1.平成24年(2012年)6月7日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(42名)
1番 若 林 しげお 2番 高 橋 かずちか
3番 木 村 広 一 4番 甲 田 ゆり子
5番 小 林 ぜんいち 6番 中 村 延 子
7番 石 坂 わたる 8番 後 藤 英 之
9番 石 川 直 行 10番 内 川 和 久
11番 ひぐち 和 正 12番 いでい 良 輔
13番 白 井 ひでふみ 14番 平 山 英 明
15番 南 かつひこ 16番 森 たかゆき
17番 いながき じゅん子 18番 林 まさみ
19番 小宮山 たかし 20番 浦 野 さとみ
21番 伊 東 しんじ 22番 佐 野 れいじ
23番 北 原 ともあき 24番 吉 原 宏
25番 小 林 秀 明 26番 久 保 り か
27番 酒 井 たくや 28番 奥 田 けんじ
29番 近 藤 さえ子 30番 金 子 洋
31番 長 沢 和 彦 32番 大 内 しんご
33番 伊 藤 正 信 34番 高 橋 ちあき
35番 市 川 みのる 36番 篠 国 昭
37番 やながわ 妙 子 38番 佐 伯 利 昭
39番 むとう 有 子 40番 か せ 次 郎
41番 来 住 和 行 42番 岩 永 しほ子
1.欠席議員
な し
1.出席説明員
中 野 区 長 田 中 大 輔 副 区 長 金 野 晃
副 区 長 阪 井 清 志 教 育 長 田 辺 裕 子
政 策 室 長 竹 内 沖 司 経 営 室 長 川 崎 亨
都市政策推進室長 長 田 久 雄 地域支えあい推進室長 瀬 田 敏 幸
区民サービス管理部長 登 弘 毅 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 髙 橋 信 一
健康福祉部長 田 中 政 之 保 健 所 長 山 川 博 之
環 境 部 長 小谷松 弘 市 都市基盤部長 尾 﨑 孝
政策室副参事(企画担当) 野 村 建 樹 経営室副参事(経営担当) 戸 辺 眞
1.本会の書記は下記のとおりである。
事 務 局 長 篠 原 文 彦 事務局次長 青 山 敬一郎
議事調査担当係長 佐 藤 肇 書 記 関 村 英 希
書 記 河 村 孝 雄 書 記 東 利司雄
書 記 丸 尾 明 美 書 記 土 屋 佳代子
書 記 細 川 道 明 書 記 江 口 誠 人
書 記 鈴 木 均 書 記 永 見 英 光
書 記 竹 内 賢 三 書 記 香 月 俊 介
議事日程(平成24年(2012年)6月7日午後1時開議)
日程第1 第37号議案 中野区事務手数料条例の一部を改正する条例
午後1時00分開会
○副議長(久保りか) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。
1 中野区管理職の育成について
2 中野区木造密集地域における隅切りの整理促進について
3 中野区立中学校の武道必修化について
4 その他
○副議長(久保りか) 最初に、佐野れいじ議員。
〔佐野れいじ議員登壇〕
○22番(佐野れいじ) 平成24年度第2回定例議会におきまして、一般質問を、自由民主党の立場からさせていただきます。
三つございます。一つは、中野区管理職の育成について、2番目として、中野区木造密集地域における隅切りの整理促進について、3番目として、中野区立中学校の武道必修化について。その他はございません。以上、三つについての御質問をさせていただきます。
まず、1番目、中野区管理職の育成について、お尋ねをさせていただきます。
今や中野区は、職員2,000人体制を目指して組織づくりを着々と進め、職員数削減とともに、ここ数年、人件費も大幅に縮小してきております。しかし一方で、長引く不況や震災の影響などにより、未収金の問題や、新たな生活保護者の増加により、これまでの人件費削減以上に扶助費などの義務的経費が毎年、毎年ふえ続けてきており、財政的にも逼迫しつつあります。
私は、こうした現象は、社会状況の変化に対し、区としての対策が追いついておらず、対応がうまく機能していないからではないかと思っております。こうした時期だからこそ、区職員の政策対応能力が必須であり、とりわけ、管理職としての強いリーダーシップとあわせて、財政対策も含めた対策を立て、実行していく能力の必要性を感じております。
5月22日刊行の「都政新報」によれば、中野区は50歳未満、管理職経験5年以内の職員や管理職候補者で政策研究に意欲のある人、職員約20人を対象に、政策形成力や管理職の人材育成を目的とした経営幹部育成塾を立ち上げ、来年1月までの間に月1回のペースで塾を開講していくとの報道がございました。そして、第1回目として、4月20日の経営幹部育成塾では、塾長である田中区長みずからが管理職の必須の3要素として、1番目、本気で仕事をする熱意、2番目、資料を集め、分析し、科学的に解決策を構築できる政策能力、3番目、相手を洞察し、説得できる人間力を挙げて、直接話をされたとも聞いております。区でも、今後はこうした新しい試みをどしどし取り入れていくことは、時代に合った強い組織をつくる上で、重要かつ大切なことと私も思っております。
しかし、こうした強い政策能力を持った管理職育成を幾ら目指しても、一方で他区と比べても管理職になろうという意欲を持った職員が中野区は少なく、管理職を受ける人が毎年一定規模でしかないという現実をどう考えているのでしょうか。例えば、過去3年間の中野区における管理職選考実施状況を見ても、Ⅰ類とⅡ類合わせて中野区は、特別区平均が21年度は3.7%であったのに対しまして、中野区は2.1%、そして、22年度は、特別区平均が3.5%のところを、中野区は2.8%、そして、23年度は、やはり特別区平均が3.3%のところを、中野区は2.3%と低迷しております。
そこで質問ですが、1番目として、この統計から見ても、中野区の受験率がここ数年2%台と低迷しているのはどういうことなのでしょうか。これでは、強い組織をつくる上でも、管理職の計画的な育成が行われていないのではないでしょうか。見解をお尋ね申し上げます。
2番目、また、特別区平均では、管理職試験の受験率はここ数年3%台になっておりますが、中野区が2%台と低いのはどうしてだとお考えでしょうか。
3番目、さらに、中野区の管理職の現況を男女比で見てみますと、部長級11人中女性1人、統括副参事19人中女性1人、副参事48人中女性11人、合計78人中女性13人、率として16.7%と女性管理職が少ないことについては、どのようにお考えでしょうか。お聞かせください。
管理職試験を受験しない理由は、個人的には、私はいろいろあると思いますが、例えば、女性の場合には、子育てに忙しいとか、男性の場合には、責任が重くなり、部下と上司との間に挟まれサンドイッチになって、自己主張ができにくくなる。また、自信が持てない。給与を含めた処遇、役割に見合っていないなど、人によっていろいろな理由があると思います。私は、その中でも特に、管理職としての生きがい、やりがい面での価値観、言いかえれば、管理職に対し、魅力を感じていないのではないかと思っております。例えば、給与面での処遇的魅力の欠如の例として、人事担当資料によれば、45歳の課長級Aさんと、50歳の総括係長Bさんの給料を比較した場合──この場合の条件としては、扶養手当(妻一人、子二人)、超勤手当月20時間での算出です。年収で、45歳課長Aさんが約1,014万円に対し、50歳の総括係長Bさんは約939万円と、その差額は年間で75万円です。これを月割にしてみますと、その差はたったの6万2,500円です。さらに、基本給月額でもたった3,700円しか双方は違いがないのです。しかし、一方では、管理職としての役割や責任だけはしっかりと負わされてしまいます。さらに、課長になれば、一般職員の超過勤務手当はなくなります。そのかわりとして、一括して超勤手当も含めた分として管理職手当が支給されます。しかも、20時間残業したB総括係長の平均月額7万7,980円と比較した場合に、現在の管理職手当の額は9万1,100円ですので、月にすると約1万3,000円の差だけになってしまいます。さらに、仮に50歳以上の総括係長が月20時間以上残業した場合は、管理職手当月額9万1,100円をはるかに超えてしまいます。4番目として、この要因は、給与体系自体が年功そのものだからと私は思っております。本当にこれでよいのでしょうか。仮に、同じ職場に、A課長の下にこのB係長が配属されたとしたら、指示命令も含め、上司として部下を育成する上でもやりづらいのではないでしょうか。課長として、本当にこの金額の処遇でやる気が出るものなのでしょうか。御意見をお伺いさせていただきます。
管理職としてのステイタス感、価値観、魅力等を処遇面も含めて分析する必要があるのではないでしょうか。管理職をいかに実りある処遇としていくのか。管理職としての単なるルーチンワークの評価をするのではなく、部下を育成し、目標を達成していく喜びを感じる管理職づくりこそ、強い組織ができてくるのではないでしょうか。将来に向かって、育成とはどうあるべきかを常に考えて行動する上司。例えば、幾ら成績が優秀な管理職であっても、その職場の職員が管理職試験にここ数年全くチャレンジしていないというのであれば、その点についても指摘をし、部下育成、管理職育成など、組織を強くするための必要性を区として求めることも重要なのではないでしょうか。
5番目として、最後に、以上のような処遇での問題や、管理職試験への受験率が低迷していることに対して、中野区として今後どのような対策を打ち立てていくつもりなのか、区長としての見解をお尋ねし、この項の質問を終わらせていただきます。
次に、中野区木造密集地域における隅切りの整理促進についてお尋ねをさせていただきます。
中野区内では、幅が4メートル未満の狭隘な道路、すなわち、建築基準法42条2項道路が、木造密集地域を中心に非常に多く存在しており、この改善が災害時の安全確保に向けた最大の課題であることは、以前から同僚議員からもその都度指摘をされております。
中野区では、昭和59年度より、この42条2項道路を、道路中心線から2メートルまで広げて、道路の幅を4メートルに整備するという拡幅整備事業を開始いたしました。当時、23区の中でも最初にこのような事業を開始した区の一つでもありました。以後、現在に至る約30年弱、この事業は継続されており、事業を開始した昭和59年の42条2項道路の総延長は約300キロメートルであったものが、平成22年度末には約230キロメートルまで減少しているとのことです。それでも、現在の区内の道路総延長に占める42条2項道路の割合は45%にも上ると聞いております。これは、他の議員の質問で、回答の中で明らかになった事実であります。こういったことから考えて、やはり私はそこで質問を出させていただきたいというふうに思った次第でございます。
まず、中野区は、後退部分の管理について、例えば物を置かないなど、条件を明文化しているのでしょうか。さらに、固定資産税などの減免税制面ではどうなっているのでしょうか。また、他区の状況はどうなっているのかも、あわせてお尋ねをいたします。
一方、42条2項道路の拡幅整備と同様に重要なのが、隅切りの整備ではないでしょうか。幾ら道路幅を広げても、消防自動車等の緊急用車両は、隅切りがない道路では曲がることができず、道路を広げた効果が全く生かされておりません。42条2項道路の拡幅整備と隅切りの整備は同時に中野区では行わなければ全く意味がないと私は思っております。
ところが、この隅切りについて、重大な問題があると私は常にまた思っております。42条2項道路を幅4メートルまで広げること。すなわち、道路中心線から2メートルまで敷地境界線を後退することについては、敷地のうち道路として後退する部分が建築基準法上、道路の区域とされており、建築物や塀などの築造が法律上禁止されていることから、違反した者に対しては行政による強制力のある指導が現在行われております。しかし、隅切り部分については、建築基準法上の道路として位置付けられておりません。したがって、隅切り部分はあくまでも敷地の一部とされております。ただし、東京都建築安全条例によれば、建築制度を受ける角敷地として指定されており、道路が交わる部分の敷地の角については、その角を頂点とする底辺2メートルの二等辺三角形の部分は隅切り部分として道路上に整備しなければならないこと。また、その部分には、建築物を突き出したり、交通上支障のある工作物を築造してはならないと規定されております。また、高さが4.5メートルを超える建築物の部分は、この隅切り部分の規制はありません。交通上、支障がないのが、その理由と聞いております。さらに、隅切り部分は、敷地面積から除外する必要がない旨、解説も追加されております。このように、隅切りは法律上、大変なグレーゾーンとなっているのが現実ではないでしょうか。
そして、その一方、隅切り整備の効果は大きいから、42条2項道路の拡幅整備とあわせて、隅切りの整備についても強力に推進する必要が私は特にあると思っております。特に、木造密集地の防災上の安全確保には、このことは大変に欠かせないことであるというふうにも思っております。
2番目として、そこでお伺いしますが、杉並区においては、隅切りの必要性をかんがみ、隅切り奨励金を交付するなど、工事費、測量費以外にも助成を行っている区もあると聞いておりますが、中野区でもこのような抜本的な解決策について検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
3番目、次に、中野区で隅切りが必要とされる箇所のうち、隅切り整備が完了した箇所の割合は、現在どれくらいあるのでしょうか。お尋ねをいたします。なお、区内全体の調査がまだされていないのであれば、住宅密集地域などの地区を限った隅切り整備の状況について、お答えをいただきたいと思います。
4番目、現在、この隅切りの整備促進について、中野区はどのような手段で取り組んでいるのでしょうか。自分の敷地の一部を隅切りとして提供し、適切に維持管理をしている区民も多いとは思いますが、一方では、隅切りを整備した後に、隅切り上に障害物を設置したまま、何の指導も受けていない事例も見受けられ、整備促進の観点からも、このままでは不公平ではないでしょうか。そのような不適切な事例への対応も含めて、どのようにお考えになっているか。お答えをいただきたいと思います。
5番目、さらに、隅切り部分のわきに、警察の交通道路標識などの公共物が設置されているのを見受けます。また、電柱が設置されている事例なども見受けられ、隅切り整備の趣旨にこれらは反すると考えられます。このような状況を、中野区として認めているのでしょうか。認めていないのであれば、どのような対応をしているのでしょうか。あわせてお伺いをさせていただきます。
6番目、この項の最後に、木造密集地域の関連で、弥生町三丁目周辺地区における木密地域不燃化10年プロジェクトについて、お伺いをいたします。
昨日、我が会派の自民党の伊東議員のほうから、不燃化促進、大和町の道路についてのお尋ねがございました。ここでは弥生町三丁目周辺地区についてもお伺いをさせていただきたいと思います。
この問題につきましては、第1回定例会一般質問において、我が会派の市川みのる幹事長が、東京都の木密地域不燃化10年プロジェクトの不燃化特区の先行実施地区へのエントリーについて質問し、区長から、弥生町三丁目地区について、10年プロジェクト先行実施地区の選定を受け、都の特別の支援を受けながら、防災まちづくりに取りかかれるように最大限努めるとの答弁をいただきました。自民党としては、この問題を注視しており、ぜひともお願いしたいものであると考えております。ついては、都の木密地域不燃化10年プロジェクト、不燃化特区の先行実施地区は3地区程度が選定されるとのことでしたが、選定を希望する区も多く、選定の倍率が高いとも聞いており、6月末の先行実施地区応募に向けての現在までの、これまでの経過についてお尋ねをします。
以上で、この項の質問を終わります。
続きまして、3番目、中野区立中学校の武道必修化についてお尋ねをさせていただきます。
昨日、この問題につきましては、他の議員から、特に剣道についての質問がありましたが、私は別の角度から、柔剣道両武道についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
平成18年に改正された教育基本法では、その目標に「伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国の郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」が示され、それを踏まえた新学習指導要領において「伝統や文化に関する教育の充実」が示されているところであります。「伝統や文化に関する教育の充実」は、国際社会で活躍する日本人の育成を図り、我が国や郷土の伝統や文化を受けとめ、その良さを継承・発展させることや、伝統や文化についての深い理解が他者や社会との関係だけでなく、自己と対話しながら自分を深めていく上で大変重要であると考えます。
そこで、新学習指導要領では、保健体育の領域において、伝統文化の尊重とともに、小学校から中学校までの間にさまざまな運動を経験させることを重視しており、特に、武道については「礼に始まり、礼に終わる」という礼節を重んじ、中学校第1学年及び第2学年においてすべての生徒に履修するもの、必修化としたものであると聞いております。
そこで、お尋ねをさせていただきます。1番目、平成24年度、中野区立中学校における武道、柔道と剣道の選択について、伺ったところによると、中野区全中学校11校のうち柔道10校、剣道1校となったと聞いております。また、柔道の胴着や剣道の防具、竹刀等、すべて個人負担と聞いておりますが、そのとおりでありましょうか。もし、そのとおりとしたら、何ゆえ個人負担としたのか。さらに、多くの学校が剣道よりも柔道を選択した理由についても、あわせてお尋ねをさせていただきます。
2番目、また、両武道の開始時期、学校名及び年間練習時間数についても、あわせてお伺いをさせていただきます。
3番目、自分も小さいときから柔道を続けてきた経験者として、両武道の練習にはかなりの危険が伴い、また、その指導にもかなりの専門性が必要であると私は思っております。そこで、現在の各学校での正規体育教員の数及び有段者は何名いらっしゃるのでしょうか。また、きょうまでの教員の研修は、どのようにこの武道に対して行ってきているのでしょうか。これまでも、ほかの議員から一般質問で、過去の事例等を挙げ、区の安全対策の配慮について質問をしておりました。平成22年の第3回定例会でもございました。そのときの答弁によれば、「柔道について、準備運動や受け身の指導を十分行うことで安全を確保しており、さらに、技の段階的指導や禁じ技の徹底など、起こり得る危険性についての事前指導を丁寧に行っているところです」と教育長がお答えになっております。
4番目として、柔剣道については、指導者を短時間で育成できるものでは私はないと思います。にわかの実技や研修だけで、体育の先生が既に生徒に教えられる立場になるとは、安全性の面からも不可能です。多くの柔剣道を経験した区民や団体が数多くおります。学校教育ボランティアに登録してもらい、柔道連盟や剣道連盟、中野区スポーツ推進委員会などに応援を求めたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
5番目、先日、東京都教育庁指導部企画課武道の安全指導のための技術委員会作成による中学校保健体育、柔道授業の充実に向けた教員用のリーフレットを見ました。その中で、「相手の動きに応じた基本動作から、基本となる技を用いて、投げたり、抑えたりするなどの攻防を展開すること。また、攻防の中で、投げる、抑えるなど、柔道本来の楽しさや喜びを味わいながら、技や体力バランスの向上、指導」等々が書かれておりました。私は、非常に危険性をこれを読んで感じました。柔道の基本は、乱取り──いわゆる技をかけたり押さえたりすることではなく、受け身を柔軟に取れるようにすることがまず大切なわけです。どんな有段者でも、練習の最初は、必ず受け身から入ります。そして、この教員用リーフレットには、年間の教育時間数にもよりますが、明らかに組み技、投げ技まで、いわゆる乱取りまでの攻防を展開することとなっているのは、どうしてなのでしょうか。急にそういったところの域には入れないのが現実ではないかと私自身は思っておる次第です。
6番目、最後に、いずれにしても、生徒たちへ柔剣道を通して日本古来からの武道精神を教え、心身を鍛え、事故のないように指導することについて、中野区としての強い決意と施策を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
以上で、私のこの一般質問に対する三つの項目は終わらせていただきます。ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 佐野議員の御質問にお答えいたします。
中野区における管理職選考の受験状況についての御質問がありました。特別区の平均の受験率よりも、中野区の受験率が低いということについては、御質問にあったとおりでありまして、これをやはり上げていかなければならないというふうに考えているところです。
管理職選考の受験率の低迷というのは、特別区全体に共通する傾向でもあります。特別区人事委員会が実施をした昇任に関する職員意識調査によりますと、管理職選考を受験しない理由の主なものは、「責任が重くなり、職責を全うできるか不安があるから」が一番多く、そのほかに「管理職の仕事に魅力を感じられないから」や「受験勉強の負担が大きい」などが挙げられております。この傾向は、中野区でも同様なのではないか、このように見ているところです。
女性管理職が少ないということについてどう考えるかということであります。女性管理職の割合は、これは特別区平均が13.6%で、これに比べますと中野区の割合は16.7%と、低い割合ではないと、このようには思っております。ただ、全体の16.7ですから、男女の比率でいえば女性が少ないということは言えるというふうに思っております。
この理由につきましても、やはり先ほど申し上げた理由が、挙げる理由としてみれば多いのだろうと、このように思っております。
それから、給与体系が年功序列体系になっていて、管理職の処遇面の問題が低迷の原因、一因ではないかと、こういうことを御質問の中で言われました。確かに、そういった嫌いがあるのではないか、これも私も考えるところであります。処遇なんですけれども、そうは言いますが、そんなにやはり悪いということでもないんだろうなというふうには思っております。管理職の給与処遇ですけれども、給料月額と管理職手当によっております。平成19年度から、給与月額の20%と、こういうふうにしておりました課長級の管理職手当、これを、若い管理職も、年配の管理職もというふうに比べると、若い人が少なくなってしまうということもありますので、これを定額に改めまして、若手管理職の増額を図ったというようなことを行いました。また、期末手当や退職手当では、管理職の加算制度があるということもあります。それから、頑張って成果を上げたときの特別昇給の機会は管理職のほうがやや多いとか、それから、給料表の級自体が上に上がっていきますので、管理職を長くやればやるほど、同じ年齢の職員とは差がついてくるというようなこともあります。そういったようなことで、必ずしもすごく差がないというようなことでもないんではないかというふうに私は考えております。
そのほか、今後どのような対策を考えていくのかということなんですが、中野区だけではないんですが、特別区で管理職選考というのは行っておりますので、特別区全体で、制度の問題として、受験の負担を軽減する方策として、分割して受験する、少しずつ合格していくという、こういうやり方を導入しているということが一つあります。中野区独自の取り組みなんですが、管理職選考の合格者による受験ガイダンスや自主勉強会のサポートも行っております。また、能力開発担当が主催をして、模擬試験の実施などの試験対策も充実をしております。また、私も管理職選考を受けて管理職を経験してきた人間でもありますので、私自身がこの受験ガイダンスの場に必ず出るようにしておりまして、管理職のやりがいでありますとか、管理職に期待するもの、そういったようなことについて話をしているということもございます。
また、受験率を高めるためには、これは私も先ほど言いましたような意味でそうなんですけれども、やはり部長をはじめとした各管理職が、管理職の魅力、これをみずからの行動によって職員に伝えていくということが大事なのではないかと、こんなふうに考えております。
また、受験率を高めるというためには、職員が、職員それぞれが区の経営者の一員として組織運営に参加したいという意欲を持つこと。また、組織において、自分の能力を発揮する場を得て、仕事をこなして、達成感や充実感が得られる。そういった体験を重ねられるようにしていくこと。このことが大切だと、このように考えております。
採用時から職員各自の適切なジョブローテーションを組んで、必要な職務経験をさせ、職員が自分のキャリア形成を考える機会を設けながら、区として計画的に管理職を輩出できる環境づくりを進めていきたいと、このように考えております。
私からは以上です。
〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 中野区立学校の武道必修化についての御質問がございました。
まず、用具等の負担について、また、多くの学校が柔道を選択した理由についてのお尋ねがございました。柔道着は、体育着と同様に個人の負担が基本でございますが、学校によっては貸し出しを行ってございます。また、剣道の防具につきましては、面をかぶる際に頭に乗せる手拭い以外は、学校の貸し出しとなってございます。また、柔道の選択が多かったということですが、防具や用具の問題や教員の指導経験を踏まえ、学校が選択した結果、柔道を選択する学校が多くなったというふうに認識をしております。
それから、剣道を選択している学校でございますが、緑野中学校で、開始時期は12月から、1・2年生がそれぞれ9時間実施をしています。また、柔道を選択している学校は、緑野中学校以外が9月から1月にかけて実施をし、1・2年生でそれぞれ10時間程度の授業を行っています。
3点目ですが、体育教員の数及び有段者の数、また、教員研修はどのように行っているかということです。平成24年度の保健体育科教員の武道の有段者は24名中9名でございます。教育委員会では、平成22年度より武道の研修会を実施し、安全指導を重点に置いてきました。全教員が、武道開始時期までに研修を受講することとなってございます。
また、次に、安全性の面から、柔剣道を経験した区民や団体に学校支援ボランティアを登録してもらって、応援を求めたらどうかということです。現在も、各団体から、さまざまな学校支援に関する申し出がございまして、特に武道に関しては、安全確保のために見守り、協力が重要だと考えておりまして、学校支援ボランティアに登録し、学校の教育活動に支援していただくようにしてございます。
次に、東京都教育委員会がつくりました教員リーフレットで、組み技、投げ技等の乱取りまで攻防戦を展開することになっているのはどういうことか。また、事故のないように指導することについて、施策を示してほしいということでございました。学習指導要領において、攻防を展開することも含まれているため、都教委のリーフレットに記載してあるというふうに認識をしておりますが、中野区におきましては、安全確保を優先し、礼儀作法や受け身の指導等に重点を置いて取り組むようにしてございます。そのために、今後も研修を充実させ、指導事例を作成するなど、中野区として安全を確保した武道の実施に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕
○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、中野区木造密集地域における隅切りの整備促進について、お答えをいたします。
まず、建築基準法42条2項道路の後退部分の管理についての御質問でございます。中野区生活道路拡幅整備条例第10条では、2項道路の後退部分は生活道路の整備対象区域として、一般の公共の用に供されるものとすると規定しております。その趣旨は、工作物等は置けないという意味でございますが、具体的に物等を置けないといった表現はしてございません。他区の要綱等では、工作物を置かないとしているところもあると承知しておりますが、当該規定により実効性が上がっているか、疑問のあるところでございます。区といたしましては、後退部分の管理に問題がある場合は、指導や協議等で個別に解決していくしかないと考えているところでございます。
また、生活道路整備事業で整備した場合は、固定資産税、都市計画税が非課税となり、その手続は区が代行しているところでございます。
次に、工事費、測量費以外の助成についての御質問でございます。生活道路整備事業を開始した昭和59年より、隅切りを含めた後退整備用地に関しましては、区民から無償での協力を得ながら事業を進めてきており、御理解をいただいているものと考えております。隅切り部分の買い取りや助成等を付加する考えはございません。
次に、隅切りが必要な箇所数と整備完了箇所数の割合についての御質問でございます。隅切りが必要な全体箇所数については調査をしておりませんが、平成23年度末時点で、隅切り整備を行った件数が2,988件でございます。今後、住宅密集地域等における緊急車両の活動を確保するためなど、隅切りの必要性の高い箇所から調査を行ってまいりたいと考えております。
次に、隅切り整備後の不適切な事例への対応についてでございます。隅切りの部分は、原則として、私有地として土地を管理することになっております。東京都建築安全条例第2条により、道路上に整備し、その部分には建築物を突き出したり、交通上支障のある工作物を築造してはならないことになっているところでございます。公平公正の観点から、不適切な事例に対しては、これまでも建築主等に隅切り整備の趣旨に沿うよう働きかけを行ってきております。これについては、重要なことと考えており、今後も不適切な事例の解消に粘り強く努めてまいりたいと考えております。
次に、隅切りのわきの交通標識や電柱の残置への対応についての御質問でございます。生活道路整備事業で整備を行った場合に、区の設置している交通標識は区が移設をし、電柱については、占用企業者──東京電力、NTTに移設を依頼しているところでございます。しかし、御指摘の事例のように、電柱がもとの位置に残ってしまう場合がございます。このようなことがないよう、建築主が窓口に相談に来られた際や職員が現場調査をした際等、さまざまな機会を通じまして、電柱等の移設について、より一層積極的に働きかけを行っていきたいと考えております。隅切りの効果が生かせるように、既に残置している電柱等も含め、移設が可能となるよう、占用企業者に対して指導してまいりたいと考えております。
最後に、木密地域不燃化10年プロジェクトについての御質問でございます。区では、弥生町三丁目周辺地区について、木密地域不燃化10年プロジェクトの不燃化特区の先行実施地区の選定を受けることができるように、東京都との協議を鋭意進めてきているところでございます。また、地域の住民に対しまして、防災まちづくりの取り組みを始めることについての説明を行い、関係する町会で構成するまちづくりの会を立ち上げ、まちづくりの方向について議論を重ねているところでございます。地区住民に呼びかける意見交換会や防災まちづくりを学ぶ集会等も予定をしているところでございます。
先行実施地区につきましては、6月末に応募、8月に都の選定が予定されております。区議会の強い意向もきちんと受けとめて、先行実施地区の地区選定に向けて、引き続き最大限の努力を続けていく所存でございます。
○副議長(久保りか) 以上で、佐野れいじ議員の質問は終わります。
1 通学路の安全確保について
2 孤立死対策について
3 こころの健康について
4 震災対策について
5 その他
○副議長(久保りか) 次に、木村広一議員。
〔木村広一議員登壇〕
○3番(木村広一) 平成24年度第2回定例会におきまして、公明党議員団の立場から、一般質問をさせていただきます。
質問は、通告どおりで、1、通学路の安全確認について、2、孤立死対策について、3、こころの健康について、4、震災対策について、その他はございません。
初めに、通学路の安全確認について伺います。今年度に入り、登下校中の児童・生徒等が巻き込まれる痛ましい事故が相次いで発生しています。地域からも多くの不安の声をいただき、今年度から区立小学校に入学した私の長男と、改めて通学路を歩いてみました。事故というと、車両を警戒しがちですが、通学時間と通勤時間が重なるため、通勤する自転車が非常に危険であると感じました。特に、駅や幹線道路近くは自転車の量も多く、地域や場所ごとの安全確認の必要性を強く実感いたしました。
平成20年度第2回定例会において、我が会派の平山議員が、通学路に関して、現在、教育委員会が学校に示している通学路の変更・追加を行う際の手続等についてに関して質問をしたところ、当時の教育長が、「もう少し内容について詳しいものを作成してまいりたい」との答弁がありました。当時と比べ、どのように改善されたのか、具体的な内容を伺います。
先週の5月30日、文部科学省、国土交通省、警察庁により、都道府県の教育委員会、道路管理者、警察本部に、通学路における緊急合同点検について、それぞれ通知が出されました。その内容は、ステップ1で、通学路における緊急合同点検を行い、ステップ2で、その点検を受けた対策の実施検討をするという流れになっています。この点検は、都道府県から国への最終報告締め切りが8月末になっていますが、点検や対策の実質的な主体は市区町村や現場の学校と定めています。
そこで、伺います。この通知による点検及びその後の対策については、区の教育委員会が中心となって、地元警察署、学校等と一体となり取り組むべきと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
また、最も大切なのは、点検後の具体的な対策等の決定と、その実施であると考えます。各関係機関とよく協議の上、特に危険と考えられる箇所については、速やかに危険箇所の解消のための整備をすべきと考えます。前期学校再編のときには、学区域が広がり、通学路が変わることへの保護者の方たちの不安の声が聞かれました。この不安の解消のためにも、公明党として、上落合二丁目の地下横断路の提案をしてきたところです。今回の通知に対する対応は、あくまでも緊急的なものであり、区として今後も通学路の安全確保に努める必要があります。今後、学校再編を検討する際にも、保護者や地域の声を十分に聞き、通学路の安全確保については十分に対策をとってほしいと要望いたします。
23区内で通学路設計基準・要綱等を設置している区は、現在8区ありますが、中野区にはありません。他区の内容は、平成17年と22年に文部科学省が作成した通学路の安全に関する一定の基準におおむね沿ったものです。中野区もまず同様の基準や要綱を設置すべきではないでしょうか、伺います。
また、通学路の環境は、年々変化するため、定期的な点検が必要です。各学校や地区委員会においては、定期点検を行ったり、安全マップを作成しているところもあります。区立小学校の安全点検及び安全マップの作成状況はどのようになっているでしょうか、伺います。
教育委員会主導のもと、防犯や災害時の危険箇所の情報を含め、安全点検及び安全マップの作成を全校で実施すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
また、安全マップ作成は、児童の理解が最も重要であるため、児童と一緒に作成することを推奨してはいかがでしょうか、伺い、この項の質問を終わります。
次に、孤立死対策について伺います。最近報道されている孤立死は、これまで主な対象であった高齢者、あるいは障害者単身世帯だけでなく、世帯主の生計中心者、もしくは介護者の急逝により、援助を受けていた人、また、30代、40代の家族でも死に至るケースが目立ちます。自治体がこれまで取り組んできた孤立死対策の対象とは異なるケースが続いていると言えます。
厚生労働省は、このような状況をかんがみ、先月11日に孤立死防止対策として、「地域において支援を必要とする者の把握及び適切な支援のための方策等について」を都道府県に対し通知しました。それは、福祉担当部局に生活困窮者に関する情報一元化の要請、福祉担当部局と高齢者団体、障害者団体、民生委員などとの相互の連携強化の依頼、個人情報保護の適用外になることについての理解促進、地域づくりの推進等の4点になります。まず、その通知に対し、区はどのように対応するのか、伺います。
国や都が各種団体との連携や通知を行っても、それが効果を出すかどうかは、各市区町村にかかっています。孤立死は、単独の課題ではなくて、高齢化社会での表層の一つであり、その解決には地域での支え合いという大きなテーマのもと、さまざまな網の目を張りめぐらす多角的な制度・取り組みが必要です。その観点から、4点、孤立死対策として伺います。
1点目は、災害時要援護者名簿の平時活用についてです。この名簿に登録されているのは、手挙げ形式による障害者など支援を必要とし、さらに、その支援を望んでいる方々です。中野区では、これとは別に見守り名簿があり、災害時要援護者名簿は、その見守り名簿と重複するケースが多いと思います。しかし、要援護者名簿は、各防災会に渡されていますが、見守り名簿は希望した町会のみであり、現在、21町会で全体の約5分の1、希望していない町会の要援護登録者には、日常では名簿を活用しての接点がなかなか持てない状況です。要援護登録者は、孤立しがちなケースが多いので、町会や民生委員が日常から見守りができるよう、改めて本人の同意を得て、平時でも活用できるようにしてはいかがでしょうか、伺います。
また、今後、見守り名簿が全町会・自治会に渡されると思います。この要援護者名簿と見守り名簿を一元化させていくべきではないでしょうか、伺います。
2点目に、各事業者との連携協定の締結について伺います。先ほどの厚生労働省の「個人情報保護の適用外になることについての理解促進」の通知は、厚生労働省健康局水道課、資源エネルギー庁、消費者庁との協議済みとあり、生命・身体・財産の保護は必要なケースでは、個人情報の提供の制限を適用しないことが促進されています。その一例として、千葉県市川市では、電気料金を滞納し、電力供給を停止される生活困窮者に対し、適切な支援ができるようにするための協定書を、今年4月18日、市と東京電力京葉支社との間で締結しました。ライフライン停止に追い込まれた生活困窮者が孤立死に至るケースもあり、電気・ガス・水道の供給停止などの情報を掌握し、福祉サービスにつなげることは効果的な対策と思います。中野区地域支えあい活動の推進に関する条例第4条2項で、区の役割として、「区は、支援を必要とする者の早期の発見を図るとともに、支えあい活動の円滑かつ効率的な実施を図るため、支援を必要とする者及びその者の状況等に関し、必要な調査を実施し、支援を必要とする者にかかわる情報を収集するものとする」とあります。支援を必要とする方の早期の発見を図るために、電気・ガス・水道などライフライン各事業者との情報提供の連携協定を検討してはいかがでしょうか、伺います。
3点目に、生活異常時の通報に関してです。新聞配達員、郵便配達員、水道メーター検針員、ヤクルト販売員等を活用し、新聞や郵便物がたまっている、日中カーテンが閉まっている、水道使用量が少ない等の異常があれば区に通報するように、各事業者と連携を図るべきと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
4点目に、障害がある乳幼児を抱えるひとり親家庭対策です。ことし2月、立川市でクモ膜下出血が死因の45歳の母親と、知的障害の4歳男児が、死後1~2カ月経過し発見された痛ましい事故がありました。介護者の急逝により孤立死に至るのは、乳幼児も同じです。立川市では、障害がある乳幼児を抱えるひとり親家庭を検索し、福祉保健や子ども家庭のサービスにつながっていない家庭を確認し、提供可能なサービスを案内しました。中野区でも、障害がある乳幼児を抱えるひとり親家庭に関しては、緊急連絡先の掌握、万一の場合の対処など、情報提供を講じていくべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
5月30日、朝日新聞15面「孤立死に向かう」との特集で、「お節介はスマートに」とのテーマで区長のインタビューが掲載されていました。区長は、無理のない範囲で、緩やかに見守り、求めがあったら、自然に手をさしのべる「スマートなお節介」を評価していました。スマートなお節介という地域のあり方、おつき合いのあり方は、日常生活で重要な視点であります。その上で、こと孤立死と向き合うとなると、高齢化や個人情報などさまざまな制限の中にいかに制度と実行を伴う支えあいを築けるかになると思います。そのような状況を踏まえ、区としては、孤立死に対しどのような決意で取り組むか伺い、この項の質問を終わります。
次に、こころの健康について伺います。中野区において、精神障害者保健福祉手帳の所持者数は、平成21年度末は1,306人、22年度末1,502人、23年度末1,679人、自立支援医療利用者のうちうつ病が多いとされるF3は、気分障害は平成21年度末は1,328人、22年度末1,492人、23年度末1,652人、また、保健師による訪問指導数、電話相談や役所内の面談数は増加傾向と伺っています。実際には、全く相談もできず、医療や支援につながらない人たちがまだまだ多数存在すると考えられますが、その数は区でも把握することができません。そのこころの健康づくりの取り組みについて、6点伺います。
1点目は、中野区では、地域自殺対策緊急強化交付金を活用し、さまざまな講演やゲートキーパー研修、展示物やリーフレット作成・配布を行ってきました。いずれも、こころの健康づくりの取り組みには非常に重要な事業となっています。しかし、この交付金は、継続される保証はありません。今後、交付金がなくなった場合、特に、ゲートキーパー研修など、事業の継続はどうされるのか、伺います。
2点目は、ゲートキーパー研修に関してですが、ゲートキーパー研修は、役所の相談窓口担当者や民生児童委員など、人と接する立場の人が、危険エリアの一歩手前での命の門番、すなわちゲートキーパーとして、気付き・受けとめ・つなぐ力量とスキルを習得できることを目指しています。この研修は、ぜひ続けてほしい取り組みです。そのゲートキーパー研修に関しては、区では主に介護保険事業者、民生児童委員、職員、管理職を対象とし、これまで計5回、420名が参加したと伺いました。今後、ゲートキーパーの輪をどのように広げていくか。年度の数値目標を設定し、現行の対象者の参加を増加するとともに、例えば、薬局、飲食関係など、関係団体の研修の機会をつくる。また、受講者、関係者との連携など、フォローアップを含めた中長期的な方向性を示すべきではないでしょうか、伺います。
3点目に、働く世代への対策についてです。東京都における死因で、自殺の割合は、平成21年度集計では、10代から30代の死因のトップが自殺、40歳代は2位、50歳・60歳代は4位となっています。中野区においても、平成22年1月から12月の間に、67人が自殺が死因で亡くなられています。自殺は、20代・30代の死因のトップ、40代では2位、50代は4位と、東京都と同じ傾向にあります。もちろん、自殺に至らなくても、この働く世代は職場、家庭、地域などでストレスを感じることが多い世代であり、役割が大きい分、社会や家庭への影響も非常に大きいとされています。この働く世代の対策は、企業や広域での対応が中心となる傾向があり、区での対応が進んでいない分野でもあると思います。
世田谷区では、働く世代への対策として、世田谷区ゲートキーパー手帳を作成、また、早期発見のための「こころの体温計」を導入し、携帯電話などでメンタルチェックができ、家族の心の状態をチェックできる家族モードも導入しました。そのメンタルチェックの活用とともに、相談先として健康管理課の案内や講演会の開催案内など、普及啓発に大きな効果を上げています。夜間のアクセスが多い傾向から、働く世代の活用が多いと分析されています。働く世代はまず、ネットで検索して情報収集を行うため、その対策として、ホームページ上の情報提供の充実は不可欠です。中野区においても、ホームページ上では同様のサービスに近い機能はありますが、メンタルチェックといっても、白黒のPDF1枚のみです。メンタルチェックは現在、さまざまなプログラムが開発されており、先ほどの「こころの体温計」だけではなく、「ナビー」という心の健康とともに生活習慣まであわせてチェックできるプログラム、また、活用を区民に限定し、人を確定して指導や相談をする手法も出始めています。区としては、接点の少ない働く世代への支援として、相談先の普及啓発も目指し、ホームページ上のメンタルチェックプログラムを導入してはいかがでしょうか。働く世代用の情報提供は別ページにするとか、夜間対応用の「東京いのちの電話」や「自殺相談ダイヤル」などはよりわかりやすいバナーにしてはいかがでしょうか、伺います。
4点目に、区内在住の東日本大震災被災者支援について伺います。震災から1年以上がたちましたが、被災者特有の心のケアが必要なのはこれからだそうです。生活の立て直しが進み、日常を取り戻し始めましたが、今後の見通しや新たな地域とのつながりなど、知らず知らずにストレスが多くなりがちです。そのためにも、心のケアを目的とした区内被災者の訪問や相談等を実施してはいかがでしょうか、伺います。
5点目に、連絡協議会の設置について伺います。こころの健康の推進は多岐にわたり、重層的な取り組みが求められます。それを包括的に検討する機関、また、区のみならず医師、看護師、薬剤師、学校カウンセラーなど、幅広い専門職のネットワークが必要であり、将来的には各関係機関と連絡協議会を設置すべきと考えます。現在、虐待に関する連絡協議会はありますが、先ほどの孤立死対策やこころの健康も、関係者、関係機関は重複しているところが多いと思います。現在の連絡協議会を生かしながら、包括的な連絡協議会の設置を検討してはいかがでしょうか。伺います。
その連絡協議会の前段階として、庁内の連絡会について伺います。平成23年度時点では、23区で14区が庁内に自殺対策の連絡会を設置しており、情報共有化を行いながら、地域や関係機関との協力体制を構築している状況です。中野区においても、庁内に担当者連絡会を設置してはいかがでしょうか、伺います。
6点目に、職員のメンタルヘルスについて伺います。職場におけるメンタルヘルスの重要性が課題となっております。中野区では、平成23年度末に、公明党が推進した認知行動療法の第一人者である大野ゆたか先生を招き、管理職の研修を行い、大変に効果があったと伺いました。こういったメンタルヘルスにおける情報共有や研修を継続的に行うべきではないでしょうか。区の職員に対するメンタルヘルスケアをどのように考えているか、伺います。
次に、震災対策について伺います。
初めに、災害時の情報提供について伺います。東日本大震災では、サーバーやシステム上のデータがすべて消失し、行政機能がまひをした自治体が幾つかありました。サーバーは、行政機能の生命線であり、中野区においても、他地域にサーバーがあり、保管や電源のバックアップも問題ないように対応していると伺っています。災害時における情報提供は、ツイッターやSNSが注目を集めますが、信頼性のある自治体の直接の情報という点では、区のホームページによる情報提供が最も重要です。区では、ホームページのサーバーもデータセンターに委託していますが、ほかにも通信機器や電力源の損傷などの要因も考えられ、さらなるバックアップ体制が必要と考えます。大規模災害時に、住民に的確な情報発信を行うため、遠隔地の自治体と相互に連携し、ホームページを代理掲載する仕組みが注目されています。中野区は、福島県田村市、長野県中野市、山梨県甲州市との災害援助協定を締結していますが、ホームページ代理掲載についても協定の中に盛り込んではいかがでしょうか。中野区が代理掲載を依頼するだけではなく、協定先は地震が発生する可能性がある地域でもあり、逆に、中野区が協定を締結した市の代理掲載をすることになれば、非常に大きな災害時の支援になります。
また、ホームページは、災害時にはアクセスが集中し、携帯電話等によるパケット等の活用がメインとなります。災害時の情報は、テキスト版で軽くすべきと考えますが、そういった情報量や災害時の心情に対応したデザインや内容を考慮した災害時用のホームページは検討されているのか、伺います。
また、災害時用のホームページは、いつ切りかえをするのか。運用基準はどのようになっているのか。また、事前に周知した上で、例えば、9月1日の防災の日などのテスト使用をしてみてはいかがでしょうか、伺います。
ことし3月より運用された緊急速報エリアメールについて伺います。現在、エリアメールが配信される範囲及び対象は、中野区全域のNTTドコモの携帯電話となっていますが、震災対策特別委員会で私は、同様のサービスを行っているauやソフトバンクにおいてもエリアメールを行うべきと質問をしました。運用予定と答弁をいただきましたが、その運用はいつの予定なのか、伺います。
そのエリアメールですが、緊急情報の発信のため、事前の準備が非常に重要です。配信基準は決まっていますが、そのケースのさまざまな想定に対する配信内容のひな型を作成しているのか。また、その配信のタイミングや内容を決定するのは、どの部署で行うのでしょうか、伺います。
ことし2月に行われた都の帰宅困難者訓練において、エリアメールのテスト配信が行われ、通信ネット関係では、一番効果があったと検証されました。しかし、先日の北朝鮮ミサイル発射に対し、全国瞬時警報システム「Jアラート」がうまく機能しなかったように、緊急時の情報発信は容易に実験できないために、問題が発生することもあります。そこで、例えば、9月1日の防災の日にあわせて、事前に周知を行った上で、エリアメールのテストの配信をしてはいかがでしょうか、伺います。
次に、区道における橋梁の耐震診断、修繕について伺います。
先月5月30日に公募が発表されました橋梁長寿命化修繕計画では、どの橋梁を優先して修繕するかは区の判断となります。対象の区管理の橋梁は91あり、修繕計画では、詳細点検が62、簡易点検は29の予定になっています。そもそも危険度が高い橋梁を優先的に修繕するのは当然ですが、一方で、区の震災時に特に重要なのは、緊急輸送道路、閉鎖を防ぐべき道路にかかる橋梁、広域避難場所に至る橋梁です。耐震診断を踏まえ、災害時に重要な橋梁を優先的に修繕するよう計画すべきと考えますが、修繕計画の優先順位についてどのようにお考えでしょうか、伺います。
また、区が広域避難場所として申請しています(仮称)本町五丁目公園は、神田川沿いに位置する被災者が避難する可能性が高いオープンスペースであり、現在、中野新橋まで護岸整備が完成、平成28年度までに寿橋下流まで護岸整備と橋梁架けかえが決定しています。しかし、寿橋より上流はコーシャハイム中野弥生町、立正佼成会大聖堂一帯で広域避難場所に指定されており、そこへ移動するには、老朽化した区の橋梁が複数あります。寿橋より上流へも、都の神田川護岸整備橋梁架けかえの計画が決定されていますが、緊急輸送道路でもある寿橋、また、下流の橋梁修繕の緊急性が高いと判断がされれば、事業をさらに早目に推進するよう都に働きかけるべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
これですべての質問を終了いたします。御静聴ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 木村広一議員の御質問にお答えをいたします。
まず、孤立死対策についてという御質問であります。孤立死対策ということでありますけれども、私は、孤立死というのは、生きてきた結果の一つの現象のことであって、対策するべきなのは、孤立した生き方や、そうした生き方をしてしまわざるを得ないコミュニティの問題、そうしたことなんだろうというふうに思っています。生きているときが、その人にとって幸せな生であるように対策できるということが大事だと思っておりまして、そういう意味で、この何年間もかけて地域支えあいの仕組みというものに取り組んでまいりました。
そういったことで、孤立死について、国が関心を持ち、そうした形にだんだんなってきたということもまた、歓迎すべきことだろうと思っております。
厚生労働省の通知につきましては、孤立死が発生している実態を踏まえ、地域において支援を必要とする方の把握や適切な支援を行うに当たり、地域の実情に応じて、より有効と考えられる方策等を積極的に推進されたいといった内容でありました。区は、昨年3月に制定した地域支えあい活動の推進に関する条例をもとに、実態把握やすこやか福祉センター職員による訪問活動を進めておりますほか、支えあい活動を行っている方からの異変通報を24時間365日お受けをして、対応しております。今後とも、生活援護分野などの関係所管や町会・自治会、民生児童委員、ライフライン事業者など、さまざまな連携をさらに強化して、見守りや支えあいのネットワーク活動を推進していきたいと、こう思っております。
災害時要援護登録者の名簿の活用についてということであります。いわゆる手挙げ方式と呼んで、非常災害時救援希望者登録制度を運用しております。この登録者、必ずしも多いわけではありません。しかし、登録している方については、地域の防災会が実態を把握して、必要な支援の体制を講じるという仕組みになっておりまして、まさに、行き届いた見守りが行われるという形になっているわけであります。
しかしながら、その仕組み自体が防災会、町会・自治会にとってかなり負担の大きいということもありますので、そうしたことと日常的な間口の低い支えあいということとの整合を図りながら、平常時の見守り支えあい活動と、この登録制度との一体的な運用を図るということが非常に重要だろうと、こういうふうに思っております。そういう意味での検討を行っているところでありまして、御指摘をいただいた内容につきましても、その中で検討していきたいと、こう思っております。
それから、ライフライン事業者等との連携についてということの御質問もありました。電気、ガス、水道などの事業者との連携強化や停止などの情報提供につきまして、これは重要な情報の一つと認識しております。現在、区では、地域の見守り支えあい活動の一環として、電気、ガス、水道などのライフライン事業者をはじめ新聞配達所、郵便局など、区内169事業者との情報連絡会の開催や、それを受けての日常的な緊急通報の連絡体制を設けております。今後とも、より有効な連携の仕組みについてさらに検討していきたいと、こう思っております。
それから、障害児のいるひとり親家庭の対応についてであります。障害のあるお子さんの通園・通学、サービス利用の状況につきましては、日ごろから各関係機関で把握を行い、保護者との連絡を密に行っているところです。障害児のいるひとり親家庭への対応については、御本人の了解を得ながら、緊急連絡先を把握することや、地域支えあい活動の仕組みについて有効活用する検討を行っていきたいと、このように考えております。
今後の取り組みについてということであります。地域における見守りや支えあいのネットワークを広げていくことは、区の施策展開において、重要な課題の一つと考えているところです。今後も地域の見守り支えあい活動をされている方々への支援をはじめ、区職員みずからの訪問活動を通じての実態把握や、緊急通報対応をもとに必要なサービスに確実につなげていくなど、セーフティネットの役割をしっかりと組み立て、果たしてまいりたいと、このように考えております。
私からは以上です。
〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 通学路の安全確保についての御質問がございました。
まず、通学路の変更・追加を行う際の手続等について、具体的に改良したのかということです。現在は、各学校において、保護者、地域などが主となって、通学路の安全点検や地域安全マップづくりなどに取り組み、それらの情報を生かして、通学路の指定を行うようになってございます。こうしたあり方を反映した手続として、取りまとめていくことを検討してございます。
次に、文部科学省、国土交通省、警察庁からの通学路における緊急合同点検の通知を受けた対応についての御質問でした。現在、各学校において、PTAや地域と学校が協力し、通学路の安全点検を定期的に行ってございます。今回の通知を受け、教育委員会として改めて学校、PTAと点検を行い、必要な対策については道路管理者、警察署などと具体的な検討を行っていく考えでございます。
それから、通学路設定の基準、要綱の制定についてでございます。現在、各学校では、文部科学省発行の学校安全参考資料「生きる力を育む学校での安全教育」の中で示されている通学路の設定と安全確保に基づき、通学路の点検や設定などを行ってございます。これらを踏まえまして、通学路の安全確保のための基準などについて、作成を検討していきたいと考えております。
地域安全マップについての御質問もございました。地域安全マップについては、小学校25校のうち15校が取り組み、防犯の視点で作成をしている学校が多い状況でございます。作成も学校が主体の場合と、地域が主体の場合がございますが、方法もさまざまでございまして、地域ごとに工夫をしているところでございます。今後も、子どもの参加も含めまして、学校や地域の自主性を尊重してまいりたいというふうに考えてございますが、教育委員会としても必要な支援を行ってまいります。
〔健康福祉部長田中政之登壇〕
○健康福祉部長(田中政之) 私からは、こころの健康についての御質問のうち、ゲートキーパー研修に関すること、それから、協議会等の設置に関することについて、お答えをいたします。
まず、ゲートキーパー研修等の継続についてでございます。区は、多様化・複雑化するこころの健康に関しまして、すこやか福祉センターにおける区民向けの啓発・相談に加え、平成22年度より、基金を活用した庁内職員、保健福祉関係者等を対象といたしますゲートキーパー研修に取り組んできたところでございます。区は、今後とも御指摘のゲートキーパー養成研修をはじめ、うつ特設相談・専門相談事業等を工夫をしながら継続するとともに、都や関係機関との連携によりまして、水準の維持に努めてまいりたいと考えてございます。
続きまして、ゲートキーパー研修の拡大とフォローについてでございます。新たなゲートキーパーの対象に関しましては、日常の業務の中で、同じ人と繰り返し接することで悩みを抱える人の変化に気付いたり、適切な機関につなぎやすい関係者への拡大が効果的であると考えているところでございます。区は当面、これまでの養成研修を継続しながら、中期的には拡大の可能性について検討していきたいと考えているところでございます。
ゲートキーパーに関する数値目標の設定と効果的なフォローの方法につきましては、相互に関連する課題であるととらえているところでございます。今後はそのあり方に関しまして、都立精神保健福祉センター等の公益専門機関との連携のもとに、効果的な方策について研究していきたいと考えております。
最後に、精神保健に関する協議会及び庁内担当者会の設置についてでございます。区はこれまで、日常的な相談業務を通じた精神保健・医療関係機関との連携、あるいは自立支援協議会等を活用した相談支援機関との連携に努めてきたところでございます。今後は、多様化する精神疾患への対応や区の医療資源の状況に即した地域医療連携の推進等を目的といたしましたネットワークの構築につきまして、他区の取り組み等も参考にしながら、研究してまいりたいと考えております。
また、自殺対策の庁内連携の会議につきましては、マニュアルなどを活用し、職員の意識の向上、情報の共有化を図りながら、設置に向けて取り組んでまいります。
〔地域支えあい推進室長瀬田敏幸登壇〕
○地域支えあい推進室長(瀬田敏幸) 私からは、こころの健康についての御質問のうち、働く世代への支援としてのホームページ上の改善、また、区内被災者への心のケアを目的とした訪問などのことにつきまして、お答えさせていただきます。
まず、ホームページ上のメンタルチェックプログラムの導入につきましては、よりわかりやすいバナーとともに、国や東京都の心の健康に関するホームページなどを研究するとともに、職員を研修に派遣させるなどを通じまして、よりわかりやすい広報に努めてまいりたいと考えております。
なお、現在でもホームページ上の健康医療のページにおきまして、うつ病の自己診断チェックリストを掲載しているほか、早目の相談の重要性についても広報しているところでございます。
もう1点、心のケアを目的といたしました区内被災者への訪問につきましてでございます。昨年度は、区内の都営住宅などへ避難されている被災世帯の皆様方に対しまして、すこやか福祉センターの職員による訪問活動や、健康相談会を実施させていただいたところでございます。また、今年度につきましては、区内へ避難されている被災世帯に対しまして、6月下旬から、すこやか福祉センター職員による戸別訪問を行う予定でございます。訪問時におきましては、生活上の悩みについて、利用可能な公的サービスや相談機関などを御案内させていただくほか、社会福祉協議会とも連携をいたしまして、心のケアへの対応も含め、進めていきたいと考えてございます。
〔経営室長川崎亨登壇〕
○経営室長(川崎亨) 私からは、区職員のメンタルヘルスケアについてお答えいたします。
メンタル疾患は、職員の健康を損なうだけではなく、職場にとっても影響が大きく、その予防や復帰に向けた対応など、職場全体での取り組みが求められる重要な課題であると認識をしております。日ごろから管理監督者が職員一人ひとりの働きぶりを把握し、円滑なコミュニケーションに基づくお互いの気付き合い、支え合いのある働きやすい職場をつくることが肝要であり、メンタル不調が疑われる場合には、適切に医療機関へ結びつけることも必要であると考えております。
また、メンタル疾患により療養した後、円滑に職場復帰できるよう、職場における支援も大切だと考えております。区では、管理監督者向けに、職場におけるメンタル対応の研修や、主任主事昇任時にメンタルヘルスケア研修を実施しております。今後もこれら研修に加え、職場におけるメンタルヘルス対策を継続して行ってまいります。
〔政策室長竹内沖司登壇〕
○政策室長(竹内沖司) 震災対策についての御質問のうち、まず、ホームページの代理掲載についてでございますが、データセンターが仮に災害でダウンした場合の対応として、災害援助協定を締結している自治体と協力したいと考えております。
それから、次に、災害時のホームページをテキスト版で用意してはとの御提案でございますが、災害時のホームページのテキスト表示の仕組みは、現在のシステムに既に用意できているところでございます。
それから、運用基準につきましては、今後作成をいたしまして、基準に基づく運用試験も行いたいと考えております。
〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕
○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、震災対策についての御質問のうち、エリアメール及び橋梁の修繕についての御質問にお答えをいたします。
まず、エリアメールについてでございますが、au、ソフトバンクのエリアメールの運用予定についてでございます。現在、両者と運用開始のための最終的な手続を行っており、6月中には運用を開始したいと考えているところでございます。
次に、エリアメールの配信内容の決定部署等についての御質問でございます。エリアメールにより、区から配信する内容といたしましては、災害発生状況、帰宅困難者への情報提供、避難勧告、避難指示に関する情報、国民保護に関する情報等がございます。このうち、基本的な文章のひな型につきましては準備をしているところでございます。配信の内容やタイミングにつきましては、災害対策本部で決定することとなります。
次に、エリアメールのテスト配信についてでございます。エリアメールは、区内にいる該当機種を持っている方すべてに配信され、その影響が大きいことから、テスト配信につきましては、東京都の帰宅困難者訓練での事例等も参考にしながら、慎重に検討してまいりたいと考えております。
次に、橋梁の修繕計画についての御質問にお答えをいたします。
橋梁長寿命化修繕計画では、修繕の優先度の検討の中で、路線要因として、防災優先道路、交通量、大型の交通量、バス路線等を優先順位付けの参考として検討し、優先順位の選定項目として考えているところでございます。また、今後の都の護岸改修の進捗状況や損傷程度等を考慮に入れ、橋梁の優先順位を定めていく予定でございます。
また、都の護岸改修の計画と橋梁の関係でございますけれども、本町五丁目公園周辺の橋梁につきましては、中野新橋まで護岸改修により架けかえ済みでございますけれども、現在、寿橋下流までは事業決定し、改修工事中であるわけですが、寿橋を含めた上流部分につきましては、都市計画決定されているところですが、事業決定はされておりません。よって、東京都に早期の事業の推進を行うよう、今後も働きかけてまいる所存でございます。
○副議長(久保りか) 以上で木村広一議員の質問は終わります。
議事の都合により、暫時休憩いたします。
午後2時28分休憩
午後2時50分開議
○議長(大内しんご) 会議を再開いたします。
この際、申し上げます。
議事の都合上、会議時間を延長いたします。
一般質問を続行いたします。
1 中野四季の都市(まち)について
(1)防災公園の安全強化について
(2)中野セントラルパークと産業振興拠点について
(3)その他
2 保育需要増大への対応について
3 高齢者福祉について
(1)高齢者福祉センターの廃止問題について
(2)特別養護老人ホームの増設について
(3)小規模多機能型居宅介護と都市型軽費老人ホームについて
(4)介護保険利用料の軽減について
(5)その他
4 鷺宮地域の広域避難場所について
(1)鷺宮西住宅について
(2)鷺の宮調節池予定地と都立鷺宮高校について
5 交通不便地域の対策について
(1)コミュニティバス「なかのん」の充実について
(2)オンデマンド交通の検討・具体化について
6 妙正寺川の災害対策について
7 西武新宿線の地下化と鷺ノ宮駅南口のエレベーター設置について
8 その他
○議長(大内しんご) 金子洋議員。
〔金子洋議員登壇〕
○30番(金子洋) 2012年第2回定例本会議におきまして、日本共産党議員団の立場から、一般質問をいたします。
初めに、旧警察大学校の跡地、中野四季の都市(まち)について伺います。
その1として、防災公園の安全強化について伺います。東京都は、四季の都市と区役所・サンプラザ地区を含む中野区役所一帯を、周囲9万6,000人の住民の広域避難場所に指定しています。この中野区役所一帯についてAERA誌が取り上げ、首都直下型地震で大火災が発生すると、関東大震災のときの被服しょう跡地のようになる魔の避難場所だとしました。同誌は、区内の各書店で発売当時に売り切れるほどの反響を呼び、区民の中に不安が広がっています。区は、定説化されていない推論によって読者の危機感をあおるものだと抗議したと言いますが、AERA誌の論点は、これまで日本共産党議員団が再三指摘してきたことと共通した部分もあり、予防原則に立った検証と対策が求められると考えます。
第1に、警察大学校跡地の周りには、木造住宅密集地域が広がっている問題です。関東大震災では、広さ約10ヘクタールの空き地、陸軍被服しょう跡地の周囲一帯に大火災が広がり、この空き地に避難してきた人々に火災旋風、炎の竜巻が襲いかかって、3万8,000人が犠牲になりました。このように、四方を火災・倒壊の危険地域に取り囲まれた避難場所は、非常に危険だということです。東京都が2008年に出した地震に関する地域危険度測定調査でも、また、先日東京都が発表した首都直下型地震の新たな被害想定でも、中野四丁目は都内有数の火災危険地帯に取り囲まれています。野方や杉並区の高円寺北など、火災危険度が特に高い隣接地域で火の手が上がれば、冬の北西風にあおられて悲劇が繰り返されないとも限りません。安全な広域避難所とするためには、周囲の木造住宅密集地域をはじめとして、耐震化と不燃化の促進が何としても必要です。区は、耐震化・不燃化への支援に責任を持って取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
第2に、防災公園の面積の問題です。我が党議員団は、警察大学校跡地の開発で4ヘクタールの予定だった防災公園が1.5ヘクタールまで切り縮められたこと。このことに反対し、広域避難場所としての安全性に警告を発してきました。その中で、拡張用地の取得が実現し、2.1ヘクタールまで回復したものの、当初予定の半分に過ぎません。10万人の住民に加え、開発による昼間人口の増大とに対して、この面積では小さ過ぎます。区役所移転予定地として土地開発公社が先行取得した中野体育館南側の土地は、公園の拡張用地して活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。
第3に、高層ビルに囲まれた公園の危険性についてです。都市防災学の専門家は、周辺の低層住宅地と違って、高層ビルが林立する再開発地は、火を誘い込む可能性が高いと指摘しています。四季の都市では、セントラルパークの東と南棟と二つの大学の高層ビルが南側に壁のように連なっており、北や北西の火災危険地帯からの熱風が、この壁に当たって一気に上昇気流を生じ、火災旋風を引き起こすような危険や、また、公園が西の杉並区側からの火災危険地帯からの熱風の格好の通り道となる危険も考えられます。グランドデザインVer.3が示すように、区役所・サンプラザ地区を1街区として、大規模集客施設と商業業務の複合施設をつくったり、駅ビルを誘致するなど、公園の周囲にこれ以上高層ビルをふやすのは見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。
第4に、公園の防火機能を強化する問題です。輻射熱を遮断するためには、自家発電のシャワーや放水銃の整備はなくてはならないものです。しかし、四季の森公園にはなく、貯水槽も十分ではありません。これで安心と言えるのでしょうか。まさに、防災公園自体の防火設備の検証が求められるのではありませんか。また、公園内に高い常緑樹をたくさん植えるなど、大火災時のビル風を少しでも和らげる対策を考える必要があるのではありませんか。お答えください。
その2として、中野セントラルパークと1,000平米の産業振興拠点について伺います。区は、中野セントラルパーク東棟・南棟内の1,000平米の床空間を、共益費のみの負担で借り受け、これを産業振興拠点として企業に又貸しし、ICT・コンテンツ産業の集積を図るという計画を進めています。しかし、事業コンペでは、最終的に区の期待した機能を展開できる企画提案をした事業者がなく、選定に至らなかったとの報告がありました。今後、区は、活用と選考方法について再検討するということですから、事業者が決まるまではかなりかかると思われます。共益費の負担は、いつから発生するのでしょうか。入居する事業者がいない間も発生するのですか。年間1,400万円の共益費を区が肩がわりすることになるのではないでしょうか。お答えください。
都政新報の報道によると、世田谷区では、二子玉川地区を中心に行ったデジタル・コンテンツ集積事業が途中で頓挫しました。民間公募で選定したNPO法人が、補助金確定の1カ月後に財政状況悪化のため事業実施を辞退し、補助金の弁済も滞っているそうです。中野区でも、区内産業振興の考え方が東京都の都市型産業育成とか、政府のクールジャパンなどの路線に乗って、外から新しい何かを呼んでくる、引き寄せるということに偏っているのではないでしょうか。募集の期間や選考の仕方を工夫すれば、今度はふさわしい企業が見つかる見込みがあるとお考えですか。ICT・コンテンツ関係の事業者で、専有面積730平米のオフィスを活用できるところが、そんなにあるものでしょうか。あくまでICT・コンテンツ産業の集積の核になる企業を求め続けるつもりですか。お答えください。
次に、保育需要の増大への対応について伺います。区内の認可保育園に申し込んで入れない待機児は、ことし4月に400人を大きく超え、昨年に比べて80人余りふえたといいます。認可保育園の定員も98人ふえているのに、待機児もふえているのです。あきらめて申し込まなかったという潜在的待機児も含めて、保育需要がそれだけ高まっているということです。
区は、「新しい中野をつくる10か年計画」で、2014年度までに待機児をゼロにするという目標を掲げ、区立保育園の建てかえ・民営化による定員拡大、認証保育所の誘致、家庭福祉員によって需要にこたえるとしてきました。しかし、認可園に入るのを待ちながら、認証保育所や家庭福祉員に預けられている子どもたち、これを待機児から除いた新定義の待機児でさえ、100人を超えているといいます。このペースで2014年までにこれをゼロにすることができるとお考えですか。お答えください。
認可園への需要がこれだけふえているのですから、区は、認可園の増設を中心に据えて、待機児解消に当たるべきと考えますが、いかがでしょうか。国有地・都有地で認可園の増設に使えるところはないのでしょうか。また、丸山児童館跡の活用や、現在仮園舎として使用している沼袋小学校跡の継続使用などは考えられないでしょうか。また、所得に関係なく、高い認証保育所の保育料の負担軽減も必要です。認証保育料での差額補助は2万円までとなっており、約8割の親がこの上限に達してしまい、認可園との差額が解消されません。この差額補助の上限の大幅な引き上げが必要と考えますが、いかがでしょうか。
次に、高齢者福祉について伺います。
初めに、高齢者福祉センターの廃止問題について伺います。高齢者福祉センターは、保健師や看護師による生活健康相談や無料の入浴事業、センター主催の健康レクリエーション事業、自主サークルの活動などが複合された施設として、数多くの地域高齢者の健康と交流の場になってきました。財政上の理由からこれを廃止するという事業見直し内容案には、利用者から一斉に「生きがいの場所をなくさないでほしい」という声がわき起こりました。意見交換会でも、「家に閉じこもらず出かけてきて交流できることが、介護の予防にもなっている」などの意見が出ました。こうした利用者の声に押されて、区は、高齢者福祉センターは廃止するが、高齢者会館的な憩いと自主活動の場は区の責任で確保するという基本的考え方をこの4月に示しました。しかし、老人福祉法に定めるA型と言われる高齢者福祉センターにおいて、中野区は、高齢者の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じることで高齢者の福祉を増進する責務を負っています。老人福祉法に基づく施設の廃止で、区は生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障する責務から逃れることになります。実際に、各種相談や入浴などでセンターを訪れていた人たちの身近な行き場が失われようとしています。8カ所で行っていた相談の場所が、4カ所のすこやか福祉センターだけになってしまうのです。センター廃止後、松が丘、堀江、弥生の三つの施設は、民間事業者によるデイサービスや介護予防などの基盤充実に使われるといいます。鷺宮のセンターでは、すこやか福祉センターの総合相談窓口が移ってくるといいます。自主サークルの活動の場を保証するといいながら、これでは時間や場所を制限することになります。また、区は、中野駅周辺グランドデザインVer.3で、堀江のセンターを二丁目市街地再開発で活用を検討する区有地の一つに挙げています。もともと区民が遺言で、「高齢者福祉のために使ってほしい」と区に寄贈した土地なのに、寄贈した区民の意思は踏みにじられ、施設そのものの存続すら危うくなります。高齢者福祉センター廃止の計画は撤回すべきと考えます。いかがでしょうか。お答えください。
次に、特別養護老人ホームの増設について伺います。特別養護老人ホームの入所を待っている高齢者は、区内に1,200人に上っています。来年4月、東中野に開設されるホームと、2015年に富士見中跡地に開設予定のホームによって、昨年度までの第4期介護保険事業計画の目標がやっと実現することになり、施設整備が大幅におくれています。第5期計画では、1施設100床が目標となっていますが、待機者解消にはほど遠い状態です。
そこで伺います。せめて第5期計画期間中に目標の1施設100床の実際の開設を目指し、さらに、次期計画の前倒しとしてさらなる増設を図ることはできませんか。例えば、沼袋小学校跡地に検討することは考えられないのでしょうか。お答えください。
次に、小規模多機能型居宅介護、都市型軽費老人ホームについて伺います。特養ホームの整備が、用地確保の問題を抱える中、小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスが期待されています。東京都が土地を提供して、ことし4月から上高田に小規模多機能とグループホームと都市型軽費老人ホームの複合施設が一つオープンしました。白鷺にも来年11月から同様の都有地提供の方式によって複合施設が一つ開設することになっています。さらに、住吉保育園跡にも小規模多機能型居宅介護施設と認知症グループホームの複合施設が計画されています。
都市型軽費老人ホームには、問題もあります。一般の軽費老人ホームより基準が大幅に緩和されています。生活保護レベルの高齢者でも入居できるような利用料になっている反面、居室面積は最低で4.5畳あればよいなど、詰め込み施設になりかねない基準ともなっています。早々に国と東京都によるこの制度の改善を求める必要があると思います。また、現行制度のもとでは、少なくとも人間らしい生活が入居者に保障されるように、区は、区が行う事業者選定に当たって、事業主体の的確性や施設内容の妥当性を、利用者、入居者の目線からしっかりと審査すべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、介護保険料の軽減措置について伺います。第5期計画で、介護保険料が改定され、基準額で月4,080円から5,260円に引き上げられました。所得による保育料のランク分けを細分化して、高額所得者に料率を大きくし、それによって基準額の値上げ幅を抑えたわけですが、それでも大きな負担増です。一番低い所得のランクでも、2,033円から2,625円に値上がり、基準額と同じ29%の負担増です。
一方、介護報酬も改定となりました。その結果、利用料のほうの負担増も生じています。年金収入が減らされている中、この利用料の軽減が求められると考えます。東京都の制度として、生計困難者に対する利用料軽減が行われていますが、生活保護水準に近い人たちだけに限定された制度です。この制度に加えて、独自に低所得者への利用料軽減を行っている自治体が都内12区12市2町に上っています。中野区も、これを検討するお考えはありませんか。お答えください。
次に、鷺宮地域の広域避難所についてお尋ねします。
1の公社鷺宮西住宅については、別の機会にお尋ねいたします。
第2に、鷺の宮調節池予定地と都立鷺宮高校について伺います。広域避難場所、白鷺一丁目地区では、鷺の宮調節池の整備工事が進められ、オープンスペースが限られています。調節池整備後も、蓋架けによる多目的広場の整備工事が2014年度まで続きます。また、この地域の避難所の一つである都立鷺宮高校でも、校舎改修工事が2014年夏までの予定で続いています。住民の間から、「工事が終わるまでは、どこへ避難したらいいのか」と不安の声が出ています。工事が終わるまでの間に震災が起こった場合、混乱が予想されます。区は、この地域の広域避難場所のスペースや避難所をどのように確保していくお考えですか。お答えください。
次に、交通不便地域の解消について伺います。
その1として、コミュニティバス「なかのん」の充実について伺います。鷺宮方面の地域住民の中野方面への交通手段として、この「なかのん」は親しまれ、乗車率も悪くありません。しかし、昼間は1時間に2本しかなく、また、上鷺宮北部などの住民、特に高齢者などにとっては、新青梅街道のバス停は遠く、利用しづらいという不満の声もあります。運賃についても、渋谷区、杉並区などのコミュニティバスは100円なのに、なぜ「なかのん」は210円なのだという声もあります。国の補助も3年で終了しているため、現在は関東バスの1路線に過ぎません。少なくとも、1時間に3本程度までの増便、運賃の引き下げができるように、コミュニティバスの名にふさわしく、区として運営補助をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、次に、オンデマンド交通の検討・具体化について伺います。バス停や駅などから離れた交通不便地域の対策として、タクシーやワゴンタクシーを乗合で使用するドア・ツー・ドアのシステム、オンデマンド交通の導入が求められます。区は、2008年度にこのオンデマンド交通の検討報告書を出しました。上鷺宮エリアや白鷺、若宮、大和町エリアなど、区内四つのエリアを対象にしたオンデマンド交通を検討し、年2,000万円余りの継続的運営補助をすれば可能だとの結論を得ています。どのようなものが使いやすいか、住民の要望も調査して反映させながら、実証実験に向けて具体的検討を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、妙正寺川の災害対策について伺います。昨年8月26日夕方の集中豪雨で、妙正寺川各所で危険水位に達しました。鷺宮でも1時間に80ミリを超える雨が降り、妙正寺川の水位はあと1メートルまで迫りました。約1時間で小やみになりましたが、激しい雨の間、水位は上がり続け、雨の勢いが弱まると同時に、水位は下がり始めるという状況でした。激しい雨がそれ以上続いていたら、あふれた可能性が大きいと考えられます。鷺宮調節池の整備後、そこから上流の河川改修、河床の掘り下げが行われることになっています。その早期着工を望むものです。
また、集中豪雨のときに、一気に雨水が河川に流れ込まないように、雨水流出防止策や内水対策も重要です。区は、特別区下水道事業促進連絡会を通じて、東京都に対し、環状七号線から上流の妙正寺川流域と江古田川流域に貯留管施設の整備を要望しているということですが、東京都下水道局は、まだこれらの流域を計画に入れていないと聞きます。早期に計画に入れるよう求めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、西武新宿線の地下化と鷺ノ宮駅南口のエレベーター設置について伺います。
まず、西武新宿線の地下化について伺います。先月28日に開催された西武新宿線渋滞解消期成同盟の決起大会では、野方-井荻駅間の連続立体交差化の早期実現を関係諸機関に求める決議がなされました。しかし、期成同盟は当初、区内全線の地下化を求めて、区と区内各団体、自治組織、市民団体などが結集して結成されたものです。中井-野方間の地下化が動き出した今、区は、地下化を正面に掲げて国、東京都、西武鉄道など関係機関に強く求めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、鷺ノ宮駅南口のエレベーター設置について伺います。鷺ノ宮駅では、南口にエレベーター・エスカレーターがなく、高齢者や障害者、乳幼児親子も急な階段の上り下りを強いられています。北口のエレベーターを利用するには、あかずの踏切を待たねばならず、また、障害者、高齢者の踏切内の閉じ込めの危険もあり、南口にもエレベーターが切実に求められています。前回の私の質問に対して、区は、「南口についても、バリアフリー整備が確かに求められている」とお認めになりました。しかし、「敷地上の制約や構造上から難しいと西武鉄道から聞いている」として、「現時点では、鉄道側にさらに要望することは考えていない」とお答えになりました。南口のバリアフリー化が必要と認めるならば、敷地上や構造上の制約を解決すべく、西武鉄道と話し合うべきではないんですか。南口階段わきの民間の自転車駐輪場の土地の一部でも取得すれば、エレベーター設置は可能です。西武鉄道に取得させるなり、それがどうしてもできないというなら、区が取得するなりすればいいことです。野方駅では、区が用地を取得して、エレベーター・エスカレーターを設置したではありませんか。住民の立場に立って、西武鉄道と話し合うべきと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
以上で私のすべての質問を終わります。御静聴ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 金子議員の御質問にお答えをいたします。
防災公園の安全強化についてという部分での御質問、区内全域の耐震化・不燃化を進めるべきであるという御意見でした。建築物の耐震化につきましては、中野区耐震改修促進計画に沿って、効果的な施策を組み合わせながら、中野区全域で取り組んできております。不燃化については、南台一・二丁目地区、平和の森公園周辺地区を対象として防災まちづくりを進め、また、東京大学附属中等教育学校周辺地区を対象として建物の不燃化促進を進めているところであります。
それから、防災公園の面積について、防災公園を拡張すべきだという御質問がありました。広域避難場所──その前に、防災公園が非常に危険だという全くでたらめな雑誌の記事を取り上げての御質問でありました。広域避難場所は、火災の際に、区民の皆さんが一時的に逃げ込んで難を逃れるという大変重要な位置付けのものであります。根拠なくそこが危険だといって、仮に、区民の方がそこに逃げ込むことをやめて危険な目に遭うというようなことがあったら、その無責任な雑誌はどう責任をとってくれるのでしょうか。私どもは、それに対して抗議をいたしましたが、何の返答もありません。それと同じ考え方にのっとっているというふうに質問されたことについても、大変疑問を禁じ得ません。
広域避難場所の避難有効面積につきましては、防災公園部分だけでなく、地域内の土地すべてを対象として算出を行っているものであります。金子議員が議員さんになられるずっと前から、区役所周辺の広域避難場所については、必要な避難面積は確保するということで、区としてもまちづくりに取り組んでまいりました。東京都も、そこをしっかりと検証した上で、広域避難場所として指定をしております。避難有効面積については、十分だというふうに考えております。
それから、高層ビル群が火を誘い込んでしまうということで、高層ビルを建てるべきでないと、こういう御質問でありました。私どもの知る限りの科学的な根拠というものが、その御意見にあるとはどうも思えません。災害時に火災の延焼を防ぎ、安全な避難経路や空間を確保するためには、道路や公園などの都市基盤、また、耐火性の高い建築物は必要であります。区民の安心安全を守るため、中野駅周辺のまちづくりは今後も着実に進めてまいります。
それから、防災公園の設備等についての御質問もありました。中野四季の森公園は、災害用トイレ、防災用井戸、発電機、防災兼用照明灯などの防災施設を備えております。また、風を和らげることに配慮した植栽を行っております。
それから、セントラルパークと産業振興拠点の御質問がありました。セントラルパークの一角に開設することとしている産業振興拠点については、現在、共益費の発生時期も含め、建物の所有者と賃貸借契約の具体的内容について交渉中であります。なお、共益費が発生した後でも、事業者が決まっていないとすれば、これは当然に区の負担であります。
それから、産業振興拠点は、「新しい中野をつくる10か年計画」に基づいて、区内のICT・コンテンツ産業の振興を図るためのものであります。この目的を効果的に実現できるよう、活用方法や事業者選考のあり方について再構築をして、今議会中にお示しをする予定としております。
私からは以上です。
〔子ども教育部長髙橋信一登壇〕
○子ども教育部長(髙橋信一) それでは、私からは、保育需要の増大への対応についてお答えいたします。
まず初めに、保育園の待機をなくすことについてでございます。今年度の待機数につきましては、平成23年4月の135人から100人程度と昨年よりも減少が見込まれるものの、予測よりも保育需要の増大は大きく、待機状況が解消されるには至らなかったものでございます。近年、急増しております保育需要の把握を厳密に行うとともに、区立保育園の建てかえ・民営化によります定員増、認証保育所の新規誘致、家庭福祉員の増設など多様な手法によりまして、保育園の待機をなくすこととしたいと考えてございます。
続きまして、認可園中心の待機対策の実施についてでございます。認証保育所につきましては、認可保育所にはございません長時間保育サービスの実施などの特徴がございまして、認証保育所を優先的に希望する方がございます。そのことから、認可保育園の補完だけとは考えてございません。
また、国有地、区有施設の跡地の活用についてでございますが、保育サービスの拡充に当たりましては、地域の保育需要にあわせまして、さまざまな施設・資源を活用して充実を図ってまいりたいと思っております。
最後に、認証保育所保護者補助の上限引き上げについてでございます。今後、保育サービスの利用者負担のあり方を検討いたしますので、その中で考えていきたいと思っております。
〔地域支えあい推進室長瀬田敏幸登壇〕
○地域支えあい推進室長(瀬田敏幸) 私からは、高齢者福祉センターの廃止につきまして、お答えをいたします。
高齢者福祉センターにつきましては、区の事業見直しの中で、高齢者会館機能の確保と保健福祉と介護予防の基盤充実をするために、新たな活用を図ることとしたものでございます。したがいまして、廃止を見直す考えはございません。
〔健康福祉部長田中政之登壇〕
○健康福祉部長(田中政之) 私からは、高齢者福祉についての御質問のうち、特別養護老人ホーム等に関する質問についてお答えをいたします。
まず、特別擁護老人ホームの早期の開設と次期計画の前倒しについてでございます。特別養護老人ホームは、広域を対象とするものでございまして、区内ですべて整備するものではないというふうに考えてございます。第5期介護保険事業計画における特別養護老人ホームの一施設100人につきましては、区内の整備目標でございまして、早期に整備ができるよう最大限の努力をしているところでございます。第6期以降の整備数につきましては、第5期の整備状況を踏まえた上で考えていきたいと思っております。
それから、沼袋小学校跡地の特養としての敷地活用についての御質問もございました。沼袋小学校跡は、新しい中野をつくる10か年計画(第2次)におきまして、北部すこやか福祉センターと地域スポーツクラブの活動拠点の整備を予定しているところでございます。特別養護老人ホームとしての活用は考えてございません。
次に、小規模多機能・都市型軽費老人ホームについてでございます。都市型軽費老人ホームにつきましては、施設基準、職員配置基準が定められているところでございますので、それに沿った施設というふうに考えてございます。事業者選定の際には、円滑な運営ができますように、あらゆる観点から的確性、妥当性について厳正に審査してまいります。
〔区民サービス管理部長登弘毅登壇〕
○区民サービス管理部長(登弘毅) 私からは、高齢者福祉のうち、介護保険利用料の軽減に関する御質問にお答えをいたします。
介護保険の利用料負担が高額となった方や低所得世帯の方には、これまでも高額介護サービス費支給制度などで一定の負担軽減策を講じてきたところであり、区として新たな軽減措置の導入は考えておりません。
〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕
○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、鷺宮地域の広域避難場所について、ほか幾つかの御質問にお答えをいたします。
まず、鷺の宮調節池予定地と鷺宮高校についてに関する御質問でございます。鷺の宮調節池予定地は、広域避難場所、白鷺一丁目地区の一部分であり、この白鷺一丁目地区全体が利用できない状況ではございませんので、広域避難場所の指定変更は考えていないところでございます。
次に、都立鷺宮高校は工事中でございますけれども、避難所として使用可能な部分もあるため、同校の避難所運営会議で協議した結果、基本的には鷺宮高校に避難者を収容し、収容できない避難者がいた場合は、若宮小学校等近隣の避難所に誘導することとしているところでございます。
次に、交通不便地域の対策について、「なかのん」に関する御質問がございました。「なかのん」につきましては、区の北西部と中野駅を結ぶ貴重な交通手段として、利用者数も順調にふえ、区民の足として定着しているところでございます。
区では現在、ホームページでのPRや区民活動センターでの時刻表の配布等、広報面での支援を行っているところでございますが、あくまで民間事業者が運営する路線でございますので、御提案のような区の補助を行う考えはございません。
次に、オンデマンド交通の検討具体化についての御質問でございます。オンデマンド交通につきましては、高齢者や乳幼児連れの親子などの移動制約者が区内を自由に移動できる交通手段として検討を進めてきた経緯がございます。今後も引き続き、経費面での課題を解決できるかどうか等を中心に、検討を進めていく必要があると考えているところでございます。
次に、妙正寺川の災害対策について、妙正寺川・江古田川流域へ貯留管施設の設置についての御質問でございます。区では、23区で構成する特別区下水道事業促進連絡会を通じて、引き続き、環状七号線から上流の妙正寺川流域と江古田川流域への貯留管施設の整備について、東京都に要望していく考えでございます。
最後に、鷺ノ宮駅南口のエレベーター設置についての御質問でございます。鷺ノ宮駅には、区の助成により既にエレベーターが整備され、1経路のバリアフリー対応ができているところでございます。西武鉄道からは、南口の当該用地を取得するということは聞いておりません。また、区としても、当該用地を取得し、西武鉄道にエレベーター設置を働きかけることは考えていないところでございます。
〔都市政策推進室長長田久雄登壇〕
○都市政策推進室長(長田久雄) 西武新宿線野方駅以西の地下化についての御質問にお答えをいたします。
今回の決起大会において、区民、区議会を含む期成同盟加盟団体全会一致し、連続立体交差事業の中井駅から野方駅間の着実な推進と、野方駅から井荻駅間の早期実現を図ることなどの決議を行っているところでございます。期成同盟の規約は、区内全線地下化の実現を促進することとしており、期成同盟の意思は明確であると考えております。
○議長(大内しんご) 以上で金子洋議員の質問は終わります。
1 国際交流について
2 学校教育について
(1)外国語活動について
(2)学校再編について
3 その他
○議長(大内しんご) 次に、中村延子議員
〔中村延子議員登壇〕
○6番(中村延子) 平成24年第2回定例会に当たり、民主党議員団の立場から、一般質問をさせていただきます。
質問は、通告のとおり、1、国際交流について、2、学校教育について、(1)外国語活動について、(2)学校再編についてです。3のその他はございません。
まず、国際交流について、質問をさせていただきます。
中野区は、昨年、東日本大震災の影響で行えなかった姉妹都市・友好都市との周年行事や交流事業を本年実施しております。先月、区長をはじめとする訪問団が姉妹都市である韓国・ソウル市陽川区を訪れました。田中区長は、6月5日発行の区報にも、陽川区への訪問の感想を述べられていました。2泊3日の訪問でしたが、まず、今回の訪問でどのような成果があったとお考えか、教えてください。
ソウル市陽川区とは、一昨年の姉妹都市締結から2年という時期で、今後の行政及び民間における交流事業の内容がいまだ決まっておりませんが、いつごろから具体的協議をし、決定をするのか。陽川区との姉妹都市に関する今後の展望をお聞かせください。
税収が下がり、歳出抑制や削減が当たり前になった近年、税金で国際交流事業が行われることに対しての批判も聞こえてきます。しかし、時代の国家間の友好関係に影響されない、自治体レベルでの友好関係はとても重要と考え、また、大きな役割を担うと考えています。ソウル市陽川区との姉妹都市締結には、長年にわたる諸先輩方の御努力もあり、実現したと伺っています。これからの国際交流事業を区や区民のために生かすことが、区民の理解を得ることになると思います。ぜひ双方の自治体に実りのある姉妹都市関係を続けていけるよう、具体的協議を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
また、9月には、友好都市関係にある中国・北京市西城区にも訪問団が訪れる予定と伺っております。西城区とは、昨年、友好都市締結25周年を迎えましたが、こちらも東日本大震災の影響で延期になっていた事業です。民間交流でも、中野区国際交流協会の事業として、ことしも8月に少年野球チームが西城区を訪問し、スポーツ交流をすることになっていると伺っています。今後の西城区との友好都市関係の展望、また、9月の訪問に際し、今後の西城区との国際交流を通じての目標をお聞かせください。
さて、ことし3月に、大阪府大阪市の国際交流事業を視察させていただきました。大阪市は、政令指定都市でもあり、日本国内で第2番目に人口が多い都市ということもあり、大阪市は8都市との姉妹都市・友好都市を締結しています。一番古い姉妹都市関係では、アメリカ合衆国・サンフランシスコ市と1957年の姉妹都市締結から65年の長年にわたるものまであります。一番新しい都市でも、1989年から23年間と、すべての姉妹都市・友好都市との関係は長期間にわたります。
一方、近々は、分野に特化した新しい形の国際交流事業を進められています。大阪市では、ビジネスパートナー都市事業という、相互の都市・自治体がリーダーシップをとって、民間レベルでの経済交流を促進することを目的とした都市提携を進めています。提携に基づく具体的な活動内容としては、中小企業を中心としたビジネス交流ミッションの相互派遣や、相互の経済情報の提供などがあります。互いの商工会を通じて、ビジネスアドバイスなども行われているそうです。もちろん、両都市の市民間の相互理解や友好親善が一層深まるだけではなく、こうした経済交流により、両都市の経済活性化が促進されるということが期待されています。大阪市は、こうしたビジネスパートナー都市をアジア・オセアニア地域の13の都市と提携しています。大阪市では、市長が交代し、一層の歳出削減をする中で、比較的お金のかかる姉妹都市や友好都市は、大阪府との統合も含めた検討をされているそうですが、こういった分野に特化した国際交流は、引き続き進めていく見込みであると担当の方がおっしゃっていました。
中野区では、中野四季の都市(まち)にICT・コンテンツ産業の集積を図ることを目標として掲げられています。四季の都市(まち)ができ上がってくる今日、ICT産業やコンテンツ産業に強い海外都市──例えば、前回、私の予算特別委員会の総括質疑で御紹介・御提案した、ジャパンEXPOが行われているフランス・パリや、アニメEXPOが行われているアメリカ・ロサンゼルスなど、あくまで例えばですが、そういった都市とのビジネスパートナー都市事業を検討してみてはいかがでしょうか。官民一体となって産業を国際的に盛り上げていける手段だと考えますが、御見解をお聞かせください。
次に、学校教育に関してお尋ねいたします。
近年、グローバル化が急速に進み、民間企業では、外国人労働者が働くことや日本企業が海外に支社を持つのが当たり前の状況になってきています。日本で働くにしても、これからの世代は、世界との競争がさらに激しくなっていくと思います。
そんな中、現在の日本人の子どもの英語力には危機感を覚えてしまいます。アメリカ留学に必要な英語力をはかる一つの基準であるTOEFLですが、2011年の調査では、その平均スコアは120点満点中、日本は70点で、163カ国中135位、アジア内でも30カ国中27位と、いずれもとても低い順位となっています。一方、お隣の中国は77点で、世界では105位と、アジアでは16位、韓国は81点で、世界では80位と、アジアでは9位となっており、その順位は大きく引き離されております。中国や韓国では、10年以上前から、小学校3年生からの英語授業の必修化が既に始まっております。
日本でも、平成22年度から、文部科学省の新学習指導要領に基づき、小学校5・6年生で年35時間の外国語活動が必修となりました。また、文部科学省が掲げる外国語活動の中での目標は、「外国語を通じて言語や文化について体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う」となっています。これに伴い、区では、小学校全体でALT(アシスタント・ランゲージ・ティーチャー)をつけての英語活動を実施しています。必修化されたからには、外国語活動の質がとても重要になります。必修化された初年度は、プロポーザル方式で、ある民間企業と業務委託契約を結び、その会社からALTが各小学校に派遣されていました。契約上、教育委員会や学校がALTの人材に対する要求を出すことができなかったり、派遣されてきた方がいかなる履歴をお持ちでも、交代を要求することができなかったと伺っています。また、派遣されてきたALTが急にやめてしまったり、本国へ帰ってしまったりと、トラブルが多々あったとも聞いています。派遣されてきたALTによって授業の質が全く違うということも見受けられたそうです。
そういった過去を踏まえ、23年度からは小学校ごとにALTと個別契約を実施しています。現場からは、この契約形態の変更はとても歓迎されているようです。しかし、予算の際に、年度で契約形態が更新されると伺っています。今後もこのまま、各小学校の個別契約という形態を続けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
一方で、個別契約でも問題点はあります。ALTの人材を探すことに苦労されているというのも現実のようです。私が見学をさせていただいた学校では、今のところ、ほかの小学校からの紹介などにより、ALTの人材に恵まれ、外国語活動の授業は成功しているように見受けられました。子どもたちも英語に触れ、楽しんでいる様子を拝見させていただきました。しかし、現在は人材に恵まれていても、万が一、その方の都合で教えられなくなってしまった場合、すぐに補充できる人材を独自で探すことは簡単ではないと思います。新学習指導要領第4章・外国語活動の第3、指導計画の作成と内容の取り扱いの中に、「授業の実施に当たっては、ネイティブ・スピーカーの活用に努めるとともに、地域の実態に応じて、外国語に堪能な地域の人々の協力を得るなど、指導体制を充実すること」となっています。中野区にもネイティブに近く英語を話される方は多くいらっしゃると思います。例えば、人材確保のために協力員という形で区報やホームページで募集をかけて人材を確保するという考えはいかがでしょうか。御見解をお聞かせください。
また、それぞれの学校がそれぞれのやり方で外国語活動の授業ができるということは、学校の独自性も養われると思います。一方で、学校間や地域間で授業の質に差が生じてしまう可能性もあります。そういった事態は避けなくてはいけないと考えますが、いかがでしょうか。例えば、教育委員会で学校を訪問し、格差がないかなどの確認を行い、もし、ほかの学校との基準に差がある場合は、指導するなどの対応をされるべきと考えますが、いかがでしょうか。御見解をお聞かせください。
続いて、学校再編についてお尋ねいたします。
平成24年4月の中野中学校の開校により、平成17年度に策定した中野区立小中学校再編計画の前期の計画が完了しました。現在は、学校再編の中後期の基本的な考え方(案)が示されており、今後は中野区立小中学校再編計画(素案)が報告される予定となっています。
この学校再編計画改定における基本的な考え方(案)の中で、学校再編の効果が示されております。桃花小学校・緑野中学校の児童・生徒、保護者などの意見や、白桜小学校・南中野中学校に対するアンケートの調査結果に基づいてですが、こちらには再編によるいい面だけが記されています。このアンケートの対象者は、統合新校に通われている児童、保護者であって、ある程度再編に理解をしている方の声であります。統合新校を選ばず、指定校変更、区域外就学をされている児童も多数おり、その声もくみ取って中後期の再編に生かさなければいけません。学校再編計画改定における基本的な考え方で、地域との連携を強化することが追記され、一つの大きな柱としている中、再編後、地域への影響はどのようなことがあるのかも、しっかりと検証すべきだと考えます。実際に、再編により、子ども会や地区委員会などには影響が出ているような状況です。すなわち、前期の再編の光と影の部分をしっかりととらえ、検証し、中後期の計画に反映させなければいけないと考えますが、いかがでしょうか。お考えをお聞かせください。
次に、指定校変更に関してお尋ねいたします。
導入から10年以上経過した都内の公立小・中学校の学校選択制は、見直す動きが出始めております。新宿区教育委員会は、平成25年度の新入生から、受け入れ者数が限界にある小学校について、指定学区外から選択できないようにするとしています。杉並区教育委員会は、小・中学校でこれまで問われなかった希望理由を書かせることを検討しているとのことです。いずれも、児童・生徒が人気校に集中し、教育環境の格差が拡大する傾向にあり、選択の自由度を制限することで、規模による良し悪しからの脱却を図るそうです。中野区では、学校選択制は取り入れられておりませんが、実際に指定校変更については、非常に弾力的に運用されているのが現状です。それにより、その時々の要因により、生徒数に大きく影響を及ぼす可能性があります。これでは、教育委員会として、生徒数をなかなか推測できないこともあります。また、再編計画改定における考え方の一つの柱である学校と地域連携も、図ることができない懸念もあります。今後は、通学区域の整合性を図るとあり、これにより、ある程度は解消されると思いますが、他区での動きなどもある中、区として指定校変更のあり方をもう一度考えるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。御見解をお聞かせください。
区は、望ましい学校規模として、小学校を12学級から18学級、中学校を9学級から15学級を目指すとしております。昨年度から小学校1年生は35人学級になっております。現在、区は、再編計画を策定する中で、小学校全学年で1学級の規模を35人学級と想定し、行っております。しかし、この35人学級に関しては、国、東京都の動向が大きく影響することとあわせて、現実的な教員の加配を考えると、先行きが非常に不透明です。すなわち、現在、35人学級で考える望ましい学校規模に影響が出てくるおそれがあります。また、お示しされた資料の年度別児童・生徒数の推計値と実数が、これまで年度で最高1,820名の乖離がある中、31年度をもって中後期の再編計画を完了すると示されておりますが、これだけで完遂したとなるのか、望ましい学校規模となるのか、懸念があります。どのようにお考えか、お聞かせください。
次に、校舎の改修・改築についてです。校舎の主要部分が50年を経過する学校を統合新校とする場合には、原則、改築または大規模改修としていく予定ですが、今後、多くの学校の校舎の主要部分が50年を経過してまいります。例えば、現在、谷戸小学校は、校舎の耐震改修により、校庭にプレハブを建て、授業を行っている状況で、子どもたちの教育環境に大きく影響を及ぼしております。中後期の再編において、統合新校を設置するに当たり、中野中学校新校舎建設のため、旧第九中学校を中野中学校の仮校舎としているような形をとれば、学校運営に支障が出ることもなく、あわせて、経費の節減の効果もあるはずです。今後、再編計画の素案を示されるときは、小・中学校の改修・改築計画もセットで示すべきだと考えますが、御見解をお聞かせください。
以上で私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 中村議員の御質問にお答えをいたします。
国際交流について、まず、陽川区との交流であります。国際交流については、自治体の国際交流については、区民、市民の国際化に対する理解を進めていくということ。また、国同士の相互理解というものを深めていく上で、自治体間の交流が多様に結ばれているということが大きな効果をあげるというふうに私どもも考えて、陽川区、あるいは西城区との交流を進めてきたところであります。
陽川区との交流で、訪問中の5月16日、この日が陽川区民の日に当たっておりました。多くの陽川区民の皆さんに直接メッセージを届けることができた。このことは大変よかったと思っております。また、秋区庁長をはじめ多くの陽川区、あるいは陽川区議会関係者と対話する時間を持つとともに、IT化など進んだ行政施策を視察できたということも、これも大きな成果だったと考えております。この交流、お話し合いの中で、青少年を通じたスポーツ交流や産業を軸とした経済交流など、幾つかの提案をあちら側からいただいてきました。今後は、両区の緊密な連携の上で、実務レベルでのこうした交流のあり方についての掘り下げを図って、実現できるものは何なのか、見きわめながら進めていきたいと、こういうふうに思っております。
それから、西城区との交流であります。西城区との交流については、ことし26年目、大変長い期間の交流が続けられることができてまいりました。この間、行政だけでなく、事例にも挙げていただいた少年野球の交流など、民間レベルでの継続した交流が一貫して行われてきております。西城区については、平成22年7月に旧宣武区と合併をして、新しい西城区になっています。また、昨年末には新区長が就任をするなど、新しいスタートを切った状況になっていると思っています。そうした新しい西城区を訪問することで、両区の交流を将来にわたって継続をさせていきたいと、こう考えております。
それから、産業振興、ICT・コンテンツ産業など、分野を特定した国際交流についてであります。ICT・コンテンツ産業の振興を図るに当たって、国際的なイベントや交流事業などについても効果的な仕組みとして、中野区がかかわって実行することができるか。そういったことについても、大事な課題として検討しているところであります。
私からは以上です。
〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 学校教育について、まず、外国語活動についての御質問がございました。ALTによる制度の御質問です。ALTによる英語のネイティブな発音は、児童の意欲や理解に非常に有効であり、小学校外国語活動の充実につながっていると考えております。ALTにつきましては、学校の状況を踏まえ、小学校外国語活動が充実するよう進めてまいります。
次に、ALTの確保です。地域人材を活用する意味でも、ホームページや教育だより、区報等を通じて、小学校外国語活動の授業の様子やALTの活躍を紹介し、あわせて、人材情報などを集約するなど、学校の人材確保等を支援してまいります。
次に、学校間の格差のないよう、教育委員会の指導をという御質問でした。本年度は、小学校外国語活動研修会を年3回実施する予定で、教員の授業改善や情報交換等に生かしてまいります。また、現在も指導主事が学校を訪問し、各教科の授業観察を実施しているところでございまして、小学校外国語活動についても、ALTの活用も含めた授業改善を指導・助言し、外国語活動の充実に努めてまいります。
次に、学校再編についての御質問でした。再編計画の改定に当たって、地域との連携や前期の学校再編の検証等をということでした。統合により、学校に関連するコミュニティが広がったことにより、地域との連携がより一層充実したと考えております。教育委員会といたしましては、今後、具体的な再編計画の改定に当たり、前期の学校再編で課題となったことも踏まえ、検討を進めてまいります。
次に、学校再編とあわせた指定校変更のあり方の検討をということでした。中野区の指定校制度は、住所地によって通学する学校を教育委員会が指定するものでございます。その上で、指定校変更の基準にのっとり、特例的に児童・生徒及び家庭の事情に応じて、通学距離が近い場合、教育的配慮が必要とされる場合、再編による特例などの基準に該当する場合などに変更を認めるのが指定校変更でございます。
指定校変更については、今後も基準にのっとり、適正に運用してまいりたいと考えております。
次に、35人学級等を踏まえて、今後の学校再編計画についてということでした。再編計画の改定に当たりましては、35人学級で推計をしておりますが、今後の国や東京都の動向を十分に把握していきたいと考えています。計画期間につきましては、教育委員会において、具体的な学校再編計画の改定の検討の中で検討してまいります。
最後に、学校再編計画と校舎の改修・改築についてでございます。校舎の主要部分が50年を経過する学校を統合新校とする場合には、原則として改築、または大規模改修を考えてございます。また、その他の学校の校舎の改築や大規模改修につきましても、個別の学校の状況や学校再編計画などと調整をした上で、別途学校施設の改築の考え方を示していく考えでございます。
○議長(大内しんご) 以上で中村延子議員の質問は終わります。
中野区議会議員 後 藤 英 之
1 区立小中学校におけるキャリア教育について
2 その他
〔後藤英之議員登壇〕
○8番(後藤英之) 平成24年第2回定例会に当たり、みんなの党の立場から、一般質問をさせていただきます。
区立小中学校におけるキャリア教育について、お尋ねいたします。
先行きの見えない経済環境、産業構造の変化、雇用体系の多様化、求められる職業能力の変化等により、労働市場は目まぐるしく変化し続け、ときに、失業は深刻な社会問題となっています。フリーターやニートの数もふえ続け、2010年の労働白書ではニートの数は60万人以上、加えて、ことし5月、警察庁の発表では、就職難を理由に自殺した30歳未満の若者は年間150名に達し、4年前の2.5倍と急増していることがわかりました。一方、大学新卒者への就職希望調査では、ここ数年、特に安定志向、大手企業志向が強く、限られた採用枠に学生が殺到する形となり、就職難に拍車をかけています。
そこで、今後の就職を考えたときに、職業の種類や意義についての広い知識、みずからのキャリアに対する自覚、現実的な職業観などを有した自立的な姿勢が求められると考えられます。
なお、厚生労働省編職業分類には、約1万6,400の職業名が収録されています。この数だけを見れば、非常に多くの職業と選択肢があるように思えます。しかし、私自身、職業名を問われると、なじみのある企業や有名企業名ばかりを挙げてしまいそうな気がします。「選ばなければ、仕事は幾らでもある」とよく言われますが、確かにそれは一つの事実です。しかし、日常的な狭い職業観の中では、選択肢はまた少なくなります。選択肢が少ないと感じることは、将来に対する悲観的な姿勢にもつながり、個人にとっても、社会全体にとっても大変残念なことです。ですから、各発達段階に応じた職業に対する意識付けや学生時からの事前職業体験が、当人にはもちろん、地域や日本経済の将来にとっても、今や大変大切なことであると考えますが、いかがでしょうか。
そこで、小学生から段階的なキャリア教育が推進されています。平成23年度から完全実施の小学校・中学校の改定学習指導要領においても、これまで以上にキャリア教育の推進が求められています。キャリア教育は、将来への目的意識を喚起させることから、他の教科の学習意欲の増進にもつながるとされ、また、学校現場のみならず、地域全体のさまざまな要素を教育資源として活用できることから、子どもたちと地域社会との間でさまざまなシナジーが生まれる可能性を有しています。キャリア教育を通して、協力企業に活気が生まれたり、企業のミッションが再確認されたり、地域の魅力や問題点が明確化されたりというのが、その一例と考えます。キャリア教育の推進は、地域の包括的な活性化にもつながると考えますが、いかがでしょうか。
さて、文部科学省中央教育審議会では、平成23年1月、「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育のあり方について」を答申しました。ここでは、キャリア教育について、教員の受けとめ方や実践の内容や水準にばらつきがあると指摘し、まずは「キャリア教育」という言葉の意味するところを、関係者間で共有することが不可欠とされています。この部分において、中野区は現状いかがでしょうか。区立小・中学校全体におけるキャリア教育の浸透度合いをお尋ねいたします。
さらに、キャリア教育には幾つかの課題があります。まず、学校の先生は、非常に多忙であり、企業や地域へのアプローチは容易ではないこと。また、地域貢献やCSR等の観点から、学校への協力を行いたい企業は潜在的に多いと考えられますが、企業と学校との間には、通常あまり接点がないこと。こうした課題に対し、子どもたち、親、学校、企業等の地域の関係者をつなぐ存在として、例えば、経済産業省は、キャリア教育コーディネーターを育成・支援しています。こうした民間コーディネーターには、地域関係者間のネットワークを構築し、最適なキャリア教育を作成・実施する役割が期待されています。
そこで質問ですが、現在、区内での民間コーディネーターの現状はどう評価されていますでしょうか。また、区として、民間コーディネーターを発掘したり、広報等でコーディネーターについての啓発を行う等の支援をすることも考えられますが、いかがでしょうか。民間コーディネーターについてお尋ねいたします。
また、カリキュラムやキャリアカウンセリングも大切な要素です。キャリア教育には検定教科書がないため、教員みずからがカリキュラム案を策定していく必要があるのです。中野区では、主に、総合的な学習の時間を利用して、キャリア教育を実践していると報告を受けています。例えば、他の教科や機会を利用して、キャリア教育を深めていくことも大切なことかと考えますが、いかがでしょうか。加えて、カリキュラムのモデルとなる事例等がありましたら、お教えください。
また、一斉の事業だけではなく、教員から生徒への個別のキャリアカウンセリングは、生徒たちの自己理解を深める上で、大きな効果を上げるものだと考えますが、キャリアカウンセリングはどのように行われているか。また、今後の取り組みをお伺いいたします。
また、外部講師の協力も課題の一つです。アニメーション産業の盛んな三鷹市の六つの小学校では、コーディネーターを通じて、アニメーションを用いたキャリア教育を展開しました。子どもたちは、アニメーションコンテンツ制作を通して、いつも楽しんでいるアニメの舞台裏を実体験し、苦労した上での喜びや協力の重要性を体感したようです。また、ここでの制作物を「三鷹の森アニメフェスタ」というイベントでも紹介し、キャリア教育のみならず、地域の魅力がより周知されたという効果もあったようです。中野区では、ICT・コンテンツ産業を特に重要視していることから、キャリア教育においても、特にこれらの分野の特色を生かすことで、子どもたちの情報リテラシー向上にも寄与し、関係者間の相乗効果も生まれてくると考えますが、いかがでしょうか。これらの分野からの外部講師起用について、今後の展開をお尋ねいたします。
また、地域企業や商店からの協力も非常に重要な要素です。中野区でも、例えば、第二中学校では、生徒がさまざまな業種の区内事業者に取材を行い、立派な冊子にしているのを拝見しました。また、北中野中学校では、区内の専門学校からの大きな協力を軸に、さまざまな職業体験をすることができたようです。いずれの事例を拝見しても、多くの区内事業者による温かい協力と、生徒たちの積極的な姿勢が感じられます。生徒たちは、授業を通して多様な仕事に触れ、仕事の舞台裏や働く人たちの生の姿を体感できたようで、大変すばらしい事例と思います。これらは、区内成功事例とも考えられ、学校間をはじめとして情報の共有化が望まれます。また、今後も知識・体験ともに多様な職業を学ぶことは、子どもたちの職業観と可能性を広げる上で大変重要と考えます。そこで、現状、子どもたちがどういう授業の中でどれくらいの職業を学び、どんな学びにつながっているのか、お伺いいたします。
また、今後、区全体としてキャリア教育の平均的な質を高め、どう活性化していくか、お聞かせください。
最後に、学校でのキャリア教育に関連し、U18プラザの今後についてもお伺いいたします。
新しい中野をつくる10か年計画(第2次)では、U18プラザについて、中高生の社会参画・社会貢献活動の機会の提供を行う旨が描かれています。キャリア教育の補完を兼ねることになれば、すばらしいと思います。今後、この部分をどういう形で実現していくのか、お伺いいたします。
以上で私のすべての質問を終わります。御静聴ありがとうございました。
〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 区立学校におけるキャリア教育についての御質問がございました。
まず、発達段階に応じた職業に関する意識付けや事前職業体験が必要ではないかということでした。変化の激しい社会の中で、子どもたちに職業観や勤労観を育成することによって、社会人として自立した人を育てることは大変重要であり、そのために発達段階に応じた適切な指導が必要であるというふうに認識をしております。また、中学校におきましては、全員に職場体験を実施しているところでございます。
次に、キャリア教育の推進は、地域の活性化にもつながるのではないかということです。地域の力を学校の教育活動に取り入れていくことは、キャリア教育に限らず、進めているところでございますが、結果として、地域との関係がより深くなるというふうに考えております。
また、小・中学校におけるキャリア教育の浸透度合いはということでした。現状では、商店や官公庁の見学など、キャリア教育について全体計画及び年間計画を作成し、それに基づいて実施をしているところでございます。
それから、民間のキャリア教育コーディネーターをどう評価しているか。また、コーディネーターを支援することを考えられないかということでした。キャリア教育コーディネーターは、地域社会の教育資源と学校を結びつけ、児童・生徒の活動する場を提供するという役割を担っているという認識を持っておりますが、全国的に見ても、活躍しているということはあまり承知をしておりません。区としては、学校支援ボランティア制度の中で進めてまいりたいと考えてございます。
それから、総合的な学習の時間以外の教科や機会を利用して、キャリア教育を進めてはということでした。キャリア教育とは、社会的自立や職業的自立に向けて、児童・生徒一人ひとりの勤労観や職業観を育てる教育と認識をしております。そういう意味で、例えば、小学校の社会科の授業で地域の商店の見学を行い、職業の内容や働く喜び、苦労、工夫などを理解する学習を行っておりまして、こうしたこと以外に、全教育活動を通して行うものというふうに認識をしております。
それから、キャリアカウンセリングの実施状況と今後の取り組みについてということです。キャリアカウンセリングというのが、子どもたちがみずからの意思と責任で進路を選択できるようにするための指導援助を行うことというふうには認識をしておりますが、学校教育の中では、進路指導の中で、児童・生徒に対して個別に指導を行ってございます。それらの指導を通して、多くの職業について理解を深めさせていきたいというふうに考えております。
それから、ICT企業などから、外部講師の起用について考えてみてはどうかということでした。なかなか具体的な事例がないんですけれども、地域との連携の中で、各学校が外部講師を活用したキャリア教育に取り組めるよう、教育委員会としてもこれから支援をしていきたいというふうに思っております。
最後に、子どもたちがどれくらい職業を学んでいるか。あるいは、今後、キャリア教育の質をどう高めていくかということでした。児童・生徒はさまざまな教育活動の中で、身近な人の職業に触れることから始まり、多くの職業について学んでいるというふうに考えてございます。今後、さまざまなキャリアを持っている地域人材との連携を深めながら、社会の一員としての役割や責任を果たすことができるよう、キャリア教育の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
〔地域支えあい推進室長瀬田敏幸登壇〕
○地域支えあい推進室長(瀬田敏幸) 私からは、キャリア教育に関連いたしまして、U18プラザでの社会参画などについての御質問にお答えをいたします。
今後、U18プラザを展開していく中にありまして、学校との連携をとりつつ、ボランティア体験や職業体験の受け入れなど、中高生の社会参画、社会貢献活動の機会の提供に努めてまいりたいと考えております。
〔後藤英之議員登壇〕
○8番(後藤英之) すみません。1点だけ、重複するかもしれないんですが、何か私の幼児体験というか、小さいとき、非常に就職するときにお医者さんとか、例えばソニーに入りたいとか、そういう発想しかもうなかったんですね。だから、いろんな職業があることがわかっていれば、もっといろんな選択肢だとかあったかと思うんですけれども、このキャリア教育の中では、例えばそういう日の当たらないというか、一見目立たないような仕事とか、そういうことの体験ということも意識しておられると考えてよろしいんでしょうか。
〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 学校教育の中では、職業を紹介するということだけではなくて、自分たちがどういう職業をどういうふうに選んでいくかという、そういう選択の方法等も指導しておりますので、そういう中で御趣旨のようなことも踏まえていきたいというふうに思っております。
○議長(大内しんご) 以上で後藤英之議員の質問は終わります。
1 来たるべき大地震に備えた中野区の取り組みについて
(1)減災への取り組みについて
(2)防災教育について
(3)エリア防災について
(4)学校廃校後の避難所のあり方について
(5)その他
(ア)総合防災訓練について
(イ)その他
2 地域スポーツクラブについて
3 その他
(1)規制外の重層長屋について
(2)その他
○議長(大内しんご) 次に、内川和久議員。
〔内川和久議員登壇〕
○10番(内川和久) 自民党の立場で、一般質問をさせていただきます。
質問は通告どおり、1番、来たるべき大地震に備えた中野区の取り組みについて、(1)減災への取り組みについて、(2)防災教育について、(3)エリア防災について、(4)学校廃校後の避難所のあり方について、(5)その他では、総合防災訓練についてお聞きします。2番、地域スポーツクラブについて、3番、その他では、規制外の重層長屋についてお伺いいたします。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災から1年3カ月が過ぎようとしています。被災地においては、一部でがれきの処理など進んでいるものの、いまだ倒壊家屋に手をつけることができない地域があるなど、その復興にはまだまだ時間がかかるものと考えます。中野区としては、引き続き、現地への職員派遣、被災者への支援等を決定しております。今、こうしている間にも、現地で汗を流している区職員がいることを考えると、感謝の念にたえません。
今回の震災で私たちが学んだことは、起こり得る最大規模の地震を考え、「想定外」を「想定内」にする姿勢・努力が大事だということ。首都は必ず大地震に襲われます。それは、明日かもしれません。そのことを前提に、対策を急がなければならないということです。当然、中野区における震災対策の見直しを急ぐべきことは言うまでもありません。
このたび、区は、地域防災計画について、1、東日本大震災の教訓を踏まえ、さまざまな課題を検証した上で、修正を行うこと。2、帰宅困難者への対策も含め、区内50カ所の避難所機能を強化充実していくこと。3、国や都の計画修正を待つことなく、区として必要な対策の見直しを行うこと。以上、こうした考え方のもとで、「中野区地域防災計画の改定に向けた課題整理と対応の方向性について」を取りまとめ、緊急に対応しなければならない課題に関し、方向性を明らかにしました。具体的な今後のスケジュールとしては、今年8月ごろに予定をされている都の地域防災計画の修正を踏まえ、区防災会議での協議・検討をした後、区の地域防災計画を改定する予定となっています。
そこで、幾つか質問をさせていただきます。
(1)減災への取り組みについて。政府はこれまで、2006年に、首都直下地震で想定されている最悪1万1,000人の死者の半減、112兆円の経済被害を4割減らすという10年間の減災目標を掲げました。私も、平成23年第2回定例会において、減災についての質問をさせていただきました。減災とは、阪神・淡路大震災後生まれた概念で、被害の発生は食いとめることはできない。ある程度、被害の発生を想定した上で、予防を検討していくことが必要であるという考え方です。災害時において、被害が最も生ずる課題に対して、限られた予算や資源を集中的にかけることが、結果、被害の最小化につながると述べさせていただきました。区長の答弁においては、「地域防災計画の前提条件として、死者の半減や避難者の3割減など、減災目標を掲げて対策をしているところであり、今回の大震災の経験を踏まえて、減災に対する取り組みという考え方が大変重要だと考えている。今後、そうした減災のための対策という視点をより意識しながら、検討をしていきたい」とのことでした。地域の防災力を向上させるために、被害を最小限に抑えるために、どのようにこの減災の考え方を具体的に地域防災計画へ反映をさせていくのか。また、平時においても、どのように減災に取り組んでいくのか、区のお考えをお聞かせください。
(2)防災教育について。減災社会の実現には、産・学・公・民の連携が必須であります。その中でも、学校での防災教育は、防災人材育成という観点から、これからますます重要となってくると考えます。千葉県教育委員会では、学校と地域の防災教育モデル事業として、学校・家庭・地域住民・市町村関係部局・消防の連携による、より身近で具体的な防災教育、防災訓練を実施しています。災害から自分の身を守り、身近な人を助ける自助・共助が重要だということを目的としています。具体的な内容としては、小学校4年生は防災ポスター作成、5年生は避難所開設訓練、避難所の食のレシピ集作成など、6年生は学習の成果発表を行い、災害時に小学生ができることを参加した市民へアピールしたそうです。また、神奈川県においては、中学校のPTA組織が中心となり、青少年健全育成協議会や自治会などの協力を得て、学校の防災訓練の企画・運営に取り組んでいます。具体的には、地域の防災についての懇談、炊き出し訓練などを実施しています。学校での火災や近年起こり得る地震に対して、中学生に災害時における弱者ではなく、むしろ、体力・知力・腕力などを地域に望まれる立場にあるという認識を教えているそうです。
一方、中野区においては、幾つかの中学校で生徒が中心となって防災隊を編成し、区の防災訓練へ参加したと聞いています。また、区立第七中学校においては、中野区防災青年リーダー講習会として、野方消防署協力のもと、応急救護訓練、救助資機材の取り扱い、軽可搬消火ポンプの取り扱いなどを行っています。
このたび、東京都教育委員会は、5月31日、災害時に地域の消火活動やけが人の救助に当たるための訓練を重点的に行う防災教育推進校に都立校12校を選びました。高校生にも地域防災の担い手になってもらうのが目的で、担当教員が東北の被災地を訪れ、現状を生徒たちに伝える一方、生徒たちは消防学校へ1週間泊まり込み、消火や応急救護方法の学習、地域の消火訓練にも参加をするそうです。
そこでお聞きします。現在、中野区ではどのような防災教育が行われ、どのように成果を上げているのか、お聞かせください。
次に、区境にある学校避難所においては、災害時隣接他区からの避難者も予測されます。他区との間にどのような協定が結ばれているのか。また、どのように他区と情報共有していくのか、お聞かせください。
次に、地域の方々が仕事を持ちながら取り組んでいる野方・中野両消防団による消防操法大会への参加、見学など、今後、学校をあげての防災教育への取り組み、拡充が必要と考えますが、区のお考えをお聞かせください。
(3)エリア防災について。都市の駅周辺をはじめとする人口・機能集積エリアは、高層建築物、鉄道施設、商店街等が複雑に存在しています。来街者も含め、多くの人口が集中するとともに、業務機能、商業機能が集積した区にとって重要な拠点となっています。こうしたエリアにもし大規模災害が発生した場合、多数の負傷者の発生、避難者の集中によるパニックの発生、大量の帰宅困難者の発生などが生じるリスクを抱えています。
そこで、昨今、エリア防災という考え方が提唱されています。東日本大震災直後の混乱で、ビル単独の対策には限界があり、地域で取り組む必要性が改めて注目をされたためです。平時から、地域の連携を図る仕組みを動かしていきながら、その中に防災も取り込み、エリア防災の考えを取り入れた改正法も今国会で成立し、7月には施行される予定となっております。
さきの東日本大震災においては、新宿駅周辺のエリアにおいて、さまざまな混乱が発生したのに対して、条件の違いはあるものの、単一の事業者が広域的なエリアを総合的に管理する六本木ヒルズでは、大きな混乱はなかったことが報告をされています。この状況の違いの一因は、単一の建物の単位を越えた、より広域的なエリアの視点で防災対策が検討・実施されていたか否かということによると考えられています。中野区においても、中野駅周辺や中野坂上駅周辺などでは、さきに挙げたリスクが十分発生すると考えられます。
そこで、幾つか質問をさせていただきます。都市の駅周辺をはじめとする人口・機能集積エリアにおいては、行政が中心的な役割を発揮して、エリア内の関係者が密接に連携した防災機能の強化を図ることが重要だと考えます。区のお考えをお聞かせください。
次に、中野駅周辺や中野坂上駅周辺などでは、隣接する杉並区や新宿区などと自治体の枠を越えたこれらの地域を統括する総合的な防災センター機能等の設置、また、エリアマネジメントに防災・減災の考え方を取り入れていくことが必要と考えますが、区のお考えをお聞かせください。
次に、地域防災計画や消防計画、その他の関連計画と十分に整合性を持たせた上で、大規模災害発生時における人口・機能集積エリアの被害抑制を図る目的から、エリア防災計画の策定並びに取り決めの実施を通じたエリア単位での防災対策の強化をする新たな制度的枠組みを整備する必要があると考えますが、区のお考えをお聞かせください。
(4)学校廃校後の避難所のあり方について。御存じのとおり、区立小・中学校は、区内で50カ所ある災害時の避難所として指定をされています。中には、拠点医療救護所を設置するところも15カ所あります。また、給水施設である受水槽も抱えるなど、区民の生命を守る災害時の最後の砦と言っても過言ではございません。
平成17年に決定された中野区立小・中学校再編計画によりますと、中後期には、小学校9校が5校へ、中学校5校が3校へ再編される計画となっています。この再編計画は、見直される可能性もありますが、従前の計画どおり進められた場合、対象校へ避難を計画している収容人数として、短期では約2万人、長期では約1万人もの人々への影響が考えられ、懸念をされます。さらに、今後、取り組まなければならない学校施設の建てかえには膨大な費用がかかり、不要となった学校施設は売却するとの方針を区は打ち出しています。
そこで、お聞きします。廃校後、すこやか福祉センターなど、公共施設として活用されているところは別として、学校跡地が民間等に売却された場合、従前、そこを避難所として利用を予定していた地域住民の避難所機能をどのように担保していくのか。また、同時に、拠点医療救護所のあり方、災害時の給水設備のあり方など、今後どのように対応をしていくのか。確認の意味も含めて、区の基本的なお考えをお聞かせください。
(5)その他、総合防災訓練について。総合防災訓練は、災害対策基本法及び中野区地域防災計画に基づき、区防災関係機関、住民が一体となって防災意識と防災技術の向上を図る目的で実施をされています。今年度は、9月2日に東部区民活動センター及び沼袋区民活動センターの区域で予定されています。訓練想定としては、午前9時、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3、震度6強の地震を想定しており、建物の倒壊、ライフラインの被害、同時多発的に起きる火災の拡大などです。自らの生命は自らが守る、自分たちのまちは自分たちで守るという自助・共助を基本とし、それを支援する公助としての防災関係機関の連携を密にするため、実際の災害を想定した訓練を行うこととなっています。私は、防災訓練においても、「想定外」を「想定内」にする姿勢・努力が必要だと考えます。
東京都は、4月18日、都内の死傷者を約9,700人とする被害想定を公表しました。23区の7割が震度6強以上となり、2006年に算出した約6,400人の死傷者の1.5倍となっています。中野区においては、300人近い死傷者が出ると予測されています。また、首都直下地震を議論する内閣府の検討会では、江戸時代に実際に起きた元禄地震、マグニチュード8.2を超える規模の地震も検討する考えを示しました。地震の被害は、早朝や正午、夕方と、その時間帯でも大きく変わってきます。今回、昼間に起きた東日本大震災の死者・行方不明者は約1万9,000人でしたが、深夜だった場合には、実に6万人規模になっていた可能性も指摘をされています。このように、あらかじめより高い被害想定をした上で防災訓練を計画することは、非常に重要であります。
そこで、お聞きします。今後予定されている区の防災計画においては、現計画以上の訓練想定、被害状況の設定が必要と考えますが、区のお考えをお聞かせください。
次に、実際に地震の規模が大きくなった場合、火災の出火件数や延焼面積の拡大、要救助者の増加など、これらの情報をいかに迅速に収集できるのか。関係機関との連絡調整体制や情報の共有化はどのようになっているのか、お聞かせください。
2番、地域スポーツクラブについて。去る3月25日、仲町小跡施設の中部地域スポーツクラブ予定地で、健康づくり・スポーツ推進モデル事業のオープニングイベントが行われました。第1部、武藤芳照東大副学長の基調講演には約130名、第2部の各種スポーツイベントには、フットサル、グラウンドゴルフ、パドルテニス、トリム体操といった各種スポーツに延べ200名近くの参加があったと聞いております。私も、フットサルへ参加をさせていただきました。よく整備のされた新しいグラウンドで、楽しく競技をさせていただきました。
そもそも、区が始めた健康づくり・スポーツ推進モデル事業は、区民の健康づくりや地域のスポーツを推進していくため、今後区はもちろん、区民、関係団体等が一緒になって、地域の健康づくり・スポーツムーブメントを醸成していくためのものと聞いております。区は、このモデル事業を通しての成果や課題を既に設立されている任意団体・中野区地域スポーツクラブと共同して、今後の地域スポーツクラブ事業に生かすための検討を行っていくとしています。区としては、これらの検討を経た後、地域スポーツクラブの正式な開設は平成26年度を予定しております。それまでの間、施設の有効利用と使い勝手の検証という意味で、体育館とグラウンドは暫定利用をされています。体育館では、バレーボールやバドミントン、グラウンドではフットサルができるよう整備をされています。利用方法としては、1枠2時間30分で、体育館は4,000円、グラウンドは5,000円で、月曜から金曜日は午後A枠、午後B枠の1日2枠、土曜・日曜日は、これに午前枠を加えた1日3枠が設定されています。参加団体には、条件として、モニターとしてのアンケートに協力してもらうこととし、今後の健康づくり・スポーツ推進モデル事業への参考としていきます。
そこで、幾つか質問をさせていただきます。
当初、参加団体の募集には、あまり反響がなかったと聞いております。現在の利用状況についてお聞かせください。また、今後の利用の拡大に向けた募集のあり方についてもお答えください。
次に、参加に当たっては、その参加費の設定や駐車場がないこと、更衣室やシャワーが利用できないことなど、幾つか問題点が指摘されています。今後、これらの問題にどのように対処していくのか。また、ナイター設備はあるものの、現在は夜の時間帯は利用されていません。更衣室やシャワーの利用、夜の時間帯の利用を考えると、必然的に人員の配置もしなければなりません。区のお考えをお聞かせください。
次に、2年後に正式に事業を移管することとなっている任意団体「中野区地域スポーツクラブ」と、その後の協議は進んでいるのでしょうか。進捗状況をお聞かせください。
3番、その他、規制外の重層長屋について。最近、地域の方から、隣り合った敷地の建築計画について、相談を受けました。狭い路地の奥の敷地に、戸数が10数戸の集合住宅が、重層長屋という形式で建築されようとしているが、隣地境界線からの離れもほとんどなく、火災が発生したときの延焼や避難のことを考えると、非常に不安であるといった内容でした。
重層長屋とは、共用部分、共用廊下を設けずに、1階に直接玄関が面し、各戸の専用階段で上階に上がる建物を重層長屋と呼んでいます。近年では、タウンハウスとも呼ばれています。建築法規上、アパートやマンションとは区別をされています。重層長屋は、敷地や建築費を節約できる上、建築法規上では「長屋」として建築確認、完了検査を受けて、適合性が認められています。昨今、2階建て、3階建ての大規模物件もあり、事実上マンションと同等の建築物も確認されています。これは、重層長屋のほうが接道要件、建ぺい率などの建築要件が緩いため、マンションでは不可となる、いわゆる旗ざお状の敷地でも、建築可能となるためであります。近年では、脱法マンションとの批判を受け、周辺住民とトラブルを起こす例が報告をされています。最近では、都市防災の観点から、安全規制に従いながら、特に危険度の高い木造密集地域については、耐火造の長屋などに協調建てかえに取り組む動きが見られています。世田谷区においては、住民からの苦情が相次いでいるため、区条例を一部改正し、建設に一定の制約を加えることをこのたび決めました。また、東京都においても、今後、重層長屋の建築状況や近隣住民とのトラブルなどの実態調査を進めていくとのことです。
そこで、幾つか質問をさせていただきます。
まず初めに、中野区内で、この重層長屋建築に絡むトラブルや相談の状況について、お聞かせください。また、その数は増加傾向にあるのか、あわせてお答えください。
次に、空地を十分に設けない重層長屋においては、火災が起きた場合、居住者は逃げ場を失うおそれがあります。また、消防活動への支障も考えられ、火災の延焼に近隣住民は大変な不安を抱えています。災害に強いまちづくりを進める中野区にとって、早急な対策が必要であると考えます。区のお考えをお聞かせください。
次に、近年の重層長屋の場合、構造上はマンションやアパートと大差はありません。専門家からは、「差がなくなっている以上は、規制の対象としてもよいのでは」という声もあります。昨年9月に施行された中野区集合住宅の建築及び管理に関する条例に新たな規制を盛り込むことも含め、今後どのように対策を講じるのか、区のお考えをお聞かせください。
これですべての質問を終わります。御静聴ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 内川議員の御質問にお答えをいたします。
まず、減災への取り組みについてということであります。御質問にもありましたが、現行の地域防災計画の中では、死者の半減や避難者の3割減を減災目標として、そのための対策を記載しているところです。まちの構造や建築物の構造などを災害に強いものに変えていくといった取り組みも当然重要でありますが、それらは一定の時間がかかることになります。いつ来るかもわからない災害に備えるための地域防災計画ということでの減災ということになると、やはり、個々の区民の皆さんのいざというときの行動であるとか、あるいは、防災会、また、内川議員も活躍していらっしゃる消防団など、防災関係各団体の連携・ネットワークのあり方、また、避難所などのあり方といったような、現実に、そのとき動かなければならないさまざまな動きといったようなものを組織的に考えていくといったことが重要になってくると、このように思っております。平常時からの取り組みこそがまさに重要ということになるわけでありまして、新たな被害想定等を踏まえ、また、想定外の被害が起きることもまた考えに入れた上で、減災の目標とそのための具体策について検討し、その内容を今後の地域防災計画の中に反映させていきたい、このように考えております。
区境にある学校において、隣接する地区とどのように連携するのかという御質問がありました。これも大切な課題だと思います。区境にある避難所につきましては、近隣区からの避難者も避難してくることが想定をされます。避難所では、避難者が記載をする避難者受付カードをもとに避難者名簿を作成することとなっております。他区からの避難者という方も、当然この中に入るわけです。他区からの避難者に関する情報の、区を越えた共有のあり方、これについて検討し、連携を強めていくこととしていきたいと考えております。
それから、エリア防災の必要性についてということであります。業務機能、商業機能が集積したエリアである都市の駅周辺などにおきましては、災害時に就業者等の滞留者が集中することが想定されております。大規模災害が発生した場合に、人的被害の抑制や都市活動の継続性の確保といった観点から、行政がエリア内の関係機関と適切に連携をし、防災機能をしっかりと発揮をしていくということが大変重要だというふうに認識をしているところです。現段階におきまして、中野区内では、自治体の枠を越える範囲で人口・機能が集積するエリアというのは想定はしておりませんが、中野駅周辺の開発の進行等にもあわせて、中野区にもエリア防災の必要な地域というものが生まれてくるということも十分考えるべきだと思っております。そのエリア防災の制度的な枠組み、また、区としての役割、関係機関の連携等のあり方等について、今後とも研究してまいりたい、このように考えております。
それから、仮に学校を廃止して、その跡地を売却するような場合などの避難所施設の確保についての御質問がありました。仮に、売却をする施設が避難所に指定されている場合においても、代替となる施設を探す、あるいは、避難所の再編成を行うなどで、必要な避難所機能を確保していくという考えであります。拠点医療救護所につきましても、現行の15カ所を確保してまいります。
それから、総合防災訓練の想定についてであります。総合防災訓練の訓練想定の設定につきましては、東京都公表の被害想定を一つの基準としたいと考えております。しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、想定以上の被害が生じる可能性、これがあることも踏まえた上で、訓練を実施するようにしていきたい、このように考えております。
関係機関との情報共有化の体制についてであります。区では、発災初期において、防災関係機関と防災行政無線等で連絡をとりながら、あらゆる情報を収集し、必要があると認めた場合には、直ちに区民や防災関係機関に対して、災害の内容、規模や、これに対してとるべき措置を伝達することとしております。また、警察署、消防署及び自衛隊につきましては、大規模な災害が発生した場合には、担当者が区災害対策本部に連絡要員として参集することとなっております。
私からは以上です。
〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 来たるべき大地震に備えた中野区の取り組みについてのうち、防災教育について、お答えをいたします。
まず、現在区ではどのような防災教育が行われ、どのような成果を上げているかというお尋ねでした。防災教育につきましては、安全教育の推進の中で、「自分の命は自分で守る」という視点で、東京都教育委員会の防災教育資料「地震と安全」や「3.11を忘れない」を活用するなど、学年の進行にあわせて取り組んでおります。また、避難訓練におきまして、緊急地震速報を想定して取り組んでみたり、震度5以上の大地震が発生したらどのように行動するかを確認する防災チェックシートを記入し、活用したりするなど、より実態に即した取り組みを進めております。これらの防災教育を推進する中で、児童・生徒の災害に対する安全意識が向上しており、毎月の避難訓練等であらわれているというふうに認識をしています。
次に、学校をあげての防災教育の今後の取り組み、拡充が必要ではないかというお尋ねでした。学校が地域と連携して防災訓練を実施している学校は、小・中学校で11校ございます。また、地域が主催する防災訓練に学校として参加している学校は4校でございます。また、中学校3校──中野中学校、第七中学校、南中野中学校は、学校独自の防災隊を組織して、訓練等を実施しております。本年度は、第七中学校が学校教育向上授業研究指定校として、防災教育の研究に取り組んでおります。今後は、研究指定校の研究成果を踏まえながら、全校の取り組みの充実を図ってまいります。
また、消防署や地域との連携につきましては、防災教育や防災訓練全体を見直していく中で、検討してまいりたいというふうに考えております。
〔健康福祉部長田中政之登壇〕
○健康福祉部長(田中政之) 私からは、地域スポーツクラブについての御質問にお答えをいたします。
まず、モデル事業の参加状況等募集のあり方についてでございます。モデル事業を開始いたしました4月当初は、これまで区民を対象とした体育大会等を行ってきた体育協会等の団体に参加を呼びかけてございましたが、実際の参加はございませんでした。このため、5月以降は、対象を一般団体にも拡大するとともに、6月からは団体要件を緩和し、在住・在勤・在学の区民が半数以上いればいいというものとしたところでございます。このことによりまして、6月の参加は、現在の段階で、体育館・屋内運動場・広場、合計56の参加枠に対しまして、21枠に参加予約が入っている状況でございます。今後の募集のあり方につきましては、だれもが健康づくり・体力づくりができるという地域スポーツクラブのねらいに沿いまして、より幅広い層に参加していただき、御意見をいただくため、団体登録要件や時間枠の検討、さらには、これまで区の施設を利用してこなかった人たちへのPR等に努めていきたいと考えているところでございます。
次に、モデル事業の問題点の改善についてでございます。モデル事業につきましては、参加団体にスポーツ競技等を行っていただき、アンケートなどで意見聴取した結果を参考にしながら、地域スポーツクラブの効果的・効率的な運営方法を検討することが本来の趣旨でございます。こうしたことから、当初は施設利用も必要最低限の部分から開始をいたしまして、改善の必要な点については徐々に充実をさせていきたいと考えているところでございます。夜間の実施であるとか、更衣室、シャワールームの使用、また、これに伴って必要となる管理人の配置等についても検討していきたいと考えているところでございます。
それから、最後でございますが、任意団体との協議の進捗状況についてでございます。任意団体「中野区地域スポーツクラブ」に対しましては、去る2月24日に開催いたしました理事会・評議員会で、モデル事業実施の趣旨を説明させていただくとともに、その成果や課題について区と共同で検討し、平成26年度の地域スポーツクラブの本格実施に向け準備していくことについて、理解と協力を求めたところでございます。ある程度、モデル事業の実施結果が集まった段階におきまして、区から経過報告をさせていただき、よりよい運営のあり方について意見交換をしてみたいと考えているところでございます。
〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕
○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、規制外の重層長屋についての御質問にお答えしたいと思います。
区内での状況でございますが、規模の大きい重層長屋は、区内ではここ3年間で10棟程度建設されており、近年、増加傾向にございます。重層長屋に関する近隣からの苦情といたしましては、路地の奥の広い敷地に、共同住宅並みの想定外の建物が建設されることに対する戸惑いや不安などに起因するものがほとんどでございます。法的には適法な建築物ではございますが、中野区集合住宅の建築と管理の条例の規制対象となるものにつきましては、事業者に対し、隣地境界からのあき等の設計基準の遵守、近隣関係住民への計画の十分な説明を求めていきたいと考えているところでございます。
また、今後、東京都に対して、東京都建築安全条例の改正による重層長屋の規制強化を求めるとともに、都の対応が行われない場合は、区で独自の規制を行うことができないか、検討していきたいと考えているところでございます。
〔内川和久議員登壇〕
○10番(内川和久) 1点だけ、消防団の操法大会の件ですが、防災教育上、ぜひその地域の人たちが仕事を持ちながら活動している消防団の操法大会に、子どもたち、ぜひ見学、参加、強力に進めていただきたいなと思いますので、その点もう一回、お願いします。
〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 消防団につきましては、地域の中で重要な役割を果たしていただいているというふうに十分認識をしております。御提案の点につきまして、児童・生徒の参加ができるかどうか、学校関係者と十分話し合いをしながら、実現の方向で検討してまいりたいというふうに思っております。
○議長(大内しんご) 以上で内川和久議員の質問は終わります。
お諮りいたします。
議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大内しんご) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
次の会議は明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
本日はこれをもって延会いたします。
午後4時57分延会