平成18年09月21日中野区議会本会議(第3回定例会)
平成18年第3回定例会本会議第2日(9月21日)
1.平成18年(2006年)9月21日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(42名)
1番 いでい 良 輔 2番 伊 東 しんじ
3番 佐 野 れいじ 4番 北 原 奉 昭
5番 久 保 り か 6番 酒 井 たくや
7番 奥 田 けんじ 8番 近 藤 さえ子
9番 小 堤 勇 10番 大 内 しんご
11番 伊 藤 正 信 12番 きたごう 秀 文
13番 吉 原 宏 14番 高 橋 ちあき
15番 やながわ 妙 子 16番 平 島 好 人
17番 むとう 有 子 18番 はっとり 幸 子
19番 長 沢 和 彦 20番 か せ 次 郎
21番 山 崎 芳 夫 22番 小 串 まさのり
23番 若 林 ふくぞう 24番 市 川 みのる
25番 岡 本 いさお 26番 こしみず 敏 明
27番 飯 島 きんいち 28番 佐 伯 利 昭
29番 佐 藤 ひろこ 30番 来 住 和 行
31番 岩 永 しほ子 32番 篠 国 昭
33番 柿 沼 秀 光 34番 伊 藤 岩 男
35番 斉 藤 金 造 36番 大 泉 正 勝
37番 斉 藤 高 輝 38番 江 口 済三郎
39番 藤 本 やすたみ 40番 昆 まさ子
41番 江 田 とおる 42番 池 田 一 雄
1.欠席議員
な し
1.出席説明員
中 野 区 長 田 中 大 輔 助 役 内 田 司 郎
収 入 役 山 岸 隆 一 教 育 長 沼 口 昌 弘
区 長 室 長 寺 部 守 芳 政策担当課長 川 崎 亨
総 務 部 長 石 神 正 義 総務担当参事 橋 本 美 文
区民生活部長 本 橋 一 夫 子ども家庭部長 田 辺 裕 子
保健福祉部長 菅 野 泰 一 保 健 所 長 浦 山 京 子
都市整備部長 石 井 正 行 拠点まちづくり推進室長 石 橋 隆
教育委員会事務局次長 金 野 晃
1.本会の書記は下記のとおりである。
事 務 局 長 山 下 清 超 事務局次長 高 橋 信 一
議事調査担当係長 大 谷 良 二 書 記 黒 田 佳代子
書 記 永 田 純 一 書 記 荒 井 勉
書 記 岩 浅 英 樹 書 記 菅 野 多身子
書 記 西 田 健 書 記 廣 地 毅
書 記 鳥 居 誠 書 記 杉 本 兼太郎
書 記 岡 田 浩 二 書 記 松 本 桂 治
議事日程(平成18年(2006年)9月21日午後1時開議)
日程第1 認定第1号 平成17年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について
午後1時02分開議
○議長(高橋ちあき) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 はっとり 幸 子
1 これからの環境政策について
2 総合的な自殺対策について
3 生きがい支援重視の介護予防について
4 認知症高齢者を地域で支えることについて
5 提案型公共サービスの民間事業化について
6 その他
○議長(高橋ちあき) 最初に、はっとり幸子議員。
〔はっとり幸子議員登壇〕
○18番(はっとり幸子) はっとり幸子です。これからの環境政策についてから質問いたします。
2001年に策定された中野区環境基本計画の改定に向けて、現在、第2期の環境審議会が開催され、議論が進められています。
現行の環境基本計画の問題点については、一つには計画の内容が環境保全にとどまり、区としての環境政策が明確に位置付けられていないこと、また区民・事業者・行政の取り組むべき事項や相互の連携・協働を進める仕組みが整備されていないこと、そして計画の達成状況の客観的な評価・点検を行う仕組みが整備されていないことなどが指摘されています。そうした問題を十分認識した上で、新たな環境基本計画を策定することが必要と考え、環境審議会の議論の行方に関心を持って傍聴をしています。
そこで、環境基本計画改定に向けた区の基本的な考え方についてお聞きします。
今、地球温暖化、ヒートアイランド現象など、環境問題への対応策を区民の暮らしに結びつけて進めながら、都市が持つ構造的な問題の解決や地球規模的な視野での取り組みなど、新たな政策を形成していくことが区の重要な課題となっています。目の前の環境問題、公害問題を改善するための対応策が必要なことは言うまでもありませんが、これからの中野の環境政策は、基本構想、10か年計画が目指す、未来を見据えた持続可能な地域社会の実現を支えるものであり、環境基本計画は都市環境全体を見据え、「創造的環境都市」を目指す、基本的かつ戦略的な計画であるべきだと考えます。
区民・事業者・行政が協働で取り組む仕組みを整備し、経済的、社会的、文化的、政治的なダイナミズムがあるまち、人にやさしい交通によって歩いて暮らせて、歩くだけでも楽しいまち、多様な文化や産業の用途が混ざり合うみどりのまち中野をつくることなど、中野のまちづくりそのものに深くかかわる環境政策を進めていくことが必要だと考えます。環境政策と他の分野の政策との統合を図ることも重要です。
基本計画に盛り込む内容は、環境審議会の中で議論されることではありますが、区の環境基本計画改定に向けた基本的なお考えをお聞きします。
創造的環境都市づくりに向けて重点的に取り組むべき分野として、環境負荷の少ない交通政策で、だれもが安全に、歩いて出かけられる環境づくりなどがあり、また、再生可能エネルギーの利用などのエネルギー政策は、東京都の「再生可能エネルギー戦略2020」と連携で進めることが考えられます。防災の分野も重要です。また、「まちを大切に考える心」と、まちのつながりを強めることは、創造的環境都市なかのをつくる上での基盤になりますし、地域コミュニティーを生かしたまちづくりの視点など、重要だと考えます。
こうした施策の目標達成に向けては、具体的な数値目標を設定し、目標到達に向けた戦略的な取り組み姿勢を明確に打ち出すことが重要だと思います。できることを計画化するのではなく、これからの地域社会の形成に向けてやるべきこと、新たな価値を中野から生み出し発信する、創造的な方向性を持つ環境基本計画づくりが望まれますが、どのようなお考えのもとで進めようとしているのでしょうか、伺います。
また、環境基本計画策定後の計画の実効性を確保するための仕組みの整備についてのお考えを伺い、この項の質問を終わります。
2番目に、総合的な自殺対策についてお聞きします。
ことし6月に、超党派の議員提案によって、国や自治体に対して総合的な自殺対策の責務を規定した自殺対策基本法が成立しました。改めて区の今後の積極的な取り組みを求め、質問をします。
昨年まで8年間連続して、全国で自殺者が3万人を超す異常事態が続いています。全国の年間の交通事故死は約7,000人で、その4倍もの人々がみずから命を絶つという、先進国の中でも際立った実態があることに驚きを覚えます。日本の自殺者の多くは、40代から50代の働き盛りの男性ですが、昨年は20代から30代の若者の自殺者数が前年と比べ5%以上ふえています。
自殺の報道記事は、「介護疲れ」「多重債務」「パワーハラスメント」「いじめ」「無理心中」など、ほとんど毎日続いています。今月6日の毎日新聞朝刊1面のトップ記事は、消費者金融が債権回収のために借り手全員に生命保険を掛けていた問題で、昨年度1年間で支払われた延べ4万件のうち、借り手が自殺をして債権回収をしたものが、判明しているだけで3,649件で、多重債務者が自殺に追い込まれている深刻な状況が、長妻昭衆議院議員の質問主意書による金融庁の調査で明らかになったと報じています。日本においての自殺は、社会的に追い詰められた上での死であり、社会全体の問題として総合的な対策を図ることが早急に求められています。
全国の交通事故死は、1970年、今から36年前のピーク時には1万7,000人でした。その後の総合的な交通安全対策の結果、現在では約7,000人と減少しています。
中野区の統計によれば、昨年度、中野区で自殺によって亡くなられた方は62人です。ちなみに、中野区の昨年度の交通事故死は6人で、昨年までの10年間で合計62人です。そこで、伺いますが、中野区の過去10年間の自殺者は何人だったでしょうか。また、自殺者の性別、年代など、区内の自殺者の実態についてお伺いします。
自殺に至った原因については、個人情報として大変デリケートな問題でもありますし、従来は区としてそうした情報収集はしてこなかったと思います。しかし、新たな法的位置付けの中で、今後区が効果的な自殺対策を進めるには、単なる統計だけではなく、正確な実態把握が不可欠になります。警察は自殺の場合、遺書などから原因や動機などについても把握をしていますから、警察との協力の方法についても検討が必要だと思います。
中野区における自殺の実態把握について、今後の予定も含め、区のお考えを伺います。
また、自殺未遂者は自殺者のおよそ10倍であるということが定説となっていることから考えると、区の昨年の自殺未遂者は約620人に上ると推定されます。当事者ばかりではなく、心理的な影響を受ける家族や周囲の人などを含めると、心に深い傷を負った人々は相当な人数になっているでしょう。
「健康福祉都市」の実現を目指して、区民一人ひとりの生き生きとした生活を目標の一つに掲げ、また安心・安全のまちづくりを進めようとさまざまな施策を展開している中野区として、自殺をめぐる現状についてどのようにお考えでしょうか、お尋ねします。
自殺対策基本法で示されているように、自殺対策には事前防止と危機への対応、事後の対応の三つの段階があります。これまで中野区においてはそれぞれの部署ごとに何らかの対応はしてきていると思いますが、現状は縦割りの壁があり、心の悩みや苦しみをどうしたらいいのかわからない区民にとっては、相談の窓口がないというのが実情です。自殺防止対策として、区民の心の健康を保つための相談体制の整備など、早急な取り組みが必要だと思います。区のお考えを伺います。
9月3日発行の中野区報は、WHO(世界保健機構)が提唱している9月10日の世界自殺予防デーに向けて、「心の健康チェックを」という特集記事を掲載していました。うつ病などの心の健康問題や自殺の問題は、だれもが抱える身近な問題であるとして、自分でできるうつ病のチェック表、周りの人が気づくサイン、講演会や相談会の案内など、区民に向けた普及啓発の取り組みを評価します。
現在、区が開催するうつ病などにかかわる講座には大変多くの参加がありますが、今後働く人へのうつ病対策として、区内事業所の事業主に対し、従業員の心の健康の取り組みに関する調査の実施、自殺防止のパンフレットの配布などの取り組みも必要だと思います。どのようにお考えでしょうか、伺います。
また、うつ病対策には、専門性の高い相談体制の確立やその分析、医療機関との連携も重要です。区は今後のうつ病対策についてどのようにお考えか、具体的な取り組みについてお考えをお聞きします。
自殺予防のためには、事前防止だけでなく、危機への対応も不可欠です。その役割を果たしている民間団体の「いのちの電話」は、広く全国的な活動として知られていますが、常に電話回線はいっぱいで、ほとんどつながらない状態にあります。
区の行政革新5か年プランでは、今年度の取り組みとして、虐待・家庭内暴力・徘徊する高齢者など、区民の安全や安心にかかわる緊急な課題に対応する緊急対応窓口の設置など、24時間対応の仕組みの整備を検討するとしていますが、どのような内容か、伺います。
また、事後の対応として、自殺未遂者や自殺者の遺族へのケアも大変重要です。自殺未遂をした人の自殺を防止するためには、救急医療の現場と精神科医の連携が求められます。個別の医療機関などの自主的な取り組みではなく、体系的な取り組みが必要だと思います。区は自殺未遂者や遺族への対応について、今後の取り組みをどのようにお考えか、お聞きします。
今後、自殺対策を進めていく上で、区の担う役割は大きくなります。自殺という避けられる死から区民の命を守るためには、中野区の地域の特性に応じた対策を立て、着実な取り組みが求められるからです。早い時期に自殺対策の協議会の立ち上げを検討し、地域の関係者の連携でつながりを広げ、より効果的な自殺対策を進めるべきです。区はどのようにお考えでしょうか、お伺いします。
国は現在、年間約3万人の自殺者を、10年で2万5,000人に減らす目標を立てています。中野区においても具体的な数値目標を持って、単発のイベント的事業の展開ではなく、総合的な自殺対策を進めていくことが必要です。区のお考えを伺い、この項の質問を終わります。
生きがい支援重視の介護予防について伺います。
中野区高齢化率は18.4%となり、高齢者を地域で支える取り組みがさらに大きく期待されています。介護保険制度は、さまざまな議論を経て、介護予防を重視した内容に改正され、中野区においても新たな制度の改正による混乱を抱えながらも取り組みを進め、今月からは地域支援事業もスタートさせたところです。
8月の末に、私は山口市と防府市にある「夢のみずうみ村デイサービスセンター」を訪ねました。2001年に事業が始まり、「また行ってみたくなる通所サービス」として利用者の人気を得て、全国からの見学者が殺到しています。NHKの「視点・論点」をはじめ、今月18日の敬老の日の朝日新聞の社説でも紹介されるなど、あちこちで注目されています。
当日の朝9時半、行ってみてまず驚いたのは、入り口ホールのにぎわいでした。何か催しごとがあるのか聞きましたら、これは毎日の光景だそうです。デイサービスの常識を覆しています。このにぎわいは、利用者の方々が思いのままにきょう1日の自分の予定を立てるべく、300のプログラムメニューから選んでいるのです。職員が用意した歌をみんなで歌ったり、一緒に体操したりという多くの施設で行われている光景はありません。活動内容は一人ひとりが違い、利用者が自分で1日のプログラムを選び、決めています。体が不自由になっても、生活する力を得て、生きることを楽しんでもらうのがこのデイサービスセンターの方針だそうです。とても混沌としていますが、人間くささにあふれ、本当に温かい雰囲気です。
昼食は、上げ膳据え膳ではなく、バイキング方式で、片まひや車いすの利用者も、自分で好きなだけよそって食べます。食べ残しもほとんどありません。広い施設の中は、自動ドアはなし、坂のある長い廊下にも手すりはなく、利用者の私物を収納するたんすが置いてあるので、伝って歩きます。段差あり、階段ありの「バリアフリー」ならぬ「バリアアリー」の施設だと、そして家庭にあるバリアと同じリスクを克服することが大切と、デイサービスセンターを運営するNPO「夢のみずうみ社」の藤原理事長は話していました。できる能力は徹底して生かす、ということが基本になっています。この施設の内容を運営に生かそうということで、23区のある区が既に始めようとしています。
利用者は、1カ月ごとに自分の動作や体調を調べ、成果を確かめます。ほとんどの利用者の介護度が改善され、現在は介護度1と2がほとんどだそうです。
元気で長生きしたいとはだれもが願うことですが、老いていくことで体の機能は衰えます。連れ合いに先立たれるなど、生きる希望を失い、閉じこもりがちな人の心に目を向ける介護予防の取り組みが重要だと思いました。介護予防の重要性を本人が自覚しない限り、どれだけプログラムメニューをこなしても成果は上がらないということです。自立に向け、本人が意欲的に取り組める仕掛けづくりなど、もう一度生きてみようと思わせる支援とはどういうものかを考えさせられました。
中野区における介護予防事業は、民間事業者へ委託し、実施されています。区の介護保険事業計画には、良好な事業者により事業が適切に実施され、介護予防の効果がより高められるよう配慮すると書かれています。
介護予防事業の達成状況の点検と評価については、大きく三つのレベルを想定して、個人、事業ごと、事業者ごと、そして高齢者の健康度、介護度、区全体の経費などに対する評価を検討されているようですが、介護プランの効果、達成状況はどのような基準で行うのでしょうか。国の手引きがありますが、ぜひ区として独自の評価基準で行うことを求めたいと思います。お考えをお伺いします。
また、事業への参加によって、参加者の機能がどの程度維持され、回復されたかの個人レベルの評価においては、3カ月ごとの客観的評価だけでなく、評価の基準の一つとして利用者本人がどのように感じているか、生きがいを持てるようになったかなど、主観的な本人評価も採用すべきではないでしょうか。お考えをお聞きします。
時間がまいりましたので、以上で質問を終わります。よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) はっとり議員の御質問にお答えをいたします。
まちづくりの基本戦略を持った環境施策ということですけれども、新しい環境基本計画については、基本構想と10か年計画が目指す持続可能な活力あるまちづくりを環境面から実現するための計画でありまして、環境都市なかのの実現に向けて、環境施策と他の施策が有機的に連動しながら、戦略的に取り組んでいくものとしていきたいと考えているところであります。
計画の目標設定に当たりましては、達成できる目標ではなく、達成すべき目標を立て、全体戦略はもとより各施策についても、達成に向けての道筋を明確にしていくことが大切であると考えているところであります。また、10か年計画を踏まえ、自然エネルギーの活用による新たなエネルギー政策の構築など、中野区が主体性を持って取り組む施策を盛り込んでいきたいと考えております。
環境基本計画の目標を実現するための仕組みとしては、基本計画のもとに実行計画を立て、具体的な施策を体系的に掲げて、施策ごとに数値目標を設定し、進捗状況や成果を点検・評価をしながら、進行管理を行っていくということを想定しているわけであります。また、点検・評価に当たりましては第三者の意見を反映させ、結果を区民に公表する仕組みをつくることを考えているところであります。
総合的な自殺予防対策という御質問がございました。中野区の人口動態統計では、過去10年間の累積で644人が自殺によって亡くなっているわけであります。性別は、統計が男女別になった平成12年以降の過去6年間の累積で見ていきますと、男性が女性の約2.8倍と、男性に多いということが見えてまいります。また、年代別に見ていきますと、50歳代が圧倒的に多いということが言えるわけであります。中野区の実態として、壮年期男性の自殺率が高いということを踏まえて、この壮年期の方を対象とした心の健康づくり対策を進める、このことが重要と考えているところであります。
自殺者の個々のケースについての実態把握ということであります。自殺に関しまして、個々のケースの実態把握をするということになりますと、個人情報でありますとか、さまざまな周辺情報の収集が必要となるわけであります。区として実施をするのは難しいと考えております。自殺の原因について、国レベルでの調査が行われているわけでありまして、そうしたデータを参考に、区としてできる有効な対策を進めてまいりたいと考えております。
自殺予防対策としてのうつ病対策が重要だという指摘であります。区としてもそうした取り組みを進めているところであります。うつ病対策については、保健福祉センターの日常的な相談のほか、月に1回程度、精神科医による心のクリニック、また年に2回、うつ特設相談日を設けているところであります。このほか、うつ講演会、うつに関する講演会による普及啓発を行って、区民の心の健康づくりを支援しているところであります。今後も、東京都の中部精神保健福祉センターでありますとか医療機関と連携を深めながら、取り組んでまいりたいと考えております。
24時間対応の仕組みの中で、どう取り組んでいくかという御質問もありました。24時間対応の仕組みの整備につきましては、現在検討を始めたところという段階であります。こうした電話あるいは対応に対して、自殺に関する電話がかかってきたといったような場合にも適切に応答できるものとしていくわけでありますが、専門的な対応を必要とする場合も多いと考えられるわけでありまして、そうした場合には適切な機関を紹介するといった仕組みになっていくと考えております。
それから、総合的な自殺予防対策の推進についてということであります。昨年12月に国の自殺対策関係省庁連絡会議から、自殺予防に向けての政府の総合的な対策についてが示されたところであります。この中で、各都道府県において自殺対策連絡協議会を設置することとなっております。区といたしましては、このような都の対応を受けて、区内の関係部署や関係機関と適切に連携をしていきたいと考えております。
数値目標ということの御質問もありました。区では、保健福祉総合推進計画の中で、人口10万に対する自殺率を16以下とすることを目標値として掲げているところであります。総合的な心の健康づくり対策を進めていくことで、この目標を実現していきたいと考えております。
それから、生きがい支援重視の介護予防についてということであります。介護予防ケアプランというのが動き出しているわけであります。このケアプランについては、国の地域包括支援センター業務マニュアルでありますとか、東京都が示しております新予防給付ケアマネジメント業務の手引きに基づいて、地域包括支援センターで作成しているところであります。介護予防ケアプランについては、3カ月ごとに厚生労働省の省令に基づく基準に沿って評価をして、次回のプランに反映させる仕組みとなっているところであります。介護予防ケアプランの評価、見直しに当たりましては、本人や家族の意見、意向を把握して行うということになっているところであります。
以上であります。
○議長(高橋ちあき) 以上ではっとり幸子議員の質問は終わります。
中野区議会議員 斉 藤 金 造
1 区政の取り組み-これからの4年間に重点的に取り組まなければならないこと-について
2 まちづくりについて
(1)西武新宿線の連続立体化事業の見通し
(2)中野駅周辺地区整備について
(3)その他
3 活力ある団塊の世代への対応について
4 救援リスト作成について
5 その他
○議長(高橋ちあき) 次に、斉藤金造議員。
〔斉藤金造議員登壇〕
○35番(斉藤金造) まず、質問の前に、悠仁親王殿下の御誕生を心よりお祝い申し上げます。高橋議長も9月11日には秋篠宮家にお祝いの記帳を、中野区議会を代表してお伺いされたとのこと、高橋議長、御苦労さまでした。
平成18年第3回定例会に当たり、自由民主党・民社クラブ議員団を代表して一般質問をさせていただきます。
区長は、6月の区長選をめでたく圧倒的な区民の支持を得て再選されました。2期目の区政運営について、心新たに決意されていることと拝察いたします。決意の一端を区民・議会の皆様にわかりやすく述べていただきたいと思います。
質問は通告順に行いますので、よろしくお願いいたします。
まず最初に、区長の2期目の区政の取り組みについてお聞きいたします。特に、これからの4年間に重点的に取り組まなければならないことについてお聞きいたします。
区長の第1期目は、内部改革を中心に強引とも言える改革に取り組みました。組織を変え、事業部制の導入、目標と成果による施策の見直し、行政評価の取り組み、基本構想の改定、10か年計画の策定、自治基本条例の制定など、職員の意識改革が進まないまま取り組まれました。その結果、仕組みや計画はできたと思います。2期目に入り、仕組みを機能させ計画を動き出させるため、区長のリーダーシップが問われます。
国から、地方分権一括法の施行以降、分権改革の目指す簡素で効率的な「小さな政府」の構築に向け、法制度をはじめ三位一体改革などさまざまな見直し、改革が進められています。こうした国や東京都の動きも目線に入れ、10か年計画の具体化に取り組まなければならないわけでありますが、計画を担う職員の意識改革をどうするのか、組織力をどのように強化するのか、大きな課題を抱え、待ったなしの区政運営に、組織力という側面から、これからの4年間どのように取り組んでいくのか、区長のお考えをお聞かせください。
次に、財政的な側面からお聞きいたします。
平成18年度の経済財政白書によると、日本経済は平成14年初めから景気回復を続けており、景気回復期は既に4年を越えているといいます。この景気回復の特徴は、一つには景気回復が長期化していること、二つ目は、公的部門の需要に依存せず、幅広い民間経済の各分野に改善が及び、バランスのとれた回復となっていること、そして三つ目に、単なる循環的な改善ではなく、雇用、設備、債務など構造的な変化を伴った回復であると分析しています。現在も景気回復は続いている状況にあります。
しかし、この景気回復を区財政にプラスに働いている面ばかりを見て、経常収支比率が改善した、基金の積み立てが進んだ、人件費比率が改善したなどと楽観的に考えているのでは、今後の財政運営を誤らせてしまうことになるのではないかと心配をしています。
経常収支比率にしても、80%を超えている区は5区しかありません。景気回復により法人住民税の大幅な増収は特別区交付金に反映し、23区全区が収入増になりました。一般財源が予定以上に増収になれば、当然に経常収支比率は下がります。このため、各区の経常収支比率が下がるのは当たり前のことであります。財政運営に知恵を絞った結果ではありません。もしこの増収がなければ、このような決算分析はできなかったでしょう。耳触りのよい言葉を並べることは、そろそろ反省する時期に来ているのではないかと思います。基金の積み立てについても同様だと思います。
景気回復途上にあるこの時期、中長期的な財政運営にとって見落としてならないマイナス要因への対策をすべきだと思います。この3月の量的緩和解除を挟み、長期金利が穏やかに上昇しています。今後景気回復が持続し、金利が上昇した場合の影響を財政運営に反映しておくことが必要だと思います。特に、中野区の税収の状況を17年度決算から見ると、金利の上昇による影響は、景気回復による税収増よりも10か年計画の取り組みによる起債発行の利払い費の増加が上回り、財政収支の悪化を招くことにならないかなど、中野区特有の不安材料が多いからであります。財政状況を一般論で語るのではなく、中野区の状況をしっかり分析した中野区の財政運営をしていかなければなりません。
このほか、少子高齢化の進展や人口減少社会の到来など、社会経済情勢の変化による影響がさまざまな形で区政運営にあらわれてくることが予測されます。今、中野区政に求められているのは、これまでのような決算結果に一喜一憂する他力本願による財政運営ではなく、経済財政運営に係る中長期の見通しを踏まえた財政運営の予見性の向上を図り、区政の経営力を発揮させることだと考えます。
区長はこれからの財政運営をどのように考え、どのように取り組んでいくのかをお聞かせください。
次に、事業の取り組みについてお聞きいたします。
平成17年4月1日に地域再生法が施行され、政府の地域再生の取り組みが本格的にスタートして1年がたちました。地域経済の活性化と地域における雇用機会の創出など、地域の活力の再生を総合的に推進するため、平成15年に内閣に地域再生本部が設置され、法施行までの間に3回にわたり281件の取り組みが認定されています。法の施行後は、法に基づく認定が562件されています。隣接する豊島区は、法施行前の第2回に「文化芸術創造都市の形成」計画の認定を受け、中学校の廃校校舎を活用した文化を機軸とした地域再生に取り組んでいます。
豊島区では、都心を中心とした大規模プロジェクトの具体化で都市間競争が激化する中、池袋をはじめとする区内のJR山手線5駅の乗降客数が全駅で減少するなど、相対的なまちの魅力が低下していることや、平成19年度に予定されている地下鉄13号線に伴う渋谷方面への区民・来街者の流出、また、「ダサイ・怖い・汚い」などのマイナスイメージを払拭するため、文化を機軸とした地域コミュニティーの再生とともに、新たなまちの魅力と価値を生み出す活力ある「文化芸術創造都市」を築くことを目指して、地域再生計画が作成されました。アートNPO、地域住民、行政、民間企業などの連携により取り組みが始まっています。
地域再生制度は、内閣総理大臣を本部長とする地域再生本部のもと、各省庁の縦割りを超えて、地域再生に役立つ事業を行う民間プロジェクトに対する課税の特例や、地域再生基盤強化交付金など省庁の壁を超えた交付金の新設、市区町村が提案した雇用対策事業の支援、日本政策投資銀行の低利融資など、認定事業にはさまざまな支援策が用意されています。地方公共団体が行う自主的・自律的な取り組みを総合的かつ効果的に支援する仕組みが地域再生制度です。その基本的な考え方及び支援メニューは、地域再生基本方針に取りまとめられています。
中野区は、10か年計画を策定し推進していくこととしていますが、こうした国による制度の活用はどのように考えられているのでしょうか。警察大学校等の移転跡地には大学を誘致し、産・学・官による活力あるまちづくりをするとしていますが、いまだ具体的なプログラムが示されていません。18年2月に地域再生基本計画の改定が行われ、「地域の知の拠点再生プログラム」が決定されました。地域の人材・知識が集積する大学や高等専門学校を知の拠点として位置付け、大学などと連携する地域づくりの取り組みを省庁が連携して支援するというものです。なぜ活用しようとしないのか、疑問です。10か年計画を推進していくために、独自の財源だけでは無理があります。積極的に国や都の制度を活用するとともに、民間の活力を活用していくプログラムを持たなくてはならないのではないでしょうか。計画づくりはだれでもできます。計画を動かし、実現させていく経営者が、今の中野区には必要であります。
10か年計画に示された施策は、区民にとってどれも必要なものですが、財政状況を判断し、さまざまな制度や仕組みの活用を図り、重点的な施策から着実に推進すべきと思います。区長の考えている重点的な施策とこれからの取り組みについて、お聞かせください。
次に、中野のまちづくりについてお尋ねいたします。
最近、近所の多くの区民の皆様から、練馬区に近いということもあるのでしょうが、「練馬区は変わったね」「便利になったね」「しゃれた店ができたね」「おいしいレストランが新しくできたよ」「新しいビルも次々と建っているね」など、話を聞いています。私も中野区の隣の区でもあり、道路整備、鉄道の立体化、駅周辺のまちづくりなどをどのように取り組まれているのかを、練馬区の環境まちづくり事業本部の部長さんを訪ねて聞いてきました。
まず最初に、西武池袋線の連続立体交差事業についてお聞かせいただきました。桜台駅より、新しい駅の練馬高野台駅を経由して、石神井公園駅までの六つの駅の連続立体交差事業であります。都市計画決定区間、全長7.7キロメートルのうち、第1期事業認可区間5.4キロメートルが平成13年3月に高架化が完了いたしました。第2期事業として、2.4キロメートル、平成17年度6月都市計画決定、平成19年度には事業認可、平成26年度には事業が完了とのことであります。第1期事業は総工費約1,300億円、そのうち練馬区の負担は90億円とのことであります。
区の取り組みについて、練馬区周辺のまちづくりについて後ほどお尋ねしますが、最初に中野区でも進んでいる西武新宿線連続立体交差事業の参考にもなると思いますので、連続立体交差事業第2期工事について詳細にお聞きいたしました。
この事業は、練馬高野台駅から大泉学園付近の沿線地域の将来像を、平成15年6月に策定された「練馬区都市計画マスタープラン地域別指針」の中で、「安心して生活できる魅力的な住環境のまち」をまちづくりの目標としていますが、次のような課題も中野区と同様に、1、鉄道による地域の分断、2、踏切による交通渋滞や交通事故の発生、3、狭い生活道路が多く、消防車等のすれ違いが困難、4、石神井公園駅周辺の交通処理などが提起されております。
事業の推進により、富士街道をはじめとする幹線道路や通学路に指定されている踏切など、あわせて9カ所の踏切が除去され、慢性的な交通渋滞の解消、鉄道と道路それぞれの安全性の向上が図られます。さらに、鉄道により隔てられていた地域が一体化されるとともに、鉄道と交差する都市計画道路及び駅前広場等を整備することにより、安全で快適なまちづくりに大きく寄与しますとあります。西武鉄道としても、練馬駅から練馬高野台駅まで完了している鉄道の複々線化を急行停車駅である石神井公園駅まで延長することにより、ラッシュ時の混雑緩和や所要時間の短縮等、一層の輸送サービス向上が図られるものであります。区としても、地域住民の皆様にも、そして西武鉄道にもそれぞれいいことずくめの事業と思われます。
そこで、取り組みについてもお聞きいたしました。50年も60年もかかる事業ですから、計画づくりの段階から地域の参加を求めてきめ細かな対応をしてこられ、事業の実現についても道路のつけかえ、石神井公園駅南口・北口駅前広場を中心とする再開発事業、商店街の活性化をどのように図るか等々、国も最近の財政状況もあって簡単に事業認可がおりづらくなっているとのことであります。
そこで、区長にお尋ねいたします。西武新宿線の環六から環七までの連続立体交差事業についての現在の見通し、地域との合意形成、道路交通網等の整備、駅周辺の整備計画の状況をお答えください。次に、都、国との進捗状況、また問題点はないのかもお聞かせください。さらに、西武鉄道についても、現行のままで積極的な参加が望まれるのかもお答えいただきたいと思います。
次に、練馬駅周辺のまちづくりを参考に、中野駅周辺のまちづくりについてお伺いいたします。中野区と同様、練馬区周辺のまちづくりは、魅力ある練馬の顔づくりを目指しております。区の中心核として位置付けております。
土地利用の課題として、駅前地区にふさわしい土地利用の実現としては、駅前には商業・業務が集積しているが、小規模な低層の住商併用建物が多く、中心核としての土地利用がなされていないため、建物の共同化等による土地の高度利用を図り、あわせて都心への買い物客の流出が多くなっていることへの対応策として、真に魅力的な商店街の再生を区としても支援していき、さらに木造家屋が密集し、道路が狭いため、災害時の救助活動や緊急車両の進入が困難な地域もあり、中野区同様防災上の問題を抱えています。そのため、道路の拡幅や建物の不燃化の推進が不可欠とのことであります。練馬区では、その第一歩として大規模な開発ではなく、土地の有効利用を可能にし、町並みに配慮した個別建てかえや共同化などにより、住商が調和したまちづくりの推進を図っております。その第一歩として、規制だけではなく、建てかえを推進するためにボーナスも与えているとのことであります。具体的に、地区計画を活用して道路車線の緩和、前面道路による容積率制限の緩和も取り入れております。
そこで、区長にお尋ねしますが、駅舎、駅前広場をはじめとした早期の中野駅周辺整備に向けて、中野としての道路交通の体系化、交通ターミナル機能の充実、安全な道路づくり、歩行者回遊路づくり、防災に強いまちづくり、区の中心商業核としての魅力づくり、駅前地区にふさわしい地区計画を導入した南北の土地利用の実現にも向けた考えを示すべきだと思われますが、さらに民間の方も協力していただける整備も必要と思われますが、いかがお考えかをお聞かせください。
最後になりますが、中野区でも対応が必要と思われることについてお尋ねいたします。
練馬区では、私立高等学校の移転に伴い、学校の跡地に地域と調和しない100メートルを超える高層の建物が計画され、練馬区の6割が第1種低層住宅専用地域、高さ制限は10メートルから12メートル、風致地区では15メートル以下の高さの制限はありますが、その他の地域では制限がないため、大規模な敷地などでは高層の建築物の建築が可能であり、さらに各種の規制の緩和で、さらに高層化の傾向が高まっている折から、地域との調和を考えて建築物の高さの最高限度を指定していくとの考えでありますが、中野区ではどのように取り組まれるかをお聞かせください。
縷々練馬区の取材を話しながら質問させていただきましたが、取材の中で各理事者は、先輩たちの努力、そして地域の人々との対応をさまざまな困難の中で取り組んでこられたことをお話ししていらっしゃいました。中野区の理事者も熱心な取り組みを期待するとともに、他区のよいところは積極的に取り入れ、区民の期待にこたえられるまちづくりに取り組まれ、早期に実現できるまちづくりをお願いして、この項の質問を終わらせていただきます。
次に、救援リスト作成についてお伺いいたします。
本年9月1日、防災の日の新聞報道で、国は昨年3月に出した避難支援ガイドラインで、ひとり暮らしのお年寄りや心身障害者等要援護者の避難支援プランを作成するよう、その第1段階として要援護者情報を把握・共有するためのリストの作成を求めております。
一昨年の7月より、新潟豪雨、中野区でも昨年の8月15日、9月4日の集中豪雨による被害は記憶に新しいところであります。多くの高齢者など、災害弱者が被災したことを教訓に、早期のリスト作成をとのことでありますが、東京23区、政令市など全国の72の主要自治体のうち、作成されているのはわずか19自治体にとどまっていることが新聞社の調査でわかりました。
未作成の自治体の多くが個人情報保護との両立の難しさを理由に挙げておりますし、作成済みの自治体でもリストに登録する希望者を募る方式を採用したところでは登録者数が伸びないなど、人命救助と個人情報保護との間での問題が浮き彫りにされています。
情報収集の方法は、1、自治体の福祉部局などが持つ、要援護者情報を本人の同意を得ず防災部局と共有する「関係機関共有方式」、2、みずから登録を希望する人の情報を集める「手挙げ方式」、3、自治体などが要援護者に直接働きかけて登録への同意を得る「同意方式」の3通りが挙げられています。国は、各自治体には個人情報保護条例があるが、行政機関個人情報保護法で、「明らかに本人の利益になる時」には個人情報の目的外利用や本人以外への情報提供をもできると規定されていることから、積極的に共有方式をとるよう要望しております。作成済みの19自治体でも、個人情報保護の観点から手挙げ方式だけで行った8自治体の中には、希望者の少ない点に問題があると考えられております。さらに国は、被災地で要援護者支援の中核となる地域の防災会などとも協定を結んで、守秘義務を確保した上で、平時からリストの共有を進められております。
そこで、区長にお尋ねいたします。
最初に、中野区の救援リスト作成の進捗状況をお知らせください。次に、どの方式で中野区は情報収集されるのか、さらに地域防災会との救援リストにかかわる協定など、どのように取り組まれるのか。最後に、防災、防犯等の観点と個人情報保護との両立に、中野区としてはどのように取り組んでいかれるかをお答えください。
次に、活力ある団塊の世代への対応について質問いたします。
私は、平成17年度第1回定例会において団塊の世代への対応を、幾つか具体的に例を挙げて区の考えをただしました。今度はその第2弾としてお尋ねいたします。
区は、この問題に対して、「新しい中野をつくる10か年計画」の中で次のように述べています。生涯現役を続けられるまちを目指して、定年を迎える団塊の世代への対応が必要である。しかし、解決すべき課題として、参加しづらい地域活動と少ない雇用機会を挙げています。私もそのとおりだと考えております。
そもそも団塊の世代とは、昭和22年から3年間のベビーブームの一塊を作家の堺屋太一氏が名付けたものであります。この世代は、堺屋氏が指摘するように、量的な意味ばかりではなく、質的には戦後世代として戦争や物不足を知らず、経済成長の時流を生き、終身雇用・年功序列という労働環境の中で人生の大半を過ごしてきた世代であります。戦後世代の一塊が、高齢社会の真っただ中で初めて高齢者の仲間入りをすることは、よかれあしかれ地域社会に大きな影響を与えることは確実であると思われます。
団塊の世代は、私もその一員なのでよく感じるのですが、「わがまま」というか「こだわりが強く」、例えば行政側があまりお膳立てし過ぎると、方向は間違っていなくてもそっぽを向く傾向があります。ですから、団塊の世代向けの施策を講じる場合は、最大限に当事者が参加する機会を設け、当事者が企画・運営する参画プロセスが重要であると考えています。中野区でも、定年でやめた会社員や大学の教育者らが集まってNPOを設立し、現在高齢者会館等で活用しています。彼らは、現役のノウハウを最大限活用して、生き生きと地域社会で過ごされています。
私は、中野区が積極的に団塊の世代が知識や経験を生かして活躍できるよう支援を行っていくことは、実はこれからの超高齢化社会に対応する準備となるだけでなく、さまざまな意味からでも地域の活性化に結びついていくものと考えております。
来年から続々と定年退職を迎える団塊の世代、これまでの仕事一筋だった人たちに、地域での生きがいを見つけ、第二の人生を生き生きと過ごしてもらおうと、既に多くの自治体が地域デビューを支援する取り組みが始まっています。
ことしの2月、中高年男性の地域デビューを支援するイベント「お父さんお帰りなさいパーティー」が東京都八王子市で開かれています。一部紹介いたしますと、団塊の世代から70代まで約120名が参加、学校安全ボランティアや男の料理教室、高齢者への配食サービスなどを行う9団体が活動内容を紹介し、参加団体と参加者による懇談会も行われ、「退職して地域に帰ってくる男性たちが、地域活動に参画する契機にしてほしい」と、企画した同市市民活動センターの所長さんも、会社員だった50歳のころ地域デビューを果たした経験者とのことであります。「自分の趣味や本業の延長である技術・知識を生かして、地域の人に喜んでもらうことが人生の充実感や幸福につながり、横社会の地域には会社とは別の価値観やルールがあることを肝に銘じ、男のメンツや照れを捨てることが大事」と、意識改革の必要性が訴えられております。
また、神奈川県鎌倉市では、「鎌倉団塊プロジェクト」実行委員会を発足させています。市は、「会社人から地域人へと変身してもらって、地域コミュニティーの活性化につなげたい」と述べています。
さらには、東京都多摩市では、企業の経営やコンサルティング経験を持つボランティアが、起業家の悩みや疑問に回答するサービス「創業サポート市民スタッフ」を本年5月から始めています。
区長は、マニフェストの中で、ビートルズ世代シニアの地域デビューを支援すると言っています。第1回定例会での区長の答弁は、「多様な就労機会、雇用機会も極めて重要であると考えている。今後具体化に向けて検討を進めていく」と答弁されています。
前回の質問では、国の予想は当たった試しがないと紹介しましたが、珍しく財務省の財務総合政策研究所からも、現行の定年制度を維持した場合、団塊の世代が今後順次大量に退職年齢を迎えることから、2010年以降、労働力人口減少などでGDPが約16兆円減少するが、給与の高い層の引退で給与支払い総額が抑えられたり、退職後の旺盛な消費意欲により企業業績が改善するそうです。団塊の世代の大量退職で景気がよくなると言われています。
今は検討する段階ではなく、具体的な施策展開をするときではないでしょうか。団塊の世代は、定年まで企業のために骨身を惜しまず働き、しかも、定年になったら、会社のためではなく社会のために働きたいと考えている人は多いと思うんです。就業と企業、介護と福祉、生涯学習、NPO、地域活動、防犯と防災、環境保全など、多様なニーズにどう対応していくのでしょうか。中野区は団塊の世代を対象に具体的にどういう施策を考えているのかをお尋ねいたします。
最後に、その他についてお尋ねいたします。
北江古田公園の路上生活者についてお尋ねいたします。
道路、公園等、公の使用するものは大幅な規制があり、中野区においても「行為の制限」の第3条においては、各号に挙げる行為をしてはならない。その第1に公園の原状を変更し、または用途外に使用することとあり、その使用等についても当然皆が守らなければならないルールがあります。道路を遮断したり、物を建築することはできないことになっております。公園においても、中野区でもそれぞれの公園の使用について、犬を連れて散歩をしてはいけない公園も多数あります。
今春、北江古田公園の江古田川に面したところに三つのテントが並び、生活を始めた路上生活者が出現しました。地域の人が、ルールをなぜ中野区は守らせないのか、苦情が寄せられ、早速公園・道路担当課長に相談したところ、早急に都と相談して対応しますとの返事をいただきました。その後、今度は5棟にふえたということで、再度公園・道路担当課長に相談したところ、一人が犬を飼っているので、保健所とも相談して対応したいとのことでありました。
地域の人々は、公園をみんなで清潔に使用し、飲食も控えたり、夜間の使用にも協力し、事故のないよう安全パトロールをしたり、ある人などは区の定期的な清掃の合間に自分でペットボトルなど大きなごみの収集をして、みんなで使う公園がみんなに愛される公園になるよう協力していただいております。
昨日も、私のところに公園に隣接するマンションの住民の方から電話がありました。最近はますます路上生活者がのさばってきて、火を使って炊事をしたり、近所の子どもたちが怖がって公園に近づかなくなる、注意をしに行くと1日くらいは反省する素振りが見られるが、翌日には同じことをしている、再三公園・道路担当課に相談の電話をしますと、すぐ対応しますと返事はあるが、全然改善の様子が見られないとの苦情が寄せられました。
一部地域の人たちは、区で対応ができないなら自分たちで排除してあげようかとの声まで上がっていることも、公園・道路担当課長に話したところであります。そんなことをされては困ります、早急に対応しますと再度返事をいただきました。挙げ句の果ては、その飼い犬に手をかまれた人まで出てきています。本当に中野区は、このままいつまで何もせず放置しておくのかをお答えください。区でやらないなら、自分たちで何とかしてよいのかもお聞かせください。
昨日の総務委員会の補正予算の審議でも、ホームレス就労支援、紅葉山公園環境整備、紅葉山公園警備管理費等で1,870万円余の補正予算がホームレス対策として計上されておりますが、金をかけても結果があまり期待できないのではないかとの指摘もさせていただきましたが、改めて区長のホームレス対策にしっかり取り組む決意はいかがなものかをお尋ねいたします。
これで私の質問をすべて終わります。区長の誠意ある答弁をお願いして、皆様の御静聴に心より感謝を申し上げます。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 斉藤議員の御質問にお答えいたします。
職員の意識改革、組織力の強化についてという御質問がありました。事業部制の導入や目標と成果による管理といったようなことを進めていく中で、職員がみずから目標を定め仕事に取り組むこと、また各管理職が適切に助言をして職員の意欲を引き出す体制といったようなことが浸透してきており、全体として仕事に取り組む姿勢が強まってきたと考えているところであります。また、基本構想や10か年計画の策定を通じて、組織全体が目指すところやそのプロセスといったようなことも明確に認識されるようになってきたと感じているところであります。
今後、区全体の経営機能の明確化と強化を進めるとともに、人事権や歳入歳出両面にわたっての予算編成の責任と自主性を強めるなど、事業部の経営機能をさらに強化していきたいと考えております。そうした中で、職員がみずからの使命をより明確に認識でき、部の自主的な施策展開が戦略的に行われるようになることを期待しているわけであります。
それから、財政運営についての御質問でありました。御質問の中で言われていたこと、確かにそのように認識しなければいけないというふうに考えているところであります。区の財政は、これまでの改革の結果、各種の財政指標などを見ても一定の改善が見られる状況となっているわけではありますが、基幹収入であります住民税の伸びというのは、17年度、18年度、経済が回復して景気が回復しているにもかかわらず、その景気との連動が見られないという状況であります。したがいまして、都区財政調整交付金に頼る財務体質となっているわけであります。
これからの財政運営は、そうした状況を踏まえ、また経済も現在は堅調でありますが、将来的には人口減少などの影響を考えていきますと、大きな税収の伸びというものを期待するわけにはいかないということもあるわけでありまして、そういう中でさまざまな施設の補修あるいは改修といったような大型の需要も控えているというようなことを考えますと、まず経常的な支出は一定に抑えていくということ、そして将来の需要に備えていくということも計画的にやっていくということ、そうしたことが必要になってくるわけであります。
そういう意味で、中長期的な財政需要や、あるいは収入要因を的確に把握した上で、計画的な基金、起債の活用、それから経常経費の増加の抑制、不透明な経済環境にあっても着実に成果が上げられるように新たな財政規律を確立しながら、政策実行型の財政運営を行っていかなければならないというふうに考えているところであります。
10か年計画の推進の中で、重点的に取り組んでいかなければならないこと、これについてどう考えているかというところであります。新しい中野をつくる10か年計画では、区が取り組むべき重点的な施策を四つの戦略として示したところであります。
その第1に掲げておりますのが、まち活性化戦略でありまして、中野駅周辺まちづくりの推進を掲げ、まちづくりガイドラインの策定や開発者負担のあり方について、現在鋭意検討を進めているところであります。その中野駅周辺まちづくりの中での整備手法としては、御質問の中にもありましたように、都市再生特別措置法に基づくまちづくり交付金など、国、都の補助制度や、規制緩和策の積極的な活用を図っていくこととしております。こうした取り組みを進めながら、戦略的に重点化した施策を着実に推進していきたいと考えております。
それから、西武新宿線の連続立体交差事業についてであります。事業の見通しということであります。この区間については、平成16年に東京都が策定いたしました踏切対策基本方針の中で、鉄道立体化を検討すべき区間の一つとして位置付けられたところです。この事業を実現していくためには、東京都の事業化決定が必要ということであります。そのためには、その東京都が事業化していくということを決定していくためには、都市基盤施設やオープンスペースが不足している沿線のまちづくりを行っていくということが重要なわけであります。
これまで各駅ごとにまちづくりの勉強会を重ねて、地域でのまちづくりへ向けた検討を行ってまいりました。その結果を踏まえて、新井薬師前駅、それから沼袋駅周辺地区で駅前広場や駅周辺の道路網の整備を盛り込んだまちづくり構想のたたき台を取りまとめたところであります。このたたき台をもちまして、今月の11日、13日に区民説明会を開催いたしました。今後、このたたき台をさらに整備をした上で、事業実現に向けて東京都と協議をしていきたいと考えております。
都などとの協議の状況、あるいは西武鉄道の姿勢といった御質問であります。区は、東京都及び西武鉄道の三者によります西武新宿線沿線まちづくり及び踏切対策検討会というのを設置しているところでありまして、本事業の推進のために関係者で協力しながら、沿線まちづくり等の検討を進めてまいりました。こうした状況の中、東京都については先ほどお話をしました踏切対策基本方針に基づいて、事業化の対象路線をどのように選択するのか、今後検討していくものと考えております。東京都がこれまで進めてきました連続立体交差事業が、大きなところが一段落をしていくという中で、次にこの路線が対象に入れてもらえるかどうかといったあたりが大変重要なポイントに差しかかってきているということだと思っております。西武鉄道の方につきましては、基本的に区と同様の立場で連続立体交差化事業を推進するというふうに意向を示しているところであります。
それから、中野駅周辺地区の整備についてであります。御質問の中にもありましたように、中野駅周辺は中野のまちにおきまして交通結節点であるとともに、産業や商業等が集積する中野の顔となるべき地域であります。中野駅周辺のまちづくりに当たりましては、多様な機能を集積させ、創造的で魅力ある拠点を形成するとともに、都市基盤施設の整備や緑豊かなオープンスペースを確保する等によりまして、新たな都市機能と、防災、環境とが調和したまちを官・民が協力してつくっていきたいと考えているわけであります。
そうしたまちづくりを先導することになります警察大学校跡地等の開発につきましては、地区計画の手法、また開発者負担の制度等を導入いたしまして、民間の力を活用しながら、まちのにぎわいや新たな活力を生み出す商業、業務、大学等の諸機能を誘導するとともに、安全で快適な道路網や防災公園等の整備を図っていきたいと考えているところであります。また、この開発を契機といたしまして、駅舎や駅前広場等、交通ターミナルの整備や周辺のまちづくりを一層推進するために、整備構想の検討などを着実に進めてまいりたいと考えております。
それから、練馬などで行われております建築物の高さの最高限度指定についてであります。建築物の高さの最高限度指定については、町並み景観の形成や居住環境の保全といったようなことを目的に建築物の高さ制限を行うというものであります。それぞれの地域によって状況があるわけでありまして、地域のまちづくりは住民の意向やその状況をよく踏まえた上で進めることが重要であると考えております。地域によって、高さの制限を行ったり、あるいは緩和を行ったり、さまざまな手法が必要になることから、地域に合った地区計画の制度を活用していくことが重要であると考えているところであります。
それから、災害時の要援護者情報の活用、リストの作成といった御質問であります。現在、中野区では、いわゆる手挙げ方式ということによって災害時の要援護者情報を把握しているところですが、この手挙げ方式は登録者の数に限界があるといったようなことから、このまま進めていくのではいけないと認識をしているところであります。そうした中で、災害時の要援護者情報を有効に機能させるために、情報の共有--関係部署、区内関係機関との間での情報の共有に向けての調整を図っているところであります。災害時の対応として、現行の手挙げ方式、関係機関の共有方式、あるいは同意方式など、場面によって必要に応じて組み合わせる方式といったようなことを検討しているところであります。
災害時に、地域住民防災組織によります要援護者の救援活動が、これが地域の中では中心的な役割を持つわけでありまして、このためそうした組織との間でも守秘義務を確保できる有効な方法について検討していきたいと考えております。
また、大変大きな問題と言われていることの中で、個人情報の保護と利用の両立についてという問題があります。区民の個人情報を適切に保護することは区の重要な責務でありまして、必要な措置を講じているところであります。一方、災害や犯罪から区民の生命、健康、財産を守って危険を回避するというためには、個人情報の適切な利用が必要だということも当然であります。この保護の手続のためだけに必要なときに利用ができないようなことになってはいけないわけでありまして、区ではこれまでの手続に加えて、災害被害者への支援を行うために想定される事案については、あらかじめ個人情報保護審議会の意見を求めておくなど、緊急時に迅速、的確な対応ができるように、あらかじめの体制を整備していく必要があるというふうに考えております。さらに、審議会を開く暇がない場合なども想定できるわけでありまして、区長によります専決処理と、その報告をするという仕組みをつくることなども検討しているところであります。
それから、団塊世代を対象にした施策についてであります。団塊世代の受け皿となります地域の活動を盛んにして、地域にかかわる多様な機会を生み出すことが必要という認識をしているところであります。区は、ことしは、団塊世代を意識した事業としては、3月に「コミュニティーデビュー」と題した、さわやか財団の堀田力さんの講演会、7月には「発見!豊かなセカンドステージ」と題した男性向けの講座、それから9月からは、中野企業サポートセミナーなどを開催しているところであります。
また、区としては、区民公益活動の推進に関する条例を制定し、町会、自治会やNPOなどのさまざまな活動の支援を強化しているところですが、区民公益活動の推進に関する条例に基づいて、公益活動情報コーナーを設置することを予定しております。こうしたコーナーで、具体的な活動に結びつける情報提供でありますとか、相談を行うことを予定しているところであります。こうした取り組みを散発的に実施しているという段階から、目標を明確に定めて施策が連携して効果が上げられるような、そうした体系的な取り組みにレベルアップをしていくことが重要であると考えております。
それから、ホームレスへの対応についてであります。今回、一定規模以上のホームレスが集中しているということで、紅葉山公園につきましては都区で構成する協議会等で検討した結果、地域生活移行支援事業の対象地域として選定して重点的に取り組むこととなったわけであります。その紅葉山公園以外の公園施設につきましても、今年度、夜間を含めた巡視活動を強化したり、公園の利用秩序の確保や環境整備にも努めているところであります。
区といたしましては、北江古田公園も含めて、公共施設に点在しておりますホームレスに対して巡回相談事業を新規に開始して、定期的な訪問によりまして生活や健康上の相談、緊急一時保護センターへの入居相談、就労支援相談などを実施して、ホームレスの早期自立の支援に取り組んでいるところであります。こうしたホームレスへの支援とともに、公園の適正利用の推進といったようなことを進めていかなければならないというふうに考えているところであります。
なかなか成果が見えないということで、さまざまな区内の公園での実態をお聞かせいただく場合が多いわけでありますが、区といたしましてもしっかりとした取り組みをしてまいりたいと考えているところであります。
以上であります。
○議長(高橋ちあき) 以上で斉藤金造議員の質問は終わります。
議事の都合により、暫時休憩いたします。
午後2時24分休憩
午後2時47分開議
○副議長(江口済三郎) 会議を再開いたします。
この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 飯 島 きんいち
1 「教育」に取り組む区長の考えについて
2 安全・安心のまちづくりについて
(1)防災訓練と救援リストの作成について
(2)防火シャッター整備について
(3)「お帰りチャイム」の時間変更について
3 都市計画マスタープラン改定と「まちづくり条例」の制定について
4 歩いて暮らせるまちづくり・交通安全対策などについて
5 住宅まちづくりについて
(1)子育て支援住宅政策について
(2)住宅マスタープラン改定について
6 環境行政について
7 電子自治体構築と地域振興について
(1)基幹系システムの再構築とIT産業育成について
(2)ホームページの広告掲載と地域振興について
8 その他
○副議長(江口済三郎) 次に、飯島きんいち議員。
〔飯島きんいち議員登壇〕
○27番(飯島きんいち) 初めに、昨日、親王御誕生につきましては幹事長の大泉の方からお祝いを申し上げました。私からは、昨日、自民党総裁、安倍新総裁が誕生いたしました。美しい国は、国民一人ひとりにとっても幸せな国であろう、そう期待させていただいておりますことを申し上げて、質問に入りたいと思います。
公明党議員団の立場から、区長並びに理事者の方々に質問いたします。
初めに、区長の見解をお尋ねいたします。
田中区政の第2期が始まりました。この4年間は改革をさらに進めるとともに、これまでの改革の成果を区民の皆様に還元しつつ、さらに改革の推進へとつながる、よいサイクルをつくり出す時期だと思います。大泉質問に対して、政策実施型への転換という区長答弁は、こうした見解とある意味軌を一にする、そういうものであろうかと考えております。さりながら、成果の還元とは言っても、総花的にばらまくことは今後は許されないことでありましょう。分野を絞り、効果的な行財政執行が求められることは当然であります。
その重点的な成果を還元する分野の一つは、私は「教育」だと思います。平成18年度の23区の普通会計ベースの予算で見ますと、教育費の予算全体に占める割合は、品川区が20.6%でトップであります。一方、我が中野区は12%で、19番目であります。
かつて中野区は、「教育の中野」と言われた時期がありました。地域に良質な人材が集まってくる条件の一つが、治安と並んで質の高い教育と言われております。私は、今後の中野区を考えるとき、単なるノスタルジーとしてこれを語るのではなく、本気で「教育の中野」の再構築に取り組むときだと感じております。
全国的水準での公立小・中学校の第三者評価が9月から始まりました。学校再編、小・中一貫教育、特別支援教育など、避けて通れない課題に成果を上げて、人と財源と時間という区の資源を「教育」に重点的に配分していくべきと考えますが、いかがでありましょうか。
教育委員会がぶれることなく仕事を進めるために、首長の教育に取り組む意欲を明確にすることが重要であることは、先進自治体の事例に待つまでもなく明らかであります。そこで、教育特区や、対象者や財源などに新しい発想の奨学金制度創設も含め、区長の「教育」に取り組む意欲についてお伺いいたします。
次に、安全・安心のまちづくりについて伺います。
初めに、現実に役立つ防災訓練の実施と、先ほど斉藤金造議員が質問されました、援助が必要な高齢者や障害者等の救援リスト作成について伺います。
現在、中野区では、手挙げ方式で要支援・救援リストを作成しております。そのリストは中野区だけでなく、警察、消防、地域防災会に渡されていると聞いております。私も、9月3日の総合防災訓練に参加いたしました。現場で車いすで参加された方を見ましたが、訓練に当たって救援リストの活用についての検討が行われた形跡はありませんでした。
いま一つの課題は、中野区の、先ほど斉藤議員が質問したとおり、救援リストの登録数の問題、作成の方法の問題であります。現在、中野区内の災害時援助が必要な方は、およそ1万5,000人に上ると思われております。一方、リストに登録されている方々、手挙げ方式の。この方々は993名にすぎないと聞いております。手挙げ方式の限界と言われているところであります。
23区の中でも、豊島区、墨田区、足立区、江戸川区が関係機関共有方式、中央区、品川区などが同意方式、その他二つの手法の抱き合わせの方式のところ等があるようであります。
そこで伺います。災害は待ったなしであり、住民の安全を守ることは行政に課せられた最優先課題であります。この際、手を挙げなかった人をどう救援するのかなどという問題を含め、手挙げ方式以外の方法について検証を行い、個人情報保護条例規定も研究すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
また、災害に備えることは、結局は自分自身の問題であり、コミュニティーの取り組みが安全な地域社会をつくります。その意味で、防災訓練についても、いざというときに役立つよう現実的な訓練とすべきですし、本番を想定して取り組むべきです。医療救護班の招集事態に対して、メールでの確認が行われなかった等、実際に即した訓練ではなかったようであります。今後は、現実対応を強化した、救援リストの活用も含む訓練プログラムを検討、実施すべきと考えますが、お考えを伺います。
次に、施設・設備の安全性確保について伺います。
施設の耐震性の問題から始まって、先般起きた本庁舎のエレベーター停止まで、危機管理の上から施設整備の優先順位を考える必要があります。
本年6月7日、新潟県において小学校1年生の男の子が降下した防火シャッターに首を挟まれるという事故が発生しました。この事故を受けて、国土交通省住宅局建築指導課長名で、また同日、文部科学省からも東京都を通じ連絡があったはずであります。平成17年の12月には改正建築基準法施行令等で防火シャッターの開閉作動時の危害防止措置が義務付けられました。
そこで、伺います。学校における防火シャッターの危害防止措置について、どのような現状でありましょうか。小・中学校43校のうち、自動停止装置が設置されているのは7校だけと聞いています。しかも、煙を感知して作動が開始され、熱感知により降下が始まる二段階式も、自動停止装置の設置をする必要が生まれております。実態の報告と早急な改善についてお答えください。
この項の最後に、お帰りチャイムの時間について伺います。
防災行政無線の点検の意味で、現在、通称「お帰りチャイム」を午後5時に流しています。冬場は5時といえばすっかり暗くなっている時間で、保護者の方から放送時間の繰り上げ、また下校時の放送の要望を田中区長に行い、本年、試行として新入生が通学を始める時期の4月末まで放送が行われました。評価はいろいろあったように聞いていますが、地域で子どもを守ろう、そういう取り組みと結びついたときには、この放送は効果が期待できると思います。
そこで、下校時放送について、地域との連携を図りながら再開すべきではないでしょうか。また、冬場のお帰りチャイムは時間を繰り上げて行うべきです。点検が目的でも、お帰りチャイムという名前が示すとおり、子どもたちには帰宅時間の目安になっていることは間違いありません。ぜひ時間繰り上げ等については、本年11月を目途に検討実施をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、都市計画マスタープランの改定と仮称「中野区まちづくり条例」の制定について伺います。
区長は、都市計画マスタープランの改定とまちづくり条例の制定については、「行う」と、明確な取り組みの答弁をされています。
そこで伺います。都市計画マスタープランは、いつまでに、どのような体制で、どのような方針で改定されるのでしょうか、お考えを伺います。私は、特に、バリアフリー整備構想や緑の基本計画などとの整合を明確にして、新たに「みどりのまちづくり」などの考えを示すなど、改定作業を進める必要があると考えていますが、いかがでしょうか。
また、提案型のまちづくりにかかわる、仮称「中野区まちづくり条例」の制定はどのような進捗状況でございましょうか。10か年計画では、まちづくり条例の制定はステップ1に位置付けられています。取り組みが急務と思われますが、いかがでしょうか。内容を含めて、進捗状況についてお答えください。
このまちづくり条例の中で、地区計画に提案できる面積要件については特に必要と認められた場合の条項を定めて、0.1ヘクタール以上とするなど、中野区らしい規定を設けるべきと考えますが、いかがでしょうか。また、新宿区で行っているような絶対高度制限の提案も、地域合意を受けて受け入れることがあってもいいと思いますが、いかがでしょうか。
現実に、ある日突然近隣商業地域になった住居系の地域では、よかれと思って変更した用途が問題を引き起こしている例があり、みずからのまちはみずからつくるという趣旨からも、地域住民の意向を反映する仕組みづくりが急がれると考えますが、いかがでしょうか。
次に、地籍調査について伺います。
都市再生推進基準点測量も進んできて、いよいよ今後10年の計画で地籍調査事業が実施されようといたしております。ある人に言わせれば、太閤検地以来の大事業と言われています。中野区も都市計画の基本データである道路や土地の基本情報を整備する必要を認め、取り組みを進めるようでありますが、その前提となる3級等の基準点の精度に問題があることが指摘されております。そこで、有効な調査事業とするために十分な準備を行って取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。19年度の取り組みを含めて、お考えを伺います。
この項の最後に伺います。都市計画マスタープラン改定に関連して、景観行政団体の指定はどうなっているのでしょうか。東京都の同意をいつ受ける予定でいるのか、伺います。
次に、住宅まちづくりについて伺います。初めに、中野区の子育て支援策の柱ともなる住宅政策について伺います。
かつて、バブルの時代、地価を直接反映しない賃貸住宅を供給するために、借り上げ方式の都民、区民住宅制度を提案、現実に制度が創設されてきました。中野区では、子どもや高齢者の人口構成のバランスを回復するという目的を独自に掲げて、区民住宅は18歳未満の子どもを含む3人以上の世帯を対象とした子育て支援住宅の性格を持って制度がスタートいたしました。
10年が経過して、家賃の上昇の問題だけでなく、子育て支援住宅でありながらその性格を十分に生かし切った運用ができないために、空室ができる等の需給のミスマッチが起きております。私はこの際、制度の基本性格を意識した要件緩和を行うべきではないかと考えます。中野区在住期間や、ひとり親等の場合の家族要件など見直しをして、中野区で子育てが継続できるためには住宅の問題が解決されることだという、今も昔も変わらない、そうした問題に対処すべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、住宅マスタープラン改定について伺います。
私は、中野区の住宅としての本質は、あくまでも住宅都市であろうと考えています。にぎわい、学び、集い、憩うという、中野駅周辺の再開発についても導入機能として住宅が外されていないのは、そのことをよく示していると思います。今後の中野区の将来像として、全区的には良質な環境に恵まれた住宅都市中野が強くイメージされると思います。
本年6月、我が公明党の長年の主張が実って、住生活基本法が制定施行されました。これを受けて、東京都は本年度中に法の定める達成目標を定めた「住生活基本計画」を策定することになっているようであります。中野区でも、10月から11月ごろにかけて東京都からのヒアリングを想定しているようです。私は、中野区でもこの事態に対処して、「中野区住生活基本計画」とも言うべき住宅マスタープランの改定をするべきと考えていますが、いかがでしょうか。
その場合、住宅マスタープランの改定で中野区としての達成目標については、10か年計画に示された誘導居住水準を満たす住宅の割合以外にどのようなものが挙げられるのでしょうか。私は、子育て支援住宅の1項を立て、公営、公共、民間すべての分野の住宅ストックを活用する視点を持つべきと考えますが、いかがでしょうか、お考えを伺います。
次に、ステップ1に示された住宅まちづくりの総合支援の仕組み検討とは、いかなるものを現在検討されているのでありましょうか。民間とのコラボレーションを想定しているとも漏れ聞いていますが、現段階の検討状況、取り組みと今後の流れについてお答えください。
さらに、制度の必要性について提案したことのある、新しい居住支援の仕組み創設について伺います。
高齢者アパート、身体障害者アパート事業の終了に合わせて、早急に対処すべき課題は多いわけでありますが、この居住支援の仕組みとともに、21年度の目標として掲げられた高齢者向け民間賃貸住宅登録戸数の目標、40戸を200戸とすることは見えてきているのでありましょうか。さらに、8年後の平成26年度には500戸が目標になっていますが、本当に大丈夫でしょうか。達成を担保する事業手法についてはどのようなものを想定しているのか、伺います。
取り組み事例の一つの新井四丁目の区営住宅の建てかえについて、住宅構成等具体的な内容についてお答えください。まだ詰め切っていないのであれば、ここでも子育て支援住宅を組み込むことを検討すべきと考えます。
この項の最後に、住宅政策審議会について伺います。
中野区における住宅まちづくりの基本に関する条例の第18条以降に、住宅政策審議会についての規定があります。それによれば、住宅まちづくりの推進に関する重要な事項について調査審議するとともに、必要な事項について区長に意見を述べることができるとなっています。ところが、平成14年度以降、住宅政策審議会は開催されていないと聞いています。10か年計画の住宅まちづくりの部分についても、住宅政策審議会は関与していないということでありましょうか。条例の規定はどうなるのでしょうか。住宅政策審議会は単なるお飾りなのでしょうか。新たに子育て支援住宅という課題が見えてきたのでありますから、住宅政策審議会に関するこれらの件について明確にお答えください。
次に、歩いて暮らせるまちづくりの基本とも言える、交通安全対策について伺います。
中野区内の事故発生件数は、平成13年度に減少を見せたものの、事故件数、死傷者数ともに2,000内外という高い水準で推移しています。事故当事者別では、自転車による事故の増加が目立っているところであります。
自転車と人との出会い頭の事故の発生が極めて高い場所として、中野駅北口中野通りの横断歩道があります。西側の坂道からおりてくる自転車と横断待ちの歩行者、また丸井方向から走ってくる自転車が交錯して、極めて危険な状態にあります。先般、この場所で事故に遭った区民の方の要望もあって、対応方を担当分野に申し入れ、そして対処がされたところであります。対応を多としつつも、この場所の安全確保にはさらに抜本的な対策が必要だと思っております。今後の抜本的な取り組みについてお答えください。
このような危険箇所は、まだ区内にもあると思います。そこで伺います。東京都の策定を受けて、中野区も第8次中野区交通安全計画を本年中に策定するようですが、東京都では特に高齢者の交通安全に重点を置いて計画策定をしたようです。中野区もそれを踏襲しつつ、しかしながら、中野区としての交通安全上の課題に対処したものとする必要があるのではないでしょうか。
例えば、現在区長が住んでいる、その近くの中央五丁目の青梅街道に面した交番の隣の信号設置場所は、黄色の点滅時間が8秒と極めて短く、しかも両面交通のために停止線が右左折面より奥にあって、途中で赤になり、横断歩道の信号が青になって、安全性に疑問があるところであります。最近、住民の方の要請で私も現場を見て、これは何とかすべきものと強く感じたところです。中野区としても、交通管理者に連絡をとっているようでありますが、こうした場所の交通安全対策も課題とすべきと考えますが、いかがでしょうか。
交通安全計画の策定も、現場調査を行って策定するなど、実効性のあるものとすべきであると考えますが、いかがでしょうか、お考えを伺います。
歩いて暮らせるまちづくりの一環として、公園の時計設置について伺います。
ちょうど今から15年ぐらい前に、中野区の公園に時計を設置するように、同僚の大泉議員などと提案してまいりました。公園の時計設置の時期を見ると、事の経緯がうかがわれます。しかし、すべての公園に時計が設置されているわけではありません。設置状況を見ると、必ずしも一定の基準に従っているようでもありません。そこで、公園への時計の設置を改めて推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。
最近は時計を持たない人もふえていますし、駅などでは自分の時計ではなく、駅の時計を見る人の方が圧倒的に多いなど、公共施設の時計は無意識のうちに利用されています。最近の時計は、NHKFM放送を利用した自動調整になっていますが、中野区では午前7時の時報で調整しているようであります。しかし、この製造会社に確認いたしましたところ、30秒以上狂うとラジオでの調整は不可能ということでありました。また、FM電波は直進性があり、電波障害も受けるそうで、メンテナンスをきちんとすれば設置して15年から20年程度は使用できるとのことであります。この際、この30秒狂ったり、あるいは電波障害が発生しているような場所のこともありますので、既設の時計のメンテナンスと公園の時計設置を進めてはいかがでしょうか、お考えを伺います。
次に、区内の避難場所や公共施設などの配置を示す誘導標識や案内地図について、PFIを活用した整備を進める自治体がふえています。標識や案内地図は、安全・安心のまちづくり、多くの人に中野区を訪れてもらうにぎわいのまちづくりの上からも、歩いて暮らせるまちづくりの上からも重要な基盤整備になります。最近は、案内板に広告を取り付けて設置料を賄うという方式が一般的になりつつあります。中野区のこれまでに設置した案内地図は、老朽化して見づらいものや、必要な場所にないなど不便を感じることが多くなりました。この際、新たな事業手法でのナビゲーション整備をまちづくりの上から行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、歩いて暮らす前提の「健康・生きがい」について伺います。
健康寿命を延ばすことが後期高齢者増加の時代の課題であります。10か年計画を策定した際に参考とした中野区の人口動向の資料によると、現在でも65歳以上の人口が5万6,197人、そのうち75歳以上の人口は2万6,323人で46.8%ですが、8年後の2014年には65歳以上の人口6万2,507人、うち75歳以上の方が3万1,433人で、50%を超えます。
そこで、10か年計画にあるとおり、40代から70代までを対象にした、一貫した健康増進、維持のための健康自己管理システムの構築が不可欠になっています。問題は、効果のある取り組みと検証の体制をつくり上げることにあります。 そこで、
3点にわたって質問いたします。
初めに、20年度から実施主体が変わる基本健診、特定健診という呼び方もあるようですが、について伺います。
高齢者医療制度の創設に伴い、区民健診も、これまでの区が実施していたもののうち、成人健診の部分は平成20年度から医療保険者が実施することになりました。そして、生活習慣病にねらいを合わせた健康指導が義務付けられます。区の事業から医療保険者の事業となることで、受診者の帰属する医療保険ごとの経費負担や、そもそも特別会計で見るのか、その場合保険料にはね返るのか、あるいは一般会計からの繰り出しになるのかなど、さまざまな課題が見えてきております。これらの点についての検討状況と、国の方針を踏まえた区の考えについて伺います。
次に、健康自己管理システムの問題について伺います。
国の健診制度と指導の体制をリンクさせる取り組みのかなめは、医療機関をはじめとする各機関のデータの共有です。当然、データのデジタル化が図られることが想定されています。そこで、中野区が考えている健康自己管理システムでのICカードの利用との整合はどうとられるのでしょうか。40代からの健康管理に、データのデジタル化は基盤として必要です。この点の考えと、自己管理システム構築への取り組みの次第についてお答えください。
最後に、健康寿命を延ばす取り組みについて伺います。
特定高齢者の把握から始まる地域支援事業ですが、その中で介護予防一般高齢者事業の充実が必要だと思います。講演や講座以外のメニューを開発していくことが重要と考えますが、いかがでしょうか。現在検討していることがあればお答えください。
次に、持続可能な都市環境をつくるための行政の取り組みについて、ISO14001の取得と、グリーン電力証書システムによる再生可能エネルギー導入について伺います。
初めに、ISO14001の認証取得について伺います。
既に平成18年度予算案審査の際の総務分科会で、このグリーン電力証書とあわせて質問がされておりました。新たな事務の発生、あるいはさらに経費と人をかけて行うことでありますが、改めて、それだけのことをしてやる必要があるのかどうか、認証取得の利益の明確化が必要になっていると思います。3年目に認証更新を迎え、経費の点から手続を見送る自治体も出てきているようです。中野区では、認証取得に向けて18年度予算は750万円余の予算を組んでいます。このままでは翌年度に経費も発生しそうであります。
そこで、認証取得の意味を改めて明確にするとともに、今後研修等でコンサルタントの力を借り続けるのではなく、自前の取り組みを強化するとか、認証についても実質的な対応にする等、本来の環境マネジメントシステムの意義に立って、単に認証取得ありきであるかのような取り組みからの転換を図るべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
次に、グリーン電力証書制度の導入について伺います。
社会的に再生可能エネルギーの導入が活発になってきています。私は、再生可能エネルギーの利用促進は地球温暖化に対処するのみならず、災害時のエネルギー確保という安全保障の上からも、時代の趨勢になるだろうと考えています。グリーン電力証書システムは、普通の電気料金より高いグリーン電力をその差額を払って購入したことを証明してもらうシステムです。18年度の予算を見れば、その差額がおよそ400万円ということになります。
そこで、このシステムを導入し続けるためにはある条件が必要になってきます。それは、今後省エネルギーを徹底して、グリーン電力導入の差額を埋める努力をしていくということであります。中野区役所のエネルギー利用の推移は、どのようになっているのでしょうか。側聞するところでは、電気の使用量だけは増加を続けているということであります。環境課題への取り組みが本当に実効性あるものであることの証明を、このグリーン電力証書制度の導入は求めているわけであります。そこで、省エネルギーの戦略的取り組みを明確にすべきと考えますが、いかがでしょうか。特に、警大跡地等の開発に当たっては、エネルギー需要予測と、そのうちどの程度の再生可能エネルギーを利用する計画なのかを、開発計画の一部として提出させるなどの、中野区としての持続可能な開発の仕組みを明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
次に、電子自治体構築と地域振興について伺います。
先日、同僚とともに、電子自治体構築の取り組みでは全国で5位にランクされる先進自治体として知られる横須賀市に、基幹系システムの再構築について勉強に行ってきました。つけ加えれば、我が中野区は64位と健闘いたしております。
中央電算装置で行っている情報処理をサーバークライアントシステムに置きかえ、ソフトもパッケージソフトを使うなど、ダウンサイジングやモジュール化などにより住民の利便性を高め、コストダウンを図り、地域振興に結びつけるというものであります。レガシーシステムと呼ばれる中央電算装置を使ったシステムを再構築する本質について、横須賀市では1社丸投げの体制から、システム提供事業者の選択ができる枠組みへの転換というふうに位置付けておりました。競争の導入と、地域のシステム開発業者への需要創出効果が見込めるということでありましょう。
中野区の平成17年度の決算によれば、中央電算システムの運用・再構築検討は執行額4億8,800万円余、そのうち本体リース料は1割強、多くは周辺及び関連機器のリースと保守になっていることからも、中野区でも再構築の効果は大きいと思われます。ちょうど19年度はリース3年目になります。3年の移行期間を見込んで基幹系システムを再構築すべきと考えますが、いかがでしょうか、お考えを伺います。また、10か年計画に示した電子区役所の構築のステップ1、ステップ2を実現するためにも、19年度からの取り組みが必要になると思います。
地域の産業活性化の担い手としてのIT産業集積のためにも、まず区役所がIT産業集積に向けた需要を生み出して先導する必要があると思います。こうした視点を明確に意識して、基幹系システムの再構築に取り組むべきだと考えます。区長のお考えを伺います。
次に、中野区のホームページへの広告掲載について伺います。
17年度の中野区の刊行物広告料収入は、区報が176万円、しおり64万円など、合計で249万円余であります。歳入確保としての評価をどう見るかはいろいろでありましょう。
現在、インターネットの世界では、ウエッブ2.0という言葉が飛び交っています。ホームページへの広告掲載は、地域の企業や団体にとっては、地域限定の広告効果を見込むことよりはオールジャパン、グローバルな効果が期待されるウエッブ2.0時代の地域振興策でもあります。ホームページへの広告の掲載は、むしろ私はその方が本筋だと思っています。そこで、中野区でも歳入確保策としては当然として、地域の活性化の視点から区のホームページへの広告掲載を実施すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
この項の最後に、10か年計画でも取り上げている施設予約システムについて伺います。
この分野では、厚木市の取り組みが注目されています。ウエッブ上でこれを実現することによる利便性と経済性を達成していますが、同時に利用する住民にとっても利用しやすさを考慮した、そうしたシステムになっています。その特徴は、図書館利用、施設の予約、各種講座の予約などができるシステムで、しかも一度の登録の手間ですべての利用が可能という、共通認証基盤を構築していることであります。特に図書館の登録情報の利用が大きいと、ある対談で厚木市長は自賛していました。
そこで、中野区で構築する施設の予約システムについても、こうした共通認証基盤に着目して開発してはと考えますが、いかがでしょうか、お考えを伺います。
最後に、その他について伺います。
初めに、中高年就労あっせん事業の進捗状況について伺います。10か年計画でステップ1に位置付けられています。現在、取り組みはどうなっているのか伺います。
次に、教員へのパソコン支給について伺います。校内LAN構築が今後進められていくと思いますが、現在のように教員個人のパソコンを持ち込んでデータ処理を行っているとも聞いているところでありますけれども、個人情報保護の上からも、学校の児童・生徒の情報などを扱うためにも、職員室では支給パソコンの使用が望ましいと思います。ぜひ教職員に対するパソコンの支給を検討すべきではないでしょうか、お答えをいただきます。
最後に、軽井沢の中野区「遊々の森」の一般区民団体への開放を検討してはどうかということについてお尋ねをいたします。先般、文教委員会で視察に行ってまいりました。里山を維持する活動など、参加したい区民の方もいると思っております。ぜひこの際仕組みを整備して、関心ある団体の方も参加できるように検討されてはいかがと思いますが、いかがでありましょうか。
以上お伺いして、私の質問すべてを終わります。御静聴ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 飯島議員の質問にお答えいたします。
教育に取り組む区長の考えについてという御質問でありました。予算全体に占める教育費の割合が12%というような御指摘でありましたけれども、予算枠というのは施設建設の有無など時期によって左右されるという面もありますので、教育費の割合だけを見て政策的に重点を置いているかどうかという判断はなかなかできないのではないかと考えております。
中野区では、学校図書館指導員の全校配置、また普通教室の冷房化など、23区の中でも先行した取り組みを行っているところであります。新しい中野をつくる10か年計画におきましても、学校再編等について、教育の重要課題として示しているところでもあります。平成18年度については、体力向上プログラム、また小・中学校の連携教育の推進、特別支援教育へのモデル事業の実施など、新たな取り組みを積極的に行っているところでありまして、教育行政を推進しているところであります。これからも教育に力を入れてまいりたいと思っております。
それから、防災訓練と救援リストの作成についてという御質問でありました。先ほどの斉藤議員の御質問でもお答えしましたように、災害時の要援護者情報を災害時有効に機能させるためには、要援護者の正確な把握と平常時からの情報共有が重要であると考えているところであります。御指摘がありましたように、中野区で用いております手挙げ方式、これについてはやはり限界があると考えているところであります。関係機関の共有方式や同意方式など、転換について検討しているところであります。
また、その際、個人情報保護条例との関係につきましても整理をして、適切な利用が図れるようにしてまいりたいと思っております。
それから、防災訓練について、現実に即した訓練プログラムを検討、実施するべきという御指摘でありました。防災訓練につきましても、発災対応型の訓練ということで、少しずつ訓練プログラムを向上させてきているという取り組みを行っているわけでありますが、今後も御指摘のありましたような救援リストの活用など、訓練プログラムをさらに検討していきたいというふうに考えております。
それから、小・中学校の防火シャッターについてであります。区立の小・中学校におきます防火シャッターの自動停止装置については、小学校5校、中学校2校でありまして、御質問にありましたように7校ということになっています。これまで、校舎の増改築や大規模改修に合わせて自動停止装置の取り付けを実施してきているところでありまして、今後も改善に取り組んでいきたいと考えております。安全措置ということでありますが、各学校の防火シャッターの状況に応じた安全措置を検討していきたいと考えております。
それから、お帰りチャイムの時間変更についてと、それから下校時の見守り放送についてであります。防災行政無線によります下校時の見守り放送という試みは、大変よい評価もあった、その一方で音声が反響して聞き取りにくいなどの御意見や、うるさいという苦情も多く、現在は再開を考えていないところであります。
また、午後5時のチャイムにつきましては、子どもの防犯対策ということで、冬期につきまして放送時間を繰り上げて実施するということを考えております。また、現在はチャイムでありますが、メロディに変更することも検討しているところであります。
それから、都市計画マスタープランとまちづくり条例についての御質問であります。区は、基本構想改定をするとともに、新しい中野をつくる10か年計画を策定して、持続可能な活力あるまちづくりなど、新たな政策方針を示しているところであります。そうした考え方に基づいて、既存の都市計画マスタープランについては生かせる部分は当然生かしながらも、まちの活性化、バリアフリー、また緑化推進などによります地球環境問題といった課題にも対応した形のものに改定していきたいと考えているところであります。改定作業につきましても、十分な手続が必要と考えております。早急に改定の時期、体制について検討してまいりたいと考えております。
また、まちづくり条例についてであります。まちづくり条例は、地域住民の意向を反映させる、また地域特性を生かしたまちづくりを進めるといったことから、住民による提案型まちづくりなどの内容を盛り込んだ条例を検討しているところであります。中野のまちにふさわしい、住民による提案型まちづくりといったような条例をつくるべく、さまざまな検討を行っているということであります。
また、建築物の高さ制限については、地区ごとの状況に即したまちづくりの中で、他のさまざまな要因との関連を踏まえて検討すべきと考えているところであります。地区計画提案の際の面積要件についてでありますが、今後の検討の中での課題と考えております。
また、地籍調査についての御質問もありました。地籍調査は、都市計画の基本データであります道路や土地に関する基本情報を整備する、まちづくりにとって大変重要な事業であると認識しているところであります。平成20年度からの地籍調査の開始に向けて、19年度は調査を始める地域の選定など、御指摘も含め、調査実施のために十分な準備を行っていきたいと考えております。
それから、景観団体指定についてどう考えているのかということであります。景観行政に関しましては、都と区の間での役割分担の調整を行っているところであります。そうした調整を踏まえて、東京都は近く景観条例の改正を都議会の方に諮る予定と聞いております。こうした動きも見ながら、今後区として景観形成に関する方針や行為の制限などについての考え方を定めていく必要があるものと考えているわけであります。その上で、景観行政団体になるため、都と協議を進めることとしていきたいと考えております。
私からは以上であります。そのほかにつきましては、それぞれ担当の部長の方からお答えいたします。
〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 私からは、区民住宅の入居資格要件につきましてまずお答えを申し上げたいと思います。
区民住宅は、ここ数年定員に満たない状況が続いているということは事実でございますけれども、定員の9割以上については入居してございます。そういったことから、必ずしも需要と供給に大きな乖離があるというふうには考えておらないというところでございます。
そこで、まず今後応募者をふやすため、公募の周知の方法などにつきまして見直しを図ってまいりたいと考えております。
次に、住宅マスタープランの改定についてでございます。このたび、国の住宅政策の基本となります住生活基本法、これが制定されたこと、また中野区基本構想や新しい中野をつくる10か年計画が策定されたことなどを踏まえまして、住宅マスタープランも改定する必要があると考えております。今後、区の住宅マスタープランにおける成果指標等の設定に当たりましては、国や東京都の動向及びそこで示されます指標や目標値、これらを踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
また、子育て支援住宅、これにつきましても誘導のための課題を整理してまいりたいと考えております。
次に、住宅まちづくり総合支援についてでございます。住宅まちづくり総合支援につきましては、住宅まちづくりに係る高い専門知識や経験を有します民間事業者等との共同により、建てかえや耐震改修あるいはバリアフリー化など、住宅に係ります区民のさまざまなニーズに総合的に応じるとともに、地区計画や建築に係るルールづくりといったようなことなど、区民主体のまちづくり活動への支援などを行う新たな仕組みを立ち上げたいというふうに考えております。現在、関係団体等の意見も伺いながら検討しているところでございます。
次に、高齢者円滑入居賃貸住宅登録戸数についての御質問でございました。高齢者円滑入居賃貸住宅の登録戸数を拡大していくには、オーナーの理解、協力が不可欠でございます。このため、宅地建物取引業協会中野支部からの情報をもとに、職員が直接オーナー宅を訪問して登録の働きかけを行ってまいりました。そういった結果、現在165戸までふえてきております。
それから、債務保証制度につきましては、保証の対象を滞納家賃だけでなくて、残存家財の撤去費用等も加えるなどの改正をしたところでございます。これによりまして、円滑入居賃貸住宅の登録がさらに促進されていくものというふうに考えてもおります。
改正内容につきましては、宅建業協会を通じまして、各会員に周知をしてきたところでございますけれども、現在事業の詳細について個々の会員に直接説明するため、事務所まで伺い、そういった準備を進めているところでございます。その際に、各会員に対しまして、オーナーに対する円滑入居賃貸住宅等の登録の働きかけをお願いしたいと考えております。こうした取り組みを継続して行っていくことによって、さらに住宅戸数を確保してまいりたいと考えております。
それから、区営新井住宅の建てかえについてでございます。新井四丁目の区営住宅につきましては、民間事業者等による建てかえを想定しております。多様な世代、世帯がともに暮らすという考え方に基づきまして、高齢者向け住宅あるいは子育て世帯を対象としたファミリー向け住宅などの整備についても誘導を図ってまいりたいと考えております。
次に、住宅政策審議会でございます。住宅政策審議会につきましては、平成13年度に第2次住宅マスタープランが策定された以降、御指摘のように休止をしております。中野区基本構想及び新しい中野をつくる10か年計画の策定に当たりましては、良質な住宅の確保や良好な住環境の形成など、第2次住宅マスタープランの基本理念をもとに検討を進めてきたというところでございます。今後、住宅マスタープランの改定に当たりましては、適切な時期に立ち上げまして御審議をお願いしたいと考えております。
次に、歩いて暮らせるまちづくりの中での御質問で、中野駅北口中野通りの横断歩道の御質問がございました。西側の坂道から駆けおりてくる歩行者と自転車との接触事故があったため、坂道にフラワーポットを設置し、坂道でスピードを出せないような対策を講じたところでございます。これにつきましては、今後警察署、それから第三建設事務所とも相談をし、さらに検討してまいりたいと考えております。
それから、中野区第8次交通安全計画についての御質問でございます。東京都の第8次交通安全計画策定を受けまして、区も今年度中に計画を策定するため、現在準備を進めている状況でございます。この計画は、交通安全に関します区民の行動指針として、自助、共助の取り組みを呼びかけるものでございます。
御指摘のもう1点、現場での実態、これにつきましては常に調査をし、把握に努めているところでございますけれども、計画策定に当たって課題となる地点については改めて確認をし、交通管理者とも十分相談しながら改善策を検討してまいりたいと考えております。
それから、公園の時計の整備についてでございます。公園の時計につきましては、1990年ごろから比較的大規模な公園、あるいは地域要望が高いといったような公園を中心に整備を進めてまいりました。これまでラジオ時計で整備を進めてきたところでございますが、中には故障するものも出てきておりまして、今後はより精度の高い電波時計への更新による整備を図ってまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
〔区民生活部長本橋一夫登壇〕
○区民生活部長(本橋一夫) 歩いて暮らせるまちづくりの御質問の中で、誘導標識、案内板の整備についてのお尋ねがありました。
区が設置しております誘導標識、案内板につきましては、随時情報内容の更新を行っているところでありますが、その多くは設置してから10数年経過しておりまして、老朽化が目立つようになってきております。また、今後公共施設の配置や名称の変更も予定されております。多くの誘導標識、案内板の取りかえが必要になってまいりますので、その案内の内容や整備手法などについて、改めて検討してまいります。
次に、中高齢者の就労支援についてのお尋ねがございました。中高齢者の就労支援につきましては、これまでもハローワークや仕事センターなどと協力して相談あっせん事業の照会をしております。昨年度は、区といたしまして再就職活動支援セミナーを実施したところであります。中高齢者を取り巻く就労環境は厳しいものがありますが、引き続き国、都との連携強化を図って、就労支援に取り組んでまいりたいと考えております。
一方、区といたしましては、雇用されて働くという形態以外に、中高齢の方々の持てる経験や技術を地域の中で活用したコミュニティービジネスとか、スモールオフィス・ホームオフィス、いわゆるSOHOの立ち上げなど、多様な働き方を視野に入れた効果的な支援策も工夫していきたいと考えております。
また、地域活動での活躍も期待しておりまして、本年度開設を予定しております仮称公益活動情報コーナーにおきましても、NPOや地域活動団体の照会の情報提供をし、相談に乗るなどの支援をしていく予定であります。
〔保健福祉部長菅野泰一登壇〕
○保健福祉部長(菅野泰一) 歩いて暮らせるまちづくりの中で、健康・生きがいにつきましての質問にお答えいたします。
まず、成人健診、保健指導の保険者実施に関する検討状況等についてでございます。保険者への健診、保健指導の義務化につきましては、医療費適正化を推進するため、生活習慣病の予防に着目し計画的に進めることとされておりまして、区の国民健康保険においても実施計画を定め、平成20年度から国保特別会計で実施していくこととなります。健診、保健指導の基本指針や費用負担などの具体的な内容については、平成19年3月ごろに国が示す予定でございまして、区といたしましても課題等を整理し、準備を進める必要があるため、関係部門の職員による検討を始めているところでございます。
今後、国の方針を踏まえて、区としての考え方を整理いたしまして、平成20年度からの円滑な事業が実施できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
続きまして、健康自己管理システム、ICカードについての御質問でございます。医療制度改革に合わせ、平成20年3月まで、都及び区市町村は共同で健診、保健指導に係りますシステムを開発すべく準備を進めております。また、国は医療、介護、年金等の公共分野におきますICカード導入のあり方につきまして検討いたしまして、平成19年夏までに結論を出すということをしております。区といたしましては、こうした動向を踏まえまして、国や都との整合を図りながら、健康自己管理システム及びICカードの導入を進める所存でございます。
それから、介護予防一般高齢者事業につきましての御質問にお答えいたします。区では、健康のまちづくり施策を具体化いたしまして、実効性のある取り組みとして展開するため、先日、区及び関係団体、区民で構成する中野区健康づくり連携推進会議を設置いたしまして、19年12月を目途に健康づくり行動プラン及び健康プログラムの策定に着手したところでございます。一般高齢者に対する効果的な介護予防施策につきましては、その中で十分検討してまいりたいと考えております。
〔総務部長石神正義登壇〕
○総務部長(石神正義) 私からは、環境行政及び電子自治体構築と地域振興についてお答えさせていただきます。
まず、ISO14001の認証取得についての御質問でございます。この認証取得につきましては、取得自体が目的ということではなくて、環境マネジメントシステムの運用、また改善、これを継続的に行うことによりましてエネルギー消費量の削減、これだけではなく、環境に配慮した仕事の進め方を通じて職員の意識改革、また経営革新が不断に行われるということを重要な視点としております。このことにつきましては、中野区役所本庁舎環境行動宣言でも明確にうたっているところでございます。
また、これらの取り組みを環境配慮の率先行動として区民に示しまして、中野のまちが環境負荷の少ないまちとなることを目指していきたいと考えております。
次に、グリーン電力証書の導入につきましてでございます。ISO14001の規格に基づきまして、環境マネジメントシステムの運用に当たりまして、二酸化炭素排出削減の手段の一つとしてグリーン電力証書制度を位置付けております。この環境マネジメントシステムの継続的な運用に当たりましては、事務処理や手続、こういったものを継続的に改善していきまして、省エネルギーへの戦略的な取り組みを進めていきたいと考えております。
次に、基幹システムの構築によるコストダウンと地域のIT産業の振興ということでございます。中央電算システム、ホストシステムにつきましては、全面更新に向けて現在具体的な手法の検討に着手してございます。既存のアプリケーションソフトの移行につきまして、現時点では開発経費や運用コスト、こうした面からの問題から、モジュール化よりは一括してオープン系の機器・OSの上で稼働するように変換して、移行する手法を想定しているところでございます。
システムの構築のあり方につきましては、外部の評価も活用するなどしまして、最適なシステムになるよう検討を進めていきたいと思っております。また、需要の創出につきましても配慮していきたいと考えてございます。
次に、ホームページへの広告掲載につきましてでございます。現在、ホームページへの広告掲載をする準備を進めているところでございます。また、区内産業の優先掲載基準、こういったことを設けることを考えておりまして、区内産業の振興についてもあわせて検討しているところでございます。年度内には実施したいと考えてございます。
次に、共通の認証基盤を利用した施設予約システムでございます。この施設予約システムの構築に当たりましては、各種サービスの共通認証基盤の構築を視野に入れまして、利用者登録要件の統一、また計画的なシステムの改修、こういったことを行っていきたいと考えてございます。
以上でございます。
〔拠点まちづくり推進室長石橋 隆登壇〕
○拠点まちづくり推進室長(石橋 隆) 警大跡地等開発のエネルギー対策についての質問にお答えいたします。
昨年5月に策定いたしました中野駅周辺まちづくり計画では、大規模な土地利用転換によって生み出される新たなまちにおきましては、雨水や太陽光エネルギーなどの自然エネルギーの活用であるとか、資源リサイクルや建物の省エネルギーへの推進など、環境保全型のまちづくりに取り組むこととしております。こうした考え方を、今後策定いたしますまちづくりガイドライン等の中に盛り込むなど、環境保全型まちづくりを積極的に誘導してまいります。
〔教育委員会事務局次長金野 晃登壇〕
○教育委員会事務局次長(金野 晃) 私からは、その他の項で教員へのパソコン支給について、また遊々の森の一般区民団体への開放についてお答えいたします。
まず、教員へのパソコン支給についてですが、全教職員に使えるようなパソコンを配置するということにつきましては、十分なセキュリティーを確保するため、また教職員にとって使いやすい環境を整備するために職員室内のネットワークの構築も必要であると考えておりますので、こうしたこととあわせて検討したいと思います。
次に、遊々の森の一般区民団体への開放でございます。軽井沢遊々の森は、国有林を区立小・中学校の体験活動に活用するものですが、中野区教育委員会が認めたものも利用できることになっております。社会教育団体などが自然体験活動などを目的として活用できるように検討いたします。
〔飯島きんいち議員登壇〕
○27番(飯島きんいち) 何点か再質問をさせていただきます。
初めに、区長の見解をお尋ねした件でありますけれども、もちろん私も予算をつければいいということを申し上げているわけではありません。しかし、一つの指標として、そこに予算と人を投入しているという事実、これはやっぱり否定はできないんだろうと思っておりますし、特に中野区の区の行政の中にあって一番の本質的な課題は、先ほど斉藤議員も触れましたけれども、これからやっていく体制を田中区長のもとにきちんとつくるということである。そういう意味からすると、教育行政というか、教育の分野に関して区長が--もちろん、仕組みとして教育委員会があるわけですから、区長が直接そこにどうだということはあるかもしれませんけれども、しかし、そこに強い意欲と関心を持っている、こういうことをお示しになることが私は大事だと思っています。
中野区には、人材という資源しかない、このように思っていますし、その人材を育てるという意味では教育に力を入れていくことが中野区の将来の大きな、持続可能な社会という言葉よりも発展をしていく、そのかなめだと思っております。そういう姿勢を区長が示されることが、ややもすると教育委員会の事業と、それから区長部局との間の多少のすれ違いといいますか、そういうことをなくして、それぞれぶれずに仕事が進んでいく、こういうことになろうかと思ってお尋ねしたわけでありますし、この後総括で多分取り上げることになるだろうと思ったりしておりますけれども、実は奨学金は教育委員会の分野ではありません。これは区長部局にあるものであって、実際に執行されている額等含めると2,000万円余の奨学金が出ている。返還金も1,600万円ぐらい返ってくる。しかし、それは一般会計の中の入りと出になっている。私は、こういうものについてもきちっと何かの形で外に置いて、そして中野区の将来のためにと思っている人が、そこに自分も寄付をしたりすることができる、そういう仕組みも考える、それはやっぱり区長のお役目だと思っているんですね。そういう、挙げて中野の地域で教育に取り組むぞという意欲を示されることが私は大事だろうと思ってお尋ねをしたわけでありますので、その点について、当然区長もそう思ってはおられると思いますけれども、言葉に出さなければ人には伝わりません。ぜひその点、お答えをお願いしたいと思います。
それから、よくわからないなというお答えがございました。教育委員会の、教員の方にパソコンを支給するということについては、非常に標準的なお答えをいただきましたね。だけど、課題であることは間違いない。なぜか。個人情報を自分の家のパソコンを持ってきて入力をしている。そして、それをまた持って帰るんですから。そういうことが個人情報保護上のあり方として果していいのか悪いのか。
実は、教育委員会は教育委員会としての個人情報保護の、このパソコン、電算を使う際の規定をお持ちのはずでありまして、こういう問題との兼ね合いから言ってどうなのか。また、教職員の方が現実に教職の仕事をしていくときに、今やもうパソコンは必須です。だとすれば、職員室の中にみずから使うパソコンがあって、データに関してもセキュリティーがきちっとあって、外には出ないんだという体制がなければ、ひょっとして買い物の際に忘れてしまうみたいなことが起きかねないわけなのでありまして、その点はもっと踏み込んで、ぜひそういうことについては取り組んでいくんだと、こういう姿勢のお答えが欲しいなと、こう思いますが、改めて具体的なことについて伺います。
それから、中高年就労あっせん事業、先ほど団塊の世代である、我が同志の斉藤金造先生からも質問がありましたけれども、お答えはよくわかるんですよ。よくわかるんだけど、具体的に何をやっているんだと。何とか講座というのは結構だけど、現実に、じゃあコミュニティービジネスの支援とか、SOHO云々ということではあるけど、じゃ、どこにそういう拠点を置いて--今度置くのかどうかわかりませんよ。情報コーナーというんだから、どういうのかわかりませんけれども、現実に取り組んでいく、もう少し踏み込んで。だって、ステップ1にやるって書いてあるんですから。待ったなしの話なので、もう少し具体的にお答えをしていただきたい、このように思います。
それから、もう一つ区長がお答えになったことで、都市計画マスタープランの改定。ですから、もうそのお答えは、多分3回ぐらい同じようなお答えをされていると思います、そういうことを含めて検討しているという。それではもう中野駅周辺のいわゆる再開発事業には間に合わない。もう既に警大の事業が始まろうとしているときなんですから。いつ、どのような体制でこの都市計画マスタープランの改定に取り組むのか、もう少し踏み込んだお考えをお示しになる時期ではないのか。いつごろそういうことについて示したいということでも結構でありますので、もう一度お答えいただければと思っております。
それから、区民住宅の空き家がずっとあって続いている、需給のミスマッチはないと、こうおっしゃっていますが、需給のミスマッチがあるから空いているのであって、本来たくさん空いていないからそんな大きな乖離は起きてないと、そういう問題ではないんです。そもそも区民住宅というのは、本当に子育てをしようとする人たちが、中野区で、いわゆる近傍家賃よりも低いところから、地主さんに直接区が借り上げることによって、地代を--土地の値段を直接家賃に反映させない、そういう仕組みとしてつくったわけであります。しかも、広さも非常に広いスペースがある。ですから、本来的にここに需要がないはずがないんです。それがなぜか空いている。これはやっぱり私は、今ある要件の、基準が非常に厳しい要件が、ハードルが高い、こういうこともあろうかと思って具体的な見直しを申し上げました。ぜひこの点についてももう一度、担当の部長はお答えいただければ大変ありがたいと思います。私は、すごい乖離が起きているとは言っていません。需要のミスマッチが起きている。現に空室が、だってずっと続いていること自体がおかしいんですから、こういう性格の住宅が。ぜひその辺についてもう一度お答えをお願いしたいと思います。
それから、誘導標識とか案内板についてもう一度、具体的なお答えに至る過程がありますから、今申し上げますけども、杉並区では200カ所、PFIの指定管理者方式によって区の費用負担なしにこの案内板の整備を今進めています。それは広告をとるという仕組みでやっているという。
私も最近、特に歩くことが多いわけでありますけれども、この辺にこういう案内板があったら便利なんだけどなと、こう思うところに限って、ない。たまにあると、はがれちゃったりなんかしているしね。非常に傷みが激しくて、一体中野区は歩いて暮らせるまちを本当に親切につくっているのかと、こう思うようなこともあります。
中野区全体でどういうふうな地図の状況かというと、大拠点といって、大きな地図が36枚、それから拠点といって、ちょっと小さい地図が84枚、実はこれしかないんです、地図は。15平方キロでこの枚数が多いか少ないかは別として、もう少し私はいろんな考え方があるんじゃないのかなと思ったりいたしておりまして、ぜひ、具体的にこれからどう整備していくんだという、いろんな人が来ますよ、中野のまちに。そのときに必要な情報がある、そういうまちづくりの視点、部長がおっしゃったように大事な視点でありますし、それを踏まえて、新たなナビゲーションのシステムというか、これをぜひおつくりになる、そういう意味ではもう先行して杉並、千代田ではそういう方式で整備を進めているようでありますので、改めてもう一度お答えをいただければと思います。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 再質問にお答えいたします。
教育に取り組む意欲ということであります。10か年計画におきましても、元気いっぱい子育て戦略ということで、子育て支援、また子どもたちが元気に育っていく中野区をつくるんだといったようなことにいては、非常に大きなテーマとして取り組んでいるところでございます。そういう意味で、人が、人材が区の最大唯一の資源だという御意見にも共鳴しているところでありまして、学校教育を学校、教育委員会だけで進めるというよりは、地域も一緒になって子どもたちを育てていくという立場も含めて、強い意欲を持って進めていきたい、こう考えているところであります。
それから、都市計画マスタープランの改定の時期について、きちんと示すべきではないかということであります。その手続とか作業をどういうふうに想定していくかというところでの検討しているということで申し上げましたけれども、早急に言ったわけですから、早急にやることに何年もかけるわけにはいかないということでありますから、年度内には都市計画マスタープランの改定の手続、体制等についてきちんとしたものをお示しできるようにしていきたいと思っております。
〔教育委員会事務局次長金野 晃登壇〕
○教育委員会事務局次長(金野 晃) 再質問にお答えいたします。
学校におきましては、個人情報保護の重要性というような観点からも、私物のパソコンということではなくて、教職員が業務できるようにしなければならないと考えております。そのやり方については、よく検討して実施してまいりたいと思います。
〔区民生活部長本橋一夫登壇〕
○区民生活部長(本橋一夫) まず、中高齢者の就労の関係ですけども、現在コミュニティービジネスとかSOHOなどに関しましては、創業セミナーの開催、あるいはまた創業する際の経営相談、それから開業後の経営診断といったことでの支援をしております。また、NPOなどに対しましても、金融機関からの資金借り入れをした場合の利子補給の制度もスタートさせております。
そのほか、今年度開設予定の公益活動の情報コーナーにおきましても、それぞれNPO、あるいはまた地域の公益活動をしている団体の情報などを提供するとともに、相談に乗るというふうな形で対応していきたいというふうに思っております。また、各地域、中野区外でのいろんな地域での取り組み状況などについても情報収集をし、提供できるようにしていきたいというふうに考えております。
それから、標識の関係であります。標識につきましては、御紹介いただきましたように地図のあるものとしては大拠点のものが、大型の地図がついているのが36カ所、小型の案内板がついているのが84カ所、あとは誘導の標識が317カ所ということであります。これにつきましても、効果的なポイントに設置できるように、地域の方々の御協力もいただきながら、地先の方の御理解をいただけるように取り組んでいきたいと思っております。
また、整備の手法につきましても、杉並とか、そういった他の自治体での設置事例なども参考にしながら、有効な方法を考えていきたいと思っております。
〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 再質問にお答えさせていただきます。
現在、入居者の公募でございますが、媒体としましては区報、それからホームページといったようなところで募集しております。なかなか全区民といいますか、その辺へのPRが不十分という反省もあることから、この制度案内について、新たに住まいのしおりといったようなものもつくり、いろんなところに配布してPRに図っていきたいと考えております。
これらに力を入れていくとともに、あわせまして、御指摘ございましたような実態、これらの分析をし、入居要件の検討をしていきたいと考えております。
〔飯島きんいち議員登壇〕
○27番(飯島きんいち) 一つだけ、もう皆さんが多分想像されているようなこと、再質問させていただきます。
教職員のパソコンをどうするかを検討する以前に、もう既にそういう状況が現実にあるんだというんですから、もう本年の後半、第3次の補正でするとか、あるいは来年度予算ではするとか、その間、当分私物のパソコン等を持ち込んで、そうした個人情報の処理等についてはどうなんだというようなことをやらなければ、私は今こういう御答弁をいただいていて、あした何か起きたらどうするんだというようなことだって現に考えられるわけですね。しかも、そういうことがあってはならないということがもうわかっているわけですから、お立場上検討としか言いようがないのかもしれませんけれども、私はそういうことも含めて、教育長、いわゆる区長部局と教育委員会、本当にすり合わせをきちっとしながら、教育行政の向上のため、その基盤をつくるというようなことについてはお互いがよく理解し合って進めていくと、こういうことであってほしいと思いますし、次長がここで決意を述べていただいて、どうかという問題もあるかもしれませんけれども、要するに職員室にパソコンを配置して、それを使っていわゆる教務の処理をする、それをどう実際にやっていくかを年度内ぐらいに検討したいと、そういう意味なんですか、検討というのは。そこまでちょっと踏み込んで、きちっとお答えいただかないと、問題は指摘しましたよ、検討になりましたよ、それはどうなったんだと。事が起きたということであってはならないと思いますので、あえて再々質問をさせていただきました。御答弁よろしくお願いします。
〔教育委員会事務局次長金野 晃登壇〕
○教育委員会事務局次長(金野 晃) 現在、学校で教務上のデータなどを入れておりますパソコンは、学校に配置されているパソコン等を利用しておりますが、本来はすべての教職員が一人1台のような形でパソコンが使える状況にならなければ、全体として十分な対応が難しいというように私としては思っております。したがいまして、そうした環境を目指して、どういうレベルで実施していくか、具体的な配置をどんなように行って、またそれに合わせた、先ほどお答えいたしましたネットワークの構築などについてはどう考えていくかということについて十分検討して、区長部局とも調整した上で実施できるようにしていきたいと思います。
○副議長(江口済三郎) 以上で飯島きんいち議員の質問は終わります。
中野区議会議員 江 田 とおる
1 子育て支援のあり方について
(1)子ども医療費助成に関して
(2)「保育園全園民営化」路線に関して
2 幼稚園保育料と施設使用料の値上げについて
(1)幼稚園保育料に関して
(2)施設使用料見直しの考え方に関して
3 教育行政のあり方について
(1)競争の教育がもたらす悪影響に関して
(2)子どもの成長を支援する教育条件の整備に関して
4 江古田の森保健福祉施設について
5 国の江古田合同宿舎の廃止計画について
6 その他
○副議長(江口済三郎) 次に、江田とおる議員。
〔江田とおる議員登壇〕
○41番(江田とおる) 2006年第3回定例会に当たり、日本共産党議員団の立場から質問を行います。
最初に、中野区の子育て支援のあり方に関してお聞きします。
子ども医療費助成に関してお聞きします。
第2回定例会で、来住議員が、子ども医療費助成を入院費・通院費及び食事費を含め、中学生まで拡大するように求めたのに対し、区長から、食事費については否定しながらも、「区としても検討していきたい」との答弁がありました。本定例会での昨日の答弁では、まだ「検討する」との域を出ておりません。
この件については、昨日紹介がありましたように都議会の自民・公明両党が都に申し入れを行っているとのことです。共産党都議団は、知事への申し入れに加え、中学生までを対象とする子どもの医療費助成の条例案を発表し、知事からの提案がなければ独自に条例提案を行う準備を進めております。東京都自身も拡充を検討しているとのことですので、子ども医療費助成拡充の環境は十分整っております。中野区においても全く同じような状態にあります。議会側からの条例提案を待つまでもなく、区長の判断で中学3年生までの拡充を決断する時期だと思いますが、いかがですか。改めて考えをお聞きします。
「保育園全園民営化」路線についてお聞きします。
区長は、7月17日付朝日新聞「きょうの論点」で、「34の区立保育園のうち、5園を私立に切りかえ、4園を指定管理者に委ねた」「今後も7園を民営化する計画だが、私はすべて民営化する方向がいいと思う」、このように述べ、保育園の全園民営化を改めて主張しておられます。中野区は、保育園のみならず、幼稚園についても「認定子ども園」の新たな仕組みを使って民営化しようとしています。
日本共産党議員団は、将来の中野区にとって重大な禍根を残すことになることを指摘し、方針の見直しを繰り返し求めてきたところであります。
民間委託で大きな問題が表面化している練馬区の光が丘第8保育園を例に質問をしたいと思います。この保育園は、昨年9月に練馬区がピジョン株式会社に準備委託を始め、ことし4月から本委託をしたものであります。もともと委託先を決めるに当たって、区民代表が参加する選定委員会で応募した4事業者の選考を行った結果、委託できる水準の事業者はいないという結論を出していました。それにもかかわらず、区は選定委員会の結論を無視して「ピジョン」への委託を強行したという経過があります。
「ピジョン」が受託して、1月から3月までの間に、職員24人中、3分の1の8人が相次いで退職、練馬区は3月中旬に事業者に改善勧告を出すに至りました。その上で、区はこの事態を乗り切るために4月から4人の保育士を区から派遣し、さらに区立保育園の園長経験22年のベテラン保育士を説得して、1年雇用の職員として園長に送り込み、建て直しを図らざるを得ない事態にまで至っております。
これに先行した大田区でも、2004年に同じ事業者が区立園の運営を受託していますが、そのもとで1年間に20人の職員が退職し、総入れかえになるほどの事態が生じて大問題になりました。このことは何を物語っているのでしょうか。職員の人数は足りているけれども、労働条件や保育の内容に多くの問題があり、職員が見切りをつけてやめていくということであります。このことで、最も大きな被害を受けるのは子どもたちです。落ちついた雰囲気と見慣れた保育士に迎えられてこそ、子どもは安心できるのに、これでは信頼も安心も生まれるはずがありません。
中野区でも同じ事業者が指定管理者になっておりますが、よもや中野区においてこのような事態はないと思いますが、いかがですか。さらに、練馬区や大田区などの実例をどのように受けとめておられるか、お聞きします。
4月20日と5月22日に、大阪高等裁判所と横浜地方裁判所で保育に係る重要な判決が出されました。大阪高等裁判所は、被告の大東市に対し、保育園を民営化するに当たって引き継ぎなどの十分な配慮がされていなかったとのことで、74人の保護者、1世帯当たり30万円の慰謝料の支払いを命じております。
一方、横浜地方裁判所は、保護者の「保育所選択権」を認める重要な判決を出しています。保護者は保育園をみずから選択して子どもを入園させているから、その選択権を行政の都合で勝手に無視してはならないというものです。その上で、横浜市の民営化について、「特別に急ぐ理由があったとは認められず」「市長の裁量の範囲を逸脱、乱用したもので違法」とし、保護者への損害賠償を命じました。
いずれの判決も、民営化・民間委託そのものを違法とは言っておりませんが、行政の一方的な判断と勝手な都合による民営化・民間委託を厳しく戒めています。その意味で、画期的な判決と言えるものであります。中野区は、既に5園の民営化、4園の指定管理者への移行を行っており、保育園の民営化・民間委託の急先鋒に立っておりますが、この二つの判決をどのように受けとめているか、お聞きします。
長い歴史を持つ社会福祉法人の場合は別としても、規制緩和によって最近保育事業に参入してきた民間企業は、保育そのものの蓄積がなく、保育士のほとんどが1年契約の社員であるために、マニュアル化された手順による保育が行われているのが実情です。夜間保育や日曜保育などの保育メニューをそろえ、保護者の要望には最優先でこたえるようになっていますが、肝心の保育内容、保育の質がどうなっているのかが見えてきません。
保育に必要な条件として、保育士が資格を持っていることにあわせ、専門的な知識と技術、経験を持っていること、さらに、保育をすることの社会的な意味を現場と経営者が自覚していること、保育者として働き続け、学び続けられる労働環境が保障されていることが大事であります。そうであってこそ、子どもは安心して保育園になじみ、保育園も保護者と一体となって子どもの成長と発達を保障する豊かな保育を行うことができるのではないでしょうか。
そこで、中野区が民営化した保育園と指定管理者にゆだねた「公設民営」保育園の現状に関する調査・検証を行うことを求めます。保育の質を調査するのはなかなか難しいことですが、保育士の雇用形態と経験年数、勤務実態等を調査すれば、ある程度の状態をつかむことは可能です。そのために、それぞれの保育園について、保育士の雇用条件が1年更新の有期雇用か、それとも期限の定めのない雇用か。それぞれの保育士の資格の有無と実際の保育経験、勤務年数及び賃金の実態。年間を通じた保育士の退職と採用の実態。保育士の専門性を高めるための研修制度の有無とその内容等を事業者の協力を得て調査し、明らかにすることを求めたい。考えをお聞きします。
区長は、「国政をリードする」と言い、実際に小泉改革の先取りを次々にやってきました。保育園の民営化や指定管理者制度を次々に強行し、認定子ども園の導入もいち早く打ち上げています。いずれも保育園や幼稚園の廃止と民営化を目指すもので、結局のところ区の財政負担を少なくし、幼児教育・保育からの撤退をしようとするものであります。
今、子育ての責任を殊さらに家庭の責任だと強調する風潮が高まっています。それと裏腹の関係で行政責任が著しく後退させられていることを痛感します。未来をつくるのは子どもたちです。行政が子どもたちの育ちを保障する取り組みを軽視したり、放棄することは絶対あってはならないことです。中野区は、既に5園を民営化し、4園を指定管理者にゆだねたわけですから、ここで一たん立ちどまり、子どもの成長・発達を保障する保育ができているのかどうか、総合的な検証を行うべきです。区長の考えをお聞きします。
次に、幼稚園保育料と施設使用料の値上げについてお聞きします。
幼稚園保育料の値上げ条例が今議会に提案されようとしています。年間で、来年は6,000円、再来年はさらに6,000円値上げし、3年後の平成21年には現行の9万4,800円を13万6,200円にしようとするものです。額にして4万1,400円、率にして1.44倍になり、23区の平均保育料と比較して1.8倍にもなります。子育て支援が大事な課題になっているときに、このようなひどい値上げをする自治体がほかにあるでしょうか。あるならば、具体的な事例を示してください。
区は、このような大幅値上げを公私格差是正のためと説明しています。私立幼稚園の保護者には、区から保育料の補助金が出ており、その分を差し引いた保護者の実質負担金は、平均で16万6,200円と言われています。区立は現行9万4,800円なので、この差を埋めるために区立を4万1,400円高くし、一方で私立に3万円補助金をふやして、区立と私立の保護者負担金(保育料)を13万6,200円で均衡をとるというのが区の考えた理屈であります。
公私格差是正には、私学の教職員と保護者を中心に全国的な教育運動として取り組まれてきた長い歴史があります。この運動によって私学への補助金を増額させ、高くなる授業料を抑えることによって、私学に通う子どもや青年たちの勉学の機会を守ってきました。
中野区が行おうとしている「公私格差是正」は、本来果たしてきた役割と心を無視し、言葉だけを機械的に利用して区立の保育料を引き上げて私立との均衡を図るもので、本来の趣旨と全く異なるものであります。このような中野区流の「公私格差是正」のやり方及び大幅な保育料の値上げ計画は撤回すべきです。見解をお聞きします。
施設使用料の見直しについてお聞きします。
区の施設使用料見直しの特徴の一つは、原価計算の基礎に職員人件費と建物の減価償却費を加えること。二つ目は、減額・免除制度を廃止することにありました。
従来の修繕費や光熱水費に加えて、人件費と減価償却費を入れたため、使用料が軒並み2倍3倍の値上げとなり、学校体育館に至っては16倍もの値上げが示されていました。あまりにも実情を無視した乱暴なやり方に、議会各会派から批判の声が上がり、区が報告を取り下げて再検討することになった経緯があります。
公共施設は、地域住民の福祉や健康の増進、文化を楽しむなどの目的を持って、住民の要求と行政の政策判断のもとに税金を投じてつくられたものです。したがって、公共施設はだれでも利用できるように、公平で、しかも安い料金で提供されることが必要になります。そのために、中野区は使用料の算定基礎を施設の運営維持に最低限必要な修繕費や光熱水費などにとどめ、しかも値上げ幅が大きいときには激変緩和措置を入れるなどの配慮をして、区民負担を少なく抑えてまいりました。
もし、職員人件費から減価償却費に至るまで、すべての費用を利用者の負担で賄おうとするなら、民間企業とほとんど変わらなくなってしまいます。しかも、高額の使用料になることを、施設を利用する人と利用しない人の公平を図るという理屈で合理化しようとしていますが、これでは税を投入して施設を建設する意味すらなくなってしまいます。使用料の再検討に当たっては、区のこのような考え方を基本的に改めることが必要です。考えをお聞きします。
さて、区は使用料の具体的な提案を先送りしながら、その一方で「減額・免除制度の廃止」だけは早急に確定しようとしています。減免制度を廃止する理由として、一つ目に「公費支出の透明性を明らかにすること」を挙げています。これは当たり前のことであって、現行の減免制度のもとでも徹底すべき事柄であります。二つ目に、「免除制度を受けていない団体との公平性を確保すること」を挙げていますが、これは全く道理のない説明です。団体が行う事業の内容が、使用料の減額や免除をするにふさわしいからこそ減免をしているのであって、免除を受けていない団体との公平性を欠くという理由そのものが矛盾しています。なぜ現行の減免制度は公平性を欠くのか、区民と利用者にわかりやすく説明してください。
減免制度廃止後は、「活動内容に着目し、公共性・公益性のある活動については、補助、共催、委託などの方法により支援する」としています。つまり、減免制度から補助制度に変えるということであります。行政が団体からの申請に基づいて、補助するに値する事業かどうか、その都度個別に審査し、認められた場合に補助金が出ることになるのでしょう。こうなると、補助するかどうかが決まるまで、それぞれの団体が不安定な状態に置かれることになります。しかも、補助金が使用料納入前の早い段階で支給されない限り、団体は使用料の全額を一たん納付しなければならなくなります。これでは住民団体の活動に大きな支障が生まれることになりますが、どのように解決するのか、お聞きします。
私は、行政の判断で補助金が出るか出ないかが決まる制度ではなく、現行の減免制度を精査して、区民にわかりやすい基準を公表し、減免制度が適用になるかどうかを団体自身があらかじめ判断できるようにすべきだと考えます。行政の都合で制度をいじるのではなく、あくまでも区民の立場に立って考えることこそ重要なことではありませんか。考えをお聞きします。
続いて、中野区の教育行政のあり方についてお聞きします。
まず、競争の教育がもたらす悪影響に関して、見解をお聞きします。
親が子どもを虐待し、あやめてしまう事件の報道が続いています。その一方で、子どもが親を殺害する痛ましい事件も続いています。奈良県で発生した、16歳の長男による母親と弟、妹を殺害した放火殺人事件か社会に大きなショックを与えました。伝えられるところでは、関西でも有数の進学校に通い、剣道は2段の腕前で、礼儀正しくあいさつのよくできる面倒見のよい子というのが周囲の評価で、一様に「あの子が事件を起こしたとは信じられない」との声が上がっているとのことです。地域では減刑を求める嘆願署名が行われているとも報道されました。
「快活で明るい子」「成績がよくてスポーツもできる子」「あいさつができる子」なのに、信じがたい重大事件を起こすケースがふえています。常に受験競争に追われ、すべてが点数で評価される毎日の繰り返し、しかも親や教師の心をいち早く察知して、それに自分も合わせていく。そんな中で、内部に抱えたストレスが飽和状態になり、ついには爆発し、自分を制御できなくなるのではないかとの研究者の指摘がありましたが、なるほどと思います。
2000年7月に、教育課程審議会の会長だった三浦朱門氏がインタビューに答えて、「できんものはできんままで結構。戦後50年、落ちこぼれの底辺を上げることばかりに注いできた労力を、これからはできるものを限りなく伸ばすことに振り向ける。100人に一人でいい。やがて彼らが国を引っ張っていきます。限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神だけを養ってもらえばいい」と述べたことが報道されました。あまりにもあけすけに教育課程審議会の本音を語っていることに、私は当時びっくりいたしました。
1984年の臨時教育審議会以来、財界の要求に沿った教育方針が持ち込まれるようになり、文部行政が大きく変わり始めました。この変化の中で、さきに引用した三浦朱門氏の発言が平然とまかり通るようになってきました。今日では、財界の方針がより直接的な姿で文部行政に持ち込まれ、その意向に沿った教育改革が進められるほどに変質してきています。
教育の市場化が公然と進められ、あらゆる場で競争が強いられるようになっています。成績のいいできる子とおくれている子が習熟度別授業によって分けられ、異なった内容の授業を受けるようになっています。学校選択制の導入によって、学校間の競争と格差がつけられ、やがて学校そのものが淘汰されていくようになっています。最近では、中高一貫校の導入によって、一部の子どものエリート教育が進められるようになってきました。そして、来年には全国一斉の学力テストの実施が計画されています。まさに子どもから学校、そして地域・自治体に至るまで、互いに競い合う競争の教育が押しつけられています。勝ち組・負け組の選別があらゆるレベルで進んでいると言わざるを得ません。
教育基本法第1条(教育の目的)には、「教育は人格の完成を目指し、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主的精神に満ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない」と記されていますが、この記述の大事さを痛感させられます。この精神にのっとった文部行政が行われていたなら、子どもたちはもっと豊かに、もっと伸び伸びと学校生活を楽しむことができただろうにと思います。
改めてお聞きします。教育委員会は、教育基本法第1条(教育の目的)の内容を尊重し、子どもたちの人格の完成を目指す教育が行われるように、あらゆる場面で努力をする義務を負っていますが、どのように考えていますか。また、そのためにどのような努力が行われているのか、お聞きします。
さまざまな形での教育改革が国や都から次々におりてきます。中野区の教育委員会として、教育現場の意見をよく聞き、教育の条理に基づいて実情に適した方針を具体化する必要があると思います。どのように対応しているのか、お聞きします。
「地域に開かれた学校」のスローガンのもとに、地域に根付いた学校づくりがこれまで強調されていました。それがいつの間にか捨て去られ、学校選択制が広がっています。中野区では、学校選択制によって新入生が数人しかいなくなる可能性が生ずるため、そのときの対応に関する都教育委員会の方針待ちとなり、事実上凍結されています。
東京大学の基礎学力開発研究センターが、全国1万の公立小・中学校の校長先生に対し、学力や教育改革についてのアンケート調査を行った結果が先日報道されました。回答は3,800校あまりだったそうですが、学校選択制については「学校間の格差が広がる」「学校への無意味なレッテル付けが生ずる」と考える校長が9割以上を占めたとのことであります。表立って反対はしにくいが、内心ではほとんどの校長先生がよくないことだと思っているということではないでしょうか。無用な学校間競争をあおるのではなく、地域の学校として発展していけるように、学校選択制の導入を考え直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
教師が子どもと向き合うゆとりに関してお聞きします。
文部科学省の調査では、2005年度に公立小学校内で児童が起こした暴力行為の件数が前年度より6.8%ふえ、2,018件となっています。特に教師への暴力が38%ふえ、増加率が3年連続30%を超す勢いでふえており、統計をとり始めて最高を記録したとのことであります。この数字は、教師にいすを投げつけたり、故意にけがをさせるなど、一定水準以上の暴力を集計したものであって、小さな事件は日常的に多発していると思われます。なぜこのような事態が起きているのか、学校教育が抱える問題や、家庭や地域の問題など、各方面からの分析・検討が必要です。
共産党議員団は、一人ひとりの子どもを大事にするためには、少人数学級の実現が必要だと繰り返し要求してきましたが、子どもの生活と学習の場である学級を少人数化し、行き届いた授業を行うことの必要性がますます高まっていると思います。改めてその重要性を強調しておきたい。
さて、このような事態を見るにつけ、教師の多忙化を防ぎ、児童・生徒とのコミュニケーションを密にする努力が大事だと思います。先生方に実情を聞いてみますと、とにかく資料づくりが多過ぎると言われます。校長先生や教育委員会への提出する資料が増加し、その資料づくりに追われて子どもと向き合うゆとりがないと言います。さらに、学校主事や事務主事が減らされる中で、本来の教育以外のところでの仕事にも追われるようになってきております。
このような事態を教育委員会はどのように認識しているのでしょうか。教師が資料づくりに追われたり、教育以外の仕事に追われる事態をなくし、教師と子どものコミュニケーション密度を濃くする努力を行うべきだと思います。そのための具体的な手だてを講ずるべきと思いますが、いかがでしょうか。
子どもの成長を支援する教育条件の整備についてお聞きします。学校の維持補修費を各校1,000万円増額することを求めます。
先日、中学校PTA連合会と各会派の懇談会が行われ、出席させていただきました。その中で、各学校施設の早急な改善を求める一覧表が示されました。屋上フェンスの赤さびや廊下の傷み、トイレ改修のおくれ、玄関や教室の照度不足など、各学校からたくさんの改善事項が指摘されています。
小・中学校の維持補修費を調べてみますと、10年前には小・中あわせて約15億円計上されていたものが、毎年削減に次ぐ削減が行われ、4年前に最低の7億円まで落ち込んでおります。ことしは7億4,000万円で、少し増額されましたが、それでも10年前の半分の予算であります。10年たてば10年分、建物は古くなるわけですから、メンテナンスを怠れば施設の傷みがひどくなるのは当然であります。来年度予算では維持補修費を大幅にふやし、学校の環境整備に力を入れることを強く求めます。現在の維持補修費にプラスして、学校当たり1,000万円程度の予算を上乗せして、学校の緊急要望にこたえるべきだと思います。ことしの7億4,000万円に4億3,000万円を上乗せしたとしても、11億7,000万円で、10年前の78%にすぎません。思い切った予算措置を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
特別教室の冷房化についてお聞きします。
普通教室に冷房施設がついたことによって、子どもと学校関係者に大変喜ばれています。中野区の取り組みが先鞭をつけ、全都的にも広がっているところであります。学校現場からは、特別教室の冷房化をぜひ実現してほしいとの当然の要望が出されています。来年度予算でぜひ対応すべきだと考えます。
毎年多額の不用額を出し、実質収支で43億円もの黒字を出しているのですから、維持補修費の学校当たり100万円の上乗せとともに、特別教室の冷房化を検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
昨年の第4回定例会で、学校の再編計画に基づく統廃合で、教育環境が悪化する懸念を指摘しました。その具体的な事例として、野方小学校に沼袋小学校を統合した場合、運動場の子ども一人当たり面積が極端に狭くなることを指摘し、今後の対応策を求めたところであります。
このほかにも、既存の学校を改修して2校ないし3校を統合する場合、子どもたちが急激に増加することによる教育条件の悪化が一様に心配されています。特別教室の準備室やランチルーム、PTA室などがようやく確保できるようになったのに、教室不足でまたつぶされなければならなくなるのではないか。これから取り組んでいく特別支援教育に関する施設整備は可能かなど、現場は多くの悩みと心配を抱えています。教育委員会は、学校再編によって教育条件は向上すると答弁してきましたが、そのための取り組みをどのように進めるのか、その保障は明確にとれているのか、お聞きします。
教育基本法第10条1項には、「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接責任を負って行われるべきものである」と記されています。これに続いて2項には、「教育行政はこの自覚のもとに教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行わなければならない」と記されています。
教育基本法をないがしろにし、踏みにじる行為が平然と行われる時勢の中にあるだけに、改めて教育基本法の精神と各条文の持つ意味をつかみ直すことが大事なことだと思います。さきに紹介した東京大学基礎学力開発研究センターの校長先生へのアンケート調査では、「政府の教育基本法改正案に賛成である」との設問に対し、66%の校長先生が「そう思わない」と答えています。
教育の現場は、さまざまな問題に日々追われ、本当に苦労しています。どんなに大変でも、目の前にいる子どもたちを守り、育てるために頑張っていかなければなりません。校長先生をはじめ現場の先生方は、教育現場を大事にし、実情に即した援助を切実に求めています。教育行政が教育の目的を遂行するに必要な教育条件整備に全力を尽くし、現場の期待にこたえられるよう要望して、教育問題の質問を終わります。
次に、江古田の森保健福祉施設についてお聞きします。
先日の読売新聞に、江古田の森保健福祉施設に関する記事が出ていました。「高齢者介護・人手不足」との見出しで、330人の介護職員募集に対し内定者が50人にとどまっており、担当者が危機感を募らせているとのことでありました。開設まであと半年に迫っているだけに、大変なことだと思います。来年の開設が予定どおり行えるように、事業者には特段の努力を強く求めたいと思います。
今から18年前、地域のお年寄りを中心に国立療養所中野病院の見学を行い、老朽化し廃屋となった病舎のある敷地を活用して特養ホームを建設しようという住民運動に取り組みました。議会陳情の署名運動が行われ、議会で採択され、やがてこの要求が区の行政計画に組み込まれ、今日、江古田の森保健福祉施設として実を結ぼうとしています。当時の写真を見ると、既に亡くなった方が多く、感慨ひとしおのものがあります。
私は、2年前の第3回定例会で、施設建設に関して質問をいたしましたが、今日の時点で改めて質問をさせていただきます。
大規模な福祉施設をPFI事業で行うのはこれまでに例がなく、しかも国の補助金の制度が変わるなど予期せぬ問題が生じるなど、これまでにいろいろな苦労があったことと推察いたします。いよいよ開設間近になってきましたが、当初の計画どおり進んでいるのかどうか、お聞きします。
事業者には土地が無償貸与されていますので、それらを考慮した施設利用料が設定されるべきだと考えます。施設入所者の負担は、同様の民間施設と比べどの程度で設定されているのでしょうか。老人保健施設、特養ホーム、ケアハウス、それぞれについてお聞きします。
それぞれの施設に対し、たくさんの入所希望者が手を挙げることが予想されますが、どのような手順、方法で入所者が選定されるのでしょうか。その際に、中野区はどのようにかかわっていくのか、お聞きします。 施設の運営に関する運営懇談会を設置するとの答弁がこれまでにありましたが、今後どのように具体化されるのか、お聞きします。
前回の質問で、地域住民の雇用の場として重視し、事業者に働きかけることを求めてきました。障害者の施設もあわせてできることから、障害者の方々が働けるようにしてほしいとの要望も強く出されています。これらの要望を実現するために、事業者に対しどのような働きかけを行ったのか、その見通しはどうか、お聞きします。
最後に、江古田合同宿舎の廃止に関する問題についてお聞きします。既にお二人から質問が出ておりますが、重ねてお聞きします。
6月に、財務省の「有識者会議」が東京23区内にある職員宿舎の移転・再配置計画を発表しました。この中には、江古田の合同住宅も入っていることが既に述べられたとおりであります。この地域には、かつて結核患者のための国立療養所中野病院があり、多くの患者さんと病院関係者が生活し、たくさんの見舞い客が訪問してきました。その後、結核の専門病院から、呼吸器や循環器を中心とする総合病院に変わり、発展してきましたが、国の「国立病院・療養所の再編計画」の中で、新宿の医療センターに統合され、廃止されるに至ったものであります。
このような歴史の中で、地域も商店街もその時々にいろいろな影響を受け、変化してきたわけであります。今度の江古田合同住宅の廃止は、間違いなく地域と商店街、学校などに多大な影響を与えることになります。それだけに地域は大きな関心を持っています。
改めて強調するまでもないことですが、この地域は小・中学校とともに、病院、高齢者施設などが集中的に存在し、江古田の森などの自然環境に恵まれた住宅地域となっています。間もなく、ここに江古田の森保健福祉施設がオープンすることにもなります。区は、地元自治体としてこのような地域の特性を大事にし、住環境を守り、地域住民が商店街の生活を守るための積極的な取り組みを進めることが求められます。地元住民の要望をしっかり聞きながら、この地域にふさわしいまちづくりの計画をつくる必要があります。重ねて区の考えをお聞きします。
以上で私のすべての質問を終わります。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 江田議員の御質問にお答えいたします。
子ども医療費助成についてであります。区としては、特に小学生が入院した場合の経済的、精神的負担などが重い状況にあると判断して、子ども医療費助成を制度化したものであります。現在の制度の定着状況、実績なども踏まえながら、検討してまいりたいと考えております。
それから、練馬区の保育園の例を挙げての指定管理者の運営する保育園についての御質問でありました。練馬区の保育園について述べる立場にはございません。
中野区における指定管理者による保育園の運営は、どの園においても保護者との関係も良好であり、保育内容もすぐれており、安定した保育が行われていると考えております。これからもよりよい保育が行われるよう、必要な監督、指導を行ってまいります。
大阪高裁と横浜地裁での判決に関する御質問であります。保育園の民営化をめぐる二つの裁判例は、争いとなっているそれぞれの自治体における保育事情や民営化に至る経過、保護者に対する説明状況や民営化の内容などの個別状況を踏まえてのものと考えております。そうした保育園の民営化などをめぐって、保護者との間に訴訟が起こるといったことは、決して望ましいことではないと考えております。中野区では、これまでの民営化に当たり、保護者に対する説明とその理解を得ることに特に意を用いてきたものでありまして、今後も最大限の努力をしていきたいと考えているところであります。
私立園の実態把握をということであります。区内の私立保育園等の職員の状況等につきまして、把握に努め、必要な支援、指導を行ってまいっております。
それから、民営化の基本的な考え方というところであります。子どもを育てる責任が保護者や家庭にあるということは当然なことであります。そして、保護者の就労などのために保育に欠ける子どもを保育する責任は、自治体にあることが児童福祉法で定められているところでありまして、民営化されても区がこの責任を負っていく立場は変わらないのであります。民間で行う方が柔軟に対応ができて、サービスの向上やコストダウンができる事業については、民間に任せた方がよいと考えているところでありまして、保育園についても同じように考えていくべきだと認識しております。
それから、幼稚園保育料の値上げに関連しての御質問もありました。このたびの保育料の引き上げについては、既に入園している児童の保護者に配慮いたしまして、これら児童が在園する2年間については毎年度月額500円ずつの引き上げにとどめ、段階的に実施したいと考えているところであります。3年目以降の保育料については、保護者に十分周知をして、了解の上で区立幼稚園を選択していただくようにしていきたいと考えております。
公私格差の是正ということについてであります。幼稚園保育料については、子どもが私立に通っている方も区立に通っている方も、同じ負担で幼稚園に通える状況をつくる必要があると考えております。幼稚園保育料について、現在ある公私の格差を、区立幼稚園の保育料の引き上げと、私立幼稚園保護者補助の増額によってなくしていくということが基本的な考えでありまして、全体として就学前の子どもたちの教育環境を整え、保護者の子育て支援につながる、よりよい状況をつくっていきたいと考えているわけであります。
施設使用料の見直しについてであります。現在、税をもって負担すべき経費と、利用する区民の使用料によって負担するべき経費との割合などについて、施設の設置目的を踏まえ、検討を行っているところであります。
減額・免除制度の廃止に関連いたしましての御質問もありました。公共公益団体などの活動の支援の一つとして、使用料の減免を行っているところでありますが、こうした減免は公費の支出は行っていない形になっておりますが、実質的には補助金を出しているのと同じことであります。補助金の支出については、団体補助から活動の補助に転換することで、どのような活動に補助金が使われているのかの透明性が高められるということになると考えております。
それから、補助金になった場合の手続についての御質問もありました。手続につきましては、住民団体の活動に支障を来さないよう、具体的な方法を検討しているところであります。
そのほかについては、それぞれの担当の方からお答えさせていただきます。
〔教育長沼口昌弘登壇〕
○教育長(沼口昌弘) 教育行政のあり方についてお答えいたします。
まず、教育基本法第1条の教育の目的に関しての御質問でございますが、教育の目的は、言うまでもなく人格の完成を目指し、平和な国家社会の形成者を育成するということにあると思います。今現在、変化の激しい社会にありまして、この日本の国が国際的な競争力を持つ、活力ある国家として一層発展していくために、現在国や地方を通じて、教育においてもさまざまな改革が行われていると、そのように思っています。集団教育の中で、よい意味で競い合ったり、学び合ったり、あるいは協力し合ったりすることが、子どもたちの力を伸ばしていく、そのように考えてございます。
次に、教育現場の意見を聞きながら教育行政を進めてはということでございますが、現在進めております区立小・中学校の再編をはじめ、2学期制の導入や特別支援教育の推進など、教育改革を進めるに当たりましては、保護者や区民、あるいは学校現場の意見を聞きながら進めてきております。今後も保護者や区民、学校現場の意見を聞きながら、必要な教育改革を進めてまいりたいと思っております。
次に、学校選択制を再検討したらどうかということでございますが、この選択制につきましては、東京都の教育委員会における学級編成基準の見直しの検討状況を考慮する必要があるということと、またさらに区民の理解を得る必要があるということから、実施を延期しているものでございます。現在、学校再編を最優先課題として取り組んでおりますので、学校選択制については区民の理解を十分に得て実施できますよう、今後適切な導入時期について検討してまいりたいと思っております。
次に、現場の教師が子どもと向き合うゆとりを持つ、そういうことに関してでございますが、教育委員会といたしましては、学習指導補助員の配置、あるいは2学期制を推進する中で、教師が子どもや保護者と向き合う時間を確保し、よりきめ細かな学習指導や生活指導を行えるように努力しているところでございます。
次に、学校の維持補修あるいは特別教室の冷房化についての御質問でございますが、学校の維持補修につきましては、屋上防水や外壁塗装など年次計画で実施するもの、あるいは毎年の施設状況を確認して、優先度に応じて実施するものなどがあります。各校とも緊急性を有するものについては極力予算措置をして対応しているところでございます。特別教室の冷房化につきましては、区立小・中学校の音楽室、図書室、コンピュータ室をはじめ、騒音対策上や風通しが悪い、そういうような特別な事情がある特別教室についても冷暖房化の対応を図ってきているところでございます。今後もそうした考え方で対応していきたいと思っております。
最後に、再編計画に基づく教育環境が悪化するのではないかというような御質問でございましたが、学校再編は集団教育のよさを生かした学校教育を進めるために、学校を望ましい規模にすることを目的とするものでございまして、それ自体が教育環境の向上を目指すものであります。また、施設面でも改修を進めておりまして、教育環境の向上に取り組んでいるところでございます。統合新校を設置する学校では、確かにこれまで余裕教室の活用により使用していた幾つかの部屋を普通教室に戻すことになりますけれども、学校教育に必要な教室数はきちんと確保できると考えております。
以上でございます。
〔保健福祉部長菅野泰一登壇〕
○保健福祉部長(菅野泰一) 江古田の森保健福祉施設につきましての質問にお答えいたします。
初めに、事業の進捗状況でございますけども、整備工事につきましては平成19年4月の供用開始に向けまして、計画どおりに進んでおります。また、運営スタッフの採用に関しましては、募集要項を広範囲に配布するなどいたしまして、積極的に必要人員の確保に努めているところでございます。
それから、入所者の負担ということでございます。それぞれ施設がございますが、施設の利用料金は、要介護度、それから所得、部屋の仕様等によりまして入所者の負担額に幅がございます。まず、老人保健施設の場合ですけれども、4人部屋の場合は月額3万7,000円から8万7,000円、個室の場合は6万5,000円から14万円でございます。特別養護老人ホームは、全室個室、ユニットケアでございまして、5万8,000円から13万4,000円、ケアハウスは、自立の場合は8万2,000円から11万1,000円、要支援1から要介護3の場合で8万9,000円から13万1,000円となっております。いずれの場合でも、国や都の基準に沿って設定しております。
なお、老人保健施設の室料差額料というのが設定できるんですけれども、調査した結果、都内の施設と比較いたしますと最も低く、1日100円の御負担ということになっております。
それから、どうやって選定するかという選定基準、それからその中野区のかかわりという御質問がございました。各施設ともに、説明会の開催、希望調書の受理、個別実態調査、審査、入所予定者名簿の作成、契約というような手順を踏むことになります。高齢者施設につきましては、中野区の特別養護老人ホーム優先入所等に関する指針などに従いまして、事業者の方で選定しております。それから、障害者施設につきましては、事業者が入居者を選定した後に区が支給決定をすると、そのような手順になっております。
それから、運営懇談会の具体化ということでございます。運営懇談会の設置に向けまして、9月19日に地元組織や関係機関の代表で構成しました準備会を立ち上げました。準備会をこれから何回か開催いたしまして、運営懇談会の役割やメンバー構成などを固めまして、来年の3月には正式に発足する予定でございます。
それから、地域住民等の雇用ということでございます。区としては、できる限り区民の雇用の場となるよう働きかけているところでございます。事業者では、区内で職員採用説明会を開催いたしましたり、区の窓口や事業などを通じて情報提供するなど、積極的に区民の採用に向けまして取り組みを行っているところでございます。現在、清掃業務などにつきまして、区内の障害者団体に委託することを含め検討していると聞いてございます。
以上であります。
〔都市整備部長石井正行登壇〕
○都市整備部長(石井正行) 私からは、国の江古田合同宿舎、これの廃止計画についてのお尋ねにお答えさせていただきます。
この江古田合同宿舎の跡地の有効利用に当たりましては、よりよい住環境と、それからまちの活性化、これに結びつくように、仮に民間が開発するということになりましても、地元の意向も踏まえ誘導を図ってまいりたいと考えてございます。
〔江田とおる議員登壇〕
○41番(江田とおる議員) 最初に、先ほどの質問の中で、小・中学校の維持補修費の増額について、1校当たり100万というふうに発言したようですが、1校当たり1,000万というのが私の趣旨でございました。もし間違っていれば訂正をさせていただきたいと思います。
いろいろありますが、1点だけお聞きいたします。
保育園の民営化の問題ですが、区長の先ほどの答弁では、保育内容がいずれもすぐれていると、こういうふうに御答弁がありました。その保育内容がすぐれているということの根拠が、どういうことに基づくものなのか、まずそのことが第1点であります。
二つ目に、私立保育園の実態把握に努めていると、このように答弁をいただきました。私は、先ほど指定管理者に委託した保育園、それから民営化した保育園について、こういう点を、勤務実態や、あるいは雇用形態、そういったものを一つひとつ挙げながら、こういったものをぜひ調査すべきだと、その結果について明らかにすべきだと、そういう質問もさせていただきました。もし既に私立保育園のこうした実態が明らかにされているということであれば、これについて明らかに答弁をしていただきたい、詳しい答弁をいただきたい、その点だけ再質問させていただきます。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 再質問にお答えいたします。
指定管理者による園の運営ですけれども、第三者評価を受けているところであります。その第三者評価も良好な結果であるということもありますし、また保護者の反応、さまざまな面で私はすぐれた運営がなされているというふうに認識しているところであります。
それから、私立保育園の情報についてでありますが、おおよそ御指摘というか、お求めのあったような内容のデータは把握しているところでありますが、それぞれの事業者の運営内容にかかわるということでありまして、これについて公表するという考えは持っておりません。
以上でございます。
〔江田とおる議員登壇〕
○41番(江田とおる議員) 再々質問させていただきます。
第三者評価が行われているのは私も知っております。ただし、この第三者評価にもさまざまな意見があって、保育の質そのものが評価の中身として具体化されていないと。だから、保育園関係者からも、第三者評価の中身をもっと実情に合った、保育の中身がよくわかるものにしてほしいと、こういう要望が出ております。そういう意味で、私は保育の内容がすぐれているということであれば、区自身がそれを確認できるような、確認するような努力をしてほしいということを申し上げております。その点についてお聞きします。
それから、私立保育園の実態を、わかっているけれども公表できないと、こういうことでありました。本当に私が申し上げたような中身で調査をし、実態をつかんでいるのであれば、それは加工の仕方によって、どの業者かということを明らかにしないまでも、資料の加工の仕方によって幾らでも公表できるはずであります。それができるということであれば、常任委員会の場で改めてその資料の提出を求めたいと思います。
この二つについてお答えください。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 再々質問にお答えいたします。
第三者評価に対する評価についての御意見はさておきまして、指定管理者の園の運営につきましては区の保育担当の方が常に状況を把握しているということもあるわけであります。そういうような日常的な経過の中の評価も含めまして、すぐれていると。第三者評価も当然私どもとしては評価をしていく材料とするわけでありますが、そういう形で評価をしているということであります。
資料の開示につきましては、先ほど申し上げたとおりであります。
○副議長(江口済三郎) 以上で江田とおる議員の質問は終わります。
お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(江口済三郎) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
次の会議は明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
本日はこれをもって延会いたします。
午後5時12分延会