令和3年09月14日中野区議会本会議(第3回定例会)

.令和3年(2021年)9月14日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(40名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  5番  間     ひとみ         6番  河  合  り  な

  7番  斉  藤  ゆ  り        8番  立  石  り  お

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番     欠  員   

 11番  加  藤  たくま        12番  吉  田  康一郎

 13番  木  村  広  一       14番  甲  田  ゆり子

 15番  内  野  大三郎        16番  杉  山     司

 17番  ひやま      隆       18番  小宮山   たかし

 19番  い  さ  哲  郎       20番  小  杉  一  男

 21番  内  川  和  久       22番  若  林  しげお

 23番  高  橋  かずちか       24番  小  林  ぜんいち

 25番  白  井  ひでふみ       26番  いながき  じゅん子

 28番  中  村  延  子       29番  石  坂  わたる

 30番  近  藤  さえ子        31番  浦  野  さとみ

 32番  大  内  しんご        33番  伊  藤  正  信

 34番  高  橋  ちあき        35番  平  山  英  明

 36番  南     かつひこ       37番  久  保  り  か

 38番  森     たかゆき       39番  酒  井  たくや

 40番  むとう   有  子       41番  長  沢  和  彦

 42番  来  住  和  行

.欠席議員(1名)

 27番  山  本  たかし

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  白 土   純

 副  区  長  横 山 克 人      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  高 橋 昭 彦      構造改革担当部長 石 井 大 輔

 総 務 部 長  海老沢 憲 一      防災危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝 瀬 裕 之

 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小 田 史 子 地域支えあい推進部長 角  秀 行

 環 境 部 長  朝 井 めぐみ      中野駅周辺まちづくり担当部長 松 前 友香子

企画部企画課長 堀 越 恵美子      総務部総務課長  浅 川   靖

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  長 﨑 武 史      事 務 局 次 長  小 堺   充

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  立 川   衛

 書     記  若 見 元 彦      書     記  鎌 形 聡 美

 書     記  松 丸 晃 大      書     記  田 村   優

 書     記  細 井 翔 太      書     記  有 明 健 人

 書     記  五十嵐 一 生      書     記  髙 橋 万 里

 書     記  本 多 正 篤      書     記  金 木 崇 太

 

 議事日程(令和3年(2021年)9月14日午後1時開議)

日程第1 第50号議案 令和3年度中野区一般会計補正予算

日程第2 認定第1号 令和2年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

     認定第2号 令和2年度中野区用地特別会計歳入歳出決算の認定について

     認定第3号 令和2年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について

     認定第4号 令和2年度中野区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算の認定について

     認定第5号 令和2年度中野区介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について

日程第3 中野区の財政の健全化判断比率について

追加議事日程

日程第4 第66号議案 令和3年度中野区一般会計補正予算

日程第5 第66号議案 令和3年度中野区一般会計補正予算

 

午後1時00分開議

○議長(内川和久) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 むとう 有 子

 1 教育行政における区民参加について

 2 社会的養護の経験者(ケアリーバー)の支援について

 3 区役所新庁舎整備における生活援護課の配置について

 4 その他

 

○議長(内川和久) 最初に、むとう有子議員。

〔むとう有子議員登壇〕

○40番(むとう有子) 区民の皆様からお寄せいただきました御意見を基に質疑をいたします。

 教育行政における区民参加についてお尋ねをいたします。

 中野区では1980年に教育委員候補者選定に関する区民投票条例を施行し、以来4回実施されました。教育委員を選ぶところから区民が参加し、まちの中で教育に関わる学校や家庭、地域の役割や教育行政の在り方について活発な議論が交わされていました。区民投票を成功させましょうとの文化人有志の声明には、元都知事の青島幸男さんや落合恵子さん、黒柳徹子さんなどのお名前もありました。残念ながら、存続を求める多くの区民の声や行動にも耳を貸さず1994年に廃止されました。教育委員準公選の記録1・2・3の3冊に加えて、最後となった記録4の表題は「教育自治と住民参加」でした。いずれも編著者中野区という読み応えのある本が出版されています。あとがきには、「今後、新たな区民参加の仕組みを検討する際の資料として利用されることを願う」と、中野区総務部総務課が書き記しています。いま一度、秋の夜長に、教育自治と住民参加を実現する手引きの一つとして教育長や区長にお読みいただきたいお薦めの1冊です。

 さて、この準公選の置き土産として、週に1度公開で開催される教育委員会定例会、地域での開催や夜の教育委員会、教育委員候補者人材推薦登録の仕組みなどがあろうかと思います。そして、毎週金曜日に開催する教育委員会定例会で月の4週目の定例会閉会後に、傍聴者が教育委員に自由に意見を述べることができる傍聴者発言は画期的な住民参加でしたが、前区長が2014年度にいきなり廃止してしまいました。教育委員が区民の意見を直接聴き、教育行政に生かす絶好の機会を自ら失うことは教育自治と住民参加を後退させることです。現教育長に期待し、以前のような傍聴者発言の復活を求めます。お答えください。

 さらに1997年には、教育行政における区民参加に関する条例が施行されています。この条例の第3条には、区民参加の仕組みとして、審議会、協議会の設置、公聴会、対話集会等の開催、意向調査の実施が列記されています。この中で公聴会は近年全く実施されていません。公聴会とは特定の事案に対して一般の意見を聴取する手続です。対話集会や意見交換会とは似て非なるものです。

 この条例が施行された8か月後の1997年11月7日、教育委員会が学校給食調理業務の民間委託について区民の意見を聴くための公聴会を開催しました。意見陳述を希望する区民を募集し、議員になる以前の私も応募し、公開の場で教育委員に直接意見を申し述べる機会を得ました。残念ながら、この公聴会の記録は区には残っていません。区民グループの「より良い学校給食にする会」の記録誌には残っています。それ以降、公聴会は開催されていません。教育行政における区民参加の仕組みは様々あろうかとは思いますが、条例に列記されている公聴会は今でも有効な手段だと考えます。教育行政における重要な課題があるときは、決定する前に多角的な区民の意見を直接しっかり伺う公聴会を開催してはいかがでしょうか、お答えください。

 教育自治と住民参加の在り方について再考を求め、次の質問に移ります。

 社会的養護の経験者(ケアリーバー)の支援についてお尋ねをいたします。

 ケアリーバーとは、様々な事情で児童養護施設や里親家庭などで育った社会的養護の経験者のことです。高校を卒業する18歳になると児童養護施設を出なければならず、いきなりの一人暮らしに戸惑い、社会生活に挫折するケアリーバーが多くいるようです。今年3月、厚生労働省の子ども・子育て支援推進調査研究事業として、日本で初めての児童養護施設等への入所措置や里親委託等が解除された者の実態把握に関する全国調査報告書が公開されました。この調査では、以下のようなことが明らかになりました。

 1、措置解除者等の生活には多くの困難や課題があること。2、生活上の課題は継続するのに対し、措置解除からの時間経過とともに施設等との交流頻度や支援量は低下すること。3、措置解除という一定年齢で支援を終結するのではなく、より長期的に見守りと必要に応じて支援を行う仕組みを構築する必要があることなどです。

 国は、社会的養護自立支援事業に加え、2020年度より、施設等に進学・就職等の自立支援やアフターケアを担う職員を配置できるように予算措置し、退所前後の自立に向けた支援の充実を図る取組を打ち出しました。さらに2021年度からは、母子生活支援施設や里親養育包括支援機関にも自立支援を担当する職員を配置するよう体制強化を進めています。これらの制度を活用し、継続的な支援体制を構築する必要があります。区が児童相談所を設置することについては、今もって私は反対ですが、来年4月に児童相談所と一時保護所を開設する以上は、児童養護施設や里親に送り出して終わるものではなく、継続的な支援体制をどのように構築するのか、区の責任が問われています。

 さきの報告書の最後は、次のように書かれています。措置解除時に施設等との関係性を断つケースや施設だけでの支援が難しいケースが想定されることから、地域での支援体制づくりや就労支援、子育て支援等の他の制度への接続も重要になるため、関係者による支援ネットワークや自立支援に向けた定期的な協議、ケース検討の機会の設置など実効性ある体制の構築が望まれる。さらに、進学や就職・転職等で措置自治体や施設等の所在地以外で生活する人もいるため、地域間移動が生じた場合でも継続した支援を受けられるよう、全国的な支援環境の整備や自治体間の連携も必要であると結んでいます。現在中野区にはない措置解除後の支援に重要な役割を担う自立援助ホームを区内に誘致することを積極的に検討するべきと考えますが、区の見解をお答えください。

 さらに、措置解除後の継続的な支援体制の構築について、どのように取り組むおつもりなのか、区の見解をお答えください。

 ケアリーバーへの責任ある継続支援を求め、次の質問に移ります。

 他の議員の質疑と重複いたしますが、私からも区役所新庁舎整備における生活援護課の配置についてお尋ねをいたします。

 新庁舎における生活援護課の配置は、新庁舎1階から教育センターへ、そして社会福祉会館へと二転しました。7月30日の厚生委員会資料によれば、生活援護課の生活相談係と自立支援係、新規・調査係は新庁舎へ、生活保護地区担当係は社会福祉会館に移転するとのことです。多額の税金を投入して新庁舎を建設するのであれば、区民の利便性の向上とランニングコストを念頭に置いた業務の効率化を図れる配置を考えるべきです。そもそも生活困窮者自立支援制度と生活保護制度は一体的に運用すべきものですから、生活援護課の中の係を新庁舎と社会福祉会館へ分離すること自体、区民の利便性も業務の効率化も阻害します。その上、地区担当係は多額の現金を扱う係でもあり、分離に伴う行政コストが高くなり、区民にとっても生活援護課にとってもメリットはなく、デメリットしか私には考えられません。この分離配置で区民の利便性が向上し、なおかつ、ランニングコストを抑え、業務の効率化が図れる配置だと評価しているのか。生活援護課当事者の見解をお答えください。

 生活援護課を分離することなく新庁舎に設置するよう再検討を強く求めます。お答えください。

 そもそも区民サービス向上のための新庁舎建設にもかかわらず、必要な行政機能が新庁舎に収まり切らないのでは、建設計画自体がお粗末だと言わざるを得ません。その上、行政機能が収まらないにもかかわらず、区役所以外の他の機能を新庁舎に設置することは理解できないということを申し添え、誠意ある答弁を求め、質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) むとう議員の御質問のうち、区役所新庁舎整備における生活援護課の配置について私からお答えいたします。

 初めに、区役所新庁舎整備における生活援護課の配置についてでございますが、社会福祉会館への一部移転によって今後の受給者増に対応した職員配置が可能になると考えているところでございます。生活援護課事務室を分割することによる課題につきましては、係の配置や仕事の進め方を工夫することで経費を抑えつつ、区民の利便性と仕事の効率の向上ができるよう検討してまいります。

 そして、区役所新庁舎の生活援護課配置の再検討についてでございます。現在の案は、生活援護行政の今後の展開及び新区役所における配置等を踏まえたものでございます。現在、パブリック・コメントへの対応を取りまとめているところでございますが、事務室が別になった場合でも、生活援護課としての業務は一体的に実施していくことになるため、効率的な業務の進め方について現在職員を交えて検討しているところでございます。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 教育行政における区民参加についての御質問にお答えいたします。

 傍聴者発言の復活についてでございますが、各月の最後の定例会閉会後に行っていた傍聴者発言については、始めました当時と異なり、意見交換会、パブリック・コメント手続や行政評価など区民の意見聴取の仕組みが整えられたことから廃止をしたものでございます。現在は、協議テーマを設けて開催する地域での教育委員会、夜の教育委員会において傍聴者発言の機会を確保しております。

 また、教育委員会の開催ごとに意見聴取のための用紙により傍聴者からの意見を受け付けておりまして、教育長及び各委員がその内容を確認しております。意見聴取の機会は確保されていると認識しております。

 次に公聴会の実施についてです。中野区教育行政における区民参加に関する条例に基づく区民参加の手続として、教育行政に関する基本的な計画、条例案等の検討、決定に当たり、意見交換会、パブリック・コメント手続を実施しているところでございます。児童・生徒との対話集会の開催、保護者との意見交換の実施、地域での教育委員会等の傍聴者の発言の機会や用紙による意見の受け付けなど、様々な方法により区民参加が行われております。区民の意思が教育行政に適切に反映されていると認識しております。

 今後も施策、事業の内容や性質、重要性等に応じ、適切な方法により教育行政における区民参加の機会を設けてまいります。

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、社会的養護の経験者(ケアリーバー)の支援についての御質問にお答えさせていただきます。

 初めに、自立援助ホームの誘致についてでございます。児童養護施設等と同様に自立援助ホームにつきましては、東京都内であればどのホームにも委託措置できることとなっております。区が自立援助ホームを誘致する必要性の有無につきましては、児童相談所開設後の運営の中で検討していきたいと考えております。

 次に、措置解除者に対する継続的な支援体制についての御質問です。子ども・若者支援センターでは、新たに若者支援事業を開始し、義務教育終了後から39歳までの若者に対する支援を行っていく予定でございます。児童相談所による措置終了後も支援の必要が見込まれる児童につきましては、措置解除前から児童相談所と若者支援担当等で必要な情報を共有いたしまして、継続的な支援につなげてまいります。

○議長(内川和久) 以上でむとう有子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 近 藤 さえ子

 1 再犯防止の取り組みについて

 2 中野区区有施設整備計画(案)について

  (1)生活援護課事務室の配置について

  (2)その他

 3 その他

 

○議長(内川和久) 次に、近藤さえ子議員。

〔近藤さえ子議員登壇〕

○30番(近藤さえ子) 無所属の近藤さえ子です。

 20年前の2001年9月11日、アメリカ同時多発テロで犠牲になった全ての方に哀悼の意を表しまして質問に入ります。

 初めに再犯防止の取り組みについて伺います。

 中野区区民意識・実態調査等、区の施策に対する要望の上位には、毎年必ず防犯対策が入ります。これは誰もが安全で安心な暮らしができることが切なる願いであることを示し、警察や自治体等に防犯対策に取り組んでもらいたいという区民の強い要望であると思います。

 3月28日、なかのZERO小ホールにおいて、中野区再犯防止推進シンポジウムが開かれました。これは中野区再犯防止推進計画の策定を記念したシンポジウムで、感染症の影響で昨年開催の予定の行事が今年開かれたものです。登壇したパネリストから、刑務所を出所した人が生い立ちや薬物依存やアルコール依存等の問題を抱え、自立できずに犯罪に利用されてしまう事例等を想定し、社会全体で加害者の更生を支えていかなければならないと更生保護として大切な話がありました。特に印象的だったのは、司会を務めた中野区の担当課長とパネルディスカッションに参加された部長が説明された中野区の再犯防止推進計画の特徴として被害者の視点が入っているということでした。一言で犯罪者といっても様々な場面が想定されます。万引きを犯してしまった認知症等支援が必要な人にその罪を厳しく問い詰めたとしても理解できないケースなどもあります。薬物やアルコール依存症等の治療が必要な人には、医療や福祉につなげることが大事になってきます。加害者の更生を支える仕組みと被害者に対して遺憾を示す体制、その両方を考えていくことが社会にとって大事であることを発信された、内容の深い大変よいシンポジウムでした。中でも被害者の視点を発信されたことは大きく評価できました。被害者団体の方からも、「中野区は全国的にも先進的であると言われてきた被害者支援施策だけではなく、再犯防止の取組にも期待ができそうですね」とお褒めの言葉を頂きました。加害者の更生と保護は、一番身近な自治体が各ケースに対し適切な対応をするように取り組まなくてはならないと国から求められていますが、一概に、住居、仕事、医療、福祉の紹介を提供するだけでは立ち直ることが難しいことも多いと思います。それぞれのケースに寄り添い、対応することが大事と考えます。中野区では、薬物、アルコール依存症などが原因で犯罪をした人に対して再犯を防ぐためにどのように取り組もうとしているのでしょうか。

 また、認知症に起因して万引きを繰り返すような高齢者や病気や生きづらさを抱えているがために犯罪を繰り返す人に対してはどのような防止策があるのでしょうか。

 次に、数としてはそれほど多くありませんが、凶悪な犯罪、性犯罪、殺人事件を起こした加害者たちへの対応です。どんな犯罪者でも刑期を終えれば刑務所から出てきます。犯罪被害者たちは、国に対して刑の適正化や刑務所内での反省、贖罪の気持ちを育てる取組を要望してきましたが、全く反省しない加害者も私たちの社会に戻ってきます。もちろん全員ではありませんが、自身の犯罪に反省の気持ちなど持たない加害者は再犯を重ねる可能性が大きいと言われています。先月私が懇談した埼玉の保護観察官も「再犯防止を進めるに当たり一番重要なことは、被害者に対して悪いことをした、二度と犯罪を起こさないと加害者自身が思わなければ、どんなに皆で他のことを頑張っても再犯は防げない」と話されていました。退所した犯罪者に住宅を用意し、仕事を見つけて社会に迎え入れるだけでは再犯防止に結びつかないケースも多々あるのです。

 埼玉県や神奈川県等では、保護司等を対象に被害者の視点を取り入れた再犯防止研修をしていますが、東京都ではこの動きがなかなか見えてきません。中野区が東京都の先頭となり、再犯防止のとりでとも言える保護司などの更生保護に関わる人たちを対象にして、犯罪被害者の視点を取り入れた研修や普及啓発を行うことが大切であると考えますが、いかがでしょうか。

 大変困難な加害者の更生を、国は地域で支え合いましょうと、自治体、地域、住民に任せています。安全・安心な地域社会を築くために、その地域社会づくりや支援体制を国から任されている基礎的自治体である中野区の役割は大きいのです。犯罪や非行とともに再犯を防ぐ上で区が果たすべき役割をどのようにお考えなのでしょうか。

 他の議員からも質問がありましたけれど、私も中野区区有施設整備計画(案)について、その中の生活援護課事務室の配置について伺います。

 中野区区有施設整備計画(案)には、社会福祉会館・区役所新庁舎における生活援護機能の再編が示されています。その中で社会福祉協議会の本部機能は区役所新庁舎に入り、生活援護窓口は、生活保護受給者の増加に伴うケースワーカーの増員に対応するために社会福祉会館に設置すると示されています。整備計画(素案)の段階では、教育センター跡地に移転する予定となっていましたが、利用者のプライバシー保護の観点を重視して、複合施設である社会福祉会館と生活援護課を二つに分けて入れることに決めました。区有施設整備は、基本構想が描く10年後に目指すまちの姿を実現するために持続可能な区政運営が不可欠です。これを基本に施設の整備計画をつくられていると思います。区有施設の6割以上が建築後30年を経過して老朽化が進み、延べ床面積が1,000平米未満の小規模な施設が多く、約半数が単独施設であるという課題を認識し、今後は複合施設を造っていきたいと常に区民に発信している区が、区最大の複合施設となる新庁舎を建設するに当たって、なぜ生活援護課を全て入れることができなかったのか私は不思議でなりません。区は、区財政の見通しの厳しさを常に区民に示し、構造改革に取り組まなくてはならないと言いながら、警備面などに余計なコストが発生することを承知の上で生活援護課を新庁舎と社会福祉会館に二分して入れることを選択しました。新庁舎に生活援護課の全ての業務を入れたほうが利用者の利便性は明らかであるにもかかわらずです。なぜ庁舎を新しく建て替えるこの60年に一度の大きなチャンスに、区の施設の管理、ランニングコストを抑えていくという視点を持たなかったのでしょうか。また、ランニングコスト面は試算していないということですが、ランニングコストの計算さえもせずに施設の整備計画をつくっているのでしたら大きな問題ではないでしょうか。ランニングコストを度外視してまで生活援護課を区役所新庁舎と社会福祉会館と2か所に配置することで区役所新庁舎に全てを配置するよりも、生活援護課を2か所に分けるとした計画とした理由、どれだけのメリットがあるのか御説明ください。

 現段階で新庁舎に生活援護課を全て入れるスペースがどうしても確保されないのであれば、現金を扱わない部署、区民が頻繁に利用しない部署、他部署との連携が少ない部署を新庁舎外に出すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 社会福祉協議会や町会連合会等、民間組織を区役所新庁舎に入れる前に、区本来の業務の部署を優先的に新庁舎に入れるべきと思いますが、いかがでしょうか。課を二分され、別々の場所に配属されてしまう生活援護課の職員はどれだけ働きづらいことでしょう。生活援護課を二分して区役所新庁舎と社会福祉会館に入れるのは、今後長い年月にわたるランニングコストの点からも、利用者の利便性の点からも、職員の働きやすさの点からも、教育センター跡地に生活援護課を配置していた以前の素案の段階より悪くなってしまったと私は思います。再度検討をお願いいたします。

 区有施設整備計画(案)その他で1点伺います。

 2030年まで区有施設整備計画(案)には、区民が環境問題を考え、自主的に取り組んでいけるような環境館等の施設の整備は計画されていません。区有施設整備計画(案)では、今後10年間、現在と同じ、清掃事務所と古着を保管するリサイクル展示室があるだけです。私は、これまで何度もリサイクル展示室の有効活用を求めてきました。日本全体でも、世界的にも、地球温暖化防止対策と環境問題は生活者皆で取り組まなくてはならない喫緊の課題です。私はこれまでも他区の環境施設や地球温暖化防止への取組などを紹介してきましたが、中野区には区民が集まり、環境問題を考え、積極的に取り組む場所、施設が一つもありません。さらに、10年後まで何も計画されていないのです。区は環境問題を区民とともに取り組もうという意識が低過ぎます。1968年建設の清掃事務所と1990年築で比較的新しい、交通の利便性もよいにもかかわらず、ただの古着置場になってしまっているリサイクル展示室を複合施設として全体をリニューアルし、新たな環境施設として整備する計画をされてはいかがでしょうか。

 区は長年、環境団体は区民活動センターを使えばいいと言ってきたので、環境団体や環境問題に興味のある方が集える場所は区民活動センターしかありませんでした。区役所の他部署を訪れる区民と比較しても環境課を訪れる区民は多くなかったと思います。区民の利用が多い生活援護課を二分してまで庁外に出すのであれば、区民との金銭のやり取りのない、区民が頻繁に区役所に往来することもない環境課などの部署を社会福祉会館に整備するなどして、新庁舎を頻繁に利用する区民にとって使い勝手のよい施設として新庁舎を整備することが大切であると思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございます。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 近藤議員の御質問のうち、私からは、中野区区有施設整備計画(案)についての御質問にお答えいたします。

 生活保護受給者は今後も増加していくと見込んでおりまして、それに応じたケースワーカーの執務スペースを確保していくため、新庁舎のみならず社会福祉会館の活用も選択したものでございます。生活援護課以外の部署や外部団体の庁舎外配置についても、業務の性質や連携などの観点から検討は行いましたが、生活援護課の職員数が今後増加していくことにも鑑みて、結果として区有施設整備計画(案)の内容となったものでございます。2か所となっても円滑に相談支援が行われ、財政負担や職員負担が抑えられるよう実務上の運用の検討を現在しているところでございます。

〔地域支えあい推進部長角秀行登壇〕

○地域支えあい推進部長(角秀行) 私からは、再犯防止の取り組みについてお答えいたします。

 薬物やアルコールへの依存により犯罪をした人の支援についてです。薬物やアルコールに起因して犯罪をした人の多くは依存症の疾患者でもあります。回復には継続的な治療や支援を受けることが必要です。こうしたことから、すこやか福祉センターなどで相談支援を行うに当たっては、検察庁保護施設や保護観察所などと連携を図りながら相談に応じるとともに、必要な医療や専門機関につなげるよう支援を行ってまいります。

 次に、支援を必要とする課題を抱えた人への再犯防止の支援についてでございます。犯罪をした人たちの中には、様々な生きづらさを抱え、立ち直るのに多くの困難を抱えている人たちがいます。こうした人たちの立ち直りを支援し、再犯を防止するため、国や都道府県や区市町村、関係機関などと連携協力した取組を進めるとしてございます。区としてこうした取組を進める区の機関と連携協力しながら、必要に応じて専門機関につなぎ、地域の関係機関や関係者などとの連携協力体制の下、それぞれが抱えている課題や特性に応じた効果的かつ切れ目のない支援を行ってまいります。

 次に、犯罪被害者の視点を取り入れた研修や普及啓発についてでございます。中野区再犯防止推進計画では、実現のための基本方針といたしまして、再犯を防止し、立ち直りを支援する取組について犯罪被害者の人としての尊厳への配慮と置かれている状況への理解を深めながら進めることを掲げてございます。今後、犯罪被害者支援の取組と連携を図りながら、犯罪被害者の視点を取り入れ、地域で更生保護に携わる人たちを対象といたしました研修や普及啓発を実施してまいります。

 最後に、犯罪や非行、再犯の防止における区の役割についてでございます。中野区再犯防止推進計画では、生きづらさを抱えた人たちが孤立することなく必要な支援が受けられる地域づくりを進める地域包括ケアの取組の一環として、犯罪や非行の防止、犯罪をした人の立ち直る支援の取組を位置付けてございます。こうした取組について、更生保護や地域の見守り・支え合いなどの活動に携わる皆さんの理解を得ながら着実に進めていくことが区の役割と考えてございます。

〔環境部長朝井めぐみ登壇〕

○環境部長(朝井めぐみ) 私からは、環境に関する施設についての御質問にお答えいたします。

 第4次中野区環境基本計画(案)の中で具体的な事業を定めたアクションプログラムでは、環境に関する地域団体などへの支援、交流、連携促進等を推進することとしております。今回の区有施設整備計画(案)では、環境に関する新たな施設整備は予定しておりませんが、産業振興センターと施設に整備する複合交流拠点の活用をはじめ、地域団体等のネットワーク支援について様々な効果的な取組を進めていきたいと考えております。

○議長(内川和久) 以上で近藤さえ子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 いながき じゅん子

 1 子育て先進区の実現について

 2 なかの生涯学習大学について

 3 その他

 

○議長(内川和久) 次に、いながきじゅん子議員。

〔いながきじゅん子議員登壇〕

○26番(いながきじゅん子) 無所属のいながきじゅん子でございます。質問は通告どおりです。

 中野区基本計画が来月ようやく策定される見込みとなりました。子育て先進区の実現は、その中の重点プロジェクトの1番目として掲げられています。これは酒井区長の選挙公約でもあります。そこで、区長御就任後3年間の区の取組を振り返ってみました。現在、準備を進められている子どもの権利に関する条例は、既に50の自治体で制定済みであり、今年11月に開設予定の児童相談所や教育センター機能を有した子ども・若者支援センターの整備構想は、前区政時代に決定・推進されていたものであります。酒井区長ならではの先進的な取組は、これまでのところ残念ながら見当たらないと言えます。

 そこで、子育て支援で全国的に有名な兵庫県明石市について改めて調べてみました。今年7月1日時点において、明石市全体の人口は中野区全体よりも10%少ない一方、0歳から14歳までの人口は中野区の1.4倍です。市長の著書によりますと、選挙の公約で「こどもを核としたまちづくり」を掲げ、就任直後からスタートダッシュをかけ、8年間で子ども関係の予算額を市長就任前の2倍、職員数は3倍まで増やしたそうです。区の基本計画(案)には、限られた財源、人材等を効率よく配分するため、重点プロジェクトには、組織、人員体制の整備と予算の計上を行いながら着実に推進していくと記されています。しかし、その一方で、「子育て先進区の施策を重点的に推進し、ヒト・モノ・カネを集中して子育て世帯の誘致・定住化促進戦略を掲げてほしい」という区民意見に対しては、「構造改革を通じて効率的で効果的な取組となるよう下支えしていく」と回答されています。この文言では、子育て先進区実現に向けて現状の予算額の中で効率的で効果的に取り組んでいくが、それ以上のことを行うつもりはないとの印象を受けてしまいます。基本計画に沿って本気で子育て先進区の実現を目指すのであれば、少なくとも来年度から計画期間終了の2025年までは子ども教育関連を最優先した予算編成を行い、額も大幅に増やすべきではないでしょうか、区の考えを伺います。

 明石市の話に戻りますと、こちらの子育て支援は、経済的な負担の軽減策に集中しているのが大きな特徴です。幾つかの例を挙げますと、高校生までの医療費、中学生の給食費、第二子以降の保育料、有料遊び場の利用料、満1歳までのおむつ代などが所得制限なしで自己負担額ゼロとなっています。これらの財源を生み出すため、市長は、職員数削減と給与カットを行い、公共事業を削り、産業振興や高齢者福祉にも切り込まれたそうです。当然のことながら、最初は市民や議会の反発も大変大きかったそうですが、結果を出すうちに理解と応援を得られるようになっていったとのことでした。

 また、明石市は中野区の3倍以上の面積があるにもかかわらず、実は中野区に現在18館ある児童館が1館もありません。子ども関連の公共施設、スペースは子育て支援センターが5か所のほか、中高生の交流センターを併設したあかしこども広場が1か所、こども図書室が2か所、あとはおむつ換えや授乳ができる赤ちゃんの駅が公共、民間施設問わず市内に多数あるという状況です。また、子育て支援センター5か所のうち4か所はNPOに運営を委託しており、直営は1か所です。つまり、明石市の取組は子育て関連施設や拠点の整備拡充や直営の維持ではなく、経済支援策に集中しているということです。その明石市が子育て世代の支持を集め、全国的にも有名になったということは、子育て世帯にとってはハード整備や拠点の拡充よりも経済的支援のほうがニーズが高いということが言えるのではないでしょうか。

 構造改革を通して子育て先進区実現に、効率的、効果的に取り組むにしても、子育て世帯の経済的な負担の軽減に力を入れることは適切であると考えます。施設や拠点の数の維持強化は、それをフル活用する人としない人との公平性の問題が生じます。今後、ハード・ソフト両面に多額の税金を投入することは難しいと予想されることから、それこそ選択と集中で、何にどのように税金を投入するか方向性を定める必要があります。デジタルシフトが進み、相談業務もオンラインが主流になっていくことも鑑みますと、区民活動センター等、他の区有施設も子育て支援事業に活用することも検討しつつ、地域子ども施設や拠点の数については極力集約化し、経済的支援のほうにより多くの予算をシフトしていくべきではないでしょうか、区のお考えを伺います。

 今回、中野区の世帯年収を調べてみましたが、児童手当が支給されている1万8,444世帯のうち、一般的に高所得だとされている年収1,000万円以上の世帯は4,363世帯で全体の23.7%でした。しかし、住宅費や教育費がかさみがちで物価の高い特別区内の子育て世帯にとっては、所得が上がれば上がるほど納める税金や社会保険料の額も上がることもあり、世帯年収1,000万円を少し超えるくらいでは、そこまでゆとりがある生活ができるわけではありません。加えて、来年10月からは世帯主が年収1,200万円以上の児童手当が廃止されます。それよりさらに年収2,000万円以上の子育て世帯の割合は、中野区内全体の3.9%、5,000万円以上の富裕層は全体の僅か0.3%未満と非常に少ないことから、所得制限なしの経済支援策を充実させ、中野で子育てをする誰もがその恩恵を実感できるようにすることは、そこまで不公平にはならないと考えます。

 内容としては、もともとの対象者が限られる新規事業をあれもこれもと追加するのではなく、子育て中の全世帯に対し、中野区独自の子ども手当を支給するでありますとか、給食費やおむつ代を無料にするでありますとか、評価が高いにもかかわらず、利用率が低い産前産後ケアを希望者全員自己負担なしでスムーズに利用できるようにするでありますとか、所得制限をなくし、より多くの世帯が恩恵を実感できるシンプルで分かりやすい経済支援策に絞り込み、予算を集中投下するほうが事務作業の負担も減り、この区で子育てしてよかったと実感してもらいやすくなるのではないでしょうか、区のお考えを伺います。

 ただ、この3年間の実績とスピード感を見る限り、この先何年かかっても内外ともに認められる先進区にはなれないのではと正直思わざるを得ません。今のように区民や議会の反発を最小限に抑えることを重視した小手先の改革を行うだけでなく、市民や議会の反発にもひるむことなく、最初の信念を貫き、子どもを核にしたまちづくりを実現した明石市のように、トップが血を流すくらいの覚悟と決意で改革に取り組まなければ子育て先進区の実現は不可能です。しかし、残念ながら、先進区実現にかける酒井区長御自身の強い思い、何としてもやり遂げるんだという覚悟と決意が全く感じられません。今のままであれば、子育て先進区という看板は速やかに下ろし、子育て応援区程度のものに掛け替えるべきです。コロナ禍云々は言い訳になりません。新型コロナの影響を最も深刻に受けているのは現役世代であり、特に子育て世帯です。来年度予算編成時期を迎えるに当たり、子育て先進区実現に向けての区長の覚悟と決意のほどを最後に伺い、この項の質問を終了します。

 次に、なかの生涯学習大学について伺います。

 今年3月12日に、なかの生涯学習大学の再編について、1番目、新入生募集終了の撤回と募集の継続、2番目、再編理由と事業内容、移行計画についての説明会の開催、3番目、再編の検討に当たり意見交換会の実施を求めるという内容の陳情が全会一致で採択をされました。

 これに対する区の対応ですが、1番目については、今年度、1年生の追加募集を行ったのみで、来年度以降の新入生募集停止の姿勢を崩してはおりません。2番目については、今年2月に説明会が開催されたものの、それは昨年末の区報で「新入生の募集停止と再編」を突然発表したことへの、受講生、卒業生の予想以上の反発と陳情の提出を受け、事態収拾のために急遽開かれたものであり、事業内容や移行計画など陳情で要望されている内容は盛り込まれていませんでした。さらに、3番目に掲げられたなかの生涯学習大学関係者を含む区民との意見交換会も開催されないまま、区は再編案について今定例会で議会報告しようとしています。しかし、陳情内容を全て無視したまま、再編を強行しようとする区の姿勢は到底受け入れられるものではありません。まずは、全会一致で採択された陳情に対し、誠意ある対応を求めます。少なくとも議会と区民の皆様に対する再編の具体的中身の説明やそれについての議論もないまま、再編ありきで来年度のなかの生涯学習大学の新入生募集を終了することは撤回し、現行のなかの生涯学習大学の新入生として引き続き募集すべきと考えます。区の見解を伺い、私の全ての質問を終了いたします。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) いながき議員の御質問で、初めに、子育て先進区の実現についての子育て及び教育関連予算の増額についてでございます。

 令和4年度予算については、基本計画で掲げる重点プロジェクトなどの5項目を重点事項とし、限られた財源を優先的に配分する考えでございます。重点プロジェクトの一つである子育て先進国の実現に向けて子育てや教育関連などの施策を強く推進していくための予算を計上してまいります。

 次に、子育て先進区の実現に向けた私の決意ということでございました。中野区が子育て先進区となるためには、予算、人員など限られた資源を最大限有効に活用し、子育て・子育ち環境を整備していく必要があると考えております。新たに策定する中野区基本計画におきましては、子育て先進区の実現を重点プロジェクトの一つとして位置付け、限られた財源、人材を効率よく配分し、組織横断的かつ重点的に取組を進めてまいります。

 私は、区長就任以来、子育て先進区の実現を区政運営の柱として掲げてまいりました。子どもの今と未来に責任を持つ一人の大人としても不退転の決意の下、子育て先進区の実現に向けてリーダーシップを発揮していく所存でございます。

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、子育て先進区の実現についてのうち、まず子育て家庭への経済的支援へのシフトについての御質問にお答えをさせていただきます。

 社会全体のデジタルシフトが進むことが予想されるため、これらを見据えまして、施設サービスの在り方を検討することは重要な視点であると考えております。現在、策定に向けて検討を進めております中野区区有施設整備計画におきまして、行政サービスにおけるデジタルシフトも踏まえた上で、今後必要となる区有施設の数と配置をお示ししたところでございます。この計画に基づきまして、必要な施設サービスを確保するとともに、財源を有効活用し、子ども・子育て支援の取組を充実させていくことを考えております。

 次に、経済的支援策についての御質問でございます。子どもや子育て家庭が広くサービスを享受し、区の子育て環境を実感していただくことは重要であるというふうに考えてございます。子育て家庭に対します所得制限を設けない経済的支援につきましては、その効果や公平性、財政負担などを総合的に勘案していく必要がございまして、今後、他自治体の取組等を研究してまいります。

〔地域支えあい推進部長角秀行登壇〕

○地域支えあい推進部長(角秀行) 私からは、なかの生涯学習大学についてお答えいたします。

 陳情への対応及び新入生募集停止の撤回についてでございます。今後、なかの生涯学習大学の在校生や卒業生など、陳情者も含めて幅広い区民に対しまして説明や意見を聴く機会を持つことを予定してございます。なかの生涯学習大学につきましては3年制のプログラムで実施してきております。令和5年度に向けまして生涯学習を支援する機能及び地域での活躍を応援する機能を充実することを目的とした再編について検討を進めていることから、令和4年度の新入生の募集は行いません。ただし、生涯学習を支援する場や地域での活躍を応援する場を継続的に提供できるよう、現在のなかの生涯学習大学との接続も考慮しながら検討を進めてまいります。

○議長(内川和久) 以上でいながきじゅん子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 石 坂 わたる

 1 個人の尊厳が保障される中野区を目指すことについて

  (1)人権を尊重した多様性を認め合うための条例制定における人権の取り扱いについて

   (ア)条例の位置づけについて

   (イ)障がい者の参加について

   (ウ)嫌悪的犯罪について

   (エ)オリンピック・パラリンピックのレガシーと、区と事業者の関係について

   (オ)その他

  (2)生活困窮者に対する区職員の意識について

  (3)その他

 2 今後の施設配置について

 3 その他

 

○議長(内川和久) 次に、石坂わたる議員。

〔石坂わたる議員登壇〕

○29番(石坂わたる) 質問いたします。

 1、個人の尊厳が保障される中野区を目指すことについて。(1)人権を尊重した多様性を認め合うための条例制定における人権の取り扱いについて。ア、条例の位置づけについて伺います。

 中野区男女共同参画・多文化共生推進審議会答申における本条例の基本理念は、「全ての人が性別、性自認や性的指向、国籍や文化、年齢や世代、障害等、その他複合的な要因による差別を受けることなく、互いに責任を担い、地域社会の中で能力を発揮しながら暮らすことができるよう推進する」とされています。この新たな条例は、審議会立ち上げ当初に考えられていた中野区男女平等基本条例の改正や多文化共生の条例の新設ではなく、あらゆる施策の土台となる条例であり、今後必要に応じて別途、中野区男女平等基本条例の改正がなされたり、多文化共生のための新たな条例がつくられるという理解でよいのでしょうか。

 様々な社会において差別にさらされやすいハイリスク層、そうした人の人権を守る、あるいは共同参画を進める条例として、中野区男女平等基本条例や中野区手話言語条例及び中野区障害者の多様な意思疎通の促進に関する条例などがあり、現在、中野区子どもの権利に関する条例の検討も進められています。それらとの関係性や位置付け、すみ分けはどのようなものになるのでしょうか。また、「全ての人が、自らの意思により、自立して活動し、自己実現できる環境を段階的かつ継続的に整備する」ユニバーサルデザイン推進条例との関係性などについてお答えください。なお、男女や障害や子どもに関しては個別の条例があることを鑑みると、理念条例の性質の強い今回の条例に加え、多文化共生に関する条例を今後別途つくることや、SOGIの観点やLGBTの人権に関することを何らかの形で条例化することも必要であると思われますが、いかがお考えでしょうか。

 イ、障がい者の参加について伺います。中野区男女共同参画・多文化共生推進審議会では、障害者の人権に関する内容も答申に盛り込まれました。しかし、審議会委員には、障害者の支援者は参加をしていましたが、障害者の当事者は一人もおらず、審議会資料でも当事者への調査に基づく資料作成が行われませんでした。国連の障害者権利条約がつくられる際に言われた「私たちのことを私たち抜きで決めないで」という言葉があります。今回の審議会が、障害者当事者の声を抜きにして進められたことは問題です。障害に関する箇所に関しては、一般的な意見交換会やパブリック・コメントの手続に入る前、できれば条例案の文言を確定する前に当事者の声を聴く機会を設けるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 ウ、嫌悪的犯罪について。答申では、多文化共生のところに「ヘイトスピーチ」とありますが、外国人以外も標的とされるヘイトの例に、「ヘイトクライム」と言われる嫌悪的犯罪があります。昨年2020年11月21日の早朝、中野区との区境からも近い渋谷区の幡ヶ谷原町のバス停で高齢のホームレスの方が通りがかりの通行人に撲殺される事件がありました。被害者は、登録型派遣労働者としてスーパーなどで試食販売の仕事に従事をしていましたが、2月以降はコロナ禍の影響で仕事と収入を失っていたそうです。一方で、加害者は、現場近くの地域の美化ボランティアに参加するなど日常生活を営んでいたそうです。犯行の動機は、痛い目に遭わせればいなくなるだろうということで、自分なりに、いつも美化活動をしている地域のためになると考えてホームレスの排除を図ったようです。まちをきれいにするためという言い分は、過去の10代の子どもたちによるホームレス襲撃事件でも主張されています。また、過去に、中野区在勤のレズビアン女性が知り合いの異性愛者の男性から、男が恋愛の対象になるように治してやるという言い訳で強姦される事件がありました。また、主に区外での事件ではありますが、ゲイやトランスジェンダー、外国人女性がヘイトクライムの被害に遭うこともあります。ヘイトスピーチを挙げるのであれば、ヘイトクライムについても取り上げるべきではないでしょうか。

 エ、オリンピック・パラリンピックのレガシーと、区と事業者の関係について伺います。東京2020オリンピック・パラリンピック後につくられる人権に関する条例が、オリンピックの調達コードを下回るようなことがあってはならないと考えます。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、持続可能性に配慮した調達コードについて、組織委員会は、「差別・ハラスメントの禁止」として「サプライヤー等は、調達物品等の製造・流通等において、人種、国籍、宗教、性別、性的指向・性自認、障害の有無、社会的身分等によるいかなる差別やハラスメントも排除しなければならない」。そして、「社会的少数者(マイノリティ)の権利尊重」として、「サプライヤー等は、調達物品等の製造・流通等において、民族的・文化的少数者、性的少数者(LGBT等)、移住労働者といった社会的少数者(マイノリティ)の人々の権利を、他の人々と同様に尊重し、それぞれの特性に応じたプライバシー保護にも配慮しつつ、これらの人々が平等な経済的・社会的権利を享受できるような支援に配慮すべきである」とし、さらに、「雇用及び職業における差別の禁止」として、「サプライヤー等は、調達物品等の製造・流通等に従事する労働者について、人種、国籍、宗教、性別、性的指向・性自認、障害の有無、社会的身分等による雇用や賃金、労働時間その他労働条件の面でのいかなる差別もしてはならない」としていました。つまり、東京オリンピックに関わる物品やサービスなどは、この基準を守り、差別、ハラスメントを禁止している企業から購入する必要があります。しかも、その材料を作る企業やライセンスを受けている企業など関連企業全てに当てはまるとされています。

 具体的には、差別の禁止を就業規則に明記をしたり、社内で差別や偏見の研修を実施したり、ガイドラインの整備などが挙げられます。中野区では実際にキリンがこの取組を実施し、要件を満たしていました。オリンピック・パラリンピックのレガシーとしてオリンピック・パラリンピックの調達コードから後退するような内容で満足するのではなく、それと同等か、それ以上の内容を盛り込むべきと考えますが、いかがでしょうか。

 (2)として、生活困窮者に対する区職員の意識について伺います。様々な社会的マイノリティが複合的に抱えやすいことの一つに生活困窮があります。区役所の移転をめぐり、新庁舎に生活保護の機能の一部が入れず、他の複合施設に追いやられるのは、職員が生活保護受給者を排除しようとしているのではないか、公務員による差別ではないかという話がSNS上で散見され、生活困窮者を支援している方々からも度々耳にします。また、職員から、我が区の職員の中に生活保護受給者のせいで他の利用者からのクレームが増えて困る、同じフロアに勤務をしたくないといった生活困窮者に対する温かくない言動が存在していることを耳にします。職員の日頃の言動の中に、生活困窮者、生活保護受給者、失業者、低所得者に対する差別や偏見を振り返ることが必要です。研修や啓発資材などにより職員への生活困窮者への差別心や偏見の払拭をしっかりと行うべきではないでしょうか。

 2として、今後の施設配置について伺います。生活保護は一番最後のセーフティネットであり、生活保護行政は、行政の対応が区民の生命に直結する部署です。新規の申請者はもちろんのこと、生活保護の窓口に訪れる人の状況は、区長、全ての職員、全ての議員が日々かいま見れるくらいの場所に置くことが本来あるべき状態だと思います。ボトムアップの区政と言う中で、区職員の意見を聴いた上での決定かもしれませんが、今回の生活援護課の施設配置について、生活保護受給者を含めた生活困窮者の当事者や生活困窮者の支援者の意見を聴く機会を設けてきましたでしょうか。また、パブリック・コメント手続などでも高齢者や障害者、中学校卒業者や高校中退者も多い生活困窮者が声を上げやすくする形で意見表明に関する合理的配慮を含めた工夫はなされていますか。そして、SNS上では、区による生活困窮者の排除、生活保護受給者への差別を補強する、当事者の声を踏まえていない、区全体で生活保護を差別する方針という批判が展開されています。こうしたような批判に対して区はどのように回答するつもりでしょうか。

 私からの質問は以上です。困難を抱えた当事者に寄り添う明瞭な答弁をお願いいたします。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 石坂議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、個人の尊厳が保障される中野区を目指すことについてで、初めに、人権を尊重し、多様性を認め合うための新たな条例の位置付けについてです。新たな条例は、人権尊重とともに多様性を認め合いながら、全ての人が個性や能力を発揮できる地域社会の実現を目指すものであります。中野区男女平等基本条例など関連する既存の条例については、現時点において改正を予定するものではございませんが、今後新たな条例に基づいて検討し、必要に応じて個別条例の改正を求めることもあると捉えております。新たな条例は、ユニバーサルデザイン推進条例の基本理念のうちの多様性等に関する理解促進について人権尊重の視点から強化していくものであります。相談体制の強化等も行っていくことから、相乗的に効果を生み出すものと考えております。多文化共生やLGBTの人権等に関わる条例は、別に制定することの是非も含め研究を行ってまいります。

 次に、障害者の参加についてでございます。中野区男女共同参画・多文化共生推進審議会には、障害当事者の自立支援や社会参加に関する知見やネットワークがある中野区社会福祉協議会からも委員を選出していただいたところであります。新たな条例の制定に当たりましては、障害者をはじめ、当事者や関係団体からの意見聴取などの機会を設けながら検討を進めてまいります。

 次に、ヘイトクライムへの対応についてでございます。新たな条例では、差別等に関する相談への的確かつ迅速な対応の充実を図っていきたいと考えております。相談体制を検討していく中で、いわゆるヘイトクライムと言われる課題についても対応できるように検討してまいります。

 次に、オリンピック・パラリンピック大会のレガシーと区と事業者の関係についてでございます。オリンピック・パラリンピック大会における持続可能性に配慮した調達コードでは、物品等の提供者に対し、差別・ハラスメントの禁止、社会的少数者の権利尊重等の基準が掲げられております。事業活動そのものに関し強い制約となる側面もあるため、この基準を直ちに条例に盛り込むことは考えておりませんが、事業者と区・区民が協力し、連携を強めていくことが必要でございまして、各事業者の取組状況等も把握しながら検討を行ってまいります。

 最後に、生活援護課の配置に関する意見についてでございます。8月から9月にかけて行ったパブリック・コメント手続では、生活援護課の配置案が差別的でないかといった批判も寄せられました。生活保護を希望する区民がためらわずに来庁でき、安心して相談支援を受けられるよう体制整備をしていくことが私の区長としての責務でございます。生活援護課の配置につきましては、生活保護受給者の増加に伴い、誰一人取り残されることのない支援体制を構築するための方策であり、理解を促していきたいと考えております。

〔総務部長海老沢憲一登壇〕

○総務部長(海老沢憲一) 私からは、生活困窮者に対する職員の意識についてお答えいたします。

 職員に対しては、日頃から人権に対する理解を深め、差別や偏見を決して行わないよう周知徹底しているところでありまして、生活困窮者に対する差別、偏見といった行為は行われていないというふうに認識してございます。今後も職員による差別、偏見が起きないように定期的な研修や啓発が必要であると考えておりまして、新任研修ほか係長級や管理職昇任時の職層研修で人権研修を実施してきたというところでありまして、さらなる充実に努めたいというふうに考えてございます。

〔構造改革担当部長石井大輔登壇〕

○構造改革担当部長(石井大輔) 私からは、施設配置の意見聴取についてお答えいたします。

 区有施設整備計画におきましては、自治基本条例における区民参加の手続に基づきまして、素案及び改定素案の段階で意見交換会や区民団体、高齢者、障害者など関係団体の意見聴取を行ったところでございます。案の段階ではパブリック・コメント手続を行ったところでございます。また、意見交換会では、具体的な施設配置の概要図も用いた計画の概要版を使用いたしまして、できる限り分かりやすい説明に心がけてきたところでございます。

〔石坂わたる議員登壇〕

○29番(石坂わたる) 今後の施設配置のところの中の意見聴取のところ、御答弁いただきましたけども、そちらのところについて再質問をいたします。

 こちら、合理的配慮を含めた工夫はなされていますかという形で聞きまして、分かりやすい説明をしておりますという話ではありました。しかし、先ほど申しましたように、生活困窮者、生活保護受給者の中では、やはり障害等で様々な理解力等が難しい方が多分に含まれています。中野区では、障害福祉課が作成しました障害者対応マニュアルなどもありますけども、そうしたところを見ましても、必要な配慮を行うこと、国の障害者差別解消法でも当然合理的配慮は書いてありますので、そうした観点から考えると、単に分かりやすいというだけではなくて、それぞれの障害に合わせた形で対応ができる状態をつくっておくことが必要です。特に今回のように、生活困窮者から声が来ることが想定される状況においては、やはりそこの層にとって分かりやすさというものは、ただ単に一般に分かりやすい文章を書きましたからそれでオーケーですじゃなくて、意見を聴くための工夫、どのように当事者の声を拾っていくのかということに関しても、分かりやすさ以上に必要であったと思うんですが、その辺りの工夫がなされていなかったように思われますが、実態はいかがだったんでしょうか。

〔構造改革担当部長石井大輔登壇〕

○構造改革担当部長(石井大輔) 再質問にお答えいたします。

 区有施設整備計画の意見交換会、また区民団体や高齢者、障害者団体の関係団体の意見聴取は行いましたけれども、その際にも所管から関係する団体にこの件をお伝えし、資料についても分かりやすい資料ということで提供したものでございます。今後はさらに分かりやすい資料としていくよう心がけ、また努めてまいりたいと考えております。

○議長(内川和久) 以上で石坂わたる議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 小宮山 たかし

 1 「中野の森」について

 2 新型コロナウイルス感染症に関する情報公開について

 3 保育園について

 4 その他

 

○議長(内川和久) 次に、小宮山たかし議員。

〔小宮山たかし議員登壇〕

○18番(小宮山たかし) 小宮山たかしです。都合により3番は割愛をさせていただきます。

 中野区には「中野の森」がある。ただし、それは、中野区ではなく群馬県のみなかみ町にあると聞きまして、私は行ってまいりました。PCR検査を受けて陰性の確認をした上で行ってまいりました。ナビを設定しようとしたんですが、私が借りた新車のレンタカーの最新のナビでも正しい番地が出てこない。近くまで行けば何とかなるだろうと近い番地を選択して、そして現地に向かいました。

 みなかみ町の人口は1万8,000人、中野区でいえば新井地区の人口が大体1万8,000人。それが東京23区より広い土地に住んでいるそうでございます。じゃあ、そのほかの人が住んでいないところは一体何かというと、多少の畑と田んぼがあって、それ以外は全て山と川と空と大地の大自然というところでございました。私はナビを頼りに山道を運転して、中野の森と似たような番地のところまで行ったんですけれども、これ以上進んだらUターンもできなくなって遭難するというところまで行ってしまいまして、こんなこともあろうかと、中野区のホームページに中野の森の地図がありまして、いざとなったらその地図を見ればいいと思って、現地でその地図を開いてみたら、地図のスケールがどうも大ざっぱ過ぎてよく分からない。たまたま近くで工事をしていた現地在住の村人に、「この辺りの元牧場で中野区が木を植えているのは知りませんか」と聞いてみたところ、「中野区が木を植えているのは知らないが、あっちのほうに昔牧場があったと聞いたことがある」と聞きましたので、というわけであっちのほうに行ってみると、普通車ではとても入っていけないような道になってしまいまして、土曜日だったので役所に問い合わせることもかなわず、そしてこの御時世なので、ほかの村人に聞いて回ることも遠慮しまして、結局、私はレンタカーを借りて群馬まで行って何も見つけられずに帰ってきたのでございます。

 そして今、この中野の森は本当に実在するのかなと。もしかしたら実在しないんじゃないのかなと疑っております。もし仮に、この植林事業中野の森が実在したとして、一体何の意味があるのかなとも思うわけでございます。ナビを使っても行けない。地図を見ても行けない。普通の区民がたどり着くことはできない。中野区の小学生はみなかみ町に体験学習に行きますけれども、その体験プログラムに組み込むほどの価値もない。キャンプができるわけじゃない。虫や木の実を取ったり、自然体験ができるわけでもない。現地の人も多分ほとんど知らない。絵に描いた餅のようなCOを削減する理想郷、誰もが夢見るがたどり着けないガンダーラじゃないですか、これ。

 その後、区内に戻ってから、何年か前に現地までたどり着いたことがあるという方をたまたま見つけることができましたので、話を聞いてみました。緑豊かな森の中を抜けていくと、急に何もない草地にたどり着いた。その草地こそが緑豊かな森の中にある何もない草地こそが、音に聞く中野の森であったそうでございます。

 この中野の森はカーボン・オフセットを目的としている中野区がどう頑張っても削減できない二酸化炭素をみなかみ町で吸収しましょうと、そういう考え方の基に運営されているそうでございます。中野区がどうやってもCOは削減できないというのは本当ですか。あちこちで木を切っていませんか。切る必要のない木を切ってしまったというケースも中にはありましたよね。なかのみどりの貢献賞、5部門用意しているのに3部門、3件しか応募がない。応募者全員表彰。こんなことして意味があるんですか。公園の花壇ボランティア制度、ほかの区では花の苗、肥料、資機材や荷物置場を提供してくれますが、中野区の場合、全部自腹ですよ、自腹。区が直接管理している花壇も、区内にはほとんどない。これらの問題は総括質疑でも改めて取り上げさせていただきますが、中野区は緑化推進のための努力、緑化によるCO削減のための努力をほとんどしていないじゃないですか。

 私は、中野の森にこそ行っていませんが、そのすぐ近くまで行ってきました。そのすぐ近くを見て分かったんですが、この場所は、もともと牧場の牧草地ですから、きっと今の季節は草ぼうぼうになっていることと思います。中野区が木を植えようと植えまいと、緑あふれる豊かな大自然の中なんですね。放っておけばそのうち木だって生えてくるでしょうよ。そこで、中野区は草ぼうぼうに生えている下草をわざわざ刈ったりして植林をしているそうでございます。群馬の山奥の草ぼうぼうの土地に中野の森をつくって一体どうするのか。そうやってコストをかけて大事に育てた木は一体何に使うんですか。新区役所の大黒柱にでも使うんですか。中野の森の植林が吸収するCOと、元牧草地で草ぼうぼうに生えている下草が吸収するCOとそんなに大した差はないように素人考えでは思うんですよ。繰り返しますが、中野区が何かをしようとしまいと、ここは緑あふれる豊かな大自然の山の中なんです。区がここで植林をしなければ砂漠になってしまうとか、ここで植林をしなければビルが建ってしまうとか、そういう場所じゃないんですよ。中野区がここで中野の森をつくろうとつくるまいと地球上のCOの削減量は全く変わらない。こんなのまやかしですよ。中野区が手を引けば、ここは立派な緑豊かな草ぼうぼうの大地となる。そのうち木も自然と生えてくるはずです。そこに金をかけてわざわざ草を刈ったり、鹿の防護策のメンテナンスをするなんて、頭がおかしいとしか思えない。これまで10年間、私は議会で時に厳しい言葉を使って区政をただしてまいりましたが、頭がおかしいと指摘するのは今回が初めてです。しかし、言わせてください。頭がおかしい。

 さらにおかしいことに、この中野の森の整備に当たっては、中野区の環境のために寄せられた善意の寄附金である環境基金を使っている。中野区の環境基金を使って、どうして群馬の森を整備するんですか。そして、この環境基金では、福島県喜多方市からJ-クレジットという仮想通貨のようなものも購入している。それによって喜多方市の森林が整備されるそうなんですけれども、中野区に寄附したはずのお金がどうして喜多方市の森林整備に使われなきゃいけないんですか。喜多方市の森林整備を支援したい人は喜多方市に寄附をしますよ。みなかみ町を支援したい人はみなかみ町に寄附をしますよ。ふるさと納税という手軽な制度だって今はあるんです。なかの里・まち連携、自治体間の交流をしたいのであれば、それはそれで否定はしません。結構です。しかし、自治体間交流のために環境基金は使わないでいただきたい。区内の緑化推進をきちんとして中野の森をつくるべきではないか。中野区の環境基金は中野区の環境のためだけに使ってください。中野の森は中野区内につくってください。繰り返します。中野の森は中野区内につくってください。環境基金の在り方、中野の森プロジェクトの在り方を見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 次に、新型コロナウイルス感染症に関する情報公開について質問をさせていただきます。

 コロナが国内で発生した直後から、私は区内の情報公開を徹底せよと訴え続けてきました。東京都では死者数が急増し、8月の死者数は200人だったそうです。中野区の死者数はこれまでずっと伏せられてきましたが、6月の危機管理・感染症対策調査特別委員会における私の質問をきっかけに公表されるようになりまして、最新の死者数は50名と公表されております。どうせ公表するのであれば、最初から公表すべきであった。今までこの数値を伏せていたことに一体何の意味があったのか。

 そして、8月下旬をピークとする第5波においては、8月21日には療養中の区民が過去最高の1,700人に達しました。同じく21日には、区内総感染者数が1万人を突破しました。区民の35人に一人が感染経験がある。この本会議場の中でも二人や三人の感染経験者がいてもおかしくはないという事態になりました。10歳以下の感染者も8月の1か月で2倍以上に激増し、過去最高となりました。区民部を中心に区役所職員の感染者が大量発生。クラスターが発生したと思われます。また、お隣の杉並区などでは自宅療養中に保健所からの連絡がないままに亡くなられた方がいるということが報道されていました。中野区でも第5波のピーク時においては、自宅療養している30代以下の軽症者やその家族に対しては自宅療養五日目までに一度連絡するという体制であったそうです。下手をすると五日間も放置されてしまうということを事前に知っていた区民はほとんどいなかったでしょう。

 第5波においては、これまで述べたような重大局面を迎えていたにもかかわらず、区の情報発信のトーンは、感染症が多いときも少ないときもずっと同じ。保育士や園児が感染しても公表しないケースもある。最も詳細な情報が載っている感染症週報は、区のホームページを3回以上クリックしてPDFファイルをわざわざ開かないと出てこない。全国のニュース、東京都のニュースはマスコミが取り上げますが、今、中野区がどうなっているのか。我々議員も保健所への問合せは自粛していますので、中野区のニュースは保健所が出してくれないことにはなかなか分からない。その一方で、区は、保健所の活躍、奮闘ぶりを記録する映画の撮影に協力をしたそうです。この映画、10年後、20年後、人類がコロナに打ちかった暁には立派な記録として金字塔として残っていく、語り継がれていくものだと思います。しかし、我々が今欲しいのは10年先の金字塔じゃないんです。映画を撮影していた半年前の情報でもないんです。今、その日、その日、今日の情報なんです。ニュース報道等でも様々な注意喚起はされていますが、一番身近な基礎自治体である中野区が中野区内の状況をもっともっと丁寧に中野区民に伝えていくべきではないのか。今、第5波のピークは越えたようですけれども、中野区民が中野区で感染したらどうなるのか。入院はできるのか。中野保健所からの連絡は毎日あるのか。パルスオキシメーターは貸してもらえるのか。あるいは、保健所も十分に機能していない状態なのかどうなのか。医療崩壊は起きていないのか。もし、医療崩壊しているならば、医療崩壊している。今感染してもまず入院はできませんよ。自宅療養に備えてください。備蓄食料も用意しておいてくださいと正直に伝えていくこと。それらの情報公開によって注意喚起の効果も上がっていく。区民の警戒レベルもぐんと引き上がるんじゃないのかなと思うんです。今、コロナに関する情報発信以上に重要な情報発信はありません。広報アドバイザーはこんなときのためにいるんじゃないんですか。

 今、夜のまちを歩くと、マスクをせずにたむろしている若者がいます。息を荒くしてマスクなしで走るランナーがいます。暑さのせいか、顎マスクの人もいます。私はワクチンを2回打ったからといってマスクを外す人もいます。私も経験ありますが、マスクを外した人が目の前にいても、「すみませんが、あなたマスクをつけてくださいよ」とはなかなか言えないんですよ。今までで一番大変な時期なのに。今までで一番マスクをしていない。警戒が緩んでいるように思うんです。今、今までで一番大変な局面に来ているのですから、区の情報発信もより分かりやすく今までで一番丁寧にしていくべきではないでしょうか。

 以上です。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 小宮山議員の御質問のうち、私からは新型コロナウイルス感染症に関する情報公開についてにお答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症陽性者の区民における発生数は、毎日区内医療機関における届出数は週報として取りまとめてホームページで公開して区民に状況を伝えるようにしております。今後とも感染の推移を見極めながら、区内の感染状況、感染防止策、保健所の対応等についてもより分かりやすく丁寧に発信するとともに、区民の目線に立った情報発信となるよう工夫してまいります。

〔環境部長朝井めぐみ登壇〕

○環境部長(朝井めぐみ) 私からは、中野の森についての御質問にお答えいたします。

 環境基金への寄附につきましては、中野の森の森林整備事業等への寄附と区民への苗木配布事業など身近な緑を守り育てるコースへの寄附がございまして、寄附した方の意向に沿って活用をしております。令和2年度は、環境基金繰入金をなかのエコポイント、みなかみ町の森林整備等のカーボン・オフセットなどに約359万円、区民の生け垣設置や保護指定樹木助成、苗木の購入など、区内の緑化推進事業に約551万円を充当しております。区は脱炭素社会の実現に向けて今後も区内の緑化を積極的に進めてまいりますが、都市部においては、削減努力によっても全ての二酸化炭素排出量を削減することはできないことから、カーボン・オフセットの取組も必要であると考えております。

○議長(内川和久) 以上で小宮山たかし議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 竹 村 あきひろ

 1 消費者保護の施策について

 2 区職員の働き方、職場環境について

 3 その他

 

○議長(内川和久) 次に、竹村あきひろ議員。

〔竹村あきひろ議員登壇〕

○2番(竹村あきひろ) 今回は、安心・安全に資する法改正がありまして、それに係る質疑をいたしたいと思います。

 令和3年第3回定例会に当たりまして、所属政党は国政政党、略称NHK党、会派の所属はありません。無所属議員の立場から一般質問をいたします。質問は通告どおりで、その他はありません。

 初めに、消費者保護の施策について伺います。

 私の所属する政党は様々な戦略上の理由で党名を何度も変えております。現在は「NHKと裁判している党弁護士法72条違反で」という名称になっております。かつては、NHKから国民を守る党という党名で、主にNHK問題の解決を公約とし、令和元年(2019年)の参議院選挙にて2%以上の得票を得て国政政党となりました。NHKは様々な問題を抱える組織でありますが、区民・国民の皆様を悩ませる大きな問題の一つにNHK訪問員、いわゆる集金人の戸別訪問があります。訪問営業行為に関する法律としては、特定商取引法があります。その目的は、事業者による違法・悪質な勧誘行為などを防止し、消費者の利益を守ることです。事業者が守るべきルール、消費者を守るルールに分けられ、この法律のみを扱ったホームページ、特定商取引法ガイドも設けられ、行政の力の入れようと、その反面、被害の深刻さを裏付けるものであると考えます。NHKに関しては、残念ながら、この法の適用除外とされており、法の目的である消費者の利益を守ることが達成されていないことは、我が党コールセンターに寄せられたNHK訪問行為に関する苦情・相談などが今年1月から8月までの累計で全国6,497件、東京都全体で952件、我が中野区は累計42件で都内の相談件数の約4.41%になり、ここ半年は苦情・相談件数の上位トップテンに入ったまま推移しています。私の活動がまだまだ足らないのか、NHKの訪問行為が悪質過ぎるのか、いずれにしろ特定商取引法の目的とする消費者の利益を守るにはほど遠い現実であることを実感します。

 その特定商取引法は本年令和3年7月に改正法が施行されました。主要な改正内容は、通販の詐欺的な定期購入商法及び送り付け商法対策です。特に送り付け商法対策は、消費者保護は強化され、主要なものは、注文や契約せず、一方的に送り付けられた商品は直ちに処分可能、金銭の要求も応じる義務なしというものです。法改正前は、すぐに処分できず、一定期間自宅で保管する保管の押し付け、特に扱いが困難だった冷凍食品の負担は解消されました。詐欺業者はまさに送り付け損、単なる寄附行為となりました。昨年度令和2年、消費生活センターに寄せられた送り付け商法などに関する全国の相談件数は、消費者相談データベースPIO-NETに登録された情報では、通信販売関連は37万2,851件、送り付け詐欺(ネガティブオプション)と言うそうですが、6,663件。一方、我が中野区に寄せられた消費者相談件数は、本年度8月末現在、通信販売関連は422件、送り付け詐欺(ネガティブオプション)は、改正法施行後の7月6日以降は3件となっています。

 そこで伺います。この改正法の改善点は、区民への周知、理解促進が伴って初めて消費者保護という立法の目的が達成されるものと考えます。特に送り付け詐欺は、知らなければ代金を支払ってしまい、支払ってから、すなわち被害を受けてから法律を知っても遅いからです。本法律の主要な改正点の周知について、区の施策、今後の取組などについて伺います。

 また、用いられる用語、送り付け詐欺などのことを表す「ネガティブオプション」という単語は、まだまだ一般的とは思えず、言葉だけで理解しやすい「送り付け詐欺」、「押し付け詐欺」を用いるほうが適切と考えますが、これら用語の使用に関し、区の考えを伺います。

 さて、特定商取引法の改正は、詐欺的な販売方法、商取引からの消費者保護を強化するものですが、詐欺といえば、いまだに大きな被害をもたらしているものが電話などによる特殊詐欺です。特殊詐欺撲滅に向けて様々な取組がありますが、効果的な対策に、自宅にかかってくる電話の会話を録音するというものがあります。中野区でも、自動通話録音機の貸出しを行っており、なかの区報7月5日号で、本年度の録音機貸出しの募集がありました。

 そこで伺います。詐欺を未然に防ぐために詐欺の実態を知る、詐欺の手法を知ることは重要だと思います。被害の実例を視聴覚に訴える映像で作成したり、詐欺の手順を分かりやすく説明した資料配布など、詐欺情報の周知に関し、区の施策について伺います。併せて、本年度の自動通話録音機の貸出し状況と今後の防犯に対する取組についてお聞かせください。私は、地域ニュースなど全てに目を通していますが、区民活動センターの発行する地域ニュースぬまぶくろ、令和3年7月号、No.360に特殊詐欺に対する注意喚起の記事が掲載されており、とてもよい取組と感じました。分かりやすい詐欺のセリフ紹介、例えば、「区役所の健康保険課です」、「医療費の還付の手続きをしてください」や「電話に出なければ騙されません。留守番電話を活用して相手を確認しましょう」など、具体的な例を挙げ、これを読む区民目線の表現方法などに工夫と熱意を感じました。ネットが普及したとはいえ、様々な理由でインターネットの情報に触れない区民もいらっしゃるかと思います。その方が身近な区民活動センターなど、地域に根差した団体からのお知らせは有効な情報源と考えます。また、都との連携や警察との情報共有も有効な手段と思われます。

 そこで伺います。特殊詐欺撲滅への取組のうち、地域団体や警察組織、特に東京警視庁との情報共有、連携について、また特殊詐欺撲滅に向けた区の決意をお聞かせください。

 次に、区職員の働き方、職場環境について伺います。

 働きやすい職場環境は、職員の労働意欲に直結し、区民サービス向上につながるものと思います。我が中野区の労働環境は客観的な数値から判断することが作為のない現状把握につながると考えます。私の所属政党NHK党の党首・立花孝志は、NHK職員時代、多くの不正を目にし、上司や同僚に改善を申し入れましたが、受け入れられず、逆に仲間を売るのか、大人になれよなどと懐柔され、ついには精神疾患を患い退職。その後政党を立ち上げ今日に至ります。党首・立花がNHK時代のそのときに、NHKが組織として対応し、改善がなされたならば、今のNHK党はなく、私も議員をしていないと思われます。社会問題化する事業者の不祥事は後を絶たず、昨年令和2年6月、企業不祥事の内部通報者保護を強化した公益通報者保護法が改正されました。我が中野区では、中野区職員倫理条例など、公益通報の制度がありますが、その目的は達成されているでしょうか。

 そこで伺います。近年の区職員から中野区行政に関する公益通報の件数、推移について伺います。労働環境を客観的に表すであろう超過勤務及び病気休暇、病気休職者の推移について区の見解を伺います。また、区職員の健康診断結果における有所見率の件数及び推移も併せて御教示ください。

 さて、職場の労働環境や職員が持つ不満、不安などの相談事について強い抵抗なく相談し、訴えることができる制度があれば、大事に至る前に改善、解消に向かうものと思います。上司、同僚議員の目を気にすることなく訴えることのできる制度、例えば、目安箱的な制度導入はいかがでしょうか。目安箱とは、我が日本国の江戸時代、徳川吉宗公が設置したものが有名です。目安とは箇条書きにした文章のことで、訴状を意味します。酒井区政の風通しをなお一層よくし、区民サービス向上につながる中野区版目安箱の設置を僣越ながら提案いたします。いかがでしょうか。

 以上伺いまして、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 竹村議員の御質問で、最初の消費者保護の施策についてお答えいたします。

 初めに、送り付け商法に関わる特定商取引法の改正点の区民への周知でございます。区では、消費者被害の防止を目的に、今年の7月の特定商取引法の改正内容につきまして、区のホームページにその概要を掲載しているところでございます。また、消費生活相談員等が高齢者施設等に出向き実施している出前講座においても、送り付け商法の実態や対処方法等を取り上げてきたところでございます。今後も引き続き毎月発行している啓発用リーフレットに法改正に関連する記事を掲載するなど、様々な機会を通じて区民への周知に取り組んでまいります。

 次に、「ネガティブオプション」という用語の使用についてでございます。区では、啓発用の広報物について基本的に「送り付け商法」の表記を採用しているところでございまして、区民への周知に当たりましては、引き続き分かりやすい用語の使用に努めてまいります。

〔防災危機管理担当部長滝瀬裕之登壇〕

○防災危機管理担当部長(滝瀬裕之) 私からは、消費者保護の施策についてのうち、まず詐欺情報の周知に関する質問についてお答え申し上げます。

 現在区では、詐欺被害等の防止を図ることを目的に、被害の事例や対処法等をまとめた消費生活センター情報特急便などを作成し、相談窓口などで配布しているほか、区報や区ホームページなどを通じて周知を図ってございます。また、地域に出向いて実施する出前講座におきましても注意喚起に努めており、引き続き警察や関係機関と連携を図りながら、分かりやすい広報啓発活動を推進してまいります。

 続きまして、自動通話録音機の対応状況等でございます。昨年度区が購入した1,500台につきましては、本年8月末に全て貸出し、本年度は750台の貸出しを9月から開始したところでございます。区が貸出しをしている自動通話録音機は、電話の着信音が鳴る前に相手方に警告メッセージを流すため、電話に出なくて済むことから、未然防止の効果は高いと認識しておりまして、今後も貸与を推進していく考えでございます。

 続きまして、警視庁との情報共有、連携等でございます。区では悪質商法による高齢者の被害を防止するため、地域や関係団体などと連絡を密にし、被害の事例や対処法などの情報を随時提供してございます。また、昨年7月、中野・野方両警察署と自動通話録音機貸与事業に関して協定を結び、警察と連携して110番通報者や相談者などに対して積極的に貸出しを行ってございます。今後も警察との連携により自動通話録音機貸与事業を推進するとともに、いわゆるアポ電が多い地区における重点的な注意喚起などを行うなど被害の撲滅に向けて取り組んでまいります。

 続きまして、次の項で、区職員の働き方、職場環境についてのうち、公益通報の件数と推移についてお答え申し上げます。平成20年度の運用開始以降、現在まで平成20年度、平成22年度、平成26年度に各1件、合計3件の公益通報がございました。内容でございますが、平成20年度は区職員による区有施設の運営管理委託事業者からの不明瞭な金銭の授受、平成22年度は、住民情報系システムの再構築での情報安全対策上の不備に係る区職員の不適正な事後対応、平成26年度は区職員による利害関係者からの金品の供与でございました。このうち、中野区法令遵守審査会で2件が非違行為及び不適切な対応として認定されたものでございます。

〔総務部長海老沢憲一登壇〕

○総務部長(海老沢憲一) 私からは、区職員の働き方、職場環境についてのうち、超過勤務、病気休暇、病気休職の推移でございますが、昨年度の職員の超過勤務は全体で約20万時間でございました。令和元年度は約21万時間でございまして、それまで上昇傾向にありましたが、昨年度は減少に転じているということでございます。新型コロナウイルス感染症対策に伴い保健所や企画部など一部の所属で業務量の増加がありましたが、緊急事態宣言下に各種施設の臨時休業や事業の休止があったということによりまして、全体としては超過勤務は減少したものと推測されております。病気休暇を30日以上取得した職員の延べ人数は、平成30年度が78人、令和元年度が62人、令和2年度が75人で、病気休職者の延べ人数は平成30年度が38人、令和元年度が41人、令和2年度が36人でいずれも横ばいの傾向でございます。職員の働き方改革を進め、超過勤務を削減し、ワークライフバランスを推進するとともに、職員の健康を維持増進し、病気休暇や病気休職の件数を軽減できるようにしていきたいと考えております。

 続きまして、職員の健康診断における有所見率の推移でございます。今年度、職員健康診断の結果、要再検査、要精密検査の件数は203件で全体の9%、要医療、要経過観察の件数は949件で全体の43%、異常なし、軽度異常等の件数は1,559件で全体の48%でございました。昨年と令和元年度の件数はほとんど同じで横ばいの傾向にございます。今後も職員の健康診断を通じて疾病の早期発見や健康の維持増進を図ってまいりたいと考えております。

○議長(内川和久) 質問時間が過ぎておりますので御答弁は結構です。

 以上で竹村あきひろ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 立 石 り お

 1 財政運営の考え方について

 2 地域団体との連携の考え方について

 3 その他

 

○議長(内川和久) 次に、立石りお議員。

〔立石りお議員登壇〕

○8番(立石りお) 令和3年第3回定例会において一般質問いたします。

 3、その他で会議室、イベントスペースの考え方について質問をします。

 初めに、財政運営の考え方についてです。東京都の総務局が公表した令和2年度特別区普通会計決算によると、特別区平均の経常収支比率は81.9%で前年から2.7ポイント上昇しております。前年を下回ったのは大田区と中野区のみで、中野区は77.1%で前年から3.2ポイント低下しており、大きな要因としては、公債費が前年から15億5,000万円減少したことにあります。今後も新庁舎の建て替えで多額の公債費の発行を予定しており、実質公債費は令和6年に55億円、令和7年に219億円と増加することから、施設整備に係る財源を計画的に積み立てなくてはなりません。

 構造改革実行プログラムの基本指標において、減価償却費相当額の25%を特定目的基金に積み立てると目標が示されております。これまで基金積立てに関する目標はなかったので、後年度の施設更新に必要な経費を計画的に積み立てるための指標が出てきたことについては評価をしたいと思います。令和3年度の特別区民税と財政調整交付金の経過を見る限りでは、予算ベースを上回っておりますが、令和2年度決算と比較するといずれも減少の見込みです。令和3年度以降の税収見通しが不透明なコロナ禍においては、区民生活を支えるための政策を速やかに実施していく必要があるため、財政運営においても一定の柔軟性が求められます。特定目的基金の積立てにより財政運営が硬直化してしまうおそれがありますが、施設整備スケジュールが後ろ倒しになってしまっており、今度はスケジュールどおりに確実に更新していくためにも計画的な積立ては必要です。本来であれば、基本計画の区政運営の考え方に基金積立ての指標を明記するべきだと考えますが、コロナ収束後には、基本指標を遵守し、財源の積立てが計画的に行われるよう、今後の考え方などを質問してまいります。

 令和3年度一般会計第4次補正予算では、決算剰余金から2億6,400万円を義務教育整備基金として積み立てるとしていますが、財政調整基金施設改修分、社会福祉整備基金の積立てが行われておりません。どのような理由で見送られたのか伺います。

 減価償却費の25%の数値を目標としておりますが、幾つか課題があると思います。例えば、減価償却費を基準とした場合、建設時と現在の物価の差額があるので、更新費用が想定よりも高額になってしまうこともあります。また、更新ではなく新しい施設を建てる際の費用も含まれません。ほかにも小・中学校など、耐用年数の考え方を見直したことにより耐用年数を超過した施設に関しては単年度の減価償却費には計上されません。このような単年度のフローの数値ではなく、ストックの減価償却累計額を参考にしていくべきと考えます。

 令和2年度決算ベースの教育施設、社会福祉施設、財政調整基金の施設改修分、それぞれ対象となる施設の減価償却累計額の25%は幾らになるのか。また、財政調整基金の施設改修分、義務教育整備基金、社会福祉施設整備基金の残高について伺います。

 本来は、当初予算で財政調整基金の施設改修分と特定目的基金への積立てを行うべきですが、令和3年度の予算編成のように歳出超過だと特定目的基金には積み立てられません。令和4年度の見通しは分かりませんが、基金残高が減価償却累計額25%に満たない基金に関して当初予算で優先的に積み立ててはどうでしょうか。

 目標値を減価償却費25%に設定したのは、残りの75%に起債を充てるということだと思います。75%は起債充当限度額なわけですが、限度額を前提に基金積立て目標を立てて公債費負担比率を10%以内に抑えることができるのか疑問があります。

 新庁舎の建て替えで、令和7年度に一時的に公債費負担比率が約27%になることが予定されています。令和8年度以降は公債費負担比率を10%以内に抑えて施設整備計画どおりに施設を更新していくことが可能なのか区の見解を伺います。

 令和2年度の経常一般財源及び経常経費充当一般財源との推移を見ると、人件費に次いで物件費の構成比率が高く、令和元年度は約150億円、令和2年度は158億3,000万円と前年から8億3,000万円増加しております。仮に人件費を圧縮することができたとしても、物件費がそれ以上のペースで増加すれば財政を圧迫することになりますので、物件費を抑制していくために委託事業マネジメントが今後の課題となります。

 構造改革実行プログラムの「決算分析を元にした予算編成手法の確立」の中で「所管によって同一の委託等にかかる費用を比較分析し、単価の違いなどの妥当性を検討の上、全庁で共有し、事業経費の削減に取り組む」とあります。具体的にどのような内容を想定しているのでしょうか。

 そのほかにも、所管が個別に契約している委託事業について、再契約の際には効率化の観点での見直し、予算削減をする必要があると考えます。令和2年度の行政評価の企画部選定事業は、委託事業を中心に選定しておりますが、今回の行政評価の結果を受けて次年度は事業の選定も含めてどのように改善するのか見解を伺います。

 2、地域団体との連携の考え方についてです。

 先日、私が所属している自治会で災害時を想定した安否確認訓練を実施しました。自治会の役員と民生児童委員さんの協力の下、避難行動要支援者の方々を対象に安否確認用のタペストリーを事前配布し、訓練当日に玄関前に掲げてあるタペストリーを確認するという内容です。訓練後の反省会で、民生児童委員の方から、オートロックのあるマンションは中に入れないなどの理由でふだんからの見守り活動ができていないマンションがあると御意見がございました。近年、集合住宅に住むひとり暮らしの方が増加しており、高齢化に伴い今後も増加してまいります。軽く調べた限りでは、オートロックマンションなど、集合住宅の見守りができている地域とそうでない地域があるようです。中野区としても全地域の状況を把握するため、民生児童委員協議会の中で各地域の状況を確認してみてはいかがでしょうか。また、オートロックマンションにアプローチできている地域のノウハウを共有するため、民生児童委員協議会で勉強会を開催してみてはどうでしょうか。

 本来であれば、集合住宅が町会または防災会に加入してもらい、居住者同士の見守り、災害時の避難支援ができる体制をつくれるのが望ましいですが、集合住宅によって、管理組合がある場合、ない場合など様々なケースがあるので、一元的な対応は難しいと思います。一般的に集合住宅にお住まいの方は一戸建ての方と比べ近所付き合いが乏しいと言われておりますので、その状況を詳しく把握し、対策を講じていく必要があります。

 区は、要支援者に対して、災害時個別避難支援計画書の作成をお願いしております。令和2年度の調査によると、調査対象者が3万5,436名のうち、調査拒否、不在者が2,534名、計画作成者の1万5,501名のうち、支援者なしの方が4,610名おります。災害時は、地域の防災会も避難所の運営対応などに人員が割かれていますし、これだけの数の避難行動要支援者への安否確認、救助に手が回るかは疑問があります。避難行動要支援者の方が居住している建物の老朽化状況など、居住環境によってはより早期の対応が求められる要支援者の方もいらっしゃいますし、オートロックマンションにお住まいの方も、災害時に電気・水道などライフラインが遮断され、エレベーターが止まってしまった場合、取り残されてしまいます。中野区としても計画作成者や無支援者の状況や傾向を把握した上で対策を進めていかなければなりません。災害時個別避難支援計画書を作成していない方、また、無支援者の方のうち、集合住宅、一戸建てなど住居環境の分析をしてみてはどうでしょうか。

 また、ふだんから見守りができていないマンションの場合、災害時に救助に行くのは困難なため、管理組合、管理会社に対して一定の協力を求め連携を図る必要があると考えます。区の見解を伺います。

 その他、会議室、イベントスペースの考え方についてです。

 中野区区有施設整備計画(案)に示されているとおり、旧商工会館は、現在子ども家庭支援センターとして使われており、将来的には建て替えが予定されています。社会福祉会館についても、現段階では生活援護の機能が移転することが予定されています。私もよく利用しておりましたが、旧商工会館、社会福祉会館の会議室は利用対象者の範囲が広く、抽せんもないので、区民活動をしている団体には利用しやすいです。地域の担い手となる団体が活動しやすい環境をつくるためには、イベントスペース、会議室の存在はとても重要だと思っています。

 中野駅周辺の再整備と施設の再編が進む中で、区民が活動できる会議室、イベントスペースなどを整備していく必要があると思いますが、区の見解を伺います。

 国や都のDX推進により電子手続は国のマイナポータル、東京都の電子自治体共同運営サービスに統合されていきます。中野区の電子申請システムは、図書館予約システムやナイセスによる施設予約システム、粗大ごみ回収の申請システムなどに分かれています。構造改革実行プログラムの中で、区民活動センターの運営の在り方を検討するとあります。将来的にはネット予約の対応なども検討されていくのだと思います。区有施設は施設ごとに所管が異なることからも、団体登録、利用予約をする際にも独自のローカルルールがあるので、予約システムを統合する際の課題になってきます。区民の利便性とシステムの運営コストの観点から、区民活動センターのネット予約、その他の区有施設の予約や申請手続を一つのシステムに統合し、将来的にはスマートフォンから簡単に手続ができるようにしていただきたいなと思っております。

 新庁舎においても、会議室やイベントスペースの設置が検討されていますが、新しい会議室、イベントスペースを整備する際には、ほかの施設にも適用できる共通規格となるルールを設定し、区の予約申請システムの統合を図っていく必要があると考えます。区の見解を伺います。

 以上で私の全ての質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 立石議員の御質問にお答えいたします。

 私からは財政運営の考え方について。最初に、財政調整基金の施設改修分、社会福祉施設整備基金への積立てについてでございます。

 今回の補正予算では、不測の事態によって区民サービスに影響が生じないよう、財政調整基金と今後の見込み金額の大きい義務教育施設整備基金の二つに絞って積み立てたものでございます。令和4年度予算編成に当たりましては、歳入状況や事業見直し等による歳出の削減状況、施設整備の進捗状況と基金残高などを勘案しながら、構造改革実行プログラムで示した考え方の実現に向けて検討してまいります。

 次に、区有施設の減価償却費累計額及び基金残高についてでございます。令和2年度決算ベースで、義務教育施設整備基金の対象となる施設における減価償却費累計額の25%は80億7,100万円余であり、義務教育施設整備基金の残高は199億7,700万円余でございます。社会福祉施設整備基金の対象となる施設における減価償却費累計額の25%は29億1,500万円余、社会福祉施設整備基金の残高は35億2,300万円余でございます。財政調整基金の施設改修分の対象となる区有施設における減価償却費累計額の25%は、129億7,300万円余であり、財政調整基金の施設改修分の残高は95億9,900万円余でございます。

 次に、当初予算での基金への積立てについてでございます。当初予算で計画的に基金に積み立てていくことが望ましいと考えておりますが、令和3年度当初予算においては、一般財源の歳入より一般財源充当の歳出が上回る、いわゆる歳出超過の状況であったことから、施設整備の特定目的基金への積立てを見合わせたところでございます。しかしながら、将来の施設更新に備えて、計画的に基金に積み立てていくことが必要であり、令和4年度予算におきましては、歳入状況や事業見直し等による歳出の削減状況、施設整備の進捗状況と基金残高などを勘案しながら検討してまいります。

 次に、令和8年度以降の公債費負担比率についてでございます。次期基本計画の計画期間である令和8年度から12年度までの公債費負担比率はおおむね7%台で推移することから、10%以内に抑えて計画上の施設整備を進めていけると考えております。

 最後に、決算分析を基にした予算編成指標についてでございます。令和3年度においては、施設管理業務や廃棄物処理業務に係る契約など、区有施設で共通して発生するような経費の単価を比較分析しております。分析結果につきましては全庁で共有し、令和4年度予算編成につなげていきたいと考えております。

〔構造改革担当部長石井大輔登壇〕

○構造改革担当部長(石井大輔) 私からは財政運営の考え方のうち、行政評価制度の運用についてお答えいたします。

 区政運営のPDCAサイクルにおきまして、チェックとなる行政評価からアクションとなる改善見直しにつなげていくためには、評価対象事業の見立てや選定がポイントであると考えております。今年度の行政評価の結果に加えまして、アンケート調査や社会動向など様々な情報を参考に評価対象事業を選定するとともに、外部評価を活用したより実効性のある行政評価としていく考えでございます。

 続きまして、その他の御質問で会議スペースの維持や予約方法についてお答えいたします。

 今後の区有施設の整備に当たりましては、施設の設置目的や地域のニーズなどを勘案し、区民の自主的な活動や交流のためのスペースを確保していく考えでございます。他方、既存の施設におきましては、予約方法や団体登録などが施設ごとにまちまちであり、利用しにくいという声や空いているのに使えないといった声も聞いているところでございます。施設の有効活用という観点から、利用ルールの在り方や予約システムの統合の可能性などを検討してまいります。

〔地域支えあい推進部長角秀行登壇〕

○地域支えあい推進部長(角秀行) 私からは、地域団体との連携の考え方について、まずオートロックマンションなどの対応についてでございます。オートロックマンションが増えているということは承知してございます。各地域の民生委員がどのように対応しているか。また、活動にどのような支障があるかなど、今後、民生児童委員協議会などと相談し、アンケートなどの実施を検討してまいります。その上で、活動に支障がないようなオートロックマンションへのアプローチ方法というのを共有してまいりたいと考えてございます。

 次に、災害時個別支援計画作成の傾向についてでございます。現在、居住環境の傾向と計画書の作成状況との関係性について特に分類はしてございませんが、この台帳システムを活用して分析できるかどうかについて検討してまいります。

 最後に、地域団体との連携の考えについてでございます。要支援者台帳を配布しております各町会や防災会など、この情報に基づきまして安否確認訓練を一部の町会・自治会や防災会が実施しているところでございます。災害時におきます要支援者の救助におきましては、オートロック機能のついたマンションなどは、本人との接触は困難であるということが予想される一方、プライバシー保護の観点から管理組合や管理会社に対しオートロックの解除などの協力を求めることはできない状況がございます。こうしたことから、日頃から町会や防災会の防災訓練などを活用した地域の人材関係づくりが人命救助に大きな役割を担うこととなるため、安否確認訓練などを通した避難行動要支援者と各町会、防災会との関係づくりについて区が適切な支援を図ってまいります。

○議長(内川和久) 以上で立石りお議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 吉 田 康一郎

 1 中野区基本計画について

  (1)育児分野について

  (2)都市基盤分野について

  (3)その他

 2 武漢ウイルス対策について

 3 在留・在住外国人施策について

 4 商業振興対策について

 5 その他

 

○議長(内川和久) 次に、吉田康一郎議員。

〔吉田康一郎議員登壇〕

○12番(吉田康一郎) 育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会、吉田康一郎です。よろしくお願いいたします。

 まず、基本計画における子育て先進区の客観的指標について伺います。

 私は、子育て環境が先進的であるかを示す指標として合計特殊出生率など客観的な指標と目標値を設定すべきだと訴えてまいりました。我が区では、現行の10か年計画やまち・ひと・しごと創生総合戦略の中で、「区がめざす将来推計」として、合計特殊出生率の目標を掲げてきましたが、2月に示された基本計画(素案たたき台)では合計特殊出生率の指標はなく、将来人口推計の項目に、子ども女性比の増加と維持が必要であると記載されているのみでした。そこで私は、新しい基本計画にも現在と同じく合計特殊出生率の目標を提示すべきであるし、あるいは、国立社会保障人口問題研究所が示している理想子ども数や今回の基本計画で用いた子ども女性比について目標値を設定すべきであると訴えてきました。

 5月に示された改定素案では、「子ども女性比の一定の維持や出生数・合計特殊出生率の増加が必要です。妊娠・出産、子育て期にあたる20・30歳代が生まれた1980年~1990年代の子ども女性比は、現状値0.135よりも高い水準でした(平均値0.147)。この水準を目指し、さらなる子ども女性比の増加を図る」との記述が入りました。この出生数、合計特殊出生率の増加が必要ですとしたこと、そして子ども女性比について具体的な数値を示したこと、それを目指すとしたことは高く評価します。ようやく数字に基づく議論と検討が行えるところまでまいりました。しかし、この数値自体は理解しがたいものであります。なぜ今、妊娠・出産、子育て期に当たる20代、30代が生まれた時代の数値を目標にするのか分かりません。今より高かったからというならば、もっと高い時代があったのではないでしょうか。なぜ、一番高い時代の数値を目標としないのか。そして、何より1980年代から1990年代とは、合計特殊出生率が昭和56年で1.17、昭和58年1.22、昭和60年1.18、昭和62年1.12、平成元年1.01、平成3年0.92と年々、今の数値よりも低い水準まで下がり続けた時代であります。人口置換水準2.07なければ人口は維持ができないところ、1.2から0.9まで下がり続けていった時代の指標を目標として掲げるのはいかがなものでしょうか。その時代の中野区が子育て先進区だったのか、他の自治体より出生率が高かったのかといえば、その時代も全国最低水準でありました。

 改定素案には、「この水準を目指し、さらなる子ども女性比の増加を図る」とあります。将来さらなる増加を図るのであれば、当面目指す水準についても先進区という目標にふさわしい水準を示すべきだと考えます。区は、本定例会において基本計画の策定に関する報告を予定しています。子ども女性比の目標値については明確に意欲的な数値の設定が必要と考えますが、区の見解を伺います。

 次に、都市基盤分野について伺います。

 中野区の道路が狭いという問題について、私は様々な機会に様々な指標を用いて、全国最下位の水準であることを訴えてまいりました。例えば、幅員4メートル以上の道路に接していない住居の比率は23区の平均が27.3%であるのに対し、中野区は37.3%で最下位。全国でも最下位水準です。この道幅が4メートルに満たない狭隘道路が区内の道路の約43%という高い比率を示していることもあります。道路率も23区平均が16.5%であるのに対し、中野区は13.9%であり、下から3番目です。区が様々な施策を用いて努力していることは理解しています。しかし、この中野区の道が狭いという現状の認識と様々な観点から優先して取り組むべき課題であることについて、基本計画の該当分野において明示的に記載していただきたいと思います。区の見解を伺います。

 次に、武漢ウイルス対策について伺います。

 自宅療養者については、様々、他の議員の議論がありましたので割愛させていただき、後遺症について伺います。

 世田谷区が武漢ウイルスに感染した区民約9,000人を対象にして実施した後遺症に関するアンケートがあります。3,710人から有効回答があり、そのうち後遺症があると回答した人が1,786人、48.1%であったと報じられています。症状、年齢など、内容の詳細についてはこの場で触れませんが、数千人規模の調査は全国でも珍しく、貴重な調査結果であるとのことであります。区としてこの48.1%の方が後遺症があったと、このように回答している、これをどう受け止めているか。そして今後の対応を含めて伺います。

 次に、在留・在住外国人対策について伺います。

 9月3日、「中国当局が米国在住のウイグル人をハッキングしているとFBIが警告、一般にも捜査協力求める」というタイトルの報道がなされました。FBIは、中国政府関係者がトランスナショナル・リプレッション(国境を越えた抑圧)を行っていると警告しています。これは外国政府が国境を越えて物理的、デジタル的な手段で国外の居留者・居住者や亡命コミュニティのメンバーを脅したり、口止めしたりすることを示す言葉です。FBIは、共産党独裁中国政府が直接訪問とデジタル戦略、両方の手法を使って米国在住のウイグル人、チベット人、法輪功修練者、台湾、香港の活動家など難民や反体制派の人たちを脅迫し、口を封じ、嫌がらせ行為を行い、中国政府への服従を強要しようとしていると警告しています。従わなかった場合の脅しとしては、米国在住者の家族や友人、中国国内での拘束、中国国内の資産の差押え、継続的なデジタル及び対面での嫌がらせ、中国政府による強制送還の試み、コンピュータや携帯電話のハッキング、デジタル攻撃、オンラインID乗っ取りなどが日常的に行われているとFBIは警告しています。そして、このような国境を越えた抑圧活動は、米国の法律や個人の権利を侵害するのですと指摘し、米国の法執行機関職員及び一般市民に対して、中国政府による嫌がらせの疑いがある事件を報告するよう求めています。

 この共産党独裁中国政府による国境を越えた抑圧は、我が日本国内においても平然と行われています。例えば、昨年10月19日の西日本新聞は、「スパイ行為を要求」、「家族を人質に」、「在日ウイグル人に中国の抑圧」という記事を報じました。その中では、「中国・新疆ウイグル自治区出身で、今は日本に暮らす少数民族ウイグル族が中国当局の圧力にさらされている。当局側は故郷に残る家族を“人質"に取り、日本で反中国活動に関わるウイグル族組織の情報を流すよう『スパイ行為』を要求。自治区に住む両親が収容施設に送られ、仕送りを断たれた留学生もいる。中国の抑圧政策が在日ウイグル社会にも影を落としている」と書き起こし、具体的な事例を生々しく紹介しています。

 この記事で紹介されている。ハリマト・ローズさんは、現在日本ウイグル協会の理事を務め、在日ウイグル人社会の代表として活動しています。私は2008年6月、今から13年前の日本ウイグル協会立ち上げに関わって以来、在日ウイグル人の支援に取り組んできました。現在は、ウイグルを応援する全国地方議員の会の理事長を拝命し、地方議員の有志の皆様、仲間とともに活動を続けており、中国国内、そしてまた日本においてウイグル人が置かれている状況について、直接当事者たちから聞く機会を得ています。過去には、日本ウイグル協会の初代会長が、えたいの知れない中国人に襲われたときには、夜いきなり支援者から連絡があって、被害者である当人を私が身元引受人となって品川の高輪警察署に迎えに行ったこともあります。ウイグル人や南モンゴル人、チベット人は我が国の入管難民法では中国籍の中国人として取り扱われていますけれども、実際には中国政府に保護されているのではなく、抑圧され、本人も親戚も命の危険にすらさらされています。この現実に鑑み、議員の会では、在留カードの国籍・地域欄に、中国の新疆ウイグル、チベット、内モンゴルの各自治区と香港の記載を認めるよう、国に入管難民法の政令改正を求める等の活動を行っており、去る8月28日には、この感染症の状況でオンライン上ではありますけれども、上川陽子法務大臣に直接面談し、要望を行いました。また、去る6月15日には、この議場におられる同僚議員各位の御賛同により、中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書を可決していただき、中野区議会としてこの問題について明確な意思表示をしていただき、感謝にたえません。実際に住民を預かる中野区としても、人権侵害を受けている事実上の難民に対して支援する姿勢が必要だと考えます。

 そこで、まず、区では難民を把握しているのか。次に、区における難民の所管はどこか。そして最後に、区長は、現在策定中の基本計画においてもSDGsの推進を掲げています。そのような立場であるならば、入管難民法に自治体の責務が明示的に定められていないとしても、経済的な利益を求めてではなく、ウイグル人などのように、政治的な理由により帰国できない区内の居住者が支援を求めてきたときに、これを支援することができる区であることが必要であると考えますが、区の見解を伺います。

 最後に、生活応援事業について伺います。今月1日から30日まで、生活応援事業のキャッシュレス決済によるポイント還元事業が行われています。第2回定例会において、都の補助金事業は、キャッシュレス事業だけではなく、紙のプレミアム付商品券への補助と併用する事業も用意されていること、そして昨年我が区が実施したプレミアム付商品券事業は、区商連からも、消費者の区民の方々からも評判がよく、また実施をしてほしいとの要望も寄せられていることから、紙の商品券事業の検討をお願いいたしました。

 本事業について、他区の状況を伺うと、23区中、紙の商品券事業も実施した区が17区、しなかった区は中野区を入れても6区でありました。おおむね4分の3の自治体が実施し、4分の1の自治体が実施しなかったということであります。キャッシュレス化は、中長期的には進むものと考えますけれども、現状としてはスマホのポイント還元を使いこなせる一部の人しかプレミアム分の恩恵を受けることができないこと、また、決済システムの個人情報保護等のセキュリティにいまだ懸念が払拭できないことなど課題があります。他方、紙の商品券事業については、費用、事務処理等の問題があることを重々理解しています。そこでこの費用の削減、業務委託の在り方など、障害となっている問題の改善・解決に向けて、区として研究・検討していただきたいと思いますけれども、見解を伺い、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 吉田議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、中野区基本計画についてで、子ども女性比の目標値についてでございます。近年、中野区の子ども女性比は横ばいから減少の傾向にあることから、今後は増加傾向に転じていくことを目指し、基本計画(案)において目標値を設定しているところでございまして、適切な目標値だと考えております。子育て先進区の実現に向けて子育て家庭の定住を促進していくためにも、子ども女性比の増加を目指すものでございまして、そのために必要となる環境や経費等を考慮しながら着実に取り組んでいく考えでございます。

 続きまして、狭隘道路が多い中野区の現状についての記載についてであります。基本計画、施策42、防災まちづくりの推進におきまして、狭隘道路が多い中野区の現状は、まちの課題の大きな要因となっております。このため、区民にその現状を知っていただくことは極めて重要であることから、中野区の管理道路の構成は4メートル未満の狭隘道路が占める割合が最も高いこと、これについて追記を検討してまいります。

 次に、後遺症に対するアンケートや今後の対応についてでございます。世田谷区において、新型コロナウイルス感染症の後遺症に関するアンケートが行われ、幅広い年代において出現率が高かったことについては把握をしております。この結果につきまして、本年2月に国立国際医療研究センターから報告されたものと同様であることから、本区においても同じ状況であると認識をして相談対応を充実してまいります。後遺症の症状は個別性も高く、その治療は長期間にわたることもあるため、相談窓口を設置している都立・公社病院だけでなく、身近な医療機関においても対応ができることが望ましいと考えます。区としては、これまでの後遺症に関する知見を分かりやすくホームページに掲載するとともに、区医師会と連携して受診しやすい環境を整備してまいります。

 次に、外国人難民の把握についてでございます。区では、外国人の住民登録手続を在留カードに記載されている内容に基づいて行っておりますが、この在留カードには、難民であるかどうかの記載がございません。こうしたことから、区として外国人が難民であるかどうかというのは、直接は把握はできていないところでございます。

 次に、外国人難民の所管部署と区の支援についてでございます。難民については、専門に対応する部署は設置しておりません。難民を含め、区に在住する全ての外国人住民が安心して暮らすことができるよう支援をしてまいります。

 最後に、紙の商品券事業の検討についての御質問です。プレミアム付商品券事業は、中野区商店街振興組合連合会への補助事業でございまして、区内の消費喚起策としてこれまで4回実施をし、一定の成果を上げてきております。しかし、紙の商品券には、印刷、販売、在庫管理、集計、コールセンター設置等の事務経費が多額になる上に処理に時間がかかる、余剰金が発生するといった課題がございます。また、利用者にとっては、お釣りが出ない。購入場所、時間等の制約が生じるなど使い勝手の問題もございます。新型コロナウイルス感染症対策として、新しい生活様式が求められていることもあり、区としては区内商業施設における決済の電子化を進めていく考えでございますが、高齢者や零細な事業者など、すぐにはデジタルへの対応が難しい方々に対しても十分配慮をしながら、商品券事業の在り方について研究してまいります。

○議長(内川和久) 以上で吉田康一郎議員の質問は終わります。

 以上をもちまして質問は終了いたしました。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後3時16分休憩

 

午後3時17分開議

○議長(内川和久) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。

 議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 これより日程に入ります。

──────────────────────────────

 第50号議案 令和3年度中野区一般会計補正予算

(委員会報告)

 

○議長(内川和久) 日程第1、第50号議案、令和3年度中野区一般会計補正予算を議題に供します。

 

令和3年(2021年)9月10日

 

中野区議会議長 殿

 

総務委員長 ひやま 隆 

(公印省略)

 

議案の審査結果について

 

本委員会に付託された下記議案は、審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので、中野区議会会議規則第78条の規定により報告します。

 

 

議案番号

件    名

決定月日

50

令和3年度中野区一般会計補正予算

910

 

○議長(内川和久) お諮りいたします。上程中の議案に関する委員長報告は、会議規則第40条第3項の規定により省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、委員長報告は省略いたします。

 本件については、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、これより採決いたします。

 上程中の議案を委員会報告どおり可決するに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後3時18分休憩

 

午後3時41分開議

○議長(内川和久) 会議を再開いたします。

 お諮りいたします。この際、本日の日程を追加し、日程第4、第66号議案、令和3年度中野区一般会計補正予算を先議するに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう議事を進行いたします。

──────────────────────────────

 第66号議案 令和3年度中野区一般会計補正予算

 

○議長(内川和久) 日程第4、第66号議案、令和3年度中野区一般会計補正予算を上程いたします。

 理事者の説明を求めます。

〔副区長白土純登壇〕

○副区長(白土純) ただいま上程されました第66号議案につきまして、提案理由の説明をいたします。

 第66号議案、令和3年度中野区一般会計補正予算は、歳入歳出にそれぞれ9,876万円を追加計上するものです。これにより既定予算との合計額は、1,527億9,754万8,000円となります。

 この補正の歳出予算の内容は、保健予防費につきまして、新型コロナウイルスワクチン集団接種に係る経費9,876万円を追加計上するものです。

 この補正の歳入予算といたしましては、国庫支出金9,876万円を追加計上するものです。

 以上、本議案につきまして、よろしく御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

○議長(内川和久) 本件について御質疑ありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。

 上程中の議案は、会議規則に従い、総務委員会に付託いたします。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後3時43分休憩

 

午後5時10分開議

○議長(内川和久) 会議を再開いたします。

 お諮りいたします。この際、本日の日程をさらに追加し、日程第5、第66号議案、令和3年度中野区一般会計補正予算を先議するに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう議事を進行いたします。

──────────────────────────────

 第66号議案 令和3年度中野区一般会計補正予算

(委員会報告)

 

○議長(内川和久) 日程第5、第66号議案、令和3年度中野区一般会計補正予算を議題に供します。

 

令和3年(2021年)9月14日

 

中野区議会議長 殿

 

総務委員長 ひやま 隆 

(公印省略)

 

議案の審査結果について

 

本委員会に付託された下記議案は、審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので、中野区議会会議規則第78条の規定により報告します。

 

 

議案番号

件    名

決定月日

66

令和3年度中野区一般会計補正予算

914

 

○議長(内川和久) お諮りいたします。上程中の議案に関する委員長報告は、会議規則第40条第3項の規定により、省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、委員長報告は省略いたします。

 本件については、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、これより採決いたします。

 上程中の議案を委員会報告どおり可決するに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

──────────────────────────────

 認定第1号 令和2年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

 認定第2号 令和2年度中野区用地特別会計歳入歳出決算の認定について

 認定第3号 令和2年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について

 認定第4号 令和2年度中野区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算の認定について

 認定第5号 令和2年度中野区介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について

 

○議長(内川和久) 日程第2、認定第1号から認定第5号までの計5件を一括上程いたします。

 理事者の説明を求めます。

〔副区長白土純登壇〕

○副区長(白土純) ただいま上程されました認定第1号から認定第5号までの5件につきまして、一括して説明いたします。

 初めに、中野区一般会計決算について説明いたします。

 令和2年度一般会計の歳入総額は1,863億845万5,871円、歳出総額は1,806億1,572万6,915円で、前年度と比較しますと、歳入で24.3%の増、歳出で27.5%の増となりました。歳入から歳出を差し引いた形式収支額は、56億9,272万8,956円となり、翌年度へ繰り越すべき財源23億741万8,000円を差し引いた実質収支額は33億8,531万956円となりました。

 それでは、歳入につきまして、主な款について説明いたします。

 第1款特別区税は、総額360億8,500万円余で、前年度と比較して13億5,000万円余、3.9%の増となりました。

 第2款特別区交付金は、総額360億2,000万円余で、前年度と比較して24億4,800万円余、6.4%の減となりました。

 第7款地方消費税交付金は、総額69億8,200万円余で、前年度と比較して14億1,800万円余、25.5%の増となりました。

 第9款地方特例交付金は、総額1億8,600万円余で、前年度と比較して4億100万円余、68.3%の減となりました。

 第13款国庫支出金は、特別定額給付金給付事業費補助金の皆増などにより、前年度と比較して368億3,600万円余、137.0%増の総額637億1,700万円余となりました。

 第17款繰入金は、義務教育施設整備基金繰入金の減などにより、前年度と比較して125億3,000万円余、62.6%減の総額74億9,400万円余となりました。

 これらの結果、歳入決算額の予算現額に対する収入率は97.8%となり、前年度より1.7ポイント上がりました。

 次に、歳出につきまして、主な款について説明いたします。

 第3款総務費は、特別定額給付金の皆増などにより、前年度と比較して332億7,700万円余、485.6%増の総額401億3,000万円余となりました。

 第5款子ども教育費は、小中学校施設整備費や民間保育施設への給付費の増などにより、前年度と比較して73億6,100万円余、15.7%増の総額541億6,300万円余となりました。

 第7款健康福祉費は、中野区立総合体育館整備費や定期予防接種委託費の増などにより、前年度と比較して33億700万円余、10.1%増の総額359億1,700万円余となりました。

 第8款環境費は、東京二十三区清掃一部事務組合への分担金の増や集団回収事業者に対する維持対策支援金の皆増などにより、前年度と比較して2億3,900万円余、4.9%増の総額51億2,200万円余となりました。

 第10款まちづくり推進費は、中野駅西側南北通路・橋上駅舎支障移転工事費の増などにより、前年度と比較して27億7,300万円余、72.3%増の総額66億1,000万円余となりました。

 これらの結果、歳出決算額の予算現額に対する執行率は94.8%となり、前年度より4.0ポイント上がりました。

 この歳出決算額を性質別にみますと、人件費、扶助費及び公債費を合わせた義務的経費は662億7,300万円余で、前年度と比較して3.7%の増となりました。また、投資的経費は、321億3,300万円余で、前年度と比較して22.1%の増となりました。

 なお、令和2年度決算では、実質収支額が33億8,500万円余となり、前年度決算に比べ11億500万円余の増となりました。

 令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響による減収を考慮し、事業の実施時期等の見直しを行い、歳出抑制を図る等、持続可能な安定した行財政運営に努めました。

 一方で、これまで進めてきたまちづくりの取組を引き続き推進するとともに、妊娠・出産・子育てトータルケア事業の推進、区立学校の体育館冷暖房化などの学校環境の改善、英語教育の充実や教育のICT環境整備、地域の防災・安全の推進など、幅広く取り組みました。今後も新型コロナウイルス感染症の影響により歳入の状況が不透明の中、超高齢社会への対策、子育てサービスの質の向上、老朽化した公共施設の建て替えや大規模改修など歳出の増加が見込まれます。

 持続可能な区政運営を確保し、区民満足度の高い区政を維持するため、基金や起債をバランスよく活用し、将来を見据えた財政運営を行っていく必要があると考えています。

 以上が一般会計決算の説明です。

 続きまして、中野区用地特別会計決算について説明いたします。

 歳入歳出の決算額は同額で、101億7,951万8,380円、前年度と比較しますと、歳入歳出ともに266.7%の増となりました。

 歳入は、第1款財産収入が0円で皆減、第2款繰入金が600万円余で、前年度と比較して1億200万円余、94.5%の減、第3款特別区債が101億7,300万円余で皆増となりました。

 歳出は、第1款公債費が500万円余で、前年度と比較して27億7,000万円余、99.8%の減、第3款用地費が101億7,300万円余で皆増となりました。

 歳入総額及び歳出総額が増となった主な要因は、平和の森小学校移転用地及び道路用地の取得によるものです。

 次に、中野区国民健康保険事業特別会計決算について説明いたします。

 歳入総額は324億6,523万135円、歳出総額は321億2,175万7,286円で、前年度と比較しますと、歳入で2.1%の減、歳出で2.6%の減となりました。

 歳入の主なものは、第1款国民健康保険料が84億6,600万円余で、前年度と比較して3億2,300万円余、3.7%の減、第4款都支出金が195億8,100万円余で、前年度と比較して1億1,800万円余、0.6%の減となりました。第5款繰入金が38億3,300万円余で、前年度と比較して6億円余、13.5%の減となりました。

 歳出の主なものは、第2款国保給付費が190億6,000万円余で、前年度と比較して4億2,400万円余、2.2%の減、第3款国保事業費納付金が118億4,200万円余で、前年度と比較しまして4億400万円余、3.3%の減となりました。

 次に、中野区後期高齢者医療特別会計決算について説明いたします。

 歳入総額は70億5,866万8,175円、歳出総額は69億8,781万3,875円で、前年度と比較しますと、歳入で0.4%の減、歳出で0.5%の減となりました。

 歳入の主なものは、第1款後期高齢者医療保険料が39億7,500万円余で、前年度と比較して6,100万円余、1.6%の増、第2款繰入金が28億8,600万円余で、前年度と比較して1億700万円余、3.6%の減となりました。

 歳出の主なものは、第1款広域連合納付金が68億8,200万円余で、前年度と比較して3,900万円余、0.6%の減となりました。

 最後に、中野区介護保険特別会計決算について説明いたします。

 歳入総額は236億7,022万6,983円、歳出総額は231億5,084万9,688円で、前年度と比較しますと、歳入で2.4%の増、歳出で1.6%の増となりました。

 歳入の主なものは、第1款介護保険料が47億6,400万円余で、前年度と比較して1億1,300万円余、2.3%の減、第3款国庫支出金が54億6,800万円余で、前年度と比較して2億4,100万円余、4.6%の増、第4款支払基金交付金が58億9,800万円余で、前年度と比較して1億2,400万円余、2.2%の増、第5款都支出金が32億6,300万円余で、前年度と比較して4,200万円余、1.3%の増となりました。

 歳出の主なものは、第1款制度運営費が、6億800万円余で、前年度と比較して8,200万円余、12.0%の減、第2款保険給付費が205億3,900万円余で、前年度と比較して3億3,400万円余、1.7%の増、第3款地域支援事業費が14億6,100万円余で、前年度と比較して1億3,800万円余、8.7%の減となりました。

 以上、令和2年度の各会計決算について説明いたしました。

 なお、詳細につきましては、あらかじめ送付いたしました「中野区各会計歳入歳出決算書」、「各会計事項別明細書」及び「各調書」、「主要施策の成果」並びに「中野区各会計歳入歳出決算説明書」によりまして御確認いただきたいと思います。

 また、監査委員におかれましては、本決算につきまして慎重に審査をいただき、別冊のとおり、「中野区各会計歳入歳出決算審査意見書」及び「中野区基金運用状況審査意見書」の提出をいただきました。御指摘のあった点については十分に対処していく所存です。

 最後になりましたが、ここに令和2年度決算につきまして、議会の認定をお願いする運びになりましたことは、区議会の適切な御指導と御協力によるものと深く感謝申し上げる次第です。

 以上、認定第1号から認定第5号までにつきまして、よろしく御審議の上、御認定くださいますようお願い申し上げ、令和2年度中野区各会計決算の説明とさせていただきます。

○議長(内川和久) 本件について御質疑ありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。

 上程中の認定第1号から認定第5号までの計5件は、議員全員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに審査を付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(内川和久) 御異議ありませんので、さよう決定します。

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 中野区の財政の健全化判断比率について

 

○議長(内川和久) 日程第3、中野区の財政の健全化判断比率について報告いたします。

 本件については、地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項の規定に基づき、区長から9月10日付のお手元の文書のとおり報告がありましたので、さよう御了承願います。

 

3中総総第2005号

令和3年(2021年)9月10日

 中野区議会議長 内 川 和 久 様

中野区長 酒 井 直 人

中野区の財政の健全化判断比率の報告について

 地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項の規定により、別添のとおり報告します。

 

○議長(内川和久) 本日はこれをもって散会いたします。

午後5時27分散会

 

 

 

会議録署名員 議 長 内川 和久

 議 員 甲田 ゆり子

       議 員 中村 延子