1.令和7年(2025年)9月12日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(40名)
1番 高 橋 ちあき 2番 山 内 あきひろ
3番 武 井 まさき 4番 日 野 たかし
5番 木 村 広 一 6番 斉 藤 けいた
7番 井 関 源 二 8番 黒 沢 ゆ か
9番 大 沢 ひろゆき 10番 武 田 やよい
11番 広 川 まさのり 12番 いのつめ 正 太
13番 間 ひとみ 14番 河 合 り な
15番 市 川 しんたろう 16番 加 藤 たくま
18番 小 林 ぜんいち 19番 白 井 ひでふみ
20番 吉 田 康一郎 21番 立 石 り お
22番 小宮山 たかし 23番 内 野 大三郎
24番 い さ 哲 郎 25番 細 野 かよこ
26番 斉 藤 ゆ り 27番 杉 山 司
28番 ひやま 隆 29番 高 橋 かずちか
30番 大 内 しんご 31番 伊 藤 正 信
32番 平 山 英 明 33番 南 かつひこ
34番 欠 員 35番 石 坂 わたる
36番 むとう 有 子 37番 羽 鳥 だいすけ
38番 浦 野 さとみ 39番 山 本 たかし
40番 中 村 延 子 41番 酒 井 たくや
42番 森 たかゆき
1.欠席議員(1名)
17番 甲 田 ゆり子
1.出席説明員
中 野 区 長 酒 井 直 人 副 区 長 青 山 敬一郎
副 区 長 栗 田 泰 正 教 育 長 田 代 雅 規
企 画 部 長 岩 浅 英 樹 総 務 部 長 濵 口 求
防災危機管理担当部長 吉 沢 健 一 区民部長、窓口サービス担当部長 高 橋 昭 彦
文化・産業振興担当部長 高 村 和 哉 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 石 崎 公 一
地域支えあい推進部長、地域包括ケア推進担当部長 石 井 大 輔 健康福祉部長 杉 本 兼太郎
保 健 所 長 水 口 千 寿 環 境 部 長 浅 川 靖
都市基盤部長 松 前 友香子 まちづくり推進部長 角 秀 行
企画部企画課長 中 谷 博 総務部総務課長 永 見 英 光
1.本会の書記は下記のとおりである。
事 務 局 長 堀 越 恵美子 事 務 局 次 長 分 藤 憲
議事調査担当係長 鈴 木 均 書 記 田 村 優
書 記 細 井 翔 太 書 記 森 園 悠
書 記 北 村 勇 人 書 記 梅 田 絵里子
書 記 川 辺 翔 斗 書 記 志 賀 優 一
書 記 竹 中 雅 人 書 記 堀 井 翔 平
書 記 稲 葉 悠 介 書 記 砂 橋 琉 斗
議事日程(令和7年(2025年)9月12日午後1時開議)
日程第1 第81号議案 みずの塔ふれあいの家内装改修等工事請負契約
第84号議案 感震ブレーカーの買入れについて
第99号議案 緑野中学校校庭整備等工事請負契約
日程第2 認定第1号 令和6年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について
午後1時15分開会
○議長(森たかゆき) ただいまから令和7年第3回中野区議会定例会を開会いたします。
本日の会議を開きます。
会議録署名員は、会議規則第128条の規定に基づき、議長から御指名申し上げます。
14番河合りな議員、27番杉山司議員にお願いいたします。
次に、会期についてお諮りいたします。
本定例会の会期は、本日から10月22日までの41日間といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(森たかゆき) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
この際、申し上げます。本定例会の会期中、略装を許します。
本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
この際、申し上げます。令和7年6月30日付及び8月7日付をもちまして、お手元の文書のとおり委員会参与に人事異動がありましたので、念のため御報告いたします。
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発令年月日 令和7年6月30日 |
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【課長級】 |
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教育委員会発令 |
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発令権者 中野区教育委員会 |
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発令 |
氏 名 |
旧 |
備 考 |
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教育委員会事務局学務課長 |
(教育委員会事務局次長 石崎 公一 事務取扱) |
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教育委員会発令 |
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発令権者 中野区教育委員会 |
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発令 |
氏 名 |
旧 |
備 考 |
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教育委員会事務局副参事 |
佐藤 貴之 |
教育委員会事務局学務課長 |
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発令年月日 令和7年8月7日 |
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【課長級】 |
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教育委員会発令 |
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発令 |
氏 名 |
旧 |
備 考 |
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教育委員会事務局学務課長 |
佐藤 貴之 |
教育委員会事務局副参事 |
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※石崎教育委員会事務局次長の教育委員会事務局学務課長事務取扱は、令和7年8月6日付で解除 |
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○議長(森たかゆき) 次に、一般質問の時期の変更についてお諮りいたします。
一般質問は議事に先立って行うことになっておりますが、別な時期に変更し質問を許可いたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(森たかゆき) 御異議ありませんので、さよう進行いたします。
これより日程に入ります。
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第81号議案 みずの塔ふれあいの家内装改修等工事請負契約
第84号議案 感震ブレーカーの買入れについて
第99号議案 緑野中学校校庭整備等工事請負契約
○議長(森たかゆき) 日程第1、第81号議案、第84号議案及び第99号議案の計3件を一括上程いたします。
理事者の説明を求めます。
〔副区長青山敬一郎登壇〕
○副区長(青山敬一郎) ただいま上程されました第81号議案、第84号議案及び第99号議案の3議案につきまして、一括して提案理由の説明をいたします。
第81号議案、みずの塔ふれあいの家内装改修等工事請負契約は、みずの塔ふれあいの家内装改修等工事に係る請負契約を締結するに当たり、議会の議決をお願いするものです。
契約の方法は一般競争入札、契約の金額は2億801万円、契約の相手方は進藤建設株式会社です。
なお、この工事の完了予定は令和8年3月です。
第84号議案、感震ブレーカーの買入れについては、財産の取得に当たり、議会の議決をお願いするものです。
取得する財産は、感震ブレーカー配布事業用の感震ブレーカーで、取得に要する金額は限度額で7,920万円です。
第99号議案、緑野中学校校庭整備等工事請負契約は、緑野中学校校庭整備等工事に係る請負契約を締結するに当たり、議会の議決をお願いするものです。
契約の方法は一般競争入札、契約の金額は2億4,200万円、契約の相手方は株式会社飛鳥です。
なお、この工事の完了予定は令和8年3月です。
以上、3議案につきまして、よろしく御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○議長(森たかゆき) 本件について、御質疑ありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(森たかゆき) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。
上程中の議案は、会議規則に従い、総務委員会に付託いたします。
この際、お手元の一般質問一覧表のとおり、ひやま隆議員、伊藤正信議員、日野たかし議員、羽鳥だいすけ議員、黒沢ゆか議員、酒井たくや議員、加藤たくま議員、南かつひこ議員、武田やよい議員、大沢ひろゆき議員、間ひとみ議員、高橋かずちか議員、白井ひでふみ議員、河合りな議員、大内しんご議員、山本たかし議員、山内あきひろ議員、むとう有子議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員、吉田康一郎議員、立石りお議員、斉藤けいた議員、井関源二議員より、質問の通告がありますので、これを順次許します。
中野区議会議員 ひやま 隆
1 中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについて
(1)中野駅新北口駅前エリアまちづくりのビジョンについて
(2)計画白紙に伴う新たな費用負担の現状について
(3)中野サンプラザの土地・建物等の暫定利用について
(4)その他
2 物価高騰対策について
(1)区内事業者への支援について
(2)区内経済活性化に向けた取組について
(3)その他
3 平和事業について
(1)平和事業の現状と課題について
(2)戦争関連資料の現状と課題について
(3)その他
4 地域活動の支援について
(1)町会・自治会活動への支援について
(2)高齢者団体への支援について
(3)その他
5 区内建設産業を支える取組について
(1)酷暑対策について
(2)アスベスト対策について
(3)その他
6 その他
○議長(森たかゆき) 最初に、ひやま隆議員。
〔ひやま隆議員登壇〕
○28番(ひやま隆) 令和7年第3回定例会に当たりまして、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告のとおりです。
初めに、中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについて伺います。
昨年の10月、私が所属をしておりました建設委員会の視察で、福井県福井市を訪れました。前期の建設委員会のメンバーの皆様方におかれましては、その節は大変にお世話になりました。日本最多の恐竜化石が発見されている福井県では、北陸新幹線開業を機に、「恐竜のまち」として積極的なブランディングを進めてきました。恐竜コンテンツをテーマとしたまちづくりが随所で見受けられ、「恐竜のまち」として、まち全体を盛り上げようとする自治体の意思を強く感じました。○○のまちとして知られるまちは様々ありますが、その背景には行政としてのビジョンと地域に根差してきた歴史的背景や地域資源が例外なく存在しています。
翻って中野区を見てみますと、そうした歴史と資源が数多く存在しています。改めて言うまでもありませんが、サンプラザと聞いて多くの方が思い浮かべるのは、音楽。開業以来、サンプラザは音楽ファンにとって聖地とも称される会場で、国内外の名立たるアーティストが公演を行ってきた歴史があります。また、近年では中野ブロードウェイがアニメや漫画をはじめとしたポップカルチャーの新たな聖地として知られるようになり、国内外を問わず多くの観光客でにぎわいを見せています。今や音楽やアニメ、漫画をはじめとする日本のポップカルチャーは、日本の新たな文化として国内だけでなく海外でも大きな影響力を持っています。これらのほかにも、なかの芸能小劇場に象徴されるお笑い文化、チャンプルーフェスタに代表される沖縄文化など、こうした地域資源、ポテンシャルが中野区には数多く存在しております。中野区の歴史の中で育まれてきたそれらの文化と区民の生活が調和する新たな文化のまち、こうした視点が今後のまちづくりの大きな柱になるのではないかと私は考えます。
今回、事業の見直しという結果になりましたが、見直しになったからこそ、様々な選択肢があります。今後のサウンディング型市場調査を通じて、それらの実現可能性を見極めることは重要です。しかし、その前提として、どのようなまちにしたいのか、そのために何がしたいのか、その原点に立ち返り、改めて区長のメッセージとして区民に発信する必要があるのではないでしょうか。区長が度々答弁されておられます三つのコンセプトは分かりました。そのコンセプトに先立つ、そもそも区としてどのようなまちにしたいのか。そのビジョンを改めて区長の言葉でお答えください。
今回、物価高騰等の影響により事業が見直しとなりましたが、これまでの一連の経緯をしっかりと検証し、その教訓を今後の取組の中で生かしていくべきだとこれまで繰り返し求めてまいりましたが、一方で、今回の一連のてんまつの中で教訓として挙げられた事業性、採算性といった経済合理性という薬が効き過ぎることで、本来は一番重要であるはずのまちづくりへの創造力が低下してしまうという副作用にも気をつけなければならないと考えます。行政として、あるいは34万区民のトップとして、現実のない理想は厳に戒めなければなりませんが、むしろ今は理想のない現実を戒めなければなりません。平凡なありきたりの駅前ビルができるだけの再開発ではなく、区民の皆さんがわくわくするような夢のあるまちづくりに向けて、さらに創造力を持って取り組んでいただくことを求めたいと思いますが、区の見解を伺います。
再整備事業計画が見直しになった当初、閉館した中野サンプラザを所有している株式会社まちづくり中野21に関連する経費についても、多額の費用負担が想定されておりました。その中でも最も大きなウエートを占めるのが固定資産税ですが、昨年の第4回定例会での私の一般質問において、「これを抑えるための手法として、土地・建物については区が所有するスキームも検討する必要がある」と申し上げました。このたび株式会社まちづくり中野21から今月9月5日に中野サンプラザ土地・建物等の寄附を受け、年間2億円超もの固定資産税の負担がなくなる見込みとなったことは評価をいたします。一方で、計画見直しに伴い、今後は新たな費用負担として、新たな再整備事業計画策定に向けた費用や中野サンプラザの管理、旧区役所高層棟に関わる費用、償還延期による新庁舎債利息分といった様々なものが想定されます。それらについて、今年度内に見込まれる費用とその中身を伺うとともに、来年度以降も継続して見込まれる事業とその中身についても併せて伺います。
当初の計画では、新たな拠点施設の竣工は2029年度中を予定しておりました。新たな拠点施設が整備されることによって生まれる便益は、新たなにぎわいの創出による中野区全体の活性化、昼間人口・夜間人口の増加による歳入増、権利床の活用による新たな施策展開や歳入増など、そのインパクトは計り知れません。さきに計画見直しに伴い生じる新たな負担についての現状を伺いましたが、新たな費用負担よりも、むしろこれらの本来得られるべきはずのものが得られないという損失のほうがはるかに大きいことを、区側には真摯に受け止めていただきたいと思います。中野駅周辺の基盤整備が着々と進む中、その中核をなす拠点施設だけが取り残され、本来区民の皆さんが得られるべきはずの巨大な便益の損失が長期にわたり続く事態は絶対にあってはなりません。区民との対話、区議会との対話、事業者との対話を通じて、今こそオール中野で英知を結集し、一刻も早く今後の方向性についての道筋を示し、中野駅新北口駅前エリアまちづくりが長期にわたり停滞することが決してないよう、スピード感を持って取組を進めていただきたいと考えますが、区の見解をお示しください。
今月開催された中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会において、「中野サンプラザ土地・建物等の暫定利用について」の御報告がありました。現在、中野サンプラザ南側広場については公益に資すると認められた活動に限定した形で開放していますが、今後は建物の壁面やガラス面、1階エントランスホールの一部や北側の旧駐車場箇所についても暫定利用の対象とするとのことです。今後は旧区役所高層棟部分の解体も始まり、新たに約6,000平米程度の広大な敷地が生まれます。区は新たな再整備事業計画の策定に当たり、現在掲げている三つのコンセプトを踏まえ検討を進めているとのことですが、今後の暫定利用の中でもそれらのコンセプトの一部については具現化可能なものがあるのではないかと考えます。再整備事業計画が見直しとなった今、駅前の貴重な一等地が暫定的とはいえ、そのポテンシャルを最大限発揮できないまま放置されることは、地域の活力や魅力を損なう結果となりかねません。駅前のまさに中野の顔とも言える中野サンプラザの土地・建物等については、にぎわいの創出と併せて今後のまちづくりにつながるような積極的な活用を求めたいと思いますが、区の見解を伺います。
伺って、この項の質問を終わります。
次に、物価高騰対策について伺います。
総務省の消費者物価指数によると、2023年から2025年にかけて、全国の物価は平均で年3%から5%上昇しています。あらゆる分野で価格が上昇している中、区内の事業者からは悲痛な声が寄せられております。特に、地域の高齢者福祉の中核を担う介護事業は、原則公定価格で運営されるため、コスト増を直接利用料に転嫁しにくく、事業者の経営圧迫が続いています。光熱費、燃料費、食材費の高騰により、特に入所施設ではエアコン使用による電気代の増加、通所・訪問系では送迎燃料費が大きな負担となっています。さらには、昨今の令和の米騒動とも呼ばれるお米の価格高騰も相まって、通所介護事業所などでは食事代を上げざるを得ない状況にあり、そのしわ寄せは利用者の負担としてのしかかります。利用者の方からは食事代が高くなれば通所介護の利用回数を減らさざるを得ないという悲痛な声も寄せられております。料金を上げる、利用者が減る、高齢者のQOLも下がると同時に、事業所の経営もますます苦しくなるという負のスパイラルに陥ります。この間中野区では区内の介護サービス事業所及び介護保険施設に対する物価高騰対策に関わる支援を実施してきましたが、介護事業者への支援を現場の声をより一層反映する形で拡充・継続していくべきだと考えますが、来年度予算編成に向けた取組について、区の見解を伺います。
次に、(2)区内経済活性化に向けた取組について伺います。昨年、中野区と区内経済団体が実施した中野区区内事業所アンケートによると、約40%の企業が仕入価格の上昇を最大の課題と答え、飲食業や小売業の4割が売上減少に苦しんでいます。区内企業の経営者、従業員ともに多くは中野区民であり、区内企業を支えることは、すなわち区民生活を支えることにつながります。このテーマについては我が会派の杉山司議員が一貫して取り上げてまいりましたが、物価高騰が続く今こそ区内企業への実効性のある支援が不可欠です。現在、区内企業が直面している深刻な課題の一つが人手不足です。この人手不足は単なる労働力の不足にとどまらず、帝国データバンクの調査では2024年に人手不足による倒産が287件と過去最多を記録しました。昨年度から中野区では区内企業に向けた人材確保支援事業を開始しましたが、引き続き、区内企業が人材確保に積極的に取り組めるよう、活用状況に応じたさらなる拡充と制度についての周知の強化を求めたいと思いますが、区の見解を伺います。
かつて中野区では区民の就職支援と区内事業所の人材確保を目的とした就労支援サイト、「ぐっJOBなかの」が存在していましたが、2023年にサービスは終了しました。成果としては決してグッジョブとは言い難い部分もありますが、行政の信頼性と安心感という強みを生かしながら、中野区内の求職者と区内企業をつなぐマッチング支援は一定のニーズがあるのではないかと考えます。中野区内には大学や専門学校も多く、そうした学生と区内事業者をつなぐ新たなマッチング支援を検討する必要があるのではないかと考えますが、区の見解を伺います。
区内企業が依然として厳しい経営環境にある中、現在中野区産業経済融資については、制度に応じたきめ細やかな利子補給が整備されております。一方で、信用保証料については東京都による信用保証料補助が併用できるケースがあるものの、資金使途や事業所規模が限られるという課題もあります。融資の信用保証料負担は業界・規模を問わず事業者にとって大きな負担であり、物価高騰という厳しい経営環境の中で、それらの信用保証料に係る補助は、企業の資金調達コストを大幅に下げ、倒産リスクの減少にも寄与するものと考えます。こうした点も鑑み、例えば現在の経営安定支援資金や経営改善借款資金については、金利や信用保証料を区が100%補助するといった制度の新設が必要なのではないかと考えますが、区の見解を伺います。
伺って、この項の質問を終わります。
次に、平和事業について伺います。
今年、我が国は戦後80年という節目の年を迎えました。改めてさきの戦争で尊い命を犠牲にされた全ての方々に謹んで哀悼の誠を捧げます。田中角栄元総理は、あの戦争を知っているやつが世の中の中心である限り、日本は安全だ、戦争を知らないやつが出てきて日本の中核になったときが怖いんだということを常々おっしゃっておられたそうですが、まさに今、戦争を体験された方々の高齢化が進み、戦争を知らない世代が圧倒的に多い中で、戦争の記憶の風化というものが大変懸念されるところです。私が議会人としての御負託を頂いた10年前は、地域を歩いておりますと、さきの戦争を実際に体験された方々の貴重なお話を伺う機会がしばしばありましたが、今ではそうした機会が本当に少なくなったと実感しています。戦争体験を語っていただいた多くの方が亡くなり、また施設などに入られてしまいましたが、お話の内容はもちろんのこと、語るときのまなざし、声の温度、震える声、言葉に詰まる一瞬、それらの光景を今でもはっきりと覚えております。戦争体験者の話を生で聞くということは、単なる歴史の学習ではありません。体験者の声には教科書や映像では伝え切れない生々しい感情が宿っています。そこから感じる戦争のリアルは、聞く人全てに戦争は決して遠い過去の出来事ではないということを気づかせてくれます。かつて中野区では、戦争体験者から直接お話を聞き、平和に対する認識を深めてもらうことを目的として、平成31年度まで区立中学校への平和の語り部の派遣授業を実施しておりましたが、現在は行われておりません。戦争体験者から直接お話を伺うことのできる残された時間は、決して長くはありません。それができる今だからこそ、区内の児童・生徒を対象にそうした機会を改めて設けていくべきではないかと考えますが、区の見解を伺います。
平和事業に関連して、もう一点伺います。近年戦争体験者が保管する貴重な戦争関連資料が、国全体としての保管・収集体制が脆弱のために、資料収集に積極的な韓国や中国をはじめとした研究機関などに日本からどんどん移管されているということが大きな問題となっています。日本ではさきの戦争に関する歴史資料の多くが個人や民間団体によって保管されているという現状があります。戦後80年を迎え、体験者の高齢化が進み、相続人による廃棄や散逸が深刻化する中、そうした資料の一部が、特に日本による植民地支配や戦争被害関連の資料収集に積極的な中国や韓国に寄附・移管されているという実態があります。これらの国では歴史教育や国家記憶の観点から日本関連資料の収集が国家プロジェクト化されていますが、日本では公的機関の収集が限定的で、国内の研究者が国外機関に相談せざるを得ないケースもあると聞きます。そうした歴史資料の流出を防ぐための対策としては、国、自治体、民間団体それぞれの保管・収集体制の強化と連携といった多角的なアプローチが不可欠です。歴史資料の保存は、単なる記録ではなく、未来の教訓として極めて重要であることは言うまでもありません。中野区における戦争関連資料の保管・収集体制の現状を伺うとともに、それらの取組の一層の強化を求めたいと思いますが、区の見解を伺います。
伺って、この項の質問を終わります。
次に、地域活動の支援について伺います。
地域コミュニティの中核として重要な役割を担う町会・自治会を支援し、強い絆で結ばれた地域活動をつくることは区としても重要な取組であると考えます。現在の地域自治活動助成金の算出方法は、一部を除き、区域の世帯数に200円を乗じた額から区政協力活動助成金の額を差し引いた額を上限として、対象となる経費の3分の2が助成額となります。また、助成金の申請額が上限額以内の場合は、対象となる経費の3分の1が町会・自治会の負担となります。対象となる経費が多い場合は、助成金の上限額を上回り、町会・自治会の負担は増加することになります。しかし、近年の物価高騰の影響により、この限度額の範囲内で活動することが大変厳しくなっている現状があります。イベント用品、備蓄品、印刷物など町会・自治会の活動に必要な資材のコスト状況により、活動規模の縮小を余儀なくされているといった声も寄せられております。こうした状況を鑑み、現状の地域自治活動助成金の算出割合のさらなる引上げ及び現行の助成金の単価のさらなる拡充が必要であると考えますが、区の見解を伺います。
関連して伺います。区内104の町会・自治会の活動を支えるのが中野区町会連合会ですが、物価高騰の影響による研修会のバス代、宿泊費、郵便料金等の上昇に伴い、収支の状況が悪化し、繰越額が減少しているという現状があります。近年物価上昇が続く中で、町会連合会の助成金は令和2年以降助成額が変わっておりません。助成額のさらなる拡充を求めたいと思いますが、区の見解を伺います。
次に、(2)高齢者団体への支援について伺います。内閣府の「孤独・孤立の実態把握調査」によると、2023年時点で我が国の高齢者のうち約25%から30%が孤独感を抱えていると回答しており、単身高齢者が増加する中、高齢者の孤独・孤立は深刻な社会問題です。そうした中、中野区友愛クラブ連合会は、中野区内の老人クラブの集まりとして、現在59のクラブ、約3,100人の会員が在籍し、地域の防犯パトロール、健康増進活動、生きがいづくりなど多様な地域貢献活動を展開しています。近年では会員数は減少傾向にあり、同連合会ではさらなる魅力のある活動づくりとともに、より積極的な入会キャンペーンを実施予定と伺っております。しかしながら、近年続く物価高騰の影響により、活動のための備品購入、イベント開催費用、印刷費といった活動経費が増加しております。同団体の地域における積極的な活動が、特に高齢者の孤立防止や地域福祉の向上に不可欠な役割を果たしていることは言うまでもありません。超高齢化がますます進展する中で、地域における単位クラブはそこに住む高齢者の居場所として、また、社会参加・仲間づくりの拠点として重要な存在です。同団体の安定運営と活性化支援に向けたさらなる助成の拡充が必要であると考えますが、区の見解を伺います。
伺って、この項の質問を終わります。
最後に、区内建設産業を支える取組について。
(1)酷暑対策について伺います。気象庁のデータによると、今年の東京の夏は6月から8月の平均気温が平年比プラス2.5度以上で、観測史上最高を記録しました。こうした酷暑の中でも、まちづくりが進む中野区では日夜、建設作業が行われております。そうした中、労働安全衛生規則の改正により、今年6月1日から企業に対して職場での熱中症対策が罰則付きで義務化されました。今月行われた厚生委員会では、鍋横区民活動センター等に係る整備について、猛暑による作業不能日数を工期に盛り込むとしてスケジュールの変更を行う旨の報告がありました。同様のケースはどれくらい見込まれるのか、酷暑による区有施設整備スケジュールへの影響について現状を伺います。現在、建設現場では暑さ指数を測定し、基準値を超える場合は作業中断や休息時間を導入するといった対策が求められております。しかし、現場の皆様からは、「建設現場の多くは日差しを避ける場所すらなく、対応に苦慮している」との声が寄せられております。現在、建設業界を取り巻く環境は、酷暑に加え、2025年の働き方改革、資材の高騰、深刻な人手不足など大変厳しい状況にあります。建設現場における酷暑対策への支援と併せてそれらを踏まえたより適正な工期と工賃の設定を求めたいと思いますが、区の見解を伺います。
次に、(2)アスベスト対策について伺います。2006年9月労働安全衛生法施行令が改正され、アスベストが全面禁止となりましたが、既存建築物には吹きつけアスベスト等が使用されているものが残っております。現在、国の補助制度として、社会資本整備総合交付金の住宅・建築物安全ストック形成事業がありますが、対象建材が吹きつけ材、レベル1などに限定され、その補助金額も上限25万円などと極めて不十分です。またアスベスト建材の多くが成形板、レベル3という現状もあり、一般の建築物にはほぼ使用できません。2020年大気汚染防止法と石綿障害予防規則が改正され、アスベスト含有建材の調査報告がレベル3までとなりました。事前調査の報告対象は80平米以上の解体、100万円以上の改修工事です。調査、除去、処分等の費用は、建物の所有者が負担しますが、多くの区民にその情報がまだ十分理解されておりません。高額な処理費用への理解不足などから不正事業者の参入、不法投棄につながるということなども懸念されます。こうした現状を鑑み、健康被害や法改正、費用負担といったアスベストに係る情報の区民へのさらなる周知とともに、費用負担の部分についての新たな助成制度の創設なども検討する必要があるのではないかと考えます。また併せて、国や東京都に向けて、一般的に多く使われているレベル3の建材までの調査、除去費用等に対する助成制度創設の働きかけを求めたいと思いますが、区の見解を伺います。
伺って、私の全ての質問を終わります。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) ひやま議員の御質問にお答えいたします。
初めに、中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについてで、まちのビジョンについてです。
中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについては、中野サンプラザのDNAの継承や親子が楽しめる機会と空間、区民が文化・芸術に触れ活動する機会などを生み出すとともに、みどりのネットワークによる連続した潤いある快適な空間の創出や、居心地がよく歩きたくなるウォーカブルなまちづくりの実現なども含め、100年先も区民に愛されるまちの実現に向けて取り組んでまいりたいと考えているところであります。
再整備事業計画の見直しに当たっては、中野サンプラザが培ったポピュラー音楽の発展や多様な文化醸成への寄与、世界を魅了するアニメーションやコンテンツの創造拠点といった中野らしさを反映してまいりたいと考えております。
次に、創造力を活かしたまちづくりの取組についてです。中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについては、多くの人が集いにぎわうホールや、子育て世代を惹きつけ、子どもと子を持つ親が楽しめる子育て支援施設の整備など、区民の期待に応える魅力あふれる施設が集積する新たな中野の玄関口として、「中野駅からつながる はじまる なかの」を体現できるまちづくりを実現してまいりたいと思います。
次に、新たな費用負担についてです。今年度、中野駅新北口駅前エリアのまちづくりに関連する費用につきましては、まちづくり検討に係る経費として約2,800万円、中野サンプラザ及び旧区役所高層棟の施設管理の経費として、中野サンプラザについては約2,100万円、旧区役所高層棟については約1,400万円を計上しておりまして、来年度も同様の経費が必要となる見込みであります。また償還延期による新庁舎債利息分については今年度約7,000万円、5年間で約2億5,000万円、こちらを想定しているところであります。
次に、スピード感を持った取組についてです。現在新たな再整備事業計画の見直しに取り組んでいるところでありますが、区民との意見交換会、ワークショップの実施、区議会への適宜報告、サウンディング型市場調査による事業者からの情報収集を丁寧に行い、今年度中に再整備事業計画の見直しの方向性をお示ししたいと考えております。また、事業期間中のにぎわいの継続として中野サンプラザの暫定活用を行うとともに、新たな費用負担の軽減として土地区画整理事業による旧区役所高層棟の解体などについても並行して進めてまいります。当地区のまちづくりについては、区民の期待に応えるために、一刻も早いまちづくりの実現に向けてスピード感を持って取り組んでまいります。
次に、中野サンプラザ土地・建物等の積極的な活用についてです。中野サンプラザ土地・建物等については、今後の中野駅新北口駅前エリアのまちづくりにつながるよう、アニメによるプロモーションのさらなる展開や、文化・芸術の裾野を広げ、若者のチャレンジの支援に寄与すること、さらに地域課題である荷捌きスペースや駐車場の確保を図るなど、積極的に活用する考えであります。建物の壁面や旧広告スペース等へのアニメ事業者による広告の掲載や、正面壁面中央部などを活用した広告事業者によるデジタルサイネージ設置の可能性を検討してまいります。また南側広場は、ミュージシャン、ダンサー、お笑いなどの練習やパフォーマンスの場としての利用を主たるものとする一方で、北側の旧駐車場部分につきましては、荷捌き・自動二輪車を含めた駐車場としての活用を検討してまいります。さらに旧庁舎高層棟解体後は、作業ヤードとしての活用のほか、中野四季の森公園やソトニワ、ナカノバと連動したイベントの企画や誘致など、にぎわい創出の場としての一体的な活用を検討してまいります。
次に、物価高騰対策について、区内事業者への支援についてです。物価高騰対策につきましては、東京都による対策を補完する形で実施してきておりまして、安定的なサービス提供の一助となっていると考えております。今後も、意見交換などを通じて現場の声を聞きながら、社会経済状況を注視し、必要に応じた対策を講じていく考えであります。
次に、人材確保支援事業の拡充、周知の強化についてです。人材確保支援事業をはじめとした支援制度につきましては、利用実績を踏まえるとともに、社会経済状況や経済団体、事業者のニーズを捉えながら、適宜見直し・改善を行い、実効性を高めてまいります。また、中野区産業振興センターの指定管理者や経済団体と連携して支援制度の周知を行ってきたところでありますが、今後は様々な機会や媒体を通じてさらなる周知に努めてまいります。
次に、新たなマッチング支援です。区では連携協定を締結したPIAZZA株式会社が運営する地域コミュニティアプリを活用して、区内中小企業の求人情報の投稿によって人材のマッチングを図ることとしております。現在、利用開始に向けて準備を進めているところでありますが、求人情報が学生にも届くように、地域コミュニティアプリを周知するとともに、利用を促す工夫に努めてまいります。
次に、新たな金利や信用保証料に対する補助です。令和6年度から創業支援資金に対して、東京都と連携した信用保証料の補助事業を開始し、事業者の信用保証料負担が実質ゼロになる策を講じているところであります。経済団体からの要望を踏まえる一方、費用対効果や優先順位を鑑みながら、経営安定支援資金や経営改善借換資金に対する信用保証料の補助などについて検討してまいります。
次に、平和事業についてです。戦争体験者から話を聞く機会の創出について。現在、平和の語り部事業は実施をしておりませんが、平和の旅の事前学習会において、語り部による被爆者講話を行っているところであります。戦後80年となり戦争体験者から直接話を聞く機会が少なくなってくることから、今後被爆者団体を通じた語り部の紹介のほか、区内の戦争体験者の把握にも努めてまいります。
次に、戦争関連資料の保管・収集体制についてです。区民から寄贈の申出があった場合に寄贈品の由来等の情報や保存状態を十分確認した上で寄贈を受けておりまして、平和資料展示室において空襲によって変形してしまった時計や家族に宛てたはがき、本物の「サダコの折り鶴」など、貴重な資料を展示・保管しているところであります。家庭で保管されている戦争の現状を知る上で貴重な資料などについて、区で寄贈を受けていることの周知も改めて図ってまいります。
〔地域支えあい推進部長石井大輔登壇〕
○地域支えあい推進部長(石井大輔) 私からは地域活動の支援についてお答えいたします。
まず、町会・自治会助成金額の拡充についてでございます。近年の物価上昇により町会・自治会活動経費の負担が増しているという実情を踏まえ、助成制度の在り方について検討を進めてまいります。
次に、中野区町会連合会に対する助成についてでございます。中野区町会連合会に対する助成は、事業等計画書の提出を求め、上限を定めて交付しておりますが、次年度につきましては、見込んでいる経費を精査し、適正な助成額となるよう町会連合会と協議をしてまいります。
次に、高齢者団体への支援について。友愛クラブへの助成金の拡充についてでございます。中野区友愛クラブ連合会は、今後も継続的に活動していくため運営方法を工夫していきたいとの話を聞いておりまして、運営の在り方に見合った助成を検討してまいります。
〔総務部長濵口求登壇〕
○総務部長(濵口求) 私からは区内建設産業を支える取組について、酷暑対策についてお答えいたします。
まず、猛暑対策による整備スケジュールへの影響でございます。近年、建設業界では働き方改革の推進とともに、熱中症予防の観点から猛暑時の安全対策が重要視されてございます。これを踏まえ、区では今後発注する営繕工事において猛暑による作業不能日数をあらかじめ工期に見込むこととしております。鍋横区民活動センター同様、現在設計を進めている区有施設にも適用してまいりますが、現時点において整備スケジュールへ影響する案件はないものと見込んでございます。今後も気象状況や現場環境に応じて柔軟かつ適切な対応を図り、安全かつ円滑な施設整備の推進に努めてまいります。
次に、適正な工期等の設定でございます。区の発注する工事においては、国土交通省が公表しているガイドライン等に基づき、適正に工期設定及び積算を行ってございます。引き続き、適正な工期設定などに努めるとともに、猛暑対応など請負者からやむを得ない事情による工期や契約金額等の協議があった場合には、誠実に対応してまいります。
〔環境部長浅川靖登壇〕
○環境部長(浅川靖) 私からは引き続いての御質問のうちアスベスト対策について。アスベストに係る情報の周知、調査等費用の助成制度創設についてお答えさせていただきます。
アスベスト含有調査費用等に対する助成制度を設けている区は多くございますけれども、申請実績は概して少なく、廃止を検討している区も数区あると聞いてございます。加えまして、事前調査が法律で義務化されたことも鑑みまして、区独自の助成制度創設や国や都に向けての働きかけは考えてはございません。なお、アスベストに関する区ホームページにおける区民・事業者向けの周知につきましては今般充実させたところでございますけれども、今後より適切な、効果的な情報提供に努めてまいります。
○議長(森たかゆき) 以上で、ひやま隆議員の質問は終わります。
中野区議会議員 伊 藤 正 信
1 持続可能な財政運営について
2 熱中症対策について
3 中野区の交通安全について
4 町会・自治会の活性化について
5 東京2025デフリンピックについて
6 その他
○議長(森たかゆき) 次に、伊藤正信議員。
〔伊藤正信議員登壇〕
○31番(伊藤正信) 令和7年第3回定例会におきまして、自由民主党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。
まず初めに、持続可能な財政運営について伺います。
財政調整基金の年度間調整分においては、金額の議論の前に、その使い方について議論すべきと考えます。令和2年に、新型コロナウイルス感染症の発生により中野本郷小学校の建設整備計画の設計入札が中止され、改築工事も延期されました。当時、区長は庁内の事業の見直しに当たり、今後厳しさを増す区財政に鑑み、施設整備の在り方やスケジュールの延伸などを議論し、一度立ち止まると判断されました。突然の計画の中止により、地域や保護者の方から驚きの声が高まりました。計画どおり建設が進んでいれば、当時の建設費は46億円でしたが、その後の資材の物価高騰などの影響で、結果論ではありますが、80億円と2倍になってしまいました。また、鍋横区民活動センターの建設計画も延期されました。事業を中止するのではなく、財政調整基金年度間調整分を投入して事業を進めるべきだったと考えております。当時なぜ年度間調整分を使わなかったのか、伺います。また、令和5年度から給食費無償化が行われ、令和6年度の予算編成時に財源を生み出すために義務教育施設整備基金への積立てをなくし、その財源としました。義務教育施設整備基金などには本来13億円ほど積立てしなければなりませんでした。この当時に年度間調整分を使わなかった理由について伺います。
これまで例を挙げたように、酒井区政になり積極的に年度間調整分を活用したことはありません。現区政において年度間調整分はどういう条件で使うことになっているのか、その定義について伺います。これまで年度間調整分は使わなかったのではなく、使うべきときに使わなかっただけと考えております。年度間調整分を活用する条件が決まっていなければ、それを今後示されるのか伺います。年度間調整分を使う条件が定まっていなければ、200億円がいいのか、150億円がいいのか、判断はできません。200億円から150億円に変える理由について、邪推すれば、中野サンプラザの権利変換ができなかった、財源がないためと50億円を切り崩すのではないかと考えます。ならば、年度間調整分から使いたいと正直に言うべきではなかったでしょうか。物価高騰が進む中、緊急時に必要となる金額も増額する可能性があります。今の社会情勢の中、財政調整基金の積立額が減額するという判断に疑義が生じます。この50億円は何に使われるのでしょうか。年度間調整分の年度末残高目標の規模について、年度末残高目標の200億円から150億円にした根拠について伺います。
公債費の推移について伺います。令和6年度の公債費は前年度に比べ減となりました。公園整備や公共施設建設事業などの財源となる特別区債には、世代間の負担の公平化を図るという側面もありますが、公債費が増加すると一般財源を圧迫することにつながります。区では今後も中長期的な財政見通しの中で計画的に特別区債を活用していくため、予算段階で公債費負担比率をおおむね10%以内となるよう定めて公債費の抑制を図っています。23区平均比較を見ますと、依然、中野区の公債費負担比率は高い水準でありますが、区の見解を伺います。今後、区債の償還における金利の上昇リスクへの対応は、自治体の財政運営にとって非常に重要な課題であると考えます。金利上昇の影響としては、過去に発行した固定金利の起債は影響を受けにくいが、今後発行する新たな起債や金利変動型の起債がある場合は、利払いコストが上昇し、長期的には償還費の増大により財政の硬直化を招くおそれがあります。柔軟な財政運営が困難になります。金利上昇における公債費の償還をどのように考えていくのか伺います。今後のインフレ予想は、全体的には今後も緩やかな上昇が継続される可能性があります。そうであるならば、今の時期にこそ区債を発行して負担を抑えることも考えられます。将来的に物価上昇に伴い、金利上昇による利息の増加と基金の充当に対するリスクを比較検討していく必要があるのではないかと考えますが、伺います。
次に、熱中症対策について伺います。
近年、地球温暖化等により夏季の猛暑が続き、大きな社会問題となっております。屋外で長時間にわたり作業するような職業に従事している方は、夏場は常に熱中症の危険にさらされております。今年6月1日から厚生労働省の労働安全衛生規則改正により、一定の条件下での作業により事業者の熱中症対策が罰則付きで義務化されました。気温31度以上の環境下で連続1時間以上または1日4時間を超える作業を行う事業者は対象となり、事業者は熱中症患者の報告体制の整備、熱中症の悪化を防止する手順の作成の周知が義務付けられております。区内にある清掃業者の労働環境において、真夏に長袖、長ズボン、ヘルメット着用で作業を行わなければならないなど超過酷な夏季の収集作業や、気候変動による長期間にわたる猛暑により、夏季の熱中症対策に対して、従業員にコンプレッシャーウェア、熱中症対策シャツ、水・スポーツドリンクなどを支給して、3か月で約70万円ほどの経費がかかっていると聞いております。また、夏場の臨時増員における人件費も大きな負担となるというのが現状であります。委託業者に対して熱中症対策としてどのような支援を行っているのか伺います。
次に、クールシェアリングについて伺います。現在、区内に中野区として認識している涼める場所は何か所あるのか、足りているという認識なのか伺います。今後涼める場所を増やしていくには民間施設の協力は必須かと考えますが、区としてどのような認識なのか。8月に行った政策懇談会ではそういったものに協力してもいいという事業者や団体は存在することを確認しております。中野区として協力を求めていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか、伺います。現在も民間施設で休息している区民はいるかと思いますが、中野区として紹介することはできないのかと考えられます。中野区が率先してクールシェアリングを紹介できるようにしていくべきではないか伺います。そう考えると、区有施設だけではなく、区から民間施設に働きかけを行い、区の行うクールシェアリング事業に参入していただけるものか早急に確認を行うべきではないかと考えますが、伺います。区民だけではなく屋外で働いている方、先ほど申し上げたごみ収集作業員などの緊急避難施設としても受け入れていただくことを要望いたします。
次に、子どもの熱中症対策について伺います。熱中症警戒アラートを発令中に子どもを公園で遊ばせるわけにはいきませんが、じゃぶじゃぶ池を含めた水遊びならよいかなと判断をしております。水遊びとしてじゃぶじゃぶ池がありますが、今年度は、4施設と8月31日まで開設している2施設、合わせて6施設で開催をされました。多くの方が利用されたと聞いております。水深が浅いため、幼児が安心して気軽に利用でき、親子の絆やコミュニケーションを深めることができ、熱中症予防にもつながります。子どもたちにとっては人気があり、重要な遊び場の一つであると考えますが、未就学児と就学児が両方いる家庭では、一方が遊べて一方が入れないということになります。利用できるのは幼児に限られているため、小学生になると利用できません。昨年まで兄弟で利用できたのに、今年は上の子が1年生になり一緒に利用できなくなったなどの話も多く聞きます。そこで低学年でも足をつけるだけとか、時間帯で分けて低学年も利用できるとか、柔軟な対応も必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
一方、令和4年3月に区が策定した中野区公園再整備計画に基づき、大和公園では令和6年の夏まで利用されていたじゃぶじゃぶ池が廃止となり、再整備により今年7月19日から新たに噴水型の水遊び場が設置されました。利用者の年齢制限がなく、開設期間も9月30日までと長期間利用できる施設であります。今後も夏の期間は猛暑となることが予想されますが、区の中南部においては水遊びできる公園がありません。今後検討される再整備公園も含め、区の中南部において、大和公園の噴水型水遊び場のように、利用者の制限を設けず子どもたちが楽しく水遊びができる施設を整備する必要があると考えますが、区の見解を伺います。
中野区の交通安全について伺います。
令和7年上半期の中野区内における交通事故発生状況は、発生件数317件、死者数1名、負傷者335名で、発生件数・負傷者数ともに増加しました。自転車が関与する人身事故は相変わらず多発しており、電動キックボードやペダル付電動バイク(モペット)の事故も増えております。昨年中、中野区内での交通事故発生数619件のうち、自転車が関与した人身事故は362件で関与率58.4%、都内でも高い水準であります。来年4月から自転車の交通反則通告制度が導入され、車やバイクと同様の青切符が交付されます。反則金を納めることになり、自転車利用者に対する交通ルールの遵守がより一層求められるようになります。そのためにも今後、ヘルメット着用の促進と、自転車等の利用者を対象に交通のルールとマナーを取得していただくための交通安全教室の開催の内容をより充実していくべきと考えます。また、自転車交通利用五則を普及浸透させるための啓発用品の配布などをして、交通事故防止に努めていくことが重要と考えますが、区の見解を伺います。平成25年7月に、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例が公布されました。中野区においても、自転車利用者個人に対して交通事故防止に関する同様の条例を、自転車の交通反則通告制度が施行されることをきっかけに制定するべきではないかと考えますが、区の見解を伺います。
次に、町会・自治会の活性化と運営の支援について伺います。
町会・自治会は住民が地縁に基づき運営する自治組織で、地域におけるコミュニティで中心的な役割を担う組織です。昨今、役員の後継者不足、高齢化、役員の負担の多さ、加入世帯も減少傾向にあり、行政からの依頼の増加など様々な要因が絡み合っています。これらの問題に対して、本来の役割や活動内容を根本から見直しをする必要も考えられます。区としてこのような状況をどう考えているのか伺います。町会の行事やイベントに参加者を募るには、効果的な情報発信と参加しやすい環境づくりが大切です。従来どおり回覧板や掲示板を活用するなど、また見やすく簡潔に写真やイラストを活用したり、チラシをポスティングして全戸配布することが確実に情報を届けることができます。また、若い世代や子育て世代にはLINEグループやインスタグラム、自治会のホームページなども有効的で、アナログとデジタルを組み合わせるなど情報発信を工夫することも必要と考えます。昨年11月からデジタル地域通貨事業ナカペイが開始されました。今年は、SWCの推進を図り、特に区民の心身の健康増進とコミュニティ活性化に向けて行動変容を促すことを主たる目的として、コミュニティポイントを導入するとしています。「歩いて測って参加して!中野健幸ポイント」事業が始まります。事業に参加して貯めた健幸ポイントはナカペイポイントに交換できます。今後コミュニティポイントの拡大を検討しているようですが、町会が開催する防災訓練への参加や清掃活動、また、社会的意義のある活動に参加した人へポイントを付与して、ナカペイポイントに交換することができるようにしてはいかがでしょうか、伺います。
次に、町会・自治会の運営助成について伺います。現在、地域自治活動助成金の算出割合は対象経費の3分の2となっております。3分の1が町会・自治会の負担となっております。今年度から新設した地区まつり助成金については、算出方法を対象経費の10分の10としています。このように地域自治活動助成金も算出割合を見直していくべきと考えますが、見解を伺います。また、物価高騰により各町会の運営負担が増加しています。世帯数に応じた助成単価の引上げも考えていくべきと思いますが、見解を伺います。また、町会連合会の助成金は令和2年以降助成額が変わっていないと聞いております。経費削減の努力などを行っていると思いますが、また繰越金が減少しているようです。今年度区民活動センター運営委員会事務局の人件費予算が増額されました。町会連合会に対しても助成額について増額してはいかがでしょうか、伺います。
最後に、東京2025デフリンピックについて伺います。
間近に迫った東京2025デフリンピック、テコンドー競技の区内開催について、区民への周知や情報提供、グッズの配布、また来場した観客が選手たちを応援することができるよう、準備運営本部や競技団体などとも相談して、大会を盛り上げるため、地元自治体としてできる役割を果たすための区としての考えを伺います。デフリンピックの成功に向けて、町会連合会、聴覚障害者福祉協会、体育協会、日韓親善協会など、区内の20を超える団体が参加して、東京2025デフリンピック応援中野区民実行委員会が結成され、活動を始めています。この実行委員会と連携することで、区としてもより効果的な大会応援ができると思います。この実行委員会と連絡を取り合い、協力しながら大会の成功に向けての取組を進めていただきたいと思います。区民実行委員会では、デフリンピックや手話言語、テコンドーのルールや楽しみ方を解説したり、区の姉妹区であるソウル特別市陽川区を紹介する15分程度の映像を作成して様々なイベントの機会に活用することを想定していますが、学校教育の現場でもこれは教材として利用することができると思います。このようなツールを活用すれば、各学校が気軽にデフリンピックを教育活動に取り入れることができます。区民実行委員会と連携して、学校のそれぞれのカリキュラムの中で無理なく楽しく学べる機会を子どもたちのために用意してあげていくことも大切と思います。デフリンピック向けて各小中学校ではどのような取組を行われているのか伺います。
デフリンピックのテコンドーが中野区で開催されることで、陽川区から中野区に公式訪問団が来訪されることと聞いております。11月で両区は姉妹区締結15周年を迎え、さらなる交流を進めるべきと考えます。今年は日韓国交正常化60周年に当たります。中野区と陽川区との関係は、自治体レベル、区民レベルでの交流の先進的な事例と言えます。昨年は日韓親善協会が陽川区を訪問し交流するとともに、区長、議長からの友好メッセージを伝え、陽川区側からのメッセージも頂いたようであります。また、来年はデフリンピックへの応援に対する答礼の意味で、中野区側が訪問することを計画されてはいかがでしょうか。陽川区との交流はこれまで訪問団の相互訪問が主な形でした。今回の来訪を契機に、両区の交流の在り方を一歩進め、区民、特に若い世代の人々、相互交流を計画されてはいかがでしょうか。文化・芸術・スポーツなどテーマを決めて訪問団を募り、相互訪問をするなどの事業が考えられると思います。今回訪問団を迎えて対話する中で、こうした今後の交流の発展の在り方についてもぜひ意見交換をしていただきたいと思います。そして、今回15周年の節目を迎える陽川区訪問団の来訪に当たっては、私は記念植樹など両区の絆を目に見える形で残すことも念願をしております。今回訪問される陽川区との交流について、今後どのような発展を期待されているのでしょうか。訪問される陽川区との協議において、どのような姿勢で臨むお考えなのでしょうか、お伺いします。デフリンピック区内開催というこの契機を受け止め、発展させていただきたいと思い、区としての未来につながるデフリンピックになるよう要望いたします。
私の質問は以上で終わります。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 伊藤議員の御質問にお答えいたします。
持続可能な財政運営についてで、新型コロナウイルス発生時期の財政運営についての御質問です。将来の財政状況について見通しが立たなかったということで、下振れリスクを考慮し、安定的な財政運営を持続するために、財政調整基金年度間調整分の活用ではなく、事業の執行を抑制したということでございます。
次に、令和6年度の予算編成時の基金積立についてです。令和6年度予算編成時においては、歳入にあっては国による住民税定額減税の影響がありまして、予算編成開始時の想定よりも下振れしたこと、歳出にあっては新区役所移転経費などがあったことによって基金積立を行うことができなかったということでございます。中野区財政調整基金条例第6条において基金の処分について定めているところでありまして、年度間調整分の繰入れを行わなかったものであります。
次に、財政調整基金の繰入条件についてです。財政調整基金とは「地方公共団体における年度間の財源の不均衡を調整するための基金」でございまして、年度間調整分は経済事情の変動等により財源が著しく不足する場合や災害復旧等の緊急を要する経費、その他必要やむを得ない理由により生じた経費の財源に充てるものとしております。
次に、財政調整基金の処分の考え方の提示についてです。中野区財政調整基金条例におきまして、「年度間の財源の調整を図り、中野区の財政の健全な運営に資すること」を目的に、中野区財政調整基金を設置しておりまして、処分の要件も定めておりますので、改めて示すことは考えておりません。
次に、財政調整基金年度間調整分目標額の変更理由についてでございます。過去の繰入実績に加え、総務省が行った全国調査において積立ての考え方を「標準財政規模の一定割合」としている市町村では、その「5%超から20%以下」とすることが多いことを踏まえて、中野区の標準財政規模900億円から推計をし、150億円としたものであります。
次に、23区平均と比較した区の公債費負担比率についてでございます。23区の公債費負担比率と比較をしますと、中野区の公債費負担比率は高い水準にあることは認識をしているところであります。今後とも公債費、公債費負担比率を注視をしながら、適切な財政運営に努めてまいります。
次に、金利上昇局面における公債費の償還についてです。金利上昇局面においては、公債費の償還が区民サービスに影響を及ぼすおそれが大きくなると考えます。起債発行につきましては、区債現在高の推移も考慮しながら慎重に検討してまいります。
次に、起債活用と基金充当の比較検討についてでございます。金利上昇局面においては、公債費の上昇を抑制すべく、起債発行についてより慎重に検討する必要があると考えております。一方、起債の代わりに基金の取崩しを行うことは、基金残高を縮小し、将来に必要な施設整備に当たって財政運営に影響を及ぼすことにもつながると考えております。長期的な財政フレームを考慮した上で、起債、基金の活用のバランスを考えてまいります。
私からは最後に、5番目の東京2025デフリンピックについての御質問にお答えいたします。
初めに、開催に向けた区の取組についてです。区ではこれまでも、東京都やデフリンピック準備運営本部と協力しながら、様々な機会を捉えてデフリンピック開催の気運醸成に取り組んできたところであります。今後も大会開催まで区の関連事業などを通じて周知、開催気運醸成を図るとともに、区内の子どもたちの観戦機会を確保できるよう、主催者側と調整をしているところであります。より多くの方が中野区で行われるテコンドー競技に観戦に来ていただき、このデフリンピックの開催がスポーツの振興だけでなく、共生社会への理解促進につながっていくように取組を進めてまいります。
最後に、陽川区との交流の発展と今回の協議姿勢についてでございます。姉妹都市関係の締結に関する議定書に基づき、陽川区と中野区に共通する政策課題をテーマとした両区民同士の交流につながっていくのが望ましいと考えております。現陽川区長におきましては、今回中野区へ初めての訪問となることから、中野区や区政を理解していただくことに努めながら、双方の政策課題や区民、特に若い世代の相互交流の可能性について意見交換をし、今後の交流のきっかけにしてまいりたいと考えております。
〔教育長田代雅規登壇〕
○教育長(田代雅規) 私のほうからは、東京2025デフリンピックについての御質問の中から、区民実行委員会と連携したこれからの取組について回答させていただきます。南台小学校において、デフリンピックの気運醸成イベントを行い、子どもたちがデフリンピックの意義や目的について動画で学び、選手と交流して大会に興味を持ち、観戦を楽しめるような取組を行っていく予定でございます。
〔環境部長浅川靖登壇〕
○環境部長(浅川靖) 私からは、熱中症対策についての御質問のうち、清掃事業の委託事業者への熱中症対策支援についてお答えをさせていただきます。清掃事業における委託事業者とは、23区統一の内容で雇上契約を結んでおりまして、契約金額の中には暑さ対策も含め、作業員が安全に従事するための費用も含まれていると理解してございます。区独自の夏季対策といたしましては、作業中の塩分補給のための塩あめ等を支給しているほか、炎天下の作業中、体調に不安を感じた場合は、直営・委託を問わず、すこやか福祉センターや区民活動センターあるいは高齢者会館でクールダウンできるようにいたしました。この点、安心感を持って作業に当たれるよう、毎朝のミーティング等を通して収集作業員にも呼びかけているところでございます。
〔保健所長水口千寿登壇〕
○保健所長(水口千寿) 私からは、熱中症対策についてのうち、涼める場所と民間施設の協力についてお答えさせていただきます。涼み処、クーリングシェルター、クールシェアスポット、合わせて48か所となっております。今年の夏の日本の平均気温は統計開始以来最も高く、今後も熱中症による死亡者や極端な高温の発生リスクの増加が見込まれることから、クーリングシェルター等を増やしていく必要があると認識しております。このため、他自治体における事例を参考にしながら、民間事業者に対しても協力を求めてまいります。
次に、涼める場所のホームページ等での紹介と民間施設への設置依頼についてですが、クーリングシェルター等については、「暑さをしのげる施設マップ」として区ホームページ上で公表しているところですが、民間事業者へのクーリングシェルター等の設置協力と併せて民間事業者が設置する涼み場所についても紹介できるよう働きかけてまいります。現在、他自治体における事例を参考に、協力していただける民間施設にクーリングシェルターの設置目的や施設要件について丁寧に説明しながら、令和8年度の指定に向けて準備を進めてまいります。
〔都市基盤部長松前友香子登壇〕
○都市基盤部長(松前友香子) 熱中症対策についての御質問のうち、まずじゃぶじゃぶ池の低学年利用について。現在、じゃぶじゃぶ池は未就学児が安心して水遊びができるよう、安全面や運営面を考慮して利用対象を限定しております。一方で、区民の方より未就学児と小学生の子どもを一緒に連れていきたいという要望も頂いておりまして、対応について検討してまいります。
次に、噴水型の水遊び場について。大和公園に設置した噴水型の水遊び場は、公園再整備計画に基づき地域の要望を踏まえながら設置したものであり、現在再整備を行っている他の公園にも同様の施設を展開しているところでございます。再整備の対象となる区中南部の公園は、現在水遊び場が設けられておりませんが、地域の意見を踏まえながら、噴水型等の水遊び施設の設置を検討してまいります。
〔防災危機管理担当部長吉沢健一登壇〕
○防災危機管理担当部長(吉沢健一) 私からは、中野区の交通安全についてお答えいたします。
初めに、交通安全教室の充実等についてでございます。区ではヘルメット購入補助事業を実施し、ヘルメット着用促進に取り組むとともに、警察と協力して開催する講習会を通じて自転車の交通事故防止に取り組んでいるところでございます。交通反則通告制度の周知や自転車安全利用五則の普及浸透に向けた啓発用品の配布につきましても、警察と連携して進めてまいります。
次に、自転車安全利用条例の制定についてでございます。区における自転車の安全利用に関する条例の制定については、交通反則通告制度による自転車交通事故防止への効果や他区の条例制定状況などの動向を注視してまいります。
今後も引き続き交通安全啓発の充実に努めてまいりたいと考えてございます。
〔地域支えあい推進部長石井大輔登壇〕
○地域支えあい推進部長(石井大輔) 私からは町会・自治会の活性化についてお答えいたします。
まず、町会・自治会の役割と課題についてでございます。町会役員の高齢化や後継者不足、加入世帯の減少といった課題につきましては、現在、町会を対象としたアンケート調査を実施しておりまして、実態の把握に努めているところでございます。今後も加入促進や活動支援に向けた取組を進めるとともに、地域の実情に応じた運営のあり方につきまして、町会・自治会と検討していきたいと考えております。
次に、町会活動へのコミュニティポイントの導入についてでございます。町会活動への参加促進に向けたコミュニティポイントの活用につきましては、区としても有効な取組と認識しておりまして、既に町会連合会に対しましては、ナカペイ及びコミュニティポイントの概要について説明を行っております。今後は町会が防災訓練や清掃活動などにコミュニティポイント制度を導入できるよう、事業内容に応じた付与方法の検討や運用面での支援を行っていく考えでございます。
次に、町会・自治会助成金額の拡充についてでございます。近年の物価上昇により町会・自治会活動経費の負担が増しているという実情を踏まえ、助成制度の在り方について検討を進めてまいります。
次に、中野区町会連合会に対する助成についてでございます。中野区町会連合会に対する助成は事業等計画書の提出を求め、上限を定めて交付しておりますが、次年度につきましては、見込んでいる経費を精査し、適正な助成額となるよう町会連合会と協議をしてまいります。
○議長(森たかゆき) 以上で、伊藤正信議員の質問は終わります。
中野区議会議員 日 野 たかし
1 中野駅新北口駅前エリアにおけるまちづくりについて
2 DX推進の取組みについて
3 AEDの活用について
4 児童・生徒の支援について
5 その他
○議長(森たかゆき) 次に、日野たかし議員。
〔日野たかし議員登壇〕
○4番(日野たかし) 令和7年第3回定例会において、公明党議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告のとおりで、その他はありません。
初めに、区政の最重要課題である中野駅新北口駅前エリアにおけるまちづくりに当たっての区長の姿勢について伺います。
9月4日にジチタイワークスのウェブ限定記事に、区長のインタビュー記事が掲載されました。その中で、中野サンプラザ再開発計画の見直しについての問いに、区長は、「中野の駅前のまちづくりとして何が必要で、どういうまちにしていくのか、もう一度区民の皆さんと話し合いたい。中野らしさって何なのかということを議論して決めていきたい」、「今回の見直しは区民の声を聴くという意味でよい機会」と述べられていました。さきの中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会では、中野駅新北口駅前エリアのまちづくりに関する5月と6月に行われた2回の説明会、7月に行われた3回の意見交換会、合わせて計5回の実施結果が報告されましたが、区長が顔を出されたのは7月23日の野方区民活動センター1回のみと聞きます。一方で、5月から7月に開催された本件とは別なテーマのタウンミーティングは、区長とのタウンミーティングですから当然ではありますが、4回参加されています。3回の意見交換会は、テーマは同じとはいえ、形式も2種類あり、また、同じ区民が複数の説明会に参加できないことを考えれば、全ての会場に最優先で参加していただきたかったところです。意見交換会に出席されなかった理由を伺います。区民は、単に意見を述べるだけではなく、トップに直接聞いてもらえることで安心感が生まれますし、区長にも多くの生の声を、できるだけ多く聞いてほしいと思います。また、区民の意見を聞くだけではなく、私はこう考えるとの現在の区長の意見を区民に聞いてもらうことも重要ではないでしょうか。次回の意見交換会は11月ごろとされていますが、改めて全てに優先して参加するとのお考えはありますか、伺います。
中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3では、中野四丁目地区の再開発を「先端的な都市機能と豊かな緑」と位置付け、整備方針を「敷地が広く高容積な業務・商業系の集積と高規格な住宅、広大なオープンスペースを生かした防災機能や豊かな緑など、新たな都市空間を目指す」としています。同地区は、既に開発を終えた「中野四季の都市」、現在進行中の「囲町地区」、そして「区役所・サンプラザ地区、新北口駅前広場」、「四丁目西地区」の四つで構成されています。このうち、「区役所・サンプラザ地区、新北口駅前広場」の整備方針には「区役所・サンプラザ地区における大規模集客施設と新北口駅前広場が、一体的・連続的空間となるよう配置し、景観や交通結節機能、周辺地区への回遊性に優れた地区として整備します」「区役所・サンプラザ地区においては、新たな文化発信・交流拠点として、イベントやコンベンションなど多用途・多機能に使える大規模集客空間や、交流や憩いの広場空間を整備します」「区役所・サンプラザ地区の整備にあたっては、業務や商業などを中心に、まちのにぎわいや新たな価値の発信地となるとともに、事業としての採算性を十分に考慮した複合施設とし、民間開発事業者とのパートナーシップによって整備や施設運営を行います」とされています。さらに、中野四丁目新北口地区まちづくり方針においては、方針Ⅰに「グローバル都市にふさわしい拠点形成」として、「大規模なアリーナをはじめとする集客交流施設や業務・商業・宿泊などの多機能複合施設により地域経済の発展をけん引するとともに、国際競争力強化に貢献する拠点を形成する」、職住近接につながる最高レベルの生活空間としてのレジデンス機能により、職・住・遊のバランスのとれた市街地を形成する」としています。今回行う中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画の一部見直しは、グランドデザインやまちづくり方針とそごが生じることがあってはならないと思いますが、御見解を伺います。
再整備事業計画にある多目的ホールは、グランドデザインでは「大規模集客施設」ですが、中野四丁目新北口地区まちづくり方針では「大規模なアリーナをはじめとする集客交流施設」に当たります。ここで言う「大規模」とはどの程度の規模の想定なのか、面積や収容人数等、具体的な規模を伺います。グランドデザインの整備方針やその後のまちづくり方針のグローバル都市にふさわしい拠点形成に基づいて再整備事業計画の一部見直しが行われるとすれば、その見直しの範囲は一定限定的なものとなり、御意見を頂く区民への事前説明が必要なのではないでしょうか、伺います。
グランドデザインはまちづくりの進展や社会経済状況等の変化に応じて着実にまちづくりを進めるべく、適宜改定を行うものとしています。Ver.3への改定は、それまでのまちづくりの進展に加え、東日本大震災の発生を踏まえ、来るべき震災に備えて被害想定や各種防災機能の配置の考え方などの見直しが求められるようになったことが理由とされています。グランドデザインVer.3策定から13年が経過し、パンデミック危機やアフターコロナにおける行動変容、気候変動や建設工事を取り巻く変化等、大きな社会経済状況等の変化が生じています。いま一度グランドデザインに立ち返り、学識経験者等も交えたVer.4への改定から行うべきと考えます。御見解を伺い、この項の質問を終わります。
次に、DX推進の取組について伺います。
昨年11月、区は現在の第2次中野区地域情報化推進計画を改定し、中野区DX推進計画として策定する考えを示しました。改定の考え方には、デジタル技術を活用し、行政運営の効率化や区民サービスの向上、地域の活性化に全庁を挙げて取り組むということとともに、区の行政サービスに対するニーズが多様化し増加傾向にあること、これらのニーズに対応するために利用できる資源は限られており、資源を最大限効率的に活用していく必要があるとしています。デジタル技術の進展により世の中のシステムがクラウドサービス主体の流れとなり、今や自治体システムも独自のシステム構築から自治体クラウドへと移行するようになりました。これにより、クラウド利用経費、ソフトウェア借料・保守料などの経常経費は年々増加傾向にあります。8月21日の総務委員会では、中野区DX推進計画の骨子が報告されました。骨子ですので計画の詳細については伺いませんが、描かれた目指す姿の中に、「限られた資源の中でも持続可能な行政運営を目指す」とあります。私はこれまでにも、DX推進を行うに当たり、システムの経常経費をどう抑制するかが重要だということを訴えてきました。必要なサービスを充実させるのと同時に、年々増加するシステムの経常経費の課題を鑑み、全体の最適化、ライフサイクルコストの視点が必要と考えます。中野区DX推進計画にはそうした考えは描かれるのでしょうか、伺います。
DX推進計画とは直接関係することではありませんが、利用できる資源として都が進めるDX推進との関連について伺います。今年の所信表明では、GovTech東京が今後提供する生成AIプラットフォームの共同利用について言及されていました。GovTech東京が取りまとめる共同調達や共同利用によって、単独で調達するよりもコストメリットが得られる可能性もあることから、デジタルツールやシステム導入において検討の価値はあると考えます。コスト削減の観点からも、こうした共同調達や共同利用などについて、区の方針や考えがあれば伺います。
第2次中野区地域情報化推進計画は、中野区基本構想、中野区基本計画の下位に位置付けられており、国の「官民データ活用推進基本法」、「デジタル改革関連法」、「自治体DX推進計画」及び東京都の「東京デジタルファースト推進計画」、「スマート東京実施戦略」との整合を取るとされています。改定される新計画においても、記載内容は基本構想及び基本計画との整合を図るとしていますが、国と都の計画等についても現計画と同様に整合を取る内容となるのでしょうか、伺います。
DX推進計画の策定に当たり、策定検討における基礎資料とすることを目的として500万円ほどの予算で区民意識調査のアンケートを実施しています。アンケートの対象は18歳以上の区民2,000名の無作為抽出と関係団体への調査とのことでしたが、計画策定の基礎資料とするのに当たって、区のオンライン申請をしたことのある方へのアンケートなど、対象を絞り込んだアンケートの実施は必要なかったのでしょうか。また、有効な回答はそれぞれどの程度得られたのでしょうか、併せて伺います。
DX推進計画の策定は今年度末となります。DX推進により区民サービスが充実するとともに、デジタルツール、システム導入によるコストが区にとって大きな負担とならないよう努めていただきたいと思います。
区民サービスの質的向上に向けたデジタルサービス体制整備の考え方について伺います。8月21日の総務委員会で報告された内容には、「区への電話問合せは1日5,000件以上に及び、電話が繋がりにくい場合や、たらい回しになるなど、ワンストップでの回答が得られにくい場合がある」という内容や、「各種行政サービスの情報の得られにくさ」という旨の課題が挙げられており、これらの課題を解決するため、デジタル技術を活用したサービス体制を整備するとされています。一方で、新庁舎に移転する際には、なかのスマート窓口など、多額の調査費用を使った上で、窓口サービスの向上に向けた取組が行われてきました。電話問合せの課題は今になって急に出てきた課題とは思えず、旧庁舎から同様の状況であったと考えられます。本来であれば、新庁舎移転時に対応を行うべき課題だったのではないでしょうか。このタイミングで体制整備を検討している理由について伺います。
この項の最後に、ペーパーレスの方針について伺います。区の契約書類等は多くが紙からデータに代わり、区と契約を交わしている業者の方からは書類提出が大分楽になったとの話を聞きます。その一方で、建設工事関係者からは区への納品物についてデータで提出しているにもかかわらず、同じものを紙で提出することを求められることがあると聞きました。庁舎内のペーパーレス化は新庁舎移転を契機にかなり徹底されてきたとの認識ですが、営繕工事関係書類のペーパーレス化の方針はどのようにされているのでしょうか。どうしても必要な紙の書類を除き、可能な限りペーパーレス化を進めるべきと考えますが、区の見解を伺い、この項の質問を終わります。
次に、AEDの活用について伺います。
昨年4月より区内のセブンイレブンの店舗に自動対外式除細動器、いわゆるAEDが設置されました。開始当初の設置数は47店舗でしたが、現在は51店舗に拡充されています。2015年、私が区議会議員初当選直後の一般質問で取り上げたのが、コンビニへのAED設置でした。当時、区有施設に設置されているAEDは業務時間以外には使用できないという課題がありましたが、24時間営業の店舗に設置されることにより、時間的な制約がなくなりました。時間の制約がなくなったことと日常的に利用する場所に設置されることで、今後AEDの場所を一般の方が認識しやすくなることが期待されます。これまでに区内セブンイレブンに設置されたAEDが使用された事例はあったのでしょうか。伺います。
今の課題は、どこにAEDがあるかということを、どうやって区民や来街者により知ってもらうかということです。最も分かりやすい方法の一つとして、設置した全ての店舗の目立つ場所にAED設置表示のステッカーを貼り出してもらうことですが、店舗によって貼る貼らないの判断が異なるようです。区としては、あくまでも店舗にAEDを置かせていただくというものですが、店側からすると、いざ使用するときには店側に責任が及ぶのかということも懸念されているのではないでしょうか。昨年、区が当事業を開始して以降、品川区や新宿区でもコンビニにAEDが設置されるようになりました。品川区や新宿区の場合、ステッカーに区の名前が書かれており、「緊急時に貸出します」と分かりやすく書かれています。まずは店舗に意見を伺った上で、ステッカーを改善してはいかがでしょうか。例えば、中野区が設置しているということや、店側が対応するのではなく、あくまでも貸出しだけ行っている旨の文言など、店側が安心して貼り出せるような表記の工夫を行ってはいかがでしょうか、伺います。品川区のホームページでは、AED設置の情報とともに、注意事項として貸出しのために置いてあること、従業員が現場に同行したり操作方法を説明することはしないこと、全店舗に設置されているわけではないことなどが書かれています。当区も店舗に負担がかからないよう、使用についての注意事項などを分かりやすくホームページに明記してはいかがでしょうか、伺います。
これまでAEDのコンビニ設置については、区報に一度だけ掲載されたことがありました。そのときから設置店舗も増えていますので、改めて区報に現在の設置状況やいざというときのAEDの使い方、救命講習の受講の案内なども含めて掲載してはいかがでしょうか、伺います。
新庁舎にも1階、6階、10階にAEDが設置されています。しかしながら、いずれの階に設置してあるAEDも閉庁後は一般の方が使用できる場所には配置されていません。新庁舎1階のコンビニは、セブンイレブンではありませんが、24時間営業をしており、庁舎内にあります。例えば、庁舎1階に設置されているAEDを1階のローソンに移設させてもらうよう交渉することや、あるいは24時間立ち入ることができる1階警備室の前に移設、追加するなど、現庁舎において閉庁後も使用できる設置方法を検討できないでしょうか、伺います。
令和3年より、日本でオートショックAEDが認可されました。オートショック型はパッドを貼り付けた後の電気ショックボタンを押す必要がなく、AEDが判断して電気ショックを自動で流すというものです。人命救助のいざというときに電気ショックのボタンを押すことは心理的に怖いという感覚を持つ人は少なくないと思いますが、オートショックの場合はその必要がありません。区有施設やコンビニなど、区がリースしているものにはオートショック型はあるのでしょうか。今後、リースの更新時期に併せてオートショック型の導入を検討してはいかがでしょうか。一人でも多くの方の命を救うため、取組を前に進めていただくことを求め、この項の質問を終わります。
最後に、児童・生徒の支援について伺います。
先日の教育委員会において、日本語指導が必要な児童・生徒の適応支援についての報告がありました。中野区ではこの5年間で外国籍の子どもの数が1.6倍になっており、日本語を学ぶ必要がある児童・生徒や学校を支援するために、日本語学級の設置案が示されました。児童や生徒、その家族が孤立しないようにするためにも、大変重要な取組であると思います。案では、教育課程内で実施する取り出し指導として検討されますが、都のガイドラインでは、週1、2回、2時間程度という例が挙げられています。時間についてはどの程度必要と考えられているでしょうか。また、放課後教育課程外という選択肢もありますが、教育課程内での実施とした理由も併せて伺います。
アンケートでは、「通訳、支援員、日本語指導の加配教員、入り込みの指導をしてくれる人などの人的支援」を求める意見が多かったようです。そうした意見を見ると、日本語学級の検討とともに、自校においての支援を拡充する検討も必要ではないかと考えます。現在、日本語指導員派遣は一人につき最大80時間とされていますが、それでは足りないという声を聞きますし、日本語指導員が不足しているという話も聞きます。日本語習得の速さは人によって多少違いが出ると思いますが、例えば小学校低学年のときに日本に来た児童と小学校高学年や中学生になってから日本に来た児童・生徒では、日本語習得の速さや環境の慣れも違うと思いますし、学年が上になるほど学校の勉強を理解していくのも難しくなっていくかと思います。特に、小学校高学年や中学生への日本語指導員派遣時間については、より手厚く時間の拡充を行うよう配慮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
この項の最後に、中野区立幼稚園・学校における合理的配慮のガイドラインについて伺います。合理的配慮のガイドライン・事例集については、令和4年の第3回定例会の一般質問で策定を求めて以来、度重ねて質問してきたものになります。時間はかかりましたが、今年の5月に策定され、一般に公開されるようになりました。この間、学校現場の先生方や保護者にも広く周知していただくよう求めてきましたが、やはり一番知っていただきたいのは障害をお持ちのお子さんの保護者の方々です。さらには、小学校入学前の幼稚園、保育園の保護者に対してこのガイドラインが広く伝わり、合理的配慮が適切に提供されることを望みます。学校関係者への周知と児童・生徒の保護者への周知、また未就学の保護者への周知の状況について伺います。小学校入学に向けて保護者が御相談をする就学相談は、お子さんにどのような教育を受けさせたいかなどの希望を伺い、お子さんの可能性を最大限に伸ばすためにどのような教育環境や教育内容、方法が必要かを教育委員会が一緒に考える場です。就学相談を受けられる保護者に対し、合理的配慮のガイドラインも丁寧にお伝えしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。悩んで相談に来られた方にとって少しでも希望になることを望み、以上で私の全ての質問を終わります。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 日野議員の御質問にお答えいたします。
最初に、中野駅新北口駅前エリアにおけるまちづくりについてで、説明会等への参加についてです。本年5月、6月に開催した説明会、7月に開催した意見交換会については、いずれも所管が担う事業に関するものとして、関係所管の部長以下の参加で実施をしたものであります。所管で行う意見交換会等については、今後も同様の体制で行う予定でありますが、私と区民との対話による意見交換については、区民と区長のタウンミーティングの中などで行っていく予定であります。
次に、グランドデザインVer.3等との整合性についてでございます。現行の再整備事業計画は中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3や中野四丁目新北口地区まちづくり方針を踏まえ策定したものでありまして、見直しにおいても同様の考えで行う予定であります。
次に、多目的ホールの規模についてです。大規模集客施設の規模につきましては、令和2年1月に策定した再整備事業計画において、「最大収容人数7,000人程度、着席の場合5,000人程度を上限とする」と定めております。
次に、再整備事業計画の見直しにおける区民への説明についてです。再整備事業計画の見直しに当たっては、これまで導入を想定していた機能や施設について区民の意見なども踏まえて具体化を図るとともに、今後の意見交換会などを通じて区民への説明についても工夫をしてまいります。
次に、グランドデザインの改定についてです。グランドデザインVer.3は平成24年から令和13年までの期間における中野駅周辺のまちづくりの展望を区民・民間事業者・行政が共有をし、公民協働でまちづくりを推進するための指針でありまして、それらを踏まえて中野二丁目、三丁目、四丁目、囲町の各地区で土地区画整理事業や市街地再開発事業などを展開しているところであります。したがって、近々にグランドデザインVer.3を改定する予定はございません。
次に、2番目のDX推進の取組みについての項で、DX推進計画における経費抑制の視点についてです。区はこれまでICTの全体最適化や効率的で効果的な調達の推進という目的を持って、調達ガイドラインに基づくシステムなどの導入を進めてまいりました。今後ともDXの推進において必要なシステムなどの導入に当たっては、調達ガイドラインに基づき適正化を図っていく考えでございまして、DX推進計画においてもその考え方はしっかりと位置付けてまいります。
次に、国や東京都の計画と中野区DX推進計画との整合についてです。現在策定中の計画は、官民データ活用推進基本法に基づく市町村官民データ活用推進計画として位置付けることとしております。また、国の「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」及び同方針に基づく「デジタル社会の実現に向けた重点計画」や「デジタル・ガバメント推進方針」に基づく「自治体DX計画」、東京都の「スマート東京実施戦略」などを踏まえて整合を図ってまいります。
次に、GovTech東京の共同調達や共同利用についてです。電子契約サービス、チャットサービス及びAI-OCRの一部でこの共同調達を活用しておりまして、導入コストを削減することができました。今後とも共同調達や共同利用の内容を見定めた上で、積極的に活用していきたいと考えております。
次に、DX推進計画策定に向けた区民意識調査等についての御質問です。区民意識調査では、アンケートを送付した区民2,000名中、811名から有効な回答を頂けました。調査ではインターネットの利用状況やオンライン申請の利用経験、また利用したことのない方にはその理由についても聞いております。また、団体への調査は各所管から87団体に回答依頼をしまして、49団体から回答を頂きました。こちらでは団体として行う区の手続や区と行う打合せ・会議のオンライン対応状況、またオンライン対応の希望などについて聞いたところであります。
次に、電話による問合せの課題についてです。新庁舎移転でも、窓口混雑と同様に、電話対応の課題は認識をしていたところであります。しかし、多機能ユニファイドコミュニケーションと新たな電話応対サービスの同時導入については、技術的な課題などもありまして、引き続き検討することとしておりました。他方、音声認識や生成AIなど電話応対の品質向上には不可欠なデジタル技術は、移転時から比べても飛躍的に進化をし、先行自治体等の状況なども含め、こうした技術を活用した電話の応対品質向上に向けた技術的課題の解消の目途は十分に立ったところであります。また、今年度行ったDX推進計画策定に当たっての区民意識調査においても、「電話がつながりにくい」、「情報が探しにくい」という意見もあったことから、今般デジタルサービス体制の整備を進め、電話応対を含めた区民サービスの質的向上を図ることとしたところであります。
次に、営繕工事関係書類のペーパーレス化の推進についてです。令和6年度より庁内の取組として工事現場用タブレットPCの導入を開始をしまして、工事関係業務のペーパーレス化に取り組んでいるところであります。現在、工事受注者と発注者間で工事関係書類の受け渡し・共有ができるインターネットを活用した情報共有システムを一部の工事で試行実施をしております。今後、ICTの活用を拡充し、工事関係業務のさらなるペーパーレス化と効率化を推進してまいります。
〔教育長田代雅規登壇〕
○教育長(田代雅規) 私のほうからは、児童・生徒の支援についての御質問にお答えいたします。
まず最初に、日本語学級における指導の在り方についてでございます。必要な指導時間については、児童・生徒一人ひとりの状況によって異なるため、日本語の能力等を踏まえて個別の指導計画を作成し、週8時間を上限に実施することを想定しております。教育課程内で指導を行うことにより、特別の教育課程に基づいた計画的かつ継続的な指導や評価が可能となり、日本語指導担当教員が在籍学級の担任等と連携して、効果的な指導を行うことができると考えております。
次に、日本語指導員派遣時間の拡充についてでございます。日本語指導員等の派遣については、今年度より日本語の習熟状況や中学校3年生の受験期等、特別な事情がある場合には、40時間延長し、120時間の指導が可能となるように拡充を行ってまいりました。学習を始める年齢による差があり、また日本語の習得にかかる時間に個人差があるため、指導時間の在り方については、国際交流協会等と連携しながら検討してまいります。
次に、合理的配慮のガイドラインの周知の現状についてでございます。中野区立幼稚園・学校における合理的配慮のガイドラインについては、校園長会、副校園長会や教員研修において教職員へ周知を行っております。区立幼稚園、小・中学校の保護者の方へは情報配信メールでの送信や学校、園便り等を活用して周知しております。未就学の保護者の方へは、私立幼稚園長会や保育園長会で内容を説明して周知をお願いしております。併せて、区のホームページにも掲載をしております。
最後に、就学相談時の合理的配慮に係る取組の案内についてでございます。就学相談を受ける保護者の方には、面談を通して区立学校における合理的配慮に関する取組についてガイドラインを活用して説明を丁寧にしていきたいと考えております。
〔健康福祉部長杉本兼太郎登壇〕
○健康福祉部長(杉本兼太郎) 私からはAEDの活用についての御質問にお答えいたします。
初めに、区内セブンイレブン設置分の使用事例についてでございます。区内セブンイレブンの店舗に設置したAEDは本年9月に1件貸し出した事例がございます。
次に、設置を示すステッカーについてでございます。AEDの設置に当たりまして、区から各店舗に対して、設置場所の提供、日常的な目視点検、ステッカーの掲示、有事の際のAEDの貸出業務の協力等をお願いしております。ステッカーの掲示内容がより分かりやすくなるよう、店舗の意見も伺いながら工夫を重ねてまいります。
次に、区ホームページにおける案内についてでございます。現在、区ホームページにおきましては、コンビニに設置したAEDについて、「貸し出しだけで、店舗の従業員が救急救命活動を行う義務を負うものではない」と掲載しているところでございます。店舗の役割や使用方法について、より分かりやすい内容となるよう工夫してまいります。
次に、区報等による広報についてでございます。AEDによる救護が必要な場合に、より多くの方々が救命処置を実施できるようにすることは重要であると認識してございまして、AEDの使用方法の周知や東京消防庁が実施している救急救命講習の受講が進むよう普及啓発に努めているところでございます。今後も様々な機会を捉え、突然の心停止時の救命に活用していただけるよう、改めて区報による周知を図るとともに、さらなる広報活動の強化についても検討してまいります。
次に、新庁舎における24時間使用できるAEDの設置についてでございます。AEDが24時間使用できる環境を整備していくことは重要であると認識してございまして、庁舎内も含めた区有施設に設置している全てのAEDの設置について、見直しや検討を進めているところでございます。
最後に、オートショック型AEDの導入についてでございます。現在区がリースしているAEDにはオートショック型はございません。オートショックにより操作を減らすことで、救助者の心理的負担の軽減をサポートし救命率の向上を図るという効果は認識してございますので、今後導入について検討してまいります。
○議長(森たかゆき) 以上で、日野たかし議員の質問は終わります。
議事の都合により暫時休憩いたします。
午後3時08分休憩
午後3時30分開議
○議長(森たかゆき) 会議を再開いたします。
この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 羽 鳥 だいすけ
1 次期中野区基本計画の考え方について
2 中野駅新北口駅前エリア再整備事業について
3 気候危機対策について
4 感染症対策について
5 保育施策について
6 鷺宮地域のまちづくりについて
7 その他
○議長(森たかゆき) 羽鳥だいすけ議員。
〔羽鳥だいすけ議員登壇〕
○37番(羽鳥だいすけ) 2025年第3回定例会に当たりまして、日本共産党議員団の立場で一般質問をいたします。
初めに、次期中野区基本計画について伺います。
現在、来年度から計画年度が始まる中野区基本計画の策定作業が行われています。子育て先進区をはじめ区政のさらなる発展のために、よりよい中身となるよう、私自身力を尽くしたいと思います。基本計画は、基本構想にある中野区が10年後に目指すまちの姿を実現するための施策となっています。計画の5ページ、計画の進行管理では、「「目標と成果による区政運営」を進めます」として、「定期的に目標と現状について検証や評価を行い」と書かれています。区は、4月24日に総務委員会において、「中野区基本計画の進捗状況について」という報告を行っていますが、ここからはそれぞれの政策・施策の進捗状況しか分からず、そのため6月に総務委員会に報告された「中野区基本計画(骨子)について」において、それぞれ施策がなぜ統合されたのか、成果指標は妥当なのかなど、基本計画を進める上での区の評価が分かりません。これでは区政運営の柱であるべき基本計画が、これまでの結果を次期に生かすことができなくなるのではないでしょうか。中野区基本計画の策定に当たっては、現計画の進捗の評価を区として明らかにすべきではないでしょうか、お答えください。
6月に報告された基本計画(骨子)では、策定の背景としてライフスタイルの変化と孤独・孤立の中で一人で生きていくことなど、多様な生き方、ライフプランの存在が想定されていないのではないかと感じました。確かに支援を必要とする人が確実に支援を受けられることは必要ですが、この数年で大きく変わったのは、従来の家族観や性別役割分業の在り方にとらわれず、自分らしく生きていくというジェンダー平等の考えが広がったことではないでしょうか。中野区はこの点についてどのような認識でしょうか。また、ジェンダー平等の視点を次期基本計画に取り入れ、シングルの支援をはじめ多様な生き方を支える施策展開が必要ではないでしょうか、お答えください。
重点プロジェクトについて言うと、骨子には気候危機どころか気候変動という文言すら入っていません。区は、区政運営の基本方針には入れる考えのようですが、気候危機対策は直接的な二酸化炭素排出量の削減政策から、熱中症などから区民を守るソフト、ハード両面での適応策、施設での仕様や区民の意識醸成など、部署をまたがる総合的な取組が必要とされており、まさに重点プロジェクトに必要な考えです。昨年策定された脱炭素ロードマップにおいても、分野ごとの施策と取組を掲げ、そうした考えを示しています。現行の基本計画では、「活力ある持続可能なまちの実現」の中に、「脱炭素社会の実現を見据えたまちづくりを展開します」と一項目に収まっています。しかし、気候危機の事態の切迫性、重大性を鑑みれば、気候危機対策をどのように展開していくかということを前提にまちづくりなども考えていくべきです。重点プロジェクトに気候危機の文言を入れるとともに、プロジェクト3の在り方を気候危機対策を前面に据えたものにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
我が会派はこの間、生活再建型債権管理を区政に取り入れるよう求めてきました。第1回定例会の予算特別委員会において、「総合的な相談を受け持つ福祉総合相談部門の設置」を提案したところ、「令和8年度以降の組織を検討する中で福祉に関する相談の在り方についても検討していきたい」と答弁をされています。その後の検討状況がどのようになっているか伺います。
差別・排外主義を許さない区の姿勢について伺います。
中野区は、2022年に人権及び多様性を尊重するまちづくり条例を制定しました。第2条では「全ての人が、性別、性自認、性的指向、国籍、人種、民族、文化、年齢、世代、障害その他これらの複合的な要因による差別を受けることなく、それぞれの能力を発揮し、地域社会の一員として暮らすことができることを基本理念とする」と述べています。様々な方が暮らしている中野区がこのような条例を制定したことは、区の姿勢を示すものとして極めて重要であると考えます。しかし近年、特に外国人に対する排他的な主張を掲げる人々が散見されます。「外国人の就労が賃金引下げ圧力となっている」、「日本の健康保険制度を利用するために外国人が流入してきている」など、デマや印象操作などで外国人に対する嫌悪感情をあおる許しがたいものです。区は中野区基本計画(骨子)の中で、政策1、施策2、多文化共生のまちづくりの推進において、外国人住民等が地域で安心して暮らすことができる施策の展開を考えていますが、その中身は生活に必要な環境を整えるという中身になっています。外国人に対する差別感情が広がることは、共に中野のまちをつくる上で大きな問題になると考えます。区として差別・排外主義は許さないという姿勢を表明するとともに、施策展開を考えるべきではないでしょうか、見解を求めます。
以上で、この項の質問を終えます。
続いて、中野駅新北口駅前エリア再整備事業について伺います。
中野区は今後、民間企業に対してこの地区の再開発について事業採算性などを聞くサウンディング型市場調査を行うとしています。区は、まずはサウンディング型市場調査で評価を聞き、その後区として必要な事業計画の修正を行うという立場ですが、それでは今回ストップした計画のときに、容積率の割増し、用途構成の見直しなどが幾度も発生したように、事業者に言われるがままに計画の修正を受け入れることにもつながりかねません。まずは、このまちづくりで区が何をしたいのか、譲れないものは何かという考えを示すことが必要ではないでしょうか、見解を求めます。
区長は、第2回定例会冒頭の行政報告において、中野サンプラザのまちづくりについて野村不動産との協定解除に至った理由を述べたくだりで、「何より私が残念に感じたのが、子どもの遊び場や、屋上広場、展望施設の規模など区民が直接利用する施設の魅力が認可申請時に区が同意した事業計画と比較して低下している」と述べていました。区は、修正する事業計画において、子育て施設についてどのようなものを考えているのでしょうか、お答えください。
中野区が昨年度策定した脱炭素ロードマップでは、「中野駅周辺まちづくりにおける対策促進」において、「建築物のゼロエミッション化を促進します」などと取組が述べられています。この事業計画の修正に当たっては、このロードマップの方針にのっとったものにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
7月に行われた中野駅新北口駅前エリアにおけるまちづくりについてのワークショップを見学させていただきました。そこで出された意見を伺うと、「緑がある憩いの場所」や「ベンチを設置して歩きやすい空間」など、新しい視点がたくさん寄せられていました。先日開催された中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会でそうした意見をどう受け止めているか尋ねたところ、緑ある空間が大事だと思う旨の答弁がありました。先ほど触れた脱炭素ロードマップにも「二酸化炭素吸収・緑陰形成につながる緑化」が述べられています。こうした意見を事業計画の修正に取り入れるべきと考えますが、見解をお答えください。
中野サンプラザを改修しての利活用に関連して伺います。区はこれまで、中野サンプラザを大規模改修した場合100億円、先日の区長記者会見では170億円が必要となり、事業採算の観点から難しいことを述べられてきました。確かに区の従前資産を活用する場合と異なり、誰が莫大な改修費を負担することになるのかなど、実現には多くの課題があることは承知しています。同時に、そうしたことを求める一定の声があることも事実です。そうした区民の方々と新たなまちづくりを考える上でも、丁寧な情報提供をすべきです。その点から、今後実施するサウンディング型市場調査において、利活用が可能かどうか聞き取りを行ってはどうでしょうか。
伺いまして、この項の質問を終えます。
続いて、気候危機対策について伺います。
気象庁は先日、今年の夏は平年に比べ2.36度気温が上昇し、観測史上最高を記録する異常な高温だったと発表しました。年々上がり続ける気温は、文字どおり私たちの生存を脅かしています。世界では気温上昇を1.5度未満に抑えようと目標が提起されていますが、現実の取組はそれには遠く及ばず、世界の二酸化炭素削減目標を達成したとしても、3度上昇が見込まれており、1.5度目標の達成は極めて厳しい状況です。そうした中で日本が果たすべき役割は大きいものがあるにもかからず、政府はG7で唯一石炭火力発電からの撤退期限を示さない、再生可能エネルギー導入目標も極めて低い、二酸化炭素排出量の削減目標も1.5度目標に整合しないという姿勢のままです。そうした情勢の中で区は次期環境基本計画を策定することになります。中野区として1.5度目標の達成が危ぶまれている現状についてどのように認識しているのでしょうか。また、そうした中でどのような二酸化炭素の排出削減目標を掲げるつもりでしょうか、お答えください。
民生部門からの二酸化炭素排出量が多い中野区にとって、電力からの二酸化炭素排出量を削減することが重要であることは度々指摘をしてきました。そうした中、中野区が太陽光発電設備設置助成を実施していることは重要です。しかし、全体の世帯数から見れば、電力を再生可能エネルギーに切り替えた世帯はまだ多くはないのではないでしょうか。その原因の一つに初期費用の問題もあると思います。区は再生可能エネルギーへの転換を阻む様々な障害を取り除いてほしいと思います。江戸川区は、来年1月に事業者と地域エネルギー会社を設立することを発表しました。この会社は太陽光パネルを既存の戸建て住宅に無償で設置をし、パネルは会社が所有、住宅側は安価な電気使用料を会社に払うという枠組みです。こうした例に見られるような、再生可能エネルギーへの転換を進める施策を展開していくべきではないでしょうか、お答えください
二酸化炭素排出量を削減する取組とともに、区内のエネルギー消費量を減らす取組も重要です。今年の夏の暑さはもちろん異常気象によるところが大きいですが、東京で進行するヒートアイランド現象の影響も見逃せません。都市が発生させる膨大な熱が東京を温めています。中野区は2023年に脱炭素社会の実現に向けた区有施設整備方針を策定、これにより今後の新築・改築においては、ZEB ReadyもしくはZEB Orientedとするとともに、改修時に高断熱、高効率の設備の導入がうたわれていますが、それでは多数の施設が改善されないまま、長い間残されることになります。そのために断熱化などのエネルギー消費量を減らす独自の取組を行うべきと考えます。お答えください。
中野区の緑化の指標としてはみどり率が使われています。それを見ると、区内の緑は減少していないように見えます。しかし樹冠被覆率という樹木がどれだけ地面を覆っているのかという指標で見ると、中野区ではこの間大きく緑が減っていることが分かります。それだけに区は積極的に木陰を増やす政策を取るべきではないでしょうか。8月に環境審議会から出された次期環境基本計画に盛り込むべき事項についての答申には、緑被率・みどり率とともに樹冠被覆率を向上させる取組を求めています。そして、樹冠被覆率についての調査実施や指標設定についても検討することを求めています。次期環境基本計画では樹冠被覆率を指標として導入すべきではないでしょうか、見解を求めます。
計画の進行管理について伺います。気候危機に対する取組は、緩和策、適応策ともに様々な部署にまたがるものです。それだけに環境部が他部署の施策の進行管理についても責任を持って取り組む必要があります。区として環境基本計画の進行管理のためにどのような体制を組んでいくつもりなのでしょうか。
伺いまして、この項の質問を終えます。
続いて、感染症対策について伺います。
今年の夏は新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がりました。ニンバスとも呼ばれる新たな変異株はこれまでの免疫を擦り抜けて感染することもあり、新型コロナウイルス対策の難しさを物語っています。新型コロナウイルスは定点調査になり、その拠点数も減り、感染者数の報道もほとんどされなくなり、あたかも新型コロナウイルスはもうないと言わんばかりの状況になっています。そうした中で5類化以降、対策も自己責任化されています。しかし、そのことについて十分な周知が行われているとは言い難い状況です。中野区ホームページでは、マスク着用について咳エチケットの項目の中に「咳のある時はマスクをする習慣」として載っているのみで、独立した対策として掲げられていません。無症状者も感染を広げるからこそ新型コロナウイルスの対策は難しい理由であり、今回のような感染拡大期にマスク着用者が多ければ大きな効果を発揮したはずです。区は感染症予防におけるマスク着用についてどのような効果を認めているのでしょうか。また、ホームページ上でも適切な周知を図っていくべきではないでしょうか、お答えください。
区のSNSであるX上での発信では、感染拡大への警戒を呼びかける発信は全くありません。法的に求められているからとのことですが、この夏はほぼ毎日、「熱中症警戒アラート発表中」と呼びかけていました。こうした発信があることで、適切な熱中症対策を意識するきっかけになったと思います。例えば、感染拡大期に感染症発生動向調査週報へのリンクを張り、警戒と対策を呼びかけるなど感染症の拡大を防ぐための適時適切な発信を検討すべきではないでしょうか、お答えください。
災害時に感染症が蔓延した場合、さらなる医療機関の逼迫を招くと同時に、普段なら救える命も救えないという事態になりかねません。大勢の被災者が避難する避難所での感染拡大は絶対に防がなければなりません。避難所における感染症対策の重要性について、改めて区の認識を伺います。避難所における感染症拡大を防ぐためには、空気清浄機が効果があります。現在、避難所に指定されている学校には数台の空気清浄機があり、体調不良の方がいる教室などには設置をするつもりのようです。しかし、感染拡大を防ぐためにはさらなる配備が必要ではないでしょうか。一般財団法人住宅都市工学研究所は石川県輪島市と災害時に空気清浄機を優先的に供給する協定を結びました。中野区でもこうした協定を結び、避難所への空気清浄機のさらなる配備を検討してはいかがでしょうか。
伺いまして、この項の質問を終えます。
続いて、保育施策について伺います。
この数年、認可保育園では定員割れが続き、経営に深刻な影響を及ぼしています。区は収入に対する影響額の割合が少ないとして減収補填を実施していませんが、23区では16区が既に実施しています。私立保育園園長会の毎年の予算要望でも掲げられています。園長会からは、「減収補填が認められないならば、せめて定員変更の許可を出して職員の必要人数が減らせるようにしてほしい」と要望が出されています。区が、待機児童対策として設置を進めておきながら、定員割れという新たな事態に対応策を出さないことは無責任です。改めて減収補填制度を実施すべきではないかと求めますが、答弁を求めます。
パート加算単価の引上げについて伺います。パートで働く多くの方々が保育園の運営を支えていますが、賃金は低く抑えられています。その原因として、パート加算単価の改善が長年図られていないことがあります。区内のある保育園ではパート募集の賃金が2006年度は時給850円、2024年度は1,165円と1.37倍になっているにもかかわらず、中野区のパート加算単価は2006年度から月10万4,600円と変わっていません。これでは処遇の改善は困難です。区はパート加算単価の引上げを行う必要があるのではないでしょうか、お答えください。
こども誰でも通園制度の議論の際、我が会派は保育の必要性の要件を見直して、希望する全ての子どもたちに質の確保された保育を保障すべきであること、保育士の処遇改善と配置基準の抜本的改善を行い、公的保育を拡充することで、誰でも通園の土台をつくることを求めました。2024年度から3、4、5歳児の保育士の配置基準が見直されましたが、期間の定めのない経過措置となっています。多くの保育園では、この見直された基準でも児童の数が多過ぎるとして職員を配置しており、負担になっています。質の高い保育を実施できるよう、職員配置基準を引き上げるための独自の加算を実施すべきではないでしょうか、お答えください。
4月26日、区内で震度5強以上を記録する地震が発生し、子どもたちを確実・安全に帰宅させる必要が生じた場合を想定して、中野区立小・中学校・幼稚園合同引渡し訓練が行われ、非常に意義があったと聞いています。しかし、私立保育園の方からは、「園長会でこの訓練の存在を知り、ぜひ参加したかった」との声も聞いています。兄弟で保育園、幼稚園、小・中学校に同時に通う子どもたちは多くいます。来年度の引渡し訓練の際には、事前に内容をお知らせし、幼稚園や保育園に参加を募ってはいかがでしょうか。
伺いまして、この項の質問を終えます。
続いて、鷺宮地域のまちづくりについて伺います。
妙正寺川を挟んだ白鷺二、三丁目にまたがる鷺宮西住宅では、調節池の整備などと合わせた建て替え事業の準備が進んでいます。そうした中で団地にお住まいの方々からは、「建て替えた後に戻り入居ができるのか」、「定期借家だが、建て替えの延期により長年住むことになったため、建て替え後も住み続けたい」などの要望が出されています。現在示されている住戸の計画では、4棟を敷地いっぱいに建てるものとなっており、相当の建設期間が想定されます。そうなれば、散り散りになった居住者の方が孤独化することにもつながりかねません。戻り入居のための棟を別に建てることも考えるべきです。中野区として、こうした住み慣れた地域に住み続けたいという区民の要望を受け止め、公社に対して意見を伝えていくべきではないでしょうか、お答えください。
鷺宮地域で課題となっている西武新宿線の踏切渋滞解消に関連して、横浜市の相模鉄道鶴ヶ峰駅付近連続立体交差事業が複線シールドでの地下化を実施していることを以前紹介しました。今年7月に発行された「鶴ヶ峰連立NEWS第11号」では、来年度にシールドマシンによる掘削を開始すると発表がありました。この事業は2022年1月に都市計画決定され、現在計画どおりに進行し、2033年度に完成予定となっています。横浜市にも問い合わせましたが、事業に伴う立ち退きはほとんどなかったそうです。複線シールドでの地下化の優位性が事実をもって証明されていると感じます。中野区は中井駅・野方駅間の単線シールドでの地下化が立ち退きなどで大幅な事業期間延長に直面していながら、複線シールドでの地下化を全く検討するつもりがありません。踏切渋滞の早期解消を本当に実行するつもりがあるのでしょうか。野方以西の複線シールドでの地下化を区として検証することや、東京都に検討するよう求めることなどをすべきと考えますが、見解をお答えください。
伺いまして、この項の質問を終えます。
最後に、その他として中野駅前大盆踊り大会について伺います。8月23日に行われた同イベントには区内外から多くの方が訪れたと聞いています。しかし開催後、区民の方のSNSへの投稿で、8月1日「ピンク盆踊り」と題した前夜祭イベントにおいて、四季の森公園内にアダルトビデオ撮影用の車が配置され、記念撮影なども行われていたことを目にしました。区の公園で衆目にさらされる形でこうしたことが行われたことに憤りを覚えます。区に問い合わせたところ、イベントの内容については告知されておらず、その後、区は「事前にこのような内容が含まれていることを分かっていれば使用許可を出すことはありませんでした」と抗議文を出しています。実行委員会は8月28日声明を出しましたが、その中身は事前の申請に不備があったことで御迷惑をおかけしたとおわびするもので、再発防止として何をするのかも全く分かりません。来年以降、どのように対策を取るつもりなのか見えず、区民の一人として不安を覚えます。区はこの8月1日の「ピンク盆踊り」について、どのような点が不適切であると考えているのでしょうか、お答えください。また、再発防止として区は何を考えているのでしょうか。誓約書の提出といったやり方も検討すべきではないでしょうか。あわせて答弁を求め、私の全ての質問といたします。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 羽鳥議員の御質問にお答えいたします。
初めに、次期中野区基本計画の考え方についてで、最初に次期基本計画に向けた現基本計画の評価についての御質問です。次期基本計画につきましては、策定方針の中で、現基本計画の進捗状況や社会情勢の変化等を踏まえ、課題を明らかにした上で、施策の方向性や主な取組等を示すものとしております。現基本計画の成果指標や主な事業の昨年度までの進捗状況の評価につきましては、4月の総務委員会等で報告をしたところであります。
次に、ジェンダー平等と多様な生き方を支える施策展開についてです。令和6年2月に策定をしました中野区男女共同参画基本計画(第5次)におきまして、「誰もが自分らしいライフスタイルを選択でき、男女平等の意識を持ち、健康で安全・安心に暮らせる社会の実現」を基本理念として取組を進めているところであります。次期中野区基本計画においても、男女共同参画社会の実現に向けて、ジェンダー平等の実現を図るための取組を行っていくことを予定しております。
次に、重点プロジェクトにおける気候危機対策の位置付けについてです。近年の酷暑など気候変動等による異常気象が区民生活へ与える影響は深刻なものでありまして、危機感を持って迅速に対応していく必要があると思っております。基本計画の素案におきましては、環境に関する施策の内容を充実させるとともに、気候変動対策については全庁的に取り組む必要があるため、区政運営の基本方針に脱炭素化の推進に関する内容を盛り込むことで着実に取組を進めていきたいと考えております。
次に、福祉総合相談に関する組織の検討状況についてです。基本計画を着実に実行していくための組織について、これまで検討を進めてきたところでありますが、福祉に関する相談や債権管理につきましては、業務の効率性や効果の観点から、現在の組織を基本として運用していくことが望ましいとの結論に至ったことから、具体的な組織改正を行わないこととしたところであります。
次に、外国人も差別を受けることのない施策展開についてです。区は、中野区人権と多様性を尊重するまちづくり条例第2条に掲げる基本理念の下、全ての人が差別をすることや差別されることのない環境、差別されている状況を見過ごすことのない環境をつくるための取組を進めているところであります。今後も人権及び多様性を尊重し、これを認め合う意識を醸成するために必要な取組を行ってまいります。
次に、中野駅新北口駅前エリア再整備事業についてで、まちづくりで実現したいことについての御質問です。サウンディング型市場調査は、昨今の市場動向、建設市況等の社会情勢を踏まえ、中野駅新北口駅前エリアの事業スキームなどを検討するための情報収集の場でありまして、事業者との対話を通じて有益な情報を得ることを目的としております。区としては、これまでの再整備事業計画で整備・誘導を図る主な施設・機能を示しておりますが、区民意見やサウンディング型市場調査で得た情報を踏まえ、これらの施設・機能についての見直しを行ってまいります。
次に、子育て支援施設についてです。令和6年度中野区子どもと子育て家庭の実態調査によれば、一例ではありますが、保護者からの意見として、「屋内で遊べる施設に関する満足度」が比較的低く、子育て家庭の屋内遊び場に対する要望があると考えております。子育て先進区の実現に向け、屋内遊び場や子どもが安心して過ごせる居場所の提供、子育て世帯向け商業施設の誘導など、子育て世帯を引きつけ、子どもと子を持つ親が楽しめる空間の創出を目指してまいります。
次に、まちづくりに脱炭素の視点を取り入れることについてです。中野駅新北口駅前エリアでは、高度利用地区の都市計画を運用しておりまして、脱炭素ロードマップに沿った取組を既に行っているところであります。
次に、まちづくりにおけるみどり空間の充実等についての御質問です。中野駅周辺地区は中野四季の森公園もあり、これまでの再整備事業計画ではみどりのネットワークの形成や各種広場の整備による憩いの場の創出を目指しているところであります。今後予定している再整備事業計画の見直しでは、みどりや広場機能などについてより具体的で分かりやすい目標を示してまいります。
次に、サウンディング型市場調査についてでございます。中野駅新北口駅前エリアは区民会議等による区民参画の下、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画を策定し、目指すまちの将来像の実現に向けて取り組んでおります。中野サンプラザの建物を残した場合、まちの課題を解消し、新たなまちの価値の創出や目指すまちの将来像を実現することができないため、大規模改修による建物全体の再利用は考えていないところであります。中野サンプラザの南側広場に面する建物の一部の暫定利用について、現在各種法令と照らし合わせてその可能性を検証しているところでありますが、当該検証結果に応じて民間事業者への意見聴取についても検討してまいります。
私から最後に、その他の項でございます。中野駅前大盆踊り大会の前夜祭の不適切な点についてです。子どもを含めた不特定多数の方の来場する公共空間で、アダルトビデオの撮影用車両の展示や性的な内容を含むイベントが開かれた点が不適切であったと考えております。次に、再発防止策についてです。誓約書の提出といった方法も再発防止策の一つとして検討してまいります。また今後は、より企画内容の把握ができるように公園の使用許可に関する手続や案内方法の見直し等、再発防止策について指定管理者とともに検討、協議をしてまいります。さらには、後援等名義の使用承認に当たっても、企画内容の把握についてより徹底してまいりたいと考えております。
〔教育長田代雅規登壇〕
○教育長(田代雅規) 私のほうからは、保育施策についての御質問の中から、保育園、私立幼稚園の引渡し訓練の参加についての御質問にお答えいたします。
本年4月26日(土曜日)、区立幼稚園、小学校・中学校において、初めて合同引渡し訓練を実施いたしました。実施後、学校を対象にアンケート調査を行い、令和8年度も4月第4週土曜日午後に実施することとしております。保育園や私立幼稚園の参加につきましては、各園長会、小・中学校校長会の代表者が参加する連携教育検討委員会などで情報提供をして検討をしてまいります。
〔環境部長浅川靖登壇〕
○環境部長(浅川靖) 私からは気候危機対策についてお答えをさせていただきます。
まず、各国の地球温暖化対策の現状認識、そしてCO2削減目標についてでございます。世界各国では、パリ協定に基づき、産業革命以前からの世界の平均気温上昇を1.5度に抑える努力を追求する目標を掲げているところでございます。この目標に向けた各国の取組にはばらつきがございまして、1.5度目標の達成は困難との指摘があることは十分認識してございます。区は、一自治体の責務としてこの問題を一層重要な課題と捉えまして、区民や事業者への協力を求めつつ、全庁を挙げた対策を進めてまいります。この認識の下、次期環境基本計画は2026年度から2030年度までの5か年を計画期間と定めまして、次期中野区基本計画との内容の整合を図りつつ、現在改定作業を進めているところでございます。当計画におきます目標は、2030年度におけるCO2排出量を2013年度比46%削減、さらに2050年ゼロカーボンの実現を最終的な目標と定め、具体的な取組は中野区脱炭素ロードマップを引き継いだ内容を考えてございます。
続きまして、再生可能エネルギーの導入・普及についてでございます。この再生可能エネルギーの普及につきましては、現在、省エネ・再エネ設備設置に対する補助制度の中で、太陽光発電システムや蓄電システムのメニューとして実施しておりまして、区民の設置意欲が高まっている現状を踏まえ、今後も継続実施していくことを考えてございます。一方、化石燃料中心から再生可能エネルギー電力への切替えにつきましては、環境関連イベントなどの機会を活用し周知・啓発活動を展開しておりますけれども、さらに23区共同で進めております電力切替え推進のスキームというものがございますため、これと連動した取組を現在検討中でございます。
続きまして、脱炭素社会の実現に向けた区有施設整備方針についてでございます。令和5年度に決定した脱炭素社会の実現に向けた区有施設整備方針では、建築物の改修時に高断熱や高効率な設備を導入するなど、エネルギー消費性能の向上を図るための措置を講ずることとしております。一方、現在改定作業が進められております次期区有施設整備計画のほうでは、施設の長寿命化の方向性が検討されているところでございます。こうした長寿命化を前提に行う大規模改修の際において目指すべきCO2削減対策の方向性につきまして、脱炭素の整備方針のほうに盛り込むことを現在検討しているところでございます。
次に、緑化の指標としての樹冠被覆率の導入についてでございます。樹冠被覆率は1本の樹木の枝や葉が地面を覆っている面積の割合を示す指標でございます。芝生や草地よりも樹木が増えることでより都市の気温上昇を抑え、CO2の吸収に寄与するため、ヒートアイランド現象の緩和や地球温暖化対策を図る指標となるものと考えてございます。しかし、現段階では明確な定義や調査手法が確立していない等のことから指標に採用している自治体は全国でも少なく、23区では調査した限り、まだございません。区は令和11年3月にみどりの基本計画の改定を予定してございまして、そこでは樹冠被覆率を含め、どのような指標がみどりを測るためにふさわしいか検討してまいります。
私から最後に、温暖化対策における緩和策と適応策の進捗管理についてでございます。地球温暖化対策には原因であるCO2などを減らす緩和策と、既に進行している気候変動による影響に対応するための適応策がございます。こちらはいずれも次期環境基本計画におきまして施策の方向性と具体的な取組を体系的に整理した上、年度ごとに進捗を把握してまいります。具体的な進捗管理の方法といたしましては、現行の環境関連施策調整会議の機能をより強化することを検討してございます。
〔保健所長水口千寿登壇〕
○保健所長(水口千寿) 私からは感染症対策についてお答えいたします。
まず、マスク着用についてですが、マスク着用は手洗いや効果的な換気と並び、基本的な感染症対策として有効であると認識しています。国及び東京都は、令和5年3月13日以降のマスク着用は、個人の判断に委ねることを基本と示しております。区は、この方針に準じ、マスク着用が困難な方への理解等、区民一人ひとりの主体的な選択を尊重しています。区は、感染症を予防するために、マスク着用についての啓発を行っています。状況を鑑みながら、ホームページ等広報について検討してまいります。
次に、感染症流行情報の広報についてですが、区は区内の感染症の流行状況について区民への適切な情報提供が必要と認識しており、中野区感染症発生動向調査週報において、区内の感染症発生状況を定期的に周知しています。感染症が流行し、東京都から警報や注意報が出た際には、ホームページ等で注意喚起を行うなど、今後の感染症の流行や拡大状況に応じた情報提供の在り方について検討してまいります。
〔防災危機管理担当部長吉沢健一登壇〕
○防災危機管理担当部長(吉沢健一) 私からは感染症対策についてのうち、初めに避難所の感染症対策についてお答えいたします。
避難所では、マスクや手指消毒剤を活用するとともに、体調不良者につきましては動線及び避難スペースを健康な避難者と分離するよう配慮していきます。また、体調不良者の避難スペースにおきましては、間仕切りなどを活用しまして可能な限り避難者同士の間隔を広く確保するよう努めてまいります。
次に、避難所への空気清浄機の配備についてでございます。現時点で避難所への空気清浄機の設置計画はありませんが、学校等に備え付けられている機器の活用も含めまして、体調不良者の避難スペースを中心に対応していく考えでございます。なお、体育館などの広い空間におきましては、効果が限定的と考えておりまして、他自治体の事例も参考に有効性を踏まえ研究してまいります。
〔子ども教育部長石崎公一登壇〕
○子ども教育部長(石崎公一) 私からは、保育政策についての御質問のうち、初めに認可保育所への減収補填についてお答えいたします。
区内の私立認可保育所の令和7年4月の入所率は約86%でございます。年度末までには入所率が上がっている傾向にあるため、地域型保育事業所等と比較して、運営の影響も少ないと考えてございます。しかし、年度前半の0歳児クラスなど、空き定員の影響が大きい時期や年齢があることも認識しているところでございます。認可保育所に対する減収補填につきましては、直ちに実施する予定はございませんが、引き続き保育需要や入所率の動向を注視しながら、弾力的な定員変更の可能性や減収補填について慎重に検討してまいります。
続きまして、パート保育士加算の単価改定についてでございます。区は、認可保育所の運営費について、国の基準に加えて保育士を1名増配置するための経費やパート保育士の雇用に要する経費などを加算しているところでございます。パート保育士加算の単価につきましては、2006年度から変わっていないところであり、今後パート保育士加算の単価改定につきまして検討してまいります。
続きまして、職員配置基準を引き上げるための区独自の加算についてでございます。国は2024年度、2025年度の配置基準の見直しに伴い、配置基準の改善に係る公定価格上の新たな加算措置を行ってございます。区はこの公定価格に基づき給付費を支給してございまして、国の基準を上回る職員配置への区独自の加算については、現在のところ考えてございません。
〔まちづくり推進部長角秀行登壇〕
○まちづくり推進部長(角秀行) 私からは鷺宮地域のまちづくりについてお答えさせていただきます。
初めに、鷺宮西住宅の建て替えにおける公社との連携についてでございます。建て替えに当たり東京都住宅供給公社からは、今後個別に居住者からの相談に応じると聞いており、区としては住み替えなどの相談については公社が適切に対応するものと認識してございます。そのため、戻り入居等の居住者からの要望についても丁寧な説明と対応を行うよう公社に伝えるとともに、引き続き区としても必要な連携を図ってまいります。
次に、連立事業の構造形式の検討についてでございます。区では野方1号踏切の除却を含めた鉄道立体化の範囲について東京都と意見交換を行っております。東京都は、今後鉄道立体化の範囲や事業スキーム等が定まった段階で、改めて構造形式の検討を深めていくと聞いております。引き続き、東京都と密に連携を図りながら、1日も早い連続立体交差化の早期実現に向け、取り組んでまいります。
○議長(森たかゆき) 以上で、羽鳥だいすけ議員の質問は終わります。
中野区議会議員 黒 沢 ゆ か
1 子育て支援施設について
(1)児童館・子育てひろばについて
(2)大型の遊具を備えた屋内遊び場について
(3)その他
2 第1子保育料無償化について
3 不登校の子どもたちと保護者への包括的な支援について
(1)学びの多様化学校について
(2)フリーステップルームについて
(3)親と子をつなぐ情報支援について
(4)その他
4 障がい者福祉施設について
5 空き家対策について
6 その他
○議長(森たかゆき) 次に、黒沢ゆか議員。
〔黒沢ゆか議員登壇〕
○8番(黒沢ゆか) 令和7年第3回定例会におきまして、都民ファーストの会中野区議団の立場で一般質問を行います。質問は通告のとおりの5点で、その他はありません。
初めに、子育て支援施設についての児童館と子育てひろばについて伺います。区は、児童館や子育て広場といった子どもたちの居場所を整備し、子育て支援に積極的に取り組んでいます。しかし、その配置には地域的な偏りが存在し、その地域の子育て世帯に御不便と孤立感を生じさせている現状と受け止めています。先日の子ども文教委員会では、令和8年に沼袋エリアで常設型の子育てひろばが開設されるとの報告がありました。区民の皆様からも御要望の声を多く伺っていたため、大いに歓迎するものです。しかし、この沼袋地域への新設をもって地域の格差の問題が解消されたとは言えません。区は、すこやか福祉センターを乳幼児、親子が安心してのびのびと遊べ、交流できる場としても位置付けており、北部と鷺宮以外の地域ではセンター内に子育てひろば専用室が整備され、多くの親子が交流を深めていると承知しております。すこやか福祉センターは、出産前から母子手帳の交付などで利用機会が多く、乳幼児親子が安心して区のサービスに触れることができる大切な拠点でもあります。そのことから、すこやか福祉センターに常設の子育てひろばがあることは、保護者が相談したいことや子ども同士が関わり合う機会を自然に生み出し、地域の子育て支援に大きく貢献していると考えます。そこで伺います。新しく整備が検討されている新北部すこやか福祉センターと鷺宮すこやか福祉センターにおいても、他のすこやか福祉センターと同様に、乳幼児親子が気軽に集い、交流ができる居場所となる子育てひろばの専用室を設けるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
次に、大型の遊具を備えた屋内遊び場について伺います。近年の気候変動による猛暑や豪雨が増え、子どもたちが屋外で安全に体を動かす機会が減っています。こうした中、子どもたちの健全な成長のためには、天候に左右されない屋内遊び場の充実が不可欠であると考えます。他区では、この課題に対応するための新しい取組も始まっております。渋谷区や港区、足立区などでは、大型の遊具を備えた屋内遊び場を計画、開設し、子どもたちの遊びの環境向上に積極的に取り組んでいます。中野区においても、既存の子育てひろばや児童館に加え、民間事業者の活力を導入した、より大規模で魅力的な屋内遊び場を整備してはいかがでしょうか。
次に、第1子保育料無償化について伺います。
今月より都民ファーストの会が東京都において進めてきた所得制限なく全ての家庭を対象にする第1子保育料無償化が始まり、多くの保護者の皆様から喜びの声を伺います。しかし、中野区において認証保育所を除く認可外保育施設を利用する場合、認可保育園に申し込み、落選した家庭が無償化の対象となる点に課題があります。保護者の中には、認可外保育施設が提供する独自の教育方針や少人数制といった特色を理由に、最初から認可外保育施設を希望する方もいます。ところが、現状の制度では無償化の恩恵を受けるために、希望しない認可保育園であっても申込みを行うという手続を踏まなければなりません。これは保護者に無駄な労力と精神的負担を強いているのではないでしょうか。近隣区を調査しましたが、多くの自治体でこのような条件がないことも分かりました。そこで伺います。保育の必要な全ての家庭に対し、認可外保育施設の利用者も含め、公平に認証保育所等保護者補助金の対象とすべきと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。加えて、認証保育所等保護者補助金に対する助成金についても、引上げを求めます。大多数の区では、上限金額は0から2歳が8万円、3から5歳が7万7,000円ですが、中野区はどちらも7万円で23区中下のほうとなっています。多様な保育ニーズに応え、真の意味で子育て先進区中野を実現するために、現状の補助制度の見直しを検討する考えはありますでしょうか、伺います。
また、認可保育施設において区が公表しているデータによれば、昨年の2024年10月時点の保育園の空き状況は、0歳児で41枠ありました。ところが、本年、2025年10月のデータでは、空き枠は僅か14枠にとどまってしまいました。このような状況から、無償化により入園を希望する世帯の増加が加速している可能性も否定できません。そこで伺います。この無償化による保育需要の増加の可能性について、区としてどのような認識をお持ちでしょうか。また、今回の空き状況の変化をどう分析し、今後の動向にどのように注視していくお考えでしょうか。
中野区は南北に細長く、地域によって人口構成や住宅事情が異なります。待機児童問題は特定の地域に集中する傾向があり、潜在的な保育需要も地域ごとに差があると考えられます。例えば、新しいマンションが建設される地域や若い子育て世帯が流入するエリアでは、突発的に0歳児の保育需要が高まり、地域の認可保育施設には入れないということも既に起きております。0歳児は延長保育を断られるケースもあったり、自転車での通園ができないため遠方の保育所に通園させることは困難があります。特に、空きが少なくなっております0歳から1歳の地域ごとの需要を十分に満たしているかについては、改めて確認が必要と考えます。そこでお伺いします。区内の保育需要を地域別に精査し、将来的な需要増を見据えた上で保育園の数や配置が適切であるか、改めて確認するお考えはありますでしょうか。また、待機児童の発生を防ぐため、地域ごとの需要に合わせたきめ細やかな対策を講じる必要性についても、御見解をお聞かせください。
次に、不登校の子どもたちと保護者への包括的な支援について伺います。中野区における小・中学校の不登校児童・生徒数は年々増加しており、子どもたち一人ひとりの居場所と多様な学び場を保障し、保護者の孤立を防ぐことは、区の教育行政における重要な課題であると考えます。
初めに、学びの多様化学校について御所見を伺います。現在、中野区では不登校対応校内分教室、チャレンジクラスN組を開設し、子どもたちも通学していると伺っています。一方で、教育課程は不登校特例校ほどの自由度がないことや、不登校の原因が学校そのものにある場合、同じ校舎内に通うことが心理的なハードルとなり、利用をためらう子どももいると伺います。不登校の背景が多様化する現代において、より学びの機会を保障するために、一つの学校として特例校の設立が求められています。そこで伺います。学びの多様化学校の新設について、区としてどのような展望をお持ちでしょうか。全国的に学びの多様化学校の設置も進んできました。子どもたちの学びの機会をこれ以上待たせるわけにはいきません。中野区の基本計画にこの学びの多様化学校を明確に位置付けるとともに、施設・財政面での課題をどのように乗り越え、いつまでにどのような学校を創設するのか、展望をお聞かせください。
続きまして、フリーステップルームの増設について伺います。今年度から体験学習も始まり、子どもたちの学校に代わる居場所として好評と伺っています。一方、フリーステップルームは南部、分室は中部にしかありません。地域格差を解消し、より多くの子どもたちが利用できるよう、中野区北部に同様の施設を設置すべきだと考えますが、区のお考えはいかがでしょうか。
次に、親と子をつなぐ情報支援の強化について伺います。不登校に悩む保護者は孤立しがちであり、必要な情報が届いていない現状があります。また、突然子どもが学校に行かなくなるなど困ったときに慌ててしまうということも聞いています。そこで伺います。東京都教育委員会は不登校の子どもたちのための多様な学び場情報を一元化したポータルサイトの作成を進めています。このポータルサイトでは、民間の親の会をはじめ、区市町村の支援策、フリースクール等の情報が幅広く掲載される予定です。区としてこのポータルサイトの完成を機に、中野区のホームページなどで全ての保護者や子どもたちに積極的に周知すべきと考えますが、御所見をお聞かせください。
次に、障がい者福祉施設の整備について伺います。
先日の厚生委員会で、新たな児童発達支援センターの開設について御報告があり、これまで求めてきた放課後の居場所も含めた施設であることなど、大変歓迎をしているところです。一方、18歳以降過ごす場所についてはまだまだ課題があります。例えば重度の障害のある方にとって、日中の活動の場である生活介護施設は極めて重要な役割を果たしています。区は今後のニーズ増加を見据えて増設が必要であるとの認識を示されましたが、その認識が実際の区有施設整備計画に十分に反映されていない現状について懸念を抱いています。また、生活介護施設で行われているタイムケアについても拡充を求める声があります。さらにはショートステイ、グループホームも今後不足してくることが予想されます。今後の施設整備において区はこれらの整備をどのように位置付け、いつまでにどれぐらいの規模で増設する予定、計画でしょうか、具体的な目標と見通しをお聞かせください。区有施設整備計画においてもしっかり反映していただき、区民の皆様が御不安に思わないよう、計画を示していただきたいと思います。
最後に、空き家対策について伺います。
中野区には多様な福祉課題が存在しています。そのような中で中野区は不動産賃料が高騰し、福祉的な施設の新規開設が難しいという意見も伺います。このような状況だからこそ、私たちは新たな発想を持つべきではないでしょうか。区内に点在する活用されていない空き家は、地域社会が抱える福祉課題を解決するための必要な資源と捉え、積極的に活用の可能性を検討すべきと考えます。そこで空き家を地域貢献型空き家利活用事業などとして福祉目的で活用することについて、次の点から区の見解をお伺いします。
区は現在、空き家・空き地の実態調査を進めていらっしゃいますが、その中で単なる管理の状況だけでなく、福祉施設などの活用可能性の有無についても、所有者の意向を含めて調査してはいかがでしょうか。豊島区の地域貢献型空き家利活用事業は、空き家を多世代交流スペースや高齢者の居場所などに改修する際の補助金制度を設けております。中野区でも、こうした民間による福祉的活用を促すための補助金制度を導入するお考えはありますでしょうか。また、区の調査により福祉目的で活用することを希望した所有者がいると分かっても、意欲のある地域団体や福祉関連のNPOが空き家を活用した事業を立ち上げようとした際、所有者探しや手続の難しさに直面する現状があると思います。こうした民間活力を引き出すために、必要に応じて区としても家主とのマッチング支援や専門家による相談窓口といった支援策を検討してはいかがでしょうか。さらには、既存制度との連携強化も必要と考えます。既存の耐震化助成、そして東京都が提供する起業家による空き家活用事業など、補助金制度についても区の窓口で分かりやすく一括して情報提供できる体制を整えるべきです。また、こうした制度を積極的に周知すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、老朽化しても建て替えが困難であると所有者が考えることから、空き家となってしまう建物があります。接道義務を満たしていない建物でも、建築基準法の特例許可を受けることにより建築できると聞いています。許可の審査基準、相談体制、許可へのプロセスが区民の方に見えないため、区民の方に向け、分かりやすく周知してはいかがでしょうか。
以上で、私の質問を終わります。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 黒沢議員の御質問にお答えいたします。
初めに、子育て支援施設について。子育てひろばの整備についてです。現在、中部と南部すこやか福祉センターには子育てひろば専用室がありますが、北部と鷺宮すこやか福祉センターには専用の部屋がなく、共用スペースなどで子育てひろば事業を行っています。今後作成する整備方針の中で必要な機能についても検討はしていく予定でございます。
次に、大規模で魅力的な屋内遊び場の整備についてです。区はこれまで児童館の開館日時の拡充や常設プレーパークの開設に向けた取組など、子どもが屋内外で遊び体験できる場の充実を図ってきたところであります。一方で、令和6年度中野区子どもと子育て家庭の実態調査によれば、「屋内で遊べる施設に関する満足度」について、保護者では不満層が7割超という結果となっておりまして、子育て家庭の屋内遊び場への満足度は高くない状況であると認識をしているところであります。今後、再開発事業等のまちづくりの動きに伴い、子育てに資する施設の誘導を進めてまいります。
次に、認証保育所等保護者補助金の要件についてです。これまで区は認可保育園への入園の希望がかなわなかった方への待機児童対策として、認証保育所等保護者補助を行ってきたところであります。近年、保護者のニーズも多様化しておりまして、最初から認可外保育施設を選択する方もいらっしゃいます。他区の状況も踏まえ、認証保育所等保護者補助金の対象拡大について検討してまいります。
次に、認証保育所等保護者補助金上限額についてです。認証保育所等保護者補助金は、令和7年度に区内の認可外保育施設の保育料の実態を踏まえ、上限を6万2,000円から7万円に引き上げたところであります。さらなる上限額の引上げについては、今後各施設の保育料の動向を踏まえて検討してまいります。
次に、第1子保育料無償化による保育需要への影響についてです。第1子無償化が始まったことによって保育園入園の申込数が増えているという状況にはありませんが、今後保育需要が増加する可能性はあると考えております。引き続き、各月の保育園入園の申込状況や来年4月入園の申込状況を注視をし、影響について分析をしてまいります。
次に、保育園の適正配置及び待機児童対策についてでございます。区では令和4年度より待機児童数ゼロを維持している一方で、地域により空き状況が異なる現状があることは認識をしているところであります。保育需要の高いエリアにおいては、保育定員の弾力化により一時的に保育定員を増加する対策を講じております。当面の間、保育需要は横ばいであると見込んでおりますが、長期的には減少するものと考えておりまして、さらなる施設整備については慎重に検討してまいります。
次に、障がい者福祉施設についてで、施設の整備についてでございます。区は生活介護の受入枠及びタイムケア事業の拡充、並びに重度障害者グループホーム及び短期入所施設整備を検討する必要があると考えております。障がい者福祉施設の整備に当たっては、事業所スペースとともに、利用者が通所するためのバスが通行できる道路付けが確保されている必要等がありまして、現時点で具体的な候補地が選定できていないところであります。施設の規模や通所手段なども含め、引き続き候補地の検討を進めます。
次に、空き家実態調査における利活用意向調査についてです。現在実施している空き家実態調査では、外観目視で空き家と思われる建物の所有者を対象にアンケートを行う予定であります。アンケートでは建物の管理状況と利活用の意向について伺い、具体的な活用事例を提示することによって、積極的な利活用を促してまいります。
次に、空き家の福祉的活用を促す補助金制度についてです。今年度の空き家実態調査アンケートにおいて、利活用の意向、利活用に当たり区に求める支援内容などの調査を行います。補助金を含む支援制度の実施については、財政的な影響などを総合的に勘案しながら、他自治体の先進事例も参考に検討してまいります。
次に、空き家を活用した事業への具体的支援策についてです。ワンストップ相談窓口については、空き家の相続、管理、売却、利活用などの相談に応じる東京都の空き家ワンストップ相談窓口を案内しております。今年度の空き家実態調査の結果を分析し、家主とのマッチング支援及び民間事業者との連携について、他自治体の先進事例を参考に検討してまいります。
次に、空き家の補助金制度等の周知についてです。住まいに関する相談窓口や住宅の耐震化などの助成制度等をまとめた「すまいのしおり」を毎年更新し情報提供を行っておりますす。今後、空き家等を管理、解体、または利活用等を検討する方が容易に支援情報にアクセスできるよう、国・都・区の支援制度を区のホームページにより集約・整理し、積極的に周知を行ってまいります。
次に、接道義務の特例許可についてです。建築基準法では、建築物の敷地の接道義務の規定がありますが、原則として建築することができない建築物でも特例許可を受けることにより建築できる場合があります。許可の審査基準や区の相談体制、手続のプロセスなどは専門的で分かりづらいこともあるため、一般区民の方に対しても分かりやすい周知方法を工夫してまいります。
〔教育長田代雅規登壇〕
○教育長(田代雅規) 私のほうからは不登校の子どもたちと保護者への包括的な支援についての御質問にお答えいたします。
最初に、学びの多様化学校の今後の展望についてでございます。これまでにチャレンジクラスN組の設置やフリーステップルームの民間委託に加え、各小・中学校における校内別室の整備など、不登校児童・生徒への支援授業を充実させてまいりました。今後は、これらの事業の成果と課題を踏まえ、中野区基本計画には「学びを支える場」として、学びの多様化学校や教育支援センター、オンラインによる学習など必要な支援を検討してまいります。
次に、フリーステップルームの増設についてでございます。みらいステップなかのの中にあるフリーステップルームは、民間に委託し体験的なプログラムや子どもの興味に合わせた学習を実施することで、通室している児童・生徒の人数が飛躍的に増加しております。今後、他地域での設置についても検討してまいります。
最後に、東京都教育委員会のポータルサイトの周知についてでございます。不登校児童・生徒の保護者へは多様な学びの情報を届けることが重要であると捉えております。東京都教育委員会のポータルサイトが完成した際には、区のホームページと併せて保護者の方や子どもたちに改めて周知を行ってまいります。
○議長(森たかゆき) 以上で、黒沢ゆか議員の質問は終わります。
中野区議会議員 酒 井 たくや
1 次期区有施設整備計画について
2 JR東中野駅東口バリアフリー化について
3 英語教育について
4 住民サービスの向上と業務改善について
5 少額随意契約について
6 その他
○議長(森たかゆき) 次に、酒井たくや議員。
〔酒井たくや議員登壇〕
○41番(酒井たくや) 令和7年第3回定例会におきまして、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場から一般質問をいたします。
1番、次期区有施設整備計画についてお尋ねします。
区有施設整備計画は基本計画における施策展開に当たり、区有施設整備を財産経営の観点から取りまとめた計画期間10年とする総合的な行政計画であり、令和3年度に策定された同計画の改定に現在取り組まれております。公共施設の全体最適を図ることは、区民サービス及び、特に区財政に大きな影響を与えるものであり、同計画は最重要計画であると考えます。
8月21日の総務委員会に「複合交流拠点の整備方針(案)等について」が示されましたが、6月11日に示された「中野区区有施設整備計画(骨子)について」から大きく考え方が変更されるものでありました。内容は、旧商工会館跡地に整備予定であった中高生年代向け拠点施設、子ども相談室、(仮称)男女共同参画センター、地域交流スペースを、骨子では売却予定であった平和の森小学校跡地に子ども相談室以外を整備をし、加えて野方保育園の本移転を行うとともに、三つ目の児童発達支援センターを整備すること、施設整備予定のなくなった旧商工会館跡地については定期借地で民間貸付を検討するものです。平和の森小学校は、これまで平和の森小学校新校の整備財源に充当するため売却することとしていましたが、売却を取りやめても整備財源を確保できる見込みが立ったというのが売却見直しの理由です。総務委員会では整備財源を確保できる根拠は、今後10年間の財政フレームに照らし合わせて問題ないことを確認し判断したとの答弁もありました。用途のなくなった旧商工会館跡地の定期貸付も同様の理由です。そこでこの10年間の財政フレームとの整合性について幾つか指摘します。
1点目、同計画は計画期間は10年、策定に当たっておおむね20年を見据えるとあるにもかかわらず、10年間の財政フレームのみで判断する理由。2点目、財政フレームの最後の令和16年度には平和の森小学校の売却益の58億円を義務教育施設整備基金への積立てを計上しているが、歳入として見込めない点。3点目、歳出新規拡充事業は令和7年度には313億円計上していますが、経年で減少し、令和16年度には59億円、令和7年度と比較をして5分の1となっていること、フレーム上、後半は見込みを立てることができず、新規拡充事業や施設整備の費用が計上されない点。4点目、現状、義務教育施設整備基金、社会福祉施設整備基金も計画とおりに積み立てられておらず、施設の減価消却費の25%を基金に積み立てるという考え方では、取得原価と実際の更新費用の乖離や物価高騰などを鑑みると、今後の建て替えに備えるのは十分ではない点があります。以上を踏まえ、どのような観点で財政上問題ないと判断したのか、また問題がある場合とはどのようなケースなのか、お聞きします。
旧商工会館跡地については、今後の行政需要はありませんが、歳入確保を図る観点から、期間を設けずに定期借地で民間貸付を行うという珍しい手法を検討されています。平和の森小学校の売却を取りやめるなら、行政需要のない施設・用地については売却し、その歳入の減少を補填するのが通常の考え方のようにも感じます。また、条件付きの貸付けも視野にあり、それでは賃料が大幅に下がること、施設整備計画はおおむね20年を見据えていますが、貸付期間は未定であることも気になるところです。そこでお尋ねしますが、将来の行政需要がない中、土地を売却せずに定期借地とする理由をお聞きします。一方、区有施設整備計画(骨子)では、今後の行政需要のない旧職員研修センター、旧本町図書館は「売却を検討」とあります。区の所有する施設や用地の売却及び貸付けをその都度都度で考えるのではなく、一定の基準や考え方を持つべきです。見解をお聞きします。
一方、野方保育園を平和の森小学校への本移転整備することにより、仮園舎整備に係る財政負担の必要がなくなること、あわせて敷地面積が十分に確保され、医療的ケア児への対応も手厚くなります。野方保育園が移転することで保健所予定地を拡充することができれば、今後のパンデミックにも備えられる保健所機能の強化にもつながります。中高生年代向け拠点施設に関しても、旧商工会館跡地では駐輪場の台数が十分に確保できないことが解消されるとともに、旧小学校校庭を活用した運動広場も整備できます。また、三つ目の児童発達支援センターの整備に関しては、現状、アポロ園、ゆめなりあで対応が追いついていない面もあり、我が子の発達に悩む保護者、そして子どもたちに対して寄り添うものです。児童発達支援に手厚く、先進的な取組を進めている江戸川区では、10万人に1か所の児童発達支援センターを整備する考えも持っています。以上、申し上げたように平和の森小学校跡地への機能の集約については、全般的に高く評価するものです。
複合施設のあるべき姿は、そこに親和性のある施設が集まり、複合化により互いの機能の連携や相乗効果の発揮が期待できるものでなければなりません。6月に会派で茨木市の複合施設「おにクル」に視察に行ってまいりました。鬼もやって来るほど楽しい施設が名前の由来だそうです。文化、子育て、市民活動の拠点として整備された「おにクル」には、子ども支援センターや子育て広場、図書館、ホール、市民活動スペース、プラネタリウムなど、親和性のある実に様々な機能が備わっています。そして、各施設に関わる方々が相互連携することはもとより、多様な利用者の協働が図られていました。逆に、親和性がない機能を集約しても、出入口やエレベーターなど施設をそれぞれ個別に整備しなければならず、費用もスペースも増加し、それはただの合築であり、複合施設ではありません。今後、中高生年代向け拠点施設、(仮称)男女共同参画センター、児童発達支援センター、医療的ケア児の対応を含む野方保育園の事業者や利用者が、それぞれお互いの立場や施設特性を理解し、時に支え合うような仕組みも併せて検討することこそが複合施設のあるべき姿と考えますが、見解をお聞きします。
次に、区有施設整備計画の本体について2点お尋ねします。
取組の実施体制及び進行管理では、「ファシリティマネジメントに係る職員の専門的・技術的知識の習得を図る研修を実施するなど、人材育成も進めていきます」とあります。これは大変重要な観点であり、現計画にも同じ記述がありますが、区としてこの間どのような研修、人材育成を進めてきたのか、今後についてもお聞きします。総延床面積の考え方には、「原則として従来施設から延床面積を増加させない」こととあります。しかし、延床面積は現計画から骨子において増加しており、僅か5年間で上振れし、見込みにも乖離があります。実際に、間近に整備予定の鍋横区民活動センター、昭和区民活動センター、桃園第二小学校は、それぞれ延床面積は増加しております。住民からの声にそれぞれの所管課が寄り添い対応していることは理解しますが、計画に書かれた原則がまるで機能していません。これまで我が会派の中村幹事長、間議員も、施設の標準規模を定めることについても提案してまいりました。我々が懸念している点は、原則が機能せず、常に施設規模が膨らんでしまうのではないかということです。調べたところ、庁議を経ずに所管課で床面積を増加させている事例もありました。区有資産をマネジメントする専管組織である資産管理活用課と財政課が、総延床面積の増加の抑制に関わる新しい仕組みや体制づくりが必要です。見解をお聞きし、この項の質問を終わります
2番、JR東中野駅東口バリアフリー化についてお尋ねします。
JR東中野駅東口は階段を2度昇降しなければホームにたどり着くことができず、川沿い地域の方々にとっては3度もの階段の昇降を強いられ、特に高齢者や乳幼児親子にとっては負担は大きく、バリアフリー化は地元住民の長年の悲願であります。平成28年度に策定された、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)には、平成37年度、すなわち今年度に東中野駅東口バリアフリー化の完成とありますが、現状、東中野駅周辺まちづくり基本方針を策定すべく取り組んでおり、バリアフリー化の完成予定はいまだ見えておりません。当時、区の最上位計画にどのような根拠で位置付けたのか問いただしたくなるところです。
南北にまたがる東中野駅東口バリアフリー化においては、北側と比べ、南側には活用できる用地もあります。駅バリアフリー化が南北合わせて全て完了することは理想ですが、それには大変な時間を要します。今この瞬間も階段の昇降に苦労しているお年寄りや乳幼児親子がいます。出来うるところから部分的なバリアフリー化に取り組むことはできないのでしょうか。それには、区とJRで駅舎及び南北自由通路の将来の姿を早期に確認する必要があります。地元住民の負担の一部を少しでも解消するため、例えば南側から部分的なバリアフリー化の取組を進めることはできないのか見解をお聞きします。
JRは多くの老朽化した駅舎を抱えています。東中野駅西口に関しては、バリアフリー化が既に完了しており、バリアフリー法に基づく移動等円滑化基準では、まずは1か所のバリアフリー化が求められ、駅東口の優先度は他の駅と比較をすると低いかもしれず、JR側の駅の改修とバリアフリー化に関して動機付けも必要です。現在、東中野駅東口には南北を結ぶ自由通路が設置されていますが、こちらはJRが管理しています。平成21年に国土交通省が定めた自由通路の整備及び管理に関する要綱では、「市街地の分断を解消する一環として整備管理する自由通路は自治体側の責任によって行わなければならない」とあります。すなわち、今後新たに自由通路を整備するならば、区が管理も含めて行わなければなりません。そこで、例えば新たに自由通路を新設し公共の交通に資するための道路とし、都市計画道路と位置付けることができれば、街路事業として整備することができます。社会資本整備総合計画に位置付けられれば、国庫補助2分の1、残りは都市計画交付金と財政調整交付金の財産費で賄える、実質的な区の負担を抑えることができます。また、要綱には自由通路整備に伴う既存駅施設、すなわち駅舎が支障となる際は街路事業により補償するとあり、部分的な補助金を見込めるかもしれません。それこそがJR側の駅改修の動機付けにつながる可能性もあり、るる申し上げたスキームも視野に入れ、JR側が東中野駅東口バリアフリー化に向け動き出すよう取り組むべきです。見解をお聞きします。
次に、線路北側道路についてお尋ねします。線路北側道路は一方通行道路ではありますが、幅員8メートルと十分にあります。こちらの商店街側の歩道の幅員を広げられれば、東中野駅東口と西口の回遊性は高まり、にぎわいが増し、道路沿いの店舗の魅力は向上し、区が進めるウォーカブルなまちづくりも合致するはずです。そして、それこそが東中野駅周辺の魅力の向上にもつながります。もしも歩道に桜の植樹ができれば、ホームからも一望でき、夢も広がります。まだ先の話でありますが、区が自由通路を整備するに当たり、街路事業と合わせて整備することができれば、補助金の獲得も可能性があります。今後策定予定である東中野駅周辺まちづくり基本方針にも、このような考えを位置付けてはいかがでしょうか。見解をお聞きします。
現在、東中野駅東口南側ではJR所有のビルが解体されていますが、駅バリアフリー化には活用されず、ただただ新たにJR所有のビルとして建設されるそうです。JR側との交渉や関係性を懸念するとともに、JR側はこの東口バリアフリー化に真摯に向き合っているのかと疑念を抱かざるを得ません。当然JR側の協力がなければ、駅バリアフリー化の実現は不可能です。そこで、区として本気度をJR側に伝えるべきと私は考えます。区長は、西武新宿線連続立体交差事業に関しては、年3度、西武鉄道、国土交通省、東京都に対して対面での要望を行っています。JR側にも区長が自ら出向いていただき、中野の玄関口である東中野駅東口のバリアフリー化の必要性、地元住民の切実な思いを届け、JR側との連携を密にしてこの事業を進めるべきと考えますが、見解をお聞きします。
3番、英語教育についてお尋ねします。
文部科学省は英語教育の充実や改善に役立てるため、英語教育改善のための具体的な施策の状況についての調査を毎年実施しており、その結果が令和7年6月に公表されました。英検3級相当の英語能力を表すCEFR、A1という指標があります。中学生において全国平均は令和6年度は52.4%でありました。国は第4期教育振興基本計画で令和9年度時点で60%を目標に掲げています。都道府県で見ると、目標である60%を超えているのは福井県と福岡県と東京都のみで、東京都の平均は61.8%と全国平均よりも高く、その中でも中野区は62.8%という状況です。この数字からも中野区の生徒の英語能力が高いことが見受けられます。これまで中野区においては学習指導要領には位置付けがなくとも、小学校1、2年生の英語授業を確保されたり、TOKYO GLOBAL GATEWAY、イングリッシュキャンプ、ALTの派遣や英検の受験費用の補助、英語教育アドバイザーによる教員の指導力向上などを行ってきた賜物であると考えます。中野区教育ビジョン(第4次)にも示されているとおり、外国の言葉や文化など多種多様な価値観や考え方への理解を深め、国際社会で活躍できる人材を育成することは、私も必要と考えます。今後もこれまで以上の取組を進め、英語力日本一のまち中野区を目指してみてはいかがでしょうか。目標を定めることにより、手段はついてくると思います。ぜひ教育委員会には大きな目標を掲げていただきたいものです。中野の児童・生徒に十分な英語能力が備わる取組は大変重要でありますし、それは子育て先進区を目指す考えとも親和性は高く、また、今学校現場において外国籍の児童・生徒が増えている中、多様性への理解も深まるはずです。英語教育が盛んなまちとなれば、中野の魅力の一つとなるでしょうし、就学前に流出傾向が高い子育て世帯をつなぎ止めることができるかもしれません。グローバルなまちづくりより、グローバルな人づくり、そしてそれがグローカルな人材となって未来に中野区で活躍することが期待できます。
英語力の向上には、生きた英語に触れる機会を増やすことが重要であり、実際に児童・生徒の英語力が高い自治体では、このような機会を担保しています。CEFR、A1において英語力全国1位のさいたま市では、市独自でALTを採用し、全ての小・中・特別支援学校に全日配置しています。中野区の学校におけるALTの配置状況は、令和7年度では年間平均125日、週平均2.8日の配置ですが、これをさいたま市のように全日配置してはいかがでしょうか。お聞きします。
先進的な自治体では、AI英語ドリルの導入や英語検定への複数回補助や海外の生徒とのオンライン交流なども行っています。また、就学前において英語活動を実施し、ALTとの交流等を通して異文化に慣れ親しみ、世界の人々と仲良く生活する態度を育成することは大変重要であり、それこそが就学後の英語力の向上につながるはずです。教育委員会としても、区独自の英語教育における保幼小中一貫した取組を進めてみてはいかがでしょうか。お聞きします。
小中一貫して中野区独自の英語教育を進めるに当たり、文部科学省の英語教育に関する教育課程特例校、いわゆる英語特区の指定も検討してみてはいかがでしょうか。
お聞きし、この項の質問を終わります。
4番、住民サービスの向上と業務改善についてお尋ねします。
区は新庁舎移転に伴い区民の利便性を高めるため、窓口サービスとして、「待たない」、「迷わない」、「書かない」、「動かない」の四つのサービスプラス、「行かない」サービスを進めています。令和7年6月実施の窓口来庁者アンケートでは、満足度81%の評価を得たそうですが、アンケートからは課題が見てとれず、何よりこの数字をそのまま受け止めるのではなく、不断の改善が必要です。実際に「待たない」サービスでは、3月の繁忙期ではありますが、多くの区民が窓口で待機していました。「行かない」サービスでは、およそ2,000件程度の行政手続がある中、電子申請の対象は約1,000件ありますが、電子申請自体が少ないのが現状です。新庁舎移転から1年4か月が経過した今、窓口サービスの課題をどのように捉えているのか、お聞きします。
令和7年5月に自治行政局行政経営支援室から、自治体フロントヤード改革推進手順書が示されました。これは窓口業務や手続の改善の手引書のようなもので、大きく二つのコンセプトがあります。一つ目は、住民の接点の多様化・充実化、住民の希望に沿った窓口の実現です。二つ目は、データ対応の徹底で窓口業務等改善、フロントヤード、バックヤードのデータ連携強化であります。例えば八戸市の窓口利用体験調査では、来庁者が窓口で何度も住所、氏名、生年月日を書かなければならないことが明らかになりました。これはどの自治体でも共通の課題であり、解消するためには窓口で取得した住民データをほかの窓口でも活用できる仕組みが必要です。現在、中野区にはその仕組みはないそうです。区民の利便性を高め、業務の改善につながるフロントヤード、バックヤードの改革を今後どのように取り組まれるのか、お聞きします。
8月21日の総務委員会において、「区民サービスの質的向上に向けたデジタルサービス体制の考え方について」の報告がありました。現状の主な問題点では、「区ホームページのFAQやAIチャットボットにおいて話し言葉や曖昧な表現といった検索では結果が十分ではない」、「1日5,000件以上の電話問合せに対してワンストップでの回答が得られにくい場合がある」、「ホームページなどにおいて行政用語や専門用語で記載されている内容が理解しづらい」などがありました。1日5,000件以上にも上る電話対応により、職員の本来業務が圧迫されていないかと懸念もするところです。
職員の電話対応の負担を解消するための取組の一つとしては、総合コールセンターがあり、他自治体では多数導入されています。私自身も過去には視察も行い、問合せの電話の8割程度が軽微なもので、職員でなくともコールセンタースタッフがFAQにより十分な対応が可能であるとお聞きし、会派としても導入についての要望も行ってきたところです。コールセンターの設置により、職員にとっては電話対応件数が削減でき、電話対応事務が効率化され窓口業務や事務処理に集中できれば、サービスの質の向上が見込めます。また、区民にとっては、各課をまたがる複数の相談内容でも豊富なFAQによりワンストップでの対応が可能となったり、休日や時間外といった閉庁時にも問合せができ、区民一人ひとりの多様なライフスタイルにも向き合えます。藤沢市では朝の8時から夜の9時まで年中無休で総合コールセンターにより対応をしています。現在はコールセンターのような電話対応だけではなく、ウェブ上に備わっているチャットやメール、SNSなど全ての問合せに対応するコンタクトセンターの設置が進められています。区民サービスの向上、職員の業務改善や働き方改革などを鑑みても、コンタクトセンターの設置は大変意義深いものであり、区としてコンタクトセンターを導入すべきと考えますが、見解をお聞きします。
コンタクトセンターの設置においては、問合せに誰が答えても情報に漏れや差異がないよう、FAQの強化充実を行うことが必要です。現状、電話は1日5,000件、来庁者は2,000人であり、1日当たり7,000件の区民から寄せられる区政への声はデータベース化されていません。このような声は、区にとっては業務改善や政策立案につながる貴重な資産であります。応対履歴をデータベース化しAIで分析できれば、FAQの充実をはじめとしたホームページの改善、電話対応の品質向上はもとより、区の政策形成やサービスの改善にも生かせるはずです。また、前段に触れた現状の主な問題点の解消にもつながります。ウェブで問合せが完結することは、区民に時間をお返しする、区民の可処分時間を増やすという新しいサービスでもあると考えます。区民ニーズのデータベースの構築は必須と考えますが、見解をお聞きします。
デジタル体制の整備は当然進めるべきですが、他方、情報弱者と言われる高齢者や障害がある方々への対応がおろそかになるのは本末転倒であります。業務改善により新たに生まれた人的リソースも活用しながら、情報弱者への対応も併せて強化すべきと考えますが、見解をお聞きし、この項の質問を終わります。
5番、少額随意契約についてお尋ねします。
少額随意契約(以下、少額随契)とは、地方自治法施行令第167条の2第1項第1号に基づき、予定価格が一定基準額以下の場合に、随意契約により契約できる調達方式です。契約事務の簡素化を目的としており、物品購入や工事請負など、契約種別ごとに基準額が設定されていますが、この基準額は昭和57年から見直しがされていません。一方、物価に関しては昭和57年から約3割程度上昇しております。これにより、入札を行う件数が増加することにより、入札事務による職員の負担が増となっています。実態に見合う基準額となるよう、中野区議会では令和6年第1回定例会に、地方自治法施行令第167条の2第1項第1号に定める少額随意契約の限度額の見直しを求める意見書が全会一致で採択されました。私自身も基準額の見直しの必要性を強く感じ、様々な会合で事あるごとに党派を超えて国会議員の先生方に見直しの要望を行ってまいりました。
そのような中、少額随契を所管する内閣委員会に所属する立憲民主党塩村あやか参議院議員が取り上げてくださることになり、私自身も微力ですが、資料を整え、令和6年3月22日に同委員会にて質疑を行っていただきました。その質問を受け、同委員会所属の自民党茨城県連の上月りょうすけ参議院議員も党派を超えて改善すべき課題であると、同年12月6日の予算特別委員会において後追いの質疑を行ってくださり、前向きな答弁を引き出されました。一連の流れを受け、令和7年3月25日、予算決算及び会計令及び予算決算及び会計令臨時特例の一部を改正する政令が閣議決定され、国基準では50年ぶり、自治体では43年ぶりに少額随契の基準額の見直しが行われたところであります。私自身も、見直しの一助になれたことを一地方議員として光栄に感じるとともに、この件を通して両参議院議員とは今も地方自治の発展について連携できることは大変にありがたく感じております。
そこで、今回の見直しについて幾つかお聞きします。基準額の見直しによりどの程度少額随契に移行され、それによる業務量の削減効果についてお聞きします。少額随契の見直しに関しては、自治体に与える影響は大きいと国も考え、改正前に異例とも言える通達がありました。しかし、中野区は今年度から見直しは行われておりません。これは入庁5年以下の若手職員が約3割であり、契約に関する知識とスキル及び指導者の不足といった職員構成に起因するのではないかと考えます。区として少額随契の基準額の見直しをいつから運用するのか、また、庁内で統一的な仕様書を作成できるスキルを身につけるための方策をお聞きします。一方、少額随契による競争性や公平性の確保をどのように担保するのか、あわせて大手インターネット小売業に偏るのではなく、地元事業者に発注することが肝要です。効率性だけを追うのではなく、公正な運用を常に意識したルールを明確に定める必要があります。見解をお聞きします。
現在、契約課で契約締結を行っている区長契約の案件は、契約書を事業者が紙か電子を選択できますが、それ以外の案件については契約書は紙のみであります。これにより事業者にとっては労力と収入印紙の費用負担が生じています。新庁舎になって行政のデジタル化を進めている中、全ての契約書において事業者が紙か電子かを選択できるよう取り組む必要があると考えますが、見解をお聞きし、全ての質問を終わります。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 酒井議員の御質問にお答えいたします。
まず、次期区有施設整備計画についての項で、区有施設整備計画の財政フレームとの整合性についてでございます。区有施設整備計画については、実現性を備えた計画とするため財政フレームを示すこととしております。財政フレームは、現時点での想定事業を基に経費を積算しているため、10年間の財政フレーム、後年度の新たに発生するニーズへの必要経費の見込みが困難ではあるが、更新経費を平準化することなどにより一定の財政的な裏付けを示しておりまして、将来の持続可能な財政運営が担保されていると考えております。基金積立の考え方について見直しを行い、物価上昇分や取り壊し費用等の調整額を加味する積立を想定しているところでありまして、施設整備において基金や起債の活用も含め、スケジュールどおり整備を進めても安定した財政運営が可能と見込めたため、問題ないと判断したものであります。
次に、旧商工会館跡地を定期借地とする理由です。旧商工会館跡地につきましては、現時点で行政需要がないということで、売却または貸付による活用を検討していたところであります。当該土地は中野駅から徒歩圏内とアクセスがよく、今後、新たな行政需要が発生した場合には活用できる可能性があるということで、売却ではなく定期借地による貸付を検討しているところであります。
次に、区有地の売却や貸付に係る基準についてです。未利用の土地につきましては、歳入確保のため、民間への売却や貸付を検討しておりまして、財政状況を踏まえた上で、新たに行政需要が発生した場合に活用できる可能性がある土地については貸付とし、活用が困難であると見込まれる場合には売却することを考えております。土地は、場所や用途地域、規模などによって活用の可能性が大きく異なることから、一律の基準を設けることは難しいと考えております。
次に、平和の森小学校跡地に整備する複合施設の在り方についてでございます。中高生年代向け拠点施設、男女共同参画センター、児童発達支援センター及び野方保育園については、相互に交流をしたり合同で事業を行うなど、配置や運営上の工夫によって相乗効果を生むことができると考えております。開設後の運営を見据え、施設の在り方について今後検討を進めるとともに、専門家の意見も聴くことを考えてまいります。
次に、ファシリティマネジメントに係る職員の研修等についてでございます。これまで特別区が実施する研修への参加や特別区内での情報交換会などの機会を活用し、職員のファシリティマネジメントに関する知識の習得に努めてまいりました。今後はこれらの取組のほか、専門性の高い民間主催の研修会への参加などを奨励することや研修の実施など、最新の知識や実践的な事例に触れる機会を拡充していくことを検討します。
次に、総延床面積の抑制に係る庁内の体制についてです。今後、多数の区有施設の整備や更新が見込まれていることから、これまで以上に施設の総延床面積に係る全庁的な情報共有や調整を行う必要があると考えております。令和8年度予算編成に当たっては、区有施設の基本構想に係る予算要求の際に、事前に企画部資産管理活用課への協議を必要とすることといたしましたが、今後も職員体制を含めて検討をしてまいります。
次に、JR東中野駅東口バリアフリー化についてでございます。
初めに、部分的取組についてです。東中野駅東口のバリアフリー化について、これまでに区としての案を作成しておりまして、検討結果を鉄道事業者と共有し意見交換を行ってきております。鉄道事業者からは、区の検討結果を踏まえ、エレベーターの設置とそれに伴う駅舎の改良など、バリアフリー化の手法について社内で検討していると聞いているところであります。こうした中で、駅南北のまちづくりの進捗に合わせたバリアフリー化など、段階的な整備についても協議してまいります。
次に、区による街路事業としての自由通路整備についてでございます。区としては現在、東中野駅東口のバリアフリーの実現に向け、鉄道事業者と意見交換しながら、どのような形での整備が望ましいのか検討しております。区ではこれまでに中野駅の西側南北通路を街路事業として整備を進めてきた実績もありますので、東中野駅東口の自由通路整備についても、街路事業という事業手法も含め検討してまいります。
次に、東中野駅北側道路の歩行空間の充実についてです。現在検討中の東中野駅周辺まちづくり基本方針(たたき台)において、駅北側の道路について西口と東口をつなぐ「東西連絡軸」として示しております。当該道路の幅員構成の見直しによる歩行空間の充実を含めて、エリア全体についてウォーカブルなまちづくりを進めてまいります。
次に、東中野駅東口バリアフリー化実現に向けた区の姿勢についてでございます。東中野駅東口のバリアフリー化については、区としても地域の方々の切実な思いがあることを把握しております。地区のまちづくりの検討と合わせて実現したいと考えております。今後、鉄道事業者と様々な条件を整理しながら検討していくこととなりますが、段階に応じて区長として鉄道事業者への要請も行ってまいります。
続きまして、住民サービスの向上と業務改善についてでございます。
初めに、窓口サービスの課題について。年度末から5月にかけての繁忙期の窓口の待ち時間は旧庁舎に比較しては短縮できたことを含め、1年4か月を経て、窓口案内、窓口対応ともに安定した運用ができていると考えております。今後、さらなる窓口サービスの向上・最適化を図るとともに、複数の手続が必要な来庁者に対する利便性を高めることが課題であると考えております。
次に、窓口のフロントヤード、バックヤード改革についてです。フロントヤード改革につきましては、従来の対面・書面中心のサービスにデジタル技術を取り入れて、住民と行政との利便性を高めるとともに、住民と職員との接点の在り方を見直し、よりよい行政サービスの実現を目指す取組だと考えております。現在、具体的な取組として、窓口に一度提出した情報を別の窓口でも再度提出せずに引き続き利用できる「ワンスオンリー」の仕組みなども検討を進めております。さらに、業務フローの見直しなどバックヤード改革を進めることによって業務の効率化を図り、生み出した人的リソースを区民サービスのさらなる向上に結びつけていきたいと考えております。
次に、コンタクトセンターについてでございます。他自治体で導入済みの総合コールセンター等では電話の受付時間や曜日の拡大、専門オペレーターによるワンストップ回答などを通じて電話応対の品質の向上を図った結果、問合せ件数の減や市民満足度の向上といった効果が明らかになっております。当区におきましても、こうした先進事例を踏まえ、区民サービスの質的向上に資するデジタルサービス体制を整備してまいりたいと考えております。なお、具体的な内容につきましては現在検討中でありまして、今定例会中の常任委員会において報告予定の「中野区DX推進計画(素案)」で明らかにしていきたいと考えております。
次に、区民ニーズのデータベースの構築についての御質問です。日々の問合せなどの対応履歴をデータベース化し、その分析結果を踏まえて、区ホームページのFAQを改善・強化していくことは、区民の「探す、聞く、知る、解決する」といった一連の行動を支援するために不可欠な取組だと考えております。デジタルサービス体制整備の検討と併せて対応履歴のデータベースを構築することについても具体化してまいります。
次に、情報機器に不慣れな方への対応等についてでございます。デジタルサービス体制の整備を進め業務を改善した結果、生み出せた人的リソースについては、相談業務や政策立案など職員が担うべき業務や新たな行政ニーズへの対応などに振り向けることが可能であると考えております。こうしたことと併せて区の施策のより分かりやすい周知・広報やデジタルデバイド対策など、情報機器に不慣れな方への必要な対応も強化してまいります。
次に、少額随意契約についてでございます。基準額見直しによる効果ですが、基準額の見直しによって、契約課で締結している区長契約の1割以上に当たる約150件が所管の部長等で契約できる案件となります。これらの契約締結事務を部長等に委任することによって、入札などにかかる業務時間が年間1,500時間ほど削減できる見込みであります。
次に、基準額見直しの時期です。少額随意契約の基準額の見直しにつきましては、8月26日付で全庁に予告周知をしております。今後、規則改正を行い、令和8年度予算による年度当初契約分から適用する予定であります。これに併せて仕様書などの契約事務に関する手引きの見直しや研修内容の工夫などを行うことで職員のスキルアップも図ります。
次に、少額随意契約運用に当たってのルールについてでございます。競争性・公平性を担保するために、東京電子自治体共同運営の競争入札参加資格の有資格者から見積書を複数徴取することや、契約期間や納期その他の条件をできるだけ明示した上で見積書を徴取することを周知しております。区内事業者の活用に関しましては、見積書を徴取する際には区内の中小企業・小規模事業者を可能な限り第一に選定することや、中野区小規模事業者登録制度の登録事業者の活用をすることを全庁に通知しておりまして、これらも周知・徹底してまいります。
次に、契約書の紙または電子の選択についてでございます。現在、契約課が行う区長契約において先行して契約書を事業者が紙または電子を選択できるよう実施をしているところであります。先行実施を行うことで課題や留意点を明確化することができました。区として電子化を進めていくことが望ましいと考えておりますが、明らかとなった課題の改善や留意事項を整理していく必要があることから、所管における契約においても紙か電子かを選択できるように導入してまいりたいと考えております。
〔教育長田代雅規登壇〕
○教育長(田代雅規) 私からは英語教育の質問について回答させていただきます。
最初に、ALTの全日配置についてでございます。中野区においては様々な国籍の人が増加してきており、世界の共通言語である英語に児童・生徒が日常的に触れ、コミュニケーション能力や異文化理解を育む環境を整えることは、今後ますます重要になってくると認識しております。ALTの配置は、児童・生徒の英語学習に対する関心や意欲を高めたり、実践的な英語によるコミュニケーション能力を育成したりすることが期待されます。また、ALTとの交流を通して異文化理解も深まるという効果も期待されるため、全日配置について検討してまいります。
次に、保幼小中一貫の英語教育の推進についてでございます。これまで中野区教育ビジョンに基づき、小学校低学年からの外国語活動の実施や小・中学校合同による英語教育研修の開催など、小・中学校が連携した英語教育に取り組んでまいりました。今後はこれまでの成果と課題を踏まえ、英語教育のさらなる充実を図るために、検討委員会を立ち上げ、中野区独自の保幼小中一貫の英語教育の取組について検討を進めてまいります。
最後に、文部科学省の教育課程特例校の申請についてでございます。現在、学習指導要領の枠組みを超えて、小学校1、2年生で年間15時間の授業を実施しております。また、小学校3年生から中学校3年生は英語等の授業に加え、総合的な学習の時間などでも国際理解教育を進めてきております。今後中野区独自の取組を推進する際には、文部科学省の教育課程特例校制度や授業時数特例校制度の活用も含めて考えていきたいと考えております。
○議長(森たかゆき) 以上で、酒井たくや議員の質問は終わります。
お諮りいたします。
議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(森たかゆき) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
次の会議は、9月16日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
本日はこれをもって延会いたします。
午後5時17分延会
会議録署名員 議 長 森 たかゆき
議 員 河合 りな
議 員 杉山 司