中野区議会財政制度調査特別委員会〔平成17年8月23日〕
財政制度調査特別委員会会議記録
○開会日 平成17年8月23日
○場所 中野区議会第2委員会室
○開会 午前10時02分
○閉会 午後12時10分
○出席委員(13名)
大泉 正勝委員長
はっとり 幸子副委員長
佐野 れいじ委員
奥田 けんじ委員
小堤 勇委員
大内 しんご委員
平島 好人委員
山崎 芳夫委員
高橋 ちあき委員
こしみず 敏明委員
佐伯 利昭委員
岩永 しほ子委員
江口 済三郎委員
○欠席委員(1名)
伊藤 正信委員
○出席説明員
区長室長 寺部 守芳
政策計画担当課長(政策担当課長) 川崎 亨
計画担当課長 奈良 浩二
総務部長(未収金対策担当参事) 石神 正義
財務担当課長 篠原 文彦
税務担当課長 遠藤 由紀夫
区民生活部長 本橋 一夫
区民生活部経営担当課長(地域活動担当課長) 登 弘毅
子ども家庭部長 田辺 裕子
子ども家庭部経営担当課長(男女平等担当課長) 合川 昭
保健福祉部長 菅野 泰一
保健福祉部経営担当課長(保健福祉担当課長) 寺嶋 誠一郎
都市整備部長 石井 正行
都市整備部経営担当参事(都市計画担当参事) 服部 敏信
教育委員会事務局次長 金野 晃
教育経営担当参事 村木 誠
○事務局職員
書記 吉田 哲郎
書記 鳥居 誠
○委員長署名
審査日程
○議題
都区財政調整について
財政自主権について
財政運営について
○所管事項の報告
1 新しい中野をつくる10か年計画(素案)について(計画担当)
2 主要5課題の検討結果について(財務担当)
3 平成17年度都区財政調整の当初算定について(財務担当)
○その他
委員長
定足数に達しましたので、財政制度調査特別委員会を開会いたします。
(午前10時02分)
本日の審査については、お手元に配付の審査日程(案)(資料1)のとおり進めたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
御異議ありませんので、そのように進めてまいります。
なお、審査に当たっては、12時を目途に進めたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります。
都区財政調整について、財政自主権について、財政運営についてを議題に供します。
それでは、所管事項の報告を受けたいと思います。
新しい中野をつくる10か年計画(素案)についての報告を初めに受けたいと思います。
奈良計画担当課長
それでは、10か年計画(素案)につきまして御説明を申し上げます。(資料2)
10か年計画(素案)につきましては、既に各常任委員会で御報告を申し上げておりますので、本日は財政運営の項目であります、「第4章 持続可能な行財政運営のために」を中心に御説明をいたします。
それでは、お手数ではございますが、105ページをお開き願います。「第4章 持続可能な行財政運営のために」でございます。
この第4章におきましては、行政革新ということを掲げまして、行政革新でどのようなことに取り組むのかということと、これからの財政運営の基本的な考え方につきまして掲げてございます。
この行政革新というのは、第2章で、この10年間で優先的に取り組みを進めるものとして四つの戦略を掲げおりますが、この四つの戦略の展開を可能にするものとして、柔軟で強い経営体制をつくるためのベースとして掲げているものでございます。ここでは、行政革新といったことを進めることで持続可能な行財政運営を行いまして、小さな区役所を実現していくということとしております。このための取り組みといたしまして、105ページのカッコ1から107ページのカッコ8までを挙げております。
カッコ1では、発生主義会計の導入といったことを掲げてございます。
現在の私どもがとっております公会計は、現金収支に着目をいたしました、いわゆる現金主義会計でございます。これにつきまして、民間企業で採用しております発生主義会計、こういったことを現在の現金主義会計とあわせて導入をいたしまして、資産、負債、コストなどの経営情報をより的確に把握すること、また長期的な視点に立ちました経営、あるいは業務の効率化を進める上での道具として活用していきたいというふうに考えてございます。これによりまして、区政情報がより明確に、わかりやすく区民の皆様にお伝えすることができるというふうに考えてございます。
続きまして、カッコ2では、次のページにわたりますが、複数年型予算の導入といったことを掲げてございます。
この複数年型予算でございますが、各事業部の自主的な予算編成を可能にすることですとか、成果重視で、より柔軟で効率化な区政運営を可能とするために導入するものでございます。具体的には、区が現在進めております、目標と成果による区政運営によりまして、計画-実施-評価-改善のサイクル、いわゆるPDCAサイクルの中で、事業を前倒して行うことが効果的であると考えた場合に、事業部ではみずからの財源の枠の中では一時的に財源が不足するといった事態が生じる場合がございます。こうした場合に、財政調整基金から財源を貸し付けるといったようなことを行いまして、翌年度以降、その貸し付けた財源を返済し、また財政調整基金に戻し入れる、このようなことを想定しております。
続きまして、カッコ3では、新しいコスト分析手法の活用を掲げております。
ここでは、新しいコスト分析の手法といたしまして、活動基準原価計算、ABC分析と言っておりますが、こちらの活用を掲げております。これは業務活動を活動単位に細分化をいたしまして、活動単位ごとに人件費、施設の維持管理費ですとか、減価償却費、こういった間接費を原価に反映させるといったものでございます。これによりまして、現状の行政サービスのコストといったものを算出いたしまして、だれにでもわかりやすくするとともに、業務改善を行うための資料として活用していきたいというふうに考えております。
続きまして、カッコ4、市場化テストの実施でございます。
行政と民間事業者が同じ土俵で競い合う市場化テストということで、これによりまして区と民間事業者を問わず、最もすぐれた質ですとか、効率性、価格、こういったサービスを提供できるようになると考えております。区にとっては、事業の改善意欲の向上ですとか、民間にとっては行政サービスへの新たなビジネスチャンスが生まれるといった効果が期待されるものになります。
続きまして、107ページをごらん願います。下の方になりますが、2、財政運営の基本的な考え方でございます。この中のカッコ1では、財政運営の基本方針を掲げてございます。
基本方針としまして、現在国が進めております三位一体改革によります国庫補助・負担金の見直しですとか、税源移譲、それから都区財政調整制度の検討などにつきまして、現時点で予測が難しいといったことがございますので、移行期の平成18年度から平成20年度まで、この期間を財政安定化期間とすることと、先ほど御説明いたしました複数年度で予算を編成・管理できる仕組みを導入していくこと、また財政調整基金ですとか、特定目的基金の計画的な積み立てや取り崩し、それから起債額、公債費の考え方といったものをお示ししてございます。
続きまして、108ページ、カッコ2をごらんいただきたいと思います。カッコ2では、予算編成、執行管理、決算処理といった財政のマネジメントサイクルの改革の考え方を記載してございます。
予算編成の段階では、歳入に見合った歳出規模とすること、繰り返しになりますが、成果重視によります事業執行ができるよう、複数年型予算を導入することといったことを掲げてございます。
次の執行管理の段階におきましては、常に事務改善、事務事業の見直しの視点を持ってコストの削減を図っていくこととしております。
また、次の決算処理の段階におきましては、歳計剰余金につきまして、翌年度予算に計上し、大型の事業ですとか、基金の積み立ての原資としていくこと、こういったことを掲げております。
また、これら三つのそれぞれの段階におきまして、常に行政評価制度の結果を活用しまして、事業執行の工夫ですとか、コストの削減、成果の達成状況の検証を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
続きまして、109ページになりますが、カッコ4景気変動への対策といたしまして、財政調整基金の積み立てと取り崩しを行うこと、また、次のカッコ5では、計画的な施策の実施といたしまして、施設の改修や改築、道路、公園の整備のための特定目的基金の計画的な積み立てと取り崩しを行うといったことを掲げてございます。また、あわせまして、施設につきまして、長期保全計画に基づきます保全を進めることといったものを記載してございます。
また、109ページから110ページにかけましては、事務経費の削減の考え方、給与関係費の改革、それから臨時的な財源対策としての計画的な用地の売却といったことを掲げてございます。
続きまして、参考資料としてお配りをしてございます、10年間の収支の見通しというのがございます。こちらの方の御説明をさせていただきたいと思います。
この表は、10か年計画の期間であります、平成17年度から平成26年度までの10年間の一般財源ベースの収支の見通しをお示ししてございます。第4章の財政運営の基本的な考え方に基づきまして作成をしているものでございます。
基本的な内容を御説明いたしますと、まず、歳入をごらんいただきたいと思いますが、歳入では、国が進めております三位一体改革と財調の主要5課題につきまして、まだ見通しが立っておりませんので、そのため現時点での見通しというふうになってございます。
一番上の特別区税の従来分でございますが、こちらにつきましては、特別区民税と軽自動車税の伸びは0%としております。また、特別区たばこ税は減少傾向を見込んで、こちらの方に10年間の見通しをつくってございます。
国の三位一体改革に伴います税源移譲分につきましては、国から具体的な内容がまだ示されておりませんが、19年度の所得から課税をされるものといたしまして、20年度の歳入から約42億円を見込んでございます。
次の特別区交付金につきましては、こちらも主要5課題の協議が調っていないことから、伸び率を0%というふうに見てございます。
それから、基金繰入でございますが、18年度以降の基金繰入につきましては、財政調整基金の退職手当分、施設改修分と、減債基金につきましてこれまでの方針に基づきまして算定をしております。
次の欄の繰越金でございますが、第4章で御説明しましたように、歳計剰余金につきまして繰越金として翌年度の予算に計上することとしております。そして、ここに、18年度から計上してございます。
続きまして、歳出の欄でございますが、職員給につきましては、職員2,000人体制ということを見込んでおりまして、職員給を算定してございます。
それから、三位一体経費でございますが、こちらは現行の事業費ベースで特定財源から一般財源へ移る影響額といたしまして、20年度から約20億円を見込んで計上してございます。
また、基金の積み立てといたしましては、退職手当分、減債基金分、その他特定目的基金への積み立てを20億円分見込んでございます。
したがいまして、歳入と歳出を差し引きいたしますと、17年度予算で新規拡充分ですとか、民営化などによります執行方法の見直しに伴います経費などに当たっている約45億円に対応いたします18年度以降の活用可能額--一番最後の行になります--が、10年間で50億から84億余りというふうになってございます。
なお、この中には、先ほど財政運営の基本的な考え方にございます大規模事業ですとか、基金への積み立ての原資といったものがこの中には含まれております。また、今回の10か年計画では、中長期的な目標戦略をお示ししまして、事業はPDCAサイクルの中で目標達成を目指して展開していくものでございます。そのため、個別の事業内容ですとか事業量は、常にその成果を把握しながら見直しを行っていくということで、状況に応じて変動してまいります。したがいまして、既存事業のスクラップ・アンド・ビルドといったことを行いながら、今申し上げました活用可能額の範囲内で事業展開を行っていくということを考えております。
以上、簡単ではございますが、10か年計画(素案)の説明とさせていただきます。
委員長
ただいまの報告について質疑はありませんか。
小堤委員
具体的なところがなかなかわからないんですけれども、総体的なところの質問になります。
一つは、この10か年計画は当初基本構想と一緒につくるということだったんですけれども、それが延びました。実は、3月29日に総務省が地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針と、いわゆる新地方行革指針というのを出したんですけれども、この指針とこの10か年計画の関係というのはどのようになるんでしょうか。
寺部区長室長
3月に総務省の方で指針が出されておりますけれども、この指針と10か年がイコールという考え方ではございません。どういう形で行革指針、中野区としてのものをつくるかというのは検討しておりますけれども、一応分けて考えております。
小堤委員
私は、かなりこれに基づいて、この10か年計画もつくられているのかなという認識なんですね。ここに、この新地方行革指針というのがあるんですけれども、この指針の中で行政組織運営全般について、いわゆる区報の中にも大きく書いてありますけれども、PDCAサイクルに基づき行政改革大綱の見直しを行うと指針に書いてあるんですね。ところが、この区報における10か年計画も、区政運営のPDCAサイクルで行っていくと、こういうふうに書かれているわけで、かなり関係もあると思うんですけれども、いかがですか。
寺部区長室長
内容的に、今の自治体あるいは国を含めてですけれども、目標を掲げて、成果を出す、どういった効果を目指して事業等を行っていくかという、そういう仕事の進め方に変えていこうといいますか、転換していこうというのは大きな流れでございます。そういった意味で、行革指針でもそういう言葉を使っておりますし、いろいろこれから計画を、いろいろな自治体がつくると思いますけれども、国の方の例えば交付金を申請するときにも、目標を掲げて成果を出すというような仕組みに変わってきていますので、流れとしてはそういう考え方というのは、行革指針であろうが、計画であろうが、同じような考え方で仕事というのはこれから進んでいくことになるのではないかというふうに考えております。
小堤委員
この指針の前書きの中に、こういうふうに書いてあるんですね。地方公共団体が中心となって、住民の負担と選択に基づき、おのおのの地域にふさわしい公共サービスを提供する分権型社会システムに転換していくと。この「住民の負担と選択に基づき」と、こういうふうにはっきり書いてあるんですね。それで私は、三位一体改革との関係では、05年度、06年度は地方交付税の一般財源化の総額というのは確保されるということが報道されておりますけれども、しかし、07年度からは削減されるという方向なんですね。そのために、そういう削減に耐えられる自治体にするために、この指針によって、住民の負担によってリストラを行うというような意見が出されているんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
寺部区長室長
三位一体の改革の流れというのはあるわけですけれども、一方で、今、国も含めて、地方自治体も含めて、ずっと財政状況が厳しい状況というのは続いています。それで、住民の負担と選択ということですけれども、その前段にあります、分権型社会にしていこうという中で、やはり最小限必要なこと、どういう部分を自治体が担って、どういう部分を区民、国民が担うかという、その考え方といいますか、そういったところの整理というのがやはり必要になってきているのではないかという中で、分権をする中で自治体としての主体性を持つ、その中でどういう仕事が区民にとって真に必要なものなのかということを改めて考えていく必要があるのではないかという中での、そういった考え方でございますので、基本的に自治というものをこれからどう考えていくかということをやはり基本に立って考える、そこからスタートしていく必要があるのではないかというふうに考えております。
小堤委員
具体的なことがまだまだ明らかにされていないんですけれども、私も具体化する中でさらに質問していきたいと思います。
もう一つお聞きしたいのは、行政革新という言葉を使っているんですね。一般的には行政改革ということが使われるんですけれども、この革新という言葉を使うに当たって、どういうふうな議論がされたんでしょうか。
寺部区長室長
四つの戦略というものを考えたわけですけれども、これを推進するための仕掛けを考えたわけです。いろいろ言葉の使い方については考えました。それで、言い古された言葉、行政改革とか、事務改善だとか、いろいろ言葉がありますけれども、行政革新という、言ってみれば今まで使ったことのないような言葉を使って、取り組みの姿勢を少しアピールしたいという意味で、この行政革新という言葉を使ったものでございます。
小堤委員
私たちは、よく革新という言葉は使うんですけれども、ただ、辞典を調べますと、改革というのは古くなった制度や機構を新しい時代に適応するものに改めるということなんですね。それで、革新というのは、古い体制をやめて新しいものに変えていくということなんです。言葉のやりとりはあれとして、やはり今ある暮らしを大事にするから、持続性ある中野の未来もつくれるという立場が私の考えなんです。
それで、行政革新というのは、あくまでも住民サービスの拡充を目指して行うべきものですね。財政削減そのものを基調するということを目的にしたり、ある意味では民間の仕事をふやすためにふやすというようなものではないという、私の意見を述べておきたいと思います。
委員長
他に質疑はありませんか。
山崎委員
地方分権の時代を迎えて、自治体の役割について室長が今お話になって、私たちも基本的には同じような考えではいるんです。そうした時代の流れの中で、目標と成果ということが全体的な流れになるだろうということでこういう計画を立てられたということについても、私たち自民党は直接的に反対するものでもないし、そのように思っています。しかし、この目標と成果というのを、部長、よく考えると、これは非常に悩ましい問題がたくさん入っていて、というのは、みずから目標を立てて、その成果--外部評価であれ、みずから自分たちの事業部であれ、評価をしていくと、こういうことになると、目標の立て方、あるいは成果の評価の仕方というものが実際には大きく左右されるんだろうと、こう思っているんです。
それで、自治体が目標と成果を上げるというのは、民間の会社が目標を上げて、何台自動車を売って、幾ら利益を上げて、折れ線グラフで職員の評価をするというわけには実はいかないんですよ。民間に、民間にという大きな流れがあるのは私たちもわかっていますし、私たちの政党もそうは思っていますが、自治体は、目標を掲げて、その成果があったか、なかったかだけの判断というのはやはり危険なんだろうと。もう少し言わせていただければ、目標を立てて、成果が出なかったことでも引き続いてやらなければいかん不採算な仕事が、ある意味では、言いかえれば行政の仕事だと言っても過言ではないぐらい、役所の仕事というのは複雑なんだろうなと。こういう中で、目標と成果を導入して仕事を進めるというのは非常にデリケートだし、難しいだろうな、しかし、やっていかなくてはならないだろうな、私は個人的にはこんなふうに思っているんです。
この辺に関して、担当部の方で具体的にこうやったらうまくこういうふうに、このPDCAだっけ、新しい言葉で言えばそういうものだとか、あるいはバランスシートを含めて、財務諸表の取り扱いがこうだとかいうようなお考えがありましたら教えてください。
寺部区長室長
確かにおっしゃるとおりです。今回だけでなくて、行政評価を導入したときに、そもそも目標とする、成果目標というのを考えていったわけですけれども、それで成果指標として何々がどのくらいアップするというのを行政評価のときに導入したわけです。今回の計画をつくるに当たっても、成果指標と目標値、数値を各分野に並べていますけれども、その立て方についてかなり悩んでいます。結果的に見てみますと、こういった指標で本当に大丈夫かというのも正直なところございます。それは、今お話のございました、民間とはやはりそういった点で大きく違ってくるだろうと思います。したがって、その目標の立て方そのものが、少し時間がかかりますけれども、一つのものですべてということは多分ないだろうと思います。いいのがあれば変えていく必要があるだろうというふうに思います。
それから、成果が出なくてもやることはあるというのは、確かにおっしゃるとおりだと思いますが、行政評価をいただいた中で、例えば低いランク、Cとか--Dはないんですけれども、そういった評価が出たときに、果たしてそれは即やめてしまうべきものかというのは、二通り考え方があると思うんですね。取り組みの成果が出ていないことは同じですけれども、それはやめてしまうものと、それから、いや、もっとちゃんとやるべきものというふうな分け方があると思うんですね。それも、実は目標の立て方によって変わってくるとは思うんですが、そういった面で非常に難しさを抱えています。非常に目標の立てやすい分野もありますし、非常に立てにくいものもありますので、その辺はまだ試行錯誤ではないかな、よりよい目標というもの--その目標というのは、基本構想ができましたし、それに掲げる理念を頭に入れながら、区民が真にどういうことを必要としているかということをやはり頭に入れながら目標というものを考えていく、それは非常に難しいですけれども、いい指標、目標があれば少しでも直していくということをやっていかない限り、硬直化した目標になってしまうというふうに考えています。
委員長
他に質疑はありませんか。
佐伯委員
ちょっと参考資料の方からお聞きしたいんですけれども、歳入の方で基金繰入、米印の4ですね。これについては、退職手当分と施設改修分と減債基金について、これまでの方針に基づいて算定したとあるんですけれども、この数字が出ているということは、ある程度今後の施設、この10年間にどれだけ施設を減らすとか、具体的にどの施設をどうするかということが、ある程度の方向が出ていないと、これは卵が先かニワトリが先かじゃないですけれども、出てこない数字だと思うんです。
そういった点で、今回のこの10か年計画の素案の中には、逆にその施設の問題、具体的なものが全然入っていない、その中でこの金額が出てきている、そのあたりの関係というのはどういうふうに理解していったらいいんでしょう。
奈良計画担当課長
米印の4番目に書いてございます、財政調整基金の中で施設改修分というのがございますが、こちらにつきましては、現在予算で見込んでおります一定額につきまして、この10年間でも同じようにかかっていくという形で、定額で見てございます。ですから、個々の施設に応じましてどれぐらいの改修経費がかかるというような見方で現在は見てはおりません。
佐伯委員
ということは、これからの施設配置とか施設の改修というのは、金額に合わせてやるんですか。こういうのというのは、必要性に合わせてやっていかなくてはいけないので、金額が先に出て、それから施設の計画を立てる--もちろん財政は一番大事なことですけれども、それはちょっと方向が逆だと思うんですよね。
石神総務部長
これまでの財政運営の中で、施設の維持管理という部分については財政が逼迫しているということからほとんどせずに来ていたわけです。雨漏りがあれば雨漏り部分だけ直すということで、実際には耐用年数がありますから、耐用年数を維持するためには構造的な部分だとか、配管であるとか、基礎的な部分も手を入れていかなくてはいけない部分があったわけですが、財政が逼迫しているということで行財政5か年計画の中ではほとんど手をつけない、そのような方針で来ました。
ところが、やはり区民の財産を維持していくためには、ある程度の金をかけて計画的に維持管理をしていかなければいけないというのがあります。ところが、まだまだ財政的な裏付けから言えば、景気が右肩上がりでどんどんよくなっているような状態ではございません。その中で、基金の積み立てを5か年で始めて、この施設維持管理に伴うある程度の基金の積み立てができましたので、その基金を崩しながら、それから毎年の歳入の部分から出す部分、両方あわせて計画的な維持管理補修をしていこうということで、ここの取り崩しの計画を入れたところです。
ただ、今言われるように新しい部分について、施設をつくるとか、それから新たに大幅な改修をするとかということでかかってくる金については、今後10か年で具体的に詰めていく、今ちょうど詰めているわけですが、いつどこで、いつの時点でこういうことをやらなくてはいけないということになれば、それに合わせた計画をさらにここに入れていくということでやっております。
ですから、ここでの書いてある内容は、これまでつくった、維持管理をすると、現在ある施設をどういうふうに維持していくのかという部分だけでの取り崩しの計画を入れているというところで言えば、3分の1ぐらいの計画しかなっていないということでございます。
佐伯委員
じゃ、これからその10か年計画を正式に確定するまでにそういうことも決めるということは、この秋に10か年計画というのは正式に決まるんですよね。そうすると、その段階でもう施設の、新しくつくる部分もありますけれども、廃止するもの、そういったものも具体的に出てくるという認識でいいんでしょうか。
石神総務部長
財政的な表現で言えばですが、当然学校の統廃合だとか、そういったものは計画的に必要になってきます。その統廃合に伴う施設の改修だとかという部分については、単年度の予算では当然運営ができませんので、それに合わせた積み立て計画をまず出すということで、基金の積み立て計画でこういう形で積み立てますよということを、秋のときにはそれを出していきたいというふうに思います。
そういうことで言えば、目途としていつごろにどんなような計画をどういうふうに立てるということは、そういう中で表現をしていきたいというふうに思っております。
寺部区長室長
区長室のお話が出ましたので、私の方からちょっとお答えを申し上げますけれども、この計画案、素案が取れて、案になって、最終的に計画となりますけれども、この計画書の中で、個々の施設について、何々センター、何々児童館とか、そういった個々の施設について、何年にどうするという表現まではこの計画の中ではしないつもりです。それは、施設そのものの考え方、方向というのは戦略的にここに入れてありますし、もう少し入れた方がいいとは思うんですけれども、個々の施設について何年にどうするというものについては、計画書そのものの中では入れないつもりでいます。しかし、それは必要なものですので、何らかの形でお示しをしていく必要があるというふうに考えております。
委員長
他に質疑ありますか。
大内委員
同じく参考資料で、歳出の方なんだけれども、職員の数が10年後には一応2,000人という目標だということで、それが数字になっていると思うんです。経常経費の方がその分しっかり伸びているんだけれども、経常経費が伸びているということは具体的にどういった区政運営というか、民間に委託しているのとか、どういう意味でここのイメージで計算しているんですか。
篠原財務担当課長
人件費から、例えば民営化したものについては物件費に変わりますので、そちらの方に全部カウントをしていくというような状況でございます。
大内委員
そうすると、言い方は変なんだけれども、職員の数は減ったけれどもその分民間に委託している、結局出ていくお金は同じではないかという。こっちが、平成26年度を見ると職員経費が45億下がっていて、経常経費の方が44億ふえているわけだから、そうすると、歳出の部分で見ると、トータルで見ると、ただ民間に委託しているだけであって、民間に委託して、本来、今まであった以上のサービスで、同じ金額でたくさんのサービスができるとか、何かもうちょっと、ただ単に今まで区の職員がやっていたものを民間に委託していくだけではなくて、サービスがより充実するとか、やはりそういったイメージでいいんですか。
石神総務部長
この経常経費の中で、一番大きく伸びている部分について言いますと、これは扶助費等の義務的経費が伸びております。この中では、年間7%程度伸びていくということで見込んでおります。この10か年で言いますと、職員の削減によります効果については、ほとんどが義務的な経費と言われる扶助費等に伸びてしまうということで、その10年後の先はまた基金等の積み立てだとか、財政運営を考えなければいけないんですが、今のところの段階ではそういう形になっております。
それで、今、課長が言いましたように、事業の執行方法を工夫するということで、人件費相当を、今度は物件費に変わりますが、その分についての効果がある程度出ていますので、このくらいの伸びで、大体とんとんぐらいの伸びでおさまっているという状況でこれをお読み取りいただきたいと思います。
大内委員
では、具体的に扶助費の伸びというのはどのぐらいを見込んでいるんですか。
篠原財務担当課長
毎年7%程度を見込んでおります。
大内委員
具体的に金額で言うとどのぐらいなんですかね。
篠原財務担当課長
失礼しました。大体5億円程度だと。
佐野委員
今のに関連するかもしれませんけれども、やはりこういう10か年計画を立てる上では、財政の裏付けというのが非常に重要な役割を担ってくるというふうに私自身は思っております。そういうことで、この指標は見通しということで出されたと思うんですけれども、非常に今のお話で都区財政の不安定化とか、将来の見えない部分というのは非常にあるから、立てにくい部分はあるかと思います。しかし、こういった裏付けがないと、やはりものを行って、中野区を新しくしていくんだということの一つの目安にならないということではないかなと思うわけです。
そういう意味で、今言った中で歳出と歳入、このバランスというものが非常に大切になってくるわけですね。それで、今言いますと、最終的に10か年で663億ぐらいが、AマイナスBになってくるということですけれども、まず一つ、歳出の方で、今のに関連しますけれども、職員給の方です。17年度から20年度にかけまして若干ずつ、逆にふえていますよね。簡単に言いますと、17年度が243億あって、20年度が244億、ふえていますよね、ずっと。この理由というのは、退職金その他の理由になるわけですか。それとも、これから以後はずっと減ってきているわけですけれども、2,000名体制というのは、たしか、いつの時点で2,000名体制になるというふうに発表されているかということも確認しながら、ちょっとその辺のお話をいただきたいと思います。
篠原財務担当課長
この18、19、この年度の伸びは、いわゆる団塊の世代の退職金の増でございます。
それから、2,000名体制になる時期でございますが、平成26年度に約2,009人という、今、試算をしてございます。
佐野委員
そうすると、高額者がかなり逆ピラミッド型にいらっしゃるというお話だと思うんですけれども、その場合に、この間、20年間の間のものについては、要するに多々の、退職不補充とか、いろいろなことをおやりになると思うんですけれども、職員についてはそのままの自然退職者を見込んでいらっしゃるということですか。そのほかの方法というのは一切考えていないということですか。
寺部区長室長
基本的には、欠員不補充を考えています。それだけではなかなか組織として機能しない面がありますので、若干の新しい採用とか、あるいは新しい任期付きの職員採用制度と、そういった多様な雇用形態を生かしながら2,000人体制というものをつくっていきたい、こう思っています。
佐野委員
10年間のスパンというのは、私自身は非常に危険ですし、長いと思います。だからこそ、多分財政は複数年次というものを今回おとりになっていくんだと思うんですよね。そういう意味からすると、この3年間、4年間というのが中野区にとって、この10年を立ち上げるための基礎になるわけですね。それからすると、この採用数のものは、そのまま、今のお話の中で退職不補充という方式しかないということであれば、やはりこの立ち上げのときに逆にふえていくと、金額がふえざるを得ないという、逆から言うとあるわけですけれども、それをどうするかということを考えるのが私は大切ではないかと思います。
この二、三年間が、中野区にとって、今後のこの10年を決める上での一番大きな指針となるし、肝心なところなわけです。そういう意味からすると、逆にプラスの予算を出していく、プラスをせざるを得ないというのはわかりますよ。だけど、やはりそれに対するどういう施策をするのかということ自体を考えなければ、すべてのところでこういう予算が狂ってくるという現状になるのではないかと思うんです。自然待ちというのは、一番改革の手をこまねいているものだと思います。そういう意味では、何らかの方法を考えていかないと、このままではやはり人件費は、10年先を見なければならないという現状になっていくのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
石神総務部長
人件費の削減ということについては、これは5か年計画の中で既に退職不補充という方針をとりまして、削減をしてきたところでございます。
その中で、現在進めているのは、構造改革と言われるように、特殊勤務手当であるとか、そういった手当の考え方、またボーナスだとかそういった部分についての考え方、それから退職金の出し方という中での、いろいろと付加をしていた分についての、そういう身をそぐというやり方、こういったものを今続けてやっているところでございます。
そういう中で、職員数ということで言いますと、今の中ではどうしても退職不補充ということをやらざるを得ないということになっております。ただ、この採用の仕方の中で、これまでは職員というのは常勤型の職員しか採用できなかった部分が、ある期間を限定して、仕事の内容に応じた形で、任期付きということで、その目標を達成する間を採用するというやり方も出てきております。また、今既に一部では始まっていますが、技術者についてでは始まっていますが、経験者採用ということで、最初から職員に仕事を教えていくのではなくて、経験してきた方を入れて能力を発揮してもらうというやり方であるとか、いろいろな形で人事政策も動いております。そういうことを続けながら、この行政サービス、これを安定的に維持していくということをやっていこうということでございます。
まず最初の段階で、いろいろな方法で人を減らすということも当然必要ですが、必要性に応じた形での能力のアップ、また組織の体力を維持するということを続けながらやっていくということを考えているところでございます。
佐野委員
人を減らすということが主目的ではないんですよね。どうも今までお話を聞いていますと、職員数を減らすんだ、減らすんだ、自然退職を待つんだ、そうじゃないんですよ。今まで成果主義ということをお挙げになっているわけですね、中野区は。成果主義の根本にあるのは、成果を上げてもらうことなんです。やめてもらうことではないんです。したがって、成果を上げることによって評価を出したものを、適正配分を行うということなんです。
私が前から論じているような言い方ですけれども、インセンティブにしまして、そのパイの配分の構造を変えていくことなんですよね。したがって、年をとろうが、若かろうが、いい人は残っていただきたいんです。そういうことでの配分をすることによって、要するに適正な賃金が払われて、適正な評価がされていくわけですよね。ただし、それをやり過ぎると非常に問題点がありますけれども、今、最初に山崎委員がおっしゃったような評価がここで非常に重要になってくるわけです。
したがって、職員を減らすことを目的にするのではなくて、成果を上げるための職員を残していただく、そのためにはどうしたらいいかということをまず念頭に入れて施策を考えていかなければいけないと、そういうことなんです。どうも今お話を聞いていると、職員を減らすこと、それによって賃金を抑えるんだと、そういうやり方でしか手法がないような気がするんですけれども、どうでしょうか。
石神総務部長
先ほどの委員の質問の中では、最初の段階で何かの対策をしなければ人件費総体が上がってしまうという話がありましたので、基本的な削減方策をお話ししました。
今、能力をアップさせるということであればという質問でございますので、それに対して答えますと、今は成果主義ということで、その成果についての評価、この仕組みを入れております。これは議会の中でも質問があったように、管理職については3年前から、昨年からは一般職についても入れて、この成果を評価して、その評価に対する対応ということで、今言いましたパイの部分を分けるというようなことをやってございます。
全体として、基本給についてはそれほど上がっておりませんが、そういうことで成果を評価して、給与に反映させていくという仕組みについては今動かしているところでございます。これについて、もう3年になりますので、そろそろ安定化をするという時期を迎えているのではないかというふうに思っております。
佐野委員
今のお話にあるように、いろいろな手法、いろいろな方法論があるはずですよね。今もその一つの評価を用いて、パイの配分を変えていくというのも一つの方法です。それから、先ほどの不補充、これも一つの方法でしょう。いろいろな手の組み合わせをすることによって、効果というものは出てくるわけであって、いろいろなことをぜひやっていただきたいというのが一つの考え方です。
それから、この話はまた長くなりますから、ちょっと変えさせていただいて、歳入の方でお伺いさせていただきます。
歳入の方は、17年と20年をちょっと比べてみますと、17年は271億あるのが、20年が330億、約59億ぐらいふえているわけですよね。ここの、特に特別区民税、この部分で見ますとそういうふうになっております。それで、最終的には26年度、10年後には328億になるわけですから、57億ぐらいふえていくということですね。これは、やはり私はいろいろな、三位一体とか、都区財政のことはありますけれども、不安定要素よりも、これは一番確定する要素だと私はとらえているわけです。この辺のものについて、ふえていくということは、当然何らかの施策があってふえていくと御判断なさったんでしょうけれども、住民をふやしていくのか、あるいは産業の活性化をしていくのか、どういうふうにしていくのかということの手法をお話しいただけたらと思います。
篠原財務担当課長
この伸びにつきましては、先ほど計画担当課長の方からお話がありましたように税源移譲によるものでございます。
この税源移譲につきましては、当初、やはり5%の課税所得層が10%に変わるというような、かなり増税感があるということで、収納率、これをうちの方は低く抑えてございます。そうした収納努力を今後していくことによって、こういった特別区民税の増額を図っていくということと、また、いろいろな一連の、まちづくり関係で住民をふやす、それからまた産業を活性化すると今御指摘があったようなことも、手法も取り入れながら、こういった税源の伸びを見たものでございます。
佐野委員
ここもやはり、いろいろな手の組み合わせが必要になってくるわけですよね。収入と支出というのは、そういうようなバランスを組み合わせながら考えていかなければいけないと思う。特に今、特別区民税をふやしていくということで、収入率のアップという御発言がございましたけれども、収入率の中ではかなり取り損じといいますか、区税の取れない部分、それから逆に言えば保険の方の取れない部分、いろいろなことがあると思うんですよね。これ、たしか400億以上、超えてきていると思うんですけれども、繰越残高のところで取れない部分ですね。こういったものをやはりどうしていくかということも、一つの大きな要因になると、今、収納率アップということをおっしゃっていただいたので、私も非常に大切なことだと思うんですけれども、そういったことの手を組み合わせていくことが必要だと思うんです。全体的に見て歳入と歳出、この10か年、非常に10年先は難しいんです。もう1回言わせていただきますと、この二、三年が、私はこの10か年計画の成否、勝負だというふうに思っております。そういう意味からすると、この二、三年先の精査をもう1回、ぜひやっていただけたらなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
石神総務部長
今、国でも制度改革が非常に進んでおりまして、税の分野で言いましてもいろいろな形で、今までやっていた内容が変わってきております。これは、恒久減税ということでやっていた内容が、18年から2年間かけて減税がなくなってしまうということですね。そのために、18年度の見込みは17年度に比べてふえております。また、19年も同じようにふえております。反対に、また控除額等も減るということで、控除額がなくなってくるというような形で、調定額自身は伸びますが、課長が言いましたように収納率を上げるための工夫が非常に大事になってきております。
また、税源移譲で10%ということで来ますが、この中でも所得の階層の低い方に対しての税のアップが多くなるわけです。一律10%と言いますが、これまで13%支払っていた人が10%になって、5%、6%の人が10%になってしまうということで、収納の調定額はふえますが、収納率が非常に難しい状態になってくるということで、現在は未収金対策ということで、未収金全体に対する、性格であるとか、お互いの関連性であるとか、情報の共有をどうするかということを今詰めておるところでございます。そういう形でやっていかなくてはいけないということがあります。
特に、この18、19、20というを財政健全化期間というふうに置かせてもらいました。この意味は、一つは税源移譲ということで、三位一体改革がどういうふうに変わってくるのかというものが明らかになってございません。この三位一体改革は、単純に税源が移譲されるだけではなくて、実際にこれまで国の方で進めてきた、全国一律が基準の補助金という仕組みの中で行ってきた事業自身をどういうふうに見直さなければいけないのかということが出てきております。そういうことを含めて、この3年間でそういう状態をつくるということをしていかなくてはいけないのではないか。
また、財調制度、後ほどまた説明させていただきますが、都区財調制度の中で、その配分割合をどうしていくのか、仕事が全体的に自治体に責任がおりてきます。これは、先ほど言われました地方分権ということで、地域で判断をして地域で進めていくと、全国一律の仕事ではなくなってくるということの中では、中野の中で必要な仕事が、中野で考えられていくかもしれないという仕組みの構造も変えていかなくてはいけないというのがあります。その期間を3年とらせていただいて、この間、非常に難しい点があろうかと思いますが、皆さんに理解をいただきながら、財政的な安定基盤をここでつくりたいというふうに思っております。この中では、当然、将来に向けて基金の積み立て計画もしっかりしていきたいというふうに思っております。
岩永委員
まず最初に2点お聞きします。
1点は、この参考資料で、職員給、2,000人体制ということで各年度の金額が出ています。これを各年度ごとに何人で計算をしたのか、まず人数を教えてください。
それからもう1点、経常経費なんですが、例えば私は厚生委員会に所属をしています。それで、厚生委員会が所管している事業等が、では、この参考資料の中の経常経費にどのようになっているのかということを聞いても、なかなかそこでは明らかにならないんですね。ですから、この経常経費はどういうことで算出をされたのか、その根拠を教えてください。
石神総務部長
ちょっと今、数字は持ってきておりませんが、昨年予算の段階でこの数字についてはお出ししたと思いますが、退職不補充ということで、定年退職者と、それから中途で退職する職員を見込んで数字を出したところでございます。その数字をもって、この計算をしているということでございます。
また、退職者についての退職金については、そのような形で、毎年の退職者数に応じた形で退職金を算定して出してございます。それに必要な金額について、一般の毎年の財源では不足する部分について基金の繰り入れをするということで、基金の積み立て計画を説明させていただき、取り崩し計画もその段階で説明したところでございます。数字的には、後ほどお出ししたいというふうに思います。
それから、経常経費の出し方なんですが、これは各部門ごとに、10年間ということになりますとなかなか出ません。何か出ないかというと、臨時的に事業を毎年行う部分が出てきます。制度改正があって、一時的にお金がかかってしまうというようなことがあったりします。それを平均して、トータルで見ていくということの中で現在は出しております。これを予算の段階で一つずつ、各経費について落としていくという作業が始まるわけでございます。この段階で、各部門ごとに、部門はどのくらいのシェアがあるという形については、これは制度改正もありますので、簡単には出ませんので、今の段階では全体として経常的にかかる経費を見込んで出しておるという状況でございます。
岩永委員
職員給については、それではぜひ各年度ごとに示していただきたいと思います。
あと、今言われました経常経費なんですが、トータルで見るということになると、例えば私の所属しております厚生委員会では、一体そこで関係するところの、この10年間、この10か年計画の中でさまざまな事業や手法は考えられておりますけれども、それは財政的にどうなのかということは全く見ることができないんですね、このままでは。そうしますと、少なくても参考資料として出された、この数字について、積算されているものがあるわけですから、それは出していただけますか。
石神総務部長
先ほど言いましたように、扶助費は7%で見るとかということで、義務的に、もう法的に支払わなければいけない分については、ここでそれができますが、そうではなくて、個別に事業、その制度が変わってくる部分については、全体のこれまでの流れ、そういうものを見た上で、今後どのくらいふえるかということ、それから民間活力の活用というところがどのくらい進むのかというある程度の見込みの中で出している数字でございます。
そういう中で、扶助費等については7%と言いましたので、そういった部分についてはお出しできますが、各部ごとに幾らということについては、これは過去形では出せますが、今後の見込みについては予算自身もまだ決まっていない中で、それはお出しすることはできません。そういう出し方自身が、そういう形で出しているということでございます。義務的経費は計算できますが、その他事業経費については、逆に、あるお金の中で行うということになりますので、その積み上げをした、歳出の積み上げで事業経費を組むのではなくて、歳入に応じた事業経費を組むというやり方でやりますので、ここの中では事業の経費については組まれていないという形になります。
岩永委員
各部ごとに出せないにしても、これだけの数字が出されているわけですから、当然算出根拠があってこういう数字になっているわけですね。この間、基本構想と10か年計画については区長も、一体になって財政的な裏付けのあるものにすると、財政的な裏付けは不可欠なんだということを繰り返し繰り返し議会にも区民にも説明されてこられているわけですから、であれば、こういうトータルで出されたって、どの事業がどうなるという細かいところまではいかないにしても、一体、今、中野区のこれからの状況の中でどうなっていくのかということを議会に示して当然だと思うんですね。ですから、各部ごとに算出していないと、出せないということであれば、もう一回お聞きしますが、この数字を出された根拠、何がどうなっているのかということについて、ぜひ出していただきたいと思うし、出すべきだと思うんですが、いかがでしょう。
石神総務部長
歳入部分については、これは歳入の、いわゆる仕事の量を決める中野区の体力ですから、これについてはお出しできます。
歳出部分については、ここで言うと義務的経費ということで職員給、それから公債費ということで、現在借りているお金ですね、これについて--これから借りるお金については、事業と合わせになりますので簡単に見込みは立ちません。そういう中で、現在見込まれている、払っていかなくてはいけないお金については、公債費という形でそこにお示しさせていただきました。
経常経費というのは、一般財源差し引き、AからBを引いた、5というのがありますが、ここでいろいろな事業を行う、それ以外の現在行っている事業、これは先ほど言いました扶助費等も入っている事業ですが、これが経常経費というふうに言われている内容でございます。
それから、三位一体経費というのは、そこに書いてある20億というのは、税源移譲がされまして、これは税源移譲は今の補助金と比べますと大体8掛けぐらいでしか入ってきませんから、そこに対して一般財源が出ていくというお金を20億というふうに見込んでございます。
基金の積み立ては、先ほど言いましたように20億を積み立てていくという計画を立てて、差し引き残った、AマイナスBの5という部分がありますね。米印で5というふうに書いてある、ここで残っている部分がいわゆる事業経費、全体の事業を行う経費ということでございます。この経費の中で、これから基金の積み立てだとか、そういうことをしながら、建てかえだとか、それから大きな事業をやっていくのかということを、この経費の中で現在計画をしているということでございます。
ですから、最終的に決まった段階ではある程度の数字はお出しできますが、この内容を今詰めている中で、この金額が幾らになったのかということはちょっと、その前の経常経費部分についてはお話はできますが、それ以外についてはちょっと今の段階では詰めているということで、お出しはできないということでございます。
岩永委員
最終的に詰めた段階で出せるというのは、いつのことですか。議会も区民も、少なくてもこの10か年計画で中野区がどうなっていくのかというのは、財政見通しも含めて議論をするというのが当然だと思っているわけですね。ところが、一方では、この間、この10か年計画については区の考えと手法について議論してもらいたいという、何だかこの間の議論がむだだったのではないかと思わせるような出し方をされている。加えて、この財政についても出すことができないなどというような形で今話されるということになったら、一体何をどういうふうに議論しながら、この10か年の中野区の財政見通しも含めて考えていくのか、何をもとにして私たちは議論をするのかということが、全くと言っていいくらい具体的に示されないというような状況だと言わざるを得ないんですね。ですから、その示すというのはどういう形で、一体どの部分で示されるんでしょうか。
石神総務部長
申しわけないんですが、私どもがこれまで長期計画、そういったものを出してきておりますが、年度ごとに幾らという形で歳入を見込んで、歳出で使えるお金、いわゆる区が単独で考えて使えるお金については、これまでも出してきたことはありませんでした。そういう意味で言うと、私どもは今回、一般財源差し引きということで、区が考えて使えるお金についてここで出しております。17年度は、それに対応する部分が45億かかっているわけでございます。これは、予算の段階で説明させていただいている事業等で45億かかっているわけでございます。それに対応するお金が、18年度では今の見込みで50億ということで、年度ごとにこういうものを出しました。この段階でここまで細かく出しているのは、今回初めてだろうと思います。ですから、今やっている事業に比べてどのくらいの事業ができるのかという議論の素材としては、私どもは出したつもりでおります。
ただ、今後これについていろいろな形で進めていきますが、先ほど室長の方から話しましたように、いつにどんな施設をつくるとか、そういうことではなくて、アウトカムの指標、この10年間でこういうまちをつくるということで、その手法もわかりやすく、なるたけ数値で出すということを出しました。その中で、毎年毎年その目標に向けてどんな事業をやっていくのか、悪い事業、効果のない事業については当然やめていく、また新しい事業をやっていくというものを積み重ねながらやっていく、そういった計画にするという内容で説明したところでございます。
ですから、何年に何の事業をやるかという積み上げ方式ではないというやり方でございます。当然その中では、毎年度の景気変動も出てきますし、そういう景気変動に耐えられるような基金の積み立てであるとか、そういうものを入れた中でやっていかなくてはいけない。それを10年間、何を毎年度やるのか。積み上げでやりましたら、これは歳入が1回狂ったら、もう全体の計画がなくなってしまうということでございます。そうではなくて、その体力に合わせながら、そういう事業をつくっていく、そのための体力として区が判断できる一般財源と言われるものが、10年間でどのくらい見込まれるのかということを現在お出ししてございますので、私どもはこういう中で議論をしてもらいたいというふうに思っているところでございます。
岩永委員
私は、何年にどういう施設をどうという、そこまで求めているのではないというのは部長もおわかりだと思うんですね。算出されている数値がどういう形で算出をされたのか、区はどういう形で算出をしたのか、出してもらいたい。何の施設がいつ、何年、どうなるという、そこを私は主にして聞いているわけではないんです。
何度お聞きしても同じような御答弁になるでしょうから、ただ、今までやったことがないというふうにおっしゃいましたけれども、区はこの間、この基本構想、10か年計画についてはあらゆる情報を出して議論をしてもらいたいということを言ってきているわけですから、そういう区の立場に立てば、今までやってきていないにしても、今回はそういう形で示されるべきだろうし、それが、区が今言っている立場を具体的に私たちに示される立場だろうと思いますまで、こういう大ざっぱな出され方では十分な議論に耐えないのではないかということを指摘しておきたいと思います。
あわせて、この参考資料について、最後の1点として、特別区交付金等の伸び率を0%などというふうに見ていますね。例えば区民税、自動車税も0%とか、若干あります。今後の変動等で増減の伸び率という状況も当然出てくるわけです。そういう意味で言えば、この10か年の収支の見通しの参考資料というのは、どの程度の--どの程度のという言い方はおかしいんだけれども、位置付け、信頼性というのとは違うわね。要するに、どの程度この10か年計画を考えるときのもととして私たちが考えたらいいのか、この資料の位置付けみたいなものを教えてください。
石神総務部長
特別区税については、非常に難しいところがございます。今年度の予算だけを見ても、23区全体では5%ぐらいの調定額の伸びがありますが、中野の状態で言いますと、調定額の伸びは0.5%しかございません。それと、課税人口だけ見ますと中野は1,800人ぐらい伸びていますが、調定額はほぼ横ばいということで、そこに住んでいる人の、いわゆる所得を得る先ですね。サラリーマンが多い中では伸びないというようなことがありまして、23区の中でも大分変わってきております。これまでは、練馬、杉並、豊島、こういったところと比較しながらやれば大体予算が組めたんですが、そういう状況になってございます。
そういう中にあって、私どもでは中野の実態ということで、なるたけこの実態に応じた形での数字をはじいてみました。これは、10か年計画の中で言いますと、これが一つの目安として、いわゆる限度額というような形で考えてもらえればというふうに思っております。特に、先ほどから言われております、この3か年というのは、都区財政調整の区の方に来る割合だとか、景気変動がどうなるかということもよく見えない、状況になってございます。それから、三位一体改革でどこまで進むのかということが、この4月以降とまってしまって情報が来ておりません。そういう中で、来年度予算にもどう反映するかということがわかっておりません。そういう中では、特定財源のあり方と、国の方から来る地方交付税、こういった特例交付金等の内容がよく見えない状態になってしまっております。ですから、今の段階での最大の見込額と、いわゆる上限という形で見ていただければというふうに思います。また、18年度の予算の段階では、今言いました内容も幾つか整理されている部分がありますので、その段階ではまた見直しをしたいというふうに思っております。
この秋に全体の計画を出すことになりますので、その段階では、見込額としてその段階で見込まれる数字をすべて出していきたいということと、見直しの時期、これを明らかにしていきたいというふうに思っています。現在出したフレームについては、限度額というふうな形で見ていただければというふうに思っております。
岩永委員
時間もありますので、とても気にしながらお聞きしているんです。それで、お答えの方も少し簡潔にお答えいただけたらありがたいんですが、あと2点だけ、とりあえずお聞きしたいと思います。
1点は、財政運営の基本的な考え方の、108ページの一番上ですね。複数年で予算を編成・管理できる方式を導入して、3年間程度の事業規模云々とあります。そして、二つ目のマルは、こういう事業をこういう会計方式をとりながらやっていくと、そして最後に、基金については基本的には前年度の決算時における歳計剰余金を充てて当初に確実に計上しますという、この二つの関係なんですが、単年度で見てこうなったということはわかります。それを、次年度に基金に積み立てていこうという、これはわかりますね。だけど、例えば3年程度のスパンで事業を考えていくという、この--どういうものかわかりません、どういう示され方をするのかもわかりませんから、一体3年程度を見ていくことができるのかという疑問もあって、それもいずれきちんと、どういう方法をとるか明らかにしてほしいと思うんですが、そういう3年程度のものの事業も予算の中に入れておきながら、その次の年には確実に剰余金を基金に積み立てていくという、この関係ですね、それはどんなふうになるんでしょうか。
石神総務部長
剰余金というのは、これは実際事業をやって、歳入と歳出、決算の時点で使われなかった金額でございます。当然、その残った金額についてはすべて使ってしまうのではなくて、計画的な財政運営に活用されていくということで、ここでは基金に積み立てるという表現をしてございます。
それから、複数年予算ですが、毎年入ってくるお金だけで事業をやっていくということについてはこれまでもやってきているわけですが、それだけでは事業がなかなか進まない部分があります。進まないというのは、事業をやる条件が早く、1年前倒しでできるような条件になったのに1年待たなくてはいけないというようなことであるとか、ニーズが高まってどうしてもそれをやらなくてはいけないというようなことについて、入ってくるお金以外に使えるお金というのは、ここの中では基金をある程度積み立てましたので、その基金を取り崩して、翌年入ってくるお金を基金で先に出しておいて、翌年入ってきたときにそれを基金に返すというやり方をやろうということでございます。
そういう、いわゆる入ってくるお金ではなくて、臨時的に入ってくるお金で今まで事業をやっているのは災害だとか、そういった部分だけしかないわけですが、今度はそういう事業のアウトカム指標でやっていくために、計画的に、入ってきたお金でこれしかないからこの事業はできないということではなくて、柔軟に目標の達成の時期を前倒しできるような、そういうような柔軟な予算を組んでいきたいということから、こういうことでやっているものでございます。
岩永委員
わかりません。事業部制をとっていて、それぞれの事業部制の中で3年間に及ぶ事業も出てくると、一方では、その事業部制の中で生じた剰余金を基金に積み立てていくと、こういうことですよね、今の剰余金の積み立て--全体の中でそれぞれ事業部でやっていった事業を単年度で積算をして、これだけ余るという、そのトータルの中で剰余金を積み立てていくわけですね。だから、各部ごとにどういう事業をするかによって、それぞれの剰余金も違ってくるんだろうと思うんですが、今の説明だと、じゃ、そういう複数年度にわたってやっていく事業がどういう進捗状況を示すのか、またどういういろいろな事業の展開が出てくるのかによって違うのではないかというふうに思うんですね。だから、そういう意味で言えば、このマルの二つの関係がなかなかわかりません。また、これは後でお聞きをしたいと思います。とりあえず、きょうはここまでにします。
最後に1点です。臨時号の区報が出ました。それで、さっきもちょっと触れましたが、この10か年計画については、区長初め、一貫して区の方では具体的な財政の裏付けを持たせたものにするんだということを言われてきました。それで、出されたものに対して、議会の方でもこういう出し方だと今までの説明とも違うではないか、それから議論をするといってもなかなか十分な議論ができないのではないか、などなど、さまざまな意見があったと思います。そういう中でこの区報が出てきて、実は、ちょっと読んでいて、ええっと思ったのは、この区報の1面のところに、これまでの区の計画はこれこれこういうつくり方だったと、だけど、今回はこういうつくり方はしないんだと、そして、施策の方向ごとに中長期的な目標と戦略のみを示すことにしていますというふうに書かれてあるんです。私は、この「のみ」という言葉に、実は今言ったように、議会の中でもまださまざまな意見や議論があるにもかかわらず、区民に向けて出された区報にこういうふうに--「のみ」というのは、これは限定言葉ですから、こういうふうに書かれ、それで、あれ、10か年計画にもそう書いてあったかなと思って見たんですが、10か年計画、私たちに示された素案の中にはその文言、「のみ」というような形の表現の仕方はありませんでした。
この形で出されると、ああ、そういうことなのか、ということになってしまうんですが、なぜこの区報にこういう形、まだ議会でも議論しているのにこういう形で出されたのか、そのところをちょっとお聞きします。
石神総務部長
先ほど剰余金の考え方について、ちょっと訂正していただきたいと思いますが、剰余金は事業部制だから出るのではなくて、これはこれまでも中野区全体の歳入に対して、使ったお金、歳出、その残りが剰余金と言われるものでございます。その中で、各部が努力ではなくて、全体でそういうものをどういうふうに使っていくかということをやっていきませんと、これは事業は一時的に、臨時的に大きな事業があって、その経費が多く余ったらば各部で使っていいという格好にはなりませんので、剰余金というのは経費全体の中で見ていくというものでございます。その残った部分をどういうふうに計画的に使っていくのか、これが財政運営ということで問われることだろうというふうに思っております。
また、これまで、ここの委員会にも交付金の、国の方の制度改革の内容についてお出ししましたが、そこの中でも交付金自身が3年なり5年のアウトカム指標に基づいた交付金申請をするわけでございます。その中で、3年間の事業量を前倒しをしてやってもいいよと、そういうような形で、いろいろな形で、最終判断する人が事業の進捗状況に応じて事業をやっていく仕組み、こういうものをつくってきているわけでございます。私どももそれと同じような形の考え方で、各事業部が事業の進捗状況に応じて、3年なりの目標量をそこで達成していくというようなことを柔軟にやっていくということが複数年の考え方でございます。
寺部区長室長
区報についてのお尋ねでございます。ここでは、これまでの計画のつくり方が、事業計画とか事業内容ですとか、所要経費を示して、また表にしてぶら下げてきたというようなつくり方をしておりまして、これがなかなかうまくいかなかったということで、今回の計画ではそういった今までのような事業をぶら下げた計画という形にはしないで、基本的に中長期的な目標、戦略を示す計画、そういう性格を持つ10か年計画にしますということをここでは言いたかったということで、それをちょっと強調して言ったかなというふうに思っております。
岩永委員
まず最初に、総務部長の言われた剰余金のことについては、特段、私もその考え方については--ただ、私たちは事業部制をとる中で、競わせて剰余金を出させるという、そういう仕組み--仕組みというか、そういう側面があるということをこの間指摘をしてきました。剰余金についての生み出し方についての考え方を、ちょっと先ほど余りにも時間がないと思ったものですから、かなりつづめて言わせていただいたということであって、あえて訂正をしていただくことはありません。
それから、やはり今まで区民に説明をしてきたという立場から違ってきているのであれば、もう少し、こういう短い区報の文章の中には区の考え方がこういうふうに変わったということだって当然出されてしかるべきだったのではないか、そういう意味で言えば、透明性の確保、情報の公開、説明責任、あえて大きく書かれてある、この区報ですから、きちんと区民にわかるような、本当に議論してほしいと思うのであれば、議論ができるような形で出すべきであったのではないかということを言っておきたいと思います。
篠原財務担当課長
先ほど岩永委員から、職員給の基礎になった職員数の数字でございます。17年度につきましては2,880人、それから18年度2,805人、19年度が2,710人、20年度が2,622人、21年度が2,520人、22年度が2,403人、23年度が2,318人、24年度が2,207人、25年度が2,080人、26年度が2,005人です。
奥田委員
まず、参考資料の方で4点、それから10か年計画の素案の方で5点ございます。まず簡単な方から、参考資料の方から質問させていただきます。
基金の方の、幾つか答弁あったんですが、まず確認させていただきたいのが歳入部分の基金繰入、米印の4となっているところ、それから歳出の基金積立となっているところ、それから一般財源差し引きA-B、米印の5となっているところ、ここの3項目で基金がかかわってきているのかなというふうに理解させていただいておりまして、この中で、最終的に年度ごとに積み上がっていくのが、今後20億ぐらいでいくんだよというようなお話がありました。ただ、最終のA-Bのところでも、大規模事業の残りの部分は基金として積み上がっていくということになるんだと思うんですが、ネットの基金の積み上がりはこれだとちょっとよくわからないので、基本的に20億を積み上がりのベースというふうに考えていて、もし余ったら、このA-Bのところから乗っけていくんだという考え方なのか、それとも一定程度、もうA-Bで見えているわけですから、この中で何%か考えとして入れていて、例えば20%ぐらい入っていて、それが積み上がっていくことで、例えば施設改修であるとか、退職金の引き当てに回っていくんだよというような説明になるのか、そうでなければ、多分今後の、3年後とか5年後の財政見通しを立てるときに、基金が不足するというようなことに、この20億だとならないかなというふうに私は思いますので、そのあたりの考え方、まず教えてください。
石神総務部長
まず、歳入での基金繰入ですが、これはここの段階で、今載せている段階では退職金と、それから減債基金に対する内容がここに入ってございます。これは、計画的にもう既に行っている部分に対しての取り崩し計画は示してございますので、その部分だけで、新たな部分については入れてございません。また、これは今後の見直しの中ではふえていくという格好になります。それから、基金の積み立てでございますが、今の計画の中では、今の体力の中でやっていくには、現在積み立て額が当初予算の段階で、17年の段階で19億7,000万で組んでおります。この組み立ての計画は、そのまま引き続きやっていかないと大きな一時的な歳出に間に合わないということで、20億というものを計画的に入れてございます。
ただ、この20億だけでは、今言われるように、今見えている部分だけしかできませんので、その一般財源差し引きA-B、ここにある部分からさらに、いわゆる大きな事業をやる、その年次をある程度特定しまして、そこに向けてここから積み立てをしていくと。20億の事業であれば、5億ずつ積み立てれば4年間たって初めてその事業はできるわけです。それが単年度で全部使い切ってしまうと、結局その事業はできなくなってしまうということから、この部分についてはまだそういう部分が入っていないので、最終的に出す段階では特定目的基金の目標と積み立て計画をお出しして、この全体の運営を見えるようにしたいというふうに思っております。
奥田委員
そのお考え方ですと、A-Bのところから捻出される基金の予定というのが、プラス予算というか、新規事業に関しての考え方なのかなというふうに思うんですが、そうではなくて、あくまで新しく予算が発生したときの考え方ということで、例えば施設の大幅な改修であるとか、マイナスの穴埋め分の今後の大きな予想に関しても同じような考え方で積んでいくというようなことで、そういう理解でよろしいですか。
石神総務部長
基本的には、穴埋めをするという格好では、財政調整基金ということでこれまでもやってきております。景気変動等について対応していくという基金は、それで対応しようというふうに思っております。
うちの場合には、剰余金の2分の1、これは法定で決まっている内容を2分の1については財調基金に入れるということで、年度間調整をするという形にさせてもらっております。基本的にはその内容でいきたいというふうに思っております。今、言われましたように、新しく経費がかかってしまう大型事業等については、基金を積み立てて計画的に事業が行えるようにする体力をつけたいというふうに思っております。
奥田委員
この項は終わりにさせていただいて、財政の考え方をちょっと教えていただきたいと思います。
国のレベルでの考え方で、プライマリーバランスをとっていくというような話がよく出てまいります。中野区では、そういった用語を使っての表現はないんですが、この中では「歳入に見合った歳出を」という表現があるので、その考えに近いのかなというような理解をさせていただいているんですが、この参考資料の中で、その他歳入と公債費が多分一定程度バランスしてくるものになるんだと思うんですが、まず確認として、中野区が考えているプライマリーバランスについて、国の説明と同じかもしれませんけれども、確認という意味で御説明いただきたいです。
そのプライマリーバランスという考え方に基づいた財政の運営の仕方として、このその他歳入の中の、恐らく公債費といいますか、借金する分と公債費のバランスをとっていくような計画にこれはなっているのかどうか、ここだとちょっと見えないので、それがどういう考え方になっているのか、教えてください。
石神総務部長
プライマリーバランスについては、国と言葉定義は同じでございます。その公債費等について、差し引いた、実際の自分のところの体力ということで見ていくわけですが、私どもでもこれをやる中ではプライマリーバランスを全部チェックしました。全部が黒字でございます。これは5か年計画の中で大分ひどい状況を出しまして、現在安定的になってきておりますので、今のこの歳入の中でやっていく部分について言えば、その中と、それからもう一つが起債の限度額等について一般財源の10%ということを入れてございますので、それでやっていく限りはプライマリーバランスは赤字にはならないということで見込んでいるところでございます。
奥田委員
それをお伺いして少し安心したところなんですが、この項を終わりにします。
3点目なんですけれども、あくまでこのお出しいただいている資料というのは、当然なんですが、当然かどうかよくわかりませんが、一般財源ベースというところで書かれております。ただ、中野区の運営に当たっては、当然に特別会計に関しても私たちが視野に入れなければならないと、一方で、特別会計に関しては中野区が裁量的にできる部分が少ないので余り見ないのかという考え方もあるかとは思うんですが、今後三位一体改革の流れの中で関与していく部分、相当程度ふえてくると思います。
そんな中で、連結ベースでの発想というのがこの資料にも出てまいりませんし、ここからも伺えない中で、連結の資料自体はつくられているんですよね、一応。毎予算決算というか、つくられている中で、今後、三位一体改革の全容がわかってからということなのかもしれませんが、特別会計を含めた形での、私たち委員が全体を把握できる資料というようなものというのは出てくるんでしょうか。
石神総務部長
一般会計のベースで見ておりますのは、これは中野区が自分の判断で事業できる、その体力を見るために一般財源ベースという格好で見ております。特別、いわゆる特定財源と言われる部分については、事業をやれば補助金が出る部分、その部分が見られるわけですが、ここの中では、例えば補助金が4分の3出れば、4分の1がここに入れられるということで見ております。当然、予算を組む段階では、これだけで予算になりませんので、特定財源の確保ということを含めてやっていくわけですが、そういう形で見ております。
また、ここの中では特別会計ということで会計を別にしている部分がございますが、その会計についても、この中で繰出金という格好で一般会計から国保だとか介護保険の方へ出ていくお金がありますが、それについては見込んでおります。ですから、資料として全部まとまった段階では、そういうものについてはお示ししたいというふうに思います。これは予算と同じように、予算決算の段階でもわかるようにしてございますので、そういうふうに見えるような形にしたいと思いますが、今の構造の中では、例えば国民健康保険については一般会計からの繰出金が、今の国保制度そのものの構造的な欠陥から言えば毎年ふえてしまう、一般会計に逼迫すると--いわゆる逼迫させる要因になるというようなことについては、ここの中にある程度入れておりますが、そのためにこの一般財源差し引きA-Bのこの部分の動きが鈍くなるというんですかね。本当はもう少し大きくなる部分が国保の方へ回ってしまうお金が出てきているということをトータルで出しておりますので、そういう部分について見えるような形の資料はつくりたい、このように思っています。
奥田委員
今、御説明あったとおり、現状、まだ三位一体改革の姿が見えませんので、そういった意味ではお出ししていただくのが難しいのかなというのもありますし、私たちは通常、他の自治体と比べるときにも特別会計まで含めて見ませんので、そういった御回答になるのかと思うんですが、やはり、歳入の中で都区財調であるとか、補助金であるとか、そういったものも含めて一般財源の中で予算を考えていく、それはもう固定的に入ってくるかもしれないけれども、それは一般財源として把握しているわけですから、試算ベースであるとか、歳出ベースであっても同じように、歳入で課全体を把握するのと同じように歳出ベースでもやはり把握されないと、中野区の全体の事業規模の中でどれぐらいのインパクトを持ったものなのかというのが、私たちが把握できませんから、例えば5億円赤字が出ましたよというときに、その5億円の持っている意味が、中野区の事業規模全体の中で持っている意味というのがわかるような形にしないと、それが多いのか少ないのかという意思決定ができませんので、そういう意味では全体が把握できる形で出していただくという意味はある程度理解いただければなという形で、これ1点で結構ですけれども、ぜひ御検討ください。
石神総務部長
特定財源について非常に難しいのは、事業が決まって初めて申請をするという格好になるわけです。それで、10か年分を特定財源を想定してしまうというのは非常に厳しい点がございます。それは、制度が変わってしまうと、4分の3見込んでいたところが、今のような形で2分の1だとか、3分の1に切りかわってしまったときには、すべて一般財源でやらざるを得なくなってしまうというのはあります。毎年度の決算の中を見ていただいても、特定財源、国庫支出金等の歳入が減った部分、これは一般財源で入れているわけです。予算としては組んでいますので、その事業をやってしまうと、国の方から来るお金が少なくなれば、当然中野区で持っているお金を継ぎ足してその事業をやるという格好になります。
なるたけそういう格好で見ていくためには、一般財源のベースでどこまで事業ができるかということをしっかりやりませんと、特定財源を当てにした事業の予算を組んでしまいますとどうしても特定財源の変動に左右されてしまうということがありますので、これが全部できた段階では一つずつ特定財源も入れて、その特定財源の確保に向けた努力をしていきたいと思いますが、今の計画ベースでは一般財源ベースでの検討にさせていただきたいというふうに思っております。
奥田委員
あと、歳出の経常経費に関してなんですけれども、今年度分に関しても、減らす積極的な理由がある事業に関しては減らされたものも幾つかあったというふうに私は認識しているんです。今後の財政見通しが厳しい中で当然必要だろうと、私は以前から主張させていただいている内容であるんですけれども、その事業が積極的にもう要らないだろうとか、あっては困るだろうというようなことになれば当然見直しが進められるんですが、そうでなくて、経常的に見直しが進められない中で、何となく事業規模というのは拡大していく傾向がございます。
そういった中で、事業の見直しというのも評価していく中で、今後行われるかもしれませんけれども、こういった経常経費の中でも、例えばボトム10%を見直し対象としておくとか、できなければ残すというような裁量もあるかと思うんですけれども、一定程度事業規模がスリム化する流れというのを仕組みとして入れておかないと、事業部ですから、各部署は当然事業をふやしたいわけなので、そういった中で全体のボリュームが自然に最適化されるような仕組みというのが、この10か年計画、財政の考え方の中に盛り込まれてくる、あるいはこの参考資料の経常経費の考え方にも反映されて数字が出てくるというような形になっていかないと、人件費は当然自然減という形でお示しいただいたとおり、減っていくというのはわかるんですが、同じように、扶助費とかは裁量の範囲外でしょうから無理なんですが、事業に関してそういった視点をぜひ入れて、この資料も反映していただければというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
石神総務部長
確かに言われるように、これまでは財政運営の中では予算が非常に重視されてきました。予算ですべて終わってしまうような形で、見直しだとか、そういったことについても、どの事業をやめるかというのについては予算で反映するような格好をとってきました。これは行財政5か年計画を出す段階では、そういう形で、この事業とこの事業をやめるという形でやったわけですが、そういったやめ方についてはもう既に限界に来ておりまして、今言われるように仕事のやり方を見直すとか、民間の活力をどうやって使うかとか、そういったことが常に行われなければいけないということで、今回のこの10か年計画の中では、108ページに、先ほど説明したように予算編成の段階でのいわゆる見直しだとかいう部分、それから執行管理という部分で、執行しながら見直していく、これは先ほどちょっと言われましたが、コスト削減をすると当然余剰金というのは出てくるわけですが、競争して出すのではない、仕事の効果をしっかり出した上でこういうコスト削減を常にやってもらうということで、この執行管理の段階でのコスト削減も当然目に入れるということ、また決算処理ということでも、幾ら余ったかではなくて、幾らをどういう計画にしていくのかというふうに、今回はマネジメントサイクルの改革ということで、こういう視点を、イロハのイの部分でしょうけれども、改めて入れさせていただきまして、庁内で調整をしてやっていきたいというふうに思っているところでございます。
委員長
暫時休憩します。
(午前11時38分)
委員長
再開いたします。
(午前11時39分)
他に質疑ありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
なければ、以上で本報告については終了いたします。
次に、主要5課題の検討結果についての報告を受けたいと思います。
篠原財務担当課長
それでは、主要5課題の検討結果について報告申し上げます。(資料3)
検討会におきましては、平成15年、2003年の3月に都区財政調整協議会の幹事会から下命されました主要5課題につきまして、検討会から本年7月21日に幹事会に報告がされました。報告を受けました幹事会におきましては、報告書を取りまとめた上、7月26日に都区財政調整協議会に報告を行っております。
なお、検討会につきましては、平成15年3月に合同会を開催いたしまして、以来、本年の7月までに大都市事務検討会を11回、それから清掃関連経費検討会、それから小中学校改築等検討会、それぞれ8回開催してございます。
各検討会におきましては、都区双方がそれぞれの見解を示しながら議論を進めてきたというような経過がございますが、残念ながら見解の一致を見出すことは非常に困難な状況でございました。結果的には、検討会での結論をまとめるまでに至っていないというような状況でございます。したがいまして、検討会の検討結果につきましては、各課題の論点ごとに双方の見解の相違するポイントを整理して報告をされたというような状況でございます。本日は、その概要について報告をさせていただきたいと思います。
資料をごらんいただきたいと思います。都と区の課題ごとの見解と相違点のポイントにつきましては、お手元の資料にありますように--まず一つ目の資料が、横書きの資料でございますが、2枚目の資料、綴じた資料でございますが、それが検討結果を載せた詳細な資料となってございます。
1枚目の資料がその主な相違点をまとめたものでございますので、本日はそれを中心に説明をさせていただきたいというふうに考えてございます。
なお、資料は合計で5点用意してございまして、二つ目の検討結果、それから三つ目の今後の協議の進め方、それから四つ目が今後の協議予定、最後に協議会の構成員というような5種類の資料がございますので、それをごらんいただきながら説明をさせていただきたいと思います。
最初に、区分1、主要課題の「都区の大都市事務の役割分担を踏まえた財源配分のあり方」でございます。論点は四つに分類されておりまして、主要な論点に絞って相違点を説明させていただきたいというふうに思います。資料では、1ページから4ページが相当いたします。
まず論点の大都市事務の役割分担のあり方でございますが、これは地方自治法の規定から東京都が行う大都市事務をどうとらえるかというような点が相違点となってございます。これにつきましては、地方自治法第281条の2第1項では、東京都は特別区の存する区域におきまして特別区を包括する広域の地方公共団体といたしまして、自治法第2条、それから第5項において、都道府県が所有する事務、それから同条第3項におきまして、市町村が処理する事務のうち、人口が高度に集中する大都市の地域における行政の一体性や統一性を図る観点から、東京都が一体的に処理することが必要であると認められる事務を処理するというふうにございます。
区側といたしましては、地方自治法の原則にのっとりまして、都が限定的に行う大都市事務を明確にする必要があるということを求めてまいりましたが、都側は、自治法の規定は個別の事務をとらえて都の事務を限定するものではないとして譲ろうとしないというふうな状況がございます。
また、大都市事務を府県事務と区別して整理・明確化する必要に関する相違点につきましては、区側が、自治法の原則にのっとった役割分担と財源配分を都区合意のもとで住民に明確に示し、その中で都区それぞれが責任を持って事務を執行すべきであるというような主張に対しまして、都側は、都に配分された財源は都の一般財源でありまして、都が必要と考える事務に活用すべきものだ、また、都は独立した自治体として大都市の一体性・統一性の確保の観点から、大都市のための事務を行うとし、全くの議論がかみ合わないというような状況になってございます。
また、二つ目の論点の都が行う大都市事務の考え方・範囲でございますが、ここでは、都が行う大都市事務の範囲を具体的にどう整理するかが大きな相違点となってございます。大都市事務と申しますのは、区市町村の財源を使いまして都が行う区市町村の事務を言います。都は、1兆2,000億円の大都市事務の需要を主張しておりますが、本来都道府県で対応する事務まで含まれておりまして、区側といたしましては到底納得できないというような主張を堅持してございます。
また、特に政令指定都市への事務、例えば児童福祉、障害福祉に関する事務、それから生活保護に関する事務や母子保健、それから食品衛生、都市計画に関する事務などの15事務でございますが、これは自治法上明らかに府県事務に位置付けられておりまして、これを架空の政令指定都市を想定しまして「市の事務」とする都側の主張がございます。これは、言ってみれば法制度の逸脱ということで、断じて容認できるものではないというような主張を区側はしているところでございますが、いまだ一致点が見出せないというような状況でございます。
また、大都市事務の分担を踏まえた財源配分のあり方、それから配分割合の変更の論点につきましても、配分割合の決定方法や変更について、基本的な考え方に大きな相違点がございます。
なお、この論点、相違点につきましては、次の区分の2と重複いたしますので、あわせて説明をさせていただきたいと思います。
次の区分2、主要課題、これは平成18年度の都区の財源配分をどう定めるかについてでございます。論点は二つに分類をされてございます。資料で申し上げますと5ページから7ページになってございます。
まず一つ目の論点の配分割合の決定方法でございます。区側といたしましては、平成18年度の配分割合につきましては、都区の役割分担を踏まえた財源配分のあり方、平成12年度の配分割合に反映されなかった要素、それから12年度以降の変動要素を適切に反映をさせまして配分割合を決定すべきという主張をしているところでございます。しかしながら、都側は、現行の配分割合を基本といたしまして、さまざまな要素が生じているかどうか、それを検証する必要がある、また現行の配分割合の見直しが必要かどうかも議論すべきということで、結論を先送りするような姿勢がございます。
また、次の論点の二つ目、平成18年度の配分割合に反映すべき要素という点でございますが、ここでは区側が具体的な要素を挙げてございます。一つとしましては、12年度の配分割合に反映されなかった要素、二つ目として、12年度以降に生じました変動要素、それから三つ目に、今後見込まれる変動要素を示したにもかかわらず、都側は12年度以降に生じた変動要素については既に財政調整算定をしております、対応する考えはございませんということで、要素そのものを認めないという姿勢が受けとめられるような状況になってございます。
続きまして、区分3、清掃関連4経費及び4経費以外の経費需要と財源の扱いについての論点と相違点でございます。これは資料の8ページ、9ページになります。
まず一つ目の清掃関連4経費の取り扱いでございますが、相違点といたしまして、4経費の財源配分上の課題のとらえ方と18年度以降の4経費の財源の扱いという二つでございます。いわゆる清掃関連4経費と申しますのは、その経費が745億円でございます。一つが人件費不足分が76億、地元還元施設補助、それが35億円、それから都債の償還費529億円、退職手当105億円でございます。区側といたしましては、大都市事務に充当される一般財源でありまして、都側に執行を委ねた清掃関連経費として都に留保したものであるというような主張をしてございます。しかしながら、東京都におきましては、区には退職手当以外の需要はない、また、清掃一組の償還費や灰溶融施設関連経費につきましては既に清算済みであるとして、現行は区間配分の問題であるとし、さらに財源の745億円は暫定的に都に留保された財源であるという、合意したものではないというような主張をしてございます。
また、次に論点二つ目の4経費以外の経費の取り扱いでございますが、都が財政調整外で負担している経費以外の財源配分に反映されていない経費、例えば灰溶融施設関連経費、中継施設改築・大規模改修経費等の取り扱いでございますが、これは財源配分に反映するかどうか、大きな相違点になってございます。区側といたしましては、12年の協議で区側の財源配分に反映することができなかった経費であるということで、当然適切に需要算定すべきであるというような主張をしてございます。しかしながら、都側は、灰溶融施設関連経費は焼却残灰の処理方法の変更であって、財源配分に直結するものではない、また、中継施設についても財源配分に直結するものではないが、区からの具体的な提案を踏まえた上で検討すべき問題として、消極的な姿勢が感じられるというふうな状況になってございます。
また、18年度以降の財調算定に当たりまして、都側は、標準モデル区の設定、それから処理処分費の標準区経費化、それから区側の移行特例期間中の実施状況を踏まえた見直しを行うというふうな主張をしてございまして、相反する見解を示してございます。
それから、次の区分4、小中学校改築経費等の需要と財源の扱いについての論点と相違点でございます。これは、資料の10ページから11ページに記載をされてございます。
論点といたしましては、一つが、現行財調算定の検証、それから評価、それから将来需要の扱いについてでございます。ここでは、小中学校改築経費の現行財調算定につきまして議論が交わされてございます。区側は、現行の財調算定が数区の改築実績から見まして単価が著しく低く、しかも起債の償還費も算定されていないというような状況があるほか、改築ピーク時の措置にも欠けており、現実的には対応できるものにはなっていないというような主張をしてございます。一方、都側は、現行の財調算定の改築単価につきましては一定の基準に基づいて算定をしておりまして、適切であると主張をしてございます。
また、区側の改築急増期における現行財調算定額の上積み、これは約845億円を区側は主張してございますが、この主張に対しましては、平成58年度までの改築等の需要についても、現行の算定で充足をしているということを確認しているというような、一方的な都側の見解を押しつけているというようなことで、全然譲らないような状況になってございます。
最後になりますが、区分5、都市計画交付金のあり方についての論点と相違点でございます。これは資料の12から13ページにわたって記載をされてございます。
論点といたしましては、都市計画事業の実施状況に見合った都市計画税の配分、都市計画税につきましては、本来基礎的自治体であります市町村の都市計画事業の財源でございます。都市計画交付金によりまして、区の実績割合に応じた額が交付されるべきと区側は主張をしております。しかし、都側は、都市計画事業の実施状況のとらえ方が困難といたしまして、しかも事業費を決算により財源を分け合うという考え方はなじまないというような考え方を示しまして、取りつく島もないような状況になってございます。
また、論点の都市計画交付金の今後のあり方でございますが、区側では現行の150億円、17年度につきましては166億円程度では少な過ぎるということから、都市計画税約2,000億円の20%、現行では7.5%に相当しますが、約400億円規模まで交付金を増額すべきというような主張を強くしてございます。しかしながら、都側は、特別区における都市計画事業の円滑な促進をという観点から、現行の枠組みを維持することが必要であるという従来の主張を繰り返すというような状況にあります。
こういったことから、23区、それから東京都におきましてのいろいろな検討会を設けたわけでございますが、ほとんどの項目におきまして議論がかみ合わないような状況がございまして、結果的にはこのような論点と相違点を整理するにとどまりました。
以上が、各課題の論点ごとに都区双方の見解の相違するポイントを整理して報告をしてございます。
続きまして、今後の都区協議の進め方でございますが、お手元の資料の3枚目になります。まず、今後の協議体制でございますが、メンバーにつきましては都区財政調整協議会委員で構成をいたします。資料の一番最後、5点目になりますが、都区財政調整協議会構成員の一覧表がございますので、御参照をいただきたいと思います。
次に、検討期間でございますが、平成17年7月から10月の間に5項目に関する協議を行います。内容につきましては、次の、今後の協議予定をごらんいただきたいと思いますが、8月から9月にかけまして資料に記載の項目を中心に協議を行いまして、10月に協議結果をまとめるというような予定になってございます。また、取りまとめ結果につきましては、提案事項を整理した上で18年度の都区財政調整協議に引き継ぐということが確認されてございます。
こういったことで、来年2月の都区財政協議に向けまして、今後いろいろな協議経過、取りまとめの結果、さらには引き継ぐ提案事項の内容について、これから示されることになります。財務担当といたしましては、そういった情報収集も今後密に行いまして、当委員会に報告をさせていただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
委員長
ただいまの報告について質疑はありませんか。
大内委員
一番最後に説明のあった都区財政協議会の構成員、我が区としてはどなたかメンバーに入られているんですか。
篠原財務担当課長
中野区は、今回メンバーに入っておりません。
岩永委員
今後の協議の進め方の関係で、一つは、2種類ありますね、進め方というのと協議予定というのがありまして、協議予定の方では10月の5回、6回が取りまとめに入っていくと。一方、進め方の方は11月に提案事項の整理というような形になっておりますが、これはどういうことですか。進め方の方の10月は取りまとめをして11月の提案事項の整理に入っていくということなんですか。このあたり、ちょっと、まず日程の方を教えてください。
篠原財務担当課長
この進め方の方の11月の提案事項の整理でございますが、10月にいろいろな、ここにありますような、協議予定にございます5項目、これについて協議を行いまして、その結果を取りまとめをいたしまして、11月にその取りまとめた内容から提案事項を整理して、18年の都区協議に引き継ぐというような予定になってございます。
岩永委員
そうしますと、それをこの構成員のメンバーのところで引き継ぐところまで全部やると、そういうことになるんですか。
篠原財務担当課長
そのとおりでございます。
岩永委員
本当に、聞くたび聞くたび厳しい、それでも23区の側は頑張っているというふうに言えると思うんですね。ただ、頑張っているんだけれども、この日程でいくとあと数回しかないという中で、例えば時間切れでどこかで妥協してしまうということになると、本当に将来に禍根を残すことになるというふうにも思うわけです。それで、この前、この問題についての特集号が出ましたね、区報で出しましたね。再度、例えば今のこういう、いよいよスケジュールでいうとかなり詰まってくるような状況の中で、例えばこの前のそういう区民への区報を出された--なかなか難しい問題ですから、1回で十分区民にわかっていただいたかどうかという問題はあるかとは思うんですが、例えば再度議会とそういう区民に対して、こういう東京都のとっている状況について、何か打開をしていくような取り組みみたいなものは考えないでしょうか。
篠原財務担当課長
今後、11月に提案事項が整理されまして、12月から1月にかけて都区財調会議がございます。この中ではまた、恐らく区長会事務局といたしましても、議長会といたしましても、東京都に対していろいろな要望、要請をするようなことになると思います。そういった時期を逸しないように、区民にもその状況をお知らせすることは必要だというふうに考えておりますので、そういった時期をよくとらえながらPRをしていきたいというふうに考えております。
高橋委員
関連しているというか、これは大変重要な問題であって、私も議長会の話をするとあれかなと思いますけれども、区長会も議長会も要望活動をしまして、課長がおっしゃっていましたけれども、もう要望活動は済んだんです。それで、日程がもう本当に迫っているから、両方、区長会も議長会も必死の思いで、今、前期の人たちから私たちは引き継いでやっているところなんです。まさしく、今本当に23区は大変なんだというようなことをもっと区民にもお知らせしなくてはいけないと思っているんですけれども、この間、区長会は都の方に、やはり私たち議長会より先に行ってきたんですが、その結果というのはきちんと庁内にも報告されていて、どこかでお知らせするというようなことはあるんですか。
石神総務部長
まだ、この間行ったのは役員会で、その前に決めた要請行動をするということで役員で行っております。議長会役員と合わせて調整をしながら、要請行動をするという形になってございます。
今のところは、その結果内容については、こういった内容でということはファックスで来ておりますが、大きく変わった点はございません。
それともう一つが、これから都議会が始まってきますので、都議会議員への要請ということで、これは中野区議会と、執行機関、区の方と、もう少し調整をしながら具体的な動きをしていきたいということで思っております。私どもでは、選挙が終わった後に、情報提供ということで、現状までの内容については各都議会議員にはお知らせしてございます。今後の進め方については、執行機関、区側だけではできませんので、議会と共同歩調しながら、とれる行動についてはとっていきたい、また区民に対するお知らせについても何らかの形でわかりやすく、前回出したところ、よくわからないという声が返ってきたり、内容の議論の相違点が、その経緯がわからないと何が相違点かよく理解できないという点がありますので、工夫をした形で情報提供しながら、決着に向けた行動をしていきたいというふうに思っております。
委員長
他に質疑はありますか。よろしいでしょうか。
〔「はい」と呼ぶ者あり〕
委員長
質疑がなければ、以上で本報告は終了いたします。
次に、平成17年度都区財政調整の当初算定についての報告を受けたいと思います。
篠原財務担当課長
それでは、平成17年度、2005年度の都区財政調整の当初算定について報告申し上げます。
まず、資料をごらんいただきたいと思います。(資料4)
最初に、一番下の合計欄をごらんください。23区に対します平成17年度都区財政調整の当初算定額につきまして、合計で7,744億4,900万円でございます。その隣の当初予算額につきましては、7,629億6,300万円でございまして、比較いたしますと114億8,600万円、率にしますと1.5%の増となってございます。このうち、中野区に対します当初算定額につきましては、表の中ほどの網かけ部分をごらんいただきたいと思いますが、275億4,800万円、本年度の当初予算が275億4,000万円でございますので、予算に比べまして800万円の増となってございます。ほぼ予定したような額になってございます。
ちなみに、昨年度、平成16年度の中野区の当初算定額でございますが、263億1,000万円、予算が264億8,500万円でございまして、対予算比で申しますとマイナス1億7,500万円でございました。
なお、今回の算定はあくまでも都の当初算定額に基づいて算定されたものでございまして、今後、調整3税、固定資産税、それから市町村民税法人分、それから特別都市保有税の税収の状況によりましては再算定をされまして、最終的な交付額が決定することになります。
ちなみに、16年度につきましては、中野区の当初算定額が263億1,000万円でございましたが、市町村民税法人分の税収の増がございまして、決算では287億7,600万円ということで、約24億円ふえてございます。
なお、今後の予定でございますが、おおむね、ことしの12月中旬ごろに都区財政調整協議会幹事会におきまして17年度の調整3税のフレームが示されまして、都区双方で協議した上、来年2月の都区財政調整協議会におきまして最終的な交付額が決定されるということになります。今後につきましても、節目ごとに当委員会に報告をしてまいりたいというふうに考えてございます。
委員長
ただいまの報告について質疑はありませんか。
岩永委員
下の注意書きのところに、約128億円の当初算定残が生じているとあります。これはこの時点でこの大きな額の残が生じているという、その理由は何ですか。
篠原財務担当課長
これは東京都の一定の、23区のシェアで当初算定額を割りまして、予算額--これは調整3税の収入額見込額を予算額にしたわけですが、おおむねのシェアで割って、残った算定残というような額になってございます。これにつきましては、今後の税収の状況を見ながら、最終的にはこの部分も含めまして再算定されまして、シェア割りで各区に配分されるというものでございます。言ってみれば、当初算定をした残のうち、今後税収の増減に対応するような経費というふうに御理解をいただきたいと思います。
岩永委員
ここのところ、毎年100億からの再調整額というのがたしか生じているのではなかったかなと思うんですが、再調整はしないように--しないようにするという言い方は正しくないのかもしれませんが、そういうことであったかなと思っているんですね。ところが、100億からの再調整額が毎年毎年、恒常的に生じているということについては、区の側は一応どういうふうにそれを考えておられるんでしょうか。
石神総務部長
再算定額ですが、これは法人住民税等、固定資産税等もあるわけですが、そういう中で、還付金であるとか、届け出だとか、そういった部分全体が終わるのは11月末になるわけです。それまでの間に景気変動だとかそういうものがありますと、これを全部出してしまうとそういう調整ができないということと、全体の、今言いました総トータルの52%が区で、48%が都という割合を分けていくわけですね。そういう中で生じるものですが、ここのところ、こういう100億近い算定残が出ているわけです。当初、12年のときには、これは再算定しないと、当初算定で終わるんだという方向だったわけですが、景気変動が余りにも大きくて、当初算定だけで終わるということがなかなかできないという状況が現在生まれております。そういう中でこういうものが出てきておりますが、私どももできるだけ早い時期に、年度内に入ればいいやということではなくて、早い時期に財政安定をさせたいということから、当初算定でなるたけこの算定が行われるようにという形をとりたいという話はしてございます。
委員長
他に質疑ありませんか。よろしいですか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
質疑がなければ、以上で本報告は終了いたします。
その他、所管事項の報告はありますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
なければ、以上で所管事項の報告を終了いたします。
次に、その他でございますが、次回日程について御協議いただきたいので、委員会を暫時休憩いたします。
(午後12時09分)
委員長
委員会を再開いたします。
(午後12時10分)
次回は、第3回定例会中とし、何か緊急な案件があった場合に正副委員長が相談の上、招集するということで御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
御異議ありませんので、そのように決定いたします。
次に、その他、各委員、理事者から発言はありますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
なければ、本日の予定した日程はすべて終了いたします。
以上で本日の財政制度調査特別委員会を散会いたします。御苦労さまでした。
(午後12時10分)