平成14年02月21日中野区議会本会議(第1回定例会)

1.平成14年(2002年)2月21日、中野区議会議事堂において開会された。

1.出席議員(43名)

  1番  吉  原     宏        2番  伊  藤  正  信

  3番  きたごう  秀  文        4番  高  倉  良  生

  5番  やながわ  妙  子       6番  鈴  木  光  子

  7番  佐  伯  利  昭        8番  平  島  好  人

  9番  むとう   有  子       10番  長  沢  和  彦

 11番  牛  崎  のり子        12番  山  崎  芳  夫

 13番  高  橋  ちあき        14番  市  川  みのる

 15番  岡  本  いさお        16番  こしみず  敏  明

 17番  飯  島  きんいち      18番  小  串  まさのり

 19番  はっとり  幸  子       20番  佐  藤  ひろこ

 21番  来  住  和  行       22番  樋  口  きこう

 23番  若  林  ふくぞう       25番  し  の  国  昭

 26番  斉  藤  金  造       27番  斉  藤  高  輝

 28番  大  泉  正  勝       29番  柿  沼  秀  光

 30番  木  村  勝  昭       31番  細  野  たいじ

 32番  岩  永  しほ子        33番  昆     まさ子

 34番  小  池  ひろし        35番  岩  田  みつる

 36番  伊  藤  岩  男       37番  西  村  孝  雄

 38番  江  口  済三郎       39番  藤  本  やすたみ

 40番  川  上     進       41番  近  藤  正  二

 42番  江  田     徹       43番  池  田  一  雄

 44番  小  沢  哲  雄

1.欠席議員(1名)

 24番  古  木  謙市郎

1.出席説明員

 中 野 区 長  神 山 好 市      助     役  池 田   學

 収  入  役  藤 原 恵 一      教  育  長  沼 口 昌 弘

 政策経営部長   渡 辺 征 夫     行財政改革担当部長 石 神 正 義

 企 画 課 長  金 野   晃      総 務 部 長  山 岸 隆 一

 総 務 課 長  田 辺 裕 子      区 民 部 長  内 田 司 郎

 地域センター部長 柳 澤 一 平    環 境 部 長  西 條 十喜和

 保健福祉部長   浦 野 純 子    福祉担当部長   本 橋 一 夫

 都市整備部長   宮 村 光 雄    土木担当部長   石 井 正 行

 教育委員会事務局次長 須 崎 英 夫

本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  正 木 洋 介      事務局次長    佐 藤 栄 時

 書     記  栗 原   望       書     記  藤 塚 喜 正

 書     記  大 石 紀 久      書     記  巣 山 和 孝

 書     記  永 田 純 一      書     記  長 崎 武 史

 書     記  渡 辺 伸 郎      書     記  松 原 弘 宜

 書     記  西 田   健       書     記  三 浦 正 貴

 書     記  飯 田 浩 一      書     記  佐 藤 雅 俊

 

 議事日程(平成14年(2002年)2月21日午後1時開議)

日程第1 第5号議案 平成14年度中野区一般会計予算

 

午後1時06分開議

○議長(斉藤金造) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、市川みのる議員、昆 まさ子議員、こしみず敏明議員、佐藤ひろこ議員、高橋ちあき議員、小沢哲雄議員、大泉正勝議員、はっとり幸子議員、近藤正二議員、鈴木光子議員、むとう有子議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 

 中野区議会議員 市 川 みのる

 1 行財政改革の取り組みについて

 2 行財政改革と住民参加について

 3 行財政改革と平成14年度予算について

 4 その他

 

○議長(斉藤金造) 最初に、市川みのる議員。

〔市川みのる員登壇〕

○14番(市川みのる) 平成14年の第1回定例会で、自由民主党議員団からは私と高橋ちあき議員の2名が一般質問をさせていただくことになりました。多様な角度から質問をさせていただきますが、行財政5か年計画2年目に当たるこの年、とても重要な年と位置付けて質問をさせていただきます。

 私の方から大変概略的な質問になるかと思います。また、詳細につきましては、2日目用意しております高橋ちあき議員の方からの質問がありますので、あわせてあらかじめよろしくお願いをしておきます。

 私は、行財政5か年計画を軸に進めている区政運営をさらに推進をして、区民にとって必要なサービスを提供できる、正常な区政運営を一日でも早く実現をするために質問をいたします。

 まず初めに、通告のとおりです。行財政改革についての質問をいたします。

 私は行財政改革が目指すところは、単なる財政再建ではなく、これまでの景気の右肩上がりを前提とした行政運営、財政運営を構造的に改革することだと思っています。

 区長は、行財政改革に取り組む姿勢を「身の丈に合った」という表現で説明をされたことがありました。身の丈という言葉の意味するところは、歳入、歳出の単なる縮小均衡を図るということではないと思います。財政再建だけでしたら5年間という枠を設ければ、区民と職員に財政状況を理解してもらい、期限内は入りに見合った事業だけを行っていくことができます。この期限内に景気が回復し、歳入が増加すれば財政の再建ができたとなるわけです。しかし、景気は今後も急によくなる気配はありませんし、バブル期のような右肩上がりの財政運営に戻れる経済環境にはありません。

 歳入の減少が一時的であれば、歳出の規模を一時的に抑制するか、土地の売却など一時的な歳入対策を実施すればよいのですから、区民は事業の休止、縮小も理解するでしょう。職員も給与の削減を我慢するでしょう。しかし、さらに期限を延ばして財政再建に取り組むということになった場合、区民や職員にはこれ以上の負担や我慢は納得してもらえません。こうしたことは、平成6年以降の事務事業の総点検や財政健全化プランに基づく取り組みの中で嫌というほど学んできたはずであります。給与など義務的と言われる経費の削減は、何年も続けることはできません。公平という名のもとで区民に負担を求めることにも限界があります。単なる職員数の削減にも限界があります。5カ年という枠の中での取り組みは理解できても、その先も同様な手法を続けていくことには疑問があります。

 行財政改革は、長期的な視点から財政規模を図り、支出の抑制をしていくことであります。支出の抑制に当たっては、行財政5か年計画に示した行政運営の見直し、施策の見直し、施設配置の再編・運営の見直し、外郭団体等運営支援のあり方、収納率の向上と未収金対策、新たな財源の検討を着実に取り組むことが必要であります。

 行財政5か年計画は、逼迫した区財政を健全化するため、歳入及び歳出を見直し、身の丈に合った財政運営を目指したものであります。財政状況が全く余裕もなく、緊急措置をとらざるを得ないところまできていた中での計画としては、本来の行財政の構造改革への取り組む道筋を十分に示し得ず、課題としてしまったことはやむを得ないことと思います。しかし、課題として残したことへの取り組みが、実はこの計画を単なる財政再建計画にしてしまうかどうかを決める大事な点であります。

 このような視点から、行財政改革の成果があらわれ、着実に改善の方向に向かっている、目指している改革は、必ず達成できるという確かな手ごたえを感じているという発言をされる区長に、何点かお伺いをいたします。

 区長は、中野区の行財政改革は着実に進み、14年度の予算では改革を進めながらも、必要な課題については重点的に予算を配分することとした。こうした配分ができたことは、改革の成果があらわれたものと考えていると言っておりますが、着実に進んでいると判断した根拠を明確に御説明いただきたいと存じます。

 私どもには財政状況を楽観的に見ることはできません。行財政5か年計画の初年度は、法人税を中心に平成12年度の一時的と言われた景気の回復傾向が平成13年度も続き、よい意味で見込んだ計画目標を大幅に超えた歳入増となりました。また、職員の退職者が思った以上に多く、計画の前倒しができました。これは外的な要因によるものであって、改革によるものではありません。このことをもって改革が順調に進んでいると判断してはいけないと思います。これは一時的な結果であって、14年度以降は、国・都とも経済成長率を下方に大幅に変更せざるを得ず、苦慮をしています。中野区も同じような状況にあると思うからであります。

 次に、行財政5か年計画の見直し、修正についてお尋ねをします。

 中野区も一時的な結果に踊ることなく、しっかりと先を見通した財政運営を行っていく必要があります。5か年計画では、経済成長を低成長ではあるが着実に伸びると見込んでおります。しかし、14年度予算は区民税、特別区交付金などマイナス計上となっております。また、計画時には予定をしていない財調基金の活用や、起債の発行など財源対策も講じています。

 財政計画は、その性格から、予測のつかない景気変動や臨時的な支出など、毎年度予算、決算の状況を反映し、見直していく必要があると思います。このため、行財政5か年計画の財政見通しも、当然に新たな状況を反映した見直しを行い、区民に示すべきと考えます。区財政の先行きの見通しが立ったといいますが、まだまだ立ち直った状況にはなっていません。区民は明るい兆しが見えたという言葉を正直に受け取ります。5か年計画で削減され、我慢してきた事業がもとに戻ると思っている区民が多くいます。

 そこでお尋ねをいたしますが、区長は、行財政5か年計画の見直し、修正についてどのようなお考えがあるのかお聞かせください。

 次に、行政評価について若干のお尋ねをします。

 行政評価は、事業の目的や成果・効果をできるだけ数値化してわかりやすくするとともに、行政として果たすべき役割を踏まえ、必要性や上位の政策に対する位置付け、あるいは事業環境の変化や事業の特性などについて、総合的な視点から事業を整理・点検するものであると思います。つまり、行政評価はマーケティングの手法なども取り入れながら、事業の成果・効果の点検や課題や改善の方向を模索・検討し、その評価の結果を事業の改善や見直しに反映させるとともに、新規の企画立案に生かすツール、いわゆる道具と考えられます。このため、行政評価システムを構築・定着させることは、行政運営にとって非常に重要と考えます。

 行政評価の目的は、企画立案能力・政策形成能力の向上、区民サービスの向上、事業効果の点検と事業改善への取り組み、区民と区の良好なパートナーシップの構築にあると思います。

 本格的な地方分権の時代を迎え、区民ニーズがますます高度化、多様化する中で、前例踏襲ではなく、今まで以上に創意工夫を重ねながら、時代の変化に的確に対応した施策・事業の立案、運営を自主的・自立的に展開していく必要があります。また、事業担当課は、所管事業が事業目的に照らして成果を上げているか、区民ニーズに対応したサービスが提供できているか、常に自己点検・自己評価を行い、サービスの向上を図らなければなりません。

 そして、行政の果たすべき役割を踏まえ、時代の変化に適応した事業の改善、見直しなど行政の質の向上に取り組んでいくことや、行政の透明性をより一層向上させることなど、事業の点検を通じて得られた情報を事業の進め方や企画立案、改善にフィードバックすることが、今行政運営の構造改革に求められています。しかし、何よりも行政評価は、評価結果が活用されなくては意味がありません。自己点検ツールとしての活用、計画などの進行管理への活用、予算要求・編成への活用、全区的観点からの事業の整理・調整への活用などに結びつけていくことが重要な課題であります。

 中野区は、13年度に18施策107事務事業について行政評価を実施し、活用方策については検討していると伺っています。14年度は約700件ある全事務事業の評価に取り組むとのことでありますが、手段と目的とを十分に認識して、評価結果を活用していただきたいと思います。

 そこでお伺いいたしますが、14年度の行政評価の結果はどのように活用を考えているのか、また、そのためにどんな検討をしているのか、スケジュールもあわせ御説明ください。

 次に、5か年計画で課題とした施設の再編、運営の見直しの進捗状況についてお尋ねをします。

 民営化や廃止、統合を明らかにして取り組んだ保育園、授産場、青年館、白鷺ふれあい学習館については予算反映されていますが、地域センター、児童館、学童クラブ、高齢者会館、高齢者福祉センター、保健所・保健相談所、区立小学校・中学校、区立幼稚園、図書館の取り組みが見えません。少子高齢化や高度情報化など社会状況の変化により区民のニーズも変化してきていることから、施設の機能や配置、運営方法などについて再検証を行う。その結果により施設の統廃合や民間活力を活用した運営への転換などの改革を行うこととして取り組んでいるこれらの施設の再編、運営の見直しは、行財政改革の大きな柱となるものであります。取り組み体制と進捗状況について簡潔に御説明ください。あわせて今後の取り組み予定についてお聞かせください。

 区長は、14年度予算の特徴を行財政5か年計画に基づく内部努力の徹底を図ったことと言っておりますが、内部努力の重要な課題である、経営感覚を備えたスリムで機動的な行政組織の取り組みについてお伺いします。

 平成13年4月1日に行政分野別の部の再編を行い、保健福祉部として保健サービスと福祉サービスを一体的に提供するための組織整備をしましたが、目的どおりの機能を果しているのでしょうか。健康増進から疾病の予防、診断、治療及びリハビリテーションに至る連携は図られているのでしょうか。保健婦、看護婦、作業療法士や理学療法士など専門的な職員は能力を十分に発揮されているのでしょうか。保健と福祉分野を統合した意味を明確にして、再構成した組織を一日も早く機能させ、区民にとって必要なサービスを的確に供給する体力をつけなければなりません。

 組織を変えても内実が変わらなければ何の意味もありません。組織力の強化には組織・機構の簡素化と適正な定員管理とともに職員の人材育成が必要であります。そのためには、政策立案、政策法務など一連の政策形成能力、新たな課題への果敢な挑戦意欲、住民とのパートナーシップの前提となる説明責任、いわゆるアカウンタビリティを果たし得る能力を持った職員の養成が重要であります。

 このような職員の能力開発を進めるためには、人事制度を含めた総合的な人材育成計画を策定し、これに基づいた人材育成を図らなければならないと思いますが、行財政5か年計画に示された人材育成、職員の意識改革への取り組みはどのようになっているんでしょうか。進捗状況と平成14年度に取り組む具体的な内容をお聞かせください。

 通告の2点目に移ります。行財政改革と住民参加についてお尋ねをいたします。

 今日、行政の守備範囲は拡大するとともに、質的にも大きな変化をしています。行政サービスは、基礎的で必需的なものから、より高次で選択的なものへ、また、社会全体へ利益が及ぶものから、特定の個人や団体・グループに利益が帰属するものへと変わってきています。とりわけ少子高齢社会における福祉施策の分野では、救貧的な観点で進められてきた対策から、生活の利便性や快適性を維持する行政ニーズの対策へと移行してきています。このような変化には、行政サービスの費用負担や提供方法の見直しを、従来の発想にとらわれず行うことが必要であります。

 行政サービスの多様化、増大のコストは、行政改革だけでは吸収できるものではありませんし、吸収すべきものでもありません。行政サービスの質・量の拡大にはコストと負担が伴うことを住民に十分説明していかなければなりません。

 これには行政がサービスの内容やコストを明らかにし、それを評価することで施策とするかどうかを検討するとともに、住民にもコスト意識を持ってもらうよう働きかけていかなければなりません。また、従来、行政が担ってきた社会的サービスの供給も、住民団体やNPOが担うことも考えなくてはなりません。既に災害対応など行政だけでは対応できず、住民団体との協力により体制整備も進んでおります。こうした状況を見ても、住民はもっぱらサービスの受け手であるという図式はもはや成り立たなくなってきています。

 住民参加についても変化を始めています。これまでの住民参加は、主に計画策定段階など政策形成過程への参加や行事やイベントへの参加などが中心でありました。今後は、より事業の執行段階への参加が不可欠になると思います。

 行財政5か年計画に示された新たな施策展開の章に、住民参加は、区と民間団体や事業者・区民がそれぞれ役割を担う、区と区民と事業者の協働、家庭、地域、学校、行政が相互に連携するなどと表現され、新たな参加への方策を探るのかと思いましたら、参加による区政の推進の項に、「区民の意見が区の政策形成により反映されるようにするとともに、区民と区の協働の場を広げていく。」と旧態依然とした表現がありました。社会経済環境の変化に伴って社会構想も経済構造も大きな変革期を迎えています。行財政改革を進めるためには、こうした環境の変化を的確にとらえていかなくてはなりません。私は、住民参加も旧態依然としたまま標語化してしまってはいけないと思います。区長の住民参加への考えを改めてお聞かせください。

 また、区長は、新年のあいさつの中で、「これまでの中野区の区民参加、区民との協働の経験を一層発展させられるよう努力してまいります」と言っていますが、どんな参加、どんな協働を発展させていこうとしているのでしょうか。

 私は、区民の参加を実のあるものにしていくためには、区民の側だけに視点を当てるのではなく、区の受け皿のあり方も見直す必要があると思います。日常的に区政への住民参加を促していくのは、職員一人ひとりであります。区民がいい提案や意見を言っても、それを聞いた職員が仕事に反映させなかったら、参加や協働は成り立ちません。住民参加という視点から見た、あるべき職員は積極的に地域に出て、意見・要望を聞いて仕事に反映させようとする、生活者としての感覚を持った職員だと思います。個々の住民と話し合い、それぞれの意向を調整し、合意を得るまでの住民参加の過程では、個人エゴや地域エゴにぶつかることも多々あります。また、住民参加は多くの時間と労力を要します。

 区長は、行財政5か年計画の巻頭で、これから進める改革の中には、さらに合意形成を図らなければならないものがあるとしていますが、計画2年目に入り、もっと積極的に職員が地域に出ていく機会を多くつくる必要があるのではないかと思いますが、お考えをお聞かせください。

 区民の暮らしに必要なサービスを公平、公正に、適時適切に提供していくためには、区民を取り巻く環境がどうなっているのか、どんなニーズを区民は持っているのか、どんなサービスが不足しているのかといった調査、情報の収集分析を十分に行った上で施策をつくり、区民の意見を聞き、実行していかなくてはなりません。こうしたプロセスの各段階で専門家の意見を聞くことは必要です。区民の参加も当然になくてはなりません。区民参加という面から各段階を見てみますと、まず第1段階では、アンケートや提案、対話集会などにより意見・意向を区に伝えます。第2段階では、公表された施策案に対し、具体的な意見を表明することになります。実施という第3段階では、サービスを受けることになります。施策を見直す第4段階では、サービス受給者として施策を評価し、見直しや充実案の提案や意見を区に伝えます。このためには、区民が参加するための多様なチャンネルが用意される必要があります。今、自治体で導入が広がってきているパブリックコメント制度は、情報技術(IT)を活用し、住民の意見を施策に反映させていこうとするものでありますが、参加のチャンネルの一つとして検討すべきと思います。区長のお考えをお聞かせください。

 次に、行財政改革と平成14年度予算の項に移ります。

 平成14年度予算で28億円もの新しい事業及び事業の充実を図ったといいますが、余り耳ざわりのよい言葉は禁物だと思います。28億円の内訳を見ると、10億円は中小企業向けの緊急景気対策特別融資の枠の拡大というもので、すぐに歳出を伴いませんが、後年度に利子補給という義務的な負担が発生します。また、緊急雇用対策など国・都の補助事業や起債による事業など後年度に負担を回す事業が多く、これからの財政運営上課題を残したと言えます。用地売却9億円、起債の活用、財調基金からの繰り入れなど22億円と、臨時的な財源対策が必要なここ数年は、特に注意して説明をすべきだと思います。

 また、「入るを量って出るを制す」歳入に見合った歳出構造になるまでには、まだまだ時間がかかります。5か年計画の着実な取り組みとともに、さらに先を見通した財政運営を行わないと必ずツケが回り、区民や職員への負担をさらに大きなものにしてしまいます。

 行財政改革への取り組み2年目となる14年度予算の説明に当たっては、後年度負担による財政運営上の課題や、財源対策の必要性など財政運営面から見た課題など、区民に十分に説明しなければならないと思いますが、区長の考えをお聞かせください。

 次に、保健・福祉分野の平成14年度予算を見ると、健康を支える暮らしの環境づくりの面では、我が党の山崎芳夫議員が中心となって医師会や都と連携を図り推し進めた、準夜間の小児初期救急医療体制整備、障害児(者)、高齢者のかかりつけ医の推進の着手に重点配分されています。しかし、疾病管理や予防、健康増進面では、旧態依然とした総花的な施策運営が目につきます。今区民にとって何を重点的に取り組む必要があるのか見えません。

 平成14年度に保健・福祉総合推進計画を見直すとのことですが、これまでと同じ手法での計画づくりは反省しなければなりません。十分な調査を行い、区民にとっての課題を整理して解決策を検討し、限られた財源の中でどうすれば区民の健康が守れるのか、しっかりとした施策をつくる必要があります。国や都で行った国民生活基礎調査や国民栄養調査、受療行動調査などの各種調査の活用を初め、人口動態、特殊出生率、疾病構造、有病率など、これまで蓄積してきた衛生統計データの加工分析を行い、健康問題を明確にして実効性のある解決策を提起し、施策化していくことをしなくてはなりません。他の自治体の動向を見ることはもちろん必要ですが、競争する必要はありません。区民にとって必要な施策を着実に取り組むことが求められているのであります。

 こうしたことは、地域福祉という面から施策を見ても同じことが言えます。地域福祉は、区民が家庭や地域で人として安心して生活が送れるよう、自立することを支援することだと思います。このためには、利用者である区民の立場に立った制度を構築し、サービスの質を向上させ、事業を多様化、活性化しなくてはならないと思います。

 そこでお伺いをいたします。保健・福祉総合推進計画の見直しの視点と保健福祉審議会の役割、そしてスケジュールをお聞かせください。

 他の先進諸国と比較しても類を見ない急速な高齢化の進行は、基盤整備に着手できないまま多くの問題を先送りしています。主体的な対応策のないまま、平成12年度の介護保険法の施行により、高齢者保健福祉は新たな段階を迎えました。このため、支え合う地域社会の形成も、高齢者の自立支援も、社会参加の促進も、生活環境の整備もいまだに検討段階の域を出ておらず、中野区がどんな課題を持っているのか、どこから手をつけ、解決していこうとうしているのかよく見えません。他の先進自治体の成果を後追いしているようにしか見えません。14年度予算でやっと徘徊高齢者の探索サービスに取り組みます。しかし、これは今や行政が取り組むべき緊急かつ優先すべき課題かどうか考えさせられます。また、福祉というと低所得者対策にすぐに結びつけてしまうという悪い面を是正する兆しは見えますが、いまだにメーンの課題になってしまいます。区と区民の役割の見直しを行財政改革の視点に置いているのですから、区の役割を明確にした上でウエートをつけた財源配分を行い、早急に課題解決に取り組むべきであります。お考えをお聞かせください。

 14年度の一般会計予算を見て、改めて国民年金保険料に係る経費を大きさを知り、年金の持つ役割を考えさせられました。平成11年7月、地方分権一括法の成立に伴い、国民年金事務は、これまで区の課題とされてきた未加入者対策が平成12年度から、未納者対策が平成14年度から、それぞれ法定受託事務から除外されることになりました。しかし、世代と世代が支え合う世代間扶養の国民年金制度は、これからの本格的な少子高齢社会にとってますます重要となります。老後生活の所得保障として、区民の国民年金の受給権を確保することは、区民の福祉の安定、向上に必要であるだけでなく、将来的な社会保障経費の抑制効果や区財政上も必要であります。こうした長期的な観点から、単に事務を取り扱わなくて職員の削減ができるなど、単視眼的に物を見るのではなく、積極的に判断して加入、納付の勧奨を行っていくことは大きな意義があると思います。お考えをお聞かせください。

 次に、まちづくりについてのお尋ねをいたします。

 財政状況が厳しくなると、最初にどこから縮減を図るか、生活にすぐに影響がないと、どこの自治体もまちづくり部門から手をつけるようです。まちづくりを道路、建築物、緑など「物的施設づくり」と考える人が多いからだと思います。まちづくりの対象となる区民が住み、生活している場には、人が暮らすためのあらゆる要素が存在しています。このため、地域に合った住みよい魅力あるまちづくりを進めていくには、住宅や福祉、環境、景観、アメニティ、文化、防災など多様な視点や切り口を総合化していくことが不可欠であります。また、まちづくりは、事業は住民と行政が協働して行います。すぐに効果が見えず、20年、30年と時間をかけて取り組むものであります。しかし、まちづくりが無計画に何の調整もなく、個人の都合だけで行われるとどういうことになるか。過密市街地を抱えている中野区にあっては説明するまでもないことでありましょう。

 私は、今の社会経済状況にある中野の商店街や工業・産業界の方たちと話をするたびに、まちづくりへの取り組みの必要性を強く感じています。単身者が多い、定住しない、子どもが少ない、活力がない、こうした状況をつくる要因を探っていくと、住宅供給の実態に突き当たります。家族で生活する広さの住宅の供給が余りに少ない。また、交通結節点や商店街に駐車場がなく、集積機能が非常に弱い。そして、混在型の土地利用を規制する余り、土地の高度利用ができなくなっているということであります。こうした課題への対応は、個人では取り組みができません。区民同士が協働し、区と協力して行うまちづくりでしか解決しません。14年度は用途地域の見直しに向けた検討が行われますが、中野が抱えている課題を多様な視点から解決すべく検討していただきたいと思います。

 住宅供給は民間活力に期待するだけではなく、区も積極的に考える時期に来ていると思います。現在、住宅供給を考えられる事業は、江古田の森と警察大学校等跡地の大きなプロジェクトであります。江古田の森のPFI手法による整備の検討が報告されましたが、江古田の森に整備する施設にはグループホームやケアハウスは想定されていませんでした。これはコンサルタントからの一つの提案であって、PFI事業が成立すれば、住宅整備でもよいのではないかと考えます。また、警察大学校等跡地の整備に当たっても、何らかの形で住宅供給を考えてもよいのではないかと思います。中野区が自治体として自主・自立していくためには、税負担のできる世帯形成層が住まえる住宅の供給がされなくてはなりません。区長のお考えをお聞きします。

 続いて、その他の項でペイオフ対策についてお尋ねをいたします。

 平成12年5月に預金保険法が改正され、金融機関が破綻しても、預金を全額保護するという措置がこの4月からなくなります。いわゆる「ペイオフ解禁」であります。金融システムの安定化や金融機関の経営健全化の必要性が叫ばれて久しいですが、金融機関の経営状況は一段と深刻さを増しております。

 ペイオフの解禁は自治体の公金管理のあり方にも大きな影響があります。税金などを預けておく公金預金も一般預金も同じ扱いであり、公金管理の失敗が自治体財政に致命的な影響を与えかねない時代となりました。

 収入役が管理する公金には、区民からの区民税や各種手数料などの収納、区の事業の執行に伴う支払いなど「公金収納・支払い」と、歳計現金や基金の資金を保管・運用する「公金運用」があります。

 公金の収納及び支払いは、地方自治法施行令により議会の議決を経て指定される「指定金融機関」と、収納の事務の一部を取り扱う「収納代理金融機関」によって行われています。

 公金運用は、都市銀行に預金するなどにより行われていますが、基金は一部を有価証券により運営されていると伺っております。

 地方自治体は法人格を持ち、ペイオフでは個人と同じように一預金者となります。「区立小学校」など附属機関名義の預金も、自治体の預金として一まとめにされてペイオフが発動された場合、1,000万円とその利息分を超える預金はカットされる可能性があります。カットの規模によっては、財政運営にも支障を来すおそれが出てきます。13年度末の基金残高だけを見ても、67億円余になる資金を金融機関に分散預金をしたとしても、「元本1,000万円とその利息」という払い戻し保証の範囲内におさめるのは極めて難しいことであります。また、税などの収納金の収納代理金融機関への滞留額は、多くの金融機関で1,000万円を超えており、この別段預金は流動性預金のペイオフが解禁される平成15年4月以降、公金運用と同様にカットのおそれがあります。このように区の公金は、ペイオフの影響を受けない有価証券での運用を除き、金融機関の経営破綻時に預金カットの危険があります。

 本年4月のペイオフ解禁以降、区において金融機関の破綻という最悪の事態に備え、具体的かつ現実的な対応策を講じていかなければなりません。

 自治体が取り得るペイオフ対策は主に三つあると言われています。一つ目が、安全度が高いと見られる国債などに移すこと、二つ目が、預金と借入金を相殺して残高を圧縮する方法、三つ目が、預金先の金融機関の経営をチェックする組織をつくり、破綻懸念が出てきたら、すぐ預金引き出しなどの手を打てるようにしておくことだそうです。

 14年度はペイオフ解禁の対象になっていない普通預金に移しかえることで何とか対応ができると思いますが、15年4月以降はそうはいきません。早急に対応策をまとめ、危機管理体制を整備する必要があると思います。

 そこでお伺いいたしますが、まず、平成14年度予算案の中では、ペイオフ対応としてどのような対策が考えられているのでしょうか。中野区社会福祉協議会への在宅福祉基金の原資貸し付け、これは平成13年度3億円の取りやめ以外には、特に具体策が見当たらないように思われます。

 例えば、産業経済融資や住宅等融資資金貸付金にかかわる制度預託はどうなさるお考えでしょうか。産業経済融資の取扱金融機関は現在、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合24機関に8億円を、平成14年度には2億円の増額を行って10億円の制度預託を予算措置されているようであります。また、住宅融資にも、14行、うち2行は預託なしでありますが、14行に1億円ほどの預託を行っています。これらはいずれも大口定期預金によるものと思いますが、いかがでしょうか。こうした預託制度について今後どのような方針をお持ちなのかお聞かせください。

 次に、区が出資して設立した外郭団体の基本財産についても気になるところであります。特に、多額の出資を行っている二つの法人について、基本財産の運用に関するお尋ねをいたします。財団法人中野区勤労者サービスセンターの2億円と、中野区文化・スポーツ振興公社の基本財産5億円の運用について、それぞれ現在の財産の運用方法と今後の対応について、区としてどのようなお考えをお持ちなのかお聞かせください。

 ペイオフ解禁に関する最後の質問として、区立学校における修学旅行積立金や給食費など、学校の責任で管理している預金の保護について伺います。

 これらの預金は、今申し上げましたように、各学校ともかなりの額に上ると思います。もちろん区の公金ではありません。仮に金融機関が破綻して預金の一部が失われるようなことになれば、学校の責任が問われることにもなりかねません。このこととあわせてどのような問題が発生するおそれがあるのか、教育委員会として現在どのような認識をお持ちなのでしょうか、あわせてどのような対策をも考えていらっしゃるのかお尋ねします。

 その他の項でもう1点、最後の最後でございますが、多選についての区長の見解を伺います。

 地方自治法第19条の3項に、「日本国民で満年齢25年以上のものは、別に法律の定めるところにより、市町村長の被選挙権を有する。」とありますが、ここでいうところの「別に定める法律」とは、公職選挙法第10条、「日本国民は、左の各号の区分に従い、それぞれ当該議員又は長の被選挙権を有する。」に当たります。この第10条第1号では、衆議院議員についての年齢満25年以上から、第2号参議院議員の満30年以上、3号都道府県の議会の議員満25年以上、5号市町村の議会の議員満25年以上、そして第6号に「市町村長については年齢満25年以上」とあり、被選挙権の年齢の下限が定められております。そしてこの「被選挙権を有しないもの」として、公職選挙法第11条の第1項では、成年被後見人、2項では禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者、3項では禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)、5項では法律で定めるところにより行われる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪により禁錮以上の刑に処せられその刑の執行猶予中の者とあり、さらには選挙犯罪にかかわる云々とあります。あと、まだまだ条文は続くわけですが、ここでは紹介は省きます。

 ここで申し上げておきたいことは、ただいま御紹介した条文どおりでありまして、「被選挙権を有しない場合」とは、犯罪を犯したり、社会的制裁を受けた場合のみ起こり得ることで、法律では例え病弱の身であろうと、みずからの義務を果たすすべての日本国民には等しく選挙権、あるいは被選挙権を与えているのであります。また、議員もしくは長の年齢の下限は、先ほど御紹介いたしました条文にも盛り込まれておりますが、上限には触れておらず、高齢であるかないかの判断、選挙権、あるいは被選挙権を等しく持つ日本国民がみずからの見識でその判断を定めるものとの認識に立っていると考えられます。また、議員、あるいは長の任期に至っても同様であると考えられます。

 悲しいことですが、最近何件かの市長の犯罪が問われています。公共工事入札価格における贈収賄等でありますが、長年権力の座にある長の犯罪が発覚するたびにマスコミをにぎわします。首長の長期政権が即腐敗につながると考えるのにはいささか抵抗があれども、認めざるを得ない感もあります。しかしながら、長期にわたって首長の任期を務め、多くの市民から尊敬を受ける首長も日本全国には数多く存在することも忘れてはなりません。

 以上申し上げた点を踏まえ、また私ども自由民主党が6月の区長選挙において推薦する候補者を特定する以前の現段階で言えることは、我が中野区においても今日まで4期務められた神山区長が5たび区長選挙に挑まれることも、それは御自身の判断でありますし、決断であります。また、4期務められたことに対する評価、5たび挑まれることに対する評価も選挙権を有する有権者に与えられた大切な権利であり、それを審判することこそが「選挙」なのだということであります。

 一昨日の議運で中野区長の任期に関する条例が提案されました。この条例案に関する論議は、定例会中の付託委員会や本会議の場にゆだねますが、再三申し上げた選挙権や被選挙権を等しく受ける日本国民の権利を、中野区1区の条例という形で制限を設けることには無理があろうかと私ども自由民主党は現時点で考えます。仮に満25歳の有能な方が区長選挙に立候補したとしましょう。この方が当選の栄を得て3期務めたといたしますと、満37歳になります。年齢的にも働き盛りで区政運営に磨きがかかり、有権者、区民の方たちからも再度チャレンジしてほしいとの熱烈な声が上がったとしたら、この方はどうすればよいのでしょうか。引き続き3期を超えて在任することができないとの条例で制限をかけることに無理があるのではないでしょうか。貴重な人材の喪失としか考えられません。疑問です。

 これから平成14年度予算案の審査に入る前段階で、いまだ御自身の態度表明をはっきりお示しになるのはいささか無理があると存じますし、昨年の第4回定例会においての多選に対する区長答弁をもいただいておりますので、繰り返すようで大変恐縮ですが、我が党の考え方についても含め、区長の多選についてのお考えをお聞かせください。また、区長は施政方針説明で「6月の区長選挙について、いろいろと御質問を受けておりますが、このことについては、時期を見て改めてお話ししたいと考えています」と述べられておりますが、ここでいうところの「時期」とはいつごろなのでしょうか。6月区長選挙に向けての現在の御心境などとあわせてお聞かせいただければ大変幸いかと存じます。

 結びになりますが、新井薬師の貫主根本智英大僧正が正月初詣の参詣客に配布した「世代の語部になろう」という文章を今この場で引用させていただきます。朗読をいたしますが、「“なぜ人を殺してはいけないのだろうか"これは、先ごろ一流の新聞・雑誌の特集記事のテーマになって報道されましたが、まさに常識以前の問題で、人間失格であり、世紀末の様相を呈しております。戦後、私たちは『お行儀』という大切な歴史的相続財産を現世代に引き継ぐのを怠ったせいではないかと思います。子供の頃、挙動・品行等については特にうるさく、躾を厳しくされたものです。

 先日、高校受験に合格した生徒が曰く、「志望校に行けたのは自分で勉強したからで、学校や先生の世話にはなっていない」と言う。又ある生徒は「お母さんの希望する学校へ入って上げた」と言う。それを聞いて、前途に何か怖さを感じるものがありました。

 論語の中に「学びて思わざれば即ちくらし、思いて学ばざれば即ち殆し(あやうし)」と言う孔子の教えを中学で習ったものでした。また小学校の時、教育勅語を暗記させられた「父母に孝に、兄弟(けいてい)に友に夫婦相和し、朋友相信じ、恭倹己を持し、博愛衆に及ぼし」云々、これらは古今東西、普遍的な道理で、本来誰しもが一生を通して実践すべき事で、幾何学なら定理や公理にも例えられるような道徳の基で、学校では勿論、家庭や地域社会でも折に触れ、事に応じて教えられ、それは前世代から受け継がれて、社会全体で行われていて、それは長い歴史の集積として、最も大事な財産として相続された常識でしたし、価値観の基準となる良識(もと)だったのです。私達は、次の世代に引き継ぐ責務を、敗戦の混迷で日本精神欠乏症となり、おろそかにして今日まで来てしまった。今こそ私達古老は世代の語部となって、昔から日本人が身につけてきた、習い・学ぶ姿勢や、社会人として生きていく為に不可欠な、様々な事柄を次の世代に教えて行かなければと思う。長い歴史の中で風雪に耐えて生きつづけてきたことわざや神話の教え、論語や仏典・聖書などは、自主性や創造性、自己実現が正しく発揮される所以であり、誰しもが一生つづけなければならないことです。」と、このように世代の語部になろうという題名で文章をつくられ、これを新井薬師梅照院の初詣参詣客の皆さんに2,000枚配布したとのことでした。

 この中に「歴史的相続財産」といった文言が用いられておりました。最近、とかく相続というと、財産を相続するとか、不動産を相続するとかいった物や金を受け継ぐときに用いられることが多くて、また最近ではそれが当たり前の風潮になっていると言っても過言ではないと思います。しかし、ここでいうところの相続とは、孔子の教えや教育勅語の中に見られるような古今東西普遍的な道理で、本来だれしもが一生を通して実践すべきこと、幾何学なら定理や公理にも例えられるような道徳のもとを受け引き継ぐことを指しています。

 今、混沌としたこの現代にあって「心の教育」が叫ばれていますが、教育を変えるも、教員自身がまずみずからを変えること、それこそ政治を変えるも、そこに携わる一人ひとりみずからが真の日本人の心を持ってみずからを改革し、それらを次の世代に引き継ぐことから始まるものと確信をしております。今中野区は変わろうとしております。いや、変わらなければならないのであります。こんなときこそ必要なのは、区政に携わる我々の自己改革にあるとの思いを今痛烈に感じました。このような時期に区政に携わることの喜びをみずからの胸に刻み込みまして、本日の定例会質問を終わります。どうも御清聴ありがとうございました。

〔区長神山好市登壇〕

○区長(神山好市) 市川議員の御質問にお答えいたします。

 まず最初に、行財政改革への取り組みについての御質問でございます。

 着実に進んでいると判断した根拠、これは何かということでございます。また、5か年計画の見直し、修正についてはどう考えているかということですが、14年度予算については、職員数の削減によりまして、13年度に引き続いて人件費が実質的に下がりましたし、経常経費の縮減ができました。この結果、財調基金への積み立てを初めとして、新しい事業として、学校耐震補強、また、乳幼児医療費助成の所得制限の廃止、また、小児初期救急医療体制、また、放置自転車対策、電子区役所構築など、こういった緊急な課題について財源配分をするということができたというものでございます。このような予算の全体的な状況から行財政改革は着実に進んでいると見たものでございます。

 なお、この5か年計画について見直し、あるいは修正ということは考えているのかということですが、5カ年計画の中で施設配置の見直しを初めとして幾つかの課題が、検討事項として掲げてございます。この検討を並行して現在やっておりますので、検討結果が出次第、これは計画に反映させていくという作業をやらなければならないというふうに思っておりますし、そのときは財政フレームを含めて修正もしなければいけないだろうというふうに思います。その場合に、区民にもわかるように財政運営については意を配って、いろいろな広報手段を研究しながら説明をしていくようにしたいというふうに考えております。

 次に、組織の統合をやったと。その成果があらわれているのか。また、職員の能力開発について人材育成計画、こういったものをどう考えているのかということでございますが、行財政5か年計画で示しました行運営改革のためには、行政システム、あるいは行政組織の改革のほかに、人材育成、職員の意識改革というものが重要な要素だというふうに考えております。そのために区として人材育成の基本的な考え方を取りまとめていきたいというふうに考えております。とりわけ納税者である区民の感覚をもとにして、社会環境の変化に的確に対応して、公平、公正に、かつ効率的な職務執行に努める職員を育成する必要があると考えております。14年度には区民感覚を身につけるための体験型研修、コスト意識を養う研修、指導能力向上のための管理職研修などを計画しているところです。また、職員の能力開発育成につながる職員配置についても行っていきたいというふうに考えております。

 なお、職員増といいますか、これについては、自己評価、あるいは目標管理、こういったことを常に繰り返しながら、職務に精通をし、また全体を理解する経営感覚、特にコスト意識を持つというようなことは、絶えず養成をしていかなければいけない感覚だろうというふうに思っておりますし、こういったことを人材育成の柱としてこれからも運営をしていくべきだというふうに思っております。

 なお、研修の内容としては、民間派遣研修だと。先ほど申し上げました体験研修、あるいは専門研修、こういった形で研修の機会を多くつくっていきたいというふうに考えております。

 次に、住民はもっぱらサービスの受け手という図式ではなくて、参加の形式といいますか、考え方も変わってきたのではないかと。この住民参加についての区長の考え方ということでございますが、私は、住民参加はみずからの地域はみずからおさめる、こういった意味での住民が地域の問題について理解を深めて、みずから解決をするということが基本だろうというふうに思っておりますし、時代は参加から協働の時代に移ってきているというふうに考えております。民間団体も新たなサービスの担い手として公共サービス分野に参入をしてくるなど、社会環境は変化しております。区は、行財政改革を進めながら、多様なサービスを効率的な方法で提供する必要があると思います。行財政5か年計画では、区と区民、民間の役割分担を踏まえて、区と区民との協働をさらに発展させることにしております。

 中野区では、これまで行政の役割としてきた部分でも、民間や住民自身が担うことができる部分があると思いますので、住民参加をそうした点からも進めたいというふうに思っております。

 協働の姿というのは、それぞれの事務事業実施の際に実行委員会方式というものをやっておりますが、これも一つの協働の姿かというふうにも思っておりますし、またそういったたものを受け入れる区側の職員の受け入れ姿勢といいますか、こういったものも大事だというふうに思っておりますので、この角度からの職員の指導にも意を配っていきたいというふうに思っております。

 次に、合意形成を図らなければならない、5か年計画の中でそういうものがあると。したがって、もっと積極的に職員が地域に出ていく機会をつくるべきではないかということですが、行財政改革に当たりまして、区民に十分に説明をして、意見や批判についても真摯にこれをお聞きしながら、やるべきことは理解を求めて、確実に進める必要があるというふうに考えておりますし、区民と接して住民の感覚を肌で感じ取る。また、住民の提案や意見を組織としてきちんと受けとめる。これは基礎的公共団体として特に大切なことであろうというふうに思っております。今後施設の配置と運営の見直し、5か年計画に沿って行っていく課題でございますが、これらを進めるに当たって、区民に対してきちんと説明を果していく。話し合いや説明の場を十分につくって、積極的に区民とかかわりながら、ともにつくっていく行財政改革を進めていきたいというふうに思っております。

 次に、パブリックコメント制度についてでございますが、中野区ではこれまでも区民の声や区政モニターなど、さまざまな広聴活動を通じて区民の意見を区政へ反映するように努めてきました。また、重要施策の決定に当たっては、案の段階で区報等に公表して、地域での説明会、意見交換会等を開催しまして、区民意見を求めるパブリックコメント的な対応を行ってきたところでございますし、情報技術を活用したパブリックコメントについては、今後十分検討していきたいというふうに思っております。

 次に、14年度予算で新規事業等に拡充を図ったというけれども、後年度負担をするものがあって、財政運営上の課題を残したではないかということでございますが、市川議員言われますように、行財政改革、成果が上がってきたから、先が見えた、あるいは明るくなっきたということを安易に使うということは、確かに誤解を招くということがあると思います。状況は依然として厳しい状況に変わりはありません。5か年計画の内容を計画どおりに進んでいるという状況でございまして、すべてが回復しているというわけではございませんので、その点については十分今後も意を尽くしながら説明をしていくようにしたいというふうに思っております。

 14年度予算で区税や財調交付金が減少しておりますし、13年度中に積み立てた財調基金、これも7億円を繰り入れる、また、起債を活用したというようなこと、財政上の工夫が織り込まれております。その際、今後の起債残高、あるいは公債費比率、こういった財政運営上の指標というものを一応視野に置きながら、今後の運営というものを考えているわけですので、その点については十分留意をしているつもりでございます。今後とも区民に対して区の財政状況を十分に説明をし、理解を求めていく努力を続けていきたいというふうに思います。

 次に、江古田の森並びに警察大学校跡地の整備、この二つの大きなプロジェクトに住宅整備を考えてもいいんではないかということでございます。

 まず、江古田の森の土地利用についてでございますが、保健福祉施設を整備するという条件で、随意契約によって国有財産を譲り受けたということがございまして、PFIであっても、御質問にあるような一般の住宅建設といいますか、これには問題が残る、難しいというふうに考えておりますし、警察大学校跡地については、昨年策定をいたしました跡地利用転換計画案、ここで住宅等の土地利用も計画に入れておりますし、今後民間活力などによるファミリー層向けの住宅、良質な住宅というものを誘導していくということを考えていきたいというふうに思っています。

 最後に、多選についての御質問をいただきました。この多選の法的な問題、意義については、市川議員に言われるとおりだというふうに私は思っております。首長の選挙といいますか、多選についてはいろんな論議があるということも承知しておりますし、首長を選ぶのは住民である。多選の是非も選挙において住民が判断するものだろうというふうに思っております。

 この6月の区長選への心境ということでございますが、今私は予算の成立など14年度の仕事が順調にスタートできるようにするということが第一だと。これに向けての努力と、これに全力を尽くしていきたいということを考えているところでございますし、6月の選挙にどうするかということについてまだ決めておりませんので、いつということを今申し上げられないんですが、14年度の仕事が順調にスタートできるような見通しのついた時期というふうに私は考えているところです。まだどなたも出馬表明といいますか、そういったことを正式にやった方はいないんだろうと思いますし、私自身現職でありながら、先にということもいかがかというふうにも思っておりますので、今の時点ではまだ申し上げられませんので、御容赦いただきたいというふうに思います。

 なお、他の質問につきましては、それぞれ所管部長からお答えいたしますので、よろしくお願い申し上げます。

〔政策経営部長渡辺征夫登壇〕

○政策経営部長(渡辺征夫) 行財政改革の取り組みにつきましての御質問に2点お答えさせていただきます。

 最初に、14年度の行政評価についての御質問でございます。

 14年度に実施いたします行政評価につきましては、すべての事務事業を対象にする考えでおりまして、その結果につきまして、平成15年度の予算編成に反映できるようにしたいと、そのように考えております。また、評価結果はすべて区民の皆さん方に公表いたしまして、評価結果に対する区民の意見につきましても、事業を見直す際に生かせるようにしていきたいと考えております。そのために来年度につきましては、評価を8月ごろまでには終えるようなスケジュールを現在検討しているところでございまして、評価のための施策体系を整理するなどの準備を進めているところでございます。

 2点目でございますが、5か年計画の検討課題といたしまして地域センター等の施設の再編、運営の見直しを掲げてございまして、これらにつきまして現在、それぞれの所管の部の検討結果をもとに、全庁的な検討体制を設けて検討に入っているところでございます。

 これら各施設の見直しにつきましては、平成14年度の早い時期に区としての案を取りまとめ、議会にお示しいたしまして、区民の意見を聞きながら配置や運営を改善していきたいと、そのように考えているところでございます。

〔保健福祉部長浦野純子登壇〕

○保健福祉部長(浦野純子) 私からは、行財政改革と平成14年度予算につきまして2点お答えさせていただきます。

 まず、保健福祉総合推進計画の見直しについての御質問でございます。

 区は、保健と福祉の施策を総合的に推進するため、保健推進計画と福祉プラン21を統合して、新たに平成15年度を初年度とする5か年の保健福祉総合推進計画を策定することといたしました。この計画は、高齢社会の一層の進展を踏まえ、個人と地域や社会が協働して健康を増進し、疾病を予防する一次予防により健康寿命を伸ばすとともに、利用者の立場に立った福祉施策の展開と行政の新たな役割について明らかにすることを目指しています。

 計画策定に当たりまして、本年2月6日に第3期保健福祉審議会を設置し、区長から保健福祉総合推進計画の基本的な考え方について諮問したところでございます。今後保健福祉審議会での審議や区民の意見などを反映させ、平成15年3月を目途に計画策定をしてまいります。

 次に、高齢者の保健福祉の課題についてのお尋ねでございますが、区は保健・医療・福祉の連携を図りながら、身近な地域で区民が生き生きと暮らし続けられ、援助が必要となった場合には、地域の支え合いが必要であると認識し、保健サービスや福祉サービスを一体的に提供できるよう保健福祉センターや保健福祉相談所を整備いたしました。

 高齢者の介護予防や生活支援のために、生きがい対応型デイサービスや自立支援型家事援助サービスなどを平成12年度より実施してきたところでございます。今後もこうした介護予防を進めるとともに、援助を必要とする高齢者や障害者に対しましては、地域の住民やボランティア団体、NPO、社会福祉協議会などによる支え合いの活動を積極的に支援してまいります。

〔区民部長内田司郎登壇〕

○区民部長(内田司郎) 私からは、国民年金制度並びに勤労者サービスセンターのペイオフ対応についてお答え申し上げます。

 まず、国民年金制度に関するお尋ねですけれども、地方分権一括法の施行によりまして、本年4月から国民年金保険料の徴収事務等が国へ移行することになっておりまして、お尋ねの加入・納付の勧奨も直接的には国の役割となります。しかし、無年金者をなくし、区民の年金権を確保していくことは、住民に最も身近な自治体として大切なことと考えておりまして、今後も区の窓口に納付勧奨や口座勧奨のチラシを置くほか、社会保険事務所が行う出張相談とか、徴収の際に場を提供したり、区報等で未加入者をなくすためのPRを行うなど、できる範囲で協力、連携をしてまいる所存でございます。

 次に、勤労者サービスセンターのペイオフ対応についてですが、財団法人中野区勤労者サービスセンターの基本財産3億円でございますが、現在、都市銀行と信用金庫、合わせて三つの金融機関にそれぞれ1億円ずつ定期預金で運用をしております。ペイオフ解禁に当たりサービスセンターでは、現在、本年4月に満期を迎える信用金庫の定期預金は、当面普通預金とすることで、また都市銀行の定期預金につきましては、当該行の経営の健全性、安全性等を勘案し、他の金融商品も含め対応を検討しておりますが、あわせ区の公金運用の考え方を参考に、運用基準等定めることも検討しておるところでございます。

〔行財政改革担当部長石神正義登壇〕

○行財政改革担当部長(石神正義) 私からは、平成14年度予算でのペイオフ対応についてお答えさせていただきます。

 14年度予算案でのペイオフへの具体的な対策といたしましては、社会福祉協議会へ貸し付けをしております在宅福祉基金への原資貸付金3億円を取りやめまして、その基金利子相当分を補助金という形に切りかえをさせていただきました。また、産業経済融資、住宅資金等融資にかかわる預託金につきましては、14年度につきましては、従来の定期預金から普通預金での預託という形にさせていただきます。また、この融資制度につきましては、15年度以降預託金を廃止して、利子補給で対応するということで各金融機関と調整を図っていくということで考えてございます。

〔教育委員会事務局次長須崎英夫登壇〕

○教育委員会事務局次長(須崎英夫) ペイオフ関連2点についてお答えをいたします。

 最初に、財団法人中野区文化・スポーツ振興公社の基本財産5億円の現在の運用方法と今後の対応についてのお尋ねでございます。

 財団法人中野区文化・スポーツ振興公社の基本財産につきましては、区の出資による5億円と、その後の公社での増額分5,000万円を加えた5億5,000万円がございます。これにつきましては、全額都市銀行1行に2年もの定期預金として運用をしてございます。この定期預金につきましては、本年4月5日に満期を迎えることになっておるため、公社では当面の対応として、普通預金に切りかえるとともに、区の公金運用の考え方を参考にして、早期に公社独自の資産運用規定を定める方向で検討をしているところでございます。

 次に、区立学校における修学旅行積立金等のいわゆる私費会計の課題と対策でございます。

 区立学校で管理しております修学旅行積立金などの預金につきましては、仮に金融機関が破綻をし預金の一部が保障されない場合には、校長の責任が問われる可能性もあることから、現在校長会等と協議をしているところでございます。

 対策として現在考えられておりますのは、一つの金融機関に1,000万円を超える預金が集まらないように複数の金融機関への分散管理、また、破綻による清算の過程で口座の名寄せが行われた場合に、中野区の口座と明確に区別できるよう口座名義の見直しなどを考えているところでございます。

 これらにつきましては、私費会計であるということから、各保護者の預金として名寄せが行われるということも伺ってございます。そんなことを含めまして、今後収入役室とも協議しながら、十全の対策を講じていきたいというふうに考えているところでございます

○議長(斉藤金造) 以上で市川みのる議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 昆 まさ子

 1 区長の施政方針について

 2 国の医療改革について

 3 区長の4年間の区政運営について

 4 新年度予算について

 5 「凍結した施設整備計画の見直し」について

 6 江古田の森保健福祉施設整備の検討状況について

 7 区立保育園の「完全民営化」について

 8 その他

 

○議長(斉藤金造) 次に、昆 まさ子議員。

○33番(昆 まさ子) 2002年中野区議会第1回定例会に当たり、日本共産党区議団を代表して質問をいたします。

 初めに、区長の施政方針説明について伺います。

 今、日本経済と国民の生活は悪化の一途をたどり、目を覆うばかりの深刻な状態にあります。しかも所得、消費、生産が連鎖的に落ち込むという、戦後の日本でも世界でも経験をしたことのないほど深刻な事態になっています。

 完全失業率は5.6%になり、失業統計開始以来の最悪を続けています。さらに10%になるのも時間の問題だという指摘もあります。小泉首相は昨年末、青木建設が倒産したとき、「構造改革が進んでいるあらわれ」と冷たい態度をとりました。さらに小泉内閣は大企業によるリストラ人減らしを支援さえしています。国民が倒産や失業、社会保障などの不安にかられて毎日を過ごす状況では、一層消費も落ち込み、生産も減り、日本経済がますます悪化するのは当然のことです。全国では自殺者が3万人とも言われています。リストラ、失業、倒産、借金を苦にしてみずから命を絶つという痛ましい悲惨な状況が生じているのです。

 区長の施政方針は、小泉内閣の政治の失態について一言も触れていません。「完全失業率は過去最高の5.6%、企業の倒産や金融機関の破綻も続いている」と人ごとのように言っていますが、なぜそうなったのか、根本の責任を追求する姿勢は全くありません。政府・与党の政治がこんなにひどい失業、倒産、自殺に追い込んでいるのでございます。政府・与党が進める政治が国民、区民生活を混乱させ、生活破綻に追い込んでいることに対し、厳しく批判することなしに、ただ「区民の生活が大変だ」と言っているだけでは、余りにも無責任ではありませんか。区長の所感を伺います。区長は今、区民の暮らしの実態をどう認識しているのかをお聞きします。

 区長は中野区の自殺者の数を知っていますか。みずから命を絶った人は、2000年度61人、2001年度は50人です。この50人の中で、35歳から64歳が32人です。親を失った子どもの奨学支援をしているあしなが育英会では、父親らの自殺が原因で奨学金を受けている高校生が今年度は178人、3年前に比べて8.5%に急増し、過去最高だと発表しました。東京都の育英資金特別貸し付けの申し込みもふえ、2000年度は17件だったのが、2001年度は33件と増加していることがわかりました。担当者は親の倒産、失業、自殺などによるものですと語っていました。

 中野区の奨学金の申し込み状況も昨年度は29件、今年度は39件になっています。区の生活保護受給者も確実にふえています。7年前の1995年度では、受給者数は2,838人でしたが、今年度は4,199人となり、1,361人の増加です。不況や失業、病気で暮らしていけない、生命保険などを解約して生活費に充ててきたが、底をついた、人に迷惑をかけたくない、死のうと思ったなど追い詰められた人たちがふえています。

 区内の中小企業や商店も深刻な状況です。電気工事の下請の仕事をしている人から「3年前に不渡りをつかまされ、600万円のお金を取れなくなった。個人で仕事をしている場合は、この金額でも命取りになってしまう。銀行に行っても貸してもらえない。どこへ行っても助けてもらえなかった。本当にひどい」と訴えられました。

 中小企業の社長さんは、「毎日資金繰りに追われて、営業どころではない」建築の仕事をしている人も「借金の返済に追われて、毎日毎日、あすはどうしようかと生きた心地がしない」と目に涙を浮かべて、「こんな世の中おかしい」と怒りの声を上げています。

 商店を営んでいる人は「くも膜下出血で倒れてしまった。手術で1カ月余り入院をしたが、お店をいつまでも閉めておけない。まだ立ちっぱなしの仕事はきついが、働かなければならない」と言ってお店を再開しました。必死に頑張っている人たちの姿に目頭が熱くなる思いです。

 サラリーマンの人たちも収入が減っています。中野区の税務概要を見ると、男性の場合、1996年度、50歳から55歳の収入の状況は、平均で899万5,000円だったのが、2001年度は864万2,000円、年間35万円もの減収となっています。月額で約2万9,000円も収入減になっているのです。

 区長は施政方針の中で「区内の企業経営や区民の生活は、ますます厳しさを増し、深刻な状況になっている。区民の声を聞く中で実感を持って受けとめている」と言っていますが、区民の暮らしの現状を見て回ったことがあるのですか。深刻な状況が続いているからこそ、区民の暮らしに寄り添った区政運営が求められているはずです。

 しかし、区長は区民の生活実態と相入れない、区民に冷たい区政を平気で進めてきたではありませんか。区民の生活実態を本当に区長自身がわかっていたならば、このような区民犠牲の区政はできないはずです。「実感を持って受けとめている」などとはとても思えません。

 区民は何と言っているか御存じですか。区長の姿が見えない、区民といっても特定の団体や特定の区民とのつき合いでは、区民の暮らしぶりなどつかめない。何でもっとまちの中に出てこないのかと怒っています。行財政5か年計画で廃止を押しつけられた、中野授産場で働いている方は、「一度も区長は来たことがない、私たちのことなどどうなってもいいと思っているのでしょう」と区長に対する怒りを語っていました。障害者や高齢者、ひとり親家庭の生活実態や区内商店などの現況をもっとつかんでいるならば、そこに住んでいる人たちの暮らしが今どうなっているのか、しっかり見て区民要望にこたえていくはずです。区長にはその姿勢がないから多くの区民が失望し、信頼できないと言っているのです。区長は区民の声をどう受けとめているのか伺います。

 私は、大内区長が1975年、区民に約束したことを思い起こしています。特に第1として掲げた、区民の生活を守る区民サイドの区政を貫くという姿勢についてです。大内さんはこう語っています。「中央政府は、これまで長いこと大企業の高度成長政策を進め、今やその矛盾がだれの目にも覆い隠しようもなく明らかになっています。それにもかかわらずいまだに政治献金と引きかえに独占禁止法改正案の骨抜きを図ったり、あるいは自動車の排気ガス規制を自動車資本の言いなりに緩和したり、延期をしようとしています。このようなことを目の当たりにするとき、区が区民の生活を守る立場で仕事をしなくなったら、あるいは区民サイドで仕事をするみずからの体質にしなかったならば、区民の味方となる区役所はどこにもなくなってしまうのではないでしょうか。」27年の月日がたった今日、小泉内閣が国民に痛みと犠牲を押しつける政治を進めている今、自治体の使命は何かを示している言葉として感慨深いものがあります。区長はどのように考えているのかお聞きいたします。

 次に、国の医療改革について質問します。

 サラリーマンなど健康保険本人の医療費負担の3割への引き上げ時期について、政府・与党は来年4月から実施することで合意しました。中小企業などの労働者が加入する政府管掌健康保険の保険料を引き上げることも合意され、さらに新しい高齢者医療制度の創設など2002年度中に検討し、基本方針を作成するとしています。300万人の高齢者が新たに保険料を取られることになります。この医療改革は、国民や区民に我慢できない痛みを押しつけるものです。だからこそ戦後最悪の改革と国民の怒りと批判が全国で巻き起こっているのです。

 1月28日、中野区でかつてなく幅広い団体や個人の呼びかけで、医療制度改悪に反対する区民の会が発足されました。会の代表者のお一人となった老人クラブ連合会の会長さんは、「今回の医療制度の改革で一番犠牲になるのは我々高齢者だ。署名でも何でもやって頑張りたい」と決意を表明されています。また医療機関は、患者さんの窓口負担が重くなると、我慢をして治療に来なくなる。病気の早期発見と早期治療が大事なのに、病気が重くなってからでは助かる命も助からないと語っています。

 小学生の子どもを2人育てている人は、「給料が上がっていないのに保険料が引き上げられる、ボーナスからも引かれたらやっていけないよ。子どもにだってまだまだお金がかかるのに」と怒っています。90歳の母親を自宅で介護している方は、「介護保険が始まってから出費が多くなった。それなのにまた医療費にお金がかかるなんてひど過ぎる」という声です。区長は、これまで社会保障制度の改革に対して、国政についてはさまざまな見方がある。国は国、区は区の役割を果していくと述べてきましたが、国の政治のもとで行われようとしている医療制度の改悪は、国がやることだからといって容認できるものではありません。多くの区民の命と健康にかかわる重大な問題です。以前のように内容が流動的、不明確などと言っていられる状況ではないはずです。ここまで区民を脅かすことが明らかになった政府・与党の医療制度改革に反対の立場を明確にすべきです。区民の負担を和らげるために区として何ができるかも真剣に考え、打ち出すべきです。しかし区長は、このどちらもしないで、政府・与党の方針にただ従っているだけではありませんか。見解をお聞きします。

 次に、区長の4年間の区政運営に触れて質問をいたします。

 区長は、4年前、自民党、公明党、先日まで民主クラブだった政党とともに区政運営を進める道を選びました。この4年間の問題点の第1は、区長の公約違反です。

 区長は、4年前の区長選で「四つの基本姿勢」を掲げました。その1点目は、区民とともに培ってきた中野の自治を発展させるというものでした。しかし、この4年間で中野の自治は発展させられるどころか、国と都の政策に追随し、その枠内でしか仕事をしなくなったのが実態です。国が構造改革と言えば、中野も構造改革を唱え、自立・自助と言えば、オウム返しに自立・自助と言ってきました。あげくには国や都の補助金のつかない事業は廃止するとして、中野の自治の営みの中でつくり上げてきた施策を機械的に切り捨ててしまったのです。

 区長は施政方針で分権と自立という中野の自治の精神とか、経済と社会の構造的な改革が求められている今、自治の立場を一層大切にし、区民とともに歩まなければならないと述べていますが、どんなに言葉を並べても、中野の自治は区民とはかけ離れてしまっているのです。

 さきにも述べましたが、30年前、大内区長のもとで自治体を国の下請機関とせず、区民に密着し、福祉や教育、営業など区民の生活を最優先に考えて取り組む区政が誕生し、それ以来区みずからの政策判断を大事にして、自治体から政治、行政を変えるという分権・自治の時代を切り開いてきました。区長は、区民とともに培ってきた中野の自治を投げ捨ててしまったのに、言葉は同じようにお使いになっていますが、心がこもらない言葉などお使いにならない方がいいと思います。

 2点目の自主・参加・連帯に支えられた豊かな地域社会づくりにしても同じです。言葉では言うけれども、今の神山区政の中のどこに自主・参加・連帯が生きて実践されているのでしょうか。区長は今でも事あるごとにこの言葉を口にされますが、余りにも実態とかけ離れていて、区民にも職員にもそらぞらしく聞こえるだけです。

 例えば、館山健康学園の廃止をめぐって、保護者や関係者、医師会の先生方、区民から子どもたちの健康を回復させる必要な学校施設だとして、廃止の見直しを求める声が上がりました。区民の教育参加条例に基づいた議論が求められたにもかかわらず、住民説明をしたから、学校関係者の声を聞いたからといって言い逃れたではありませんか。区民が自主的に区政に参加し、区と連帯して区民に必要な施策を検討したいと言っているのに、区民の意見を誠実に聞き取り、政策へ練り上げる姿勢など全くないのです。自主・参加・連帯に支えられたといいながら、支える区民をパートナーとして大事にしなくなったのです。

 3点目は、憲法擁護・非核都市宣言の精神を広め、平和な暮らしを守るという公約でした。公約として掲げたことが実行されたと言えるでしょうか。区長はアメリカのアフガニスタン攻撃に際しての自衛隊の海外派兵について、法が整備されたので、憲法の範囲内だと答弁しました。事の本質から目を背けて迎合し、与党の機嫌を損ねないように身の処し方をしてきました。憲法の精神を守るという気概はどこにも感じ取れませんでした。

 施政方針では、非道なテロを根絶という立場から、テロや戦争のない平和な世界をつくることは、国際社会が協調して取り組まなければならない課題と述べています。しかし、アメリカのブッシュ大統領は、2002年は戦争の年と宣言し、アフガニスタンへの報復戦争を拡大しようとしています。そのアメリカに全面協力をしようというのが小泉内閣です。自衛隊の海外派兵は、日本が戦争に協力していくというものです。区長はどういう理由があれ、戦争には反対だと述べておられますが、自衛隊の海外派兵を憲法の範囲と認識されるのでは矛盾します。憲法擁護・非核都市宣言の精神を広めるという公約も投げ捨てているのです。

 4点目は、区民の意見を反映させながら、簡素で効率的な行財政運営に努めるというものでした。しかし、実際には区民の声をシャットアウトし、区民生活に直結した福祉、教育の事業を切り捨て、行政にとって都合のいい行財政改革を進めているだけではありませんか。かっての中野区政は、区財政が厳しいときは、区民の暮らしはもっと厳しい。何よりも区民の命や暮らしを大切にするという姿勢で、区民の要望、批判、異義申し立てにもしっかり耳を傾けて区政に反映させるということをしてきたのです。いつも区民と苦楽をともにする、区民にとって身近な区政ではなかったでしょうか。それが今日、政治的なスタンス、軸足を大きく変えてしまっているのです。

 以上のとおり、区長は4年前に掲げた基本姿勢をことごとく崩し、平然と公約を破ってしまいました。この区民への背信行為を区長はどのように認識しているのか、答弁を求めます。

 この4年間の問題点の第2は、区政が官僚主導になり、区民に問答無用の押しつけをする区政になったことです。

 この4年間で区民あっての区政という理念も言葉も、残念ながらどこにも見当たらなくなりました。区の意思が決まる過程が不透明で、説明も不十分のままです。区の一部の幹部が決めた方針や計画を区民にも、職員にも一方的に押しつける区政になったのです。

 施政方針で、国政においては、官僚機構が国民から離れている姿がかいま見られる。国民から不透明な形で行われていることはあってはならないと国の政治のあり方に所感を述べていますが、この4年間の区政は、国の政治そのものではありませんか。区政の改革を区民に開かれた形で進めることが、区の行財政を支える何よりの担保だと言っていますが、一方的に官僚主導で決めた行財政5か年計画を幾ら情報提供したところで、区民に開かれたなどとは言えません。区民が負担と犠牲を押しつけられる計画に異義を申し立てたのに、そのときには尊重されず、今さら担保だと言われても、区民の信頼は得られません。区政運営が困難であればあるほど、区民との協力協働の関係が大事です。区民参加を閉ざされた区民が、区政への反発と批判を強めていることを区長はおわかりにならないのですか。区政はすっかり変質してしまったことは明らかです。それにもかかわらず変わっていないとおっしゃるのでしょうか、お聞きします。

 問題点の第3は、区財政の悪化を区民にしわ寄せするやり方です。

 区長は、財政難を口実に行財政5か年計画を強行に推し進めて区民負担をふやし、施策を切り捨ててきました。福祉や教育など区民生活に直結している区民サービスの切り下げを強行し、幾つかの面で23区最悪の水準にまで落としました。

 さきにも述べましたが、国・都の補助金のつかないものは廃止する方針で、中野区独自の施策のほとんどが切り捨てられてしまいました。生活保護受給者への法外援護の廃止、障害者や難病患者の手当の3分の1をカット、中野授産場の廃止など、生活に一番困窮しているところに犠牲を押しつけました。さらに地域活動推進員、交通指導員、校庭開放指導員などの廃止を一方的に強行したのです。虚弱な子どもたちの健康学園の廃止、青年館の廃止なども同様です。学校施設の維持補修・修繕も最低限の安全対策だけです。かつての福祉先進区から、福祉・教育の切り捨ての先進区となり、自治体本来の役割と責任を放棄しているではありませんか。同じ区長のもとにありながら、これほど区政の内容が劇的に変化・後退をした事例は他に見ることはできません。だからこそ広範な区民や団体から区長への批判の声が一層高まっているのです。区長はそれがわからないのでしょうか。区長の所見をお示しください。

 次に、新年度予算案について質問をいたします。

 当初予算案は一般会計785億9,600万円、前年度比マイナス6.4%です。国民年金保険料徴収にかかわる経費を除いても、前年度比1.2%のマイナス予算です。最大の原因は、景気の一層の落ち込みによる区民税の落ち込み、特別区交付金の減少などがあります。歳入の3割を占める特別区交付金は、今年度最終補正予算に比べて23億円も減っています。今年度のような大きな追加交付金が見込めない状況です。昨年度都区制度改革の際に特別区交付金の調整率について、都側の圧力に屈した区長会の安易な妥協が影響しているのです。

 都区制度改革の重要な課題であった調整率は、区側にとって極めて不満足な結果となりました。その直前まで区長会副会長を務めていた神山区長にも大きな責任があります。この低い調整率は、財政財源が2001年度のような減収となれば、すぐに区財政に大きな打撃を与えます。2002年度財調財源が1,000億円も減収となる中で、中野区の交付金は2001年度当初予算と比べて10億円、最終補正から23億円も少なくなったのです。区長は低い調整率に決まってしまったことを、不十分であったと述べられていますが、この事態をどう見るのですか。一体この責任をどうお考えですか、お答えください。

 国との関係も都と同じようなものです。例えば、特例交付金について最近はどのような要求を政府にされているのでしょうか。定例的な区長からの要望書の提出だけで済まされては困るのです。2001年度の特例交付金は、既に昨年の8月には決定されています。2000年度とほぼ同じような額でした。国に対する財政自主権を主張されるのなら、この交付金について言えば、恒久減税での減収分はすべて見込むよう主張するのが当然ではありませんか。なぜそうしなかったのかお答えください。さらに、都との協議の中でとりわけ重要なのは、施政方針でも触れられている大都市事務の分担、特別区制度のあり方、清掃事業の今後の問題などです。調整率問題のときのような安易な妥協は絶対に許されません。今後の中野区自身の問題であるにもかかわらず、今さら区としても積極的に参加していくなどと言っている程度ではどうしようもありません。区民の生活を守るために必要な財源は全力を尽くして確保するという思いがないから、このようにすべてにわたって無責任で悠長な態度になっているのではありませんか、見解を求めます。

 歳出の面では、個別の事業について、区民の要望を無視できず、幾つかの事業が予算化されました。例えば、乳幼児医療費の所得制限をなくして、就学前まで無料にするというものです。日本共産党区議団は、1972年、今から30年前、革新区政のときに、23区で始めて乳幼児医療費助成を実施したときより、区民要求実現に向けて就学前まで無料にすることを区に要求してきました。今国に対しても粘り強く要求し続けています。

 杉の子作業所開設支援の予算化がされました。我が党の質問でも取り上げてきましたが、愛育会から二度にわたって議会に陳情が出され、全会一致で採択されたものです。また、法人化されない福祉作業所の食事代についての予算や、介護保険利用者負担の軽減、小児初期救急医療体制整備費など区民要望によって新規事業として予算が計上されました。

 行財政5か年計画で当初繰り延べされていた学校施設耐震補強工事も関係者や議会の要望に押されて、Cランクのうち工事未了の2校について計上されました。緊急特別融資の融資枠の拡大も不況のもとで区民の強い要望でした。我が党議員団は、区民の要望実現の立場で求めてきた事業が、新年度予算案に反映されたものと受けとめています。

 しかし、行財政5か年計画の2年目として推し進めていく福祉、教育予算などの削減を認めることはできません。中学校修学旅行参加費補助の廃止は、生活費が落ち込んでいる中で、保護者の負担を一層重くするものです。中野授産場の廃止の問題は、昨年の議会で何度も取り上げましたが、4月から江古田授産場に行く人も、遠くて行けなくなった人も高齢者です。学校施設の維持補修費も不十分で、雨漏りしない学校を探した方が早いなどということを当たり前のように放置している区の施政が問われています。

 新年度予算案を計上するに当たって、5か年計画による区民負担の増大や、福祉、教育分野の事業など区民の生活実態をよく考慮し検討すべきでした。区は一体何をどのように検討したのかお聞きします。

 区民生活を最優先するならば、新年度当初予算案に計上しなくてもいいと考えられる事業もあります。電子区役所実現に向けての1億1,000万円や、区立保育園の民営化の2,900万円、さらに天然ガス自動車の導入、地域まちづくり関連では東大附属西側の樹木の移植に伴う予算なども、そのすべてを当初予算案に計上しなければならないものではありません。まだ東大附属高校側とはいつまでに樹木の移転をするという合意もできていないという状況です。このような事業について見直しをすれば、さきに述べた事業に予算を回せたはずです。区のお考えをお聞きします。

 次に、凍結した施設建設整備計画の見直しについてお聞きいたします。

 凍結した施設建設整備計画の見直しとして、上野原スポーツ・学習施設、産業情報センター複合施設、南部区民ホール等複合施設などの建設計画について評価を行う専門委員会設置が予算に計上されています。ここに掲げている施設は、いずれも区民要望で計画が進められてきましたが、区民の意見、提案などさまざまな議論がされてきた経緯があります。例えば、南部区民ホールの複合施設などは、1992年度から南中野地域協議会に建設検討委員会がつくられ、近隣住民などで協議されてきました。基本設計の変更、計画の一部変更など住民の協議が重ねられ、実施計画までまとまりましたが、1998年3月、この年度の工事費予算が繰り延べになったという経過があります。地域協議会の建設検討委員会で5年間にわたって協議されてきたことが、施設建設整備計画の見直し、評価にどう生かされるのか、区民の提案はどう議論されるのかが問題です。区民の意見を尊重し、議論することが大事です。見直し検討委員会は、一部の専門委員だけで構成すると聞いています。なぜ区民を委員にしないのですか。これまでの経過があるのですから、関係区民を交えて検討するのが当然ではありませんか。また、幾つもの施設についてまとめて検討するというものですが、それぞれについて丁寧に十分吟味できるようにすべきです。どのように検討するのかお答えください。

 次に、江古田の森保健福祉施設の整備についてお聞きします。

 1月23日の江古田の森整備特別委員会に、整備手法調査研究業務委託の結果の概要が報告されました。これを見ますと、区がこれまで導入すべき施設として考えていた老健施設とリハビリセンター、特養ホームとショートステイ、デイホーム及び身体障害者ケア付き寮と知的障害者生活寮に加え、新たにユニット型の痴呆性高齢者グループホームとケアハウス、入所者専用の診療所などの施設機能の併設が提案されています。痴呆性高齢者のグループホームもケアハウスも、地域の高齢者や家族から強く望まれている施設です。区は施設整備の新たな提案についてどのように評価しているかお聞きします。

 区長は施政方針で「PFI手法の導入を検討していますが、今後議会での議論も踏まえて導入施設と手法についての結論を出す」と述べています。これは、報告書が整備手法としてPFI・BOT型が望ましいとしていることを踏まえてのことであろうと思います。PFI・BOT型は、PFI事業者が施設を建設し、契約期間にわたり運営・管理を行って資金を回収した後、行政にその施設を移管する方式です。

 整備手法としてPFI方式を導入できないかということは、既に1年前から検討の素材になっていました。PFIは事業実績そのものがまだ少なく、特に特養や老健施設などの福祉施設の整備に関するPFIの経験・実績がないことから、慎重な調査検討が議会からも求められていました。したがって、PFIに関する調査研究は、区としても当然行ってきているはずです。調査会社がよりよい方式として提案しているPFI・BOT方式についても、区の一定の考え方があるはずです。区はPFI・BOT方式についてどのように評価していますか、現在の到達点をお聞きします。

 区は厚生労働省との間で交渉すると言い続けていますが、その内容があいまいです。区と厚生労働省との約束の一つは、事業計画、または利用計画を変更しようとするときは、詳細な計画を書面にして厚生労働省の承認を得なければならないというもので、もう一つは、2003年3月31日までに指定用途に供さなければならないというものもあります。区が厚生労働省との間で行う交渉の最大の眼目は何なのでしょうか。事業計画、または利用計画の変更に関する交渉なのですか。来年3月31日の指定期日そのものの延期なのでしょうか。あるいはその両方を含めての交渉なのでしょうか。さらに、この交渉が成立するめどは立っているのでしょうか。区の明確な答弁を求めます。

 江古田の森保健福祉施設の整備は、長い間の懸案事項でありながら、いつまでに何をどうしようとしているのか、どうしなければならないのかが全く見えないのが問題です。余りにも無責任ではありませんか。現在、区が考えているタイムスケジュールを明確に示すべきです。今後の見通しとスケジュールについてお答えください。

 次に、区立保育園の民営化についてお聞きいたします。

 2月8日付の新聞に衝撃的な報道が掲載されました。「中野区の区立保育所完全民営化」という記事でした。東京中野区は区立保育所を全面的に民営化する。保育所の運営を民間委託をしている自治体があるが、全施設を委譲し完全な民間組織に移行させるのは極めて珍しい。全面移管すれば、人件費を中心に年間10億円の経費削減が見込めるという内容です。この記事に掲載された区立保育園の全面民営化は、いつ、だれが、どこで決めたのですか、お尋ねいたします。

 決めていないとしたら、なぜこんな記事が出たのですか。訂正がない以上、区の方針決定としての報道が正しいことになってしまうではありませんか。

 行財政5か年計画は、5園の民営化を示していますが、今子どもがいる保育園を民営化すること自体大問題で、保護者、保育関係者、区民から依然として強い不案と批判の声が出されています。どのような保育園になるのか、どんな水準になるのか、保育内容はどうなるのかなど、疑問と不信もまだ解消していません。この区民の不安や疑問をしっかりと受けとめて、今後の保育行政をどうするか、区民とともに考えていくということもなしに、5園どころか全園民営化という方針を打ち出すなど、絶対に許されるものではありません。

 区の財政を最優先させ、未来を担う子どもの施策を経営的視点で切り下げる、採算第一主義に走り、安ければ安い方がいいと、行政の仕事の値打ちまでコストだけで判断する区になってはならないのです。税金を使って整備したものを丸投げして、区は補助するだけなどということにしてしまうおつもりですか。区の見解を求めます。

 以上で私の質問のすべてを終わります。

〔区長神山好市登壇〕

○区長(神山好市) 昆議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、施政方針についての御質問でございます。

 区民の生活が厳しいということが、政治の批判をしないで言っているのは無責任ではないかということですが、政治の批判をしないで区民の生活が厳しいと言うなというと、何も言えなくなってしまうのではないかというふうに私は思っているんですが、政治の批判をすると、その前に我々が常に接触をしている地域の住民の生活というものをどうとらえるのかと。そこから政治で何を解決するかというところにつなげていかなければならないんだというふうに思っております。

 所信表明で私が申し上げたのは、直接接触した区民から生活実感として受けとめたものを申し上げたところでございます。自治体の役割というのは、住民の福祉の増進を自治の立場で行うということであるというふうに思っておりますし、私は自治体の長として区財政を強固なものにし、区民に必要なサービスを提供できるようにしていく。区民の期待にこたえていくということが役割だというふうに思っております。

 国政においては、景気回復に力を尽くすことを期待しているところですが、改革については、国民全体の利益になるような形にしてほしいと願っているところでございます。区民の生活は、私自身実際に倒産をした会社の関係者、また、リストラをされた人、そういった30代、40代の皆さんからいろいろな話を聞かされておりますし、また、商店街等についても話を聞いています。そういったことについてどう感じているかということは、私は率直に言わせてもらいたいというふうに思っております。これを所信表明の中で申し上げたつもりでございます。

 次に、国の医療改革についての御質問でございます。

 国へ何も働きかけをしていないのではないか、医療制度改革についての反対の申し入れを行うべきではないかということでございますが、昨年9月に医療制度試案が厚生労働省から発表されています。それ以来さまざまな論議をしながら、最終的な政府案がまとまったというところですが、この間、区長会は全国市長会を通じて医療保険制度に関する決議を行っています。保険制度の一元化や医療費全体の伸びを抑えて、適正化を図るための健康づくりも含めて具体的な対策を講じるように国に求めているところです。また、保健医療改革大綱についても重ねて同じような趣旨の意見表明をしてきております。

 現在、医療制度改革関連法案、あるいは予算案が国会で審議をされている段階でございますが、適切な医療が提供され、区民の生活向上につながるような医療制度改革のあり方について十分な審議がされるように願っているところです。

 これまで2001年9月26日に市長会として試案に対する意見書を出しています。同じく11月15日に決議を行っておりますし、また、11月20日、ワーキング中間報告に対する緊急意見を全国市長会として提出をしています。さらに、医療制度改革大綱が2001年11月30日、29日に大綱が決定されておりますが、その翌日ですが、医療制度改革大綱についての意見表明をやって、国に要請をしておりますし、ことしになってからは1月25日、医療保険制度改革に対する意見を提出しているところでございます。今後も区長会、あるいは市長会を通じてこういった活動は続けていきたいというふうに思っております。

 次に、公約をことごとく投げ捨ててしまったのではないか、やる姿勢がないと。また、公然と公約を破る姿勢ということをどう認識しているのかということですが、私は公約を投げ捨てたというつもりはございません。私は区民の立場に立って区政を進め、自治と分権の時代にふさわしい主体的な行財政運営の実現を目指して5か年計画をつくり、全力で取り組んでいるところでございます。区政運営の理念について、私自身、自治と平和と効率的な行政運営を基本にしているところでございますし、区長就任以来区民とともに、区民本位の区政を進めていくという姿勢を貫いているつもりです。

 現実には財政が非常に逼迫をしたその中で、歳入に見合った歳出構造をつくらなければいけないという点で、区民の皆さんにも大変御協力をいただいている、苦労をいただいているという点は、否定するわけではございません。この苦しい状況をいかに乗り切るかということで理解を求めていく必要があるというふうに考えております。

 また、官僚機構ということ、これが中野の政治そのものが官僚主導ではないのかということですが、中野区では区民参加による開かれた透明な区政運営を進めているつもりでございますし、国のような官僚機構という問題はないというふうに考えておりますし、政策決定においてはすべて私の指揮のもとに進めているつもりでございます。

 次に、区民の声、高齢者、障害者、あるいは子どもに犠牲を押しつけている、これに対する区民の声というものは区長にはわからないのかということでございますが、将来に向けて安定的行財政基盤をつくるために5か年計画を推進しているところでございますし、基本となる区民サービスを確保しながら、新しい課題にも取り組んでいかなければならない。この点で現在努力しているところでございますので、区民の理解を得るような努力をこれからも続けていきたいというふうに思っております。

 他の質問につきましては、それぞれ所管部長からお答えいたしますので、よろしくお願いいたします。

〔行財政改革担当部長石神正義登壇〕

○行財政改革担当部長(石神正義) 私からは、新年度予算についての御質問にお答えいたします。

 まず、都区財調の調整率についての御質問でございます。

 調整率につきましては、清掃事務の特例的な対応が終了する17年度の時点で見直しをするということにしてございます。それまでの間大きな制度改正、またはどうしても対応できない事態が発生したという場合には、協議をするということになってございます。14年度の都区財政調整協議におきましては、児童扶養手当等の区側の事務がふえているということから、23区として調整率の変更を主張いたしました。都区間での事務的な検討を進めていくということで確認されたところでございます。

 このように財源配分につきましては、具体的な検討が進められるという見通しとなりましたが、調整率に影響を及ぼすような事務量の増があった場合には、その都度積極的に都に対して協議を求めていくという考えでございます。

 次に、地方特例交付金についての御質問にお答えいたします。

 特別区につきましては、恒久的な減税の補てんに関して一般の市町村より不利な取り扱いを受けてございます。区長会では国に対して地方特例交付金の補助率の引き上げ、こういった財政措置を強く要望しているところでございます。今後も強く要望していきたいというふうに考えてございます。

 次に、行財政5か年計画による見直し事業の復元についての御質問でございます。

 平成14年度予算は行財政5か年計画の2年目ということから、改革を着実に進め、健全で弾力のある財政構造を構築するための予算として編成をいたしました。また、行財政5か年計画で示しているとおり、計画期間中であっても、14年度中に行う必要のある重点となる区政課題について取り組むことといたしました。また、行財政改革を推進するための事業についても取り組んだところでございます。行財政5か年計画を着実に実施して、安定した行財政基盤を構築して、新たな行財政の枠組みの中で区民要望にこたえていかなければならないというふうに考えてございます。

〔政策経営部長渡辺征夫登壇〕

○政策経営部長(渡辺征夫) 凍結した施設整備計画の見直しの御質問にお答えさせていただきます。

 今回見直しを行う五つの事業につきましては、いずれも計画策定時から時が経過しておりまして、区民ニーズの変化や施設建設、運営に見込まれるコストと効果の比較、あるいは手法など改めて検証していく必要があると考えております。

 外部の専門家による委員会といたしましたのは、できるだけ客観的に費用対効果や施設への潜在需要などをとらえるためにそういうような形にしたものでございます。評価委員会の検討に当たりましては、個々の施設ごとにそれぞれの経緯を踏まえて評価をお願いしていく考えでございます。その結果につきましても、区民にきちんとお示ししたいと、そのように考えております。

〔福祉担当部長本橋一夫登壇〕

○福祉担当部長(本橋一夫) 私からは、江古田の森保健福祉施設整備についての御質問にお答えをさせていただきます。

 まず、ケアハウス等についてのお尋ねですが、委託調査の報告では、江古田の森ではケアが必要な高齢者に対して総合的なサービスが提供できるようにするという趣旨から、導入施設に痴呆性高齢者グループホームやケアハウスを加えてはとの提案があったものと受けとめております。

 これらの施設を江古田の森の整備の中でどう扱うかにつきましては、今後報告書などを検証しながら、整備方針をまとめていく中で検討していきたいと考えております。

 次に、整備手法についてですが、庁内の検討では、PFIのBOT方式は、民間の創意工夫や資金を最も活用できる手法と見ておりました。このPFI・BOTによる整備につきましては、まだ介護保険施設での実施事例がないというだけに、手法選択に当たりましては、国の補助金を受けられるか等について見通しを持てるようにしていく必要があると考えております。

 次に、厚生労働省との交渉についてのお尋ねですが、協議をしている用地売買契約上の制約は、整備する施設、整備と運営の主体、さらに買い取り期限の延伸の3項目であります。これらにつきましては、一括して事業計画の変更承認の手続をとることが必要であると考えております。現在、事務レベルでの協議をしておりますが、区の取り組みについて厚生労働省にも一定の理解をいただいているものと受けとめているところであります。

 整備スケジュールにつきましては、厚生労働省に対する手続の時期も勘案しながら取りまとめていきたいと考えております。

〔地域センター部長柳澤一平登壇〕

○地域センター部長(柳澤一平) 区立保育園の民営化に関しての新聞報道につきまして、区はどう考えているのかというお尋ねでございます。

 2月8日の新聞記事でございますが、2月7日の中野区の平成14年度当初予算プレス発表において、行財政5か年計画に基づき平成15年度から3年間で5園の保育園の民営化を行うということを説明いたしました。その後新聞社からの取材に対しまして、5か年計画以降については、民営化の推進という選択肢も含めて検討していくこと、また、株式会社による運営も検討していく旨を説明したものでございますが、これがこのような報道になったというような認識をしてございます。

〔昆 まさ子議員登壇〕

○33番(昆 まさ子) 再質問します。

 最後の区立保育園の民営化に関することですが、報道がそうなったというふうな一言でお答えになっても、全然理解はできません。そういう誤った報道になったというならば、区の責任においてなぜ訂正をしないのですか。そういうことを私は聞いているんですけれども、お答えください。

〔地域センター部長柳澤一平登壇〕

○地域センター部長(柳澤一平) 再質問にお答えいたします。

 この新聞報道につきましては、プレス対応した政策経営部と保育を所管いたします地域センター部で協議をいたしまして、その上訂正の申し入れはしないという判断をしたところでございます。

〔昆 まさ子議員登壇〕

○33番(昆 まさ子) 再度質問をいたします。

 政策経営部と地域センター部で協議をして、訂正をしないという判断にしたのはなぜですか。そこのところを聞いているんです。お答えください。

〔地域センター部長柳澤一平登壇〕

○地域センター部長(柳澤一平) 再々質問でございますが、この協議の場で私が私の部の方の判断として考えましたのを少しお話しいたしますと、この5か年計画で、つまり中野区としては民間活力活用ということを大きな方向として持ってございます。この記事そのものが原則として民営化というようなことを書いてございますし、区は正式に決定したというふうに書いた記事でもございませんので、ここに対して正式な抗議をするという必要が果してどうなのかなという感じを持ったということでございます。

○議長(斉藤金造) 以上で昆 まさ子議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後3時29分休憩

 

午後3時53分開議

○副議長(飯島きんいち) 会議を再開いたします。

 この際申し上げます。記事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 こしみず 敏 明

 1 江古田の森整備について

  (1)基本構想及び基本計画の取り組みについて

  (2)用地及び事業手法について

 2 施政方針説明について

 3 ペイオフ凍結解除に対応した公金管理のあり方について

 4 ユニバーサルデザインのまちづくりについて

 5 図書館の立地と新たなるサービスの展開について

 6 学校完全週5日制への対応について

 7 その他

 

○副議長(飯島きんいち) こしみず敏明議員。

〔こしみず敏明議員登壇〕

○16番(こしみず敏明) 平成14年第1回定例会に当たり、公明党議員団の立場から区長並びに理事者の皆さんに質問をいたします。

 初めに、区長の施政方針説明に関連して、江古田の森整備について伺います。

 中野区行財政5か年計画では、34にわたる推進事業が取り上げられております。推進計画は、それぞれ年次計画を持ち、事業費も計上されているのですが、江古田の森の整備だけでは、年次計画もなく、ただ「関係機関と調整し、民設民営の保健福祉施設開設の可能性を引き続き探っていく。介護老人保健施設が開設するまでの間は、他の在宅サービス、デイサービス、ショートステイ等で対応するものとし、介護老人保健施設と介護老人福祉施設の今後のあり方について、制度の動向を踏まえてさらに検討する。」との文言があるだけです。今回の施政方針説明で、この部分について一歩踏み込んだ区長の発言があったことになります。しかし、江古田の森の整備については、この発言を改めての出発点とするためには、整理、確認をしておくべき問題があるのではないでしょうか。

 その第1は、用地の取得にかかわる問題だと思います。中野区土地開発公社が国立療養所中野病院跡地の取得に当たって、当時の厚生省との間で交わした事項は、次のようなものです。「1、平成15年3月31日までに指定用途に供さなければならない。2、事業計画または利用計画を変更しようとするときは、詳細な計画を書面にして厚生省の承認を受けなければならない。3、用途指定の義務に違反したときは売買代金の1割から3割の違約金を厚生省に支払わなければならない。」これらの事項を踏まえれば、平成15年3月31日までには江古田の森の施設整備に係る用地は、中野区で土地開発公社から引き取らなければならないことになりますが、こうした認識でいいのかどうか、改めて確認いたします。区の認識をお示しください。

 次に、これまでの中野区の用地の取得方針について伺います。

 中野区としては平成14年度中と期限が限られた用地の取得について、どのような方針で臨んできたのでしょうか伺います。

 45億円を超える取得費用については、厳しい財政事情を踏まえて、分割取得や起債対応等が検討されてきたと思います。その中から、介護老人保健施設の先行整備という考えが出てきたのではないでしょうか。病院事業債による用地費財源の手当て等の案が検討されたと思いますが、この間の経緯はどのようなものであったのか伺います。この間の事情が整理されていないのではないかと思われるからで、私の記憶するところでは、介護老人保健施設の先行整備の考え方が、公式には総括されずにまだ残っているのではないかと思います。

 施政方針のような考えは、先行整備による分割取得ではなく、新事業方式による用地一括取得方針への変更を意味するのではないでしょうか。この点を明確にしておく必要があると思いますが、いかがでしょうか。現在の用地取得方針はいかなるものなのか、整理して明確にお答えください。

 次に、具体的な施設整備や事業手法の問題について伺います。

 この点について、施政方針説明では「民間の活力を最大限に利用できる方式としてPFI手法の導入を検討していますが、今後議会での論議も踏まえて導入施設と手法についての結論を出し、早期に土地開発公社から用地を取得して整備に着手したいと思います」とされています。この点でもまず整理が必要なことがあります。江古田の森の整備に当たっては、中野区の基本構想は策定されているのでしょうか。基本計画は、そして基本設計はどうなっているのでしょうか。

 整備に当たっての基本構想もなく、どうしてPFI方式が導入できるのでしょうか。公共事業の実施に当たって、資金調達から施設の設計、建設、運営等に民間の力を活用するのがPFIです。どのような事業を行うかという公共の側の基本構想がなければ、そもそもPFIは成り立ちません。まずここを固めなければ、導入手法によって整備される施設が決まるかのごとき錯覚が起きてきます。

 江古田の森で実施を想定している公共事業は、どのようなものかをまず行政の側が基本構想として持たなければ、それを実現する最もトータルコストが低い、しかもサービスの質が高い方法は何かを検討することなどできないではありませんか。この方式ならこの施設ができます、この方式ではこういう施設になりますではなく、このサービスが必要で、そのためにはこうした事業、こうした施設が必要になるが、その整備には複数の方式の事業のやり方がある。その中からどれを選ぶのか、どの方針が最もライフサイクルコストが低く、サービスの質が高いのかを見きわめる必要があるのではないでしょうか。

 私は、個人的にはPFIによる江古田の森整備は、手法として極めて効果の高い方法だと期待しています。しかし、その前に、そうした方式を導入することができる行政側の準備をしておくことが必要だと考えて、伺っているのです。まず江古田の森の基本構想を早急に策定して議会に示す必要があると思いますが、いかがでしょうか。

 今回の調査は、基本構想がなく、基本計画と事業手法とにかかわる部分とが一つになっているところに混乱を生み出しているところがあるようです。とはいえ、材料はあるのですから、区としての基本構想を策定し、その上に立ってPFI事業の導入に当たっての基本計画をつくるという手順が必要ではないでしょうか。区としてのお考えを伺います。

 最近、PFIの研究を始めた同僚によれば、VFM、バリュー・フォア・マネーの検討のために設立する特定目的会社PSC、行政で事業を実施したときの費用の計算や、適用分野における法的規制、国庫負担、補助金、起債などにかかわる基本計画の策定や公募資料の作成や公募の公示、資格審査、応札図書の評価、優先交渉者との交渉、契約など、これまで経験したことのない膨大な実務が待っており、しかも交渉弁護士などの専門家の関与がなければ不可能という、時間と能力が要求されるのがこの方式で、どこでも早くて2年、導入を決めてから普通は3年はかかるとされている事業だそうです。

 そこで、初めの問題に返りますが、14年度中にPFIによる江古田の森整備事業が開始されることはまず不可能でしょう。しかし、用地引き取りの期限は限られています。この点については、用地取得時期を何とか延ばさなければならないのではと考えますが、区としてはどのようにお考えになっているのか伺い、この項の質問を終わります。

 次に、区長の施政方針説明について2点質問をいたします。

 なお、施政方針については幹事長の大泉からも質問する予定になっておりますので、私からは2項目について質問いたします。

 初めに、長期計画事業で凍結されている事業の再評価の問題について伺います。

 区長は、施政方針説明で、「14年度には、上野原スポーツ・学習施設や南部区民ホール、鍋横複合施設などの建設計画について評価を行い、区民にその結果を示してまいります」とお述べになって、長期計画事業でありながら凍結した事業について、その計画の評価を行うようですが、評価の対象となった事業は、施政方針で示した施設だけで11はないようです。各施設について、それぞれいかなる理由で評価を行うのか、お聞かせください。

 あわせて、上野原スポーツ・学習施設と冒険遊び場、平和資料館が同じ見直し組織で行われることが適当かどうかと思われますが、なぜこのように一緒に扱うことになったのかもお答えください。

 区長は、「建設計画」について「評価」を行うとしています。しかし、その施設建設だけに目を向けて計画を策定してきたところに、今日の中野区行財政の危機をもたらした要因があるというのが、財政問題に詳しい同僚の指摘です。私も同感です。施設建設後の運営や調達した資金の返済、償却、大規模改修等、事業のライフサイクルコストを考えずに、予算単年度主義の考えできたところに危機の構造の一つがあるのではないでしょうか。

 私たちは、凍結事業の計画の再評価を行うべきであると主張してきましたが、それは単に施設整備計画を見直すべきだというものではありません。まず、凍結した事業計画について、現状の区民ニーズから、果して実施が必要なのかどうかから始まり、施設と運営の計画内容、後年度負担、事業手法など、計画を多面的に評価し、することを想定しています。建設計画の評価だけでいいのでしょうか。箱物を含む事業の計画をトータルに評価すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか、お考えを伺います。

 なお、予算説明書補助資料では「施設整備計画の見直し」となっており、区長の言われる「評価」とニュアンスが異なっているようにも受けとめられますが、行うのは評価ですね、確認をいたします。

 いま一つ確認しなければいけないことは、評価を行って、どうするのかということです。その結果を区民に示すとされていますが、単にこういう評価を行いましたということを区民に示すわけではないと思います。その結果とは、どこまでの段階を言うのでしょうか。評価により計画を変更したとか、取りやめたというところまでが結果なのでしょうか。それとも評価の結果はこういう問題がありますという段階で、その計画についての行政のサイドとしての認識は示さないものなのでしょうか。区民に示す結果とはいかなる段階のものをお考えになっているのでしょうか、お答えをください。

 次に、電子自治体を目指した中野区の長期の情報戦略策定の問題について伺います。

 施政方針では、「行政システムを改革し、行政の効率化と区民サービスを向上するために、行政の電子化、電子区役所を推進いたします。このため、地域内の回線網の整備や区民へのIT講習なども行ってまいります」とお述べになっております。私は、大いに推進をしていただきたいと思います。しかし、問題は基本認識です。地域内の回線網の整備とは、具体的にどのようなことを想定しているのでしょうか。行政の電子化、電子区役所を実現して、区民サービスを向上しようとするのであれば、そのことと区民の生活との間をつなぐ情報戦略の基本認識がなければなりません。

 時代は、文書管理や財務管理の領域を超えて、つまり、いつでも、どこからでもインターネットなどの情報ネットワークにアクセスできる、ユビキタスネットワーク時代に突入しており、区民サービスのさらなる向上と、これまで考えられなかったような行政サービス提供の手法を編み出す自治体の知恵比べの時代に入り、3年後にはさま変わりの時代になっているだろうというのが、同僚の議員の予測ですが、何のための情報化か、どのような情報化か、これまでの地域情報化推進計画の基本コンセプトを一新して、情報戦略策定に当たるべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 この項の最後に、区民と行政をつなぐものの一つとして、メールマガジンの発行を提案いたします。インターネットで研究所を開いている同僚は、近々もう一つの情報化計画をまとめていると言って、その概略を話してくれましたが、その中に、区がメールマガジンを発行することや、地域センターのホームページとメールマガジンなどのアイデアがありました。我が会派のメールマガジンも出していますが、有効なツールであることは間違いありません。

 メールマガジンを見て興味のある記事があれば、そこからクリック一つで、例えば区報の当該記事につながる、あるいは新たに始める事業の案内につながる、こんなに使い勝手のいいものはないと思います。しかも、何万人に送っても、経費はほとんどかかりません。将来の展開、例えばメールマガジンへの広告掲載なども考えられます。

 こうしたことから、区民との距離がぐっと近い、電子区役所が始まるのではないでしょうか。まずは区報の概要版のメールマガジンを出してはと提案いたしますが、いかがでしょうか、区の見解を伺い、この項の質問を終わります。

 次に、ペイオフ凍結解除に対応した公金管理のあり方について質問いたします。

 御承知のように定期預金等については本年4月から、普通預金等の決済性預金については来年の4月から、1,000万円とその利子額が預金保護の対象となり、金融機関の破綻に際しては、それを超える額は一部カットされる事態が起こり得ることになりました。これは地方公共団体の公金についても、一般の預金同様の扱いになります。これからは自治体の公金も、金融機関の破綻にかかわるリスクをとることを前提に管理運用していかなければなりません。

 この問題については、同僚の飯島議員が平成12年第2回定例会の一般質問で取り上げています。金融機関選択に当たっての選択基準の明確化と説明責任や公金保護についての取り組み、国への働きかけ等について質問しています。収入役からは、これからの取り組みとして、23区協力して取り組んでいく旨の答弁がありましたが、具体的な取り組みはこれからという実情もうかがわれるものでした。

 いよいよペイオフ解禁本番です。各自治体でも新たな公金管理のあり方について対応が明らかになっています。そこで伺います。

 第1、ペイオフ凍結解除に対応した公金管理のあり方について、現在中野区としてはどのような体制で検討が行われているのでしょうか。

 東京都は、金融の専門家をメンバーに交えた、公金管理に関する検討委員会を設置して、1、安全な金融機関の選択基準について、2、安全かつ効率的な金融商品の選択基準について、3、金融機関の経営破綻に備えた対応策について、4、その他公金管理に関する必要な事項について、出納長が諮問することで検討してきました。既に「東京都におけるペイオフ解禁後の新たな公金管理に向けて」という報告がされています。中野区の場合は、ここまでの体制をしいて検討がなされているとは考えにくいところですが、これまでの体制、そして今後の検討体制についてお答えください。

 この問題を調査してきた同僚によれば、東京都の検討会メンバーはよく考えられたメンバーだということです。金融アナリストは、総務省自治行政局が設置した、地方公共団体におけるペイオフ解禁への対応策研究会のメンバーでもあり、都側の委員としては、出納関係ではなく、財務局主計部長が参加しているとのことです。中野区の場合も、当然収入役室と並んで財政課が検討の中心になる必要があると思いますが、この点も含めてお答えください。

 第2、金融機関選択の問題について伺います。

 平成12年の質問の際にも収入役は、「自治体が指定金融機関を決定する場合には、公金保管の安全性と効率性を基本とし、その金融機関が最適かを十分検討して判断しなければなりませんが、その判断基準を持つこと、また、住民に対する説明責任が求められることについては、御指摘のとおりと考えてございます」と答え、金融機関の選択基準の明確化と説明責任について、その必要性を認めています。

 そこで伺います。金融機関の選択基準については、どのように考えているのでしょうか。中野区として既に一定の基準をお持ちになっているのでしょうか。今定例会で指定金融機関の指定に関する議案が提出される予定になっているようですが、その際、選択基準が23区共通ですからなどということでは済まないことは十分承知しておられるはずです。

 東京都の検討会の報告では、「公金運用」と「公金収納」の二つの視点から対応策を検討していますが、運用面では、安全な金融機関の選択については、株価や格付け、自己資本比率、預金量の推移等の経営指標による財務分析を初め、預金についても、対応基準を決めて、預金制限のレベルについても、都として、自己資本比率について、銀行法による規制基準よりも厳しい基準を定める等の内容になっています。また、注意シグナルが点灯したときには、情報収集とともに必要に応じて公金管理委員会に諮って対応することが報告されています。

 中野区として、金融機関選択、これには指定金融機関の指定と同時に、収納代理金融機関の問題もあります。これら二つの金融機関選択についてどのような選択基準をお持ちなのか、あるいは選択基準の明確についてどのように考えて現在取り組んでおられるのか伺います。

 第3、歳計現金と基金の二つの公金の運用について伺います。

 歳計現金と基金の運用に関しては、まず何よりも安全性が求められ、その上で効率性が追求されると考えますが、いかがでしょうか。

 歳計現金については、総務省の対応方策研究会の類型1、基金については、類型2とされるもので、自治法第235条の4第1項、第2項の規定があります。また基金については、自治法第241条第2項、同条第7項の規定があることは御承知と思いますが、これらの点を踏まえて、金融商品の選択基準について、また安全かつ効率的な運用についてはどのようなお考えを持っているのでしょうか。管理方針のようなものを決めて取り組むことも考えられると思いますが、現在の区の考えを伺います。

 さらに、基金の運用については、基金の歳計現金への繰りかえ運用の問題があります。金融商品の選択によっては、今後歳計現金の支払い準備の不足にかかかわっては、繰りかえ運用によらず、一時借入金で対応することも視野に入れて検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 第4、対応方策研究会で類型3とされた制度融資にかかわる預託金の対応について伺います。

 昭和33年の自治省事務次官通知では、制度融資に係る預託金は、出納長等の権限としての現金保管とはその性質上明らかに区分して取り扱われるべきものであるから、歳入歳出予算に貸付金として計上支出すべきであるとされています。

 検討は、政策経営部になるのでしょうが、この点については、当面の措置は措置として、どのようにお考えになっているのでしょうか。利子補給方式以外の方策についても検討がされているのか伺います。

 第5、金融機関の破綻に備えた対応について伺います。

 債権債務の相殺や国債等への質権の設定、担保の設定等がありますが、どのように検討しているのかお聞かせください。地方債との相殺も選択肢として検討されているようですが、技術的には困難な面もある等の指摘がありますが、どのようにお考えでしょうか、検討の現状をお答えください。

 第6、公金収納にかかわる対応については、どのように検討が進められているのでしょうか。現在の収納代理金融機関については、東京都はそのあり方を見直す報告が検討会から出されていますが、23区としても、中野区としても東京都の対応は無視できないと思います。しかし、一方では急激な変更は金融機関の破綻の糸口になりかねない等の懸念もあります。金融機関の経営状況を把握するにも、収納代理となると膨大です。同僚によれば、かつて、北海道拓殖銀行が破綻したときも、北海道庁には最後まで情報がなかったとのことです。当時は預金全額保護の時代で、しかも破綻と同時に拓銀の業務を承継する銀行が用意されていたために、混乱がなく進んだようですが、これからはリスクはみずからがとらなければならい時代です。送金中の公金の安全確保も含めてどのように考えているのかお聞かせください。

 なお、これに関連して、対応方策研究会では、自治法施行令第168条の2第3項の規定の指定金融機関の提供する担保について、公金の収納または支払いの事務に係るものとして、これを充実することの必要性が指摘されていますが、収納代理金融機関に対しては応用がきかないのでしょうか、伺います。

 第7、この項の最後に、中野区の公金管理に係る専門性を有した組織の設置と国への働きかけについて伺います。

 同僚の調査研究によれば、東京都は、仮称、公金管理委員会を設けて公金管理に臨むようだとのことです。共通の課題であり、指定金融機関も同じ、収納代理も同じでやってきた23区としては、23区として東京都のような組織を設けることは検討されているのでしょうか。また、中野区としては公金管理に係るリスクに対処する組織については、どのように考えているのでしょうか。設置を検討している組織があるのかないのか、どのような機能を持ったものとするのか伺います。

 区長、国への働きかけについては、どのようにお考えになっていますか。特に収納金について保管や運用を目的として預けているわけではないことから、国に対して別段預金についての保護を求めるべきとの声もありますが、23区としてはこの問題での国への働きかけについて、どのように取り組まれてきたのか、また、取り組まれるお考えでしょうか、区長の見解を伺い、この項の質問を終わります。

 次に、ユニバーサルデザインのまちづくりに関して質問いたします。

 平成12年第1回定例会で指摘した、私が長年勤務した営団地下鉄のJR中野駅の3、4番線ホームでのエスカレーターの設置は、御承知のように既に工事が始まっており、13年度中には中野駅は全ホームがエスカレーター設置になり、ユニバーサルデザインの駅に一歩近づきます。

 しかし、残念なことにそのエスカレーターが設置されたところまでは、まだ階段があるのです。この問題が解決されて初めて中野駅はバリアフリーに近づき、ユニバーサルデザインへの駅の第一歩になります。

 初めに伺います。この問題については、中野区ではどのように取り組んでいるのでしょうか。駅の構造上の問題があるのでということであきらめていては、いつまでもバリアフリー構造にアクセスするためにバリアを越えていかなければならないという、いかにも行き届かない事態が続くことになります。

 私は、こうした事態を解決するためにも、中野区がいわゆる交通バリアフリー法に基づく基本構想を策定して、一定の強制力を持って、中野区のバリアフリーの、そして、ユニバーサルデザインのまちづくりに取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、同僚の飯島議員が提案し、前回の定例会で岡本議員が今後のスケジュールについて質問しました。基本構想策定のために行われた調査はどのようになっているのでしょうか。現状と今後の取り組みについて明確にお答えください。

 中野駅は課題を残しているものの、全ホームにエスカレーターが設置されました。中野区には14の駅がありますが、依然としてバリアフリーへの取り組みがおくれている駅は幾つあるのでしょうか。具体的駅名を挙げてお答えください。

 次に、具体的な問題について伺います。交通バリアフリー法による基本構想は、駅を中心に公共施設等への移動の障害をなくしていくことが中心です。その意味ではJR中野駅が中心になることは当然ですが、いま一つ、西武新宿線沼袋駅も、基本構想の中で重点地域として取り上げるべきだと思います。

 西武新宿線沼袋駅は、障害者福祉会館へのアクセス駅で、バリアフリーにも積極的に取り組んでいます。駅から障害者福祉会館へと続く商店街は、路線バスを初め交通量も多く、その道を車いすを利用した人たちが会館へ向かって移動していきます。商店街の人たちは最初こそ戸惑いがあったようですが、現在では気軽に声をかけて、手を差し伸べることも日常の風景となっています。

 しかし、現在この道路は、こうした性格を踏まえた道路として整備されているとは言えません。ぜひ基本構想の中で、駅と施設を結ぶアクセスのバリアフリー化を明確に定めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 この項の最後に、バスの乗降の際のバリアフリーについて伺います。

 最近はノンステップバスや低床バス等がかなりの本数運行されるようになりました。実際に乗ってみると、私でも確かに乗り降りしやすいことを実感します。しかし、それでも場所によってはほんの少し段差があることではっとすることもあります。中野区内のバスの乗降場所について、利用しやすい状態になっているのかどうか。また、民間の障害者の作業施設の前の道路は、バスの乗り降りに適した状態になっているのかどうか、ぜひ調査をされ、改善への取り組みを検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。当然今回実施された調査では、この点は取り上げられると思いますが、そうでなければ、基本構想の中でバスの停留所についての整備方針を定める等、実効性のある方策を検討すべきではないでしょうか。区の見解を伺い、この項の質問を終わります。

 次に、図書館の立地と新たなサービスの展開について伺います。

 私の地域には江古田図書館があります。地域の方々は地域施設として愛着を持って利用しています。もちろん中野駅近くの中央館まで出かける人もいますが、多くは江古田図書館での利用です。他の図書館の書籍も予約取り寄せが可能ですから、よほどのことがない限り中央館まで行く必要はありません。しかし、図書館で地域の方からよく言われることは、どうしてお休みが多いのか、月曜日が休みになったことはわかっているが、その次の日も休みのこともあったりして、行って休みだとがっかりしてしまうというものです。江古田図書館は中央館と休館日が同じなので、どうにもならないということでした。

 区長は、区政の大きな課題について、区の施設の配置を挙げ、施政方針説明の中で、学校や図書館、地域センター、児童館や高齢者会館などの区の施設について、それぞれ配置と運営を検討することにしていますと述べられております。中野区は施設過剰の状態にあるという認識のようにも受け取られかねない表現です。発言の真意はそれほど単純ではないと思いますが、それはそれとして、私は図書館に関しては、地域の方から言われているように、検討すべきは配置ではなく、運営だと考えています。区民とのニーズにギャップが生じているものは、配置ではなく、機能、運営の問題です。老朽化に伴う経費の問題は、配置の問題ではなく、直営整備以外の事業手法の可能性の問題です。

 中野区には図書館の配置構想として「8館構想」というものがあったことは御承知であると思います。私が議員に初当選した昭和62年の決算特別委員会の総括質問で、会派の1期先輩だった岡山議員が図書館行政について質問を行いましたが、その中で取り上げていたのが「8館構想」でした。中野区の図書館行政の指針となるものは、中期計画に位置付けられたこの構想だったのです。図書館についての配置のかなめになるものは、サービスのブランクエリアをいかにして解消していくかです。かつて活躍した移動図書館「ブックさん」の意義がそこにあったことはだれ人も否定できないところです。「8館構想」はブランクエリア解消も柱の一つでした。

 現在の課題は、現在の施設配置の中で、いかに区民ニーズに対応したサービス向上を図っていくかです。私はその意味では、区長の言われる検討については、図書館はその運営のあり方について大いに検討すべきだと考えます。

 そこで伺います。そのためには、中野区の図書館がどのような水準のサービスをいつまでに達成していくのか。目標を定め、客観的に評価を行う事業評価のシステムが構築されていかなければならないと考えますが、いかがでしょうか。

 区民の満足度を高めるという視点で、行政評価システム導入が5か年計画に示されています。14年度は対象拡大ということですから、図書館を対象にして行政評価、事業評価のシステムを検討されてはいかがでしょうか、区の見解を伺います。

 平成13年7月、文部科学省は公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準を告示しました。その中で、総則において、図書館サービスの計画的実施及び自己評価等を置き、公立図書館はそのサービスについて適切な指標を選び、その指標にかかわる数値目標を設定して、計画的にその達成に努めることが基準とされています。さらに、その数値目標に対して、各年度ごとに達成状況の自己評価と結果の公表に努めることを求めています。行政評価への取り組みはこの基準にも合致することだと思いますが、いかがでしょうか。

 指標の選定や目標の設定に自己評価がサービス向上につながるためにも、まずは平成13年2月に実施した調査結果を踏まえて、中野区の図書館行政についての指標と目標を定め、その上で指針となるべき構想を策定すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 これまで、区民の皆さんから言われてきたことを考えると、指標の一つは開館日数になることは間違いないと思います。平成13年度の中央館の休館日数は103日です。近隣区の杉並区は82日、練馬区は79日で、単純な比較では確かに中野区の中央館の休みは多いと思います。もちろん人の配置の問題があることは承知をしています。しかし、だからこそ運営の工夫が求められるのではありませんか。限られた人員の配置の中でどうして業務を改革していくかが求められています。

 図書館の実際の業務活動を分析して業務フローを作成し、貸し出しサービスのためには、開館準備、図書整理、貸し出し管理、返却図書の受け付けの作業時間を集計するなどしてコストや人的配置でどこが一番問題になっている部分、いわゆるボトムネックになっているかを見きわめて、改善策を検討したことはありますか。

 このような分析の結果わかってきたことは、図書整理の思いのほかに人手がかかるということだそうです。このような作業をどう軽減して、開館日数を稼いでいくかという取り組みが始まっているようです。その一つがJRのスイカカードで知られる非接触型のICチップの活用です。図書整理の革命的ツールと言われているようですが、整理だけでなく、盗難防止にも効果があることはよく知られています。

 そこで提案ですが、中野区の図書館でもこうしたICチップを活用してはいかがでしょうか。既にこうした視点に立って取り組みを開始した自治体もあるようです。初期投資と人件費削減効果を比べて検討されるべきであると思いますが、いかがでしょうか、見解を伺います。

 次に、サービスを支える職員の資質の向上策について伺います。図書館長の職に、司書の資格が必須要件でなくなったとはいえ、やはり図書館サービスに精通した司書は欠かせません。また、図書館業務の何たるかをわきまえた上で図書館の経営に当たることは、そうでない場合よりも区民にとっては幸せでしょう。かつて日本の図書館行政を引っ張ってきた有名な館長がいました。これからの21世紀の図書館行政をリードする館長が中野区にいてもいいのではないでしょうか。そのためには、大胆に、民間からも含めて館長人事を行ってはいかがでしょうか、お考えを伺います。

 この項の最後に、図書館の施設としての特性を生かした新たな発想のサービスの展開について、提案を含めて質問いたします。

 図書館は、開館時間と開館日が通常の区の施設とは違います。休んでいるときがあるにしても、土曜日、日曜日も開館しています。また、時間も、平日、土曜日は、夜の8時まで開館しています。私は、この利点をもっと活用すべきだと思います。例えば、図書館に住民票等の自動交付機を設置したらどうでしょうか。整備すべき点はあるにしても、区民にとっての利益は大きなものがあると思います。区民サービスの新たな展開を、図書館を拠点に検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか、見解を伺い、この項の質問を終わります。

 次に、学校完全週5日制への対応について、さまざまな角度から議論がある中で、学期制のあり方に絞って伺います。

 この4月から完全週5日制が実施されます。これまでより授業時間が減ることから、子どもたちの基礎学力の低下を心配する声もあり、中野区はもとより、各地で真剣に対応を探る努力が続けられています。

 この中で、従来の3学期制を見直し、1年を前期と後期の2学期制にする試みがあります。既に岩手県内で実施されているようですし、仙台市では平成13年度に小・中学校合わせて41校で試行的に実施し、新年度からは市立全校で実施すると伺っています。

 先般、我が会派の同僚議員が、平成14年度から市立小・中学校で2学期制のモデル実施を目指している金沢市を訪れ、教育委員会から状況を聞いてきたところです。金沢市ではこのモデル実施の中で、各学校それぞれの工夫で取り組んでもらうとしており、既に小・中学校各2校ずつが手を上げているそうです。2学期制の実施は、教育委員会の議決事項である学校の管理運営に関する規則を変更することで可能になります。

 2学期制にすると、始業式や終業式に伴う行事や定期試験が減って、学校現場にゆとりが生まれる利点があります。仙台市教育委員会では3学期目が四十数日しかなく、学期そのもののあり方が課題になっていた。授業の進め方や行事のあり方など学校の教育活動の見直しを効果的に図っていくためのベースになるのが2学期制であり、今までより長い期間の中で繰り返し学習をしたり、じっくりと創意工夫をしながら学習に取り組めるようになると話しています。

 そこで伺います。モデル実施を目指す金沢市では、中学校の方から2学期制を望む声が強いと伺ってきましたが、中野区においてはこれまで学校現場から学期制のあり方についての提案や要望はあったのでしょうか。現状をお聞かせください。

 私は、学校の教育環境が大きく変わる中で、これまでの学習活動の見直しや改善を図るために2学期制は効果のある方法だと思います。中野区としても実施できるようにすべきだと考えますが、中野区教育委員会の見解を伺います。

 以上で私のすべての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長神山好市登壇〕

○区長(神山好市) こしみず議員の御質問にお答えいたします。

 まず最初に、江古田の森の整備についての御質問にお答えをいたしたいと思います。

 この用地の一括取得の方法は変わったのかということでございます。また、引き取り期限の延伸の必要があるのではないかということでございます。江古田の森につきましては、老健施設だけでも早期に整備をしたいという考えから、先行整備を考えました。これに対して議会から附帯意見がございましたし、さらに整備手法など検討に入ったところでございます。検討の中で、PFIによる整備も出てまいりました。財源対策も含めて総合的に整備をする手法がとれそうだということで、各種の条件を研究しているところでございます。この用地も含めて起債、あるいは国の制度の活用ということが見通しがつけば、用地の問題も解決できるというふうに考えているところでございますし、この見通しがつけば、その上で厚生労働省に正式に用途変更といいますか、使用変更の申請をするということになるわけでございます。

 構想、さらにまたその計画についての手順についてどう考えているかということでございましたけれども、御指摘のように基本構想をまずまとめて、その上に立って手法を考えていくと。そして基本計画をつくっていく、スケジュールが決まっていくというのが手順であろうというふうに考えております。この構想については、江古田の森を保健・福祉・医療のゾーンとして整備をしたい。そして周辺の環境との調和、あるいは緑の保全ということも一つの条件として考えておりますし、区の保健・福祉・医療の中核的な機能を持たせるということで構想を持ったものですが、この構想のもとで、そこにどういう施設を整備するかということで、四つの機能を考えたというところでございます。今その四つの機能に、さらに業者の方の提案ではありますけれども、知的障害者の生活寮、また、ケアハウスというものが出てきた。さらにまたほかの方からは、住宅の併設がどうかというようなこと、これはそれから先の、建設した先の運営も含めてそういったたものができれば、より条件はよくなるということで提案されているものでございますけれども、これは厚生労働省との用地取得についての経過がありますので、区の施設、用地を単純にどういう形でも使えるというわけのものではございませんので、この辺を十分詰めた上で、厚生労働省と正式の交渉といいますか、手続に入っていきたいというふうに考えているところでございます。

 次に、ペイオフについて、ペイオフ凍結解除に対応して公金管理のあり方、区長としてはどのように取り組むのかということでございますが、ペイオフの凍結解除後の公金保護策に関して、区長会でこれまでも要望してきましたけれども、解禁が間近に迫る中で、預金保険制度とは別に、地域住民の共有財産である公金預金の保護措置の必要性を痛感しているところでございますし、また収納代理金融機関が保管中の区の収納金について、これを把握するということが自治体として非常に困難でもございますし、金融機関の経営状況を把握するということも難しい問題であろうと。したがって、この問題、自治体の自己責任の範囲を超えるものであるということで、国に納められる資金と同様に、全額保護されるべきだというふうに考えておりますが、こうしたことから、適切な法整備を求めるために区長会として要望を取りまとめ、全国市長会からも国に働きかけるということになっております。

 このペイオフに関して国への要望については、2月15日の区長会で二つの点で決定をいたしております。一つは、公金預金保護制度の創設を要望。これは地方自治体の公金預金は、公共の福祉を実現するための地域住民の共有財産であり、また、地元金融機関を通じて地域産業を育成し、活性化を図るという政策的な役割も持っているので、金融機関の破綻によりこれを喪失した場合、自治体の運営に重大な影響を及ぼすことになる。このため、自治体の公金預金については、預金保険制度とは別の保護政策が必要であり、新たな保護措置の創設を強く要望するというものが第1点です。

 第2点目は、収納金の保護を要望。住民が自治体に支払う税金などは金融機関を通じて自治体の収入となるが、これは一時的な預かり金であり、自治体の収入と確認されるには数日を要するので、この間に金融機関が破綻した場合は、1,000万円までしか保護されないおそれがある。自治体は金融機関で毎日収納される金額を把握するのは不可能で、すべての金融機関の経営状況を把握することも困難であり、自治体の自己責任の範囲を超えるものである。このため、自治体の収納金についても、国と同様に全額保護されるよう法整備を強く要望するという、この2点について区長会としても国に要望していくということで、現在動いているところでございます。

 他の質問につきましては、それぞれ所管部長からお答えさせていただきますので、よろしくお願いい申し上げます。

〔政策経営部長渡辺征夫登壇〕

○政策経営部長(渡辺征夫) 私からは、3項目の御質問にお答えさせていただきます。

 最初に、凍結されている施設の再評価の問題についてのお尋ねでございます。

 行財政5か年計画では、財政事情により凍結していました投資的事業につきまして、推進事業として取り組むもの、施設配置の考え方を定めた上で取り組むもの、改めて事業を検討するもの、施設整備を行わないものの四つに分けて方向を示しておりまして、このうち上野原スポーツ・学習施設など五つの事業計画につきましては、改めて事業を検討するものとして位置付けているところでございます。これら五つの事業計画は、いずれも計画策定から時が経過いたしまして、区民ニーズの変化や施設建設や運営に見込まれるコストと効果の比較、手法などを改めて検証していく必要があると考えたものでございます。

 この五つの施設計画につきましては、外部の専門家による委員会を設置して評価を行うことを考えておりまして、評価の視点としましては、できるだけ客観的に費用対効果や施設への潜在需要などをとらえることに置いております。そうした手法は、五つの各施設に共通すると思っておりまして、したがいまして、同一の委員会により総合的に評価を進めることとしたものでございます。

 なお、この評価に当たりましては、御指摘のようにハード面、ソフト面など事業全体を評価することとしたいと考えております。

 また、この施設整備計画の見直しについて、14年度当初予算案の説明補助資料では、見直しというような表現をしておりますが、これにつきましては、別に実施しております行政評価制度と区別するためにも見直しという表現を使ったものでございまして、評価ということでございます。この評価結果につきましては、区が政策判断するための重要な材料となるものでございまして、それをもとに区として政策を判断することになるものでございます。したがいまして、区民の皆様方には評価結果はもちろんでございますが、それによります政策判断をした区の考え方、両方をきちっと区民の皆さんにお示ししたいと考えております。

 次に、情報戦略策定の問題のお尋ねでございます。

 1点目は、地域内の回線網の整備は具体的にはどういうことかということでございますが、14年度の当初予算案でお願いしてございますのは、区役所と地域センター、保健福祉相談所、図書館等の区の地域施設を大容量の情報通信回線で結ぶ行政内部のネットワークとして地域イントラネットの整備を予定しているものでございます。また、現在、例えば地域情報化推進計画の改定を考えているわけでございますが、これにつきまして、今日の情報機器の進歩からいたしますと、個別の情報課題ごとの対応にとどまらず、高度情報社会に向けた総合的な整備方針を全体を通して明確にすることが必要と考えておりまして、新しく、仮称でございますが、中野区情報戦略の策定を考えているのでございます。

 なお、メールマガジンについてのお尋ねがございました。新しい技術動向を踏まえた今後の検討の中で、区からのお知らせを電子メールの形式で希望者に送付するメールマガジンについても研究してまいりたいと、そのように考えております。

 3点目でございますが、図書館に自動交付機を設置する考えはないかとのお尋ねでございますが、自動交付機の設置につきましては、今後の窓口サービスのあり方にもかかわる問題でございますので、ICカードの利用や設置場所も含めて現在検討を進めているところでございます。

〔収入役藤原恵一登壇〕

○収入役(藤原恵一) 私からは、ペイオフ凍結解除に対応した公金管理のあり方につきましてお答え申し上げます。

 先ほど区長からこの問題のはらむ基本的、本質的な問題、それから区としての、あるいは特別区、あるいは全国の都市自治体としてのこの問題に対する考え方、国への要望等について、具体的にお答えしておりますので、私からは10項目ほどになりますけれども、かなり詳細な、しかも体系的な御質問をいただいております。特に迫りくるペイオフ解禁ということで詳細な御質問をいただいております。それから御提言もございますので、それらも含めました御答弁を申し上げたいと思います。

 まず、これまでの、そして今後の検討体制についてのお尋ねでございます。公金の保護方策とその前提となる金融機関の経営状況の把握等について検討するために、昨年9月、庁内に研究組織を設けまして、証券会社や格付け機関など専門家のアドバイスも得ながら、基礎資料の収集や課題の整理、検討を行ってまいりました。庁内や他自治体などの意見も広く聴取、反映した上で、このほど研究報告がまとまったところでございます。この成果を踏まえまして、今後は収入役室と政策経営部等による常設の庁内組織を設け、専門家による情報提供、助言も得ながら、迅速的確に協議、検討して対応していきたいというふうに考えてございます。

 次に、金融機関の選択基準についてのお尋ねでございます。既に一定の基準を持っているのか、あるいは指定金融機関と収納代理金融機関について、それぞれどのように考えて取り組んでいるのかというお尋ねでございます。

 現在、これまでの検討結果を踏まえ、ペイオフ凍結解除など金融環境の変化に対応した公金の管理方針、基準策定を進めております。その中に金融機関選択に関する基準も含める方向で検討しておりますが、まず指定金融機関につきましては、膨大な出納事務の効率性、公金保管の安全性、住民の利便等のため、金融や公金処理業務に熟達した金融機関を自治体として指定するものでございます。このため、経営の健全性、安定性はもちろんのことでございますが、自治体の出納事務をよく熟知していること、事務処理システム、経費などが効率的であることが重要な選択基準となるというふうに考えております。

 また、収納代理金融機関でございます。指定金融機関に準じて選択することが望ましいわけでございますけれども、住民の利便性等確保するため、特別区では現在、東京都と同一の指定を行ってございます。したがいまして、今後の東京都の動向にも注目しながら、他区と連携して必要な対応を図っていきたいと考えてございます。これらを踏まえまして早急に区としての金融機関選択基準を定めるべく現在準備中でございます。

 次に、歳計現金と基金の公金運用についてでございます。何よりも安全性が求められるのではないかという御指摘で、そのとおりということでございますけれども、歳計現金につきましては、安全かつ効率的な運用についての考え方、それから基金につきましては、歳計現金への繰りかえ運用でございますけれども、金融商品の選択によっては、従来のように歳計現金の不足に対応するための基金ということだけではなくて、一時借入金による対応を図りながら、資金の効率的な運用を図るべきではないかという趣旨の御質問でございます。

 公金の一部でも失うようなことになれば、区政にとって大きなマイナスとなります。御指摘のとおり歳計現金、基金等については、何よりも安全性ということでございますけれども、まず歳計現金の余裕資金は、あくまでも支払準備資金でございまして、元本保証はもちろん、現金化が容易でなければなりません。指定金融機関での資金運用を一つすべきであるというふうに考えてございます。

 一方、基金につきましては、歳計現金よりも制約が少なく、債券運用も広く認められております。したがって、預金による保管運用のほか、国債や地方債、政府保証債など元本保証の確実性の高い債券運用も選択の対象となるというふうに考えてございます。

 このような資金の性格や適性に応じまして区の金融商品選択基準を設定していきたいと考えておりますが、特に基金につきましては、区の行財政計画を十分考慮しながら、金融商品、その運用機関を選択すべきものというふうに考えております。

 それから、基金からの繰りかえ運用によらず、一時借入金も活用ということでございますけれども、先ほどからお話も出ております一借制度は、いわゆる債権債務の相殺の対象ともなり得ると、制度的にはなり得るというふうにされておりますので、そんなことも頭に置きながら、この制度の生かし方について十分検討していきたいというふうに考えております。

 次に、公金収納に係る対応の問題でございます。収納代理金融機関の公金収納に係る対応、送金中の公金の安全確保の方策と、指定金融機関の提供する担保の考え方、収納代理金融機関に対しても同じように公金の安全確保ということで応用できないかというお尋ねでございます。

 区税などの納付金は、収納代理金融機関から指定金融機関に送られるまで、最短でも3営業日、3日間かかります。これは別段預金として保管されておりますが、その間仮にその金融機関が破綻した場合には、ペイオフの対象となると、区が公金の損失をこうむるということがあります。これへの対応策といたしまして、単純に危ないから指定を取り消すというようなことは、当該金融機関の信用不安を招きかねない。つまり、よく言われる、区がトリガーとなってしまうということがございますので、現実的には非常に困難だというふうに考えております。したがいまして、現在一体的に指定している、先ほど申し上げた、東京都、特別区として連携して取り組むべき必要があるというふうに思っております。

 また、収納機能の安全性を確保するための担保についてでございますが、保有債権などの流動性を損ないかねないということ、金融機関にとって担保に差し出せば、自由に処分できないということになりますので、そういった面で経営の圧迫要因になるのではないか。あるいは全国の自治体がこのような担保を求めますと、特に中小の金融機関はとても体力的にその担保に耐えられないということにもなりますので、そういった点で収納代理金融機関側は強く難色を示すのではないか、現実的にはということで、難しいのではないかというふうに考えております。

 最後でございますけれども、公金管理に係る専門性を有した組織の設置についてでございます。その一つ目が、23区として、東京都が今検討しているような共同の委員会のようなものを設置できないかということでございますが、これにつきましては、23区一体的な組織というのは現在考えておりません。しかし、専門性の高い金融機関情報の収集、専門性の高いということと、幅の広いということ、両方でございますが、分析等につきまして、共同で調査機関に委託し、わかりやすい解説、健全性や安定性にかかわる指標の作成を求めることは、経費負担を軽減し、資料のレベルを高めるという意味でも非常に有効ではないかというふうに考えております。区としてもそうした取り組みについて現在検討しておりまして、私も特別区収入役会等で意見交換する際には、そのような意見を出しながら相談していきたいというふうに考えております。

 この問題につきまして、区自身は一体こういった対応組織についてどのようなものを考えているのかということでございます。

 金融機関の経営状況の急激な変化など直面する厳しく、難しい状況というのはあり得るわけですけれども、そういう事態に的確に対応して公金を守るためには、全庁的な協議組織を設置する必要があると考えております。これは収入役が主宰し、政策経営部、総務部を中心とする機動的な組織とし、運営に当たりましては、金融や経済に関する外部の専門家、いわゆるアドバイザーでございますが、その情報提供、助言なども得られるような体制を整えてまいりたいというふうに考えてございます。

〔行財政改革担当部長石神正義登壇〕

○行財政改革担当部長(石神正義) 私からは、ペイオフ凍結解除に対応した公金のあり方について、2点についてお答えいたします。

 まず制度融資にかかわる預託金の対応についてでございます。

 産業経済融資や住宅資金等融資の預託金につきましては、平成14年度は現行の定期預金ではなく、ペイオフ凍結解除が1年猶予されております普通預金で預託していく考えでございます。また、すべての預金が解除されます15年度以降の対応でございますけれども、これは預託制度を廃止するということで考えてございます。利子補給で対応することとして、各金融機関と調整を行っていくということで考えてございます。

 それから、債権債務の相殺や国債等資金の設定、担保についての御質問でございます。

 金融機関の破綻に際しまして区の預託金と区債、一時借入金等について、いわゆる債権債務の相殺によりまして公金の保護を図ること、これは制度的には可能でございます。しかし、金融機関との契約、予算計上の方法など検討を要する課題があるというふうに考えてございます。

 また、質権や担保の設定につきましては、預託額に応じた国債などの債権を担保として、金融機関からあらかじめ提供を受けて、金融機関の破綻に備える方策でございますが、他の手段も含めて現在検討しているところでございます。

 それから、地方債との相殺に対する検討状況についてございます。金融機関が破綻した場合の対応策といたしましては、預金債権と地方債債務との相殺が考えられます。相殺できる借入金の債務は、証書借り入れでなければならないというふうにされております。しかし、23区の場合には縁故債についてほとんど証券発行による方式でございます。証書借り入れにつきましては、用地特別会計による縁故債に限られているということから、実現性に乏しいというふうに考えているところでございます。

〔都市整備部長宮村光雄登壇〕

○都市整備部長(宮村光雄) ユニバーサルデザインのまちづくりについての6点の御質問にお答えいたします。

 まず、中野駅北口改札口内のエスカレーターに至るまでの階段についてでございますが、区といたしましても、段差解消を図るようJR東日本に対しまして機会あるごとに要望しているところでございます。今後も引き続き要望をしてまいりたいと考えております。

 次に、順番が前後しますが、バリアフリーの取り組みがおくれている駅についての御質問です。

 エスカレーターやエレベーターの設置状況について申し上げますと、中野区内15駅のうち、いずれも未設置の駅は4駅、営団地下鉄新中野、中野新橋、中野富士見町の各駅と、西武新宿線野方駅でございます。

 次に、交通バリアフリー法に基づく基本構想などについての御質問でございます。

 交通バリアフリー法に基づく重点整備地域の指定及び基本構想の策定につきましては、現在実施しているバリアフリー実態調査の結果を踏まえた、関係者、関係機関等との協議が必要でございます。ユニバーサルデザインのまちづくりを視野に入れて、その中で十分検討してまいりたいと考えております。また、西武新宿線沼袋駅につきましても、御質問にある商店街の道路拡幅等については、なかなか抜本的な解決は容易ではないと思いますが、その中で検討してまいりたいと思います。

 最後に、中野区内のバスの乗降場所についての調査についでございます。

 バリアフリー実態調査は、鉄道駅を中心とした半径500メートル程度で区分いたしました地区を対象にしております。その範囲内であれば、民間の障害者の作業施設前の道路も調査しております。調査対象外の道路等の状況につきましては、今後の課題としてまいりたいと考えております。

〔教育委員会事務局次長須崎英夫登壇〕

○教育委員会事務局次長(須崎英夫) 図書館の新たなるサービスの展開について、学校2学期制について、この2点についてお答えを申し上げます。

 まず、図書館のサービスの展開についてでございますけれども、行政評価を検討する際に、文部科学省の告示で示された指標と数値目標を使用してはどうかと、こういうお尋ねがございました。

 先ほど政策経営部長からお話がありましたけれども、平成14年度は区のあらゆる事務事業について行政評価を行うことになってございます。図書館においても、各事業ごとに行政評価を行うことになります。

 そこで、その行政評価の指標や目標値の考え方でございますが、私どもは文部科学省の告示と基本的には同じであるというふうに考えてございまして、参考にしたいというふうに思ってございます。

 あわせて、これらの指標となるべき構想を策定すべきだとの御指摘がございました。現在、中野区の図書館のあり方について、教育委員会事務局内部で議論をしているところでございまして、今後この中で具体化に向けて取り組んでいきたいといふうに考えてございます。

 続きまして、ICチップを中野区でも導入を図ってはどうかというお尋ねでございます。

 ICチップにつきましては、図書整理の作業軽減、あるいは図書館の省力化、盗難防止など御指摘の内容についての有効性ということについては、十分認識をいたしてございまして、これら結果として、開館日をふやすということに結びつくというふうにも考えてございます。ただ、このICチップにつきましては、現在の段階では初期投資が大きくて、技術面でも発展途上という側面もございまして、今後財政状況を考慮しながら導入については検討してまいりたいというふうに思ってございます。

 次に、図書館長の人事について、民間からの登用も考えるべきではないかというお尋ねでございます。

 民間人の登用につきましては、民間の専門性を生かすというメリットがございます。ただ、図書館の運営形態のあり方にも影響をするものでございまして、今後、先ほど申し上げました図書館のあり方検討の中で慎重に対応していきたいというふうに思ってございます。

 次に、学校の2学期制についての御質問でございます。

 今までの3期に分けていた学期を2期にすることにつきまして、学校現場からの提案や要望は、現在のところございませんが、教育委員会といたしましては、研究テーマとして議論を始めたところでございます。まだ議論が分かれるところもございまして、これから学校と連携をとりながら、それらを解決していく課題だろうというふうに認識をいたしてございます。

〔こしみず敏明議員登壇〕

○16番(こしみず敏明) 1点だけ、図書館について再質問させていただきます。

 先ほど次長の方から、図書館の中でもって指標と目標値についてということで、文部科学省の告示での項目と基本的には同じであり、参考にしたいと考えているというふうにおっしゃっておりましたけれども、この図書館の立地と新たなサービスの展開についての質問の中で、私は昨年文部科学省が告示についての図書館サービスの計画的な実施と自己評価について、中野区として設置すべきであると質問しました。ところが今、そのように次長の方から答弁がありましたけれども、要するにここに示された指標の項目と同じですので、参考にしたいとおっしゃっているんですけれども、この指標の項目は、全くここには示されていないんですよ。そこのところをどのように、ここに参考にしたいと言ったのか、はっきりまた明確に答弁をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

〔教育委員会事務局次長須崎英夫登壇〕

○教育委員会事務局次長(須崎英夫) 文部科学省の告示の内容につきましては、具体的な数値が明らかにされてございません。ただ、その中で国は教育委員会に示せという文言がございまして、その示す内容というのが、図書館協会、これは財団法人でございますけれども、そこが毎年やっております調査の項目に準じろと、こういうような指示が来てございます。ただ、それはいろいろ数が多く、また数値の目標も具体的には中野区の今の現状となかなかそぐわない点もございますから、また、行政評価、これから取り組む、今試行中でございますので、区が試行する内容との整合性というものを図りながら、参考にしたいと、こういうふうに考えてございます。

○副議長(飯島きんいち) 以上でこしみず敏明議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 佐 藤 ひろこ

 1 区長の所信表明について

 2 人事政策について

 3 住民基本台帳ネットワークシステムについて

 4 男女平等政策について

 5 その他

 

○副議長(飯島きんいち) 次に、佐藤ひろこ議員。

〔佐藤ひろこ議員登壇〕

○20番(佐藤ひろこ) 第1回定例会に当たり、一般質問させていただきます。

 最初に、区長の所信表明についてお伺いいたします。

 私は、議員として神山区長とは約11年間おつき合いをさせていただきました。私が議員になった年は、バブルの絶頂期だったと思います。神山区長は上野原スポーツ・学習施設建設計画を何の疑いもなく進められ、ちょうど長期計画策定に向けて、あれもつくろう、これもつくろうと身の丈以上のさまざまな施設計画を盛り込み、ちょうど自民党から共産党まで、まさに総与党体制の甘えの構造の中で区政運営をされてきた時期もありました。

 私は、議員になった最初の年を除き、一貫して予算、決算に反対してきました。主に上野原計画が反対の理由でした。たった一人で反対することもあったわけですけれども、そういった私も、財政運営の構造的な欠陥までなかなか考え、追求する力がなかったということ、この10年を振り返りまして改めて反省しております。10年前に今議会で議論されているさまざまな財政構造の欠陥についての議論が巻き起こっていたならば、こんなに区財政は傾かなかったかもしれません。最悪の財政状況をつくり出したのは、チェック機能が弱く、何でも要望型の姿勢を変えられなかった議員の責任でもあると思います。しかし、何といっても大統領ほどの権限を持つ区長の責任は、一番大きいと私は思います。

 4年前の4期目選挙直前の所信表明で神山区長は、ここ数年極めて厳しい財政運営を行わざるを得ないと述べられていましたけれども、そのときの選挙の公約は、本当にあれもこれも施設計画を目いっぱい詰め込んだものだったと御自分でも記憶されていると思います。

 当選した翌年の所信表明で、「緊急の課題は財政の健全化、昨年度決算経常収支比率は96.9%、しかし、健全化の土台づくりはできた」ということをおっしゃっていました。

 ところが一転して、翌年、2000年の第1回定例会の所信表明では、「経常的な事業の財源すら十分確保できない極めて深刻な状況に陥っている。財政再建団体への転落という最悪の道も歩みかねない極めて危険な状態にある」と言い、半年前、1年前の公約自体をすべてほとんど凍結するということをされてしまいました。

 その年の年度途中の所信表明では「経済環境の動向把握や財政見通しに甘さがあったことを反省するとともに、計画事業が約束どおりに実行できなかったことを皆様におわび申し上げます」と謝り、新たなる計画の策定に向けて踏み出されました。

 そして昨年の所信表明では、「財政見通しが不適切だった。取り組みが弱かったの御指摘については、区政運営の責任者として重く受けとめています」と神山区長は反省されました。

 今回の所信表明の最後の段落のところで、私は区長として4期16年と振り返っていらっしゃいますが、何ができて、何ができなかったのか、総括していらっしゃるわけではありません。この際4期16年の総括をするべきではないでしょうか。

 主要な柱として神山区長がずっと所信表明でもかねがねおっしゃってきた区民参加は、16年の間に進んだのでしょうか。どう評価されていますか。16年の間に区民参加の象徴的な取り組みであった教育委員の準公選も廃止されました。住区協議会の形骸化、また、さまざまな行政改革の中で区民の参加がなかなか果たせない。区民の中からは区民参加はどんどん後退の一歩をたどっているという声が多くなってきております。これからの課題は何だと思われているでしょうか。

 また、4期16年の間に財政基盤が全くだめになってしまいました。財政運営について区長として御自分の仕事をどう評価されておりますでしょうか。また、だめになった原因は何か、どう分析されているのか。また、今後どう建て直されようとしているのかお伺いいたします。

 3点目に、4期16年の間の公約の達成率、また、この4年間の公約の達成率について、御自分ではどう評価されているのか、教えてください。

 今回の所信表明では、着実に進む行財政改革とタイトルを掲げ、昨年度の経常収支比率が91.4%と一昨年よりも改善されたと述べていらっしゃいますが、行財政改革が着実に進んでいると言える状態の数字なんでしょうか。成果が見えてきたと述べていらっしゃいますが、一体どのような成果が見えてきたのでしょうか。5か年計画の目標達成へと大きく前進しているという手ごたえを感じているとも述べていらっしゃいますが、どのように大きく前進しているのか教えてください。

 先ほど来も質問が出ておりました、着実に進んでいるという根拠についてのお尋ねがあった、その答えが職員数の削減、人件費比率が下がって経常経費の縮減ができ、緊急な課題に財源配分ができたからというふうにその根拠をおっしゃっております。そういう根拠で区民の方に大きく前進しているという言い方をしていいのでしょうか。職員給与の減額も終了されました。なぜでしょうか。区民に財政難の状態を私はまだまだ強いている状態だと思います。そのときに職員の給与をもとに戻したり、区長の報酬の削減率も低くしたり、そういったことが今の区民感情に対応できていると思われるでしょうか、お伺いいたします。

 6点目、行政の透明化の強化と説明責任の確立を進めたと所信表明で述べていらっしゃいますが、区民のほとんどは透明化、説明責任の確立ということは、実感からはほど遠い状況にあると思います。どこで進められているのでしょうか。

 7点目、14年度予算の項で、必要な課題については重点的に財源配分をすることができたと述べていらっしゃいます。しかし、わずかな財源の配分をするときの重点の置き方がおかしいと私は思います。行政は最低何をするべきか忘れているのではないでしょうか。例えば、福祉作業所などに通う利用者の方の食事代について、助成を拡充したことを主要な課題の中に挙げていらっしゃいます。限られた財源しかないときに、それが何が何でも行政が保障しなければならないことなのでしょうか。区民の方からも、本当によくこのごろ区民の方が考えていらっしゃるなという声をいただいております。行政に何を要望しなければいけないのか、行政のやるべきこと、自分たちのやるべきことは何なのか、区民の方自身が今考えられています。与えられる救貧的な福祉だけでいいのか、権利としての福祉というのは何なのか、人間としての尊厳が大切にされる福祉のあり方とは一体何なのか、区民の方自身が考え始めております。政治や行政の改革の歩みは、区民の方から本当に始まっているんだなということを今私は何よりも実感として感じております。食事代は区民が出そうとすれば出せるお金だ、区民の方自身が、当事者の方自身がそういった御意見を出されました。

 区民が出したくても出せないお金、それが行政がやるべきことじゃないか。ぼろぼろになっている施設の修理費用、雨漏りがしている福祉施設、陥没しているところがそのままになっている福祉施設もあります。利用者の安全にもかかわります。区民の方が幾ら修理したいと思ったって、そこにはお金は出せません。お金がなくなってしまって、行政のやるべきこと、最低のことすらもおざなりにしてしまっている中で、なぜ改革の成果があらわれたとまでおっしゃっているのか。どこが改革の成果なのか教えてください。

 大きなプロジェクトはどうするのでしょうか。任期最後の所信表明だというのに、大きな事業についての考え方はほとんど明らかにされておりません。警察大学など移転跡地についてはどうするのか。13ヘクタールの土地、既に2億3,000万円の調査費が投入されております。夏にあいたままになっております。いつまであいたままにしておくのか。どのような整備手法で検討しようと考えているのか。所信表明の中で清掃事業の扱いについて、主体的に論議を深める必要があるとおっしゃっておりますが、清掃関連施設の中身について主体的な議論というのは、どこで、どのように行うつもりなのか教えてください。

 江古田の森保健福祉施設については、既に何人かの議員の方が詳しく御質問されたので、省かせていただきます。

 これも既に何人もの議員の方が御質問されていることです。さまざまな大規模な施設についてどう計画の見直しを行うのか。

 上野原スポーツ・学習施設には約12億円のお金が投入されました。上鷺宮五丁目公園、22億円の予算がかかっております。どうなるのでしょうか。東中野地域センター、20億円の用地買収費がかかっております。南部区民ホールに至っては、42億円の土地代と既に1億円以上の調査費がかかっております。鍋横産業情報センターなどの複合施設は、4億円の土地取得費がかかっております。それについて、これは4年前の公約に区長は述べられていた計画です。次の4年間の公約として再度掲げられるのか。今この4年目を迎えて、自分の公約に対してきちっとけじめをつける考え方を示されるのか。来年度評価を行い、結果を区民に示すとおっしゃっておりますが、自分で4年前にうたった公約ではないですか。責任を持って4年間の任期の最後に御自分できちっとその結論を出し、区民にそれを問うて、次の選挙にもし出るという御決意であるならば、それを掲げて選挙に出るというのが、政治家としてあるべき行いではないでしょうか。それを先延ばしにして、来年度評価を行い、外部の委員会に委託して改めて評価をしていただく、御自分の責任をほかに棚上げされている。こういったことが、最後それを公約として掲げられてきた区長がやるべきことなのでしょうか。どうして最後にきちっと御自分で区民に問う考え方を示されないのか、お伺いいたします。

 区の施設の配置と運営の見直しについても、さまざまな議員の方がおっしゃっておりました。この検討についても、既にお答えの中で、14年度の早い時期に議会に示して、区民の意見を聞くというふうにお答えされています。区民に説明責任を果していく、ともにつくっていく行財政改革を進めていきたいとお答えされております。14年度の早い時期に議会に示してというのは、6月議会でしかないですよね。6月議会というのは、既に区長選挙が終わった次の議会です。政治家として区民に問うということは、次に自分が何をなすべきかを、自分が出られるときにまず区民に示して問うことが大事なのではないでしょうか。なってから議会に示して、区民の意見を聞くというのは、区民に本当にどうしていこうかということを問うたことには私はならないと思います。区民に説明を果していく、ともにつくっていくといったことはそれでできるんでしょうか。ともにつくっていく行財政改革を進めていきたいとおっしゃるのであれば、今御自分の考え方を示して、それを区民に問う意味で選挙に出られて、その判断を区民から仰がれるべきが政治家としてのあるべき姿だと思います。責任だと思います。

 最後にお伺いいたします。ブローデルの言葉を引用しておっしゃっていたくだりがございます。突然フランスの歴史家の方の言葉を引用された、何をおっしゃりたかったのかわかりません。わかりやすく説明してください。

 次に、人事政策についてお伺いいたします。

 中野区を覆う沈滞ムード、職員の方たちが元気になるためにはどうすればいいのかと。大阪で行われました「地方自治体における人事管理と人事政策の課題と方向」と題した勉強会に参加してまいりました。自治体には人事政策はないとの講師のお話を聞きながら、中野区にももしかしたら何もないのではないかと思いました。講師の方が示された少し古いデータですが、1996年に行われた管理職一般行政職キャリアパス調査、これは京都大学の研究室が行った調査ですけれども、多くの問題点が浮上しております。

 1点目、昇進や異動の事情がわからない。これが53.4%と半数以上の管理職を占めている。

 2点目、低いやりがかいの意識、やりがいがあるとお答えになった方が19%しかいなくて、ほどほどが60%、やりがいがないと答えられた方が21%もあった。

 3点目、意欲を高める職場の雰囲気があるとお答えになったのは25%と非常に少数であった。

 4点目、有能な人材像と昇進しやすい人の間にギャップがある。人材の資質として、大変高い項目は、責任感があるでした。有能な上司として高い項目は、調整能力があるでした。しかし昇進しやすい人の高い項目は、トップや議員の受けがいい人となっている。

 1999年課長職の現状とあるべき管理職像を探る職員意向調査、これは自治労大阪本部が府下の組合員に対して行った調査ですが、

 1点目、所属課長への勤務評定、非常に優れていると考えた方が9.5%、やや優れている24.4%、まあまあだと思う34.8%、ややだめだと思うのは19.3%、全くだめだと思うは12%と優れた課長だと思われている方は3分の1だけだったということでした。

 2点目、所属課長への否定的な評価の上位を占めているのは、部下に的確な指示を与えられない。これが25.7%、部下の仕事での相談に対応できない、これが19.6%でした。

 3点目、所属課長への肯定的な評価の上位は、課を超えた業務の調整能力がある15.4%。仕事の勘どころをよくつかんでいる12.3%、部下の指導でみずから責任をとるのが11.9%、こういった調査結果のあらあらを御説明しました。

 中野区は、過去職員の意向調査をやったことがないということなので、本当のところはどうなのかわかりませんが、紹介した調査結果にうなずかれる職員の方々も多いのではないかと思います。職員の方々のやる気を引き出すこと、すなわち人材を生かす組織をつくることが、区民サービスを高めるためにも、今の中野区には必要です。職員の意欲が失われてきている、意識が低下しているとか言われておりますが、区長はきちんとした人事政策をとってこなかったのではないかと思います。人事政策ができる首長は、自治体改革もできる、これが講師の講演の結びでした。

 その後訪問しました大阪の阪南市の市長、1年前に当選し、さまざまな改革を進行中であります。その市長室のすぐ隣が人事課で、市長の話の中からも人事政策への重点の置き方、熱意が大変伝わってまいりました。さまざまなことを勉強した一日でした。

 そこで質問いたします。

 1点目、人材育成を進める上でこれから必要とされる区の職員及び管理職の能力は何であると考えていらっしゃいますでしょうか。

 2点目、16年間神山区長はどのような人事政策をとってこられましたでしょうか。

 3点目、今までのやり方をどのように評価されておりますでしょうか。

 4点目、これからどのような人事政策を考えていらっしゃいますか。これは5か年計画にあらあらのせてありますけれども、この基本的な考え方、先ほどの御質問の中でも答えていらっしゃいました。基本的な考え方をまとめていきたい。ではいつまでにそれをまとめられるのか。その中で考えられている骨子というものは何なのか教えてください。

 3番目に、住民基本台帳ネットワークシステムについてお伺いいたします。

 昨年末、日本弁護士会連合会が3,247全区市町村に行った住民基本台帳ネットワークシステム施行に伴うアンケートは、約57%の回収率で、日弁連の調査で短期間にこれほど多くの回答が集まったのは初めてだそうです。住民基本台帳ネットワークに関する自治体の関心が非常に高いことのあらわれだと日弁連は言っております。

 1点目、住民基本台帳ネットワークの開始の8月に準備作業が間に合うのか。これはアンケートの質問ですが、この質問に中野区はどのように回答されましたでしょうか。そのように回答した理由は何でしょうか、教えてください。

 全国自治体アンケートに準備が間に合うと答えた自治体数は928でした。間に合わないが10、準備期間が十分ではないが、努力しているが815、わからないが79でした。間に合うと回答していない自治体が、回答の半数近くに達しております。住基ネットはことし8月から全国一斉に実施されることになっていますが、そのためにはこの制度を運用する全自治体の足並みが完全にそろい、準備が万全に整っていなければなりません。ところが現在の準備状況は、政省令やマニュアルの整備は極めて不十分で、遅々として進んでおらず、国の指示に全面的に従うにしても、このままでは来年8月にはとても間に合わないという声が上がっております。間に合わなければ全国一斉の実施は不可能ではないかと日弁連は分析しております。いかがお考えでしょうか。

 2点目、住基ネットに関する国からの援助は十分かとのアンケートの質問に対して、中野区はどう回答されましたでしょうか。財源が足りないとすれば、幾らぐらい足りないのでしょうか。この質問に対して足りていると答えたのは185、足りないと答えた自治体は1,449で、圧倒的多数の約9割が財源が足りないとの回答でした。

 3点目、住基ネットによる本人確認制度は、住民にとってメリットとデメリットとどちらが大きいと考えているかのアンケートの質問に対して、中野区はどのように回答されましたでしょうか。また、そのように回答した理由は何でしょうか。メリットが大きいと答えた自治体は346にすぎませんでした。他方、デメットが大きいとはっきり答えた自治体が221もあって、どちらとも言えない、わからないを合わせると80%を超える圧倒的多数の自治体が住基ネットに懐疑的であるという結果が出ました。中野区はいかにお考えでしょうか。

 4点目、今後住基ネットをさらに進めていくことについて、どのように考えているのかというアンケートの質問に対して、中野区はどうお答えになったでしょうか。中野区はどのような疑問点を住基ネットに対して持っていらっしゃるでしょうか。この質問に対して賛成の自治体は287で、反対の自治体、明確に反対の自治体は120もありました。どちらとも言えないが1,183で、明確に答えない自治体が圧倒的多数を占めております。法改正がなされて2年が経過しているにもかかわらず、8月から施行されようとしている制度について、多数の自治体が明確な位置付けができてないことが明らかであると日弁連は分析しております。中野区はどうお考えでしょうか。

 5点目、杉並区住民基本台帳にかかわる個人情報に関する条例が制定されていますが、どのように考えますかとのアンケートの質問に対して、中野区はどのようにお答えになったでしょうか。条例制定についての考え方を教えてください。

 同様の条例を制定したという自治体が47、同様の条例の制定を検討中であるという自治体が63、今後検討したいという自治体が590、未定が974でした。同様の条例を制定したという自治体は47ありましたが、その具体策として挙げているのは、個人情報保護条例でした。個人情報保護条例は、住基ネットを意識してつくられたものではないから、住基ネットにかかわることでの被害防止を独自に考えているとは言えないと日弁連は分析しております。自治体は住基ネットを法律に基づいて運用しなければならない立場にあるだけではなく、住民のために万全のプライバシー保護に対応しなければならない立場におります。そのことに関して中野区はどのようにお考えなのかお伺いいたします。

 6点目、個人情報のコントロール権は、国に情報を渡したとき、国に利用されるとき、どこまでそのコントロール権が及ぶのでしょうか。技術的にこのシステムで個人情報が外に漏れない保障があるのでしょうか。データの漏えいなどが生じた場合、区としてシステムの運用などのコントロールはできるのでしょうか。アンケートの自由記載欄に、住民にとって便利になるかもしれないが、プライバシーの侵害や悪用される可能性もあり、不安がある。ネットワークシステムの費用対効果の面でどれだけ活用できるか疑問である。個人情報が漏えいしている状況や個人情報保護法が先送りされている中での施行は、機が熟していないと考えるとさまざま自治体から不安の声が寄せられております。

 7点目、カードの発行、ICカードの発行は2003年8月ですが、ICカードについては中野区はどのような考えを持っていらっしゃるのでしょうか。また、準備状況について準備されていることがありましたら教えてください。ICカード1枚当たりの単価も高く、またカードの利便性を増大しようとしたら、さまざまなシステム開発の経費増になり、負担が大きくなると不安を寄せている自治体もあります。中野区としてはどうお考えなのかお伺いいたします。

 8点目、情報の縦のラインは、ことしの8月に実施されますが、さらに来年の8月には、8情報の住民票の広域交付、12情報の転出入事務、カードの発行もともに予定されております。短い時間の中での物理的な対応が本当に可能なのでしょうか、お伺いいたします。

 9点目、個人情報保護法が制定されない限り、住基ネットは実施すべきではないと考える。一つの市町村がハッキングに遭うと、他の自治体の住民の情報も流出するおそれがあるのではないか。便利になる反面、大きな危険が伴う。各自治体の管理体制が重要である。プライバシーの保護、コンピュータウイルスの関係で非常にセキュリティが心配である。今の時点で完全なセキュリティは存在しない。電算化による地方への負担も大変大きなものである。投資額が大きい割には、現時点での住民のメリットが小さい。事務量と財政負担が増加するだけで、市町村にとっては事務メリットはほとんどないなどさまざま自治体からこのアンケートに対して声が寄せられております。

 以上の問題点、さまざまに区としても検討されているところだろうと思います。8月の実施は大変急ぎ過ぎているし、このままでは大変困難だと思われますが、中野区はいかがお考えになっているのか、最後にお伺いいたします。

 4番目、男女平等政策についてお伺いいたします。

 中野区の在住、在勤の女性たちでつくる、身近に起きる女性への暴力を考える会が作成した、夫・恋人からの暴力被害と医療に関するアンケート調査報告集が昨年末できました。これが大変好評で、中野区内の医療機関で実施したものですが、全国初めての医療機関に対するDV調査ということで、テレビや新聞、医療専門誌などでも取り上げられ、全国から問い合わせが相次いでおります。私自身も取材や原稿依頼などで思わぬ忙しさと今なっております。中野区の医師会の皆さん、歯科医師会の皆さんの御協力のもと、身近の会のメンバーの方たちの2年にわたる努力のたまものだと感じております。国のDVにかかわる審議会からも議論の参考資料にしたいとして注文がありました。また、近々東京都の医師会の研修会でも取り上げていただくことになっております。小さな市民グループの取り組みが、地域からの取り組みが大きく広がって関係者を動かしているのは大変うれしいことだと思います。

 かいつまんで調査結果についてお伝えいたします。

 この調査の回答を寄せていただいた医療機関の40%以上がDVの被害に遭った方たちの診察をされておりました。この数字は、私たちの予想をはるかに超えており、地域の身近なところで、この中野区のところでDVの実態が起きているのだということを改めて実感いたしました。自分からお医者さんに、夫に殴られたと話す来診者が意外に多かった。また、お医者さんが不審に思って尋ねて、結果DVだとわかった事例も多かったわけです。言葉の暴力による被害は、精神科への相談より、保健所に相談している件数が大変多かったです。親身になって長時間にわたり話が聞ける体制にあるからではないでしょうか。

 被害者への対応は、60%以上が特に取り決めをしていないと回答されております。相談機関やサポートグループなどにつなぐことにはほとんどされていない状態です。しかし、被害者がひどく傷ついている場合の診療時に配慮していることとして、相談機関を紹介している数名の回答者の方があったのは、大変心強いことでした。医療機関として何が必要かという質問に対して、警察、相談機関、シェルターなどとの連携、DV問題への研修、DV被害を発見するためのマニュアルづくりなど多くの記載があり、中野区の医療機関の前向きな姿勢とともに、お医者さん自身が被害者への危機介入を積極的に行いたいという意識が見えました。啓発用リーフレットを待合室に置いておくという医療機関もありました。今後全医療機関に置くことができるように期待したいと思います。プライバシーに配慮しつつ、行政などの相談窓口にもつなぐことができるような体制を整えていくことが必要と考えている歯科医師の方からの回答です。大変勇気付けられる提案でもありました。来診者も話したがらず、医者からも声がかけらにくい、診療時間内に十分話を聞くことができない。プライバシーの配慮から深く立ち入れないなど医療機関がさまざま対応に苦慮されていることも浮かび上がりました。今後関係機関との連携、医療機関内での協力体制の必要性を痛感させられております。

 米英では、夫・恋人からの暴力、ドメスティック・バイオレンスは、公衆衛生の問題として対応されつつあり、医療機関におけるDV被害発見、査定、介入に関するマニュアルが整備され、研修なども行われております。こうした取り組みにより、DV被害への対応が早くなり、発見率が30%も増加したそうです。予防にもつながっているという実態があります。今回のアンケートの調査結果が被害者と医療機関をつなぐきっかけづくりの一つになっていくことを私たちは大変期待しております。

 このアンケートの報告会をかねたシンポジウムを1月12日に行いました。夫・恋人からの暴力被害と医療をつなぐシンポジウムでは、医師、医療ソーシャルワーカー、婦人相談員、研究者と各分野からのパネラーをお迎えして、大変内容の濃い、お互いの連携の一歩をつくるためのとてもいい会になりました。中野区からも理事者の方たち、保健婦さんたち、現場のワーカーさんたちの参加もあり、それぞれ現場でどう取り組んでいけばいいのかという参考にしていただいたのではないかと思います。保健所が果たす役割も大きいものがあると思います。女性政策部門だけではなく、保健福祉部門を含めて、医療機関などとの協力体制及びマニュアルづくりなど連携の仕方を今後どう図っていくのか、お考えをお伺いいたします。

 また、昨年設置されましたDV防止にかかわる連絡会の役割と機能の充実については、どうお考えなのかお聞かせください。

 2点目、区の各窓口における相談体制の充実が調査結果を通しても何よりも大事だと感じました。昨年決算での質問もいたしましたが、その質問での御答弁では、常勤職員を1名増にして、相談体制に支障がないように取り組んでいるとのことでしたが、実際は常勤職員の方がなかなか専門的には相談に応じられる状況にはなく、非常勤の方が一手にしょっていらっしゃいます。その方が席を外してしまうと、なかなか電話をしても相談につながらないという事態が起きております。相談体制につまり支障が起きているのです。DVの相談もふえてきております。その中で区としてはどんな充実策を図っていかれるのか。また、民間の相談機関、サポート機関との連携を積極的に進める必要があると思います。区として充実と連携をどう図っていくのか、お考えをお伺いいたします。

 また、私たちも相談を通して、アンケートを通してもまず真っ先に大事だと思っているのがシェルターです。まず逃げる場所、それの確保をするところが、東京都のシェルターもいっぱいで、ほとんど民間のシェルターにそのことがゆだねられているという実態がございます。そのシェルターの充実と支援、これも緊急課題だと思いますが、中野区ではどのように検討されているのかお伺いいたします。

 この項の4点目です。(仮称)男女平等基本条例(案)の大綱が先日の区民委員会で示されました。性別による差別的取り扱いの禁止のところで、被害を受けた者に対する保護と必要な支援、救済が盛り込まれませんでした。どのように考えられているのでしょうか。昨年の私の決算総括での御答弁では、被害者の救済などにつきましては、基本条例の中に苦情処理の仕組みについて検討しているので、その中で考えたいとおっしゃっております。どう考えていらっしゃるのかお伺いいたします。

 この項の5点目です。男女平等に関する苦情処理の制度化と男女平等専門委員会の設置が明記されておりますが、どのような仕組み及び専門委員会を考えられているのかお伺いいたします。

 この項の6点目です。大綱に明記されております拠点施設としての女性会館の重要性について、どのようにお考えなのか。また、女性会館の運営の充実を今後どのように図っていくおつもりなのかお伺いいたします。

 以上でこの項の質問を終わります。

 その他の項で1点お伺いいたします。

 障害を持つ子どもたちの保育園の入園についてお伺いいたします。

 中野区障害児保育事業運営要綱で、障害を持つ子どもたちの入園は、1園に対して3人まで、また、同一年齢クラスは原則として1人までに決められています。普通、親が働く場合、最寄りの保育園に空きがあれば入園できます。しかし、子どもが障害を持っていると、既に障害を持っているお子さんが3人入っている場合、また、同一年齢クラスに既に障害を持っているお子さんがいらっしゃる場合、空きがあっても入園できない状態があります。このため、近くの保育園に入園できないという御相談がふえています。障害を持つ子供の定員を決めている理由は、職員の配置ができないということが大きな理由だそうですが、その理由で入園を断るのは行政の怠慢になるのではないでしょうか。ニーズがあれば受け入れる体制をつくるのが行政の仕事です。正規職員を配置できる状況ではないのはわかっておりますので、せめて臨時職員を配置して対応するべきではないでしょうか。各保育園が障害を持つ子供たちの定員枠を広げてニーズにきちんと対応できるように、臨時職員配置の予算枠をふやすべきだと考えます。そして要綱自体の制限が緩和できるように検討していただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。

 以上で質問を終わらせていただきます。

 最後に、区長の今後の身の処し方については、さまざま今御自身のお気持ちの中でいろいろ考え、悩まれているところだろうと思います。政治も経済も行き詰まりを見せ、今新たな展開が望まれております。御自身の責任のとり方、30万区民にとってこれからの区政のあり方をどうすればいいのか、どうすれば新しい区政のあり方をつくり出していけるのか、一人ひとりの決断が今問われているときだと思います。しっかりと考えられた御判断を御要望して、私の質問を終わらせていただきます。

〔区長神山好市登壇〕

○区長(神山好市) 佐藤議員の御質問にお答えいたします。

 まず最初に、4期16年、総括すべきではないか。またこの16年で区民参加はどう進んだのかと。この評価とこれからの課題は何かということです。

 参加の区政、これは私の区政運営における大きな柱としてきたものでございますし、かなりの進展が見られたというふうに思っております。住区協議会と地域センター構想を一層進めるとともに、あらゆる分野で区民参加のもとに区政運営を行ってきたつもりでございます。今後は区民や地域団体がサービスの担い手となってくるということが重要でございますし、区と区民と民間の役割分担を踏まえて協働していくことが課題だろうというふうに思っております。

 この16年間で財政基盤が悪化をした、これをどう評価しているのか。また、悪化の原因は何か、どう建て直すのかということですが、区の財政が極めて厳しい状況になったのは、予想を超える景気の長期低迷や国の減税政策の影響が大きいと思っています。特別区税や特別区交付金など大きく減少したこと、また、国や都の補助金の一般財源化、補助率の引き下げなどがあります。区にとって不利になる制度改正があったことなどが要因だというふうに考えています。

 区は平成12年度に5か年計画を策定しましたし、計画に基づく行財政の構造改革に取り組んできたところです。私は今後とも行財政の構造改革を推し進めることによって、健全で強固な財政基盤が築けるものと考えているところです。

 また、この16年間の公約の達成率はどのくらいだったかということですが、またこの4年間の公約の達成率、財政事情が非常に厳しい状況になった中で、公約に掲げた施設建設等についても、達成できないものというのがいっぱいできました。私は区民とともに培ってきた中野の自治を発展させること、自主、参加、連帯に支えられた豊かな地域社会づくりを進めること、憲法擁護非核都市宣言の精神を広め、平和な暮らしを守ること、区民の意見を反映させながら、簡素で効率的な行財政運営に努めること、この四つの項目を基本姿勢に掲げて当たってきたところです。福祉の充実やまちづくり、資源循環型社会への取り組み、地域情報化などについての成果は上げることができたと思っております。

 この4年間においても厳しい財政状況を受けて施設建設を凍結せざるを得なかった地域保健福祉センターの開設、都市計画マスタープランの策定、男女共同参画の推進、特別区の制度改革など、区長就任に際して掲げた政策の各分野で進捗を見るということができたと思っております。

 次に、行政改革は着実に進んでいると言っているが、根拠は何か。この質問につきましては、先ほど市川議員の御質問にもお答えをいたしたところでございますけれども、14年度予算では職員数の削減によりまして、13年度に引き続き人件費が実質的に下がるということで、経常経費の縮減が進みました。その結果、財調基金への積み増し、また、学校耐震補強、乳幼児医療費助成の所得制限の撤廃、小児初期救急医療体制の整備、放置自転車、電子区役所構築、こういった課題に財源を配分することができたと。このような予算、全体的な状況から区の財政改革が進んでいるというふうに見ているものでございますし、ここに成果があらわれているという認識でございます。

 さらに、16年間を振り返ってどうなのか、職員給与の削減中止ということについてですが、職員給与の削減については、平成13年度臨時的財源対策として1年間の時限的な特例条例にして実施をしたものでございます。14年度当初予算で行財政5か年計画が進んだということから、職員給与の減額は計画どおり平成13年度限りとすることにしたものでございます。

 なお、特別職の報酬については、報酬審議会の意見等も聞いて決定をしたところでございます。

 なお、職員給与については、私はこの制度、人事委員会勧告制度、また労使交渉を経て条例で給与を決定している、こういった手順を踏んでの給与制度でございますので、その中でさらに減額をするというのは、異例な措置だということで、できるだけ正常に早く戻すべきだというふうに考えておりますし、またこれについては勧告の中で特定の行動といいますか、扱いをしないようにということが、今年度の勧告でも言われているというところでもございますので、これは早く正常に戻すべきだという判断でございます。

 次に、説明責任と透明性、確立を進めたというけれども、実感がないということですが、行財政5か年計画では、素案の段階から財政状況が改革の必要性について、地域での説明会と意見交換を行ってつくったものでございます。新たな取り組みとして、区の財政状況、施策と事業の状況を明らかにするために行政評価制度の導入とバランスシートの作成なども実施をしましたし、ここで行政の説明責任と透明性という点については、仕組みといいますか、制度的にでき上げることができたというふうに思っております。

 次に、大きなプロジェクトについてどうするのかということでございます。東中野地域センター等の複合施設については、5か年計画で施設配置の考え方を定めた上で取り組むとしております。14年度にまとめる地域センター等について検討結果を踏まえて判断をすることになります。また、産業情報センター等複合施設、上野原スポーツ・学習施設、平和資料館など5施設の事業計画については、外部の専門家による委員会を設置して、客観的な評価を行って、評価結果を区民に公表することにしております。これらの施設は区民の要望に基づいて計画した経過がありますので、計画の見直しについてもきちんと手順を踏んで行うべきであるというふうに考えております。行政としての判断も同時に示していかなければならないというふうに考えております。

 次に、所信表明の最後の御質問ですが、ブローデルの引用はどういう意味かということですが、当面の課題解決に当たることも大切だが、行政の継続性や地域の長い歴史、また、人々の歩みを大切にして、将来を見通していかなければならないという思いで引用したものでございます。現在というものが過去を引きずっているというか、いろいろな問題を引きずって現在がある。過去が混在しているというケースがある。これが近いものほど現在に大きく影響している、そういった中で物事を考えていかなければいけないということでございます。

 次に、人事政策についての御質問でございます。

 この点については、職員に必要な能力ということですが、みずからの職務に精通し、また、公平、公正な職務執行に努めること、これが基本であろうと。さらに社会環境の変化などに的確に対応して、政策形成能力を持つということが大事だと思っております。また、納税者である区民の感覚に立って、区民の立場からサービスの提供を行い、区民の満足度が高まるような仕事ができる職員、また、経営感覚、コスト意識を持った職員、区民に対して説明責任を果たせる能力を持った職員が求められているというふうに考えております。このような職員の育成に力を入れてきたつもりです。区民参加を区政運営の基本に据えてきた、職員はこれにのっとりまして福祉、教育、まちづくりの各分野でそれぞれの住民福祉向上のために努力をして、期待にこたえてきてくれていると思っております。これからは一層職員の能力開発、向上のために職域を超えた職域拡大、人事考課制度の活用、研修の充実や適材適所の職員配置などを考えていきたいというふうに考えております。

 5か年計画の中でこのような職員像といいますか、これを描きながら取り組みをしてきているところですが、御質問の中でいつごろ基本方針をまとめるのかということがございました。これについては14年度のできるだけ早い時期に出したいと思っておりますが、今担当部署でのたたき台をまとめている最中でございます。

 なお、どんな人事政策をとってきたのか、考えているのかということですが、職員の研修については、民間研修、あるいは体験研修といいますか、各職場を経験する、そういった研修制度の充実と、また、昇任制度、職種統合だとか、職域拡大もございますが、こういった制度の研究もやっていきたい。また、都との人事交流も人事管理上大事なことだというふうに考えておりますし、また、管理職についての自己申告制度がありますので、こういったものも最大限生かしていきたいというふうに思っております。

 他の質問につきましては、それぞれ所管部長からお答えいたしますので、よろしくお願いいたします。

〔都市整備部長宮村光雄登壇〕

○都市整備部長(宮村光雄) 警察大学校等移転跡地についての御質問にお答えいたします。

 警察大学校等の移転跡地につきましては、御承知のとおりすべてが国有地でございますが、警察庁等から財務省への返還が平成14年度末に完了する予定でございまして、平成15年度から土地利用転換を進めることが可能となる見込みでございます。

 跡地の整備手法につきましては、財務省が早期処分を進めたいとの意向であるということも考慮しつつ、国庫補助金などをできるだけ導入し、区の財政負担を軽減しながら、地元要望に沿った土地利用転換を進めるため、道路や公園などを区が直接施工する方法や、都市公団などを活用する方法などについて検討しているところでございます。今後整備手法の検討をさらに進める中で、整備スケジュールについても検討してまいります。

〔環境部長西條十喜和登壇〕

○環境部長(西條十喜和) 私からは区長の所信表明の中で、清掃事業の扱いについて主体的に論議を深める必要があると言っているけれども、清掃関連施設の中身についての論議はどこで、どのように行うつもりなのかについての質問でございます。

 清掃事業に関する施政方針説明の趣旨についてでございますけれども、これにつきましては、18年度以降各区が清掃工場を設置し、自区内処理が実現できるまでの経過措置としての地域処理のあり方につきまして、23区が主体的に論議する必要があり、区としてもその論議に積極的に参加することを述べたものでございまして、したがいまして、中野区の清掃工場についての論議についてのものではございません。この点につきまして御理解をいただければと思ってございます。

 なお、清掃工場の建設につきましては、その時点での最新の技術に対応した施設とし、議会の意見も踏まえつつ取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

〔政策経営部長渡辺征夫登壇〕

○政策経営部長(渡辺征夫) 5か年計画で見直すことにいたしました施設の検討状況についてのお尋ねにお答えさせていただきます。

 現在、それぞれの所管の部での検討結果をもとに全庁的な検討体制を設け、検討に入っているところでございます。各施設とも施設機能や配置と区民ニーズにギャップが生じていないかどうか、老朽化に伴っての維持経費や改築経費の増大するおそれがないかなどの配置や運営の見直しを基本に検討しているところでございます。結果につきましては、14年度の早い時期にお示ししたいと考えております。

〔区民部長内田司郎登壇〕

○区民部長(内田司郎) 住民基本台帳ネットワークに関する数点の御質問にお答えいたします。

 初めに、日弁連のアンケートに関するお尋ねでございます。このことにつきましては、所管しております区民課において対応いたしましたけれども、準備作業については、期間は十分ではないが、努力をしている。国からの援助は足りない。住民にとってのメリット、デメリット及び今後さらに進めていくことの賛否については、どちらとも言えないといった趣旨で答えをしております。

 住民基本台帳ネットワークシステムの構築につきましては、これまでも国に対し自治体の意見を十分反映するよう強く要望してきたところでございますが、財政負担等なお課題があるというふうに考えておりまして、そうした立場からというか、スタンスで回答したところでございます。

 次に、これもアンケートに関連して、杉並区の条例制定についてのお尋ねでございますが、回答の時点では対応は未定としておりました。その後杉並区から条文等取り寄せ、検討を行ったところですけれども、ほとんどの条項が住民基本台帳など関係法令や中野区の個人情報保護条例で十分対応できることから、中野区として特別の条例を制定する必要はないと判断をしておるところでございます。

 次に、個人情報の保護とシステム運用に係る区のコントロールに関するお尋ねでございます。住民基本台帳ネットワークシステムでは、個人情報の保護とセキュリティ確保のため、住民基本台帳法など関係法令等によりまして、システムにかかわるすべての機関が制度面、技術面、運用面からの十分な対応が求められておりまして、国等関係機関、そして各自治体は国が示したセキュリティーの基本方針書や基本設計書に基づいてシステム構築に取り組んできているところでございます。近々のうちにはセキュリティ対策の詳細を定めるセキュリティ対策基準も告示される予定でありまして、個人情報保護とセキュリティの確保に万全を期するため、この基準をもとにそれぞれシステムの運用管理規定等整備することになっております。

 なお、データへの不正アクセス等万一の場合があった場合には、区の個人情報の保護に関する条例や運用管理規定等に基づき、システムの停止など必要な措置を講ずることになると考えております。

 次に、ICカード、住民基本台帳に関するお尋ねですが、これにつきましては、本人確認情報の記録媒体として住民票の広域交付や転入転出の特例処理の際に必要となるほか、区市町村長が条例で定める目的にも利用できるなどさまざまなサービスに利用できるとされております。中野区では現在、来年8月に開始される転入転出の特例処理などの基本サービスに対応できるよう準備作業を進めておりますが、カードの適正な管理運用、区民への周知といった問題が重要な課題と考えておりまして、個人情報の保護、セキュリティ確保の観点からも十分な対応を図ってまいりたいと考えております。

 最後になりますが、準備状況についてのお尋ねでございますが、本年8月の第1次サービスに向けたホストコンピュータの改修やコミュニケーションサーバーなど新たに構築しなければならないシステムの開発は、ほぼ完了いたしまして、ダミーデータを用いた全国一斉テストの第1段階も予定どおり終了しております。引き続き来年8月に開始される第2次サービスに備え、ICカードの基本的な活用に当たっての業務フロー、交付手順などについて検討に着手をしているところでございます。今後ともシステムの構築と運用に支障の生ずることのないように適切に対応していくとともに、これからも自治体としてまだまだいろいろな課題もあると思いますので、国がそうした自治体の声に十分耳を傾けて、的確な対応を図るように引き続き要望をしてまいりたいと、そう考えております。

〔地域センター部長柳澤一平登壇〕

○地域センター部長(柳澤一平) 男女平等政策、障害を持つ子の保育園入園についてお答えを申し上げます。

 まず、暴力被害について、保健福祉部門、医療関係機関などとの連携の体制をどうするのかという御質問でございます。配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、DV防止法と呼ばれておりますが、これが昨年10月13日に一部施行されました。都道府県がDV防止対策の中心を担うということが明確になったわけでございまして、区においても法の趣旨を踏まえ、女性に対する暴力についての相談を受けることが多い生活援護課、女性・青少年課などの関係職員のほか、中野区医師会、中野・野方両警察、その担当者の構成で昨年10月にDV防止連絡会を開催いたしました。この連絡会は、暴力を受けた女性からの相談について、たらい回しにせず、適切に対応するため、法の内容や関係機関の対応策について共通理解を図り、相互に連携して対応することについて確認することを目的として開催したものでございます。被害を受けた女性が適時適切な相談や保護を受けられるよう今後も必要に応じて連絡会を開催し、連携の強化に努めてまいりたいと思ってございます。

 次に、区の窓口の充実及び民間機関との連携についてのお尋ねでございます。被害を受けた女性の相談先は、都や警察の場合もございますが、区においては主に生活援護課と女性会館で対応してございます。区のいずれの相談窓口を訪れられましても、適切な対応ができるよう区として配慮することが必要であると考えておりまして、連携の一層の充実を図ってまいりたい。DV防止法に伴い4月には東京都が配偶者暴力相談支援センターを設置するなど、今後被害を受けた女性に対する援護策は、民間を含め整備が進んでいくものと理解しておりまして、区としては都や民間を含めた関係機関と今まで以上に実務レベルで情報交換を十分に行うなど連携充実を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

 それから、シェルターの問題でございます。DV防止法では被害者の保護は都道府県がその責務を負うということは明示をいたしました。したがって、一時保護機能は東京都に置いたウイメンズプラザ、配偶者暴力相談支援センターの役割ということになってございます。区は都と連携し、配偶者暴力相談支援センターでの保護が困難なときには、保護施設の活用など一時保護等の協力をする役割ということになってまいります。

 それから、(仮称)男女平等基本条例(案)の大綱に関して3点ほど御質問がございました。

 まず、性別による差別的取り扱いなどの禁止に関してでございます。性別による差別的取り扱い等の禁止につきましては、差別的な取り扱いが男女平等を妨げるものであることを改めて確認いたしまして、禁止の旨を明示することにより、予防的効果をもたらすことを期待しているものでございます。被害を受けた者に対する支援策として、苦情等の申し出のシステムはもちろんでございますが、男女共同参画基本計画、同行動プランに具体策を掲げてございまして、これをもとに対応してまいりたいというふうに考えてございます。

 次に、苦情処理の仕組みでございます。苦情処理の仕組みといたしましては、区民からの苦情等申し出を受け付ける窓口を女性・青少年課に設けて対応いたします。苦情の内容に応じて情報の提供、あるいは他の行政機関、あるいは相談機関の紹介なども含まれると考えているところでございます。苦情のうち専門的視点が必要なものや、第三者性が求められるものについては、附属機関としての男女平等専門委員会の助言を求めることとしてございます。

 それから、この項の最後ですが、拠点施設としての女性会館の重要性をどう考えるかでございます。女性会館は区民の参画や平等に向けた取り組みの活動の拠点といたしまして、男女共同参画の視点を入れた事業、女性のさまざまな悩みを解決するための相談事業を実施してまいりました。今後区民が主体的に男女平等社会づくりに取り組むに当たって、区民の活動の拠点となる会館の役割は、今まで以上に重要であると認識してございます。区民との協働の実践をさらに推進し、運営の充実を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

 それから、障害を持つお子さんの保育園入園についての御質問でございますが、区ではこれまで障害児の受け入れについては、身近なところで入所できるよう拡充に努めてまいってございます。1園に対して3名を受け入れてきたところでございますが、保育園の年度途中の入所については、空きが生じにくいため、入所できない状況がまま見られるというところでございまして、今後こうした状況を踏まえまして、障害児の受け入れの体制等について検討してまいりたいというふうに考えてございます。

〔佐藤ひろこ議員登壇〕

○20番(佐藤ひろこ) 幾つかお答えいただいていないようなところもあると思うんですけれども、14年度に検討を出すというあたりですね、早い時期に議会に示して、区の施設の配置と運営の見直しも14年度の早い時期に示したいとか、それからあと、いろんな大規模施設についての評価についても、14年度の早い時期にと言っていたり、先ほど言いましたように、区民にとっては4年に一度政策について判断するチャンスなわけです。選挙というのは一人ひとりが1票ずつの権利を持って、その政策判断に対して参加するチャンスに対して、その政策判断をやり、大事なことは、その前に御自分はどう考えるのかを示さないと、6月にというのは、すごく先送りです。なぜその前にきちっと御自分の考え方を示されないのか。区民参加とか盛んにおっしゃっています。本当に区民参加を果たしたいのであれば、区民にちゃんと向き合うための自分で方向性、考え方をきちっと区民にその前に示されるべきだと思います。なぜそうされないのでしょうかということに対してのお答えがないと思いますので、お答えください。

 それから、ちょっと前後しますけれども、区民参加はかなりの進展が見られた。今の区民の実感、私の実感とも全然違っています。かなりの進展が見られたというのであれば、具体的にどんなことでかなりの進展が見られているのかお答えください。

 それから、公約の達成率のところですけれども、4年前の法定選挙ビラに公約として掲げられた41項目、実現している項目は、多目に見ても7項目ぐらいで、達成率は18.3%ということになります。首長はその選挙で自分の公約を掲げて問うて、その仕事の判断をまた区民にしていただくということですから、そういった公約の達成率というのは、中身はともかく、私はやらなくてもよかったものも結構あるとは思いますけれども、御自分で掲げられたことに対しての責任のとり方としては、しっかり御自分で考えて、この数字を考えてみていただきたいと思います。これが自分の評価、点数の一つですよね。何かいろんなことを評価する、評価するとおっしゃいますけれども、まず御自分の仕事ぶりの評価をしていただきたい。それに対しての御見解をもう一度おっしゃってください。いろいろ達成できたことがあると先ほども地域情報化の推進とか、保健福祉センターの開設とかおっしゃっていました。保健福祉センターなんて言われると、私はえっと思うんですけれども、これは毎年ごとに区長の方針、見解が変わる中で、どれだけ職員の方が右往左往されて、私も含めて本当の保健と福祉の連携のあり方というのをどうつくるんだというのを口酸っぱく言わせていただいたことを、これを御自分の成果みたいにおっしゃるというのは、ちょっと違うんじゃないかというふうに思います。本当の御自分の成果であるんだったら、どこが一体成果なのか。この項目の客観的に見た達成率については、どうお考えになるのかお伺いいたします。

 それから、答えていただいてない一つが、わずかな財源配分をするときの重点の置き方がおかしいのではないかということの問題です。これを数字だけでさらに改革の成果があらわれたという言い方をされていますけれども、それは大事なことをやらなかった、財政が大変だから、これだけ大変になったから、大事なことをやらないでいたために少しは生まれた何かをまた違ったものに使ってしまうという状態を繰り返し、繰り返し続けられてきて、本当に何が行政として取り組まなくてはいけないのかというのを、もうちょっとしっかりと改めて考えてほしいと思います。

 例えば、先日、障害者福祉会館の避難設備を見学させていただきました。地震や火災で1基しかないエレベーターがとまったとき、たとえとまらなくても、たくさんの障害を持つ人たちが避難する方法が全くないということがわかりました。上からロープなどでおりられる避難設備があるんですけれども、重い障害を持つ人たちがどうやってロープでおりられるのか。職員が人を抱えておりるということが、一人でおりるのさえ怖いのに、そんなことはできるのきか。阪神大震災の後現場の職員の方は要望されていたと思います。その改善にさえ目が向けられなかった。行政が人の安全を守るという最低のことも財政難、お金がないということで先延ばしにしながら、改革の成果が見えてきたなんということは、よく言えたとお思います。やるべきことをやらないでいたからそういうことだということをもっと認識していただかないといけないんじゃないでしょうか。住む家の傾きを修繕しないでいたら、お金が少し余ったから、みんなにお小遣いを上げようなんと言っているようなものだと私は思います。こういったのを成果というのかどうか、もう一度御答弁いただきたいと思います。

〔区長神山好市登壇〕

○区長(神山好市) 佐藤議員の再質問にお答えいたします。

 各施策事業の成果というか、この評価について、4年ごとの選挙に向けて出すべきではないか、総括すべきではないかということですが、私は常に事業についての総括というのはやるべきだろうというふうに思っています。ただ、4年に一度の選挙のためにというものではないだろうというふうに私は思っています。今まで掲げたものをまた次の公約にするのかしないのかということもありましたけれども、こういったものを選挙のためにというふうには私は考えておりません。区としてやるべき事業というものはどこまでできたのか、それは第三者で見る目が一番妥当だろうというふうに思いますし、自分自身で精いっぱいやってきた、できたということが、ほかから見た場合には全然できていないという見方もあろうというふうに思っております。その点については、今それぞれの事業についての評価の見直しをしてやっていこうということで取り組みをしているものですから、取り組みをしている最中のものを、私が個人的にこうしたああした、またこうするということを言うべきではないだろうというふうに思っております。

 それから、区民参加ですが、どういうところで参加が進んでいるのかということですけれども、これについては各種のケースがあろうというふうに思います。地域センターにおける住区協議会構想における参加、また、各種審議会等の公開、あるいはこれは長期計画もそうですけれども、5か年計画についても、地域での意見聴取をして、区民の意見を反映させながらつくっていく、こういったものを定着をさせてきているというものでございます。また、あらゆる分野で案の段階から意見交換をしてやってきておりますので、こういったものを私は参加の仕組み、定着をしてきた部分だというふうに思っております。また、センターで広報等の発行についても、区民が参加をして、みずから広報紙をつくったりということも、参加の事例だろうというふうに思っております。

 それから、責任のとり方ということでございますけれども、これについては前にもお答えをしたことがございますけれども、私は5か年計画で今行財政の基盤を確立をする、建て直しをするということでやって、この目標を達成するということが、当面私に課せられた責任だというふうに思っております。

 また、予算の配分ですけれども、重点の置き方がおかしいのではないかということでございますが、これについてはすべてのものにつけるというわけにもまいりません。また、公平にという点で判断しなければならないもの、また緊急にやらなければならないもの、それぞれ性格が若干異なるものだというふうに思っておりますが、全体の状況を見ながら、可能な限りそういったものについて配慮をするということをやったつもりでございます。

〔佐藤ひろこ議員登壇〕

○20番(佐藤ひろこ) 多分神山区長が別に選挙向けといって、御自分でつくられた公約なわけですから、選挙のたびに、みんな私たち議員だってそうですけれども、区長だってそうされているわけです。それに対してどうたったのかというのを、きちっと区民の方にお伝えするということを、きっと長く16年間もずっと続けてきたから、どこの節目でお伝えしていいのかがわからなくなったんじゃないかなというふうに思います。つまり、次もずっとやるつもりだから、6月議会でいいんじゃないか。だけど私たちの感覚は違いますよ。節目節目というのがあって、ここのところでちゃんと自分の考えを述べていただかなくては、神山さんが次に何をするのという判断ができないんじゃないですか。例えば、児童館の見直しとか、後で小沢さんが質問されるみたいですけれども、おっしゃっている部分というのがあります。どう見直されるのか、結果が6月に当選しないとわからないんじゃ、どういう判断を神山さんに対してしていいのかが区民の方にわからない。それは行政の仕組みとしていろいろ検討されている状態はあると思いますけれども、御自分では少なくともこういう方向で考えているんだということを、6月の前に、今この議会でお示しにならないと、それは区民に本当に判断を仰いだり、区民の意見を聞いたり、御自分がちゃんと区民の前面に出てこういうことでいいのかどうなのか問いかけの対話すらできないんじゃないですか。その対話をしていくということが選挙の一番大事な過程なんじゃないかと思います。だからその過程は4年間の中で、もちろんいっぱいいっぱいつくっていっていいわけですけれども、一番そのけじめをつける一つの大きな機会でもあるのに、それをそんなふうにお答えになるというのは、違うんじゃないかと思います。きちっきちっと節目節目で一番区民の関心のある問題について、御自分はどう考えるのかを示されるべきだと思いますけれども、再度いかがお考えなのか。

 それから、区民参加のところで、区民参加をやってきた具体的な事例としておっしゃっていました、それが区民参加かなというふうに思うんですけれども、5か年計画も区民の意見を反映させてつくっていくと、これはだれもそんなこと本当に思ってないですよ。緊急だからしようがないから、何か区民の意見もそんなに聞かないでつくってしまったというふうに、何かあきらめの気持ちになっているだけであって、本当に区民の意見を聞いてくれたなんて思ってないから、いろんなことがみんなから出ているんじゃないですか。それを区民の意見を反映させてつくっていると思われているとしたならば、それは区民参加のあり方についての認識がすごく足りないと思います。本当に考えているのだったら、区民参加は実は余りの緊急事態ですごく足りなかった。だからこれからちゃんと区民と向き合ってきちっと私は話していきたいんだというスタイルをとるべきだと思いますけれども、いかがお考えなんでしょうか。

〔区長神山好市登壇〕

○区長(神山好市) 佐藤議員の再質問にお答えいたします。

 今区民参加から申し上げますけれども、私は区民参加というのは、先ほども申し上げました。いろんな形で行われているというふうに思っています。これが区民参加だと一つの固まったものではないだろうということで、いろいろなものを私は挙げて申し上げたつもりです。ですからこの区民参加というのは、私は中野で定着をしてきて広がってきているというふうに思っておりますし、5か年計画について、区の方の事情で財源が非常に厳しくなったと。その中で我慢してほしいということで、かなり強くお願いをして通してきているという部分もあろうと思います。しかし、これはその状況をわかっていただきたいという問題でございます。すべてそれを反映してというわけではなくて、その意見を聞きながらそれをやっていくというところに参加と意味があるというふうに思っています。

 また、総括といいますか、事業の成果の評価、こういったものについて4年に1回の選挙に向けて判断材料として今出せと、選挙のためにという、私は問題ではないだろうというふうに思っているんです。常に約束をしたこと、計画をしたこと、これがどこまでできたのか、どうなったのかということについては、報告をしなければならないと思っています。しかし、これはあくまでも区の区政運営上の問題として区民に理解できるように、わかるようにということで公表すべきものだろうというふうに思っています。選挙のためにということを言われますと、私自身が先にそれをつくって、私がこうします、ああしますということを、これは選挙を既に自分で準備をしているという形にもなっていくので、そういう問題ではないだろうというふうに思って答えています。

○副議長(飯島きんいち) 以上で佐藤ひろこ議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(飯島きんいち) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後6時44分散会