平成16年02月23日中野区議会本会議(第1回定例会) 平成16年第1回定例会本会議第2日(2月23日)
1.平成16年(2004年)2月23日、中野区議会本会議場において開会された。
1.出席議員(42名)
1番  いでい   良   輔 2番  伊  東  しんじ
3番  佐  野  れいじ 4番  北  原  奉  昭
5番  久  保  り  か 6番  酒  井  たくや
7番  奥  田  けんじ 8番  近  藤  さえ子
9番  小  堤     勇 10番  大  内  しんご
11番  伊  藤  正  信  12番  きたごう  秀  文
13番  高  橋  ちあき 14番  高  倉  良  生
15番  やながわ  妙  子 16番  平  島  好  人
17番  むとう   有  子 18番  はっとり  幸  子
19番  長  沢  和  彦 20番  か  せ  次  郎
21番  山  崎  芳 夫  22番  小  串  まさのり
23番  若  林  ふくぞう 24番  市  川  みのる
25番  岡  本  いさお 26番  こしみず  敏  明
27番  飯  島  きんいち 28番  佐  伯  利  昭
29番  佐  藤  ひろ子 30番  来  住  和  行
31番  岩  永  しほ子 32番  篠     国  昭
33番  柿  沼  秀  光 34番  伊  藤  岩  男
35番  斉  藤  金  造 36番  大  泉  正  勝
37番  斉  藤  高  輝 38番  江  口  済三郎
39番  藤  本  やすたみ 40番  昆     まさ子
41番  江  田  とおる 42番  池  田  一  雄
1.欠席議員
      な  し
1.出席説明員
中野区長 田中 大輔
助役 内田 司郎
収入役 山岸 隆一
教育長 沼口 昌弘
区長室長 金野  晃
総務部長 石神 正義
区民部長 本橋 一夫
地域センター部長 柳澤 一平
環境部長 寺部 守芳
保健福祉部長 菅野 泰一
保健所長 清水裕幸
都市整備部長 石井正行
まちづくり調整担当部長 那須井 幸一
教育委員会事務局次長 山下 清超
政策担当課長 鈴木 由美子
総務課長 田辺 裕子
本会の書記は下記のとおりである。
事務局長 正木 洋介
事務局次長 飯塚 太郎
議事調査担当係長 大谷 良二
書  記 黒田 佳代子
書  記 巣山 和孝
書  記 永田 純一
書  記 長崎 武史
書  記 荒井  勉
書  記 西田  健
書  記 岩浅 英樹
書  記 鳥居  誠
書  記 佐藤 雅俊
書  記 松本 桂治
書  記 吉田 哲郎
 
 
 議事日程(平成16年(2004年)2月23日午後1時開議)
日程第1 第6号議案 平成16年度中野区一般会計予算
 
      午後1時01分開議
○議長(山崎芳夫) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
 これより日程に入ります。
 お諮りいたします。
 この際、本日の日程を追加し、日程第2、第26号議案及び第27号議案の計2件を一括審議するに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎芳夫) 御異議ありませんので、さよう議事を進行いたします。
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 第26号議案 指定管理者の指定について
 第27号議案 指定管理者の指定について
 (委員長報告)
 
○ 議長(山崎芳夫) 日程第2、第26号議案及び第27号議案の計2件を一括議題に供します。
 
平成16年(2004年)2月20日
 
中野区議会議長 殿
 
区民委員長 高倉 良生
 (公印省略)
 
 
議案の審査結果について
 
本委員会に付託された下記議案は、審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので、中野区議会会議規則第78条の規定により報告します。
 
議案番号 件    名 決定月日
第26号 指定管理者の指定について       2月20日
第27号 指定管理者の指定について       2月20日
 
○議長(山崎芳夫) 区民委員会の審査の報告を求めます。
     〔高倉良生議員登壇〕
○14番(高倉良生) ただいま議題に供されました第26号議案及び第27号議案の指定管理者の指定についてに関しまして、区民委員会における審査の経過、並びに結果について御報告申し上げます。
 第26号議案は宮園保育園に、第27号議案は宮の台保育園に、それぞれ指定管理者制度を導入するに当たり、指定管理者の指定について、地方自治法第244条の2第6項に基づき議会の議決を必要とするものです。
 指定管理者として選定した団体は、宮園保育園が社会福祉法人高峰福祉会、宮の台保育園がコンビチャチャ株式会社で、いずれも指定の期間は平成16年4月1日から平成26年3月31日までの10年間です。
 第26議案及び第27号議案は、2月19日の本会議において当委員会に付託され、2月19日及び同20日の2日間にわたって審査を行いました。
 まず審査の進め方として、第26号議案及び第27号議案を一括して議題に供した後、理事者から補足の説明を受け、その後、質疑を行いました。その主な質疑応答及び要望の内容を紹介します。
 初めに、事業者の選定基準は非常に詳細に定められているが、全部の項目について完全に調査を行ったのか。委員会には、調査結果をまとめた概要だけが示されたが、個々の項目ごとに調査結果を示すべきではないかとの質疑に対し、すべての項目について調査を行った。その結果を職員がそれぞれの専門の立場から評価し、集約して概要に取りまとめた。十分に信頼できると考えているとの答弁がありました。
 次に、ベテラン職員が配置されるような配慮は徹底されているのか。また、経験年数の少ない保育士などに対する研修体制はどうかとの質疑があり、経験を積んだ保育士を既存園から6人以上異動させ配置することになっている。また、それぞれ専門研修などを計画的に実施しているとの答弁がありました。
 また、管理者の指定は区の重要な決定事項であるが、財政状況の診断はわずか一人の税理士によって行われた。報告の内容も詳細な分析評価とは言いがたい。複数の税理士による判断が必要だったのではないかとの質疑に対し、本件については、法人会計、企業会計ともに精通している税理士による診断が必要である。そうした条件の中で適任者を選んだ。今後、10年程度の経営の安定性について診断をお願いしたとの答弁がありました。
 さらに、保護者は、保育士が定着せず頻繁にかわるのではないかと大きな不安を抱いているにもかかわらず、候補事業者が雇用している保育士の勤務年数の把握が極めてあいまいだ、どう判断しているのかとの質疑があり、応募のあった株式会社の職員の勤務状況について確認をしているが、御指摘のような頻繁な保育士の異動はなかったとの答弁がありました。
 次に、子どもたちが安心して保育園で過ごすには、保育士に期間に定めるのない安定した雇用形態を提供する必要がある。しかし、コンビチャチャ株式会社も人件費圧縮のため正規職員と言いながら1年ごとの契約としている。このような形態で保育士に勤め続けようという気概が生まれると考えているのかとの質疑があり、1年契約であっても、更新されながら勤務年数が長いというのが実態であるとの答弁がありました。
 また、今後の保護者への説明の予定はどうか。委託後の苦情処理体制についてはどう考えているのかとの質疑に対し、今月末に保護者へ事業者を紹介する場を設け、3月には事業展開についての説明を行いたい。委託後は区に苦情処理担当を置くとともに、区、事業者、保護者との三者協議の場を設ける予定だとの答弁がありました。
 次に、中野区の区立保育園がなくなるかのように記述したチラシが配布されているが、事実と異なり遺憾である。区は発行者に厳しく申し入れるべきではないかとの質疑があり、事実関係を調査して対応したいとの答弁がありました。
 また、事業者の選定は慎重かつ精力的に行われたと評価する。3月は年度末の行事で多忙な時期であるが、保護者の気持ちを十分に汲み、引き継ぎに遺漏のないよう対処してほしいとの要望がありました。
 以上が主な質疑応答及び要望の内容です。
 その後、委員会を休憩して本議案の取り扱いを協議した後、委員会を再開し、さらに質疑を求めましたが、質疑はなく、質疑は終結しました。
 その後、意見の開陳を求めたところ、1名の委員から、本議案の審査に限らず、重要な情報は要望されて初めて出すのではなく、区みずから速やかに提供すべきと考える。今後は、保護者のどのような事業者を選定したのか、どう保育の質が担保されていくのかなどの不安が払拭できるよう説明責任を果たされたい。中でも職員の雇用条件や配置人数、研修体制、第三者評価や自己評価を含めた事業評価の方法、苦情処理のシステムなどについては、具体的なわかりやすい資料により示されるべきと思う。今後、保育園のあり方を検討していく際にも、区は十分に説明責任を果たし、迅速な情報提供に努めねばならないことを意見として申し添えるとの意見の開陳がありました。
 他に意見の開陳を求めたところ、意見はなく、意見の開陳を終結しました。
 次に、討論を求めたところ、1名の委員から、本議案に反対の立場から、指定管理者制度の導入は性急に進められている。保護者から合意が得られていないことは、実施延期を求める署名が数万にも上ったことからも明らかである。区は民営化を既に経験していながら、その経験を何ら生かすことなくしゃにむに制度の導入を進めており、大変遺憾である。また、保育士の雇用条件を公務員の場合と比較すれば極めて劣悪な状況下にある。質疑の中で明らかになったように、区の保育園アルバイトの賃金と企業保育の給与はさほど違わない。こうした実態からは保育の質の低下が容易に推測できる。今後の中野の保育に大変な問題を引き起こすであろうことは明白である。また、区は七つの保育園を次々に廃止してきており、これが現在の待機児増加の一因となっている。区は保育園、保育士をふやす努力を怠っており、これはまさに地方自治体が担わねばならない住民サービスをみずから放棄する行為である。真正面から区民ニーズにこたえ努力することこそ自治体に課せられた責務と考える。以上のことから本議案に反対するとの討論がありました。
 さらに、討論を求めたところ、1名の委員から、本議案に反対の立場で、指定管理者制度の導入は、これからの中野の保育のあり方を大きく転換していくものである。保育のあり方を十分に議論する間もなく拙速に方向を変えていくものであり危惧される。多くの区民の方々から延期を求める声が上がっていることに一議員として耳を傾けていきたい。選定委員会による選定は適切でなく、軽率のそしりを拭いきれず納得できない。また、財政状況を示した資料や説明も不十分であり、中野の保育を今後10年間、安心して託せる事業者であるとは到底判断できない。以上のことから本議案には反対であるとの討論がありました。
 さらに、討論を求めたところ、討論はなく、討論を終結しました。
 そして、まず第26号議案について挙手による採決を行ったところ、賛成多数で本議案を可決すべきものと決した次第です。
 続いて、第27号議案について挙手による採決を行ったところ、賛成多数で本議案を可決すべきものと決した次第です。
 以上で第26号議案及び第27号議案に関する、区民委員会における審査の経過、並びに結果の報告を終了いたします。
○議長(山崎芳夫) ただいまの報告について御質疑ありませんか。
    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎芳夫) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。
 これより討論に入ります。
 長沢和彦議員、斉藤高輝議員、近藤さえ子議員、佐藤ひろこ議員から討論の通告書が提出されていますので、順次、通告議員の討論を許します。
 最初に、長沢和彦議員。
     〔長沢和彦議員登壇〕
○19番(長沢和彦議員) ただいま上程されました第26号議案及び第27号議案、指定管理者の指定についてに対し、日本共産党議員団の立場から反対の討論を行います。
 反対理由の第1は、本来、区が負わなければならない公的責任を後退させるものであるからです。中野区は他区に先駆けて産休明け保育を行うなど、長い年月にわたっての保護者・区民の運動、それにこたえるべく行政がともに力をあわせて制度を確立、充実してきました。子どもを真ん中において保育士・職員と保護者が子どもの豊かな育ちにとって何が大切なのか、そうした取り組みを進めながら中野の保育を築いてきたと言えます。
 ところが、今日、区立園での産休明け保育、延長保育のおくれが言われ、またそれを理由にして指定管理者制度が導入されました。待機児解消の課題も依然としてあります。しかし、その責任は、保護者・区民、そして職員や非常勤職員にあるのではなく、行政にこそ問われています。この間に七つもの保育園を廃止し、保護者・区民の願いに背を向けてきました。さらにたび重なる国、都による補助金のカットや制度改悪によって各自治体も大きな影響を受け、特に区立園の多い中野区は財政的に大きな打撃を受けてきました。本来ならば、区が区民の先頭に立ってこうした不条理をただすことが必要だったわけですが、先日の施政方針説明を伺っていると、国の言いなり、あるいはその路線を率先して進めていく決意だけが聞こえてくるようでもあります。ここには、子どもの豊かでそこやかな育ちをいかに保障するかの立場は見えてきません。
 今回のような保育の実施義務を怠るのは誤りであり、公的責任の後退は見過ごせません。
 第2に、余りにも突然で性急な進め方である点です。
 保護者・区民、そして職員からも、余りにも突然な指定管理者制度の導入に不安と不信が広がり、区職員組合が7万、中野区保育園父母連絡会は1万2,000、中野区立保育園を守る区民会議で1万5,000筆もの署名が短期間の中で集まりました。しかも、昨年の第4回定例会では父母・住民への情報提供と説明責任を求める陳情が採択されたにもかかわらず、この間の区の説明が到底理解と納得のいくものでなかったことは、新たな陳情で実施延期を求めていることで明らかでありませんか。既にその数も2万748筆に達しています。また、区への指導を求めた厚生労働大臣あての署名も1万3,723筆集まり、本日、この時間に厚生労働省に提出するとも聞いています。受託する事業者にばかりおもんばかって、保護者・関係者・区民をないがしろにするような進め方はやめるべきです。
 第3に、子どもの心に大きな影響を与えるのではと心配される職員の総入れかえ問題です。
 小学校就学までは選択した保育園で保育が保障されているにもかかわらず、しかもさきの民営化の際に再三にわたって保護者・区民から批判をされていたにもかかわらず、その上、今回は1年延期した前回と違って短期間で強引に押し進めようとさえしています。こんなことでどうして子どもの育ちを支えていけるというのでしょう。子どもの気持ちを踏みにじる行為として認めるわけにはいきません。
 このことは、現在、大阪・高石市や大東市、枚方市、最近では横浜市でも、保護者が民営化、民間委託を中止せよと提訴し、裁判で争われているほどの大きな問題です。それなのに一顧だにせず進めるのはとんでもないことです。
 第4に、非常勤職員の首切り問題です。
 財政が厳しいなど緊急的な対応であるならば、非常勤職員の一層の活用を真剣に検討すべきです。しかし、逆にこの機会をとらえて該当する2園ばかりか、すべての非常勤職員の首切りを行おうとしています。これが長年にわたって正職員とともに子どもの育ちを支え、一生懸命に力を尽くしてきた人たちへの態度でしょうか。ここでも父母との信頼関係を壊し、子どもの気持ちに寄り添うといった姿勢は微塵も感じられません。
 しかも、聞くところによると、解雇される非常勤の方々は不当解雇だとして中野区を裁判で訴えようとしているではありませんか。
 第5に、保育の質の低下が心配される点です。
 株式会社の保育園では、正規常勤ではなく短期契約の安い賃金の保育士を雇うことが明らかになりました。これは顔ぶれが年中変わり、子どもが安心できる人間関係は育ちません。
 大体、営利を目的とする株式会社は、委託費の中から株主の配当や役員報酬を生み出すことに努めます。このことは、いい悪いといった次元の話ではなく、株式会社の存在に規定される事柄です。人件費や給食費などを切り詰められた分が株主の配当や役員報酬に回されることになりますが、そもそも税金がそういう使われ方をしてよいのかといった疑問が残ります。保育という場にふさわしくない、なじまないという保護者・区民からの声が巻き起こるのも当然です。
 最後に、指定管理者の選定のあり方についてです。
 選定のチェックリスト104の大項目については、反映状況が余りにも簡素化され、報告はわずかA3用紙3枚だけです。選定委員会の資料が乏しく、これでまともな選定ができるのかと思わざるを得ません。
 しかも、延べ8事業者に対して、わずか2時間の検討しか行っていません。
 さらに、区民委員会では、安心・安定できる保育士の配置や雇用形態についての質疑がありましたが、区は答弁に窮すると、すぐ保育士の力量ややる気の問題にすりかえます。しかし、問題にしているのは、制度的なことであって、具体的な一人ひとりの保育士のことではありません。それでは、区が保育士の力量ややる気を選定のときに検討しているかといえば、そんな形跡は全くないわけです。本当に無責任としか言いようがありません。事業者がどうこうという以前に、区の選定の仕方が余りにもおざなりではないですか。
 今回の区立保育園への指定管理者制度の導入に続く管理者の指定は、中野の保育行政に大きな汚点を残すことになるでしょう。区長の施政方針説明では、今後も積極的に行う旨の話がありましたが、何の検証もなく、まして保護者、区民の合意もないまま株式会社の参入を導き、子どもを市場に投げ出すことが二重に公的責任を放棄するものであることをしっかりと自覚すべきです。
 私ども日本共産党議員団は、子ども一人ひとりの豊かな育ちを大事にする公的保育を守るため、今後も保護者、関係者、区民の皆さんと力を合わせることを申し上げ、本議案の反対討論とします。
○議長(山崎芳夫) 次に、斉藤高輝議員。
     〔斉藤高輝議員登壇〕
○37番(斉藤高輝) 第26号議案、並びに第27号議案、指定管理者の指定について、公明党議員団として賛成の立場から討論させていただきます。
 まず今回の議案の意味について、私の認識について話させていただきます。
 このたびの指定管理者の指定は、区立宮園保育園と宮の台保育園の2園を地方自治法及び中野区保育所条例の定めに従って管理代行させる重要なものであり、あわせて産休明け保育や区立としては初めての2時間の延長保育、このほか休日保育、年末保育といった保育サービスの充実を図ろうとするものであります。
 さらには、当該園の保育士の再配置を行うことによって、区立保育園では9園、定員180名にとどまっていた延長保育を一気に15園、320名まで飛躍的に来年度から拡充させるとともに、定数の弾力化により待機児解消も図っていくという計画も伴っており、その事業結果は大なるものがあると考えております。
 こうした認識の上に立ち、指定管理者の候補事業者について慎重に審議をしたところであります。
 次に、賛成の理由について述べたいと思います。
 候補事業者から出されている宮園、宮の台保育園に関する提案内容のうち、職員配置については、常勤保育士の数だけを見ても、中野区が産休明け保育実施園で1名上乗せ配置を行っているのと同等の数を提案してきており、延長保育については、現在の区立より常勤保育士の数が勝っているだけではなく、非常勤保育士がさらに加算された提案となっております。
 このように、常勤保育士はもちろん、非常勤保育士も合わせますと、区立より保育士の数の点で勝っております。
 加えて、コンビチャチャ株式会社については、延長のほか、保育士については、既存の保育園から異動により宮の台に配置するというように提案が具体的であります。社会福祉法人高峰福祉会においても、園長候補として既存の保育園の主任クラスを異動により配置するとともに、保育士も経営者の配置を提案しております。これらの提案は、非常勤やパートばかりになってしまうのではないかという保護者の不安を払拭できる大きな要因となると思います。
 また、保育内容については、高峰福祉会も、コンビチャチャ株式会社も、ゼロ歳から就学前までの一貫した保育プログラムを持っており、運営している保育園で実績を積んでおります。とりわけ保護者の方々の関心事であるアレルギーを持ったお子さんに対する食事の対応も、2事業者ともきちんとできており、2時間延長の食事もきちんとした夕食が提供されているとのことであります。
 障害児保育についても、職員の研修体制やきめ細かな提案は安心できる内容であります。この点については、区の保育士、看護師、栄養士などの専門職が現在、事業者が運営している保育園へ出向き、実地調査を行った結果でも立証されていると考えます。
 このほか、区が税理士に委託して行った経営診断結果においても、2事業者とも借入金もなく安定した経営が行われております。これは今後10年間、公の施設を管理代行させるのに重要な要素であります。
 また、トラブルがあったり、保護者の皆さんから疑問や要望があったりした場合の対応として、ことし4月から区に苦情相談窓口を設置し、苦情処理の担当を置くことが明らかにされました。さらに事業者と区と当該園の保護者の三者協議の場も設けられることになりました。
 以上、2事業者とも指定管理として安心して任せられる事業者と考えられ、区としても円滑な移行に配慮していくことが示されたことを理由に、本議案に賛成の討論といたします。
○議長(山崎芳夫) 次に、近藤さえ子議員。
     〔近藤さえ子議員登壇〕
○8番(近藤さえ子) ただいま上程されました第26号、27号議案、指定管理者の指定について、無所属の会として反対の討論をいたします。
 昨年の第4回定例会で中野区保育所条例の一部を改正する条例が可決され、保育園に指定管理者制度が導入されることが決まりました。保育園に通うたくさんの父母、職員が説明責任を求め延期を希望する中での短い時間で条例が改正されました。
 この決定に納得のいかない保育園の父母、区民は、中野区のやり方がおかしいことを訴え、署名運動、パレード、大集会と運動を続けています。そこには、保育園に通う子どもたちも参加しているのです。この状態で待ってくださいと訴え続けている人たちが新たに情報提供、説明責任を求め、事業者選定と引き継ぎが父母、住民の納得と安心のもとに行われるように、4月からの実施を延期してくださいという陳情が出ています。
 定例会は先週の木曜日に始まったばかりです。それがその当日に事業者を決定してしまうやり方では、余りにも乱暴で、行政に必死に声を届けている区民をないがしろにした行為です。
 区民委員会での多くの疑問、質問により審議に時間がかかり、上程された当日の事業者決定はなくなりましたが、きょう、この急いだ決め方に多くの疑問を残したまま、10年間、中野の子どもの保育を担っていただく事業者を決めてしまうことは、中野区のやり方、手法に疑問を投げかけることになるのではないかと思います。事業者選定のチェックシートも、初日の区民委員会で初めて検討され、傍聴にいらした区民には手にとって見ることもできていません。事業者を決めてしまう前に情報公開を求める区民に対して、事業者何社かの候補を挙げニーズを伺うなど、もう少し丁寧なやり方があって当然だと思います。対話集会、パブリックコメント、区民参加を掲げている中野区政なのですから、参加を求めている区民に対して参加の場を与えてからの事業者決定を望みます。
 先日、この指定事業者になっている近くのコンビチャチャを見学させていただきました。明るく配慮された部屋で、きめ細かく個人のニーズにあわせて保育がされているように見えました。しかし、職員の入れかわりの早さ、お値段の高さには驚きました。同じ会社が区の示した金額で保育を行うとどのようにサービスが変わるのかなど、じっくり保育内容を知りたいと思いました。そこにお子さんを預ける父母は、なおさら民間では高いのに、指定管理者制度ならどんなふうに違うのかなど、いろいろと知りたいと思います。
 中野区は指定管理者制度を使って保育行政を担うという全国でも初めてのことをやり始めたのです。行政として、この決定が自信のあるものなのでしたら、中野区で保育行政を指定管理者制度で始めたのですねと聞かれたときに、はい、始めはしましたが、父母は怒って理解していませんという情けない状態にならないためにも、最善の努力をするべきであると思います。今回のこのような急いだ決め方をしてしまっては、行政と父母たちの間にわだかまりが残ります。それは、この中野区で育っていく子どもたちにも引き継いでしまいます。議会初日、2日目などに急いで10年間の指定業者を決めてしまう先議による事業者の決定に反対いたします。
 以上をもって第26号、27号議案に反対の討論とさせていただきます。
○議長(山崎芳夫) 次に、佐藤ひろこ議員。
     〔佐藤ひろこ議員登壇〕
○29番(佐藤ひろこ) 第26号、27号議案、指定管理者の指定について、賛成の立場から討論をさせていただきます。
 保育園の指定管理者制度の導入については、昨秋以来、区民委員会でも幾度となく議論をしてまいりました。初めは、なぜ、どうしてと抵抗があった指定管理者制度による保育園運営の民間委託ですが、区長も出席した、あるいは地域センター部長も出席した、保育課主催による幾度にも及ぶ説明会を経て、保育サービスの水準を下げるものではなく、さらに充実させていく方法なのだと理解されはじめていると私は思います。保育園がなくなるというから頼まれて署名に協力したけれども、そうではないんですかとおっしゃる方も近ごろは多くなってきました。私も、地域の方や保護者の方から質問を受けるたびに私の考え方や思いを伝えてきました。また、保育園の民間委託について考える会も開いてまいりました。近ごろは、もう民間委託は仕方がないからしなくてはいけないという考えの方から、子どもたちの保育サービスを拡充していくためには積極的に方法を変えていかなければならないと思いますとみずから積極的に意見を言ってくださる方たちもふえてきたというのが私の実感です。
 民間が運営している保育園も幾つか見学してまいりました。直営で運営されていた野方北保育園の保育の状態と現在、民営化された野方さくら保育園の保育の状態と両方を見せていただきました。集団で遊ぶ保育のやり方から子どもたちの個性を大切にした保育のやり方に変わりつつあると思いました。本を読むコーナー、積み木をするコーナーなど、家庭に近い落ち着いた環境をつくろうとする姿勢が民間保育園のやり方には見られました。中野区は、まだ延長保育をすべての園で実施していなかったのですね、給食の食器はまだ陶器も使っていなかったのですか、など言われたときには、中野区は本当に鎖国状態だったなとつくづく思いました。区立直営が一番いい保育をしていたんだと思い込んでいたことが、民間導入を実際に図ることにより、民間による保育から私たちは多くを学ばなければならないと今思います。
 地域センター部長を委員長とした7人の選定委員が保育園の調査に当たった現場職員もオブザーバーとして意見を聞きながら、条例、募集要項、選定基準、保護者の意見も取り入れてつくった基準の条件を満たしているかどうか、細かく審査されてきました。それに基づき区長が、宮園保育園は社会福祉法人高峰福祉会を、宮の台保育園はコンビチャチャ株式会社を指定管理者の候補者として選定しました。選定された事業者が指定管理者として適切かどうか、私たち議員が判断するものです。議会も指定管理者に対して責任を持つことになります。
 応募事業者5社の中から、なぜこの事業者が選定されたのか、資料と答弁をもとにチェックさせていただきました。4月からの実施に当たって引き継ぎに無理がない事業計画を持っていること、パート職員の賃金も現行の職員の賃金を下回ることなく、職員の雇用条件も比較的によいこと、職員配置数は延長保育時も含めて現行保育園事業の配置がされる計画であることもわかりました。また、最低10年間にわたり安定的な事業運営が可能かどうかを判断するための財務状況の診断結果については、選定された2事業者は、自己資本比率も高く、借入金もなく、支払い能力も高いとのことで、他社と比べても財政基盤は安定しているということです。保育の質を担保する大事な要素の一つが研修計画です。両事業者とも、研修回数や内容においては、現在、区で行われている研修を上回っているとの答弁でした。障害児への対応や給食におけるアレルギー対応、地域への子育て支援の提案もされております。視察既存園の評価結果は区営保育園の水準と同等、またある項目についてはそれ以上の水準であるという評価結果でした。苦情への対応については、各園で苦情受付担当者を置くこと、中野区の福祉オンブズマン制度の対象になることのほか、さらに保育課に苦情処理担当を置くことが確認されました。保育の質を担保する主な項目について比較検討の上、この2事業者への指定管理者としての指定は妥当だと判断します。今後、定期的に保護者アンケートをとって保育サービス向上のため自己評価をしていくこと、さらに民間委託園だけではなく、中野区内の認可保育園をすべて評価する仕組みを検討することも答弁の中で確認させていただきました。
 事業者から提出された申請書類については、個人情報を除き情報公開できるということです。ですから選んだ事業者がどういう事業者か、もっとわかるように資料を提供すべきだと思います。資料が十分ではない面があるので、委員会では答弁で確認させていただきましたが、保育の質を担保する事柄で問題になっているポイントについては、聞かれてから答えるのではなくて、聞かれる前に率先してきちんと資料をつくって説明すべきであると思います。職員の雇用条件、職員の配置数、職員の研修体制、事業評価の方法、苦情処理の方法、事故防止と安全対策、安全な給食への取り組みなど、今後、保護者の方々への説明に当たっては、よりわかりやすい資料をきちんとつくって説明すべきです。今後、行政、保護者、事業者による三者協議の場をつくるということです。安心できる移行と運営のためにも、情報の共有と話し合いを尽くすべきだと考えます。
 保育は一人ひとりの子どものニーズから出発します。最善の保育のありようは子ども一人ひとりにとって違います。一人の子どもと向き合う保育士から、その子どもにとってのオンリーワンの保育園がつくられていくのだと考えます。多様で豊かな保育サービスが展開できる基盤整備に、私たちはもっともっと取り組まなければならないと考えます。
 今回の議案は保育サービスを豊かにする新たな一歩だと考えまして、賛成の立場での討論を終わらせていただきます。
○議長(山崎芳夫) 他に討論がなければ、討論を終結いたします。
 これより議案ごとに採決いたします。
 初めに、第26号議案について、起立により採決いたします。
 上程中の第26号議案を委員長報告どおり可決するに賛成の方は御起立願います。
       〔賛成者起立〕
○議長(山崎芳夫) 起立多数。よって、上程中の第26号議案は可決するに決しました。
 次に、第27号議案について、起立により採決いたします。
 上程中の第27号議案を委員長報告どおり可決するに賛成の方は御起立願います。
       〔賛成者起立〕
○議長(山崎芳夫) 起立多数。よって、上程中の第27号議案は可決するに決しました。
 この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、大泉正勝議員、篠国昭議員、岩永しほ子議員、伊東しんじ議員、酒井たくや議員、奥田けんじ議員、はっとり幸子議員、こしみず敏明議員、きたごう秀文議員、かせ次郎議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。
 
 中野区議会議員 大 泉 正 勝
 1 区長の施政方針説明について
 2 事業部制予算編成のねらいと財政効果について
 3 地方独立行政法人制度の創設と区の方針について
 4 電線等の地中化施策について
 5 生業資金を借り易い制度にすることについて
 6 介護保険制度について
 7 その他
 
○議長(山崎芳夫) 最初に、大泉正勝議員。
     〔大泉正勝議員登壇〕
○36番(大泉正勝) 平成16年第1回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。
 なお、質問の順序を都合によりまして一部入れかえますので、御了承いただきたいと思います。
 初めに、施政方針説明について、項を追いながら幾つかお伺いをいたします。
 区長は、昨年度と同様、国際情勢の認識を語っています。その中で国論を二分しつつイラクへ自衛隊の派遣を行ったとし、その是非を論ずることは立場上控えるとお述べになりました。なぜなのでしょうか。自治体の長は選挙で選ばれた政治家でもあります。政治家の立場として、信ずることを、考えていることを、認識していることを明快にお述べになることも必要ではないでしょうか。いつも言われる説明責任の側面からも言えます。また、民主主義のシステムの中核にいる政治家が、自己の信念及び見解を語らなくなったら、もしくは語れなくなったら、民主主義は終わるといってもいいと思います。どうして腰を引かずにお述べにならないのでしょう。むしろその方が自然ではとの感想を持っております。論ずることは控えたいと言いながら、今回の派遣は世界の情勢からやむを得ない、しかし今後は国連中心の枠内で実施すべき、要するに賛成なのでしょうか。遠回りな言い方ではなく、もっとストレートに所信をお述べになられてはと思います。区長の御所見をお伺いいたします。
 次に、平和問題に関する施政方針説明の部分に関連して簡潔にお伺いいたします。
 毎年申し上げておりますが、平和の森公園をホタルの里にという提案です。国際平和の実施に向け、地域の中から着実に声を上げ続けると言われていますが、その中心となる事業の一つとして、また環境問題への取り組みのそれとして、二つの課題を融合させた事業として実施方を提案してまいりました。区長の、地域の中から着実に声を上げ続けるという言葉は、平和という種を区民にまき続けようとする決意と受けとめ評価をいたします。国際平和は決して日常を離れたところにあるものではありません。一人ひとりが現実の生活の中に、そして生命と人生にどう平和の種を植え育てていくか、そこにこそ永続した平和への堅実な前進があると思っております。環境問題への視点も同様と考えています。ホタルの里事業について、昨年は研究する旨の御答弁があったかと記憶いたしております。成果は上がったのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
 次に、最近の世界情勢を受け、国会を中心に憲法論議がにぎやかになってきつつあります。結構なことです。論憲、創憲、加憲、原理主義的護憲等々、さまざまな立場の意見が出ています。区長はその状況についてどのような感想をお持ちなのか、お答えいただくとともに、憲法観についてお答えいただきたいと思います。
 次に、区長はあすの中野を考える中で「中野区における改革の取り組みは国全体が目指すべき方向をリードするものになる」とお述べになりました。しかし、16年度に重点として取り組む事業の説明のうち、特に子育てに関しては、国全体が目指すべき方向をリードするものになっているのか、甚だ疑問です。子ども家庭部をつくり、組織としてはわかりやすくなったかもしれません。この際、改革を始めたメッセージとして思い切った施策を打ち出していただきたかったとの感想を持っております。
 品川区は小学校の医療費無料化を打ち出し、港区も小学生の入院費助成、北区は子ども医療費助成制度として中学3年までの入院費の助成が開始されます。千代田区は認証保育園の保育料を区立の保育料より安くする制度をつくったり、待機児ゼロを達成し、今後はそれの安定的運用を図るとしています。中野区とはレベルの違う施策展開です。また、児童手当を小学校卒業までに拡充した区もあります。さらに中学校に温泉付きプールの設置を決めた区、その他、新聞だけ見ても連日のように各区の子ども施策に奮闘している様子が報道されています。特に子ども医療費に関する施策は大きな流れです。御検討いただきたいと思っております。
 次年度に次世代育成支援地域行動計画を策定するとしていますが、子どもの医療に関しても計画の中に盛り込まれるのか、あわせて区長の御所見をお伺いいたします。
 昨年、区長は、御自身は反対だった学校の冷房化、そして防犯ブザーの支給にと子どもたちのために英断を下されました。ことしは大英断をと願っています。
 次に、区長は、基本構想の改定について、私がこれから目指すべきと考えるまちの姿についてお述べになっております。基本構想の改定作業は、審議会で精力的に進められていると承知をいたしております。答申が出される前に、答申を受けるべき区長が踏み込んだ発言をされた真意はどこにあるのでしょうか。審議会を設置した趣旨の上から違和感があります。区民論議の中から少しずつその姿が見え始めていると述べた上で、5点のその姿を示しているわけですが、内容の是非はともかく、これらは手続の上から審議会答申を経た上で語られるものなのではないでしょうか。答申を待てなかったのか、答申の中身が見えているのか、あてにしていないのか、審議会に影響を与えようとしたのか、答申作成の手助けをされようとしたのか、相当の理由があるものと思慮いたしますので、御見解をお伺いいたしておきます。
 次に、自治基本条例について1項起こして述べておられますので、幾つか質問をいたしておきます。
 審議会を設置することになっていますが、諮問予定の内容についてお答えいただきたいと思います。
 また、条例のイメージとして、例えば本会議答弁で区長が検討を約束されたNPOに対する支援条例、お隣の区で盛り込むことを断念し、それのみを切り出して制定させた、いわゆる区長の多選条例などを書き込むようなスタイルをとったものを想定されているのでしょうか。審議会を設置されようとしている微妙な時期ですが、あえてお伺いいたしておきます。
 また、区長は地域社会のありようをお述べになっています。一定の評価はいたしておきます。その上で質問いたします。
 中野区は、いわゆる地住構想を持っています。これについてどうされようとお考えなのでしょうか。システムとして機能しているかどうかの課題は省くといたしまして、別の構想、あるいは別のシステムを打ち出そうとされているのでしょうか。区長は新たな仕組みを構築するとお述べになりましたが、地域センター・住区協議会構想との整合性はどうされようとしているのか、あわせて新たな仕組みとはどのようなものでしょうか、具体的にお答えいただきたいと思います。
 中野区は、かつて、いわゆる準公選の区民投票制度を持ったことがあります。同僚議員の言葉を借りていえば、壮大な実験は失敗した経験を持つ区でもあります。制定を目指している自治基本条例は、住民投票についてどのように取り扱おうとされているのか、区長の御見解をお伺いいたします。
 次に、教育の分野については、この後の予算審議の中で、会派の高倉、久保両議員から総括質疑をする予定になっておりますので、ここでは学力調査と学校選択制との関係のみを伺っておきたいと思います。
 今回、実施を予定している学力調査については、結果を生徒個々には知らせるとされています。学校ごとの公表は今後検討とされているようです。既に実施した区とは異なる対応をされるのでしょうか。もしそうであれば理由をお答えください。
 また、調査の目的は指導改善などに役立てるためとありますが、ここで言うなどとは何を想定してお述べになったのでしょうか、具体的にお答えいただきたいと思います。
 この時期、学力調査と選択制を同時に打ち出したのは、選択制と関係があるのではと想像せざるを得ませんが、関係があるのかないのか、あるとすれば理由を、ないとすれば関係付けなかった理由をお答えいただきたいと思います。
 次に、中野駅周辺まちづくりの項について2点だけお伺いいたしておきます。
 駅周辺のまちづくりのうち、特に警察大学校等跡地の整備の手法については、中野区は都市計画の権限のみで対応と理解しておいていいのかどうか。すなわち、区は当該跡地については財務省から一坪も買わないという方針で今後進めるのか、また国は早く売却したい旨、聞き及んでいますが、財務省とはどのような協議をされているのか、内容について、売却時期を含め、あわせてお答えいただきたいと思います。
 サンプラザについて二つだけ伺っておきます。
 区が出資する新会社は民間と共同でつくり、とにもかくにも10年間運営し、維持しようとされています。取得する費用は新会社がローンを組むことになっています。区は債務保証はしません。年間2億2,000万円以上とされる税金を払い、ローンを返済し、管理運営のための諸経費を払いながら維持することになります。10年後のローンの残高は幾らと想定しているのか、お答えいただきたいと思います。
 また、最近、中野区役所について、区役所跡地なる用語が語られています。10年後はサンプラザ、区役所を一団のものとしてまちづくりに資しようとする案も出ているようです。区長は明確な姿を描いているのでしょうか。田中区長の次の代の大きな課題になると思われますが、御所見を伺って、この項の質問は終わります。
 次に、生業資金を借り易い制度についてお伺いをいたします。
 この制度は昭和29年に始まったものです。生活保護法による保護を受けるおそれのある者、または現に保護を受けている者のうち、幾つかの要件を満たしている者が借りることができる区による貸付制度です。ほとんどの区が同一の制度を持っています。区によっては、貸付の資格について、条例で「生活保護法による保護を受ける憂いがある者」と要件を定めているところもあります。憂いという用語が法令上どうかの視点は別にいたしまして、その区の温かい姿勢が感じられます。中野区は借りられる人の要件を条例で定めるのではなく規則で定めています。ブロック内では珍しい条例のつくり方です。区民の権利に直接かかわることを条例でなく規則に隠すように定めたと言われかねない形式は、生業資金の制度を運用する上で微妙に影響が出ているのではないかと感じております。その規則もおかしな規定をいたしております。貸付要件を定める条文の中で、一方で「直ちに事業が開始できること」としながら、他方で「1年以上同一事業を営んでいる世帯主」とも規定しています。一体どっちが本当の要件なのでしょうか。開業のための資金は貸さないと伺っておりますが、根拠となる条文と理由についてお答えください。
 また、「他に扶養しているものが一人以上いること」を貸付要件にしています。他区にはない特異な要件を置いた理由についてもお答えいただきたいと思います。
 生業資金の貸付条例では、借受ができる人については「一般金融機関から融資を受けることの困難な区民」としか規定していません。条文を見ると借りやすい制度のように見えますが、申し上げたように、規則でそれを狭めています。最近の貸出件数はゼロとなっています。そのことに対する区の認識を伺います。
 また、区はこの制度の廃止を考えているのではと推察されます。送付された16年度予算案に貸出件数2件、320万円とあるのがそれをあらわしています。条例がうたい上げた趣旨とはかけ離れた予算を組んでいます。業界用語では実績見合いで組んだというのでしょうが、単にやる気のなさを表明しただけと言えます。区はこの制度の廃止を考えているのか、それともより充実させ区民の福利向上に努めようとお考えなのか、検討の経過をお答えいただきたいと思います。制度の拡充を考えているとすれば、その方策と具体的な目標をお答えいただきたいと思います。
 生業資金は福祉資金としてスタートしたはずです。それが時代とともに制度の質を変えてきたきらいがあります。イエーリングは「健全な権利感覚は劣悪な権利しか認められない状態に長い間耐えられない。やがて鈍化し、萎縮し、ゆがめられてしまう」と言いました。制度を運用する側に当てはまります。制度をスタートさせた趣旨をいつしかゆがめてしまったと言えます。権利感覚の鈍化かもしれません。変えてはいけない根幹の部分まで変質させてしまったのではと思われます。再度、制度の原点に立ち返り、温もりのある制度の運用を願いたいと思います。
 区長の発言を少しもじって申し上げます。激動する市場経済の中で翻弄されながら自立し、他人に責任を転嫁することなく、より人間らしくありたいと願い、再び市場の中に戻るため奮闘する人に対し、区は新しい福祉論の観点から他者への共感を持つ、そうした中野らしさを生み出してほしいと思っています。区長の御所見を伺って、この項の質問は終わります。
 事業部制予算編成のねらいと財政効果についてお伺いいたします。
 区長は区政の目標体系にあわせて部の編成を再構築すると同時に、予算、定数、施設、財産等の経営資源を各部門に配分し、効果的に投入、活用するために事業部制による経営を始めますとして、さらに既にその効果は16年度予算編成にあらわれており、各部が資源の配分について創意工夫をし、必要な新規事業やサービスの拡充を行う前向きな対応ができたと述べています。
 そこで伺います。16年度予算編成にあらわれた効果は具体的にどのようなものでしょうか。こういう問題に使われる切り口として、いわゆる3Eがあります。経済性、効率性、効果性の3点ですが、三つの切り口に沿って具体的にお答えください。
 2点目に、持続可能な行財政の構造改革のため事業部制に必要な制度的な改善について、提案を含めて質問をいたします。
 安定的な区政運営のため基金運用は計画的になってきました。これは前回の定例会でのやりとりを踏まえてのことだと思います。しかし、それだけで安定的な区政運営が可能になるとは思えません。事業部制について、歳入、歳出の両面から改革機能の強化を図る必要があります。区長は事業部制について経営資源の配分次元から評価をされていますが、私は、事業部制を機能させるためには、配分だけでなく経営資源の確保の次元からの制度化が必要になると思います。今回の予算編成プロセスでも、財源確保については、都市計画交付金や財調交付金など、見通しも定かでないまま財源に当て込んでプレゼンテーションした部があったやに仄聞しております。本来の事業部制の確立には、歳入確保の見通しに立った新規拡充事業の提案が行われる必要があります。分配論のみの視点ではかえって無責任になりかねません。そこで、この際、予算事務規則を改正するなどして歳入確保見込みのないものへの一般財源配当の保留や予算執行の管理に関して、財政部門の助言機能等を規定した(仮称)事業部制における予算編成事務規程を設けてはどうでしょうか。区長の見解を伺います。
 3点目に、事業部制による予算編成は、システムの上から需要面から供給面に関心が移ると言われています。厳しい財政事情が続く中野区にあっては、制度を改革した意図とは反対の方向に左右してしまうおそれがあることに注意を払っていただきたいと思います。そうした意味からも、財政の再建は引き続き区政の最重要課題と認識しています。区長は昨年の施政方針説明で述べた危機的状況との言葉を今回は外しました。中野区の財政状況は危機を脱したのか、認識を深めて御所見をお伺いし、この項の質問は終わります。
 地方独立行政法人制度の創設と区の方針についてお伺いいたします。
 昨年の7月16日、地方独立行政法人法が公布され、ことしの4月1日から施行されることになっています。この法律による制度の創設について、政府の研究会報告は「地方独立行政法人制度は現在、地方公共団体が処理する、または処理し得る事務及び事業の一部を切り出し、かつ新たな法人格を創出した上で、新たな法人格を付与された主体により当該事務及び事業を行うこととするもの」と述べています。また「制度を導入することは、地方公共団体が行政サービスを提供するに当たって機動的、戦略的に対応するためのツールを付与するものと位置付けることができるとして、意義については、地方公共団体における行政運営の効率性、透明性の向上など、地方行政改革の推進にある」と述べています。要するに、制度の趣旨を中野区に引き寄せて述べると、中野区の事務の一部を切り出して、中野区とは別の法人に行わせるものということになるかと思います。法は当該制度について特定型と一般型の2種類を定めました。いわゆる公務員型と非公務員型です。言い方を変えると公務員型と民間型とも言えるでしょうか。役員及び職員に公務員の身分を付与する形とそうしない形態のものといずれを採用するかは区長と議会の判断にかかわっています。その地域社会の成り立ち、それまでの組織文化、あるいは、その他自治体の実情にマッチしたものを選択することが可能です。そのことは制度の取り入れ及び運営により有効との判断がなされたものと考えられます。地方独立行政法人制度は、行政サービスの提供に当たり機動的に対応可能となり、時代のスピードとニーズに合った行政運営をとの要請にこたえる有力な手段の一つだとする意見の一方で、それに反対する見解も出てきています。自治体はその地域の住民の人権を保障し、生活を守る公的な責任がある。それが著しく損なわれるとするのがその一つです。また、究極の企業再編型自治体リストラ法だというのもあります。さらに重要な公共サービスを市場原理にゆだねるものであり、議会の民主的コントロールを形骸化させるもので、住民の自治の理念に反するとする意見もあります。そして、憲法にいう地方自治の本旨をゆがめるという見解も出されています。
 そこで区長に数点お伺いをいたしておきます。
 地方独立行政法人法の制度について賛否の見解を幾つか御紹介いたしましたが、そのことについて区長の御見解をお伺いいたしておきます。
 次に、中野区の事務及び事業のうち当該制度の導入が可能なものをお示しいただきたいと思います。
 次に、区長は昨年、保育園の運営について自治法の指定管理者制度を全国で最も早く採用されました。先ほど関係議案を議会で議決しました。関係者の中にはさまざまな憶測がささやかれています。中野区立保育園がなくなる、子どもの育ちよりお金もうけ優先との見出しを掲げたチラシが届けられる例もあります。不安をあおる古典的な手法の問題は置くとして、関係者の中に不安に思っている人がいるのも事実です。子どもを預かる保育士さんたちに、区はどのような機会に、どんな方法で説明しているのでしょうか、丁寧に対応していただきたいと思います。答弁を求めておきます。
 区は保育園の委託化の方針を示すのみで計画を提案してきません。五月雨式の実施の発表は不安感を増幅します。委託化について計画を早急に提示されるお考えはあるのか、お答えいただきたいと思います。
 あわせて、指定管理者制度による保育園の運営を進めようとされているのか、また新しい制度の導入により別法人に運営させようとしているのか、お答えいただきたいと思います。
 次に、電線類の地中化についてお伺いします。
 これまで主として都市景観の観点から電線類の地中化については昭和61年度から進められてきました。平成11年度から15年度の新電線類地中化計画では、さらに3,000キロメートルの地中化を目標に、これまでの2倍の整備ペースで推進されてきました。しかし、非幹線道路を中心に欧米の都市と比較すると依然として大きく立ちおくれているというのが現状だと認識しています。特に中野区の場合は、幹線道路はもとより非幹線道路の無電柱化が課題だとされています。国は平成16年度から20年度を目標期間とする無電柱化推進計画により、新たに主要な非幹線道路も整備対象として無電柱化を推進するとしています。私たち公明党議員団としても、これまでの観点に加えて、歩行空間のバリアフリー化の視点、さらに都市防災対策として阪神大震災の経験で地中化されていたライフラインは80%が機能していたことや緊急輸送道路、避難所の確保の上から積極的に関係機関の努力を求めているところです。
 そこで、電線類の地中化について、中野区の取り組みについて伺いいたします。
 初めに、16年度から予定されている無電柱化推進計画への対応はどのようになっているのか、お伺いします。
 国は推進体制として全国を10ブロックごとの電線類地中化協議会を設置し、都道府県単位などの地方部会の意見を反映してこれを進めることや具体的な箇所によっては、道路管理者、電線管理者、地元関係者による連絡会議の設置を想定しているようです。より具体的には、平成15年度中に都道府県による各自治体の意向調査を終えることになっているようです。中野区としては、この調査にはどのように対処されたのでしょうか。
 事業実施箇所の選定に当たっての要件としては、これまでの路線要件や用途要件に加えて関連事業要件など4点を総合的に勘案するとなっています。東大附属西側道路での取り組みなどは知られているところですが、その他の箇所については、何カ所で、どこを考えているのでしょうか、差し支えがなければお聞かせいただきたいと思います。
 私は、今後の課題として、防災対策とバリアフリー化に対処して電線類の地中化を積極的に推進すべきと考えています。特に平成16年度には中野区としてバリアフリーの基本構想を策定して重点整備地区を決めるようです。バリアフリー化重点整備地区が決定されたときに電線類も地中化対象地域に入っていないとすれば、まちづくりの姿勢に一貫性を欠くことになると思います。ぜひ重点整備地区を決定したときには、そのエリアが無電柱化推進箇所となるよう関係部署との調整を進めるべきではないでしょうか。もちろん、共同溝方式で整備するには特定経路とする必要があるなど克服すべき要件は多いでしょうが、知恵を絞る必要があると考えます。顧客満足度の向上を第一とする田中区長の積極的な取り組みを期待しまして、御見解を伺いたいと思います。
 次に、介護保険制度についてお伺いいたします。
 介護保険法は、附則の第2条で、介護保険制度については、この法律の施行後5年を目途として、その全般に関して検討が加えられ、その結果に基づき必要な見直しが講ぜられるべきものと定めました。政府はこれに従い来年には法案を提出すると予想されます。今後、制度全般の見直し、保険者のあり方、被保険者の範囲、医療との連携、サービスの質の確保、認定の課題、そして保険料の負担のあり方等々、さまざまな検討が続けられるものと思います。
 中野区は、ことしの1月に介護保険運営協議会を発足させ、18年度を初年度とする第3期の事業計画及び介護保険事業の充実改善に関すること等について審議することになっています。さらに区は事業計画改定のための実態調査を8月、9月に行い、区として改定案をまとめ、11月ごろに協議会に諮問することになっているようです。
 したがいまして、この段階で細部についての質問は省きますが、支援費制度を介護保険制度に移行させ合体してはとの検討が政府部内でなされていることが報告されています。このことについて、仮に統合された場合、中野区レベルではどのような影響が予想されるのか、お答えいただくとともに、統合について現在の区の認識についてお答えいただきたいと思います。
 現在、第2期の介護保険事業計画が進行していますが、今までの基盤整備など計画の進捗状況について区民の満足度はどの程度と認識されているのか、また計画の達成状況についてお答えいただきたいと思います。
 最近、ケアマネジャーについての話題をよく耳にいたします。能力とか親切さの面から語られることが多いようです。ケアマネジャーの方に話を伺うと、家族関係、人間関係などさまざまな困難な中、苦労を重ねて、依頼者が必要とするプランの作成などを一生懸命にされています。また、新しい情報を得ることに努めるなど、能力の向上に最大限の精進をされてもいます。介護保険制度の運用の根幹にかかわる部分を担っていただいているケアマネジャーの能力の水準の維持向上に事業者としても相当の努力をしているはずです。区としても、ケアマネジャーの方々への研修、情報の提供などの施策を講じられていることとは思います。保険者として、さらに利用する方の満足度を高めるため、もう一段の施策の展開を望んでいます。一度視点を定めて運営協議会に諮問してみてはいかがでしょうか。現在、区がお考えになっている方策とあわせてお伺いしたいと思います。
 この項の最後に苦情処理機関について伺っておきます。
 介護保険制度がスタートして4年、いまだに欠落している部分です。毎回取り上げてまいりました。(仮称)権利擁護センターの開設が来年度の予算に盛り込まれています。社会福祉協議会に事務局を置くことになっています。区はそれに補助金を出します。なぜかこのことに関して腰の重かった中野区が、ようやくにせよ、ここまで来たことについては評価しておきます。
 ところで、6月に設置される予定の権利擁護センターは、区の事業なのでしょうか、社会福祉協議会の事業なのでしょうか、あるいは介護サービス事業者の事業なのでしょうか。区長の施政方針説明では「設置することとします」と述べていますので、区が設置するものと聞こえましたが、どこの事業なのかをお答えください。
 苦情処理機関は本来、保険者として区が設置すべきものと私は思っています。まして中野区は実績のある福祉オンブズマン制度を持っています。なぜそこの事業を拡大、充実して実施しないのか、今でも疑問です。このことに関する最初の答弁で「条例がないからできない」と答え、現行条例を改正すれば可能かとの質問に「そうすれば可能」と答えました。では、条例改正を早くしたらとの質問には「検討する」と答えました。余り待たせるものですから、こちらから案文を示すと、今度は「自治法上いかがか」と言い出し、結果、社会福祉協議会への補助の方式をとり、来年度予算で設置する案になりました。よその区を見ると区が設置しているところもあります。なぜ中野区は4年もかけなければならなかったのか、お答えいただきたいと思います。
 予算案で2,400万円の経費が計上されています。福祉オンブズマンのそれは540万円です。現在ある制度の拡充を図った方が、保険者の責務の完結、一体性という意味ですっきりしたものになるとともに経費の面から当区の事情に合致したものになるのではないでしょうか。そうしなかった理由について説明していただきたいと思います。
 政府の改革本部が報告した論点整理的な結論でも、保険者の機能、権限の強化が具体的に記述されています。今回、中野区が採用した(仮称)権利擁護センターの開設手法は制度の改革の流れと多少ずれのある感がしないではありません。当該センターの開設についての区長の御所見を伺って、この項の質問は終わります。
 その他の項で上野原用地の問題についてお伺いいたします。
 この課題は区長の選挙公約の大きな柱であったかと認識いたしております。今回の施政方針説明で言及されるかと思っていましたが、ありませんでした。したがいまして、この項で伺っておきます。
 内容は上野原の区有地の現状と今後の方針についてでございます。
 上野原区有地についてはスポーツ施設用地として教育委員会が所管しています。平成12年の本会議でこの問題を取り上げ、当該用地に関する計画の廃止を公明党として提案しました。中野区は提案の趣旨に沿う形で計画の凍結をしました。その後、田中区長が計画の廃止と売却を公約に掲げ当選され現在に至っています。現在、用地は神奈川県企業庁に一部貸し出されて、使用料が支払われています。上野原町からは、かねての協定により水道事業に係る費用の負担を求められています。区長が公約に掲げた売却について上野原町と協議を続けていると推察いたしますが、交渉の経緯と結果についてお答えいただきたいと思います。
 区は企業庁とも売却について協議をされていると思いますが、その内容と結果についてお答えいただきたいと思います。
 また、山梨県との協議についても、あわせてお伺いをいたします。
 区長の任期はあと2年と少しです。公約の実現を図っていただきたいと思います。相手があることと理解いたしますが、いつまでに解決しようとしているのか、区長の見通しなどをお伺いして、この項の質問を終わり、私のすべての質問を終わります。
 長時間、ありがとうございました。
     〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 大泉議員の御質問にお答えをいたします。
 まず自衛隊派遣の関連です。
 区長は行政の長でありますとともに自治体を代表する役割を持つ政治家であると考えております。今回の自衛隊派遣につきましても、区長としての立場を踏まえて発言は慎重にしたいと考えています。
 それから、派遣やむなしといったような所信表明であったという内容でございましたけれども、派遣やむなしと言ったわけではありませんで、日本の国際的立場を認識した上で、現に派遣されている自衛隊が安全、平和裡にイラクに貢献できるように望んでいるものであります。この点については平和を求める区民の総意として言及すべきと考えているものです。
 それから、平和の森公園のホタルのことであります。
 環境問題についての取り組みは非常に重要だと思っています。しかしながら、そのために行政として持続できないような財源を投入するということまでは、やはりできないということであります。ホタルについても、実現可能との確信が得られたら積極的に取り組みたいと考えております。
 それから、平和に関する平和の森公園の歴史でありますとか、そのことの意義ということについては深く認識をしているところでありまして、今後の整備の中でもこの点について十分に留意していきたいと思っています。
 それから憲法についてです。
 憲法は国の最高法規であります。国民すべてが大切にしなければならないものであります。そして現行憲法については、国民主権、基本的人権の尊重、そして平和主義という三大原則があり、この原則は大変大切なものと考え、今後とも擁護すべきであると思っております。
 一方、憲法には、そのものに改正手続がうたわれているところでもありまして、時代や国民の価値観に基づいて改正も含めた議論というのは大いに行われるべきであると考えております。
 それから、子どもの医療費の助成の問題です。
 子どもを対象とする医療費の助成については、子育て支援策としての有効性でありますとか、その方法などを検討しているところであります。現時点では直ちに取り入れるという考えはありません。基本構想10か年計画の中で子育てをめぐる地域社会全般の支援のあり方等について検討を加えることでありまして、総合的な対策を盛り込んでいきたいと思っております。
 それから、所信表明の中で、区の将来像については私の現時点での考え方を述べたというところです。区民ワークショップでありますとか、審議会での御議論と並行して、今、区として組織を挙げて基本構想の策定の作業に当たっているところであります。その作業に当たっての区長としての考え方をこの時点で表明することは、検討作業を開かれたものにするという上でも重要だと思って申し述べたものです。
 それから、自治基本条例の内容であります。
 自治基本条例の内容として検討する項目は、例えば中野区の自治のあり方でありますとか、区民参加の仕組み等を予定しているところです。NPO支援については別途の条例を考えているところでありますが、検討を進める中で自治基本条例に取り込むという可能性もあると考えております。多選の弊害につきましては自治のあり方にかかわるものであると考えております。この条例の中で取り扱うかどうかについては今後、検討していきたいと思っております。新たな仕組みのあり方、どういう仕組みかというところですけれども、新たな仕組みというのは、住民の住民による合意づくり、あるいは行政参加に法的な根拠、条例でありますから法的な根拠でありますとか、手続を定めるといったことが中心となると考えております。住区協議会構想の考え方も材料の一つとして含めて幅広く議論をしていきたいと思っております。それから、区民投票制度についても、検討の中では視野に入れるべきと考えております。
 それから、警察大学校跡地の整備手法ですけれども、警察大学校跡地については、民間活力による開発と開発者負担によるオープンスペースの確保などを考えているということは御指摘にあったとおりです。しかし、導入施設が導入に必要な機能を十分に確保するという上に立っては、区が直接整備する施設もあると考えているところであります。こうした考えを含めます検討状況については、財務省もおおむね承知をしていただいているというところであります。
 それから、中野サンプラザであります。
 サンプラザの運営計画については、今後、募集する要件に含まれるものでありまして、10年後の残債といったものについても、事業者の提案によって定まってくるという面がありまして、現時点ではお答えしかねると思っています。
 それから、10年後以降のサンプラザと中野区役所を含む一帯のまちづくりについても重要なテーマでありまして、全体との整合性が必要だと考えています。中野駅周辺まちづくりの中に明確に位置付けをしていきたいと思っております。
 それから、生業資金のことです。
 生業資金の条例施行規則の第2条5項でいう同一事業というのは、申込者が行っている事業全体を指すものです。同条2項でいいます事業は、当該貸付にかかわる事業計画による事業と特定をしているものであります。扶養している者がいることを貸付要件にしましたのは、単身者は比較的職の選択もしやすいわけですけれども、扶養している者がいる場合には、直ちに転職をするといったことも難しいなど、そうしたことを勘案したためであると承知しております。
 生業資金については、ここ数年、貸付実績がゼロの状況が続いております。そのことについての御意見もございました。償還率についても他の福祉資金と比較してかなり低い状況にあるわけであります。また、資金融資については対象者によって緊急景気対策特別資金融資などの利用も可能であります。再び市場の中に戻るために奮闘する人に対して適切な支援を行う、このことは必要だと私も認識をしているところであります。現状の生業資金が適切、有効に機能するとは言えない状態になっているのではないかと考えておりまして、今後、区といたしましては、起業支援、あるいは事業再生支援など、他の制度との関連も含めて幅広く検討をしていきたいと思っております。
 それから、事業部制による経営効果であります。
 各部が事業部制の導入を前提として、民間活力の導入や職員配置の工夫、事業の統合や見直しなど、さまざまな工夫を徹底して行ったことによって財政面での効果としてあらわれたと思っております。経済性の面では全体として経費を抑制することとなっております。また、効率性の面では、経費をふやすことなくサービスを向上させる、あるいは経費を節減しつつサービスを維持し、コストを下げることができていると考えています。効果性というところから見ると、65の新規拡充事業を予算化して区民サービスの向上を図ることができたと考えております。
 それから、事業部制における各部の歳入確保努力であります。事業部制の導入に伴って現在、予算事務規則等の見直しを行っている段階でありますけれども、その中で御提案があったような各部の歳入確保に向けた努力を義務付ける方法についても、積極的に取り入れるように検討していきたいと思っております。
 それから、財政の状況についての認識です。
 景気の回復がおくれて、長期間にわたって不透明で不安定な経済状況から、特別区税を初めとします一般財源の歳入、これは今後とも減少傾向が続くと見込んでいるところです。区としては、減少傾向にある財源の中にあっても、区民サービスの維持、向上を図るために、義務的経費の削減でありますとか、基金の積み立て、そうしたことをしっかりと行って財政体質の改善を進めて、健全、安定した財政基盤を確立しなければならないと考えています。そういう意味でも、区財政が危機的状況にあるという認識については全く変わるものではありません。
 それから、地方独立行政法人についての幾つかの御質問です。
 地方独立行政法人の制度は、公共サービスについて公共的な見地から確実に、また効果的に実施するための仕組みであります。自治体の責任について何らか変わるものではありませんし、独立行政法人などさまざまな方法で公的なサービスが提供されるという中にあっても、住民の人権が保障されるよう多様な取り組みを行っていかなければならないと考えております。
 リストラではないかという見方ですけれども、自治体の組織や仕事というのは、住民のニーズを実現していくためにも最も有効な形にしていかなければなりません。不断の自己革新が必要であると考えております。
 それから、議会の関与といったことについての質問もありました。地方独立行政法人ですけれども、設立や業務運営の目標を定めるに際しましては議会の議決が必要であります。評価委員会を設置して評価結果を議会に報告するということも義務付けられているところです。執行面での自主性を確保しながら議会が適切に関与することができる仕組みになっているのではないかと思っております。
 住民福祉の実現の方法はさまざまにあるわけでありまして、その具体的なやり方について憲法に基づいて地方独立行政法人制度が定められたというところでありまして、地方自治の本旨にとって決してもとるところではないと理解をしているところであります。
 私の方からは以上であります。その他はそれぞれ所管の部長の方からお答えをいたします。
     〔教育長沼口昌弘登壇〕
○教育長(沼口昌弘) 学力調査についてお答えいたします。
 この調査のねらいは、学力の到達度を把握し、児童・生徒一人ひとりに学習の目安を示したり、あるいは指導の改善、充実を図ったりすることでございます。これは指導する側にとってももちろんでございますけれども、子どもや保護者にとっても学力の到達度を知ることに意味があるということであります。既に2区が学力にかかわる調査を実施しているわけでございますけれども、調査の趣旨からいたしまして、中野区教育委員会といたしましては、学校ごとに公表すべきか否か、あるいは公表する内容は何かなど、公表全体の方法などについて、今後、慎重な検討が必要と考えています。
 なお、学力調査は学校選択制と結び付けて実施するものではございませんけれども、今後、学校選択制の判断材料はさまざまなものがあると思いますので、今後はその一つになっていくのではないかと考えてございます。
    〔総務部長石神正義登壇〕
○総務部長(石神正義) 上野原の区有地についてお答えいたします。
 上野原町との交渉経緯でございますが、昨年6月に町長に私は会いました。また、11月には助役に会いまして、事業の廃止、また土地を売却することについてお話をしまして理解を得ました。その後、残っている問題がございますが、これも協議をしてございまして、廃止に伴います水道負担金の問題につきましては、上野原町が秋山町と合併するという予定が17年2月にございますが、それまでに話し合いをするということで、一応町と了解しております。また、町の方からは、地元住民への事業廃止、また売却の説明をしてほしいということを言われておりますが、現在、その予定について調整をしているところでございます。
 企業庁との協議でございますが、これは昨年8月に私自身が企業庁の相模ダム管理事務所長と会いまして、事業を廃止するということ、また土地を売却する予定であるということをお話ししました。また、その際に、企業庁自身がこの土地の購入意志があるかどうかを確認いたしました。所長は相模川の浚渫事業にとってこの土地は必要である。本庁と相談しながら、そういう時期が来れば検討していきたいという回答をもらっております。
 また、山梨県との協議でございますが、ことし1月に県の企画課と協議をしております。事業を廃止するに当たりましての県に対する届け出、報告等については、改めて必要はないという回答をもらっております。廃止に当たっては町とよく調整をしてほしいということが言われております。
 解決の時期ですが、こうした課題はございますが、早く町と協議を行いまして早い時期に売却のめどをつけたいと思ってございます。
     〔区長室長金野晃登壇〕
○区長室長(金野晃) 地方独立行政法人について、導入可能な事業ということでございます。中野区で事務事業でこの制度の導入が可能なものとしては、保育園の運営事業などが考えられると思っております。区としては事務事業について幅広い民間の力を活用していく考えでございますので、この制度を選択すべきかどうかということについて研究していきたいと思っております。
  〔地域センター部長柳澤一平登壇〕
○地域センター部長(柳澤一平) 保育園の委託化等についての御質問でございました。
 公益的サービスで民間でできるものは民間の力を生かしていくというのが区の方針でございまして、保育園の民営化、委託化、指定管理者制度の導入につきましては、平成16年度に予定しております基本構想10か年計画とあわせ策定する次世代支援の行動計画の中で示していきたいと考えてございます。
 保育園の民間活力につきましては、民営化や指定管理者制度による方向で考えているところでございますが、地方独立行政法人につきましても可能性はあると認識してございまして、さまざまな課題について整理しながら研究していきたいと考えているところでございます。
   〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 電線類の地中化でございますが、平成15年10月、都から無電柱化推進計画策定のための調査がございました。これに対しまして区は、道路整備とあわせまして防災対策、今後のバリアフリー対策等を考慮いたしまして5路線を選定いたしました。その旨を回答しているところでございます。具体的には、御指摘の東大附属の西側道路、それから今後、都市計画道路として整備をしていく路線、その中で中野四丁目、警大跡地の中野区画街路1号及び2号、弥生町一丁目、本郷通りの一部区間、中央四丁目のもみじ山通りの一部区間の5路線ということでございます。現在、駅周辺の地域につきましてバリアフリーを総合的、一体的に推進するため重点整備地区の選定を検討してございます。今後、区といたしまして重点整備地区の整備と一体的に電線類の地中化、無電柱化が進められるように、制約条件、あるいは財政的な課題等も整理しながら関係機関と調整と図ってまいります。
   〔保健福祉部長菅野泰一登壇〕
○保健福祉部長(菅野泰一) 介護保険制度につきましてお答えいたします。
 支援費制度との統合についてでございますが、国レベルで詳細な検討がなされていない現段階で区の影響等について把握するのは難しいと考えております。介護保険制度の安定した事業運営を確保するためには、広く国民各層の意見を聞きながら両制度の検討も視野に入れた検討も必要だと考えております。区といたしましても、それらの検討状況を見ながら適切な対応を図ってまいりたいと存じます。
 それから区民満足度についてでございますけれども、居宅サービス、施設サービスの給付額は、計画を若干下回ってはいるものの要介護認定者数や居宅サービス利用者数などはほぼ計画値どおり推移していると考えております。平成13年度に実施いたしましたアンケート調査では、ケアプランについては8割が満足と答えておりますところから、必要なサービスについては一定の充足はしていると考えております。基盤整備などに関する区民の満足度につきましては、平成16年度に実施いたします要介護高齢者等調査で改めて検証いたしたいと存じます。
 続きまして、ケアマネジャーでございますけれども、区といたしましてケアプラン指導研修などを実施するほか、中野区介護サービス事業者連絡協議会が実施する研修に対しまして場や情報の提供を行っているところでございます。介護保険運営協議会に対しましては、ケアマネジャーの質の向上に向けた区の取り組みにつきまして意見を求めてまいりたいと思います。
 それから、苦情処理機関でございます。
 権利擁護センターでございますけれども、これは福祉が措置から契約へと変わる中で、福祉サービスにつきまして受ける方の権利を守るため設置するものでございます。具体的には、成年後見人制度でありますとか、財産の管理でありますとか、さまざまな相談、援助を行うものでございますが、その機能の一つとして苦情処理の機関を設けるということでございます。これは事業者がみずから行います苦情処理の仕組みを支援するために、事務局となります社会福祉協議会に対して区として補助を行うというものでございます。
 時間がかかったのではないかということでございますが、関係機関の調整や事業者への働きかけに一定の期間が必要でありましたので、このようなことになっているということで御理解いただきたいと思います。
 それから、権利擁護センターに関します所見ということでございますが、社会福祉法第82条の規定にありますように、民間事業者が提供するサービスに関する苦情処理につきましては、民間事業者みずからが対応すべきであると考えております。保険者である区が事業者への立入調査を担えるなどの権限強化は当然必要であると認識しております。しかしながら、保険者としての区の権限強化とあわせまして、利用の主体であります利用者みずからの意志に基づく権利行使を行える仕組みの強化も重要だと考えております。こうしたことから(仮称)権利擁護センターを開設することによりまして区民は安心して質の高いサービスを利用できることになると考えているところでございます。
     〔大泉正勝議員登壇〕
○36番(大泉正勝) 再質問をする予定は全然なかったのですが、お答えをいただいていないのがあるものですから、これをやっておかないとシステムとして完結しないのではないか、ただそれだけの話で、御理解のほどよろしくお願いいたします。
 先ほど権利擁護センターの質問しましたが、これはどこの事業かと聞いたんですが、これはどこの事業なんでしょうか、もう一度お答えください。要するに社会福祉協議会の事業なのか、区の事業なのか、事業者の事業なのか、どこの事業なのかということを聞いたんですが、社会福祉協議会が事務局をやるんだ、それに中野区がお金を出すと言っている、それはわかっているんですが、だからどこの事業なんだと言っているんですが、それをお答えいただきたいと思います。
 もっといえば、権利擁護センター、要するにこれは苦情処理機関ですが、答弁は、前は法律上いかがかと思っていますとかをおっしゃっていたんですが、今回はやればできるんだという答弁をしているようですが、どうもよくわかりませんが、もう一度、整理してお答えください。
 それからもう一つ、保育園に関してお伺いしました。
 大事なのは、子どもさんを預かっている保育士さんはすごく大事なポジション、立場にいらっしゃるわけです。保育士さんの一念というんでしょうか、微妙な心の働きというんでしょうか、それによって子どもさんが変わるというか、よりよい保育になったり、そうでなかったりという場合があると伺っているんですが、したがって、保育士さんにどれだけ理解していただくか、もしくはきちんとした説明をしてあげられるかどうか、それによってはどれだけ理解してもらえるかというのはかなり大事だと思うんです。区はどんな機会に、どんな方法で説明していくのでしょうか、保育士さんにはどうされているんですかと伺ったんですが、御答弁がありませんので、お答えいただきたいと思います。
 とりあえず、それだけで結構ですので、しっかりとお答えいただきたいと思います。
   〔保健福祉部長菅野泰一登壇〕
○保健福祉部長(菅野泰一) 再質問にお答えします。
 権利擁護センターでございますが、社会福祉協議会が行う事業について補助金を出すものでございます。ただ、その中で事業者の連絡協議会がどこまでかかわるかにつきましては、まだ最終的な詰めができておりませんので、そういう中で、先ほどのようなわかりにくい答弁をさせていただきましたけれども、基本的には社会福祉協議会が行う事業について補助をするということでございます。
 それから、以前に区がオンブズマン制度を利用して苦情処理を行うことについて法的にどうかという御答弁を申し上げたことについて、今はどうなのかということでございますが、基本的には、オンブズマン制度というのは、区が行います福祉サービスに対しての苦情ということで、民間が区民に対して実施いたします福祉サービスの苦情をそのまま受け付けて勧告するということについては、基本的には難しいということで、そういう中での考え方としては、やはり民間の苦情については民間事業者みずからが処理した方が好ましいだろうということで考えておりまして、基本的には区がみずからやるということはなかなか難しい問題があるだろうと考えているところでございまして、その辺については変わりはございません。
  〔地域センター部長柳澤一平登壇〕
○地域センター部長(柳澤一平) 再質問にお答えをいたします。
 地方独立行政法人に関して、具体的に現場の保育士にどのように話をするのかということでございました。お答えの中で申し上げましたように、地方独立行政法人につきましては、可能性はあると認識しているんですが、具体的にいつやるかとか、導入するかについても整理、研究していきたいということでございまして、余り具体的なことをこのタイミングでお話しするというのは、保育士についてもかえって御不安があったりするだろうということで、保育士を集めた具体的な地方独立行政法人についての説明というのはまだ行っていないということでございます。
     〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 区の保育の担い手であります保育士の職員がこれからも意欲を持って前向きに仕事を進めていくということは大変重要なことであります。指定管理者制度でありますとか、民営化、さまざまな形で区の保育の仕事のやり方は変わっていくという中にあっても、区立保育園が直ちになくなるということではありませんから、区立保育園の保育士がしっかりとした使命感を持って仕事に励むことができるようにということで、これからの区の保育のあり方等についても、さまざまな機会を通じて担当の方から説明をするといったことも行っております。
 また、私が職員と話し合いをする時間というものを設けているということもありまして、そうした中へ保育園の職員にも来てもらって、自由に来てもらえるわけですけれども、保育園の職員にも来てもらって十分に話しをする、さまざまな機会を通じて区の考え方、これからの行政のあり方といったことについて十分に話し合いをし、理解を深めてもらうように努めていきたいと思っております。
○議長(山崎芳夫) 以上で大泉正勝議員の質問は終わります。
 議事の都合により暫時休憩いたします。
      午後2時49分休憩
 
      午後3時06分開議
○議長(山崎芳夫) 会議を再開いたします。
 一般質問を続行いたします。
 
 中野区議会議員 篠   国 昭
 1 予算編成方針について
 2 家庭重視の保育行政について
 3 清掃事業について
 4 教育問題について
 5 その他
 
○議長(山崎芳夫) 篠国昭議員。
      〔篠国昭議員登壇〕
○32番(篠国昭) 平成16年第1回定例会に当たり自由民主党・民社クラブを代表して質問させていただきます。
 クリントン元大統領は、1996年の年頭教書の冒頭で、アメリカの最重要項目として家族の強化を上げました。より強い家族がより強い国家をつくるはインパクトのある名言でした。
 また、イギリスのサッチャー元首相も、社会主義が崩壊させようとしていた伝統的な家族観の復活を主張し、家族が回復することによって、教育問題、社会問題の多くは解決すると喝破しました。
 人権尊重一本やりで、ほとんど個人としてか、せめて1代だけに塗りつぶされていて、永遠に続く家族観は無視される傾向にあります。一言で言えば人間の縦のつながり、歴史観の欠如です。
 区長が施政方針の中であすの中野を考える五つの方針の中の柱の一つに家族のあり方を取り上げられたことは注目に値します。
 平成16年度は(仮称)中野区基本構想と新しい中野をつくる10か年計画の策定によって、新たな中野区に向けた区民全体の共通目標をつくる年度と位置付ける中で、家族がどのようにとらえられていくか、注目したいと思っております。
 区長が平成17年6月を目途に条例制定を目指す自治基本条例に触れた部分では「古代都市国家のアテネは市民という言葉を誕生させた地であるとも言われています」というくだりがあります。
 ギリシャの民主制の祖とも言われるソロンの政治の本質は、そもそも人間の集団が本当に真剣に自分たちの集団としての安寧、福祉を願うときには、おのずと人知、人力を超えたものへと視線を向けざるを得ない。その祈りの先頭に立つものが王であるか人民であるかは問題ではない。大切なのは全員がともに謙虚にその地に神に祈ることなのであり、その神と地と人の結び付きのうちに初めて人民のための政治が実現するという思想であり、その意味における市民である認識が必要です。
 アテネの民主制は紀元前500年ごろが全盛時代で、ペリクレスによって完成されたと言われています。指導者ペリクレスは、政治家の必須の条件として、知力、識見において卓越していること、自分の考えを国民に知らせ、納得させる能力を有すること、金銭の誘惑に負けないこと、愛国心を持っていることの4カ条を挙げています。そのうち愛国心、国防の心を持ったことが最重要であり、この条件を欠いて他の条件をそろえていても政治家として失格だと断言しています。
 ペリクレス自身の言葉として、人が人を支配せんと主張すれば支配の続く限り人の憎悪を受ける、そういうものであるが、本当に人々のためになることを実行するには憎まれても志を曲げぬことが必要であると語ったと伝えられています。これは人民のための政治を実現するための黄金律ともいうべき事柄だと言えます。
 本当の理性的態度とは、大声で語ることのうちにあるのではなく、自己を無にして他者の声を聞き、森羅万象の声を聞くことが大切です。
 古代アテネの哲学者ソクラテスが貫こうとしていたのも、こうした理性的な態度であり、ひたすら真の知恵を願う強い情熱とそのために不可欠の知的謙虚な姿勢であったわけですが、いわゆるアテネの市民はその思想を学ぼうとはせず、すぐに役立つ知恵を受け取ろうとしていた。人間のさがともいえる現実から目を離すわけにはいきません。
 最も重要なことは、だれの意見が通るかということではなく、理の通った正しい結論が得られるかどうかということなのです。人民の人民による人民のための政治ということ自体は真っ当な政治観であって、これを変更する必要は全くないと思います。ただ、その実現のためには、これまで民主主義によって押さえつけられていた人間の理性、いわゆる本当の意味の理性の復活が不可欠であると言えます。
 もしも我々が本当に理性というものを取り戻すことができたならば、我々は新しい目を持って、自分たち人間の手にしているさまざまなものを再評価し、静かな感謝を捧げることができると思うわけであります。そのときには、国家というものがそれまで民主主義が引き起こしてきた絶え間のない愛憎の交錯から開放されて、まさに我々の生命、自由及び幸福を支えてくれる土台として、その本当の姿をあらわすことになると思います。
 実際、理性の本質である知的謙虚というものを身につければ、我々が自己自身の手柄と思い込んでいるものがいかに多く先人から伝えられた文化、伝統、歴史の支えによるものであるかが見えてくると思います。
 ましてまた一人ひとりの生き方においても、理性の復活は我々をさまざまな不要な葛藤から解放してくれると思います。現代の民主主義理論は広く国家のうちに錯乱を持ち込んだだけでなく、家族の内側にまで入り込んで、そこに権力者に対する闘争のドグマを植え付けようとしています。フェミニストたちはどんな哺乳動物にも何らかの形で見られる雌雄の分業が人間においても存在しているのを見て、それを不平等であると糾弾し、攻撃しています。そういったことすべてを理性の目はただ端的な錯誤と見抜くことができると思います。そして人間が家族という肝要なシステムを存続させてきたこと自体を一つの恵みと認識することができるわけであります。
 ギリシャ民主制の祖とも言われるソロンの思想は、人間が集団の安寧、福祉を願い、人知、人力を超えたものへ全員がともに謙虚に祈るところに人民のための民主政治が実現するとするものであり、その市民の姿こそ人間の尊厳そのものであるで始まったこのシステムが、最初に人間の尊厳ありきに変わってしまっているところに不和と傲慢、欲望と憎しみの歴史を重ねてしまった原因を見ることができます。人間の尊厳を保ち得る本来のシステムに戻す意味での人間の理性の復権を目指さなければなりません。
 この姿勢のもとで私は自由民主党・民社クラブを代表して四つの質問をさせていただきます。
 ペリクレスという政治家の必須の要件、条件として挙げた2番目に、考え方を区民に知らせ納得させるというところがございますが、その意味で大変議員全員の理解もなかなか得られない予算編成の御苦労なんですが、これをどのように区民に説明していくかという視点で一つ質問させていただきます。
 そして、家庭重視の保育行政については、少子化対策、税の効果的な投入の仕方、母性支援はあくまでも子どもの健全育成にあり、子どもを主人公とするものでなければならないという視点で質問させていただきます。
 清掃事業については、平成12年度の都区制度改革、いわゆる身近な自治体で身近な区民の知恵がしっかり反映する方向でという視点で質問させていただきます。
 そして、教育問題については、公立の小学校、中学校、高校という信頼しきっていたシステムが現在なぜそのようなシステムとして機能しなくなってきているか。親孝行路線とも言われたシステムの復権という視点も入れてお伺いしたいと思っております。
 それでは、予算編成についてから入りたいと思います。
 区民と共有できる財政再建策という視点で、区長は施政方針演説の中で、16年度予算の編成について「一般財源の歳入は今後も減少傾向が続くと想定せざるを得ない。したがって、歳入予算については、財政調整基金の取り崩し等の財源対策を図り、職員数の削減への継続的な取り組み、徹底した経費の縮減を図りました。また、将来も安定的な区政運営が可能となるように基金運用計画を定め、当初予算で計画的に減債基金や財政調整基金の積み立てを行い、財源不足を生じた場合に財政調整基金からの繰り入れができるようにいたしました」と述べておられます。内容が大変抽象的で具体性に欠ける、またそうせざるを得ないところだとは思うんですが、このような説明を受けても、とりわけ区民にとってはなかなか理解できないと思うわけであります。
 また、予算編成で当初36億円近い財源不足が見込まれるため、極めて厳しい状況にあるとの認識をお示しになりましたが、結果的には財源対策を19億円余りに圧縮することによって、辛うじて予算を編成することができたとしています。
 まず、どうして16年度予算の編成を乗り切ることができたのか。保育園の民営化や指定管理者制度の導入、図書館業務の一部委託による職員の削減なども、その大きな要因の一つとして取り上げられているわけですが、例えば今後、直営の清掃職員200人の扱いなどはどのようにしていくおつもりか。職員の削減を継続的に取り組むとしているわけですが、5年後、10年後の職員数を具体的にどのぐらいにするか、区の財政が硬直しないようにするための数値を絵に描いて示さなければ区民は理解ができないと思いますが、この点について具体的にお示しいただければと思います。
 また、基金運用計画についても、同様に具体的な数値が示せないのでしょうか。財政調整基金の積み立てと取り崩しの時期、それぞれの所要量、そしてその理由について具体的に明らかにしてほしいと思います。減債基金についても、同様に具体的な内容を数値を用いて明らかにしてこそ区民は理解ができると思いますが、お示しいただければ幸いです。
 そして、最終的には、5年後、10年後の区民とともに目指すキャッチフレーズをつくり上げるところにまでぜひ御努力いただきたいと思います。
 次に、家庭重視の保育行政についてお伺いします。
 政府はことし5月、少子化社会大綱を取りまとめるとのことですが、とはいえ既に保育所への待機児ゼロ作戦、あるいは育児休業法の改正、企業内保育、駅前保育、コンビニ保育など多彩な具体策が打ち出されています。
 今では女性が働くことはよいことで必要なことだと言われれば反論の余地がありません。というより、この言葉はあらゆる議論の前提となってしまっております。子どものために、せめて3歳ぐらいまではそばにいて育児に専念すべきだなんて言おうものなら時代おくれのそしりを免れないような風潮です。子どもがいても働きたいという女性がいるから、そのための対策を考えるべきだというのが大前提となってしまっています。
 今の少子化対策は、その一歩前の論議が欠落していると言わざるを得ません。それは、本当は子どもが小さいうちは一緒に過ごしたいというのが女性の自然な姿であるにもかかわらず、こういう母親の気持ちは議論の前提には上がってこないということです。というより無視されているのです。
 ここに最近展開されているジェンダーフリー論に小児科医師の立場より疑問を呈した学会誌の一文があります。「小児科診療」2002年9月1日号の中で、松尾宣武医師が指摘しているのは、「とりわけ乳幼児の子育てにおいては、男女の性差、役割の違いは明瞭だという事実です。母性は授乳、育児という生物的行為のみならず母子の心身の一体化、母子のきずなといったものを介し子どもの自己形成に深くかかわっているというからだという。それを父性が代行分担することは不可能なのだ」と述べておられます。つまり、ヒトの自己は乳幼児期における母親との人間関係によって形成されるというのである。氏はこの事実を「ヒトの育児における核心的テーマである」とまで書いておられます。ジェンダーフリー社会を推進する過程では、母性の役割は軽視され、また一部の運動家によって学問的根拠なく否定されてしまいました。平成10年度の厚生白書はその一例であり、3歳児神話という内容の空虚なキャッチフレーズがその後の我が国の少子化対策にどれほど悪影響を与えたか検証は必要であると述べられております。と同時に、松尾医師は、そうした母性の意義を明らかにするとともに、かかる母性が極めて脆弱な本質を持つものであることもあわせて指摘しています。つまり、かかる母性は、母性を支える社会的システムなしには機能し得ない本質を持っているというわけです。にもかかわらず、国や地方自治体の母性支援は一貫してこの視覚を欠いており、むしろ母性破壊に手を貸すような政策すら見られるのが現状だとも述べています。
 男女共同参画社会が声高に言われるようになり、女性は働かなければならないということが余りにも強調され過ぎています。家を出なければならない、育児にばかりかまけるようなことがあってはならないということが余りにも強調され過ぎています。その結果、子どもたちは帰るべき家を失い、さまよい、傷つくことになっています。母性支援はあくまでも子どもの健全育成にあり、子どもを主人公とするものでなければならないと述べておられます。
 乳児は家庭で親が育てるべきだという家庭重視の保育行政を推進してきた江戸川区は、23区の中でも高い出生率を誇っております。2003年7月の区の子ども家庭実態調査では、乳幼児の親の9割以上が子育ては楽しいと感じ、子育てがしやすいまちだと答えています。
 ゼロ歳児保育が推奨される中、区では一貫して公立保育園のゼロ歳児保育を行わないという方針を貫いています。35年間、区長を務めた中里喜一前区長の幼い子どもはできる限り家庭的な愛情の中で育ててやるべきだという考えが今も踏襲されています。幼児から就学前の「のびのびぱーく」、1歳から2歳未満の「よちよちクラブ」、2歳から就学前の「にこにこクラブ」といった子育て中の親が集う場所が実に多くあるわけです。その一方、経済的事情などでゼロ歳から子どもを預けざるを得ない家庭のために区が推進してきたのは保育ママ制度、子育ての経験のある主婦が自宅で子どもを預かることで家庭的な保育を実現させています。三十余年の歴史があり、保育ママさんによって育てられた子どもたちは実に1万人以上に上ると言われています。
 さらに、育児助成については、乳児一人当たり月1万円から1万3,000円の乳児養育手当が支給されるほか、私立幼稚園の入園料などの負担を軽減するために保育料補助金として一人当たり月額最大2万6,000円が支給されているそうです。保護者の負担を区立幼稚園とほぼ同じ設定にすることで、若い子育て世代が経済的にもゆとりを持って子育てできる環境を提供しているわけです。こうした手厚い子育て支援を背景に、平成7年以降、江戸川区の子ども人口は一貫して増加しています。江戸川区子育て支援課の話では、保育園を新たにつくるとさらに待機児が増幅されることがわかってきました。保育園をただふやすという支援のあり方を見直し、子育てをしている親をいかにサポートしていくかという形に変わってきたのだということです。
 実際、ゼロ歳児保育を拡充していけば、行政の負担が増すわけで、ゼロ歳から1歳児を公立保育園に預けた場合、その保育経費は一人月額約40万円と言われています。それに対し保護者の負担は1万円から2万円、最大でも5万円強、ゼロ歳児を公立保育園に預けている家庭は毎月35万円以上の税金を使っていることになるわけです。ゼロ歳児保育をという声はあるのですが、それを行政が推進していけば財政破綻は明らかである。一般に預ける側はコスト面をあまり理解しないと思う。江戸川区子育て支援課はそのように指摘しています。昨年7月、江戸川区子ども家庭実態調査では、何歳まで家庭で育てたいですかという問いに、3歳ぐらいまで57.3%、就学前まで18.2%の両者あわせて実に75.5%の人が3歳ぐらいまでは本当は家庭で育てたいと望んでいることがわかったそうです。そして望ましい保育ができない理由として半数以上の人は経済的な理由などで仕事をしなければならないということだそうです。
 江戸川区の保育行政から見えてくるものは、働く母親に視点を置くのではなく、むしろ専業主婦に視点を置いた子育て支援こそ少子化対策に効力を発揮するということのようです。これはゼロ歳児保育や長時間保育の充実を図り、待機児ゼロの実現に力を入れてきた政府の支援策とは極めて対照的です。少子化に一向に歯止めがかからない中、あくまでも子どもの健全育成に焦点を当て、家庭重視の保育行政を推進して子ども人口が増加している江戸川区の取り組みは画期的ともいえそうです。あわせて、地域の力を大きく巻き込んだ事業推進は目を離せないものがありそうです。
 中野区では、今後、少子化対策、子育て支援という意味でどのような将来展望を持っておられるか、基本的姿勢について区長にお伺いします。
 また、税の公平性に対する検証にも言及していただければ幸いです。
 問題意識を区民と共有したいという意味で以下の関連質問にお答えください。
 中野区では、いつまで親の手元で育てたいといった親の気持ちを調査したことがありましたか、お伺いしたいと思います。声を大きく上げる人にのみ対応してしまうおそれがあると思われないためにも必要だと思います。
 区立保育園の最も多かった時期はいつごろで、何園あったのか、なぜ減ってきたのか。そして中野の待機児童の年齢別内訳を聞かせていただきたいと思います。今後、区立保育園については、待機児がふえれば保育園をふやすという姿勢であるのかどうかもお伺いします。区立保育園に係る総額のうち人件費はどのくらいかかっているのか、わかれば退職金なども含めてお伺いします。ゼロ歳から3歳までの保育経費の年齢別内訳を、わかればお伺いしたいと思います。
 以上で家庭重視の保育行政については終わります。
 清掃事業についてお伺いしたいと思います。
 区長は、施政方針演説の中で、自治基本条例のところで、第27次地方制度調査会の答申では、地方分権が目指すべき分権型社会において市民に身近な基礎的自治体が自治の能力と体力を身につけ、市民の協働で新しい公共社会をつくっていくことが重要だと強調されています。そして、今後の地域社会は自己決定と自己責任を身につけた市民が、自分の住んでいる地域づくりや公共、公益活動に主体に取り組む社会になっていくという御想定のようです。このような社会をまず中野からつくっていきたいという決意を述べられており、激動する世界の中で翻弄されず、自立し、無責任にならず、人間らしさを損なわずに、他者への共感をもって、そうした中野らしさを生み出したいと思っているという決意が大変重要なわけでありまして、都区制度改革の望む方向と全く同じくすると思います。
 そして、区民の参加を待ってというわけにはいかない時期でもあるという現実があります。内容的にも、高度な話し合いになるのが清掃事業の関連ですし、区長が地方自治の意志を率先垂範して、しかる後に区民を巻き込むという姿勢こそ大切だと思います。
 それでは、清掃をめぐる今後の流れについてお伺いしたいと思います。
 平成18年度から清掃事業に従事する職員が都の職員から区の職員へと身分が切りかわる身分切りかえに当たるわけですが、特殊勤務手当というのはどのようになっているのでしょうか。毎月20日働くとして日額1,500円掛ける、例えば20プラス調整額として3万7,900円、合計約6万円から7万円が他の職員とは違う形で支払われているのではないかと思われます。この問題を抱えての交渉は大変困難なものになると思いますが、交渉相手、だれとだれが交渉しているのかといった部分にも触れてお答えいただければありがたいと思います。そして、交渉の経過はどのようになっているのでしょうか。
 職員の身分としては、平成12年度、13年度、14年度は都が採用し、都の派遣職員として区でお仕事をする。昨年の平成15年度、16年度、17年度は区の採用という範疇に入るはずであります。そして区長が貫かれている退職不補充という姿勢が清掃職員にも貫かれているのかどうか、そのこともあわせて言及していただくと大変ありがたいと思います。
 また、勤務時間は現在どのようになっているのか。今後はどのようにするおつもりであるか。例えば、区民が漏れ伺う範疇では、2時30分にはもう入浴の体制に入る。そして1台の清掃車にどうしても2人が必要なのだろうか、改善できないのだろうか、そういった部分にも触れてのお答えをいただければ、大変区民は情報を得たことになると思います。
 また、都区制度改革は、何度も触れますように、身近な行政は身近な自治体でという大きな理念のもとに行われたわけですが、やはり最終目標は区民の声をしっかり反映する、または区民の力を喚起するという意味合いが大きなポイントであると思います。事実、町会を初め大きなお力をいただいて、中野区での清掃事業というのは、清掃工場がないということもあって大変前向きな取り組みが行われているわけです。本年1月に廃棄物減量等推進審議会が立ち上がったともお聞きしています。区民を巻き込んでの努力が清掃に携わる職員の数を減らす力にまでなるものかどうか。そして、民間委託、民営化まで視野に入れるほどの大きな自治として育つものであるかどうかにも触れてお答えいただければ幸いです。
 この職員は清掃に携わるわけですが、つい最近の情報では、新宿区は今月から救命講習を受けさせて、清掃車などに救急セットを配備し万一に備える。もちろん清掃職員だけでなく、区をあげてという大きな試みだと思うわけですが、これは検証が私は必要だと思います。本当に区民のためという視点から切り込んでいったときには、こと清掃に関しては区民の力をさらにいただくという方向から目を離さない方向こそ現時点では正しいと思われるからです。
 また、清掃の関連でひとり住まいの方の安否の確認といったものも考えの中に入れている区があるともお聞きしていますが、やはり特区連、あるいは都職労といった何十年も団結の強い団体との交渉の結果、勝ち取った都区制度改革ですので、議会、区民を巻き込んだ慎重な対応を求められると思います。
 11月の区長会で特別区における安定的な中間処理のあり方について方向性が出されました。この中で、23区の中に存在するさまざまなアンバランスの是正のため検討を行っていくとあるわけですが、公平感を損なわない負担のあり方について検討の方向はどのようになっているか、お伺いしたいと思います。
 お隣の杉並区では、みどりのリサイクルプログラムという検討懇談会の検討結果を冊子として見せていただきましたが、落ち葉のリサイクルについて、中野区ではどのようになっているのでしょうか。また、民有地にある保護樹林、お金としては維持管理費の一部としてそれぞれに引き合うんでしょうが、年額、その一部負担として5万円が支払われているともお伺いしていますが、お寺ですとか神社のように法律的に税制上、守られている木が跡形もなくなくなるという姿は目にしませんが、中野区には1本の木がクーラー30台分にも当たる、まさに中野区が保護樹林と認定するに耐え得るような樹木がまだ残されています。これに対して税金、特に相続税という大きな重しで跡形もなく切ってしまわなければならない、この姿に区長会あげての動きがあるかどうか。そして固定資産税というのは、我々に身近な存在ですので、石原都知事を動かしてでも、これに切り込む区長会の動きがあるかどうかについてお伺いしたいと思います。
 以上で清掃事業については終わらせていただきます。
 次に、教育問題について何点かお伺いいたします。
 教育問題については、私は文教委員ですので、文教委員会の中でお聞かせいただけるという部分もあるんですが、やはり区民と情報を共有したいという意味で何点か質問させていただきます。
 中野区教育行政ビジョンの素案では、冒頭で社会性や規範性の育成が大変強く強調されています。これからの施策展開を楽しみにするところですが、しかしながら組織編成の図の中では、個人の尊厳ですとか、権利主張の羅列の項目しか目にすることができませんでした。これはまさに近代民主主義が戦いによって勝ち取った権利の範疇でして、やはりソロンがアテネに立ち上げた哲学とは相当違うわけです。集団全体の安全を望んで、同じ方向を見て、人知、人力の及ばないものに祈りを捧げるという図は、しかしながら日本は伝統として残されているわけですし、これは総括質疑でいつか私が触れさせていただいたわけですが、日本の人格完成への道は大抵道という言葉で凝縮されています。仏教の影響を大変受けているわけですが、必仏性という言葉の万物に等しく仏性が宿るというあの方向は日本に今でも生き続けていて、やはりどの道を選んでも人格完成への道にたどり着けるという思想は現在でもしっかり生きていると思うわけです。そして商業にも商業道という言葉をつけるほどで、みんなに本当に心から喜んでもらえるところに反映があるという、すべてに道をつけて人格完成の道を求めるのが日本人の姿だったわけですが、最初に権利がありきという形が近代民主主義の激しさを物語っているとおり、ずれがあるわけです。そのずれとして、やはりそれぞれの個性が生き生きと輝くという言葉は多く見ますが、残念ながら社会性、規範意識の育成という面で大きなおくれをとってしまった。そのことに真っ先に切り込みたいという教育委員会の姿勢は大変高く評価できるものと思います。そして内容的に人格形成の基礎となる幼児期の教育に大きく触れられています。これは大変画期的なことだと思うわけですが、家庭の大切さというとらえ方が十分にできると思います。
 そして、私どもの会派は、松山市に第4会定例会の後、視察に行ってまいりましたが、まず第1は、男女共同参画推進条例の激しさというところに注目したんですが、ジェンダーフリー度の大変高い、何人もあらゆる場においてジェンダーにより差別したり取り扱いをしてはならないという項目、あるいは家庭、職域、地域におけるジェンダーの解消、あらゆる場において男女を区別して取り扱うことが禁止され、区別がいかに合理的で、また伝統文化に基づいていようが、ジェンダーの解消の名のもとに区別自体が禁止されるという恐るべき内容ととらえての研究をして、そしてもう一つ我々が注目したのは、松山市に子ども育成条例という画期的な基本理念として幾つか、「子どもの育成は豊かな自然に恵まれ、歴史と文化のかおる私たちのまち松山において、先人が大切に培ってきた郷土を愛し、誇りに思う心と思いやりのある温かい心を持つ子どもを育み、歴史と文化を受け継ぎ後世に伝えることを使命として行わなければならない」、あるいは次世代の国民と位置付け、子どもを、彼らに先人が培ってきた歴史と文化を受け渡すことこそが子どもの育成の本位であるという認識、縦軸の哲学をみごとに表現している部分ですが、「子どもに対して基本的な生活習慣、日常の生活能力及び接遇を身につけさせることともに人権及び善悪の判断等の倫理、社会的な決まり等を厳格な態度をもって教えること」、あるいは「子どもに対してみずから積極的にあいさつ等の声をかけること、他人に迷惑を及ぼす行為、その他、社会規範に反する言動をやめるよう声をかけ、熱意をもって補い導くこと」、あるいは「子どもにとって身近な存在であるべきことを自覚するとともに、みずからの行動の子どもに与える影響が大人であることを認識し、率先して模範となる行動をすること」などの責務等、大人が文字通り率先垂範という行動もとれといった、いわゆる中野区でも地域教育懇談会、あるいはPTAの中でまとめ上げられたものを条例として立ち上げようというものです。自民党のうかつで9月定例会では流したと伺っておりましたので、12月にお伺いしたときには、その議会で自民党も反省して賛成に回ったということで、このすばらしい条例は通ったとお伺いしています。
 また、組織で家庭子ども部との連携では、やはり保育との関連といったものも、鋭く我々が考察しなければならないところだと思うわけです。さきに触れた子育て支援は、外国の支援は教育者としての親を支援するというところに最大の眼目があるわけですが、日本の場合は労働者としての親を支援する、働く母親を支援するという違いがまさに大きいわけで、デンマークでも1980年に女性の就労率が80%を超えた時点でかじを切り返しています。外国でかじを切り返した前の状態が今の日本だと言われているぐらいです。その背景には、出生率の急激な低下と子どもの問題行動の頻発、現在の日本と同じ問題を起こし、それまでデンマーク政府が委員会を設置し、それで、家庭生活と職業生活の調和というプロジェクトをつくり上げ、子どもと親と緊密で安定した関係を持つべきであるなどの5項目の合意項目を決め、家族責任という新しい理念が23年前に登場してきたと伺っています。
 ちなみに、日本を代表するフェミニストである上野千鶴子氏の最近の講演録を読む限りでは「育児はもはや家庭の責任ではない」と言い切っています。全く相反するわけで、デンマークの家族責任という新しい理念がEUに非常に大きな影響を及ぼしているということにも注目しなければならないと思います。
 また、怒濤の流れは、「幼児教育と脳」を書いた澤口俊之北大教授が思春期挫折症候群という言葉で説明しているんですが、すぐには出ない。思春期になって思考と判断能力の低下、自己中心的、責任転嫁、無気力、憂鬱、行動障害としてルーズな生活、親への犯行や暴力、登校拒否、非行など、思春期になってあらわれているという研究結果も出されております。
 やはり我々はやみくもに日本の理論だけでなく世界に目を向けて、世界では既にかじを切り直しているところがあるというところに注目しなければならないと思うわけであります。
 確かな学力を身につけることの大切さというくだりでは、イントロで触れさせていただきましたように、公立に通ることによって大変費用をかけずにしっかりと勉強の機会が与えられる、意欲のあるものには与えられるという構図が、お金持ちでなくてはしっかりとした教育ができないという当初目標とした反対の結果を生んでいるということに、公立学校のかじをとる教育委員会はしっかりとかじを取り直すべきだと思います。やはりお金がないものは学問の機会が失われてしまうという現実から目を離すわけにはいかないわけであります。
 そして、男女混合名簿につきましては、確かな御答弁はいただけないことを繰り返していますが、やはり思想的背景ということをしっかりとつかまなくてはいけない。本当の検証結果というものに耳を静かに傾ける知恵がなくては、我々はそれぞれの大切なお子さんの一生に大きく影響する、このように認識しております。東京都の米長教育委員と話した限りでは、これを廃止する、廃止しないというのは、校長の権限であるという見解なんだそうですが、事実、新潟県白根市立茨曽根小学校は去年4月から男女混合名簿をやめた、行き過ぎたジェンダーフリー、性差否定教育につながると批判がある。この問題について勇敢な取り組みをされたとお伺いしております。
 そして、最後に、教育界における性教育の中野区での現状についてお伺いしたいと思います。
 性教育、どのような実態になっているかというのは大変つかみづらいんですが、教職員組合の中で性に対する本気の研究会というのがございます。この本気の研究会が大変始末が悪いんですが、女性学会の性の岩波ブックレット、その人らしく男女共同参画という推進派の理論的教科書があるんですが、お隣の千葉県の知事同様、セックスするかしないかは子どもたちが決めていいという内容に流れる可能性を十分にはらんだ内容である。そして、事実、こういった男女共同参画社会の理念が正しく生き残る、理念が生かされるという方向でない取り組みが事実、東京都においても行われ、過激な性教育に対し一定の歯止めをかける方向で政府も対応に乗り出したということですから、まさに現実を帯びているわけです。
 都議会では、そのことだけを質問された、しっかりと子どものことに目を据えた議員さんのお話を聞く機会もございましたが、次の質問者の時間がなくなる可能性がございますので、私は後のことは文教委員会でお話を聞かせていただくという形で、質問を終わりたいと思います。
 御静聴ありがとうございます。
     〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 篠議員の御質問にお答えをいたします。
 まず予算と職員数の関係です。
 今回の予算につきましては、事業部制の導入を踏まえて各部が自主的に工夫を行って、全体として実質マイナスとなる中でも積極的な対応をすることができたと申し上げているところです。
 そこで、具体的にどういった努力、あるいは職員数の見通しということですけれども、職員数については、平成15年4月1日現在の職員数は2,988人でありました。今回、明らかにしました財政運営の考え方の中では、基本構想の目標年次を勘案いたしまして、当面は2,000人規模に職員数をしていくという目標を立てているところであります。具体的な方法といたしましては、事業の民営化や委託化、あるいは指定管理者制度など、民間活力の活用ということもありますし、施設の再配置、また目標と成果による管理を踏まえた組織執行体制の効率化、そういったことを行いながら区民へのサービスの維持向上を図りつつ、退職者数の不補充を基本に進めていきたいと考えております。
 また、基金の運用計画であります。
 財源の年度間の調整を図るための財政調整基金ですけれども、15年度末で59億円の残高が見込まれております。退職手当については、今後10年間で260億円の支出が見込まれています。これに対応するためには基金への積み立てが不可欠ということになっておりまして、平成16年から18年にかけて15億8,900万円余りを積み立てる予定としております。一方、19年度以降には取り崩しが必要となりまして、19年度から25年度の間で33億9,800万円余りを取り崩すこととなると見ております。こういうことによりまして、退職手当に充当する一般財源額というのは、各年度24億円余りという形でほぼ一定した形になるということで、安定した財政運営が図られることになると考えております。
 このほか施設の修繕費といったことも要素として大きいわけでありまして、それに対応する基金運用計画については16年度中につくりたいと思っております。
 それから減債基金ですけれども、銀行等の引き受け債、いわゆる縁故債なんですけれども、これが満期一括償還方式になりました。つまり、満期が来たら一遍に全部返すということですので、満期時に一般財源の負担が生じないように計画的に減債基金に積み立てを行っていくという必要があります。平成24年度から28年度までに満期を迎えるのが75億2,600万円余りになっております。これに対応するために起債発行年度の翌年度から発行額に合わせて10年間、均等に積み立てを行っていくこととしたいということであります。
 それから、家庭重視の保育行政についてということであります。
 子どもが育つ基本単位というのは、やはり家族、家庭ということにあるということは、これから特に重視をしていかなければいけない考え方だということにおいては、議員の御認識と私は一致していると思っています。
 しかし、現在の特に中野区のような都市の中での家庭の機能の弱体化にもしっかり目を向けなければいけないと思っています。
 世帯人数が少人数化をする、また核家族化ということの中で、家庭の中での子育ての機能というのは、それを支援するという手も含めて非常に脆弱化をしてきている。また、少子化が始まってから時代も長くたっているわけでありまして、少子化の中で育った方が子育てをする時代になってきているといったこと、地域の結び付きが希薄になってきているといったこと、そうしたことで価値観が多様化しながら働く、社会参加、そうしたことを生きがいとして女性が求める、それも当然のことでありまして、生き方が多様化をしているということであります。そうした現在の家族、家庭のあり方、そうしたものを十分に踏まえて、子育て支援についても、単に保育を行えばいいということではなく、それももちろん重要なんですけれども、そういうことだけではない家庭の機能をどう支援していくか、あるいは地域の中での子育て活動といったことをどう組み立てていくのかといったこと、また育児休業の促進といったこと、さまざまな観点から家庭のあり方、子育てを支援できる、中野区が子育てを本当に楽しみながらできるような地域になるという政策づくりが重要なのではないかと思っております。
 それから、清掃に関連しての幾つかの御質問です。
 今、清掃職員には、特勤手当、調整額といったことがあるわけでありまして、区の職員になるということに当たっては、区の職員と同じ待遇の中でやっていかなければならないということでありまして、給与制度、任用制度について区長会で検討を行っているところであります。
 清掃職員の交渉については、現在は東京都から派遣されておりますので、現在の勤務条件については東京都と都労連が中心になって交渉をやっております。18年度以降の身分切りかえに関連いたしましては、区長会と特区連及び清掃労組が交渉を行っていくということでありまして、将来の清掃のあり方といったことを踏まえながら、また区の職員のあり方といったこともあわせて踏まえながら交渉を行っていきたいと思っております。
 それから採用の問題でありますが、15年度以降は区が採用する仕組みになったということは御指摘のとおりであります。15年度については、ごみ量の減少や事務の見直しにより退職者の補充を行いませんでした。今後も清掃事業の見直しということの中で、できる限り採用を抑制していかなければならないと思っております。
 それから仕事の仕方、勤務時間ということでありますが、私もわずか1日でありますが、清掃の職員と一緒に仕事をして体験をしております。そういう中では、やはり仕事も大変ということでもありますが、勤務時間に割り振られた時間の中でしっかりと仕事を行い、その後、ごみを扱うということですから、入浴時間も当然、勤務の時間の中にとらなければいけない、また翌日に向けてのミーティングも行うといったことで、勤務時間については、少なくとも中野区の清掃事務所においてはしっかりと適切に運用されていると実感をしているところであります。
 それから、今後の清掃の全体を視野に入れて、区民の皆さんの御協力をいただいていくことの重要性といったことがあるのではないかということでありまして、それも全く御指摘のとおりであります。まず清掃全体を視野に入れまして、ごみゼロに向けた中野区としての戦略づくりをしていきたいということを考えております。その中では、地域の皆さんにどういった役割をしていただくのかといったことも、十分に区民の皆さんとお話し合いをしながら理解をいただきながら進めていきたいと思っております。当然、そうした中では、行政回収といったものの比重は下がっていくということが考えられるべきと思っております。
 それから、23区間のアンバランスの是正の検討については、現在、区長会を中心といたしまして、各区のごみ量に対応した清掃一部事務組合の分担金の算出方法といったことを中心に具体的な検討を行っているという段階であります。
 それから落ち葉のリサイクルなんですけれども、落ち葉を堆肥などの資源としてリサイクルをするためには、ストック場所でありますとか、利用のあり方、さまざまな解決をしなければならない課題があるわけであります。まず公園などから発生するものについて具体的な検討をしていきたいと思っております。
 それから、保護樹林についてでありますが、保護樹林は平成15年度現在46カ所、約11ヘクタールの指定をしているところです。貴重な緑でありますので、今後とも存続していかなければならないと考えております。税制面での優遇策につきましては、区長会として都や国へ働きかけてきたところでもありまして、今後ともさまざまな機会をとらえて要望をしていきたいと考えております。
 その他の御質問については、それぞれ所管の部長の方からお答えをいたします。
  〔地域センター部長柳澤一平登壇〕
○地域センター部長(柳澤一平) 家庭重視の保育行政につきまして何点かお答えをしたいと思っています。
 幾つまで親の手元で育てたいのかといった調査をしたことがあるのかという御質問でございました。何歳まで家庭で育てたいかという調査はしてございませんが、保育園や幼稚園などを利用していない家庭に対し、その理由を尋ねた調査がございまして、その中では、51.9%が自分で子どもを育てたいという回答をしてございます。
 次に、区立保育園の最も多かった時期でございますが、昭和59年、1984年から、平成7年、1995年の約10年少しでございました。その当時は41園の保育園がございました。なぜ減ったのかということですが、小規模園を廃園する一方で他園の定員の拡大を図り効率的な保育の実施を行ってきたものでございます。
 それから、待機児童の年齢別内訳、今後、それに対する対応の姿勢でございます。2004年1月1日現在でゼロ歳児が92名、1歳児が20名、2歳児が40名、3歳児が8名、4歳児が4名、5歳児ゼロの計164人が待機児でございまして、今後も必要な保育ニーズに適切に対応していきたいと考えております。
 それから、区立保育園における人件費総額でございます。平成14年度決算で総額67億5,539万円のうち退職金を含めた人件費は62億1,756万円で92%を占めるものでございます。
 ゼロ歳児から3歳児までの保育経費の年齢別内訳でございますが、平成14年度決算で月額の保育経費は、ゼロ歳児が39万5,000円、1歳児は25万1,000円、2歳児は22万7,000円、3歳児は14万7,000円でございます。
     〔教育長沼口昌弘登壇〕
○教育長(沼口昌弘) 私からは教育ビジョンに関連しまして教育問題についてお答え申し上げます。
 教育の目指すところは、子どもたちが社会の一員として自立して生活できるようにすること、そういうふうに考えてございます。
 こうした過程の中で、個人の個性の尊重は非常に大切なことだと思っていますが、しかし一方で自由と秩序のバランスというものはきちんととっていかなければいけないと思っています。その意味で社会性や規範意識を育んでいくことは非常に大切な問題だと認識しております。一つひとつの家庭の集まりが結局は国をつくっていくわけでありますので、現在のように少子化、核家族化の中で、家庭教育、あるいは幼児教育の重要性というのは非常に高まっていると考えています。
 幼児教育につきましては、幼稚園、保育園、いろいろな中でやられているわけですけれども、子どもたちを直接教育することは当然ですけれども、これから特に親になっていく若い人、それから現に子育てをしている親への教育、こういうことが非常に大切な視点になるのではないかと思っています。これは区長部局と連携して取り組んでいきたいと思っております。
 また、人格形成という話もございましたけれども、教育というのは、単に知識、あるいは才能がある、できた人、そういう人を育てるのではなくて、人物、人格にすぐれている、いわゆるできた人、こういう人間を育てていくべきだと思っているわけでございます。
 それから、男女混合名簿の話もございましたけれども、教育委員会といたしましては、男女混合名簿は男女平等の視点から見直すべきものと判断いたしまして、各学校に採用を働きかけているものでございます。しかし、各学校において具体的に取り入れるか否かは、学校の実態を踏まえて基本的には校長が判断するものであると認識しております。
 それから、性教育の実態につきましては、子どもたちに心身の発育や発達の段階に応じまして、男女差、個人差などの学習を通して命の大切さや男女が互いに相手の人格を尊重し合う、そういう大切さを理解させることを目的として行っているところでございます。
○議長(山崎芳夫) 以上で篠国昭議員の質問は終わります。
 この際、申し上げます。
 議事の都合上、会議時間を延長いたします。
 
 中野区議会議員 岩 永 しほ子
 1 区長の政治姿勢と所信表明について
 2 2004年度予算案について
 3 保育園を株式会社に委託することについて
 4 教育行政について
  (1)30人以下学級について
  (2)学校選択制について
  (3)図書館の委託について
 5 山手通り沿道の問題について
 6 区民を詐欺被害から守る対応について
 7 その他
 
○議長(山崎芳夫) 次に、岩永しほ子議員。
     〔岩永しほ子議員登壇〕
○31番(岩永しほ子) 2004年第1回定例区議会におきまして、日本共産党議員団の代表質問を行います。
 区長の政治姿勢と所信表明についてお聞きをいたします。
 イラク戦争は、米英が大量破壊兵器の存在を最大の理由にして引き起こしたことは世界中が知っていることです。世論調査では、アメリカ国民の50%がイラク戦争は戦う価値がなかったと考え、大量破壊兵器の脅威を意図的に強調したと考える人が54%に達しています。
 アメリカの調査チームのデビット・ケイ団長が大量破壊兵器はもともと存在しなかったと明言して辞任しました。加えてブッシュ大統領はNBCテレビで、フセイン政権が大量破壊兵器を保有していると言ったのは明らかに事実ではなかったと認めた上で、大義のない戦争であったことがはっきりしました。歴史的な捏造との疑惑が指摘され、それぞれの国が責任が厳しく問われています。
 各国の国民は、米英が戦争を始める前から反戦・平和の声を上げ、地球的規模で史上空前の反戦運動と平和の国際秩序を守れという運動が起きたのは初めてのことです。世界の政府の7割が戦争反対の声を公然と表明し、アメリカは戦争承認の国連決議を得られず、正当性を欠いたまま外交的敗北の中で開戦し、今日も占領を続けています。
 アメリカの一国覇権主義に反対し、同盟国であったフランス、ドイツが戦争反対の声を上げました。さらに非同盟諸国やアラブ・イスラム諸国、ロシア、中国の連携は、無法な戦争に反対する事実上の国際共同戦線をつくり、国連憲章に基づく平和の国際秩序を目指した流れとなり、今やアメリカは国際政治の中で孤立を深めています。
 区長は、こうした世界の流れに反し、占領を続けるアメリカ政府をどのように見ていますか、お聞きします。
 区長は所信表明で「我が国は国論を二分しつつイラクに自衛隊の派遣を行いました」と言いつつ、「権限や置かれた立場、責任の異なる自治体の長として、その是非を論じることは控えるべき」と述べています。ところが「派遣された自衛隊がイラク復興に貢献できることを祈る」と自衛隊の派遣を認めています。
 自衛隊の派兵は占領を続けるアメリカ支援のために、平和を求める世界と憲法を守れという国民の声に反して、戦後初めて強行された暴挙です。しかも、派兵するために、サマワで起きている銃撃事件や自衛隊が占領軍の一員として連合軍の指揮下に入ることを隠し、自衛隊の先遣隊報告は出発前に東京でシナリオが書かれており、サマワ評議会議長の歓迎談話が偽りであったことなどが次々に明るみに出されました。許されないことです。
 イラク戦争は、アメリカが国連の承認を得られないまま先制攻撃で引き起こしたものであることは明白です。そのアメリカの占領を支援するために行われた自衛隊の派兵は憲法違反です。
 中野区は、憲法擁護・非核都市を宣言し、平和行政の基本に関する条例を制定しています。その第2条の立場は、核兵器廃絶にとどまらず、平和に対するあらゆる脅威をなくすために取り組むことを責務にしています。
 中野区の宣言や条例の立場を貫き、自衛隊の派兵は憲法違反であるということを明白にすべきです。見解をお聞きします。
 所信表明には、中野区における改革の取り組みは、基本的には国全体が目指すべき方向をリードするものと区の進む方向を示しています。そして区民が個人の自立と自己責任を前提に、支援が必要な人には、自身の選択と契約に基づく適切な支援が提供される補完性原理に基づく社会を目指すと表明しています。
 補完性原理とは、西室泰三東芝会長を議長にした地方分権改革推進会議の答申に出てきた考えです。それは、すべてのことは個人責任における自立が原則であること。それが困難な人には、住民や地域が助け合い、それで解決しない問題については、市区町村が、それができなければ都道府県、最後に国家という順番で行うこととしています。この考え方は、これまで行政が担ってきた責任を徹底して個人や家族、地域の責任に転嫁しようというものです。それゆえ憲法25条、国民の生存権と国の社会的使命の理念に逆行するものと各界から批判されています。
 この自己責任で自立することを国民に迫る政治が国民に犠牲を押しつけ貧富の差を拡大させ、経済や生活問題を理由にした自殺を急増させたのです。住民に社会サービスの負担を増加させ、保健、医療、福祉を交代させ、自治体の財政や住民の暮らしを直撃しているのです。
 この考えを区政に持ち込むことは、国や都の自治体と住民いじめを無批判に受け入れるだけにとどまらず、区も同じように住民いじめを進めるということになります。
 所信表明の最後に、この取り組みにおくれが生じることは取り返しがつかない事態を招くことになると言っています。これは保育園や図書館の委託、学校の統廃合など、福祉、教育を切り捨て、もっとスリムにならなければ中野区は取り返しがつかなくなると言っているのに等しく、明らかに地方自治法の精神に対立するものです。区長のいう行政にしかできない働きとは、自治法第1条の2に明確にされているように、住民の暮らしを守り、住民サービスを向上させることにあるはずです。
 構造改革をリードし、補完性原理で区政運営をする考えは自治体の役割を否定するものです。区民の暮らしを守り抜く姿勢こそ求められるところです。見解をお聞きします。
 さらに、政府が景気の回復基調を宣言したので、実感はないが、悲観ムードが部分的にも和らいできていることは歓迎したいとの認識を示しています。その裏付けに内閣府発表のGDP数値を示しましたが、肝心の個人消費は、雇用も家計も置き去りのために足踏み状態です。ですから、だれにも実感がわかないのです。
 その原因は、国の構造改革によって進められる大企業のリストラ応援、巨額の国民負担増、銀行の強引な不良債権処理と中小企業つぶしで雇用も社会保障も悪化しているからです。国民も中小企業も未曽有の生活危機に苦しんでいます。生活の不安を訴える人は67%と史上空前です。勤労者世帯の家計収入は97年から03年まで6年連続で落ち込み、月額7万円もの減収です。
 こんな状態に置かれている住民に厚生年金と国民年金の保険料を毎年引き上げ、少子化などを理由に給付水準を引き下げる年金改悪法案を閣議決定しました。年金改悪をされたのでは、冷え込んでいる家計にさらに重い負担と給付削減を押しつけることになり、住民の将来不安を広げ、経済への悪影響ははかり知れません。
 区長は、こうした国の構造改革をリードするということですが、住民の苦しみは構造改革によってもたらされているということに、どのような見解をお持ちでしょうか、お聞きいたします。
 国の三位一体改革、都の二つのプラン、第2次財政再建プラン、第2次都庁改革アクションプランも、こうした構造改革や補完性の原理の上につくられたものです。
 区長は、国の三位一体の改革について自治体のあり方として権限強化をもたらすと同時に厳しく経営能力を問うと述べています。三位一体改革は国庫補助・負担金を04年度から06年度までの3年間で4兆円程度減らすとして、初年度の04年度政府予算案では1兆円を削減、その中には自治体への公立保育所運営費の補助金を廃止することが含まれています。義務的な国庫補助・負担金を一般財源化することにしていますが、補助金の性格等を勘案しつつ8割程度を目安として移譲、義務的事業は徹底的な効率化を図った上でという条件をつけています。これでは住民にとっての福祉、教育などの水準が保障されなくなります。
 また、一般財源化に呼応して所得譲与税が創設されましたが、04年度に一般財源化した額に対し9割足らずの額しかないのです。結局、自治体の財政的な事情が厳しくなるだけで、財源不足を住民にしわ寄せすることにつながります。まさに自治体としての責任が果たせるのかが問われます。
 区長は、三位一体改革で厳しくなる財政については、自治体合併などで財政基盤を強化することも欠かせないと述べていますが、全国では合併しないと決める自治体が次々とあらわれています。財政危機の宣伝による合併に対し、合併のメリットのまやかしを見抜き出しています。
 全国知事会、市長会などの地方六団体は、地方財政への負担転嫁は住民福祉を守るため断じて認められないという共同声明を出しました。区長も加盟する市長会を含む六団体の声明です。国庫補助・負担金の廃止と税源移譲で歳入が落ち込み、住民いじめになるのではかないません。自治体の権限強化をするためには、基本的に財源保障と財政調整の機能を拡充することが必要です。
 区長は、今後の区の財政運営に三位一体の動向を注視し、その影響を適正に反映するとしていますが、地方六団体の声明の立場を貫き、その影響を区民に転嫁する考えは改めるべきと思います。見解をお聞きします。
 都の第2次都庁アクションプランの影響も適正に反映するとしています。
 このプランは、都立施設からの撤退、民営化の促進や区市町村への仕事押しつけなどを打ち出したものです。
 都は、補助金などの見直し・削減を目的にしている第2次財政再建推進プランとあわせた04年度予算案では、福祉、暮らし、教育などの都民施策予算を1,200億円削減しています。とりわけ保育園への補助金削減は深刻な影響を与えます。私立園などへの民間社会福祉施設サービス推進費補助の削減や三位一体の改革において廃止される公立保育園補助金が一般財源化されることにあわせ、独自に上乗せしている補助金を廃止するとしました。23区の影響額は67億円カットになると予測されています。区は新年度予算案で都からの補助金を2億6,000万円見込んでいます。保育水準確保の後退につながり、重大で、とても認められません。この影響が調整率52%のままの財調に算入されたのでは他の施策に影響します。
 共産党都議団は、都に対し、公立園への包括的な補助制度の創設を求めました。
 この二つのプランに加え、都と区の施策見直し協議により16の事業変更が04年度から行われることになり、区民への影響が生じます。
 一方的な補助金の削減と財源なき仕事の移管を認めるとしたら区の財政基盤は脅かされます。都に対し、国が補助金を廃止することを悪用して都も上乗せ分などの補助金を廃止するということはやめよと求めるべきです。見解をお聞きします。
 都は、二つのプランを進める理由を巨額の財源不足としています。しかし、都が見直さなければならないことは、財政危機をもたらす原因である都心への自動車の集中やヒートアイランド現象を加速させる超高層ビルと大型幹線道路中心の都市再生などへの投資です。困っている中小業者が使うことのできない新銀行への投資です。
 この二つのプランには多くの団体が抗議しました。また、区長会や市長会から異議が出ています。区民の立場に立てば、仕事は移管するが財源は渋るという都の態度は認められません。
 区長は、二つのプランの影響をそのまま区民サービスにはね返さないこと、都に対し、必要な財源を確保する姿勢をとるべきです。見解をお聞きします。
 2004年度予算案についてお聞きします。
 区は財政の苦しさを理由に福祉、教育関連予算や施策の削減・廃止などを行い、区民サービスが大きく後退しています。歳出に占める教育・民生費の割合は、99年度決算では60.1%ありましたが、02年度では50.4%と減っています。
 ところが、04年度予算案は、これまでのような事業の見直しをするというだけでなく、将来のまちづくりのために、いよいよ大規模再開発に踏み出す予算案になっており、今までと質の違う予算編成であることが指摘できます。
 特にサンプラザはまちづくりに必要だからと税金で新会社をつくって買収します。その一方、福祉や区民施設の一層の委託化、民営化を進め、区民サービスに責任を果たさなければならない行政責任を投げ出すようになっています。保育園を指定管理者に委託する姿勢は、その最たるあらわれです。
 03年区民世論調査には、10年後の中野区のまちの姿として、高齢者や障害者、子どもへの福祉が充実したまち、30.4%、公園や緑が多く自然環境の恵まれたまちに、23.6%とあります。ここに区民全体の願いがあらわれています。警察大学校跡地は広場を中心に一体の活用ができるようにと願う区民に反して、区画整理事業で再開発を進める準備を始めようとしています。
 中野区民にとって二度と得ることのできない広さを持つこの土地を再開発用地に切り売りすることは、後世に財政負担にとどまらない悔いを残します。
 私たちは、区が進めようとする都市再生の問題を繰り返し指摘しています。区は持続可能な行財政運営のためにまちづくりは必要と反論します。そして区民の合意もないままに急いで計画をつくり、全国の自治体が財政困難に陥る原因になった大規模再開発を都市再生の名で進めようとしています。
 区民生活から見れば、サンプラザやまちづくりのために福祉や教育予算を削られるのは悔しい、納得できないという声が大きくなっています。
 区政の進もうとしている方向は大規模再開発に向かっていることが予算にあらわれています。区長はその道を選ぶのでしょうか、お聞きします。
 予算案とともに示された16から20年度の財政運営の考え方には、歳入確保策として受益者負担の適正化、歳出構造の見直しとして事業の廃止・転換と民間活力の導入、検討課題として委託化・民営化と学校の統廃合が示されています。いずれも所信表明で示した構造改革と補完性原理を具体化したもので、区民いじめに拍車がかかり、行政の責任を放棄するという自治体としてのあり方が問われるものです。
 国保加入者への保険料もさらに引き上げ、均等割は800円アップで3万200円に、所得割はその率を100分の204から208にと引き上げます。その結果、ますます保険料の負担は重くなり、払いたくても払えない区民を生み出すという悪循環になります。保険料を払えない人への短期証は1月末で5,180人、資格証明書は172人に達しています。
 高齢者施策のいきいき入浴サービスは、都の指導だからと有料化し、障害者施策では、かみさぎこぶし園や福祉サービス事業団の民営化、障害者社会参画や障害者・難病患者の福祉手当の削減と社会的弱者にある人たちへのしわ寄せが大きくなっています。聴覚障害者の方々を初め、区長は弱者の声を聞いてくれなくなったという不満が出ています。
 成人健診は、無料化を04年度は継続しますが、05年度には有料化する方向を出しています。
 社会的弱者と言われる人たちを初め区民の暮らしに責任が持てる予算とはいえません。見解をお聞きします。
 子どもや子育て世代はどうでしょう。保育園を指定管理者制度で無理やり委託しようとするため、業者選定過程に重大な問題を残したまま、宮園と宮の台保育園の委託を決めました。指定管理者に委託させることは、中野の子どもたちを安上がり保育だけでなく、財界が求める史上の原理に任せるものです。今年度に策定予定だった保育基本計画は棚上げのまま、委託や民営化を進めることで中野の保育サービスの後退は免れません。
 その上、保育園保育料も平均で6%引き上げ、子育て中で出費のかさむ勤労者世帯に一層の負担を押しつけようとしています。そのほかに乳幼児健診、育児支援、アポロ園支援、学童クラブ、児童館、子育てサポート、子どもの権利条約、成人のつどいなどの施策予算が軒並み減少しています。
 未来を担う子どもたちと子育て世代に責任が持てる予算ではありません。見解をお聞きします。
 新年度は事業部制が導入されて作成した予算です。各部が何に重点を置いた予算かが問われます。母子保健や男女平等などを無理やり統合してつくった子ども家庭部では、男女平等に関する事業費が減少しています。部枠予算になる各部から出された予算要求では、250前後ある事務事業のうち144事業もがマイナスになっていたとのことです。そのまま予算案に反映されています。人件費を見ると、仕事がふえたと思える子ども家庭部は減っており、大きく事業が減っているはずの都市整備部とサンプラザの事業を取り組む企画調整担当がふえています。
 私たちは、事業部制による部枠予算では、各部が競い合って区民施策を削ることになると指摘しましたが、心配したとおり事業の廃止・転換が行われ、区民サービスが後退することになっています。
 事業部制の部枠予算で区民サービスを後退すべきではありません。事業部制を見直すべきです。見解をお聞きします。
 一方、区民とともに要求してきた痴呆性高齢者グループホームの建設費補助、本町四丁目デイサービスセンター整備の準備、情緒障害児学級の開設、延長保育の拡大、耐震補強等対策、成人健診の無料化継続などの予算が盛り込まれたことは評価できます。引き続き税金のむだ遣いを改め、私たちが以前から拡充を求めている乳幼児医療費助成制度は、北区が新年度から全小・中学生の入院費無料を行うなど各地で充実していますが、中野でも実現させること、介護保険料・利用料の軽減策の実現など、区民の暮らしを守り、自治体としての責任を果たすために取り組むことを表明して、次の質問に移ります。
 区立保育園を株式会社に委託することについてお聞きします。
 区は、4月から保育園に指定管理者制度を導入することを突然、発表しました。余りのことに、11月30日に開かれた説明会には、区が用意した資料が足りなくなるくらい会場いっぱいに区内の保育園保護者が参加しました。
 そこでは、延長保育など区民サービスを拡大するために委託するという区に、それは区の怠慢を棚上げにしている、人件費が高いから直営にしないというが、子どもに使うべきところは使ってほしいとの声、保育サービスが不足している地域の保育園を選んだという区に、次々と保育園をつぶしてきたからと批判の声が次々と出されました。4月実施ありきの区に、保護者や職員から、余りにも突然、話し合いをという声がわき上がり、7万を超える陳情署名が集まりました。さらに、保育園を委託するな、指定管理者として株式会社に委託するなという取り組みは大きくなり、ことし2月12日、ZEROホールに680人が集まりました。
 保育士が一斉にかわっても子どもは3日もあればなれるという子どものことを考えない区への怒り、経験のある保育士に励まされて親子も育ってきた発言への大きな共感、私たちの手で保育をしたい、子どもの命を大事にする保育をしたいと声を詰まらせる保育士と非常勤職員に大きな拍手が送られました。そして集会のアピールでは、保育園は子どもの成長、発達を保障するところ、だからこそ知識と経験を積んだ保育士による安定した保育が必要です。中野区はなぜそんなに委託を急ぐのでしょう、なぜ職員が入れかわってしまう委託をしなければならないのでしょう、私たちは本当に怒っています、委託は嫌、子ども最優先の保育行政にしてくださいと決議しています。
 先ほど04年度予算案を審議し、可決される前に、先議で宮園と宮の台保育園を指定管理者に民間委託する条例を議会が通してしまいましたが、保護者や区民、職員の理解もなく4月から指定管理者に委託するには無理があります。私たちは対象になっている保育園を視察しましたが、施設整備だけを見ても時間的に無理があります。
 4月実施はやめての区民の声を受けとめ、4月からの委託はやめるべきです。見解をお聞きします。
 区は、土地・建物は区のものだから、指定管理者に委託しても区立に変わりはなく問題はないと言います。本当にそうでしょうか。指定管理者といっても民営化と同じことです。区は管理する主体から退き、指定管理者が直接の管理者になります。これまで行政が直接的に責任を追ってきた区立保育園と本質的に異なる保育園になるのです。
 全国的には、保育園への企業参入について、営利目的の企業参入はなじまないと要綱などで禁止し、拒否する自治体が名古屋、大阪など10市以上あります。
 企業参入では直接子どもの発達に責任を持たなければならない保育士は、企業の都合による不安定雇用の保育士になり、保育の安定的運営と質を確保するということでは、子どもにしわ寄せがいきます。民間に働いている保護者は民間の労働状態をよく知っています。だからこそ指定管理者による民間委託に反対の声が強いのです。せめて子どもにかけるお金と手間を惜しまないでほしいと願うのです。
 子育ては社会的なものです。財政効率では計れない、子どもを育てるという責任を果たす事業にはなじまないからこそ保育への企業参入が禁止されてきたのです。
 保育園の民営化計画に対し、取り消しを求める裁判が四つの自治体で起きています。中野区も同じ過ちを犯しています。私たちは、指定管理者に委託しなくても保育サービスを拡充できることを提案しています。
 説明会などで区長は、区立保育園はなくてもいい、全園民営化を目指すと言っています。これは許されない発言です。撤回すべきです。未来を担う子どもたちに公的保育の責任を果たすべきです。見解をお聞きします。
 教育行政についてお聞きします。
 まず30人以下学級についてです。
 昨年11月、文部科学省が04年度から少人数指導などに伴う教職員の定数加配を少人数学級実施のために振り返ることができるよう検討し、希望する学校の状況報告を都教委に求めました。ところが、都教委は区市町村教委に通知せずに該当がありませんと回答してしまいました。
 日本共産党区議団は、区教育長に、都においても希望する区市町村、学校が少人数学級を実施できるようにすることを求めて申し入れを行いました。教育長は、都教委から何も聞いていないことを明らかにし、都教委の真意を確認することが必要との見解を示されました。
 区市町村に問い合わせもせず該当なしと返事したこと、こうした都教委の姿勢についての教育長の見解をお聞きします。
 文部科学省の調査によれば、学級編成の弾力化で少人数学級を実施している自治体は30道府県に達しています。最近では、少人数学級に否定的な態度を示してきた兵庫県も、ことし4月から全県で小学校1年生を35人学級にすると報道されています。いずれの自治体でも大きな教育効果が上がり、子どもたちにもよい影響をもたらしているとの検証が出ています。
 東京都では、30人学級の実現を求めて120万人の署名が出されています。市長会を初め特別区教育長会も要望しています。私たち区議団は定例会のたびに区教委としての実施の検討と都への要望を求めてきました。今回の文部科学省からの調査は、都や区が具体的な一歩を踏み出すよい機会であったと思います。
 区教育委員会は少人数学級の必要性を認識すべきです。見解をお聞きします。
 学校選択制についてお聞きします。
 05年度から導入する準備のために1,370万円余の準備予算が計上されています。選択制の導入に対する教育委員会の議決もないままに選択制実施の準備予算を計上するというやり方は問題です。
 そもそも各自治体では、いじめの被害救済対応などとして通学区域を柔軟で弾力的にとってきました。中野もそうでした。ところが、99年10月に当時の文部省が「通学区域制度の弾力的運用について」という通知を出したことから、教育改革の規制緩和の一環として学校の特色化となって弾みがついたようです。
 この問題では、品川、杉並など各地の調査を見ると、通学のしやすさ、友人関係などが選択の大きな理由として挙げられています。選択制でなくても、従来の柔軟な対応で十分に対応できます。
 学校の特色化を選択制のコンセプトにし、学校間の競争を強いることにより、学校は生き残りをかけた競争にいやおうなしに巻き込まれてしまいます。その結果、子どもたちを巻き込んだ学校の序列化が進行すると指摘されています。子どもや保護者はサービスの選び手に過ぎなくなり、子どもと保護者、現場の教職員、地域住民が参加して協働してつくる学校づくりができなくなります。
 昨年の12月に学校の適正配置と選択制について教育委員と区民との対話集会が2日間、実施されました。そこで出された選択制についての意見は、地域の子どもは地域で育てることが望ましい、地域の学校を大切にしたい、風評によって子どもが少なくなった学校はどうなるかなど、ほとんどが導入について懸念し、反対する意見が出されました。私たち区議団と町会連合会との予算懇談会の席上でも選択制を批判する意見でした。さらに、中学校PTA連合会が行ったアンケートの賛同意見は22%、これに対し否定的意見は56%もあります。
 対話集会では、教育長の選択制で地域の学校を選んでほしい旨の発言があり、別の委員が区民の理解は不十分だとわかったと発言しました。急いで導入する理由はどこにもありません。
 教育委員会のかたくなな姿勢は、選択制先にありきで、中野の子どもと区民、教職員に不安と混乱をもたらすものです。関係者が理解しないことを強行することが教育委員会のすることでしょうか。
 なぜ子どもに不安を与え、保護者、区民からも不安や反対の意見があり、区民の合意が形成されていないにもかかわらず強行しようとするのですか。決まってもいない選択制の導入を予算化しておくというのは納得できません。子ども、区民、学校不在です。再検討すべきです。
 図書館問題についてお聞きします。
 図書館業務の委託は、今までの窓口業務を中心に配置していた非常勤職員を解雇して、中央館の窓口と地域館のほとんどの業務を委託するとしています。
 私たちは、委託する理由になっている開館日の拡大、職員の専門性の確保などについて区の怠慢を問題にしてさまざまな指摘をしてきました。今回の委託が実施されれば、全都で委託実施率は中野区がトップになり、区の職員は館長だけで、後は業者に委託という図書館も中野だけです。非常勤人件費より委託料が高くなっても委託するということは、委託の目的が職員を減らすことにあるからです。また、職員管理をしない図書館だから、館長の役割は少なく、一人でいいというのは、区民に対して無責任です。
 館長の勤務時間は週40時間であり、1日11時間を開館する図書館に区立でありながら職員がだれもいない空白の時間や曜日があるという状態が起きてきます。図書館利用者はたくさんの不安と不満をもっています。せめて図書館経験のある館長の配置をという区民の声が届いているはずです。
 館長は専任で有資格者の経験のある人を配置し、複数の職員を配置すべきです。見解をお聞きします。
 教育委員会は、業務委託は行政内部の変更であり、区民に改めて説明することは不要との説明をしてきましたが、ようやく2月7日に図書館業務改善の説明会をもちました。
 この案内は図書館でのポスター掲示とホームページの掲載だけということも問題です。初めて委託に関する全貌が区民に明らかにされました。参加した人たちからは、地域館は館長以外皆業者というのはショック、ぜひ複数の職員を、都の中で中野は委託の進んだ区になるのか、館長以外の委託は公共図書館としての本質が失われることはないか、公共図書館サービスのために区民が職員ではなく業者と連携するのは矛盾、委託業者の司書が3割あればよいということは、残りの人はパート、アルバイト、図書サービスが蓄積されず、どう考えるのかなど、たくさんの意見が出ました。このこと自体、委託問題は行政内部の問題にとどまらないことを示しています。
 委託により図書購入費の確保ができると説明していました。にもかかわらず、新年度の図書資料購入費は今年度より1,300万円上乗せた7,000万円です。区民一人当たり236円になるそうですが、まだ23区中20番目前後です。やはり委託の目的は区民サービスではなく職員削減が目的と言えます。
 図書館運営を心配するこうした区民の声をどう受けとめますか。03年度からの委託内容を再検討すべきです。お聞きします。
 区は、図書館の委託事業者としてNPOを考えていました。そこで区のNPOに対する見解をお聞きします。
 図書館の委託業者には、二つのNPOを含め10社以上の応募があったとのことです。
 区長は政策でNPO支援の推進を掲げています。そうしたことを反映してか、職場を奪われようとしている非常勤職員を中心に、新たな雇用の手段として、委託の時期に間に合うようにとNPOの立ち上げが進められました。昨年10月の中野まつりには二つNPOが取り組みの内容を紹介しています。こうした動きが、職員の中で区立図書館のあり方についての議論が深まらないままNPOを立ち上げることにたくさんの時間がとられ、そのこと自体が目的になってしまったと聞いています。どうしたらいいかわからない、本当にこれでいいのかという声が聞こえました。
 NPOの特徴は、社会的な役割を果たす意志を持ち、かつ行政にコントロールされない非政府性、収益を分配しない非営利性にあります。NPOが事業を行う目的は、会員相互の内部利益ではなく、その事業を通して公共的ニーズを満たし、地域やまちの活性化につながる社会的効果をもたらす公共性と公益性を果たすことが求められています。
 行政はNPOは真に対等な関係を確保することが必要です。しかし、最近では各地でNPOが行政の施策切り捨ての受け皿になり、低賃金雇用の隠れみのになっている事例が報告されています。そのために行政が指導している例があらわれているとも指摘されています。
 NPOの支援は、行政と行政にコントロールされないNPOとが対等な関係を確保した上で行われなくてはなりません。改めてNPO支援のあり方をお聞きします。
 次に、山手通り沿道の問題についてお聞きします。
 一つ目は山手通り問題についてです。
 首都高速道路公団は、地下高速中央環状新宿線の事業計画において、排気ガスを吹き出す換気塔による環境への影響を検討した検討図と規模の見直しをした場合のイメージ図を提出してきました。それによれば、高さは当初から予定していた45メートルのほかに30メートルと15メートルの3種があります。規模は幅7メートル、長さ15メートルの当初から予定していたものと高さ7メートルまでは幅7メートル、長さ15メートルは同じでも、7メートル以上の高さの部分は長さを半分にするというものです。換気塔の規模が小さくなることは沿道住民にとって必要なことです。こうした見直しが行われたことは、この計画が説明された16年も前から、沿道住民を中心に健康と環境を守れという運動があったからです。
 今後、環境負荷をさらに小さくするために、さらに幅を小さくすることができるのか、高さをどうするのか、何より重要な問題は換気塔に設置する電気集塵機と低濃度脱硝装置だけでは除去できない有害物質の微粒子をどう除去するのかという検討です。
 排気ガスが与える生活と環境への負荷を小さくするためには、土壌による大気浄化システムを実現することが必要です。そうすれば、換気塔の高さや規模を小さくすることができます。換気塔が小さくなれば、中央分離帯や歩道の幅を広く確保でき、緑樹帯をふやし、土壌による浄化システムを設置する場所の確保につながります。
 中野区は、公団が示す資料を判断の基本にせず、住民の健康と環境を悪化させないために、都や公団に働きかける責任を果たす立場にあります。
 改めて、換気塔や高速道路出入り口付近に土壌大気浄化システムの設置を求めていただきたいと思います。区の見解をお聞きします。
 二つ目は、住宅や敷地問題などに対する相談体制についてです。
 本町一丁目の地域は、山手通りの事業や坂上交差点地域をセンターコア再生ゾーンに、地域全体を再開発促進誘導地域に指定しています。これにより事業所ビルや高層ビルしか建てられないようなまちになりつつあります。
 加えて、ことしの夏ごろに都が新しい用途地域・地区の見直しを決定する予定です。日影規制の見直し、土地の細分化を防ぐための建築物の敷地面積の最低限度が導入されます。そうなると、新たに土地を分割すると60平米以下の土地に建物を建てることができなくなります。
 本町一丁目地域に、ある不動産会社が用途地域指定の変更を紹介した「我が家が幾らで売れるか、あなたは御存じですか」というチラシを急告として配布しました。どうしたらよいのかという住民の心配している声があります。このままでは不動産会社の格好の活動の場になり、地域住民は安心して住んでいられなくなります。
 住民の不安を受けとめ、相談などができる体制をとっていただきたいと思います。いかがでしょうか。
 最後に、区民を詐欺被害から守る対応についてお聞きします。
 昨年の夏、友人の高校2年生の子どもあてに高額の携帯電話代を請求する手紙が届きました。当時、消費者センターに問い合わせたところ、多い日で1日五、六十件くらいの相談があるとのことでした。中野以外に杉並、渋谷などでも同じことが起きているということでした。
 また、高齢でひとり暮らしの女性に、顔見知りの人が着物の帯を預かってほしいと置いていき、預かった印の判を押させました。後で代金が支払われていないと督促状が届きました。別の高齢者の女性は、川島商店街に日がわり店として布団販売の店があらわれ、若い五、六人の青年に囲まれて30万円もの羽毛布団を売りつけられました。手付金1万円を支払い、次の日、布団が届くというものでした。いずれの人も時間を置かずに相談があったため被害は避けられましたが、実際に被害を受けた人が少なくないと思われます。
 消費者センターには、このような不当請求の相談が急増しており、相談員は大変だそうです。
 今、おれおれ詐欺を初めあの手この手で高齢者や子どもたちをターゲットにした詐欺事件が多発しています。新聞、テレビのニュースで知っていたから被害を免れた。知人や近所の人と話していて被害を免れたということも聞きます。
 こうしたことへの注意や対応を喚起するには、情報が迅速に住民に届けられることが一番です。現実には、気がついた集合住宅のオーナーや管理組合が玄関に張り紙をするとか、警察からのニュースが回覧されるなどの個別対応が中心です。
 そこで、区として、そうした事件を1件でも知り得たときには、迅速に情報として提供することが肝心です。本人だけでなく、家族や近隣の話題にすることで防ぐことができます。
 区民に相談先がいつもわかるようにPRすること、必要な体制をとることが大事です。情報提供は、例えば高齢者会館などの区民の施設利用者に、ポスター掲示や話題にするなど、学校も含め工夫して行っていただきたいと思います。いかがでしょうか、お聞きします。
 以上で私の質問を終わります。
     〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 岩永議員の質問にお答えします。
 イラク問題についてですが、国連が中心となって国際的な協調の中でイラクの主権移譲や復興が行われることを強く望んでいるところでありまして、一日も早くイラク国民による政権が発足することを願っているものであります。
 また、自衛隊派遣についての憲法問題ということでありました。
 平和な国際社会の実現は人類の願いでありまして、イラクの復興、人道支援のために我が国の果たすべき役割は重要であると考えております。このことはさきにも申しましたが、区民等しい考え方であると私は思うところであります。
 具体的に国が法やしかるべき手続によって行ったことについて、行政の長として、自治体を代表する役割として、憲法違反であるかどうかといったことについて申し述べるべき立場ではないと考えております。
 それから、政治姿勢の問題で、構造改革、補完性原理、あるいは市民の自立を前提とすることは、区民いじめであって責任放棄ではないかという御質問でありました。
 日本が今、長期的な低迷から回復をするには、構造改革というのは本当に必要だと私は思っています。40兆円余りの税収しかない中で国家予算は80兆円の規模になっているわけであります。このことは所信表明でも申し上げたところです。国の債務、地方の債務を合わせますと700兆円を超えているということです。2006年を境に日本は人口が減っていくということの中で、経済成長の新しいエンジンも見出せない、こういう状況の中で、私たちはこの国をどうしていくのか、私たちの社会をどう守っていくのか、持続させていくのかという大きな課題を今持っているんだと思っています。私は、行政も幅広い意味で市民の協働として行われるべきものだと思っています。市民がいて、どこか別なところに国があったり行政があったりするわけではないのであります。市民がお互いに力を出し合い、支え合って、私たちの命であるとか、あるいは暮らし、そうしたものを守っていくために行政を形成しているわけであります。そういう意味では、まず個人の自立が前提となり、お互いに必要な支援をし合う、支え合うという補完性の原理は、当然これからの社会を考えていく上で必要な考え方であると考えているわけであります。
 それから、国の姿勢、あるいは国の三位一体改革に伴って国が補助金をなくすのに伴って東京都もどんどんと補助金を切ってしまうといったことについて、区としてきちんとものを言っていくべきだということでありまして、私もそのように、国、都が政策的にそれぞれの役割として果たしていくべきことについては、しっかり果たせということは主張してまいりたいと思っているところであります。
 また、三位一体改革についても、幾つかのお話がありましたけれども、先ほど言いましたように、日本全体がどういう形で構造改革をしていくのか、そういうことの中で避けて通れない改革の一つが三位一体改革ということでありまして、自治体の権限を強化しながら国全体の構造改革、再生を進めていくということでは、避けて通れない、つらいところであっても、それぞれの自治体がきちんと受けとめて、それを乗り越えていくということが必要だと思っています。
 それから、16年度予算について、まず将来のまちづくりのためサンプラザを取得する、大規模再開発をしようとしているのかといった質問でありました。
 まちづくりについては、将来の中野のまちをよりよいものにし、区民の福祉の充実をしていくということのためには、大切な、重要な課題が数多くあると考えております。民間活力の活用でありますとか、適切な財源確保、そうしたことを行いながら、16年度予算のみならず、今後の計画的な財政運営などによって、過大な負担を伴わない形で進めていきたいと思っております。
 それから、予算を縮小するという中でさまざまなサービスが減ってきているという御指摘でありました。歳出額が減ったからサービスが減るということであれば、予算がふえればサービスはよくなる、予算が減ればサービスは悪くなる、こうした議論になってしまうわけでありまして、我々行政に携わる者がよりよい財政運営をしながらサービスをよくしていくという営みが見えなくなってしまうわけであります。私どもといたしましては、予算が減っていく中でも、区民にはよりよいサービスが提供される、そうした社会を目指していくということで御理解をいただきたいと思っています。
 それから事業部制については、事業部制をやったがために予算が減って、やめるべきだということでありましたけれども、事業部制は、予算や人員、施設といった資源を最も効果的に活用して、区政の目標を達成するために導入したものでありまして、これからも着実にこの改革を進めていきたいと思っております。
 それから、保育園の指定管理者制度の4月からの実施は見合わせるべきだということでありました。
 指定管理者制度の導入ということによって、私たちは、より必要とされているサービスが実現していない、この現状を変えていきたいということが一つあるわけであります。また、これからの行政のあり方、公共サービスをどうふやしていくのかというあり方を考えたときに、指定管理者制度、あるいは民間の力を活用していく、そうしたやり方をきちんと取り入れながら、行政は行政として、その中でサービスがきちんと提供されていく、利用者の利益が守られていく、そうしたことを進めながら公共サービス、公益サービスの質をよく、ふやしていくということをやっていく責任があると思っております。区の公的責任をしっかり果たしながら指定管理者制度についても進めていきたいと思っております。
 指定管理者制度についてさまざまな御意見をお持ちの区民の皆さんもまだまだいらっしゃるということでありますので、今後とも十分に説明をしていきたいと思っております。
 私の方からは以上であります。
     〔教育長沼口昌弘登壇〕
○教育長(沼口昌弘) 30人以下学級の件についてお答えを申し上げます。
 この件につきましては、東京都教育委員会につきまして、文部科学省の調査に対する東京都の見解、この回答の真意を確かめてまいりました。東京都教育委員会の見解は、今回、文部科学省が行いました調査の趣旨につきましては、都道府県として現行定数配分の中で新たに研修指定校を指定して、少人数学級を実施するか否かという調査でございまして、共産党都議団の申し入れにあるような、区市町村の学校が少人数学級を希望しているか否かの調査ではないというものでございました。
 なお、区教育委員会といたしましては、少人数学級よりも、教科の特性に応じまして柔軟に対応できる少人数指導の充実を図ることが望ましいと考えておりまして、23区教育長会を通じまして、このための加配措置の充実を要望しているところでございます。
 〔教育委員会事務局次長山下清超登壇〕
○教育委員会事務局次長(山下清超) 学校選択制についてでございます。
 この仕組みは、教育内容の充実や質の向上、特色ある教育活動の推進、学校の活性化などを期待して導入しようとしているものでございます。
 この検討に役立てるために昨年10月に実施しました区民アンケートでは、現行の指定校変更制度のままでよいとする意見は約10%にとどまりまして、現行制度の基準緩和や学校選択制そのものを望む意見がそれぞれ40%を占めております。多くの区民の皆さんは何らかの変革を求めていると私どもは受けとめてございます。こうしたことから教育委員会では学校選択制を実施すべきものと考えてございます。
 なお、今後、実施案の検討ですとか、準備を進める際には、区民、保護者の皆さん等の意見を十分に聞きながら進めていく考えでございます。
 それから、図書館の委託についてでございます。
 地域図書館長の配置については、業務量を勘案して区の職員一人ということにしてございます。人選にも留意をする考えでございまして、運営上、問題が起こるということはないと考えてございます。
 また、委託でございますけれども、利用者サービスの向上をできるだけコストをかけないで行いたいということが目的でございまして、こうした目的を達成できるような受託者の選定に努力をしてございますし、委託の仕様の中で司書の配置率を義務付けるということで専門性も十分に確保できると考えてございます。委託を進めることの効果は大きいと考えているところでございます。
     〔区長室長金野晃登壇〕
○区長室長(金野晃) NPO支援のあり方についてでございます。
 NPOは、自主・自立の団体として、公共的、公営的サービスの担い手となると考えております。こうしたNPOの支援ということにつきましては、情報の公開や透明性といったものを確保しながら、NPO活動の自立性、継続性が確保できるような環境の整備を行っていきたいと考えております。
 図書館関係のNPOにつきましても、同様の考え方のもとに支援ができると考えております。
   〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 土壌脱硝装置でございますが、これにつきましては、国土交通省が板橋の大和交差点で大気浄化のフィールド実験を行ってございます。その結果でございますけれども、沿道の大気濃度の改善効果が確認されなかったところでございます。さらに、処理能力が不安定であるということ、それからまた広い面積が必要だということでございます。そういうことから首都高速道路公団としては土壌脱硝装置の導入は行わないということにしてございます。区としましては、改めて国や公団に対しまして申し入れをするということは考えていないというところでございます。
 次に、不動産会社のチラシでございますが、区は用途地域・地区の見直しに関しまして、地域説明会の開催を初め区報、ホームページ等の広報を行ってきております。また、御指摘のような住まいに関します質問、また相談につきましても、都市整備部で対応しておるところてございます。今後も区民に対します適時、適切な広報や相談等を充実してまいりたいと考えてございます。
    〔環境部長寺部守芳登壇〕
○環境部長(寺部守芳) 区民の詐欺被害のお尋ねでございます。
 被害の防止につきましては、消費者センターで区報により注意を呼びかけたり出張啓発などを行っているところでございますが、被害のケースによりましては、地域住民の防犯活動とも連携し、臨機応変な対応ができるよう努めてまいります。
○議長(山崎芳夫) 以上で岩永しほ子議員の質問は終わります。
 お諮りいたします。
 議事の都合により本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎芳夫) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
 本日はこれをもって延会いたします。
      午後5時30分延会