1.平成25年(2013年)9月10日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(42名)
1番 若 林 しげお 2番 高 橋 かずちか
3番 木 村 広 一 4番 甲 田 ゆり子
5番 小 林 ぜんいち 6番 中 村 延 子
7番 石 坂 わたる 8番 後 藤 英 之
9番 石 川 直 行 10番 伊 東 しんじ
11番 内 川 和 久 12番 ひぐち 和 正
13番 白 井 ひでふみ 14番 平 山 英 明
15番 南 かつひこ 16番 森 たかゆき
17番 いながき じゅん子 18番 林 まさみ
19番 小宮山 たかし 20番 浦 野 さとみ
21番 佐 野 れいじ 22番 北 原 ともあき
23番 吉 原 宏 24番 いでい 良 輔
25番 小 林 秀 明 26番 久 保 り か
27番 酒 井 たくや 28番 奥 田 けんじ
29番 近 藤 さえ子 30番 金 子 洋
31番 長 沢 和 彦 32番 大 内 しんご
33番 伊 藤 正 信 34番 高 橋 ちあき
35番 市 川 みのる 36番 篠 国 昭
37番 やながわ 妙 子 38番 佐 伯 利 昭
39番 むとう 有 子 40番 か せ 次 郎
41番 来 住 和 行 42番 岩 永 しほ子
1.欠席議員
な し
1.出席説明員
中 野 区 長 田 中 大 輔 副 区 長 金 野 晃
副 区 長 英 直 彦 教 育 長 田 辺 裕 子
政 策 室 長 竹 内 沖 司 経 営 室 長 川 崎 亨
都市政策推進室長 長 田 久 雄 地域支えあい推進室長 瀬 田 敏 幸
区民サービス管理部長 白 土 純 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 髙 橋 信 一
健康福祉部長 野 村 建 樹 保 健 所 長 寺 西 新
環 境 部 長 小谷松 弘 市 都市基盤部長 尾 﨑 孝
政策室副参事(企画担当) 海老沢 憲 一 経営室副参事(経営担当) 戸 辺 眞
1.本会の書記は下記のとおりである。
事 務 局 長 篠 原 文 彦 事務局次長 青 山 敬一郎
議事調査担当係長 佐 藤 肇 書 記 関 村 英 希
書 記 東 利司雄 書 記 土 屋 佳代子
書 記 細 川 道 明 書 記 江 口 誠 人
書 記 永 見 英 光 書 記 鈴 木 均
書 記 井 田 裕 之 書 記 竹 内 賢 三
書 記 遠 藤 良 太 書 記 香 月 俊 介
議事日程(平成25年(2013年)9月10日午後1時開議)
日程第1 第61号議案 平成25年度中野区一般会計補正予算
第62号議案 平成25年度中野区介護保険特別会計補正予算
日程第2 認定第1号 平成24年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について
午後1時00分開会
○議長(伊東しんじ) ただいまから平成25年第3回中野区議会定例会を開会いたします。
本日の会議を開きます。
会議録署名員は会議規則第128条の規定に基づき、議長から御指名申し上げます。
12番ひぐち和正議員、31番長沢和彦議員にお願いいたします。
次に、会期についてお諮りいたします。
本定例会中の会期は、本日から10月11日までの32日間といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊東しんじ) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
この際、申し上げます。
本定例会の会期中、略装を許可します。
次に、平成25年7月16日付をもちまして、お手元に配付の文書のとおり委員会参与に人事異動がありましたので、念のため御報告いたします。
○議長(伊東しんじ) 次に、一般質問の時期の変更についてお諮りいたします。
一般質問は議事に先立って行うことになっておりますが、別な時期に変更し、質問を許可いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊東しんじ) 御異議ありませんので、さよう進行いたします。
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第61号議案 平成25年度中野区一般会計補正予算
第62号議案 平成25年度中野区介護保険特別会計補正予算
○議長(伊東しんじ) これより日程に入ります。
日程第1、第61号議案及び第62号議案の計2件を一括上程いたします。
理事者の説明を求めます。
〔副区長金野晃登壇〕
○副区長(金野晃) ただいま上程されました第61号議案及び第62号議案の2議案につきまして一括して提案理由の説明をいたします。
第61号議案、平成25年度中野区一般会計補正予算は、歳入歳出にそれぞれ18億8,416万円を追加計上するものです。これにより、既定予算との合計額は1,188億1,515万1,000円となります。
初めに、この補正の歳出予算の内容を説明いたします。
まず、西武新宿線沿線まちづくり費ですが、西武新宿線野方駅から井荻駅までの間における連続立体交差化に関する構造比較検討に要する経費450万円を計上するものです。
次に、子育て支援費ですが、障害のあるお子さんが通う放課後等デイサービスなどの利用者数の見込み差により、4,246万7,000円を追加計上するものです。
次に、保育園・幼稚園費ですが、待機児童の解消に向けた取り組みを加速化させるため、賃貸物件等を利用して認可保育所を開設する事業者に対し、改修費及び賃借料を補助する経費2億7,375万円、並びに平成27年度に本格実施が予定されている子ども・子育て支援新制度に向け、保育システムを改修する経費348万1,000円を計上するものです。
次に、子ども教育施設整備費ですが、賃金水準の上昇に伴う中野中学校建設工事費の増額に係る経費9,088万8,000円を追加計上するものです。
次に、保健予防費ですが、風疹の流行により、風疹ワクチンの接種件数が大幅に伸びたことから、2,221万9,000円を追加計上するものです。
次に、道路・公園管理費ですが、労務単価の上昇に伴い、工事費等に不足が見込まれることから、公園の維持・管理に係る経費3,964万5,000円を追加計上するものです。
次に、都市基盤整備費ですが、同じく労務単価の上昇に伴い、工事費等に不足が見込まれることなどから、道路の改良・維持に係る経費1億30万4,000円並びに生活道路拡幅整備の申請件数の増加等に伴い、生活道路拡幅整備に係る経費1億1,512万1,000円を追加計上するものです。
最後に、諸支出金ですが、平成24年度からの繰越金を原資として財政調整基金積立金11億9,178万5,000円を追加計上するものです。
この補正の歳入予算といたしましては、国庫支出金2,117万2,000円、都支出金2億715万円、繰入金4億3,399万1,000円、繰越金11億9,178万5,000円及び諸収入3,006万2,000円を追加計上するものです。
第62号議案、平成25年度中野区介護保険特別会計補正予算は、歳入歳出にそれぞれ4,420万8,000円を追加するものです。これにより、既定予算との合計額は199億520万8,000円となります。
歳出予算の内容は、介護給付費及び地域支援事業費として交付を受けた国庫支出金、都支出金及び支払基金交付金の超過額を返還する経費4,420万8,000円を追加計上するものです。
歳入予算といたしましては、平成24年度からの繰越金4,420万8,000円を追加計上するものです。
以上2議案につきましてよろしく御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○議長(伊東しんじ) 本件について御質疑ありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊東しんじ) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。
上程中の議案は、会議規則に従い、総務委員会に付託いたします。
この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、大内しんご議員、白井ひでふみ議員、岩永しほ子議員、酒井たくや議員、後藤英之議員、吉原宏議員、小林ぜんいち議員、浦野さとみ議員、中村延子議員、石川直行議員、内川和久議員、小林秀明議員、高橋かずちか議員、若林しげお議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、いながきじゅん子議員、林まさみ議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。
中野区議会議員 大 内 しんご
1 2013「東北復興大祭典:なかの」の開催について
2 中学2年生時における集団宿泊行事の復活について
3 消費税引き上げによる区財政への影響について
4 国家公務員宿舎跡地の利活用方針について
5 停電時点灯街路灯の整備について
6 その他
○議長(伊東しんじ) 最初に、大内しんご議員。
〔大内しんご議員登壇〕
○32番(大内しんご) 平成25年第9月10日第3回中野区議会定例会におきまして、自由民主党議員団最初の質問をさせていただきます。
最初に、質問項目は、2013「東北復興大祭典:なかの」の開催について。次に、中学校2年生時における集団宿泊行事の復活について。3番目に、消費税引き上げによる区財政への影響について。4番、国家公務員宿舎跡地の利活用方針について。5番、停電時点灯街路灯の整備について。6、その他で1点質問させていただきます。
まず最初に、その他で1点。
2日前の日曜日の朝方、2020年夏季オリンピックの開催都市が東京に決まりました。中野区でもさまざまな招致活動を行ってまいりましたが、区民の先頭に立って招致活動をしてこられた田中区長、お疲れさまでございました。一言感想をお聞きいたしまして、次の項目にいきたいと思います。
東北復興大祭典について質問をいたします。
2011年3月11日の東日本大震災が発生し、あす9月11日で既に2年6カ月もの時間が経過することになります。しかしながら、いまだに被災地では復興のための都市の基盤整備も十分に進んでいない状況で、ことしも仮設住宅で寒い冬を迎える被災者の数は相当数いらっしゃると聞いています。私どものように東京で暮らしている人間には、こうした被災地に置かれている被災者の本当の姿がなかなか見えてこない。私ども自由民主党議員団は、被災地の早期復興のため、今後もあらゆる手段を駆使し、東日本大震災の復興に対する国民の絆の強化や復興支援活動を推進していく覚悟でございます。
昨年の10月13日と14日の両日、中野区と東京青森県人会が共催して「2012 東北復興大祭典なかの」が開催され、多くの区民、そして26自治体を超える首長、議長さんに参加をいただき、事故もなく、大成功のうちに終えることができました。区長をはじめ区職員、関係機関、青森県人会の皆様方の御尽力に敬意を表するものであります。
しかしながら、昨年の大祭典はメインステージでの催し物や中型ねぶたの展示、物販やグルメなどは大盛況であった反面、復興というメッセージが弱かったと思います。そこでお伺いいたします。ことしも11月9日、10日の両日に東北復興大祭典が予定されていますが、ことしはどのように「被災地の復興」というアピールを内外に発信していく考えなのか、具体的な取り組みをお聞きいたします。
また、ことしは青森市や野方警察の御協力、そして青森県人会の御努力により、3台のねぶたが四季の森公園の北側直線道路で運行するということで準備が進んでいるようです。多くの区民や在勤・在学の方々が参加できるようにしていくことが大切だと思います。この多くの方々が参加することにより、中野駅周辺のにぎわいが一層高まることにつながると考えます。区の見解をお聞きいたします。
次に、来年度以降の東北復興大祭典の実施についてお伺いいたします。
中央線沿線の阿佐ヶ谷駅では七夕祭り、お隣の高円寺駅では阿波踊りと歴史もあり、毎年多くの来場者を集めています。特に阿波踊りは、多くの中野区民も連をつくり参加しています。私は、中野でも多くの来場者が集う祭りを定着させ、発展させていくイベントが必要であると以前から考えておりました。多くの区民や在勤・在学の方々が参加できる伝統ある祭りとなれば、ことしの大祭典の結果にもよりますが、ねぶた祭りは中野区での祭りとしての下地ができつつあります。そこでお伺いいたしますが、現在首都圏では7月の柏市、8月の立川市とつくば市、そして今週末、9月14日は世田谷区の桜新町と、毎年ねぶた祭りが開催され、多くの来場者が集まっています。ぜひ中野区でも伝統ある青森県のねぶたを定着させ、東北復興大祭典のメインの催し物となるよう、希望を持っています。いかがでございましょう。
次に、中野版「東北六魂祭」への移行について、御提案を兼ねて質問いたします。
2011年3月11日の東日本大震災の鎮魂と復興を願って、同年7月に宮城県仙台市で、2012年5月に岩手県盛岡市で、そしてことしの6月に福島県福島市で第3回が開催されました。昨年、中野区が青森市から寄贈を受けたねぶたは、2012年に盛岡市で運行されたねぶたでした。ことしは福島市を運行し、そして9月末の東京国体開会式で運行するねぶたが中野で運行する予定となっていると聞いております。
「東北六魂祭」は、当初の予定では来年は山形県、その後は秋田県、そして最後は青森県で開催することになっていますが、一部報道では開催が危ぶまれているようでございます。来年はどうにか山形県で開催するめどが立っているようでございますが、いずれにしてもあと3年で東北六魂祭は東北を一巡して終わりになると聞いております。しかし、東北六魂祭のような催し物を継続することで東日本大震災の記憶を残し、被災地の復興や地域振興を将来にわたって継続させること、そして今後いつ来るかわからない首都圏直下型や南海トラフによる大地震に対する国民の地震に対する備えの意識を高めるものと考えます。
そこで提案します。ことしの東北復興大祭典は、被災4県に秋田県、そして山形県の2県を加え、東北地方全体の地域振興の推進を図るとしています。現に、今後ねぶたのほかに秋田県からミニ竿燈やなまはげなどの派遣も予定されていると聞いています。そこで提案ですが、東北復興大祭典を今後関係者とも十分協議をし「(仮称)東北六魂祭なかの」といった祭りにして被災地の復興支援の継続や東北地方の地域振興の推進、そして今後いつ来るかわからない大地震に対する区民の備えに対する意識を高めることによって、日本国民の絆をより強固にしていく考えはいかがでしょうか。区長の御見解をお聞きいたします。
次に、中学校2年生の集団宿泊行事の復活について質問をいたします。
平成23年度より、中学2年生の常葉移動教室が実質中止となっています。平成23年7月から移動教室、夏季学園について検討され、半年後には廃止の方針が決められました。この間、私たち自民党は一貫して中学校の学習指導要領に明記されている集団宿泊的行事の存続を求めていましたが、残念なことに私たちの声を聞いてもらうことはできませんでした。学校再編では教育委員会に理解を示し、協力をしてまいりましたが、学校再編による財政効果はもちろん、さまざまな教育の充実を期待していたのに、私どもの考えを理解いただけずに非常に残念です。来年度、集団宿泊行事の復活をするよう求めます。
現在、東日本大震災による影響や施設の老朽化により、常葉移動教室及び岩井臨海学園が中止になっていますが、岩井臨海学園は海の体験学習事業に形を変えて規模はかなり縮小しましたが、教育委員会事務局の事業として実施をしています。以前、この問題について平成23年6月、子ども文教委員会で篠委員の「宿泊行事は廃止すべきではない」との問いに「岩井の臨海、常葉にしても長い年月、歴史をかけてやってきたもので、学校としてもその活動メニューでありますとか、それから実施に至るまでの準備など、いろいろノウハウを積み重ねてきたこともありまして、それが区の財産になっていることも重々承知している」と答弁をしています。
また、平成23年10月21日の子ども文教委員会の報告で「今後の校外施設のあり方で報告されている内容は、平成20年に学習指導要領が改訂され、知識、道徳、体力のバランスのとれた「生きる力」の育成をねらいとし、指導内容とともに授業時間数も増えており、学習時間の確保が課題となっている。こうしたことを背景に、夏休みの学校内での活動も増加している。夏季学園は、日常生活では得られない自然体験を行うことができると評価していますが、通常の教科学習に影響を及ぼしている状況にある」と述べています。
ここで一つ疑問なのは「小学校の臨海学園については、指導員の確保や地元漁師の高齢化、児童の安全確保などの課題や学校現場からも廃止に向けて強い要望がある」と述べていますが、中学2年生の夏季学園の廃止理由については、明確に私たちに伝わっておりません。中学2年の非常に有意義な時期に宿泊行事を行う。一番多感な時期に友人と寝床をともにし、同じ釜の飯を食べる大切さ。大震災が発生したときの集団での宿泊訓練と考え、仲のよい友達だけではなく、ふだん話したことのない同級生と一緒に生活をする場にもなります。宿泊行事のかわりのメニューとして実施している社会科見学や体験授業と一緒に扱うのは間違っています。
区長も教育長も中学校時代を思い出してください。どこに社会科見学に行ったか鮮明に覚えていますでしょうか。しかし、友達とみんなで宿泊行事にどこに行ったかはすぐに思い出せると思います。私は中野区の中学校を卒業しましたが、今でも昔の写真を見て、中学時代の最高の思い出となっているのはそういった宿泊行事でございます。私たちは、一つでもたくさんの思い出を中野で育つ生徒たちに残すことは大事な仕事だと思います。近隣区では、平成20年に学習指導要領が改訂された後でも変わりなく宿泊行事を行っています。中野区では中学校の水泳大会や駅伝大会等がなくなり、また、小学校の岩井の臨海学園もなくなり、非常に残念です。
私が復活を述べる理由として、教育委員会が廃止の理由を説明する際に使われる中学校の学習指導要領を詳しく読むと「旅行・集団宿泊的行事について、平素と異なる生活環境にあって、見聞を広め、自然や文化などに親しむとともに、集団生活のあり方や公衆道徳などについて望ましい体験を積むことができるような活動を行うこと」また「さらに自然体験などの体験活動を充実するとともに、体験活動を通して気づいたことを振り返り、まとめたり、発表したりするなどの活動を充実する」と改訂前と同じように明記されています。決して980時間の授業数を1,015時間、35時間増加を理由に旅行・集団宿泊的行事の廃止をしても仕方ないとの記述はありません。新学習指導要領の完全実施に伴う授業時間の確保、現在の学校現場の実情や児童・生徒の実態を考慮した結果としていますが、慎重に進めてきた結果とは思えません。中野区の公立学校でよかったと思える教育をしてください。
学力や体力の向上はもちろん大切ですけれども、思春期の多感な時期に同じ年ごろの仲間とともに3日間過ごすことの大切さを考えてみてください。ともに競い合い、ともに励まし合う友、一生涯の友人になるかもしれない友達をつくるときであります。移動教室、林間学園など集団宿泊的行事の復活を保護者の方々はもちろん、生徒も強く望んでいます。新たな体験学習を否定するものではありませんが、集団宿泊的行事は何物にも代えがたい中学時代の行事だと思います。来年度に復活するための仕組みづくりを考えていただけるよう、切にお願いをいたします。
次に、消費税引き上げによる区財政への影響について質問いたします。
税法の改正により、消費税率が現行の5%から平成26年4月1日より8%、平成27年10月1日より10%に引き上げられることになっています。この消費税の引き上げについて、政府が各界代表や経済専門家ら60人から意見を聞く「今後の経済財政動向等についての集中点検会合」が8月31日に6日間のヒアリングを終えました。意見を聞いた60人のうち、約7割が来年4月から消費税率を8%に引き上げることに賛成した一方で、景気悪化を懸念して反対する意見もありました。安倍首相はこの会合の報告を受け、経済指標なども踏まえて10月半ばの臨時国会までに結論を出すとしています。
一般的に5%の消費税と言っているものは、消費税(国税)の4%分と地方消費税(都道府県税)の1%を合計したものを指しています。この地方消費税は、1%のうち2分の1が都道府県に、残り2分の1が区市町村に配分されます。消費税率が8%に引き上げられると、地方消費税率は従来の1%から1.7%に、10%に引き上げられると2.2%に引き上げられます。このため、消費税率の引き上げにより、地方自治体の税収も増加することになります。「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律」により、地方税法の地方消費税に係る規定が改正されました。主な改正内容は次のとおりです。
1、地方消費税率を引き上げることとした。2、引き上げ分の地方消費税収入は使途が明確化された。3、引き上げ分の市町村交付金の交付基準が定められた。4、税率引き上げに伴う経過措置が設けられた。
課題の一つとして、地方消費税率の引き上げによる影響があります。
8月16日の都政新報によると、都の試算では、消費税の税率アップにより、地方消費税率を1%から1.7%に引き上げた場合、2,343億円、2.2%に引き上げた場合、4,017億円の増収を見込んでいる。このうち半分は人口の割合で区市町村に交付するとしています。中野区が支払う消費税は、25年度予算額約13億円が、消費税率10%になれば、単純計算で13億円の増額、26億円になります。現行の5%から8%、また、10%になった場合、区の増収額はどの程度と見込んでいるのでしょうか。
次に、課題二つ目は、引き上げ分の地方消費税収入の使途を明確化することの影響です。
引き上げ分の地方消費税収入(市町村交付金分を含む)については、社会保障4経費、つまり制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費。その他社会保障施策(社会福祉、社会保険及び保健衛生に関する施策)に要する経費に充てるものとされています。社会保障財源化に伴う国庫支出金の一般財源化が危惧され、実質の歳入は現在より少なくなるのではないかといった心配をしております。いかがでございましょうか。
課題三つ目として、全国知事会の研究会で「地方税制における税源偏在の是正方策の方向性」について検討が進められており、その中で、偏在性が高く税収の変動が大きい法人住民税と、偏在性の低い消費税の交換、法人住民税法人割(道府県、市町村)の一部を国有化し、それと同額の消費税を地方消費税化することにより、税源偏在の是正を行うことが取り上げられています。地方消費税は比較的地域による偏りが少なく、格差が小さいとされていますが、それでも平成23年度の決算において最も多い東京都と最も少ない奈良県とでは、1人当たり税収で約2倍の格差となっています。
今後地方消費税率が引き上げられると、地方消費税の収入が増加した分は社会保障費に充てることとされておりますが、東京都では社会保障費の支出の増加額を上回る地方消費税の収入の増加が見込まれています。その結果、東京都と他の地方団体との財政力格差がさらに拡大することになります。全国知事会は、厳しい日本の財政状況や急速に進む少子高齢化の中で、消費税の引き上げを含む抜本的な税制改革は不可欠であるとし、研究会を設置して検討を行ってきました。そして、全国知事会においては本年7月9日に、さきに述べた地方団体間の税収の格差を解消するため、いわゆる税源交換の実施を検討すべきという提言を行いました。これは、地域による偏りや景気による変動が大きい法人住民税と法人事業税の一部を国有化し、地方交付税として地方団体に再分配する一方、これに見合う額について地方消費税の配分を増やすことで地方団体間の財政力の格差を縮小しようというものです。
仮に消費税の引き上げの際に、この全国知事会の提言が採用されて税源交換が実施され、法人住民税と法人事業税の一部を国有化し、地方団体に再分配した場合には、東京都の法人住民税及び法人事業税の収入は大幅に減少し、地方消費税収入の増加分を上回ってしまい、差し引きの税収が減少してしまうことも考えられます。その場合の区の歳入への影響をどう見ているのか、お聞きをいたします。
次に、国家公務員宿舎跡地利活用についてお伺いをいたします。
先日の総務委員会で、国家公務員宿舎跡地利活用方針の第2次修正版の報告がありました。平成25年1月及び同年6月に関東財務局から処分を予定している区内の国家公務員宿舎についての情報提供があり、区として活用方針を改めて明らかにしたもので、処分は平成28年までをめどに行われる見込みとのことです。
この国家公務員宿舎跡地は、密集している中野区においてなかなか取得できない大切な土地であり、将来区民の大切な財産になり得るものです。財政の厳しい中野区としては、言うまでもなく最大限の補助金制度を活用し取得し、有効利用していただきたいと考えています。今回の利活用方針の中に幾つかの具体的な活用策が示されているものがあります。
「江古田宿舎等は、民間事業者が取得し、または定期借地制度を利用した貸し付けを受け、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設またはショートステイ施設の整備を誘導する働きかけをする」とあります。また「新井の東京矯正管区公務員宿舎は、平和の森公園周辺地区の防災まちづくりの実現を図るため、道路及びまちづくり用地として活用する」とあります。「上高田の宿舎は、都市計画公園の拡張用地として活用し、広域避難場所として機能充実を図る」とあります。今回活用を決めた中で、最も広い面積があるのが弥生寮跡地です。方南通りに面しており、地下鉄車庫に隣接していて、現在では居住者もなく板に囲まれ、廃墟となっている場所であります。近隣の方々は、この場所はこれからどうなるのかと心配をされている場所です。このたび示された活用策は、公園として整備し、広域避難場所として防災機能の確保等を図るとともに、清掃車庫の移転先として活用するとありました。
本件跡地は、中野区内では貴重な1万平米以上のまとまった敷地であり、かつ広域避難場所「コーシャハイム中野弥生町・立正佼成会大聖堂一帯」に含まれています。このため、一時避難所として防災安全機能を備えた防災公園としての整備が強く求められるところだと思います。また、現在の清掃車庫は今後整備を進める中野駅新北口駅前広場の予定地内にあり、同広場の工事着手に先立ち移転させる必要があります。防災公園の整備と併せて清掃車庫の移転先としても、本件跡地は中野区にとって必要不可欠なものであると考えます。しかし、このようなことからすると、現在処分予定とされている平成28年度まで待っていてよいのでしょうか。区民の安全な環境を早期に整備するとともに、中野駅周辺整備の促進を図るためにも、できる限り早期の取得について関東財務局に働きかけるべきです。区長のお考えをお聞かせください。
また、その際気になるのは地元住民の声です。できる限り多くの区民の方の声を反映させて進めていただきたいと思います。特に清掃車が車庫に進入するルートや、安全の確保などについては今後十分に検討し、地域の方々に納得のいく説明を行うよう要望いたします。さらに、弥生寮等については、1万2,665平米あり、その取得に要する経費も多額になると考えます。補助金制度も活用できると考えますが、取得に当たってはできる限り区の財政負担の少ない方法を選ばなければいけないと考えております。弥生寮等の敷地の取得財源についてどのように考えているのか、お聞きをいたします。
停電時点灯可能な街路灯について質問いたします。
ことしの夏は大変な猛暑でありました。大気の状態が不安定となった8月12日の夕方、関東地方は雷を伴う局地的な豪雨となり、東京都内で約1万3,000世帯が停電しました。雷が原因と見られていますが、お隣の杉並区では約5,000世帯が停電をしました。4月30日の都政新報、読売新聞、毎日新聞、日経新聞などによりますと、町田市ではことし4月、災害などで停電した場合も最長3日間程度使用可能なLED街路灯「きえないまちだ君」を民間企業と共同開発しました。
町田市は、東日本大震災では市内の街路灯や信号は全て消え、あたり一面暗闇に包まれました。市職員や警察官が懐中電灯を持って帰宅困難者の誘導に当たったそうです。全国で震災後、街路灯に太陽光パネルなどを取りつける停電対策が進みましたが、取りつけには1基当たり100万円以上のコストがかかりました。今回開発されたLED街路灯の停電時電源は、小型化したリチウムフェライトバッテリーを使用しており、平時使用時に充電した電力を使って点灯します。省エネ効果のあるLEDランプは16段階の明るさを調節できる機能があり、読書灯などに使用される蛍光灯20ワット相当の照度があり、メンテナンスも10年に一度、ユニットも街路灯の支柱内部に収納可能で、現在停電時に使用できる街路灯としては、ソーラーパネル発電や太陽光発電型などの製品がありますが、ほとんどが支柱の外部に取りつけなければならず、電力量が天候や周辺機器などの設置条件に左右され、雨で機器が劣化したりなど、課題も多いとのことです。コスト面でも既存の製品が1基当たり約100万円以上かかるのに対し、約40万円程度に抑えられるとしています。町田市では既に2基をモデル設置しており、9月から11月までに新たに13基の設置を予定しています。今後も避難施設・広場を中心に増設していく考えだそうです。中野区では、お聞きしたところによると、既に中野四季の森公園に接するF字道路に停電時にも点灯可能なソーラーパネル式のLED街路灯6基、1基につき約120万円で設置をしたと聞いております。今後新しく設置する際は、1灯約40万円で設置できるバッテリー内蔵LED街路灯の設置に向けて検討してみてはいかがでしょうか。お尋ねをいたします。
以上で質問を終わります。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 大内議員の御質問にお答えいたします。
まず、オリンピック招致の成功についてであります。中野区では、東京都やオリンピック招致委員会、特別区長会等と連携をして、昨年10月から招致機運醸成に向けたさまざまな事業に一丸となって取り組んでまいりました。招致を実現することができて大変喜ばしいことだと思っております。全面的に御協力をいただいた区議会をはじめ、区民の皆様にも御礼を申し上げたい、ともに喜びを分かち合いたいと、このように思っております。
オリンピック開催の決定は、スポーツ振興にとどまらず、スポーツを通じた健康づくり、安全と信頼にあふれたコミュニティづくり、また文化の発信、都市インフラの更新やバリアフリー化の推進などに大きく寄与し、我が国が世界に対して成熟社会の次の段階の発展の姿を示し得る大きな可能性を開くものになったと考えております。こうした動きを区政のビジョンにしっかりと取り入れ、ソフト、ハードの両面で新たなまちづくりにつなげていくことが肝要であると考えております。
東北復興大祭典の開催と被災地の復興についてであります。
東北復興大祭典なかのでは、東日本大震災で被災した岩手県、宮城県、福島県、青森県の継続的な復興推進のため、被災各県の復興の歩みや現状を紹介するとともに、東北6県の農水産物、工芸品、グルメなどの販売と観光や文化・芸能などを発信し、東北地方の地域振興を推進するものであります。また、中野区における宮城県を中心とした東日本大震災復興広域協働の取り組みや防衛省自衛隊の復旧・復興活動などを紹介し、被災地の復興への理解を深めていくこととしております。併せて青森ねぶたの展示と運行のほか、東北各県の主要行事のPRも行い、被災地の観光政策推進をともに実行いたします。
大祭典のにぎわいとねぶたの定着についてであります。
東北復興大祭典においては、多くの区民や在勤・在学者の参加によって盛り上がりを見せ、にぎわいが創出できると考えております。新しくできた四季の森公園を中心とした中野のまちのにぎわいをつくっていく上で、広く区民の方々に参加を呼びかけてまいりたいと考えております。区では、この祭典において東日本大震災で被災した各県などを継続的に復興する思いを込め、また、東北地方の地域振興を推進する目的でこの東北復興大祭典を実施しております。青森ねぶたについても、この東北復興大祭典の中で中心的な催し物としてさらに定着をさせていきたい、こう考えております。
やがて終了となると考えられている東北六魂祭と東北復興大祭典についてであります。
今後、東北復興大祭典のあり方や実施方法については、被災地の復興の推進などを目的として関係団体と協議検討をしていきたいと考えております。また、こうした祭典を実施することによって大祭典を忘れず、被災地への思いを呼び起こすことにより、日本国民の固い絆と連携を一層強化できるものと確信しております。そうした意味で、東北六魂祭、これは大変すばらしい催しでありますが、各県で相当大きな会場で大がかりに行われている行事ということがありますので、その実施内容を直ちに継承できるかどうかという点には難しいところもあると思いますが、その精神的な面を今後に引き継いでいくことを考えていきたいと、このように考えております。
次に、消費税引き上げによる区財政への影響であります。
消費税が5%から8%に引き上げられ平準化した場合、区の歳入である地方消費税交付金が約28億円の増収、10%の場合は約48億円の増収と見込んでおります。地方消費税収入のタイムラグや法の経過措置などがあることから、税率引き上げ後、直ちにこのような増収となるものではない。また、消費税率が10%に引き上げられた時点において、自動車取得税交付金が廃止されることが予定されており、その影響額を見ると、約2億4,000万円の減収となると考えております。消費税率引き上げに伴い、影響が見込まれる社会保障経費に係る既存の国庫支出金のあり方や地方の負担による新たな社会保障の充実等については、現時点では明らかにはなっておりません。仮に国庫支出金が一般財源化されるということになれば、区として大きな負担になることが予想されるということであります。
さらに、全国知事会の税源交換の提言についてであります。
特別区長会事務局の試算によれば、この税源交換を行ったとして、それによります特別区全体への影響額は、市長村民税法人分の国有化により1,317億円の減、これに相当する地方消費税化により921億円の増となり、差し引き396億円のマイナスとなります。この試算結果から、税源交換による中野区の影響額を推計すると、特別区交付金が41億円の減、地方消費税交付金が23億円の増、差し引き18億円減少することになると想定をされております。我々から見れば、一方的な東京富裕論を前提としたこの税源交換の考え方でありますが、東京、特別区の立場からこうした議論についてもしっかりと見きわめ、物申すことをしていきたい、このように考えております。
次に、国家公務員宿舎跡地の利活用についてであります。
弥生寮等跡地を活用して行う広域避難場所の機能拡充のための防災公園の整備、これは喫緊の課題であると考えております。また、清掃車庫の移転についても中野駅周辺整備を進める上で至急に実現しなければならない事項である。こうしたことから、関東財務局に対して早期の売却について何らか有効な働きかけを行うことを検討しております。
用地の取得財源についてであります。
防災公園整備を想定する用地については、これまで取得した大規模な防災公園用地と同様に国の社会資本整備総合交付金を活用し、その残りを都の都市計画交付金と特別区交付金の財産費等の確保を図っていくことで一般財源に過度な負担を及ぼすことがないよう、十分な財源的裏付けを持って事業を実施していくことができると考えております。清掃車庫移転のための用地取得費については1,800平米が上限ということですが、この一定の面積が特別区交付金の基準財政需要額に算定されることになっておりまして、一般財源への影響は大きくないと考えております。
それから、停電時点灯街路灯の設置検討についてであります。
特に蓄電池内蔵型の費用の安いものという御提案がありました。災害時にも点灯が必要な街路灯の設置箇所、これについて検討を行う必要があると考えております。その際にはどのような照明器具がよいのか、器具の構造、経済性等についても研究をしてまいりたいと考えております。この結果を踏まえ、今後LED街路灯の維持管理業務の中での対応のあり方を検討してまいりたい、こう考えております。
私からは以上です。
〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 中学校2年生の宿泊行事についての御質問にお答えをいたします。
平成24年度から本格実施をされた学習指導要領では、体験活動の充実がうたわれておりまして、集団宿泊活動のほか、職場体験や奉仕体験、文化芸術体験、ボランティア活動等、幅広い活動に取り組むこととしたものでございます。
一方、学力向上としての授業時間数の確保も大きな課題になっていることから、これらを総合的に勘案し、中学2年生における移動教室は廃止したものでございます。今後、新たな体験学習の体系に基づく事業の実施結果を見きわめ、その効果等を検証してまいりたいと考えております。
〔大内しんご議員登壇〕
○32番(大内しんご) 中学2年生の集団宿泊的行事の復活について質問したんですけれども、お答えがよくわからないので、復活するよう求めたので、それについて御答弁をお願いします。
〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 集団的宿泊行事につきましては、先ほども御答弁でお話ししましたように、新しい体験学習ということで体系をつくっておりますが、まだ全校で全て実施しているということではなく、移行の段階でございまして、そうしたことを含めまして、先ほどもお答えしましたように実施結果を見きわめて検討してまいりたいというふうに考えております。
〔大内しんご議員登壇〕
○32番(大内しんご) 学習指導要領が新しくなった、前からの学習指導要領もそうですけれども、集団宿泊的行事と体験事業とは全然別項目、同じ項目に書かれていないと思うんですよね。集団宿泊的行事という項目があって、それについて私は聞いているので、体験事業がどうのこうのというんじゃ、全然別物だと思っているんですけれども。数学の問題を聞いて英語で答えているみたいな、全然答えが、体験事業をやるとかやらないとか、そんなこと聞いているんじゃなくて、新しい学習指導要領に明記されている集団宿泊的行事について、なぜやめてしまったのかと。
先ほど授業数の増減、35時間ですか、年間増えたと言っていますけれども、最初の質問でもちゃんと言ったとおり、他区ではそれを理由にやめているということはないんですよね。中野区だけそんなに学力が他の区に比べてこの1年で上がったのかとか、そういった検証をされているんですか、そうすると。学習指導要領で確かに授業時間数は35時間年間増えましたけれども、他区ではそれも含めて従来どおり集団宿泊的行事を行っている。中野区ではそれを理由にやめたというだけだと、中野区はどういう考え方なのか、全然意味がわからないんです。ですので、来年に向けて集団宿泊的行事というものを早急にもとに戻さなければいけないんじゃないのかなということを言っているんですけれども、体験的事業のことは別に。かわりに体験的授業をやったらいかがですかと私は聞いているわけではないので、ちょっとそこのところを、もう3回目ですから最後ですけれども、次回に続けるためにもちゃんとした答弁をいただきたい。学校の再編によって財政効果も教育委員会はかなり生まれているはずなんですよね。学校再編で財政効果が生まれたわけでしょう、教育委員会は。まさかその財政的効果をほかのところが使っているなんていうことはないわけで、教育委員会でしっかりお金を有効に使って子どもたちの指導をしていただきたいと強く要望しているのでもう一度聞きますけれども、もうちょっと違った答弁をお願いします。
〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 大内議員の質問にお答えをいたします。
ちょっと説明が不足しておりまして申しわけありませんでした。学習指導要領で書かれております集団的宿泊活動を中野区では体験学習という言い方をしておりまして、その体験学習の体系を新しく選択制ということで、各学校の工夫によって実施することにいたしました。それを昨年度から実施しておりますが、全校で取り組んでいるわけではありませんので、その結果を見きわめていきたいというふうに思っております。中学2年生におきましては、先ほどからの御説明にもありますように、さまざまな活動を工夫して全校で実施をさせていただいておりますので、そうしたことを含めまして学習指導要領におけます体験学習の充実が図られているかどうかということを検証してまいりたいというふうに思っております。
○議長(伊東しんじ) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。
中野区議会議員 白 井 ひでふみ
1 災害時等の情報伝達について
2 高齢者等の住み替え支援について
3 環境施策について
4 ペットとの共生について
5 その他
○議長(伊東しんじ) 次に白井ひでふみ議員。
〔白井ひでふみ議員登壇〕
○13番(白井ひでふみ) 2020年夏、東京でのオリンピック・パラリンピックの開催決定おめでとうございます。特に、最終プレゼンテーションにおいてIOC委員の多くが高い評価をし、テレビの画面からも力強く思いが伝わってくるすばらしいものでした。プレゼンテーションではありませんが、思いを伝える、この点において少しでも見習い、平成25年第3回定例会に当たり、公明党の立場から一般質問を行います。
初めに、災害時の情報伝達について、主に防災行政無線等についてお伺いします。
最近の天気はおかしいと、よく耳にするようになりました。私もそのように感じますが、多くの方が同じように感じておられると思います。事実、昨今の気象データの比較からも気象の変化が読み取れます。気象庁は、過日の8月30日から特別警報の運用を始めました。特別警報とは、過去に経験したことのない規模の天変地異を想定し、最大限の警戒を呼びかける最後の手段として位置付けられています。導入の経緯は、2011年にまでさかのぼります。2011年9月2日、奈良県吉野郡十津川村を襲った台風12号は未曾有の激しい雨をもたらし、河川の増水と氾濫、大規模な土砂崩れを巻き起こし、死者6名、行方不明6名の被害をもたらしました。気象庁は、大雨警報、土砂災害、警戒警報、洪水警報を随時追加して警戒を呼びかけましたが、さらなる警戒を促す必要に迫られながらも、発令する警報基準自体がない状況となってしまいました。最大級の危険に対しての警戒を呼びかけるための警報が必要との教訓から、このたびの特別警報の運用が始まりました。
従来の警報が発令された場合、住民への警戒を促すための周知については市区町村の努力義務となっていますが、この特別警報が発令された場合、住民に対していち早く最大限の警戒を促すための周知については市区町村の義務となりました。区民にいち早く一斉に情報を周知する手段として、最も大きな柱となるのが屋外に設置されたスピーカー、防災行政無線の同報系です。平時において聞こえない、聞き取れない、または反対に近隣の方からはうるさいと言われる防災行政無線ですが、個々のスピーカーの音量の上げ下げやスピーカーの向きの調整、それでも難しければ移設で対応してきたと聞きます。相反する意見があるため、対応策が難しいところであり、屋外スピーカーの対応策としては限界があると言えます。
さて、明日の9月11日はこの屋外スピーカーである防災行政無線同報系を使用して、全国一斉に全国瞬時警報システム(J-ALERT)の訓練が行われることとなっています。
全国瞬時警報システム(J-ALERT)とは、大規模災害や武力攻撃事態が発生した場合、国民保護のため、国が緊急警報を人工衛星を利用して地方公共団体に送信し、市区町村の同報系防災無線を自動的に起動するシステムです。中野区としては、全国瞬時警報システム(J-ALERT)との接続が完了して今回が初めての訓練となります。午前11時と午前11時30分ごろの2回にわたり、区内113カ所に設置されている防災行政無線の屋外スピーカーと地域系の戸別受信機500台から訓練放送が流れる予定です。区の防災行政無線同報系スピーカーの全てが一斉に最大音量で放送されることとなります。さまざまな問題や影響が懸念されるところですが、個々の対応策に当たることはもちろんとして、今後区民への情報周知の義務を果たすため、課題の検証を強く望みます。
区が導入している防災行政無線は、大きく分けて住民に一斉に情報を伝える同報系と、災害現場等と連携をとるための移動系、アナログ受信機の地域系があります。災害現場等と連携をとるための防災行政無線の移動系はアナログ方式からデジタル方式へと既に移行されていますが、住民に一斉に情報を伝える同報系はアナログ方式のままとなっています。
このアナログ電波帯は、電波法の改正により、いずれ使えなくなってしまう問題を抱えています。アナログの電波帯の使用期限の延長がなされ、平成34年まで使用可能となりましたが、デジタル化に要する期間を考慮すれば、残された時間は長くないと言えます。防災行政無線同報系のデジタル化への移行をしなければ、区民への情報伝達経路としての大きな柱を失うこととなります。デジタル化のメリットは、音声通話や文字、画像データなどを一斉に送受信できる点にあります。デメリットとしては、多額の設備投資の予算が必要となる点、また、デジタル化をしても、アナログと同程度の機種の入れかえだけでは防災行政無線の聞こえやすさが飛躍的に上がるものではない点が挙げられます。財政負担が一番のネックとなり、全国的に防災行政無線のデジタル化はあまり進んでいなかったのですが、近年、災害を経験した自治体では高性能のスペックの機器を導入してのデジタル化の取り組みが広がっています。
顕著な事例をさまざま調べてみたところ、特に東日本大震災後の岩手県、宮城県、福島県での取り組みが進んでいることがわかりました。津波の対策と併せた取り組みも多くありましたが、中野区として津波対策を導入する必要はないため、この取り組みは省き、区として防災行政無線のデジタル化に当たり、参考にすべきと思われる事例を幾つか示します。
福島県新地町では、最大5キロ先まで聞こえる高性能スピーカーの実証実験が行われています。さらに、監視カメラの設置も併せて検討されています。対の事例として、東京23区のある区では、防災行政無線のデジタル化がなされたものの、音が遮られたり、反響して聞きづらい状況があり、音がより遠くまで届く改良型のスピーカーに変更したり、新たに18カ所にスピーカーを増設する対策がとられました。事前の調査や検証不足が浮き彫りとなった事例です。対応策に取り組まれたことは評価できますが、費用がかさむ結果となりました。区として学ぶ点があると思います。
岩手県陸前高田市や宮城県名取市では、危険を知らせる赤色灯とサイレンが防災行政無線に付加されています。赤色灯による視覚への周知は、情報格差がある聴覚障害者への周知にも効果があります。宮城県塩釜市では、震災時停電となり、2日間で防災行政無線のバッテリーが切れてしまい、その後の余震の情報を流せなくなってしまった経験から、充電なしで5日間対応できる大容量のバッテリーに増強しました。また、宮城県亘理町では、日照がなくても最長5日間は使用できる蓄電機能つきの太陽光発電機を防災行政無線に付加しました。被災地の事例では、このバッテリーの課題に対しての取り組みは多く見受けられました。
震災時、1人の死者も出さなかったことにより全国より注目された茨城県大洗町は、住民に「避難せよ」と呼びかけた屋外の防災行政無線同報系と連動して、室内で聞くことができる戸別受信機を全世帯に配付していました。屋外スピーカーでの周知の限界を補完する取り組みですが、震災時の死者ゼロの結果から効果は実証済みです。防災行政無線のデジタル化に当たり、従来のアナログと変わらない音声だけの放送では、多額の設備投資を要してもデジタル化の効果はあまりないと言えます。区として防災行政無線のデジタル化に当たり、どのような対策が必要であるのか、そのためにはどのような機能を付加していくべきなのかを見きわめ、整備を進めていくことが肝要です。
以上の例示が提案であり、質問事項となりますが、絞って伺います。
まず、防災行政無線の同報系のデジタル化は進めなければならない課題です。とはいえ、整備に時間がかかるため、現在のアナログ防災無線の「聞き取れない」に少しでも対応するため、電話による音声自動応答サービスに加え、防災行政無線の放送内容を区の防災メールでも配信する能動的な周知や、区のホームページによる周知をすべきと考えますが、伺います。
これは後ほど述べますが、デジタル化の際には連動した取り組みができます。
次に、文字による情報伝達、電子掲示板、デジタルサイネージを導入すべきと考えます。事例は挙げませんでしたが、たくさんあります。文字は、発信された後も音声と異なり残ります。人の往来の多いところや人の集まるところへのデジタルサイネージの設置は非常に効果が期待されます。聴覚障害者への支援策ともなります。ぜひとも導入すべきと考えますが、お伺いします。
次に、場所の選定や調査について伺います。
どのような機能を導入するのかによって、おのずと場所の検討が必要となります。現在の設置場所がデジタル化の機能にふさわしいこととなるのか、検証が必要となります。機能の選定とともに設置場所の検証をすべきと考えますが、伺います。
次に、停電時にも数日間は対応できるように蓄電タイプやバッテリーの容量をふやすなど検討し、停電時の対策を強化すべきと考えますが、伺います。
次に、屋外のみならず、室内でも聞くことができる戸別受信機の検討をすべきと考えます。戸別受信機の購入についての助成制度も含め、検討をすべきと考えますが、お伺いします。インターネットを使えない情報入手経路の少ない高齢者等への情報周知という意味でも効果が期待されます。
次に、区は災害時の情報を区民へ周知する伝達経路として、防災行政無線同報系、ケーブルテレビのテロップでの案内、区のホームページ、防災情報メール、エリアメール、Twitter、Facebook、そして巡回広報など、幾重にも伝達経路の拡大に取り組んできました。情報の伝達経路を多く設けることは大事な取り組みですが、一つの作業でより多くの伝達経路への一斉発信ができるように連動したシステムを組むことが大切です。
被災地の職員の手記の中に、震災時、さまざまな情報伝達のための準備中、エリアメールの発信の作業中に停電が起こり、断念せざるを得なかった。祈るような思いでTwitterを発信したとあり、一つの作業でより多くの伝達経路への一斉発信ができるようにする教訓が述べられていました。発信作業の連動、簡素化、併せて休日夜間の対応も含めた24時間365日の体制を検討すべきと考えますが、伺います。
最後に「いざというときに災害時の情報をどのように入手できるのか」を区民の皆様に啓発すること、関心を持っていただくことは大変重要です。区として災害に強い情報のライフラインを構築するとともに、情報伝達の方法や情報取得方法の周知が必要であると考えますが、伺ってこの項の質問を終わります。
次に、防災に関連して、公園等整備について伺います。
区は現在、CO2の削減と行政コストの削減を目指して区内約1万6,000基の街路灯の全てをLEDへと転換中です。5年間の転換計画は本年度が最終年であり、完了すればランニングコストとして毎年約9,000万円の削減ができるとの試算です。町中の全ての街路灯がLEDとなった事例はなく、中野区が国内初の事例になるのではないかと思われます。
また、現在改定作業中である中野区環境基本計画第2次アクションプログラム(案)の中には、区役所のCO2の削減のため、区有施設の照明器具の更新工事に併せ、LEDランプの導入を促進し、照明電力の削減を図る旨が示されています。公園施設等の整備についての記載は示されていないのですが、公園施設等の園内灯について、先ほど防災行政無線の項で例示した災害時にも点灯する蓄電タイプの園内灯にすべきと考えます。大規模防災公園には太陽光パネルの付加されたものが設置されていますが、ごくわずかでしかありません。
また、桃園川緑道を含む公園内の園灯については、エバーライト等の省エネ効果のある照明が設置されていますが、これもわずかです。商品開発が進み、既存の街路灯のポールをそのまま活用し、ポール内にバッテリーを納めるタイプが登場してきました。従来の停電時でも点灯する街路灯とコストを比較した場合、約半分から3分の1のコストに抑えることができます。主要な公園施設等を絞り込み、停電時でも点灯する蓄電タイプの園内灯を導入すべきと考えますが、伺います。
次に、別角度からの公園整備について伺います。
東京都保健福祉局が過日の7月23日に発表した「都内の保育サービス利用状況」から、23区全ての区で保育サービス利用児童数が増大していることが改めてわかります。就学前人口の増加、両親の共働きの定着も相まって、この傾向はまだしばらく続くと見られています。
各区は、待機児対策のため施設整備や情報提供に努めていますが、保育士不足の問題などがあります。保育園を新たに誘致する場合、園庭が確保できなくても、近くの公園等を活用できれば基準を満たすこととなります。先日、同僚議員とともに新しく開設された区内の認証保育園に視察に行ってまいりました。懇談の際に、園児が安心して遊べる公園遊具の整備の要望がありました。保育園の誘致計画を鑑みての公園の施設整備計画が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
また、そもそも中長期を見据えての公園の長寿命化ともなる施設整備計画の策定が必要と考えますが、お伺いし、この項の質問を終わります。
次に、高齢者等の住みかえ支援について伺います。
高齢であるとの理由から、賃貸物件の契約に結びつかないとの相談を多く受けます。契約に結びつかない理由の一つに、家主として高齢者が体調を崩されたときの心配があります。身寄りのない高齢者の住みかえを応援する意味からも、24時間365日の見守りとして、都のシルバー交番制度を活用した慢性疾患を要件としない緊急通報システムを区として本年4月からスタートしたことにより、高齢者の住みかえ支援にも寄与できることとなりました。
もう一つの理由として、家主としてお亡くなりになった際の心配があります。具体的には葬儀費用や残された家財道具の整理等の原状回復費用についての負担の問題です。
葬儀費用や家財整理費用を扱う民間の保険商品はあるにはありましたが、非常に掛け金が高いものでした。公益財団法人東京都防災建築まちづくりセンターの安心居住制度も費用が安価とは言えません。しかし、この一、二年で大きく状況が変わってまいりました。他の保険商品を扱う民間事業所の参入です。火災保険を扱う損保会社が、火災保険と同時契約の特約として家財整理や葬儀費用をパックとした保険商品を扱い始めたり、家賃の債務保証を行う保証協会が同じく同時契約の特約として家財整理や葬儀費用を保証する保険商品が登場してきました。家主が契約する場合と、借り主が契約する場合の双方の契約ケースがあります。
さらに、民間事業者の参入がふえたこともあり、価格が以前と比べると下がってきました。生活保護受給者の場合、葬儀費用は上限があるものの、保護費の中から法内支援として給付されます。家財整理費用や原状回復のための費用は給付されず、家主の負担となっています。生活保護受給者の家賃は現物給付のため、原則滞納が起こらず、家賃の債務保証が不要なため、家賃の債務保証と同時に扱う保証会社の家財整理保険の加入は難しいと思います。
一方、物件の賃貸契約の締結時、生活保護受給者である場合、物件の火災保険の加入料は保護費から法内支援として支給されています。同時契約の特約としての家財整理保険に加入した場合、保護費の法内支援で給付が可能となるのか伺います。
生活保護法の制度運用のため、全国一律の見解が必要となりますが、火災保険のパック商品として家財整理保険が扱われていることや、家主の費用負担を取り除くことにより、高齢者等の住みかえ支援につながる点を考慮して、保護費の法内支援が難しい場合、区として独自の支援策を検討すべきと考えますが、御見解を伺います。
次に、生活保護受給者でない高齢者の住みかえの場合、保証人がいない等の理由で住みかえが困難な高齢者世帯や障害者世帯に対し、区と協定を締結した民間債務保証会社の債務保証サービスを利用した場合、その費用の一部を区が助成する制度があります。家賃の債務保証制度に加入する場合、費用負担を助成する制度です。
一方、物件の契約締結時の火災保険の加入に対する助成制度はありません。生活保護受給者とそうでない高齢者の支援をする助成制度に異なりがありますが、高齢者の住みかえ支援のため、区として支援策のあり方を検討すべきと考えますが、御見解を伺います。
いずれにせよ、高齢者の住みかえ支援を推進するため、まだ新しい制度であるからこそ、積極的に相談に応じる周知対応が必要であると考えますが、伺い、この項の質問を終わります。
次に、環境施策について、ペットボトルの破砕回収機によるポイント制度について伺います。
本年4月1日より、区内9カ所のスーパーに設置されているペットボトルの破砕回収機にペットボトルを投入することにより、ポイントがもらえる制度がスタートしました。ペットボトル1本につき2ポイントに換算され、たまったポイントは500ポイント単位で50円相当のお買い物券や店舗独自のポイントに交換できる制度です。かさばるペットボトルを細かく砕き、容量を8分の1に減少させることにより効率よく回収できます。一度に大量のペットボトルを回収、運搬できるため、CO2の排出削減の効果があります。昨年の同時期と比較すると、破砕機での回収量は約2倍になっていると聞きます。
他方、集積場でのペットボトルの回収量自体もふえ続けており、杉並区にある中間集積所に持ち込める1日当たり5トンまでの取り決め枠いっぱいになりつつあると聞きます。
また、費用面では、破砕機による回収方式のほうはポイント還元分を含めても回収コストを抑えることができるとも聞きます。ペットボトルのポイント制度をさらに普及させるために、破砕回収機を来年度は10台増設の予定ですが、区民が身近で利用できるように、さらなる増設を図るべきと考えます。場所についても、現在設置されているスーパーの店頭への増設を進めるとともに、区有施設等に設置するなど検討すべきと考えますが、伺います。
また、集積所によるペットボトルの回収量自体がふえています。特に夏季の飲料水の需要増から回収が追いつかない状況と伺いました。さらに、東京ルールスリーの実行により、平成27年にはコンビニ等の店頭に設置されているペットボトル回収ボックスが撤去されることとなります。ペットボトルの回収量がさらにふえることとなると考えられます。ペットボトルの破砕回収機の増設を進めるとともに、7月、8月の夏季対策車両の増車を図るべきと考えますが、伺ってこの項の質問を終わります。
次に、ペットとの共生について、ペットの同行避難について伺います。
本年の6月、環境省は、災害発生時、飼い主の責任によるペットとの同行避難を原則とする位置付けを初めて行った「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を公表しました。
これまでの大規模災害の経験から、飼い主とペットが同行避難することが合理的であると考えられるようになってきている。同行避難のためには、飼い主の日ごろからの心構えと備えについて具体的な検討が急務とし、飼い主の責任と啓発の必要性にも触れられています。自治体や現地動物救護本部等が大規模災害時に動物救護対策をどのように講ずるかは、動物愛護の観点だけでなく、被災者である飼い主の避難を支援し、放浪動物による人への危害防止や生活環境保全の観点からも重要な課題であるとし、そのための自治体の役割が大きく、検討すべき課題が多々触れられています。
環境省は、自治体等が地域の状況に応じた独自の対策マニュアルや動物救護体制を検討する際の参考となるようにガイドラインを作成したとしています。区としてガイドラインを参考に具体的なマニュアルの作成や平時における飼い主への啓発、また区民への周知など、どのように取り組まれるのかをお伺いし、私の全ての質問を終わります。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 白井議員の御質問にお答えをいたします。
防災行政無線の内容のメールの配信についてであります。防災行政無線の内容については、電話による音声自動応答サービスのほか、現在でも必要なものはホームページやメールマガジン等で送信をしているところであります。今後そういった対応の体制についてより一層充実強化をしてまいります。
それから、文字情報の配信であります。
デジタル化によって可能になることになる文字による情報伝達、電子看板等の御提案でありました。 防災行政無線による音声の利点と、それから文字情報の利点、これを考慮いたしまして、他の情報発信方法も含めてデジタル化ということをとらえて積極的に活用していきたい、このように考えております。
それから、固定系のスピーカーの場所の検討ということについてであります。
防災行政無線の拡声器の位置は、おおむね区内均等に配備されるように設置をしております。周囲の建物の状況などから移設した場合もありますが、音の達する状況を調査して移設をしておりますので、必ずしもデジタルサイネージの文字情報を意識した配置とはなっていない、これが実情ということであります。文字情報を発信していくということになれば、その機材のあり方や配置場所について検討していくことが必要となると考えております。
それから、蓄電タイプやバッテリーの容量をふやすなどの対策を強化すべきということであります。
防災行政無線のスピーカーのバッテリーは、使用の有無にかかわらず劣化をするため、現行のバッテリーも計画的に更新をしているところであります。現状のもので現行の機能は果たせると考えておりますが、新規システムを導入する際にはそうしたことも十分に配慮して検討していきたい、このように考えております。
それから、戸別受信機の配置、個人宅への配備についての御質問であります。
戸別受信機というものを区内全戸に配備するということは考えておりません。防災関係機関や防災会リーダー等への配備については現状を踏まえ、他の情報発信方法の有効性も検討しながら、どういった形で配備していくべきか考えていきたい、こう考えております。
それから、デジタル化によって可能になる防災行政無線の同時発信システムについてであります。
防災行政無線の緊急放送を瞬時にメール等の他の情報発信方法と連動させることのできるシステムがあることは承知をしております。こうしたシステムの導入についても検討してまいりたいと考えております。
それから、区民に情報発信手段を周知していくことが重要だといった御質問がありました。
災害時の情報の取得手段の充実と区民への周知、これは大変重要な課題であると認識をしております。またホームページ、防災情報メール、緊急速報メールといった手段で情報を取得することができない、こうした方々にもさまざまな情報伝達が行えるよう、区で巡回広報や防災行政無線などの適切な活用、こうしたことについて今後検討してまいります。
それから、公園整備にかかわることであります。災害時に対応できる園内灯の整備について、災害時に停電した際、点灯する公園の街灯の設置は、広域避難場所となる公園や幹線道路沿いにある公園、また、日ごろから利用者の多い公園などでは特に入り口付近で有効であると、こう考えております。機種や機材の特性をよく調査し、今後どのような形で充実していくか検討してまいります。
それから、保育園児が遊べる公園遊具の整備についてであります。保育園の整備状況などを勘案し、関係部署や関係者の意見を聞きながら公園施設の更新時に公園遊具の整備について検討してまいりたい、こう考えております。
公園の長寿命化計画です。公園施設については、平成21年度に遊具やトイレを中心に長寿命化計画を策定したところです。平成24年度には国から新しい策定指針の案が示されております。こうしたことから、現在この指針に基づいて改定作業を進めているところであります。
私からは以上です。
〔健康福祉部長野村建樹登壇〕
○健康福祉部長(野村建樹) 単身高齢者が賃貸物件に入居することに抵抗を示す家主が多いと。こうした高齢者の住みかえ支援が必要ではないかという御質問のうち、私からは生活保護での取り扱いについてお答えをいたします。
現行生活保護制度では、家財等の整理費用を対象とした保険料、これを保護費として支給することはできないこととなってございます。なお、保護を受給する単身高齢者が死亡し、他に頼るべき近親者や縁故者がいないなど、真にやむを得ない事情がある場合、現在でもその後処理につきまして区で対応している事例がございます。
〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕
○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、高齢者の住みかえ支援に有効な保険制度の普及啓発についてお答えをいたします。
区では現在、高齢者の住みかえ支援として賃貸借契約締結の際に必要な保証人にかわるものとして、民間の保証会社を御紹介し、その保証料に対する助成を行っているところでございます。入居後の万が一の事態に備えた保険制度につきましては、区として保険料負担に対する支援を行う予定はございませんが、保険の価格や補償内容等を精査し、利活用が可能な優良商品につきましては、その普及啓発について取り組んでまいりたいと考えております。
次に、ペットとの共生について、同行避難の御質問にお答えをいたします。
避難所へのペットの同行避難につきましては、地域防災計画の中でも記載しており、現在避難所ごとの避難所運営会議で対応を検討しているところでございます。今後も地域の理解を得ながら推進していく考えでおります。同行避難を円滑に進めるためには、飼い主に対しての避難所で使用するケージなど、日ごろからの備えや発災時に備えたペットのしつけ等の普及啓発が大切であると考えております。周知内容や方策につきましては、獣医師会等の関係機関の協力を得ながら検討してまいりたいと思っております。
〔環境部長小谷松弘市登壇〕
○環境部長(小谷松弘市) 私からは、環境施策につきましてお答えをいたします。
初めに、ペットボトル破砕回収機の設置推進についてでございます。破砕回収機によりますペットボトル回収につきましては、ポイント付与があるなど区民の利用拡大の啓発に努め、増設を目指したいと考えてございます。この破砕回収機の設置につきましては、従量制による契約となってございまして、回収量が多ければ多いほどその回収単価の低減も期待できるというものでございます。そのため、区民にとりまして日常的な利用の利便性が高いスーパーの店頭に設置しているというものでございます。今後の増設に当たりましては、スーパーの店頭だけではなく、このような条件を満たすところへも設置の検討を行ってまいりたいと思います。
次に、夏季のペットボトル回収量増への対応についてでございます。
ペットボトルの回収量につきましては増加傾向にございますが、現状といたしましては対応できているというところでもございます。今後につきましては、ペットボトル飲料の需要がふえる夏季におきまして、特に回収量の増が目立つ地域への対応につきまして回収量の地域差、それからまた季節差などの実態に合わせて車両数を増減させる傾斜配置の可能性なども含めまして、さまざまな工夫を検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(伊東しんじ) 以上で白井ひでふみ議員の質問は終わります。
議事の都合により、暫時休憩いたします。
午後2時28分休憩
午後2時50分開議
○議長(伊東しんじ) 会議を再開いたします。
この際、申し上げます。
議事の都合上、会議時間を延長いたします。
一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 岩 永 しほ子
1 区長の政治姿勢について
2 2012年度決算について
3 保育問題について
(1)待機児童対策と保育新システムについて
(2)保育料について
(3)その他
4 教育施策について
5 地域経済の活性化について
6 弥生町まちづくりについて
7 その他
○議長(伊東しんじ) 岩永しほ子議員。
〔岩永しほ子議員登壇〕
○42番(岩永しほ子) 2013年第3回定例区議会本会議におきまして、日本共産党議員団を代表いたしまして質問を行います。
最初に、区長の政治姿勢についてお伺いをいたします。
安倍首相は、アベノミクス効果によって「景気は上がっている」と述べていますが、本当にそうでしょうか。総務省の労働力調査によれば、ことし4月から6月の雇用者総数は1年前より正規雇用は53万人減り、非正規雇用は106万人もふえ、役員を除く雇用者の36%以上を占めていることになりました。従業員1,000人以上の企業では2.5倍と大企業ほど急増し、アベノミクスで加速していることがうかがえます。成長戦略でさらに派遣労働の規制緩和を進めようとしています。
厚生労働省公表の労働経済白書は「特に若年層で非正規雇用労働者比率の上昇が顕著」と指摘しています。日銀調査の生活意識に関するアンケート調査では、物価上昇に8割以上が「困る」と回答し、アベノミクス効果で目指した2%の物価上昇を望んでいない国民が多数ということになります。区長は、アベノミクス効果により景気が回復することで景気の好循環が起き、雇用や所得の増大がもたらされると期待する姿勢ですが、本当にアベノミクスで安定雇用の拡大と賃金は増額になるのでしょうか。見解をお聞きします。
安倍政権は「財政再建のため」と、来年4月からの消費税増税の結論を出そうとしています。消費税率の10%までの引き上げを「着実かつ円滑に実施すべき」と求めているのは経団連です。97年の増税では、消費税はふえても所得税や法人税は減り、50兆円あった国の税収は40兆円台に落ち込みました。この17年間では累計84兆円ふえたものの、税収が累計で190兆円以上も減少しています。内閣官房参与からは、予定どおり増税すると「かえって税収が下がる可能性もある」との発言がありますが、税率引き上げは財政再建のためどころか逆効果です。
また「社会保障のため」とも説明する一方で、要支援認定者を介護サービスから外す、70歳から74歳の医療費負担を1割から2割に引き上げる、年金を10月から段階的に2.5%減らす上「マクロ経済スライド」で毎年減額するなど、社会保障制度改悪のための手順を定めた「プログラム法案」を閣議決定し、各界から怒りの声が広がっています。
「デフレ不況」で国民の所得は減り続け、不安定雇用が増加している中で税率が上がれば物価も上がり、消費は目減りする。中小業者は価格に転化できず、赤字でも消費税は納入しなければならず打撃を受けると指摘されています。アベノミクスを評価しているという経済研究者でも、増税に対する景気対策として検討されている公共事業積み増しや法人税減税、投資減税より消費税率の増税延期のほうがずっといいとの主張です。政府与党内からも延期の声が聞こえ、各マスコミの世論調査では来年4月増税についての賛成は2割程度しかありません。「消費税増税には賛成」という人にも延期を求める声が広がっています。消費税増税の是非ではなく、この時期の増税はやめよという一点共闘を広げ、4月増税は中止すべきです。区長の見解をお聞きします。
災害対策について。
9月1日は関東大震災から90年目に当たり、区内2カ所で総合防災訓練が実施されました。政府の中央防災会議は防災や避難体制を強化することで被害を減少できるとの報告をまとめていますが、区内の被害を防ぐ対策の責任は区にあります。90年前とは比較にならないほど人口は増大し、人口密集地域が広がり、建物の高層化が進んでいます。主要道路沿道の不燃化や中高層マンションなどの耐震化が進められる一方で、木造住宅や雑居ビルの耐震化、防火がおくれていることへの対策が必要です。区は、弥生町や大和町の一部で都の不燃化プロジェクトの取り組みを進めようとしていますが、その他の地域の木造住宅の耐震化、不燃化をどう進めるのか。また、避難路の安全性を確保するには継ぎはぎが多く、構造の脆弱な道路の耐震化も重要です。整備計画を具体化すべきです。お答えください。
ことしの平和宣言では、広島市長が「威嚇によって国の安全を守り続けることができると思っているのか」と「政府が核兵器廃絶を目指す国々との連携を強化することを求める」と呼びかけました。長崎市長は日本政府が「核兵器の人道的影響に関する共同声明」の賛同署名を拒否したことを「被爆国としての原点に反する」と批判し「原点に返ることを求める」と訴えました。原水爆禁止大会で採択された「よびかけ」は、日本政府に非核三原則の厳守、「核の傘」からの離脱、被爆国にふさわしい役割の発揮を求めています。中野区の非核都市宣言は「核兵器のない世界」を求めており、ヒロシマ・ナガサキの苦しみを世界のどこにも繰り返させないため、平和宣言や世界大会の「よびかけ」を支持する立場をとるべきではありませんか。見解をお聞きします。
シリアに対し、米オバマ政権は「限定的で焦点を絞った攻撃」を示唆しました。米NBCテレビはアメリカ国民の軍事攻撃支持は42%、反対は50%と報道しています。パン・ギムン国連事務総長をはじめ各国からもさまざまな批判や反対の声が上がっています。ところが日本では自民党幹事長が「米介入を支持する」との発言をしました。今、安倍首相は「集団的自衛権」行使に暴走し、内閣法制局長官を集団的自衛権行使の積極容認派にすげかえてしまいました。歴代政府は、自衛権発動は「自衛のための必要最小限の実力行使」に限り、他国への武力攻撃を阻止するという集団的自衛権の行使はこの要件に当たらないと説明してきました。解釈改憲で「集団的自衛権」行使を強行しようとしていることに、歴代の内閣法制局長官はそろって「国会での議論の積み重ねを経て確立され、定着しているような解釈については、政府がこれを基本的に変更することは困難」と異議を唱えています。マスコミ各社が行った世論調査でも、集団的自衛権行使の賛成は3割台しかなく、反対は5割以上となっています。政権の都合で国会議論の積み重ねをほごにし、憲法解釈を変更することになれば、憲法の解釈が信頼できなくなります。憲法擁護を掲げる中野区の区長として、過半数以上の国民が反対している集団的自衛権行使に反対すべきではないでしょうか。見解をお聞きします。
区長は、原発再稼動について「安全基準に照らして判断されるもの」、「国内のあらゆる資源を活用すべき」との立場をとっています。しかし、政府が収束宣言を出した福島第一原発では高濃度汚染水はふえ続け、汚染水漏れは非常事態です。「原発事故当初から流出は続いていた。どの研究者も同じ見解だった」との指摘がありますが、東電は930個の汚染水タンクを2人で巡回監視し、個々のタンクには水位計も設置されていません。
安倍首相は「政府を挙げて全力で取り組む」との基本方針を決定しましたが、東電の破綻した対策の延長に過ぎず、体制も東電の「対応強化」を国が「確認」するものと指摘されています。「抜本的に」と言いながら、東電任せにしてきた姿勢は変わっていません。首相は汚染水の封じ込めを世界に公約しました。ならば、事故の収束宣言を撤回し、汚染水処理対策委員会が採用した凍土壁より粘土壁のほうが有効との意見があるように、国内外の英知を結集すべきです。そして、再稼動のための新規制基準づくりや安全審査を優先した原子力規制委員会・規制庁も申請された原発の再稼動は認めるべきではありません。区長の見解をお聞きします。
安倍内閣は交渉会合に正式参加したTPPの冒頭で「守秘義務契約」に署名し、交渉内容の説明をしないまま、年内妥結に向け政府間協議を続けています。交渉品目の9割を譲り、残りもどうなるか。「聖域なき関税撤廃」が前提ではないとの安倍首相の説明は欺瞞であったことが明らかになりました。経済主権が侵されていると言わざるを得ません。TPPに参加した場合、皆保険制度も対象となり、平均で1.3倍も高い値段でアメリカの薬を販売するよう求められ、薬代が上がります。自由診療の全面解禁が求められ、保険がきかない医療が拡大します。遺伝子組みかえ表示の撤廃や残留農薬、食品添加物の規制緩和により、食の安全が売り渡されます。農林水産業の崩壊で新たに350万人の失業者が生まれ、輸入増による一層の競争で雇用・賃金削減などで地域経済は疲弊します。国や自治体の事業・サービスの開放も対象となり、地元企業が仕事を失うことになりかねません。そして、外国企業が投資先の国や自治体の制度・施策で、例えば「学校給食などの地産地消」により不利益や損害を受けたと判断した場合、変更や損害賠償が求められ、国民や住民を守れなくなるおそれがあります。政府与党内にもいらだちが出ていますが、TPPで悪影響が認められても、もとに戻れないラチェット・ルールに縛られます。区長は参加やめよの立場に立てませんか。お聞きします。
次に、2012年度決算についてお聞きします。
この年度は、一般財源からの支出削減のために行った事業見直しにより、74事業で7億3,000万円余の財政効果を生み出そうとしました。そのため、区民のセーフティーネットであった入浴困難高齢者支援入浴が廃止され、代替事業は実施されず、入浴の機会を減らされました。生活保護世帯への法外援護一部廃止によって子育て世帯の負担がふえました。生活保護切り下げにかかわり、就学援助への影響が懸念されていますが、中野区はその先取りのように就学援助の基準を引き下げ、教育負担を重くしました。福祉タクシーに所得制限を導入し、障害者の行動機会を狭めました。
「厳しい財政」のはずが、決算値では歳入も歳出も史上最高額となっています。財調交付金の増、前年度をはるかに上回った高い不用額、国・都からの支出金増などで、当初予算で50億円の繰り入れを予定していた財調基金の取り崩しは15億円で済ませました。歳入歳出の見積もりの甘さが余剰金をたくさん出すことにもなり、全体の基金残高は441億円以上になりました。監査は、財政指標が厳しさを増した要因は、扶助費及び公債費が増となっているためであり、債務負担行為に基づく支出予定額も増加していると指摘しています。款別では、中野駅周辺の事業担当を組織化し、人の配置をふやした都市政策推進費の執行率が一番低く、不用額の割合が最多です。開発事業のソフト・ハードの面で十分精査できていなくても、まず予算確保ありきの姿勢がうかがえます。
結局、開発関連の財源をつくるための事業見直しとなり、切り捨てられた区民はたまりません。開発予算ありきを見直し、区民のセーフティーネットにまで踏み込む経常経費抑制は改めるべきです。見解をお聞きします。
区は歳入を厳しく見積もった上、一般財源の充当事業を650億円内におさめる経常経費抑制に固執しています。地財法3条の2は、あらゆる資料に基づいて正確にその財源を捕捉し、かつ経済の現実に即応してその収入を算定し、予算に計上しなければならないと定めていますが、それは住民福祉の増進に必要な財源を確保するためです。国は開発費にはお金を出しても、税と社会保障一体改革などにより福祉や教育などの支出は削減され、区は大きな影響を受けています。財調交付金では財政需要額がふえる傾向にあるのは当然ですが、23区は臨時的圧縮を行い、歳入は影響を受け、一層事業後退に拍車がかかります。実際の財政運営は国や都との政策、予算編成に左右されます。セーフティーネットにまで切り込まず、国・都との負担割合や支出金をふやすなど、福祉の増進に必要な財源を確保するため、国・都に求めるべきです。見解をお聞きします。
保育問題についてお聞きします。
最初に、待機児童対策と保育新システムについてお尋ねします。
4月1日付中野区の認可保育園待機児童は480人、新定義では147人でした。待機児童のために区が認可保育園増設に踏み出したことは評価します。しかし、賃貸マンション活用など「待機児解消加速化プラン」は保育新システムの先取りと言われ、企業が参加しやすく保育の民間開放をさらに促進すると指摘されているだけに、緊急一時的なものでなければなりません。現場からは、保育士と保育の質の確保が課題だと指摘されています。「プラン」の柱の一つになっている「小規模保育事業」の保育士配置基準は、国の子ども・子育て会議において、有資格者は5割あれば認可すると確定しました。
厚生労働省が報告した2012年中の保育施設における事故報告集計によれば、負傷事故は前年の75件が127件へとふえ、うち認可園では2件から6件へとふえています。死亡事故は14件が18件にふえ、うち12件が認可外施設で起きています。認可保育所の事故は、大規模化、民営化、定員増の詰め込み、職員の非正規化などが影響しているとの指摘がありますが、こうした事態に「保育所及び認可外保育施設における事故防止について」との厚生労働省課長通知が3月に出されています。待機児童をゼロにしたという横浜市では、認可園のうち企業立は26%になる中、電車が5分おきに走る高架下に保育園が設置されています。また、川崎市では企業立が30%になり、産廃の一時置き場の隣に設置される事態です。待機児童対策になるなら何でもよいわけではありません。事故が起きないよう保育士研修や集団での検証などでリスクを小さくし、子どもの命と育ちを保障することを最優先にした保育の質を向上させる責任は区にあります。見解をお聞きします。
区は、今以上の株式会社の参入を拡大せず、現在放置されたままの本郷保育園跡地を耐震化して保育園を開設するなど、区有地や施設、国や都の用地活用を真剣に検討して認可園を増設すべきです。見解をお聞きします。
区は2015年4月実施の子ども・子育て新システムのため「子ども・子育て会議」を設置されました。新システムについては、保育関係者だけでなく、研究者などからも反対の声が上がり、日本弁護士会も意見書を提出し、当初に削除されていた「市町村の保育実施責任」を児童福祉法に残させました。子ども・子育て支援法が施行した場合に発令される児童福祉法24条1項では、保護者が保育園の入所を求めれば、区はそれに応えて保育園に入所させる責任を負うとの規定をしています。保育所はこれまでどおり市町村の責任で実施され、保護者は区に申し込み、入所先が決定されて保育の提供を受けることになります。しかし、同条2項では、保育所以外の認定子ども園や地域型保育事業などで必要な保育を確保する措置を講ずるものとしており、その場合の利用は事業者と利用者との契約で決まります。子どもの保育を受ける権利に違いはなく、同じように保障されなければなりません。保育園に入りたくても入れないのは区に責任があるのですから、どの施設であろうと保育の実施責任を区が負うことに変わりはありません。見解をお聞きします。
区のスケジュールでは、12月までに延長保育や学童クラブなどの子ども・子育て支援事業のニーズ調査をすることにしていますが、提供される事業が今より後退することがあってはなりません。また、保育の必要性、必要時間の認定を受ける認定の仕組みづくりは来年5月ころにまとめる予定となっています。短時間保育と認定された場合、例えば親の仕事が午後からだと子どもは午後からの登園になるなど、子どもの生活時間がばらばらで生活リズムが崩れ、保育が細切れになるなどの問題が懸念されています。国が示すのは最低基準ですから、少なくとも中野区としては子どもの発達に必要な時間として、短時間保育は8時間以上とすべきです。お答えください。
保育料についてお聞きします。
区は、来年度から保育料を引き上げようとしていますが、国民の所得が減り続けている今、子育て世帯にとって打撃になります。特にひとり親家庭の半数が貧困層と言われ、区民も例外ではありません。区の保育園利用でひとり親家庭の児童は192人とのことです。値上げ計画を怒っている30代の女性は母子家庭です。昨年、月2,000円の定期昇給があり、ひとり親家庭支援施策の所得制限額230万円より1万7,000円を超えたため、児童扶養手当の1万円が支給されず、ひとり親医療費助成、上下水道基本料免除、都営交通費助成、粗大ごみ手数料免除などが活用できなくなりました。加えて息子は誕生日がきて3歳になったために児童手当が5,000円減額です。入りで1万5,000円減り、負担は月平均3,000円以上ふえました。この家庭はD4階層ですが、3歳クラスになり保育料が下がる予定でしたが、新たな所得区分分割によって値上がりするため、実質的な効果がありません。毎月の所得20万円にこれまでより減収・負担増の影響は2万円以上となるこの世帯にとって、保育料の値上げは生活維持の困難さに拍車をかけます。値上げ幅が最も大きく影響する階層は、3歳未満児の改定後の所得税1万5,000円以上3万円未満の階層で、85%以上です。この世帯層の給与所得額は、共働き、子ども1人では月11万円から14万円くらいです。子育て世帯の負担軽減は社会的に求められているところですが、この値上げ計画は子育てに逆行するではありませんか。見解をお聞きします。
値上げ計画では、認証保育所への保育料補助は新たな税の投入はせず、値上げした認可保育所保育料の範囲で賄うこととしていますが、弱い世帯に認証保護者補助金を支払わせようと言うのですか。認証保育所に入らざるを得なくしているのは、区が認可保育所をつくらないからではありませんか。児童福祉法が定める区の責任を放棄して、そのツケを認可保育園の保護者に回すのは全くの筋違いです。2年後には新システムによって保育料が変わる可能性もあります。今回の保育料値上げ計画は見送るべきです。お答えください。
次に、教育施策についてお尋ねします。
決算に見る学校の維持補修費の執行率は、小学校で94%程度、中学校は91%程度であり、小規模修繕費や校舎等営繕工事費を残しています。施設整備費では、小学校が校舎等営繕工事費を残しています。予算額は前年度より減っているのに改善されない状況があり、学校現場やPTAから出されている施設設備改善要望には毎年要求されているのに改善されていない学校があり「あったらなおいいね」ではなく「なくてはならない必要な事柄」だと中P連は改善を求めています。学校生活と授業に支障のある箇所の改善として、具体的に学校名で示されている雨漏り、黒板の改善、トイレの改善と増設、循環が悪いプールなど、抜本的な対応を求めます。お答えください。
校舎の老朽化が問題になり、文科省は学校施設の長寿命化を図る検討会を立ち上げています。区教委はこの夏休み中に再編対象校と築50年を迎えた学校施設調査を行いました。その結果によって、大規模改修や改築などの対策が立てられることになります。耐震化は実施されているものの、調査対象校以外に向こう10年以内に築50年を迎える学校は5校、築40年以上は8校あります。再編による統合校の施設・設備は新しくなっていますが、躯体としては40年、50年になる学校もあります。教育委員会として長寿命化の整備計画を持つべきではありませんか、お答えください。
次に、地域経済の活性化についてお聞きします。
区内企業・業者は住民として、また地域経済の核でもあり、この層が減少することは地域社会に大きな打撃となります。1999年、国は「中小企業基本法」で自治体にも地域振興の責務があることを明らかにし、2010年には中小企業憲章を閣議決定しています。区は地域経済の活性化政策を明らかにしなければなりません。その上では区の発注は地域の建設業者、労働者のみならず、金融機関や商工業、サービス業などを循環することで活性化につながっていきます。そうした中、今回の区発注工事における労務単価を引き上げを示したことを評価します。しかし、この引き上げ額から労働者に幾ら支払われるのかは事業者任せであり、実際に支払われたかは事業者と労働者間の問題として、区は関与しない姿勢をとっています。地域経済を活性化する上で、公共事業で支払われる税金が適正に執行されているか確認できるようにすることは必要です。その意味では「労働基準法や最賃法に従い、労使合意で実現されるべきもの」と民間任せにせず、公契約条例によって区発注事業の充実と品質を確保することは重要です。見解をお聞きします。
最後に、弥生町まちづくりについてお尋ねをします。
弥生町三丁目周辺における不燃化特区の取り組みは、都営アパート跡地を活用するコア事業と避難経路ネットワークの形成、不燃化促進などです。コア事業では、東京都が示す支援策によれば、種地は先行取得することとしています。区は都営アパート跡地を種地にと位置付け、活用方法は都と協議するとしていますが、どのような協議状況ですか。お聞きします。
関係する住民への支援策について、都市基盤部長は「不燃化特区の支援策は、費用対効果と地域実情に則し最も効果のあるものを選択、活用する」と答弁されました。都は既に支援メニューを示しており、区のスケジュールでは今の時期必要な支援策などの要項を整備するとしていますが、示されたのは財政支援のみです。権利者などへの直接支援に向けた取り組みはどのようにしているのかお聞きします。
2020年までに不燃化領域率を7割にする目的ですが、例えば避難経路ネットワークで6メートルにする新設・既存道路が8本あります。拡幅で立ち退きとか家屋の建てかえという問題が生じますが、沿道には高齢者や女性のみの世帯があります。この間もただしてきましたが、この事業によって追い立てたり、新たな負担が生じることがないよう対応すべきです。お答えください。
弥生町地域は東京都の防災重点整備地区に指定されています。区は昨年度から防災まちづくり説明会の開催やアンケート調査などに取り組んでいます。災害に強いまちにする場合、道路拡幅が中心で議論されますが、まちの様子に合わせた取り組みが必要です。例えば、一丁目の一部には狭隘道路が多く、京都市のように細街路や袋小路の建物不燃化制度や墨田区の避難経路協定のように区の支援も含め修復型の防災まちづくりを住民とともに検討することも考えられます。見解をお聞きします。
以上で質問を終わります。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 岩永議員の御質問にお答えいたします。
いわゆるアベノミクスの評価についてであります。金融、財政、成長戦略の三つの矢が機能することによってデフレから脱却し、景気が回復することによって経済の好循環が起き、雇用や所得の増大がもたらされる、この三つの政策の矢が機能すればということですが、雇用や所得の増大がもたらされると考えております。その成果が経済指標にもあらわれ始めているということについて、好感を持って受けとめているところであります。第四の矢と言われるオリンピック招致が実現したことで、今後経済への波及効果もまた生まれてくるものと考えております。
消費税の増税についてであります。
来年の4月については中止すべきという御意見でありました。消費税増税については、法の附則によって施行前に経済状況が好転していることを条件として実施することとなっている、このように承知をしております。したがって、政策効果や経済状況を見て政府が判断するものであります。
それから、不燃化10年プロジェクトに関連して、プロジェクト以外の地域での木造住宅の不燃化及び道路の耐震化等についての御質問がありました。
不燃化促進事業や木造住宅密集地域整備事業を実施している地域などにおいて、耐震性能が低い木造住宅を耐火、または準耐火建築物に建てかえをする際に、費用の一部助成を行っております。これらは地域全体として安全性を高めるという公益的な目的に基づくものであります。区道の舗装についてですが、これは設計基準に基づき適切な構造で施行しているところであります。区道の補修計画について、道路の劣化状況を見きわめながら計画的に整備を行っているところであります。道路の構造物である橋梁の耐震化はこれまでも実施してきておりまして、今後も昨年度策定をいたしました橋梁長寿命化計画に基づいて修繕工事を実施していく予定であります。
それから、ヒロシマ・ナガサキの歴史を繰り返さない立場についての御質疑であります。ヒロシマ・ナガサキでの悲劇を二度と繰り返させてはいけない、このように考えております。両市の宣言について、両市がそれぞれにさまざまな思いを託したものでありまして、真摯に受けとめているところであります。こうしたことに支持、不支持といった政治的な対応を行う考えはありません。
また、御指摘のありました世界大会におけるよびかけ内容については賛同できません。
それから、集団的自衛権の行使についての御質問がありました。
集団的自衛権の行使については、国においていまだ議論の途上にあると認識しております。我が国が専守防衛を前提として有効な防衛力を行使する権利を有する、このことは言うまでもないと考えております。その具体的内容の一つとして、集団的自衛権のあり方を議論することは重要だと考えております。議論そのものは国政の場で行われることであり、国民の正当な代表である国会議員の議論にも注目をしていきたいと考えております。
原発の再稼動についてであります。
原発事故対策については、国を挙げて全力を挙げて対策していかなければならない、このように認識をしております。原発の再稼動については、十分な検証やそれを踏まえた安全対策の再構築などが必要であり、これについて安全基準に照らした審査が行われ、安全と判断されることにより稼動するものと考えております。
それから、TPPの参加についてであります。
社会保障や将来の税負担を支えていけるように、国の経済の形を新しい時代に向けた形につくり直していく継続的な展望は必要であり、そのためにもアジア・太平洋の経済連携の中で基本的な自由貿易の枠組みを構築し、各国が公正なルールに基づく経済活動を行うことに参加することは不可欠だと考えております。
2012年度決算について、事業見直しと国・都への要望についての御質問であります。
事業の見直しに当たっては、事業の必要性や効率性、負担の公平性などの観点から、全ての事業を対象として点検を行っております。その上で真に必要な区民サービスの充実や基盤整備を行い、持続可能な区政運営を行っていく必要がある、このように考えております。
社会保障や各種手当など、国や都の責任において実施すべき施策については、財源の裏付けを含め、時代に則した制度設計を行い、自治体に負担が生じないよう、毎年度国や都に要望活動を行っているところであります。
私からは以上です。
〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 教育施策について、まず、学校施設の改善についての御質問がございました。
学校等からの意見や要望を踏まえ施設の改善に取り組んでおり、また、毎年実施している安全点検により、緊急度に応じて優先順位を設け、維持補修を行っております。今後も学校などからの意見や要望を踏まえ、効率的、効果的な対応を図ってまいります。
次に、学校施設の長寿命化整備計画についての御質問でした。
今年度実施している学校施設の調査診断結果を踏まえ、長寿命化など中長期の学校施設の整備計画の策定に取り組んでまいります。それ以外の学校につきましては、築後50年をめどに逐次調査を行い、計画をしていく考えでございます。
〔子ども教育部長髙橋信一登壇〕
○子ども教育部長(髙橋信一) 私からは、保育問題についてお答えいたします。
初めに、待機児対策と保育の質でございます。区といたしましては、保育施設の安定した運営がなされるよう、国や都が定めた基準を確保するだけではなく、質の高いサービスが提供できるよう事業者を選定しているところでございます。また、運営開始後も日常的な指導を通じまして保育の質や環境が保障された保育になるよう、しているところでございます。
次に、待機児対策における区、都、国有地等の活用についてでございます。
認可保育所はこれまで区立保育園の建てかえ、民営化の中で行う規模を拡大して定員をふやしてきたところでございます。区有地や国有地、都有地につきましては、保育施設を設置する地域や整備時期等の条件を踏まえ、活用できるものがあれば活用したいと考えてございます。
なお、旧本郷保育園につきましては、保育施設として面積が狭く、土地建物に関して耐震上問題があり廃止したものでございます。
続きまして、区の保育の実施責任についてでございます。
子ども・子育て支援新制度におきましても、認可保育所における保育は市区町村が実施することとされております。私立保育所につきましては現行制度と同様に区市町村が保育に要する費用を委託費として支払い、保育料の徴収を行うこととなります。また、その他の保育施設については保護者がみずから施設を選択し、施設と契約することになるため、認可保育所とは異なるところになります。全体として区は需要調査を含め、必要な保育や子育て支援の方策を計画的に確保する責務を負っているものでございます。それを着実に果してまいりたいと考えます。
続きまして、子ども子育て新制度におけます短時間保育利用についてでございます。
国の検討過程においては、親のフルタイム就労を想定した保育標準時間利用とパートタイム就労を想定しました保育短時間利用の2区分の保育必要量を設けることが予定されてございます。しかし、保育標準時間利用と保育短時間利用の制度の詳細につきましては、国が検討しているところであり、その状況を踏まえ、適切に対応していきたいと考えます。
続きまして、保育料の見直しによる子育て世代への影響についてでございます。
今回の保育料の見直しは、平成19年の税制改正を反映することで実質的値下げとなっている状態を解消することや、高額所得者層の応分の負担を求めるなど、適切に応能負担をしていただくためのものでございます。
なお、ゼロ歳児から3歳児未満につきましては、急激な負担増に配慮する必要もあることから、経過措置を設けることとしてございます。
最後に、認可保育所保育料の引き上げの見送りについてでございます。
保育料につきましては、在宅で保育を行っている保護者とのバランスとか、認可保育所や認証保育所等の利用者の負担のバランスをさまざま考慮する必要がございます。昨年度、中野区保育サービス利用者負担額適正化審議会の答申のとおり、認証保育所保護者補助金の見直しに当たっては、認可保育所保育料の見直しとの組み合わせによって財源を生み出し、税による追加負担は極力避けて進めることが必要と考えてございます。認可保育所保育料と認証保育所保護者補助金については、負担の公平化を早急に実施することが必要と考えているものでございます。
〔経営室長川崎亨登壇〕
○経営室長(川崎亨) 地域経済の活性化についての項でお尋ねがありました公契約条例の制定についてお答えをいたします。
労働者が適正な労働条件で働き、賃金の支払いが保障されるということは、労働基準法や最低賃金法などに従い、基本的には労使の合意により実現されるべきものと考えており、公契約条例の制定に取り組む考えはございません。
〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕
○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、弥生町まちづくりについての御質問にお答えいたします。
川島町アパート跡地活用の進捗についてでございます。川島町アパート跡地につきましては、避難道路の整備や道路拡幅に伴う代替地の確保など、地区全体の防災まちづくりに資する先導的な事業として位置付けており、早期の用地取得に向け、東京都と協議を進めているところでございます。
次に、権利者への支援についてでございます。
老朽建築物除却費助成や戸建て建てかえの際の設計費助成など、権利者への支援は都の不燃化特区制度に基づき区の要綱を制定し、区民等に周知を図り施行していきたいと考えているところでございます。
次に、避難道路の整備に伴う沿道居住者への対応についてでございます。
避難道路の整備方法につきましては、積極的な買収方法による整備も含め、検討を進めているところでございます。整備に際しましては、権利者の意向を十分に伺い、補償等についても説明し、生活再建が図れるよう努めていきたいと考えております。
最後に、不燃化特区以外の弥生町のまちづくりについてでございます。
弥生町三丁目周辺地区は特に早期の改善が求められており、不燃化特区として防災まちづくりを先行させることとしておりますが、それ以外の弥生町一丁目から四丁目地区においても不燃化特区の進捗を見つつ、引き続き地域の方々と防災まちづくりの検討を進めていきたいと考えております。
○議長(伊東しんじ) 以上で岩永しほ子議員の質問は終わります。
中野区議会議員 酒 井 たくや
1 災害時要援護者名簿と地域支えあい見守り対象者名簿のあり方について
2 児童虐待について
(1)児童相談所事務移譲について
(2)現状の現場での対応について
3 人事制度について
(1)メンター制度について
(2)その他
4 その他
○議長(伊東しんじ) 次に酒井たくや議員。
〔酒井たくや議員登壇〕
○27番(酒井たくや) 平成25年第3回定例会におきまして民主党議員団の立場から一般質問をいたします。質問は通告のとおり、そしてその他で1点お聞きします。
質疑に入る前に、8日早朝にオリンピック開催都市に東京が選ばれました。IOCのロゲ会長が「トーキョー」と発表した瞬間、日本中が歓喜の嵐に包まれました。プレゼンテーションを通じてオリンピック、スポーツが持つ可能性や希望、夢を感じ、そして世界で一番安全で安心できれいな都市東京で開催されることや、そして日本人であることに誇りを感じました。2020年オリンピック大成功を祈念し、質疑に入ります。
まず第1点目、地域支えあい見守り対象者名簿と災害時要援護者名簿のあり方について。
せんだって、地域防災住民組織連絡協議会が開かれ、区の防災担当から地域防災会へ災害時要援護者名簿の更新について情報提供がされました。従前から地域防災会へは災害時要援護者名簿登載者への実態調査の要請がありましたが、今回は支援を必要とする人に地域防災会の誰がどのように支援するのかを記入する個別支援計画の書類の作成などの具体的な提案がありました。地域としては、見守り支えあい名簿の活用との違いもわかりづらく、重複する作業の要請に「また区からのお願い」と困惑する声もありました。
災害時要援護者支援制度は、災害が発生したときに自力で避難することが困難な高齢者の方や障害者の方などにあらかじめ登録していただき、災害時要援護者名簿を作成し、地域の防災会の方たちが中心となって救援や支援に当たる仕組みで、区内全域の地域防災会が名簿を所持しております。見守り対象者名簿は、中野区地域支えあい活動の推進に関する条例に基づき、70歳以上の単身者や75歳以上の高齢世帯や障害者の見守り対象者名簿を支えあい活動に活用する町会・自治会から希望があった場合に提供しております。現在は区内の町会・自治会の半分強が名簿を所持しております。
このように、支援の手を差し伸べてほしい方は1名でも、災害時要援護者名簿と見守り対象者名簿、また、民生児童委員によるひとり暮らし高齢者調査等による災害時に支援が必要な方の名簿と、地域にいくつかの名簿が混在している状況であります。この制度の理解を進めなければなりません。
まず、見守り対象者名簿は町会・自治会に提供し、災害時要援護者名簿は地域防災会に提供されておりますが、町会・自治会イコール地域防災会であります。また、日常見守りが必要な方と災害時も支援が必要な方も重なっております。庁内では要支援者の情報をシステムの中で一元的に管理されていると聞いておりますが、地域への情報は一元化されておらず、この件に関しましては区としてもこれまでも課題としておりましたが、なかなか進んでいないのではないでしょうか。
見守り対象者名簿は約3万人が対象で、活用が区内約6割にしか広まっていない点、災害時要援護者名簿は約1,000人が対象で、区内全域であり、規模感が違う点、そして名簿の情報量の違いもあります。地域防災計画が修正され、災害時要援護者支援に係る情報を整備・把握し、一元化することが位置付けられました。両名簿のあり方と活用方法の交通整理を行わなければ、災害時に本当に支援が必要な方に支援が届かない場合もあります。名簿の一元化を含め、区としてはどのようにお考えなのかお聞かせください。
また、ことし6月には災害対策基本法が改正されました。改正内容の中には「住民等の円滑かつ安全な避難の確保のため、市長村長は高齢者、障害者等の災害時の避難に特に配慮を要する者について名簿を作成し、本人からの同意を得て消防、民生委員等の関係者にあらかじめ情報提供するものとするほか、名簿の作成に際し、必要な個人情報を利用できることとすること」とあります。この災害対策基本法の改正と区の災害時要援護者名簿との関係は、どのようになっているのかお尋ねいたします。
次に2点目、児童虐待についてお尋ねいたします。
全国の児童相談所が平成24年度に対応した児童虐待の相談件数は6万6,807件(前年度比6,888件増)で、過去最多を更新したことを厚生労働省が報告しました。調査を開始した平成2年度から22年連続で増加しており、初めて6万件を突破しました。厚生労働省は「住民の理解が進んで通報がふえたことや警察などとの連携が進んだ結果」と分析しておりますが、一方、児童相談所が相談を受けながら子どもが死亡した例も22件あり、最悪の事態を防ぐ取り組みの強化が課題と見解を示しております。
現場レベルでのきめ細やかな対応が求められる中、特別区区長会は児童相談所の区移管モデルについての中間報告をまとめました。内容は、23区が一律に都から児童相談所などの事務移譲を受け、各区が1カ所ずつ児童相談所と一時保護所を設置する内容で、11月には最終報告を決定する予定であります。せんだっての国と都議会への予算関連要望でも、児童相談所設置権限の特別区への早期移譲が盛り込まれました。
児童虐待件数、相談件数がこれまで増加の一途をたどっている中、現在の区部にある新宿・江東・品川・世田谷・杉並・北・足立の7カ所の児童相談所で対応するのには無理があります。相談件数も多く、大変に混雑しており、一時保護所も足りておりません。事務移譲に関しては大変に困難な問題が山積しておりますが、子どもたちを虐待から守るための早期移譲という区長会の姿勢は高く評価するものであります。
児童虐待は非常にデリケートな問題で、ケースも多種多様であります。迅速かつ細やかな対応が求められます。現状では都の児童相談所と区の子ども家庭支援センターの二元体制のはざまに落ちるケースもあり、時間のロスが生じ、迅速な対応ができない面もあります。このようなことを鑑みると、私自身も早期に児童相談所の移譲を行い、各区が1カ所ずつ設置することが望ましいと考えますが、それにはヒト・モノ・カネの問題がもちろんついて回ります。児童福祉法の改正によって、中核市でも設置が可能になり、現在全国では金沢市、横須賀市の2市が児童相談所を中核市では設置しております。その中の横須賀市では、児童相談所の職員体制は69名の職員が携わっているとのことです。児童相談所や一時保護所を設置することで職員の配置が必要となりますが、児童相談所は虐待以外の事業もやっており、それらを含めた事業を実施することになると、職員はかなりの増員が必要と考えます。この課題と区が進めている2,000人体制とのかかわりはどのようになっているのか。
次に、施設に関しては、児童相談所と一時保護所の規模感と整備にかかる財源はどれぐらいと見越しているのか。また、都区財政調整制度に関しても併せてお答えください。
最後に、現在の中野区の児童虐待への対応の体制でありますが、児童相談所は専任の児童福祉司を配置し、専門知識・技術を要する事例の対応や地域支援などを担う一方、区市町村の業務としては、児童相談に対応することを児童福祉法上で明確化し、児童虐待の未然防止、早期発見を中心に積極的な取り組みを位置付けており、児童相談所、子ども家庭支援センター、両者のはざまには法令上の役割分担があります。ただ、実務的には重なる部分も多いのが現状です。
中野区では、すこやか福祉センターにおいても子ども子育ての相談に対応しております。平成24年度、すこやか福祉センターで虐待や養育の対応をした子どもは103名、子ども家庭支援センターでは188名であり、児童相談所と子ども家庭支援センターとすこやか福祉センターで3層の対応になっている状況も否めません。江戸川区で2010年、小学1年生の児童が両親から暴行を受けた虐待死事件は記憶に新しいものです。こちらは区立小学校と子ども家庭支援センター、そして墨田の児童相談所がそれぞれ当事者意識を欠き、都区の連携不足が浮き彫りになる事件でありました。児童相談所の事務移譲まで、この3層で対応している状況の交通整理を図り、きめ細やかで迅速な対応がとれる体制を構築する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
次に、人事についてお尋ねいたします。メンター制度についてです。
メンターはもともと助言者という意味であり、年齢や社歴の近い先輩社員が新入社員や後輩社員の仕事における不安や悩みの解消、業務の指導・育成をすることを言います。中野区においても、このメンター制度を平成19年度より導入しております。対象は新入職員と管理職に昇任されたときのみです。悩みや不安を持つ職員は、新人・管理職昇任時だけでなく、幅広い層の職員も相談できるようなメンター制度の確立が求められるのではないかと考えます。
例えば、調布市では市の管理職昇任試験で女性の職員の応募が少なく、その要因として、チャレンジしたくても仕事と家庭生活の両立などの悩みが挙げられたそうです。職場の上司には年齢差や忙しさなどから相談しづらいという声もあるそうで、キャリア形成への障壁を取り除くため、このような相談にも対応できるよう、退職した女性管理職経験者を人材育成アドバイザーとしてメンターに任命しました。主に中堅となる係長職や主任職の女性職員を対象にモチベーション向上のためのアドバイスを行ったそうです。
制度の定着とともに、女性だけではなく、幅広い層からの相談を望む声から、この制度の拡充を調布市は引き続き行いました。職員自身がメンターを務める庁内メンターと、主に庁内メンターの相談相手としてアドバイスやサポートを行う外部メンターを民間のキャリアカウンセラーに委嘱する。それから、これまでのOB・OGの人材育成アドバイザーと合わせ、3種類のメンター制度を確立しました。女性メンターとしては、結婚や出産といった人生の大きなイベントを通じてワークライフバランスの確立に悩む女性職員に、育児をしながら勤務をしている先輩職員のアドバイスが役立っているそうです。男性メンターとしては、管理職として活躍している職員のほか、仕事と育児を両立している職員も選ばれ、男性職員の育児休業の取得もふえているそうです。各メンターのプロフィールが記されたシートも配付されており、仕事での苦労や困難が記され、自分に合ったメンターを選べる仕組みがあります。こうした相談者がメンター制度を活用して役に立った経験を、将来庁内メンターとなり、後輩職員に還元する連鎖の仕組みも生まれるはずです。庁内メンターはお金をかけずに人事考課や意識改革にもつながるものではないでしょうか。
現在、区として幾つかの相談窓口と制度がありますが、健康面やハラスメントなどの対象の相談窓口であります。また、メンター制度は新入職員、管理職昇任時のみが区では対象で、研修制度の延長である感が否めません。幅広い層がその時々の仕事場において多種多様な悩みがあることが容易に想像できる中、このような問題に対応でき、気軽に相談できるようなメンター制度の仕組みづくりも検討してはいかがでしょうか。パワーハラスメントの問題もありました。区の考えをお聞かせください。それにより、より効率的に先輩職員の貴重な経験とノウハウを連続して後輩職員に伝えることができるのではないでしょうか。
以上でこの項の質問を終わります。
次に、その他で1点、キッズプラザと学童クラブの民間委託についてお尋ねします。
現在、区は学童クラブに民間活力を活用し、サービスの拡充を図っているところであり、現在25カ所のうち、施設が単体である17カ所が民間による運営となっております。平成26年4月1日からはキッズプラザ併設の学童クラブも委託していくこととしており、キッズプラザと学童クラブの連携した運営体制を確保し、サービスの充実や効率的運営を図るためにキッズプラザの運営業務も民間委託する旨の報告が6月の子ども文教委員会であり、利用者への説明会もされているところであります。
委託を進める考え方としては、キッズプラザ開設順に委託を進め、学童クラブと同一事業者による運営で、まずは来年度よりキッズプラザ白桜、キッズプラザ塔の山の委託を開始し、順次進めていくという考えであります。私自身、民営化の流れを否定するものではありませんが、キッズプラザの民営化を順次進めるに当たり、今回の最初の転換の取り組みが重要だと考えます。実際に利用者への説明会が開かれましたが、幾つかの不安の声もあり、また、両学童クラブ利用者からは要望書も提出されている状況です。
まずは、学童クラブの委託に関してでありますが、区も現在17カ所を民間による運営を行っておりますが、それに関しては、併設する児童館等の館長が学童クラブ所長を兼務し、現場での状況を管理監督しておりました。この区のかかわりが一つの安心感にもつながっております。今回は、キッズプラザと併設の学童クラブを一括して民間委託するということで、キッズプラザ内には区職員が1人もいなくなり、管理監督する職員の配置も明確にされていない点に不安の声も上がっております。
また、キッズプラザ事業に関しては、放課後の子どもの安全で安心な遊び場として校庭や体育館を活用して展開する事業で、学校と地域の協力のもとで運営しております。開設当初は学校内に児童館が持つ機能を導入することに慎重な議論もありましたが、時間をかけての非常に丁寧な転換がなされ、また、現場の職員の大変な努力により、学校、地域、保護者から好評を得ております。こちらに関しても、区職員の今後のかかわりがどのようになっているのかの心配点があります。まずは、区はこれまでのキッズプラザの取り組みをどのように評価しているのかお聞かせください。
小学生たちが安全に安心して過ごすことができる遊び場であるキッズプラザ事業は、私は評価をしております。特に、地域と一緒になってさまざまな事業を展開していることは中野区の特徴的な取り組みでもある事業なのではないでしょうか。このあたりをしっかりと押さえ、民間に転換できるよう強く要望します。
また、転換後、民営化されてもキッズプラザは区の事業であります。サービスの質を維持・向上していかなければなりません。区が責任を持って関与する姿勢はどうなっているのか。かかわっていく区の職員のあり方を早急に示し、利用者、地域の不安を解消すべきであります。
所管の問題を乗り越え、近隣のU-18などから出張って民営化キッズプラザ・学童クラブにアプローチするような、いわゆる小回りのきく体制づくりを考えていただきたいと思いますが、御見解をお尋ねし、以上で全ての質問を終了します。ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 酒井議員の御質問にお答えいたします。
災害時要援護者名簿と地域支えあい見守り対象者名簿のあり方についてであります。現在は、見守り対象者名簿と災害時要援護者名簿の提供を行っているところですが、御質問にもあったように、見守り対象者名簿は町会・自治会等を対象に希望する団体にお渡しをしているというものです。災害時要援護者名簿についてはいわゆる手挙げ方式でありまして、防災会に名簿を渡して体制をつくっていただくということで交付をしております。いずれも目的が違うということもあり、また、全体を網羅できていないということもあるわけであります。しかし、これから必要になってまいりますのは支援が必要な方を網羅した基本的な名簿の作成、また、災害時要援護者に対して、必要とする方全てに対しての個別支援計画の作成ということであります。こうしたことをどのように進めていくかについて現在検討を行っているところであります。
災害対策基本法の改正によりまして、避難行動に支援を要する者に係る名簿の作成等については、新たに法的な位置付けがなされました。名簿の作成については、記載事項として氏名、生年月日、性別、住所、電話等連絡先、避難支援等を必要とする事由等について記載、または記録することが義務付けられております。
また、作成に当たって区で一定の基準を設け、必要な範囲で内部で保有する情報を活用し、災害時に支援が必要な者を把握することについても規定されております。現行の非常災害時救援希望者登録制度、手挙げ方式ですね。これに基づく災害時要援護者名簿についてもこの改正法による新たな名簿に置きかえていくことになる、このように考えております。
それから、児童相談所の移管についてであります。
特別区区長会で検討している特別区児童相談所事務移管モデルについては、児童相談所が事務移管された場合に対応する職員の配置や児童相談所や一時保護所の施設規模など、基本的な考え方を中間報告としてことし8月にまとめたものであります。中間報告で明らかとなった課題や施設整備の財源、都区財調制度への影響などについては、最終報告を経て23区全体での調整や各区対応で検討すべきものが整理されると、このように考えております。区といたしましては、最終報告を踏まえて必要に応じて検討を実施すると、このように考えております。児童相談所の移管については、私が副会長の時代に当時の東京都知事と協議をして合意を経たと。その後、実務的な協議に入ってなかなか進行しないと、こういうような状況でありまして、私としてはとにかくこの移管を着実に、かつ早期に進めていきたい、このように考えているところであります。
それから、現状の現場での対応についてであります。
子ども家庭支援センターは、児童の措置権限を持つ児童相談所と連携しながら、一方で中野区の学校や保育園、幼稚園など関係機関ときめ細かな連絡や情報共有を行い、児童虐待の対応を行っているところであります。また、虐待の予防や早期発見なども含め、地域に身近な相談場所としての役割をすこやか福祉センターが担っているところであります。児童相談所の移管が明確になった段階で、現在のそれぞれの担当の役割や機能がより活かされ、迅速でかつ機敏な連携のとれた対応ができるよう検討を行ってまいります。
私からは以上です。
〔経営室長川崎亨登壇〕
○経営室長(川崎亨) メンター制度に関する御質問にお答えをいたします。
中野区のメンター制度では、新規採用職員や管理職候補者等に仕事を通じてマンツーマンの指導を行っております。メンターになる職員は研修を受け、スキルを身につけた後に後輩職員の育成支援に当たっているところであります。このメンターは、能力開発に加え、職場の人間関係や将来のキャリアプラン等、幅広く相談に乗っているところでございます。
このメンター制度の対象とならない他の職員につきましては、職場の上司が中心となり相談に応じることを基本としているところでございます。しかしながら、職場では相談しづらいこともあると考えられますので、職員が必要なときに相談を受けられる方法について今後さらに研究をしていきたいと考えております。
〔子ども教育部長髙橋信一登壇〕
○子ども教育部長(髙橋信一) 私からは、キッズプラザの民営化についてお答えいたします。
初めに、キッズプラザの評価についてでございます。キッズプラザは、小学生が小学校の校庭や体育館など学校施設を活用し、学年を超えて交流などをしながら安心して過ごすことができる場であり、子どもたちのすこやかな成長に寄与していると考えてございます。利用者、保護者だけでなく、地域の育成団体からも高い評価を得ており、今後魅力的な事業を継続していきたいと考えてございます。
続きまして、委託後のキッズプラザについてでございます。
委託に当たりましては、事業者から毎月の月報に加え、委託事業者と連絡会を毎月開いたり、区職員が巡回を行うなど、区が運営状況を把握し、確認し、よりよい運営に向けて調整をしていきたいと考えてございます。
また、キッズプラザ運営委員会等の機会を通じまして、事業者が学校や地域と良好な関係を築けるよう、区が調整役を果たしていきたいというふうに考えてございます。運営について保護者、運営委員会の意見、要望を受けとめ、サービスの維持向上に努めていきたいと考えてございます。
○議長(伊東しんじ) 以上で酒井たくや議員の質問は終わります。
中野区議会議員 後 藤 英 之
1 電子行政オープンデータ戦略による中野活性化について
2 その他
○議長(伊東しんじ) 次に後藤英之議員。
〔後藤英之議員登壇〕
○8番(後藤英之) 平成25年第3回定例会に当たり、みんなの党の立場から一般質問をさせていただきます。
電子行政オープンデータ戦略による中野活性化についてお尋ねいたします。
まずは、2020年オリンピック東京開催、まことにおめでとうございます。
さて、先日9月9日、ほぼ同時にGDP改定値の上方修正が内閣府より発表されました。政府主導のもと、乱高下しながらも株高傾向は維持され、景気判断の指標の一つである機械受注も4月~6月期6.8%増、伸び率は過去2位と報じられています。日銀も9月5日景気判断を「緩やかに回復している」とし、上方修正いたしました。ただし、7月~9月期の機械受注は5.3%減との見通しも示されており、アベノミクスの3本目、成長戦略の具現化にますます期待がかかります。特に、ICT・コンテンツ産業を重点産業とする中野区として、政府が新IT戦略の柱とする電子行政オープンデータ戦略についてどうお考えか、その大枠を以下お尋ねいたします。
この戦略は、経済活性化や公共サービス向上などのために行政データを再度棚卸しし、二次利用可能な形で公開するという国家的なデータの社会的インフラ構築事業戦略です。2012年7月4日、政府のIT戦略本部より公表され、目的を次の三つとしています。一つ目は、行政の透明性、信頼性の向上。二つ目は、産学公等広範な主体による公共データの活用、官民の情報共有により、創意工夫された公共情報が迅速かつ効率的に提供され、多様なニーズへ対応できること。三つ目は、公共データを二次利用可能な形で提供することで市場での編集、加工、分析等の各段階を通じ、さまざまな新ビジネスの創出や企業活動効率化等が促され、経済活性化が図られる。また、国や地方公共団体でもデータの共有で業務の効率化、高度化が図られると説明しています。
ここで言うオープンデータは、機械判読可能で二次利用可能な形式で公開されたものとし、技術的にも汎用性、応用性のあるデータを示しているところが画期的です。中央、そして地方行政の有する細かく膨大に蓄積されたいわゆるビッグデータは、民間経済活性化と公共サービスの向上を同時に達成する形で、具体的には信頼性の高いマーケティングリサーチや公益的なアプリ開発等の材料として活用されると期待されます。
また、官と官、官と民等のビッグデータ同士を組み合わせることで商業的な、あるいはサービスとしての可能性がさらに広がり、市場を拡大、また新形成することも企図されています。オープンデータベースを構築し、活用する過程ではコストがかかります。例えば、区が保有する区内事業者情報、基礎的区民情報、施設情報等々、各分野でオープンデータにすることが有益な情報を再度棚卸しすることから始め、また、公開されるデータには適切な提供形式、保管ルール等が求められるため、新たな仕組みづくり、ルールづくり等を行う必要があります。市場のニーズや提供する情報の内容の精査も必要です。
ただ、行政データのオープン化により与えられる経済波及効果等の影響もまた大きいと考えられ、一部民間の試算では波及効果は5兆円とのものもあり、これはオリンピック東京開催の経済効果よりも大きい可能性もあるのです。データが機械判読可能で二次利用可能な形で提供されることで、これまでほぼ行政の負担からしか発信されなかったさまざまな行政情報が自律的に民間サービス化され、普及される可能性があります。行政の側から見れば、主体的な民活が自律的になされる状態です。結果、民間の新規事業開発等を加速させるとともに、区民生活がより便利になり、中長期的に行政の情報発信コスト等を抑制するという期待なども持てるのです。政府の電子データオープン戦略について区はどういう姿勢を持ってとらえられているかお尋ねいたします。
本年6月、政府発表の「世界最先端IT国家創造宣言」には、本年度中に各省庁のデータを横断的に検索できるデータカタログ試行版を立ち上げ、来年度に本格運用、さらに2015年度末までに他の先進国と同水準の公開内容を実現するとあります。非常に早いピッチで国のオープンデータ戦略は進行しているということです。3月発表の日本経済団体連合会「公共データの産業利用に関する調査結果」では、産業界は例えば公共交通情報、地盤情報、災害関連情報等のオープン化に関して特に期待が高く、それらニーズの高いデータの保有期間として1位に地方公共団体、2位に国土交通省、3位に総務省を挙げています。この戦略がいかに地方自治体保有データへの期待の上に立脚したものであるのかがうかがえますが、こうした期待についてどう考えますか。御所見を伺います。
また、自治体でもオープンデータ活用の動きは続々と始まっています。福井県鯖江市では、市内のトイレ情報を二次利用可能なXMLで公開。ほかにも避難所、AED等の位置情報を用いた民間による災害時避難マップ作成等の試みが行われています。鯖江百景などの観光情報、文化財情報、Wi-Fi設置場所、バス情報等も公開し、結果、例えばリアルタイムで地図と連動したコミュニティバスの運行情報を確認することなどもできるようです。
また、東京都交通局と交通事業者12社、東京大学大学院などで本年8月19日、首都圏の鉄道やバスなどの運行状況、駅、停留所、空港といった交通ターミナルの施設情報のオープンデータ化を推進する産学公連携組織として「公共交通オープンデータ研究会」を設立したと発表されました。住民ニーズ等により可能性はさまざまで、横浜市や千葉市等でも行政オープンデータ活用への取り組みがスタートしています。また、こうしたデータは第三者によって活用が可能であるため、さらなるデータの連携が今後起きてくると考えられます。
こうしたオープンデータの推進に関する先進自治体の取り組みについて、区としてどう受けとめられているのか、御所見を伺います。
私といたしましては、政府の動向を注視し、他の自治体先進事例を研究するとともに、まずは区としてどの分野の情報をオープンデータとしていくかを仮策定し、区民や事業者等との話し合いや研究の場を設け、その上で行政のどういうデータがどう使えるのか、目的や目標を具体化していくプロセスをつくることが第一と考えています。今でも中野区のホームページ上、あるいは情報公開の手続を経た上で中野区の情報はオープンになっています。
ただ、有意義だが埋もれており、実は利用価値の高いデータを発掘し、API等公開形式に汎用性を持たせ、オープンにしていくことが求められており、そうした新しい過程をつくる中で区民との相互理解も深まり、産学公連携の相乗効果と区民サービスのさらなる充実を果たしていくことができると考えています。その上で目的ごとの個別戦略を策定していくこと、また、サービス主体となり、経済を活性化させていく事業者に対するオープンデータ戦略の周知なども必要になってくると考えます。見解をお尋ねいたします。
いずれにせよ政府やほかの自治体、民間等による取り組みは既に始まっています。政府の戦略スケジュールと中野区での実現性、また、スピード感の兼ね合いをどう考えられますか。お尋ねいたします。
私は、オープンデータ戦略は公共サービスの量と質を結果的に格段に高めると考えているとともに、財政面にも経済面にも寄与する戦略で、社会全体としての費用対効果が高いと考えています。また、国、自治体、民間が一体となった取り組みこそ効果的であり、ICT産業を重点産業とする中野区こそ早目の取り組みを進めていくべきと考えます。御所見を伺います。
以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 政府の電子行政オープンデータ戦略に関連する御質問であります。行政のさまざまなデータを民間などが活用できるようになっていく、このことはICTの進展が社会にもたらす大きな恩恵の一つである、このように考えるところです。電子行政オープンデータ戦略は、公共データは国民共有の財産であるという認識のもと、公共データの活用促進を図るものであります。これによって国民生活の向上、企業活動の活性化等を図り、我が国の社会経済全体の発展に寄与することになる、このように考えます。地方公共団体においては、住民に身近な公共データを有していることから、オープン化への期待、これが高いものだと、このように認識をしております。戦略においても国の各府、省に限らず地方自治体等が保有する公共データについても対象とされていることから、適切に対応していく必要がある、このように考えております。
私からは以上です。
〔政策室長竹内沖司登壇〕
○政策室長(竹内沖司) まず、先進自治体の取り組みについてのお尋ねにお答えをいたします。
先進自治体の取り組み事例は、自治体の保有するデータを機械判読可能で二次利用が容易な形式でできるところから公開し始めている点など、区としても今後参考になるところがあるというふうに考えております。
それから、オープンデータ推進のプロセスと、さらにスケジュールについての御質問がございました。国が本年6月14日に決定をいたしました電子行政オープンデータ推進のためのロードマップによりますと、今後地方公共団体のデータ公開に関する考え方が整理をされて提示される予定でございます。そして、平成27年度末においては他の先進国と同水準のオープンデータの公開と利用を実現することとされているところでございます。区としては、こうしたスケジュールや手順を踏まえた上で具体的な取り組みを進めていきたいというふうに考えております。
最後に、早期の取り組みについてのお尋ねがございました。オープンデータの推進は、社会経済全体の発展に寄与すると認識をしております。国から示されます考え方を踏まえ、積極的に取り組んでいきたいと考えております。
○議長(伊東しんじ) 以上で後藤英之議員の質問は終わります。
お諮りいたします。
議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(伊東しんじ) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
次の会議は明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
本日はこれをもって延会いたします。
午後4時13分延会