけばいいのに、実際、社会福祉協議会の皆さんはそうやってアウトリーチしていますよ。そういう考え方もこのなかのZEROの生涯学習支援担当に全くないようです。私はこの指定管理者の生涯学習の担当者に取材をして、学び場ステーションのリニューアルが一向にされないが、今まで何をしていたんですかと聞いてみると、区の担当者と情報のすり合わせをしないとそれは言えませんと言われてしまいました。じゃこれからどうなるんですか、言えません。いつ完成するんですか、言えません。何を聞いても言えません、言えませんですよ。私は最終的に、あなたは税金を使っているという自覚はあるんですかと、もっとちゃんとしてくださいと、そういう話を担当者につい言ってしまいました。

 向こうのなかのZEROの指定管理者の担当者が何も言えないので、区の担当に伺います。改修する、すると言いながら一向に改修されない。これは一体どうなっているんですか。

○矢澤文化国際交流担当課長 生涯学習情報発信の充実のため、令和3年4月になかの学び場ステーションとしてリニューアルしたところでございますが、現在コンテンツの見直しなど、さらなる機能の充実に向けまして準備を進めているところでございます。今後もさらに利用しやすいウェブサイトとなるよう、見直しを図ってまいる所存でございます。

○小宮山委員 結局いつになるかは、まだわからないんでしょうか。

○矢澤文化国際交流担当課長 ホームページにも記載しているとおり、2021年下半期に大幅改修を予定しているところでございます。

○小宮山委員 もうそろそろ下半期だと思うんですよ。この半年間、4月から9月まで何一つ、ちょっとずつリニューアルしていきますみたいなことを書いておきながら、タイトル以外、何もリニューアルされていない。だから、もっとお尻をたたいて―お尻をたたいたぐらいじゃ、ここの指定管理者、なかなか難しいと思うんですよね。ここの指定管理者、もう15年もやっています。そして20年に契約が延びた、この間。今年度、20年に契約が伸びましたよね、あと5年追加されて。だから、あと5年はこの指定管理者がここをやっていくんです。中野区の生涯学習支援とか文化芸術支援は合計20年、この先、あと5年も含めて合計20年、ここの指定管理者がやっていきます。その間、中野区の文化芸術、中野区というのはとても文化芸術の素地に優れたまちだと思うんですよ。小さい劇場はいっぱいあるし、小さい劇団とかもいっぱいあるし、写真のメーカーもあれば、写真の大学もあれば、写真のお店もある。そういった写真の素養もいっぱいある。あとはどんなことかな、中野区は、サブカルチャーとかもね。サブカルチャーだって、サブカルチャーと検索すれば中野区がまず第一、サブカルのまちと検索すると、秋葉原なんか、ほとんどヒットしませんよ。今はほとんど中野区がずらずらと検索結果に出てくる。そうやってメインカルチャーもサブカルチャーも、あとアール・ブリュットなんかも中野区ですよ。そういうふうに中野区はちょっとそこの、種は既にあるんですから、ちょっと水をまいて肥料をあげれば、文化芸術の芽がばーっ出てくるような、そういう、とてもよその区に比べても文化芸術の素養のあるまちなんですよ。

 そういうまちでありながら、ここのなかのZEROの指定管理者、JTBコミュニケーションデザインですか、そこになかのZEROの運営を任せてしまったばかりに、中野区の文化芸術の支援活動、あまり大したことをやっていないように私は思うんですよ。箱の中では、なかのZEROとか、芸能小劇場とか、野方WIZとか、そういった箱の中では確かに何かはやっています。箱の中で何かやっているけれども、箱の外側に与える影響がほとんどない。箱の外側での活動が一切ない。だから同じ人が同じことをずっと何年も責任を持ってやっているとおかしくなると言うけど、中野区の特に行政の皆さん、みんなちゃんとわかっているでしょう。だから、ここの指定管理者にいろんなことをずっと、20年も任せていくのはもうやめて、そろそろ新しい事業者に切り替えて、事業者に切り替えるチャンスもあと5年先ですけども、この5年の間にちゃんと準備をして、新しい事業者に任せる方向に進んでいったほうがいいんじゃないかと思いますけれども、なかなかこれ以上、話も伸ばせないので。このなかのZEROについては、まだ物足りないことがいろいろありますので、また改めての機会にいろいろと指摘をさせていただきたいと思います。

 それでは、私の総括質疑、これにて終了させていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。

○ひやま委員長 以上で小宮山たかし委員の質疑を終了します。

 次に、竹村あきひろ委員、質疑をどうぞ。

○竹村委員 緊張しております。令和3年第3回決算特別委員会に当たりまして、所属政党は国政政党、略称NHK党、会派の所属はありません。無所属議員の立場から総括質疑をいたします。質問は通告どおりで、その他はありません。

 初めに、本日9月24日のちょうど1週間前、9月17日は我々日本人にとって忘れてはならない日です。今から19年と1週間前の平成14年、2002年9月14日に日朝平壌宣言が出されました。この日の日朝首脳会談において、北朝鮮の当時の最高指導者、金正日委員長は日本人拉致を認め、謝罪しました。今なお進行中の最も深刻な人権侵害問題の解決、一刻も早い拉致被害者一括帰国実現のため、できる活動を行う決意を表明いたします。

 では、質問に入ります。中野区基本計画と多文化共生のまちづくりについて。決算説明資料、令和2年度版主要施策の成果の中で、主な課題の実施状況のうち、男女共同参画、多文化共生等の推進の項目に、推進審議会の設置と審議が進んだ旨、記載がありました。また、中野区基本計画素案が示され、この基本計画の中で区を取り巻く社会状況等の変化、8ページの冒頭では、まず(1)として、中長期的な人口構造の変化が記されております。その中で、0から9歳の転出超過の傾向が続くとありますが、この原因について区はどのように分析しているのか、伺います。

○永見基本構想担当課長 中野区におきましては、出産等を契機に子育て世帯が他の自治体に転出していると、そういったところで考えられまして、中野区区民意識実態調査によりますと、転出理由といたしましては、家賃が高いであったり、自分の家・土地ではない、家の広さなど居住環境がよくないなどが挙げられております。今後、子育て世帯から選ばれる自治体となるために、子育てしやすい住環境の整備や住環境の魅力に関する情報発信等が必要であると考えてございます。

○竹村委員 ありがとうございます。0から9歳の転出超過とは、すなわちその保護者世代の転出です。この転出傾向に対する対策はどのようなものがありますか、伺います。

○永見基本構想担当課長 中野区基本計画の案におきましては、重点プロジェクトといたしまして、子育て先進国の実現を掲げてございます。プロジェクトの設定の背景という中で、0歳から9歳の転出超過についても課題の一つとして記載をしております。課題を解決していくための取組といたしまして、子育て・子育ち環境の整備や地域全体で子育てを応援するための体制の整備ということで設定をしてございまして、基本計画において重点的かつ組織横断的に取り組んでいく考えでございます。

○竹村委員 生産年齢人口の減少とありますが、これが経済活動に影響を与えるとのことでしょうか。中野区の生産年齢人口減少が地域経済や区財政に深刻な影響を及ぼす根拠は具体的に何か伺います。

○永見基本構想担当課長 少子高齢化に伴いまして生産年齢人口が減少することにより、労働力不足を招き、区内の産業が停滞していくおそれがあるとともに、そういったことに伴う区民の方の収入の減少により、特別区民税等の税収が減少していくということも予想をされます。こういったことから生産年齢人口の減少につきましては、地域経済や区財政に深刻な影響を及ぼすものと考えてございます。

○竹村委員 詳細にありがとうございます。生産年齢人口減少がイコール地域経済への深刻な影響とすることは、関わる要因の複雑さから一概に言えるものではないと考えます。例を挙げるなら、日本には居住、移転の自由が保障されています。憲法第22条、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」。中野区の世帯数及び人口は、国勢調査によれば増加傾向で、今年を見ればコロナ禍の影響でしょうか、住民基本台帳による世帯数と人口の推移は、日本人世帯を見れば横ばい、または微増といった感があります。0から9歳の転出超過、つまり子育て世帯の転出がイコール中野区財政に影響を及ぼすとするには、考慮する要素に不足があるのではと思います。

 米国経済学者、チャールズ・ティボーの足による投票という考え方があります。これは住民が好ましい行政サービスを提供する自治体に移動し、自治体の財政収入が上昇するというものです。対となる考えは手による投票で、住民に好ましい首長を選挙で選ぶというもので、中野区で言えば区長選挙になります。まさに酒井区政が掲げる子育て先進区政策がこの足による投票を実践していると解釈しております。そこで、子育て先進区の施策をいつまで行うのか、何をもって達成とし得るのか、区の考えをお聞かせください。

○永見基本構想担当課長 基本計画(案)の重点プロジェクトにおいて掲げております子育て先進区の実現につきましては、基本計画の計画期間でございます令和7年度までの5年間において達成できるように取り組んでいきたいというふうに考えております。達成状況の把握につきましては、子育て先進区の実現に関連する施策の成果指標の目標値の向上や達成をもって図っていく考えでございます。基本計画の計画期間終了後におけます子育て先進区の実現に関する取組につきましては、取組の進捗や達成状況などを見定めながら、さらに検討していく考えでございます。

○竹村委員 中長期的な人口構造の変化の中長期とは、どの程度のスパン、年数を想定しているのでしょうか。ビジネスで言えば、短期が1年、中期が3から5年、長期は10年以上などとなりますが、区の想定を伺います。

○永見基本構想担当課長 基本計画(案)におきましては、今後の人口構造の変化を示す将来人口推計といたしまして、2070年までの推計を行っております。人口構造の変化ということに関して言いますと、中期としては基本構想の期間であるおおむね10年程度、長期としては50年程度先までを見据えて基本構想、基本計画の検討を進めてきたところでございます。

○竹村委員 我が国の出生者数は確かに減少を続けています。特に昭和49年前後のベビーブームからの急落、平成元年から12年前後の横ばい、その後なだらかな減少。中期を5年として見た場合、区の御回答とは違いますけれども、平成23年、2011年の出生者数から15歳以上の人口が求められようかと思います。生産年齢人口の減少は注目すべき重大な課題ですが、他方、労働力人口に占める高齢者の比率は上昇しています。内閣府平成29年度版高齢社会白書によれば、平成28年、2016年の労働力人口は6,673万人、そのうち65から69歳の方は450万人、70歳以上の方は336万人であり、労働力人口総数における65歳以上の方の割合は11.8%と、平成23年の8.9%から上昇し続けています。また、平均寿命は、内閣府統計局及び厚生労働省政策統括官の完全生命表によれば、平成23年、2011年の男性は79.44歳、女性85.9歳、令和元年の男性は81.41歳、女性87.45歳、おおむね男性2年、女性1.5年の伸びです。65歳時の平均余命は男性19.83年、女性24.63年となっています。そこで、これらの数値から出生者の減少イコール労働人口の減少となり得るのか、区の見解を伺います。

○永見基本構想担当課長 中野区の生産年齢人口につきましては、他自治体との流動性が高いと、そういった傾向がありますほか、今後も就労する高齢者のさらなる増加が予想され、出生者数の減少が直ちに労働人口の減少を意味するわけではございませんが、長期的に見た場合の人口減少、また、働き盛りの年齢層が減少することによる労働生産性の低下などについても課題として捉えていく必要があると考えてございます。

○竹村委員 詳細にありがとうございます。生産人口の減少が即、経済に影響を与えるという考えは果たして適切でしょうか。私は極めて懐疑的に見ています。人口減少イコール経済成長の停滞、生産性向上の停滞などの意見に対し、先ほど述べたような寿命の変化のほか、革新技術の導入によるなお一層の省力化、生産性向上や生産方式の転換など、加えて多面的な経済政策などによる追加要素が考えられます。例示した足による投票、そして平均寿命や65歳時の平均余命などから、中長期的な人口構造の変化が生産年齢人口の減少とは極めて一部分を捉えた見方であり、結論はいささか言い過ぎな感が否めないことを御指摘いたします。

 次に、多文化共生のまちづくりに関して伺います。多文化共生のまちづくりは区独自の取組でしょうか、伺います。

○矢澤文化国際交流担当課長 多文化共生の取組につきましては、中野区のみならず、国や東京都をはじめ、都内区市町村においても行われているものと認識してございます。

○竹村委員 多文化共生のまちづくりを行う主な理由で、区が主要、メインとしているものは何か、伺います。

○矢澤文化国際交流担当課長 多文化共生を行う主な理由としまして、まず今年3月に改定しました中野区基本構想では、国籍や文化、年齢、障害、性別、性自認や性的指向などにかかわらず、誰もが地域の一員として安心して暮らし、地域の特色や今までにない新たな価値が生まれることを考えてございます。また、策定中の中野区基本計画(案)におきましては、多文化共生のまちづくりの推進を施策の一つとして掲げ、その主な取組の中では、外国人住民等が暮らしやすい生活の支援及び環境の整備、多様な文化を受け入れるための意識の啓発、外国人住民等が活躍できる場の創出を主要なものとして掲げてございます。

○竹村委員 ちょっと私が聞き損なっちゃったのかもしれませんけども、伺いますけれども、多文化共生施策を行う上で、国、または関係団体からの指示・要請など、外部からの要因というのはあったんでしょうか。

○矢澤文化国際交流担当課長 総務省より昨年、地域における多文化共生推進プランの改定について通知がございました。その中におきまして、総務省は多文化共生推進プランを改定し、ついては各自治体におきまして地域の実情を踏まえ、多文化共生を推進していただく旨の通知内容がございました。

○竹村委員 ありがとうございます。区として、その指示というか、通知はどのようなものと捉えているんでしょうか。例えば、義務で絶対やらなきゃいけないとか、そんなことはないと、通知なので参考にしてもらえばいいと、どういうふうなものと捉えていますでしょうか。

○矢澤文化国際交流担当課長 本通知につきましては、本文中に記載があるとおり、地方自治法第245条の4、第1項に基づく技術的助言であるものと認識してございます。

○竹村委員 ありがとうございます。

 少し飛ばさせていただきまして、地域における多文化共生推進プランの改正について、その通知にある、私も目を通しましたけれども、地域における多文化共生を推進するための具体的な施策を仮に実施するとした場合、区の負担はどの程度か、伺います。

○矢澤文化国際交流担当課長 現在、当所管におきまして係長と担当者の計2名により、AI多言語通訳システムの運用や、やさしい日本語研修の実施などの多文化共生事業と北京市西城区やソウル特別市陽川区との交流などの国際交流事業、この2本を行ってございます。また、中野区国際交流協会に対しまして補助金を支出しているところでございます。

○竹村委員 詳細にありがとうございます。この通知、御覧になって気づいたと思うんですけれども、非常にコミュニケーション、日本語教育の推進が目立つんですね。自治体でそこまでやる必要があるのかななんて思いながら見ているわけなんですけれども、行政施策とすれば、日本語教育を行政で行う理由とその根拠がありましたら教えてください。

○矢澤文化国際交流担当課長 日本語教育の推進に関する法律に基づきまして、外国人等に対し日本語教育の機会が与えられており、また、地方公共団体におきましても、国の施策を勘案し、日本語教育の推進に必要な施策の実施に努めていくこととしております。

○竹村委員 中野区は中華人民共和国北京市西城区と友好関係の締結及び大韓民国ソウル特別市陽川区と姉妹都市関係を締結していますが、この両区において、現地日本人や外国人に向けた北京語及びハングル語教育は行政サービスにおいて実施されていますか。

○矢澤文化国際交流担当課長 北京市西城区及びソウル特別市陽川区におきまして、両言語を行政サービスとして行っているかどうか、特に承知はしておりません。

○竹村委員 前提条件としまして、中野区と中華人民共和国及び大韓民国と結んだ友好関係、または姉妹都市は、いわゆる外交になりますか。区の認識を伺います。

○矢澤文化国際交流担当課長 区では北京市西城区と友好区関係、ソウル特別市陽川区と姉妹都市関係として、これまで交流を深めているところでございます。どちらの締結議定書におきましても、両区の発展と両区民の友情を深めるとともに、文化やスポーツ、青少年などの分野で相互に協力しながら交流を行うことを目的としてございます。

○竹村委員 ちょっと話題が変わっちゃうんですけれども、区は外務省推進の外交施策、グローカル外交ネットをどのように受け止めていますか、伺います。

○矢澤文化国際交流担当課長 外務省ではグローカル外交ネットを通じまして、地方自治体における国際的な取組の紹介や姉妹都市提携を希望する諸外国の情報提供などを行っておりまして、有益な情報であると認識してございます。

○竹村委員 外務省ホームページ掲載の外交政策の一環のうち、国民と共にある外交として、外交を推進していく上で地方自治体・団体等を重要なパートナーであると位置付け、その国際的取組を支援すべくとあります。それから東京都の政策の中では、政策企画局のホームページには、都市外交、都市間都市外交として外交を都市間で進める旨の記載があります。これは地方自治体が諸外国との関わり合いを持つことは立派な外交との位置付けと考えます。

 そこで伺います。この二国間で現地語教育が行政サービスで行われていないとすれば、外交の相互主義の原則から、日本において前述の両二国民に対し、日本語教育を行うことは不平等だと考えますが、区の見解を伺います。

○矢澤文化国際交流担当課長 多様な文化を尊重した活力ある共生社会の実現等を目的としている日本語教育の推進に関する法律に基づきまして、中野区においても外国人に対する日本語講座の実施ですとか支援など、日本語教育の推進に必要な施策を推進する必要があると考えてございます。

○竹村委員 ありがとうございます。すばらしいんですが、相互主義とは外交や通商などにおいて、自国に対する待遇と同等の待遇を相手国に対して与えましょう、また、外国人の権利に関して、その外国人の本国が自国民に同等の権利を与えることを条件とする考え方です。法律では、例えば国家賠償法第6条に、この法律は外国人が被害者である場合には、相互の保障があるときに限り、これを適用するとあります。日本国及び中野区の税金を原資とするならば、この施策は中野区民の税金の使途として不適切ではないんでしょうか。

○矢澤文化国際交流担当課長 多文化共生施策及び国際交流施策が税金の使途として不適正であるとは考えてございません。

○竹村委員 それでは視点をちょっと変えまして、先ほどお答えいただいた中の日本語教育の推進に関する法律では、その第8条に、政府は日本語教育の推進に関する施策を実施するために必要な法則上、または財政上の措置、その他の措置を講じなければならないとあります。区の多文化共生施策における日本語教育などの関連施策については、一般財源ではなく全額、国からの交付金などの利用が適切と思いますけれども、区の見解を伺います。

○矢澤文化国際交流担当課長 多文化共生施策及び国際交流施策を行うに当たりまして、国や東京都、また関連する財団法人などからの特定財源の確保に今後も努めてまいりたいと考えております。

○竹村委員 ありがとうございます。今までの質疑により、外交の相互主義の原則、社会コストの観点、そして税金の使途から見て、私から見て、現行で予定される区の多文化共生施策をそのまま実行することは果たして適正なんでしょうか。確かに外国で生活するときに、現地の言葉で会話できる安心感は代えがたいと感じます。その一方、受け入れる国・自治体が国外からの来訪者、特に長期滞在、または定住者に語学学習を含む行政サービスとしての外国人政策は、様々な要因を考慮するなら慎重であるべきと考えます。実施する多文化共生施策に費やすリソース、財政的、人的、物的、時間的資源を、今の中野区喫緊の課題に使わないということは、納税者である中野区民が本来受けられたはずの行政サービスの機会を損失している。国民の権利であるところの社会権、生存権に影響しているのではないかと感じます。主権者である日本国民に対する行政サービスと、そうでない者に対する社会保障を同列にして論ずることは、どのような法的根拠を持って行うのか。また、基礎自治体が行う行政サービスとしての適正性などの議論を慎重に進めることが必要と考えます。

 次に、多文化共生のまちづくりの推進の中で、共生の前提となる日本文化に関して伺います。区は相互理解を進めていく必要があるとの認識と理解しておりますけれども、現行制度の中で実施している区内居住の外国人に対する日本文化理解促進の取組はどのようなものがありますでしょうか。

○矢澤文化国際交流担当課長 日本文化を発信することは、今後、区が多文化共生を推進するに当たりまして、お互いの国や文化のことを理解し、また認め合う上で、その根本となる考え方であると認識してございます。理解促進の取組につきましては、多様な文化を受け入れるための意識を啓発する場におきまして、今後検討してまいりたいと考えております。

○竹村委員 区は日本文化を在留外国人に理解してもらう範囲、レベルというんでしょうかね――はどの程度であると考えておりますでしょうか。それから、まとめまして区の捉えている日本文化とは具体的にどのようなものか、お教えください。

○矢澤文化国際交流担当課長 日本で円滑に生活していく上で必要なマナーやルール、挨拶などを想定してございます。例えば日本で暮らす上で、御近所の人に会ったときに挨拶をすること、部屋に上がるときは靴を脱ぐこと、ごみは分別して出すことなどが挙げられると考えております。

○竹村委員 ありがとうございます。来日する外国の皆さんに日本の文化や習慣を知ってもらうことは、まさに相互理解を深めることにつながるでしょう。映像産業振興機構の報告のクールジャパンの再生産のための外国人意識調査平成30年度版の中で、日本文化をどのように伝えるのかについて、外国の方から次のような意見があります。コンテクストの提示を確実にすること。コンテクストとは、文脈、状況、脈絡、前後関係などと訳されますけれども、要は日本文化一つひとつにあるはずの経緯や理由、背景などの説明が足りないと。例えば日本刀、和服などの歴史、哲学、背景に興味があると。誰がどこでどうやって作ったのか、誰がどこでどう使うのかが分からないと付加価値が伝わらないというものです。

 そこで、我が国日本を知ってもらうための基本的な事柄について、例えば国旗、日の丸、日章旗について、区はどのように説明されますか。

○浅川総務課長 外国の方に日本文化を説明する際という前提には必ずしも合致してございませんけれども、日章旗についての区の認識についてのお答えとなりますと、国旗及び国歌に関する法律第1条に規定された日本国の国旗であると認識してございます。

○竹村委員 では、国旗である日章旗に準じる、日本文化としての旭日旗に関して、区はどのように説明されますか。

○浅川総務課長 いわゆる旭日旗につきましては、日章旗と異なりまして法律に規定があるものではございませんで、区としての認識を持っているものではございません。

○竹村委員 旭日旗については2021年5月18日に加藤官房長官の記者会見があります。それから、外務省のホームページに関しても旭日旗の記述があるので、ぜひそういうものを使って説明をされていただきたいと考えるところであります。

 それから、どこの国にもメモリアルデーというものがあります。我が国の8月15日は、さきの大戦に関わる重大な日ですが、区の認識はいかがでしょうか。

○堀越ユニバーサルデザイン推進担当課長 大戦に関わる8月15日についての区の認識についてでございます。8月15日は、さきの戦争で亡くなられた方々を追悼し、平和を祈念する日と認識してございます。核の脅威はいまだ消えておらず、国際平和の礎は私たちが歴史を学ぶということとともに国や宗教、世界観の違いを理解することということにあると考えてございます。今後も平和の輪を広げるべく、平和事業を推進してまいりたいと考えております。

○竹村委員 詳細にありがとうございます。国際法、例えばハーグ陸戦条約などにおける終戦とは、戦争の終結が当事者双方の間で成立した状態とあります。正式に日本が降伏したのは8月15日のそれから半月後の対連合国への降伏文書が調印された9月2日のことです。世界各国の見方では、降伏調印した9月2日が戦争終結の日ということになります。日本での認識と外国から見た歴史は解釈が若干異なるようです。このような事実をしっかり伝えないと国の文化は守られないと考えます。

 次に、多文化共生のリスクとその管理について伺います。ちなみにリスクとは、オックスフォード英語辞典によれば、紛失、けが、またはその他不利な状況、望ましくない状況の可能性、そのような可能性を伴う機会、または状況とあります。中野区は多文化共生のまちづくりを進めていくに当たって発生するリスク、すなわち好ましくない状況が起こり得ることを想定していますか。また、まとめまして、あるとしたらそのリスクはどのようなものか、具体的事例を挙げて説明してください。

○矢澤文化国際交流担当課長 多文化共生のまちづくりを進めるに当たりまして起こり得るリスク等は、一定程度想定はしてございます。例えば外国人住民がここ数年で増えたことに伴いまして、マンションやアパートでの騒音トラブルやごみ出しにおけるルールが徹底されていない、また、言葉が通じにくいことで外国人住民との関わり方が分からないなどといった声が寄せられているところでございます。

○竹村委員 詳細にありがとうございます。区から議会に報告がある事例について、例えば税の収納状況について、多文化共生がより進んでも問題ありませんか、伺います。

○竹内税務課長 外国人人口については、中野区においても近年増加傾向にありますけれども、特別区民税の収納率も増加しているところでございます。外国人人口の増加に伴う税の収納への影響はないものと考えております。

○竹村委員 本当ですか。外国籍住民の税などの滞納は既に表面的に明らかとなっており、顕在化している事象は、リスクではなくクライシス、つまり危険と私は認識していますけれども、区の見解を伺います。

○竹内税務課長 令和2年度の特別区民税の収入未済額は11億1,890万1,000円となってございます。そのうちの外国人の割合は約2割程度と認識しております。収入未済額全体を減少させていくことが区の課題と考えておりまして、継続して取組を行っていく考えでございます。

○竹村委員 その危機は多文化共生が進めば額の拡大、すなわち区行財政を圧迫し、ひいては中野区民、日本国民への生活に深刻な影響を及ぼすと考えますけれども、区の見解を伺います。

○竹内税務課長 税に関して言えば、外国人住民に限らず、滞納者全員に対して納税の働きかけを行い、収納率を向上させていくことが急務であると考えております。引き続き債権の適正な管理に努め、収納率向上に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。

○竹村委員 ありがとうございます。ただ、ここまでの質疑や他の要因などから、私は多文化共生のまちづくりをこのまま、今のまま進めるという区の施策は、中野区民、日本国民にマイナスの影響が強いように思えるんですね。それでもこの政策を進めますか。区の見解を伺います。

○矢澤文化国際交流担当課長 策定中の中野区基本計画(案)におきまして、多文化共生のまちづくりの推進を施策の一つとして掲げており、今後も外国人住民が地域で安心して暮らすことができ、また、地域においても様々な参画や交流が生み出されるまちをつくっていきたいと考えております。

○竹村委員 例えば日本に永住するのではない外国の方は、事情によって日本、そして中野区を離れます。そういった場合に未払いの、例えば国民健康保険料の回収、徴収は可能ですか、伺います。

○伊藤保険医療課長 区では日頃から、被保険者に対しては国民健康保険加入時や当初賦課通知発送時等に制度の理解を深めてもらうため、丁寧な制度周知や窓口での案内を行ってございます。被保険者が中野区外へ転出を行う際に、国民健康保険料の未納がある場合は、転出までの未納分の支払いをするよう窓口で案内をしてございます。支払いをせずに転出後も未納がある場合については、電話催告や催告書を送付いたします。また、財産調査の結果、金融機関等に財産を発見した場合には差押えを実施いたします。被保険者が国外転出した場合には、電話催告、催告書の送付は行いませんが、財産調査の結果、国内の金融機関等に財産を発見した場合は差押えを実施いたします。

○竹村委員 詳細にありがとうございます。

 では、文句ばっかり言っても物事は進みませんので、一つ提案いたします。社会保障費や税収入の参考に厚生労働省ホームページ掲載、外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアルの中にはデポジット制度、前払いに関する記載があります。中野区に住所を移す外国籍の方を対象に、例えば健康保険料などの社会保障に関し、事前の保証金制度、デポジット制度の導入はいかがでしょうか。

○伊藤保険医療課長 国民健康保険料におきましては、御提案のような事前の保証金制度などによる徴収方法について、法令上そうした仕組みがないことから導入はできないと考えてございます。収納率向上対策として、口座振替及びキャッシュレス収納の促進を進めるとともに、督促状の発送時期を早め、催告の回数や方法を工夫してまいります。外国人住民につきましては、母国に国民健康保険制度のような制度がない場合もあることから、今年度から同様の課題のある税務課と連携し、町会の協力のもと、国民健康保険制度の趣旨、納付内容に関しまして説明を充実させ、制度周知を図ってまいりたいと考えてございます。

○竹村委員 詳細にありがとうございます。今後も多文化共生施策を進めるのであれば、まずは指摘したリスク対策などを先行して行い、日本と日本国民、中野区民の安心・安全・安定が確実に担保される仕組みを確立してから進めること、また国との連携、特に財政面での支援などを確実にし、この多文化共生施策推進に当たりまして、中野区民、そして日本国民への行政サービスが犠牲とならぬよう、施策に反映させることなどを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

○ひやま委員長 以上で竹村あきひろ委員の質疑を終了します。

 次に、吉田康一郎委員、質疑をどうぞ。

○吉田委員 育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会、吉田康一郎です。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、中野区基本計画における子育て先進区の指標について伺います。昨日、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」というニュース番組で「白熱!ランキング 出生率アップの秘策は」というテーマで放送がありました。内容は日経新聞電子版「データで読む地域再生」から関東と山梨県で出生率を上昇させた自治体をランキングし、取材したもので、非常に示唆に富む内容でした。これによりますと、この地域で出生率が上昇したのは、1位、東京都日の出町、出生率1.02が1.59と0.57ポイント上昇した。2位、東京・港区、出生率は0.90から1.39、0.49ポイント増加。3位は中央区、出生率0.91から1.392、0.48ポイント上昇した。次は4位、山梨県忍野市、5位、同率3自治体、埼玉県志木市、茨城県つくばみらい市、そして東京の千代田区であります。この番組の中では、例えば1位になった日の出町は、クーポン券や現金を高校卒業まで毎月一人1万円、合計最大で216万円を支給する。さらに医療費は高校まで無料、あるいは次世代育成プログラムをずっと推し進めてきたということなどが紹介されていました。

 ここで伺います。酒井区長が子育て先進区を掲げて平成30年6月に当選してから3年がたちました。中野区の過去3年の出生率を伺います。

○永見基本構想担当課長 現在、東京都が公表している直近3年間の合計特殊出生率ということでございますが、2017年が1.04、2018年が1.00、2019年が0.93ということでございます。

○吉田委員 3年間下がり続けているということですね。そして、合計特殊出生率、ランキング、順位などというワーディングでネットで検索しますと、膨大なデータがヒットします。世界の出生率とか日本の出生率、市区町村などなど。他方、子ども女性比ランキング順位という言葉で検索をすると、1件もヒットしませんでした。

 ここで質問しますけれども、令和2年、昨年3月ですね、令和元年度内閣府委託事業として、地方自治体における少子化対策の取組状況に関する調査報告書というものを三菱UFJリサーチ&コンサルティングが報告しました。大学の教授や国立社会保障人口問題研究所の人口動向研究部長などが委員となり行った調査であり、190ページに及ぶ報告書であります。調査対象は全都道府県、全市区町村、そして有効回収数は1,042件、42の都道府県と1,000の市区町村、有効回収率は58.3%でした。これは全市区町村にもアンケートを催したものですから、中野区もこれを受けているはずですが、回答したんでしょうか。

○永見基本構想担当課長 委員御紹介の調査につきましては、区として毎年度回答しているところでございます。

○吉田委員 このアンケート調査、42問の調査項目の中で、問1は貴自治体についてという質問ですが、その次の実質的な最初の質問項目、問2は何でしたか。

○永見基本構想担当課長 Q2ということで、貴団体ではどのような数値目標を持っていますかという設問でございます。

○吉田委員 正確には、問2は1、少子化対策全般についてという大項目の中の1、合計特殊出生率に関する目標の設定状況、(1)合計特殊出生率の目標設定値の有無という質問でした。国が委託事業を行って、人口問題研究所の部長、あるいは大学教授などが委員となって策定した質問、この中で最初に質問した内容は、あなたの自治体は合計特殊出生率に関する目標を設定していますかという質問だったんです。そして、自治体独自の目標設定値があると回答した割合は、都道府県では61.9%、市区町村では60.2%でした。そして、この合計特殊出生率に関する目標値の水準を見ると、都道府県では1.8以上2.0未満が34.6%、1.6以上1.8未満が30.8%、市区町村では2.0以上、出生率2.0以上を目標にしているところが20.8%、1.8以上2.0未満が18.96%、1.6以上1.8未満が28.6%、出生率1.4以上1.6未満が21.6%、全国の自治体は都道府県も市区町村もこういう目標を立てているんですよ。

 我が区では、何度か御指摘しましたけれども、現行の10か年計画、まち・ひと・しごと創生総合戦略では合計特殊出生率の目標を掲げてきました。ところが酒井区政になって、2月に示された基本計画素案たたき台では、合計特殊出生率の記載はなく、子ども女性比の増加提示が必要だと記載されているのみでした。そして、これは合計特殊出生率の目標を設定すべきだと。あるいは、理想子ども数、百歩譲っても子ども女性比について、数値の目標を設定すべきだと訴えてまいりました。5月に示された改定素案では、合計特殊出生率の増加は必要だと。そして、子ども女性比については今の0.135よりも高い1980年から90年代の0.147、この水準が必要だという記載が入りました。数値が入ったことは大変歓迎しますけれども、なぜ合計特殊出生率を落としたのか。そして、なかなかなじみのない子ども女性比、こういうものを出したのか、疑問に思い、さらに、この目標値としている1980年から1990年という時代は、出生率がどんどん下がっていった時代ですねと。何でこの時代なんですかと。こういうことをお聞きをしたわけです。

 そこでお聞きをします。人口置換水準、合計特殊出生率では2.07、すぐに出ます。子ども女性比では、人口置換水準になるにはどういう数値が必要なんでしょうか。

○永見基本構想担当課長 子ども女性比につきましては、分母として15歳から49歳の女性ということで広く捉えてございます。また、分子といたしましては0歳から4歳ということで、出生時だけではなく、出生後の移動も含めた定住傾向についても捉えていると。そういったことから合計特殊出生率とは一概に比較することができず、数値としてお答えすることはできません。

○吉田委員 数値としてお答えすることはできない、これが目標になっているわけですよね。そして、もうちょっと、子育て先進区と言うのであれば、国が求めているように、そして他の自治体が答えているように、合計特殊出生率でもって数値を、そして、しかも多くの自治体が野心的に2.0以上を目標に掲げている自治体も多数ある、こういう状況でありますが、そういう説明もできない子ども女性比、しかも出生率がどんどん下がっていた時代の数値を目標にする、これのどこが子育て先進区を目指した基本計画なのか、区長の御答弁を願います。

○酒井区長 基本計画(案)におきましては、子育て家庭の定住を促進し、持続可能なまちであり続けるために、合計特殊出生率と同様に、減少傾向にある子ども女性比を増加傾向に転じていくことを目指して目標値を設定しているところでございます。その目標の実現に向けて、重点プロジェクトとして子育て先進区の実現を掲げ、子育て・子育ち環境の整備や地域全体で子育てを応援するための体制の整備を設定しておりまして、重点的かつ組織横断的に取り組んでいく考えでございます。

○吉田委員 3年がたちました。もうすぐ、今はこれから取り組みますじゃなくて、取り組んだ成果がそろそろでき上がらなければいけない時期です。そして冒頭、テレビの番組を御説明、御報告しましたけれども、東京都内の、日の出町というのは東京の中では山間部ですけれども、中央区とか港区とか千代田区で既に出生率が具体的に上がっている。目標に掲げてもうまくいかないよじゃなくて、実際に23区内で出生率を上げている自治体がある。ぜひ先進的な取組として、子育て先進区を掲げる中野区として、野心的な合計特殊出生率、あるいは子ども女性比についても、出生率が下がり続けていた時代の指標ではなく、もうちょっと先進という名にふさわしい数値目標を掲げていただくことを要望します。

 次に、中野区国民保護計画について伺います。第2回定例会、6月3日の一般質問において、武力事態に対する訓練実施について、武力攻撃事態などを想定した訓練の実施は、国民保護関連訓練の実施について、今後も他の自治体の状況なども含めて、必要に応じて情報収集をしていくと回答がありました。その後の進捗状況を教えてください。

○田邉防災危機管理課長 委員の御質問のその後の状況についてということでお話しさせていただきます。有事における想定外の状況の中でも、区民の生命、身体及び暮らし、財産の保護を着実に行っていく迅速な対処策の実施ができるように万全を期していくことには変わりがないところでございます。新型コロナウイルスの影響をもちまして、防災訓練をはじめ、かなり訓練ができていない状況ではありますが、引き続き各自治体の状況、国民保護訓練の実施状況を積極的に調査してまいりたいと思っております。

○吉田委員 お願いします。北朝鮮は新しいミサイルを何度も撃ち、中国は台湾有事、具体的な威迫、あるいは領空侵犯、領海侵犯なども加えて、日本にも台湾有事に介入するのであれば日本を火の海にすると、このように堂々ととんでもないことを言っている、こういう状況になってまいりましたので、武漢ウイルスの状況ということはよく分かりますけれども、区民の命を守れるよう、しっかりと対応を進めていただきたいと思います。

 次に、都市計画マスタープランについて伺います。都市計画マスタープランは、区の都市計画に関する基本的な方針を定めるものであります。区の都市整備上の課題を踏まえ、改善していくためのまちづくりの方針を示すものだと理解します。これまで私は様々な場面で、区の一番の課題は道路や公園などが貧弱だと。そして、安心で良好な都市機能及び住環境の形成には、安全で快適に移動その他の利用ができる空間としての道路、そして区民が安心して憩え、非常時には命を守れる空間としての公園緑地、オープンスペースが十分かつ適切に確保・配置されることが重要であると訴えてまいりました。中野区内の住環境、そして防災性向上の一番の課題は、建築基準法第42条の2項道路、幅員4メートル未満のいわゆる狭隘道路であると言っても過言ではありません。区内全ての狭隘道路の拡幅整備が実現すれば、区内の住環境も防災性も劇的に向上します。都市計画マスタープランにおいては、他の課題とともに狭隘道路の拡幅整備の実効化に向けた考えを方針で示す必要があると考えます。今回、要求資料建設26で示していただきましたが、さきの一般質問で申し上げたとおり、幅員4メートル未満の道路に接する住宅の例が中野区は23区で一番多い、全国でも最低レベル、これは道が狭いことが大きな課題である、それを基本計画に示してくださいと要望しました。改定中の都市計画マスタープランにおいても、この課題の重要性、重大性を明確に示していただくよう強く求めますが、見解を伺います。

○安田都市計画課長 委員御指摘のとおり、木造住宅密集地域の改善を目的とした防災まちづくりにおきましては、狭隘道路拡幅整備は大変重要な課題の一つと認識してございます。現在改定中の都市計画マスタープランにおいては、区内の管理道路の構成において、幅員4メーター未満の狭隘道路の割合が非常に多いという現状を踏まえ、拡幅整備の推進に向けた課題等について盛り込んでいくところでございます。

○吉田委員 ありがとうございます。

 次に、これも何度も訴えてまいりましたが、中野区内にはほとんど全ての都内の自治体にある都立公園がありません。区立公園も一人当たりの面積は23区で下から2番目。公園や緑地を積極的に増やすことは、様々な観点で我が区の都市の質を高めるために不可欠の課題であります。しかし、望ましい水準まで公園面積を引上げ、また大規模公園を整備することは現在の施策の延長では全く難しい。よほど知恵を絞って区が積極的に取り組んでいただかないと実現をしない。強い意思と覚悟を要望いたします。

 ここで質問いたします。区内の各駅など拠点で展開される大規模な再開発事業、老朽化した公営事業の建て替えや学校跡地の活用など、全ての大規模な公共事業や再開発事業において、公園緑地、オープンスペースなどが最大限に整備されるよう、開発の誘導のみならず、公有地などの取得、そしてまた公共施設の建設に当たっては、建物や周辺の緑化、公開空地や広場の設置などを積極的に行うような考え、方針を都市計画マスタープランに明確に盛り込むべきと考えますが、見解を伺います。

○安田都市計画課長 都市計画マスタープランでは、今後想定される市街地整備事業や大規模団地等の建て替え期間を捉え、地区の防災性や公共性向上に資する公園や公開空地等の整備、公共施設の建設等に伴う緑化やオープンスペースの誘導等について、都市基盤の整備方針等の中で考え方を示していく予定でございます。

○吉田委員 よろしくお願いします。

 最後に、中野区は都内の自治体で唯一、都立公園、海浜公園、都立霊園といった都立の緑地が何もない自治体です。都立公園の誘致、計画立案の研究をすることを求めて、この質問を終わります。

 次に、商業振興策について伺います。商店街の街路灯については、設置については都と区の補助制度があり、多くの商店街で活用されています。また、維持管理については、区からの電灯料の助成があり、維持管理の負担軽減に非常に役立っています。一方で、老朽化した商店街街路の維持管理には、電球の交換や小破の修理など経費がかかり、商店街への加盟店舗数が減少傾向にあり、また、武漢ウイルスが追い打ちをかけ、街路灯の維持管理の負担が重く商店街にのしかかっています。そして、商店街の一部では、老朽化した街路灯がそのままになっているところも見受けられます。区として、こういった商店街の窮状を把握しているのか、伺います。

○平田産業振興課長 商店街の街路灯の御質問でございますが、区では職員が区内商店街の全ての街路灯を5年間に分けてローテーションにより点検してございます。その際、必要に応じて商店街の会長の立会いもお願いしまして、状況の把握や情報共有に努めているところでございます。

○吉田委員 ありがとうございます。商店街の街路灯は、防犯の役割やにぎわいの演出の役割も果たしており、街路灯が維持できなくなると、まちの夜は確実に暗く、危なくなります。そこで区として、この商店街の街路灯の維持についてどう考えるのか、対策について考えを伺います。

○平田産業振興課長 現行の補助制度でございますが、街路灯の新設や老朽化した街路灯の撤去のほか、既存施設の価値を増加させ、商店街の活性化につながる改修については補助対象となってございます。しかし一方で、例外的に認められている再塗装や根巻き補修を除きまして、現状維持のための補修や電球の交換などは補助制度が現状ございません。これに対しまして、他区の事例などを研究しながら、商店街の負担をどのように軽減しているか、今後検討してまいりたいと考えております。

○吉田委員 ありがとうございます。ぜひお願いします。

 最後に、残念ながら商店街を維持できなくなった、解散をしなければいけないというところも実際に出てきていますよね。そういった場合に街路灯が取り残されることになりますが、区として対応する要綱があると伺っております。この内容について伺います。

○平田産業振興課長 解散する商店街の街路灯対策の要綱でございます。中野区商店街街路灯撤去事業実施要綱というものがございまして、商店街が所有する老朽化により倒壊等のおそれがある街路灯につきまして、商店街が解散となって維持管理ができなくなる場合には、区が全額負担して撤去を行う事業がございます。そのような事態が見込まれる場合には、事前に御相談いただければ、区として対応していくことが可能となってございます。

○吉田委員 私は不勉強で、これ、よく知らなかったんです。しかし、これは非常にすばらしい、ラストアンカーというか、制度だと思っています。私もこの制度について、商店街の中で皆さんに知っていただく周知に努めてまいりたいと思っています。ありがとうございます。

 一つ質問を抜いてしまいました。ちょっと戻って、住宅マスタープランについて伺います。「GraphToChart」という統計のサイトがあります。ここの資料によりますと、中野区の一住宅当たりの延べ面積は54.28平方メートル、都内で下から3番目、そして国内全体から見ても下から3番目であるという資料があります。狭い、狭小住宅の建築、これを抑制することで、要するに単身で中野に住んでいるけれども、家族ができたらば、部屋が狭いから、よその区に引っ越さなきゃいけない、こういうことが起きていると思いますが、より広い住宅、こういうものを提供する、建設を誘導することによって、中野区にファミリー世帯を誘導すべきと考えますが、見解を伺います。

○小山内建築課長 まず、中野区集合住宅の建築及び管理に関する条例に基づく区分は、特定集合住宅は階数が3以上、かつ住戸数が12戸以上の集合住宅、特定に該当しない6戸以上の集合住宅は小規模特定集合住宅となっております。この10年間の実績は、小規模で1,731件、特定は418件で、総戸数は3万2,751戸となっております。さらに、40平方メートル未満の住戸は2万2,312戸、40平米以上は1万439戸となっております。一般的に小規模特定集合住宅の申請敷地は狭く、階数の低い単身者向けの住宅が多い。これに比べ、特定集合住宅街は一定規模の大きい敷地に建設される分譲マンションが多く、ファミリー世帯向けの規模となっております。条例は最低限の基準を示したものであり、ファミリー世帯の誘導に当たっては、事業者や個人の建築物への過度の負担とならないよう、慎重に対応していきたいというふうに考えております。

○吉田委員 またいろいろと質疑を重ねさせていただきたいと思います。

 公営住宅について伺います。まず東京都において都営住宅の在り方について、どのように考えているのか、区がどのように把握しているか、まず伺います。

○池内住宅課長 平成29年3月に策定されました東京都住宅マスタープランには、既存ストックの有効活用を図りながら、引き続きその役割を担っていくと示しております。また、今後とも社会経済情勢の変化に応じ、管理戸数を抑制しつつ、真に住宅に困窮する都民に公平かつ的確に供給するとも記載されております。

○吉田委員 都の考え方は分かりました。では、区について伺いたいんですけれども、低額所得者などに対しての住宅政策が必要であると考えます。しかし、住宅セーフティネットとしての区営住宅については、例えば生活保護制度では家賃補助、住宅扶助ですね、これがあります。区営住宅として区が所有する必要というのはないのではないか。もう今は、これは平成30年の値ですが、東京の空き家数は81万戸、要するに空き家が余っているという状況でありまして、区が住宅を確保して、それを提供するというのは、民間に対するクラウディングアウトにもなってしまう。民間の空き家を活用して、これに対して補助をする、扶助をする、こういう政策のほうがまさに困窮者、全ての人に平等な制度になるのではないかと、このようにも考えるわけであります。今後の区営住宅の在り方について伺います。

○池内住宅課長 区営住宅の供給につきましては、セーフティネット機能を果たす一定の所得基準以下の住宅困窮者向けの住宅としまして、公営住宅法に位置付けられてございます。耐用年数70年を見据え、今後も引き続き指定管理制度を活用しながら、計画修繕を適切に実施し、管理運営を行っていく方向でございます。また、今後の区営住宅の在り方につきましては、将来的な建て替えに向けた検討をする中で、併せて検討するところでございます。

○吉田委員 法律に基づいて対応することはよく分かります。またこれについても今後いろいろと、自分も建設委員会でもありますので、また質問させていただきたいと思います。ありがとうございます。

 次に、基金について伺います。要求資料総務4の平和基金の資料を拝見いたしました。令和2年度の運用益が98万円となっています。この基金だけでこの平和事業を賄っているのか、平和基金を充てている平和事業の事業費は幾らで、何に使われており、その財源はどのような構成なのか、伺います。

○堀越ユニバーサルデザイン推進担当課長 平和基金の運用状況でございます。平和基金の運用益は全額、一般会計に組み入れまして、全額が平和事業に充てられているものでございます。令和2年度の平和事業は、臨時的な経費でございました新しい平和資料展示室の整備費を除きまして、平和のつどいなどの事業に充ててございます124万7,000円でございました。平和事業費の財源内訳でございますが、基金運用益の98万円のほか、ふるさと納税からの20万円、一般財源からは6万7,000円となってございます。

○吉田委員 つまり運用益で事業が賄えていない、一般財源も投入するということですね。平和基金の今の利回り、そして今後のいわゆる見通しについて伺います。

○堀越ユニバーサルデザイン推進担当課長 平和基金の今と今後の運用の見通しについてでございます。現在、平和基金を運用しております兵庫県、平成23年度第13回公募公債は10年の運用期間でございまして、0.98%の利回りとなってございます。基金運用の利回りにつきましては、現在の平和基金の公募公債のような高利の利回りのものは、今後は見込めないものと認識してございます。

○吉田委員 今後、超低金利が続くので、今の利回りも今後期待できないということが分かりました。

 昨年の第4回定例会において、これまで廃止となった基金について伺いました。中野刑務所跡地防災公園建設基金、施設建設基金、災害対策基金、少子化対策基金、どれも分野としては、内容としては重要な分野でありますけれども、基金という形はとらなくなった。であれば、区の財政が厳しいということを何度も伺っておりますので、この平和事業に関しても、事業を賄い切れていない平和基金、超低金利で金利の果実で賄うことは今後不可能でありますので、一般財源で平和事業を行うのでよろしいのではないかと思いますけれども、今後の平和基金の在り方について伺います。

○堀越ユニバーサルデザイン推進担当課長 平和基金の在り方についてでございます。直ちに平和基金を廃止するという考えは持ってございませんが、高い運用益が見込めない状況については課題として捉えております。今後の平和基金の在り方については検討が必要と考えているところでございます。

○吉田委員 ありがとうございました。

 質問の時間がなくなりましたので、最後1問だけ選択させていただきます。令和3年4月23日に内閣官房拉致問題対策本部事務局政策企画室長名、そして文部科学省初等中等教育局児童生徒課長名で関係者に対する依頼、これは通達でいいのかな、通知がありました。北朝鮮当局に拉致問題に関する映像作品等の活用促進についてであります。かつて「めぐみ」というDVDの小・中学校での視聴状況についてお伺いしました。そのときには、中野区内の小・中学校での視聴の実施の割合は70%、高いですねというふうに申し上げて、しかし100%を目指して、もっと頑張っていただきたいと、日本が抱える一番の人権問題ですと、こういうお話を申し上げました。区民全体への拉致問題の啓発について質問をしたかったんですが、時間がないので、小・中学校での「めぐみ」DVDの視聴状況についてのみお伺いします。

○齊藤指導室長 東京都教育委員会は人権課題の一つとして拉致問題を取り上げております。拉致被害者・拉致被害者家族の現状を知り、その悲しみや苦しみに共感することを通して、家族の幸せを求めて、進んで役に立とうとする心情や態度を育てることを目的として、道徳科の授業等で学ぶこととしております。今年度、児童・生徒の発達段階に応じて、特別の教科、道徳や社会科の授業等でDVD教材「めぐみ」を視聴した、また、今後視聴する予定であるという学校は、小学校で81%、中学校で56%、全体では73%でございます。今後も各学校が作成している人権教育の全体計画や年間指導計画に基づき、拉致問題を含めた人権教育を実践するよう指導してまいります。

○吉田委員 70%が73%に向上したということを大変うれしく思います。さらに100%に向けて、またご尽力をお願いし、この項の質問を終わります。

 私の段取りが悪くて、時間が尽きてしまいました。このほかの質問について、御対応いただいた関係部局の皆様には大変お詫びを申し上げますけれども、また別の機会に質問をさせていただくことといたしまして、今回の決算特別委員会の私の質問をこれで終わります。ありがとうございました。

○ひやま委員長 以上で吉田康一郎委員の質疑を終了します。

 以上で、総括質疑を全て終了します。

 9月27日(月曜日)からは各分科会が予定されております。本日の委員会終了後、会場設営を行いますので、持参された資料等は机の中のものも含めて全てお持ち帰りいただきますようお願いします。

 次回の委員会は10月1日(金曜日)午後1時から当委員会室で開会することを口頭をもって通告します。

 以上で本日の決算特別委員会を散会します。

午後4時50分散会