1.平成23年(2011年)12月1日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(41名)
1番 若 林 しげお 2番 高 橋 かずちか
3番 木 村 広 一 4番 甲 田 ゆり子
5番 小 林 ぜんいち 6番 中 村 延 子
7番 石 坂 わたる 8番 後 藤 英 之
9番 石 川 直 行 10番 内 川 和 久
11番 ひぐち 和 正 12番 いでい 良 輔
13番 白 井 ひでふみ 14番 平 山 英 明
15番 南 かつひこ 16番 森 たかゆき
17番 いながき じゅん子 18番 林 まさみ
19番 小宮山 たかし 20番 浦 野 さとみ
21番 伊 東 しんじ 22番 佐 野 れいじ
23番 北 原 ともあき 24番 吉 原 宏
25番 小 林 秀 明 26番 久 保 り か
27番 酒 井 たくや 28番 奥 田 けんじ
30番 金 子 洋 31番 長 沢 和 彦
32番 大 内 しんご 33番 伊 藤 正 信
34番 高 橋 ちあき 35番 市 川 みのる
36番 篠 国 昭 37番 やながわ 妙 子
38番 佐 伯 利 昭 39番 むとう 有 子
40番 か せ 次 郎 41番 来 住 和 行
42番 岩 永 しほ子
1.欠席議員(1名)
29番 近 藤 さえ子
1.出席説明員
中 野 区 長 田 中 大 輔 副 区 長 金 野 晃
副 区 長 阪 井 清 志 教 育 長 田 辺 裕 子
政 策 室 長 竹 内 沖 司 経 営 室 長 川 崎 亨
都市政策推進室長 遠 藤 由紀夫 地域支えあい推進室長 長 田 久 雄
区民サービス管理部長 登 弘 毅 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 村 木 誠
健康福祉部長 田 中 政 之 保 健 所 長 田 原 なるみ
環 境 部 長 尾 﨑 孝 都市基盤部長 服 部 敏 信
政策室副参事(企画担当) 小 田 史 子 経営室副参事(経営担当) 髙 橋 信 一
1.本会の書記は下記のとおりである。
事 務 局 長 篠 原 文 彦 事務局次長 石 濱 良 行
議事調査担当係長 佐 藤 肇 書 記 関 村 英 希
書 記 河 村 孝 雄 書 記 東 利司雄
書 記 丸 尾 明 美 書 記 土 屋 佳代子
書 記 鳥 居 誠 書 記 細 川 道 明
書 記 岡 田 浩 二 書 記 鈴 木 均
書 記 永 見 英 光 書 記 竹 内 賢 三
議事日程(平成23年(2011年)12月1日午後1時開議)
日程第1 第85号議案 中野区行政財産使用料条例の一部を改正する条例
午後1時00分開会
○議長(大内しんご) ただいまから平成23年第4回中野区議会定例会を開会いたします。
本日の会議を開きます。
会議録署名員は会議規則第121条の規定に基づき、議長から御指名申し上げます。
4番甲田ゆり子議員、39番むとう有子議員にお願いいたします。
次に、会期についてお諮りいたします。
本定例会の会期は、本日から12月14日までの14日間といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大内しんご) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、伊東しんじ議員、白井ひでふみ議員、岩永しほ子議員、酒井たくや議員、石川直行議員、佐野れいじ議員、小林ぜんいち議員、金子洋議員、森たかゆき議員、後藤英之議員、内川和久議員、南かつひこ議員、ひぐち和正議員、高橋かずちか議員、若林しげお議員、むとう有子議員、いながきじゅん子議員、林まさみ議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。
1 社会保障・税一体改革における地方負担について
2 平成23年度事業見直しについて
(1)子ども医療費助成について
(2)眼科検診について
(3)その他
3 中野駅周辺まちづくりについて
(1)シティセールスについて
(2)タウンマネジメントについて
(3)ICT戦略について
(4)その他
4 3ポイント制度について
5 その他
○議長(大内しんご) 最初に、伊東しんじ議員。
〔伊東しんじ議員登壇〕
○21番(伊東しんじ) 平成23年度第4回定例会に当たり、自由民主党議員団の立場で質問させていただきます。
先日、産経新聞の「自助自立」を問うTPPと題した記事の中で、東日本大震災被災地からのニュースについて触れられていました。その記事の一部を御紹介します。
津波で農地の95%以上が被害を受けた宮城県亘理町と山元町の「仙台いちご」の産地が今季初のイチゴ出荷にこぎ着けたという。農家が結束し、遊休農地を借り上げてゼロから再出発して、需要期のクリスマスに間に合わせた。8月に会ったJAみやぎ亘理の岩佐國男組合長は「以前の補助金漬けに戻るつもりはない」と言い、自力再建を掲げてきた。思い起こすのは、関東大震災直後、直ちに「帝都」の大復興を設計した後藤新平内相兼帝都復興院総裁が盛んに説いた「自助自立」である。その精神は日本人に脈々と受け継がれ、大震災の東北で発現しているようで、「仙台いちご」の復活にいささか感動を覚えるとあり、結びに、TPP参加に向けては政府の内需拡大策とあわせて国民の自助自立の精神を引き出すことの重要さを説いていました。
事はTPPへの参加だけではありません。日本を覆う震災復興、円高、デフレ、雇用の流動化、膨らむ社会保障費など、これら課題に対して、国のみならず地方自治体、すべての産業、企業、国民が自助自立の精神に立ち、汗を流して取り組んでいかなければならないと自由民主党は考え、訴えます。
さて、中野区では職員の削減、組織の見直し、効率的な事業実施への取り組みが行われてきましたが、残念なことに、不況や少子・高齢社会の本格化に伴い扶助費の増加は続き、結果、財政の硬直化を招いてきました。そして、景気低迷による歳入減から、生活・健康福祉・教育など、これまで区独自に行ってきた支援策をゼロベースから見直す案が、先日、平成24年度に取り組む事業案とともに区民・議会に示されました。この事業の取り組み・見直し案について、我が自由民主党議員団は、今定例会本会議、委員会審議を通じ自助自立の精神に立脚し、真に必要な行政サービスについて見解を示し、ただしてまいりたいと考えております。
皮切りの一般質問では、歳出の実態・歳入の改善について佐野議員、中部すこやか福祉センター・地域スポーツクラブの検証については内川議員、同事業の南部での展開並びに整備の発表があった特養施設についてはひぐち議員、子育て・教育については高橋議員、若林議員がそれぞれ質問してまいります。
そして、最初に質問させていただく私は、通告どおり、1、社会保障・税一体改革における地方負担について、2、平成23年度事業見直しについて、内訳は子ども医療費助成について、眼科検診について、3、中野駅周辺まちづくりについてにおきましては、シティセールスについて、タウンマネジメントについて、ICT戦略について、4、3ポイント制度の導入について、その他はございません。
区長、理事者の皆様におかれましては、自由民主党議員団の意を十分にお酌みいただき、御答弁いただくとともに、中野区の行政サービス改善につなげていただけるようお願いいたします。
1項目め、社会保障・税一体改革における地方負担について伺います。
さきの第3回定例会で指摘したように、中野区でも税の滞納、国民健康保険料の未納、療養給付費や介護給付費、生活援護費の増加が財政を悪化させています。特に中野区においても5,600を超える世帯が受給する生活保護制度は、受給者数が全国で205万人を超え、国と地方を合わせた支出が3兆円を超え、社会問題として大きくクローズアップされています。暮らしに困った世帯にお金やサービスを支給し支援する、同時に職探しや職業訓練などによる自立促進を目指す最後のセーフティーネットの生活保護制度が財政を疲弊させています。生活保護制度に限らず、雇用保険、年金、医療・介護保険など、あらゆる社会保障制度も疲弊し、その改革は急務です。
政府はようやく社会保障・税一体改革大綱の年内取りまとめへと動きを急ぐようになりました。大綱のベースとなる社会保障・税一体改革成案では、中規模・高機能な社会保障の実現に向け、子ども・子育て支援、医療・介護等のサービス改革、年金改革、就労促進、貧困・格差対策、低所得者対策に優先的に取り組むとし、社会保障・税にかかわる共通番号制度導入と安定財源確保に消費税率の段階的引き上げを示しております。
成案では、社会保障全体に要する費用は改革による充実や自然増を含め、2015年度、41兆円を超えると推計しています。しかし、この推計には社会保障に関連する地方単独事業の4から8兆円に及ぶ支出は含まれていません。一方、財源とされる消費税収は、国・地方合わせて現在12.8兆円、2015年度の推計でも13.5兆円です。そのため、成案では2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げるとしています。しかし、地方単独事業分も含む最大49兆円にも及ぶ社会保障費は、税率10%で27兆円程度にしかならない消費税で賄い切れず、残る20兆円余の財源は示されないまま、当面の安定財源確保のため税制改正を急いでいるのが実情と考えます。財源とされる消費税10%では、今まで地方の一般財源とされてきた現行の地方消費税、地方交付税分を合わせた2.18%が含まれ、引き上げ分5%の地方配分を含め、国・地方の間であつれきが生じています。また、児童手当の増額給付分の地方負担増でも議論が紛糾しています。
改革の早期実現には具体策を示し、与野党・地方自治体を交え集中協議を行い、社会保障の現場を担う地方自治体の役割、財政負担を明らかにする必要があります。区長のお考えをお尋ねします。
続いて、2項目め、平成23年度事業見直しについてお尋ねいたします。
最初に、子ども医療費助成について。
我が会派は、増加傾向にある国民健康保険事業特別会計への繰出金について懸念を抱き、対応を求めてまいりました。その主な要因は、被保険者の高齢化などによる医療給付費の伸びや、保険料収納率の低迷によるところですが、高額療養費などの増加や重複診療や安易な受診などの課題もあります。
現在、中野区ではゼロ歳から中学3年に至る子どもが都内で受診した際に支払う医療費のうち、保険診療の自己負担分を医療証の発行により保護者の所得制限なく現物給付を行っています。子どもは容易に病気、けがなどに陥り、その頻度も高いこと。そうした年齢の子どもの保護者の所得は総じて低く、医療費の負担が家計に与える影響が大きいことから、子ども医療費助成の必要性は私たちが主張するところです。しかし、医療証の提示だけで窓口負担がなくなることにより受診頻度が増加し、国保会計を圧迫していませんか。また、高額所得のある保護者にまで助成が必要でしょうか。
そこでお尋ねいたします。助成による子ども医療費無償化で子どもの受診回数に変化が生じていませんか。生じているのなら、その対策をどう考えますか。あわせて助成に対する保護者の所得制限について、区のお考えをお尋ねいたします。
続いて、眼科検診についてお伺いいたします。
先ほども指摘したように、療養給付費は年々増加しており、国民健康保険料も上昇を続けています。国民健康保険事業の安定的運営と被保険者の負担抑制に向けては、検診と予防を効果的に行う必要を感じますし、厚労省、健保連も「予防医学により、医療費を下げる」という大々的なキャンペーンを行っております。
事業見直し案では、平成3年より実施されてきた50・55・60・65歳の節目ごとの眼科検診の廃止が示されました。眼科検診受診者の多くが何らか目に異常を感じての受診の実態を考えると、廃止については一定理解するところです。しかし一方で、近年、30代、40代の若年の方の緑内障、網膜症、黄斑変性症の発症が増加傾向にあるとの指摘もあり、実際に40歳以上の17人に1人が緑内障とのデータがあります。また、中途失明者の原因の1位が緑内障、2位が糖尿病性網膜症であり、視力障害による経済的損失は8.8兆円にも及ぶとの試算があります。とりわけ働き盛りの人の中途失明は、家庭、職場に与える影響が大きく、経済的損失も大であります。このことをかんがみ、若い方にこそ眼科検診の必要性があると私どもは考え、その対策を求めます。区の御見解を伺います。
続いて、3項目め、中野駅周辺まちづくりについて伺います。
警察大学校等跡地の再開発を機に、中野区は中野駅周辺で東京の新たなエネルギーを生み出す活動拠点づくりを目標に、新時代にふさわしい都市基盤の整備と活力やにぎわいを生み出す機能、環境アメニティ、先端的な情報基盤などの形成を将来像としています。その再開発も駅地区の第1期工事が始まり、24年には(仮称)中央部防災公園が完成、続いて2棟の業務・商業ビルも完成し、その後、順次三つの大学施設も完成します。再開発の始動により多くの区民、来街者、あるいは中央線を利用する乗客は、中野で何が始まるのだろう、どんなまちになるのだろうと関心を寄せているのではないでしょうか。また、先端的な情報基盤とはどんなものなのか、このまちで何ができるのだろうかと関心を寄せる人も少なからずいると思います。しかし、多くの関心に対する積極的なシティセールスの取り組みや、将来像の具現化への取り組みがおくれていると感じます。
そこで、最初にシティセールスについて伺ってまいります。
先日、日本経済新聞に「生まれ変わる中野駅前・職住近接の公園都市へ産学公の連携加速」という新聞社クロスメディア営業局企画・制作の見開き全面広告が掲載されました。紙面の半分は東京建物が開発を進める2棟の建物のPRがされ、残り半分では中野駅周辺まちづくりの概要、進出する大学の紹介に加え、区長のコメントが掲載されていました。中野駅周辺まちづくりがこれほど大々的に一般紙に取り上げられた記憶は私にはございません。
さきにも触れたように、開発が進むにつれ、区民のみならず来街者、中野駅を電車で通過する人々の関心は高まるばかりです。今、開発の先陣を切る四丁目地区においては、将来像を共有し、実践に取り組む多くの企業の参加と生まれ変わる中野を体感しに訪れる人々を呼び込むために、中野区は積極的かつ集中的にシティセールスを進めるべきではないでしょうか。ホームページ、庁舎・サンプラザの壁面や新北口広場への広告掲示など、あらゆるスペース・媒体を使い中野駅周辺まちづくりをアピールすることが今後のまちづくりの進展や区のイメージアップにつながり、にぎわいを創出することにつながると思います。区の見解をお伺いいたします。
続いて、タウンマネジメントとICT戦略をまとめて質問いたします。
先ほど紹介した日本経済新聞の広告に区長は、「中野の価値を高めるため、まち全体のタウンマネジメントやIT基盤整備などに行政として協力したい」とコメントされています。駅周辺まちづくりでは、にぎわいの創出・回遊性の確保のため、タウンマネジメント、IT基盤整備が期待されます。しかし、現在タウンマネジメントの方向性、仕組みは確立されておらず、高度な情報の集積・交流・発信空間を支えるIT基盤整備の内容も示されていません。
そこで、先駆的事例を紹介し、区の見解をお聞きします。
一つは、JR大阪駅北口梅田貨物駅跡地24ヘクタールの1区画で進行している「グランフロント大阪」という再開発プロジェクト。このプロジェクトの柱の一つに知的創造拠点、ナレッジキャピタルの形成があります。ナレッジキャピタルは、企業、研究者、クリエーターが世界の「感性」「技術」を持ち寄り、交わり、コラボレーションすることで常に新たな価値を生み出し発信を続けようとする試みで、「あつまる・つくる・みせる・まじわる」をキーワードに、サロン・ラボオフィス・ショールーム・プラザなどを超高層ビル群足元の複合施設に集約しています。
注目すべきは、開発着工の1年前からタウンマネジメントを目的に開発参加事業者12社を株主とし、独立行政法人情報通信研究機構理事長の宮原秀夫氏をエグゼクティブアドバイザーに迎えた特定目的会社ナレッジ・キャピタル・マネジメントを設立し、工事中からさまざまな情報発信・マネジメントに取り組んでいるところです。中野駅周辺での産学公連携、都市型産業の集積、交流、発信をプロモートするエリアマネジメントの参考になると思われます。
続いては、昨年11月からことしにかけ銀座で東京都と国土交通省が行った実証実験、東京ユビキタス計画・銀座です。実験は、銀座通りや晴海通りの道路や建物、地下通路に固有の識別コード、ucodeを割り当てたユビキタス・マーカーを約400カ所設置、これを専用携帯情報端末ユビキタス・コミュニケーターで読み取り、ローカルのデータベースへの照合、クラウドへの問い合わせを行い、位置情報やお勧め店舗などの付加情報を多言語で利用者に提供するもので、この13日からは専用携帯情報端末にかわりスマートフォンで専用アプリ「ココシル® 銀座」を無料でダウンロードすることで参加可能となり、一部携帯電話でも利用が可能になります。
また、国土交通省はこのシステムを身体的状況、年齢、言語等を問わず、移動経路、交通手段、目的地などの情報を入手できる歩行者移動支援システムに活用しようとしています。
設置されるユビキタス・マーカーはICタグや無線マーカーで、歩道への埋め込みや電柱への取りつけが可能で、割り当てるucodeも単純な数値で、増設やエリア拡大にも容易に対応できます。この点で既存商店街との回遊性・にぎわいの共有やユニバーサル社会への対応を目指すまちづくりでの基盤整備に有効と考えます。
続いて、総務省が取り組む実証実験、ユビキタスマーケットについて。
ユビキタスマーケットは、店舗内にセンサーネットワーク、ネットワークロボット、電子タグ等を設置し顧客属性、動線、購買傾向等のマーケティング情報を取得し、顧客ニーズに沿う情報提供、顧客誘導を行うもので、現在は街区展開が進められています。
中野駅周辺でも事例を参考に、エリア要所に設置した入力・表示端末やスマートフォン・携帯電話への情報の提供や目的地への誘導を行い、同時に顧客のマーケティング情報を得、市場へのフィードバックが可能な仕組みの構築を目指されたらいかがでしょうか。同時に、創出、蓄積したコンテンツ情報の発信やイメージキャラクターによるシティセールスもされてはいかがでしょうか。区役所・サンプラザ、ブロードウェイ、二・三丁目などへのエリア拡張にも柔軟に対応できるものが望まれます。
ビジネスモデルとして確立可能なタウンマネジメントの目標・仕組みを明示し、IT基盤整備に着実に取り組むことが急務です。例示に対し区の見解をお示しいただき、区の構想も御披見ください。
質問最後の項、3ポイント制度について伺います。
ことし7月、原発事故による電力不足を機に、中野区では導入を予定していた3ポイント制度のうち、エコポイントを先行実施しました。残る地域支えあいポイントとお買い物ポイントも来年度実施が予定されています。しかし、いまだその全容が明らかにならず、少しずつ提供される内容を総合しても多くの課題があると感じます。特に、総事業費とその財源については、再三の質問においても示されてきていません。
我が会派としては、制度構築に向け有用な提案や課題点を指摘することで、広がりを持ち、区民に利用される制度へつなげることを求めます。
1、エコポイントについては、ガスの使用量削減についてもポイント付与を検討中とのことですが、関心を示す区民の参加が一巡する数年後には制度の廃止、変更が余儀なくされることが予想される点を改善されたい。
2、地域支えあいポイントについては、対象の一つである地域支えあい活動を理解し、参加する地域団体が少なく、ポイント制度に対するちゅうちょがあること、ポイント管理があいまいになりやすい点の改善が求められます。また、中野区社会福祉協議会において行われている類似の支援事業との整理も必要です。また、特定事業への参加によるポイント付与は、すこやか福祉センターが管理すべきではないでしょうか。なお、町会等が行う見守り活動については、参加団体への助成の増額で対応が望ましいと考えます。
3、お買い物ポイントについては、電子化が進められた際の参加商店の設備投資が課題となるとともに、大型物販店やチェーン展開する飲食店の参加は制度普及に不可欠でありながら、一方の個人店舗等の振興と相反する結果を招きがちとなる課題が包含されるため、より慎重な制度設計が必要と考えます。
以上の点を十分検討、議論をもって慎重に導入を進めるべきと考えます。場合によっては、来年7月とされている残るポイントの実施もおくらせるべきと考えます。御答弁をお願いいたします。
以上をもちまして、私のすべての質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 伊東しんじ議員の御質問にお答えいたします。
まず、社会保障・税一体改革における地方負担についてとの御質問をいただきました。
社会保障・税一体改革は、社会保障の機能強化とともに、国・地方を通じた安定的な社会保障財源を確保するものであり、国と地方が協力して推進すべき課題である、改革であると、このように考えております。この改革を国と地方が一体となって着実に推進していくためには、社会保障における地方が果たしている役割について、国と地方が真摯に協議を行い、認識を共有していく必要がある、このように考えております。地方単独事業を含めて社会保障サービスを持続的に提供できるように、偏在性の小さい地方消費税の充実など安定的な財源確保が不可欠であると、こう考えているところであります。
23年度の事業見直し内容の案につきまして、子ども医療費助成に関連しての御質問がありました。現行制度適用となってから4年以上経過しております。給付額、受診などの給付総件数、児童1人当たりの給付件数など、すべてが微増傾向、激しくはありませんが、増加傾向にあるということであります。その動向を見守っていくことが必要と考えております。今後、子ども医療費助成のあり方について、保護者の実質的な負担の状況や医療給付の適正化などの観点を含め、さらに検証していきたい、こう考えております。
眼科検診の廃止についてという御質問もありました。眼科検診は法律や国の指針などに基づいているわけではなく、区の独自施策として実施してきた事業であります。有所見率が極端に高い年代があるなど検診としての意義に課題がある、そうしたことから、事業の廃止を考えたものであります。今回、新しい考え方での御提案もありましたが、今後、区民や関係機関の意見を聞いた上で、区として決定してまいりたい、こう考えております。
それから、3ポイント制度についての御質問がありました。
エコポイントについてです。エコポイントにつきましては、社会状況や区民の関心を踏まえて、環境行動に対するポイント付与や、既に登録して一定の成果を出した人が、その成果を維持したことに対するポイントの付与など、対象の拡充や基準の見直しを図りながら、区民向けの温暖化対策の有効な手段として多くの区民が参加し、継続的な取り組みに結びつくような仕組みとしていきたいと、こう考えております。
地域支えあいポイントですけれども、町会・自治会の活動を対象とするものについては、引き続き丁寧に説明、協議していく必要があると考えております。ポイント制度の開始時には、直ちにここの部分は導入せず、個人の見守り・支えあいを中心としてスタートすることを検討しているところであります。
それから、3ポイントにつきましてですが、ICカードを利用するような電子データによって管理するという考え方は、制度定着後の次のステップの課題とすることとして、紙媒体による制度の確立を期することといたしております。参加する商店の負担をできるだけ軽減し、参加しやすい制度となるように、中野区商店街連合会等からも意見を聞きながら検討を進めてまいります。
それから、3ポイント制度についてですが、今、御提案がありました趣旨なども踏まえながら、より多くの区民や商店が参加できるよう、十分な検討を行いながら制度構築を図っていきたいと考えております。来年の7月を目標としております実施時期については、これはわかりやすく利用しやすく、また持続可能なポイント制度を構築することを第一に考えているということでもありますので、この実施時期の問題、必要に応じて柔軟に対応してまいりたいと、こう考えております。
また、ポイント制度の目的に合った形での一定の新規収入を財源とするよう制度構築を考えておりまして、財源につきましても、新たな一般財源を投入するということについては、できる限り避けたいと、このように考えております。
私からは以上です。
〔都市政策推進室長遠藤由紀夫登壇〕
○都市政策推進室長(遠藤由紀夫) 私からは、中野駅周辺まちづくりについての御質問にお答えいたします。
まず初めに、シティセールスについてでございます。
中野駅周辺のまちづくりにつきましては、警察大学校等跡地地区や中央部防災公園の愛称募集、都市型産業の振興拠点の開設方針の公表や事業コンペによる事業者募集など、具体的な事業展開の機会をとらえまして、記者会見や区報、ホームページの掲載など情報発信に努めているところでございます。例えば、事業者から提供されましたセントラルパークの1,000平方メートルの活用であります産業振興拠点の事業者募集につきましては、日刊紙4紙に取り上げられ、関心を集めているところでございます。このような成果を上げているところでございます。今後も、まちづくりを進める中でさまざまな広報手段の活用や適切なイベントの実施、まち全体の事業者や関係機関の連携づくりなど、工夫をしながら積極的に中野駅周辺まちづくりについて発信していきたいと考えているところでございます。
続きまして、タウンマネジメント、ICT戦略についての御質問でございます。
質問の中で御紹介いただきました各事例につきましては、それぞれ特色のある取り組みの例として参考にすべき点もあるものと考えております。区といたしましては、中野の特徴や資源を生かしつつ、魅力向上を進めていく中野ならではのタウンマネジメントや、ICTを活用した情報発信などを導入していく必要があると考えているところでございます。
区内産業振興や地域のにぎわい・活性化等を進められるよう、活用すべき情報コンテンツの内容やその配信方法など、中野の発信力を高める取り組みについて検討を行っているところでございます。
以上でございます。
〔伊東しんじ議員登壇〕
○21番(伊東しんじ) 中野駅周辺まちづくりにつきまして、再質問をさせていただきます。
この中野駅周辺まちづくりにおきましては、シティセールス、そしてタウンマネジメント、それから、それらに沿うITCの基盤整備というのは大変重要であり、また、同時に開発がどんどん進捗しているわけでございます。今この段階において、いまだにタウンマネジメントの仕組み、それから取り組み等が示されない。そして、それに伴う基盤の整備も具体的に示されないということを大変遺憾に感じて質問させていただいたわけですけれど、もう少し踏み込んだ御答弁を期待していたわけですけれど、残念ながらその辺がいただけない。要は、いつごろまでを目安に、どういう形でタウンマネジメント、その方向性を打ち出し、それに参画していただける方への呼びかけ、そしてしっかりとした組織の用意、それで、それに基づくIT基盤整備をどう具体的に示していくのか。そういうものは大変重要と私は考えているわけで、もう少し、例えば目標をいつまでにという形、あるいは、それにどういう人たちに協力をしていただくのか、どういうものが、そのためにはいつまでに基盤というものを具体的に示していくことが必要なのか、その辺について御丁寧な御答弁をお願いしたいと思います。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 取り組みがもっと具体的に示されるべきではないかといったような、おしかりの意味も込めての御質問であったと、このように受けとめております。確かに、もう既にセントラルパークについては形も見えてきているということでありまして、来年度には事業が始まる。入居者が入って、そこでのビジネスが始まるということにもなっております。しかしながら、現実にはどういった事業者の方が入居されるのかといったようなことについて、まだ必ずしも定かになっていないところもあります。大学についても、これは内容は決まって、もう既に準備をされているということでありますけれども、そうした区と協力をしていただきます具体的な相手方が明らかになっていくということも見きわめていかなければいけないと、このように思っております。いずれにしましても、区のほうの構想づくりが必ずしも進んでいないと、スムーズに進んでいないということは確かだと思っておりますので、できるだけ早い時期に、そうした新しいこのまちの顔となるさまざまなプレーヤーの皆さんと協力できるような、そうした枠組みの考え方をお示しできるようにして、そうしたことについて、来年度においては、具体的な準備・検討ができるような、そうした形をつくってまいりたい、こう考えております。
○議長(大内しんご) 以上で伊東しんじ議員の質問は終わります。
1 平成23年度事業見直し内容(案)について
2 高齢者等の見守りについて
3 公衆無線LAN整備について
4 障がい者施策について
5 その他
○議長(大内しんご) 次に、白井ひでふみ議員。
〔白井ひでふみ議員登壇〕
○13番(白井ひでふみ) 平成23年第4回定例会に当たり、公明党の立場から一般質問をさせていただきます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。
初めに、平成23年度事業見直し内容(案)についてお伺いいたします。
我が国において、歴史上、類を見ない甚大な被害をもたらした東日本大震災から、早くも9カ月の月日が過ぎようとしています。震災を過去のものとして、日常生活から忘れつつあるような風潮さえ見受けられます。マスコミの一過性とも言うべき報道の鎮静化が大きな要因であると思われますが、被災地の正しい情報を得るために、情報の受け手側である私たちがアンテナを張っておかなければならないと強く感じます。
私自身、被災地支援ボランティアで現地での支援活動に参加させていただきましたが、私の学生時代からの友人は、女性ながら震災直後から今なお毎月二、三回のペースでずっと現地に足を運び、ボランティア活動を継続的に行っています。その友人いわく、「本当に厳しい状況。とんでもない寒さに体だけでなく、心が折れてしまう人が続出するのが怖い」と述べていました。さらに「できることを続けていく、これが大事」と友人は続けます。私たち自身の内にある忘却や、無関心を排して、励ましの絆を何度でも確認していくことが大切であり、公明党として、心して支援に取り組んでまいらなければならないとの決意でおります。
一方、我が国の経済状況に目を向けたとき、震災の影響は色濃くその影を落とし、景気回復の先行きが不透明な状況です。
国外に目をはせれば、欧州を中心とした通貨危機が蔓延し、我が国における急激な円高の引き金となるなど、国内経済の空洞化が懸念されるところです。
中野区においては、景気の後退局面における明年度の区税収入の大幅な減少が想定されます。さらに複数年の想定が必要とも言えます。区は、平成24年度予算編成に向けて、事業全体の抜本的な見直しを行うこととし、これまで、通常の予算編成時の見直しでは踏み込むことのなかった内容を含め、聖域なく事業のあり方を見直し、効率化と財源の確保、将来への備えを行うとしました。
そこで、全体論として、平成23年度事業見直し方針について伺います。
事業計画を策定するに当たっての財源的裏付けを明確にするとの項に、「まちづくりなど大規模な事業にあっては、『基準となる一般財源規模』である650億円に過度な負担を及ぼす事業は原則として実施しない。そのため、事業計画の策定に当たっては、国や都の特定財源、または特別区交付金の財産費等の確保を図るなど、十分な財源的裏付けを持った確実な計画とすること」とあります。
「基準となる一般財源規模」である650億円に過度な負担を及ぼす事業、また、十分な財源的裏付けを持たない計画は、このたびの事業見直し案には示されていませんが、現行の事業には該当する事業がないということでしょうか。また、現下の経済状況において、さらなる精査を要するのではないでしょうか。見解を伺います。
また、駅周辺の再開発等を指して、区の財政運営が非常に厳しい中、あたかも箱もの行政を行っているかのように区民には映ります。また、そのような喧伝を行う政党があります。区民への説明責任を果たすためにも、改めて事業についての説明を求めます。
また、財源的裏付けを持たない事業について、確実な計画とするとありますが、主に一般財源を投入する事業の見直しとして、区が進める地域スポーツクラブの整備事業について、いま一度事業スキームを見直し、財源を確たるものとし、さらに施設整備においても熟慮をめぐらすべきと考えますが、御見解を伺います。
次に、中長期の歳入見通しを確立するとの項には、その趣旨として、特別区民税や特別区交付金の徹底した調査研究による中長期の財政見通しを確立するとありますが、いつまでに中長期の歳入見通しを確立する予定なのか、お伺いいたします。
同じく、将来の事業の拡大や変容との項には、高齢化や少子化の対策、障害者支援などの施策は必要な事業であり、一般財源が減収になるからといって、すぐに取りやめることはできない。(中略)その将来見通しを的確に把握することとあります。将来見通しをこれから把握しようとする中で、高齢者、子育て、障害者施策の見直し案が示されているのはどのようなことを意味するのか、お考えをお伺いいたします。
まちづくり・まちおこしで収入を増加させるとの項には、大規模なまちづくり事業の進展や、それに連動するまちのにぎわい創出事業などにおいて、消費や税の経済効果を的確に把握することとあります。現状において、消費や税の経済効果の見通しについて的確に捉えられておらず、これから捉えるという意味でしょうか。見解をお尋ねいたします。
次に、各論として、個々の事業見直し内容(案)についてお伺いします。
社会科見学・遠足代公費負担及び就学援助について伺います。
就学援助の基準について、現行の制度を23区で比較した場合、中野区は23区の中で、その支援の手厚さは真ん中あたりに位置します。しかしながら、社会科見学・遠足代を全額公費負担としてきたことで、就学援助の基準が低くとも支援策を講じてきたとも言えます。このたびの就学援助の認定基準を引き下げ、生活保護基準額倍率を1.15倍に変更すれば、23区中下位に位置するばかりでなく、社会科見学・遠足代全額自己負担とすれば、さらに重い負担となってしまう収入層を生んでしまいます。よって、社会科見学・遠足代公費負担及び就学援助について現状を維持すべきと考えますが、改めて熟慮を求めますが、いかがでしょうか、お伺いします。
次に、休日保育について伺います。
休日保育事業のうち、年末の12月29、30、31日を廃止すると、年末保育事業と重ならない12月31日についての施設による保育サービス事業の提供がなくなり、保育事業の手段としては、ファミリーサポートに頼らざるを得なくなってしまいます。年末の年の瀬に施設を追い立てることがないように、12月31日に年末保育実施の4園の中で開所園を設けるべきであると考えますが、見解を伺います。
次に、母子家庭自立支援給付、高等技能訓練促進費について伺います。
母子家庭自立支援、高等技能訓練給付金は、国の経済対策により、修業期間の全期間を支給期間とし、今年度末までに修業を開始した場合まで適用することとなっていますが、来年度以降は未定で、国の支援が終了した場合、修業期間の後半の2分の1の支給となるおそれのある制度です。資格取得による就職率が極めて高いと聞きますが、事業実績を伺います。また、自立支援本来の目的にかなう制度であり、仮に国の支援が終了したとしても、区として独自の支援策を検討すべきと考えますが、御見解を伺います。
次に、障害者通所施設利用者食費負担軽減支援について伺います。
調理室を完備した施設での給食サービスには、国の支援が従来より設けられてきました。一方、調理施設がなく、お弁当による施設には国の支援がないため、これまで区が単独で支援を行ってきたことを高く評価します。しかしながら、国の動向は給食への支援の取りやめがなされる可能性があり、これを機に、区もお弁当への支援を取りやめることにより、給食、お弁当の施設の双方の均衡を保つという施策は承知しかねます。仮に国の支援がなくなった場合においても、給食、お弁当の双方への支援策を区として検討すべきと考えますが、御見解を伺います。
次に、高齢者自立支援住宅改修について伺います。
台所とトイレの改修限度額の引き下げ額は、平均の支給実績から判断しても同等程度であり、うなずけるものがありますが、浴室の改修限度額の引き下げ額は支給実績を大きく下回ります。改修において、自己負担が大きくのしかかるような限度額の引き下げは改めるべきと考えますが、御見解を伺います。
次に、人工肛門(消化管ストーマ)用装具等購入費助成についてお伺いします。
障害者手帳の交付を受け、日常生活用具給付制度の対象者となれば、法内制度としての支援となるため、障害者手帳の交付を勧めることは認めるところですが、当該制度を廃止することになれば、障害者手帳の申請から交付までの1カ月余り、この期間の支援がなくなってしまうこととなります。これまでどおり、障害者手帳の申請から交付までの切れ目のない助成を継続すべきと考えますが、御見解を伺い、この項の質問を終わります。
次に、高齢者等の見守りについてお伺いします。
現在、区で検討が進められている3ポイント制度のうち、「地域支えあいポイント制度」について伺います。
地域支えあいポイントについては、議会においても、その制度設計について多くの議員が質疑に取り上げているところです。制度設計の全容、また詳細が明示されておらず、明年7月、実施時期が近づいています。支える人のどのような行動に対して何ポイントの支給対象とするのか。そもそも、支えを必要とする人が持つポイントを幾らと積算するのか。支えを必要とする人のニーズにこたえる制度を構築できるのか。支える側の団体や、特に個人へのポイント給付についての行動確認をいかにするのか。疑問点は多々ありますが、今定例会に検討状況の報告を行うと伺っておりますので、詳細の質疑は別の機会に譲りますが、総じて、いまだ疑問をぬぐえないものがあります。
人と人とのつながりによる地域の支えあい活動の一層の推進を図ることは大事な施策です。反面、制度設計においては緻密な設計を要します。制度のスケジュールだけが先行することのないように、明年7月の実施を遅らせることも視野に入れ、支える人、支えを必要とする人の利便性を第一義に、制度の検討をすべきと我が会派においても考えますが、改めて見解をお伺いします。
また、さきに述べたように事業計画の策定に当たっては、十分な財源的裏付けを持った確実な計画とする必要があると考えます。
本年6月15日に可決成立した「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」に基づいて、介護予防・日常生活支援総合事業が創設されました。この事業は、区の判断により、地域支援事業において、介護における要支援者、また要支援と非該当を行き来する状態にある2次予防事業対象者に対して、切れ目のない総合的なサービスを提供すること。また、虚弱、引きこもりなどの介護保険適用に結びつかない高齢者に対し、円滑にサービスを導入すること。自立や社会参加意欲の高い高齢者に対し、社会参加や活動の場を提供することとの利用者の状態像や意向に応じて、予防給付での対応、または新たな総合サービスを利用するとの区分により、区の負担が12.5%、または20%の負担で運用できるものとなります。
介護保険事業費のうちの地域支援事業費の内訳や、介護保険制度における保険料など検討を重ねるべき事項があるものの、この新設された介護予防・日常生活支援総合事業を活用すれば、区が進める地域支えあいポイント制度の大きな財源確保につながると考えます。区として、財源確保の観点からも制度の活用を検討すべきと考えますが、見解を伺い、この項の質問を終わります。
次に、公衆無線LAN整備について伺います。
これまで公衆無線LAN整備については、我が会派として幾度となく質疑で取り上げてきたところです。2010年を指して、おおむねスマートフォン元年と評されますが、スマートフォンをはじめとした携帯端末の普及は目覚ましく、これら携帯端末のほとんどに無線LANの機能が付加されており、無線LANの環境にあれば、いつでもインターネットに接続することが可能です。公衆無線LAN整備による新たな情報のインフラの上に成り立つ事業は、まちの活性化や産業振興、商店街の振興、観光施策等々さまざまな可能性を秘めています。また、東日本大震災において、インターネットを活用した情報発信が有効であることが確認され、災害発生時の活用やデジタルサイネージとの連携・活用も再確認されているところです。特にツイッターをはじめとしたソーシャルメディアについては、震災以降、国、地方公共団体等における利用が増加していることから、経済産業省等が、公共機関が利用する際の指針を示しているほどです。
この公衆無線LAN整備の出発点は、我が区においては、やはり中野駅周辺地区になろうかと思います。改定作業中の中野駅周辺グランドデザインVer.3の素案においても、ICTを活用した情報先進都市の項に無線LAN整備についての検討が出されています。公衆無線LAN整備をより具体的に進めるために、財源的裏付けとして、中野駅周辺地区の再整備における社会資本整備総合交付金の活用がなされていますが、この基幹事業分とは別に、効果促進事業分などを活用することにより、無線LAN整備事業分を捻出することが可能になると考えます。
中野駅周辺地区の整備において、公衆無線LAN整備を効果促進事業分などを財源として活用することにより推進すべきと考えますが、御見解を伺い、この項の質問を終わります。
次に、障がい者施策について、2項目伺います。
一つには、視覚障害者等の情報取得支援、音声コードについて伺います。
この音声コードについては、平成19年、私が初当選後、初めての本会議での質疑で取り上げさせていただいた項目です。音声コードとは、しゃべる印刷物として、紙に掲載された文字情報をデジタル情報に変換し、縦横わずか18ミリ四方に約800文字のデータが記録できます。見た目はQRコードに似ています。さらに、この音声コードを作成する有償、無償のソフトが提供されており、マイクロソフトのワードにインストールすることで作成が可能となり、プリンターでの出力が可能です。
視覚障害者の点字識字率は1割程度であり、大半の人々が点字を読めない状況にあります。また、日常生活に必要な情報の取得や、プライバシーに関する情報の取得が大変困難な状況です。視覚障害者及び文字が読みづらい方々の情報格差の解消、情報のバリアフリー化を推進するための一助となるのがこの音声コードです。
視覚障害者の情報取得、意思疎通に大きく寄与する手段として、平成15年度から、日常生活用具の給付種目に音声情報を読み上げる視覚障害者用活字文書読み上げ装置が導入されました。本年の4月に、携帯電話にこの音声コードを読み取る機能が搭載された機種がドコモより発売されました。従来の読み取り機に比べて、安価で携帯サイズとなっております。明年4月にはauから、9月からはソフトバンクから携帯機種が発売予定となっています。また明年からは、公的年金の明細である年金定期便にこの音声コードが添付されることとなっています。
現在、中野区においてこの音声コードが添付されている書類は、「障害者福祉のしおり」ただ一つだけです。質疑当時、区長より、区としてもさまざまな印刷物等に掲載することなど進めながら、拡大を図っていきたいというふうに思っておりますとの答弁がありましたが、改めて御見解を伺います。
また、自治体の職員の音声コードの研修開催には、本年度は国の予算活用が可能でありましたが、中野区においては実施されておりません。明年度において研修の実施に努めるべきと考えますが、御見解を伺います。
さらに、視覚障害者がこの携帯電話を使用して音声コードを読み取る場合、携帯を固定する台座が必要となります。携帯電話ともども、区として日常生活用具の対象用具としての検討をすべきではないかと考えますが、御見解を伺い、この項の質問を終わります。
二つには、療育センターアポロ園での子育て支援の充実について伺います。
区立療育センターアポロ園は、平成22年4月から、新たに社会福祉法人全国重症心身障害児を守る会の運営により、さまざまな発達上のつまずきを持つ乳幼児のお子さんや、その保護者に対して、家庭や地域の中でともに生活できるよう援助していくことを目的に、江古田四丁目に開設されました。
先日、我が会派でアポロ園を訪問させていただき、施設を見学、職員の方たちとも懇談をさせていただく機会をいただきました。「最も弱い者を一人も漏れなく守る」という会の理念と今まで培ってきたノウハウを持ち、通園してくる中野区の子どもたちのために、充実した療育に取り組んでいることがうかがえました。民営化への懸念を示された方々にも、守る会のアポロ園の運営については理解を得られていることと感じます。幾ら高いノウハウを持っていたとしても、障害児を抱え育児をしている保護者のさまざまな悩みにすべてこたえていくというのは、容易ではありません。
保護者の方々からは、中野区の保育園や幼稚園、区立小学校の情報が欲しい、「福祉のてびき」など、区の発行しているものがすぐに施設に届くようにしてほしいとの要望がありました。また、母親の育児不安などに対し、気軽に相談できるようにしてほしいという強い要望も聞かれます。
療育が必要な児童を育てながら、お母さんたちが情報収集や相談に出かけていくのは大変負担の大きいことです。例えば、アポロ園にすこやか福祉センター等から出向し、保護者や園に対して情報提供を行う、また、区立保育園と連携を図り、保護者がアポロ園に通園している時間内に子育て相談を行うなど、療育センターアポロ園に通園する児童と保護者に対し、区としてサポート体制を強化すべきと考えますが、伺います。
療育の必要な児童を育てる家庭への支援の充実について、区の御見解を伺い、私のすべての質問を終わります。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 白井議員の御質問にお答えいたします。
事業見直し方針についての御質問です。
基準となる一般財源に過度な負担を及ぼす事業ということについての御質問でした。一般財源規模650億円ということにつきましては、歳入の動向などから、ある程度、中長期に見た歳入の動向などから見て650億円というものを見定め、守るべき基準と考えているところですが、歳出のほうの圧力はまた全く別の要素から出てくるということがあります。扶助費の急増が加速しているということもありまして、この650億円を歳出の側で守っていくということについては、これを超えていくという圧力が極めて高いと、このように感じているところであります。その一方で、歳入の規模は減少の傾向が強く、財政運営の見通しというのは、これは極めて難しいものになってきている。これが正直な現状だと思っております。
そうした中でも、将来に向けて必要な取り組みについては、やはり何らかの形で確保していかなければならない、こう考えております。長期に整備が必要であったり、あるいは将来を見据えた都市基盤整備などについては、国や都の交付金など、大型の投資をするための仕組みというものが用意されているわけであります。そうしたことを十分に見きわめながら、中野区として将来に備えたまちづくりということについては、着実に行うべきものは行っていくというふうに考えております。しかしながら、現在の財政状況、経済環境ということを考えると、やはりその一般財源が限りがあるというような状況でありますので、事業の延伸とか、あるいは時期を繰り延べるとかというようなことも場合によっては必要となってくることもあるだろう、このように考えております。
現在、これから予算編成を具体的に詰めた作業でやっていくわけでありますので、そうした中で着実に進められる事業は何であるのか、あるいはどこまでできるのかといったようなことについても精査をしていきたい、こう考えているところであります。
地域スポーツクラブの整備についてであります。
これについて、整備の財源はできるだけ国の財源、国の補助金等特定財源を確保する努力を積極的にしていきたいと、このように考えているところでもあります。また、27年度開設予定の(仮称)南部地域スポーツクラブにつきましては、これは富士見中跡施設に整備する複合施設でありますので、一体として歩調を合わせて整備することが合理的だと、こう考えているところです。
この地域スポーツクラブについてですけれども、区民の健康づくりや体力づくり、また学校運動部活動の支援、それからスポーツの指導力、競技力の向上といったようなことを総合的に推進して、これまで区が行ってきた健康づくり事業や介護予防事業等を積極的に担って、医療費や介護費等の削減を期待していきたいと、このように考えております。健康づくり、介護予防の積極的に前に進み出る事業ということを実現できるスキームとしてつくっていきたいと思っておりまして、地域スポーツクラブの整備につきまして、これは着実に進展させたい、このように考えているところです。
それから、中長期の歳入見通し、いつまでに確立させるのかと、こういうことであります。
現在、5カ年の歳入歳出の動向を見きわめながら予算編成を行っているところです。5カ年ということで一定の想定をするわけですが、現在の経済状況の中で長期の見通しを立てると、このことについて私は大変難しいものだと実感しているところです。予算案とともに5年間を見通した財政運営の考え方をお示ししたいと思っております。その中で長期的な展望について、その時点での一定の考え方というようなことでお示ししていくことになるというふうに考えております。
それから、事業見直しの対象及びタイミングについて。高齢化や少子化など、やめることはできない。将来についてもこれから見通しを把握しなければいけないという中で、見直しを示すというのはどういうことなのかといったような御質問であったと受けとめております。
財政問題とは別に、高齢化や少子化などの課題に着実に対応していかなければならない、私たちはそうした状況にもあると、こう考えているところです。需要が増えることが予想される将来の課題にも対応するためには、現在の事業について、給付の減や対象の見直しなども含めて、可能な範囲でぎりぎりの見直しを行うということも必要である、こう考えているところです。
それから、まちづくり・まちおこしで収入を増加させる、そうした経済効果をどう把握しているのかと、こういうことです。新しい中野をつくる10か年計画では、中野駅周辺まちづくりに伴って見込まれる流入人口増の推計をもとに、区内商業の年間商品販売額の見込みを一つの目標として示しているところです。事業見直しではこれらもベースに考えております。ただし、中野駅周辺まちづくりグランドデザインの進捗に応じた計画の具体化や、産業振興策の選択等によっても経済効果に影響するものと、このように考えております。
現在、(仮称)産業振興ビジョンというものを検討しておりますが、この策定の中で、一定の業種の産業集積に有効な施策の選択や、その効果等の検討に際して、必要な場合に改めて経済効果等の見通しを立て直していくことも考えていきたいと、こういうふうに思っております。
私からは以上です。
〔子ども教育部長村木誠登壇〕
○子ども教育部長(村木誠) 私からは、見直し各論のうちの3点、また、障がい者施策のうち1点の御質問にお答えをさせていただきます。
まず、社会科見学・遠足代公費負担及び就学援助の現状維持についてでございますが、社会科見学・遠足代につきましては、これまで保護者の負担軽減を図るために政策的観点から公費で負担してきたものでございます。就学援助につきましては、制度の趣旨から考え、要保護に準ずる世帯の認定基準を生活保護基準額の1.0に近づけることとし、生活保護基準額の1.15としたものでございます。今後、区民、保護者の意見など踏まえて決定をしていきたい、このように考えております。
次に、12月31日の休日保育の実施についてでございますが、ファミリーサポートによる保育は自宅でかつ長時間の預かりが可能であり、ふだんと異なる環境での保育である年末保育実施園と比較いたしましても、十分に安心し得る保育環境である、このように考えております。12月31日は利用者数が少ないため、利用希望者にはファミリーサポートによる保育サービスを利用していただきたい、このように考えているところでございます。
次に、母子家庭自立支援給付等の御質問でございますが、事業実績につきましては、平成20年度から23年度11月末までに21人が対象となってございまして、22年度末までに3人が修了し、就労しております。現在、16人が修学中でございます。平成24年4月以降につきましては、緊急経済・雇用対策の終了に伴い、国の補助金が従前の後半2分の1の期間となる予定のため、区といたしましても、後半期間への支給をする考えでございます。
次に、アポロ園へすこやか福祉センター等が出向くことといった御質問でございますが、アポロ園を利用されている保護者に対しましては、すこやか福祉センターの健康学習事業などの活用、保育園との連携強化を図りまして、アポロ園を会場として、子育てに関する各種の情報提供や育児相談などの場を提供していきたいと、このように考えているところでございます。
〔健康福祉部長田中政之登壇〕
○健康福祉部長(田中政之) 私からは、事業見直しの各論に関する幾つかの御質問と、障がい者施策のうち音声コードに関する御質問にお答えいたします。
まず、障害者通所施設利用者の食費負担軽減支援についてでございます。
国の給食費の加算措置は、平成23年度末までの経過措置として実施されているところでございます。国の加算廃止に伴いまして、区が昼食代を独自に補助することは、財政状況や利用者の公平性の確保の観点から困難であり、廃止を考えているところでございます。なお、国の加算制度が平成24年度以降も継続となった場合につきましては、中野区の食費負担軽減事業は継続をする予定でございます。
次に、高齢者自立支援住宅改修についてでございます。
自立支援住宅改修につきましては、介護保険制度の住宅改修が適用され、これに上乗せして実施をしているものでございます。浴室改修につきましては、実績から見て、浴室構造全体に及ぶ比較的大がかりな工事が多い状況でございます。そうしたものにありましては、一定の自己負担も取り入れることが適当であるというふうに考えたものでございます。
次に、人工肛門用装具等の購入費の助成についてでございます。
現在は手帳の申請から交付までの期間が1カ月程度にまで短縮されてきているということから、手帳交付後から御利用いただくように見直しをしたものでございます。医療機関への周知により、退院前から手帳の申請をしていただき、退院後の早い時期に手帳が交付され、交付と同時に給付することができるように、事務処理方法を改定するよう検討しているところでございます。
それから、最後でございます。音声コードについてでございます。
区では平成17年度から「障害者福祉のしおり」に音声コードを添付しているところでございます。現在、日常生活用具の視覚障害者用活字読み上げ装置の給付実績におきましては、文字情報を直接読み取る装置の給付が中心となっているため、その他の資料への音声コードの添付は行っていない状況にございます。音声コードの読み取り機をはじめ、視覚障害者の利用しやすいさまざまな技術の開発が進んでいるということから、その普及状況なども見ながら、区としての支援の方法などについて考えていきたいと考えているところでございます。
私からは以上でございます。
〔地域支えあい推進室長長田久雄登壇〕
○地域支えあい推進室長(長田久雄) 私からは、高齢者等の見守りについての二つの御質問についてお答えをさせていただきます。
まず1点目でございますが、支えあいポイントの導入時期について御質問をいただきました。
来年7月を目標としております実施時期につきましては、利用しやすく持続可能なポイント制度を構築することを第一に考えておりまして、必要に応じ柔軟に対応してまいります。
2点目でございますが、支えあいポイントの財源についての御質問をいただきました。
支えあいポイントの制度の安定的、継続的運営のためには、一般財源の負担の軽減が必要であるというふうに考えているところでございます。新たに創設される日常生活支援総合事業など、介護保険制度も活用した事業構築を検討しているところでございます。
私からは以上でございます。
〔政策室長竹内沖司登壇〕
○政策室長(竹内沖司) 公衆無線LAN整備についての御質問にお答えいたします。
中野駅周辺地域におけます公衆無線LAN整備につきましては、社会資本整備交付金などの財源や運営に当たる事業者の確保など、事業を効果的かつ安定的に進めるための方策について検討しているところでございます。中野駅周辺地域の活性化全体の検討の中で、最も効果的となるよう事業の構築を図っていきたいと考えております。
〔白井ひでふみ議員登壇〕
○13番(白井ひでふみ) 再質問をさせていただきます。見直し案について多々質問したいことがあるんですけども、時間が限られておりますので、別の機会に譲ります。
総論として1点だけ。先ほど、あたかも箱もの行政を行っているかのように、区民には駅前のこの再開発整備について映りますと、こういう引用をさせていただきました。区が行っているこの事業について、残り時間を使っていただいて、区民の皆様への御説明をいただければと思います。よろしくお願いします。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 中野駅周辺ですけれども、中野の中心として、また中央線の枢要な駅として、これから新しい東京の中で、東京の地域全体をリードし得るような新しい都市の発信拠点として、この中野のまちを整備発展させていく、そうしたまちづくりを行っていきたいと、このように考えております。50年、あるいは100年という単位で見たときに、この中野駅周辺のまちづくりを行っていくということが、この地域全体の活力を保っていく、また、居住環境や、あるいはさまざまな方たちの就労環境、また都市環境を守っていく、そういう上で不可欠な取り組みを現在行っていると、このように考えているところであります。
そうした意味から、この事業について着実な進展を図っているというところでありますけれども、先ほど来申し上げておりますように、財源につきましては、そうした大規模な基盤整備について、国や都の制度などを活用しながら、計画的かつ長期間に事業実施をしていくという堅実な枠組みを活用しながら進めていくということでありますので、単に箱ものをつくって、何というんでしょうね、受けをねらいたいというような、いわゆる箱もの行政というような考え方──それは我々が思っているというよりは、そういうふうに指摘をすることで、批判、非難しやすいということなのかもわかりませんけれども、全く箱もの行政ということについては当たらない御指摘だというふうに考えておりますことを申し述べておきたいと思っております。
○議長(大内しんご) 以上で白井ひでふみ議員の質問は終わります。
議事の都合により、暫時休憩いたします。
午後2時21分休憩
午後2時45分開議
○副議長(久保りか) 会議を再開いたします。
この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
一般質問を続行いたします。
1 区長の政治姿勢について
(1)事業見直し案と新年度予算編成について
(2)まちづくり事業について
(3)地域防災計画について
(4)保育需要対応方針と「新システム」について
(5)区民生活を守る立場について
(6)その他
2 区内事業者の仕事確保について
3 後期高齢者医療保険料について
4 教育行政について
5 交通不便解消と駅舎改善について
6 その他
○副議長(久保りか) 岩永しほ子議員。
〔岩永しほ子議員登壇〕
○42番(岩永しほ子) 2011年第4回定例区議会本会議において、日本共産党議員団を代表して質問を行います。
最初に、区長の政治姿勢についてお尋ねいたします。
まず、事業見直し案と新年度予算編成についてお聞きします。
区は、来年度からの予算に反映させ、財政効果を生み出すため、76事項の見直し案を報告されましたが、子育てや教育にかかわるものが多く見直されています。その中でも、小・中学生の社会科見学と遠足代の公費負担の廃止は、それによって小学生に約2,300円、中学生に約3,900円の新たな負担となります。昨年度の区内中学生の年間1人当たり負担額は、給食費を除くと最低単価の学校でも9万4,843円でしたが、さらに支出がふえます。
就学援助の基準引き下げと私立小・中学生への支給廃止、生活保護世帯への修学旅行支度金の廃止は、給付が受けられなくなる世帯を生み出し、教育費が家計に食い込みます。
母子家庭への自立支援教育訓練給付金の対象者見直しと支給額の削減、自立支援給付見直しは、収入が厳しい母子家庭に追い打ちをかけ、自立の道を狭くします。
日本の子どもの貧困率は15.7%と過去最悪の水準となっている今、子育て世帯への負担軽減に取り組むことが求められています。義務教育の無償化を目指し、新たな負担とならないようにすべきです。見解をお聞きします。
区民の健康に必要ながん検診の見直しや眼科検診の廃止、高齢者施策のおむつサービスの所得制限引き下げ、障害者の福祉タクシーに所得制限の導入、障害者通所施設利用者の昼食代補助の廃止なども盛り込まれています。いずれも区民の健康福祉に直結するものであり、見直し事項からは外すべきです。見解をお聞きします。
さらに、高齢者自立支援住宅改修の限度額引き下げ、なかの生涯学習大学の年間授業料の大幅な引き上げ、区民歯科相談の事業統合と、都の包括補助で事業費の2分の1が賄われている事業まで見直しています。財源が確保できている事業まで見直す理由をお聞きします。
サービス後退にならないと説明された地域センターの廃止は、行政サービス窓口と職員が地域から消えてしまい、災害対応などへの新たな問題が生じるなど、繰り返される事業見直しで区民サービスは後退されています。区長はこれまで、「セーフティーネットが必要な人は支える」と言ってこられましたが、今回の事業見直しは、そのセーフティーネットが必要な区民の懐に直接切り込み、新たな負担を押しつけようとしています。ゼロベースで見直したとの説明ですが、投資的経費は見直されず、結局のところ、「かさむ経常経費をどう切り詰めるか」ということが目的になっています。
国は、構造改革を進めて自治体への教育や福祉関連予算を削減してきました。そのもとで区民生活を守ろうとすれば、自治体の教育や福祉の経常経費が膨らむのは当然です。本来、区民生活を守るための経常経費だったのではないでしょうか。見解をお聞きします。
確かに、税収や特別区交付金は落ち込んでいます。そのため2010年度は、予算編成時に「区税や交付金の減収で57億円の基金繰り入れをしなければならない財政非常事態」と警鐘乱打されました。実際は、予算見込みより増収となり、基金も毎年予測を超えて積み増ししています。
基金の積み立てや繰り入れは区長の区政運営によって決まります。10か年計画の基金積み立ては総額498億円ですが、そのうち減債基金とまちづくり基金だけで444億円になります。そして減債基金は、駅周辺開発関連と区役所建てかえだけでも201億円という起債を短期間に発行する借金の穴埋めとなります。そのため、年々ふえる福祉関連費を抑え込み、経常経費抑制を行っていると指摘せざるを得ません。
今、必要なことは、国や都からの補助金・交付金が見込めるので区の負担は極力抑制できる、財源が保障されているから見直さなくてもいいとの姿勢をとっている大規模開発の投資的経費に切り込むことです。不況のもとでは、投資的経費を極力抑えるため、施設の耐震化など必要なところに限って予算化し、開発事業は見直しや先送りすべきです。見直さないのでは区民にとって納得いくものではありません。区がしなければならないことは「住民の福祉の増進を図る」ための責任を果たすことであり、今、一番区民が望んでいることではないでしょうか。見解をお聞きします。
次に、まちづくり事業についてお聞きします。
事業見直しに中野駅地区や周辺開発事業の見直しが入っていないばかりか、都市型産業の集積・創出促進事業で一層の推進を図っていることは、区の開発優先の姿勢がさらに明確になりました。10か年計画期間に予定している起債発行総額のうち、中野駅地区・周辺開発関連と区役所建てかえに伴う起債発行と基金引当額が占める割合は4割以上です。そして、減債基金とまちづくり基金から繰り入れても残る109億円は、10か年計画以後にも引き続くサンプラザ再整備と区役所建てかえの財源に活用できることになります。開発事業に国や都の財源が充て込めるとしても、収納されるまでには区がいっとき支払うことや起債償還、また、予期せぬ事態への財源確保が必要です。区の資金計画を破綻させないために、さらに区民生活に必要な経費を抑え込んでしまうことが懸念されます。見解をお聞きします。
都市型産業と旗を振っても、今日の経済状況の深刻さは多額の税投入に見合うようには動いていません。だからこそ、企業誘致がしやすいように中野駅地区の2期・3期工事が必要になります。2期・3期の計画を進めれば、駅南側に新たな土地を買収しなければならなくなります。計画の規模、時期など、抜本的な見直しを求めます。
また、西武線連続立体交差事業は住民と議会、行政の運動で実現し、合意のもとで地下化計画が進んでいます。これによって、開かずの踏切は解消するでしょう。一方、立体交差事業とは別計画の沼袋・新井薬師前駅周辺のまちづくり事業は住民合意が整っていません。今日の経済状況から見ても急ぐ必要はなく、時期をおくらせるべきです。お答えください。
次に、地域防災計画についてお尋ねします。
区は、3・11以後の地域防災計画の見直しは都の指針と調整して作成することにしていますが、都の防災対応指針が策定されました。今後は庁内的に課題を抽出して検討し、来年度の早い時期に防災会議を開催する予定とのことです。全庁的な検討と防災会議での課題整理は重要なことですが、どのような視点で検討し、計画にするかが重要です。北区では、防災計画見直しに当たってのあり方検討会を設置し、区民代表、議員参加で、学識者の各専門講義を聞きながら進めているようです。都もこれまでの「災害」の概念をとらえ直し、新たな視点からの対応を図ることにしています。中野区も、課題を整理し対策を立てるため、震災、防災などの専門家の意見が組み入れられるようにすべきです。見解をお聞きします。
党議員団は、第3回定例会の中で、地域防災計画見直しに当たって具体的に盛り込むさまざまな項目を求めました。この間、都は地中熱発電の普及、太陽光熱発電助成を再開しました。他の自治体でも、耐震化促進やマンション防災マニュアル化支援、災害時緊急告知ラジオの購入補助などの取り組みを展開しています。中野区も、防災の「予防」を位置付けた減災の取り組みを進めるため、防災計画の見直しを待つまでもなく、マンション防災マニュアル作成支援、災害時緊急告知ラジオ購入補助など、「予防」と「減災」対策を実施することが重要です。お答えください。
次に、保育需要対応方針と「新システム」についてお聞きします。
区は、2014年度までに保育園待機児童数をゼロにすることを目標に、昨年8月に「今後の保育需要への対応方針」を策定しました。そして、ことし3月までに227人の保育定員をふやしましたが、新基準で136人いた待機児童は新たな申し込みが予想を超え、ことしの4月には135人の待機児童となりました。そこで、ことし9月に「対応方針」を見直し、来年4月までに226人の定員増を目標にしましたが、想定している計画数は217人と、目標に達していません。
区長会では、待機児童対策のため国有地・都有地の活用を求めています。このことは認可保育園の拡充に道を開くものであり、23区の中では認可園や分園の計画が進んでいます。認可保育園に入園することを希望する親子が入園できるようにすることは、区の保育責任を果たすことです。中野区も認可園増設の計画を立てることを求めます。お答えください。
認証保育所を選択しやすくするため保護者補助金を見直すことや、さらなる認証保育所の誘致拡大を図ろうとしていますが、区の保育責任を認証保育園に肩がわりさせることは認められません。しかし、認可園を不足させていることで、園庭もない、プールもないなど、認証保育所を選択せざるを得ない状況です。23区の中では文京区など複数区が、保育料は認可保育園と同額になるようにし、その差額を区が負担しています。認証保育所誘致を推進する中野区は、保育料を認可保育園と同じになるようにし、差額を区が負担するようにすべきです。見解をお聞きします。
指定管理の保育園について、保育士の勤務や経験による保育の質を問題にしてきました。区の資料によれば、四つの保育園の中で3年以上勤続している保育士は、宮園は18人中10人、宮の台は20人中11人、西鷺宮は20人中7人、打越は23人中9人となっています。中でも打越保育園は1年未満が4割以上になり、1年の間で10人がかわったことになります。これでは子どもたちにとって安定したよい保育環境とは言えません。区として調査し、安定した保育環境になるよう必要な指導・改善を行うことを求めます。御答弁ください。
「子ども・子育て新システム」は、文科省管轄の幼稚園と厚労省管轄の保育園を統合・一元化し、「幼保一体化」で「二重行政を解消する」ことを最大の看板にしました。この問題では、区議会が第3定において見直しを求める意見書を国に上げたところです。7月の「中間のまとめ」では、「一元化」や「二重行政解消」は、総合施設は「子ども家庭省」、ゼロから2歳児対象の保育所は厚労省、幼稚園は文科省と三元化されることになり、施設の類型や財政措置は複雑になり、自治体や保護者は混乱します。変わらないのは公的保育の解体だけです。中止・撤回を求めるしかありません。区の見解をお聞きします。
区民生活を守る立場についてお聞きします。
野田首相がアメリカに約束した環太平洋連携協定(TPP)への参加交渉をめぐり、首相が「すべての物品、サービスが交渉対象」と約束したとアメリカが発表しました。首相は「そうは言っていない」と、国民をごまかして進めようとしています。TPPは原則すべての関税をゼロにし、障害になるものは撤廃するものです。既にアメリカは、牛肉の輸入拡大や自動車輸入の規制緩和などを求めています。首相が幾ら否定しても、あらゆる物品・サービスが対象になることは免れず、TPP推進の中心にいるアメリカは、日本に民間医療保険や医薬品などの市場を開放するよう繰り返し要求し、公的保険制度や国民皆保険制度がその障害になるとしています。日本医師会は、混合診療の全面解禁で保険のきかない医療が拡大し、所得によって受けられる医療が制限され、もうけ本位の医療と不採算性部門の切り捨てなどが懸念されると、反対しています。また、「政府調達」では、政府・自治体の物品購入や公共工事で、国際入札を義務付けることを検討しており、そうなれば地元中小企業向けの官公需発注が困難になります。国民の9割が説明不足を指摘している世論調査を見ても、区長がTPPの参加方針に反対することは区民生活を守ることになります。見解をお聞きします。
法令による義務付け、枠づけの見直しと市町村への権限移譲のための地域主権一括法が成立し、来年4月からの実施に向け、どのような姿勢で具体化するのかが問われています。保育所の保育士配置や居室面積は最低基準として国が責任を持って法令で定め、財源措置をしていたものを自治体裁量にゆだねることにしましたが、地域格差を生じさせないために「参酌すべき基準」から「従うべき基準」に変更されました。ところが、待機児童対策として一部地域の面積基準緩和が告示され、中野区もその対象になりました。区は、都の条例整備を待って具体化しようとしています。
しかし、今回の面積基準緩和は真の待機児童対策にはならず、保育の質や内容の低下を懸念して「従うべき基準」に変更せざるを得なかった経過から見ても、詰め込みで保育環境を悪化させ、子どもたちの成長に取り返しがきかない状況を生み出すことは明らかです。区は実施すべきではありません。また、今後の保育実施に当たり、少なくとも現行の基準より後退することがないようにすべきです。2点についての見解をお聞きします。
次に、区内事業者の仕事確保についてお聞きします。
区内の卸売・小売業の減少が目立ちますが、区内事業者や商店は震災と円高の影響を受ける中で年末を迎えます。建設関係の事業者は、このままでは年を越すのがやっとで、来年の経営はどうなるかと不安の声を上げています。
昨年度の中野区単独発注の工事関係契約実績額は、土木では96%分を、建築では91%、設備では77%、その他では8.5%分を区内業者が受注していますが、総額約32億円のうち68%分の受注です。件数が多くても大きな金額の発注は区外業者に行っていることにもなります。これまでも繰り返し区内業者への優先発注を求め、今年度から工夫されましたが、今後、中野中学校の建設工事、旧富士見中学校跡での整備工事などが予定されています。こうした、今後区が行う工事発注を区内業者が受注できるよう、分離発注の方法などさらに工夫を求めます。御答弁ください。
見直し事項では、耐震補強設計費補助の廃止を上げています。
区には木造住宅耐震補強工事助成がなく、この事業が辛うじて耐震化を促進する支援になっています。この事業は区内業者の仕事確保にもつながっています。それを廃止するのでは、ますます低所得世帯や高齢者世帯が耐震化への二の足を踏むことになり、業者への仕事が減ってしまいます。国も都も、各自治体でも、助成してでも木造住宅の耐震化を促進しようとする流れに逆行します。都は、大震災で受ける中野の被害は甚大と指摘している状況ですから、区民任せにして耐震化が後退するのは大問題です。
区民の命を守るため、また、区内業者の仕事確保につながり、経済効果もあるわけですから、設計費補助の廃止を取りやめることや、耐震補強工事助成の実施を求めます。お答えください。
次に、後期高齢者医療保険料についてお尋ねします。
来年度は介護保険の第5期事業計画による保険料と、後期高齢者医療保険制度の見直しによる保険料の徴収となります。
11月10日、後期高齢者広域連合長名で「財政安定化基金活用の協議」を都に申し入れています。それによると、来年度、再来年度の「保険料算定に必要な保険料率の試算の結果」は、今年度と比べ「著しく増加する。このままでは改定した場合、120万人を超える被保険者のみならず、高齢期都民にとって大きな不安や混乱を与えることは歴然」と説明し、「財政安定化基金からの交付金の交付及び同基金への拠出額の積み増しにより」増加抑制を行い、「都民の不安や混乱の解消に努めたい」としています。現在8万4,527円の保険料は試算額では幾らになるかお答えください。また、区として保険料が引き上がらないよう、機会あるごとに広域連合に要請することを求めます。御答弁ください。
教育行政についてお尋ねします。
国は「新しい施設整備の基本方針」に基づき、「学校施設耐震化・防災機能の強化」として補正に計上しました。これによって公立小・中学校の耐震化率を約90%に高め、今後5年以内の早い時期に耐震化を完了させる予定です。また、来年度は地震から児童・生徒の命・身体の安全を確保する耐震化及び地域避難所機能に不可欠な防災対策事業の実施と、環境に配慮した次世代型学校づくりの推進のため、太陽光発電設備の設置、老朽校舎を高断熱化等に改修、節水型トイレ整備実施を希望する学校に対応するとしています。区もおくれている学校耐震化を早急に完了し、新しくする学校は環境に配慮した施設に整備すべきです。御答弁ください。
文科省は、2011年度見送られた小学校2年生の35人以下学級実現のため、4,100人の定員増を概算要求しました。今年度実施された小1の35人学級は、中野区では対象が2学級ありましたが、新学期が始まった4月22日からの対応であったため、学級増とはせず、職員配置の増となっています。一方、都の小1問題・中1ギャップにおける学級上限を38人にしたことにより、小・中学校とも2学級が増となっています。学校では、クラス数をふやすことが子どもたちのためであることを実感しています。
区教委が今年度中に考え方をまとめようとしている学校再編の中期・後期計画は、もはや少人数学級規模に転換することを抜きには成り立たなくなっています。前期計画の検証や、平和の森小学校が今でも校庭や施設規模が基準を超えている状況を見ても、教育環境を後退させてはなりません。中・後期計画の策定を中止すべきです。見解をお聞きします。
最後に、交通不便解消と駅舎改善についてお尋ねします。
10月、警察庁は「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」の通達を出しました。ことし3月に完成した山手通りは自転車帯を整備し、歩行者とのすみ分けをしていることにより、自転車利用者が歩行者への配慮を意識します。中野通りにはパーキングメーターがあり、青梅街道は車道の駐停車が多く、歩道には生け垣があります。今後、中野区内の青梅街道と中野通りでの自転車走行の対策が必要になります。都道ではありますが、具体化の可能性を関係機関と協議しなければなりません。どのように進めていくのか、見解をお聞きします。
京王バスに対し、本郷通りにはバス停があり、早朝・深夜以外の日中も走行するバスの増便を求める要望が出され、区長あてにも要請署名が提出されています。本郷通り沿道では東京工芸大学の校舎が新設され、今後、京王バス中野車庫のそばにある佼成病院が杉並区に移転します。その結果、学校や病院への移動手段としてバス利用の可能性が高まります。また、弥生地域センターの廃止により、区役所に来る機会がふえています。高齢者、子ども連れに限らず、バス増便への期待は大きく、区としても京王バスに再度増便を働きかけるなど、実現に向けた努力を求めます。御答弁ください。
東京メトロに対し、中野坂上駅や中野新橋駅の二方向避難路の確保、バリアフリー対策などが進み、中野坂上駅は来年夏の供用開始、中野新橋駅は2014年度完成、供用を予定するところにまでなりました。この駅舎改善に先立ち、中野新橋駅では、8年前からホームと電車の間に可動ステップが設置されました。東京メトロは、車体とカーブなどで生じるホームのすき間を埋め、転落を防ぐためと説明しています。また、東京メトロは各駅にホームさくを整備しています。
鉄道事業者には乗客の安全を確保する責任があります。区内の西武新宿線の新井薬師前駅や野方駅など、とりあえず利用者が多い駅にはホームさくの整備、カーブしているホームに可動ステップの設置が求められています。西武鉄道に働きかけることを求めます。お答えください。
以上で私の質問を終わります。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 岩永議員の御質問にお答えいたします。
政治姿勢について。事業見直しの対象者等についての御質問がありました。さまざま影響を受ける方々を例示しての御質問でありました。
このたびの事業見直しでは、さまざまな配慮から、これまでなかなか見直しに至らなかった事業についても対象として踏み込んで検討を行ったところであります。御指摘の事業についても、負担の公平や利用者負担の適正化、事業継続の必要性などの観点から判断をしてまいりました。
高齢化、少子化など、これからますますさまざまな施策が必要になっていく中で、そうした必要な施策をしっかりと実現していくためにも見直しに踏み込まなければならない、そうしたことも御理解をいただければと思っております。
それから、補助がある事業についても見直している。これはどういうことかという御質問であります。たとえ都の補助対象事業であっても、事業そのものの必要性などを検討して、見直すべきものは見直して一般財源の削減を図っていきたい。一般財源の充当を少なくしてまいりたいと、こういうことであります。
それから、経常経費の見直しについて、経常経費に無駄があるはずもないじゃないかと、こういうことであります。経常的に行っている事業や、その経費こそ見直しの対象とする必要があると、こう考えております。事業の展開が無駄がなく、また、かつねらいどおりに効果を上げられるよう、個々の事業のあり方を常に見直していくことが欠かせない、こう考えております。
それから、投資的事業を見直すべきだと、こういう御質問であります。
投資的事業、補助金や、あるいは財調の財産費や態容補正などの事業見合いの需要額算定と、こういったものは事業をやらなければ入ってこない財源でありまして、そういう意味では、そのお金を他に回すということはできないというわけでありまして、やはり基本的に、計画的に進めるべきまちづくりについては着実に進めていくことが必要だと考えているところであります。
それから、政治姿勢に関連しての御質問が幾つかありました。
TPPの参加方針に反対するべきではないかと、こういう御質問であります。貿易によって成り立ってきた我が国の経済のあり方を考えますと、アジア太平洋の経済連携の中で基本的な自由貿易の枠組みを構築して、各国が公正なルールに基づく経済活動を行うことに参加すると、このことは不可欠な問題だと考えております。農業や医療制度など、守るべき国内の制度についてはどのような形で守るのか、迅速で適切な情報公開に基づいて十分に国民的な議論をしながら、毅然としてTPPの交渉に参加していくことが求められていると私は考えております。
保育所の面積緩和について。認可保育園の面積基準の緩和につきましては、地方分権推進の一環として、法で定められた児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を都道府県の条例に委任するものでありまして、地域の実情に合わせた判断を自治体が行うために進めるべき改革であると、こう考えております。今後、東京都が条例を定めた段階で、その内容を踏まえ、区としての検討をしてまいりたいと思っております。
私からは以上です。
〔教育長田辺裕子登壇〕
○教育長(田辺裕子) 教育行政について、学校再編計画を中止すべきではないかという御質問がございました。
学校行事など集団活動を活性化し、多様な子ども同士のふれあいにより社会性をはぐくむためには、学級数だけではなく、一定の集団規模を確保することが必要であり、子どもたちに集団教育のよさを生かしたよりよい教育環境を整備するために、学校再編に取り組んでいるところでございます。学校再編につきましては、いわゆる35人学級を踏まえた検討を行っておりまして、今後、国や東京都の動向について注視していく必要はあるというふうに考えておりますが、再編の計画を中止する考えはございません。
〔都市政策推進室長遠藤由紀夫登壇〕
○都市政策推進室長(遠藤由紀夫) 私からは、まちづくり事業についての御質問にお答えいたします。
まちづくり事業の財源についての御質問でございました。中野駅周辺のまちづくり事業では、国や都の補助金等をできる限り確保していくほか、起債や基金の活用によりまして、一般財源に負担をかけないこととしてございます。このため、まちづくり事業によって区民生活に必要な経費を抑え込むということにはならないものでございます。
次に、中野駅地区整備についてでございます。中野駅地区整備は、中野駅周辺の利便性や回遊性を高め、区民生活や地域経済に寄与するものであり、事業をより一層推進していくべきものでございます。中野駅地区第2期・第3期整備事業は今後も着実に計画を進めてまいります。
続きまして、まちづくり事業の実施についての御質問でございます。連続立体交差事業は踏切の除却により交通渋滞を解消するだけでなく、鉄道で分断されていた市街地の一体化を図るなど、総合的なまちづくりの推進に寄与する事業でございます。この連続立体交差事業を契機といたしまして、沿線地域をより住みやすく魅力あるまちにするため、駅前広場や道路などの整備を一体的に進めることが大切でございます。そのため、沼袋駅及び新井薬師前駅周辺におきまして、連続立体交差化計画にあわせまして、駅前広場とそれに接続する道路を本年8月に都市計画決定いたしました。計画策定に当たりましては、計画の進捗にあわせて説明会などを開催しており、幅広く区民の合意を得た上で計画決定したものでございます。引き続き必要な財源を確保し、早期の事業化に向けて鋭意取り組んでまいります。
〔都市基盤部長服部敏信登壇〕
○都市基盤部長(服部敏信) 私からは、区長の政治姿勢のうち、地域防災計画にかかわる御質問ほか何点かの御質問にお答え申し上げます。
まず、地域防災計画への専門家の意見の組み入れにつきましての御質問でございます。
地域防災計画の見直しに当たりましては、本年6月にお示し申し上げました「緊急対策 中野2011」でも明らかにしておりますように、何らかの形で専門家の意見の組み入れを得られるように考えていきたいと思っております。
次に、地域防災計画のうちマンション防災マニュアルの作成、また、災害時告知ラジオ等の購入助成の御質問をいただきました。マンション等高層建築物を対象とした防災マニュアルの作成につきましては、他区の事例等を参考にしながら研究してまいりたいと考えております。また、緊急放送などに対応いたしましたラジオの購入等につきましては、基本的に個人の負担で行うものと考えてございます。
次に、区内事業者の仕事確保につきまして、そのうち耐震補強設計費助成の継続についての御質問でございます。住宅の耐震改修工事を行った際に、所得税及び固定資産税の減免措置を受けるためには、これまでは自治体の耐震改修証明が必要でございましたことから、耐震補強設計費助成を行ってまいりました。先ごろの税制改正によりまして、民間の建築士によります耐震改修証明の発行が可能となったことや、昨年度の本件の助成件数は1件のみということでありましたことから、来年度、この助成制度は廃止する予定で考えております。今後は、区内事業者でございます区登録の耐震診断士や耐震改修施工者をさらに活用し、住宅の耐震化を促進してまいります。
次に、交通不便解消と駅舎改善につきましての御質問をいただきました。
まず、自転車の走行空間の確保の御質問でございます。議員のほうの引用されました警察庁の通達は、これは近年特に自転車走行のマナーの悪さが叫ばれ、交通環境に支障を来しかねないことから出されたものと認識してございます。区といたしまして、自転車走行にかかわります法令遵守やマナーの向上を目指しているものであります。十分な安全が確保されないような状況におきましてまで、自転車の一律的な車道走行を強制する意図はないと理解してございます。
続きまして、本郷通りのバスの増便についての御質問でございます。本郷通りを通行するバス路線は、中野車庫への出入庫を目的として早朝・深夜のみ運行してございまして、通常に利用する路線ではございません。したがいまして、事業者への働きかけを行う考えはございません。
最後に、ホームドア、可動ステップの関係で、野方駅、新井薬師前駅の御質問でございます。ホームドア等の設置につきましては、国土交通省のホームドアの整備促進に関します検討会の中間まとめを受けまして、安全性、緊急性を鉄道事業者が判断し、整備するものと考えてございます。新井薬師前駅のホームは連続立体交差事業でも改善を予定しているように、転落防止策として一定の安全対策はとられておりますけども、乗降の安全確保の必要が高いところであると考えてございます。御指摘の可動ステップの設置につきましては、車両ごとの出入り口の数の違いなどから難しいと聞いてございますけども、西武鉄道とは安全性確保について今後とも話し合いを行っていきたいと考えてございます。
以上でございます。
〔子ども教育部長村木誠登壇〕
○子ども教育部長(村木誠) 私からは保育需要対応方針に関する御質問と、教育行政のうち、環境に配慮した学校づくりに関する御質問にお答えをさせていただきます。
まず、待機児の対応についてでございますが、9月に策定いたしました今後の待機需要への対応方針について、平成23年度の改定版となってございます。ここでは進級等によりまして、確実に確保すべき定員増数を示すとともに、保育需要や人口の状況から平成26年度までの保育需要の増加を推測したものでございます。その対応策につきましては、9月の時点で現実に可能であると想定していた定員増数を記載したものでございます。現在、保育需要の推測値に対応するべく努力を傾注しているところでございます。
未利用国有地等につきましては、現在のところ想定している場所はございません。
認証保育所利用者の負担軽減についての御質問がございました。さまざまな保育サービスの保護者負担額について、サービス内容に応じた一定の公平性を保つ必要があると考えておりまして、今後、保育園保育料や認証保育所保護者補助等のあり方について、総合的に検討していく考えでございます。
次に、指定管理者園の保育所の状況についてでございますが、区立打越保育園を含む指定管理者につきましては、指定管理業務に係る基本協定書におきまして、保育内容についての調査及び必要な指示を行えることになってございます。定期的に担当職員が巡回をしているところでございます。区立打越保育園の運営につきましては、区が直接関与するところではございませんけれども、保育士の入れかわりなどが保育に影響を及ぼすことが確認された場合には適切な対応を図ってまいりたい、このように考えてございます。
次に、新システムの中止・撤回についてでございますが、子ども子育て新システムにつきましては、現時点で明確な内容となっていないため、今後の動向等注視してまいりたい、このように考えております。
最後に、環境に配慮した学校についての御質問でございます。
新しく建築する区立中野中学校につきましては、環境に配慮した学習空間として、健康的で快適な学校をつくることを計画のコンセプトに、太陽光発電や壁面緑化、高断熱化、ペアガラスなどを導入する方向で現在検討を進めているところでございます。今後も学校の改築等に当たりましては、環境に配慮した施設のあり方等を検討してまいりたい、このように考えているところでございます。
私からは以上です。
〔経営室長川崎亨登壇〕
○経営室長(川崎亨) 私から2点お答えいたします。
初めに、区内事業者の仕事確保の項で、工事の発注方法についてでございます。これまでも工事の発注に当たりましては、工事の規模、内容により、建築、電気、機械、土木に区分して発注しているところでございます。また、今年度からは一定規模の工事につきましては、制限付競争入札を実施し、区内の事業者に優先的に発注を行っているところでもございます。
次に、教育行政の項で、学校の耐震化促進についてでございます。平成19年12月に策定した中野区区有施設耐震改修計画の改定作業を現在進めておりまして、平成27年度までの早い時期に、教育施設を含めた耐震補強工事を完了させたい予定としております。
以上でございます。
〔区民サービス管理部長登弘毅登壇〕
○区民サービス管理部長(登弘毅) 私からは、後期高齢者医療の来年度の保険料についての御質問にお答えいたします。
来年度の保険料につきましては、現在、東京都後期高齢者医療広域連合で試算しているところであり、明らかになった時点でお示しをしたいと考えているところでございます。
また、保険料につきましては、適切な医療の確保と制度の持続可能性を勘案した適切な保険料の設定が望ましいと考えているところでございます。
以上です。
○副議長(久保りか) 以上で岩永しほ子議員の質問は終わります。
1 東中野小学校跡地について
2 事業見直し方針について
3 中野区におけるポイント制度について
4 空き家条例について
○副議長(久保りか) 次に、酒井たくや議員。
〔酒井たくや議員登壇〕
○27番(酒井たくや) 平成23年第4回定例会におきまして、民主党議員団の立場から一般質問を行わせていただきます。
1点目は東中野小学校の跡地について、2点目は事業見直し方針について、3点目は中野区におけるポイント制度について、そして、4点目は空き家条例について、5点目の中野ブランドについては、今回は見送らせていただきたいと思っております。そして、6点目のその他はございません。
それでは、質疑に入らせていただきます。
まず1点目、東中野小学校跡地についてでございますが、東中野小学校は、平成21年3月に昭和小学校との統合により52年の歴史の幕を閉じ、現在は旧運動場・旧体育館・旧教室の一部が暫定活用として開放されている状況です。
10か年計画によりますと、ステップ3で東中野区民活動センターを東中野小学校跡地への移転整備と障害者の自立支援施設を併設すると示されております。地元地域に関しましては、長年、地域で愛されてきた学校が次の新たな施設に生まれ変わる形、計画が大変に気になるところであります。同様にステップ3に位置付けられている中野富士見中学校の跡地整備計画は、さきの常任委員会でお示しされましたが、東中野小学校跡地整備計画はいまだ示されておりません。そこで、現在の整備に関する取り組みはどのような状況なのか、整備計画はいつごろお示しされるのか、お聞かせください。
この東中野小学校跡地の整備については、私は平成19年に本会議場で質疑をさせていただきました。旧運動場・旧体育館は、こちらは地域にとっては大切な資源であり、施設整備に関しては必ず残していただきたいという質疑に、「屋外広場スペース(運動場)・屋内広場スペース(体育館)は東中野四・五丁目に必要な機能と考えている」という御答弁でありました。もちろん、このような考えの中、庁内議論を進められているのか、確認の意味も込め、お聞かせください。
また、整備計画をまとめるに当たっては、地元の声を私は十分に参考にしていただきたいと思っております。例えば東中野区民活動センターの運営委員会には、地域で公益性の高いさまざまな活動をされている方々が委員として参加しております。このような現場の声もぜひ酌み取っていただき、ある程度固まってから計画案を出すのではない、工夫もしていただきたいと思っております。いかがでしょうか、お聞かせください。
東中野小学校跡施設は、屋外運動場・屋内施設をあわせ持った特異な施設であります。小学校跡地の活用は全国さまざまなところで行われており、先行事例もしっかりと研究していただきたいと考えます。
この東中野四・五丁目地域は、過去に児童館・地域センター機能を持ち合わせた複合施設の建設の凍結・白紙撤回、東ノランドの二転三転の閉鎖、東中野小学校の閉校と、さまざまな地元にとっては悲しい歴史がありました。このような地域の歴史や経緯もかんがみ、ぜひとも地域の思い、夢が詰まった、そして地域の実情に合った新たな施設を整備していただきたいと考えますが、見解をお聞かせください。
次に、事業見直し方針についてお尋ねいたします。
区は、これまで、景気変動などによっても目標を変えることなく、安定的に行財政運営を行うことができる財政基盤を構築するため、「基準となる一般財源規模」を歳入及び歳出ともに650億円と設定してきました。しかし、歳出の構造は平成18年度以降、「基準となる一般財源規模」である650億円を上回る状態が続き、一方、歳入規模はリーマンショック後の22年度、23年度には、基準となる一般財源規模を下回る状況であります。また、今後は東日本大震災による影響があらわれ、さらなる減収が予想され、同時に特別区交付金も大震災、電力不足、円高などによる企業収益の落ち込みに伴う影響が容易に予想され、予断を許されない状況下で厳しい財政運営が求められます。
このような中、一般財源を充当する事業の歳出額を基準となる一般財源規模に近づけるために、既存の事業について聖域なく徹底した見直しを行うものである「平成23年度事業見直し方針と内容(案)について」、示されました。実に76事業、約7億円の削減の見直し内容(案)であります。
そこで、年間9億円の支出になっている「子ども医療費助成制度」についてお尋ねしたいと思います。
この子ども医療費助成制度は、少子化対策としてゼロ歳児から15歳の中学生までの保険医療費の自己負担分を、所得制限なしで通院・入院ともにゼロにする。ベースになっている都の制度の一部自己負担と所得制限を完全無料化するため区が上乗せし、平成19年10月よりスタートした制度であり、都内23区すべてに導入されている制度であります。まさに社会で子育てを支援する制度であり、多くの子育て世代に待ち望まれた、喜ばれた制度であります。実質的にスタートし、まだ5年目の制度であり、年間のデータでは3年分しかなく、分析するのにはサンプルが少なく難しいのは理解しておりますが、医療費は平成20年度は8億8,300万円余、平成21年度は9億800万円余、平成22年度は9億3,700万円余と、対象者は横ばいであるにもかかわらず、増加傾向であるこの医療費に関してはどのような見解をお持ちでしょうか、お聞かせください。
今回の事業見直し方針では、持続可能な財政運営のかぎとして、「事業・制度の見直しを前例にとらわれず聖域なく徹底して行う」とありました。毎年約9億円を必要とし、増加傾向にあるこの「子ども医療費助成制度」に関してはどのような議論があったのか、あわせてお聞かせください。
世田谷区では、子ども医療費助成制度の見直しを所得制限・一部自己負担を柱に検討するそうであります。中野区といたしましても、今回は見送られましたが、今後の医療費の経過、世田谷区の動向などもかんがみながら、この子ども医療費助成制度に踏み込まなければならない時期が来るかもしれません。例えば、所得制限導入に当たっては、システムの改修にあわせ事務量の増に伴う毎年の人員確保と経費が増加する側面もあるということ、また、対象は横ばいであるにもかかわらず、増加傾向である子ども医療費の現状、このような点においては慎重な検討が必要であります。例えば、東京都の義務教育就学時医療費助成制度の通院時200円の自己負担を求める、いわゆるマル子の制度のような広く浅く負担を求める見直しも視野に検討しなければ、抜本的な解決策にならないのではないかと考えますが、区の見解をお聞かせください。
次に、トップの姿勢についてお尋ねいたします。
今回の事業見直しは、区民生活に大きく影響を及ぼすものであります。区民に痛みのある改革を伴わせるのであるならば、まずはトップの区長が痛みを共有する姿勢を示し、区民に理解を求めてはいかがでしょうか。
区長は、初当選された平成14年の6月から4年間、区長給与の20%、期末手当の10%の減額をなされました。23区でも下位にある区長給料にもかかわらずの御英断でありました。高く評価しております。当時の中野区長等の給料の特例に関する条例の一部を改正する条例提案理由には、「区の財政が引き続き危機的な状況にあるとの認識のもとに、区長みずからが行財政改革に積極的に取り組む姿勢を示す必要がある」とのことでありました。状況的には現在と酷似しているようにも感じられます。このような引き下げ額・期間でなくとも、まずはトップが痛みを共有する姿勢を示し、区民に理解を求めることも必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか、お聞かせください。
今回の事業見直し方針では、前段に触れましたが、実に76事業、約7億円の見直しを行うものであり、区民生活に大きな影響を及ぼすものであります。しかし、区民への広報・周知のスケジュールを拝見させていただくと、区報に掲載し、意見募集を行い、区民と区長の対話集会は一度だけ行われるものであります。施策の大きな見直しにもかかわらず、このような広報では区民への周知は図れず、逆に混乱を招いてしまうのではないでしょうか。場合によっては、駅周辺の開発には熱心でというようになるおそれもあります。そうではなく、厳しい財政状況下、子どもたちに負の遺産を残さないため、持続可能な区政運営を進めるためであるということを懇切丁寧に区民に周知し、理解を求める必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか、お聞かせください。
次に、中野区におけるポイント制度についてお尋ねいたします。
これは、区民等が「CO2削減行動」「地域支えあい活動」「制度に参加する商店におけるお買い物」によってポイントを獲得し、たまったポイントを区内共通商品券等の金券や賞品等と交換するか、参加店における買い物代金の一部に充てることができるものです。この三つの制度が相互にしっかりと機能すれば、区内においてさまざまな波及効果・相乗効果があらわれるんだろうと理解しておりますし、また、この制度の考え方・理念に関しては評価し、すばらしいものであると考えております。しかし、現場で実際に機能するのか、また、24年3月に広報し、24年7月からの実施に関しては、あまりにも時間がないのではないかと感じざるを得ません。
そこで、お買い物ポイントの参加店についてでありますが、商店会に加盟しない店舗においても、参加料を支払えばこの制度に参加することが可能であります。平成17年に施行されました、いわゆる商店街加入促進条例は、大型店やチェーン店がなかなか商店会へ加入しない現状を是正するねらいがありましたが、この条例とお買い物ポイント制度の矛盾についてはどのようにお考えなのか。商店街に加入している小売店と、していない小売店での差別化において、参加料とポイント販売額で差をつけるといたしましても、年間の商店会費以上のうまみがなければ商店会に入らない、また、あまりにも参加料が高ければお買い物ポイントに参加されない。そして、実際には大型店やチェーン店は独自にポイント制度をやっており、このような制度にはなかなか参加してこないとも聞いております。このような点に関してはどのようにお考えか、お聞かせください。
24年7月からの実施に際し、お買い物ポイント参加店は、現在の区内の商店会で行っているスタンプ事業を取り組まれている店舗数と同じ100店舗を目安とし、当初は考えているようでありますが、中野区内の小売店舗数は2,800である中、初期段階としても目標数値が低く、これでは利用者が利便性とお得感を感じることができません。今後の目標である5年後の1,000店舗の実現、また、立ち上げ時の数字がこれでは、この制度の広がりも厳しいと感じざるを得ませんが、お考えをお聞かせください。
次に、地域支えあいポイントについてでありますが、地域の見守り・支えあいを行う団体・個人の活動に対しポイントを交付する制度でありますが、本来、ボランティアは無償のものであります。その一方、現代の無縁社会において、このような支えあいの活動は特に都市部で求められるものであります。しかし、町会・地域の理解は十分であるのでしょうか。また、実際にどのような活動にどれくらいのポイントを付与するのかが、この制度の行方を大きく左右するものです。これまでの報告では検討中ということでありましたが、進展はあったのか、あれば具体的にお聞かせください。
次に、ポイントを発行する法人についてお尋ねいたします。
当初、ポイント発行は中野区が行う予定でありましたが、法人が発行することに変更されました。法人もメリットがなければこの事業を請け負うことはなく、現段階でお買い物ポイントは予定100店、支えあいに関しても町会への名簿提供は現段階で8町会というような状況であり、どのように広がっていくのか。また、先に制度がスタートしたエコポイントに関しては、区内18万世帯中、現在1,001世帯の参加である中、規模が小さい中で、法人にどのように実入りがあるのか。ポイント発行手数料・参加料が法人の収益の一つになると予想される中、これでは開始に当たり、区からの委託料もしくは補助金に頼らなければならず、聖域なき事業の見直しを進めている反面、経費がかさんでしまうのではないかと懸念があります。そこで、区内でのポイントの流通が金額としてどれぐらいと想定しているのか、お聞かせください。
また一般的には、このポイント制度というものは約40%が失効ポイントになると言われており、それがこのポイント制度のうまみと言われておりますが、この中野区におけるポイント制度を広めていかなければならないポイント発行機関である法人が失効ポイントを期待してしまっては、中野区におけるポイント制度が立ち行かなくなってしまいます。この点に関してはどのようにお考えかもお聞かせください。
最後に、将来に向けたポイントの電子化はまだまだ難しいと考えます。また、さまざま詰めていかなければならない課題も幾つかあり、24年3月に制度の広報を開始し、24年7月に実施するのは拙速であるのではないのでしょうか。時には一歩踏みとどまり、このポイント制度に関しては分けて考え、実施時期を見直す必要もあるのではないかと考えますが、いかがでしょうか、お聞かせください。
次に、空き家条例についてお尋ねいたします。
総務省の2008年の調査によると、賃貸住宅の空室や別荘なども含む全国の空き家は約757万戸。08年度までの10年間に約180万戸ふえており、背景には核家族化や少子化などの原因があるそうです。
その中でも長年放置された空き家には不審者の出入りや放火など防犯上の問題のほか、災害時の危険もあります。防犯に関しては、区民意識調査の施策への要望においても毎回ベスト3に入っております区民ニーズの非常に高い施策で、安心・安全のまちづくりの構築は自治体の責務でもあります。現在、空き家の適切な管理を所有者に義務付け、撤去規定を盛り込んだ「空き家条例」が、足立区をはじめ全国で9自治体で制定されており、この流れは広まっていくとも言われております。条例制定した足立区では、23区初の建物全数調査をし、区内の空き家の状態を把握されました。中野区では、現状、区内の空き家の状況を把握しておらず、体系的なものも構築されておりません。ごみの不法投棄では清掃事務所が、火災の危険性があれば消防署がと、対応はさまざまであります。また、中野区において、この空き家に関する苦情・相談は年々増加しているとも聞いております。そこで、区内の空き家の管理はどのように行っているのか、また、このような事例に対応する体制づくりも必要であると考えますが、見解をお聞かせください。
建築基準法第9条及び10条により、「自治体は著しく危険な建物の撤去を所有者に命令できる」とありますが、具体的手続の規定はなく、個々の自治体の判断にゆだねられている状況です。
現実問題として、日々、空き家に関する苦情が中野区に寄せられていますが、区の対応は空き家によって生じるさまざまな状況への対処療法的な対応にとどまっている状態です。空き家が長年放置されるに至った経緯はさまざまであり、区の立ち入れない、いわゆる「民事」の問題なども絡んでいることが多く、自治体として個別に取り組むことは法的に限界があるのも事実です。
幾つかの自治体で取り組まれている条例制定の取り組みについても、憲法上保障された財産権との兼ね合いもあり、条例で財産権を制限できるのか、厳しい罰則を条例で科すことができるのかなど課題も多くあります。しかし、これだけ放置された空き家の問題が増加している以上、区としても何らかの実効性ある取り組みが求められるところです。他の自治体で取り組まれている条例の制定については、放置された空き家に対して現在行われている個別の行政指導の根拠を議会の議決を経て条例に定めることにより、空き家の関係者に対する説得力や実効性が格段に増すことが予想される中、このような条例制定についてはどのようにお考えか、お聞かせください。
以上で私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 酒井議員の御質問にお答えいたします。
旧東中野小学校跡地についてです。
整備基本方針等の策定時期についてですが、10か年計画ではステップ3での整備としております。来年度には整備基本方針の案をお示しし、以降、設計、施工と年次を追って整備を進めていく予定であります。現時点では、区民活動センター及び障害者自立支援施設の整備について検討しておりますが、整備内容や、その手法については、整備基本方針案の中でお示しをしていきたいと考えております。
暫定利用が延長するのではないかと、こういうことであります。旧東中野小学校跡地は、東中野区民活動センター及び障害者の自立支援施設等を整備工事に着手するまでの間は、暫定利用となるわけでありますが、おおむね3カ年と説明をさせてきていただいております。この時期のその次以降の使い方につきまして、また地域の皆さんとの話し合いも含め、今後考えていきたいと、こう思っております。
東中野四丁目・五丁目に必要な機能ということについては、既に表明させていただいておりますように、子どもの遊び場、地域の祭りなど地域行事、防災活動などのできる屋外スペース機能、また、高齢者向けの集会室やスポーツ活動の場などの屋内スペース機能が東中野四・五丁目に必要である、こういう認識のもとに検討を行っているものであります。
それから、整備に地元区民の声を適切に取り入れるべきだということです。施設の整備計画検討の過程では、時宜をとらえて、タイミングをとらえて地元関係者との意見交換の機会を設定しながら取り組んでまいりたい、こう思っております。
それから、子ども医療費の無料化についてという御質問です。
医療費が微増傾向にあるという、こういうことについては、先ほど伊東議員の御質問にもお答えしたとおり認識しているところです。
今回の事務事業の見直しの中で、この医療費助成については対象とならないのかと、こういうことですが、これも含めて検討を行っております。今後、この医療費助成のあり方について、保護者の実質的な負担の実情や、あるいは医療の適正化、さまざまそうした要因を勘案しながら検討を深めてまいりたい、こう思っております。
それから、事業見直し方針について、トップの姿勢についてということであります。
今回の事業見直しにつきましては、持続可能な区政運営を進めるためにも、根本的に事業のあり方、進め方を見直したものであります。これを進めていくことが行政のトップとしての責務であると、こう考えております。
御質問にありましたように、区長や、あるいは議員が、区民に選ばれた政治家として姿勢を示すと、こういう考え方も必要な場面はあると思っております。しかし、区政改革を長期にわたって進めて一定の対応力を確立してきた現時点について、必ずしもその時期であるとは考えておりません。
それから、見直し方針についての丁寧な周知が必要ではないかと、こういうことです。
区全体としての対話集会は1回としておりますけれども、各事業部において、関係団体や関係者に対して十分説明するよう努めているところです。また、区報やホームページでも説明をし、意見募集を行っているところであります。そうした意味で周知に問題はないと、こう考えておりますが、今後ともあらゆる機会をとらえて周知に努め、区民の皆様の御理解を得ていきたいと考えております。
私からは以上です。
〔都市政策推進室長遠藤由紀夫登壇〕
○都市政策推進室長(遠藤由紀夫) 私からは、中野区におけるポイント制度のうち、お買い物ポイントにかかわる御質問にお答えいたします。
ポイント制度と商店街加入促進についての御質問でございました。
商店街の活性化に係る事業者の相互協力等に関する条例は、事業者が商店街に加入し、相互に協力することで商店街組織の基盤強化を図り、活力ある地域社会の発展を図ることを目的としてございます。ポイント制度に参加する商店のうち、商店街に加盟している商店につきましては、優遇措置を講じることを考えており、ポイント制度の導入により未加盟店舗の商店街への加入の促進が図れるものと考えてございます。
次に、ポイント制度の参加店目標数についてでございます。
ポイント制度開始後も、利用者や参加店への参加特典などサービスの工夫により、魅力ある制度といたしまして、毎年200店舗程度の参加店数の確保によりまして、平成28年度には1,000店舗程度の参加を目標としてございます。
〔地域支えあい推進室長長田久雄登壇〕
○地域支えあい推進室長(長田久雄) 私からは、中野区におけるポイント制度の御質問のうち、地域支えあいポイントについての御質問についてお答えをいたします。
地域支えあいポイントの交付基準につきましては、電球の交換やごみ出し、病院までの送迎など、その支援活動に要するおおむねの時間に着目したポイント数の設定を考えているところでございます。ポイント交換基準の詳細についての考え方は、本定例会中にお示しをする予定でございます。
私から以上でございます。
〔政策室長竹内沖司登壇〕
○政策室長(竹内沖司) ポイント制度に関する御質問のうち、区の支出とポイント流通についてでございますけども、ポイント制度の目的に合った形での一定の新規収入を財源とするよう制度構築することを考えておりまして、新たな一般財源を投入することについてはできるだけ避けたいと考えているところでございます。区内でのポイントの流通量につきましては、現在検討中でございます。
それから、失効ポイントについての御質問でございます。失効ポイントが区が想定する運営経費や適正な利益を上回る場合には、公益目的の寄附ですとか、参加店への還元等を行うことを現在検討してございます。
それから、ポイント制度の開始時期についてでございますが、来年7月を目標としている実施時期につきましては、わかりやすく利用しやすい持続可能なポイント制度を構築することを第一に考えていることから、必要に応じて柔軟に対応する考えでございます。
〔都市基盤部長服部敏信登壇〕
○都市基盤部長(服部敏信) 私からは、空き家条例にかかわります何点かの御質問にお答え申し上げます。
まず、管理上の指導等の御質問でございます。区は長年放置されているなど、管理上の問題があります空き家につきまして、区民から情報が寄せられた場合には、現地を調査した上で必要に応じまして、建物所有者や管理者等に連絡をとり、状況を把握するとともに、改善が必要な場合には指導を行ってございます。しかしながら、所有者が特定できないことも多く、区として難しい事例も多いというところでございます。
また、区の体制として御指摘でございましたけども、管理上問題のある空き家から生じます問題の内容に応じまして、それぞれの所管や関係機関で対応しているところでございまして、現在のところ、空き家の問題につきまして一元的に対応する所管はございません。
今後、条例関係の制定の検討をという御質問でございます。今後は、実際に条例を制定いたしました他自治体の運用状況や効果等につきまして情報を収集しながら、条例制定の可否を含めて効果的な対応を検討していきたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(久保りか) 以上で酒井たくや議員の質問は終わります。
1 中野区職員互助会について
2 中野区職員の区内居住について
3 中野駅周辺再開発に伴う子育て支援施設について
4 その他
○副議長(久保りか) 次に、石川直行議員。
〔石川直行議員登壇〕
○9番(石川直行) 平成23年第4回定例会に当たり、みんなの党の立場から一般質問をさせていただきます。
区長は、「中野区財政の直面する課題について」の中で、非常事態への対応として、これまで予算編成時では踏み込むことのなかった内容も含め、前例にとらわれず聖域なき事業の見直しを図るものとしております。まさに、田中区政10年間の中で、多岐にわたる制度改革、財政改革の中でも踏み込むことのなかった事業があったことを認めていることと受けとめております。
その聖域の中の一つである「中野区職員互助会」に関する質問をいたします。
中野区職員互助会は、「中野区職員互助会に関する条例」等により、区は互助会に対し、さまざまな特典を与えております。例えば、区長をはじめとする特別職の弔慰金は平成14年度に廃止となり、区議会議員及び区議会議員OBに対する弔慰金の制度も昨年4月に廃止となったことは高く評価しております。一方で、互助会の配偶者に対する弔慰金は、平成17年度まで3万円であったのに対し、平成18年度から8万円と2.7倍にはね上がっております。これは、そもそも平成17年度まで条例による根拠もなく、「内規」という名で運用されていた「特別区互助組合」への23区横並びの助成について、「公費二重取り」との区民・都民からの指摘を受け、全廃した結果、つじつま合わせに中野区互助会への負担額をアップしたことによるものです。
平成17年度は特別区互助組合へ5,225万円、中野区互助会へ2,491万円の予算計上をし、18年度から特別区互助組合への負担金がなくなると、19年度には中野区互助会へ6,012万円もの予算を計上しております。17年度に比べ、何と2.41倍に膨れ上がっております。1年間置いて、ほとぼりが冷めるころ合いを見計らってつけかえる手法は、まさに官僚がゾンビのように事業を復活させる典型的な例と同じではないでしょうか。
19年度以降、予算額、執行額は年々減少しておりますが、その原因は21年度を除き、政策決定の成果というよりは、職員数の減少による自然減が起因しているものと思われます。
今回、平成23年度事業見直し案では、991万円余の減額を示したことは評価いたしますが、まだまだ手ぬるいと言わざるを得ません。
平成19年度以降の互助会への負担額は、さきに述べましたように特別区互助組合へのつけかえ分が加算されておりますので、平成17年度まで支払われていた互助会への金額を基準とすると、平成17年度の予算額が2,491万円、当時の会員数が2,937名、1人当たり8,482円となっております。これを平成22年度の会員数で換算すると、2,144万円となります。ちなみに22年度の予算額は4,058万円となっております。この2,144万円をベースとし、ここから過度な補助対象事業をなくし、削減するのか、予算編成をする際に互助会への削減率を基準として、区民及び関係方面への負担率が超えない負担割合にすることが、非常事態の財政再建を行う前の避けて通れない、助走でも越えられる大変低いハードルであると考えます。
24年度予算編成に対し、区民及び関係方面へ負担をお願いするのであれば、まず身を切る覚悟で、この聖域にばっさりと切り込み、区民にその姿勢と覚悟を示していただきたいと切に願う次第であります。御所見をお伺いいたします。
次に、中野区職員の区内居住についてお伺いいたします。
中野区は、持続可能な財政運営のかぎとして、一般財源充当事業の歳出規模を650億円とすることとしております。この一般財源650億円に対し、45%を占める特別区税の税収入は21年度と比較して、22年度は5.8%の落ち込みを示し、特別区民税に関しては6.4%減少しており、徴収率も23区平均を大きく下回っております。今後も徴収率向上のための的確な対応を望みますが、世界的な規模の不況感はぬぐい切れず、さらなる落ち込みを視野に入れる厳しい財政運営が行われるものと覚悟していかなくてはなりません。
また、23区平均を下回っている特別区民税の徴収率を23区平均以上に改善するためには、良好なまちづくりを進めるとともに、「魅力ある中野」を打ち出し、納税者人口の拡大を図る必要があります。しかしながら、まちづくりは長期的な視点に立った政策を今後も粘り強く進めることで、これまた特効薬とはなり得ません。
そこで、高収入で安定した公務員を誘致して住んでもらうのはいかがでしょうか。公務員であれば、景気に左右されることなく安定的な収入が約束されており、なおかつリストラや倒産といった杞憂もありません。公務員といえば、まさに中野区職員が公務員であり、中野区に住むインセンティブを与えることが必要であると考えます。
中野区の職員居住率は平成19年23.7%から年々減少し、23年度には21.9%となっております。一方、江戸川区では職員の区内居住率が22年度4月現在、59.6%に達しております。江戸川区の職員採用方法は、特別区職員採用試験後、特別区人事委員会に対し、江戸川区を第一希望とすると記入した者を基本的にすべて受け入れるものとしております。
もちろん、中野区と江戸川区では住宅事情やさまざまな住環境の違いがあることは承知しておりますが、中野区税収入の一例として、23年度課税ベースで申し上げますと、大学新卒で中野区が職員として採用した場合、課税対象になる2年目には、年間6万2,000円の都民税を差し引いた純然たる特別区民税が税収入となります。一般モデルケースで言いますと、30歳独身時には年間13万9,000円、31歳で結婚して第2子が誕生する42歳では24万5,000円、60歳定年までの間に770万円もの特別区民税が確保されます。
机上の計算ではありますが、職員2,000名体制の中でも、現在の居住率20%から10%、200名ふえるだけで、年間3,850万円の特別区民税の税収入が見込め、さらに中野区内での消費金額を含めれば、大変大きな貢献となり得ます。
さまざまな問題点があることを承知で、あえて問題提起をすれば、職員に対して、中野区内における住宅所得の補助や職員住宅の確保、家賃補助を行ってでも納税者人口をふやし、トータルとして安定した税収入を確保することは、批判を覚悟の上で政治が果たす責任ではないでしょうか。
さきの互助会への交付金は、支出の根拠となる性質が違うかもしれませんが、井戸端の経済学では、お札に色がついているわけではありません。財政が厳しい状況であるからこそ、柔軟な発想のもと、費用対効果とリターンを考え、政策決定をする必要があると考えます。
また、職員が一人でも多く中野区に住むことにより、安全・安心なまちづくりを、それこそ「ゆりかご」から「墓場」までの中野区政策を実体験することにより、一層励んで職責を全うされると思いますが、御見解をお伺いいたします。
最後に、中野駅周辺地区整備計画について、1点お伺いいたします。
さきに述べた納税者人口の増加政策とともに、「魅力ある中野」を構築するため、子育て世代への支援は持続可能な地域社会を築く上で不可欠な課題であると考えます。そこで、現在進行している駅周辺再開発において、駅と直結する建物内及び周辺に長時間保育が可能な保育施設が複数箇所必要であると考えます。認証保育所を含め、中野区として誘致する上で補助額の上限引き上げ等、検討項目をお示しください。
以上をもって一般質問を終了させていただきます。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 石川議員の御質問にお答えいたします。
互助会への補助金についてですが、平成18年度に特別区互助組合事業の一部が廃止されたことによりまして、19年度から互助会が実施する事業が増加したものです。全く無駄なものとして職員互助組合に負担をしていたわけではなくて、法律で定めた職員の福利厚生事務を行うということのために互助組合に負担していたものを、事業を削減して、かつ互助会のほうが実施するというふうに決めたものであります。
また、聖域のように扱ってきたことは全くありません。平成17年度予算では特別区職員互助組合へ5,250万円の負担金と、区互助会へ2,516万円の補助金、計7,741万円を支出しておりました。平成23年度予算では、互助組合への負担金はなく、区互助会への3,789万円の補助となっておりまして、既に半分近い、半分くらいの削減になっているということであります。これに加えて、さらに24年度予算で991万円の減額をしたいと、こう考えているところでありますので、取り組みについて御理解をいただきたい、こう思っております。
それから、職員の区内居住についてであります。
職員が区内に居住するということは、防災対策の面とか、仕事をしていく上で、地域のことをよく知っている職員が仕事をするということが大変意味があるということは私も認識をしているところです。しかしながら、なかなか、地価の問題、家賃の問題というようなことがあって、区内居住が進まないというのが実態です。御提案のように、仮に財源を投入するというふうに考えますが、例えば20万円ぐらいの住民税のために、月1万補助をすると12万の補助と、こういうことになります。こういうことを区民の方が理解してくれるかどうかというのは、私はなかなか難しいのかな、こんなふうに思います。一般の理解を得られる範囲で、また、1万円ぐらいの補助が本当に効果があるのかどうかも、これもまた難しいということもありまして、一般の理解を得られる範囲で、実効性のある補助や施設設備というところまでは難しいんじゃないのかなと、こんなふうに考えているところであります。
私からは以上です。
〔子ども教育部長村木誠登壇〕
○子ども教育部長(村木誠) 私からは、認証保育所等の誘致に関する御質問にお答えをさせていただきます。
利便性の高い中野駅周辺、おおむね500メートル圏内でございますが、ここに比較的小規模なスペースで保育需要に速やかにこたえられる施策であることから、認証保育所の誘致重点地区といたしまして、平成22年度には2カ所誘致をしたところでございます。今後も保育需要に沿って、さらに誘致するか否かについての判断をしてまいりたい、このように考えております。
また、認証保育所の開設支援の補助額につきましては、3,000万円を上限といたしまして、実支出額の2分の1を補助しておりますが、現状、この補助額で事業者の開設意欲は高いと認識しております。現在、補助額の上限引き上げ等の検討が必要であるとは考えてございません。
〔石川直行議員登壇〕
○9番(石川直行) 職員の区内居住について、防災の観点からというお答えがございました。地域を守る現場の声として、区職員といえども、公務員といえども、職場を離れれば一市民であると考えております。ややもすれば義務を伴うような誘致の方法は、かえって区内の居住率を下げるのではないかと懸念しております。迎え入れる側の区民としても、職員に対し、一中野区民として、そして地域の仲間として、さまざまなボランティア活動を通じて人間関係を築き、その上で結果として、安全な安心なまちづくりを一緒につくり上げていく区民としてとらえていくことが、持続可能な地域社会のつくり方だと考えております。いかがでしょうか。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 既に防災用の職員住宅というものを整備しておりまして、一定数の職員、そんなに多くはないのですが、その職員住宅に比較的低額な住居費で住まわせております。これについては、義務として、いざというときには地域本部、災害対策の地域本部や、避難所の要員として従事するということを課しております。職員の力が実際になければ、なかなか本部も避難所もうまくいかないということでございますので、そういった一定の数というのは確保しているということであります。
○副議長(久保りか) 以上で石川直行議員の質問は終わります。
1 平成23年度事業見直しについて
2 中野区の組織のあり方について
3 パワーハラスメント対策について
4 中野区職員の名刺について
5 その他
○副議長(久保りか) 次に、佐野れいじ議員。
〔佐野れいじ議員登壇〕
○22番(佐野れいじ) 平成23年第4回定例会に当たりまして、自民党議員団の立場から質問をさせていただきます。
通告させていただきました項目は、1番が平成23年度事業見直しについて、2番目が中野区の組織のあり方について、3番がパワーハラスメント対策について、4番が中野区職員の名刺についてであります。その他はございません。
初めに、1番目として、平成23年度事業見直しについてお伺いをさせていただきます。
この項目につきましては、本日、私がこの壇上に立つ前の5人の質問者が、ほとんどの方がこの項について質問をしておりました。そういう意味で、かなりこの項についてはみんなが関心があり、大切なことであるなというふうに自分自身は思った次第です。そういうことから、理事者のほうも大切な、関心が高いものだと受けとめていただいて、真摯にお答えをいただきたいというふうに思う次第でございます。
まず、区は、これまで「基準となる一般財源規模」を歳入及び歳出とも650億円と設定しております。そして、平成22年3月に策定された第2次10か年計画の財政見通しでは、平成22年度から31年度までの10年間は右肩上がりを基調として、平成26年度以後は650億円を上回っていくという想定をしておりました。ところが、ことし11月に示された見通しでは、大幅な下方修正がなされております。例えば、平成27年度については、ことしの2月に661億円と見通していたものが、たった10カ月で641億円と20億円も引き下げられております。
基準となる一般財源規模との差を6年間の累計で見ますと、総額で91億円の不足となります。平成22年度から27年度までの6年間で、650億円に達する年次はありません。基準となる一般財源規模を650億円とした根拠は一体何だったんでしょうか。まず、お尋ねを申し上げます。
また、区では、持続可能な行財政運営を掲げ、田中区長も、行政計画と財政計画は一体でなければならないという趣旨の発言をたびたびしておられますが、この見通しを見る限り、財政的な裏付けができているとは到底考えられません。10か年計画の財政計画並びに行政計画についてはどのようにお考えなのでしょうか。
先ほどの白井議員の質問にも関連しますが、そもそも、世界の経済が目まぐるしく変化する今日において、向こう10カ年の財政見通しを正確に想定することは、私は至難のわざであるというふうに思っております。変化の厳しいときこそ、3年程度のスパンで、より精度の高い財政計画並びに行政計画を立てるべきだと思っております。民間企業ならば生き残っていけないのではないでしょうか。御質問をさせていただきます。
一般財源の推移を見ますと、第2次10か年計画の初年度となる平成22年度決算では644億円、平成23年度決算見込みでは629億円と、いずれも財源が不足してきております。区としてお示しになった10か年計画は、重みのあるものと私は受けとめさせていただいております。したがいまして、10か年計画に掲げた事業の計画年次が変更される、先送りされるというようなものについては、その変更内容をステップ1、ステップ2といったわかりにくい形ではなくて、具体的な計画年次の変更として区民に説明する責任があると考えますが、いかがでしょうか。区長のお考えを伺います。
さらに、基金の活用につきましても、各年度において財源不足が見込まれる場合には、財政調整基金を取り崩して繰り入れることとしてきています。しかしながら、財政調整基金の残高は、事業見直し方針の資料によれば133億円となっており、今後は基金の活用も難しくなることは明らかです。基金の活用については、今後どのようにお考えになっていくつもりなんでしょうか。
次に、義務的経費の抑制についてですが、平成23年度当初予算では、義務的経費が54.1%となっており、予算の半分以上は義務的経費に使われております。中でも、扶助費が21.8%増となったことから、義務的経費が7.7%増となっております。生活保護費の増大などがその要因として考えられますが、義務的経費の抑制は、健全な財政運営の上で最も重要な課題でもあります。その方策として、どのようなことを具体的にお考えなんでしょうか。お示しをいただきたいと思います。
平成22年第1回定例会での施政方針説明の中で、田中区長は、「すべての事業について、経費の圧縮や事業の繰り延べ、休止・廃止など『ゼロベース』での見直しを行い、大幅な歳入減少への対応を図りました。平成22年度以後も引き続きすべての事業について、『ゼロベース』での見直しを行い、財政体力を維持し、安定的な財政運営を行えるように取り組みを進める」と、このように述べておられます。
つまり、「ゼロベースでの見直し」を今後も徹底していくということは、いわば前年から既にそういった方針があったのではないでしょうか。この方針が出されたのは既に1年前なんです。そこで言われた、前回に言われた「ゼロベースでの見直し」と、今回出された「ゼロベースでの見直し」というものはどのように違うのでしょうか。このままでは、区の方針が区民に理解されないばかりでなく、区民には危機感も伝わってまいりません。ぜひその件についてもお答えをいただきたいと思います。
また、区はPDCAサイクルによる見直しの徹底ということを常々言われております。今回、このような事態に立ち至ってしまったのは、PDCAサイクルによる見直しが十分に徹底されず、機能しなかったということなのではないでしょうか。それとも、PDCAサイクルによる見直しというものには、おのずと限界があるということなのでしょうか。見解をお聞かせいただきたいと思います。
さらに、歳入確保の強化策についてお尋ねいたします。
基準となる一般財源規模650億円を定めておきながら、歳入については6年間で91億もの不足が明らかになっている状況に対して、具体的な歳入確保策が示されておりません。「事業見直し方針」の中では、職員の皆さんが一層努力して滞納整理に当たるというようなことが言及されておりますが、もはや私は事務事業レベルの話ではこれはないと受けとめております。職員の方々の地道な努力と取り組みは不可欠ではあります。しかし、歳入確保策は職員の努力にゆだねるのではなく、区の経営方針として、区政経営者の立場で示すべきものと考えますが、いかがでしょうか。
以上でこの項の質問を終わります。
次に、2番目に中野区の組織のあり方について質問をさせていただきます。
昨年の第3回定例会一般質問におきまして、我が会派の市川みのる幹事長から区の組織編成につきまして、「目標体系に連動して予算も組織も変更することは、多くの弊害が考えられるため、拙速に行うべきではない」といった趣旨の質問をいたしました。これに対し田中区長は、「目標体系の見直し結果は平成23年度予算や組織に反映させる。目標と組織、執行体制、事業のあり方だけではなく、区の組織のより効率的で、また職員が力を発揮できる、そうした組織にしていくというようなことも、この見直しの中で取り組んでいきたい」というふうに答弁されております。
この4月には、目標体系の見直しの結果、全面的な組織の再編が行われました。また、今後も事業の見直しは検討されていくでしょうが、これまでの考え方を踏襲すれば、もはや目標体系を見直し、それが組織、予算の見直しへと連動していくことになるわけですので、本当にこのような毎年毎年、区政経営の根幹を変えていくことが経営管理の上で有効であるとお考えなのでしょうか。副作用や逆効果、悪循環といったものを正確にとらえる冷静な目が今こそ必要ではないかというふうに思います。
区では、「組織のフラット化」を図るとして、統括管理者と執行責任者を配置しております。しかし、それぞれの役職が十分に機能していないのではないか、そのことが財務監査指摘など不適切な事務処理を招いているのではないかという点についてお尋ねをさせていただきます。
組織のフラット化とは、そもそも階層を減らすことを意味しておりますが、中野区では階層を減らしたという事実は見当たりません。区の意思決定の階層は「事案決定規程」で定められております。担当職員の上に執行責任者、そして統括管理者、いわゆる課長、室長、部長、そして、その上に副区長、区長、この全部で6段階の階層に中野区は分かれております。これは組織のフラット化の導入の前と後では全く変わっておりません。また、他の区と比べて階層が少ないということもありません。
組織原則の一つに、監督範囲適正化の法則というものがあります。スパン・オブ・コントロールとも称されますが、1人の上司が直接指揮・監督する部下の人数は適切に制限されなければならないとする考え方であります。上司の管理能力の数量的限界を超えると管理監督機能が失われてしまうということが、その根拠とされております。適切な範囲や規模については、部下の訓練の程度、権限委譲の程度、コミュニケーションの能力や手段などによっても異なるものとされております。
では、中野区の現状はどうでしょうか。1人の統括管理者、いわゆる課長が管理する部下の数は、少ないところでは7人から9人という分野がある一方で、最も多いところでは、戸籍住民分野で再任用を入れて118人、続いて生活援護分野の84人、そして税務分野の80人、保険医療分野の78人となっております。さらに、戸籍住民分野の住民記録担当では、1人の執行責任者が29人の職員を監督し、税務分野の課税担当では33人、区税徴収担当は32人といった状況であります。
念のために、事務処理件数についても調べさせていただきました。平成22年度1年間で、各分野において文書管理システムで処理された起案及び供覧の件数というものです。少なかったところでは、年間で40件というところがある一方で、多かったところでは、保険医療分野で2,468件、公園・道路分野で2,139件、生活援護分野で1,644件、税務分野で1,428件、戸籍住民分野で1,427件というところでした。単純に数の比較はできないことは承知しておりますが、1人の統括管理者と数人の執行責任者が1年間でこれほど多くの決裁をされるということは、その件数にかかわりなく、決裁については結果責任を負わされるということにはならないでしょうか。どんなに優秀な管理職の方々でも、これだけの件数について、間違いがないか詳細に点検し、適切に処理することは決して容易なことではないと思われます。
スパン・オブ・コントロールの考え方は、人材育成においても全く同じことが指摘されます。区では、目標と成果による管理のもとで、統括管理者、いわゆる課長は部下と面接を行うことになっております。目標管理制度の目的の一つは、部下の育成であると理解しておりますが、果たして現在の組織規模において、部下の指導・育成が十分に行われているのでしょうか。御見解を求めたいと思います。
例えば、職員1人当たりの面接時間は30分程度と聞いておりますが、職員数の多い職場では、実際に職員全員の面接が本当に適切に行われているのでしょうか。70人の職場では、職員全員と面接するためには35時間程度は必要となります。ほぼ1週間がかり、かかりっ切りということになってしまいます。
職務の適正執行及び職員の人材育成というそれぞれの観点から、組織の適正規模についてどのようにお考えなのでしょうか。実際の組織編成において、組織の人数などは本当に考慮されているのでしょうか。また、「組織のフラット化」については、導入した後の弊害が大きかったために、福島市のように、もとに戻した自治体もあるようです。抜本的な見直しが必要ではないでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
続いて、執行責任者、係長級という役職についてお尋ねをさせていただきます。執行責任者のポストは、7月19日現在で193であり、その内訳は、課長級が9人、係長級が184人となっております。これに係長級の事務所の施設長を加えると約300人となります。つまり、区の組織全体の中で、係長級の職員約300人が執行責任者に配置されております。中野区の係長級職員の数は全部で526人でありますが、そのうち約300人しか本来の係長的な役割を与えられておらず、他の200人は、主査と呼ばれる一担当職員、またはチームリーダーとされております。
先ほど御紹介しましたように、執行責任者1人当たり、課税担当者では33人を監督し、契約担当者では700件を決裁しているのが現状であります。スパン・オブ・コントロールの観点から、執行責任者を適正規模で配置することにより、決裁のラインが事務処理量に対してボトルネックにならないように改善し、事務の適正化を図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。
さらに、地方公務員法第24条第1項では、「職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない」と書かれております。しかし、中野区における執行責任者という役職は、給与面では係長級と同じ4級であります。この原則に照らしてどのように整理されているのでしょうか。また、職員がみずから積極的に執行責任者となって能力を発揮したいというふうに思うような処遇が本当になされているのでしょうか。職員の間では、責任回避や昇級意欲の低下といったネガティブな風潮が見られると聞き及んでおりますが、そうした組織風土の原因になってはいないのでしょうか。
事務処理のミスの発生に対して、「ミスをした職員が悪い」「これこそ処分だ」と責める前に、組織経営の責任者として、まずやらなければならないことは数多くあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
以上でこの項の質問を終わります。
次に、3番目のパワーハラスメント対策についてお伺いをさせていただきます。
パワーハラスメントは、職員の人格や尊厳を侵害し、勤労意欲を低下させるとともに、職場環境の悪化につながり、ひいては区政の健全な運営に重大な影響を及ぼす問題です。パワーハラスメントとは、「職場における力関係において優位にある者が他の職員に対し、本来業務の適正な範囲を超えて人格や尊厳を侵害するような『職場内のいじめ』により、他の職員などの労働条件に関して不利益を与えること、また、職場環境を悪化させる行為、あるいは身体的・精神的に他の職員を傷つける行為」といいます。
ところで、中野区では、ことしの8月に中野区職労が職員に対して、「パワーハラスメントに関するアンケート調査」を行っております。その報告書によりますと、回答者数は770名で約35%の回答率となっております。調査結果では、「重大なパワハラを受けた」が6.8%、「重大かどうかわからないが受けた」としている者が21.2%、「以前受けたことがある」と答えた者が12.6%と、40.6%の職員がパワハラを受けている、もしくは受けていたと回答しています。
また、パワハラを受けて精神的にどのような状況になったかでは、複数回答ですが、「気分が憂うつになった」が58%、「異動したくなった」が50.3%、「やめたくなった」が34.6%、「通院した」が11.5%、「死にたくなった」が6.4%と深刻な状況に置かれていることがわかりました。その行為は、複数回答ですが、直属の上司が69.2%ということでございました。
そこでお尋ねをさせていただきます。区長はパワーハラスメントについてどのような認識をお持ちなのでしょうか。また、今回のアンケート調査の結果についてどのようにお考えでしょうか。さらに、現在のパワーハラスメント対策の状況についてお聞かせ願いたいと思います。
以上でこの項の質問を終わります。
最後に、4番目の中野区職員の名刺について質問をさせていただきます。
私は、第2回定例会の一般質問において、職員の名刺について、庁内統一性のあるものを作成してはどうかとの質問をさせていただきました。これに対して田中区長からは、「今後、区として標準などを定めて、公用に使うものについては区が支給するといったようなことも検討してまいりたい」という大変前向きな答弁をいただきました。
初めに、現在までの検討状況並びにいつごろまでそういった検討が行われていくのかについて、お伺いをさせていただきたいと思います。
また、中野区はことしの1月に発売されました「東京ウォーカー第3号」において、高円寺や吉祥寺を抑え、住んでよかった街ナンバーワンになりました。このことは、私を含め同僚議員や職員、中野区民も誇りに思うことで、大変喜ばしい結果であると思います。しかしながら、住みたい街のランキングでは第10位で、上には吉祥寺や下北沢、恵比寿、自由が丘などの若者受けする地域が含まれております。中野区は現在、中野駅周辺整備が進み、来年度には第2期整備に入り、魅力あるにぎわいの心の姿が徐々に見え始めております。ぜひ、この機会を逃すことなく、中野をいかに売り出していくかの取り組みを、大きな区民の波として広げていく必要があると思います。
こうしたまちを売り出していくツールとして、私は職員の名刺に中野の魅力を取り入れ、会う人にお渡しをして中野の魅力を発信していく必要があると思います。
現に、中野区議会の大内議長の名刺には、哲学堂公園の六角堂に桜の写真を入れ込み、さらには「中野で未来が動き出す・・起創展街」のロゴを入れ、地方行政視察の際や、区内の産業団体の方々と面談の際に名刺交換を行い、好評を得ています。また、我が会派の市川幹事長も、そうした趣旨を踏まえ、大量に、大量に作成したと聞いております。二度言いました。
こうした名刺を活用して、いわゆるシティセールスをするということは、大変地道で目立たない方法でありますが、多くの議員や職員がさまざまな中野の魅力を内外にアピールすることにより、小さな取り組みが大きな成果を上げる一つの要因ともなっております。
ぜひ、住んでよかった街1位の持続と、そして住みたい街のランキングアップのためにも、アイデアを活用した名刺を作成し、職員、議員が一丸となって中野の魅力を内外に示していただきたいと思いますが、区長の御見解をお伺いさせていただきます。
以上で私の質問のすべてを終わらせていただきます。ありがとうございました。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 佐野議員の御質問にお答えいたします。
650億円の根拠は何なのかと、こういうことであります。先ほどどなたかの御質問にお答えいたしましたけれども、実際にどのぐらいの収入があるのかというのを中長期的なトレンドでまず調べております。650億円に達しない年が続くというのがこの後数年間、残念ながら、そういう見通しで私ども考えておりますけれども、過去には何年間も670億、680億という年も続いたわけであります。そういう年に基金を積み立てるということもできていたと、こういうことになっております。そういった流れを見て、おおよそ650億円とすることが妥当なのではないかというふうに判断をしたところなんですけれども、そういった判断をするに当たっては、都区制度改革後の平成12年以降の一般財源の歳入実績や、その将来推計に基づいて設定をしたところです。
税制改正や都区財政調整制度の変更に伴う影響でありますとか、リーマンショック後の経済動向なども加味してきたところですけれども、これから先も650億円ですよというふうに言い続けられるかどうかということについては、私は必ずしもそうではないだろうというふうに考えているところです。非常に難しい状況になってきているということだと思います。
そういう状況であるからこそ、変化が激しいときだからこそ、3年程度の期間で精度の高い財政計画を立てて実施計画、アクションプランをつくってはどうかと、こういった御質問でもありました。なかなか、その3年間の約束も難しいというのが昨今の状況だと思っております。区政運営、20年、30年振り返ってみましても、3年間、お約束してそのとおりできるというようなことはなかなかないということが、これが実態でありました。そういうようなことも踏まえながら、10か年計画については目標をお示しし、目標とする姿に向けて第1ステップ、第2ステップ、第3ステップというふうな取り組みをしていくというような、目標に向かってどれだけ接近しているかということをステップという形で表現をさせていただいている。
実際の事業については、予算であるとか、そういった、個別の事業計画などにおいてその進捗をお示ししながら、またそれを中長期の財政見通しに従って、財政見通しと勘案しながら、適宜、組み替えながら進めてきているというような考え方になっているわけであります。この中長期の財政運営についてですが、毎年度の予算編成ごとに5年間の動きを具体的に示した財政運営の考え方、これをお示ししながら進めているところです。こういうことで、一定の財政運営の考え方の基礎になる考え方をつくることができているのではないかというふうに考えているところであります。
そうしたことから、複数年かかる事務事業などについて、先ほども言いましたように、必要に応じて個別計画などでお示ししているところでもありまして、実施計画というような形で策定していくということは考えておりません。
それから、ステップ1、ステップ2というのがわかりにくい。具体的な計画年次を示し、それを変更しながら進めていくべきではないかと、こういうようなことでありますけれども、先ほど申し上げましたように、目標達成に向けた取り組みのステップというようなことで、大変変化の大きい財政状況、社会状況、経済状況などを踏まえた行政運営のあり方として御理解をいただければというふうに思っております。
それから、基金、これも財政調整基金の残高は133億円。財政調整基金のうち年度間調整に充てるとして管理している部分が133億円と、こういうことであります。これを650億円下回る場合には、その基金から積み立てる。上回る場合には上回った額を積み立てる、あるいは執行残が生じた場合にはその額を積み立てるというようなことで、これまでは順調に基金の額はふえてきたわけであります。しかしながら、この数年間、基金がどうしても減少していく。この状況がこれからも続くようであれば、この133億円は確かに危うい数字になってくるというふうに思っております。
こうした考え方がこれからも本当に継続できるのかどうかと。現時点は必ずしも確言できないような、言ってみれば非常事態というべき状況だという認識を持っているということを再三申し上げてまいりました。
それから、義務的経費の抑制についてであります。どのようなことを考えているのかということです。義務的経費には、もう再三御指摘いただいておりますように、扶助費、人件費、公債費等があります。このうち人件費につきましては、22年度に比べて、23年度予算では12億7,000万円の削減をいたしました。また公債費につきましても、償還財源の減債基金への着実な積み立てを行って、計画的、着実に執行できるような形をとっているということであります。しかしながら、扶助費についてなんですけれども、これが大変ふえていると。この扶助費につきましては、特に生活保護受給者の就労支援策の強化を行うとか、あるいは、その保護者に対する生活相談などの拡充を行うとかいうようなことを行ったり、あるいは医療費の適正化というようなことを行いながら、経費の抑制を図っていくということが大変重要な取り組みだと考えております。
区として、こうした取り組みを一生懸命やっていくわけでありますけれども、高齢化でありますとか経済不況の影響、この影響の大きさというものは大変大きいものがあるというふうに認識をしているところです。厳しく認識をしているというところです。
それから、22年度にもゼロベースでの見直しと言っていたのではないかと、こういうことです。リーマンショック以降の厳しい歳入の減少を踏まえて、平成22年度予算の編成に当たって、そのときから以降3年間を見据えてゼロベースで見直しを行うと、このように述べてまいりました。23年度予算でも大幅な見直しを行いましたけれども、そのときの見直しでは、まだ個別の事業全体の見直しについては、23年度中に行うというようなことに表明もさせていただきながら、そのように進めてまいりました。そして今回のゼロベースでの見直しという言い方が23年度にも出てきていると、こういうことであります。しかし、今日、より一層の財政環境が悪化したということでありまして、この先についても非常に厳しく受けとめているというのが現状であります。
それから、PDCAサイクルによる見直しにはおのずと限界があるのかと、こういったような御質問でありました。
行政経営にPDCA、計画・実施・評価・改善の経営サイクルを確立することは、最小の経費で最大の効果を上げていくための区政経営上不可欠の取り組みであると、こう考えております。年々行っておりますこのPDCAサイクルは、それぞれの所管、担当ごとに積み上げてまいりますので、そうしたPDCAサイクルで評価・改善を繰り返しているという中では、部そのもの、分野など大きな目標の枠を超えて見直すということは、なかなか手がつけにくいという面があることが事実だと思っております。そうしたことを踏まえて、また急激に財政環境そのもの、前提が悪化しているというようなこと、こういった時期などには、通常のPDCAサイクルで評価・改善を行っていくこととあわせて、ゼロベースでの視点というのが必要になってくると、このように考えております。
それから、歳入確保に当たって、区政の経営方針として、区政の経営者の立場で示すべきであると、こういう御質問でありました。
歳入確保に当たりましては、未収金が発生しないように日常的な徴収努力、きめ細かく的確な努力が必要です。また一方、発生した未収金については、差し押さえを含め厳正な対応を行って、可能な限り早期に収納することが肝要だと考えております。そうした差し押さえの強化や、あるいはきめ細かく対応していくための全庁的な取り組み、そうしたことについて、区として強い意志を発信するなど、区政経営者の立場として行っているというふうに考えているところです。
私からは以上です。
〔経営室長川崎亨登壇〕
○経営室長(川崎亨) 私からは、残る3項目についてお答えいたします。
初めに、中野区の組織のあり方についてでございます。
その中で初めに、組織の見直しの有効性についてでございますが、常に区政経営の現状を見直し、より有効な執行体制を整えるために組織を変更すること、このことは経営管理の上で必要不可欠であると認識をしているところでございます。
次に、組織のフラット化による不適切な事務処理を招いているのではないかという御質問でございます。フラット化の利点でございますスピーディーな意思決定が行える、このことを生かしつつ、御指摘のありましたミスの発生を最小限とするため、組織内のチェック機能を強化するため、内部統制の再構築に取り組んでいるところでございます。
次に、組織の適正規模についてでございます。1人の管理職が管理する業務量や、その職員数が多くなりましても、職員指導・育成が十分行われるよう、執行責任者でありますとか、チームリーダーを適切に配置しているところでございます。組織につきましては、適正なものとなるよう常に見直しを行っていきたいと考えております。
次に、任用制度の原理原則というような御質問でございました。この執行責任者は施策の執行責任を担う役割を持つ者として、部長が指定するものでありまして、それぞれやりがいと責任を持って、自己に与えられた施策の執行に取り組んでいるところでございます。御意見がありましたように、職員が意欲を持って職務に取り組みながら、自身のキャリアアップを目指し、より高いレベルへ挑戦していける組織風土を育てることが大切であると考えております。
次に、3項目めのパワーハラスメント対策でございます。
使用者は職員が精神的に良好な状態で勤務できるよう、職場環境を整備する義務を負っております。適切な対策を講じる必要性があると強く感じているところでございます。一方で、正当な指示・命令や業務上必要な指導・叱責までもパワーハラスメントととらえることがないよう、正しい理解を深めていくこともあわせて必要であると考えております。パワーハラスメントに関する相談や苦情を適切に受けとめ、より安心して職務に専念できる環境を整えていきたいと考えております。
最後に、4点目の中野区職員の名刺についてでございます。
この職員の名刺につきましては、現在、23区などの例を調査するなど、そのデザインや印刷方法、費用負担のあり方などについて比較検討しているところでございます。今後、専門家の協力を得ながら、まちの魅力を発信する、中野区の魅力を内外に発信するためのデザインとしていくために検討を進め、早い時期に、その新しい名刺を職員が使えるようにしていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
〔佐野れいじ議員登壇〕
○22番(佐野れいじ) 3点ほど再質問をさせていただきます。
まず1点目、名刺につきまして、今御回答をいただきましたけれども、「早い時期に」というふうにお答えでしたけど、いつごろを目安にやっていくのかということでお答えを──早い時期というのはいろいろとり方があると思いますので、人によって。ぜひお願いしたいと思います。かなり増刷をした人もいますので、よろしくお願いしたいと思います。
それから2点目、まず財政運営の考え方、歳入確保の強化について、今、区長がお答えになっていただきましたけれども、私が御質問したのは未収金対策についてお伺いしたのではなく、それは一例としてお話しになっていただいたと思うんですけれども、私は、やはりこういうときこそ、区の経営方針として、区政経営者の立場から歳入がどうあるべきか。要するに、減収につきましては皆さんで努力をしてくださいよということで、いろいろ出されています。しかし、歳入の確保については出されていないというのが現状だと思います。確かに未収金対策をやりますよ、いろんなことが出されています。でも、やはり歳入と歳出のバランスがあってこそ初めて中野区の区政運営は行われていくのであって、歳出だけを抑えたのでは、私はならないというふうに思っておりますので、歳入を具体的にどういうふうにしていくのかということを出していただきたいと思います。
将来、これは非常に厳しい問題なので、難しい問題であると区長はお答えになりました。三つの方法があろうと考えます。一つは、まず650億円と想定したバーが高いのか低いのか、そしてまた、それに向けての歳入が上がるのか上がらないのか、歳出をそれによって抑え込めるのかどうか、この三つの方法論の中で、バーを時としては下げなければならない場合もあり得ると私は思っております。そういう意味で、この三つの方法論の中でどのようにまた考えていくのかも含めて、区長の見解を、お考えをお示しいただきたいと思います。
それから、もう1点、組織のことについてお尋ねしました。その中で、組織が今非常に複雑になって、問題点がいっぱいあろうかと私自身は考えております。その中で、スパン・オブ・コントロールという質問をさせていただきました。適正規模の人数は管理監督者のもとで行われているのか。少なくとも五、六人のところもあれば、百何十人というところもある。部下を持つのが。それが面接も含めてやらなければならない。要するにルーチンワークもある。そういうことから考えると、本当に、幾ら私は能力がある管理監督者であろうとも、それは無理な状況が出てくるのではないか。したがって、ある程度細分化、フラット化とあわせてどうしていくかという問題はありますけれども、ある程度見ていかないと、非常に責任と権限の中で責任だけが負わされてしまうというような現状になりはしないかということの3点について、お伺いをさせていただきたいと思います。
以上です。
〔区長田中大輔登壇〕
○区長(田中大輔) 経営方針としての歳入確保の問題と、こういった御質問だったということであります。
650億円という規模がこれからも維持できるのかどうか。これについては、私は大変危うい時期を迎えているというふうに思っているところです。しかしながら、その一方で支出のほうが、経常的な支出を含めて、一般財源を投入しなければならない支出のほうがなかなか650億円のレベルにも下がらない、下がり切らないということが大変厳しい状況として受けとめているわけであります。そうした中でのことでありますから、歳入としては一時的なものとしては、基金の取り崩しでありますとか、起債の活用でありますとか、そういったことも当然あるわけですが、やはり安定的で恒久的な財源としての区税収入の確保、こういったようなものを私どもとしてはしっかり目線に入れていかなければならないだろうと、こういうふうに思っております。
そういう意味で、区税収入の増加ということについては、やはりさまざまなまちづくりでありますとか、産業振興でありますとか、あるいは地域が本当に安全・快適で住みやすい、住んでよかったまちになるといったようなことも含めて、地域の住みやすさや評価を高めていくというようなことも、中期的にはきちんと視野に入れた事業運営をしていかなければならない、このことについても申し上げているところです。
それから、名刺について、早い時期と言うけどいつごろかと、こういうことなんですが、担当のほうでは新年度からどうだろうかと、こういうようなことを言っていましたけれども、私のほうでは、新年度と言わず、もっと早い時期にできないのかと、こういうようなことを言ったところ、お答えの文章としては「早い時期」と、こういうふうになったということであります。ですから、遅くとも新年度にはということになります。
それから、スパン・オブ・コントロールについて、認識がまだ十分じゃないんじゃないかと、こういうことであります。確かに、区役所の中には昔から、課長級の職員が率いている職員の数が大変多い100人を超えるような部署と、そうでない部署というのは伝統的にありました。他の区でも同じような傾向だと思っております。それは業務の均質性というか、業務の種類とか、ルーチンワークが多いとかいうようなことで、それこそ仕事の質によってスパン・オブ・コントロールのスパンがやはり違ってくるということもあると思っております。ただ、しかし個々人を管理していくという面で、個別面接のような人の管理というようなところでは、どうしてもそういったところでは手薄になりがちということもありますので、そういう意味では、そこのところでも、執行責任者であるとか、チームリーダーであるとか、統括管理者を補佐する役割の職員の働きというものをうまく使っていくということが肝心だというふうに私どもは考えているところであります。
○副議長(久保りか) 以上で佐野れいじ議員の質問は終わります。
お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(久保りか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
本日はこれをもって延会いたします。
午後4時58分延会