1.平成24年(2012年)2月20日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(42名)
1番 若 林 しげお 2番 高 橋 かずちか
3番 木 村 広 一 4番 甲 田 ゆり子
5番 小 林 ぜんいち 6番 中 村 延 子
7番 石 坂 わたる 8番 後 藤 英 之
9番 石 川 直 行 10番 内 川 和 久
11番 ひぐち 和 正 12番 いでい 良 輔
13番 白 井 ひでふみ 14番 平 山 英 明
15番 南 かつひこ 16番 森 たかゆき
17番 いながき じゅん子 18番 林 まさみ
19番 小宮山 たかし 20番 浦 野 さとみ
21番 伊 東 しんじ 22番 佐 野 れいじ
23番 北 原 ともあき 24番 吉 原 宏
25番 小 林 秀 明 26番 久 保 り か
27番 酒 井 たくや 28番 奥 田 けんじ
29番 近 藤 さえ子 30番 金 子 洋
31番 長 沢 和 彦 32番 大 内 しんご
33番 伊 藤 正 信 34番 高 橋 ちあき
35番 市 川 みのる 36番 篠 国 昭
37番 やながわ 妙 子 38番 佐 伯 利 昭
39番 むとう 有 子 40番 か せ 次 郎
41番 来 住 和 行 42番 岩 永 しほ子
1.欠席議員
な し
1.出席説明員
中 野 区 長 田 中 大 輔 副 区 長 金 野 晃
副 区 長 阪 井 清 志 教 育 長 田 辺 裕 子
政 策 室 長 竹 内 沖 司 経 営 室 長 川 崎 亨
都市政策推進室長 遠 藤 由紀夫 地域支えあい推進室長 長 田 久 雄
区民サービス管理部長 登 弘 毅 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 村 木 誠
健康福祉部長 田 中 政 之 保 健 所 長 田 原 なるみ
環 境 部 長 尾 﨑 孝 都市基盤部長 服 部 敏 信
政策室副参事(企画担当) 小 田 史 子 経営室副参事(経営担当) 髙 橋 信 一
1.本会の書記は下記のとおりである。
事 務 局 長 篠 原 文 彦 事務局次長 石 濱 良 行
議事調査担当係長 佐 藤 肇 書 記 関 村 英 希
書 記 河 村 孝 雄 書 記 東 利司雄
書 記 丸 尾 明 美 書 記 土 屋 佳代子
書 記 鳥 居 誠 書 記 細 川 道 明
書 記 岡 田 浩 二 書 記 鈴 木 均
書 記 永 見 英 光 書 記 竹 内 賢 三
議事日程(平成24年(2012年)2月20日午後1時開議)
日程第1 第1号議案 平成24年度中野区一般会計補正予算
午後1時00分開会
○議長(大内しんご) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、市川みのる議員、やながわ妙子議員、長沢和彦議員、佐伯利昭議員、後藤英之議員、伊藤正信議員、小林秀明議員、かせ次郎議員、森たかゆき議員、石川直行議員、吉原 宏議員、甲田ゆり子議員、北原ともあき議員、ひぐち和正議員、むとう有子議員、奥田けんじ議員、近藤さえ子議員、林 まさみ議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員より、質問の通告がありますので、これを順次許します。
1 施政方針説明について
2 都が進める木密地域の不燃化特区について
3 高齢者福祉センターについて
4 都市型産業の創出について
5 その他
○議長(大内しんご) 最初に、市川みのる議員。
〔市川みのる議員登壇〕
○35番(市川みのる) 自由民主党議員団を代表して一般質問を行います。
まず初めに、今定例会の冒頭で区長が述べられた施政方針説明に関連して何点かお伺いをいたします。
施政方針では、平成24年度当初予算案について徹底した事業見直しを行い、経費削減を進めてきたにもかかわらず、生活保護などの扶助費や国保会計などへの繰出金が事業の見直しの効果を上回る規模で著しく増加をし、歳出規模を押し上げる大きな要因となっている旨を述べています。その結果、歳入の不足を歳出の削減では埋め切れず、財政調整基金の年度間調整分を50億円あまりも繰り入れる事態になっております。こうした厳しい状況下にあっても、しっかりとした財政計画に基づき区民生活を守り、区民生活の発展につながる活力、そして安心安全なまちづくりのための施策は期を逸することなく着実に進めていかなければなりません。こうした立場から自由民主党議員団としてこの定例会に臨んでいることをあらかじめ申し上げておきます。
まず初めに、中野駅周辺まちづくりについてお尋ねをいたします。
区長も施政方針説明で述べられていたように、この春完成する警察大学校等跡地のオフィスビルに日本を代表する企業であるキリングループと栗田工業の本社が移転されることとなりました。これまで警察大学校等跡地はすべて公園にすべきだとか、オフィスを建てても本社機能の誘致は難しいのではないかなどとさまざまに言われておりました。しかし、区のまちづくりの取り組みと開発事業者の皆様の絶え間ない御尽力が相乗効果を発揮し、これだけの企業から本社を構えるにふさわしい地として選択される開発と相なりました。中野の発展にとって大変な起爆剤となることは間違いないことと思います。
我が会派は、これまで一貫して区の活力拠点としての中野駅周辺まちづくりを支持してきた。そして、中野四季の都市、このまち開きを契機に、さらにまちづくりを推し進めなければならないと考えております。区長は、施政方針説明の中で「中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3」について触れています。『現時点での整備の進捗状況や社会経済状況などを踏まえ、より具体的な将来像を示す』とおっしゃっておりますが、具体的な内容までは触れられておりません。『平成24年度第1四半期には策定し、その後の具体的な検討に結びつけていきたい』とのことでありますが、まちづくりは大変息の長い事業で、計画にのっとりながら着実に進めることが最も大事であります。実際、警察大学校等跡地の開発や中野駅北口の第1期整備事業は、グランドデザインVer.2にのっとりここまで進んでまいりました。Ver.3策定にあたり「10か年計画第2次」や「グランドデザインVer.2」で示された内容をどのように踏まえて検討されるのか、ここで改めて確認の意味で質問をさせていただきます。
現在「10か年計画第2次」や「中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.2」で示されている中野駅周辺の公共施設整備の考え方は、現中央中学校敷地に中央中学校と第九中学校の統合新校を、第九中学校跡地に中野体育館を、中野体育館跡地に新庁舎を建設する予定となっております。これに基づき、警察大学校等跡地は土地処分がなされ、統合新校は平成26年度開校予定で計画が進んでいます。昨年度末には新庁舎用地およそ3,900平米も土地開発公社で購入したところであります。警察大学校等跡地は上位計画や地区計画にのっとりながら着々と整備が進んでいます。
ただ、グランドデザインVer.2策定時にはなかった新たな展開として、国家公務員宿舎建設計画がなくなり、同用地約5,700平米が区に処分されることが決定いたしました。それを受け、区は同用地を都市計画公園の拡大用地として都市計画決定したわけでありますが、これで広域避難場所の中核的空間たる都市計画公園は1.5ヘクタールから2.1ヘクタールへと拡大され、まち全体の防災性向上に大きく寄与することとなりました。Ver.2にはなかった展開でも“公園として新たに整備する"という方針を打ち出したことは大変結構なことであります。この公園拡大用地の隣接地は、昨年度末に土地開発公社で取得された新庁舎用地約3,900平米となっております。新庁舎予定地は、新たに取得したこの用地に加え、中野体育館敷地約4,600平米と合わせた約8,500平米であります。公園用地と隣接していることでまち全体の防災性、安全性はさらに高まることでありましょう。このことは、グランドデザインVer.2策定時にはなかった新たな展開ですが、Ver.3を検討する際の視点となるのかどうか、現在の庁舎移転計画も含めて区のお考えをお尋ねいたします。
グランドデザインVer.3検討の中では、さまざまな論点が示されていますが、非常に大事な論点の一つにJR中野駅の駅ビルがあります。これもVer.2策定時には全くなかった新たな展開とも言える話で、中野駅周辺だけではなく、区全体にも影響を及ぼすと言っても過言ではありません。中野駅北口では2月6日に東西連絡路の架設工事が行われ、いよいよ第1期整備の最終段階に入っております。また、先ほど取り上げた警察大学校等跡地では、公園名称を「中野四季の森公園」、エリア名称は「中野四季の都市」と決定され、オフィスビルも姿をあらわし、中野が大きく変貌を遂げていくまさに歴史的な瞬間を迎えようとしております。これの歴史的なまちづくりの第一歩を次に大きくつなげていくのに必須なのが、中野駅地区の第2期整備ととらえております。中野駅地区第2期整備は、西側南北通路と橋上駅舎の整備でありますが、それに付随して現在論点に上がっているのが駅ビルであります。私は単に南北通路や駅舎ができるだけでなく、線路上空が有効活用されることによって真にまちの回遊性、周辺との相乗効果による活性化が図られ、結果、中野区の魅力や利便性向上につながるものと考えます。
ただし、駅ビルができるとなれば、周辺の商店街にとっては脅威となることも事実であります。対商店街、対駅ビルといった単体での視点では利害関係だけの議論にとどまってしまいます。大事なのはまちづくりの視点でどうあるべきかを議論し、周辺地区のあり方も含めて最善の方針を打ち出すことであります。私は、先ほども申し上げたように駅ビルは真にまちの回遊性、活性化を図るために誘導すべきと考えます。もちろん駅ビルの誘導によって周辺の商店街もさらに繁栄されなくてはなりません。このことについて区はどのように考えているのか、グランドデザインVer.3の検討では一定の考え方が示されているようでありますが、改めて伺います。そして、駅ビルと周辺のまちづくりはどのように連携し、ハード・ソフト両面でどのような相乗効果が期待できるのか、これについても区の考えをお聞かせください。
これまで都市計画公園拡大とまちの防災性・安全性の向上、そしてJR中野駅の駅ビルについて伺ってまいりました。最後にもう1点、中野駅南口のまちづくりについて伺います。
中野駅周辺まちづくりでは、北側の大規模プロジェクトが先行しております。したがって、南北の格差が生じていると区民の皆様、特に南側の皆様から強く言われているところであります。南側のまちづくりとしては、中野二丁目市街地再開発事業が準備組合の皆さんで活発に検討がなされていると伺っております。また、中野三丁目の駅直近地区まちづくり、これは桃丘小学校跡地の利活用を含め、西側南北通路整備とセットで必ず推進しなくてはならない事業だと認識をしております。区は、これらの事業の推進に当たってどのような考え方で取り組むのか、どのようなスケジュール感を持って取り組まれるのか、どちらの事業ものんびりと構えている時期ではないと考えます。地権者、それから事業主体を含めた具体的な取り組み方針、あくまでも地権者の意思を無視したような取り組み方針ではなく、想定スケジュール等をお聞かせいただきたいと存じます。
また、南口活性化のあり方については、先ほどの二丁目再開発事業、三丁目駅直近地区まちづくりを着実に推進することが必要だと考えます。まちの集客機能とはどのようなことが考えられるのか、お答えをください。
都市計画公園の拡大、JR駅ビル、南口の活性化について伺ってまいりました。この3点は、グランドデザインVer.3検討に際して最も重要な論点ではないかと思っております。これら3点はばらばらにあるものではなく、議論として相互につながっているのではないか。むしろ、つながりを持ちながら検討しないと、これまでのまちづくりの成果、すなわち大企業や大学が新たにやってくる警察大学校等跡地開発・中野駅北口整備の成果が存分に生かされなくなってしまいます。グランドデザインVer.3はこうしたまちづくりの進捗、3.11東日本大震災を踏まえ、まち全体がさらなる安全性・利便性・活力向上を図れるよう、総合的な視点からよりよい計画としなければなりません。
グランドデザインVer.3は、中野駅周辺まちづくりを引き続き力強く推進するためにVer.2の内容をさらに深く検討するものだと認識しております。したがって、Ver.2で示していた基本目標である“安心・安全"、“地域活性化"、“まちの個性と求心力"、“働き・楽しみ・住みたくなるまち"という考え方は、今後も尊重されなくてはなりません。その上で、区は今後の中野駅周辺まちづくりについてどのようにかじを切ろうとしていくのか。仮に上位計画やVer.2と異なる展開があるとすれば、どのような手続を踏んでいくのか、考えをお聞かせください。
いずれにしろ「中野駅周辺まちづくりグランドデザイン」は、まちづくりを進めていく上でそのあるべき姿を皆が共有・共感すべきとても大事な位置付けにあります。現在検討中のグランドデザインVer.3が中野駅周辺だけでなく中野区民全体にとってよりよいまちづくり指針となることを願っています。
この項の最後に、まちづくりの経済波及効果についてお尋ねをしておきます。
冒頭述べたように、中野四季の都市へ二つの大企業が立地することが明らかになりました。キリングループは言うまでもなく日本を代表する企業で、2011年12月期の決算を見ると、その売上高は連結ベースで2兆円を超えます。経常利益は1,368億円に及び、納められた法人税等の合計額は600億円を優に超えています。
一方の栗田工業もまた業界を代表する企業で、経済誌の紹介するところによれば、電子産業向け、一般産業向け、官公需向けの総合水処理装置の最大手で、電子産業向け超純水製造装置分野を軸に成長されている会社だそうであります。2011年3月期の決算では、やはり連結ベースで売上高約1,812億円、経常利益約282億円、法人税等の合計額は106億円にも及びます。これだけ大きな企業が立地することを区はどのように評価しているのでしょうか。
かつて、シャープの亀山工場を誘致するために三重県が90億円、亀山市が45億円もの補助金をみずから交付し話題となりました。このように企業立地による税収効果、経済波及効果に寄せる期待は大変大きいものがあるわけであります。
初めに、税収効果についてお聞きをいたします。
法人税は国税で、法人住民税や事業所税は都税だから区には恩恵はないと言われる方もいらっしゃいます。しかし、果たしてそうでしょうか。企業活動と地方税収について区はどのようにとらえているのでしょうか。東京都と特別区は独自の財政調整制度のもとにありますが、仮に区が一般の地方税制のもとにあったとするならば、企業の立地によりどのような税収効果を期待できるのでしょうか。
次に、これらの企業活動による中野区の地元経済に及ぼす影響をどのように考えていらっしゃるのかお尋ねをいたします。
大企業の立地により雇用創出に伴う人口の増加や生活者の収入アップが期待でき、製造業、小売店、飲食店、サービス業などありとあらゆる地域のあらゆる事業者に波及効果が期待できると思いますが、いかがでしょうか。
以上でこの項の質問は終わらせていただきます。
次に、支えあい活動の推進についてお尋ねをいたします。
区長は所信表明の中で「区民相互の支えあい活動が一層活発となるために支援を行う」と述べられております。一方、1月25日に開かれた地域支えあい推進特別委員会において「お買い物ポイント及び地域支えあいポイント事業の取りやめについて」の報告がありました。地域支えあいポイントについては、例えば制度理解に温度差がある中、町会ごとにポイント制度への取り組み状況が異なることとなった場合の格差の問題、また、そもそも無償のボランティア精神に基づいた善意の支えあいにポイントが介在することとなった場合の混乱など、十分な区民理解を得ることなく事業着手することへの危惧について我が会派もかねてから指摘したところであります。このたびの支えあいポイント事業の取りやめについては、区長みずからの英断として私たちは高く評価をしております。ここで確認のためにお聞きをいたしますが、地域支えあいポイント事業はなぜ取りやめたのでしょうか。その理由を改めてお答えください。
また、この支えあいポイントも含めた「3ポイント制度」は、10か年計画第2次の重点プロジェクトとして位置付けられていたはずです。今回の取りやめは、10か年計画の見直しを意味するものなのかという点についても確認しておきたいと思います。
しかしながら、この支えあいポイント事業の取りやめによって地域の支えあい活動が進まないということであっては本末転倒になります。そこで伺いますが、区では今後見守りや支えあい活動に参加する新たな人材をどのように確保しようとしていくお考えなのでしょうか。また、町会自治会が取り組む地域の支えあい活動をどのように支援していこうとしているのでしょうか。さらに、すこやか福祉センターや区民活動センターに配置している職員の役割など、区としての地域支えあい推進策について考え方をお示しください。
次に、健康づくり支援についてお伺いをいたします。
我々自民党は、平成24年度の予算編成に向けて区民の健康と医療の充実を実現するため、中野区医師会及び中野区歯科医師会の皆さんとそれぞれに協議を重ね、その結果を予算要望の中に入れさせていただきました。また、個別にも提案をさせていただいたところであります。その結果、妊娠中に妊婦歯科健診を受診できなかった産婦について、一定期間受診できるよう対象期間を延長すること、高齢者を対象に肺炎球菌ワクチン接種費用の一部を助成すること、医師会、歯科医師会、薬剤師会等による協議会を発足し、摂食・嚥下にかかわる地域の支援体制を確保すること、在宅生活における適切な医療の提供や緊急時における不安解消につながる介護と連携した在宅医療の体制を整備するとともに、患者急変時に利用できる病床を確保すること、失明の恐れのある緑内障や糖尿病性網膜症の早期発見のための健診を新たに実施することなど、さまざまな事項が予算案に盛り込まれているものと認識をしております。
要望するばかりではなく、従来の高齢者の眼科検診の廃止や健診委託料に対する乗率の引き下げなど、見直すべきことはきちんと見直した上で新たな取り組みや拡充の必要性を訴えてきたところであります。
ところで、区民の健康と医療にかかわることで言えば、事業見直しの中で来年度「がん検診等の見直しに向けて検討を行う」とされておりますが、これについてはどのような視点からの見直しになるのか、現時点でのお考えで結構ですのでお聞かせください。
この項の最後に、震災対策についてお伺いをいたします。
昨年の3月11日の東日本大震災以降、その余震とされる地震が数多く発生し、人々の不安は増すばかりであります。1月23日には、首都直下型などマグニチュード7級の地震が南関東で4年以内に発生する確率が70%に高まった可能性があるとの試算を東京大学地震研究所がまとめたとの報道がありました。さまざまな仮定や条件に基づく数値ということではありますが、地震の危険度は依然高く、防災対策をしっかりやるべきだとの指摘には耳を傾けるべきであると考えます。
私たちとしては、大地震が発生したときに建物倒壊により緊急車両の通行や避難の妨げにならないよう建築物の耐震化を特に促進する必要があると考え「緊急輸送道路沿道建築物耐震化助成については、積極的に取り組み、災害に強いまちづくりの実現に努められたい」との予算要望を行わせていただきました。もちろん、大震災への備えとしてはこれだけでよいとは考えているものではありません。区民の不安を少しでも解消し、現実に区民の生命と財産を守るために東日本大震災の教訓も生かした取り組みが必要であると考えておりますが、平成24年度においてどのように取り組むこととされたのか伺います。
また、新たな被害想定などに基づく地域防災計画の改定も行われることと理解しているところでありますが、改定作業の進捗状況及び新たな課題や対応すべき事項などについて、どのようなものとなるのかお聞かせください。
以上で施政方針に関する質問は終わります。
続きまして、東京都が進める木密地域の不燃化特区について質問をいたします。
関東大震災以降、東京の市街地は郊外に拡大し、昭和初期には中野区内も次第にまとまった市街地が形成されるようになってまいりました。当時は「市街地建築物法」という警視庁所管の法律により建築物の規制を行っており、この法律に基づいて「建築線」という生活道路レベルの計画道路網が区内の多くの地域で指定されました。しかし、この指定に基づいて実際の道路整備が完了することはあまりないままに戦時体制となり、昭和25年にはこの法律自体が廃止をされました。こうして中野区内の道路の未整備状況は積み残されたままとなってしまったのであります。
昭和25年には廃止された市街地建築物法にかわり、現在の建築基準法が制定され、第42条第24項道路、いわゆるみなし道路が指定されることとなりました。中野区内でも道路総延長の7割以上、延長で300キロメートル以上がこのみなし道路として取り扱われることとなりました。みなし道路に面した土地に建物を新築する場合には、道路の中心から水平距離2メートルの位置を道路境界線とすることによって幅4メートルの道路空間が順次確保できるはずでありました。しかしながら、この規定の内容や意義が十分に理解されなかったことや、行政側の監督指導体制の手薄さなどもあり、幅4メートルの道路空間は確保されないままに建物が密集して建ち並ぶようになってまいりました。新井や江古田などでは部分的に区画整理事業が実施されましたが、中野区全体で見れば、このようにして道路等が未整備のままで建物が建ち並び、区内の各駅から徒歩圏内の区域を中心に木造住宅密集地域が形成されていったのであります。
中野区の人口は、昭和45年の37万8,000人をピークとして以降は減少してまいりますが、世帯数は一貫して増加をし続けています。単身世帯や夫婦のみ世帯の増加によるものでありますが、これに対応して住宅の戸数は引き続き増加をし、密集地区はさらに広がっていったのであります。本格的な人口減少社会を迎えた現在も、大規模な敷地を幾つにも分割して木造の建売住宅を数多くつくる傾向が顕著であり、中野区の木造住宅密集地域の拡大は今も続いていると言っても過言ではありません。
さて、これまで述べてきたような経過をたどって形成された中野区の木造住宅密集地域は、狭隘な道路や行きどまり道路が多く、大地震の際には建物の倒壊や火災の延焼の危険性が高いことから、安全に避難することが困難であると想定されております。これら木造住宅密集地域が南台、弥生町、大和町、野方などの地区を中心に中野区内に多く残されており、首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえると、これら木造住宅密集地域の地震災害に対する安全性の向上が喫緊の課題であります。
昨年9月、石原都知事が木造住宅密集地域の解消に向けて「木密地域不燃化10年プロジェクト」を新たに立ち上げることが表明されましたが、今般その実施方針が都から公表され、プロジェクトの全容が明らかになりました。現在、南台、弥生町、大和町、野方などの地区を含む木造住宅密集地域は、他の区の同様な状況の地区とあわせて東京都が「防災都市づくり推進計画」によって「整備地域」あるいは「重点整備地域」に指定しているところであります。今回発表された「木密地域不燃化10年プロジェクト」の実施方針によると、東京の最大の弱点であるこの木造住宅密集地域の改善を一段と加速させ、この整備地域を対象に10年間の重点的・集中的な取り組みを実施し、この木造住宅密集地域を燃え広がらない、燃えないまちにすることを目標にしている。その取り組みの一つに「不燃化特区」の創設がある。「不燃化特区」は、整備地域のうち特に重点的・集中的に改善を図るべき地区について都と区が連携推進し、都は従来よりも手厚い特別の支援を行うとのことであり、これまで以上に強力な東京都の応援を受けながら木造住宅密集地域の解消を推進できるという、中野区にとってはきわめて効果の大きいプロジェクトであると私は考えます。
なお、この「不燃化特区」は平成25年度から本格実施するとのことでありますが、それに先立って平成24年度に3地区程度の「先行実施地区」を選定し、都と区が共同で取り組みを進めるとのことであります。区は、この不燃化特区の指定、とりわけ「先行実施地区」の選定を受けるように最大限の努力を行い、都の手厚い特別の支援を受けながら木造住宅密集地域の改善、防災まちづくりを積極的に推進すべきであると考えます。
以上のことを踏まえて、何点か質問させていただきます。
まず1点目、今月7日の都政新報には、品川区では浜野区長が先頭に立って不燃化特区に名乗りを上げるつもりであるとの記事が掲載されております。最近の東京新聞もしかりであります。木密地域不燃化10年プロジェクト、とりわけ不燃化特区の先行実施地区の選定を中野区で受けることに対して区長はどうお考えか、まずその考えを伺いたいと思います。
2点目、不燃化特区では、不燃化を進める核となり波及効果が期待できる「コア事業」の実施が選定の要件となっておりますが、区ではどういう地域を対象として不燃化特区の先行実施を目指そうとしているのかお尋ねをいたします。
3点目として、昨年12月の建設委員会において、弥生町地域のまちづくりについて都営川島町アパートの跡地(面積約5,000平米余)を核として活用し、地域の防災性の向上を図るまちづくりについて検討中であるとの報告がありましたが、弥生町地域は都の重点整備地域であり、またコア事業の種地としてふさわしい都有地も存在すること等から、まさに不燃化特区の先行実施に適していると私は考えます。不燃化特区のコア事業は、都市計画事業などの規制力のある手法活用が要件とされております。さきの建設委員会では、都営川島町アパートの跡地の整備手法として防災街区整備事業を想定しているとの報告を受けておりますが、この防災街区整備事業は、都の要件である強制力のある事業に合致するものだろうと考えております。区みずからがこの跡地を買うことはできないとの考え方が既に示されておりますが、しからばこの防災街区整備事業はどういう主体が担うことを想定されているのか、お考えを伺いたいと存じます。
なお、弥生町地域の北側に隣接している本町二丁目は、東京都の整備地域には指定されていないものの、東京都が行った危険度調査においても弥生町地域と同様に火災危険度が高い状況にあります。防災まちづくりが大きな課題であると考えます。本町二丁目には、都市基盤事業用地として郵政宿舎跡地を土地開発公社で取得した本町二丁目用地約6,000平米があり、この用地を活用して防災まちづくりを推進することは急務であると考えます。ぜひ弥生町地区とあわせて本町二丁目地区のまちづくりも推進されるよう、この際要望しておきます。
この項の質問の最後に当たり4点目、ぜひ弥生町地域での10年プロジェクトの先行実施が実現できるよう強力な働きかけを東京都に行っていただきたいと思いますが、それに向けての区長の決意、意気込みをお聞かせください。
次に、高齢者福祉センターの見直しについてお伺いをいたします。
今回廃止が決まった四つの高齢者福祉センターは、平成15年度以降、区立から社会福祉法人による民間委託を経ながら、現在は指定管理者となっております。その運営は、利用者を中心とした運営委員会とも協議を重ねながら地域へ出向くことを基本にし、積極的な事業展開により地域の課題解決に向けて努めてきたと伺っております。その結果、それぞれの生活圏域では商店街や学校、保育園をはじめとする関係機関とのつながりが強化され、地域全体を結びつける拠点施設になるという目標に近づきつつあり、その地道な働きかけはさまざまなセンター内の行事などの地域開放事業において幅広い世代の来館者に反映をされています。
現在、中野区では保健と福祉の総合的なサービスの展開に向けて「中野区保健福祉総合推進計画2012(案)」、「第5期中野区介護保険事業計画(案)」、「第3期障害福祉総合推進計画(案)」の策定を進めているところであります。この中で、実現を目指している「健康福祉都市なかの」の姿は、区民のだれもが心身ともにすこやかで個人としての尊厳が保たれながら自立した生活が営まれ、そのために必要な保健福祉のサービスが公私のパートナーシップに基づいて地域で総合的に提供されることであります。
廃止後の高齢者福祉センターは、保健福祉や介護予防の基盤充実のために活用するとの見解であるならば「健康福祉都市なかの」の実現に向けての基本目標に沿った展開が可能と考えます。
これまでの高齢者福祉センターで行われている各種事業は、地域の一般高齢者向けの講座や啓発が中心となってきましたが、今後は子どもや母親、父親に対する施策も不可欠であるというニーズを踏まえ、若い世代にも健康に関心を持ってもらえるような工夫をこらした転換が必要になってくると考えます。魅力ある事業を展開することで潜在的な利用者ニーズにもつながっていくことは、さきに述べた地域開放事業の事例からも明らかであります。例えば、センターで行われている骨盤底筋体操などは、高齢者の方だけではなく妊産婦にとっても効果的な事業になると思います。また、使用頻度の低い部屋を活用しながら保育スペースを設けることで親同士の交流の場や事業への気楽な参加も可能となります。このように、既存の自主グループの活動や事業は決して高齢者向けのものだけではなくて、若い世代や子どもでも楽しめる活動が豊富にあることを知ってもらうことが利用者の幅を広げることにもつながると考えますが、御見解を伺います。
次に、独居の高齢者や高齢世帯をはじめとして若い母親や子ども、障害者が孤立しないよう地域で見守り、支えあう取り組みが重要となっています。核家族化や近隣関係の希薄化の中で、子育てをしている若い母親たちにとっては転換後の施設でふれあいや交流を行うことでそれぞれが抱える不安や悩みを受けとめてくれる「子育て支援の場」ともなり、また、高齢者の方にとっても地域に役立つ存在として自覚できる場として提供することが可能となります。
高齢者福祉センターは、地域の関係者で構成する運営委員会や松が丘や弥生では地域包括支援センターや高齢者在宅サービスセンターも併設していることから、既に地域とのネットワークが構築できております。住みなれた地域の中で、どのような状態であってもその人らしい生活の実現を目指すためには、地域包括ケアシステムの実現に向けて日ごろから事業に協力的な民生児童委員や町会、また、地域包括支援センターのアウトリーチ機能を生かしたネットワークを活用し、認知症高齢者への対応や厨房施設を活用した配食・会食事業等の展開を図ることにより、地域の独居高齢者への見守り支援を行うことも可能であります。
一方、高齢者会館と同様の機能を残しつつも、施設内には福祉等の専門職が配置されていることを生かし、だれもが利用できる施設に転換をし、地域の拠点化を図ることが世代間交流を生み、これをはぐくみ、全世代が住みなれた地域で安心安全な生活が継続できるまちづくりにもつながっていきます。
また、障害のある人が地域で安心した生活を送るためには、相談支援体制の強化と就労に向けた支援が必要であることから、区内の障害者施設・事業者との連携により、就労移行支援・就労継続支援の場として施設を活用することも十分考えられます。
以上、今回の転換によって今後は子ども、高齢者、障害者への支援を一体的に行うすこやか福祉センター的な機能を補完することも可能であり、区民活動センター同様、区民の公益活動・支えあいネットワークづくりの拠点施設としての活用も十分に期待できると考えますが、あわせてご見解をお尋ねいたします。
次に、今回の廃止に当たっては、自主グループ活動の継続に関して利用者から不安の声が大変上がっております。各センターでは、それぞれ30から42の自主グループが活動しており「今後活動スペースを確保するためには、使用料を負担することもやむを得ない」との意見も出ております。しかし、当初は負担に肯定的でも、同じ条件での負担が継続していくことで今後の活動が制限されたり、また、これまで培ってきた仲間づくりのきっかけや自主的な活動の場そのものが消滅することも予想されます。これらを勘案すると、自主グループ活動の使用料等での施設の運営費、管理費を捻出したり、施設が老朽化する中、維持管理をしていくことは極めて困難と考えます。このことからも、廃止後の施設運営の管理については、民間事業者へすべてをゆだねるのではなく、一定の補助金の支出や土地建物については無償賃貸借契約とすべきと考えますが、御見解を伺います。
これまでの高齢者福祉センターは、地域における活動を積み重ねてきたことで地域における人的社会資源を発掘し、人的なネットワークを構築してきたことが大いなる強みであります。今後の施設のあり方としては、これらの資源をさらに発展させながら、すこやか単位の生活圏域において横断的な社会福祉の推進が図れるような施設運営にしていくことが重要であると考えます。地域における保健福祉としての総合的な機能が推進される施設として転換することを強く要望し、この項の質問を終わります。
次に、都市型産業の創出についてお伺いをいたします。
中野区は、新しい中野をつくる10か年計画第2次において、ICTやコンテンツなどの都市型産業の集積・創出等によって区内産業の活性化を目指すといたしました。その一環として、警察大学校等跡地地区、いわゆる中野四季の都市地区において都市型産業の振興拠点を、民間活力を活用して平成24年度中に開設するべく、いわゆる事業コンペ等の手続を進めているとの報告もされているところであります。
さて、IT企業の発展を牽引してきた事例といたしましては、今から約10数年前に東京のIT系ベンチャー企業が、シリコンバレーにならって渋谷を渋い=bitter、谷=valleyという意味から「ビットバレー」と称して集まるようになり、そこから「渋谷ビットバレー構想」が生まれ、渋谷のIT企業を牽引する大きな力となったケースが知られております。あれから10数年がたち、インターネットはほぼ国民全体に行き渡り、ネットを利用することがごく当たり前の日常となりました。さらに、スマートフォンの登場でインターネットは携帯して使う時代へと確実に変化をしております。もちろん企業も積極的にITを駆使して成長する時代へと移りつつあります。
こうした背景から見ても、社会生活にインターネットが重要不可欠になってきていることは容易に想像できますが、こうした利便性はまた同時に危険と表裏一体であることも忘れてはならないことであります。昨年の10月に報道された衆議院議員のパソコンをねらったサイバー攻撃は記憶に新しい出来事でありますが、この事件は私たちにとっても他人事では済まされない大変重要なことを教えてくれています。それは、ねらわれた衆議院議員のパソコンも私たちのパソコンも同じネットワークでつながっているということであります。つまり、私たちも全く同じ危険にさらされているということであります。
既にアメリカの軍隊にはサイバー軍というサイバー戦争担当部隊があり、米国防総省はサイバー空間(つまりネットの世界)を陸・海・空・宇宙に続く「第5の領域」として定義し、深刻なサイバー攻撃に対しては軍事行動を含めた対応をとる可能性すら示唆しております。
以上のことを踏まえますと、中野区が進めようとしている都市型産業の集積促進におきましても、安心して使える安全なネットワークインフラの整備がとても重要な要素であることが理解できます。コンテンツ産業にせよ、クリエイティブ産業にせよ、ネットワークが安全に機能することが前提になければ成り立たないと言っても過言ではありません。これからの社会では、ネットワークの安全は個々に任せるだけでは十分とは言えず、その道のプロがチームで協力し合うことで確立する必要性がますます高まっていると言えるのではないでしょうか。
中野区において、安全で使いやすいネットワークインフラを構築して安心して使えるサイバー空間に育て上げ、それをみんなで共有できれば、これは世界的にも価値のある財産になるのではないかと考えますが、区の見解を伺います。
さて、ネットワークインフラの整備にはデータセンターの設置が必要であります。設置場所は安全でなければなりません。データセンターには物理的なサーバが多数置かれますので、地震の危険度が低い場所が最適であり、その点中野四丁目は地震での建物倒壊や火災の危険度がランク1と中野区内でも一番安全な場所と言えます。また、この地域は海抜40メートル以上ありますので、津波や浸水の心配もないことから、データセンターを設置する場所としては最適と言えるでありましょう。
次に、データセンターの設置場所と同様に大切なことは、外的からデータを守ることであります。さきの事例でもわかるように、インターネットの世界に100%の安全を求めることは不可能に近いことであります。では、世界ではどのように外的からデータを守ろうとしているのか見てみると、ハッカーと呼ばれる人たちに協力を得てシステムを強化する方向にあります。
「ハッカー」という言葉については、日本においてはどちらかというと悪いイメージで印象づけられている傾向にあるかと思います。しかし、ハッカーの本来の意味は、コンピュータ等について深い技術と知識を持つ人のことを言います。コンピュータ犯罪を行う人のことは「クラッカー」と言って区別をされているのが現実であります。
昨今、世界ではマイクロソフト社による「ブルーハット・サミット」や韓国政府が支援するハッキング大会など、さまざまなハッキングコンテストが行われていて、日本人チームもこうしたコンテストに参加して技術を競っているそうであります。そこで、セキュリティーの高い安全で使いやすいネットワーク構築を目的として、警大跡地に進出してくる大学などの教育機関も含む産学公連携によってハッキング大会のようなセキュリティーイベントを中野区において実施してみてはどうでありましょうか。産業振興拠点に入る事業者との連携の可能性も検討できるのではないでしょうか。これによって安心なネットワークインフラの構築を担えるプロ人材の集積・発掘という効果も期待できるでしょうし、私たち区民や一般の企業等の関心を喚起し、インターネットに潜む危険性に気づかせる啓発機会ともなるのではないでしょうか。関心が広まることで情報リテラシー、いわゆる情報活用能力の向上にもつながり、ネット社会における安心な生活の確保という公共的課題にもこたえていけるものと考えますが、いかがでしょうか。区の見解を伺います。
ハッキング大会を実施するためには、実際に一定のハイレベルなセキュリティーシステム等の提供をどうするかなど、さまざまな課題を乗り越えなければならないものと思われ、大きなチャレンジであると同時に、当然にリスクもあるものと思います。しかしながら、そこから得られる情報の有益性ははかり知れないほど大きいものではないでしょうか。大会を継続すれば、必然的に中野区への関心も高まり、中野区の財政にもプラスになることは確かでありましょう。区民や企業の関心が広がることで、インターネット等におけるセキュリティー市場の拡大・創造にもつながり、ICT・コンテンツ産業のさらなる成長も期待されます。そしてまた、震災にも強く、ネット上のセキュリティーにも強い中野という「中野ブランド」の確立にも役立ち、中野の一つの魅力・強みとして発信していけるのではないかと考えますが、この項を総じて区の見解を伺っておきます。
その他の項で1点質問をいたします。
小・中学校の校庭開放の抽選方法についてであります。
なかのZERO等の文化施設や中野・鷺宮体育館などのスポーツ施設を利用する際の予約システム「ないせすネット」については、老朽化したシステムの改修作業を昨年4月から行っていたところでありますが、この1月から新しいシステムが稼動し、携帯電話からの予約も可能になるなど利便性も高まったと伺っているところであります。また、小・中学校の校庭開放の利用についても間もなくシステムの対象となり、これまで1カ月、または2カ月単位で行っていた抽選が、区役所や鷺宮区民活動センターまで区民が足を運ぶことなく行えるようになると伺っております。しかし一方で、特に小学校の利用団体から、これまでの利用ができなくなるのではないかという不安の声も上がっています。区は、校庭開放について3月8日からシステムによる申請を開始し、4月分からの校庭使用の抽選を行う予定と伺っておりますが、より円滑に利用ができるための方策を早急に検討すべきではないかと思います。区の考えを伺いたいと思います。
以上で私の質問は終わります。ちょっと質問の時間オーバーしましたが、答弁も御丁寧に答弁いただきます。時間のほうも1時間過ぎても結構ですので、よろしくお願いいたします。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 市川議員の御質問にお答えいたします。
中野駅周辺まちづくりに関連しての御質問が幾つかありました。まず、公園の拡大と防災性の向上についてというところであります。
東日本大震災の経験を踏まえ、被害想定の見直しや各種の防災機能の配置の考え方を見直すことが求められております。中野四季の森公園をはじめ、中野四季の都市を含む中野区役所一帯の広域避難場所としての防災拠点機能についても、新たな観点から拡充していく必要があると考えております。旧国家公務員宿舎予定地を拡大活用して防災公園の拡大が可能になった、このことの意味は大変大きいというふうに思います。今後、公園に隣接をいたします区庁舎予定地につきましても、全体としての防災機能拡充という観点から、整備のあり方を改めて検討していく必要があると考えているところであります。
庁舎のような災害対策本部としての中心機能の配置という現在の考え方と、オープンスペースに接した大規模な屋内スペースの確保といった考え方など、十分に比較考慮することが今後のポイントになってくるだろうと考えております。
次に、中野駅の駅ビルについての御質問がありました。
中野駅は、まちの入り口でありまして、中野二丁目、三丁目、四丁目、五丁目の4地区を結びつける回遊動線を確保する上で極めて重要であります。今回のまちづくりの中で、西口の整備とあわせて東西南北の回遊動線を整備することが大変重要だと考えております。北側の東西動線につきましては、第1期事業で横断デッキを整備しているところですが、次の段階では西側の南北自由通路や南側の東西動線の確保、こういったことが現実的な課題となってまいります。そうした整備を誘導するためには、JRの敷地を活用しなければなりません。当然JRの協力を得ることが不可欠ということであります。
また、整備に当たって駅施設や駅ビルと一体的に行うことで地域全体に大きく貢献する新たな施設を実現することが可能となると考えております。そういう意味で、駅ビルを誘導することは周辺地区への回遊性を高めるだけではなく、地域の活性化にもつながるものと考えております。商業、サービスや公共的機能などでこれまでなかったタイプの機能が駅ビルによってもたらされることになれば、新たなにぎわいや利便性の要素となると同時に、既存の商店街に対してもよりよい波及効果をもたらすことも可能となると考えております。こうしたことについて、地域の皆さんを含め区民の皆さんとともに検討し、JRにも働きかけをしてまいりたいと考えております。
それから、南口の駅直近まちづくり、南口、また二丁目、三丁目の南口全体の活性化についての御質問がありました。
中野二丁目市街地再開発事業につきましては、南口地区におけるにぎわいの核の一つとなっていきます大変重要な事業だと考えております。また、隣接する南口駅前広場の拡張や広場周辺の交通動線の機能向上など、この地区における長年のまちづくりの課題を解決していく上で大きな役割を果たすものと考えております。再開発準備組合との協議を進めてまちづくり計画を早期に固め、数年のうちに事業化されるよう取り組んでいきたいと考えております。
また、中野三丁目直近地区につきましては、桃丘小跡地を事業用地として活用しながら総合的、一体的なまちづくりを進めていく必要があると考えております。また、西側南北通路の整備につきましては、その降り口となります広場部分が必要となります。その位置や周辺の交通動線、また、一体の市街地整備のあり方について総合的に検討を進め、まずは広場部分の確保について一定の具体的な方向性を早急に得ていくことが必要であると考えております。
中野二丁目、三丁目にまたがる南口周辺一帯を活性化させるための方策として、新たなにぎわいを生み出す核となる施設の誘導、これが必要と考えております。二丁目再開発におけます業務商業機能の誘導とともに、多くの区民が利用し、交流できる公共性や公益性の高い施設など、南口の新たな可能性について検討していきたいと考えているところであります。
グランドデザイン改定についての今後の考え方ということでの御質問がありました。
グランドデザインVer.3の検討に当たりましては、10か年計画やグランドデザインVer.2において描いたにぎわいと魅力あふれる東京の新たな活動拠点としての位置付けや、さまざまの御指摘がありましたような基本的な考え方については変わっておりません。グランドデザインVer.3では、Ver.2を踏まえてさらによりよいまちづくりとなるよう、Ver.2以降のさまざまな変化や新たな状況などを踏まえた検討を行う。このこととともに、これまで具体的な方向を示し切れずにおりました各地区のまちづくりにつきまして明確な考え方を示していきたいと考えているものであります。今後、検討が進む中で上位計画の変更や調整が必要となる場合には、その内容に応じて適切な時期、方法で整合を図っていくこととしてまいります。
また、企業立地に伴う効果についての御質問がありました。
仮に区が他の市のように法人住民税を課税するとなりますと、企業の立地は当然ながら税収の増要因となります。法人税額に応じた法人税割額に加えて、従業者数や資本金等に応じまして均等割額を収納できることになります。このため、企業の立地というのが大変安定した税収が期待できることになります。特に、大企業が立地することの意味は大きいというわけであります。こうしたことから、一体となって東京都が課税しております23区の中におきましても、やはり自区内に大企業が立地するということの意味は大変大きいものと考えております。
企業立地によります地域への経済波及効果ですが、就業者の純増に加え、関連するビジネス来街者の増加、また、それに伴う周辺商店等での消費の増加、また、幅広い地域事業者の活力向上が期待できます。こうした即効的な経済効果はもとより、大企業の本社が立地することによる中野区全体のイメージや存在感の向上、また、地域と連携したさまざまな取り組みによります発信力、集客力の向上など、中長期的な波及効果も大いに期待できると考えております。税収面だけではなく、さまざまな地域経済波及効果が期待できる企業立地は区の持続可能性に大きく寄与するものであり、今後も中野駅周辺まちづくりを通じてその立地促進に取り組んでまいります。
地域支えあいポイントについての御質問であります。
まず、これを取りやめたその理由であります。
地域支えあいポイントが効果的に運営されるためには、やはり関係者がこの制度について積極的にともに活用しようという一致した機運が必要である、このことが前提になると考えておりました。しかしながら、地域の中でさまざまなお立場の考え方もあり、必ずしも区民が一致して活用しようという機運が醸成されることがなかなかなかったということであります。区の財政が危機的な状況にある中で、この事業の見通しが明確にならないまま人的、また財政的に資源を投入し続けることは適当でない、このように考え、取りやめることとしたものであります。
このポイント制度の取りやめが10か年計画の見直しを意味するものなのかどうかといった御質問もありました。
10か年計画は、中長期的な目標と戦略を示す計画でありまして、個々の事業内容や事業量はPDCAサイクルの中で成果を把握しながら見直しを行っていくものでありまして、状況に応じて特に一つひとつの事業のあり方等につきましては変動するものと考えているところであります。重点プロジェクトとした事業も同様でありまして、お買い物ポイント及び地域支えあいポイント事業によって実現しようとしていた目標について変更するものではなく、その実現に向けた新たな取り組みを検討していきたいと考えております。
地域支えあい活動の推進策についてどのように考えているかという御質問もありました。
地域での支えあい活動を推進するためには、ネットワークとして町会自治会の取り組みとすこやか福祉センターなどの関係機関との連携のほか、さまざまな事業者やボランティア団体などとの相互の協力が必要であります。こうしたボランティアを行う人材の確保も重要でありますことから、社会福祉協議会とも連携をしながら養成講座を開催するなど、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
町会自治会が行う見守り・支えあい活動につきましては、見守り対象者名簿の提供など、それぞれの地域の実情に合わせた支援が必要と考えておりまして、各地域でさまざまな形で開催されている支えあいのためのネットワークづくりの会議などで他地区での取り組み事例の紹介や経験交流などを行っていきながら、無理のない着実な進展を図ってまいります。さらに、区民活動センター等に配置する職員による実態把握のための訪問活動、こうしたことも計画的に実施をするほか、こうした訪問活動で得られた情報や町会等から寄せられる情報について一元的に管理するための情報システムを導入し、地域包括支援センターとも情報を共有しながら要支援者を適切なケアに結びつけていく体制を構築していきたいと考えております。
がん検診の見直しについての考え方についての御質問がありました。
区といたしましては、10か年計画でも明らかにしております自分の健康は自分で守るという考え方からも、がん検診等の受診率を向上させることは重要な課題と認識をしております。検査技術の改良も年々行われておりまして、より高い精度を期待でき、財政負担も抑制できるといった検査方法も日々開発されているところであり、さまざまな自治体がそれぞれ工夫しながら新しい取り組みを行っているところであります。区といたしましても、区民の健康づくりを支援していくためにも区民にとって利用しやすく効果的、効率的で将来的にも持続可能な検診制度の確立について、受診率向上という視点も含めて関連団体や有識者の意見も参考に検討していきたいと考えております。
それから、地域防災計画改定作業の進捗状況について等の御質問がありました。
東日本大震災を受けての中野区地域防災計画の改定に向けた課題整理と対応の方向性について区で検討して取りまとめました内容を、さきの震災対策特別委員会に報告したところであります。対応するべき課題として、その中では地域の防災行動力の向上、避難所機能の拡充、帰宅困難者対策の充実、区災害本部体制の充実等を挙げているところであります。今後、年度内にさらに具体的な内容について取りまとめた上で、必要な内容について順次具体化を図ることにしております。さらに、平成24年度の秋に予定されております東京都の地域防災計画の修正内容等を踏まえまして平成24年度内に区の地域防災計画の修正を行う予定であります。
現在予定をしております平成24年度の具体的な取り組みは、地域防災住民組織の活動の指針となる手引の作成、備蓄食料の充実、避難所の防災井戸の掘削、区有施設の耐震化、防災まちづくりの推進等々であります。
東京都が進める木密地域の不燃化特区についての御質問がありました。
木密地域の不燃化特区について、東京都の木密地域不燃化10年プロジェクトにつきまして、中野区としては御質問にもありましたように積極的に活用を図りたいと考えております。特に平成24年度の不燃化特区の先行実施地区の選定を得られるように努力をしてまいりたいと考えております。先行実施地区といたしましては、狭隘道路や行きどまり道路など防災上の課題が多く、かつまちづくりの核となり得る都営川島町アパート跡地がある弥生町三丁目周辺での先行実施を目指したい、このように考えております。
コア事業として想定をしております防災街区整備事業を施行する主体といたしましては、いわゆる密集法の中で防災まちづくりを担うことができると規定をされております独立行政法人都市再生機構を想定しております。東日本大震災の発生や首都直下地震の切迫性を踏まえますと、木密地域の危険性の解消は中野区にとっても最も重要な課題の一つであります。東京都の特別の支援が得られるこの10年プロジェクトの選定を受けられるよう、最大限努力をしてまいりたいと考えております。
次に、高齢者福祉センターについての御質問であります。
高齢者福祉センターにつきましては、これまで実施をしておりましたかつてのA型福祉センターとしての事業、このあり方については一定の役割を終えたと考えております。転換後の施設につきましては、これまで利用されている高齢者の方を含め、幅広い利用者を対象とした保健福祉、介護予防の施設として活用していきたいと考えております。
また、地域の高齢者会館と同等の機能を持つ施設として、自主グループ等の方々に利用していただくように継続をしていきたい、そういった部分を継続していきたいと考えているわけでありますが、御提案のありました子どもや母親などの若い世代に対する利用等につきましても、今後転換に向けての考え方を整理する中で検討していきたいと考えております。
また、転換後の施設につきましても、地域支えあいを推進する観点から高齢者会館や区民活動センターなどと連携しながら見守り、支えあい活動の拠点として位置付けることを検討していきたいと考えております。
また、高齢者福祉センター転換後につきましても、管理運営については区の一定の負担や補助が必要となるだろうと、こうした御質問でありました。
今回の転換では、施設を民間事業者に貸し付け民間による運営を行うものでありますが、高齢者会館的な機能の確保や自主グループ・団体の活動の継続といった点については、区として実現しなければならないものと考えております。したがいまして、これに従う経費負担につきましては、区の責任と負担の範囲を明確にするという方向で今後十分に検討してまいりたいと考えております。
それから、都市型産業の創出に関連して、ネット上のセキュリティーに強い中野ブランドの確立を発信するべきではないかといった御質問がありました。
ICT・コンテンツ産業等の都市型産業の展開において、セキュリティー対策は避けられない課題でありまして、また同時に大きなビジネスチャンスを秘めたものでもあると考えております。インターネット環境におけるセキュリティー技術の集積の高さなどを中野の強みの一つとしていくことも都市型産業の集積等にとっての魅力として発信することができる、そうした考えだと思っております。産学公連携による方法も含めた具体的な取り組みの可能性につきまして検討していきたいと考えております。
それから、小・中学校の校庭開放の抽選方法についての御質問であります。
文化やスポーツ施設の予約システム「ないせすネット」は、利用者の利便性向上の観点から、携帯電話からもアクセスを可能にする等の改善を行ったほか、小・中学校の校庭開放にも対応させたものであります。この校庭開放の予約システム化によりまして、従来のように利用者区民が区役所や鷺宮区民活動センターで行う抽選会に毎回足を運ばなくても済むようになると、こうしたメリットがあります。また、その一方で新しい抽選方法に変更することでこれまで利用団体間に生まれていた相互協力の形がそのままではできなくなるといったとまどいがあるとも聞いているところであります。こうした問題に柔軟に対応するため、新しい抽選方法の導入時期の変更も含め、早急に対応を考えてまいりたいと、このように考えております。
○35番(市川みのる) 高齢者福祉センターの質問に対して、今区長から大変前向きな答弁をいただいたと思います。
質問をするに際して、なかなか区の方針が定まっていない。いわゆる高齢者福祉センターのA型を廃止した後の方針というものがしっかりと定まっていない。そういった中にあって利用者の皆さんや運営委員会の皆さんに説明会が開かれている。そうすることによって不安が増長されてしまって、皆さんそれぞれに行く末が見えない不安感というものを抱えていらっしゃる。そういう中で、今私ども自民党から今後のあり方について一つ提案というか、発信をさせていただきました。詳細については、北原議員のほうから明後日に質問があるわけでありますが、先ほど区長のほうから高齢者会館と同様の機能だとか、区独自の事業がこの中で展開されるわけでありますから、後の施設利用についての運営経費だとか維持補修費なども一定の割合に応じて区が負担しなければならないといった趣旨の答弁がありました。
私が心配しているのは、先ほども質問のところで述べましたように、使用料については皆さんある一定の使用料、利用料といったものの受益者負担については理解をしていらっしゃる方が大勢いらっしゃいます。だがしかし、事業者側の立場に立ちますと、ただ単にそれだけでこの施設が運営しているのかといった不安感も、逆に手を挙げてくる事業者側にも今度は生まれてくる可能性もあるわけです。それがある一定の使用料、これを越してはとてもじゃないけど皆さんが利用できないというような高額なものになってはいけないわけです。それをある額で抑えていくということになりますと、なかなかこの施設の利用というか、施設の維持管理というものについて、その負担の割合というものの決め方によっては、事業者が逃げていってしまうというようなこともある一面、不安感として私どもは抱えるわけなんですね。したがいまして、そういった点でのお考え、いま一度整理して伺っておきたいと思います。
それと、先ほど私、御紹介申し上げましたハッキング大会なんですが、これはハッキングコンテストとかセキュリティーコンテストと言いますけれども、既に先週の読売新聞の夕刊に、私がこの質問の取材を受けた後に記事としてプレスリリースされているんです。これは大分県で開催をされていて、日本初のハッキング技術コンテストと、こういうふうに九州大会の記事が載っているんです。今後日本各地で予選大会を開催する予定だというふうにうたわれています。私はこのハッキングコンテスト、ハッキング大会の提案、それから質問をした裏には、例えば先ほど言った情報リテラシーの向上、いわゆる情報活用能力の向上といった面から考えても、特に中学生とか高校生といった若年層の皆さんにこういうコンテストに参加するといった糸口を見出したいと思うんです。
ということは、いとも簡単に入れるんだよということをみずからが体験することによって覚える。それによってネットの世界の利便性と危険というものが表裏一体になっているということを中学生や高校生のうちからしっかりとした教育の場として受けとめるためにもハッキングコンテスト、大会は必要だと思っております。そういった観点からも、いち早く中野でこのハッキング大会を開くんだ、ICT・コンテンツ産業、いよいよ東京建物のあの建物も6月末竣工です。そこに都市型産業の集積基地として中野区が今、プロポーザル方式で募集選定している業者が入ります、事業者が入ります。と同時にプレスリリースするようなスピード感を持ったハッキング大会の実現を図っていただきたいと思いますが、いかがお考えか、再度お答えいただきたいと思います。
○区長(田中大輔) 再質問にお答えをいたします。
高齢者福祉センターの機能の転換についての再質問がまずありました。
高齢者福祉センターを、かつてA型と呼んでいた機能を廃止するということについて、今後どういう形になっていくのかということについての具体的な方策をまだお示しできないでいるということについて、私どもとしてもさらに検討を急いでいきたいと、このように考えております。一定の考え方について、できるだけ来年度の第1四半期、7月ぐらいまでの間にはきちんとお示しをしながら、また議会や区民、利用者の皆さんの御意見もお聞きをしていきたいと、このように考えているところであります。
その負担の問題等についての御質問がありました。
高齢者会館的機能の部分につきましては、利用者の方から御負担をいただくわけにはいかないだろうと、このように考えております。また、それ以外の仮に事業者が具体的にどういう事業者がまだ決まっておりませんけれども、事業者が事業者の事業として一般の利用に供するといった場合の御負担のあり方については、それぞれその事業の内容に応じて決まってくるものだろうと、このように考えているところであります。区といたしましては、先ほど申し上げましたように高齢者会館としての機能、高齢者の方が自由に集って自主的な活動をされたりするといったような機能や、また、区が区の自主的な事業を行うといったような部分については、基本的に利用者の方の御負担をいただくということではなく、具体的に行われる事業に応じて、例えばもし材料費の負担をいただくような事業をやるとすれば、そういったようなものといったことになるだろうと、このように考えております。
したがいまして、事業者に借りていただく場合にあっても、その事業者の方にみずからの事業以外の負担を求めるということについては行わないということを基本的に考えていきたいと、このように考えております。
それから、ハッキングのコンテストについての御質問がありました。
セキュリティー技術というもの、またインターネットということに対するリテラシーを高めていく、特に若い時期からのリテラシーを高めていくということの必要性ということについて私も同感するところであります。今後四季の都市のセントラルパークに確保しておりますスペースに入ってもらう事業者、今選定をしておりますので、その事業者がどのような事業を具体的に展開できるのかということについても、今のところまだ具体的に私どものほうが想定を持つことが難しい状況であります。そういう意味で、こういう事業を必ずここでやりますということについては、今の段階ではお答えがしにくいというふうには思っておりますけれども、お示しのあった問題意識、あるいはテーマといったようなことについてもこの中で実現する方向で検討していきたいと、このように考えております。
○議長(大内しんご) 以上で、市川みのる議員の質問は終わります。
1 区長の所信表明について
2 障害者施策の充実について
3 女性の視点からの防災対策について
4 動物との共生について
5 その他
(1)ガン対策について
(2)その他
○議長(大内しんご) 次に、やながわ妙子議員。
〔やながわ妙子議員登壇〕
○37番(やながわ妙子) 平成24年第1回定例会に当たり、公明党の立場から質問をいたします。
質問は通告のとおり行います。
初めに、区長の施政方針説明について伺います。
東日本大震災から間もなく1年を迎えます。区長が述べているように、国の復興庁の設置はあまりに遅過ぎ、国のさまざまな対策もすべて後手になっています。被災地の皆さんの心情を思うにつけ、胸が締めつけられる思いです。
一方で、大震災を期に中野区民の防災対策への関心はかつてないほど高まっています。被災地のさらなる支援とともに、中野の安全・安心につながる対策に全力を上げるべきです。人口密度は全国で最も高い水準にあり、木造密集住宅地が数多く残る中野において、防災対策として何よりも重要な取り組みの一つは、いざというときに多くの区民が「逃げ込める」大きなオープンスペースの確保です。
区長は、私ども公明党の提案を受けながら、まず北部防災公園である江古田の森公園を実現し、また、間もなく開設の中央防災公園「四季の森」を手がけ、さらには私も20年前から訴えてきた東大附属一帯及び東大海洋研究所跡地への南部防災公園も実現に道筋をつけました。
大災害のとき最も大事なのは、水・食料・トイレ・空間・通信であるとの識者の指摘があります。その中で、待ったなしの対応として重要なのが空間です。区民が逃げ込めるまちづくりの核になるものです。今開設しようとしている「四季の森」を見てみると、防災公園として区民が逃げ込める屋外のオープンスペースを中心として、災害拠点病院としての東京警察病院が隣接しており、理想的な形になっています。
しかし、災害はいつ起きるかわかりません。今回の東日本大震災も被災地では雪が降る極めて厳しい状況での発災でした。寒いときばかりではなく、真夏の日中やあるいは台風襲来との複合的な災害をも想定しておかねばなりません。そうした意味からすれば「区民が逃げ込めるまち」として屋内施設も大変重要であります。逃げ込める公共的な屋内施設をどうするのか、また、民間ビルや大学などと災害協定を結ぶことも必要です。さらには、今回の大震災でもクローズアップされた電力問題を考慮したときに、本格的な自家発電などの自立・分散型のエネルギー供給対策も忘れてはなりません。こうした「逃げ込めるまちづくり」について、区長の御見解を伺います。
南部防災公園については、東大附属の体育館が建て直されます。屋外のオープンスペースとあわせて不可欠な避難施設としてこの体育館の震災時の活用については明確にしておく必要があります。区は、東大附属の新体育館の災害時の活用について東大附属と十分な協議を行い、活用方策を区民にもわかるように策定すべきと考えますが、御見解を伺います。
また、施政方針の中で区長が言及している「弥生町三丁目地区や平和の森公園周辺のなどでの防災まちづくりの支援」、「緊急輸送道路沿道建築物等の耐震化の促進」、「地域防災住民組織の活動手引の作成」など、対策も極めて重要です。木密地域の不燃化対策について、東京都は10年プロジェクトを策定し、区市町村と連携してモデル地域を設定して施策を推進しようとしています。先日も私の地元、南中野活動センターで木密不燃化意見交換会が東京都主催でありました。全町会長が参加し、熱心な意見交換会が行われていました。中野区としても都の支援を積極的に活用しながら取り組みを進めるべきと思いますが、お考えを伺います。
東日本大震災の被災地支援について、中野区は昨年、発災直後から自治体の特徴を生かし、国に先駆けて被災自治体と災害協定を結び、積極的な支援をしてきました。被災地の首長もみずから田中区長のところにお礼に訪れるなど、大いに評価されました。被災地支援はことしもさらに強化していく必要があります。最近では、ボランティアで被災地を訪れる人は昨年5月には17万1,800人でピークでしたが、ことし1月には1万700人まで激減しています。区としてことし具体的に何を支援すべきか、明らかにすることが重要です。
施政方針の中で区長は、被災地への支援策のあり方について「国や政治が機能しないこのような状況であるからこそ、自治体がみずからの足元を見つめ、未来を展望し、自分たちのできることを着実に積み重ねていくことで国や社会の将来を自分たちの身の丈の範囲から切り開いていくことが今求められているのではないでしょうか」と述べました。私も全く同感です。被災地の皆さんのためになすべきことは山積しています。その中で、私がぜひ支援すべきと考えているのは、先が見えない原発事故で苦しんでいる福島の皆さんへの支援、具体的には「除染」活動への応援です。
中野区が交流している田村市では、市民に対し「除染」のボランティア活動を養成する取り組みを進めていると聞いています。除染活動のためのきめ細やかな講習も行っているようです。学校・公園・道路といった主要な施設での「除染」活動は、国や自治体の手で進められると思いますが、後回しになってしまうのがちょっと入り込んだまちの中、例えば高齢者の自宅や庭、その周辺、生活道路、側溝といった身近な、そして低線量な場所での「除染」です。人出の多くかかる「除染」活動こそボランティアの出番です。区長が先頭に立って田村市などのそうした「除染」活動の応援を行っていくべきではないでしょうか。もちろん私も参ります。
また、中野区で「除染」ボランティアに関する講習会を実施することも考えてはいかがでしょうか。「絆が大事」、「頑張ろう」という言葉よりも、本当に訪ねて顔を見せに来てくれることが何よりの支援だと被災地の人が語っていました。本当にそうだと思います。とにかく行ってあげることです。発災から1年になるとはいえ、被災地に応援に行きたいという意識を持つ人はたくさんいます。その一方で、被災地で何をしたらいいのかよくわからないといった声もたくさん聞いております。中野区として田村市など福島での「除染」活動の応援といった具体的な支援を進めていくことをきっかけに、区民の新たな支援の輪が広がっていくと思います。私たちができる支援について、区長の御見解を伺います。
次に、予算にも触れられていますので、財政について伺います。
24年度の予算には、区民に対して「区財政の直面する課題について」とのメッセージを発し、財政運営上の「非常事態」を訴えました。そうした中で、一般会計予算規模は前年に比べ51億円余、4.6%増の1,164億7,800万円と過去最大を更新しています。数字を見る限りでは「非常事態」とは直ちに受けとめにくい編成ですが、区民に対してどう説明するのか、区長の御見解を伺います。
年度間調整のために財政調整基金を50億円あまり繰り入れており、この数字も過去最大かと思います。主要事業を見ると、大規模な都市基盤整備事業のほか、学校や各施設の整備事業があります。国や都の交付金など特定財源をあてにできるものばかりではないと思います。区民の立場からは、長い間待ちわびたというものもありますが、この時期に進めることについて財政運営上先々に影響を及ぼすことはないのでしょうか。経済状況を見る限り、歳入が大幅にふえる見通しはしにくい状況です。将来に向けどのような措置を講ずるのか、区長のお考えをお聞きいたします。
小・中学校の改築需要に備えるため、この予算では10億円の積み立て経費を計上しました。学校施設の整備は中野区に課せられた大きな責務の一つです。次世代を担う子どもたちの育成の場であることを考えれば、疎かにできません。区立小・中学校は、いずれそのすべてが改築時期を迎えます。昨年の決算特別委員会で質問をいたしましたが、全体の整備経費は1,000億円に上ることが明らかにされています。かつてのような経済の高成長が望めないとすると、学校改築経費の捻出は区財政に大きな負担となりますが、どのような見通しと方策でこの課題に臨もうとされているのか、区長の御見解を伺います。
施政方針では「持続可能な未来をつくる」という表現もありました。毎年度の歳入・歳出の均衡を図ることは当然として、その年度に発生する費用は、その年度の歳入で賄うこと、つまり負担を後年度に回さないということが重要だと私は考えています。そうした観点から考えてみますと、あらゆる施設について減価償却費を厳密に算出し、毎年度相当額を積み立てることが必要になると思いますが、区長のお考えをお聞きし、この項の質問は終わります。
次に、障害者施設の充実について伺います。
国の法施行によって、重度心身障害者の通所事業が基礎的自治体に移管されます。区の報告資料を見ると、それに対応する取り組み項目が示されていますが、具体的にどこでどのような対応がなされるのか明らかでない部分もあります。特に、重度心身障害者への医療的ケアの問題です。
中野区医師会がこのほど重度心身障害者の家族へのアンケート調査を実施しました。先日、医師会の山田副会長とお会いし、アンケート結果について種々意見交換をしてきました。重度心身障害者の家族のレスパイト問題など、大事な課題について貴重な御意見を伺ってきました。
区は、昭和62年に療育センターアポロ園を開設し、障害児の療育に積極的に取り組んできました。平成22年4月には建てかえ移転と同時に業務委託を行い、たんの吸引などの医療的ケアを必要とする子どもの単独での通所や緊急一時保護が可能となりました。医療的ケアを必要とする子どもが、他の子と同じように週3回保護者と離れ、1人で通所することができるようになったことは、子ども自身が成長発達していく上で大変価値ある施策であり、区の障害児施策の大きな前進であったと評価しています。
近年、発達に課題のある子どもの増加傾向などによって、アポロ園1園のみでは利用者のニーズに十分対応することが難しく、平成27年には弥生町五丁目に新しい療育施設を建設する予定となっています。私は、かねてより区の南部地域に療育施設が必要であると強く訴えてきました。障害のある子どもを育てている保護者の方たちは、開設をどんなにか待ちわびていることと思います。担当者には利用者の意見をよく聞き、十分に検討を重ねてよい施設をつくっていただくよう願ってやみません。区は、たんぽぽ学級廃止後の施設を活用して重度・重複障害児童の通所事業を実施する方針を定めました。この施設では、どのような児童を対象としていくのか。アポロ園のように医療的ケアを伴う児童の単独での利用は可能なのか伺います。
これまで、重度・重複障害の児童はアポロ園を利用してきました。区の方針では、重度・重複障害児の通所施設は区内1カ所のみになるとのことですが、その理由を明らかにしていただきたいと思います。また、南部の新療育施設で重度・重複障害児の通所事業を行うことはできないのでしょうか、伺います。
重度・重複障害児の保護者は、緊急時の日中一時保護を強く求めています。特に医療的なケアを必要とする場合は、なかなか受け入れてもらえないと聞いています。現在唯一受け入れているアポロ園でも、対象児は6年生までとなっていて、中学生以降は使えない状況です。重い障害のある子どもの保護者は、出産後から1日の休みもなく子どもを介護しています。「自分は病気になれない」という必死の気力だけで毎日を送っています。このような非常に厳しい状況に置かれている方たちに十分な支援が必要です。今後整備する重度・重複障害児の通所施設での一時保護事業は、対象児の年齢を拡大し、できれば18歳以上も利用できるようにしてほしいと考えますが、いかがでしょうか。
今回、医師会が中心として実施したアンケート結果によりますと、18歳以上の障害者の方が50%以上に上ります。中野区では、障害児は子ども家庭支援センター、18歳になると障害福祉分野、身近な相談場所はすこやか福祉センターと複数の分野がかかわっています。障害児を育てている保護者が、あるいは障害者が相談先に迷うことがないよう、十分な対応が必要です。どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
障害者に対する事業は、個別ばらばらなものではなく、1人の障害者が小さいときから高齢になるまでの一生すべてを考えて対策を構築すべきだと思います。その際、医師会の協力も得られるよう、十分な協議も必要です。アンケート調査で親のレスパイトを保証する体制の重要さが浮き彫りになっています。この体制が十分でないことが虐待を生む土壌の一つにもなっています。障害者虐待防止法に基づき、区は障害者虐待防止センターを設置することにしていますが、具体的にどこに設置し、運営体制はどうするのか、仮に民間の力による形にする場合、予算も含めて区は対応をどう考えているのか伺います。
区内に「おでんクラブ」という障害児の親たちのネットワークがあります。このネットワークに集まる人たちは次第に元気になり、意欲的になってきたと「おでんクラブ」自主グループ立ち上げに尽力された前区議の佐藤ひろ子さんが語っていました。現在では、キリン財団の支援を受け、活動を展開しています。このような活動は今後ますます重要になってきます。拠点づくりとともにこうした団体の活動を支援すべきと思いますが、お考えを伺ってこの項の質問は終わります。
次に、女性の視点からの防災対策について伺います。
近年大きな災害が日本を襲っています。その中で浮き彫りになってきたのが女性の視点からの防災対策であり、私たち公明党はそれを全力で推進しています。昨年11月に公明党の女性防災会議が実施した「女性の視点からの防災行政総点検」の調査結果を発表いたしました。調査結果では、地方防災会議の女性委員の数や地域防災計画を作成する上で女性の意見を反映させているか、また、防災部局に女性職員がいるのかの設問には半数以上の自治体で女性の参画がないことが明らかになりました。昨年の第4回定例会では、小林ぜんいち議員が中野区防災会議の女性委員の比率を高め、女性の視点を取り入れた地域防災計画の策定を求めました。区長は、防災対策連絡会議への女性の参加を拡大していく方針であると答弁しました。どのような対応策を考えているのかお聞かせください。
行政サイドでも、防災対策に女性の視点が反映される体制を構築すべきです。そのためには、防災計画策定に女性職員が積極的にかかわれる条件整備が必要です。防災担当の職員はもちろんのこと、庁内検討組織にも女性職員の割合をふやすべきと考えますが、いかがでしょうか。中野区は、事業見直しにより男女共同参画センターを本庁舎内に移転する方針を決めました。この機会に改めて全庁を挙げて男女共同参画に取り組む宣言をすべきです。そして、防災対策を所管部署だけに任せず、男女共同参画を推進する部門から積極的に働きかけを行うべきと考えますが、御見解を伺います。
東日本大震災後、私は第一線の女性リーダーたちの話を聞いてきました。阪神・淡路大震災直後に県の復興部長を務めていた兵庫県理事の清原桂子さん、また、東日本大震災直後から奮闘されている盛岡女性センター長、東京YMCAの運営委員長など、異口同音に現実の震災後の女性や子ども、高齢者がどれほど過酷な生活を強いられていたかを語っておりました。いざというときの防災行動や知識の普及啓発を図るべきです。そのために区民を対象とした実践的な講演会の実施や手軽なチラシやハンドブックを発行してはいかがでしょうか。八王子市では大変わかりやすいパンフを作成しており、参考になります。御見解を伺います。
今後、区民や行政双方で女性の参画を得て防災対策を検討すべきです。特に避難所運営における女性の視点は極めて重要です。宮城県南三陸町の町長は、避難所運営で苦労した点の一つにトイレ対策を挙げています。断水で備えつけのトイレは使えず、ブルーシートで囲った仮設トイレで用を足したそうです。東京で同じことができるのだろうかと指摘しています。また、停電中にどうやって子どもに温かいミルクを飲ませるのか、男女別の更衣室やトイレの設置、女性用の洗濯干し場、避難所運営への男女の責任者の配置など、配慮は欠かせません。災害時における女性に対する暴力(DV・性被害)の増加も指摘されております。こうした課題への対応を防災計画改定にどう盛り込むのか、区の見解を伺ってこの項の質問を終わります。
次に、動物との共生について伺います。
飼い主のいない猫が地域でふえないよう、地道な活動に取り組んでいる区内のボランティア団体があります。私は、その団体の発足時から活動を見守ってきた1人です。この団体は町会自治会と連携をとり、ここ数年で中野区内545匹の猫の不妊・去勢手術を実施しました。例えば昨年、川島商店街周辺に野良猫がふえ、猫の被害が商店街や地元町会を悩ませていました。この団体は、商店街・町会の方々と協同して捕獲作業に乗り出しました。2日間かけて夜中に捕獲ケージを設置し、53匹の猫の不妊・去勢手術に成功しました。町会長の柿沼氏は「こうした活動はどこの地域でも必要であり、一緒に行動してみてそれを実感した」と語っていました。飼い主のいない猫に対する不妊・去勢手術は、特別区の中でも補助制度が広がって、ほとんどの区は実施しています。中野区も東京都の補助を活用して助成制度を検討すべきです。低額であっても、不妊・去勢手術費用の一部負担は繁殖を制限し、殺処分数が減ります。他区と同じような形でできないなら、ボランティアを支援する仕組みでもいいと考えますが、御見解を伺います。
また、飼い主のいない猫対策に取り組む区内のボランティア団体の活動を区民に理解してもらうような工夫も必要です。例えば、飼い主のいない猫対策に必要な講座を区が実施し、それを受講して活動に取り組む団体を区に登録して認定する制度を検討してはいかがでしょうか、お考えを伺います。
都内で毎年約5,000匹の猫や犬などが殺処分されています。以前に比べれば大分数は減っています。ボランティア団体が進める活動の一つに、飼い主のいない猫や犬の「里親探し」があります。これは、殺処分を少なくするために大事な取り組みです。「里親探し」の情報を区報や区のホームページ、区の掲示板で情報提供できるよう応援すべきと思いますが、御見解を伺います。
命の大切さを知ることも殺処分を少なくするために必要です。東京都の事業「いのちの教室」では、学校教育の中で命の大切さを教えています。区は、動物愛護推進員の力をもっと活用し、教育の場で動物愛護精神の普及に積極的に取り組んではいかがでしょうか、お考えを伺います。
東日本大震災の各避難所では動物の同行避難ができず、大きな課題になりました。東京都は、避難所を運営する各区市町村に動物同行避難に対応するよう求めていると聞いております。隣の新宿区では、動物の同行避難の体制整備の具体策として、避難所に動物を入れるケージを配備しています。中野区として動物の同行避難に備える体制づくりを進めるべきと考えますが、御見解を伺います。
猫対策は、猫への対策ではなく、実は猫に悩まされ困っている地域、人間への対策です。いわば地域の課題であると申し上げ、この項の質問を終わります。
最後に「その他」の項でがん対策について伺います。
今や「がん」は国民病と言われています。しかし「がん」に対する知識はいまだ乏しい現状にあります。少子高齢化が進む日本では、日本を担う子どもたちへの「がん」についての啓発は欠かせません。啓発によって「がん」に対する子どもたちのイメージが「恐い病気」から「予防でき早期発見で治る」に変化したとの報告もあります。国が今春まとめる「第2期がん対策推進基本計画」には、公明党が取り組んできた「がん教育の推進」が盛り込まれると聞いています。この「がん教育」を直ちに学校の授業に盛り込むには、過密なカリキュラムの現状では難しい面もあります。しかし、一部の自治体では独自の取り組みを進めています。条例化した豊島区では、区教育委員会が国立がん研究センターの研究員とともに子ども向けの教材を開発していると聞いています。中野区においても児童・生徒やその親を対象とした「がん教育」をぜひとも実践すべきです。お考えを伺います。
私は昨年「イマジン9.11」という演劇を鑑賞する機会がありました。全米骨髄バンクから日本の白血病患者に移植用の骨髄液を空輸しようとしたそのとき、9.11のテロが発生し、全米の空が飛行全面禁止になったという実話に基づく演劇で、白血病や骨髄バンクについての啓発を図るため毎年上演されています。中心となっているのは、中野区民の方です。昨年その演劇に出演した戸田仁奈さんは、骨髄移植によって白血病から生還した方です。戸田仁奈さんの体験は、2月9日放映のフジテレビ番組「奇跡体験アンビリバボー」で紹介され、大きな反響を呼びました。ごらんになった方もいらっしゃると思います。
今後重要となるのは、私たち一人ひとりが「がん」についての知識を正しく持ち「がん」と向き合う社会をつくり上げることだと思います。そうした取り組みの一環として「イマジン9.11」のような演劇を通じ、がん対策や命の大切さを発信し続けている方々を具体的に支援していくべきと思いますが、区長のお考えをお聞きします。
2月19日、ゼロホールで開催された「子どもたちよ-命は生きるほうへ向かう-」というイベントに参加してきました。この映画は、聖路加病院副院長細谷医師が小児がん患児と向き合い交流してきた10年間のドキュメントです。今までに300人の小児がん患児をみとられてきた医師の言葉は重く、命のとうとさを改めて実感いたしました。現在、小児がんの方々の7割から8割以上の方が治っています。そんな折、白血病の子どもを持つ親から切実な声を聞きました。骨髄移植をすると免疫がなくなり、それまで受けた各種予防接種を改めて受け直さなければなりません。しかし、その接種費用は自己負担になってしまいます。これについて、私は新たな対策が必要だと考えています。国や都に対して強く対応を求めていくことが必要ですが、むしろ私は基礎的自治体である中野区が具体的な取り組みを行い、全国にそれを発信し、リードすべきではないかと思います。区長のお考えをお聞きし、すべての質問を終わります。御清聴大変にありがとうございました。
○区長(田中大輔) やながわ議員の御質問にお答えをいたします。
逃げ込めるまちづくりについてという御質問がありました。中野四季の森公園をはじめ、中野区役所一帯は広域避難場所に指定をされておりまして、約10万人の区民が切迫する火災等の難から逃れる場所ということであります。東日本大震災の経験を踏まえ、被害想定の見直しや対応する機能の検討が必要になっている中で、大規模な避難場所におきます屋内のスペースの有効性につきましても検討する必要がある、このように考えております。そうした場所をどこに確保し、またどのような機能を備えるべきかについて整理をしていきたいと考えております。
東大附属の体育館の活用ということであります。
区では、東京大学教育学部附属中等教育学校を災害時の避難所としても指定をしております。これまでも避難所運営会議等で災害等の学校施設の利用方法等につきまして学校、地域防災会、区で確認をしているところであります。建て直される体育館につきましても、避難所としての利用方法等に関して今後学校、地域防災会と十分に協議を行ってまいりたいと考えております。
木造住宅密集地域の不燃化対策についてであります。
木造住宅密集地域を多く抱える中野区におきまして、地域の防災性の確保は最も重要な課題の一つであります。中野区といたしましては、東京都の特別の支援を受けられる木密地域不燃化10年プロジェクトを積極的に活用して取り組みを進めたいと考えておりまして、先行実施のモデル地区の選定を受けられるよう努力をしてまいります。
それから、ボランティア活動についての支援についてであります。
区といたしまして、この震災を踏まえてボランティア活動が円滑に進むよう支援をさらに強めていく必要があると考えております。今後除染活動もその対象となると想定をされております。そのため、その動機づけとなるような講習会の開催も考えられるところですが、まずは田村市との間で状況等の詳細について調査を行い、区としてできる支援について検討していきたいと考えております。
それから、一般会計の予算規模について過去最大になっていると、非常事態と受けとめにくいのではないかといったような御質問でありました。
財源の確保も含めて計画的に進めてきた投資的事業がある程度まとまって計上されていること、また、計画的に起債をしてきた起債の満期一括償還もまとまって到来をしたこと、また、学校建てかえなど将来の必要な経費を見込んだことや、生活保護費などの扶助費が増加したことなどによって予算規模が大きくなりました。この予算の中で、財政調整基金を50億円繰り入れております。こうした事業のほか、学校や各施設の整備など、国や都の交付金を特定財源をあてにできるものばかりではないのではないかと、先の影響等を考えて措置を講じる必要があるのではないかといったような御質問でありました。
大規模な投資的事業につきましては、計画的に国や都の補助金などの特定財源、財政調整交付金の財産費などを確保する対策を講じた上で行っているところでありまして、一般財源への負荷というのはほとんどないと、このように考えております。その他の事業について、できる限り特定財源を確保するほか、基金や起債の計画的活用など的確な財政見通しを持った上で進めていきたいと考えております。
その中でも学校改築経費の問題であります。
学校改築の経費につきましては、1校当たりの建てかえ経費を30億円と仮に設定いたしますと、現在の校数を建てかえる場合には1,000億円程度の経費が必要になります。1,000億円の負担というのは、区の財政上可能な範囲を超えていると言わざるを得ません。そのため、学校再編による校数減、またその跡地の売却、あるいは起債の活用なども欠かすことはできない必須のものとなると考えております。それらを考慮いたしましてもまだ約300億円程度の資金が必要となると、このように考えておりまして、その資金の確保を着実に行っていくと。これを手を抜くことはできないということから、平成24年度から年10億円を目途に計画的に義務教育施設整備基金に積み立てを行っていくこととしたものであります。
また、1校当たり30億円という改築経費の設定につきましても、これまでの施設建設の実情から見て実はかなり低目の見通しと言わざるを得ないところなんですが、これにつきましてもより低コストでの建設手法について研究をして、学校改築の基本的な考え方をまとめていくことにしていきたいと、このように考えております。
また、その年度に発生する費用はその年度の歳入で賄うことといったこと、そういった観点からあらゆる施設について減価償却費を厳密に算出する。そして、年度ごとに相当額を積み立てていくことが必要なのではないかと、こうした御質問であります。
減価償却費については、将来発生する財政負担として正確に把握をしていく必要があると考えております。現在の資産の保有状況では毎年度50億円を上回る規模となりまして、これはやはり大きな負担ということで、かなり難しいと。この全額を積み立てていくということについては、かなり難しいというふうに考えております。これらにつきまして、真に必要な施設の数や規模の検証ということも必要だと思っております。また、基金や起債の活用を行う、特に起債の活用を行って世代間の負担の公平ということを図るということ、これもまた一つの考えとして重要だと考えておりますので、そういったことをさまざま勘案しながら計画的な施設整備を行っていける、そういう体制を早くつくっていきたいと考えております。
それから、重度・重複障害児童の通所事業についての御質問がありました。
重度・重複等障害児施策の拡充に関する方針、これにおきまして、たんぽぽ学級廃止後の施設の活用方法として、重度の知的障害及び重度の肢体不自由が重複している児童を対象としての事業を構想しているものであります。障害につきましてはさまざまな状況がありますことから、今後具体的な事業内容を検討していきたいと考えております。その中では、アポロ園と同様に医療的ケアを必要とする児童での単独の利用も可能とする施設をつくっていきたいと考えております。
それから、南部の新しい療育施設で重度・重複障害のお子さんの通所事業を行うことはできないのか、こういう御質問もありました。
重度・重複障害のお子さんは医療器具を装着しているケースがありますので、現在のアポロ園のように多動傾向や予期せぬ動きをする児童との一緒の場面では特段の配慮が必要ということになります。重度・重複障害の児童につきましては、特に理学療法など身体的な療育が必要でありまして、知的障害や発達障害の児童とは提供すべきプログラムも異なっております。確かに1カ所のみということで、特に通所等が大変負担の大きいこうしたお子さんたちの施設が区内1カ所でいいのかということについては中長期に見て考えていく必要があると考えておりますが、当面につきましては区内1カ所で専門的な支援の充実を図っていきたいと、このように考えております。
それから、さらに重度・重複障害の通所施設の一時保護事業について、対象年齢を拡大して18歳以上の方も利用できるようにするべきではないかという御質問でありました。
現在のところ、重度・重複障害の通所での一時保護事業、これについては御質問にありましたように18歳未満までと考えているところであります。この18歳以上の方の支援のあり方についても区として検討する中で、一時保護事業につきましても検討をしていきたいと、このように考えております。
障害のあるお子さんの相談場所についてであります。
子ども家庭支援センターや障害福祉分野、すこやか福祉センターなど複数がかかわっているといったようなことについての御質問であります。
すこやか福祉センターでは、乳幼児から高齢者までのすべての区民の保健福祉相談の窓口と、このように位置付けております。したがいまして、障害のある方もワンストップで相談を行うと、このような考え方で運営をしております。
また、障害福祉担当と子ども家庭支援センターにおきましては、それぞれの専門的な立場から支援を行っているところであります。このことを十分に周知をしますとともに、関係する部署が連携をして一人ひとりの障害のある方に対する支援、これを十分に行っていきたいと、このように考えております。
なお、ことし9月から障害のある方のケアマネジメントを充実するため、現在中部すこやか福祉センターに開設をしております障害者相談支援事業所の対象地域を南部圏域に拡充するとともに、北部すこやか福祉センターにも北部、鷺宮圏域を対象とする同事業所を設置し、全区的にきめ細かい相談支援体制の充実を図ることとしております。これを今後4カ所に拡大していくように努めていきたいと、このように考えております。区として考えておりますのは、すこやか福祉センターでのワンストップの相談と、それぞれの担当を持つ部署の専門的な支援ということをしっかりと連携させながらトータルなケアができるようにしていきたいと、このような考え方であります。
それから、障害者虐待防止センターについての御質問がありました。
障害者虐待防止センターといたしましては区役所1階の障害福祉担当に設置をいたしますが、虐待の通報の受け付けや相談は4カ所のすこやか福祉センターでも対応してまいります。通報を受けた後、区として事実の確認や入所等の必要な措置を行ってまいります。実際に起きた場合の対応をするための一時保護施設としては、民間の施設を委託により確保していく予定でありまして、平成24年度予算に経費を計上しております。
それから、障害児団体の活動支援についてであります。
同じ悩みなどを話すことや、情報共有ができる親のネットワークというのは大変貴重なものであると考えておりまして、区としても可能な支援を行ってまいります。保護者同士の情報交換や交流の場づくりにつきましては、今後整備する事業の一環として取り組んでいきたいと考えております。
それから、女性の視点からの防災対策についてであります。
防災対策連絡協議会への女性の参加拡大の方策についてであります。
具体的な方策は検討中でありますけれども、推薦団体にお願いする委員推薦枠について、女性委員の枠を加えるような方法を検討して全体として女性の委員数をふやしていきたい、このように考えております。
それから、区の防災計画策定への女性職員の登用ということについての御質問です。
区の災害対策の体制全体では、多くの女性職員が要員として組み込まれております。しかし、実際に計画づくりという場に本来の業務として女性を参画させるということは、組織構成から言っても難しい面もあります。地域防災計画の見直しに当たりましては、何らかの形で女性職員の意見や考え方を反映できる、そうした場面を考えて設けていきたいというふうに考えております。
それから、男女共同参画の推進についてであります。
区ではこれまでも全庁挙げて男女共同参画に取り組んできているところではあります。男女共同参画センターを本庁に移転することとあわせまして、全庁的に関係所管部との連携を強化して、より一層協力に推進していきたいと考えております。男女協同参画を推進する立場から、そうした担当のほうの立場からも女性の視点を積極的に防災施策に取り入れるよう努力をしてまいりたい、このように考えております。
それから、避難所等でのさまざまな問題等についての女性の視点での講演の実施、区としての対応ということであります。
今後、女性の視点から避難所運営の工夫や避難所生活の質の向上につながるような情報提供や講演の実施等について区としても積極的に検討していきたいと考えております。
また、避難所での配慮ということですが、避難所の運営に当たりましては、今後避難者の性別に配慮した施設区分、また洗濯干し場の配置、トイレの使用など、これらが行うことができるように各避難所運営会議の中で確認をしていきたいと、このように考えております。また、今回の大震災の教訓を踏まえて避難所での女性のための相談窓口の設置等についても検討していきたいと考えております。
それから、がん対策について。がんに対する正しい知識の普及についてということであります。
がんは医学の進歩によって以前の全くの不治の病という考えから、早期発見、早期治療によるより完治する可能性が高い病気ともなってきているところであります。一方で、がん検診の受診率がなかなか向上しないという現状もあるわけであります。区では毎年10月にピンクリボン運動を行っております。その際、小児がんを患った子どもたちの作文や絵の掲示、小児がんに関するパンフレットの配付なども行っております。区といたしましては、がんにより亡くなる方を少しでも減らすため、小児がんや骨髄移植も含め、がんの現状や検診の必要性などを区民に正しく理解してもらうための普及啓発をさらに行っていきたいと考えております。
私からは以上です。そのほか関係の部長のほうから答弁させていただきます。
○教育長(田辺裕子) がん教育についてお答えをいたします。
中学校では、がんにつきましては主に保健体育で扱うこととなり、年間指導計画に沿って進めております。来年度の保健主任・養護教諭研修会等でがん教育についての研修を予定しており、まずは教員の理解を深めていきたいと考えています。がん教育のあり方につきましては、学校の実情を踏まえながら関係部署と連携を図り、今後研究してまいります。
○環境部長(尾﨑孝) 私からは、動物との共生についての幾つかの御質問にお答えいたします。
まず、ボランティア団体の活動支援についての御質問でございます。昨年から東京都の飼い主のいない猫との共生支援事業の制度を活用し、避妊手術等を含め、飼い主のいない猫の課題に対し、町会、ボランティア団体と区が連携した取り組みを開始しているところでございます。区は今後もこの制度を活用しながら地域の皆さんの課題解決に向けた取り組みに対し、地域で活動されているボランティア団体や動物愛護推進員の皆さんの協力を得ながら支援を行っていく考えでございます。
次に、ボランティア団体の認定等についての御質問でございます。
飼い主のいない猫の対策に取り組んでいるボランティア団体には、区として事業の後援や政策助成を行っており、また既にボランティア団体との連携した取り組みを行っている状況にもありますので、改めて登録や認定という制度は考えてございません。御提案のあった講座の実施につきましては、新たな活動を促すきっかけや協力者をふやすためには有効であると考えられることから、現在活動しているボランティア団体などと一緒に取り組めるか等について今後検討してまいります。
次に、飼い主のいない猫や犬の里親探しの広報についての御質問でございます。
里親探しの情報提供につきましては、対象となる件数が相当数見込まれるなど課題があり、区が直接動物の紹介等について広報を行うことは難しいところでございますが、里親探しの活動への支援について区としても検討してまいりたい、そのように考えております。
最後に、動物愛護推進員による愛護精神の普及についての御質問でございます。
動物愛護推進員の皆さんの意向を踏まえ、また東京都獣医師会中野支部とも調整を行いながら教育の場における動物の飼育、動物愛護を支援するような取り組みを区としても行ってまいりたいと考えております。
○都市基盤部長(服部敏信) 私からは、動物の共生にかかわりますところで動物の同行避難につきましての御質問にお答え申し上げます。
ペットの避難所への同行避難につきましては、東京都獣医師会中野支部に御協力をいただきながら総合防災訓練におきまして犬の同行避難訓練を行うとともに、パンフレットを配付するなどして区民の理解を深めているところでございます。これまでの同行避難訓練の内容を検証しながら獣医師会中野支部とも協議して具体的に検討を進めているところでございまして、地域防災計画見直しの中で同行避難に関します区としての考え方の案をお示ししたいと考えてございます。
○議長(大内しんご) 以上でやながわ妙子議員の質問は終わります。
議事の都合により、暫時休憩をいたします。
午後3時12分休憩
午後3時35分開議
○副議長(久保りか) 会議を再開いたします。
この際、申し上げます。
議事の都合上、会議時間を延長いたします。
一般質問を続行いたします。
1 区長の政治姿勢について
(1)所信表明について
(2)事業見直しと2012(平成24)年度予算案について
(3)その他
2 第5期介護保険事業計画について
3 公契約について
4 その他
○副議長(久保りか) 長沢和彦議員。
〔長沢和彦議員登壇〕
○31番(長沢和彦) 2012年第1回定例会本会議に当たり、日本共産党議員団を代表して一般質問を行います。
初めに、区長の政治姿勢について、所信表明について伺います。
区長は、所信表明で「経済成長の見通しもなしに税負担だけをふやしても、不況による経済規模の縮小で増税の効果が相殺され、予定するほどの税収増は得られない」と述べられています。これ自体はそのとおりです。現在焦点となっている「社会保障と税の一体改革」とは何でしょう。無駄遣いは続けたままの消費税10%の大増税であり、肝心の社会保障は切り捨てばかりです。これでは日本経済をどん底に突き落とし、財政破綻も一層ひどくなり、到底認められません。区長は、消費税増税に対して政府が「なりふり構わず進めようとしている」と批判しています。そうであれば、区内外に消費税増税反対の意思表示を明確に行うべきではないですか。伺います。
また、不況のときばかりか、1997年の景気が回復してきた時期に消費税5%への引き上げと社会保障改悪で国民負担増を行い、景気悪化を招いたことも忘れてはならないでしょう。そもそも低所得者ほど重い負担となる消費税は、根源的に不公平税制です。
区長は続いて「負担と給付のレベルが見合った社会保障制度、それに耐えられる産業構造や雇用のあり方など、社会全体の設計図を引き直すこと抜きに現在の危機を乗り切ることはあり得ない」と述べています。もし負担と給付のレベルが見合った社会保障制度云々が破綻した新自由主義の「構造改革」路線による負担増と給付減であるならば、家計消費を一層冷え込ませ危機を広げるだけです。
我が党は、2月7日に「消費税ストップ!社会保障充実、財政危機打開の提言」を発表しました。社会保障拡充と財政危機打開のために、まず「第1段階」として「構造改革路線」で大きく壊された社会保障を再生させる「社会保障再生計画」の実行に着手し、財源は巨大開発や原発推進予算、米軍への「思いやり」予算、政党助成金など無駄の一掃と富裕層・大企業優遇の不公平をただし応分の負担を求めること。次の段階では「先進水準の社会保障拡充」を行い、そのために「応益負担」の原則に立った税制改革で財源を確保すること。これら社会保障の再生・拡充と同時並行で国民の所得をふやし、経済を内需主導で安定した成長の軌道に乗せる民主的経済改革を進める。そのために正規雇用が当たり前の社会とし、最低賃金を大幅に引き上げ、中小企業の本格的な振興策の実施、大企業にたまった260兆円に上る内部留保を社会に還流させることなどを提言しています。「社会全体の設計図を引き直す」契機になると思いますが、区長の見解を伺います。
大震災と原発大惨事の被災者・被害者及び被災自治体への国の支援が遅々として進んでいないとする指摘はそのとおりです。ただ、原発事故の問題に踏み込んで触れなかったのはなぜですか。放射能汚染による被害の賠償や除染の問題に東京電力と政府は真剣に取り組もうとしていません。区内においては、今も内部被曝など放射能汚染による人体や環境への影響に対して区民の不安が厳然と存在し、さらにエネルギー政策にも関心が高まっているときに、区長が行政の長として、かつ政治家としてこの問題への言及は避けて通れないはずです。見解を伺います。
東日本大震災での被災地自治体と被災者の支援には改めて敬意を表するものです。被災地自治体での必死な取り組みと復興支援での「多くの自治体が柔軟で機動性の高い対応を行って」いる努力には頭が下がる思いです。我が党も引き続き被災地の復興支援に力を尽くすものです。
同時に、被災地の現状を見れば、地域経済の疲弊に加えて国が主導してきた市町村大合併、地方財政の削減、集中改革プランによる職員削減を押しつけ、医療費など社会保障費の削減と公立病院改革ガイドラインによって病院の統廃合・病床の削減、医師・看護師の削減などを進めて、被災自治体が住民の命を守り、地域を支える本来の役割を発揮できずにさせられてきました。被災者の救出を困難にさせ、被災者支援のおくれや二次災害を招いてしまうなどの脆弱さが明らかになりました。
単純に比較できる話ではありませんが、例えば中野区の職員2,000人体制が至上命題となっているもとで、震災・災害時における即時の参集と体制、一つとってみても機能できるかが懸念されています。地域防災会をはじめ、団体や民間企業に協力は求めても、区みずからの役割が弱くなってよいわけはないはずです。施設を減らし、人を削ってどうやって震災時に区民を守るというのか。2,000人体制ありきは見直すべきです。避難所である学校や地域本部である15カ所の区民活動センターなどにどんな時間帯においても職員が即時に参集できるのか。日常から地域情報の収集がされる体制があるのか。防災訓練等への指導・援助が施されているかなど、区民の不安や要望にきちんとこたえられていないではないですか。見解を伺います。
ことし2012年は「憲法擁護・非核都市の宣言」から30周年を迎える節目の年です。やはり所信表明で触れられなかったのは残念です。
「核兵器と人類は共存できない」との被爆者の思いにこたえて、世界で核兵器の廃絶を求める動きが大きく広がっています。昨年12月には国連総会でも核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議が130の国々の賛成で採択されました。日本も唯一の被爆国の政府として核兵器を廃絶するために役割は果たすべきであると強く感じます。中野区においては「宣言」30周年にふさわしい取り組みが求められます。また、中野区の「宣言」は憲法擁護を掲げています。憲法をテーマとした事業の実施もあわせて求めるものです。お答えください。
次に、事業見直しと2012(平成24)年度予算案について伺います。
平成23年度事業見直し内容が決められて、一部を除いて来年度予算案に盛り込まれました。政府が新たな国民への負担とサービス給付の削減を打ち出しているときに「財政非常事態」だと財政難を理由に事業の廃止や削減、区民負担を強いています。社会科見学・遠足代公費負担の廃止による負担増、就学援助基準の引き下げや外国人学校保護者補助、福祉タクシーに所得制限を求めて削減、精神障害回復者の訓練実施場所を減らし、地域生涯学習や高齢者福祉センターを廃止する、シルバー人材センターの補助金もカット、保育園保育料の値上げまでも示唆しています。おしなべて区民生活に直結する事業ばかりです。長引く不況と国と東京都の失政から区民を守るべき区政が、国・都に追随して区民いじめを、とりわけ高齢者や障害者、子どもたちにかかわる事業を廃止・削減、負担増を行い、参加と自治を標榜しながら区民施設を廃止するなど、断じて認められません。区の役割は、区民福祉の向上を図ることにあります。行革も事業見直しもその立場で行われなければならないものです。区民生活を守る自治体としての使命を放棄しているのではないですか、伺います。
環境リサイクルプラザが廃止され、民間事業者に貸し付けることになりました。その前年には消費者センターを庁内に移設し、来年度からは消費者相談しか行わない。同様に、消費者・環境問題等にかかわってきた団体を環境リサイクルプラザから追い出し、今後の利用については「区民活動センター等を使え」ということでしたが、これまでのように自主的な活動を保証できていません。そうまでして企業に賃貸しすることを決めたのは、これまでかかっていた維持管理費等の約3,200万円を削り、企業からの賃貸料をあてにする。ただし、企業から見れば安価な料金であり、営利活動を保証してあげるというものです。
さて、事業見直しでは四つの高齢者福祉センターの廃止を打ち出しています。老人福祉法と中野区高齢者福祉センター条例で定めている高齢者福祉センターを制度の趣旨とは違うものに転換してしまい、やはりここでも賃貸料を得ることにしています。これまで利用してきた多くの高齢者、区民を追い出すというのでしょうか。
区は、高齢者福祉センターでこれまで行ってきた事業をやってもらうこともあると言いますが、区が求める事業を行ってもらうことになれば、ここでも賃貸料をまけてあげるという話ではないですか。指定管理者に支払ってきた管理運営費の削減も期待しているようです。法制度のもとで行政目的により事業を実施してきた高齢者福祉センターを廃止に、それも公的責任投げ捨てて区みずからが収益を得るために奔走するなど認められません。見解を伺います。
中野駅周辺のまちづくりについて伺います。
中野駅周辺のまちづくりは、区も言うようにハード・ソフト一体の開発事業です。区長は所信表明で「一般財源への負荷はほとんどない形で進めている」と述べていますが、既に2010年度までに4億8,000万円と多額の調査費と業務委託費等をこの事業に支出してきました。
また、中野駅周辺大規模開発関連にかかわる職員人件費も多額の経費を要してきました。今年度は組織改変を施行し、そこに充てている人件費も相当な額に上ります。今年度の中野駅周辺まちづくり費20億8,536万2,000円中、一般財源で2億3,544万1,000円が予算化されました。同じく来年度は2億8,441万5,000円中、2億2,216万5,000円を支出する予定です。ソフト面の産業都市振興費においても、すべてではないとしても人件費等の一般財源をこれまでも使ってきたし、今後も使うことになります。負荷や負担をかけないことにならないのです。どう説明されるのですか、伺います。
一般会計予算案について伺います。
一般財源規模は歳入で626億円、歳出は676億円でその差50億円となり、想定していたより厳しいと言われています。そのため、財政調整基金から年度間調整として50億5,000万円余を取り崩すことにしたと言います。確かに、景気悪化によって区民税や特別区交付金の減額により歳入が落ち込んでいるのは事実です。しかし、2010年度決算の際に指摘したように、決算値では違う結果が出ます。今年度においても本定例会に上程中の補正予算で財源更正や減額更正を行って基金への積み増しを行いました。決算では歳入で当初予算を上回り、歳出では30億円から40億円の不用額が出ることで剰余金も発生します。財政調整基金の繰入金だけ見ても、予算と決算との乖離は必然です。ここ二、三年で「財政調整基金が底をつく」ことにはならないでしょう。これは区民要求を押さえ込む方便でしかないのではありませんか。税収が厳しい間での措置であれば、目的基金への積み立てを見合わせても福祉・子育て・教育に係る経費を削減することなく充実を図ることが可能ではないですか。伺います。
地方分権についても触れられていますが、求められているのは単なる「地方分権」ではなく、真の地方自治権拡充です。「自治立法権」の「行使の可能性」を定立することではなく、自治体が住民福祉の増進を旺盛に進めることのできる財政や権限の実質的な拡充です。その点では「地方分権改革」の名で国が権限を投げ出し財源を削減する中で、幾ら「受け皿」をふやしても次々と民営化、民間委託を進めているのでは「受け皿」にさえならず、公的責任を果たしているとは言えないでしょう。「財政効率」だけに目を奪われ、住民の命と暮らしを守れない状況からは自治体行政のあり方が問われています。
さて、区民施策を維持・拡充していくには、国や東京都からの補助金・負担金、つまり特定財源も欠かせません。投資的経費の開発事業にかかる交付金や補助金だけ気にして福祉・教育の国や都の負担金や補助金の削減にだんまりを決め込むのは問題です。とかく一般財源だけを気にとめる虚構の「財政非常事態」だと言わざるを得ません。見解を伺います。
歳出のところで伺います。
来年度予算案では、義務教育施設基金に年度当初から10億円の積み立てを計上しています。学校の建てかえにかかる経費に充てるとの説明ですが、その理由は一定理解できます。しかし、建てかえ計画を示していないもとでの予算措置は、およそ自治体行政としてはいかがなものでしょう。新たな学校再編を考えているようですが、その学校再編計画を示していない中での急場しのぎといったところでしょうか。
先日、中野区区有施設耐震改修計画が示されました。平成27年度までに完了を目指すとしています。近い将来に大地震発生が言われています。耐震補強実施計画の区分1に該当する小・中学校の耐震化については、前倒しして来年度予算で診断、設計、評定取得を実施するなど、早期に終えるべきです。答弁を求めます。
健康福祉費のところで伺います。
障害者相談支援事業所の拡充や75歳以上の肺炎球菌ワクチン接種費用の一部助成などが予算に計上されたことは多とするものです。しかし、生活保護費の増額と障害者自立支援法に基づく介護給付と訓練等給付の増額はあっても、健康福祉費総体としてはお寒い状況です。
中野区はこれまでに財産保全サービス、自立支援型家事援助サービス、生きがい対応型デイサービス、見守り事業、福祉電話、訪問食事サービスなどを廃止してきました。訪問理美容・寝具乾燥サービスなどは介護保険の給付に移してきました。介護保険制度だけで高齢者の必要な福祉施策を実施することはできません。だから介護保険制度の発足当初、区も介護と医療・福祉の連携を言ってきたのではありませんか。今や他区と比べても中野区は高齢者福祉施策は極めて乏しく、事業の数では23区最低です。引き上げることが必要です。区内の高齢者人口がふえ、特に75歳以上の方が多くなっています。元気で長生きをされていることは喜ばしいことですが、加齢に伴い体力が落ち、足腰が弱ってくるのもやむを得ないことです。買い物や通院、公共施設、公園など外出の支援が大切になっています。例えば、他区で実施しているように歩行補助用具、シルバーカー助成などを検討してはどうでしょうか。伺います。
国民健康保険について伺います。
1月16日の特別区区長会で2012年度の保険料改定が決められました。これで10数年連続の保険料の値上げ、それも区民の所得がずっと下がり続けているもとでの値上げです。今年度から賦課方式が変わり、経過措置があっても多くの被保険者が値上げとなりました。保険料の納付率の落ち込みもあります。区民への保険料負担の増加は既に限界です。
1980年代から2000年代半ばまでの国保制度の改定は、いずれも社会保障制度としての国保を否定し、単なる相互扶助の制度へ逆行させていく内容を持つものでした。国庫負担の削減、受益者への負担転嫁、被用者保険の拠出拡大、滞納制裁の強化など、一連の制度改悪により国保は住民の命と健康を守るという本来の役割を大きく損ない、逆に高過ぎる保険料や過酷な取り立て、無慈悲な保険証取り上げで住民を苦しめる事態が拡大しています。今や国保は財政難→保険料の値上げ→滞納増→さらなる財政難→さらなる保険料の値上げという悪循環から抜け出せなくなっています。国が本来の責任を果たせば解決できます。一般会計からの繰出金がふえ続けることを気に病むのなら、真剣に国に対して財政負担を求めるべきではありませんか。伺います。
東京都の役割も問われています。2005年度から「三位一体改革」において定率国庫負担の一部が都道府県の調整交付金に移りました。これを期に東京都が支出していた独自補助が減少しています。東京都に対しても保険料の値上げを抑えるための財政支出を求めるべきではないですか。伺います。
国民健康保険は社会保障の制度です。国民健康保険法でしっかりと定めてあります。ところが、区が毎年発行している「みんなの国保ガイド」では「国民健康保険のしくみ」として「相互扶助の制度です」とうたっています。国保法は相互扶助という文言はありません。国保は社会保障制度であるとの認識はあるのでしょうか。制度の根本にかかわるにもかかわらず、区民に誤ったことを提示することはやめるべきではないですか。伺います。
次に、第5期介護保険事業について、介護保険料に限って伺います。
2012年度から2014年度の第5期中野区介護保険事業計画(案)では、保険料基準額を年額6万3,190円、月額で5,260円とすることにしています。現在の第4期の事業計画と比較すると、年額で1万4,290円、月額で1,180円の値上げです。値上げ幅は23区平均より高くなっています。
区は、介護給付費準備基金の取り崩しを行うことにしていますが、初めに残す金額6億円を設定するようでは保険料増額の歯どめとなりません。「介護保険事業計画(案)」の中で「介護給付費準備基金の取り崩し後の残金は、大規模災害やその他の不測の事態に備え留保する」と記していますが、中野区介護給付費準備基金条例ではそうした定めはなく、基金の設置目的からしておかしい話です。6億円の残額ありきではなく、一層の介護給付準備基金の取り崩しを行うべきです。答弁を求めます。
「介護保険事業計画(案)」では「より応能負担を求める多段階設定に」と特例を含めて16段階とすることにしています。これ自体は一定の評価ができます。しかし、高齢者の間においても格差と貧困が広がっています。「2010年度高齢者所得別人数調べ」によれば、中野区の当時の高齢者人口約6万1,000人の中で、年収153万円以下は3万2,700人を超え、高齢者全体の約54%に、年収80万円以下では2万2,300人を超え、約37%にものぼります。このことを斟酌すれば、一層の多段階設定を行い、より応能負担にすることが必要ではないですか。伺います。
根本的には、国の社会保障と財源保障の責任を求めていく必要があります。保険料の値上げかサービスの切り下げかという介護保険の矛盾の解決は、国庫負担割合の引き上げしかありません。さらに、財政安定化基金の取り崩しについてもお聞きします。第5期介護保険事業計画の策定にかかわる全国会議に関するQ&Aにおいて、都道府県が受ける返還金の使途として、保険料軽減のための市町村に対する交付金とすることは可能であるとしています。東京都が介護保険に関する事業に要する経費に充てるものには、保険料の上昇抑制への活用を想定しているとも答えています。国への国庫負担割合の引き上げと東京都に財政安定化基金の返還金の活用を要求すべきではありませんか。伺います。
次に、公契約について伺います。
公共サービスの質の確保と生活できる賃金への底上げを求める公契約条例を制定する動きが広がっています。昨年12月には多摩市において東京都内の自治体では初の公契約条例が制定されました。2010年2月には全国初の野田市で実施され、昨年には政令指定都市の川崎市で、さらに調達に関する基本方針・推進計画を策定し、検討を重ねてきた国分寺市においてもこの3月に制定される見通しです。23区では世田谷区であり方検討委員会が設置され、制定に向けた検討作業が始まりました。長引く不況下で下請業者の賃金がまともに支払われない実態があります。
東京都においては、元請による不払いが急増していると言われています。公共事業、公共サービスの仕事発注から見て、あってはならない事態が生まれているのです。全国や東京都下での公契約条例の広がりは当然と言えます。区は、我が党議員の質問の答弁で「最低賃金法などの法体系によって守られるべきもの」と述べられました。しかし、ダンピングと品質劣化、ワーキングプアがますます広がっている実態があります。政府は公契約条例に最低賃金法における地域別最低賃金額を上回る最低賃金額と罰則を規定する場合「制約はない」と答弁をしています。中野区においても制定に向けて検討組織を立ち上げるべきではないですか。伺います。
その他の項で2点伺います。
初めに「指定管理者制度」のもとで生じている問題について伺います。
区立打越保育園の管理運営を受託しているピジョンハーツ株式会社の園長と上司等からいじめ、嫌がらせ、暴言、退職強要などパワーハラスメントを受けていたとする保育士2人が裁判に訴え、現在東京地裁で係争中です。2人は解雇と自宅待機命令を会社と保育園から受けました。2人の訴えは、保育園でのすさむ保育の実態にまで言及しています。
打越保育園では、2010年度に1年間で10人が退職しました。また、ピジョンハーツ株式会社が練馬区から業務委託を受けている光が丘第八保育園でも2005年度には8人、翌年には園長をはじめ10人の常勤職員が退職しています。尋常ではありません。事の重大性から区から園長を派遣して保育を存続させました。労使関係は民間の中での問題であり、行政は直接口を出せないとよく言われます。しかし、対象となっているのは子どもであり、安定的な保育こそ子どもたちには欠かせません。委託している中野区の責任も問われています。部内で調査機関を立ち上げ調査をしていると聞きます。子どものすこやかな成長発達を促し、安心できる保育環境に努めることは保育園が何よりも大切にしなければならないことです。その際、保育士など職員の労働環境の改善は大切な要素の一つです。この視点を持って調査をすべきです。伺います。
もう1点、図書館の指定管理者制度導入について伺います。
区は、2013年度から中野区立図書館全8館の指定管理者制度導入を図ろうとしています。既に7年前から民間に業務委託を行い、地域図書館には職員がいません。新たに中央図書館の職員人件費分を削減したいねらいから、指定管理者制度の導入に踏み出そうというものです。
地方自治法は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときに指定管理者制度の適用を許容しています。しかし、図書館への指定管理者制度の導入については、国会での「弊害あり」という全会一致の附帯決議、当時の文部科学大臣も「図書館になじまない制度」であると表明しています。
区は、指定管理者の導入は図書館の新しいあり方に基づいたものだと説明しています。ところが、「あり方」では蔵書の充実や施設の拡充など基盤整備を図った上での導入だとしてきました。そのことがない中での指定管理者制度の導入は問題です。23区では全図書館に指定管理者制度を導入しているのは千代田区、中央図書館に導入しているのも千代田区だけです。もともと図書館は事業収益が見込みにくい公共サービスであり、自治体が住民の知る権利と生涯学習を保障するためにその経費のほとんどを負担すべき事業です。したがって、受託業者は区からの委託料からさらに人件費を削って利益を上げざるを得ないため、非正規・低賃金で働く人たちに依存することになり、安定した人材を確保することができないと言われています。
そこで伺います。地方自治法で言うところの「目標を効果的に達成する」ことができるとする理由をお示しください。
二つ目に、国会での附帯決議や文部科学大臣等の発言は、図書館は指定管理者制度になじまない、公共サービスの維持・発展のためには安上がり労働とならぬようにというのが趣旨でしたが、区はこのことをどう検討してきたのか伺います。
以上ですべての質問を終わります。
○区長(田中大輔) 長沢議員の御質問にお答えをいたします。
消費税の増税について反対の意思表示を明確に行うべきでないかということであります。
人口減少と少子高齢化が同時進行する中で、給付に比べて負担が少ないままの現状を見ますと、給付の削減や消費税を含む負担の増加、これは避けることはできないものと考えております。一方で経済成長の見通しなしに税負担だけをふやしても成功しないと考えております。産業構造の転換による新規の成長分野の創出や地方分権改革による地方の活性化など、成長戦略に向けた具体的な政策プログラムと税・社会保障制度の一体的な改革が同時に行われることが必要である、こう考えておりますので、繰り返し表明をしてきているところであります。
それから、共産党がされた提言に対する見解についてという御質問であります。
共産党の提言については一般に広く報道されておらず、十分に承知をしておりません。また提言は共産党の主張を述べたものであると考えておりますので、それについて検討し、コメントする立場にはありません。
それから、原子力発電所の事故についての御質問であります。
施政方針説明の中では、震災や津波などによって引き起こされた事象において幾つか例示して取り上げたものでありまして、特に原子力発電事故にかかわる賠償をめぐる国や東京電力の対応といった個別の内容について言及するというものではありません。今後とも区内で対応が必要な事象があれば、それに的確な対応を行っていくのみであります。
それから、2,000人体制と災害対策についてであります。
区が責任を持って災害対策を実施するために、実践的な職員の訓練や講習を継続して実施いたしますとともに、今後災害対応マニュアルの改定に取り組んでまいります。区では、これまでも地域防災会はじめ区内の学校、事業所、PTA、地域団体等が実施する各種防災訓練や防災座談会等へ職員を派遣するなど、防災担当の職員を中心にさまざまな支援を行ってきているところであります。今後とも引き続き実施をしてまいります。
また、区民活動センターに配属されているすこやか福祉センター職員が避難所運営会議や運営訓練の日程調整を行うなど、地域防災の窓口としての役割を担っているところであります。2,000人体制に向け、着実に努力をしてまいります。
憲法擁護非核都市宣言30周年についての御質問もありました。来年度も平和の集いや平和企画展示など充実した取り組みを行いたいと考えております。
それから、さまざまな事業の見直しについて、廃止、削減、負担増を行うことは認められない。区民生活を守る自治体としての使命を放棄しているのではないかという御質問がありました。
区の事業が時代の状況や財政状況の制約を受けることはやむを得ないものであります。これまでも相対的に必要度の低い事業について対象や内容を変更し、より必要度の高い事業や効果の高い事業に財源を振りかえるなど、不断の見直しを行ってきているところであります。今回の見直しにつきましては、財政上の非常事態との認識を踏まえ、利用者負担の適正化、事業規模の縮小・廃止などを含む大幅な見直しを行ったものであります。限られた財源の中でより切実で守らなければならない事業を着実に行いながら区政全体の持続可能な運営を図ることは、責任ある区政運営として当然のことであると、このように考えております。
私からは以上です。そのほか、それぞれ担当のほうからお答えいたします。
○教育長(田辺裕子) 図書館への指定管理者制度導入についての御質問にお答えをいたします。
地方自治法では、住民の福祉の増進という目的を効果的に達成するため、必要のある場合には公の施設の管理を指定管理者に行わせることができるとしております。この目的に合致することから、図書館に指定管理者制度を導入することとしたものでございます。この制度の導入により、開館日の拡大と開館時間の延長、各館の個性づくりと高い専門性の確保、IT化の一層の推進に伴う図書館システムの改善など、さらなる図書館サービスの向上と管理運営の簡素効率化を図っていきたいと考えてございます。
また、国会での決議等についてどう検討してきたかということです
国会での附帯決議等を受けて平成22年度に総務省から指定管理者制度を導入する場合には、公共サービス水準の確保などに留意すべきとの通知が出されてございます。こうした点も踏まえ、指定管理者の選定に当たっては公立図書館の運営にふさわしい管理能力と経験を有する館長及び司書の数を一定水準確保することや、職員の配置に係る労働基準法等関係諸法令を遵守することなどを含め、事業者から企画提案を求める企画提案公募型事業者選定方式を採用する予定でございます。
さらに、図書館の効率的・効果的な運営に必要な諸経費については、区と指定管理者との協議の上、協定書の中で決定していきたいと考えてございます。
○地域支えあい推進室長(長田久雄) 高齢者福祉センターの廃止についてお答えをいたします。
高齢者福祉センターとしての機能は廃止をいたしますが、転換後の施設は保健福祉や介護予防の基盤としてこれまでの利用層に加え、幅広い区民に対する施設として民間事業者への貸し付けにより転換を図っていくものでございます。高齢者福祉センターで活動している自主グループ団体への施設提供などにつきましては、引き続き継続していくことを検討しているものでございます。転換後の施設は、民間事業者の力を活用しながら地域における高齢者をはじめとしたさまざまな区民が集う活動拠点として期待していることから、撤回することは考えておりません。
○政策室長(竹内沖司) 中野駅周辺まちづくりと一般財源についての御質問にお答えをいたします。
まちづくりなど大規模な事業に当たっては、国や都の特定財源、それから特別区交付金の財産費等の確保を図るなど、一般財源に過度な負担を及ぼすことがないよう十分な財源的裏付けを持って事業を実施しており、区民の皆さんに対しても同様の説明をしているところでございます。事業の実施に当たっては、区職員でなければできない業務は区職員が直接行ってまいりますが、施行管理業務など民間の力で実施することができる業務については民間に任せることとしております。その経費については国や都の特定財源などを確保する対策を講じているところでございます。
なお、区としての政策や方針にかかわる調査や計画づくりは当然に区の本来業務でございます。適切な執行と経費節減を図りつつ一般財源で行うものでございます。
次に、財政調整基金についてでございますが、平成24年度一般会計予算(案)では、基準となる一般財源規模650億円に対し歳入と歳出が均衡せず、財政調整基金の年度間調整分を50億円あまり繰り入れなければ予算が編成できない状況でございます。こうした状況が続けば当然に基金は減少し、やがて底をつくことになるものでございます。そして、歳入と歳出の不均衡が続けば、予算編成の時点において一定の財政調整基金がなければ予算そのものが編成できないことになるものでございます。予算の執行に当たっては、契約落差やさまざまな執行上の工夫により経費の節減に努めているところでございますことから、決算剰余金が生じるのは当然でございます。こうした剰余金を基金に積み立てることで健全な財政運営につながっているものと考えております。
それから次に、一般財源だけを気にとめて非常事態と言っているとの御質問がございました。
特定財源は特定の対象事業に対して交付されるものであり、一般財源とは全く性質を異にするものでございます。自治体として自由に活用できる一般財源をしっかり管理することが重要でございます。区税収入などが減少する一方で扶助費の増大などによる歳出が増加し、収支不均衡を調整するため財政調整基金を50億円あまり繰り入れなければ予算が編成できない状況は、まさに財政運営上の非常事態ととらえているところでございます。
○経営室長(川崎亨) 小・中学校の耐震化の前倒し実施についてお答えをいたします。
今回の耐震改修計画策定に当たりましては、緊急度、施行能力等を考慮して決定しております。可能な限り早期に耐震工事を行えるよう計画をしたところでございます。
次に、公契約条例制定に向けた検討組織についてお答えをいたします。
区が発注する工事等にかかわる労働者の賃金や下請事業者への請負代金の支払いにつきましては、最低賃金法などの法体系によって守られるべきものであるとの考えに変わりはございません。このように、区といたしましては公契約に関する条例の制定に取り組む考えは持っておりません。したがいまして、検討組織を立ち上げるということについても考えておりません。
○健康福祉部長(田中政之) 私からは、高齢者の歩行補助用具等の助成についての御質問にお答えをさせていただきます。
高齢者の歩行補助用具等につきましては、介護保険制度におきまして現在要支援1、2、要介護1から5と認定された方が利用できる福祉用具の貸与制度がございまして、福祉用具貸与の中には車いす、シルバーカーを含む歩行器や歩行補助つえがございます。介護保険制度の適用とならない高齢者につきましては、必要に応じて個人が対応しているのが実情でございまして、区として助成については考えてございません。
○区民サービス管理部長(登弘毅) 私からは、国民健康保険と介護保険に関する御質問にお答えをいたします。
まず、国民健康保険でございますけれども、国や都の負担割合をふやすべきではないかという御質問でございます。
国や都の負担割合をふやすということは、その財源としての税金を新たに国民に転嫁するということになります。ふえ続ける社会保障負担について自治体や国がどう分担をしていくのか、国民にどれだけ負担をお願いするのか、国民的議論が必要だと考えています。
次に、国民健康保険制度に対する認識でございます。
区としては、社会保障の重要な柱である国民皆保険制度を支えるものとして国民健康保険制度があり、相互扶助の精神にのっとり運営されているものと認識しているところでございます。
続きまして、第5期介護保険事業計画(案)の介護保険料についてでございます。
平成24年度から始まる第5期中野区介護保険事業計画(案)においては、持続可能な安定した制度運営や給付と負担のバランス等に配慮しまして介護給付費準備基金の一定の活用も行っており、適切な介護保険料を設定するものと考えております。また、介護保険料の料率の段階設定についてでございますけれども、新たな特例段階を設けるなど、低所得者の方々の負担軽減にも十分配慮しており、段階の設定については妥当なものと考えております。
また、介護保険に関しての国や都への財源保障を求めていくことについてでございます。
介護保険制度につきましては、これまでも特別区長会を通じて国に対して財政的支援を要望してきたところでございますが、今後も必要に応じて国や都に対して要望していきたいと考えております。
○子ども教育部長(村木誠) 私からは、指定管理者が運営する保育園に関する問題についてお答えを差し上げます。
中野区に対しまして、昨年平成23年11月24日付で公益通報がなされたことに対しまして、当該保育園における保育児童の処遇につきまして通報事実に関する調査を行い、現在とりまとめを行っているところでございます。
なお、保育士の雇用関係につきましては運営事業者内の問題でございまして、区が関与する立場にはございません。
○副議長(久保りか) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。
1 区長の施政方針説明について
2 公務員制度改革について
(1)特別区人事委員会について
(2)公務員の労働基本権について
(3)その他
3 震災対策について
(1)中野区地域防災計画の改定に向けた課題整理と対応の方向性(案)について
(2)その他
4 教育問題について
(1)区立小中学校副校長の仕事の軽減について
(2)中学校における武道必修化と柔道事故について
(3)大阪府・市の教育基本条例案について
(4)その他
5 その他
○副議長(久保りか) 次に、佐伯利昭議員
〔佐伯利昭議員登壇〕
○38番(佐伯利昭) 2012年第1回定例会に当たり、中野区議会民主党議員団の立場から質問をいたします。
初めに、区長の施政方針説明について伺います。
区長は施政方針冒頭で、我が国経済が置かれた現在の厳しい状況を語り、現状を日本社会全体の大きな構造転換を迫っている状況とも述べています。今や我が国は他に例を見ない超高齢社会、負担する世代が減り、給付を受ける世代がふえるという構図の中で、毎年1兆円ずつふえ続ける社会保障費の負担増、こうした状況になることをわかっていながら、各論に入るとそれぞれの思惑が交錯し、根本的な問題を先送りしてきた政治の責任は重大です。繰り返し使われてきた聖域なきとか待ったなしという言葉を今度こそ言葉だけではないものとして、税と社会保障の一体改革を実現すべきときと考えています。
ところで区長は、消費税増税の必要性は認めながらも、負担と給付のレベルに見合った社会制度、それに耐えられる産業構造や雇用のあり方など、社会全体の設計図を引き直すことを抜きに現在の危機を乗り切ることはあり得ないと私は考えていますと述べました。ここで言うところの「社会全体の設計図」とはどういう社会なのか、具体的に御説明ください。
国が国民に新たな負担をお願いするに当たり、身を切る決意を示すのと同様に、自治体が事業見直しを行い新たな負担を求めたり、サービスの低下を招く際には当然役所が身を切る決意を示さなくてはなりません。区長は施政方針で区の現状を財政非常事態ととらえ、その対応のために事業全体の大幅な見直しを行うことについて、区民の皆様に理解と御協力をお願いするため「区財政の直面する課題について」というメッセージを発信したと述べました。
また区長は、1月4日の職員に対するメッセージの中では、厳しい時代、日ごろお世話になっている区民のために、こんなときだからこそ身を切る覚悟で汗をかく気持ちで取り組んでいく、そんな年にしていただきたいと思いますとも述べました。ところが今回の施政方針では、身を切る覚悟などかけらも見られないというのが率直な印象です。昨年12月に区から出された「人事行政の運営等の状況」に掲載された中野区の管理職の給与のモデルケースを見れば、45歳課長で年収1,021万3,000円、50歳部長で年収1,229万7,000円と、民間人が見ればだれもが驚く数字で、非常事態にある企業などでは到底考えられない金額です。職員の削減計画を前倒ししましたと言っても、自分たちの取り分だけはしっかり確保しているのではないでしょうか。
こうした状況の中で、区民に理解と協力を求めるのはあまりにも虫のよい話です。区民に理解と協力を求めるならば、まず行政みずからが身を削る覚悟と決意を見せていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
こうした待遇がすぐに見直せない背景には、人事委員会勧告制度に原因があると考えます。昨年6月に総務省から出された「地方公務員の労使関係制度に係る基本的な考え方」について、これに対しては全国知事会、全国市長会からの意見も出されていますが、論点を絞って公務員制度改革に関し、区長の考えをお伺いします。
この考え方での大きな論点は、地方公務員の協約締結権付与とそれに伴う人事委員会の廃止です。元経済産業省の官僚古賀茂明氏はみずからの著書の中で国の人事院について、人事院というのは一言で言えば「中立的な第三者として公務員などの処遇を決める機関である。公務員の給料は人事院の勧告に基づいて国会で決定される。それなのに郵政省出身の総裁以下、事務局は皆公務員、代々そういう状態が続いてきた。つまり、公務員が公務員の待遇を決めているのである。以前からは私はこのシステムはおかしいし、ばかげていると感じていた。自分で自分の給料を決められるのなら、自分のいいようにするに決まっているのではないか」と、まさに人事院は官僚組織、待遇を守るための機関となっていることを指摘しています。それゆえ役所にとっては大切な機関であることからでしょうか、人事院総裁の報酬は国務大臣と同等の俸給月額と手厚い待遇が定められています。こうした状況は特別委員会をはじめ各地の人事委員会にもあるのではないでしょうか。
そこでお聞きしますが、特別区では給与勧告に当たっては特別区内の企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の8,236事業所から無作為に抽出した942事業所を対象に調査を実施したとありますが、これを抽出し、勧告案をつくるのはだれなのか。すべて公務員なのではないですか。またこれら比較対象とした事業所名が公表されないのはなぜなのかお答えください。
特別区人事委員会について問題を指摘します。
これまで人事委員会と委員と言えば、東京都の元副知事、23区の元区長、国の人事院の総裁、事務総長などが名を連ね、ここ3期は民間からの登用ということで大手百貨店会長が入っています。特別区人事委員会議事規則第3条では、定例会は毎月第1、第3及び第5火曜日に開催することを例とするとしているにもかかわらず、平成22年度はわずか22回しか会議が開かれていない上、1回しか開かれていない月が6回と1年の半分に当たります。21年度以前過去15年間を見ても、定例会が25回を超えて開催されていることはありません。しかも平成22年度の人事委員会年報には定例会開催日について規則にはない「原則として」という言葉がつけ加えられました。まさにお役人の御都合主義がここにもかいま見えます。
こうした状況にあるにもかかわらず、委員長には月額52万5,000円、委員は月額43万円という高額な報酬が支払われます。そして他の委員より高額の報酬を受け取る委員長は、年に一度、大都市人事委員会連絡協議会の委員長会議に出席しますが、平成22年4月札幌で行われた委員長会では、北海道日本ハムファイターズの球団社長から「地球に愛される球団経営」という講演を受けています。人事委員会と球団経営がどう結びつくのかわかりません。
また、民間から入っている委員も現在3期目であり、この報酬をもとに計算するならば、みずからの会社を退職後に12年間で合計6,000万円以上の報酬を手にするのです。こうした厚遇を受けた委員が事務方のつくった資料をもとに勧告を出すわけですから、庶民の感覚からかけ離れた勧告となるのもうなずけます。また、お役所の中でみずからもそうした厚遇を認め続けてきた元区長さんらがその管理職の待遇について見直しを図ろうとするとは思えません。
そこでお聞きしますが、この人事委員会の委員の人選、最終的には人事・厚生事務組合の議会で同意を得て決まるわけですが、そもそもその最初の人選はだれが行うのですか。また、この人事委員会の現在の状況について、人事・厚生事務組合の議会へ中野区から唯一参加できる区長は問題を感じないか、問題を感じていただき、ぜひその議会で意見を述べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
こうした状況から、私は既に人事委員会の本来の役割は失われ、むしろ古賀氏が指摘するように役所の組織、待遇を守るための機関となっているものと思います。こうしたことから、総務省が出した考えのように人事委員会は廃止をして民間の給与、待遇について調査・把握する主体としては、もっと幅広いメンバーの参加による審議会をつくり、その答申に基づき一般職については協約締結権を認めた上で住民の目に見えるところで透明性のある労使交渉を行うことが適切と思いますが、区長のお考えをお聞かせください。
この項のその他として、公務員の共済年金について伺います。
これもまたサラリーマンなどが加入する厚生年金よりも掛け金が安く給付額が多いということで「公務員優遇」と批判されてきたものです。ようやく二つの年金の統合の議論が進んできたところですが、格差の象徴とされる共済年金の「職域加算」について区長の考えをお聞かせください。
次に、震災対策から中野区地域防災計画の改定に向けた課題整理と対応の方向性(案)に沿って伺います。
まず避難所機能の充実から、平成24年度予算が示される中で、避難所に指定されている学校のうち、現在、防災井戸から取水できていない学校が4校あることがわかりました。避難所にとって水は不可欠なものです。これらは取水できないとわかった段階で直ちに掘削工事を行うべきものと考えます。これらの井戸がいつからかれていたのか、また今後こうした状況になった場合の対応について伺います。
地域の防災力の向上から、防災訓練について提案をします。
地域における防災訓練は、ほとんどの場合土曜日、日曜日に行われます。土日のほうが働いている人が参加しやすいからということでしょうが、地震は土日に来るとは限りません。私は現在の訓練と並行して、平日に地元の小学校、中学校、高校がある地域では高校も一緒になって訓練を行う必要があると考えます。先般行われた区の防災講演会でも、釜石市では避難に助けが必要な方の救助に中学生が活躍したという話がありました。区内の中学校では、日ごろからひとり暮らしの高齢者に花鉢プレゼントなどの交流を続けている学校もあります。そうした生徒はひとり暮らしの高齢者の方がどこに住んでいるかも把握をしており、いざというときにはその高齢者のもとへすぐに救援に駆けつけることも可能です。そうした訓練をぜひ行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
自治体や協定団体との連携強化について伺います。
現在、区では各種団体をはじめ企業や私立学校とさまざまな防災の協定を結んでいます。ところがそうした団体などから、協定は結んだけれども、その後区からは何の連絡もないという声も聞きます。先般、東京都商店街振興組合連合会が主催する防災を考えるシンポジウムに参加をしました。これにはみんなの党石川議員もみえていましたが、そこでパネリストの桑島俊彦理事長から、商店街が区と協定を結んでいるというものの、実際に地震のときに食料の供給などそれが機能するかどうかわからないという発言もありました。区はこれまで協定を結んでいる団体等と防災に関し、情報交換などどの程度の連絡をとっていたのでしょうか。
また、昨年の3月11日の地震の際、実際に活用された協定があったかどうかも教えてください。現在締結している協定もかなり古いものがあります。その内容の検証も必要です。また食料品に関しては区内にある食品メーカーなどと新たな協定を考えるべきと思いますが、いかがでしょうか。
被災者支援システムのうち、義援金の配付方法についてもあらかじめ一定のマニュアルを用意する必要があります。東日本大震災においても義援金がなかなか被災者に届かないという状況があり、無責任なマスコミからは非難の声も上がりました。区に届けられた義援金に対し、すべての区民に迅速かつ公平に手渡せる方法について、区が考えていることがあればお示しください。
この項の最後に、安否札の配付について提案をします。
1月23日の防災講演会では、釜石市では津波発生時に避難に支援を必要な方に対し、あらかじめ安否札を配り既に避難をしているかどうか、まだ家に残っているのかの確認に役立てたという話がありました。中野でも地震の際には大規模な火災も予想され、救援をする際に安否を迅速に見分けることが求められます。こうした安否札の活用で、避難をする際、家を出るときにその札を玄関にかければ、その家の捜索に時間をとられることなく他の被災者の救援ができます。避難に支援が必要な方への安否札の配付を提案しますが、いかがでしょうか。
次に、教育問題について伺います。
初めに、区立小・中学校の副校長先生の仕事の軽減について伺います。
東京都内の公立小学校の約2割で、2013年度副校長が配置できなくなる可能性があることが昨年9月の都教育委員会の推計でわかりました。都内の公立小学校は1,308校で約250人が不足しており、これは秋田県の公立小学校全校の数に相当するということです。背景には団塊の世代の大量退職もありますが、実際は激務に追われる管理職が敬遠されるということに原因があるようです。都教委が一昨年、2週間にわたり副校長の勤務実態を調べたところ、1日の平均勤務時間は12時間19分。残業は平均4時間、9割は「休日の半数以上が勤務」で、その3分の1は休日すべて出勤していたということでした。仕事の内容も電話応対や書類作成の事務作業が多く、さらに保護者から苦情処理など、その激務ぶりは想像を超えるものです。そのため「心の病」で休職する副校長も校長の2.8倍にのぼるということです。
そこで伺いますが、区内の区立学校における副校長先生の平均的な登校時間、下校時間はどのくらいなのでしょうか。また、休日の出勤状況についても教えてください。
東京都は来年度、副校長を対象としたメンタルヘルスなどの研修の実施を予算化しましたが、一方でそうした研修に行っている時間もないとの話もありました。区として副校長の仕事を少しでも軽減する方策を検討すべきであると考えます。事務作業を補助する人員の廃止など、とりわけ周年行事に当たる学校などは特段の手当てが必要かと思いますが、いかがでしょうか。さらに、副校長試験受験への啓発もぜひ行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、中学校における武道の必修化と柔道事故について伺います。
日本スポーツ振興センターの調べによると、この28年間で中学・高校の学校内だけの柔道事故による死亡者は114人、障害が残った人数は275人に上ります。その原因の多くは、頭が強く早く揺さぶられることなどの急激な外力により頭蓋骨と脳との間に強いずれが生じ、両者の間の橋渡しの静脈「架橋静脈」が引っ張られ破綻する加速損傷という状態から「急性硬膜下血腫」などを引き起し、死に至るものです。
そこでまずお伺いします。4月からの武道の必修化は男子、女子とも柔道、剣道、相撲から1種目を選択することになりますが、中野区の中学校で柔道を選択する学校は何校でしょうか。また、全国柔道事故被害者の会が文部科学大臣あてに出した要望書では、多数を占める急造指導教諭の専門知識不足、経験不足が事故が起こる要因と危惧されていますが、中野区では指導に対応できるだけの教員は確保されているのでしょうか。さらに、技能の学習段階と学習内容では、学習指導要領解説に示された技を見ると、中学1年で大外刈り、中学2年では大内刈りが挙げられています。これに対して名古屋市では、昨年6月の名古屋市立高校の柔道部で1年生部員が練習中に頭を打ち、翌月死亡した事故を受け、中学生の段階では柔道の習熟度が低い点も考慮し、大外刈り、大内刈りなど後方に倒れて頭を打つ可能性がある足技を行わないことを決め、文部科学省の了承を得、市の教育課程に明記した上で各中学校に周知させることとしました。中野区においても、危険を伴う技は行わないようなカリキュラムの作成を検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
最後に、大阪維新の会が政治主導の教育改革を掲げてこの春の成立を目指し、大阪市、大阪府それぞれに教育基本条例をまとめました。細目についてこの場で議論することは避けますが、条例案の中で教育行政に対する政治の関与という章があることに違和感を覚えます。独立した組織として機能してきた教育委員会が定めた教育目標が、時の権力者によって変わったり、その目標達成に向けての教育委員会の自己評価に対して首長がその結果について罷免事由に該当するかどうかを判断するなど、いずれの考えを持った人物がその職についたとしても、教育の中立性を侵す内容であると考えます。そこでお伺いしますが、この大阪の教育基本条例に対する区長のお考えをお聞かせください。
以上で私のすべての質問は終わります。ありがとうございました。
○区長(田中大輔) 佐伯議員の御質問にお答えいたします。
施政方針説明の中での社会全体の設計図、社会全体の再設計というのをどう考えるのかという、そういった御質問がありました。
私は昨年の施政方針説明の中で、国民の未来にわたる暮らしを支え続けることのできる社会設計に向けての議論として、五つの論点を示しています。第1に、国内産業における成長分野の創出と生産性の向上、また、海外投資の活性化ということであります。第2に、定年延長や女性の就労率向上など働き手の確保ということであります。第3に、年金・医療・介護など給付と負担のバランスがとれた持続可能な社会保障制度の構築であります。第4に、国民の負担を無駄にしない行政システムの効率化であります。第5に、国の権限、財源、事務を大幅に地方に移譲し、地方が自己決定、自己責任でよりよい地域づくりを行える国の統治の仕組みの再構築、すなわち地方分権の推進であります。これらの課題解決に向けて、国民にとって苦しい選択も含め、与党も野党も新たな勢力も、政治が責任を持って選択肢を示し、国全体でトータルな視点を持って真摯に議論した上で社会のさまざまな面での変化を伴う真に必要な改革、すなわち社会全体の設計図の引き直しを行うべきであると主張してきたところであります。自治体の長としてこうした国の改革を待つだけでなく、必要な地域としての取り組みを地に足をつけて進めていきたい、こう考えております。
税負担の増をお願いするには、政治家や公務員が身を削る姿勢が必要であると、こういう御質問でありました。
職員の給与につきましては、法律によって特別区人事委員会の勧告に基づいて決定をしています。また、人事委員会の勧告では毎年給与実態調査を行って民間と均衡を図っております。以上のように適正な水準を客観的に検証する仕組みの中で給与は決まるものでありまして、このプロセスの妥当性を確かめる作業の上でならばともかく、単なる主観的な価値判断や政治的な動機で給与額を引き下げることは少なくとも現時点ではすべきではないと考えております。
なお、人件費の抑制につきましては、2,000人体制の実施の前倒しなど、引き続き努めているところであります。
民間の給与実態調査における調査の事業所の取り扱いについてということであります。
調査は、企業規模100人以上でかつ事業所規模50人以上の事業所と従前はしておりましたけれども、平成18年度からは民間従業員の給与をより幅広く把握するため、企業規模50人以上で、かつ従業員規模50人以上の事業所と変更をしてきたところであります。給与勧告の基礎となります民間給与実態調査は、人事院及び特別区人事委員会をはじめとする各都市人事委員会が協力をして行っております。調査対象事業所は無作為に抽出をしているところであります。これらのことから、その事務方の職員が恣意的に答申をつくったり調査を行ったりというようなことが言える根拠はないものと考えております。
また、民間給与実態調査は事業所の任意の協力のもとに行っており、事業所名をはじめとして個別情報は公開しないことを条件に協力をいただいております。
それから、人事委員会委員の人選と報酬水準についてであります。
特別区人事委員候補者の人選につきましては、人事・厚生事務組合の管理者が地方公務員法の規定を踏まえながら行っております。報酬については特別区人事・厚生事務組合議会の議決を受けた特別区人事委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例により定めておりまして、毎年の職員の給与改定等を踏まえて検討しているところであります。特別区人事委員会は職員数約6万人と他の政令都市と比べても格段に多く、また23区連合の人事委員会という特殊性もあり、担う職務の困難性にかんがみれば、その報酬額は適正な水準であると考えているところであります。会議の回数と報酬とが比例していなければならないという考え方は、私は短絡的なものだと思います。
労働基本権の見直しについての御質問がありました。
国における公務員制度改革関連4法案につきましては、現在継続審議中ということであります。また、地方公務員の制度改革については、具体的な法案等が出されていない状況となっております。デフレ不況の局面の中で人事院勧告制度が公務員を過度に優遇し、守る形に見える、そうした現象が起きるということは否定できないというふうに私も考えているところであります。労働協約締結権を認めることも含めて、透明性のある給与決定プロセスのあり方についての検討が必要だと、このように考えているところであります。
一方で、公務員の政治的な中立性でありますとか、職務に専念する義務でありますとか、そうしたことも十分に勘案していく必要があるだろうと、このように考えております。
それから、共済年金の職域部分についての御質問がありました。
年金制度をめぐるさまざまな議論がなされておりますけれども、年金一元化を進めることを前提として考えれば、公務員の職域加算については過去の経緯や事情を勘案しながらも、撤廃の方向が妥当であると考えております。
それから、大阪府、市の教育基本条例案と教育の政治的中立性についてということです。
他自治体の条例案についてコメントする立場ではありません。しかしながら、区長についてということで考えますと、区長は地域全体の教育について一定の見解を持って行政運営を行うべきでありまして、区立学校や教育委員会に対して節度をわきまえた働きかけを行うということは重要なことだと、このように考えております。
私からは以上です。
○教育長(田辺裕子) 教育問題につきまして、まず副校長の職務権限に関する御質問にお答えいたします。
副校長の勤務の実態でございますが、副校長の勤務の状況は、小学校、中学校ともに平均で午前7時10分ごろ出勤、午後7時40分ごろ退勤という状況でございます。
休日の勤務でございますが、1月4日から2月13日までの土曜日、日曜日、祝日等、12回中平均四、五回出勤をしてございました。
次に、副校長の負担軽減のための手だてでございますが、副校長の負担を軽減するための人員の配置は難しいと考えておりますが、教育委員会として学校への教育活動調査等での重複を避けるなど、できる限り努めてまいりたいと考えております。
なお、周年行事の式典につきましては学校行事となっておりまして、副校長への負担はそれほどないというふうに考えております。祝賀会につきましては、その持ち方について地域やPTAと話し合っていく必要はあるというふうに考えてございます。
それから、副校長の受験への啓発ということでございます。
これにつきましては、主幹教諭等の各職層の職務目標と関連させて解消し、受験者を確保していきたいと考えてございます。
次に、柔道の必修化と事故ということでございます。
平成24年度に武道で柔道を選択する予定の学校は、11校中10校でございます。柔道に対応できる教員の確保ということでございますが、柔道の指導につきましては事故防止を中心とした内容で平成22年度に研修を実施してございます。来年度も区として教員の研修を実施する予定でございまして、資質向上に努めていく考えです。
危険を伴う技を行わないようなカリキュラムの作成を、という御質問でした。 区としては安全確保に努め、武道導入の趣旨である伝統文化に親しむことや礼儀、基本動作の習得を中心に生徒の実情に応じて危険を回避する動きなどを指導していく考えでございます。したがいまして、柔道の授業において危険な状況は生じないというふうに考えてございます。カリキュラムにつきましては、文部科学省が受け身指導を中心とした指針案を出す方向で検討してございまして、今後の動向を確認し、研究してまいります。
○都市基盤部長(服部敏信) 私からは震災対策のうち、幾つかの御質問にお答え申し上げます。
避難所の井戸への対応につきましての御質問をいただきました。
平成22年9月に全避難所の井戸を点検した結果、4カ所につきまして掘削工事が必要なことが判明してございます。できるだけ速やかに対応するよう予算案には盛り込んだところでございまして、議決いただいた後、速やかに対応していきたいと考えてございます。
次に、平日の防災訓練の推進の御質問でございます。
地域防災会が行う防災訓練につきましては、地域防災会の御要望によりまして地域住民の方が参加しやすい土曜日及び日曜日に多く行っているのが実情でございます。特に、地元におります中学生につきましては、今後の地域防災の大きな力となると考えてございますが、学校の授業時間につきましてこういった訓練のために時間を充てることはなかなか難しいと聞いてございます。
次に、協定団体との連絡でございます。中野区医師会や歯科医師会、東京都獣医師会中野支部、中野区社会福祉協議会等の協定団体とは協定の内容や効果などにつきまして必要に応じて協議を行っているところでございます。
次に、3.11ですか、震災時におきまして活用した協定の御質問がございました。
東日本大震災では、中野区内では大きな被害がなかったために協定に基づく協力の依頼は少なかったところでございますが、東京都石油商業組合杉並中野支部に対しまして燃料等の優先供給に関する協定に基づきまして庁有車等へのガソリンの優先供給を依頼した経過がございます。
また、田村市への救援物資搬送に当たりまして緊急輸送業務の協力に関します協定を締結しております東京都トラック協会中野支部に対しまして輸送用車両の優先供給、提供を依頼した経過がございます。
次に、こうした協定の検証でございます。
これまでも必要に応じまして協定団体との協議を行ってまいりましたが、今後は定期的な協議の場を持つなどして適宜協定内容の確認を行いまして、必要がある場合には見直しを行っていきたいと考えてございます。
また、区内の食品メーカー等の協定の締結の可能性は、という部分での御質問をいただきました。現在、区内のスーパー等と食料品や日用品の供給に関する協定等を結んでおりますが、区内の食品メーカー等との災害協定締結の可能性につきまして今後検討してまいりたいと考えております。
義援金の配付の御質問をいただきました。
東京都に大震災が発生して義援金を募集する場合、義援金品を確実、迅速、適切に募集・配分するため、東京都災害対策本部に東京都、区市町村、日本赤十字社、その他関係機関等の代表によりまして構成されます義援金品募集配分委員会が設置されまして、同委員会で配分内容等が決定されまして区に送付されることになってございます。この配分決定、また区への送付にあわせまして迅速、公平に義援金を被災者の方にお渡しするため、配分の前提となります被災状況調査、罹災証明の発行をスムーズに行うことができるよう、方策を検討していきたいと考えてございます。
最後に、安否札の配付の関係の御質問もいただきました。
御指摘の安否札につきましては、安否確認をスムーズに行うための一つの方法であると考えてございます。今後、安否確認訓練等を行う中で、非常災害時救援希望者登録制度に登録されている方や、支援に当たる地域防災会の方々の御意見も聞きながらさらに検討していきたいと考えてございます。
○副議長(久保りか) 以上で佐伯利昭議員の質問は終わります。
1 中野区の情報管理の安全性について
2 その他
○副議長(久保りか) 次に、後藤英之議員。
〔後藤英之議員登壇〕
○8番(後藤英之) 平成24年第1回定例会に当たり、みんなの党の立場から一般質問をさせていただきます。
中野区の情報管理の安全性についてお尋ねいたします。
私たちは、高度情報化社会の中で生活しています。特にICTの登場以来その発展は顕著で、生活の大部分が情報に依存しています。ICT・コンテンツ産業を推進し、また「24時間365日どこでも区役所」の実現を重点プロジェクトとする中野区では、特に情報の果たす役割は大きく、今後も拡大し続けていくと考えられます。
そこで留意すべきは、情報管理の安全性です。中野区行政においても住民基本台帳、図書館システム、公式、関連ホームページ、複数のグループウエア、メールなど、さまざまな場面でコンピュータや情報システムが利用されています。ここではサイバー攻撃や情報漏えい等、情報管理リスクに対する厳重なマネジメントが欠かせません。行政には貴重な住民情報等のデータが集約されており、社会的影響力が大きい組織であることからも、特に強い注意が必要です。
不正なサイバー攻撃や情報漏えい等、情報への驚異は急速に拡大しています。例えば、平成23年6月には複数の外務省在外公館に関係者を装ったメールが届き、数十台以上のコンピュータがウイルス感染しました。平成22年度の中央省庁や独立行政法人等の個人情報漏えい事件は、何と2,504件に上り、そのうちUSBメモリ紛失等による1,000件以上の個人情報紛失事件は34件ありました。これらは一例で、国家行政においても情報危機は拡大しています。
ウイルス感染や情報漏えいの脅威について再度確認しますが、例えばコンピュータ等がウイルス感染をした場合、保存された秘密データやメールがインターネットを通じて外部にばらまかれたり、データの内容を改ざんされたりとさまざまな脅威が発生することが知られています。また、情報漏えいについては、漏えいした情報をさまざまに違法利用される可能性があり、こうした場合の行政と住民のこうむるダメージははかり知れません。
ここで中野区の情報システムの管理態勢は万全でしょうか。
中野区では、中野区情報安全対策基本方針を中心に、部外秘の中野区情報安全対策基準及び情報安全対策実施手順等を整備し、情報の安全対策に努めているとしています。基本方針によりますと、情報安全保護は「情報資産の機密の保持並びに正確性、完全性の維持並びに定められた範囲での利用可能な状態を維持することを言う」としています。
ここで質問です。これらはどのような場面を具体的なリスクとして整備されていますでしょうか。なお、リスク発生時の対応をあわせてお尋ねします。
次に、具体的に情報システムの安全性についてはどうでしょうか。
中野区職員のコンピュータでもウイルス対策ソフトによる駆除の実績が報告されています。駆除されていることは幸いですが、ウイルスの脅威は身近であり、さらなる対策が必要と考えられます。そこで中野区の管理する全コンピュータのウイルス対策について質問いたしますが、関係者を装いメール添付されるフィッシング型等に対応した実効性のある最新のウイルス対策はどのように継続されているでしょうか。
また、メーカーサポートを終了したOSはサイバー攻撃に対してほぼ無力な状態にあります。実際こういうパソコンを使っている会社もたくさんあります。全コンピュータのOSがサポート対象のものかどうか、その確認は直近ではいつされているか、あわせて質問させていただきます。
次に、情報漏えいの安全性に関する質問です。
現在、全職員に対し基本的な情報セキュリティーに関するeラーニング研修が実施されていると聞いています。eラーニング研修は費用対効果にすぐれ、多くの職員に対する際に有効な手段です。しかし、これだけではリテラシー向上に課題が残ると考えます。実際中野区でも情報漏えいが21年度1件、22年度に4件確認されたと報告を受けています。過去には図書館システムにかかわる個人情報の流出事故が発生しており、情報保護と事故後の対応についての難しさが痛感されたことと思います。
また、職員が故意や過失で持ち出し禁止の情報を漏えいしてしまうことがあってはなりませんが、リスクとしてはあり得ることです。例えば、武蔵野市では過失により3,832名分もの医療費助成に関する個人情報が担当部署から紛失し、川崎市宮前区では持ち出し禁止の行政情報が大量に自宅に持ち出された上に、ウイルス感染によってインターネット上に流出した事件があります。実際、個人情報に関する事故の80%以上が人的リスクによると言われています。情報保護において職員もしくは個人情報を扱う人材の意識が非常に重要ですが、現在のeラーニング研修、そして二、三時間程度の地域支えあい見守り活動での名簿管理者名簿閲覧者情報管理研修だけでは事故防止には不安で、さらなる手だてが必要かと思われます。
そこで質問ですが、職員や関係者の行政情報の管理について、あらゆる方法による情報の持ち出しリスクをどのようにマネジメントされていますでしょうか。また、そのほか人的な情報リスクとそのマネジメントをどのように洗い出されているか、お尋ねいたします。
また、全職員や関係者に対する情報リテラシー教育の今後の展望についてもあわせてお尋ねいたします。
なお、PDCAサイクルを区政経営の基本に据えている中野区であるなら、ISMS認証取得を検討してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
次に、庁内情報ネットワークシステムの地震等自然災害への対策について質問いたします。
情報セキュリティーの観点では、災害対策はディザスタ・リカバリと呼び、欠かせない観点です。考慮すべきは、一元管理されたグループウエアシステムのほか、重要なデータが庁内のサーバ室で管理されているということです。昨年の3月11日、東日本大震災に当たり、住民基本台帳データが失われた自治体もあり、バックアップデータの存在が救いとなりました。情報セキュリティーの観点での災害対策は、まず最低限データのバックアップをいかなる形で確保するかということです。徳島県と県内24市町村でつくる「県・市町村情報化推進協議会」の専門部会は、震災での教訓をもとに各市町村が持つ住民情報のバックアップデータを県外一括保管することを決めましたが、中野区において現在バックアップデータは別の無事な場所に保管されていますでしょうか。
また、そもそも耐震性を含む防災の観点から現在のサーバ設置場所は適切だと言い切れるでしょうか。情報の安全性の基本となるサーバの安全性を確保するためには、耐震性及び停電時の自家発電などリスクマネジメントにたけた外部のデータセンターを利用することも考えられます。現状とは逆になりますが、庁内サーバではホームページのような個人情報等を扱わないデータ、データセンターでは個人情報等、消失するとリスクの高い情報を管理することが妥当かと考えますが、いかがでしょうか。
また、大震災の影響をかんがみますと、遠隔地の自治体と連携し、行政情報データの相互バックアップ体制を構築することも有用と思われますが、いかがでしょうか。データバックアップ体制について現状と現状についての認識、今後の展望についてお尋ねいたします。
以上で私のすべての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○区長(田中大輔) 後藤議員の御質問にお答えいたします。
情報システムの管理についてであります。具体的なリスクとしては、部外者の不正アクセス、情報資産の部外への持ち出し、地震等の災害、コンピュータウイルスへの感染等を想定しているところであります。それらによる情報資産の破壊や漏えい、流出及び業務の停止などであります。対策といたしましては、データセンターでの不正アクセス常時監視、職員への情報安全研修、サーバ室の耐震化、ウイルス対策ソフトによる感染防止、外部媒体接続の制限などにより、情報管理の徹底を図っているところであります。
リスク発生時の対応ですが、区といたしましては情報安全対策基準及び情報安全対策実施手順の中で情報安全事故発生時の対応を定めておりまして、事故発生時にはその手順に従って対応することとなっております。
ISMSの認証取得についての御質問がありました。
区では情報安全対策方針及び情報安全対策基準を定めて適正に運用しているところです。また、既に外部専門家による情報安全監査の仕組みも導入済みでありまして、情報安全に関する対策は十分に機能していると判断しているところから、ISMSの導入については考えておりません。
私からは以上です。
○政策室長(竹内沖司) フィッシング型等のウイルスへの対策についてでございます。
関係者を装う標的型と呼ばれるフィッシング型メールについては、ウイルス対策ソフトでは十分に対応できないために、不審なメールは開封せずに直ちに情報改善分野に連絡するよう職員に周知徹底をしているところでございます。
次に、メーカーサポートの終了したOSの状況でございます。これは適宜確認しておりますが、現在四つのシステムがサポート対象外のOSを使用しております。しかし、いずれも外部接続がなく、サイバー攻撃の脅威はないものでございます。
それから、情報漏えいの人的リスクへの対策についての御質問のうち、私からは職員についての対策についてお答えいたします。
職員につきましては、使用する情報システム機器は外部媒体の接続が制限・管理されており、情報を容易に持ち出すことができないようになっております。また、年1回全職員を対象として実施しているセキュリティーチェックシートを活用し、各職場でのセキュリティー対策の改善を行うとともに、各職場に情報安全推進員や情報システム管理者を置き、それらの職員に対する研修も毎年度実施しております。
さらに、今年度は全システムを対象に作成しているシステムセキュリティーチェックシートに対して外部専門家による監査を受け、指摘事項に対しては改善策を立てた上でCIO(最高情報統括責任者)に報告し、承認を得ることとしております。今後も機会をとらえて職員の情報リテラシー向上に努めてまいります。
それから、庁内情報システムの災害対策についてでございます。バックアップデータ等はマグニチュード7.3に耐える強度を持つ施設での遠隔地保管を行っております。
それから、庁内サーバの設置場所と管理する業務についてでございますが、現在のサーバ室は耐震補強工事や免震装置設置等の対応をしており、今後区庁舎の耐震補強も予定していることから、現段階においては安全な場所だというふうに考えております。
それから、遠隔地の自治体との連携についてでございますが、区では既に委託によるバックアップデータ等の遠隔地保管を行っておりますことから、自治体の相互保管ということは考えてございません。
○地域支えあい推進室長(長田久雄) 情報漏えいの対策のうち、地域支えあい活動に関しての御質問についてお答えをいたします。
地域支えあい活動に関する名簿情報の提供につきましては、条例上の罰則規定で個人情報の保護を担保し、さらに名簿を提供する町会自治会との間で協定を結び、情報管理者等に対する研修も行っております。今後も適宜研修機会を設けていく考えでございます。
○副議長(久保りか) 以上で後藤英之議員の質問は終わります。
1 平成24年度予算について
2 子育て支援について
3 環境問題について
4 国際交流について
5 その他
○副議長(久保りか) 次に、伊藤正信議員。
〔伊藤正信議員登壇〕
○33番(伊藤正信) 平成24年第1回定例会に当たり、自由民主党議員団の一員として一般質問をいたします。
先日の天皇陛下の心臓冠動脈バイパス手術、無事に終了いたしまして本当に心からお喜びを申し上げますとともに、一日も早い御回復をお祈りいたしまして質問をさせていただきます。
初めに、平成24年度予算について伺います。
平成24年度予算(案)は、一般会計の予算規模は過去最高の1,164億7,000万円あまりとなっています。区長は平成24年度予算編成に取り組むに当たって、区民に向け「区財政の直面する課題について」というメッセージを発信しました。そして、聖域なく徹底した事業見直しを行い、その内容は議会にも報告され、さまざまな議論があったところです。こうした徹底した事業見直しを行ったにもかかわらず、一般会計の予算規模は過去最高額と膨らんでいます。施政方針説明でも触れられておりましたけれども、改めて伺います。一般会計の予算規模が過去最大となったのは、どのような要因によるのでしょうか。また、一般財源への影響はどのように考えているのでしょうか、お答えください。
これまで区は、予算編成に当たって毎年計画的な財政運営を行うために「財政運営の考え方」を公表してきました。その基本となる考え方では「基準となる一般財源規模」を歳入歳出それぞれ650億円と設定しております。歳入面においてこの「基準となる一般財源規模」650億円を下回る場合は、その不足額を財政調整基金から繰り入れで補てんすること。また、650億円を上回る場合は、その超過額を財政調整基金に積み立てるといった財政調整を行うことを基本としております。
一方、歳出面では常に経常的な経費の削減に努め「基準となる一般財源規模」である650億円の範囲内で対応できるよう取り組むとともに、施策の充実や新規事業のための財源については他の事業を廃止、縮小、削減した経費で賄うことを基本としていると説明されてきました。
しかし、平成23年度予算で示された歳入歳出の「基準となる一般財源規模」は、歳入が640億円に対し歳出は670億円となり、その差額30億円を財政調整基金の年度間調整分からの繰り入れで賄っております。
そこで伺います。平成24年度予算においては、この「基準となる一般財源規模」は、歳入歳出それぞれ幾らになり、財政調整基金の年度間調整分からの繰り入れは幾らになるのかお答えください。あわせて、財政調整基金において予算上のすべてを繰り入れとした場合、24年度末の年度間調整分の残高は幾らになるのかお答えください。
日本経済の厳しい状況が続く中、区の歳入における一般財源が短期間で650億円に達するといった見通しを持つことはなかなか難しいと考えます。平成25年度以降の中長期の一般財源についてどのような見通しを持っているのか、お答えください。
また、現在の歳入における一般財源が今後も続くようであれば、歳出における一般財源充当事業をさらに絞り込んでいかなければなりません。この一般財源充当事業の見直しが進まない場合、財政調整基金からの繰り入れが続き、やがて基金は枯渇することになると考えられます。このままの状況が続くとした場合、財政調整基金はいつごろ枯渇すると想定しているのでしょうか、お答えをください。
区は、これまで計画的な職員数の削減と事業見直しによる経費の削減を行ってきましたが、その削減を上回る規模で生活保護費をはじめとする扶助費や特別会計への繰出金が増加し、見直しによる削減だけではその増加分を賄い切れないと説明してきています。今回の事業見直しでは、職員2,000人体制の実現年次を1年前倒しし、平成27年度としています。平成28年度以降、職員数の削減効果がなくなった場合、生活保護をはじめとする扶助費などの増加にどのように対応していくのでしょうか。生活保護費などの扶助費の抑制はそう簡単ではないと考えますが、財政調整基金を枯渇させないためにも、区としてどのような抑制策に取り組んでいく考えか、お答えください。
また、今後の小・中学校校舎等の建てかえ時期が間近に迫っていることから、平成24年度予算からその需要に備えた計画的な義務教育施設整備基金への積み立てを開始するとお聞きしております。その目的、積み立て、活用計画はどのように考えているのかお答えください。
現在のような変化の激しい経済状況の中で、長期的な見通しを持つことは難しいと思いますが、少なくとも計画的な基金の積み立てと活用、そして公債負担比率に配慮した起債の計画的活用など、5年程度先の姿を見据えた持続可能な財政運営の考え方を持たなければならないと考えます。
最後に、校舎建てかえなどの施設更新の将来需要にも対応できる持続可能な財政運営に向け、こうした難しい時期のかじ取りをどのように行っていくおつもりか、区長の決意をお聞きいたしましてこの項の質問は終わります。
次に、子育て支援について伺います。
区長も所信表明の中で述べておりますが、痛ましい児童虐待の事件のニュースが連日のように報道されています。子どもにとって最も安心できるはずの家庭の中で食事を与えられなかったり、先日も福岡市で妻の連れ子16歳の女子高校生に刃物で太ももを切りつけたり、足の甲に殺虫剤の針を刺してスプレーを噴射したりして虐待を繰り返していた疑いで36歳の男性が逮捕された事件がありました。暴力を振るわれるという、あってはならないことが繰り返されていることに強い憤りを感じざるを得ません。
厚生労働省の報告によると、全国の児童相談所で対応した児童虐待相談件数は速報値で5万5,152件、前年度と比べて1万2,090件の増とのことであります。また、東京都の報告では、平成22年度に児童の安全を図るため一時保護した件数は6万443人と前年度より300人ほどふえている状況であります。
平成22年1月に江戸川区で起きた小学校1年生の虐待死亡事件において、児童相談所と区の子ども家庭支援センターの連携の不足が指摘され、この事件をきっかけに各自治体から区への移管が強く要望されるようになったと認識しています。区長も施政方針で述べているように、一貫した相談支援体制を構築するためにも移管されるべきと思っておりますが、区には子どもたちを守る責任があり、いざというときには立ち入り検査や一時保護の権限を行使し、毅然とした態度で児童の命を守るべきであり、私も積極的に取り組んでいきたいと思います。
そこで伺いますが、都は、今年度の新規事業として区の子ども家庭支援センターの虐待対応力向上支援事業を創設いたしました。虐待対策コーディネーターなどを適切に配置した場合、人件費の一部を補助する内容ですが、区はこの事業の活用を図っているのか、また、どのような職員体制で取り組んでいるのか伺います。
区の子ども家庭支援センターと東京都の児童相談所は虐待などが発生した場合、どのように連携しているのか、また、どのような課題があるのか、児童相談所の持つ権限がないために苦慮していることはないのか伺います。
児童虐待を防ぐために、児童相談所ではできない大きな役割があると思います。それは、深刻になる前の予防や適切な支援を行うことであります。そのためには、行政の力だけでは限界があるのではないでしょうか。すべての区民が児童虐待とはどういうものか知って防ごうという意識を持ち、子どもや保護者のSOSをキャッチし、深刻になる前に行政の相談につなげたり、また養育に課題のある家庭を温かい目で見守ったりということが必要ではないかと思います。このような地域での見守りや支援体制をつくるために区はどのように取り組んでいるのか伺います。
田中区長もオレンジリボンを胸につけております。また、田辺教育長はきょうはついていないのかな。いつもオレンジバッジをつけているようにお見受けしておりますけれども、私もこのように常にオレンジバッジをつけるよう心がけております。このオレンジリボンが区民の皆さんにあまり知られていないのが現状であります。子ども虐待防止のシンボルマークとしてこのオレンジリボンを広めることで子ども虐待をなくすことを呼びかけ、オレンジリボン運動を通して子どもの虐待の現状を伝え、多くの方に子ども虐待に関心を持っていただき、区民のネットワークにより虐待のない社会を築いていかなければならないと考えますが、オレンジリボン運動を区民の皆さんに浸透させるために区としてどのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。
次に、環境問題について伺います。
環境問題は、私たちが生きていく過程の中で何らかの活動を行った場合には、もっぱら自然に何らかの負担(環境負荷)を与えて生活をしていると言われています。その結果が大気汚染や水質汚濁、土壌汚染の問題であったり、航空機や自動車による騒音や振動などにより生活環境の快適性が奪われたりもしています。さらには大規模な開発に伴うものとしては、自然保護や生態系の変化などの問題もあります。そして、二酸化炭素やメタン、フロンガスといった温室効果ガスの排出による地球温暖化や気候変動の問題は大きく取り上げられているところです。
この環境問題への対策を考えるに当たっては、持続可能性が重要であると言われております。環境問題の対策では、持続可能性を保持しながら資源やエネルギーなどを利用していく循環型社会の中で、私たちが身近で取り組めるものとしては省エネや3Rではないかと思います。
先般、私はある事業者の「私たちのできることから始めよう、私たちの地球のために」という企画書を拝見したのですが、持続可能な社会の構築の一つとして、小学校や公園などにバイオマスプラントを整備し「ごみゼロとエネルギー再生できる地域づくり」というもので、内容としては生ごみの堆肥化やメタンガスの生成というものです。この企画書に書かれているバイオマスというのは、1990年代以降に二酸化炭素の削減(地球温暖化対策)や循環型社会の構築などの取り組みを通して脚光を浴びたもので、国の取り組みとしても循環型社会を目指す長期戦略「バイオマス・ニッポン総合戦略」が閣議決定され、全国でさまざまな展開がされているところです。
畜産廃棄物、木材やわら、工芸作物などの有機物からのエネルギーの生産、食品産業から発生する廃棄物、副産物の活用を進めており「バイオマスタウン構想」を公表した地区も全国で318地区に上っています。東京都内においても、あきる野市の製材残材や間伐材を利活用した木材バイオマス、桧原村でも同じく木質バイオマスや廃食用油の利活用や堆肥化モデルを計画しています。
また、23区においてもさまざまな取り組みがされているようですが、北区では群馬県甘楽町との自然休暇村協定により、生ごみを活用した回収、堆肥化、有機野菜の生産、農作物の販売という「都市と農村での循環」という取り組みを行っています。北区でのこのような取り組みは、子どもたちの環境教育・環境学習に大変役に立つものだと思いますし、里まち連携事業としても期待しているところであると思います。
さて、そこでお伺いいたします。中野区は、ごみを出さない生活スタイルが区民一人ひとりの暮らしに浸透し、定着することを目指し、3Rをより一層推進するために区民への効果的な情報提供を行い、子どものときからごみの減量意識を育てるため、学校での環境学習支援の充実を図るとしています。さらには、ごみ減量の啓発活動の実効性を高めるため、区民団体との連携、協力によるPR事業など、さまざまな施策を展開するとしています。
このごみゼロに向けた取り組みの中では、家庭から排出される生ごみの減量のために可燃ごみの約40%を占める生ごみの資源化を進め、ごみ減量を推進するとしていますが、今紹介したような小学校や公園などにバイオマスプラントを整備し「ごみゼロとエネルギー再生できる地域づくり」行うような事業展開や、北区のような資源化の取り組みなども大変参考になると思いますが、現在の中野区の取り組みをお伺いいたします。
また、ごみ処理、あるいは資源化には年間約45億円の一般財源が投入されていますが、やはりこの経費の負担を抑制するためにも、さまざまな工夫が必要になるのではないでしょうか。そういう意味では、これからの資源化については、経費のかからない取り組みもするべきではないかと考えますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。
最後に、国際交流について伺います。
中野区は現在、海外の2都市、西城区とは友好区関係、陽川区とは姉妹都市関係を結んでおります。北京市西城区とは昭和61年に友好関係を結んでから四半世紀を過ぎ、西城区からは区民芸術団の参加や少年野球チームの交互交流、西城区幹部の視察団や職員の研修団がたびたび中野区を訪問するなど、北京市西城区とは長年にわたり行政交流、区民交流が行われてきました。
今年度、東日本大震災へのさまざまな対応のため、西城区や陽川区への派遣事業は中止となりましたが、平成24年度当初予算においては両区への訪問団の派遣が予定されています。海外の都市との交流においては、お互いに相手の国を訪問し、実感を持ってお互いを知っていくことが特に重要だと考えています。
西城区は北京市の中心に位置し、政治、経済などの中心を担う区でありますが、平成22年7月に隣接する宣武区と合併し、新たな西城区としてスタートしております。この新しく生まれ変わった西城区を訪問し、長年の友好をさらに深め、友好関係を積み重ねていくことは今後も継続して行わなければいけないことであると私は強く思っております。
日本と中国との民間交流団体としては、中野区には中野区日中友好協会があり、以前から西城区が中野区を訪問する際には区の行事に参加するなど連携して友好交流に取り組んでおります。しかし、韓国に関してはこれまで友好関係を推進する団体はありませんでしたが、このたび東京都日韓親善協会連合会などからの声かけもあり、先月の25日に町会連合会、商店街連合会など区内の各団体の代表を役員とした中野区日韓親善協会が発足いたしました。同僚議員の皆様方からも多くの御参加をいただいておるところであります。今後の陽川区との民間交流を推進する団体として大きな役割を担っていくものと考えております。この日韓親善協会と中野区との今後の連携について区長のお考えをお聞かせください。
中野区が現在友好関係を結んでいるのは、西城区、陽川区の2都市であります。この2都市との交流を充実させることも重要ですが、さらに国際交流の輪を広げていくことも地域の国際化には必要なことであると考えております。例えば、平成21年に哲学堂公園にハンガリー出身の彫刻家ワグナー・ナンドール氏の彫刻作品「哲学の庭」が設置されました。これは、日本・ハンガリー外交関係開設140周年、国交回復50周年記念事業の一環として中野区に寄贈されたものです。この「哲学の庭」と同様のものがハンガリーのブダペストのゲレルトの丘に設置されると聞いております。私はこの「哲学の庭」が中野区に設置された御縁を大切にする意味でも、ゲレルトの丘のあるブダペスト市と友好関係を築いてみてはどうかと考えておりますが、区長のお考えをお聞かせください。
以上で私のすべての質問を終了いたします。ありがとうございました。
○区長(田中大輔) 伊藤議員の御質問にお答えをいたします。予算規模の増要因についてということであります。
財源の確保も含め、計画的に進めてきた投資的な事業がある程度まとまって計上されていることでありますとか、計画的な起債の満期一括償還がまとまって到来したこと、また、学校建てかえなど将来の必要な経費を見込んだこと、また、生活保護費などの扶助費が増加したことなど、さまざまな原因が重なったところで予算の規模が大きくなったというものであります。大規模な投資的事業につきましては、何度も申し上げておりますけれども計画的に国や都の補助金などの特定財源、財政調整交付金の財産費などの確保といった対策を講じた上で行っているところでありまして、一般財源への負荷というものをほとんどないと言っていいぐらいのレベルで事業をしているところであります。その他の事業につきましても、できる限り特定財源を確保するほか、基金や起債の計画的な活用など的確な財政見通しを持った上で進めてまいりたい、こう考えております。
基準となる一般財源と財政調整基金についての御質問がありました。
平成24年度予算案におきましては、歳入の一般財源は626億円、歳出のうち一般財源を充当する事業経費は676億円となりました。この差額について必要となるということで財政調整交付金から年度間調整分として50億5,000万円あまりを繰り入れたものであります。この結果として、24年度末の年度間調整分の残高は83億6,400万円あまりとなる見込みとなります。
経済が大変厳しい中、一般財源が650億円に戻るのはなかなか難しいのではないか、中長期の見通しをどう考えているかという御質問がありました。
区の基幹収入であります特別区税は、今後納税義務者数が減少すると推計をしているところです。景気がある程度回復しても大きな伸びは見込めないということになります。また、特別区交付金は景気動向に大きく左右されますが、現下の経済状況がすぐに好転するということは期待できないと判断しています。さらに、法人実効税率の引き下げの影響が25年度以降にあらわれ、これも減収の要因となるものと考えております。こうしたことから、御指摘がありましたように当分の間歳入は650億円を下回るものと見込まざるを得ないと考えております。
支出のほうですが、人件費の削減効果などによりまして平成27年度までは一般財源充当事業費は低減する、だんだんに減っていくと見込んでおりますけれども、28年度にはその効果も縮小し、増加に転ずると推計しているところです。この間、歳入と歳出は均衡せず、財政調整基金を繰り入れ続けることになるわけでありまして、予算上の見通しとしては平成28年度には財政調整基金がほぼ底をつくことになってしまう、このように考えているところです。そこで対策を考えていかなければならない、こういったようなことであります。
扶助費の抑制についてであります。扶助費につきましては、今回の事業見直しにおきましても区単独事業として実施していた事業の廃止や所得制限の導入など、一定の取り組みを行ったところであります。今後生活保護などの制度運用の改善について国へも必要な要望を強力に行っていきたい、こう考えております。
また、医療費、介護給付費の抑制策につきまして、健康づくりなど他の施策との関連や負担のあり方などさらに突っ込んだ議論を行い、増加の抑制を図っていきたいと考えております。
また、まちづくりや産業振興などの取り組みを行うことによって税収など歳入の増加につなげていくことも考えていかなければならない、このように考えているところです。
続きまして、義務教育施設整備基金の積み立てについてということであります。
学校改築の経費につきましては、他の議員の質問でもお答えしておりますが、1校当たりの建てかえ経費を30億円と設定しまして、現在の校数を建てかえる場合には1,000億円程度の経費が必要になると見込んでいるところです。この1,000億円の負担というのは、財政上可能な範囲を超えていると考えます。そのため、学校再編によって校数を減じること、また、その跡地の売却を行って財源に充てること、また、起債を活用して世代間の負担の分散を図ることなどが必須のものとなっていくと考えております。それらをさまざま考慮いたしましても、300億円程度の資金が必要となると考えておりまして、その資金の確保のために24年度から年10億円を目途に計画的に義務教育施設整備基金に積み立てていくこととしたものであります。
大変難しい中でも、やはり5年程度先の姿を見据えた持続可能な財政運営の考え方を持たなければならないのではないか。今後の財政運営について問うといった御質問でありました。
予算編成に当たっては、事務事業の見直し、職員2,000人体制に向けた計画的な取り組み、起債、基金の適切な活用などを行っておりますが、一般財源の減少に対応するため、50億円あまりの基金を繰り入れざるを得ませんでした。今後数年間は歳入不足の解消は難しいと考えておりますが、24年度と同じような規模の財政調整基金の繰り入れを25年度以降も続けていくことは明らかに難しいと考えざるを得ません。これまで積み立ててきた基金などを活用することはもちろんですが、歳入確保に向けてあらゆる手段を講ずるとともに、歳出を基準となる一般財源規模に近づけていくため、23年度、今年度の見直しを踏まえ、現行事業をさらに過去の経緯にこだわることなく再度厳しく精査をして徹底した事業見直しを継続して行う必要がある、このようにも考えているところであります。
子育て支援、児童虐待の問題についての御質問がありました。
子ども家庭支援センターにおける虐待対応力の向上についてであります。
中野区としては、都の虐待対応力向上支援事業の補助金を活用しまして、平成23年度、今年度新たに虐待対策コーディネーターを配置し、子ども家庭支援センターの組織的な対応力を強化するとともに、関係機関との連携を促進し、虐待対応力の向上を図っているところであります。中野区の子ども家庭支援センターで相談支援を担当している職員は、虐待対策コーディネーター1名、虐待対策ワーカー2名、子ども家庭支援ワーカー2名、その他非常勤で専門相談員1名、心理専門支援員2名の9名の職員体制で取り組んでいるところであります。
児童相談所の持つ権限が区に存しないため苦慮していることはないのか、こうした御質問がありました。
児童相談所との連携と課題ということですが、子ども家庭支援センターが対応しているケースで保護者への対応が難しい困難事例や、一時保護や施設入所等によって親子分離が必要と判断されるケースは児童相談所に援助要請や送致を行っているところです。ケースの緊急度やリスク等を評価して対応方針を決定する際、子ども家庭支援センターと児童相談所に判断の違いが生じないように日ごろからきめ細かい情報共有に努めているところであります。双方とも多数のケースに対応しておりますので、連絡調整の時間をつくることも困難でありまして、課題だと認識をしております。
児童相談所の持つ指導、立ち入り調査、一時保護などの権限を子ども家庭支援センターが持っていないために、相談や支援を拒否する保護者への適切な対応がおくれることや、児童の一時保護が必要となった場合、常に児童相談所との協議に時間をとられるなどの困難な状況もある、これが実情であります。
地域における見守りや支援体制の構築ということについてであります。
現在は、中野区要保護児童対策地域協議会の構成員であります民生児童委員に見守り活動をお願いしておりますほか、支援を必要とする家庭に対して養育支援ヘルパー派遣を行い、家事や育児の援助や見守り、保育園の送迎などの支援を行っております。家庭を訪問して保護者や児童に直接提供する支援の必要性は増加をしております。現行の手法だけでは対応し切れない状況も生じております。今後は区民の力を生かした見守りや支援活動が必要と考えておりまして、仕組みづくりの検討にあわせて児童虐待の知識や現状についても広く周知をして区民の理解を求めていきたいと考えております。
オレンジリボンの浸透であります。
毎年11月の児童虐待防止推進月間において中野駅前キャンペーンを行ってきましたが、特に今年度は区役所壁面に「みんなの力で防ごう児童虐待」の横断幕を掲出したほか、区管理職、区立学校教職員をはじめ、区議会議員の皆様にも御協力をいただいてオレンジリボンを装着し、PR活動に努めたところであります。また、区立学校に通う小学校5年生から中学生全員に啓発活動を配付し、子どもへの周知を図るとともに、子ども自身からの相談や通報も促しました。今後とも子ども教育部が中心となってオレンジリボン運動を浸透させ、虐待ゼロを目指す取り組みを強化していきたいと考えております。
環境問題について、生ごみの資源化と今後の資源化の取り組みについてであります。
区は、10か年計画で生ごみの資源化を掲げております。生ごみを減量するための水切りの奨励など、普及啓発活動に努めているところです。また、区立小学校、保育園におきましては、排出される食品残渣を堆肥化、飼料化するため、清掃工場で焼却するのではなく、処理施設に運搬し、再資源化しているところであります。今後の資源化につきましては、御紹介のありましたような他区の取り組みなども参考にしながら現状の施策を充実させること、また、経費のかからない方法を工夫・検討し、さらなるごみの減量、環境負荷の軽減を図ってまいりたいと考えております。
国際交流についてであります。
民間レベルの交流促進は大切である、このように考えております。その意味で、区内に日韓親善協会が発足したことは大変喜ばしいことと思っております。今後陽川区との交流を深めていく上で、こうした民間団体とも密接に連携を図っていきたいと考えております。
「哲学の庭」につきましては、日本とハンガリーの外交関係開設140周年、国交回復50周年の記念事業の一環としてハンガリー国の寄附によって設置したものですが、ブダペストのゲレルトの丘には同じ作者の同じ作品「哲学の庭」が設置されております。一昨年私も訪問してまいりました。そういったことから、区とブダペスト市のつながりはあるものと考えております。ブダペスト市との交流であるのか、あるいは「哲学の庭」の所在している区との交流であるのかなど、整理をしていくべきことはあると思っておりますが、今後交流の具体的な動きに結びつくきっかけがあれば、取り組む可能性はあるものと考えております。何分ヨーロッパということで遠方であるというあたりはなかなか難しいところかなとは思っております。
現在交流のある自治体との関係を着実に進展させながら、新たな自治体との交流の機会があれば、その時点でどのような関係づくりをしていくかについて判断をしていきたいと考えております。
○副議長(久保りか) 以上で伊藤正信議員の質問は終わります。
お諮りいたします。
議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(久保りか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
次の会議は明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
本日はこれをもって延会いたします。
午後5時44分延会