平成15年09月24日中野区議会本会議(第3回定例会)

1.平成15年(2003年)9月24日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(42名)
  1番  いでい   良  輔        2番  伊  東  しんじ
  3番  佐  野  れいじ         4番  北  原  奉  昭
  5番  久  保  り  か        6番  酒  井  たくや
  7番  奥  田  けんじ         8番  近  藤  さえ子
  9番  小  堤     勇       10番  大  内  しんご
 11番  伊  藤  正  信       12番  きたごう  秀  文
 13番  高  橋  ちあき        14番  高  倉  良  生
 15番  やながわ  妙  子       16番  平  島  好  人
 17番  むとう   有  子       18番  はっとり  幸  子
 19番  長  沢  和  彦       20番  か  せ  次  郎
 21番  山  崎  芳  夫       22番  小  串  まさのり
 23番  若  林  ふくぞう       24番  市  川  みのる
 25番  岡  本  いさお        26番  こしみず  敏  明
 27番  飯  島  きんいち       28番  佐  伯  利  昭
 29番  佐  藤  ひろこ        30番  来  住  和  行
 31番  岩  永  しほ子        32番  篠     国  昭
 33番  柿  沼  秀  光       34番  伊  藤  岩  男
 35番  斉  藤  金  造       36番  大  泉  正  勝
 37番  斉  藤  高  輝       38番  江  口  済三郎
 39番  藤  本  やすたみ       40番  昆     まさ子
 41番  江  田  とおる        42番  池  田  一  雄
 
1.欠席議員
      な  し
1.出席説明員
 中 野 区 長  田 中 大 輔      助     役  内 田 司 郎
 収  入  役  山 岸 隆 一      教  育  長  沼 口 昌 弘
 区 長 室 長  金 野   晃      政策担当課長   鈴 木 由美子
 総 務 部 長  石 神 正 義      総 務 課 長  田 辺 裕 子
 区 民 部 長  本 橋 一 夫      地域センター部長 柳 澤 一 平
 環 境 部 長  寺 部 守 芳      保健福祉部長   菅 野 泰 一
 保 健 所 長  清 水 裕 幸      都市整備部長   石 井 正 行
 まちづくり調整担当部長  那須井 幸 一  教育委員会事務局次長  山 下 清 超
本会の書記は下記のとおりである。
 事 務 局 長  正 木 洋 介      事務局次長    飯 塚 太 郎
 議事調整担当係長 大 谷 良 二      書     記  黒 田 佳代子
 書     記  巣 山 和 孝      書     記  永 田 純 一
 書     記  長 崎 武 史      書     記  荒 井   勉
 書     記  西 田   健      書     記  岩 浅 英 樹
 書     記  鳥 居   誠      書     記  佐 藤 雅 俊
 書     記  松 本 桂 治      書     記  吉 田 哲 郎

 議事日程(平成15年(2003年)9月24日午後1時開議)
日程第1
 認定第1号 平成14年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について
 認定第2号 平成14年度中野区用地特別会計歳入歳出決算の認定について
 認定第3号 平成14年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について
 認定第4号 平成14年度中野区老人保健医療特別会計歳入歳出決算の認定について
 認定第5号 平成14年度中野区介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について
日程第2 
 第1号請願 高齢者会館等の集会室利用申請受付を直接同所ですることについて
第20号陳情 情緒障害児・学習障害児等のための中学校通級学級を早期に実現することについて

      午後1時01分開議
議長(山崎芳夫) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
 9月22日の会議に引き続き一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 か せ 次 郎
 1 区民健診について
 2 小児医療について
  (1)小児救急医療について
  (2)警察病院との医療連携について
 3 教育問題について
  (1)学校選択制について
  (2)学校施設の改善について
  (3)その他
 4 青年の雇用問題について
 5 その他
  (1)中野駅ガード下の雨対策について
  (2)その他

議長(山崎芳夫) 最初に、かせ次郎議員。
     〔かせ次郎議員登壇〕
20番(かせ次郎) 2003年区議会第3回定例会に当たり日本共産党中野区議団の立場から質問させていただきます。
 まず初めに、区民健診について伺います。
 中野区では、ことしの4月から区民健診のうち、がん検診が有料化されました。我が党は、有料化されることによって受診率が下がれば、がんの早期発見の機会を逃し、結果的に重症化と医療費の増加を招くのではないかと指摘してきました。受診率の変化については、まだ年度途中であり、検査の受け方も変わったため正確に評価することはできませんが、無料の成人健診受診者数が5月から7月の累計で昨年度よりも1,034人、8.8%増加したのに対し、有料化された胃がん検診は423人、約11%も減少しています。成人健診が増加したのは、リストラや倒産で社会保険から国民健康保険に切りかわったり中小企業で実施していた職場健診をやめてしまったなど、受診対象者が増加したこと、一方、健康への不安が広がり健診への関心が高まったことが挙げられます。そういったことからいえば、がん検診もふえてもいいのではないかと思われます。その点では、有料化されたがん検診の今後の推移が非常に気がかりです。
 これまでの中野区の区民健診は、中野区医師会と区の共同によって充実、発展させてきました。また、2003年3月に策定した中野区保健福祉総合推進計画では、壮年期の世代は社会的にも家庭においても重要な位置を占めているが、年齢とともに生活習慣病に関する所見率も高くなっているという認識から、区民健診やがん検診の受診率を高めるとともに精密検診の受診を促進するとしています。確かに区民健診が無料であった2002年度までは、受診率も着実に増加し、精度も高めてきました。2002年度は成人健診をはじめ各がん検診すべてが増加し、大腸がん検診は1,000名強増加し、乳がん検診の受診者も1万人を突破しています。発見されたがんの報告も、胃がん12名、子宮がん10名、大腸がん83名と2001年度よりも多く発見されています。中野区医師会はがん検診の有料化を苦渋の選択だと言っています。しかし、有料化によって受診率が著しく落ちることになれば再検討せざるを得ないとも言っております。これはこれまでの努力によって検診制度の充実に力を尽くしてきた先生方の思いからすれば当然です。
 また、中野区は来年度から区民健診についても有料化しようとしていますが、これで区民健診やがん検診の受診率を高めることができるでしょうか。がん検診が有料化された結果について何の検証もなく、区民健診の有料化を進めることは許されません。既に中野区医師会は反対すると明言しています。
 そこで、区長にお聞きします。来年度から予定している成人健診の有料化の計画を再検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、区民健診の充実について伺います。
 今、医師会の先生方から、胸部X線検査は肺がん検診としては意味がないとか、1年1回のレントゲン検査で安全だとは言えないといった声が上がっています。胸部レントゲン検査は、平面への投影写真ですから、肺せん部と言われる肺の上部と心臓や大動脈弓部と言われる血管の影、心臓の影に隠れる部分が盲点となります。しかも肺がんの特性として転移しやすく進行も早いということから、早期がんの段階で発見しなければ根治することは難しくなります。私の友人にも毎年、区民健診を受けていたが、肺がん検診の早期での発見ができず、翌年の検査では大きな影となっていて手おくれとなり残念な結果になってしまったという方がいます。家族にとって一家の柱を失った悲しみはいかばかりでありましょう。
 それは医療の現場で働くものも全く同じ思いです。私もレントゲン技師の経験がありますから先生方の苦労もよくわかります。1枚の胸部レントゲン写真だけで肺がんはないとは断言することは難しいことです。肺がんは早期がんと進行がんの分かれ目が10ミリメートルの病巣だと言われています。この微小病変をはっきり発見できる画期的なレントゲン装置がヘリカルCTであるわけです。ヘリカルCTは撮影時間が短く、高精度の画像情報をデジタルで処理することができるため、数ミリ規模の肺がんを発見できるようになりました。ヘリカルCTが検診に導入されれば肺がんの早期発見に絶大な効果を発揮することは間違いありません。この際、肺がん検診にヘリカルCTを導入すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、小児救急医療についてお尋ねします。
 2002年から東京医療生活共同組合中野総合病院と中野区との契約により、平日準夜間小児初期救急医療が実施されています。現在の医療制度では、診察よりも検査や薬に診療報酬が傾斜しているため小児医療は採算が取れず、せっかく医大を卒業しても小児科医になろうという学生が少なくなってしまいました。かつては町中にあった小児科医院も、経営困難に陥ったり後継者問題で廃業してしまうなど見る影がありません。ましてや、24時間対応の病院は杉並区にはなく、西部医療圏でも民間病院では中野総合病院だけです。そういった意味では、中野区が中野総合病院と契約し実施に踏み切った小児救急医療は重要であり、多くの区民から期待が寄せられています。
 私は6月20日、日本共産党都議団の一行と平日準夜間小児初期救急医療が実施されている中野総合病院を尋ねてきました。応対していただいた院長先生は、小児救急医療に熱心な方で、小児医療の現状を憂い「医師は本来、良心に基づいて医療に重視している。しかし、現実の中でそれを貫くのは難しい。経営を継続できるという見通しがあればもっと小児科医はふえるはずだ」と言っていたことが印象的でした。
 中野総合病院は、もともと小児科、産科病棟を持つ総合病院で24時間対応の救急病院です。中野総合病院で小児初期救急医療を実施するために中野区医師会と中野総合病院は1年間かけて内科医を標榜する医師を募って小児救急の研修を行うなどの準備をし、開設にこぎつけています。医師については、区内の小児科医が輪番制で対応していますが、医師は本来の院所での診療が終わった後、総合病院に駆けつけ、7時から10時までの間、勤務につきますが、ときによっては自分の院所を他の医師に任せて勤務につくこともあるそうです。
 小児初期救急医療の昨年度の実績を見てみますと、実施に踏み切った4月には165人であったものが2月には387人と約2倍になっています。患者の年齢区分では、1歳から3歳までが43%、緊急入院が必要だった患者は1.1%あったようです。小さな子どもを抱えた若い父母にとって、町のお医者さんが閉まった後、夜間に子どもが病気になったときほど不安なものはありません。数字が示しているようにお医者さんに見てもらうだけで直ってしまうことも多いようです。しかし、単なる腹痛だと思っていたが、腸閉塞で適切な処置をしないと命にも差し障る重体に陥るなどといった急変が起こるのも小児医療の難しさです。こういった病院が身近なところにあれば、どんなにか安心できることでしょうか。
 地区別患者数を見ると中野が279件、野方が181件、中央が178件、新井が155件と総合病院周辺が多いのは当然ですが、杉並区からは583件、練馬区からも72件と区外からも多く利用されているように西部医療圏という単位から見ても大変重要な制度となっています。区長は小児夜間救急医療制度の重要性についてどのような認識を持っておられるでしょうか、伺います。
 さて、この事業は都の補助事業で、医師1名、看護師1名、事務職員1名分の人件費と事務費に相当する金額が都と区から2分の1ずつ助成されています。額は年間で735万円ほどですが、年間約200日の人件費であることを考えると決して十分とはいえません。今、大切な小児救急医療が医師などの良心に期待して継続しようということでは無理があります。区長は実態にあった補助額となるよう都に働きかけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、小児救急医療の関連から東京警察病院との医療連携についてお尋ねします。
 警察大学校跡地に誘致される東京警察病院は2008年3月には開業予定となっています。今、区民の中に、いざというときには区民のために高度な救急医療や小児救急救命医療を提供してくれる病院ができるものと期待しています。特に妊娠満22週から生後満7日未満までの周産期と言われる期間は、合併症妊娠や分娩時の新生児仮死など母体、胎児や新生児の命にかかわる事態が発生する可能性があり、この時期の死亡率をいかに低くするかがその国の医療と衛生事情を反映すると言われており、突発的な緊急事態に対応できる医療機関がどうしても必要です。この周産期医療は、出産前後の母体、胎児や新生児に対する高度な医療技術を習得した産科医や小児科医、看護師を24時間体制で確保するとともに生命維持装置などを備えた新生児集中治療室・NICUを備える必要があります。周産期医療を実施している医療機関は都内に19施設ありますが、中野区や杉並区にはなく、新宿区の東京女子医科大学や東京医科大学、板橋区の帝京大学附属病院や日大附属板橋病院などを利用しなければならないのが実情です。中野区医師会や中野総合病院の先生方は、こういった高度医療は地域の民間病院では望んでも開設できるものではない。ぜひとも警察病院でNICUを併設した周産期医療を実施してほしいと望んでいます。これは区民の声でもあり、現在と将来の区民の命を守るという区政にとっても重要な課題だと思います。区は警察病院にNICUの開設について強く求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 さて、これまで中野区は警察病院が開設されても地域医療機関と警察病院との共存共栄はできるとし、区と警察病院、中野区医師会との間で協議してきたという経過があります。これまでの中野の医療は中小病院と地域の診療所の連携で支えられてきました。そこに病床数450床、外来患者数800から1,000人の大病院が参入すれば、これまでの地域医療ネットワークがどうなってしまうのかという不安は当然出てきます。これまでは大学病院や都立病院などの公的な病院が誘致される場合は、共存共栄を図るため機能や役割を分担し、お互いに補完し合うことで地域医療を守ろうという協議がされることが通例となっています。
 そこで、伺います。まずは紹介率の問題です。地域の医療機関から紹介された患者さんについて、高額検査機器を使っての検査や高度な医療技術を要する心臓の手術などを警察病院で行い、地域に返すという関係は共存共栄の要であり、地域医療の充実の点から大事なことです。警察病院に対しては紹介率を高くして大病院としての責任を果たすよう求めるべきです。
 次に、高額医療機器の共同利用の問題です。MRIやヘリカルCTなど、いわゆる高額医療機器は民間の医療機関ではなかなか導入できません。こういった高額医療機器を地域の先生方も利用できるようになれば、患者さんの医療に責任が持て、地域医療のレベルを高めることができます。また、警察病院には第一線の地域医療に対する後方機能としての第三次医療機能、つまり第三次救急救命センターや24時間対応の小児救急医療、CCU・急性冠疾患と言われる病態の人が入院する心臓専門の集中治療室やNICUの併設を求めるべきだと思います。これらのことについては既に協議がされていると思いますが、どのような状況になっているのでしょうか、お聞きします。
 次に、教育問題について質問します。
 まず学校選択制について伺います。
 99年第4回定例会の本会議で、教育長が「学校選択制という影響の大きいことになれば当然、保護者、学校関係者など多くの区民の声を聞き、十分な準備を整えることが必要」だと答弁したように、これまでの教育委員会は学校選択制について一応慎重な態度をとってきました。しかし、ことし1月20日付の区立学校適正配置検討プロジェクトチーム報告では「統廃合によって通学区域に偏りが生じる可能性があるため選択性の実施方法を検討する」と学校統廃合との関連で具体化の方針を打ち出しました。さらに6月30日付の教育新聞で教育長は「学区域は前々から弾力的に運用してきたこともあり、わざわざ学区域自由化をする必要はないという意見が主流だったが、今は意識改革を現場に迫るという視点から導入を検討している」と発言し、7月11日の教育委員会では、統廃合問題とは切り離して学校選択制についての論点整理と検討資料を配布し協議しています。この重要な問題を教育委員会の内部検討だけで実施に踏み切られることがあってはなりません。
 これまで教育委員会がとってきた区民や保護者、学校関係者の声を聞きながら対応するという姿勢を投げ捨て実施を急ぐのはなぜでしょうか、伺います。
 7月11日付教育委員会資料「学校選択制について」では、導入の趣旨として、一つ、選択という評価を受けることにより教育委員の意識改革につながり、学校が活性化する。二つ目として、特色ある教育活動の推進、三つ目に保護者に選んだ学校をよくしようという意識が働き、学校と保護者との協働が進むとしています。しかし、実態はそうでないことが指摘されています。
 例えば、都内でいち早く2000年から学校選択制を導入した品川区では、集中校と減少校が両極化し、子どもや保護者、教師など現場での混乱を招き、区民の間には期待よりも不信と不安が広がっています。中学校で1番の人気校は10階建てのビルで、地下1階から4階までが学校で、全教室が冷暖房完備、屋内プールや全校生徒が一緒に食事のできる広いランチルームもあり、入学希望者は抽選になりました。一方、選択制導入前は1学年2学級あった五つの中学校が1学年1学級に減ってしまいました。この減少は学校の施設、設備が古かったり、前の年にいじめや荒れのうわさのたっていたことが原因だと言われています。進学イメージのある学校や施設の充実した学校には集中し、小規模校や荒れのうわさがあった学校は避けられています。集中した小・中学校では特別教室を普通教室に転用したり、クラスの人数が多過ぎてランドセルを廊下に置かざるを得なくなったなどの問題も起きています。一方、減少した学校では、教職員が減って専科科目やクラブ活動にも影響しています。そうした事態を改善するための教職員の努力は、本来の授業以外のところでも振り向けられています。選択制を実施してからは、教職員から「これでは一貫した教育方針が持てない」と活性化どころかやる気を失わせ、昨年の教職員の区外への異動希望は品川区が23区でトップクラスだったということです。こういった事態は活性化どころか公教育の基盤を崩壊しかねません。荒川区では、選択の基準を明確にするということから学力テストの成績を公表することまでしています。国連からは日本の競争教育の是正を勧告されているのに、子どもたちを巻き込み学校同士を競い合わせれば、さらに競争が激化することは明らかではありませんか。
 さきに紹介した教育新聞で教育長は「注意すべきことは風評で学校の選択が行われないよう適切に情報を提供することだ」と発言していますが、こういった実態を検討した上での発言とすれば無責任な発言です。教育委員会は選択制が教育の活性化につながると言っていますが、何をどのように検証し、このように言い切ることができるのでしょうか、お聞きします。
 選択制を実施している学校の特色ある教育活動の推進については、各学校がそれぞれの実態に合ったものを自主的にやるのではなく、教育委員会が文部科学省の推奨する習熟度別学習、教科担任制、国際理解教育など七つのタイプを例示し、各学校がその中から選ぶというものです。これではあらかじめ決まっているテーマを押しつけているとしか言いようがありません。しかも、そのために教職員をふやすわけでもなく、準備や研究、報告などがふえ、ますます教師と子どもたちの接する時間が奪われております。そもそも学校の特色とは校長の考え方だけで変わってしまうというものではありません。その学校の歴史や伝統、地域とのかかわりの中でつくられていくものです。選択制でなければ特色づくりができないというものではありません。そのことは2000年第2回定例会本会議でも「特色ある学校づくりを強化することが必要であり、選択制については慎重に対応したい」と答弁していることでも明らかです。
 また、保護者の意識改革でも「学校を選ぶことによって保護者の意識改革が起こり、選んだ学校をよくしようという意識が生まれるとか、学校と保護者との協働が進む」と言っています。しかし、実態はかえって地域と学校のかかわりが薄れ、問題があっても自分が選んだのだからというあきらめが広がり、自分さえよければという風潮が広がっているとか、地域の人たちも、子どもの顔が見えなくなった、どのように接したらいいのか、地域の教育力が低下しているなどの問題が指摘され、マスコミでも副作用ばかりが目立つ学校選択制と報道されています。
 教育委員会は「地域の学校は保護者や子ども、現場関係者、地域の協力によって運営されることが大事だ」と言ってきましたが、そのことも崩すことになります。十分な研究も検討もされず、区民論議も経ずに学校選択制を導入すれば、中野の教育に混乱を持ち込み、これまで培ってきた中野の教育の伝統、地域ではぐくむ教育といった大切なものを失いかねません。区民を信頼し、間違っても先に学校選択制ありきといった進め方はやるべきではありません。教育長の見解をお聞きします。
 次に、学校施設の改善について伺います。
 我が党はこれまでも事あるごとに議会で区立小・中学校の施設整備についてさまざまな要望をしてきました。そういった中で、ことしから全校の普通教室にクーラーが設置され、児童・生徒からは大変喜ばれています。しかし、ここ数年来、小・中学校の各維持補修費、施設整備費は大幅に縮減されたために学校の施設整備はまだまだ不十分です。
 先だって区立小・中学校の施設を見せていただいてきました。学校からは教育委員会にさまざまな改善要望が上げられているようですが、それも区が厳しい財政状況にあるとの認識から要望も極めて控えめとなっています。学校施設は、教育施設であるとともに震災や水害などの緊急時には地域住民の避難場所となる公共施設であり、良好な教育環境と高い安全性が求められていることは言うまでもありません。ところが、まだ多くの学校で雨漏りがする、非常階段や屋上のフェンスがさびている、トイレが汚いなどの問題を残しています。
 そこで、黙視できない幾つかの点についてお尋ねします。
 まず初めに、シックハウス症候群について伺います。
 ことし8月、文部科学省の指導により区立の小・中学校の教室、体育館、特別教室について室内空気環境測定が行われました。その結果を見るとほとんどの学校から基準値を超えるホルムアルデヒドが検出されています。シックハウス症候群は化学物質の量によっても症状が異なりますが、目、鼻、のどへの刺激、せき、ぜんそく、頭痛、睡眠障害、疲労感、物忘れなどの症状を生じ、自律神経異常や老化現象を引き起こす原因にもなると言われています。特に化学物質に対する抵抗力の弱い年少者が長時間、原因物質にさらされれば症状を誘発しやすくなります。しかも、厄介なことに一度、体に異常を感じ始めると、その後、少量の化学物質に対しても反応するようになることです。今回、検出されたホルムアルデヒドは有力な原因物質の一つであり、新建材の合板、ビニール壁紙の防腐剤、接着剤に含まれており、かつては木材の防腐剤やシロアリ駆除剤として使用されていました。私たちは知らないうちにホルムアルデヒドの中に取り囲まれているといってもいい状態です。現在ではWHOが安全基準を定め、ホルムアルデヒドの空気中濃度のガイドラインは0.08ppmと規定し、労働厚生省も30分間平均値で100マイクログラムパー立法メートル以下を指針値としています。今度の調査では、区立第三中学校のコンピュータ室が基準値の5倍の526マイクログラムパー立法メートル、音楽室が404マイクログラムパー立法メートル、美術室が354マイクログラムパー立法メートルと突出していますが、区立第五中学校のコンピュータ室が448マイクログラムパー立法メートル、第六中学校のコンピュータ室が338マイクログラムパー立法メートルといずれの学校も閉め切られた教室が値を示しています。調査を担当した方のお話ですと、ホルムアルデヒドの発散しやすい暑い夏に実施をしたので、高い値を示していたのではないかということでした。また、窓を開放すると値は一気に下がったということでもありました。
 さて、基準値を超えた教室の改善についてですが、今後どのような対策を講ずるつもりでしょうか。また、机や壁剤などについても今後どのようにしていくのかをお尋ねします。
 次に、学校の雨漏り対策について伺います。
 中野の学校で雨漏りのしない学校を探す方が難しいと言われた時期もあったように聞いています。そういったことから、教育委員会は全校の雨漏り補修工事に対する調査を行い、暫時改修に取り組んでいます。私も現況を調査しているところですが、窓枠を壁にはめ込んでいるパテの老朽化やサッシのゴム枠の劣化、クレッセント錠の老朽化など窓回りのメンテナンスに起因する雨水のしみ込みが原因となっているようです。また、屋上防水や屋上フェンスのさびも本体劣化につながり、現に桃園小学校では屋上直下の塗装が盛り上がっているのを発見し、塗装をはがしてみるとコンクリートがぼろぼろになっていたために、安全のために、その部分はかき落とす工事がされたようです。定期的に点検補修すれば少ない予算で済むものを放置しておけば建物全体の寿命を縮めてしまうというのが雨漏りです。児童・生徒の安全のためにも、今ある施設を大切にするためにも、計画を前倒ししてでも直ちに雨漏り対策を実施すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、トイレの改善について伺います。
 中野区では、トイレのアンケートも実施し、トイレ改修についても暫時改善されています。しかし、財政が厳しいということから緊急度に応じて暫時改善していくとしています。そのためにまだ多くの学校に問題を残しています。中央中学校では1階トイレの排水管を修理したということで、においは薄くなったもののトイレは旧式で環境も十分ではありません。北中野中学校や第十一中学校もトイレは便器や壁、ドアが破損していたり、排水溝のネットがなくなってしまい排水が悪くなるなど、PTA連合会からも改修をしてほしいという強い要望が出されています。トイレはだれでも使用するものであり、公衆衛生の面からも常に清潔と安全が求められるのは当然です。特にひどいトイレについては、計画を前倒しし、早急に改修すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、体育館の耐震診断について伺います。
 学校は何よりも安全でなければならないことは言うまでもありません。5月26日から数日間にわたり東北地方を襲った三陸南地震では、人的被害こそなかったものの東北新幹線の橋脚の落下や家屋の倒壊、地滑りなどによる大きな被害が発生しました。震度6弱を記録した釜石市では、校舎の壁が崩落したり体育館も危険だということで避難民が再避難するといった事態が発生しました。学校、特に体育館は震災などの災害時には地域住民の緊急避難場所となるところです。その安全を確保すべき学校や体育館も危険ということでは、地域住民の避難する場所はありません。
 中野区でも区立小・中学校の耐震診断を既に実施し、Cクラスの校舎については耐震補強工事を完了させています。しかし、独立した体育館については、阪神・淡路大震災の例を見ても倒壊の例がないということで、耐震診断についても全校の実施はされていません。しかも、学校体育館を鉄骨構造のみで建設されたものをタイプ1、鉄筋コンクリートプラス鉄骨づくりがタイプ2、鉄骨鉄筋コンクリートづくり小屋組みが鉄骨づくりのものをタイプ3のようにタイプ別に分類し、タイプ1は小学校10校、そのうち西中野小学校だけを診断し、診断結果はすべてDクラスだとしています。また、タイプ2は小学校9校、中学校9校あり、そのうちの第八中学校を診断し、診断結果をCクラスだとしています。
 私は、体育館の建てかえ要望の出ている区立第五中学校を視察してきました。この体育館はタイプ2の分類で推定診断はCクラスとされています。しかし、体育館の周りを見てみますと、躯体を支えている柱回りのコンクリートにひびが入り、柱と柱の間の壁には2本ずつ縦に長いひび割れがあり、壁もゆがんでいました。これでCクラスとなればDクラスはどうなっているのかと心配になりました。建物の強度は地盤との関係で大きく左右します。タイプ別で診断結果を推定すること自体、無理があるのではないでしょうか。
 いつ起こっても不思議はないと警告されている東京直下型地震を想定すれば、体育館についても耐震診断と緊急度に応じた耐震補強工事を検討すべきだと思いますが、いががでしょうか、伺います。
 次に、青年の雇用対策について伺います。
 7月の完全失業率は5.5%で、そのうちの半分、172万人が15歳から34歳までの青年です。大学卒の就職率も1990年に81%であったものが2003年には55%まで落ち込み、今や417万人もの若者がフリーターと呼ばれるアルバイトや派遣社員、契約社員などの不安定な就労と失業を繰り返す状況となっているのです。
 政府は、これまで青年の失業、就職難を青年の意識の問題と決めつけてきました。ところが、内閣府の実施した若年層の意識実態調査によれば、フリーターの72%が正社員を希望し、パート、アルバイト希望は14%でしかありません。2003年版国民生活白書によれば、1995年から2001年の6年間に中小企業が15歳から34歳の正社員を3万人ふやしたのに対して、大企業は108万人も減らし、逆に若者のパート、アルバイトを37万人もふやしています。そのため白書では、若者の就職難とフリーターの増加は企業側の要因が大きいと認め、しかも企業内の教育訓練もなく点々と仕事が変わるフリーターの増加は日本経済の成長を阻害するおそれがあると警告し、政府もようやく事の重要性を認識するに至ったのです。
 若者が正社員になれずに不安定雇用のまま放置されれば、十分な職業能力開発の機会が得られないばかりか、長期的には日本全体の生産性にも、また若者の収入が安定しないということから結婚や出産にも影響し、少子化問題や社会保障の問題にまで悪い影響を与えかねません。それこそ日本社会の存続にかかわる問題ではありませんか。
 そこで、区長に伺います。大企業の横暴なリストラが就職難とフリーターの急増となっている今日の実態と青年の不安定な雇用がもたらす中野区政の影響について、どのように認識しておられるでしょうか、見解をお聞きします。
 さて、我が党は自治体としての青年の雇用対策の取り組みにおいての自治体の役割と青年の就労に結び付けるための支援事業について提案してきました。第1回定例会での質問で、世田谷区での2000年度からハローワーク渋谷との共催で区内高校生対象の合同企業説明会を実施し、2002年度には参加企業100社、求職者719人、そのうち71件の採用があったなどの他区の事例に学び、中野区も積極的に学校やハローワークと情報を交換し、連携し、中野区勤労者サービスセンターとも協力するなどして、若者の就職、雇用支援のため就職面談会や相談窓口などを検討したらどうかというものでした。あれから半年が過ぎましたが、最近では板橋区のように高校、大学の新卒者を対象にした緊急一時的な臨時職員の採用を始めるなど、より積極的な取り組みが始められています。この施策は、区における職務経験、研修を通じて職業能力、意識の向上を図り、自分に適した職業の選択、進路の発見につなげることを目的としたものです。財源は時間外手当の縮減分を充てるとのことです。職種は事務で、7月1日から各部局で勤務についていると聞いています。
 その一方で、9月14日付朝日新聞の報道によれば、9月13日にハローワーク渋谷が中学生、高校生に仕事探しの模擬体験をしてもらうというスクールデーを初めて実施しました。事前ポスターを7万枚作成し、各学校にリーフレットを郵送したが、参加したのはわずか4人、ハローワーク渋谷の職業相談部長は「完敗です。先生に引率してもらうなど対策を考えたい」と話していたとのことです。
 このことでも明らかなように、大事なことは取り組む側の姿勢ではないでしょうか。区がかかわりを持たずにハローワーク単位で単独で実施をした渋谷区では、思うような結果が得られませんでした。ところが、世田谷区ではハローワークと共催し、学校に出向き教師や生徒との懇談を重ね、企業との情報交換をしながら実施している世田谷区では成功しています。
 来住議員への答弁は「他区の状況等を調査しながら研究していく」というものでしたが、この間、どのような研究がされたのでしょうか。また、他区の成果と教訓を生かし、中野でも実効性のある青年の就労支援に取り組むべきだと思いますが、あわせてお聞きします。
 最後に、中野駅ガード下の雨対策についてお聞きします。
 殺伐としたガード下に夢画廊ができてから大分久しくなります。今では行き交う人々の目を楽しませています。私の友人に写真を趣味としている人がいますが、夢画廊のことがよく話題になります。ところで、「少し強い雨が降ると西側の壁から水が滝のように流れだし、作品の観賞どころではないよ。水しぶきがひどくて西側通路は通れない」といった苦情が何度も私のところに寄せられています。大雨の日に現地を見にいきましたが、東側線路の雨水を何本かの排水管に集め、壁に横にはわせたといで受け、それを何本かの排水管で排水するという構造になっていますが、線路からの水を受けるといからばしゃばしゃと水があふれ出していました。どうも排水管の径が細いために流れ込む水を飲みきれないようです。問題はJRのガードにあるため中野区だけで解決できないのは承知していますけれども、このままでは安心して歩けません。JRとの協議で抜本的な改善を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 このことを最後に伺って、私の質問を終わります。
     〔区長田中大輔登壇〕
区長(田中大輔) かせ議員の質問にお答えをいたします。
 私の方からは青年の雇用問題についてという質問についてお答えをいたします。
 青年の雇用をめぐる実態は極めて深刻であるということであります。青年の雇用機会の減少が中野区政にどのような影響を及ぼしているのかということでの認識のお尋ねでありました。
 青年に限らず雇用情勢は極めて深刻な状況にあるということについて認識しているところであります。大企業の横暴なリストラというふうに一言で切って捨てられる状況であるとは私も考えておりませんが、若者が安定的な収入を確保できる就業につけないという状況が区政に及ぼす影響としては、区税、あるいは国民健康保険料収入が減少することにつながったり、また購買力の低下によって区内産業の沈滞化といったことへの影響も考えられるかと思います。また、家庭を持ったり子どもを育てるということが難しくなっていくというようなことが続くとすれば、人口、世帯構成の不均衡が大きくなってしまうといったようなこともあるのではないかという認識をしているところであります。
 また、若者の就労支援に関する御質問もございました。他区の成果と教訓をどう生かしていくつもりなのか、どう調査研究してきたのかといったようなことであります。
 これまで他区の状況、区によって、ハローワークが抱えている就労環境といいましょうか、企業の環境、さまざまな違いがあるようであります。そうした各区の状況、労政事務所、他区との情報交換などをしてきたところであります。区といたしましては、就労支援としては、就労情報の提供でありますとか、仕事をするといったことについての就業教育といった側面的支援を中心に行っていくのが適当ではないか、そのように考えているところであります。
 また、就労の機会そのものが減ってきているということが問題なわけでありますから、中長期的に見て地場産業の育成、区内の産業振興をより一層図っていくということが重要であると考えているわけであります。
 私からは以上です。
   〔保健福祉部長菅野泰一登壇〕
保健福祉部長(菅野泰一) 区民健診及び小児医療につきましてお答えいたします。
 まず区民健診でございますが、健診の受診状況の低下が心配である、成人健診の有料化については再検討すべきではないかということでございますが、今年度より、がん検診に自己負担制を導入いたしましたけれども、これまでのところ、胃がん検診につきましては御指摘のように受診者は減少しておりますが、肺がん検診、乳がん検診、子宮がん検診につきましては増加しているという状況でございます。今後とも引き続きます厳しい財政状況の中で、区政や区民サービスのあり方を考えるとき、受診者に一定の自己負担を求めることはやむを得ないと考えておりまして、また職域健診受診者との負担の公平とか、区民の自覚的な健康づくりの観点からも、成人健診等への自己負担導入につきましては実施してまいりたいと思っております。医師会と十分に協議してまいりたいと考えいるところでございます。
 それから肺がん検診の精度を上げるためヘリカルCTを導入したらどうかということでございますが、ヘリカルCTにつきましては、多大な経費を要することのほかにスクーリニング検査といたしましての妥当性とか、あるいは一人当たりの検診時間など解決すべき課題がございます。現行のX線方式によります肺がん検診の有効性につきましては、確かに検証が必要だと考えておりまして、受診者の追跡などにつきまして予定しているところでございます。今後ともなお検討してまいりたいと考えているところでございます。
 それから小児救急医療につきまして重要性をどのように認識しているかということですが、この事業につきましては、少子化、核家族化の環境のもとでの子育て支援の一つといたしまして、区民ニーズにも的確にこたえるものといたしまして、極めて重要と認識しています。
 この事業をやっていることについての補助が少ない、都の方に働きかけたらどうかということでございます。おっしゃるように、この事業につきましては、重要だということから円滑に運営できるよう都とも協議してまいりたいと考えております。
 それから警察病院の関係です。
 まず1点目といたしまして、高度医療機器共同利用とか第三次医療期の紹介率などにつきましてさまざまな医師会からの要望もありまして、都の方に言うべきではないかということです。昨年10月に中野区の医師会、歯科医師会、薬剤師会、そして区の4者の連名で、東京警察病院に対しまして、そういった内容の要望書を提出いたしました。現在、特に先ほどNICU・新生児集中治療室などについて働きかけるべきではないかというお話もございましたが、そういうものも含めまして、要望事項の実現に向けまして、3師会とともに東京警察病院側に対しまして協議を進めているところでございます。
 以上でございます。
     〔教育長沼口昌弘登壇〕
教育長(沼口昌弘) 私からは、学校選択制に関しまして、検討が拙速である、あるいはどういう検討をしているか等につきましての御質問にお答え申し上げます。
 学校選択制につきましては、自分の行く学校を自分で選ぶことができる、あるいは特色ある学校づくりを目指しまして学校の活性化を図るといった見地から、現在、学校やPTAと意見交換をしながら選択制の導入について基本的方向性の検討をしている段階でございます。これまでに選択制の目的、メリット、導入した場合の課題、学校再編との関係などについて議論をしてきております。予想されるプラス面、マイナス面、これらの項目を具体的に出しまして検討しているわけでございます。
 学校選択制によりまして、保護者や児童・生徒にとりましては、選んだ学校をよくしていこうという意識が働きまして学校との協働の意識が高まるものと考えておりますし、また学校にとりましても、校長、あるいは教職員の意識改革につながりまして、これまでよりも一層、地域や保護者の意見を聞いて地域に対する情報提供を行うようになる、こうしたことが相まって学校の活性につながるものと考えております。
 近く教育委員会としての基本的な考え方の案を示す予定でいます。その案を区民や議会にお示ししまして、広く意見を聞いた上で最終的な結論を示す予定でおります。
 以上でございます。
 〔教育委員会事務局次長山下清超登壇〕
教育委員会事務局次長(山下清超) 私からは学校施設についてのお尋ねにお答えをさせていただきます。
 まず揮発性有機化合物についてのお尋ねがございました。
 今回、夏休みの期間中にこうした有機化合物の調査を行ったところでございます。方法でございますが、閉め切った条件のもとで8時間にわたって調査を行うという内容でございました。そうした結果、最大値で基準値をかなり上回った数値を検出したということでございます。その中でもホルムアルデヒドでございますが、これについては換気をすることによりまして室内濃度が基準値以下に下がるということが確認をされております。学校に対して換気をするよう指示をしているところでございます。また、さらに調査で基準値を超えた学校につきましては、10月中旬までに実際に児童・生徒が授業を受けている状態で再調査をすることにしてございます。今後、再調査の結果を見まして、必要があれば機械式の換気装置の導入なども含め検討してまいりたいと考えているところでございます。
 それから次は、雨漏り、トイレ、体育館についてのお尋ねでございます。
 まず雨漏りについてでございますが、緊急に対応すべき学校につきましては、部分補修などで随時対応をしているところでございます。外壁等の状況が著しく劣化した学校につきましては、雨漏りに対して総合的に対処する目的もありまして、外壁、屋上フェンスの同時改修を実施してございます。
 トイレについてでございますが、大規模な改修は多額な費用を要するということもありまして、現状では洋式便器への切りかえなど、当面、施設状態の悪い学校から順次補修をしてまいっているところでございます。
 それから体育館についてでございますが、構造的に見て倒壊ということよりも、内部部材の落下等によります被害が心配されるということがございます。このため中野区では落下防止の調査委託を行いまして、C、Dというランクについては、落下防止対策としまして窓ガラスの飛散防止対策を既に行ってございます。抜本的な対策といたしましては、今後、学校の統廃合や改築計画を検討する中で体育館の全面改築ということを考えてまいりたいと思ってございます。
 以上でございます。
   〔都市整備部長石井正行登壇〕
都市整備部長(石井正行) 私からは中野駅ガード下の雨対策につきまして御答弁させていただきます。
 中野駅のガード下につきましては、大勢の方々が通行しております。そういう意味からも影響はかなり大きいということでございます。速やかにJRに対しまして排水管の改善方を要望してまいります。
議長(山崎芳夫) 以上でかせ次郎議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 伊 東 しんじ
 1 経営改革のトータルシステムについて
  (1)財政の現状と将来負担について
  (2)基本構想の位置づけと緊急の施策について
  (3)事業別予算とその運用・決算について
  (4)行政評価と経営改革について
 2 まちづくりの手法と支援・協議体制について
 3 施設の適正配置と地域コミュニティーについて
 4 その他

議長(山崎芳夫) 次に、伊東しんじ議員。
     〔伊東しんじ議員登壇〕
2番(伊東しんじ) 初質問ゆえ至らぬ点もございますけれども、どうぞお許しください。
 2003年第3回定例会に当たりTOKYO自民党中野区議団の立場より一般質問させていただきます。
 正直に申し上げまして一般質問も3日目、10番目ともなりますと、いささか質問に窮すところでございます。特に本定例会においては、区長の目指す改革と現実の区政運営との関連が明確に、そして体系的に公開されていないため、行財政運営に対する質問が重なっているとの認識でございます。中野の区民は、長引く景気低迷の中、補助金の削減・廃止、事業の見直しなどの痛みにも耐え忍んでまいりました。しかし、余りにも長く続く閉塞感にも倦み始めております。せめて基礎的自治体である中野区がいち早くこの閉塞感から脱却する一筋の光明を見出し、希望を抱かせてほしいというのが多くの区民の偽らざる心情と私は考えております。そのような区民の視点に立脚し、二番せんじとのそしりを受けぬよう工夫して質問してまいりたいと思います。区長を初め理事者の皆様には、くれぐれも簡潔・明瞭かつ前向きな御答弁をお願い申し上げます。
 では、質問に入らせていただきます。
 最初といたしまして、区が現在取り組んでいる経営改革のトータルシステムについてさまざまな視点よりお伺いいたします。
 先日の我が会派、斉藤金造議員の田中区長の政策キャッチフレーズをとの問いに対して区長より「持続可能な行政と地域社会」との御答弁をいただきました。持続可能とは常に未来への影響、持続性を考慮し、現在の判断を行うことと理解します。この点を踏まえ、質問の趣旨を明確にし、区の置かれている状況を正確に把握するため、中野区財政の現状と将来負担について質問させていただきます。
 中野区は、過去の反省に立脚し、将来を見据え行財政5か年計画を策定し、改革に着手し、さらに田中区長のもと経営改革指針を発表し、経営建て直しの内部努力を進められてきました。これらの改革の中、事業廃止・見直し、人件費の抑制などにより一定の成果を見たことは評価できるところです。しかし、さきの質問に対し「改革は道半ば、予断を許さない状態が続く」との御答弁がございました。また、計画的資金の積み立ての必要性についての質問に「特に退職金、縁故債償還に備えておくべき」との御発言もございました。
 そこで、いま少し踏み込んで質問いたします。
 財政白書の将来見通しには、施設改修・改築費などの投資的経費が20年間の一般財源ベースで727億円、通年にして36億円になり、職員退職金がこの先15年間で437億円、通年にして29億円となっています。また、土地開発公社経営健全化計画に基づく保有地の買い上げなど債務負担行為216億円などがあります。これらを合計すると、この先20年間で1,380億円もの歳出増の要因があるやに見受けられます。また、現在の公営企業会計を含む起債残高550億円をさらに加えますと、その額は1,930億円にもなります。このほかにも中野駅周辺の土地利用転換計画、西武新宿線の地下化など都市基盤整備課題もございます。聞くところによりますと、さきに申し上げた土地開発公社の土地買い上げのための起債は、10年据え置き一括償還の縁故債とのことです。以上のことをかんがみると平成20年以降の歳出増の要因は極めて多く、公債費比率が異常に高まると推測されます。しかるに、財政白書では今後5年間の財政見通しとして19年度までしか試算がございません。
 そこで、お尋ねいたします。白書の見通しには、ただいま申し上げた要因を精査し見込んだものなのでしょうか。また、これらの要因以外にも歳出要因があるかもあわせてお尋ねいたします。さらに、財政見通しは平成19年度までとなっておりますが、さきに述べた理由により平成20年度以降の見通し、基本構想の目指す平成26年度までの見通しはいかがなのでしょうか。過去からの負の遺産に対し負担の公平性などを考慮した区として持続可能な区政運営に資する財源見通しの備えがあるのか、具体的な数字を挙げてお答えください。
 続きまして、経営改革のトータルシステムと、現在策定中の基本構想の位置付け、並びに緊急の施策について、田中区長の見解をお尋ねいたします。
 田中区長は、就任以来、実現性や計画性を重視した新しい基本構想を策定し、その内容を具体化し、財政再建への道筋と施策の方向、施設配置などの主要課題への方針を明示し、取り組みの成果に関する達成目標を明らかにするものとして、(仮称)新しい中野をつくる10か年計画の策定に取り組まれています。
 一方で、策定に要する15年度・16年度の2年間、前述の作業と平行して経営改革指針による優先的に取り組むべき区政の重点課題を挙げ、経営改革を進めています。いみじくも経営改革指針で言っているように激しい社会情勢の変化、厳しい経済情勢の中、中野区が緊急・危急に対処すべき課題は山積しています。特に指針の中で提示された中野駅周辺・西武新宿線の地下化に関連する都市基盤づくり、産業の活性化、子育ての不安解消、児童虐待防止、小・中学校の教育環境整備、保健福祉の基盤整備、循環型社会の実現、凍結した施設建設計画の方向性、施設の配置・運営の見直しなどの課題は、基本構想の策定を待つまでもなく一刻も早く取り組むことは当然であり、言いかえれば行政としてわずかな停滞も許されないと私は考えます。また、行政としてこれら課題に取り組む際、一定の試行錯誤はあっても、施策の一貫性・継続性が重要なのではないでしょうか。
 そこで、お尋ねします。区長はこれら緊急の課題に取り組むに当たって、どのようなスタンスで臨まれるのか、あくまでも基本構想の策定を待って仕切り直し、施策を講じていくつもりなのか、施策の一貫性・継続性という観点を交え、その姿勢を明確に御答弁いただきたい。
 また、特筆すべき課題として少子化による急激な学校の小規模化が進み、速やかなる対応が求められております。施設再編・再配置以前の学校再編についての考え方について教育委員会にお尋ねいたします。
 3番目といたしまして、事業別予算とその運用・決算についてお伺いいたします。
 近年、自治体においても、現金主義会計と発生主義会計の併用、企業会計的手法の導入などさまざまな試みがなされております。これは歓迎すべきことと思います。中野区でも数年前からバランスシート、行政コスト計算書、キャッシュフロー計算書などの企業会計的手法により財政の分析に取り組んでいます。しかし、これらの分析が真に財政運営上、必要な情報であり得るかは疑問であると言わざるを得ません。例えばバランスシートですが、これは総務省が用意したバランスシートのスタンダードに数値を配分しただけではないでしょうか。聞くところによりますと、資産として計上されている項目、数字はすべて網羅的に取得時の価格で計上しているだけだといいますし、また、土木費に当たる部分では道路もそのまま計上されているという状態と聞いております。負債では、退職給与引当金として全職員が年度末に退職するとして、その退職金の総額を計上しているとも言われています。このような情報が果たして財政運営上、有用でしょうか。バランスシートとは、本来であれば債務償還能力をチェックし、発行可能な区債の総額を推定し、事業を計画的に実施するために活用されるべきものではないでしょうか。
 東京都は、財政債権推進プランの中、バランスシートを公表し、さらに分析手法としての課題を認め、専門委員らによる「機能するバランスシート~都の経営を改革する冷徹用具」と題する報告を得て改善に取り組んでおります。その報告によると、機能するバランスシートの作成目的は、都の組織活動を会計数値で表現することで職員のコスト意識だけでなく、その経営責任のあり方を明確にするとともに、都民に対して行政活動の状況をより明らかにする。ストック情報、キャッシュの流れ、行政コスト情報を毎期、的確にとらえる機能するバランスシートを作成・活用することにより、現行の公会計制度の弱点を克服し、民間企業経営手法の導入を図るとされています。ここで言うバランスシートは広義のバランスシートであり、貸借対照表、キャッシュフロー計算書、行政コスト計算書の3体系から構成されるもので、中野区の言うバランスシートはこの中の貸借対照表に当たります。
 また、この報告書では、財務報告書を部門別・事業別に展開することにより事業別バランスシートの作成が可能になるとして、3体系のバランスシートとは別に税金投入型事業の事業別バランスシートとして、試みに文化事業部門の4つの施設運営を減価償却、資金調達における金利負担の概念を加味し具体的に検討しています。さらに、報告書では、機能するバランスシートは各部門ごとにくくったバランスシートをつくり、その経営の責任者を明示する。業績の評価を語り、ストック・アンド・フローを示し、過去の反省と未来の方向を志向するものとしています。
 区長は常々財政的裏付けのある計画とおっしゃっています。このことは事業のコスト管理の徹底だと理解します。自治体である以上、現金主義会計による分析は当然として、同時並行して発生主義会計による施策・事業・サービスに係るコストを把握し、事業資産を減価償却、時価評価を行うなどして債務を発生ベースで把握し、常に事業別コスト管理に努めてこそ、健全な財政運営、世代間の公平なサービスの提供、税の負担を目指せるのではないでしょうか。
 そこで、お尋ねいたします。中野区は、区政目標・予算・組織について16年度に向け検討の中にあり、事業部門別組織編成・予算編成の用意があると聞きますが、あるとすれば、その運用に当たって組織のあり方、職員のコスト意識の向上、組織管理手法など、どのような構想を持っているのか。また、事業部門別にバランスシートなどを活用し、事業成果の精算としての決算をいかに予算に反映するか、その構想をお聞かせください。
 この項の最後に、行政評価について質問させていただきます。
 区は3年前より行政評価を実施しています。このことはマネジメントサイクルの観点からも大切だと考えます。しかし、現行の行政評価が経営改革の中でどう活用されるか、特に事業別コスト管理という視点で有用に機能するものでしょうか。さきに引用した東京都のバランスシートの報告書の中には、機能するバランスシートは、行政評価制度との連携により各事業別の経営分析・検討に役立つ、その結果が新たな戦略計画へのフィードバックされるといった行政経営の新しい手法の確立へとつながるものであると行政評価と財務分析手法の関連付けも示されています。
 確かに、中野区の行政評価には施策コストが併記されています。このコストには人件費も退職金も含まれているとのことですが、それは職員の従事時間を積み上げたデータに基づいたものでしょうか。一人ひとりの職員にコスト管理を徹底させ、実務者レベルでモチベーションを維持し、経営改革を進める工夫がなされているか、制度のあり方をお答えください。
 また、行政評価の中、設備、建物の減価償却、区債償還費が勘案されていないとのことでございますが、ハコモノの建設・運営コストのライフサイクル把握に寄与する制度の用意があるかをお答えください。
 以上、この項はさまざまな側面から中野区の現在の取り組みについて質問させていただきましたが、要は田中区長が目指す財政再建、経営改革の中での基本構想、長期計画の位置付け、そこから派生する施策、事業を決定・実施する際、必要とされる組織、ツール、これは事業部門別組織編成・発生主義的会計分析手法・行財政評価などですが、これらが矢継ぎ早に用意され、その目的・活用法はいまだ体系的に明示されておりません。予算・決算にどのように反映されるものなのかも明確ではありません。このことが区民、職員の理解を得にくくし、結果、改革への意識高揚に反映されにくいのではないかとの危惧から質問いたしました。前向きな御答弁をお願いいたします。
 続いて、まちづくりの手法と支援・協議体制についてお尋ねいたします。
 さきの用途地域見直しの際「今後、再度の用途地域の見直しを待つのではなく、各地域の課題にきめ細かく対応した地区計画によるまちづくりを行っていく中で適切な用途地域・地区の見直しを検討します」との文言がありました。また、現在、中野区では、中野駅周辺のまちづくり、西武新宿線の地下化に関連してのまちづくりについて調査検討を始めております。さらには、3年前に策定された都市計画マスタープランには「これまでのまちづくりは行政が発議し、区民参加を図りつつも行政主導型で進められることが多かったが、これからは区が区民生活感覚からの発議、提案や計画づくりを支援しつつ、それを受けとめるシステムを構築し、提案、協議型で協働してまちづくりを進めることが必要であり、それなしては地域に根ざした魅力あるまちづくりは容易に進まない」と明言されています。
 中野の町並みは、建築基準法などの制約の中で、民間の経済活動の流れに委ね自然発生的に形成されてきた感が強く、町の将来像を共有した上で協働によるまちづくりにはほど遠い感じがいたします。まちづくりは、その地の住民生活に根ざした感覚とより広域な見地からの全体計画との融合であり、その間をコーディネートするには、都市計画・建築に関する高度な専門知識と住民の声を聞き、整理し、ビジュアルに表現する技術を持った専門家と全体計画を説明する職員の協力が必要と考えます。また、地区計画を策定した後も、計画を実際のまちづくりに反映する際、策定に携わった専門家が率先してまちづくりを牽引することは重要と私は考えています。
 さきの質問で我が会派斉藤金造議員は、区の提示する生の情報をそしゃく・解説する区民の生活感覚を有するナビゲーターの必要性を訴えておりました。私はまちづくりにおいてさらに進めて、区民感覚を有し、継続的にまちづくりに参画できる専門家の派遣、活動の支援制度の必要性を訴えます。
 そこで、お聞きします。今後、これらまちづくりを進めていくに当たって中野区はどのような姿勢で臨まれるのでしょうか。区民の発議、提案や計画づくりを支援する制度の具体的方策、それを受けとめる区側のシステムとしてどのような構想をお持ちでしょうか、明確な答弁をお聞かせください。
 第3項として、ゼロベースで臨むと言われている施設の適正配置についてお伺いいたします。
 一口で施設と申しましてもさまざまなものがあり、それら施設には、地域センター、小学校、中学校、児童館といった地域コミュニティの核としての性格を有するものが多々あるのが現状です。現に中野区は地域センターを核とするエリアを最小行政単位としてとらえ、20年余の運営を続けてきました。一方、地区教育懇談会などは中学校区単位で構成されています。また、小・中学校では地域に開かれた学校を目指し、盛んに地域コミュニティへの参加呼びかけを行っています。さらには、施設とは直接関係ございませんが、自治会という組織があり、区政運営の一助をなしてきた経緯があります。
 ただいま例に挙げた地域センター、小学校、中学校、児童館といった施設の持つ地域コミュニティの核としての性格をいかにとらえているのか。地域センターであれば最小行政単位の再構築、あるいは学校、児童館であれば、地域コミュニティへの寄与、地域の関与の仕方など、区長は再構築に向けて、これは施設の再構築でございますけれども、どのような腹案をお持ちか、基本構想審議会、ワークショップなどへの的確なコミュニティに関する情報提供がなされ、議論がなされているのか、お尋ねいたします。
 最後といたしまして、その他といたしまして自転車問題についてお伺いいたします。
 区内鉄道各駅で駐輪場が皆無なのは、新井薬師前駅、新中野駅の2駅ですが、それら2駅の駐輪場整備の方針についてお伺いいたします。
 中野区自転車等駐車対策協議会答申によりますと「民営自転車駐車場設置費補助制度を見直すとともに民間事業者による自転車駐車場経営への参入を図るため、区との連携により自転車駐車場の整備、運営(PFI等の活用)や運営ノウハウの提供などの運営支援を行う」とありますが、答申を受けて中野区はどのような事業展開を目指しているのか、お尋ねいたします。
 また、答申の中、撤去した放置自転車のリサイクルについて触れられていますが、それらのうち再利用に耐えるものについては、現在どのように処理されているのでしょうか。NPOなどの協力を得て発展途上国への支援物資として有効活用できないでしょうか、お答え願います。
 以上、質問させていただきましたが、さきに申し上げたとおり、簡潔明瞭かつ前向きな御答弁をお願い申し上げます。
 御静聴ありがとうございました。
     〔区長田中大輔登壇〕
区長(田中大輔) 伊東議員の御質問にお答えをいたします。
 私の方からは、経営改革のトータルシステムについてという幾つかの御質問にお答えをさせていただきます。
 まず財政の現状と将来負担についてということであります。
 財政白書で見た今後5年間の収支見通しの中での試算の条件、また平成26年度までの見通しをどう考えているのかといったようなことでの御質問でありました。
 財政白書の中での今後5年間の財政収支見通しの試算の条件として、まず施設改修等の投資的経費の急増が予定されるわけですけれども、これについては5年間の財政白書の中ではまだ見込んでおりません。また、退職手当については、この5年間について推計した所要額を見込んでいるものであります。それから土地開発公社から取得する用地につきましては、土地開発公社等の健全化対策によりまして、土地開発公社から取得をする用地というのは、区が公社から先行取得した当時の価格で買い取るということでありますので、これについての含み損は見込んでいません。それから特別区債の償還であります公債費については、既発行分、また都市開発公社等の関係で新規発行に係る元利償還額を見込んでいるところであります。そのほか生活保護や手当などの扶助費、また国保や介護保険など特別会計への繰出金については、一定の伸び率を見込んでいるところです。
 さらに踏み込んで26年度までの見通しということについてですが、特に歳入のうち一般財源については、現在の社会・経済状況から区税や特別区交付金、地方消費税交付金が大幅に伸びる要素はないと見ざるを得ないと見ています。現時点では5年間の試算と同様伸び率はゼロ%を見込まざるを得ないと考えています。
 さらに、不確定な要素でありますが、現在、議論されています三位一体改革、国、地方の間での地方交付税交付金、補助金、負担金、それから税源、それらを一体的に改革をするという三位一体改革ですが、この改革の行く末によっては自治体の財源がさらに変更されるということで、一層厳しい財政状況になるといったことも想定されなければならず、三位一体改革の動向についても注目をしているところであります。
 それから基本構想を待つまでもなく緊急の施策については取り組みを行わなければいけないのではないかといったことでの御質問でありました。
 経営改革指針では、15年度と16年度の2カ年に優先的に取り組むべき区政の重点課題を示したところであります。また、こうした考え方を踏まえた上で、現在、区がどういうことに重点的に取り組んでいくべきかといった目標、全庁的に整理をしながら緊急的に取り組むべきこと、区として今行わなければならないことについて、しっかり取り組みをするということでやっているところであります。課題を先送りすることなく解決に取り組まなければならないということであります。特に経営改革指針でもお示しをしたところの都市基盤づくりへの取り組み、また産業活性化、環境問題、子育て支援、そうしたことなどについて手を抜くことなく、しっかりと緊急課題について対応をしていく、また将来への見通しを持っていくことが必要と考えているところであります。
 それから事業別予算とその運用、また予算、決算との関連等についてという御質問がありました。
 御質問の前段でありましたように、中野区が現在とっております総務省方式のバランスシートは、現在の中野区の予算の組み立て方をまた総務省方式ということで当てはめてやったところ、なかなか発生主義に基づく会計分析として十分なものとなっていないのではないかといった認識のお示しがありました。これについては私どもとしても問題を認識しているところでありまして、今後、改善の検討を行っていきたいと思っているところです。
 また、事業別予算編成についてですけれども、16年度の予算編成からは、事業が目的としているところ、そうしたことに着目した事業部ごとの組織編成を行い、また予算についても、事業別予算の編成を行うこととしております。こうしたあり方の中では、部長は区長の指示のもと、部に配分された一般財源の範囲内でみずからの権限と責任において予算を調整いたします。区政全体の目標を踏まえつつ計画的に部の目標を達成していくということになります。達成状況について、当然、決算とともに行政評価を実施して、評価結果を次年度の予算編成過程に生かしていくということでありまして、こうした組織の組みかえ、また予算のつくり方を変えていく、このこととあわせて決算評価、そして予算編成という予算編成のサイクルなどについての改善、改革も行っているところであります。こうしたことの中で、職員のコスト意識を高めつつ、目標達成に有効な予算の執行、計画的な事業の執行を行っていきたいと考えております。
 それから行政評価に関連して、現在の行政評価は事業別のコスト管理という視点で有用に機能しているかどうかといった問題、また職員一人ひとりのコスト意識を徹底させるという工夫はされているかといった御質問がありました。
 今、中野区が行っております行政評価の作業につきましては、事業別コスト管理といったことをかなり意識して、昨年行いましたものに改善を加えてきたところであります。依然として改善途中でありますので、この中からさらに課題を見出していきたいと思っているところであります。
 行政評価については、人件費を含めました施策、事務事業ごとのコストを明らかにして、さらに指標と達成した成果を示すものとしてつくっているところであります。こうした考え方で分析することによって、事業ベースコストの管理を行う上で有効性があると考えております。
 それから行政評価でコストに算入をしました人件費については、従事している職員数に区職員一人当たりの標準的な人件費を掛けて算出をしたものであります。そうした意味では、精密さにおいてはまだ若干欠ける部分がある、おおよその人件費といった部分にならざるを得ないのが現状であります。いずれにいたしましても、職員のコスト意識は行政評価によって高めていくことができると考えております。
 今後、目標と成果による管理を徹底していきながら、またこの考え方が職員一人ひとりの仕事を進めていく上で実際に身についていくといった努力をしていきながら、職員一人ひとりが費用と効果を踏まえた業務改善や改革に取り組んでいくように改革を行っていきたいと考えております。
 私からは以上であります。
   〔都市整備部長石井正行登壇〕
都市整備部長(石井正行) 私からは、まちづくりへの支援と自転車駐車場の問題、それから放置自転車のリサイクルということにつきまして御答弁させていただきます。
 まず初めに、まちづくりにつきましては、区といたしましては、住民ニーズや地域の実情を踏まえまして、合意形成に必要な都市計画上の情報提供を初め地域の将来像やまちづくりの目標などを提案するとともに、職員や専門家を地域に派遣するなどの地域まちづくり支援を行ってきてございます。こういったことを引き続き積極的かつ効果的に進めてまいりたいと考えてございます。また、地域で継続的にまちづくりにつきまして話し合えるよう、地域住民や関係者で構成される勉強会、協議会等の組織づくりを支援するとともに、地域住民みずからが検討し、取りまとめたまちづくり提案をきちんと受けとめるなど、地域まちづくり支援を充実してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、駐輪場の問題でございますが、御指摘のございました新井薬師前駅では民間駐車場経営者から民営駐輪場の設置・運営への協力依頼を受けてございます。これにつきましては、区として現在、検討をしておる段階でございます。また、新中野駅でございますが、ここにつきましては民営駐輪場を含めてあらゆる可能性を追求してまいりたいと考えてございます。
 また、撤去をして引き取りのない自転車につきましては、現在、約7割を古物商への売却とシルバー人材センターのリサイクル用に引き渡しを行ってございます。再利用率につきましては23区で一番高い比率ということになってございます。また、売却分につきましては、半数以上が現在、発展途上国を含みます海外へ輸出されていると聞いてございます。
 以上でございます。
     〔区長室長金野晃登壇〕
区長室長(金野晃) 私からは施設の適正配置と地域コミュニティについての御質問にお答えいたします。
 現在あるさまざまな施設、地域の持つコミュニティの核としての性格をいかにとらえているのかという御質問でございます。
 施設配置を考えるに当たりましては、区全体からの配置の視点とともに地域に必要な役割、機能の視点で考えなければならないということで取り組んでおります。
 また、地域コミュニティへの寄与、地域の関与の仕方等、どのような考え方を持っているのかということでございます。
 地域の中に配置される施設につきましては、運営を含めて地域コミュニティの活動を高めるような施設のあり方を考えていきたいと考えております。地域に一層開かれた施設にするということはもちろんでございますが、運営を地域にゆだねる、あるいは民間の団体に公共的な目的のために活用してもらうなど、さまざまな視点で検討してまいりたいと考えております。
 また、最小行政単位は地域センターではないかということで、どのように単位を考えていくのかという御質問でございます。
 施設の全体的な考え方の中では、中野区をどのような地域区分でとらえ、その地域内にどのような施設があるべきか、またどのようなサービスが施設を通じて必要かという点からも検討していきたいと思っております。
 また、施設の考え方、基本構想や基本構想のワークショップ、あるいは審議会に的確な情報提供がされ、論議がされているのかという御質問でございます。
 基本構想審議会やワークショップにつきましては、施設白書など現状の施設のあり方、また区としての考え方、これらの費用負担なども含めて資料をお出しして論議をしてもらってございます。現在まだ論議が始まって幾つか施設についての議論が出ているという段階でございます。今後さらに追加の情報をお示しして施設について論議をしていただきたいという予定でございます。
 以上でございます。
 〔教育委員会事務局次長山下清超登壇〕
教育委員会事務局次長(山下清超) 学校の再編について教育委員会の考えを聞きたいというお尋ねがございました。
 教育委員会では、区立小・中学校の再編は速やかに取り組むべき教育行政上の課題であると考えてございます。昨今、区立学校の小規模化が著しいわけでございまして、緊急な対応が必要だという学校も出てまいっております。こうした学校については、基本構想の改定作業を待たずに考え方をお示しする必要があると思っておりまして、速やかにそうしたことができるよう努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
     〔伊東しんじ議員登壇〕
2番(伊東しんじ) 再質問させていただきます。
 確認という意味で2点ほど。
 まず1点は、平成26年度までの財政見通しについて、特に19年度以降、退職者の激増、あるいは施設改修・改築等の費用で、起債が大幅にアップして公債費比率が極端に上がるのではないか、3年連続公債費比率が20%でしたか、超えますと起債制限を受けるということを聞いております。その辺の見通しがどうなのか、また基本構想の策定に当たりまして26年度までの少なくとも歳出要因、それに備える歳入要素、どれだけ努められるのかという見通しを策定する予定があるのか、お聞きしたいと思います。
 それともう1点は、経営改革のトータルシステムについても、まだ今の区長の説明では見えてきづらい部分がございます。さまざまな文書ではそれぞれの位置付けが書かれてございますけれども、経営改革をトータルに見た位置付けを用意して区民に公表していく、協力を求めていく、それらの用意があるか、再確認したいと思いますので、以上2点、御答弁ください。お願い申し上げます。
     〔区長田中大輔登壇〕
区長(田中大輔) 再質問にお答えをいたします。
 特に19年度以降の公債費比率を御心配いただいております。確かにおっしゃるとおり施設の改修、建て替えが必要となってくるといったようなことから、公債費比率の見通しといったことを持つことは大変重要なことになってくると考えております。後段の方の御質問にありましたように、基本構想、あるいはそのための10か年計画をつくる際には、26年度までの歳出要因についてしっかりと把握をすることが必要であると考えております。
 それから経営改革についてトータルなシステム、トータルな姿を区民に示して理解を求める考えはあるかということであります。そうした経営改革全体の考え方は今後の区政運営の基本的な形になっていきますので、何らかの形で区民の皆様にもお示しをしていきたいと考えております。
議長(山崎芳夫) 以上で伊東しんじ議員の質問は終わります。
 議事の都合により暫時休憩いたします。
      午後2時44分休憩

      午後3時07分開議
議長(山崎芳夫) 会議を再開いたします。
 一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 むとう 有 子
 1 セカンドスクールについて
 2 心の健康対策(メンタルヘルスケア)について
 3 区民公募のあり方について
 4 総合防災訓練のあり方について
 5 その他

議長(山崎芳夫) むとう有子議員。
     〔むとう有子議員登壇〕
17番(むとう有子) 私は、区民の皆様から寄せられました御意見をもとに質疑をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、セカンドスクールについてお尋ねいたします。
 「とべ 緑の教室 武蔵野市セカンドスクールの挑戦」という題名の書籍を読まれた区民の方が、私に「中野区の教育にもこのような考え方が必要です」と言って、その本を置いていかれました。私も読んでみて感動しました。
 セカンドスクールを日本語に直せば第2の学校ということです。では、ファーストスクール、つまり第1の学校は子どもたちが毎日通っている通常の学級です。対するセカンドスクールは、都会の生活からも日常の学校生活からも離れてクラスごと自然の中に飛び出し、先生や友達と一緒に寝泊まりをしながら農林水産業を体験したり、緑の中で思う存分遊んだりすることで、普段の学校生活・ファーストスクールではなかなか体験しにくい活動や学習を通して学校教育の目標をより効果的に達成しようとするものです。ファーストスクールにセカンドスクールを取り入れることは学校教育を一層充実させるための新しい方法です。
 武蔵野市の小学校は5年生が6泊7日から9泊10日、中学校は1年生が4泊5日の日程で行っており、全員が参加しています。さらに、今年度、9月、10月にかけて小学校4年生が2泊3日のプレセカンドスクールの試行が実施されます。ただし、これは夏休みの特別なイベントではなく、1学期から2学期に行う正規の授業です。2泊3日程度の林間・臨海学校ではありません。このセカンドスクールを武蔵野市は1992年から試験的に始め、1995年から本格実施しています。
 セカンドスクールの発想のヒントは、土屋武蔵野市長御自身の子育て体験だったそうです。かつて市長は2DK、45平方メートルのアパートに家族5人で住まわれ、子どもが家の中で飛び跳ねるたびに近所に迷惑をかけるからやめなさいと言わなければならない、こんなことをしていたら子どもはだめになってしまうと我が子から始まり、子ども全体が心配になったそうです。そして市長になられ、今、武蔵野市の教育には何が必要なのかを検討するための武蔵野市学校経営検討委員会を1987年に発足させました。学習のおくれ、不登校、生活習慣の欠如、集団の秩序を乱す行動、これらについて委員会は、「子どもたちにあらわれた病理の主たる原因は子どもたちだけにあるのではなく、彼らを取り巻く家庭、学校、地域社会、さらには社会全体の中に求められねばならない。諸病理現象も子ども自身が病んでいるのではなく、どこか別のところの病因が社会の最も弱い部分である子どもにあらわれたものと考えることもできよう」という認識で一致し、2年にわたる議論の末、報告書がまとめられ、武蔵野市の教育の切り札としてセカンドスクールの設置がうたわれました。
 この報告を受けて1990年にセカンドスクール構想策定委員会が発足しました。ここでも2年にわたる検討が進められて報告書ができ上がり、それに基づいた試行実施を行い、1994年より、これまで夏休みに実施してきた小学校5年生の2泊3日の林間学園を廃止し、セカンドスクールが本格実施されました。
 セカンドスクールの実施目的は、1、豊かな自然や地域の特性を生かした学習教材、学習方法を工夫することを通して、一人ひとりの子どもが課題解決的な学習を進め、ファーストスクールにおける学習を補完する。2、多くの人々との交流や出会い、多様な体験的な学習を通して子どもの創意、個性の伸長を図るとともに自立に必要な知識や技術を身につける。3、恵まれた自然環境の中で長期のゆとりある宿泊生活を通して、豊かな情操を涵養するとともに協調性や連体意識を情勢し、豊かな人間関係を育むことだそうです。このようにセカンドスクールがスタートし、ある校長先生はセカンドスクールについて、現代の社会生活、生まれながらの日常生活から離れて未経験の農村計画にどっぷりとつかるところに特徴がある、生まれながらの逃れられない環境から脱却できるんですから、これほど大きなものはない。
 さらに、セカンドスクールには八つの解放があると指摘しています。1、教室での勉強からの解放、そして宿題からの解放、2、塾やお稽古事からの解放、3、親兄弟姉妹からの解放、4、子ども部屋という個室からの解放、5、テレビやテレビゲームからの解放、6、お金やお店からの解放、7、本からの解放、8、車からの解放、これらから解き放たれた子どもたちにとってセカンドスクールはフリースクールを超えたおもしろさがあるとコメントしています。過度な子ども依存が指摘されている現代の親にとっても子離れをする機会となっています。子どもたちにとっては、長期にわたり寝食をともにするのですから、飾らない本当の自分の姿をさらけ出すことになり、ファーストスクールの教室では見ることのできない新しい発見があり、新しい友達関係がつくられていきます。どの親も長過ぎて心配しながら送り出しますが、帰ってきた我が子からのあふれんばかりの報告を聞き、どの親も我が子の成長を目の当たりにしてセカンドスクールの成果を実感しています。
 実施当初は、それは単なる遊びだ、遊びのために授業が食われてしまうのは困るなど学校現場や保護者からの反発があったそうですが、当時の杉本教育長は「遊びではない、これが本当の勉強だ」との熱い論議をなさったそうです。セカンドスクールの実施地や内容はすべて各校に任されていますので、各校手探りから始めました。10日間の体験の中に何を込めてやれるのか。本物の感動とは何なのかなど教師も悩み、みずからの教育観に再び向き合い、それが学校を変える大きな成果につながっています。
 本の中で川邊現教育長は「学校のカリキュラムで学ぶ世界が限られています。本格的に知の総合を考えた場合、ファーストスクールでやれる部分もあるでしょうけれども、自然の中に身を置くに勝るものはありません。理屈抜きでそこに生きて、息をして、何かを受け入れる、それは生活、気候、歴史、すべてに関連があると気づくでしょう。何かを調べると途端にそれが枝葉に分かれていきます。都市の生活ではほとんどのものが加工されてパック詰めです。だれがどのようにして持ってきたのかも考える必要はない。そんな子どもたちが支える21世紀の日本はどうなるのでしょう。都市の子どもたちがセカンドスクールのような形で自然豊かな場所で総合的な学習をすることは極めて重要です。単に何十時間の授業以上に必要な施策だと考えるわけです。子どもは日々成長します。予算にゆとりができてからセカンドスクールをやるではなく、今必要なのです。他を節約しても費用を生み出そうと頑張っているのです。子どもの成長は待ってはくれませんから」と語っています。
 武蔵野市ではセカンドスクールに至るまでに8年、そして本格実施から既に8年の成果が着実に実を結んでおり、遅まきながらセカンドスクールの重要性に気づいた国や地方自治体から大いに注目され、問い合わせや視察が多くなっているそうです。武蔵野市と中野区の子どもたちの生活実態にそれほどの差はないと思います。ファーストスクールで育てきれない課題をセカンドスクールで補完するという試みは中野の子どもたちにも有効な手法だと考えられます。御存じのように教育行政は首長の権限が及ぶ一般的な行政とは違い教育委員会は独立運営が建前です。さらに公立小・中学校の教員は都道府県の職員です。市長部局、教育委員会、学校現場、受け入れの農村、漁村が手を結びセカンドスクールが実現できたのは、教育に携わる人たちの柔軟な発想と情熱のたまものです。これこそがまさに教育の地方分権の先取り事例といえましょう。
 この感動的な武蔵野市セカンドスクールのことを知った後の8月25日、中野区教育委員会事務局教育改革推進担当がつくられた教育委員会資料「学校選択制の導入について」を読みました。先ほど、かせ議員の質疑の中にもありましたが、それによると学校選択制を導入すれば特色ある教育活動が推進され、学校選択制を導入すれば学校が活性化され、学校選択制を導入すれば学習意欲への効果があり、学校選択制を導入すれば保護者の意識改革がなされるとバラ色の展望が述べられています。率直な感想を申し上げれば、何と薄っぺらな内容かとの思いです。新しい形を導入すれば、それが即教育改革だと何か勘違いをなさっているのではないでしょうか。武蔵野市のセカンドスクールは、子どもたちの側に立ち、長い期間をかけて熟成した教育の質を高める教育改革といえますが、単なる学校選択制の導入が教育の質を高める教育改革につながるとはとても思えません。これは既に実施された品川区の事例でも明らかになっています。中野区の教育委員会資料には、学校選択制のねらいは学校改革であり、そのためには各学校が教育方針や特色を出していくことになるが、品川区の昨年4月入学の小学生の保護者へのアンケートでは、通学しやすさが66%、兄や姉が通学しているが33%と多く、いじめや荒れが少ないが20%で、特色ある教育活動はたった8%にすぎなかったと書かれています。学校選択制を導入してもアピール度のある特色ある教育活動が打ち出しきれず、保護者に対してもアピールにはならなかった。つまり学校選択制で特色ある教育活動といえるものはつくられていないというデータを資料に挙げながら学校選択制を掲げるというのはどういうことなのでしょうか、理解に苦しみます。
 先日行われた中学校PTA連合会の方々との懇談の中でも、皆さん、すべての学校の教育内容の充実、つまりわかりやすく、楽しく、興味をそそる授業の実現を第一に望んでおられました。現時点での選択制の導入には反対であるともおっしゃっておりました。
 今年度から教育委員会事務局に教育改革推進担当なる係がつくられたようですが、今の中野区の子どもたちに必要な教育とは何なのかを区はどのようにとらえていらっしゃるのでしょうか、お答えください。
 るる述べました武蔵野市のセカンドスクールについては、どのような御認識と見解をお持ちなのか、区長と教育長の答弁を求めます。
 武蔵野市ではセカンドスクールの実績と成果を広く知らせ、なおかつ国に認知させ、国からの補助金を勝ち取るために11月にシンポジウムを開催する予定だそうです。地方自治体としての意欲に敬服いたします。このような姿勢、さらにさきに紹介いたしました武蔵野市教育長の談話「予算にゆとりができてからセカンドスクールをやるのではなく、今必要なんです、他を節約しても費用を生み出そうと頑張っているのです。子どもの成長は待ってくれませんから」という教育への姿勢をどのように評価なさいますか、中野区の教育長にお尋ねいたします。
 中野区では、岩井臨海学園、軽井沢林間学園を、移動教室として軽井沢と常葉でいずれも2泊3日で実施しています。実施目的をそれぞれ読んでみますと「豊かな情操を育てる、社会生活の基礎を培う、体験学習を通してみずから学ぶ意欲や態度を身につける、好ましい人間関係を育てる」などと述べられていますが、果たして2泊3日で達成できるのでしょうか。なお、いずれも決められた場所、決められたメニューで目的の成果の検証もほとんどなされることなく慣例的に実施しているように見えます。武蔵野市とのセカンドスクールとの差はいかばかりでしょうか。
 今後、武蔵野市のセカンドスクールを検証し、その成果を中野区でも取り入れられ、中野の教育現場でも生かすという前向きなお考えはありますか、お答えください。
 今、中野の子どもたちになさなければならない生きる力を育てる教育の実現に真剣に取り組んでいただきたいことをお願いいたしまして、この項の質疑を終わります。
 次に、心の健康対策(メンタルヘルスケア)についてお尋ねいたします。
 8月25日、厚生労働省は2002年の労働者健康状況調査結果を発表しました。この調査は、5年に一度実施し、今回は昨年10月、1万2,000社と労働者1万6,000人を対象に実施されました。この調査結果によると仕事で体が疲れていると答えた人は過去最高の72.2%に達し、61.5%が強い不安、悩みがあり、ストレスがあると答えるなど、心身双方の疲労を訴える人が多かったそうです。また、昨年1年間の自殺者は3万2,143人で、経済・生活問題が動機の自殺件数は約8,000人、その7割は男性で、30歳から50歳の中高年が多く、過労でうつ病などになり自殺に追い込まれる過労自殺が動機のトップです。企業は、組織的、継続的なメンタルヘルス対策の策定や労働者へのストレス対処法研修の実施が必要です。しかし、不況を背景に76.5%の企業がメンタルヘルスケアに取り組んでいないとの回答でした。
 さて、中野区では、職員を対象に2002年度より新規事業として、医療機関に委託し、専門医によるメンタルヘルス相談を実施しています。この相談は、毎月1回は区役所内で、さらに1回は委託医療機関で行われています。2001年度の精神保健にかかわる相談は32人でしたが、専門医によるメンタルヘルス相談が実施されたことで、2002年度は168人と大幅にふえました。中野区では、人件費削減を図るため新規採用を見合わせるなどし職員数を減らしていますが、質の高い区民サービスの提供を目指さなければなりません。そのためには職員の心身双方の健康管理が重要です。だからこそ専門医によるメンタルヘルス相談が重要であり、必要です。しかし、一方でストレスを抱えながら上司に知られたらと相談をためらう人もまだまだ多いと思われますので、メール相談なども検討すべきと考えます。精神疾患による休職者が現在10人くらいおられるようですが、職員のためにも、区民のためにも、休職者をこれ以上ふやさないための取り組みが必要です。
 2002年度よりスタートした専門医によるメンタルヘルス相談の成果と課題、ストレス対処法等の研修の実施など、メンタルヘルスケアの充実に向けた区の考え方をお聞かせください。
 このように中野区では職員に対してささやかながらもメンタルヘルスケアに取り組んでいますが、76.5%の企業がメンタルヘルスケアに取り組めていない現状では、働く区民に対するメンタルヘルスケアの充実も図らなければなりません。現在、4カ所の保健福祉センターでは保健師による精神保健相談を随時受け付け、さらに専門医による毎月2回の相談を行っています。ストレスによるうつ病に対する一般的知識がまだまだ普及しておらず、家族も気づかず相談に至らないケースが多いかと思われます。複雑化した社会の中で、この問題は深刻化するものと思われますので、知識の普及と相談事業の拡充が必要です。保健福祉センターを2カ所廃止することを検討しているようですが、その際は専門医の相談業務の予算を減らさず、残る2カ所に専門医を集中し、月4回の相談を維持してほしいと思います。
 おそまきながら、うつ病のパンフレットを最近つくられたようですが、自殺に追い込まれる前に、そして長期欠勤により職を失ってしまうことを未然に防ぐために、働く区民のメンタルヘルスケアの充実に向けた区の考え方をお聞かせください。
 さらに、区内の事業者に対しても、従業員のメンタルヘルスケアの普及と実施の促進に向けた区の考え方をお聞かせください。
 また、残念なことに事前のメンタルヘルスケアに結び付かず精神疾患となり長期入院生活を送っていらっしゃる方も多数おられます。そのような入院患者さんの中にも、病状が安定していて入院治療の必要がなく、受け入れ条件さえ整えば退院できそうな方、いわゆる社会的入院患者が全国で約7万2,000人いらっしゃるそうです。しかし、本人や家族の不安もあり、いきなりの社会生活ではなく、少しずつ退院に向けた準備が必要です。厚生労働省では10年以内にこうした社会的入院患者を解消することを目指し、精神科病院に入院している精神障害者のうち、病状が安定しており、受け入れ条件が整えば退院可能である者に対し、活動の場を与え、退院訓練を行うことにより精神障害者の社会的自立を促進することを目的に精神障害者退院促進支援事業を打ち出しています。なお、この事業は国からの2分の1の補助金がついています。
 そこで、お尋ねいたしますが、この事業の対象となる、病状が安定していて、受け入れ条件が整えば退院可能であると思われる方で中野区に戻られる方は何人ぐらいおられると想定されていますか、お答えください。
 2002年第3回定例会において、私は精神保健福祉の充実を求めて質疑いたしましたが、社会的受け入れ条件が整わないために長期入院を強いられることのないよう、区としてもハード面であるグループホームや授産施設、作業所等の条件整備が急務です。これらハード面における次年度の計画があればお聞かせください。
 また、ハード面のみならず、ジョブコーチによる就労支援を行っているニコニコ事業団の役割が今後ますます重要となってまいります。国のプランでは、精神障害者地域生活支援センターが核となり、退院促進事業のための自立支援を配置し、自立支援計画を策定し、訓練を経て退院へと促すことになっています。しかし、現在、中野区では精神障害者のケースワーカーである地区担当の保健師が4カ所の保健福祉センターに配置され、国のプランでいうところの自立支援員の業務を担っていますので、保健福祉センターが核となる中野区独自の方法も考えられます。
 2004年度に向けて区の新規事業として、この精神障害者退院促進支援事業を中野区方式で取り組まれてはいかがかと考えますが、区の見解をお聞かせください。
 メンタルヘルスケアの重要性、必要性については認知されていますが、対策が追い付いていません。精神保健福祉充実のための予算措置を次年度に期待して、この項の質疑を終わります。
 次に、区民公募のあり方についてお尋ねいたします。
 中野区では、これまでもさまざまな場面で委員会を設置し、区民公募委員を募集してきました。その際、申込方法としては、応募の動機や委員会ごとの検討課題についての考え方などの文章での提出を求められます。つい最近では中野駅周辺まちづくり調査検討委員会の区民委員会で区民公募がありました。その際も応募の動機、または中野のまちづくりに対して思うこと、さらに資格やこれまでの区との関係など文書提出を求めています。中野駅周辺のまちづくりには関心があるけれども、考えをまとめて文章化するのは結構大変だわというのが私の伺った区民の反応でした。にもかかわらず、少なくない時間を割いて文章化し応募した区民は24人いらっしゃいました。応募に通った方はたった5人でしたので、倍率は約5倍でした。真摯な気持ちで応募された方々ばかりだったと思われますので、公募から漏れてしまった方は、なぜ自分はだめだったのか、どのような考え方の方が選ばれたのか、当然知りたくなります。選考過程をクリアにするためにも、せめて選ばれた方の文章を公にすべきではないでしょうか。
 一生懸命応募しても、どの道、区の考え方に都合のよい人しか選ばれないのではないかとの疑念を区民に抱かせないためにも、応募の意欲を失わせないためにも、区としての説明責任を果たすためにも、選ばれた方の文章を公にするなど選考過程をクリアにする公募のあり方を再検討すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
 さて、7月にはITを活用し、区内産業と地域の活性化に寄与する事業に事業経費の一部を助成するという公募が行われました。財政難の中にあって区民に直接支援する1,000万円の新規事業でした。この事業については「優良IT事業 中野区が補助」とか「中野区が制度創設 ITで地域活性化 最大500万円助成」などの見出しで華々しく新聞報道されました。応募は18件あり、申請書をもとに審査員が評価しました。しかし、採点が低く対象事業なしと決定しました。ちなみに、区は大学教授二人の方にお一人7万5,000円で審査をお願いしたとのことでしたが、とても残念な結果となってしまいました。そもそも新事業でしたので、区の意図するところをしっかりと区民に伝えきれていたのか、区としても反省すべき点があったのではないでしょうか。応募要項には審査の過程で説明を求める場合がありますとの一文がありますので、この事業に応募した区民から「審査結果には納得できない。区が本気で助成するつもりがあるのなら、申請書だけの判断ではなく、せめて口頭説明の機会を与えてほしかった」との御意見が寄せられています。
 公募する以上、真摯に応募する区民が納得できる選考方法になるようひと工夫すべき点があると考えますので、今後このような事業の公募の選考方法も検討すべきと思いますが、今回の事業の評価と今後のあり方について区の見解をお聞かせください。
 区民参加で区政を変えるとおっしゃっていた区長さんですから、これからもさまざまな場面で区民公募をなさることと思います。応募した区民が結果について納得できるよう説明責任を果たしていただくことをお願いいたしまして、この項の質疑を終わります。
 次に、総合防災訓練のあり方についてお尋ねいたします。
 先日、酒井議員の質疑にもありましたが、9月17日、政府の中央防災会議の専門調査会は、今世紀前半にも発生のおそれがあるとされる駿河湾から四国沖を震源とする東南海、南海に加え東海を含めた3地震が同時発生した場合、約2万8,000人が死亡し、96万棟が全壊し、経済的被害は81兆円に上るとの被害想定を発表しました。被害は各地で同時多発的に発生する可能性が高いので、応援がなくても対応できる自立型の対策を立てることが急がれます。
 さて、中野区では、2000年度より今のようなやり方で総合防災訓練を実施しています。今年度は8月31日に中野五中と向台小学校で実施されました。事前に訓練実施地域の地域防災住民組織と各防災機関の代表者で構成された実行委員会で協議を重ね、訓練内容を決定されたとのことですので、当日も含め事前の準備に御苦労があったことと思います。
 町会などから声がかかり訓練当日初めて参加した一般住民の方々から次のような感想が寄せられています。1、暑い日でたらたらと進行し、訓練全体の動きがよくわからなかった。2、部分的には参加したが、同時進行で行われるので、総合的な訓練を自分自身が行ったという印象は持てず中途半端な感じを受けた。3、最後の講評時、一般住民は校庭の周りのテントの中で聞いているだけであり、校庭の真ん中に行政側の偉そうな方々が勢ぞろいされていて、軍隊形式の号令のもとに進行され違和感を感じた。4、自衛隊が敵から身を隠し戦うための迷彩服着用で参加して威圧的だ。自衛隊が救助を目的に参加するならレスキュー隊のような目立つ服装にすべきだ。5、進んでもう一度、参加したくなる訓練ではなかった。6、区長が訓練の講評で耐震補強の必要性をおっしゃっていたが、その必要性はわかっていても、そのためのお金がなかなか出せないので、しっかり助成金を出してほしい。7、実施訓練は涼しい時期に移し、9月1日には防災講演会をすればよいのでは。ちなみに、7月に区が行った目黒公郎先生の防災講演会はとても勉強になった。8、とっさの事態に即した知識が欲しかった。9、助けてもらう側になりそうなので、助ける側の若い人に参加してほしい。以上のような感想でした。
 これら区民の方々の率直なる御意見を参考にしつつ、総合防災訓練のあり方を再検討する時期に来ているのではないでしょうか。総合防災訓練実施要項には、住民が主体となり発災対応型訓練と避難所開設運営訓練を行うとあります。実際には、災害が発生し、自分がその時点でいた場所ですべきことを行い、その後、避難場所に避難し、避難所を開設し、ほっとしたところで、どのように協力しあい避難所を運営するのかという流れになるかと思いますので、それまでには時間的経過があると考えられます。発災対応から避難所運営に至るまで住民が自力でやらなければならないことがたくさんあります。その盛りだくさんの内容をすべて総合して、たった半日、3時間で訓練するには無理があるのではないでしょうか。一通りの訓練内容を網羅しようとしているので盛りだくさんになり、3時間という時間内で終わらせようと時間的経過を追わず同時進行で事が進んでしまうため、総合訓練に参加したものの、主催者は総合的に動かしていると思われるかもしれませんが、一般住民にとっては部分的参加としか受け取れないようです。そのため一連の経過を理解するまでには至らず、さらに防災技術の習得も図れず、不満が残るのだと思われます。総合訓練にこだわらず、時間経過を追った、その場面、その場面ごとの訓練を分けて丁寧にすべきであると私は考えます。
 そこで、お尋ねいたしますが、まず総合防災訓練はだれのための、何のための総合なのか、そして総合である必要性は何なのか、お答えください。
 また、災害時に住民サイドでやらなければならないことと行政サイドがやらなければならないことは必然的に違いがあります。それぞれの役割について区としてはどのようにお考えでしょうか、お答えください。
 住民と行政、さらに区からつながる消防や警察や自衛隊などは、それぞれの役割に即した訓練が必要です。よって、訓練内容も当然違ってくるはずです。それなのに、その部分も総合に組み入れてしまう総合訓練になっているので、一般参加住民に違和感を与えてしまうのだと思われます。役割に即した訓練という意味合いからも、住民サイドに立った訓練と行政サイドに立った訓練とに分けることで充実が図れると思いますが、いかがお考えでしょうか、お答えください。
 また、実行委員会が設置されていますが、大方は町会や防災会の役員の方々で構成され、一般住民が実行委員会に入りにくい現状であると聞き及んでおります。震災への危機感から防災の重要性に気づかれ関心をお持ちの組織化されていない一般住民が実行委員会に入れてもらえず、粘ってオブザーバー参加で加えていただいた方もいらしたとのことでした。住民が主体の訓練となるためにも、地域センターニュースなどを利用し、実施地域で広く実行委員を募るなど、限られたメンバーだけでなく一般住民も参加できる実行委員会となるようなあり方に改善すべきと思います。この点についていかがお考えでしょうか、お答えください。
 一般住民が災害への危機感を持たなければ、防災訓練の参加行動には結び付きません。ことし3月16日付の中野区報の中で、田中区長は「今にも大地震がやってくる」というイベントに参加され、阪神・淡路大震災の恐ろしくリアルな再現映像を見、話を聞いて、改めて驚いたと述べているように、このようなイベントも重要です。総合的な防災についての認識を区民に啓発するのであれば、区長が参加されたようなイベントや展示、区が行い好評だった講演会などがむしろ効果的といえます。総合的な防災の認識、危機意識を持った上で、住民サイドに立脚し、なおかつ時系列と面としての空間条件を認識できる一つひとつの丁寧な実地訓練が重要かと考えます。
 実際の場面における発災対応、避難所開設、運営、それぞれのリーダーはどなただと区は認識しているのでしょうか、お答えください。
 それぞれの場面でのリーダーは、区民一人ひとりであると、もしお答えになるのであれば、過去3回実施された総合防災訓練について、僣越ながら問題提起をさせていただきました点を踏まえ、真に住民同士が安心と信頼を持って助け合えるような地域防災を構築するための防災訓練となるよう、総合防災訓練のあり方を次年度に向けて再検討を求めますが、区の見解をお聞かせください。
 同じ区報の中で田中区長は「阪神・淡路大震災で死亡した方の9割以上は家屋の倒壊が原因で、ほとんどの人が地震から5分以内に亡くなっている。圧死や窒息死など家屋が倒壊しなければほとんどの方は死なずに済んだということを強く認識させられた」と述べられています。総合防災訓練の講評の中でも、建物の耐震補強の必要性を語られておりました。しかし、今現在、中野区では、財政難を理由に耐震補強の補助金も廃止してしまい、業者を紹介するだけの相談事業のみで、ほとんど何もできていないのが実情です。また、人命救助用資機材は防災会ごとに1カ所の倉庫にしか備えられていません。これでは5分以内に圧死してしまうかもしれない人の救助には間に合いません。小さなブロックごとに人命救助用資機材を備えるような検討をすべきと考えます。
 「お金やエネルギーは被災地で困っている人のケアのために準備しておくのではなく、被災地で困ってしまう人を減らすために事前に有効活用する、これが基本なのだ」という講演会での目黒公郎先生のお言葉を踏まえ、来年度に向けて現在、検討中であると酒井議員の質疑にお答えになった新しい耐震補強制度とは具体的にどのようなものなのか、さらに人命救助用資機材のきめ細かな備えについての区の見解をお聞かせください。
 中野区は、1996年より自衛隊に対して総合防災訓練に参加するよう依頼し続け、実際に訓練会場のうちの1つに自衛隊が展示活動として参加しています。有事法制やイラク特措法などが制定され、自衛隊に対して本来の軍隊色が色濃くなり、住民主体でなければならない防災訓練の場にあって自衛隊の参加には違和感を覚える一般住民の方もおります。私も違和感を覚える一人です。区としては、災害時には自衛隊の力が必要というお考えかと思われますが、自衛隊の実際の活動は災害から区民を守ることではありません。自衛隊は本来、国防にかかわる組織です。その命令系統は上意下達で遂行されながら組織の中で完結してしまうものであり、当然、区長の指揮下には入らず、他の公共機関、住民組織との連携は困難であろうと思われます。また、平和憲法に反する軍隊組織であることはしばしば指摘されるところです。憲法擁護を掲げ平和事業の推進を図る中野区としては、あるものは使えではなく、自衛隊の活動にかかわる国家予算を減らし、住民の安心で安全な暮らしのための予算をふやすことこそ国へ訴えるべきです。総合防災訓練への自衛隊の参加依頼を見直すべきと私は思います。
 以上でこの項の質疑は終わります。
 その他で1点、資源や粗大ごみの非指定業者による抜き取り行為防止対策についてお尋ねいたします。
 御存知のように、アパッチと呼ばれる業者による古紙の持ち去り、さらに粗大ごみとして有料シールが張られている家具類の持ち去りが後を絶ちません。お隣の杉並区ではいち早くこの問題に取り組み、ことし3月、所定の場所に持ち出された資源物の所有権は杉並区に帰属すると区の所有権を明確にし、区長が指定する事業者以外の者は当該資源物を収集し、または運搬してはならないとの内容に条例改正をし、パトロールをしているとのことでした。さらに7月には大田区も同様に条例改正をし、パトロールをしているそうです。お隣の杉並区が防止対策をとっていることと古紙の価格上昇で中野区にアパッチがふえたとの見方もあるようですが、特に古紙の持ち去りには目に余るものがあります。23区が連携して取り組む必要があるではないでしょうか。
 資源や粗大ごみの非指定業者による抜き取り行為防止対策を講ずるべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
 以上で私の質疑を終わります。くれぐれも誠意のある、わかりやすい御答弁をお願いいたします。
     〔区長田中大輔登壇〕
区長(田中大輔) むとう議員の御質問にお答えをします。
 私からはセカンドスクールについての認識というお尋ねにお答えをさせていただきます。
 集団生活やさまざまな人との交流を通じて人間関係や信頼関係をみずから築く力を育てるという取り組みなんだろうということでありまして、特色ある教育活動の一つだと認識をしているところです。「隣の芝生が青く見える」といったようなことも含めて、そうしたさまざまな議論を区内で行っていくことが重要であろうかと思っております。
 以上でございます。
     〔教育長沼口昌弘登壇〕
教育長(沼口昌弘) いわゆるセカンドスクールについて御答弁申し上げます。
 最初に申し上げておきますけれども、私どもは、制度を導入すれば、それだけで目的を達成するとは思ってございません。これは、選択制だけではなくて、セカンドスクールについても同じでございまして、制度の趣旨に基づきまして教育内容をきちんと組み立てていかなけば意味がないと、これは当然であって、そのように考えています。
 本論でございますけれども、これからの社会を生きていく子どもたちにとって大切なことは何かということでございますけれども、基礎、基本を確実に身につけるとともに、知識好奇心、あるいは探究心を持って、みずから問題を発見して、みずから問題を解決していく、そういう力を育てることが必要であると考えています。そういった意味からは、体験的な学習、あるいは問題解決的な学習は非常に重視していかなければいけないと考えています。宿泊体験学習は、自然体験の場を設けまして、友達関係を深めましたり基本的な生活習慣を身につけさせるために行われていると認識しております。そういう意味では特色ある教育活動の一つであると考えてございます。その意味で、武蔵野市の教育委員会の取り組みは、それなりに評価はできると思いますが、中野区といたしましては、特色ある教育活動全体のあり方の中で中野区独自に判断していくことが必要でございます。現在のところ武蔵野方式の宿泊体験学習を実施する考えはございません。
    〔総務部長石神正義登壇〕
総務部長(石神正義) 私からは、職員のメンタルヘルスケアについて、また区民公募のあり方、総合防災訓練についてお答えさせていただきます。
 まず職員のメンタルヘルスケアについてでございますが、区では職員健康相談室を設置してございまして、そこには保健師を常駐させております。そこで職員の健康相談などに当たっておりまして、精神保健に関する利用者も年々ふえてきているという状況にございます。
 さらに、先ほども御質問の中にありましたように、2002年、平成14年4月からは精神科の専門医によりますメンタルヘルス相談を毎月2回、実施してございます。この相談につきましては、こういう体制で相談を開始したということについては、まだ2年ということで、十分に浸透していない部分もあるのではないか。これは労働安全衛生委員会の中でもそういう議論をしていまして、十分にこういった制度が浸透されるような手だてが必要だということで議論してございます。こういったことの浸透を図っていくということでございます。また、うつ病など精神疾患についての正しい理解を深めるということで、職員が気軽に相談できる工夫、こういったことをしていきたいと考えてございます。
 次に、区民の公募のあり方でございます。
 審議会等の公募の選考に当たりましては、公募者の名前、こういったものを伏せまして、応募動機等、出してもらった内容を見まして、公平、公正な審査を行っているところでございます。
 応募動機等の選考過程の公表でございますが、プライバシー等の観点から現在は考えておりません。しかし、選に漏れた方がなぜ漏れたのかということで、その理由を聞きたいという場合につきましては、可能な限り説明を行っていきたいと考えてございます。また、区民の意見反映ということの方法については、これまでもいろいろな形で、今回の中でも御質問されておりますが、さまざまな形で用意する必要があると認識してございます。
 次に、総合防災訓練のあり方でございます。
 総合防災訓練は、だれのための、何のため訓練か、総合である必要性は何かということでございます。
 むとう議員が総合防災訓練の趣旨について一度、中で御説明していただきましたが、総合防災訓練というのは、区民自身が発災したときにとるべき態度、どういうことをしたらいいのか、または自分や家族の身の安全の確保、それを図った上で地域の協力の中で初期消火等に当たる、また避難所の開設、運営、こういったことで地域で力を合わせて地域を守る防災活動の習熟、こういったものを目指して行うものでございます。また、この中で防災関係機関と連携して訓練を実施するということによりまして、それぞれの関係機関がどんな役割を果たすのかを知っていただき、相互の協力体制、また防災意識の高揚と防災行動力の向上を図るということがねらいでございます。
 また、災害が起きたときに住民がやるべきことと区がやるべきことに違いがあるのではないかということでございます。
 確かに違いがありまして、災害時の区や防災機関の役割は非常に大事でございますが、被災の状況を把握する、また把握した情報に対してさまざまな手だてを講じまして被害の拡大を防ぐ、また救援救護の応急対策を実施する、区民の命、財産を守るという本来の義務を果たすということで、そういった対応を行政、また関係機関は行うということでございます。
 また、住民サイドの訓練と行政関係機関が行う訓練を分けて行った方がいいのではないかということでございます。
 地域では防災会を中心に日常的に自主的な訓練が行われております。また、行政や防災関係機関でも、それぞれに関係機関としての役割の訓練を実施してございます。総合防災訓練の場でそれぞれが訓練した内容をそこで実施するというものでございます。これは新たにそういうことを設けるのではなくて、日常的に現在行われているということでございます。
 また、今回のように総合防災訓練を実行委員会でやる場合には、一般区民から募ったらどうかということでございますが、総合防災訓練の実行委員会というのは、地域住民で構成されております防災会が主体となって行っているものでございます。そういう運営の中に、区長が委員を選定して、この人がということではなくて、地域の中で十分に話し合っていただき運営されていくのがいいことであると思ってございます。
 次に、避難所でのリーダーはだれかということでございます。
 避難時の地域の対応というのは、今回の総合防災訓練でも中心となりました防災会が中心になって行うものでございます。当然、避難所の開設、運営につきましても避難所運営本部が行うことになります。今回の防災訓練でも、実際の場面の中で避難所運営本部というものを置きまして、そこで対応を検討しながら進めてきたというのが参加された方については見ていただいたと思いますが、運営本部の本部長が全体の避難所のリーダーということになるわけですが、避難所運営本部長の多くは防災会の会長が担っているというのが実態でございます。
 それから内容のあり方を再検討したらどうかということでございます。
 さまざまな形でやり方を工夫しながら実のあるものにしたらどうかという御意見でございますが、現在の総合防災訓練の形にしましたのは、これまでの見学型、模範演技訓練型、災害時にとるべき避難所開設、運営ということを考えますと、見学だとか模範演技を見るだけの訓練では実際の防災の対応ができないということから現在のような状況をとりました。特に避難所を開設しまして運営をみずから地域で行うという訓練でございます。より実際の発災に即した発災対応型、避難所運営型訓練という形で見直しをしてございます。それなりに成果を上げてきていると思っております。その中では、区民の方が、今回の場面でいいますと、どうしたらいいかということで御意見のあったことはわかってございます。そういう中での運営の進め方だとか、そういったことについては、今回の反省を踏まえて、より訓練の内容が充実するような形にしていきたいと思ってございます。
 また、防災資機材の充実について、地域にもっと細かく配備したらどうかということでございます。
 防資機材につきましては、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、これまで当たり前のように考えておりましたが、バールだとか、のこぎりだとか、両口のハンマー、また手斧だとか、ジャッキ、こういったものが実際には必要だったということから、細かいようですが、こういったものを新たに配備するということなど充実を図ってきております。また、配置の場所については、防災倉庫に置いておるわけですが、地域内の配置場所、これは地域の住民の方が使うということから、防災会を中心に、どこに置いたらいいかということを検討していただいているところでございます。細かく配置をしていく、そういったことについても地域の中で十分に検討していただきたいと思ってございます。
 以上でございます。
    〔区民部長本橋一夫登壇〕
区民部長(本橋一夫) 私からはIT活用地域活性化事業の事業企画の募集及び審査についての御質問にお答えをさせていただきます。
 当初の予定では、応募のありました事業企画につきまして書類審査による1次審査である程度候補を絞った上で、ヒアリングをして2次審査を行い、補助対象となる事業企画を選定する予定でございました。募集に対しましてさまざまなアイデアで18件の応募があったわけですが、書類審査の段階で、多くは補助金が交付された後の継続的な事業運営が果たしてどの程度見込めるか疑問な点もあったということもありまして、結果的には該当事業なしということになったものであります。
 応募された方々に対しましては、審査結果をまず電話でお伝えした後、文書で審査での得点、評価された点や工夫が欲しいとされた点も含めまして審査結果を通知いたしました。また、電話や来訪による応募者からのお問い合わせにも答えられるよう用意をいたしましたが、特に問い合わせ等はございませんでした。
 今回の募集、審査を通しまして、私どもといたしましても、審査項目の設定ですとか、あるいは提出していただく書類、資料等について、さらに工夫、検討が必要だということを感じているところでございます。
 以上であります。
   〔保健福祉部長菅野泰一登壇〕
保健福祉部長(菅野泰一) 私からは心の健康対策(メンタルヘルスケア)につきまして幾つかの御質問にお答えいたします。
 まず中野区として企業の対策についてどうしているかということでございますが、区内企業の対策といたしまして小規模企業健診というのがございます。その検査項目の中に精神保健分野の問診も含まれてございまして、昨年度は152事業所、1,331人に健診を実施したところでございます。こういった働き盛りの自殺を含めました精神保健対策といたしまして、先ほどお話がございましたストレス自己チェック表を作成いたしまして、うつ病講演会や小規模企業健診の中で配布しているところでございます。
 また、今後、区として精神保健相談の充実をということでございますが、区といたしましては、保健福祉センターで常時、精神保健相談を受け付けているほか、保健師が相談に応じております。今後とも精神保健相談の充実については図ってまいりたいと考えております。
 また、もう一つ、精神病院から退院される方についての対応という御質問がございました。
 1点目が区民の社会的入院の患者数について、どの程度であるかということでございますが、統計をとるのが困難でありまして、数字については不明でございます。全国では7万数千人いると言われておりますが、その中で中野区民という統計はとってございません。
 続きまして、今後、そういったことを国として力を入れてやっていく中で、区としてどうやっていくのかということでございました。
 この事業につきまして、精神障害者退院促進支援事業の実施主体は都道府県及び指定都市となっています。したがいまして、都の方で、このことについてどうするかについては検討しているところなんですけれども、まだそれが実際には示されてございません。示された結果を待ちまして区としての対応について検討してまいりたいと考えております。
 それから区の体制ということでございますが、精神障害者の社会復帰の受け皿につましては、区として必ずしも十分な体制にあるとは私どもも考えてございません。今後、国や都の動向を身ながら精神障害者社会支援センター、それからグループホームなどのあり方について検討してまいりたいと思っております。
 以上です。
    〔環境部長寺部守芳登壇〕
環境部長(寺部守芳) 古紙等の抜き取り行為防止対策についての御質問にお答えをいたします。
 粗大ごみにつましては、抜き取り行為はほとんどございませんが、古紙についてはあると認識をしております。対策といたしまして、古紙問屋への受け取り拒否の要請、また区民に対しては、持ち去りはやめてくださいなどの表示をお願いしているところでございます。今後、抜き取りの比較的少ない集団回収の推進などを検討していきたいと考えております。
    〔総務部長石神正義登壇〕
総務部長(石神正義) 先ほどの答弁の中で一つ答弁漏れがございましたので、お答えさせていただきます。
 総合防災訓練のあり方の中で耐震補強についての御質問がございました。
 耐震補強というのは、先ほどの答弁は、災害が起きたときの被害を最小限に食いとめる対策としてのお答えでございますが、これまで区長も言っていますし、先ほどの御質問の中にもありましたように、目黒教授からのお話もありました。そういう中で、災害を最小にするための対策ということでございます。これについては、中野の地域実情、木造の建物が多く、建てかえ時期を迎えた地域が多いということを十分に考慮した上で、中野の状況にあった耐震補強の支援策を今検討中でございますので、これについては早い時期にお示ししたいと思ってございます。
     〔むとう有子議員登壇〕
17番(むとう有子) 1点、再質問させていただきたいと思います。
 人命救助用資機材のことなんですけれども、各防災会の倉庫に今保管されておりますけれども、各防災会で倉庫を決めるということなので、小ブロックごとに配備しようということで防災会が決めたとしたらば、それに見合う形の資機材を区は下さるということなんでしょうか。防災会、地域で決めることだという御答弁でしたけれども、倉庫を例えば1カ所を5カ所にすると地域が決めた場合、5カ所分の資機材を区はちゃんと装備してくださるということなんでしょうか。地域で決められるということは、どういうことなのでしょうか、お答えください。
    〔総務部長石神正義登壇〕
総務部長(石神正義) むとう議員の再質問にお答えいたします。
 防災用の資機材につきましては、避難所も含めて現在置いてあるわけですが、その中で細かく地域に置いてあった方がいいものと1つのところでまとまった方がいいものとあるわけでございますが、そういった対策が十分に議論された上で、地域で配備場所を決めていくということになれば、当然こういったものについては、配備について支援していくというのは区の役割だと認識してございます。
議長(山崎芳夫) 以上でむとう有子議員の質問は終わります。
 以上をもって質問は終了いたしました。
 これより日程に入ります。
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 認定第1号 平成14年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について
 認定第2号 平成14年度中野区用地特別会計歳入歳出決算の認定について
 認定第3号 平成14年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について
 認定第4号 平成14年度中野区老人保健医療特別会計歳入歳出決算の認定について
 認定第5号 平成14年度中野区介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について

議長(山崎芳夫) 日程第1、認定第1号から認定第5号までの計5件を一括上程いたします。
 理事者の説明を求めます。
     〔助役内田司郎登壇〕
助役(内田司郎) ただいま上程されました認定第1号、平成14年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について、認定第2号、平成14年度中野区用地特別会計歳入歳出決算の認定について、認定第3号、平成14年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について、認定第4号、平成14年度中野区老人保健医療特別会計歳入歳出決算の認定について、認定第5号、平成14年度中野区介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について、以上5件につきまして一括して説明いたします。
 平成14年度は、区財政の健全化を最優先の課題として財政運営に取り組むとともに、区政の重点課題である少子・高齢社会への対応や災害に強いまちづくり、商店街活性化など区民生活を豊かにするための施策に取り組みました。
 初めに、中野区一般会計決算について説明いたします。
 平成14年度一般会計の歳入総額は941億1,601万8,676円、歳出総額は930億5,617万284円で、前年度と比較しますと歳入で4.2%の減、歳出で1.4%の減となりました。歳入から歳出を差し引いた形式収支は10億5,984万8,392円となり、翌年度へ繰り越すべき財源8,011万円を差し引いた実質収支は9億7,973万8,392円となりました。
 それでは、歳入について、大きな増減のあった主な款について説明いたします。
 第2款特別区交付金は、総額270億3,700万円余で、前年度と比較して29億2,000万円余、9.7%の減となりました。これは交付金の財源である調整3税の減収によるものです。
 第4款利子割交付金は、高金利預貯金の集中満期の影響が終了したことにより、前年度と比較して12億4,500万円余、61.6%減の総額7億7,500万円余となりました。
 第5款地方消費税交付金は、消費動向の低迷により前年度と比較して3億9,100万円等、12.2%減の総額28億2,000万円余となりました。
 第11款国庫支出金は、(仮称)北部防災公園用地取得に係る補助金の増などにより、前年度と比較して16億1,000万円余、17.7%増の総額107億3,200万円余となりました。
 第12款都支出金は、(仮称)北部防災公園用地取得に係る都市計画交付金の増などにより、前年度と比較して10億2,300万円余、30.0%増の総額44億3,100万円余となりました。
 第13款財産収入は、外郭団体廃止に伴う出資金返還金の減などにより、前年度と比較して8億5,600万円余、51.1%減の総額8億1,900万円余となりました。
 第15款繰入金は、施設建設基金の廃止に伴う繰入金の減で、前年度と比較して17億9,100万円余、98.2%減の総額3,300万円余となりました。
 第16款繰越金は、歳計剰余金の増により、前年度と比較して36億500万円余の大幅増となり、総額39億3,400万円余となりました。
 第17款諸収入は、国民年金保険料徴収事務が国の事務となったことに伴い、その印紙売払代金が減となったことなどにより、前年度と比較して53億6,800万円余、56.5%減の総額41億3,000万円余となりました。
 第18款特別区債は、(仮称)北部防災公園用地取得などに係る事業債の発行額の増により、前年度と比較して21億8,600万円余、59.0%増の総額58億9,100万円余となりました。
 これらの結果、歳入決算額の予算現額に対する収入率は97.8%となりました。
 次に、歳出につきまして、大きな増減のあった主な款について説明いたします。
 第2款総務費は、総額105億9,200万円余で、前年度と比較して8億8,900万円余、7.8%の減となりました。これは退職手当や土地開発公社からの用地購入費の減などによるものです。
 第4款民生費は、国民健康保険事業特別会計などへの繰出金の増はあるものの国への事務移管による国民年金印紙購入費の減などにより、前年度と比較して39億300万円余、9.7%減の総額363億7,300万円余となりました。
 第6款産業経済費は、産業経済融資に係る預託金の増により、前年度と比較して1億6,200万円余、11.1%増の総額16億2,600万円余となりました。
 第7款土木費は、(仮称)北部防災公園用地の取得により、前年度と比較して48億1,100万円余、132.7%増の総額84億3,600万円余となりました。
 第9款環境費は、電波複合障害対策負担金や清掃一部事務組合負担金の減などにより、前年度と比較して4億7,000万円余、7.8%減の総額56億300万円余となりました。
 第10款教育費は、学校事故賠償金や文化・スポーツ振興公社補助金の減などにより、前年度と比較して6億7,000万円余、6.5%減の総額97万1,900万円余となりました。
 これらの結果、予算現額に対する執行率は96.7%となりました。
 歳出決算額を性質別に見ますと、人件費、扶助費、公債費を合わせた義務的経費は505億900万円余で、前年度と比較して1.0%の減となりました。一方、投資的経費は102億200万円余で、前年度と比較して81.2%の増となりました。
 なお、平成14年度決算では実質収支が9億7,900万円余り生じましたが、前年度決算に比べ実質収支が29億5,400万円余の減となるとともに、経常収支比率が5.2ポイント上がって89.9%となるなど、区財政は一層弾力性を欠いた状況にあるといえます。現在の社会経済状況からは、特別区税や特別区交付金などの一般財源の大幅な伸びは見込めず、今後の財政運営は大変厳しいものになると予測しています。区といたしましては、今後とも全力を挙げて行財政の構造改革に取り組み、弾力的な財政構造を確立していく必要があると考えています。
 以上が一般会計決算の説明です。
 続きまして、中野区用地特別会計決算について説明をいたします。
 歳入歳出の決算額は、同額で17億3,309万4,166円、前年度と比較しますと5,128万5,78円、2.9%の減となりました。歳出としては、全額が公共用地取得に係る特別区債の償還金です。また、歳入は一般会計からの繰入金です。
 次に、中野区国民健康保険事業特別会計決算について説明をいたします。
 歳入総額は241億5,027万7,011円、歳出総額は238億3,806万5,239円で、前年度と比較しますと、歳入では1.5%の増、歳出では2.1%の増となりました。
 歳出の主なものは、第2款保険給付費が127億8,100万円余で、前年度より11億1,100万円等、8.0%の減となりました。これは療養給付費に係る会計年度所属区分の変更により、平成14年度は特例的に11カ月分の会計年度となったことによるものです。第3款老人保健拠出金は90億2,700万円余で、前年度より16億4,500万円余、22.3%の増となりました。これは老人保健医療費が増となったことによるものです。
 歳入では、第1款国民健康保険料が89億4,200万円余で、前年度より1億4,200万円余、1.6%の増、第3款国庫支出金が76億200万円余で、前年度より1億800万円余、1.4%の減、第7款繰入金が41億6,700万円余で、前年度より2億2,900万円余、5.8%の増となりました。
 次に、中野区老人保健医療特別会計決算について説明いたします。
 歳入総額は263億373万3,057円、歳出総額は259億9,526万865円で、前年度と比較しますと、歳入で2.5%の減、歳出で3.4%の減となりました。
 歳出の主なものは、第1款医療諸費で259億2,400万円余です。前年度と比較しますと9億5,700万円余、3.6%の減となりました。これは主に加入年齢の引き上げによるものです。
 歳入の主なものは、第1款支払基金交付金が184億2,300万円余で、前年度より2億6,700万円余、1.4%の減、第2款国庫支出金が52億6,300万円余で、前年度より1億8,800万円余、3.5%の減、第3款都支出金が13億8,400万円余で、前年度より3,200万円余、2.4%の増、第4款繰入金が11億4,500万円余で、前年度より8,600万円余、7.0%の減となりました。
 最後に、中野区介護保険特別会計決算について説明いたします。
 歳入総額は115億3,565万5,179円、歳出総額は114億7,666万6,093円で、前年度と比較しますと歳入で12.8%の増、歳出で13.1%の増となりました。平成14年度は介護保険制度も3年目を迎え、要介護対象者の増や介護サービス事業の実績増などにより、歳入歳出決算額とも前年度に比べ10%以上伸びたものとなりました。
 歳出の主なものは、第2款保険給付諸費が110億8,000万円余で、前年度より18億7,200万円余、20.3%の増、第5款諸支出金が1億1,300万円余で、前年度より1億4,000万円余、55.4%の減となりました。
 歳入の主なものは、第1款介護保険料が20億700万円余で、前年度より5億1,400万円余、34.4%の増、第3款国庫支出金が26億7,200万円余で、前年度より2億9,100万円余、12.2%の増、第4款支払基金交付金が36億2,000万円余で、前年度より7億8,300万円余、27.6%の増、第5款都支出金が14億3,800万円余で、前年度より2億6,000万円余、22.1%の増、第7款繰入金が17億900万円余で、前年度より9,600万円余、5.3%の減となりました。
 以上、平成14年度の各会計決算について説明をいたしました。
 なお、詳細につきましては、お手元に送付いたしました中野区各会計歳入歳出決算書、各会計事項別明細書及び各調書、主要施策の成果、並びに中野区各会計歳入歳出決算説明書によりまして御了承いただきたいと思います。
 また、監査委員におかれましては、平成14年度に財務監査、事務監査、例月の出納検査等を実施していただきました。さらに、本決算につきましては、7月24日から8月19日までの間、慎重に御審査いただき、別冊のとおり中野区各会計歳入歳出決算審査意見書の提出をいただきました。御指摘のあった点につきましては十分に対処していく所存です。
 最後になりましたが、ここに平成14年度の決算につきまして議会の認定をお願いする運びになりましたことは、議会の適切な御指導と御協力によるものと深く感謝申し上げる次第です。
 以上、認定第1号から認定第5号までにつきまして、よろしく御審議の上、御認定くださいますようお願い申し上げ、平成14年度中野区各会計決算の説明とさせていただきます。
議長(山崎芳夫) 本件について御質疑ありませんか。
    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
議長(山崎芳夫) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。
 上程中の認定第1号から認定第5号までの計5件は、議員全員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに審査を付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(山崎芳夫) 御異議ありませんので、上程中の認定第1号から認定第5号までの計5件は、議員全員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに審査を付託することに決しました。
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 第 1号請願 高齢者会館等の集会室利用申請受付を直接同所ですることについて
 第20号陳情 情緒障害児・学習障害児等のための中学校通級学級を早期に実現することについて

議長(山崎芳夫) 日程第2、議事日程記載の請願、陳情、計2件を一括議題に供します。

平成15年(2003年)9月4日

 

中野区議会議長 殿

 

区民委員長 高倉 良生
(公印省略)

 

請願の審査結果について


 本委員会に付託された請願を審査の結果、下記のとおり決定したので、中野区議会会議規則第94条の規定により報告します。

 

受理番号

件  名

審査結果

決定月日

意見

措置

1号請願

高齢者会館等の集会室利用申請受付を直接同所ですることについて

採択すべきもの

94

 

平成15年(2003年)9月4日

 

中野区議会議長 殿

 

文教委員長  岡本 いさお
(公印省略)

 

陳情の審査結果について


 本委員会に付託された陳情を審査の結果、下記のとおり決定したので、中野区議会会議規則第94条の規定により報告します。

 

受理番号

件  名

審査結果

決定月日

意見

措置

20号陳情

情緒障害児・学習障害児等のための中学校通級学級を早期に実現することについて

採択すべきもの

94



議長(山崎芳夫) お諮りいたします。上程中の請願、陳情に関する委員長報告は、会議規則第40条第3項の規定により省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(山崎芳夫) 御異議ありませんので、委員長報告は省略いたします。
 本件については、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(山崎芳夫) 御異議ありませんので、これより採決いたします。
 上程中の請願、陳情を委員会報告どおり採択するに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(山崎芳夫) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
      午後4時34分散会