平成16年06月02日中野区議会本会議(第2回定例会)
平成16年第2回定例会本会議第1日(6月2日)
1.平成16年(2004年)6月2日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(42名)
1番 いでい 良 輔 |
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2番 伊 東 しんじ |
3番 佐 野 れいじ |
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4番 北 原 奉 昭 |
5番 久 保 り か |
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6番 酒 井 たくや |
7番 奥 田 けんじ |
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8番 近 藤 さえ子 |
9番 小 堤 勇 |
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10番 大 内 しんご |
11番 伊 藤 正 信 |
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12番 きたごう 秀 文
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13番 吉 原 宏 |
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14番 高 倉 良 生 |
15番 やながわ 妙 子 |
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16番 平 島 好 人 |
17番 むとう 有 子 |
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18番 はっとり 幸 子 |
19番 長 沢 和 彦 |
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20番 か せ 次 郎 |
21番 山 崎 芳 夫 |
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22番 小 串 まさのり |
23番 高 橋 ちあき |
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24番 市 川 みのる |
25番 岡 本 いさお |
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26番 こしみず 敏 明 |
27番 飯 島 きんいち |
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28番 佐 伯 利 昭 |
29番 佐 藤 ひろ子 |
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30番 来 住 和 行 |
31番 岩 永 しほ子 |
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32番 若 林 ふくぞう |
33番 篠 国 昭 |
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34番 伊 藤 岩 男 |
35番 斉 藤 金 造 |
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36番 大 泉 正 勝 |
37番 斉 藤 高 輝 |
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38番 江 口 済三郎 |
39番 藤 本 やすたみ |
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40番 昆 まさ子 |
41番 江 田 とおる |
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42番 池 田 一 雄 |
1.欠席議員
な し
1.出席説明員
中野区長 |
田中 大輔 |
助役 |
内田 司郎 |
収入役 |
山岸 隆一 |
教育長 |
沼口 昌弘 |
区長室長 |
田辺 裕子 |
まちづくり調整担当部長 |
那須井 幸一 |
総務部長 |
石神 正義 |
区民生活部長 |
本橋 一夫 |
子ども家庭部長 |
柳澤 一平 |
保健福祉部長 |
菅野 泰一 |
保健所長 |
清水裕幸 |
都市整備部長 |
石井正行 |
教育委員会事務局次長 |
金野 晃 |
総務担当参事 |
橋本 美文 |
政策計画担当課長 |
鈴木 由美子 |
本会の書記は下記のとおりである。
事務局長 |
正木 洋介 |
事務局次長 |
飯塚 太郎 |
議事調査担当係長 |
大谷 良二 |
書 記 |
黒田 佳代子 |
書 記 |
巣山 和孝 |
書 記 |
永田 純一 |
書 記 |
荒井 勉 |
書 記 |
廣地 毅 |
書 記 |
西田 健 |
書 記 |
岩浅 英樹 |
書 記 |
鳥居 誠 |
書 記 |
杉本 兼太郎 |
書 記 |
松本 桂治 |
書 記 |
吉田 哲郎 |
議事日程(平成16年(2004年)6月2日午後1時開議)
日程第1 第34号議案 中野区基本構想審議会条例を廃止する条例
午後1時01分開会
○議長(山崎芳夫) ただいまから平成16年第2回中野区議会定例会を開会いたします。
本日の会議を開きます。
会議録署名人は、会議規則第121条の規定に基づき、議長から御指名申し上げます。7番奥田けんじ議員、36番大泉正勝議員にお願いいたします。
次に、会期についてお諮りいたします。
本定例会の会期は、本日から6月15日までの14日間といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎芳夫) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
この際、申し上げます。本定例会の会期中、略装を許します。
本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、岡本いさお議員、大内しんご議員、昆まさ子議員、市川みのる議員、藤本やすたみ議員、むとう有子議員、佐藤ひろこ議員、斉藤高輝議員、伊藤正信議員、池田一雄議員、佐野れいじ議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。
中野区議会議員 岡 本 いさお
1 文化芸術のまちづくりについて
(1)区の文化芸術振興施策について
(2)アーツプログラムについて
2 教育行政について
(1)教育行政ビジョンについて
(2)校庭の緑化について
3 高齢者施策について
(1)痴呆性高齢者見守り支援事業について
(2)介護予防推進計画について
4 子育て支援について
(1)放課後健全育成事業について
(2)出産費貸付事業について
5 その他
(1)電線類の地中化について
(2)産業活性化について
(3)その他
○議長(山崎芳夫) 最初に、岡本いさお議員。
〔岡本いさお議員登壇〕
○25番(岡本いさお) 平成16年第2回定例会に当たり公明党の立場から一般質問をさせていただきます。
今回は、中野区議会始まって以来のテレビ放映が始まる画期的な議会でございます。そのトップバッターとして登壇させていただく光栄に大変感謝をしております。
それでは、区民の皆様の要望を胸に質問をしてまいります。
初めに、文化芸術のまちづくりについて伺います。
アメリカのニューディール政策といえば、大規模なダム建設など土木工事で世界恐慌を脱却したことで有名ですが、実はその一方で大がかりな文化事業を展開したことは意外と知られておりません。
アメリカ政府は、最盛期には数万人の芸術家を直接雇用し、映画や彫刻の製作を初め芸術教育、交響曲等の作曲、低料金の演奏会開催、演劇脚本の作成、公演、すべての州のガイドブック製作など、多岐にわたる文化振興策を展開いたしました。
これにより後世に名を残す劇作家、俳優など多数の芸術家が生まれ、ハリウッドに代表されるアメリカ文化の基礎がつくられました。
文化や芸術は、人間性の発露であり、内から人を開放する大きな力があります。不況を脱却する施策の一つとして文化・芸術に着目したところにより、指導者の卓見があり、アメリカ文化芸術の奥の深さがあると感じました。
私は、中野区のまちづくりについては、これからは文化芸術の振興が不可欠であると思います。河合隼雄文化庁長官も「経済と文化は車の両輪」と言っています。
文化芸術の振興は、第1に、人間性を豊にし、人に感動を与え、そしてまちを元気にします。
第2に、新たな文化の歴史がつくられ、中野らしさを生み出します。
第3に、理解の輪、友情の輪、そして何よりも平和の発信ができます。
第4に、人々を互いに近づけ、区民との新しい共同が生まれます。
私は、特に中野の新たな使命として世界に平和の発信をしていく、その中心軸に文化芸術を置いて発信していくべきだと考えています。現在、基本構想の改定中ですが、こうした視点をその中に位置付けるべきだと思いますが、区長のお考えをお聞かせ願います。
このような視点に立って、私は既に平成7年第2回定例会で、文化芸術振興を図るために相談窓口の設置や文化振興基金を創設すべきだと提案いたしました。
また、13年第2回定例会で、活字文化の発進として、区民参加による平和の万葉集編さんや、平和の象徴であるホタルが飛び交う公園づくり事業を提案いたしました。同僚やながわ議員は、13年第4回定例会で、本物の芸術に触れさせる子ども文化芸術体験活動について提案し、区の文化芸術に関する施策の充実を訴えました。
15年第2回定例会の我が会派の質問では、区内の芸術家の思いを紹介し、ロビーコンサートなど具体的な提案をし、文化芸術振興条例の制定を訴えました。
13年11月には、公明党が推進して文化芸術振興基本条例が制定されました。基本法には地方公共団体の責務が示されています。私どもは文化芸術施策に取り組んでいる自治体を調査し、文化人との交流も行ってきました。
14年7月には、北海道苫小牧市の「市民文化芸術振興条例」や「基金条例」について調べてまいりました。
15年6月9日には、目黒区の芸術文化条例とその運用について勉強してまいりました。
同6月23日には、区内に住む日本フィルのコンサートマスターと懇談し、中野における文化芸術の熱い思いを聞いてまいりました。
15年9月には、新潟市の「市民芸術文化会館」事業について見てまいりました。
本年4月9日には、大阪市の「青少年文化創造ステーション」、通称「ココプラザ」にも行ってまいりました。この視察は、文化芸術を創造し、発進していく共同制作の現場です。このようなすばらしい文化施設を中野の青年たちにも一日も早く提供したいという思いでいっぱいになりました。
また、5月11日には、文京区で取り組んでいる文化芸術振興策、特に文化育成事業や若手・新進芸術家の活動支援について聞いてまいりました。
先進的に取り組んでいる自治体をさまざま調査して共通に感じることは、行政のトップが文化芸術に対する熱き思いがあることです。また、必ず文化芸術施策の担当部門がありました。
去る4月22日、公明党中野総支部が企画して、ゼロ小ホールで「文化芸術フォーラムインなかの」を開催いたしました。これには区の文化芸術関係者が大勢参加されました。パネラーとして参加した区長も、文化芸術についての思いや取り組みなど、熱っぽく話されていたことに私は感動をもって聞かせていただきました。
田中区長は文化芸術の心がわかる人だと感じました。そこで提案いたします。中野には文化人や芸術家がたくさんおられます。区長は区内の文化芸術家とまず懇談をし、意見交換を定期的に行うなど、精神のいわば魂の対話、心と心の交流をし、地域の文化芸術の進め方、あり方などをじっくり語り合ってはいかがでしょうか、お考えを伺います。
その上で、中野区として文化芸術振興策を進めるために、区の組織に文化芸術振興担当のセクションを設置すべきです。そこに文化芸術への熱い思いを持った職員を配置し、区民や関係者の相談、芸術家や関係団体と連携を図って文化芸術振興策を充実すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
また、文化芸術の振興を図るために、仮称中野区文化賞、文化奨励賞などを創設して、文化芸術へ貢献されている区民や団体への顕彰を行ってはいかがでしょうか。
先日訪れた山形県鶴岡市でも、大寶館という人物資料館に毎年顕彰した人の銘板がありました。顕彰することで、関係者の励みになるとともに、新たな区の文化芸術の創造とそのネットワークが広がっていくと思いますが、検討してみてはいかがでしょうか。
さらに、関係者のネットワークを広げる必要があると思います。そのための文化人の登録制度、仮称中野版アーティストバンクを設置すべきですが、お考えをお聞かせ願います。
芸術活動や創作活動の場を大きく広げていくことも重要です。
区役所やサンプラザ広場を使って、ロビーコンサートの実施や区施設の広場、さらに商店街のスポットなどパフォーマンス広場として指定し、区民が楽しみ、コミュニケーションが図れるような事業を検討してはいかがでしょうか。
また、今後区立小中学校の適正配置に伴う跡地の活用については、区の文化芸術振興施策の拠点となる機能を持った施設整備を行うべきだと思いますが、お考えをお聞かせ願います。
こんな話を聞いたことがあります。
有名な女性バイオリン奏者が、ある小さな離島での学校コンサートに招かれたとき、最高峰のバイオリンを持っていかれたそうです。
潮風が楽器を傷めないかと心配する周りの声に、彼女は「楽しみに待っていてくれる子どもたちに、最高のバイオリンの音色を聞いてもらいたい」と毅然と答えられたそうです。
音楽協会やプロの方も、公演の合間を縫って学校コンサートを行っており、本物に触れさせたいというアーティストは大勢いらっしゃいます。
本物に触れる喜びは最高の教育となります。そして学校コンサートがきっかけで音楽の道を志したお子さんもおりますし、これからも出てくると思います。
学校コンサートが中野の学校教育のよき伝統となるような充実した企画を立てるべきだと思いますが、御見解を伺います。
さらに、子どもたちに中野区の伝統文化を伝え、発展させていくことも極めて大事であると思います。春休みや夏休みを使って「伝統文化の子ども教室」を開催してはいかがでしょうか、伺います。
また、これから文化芸術を目指す、いわば卵の方など若手や新進芸術家への活動支援について、区として真剣に取り組むべきだと思います。これらの方が練習や発表するための場として、区の施設を積極的に提供すべきだと思います。その際、登録制を実施して、活用しやすいように工夫すべきだと思いますが、お考えをお聞かせ願います。
今後、必要な事業を行う場合の財源に当てられるよう、区民などからの寄附も考慮して「振興基金」を創設すべきだと思います。基金の積み立てや運用など、民間の活用も考えて創設してはいかがでしょうか、御見解を伺います。
今月11日から13日まで中野区商工会館で第13回中野区伝統工芸展が開かれます。昨年も見させていただきましたが、本当に見事な多くの作品が出品され、中野にもすばらしい多くの作者や文化人がいることを実感しております。
しかし、このようなすばらしい作品展を行うには、もっとふさわしい場を提供すべきではないかと思います。ゼロホールの展示室とか、女性会館などで実施できるようにするとともに、丸井やサンプラザなど、区民が立ち寄りやすい、鑑賞しやすい場所で開催できるように支援すべきだと思いますが、お考えをお聞かせ願います。
ただいま提案した施策も含めて、今後、教育委員会という枠を超えて、21世紀にふさわしい中野の文化芸術振興策を立てるべきだと思います。そのためには中野版アーツプログラムを制定する必要があります。その際、文化芸術振興条例も視野に入れて検討してはいかがでしょうか、区長の御見解を伺って、この項の質問を終わります。
次に、教育行政について伺います。
まず教育ビジョンについて質問します。
私は、教育行政を行うには、教育ビジョンを策定して、中野が目指すべき教育の将来像や目標を明確に示すべきであり、さらにそのための行動計画がなければならないと主張してきました。
昨年の12月に教育委員会資料として「中野区教育行政ビジョン(素案)について」が発表されました。中野もやっと教育ビジョンが策定されるとの思いと期待を持ってこのビジョン素案を拝見させていただきました。
しかし、この素案からは、中野の子どもたちのために、そして21世紀の大人材へと育てたいという思いや情熱が全く伝わってきません。また、中野の子どもたちの将来像もよくわかりません。
そこで伺います。この教育ビジョンの最大のねらいとしている、中野の子どもたちの人間像、あるいは将来像は一体何でしょうか、改めてお伺いいたします。
学校教育における最大の教育環境は教師自身です。教師の一瞬の言動がよきにつけ、あしきにつけ、子どもたちに与える影響の大きさは想像以上です。素案には、課題として教職員の資質向上という項目がありますが、私は大項目として掲げて、教師の人格、人間性、資質、指導力等を高めていくための取り組みを示すべきだと思います。
その中には、子どもたちに勇気と希望と英知を与え続ける教員など、求められる教員像を示すとともに、校内研修、社会研修、教員個々の研修などの目標を示すべきではないでしょうか、お考えを伺います。
また、幼児から青年期へと教育が伝承されていく中で人材を育てるという視点が大事であると思います。素案のような大ざっぱなくくりではなく、もっと細かく幼児期、学童期、思春期、青年期など時系列でそれぞれの目標や課題を明確に示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
次に、教育ビジョンに基づいた行動計画について伺います。
たとえどんなに立派なビジョンができても、それを実現するための行動計画がなければ、絵にかいたもちになってしまいます。
金沢市の教育委員会は、子どもを育む行動計画を発表しています。学校教育という分野だけではなく、広く子どもに関する行動指針が家庭、地域、企業、学校、それに行政と五つの分野で、それぞれ取り組むべき方向や基本的な視点、優先的に取り組むべき具体的な構造、実践例などが示されています。
文京区もビジョンの理念を実践しやすいように推進プランを作成して実施しています。
例えば、区のビジョン素案に人権尊重や人権教育の文言がありますが、具体的な行動計画がなければ簡単に身につかないと思います。私が愛読している教育者牧口常三郎の著書「人生地理学」には、軍事や経済の競争ではなく人類への貢献を競い合う「人道の競争」のビジョンが提唱されています。
今は人材の競争の時代と言われます。体験学習などを通して人間性を高め合いながら、人権尊重や他人への思いやりなどを身につけるべきではないかと思います。
教育ビジョン素案の目標を実現するための具体的な行動計画が欠かせないと思います。事業計画ではなく、実現への具体的な行動経過をつくるべきだと思いますが、教育長のお考えをお聞かせ願います。
次に、教育ビジョン策定までの手順について伺います。
学習してきた21世紀鳥取教育ビジョンは、制定までの数々の手順を踏んで作成されています。
県民の提言募集から始まり、小・中・高等学校及び盲・聾・養護学校の児童生徒の意見を直接聞き取る子ども座談会の開催、また20歳以上の人のアンケート調査などを参考に、中間のまとめを作成しています。途中経過はすべて公開し、ビジョン案作成までは七つのステップが踏まれています。
しかし、中野は素案作成まで、区民や議会、関係者、そして当事者である子どもの意見は無視して、教育委員会内々で行いましたが、なぜそうされたのでしょうか、お聞かせ願います。
中野区が初めてつくる教育ビジョンです。これまで何もなかったのですから、つくるからには、借り物でなく本物の生きた教育ビジョン、だれもが期待できるようなビジョンをつくるべきだと思います。
私は、今回の素案が教育ビジョン策定のスタートととらえ、各分野の意見を聞き、議論し、交渉するという手順を踏んで教育ビジョンを策定すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
現在、学校の統廃合、2学期制、選択制など教育改革案が検討されていますが、それらの大方針を示すのが教育ビジョンではないでしょうか。時間がないからといって、あせって何が何でも基本構想に合わせようとして作成すると、21世紀に通用しない、中野には縁のない、二流、三流の単なる飾り物のビジョンとなってしまいます。
教育ビジョンといえば中野と言われるようなビジョンを作成すべきだと思いますが、教育長のお考えをお聞かせ願います。
次に、校庭の緑化について伺います。
これまで校庭の芝生化について、なかなか進展が見られなかった理由の一つに、工事費が2,000万円以上でなければ国の補助が受けられなかったことが挙げられています。
国会で公明党が文部科学省に補助対象の限度額を下げるように提案し、また緑化の促進を強く要望しました。国はこの限度額の引き下げや芝生化を全国的に普及させるための動きがようやく出てきたところです。
去る4月26日、市川市南新浜小学校の校庭緑化について調べてまいりました。新芽が芽付いたばかりの芝生でしたが、芝生の上に立っているとすがすがしさがあふれてくるようでした。
昨年11月には、文教委員会で杉並区和泉小学校の校庭緑化事業についても視察しましたが、両者に芝生づくりや管理などに大きな差がありました。
芝生の工事単価が平米当たり和泉小が1万3,000円、南新浜小は7,000円です。さらに大きな差が出ているのが管理費です。年間で和泉小は430万円、南新浜小はわずか10万円です。
市川市では、千葉大の浅野義人教授の指導のもと、土の種類、乾燥や病気に強い夏芝に冬芝を混ぜる方法を取り入れるなど、維持管理の費用を大幅に削減しています。
そこで伺います。中野区の小中学校で校庭への芝生化を進めるために、まず検討委員会を設けて、ノウハウを持っている専門家から学び、区として芝生化の取り組みを本格的にしてはいかがでしょうか。
その際、まずできるところから校庭の緑化事業を実施してはいかがでしょうか。屋上緑化も含めて学校の緑化計画を立てて推進すべきだと思いますが、教育長のお考えを伺って、この項の質問を終わります。
次に、高齢者福祉について伺います。
初めに、痴呆性高齢者見守り支援事業について質問します。
同僚議員の家族に、ベッド生活をしている高齢者のお母さんがいます。他の家族は仕事へ出かけますので、お母さんは日中の大半を一人で過ごしているので、何かと不安があります。
家族は仕事中でお母さんのことが心配です。そこでどうしても見守りが必要となり、午前と夕方、それぞれ1時間、お母さんの見守りと話し相手になってもらうよう近所の方にお願いしました。
これで家族全員、お母さんは家で安心して過ごし、家族は外で安心してそれぞれ仕事に専念できるようになったそうです。
痴呆性高齢者の場合は、さらに心配や不安があり、見守り支援が必要となってきます。
先月5月12日、山形県鶴岡市で実施している痴呆性高齢者見守り支援事業について勉強してきました。鶴岡市は高齢者率が24.4%と全国平均を大きく上回っています。
市の調査によれば、要介護者の六、七割が痴呆性であることがわかり、深刻な問題となっています。一方、介護サービスだけでは、痴呆性高齢者に対する支援を十分にカバーすることができないこともわかり、介護サービスプラスアルファの新たなサービスが是非とも必要であるとして、14年9月から痴呆性高齢者の見守り支援事業を実施しています。
この事業は、ファミリーサポート事業を痴呆性高齢者用に移行した事業と考えられます。65歳以上の自立度ランクⅡa以上の痴呆性高齢者でショートステイなどのサービスを受けていない方を訪問して、見守りや話し相手などのサービスを行っています。
見守りする支援員は、3日間講義や介護実習などの研修を終了して資格を得て行っています。支援員は介護保険サービス事業者ではなく、痴呆性高齢者見守りサービス事業受託業者に所属しています。
一方、平成14年5月現在の中野区の要介護認定者は7,392人です。その中の4,797人、約65%に痴呆性が見られると報告されています。これは驚くべき数値です。在宅で痴呆性高齢者に対する施策はこれまで全くありませんでした。
この方たちは、介護サービスではカバーできません。また、今年度からスタートする元気でねっとでもカバーできません。痴呆性高齢者や虚弱高齢者の在宅の安心介護のサービスとして、見守り支援は極めて大事な事業です。この事業を待っている方は大勢おり、早急に検討すべきだと思います。
中野区として要望の強い、そして新たな時代にこたえる痴呆性高齢者の見守り支援事業を実施すべきではないでしょうか。この事業を保健福祉総合推進計画の中に位置付けるとともに、実施へ向けての検討を行うべきだと思いますが、お考えをお聞かせ願います。
次に、介護予防推進計画について伺います。
本年第1回定例会の予算総括質疑で、高倉議員は、今後介護予防について他の自治体の参考になるような事業展開をするよう提案し、予防介護推進計画を要望しました。
これに対して、中野区保健福祉総合推進計画を改定する際、介護予防の視点を明確に打ち出していきたいと答弁しています。
そこで伺います。現在介護予防のモデル事業を行っていますが、この事業の成果はいつ検証するのでしょうか、お聞かせ願います。
保健福祉総合推進計画の改定作業が来年度から始まりますので、その中に介護予防を重要施策として明確に位置づけるべきです。
京都府精華町では、介護予防に40歳以上を対象にした「元気塾」と、65歳以上を対象にした「若返り元気塾」があります。元気塾は、町内の22のすべての団体が健康長寿を目指す取り組みを行っています。若返り元気塾の介護予防メニューとして、水中運動編、ウオーキング編、体操編、音楽両方、作業両方などがあります。
介護予防事業は高齢者だけでなく、精華町のように40歳から行っている例もありますので、広く区民が参加できるような介護予防事業にすべきです。
次に、高齢者会館の名称について伺います。私は介護予防事業の中核として位置付けるべきだと思います。例えば「健康づくり・介護予防センター」として健康で元気になるような名称に変更して、ここを拠点として健康及び介護予防事業を区内全域で展開すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
中野区の手話リズムダンスは障害者や高齢者支援として予防介護の重要な事業で、関係者の努力で区内に広く普及しています。5月1日のチャリティコンサートも障害者や高齢者を初め大勢の区民が参加し、楽しんでいました。
手話リズムダンスも区の介護予防メニューとして取り入れるべきではないでしょうか。また、これまで私たちが提案してきた転倒予防、音楽療法、パワーリハビリ、痴呆予防を初め、ゲートボール、マージャン、カラオケ、体操、水中ウオーキング、作業療法などを取り入れて、多くの区民が参加できるような事業を行うべきだと思います。
最近では、園芸を通じて健康回復やいきがいづくりを目指す「ユニバーサル園芸(園芸福祉)」が注目されています。これもメニューに入れるべきではないでしょうか。
以上のことを踏まえて、介護予防についてまとめて伺います。
まず介護予防野視点を中野区保健福祉総合推進計画の中に明確に位置付けること。
次に、介護メニューを明らかにするとともに、いつまで何をどこまで実施するという介護予防推進計画をつくること。
さらに、利用者が活用しやすい「介護予防ガイドブック」を作成すること。
以上の3点を提案いたしますが、前向きな御答弁を伺って、この項の質問を終わります。
次に、子育て支援について2点伺います。
初めに、放課後健全育成事業について伺います。
中野の小学校の放課後の遊び場としての使い方について、保護者から厳しい指摘があります。それは放課後の学校使用について、必ず一たん自宅に帰ってかばんを置いてからでないと許可しない学校と自宅に帰らなくてもすぐに遊べる学校とがあり、混乱しているそうです。
学校間で、放課後の遊び場開放のやり方に違いが起こることのないようにすべきではないでしょうか。また放課後、同じ学校で遊ぶのに、自宅と学校を往復させることは、交通事故等の不安もあり、そのまま学校で遊ばせるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
これまで、私たちは放課後健全育成事業について、世田谷区の新BOP事業や、横浜のはまっ子ふれあいスクール事業を見てまいりました。
新BOP事業は小学校の余裕教室を活用して子どもの放課後の遊びと交流の場として、学童クラブ機能を合わせた新たな仕組みとしてやっております。学童クラブには定員制は設けていません。
はまっ子ふれあいスクールは、放課後学校施設を利用して「遊び場」を確保し、遊び場を通じた異年齢児間の交流を促進することによって、子どもたちの創造性や自主性、社会性を養い、児童の健全育成を図ることを目的として、学童クラブ事業も行っています。
国も「子ども居場所づくり」の動きもあります。私はすべての小学校を、放課後の遊び場、児童の交流の場として位置付けるべきだと思います。
その際、学童クラブ事業も合わせ持った、遊び場と異年齢児の交流を行えるようにした、児童の放課後健全育成事業を、基本構想、または10か年計画に盛り込むべきだと思いますが、お考えをお聞かせ願います。
また、運営や管理については、教員のOB、PTA、地域やNPO団体などで行えるように工夫すべきだと思いますが、あわせてお考えをお聞かせ願います。
次に、国民健康保険の出産費貸出事業について伺います。
我が会派の提案により、出産育児一時金35万円が出産して退院するときまでに、支給されるようになりました。
しかし、出産するための、入院費など準備する資金が必要です。その費用を用意するのに大変苦労されている若い夫婦もたくさんいます。子育て支援策は、妊娠から始まり、出産、育児、保育、教育と続く一貫した支援となっていなければなりません。そのために出産貸付事業は重要な子育て支援策となります。
既に23区中14区が実施しています。中野区は、出産一時金の支給制度があるとの理由で、この貸付事業は行ってきませんでした。しかし、少子化が急速に進む中で新たな子育て支援策も充実させなければなりません。
この貸付事業は、出産を控えている家族にとっては大いに助かるだけでなく、子育ての支援施策の拡充が図られます。この事業はすぐにでもできるのではないでしょうか。早急にこの出産貸付事業を行うべきだと思いますが、積極的な御答弁をお聞かせ願います。
最後に、その他として3点伺います。その他のその他から質問します。
今回議案が予定されている平成15年度国民健康保険特別会計の歳入不足問題と16年度同特別会計の繰上充用について伺います。
既に、この問題については、5月31日の総務、厚生の両委員会において、区側から、ことの経緯についての説明があったところです。それによれば、全く単純なミスとのことですが、果たしてそうでしょうか。
調定に対する比率と予算額に対する比率、その両者の比率が当該会計の事業執行と収支の進行管理の上から不可欠と思われます。単純なミスによりこのような遺憾な事態が引き起こされるとすれば、システム的な対応を講じる必要があるのではないでしょうか。
そこで、まず、この問題について、責任の所在を初め、対応策などについて、区長の基本的認識をお尋ねします。また、財調交付金の関係を踏まえて、23区への対応はどのようにされたのか、あるいはされるのか、伺います。
次に、キャッシュフローの把握と、そこから得られる財務情報の分析のための収入役室、事業分野担当、財務分野を通じた分析システムの構築が必要ではないかと思いますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。具体的な取り組みについてお答えください。
次に、特別会計自体に収支の安全装置を組み込んでおくことの必要性について伺います。医療給付の伸びや保険料収入の落ち込みなど、会計の性格上補正要因が多いと思われます。したがって、会計自体に国民健康保険事業の安定的実施のための財政のスタビライザーを意識して組み込んでおくことが求められているのではないでしょうか。
それが基金の創設と予備費の計上です。基金の問題は、国が出した予算編成の留意点にも触れられていますが、今回、特に指摘しておきたいことは、予備費の計上についてです。
中野区は額においては23区中23番目の予備費額であり、会計規模に対する割合では22番目です。すなわち最低の予備費の計上ということが言えるわけです。この予備費を適当な規模に拡大することが必要と考えますが、いかがでしょうか。
最後に、部長の事務取扱など、組織的にも、人事的にも検討しなければならないことがあると思いますが、この点について伺って、この項の質問を終わります。
次に、電線類の地中化について伺います。
電線類の地中化については、平成2年の予算総括特別委員会で同僚の飯島議員が電柱の地中化促進について、東電や、NTTに地下化の要請をすべきだと質問しました。私も、議員になって初めて質問に立った平成3年第4回定例会で、防災上から電柱の地中化事業を創設すべきだと質問しました。
当時既に千光前通りの電線類の地中化は完了していました。これらの質問から十三、四年が経過しますが、区内の道路の電線類の地中化は進展していないようです。どのようなことが原因なのでしょうか、伺います。
公明党中野総支部としてことしの二月、三月に電線類の地中化を促進するための署名運動を行い、5万5,000名を超える署名をいただきました。3月19日に中野区長と石原東京都知事あてに署名簿を渡すとともに、積極的な取り組みを強く要望しました。
区長は前向きに取り組んでいくと答えています。東京都には、区が要望している5か所の地中化の促進と、交通バリアフリーのモデル地区、中野通り、警察大学校等跡地の北側の早稲田通りについても地中化を強く訴えました。
そこで質問します。国土交通省も昨年「無電柱化推進計画」を発表し、非幹線道路についても電線類の地中化を進めていく方針を出しております。中野区として、防災上などから優先して取り組む路線の決定をするとともに、関係機関へ働きかけを行って継続的な無電柱化を進めるために担当部署を設けて推進すべきだと思いますが、御見解をお聞かせ願います。
最後に、産業活性化の取り組みについて伺います。
去る4月21日、中野ゼロ大ホールで行われた「TAMA発地域イノベーションシンポジウム2004」に参加させていただきました。首都圏産業活性化協会、いわゆるTAMA協会の主催で開催されました。
参加者は都内だけでなく広い地域から、各分野で活躍する方、特に中小企業の経営者が多く参加され満席で大盛況でした。長引く不況の中、生き残りをかけて真剣そのものでした。中野でこのようなシンポジウムが盛大に開催されたことに、区民の一人として誇りにさえ感じました。主催者の話では、中野は全東京の中心に位置しているので、今後の発展を考えあえて選んだとのことでした。
そこで、伺います。各地で産業活性化への、新たな取り組みやネットワークが構築されつつありますが、中野区もTAMA協会の一員としてさまざまな取り組みや催しにも参加しております。今後中野区の産業振興策としてこのTAMA協会とはどのようにかかわり、また活用していく考えなのでしょうか、お聞かせ願います。
次に、空き店舗対策について伺います。
長引く不況と社会状況の変化に伴い、商店を閉めるという流れはとどまりません。区としても、産業振興の活性化や、また創業支援のために空き店舗対策を積極的に取り組むべきだと思います。
区内の、宅建などの業界でも、空き店舗対策に積極的に取り組んでいます。区もこれらの団体と十分に連携をとって、互いの持ち味をいかしながら対策を講じることが重要だと思います。
まず産業振興課で行っている相談で空き店舗を活用したい方に、空き店舗の情報や不動産等のノウハウを持っている宅建などの業界との連携や協力体制を図るべきです。また、空き店舗対策事業のPRについても、区報やインターネット、さらには関係業界への周知も行って実施すべきではないでしょうか、伺います。
今後は、空き店舗のオーナーへの相談も含め、業界の協力を得て空き店舗情報コーナーを設けるように検討してはいかがでしょうか、御答弁を求めて私のすべての質問を終わります。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 岡本議員の質問にお答えいたします。
まず文化芸術の振興をという御質問であります。
人間が衣・食・住によってのみ生きているわけではなくて、文化芸術があるからこそ人生であり、豊かな地域社会であるといったことについて認識は、岡本議員と共有しているものと私も思っております。
区民が生涯を通じて身近に文化芸術に接したり、個性豊かな文化芸術活動を活発に行うことができる、そういう環境をつくるということが必要であると考えております。また、まちづくりとか地域の活性化といったことにおいても、芸術文化の果たす役割というのはまことに大きいものがあると考えております。
そこで、さまざまな御提案があったわけであります。御提案の幾つかについてお答えをさせていただきたいと思います。
まず区内の芸術家と懇談をし、意見交換をするべきということでございますが、中野区にはさまざまに文化芸術を保護し、発展させていく、そうした文化芸術家の方々がいらっしゃるわけでありまして、こうした方々と話し合う機会といったことについても考えていきたいと思っております。
それからさらに、芸術文化を振興するに当たって意欲と能力のある職員を確保するべきだということについても、今後の組織の中、施策運営の中で検討をしていきたいと思っております。
芸術文化活動を奨励するための賞、あるいは顕彰といったことも一つの方策であると考えております。
また、地域住民の文化芸術活動への参加を促進するための活動の場、あるいは交流の支援といったことについても考えていきたいと思います。
パフォーマンス広場という御提案についても、まちづくりや施設整備の中で、そうした視点も取り入れていくことが必要なのかと思っております。
いずれにいたしましても、芸術文化の拠点となる施設の整備や既存施設の活用といったことを含め、芸術文化の振興のプログラムといったことを、基本構想10か年計画の中で位置付けてまいりたいと思っているところであります。
民間の基金という御提案については、出資のあり方、それから運営主体、また基金ということでありますので、現在の低金利の現状、そうしたもとでの運用のあり方、果実が利用できるほど生まれるのかといった課題などもありますので、そうしたことについては研究をしていきたいと思っております。
さまざまな御提案が芸術文化についてあったわけであります。その一つひとつについて、今この場で具体的に御答弁を申し上げるだけの材料があるわけではないのでありますが、申し上げましたように、基本構想や10か年計画の中では、芸術文化という視点を一つの大事なポイントということで抑えていきたいと思っております。
それから国民健康保険特別会計に歳入不足が生じてしまった問題であります。
今回の平成15年度の国保特別会計の歳入不足の問題については、国民健康保険料について、予算額に対する収納率でとらえるべき数字を誤って調定に対する収納率の前年比較によりとらえてきたといったことでありますとか、予算額に対する収入と支出、すなわちキャッシュフローのチェックが組織的にも不十分であったといった、いってみれば極めて単純なミスから発生した問題ということであります。公金の紛失や横領といった実害を伴うものではありませんので、職員の賠償責任が発生するといったことはないわけでありますが、担当する職員の注意義務はもちろん十分ではなく、反省すべき点が多いと考えています。
具体的に予算事務規則や会計事務規則の中では、部長の指導、調整、監督責任についても定められているわけであります。今回の問題は、予算事務や会計事務の不手際から発生したというものでありますので、所管部長の指導、監督が不十分というべきと考えております。当然、その上司たる私にも責任があり、今後、同様のミスが起きないよう対応に努める考えであります。今後の対応策については、原因追求の中で明らかになったキャッシュフローのチェックと動向把握の必要性から、日々の収支状況の組織的確認でありますとか、決算見込みに有効に働くシステムといたしまして、事業担当、収入役室及び財務担当の三者がそれぞれに持っている情報をチェックし合い共有する、そうした仕組みをつくりながら問題の発生を早期、かつ未然に防ぐシステムをつくっていきたいと考えております。部長の事務取扱が影響しているのではないかということでありますが、部長による事務取扱が今回の問題の原因ではないと考えております。もともと国民健康保険事務の執行を部長以下担当係長、担当者にそれぞれ責任を持って行えば回避できたことでありまして、今回、それぞれの段階で十分に責任を果たせなかった点を反省しているところであります。職員一人一人が責任を自覚し、効率的、効果的な組織運営が実現できることを目指してまいりたいと考えております。
私からは以上であります。
〔教育長沼口昌弘登壇〕
○教育長(沼口昌弘) まず芸術文化のまちづくりの学校コンサートについてお答え申し上げます。
教育委員会では、年に1回は、小中学校の特定学年を対象にいたしまして、ゼロ大ホールに東京都交響楽団を呼びまして、本物のオーケストラに触れる機会を設けております。このほか各学校でも独自の取り組みをしているところでございまして、教育委員会といたしましても、今後とも支援してまいりたいと考えています。
次に、伝統文化の子ども教室についてでございます。
子どもたちが伝統文化に対する理解を深めるとともに、伝統文化に対する興味、関心を高め、文化芸術を愛好する心をはぐくむことは非常に大切であると思います。子どもたちが伝統文化を体験、習得できる機会の場として、地域においても、あるいは各学校でも、例えば茶道教室などのような事業が行われております。今後も伝統文化について子どもたちが触れ、親しみや興味を持ってもらうためにも、伝統文化の体験の機会を充実してまいりたいと考えております。
次に、(仮称)教育行政ビジョンについてでございますが、このビジョンにつきましては、社会が大きく変化している中で、中野区が目指す教育の将来像を描こうというものでございまして、中野区基本構想の改定作業の状況を見ながら策定していきたいと考えているものであります。
まず教育ビジョンの最大のねらいとしている人間像についてでございますけれども、自立して社会に貢献できる人間を育てていきたいと考えています。これからは社会が大きく変化していくことが予測されるわけですけれども、どんな時代にありましても、広い視野に立って主体的に物事を判断できる、そして心身ともに健康で自立した人間が求められると思います。また、人間が社会の一員としてしか存在し得ない以上、ともに生きるといいますか、何らかの形で社会に役に立つ、あるいは貢献できるという人間を育てていく必要があると考えています。
次に、教職員の資質向上と求められる教員像や研修についてのお尋ねでございます。
教育委員会は、求められる教師像といたしまして、教育に対する情熱と使命感を持つ教師、豊かな人間性と思いやりのある教師、実践的な指導力のある教師、こういう教師像を求めてございます。子どもに直接かかわる教職員が情熱を持って職務に携わることができるように、教員の資質を高め、教員の指導力といいますか、事業力の向上を引き出すような研修を区独自でも行っていきたいと考えています。
次に、成長過程に合わせた目標や課題を示すべきだというお尋ねでございます。
ビジョンの素案では、幼児期、学齢期、地域社会へ参加する区民と分けまして、発達を意識した目指す教育を示しておりますが、今後さらに具体的な姿とそれを実現させるための手だてを示していきたいと考えています。
次に、教育ビジョンの目標を実現するための行動計画の策定についてでございます。
教育行政ビジョンの内容を実現するために、(仮称)新しい中野をつくる10か年計画と連動して教育に関する計画を策定する予定でございますが、その中でビジョンの理念を具体的に実現するために、教育委員会が取り組むべき施策を区民にわかりやすい形で計画化していく考えでございます。
次に、ビジョンの策定手続に関してのお尋ねでございます。
(仮称)中野区教育行政ビジョンの素案は、基本構想審議会における論議の素材として作成したものでありまして、教育委員会といたしましても、ビジョン策定のスタートと考えてございます。今後、教育委員会として、基本構想案の策定状況を見ながら、基本構想策定過程での意見交換も含めて意見を聞く機会を設け、手順を踏んでいきたいと考えてございます。
〔区民生活部長本橋一夫登壇〕
○区民生活部長(本橋一夫) 文化芸術振興策に関連いたしまして、中野区伝統工芸展の開催場所についてのお尋ねがございました。
伝統工芸展は商工会館が区内の商工団体の振興、発展を図る目的で設置されているという点、また主催団体である伝統工芸保存会の使いやすいところでといった御意向もありまして、現在の中野区商工会館での開催となっております。区といたしましては、今後もより多くの区民の方々に伝統工芸に目を向けていただけるように、PRに積極的に取り組んでいきたいと考えております。
次に、TAMA協会の関係の御質問でございます。
産業まちづくり調査会報告、産業ラーニングシティ中野でも情報と知識の共有が示されております。TAMA協会は産・学・官の連携によって産業活性を促進している団体でございますが、区といたしましても、今後TAMA協会が行っております大学や事業所とのマッチング機能や知的財産権に関する情報提供など、TAMA協会の持つ情報や資源を、連携を深めながら有効に活用していきいたと考えております。
また、TAMA協会にとどまらず、東京都中小企業振興公社を初め事業者を支援する事業の情報提供などについても積極的に活用してまいりたいと考えております。
次に、空き店舗活用に関連してのお尋ねでございます。
空き店舗事業にかかわらず、産業振興の事業内容の周知に関しましては、区報やホームページのほかにも、産業団体を初め関連する業界と連携して効果的なPRを行っていきたいと考えております。空き店舗のオーナーを含めまして事業経営に関する相談につきましては、中小企業診断士による経営相談や経営コンサルタント派遣事業などの中で対応していきたいと考えております。
また、創業を計画している人が不動産に関する情報を求めているときには、関係業界団体との連携をとりながら適切な情報提供ができるよう努めてまいりたいと考えております。
〔教育委員会事務局次長金野晃登壇〕
○教育委員会事務局次長(金野晃) 校庭の芝生化についてのお尋ねでございます。
校庭の芝生化は、教育委員会内に設置しております学校・幼稚園施設整備検討委員会で検討をしております。その中では、芝生管理のあり方や養生中の校庭の利用が制限される問題など、校庭利用上の課題について検討し、学校の意見も聞いているところでございますので、検討を進めていきたいと思います。
次に、放課後健全育成事業について、遊び場開放と一たん帰宅の取り扱いの問題でございますが、教育委員会としても、各学校の遊び場開放への参加方法については、校長会との協議を進めて、御指摘の方向で運用できるように考え方の統一をしてまいりたいと思います。
〔保健福祉部長菅野泰一登壇〕
○保健福祉部長(菅野泰一) 痴呆性高齢者見守り支援事業の御提案でございますが、痴呆性高齢者の施策につきましては、充実していく必要があると考えております。介護保険事業との整理をしながら今後検討してまいりたいと考えます。
続きまして、介護保険のモデル事業の検証でございますけれども、区内の事業者と共同して実施した高齢者筋力向上トレーニング等のモデル事業につきましては、5月末に終了いたしました。その事業成果につきましては、とりまとめ次第、報告したいと考えております。
それから保健福祉総合推進計画に介護予防の視点をということでございますけれども、次回の改定に当たりましては、介護予防の視点を十分に取り入れて検討していきたいと考えております。
それから介護予防メニューにつきましてもっと具体的にということでございますが、区では国、都の研究成果や今回のモデル事業を踏まえまして、実現可能なものにつきましては、速やかに着手するとともに、現在、策定中の新しい中野をつくる10か年計画の中で、事業計画や数値目標につきまして入れていきたいと考えております。
それから高齢者会館を拠点に介護予防事業の展開ということでございますが、区といたしましては、今年度、高齢者会館につきましては、保健福祉部の所管といたしまして、今後、高齢者の健康づくりの重要な拠点として位置付けまして、配置の見直しや運営方法の検討を進めているところでございます。そのうち3館につきましては、保健福祉団体等に委託いたしまして、保健福祉事業との連携による健康づくりと地域の力を行かした運営の実現を図っているところでございます。名称を含めまして今後、充実を図ってまいりたいと考えております。
それから介護予防ガイドブックの作成ということでございますけれども、介護予防につきましては、日ごろから健康づくりなどからトータルに取り組んでいく必要がございます。区民に対する啓発の資料などにつきましても、こうした視点から検討してまいりたいと考えております。
それから国民健康保険の出産費貸付事業につきまして御提案がございました。出産育児一時金の貸付制度につきましては、必要性を認識しているところでございまして、今後鋭意検討してまいりたいと思っております。
〔子ども家庭部長柳澤一平登壇〕
○子ども家庭部長(柳澤一平) 子育て支援につきまして、小学校を放課後の遊び場、児童の交流の場として位置付けるべきではないかという御質問でございました。
このたび施設配置の基本方針案の中で、放課後児童の保護、遊ぶための機能、子育て相談などの機能は、小学校に取り込む方向でお示ししたところでございます。この方向につきましては、今後、区民との意見交換や議会での議論を経て、基本構想10か年計画の中に盛り込んでいく考えでございます。運営や管理につきましても、保護者や地域のさまざまな方々が積極的にかかわることができるよう工夫に努めたいと考えてございます。
〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 電線類の地中化についてのお尋ねがございました。
電線類の地中化につきましては、昭和61年ごろから都心部の幹線道路を中心に整備が進んできておるところでございます。区といたしましては、地中化のための共同溝の規模が大きかったこと、また多額の経費がかかることなどから、直ちに着手が困難という状況でございました。最近では、歩道部分に比較的浅い層、浅いところに地中化をします舗装一体型のコンパクトな構造の整備手法も開発されてきてございます。東大附属の西側道路でも、こういった手法での整備を予定しているところでございます。今後せ地中化につきましては計画的に進めてまいりたいと考えてございます。
なお、組織についてでございますが、電線類の地中化推進に当たりましては、区政目標体型で土木分野の事業といたしまして位置付けているところでございます。また、こういった事業を開始したという状況でございます。今後の進捗状況を見ながら組織の整備を考えてまいりたいと思っているところでございます。
〔総務部長石神正義登壇〕
○総務部長(石神正義) 私からは、国民健康保険特別会計の歳入不足につきまして、区長からお答えした以外の具体的な方策についてお答えさせていただきます。
まず財調交付金との関係でございますが、今回、特別会計におきまして15年度決算の段階で3億7,500万円余の歳入不足が生じました。その結果、16年度予算において繰上充用の対応を行ったところでございますが、財政算定でございます。これにつきましては、15年度の歳出決算額は17年度に財調の算定需要額として算定されるために財調上の問題はございません。2年おくれでの算定になるということでございます。
次に、キャッシュフローの管理と分析の構築ということでございます。
先ほど区長の方から、事業担当、収入役室、財務担当の三者との関係での情報の共有のし合いということでお答えさせていただきましたが、具体的には、再発防止の取り組みということで、国保担当は歳入歳出予算の全体を把握する立場にございます。その中で具体的な現金の収入である歳入、出ていくお金、いわゆるキャッシュフローの管理を行う、その情報を逐次財政担当に伝えながら運営をしていくということになります。収入役室でございますが、これは出納機関といたしまして業務の中で積み上げたキャッシュフローの情報を補正予算編成時、また仮決算の4月までに定期的に関係組織に提供し、サポートをしていくということを明確にしていきたいと思っております。また、財政担当でございますが、国保及び収入役室から提供された情報をもとに、情報内容にずれがあったり、また見込みが違うということが見えるということになりましたら、それを検証しまして、1月以降4月まで、決算見込みを随時確認していく、また予測しているということで、時期を失しない対応を図っていきたいと考えてございます。また、このために必要なシステムとしての帳票手続といったことについては明確にしていきたいと考えてございます。
次に、予備費の計上についての御質問でございます。
予備費の計上につきましては、御質問にありましたように、平成12年までは厚生省通知で予備費といたしまして保険給付費の3%以上の額を計上しなさいという指導がございましたが、現在はこうした指導はございません。中野区におきまして予備費を増額して計上するということになりますと、一般会計からの繰り入れ必要となるという状況でございます。その財源として考えられますのが財政調整基金、これを活用するということになりますが、もしこれを活用することとなりますと、今後の財政運営に少なからず影響を及ぼすということになります。現在、一般会計自身の財政の厳しさということもありまして、国保会計に予備費を持たせることが非常に困難な状況にございます。当面、補正により適切な対応を図っていくということで、適切な管理運営を行っていきたいと考えてございます。
〔岡本いさお議員登壇〕
○25番(岡本いさお) 再質問させていただきます。3点あります。
学校の校庭の緑化でございますが、今の次長の答弁ですと検討に検討を重ねるということですが、また質問すると、さらに検討を重ねるということで、いつまでも進まないような気がしますので、サブグラウンドのあるところとか、グリーンベルトという形でもいいですから、まず中野区に実際に芝生化をして、そこで検討するようにぜひともしてもらいたいと思いますが、再答弁をお願いしたいと思います。
二つ目は、痴呆性高齢者見守り支援事業でございますが、全くやるような雰囲気の答弁ではありませんでしたが、先ほどもデータを言いましたように、中野で4,800名の痴呆性がいる。その中でこの事業に適合する在宅で待っている方が約1,200名いるというデータを区で持っているわけですから、そういう人たちのために、介護予防も含めて安心を与えるような、この事業はしっかりと計画に入れて、すぐにとは言いませんが、鶴岡市の場合ですと500万円程度の予算でやっている例もあるわけですから、ぜひとも研究をするというだけではなくて、やる方向で検討していただきたいと思います。
それから三つ目は出産費の貸付事業でございますが、これは極端な話があしたからもできるような事業ではないかと思っています。少なくとも来年度からこの事業ができるように今から検討して、区の新たな予算をつける必要はないわけですから、そういうことで、何か非常にやる方向は見えていますが、これは早急に、遅くとも来年の17年度からこれは実施すべきだということを再度質問させていただいて、よろしくお願いいたします。
〔教育委員会事務局次長金野晃登壇〕
○教育委員会事務局次長(金野晃) 校庭の芝生化についての再質問についてお答えいたします。
実際にできる方法で、可能な部分についての検討ということでございますが、具体的にそういったことも含めて検討をし、できるだけ早期に実施できるような工夫をしてまいりたいと思います。
〔保健福祉部長菅野泰一登壇〕
○保健福祉部長(菅野泰一) 痴呆性高齢者見守り支援事業につきまして、鶴岡市で始めている事業について、中野区でもすぐに始めたらどうかということでございますが、中身につきまして、痴呆性高齢者の必要な事業というのが、どういうものがあるかということにつきましても、やはり検討が必要でございますので、私どもといたしましては、今後の中で、鶴岡市の事例につきまして十分に検討させていただきまして、必要な事業を早急に計画化してまいりたいと考えております。
それから国民健康保険の貸付事業でございますが、鋭意検討と申し上げましたのは、おっしゃるように早急に来年度でも始められるように努力をしてまいりたいと考えております。
○議長(山崎芳夫) 以上で岡本いさお議員の質問は終わります。
中野区議会議員 大 内 しんご
1 「中野区基本構想」について
(1)基本的な考え方について
(2)町会・自治会について
2 中野区の教育理念について
3 その他
○議長(山崎芳夫) 次に、大内しんご議員。
〔大内しんご議員登壇〕
○10番(大内しんご) 平成16年第2回定例会におきまして、自由民主党・民社クラブ議員団の一員として、会派を代表して質問をさせていただきます。区長、並びに教育長の誠実なお答えをお願いいたします。
最初に、中野区基本構想についてお伺いをします。
基本的な考え方についてまずお聞きをしたいと思います。
私は総務委員会に所属をしており、また基本構想の特別委員会にも所属しておりますので、本会議でこの問題を取り上げるのはふさわしくないとの御指摘があるやもしれませんが、区政の最重要課題であり、区長から直接お答えをいただきたいこともあります。あえて質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
1年余りにわたって活動を続けてきた基本構想審議会の審議がまとまり、4月に入って区長に答申がありました。議会にも御報告いただきましたので、早速、答申を拝見させていただきました。
分厚い答申書を見ると、委員の皆さんはもとより、関係された方々が随分御苦労をされたのではないかと、その奮闘ぶりが忍ばれます。大変御苦労さまでございました。
それと同時に、これまではそれぞれの頭の中に思い描いていたイメージでしか議論できなかったものが、この答申書を見ますと、その後の区側からの報告された何点かの資料により、議論の土台となる共通の土俵がようやくでき上がったと感じます。
そこでお伺いします。これまで何度か議論されていますが、なぜこの時期に基本構想の改定を行うかということであります。区政は今、さまざまな改革の真っただ中にあります。ある意味では全精力をそれに向け、改革にその精力を注がなければならない大切な時期にあると思います。この時期にあえて基本構想にまで手を広げるというのはいかがなものでしょうか。その点についてお答えをください。
次に、改定の意味についても伺っておきます。答申やそれを踏まえた区の検討素材を見ると、現行の基本構想を土台にしながら必要な修正を行うというのではなく、全く新しい基本構想を策定するように思われます。基本構想は自治体における憲法という例えがあります。この例えに従うなら、さしずめ全面改正という内容であります。こうした認識でよろしいのでしょうか。その場合に現行の基本構想の何が悪く、そして新しい基本構想では、それをどのようにして実現していくおつもりなのか、また現行の基本構想から継承するものは全くないのかどうか、これもあわせてお聞きをいたします。
ところで、答申や検討素材の中で耳慣れない区民憲章という言葉が使われております。これは一体どういった意味に使われているのでしょうか。基本構想は中野のまちが基本とする理念を掲げ、区民が共有してその実現を図る将来像を明らかにしますとあるように、理念は基本構想の中にうたい上げられているのではないでしょうか。ところが、答申を読みますと、理念部分を区民憲章として定めると受けとめられます。基本構想とは別に何かを定めるということなのでしょうか。また、区民と区の普遍的な共通目標ということも言われております。新しい基本構想は10年程度で見直しをするということですが、その場合には、普遍的な目標という区民憲章も解消をするということになるのでしょうか。
耳慣れない言葉づかいはもう一つあります。答申には見当たらず、検討素材に突如出てくる、「この基本構想は30万区民全体の目標であり、区民全体の契約というべきものです」という箇所であります。これはどういうことなのか、お示しをいただきたいと思います。
通常、契約というと当事者がその内容を十分に承知し、互いに受け入れの意志を明らかにして取り交わすものであります。今回、日常使う意味とは異なるとしても、基本構想を成立させるに当たって区民の何らかの関与、例えば区民投票などを想定しているのでしょうか。この点についてもお聞きをします。
次に、現行の基本構想との関係で幾つか伺っておきます。
現行の基本構想では、区を最初の政府として位置付け、区民の暮らしを守り高めるため、また自治権の拡充・強化のために使命を果たすという趣旨の文言があります。ところが、答申や検討素材にはこうした表現はなく、かわりに区民の自己責任、区民みずからのまちづくりへの取り組み、小さな区役所という言葉が大変目についております。この違いはどういうことなのでしょうか。新しい基本構想では、中野区という自治体をどのようにとらえ、また位置付けをしようとしているのでしょうか、お答えをください。
関連して伺います。現行の基本構想は自主、参加、連帯を基本理念とし、これを実現する手段として、いわゆる地・住構想を進めることによって基本理念を想定しております。しかし、この春、地域センターの所長が再度大幅削減をされました。2か所だったところが3か所の地域センターを一人の所長が見守る、そういったことがこの春に行われました。施設配置の基本方針案では、(仮称)区民活動センターに転換するとされています。これは地・住構想やこれに基づく施設の大幅な見直しと受けとめられますが、そこで伺います。
審議会の論議の中では、区民の地域活動や区政参加、住区協議会や町会・自治会をめぐってどのような議論が行われたのでしょうか。区はそうした論議をどう受けとめているのでしょうか。また、新しい基本構想では、地・住構想をどのようにお考えなのか、お答えください。
次に、町会・自治会について、基本構想の中での位置付けを伺っておきます。
中野区では、昭和48年に補助金等検討協議会の答申に基づいてさまざまな補助金の見直しを行いました。この事業の中で当時のことを直接御存じの方はもうかなり少なくなっていると思います。当然、私もおりませんでした。当時さまざまな議論が町会の補助金等に関してあったと思います。その折に、町会・自治会と今までの関係が見直され、地域の中の自主的な活動団体と位置付けられ今日に至っております。しかし、現実の区政をつぶさに見ますと、実にさまざまな場面で町会・自治会の協力を得ていると言わざるを得ません。その数の多さは他の団体では考えられないものです。区ではこうしたことをどのように受けとめているのでしょうか、まずお伺いをいたします。
さて、今日、区と町会・自治会とは、関係者の御努力もありまして、大変よい関係になってきていると思います。地域センターなどが中心となり、いろいろと便宜等も図っていただき、地域の活動に参加していると思います。しかし、なぜか建前と本音の使い分けがされているように思います。こうした区と町会・自治会とのかかわりを再整理し、新しい考え方をこの場でお示しし、新しい動きを考えていってはどうでしょうか。また、これまでにそういった考え方はなかったのでしょうか。そのような動きやお考えが仮にあったとしても、これまでなかなか方針転換しなかったのも事実だと思います。しかし、新しい基本構想をつくろうということの中で、町会・自治会との関係も大きく変わろうとしております。新しい基本構想の中で、今までにない新しい考え方を入れ込むことができるわけであります。区内最大の地縁の団体であります町会・自治会31万区民、17万世帯が中野区に在住をし、約1年間に3万人の方が転出入を繰り返す中野区において、約半部の世帯の方が町会・自治会に入会、あるいは何らかのかかわりを持っている、そういった大きな組織に、区としてはどのようにとらえ、また基本構想の中で位置付けをしていくおつもりなのでしょうか。改めて町会・自治会を積極的に再評価し、新しい関係のあり方を基本構想の中でしっかりと位置付けし、そして追求をしていくべきだと考えますが、いかがお考えでしょう、区長にお聞きをいたします。
この項の最後に、施設配置の基本方針の中で、学校の再編に関連して気になることがありますので、お聞きをします。子どもの数が減り、学校の少人数化が進んだのは動かしがたい現実であり、これを学校の再編によって、子どもたちにとって良好な教育環境につくりかえる必要があるのは御指摘のとおりだと考えます。問題は良好の内容です。案では、再編は原則として既存校舎を活用して行うとしていますが、それでは良好な教育環境がつくり出せるのでしょうか。再編を行えば、多くの子どもたちは通学距離が伸びます。また、一つの学校に通う子どもの数が当然ふえるのですから、施設の面で空間密度が高くなり、少なくとも物理的な環境がよくなるといった考え方はできなくなります。しかも、学校を新たな地域資産にするとして、あいた学校跡に(仮称)総合公共サービスセンター、地域スポーツ健康づくり施設、ふれあいとうるおいの公園、新たな保健施設などを設けるというお考えが示されています。子どもたちが勉学のために使っていた空間を大人のために転用する、そういったことになるわけです。そうであるならば、学校の施設についてはできる限り新しいものを用意する、そういった考え方、めりはりの聞いた新しい方針が出てきてもいいと思います。他区では、斬新な新しい校舎が次々とつくられております。中野区でも今後の10年間で改築時期を迎える校舎が出てきます。財源のことを考えれば、今からその対応を検討する必要がありますが、いかがお考えでしょう。
以上でこの項の質問を終わります。
次に、中野区の教育理念についてお聞きをします。
国のあり方という観点からお聞きをいたします。
アテネオリンピック開催まであと72日となりました。世界200カ国以上の国々が参加するスポーツの祭典は8月13日から29日まで開催されます。先日のオリンピック出場をかけたバレーボール女子世界最終予選の盛り上がりは大変なものでした。私も毎晩テレビにくぎづけとなり、テレビ画面に向かって「頑張れ日本」と叫んだのは我が家だけではないと思います。女子チームは見事予選を通過し、出場権を獲得しました。男子チームは残念ながら予選を突破することができませんでしたが、男子バレーボールチームの小林敦主将は、1勝3負とアテネ行きが絶望的となった中、26日のイラン戦の試合の後、ミーティングで「残り3試合で日の丸を背負っているプライドをコートの上で見せよう」とチームにげきを飛ばしたそうです。
3月に行われたサッカーのオリンピック出場予選も大変な盛り上がりでした。試合の始まる前には国歌が流れ、お互いの国を尊重し、それぞれの国の代表として国の威信をかけて全力のプレーで試合に望む姿がありました。オリンピックは世界の人々が自国の威信と誇りを持って臨むスポーツの祭典です。表彰台には各国の国旗が掲揚され、国歌が流れます。スポーツを通じてお互いの国々を尊重し、お互いの国民を理解する大変重要な機会だと考えます。平和な世界を望み、ともに歩んでいこうとする国々のお祭りです。自由主義社会、共産主義社会など、いろいろな政治制度と多種多様な人種がそれぞれの主義主張を乗り越え、国々の垣根を乗り越え一緒に集うときです。その中で基本となるのが、自分はどこの国に所属をし、自分の国に対し誇りを持ち、自分の国を愛する気持ちを持つ、それぞれがその気持ちを持って望んでいるということです。自国に対する愛国心は危険な思想だと批判される方々がいます。ここでいう愛国心とは、自分の生まれ育った国に対して誇りを持つということです。まして、自分の国に対して責任を持つということです。現在の社会において国家に所属しないでは生きていけない状況です。自分の国に対し誇りを持つ愛国心を否定しながらその国家に属するということは、国家を否定することと同じではないでしょうか。自国に対する愛国心は、世界の中でお互いの国を尊重し合うために、世界の友人たちとともに生きていく上で必要不可欠なものであります。
2年ほど前にパリのサッカー場での出来事です。フランスの国歌「ラ・マルセイユーズ」演奏のとき、一部サポーターが口笛を吹きました。そのときシラク・フランス大統領はフランスへの侮辱だと憤然し席を蹴ったそうです。それが国旗や国歌に対する世界的常識だろうと考えます。
個人の思想や信条のため国旗に敬意を示さないなどという言い分はわがままな甘ったれであると産経抄では喝破しています。
大リーグで活躍をし、今年から日本ハムで活躍をしている新庄選手が4月29日の近鉄選で札幌ドームに自衛隊家族を招いたことを新聞で報じていました。家族は旭川市の陸上自衛隊第2師団、2駐屯地の4部隊26世帯の計98人、テロなどが相次ぐ過酷なイラクで活動する隊員のことを心配して、ストレスを感じることが多い中、プロでエキサイティングでスリリングなプレーや応援で盛り上がる球場の雰囲気を堪能したそうです。
新庄選手は、平成13年から3年間、アメリカの大リーグでプレーをし、試合前に観客がきちんと国歌を斉唱し、軍隊の活動にも理解を示していることを肌で感じ取り、国歌というものを意識するようになったと言われております。
球団関係者によりますと、新庄選手は自衛隊が国の代表としてイラク人道復興支援に向かったことに関し高い関心を持って見つめているそうです。真駒内駐屯地から派遣される第2次派遣隊の家族を招待するプランも検討中だそうです。
自衛隊員も命をかけてイラク再建に全力を尽くすことに誇りと責任を持っています。私たちもその行動に対して敬意と感謝を捧げる気持ちを持つことは当たり前のことだと思います。
現在の日本は国際的に重要な局面を迎えております。先月5月22日に小泉純一郎首相が平壌に乗り込み、金正日総書記との日朝首脳会談の結果、拉致被害者全員の事件の究明には至りませんでしたが、拉致被害者家族5人の帰国が実現をしました。
FNNの最近の世論調査では、小泉純一郎首相の北朝鮮再訪問について72.3%が行ってよかった、63.6%が拉致問題が解決に向けて前進したと評価をしています。拉致事件などを機に私たちは国家というものを強く意識せざるを得ない状況です。
さて、御承知のように、平成11年に国旗及び国歌に関する法律が制定され、日章旗、いわゆる日の丸を国旗とし、君が代を国歌とすることが正式に決まりました。都の教育委員会においても、平成15年秋には、入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施についての通達の中で、式場では国歌を起立して斉唱すること、通達に基づく学校長の職務命令に従わない教職員には服務上の責任が問われることを周知し、各都立学校などに対し、さらに本年春には実際に式場において職務命令に従わなかった教職員176人に対し戒告等の処分を行いました。
私たちの生活においてあいさつは人間関係の基本であり、生活のけじめとして欠かせないものであります。あいさつ、すなわち例は国旗に対する礼、国歌に対する礼、人に対する礼、これらはすべて同列に語られるべきものであります。
国歌を斉唱しない、起立をしない方々は、子どもたちには気に入らない人にはあいさつをしなくてもいいと教えていらっしゃるのでしょうか。何より学校という公教育の場にいる教員の中に国歌を斉唱しない、起立をしない方々がいるというのは、大変残念であると同時に、都教育委員会の処分は教育上妥当なものであると考えます。個人の自由は尊重されるべきものでありますが、あいさつをしない児童や生徒にあいさつをきちんとしないと教え諭すのが果たして強制だと非難されるべきものなのでしょうか。むしろそれこそが教育なのではないでしょうか。
そこで伺います。中野区の小中学校において平成15年度卒業式、16年度入学式において都の通達に基づく運営がなされなかった学校はあるのでしょうか。また、現在までに本件に関して都教委から処分を受けた教員はいるのでしょうか。
さらに、式典等で国歌斉唱、国旗掲揚の際、起立をしない方、これは教員だけでなく来賓の方に対する対応をいま一度伺います。協力を求めるしかないというこれまでの対応から一歩進んで、事前にしっかり教育的立場を御臨席いただく場合には理解をしていただく、学校の指導に対して御協力いただけない場合は、毅然とした対応をすることが必要ではないでしょうか。これについては、参列した保護者の方から「大変に失礼である、非常に見苦しい」といった批判があることをつけ加えておきます。
次に、中野区教育理念の中で2番目に個の尊重についてお尋ねをします。
国を立て直す戦略を立てるとき、そこには必ずといっていいほどの教育の再建があります。その意味からも、我が会派では、中野区の教育理念が目指す教育の将来像として、中野区教育行政ビジョン素案に注目しています。
核家族化が進み、住民同士のつながりが希薄になる中で、家庭や地域社会の養育力、教育力が弱まっています。都市化や物質の豊さが進み、子どもたちは他者とのコミュニケーションをとったり、相手の気持ちを考えたり我慢したりする経験が不足し、そのことにより社会性や批判意識、命を大切にする心が十分に育っていないと指摘しています。現状に対する総括としては全く同感です。
しかしながら、目標とそれに想定している主な課題を見ると、総括したことを鋭く実践していく取り組みが期待できそうもない展開になっています。どのように具体化していくつもりなのか、お尋ねをします。
恐ろしいまでの甘やかしが親や教師の不見識というより、はやりの教育理論に支えられているところに現代日本の病根があると思います。この理論の根底にあるのが個性の尊重です。単なる甘やかしが個性の尊重という美しい言葉の魔力で、子どもへの理解ある態度に変貌をするのです。ピアノがうまい、足が速い、数学ができるといったすぐれた特性を認め、伸ばすのも当然でありますが、改めて言うには及びません。小学生くらいまでにしっかりとしたしつけをすることが正しい教育であると思います。
この厳しい過程の中で子どもは傷つくことを繰り返しながら我慢する力を身につけます。家庭教育と学校教育は機をみて個性を踏みにじることから始めるものだとも思います。個の尊重とか自由への歯どめとして、自己決定、自己責任が他人の迷惑にならない限り何をしてもよい、そういった考えが大手を振ってまかりとおるようになっています。援助交際もだれの迷惑にもならないからいいだろうと、そういった理屈になります。責任をとる必要がなくても、してはいけないことが道徳の中核です。誠実や慈愛や思いやりの心を持ち、卑怯を憎しみ名誉を大事にする、そういった責任とも迷惑とも無関係の道徳です。我が国では歴史を通じて養われた情緒、規範がそれを形成しています。個や自由は結果的にこの美風を破壊しています。個の尊重や自由にいかに規制を加えるかが21世紀、世界の大きな課題だと思います。
民主的教育論の欠陥は個人単位思想にあると言わなくてはなりません。個人を常に自立した正しい判断力を持った完成した単位と考え、その個人が集まって社会や国家をつくり、意志決定をすれば、理想な社会ができ上がると考える思想です。自立した個人なるものがどのようにしてでき上がるかは関心の外です。想定する個人が社会によってつくられるのではなく、いきなりあらわれて社会の前提となります。
個人が形成される前提として家族や社会があるという現実をしっかりと認識し、その家族や社会の影響をできるだけよくすることが教育の課題です。個人単位思想ではこの順番が逆になっています。最高位に置かれた個人の自己決定権がシステムを空洞化し腐食させる、つまり家族や社会を壊し、破壊するための戦略として明確に位置付けられております。ジェンダーフリーの理論展開をする上野千鶴子東大教授もこのような指摘をなさっております。このことに関しては、我が会派の幹事長であります篠国昭も大変に大きな疑問を呈しているところであります。
この個人単位思想が教育基本法改正に向けた今回の中教審の答申の中に忍び込んでいるところに日本の病根の深さがあらわれています。
親の責任という言葉が個人単位思想をもとにして使われるならば、それは個人の勝手、親の治外法権を認めることになり、事実上、親の無責任を助長してしまうのです。親の責任とは、共同体の文化的価値意識を子どもに継承させる社会規範を教え、それによって自己をコントロールする能力をつけさせる義務を意味するものでなくてはなりません。
中野区の基本構想検討素材を見る限り、区民憲章が個人単位思想によって貫かれているように見えますが、どのようにお考えでしょうか。
我が会派が昨年、視察先に選んだ四国の松山市でことし3月、子ども育成条例が制定されました。大人たちが率先垂範して大人も子どもも向上しようというものです。市を挙げての道徳再生運動といっていいものです。画期的内容であり、中野区においても、基本構想の理念にぜひとも取り入れるよう強く希望をいたします。区長のお考えをお聞きします。
以上ですべての質問を終わります。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 大内議員の質問にお答えをします。
まず基本構想についてであります。改革に全力を注がなければならない時期になぜ基本構想かということであります。
今、日本は、国も地方も、行政のあり方でありますとか、社会のシステムなど、大きな改革をしていかなければ、将来にわたっての持続はあり得ない、そんな時代になっていると認識をしています。新しい時代の姿を描き出すということは、改革なしにはあり得ないことでありますし、また新しい時代のビジョンを伴わない改革といったものも成就することはないだろうと思うわけであります。そういう意味で、10年後の姿を目指して改革を進めていくために基本構想を改定するのだということを御理解いただければと思います。
現行基本構想との関係であります。
現行の基本構想の描くところに基づいて進めてきたこれまでの区政を受け継ぎながら、その上に立って新しい時代に対応する新しい中野を描いていこうとするものでありまして、現行基本構想がそのままその土台として生かされているということに全く違いはないと思っております。
そして、これは全面改定であるのかということでありますが、内容をすべて新たに書き起こしているということでありますので、全面改定ととっていただいて構わないと思っております。
それからどこが違うのかということでありますが、現行の基本構想には、目標とする年次、基本構想が目指す姿をいつまでに実現するんだという年次でありますとか、どこまで実現したいんだという指標でありますとか、財政的にどのような実現可能性を持っているのかといった財政的な裏付けといったものは書き込まれていないわけであります。こうしたものを目標の姿、それからスパンを明確にすること、どのようなところまで実現すべきかという指標を明らかにすること、また財政的事業の裏付けを持ったものにするということが今回の基本構想の中では大きな眼目となっているわけであります。
それから区民憲章についてであります。区民憲章、どういうものなのか、また基本構想の見直しに当たって区民憲章はどうなるのかといったことです。
区民憲章について、区を構成するのは区民でありまして、区政をどう動かしていくのかも含めて、中野区というまちをつくっていくのは区民なわけであります。その意味でともにまちをつくっていくに当たって区民が共有する理念を区民基本構想の中で区民憲章として掲げようという考えであります。これは基本構想の一部を成すものでありますので、時代の進展に合わせて見直されるべきものと考えております。
契約という言葉が出てくるがという御質問です。
区民が自分たちのまちの将来像の実現の実現に向けてともに描き、その実現に向けてともに力を合わせていこうということを約束するという意味で契約という言葉を使っております。今後の幅広い区民論議を経て、さらに区民を代表し、区の意思の最高意思決定機関である区議会の議決をいただくということによりまして区民全体の契約と位置付けることができるのではないか、このように考えております。
それから最初の政府という考え方と区民の自己責任、あるいは区民のまちづくりといったようなこととの違いということですけれども、中央集権的な仕組みの中での政府に比べて、自治体は市民により近いところで、市民自らの意思で運営するものという意味で、最初の政府という言葉は新鮮な響きを持っていましたし、的確な表現だったと思っています。ここの基本にあるのは、区と区民が別に存在するわけではなくて、あくまでも区民の区なのだという考え方であります。みずからの政府にみずから参加し、そのみずからの決定に責任を持ってかかわるという意味では、市民自身の最初の政府という考え方を地方分権の時代にふさわしく一歩進めて表現しているのが今回の審議会や区の検討の考え方であると思っております。
それから区民の地域活動や区政参加、住区協議会、町会・自治会をめぐっての議論についてですが、審議会では、町会・自治会を初め地域のさまざまな団体が地域課題の解決に向けた取り組みをされている、そのことについて新たな公共サービスの担い手としての期待などが論じられてきたところです。このことについては区も同様にとらえているところです。区は地域センターと住区協議会構想によってこれまで参加の区政を進め、成果を重ねてきたものでありますが、地域での問題解決やサービスの担い手づくりが期待されるとともに、地域での多様な価値観や状況にあわせた合意形成の仕組みが求められる時代となった、これが現在であります。中野区の新しい自治の仕組みとして、地域センター及び住区協議会構想を踏まえて、さらに発展した形を目指していきたいと思っております。
町会・自治会についてのお尋ねであります。
町会・自治会は、地域にあって唯一の地縁団体として、防犯や防災、環境美化、子どもの育成、高齢者の見守り、その他、区民生活を守るためのさまざまな公益活動に取り組んでいるところであります。区政運営にも欠くことのできない大きな協力、貢献をいただいているものであります。区民の公共公益活動を推進することが、中野区の自治の発展や地域社会の豊さを実現する上で欠かせないと考えています。そうした立場から町会・自治会との連携、協力についても、適切に位置付けて推進をしていきたいと考えております。このことについては、新しい基本構想については明確にしていきたいと考えているところです。
それから学校施設、可能な限り新しいものを用意するといった方針を持つべきだという御意見であります。学校については、どの学校についても、いずれ改築の時期を迎えることになるわけであります。学校改築問題というのは、国の財政においても、都の財政においても、23区全体の財政においても大きな問題となっているところでありまして、日本中、どの自治体にとっても、このままいったのではすべての学校の改築ができないという問題にもなりかねないという状況であります。そうした改築をしなければならない、改築を着実に行うための大前提としても、今の学校再編を進めるということは不可欠だと考えているわけであります。学校再編とともに学校のあるべき改築の姿といったことも当然予定をしていかなければなりませんし、そうしたことを含めながら社会全体の資源配分を人口構成などに合わせて行っていくということが課題であると認識しているところであります。
それから、学校再編は原則として既存校舎を活用するということで豊かな教育環境がつくり出せるかということですけれども、改築については、申し上げたように計画的に行っていかなければならないということであります。一方、教育環境というのは、物理的な条件だけでなく、人的、社会的な環境も環境でありますので、子どもたちが適正な集団で学習できる、また教員の数をもっと確保できる、そういうことによって、専科の学習であるとか、課外活動、また部活や各種行事、そうした豊かな教育環境を実現できるという面もあると考えております。
それから基本構想の中で区が今回お示しをしている考え方では、区民憲章が個人単位思想によって貫かれているということであります。私は必ずしも御指摘のあった個人単位思想というところについてよく認識できているものではありません。しかし、区民憲章の案文の中で御提案しているのは、みんなの幸せを考える、互いのために行動するといった言葉によって、社会性、社会規範といったことについても踏まえるべきだということを提案しているところであります。
また、自己決定、自己責任という考え方については、分権自治の基本的な考え方をあらわしたものでありまして、個人、家族、地域、あるいは自治体、国など社会を構成するすべての単位の自立を尊重するという考え方であります。個々が自立するからといって共同社会に対して個が責任を負わないといったことを言うものではないと私は認識をしているものであります。
松山市の取り組みについても、十分に研究をして参考としていきたいと思っております。
私からは以上であります。
〔教育長沼口昌弘登壇〕
○教育長(沼口昌弘) 私からは残りの2点についてお答えいたします。
最初に、卒業式、入学式におきます国旗、国歌の適正な実施についてでございます。
国際社会で尊敬され、あるいは信頼される日本人としての自覚を培うためには、児童・生徒が自国及び他国の国旗、国歌を尊重する態度を身につけていくことは極めて大切であると考えています。
中野区内の小中学校における入学式、卒業式につきましては、学習指導要領に基づきまして適切に実施されており、今回の処分者は出ておりません。また、卒業式など儀式的行事につきましては、教育活動の一貫として実施するもので、国旗、国歌の指導の意義を踏まえて、教職員は斉唱時に起立するなど適切な姿勢、態度をとることが大切であり、来賓等の参加者についても、その趣旨で対応をしているところでございます。
次に、教育理念に関しまして、(仮称)中野区の教育行政ビジョンの素案にある社会性や規範意識の情勢についてでございます。
社会性や規範意識、あるいは生命を大切にする心などを身につけさせるためには、多様な子どもが在学する集団での活動を通しまして、自他の生命や人権を尊重する精神を養うこと、世の中の仕組みや働くことの価値を学び、職業観や勤労観、人生観を醸成すること、人や自然とのかかわりを大切にし、感動を伴う体験をすること、こういうことが大切であると思います。こうした目標を具体的に実現するために、道徳授業の地区公開講座を全小中学校で実施いたしまして、学校、保護者、地域が一緒になって、子どもたちの社会性や規範意識などの心の問題について意見交換をしているところでございます。また、小学校高学年からは、毎年、宿泊行事などを行いまして、集団行動を行いまして、その中で社会性、規範性を身につけるようにしています。さらに、多くの学校では、日本の伝統文化を取り入れた学習によりまして、伝統的な作法や礼儀などを学ぶ機会を設けています。こうしたことも、こういう規範性や社会性の醸成に役立っているものと考えています。こうしたことを今後とも拡充して取り組んでまいりたいと考えております。
〔大内しんご議員登壇〕
○10番(大内しんご) 基本構想の中で、町会・自治会等の位置付け、区長の方から御答弁をいただきましたけれども、もう少しはっきりというんですか、今までの基本構想、いろいろな資料を見る限り、あの10か年計画等を進めるに当たって、地域のボランティア組織といいますか、地域の大きな組織、町会が一番大きいと思いますが、当然、町会だけではなく、他のそういった組織、ボランティア、NPOといったものにも協力をお願いしていかなければ、基本構想の10か年の実現というのは大変難しいと思いますが、今までの町会に対しての位置付けは非常に希薄だった、理解はしているけれども、公といいますか、しっかりと文書で町会に対して位置付けをするということが、今までの中野区の資料を見ると、なかなかそういうことが難しかった。今回、新しい基本構想をつくるわけですから、その辺のところ、区内最大の組織、ボランティア組織であります町会・自治会に対して、中野区の基本構想、あるいは10か年計画を実現するに当たっては、ぜひとも一緒に協力をし、お願いをしなければいけない、そのためには、中野区としても、町会・自治会、そういった組織に対ししっかりと認識を新たに持つということをもう一度、お伺いしたい、位置付けをしっかり行うかどうか、その辺のところをもう一度お願いします。
それと教育委員会に、私の質問の言い方が悪かったのかもしれませんけれども、国旗、国歌斉唱の際、来賓についての対応、それはどういうふうにしているのか。先ほど文書の中で、私は来賓の方などに対する対応もいま一度お伺いします。協力を求めるしかないというこれまでの対応から一歩進んで、事前にしっかり教育的立場を御臨席いただく場合にも理解をしていただく、学校の指導に対して御協力いただけない場合は、毅然とした対応をすることが必要ではないか。これは参列した保護者から、非常に見苦しい、非常に失礼ではないか、そういった意見が保護者の方から出ておりますので、あえてもう一度お聞きをします。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 再質問にお答えいたします。
町会・自治会について、今、再質問の中で大内議員が触れられたように、さまざまな自主的な団体、NPO等の働きがこれからの中野をつくっていく上で欠かせないという認識を持っております。その中でも、最大の団体、また地域にあっては唯一の地縁団体という位置付けにおける活動、地縁団体として地域全体の公益活動を担っている最大の団体であるという町会・自治会の独特の位置付けといったことについて、適切、明確に位置付けをしていきたいと思っております。このことについては、基本構想の記述の中で明文的に記述をしていくということが必要なのではないかと思っておりますので、そのようにいたしたいと思っております。
〔教育長沼口昌弘登壇〕
○教育長(沼口昌弘) 入学式、あるいは卒業式、これはもう儀式的な行事でございますので、整然としてその儀式がとり行われるということが非常に大切でございます。その意味では、学校の関係者だけではなく、来賓等の関係者の方も、その式に協力するということが非常に大切になると思います。その意味で、どなたが参加されるか、事前にわからない場合もありますけれども、今までの過去の経験の中でそういう例があれば、きちんと事前に説明しながら理解を求めていく、毅然とした態度で対応していくということで頑張りたいと思います。
○議長(山崎芳夫) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。
議事の都合により、暫時休憩いたします。
午後3時01分休憩
午後3時23分開議
○議長(山崎芳夫) 会議を再開いたします。
一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 昆 まさ子
1 区長の政治姿勢について
(1)イラク派兵撤退、年金問題について
(2)その他
2 基本構想と10か年計画の「検討素材」について
(1)基本構想について
(2)地域センター、学校、図書館、児童館など施設配置について
(3)その他
3 国の介護保険制度見直し案について
(1)保険料、利用料の低所得者の軽減対策について
(2)介護保険制度と障害者福祉の統合について
(3)特別養護老人ホームなど基盤整備について
(4)その他
4 南中野防災まちづくりについて
5 その他
○議長(山崎芳夫) 昆まさ子議員。
〔昆まさ子議員登壇〕
○40番(昆まさ子) 2004年中野区議会第2回定例会に当たり、日本共産党の立場から代表質問をいたします。
質問に先立ち一言発言をいたします。
昨日、長崎の小学校6年生の女子児童がカッターナイフで同級生の首を切って殺すという事件が発生しました。校内で給食時間に突如命を奪われた≪記載削除≫さんと家族に心から哀悼の意を表します。けさのテレビで、子どもは社会から守られていると実感できるとき、子どもも社会を守ろうとするとの発言がありました。加害者となった子どもへの支援を含め、子どもの教育と社会的環境の改善が大人の重要な責任だと痛感しています。日本共産党はそのために力を尽くしてまいります。
それでは、質問に入ります。
まず初めに、区長の政治姿勢について伺います。
5月27日、イラク・バグダッド近郊で取材中に日本人二人のジャーナリストに対する銃撃があり、死亡が確認されました。大変痛ましいことです。何者がやったにせよ、民間人を標的にする、このような攻撃は決して許されない蛮行です。今度の事件はバグダッド西方のパルージャの南部のナジャス、カルバラなどで米軍がイラク人全体を標的に激しい包囲、掃討作戦を繰り返していることに、イラク人全体の憤激と抵抗が広がっている中で起きたと言われています。イラクの全土が戦場化になっている状況は、非戦闘地域を前提に自衛隊を派兵するとしたイラク特別措置法の前提が成り立たなくなっています。
区長は自衛隊の撤退を早急に求めるべきです。見解をお聞きします。
次に、年金問題について伺います。
今、年金改正法案めぐって国民の7割以上が反対しています。100年安心の政府・与党が大宣伝してきた年金法案は、給付は5割確保、保険料は上限をつけるという2枚看板が実はうそだったことが5月12日、参議院厚生労働委員会で我が党の小池晃参議院議員の質問で明らかになりました。国民年金保険料は、賃金が上昇すれば2017年以降も上がり続けます。また、給付の5割確保は一部のモデル世帯に限ったもの、しかも受給開始が65歳のときだけです。その後は4割台に下がります。政府・与党は、このような大事な事実を隠したまま衆議院の採決を強行しました。
さらに、国会議員には年金制度を決めるという重い責任がありながら、未納問題は次から次と発覚しています。衆議院の採決後に公表する政党もあるなど、国民をあざむきながら大改悪を強行しようとしているのです。
国民の中にも、余りにもひどいと怒りと不満が広がり、政治不信が高まっています。国会では、日本共産党、民主党、社民党が廃案を目指すことで一致していますが、国民年金法案が強行されるならば区民の暮らしにも重大な打撃を与えることになります。
区長は政府に国民年金法案の撤回を求めるよう国に働きかけるなど行動をとっていただきたい、区長の見解をお聞きします。
次に、03年度の中野区国民健康保険事業特別会計で行われた繰上充用という異例の措置についてお聞きします。
先月の出納閉鎖が行われる直前に、国保会計に3億7,000万円余の赤字が生じていることが発見され、区長の専決で繰上充用という異例の措置がとられました。国保会計の歳入不足を一般会計から補てんするために補正予算を組むということは、中野区だけでなくどこの区でも行っている通常の会計処理です。ところが、中野区は15年度の補正予算を組む際に、保険料の予算額と実際の保険料収入との差を正確につかむことができなかったため、会計処理がうまくいかず、結果として3億7,000万円もの赤字が生じたものです。
2000年度までの保険料の現年度分収納実績は88%、滞納繰越分では19%でした。ところが、中野区は行財政5か年計画で保険料の徴収率を上げることを目標として打ち出し、01年度はそれぞれ89.5%と28%に、03年度は90.5%と30.1%にと過大な目標を立てました。その目標達成に職員は追いまくられ、調定額に対する収納率だけに目が奪われ、実際の予算額と収納額との開きにだれも気がつかなかったという大失態を犯すことになったわけです。これは行政として考えられないミスであって、そのために区は不足分を今年度の保険料から繰上充用するという異例の方法をとらざるを得ませんでした。このような事態は23区でも例のないことです。
しかも、これを処理するために議会の議決もなしに区長専決処分で対応しました。その意味で区民と議会の不信を招いた区長の責任は重大だと思います。区長はどのように考えておられるのか、見解をお聞きします。
今後、区は繰上充用した保険料を徴収するために、職員を駆り立て一層厳しい徴収を行おうとしています。区民の生活は本当に深刻です。02年度に比べ飲食の材料販売の売り上げは2割前後、衣類などの小売店は4割前後も落ち込んでいます。一方、保険料を滞納している区民への短期保険証や10割負担の資格証明書の発行は1万件を超えています。国保事業は住民の命に直結するものです。決して行政の失態を区民に押しつけてはなりません。そのことを申し上げて次の質問に移ります。
次に、基本構想と10か年計画についてお聞きいたします。
先日、新たな基本構想と10か年計画の検討素材が示されました。この基本構想は来年2005年度を初年度とし、10年後の2014年度を目標とするもので、今後10年間の区政運営の基本を定める重要なものです。
今回示された検討素材は、自治体のあり方の基本にかかわる多くの問題点が含まれております。にもかかわらず、8月に素案としてまとめ、わずか3か月後の11月には議会の議決を求めるというのは、余りにも性急過ぎるではありませんか。これでは区民の意見を反映した基本構想になり得ないことを最初に指摘しておきます。
1981年に制定された現在の基本構想は、その前文で「中野を真に人間のまちにつくりあげていくことを新しい未来に向けての目標とし、中野の将来像と区と区民が果たすべき役割を明らかにする」と述べています。そして「ともにつくる人間のまち中野」を基本理念とし、五つの目標と五つの柱を中心とする具体的な課題を明らかにしています。区と区民は基本構想を共通の目標とし、障害者、高齢者、福祉の前進、子育てと教育条件の整備、そして憲法擁護・非核都市宣言に基づく平和行政などなど新たな前進を実現してきたのです。これが区と区民が築いてきた中野の歴史の大きな特徴です。
03年に中野区が行った世論調査では、第1位は高齢者・障害者、子どもの福祉が充実したまち、第2位は災害に強く安全に暮らせるまち、第3位が保健・医療体制が整備され健康に暮らせるまちとなっています。特に高齢福祉がここ10年間、1位を占めているのが特徴です。国政が行き詰まる中で、福祉の充実を願う声はこれまで以上に切実になっています。
区長はこれまでの答弁で現行基本構想のいい理念は引き継ぐと言っておられますが、どこをどのように引き継いでいくのか、具体的にお答えください。
新たな基本構想と10か年計画の検討素材は、現行の基本構想の理念とするどく対立し、区政の歴史と成果を根本から否定するものになっています。その一つが自己決定、自己責任の押しつけです。新しい基本構想をつくるために区が設置した基本構想審議会の答申は、基本理念の一つに参画と協同を掲げました。ところが、区はこの部分を自己決定と自己責任という全く異なる言葉に書きかえたのです。本文では、自己決定、自己責任による地域社会とか、自己決定、自己責任を地域運営の原則としなどと使い、言葉の概念も定義もなしに、区民と地域社会に責任を押しつけています。これでは言葉の書きかえとあわせて区の公的責任を放棄するものとして、区民の期待を二重に裏切るものです。なぜこのような言葉の置きかえをしたのか、区長の見解をお聞きします。
次に、大きな問題は中野駅周辺の再開発を優先課題としていることです。基本構想の具体的課題のトップに中野駅周辺整備を掲げ、巨大ビルを幾棟も建設する中野駅周辺再開発事業を強行しようとしています。区が2億円も出資して新会社を立ち上げ、50億円もの借金をしてサンプラザを買い取ることとあわせ、区政を変質させる重大な問題です。この道を進めば緑と防災の広場を犠牲にし、環境破壊を進め、福祉や教育など区民に直結する予算を切り捨てることになります。この問題は池田議員が後ほど詳しく質問しますので、問題の指摘だけにとどめます。
15の地域センターを廃止し、集会室機能だけの地域活動センターに名称を変え、町会・自治会に運営を委託しようとしています。住区協議会についての記述がありませんが、区長は住民自治の組織を消滅させるつもりなのですか、お答えください。
地域センター・住区協議会構想に基づいて地域の区長室として整備してきた地域センターを、当の住区協議会や町会・自治会など関係者の意見を聞くこともなく、住民の暮らしや自治活動に与える影響等の検証もないまま、しかも議会に一度の報告もしないで廃止を盛り込んでいるのです。区は15の地域センターを廃止することに変えて、統廃合で廃止した学校を利用し、総合公共サービスセンターを3から4か所つくるとしています。身近なところでのサービスを必要とする高齢者、障害者の方々の不便をわずか3から4か所のセンターで解消できるはずはありません。地域センターや住区協議会の存続をするのか、廃止をするのかは、区民参加、区民自治にかかる重大な問題です。もっと時間をかけ、将来のあり方についての区民合意を築くことが先決ではありませんか。区政の歴史や区民の活動、運動に対しもっと謙虚であるべきです。再検討すべきと思います。答弁を求めます。
小学校を29校から21校へ、中学校を14校から7校に統廃合するとしています。地域や教育関係者の意見を聞くこともなく、行政の都合とデスクワークだけで統廃合計画をつくり、しかも学校選択制を導入して、廃止する予定の学校を親、子どもが自主的に敬遠する仕組みまでつくろうとしています。30人以下の少人数学級を目指す県が急増し、大勢を占めているのに、中野区は現行40人学級をこれからも変わらないものとしています。しかも子どもは今後もふえないことを前提とした計画になっています。小学校18学級、中学校15学級を望ましい学級規模だと断定し、小規模学校の存在を勝手に否定しています。これまでは地域に開かれた学校の重要性を強調していたのに、今度は住民や父母の意見も聞かないで行政のデスクワークだけで計画をつくっています。余りにもひどい御都合主義と言わざるを得ません。
一方、子どもたちの教育環境や教育条件を改善していくための将来計画は何も示されていません。教育行政区民参加条例がありながら、これに基づく区民参加も全く無視されています。これでは財政効率だけの学校統廃合計画であって、子どもたちに何の夢も希望も語れないではありませんか。教育条件整備に責任を持つ教育委員会の見解をお聞きします。
ことし4月から、地域図書館は館長1名を残し全面的な民間委託を行いました。今度は図書館の統廃合を行おうとしています。
子どもの読書活動の推進が法律で決められたように、幼児の読み聞かせ、親子読書の大事さが特別に強調されています。いわゆる団塊の世代が退職し、地域での活動の機会と条件が広がることに対しても、文化施設としての図書館の役割が期待されています。高度情報化社会が進む中で、地域の情報拠点として、あるいは情報活動能力の育成を支援する拠点としての役割も求められています。さらに産業振興やビジネス支援の面からも、新たな取り組みが必要になっています。地域館を廃止して学校図書館で肩がわりをさせようとするのは、余りにもお粗末で、現実を無視した空論ではありませんか。
今、中野区に求められているのは、ここ数年間で大幅に削減した図書館予算を復元し、図書資料と機能を充実させること、中野区にふさわしい新たな図書館政策を住民参加でつくることではありませんか。見解をお聞きします。
児童館と学童クラブを小学校に吸収し、子どもたちの放課後を校庭や体育館で過ごさせることにしています。かつて学童クラブは校内の一角に設けられていました。その後、児童館の整備が進められる中で、その中に学童クラブが設けられるようになり、内容も整備されてきた経緯があります。学校外にクラブがあるからこそ、指導員にただいまと声をかけて帰ることができるのです。だからこそクラブは学校の緊張を解きほぐす憩の場となり、生活の場となっているのです。
また、児童館は乳幼児を持つ母親の貴重な交流の場となっており、子育て支援の場でもあります。その児童館を小学校に吸収するのは、子どもたちの育ちの場を奪うことになります。計画の見直しを強く求めます。答弁を求めます。
さらに、負担の公平を図るとして区立幼稚園の父母負担を保育園並みに引き上げ、運営について指定管理者制度を含めた民営化を行おうとしています。区は、子育て支援が重要、家庭の役割が重要などと言いながら、保育園の民営化や指定管理者制度により管理委託を強引に進めてきました。その方針によって、10年以上も働いてきた非常勤保育士を一方的に解雇したため、今では裁判にまでなっています。今度は保育園だけでなく幼稚園までその対象にしようとしています。しかも、負担の公平を図るという口実で父母負担を引き上げるというのです。中野区が乳幼児の成長、発達に直接かかわる大事な仕事から撤退すれば、乳幼児教育、保育に関する豊富な蓄積を放棄することになり、やがてその能力すら失うことになります。行政内部からその力量がなくなれば、実質的な指導や子育て支援を行う力量をなくし、責任も果たせなくなります。余りにも無責任な計画と言わざるを得ません。計画の見直しを強く求め、答弁を求めます。
以上、地域センターの廃止、学校と図書館の統廃合、学童クラブ、児童館の小学校への吸収、保育園と幼稚園の民営化など、主なものに絞って質問をしました。
区は小さな区役所で質の高い行政などと言っていますが、つまるところ民間委託や民営化、住民による自主管理を徹底して進め、区の役割を民間事業者の育成や監視、利用者保護などに限定しようとするもので、中野区が果たすべき公的責任を放棄するものと言わざるを得ません。
区長は、区の施設をゼロベースから見直しといい、民間でやれるものは官ではやらないなどと言ってこられました。この発想は区と区民との共同によって培ってきた中野の歴史と文化、数々の成果を乱暴に踏みにじることにつながっています。財政効率優先の基本構想でどうして中野区の新しい未来を切り開くことができるでしょうか。計画の見直しを重ねて強く求めます。
次に、介護保険制度の改善等についてお聞きします。
2000年4月から導入された介護保険制度は、施行後4年が過ぎました。国は法で定められた5年後の見直し検討を進めています。この制度が始まるとき、高齢者介護は社会全体で支え、家族の負担を軽くことはだれもが願っていました。しかし、保険料の負担や利用料の1割負担の問題、サービスに必要な基盤整備の立ちおくれの問題、高齢者在宅福祉サービスにおける公的責任の放棄など、国民はもとより多くの自治体や法人からも問題点が指摘されていました。この不安や問題は4年たった現在も大きく改善されていません。
まず保険料について伺います。
区は昨年度からいたします第1号被保険者の保険料を6段階にし、第1段階、第2段階の保険料率を低く抑えるなどの努力をされました。我が党は、この制度の導入時から低所得者への軽減対策を要求しておりましたので、低所得者軽減対策は一定の評価をしています。全国の市町村の中で保険料の減免をしている自治体は、昨年4月時点で695市町村となり、前年度より95%もふえています。このように自治体独自に低所得者層への減免制度を講じて努力していますが、国の災害、長期入院、失業、不作などに限定されている減免措置は不十分です。全国市長会も生活保護を受給しておらず生計困難と認められる者に対する措置について、国の特別対策は問題が多いと意見を上げています。中野区でも保険料に関する苦情は03年度で179件となっています。
区は、国に対して制度の見直しに当たり、低所得者層の負担軽減策を大幅に拡大し、国の制度として確立することを求めるべきです。見解をお聞きします。
5月19日、厚生労働省の見直し案の骨格が新聞報道され、20歳から39歳を新たに第3号被保険者として、月額500円から1,000円の保険料を徴収するという考えを示していることがわかりました。介護保険制度の財政負担を若年層に押しつけるなど認められません。
区は、介護保険料の負担を若年層へ拡大することに反対し、見直し検討から撤回を求めるべきです。見解を求めます。
次に、利用料について伺います。
国は現行の1割利用料負担を引き上げ、2割から3割負担を利用者に求めることや要支援高齢者への給付制限などを検討しています。だれでも安心して介護が受けられるといううたい文句と裏腹に、1割負担は現在でも本人、家族にとって大変重いものとなっています。
夫婦二人暮らしで70歳代の夫が介護保険の居宅サービスを受けている妻から、介護保険制度というのは、サービスを受ける本人や家族の気持ちに立った制度ではない、サービス事業者は何でもお金に計算し、介護度4だから限度額いっぱいに利用しなければ損だといってケアプランの作成をするが、年金と私のパートで働いて得る収入では1割負担が重いと心境を訴えられました。
また、介護度5の母親を在宅で見ている方は、利用料の負担が大きく、ケアプランで組まれるサービスを削り、ホームヘルパーの時間は30分だけにしていますが、ヘルパーの方は、30分で頼まれる仕事をこなすことはできないと語っていました。
利用料の値上げは、ますます介護サービスの利用抑制を増大させることになります。
区は、国に対して利用料の引き上げをしないこと、ホームヘルプサービス利用料軽減を求めるべきです。区の見解をお聞きします。
次に、介護保険と障害者福祉の統合という考え方について伺います。
昨年4月から始まった支援費制度は、だれがどのぐらい、どの事業者のサービスを使うかを自治体が決める措置制度、障害者が自分でサービス事業者を選び、契約する、障害者が申請し、市区町村がサービス量を決めるという制度になったのです。
国は、制度が始まる前に、ホームヘルプサービスの増を3割増と予測しましたが、実際は6割増となったことで、政府の当初予算が100億円も不足したと発表しました。中野区としても1億円余の補正予算を組まざるを得ませんでした。国は介護保険と障害者福祉の統合によって、支援費制度に含まれていない精神障害者も対象にする、また自治体格差も解消できると言っていますが、介護保険制度では1割の自己負担が求められるほか、利用サービスの上限額が決められているため、1日に受けられるホームヘルプサービスは要介護5でも3時間程度になります。在宅でひとり暮らしをしている障害者の方にとっても、生活が維持できなくなるとの声も上がっています。基盤整備は在宅、施設とも大きく立ちおくれています。自由に選択できるという状況になっていません。国は、障害者支援費制度を介護保険に統合すれば、今後、財源が安定して確保できるという考えですが、障害者支援費制度が始まってまだ1年です。その検証もせずに財源問題だけを優先し国の考え方は納得できません。今、障害者や家族から不安や反対の声が広がっているのは当然です。また、全国市長会も76%が慎重、反対の姿勢を示しています。
介護保険制度と障害者福祉の統合という国の考え方は、すべての障害者が個人の尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するものとする、この障害者基本法の精神から反することになりかねません。区の考え方をお聞かせください。
次に、特別養護老人ホームの整備について伺います。
東京の特別養護老人ホームの入所希望者は、介護保険実施後、急増しています。現在2万人を超えており、老人保健施設も不足しています。中野区内の特別養護老人ホームに入所を希望されている方の待機者は1,000人を超えています。区の老健施設は一つもありません。
私は南台で介護度5の95歳の母親を夫と二人で介護している70歳代の方から、区内の特別養護老人ホームに母の入所をおととしから申し込んでいるが、まだ入所できない。介護ヘルパーさんを頼んでいるが、食事など自分が手をかけなければならないので大変ですと言っていました。
南中野の地域は特別養護老人ホームの施設がない地域です。身近な特別養護老人ホームをつくってほしいと要望があります。ぜひ地域住民の要望となっている特別養護老人ホームを小規模も含めて検討されることを求めます。区のお考えをお聞きします。
区は、06年度江古田の森整備計画で100床ふやし、さらに07年度、新規に社会福祉法人の誘致をして100床をふやす、730ベッドを整備する計画を持っています。区内の特別養護老人ホームの入所を待っている方が1,000名以上いるという実態を見ても、江古田の森整備で福祉施設の整備は区民から待ち望まれています。既に業者の選定も進められており、今度の第2次選考で6月上旬までに優先交渉権者を決定することになっています。
ところで、厚生労働省は施設入所から在宅へという方針を掲げ、介護老人施設整備への補助の削減を突然行いました。このため第1次選考で選ばれた3事業者のうち1事業者が途中で辞退するという思わぬ事態が起きております。
改めてお聞きします。江古田の森保健福祉施設計画は予定どおり進められているのでしょうか。07年度に予定している社会福祉法人による100床を確保するという計画は実現できるのでしょうか。国の予算の削減は区の計画のおくれなどにつながる深刻な問題です。
区は区民の希望にこたえられるよう国に強く求めるべきです。見解をお聞かせください。
次に、区の介護保険事業計画と介護サービスの改善について伺います。
区内のショートステイは、社会福祉法人6施設で定員36名です。私は、しらさぎホーム、小淀ホーム、ベタニア、そしてかみさぎホームの4施設だけですが、利用状況を調べました。4施設の申請は年間でおおよそ2,552件です。利用者の人数は4施設合わせて1,137人です。44.5%の利用状況です。区民がショートステイを利用しても何週間も先とか、何か月先でもふさがっているという状況です。緊急の場合など、やっとあきがあっても遠くのショートステイになります。
この実態について、区は利用希望者に供給が追い付いていないと言っていますが、区として先の見通しを持った基盤整備に取り組むべきです。区の考えをお聞きします。
次に、訪問リハビリと通所リハビリのサービス供給について伺います。
訪問リハビリは要介護度の進行を抑え、在宅での自立した生活を支える重要なサービスです。また、通所リハビリも同じように在宅で生活するために必要なサービスです。しかし、実績を見ると、訪問リハビリは、01年度は月平均の利用者数で40人、02年度は47人です。通所リハビリは132人から136人とわずか数人の増です。東京都は、リハビリテーションは要介護状態になることの予防状態の軽減、悪化防止に有効であると国の介護保険制度見直し案に提案をしていますが、区民に必要なサービスです。
区は医療機関の事業参入を求めるなど事業者の参入を拡大すると言っていますが、どのように見通しを立てて取り組んでいるのか、伺います。
介護保険制度のもとで区民が安心して介護サービスを利用し、いつまでも中野区に住み続けられるよう、区の一層の努力を求め、この質問を終わります。
次に、南中野地域防災まちづくりに対する今後の区の考え方について伺います。
南部地域防災まちづくりは、1983年から取り組まれてきました。南台一、二丁目は、行きどまり、幅の狭い道路や一方通行の道路が多く、木造家屋が密集しているなど、地震災害に対する危険度が高い地域だと指摘されています。2000年に防災街区整備計画に定められ、事業期間は07年度までとなっています。これまで区画道路の取得は目標の30%です。今年度の予算で東大附属中等学校の西側道路用地の買い戻しと樹木の移植や電柱の地下化の予算が計上されました。住民は協力して安全なまちにしなければという思いと、一方、今すぐにできるものではないという思いがあります。
こうした中で事業期間があと4年余りとなりました。事業期間の延長が必要です。区の見解をお聞きします。
防災まちづくりは、何といってもそこに住んでいる人たちが主役です。防災、震災に備えたまちづくりの重要さを理解し、みんなの力で少しずつでも共同して取り組んでいくことが大事です。根気強く取り組んでいくためにも、地域の中で住民が話し合い、意識を高めていくことが求められているのではないでしょうか。計画が決まっている地域だから、後は住民任せでは進みません。区として取り組みを支援するために一層の努力が必要です。地域まちづくりニュースの発行で計画の進捗状況などを住民に知らせること、引き続き防災まちづくりに対する住民の意見交換をするなどの支援も必要です。南中野防災まちづくりを住民とともに成果を上げていくために、区の決意を伺います。
さらに、この事業は、国費は2分の1、都費は4分の1の補助を受け、国と都の合計は事業費の75%になります。それだけに財源問題は重要です。都は昨年の特別区との協議事項に、防災生活圏促進事業、また木造住宅密集地域促進事業など協議項目に挙げてきました。
この事業が中途半端にならないよう都に財源確保を求めていくべきです。区の見解をお聞きします。
東大海洋研究所の移転に伴う広域避難場所の整備は、防災まちづくりと一体として位置付けられてきました。区は粘り強く取り組むといっていますが、防災に強いまちづくりを進めるとともに、地域の広域避難場所の確保について改めて区の決意を伺います。
以上で私のすべての質問を終わらせていただきます。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 昆議員の質問にお答えをいたします。
イラクの派兵撤兵の問題でありますが、自衛隊の派遣につきましては、政府が法に基づく国会の承認によって行ったものでありまして、権限、立場、責任の異なる自治体の長として、御提案のような申し入れを行う考えはありません。
年金問題についてですが、年金制度は社会・経済と調和した安定的な運営が求められ、制度への国民の信頼を確保することが大きな課題であると認識をしています。現在の制度がそうした問題に十分にこたえ切れていないと思っているところでありますし、今後も幅広い議論が必要と考えているところであります。しかし、現時点での対応も急務でありまして、現在の法案を撤回すべきとは考えておりません。
それから国民健康保険特別会計の問題であります。
今回の問題は予算額に対する収納率でとらえるべき数値を誤って調定額に対する率でとらえてしまったことでありますとか、予算額に対する収入と支出とチェックが組織的に不十分といった極めて単純なミスから発生をしたものであります。今回、繰上充用を区長の専決処分とせざるを得なかったことは、予算や会計事務の不手際から発生した、このことについては、所管部長の指導、監督責任が不十分だったと思うわけであります。同様にその上司である私自身にも責任があると認識をしております。そうした意味からも、国民健康保険制度は被保険者の保険料と公費によって賄われているという制度の趣旨を十分に踏まえ、保険料収入については、国保財政上の大きなウエートを占めているわけであります。このため保険者として今後とも収納率の向上に最大限の努力をしていく必要があると考えております。
基本構想についてであります。
現在、策定中の基本構想は、現行基本構想の描くところに基づいて進めてきた、これまでの区政を引き継ぎ、その上に立って新しい時代に対応する中野の姿を描いていこうというものであります。現行の基本構想のよいところは、これまでの区政にも生きてきたところでありますし、これからも脈々と生きていくと考えております。
自己決定、自己責任という言葉についての御質問でありますが、自治体としての区の主権者は区民であります。区と区民が別々にあるということではなくて、区が区民に何をするかということではなくて、区民同士が区を通じて互いに助け合い、地域社会を形成していくというのが自治体だと思っています。区と区民が全く別にあって、区民の負担がふえることは困るけれども、区は大きな責任はどんどん負えということで自治体が持続できるというわけではないと考えているわけであります。そうした意味からも、当然、区が成すべきことについては、区民みずからが決定し、区民みずからがその決定の実現に責任を持って行動をし、参加することがこれからの自治体運営で必要なことだと考えています。こうした自己決定、自己責任という考え方は、自治体の基本となる考え方であって、地方分権の時代にあっては、ますます重要なことと考えております。
それから地域センターと住区協議会構想、また地域センターのあり方ということであります。
今回、検討している中で、住区協議会をなくすといったことを提案しているつもりはございませんし、また区が住区協議会をなくすことができるという発想自体が住区協議会の自主性を損なう発想なのではないかとも思うわけであります。そういう意味で、区は今後の地域センターのあり方、あるいは住民活動支援のあり方、自治の推進といったことに新しい考え方を持ち、さらにこれまでの自治の実績を推進させていきたいと思っているところであります。
現在、地域センターで行っている届け出や証明書交付などの業務については、ITの活用やコンビニでの受け渡しといった新しい手段なども取り入れていくことによって、3から4か所程度に集約することに問題はないのではないかと考えております。また、地域センターの地域活動拠点としての機能につきましては、今後、区民活動センターとして地域の自主管理としていきたいと考えています。また、現在、地域センターが業務として行っている地域活動の支援については、地域の自主性を十分に尊重しながら必要な支援をきちんと行っていきたいと思っております。
それから児童館についてでありますが、学校を放課後、子どもたちが安心して伸び伸びと遊べる場とするとともに、地域全体で子どもたちを見守り、育てていく、地域の健全育成の拠点にしていこうという考えでありまして、ぜひとも御理解をいただきたいと思っています。
それから保育園、幼稚園の関連であります。
民間や地域活動団体などの多様な担い手によって、これまでの公共サービスがより効率的で柔軟に区民に提供されていくということが必要だと考えています。そうした場において、行政は監視や評価の仕組みをつくったり、サービスの質と量を確保するという行政の責任をしっかりと果たしていかなければならないということでありまして、そうした中で子ども施策に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
また、負担の公平化という考えについての御質問もありましたが、同じサービスを同じような基準て、また同じような負担で受けていくということが公平性、あるいは区民の権利を守るというところからも、私は必要だと考えております。そういう意味での負担の公平化ということについて、きちんと進められるように検討していきたいと思っているところであります。
私からは以上です。
〔教育長沼口昌弘登壇〕
○教育長(沼口昌弘) 基本構想と10か年計画に関しまして、学校と地域図書館のお尋ねについてお答え申し上げます。
まず学校再編について時間をかけた論議が必要であるという点でございますが、区立小中学校の再編につきましては、昨年6月に教育委員会としての再編についての基本的な考え方を案としてお示ししてございます。これにつきましては、基本構想審議会の議論の素材として、あるいは区民と教育委員との対話集会、こういうところで区民論議を行ってまいりました。また、本年3月発行の教育だよりには、その概要を掲載するとともに、地域センターやその他の公共施設におきまして、あるいは教育委員会のホームページで全文を見ることができるようにしてございます。
また、先般の基本構想に関する意見交換会におきましても、学校再編を初め教育に対しての対話をしておりまして、これも区民参加条例に基づく区民参加の一つであると考えてございます。
これらを踏まえまして、本年8月に具体的な再編計画案をまとめる予定でいますが、その後も区民論議を深めていただいた上で、最終的に再編計画を決定していきたいと考えてございます。
次に、地域図書館の充実についてでございます。
地域図書館につきましては、施設配置の見直しとあわせまして、蔵書の充実、あるいはIT活用、あるいは学校図書館との連携によるサービスの拡充を行いまして、区民にとって利用しやすい図書館としていくよう検討しているところでございます。
〔保健福祉部長菅野泰一登壇〕
○保健福祉部長(菅野泰一) 国の介護保険制度見直しにつきまして、保険料、利用料の低所得者への軽減対策等につきましての御質問でございます。
低所得者による円滑な利用も含めまして、介護保険制度の安定した事業運営を確保するためには、広く国民各層の意見を聞きながら、被保険者の範囲の拡大なども視野に入れまして、負担のあり方について総合的な検討が必要と考えております。現在2006年度に向けまして国の検討が行われておりまして、それを見守りつつ、国に対して必要な意見は申し上げてまいりたいと考えております。
また、国のホームヘルプサービス軽減策につきまして、制度施行時におけます利用者負担の激変緩和措置として実施しているところでございますが、これについて継続するということについて、区としては要望する考えは持ってございません。
それから、介護保険と障害者福祉の統合につきまして区としての考えはどうかということでございます。
介護保険制度と障害者福祉の統合につきましては、制度の安定した運営を確保するためには、一つのあるべき方向性と考えておりますが、その前提といたしまして幅広い国民の理解と制度的な整合を図るさまざまな検討が必要であると考えているところでございます。
それから特別養護老人ホームの基盤整備ということでございまして、特に南部地域にというお話がございました。
今、国におきましては、施設整備のあり方等を見直しているということでございまして、そのため新たな特養ホームの整備につきましては、大分厳しい状況になってきております。区といたしましては、こうした状況を踏まえまして、特養ホームだけではなく、グループホームとか、小規模多機能施設などを含めました施設整備の方向性につきまして検討していきたいと考えております。
江古田の森はどうであるかという御質問がございました。
江古田の森保健福祉施設整備につきましては、国の補助金の見直しという厳しい環境ではございますけれども、現在、民間事業者を選定しているところでございます。2事業者から事業の提案をいただいておりまして、今月中には1つの事業者を決定する予定でございます。したがいまして、予定どおり特別養護老人ホームにつきましても整備できる見込みでございます。
それからショートステイにつきまして拡充をというお話でございます。
ショートステイにつきましては、今年度、しらさぎ特別養護老人ホームにおきまして5床の増床を図ることといたしております。また、江古田の森保健福祉施設につきましては、特養、それから老保を含めまして40床を整備する予定でございます。今後は小規模多機能施設を整備する中で、ショートステイにつきましても、さらに確保できるよう取り組んでいきたいと思っております。
さらに、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションでございますが、訪問リハビリテーションにつきましては、介護保険の報酬単価が安いなどの理由でなかなか供給量が伸びていないという問題がございます。したがいまして、国に対し報酬の見直しを求めていきたいと考えております。それから事業者につきまして、事業者連絡協議会がございますので、この中で事業参入につきまして十分に働きかけていきたいと考えております。さらに江古田の森保健福祉施設整備におきましては、通所リハビリテーション事業が1日当たり40人、訪問リハビリテーション事業につきましても、事業者の方で確保するという見込みでございまして、ふえていくと考えているところでございます。
〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 南中野防災まちづくりについてお答えをさせていただきます。
この地域の事業期間を延長することにつきましては、現行期間内では十分な進捗が見込めない状況でございます。したがいまして、今後、都と財源確保もあわせまして十分に協議をしてまいりたいと考えてございます。
また、防災まちづくりの必要性や事業効果等を区民の皆様方に理解をしていただくためのPRにつきましても、今後、いろいろと工夫をしてまいりたいと考えてございます。
南部地域に防災公園を整備するということにつきましては、区といたしましても必要と考えてございます。具体的な場所についてでございますが、現在の東大附属中等学校の敷地を含めまして、区施設全体の配置計画を検討する中で、総合的視点から考えてみる必要があると考えているところでございます。
〔昆まさ子議員登壇〕
○40番(昆まさ子) 再質問をさせていただきます。
最後の答弁の方からお聞きしたいと思うんですが、防災まちづくりとあわせた東大海洋研究所、東大中等学校の広域避難場所という位置付けは、既に区の計画としてずっとお持ちになっておりました。住民の方たちもそういうふうに認識をしております。それが総合的なというお言葉になっておりますけれども、広域避難場所ときちんと位置付けたものを検討されていくのか、施設の配置等も含めてというお答えですけれども、一体それはどういうことなのか、伺います。
それからもう1点ですが、これは区長の基本姿勢にもかかわるんですが、例えば区長は年金制度の法案に対して撤回を求める考えはないというお話です。さらに、介護保険の保険料や利用料等についても、国に対して軽減対策を要求しないと言われておりますが、こういう考えをお聞きしますと、中野区の現基本構想では、本当に人間のまち中野として区民を大事にするという考えが示されていますけれども、国のそういう制度のもとで区民の人たちの暮らしがどんどんと破壊されていくといいますか、大変な状況に追い込まれていくということも、区長はそれでもいいとお考えなのか、先ほどの御答弁では非常に心配をしておりますので、その点をお聞かせください。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) まず負担の問題ですけれども、国民年金法案をめぐって負担についての考え方ということですけれども、年金の制度でありますから、状況の中で負担が一定ふえていく、そういう中で給付を確保していくという制度だと私は認識をしております。負担は抑えなければならないけれども、給付は確保しなければいけないといったことで、今後の日本の社会の中で国民年金の制度がやっていけるのかどうかということについても、きちんと認識をしなければならないし、国民的に議論をしていかなければならないということだと私は考えております。
それから介護保険の保険料のことですけれども、保健福祉部長の方の答弁としては、今後、国の制度の見直しといったことの中で、必要な意見は国に対しても当然言っていきたいということを申し上げているわけであります。適切な低所得者対策が必要であるということについては、私も、また区長会、市長会においても、同じような認識を持っているところでありまして、当然、必要な行動は行っていかなければならないと思っているわけであります。
それから今回のホームヘルプサービス利用料軽減策のお話については、国としての激変緩和措置として実施しているものですから、これについて継続要望をする考えはないということは、保健福祉部長が答弁したとおりであります。
〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 再質問にお答えをさせていただきます。
現在、広域避難場所という形で指定をされておるところでございます。区で考えておりますことは、現在、学校施設の適正配置を考えてございます。これらの関係から、施設の配置状況等も検証を一度、広域避難場所、あるいは防災公園といったものも、総合的な視点で再度、検証が一定必要だろうという認識でございます。
○議長(山崎芳夫) 以上で昆まさ子議員の質問は終わります。
この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
中野区議会議員 市 川 みのる
1 区長の政治姿勢について
2 適正規模人口について
3 地区計画について
4 中野駅周辺整備計画対象エリア内の施設配置について
5 中野区の教育理念と学校選択制について
6 産業振興策について
7 国や都との連携について
8 高齢者の高額医療費制度について
9 分煙による喫煙マナーの確立について
10 IP電話の導入について
○議長(山崎芳夫) 次に、市川みのる議員。
〔市川みのる議員登壇〕
○24番(市川みのる) TOKYO自民党中野区議団を代表いたしまして一般質問をいたします。
冒頭に、先月の22日土曜日、小泉首相の訪朝によりまして拉致問題の解決の糸口、また一歩前進をいたしました。5人の御家族の帰国に対し多いに賛意を表する次第でございます。今後は曽我さんの御家族、並びに安否不明の皆さん方の一日も早い原因解明というんですか、究明というんですか、それを日朝国交正常化交渉の中で円滑に進められるように心からお祈りを申し上げる次第でございます。昨年の秋、家族会の事務局長であります蓮池透氏をお招きいたしまして、TOKYO自民党区議団では、秋のセミナーを拉致問題に限って、テーマを絞って開きました。TOKYO自民党の会派の立場から、また中野区民、また日本国民として一日も早い問題の解決、究明に大いに政府を力を発揮していただきたい。このようなことをお祈り申し上げまして、質問に移ります。
まず初めに、区長の政治姿勢についてであります。
民間シンクタンクの関西社会経済研究所は、どの自治体が納税者の視点に立った行政運営に熱心かを初めて調査し、上位50団体を公表しました。総合評価のトップは杉並区で77.1ポイント、これに福岡市、浜松市などが進んでおります。住民参加が進み、行政システムの改革でも成果を上げている自治体が上位にランクインしたと伺っております。調査対象は人口10万人以上の246の市や区、行政評価の導入、情報公開や住民参加、人事評価、財政運営、バランスシートの活用など8領域について計75問をアンケート形式で尋ね、回答を100点満点で評価をしたものであります。回収率は83.3%、人事制度面などを特筆してみますと、トヨタ自動車など民間企業の経営手法を参考に改革に取り組む豊田市が86.5ポイントを獲得して断然トップを走っております。
ちなみに、東京23区では第4位に新宿区が75.5ポイントで入り、世田谷区が7位、足立区、荒川区、江東区、北区、葛飾区、品川区、台東区、板橋区が46位で58.2ポイントとそれぞれ評価を受けております。中野区のお家芸とも言われた住民参加とか情報公開といった分野においても、他自治体に比べて劣勢にまわっておる現状は嘆かわしい限りでございます。最近導入された行政評価制度やおもてなし運動など、中野区の独自のさまざまな試みが一日も早く評価され、中野らしい区政が実現する日が訪れるよう願ってやみません。
さて、最近とみに唐突な内容の情報伝達が見受けられる。また、説明責任といった観点から区長の政治姿勢を伺いたいと思います。
基本構想と10か年計画を並行して策定しているようでございます。これはもう承知の事実でありますが、基本構想の姿がいまだ確実に見えてはおりません。その今日、これが見えないままに10か年計画に基づいた各論の議論がどうしてもなされてしまいがちであります。区長はいかがお考えか、お答えを求めます。
経営の神様と呼ばれた松下幸之助氏は、日々新たにの言葉に代表されるように、社会の変化に合わせ経営を変えていくことこそ松下幸之助氏の経営哲学であったと伺っております。田中区長は中野区の経営哲学、いわゆる現在、策定作業中の基本構想のバックボーンをどのようにお考えか。また、事業部制を導入され、どのように御自身のお考えを各事業部に伝達をしているのか、伺いたいと思います。
さらに、区長は中野区をどのようなまち、いわゆる都市にしていきたいのか、中野区というまちに対してどのようなビジョンをお持ちなのか、改めて伺っておきます。
次に、適正規模人口についてお尋ねをいたします。
中野区職員定数の適正なあり方は2,000名と伺いました。議会においても、議員定数については種々さまざまな論議、議論を重ね、当面、48名あった議員定数から現在では42名まで削減をした経緯があり、今後も議員定数の本来あるべき姿を模索中であります。果たしてここで問いたいことは、中野区に住まう人たちが、このような職員数、また議員数といったものに合わせて、適正である人口規模は何人であるとお考えか。当然、基本構想策定中であり、ゼロベースからの施設配置、再編などもありましょうが、職員数2,000名が抱える中野区の人口数はいかほどか、それが適正化をお尋ねいたします。
続きまして、地区計画についてお尋ねをします。
地区計画の活用を図り、基本構想の中において地域ごとのまちのあり方を見直す必要を感じますが、いかがお考えでしょうか。10か年計画案の中において議論されるであろう都市マスの見直しなどを含めてお答えをいただきたいと思います。また、10か年計画案の中で都市マスが見直しの対象にならないといったことも漏れ伺っておりますが、都市マスの見直しについての見解などもあわせてお答えをいただければ幸いでございます。
また、中野駅周辺地区整備に位置付けられている50ヘクタールのうち、俗称、いわゆる中野四丁目西地区の地区計画の導入についても、地区の実情に応じた土地利用の規制誘導を行うべきと考えます。「中野駅周辺まちづくりの考え方(案)」の小冊子の中の警大跡地地区整備の考え方の工程計画同様、平成17年度の都市計画決定を目指すべきと考えますが、いかがお考えかを尋ねます。
次の項目に移ります。4番、中野駅周辺整備計画対象エリア内の施設配置についてお尋ねをいたします。
中野駅周辺まちづくりについては、現在、計画の策定に向けた計画検討素案が示され、対話集会や区民検討会などでも内容の議論、検討がされていると思います。警察大学校等跡地はどのようなまちになることを想定しているのか。また、この跡地を含んだ50ヘクタールの中野駅周辺はどのようなまちになると考えているのか、お尋ねをいたします。
さらに、このまちにおいて住宅建設などが想定されているようでありますが、小学校の配置、規模をどのように考えているのか。港区や品川区ではマンションラッシュで以前、統廃合した小中学校の需要が逆に高まっています。中野区では、このような住宅の供給増と小中学校の適正配置の整合性を、特に中野駅周辺地区に特化させて、その整合性をどのように考えているのか、お尋ねをしたいと思います。きちんとしたビジョンを持っているのか、伺いたいと思います。
続きまして、5番目、中野区の教育理念と学校選択制につきましては、岡本議員や大内議員の方からもお尋ねがありました。また違う角度から学校選択制につなげてお尋ねをしたいと思います。
教育基本法、昨年11月、文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会は、教育基本法の抜本的な見直しが必要とした中間報告をまとめたところであります。それに伴い日本全国、各自治体教育委員会は、それぞれのまちの小中学校に通う子どもたち、これは教育の主役でありますが、子どもたちがどのような人間に育ってほしいか、また学校ごとの教育目標はそれぞれにあるわけでございますが、私たちの中野区としての子どもに目線を置く教育目標は、また施設再編や学校選択制などの部分に視点を置いた改革も必要であろうと思いますが、子どもたちの視点に立ち返り、教育目標というよりは、教育理念を築き上げておくことはとても大切なことだと思います。統廃合などの問題、ついつい財政難などを理由にして語りがちでございますが、中野区に育つ子どもたちがどのような子どもとして育ってほしいか、そういう教育理念を伺いたいと思います。
また、教育施設の再編に当たって、この夏に具体的な学校名が統廃合の対象校として挙がります。と同時に、学校選択制が来年の4月から施行をされます。これによって統廃合の対象校に子どもが入学をしないといった現象があらわれたとき、その対象校は入学式を行わないで年度初めを迎えることになります。学校の1年はそもそも入学式に始まり卒業式に終わるのが基本であり、またあるべき姿であります。そこからすると望ましい姿を生み出さなくなります。学校選択制については、さらに時間を要し議論すべきと思いますが、いかがお考えでしょうか、見解を求めます。
続きまして、6番目の項目で、産業振興とサンプラザ譲渡についてお尋ねをいたします。
サンプラザ譲渡につきましては、先月31日をもって事業運営に当たる事業会社の選考が終結するというか、結果が出るといったようなことでございましたので、これを取り上げ、質問をしようと思っておりましたが、期日がずれ込みまして、いまだに最終的な結論を得ていないということでございますので、サンプラザ譲渡についての質問は、今定例会中の総務委員会、またそれ以後の質問等に委ねたいと思います。
産業振興策についてのみお尋ねをいたします。
行政など地域を支援する機関が人材、企業、立地など地域の資源を確認し、産業振興のみに限らず、環境、福祉、教育といった新しい視点で価値を再評価し、市場のニーズにあったより効果的な産・学・官連携のシステムを構築して、まず行政側が広域で強調して市場の創出や拡大を図ろうとの考えを今、中野区は全面に打ち出しています。先ほど岡本議員の質問にもありましたけれども、フジ産経ビジネスアイですか、新聞紙上でもTAMA発という欄で掲載の記事の中で、連続物の中で中野区の実例が紹介されております。中野区の場合は、従来は産業構成比で製造業が4%しかないため、従来の産業振興は積極的とは言えない状態でありました。
自治体の自立が強化される中、産業振興の推進は雇用の創出や税収の増加など、最終的に区民の利益になると区長は常々おっしゃっております。中野区は産業ラーニングシティ中野を考案し、新規ビジネスの創業や女性が働きやすい環境づくりにシフトを置いたことは大いに評価をするところであります。田中区長は従来手薄だった産業振興に手をつけ、産業振興を図ることによって税収増加を図るよう努力していきたいとおっしゃっておりますし、また納税者人口の増加によって税収増につなげたいとは、これもまた常々御発言をされているところであります。今後の産業振興についての決意のほどを改めて伺っておきます。
さて、次に移りますが、7番目は国や都との連携についてのお尋ねであります。
新宿区では、次世代育成支援計画づくりに現在力を注いでいる最中と漏れ伺っております。お隣の新宿区は次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画づくりを本格化しております。少子化対策の新しい取り組みを国と地方自治体、事業者で進めるため、昨年7月、国では次世代育成支援対策推進法を制定し、そのモデル自治体の一つに新宿区が選ばれ、このほど数多くの新規事業を盛り込んだ計画素案をまとめたようでございます。
この計画の内容としては、来年度から5年間をにらんだもので、今後の取り組みを示すとともに、既存の事業を含めて全部で165の関連事業を提示しております。中には、幼稚園、幼稚園の連携、一元化や子育て支援マンション認定制度の創設などもあります。
しかし、ここで私どもが指摘をしたいのは、国や都のモデル事業に中野区が指定をされない、中野区が指定されたことを余り聞いたことがないということであります。中野区に対しても、国や都がさまざまな機会に、このようなモデル事業や新規事業に関する声かけをしていると思いますが、中野区は意志表示をしないのか、それともその気がないのか、財政運営上の自信があるのか、そんなことに手を出さない方がといった可もなくといったような考え方なのか、疑問が残ります。
以前、中野区は財調措置されるような起債を見つけたり、例えば地域総合整備事業債として野方WIZを実現しました。あれは23区初であったと記憶をしておりますし、またそういうことを考えたり、都に働きかけをしたり、国との連携を密にしてさまざまな補助事業を行ってきたと伺っております。
この点につきまして、区長の姿勢についてお答えをいただきたいと思います。基本構想など、また10か年計画などを策定していく中において、どのように国や都との連携についてお考えなのかを示していくのか、そのようなことが伺えれば大変ありがたく存じます。
続きまして、8番目、伝統文化についてお尋ねをいたします。
これは人形浄瑠璃文楽がユネスコによって世界無形遺産として宣言をされました。ですから、この問題を取り上げて質問をしようと思いましたが、岡本議員の方の質問にこの項目は入っておりましたので、割愛をいたします。
続きまして、項目の9番、高齢者の高額医療費制度についてのお尋ねをいたします。
高額医療費制度は、高齢者が医療機関に支払った医療費のうち基準額を超えた分を払い戻す制度で、制度導入の2002年10月から半年分で約70億円が未支給状態となっていることが厚生労働省によって最近発表されました。11億円はことしの11月に支給の実行になるようです。厚生労働省は、都道府県に対し、未支給となっている高齢者には注意喚起するよう通知をしたようでございますが、現在、東京都からの通達など、中野区においての現状はいかがか、お尋ねをいたします。
続きまして、質問通告の10番目、分煙による喫煙マナーの確立についてお尋ねをいたします。
先日、世界禁煙デーを迎えました。あれは5月31日であったと記憶をしております。つい先日でございます。とうとう携帯のiモードに今月から禁煙サイトが登場する時代になりました。たばこを吸う人の割合は年々減少しています。日本たばこ産業のアンケートによりますと、喫煙者の割合は、1966年、昭和41年の49.4%をピークに減り続けて、昨年2003年、平成15年8月の時点ではほぼ30.3%に低下をしております。喫煙率の低下については、JTは健康意識の高まりに加え喫煙場所の規制強化も大きな要因としております。健康増進法は受動喫煙防止の努力義務を規定いたしましたが、歩きたばこや路上喫煙の規制や禁止について、分煙方式を私どもの側から予算特別委員会でも提案をしております。JT、いわゆる日本たばこ産業も、各自治体とタイアップとして指定喫煙所の設置を現在もう既に渋谷区、直近では新宿区などに働きかけをし、指定喫煙所を設けたおかげでたばこのポイ捨てが、現に渋谷区などでは渋谷駅周辺半径30メートル以内で7割減になったという実績もあらわれております。中野区に対してJTからの働きかけは、渋谷区や新宿区同様にあるのかないのか。また、私どもが提案をしている分煙方式をどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
続きまして、通告の順番で11番目のIP電話の導入についてのお尋ねをいたします。
IP電話のIPとは、Iはインターネット、Pはプロトコル、聞き慣れないプロトコルとは通信手段の略語であります。現在、普及しているIP電話は、IPの規約に沿って通信を行うネットワークのあきを電話回線に利用するものであります。あきの部分を使うためコストが抑えられ、従来の電話専用回線よりも電話料金を安くできるのが特徴でございます。また、インターネット技術を使った格安電話のIP電話は、同じプロバイダで同じ仕様の端末なら通話料が無料なら、違うメーカーの端末はNTTの交換機を経由しなければつながらない、端末は標準化されているものの、システムの細部はメーカーが独自に決めるもので、情報通信のルールや手順を決めたプロトコルが違うといったリスクも反面抱えております。
ことし話題になっているのが社内LANを無線にして内線電話をIP電話として利用するモバイルセントレックス、IP電話はインターネットと同じ技術で、音声を小さなデータに小分けして伝送するのだそうです。内線をIP電話にしている企業はありますが、携帯電話のように会社のどこにいても電話がかかるといったことになるわけでございますが、ことしから来年にかけて内線の切りかえをする装置、いわゆる構内交換機の買いかえ時期に合わせて、このシステムを導入する企業が最近とみにふえていると見られています。このシステムのメリットは、社内のどこにいても内線電話がかけられる、テレビ電話ができる、社内のサーバーにアクセスできることであるそうです。端末は携帯電話、パソコン、PBXなどが検討されているようで、企業内LANを無線で構築する場合、線を張りめぐらさなくてもよいために、工事も楽でオフィースのレイアウトの変更もしやすい、無線は盗聴防止など企業が納得するようなセキュリティが整えば普及は早いといった技術の進歩がIP電話の中には見られております。
ただいまのは一例を紹介したわけでございまして、そのような技術の革新がとても今顕著なIP電話、けさの日本経済新聞でもIP電話の導入、3年後は6割との小見出しで、中小企業経営者の約6割が三年後にIP電話の導入を考えているといった記事が掲載されております。
このようにIP電話のシステムが向上し、またIP電話の普及が大変図られる中、板橋区ではIP電話の導入によって約1,000万円の経費節減に努めたそうでございます。中野区はIP電話についてどのように考えているのか。ちょうど板橋区の場合はリース契約の切れる時期に当たったということも手伝っているようでありますが、中野区の今後の考え方を伺いたいと思います。
その他の項は質問がございませんので、以上をもちまして私の質問は終わりです。どうも御静聴ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 市川議員の質問にお答えをします。
新たな基本構想は実現可能性を踏まえた10年後の姿を具体的に明らかにするというものであります。10か年計画は目標実現に向けた区の取り組みを、財政的な裏付けを含めて計画化するものであります。したがって、今回の基本構想は10か年計画とあわせて策定をするということが、その性質上、肝要であると考えているところであります。
また、区長としての区の経営哲学といったことについての御質問がありました。
区政の主役は主権者であり納税者である区民であります。区政の目的は区民の意志を受けて持てる資源を最大限に活用して区民にとっての最大の価値を実現することにあると考えております。区民にとって最大に価値あるサービスを将来にわたって継続的に提供するのが区政経営の使命であります。区民にとっての価値を最大にするためには、あらゆる予断と偏見を捨て、常に目標と成果を検証、発展をさせていくという営みが重要であると考えているところであります。
事業部制についてですが、事業部制においては、部長がこれまでよりも現場の感覚を十分に把握して経営判断をすること、そして区長である私が部長とより近い場所で指示をしたり情報収集できるということを目指しているものであります。区長としての考え方や方針の確認、また新たな指示といったことについては、日常的な連絡調整や打ち合わせを初め庁議、政策会議、また庁内LANによるシステムなど、あらゆる機会や場面において伝達をし、情報の共有化を図っているというところであります。
それから中野区をどのようなまちにしていきたいのかというところであります。すべての区民が生きがいと喜びを持って暮らせるまち、また助け合い、支え合う喜びが心の豊さを生み出すまち、そしてそうした生き生きとした区民の活動や生き方が世界に対して新しい価値を発進している、そんなまちを目指して、子育て、健康福祉、産業まちづくり、環境リサイクル、さまざまな分野の施策を強化、発展させていきたいと考えているところであります。
区の適正人口規模、職員数との関係での適正人口規模といったところですが、人口規模については、年代構成のバランスを一定考えていかなければなりませんが、人口については30万程度は維持していく、このことが中野区の将来的な活力ということを考えても必要ではないかと思っております。職員数についてですけれども、職員数については、組織のあり方とか執行体制をどうつくっていくかといった要素が密接に関連するものでありまして、一概に職員数に対する適正人口というのは言えないのではないかと思っております。しかし、2,000人の職員であっても30万の人口に対応できる体制というのは、10か年計画で構築していきたいと考えておりますし、さまざまな方策を講じることによって十分に可能であると思っているところであります。
それから地区計画の問題ですが、現在、策定中の基本構想では、持続可能な活力あるまちづくりなど、まちの将来像を示すことにしているわけですけれども、その実現方法として地区計画によるまちづくりなどが考えられるわけであります。区としては、その支援を推進していきたいと思っております。
また、基本構想の中で検討しております安全で快適な都市基盤整備といった将来像については、都市計画マスタープランの土地利用方針と方向としては同じくするものであると考えております。しかしながら、加えるべき新しい課題もあると認識しているところです。都市計画マスタープランについても、客観的な状況の変化があるといったところでは、適切な見直しも必要ということもあるわけでありまして、基本構想を策定した後には、基本構想の実現に向けて現行の都市計画マスタープランのあり方を十分に検証しながら、適切に対応を行っていきたいと考えております。
それから中野四丁目西地区であります。中野四丁目西地区を含んだ中野四丁目地区は、東京都の都市再開発方針によって再開発促進地区に指定されているところであります。この方針では、広域避難場所の周辺地としての建築物の不燃化、共同化を促進して防災性を向上させるとともに、土地の高度利用を図って、広場、業務、住宅の調和した市街地として整備を進めるとなっており、地区計画の導入を予定しているということになっています。現在、警察大学校等の跡地について地区計画等の策定を行うということにしているわけですけれども、あわせてサンプラザ及び中野区役所地区の土地利用の今後の検討、また既に市街地再開発事業が完了している中野四丁目東地区の現状の土地利用の状況などを踏まえて、御指摘の地区についても、地区計画の導入などについて地域の意向を踏まえながら対応をしていきたいと考えております。
それから中野駅周辺整備計画対象地域の施設配置についてという質問の中で、駅周辺をどう考えているかということです。警察大学校等跡地については、交流とにぎわいを生む機能の導入による中野の新たな顔となる拠点づくり、また公園と空地からなるオープンスペースの確保などを想定しております。中野駅周辺全体についても、区民や多くの人々が集まり、既存の界隈性とともに新たな創造性、情報発進性に飛んだまち、さまざまな都市機能の複合、連携に加えて、中野にふさわしい都市型産業の集積、育成、文化・教育・交流の機能とともに住居機能の確保による定住化の促進も想定をしているというところであります。
また、産業振興についてという御質問です。おっしゃったとおり、産業の振興は税収の増加や雇用の拡大、生活サービス水準の向上ばかりではなく、人々の交流でありますとか、地域の活性化をもたらすものでもあります。また、ひいては、福祉や教育といった地域の生活の質を高めるということでも重要なことであり、持続可能なまちづくりのための重要課題と認識をしているところです。現在、産業まちづくり調査会が昨年度出していただきました報告、産業ラーニングシティ中野、この考え方を踏まえながら今後の中野の産業施策を計画しているところです。中野区の地域特性に合った都市型産業として、IT産業、あるいはコンテンツビジネス、またヒューマンサービス業といった環境整備、そういった業種の成り立つ環境整備でありますとか、地域コミュニティの核となります商店街の活気の回復、そうしたことなど、区内産業の豊かな発展を目指していきたいと考えているところでございます。
それから国や都との連携ですけれども、限られた資源の有効活用を初めとして最適な施策形成や施策の推進を行う上で、国や都の制度を十分に調査・活用するということは、今後ますます重要になると認識をしております。三位一体改革の中で国の補助金、交付金等といったものの形や仕組みも、また規模も小さくなるなどの変化がございます。そうした中にあって、区として知恵を出して活用すればよりよく活用できるような制度も出てくるといった期待も持つべきだと思っております。区としても、これまでも江古田の森保健福祉施設の整備などでは、全国で初めてのPFI方式というものを、厚生労働省とさまざまに知恵を出し合いながら、協議しながら進めてきたといった経緯もございます。また、昨年度の末に行いました介護予防事業というのも、厚生労働省が設けました事業を丸々活用しての事業といったことでもあります。そうしたさまざまな国、都の制度を活用したり連携を行いながら、積極的な財政運営を行っていきたいと思っております。
私からは以上であります。
〔教育長沼口昌弘登壇〕
○教育長(沼口昌弘) 最初に、住宅供給増と小中学校の適正配置の整合性についてでございます。
現在、行っています具体的な再編案の検討に当たりましては、中野駅周辺など把握可能な大規模な集合住宅の建設計画による児童・生徒の増加要因も含めて推計してまいりたいと思っております。
次に、中野区の教育理念と学校選択制についてでございますが、まず教育委員会の教育理念についてでございます。これはキーワードでいえば自立と貢献ということであります。子どもたちが将来、社会で自立し、貢献できる、そういう人材を育てていきたいと考えております。21世紀を迎えまして、少子・高齢化、国際化、あるいは情報化、科学技術の進展、こういうもので社会が変化していく中で、中野の子どもたちが将来、主体的に物事を判断して、規範意識、あるいは中野という郷土を愛する心、そういうものが育まれまして、地域社会や国際社会においてさまざまな形で貢献できる、そういう大人になってもらいたいという考えでございます。そういう教育理念に基づきまして学校のあり方等も考えてまいりたいと考えています。
〔保健福祉部長菅野泰一登壇〕
○保健福祉部長(菅野泰一) 高齢者の高額医療費制度につきましての御質問でございます。
区では、老人医療保健制度におきます高額医療費の支給に当たりまして、対象者に通知文とあわせまして申請書を送付いたしまして、郵送での申請受け付けを行っているところでございます。また、申請書の提出につきましては、初回支給時のみといたしまして、2回目以降につきましては、支給額を通知しまして、自動的に指定口座に振り込むということで、高齢者の申請の負担を少なくするよう工夫をしているところでございます。
中野区におきます未支給額の状況でございますけれども、制度導入後、半年間の未支給金の現在高につきましては、1,141万円、うち16年10月に時効となります分につきましては180万円となっております。これは全体の9.5%という額になっております。これらの未支給の理由でございますけれども、少額支給でありまして、つい申請をしないという状況とか、それから受給者本人の死亡によりまして、相続等の関係で申請ができなくなってしまっているということでございます。今後とも未申請者に対します申請勧奨に努めまして、あわせて時効につきましても通知することで、未支給額の減少に努めてまいりたいと思っております。
〔区民生活部長本橋一夫登壇〕
○区民生活部長(本橋一夫) 分煙による禁煙マナーの確立についてのお尋ねでございます。
現在、駅周辺のような人通りの多い区域は、路上での喫煙を禁止し、その他の地域では歩行中の喫煙を規制する方向で、区民の意見を聞きながら検討を行っているところでございます。しかし、何よりも大切なものは喫煙マナーの確立でございます。分煙方式につきましては、喫煙禁止区域の設定に当たりましても、喫煙者の理解と協力を得られやすいというメリットがあります。また、マナー確立の上でも一定の効果があると考えられます。その一方で、安全な喫煙場所の設置が必要となるということで、スペースの確保や経費負担の問題などのクリアという課題がございます。喫煙禁止区域を設定する場合、対象区域としての想定されます中野駅周辺地区で喫煙場所を確保できるか、その可能性を検討してまいりたいと考えております。
なお、JTからは灰皿等の提供の協力をするという意向は聞いております。
〔総務部長石神正義登壇〕
○総務部長(石神正義) IP電話の導入についてお答えさせていただきます。
IP電話につきましては、これまで変換器の設置などのイニシャルコスト、また警察や消防への緊急連絡といった課題がありました。しかし、昨今、技術的にも急速に進歩しまして、通信事業者の変換器リースによるシステム、こういったもののサービスが始まっているなど導入コストも大幅に削減されてきております。これらの動向を見ながら、イニシャルコスト、ランニングコスト等、導入に向けた検討をしていきたいと考えてございます。
〔教育長沼口昌弘登壇〕
○教育長(沼口昌弘) 大変失礼いたしました。先ほどの中野区の教育理念と学校選択制についてお答え申し上げて、後段の学校選択制について答弁漏れがございました。申しわけございませんでした。
学校選択制につきましては、平成10年度から入ります新しい入学児童・生徒を対象に実施する方向で議論し、検討する方向で進めてきました。しかし、これまでのいろいろと出された意見の中で、学校再編を最優先すべきであるという考え方も出されておりまして、加えまして東京都教育委員会におきましても、極端に少ない人数の学級編成について、どうあるべきかということで検討を開始するという情報も得ています。そういうことがありまして、平成17年度からの導入につきましては、慎重に検討して教育委員会としては判断していきたいと考えてございます。
○議長(山崎芳夫) 以上で市川みのる議員の質問は終わります。
お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山崎芳夫) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
本日はこれをもって延会いたします。
午後5時08分延会