令和5年02月21日中野区議会予算特別委員会 25.02.26 中野区議会予算特別委員会(第3日)

.令和5年(2023年)2月21日、中野区議会第一・第二委員会室において開会された。

.出席委員(41名)

  1番  生  藤  健  人        2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  5番  間     ひとみ         6番  河  合  り  な

  7番  斉  藤  ゆ  り        8番  立  石  り  お

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  市  川  しんたろう

 11番  加  藤  たくま        12番  吉  田  康一郎

 13番  木  村  広  一       14番  甲  田  ゆり子

 15番  内  野  大三郎        16番  杉  山     司

 17番  ひやま      隆       18番  小宮山   たかし

 19番  い  さ  哲  郎       20番  小  杉  一  男

 21番  内  川  和  久       22番  若  林  しげお

 23番  高  橋  かずちか       24番  小  林  ぜんいち

 25番  白  井  ひでふみ       26番     欠  員

 27番  山  本  たかし        28番  中  村  延  子

 29番  石  坂  わたる        30番  近  藤  さえ子

 31番  浦  野  さとみ        32番  大  内  しんご

 33番  伊  藤  正  信       34番  高  橋  ちあき

 35番  平  山  英  明       36番  南     かつひこ

 37番  久  保  り  か       38番  森     たかゆき

 39番  酒  井  たくや        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席委員

      な  し

.出席説明員

 中野区長    酒井 直人

 副区長     青山 敬一郎

 副区長     横山 克人

 教育長     入野 貴美子

 企画部長    石井 大輔

 企画課長、ユニバーサルデザイン推進担当課長 堀越 恵美子

 構造改革担当課長瀬谷 泰祐

 財政課長    森 克久

 広聴・広報課長 高村 和哉

 総務部長    海老沢 憲一

 防災危機管理担当部長、総務部防災危機管理課長事務取扱 石崎 公一

 DX推進室長  滝瀬 裕之

 総務課長    浅川 靖

 職員課長    吉沢 健一

 人材育成担当課長石橋 一彦

 新区役所建築担当課長、庁舎管理担当課長 天野 伸哉

 経理課長    宮脇 正治

 防災担当課長  吉澤 直樹

 区民部長    鳥井 文哉

 文化・産業振興担当部長         髙橋 昭彦

 文化国際交流担当課長          矢澤 岳

 戸籍住民課長  伊藤 正秀

 マイナンバーカード活用推進担当課長、産業振興課長 平田 祐子

 税務課長    竹内 賢三

 保険医療課長  伊藤 廣昭

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長  濵口 求

 子ども家庭支援担当部長、子ども・若者支援センター所長、

 教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小田 史子

 子ども・教育政策課長、学校再編・地域連携担当課長 渡邊 健治

 子ども政策担当課長           青木 大

 保育施設利用調整担当課長、幼児施設整備担当課長 藤嶋 正彦

 子ども教育施設課長           藤永 益次

 育成活動推進課長細野 修一

 指導室長    齊藤 光司

 学校教育課長  松原 弘宜

 地域支えあい推進部長          角 秀行

 地域包括ケア推進担当部長        藤井 多希子

 区民活動推進担当課長          池内 明日香

 地域包括ケア推進課長          鈴木 康平

 介護・高齢者支援課長、高齢者支援担当課長 古本 正士

 健康福祉部長  岩浅 英樹

 保健所長、地域医療連携担当課長事務取扱 佐藤 壽志子

 福祉推進課長  中谷 博

 スポーツ振興課長辻本 将紀

 障害福祉課長  河村 陽子

 生活援護課長  葉山 義彦

 生活保護担当課長只野 孝子

 保健企画課長、新型コロナウイルスワクチン接種担当課長 中村 誠

 保健予防課長  鹿島 剛

 環境部長    朝井 めぐみ

 環境課長    永見 英光

 ごみゼロ推進課長、清掃事務所長     阿部 正宏

 都市基盤部長  奈良 浩二

 都市計画課長  安田 道孝

 公園課長    村田 賢佑

 建築課長    塚本 剛史

 住宅課長    落合 麻理子

 まちづくり推進部長           豊川 士朗

 中野駅周辺まちづくり担当部長      松前 友香子

 中野駅周辺まちづくり課長、中野駅新北口駅前エリア担当課長 小幡 一隆

 中野駅地区・周辺基盤整備担当課長    石原 千鶴

 中野駅周辺地区担当課長、中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 山本 光男

.本会の書記は下記のとおりである。

 事務局長     長﨑 武史

 事務局次長    林 健

 議事調査担当係長 鳥居 誠

 書  記     立川 衛

 書  記     若見 元彦

 書  記     髙田 英明

 書  記     鎌形 聡美

 書  記     田村 優

 書  記     細井 翔太

 書  記     有明 健人

 書  記     早尾 尚也

 書  記     髙橋 万里

 書  記     川辺 翔斗

 書  記     金木 崇太

.委員長署名

 


午前10時00分開議

○ひやま委員長 定足数に達しましたので、ただいまから予算特別委員会を開会します。

 第5号議案から第9号議案までの計5件を一括して議題に供します。

 総括質疑一覧がタブレット型携帯端末等で閲覧できますので、参考に御覧ください。

 

令和5年(2023)2月21日

     予算特別委員会

 

総 括 質 疑 一 覧

 

氏名・会派等

               

森 たかゆき

(立 憲)

1 令和5年度予算(案)について

 (1)予算の特徴と財政状況について

 (2)区民の健康を守る施策について

 (3)防災について

 (4)その他

2 中野駅新北口駅前エリア再整備について

3 その他

加藤 たくま

(自 民)

1 令和5年度予算について

2 中野四季の森公園のレイアウトチェンジについて

3 にぎわい施策について

 (1)エリアマネジメントにおける行政の役割について

 (2)歩行者利便増進道路(ほこみち)制度の活用について

 (3)大規模建築物の公共貢献について

 (4)その他

4 浸水予測シミュレーションモデルの利活用について

5 GIGAスクールについて

6 その他

平山英明

(公 明)

1 令和5年度予算について

 (1)好調な歳入について

 (2)物価高騰の影響について

 (3)組織と予算の関係について

 (4)その他

2 図書館のあり方について

3 平和事業について

4 休日保育と学童クラブについて

5 その他

浦野 さとみ

(共 産)

 

1 2023(令和5)年度予算案について

 (1)予算案の特徴について

 (2)くらしを守る施策について

 (3)学校給食費無償化等について

 (4)補聴器購入助成と聞こえの支援について

 (5)誰一人取り残さない区政の実現について

 (6)生活保護行政の改善・拡充について

 (7)その他

2 学校等の区有施設の有効活用について

 (1)当面の暫定利用について

 (2)跡地の活用について

 (3)その他

3 旧中野刑務所正門(旧豊多摩監獄表門)のよりよい保存活用について

4 その他

山本 たかし

(立 憲)

 

1 物価・燃料高騰における区民生活への対応について

 (1)公契約条例について

 (2)新型コロナウイルスに係る国民健康保険料の減免について

 (3)学校給食食材費の無償化について

 (4)子育て世帯への住宅支援について

(5)その他

2 地域包括ケア推進体制について

3 その他

若林 しげお

(自 民)

1 地域活動と地域経済の好循環について

 (1)地域交流の促進と町会・自治会の活力向上について

 (2)キャッシュレス型地域通貨の導入について

 (3)その他

2 青少年育成地区委員会について

 (1)ミニリーダー講習会について

 (2)その他

3 太陽光発電システムの補助について

4 その他

日野 たかし

(公 明)

1 令和5年度予算案について

2 学校教育について

 (1)小中学校におけるタブレット端末の活用について

 (2)児童の見守りについて

 (3)支援を必要とする児童・生徒について

 (4)スクールロイヤーの活用について

 (5)その他

3 その他

羽鳥 だいすけ

(共 産)

1 新型コロナウイルス感染症対策について

2 国民健康保険について

3 西武新宿線連続立体交差事業と鷺ノ宮駅・都立家政駅周辺のまちづくりについて

4 環境・気候危機問題について

5 中野区教育大綱・中野区教育ビジョンの改定について

6 その他

河合 りな

(立 憲)

1 令和5年度当初予算(案)について

2 児童虐待を生まないための一時保育の拡充について

 (1)未就園児の定期的な預かり事業について

 (2)一時保育・一時預かりの登録・申請の一元化について

 (3)預けやすい環境整備について

 (4)その他

3 ひとり親家庭支援の拡充について

 (1)実質ひとり親家庭への支援について

 (2)養育費確保支援事業について

 (3)その他

4 その他

10

木村 広一

(公 明)

1 令和5年度予算案について

2 中野駅周辺まちづくりについて

3 デジタル化の推進について

4 その他

11

小林 ぜんいち

(公 明)

1 新庁舎整備について

 (1)全庁共通発券機について

 (2)フルセルフレジについて

 (3)申請書自動交付機について

 (4)その他

2 個人情報の管理と犯罪防止に向けた取り組みについて

 (1)高齢者の名簿の管理について

 (2)区民の個人情報の管理と犯罪防止に向けた基準について

 (3)その他

3 その他

12

むとう 有子

(無所属)

1 区長車について

2 児童館について

3 HPVワクチンについて

4 その他

13

近藤 さえ子

(無所属)

1 子ども施設のあり方について

2 ブロック塀の安全対策について

3 その他

14

石坂 わたる

(無所属)

1 ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と社会的包摂)について

 (1)ファミリーシップや子育てについて

 (2)外国籍の人や海外にルーツを持つ人について

 (3)その他

2 アディクション(依存症)の予防や回復支援について

3 その他

15

小宮山 たかし

(無所属)

1 寄付について

2 文化芸術と生涯学習について

3 その他

16

渡辺 たけし

(無所属)

1 中野サンプラザ・区役所の跡地再開発について

(1)補助金(税金)のリスクについて

(2)議会の議決について

(3)その他

2 その他

17

内野 大三郎

(無所属)

1 令和5年度予算について

2 子育て先進区の先進性を先鋭化することについて

3 中野区史の編さんについて

4 マンション・ビルの防災について

5 その他

18

竹村 あきひろ

(無所属)

1 太陽光発電関係の補助について

 (1)補助の目的について

 (2)世界の情勢や現状などの把握について

 (3)その他

2 区のNHK受信契約について

 (1)受信契約について

 (2)NHKの郵便法違反について

 (3)その他

3 その他

19

吉田 康一郎

(無所属)

1 公園政策について

2 道路政策について

3 その他

 

○ひやま委員長 本日は総括質疑の1日目となります。1番目に森たかゆき委員、2番目に加藤たくま委員、3番目に平山英明委員、4番目に浦野さとみ委員、5番目に山本たかし委員、6番目に若林しげお委員の順に6名の総括質疑を行います。

 次に、要求資料についてですが、前回の委員会で要求した資料231件、全ての資料が提出され、タブレット型携帯端末等で閲覧できるようになっております。資料作成に当たられた職員の皆さん、ありがとうございました。

 ただいまから総括質疑を行いますが、答弁される理事者は答弁前に大きな声で職名を述べるようお願いします。

 それでは、質疑に入ります。

 森たかゆき委員、質疑をどうぞ。

○森委員 おはようございます。

 令和5年第1回定例会予算特別委員会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から予算総括質疑をさせていただきます。

 任期最後の総括質疑、また、全体トップバッターということで、本当はここで何かお話ができればいいんですが、相変わらず質疑時間に余裕がありませんので、早速質疑に入りたいと思います。

 令和5年度予算(案)についてお伺いをしていきたいと思います。

 過去最大規模の予算案となっております。しかも、今年度比で言うと、およそ25%近くという大幅な増であります。言うまでもなく予算規模というものは別にコントロールができない部分もあるわけでありまして、予算規模が膨らんだから積極財政だと言ったり、あるいは放漫財政だと言ったりというのは、いずれも印象論の域を出ないのかなと思っています。特に来年度は新庁舎整備と平和の森小学校用の用地取得などが規模を膨らませるというところに物価高騰も加わっています。数字の印象ではなく、細かく見ていく必要があるかなと思っております。

 ということで、まず、歳入についてお伺いをいたします。

 特別区交付金は、今年度比29億円、7.2%増という見込みを立てておりますが、この要因についてお伺いをいたします。

○森財政課長 特別区交付金の伸びでございます。交付金の財源でございます調整税等につきまして、企業収益の伸びによりまして、市町村民税の法人分や法人事業税の交付対象額が増しております。また、固定資産税も伸びておりまして、23区全体での交付金全体で850億円、7.7%増ということで、それが要因と捉えております。

○森委員 全体的に景気がいいから歳入が増えているというようなお答えなのかなと思うんですが、地方消費税交付金も同じような理由と考えてよろしいでしょうか。

○森財政課長 地方消費税交付金につきましては、実際に消費された時期と区に交付される時期にタイムラグがあるため、まず一つとして、昨年からの物価高騰の影響というのは一定程度は考えられるだろうということはありますが、それよりも、令和3年度後半以降の個人消費の回復の伸びが大きく反映されていると捉えております。

○森委員 個人消費が伸びている、あるいは企業の収益が上がっているということですが、そんなに景気がいい状況かなというのが多くの人の実感じゃないかなと思っているんです。どうもここにずっと乖離があるような気がしています。

 そういった中で、コロナ禍の事業者支援の補助金が歳入増に結びついている、こういったことも指摘がされてきているわけでありますが、実際、法人税を納付している事業者というのは増えているんでしょうか。

○森財政課長 東京都に納付されております法人事業税、この納付事業者の状況について申し上げます。区部の統計でございますが、平成30年度は32万6,811件、令和元年度が33万8,489件、令和2年度が31万6,515件で、令和3年度が34万6,144件となっております。

○森委員 この2年で言うと伸びているというような状況ですかね。地方消費税の伸びが20%ぐらいあるので、景気動向のほうが影響が大きいのかなと思うんですが、一定ここも影響しているのかなというふうに見えます。

 前に、歳入の増の要因をもうちょっとちゃんと分析したほうがいいということを申し上げました。どの要素がどれだけ歳入増に結びついているかはなかなか難しいんだと思います。東京都のほうに聞いてもなかなかはっきりとした答えが返ってこないような状況でもありました。引き続きここは研究をしていっていただきたいなというふうにお願いをしておきます。

 それから、特別区税についてです。34.6億円、10.1%の伸びを見込んでいますが、この要因についてお伺いをします。

○竹内税務課長 お答えいたします。特別区税全体については、令和4年度当初予算と比較して34億6,002万2,000円、10.1%増の377億5,547万9,000円となってございます。特別区税全体の中の約94%を占める特別区民税が伸びておりまして、その要因は、納税義務者数と所得の増によるものでございます。納税義務者数は前年度と比較して1,122人増の20万4,657人、1人当たり総所得金額は前年度と比較して38万1,536円増の437万3,124円を見込んだものでございます。

○森委員 特別区税のほうはこうやって聞くとそうなんだろうなと納得感があるんですが、それにしても、令和5年度当初予算(案)の概要の29ページの財政フレームを見ると、今度は令和6年度、7年度にかけて、5億円、4億円と減収を見込んでいます。この原因は何でしょうか。

○竹内税務課長 財政フレームの特別区税の見込みにつきましては、人口推計を基に積算してございまして、それに税制改正や寄附金税額控除による影響を予測して見込んでいるものでございます。寄附金税額控除の伸びにつきましては、令和10年度以降は横ばいになると見込みまして積算しているものでございます。

○森委員 寄附金税額控除は、要するにふるさと納税の影響額ということですよね。ここについてはちょっと後で伺いたいと思います。

 また、最終補正との比較ですとか、収納率ですとかというところは、あした河合委員のほうからお伺いをしたいと思います。

 それから、半年前の令和3年度決算特別委員会の総括質疑では、経常収支比率が全国区市の中で4位、72.7%と極めて低い数字になったことから、経常収支比率は低ければ低いほどよいとお考えかと確認をしなければいけないような状況になりました。

 他方、来年度以降、経常経費を増とさせる要因になるんじゃないかなと思っていたものに人件費があります。職員定数条例を改正し、上限を2,100人と改めています。まず、来年度の定数は何人を見込んでいるのか、伺います。

○石橋人材育成担当課長 今年度、職員定数管理計画を策定いたしました。その計画の中では、令和5年度における条例上の定数、条例上の基準で算定した定数は2,032人を想定してございます。

○森委員 再来年度以降の採用計画というのは立てられているんでしょうか。2,100人というのは上限ですので、必ずしもそこに到達しなければいけないわけではないと思うんですが、2,100人になる見込みというのは立っているんでしょうか。

○石橋人材育成担当課長 職員定数管理計画におきましては、今後10年の間の定数の算定に影響する要因を加味した職員数をおおむね2,100人に満たない規模で推移することを想定してございます。それを踏まえて、採用を含めて職員定数条例で定める上限2,100人の中で管理統制をし、人事施策を展開していく予定でございます。

○森委員 65歳までの定年延長というのがあって、退職金の支出に凸凹が出るので、この間は人を増やしてもそんなに人件費は増えないだろうというような議論をしました。だけど、減るとは思っていなかったんですね。令和5年度当初予算(案)の概要の29ページの財政フレームの人件費の10年間の推移の見込みを見ると、減っています。この減を見込んでいる要因は何でしょうか。

○吉沢職員課長 今後10年間の人件費を推計しますと、職員の年齢構成が変化しまして、比較的若い世代の人数が増えていきます。一方で、定年等による退職者数は減少することが見込まれております。そういった理由から、令和5年度――来年度の人件費と比較しまして、令和13年度の人件費が減少するものでございます。

○森委員 若いほうが安いというのは分かりやすいんですが、年齢構成のいびつさという課題もあって、経験者採用も増やしていただいているんじゃないかなと思うんですが、その状況を伺いたいのと、それから、就職氷河期世代の正規雇用というものも以前提案をさせていただきましたが、その状況についてお伺いします。

○吉沢職員課長 職員の年齢構成のアンバランスをできる限り解消していくためには、就職氷河期世代を対象とする採用も含めまして、経験者採用を増やしたいと考えてございます。令和5年度は、合計で50人ぐらいの採用を見込んでございます。今後も、就職氷河期世代や経験者採用を増やしまして、年齢構成を平準化していくことにより、将来的に安定した区政運営に資すると考えていますけれども、これによります人件費の推移も注視しながら、採用計画を検討してまいりたいと考えてございます。

○森委員 ありがとうございます。両方着実に進めていっていただいているということで、ありがとうございます。

 それから、先ほど触れたふるさと納税ですが、ついに影響額が27億円ということになりました。さらに、国の制度の影響で歳入減となっているものに法人住民税の一部国税化、消費税清算基準の見直しの影響があります。こちらは金額が書かれていないんですが、それぞれの影響額を教えてください。

○森財政課長 法人住民税の一部国税化と地方消費税の清算基準の見直しについての影響額でございます。特別区長会事務局の試算によりますと、令和4年度におきまして、法人住民税の一部国税化の影響がマイナス52億円、地方消費税交付金の清算基準の見直しの影響がマイナス11億円となっております。

○森委員 3要素合わせて90億円の財源流出ということで、とんでもない金額になるわけですね。特別区一丸となって国に是正を呼びかけていきますというふうに常々おっしゃっているわけですが、そう言うなら金額ぐらいは常に分かるような状態にしておいていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○森財政課長 今後、予算案の概要などにおきまして、具体的な影響額についてお示ししていくということを考えていきたいと思っています。

○森委員 よろしくお願いします。

 それから、区長の施政方針説明の中で、予算編成過程で国や都の支出金が当初より減となった事例もあり云々というような御発言がありました。具体的にどういうことがあったのか、お伺いをします。

○森財政課長 まず、国庫支出金についてでございますが、学習用デジタル教科書の無償の提供規模というものが当初27校分想定していたものが14校分になったというようなこと、それから、ヤングケアラーの支援体制強化事業、補助率が10分の10ということで今年度から拡大されるということを想定しておりましたが、結果としては3分の2だったということです。それから、保育所等の空き定員を活用した預かりモデル事業について、補助率が10分の10の想定が10分の9となったということでございます。それから、東京都支出金についてでございますが、エデュケーションアシスタントの配置支援事業において、1校当たり3人ということで補助対象を想定しておりましたが、1人ということになったということでございます。

○森委員 こういうことがあると、区の予算編成にどのような影響がありますか。

○森財政課長 今御説明した方針変更の部分につきましては、もうほぼほぼ年末ということで、予算編成作業が終了している段階ということもありまして、結果として、それぞれ必要な事業ということで、歳出の見直しはせずに、特定財源を想定していたものを一般財源の充当に変更したということでございます。

○森委員 こういったことはこれまでもあったんでしょうか。

○森財政課長 予算編成を始めていく秋頃、こういったところについて、翌年度の補助率等の縮小、変更ということが示されるというようなことはあったかというふうに認識しておりますが、予算編成がほぼほぼ終わっている年末頃にこのような変更が示されているということについては、最近ではなかったかなと認識をしております。

○森委員 あまりないこういう事例があったときに、区長から御発言を頂いたのは非常に大事なことだと思っています。たまたま国も都も事情があってこうなっちゃったというなら理解ができるんですが、私が懸念するのは、これは政治家のパフォーマンスに使われやすいと思っているんです。目玉施策をバーンと発信力のある政治家が打ち上げる、それは報道されますね。ただ、その裏で、財源確保のためにこうやって補助率を引き下げるみたいなことをしても、どこも報道しないわけですよ。そうすると、政治家のパフォーマンスが自治体財政にしわ寄せを与えていくという、これが常態化するとすごく危ないと思っていますので、国や東京都に対しては、こういうことのないようにということでちゃんと物を申していっていただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

○森財政課長 23区でも連携を取っていきながら、機会を捉えて、しっかり要望していきたいと考えております。

○森委員 ありがとうございます。都区財調の問題もありますけど、しっかりと自治体の立場を伝えていっていただきたいと思います。

 それから、起債の計画についてお伺いをいたします。

 一番大きいのが新庁舎整備の起債ですが、再開発事業の転出補償金で賄うということにしています。その他の区債充当事業は、何がしかの形で対応する財源があるのかどうか、お伺いをいたします。

○森財政課長 来年度予算案に計上しております西武新宿線の立体交差事業などの土木債、まちづくりに関係する部分につきましては、都市計画交付金の対象になっていくということで、そのように対象になっていけば、特別区交付金の財産費の算定の対象となっていくというふうに考えております。学校用地につきましては、統廃合のため新たに校地を取得するものでなければ、同じく特別区交付金の算定の対象となってまいりますので、来年度で言いますと、北原小学校の用地取得に係る起債については算定の対象になっていくだろうと想定をしております。

○森委員 なかなか学校の土地は難しいわけですけど、そのほかは財政的な裏付けはほぼあるような状況かなと思います。

 それから、基金の状況についてです。財政調整基金の年度間調整分は令和5年度末で193億円とのことです。約200億円を確保したいとする新たな財政運営の考え方が出て、すぐにそこに近い金額となりましたが、積立額は過去10年間で最低の19億円です。他方で、義務教育施設整備基金に23億円を積み立てています。減価償却費25%相当分が4億円、積み増し分が19億円ということです。これは、新たな財政運営の考え方の、さらに一般財源の確保ができた場合は義務教育施設整備基金に積む、この部分に基づいたものと思ってよろしいでしょうか。

○森財政課長 今、委員がおっしゃったとおりでございます。

○森委員 ありがとうございます。こういうのは普通であれば財政調整基金に行っちゃうのかなというふうに思います。きちんと考え方を整理して、その成果として学校整備推進の財政的裏付けが強化された、このことは評価したいと思います。

 また、そのほかの基金の積立ても考え方どおり進んでいると思ってよろしいでしょうか。

○森財政課長 新たな財政運営の考え方に基づきまして、その他の基金についても積立てをしております。

○森委員 ありがとうございます。

 それから、少し全体的な話を聞きますが、物価高騰の影響、あるいは公契約条例の影響も歳出規模が膨らむ要因になっているんじゃないかなと思います。中村幹事長の一般質問でも少し伺ったんですが、どの要素がどれだけ予算規模を膨らませているか、これはなかなかお示しいただくのは難しいんでしょうか。

○森財政課長 例えば委託料で見ていきますと、全体で、令和4年度予算と5年度予算で比較すると、約31億円ほど増えているわけでございますが、その増加について、人件費の増によるものなのか、事業量の増によるものなのか、また、物価高騰によるものなのか、こういったものについて、一つひとつの個々の委託の詳細についてはちょっとつかみ切れておりませんので、切り分けるのは難しいと考えております。

○森委員 難しいのは分かるんですけど、普通に考えて、何がどれだけ影響するのかなというのは素朴な疑問としてあるわけですよ。それは、区民の方もそうだと思うんですね。税を使う説明責任という意味でも、なかなか難しいのは承知していますけど、何がしか示し方を考えられないかなというところを考えていっていただきたいなと思います。これは要望にしておきます。

 それから、来年度予算については、光熱費の高騰が見込まれるということで、それが一般事業を圧迫しないようにということでお願いをしてきました。予算の状況を見ると、様々な新規事業、我々が提案してきたものも含めて予算化していただいています。評価をしています。

 また、歳入状況は好調で、基金もきちんと積めている状況、起債の状況、人件費の見通し等々からすると、すごく規模が膨らんだ予算ですが、これだけの予算が十分組める状態にあるんじゃないかと思っています。もう少し言うと、ここに給食費の無償化をのせても、単年度予算としては十分成り立つ、そのぐらいの財政状況かなと思います。

 問題は、この物価高が続いていったときにどうなるかだと思います。正のインフレというような状況になればいいんですけれども、果たして本当にそんなうまくお給料が上がっていくかなというところが我々としては一番心配なところです。

 また、日銀総裁の交代が控えていて、金融政策の見直しが世界中で進んでいる中で、大規模金融緩和の出口戦略をどうするのか、非常に難しい局面に入ってきていますし、北朝鮮のミサイル発射は続いています。地政学的なリスクも変わらず続いている、あるいは不安定さを増している、こんな状況かなと思います。

 こういったことを考えたときに、今後の財政運営は、やっぱり安心できるような状況ではないと思うんですが、その点について伺います。

○森財政課長 歳入の状況ですとか公債費負担比率などの各指標、こういったところを見ましても、財政の健全性ということについては示されているといったところで考えてはおります。一方で、今お話にありましたように、物価高騰もですし、あと、世界経済の後退懸念といったようなものもございまして、区を取り巻く状況というのは厳しさが増しているというふうに考えております。常にリスクを想定しまして財政運営を行っていく必要があると考えております。

○森委員 ありがとうございます。特に施設整備の経費が重くなってくるかなと思っています。その中でも学校整備については、質を下げて予算を減らしましょうというやり方じゃない発注方法の提案なんかも斉藤議員からさせていただいて、前向きな答弁も頂きました。これもぜひ着実に実施していただけるようお願いを申し上げます。

 以上です。ありがとうございます。

 続きまして、(2)区民の健康を守る施策について伺います。

 来年度予算案には、男子HPVワクチン任意接種事業の費用助成が計上されました。あわせて、ワクチン接種の補助率上限2分の1も見直されることとなりました。前回の一般質問の要望どおりであり、高く評価をしています。中村幹事長の一般質問に対して区長答弁は頂いていますけれども、事業化した狙いや対象者にどう届けようとしているかなど、所管としての考えを伺います。

○鹿島保健予防課長 HPV――ヒトパピローマウイルスは、女性の子宮頸がんの原因でありますが、男性においても、尖圭コンジローマ等の性感染症や肛門がん、陰茎がん、中咽頭がん等を引き起こすと言われております。現在、女子に対しては予防接種法に基づく定期予防接種が実施されており、全額公費での接種が可能でありますが、男子の接種は任意予防接種となるため、接種には経済的な負担が伴うため、小学6年生から高校1年生までの男子を対象に、任意予防接種の費用助成を行うものであります。周知方法としましては、区ホームページや区報による広報を実施するほか、対象となる小学6年生から高校1年生の男子に個別の案内はがきを送付し、積極的な接種を促していく予定です。

○森委員 ありがとうございます。これはやっぱり医療関係者をはじめ外からもかなり注目をされ、評価をされている事業です。これを機に、我々は子育て先進区とよく言いますけど、公衆衛生先進区としても注目を浴びる中野区になってくれればいいかなと思っています。

 一方で、新型コロナウイルス感染症対策は、5類移行とマスク着用の考え方の見直しが同時並行で進んでいます。本当はこれを聞くつもりはなかったんですが、ちょっと政府の考え方が不思議なので、確認をさせていただきたいと思います。

 2月10日政府対策本部決定には、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本とするとあります。3年前のこの場で、手洗いやうがいに比べてマスクに関する啓発が不足しているのではないか、どういうことに効果が期待できるのかを含めてもうちょっと啓発したほうがいいんじゃないかということを申し上げた際に、当時の保健所長からは、自身の感染を防ぐということもあるけれども、マスクは人にうつさないという点で効果があるんだということを御答弁いただきました。これは今も区保健所として考え方は変わらないと思ってよろしいでしょうか。

○鹿島保健予防課長 マスクの着用は、密閉・密集・密接の三つの密の回避、人と人との距離の確保、手洗い等の手指衛生、それから、換気と併せて、感染症の基本的な感染防止対策の一つであると認識しております。また、マスク着用の主な目的は会話やせきによる飛沫の飛散や吸い込みを防ぐことであり、飛沫を出す側と吸い込む側の両方がマスクを着用することにより高い防御効果が生じるものと考えております。

○森委員 だから、両方がマスクを着用しているから、それが両方の感染リスクを下げるということですね。

 それを前提に、ちょっとケーススタディーをしてみたいと思います。ある高齢者施設の一室で、限られた室内空間に複数の人がいます、その中に基礎疾患のあるハイリスクの人がいる、こうした場合に、マスクは着けたい人が着けます、外したい人が外しますでこの人のことを守れるんでしょうか。この人を守るためにサイエンスに基づいてすべきことはどういったことなのか、お伺いをいたします。

○鹿島保健予防課長 2月10日に出されたマスク着用の考え方の見直し等についてでは、着用が効果的な場面の周知等の項目として、高齢者等、重症化リスクの高い者が多く入院・生活する医療機関や高齢者施設への訪問時が挙げられ、マスク着用を推奨しております。このことから、高齢者施設の利用者は、自身がハイリスクであるとともに、一緒に生活するハイリスクの高齢者への感染防止対策としてマスク着用が求められているものと考えておりますが、マスク着用の判断は個人に委ねられており、家族や施設が強制することはできないと解釈しております。

○森委員 それは、要するに国の話はそうだという話であって、ただ、対策として必要なのは、着けたい人は着ける、外したい人は外すということではなくて、周りの人が着けることがその相手の方を守ることになるということなんだろうと思います。このことは、この3年間でみんなよく分かったはずなんですが、ここに来てなぜかみんな忘れてしまっているような気がするのが非常に気がかりなんです。何でこうなっちゃったんだろうなと思って、政府対策本部決定というものを見ると、ここに、個人の主体的な選択を尊重し云々と見出しが書いてありますが、その下に細かく実はいっぱいいろいろ書いてあるんですね。これを医療のプロが読むとどういうことを意味しているのか、見出しに引っ張られるんじゃなくて、この全体が意味するところを少し御説明いただければと思います。

○鹿島保健予防課長 2月10日に出されたマスク着用の考え方の見直し等についてでは、行政が一律にルールとしての屋内でのマスク着用を求めることを改めて、マスクの着用は個人の判断としつつも、状況によっては感染防止対策としてマスク着用を求めているものと解釈しております。

○森委員 そうなんですけど、その状況によってはの状況というのがこんないっぱい書いてあるんですよ。具体的に読んでいくと、本当にマスク着用の推奨をやめる場面というのがどこにあるのかなと思うんです。もう少し具体的に御説明いただけますか。(「ちょっとお待ちください」と呼ぶ者あり)

○ひやま委員長 委員会を休憩します。

午前10時30分休憩

 

午前10時30分開議

○ひやま委員長 委員会を再開します。

○鹿島保健予防課長 着用が効果的な場面の周知等ということでありますが、ここでは、高齢者等の重症化リスクの高い者への感染を防ぐためとして、マスク着用が効果的な場面ではマスクの着用を推奨しております。1番目、まず、医療機関の受診時、2番目、高齢者等の重症化リスクが高い者が多く入院・生活する医療機関や高齢者施設等への訪問時、これは先ほど説明させていただきました。それから、3番目に、通勤ラッシュ時の混雑した電車やバス――公共機関ですね――に乗車するときが想定されております。このほかに、新型コロナウイルス感染症の流行時に重症化のリスクの高い者が混雑した場所に行くときについては、感染から自身を守るための対策としてマスクの着用が効果的であるということを周知していくことということが記されております。それと、あと、症状がある場合、これはもう間違いなく感染対策のマスク着用が求められるということで解釈しております。

○森委員 いろんな条件がついていて、これが本当に個人の主体的な選択を尊重しという見出しと合っているのかな、実はかなり慎重なんじゃないかなというような読み方もできるなと思ってお伺いをしました。

 全体の話はそうなんですが、さらに心配なのが卒業式で、卒業式は外すのが基本となっています。本当に外すのが子どものためなのかというのを考えてみたいんですけれども、例えば校長先生の話を聞きます。みんな前を向いています。保護者からは、頭の後ろと背中しか見えません。そういうときにマスクをしているかしていないかがそんなに大事かなと思うんです。逆に言うと、しゃべらないから外していてもそんなにリスクは高くないのかもしれません。という状況ですけれども、大事なのは、卒業証書を受け取るときとか、みんなで写真を撮るときとかに外してあげるというのが、ここが大事なんじゃないかなと思うんです。

 私は区立小学校の保護者ですから、学校に出入りしますが、今でも、卒業式じゃなくても、日常的な場面でも、状況によってマスクを外す機会をつくってあげていると思うんですが、現場の対応はどうなっていますか。

○齊藤指導室長 学校は、感染症に対する正しい理解の下に、人との距離や会話の有無など、児童・生徒が活動場所や活動場面に応じたマスクの着脱ができるように指導してきております。

○森委員 そうだと思うんですよ。その積み重ねを3年やってきて、学校と保護者の間ではそれなりに信頼関係が築けていると私は思っています。なので、上から言われてそこをどうこう変えるというのも必要ないんじゃないかなと私は思っています。

 ただ、卒業式がほかと違うのは、歌を歌います。歌を歌うのが付き物ですね。それから、呼びかけというのもやります。これは大きい声を出します。練習のときは距離が取れても、本番は、来賓の皆さんとか保護者の皆さんも入るから、どうしても距離が近くなる。そうすると、マスクを外しているから歌えません、声が出せません、これは子どものためになりますかね。都立高校は斉唱禁止らしいですけれども、一方で、プロスポーツの観戦なんかは、マスク着用を前提にして声出し応援解禁、こういう動きもあります。私は、マスクをした上で歌わせてあげたほうが子どものためじゃないかなと思うんですが、どのように対応されるお考えか、伺います。

○齊藤指導室長 効果的な換気や手指消毒の徹底などの対策を講じた上で、令和4年度の卒業式における歌唱や呼びかけにつきましては、マスクを着用して行うこととし、学校通知にて知らせたところです。

○森委員 ありがとうございます。そのほうが子どものためにはいいんじゃないかなと思うんですよ。一律で外すのが基本というのが子どものためだというのは随分乱暴な話だなと私は思っています。政府のこの考え方を読むと、卒業式の教育的意義を考慮し、マスクを着用せず出席することを基本と書いてある。何の話をしているんだろうと思う。鼻で笑っていいと思いますよ、この通知は。こんなものよりも、皆さんが現場で積み重ねてきた創意工夫と子どもたちの心情を考慮した対応、これに自信を持って対応していただければいいかなと思っています。

 これは全体の話ですが、そもそも、三位一体改革以降、国と地方というのは対等なんです。国の方針がどうだからじゃなくて、主体的な判断を区としてできるようにしていっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

 それから、健康を守る政策として、来年度新規事業として国保データシステムを使ったデータヘルスの取組というものが予算化されています。概要についてお伺いをいたします。

○鈴木地域包括ケア推進課長 国保データベースを活用し、75歳以上の区民の検診データや医療レセプト等を保健師が分析し、低栄養やフレイルなどの健康課題を明らかにいたします。その上で、個別の支援対象者には、重症化予防等を行うための相談や指導、予防事業への勧奨等の個別的支援、いわゆるハイリスクアプローチを行います。また、ポピュレーションアプローチといたしまして、すこやか福祉センターや高齢者会館等の通いの場で、フレイル予防等の普及啓発や健康教育、健康相談等を実施する事業でございます。

○森委員 ありがとうございます。データ活用という意味でも、申請を待たない福祉という意味でも、非常に意義のある事業かなと思っていますが、検診データを使うので、本当に意味のある事業にしようとすると、やっぱり受診率の向上というのが大事なんだろうな、今まで以上に大事になってくるんだろうなと思います。

 検診の受診率を上げましょうというのはあまりにも普通の話なので、あんまりこういうところで申し上げる機会がなかったんですが、来年度予算に向けての医師会の先生方との予算要望の中でも、ラッピングバスを走らせてでも受診率をどうにかしろというような御要望も頂いています。やっぱり現場では、現場の先生方は、基本の基本がちゃんとできているのかというところを疑問に思っていらっしゃるんだと思います。

 こういう事業が始まると、検診を受けに行く、その負担は変わりません。でも、得られるリターンは増えます、こういう状態になるんだと思うんですね。なので、こういったものが始まるのをきっかけに、また改めて受診率向上の取組に一層力を入れてやっていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○鈴木地域包括ケア推進課長 検診未受診者の中にも、閉じ籠もりがちで健康状態が不明であったり、医療サービスが必要な高齢者もいると考えております。また、検診を受けることにつきましては、疾病の早期発見や早期治療につながり、健康の保持増進のためにも、この新たな事業とともに、区民健診の受診勧奨についても工夫して取り組んでまいりたいと考えております。

○森委員 ぜひよろしくお願いします。ありがとうございました。

 続いて、防災についてお伺いをいたします。

 昨年、東京都が10年ぶりに被害想定の見直しをし、死者数や全壊建物数など被害状況は小さくなる想定となりました。被害想定の前提条件が異なるため、単純比較はできませんけれども、着実に対策を進めてきた、その成果も一定あるんだと思います。

 一方、トルコ、シリアでの大地震がありました。亡くなられた方に改めて御冥福をお祈りしたいと思います。これを見て、改めて自然災害の脅威を感じたという人も多いんじゃないかなと思います。区内でもできることを引き続きやっていかないといけないと思います。

 区では、木造住宅耐震化促進事業を改善を重ねながら進めてきましたが、令和4年度の実施状況がどのようになっているか、昨年度との比較も含めてお伺いをいたします。

○塚本建築課長 木造住宅耐震化促進事業、こちらにつきましてですが、本年1月末時点での申込件数でございます。まず、木造住宅の無料耐震診断、こちらが116件でございます。前年度比で25件増加してございます。続きまして、耐震補強工事助成、こちらは2件でございまして、前年度比1件の増、最後に、除却を含む建て替え工事助成、こちらが57件、前年度比15件の増となってございます。

○森委員 ありがとうございます。

 全体として増傾向にあるということですが、その要因をどのように考えているか、伺います。

○塚本建築課長 申請件数増加の要因でございますけれども、まずは、木造住宅耐震化促進事業に関する情報発信、こちらを継続して行った成果であると。また、建て替え工事助成の対象区域を今年度より区内全域に拡大した、こういった影響もあるものと認識してございます。加えまして、令和2年度に事業を開始いたしました木造住宅耐震補強工事助成、こちらの影響も大きいものというふうに捉えております。これにつきましては、建て替えまでは考えていないけれども、耐震補強にも補助金が出るならば、まずは相談してみようか、そういったきっかけによって区への問合せが増加しました。そこから耐震診断でありますとか、結果的に、耐震補強ではなくて建て替え助成、こちらのほうの申請につながる、そういったケースもございます。こちらが効果的に耐震化促進が図られている、そういった要因の一つになっているというふうに捉えてございます。

○森委員 ありがとうございます。最後の話は面白いですね。補強工事ならやろうかというのが呼び水になって、よくよく考えると建て替えまでする方が多いということなんですね。ありがとうございます。着実に進めていただいていて、引き続きの取組に期待したいと思います。ありがとうございます。

 それから、東京都の地域防災計画震災編(令和5年修正)素案というものが今出て、パブリックコメントにかけられているところですかね。この四つの主な取組の一つに、マンション防災があります。区もマンション防災パンフレットを令和2年度に作成、昨年7月に改訂をしています。これはどのように活用されているんでしょうか。

○吉澤防災担当課長 区では、マンション防災の普及については、平成30年に作成した中野区民防災ハンドブックと、令和2年に作成した中野区マンション防災パンフレットを併用して実施しております。まず、中野区民防災ハンドブックで防災全般に関わるものについて御理解いただき、その後、中野区マンション防災パンフレットを活用して、マンション特有の準備や対応が必要なものについて普及を図っているところでございます。

○森委員 私も分譲マンション住民ですが、なかなか手元に届き切っていないなと感じています。中身を見ても、例えばマンション防災組織をつくろうと書いてあるんですが、なかなか言うだけじゃできないのが現実かなと思います。うちのマンションでも、消防に御協力いただいて、消防車を呼んで子どもたちを遊ばせて、大人はAED講習をしてなんてやったことがありましたけど、やっぱりなかなか続けるのは難しいなというのが実情だと思います。

 パンフレット作成も重要ですけれども、もう少し管理組合等に対して踏み込んだアプローチが必要かなと思いますが、いかがでしょうか。

○吉澤防災担当課長 区では、昨年、東京都が公表した首都直下地震等における東京の被害想定を踏まえ、来年度、中野区マンション防災パンフレットをマンションにおける防災マニュアルとして活用できるものに刷新する予定でございます。その内容には、マンションの自助・共助の要となる管理組合を中心とした自主防災組織が機能的で実効性のあるものとなるよう、自主防災組織結成の手引も盛り込んでまいります。また、この新しいパンフレットをマンション防災訓練等や中野区ホームページへ掲載して普及を図るとともに、自主防災組織の結成の相談にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

○森委員 ありがとうございます。管理組合が大事なのはそのとおりで、そこはぜひアプローチしていただきたいんですが、これは問題意識だけ伝えておくと、やっぱり管理会社と何かできないかなというのは思いとしてありますので、そこも、情報共有等、なかなか難しい部分もあるやに伺っていますけれども、東京都の動きも見ながら、できることを考えていっていただければなと思っています。お願いいたします。

 それから、同じく東京都の話ですが、感震ブレーカーを無償配布するということです。木造密集地域が対象で、町会・自治会と連携して配布をするということが報道されています。今分かっていることについて教えてください。

○吉澤防災担当課長 東京都が来年度予定している感震ブレーカー配布事業について、区が把握している内容についてお答えいたします。

 まず、配布予定の感震ブレーカーについては、現時点では、コンセントタイプで、通電を一括遮断する漏電式ではなく、特定機器のみを遮断するタイプを中心に検討中と伺っております。対象となる世帯については、木密地域の木造住宅を基本とするとしていますが、具体的な範囲については検討中と聞いております。町会等との連携部分については、町会の負担をなくすため、都が対象世帯に直接配布するとしており、事前に住民に配布の希望を確認するかについては検討中としています。その上で、町会・自治会にどう連携していただくかについても検討中と伺っております。なお、配布する時期については未定となっております。

○森委員 今の答弁で、検討中と未定と、幾つあったかなと数えてみたら、5個か6個が検討中か未定でしたね。要するに、まだなかなか状況が分かっていないということなんだと思いますが、どう考えても、東京都だけで全住民にアプローチするのは私は無理だと思っています。どういうやり方をするにしても、区が情報を伝えてあげる役割、あるいは申請の支援なんかももしかしたら必要になるかもなと思っています。ちゃんと必要な人に届くような取組というのを今後考えていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○吉澤防災担当課長 感震ブレーカーの配布方法は、都から対象世帯への直接配布と聞いております。ですが、感震ブレーカーの認知度が低いことから、その有効性と注意点について、区からも情報提供し、制度の実効性を支援していきたいと考えております。また、配布対象を木密地域の木造住宅に限定するのではなく、木密地域と非木密地域が混在する町会区域には、震災時の延焼拡大を防止する観点で、区域内の全木造住宅に一律配布するよう提案するなど、制度が確実に被害軽減につながるように、都に要望してまいりたいと考えております。

○森委員 最後の一つの町会は一つの取扱いでというところも非常に重要だと思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。ありがとうございました。

 最後に、2番、中野駅新北口駅前エリア再整備事業についてお伺いをします。

 中村幹事長に引き続き、権利床の話をお伺いしたいと思います。

 昨年12月の特別委員会に示された資料によると、区は、事務所床のほか、子どもの遊び場、バンケット、展望フロアの床を取得する考えが示されました。行政サービスの財源確保を目的とする区有施設整備計画とはかけ離れてしまいました。区有施設整備計画のとおり最大限財源確保に床を使った場合と今回示されたプランとで、年間の収支がどれだけ変わってくるのか、お伺いをいたします。

○瀬谷構造改革担当課長 権利床の運用収支について、展望、バンケット、屋内遊び場は、事務所に比べると賃料収入が低くなることが想定されております。

○森委員 どのくらい低くなるかが大事なんですよ。どう考えても、100万円とか1,000万円とか、そういう単位じゃないと思うんです。億単位の差は出ると思っているんですが、違いますかね。

○瀬谷構造改革担当課長 精査中ではございますが、仮に全部事務所で取った場合と比べますと、6割程度の収益になってしまうというふうに試算しているところです。

○森委員 ありがとうございます。割合は答えられるんですね。これはこれで受け止めたいと思いますが、結局金額としてどうなのかというのは分かるものなんでしょうか。それが分かった状態で判断ができると思っていいんでしょうか。

○瀬谷構造改革担当課長 運用収支の試算をさらに精査していきまして、判断材料の一つとする予定でございます。

○森委員 それで、それは議会に示されるのか、議会の意思決定に必要なタイミングに間に合うのか、この辺りはいかがでしょうか。

○瀬谷構造改革担当課長 権利床の収支につきましては、その時点で想定する試算となりますが、財産処分に係る議決の前までにお示ししたいというふうに考えてございます。

○森委員 それは最低限の最低限やっていただきたいと思っています。

 そもそも展望スペースをつくるという話は、最初はどこから出た話でしょうか。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 展望フロアにつきましては、中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備民間事業者募集時に施行予定者より提案があったものでございます。

○森委員 事業者さんから提案があったんですね。再整備事業計画や募集要項には何も書かれていないということでしょうか。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 展望フロアにつきましては、再整備事業計画や民間事業者募集要項には示しておりません。

○森委員 それで、事業者から提案があって、その後、容積率が900%から1,000%になるという話が出てきました。このときも展望スペースについて変更があったように記憶していますが、状況を説明してください。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 施行予定者の当初提案時は、計画容積率900%で、展望広場を設ける提案でございました。続きまして、令和3年12月にお示しをした容積率1,000%での施設計画案の際には、展望広場と交流施設(展望ロビー、店舗等)を設ける提案でございました。

○森委員 要するに、拡大をしたわけですね、少し。事業者から出た話で、しかも1,000%にするタイミングで内容が変わっている、これを何で区の床でやる必要があるのか、そこが理解できないんです。タイミングから考えると、1,000%にするという正当性も揺らぐような話だと思っているんですが、いかがでしょうか。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 容積率1,000%の施設計画案におきましての展望広場、交流施設という提案がありましたけれども、その後、施設の詳細検討、権利変換、資金計画等の検討を進める中で、地価の上昇、物価の高騰などから、状況が変わったというものでございます。一方で、都市計画では、高度利用地区指定基準に基づきまして、容積率の最高限度を1,000%としておりまして、ただ、展望フロアの整備については、容積割増しの項目にはなってございません。

○森委員 制度上項目になっていなくたって、一体の提案として900%から1,000%にするときに受けていて、それを受けて区は判断しているわけでしょう。だから、制度上は容積率割増しに入っていませんというのはちょっと考え方として違うのかなと思います。

 考えてみれば、これだけ高いビルができるんですから、展望をどうするという議論はあってしかるべきだったんですよ。でも、13年前、私が議員になったときからここの再開発の議論をしていて、グランドデザインVer.3から積み重ねてきたわけですよ。その間、何の展望フロアの議論もないんです。10何年なかった議論が何でここに出てきてマストだというような話になっちゃっているのか、さっぱり分からないんです。だって、これまで議論するチャンスは幾らでもあったんですから。それをしてこなかった。事業者の提案を受けてやるということにしたと。何で主体的に中野区のどこかから展望フロアをつくるという話が出てこなかったのか。忘れちゃっていたのか、思いつかなかったのか、何でなんですかね。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 区の側からとしましては、再整備事業計画におきまして、拠点施設整備のコンセプトとしまして、中野サンプラザDNAの継承ということでうたっております。こうした中で、民間事業者募集の際に、施行予定者から展望広場という提案があったものというふうに考えてございます。

○森委員 だから、そのサンプラザのDNAというものをどう解釈するかという中で、事業者さんから話があったわけでしょう。私たちからは話は出ていなかったわけですよ。欲しい、欲しいと言ったって、その程度ということじゃないですか。10何年間の議論は何だったのかなというふうに思っています。

 ここの再開発では、大規模集客施設の規模というものが争点のようにもなりましたが、私としては、規模よりも所有形態が大事だと思っていました。要するに、公設民営というのがホールとかは多いわけですが、多大なリスクを抱えますので、民設民営でやってほしい、こういうことを申し上げてきて、実際、その方向で今も動いています。が、そこは民設民営のままだけども、展望フロアは公設民営だとなっちゃったら、持つところは違うんだけど、意味合いとしては一緒じゃないかなと思うんです。この点についてどうお考えになりますか。

○瀬谷構造改革担当課長 この間、区民等からの要望も踏まえまして、展望レストランの設置やバンケットの機能の拡充を求めてきたところです。施行予定者との地価上昇などへの対応を協議する中で、区の権利床であれば実現できることが示されたことから、それらの床の取得も視野に入れて検討しているところでございます。

○森委員 子どもの遊び場もありますね。私は、ここにある必要はないと思っています。私の本命は今でも中野二丁目のほうの権利床で、何か事業者さんを選定していましたけど、違約金を払ってでもあっちに移ったほうがいいと思っています。

 バンケットだって心配なんです。つくったところで、今の値段と同じでは使えませんよ。減免しますか。そうしたら、近隣で同じようなことをやっている事業者からどういう声が出ますか。

 非常に心配をしていますが、子育て支援というのは自治体の仕事の一つだから、まだ分かる。バンケットも、サンプラザの継承という意味では、まだ理解ができる。展望だけは全然分からないです。高いところから景色を見て、そこで御飯が食べられる、これが公益性なんでしょうか。

○瀬谷構造改革担当課長 展望ロビーのほか、レストランやバンケット等、区民や来街者などが誰もが利用できるという観点、また、そのシンボル性ですとか経済波及効果などを加味して、公益的な機能であると考えてございます。

○森委員 そこまで言っちゃうと何でもありなんじゃないかなと思うんですが、展望フロアを持っている公共施設は幾つかあるわけですよ、都庁とか。都庁も文京区のシビックセンターも、今うまくいっていないんですね。そういう状況で、何でやるのかなと思うんです。あの六本木ヒルズですら、展望フロアは最上階から2階、1個下のフロアにあるんです。上下を文化施設にして、森アーツセンターという複合文化施設にしている。要するに、展望だけで本当に人が来ますか。展望だけじゃ集客できないと思っているんですが、違いますかね。

○瀬谷構造改革担当課長 展望フロアの機能については、展望ロビーのほか、レストランやバンケットなどを増やしまして、集客もできて、賃料収入が見込める機能の配置を検討しているところでございます。

○森委員 特別委員会で指摘をして、少し検討が進んでいるのかなという気もするんですが、今の答弁を聞いていると。ただ、それをやり始めると、今度は集客が目的になっていくわけですよ。展望フロアに人を集めるのが行政の仕事ですかということをよくよく考えたほうがいいと思います。

 私は、本来は、区有施設整備計画どおり、区の資産はちゃんと財源確保に使ってほしいというふうに思っていますが、こういう話になっているのは、結局それをやると事業収支が成り立たない、こういう背景があるんだというふうに理解していますが、それでいいんですか。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 地価の上昇により、当初提案時よりも従前資産が増加しておりまして、増加分を事務所床に変換すると、その分の保留床処分金が減少し、再開発の事業収支に影響するものでございます。

○森委員 そういうことですよね。

 伺いたいのは、これが逆だったらどうなっていましたかということなんです。地価が上昇しています、今。地価が下落をしていたら、中野区さんの事務所床、3フロアぐらい考えたけど、1フロアしか金額的に取れません、でも、3フロアあげます、例えばこんなことは起こり得るんでしょうか。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 一般的に、事業者に有利な状況になる場合は、権利床が減りまして保留床が増えることとなります。保留床処分金が増える傾向となれば、補助金額が減ることとなります。

○森委員 補助金は、少なくとも計画段階では区の財源でやるわけじゃないですよね。違いますか。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 補助要綱にのっとりまして、国費、それから、都市計画交付金、それから、区の補助金、財調制度に基づくもの等を活用していくというところが補助金でございます。

○森委員 そういうことなんですよ。要するに、事業者が厳しくなったら区が譲歩しないといけない。でも、区が厳しくなったって、事業者が手を差し伸べてくれるわけではないわけですよ。だから、何でこんなことしないといけないのかなという疑問が残り続けるわけです。

 こういう議論をしていると発展性がない。だから、ゼロサムで考えるんじゃなくて、もうちょっと、この再開発事業の中で事業者さんが収益を上げられるような形の見直しをしたほうがいいんじゃないですかということを我が会派としては考えているわけです。特別委員会の質疑の中では、4対4対2というあの提案すら見直せないみたいな答弁がありましたけど、本当ですか。事業者選定は、事業者が提案したプランを選んでいるわけじゃありませんよね。施工能力を評価して事業者を選んでいるわけです。だったら、提案内容は、この変わりに変わっちゃった前提を受けて、ゼロベースで見直したっていいんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 民間事業者募集では、基本的には提案内容を継承するよう求めております。よりよいプランとなる場合には見直しが可能ということとしております。一方で、現時点から提案内容を大きく見直すとなると、選定後から現在までの施設計画の検討、それから、現在進めている都市計画手続等の再度のやり直しということになります。

○森委員 既に大きく変わっているじゃないですか。だって、展望フロアを区の床でやるなんていう提案を受けていないですよ、私たち。そこは変えられるのに、ほかのところを変えるんだったらまた手続が必要だというのはよく分からないです。もうちょっと根本から――いや、事業者さんをいじめたいわけじゃないわけですよ。何ならここで大いに稼いでいただきたい。そのことのほうが地域住民のためになるかもしれないと思っているんです。だから、これまでの提案に縛られるというよりも、スケジュールも一旦見直してでも時間をかけてプランを再検討する、こういう選択肢があってもいいんじゃないですかということを申し上げているんです。いかがですか。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 プランを再検討すると事業スケジュールが遅延することとなりまして、新北口地区における再開発事業につきましては、新区役所整備費の財源となっていること、既に事業実施のために中野サンプラザが閉館予定であること、さらには、駅と周辺地区をつなぐ歩行者ネットワークの完成が遅延することなどから、区としては現在のスケジュールどおり進めたい、進めることと想定をしてございます。

○森委員 事業を遅らせたらいろんなリスクがあるのは重々我々も分かっているんです。だから、前回の一般質問では、事業を遅らせることは望んでいませんと言ったんです。でも、ちょっと今の検討内容は、これまで言ってきたのと変わり過ぎているので、だったらということを申し上げているんです。多分、財源確保に使った場合と今のプランとで数億円の差が出るでしょう。6割とさっき答弁がありましたけど。それがここは一回つくったら60年とか70年とか、場合によったら100年使うかもしれないわけで、そういう話の大きさと、今御答弁いただいた懸念点と、どっちが区民にとってより影響が大きいかなということはよくよく考えていただきたいなというふうに思っています。話の大きさに比べて中身が変わるスピードが速過ぎるし、本当にこれでいいのかという疑念がどうしても拭えない。巨額の区民の資産がどうなるかという話ですので、我々としても安易な妥協はできないなと思っています。このことをお伝えして、私の全ての総括質疑を終わります。

 ありがとうございます。

○ひやま委員長 以上で森たかゆき委員の質疑を終了します。

 次に、加藤たくま委員、質疑をどうぞ。

○加藤委員 自由民主党議員団のトップバッターを務めます加藤たくまです。

 質問に先立ちまして、2月6日にトルコ南東部で発生しました地震の影響によりまして、現地で大きな被害が発生しております。お亡くなりになられた方々と御遺族に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、不安な気持ちをお過ごしの被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 質問は通告どおりですが、小宮山議員ではないですけど、ちょっと遺書的に、その他で、(仮称)行ってはいけない科学館、区長への政治姿勢についてお尋ねします。

 では、令和5年度予算について、まず、歳入から伺います。

 新型コロナ、ウクライナ侵攻より、経済活動が停滞し、税収が落ち込むものと考えられておりましたけれども、中野区において、特別区民税及び特別区交付金は昨年度当初予算よりも大きな伸びが続いております。昨年の予算特別委員会、決算特別委員会の総括質疑で申し上げてきましたけれども、コロナ禍の経済対策として、国の雇用調整助成金、持続化給付金などのカンフル剤的な政策の効果が税収を押し上げたと考えられます。

 中野区の令和2年度、令和3年度の決算を比較しますと、特別区民税は増減0%、特別区交付金は13.9%増で、うち固定資産税は、これは都が集めたところでの総計ですけれども、固定資産税がマイナス0.4%、市町村民税法人分は49.7%伸びており、法人税の増額が増収した主要因というよりは、それのみが原因であります。結果、特別区民税と特別区交付金の合計額は、令和2年度が721億円で、そこから令和3年度771億円で、6.9%の増になりました。物価高騰対策などはありますが、法人税に直接的に関与するカンフル剤がない来年度予算はこのままでいいのか、その疑念は拭えません。

 といっても説得力がないために、ほかの自治体の状況について調べてみました。23区については所管がお詳しいと思いますので、所管にここ最近の歳入、23区についての概要をお尋ねします。

○森財政課長 23区の歳入の状況でございます。まず、23区総体として、全体として見ていきますと、歳入の柱であります区税収入、それから、特別区交付金の状況でございます。区税収入につきましては、昨年度まで――令和3年度まで11年連続で増となっております。それから、特別区交付金につきましては、令和2年度に一旦減となりましたが、令和3年度には令和元年度の水準に回復をしているというような状況でございます。特別区交付金について、今後の見込みについては、令和4年度、令和5年度とも前年度からの伸びが見込まれているところでございます。

○加藤委員 私のほうでほかの23区以外の自治体について調べてみました。私のほうで選ぶのは恣意的なので、中野区が里・まち連携している都市の令和2年度と令和3年度の決算額を調べてみました。それぞれの市税・町税です。市税・町税は、市民税・町民税と、あとは法人住民税、固定資産税などで構成されておりまして、中野区で言えば特別区民税と特別区交付金の合計額と見れば大まか合致するわけです。

 それぞれの自治体の令和2年度と令和3年度のそこら辺の市税と町税を言いますと、常陸太田市が、令和2年度が54.2億円、令和3年度が52.1億円で、2.1億円下がっています。館山市は、令和2年度61.7億円、令和3年度61億円で、7,000万円の減。喜多方市が、48.7億円から48億円になって7,000万円減。甲州市は、令和2年度42.4億円、令和3年度41.3億円で、9,000万円減。水上町は、41億円から39.1億円で、1.9億円と、どこの自治体もマイナスになっていました。中規模都市として秋田市と青森市を調べましたけど、令和2年度444億円から令和3年度は横ばいで444億円。青森市は、357億円から358億円で微増、1億円の増。大規模都市で、大阪市は令和2年度7,447億円から0.7%微増で7,500億円、名古屋市は5,946億円から令和3年度が5,838億円で1.9%減となっていました。

 コロナ禍で、東京以外は横ばいもしくは減額となっていることが分かりました。東京が独り勝ちをしていたということが分かりました。

 東京23区においては、市町村民税法人分が増額になった理由を理解することが今後の区の財政にとって重要なんだなというふうに考えます。先ほども森委員もその辺、この東京がなぜこんなに税収がいいのかというのを疑問と思っているというところでしたけれども、その辺が多分分析しないといけないポイントなんだろうなと思っております。

 財政課長は、なぜ23区のみ市町村民税法人分、ほかの自治体で言えば法人住民税のような、このような差が生まれるとお考えでしょうか。

○森財政課長 東京の市町村民税法人分の増収傾向ということについては、一般的には企業収益が堅調に推移しているということによるというふうに言われておりまして、そのように捉えております。

○加藤委員 コロナ禍でアマゾンとかウーバーイーツとか、新しい運送サービスがかなりはやっていると。あと、リモートワーク関連のICT産業の伸びというのも、オンラインで会議するとか、そういった設備投資とかで大分伸びが顕著だったとも聞いております。法人税は本社がある自治体に納税されるために、日本全体でこういった運送サービスだったりリモートワーク関連のICTのサービス業、こういったサービス業の利益が東京に本社がある会社が伸びているわけなので、結局、その法人税は東京に全部納められてしまう、言ってしまえば、日本全体のそういったサービスの利益が東京の法人税に跳ね返ってくるということが分かってくるわけです。

 また、コロナ禍で旅行に行くことが推奨されない時期が長くて、都民は都内でおいしいものを食べようとか都内観光しようなど、東京の人たちがふだんは地方都市だとかで使っていたお金が都内で使われるというのも、そういう意味では都内での内需が増えていることも一因と考えられます。

 もしこのような仮説が合っているとすれば、今後サービス業がどのように展開していくのかが本当に注目されるところであります。

 また、どの企業も節税することに努めますし、来年度からは人件費を上げていくということも考えられます。例えば先ほど言ったアマゾンとかウーバーイーツというのは、CMをがんがん流しているわけで、こういうのが経費節減になってくるわけで、本当に税収がこれまでどおり入ってくるかというのも疑わしいわけですけれども、そういったことをいろいろ考えたときに、御担当は、市町村民税法人分の傾向がどのように今後なっていくと想定されていますでしょうか。

○森財政課長 先ほど申し上げたとおり、企業収益が伸びているという推移ということでございますので、来年度以降も増収が見込まれるというようなところで考えております。一方で、企業収益の状況というものは、景気の変動ですとか社会情勢の変化によってもかなり影響を受けやすい性格のものでございますので、そういった状況の変化によっては下振れのリスクも当然に想定されるということと捉えております。

○加藤委員 ちょっと細かいというか、それぞれのところを見ていきますけど、特別区民税の増額の理由について伺います。先ほども触れられていましたけど、おさらいで。

○竹内税務課長 特別区民税についての増額の理由は、納税義務者数と所得の増によるものでございます。納税義務者数は、前年度と比較して1,120人増の20万4,657人、1人当たり総所得金額は前年度と比較して38万1,536円増の437万3,124円と見込んだものでございます。

○加藤委員 給与収入はどのぐらい増加したのか、お伺いします。

○竹内税務課長 令和5年度の予算積算に当たって見込んだ1人当たり給与収入は、560万3,515円でございます。令和4年度の予算積算時の530万1,339円と比較しまして、30万2,176円の増加を見込んでございます。

○加藤委員 給与収入増加の理由について伺います。

○竹内税務課長 積算に当たっては、厚生労働省の毎月勤労統計調査地方調査の東京都調査を参照しまして平均給与収入を算出してございまして、約3%増加の平均給与収入を見込んだものでございます。多くの企業において令和4年度に賃金の改定を実施しており、平均給与収入がおおむね増となっていると推測してございます。

○加藤委員 物価高騰とともに給与を上げようという話が出ているわけですけど、実質は来年度から上がっていくのかなと考えられますし、メディアとかの街頭インタビューとか、私の周りを見ても、給与が顕著に上がっているような話も聞くこともないんですけども、先ほどの3%とかというのは、結局、例年のベアの範疇みたいな認識でいいのか、よりふだんより高く上がっているのか、その辺の認識を教えてください。

○竹内税務課長 厚生労働省のほうで、賃金引上げ等の実態に関する調査というものをやってございまして、その中で、1人平均賃金を引き上げた・引き上げる企業の割合というのは、前年に比べ、前年が80.7%だったんですけれども、こちらが85.7%に上がったり、また、1人平均賃金の改定額のところが、前年4,694円だったものが5,534円となっていまして、おおむね上がっているというところがありますので、こういったところが給与収入の増につながっていると考えてございます。

○加藤委員 ちょっとすみません、通告にしていなかったんですけど、先ほどの森委員ので答えられればですけど、人口推計で区民税を計算していると言っていますけど、これまで毎年の人口の変化と推計は一致しているんですか、傾向は。

○竹内税務課長 納税義務者数の増が大体人口と比例していますので、こういったところは比例していると考えています。ただ、平均給与と掛け合わせますので、そこがどういった増加になるかというのは、詳細な分析というのはまだちょっとし切れていないというところでございます。

○加藤委員 ありがとうございます。突然の質問で。

 そうしたら、今度は特別区交付金について伺いますけど、増額の理由について伺います。

○森財政課長 特別区交付金につきましては、交付金の財源であります調整税等につきまして、企業収益の伸びにより市町村民税法人分や法人事業税交付対象額の増、また、固定資産税も伸びておりまして、23区合計の交付金の全体で前年度比較850億円、7.7%の増ということになっておりますので、増を見込んでいるということでございます。

○加藤委員 令和4年度の補正で増額になっていますけど、その決算値と今回の予算で比較すると、それぞれ幾らなんですか。

○森財政課長 先般議決いただきました第8次の補正予算におきましては28億円増額補正をいたしまして、補正後予算額は433億円というふうになっているところでございます。令和5年度予算につきましては、434億円を見込んでおりますので、そこから比較すると1億円の増となります。

○加藤委員 そうすると、決算値よりも今回の予算のほうが大きい金額ということですけど、何とも不透明な中で、かなり強気だなと思うんですけど、こういった数字というのは東京都から割り振られた数字をそのまま予算に入れるものなんですか。中野区のほうで数字は何か変えられたりするものなんですか。

○森財政課長 東京都から今の時点で示されるのは、全体のパイですね、交付金全体のフレーム、そこが示されるので、区としては、そこのフレームに対して、これまでの交付の占める割合を掛けまして積算して、大体3.7%程度なんですけれども、それを踏まえて積算しているということでございます。

○加藤委員 ちょっと強気な数字な気がします。

 そうしましたら、中身に入っていきますけど、資料を皆さんに見ていただきながらやっていただきたいので、「令和5年度当初予算(案)の概要」の24ページをお開きください。「新たな予算編成手法」というのがあります。今までの基準となる一般財源規模の考え方をやめた経緯が示されております。ここに書いてありますけど、「平成26年度以降歳入が上振れする状況が続き、歳出にあっては令和2年度を除き基準額に収まることはなく、財務規律として機能しているとはいえない状態でした」とありますが、私は何度も言ってきましたけれども、田中区政において基準額に収めることができなかった理由は、新規事業、特に投資的経費にどういうのがあったかという説明書きがありました。酒井区政になってからは、収まらなかった理由の説明もなく、ただただ財政規律が緩くなったような印象になっております。

 田中区政で設定された基準となる一般財源規模というのはランニングコストの基準額というふうに私は認識していたわけですけれども、新たな予算編成手法は、予算の最低金額を底上げするため、足かせを取るためで、これまでの考え方をそのためにやめたのではないかと疑念が出るような内容ですので、ちょっとその辺についてお聞きをしていきたいんですけれども、かなり足かせが強過ぎたというのもあるかもしれませんし、結局財政規律を守れないから何のための数字なんだということはあったわけですけれども、ある意味、聞いてもしようがないかもしれませんけれども、なぜ自ら設定した基準となる一般財源規模にこれまで収めることができなかったのか。結局ゴールポストを変えているだけだというふうな印象だったんですけど、その辺の認識を伺います。

○森財政課長 歳出の一般財源充当事業費につきまして、基準となる一般財源規模の範囲内に収めるということを目指して毎年度予算編成を行ってきたところでございます。経常経費の削減等を図りながら必要な行政需要への対応を行ってきたというような予算編成を進めた結果、基準の範囲内に収まってこなかったというところでございます。

○加藤委員 では、新たな予算編成手法について伺います。

 新たな予算編成手法では最高金額の設定がされていませんけれども、中野区はこういった中で自らをどうやって律していくのかということを伺います。

○森財政課長 新たな財政運営の考え方におきましては、予算編成開始時点の一般財源歳入の見通し、その範囲内で歳出の一般財源充当事業費の積算と、目標とする基金の積立てを行うというふうにしております。ですので、ここが一つの基準、規律ということになってまいります。

○加藤委員 令和5年度当初予算(案)の概要の24ページに書いてある棒グラフがそれを説明しているということなので、これについて直接聞いてみたいと思いますけれども、歳出の棒グラフが歳入の見込み基準値、編成フレーム878億円とありますけど、これが何を示しているんでしょうか。

○森財政課長 特別区税、特別区交付金、その他各種交付金など、いわゆる一般財源でございますが、この数字が当初予算編成開始時――8月下旬において令和5年度の歳入の見込みということで、この878億円ということでお示しをしております。

○加藤委員 8月時点で見込まれる一般財源ということですよね。見込み差分が36億円とありますけれども、8月からその後で結局幾らだったかということだと思いますけれども、それがいつ頃になるのかとか、そういったところの説明を教えてください。

○森財政課長 ここで最終的に一般財源については914億円となっております。36億円の見込み差ということになっているわけですが、最終的にこの914億円となったというところについては、年末の段階、予算編成がほぼ終了している段階で914億円ということで見込んだところでございます。

○加藤委員 この金額は、例年、常にプラスになるものなんですか。

○森財政課長 まず、予算編成の開始時点において、その時点の情報を基に歳入の見込みを立てているということでございますが、予算編成を進めていく中で、最新の情報を基に積算をし直していくということで、当然に見込み差は発生してくるわけでございます。常にプラスになるものではないと考えております。

○加藤委員 マイナスになることもあるということですけれども、過去にこういったマイナスがあったとするならば、最大どのぐらいあったんですか。

○森財政課長 平成22年度以降で確認をしたところ、平成29年度に、8月と最終的な予算額との差が14億1,800万円余の減ということがございました。

○加藤委員 そうすると、もしそういったケースがあるとしたら、今回はプラス36億円でよかったですけども、14億円減となると、足すと50億円ぐらい、結果的に、見込みの差だからあれですけれども、マイナスになっちゃうわけですけれども、例えば今年同じようなケースで14億円減となったならば、ここの右側の歳出――先に歳出を1個1個聞いたほうがいいですね。14億円歳入が減っちゃったという事例もあるということはちょっと後で聞いておきますけども、右側の、先に歳出を聞きますけれども、一番下に一般財源充当事業費とありますけれども、これはさきの新しい予算編成手法の中で最低値は基準財政需要額にするということでしたけれども、来年度のその金額は幾らですか。

○森財政課長 最低値ということにつきましては、都区財政調整の基準財政需要額の直近3年の平均額を下限にするということで考えておりまして、令和5年度については、739億6,000万円余というのが最低限になります。実際のところ、予算額としては803億円ということでございます。

○加藤委員 それでは、その上にある基金積立目標分とありますけれども、この金額はどのようにして決定されるものなんですか。

○森財政課長 基金の積立ての考え方につきましては新たな財政運営の考え方でお示しをしておりまして、施設整備に関する基金については、来年度発生する見込みの減価償却費相当額の25%を積み立てる、それから、道路・公園整備基金やまちづくり基金については、今後10年間の基金活用計画額の平均額を積み立てていくと。それから、減債基金については、特別区交付金の財産費算定分の相当額のうち起債活用分を積み立てていくといったような考え方を整理しておりまして、その考え方に基づいて算出したのがこの74億円ということになります。

○加藤委員 この中に財政調整基金は入っていないんですか。

○森財政課長 財政調整基金の年度間調整分については、こちらには入っておりません。

○加藤委員 組立て方の話か。一般財源充当事業803億円足す基金積立目標分74億円を足すと877億円となるということで、歳入の当初見込みの878億円とこれは金額をそろえるという予算編成の考え方ということでよろしいんですか。

○森財政課長 そろえるといいますか、この878億円の中に収めていくというようなことで予算編成を行っておりまして、歳出予算については、必要な区民サービスの質と量を見込む、それから、新たな財政運営の考え方に基づいて基金を積み立てたということで、結果として877億円になったということでございます。

○加藤委員 それでは、その上にあります年度末の残高目標分18億円とは何を示しているか、伺います。

○森財政課長 新たな財政運営の考え方において、基金残高の年度末残高の目標値というのも定めております。財政調整基金の施設改修分や社会福祉施設整備基金、義務教育施設整備基金の年度末残高については、対象施設の減価償却累計額の25%の確保に努めるということにしておりまして、その年度末残高――令和5年度末残高の目標額を確保するために、財政調整基金の施設改修分と社会福祉施設整備基金にこの18億円を積み増ししたということでございます。

○加藤委員 続いて、義務教基金積み増し分19億円とありますけれども、この新たな予算編成手法の文章を読むと、お金が余ったから入れるというような感じになっていますけれども、もし歳入がこの19億円分以上入らなかったら、これは義務教育施設整備基金にお金入れるのは0円になるということなんですか。

○森財政課長 基金の積立目標額としては、先ほど申し上げたとおり、減価償却費の25%は積み立てしていくというふうにしておりますので、今回の19億円というのは一般財源がさらに確保できた場合の積み増しということになっておりますので、歳入が予想より下回ったとしても、ここの19億円の分については予算額より積立額が減少するということはあり得るかなと思います。

○加藤委員 つまり、義務教育施設整備基金は、この36億円と見込み差が大きかったから入れるだけであって、例えば見込み差分が10億円とかだったら、義務教育施設整備基金に1円も入れることはないということですよね。そうすると、当初予算案の概要の27ページのほうを見ますと、義務教育施設整備基金の積立て23億円があるわけですよね。それで、19億円を積み立てない場合は4億円ということで、この4億円は基金積立目標分の中に入っているということでよろしいんですか。

○森財政課長 そのとおりでございます。

○加藤委員 基本的に、今、歳入が上振れ状況だと想定されているこの時期に、当初見込みの段階で、義務教育施設整備基金をもう少し積み込もうという予算編成をしてもいいのかなと思うんですけれども、その辺はいかがですか。

○森財政課長 先ほど来申し上げている基金の積立ての考え方というのをお示ししているところでございます。まずは、最初の段階においては、この考え方に基づき、確実にこの目標額を計上していくということが必要であると考えておりまして、先ほど来申し上げているように、さらに一般財源を確保できた場合については、義務教育施設整備基金にも積み増しをするという考えでございます。

○加藤委員 大体この棒グラフの中身が分かったところですけども、先ほど歳入の見込み差分が36億円と今回なっていますけれども、過去にはマイナス14億円ということもあったということですけれども、当初見込みよりマイナス14億円になった場合、この棒グラフはどういう編成になってくるんですか。

○森財政課長 予算編成を進めていく中で、当初よりも歳入が下振れするということで、歳出超過というふうになりそうだといった場合については、当然経費の見直しということの検討も必要でございます。あわせて、基金の積立てをどうしていくのかということの検討も必要でありますが、これらの状況を整理した上で、当然必要であるということになれば財政調整基金の年度間調整分の取崩しというような対応にもなってまいります。

○加藤委員 基金積立目標分というのは、減価償却とかに関わるところの金額と言っていましたし、財政調整基金のお金はこの中には年度間調整分が入っていないということですから、結局ここで最初に当初見込みというのが、見込みの推計が悪かったという理由になって、それでマイナス、その後、見込み差分がマイナス14億円になったって、自分らの計算ミスみたいなものをそこで財政調整基金の年度間調整分を充てる、そういうことなんですか。

○森財政課長 今、年度間調整分を充てるといったことについて、そこの部分につきましては、当然必要な事業を予算編成において検討してきて、これは翌年度に計上していくというような、それが必要であるということになってきたら、そういうことであれば、当然、年度間調整分での対応もあり得るということでございます。

○加藤委員 一般財源充当事業費を下げるというところには至らないんですか。

○森財政課長 当然、そこの歳入が当初よりも下がってくるというような見込みに立ってくれば、当然歳出削減ということも検討の視野には入ってくると思います。

○加藤委員 そんないきなりマイナスになったというのは、8月の見込みがたまたまそうだったというところで、そんなに大きく14億円も下がっちゃったといって、事業費がそんなに下がるのか、急に対応し切れるのかなというところが疑問なんですけど、事業には優先順位とかがついているんですか。急にこれ、ちょっと予算が足りないからこれを削ってほしいという、そんな簡単なものなのか。ひょっとしたら入れられないという中で予算を組んでいればあれですけど、これを入れようという中で、やっぱりこれはお金がないから外してくれという、そういうふうなやり取りができるものなんですか。どうやって減らしていくんですか。

○森財政課長 今、優先順位というお話もありましたが、当然、減らしていく、やむを得ず、歳入が減しそうなので、歳出の計上を見送るということについて、そういう段階になった際には、優先順位を見ながら当然整理をしていくというような必要にはなってくるかなと思います。その上で、やはり当初、翌年度実施していくということで整理していったものについて、これは必要だというふうに判断があり、歳出超過というような状況になってまいると、先ほど申し上げたとおり、年度間調整分での対応ということも当然考えられるということでございます。

○加藤委員 結局、削ろうとしたときには、新規予算から削るしかなくなっちゃうと思うんですよ。だから、そういった中で、それすら削れない状況とか、あと、ランニングコストが上がり続けている中でどうやっていくのかというのは本当に考えていかないといけないなというふうに、このグラフから感じるわけですけれども、たまたまこれは見込み差分がプラスになったけど、マイナスになったらどんな絵になっちゃうんだろうと、ちょっと想像するだけでも意味が分からない。描きようはありますけど、どう描くのかなという絵になるわけですよね。たまたま今年はこうだったかもしれないですけど、マイナスだったら、どういう説明のグラフになるんだろうなと。

 そういったところで、次に行きますけれども、新たな予算編成手法は、財布のひもが最大限に広く、とんでもない考え方なのかなと私は思っているわけですけれども、それが、財布のひもが広がってきたというところについてちょっと質問していきたいと思いますけれども、令和5年度当初予算(案)の概要の29ページを見てください。財政フレームで、歳出の一般事業費を見てみます。ちょっと一応、皆様には釈迦に説法ですけど、一般事業費とは何か、ちょっとお尋ねします。

○森財政課長 こちら、29ページの歳出の表のところの人件費などの義務的経費や繰出金、それから、新規・拡充・推進事業、それから、基金積立金、これを除いた経費が一般事業費ということでございます。

○加藤委員 結局は、義務的経費を引いた経常経費という考え方でいいですか。

○森財政課長 経常経費の中には繰出金もございますので、義務的経費のほかに繰出金を除くと、今、委員がお話のとおり、おおむねそのとおりになってくるということでございます。

○加藤委員 基準となる一般財源規模という考えがなくなった今、どこで財政規律を守るかという観点をどうするかというときには、この一般事業費の増額をどのぐらい抑制するかというのが大きなポイントになると思います。

 では、要求資料の総務48「令和4年度予算編成時における10年間の財政フレームと主な基金の積立・繰入計画」を見てください。下から7行目、令和4年度の一般事業費は214億円となっています。令和5年度以降における一般事業費も214億円の横引きとなっております。

 新規・拡充・推進事業が経常経費化されれば一般事業費化されますので、下から6行目の令和4年度の新規・拡充等事業のうち令和5年度にどの程度が経常経費に変わるかは、昨年のこの場で議論しました。財政課長の答弁は、新規・拡充事業の後年度負担、単年度経費が10億4,500万円余で、推進事業の経常経費が8億1,000万円余でございますので、合計しますと18億5,000万円余、約19億円になるということでございます、私がそこで次のように質問します。経常経費が後年度18億5,000万円、約19億円ということですけれども、その金額が令和5年度以降に一般事業費に加えられるべきだと思うんですけれども、その19億円程度の金額はどこに入っていくんですか、この資料を見ると、一般事業費が令和4年度で214億円で、令和5年度も同じ214億円になっていますけれども、この辺りの経常経費がどこに加わるんでしょうかと。それに対する答弁は、令和4年度の新規・拡充事業や推進費で翌年度以降に経常経費化していくもの、19億円余と申し上げたところでございますが、当然それはかかってくるところなんですが、一方で、PDCAサイクルを回していき、行政評価や決算分析による事業の効果検証を行って、新規事業と既存事業の見直しを一体的に行うビルド・アンド・スクラップを徹底しまして、既存の経常経費については当然抑制を図っていく必要がある、努めていくということでございまして、令和5年度以降の一般事業費については横引きということでしたとなっていますね。

 結果、当初予算案の概要29ページの歳出のところで、令和5年度の一般事業費を見ますと、245億円となっています。昨年のこの場で214億円にとどめると言ったにもかかわらず31億円増額となりましたけれども、この原因は何でしょうか。

○森財政課長 令和4年度に新規・拡充・推進事業としておりまして、それが令和5年度に経常経費化したと。そうなってきた部分については、それによって一般事業費に入ってきたものがおよそ6億5,000万円余でございます。それ以外に、単純に令和4年度から令和5年度増したといったもので、区有施設の光熱水費で4億9,200万円余の増、それから、指定管理料で3億3,000万円余の増、定期予防接種で2億9,700万円余の増、それから、清掃一組分担金で1億2,600万円余の増、あと、小・中学校の施設維持管理経費で1億700万円余の増といったようなことになっております。

○加藤委員 先ほど言っていた令和4年度の新規・拡充10億円ちょっとと推進事業の8億円ぐらいは、令和5年度以降では後年度経費としてどのぐらい一般事業費化されたんでしょうか。

○森財政課長 今お話のあった8億円の推進事業のところでございますが、こちらにつきましては、商店街のキャッシュレス推進事業、こちらは引き続き令和5年度においても新規・拡充・推進事業にしておりますので、それ以外の経費が令和5年度において経常経費化はされているということでございます。一部、一般事業費ではなくて、扶助費や人件費に入っているものもございます。

○加藤委員 そうすると、19億円ぐらいと言っていましたけど、ほかの一般事業費じゃないところで経常経費化されているということで、この19億円がそのまま31億円の増になったわけではないということなので、さらに増えた要因がほかにもあるというわけですよね。

 ちょっと時間がないのであれですけど、そういったところで、要求資料の総務50では、令和2年度予算と令和5年度予算について、一般事業費が増額した要因を作成してもらいました。ちょっと細かいところまであれですので、一応言いますと、この3年間で一般事業費が150億円から95億円増額して245億円になっているということで、かなりの金額が一般事業費化されているということになります。ビルド・アンド・スクラップのスクラップは、当初予算案の概要、これの23ページに書いてありますけれども、5,000万円程度です。構造改革の財政効果は2.5億円となっておりますけれども、予算ベースで言うと1円も減らすものではないです。人的な財政効果とか、そういったところですので。ビルド・アンド・スクラップを徹底しまして、既存の経常経費については当然抑制していく必要がある、努めていくといった答弁はどこにいってしまったのか、改めて伺います。

○森財政課長 今お話のありましたとおり、予算編成に当たって、ビルド・アンド・スクラップの観点で当然経常経費は削減をしていくというようなことで取組をしてきたところでございまして、今、ビルド・アンド・スクラップという、明確に整理しているものについては、今お話があった予算案の概要の23ページに記載しているものがこの結果ということでございます。

○加藤委員 先ほど挙がった中でいろいろ聞いていきたいんですけれども、指定管理料は、この前の一般質問でありましたけれども、この1年間で3億3,700万円となっておりましたけれども、この中に光熱水費も入っていたと思うんですけれども、それは、令和4年度の補正予算で指定管理料に関わる光熱水費も補正であったわけですけど、それの合計額は幾らですか。

○森財政課長 令和4年度の補正予算で第7次です。一般会計第7次で区立施設の光熱水費の補正をしておりまして、そのうち指定管理料の増分については、およそ7,000万円ほどということでございます。

○加藤委員 7,000万円ぐらいが上がったということですけど、さらにそのときから光熱水費が上がっているので、さっき言っていた3億3,000万円ぐらいのうち1億円ぐらいが光熱水費の増だとした場合には、2.3億円以上が上昇していると考えられますけれども、いろいろ物品費とかもあるでしょうけど、やはり公契約条例によって、1,000万円以上の業務が東京の最低賃金1,072円から98円高い1,170円に押し上げたことがかなり大きな主要因になってくると考えられます。ちなみに、1,072円から1,170円に押し上げると9%の増額です。ほかに一般事業費で押し上げたもので学校用務業務委託というのがあると思うんですけど、これは幾ら上がりましたか。

○森財政課長 学校用務業務委託につきましては、令和4年度と令和5年度を比較しまして、3,700万円余を予算額としては増しております。8.9%ほどの増でございます。

○加藤委員 委託費も8.9%、今のは人件費がかなり、学校用務委託は人件費率がかなり高いということで、そこで8.9%の増で、先ほど言った9%ぐらいの増に近いわけです。人件費のみで構成される委託はやはり公契約条例の導入でかなり上がったと言えます。

 そういったところで、予算というか、財政を組む中で、こういった公契約条例で賃金上昇というのが少なからず影響が出てくるわけですけれども、委託でひょっとしたら2億円ぐらいかかっているかもしれないです。ちょっと中身を見ないと分からないですけど。そのぐらいかなり上げてしまうというところです。ある事業者から――先に経理課長に伺いますけど、公契約条例によって中野区の歳出が上昇することは当たり前ですけれども、財政当局は、公契約条例審議会との調整が行われていないですけど、それは間違いないですか。

○宮脇経理課長 財政当局は、公契約条例に関して関与しているものではございません。(「関与していないでいいんですね」と呼ぶ者あり)はい。

○加藤委員 ある委託事業者から話を聞いたんですけど、公契約条例に当てはまる1,000万円以上の事業と、そうでない1,000万円以下の事業を両方持っている事業者がいました。それぞれの職場で同じような業務で働く社員がそれぞれの業務に就いていて、そこで1,170円と1,072円で雇っているそれぞれの人が出てくると、そこで情報がツーカーになってしまうと、何でうちのほうが100円相当安いんだろうというようなことが起こると、その穴埋めをするために、安いほうの事業に就いている人に何かしらのボーナスを与えないといけないんじゃないかという、こういった不安の声もあります。

 あと、業界全体で言うと、ビルメンテナンスの業界全体の賃上げが求められてくるということで、民間ビルとかマンションの家賃をそういった管理費上昇のために上げざるを得ないような状況が生まれてくることも懸念すると言っていましたけれども、公契約条例の制定によってここまでの影響というのは考えられていましたか。

○宮脇経理課長 こちらは1,000万円で線を委託について引いてございますけれども、確かに契約の案件が、それと適用しないものとが同居するというような状況というのは想定されるシーンもあろうかなというふうに考えてございます。

 あと、ビルのメンテナンスの管理費の上昇についてもお伺いがありましたけれども、こちらについて、人件費、労働報酬下限額の設定がされれば、上がる場面も想定されるのではないかなというふうには予想はしてございました。

○加藤委員 1,000万円以下なら最低賃金のままでいいという格差が生まれる可能性もありますし、そういった1,000万円以下しか取れない零細事業者がさらに苦境に立つ可能性もあると思います。そういった意味では、1,000万円をボーダーにしていいのかなというところも考えられますし、全業務で賃金上昇できないかなみたいなことも本当は考えないといけないのかなとも考えます。

 あと、結局、財政当局と公契約審議会が情報を共有していないというか、どのぐらい出せるかというのを区側が審議会に言わないと、幾らでも賃金が上がってしまうという懸念もあって、その辺の調整をして、あと、1,000万円というボーダーでいいのかとか、そういったことを総合的に考える必要があると思いますけれども、その辺の御見解をお伺いします。

○宮脇経理課長 公契約審議会ですけれども、労働者側や事業者側のそれぞれの立場から、また、学識経験者2名が中立的な立場から、適正な労働賃金・報酬の下限額を設定して答申しているという仕組みになっております。審議会では、都の最低賃金、それから、中野区の会計年度任用職員の報酬を基に、その他事情も勘案して今回の額に至っておりますので、適正な額を答申していただいているんだと思っております。この額につきまして、財政当局との関与ということでお話がございましたけれども、この額を最終的に決めるのは、答申を踏まえて区が決めるという形になりますが、区側があらかじめ上限を定めるということであれば、諮問することの意味というのもちょっと大きく減ってきてしまうのかな、答申で出した下限額の妥当性についても関わる中身かなと思います。本来であれば、財政側の関与ということであれば、一般事業費の抑制を目的とするならば、例えば事業の削減や規模の縮小など、別の手段で担保するべき課題なのではないかなというふうに考えてございます。

○加藤委員 令和4年度から令和5年度にかけて一般事業費が上がるところについていろいろ掘りたいですけど、時間がないので、この辺にします。

 そうしますと、今度は、今年度新規・拡充・推進にしたのがまた後年度の負担になってくるというところについてやっていきたいと思いますけれども、要求資料総務45「次年度予算で計上した新規・拡充・推進事業に係る経常経費の見込み(一般財源ベース)」を御覧ください。この資料について説明してください。

○森財政課長 総務45でございますが、令和5年度予算で計上いたしました新規・拡充・推進事業のうち、後年度において経常化される事業について、令和5年度、令和6年度の経常経費と臨時経費、それから、令和7年度以降における単年度の経常経費を一覧にした資料でございます。

○加藤委員 新庁舎管理運営経費が6億円ぐらいとなっておりますけれども、これは、新庁舎という業務名ですから、現庁舎の管理費とはちょっと違う、別建てになっていると思うんですけど、現庁舎において管理運営費は幾らになっていますか。

○天野庁舎管理担当課長 新庁舎管理運営経費でございますけれども、管理費のうち、警備、清掃、設備保守委託の費用で、年間、新庁舎では3億6,000万円余を見込んでおり、令和4年度――今年度の予算の年間1億4,000万円余と比べて2億2,000万円の増加を見込んでいるところでございます。また、光熱水費ですけれども、新庁舎においては年間1億9,000万円余を見込んでおり、令和4年度予算の年間1億2,000万円余と比べて7,000万円余の増加を見込んでいるところでございます。

○加藤委員 ちょっと何か、質問に対してあれでしたけど、一応まとめると、新庁舎が6億円ですけれども、現庁舎の管理が2.7億円と聞いています。その上がってしまったところが、委託料は、現庁舎が1.5億円ですけれども、新庁舎においては3.6億円となり、2.1億円、2.4倍に増額されると聞いておりますけれども、その理由について教えてください。

○天野庁舎管理担当課長 管理費が増える要因ですけれども、新庁舎は、現庁舎と比べまして規模がおよそ1.7倍になり、管理対象面積が増えていること、これに加えまして、大部分がOAフロアで、タイルカーペットに仕様が変わり、清掃委託を必要とする範囲が現庁舎よりも大幅に増えること、こういったことが管理費増加の主な要因と考えているところでございます。

○加藤委員 ちょっと取材のところで伺いましたけど、清掃費の増で、床面積は1.7倍ですけれども、掃除できる範囲がそれ以上に広がっているというふうに伺っておりまして、清掃費が2億円ぐらい上がるというふうに聞いています。現在自分らでやっているのが今度は委託するという話で、2億円の増加はかなり、まだ工夫の余地はあるんでしょうけども、2,000人体制で2,000人で割ると、1人10万円分の掃除してくれるという話になって、かなりの福利厚生だなみたいな、そんな認識もできるので、かなりの工夫ができると思います。この辺は、総務分科会で皆さん御議論いただければ幸いです。

○ひやま委員長 加藤委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にします。

 午後1時まで休憩します。

午後0時00分休憩

 

午後1時00分開議

○ひやま委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き、総括質疑を行います。

 加藤委員、質疑をどうぞ。

○加藤委員 先ほどは、次年度――令和5年度に新規・拡充・推進事業として、それが令和6年度以降にどのぐらい経常経費が増えるかというところの話で、要求資料、総務45におきまして35億円の上昇分が見られるというところで、新庁舎の管理費が入っていたんですけど、現庁舎においてもあるので、新規というところと現庁舎のところというところで差し引きすると35億円から3億円程度引けるかなというところで、一応こっちもそれなりに見たところで、32億円が令和6年度以降一般事業費に加算されるのではないかなというふうに想定されるわけです。

 実は、この資料をつくる際に、35億円になったわけですけれども、取材している段階においては、大体10億円から20億円程度ですかねと言われたんですけれども、蓋を開いたら35億円だったということで、つまり、予算編成のときにこれがどのぐらい増えるかというのが全く想定されないまま予算編成がされるということが分かっているというわけですね。

 一般事業費が令和5年度245億円で、その差引き32億円がプラスになるとすると、令和6年度以降の一般事業費は245億円足す32億円で277億円になります。当初予算案の概要を見ると、令和6年度一般事業費251億円と書いてあり、277億円引く251億円で、26億円のスクラップが必要になりますけれども、それはどうやって行っていくのか、伺います。

○森財政課長 事業のスクラップの御質問でございます。これまでも取り組んでいるところでございますが、当然、毎年の決算分析ですとか行政評価を基に費用対効果等を十分に検証して、事業の見直し・改善に取り組むということでございまして、そういったことでしっかり事業経費の削減に努めていくということでございます。

○加藤委員 そう答えるしかないんでしょうけど、もはや中野区のその発言は信じられないなというところです。だって、実際に令和4年度で214億円と言って、そのまま抑えると言っていたのに、令和5年度は245億円で、31億円増になっています。一般事業費が、例えば245億円がインフレ率が4%だとしても、そういった物価高騰に関するところに充てられるのは10億円程度だと思いますけれども、それをはるかに超えてしまっている。中には上げざるを得ないものもいっぱいありますけれども、スクラップがはっきり言ってできていない現状、こういったところ、277億円をさらに来年度の一般事業費は増えていってしまうんじゃないかなというふうに考えますけれども、本当に財政フレームどおりに行っていく意思があるのか、聞いてもしようがないですけど、一応念のために聞いておきます。

○森財政課長 一般事業費の削減といいますか、縮減ですね、こちらでございます。今、委員も少しお話があったように、一般事業費の増要因については、物価高騰の影響などで増加を避けることが難しいというような経費もあるところでございます。一方で、先ほども申し上げたとおり、決算分析とか行政評価、こういったところで費用対効果を十分に検証して、事業の見直し・改善に取り組んで、事業経費の縮減に努めていくということは、当然それは必要であるところでございまして、来年度以降もそのように取り組むということでございます。

○加藤委員 信用できませんけれども、そう言わざるを得ないですよね。

 実は、聞いている中でそうだなと僕は気づきましたけど、一般事業費を見かけ上下げるテクニックがあります。今やっている事業を新規・拡充・推進に当てて一般事業費から外すと、見かけ上、数字を下げることは簡単なんです。こんなことやって、来年度予算をごまかすようだったら本当に許さないというふうに思っていますし、今からでも財政はしっかり考えて圧縮していってもらいたいと思います。

 一般事業費を上げないためには、新規事業をやめるしかないんですよ、はっきり言って。これからは、もうビルドは散々したんですから、もうスクラップしていかないといけないわけですよ。ビルド・アンド・スクラップで、ビルドはもういいじゃないですか、はっきり言って。スクラップなくしてビルドできない、こういう体制で来年度以降やらないと、本年度もですけど、こういった状況では予算もちょっと認め難いなというふうに思います。

 一つ確認しますけれども、事業を進めるために予算が足らないとかと言って、また学校の計画をストップするなんて、こんなことは絶対ないですよね。確認します。

○森財政課長 先ほど来御説明しておりますが、義務教育施設整備基金等、そういう基金の積立計画もしっかり考え方を定めたところでございます。また、起債計画についても、公債費負担比率を適正な範囲で維持していくというような財政運営を行っていくということもこれまでも御説明したところでございまして、当然これらの財源対策を確実にしっかり行って、学校施設の整備については計画に基づいて進めていくという考えでございます。

○加藤委員 これで予算については終わります。

 それでは、2、中野四季の森公園のレイアウトチェンジについて質疑します。

 この4月から指定管理者による管理が始まりますが、サービスレベルが高まり、より一層利用者が憩い、楽しめる公園になることを期待するところでありますが、現在のレイアウトでは限界があると考えます。

 先に提案の内容を示しますけれども、フリップを委員長の許可を得て出しますけれども、自由民主党議員団といたしましては、このイベント広場と芝生エリアの入替えを提案するというものでございます。

 では、今現在の中野四季の森公園の課題について整理したいと思います。

 まず、平成29年度に拡張開園した北側の部分のイベント広場ですけど、オープンスペースは約3,000平米弱あり、かなりの規模のイベントが実施できます。新型コロナウイルスにより、二、三年はイベントが少ない状況でありますけれども、そもそもテレビとのタイアップともなったこけら落としイベント「グルメ芸人祭」以降は、それと同等以上のイベントが開催されておりません。イベント事業者から聞くと、使い勝手が悪いとの声があります。

 そこで伺いますけれども、中野四季の森公園でイベント利用する際のルールや規制について、どのようなものがあるか、伺います。

○村田公園課長 専ら酒類の販売を目的とするイベント、調理に伴う煙の対策が十分でないイベントや音楽ステージ等による著しい音の発生のあるイベントの利用不可などを利用条件としているほか、安全対策の徹底などを促しているところでございます。

○加藤委員 そのルールはどのようにして決まったのでしょうか。

○村田公園課長 基本的には、都市公園としまして、都市公園法や中野区立公園条例による行為の制限がございます。その上で、イベントもできるエリアとして、近隣の中学校やマンション等に配慮いたしまして、意見を聞いた上でルールを決めているところでございます。

○加藤委員 騒音、飲酒へのルールは厳しく、イベントの利用は極めて限定的になります。

 次に、南側の芝生エリアについて伺います。

 芝生エリアでは、芝生の養生により閉鎖している期間が長く、区民が利用できないといった状況が見受けられますけれども、芝生の育成管理に関してどのような課題があると認識していますか。

○村田公園課長 芝生についてですが、条件面といたしまして、日陰である時間帯が長く、地下水位が高いことや地形がくぼ地状であることにより、配水管等を設置し、配慮してはいるものの、水はけが悪いために、芝の成長が鈍いといったことがございます。また、多くの方が芝地を利用する状況からも芝生への傷みがあり、成長を促すためには、一定期間の養生が必要となってございます。なお、参考までに、他区の状況でございますけれども、南池袋公園なども芝生がある公園でありまして、状況にもよるかと思いますが、芝生の維持管理のために中野四季の森公園よりも長い期間の全面養生を行っているというようなことを聞いているところでございます。

○加藤委員 芝の育成管理上、少なからず養生で使えない期間が生じるのは分かりますけれども、閉鎖期間をできるだけ短くして芝生を使えるような工夫をこれまでされてきたのでしょうか。

○村田公園課長 より育ちやすい芝があるか、種類を変えて検討してきたり、秋口にかけては様々なイベントの開催にも配慮いたしまして、極力短い播種や養生作業となるように努めているところでございます。今年度につきましては、養生によって閉鎖する芝地以外のエリアを一部開放するなど、どこかしらが使えるような運用に変えるなど工夫をしているところでございます。

○加藤委員 周辺の状況によって利用ルールに一定の制約があることや、利用条件、日照や地盤などから芝生管理の難しさがあることが分かります。少しでも長く芝生広場の開放時期を長くできないか、大きなイベントをできるだけ誘致できないか追求すべきです。

 そこで、現在の芝生エリアとイベント広場のレイアウトを変えることで、これらが解決できるということで提案させていただいております。現在の芝生エリアでイベントを行うようにすれば、セントラルアベニューとの一体的な利用ができ、中学校から離れるために、音の問題も解決します。

 また、この際、指向性――狙った場所に音を鳴らす最新スピーカーを使うことを提案させてもらいます。スピーカーのメーカーにより行ったシミュレーション結果について示します。

 これは、ここが区役所で、ここがセントラルパークイースト、セントラルパークサウス、ここは中学校ですけれども、ここでイベントをするとする、スピーカーがここで鳴ると、ここのエリアでだけ音を絞ります。この水色ぐらいの騒音というのは早稲田通りと同じぐらいの車の騒音だということです。つまり、ここでこの良い、最新のスピーカーを使えば、中学校にも騒音は届かないという、届いたとしても早稲田通りと同様、つまり、もう既にカバーできているぐらいの騒音レベルになるということで、こういったスピーカーを使うことによりまして、現状抱えている騒音問題は解決できると考えます。

 そういったこともありますし、あと、お酒を飲むというのも、中学校の前ではなかなか難しかったですけども、レイアウトチェンジすることによって解決もできると思います。

 様々考えなければならないことがあろうかと思いますけれども、このレイアウトチェンジをする場合に課題となることはあるでしょうか、伺います。

○村田公園課長 中野四季の森公園の芝生エリアの一部は、現在の公園形状とすることとして財務省用地を無償で借りているところでございますが、いわゆる公園としての利用よりもイベントが多くなるように使い方が変わることに対しまして、無償使用の解消や用地の取得要求などもあり得るので、慎重に対応する必要がございます。また、中野四季の森公園の南側芝生エリア側は、平成24年に開園し、その後、北側拡張部を取得し、南側の芝生エリアとは別に設計・工事等を行いまして、平成29年に開園をしてきたところでございまして、まだ5年から10年程度しかたっていないところでございます。公園整備には補助金も活用しており、耐用年数などから、20年程度たっていない場合には返還が生じる可能性がございます。さらには、使い方を変える場合には、改めて近隣の中学校、大学、マンション、オフィスなど周辺と調整する必要があるものと考えてございます。

○加藤委員 ステークホルダーと様々な条件交渉があるかもしれませんけれども、四季の森公園を取り巻く環境は、新区役所ができたり、新北口駅前エリアができたりと大きく変わります。周辺整備ができれば、中野駅から出て、北口で横断幕とかができて、徒歩2分でこういった何とかフェスをやっていますみたいのがあれば、2分なら行ってみようかなという、こういった好立地にもなりまして、さらに魅力が高まります。

 あと、四季の森公園は防災センターの拠点になるという割には、いろいろと、災害時給水ステーションがなかったりとか、あとは、今考えられている中では、気候変動対策で小学校のグラウンドなどの大規模な敷地においては地下に雨水貯留施設の建設などがされております。中野区においても、新設の学校には入れていると聞いています。あと、自衛隊などの重車両が入れられるとか、そういったところ、また、エリアマネジメントをする上でも、中野区が主体で持っているところというのはここだけですので、その利用も重要であります。

 今後、補助金の耐用年数などの問題がなくなりまして、何らかの工事が必要な機会があれば、パークPFIの活用なども含め、レイアウトチェンジをすることが可能か、お伺いいたします。

○村田公園課長 現時点でレイアウト変更を行うことは難しいですが、いずれ施設の老朽化などに対する改修等の工事が必要となりますので、その際には、状況に応じてパークPFIの活用も含めた整備を行ってまいりたいと考えております。

○加藤委員 以上でこの項の質問を終えます。

 それでは、3、にぎわい施策につきまして、(1)エリアマネジメントにおける行政の役割について、中野駅周辺エリアマネジメント協議会が立ち上がりましたが、区のエリアマネジメントにおける役割とは何と心得ますか、伺います。

○山本中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 エリアマネジメントにおける区の役割についてですが、中野駅周辺エリアマネジメント協議会は、まちの機能や価値を持続的に維持向上させ、ブランド力を強化することを目的としており、区は、構成員と事務局の役割を担っております。中野駅周辺では様々な事業実施主体による複数の市街地再開発事業が進められており、各地区が分断することなく連携して、より効果的な取組へとつなげられるよう、エリアマネジメントの初動期においては、区は一定の支援を行う必要があると考えてございます。

○加藤委員 国土交通省が平成20年度に定めたエリアマネジメント推進マニュアルによると、エリアマネジメントの定義は、地域における良好な環境や地域の価値を維持向上させるため、住民、事業主、地権者等による主体的な取組とあり、この「等」の中に自治体も含まれると思いますが、あくまで主体は住民、事業主、地権者であるわけです。また、そのマニュアルの中で、「行政との連携」という説明書きには、地域経済を活性化していく上で、初期段階では行政からの支援を受けることがあります、しかし、持続的に活動を行っていく上では、補助金に頼らず事業を軌道に乗せていくことが重要です、補助金に頼ることなく、地域が一つの主体となって事業を展開できるよう、活動の基盤となる収益事業を確立していくことが重要となりますと書いてあります。この点について、区はどのように認識しているか、伺います。

○山本中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 エリアマネジメント推進に向けた区の認識についてでございますが、エリアマネジメント自体、行政主導ではなく、住民、事業主、地権者等の主体的な取組であると認識してございます。将来的なエリアマネジメント活動の広がりや持続性を考えますと、構成員や地権者等からの会費、また、イベント開催等により得られる収益など自主財源の確保を目指していくことが望ましいと考えてございます。

○加藤委員 自治体は長期的に見たらお金を払わないのが前提ということです。一方、内閣官房の地方創生のホームページで、エリアマネジメント活動の推進において、地域再生エリアマネジメント負担金制度というのを創設することを推奨しております。これは、3分の2以上の事業者の同意を要件として、市町村が、エリアマネジメント団体が実施する地域再生に資するエリアマネジメント活動に関する費用をその受益の限度において活動地区内の受益者から徴収し、これをエリアマネジメント団体に交付する官民連携の制度を創設し、地域再生に資するエリアマネジメント活動の推進を図るということです。

 つまり、市町村がステークホルダーから事前にお金を徴収して活動する団体に補助するという制度ですが、この制度は使っていくつもりか、伺います。

○山本中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 地域再生エリアマネジメント負担金制度の活用についてございますが、当負担金制度は、エリアマネジメント活動を、来訪者や滞在者の増加を通じ、エリア内事業者の事業機会の拡大、また、収益性の向上が図られ、経済効果の増進を通じた地域再生を実現するものと捉え、事業者から負担金を自治体が徴収する制度でございます。本制度の活用に当たりましては、負担金徴収の対象となる事業者の把握、また、受益事業者の合意形成を図るなどの課題があると考えてございます。

○加藤委員 まだ何も決まっていないということですよね。いずれにせよ、自治体が今のところスタートアップで若干お金を出したりとかしていますけれども、いつまで出すんだというところがちょっと検討――現段階では難しいかもしれないですけれども、そういった支出をする期限を設定して、ステークホルダーが事業を収益化するのにちょっとハッパをかけていく必要があると思うんですけれども、その辺はどうお考えですか。

○山本中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 エリアマネジメント活動における区の支援についてでございますが、エリアマネジメント活動の初動期におきましては、区は、協議会の事務局を担っております。その後は、協議会に参加する民間団体に移行するなど、まちづくりの進捗に応じてふさわしい関与を持ち、中野駅周辺のまちの機能や価値の持続的な維持向上を目指していくものと考えてございます。

○加藤委員 では、エリアマネジメントにおいて自治体の役割は何かと考えたときに、私としては、中野区が許可権者として、道路とか空間などに対する使用許可、規制緩和に協力をしていく、事業者とか、そういったステークホルダーには絶対にできないことを率先してやっていくべきだと考えますけど、区の見解をお伺いします。

○山本中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 民間主導のエリアマネジメント活動推進に当たっては、人材や資金のほか、様々な活動を展開できる空間の確保は重要な要素の一つと考えております。他地区においては、道路や河川など、行政が日常に管理を行っている公共空間と、広場、公開空地など民間の施設管理者により管理されている民有地がその活動空間として利用されてございます。しかし、これら空間の活用に当たりましては、法律、条例等に基づく制約を受けることから、本来の効用を損なわない範囲において、その使用が可能となるよう、規制緩和に向け、関係機関との調整など、区が果たすべき役割があると認識してございます。

○加藤委員 続きまして、(2)ほこみち制度の活用について。

 今、道路の使用許可などについて触れましたけど、まずはそのような基盤をつくっていくべきと考えます。コロナ禍において、テラス席の設置などにより密な関係を回避することを目的に、道路利用の規制緩和特例がありました。しかし、5類の議論の中で、その特例も今年度末に終了ということです。ただし、国土交通省より、特例後はほこみち制度へ移行することが推奨されております。まずは、区のほこみち制度に対する認識を伺います。

○山本中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 歩行者利便増進道路制度についてですが、道路法の一部を改正する法律により、にぎわいのある道路空間を構築するための道路指定制度として創設されたものでございます。歩行者利便増進道路として指定された道路のうち、歩行者の利便増進に資する物件等の計画的な設置を誘導するための区域を道路管理者が指定することにより、その区域内を対象とした道路占用許可を行うに当たって、道路の敷地外に余地がなく、やむを得ないこと、いわゆる無余地性という許可基準を適用しないこととする道路占用許可の特例制度であると認識しております。

○加藤委員 我が党は、池袋のバス通りの再開発においてもテラス席を念頭に入れたまちづくりを提案しておりますが、エリアマネジメント推進においても、規制緩和をする制度が重要だと考えます。特にエリアマネジメント――中野駅周辺を考えますと、新しい区役所がここにできますけれども、このけやき通り、先ほど言ったこういった芝生とか、あと、新サンプラザができれば、ここがメイン通りになると考えられます。つまり、けやき通りですけれども、こういったところをほこみち申請していくべきと考えますけれども、その辺は、実現に向けてどのようなハードルがあるか、伺います。

○山本中野駅周辺エリアマネジメント担当課長 区のほうでは、けやき通り沿道飲食店の路上利用等に伴う道路占用許可に当たり、無余地性の基準等について弾力的な判断を行うことで、道路管理者において当該路上利用を令和2年10月より支援したところであります。このコロナ占用特例は、時限措置――令和5年3月31日までとなっておりましたが、歩行者利便増進道路制度では、占用期間は最長5年にわたり無余地性の基準が除外されることなどから、特例制度の活用に当たっては、その必要性を十分に検討すべきであると考えてございます。このほか、歩道のバリアフリー基準への適合など、それらの要件を満たす必要があると考えてございます。

○加藤委員 ありがとうございます。

 続きまして、(3)大規模建築物の公共貢献について。

 まず、事実確認から。新北口駅前エリア、新サンプラザでは高度利用地区で容積緩和がされる予定ですけれども、どのような貢献で容積緩和されるのか、改めて伺います。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 新北口駅前エリアでは、高度利用地区の指定により、容積率の最高限度を設定する予定となっております。割増し容積率のメニューとしましては、空地等の緩和の項目として、空地の確保、公共的屋内空間、緑化施設、一時滞在施設、宿泊施設がございます。また、空地等の緩和以外の項目として、住宅、質の高い住宅の確保というメニューを活用しております。

○加藤委員 その容積緩和は、どの法令、条例に基づくものでしょうか。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 高度利用地区指定のこれらの基準につきましては、東京都高度利用地区指定方針及び指定基準に準じて、区として設定をしております。

○加藤委員 先ほど挙げられたメニューを見ますと、施行予定者が提案しているエリアマネジメント施設は公共貢献の中には入らないということでいいですか。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 エリアマネジメントスペースにつきましては、施行予定者から地域の交流施設として提案されているものでございまして、公共貢献施設ではありますが、割増し容積率のメニューとはなってございません。

○加藤委員 そうすると、公共貢献には、条例で、容積割増しの要件となる公共貢献と、企業の社会的貢献、いわゆるCSR的な公共貢献の2種類があるという認識でよろしいですか。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 認識としては、委員のお話のとおりでございます。

○加藤委員 では、新北口駅前エリアのCSR的な公共貢献というのは何があるのか、教えてください。

○小幡中野駅新北口駅前エリア担当課長 容積緩和の要件とはなっていない、施行予定者からの公共貢献としては、地区外につながる歩行者デッキや地域荷さばき駐車場を含む都市計画駐車場、公共自転車駐車場といった提案がございます。

○加藤委員 荷さばき駐車場は、施行予定者からすればなぜつくらなければならないかということで、そういったものであるので、公共貢献かなとは思いますけれども、一方、エリアマネジメント施設は、名前こそ公共貢献のように聞こえますけれども、基本的には事業者の収益のための施設と考えられますので、公共貢献とは言い難いと考えます。昔、丸井の旧本館では屋上に子どもが遊べる施設ありましたけど、あそこをエリアマネジメント施設です、公共貢献していますと言われても、そうなのかとなりますから、そういう認識だと僕は思っています。中野にあったらいい施設だとは思いますけれども、CSR的な公共貢献としてはカウントできないビジネス的な施設だと考えます。

 先ほどのエリアマネジメントの定義でも聞きましたけど、自治体は資金を出すべきではないという認識ですので、最悪、最終的にエリアマネジメント事業から事業者も区も撤退ということもありますので、そうした場合は、事業者は最終的にその施設をビジネスライクな施設に変えていくということを考えることが民間企業としては妥当な考えであります。しつこいようですけども、公共貢献と言えるかは疑問です。

 例えば東京スカイツリーでは、東武鉄道のCSRの公共貢献で、事業者が墨田区民に対する割引を行っています。ちなみに、墨田区は、スカイツリーの敷地や床に何の権利も持っておりません。東武のCSR、区民のためにということでやっております。墨田区のために骨を折ろうという心意気があるわけですね。

 新北口駅前エリアの展望施設の所有に関しては協議中とは思いますけれども、中野区に対する公共貢献とは何かをしっかりと整理した上で、また交渉に当たっていただきたいと思いますけど、区の見解を伺います。

○瀬谷構造改革担当課長 展望フロアについては、区民や来街者など誰もが眺望や飲食を楽しめる空間であり、中野のシティプロモーションにも資する施設であると考えております。施設を運営する民間事業者には、CSRの観点から、集客や発信の取組を求めていきたいと考えております。

○加藤委員 公共貢献に関して、新北口駅前エリアのはあれですけども、中野区全体の話を聞きたいんですけども、渋谷区においては、そういった公共貢献に対する条例で、渋谷区安全・安心なまちづくりのための大規模建築物に関する条例があります。1万平米を超える建物には、帰宅困難者対策、停電対策、Wi-Fiなどの情報基盤整備、自転車等駐車場、あと、喫煙施設があります。千代田区においても同じような制度がありまして、これは、敷地が何と500平米以上の建物にはそういったものが対象となります。公共貢献となる施設を入れると容積緩和されますが、最もポイントが高いのが喫煙施設となっています。渋谷も千代田区も全面禁煙としているために、その穴埋め的に公共貢献として喫煙施設を設置することを強く求めるわけです。

 つまり、各自治体におけるお悩み事はこの容積割増しのための公共貢献の制度を使ってカバーしているという戦略です。中野区にはこういった制度・仕組みがないと考えますけれども、都市計画課長、どうでしょうか。

○安田都市計画課長 中野区にはそうした制度はないものと把握してございます。

○加藤委員 都市計画マスタープランが改定されたばかりですけど、確かにそういう文言はありませんよね。例えば、中野区で、この地域にこういった施設が欲しい、あのエリアで大規模開発が行われそう、容積割増しを条件に子ども施設とか福祉施設を入れてもらおうと戦略的に交渉に当たることが必要だと思いますけれども、各所管でどのエリアにこの施設が欲しいとか、そういった情報が集まっているのかというのも疑問ですし、今後、平和の森小学校跡地を手放せば、ほぼマンションになることは間違いないと思います。西武新宿線沿線も地下化が進めば、大きなまちづくりが始まります。中野区は何も戦略がないまま民間にまちづくりをさせると非常にもったいないと考えますけれども、中野区においてもこういった公共貢献を求めていくべきと考えますけど、いかがですか。

○安田都市計画課長 区では、駅周辺等の大規模なまちづくりにつきまして、公共貢献を引き出すために、都市再開発諸制度のほか、地区計画や様々な都市基盤整備手法を活用し、事業者等と合意形成を図りながら、地区の公共性を高めるまちづくりを進めているところでございます。なお、御質問を含めた様々な手法については研究してまいりたいと考えてございます。

○加藤委員 大規模開発においては周辺の地域に相当な影響が想定されますが、先進区では、そういった負荷の軽減に向け、民間主導の開発に対して、子育て、防災、環境、地域活性化など、公共貢献を積極的に求めており、難しい場合には、面積に応じて開発協力金を要求する場合もあります。一方、企業は、こうした公共貢献することでCSRも高くなってきます。中野区としても、地区計画をかけ、用途地域を変えるのみで、税金は1円も使わないで、実質の区の施設ができます。中野区は民間主導で行う大規模な再開発等に対して公共貢献を戦略的に求めていくような体制をつくることを強く要望して、この項の質問を終えます。

 では、4、浸水予測シミュレーションモデルの利活用について。

 昨年7月に妙正寺川の鷺盛橋の水位観測所で氾濫危険水位を一時超えました。いろいろハード対策を進めても、それ以上に降ってしまえばどうしようもないので、ソフト対策が重要ですけれども、ソフト対策の要は情報です。

 私は、昔、国土交通省で雨雲レーダーを開発しておりましたけれども、当時は、スマホの普及率が低く、予測雨量までは出ていなかったので、利用者は限定的でした。しかし、現在、スマホの所有台数はすごくなりまして、気象庁の予測雨量の情報が加わりまして、今は多くの方が雨雲レーダーアプリを実装しており、イノベーションが行政課題を解決しているよい例となっております。

 河川の研究分野において、次のステージとして、このレーダーデータを使って河川洪水の予測をする時代になっております。その開発された技術を紹介させていただきます。

 これは、S-uiPSというシミュレーションモデルのリアルタイム予測システムです。雨雲レーダーの降雨予測値をインプットして、20分先の河川氾濫や道路の浸水状況を動画によってお知らせできるアプリです。河川、下水の水の流れをシミュレーションし、どこで水があふれるか、水深10センチ程度の誤差まで精度を高めてきました。予測技術としてはこれ以上の精度は必要なく、完成したと言ってもいいでしょう。あとは、予測される雨の精度が上がること、排水溝にごみがたまってシミュレーション結果と異なるというような事例をどう潰していくかというのがモデル以外の問題となってきます。

 これは23区全体でやったものですけれども、中野区はこの辺ですけれども、一番赤くなっているこの辺は桃園川の中野通りとクロスしている辺りが一番危ないとこの開発者は言っておりまして、中野区は赤いところがそれなりにありますので、大雨が降ればまだまだ危ないことが示唆されております。

 このシステムをつくったのは早稲田大学の関根正人教授という人なんですけれども、その方より、中野区に参加してもらえないか、こういったデータを使ったテストをやるので、そういったものに参画してくれないかというふうに私に打診がありました。そこで、私は、区の担当者に紹介しまして、その教授から区の担当者は説明を受けていただきましたが、このシステムについての感想をお伺いします。

石崎防災危機管理課長事務取扱 浸水予想シミュレーションモデル「S-uiPS」でございます。このシステムは、コンピュータ上に東京のまちを忠実に再現し、そこに雨が降ったときの浸水の状況を精密に予測するもので、頂いた説明からは、かなり精度の高いものであるというふうに認識してございます。

○加藤委員 費用がかかるわけではなく、インターネットブラウザから見るだけですので、災害情報の拡充に資するわけです。このシステムを活用できれば、区民を安全な場所に避難させ、水没が予測される道路を事前に封鎖することも可能と思いますけれども、区としてこのテストメンバーに参加するべきと考えますけれども、見解をお伺いします。

石崎防災危機管理課長事務取扱 区では、現在、気象庁の注意報・警報をはじめ、区の河川観測や民間気象会社の雨量予測など、様々なデータを基に避難指示等の発令基準を定めてございます。降雨災害を最小限にするためには、数多くのデータを活用することが有用であり、この浸水予測シミュレーションモデルにつきましても、テスト配信を受けながら、今後の活用について研究してまいりたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 それでは、次の5、GIGAスクールについて。

 デジタル教科書についてお伺いします。

 区の学校再編で期間が延びたり、スクールバスが急に提案されるなど、子どもたちの登下校に関する環境は年々変化しております。昨年の夏にITOCHU SDGs STUDIOというのがありましたけれども、ここのテレビで紹介を見てちょっとびっくりしたというのが、今、背負っている子どものランドセルの重さを大人に換算するとそれが19キロぐらいになるということで、かなり重たいものを毎日背負わされているということです。近年、子どもの肩凝りはランドセルを背負い始めてから始まるとも言われております。教科書、参考書の重量が年々増えて、それに今タブレットが加わって、ペーパーレス化に向けて過渡期である現在は、ランドセル史上最も重たい可能性がありますけれども、現在の置き勉の状況について伺います。

○齊藤指導室長 現在、全ての小・中学校において、児童・生徒の持ち帰りの負担を鑑みて、教科書や資料集の一部を教室に置いていけるようにしております。どの教材を持ち帰り、どの教材を置いていくかにつきましては、児童・生徒の発達の段階や家庭学習での必要性、通学上の負担などの実態を考慮し、各学校が柔軟な対応ができるよう助言しております。

○加藤委員 まだ過渡期なので、いろいろあると思います。

 4年前の中学校の教科書選定において、選定理由としてデジタル教科書がそのポイントの一つとして挙げられておりましたけれども、令和6年度からの小学校の教科書選定が始まるようですけれども、候補となる各社の教科書はデジタル教科書の機能を有しているのか、伺います。

○齊藤指導室長 令和6年度の各社の教科書の情報はまだ公表されておりませんが、文部科学省の小学校用教科書目録によりますと、現在発行されている教科書のうち約93%に学習者用デジタル教科書がございます。

○加藤委員 紙をなくせというわけではないですけれども、デジタル化が進むということで、デジタル教科書があれば自宅にタブレットさえ持って帰れば一応教材としてはあるということができますので、置き勉が基本となるようにすべきと考えるわけですけれども、教育委員会の見解はどうでしょうか。

○齊藤指導室長 現在、教科書の無償給与は紙の教科書のみであり、デジタル教科書については、別途費用が必要となります。国は、令和5年度に英語を、令和6年度以降に算数・数学の導入を決めております。中野区では、令和5年度は、国の方向性を踏まえて、英語と算数・数学を導入する予定です。デジタル教科書の導入された教科につきましては、家庭学習での効果的な活用を研究していく必要があると考えております。

○加藤委員 授業での導入に関して伺いますけれども、こういった本を中野区立内の小学校の先生から紹介されました。「GIGAスクール時代の学校」というものです。これを見ますと、タブレット端末の理想の活用法が、1日の登校から下校までと、各教科、委員会活動、部活動など、どういう場合に使うかというのが書かれております。全体を読んだ感想で言えば、情報収集・整理の最適化とプレゼンテーションというところが重要だなと思っております。

 2020年の教育改革で、子どもたちが自主的・能動的にものを考え、授業に参加する学習方法として、主体的・対話的で深い学びを掲げました。いわゆるアクティブラーニングという教育の考え方です。学習の定着率は、次の順番で決まります。講義を聞く、読書をする、視聴覚で感じる、実技を見る、グループ討論、自ら体験する、ほかの人に教えるの順番です。一番定着するのは、他人にものを教えるということです。それがプレゼンテーションというわけでありますけれども、プレゼンテーションをするためには、また情報を集める能力も必要です。タブレットがあるからできる教育となります。学校現場では、今、タブレットを使ってどのような教育が行われているのか、伺います。

○齊藤指導室長 学校現場では、1人1台端末を効果的に活用して、主体的・対話的で深い学びの実現を目指し、実践に取り組んでおります。

○加藤委員 現場の先生方からお話を伺ったところ、教員はウィンドウズ用の指導用パソコンがあるために、児童・生徒と同じiPadタブレットを配付すると2台持ちになってしまうという理由で、子どもたちと同じ端末を持っていないというふうに聞きますけれども、現状はどうなっているでしょうか。

○松原学校教育課長 児童・生徒へのiPad配付に際し、既に教員に配付されている指導用端末で対応ができるものとして、教員にはiPadを配付しなかったところでございます。しかしながら、特に小学校低学年児童の指導に当たり、学校現場から、教員に対してもiPadを配付するよう要望がございます。当面は、各校に配置された予備のiPadを活用して対応する予定でございます。

○加藤委員 小学校は担任の先生が割と子どもたちに対して責任を持って授業へ導入すると言っておりますけれども、中学校では技術の先生に押しつけられている現状があると伺いますが、どのようになっていますでしょうか。

○齊藤指導室長 小・中学校とも、ICT教育推進リーダー教員を中心として、授業でのICTの効果的な活用が進むよう、組織的に取り組んでおります。中学校でも、全ての教科で1人1台端末を活用した授業を実施しており、新しい学び方が進んできております。

○加藤委員 タブレットを使うことでどんな教育が可能となるのかというのを、勉強会、検討会などで、中野区の職員、もしくは東京都でもいいですけども、そういったところでちゃんと横の連携で能力を高めていただきたいと思いますけれども、どういった現状でしょうか。

○齊藤指導室長 本年度は、ICT教育推進リーダー研修、希望制のICT活用研修を教育委員会が実施し、講義及び協議を通して、1人1台端末の効果的な活用について情報交換及び検討を行いました。また、学校教育授業の研究指定校として、ICTの効果的な活用について研究してもらい、発表等を通して、全小・中学校にその成果を広めたところです。

○加藤委員 続いて、AIドリルについて聞きます。

 中野第一小学校では、私費でAIドリル「Monoxer」を導入していると聞きますが、その効果について伺います。

○齊藤指導室長 AI学習ドリルを利用することで児童一人ひとりが自分のペースで学習することによって、学習する意欲が高まり、学習する習慣が身についたと聞いております。タブレットにAI学習ドリルが入っていることで、興味・関心や理解度、自分に合った進路に応じて学習ができるのが利点であります。

○加藤委員 大学受験に関するエンタメで、ビリギャルとかも小学校4年生から勉強をやり直したとか、ドラゴン桜は小学校2年生から算数をやり直せと先生に言われるとか、かなり勉強を中学校で進めようとしてもやり直したほうがいいみたいのがあるので、ドリルというのは非常に個人個人でやれることは重要だなと思うんですけれども、そういった結果を踏まえて、中野区全体としてAIドリルを進めていくというのも重要かなと思うんですけど、その辺の御見解を伺います。

○齊藤指導室長 AI学習ドリルについては、既に学校で実践されているものも含め、比較検討していく予定であります。財政的な負担も含め、AI学習ドリルの導入の仕方につきましては、総合的に判断していきたいと考えております。

○加藤委員 続いて、AIと教育について伺いますけれども、AIとは何なのか理解する必要がありますけれども、現状としては、過去のデータから割り出した最適解であり、過去のデータセットに依存し、前例がなければ答えが出ません。誰も考えたことがないことは、AIはそれを出すことはできない。

 最近、ChatGPTというのがはやっておりますけど、AIで公開されたチャットボットで、質問を入れると答えが返ってくるわけです。例えば中野区の地域包括ケア体制の構築に必要なことはと検索してみましたけれども、1、中野区の地域課題の把握、中野区の地域内における高齢化や障害者の増加、孤立などの課題を把握して、必要なサービスを整備することと出てきて、あと、続いて、2、地域包括ケアネットワークの構築、人材育成、情報共有の促進、地域住民の参画の促進、モニタリングの実施という項目と共に、それなりの説明があります。一方、ヤングケアラーで調べると、自治体ができるヤングケアラー支援とは、自治体が年齢が若い世代、通常は20代後半から30代前半のヤングケアレスシニアとか、何かよく分からない文章が出てくるわけですけれども、基本言語は英語であり、翻訳の精度もありますでしょうし、ヤングケアラーに対する検索をしてもあまり出てこないとなると、過去データがないために、意味が分からない結果が出るわけです。AIとは過去のデータに依存する証左であります。

 しかし、過去データがしっかりあるものに関しては、AIにより人間は出番を失っていきます。行政書士、司法書士は既に仕事を奪われ始めまして、弁護士は日本においては判例がまだデータベース化になっていないため大丈夫ということですが、いずれ仕事が奪われる可能性が言われております。

 こういった時代の中、シンギュラリティ、VUCA時代、不確実な世の中を生き抜く子どもたちを育てるために、教育委員会はどのような教育方針を打ち立てていくべきか、伺います。

○入野教育長 子どもたちには、一人ひとりに、予測困難な社会の変化においても、主体的に向き合い、関わり、自ら考え、判断し、行動していく、未来を切り開き、つくり出していく力を伸ばし、これからの持続可能な社会の担い手をしっかりと育てていく方針でございます。身近な地域を含め、社会とのつながりの中で、情報活用能力などを生かし、協働しながら学び、身につけていくことが必要と考えております。

○加藤委員 ありがとうございました。

 では、その他にいきます。

 現代の親は、子どもたちに大きな挫折をさせたくないということで過保護になり、転ばぬ先のつえをつき過ぎる傾向があります。かなり古いデータではありますが、平成13年度の文部科学省の調査では、家庭の教育力が低下している理由の1位として、子どもに対して過保護、甘やかせ過ぎや過干渉な親の増加が66.7%となっておりました。出生率の低下がその傾向を増やしているということです。出生率が低下しているのは今も一緒ですので、その現状はあまり変わらないと思います。現代の、失敗を許容しない、AI等が先回りして判断してしまい経験が積めなくなる社会の流れにより、子どもたちが新しいことに挑戦できなくなることがあってはいけません。小さな失敗を重ねることにより、新たなチャレンジに挑戦していく素養を身につけさせ、大きな成功体験まで導けるようやることが教育において重要だと思っております。

 中野区子どもの権利に関する条例では、「失敗をしてもやり直せること。そのために必要な環境が整えられること。」と明記されております。区教育委員会は、子どもたちに様々な経験をさせるためにどのようなことを実施、検討されているのでしょうか。

○齊藤指導室長 学習の中に体験的な活動を取り入れており、また、自ら調べてみたい問題を設定し、工夫しながら取り組む問題解決型の学習を展開しており、他者と協働しながら、うまくいかなかったことも、原因を振り返ったり、新たな方法を考えたりするような活動を全教科の中で実施するようにしております。教育委員会では、これらの学校の体験活動に加え、小学校1年生からの英語活動や宿泊による英語体験活動、本物の文化芸術に直接触れる活動など、子どもたちの体験活動を充実させてまいります。

○加藤委員 やってはいけない疑似体験というのができる施設があってもいいのかなということで提案させていただきます。

 例えば、電子レンジで卵を温めたら爆発します。川の浅瀬でも、水の流れが強かったりコケが生えていれば、足元をすくわれて水深30センチでも溺死することもあります。IHが普及し、火を見る機会もないです。コンセント周りで物を突っ込んだり水をかけたりする危険とかも、言われるだけで分からない。ひねる蛇口が家庭から姿を消して、小学校で初めてひねったら骨折したなんていう事例も聞いたことがあります。助手時代に後輩たちと中国へ行ったんですけど、ウォシュレットがないために大便ができないと5日間しなかった後輩もいました。段ボールが組み立てられないという大学生もいました。交通事故に遭ったらどうなってしまうのか、人生で痛さを知っているのは注射ぐらいだったり、人を殴るのはどのぐらい痛いのかとか、様々、何か経験ができるような、その経験の10分の1、100分の1スケールでいいので、痛さを感じるとか、そういうものがあってもいいのかなということで、やってはいけないことが体験できる科学館、(仮称)行ってはいけない科学館の創設を提唱します。

 例えば産業振興センター跡地に設置するのであれば、中央線沿線からの来場者も見込め、子育て先進区を目指す中野区のPRになると思いますけれども、御見解をお伺いします。

○瀬谷構造改革担当課長 産業振興センター跡施設については、公益活動を主体とした複合交流拠点に転用し、中高生の交流・活動支援の場としての活用も検討しているところであります。施設仕様や規模から科学館や博物館的な使い方は難しいと考えておりますが、今後の施設のコンセプトや具体的機能の検討に当たっては、実体験というキーワードも参考にしてまいりたいというふうに考えてございます。

○加藤委員 最後に、区長の政治姿勢について伺います。

 至るところで、中野の最大の財産は人と強調されております。また、オール中野で中野の未来の礎をしっかりと築いていく決意と表明されております。中野の最大の財産が人というのはまさにそのとおりだと思います。オール中野も正しいと思います。しかし、個性が強いために、それぞれの意見を全て反映させると結論が出せません。

 先日報告があった「今後の区立図書館のサービス・配置のあり方検討会」はまさにそれを具現化した内容です。報告書に様々な意見が明記されたことで、委員のメンバーの中には、自分の考えが図書館運営に反映されると期待する方もいるでしょう。例えば地域開放型学校図書館の検証と在り方についてのまとめは、身近に図書館があるという点、気軽に立ち寄れるという点で小さい図書館も有効である、小さい図書館であるゆえ、機能の限定とともに小学校内に設置する必要があるか疑問がある、つまり、両論併記しております。結論を出さないことが結論になっているとしか思えません。こういった状況が続いているわけでございます。

 しかし、これは全て両論併記ですけど、両方やったとしたら、図書館経費は今の何倍になるか分からないというような問題です。そもそも予算が厳しいためになされた検討会ですけれども、財政的な視点が抜け落ちております。どんな結論を導こうと、不平不満が出るのではないかと危惧するわけでございます。

 そういった中で、区長は、リーダーシップを発揮される、巻き込み型のリーダーシップを発揮してやっていくということも言っておりますけれども、リーダーシップとは、時には冷血な判断も必要であります。いたずらに結論を先延ばしにされている区政課題は山積しており、その覚悟が見えません。

 それに加えて、これまで我が会派ではキャッチフレーズ区政とやゆしてきましたけど、スクラップ・アンド・ビルド、構造改革、子育て先進区の標語や名前を変えて定義を限定するなど、成果と言えるものではありません。区の執行部が思いつきで始めたのか、迷走し、職員が疲弊していると伺えます。中野の最大の財産である人を消耗させているわけであります。

 とにかくリーダーシップを発揮していただきたい。こういった形でいつも抽象的な質問をしても煙に巻かれてしまいますので、具体的な質問をします。

 区長がこれまでにリーダーシップを発揮して大きな決断をしたなと言える政策を三つ教えてください。

○酒井区長 率先して取り組んだ事例として、近年の新型コロナウイルス感染症関連の対策に取り組んでまいりました。ワクチン接種券の発送やPCR検査センター開設、生活応援の対策、また、現在行っている子育て世帯への所得制限なしの給付金事業など、区民の健康と暮らしを守ることにリーダーシップを発揮してきたと考えております。このほか、中野区子どもの権利に関する条例の制定など、子育て先進区の実現に向けた取組を進めてまいりましたけれども、区政課題を解決するためには、区民との協働・協創が不可欠であると考えております。今後も区民を巻き込んでいくリーダーシップを発揮していきたいと考えております。

○加藤委員 私が三つ挙げるとしたら、区長がリーダーシップを発揮されたというか、時世に流されたか慣性力が強かったか分かりませんけれども、中野サンプラザの取壊し、平和の森公園300メートルトラック建設、小学校建設を遅らせての旧中野刑務所正門の保存なのかなと思います。いずれも大きな論争になりましたけれども、結論を導いたおかげで前には進んでいるわけです。そういった、今山積して決まっていないから前に進まないという問題に率先して取り組んで、前に進めていただきたいと思います。

 私個人としては、あらゆる審議会、検討会などに議員も交ぜて、例えば構造改革で何をスクラップする必要があるか議員からも意見を聞くなど、そういった中でオール中野の議論があってもいいのかなということを提案させていただきまして、全ての質問を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。

○ひやま委員長 以上で加藤委員の質疑を終わります。

 次に、平山英明委員、質疑をどうぞ。

○平山委員 令和5年第1回定例会予算特別委員会に当たりまして、公明党議員団の立場から総括質疑を行います。

 質問は通告のとおりですが、ちょっと時間の関係で、もしかすると項目を前後させるものもあるかもしれません。大変短い時間でございますので、区長、理事者におかれては、簡潔明瞭な答弁をお願いいたします。

 初めに、令和5年予算について伺います。

 令和5年度予算は、一般会計で1,956億3,000万円と、2,000億円に迫ろうかという額です。短縮議会でもあり、私の持ち時間も少ないため、前のお二人のような詳細な質疑はできませんが、3点に絞って伺います。

 まず、好調な歳入について伺います。

 令和5年度一般会計歳入予算は、特別区税が337億54万7,000円余と、前年度比34億6,002万円余、10.1%の増、特別区交付金は434億円、前年度比31億円、7.2%の増、利子割交付金、株式等譲渡所得割交付金、地方消費税交付金については、それぞれおおむね20%増を見込んでおり、大変好調に見えます。

 そこで伺います。特別区税の増理由は、納税義務者数や所得の増と分析していますが、所得の高い区民の転入の影響が大きいのか、全体的に所得が上がっているのか、詳細な分析はなされていますでしょうか。

○竹内税務課長 お答えいたします。特別区民税の令和4年度の課税状況から見ますと、令和4年度と令和3年度の7月1日現在の課税標準段階別納税義務者数を比較したところ、課税標準額1,000万円超の納税義務者数は896人増加しております。同じように、1人当たり所得割額を比較したところ、1万496円増加しております。このように分析してございます。

○平山委員 物価高騰、いわゆるインフレが歳入全体に与える影響をどのように分析されていますでしょうか。

○森財政課長 今お話の影響額につきましては、詳細な分析はしていないところでございますが、個々で見ていきますと、地方消費税交付金については、物価の高騰によりまして収入の伸びにつながるというようなことが想定されます。一方、仕入れコストの増などによりまして企業収益に影響がありますと、法人住民税等が減収となって、特別区交付金の減収につながる場合も想定されるというように捉えております。

○平山委員 歳入について二つお聞きをしました。まず、特別区税等々については、毎回、増理由、減理由というのが示されるんですけど、あまり中野区独自のものではないんですね。もう一つ、このインフレの影響というのもお伺いしましたけど、何度も申し上げていますが、そろそろ区としてのこういった分析というのをしっかりやっていかないと、なかなか厳しくなっていくのかなということでお伺いをいたしました。

 続けて、(2)の令和5年度予算及びその後の財政運営の物価高騰の影響について、これは、本郷小学校の改築を例に取って伺っていきます。

 同校は、平成30年度に測量を終え、翌令和元年度に基本計画の策定が進む中、コロナ禍による財政非常事態を受け、スケジュールが2年延期となりました。その後は、さきの子ども文教委員会での報告によると、令和2年3月までに基本構想・基本計画の策定を実施、しかし、令和2年6月に基本設計・実施設計を発注前に中止しています。そして、改めて令和4年度予算に基本設計・実施設計を計上しました。令和4年4月の議会報告では実施期間を2年と報告しながら、実際は、同契約を期間2年半で結んでいます。まずは、この不可解な契約について確認をいたします。

 小中学校施設整備計画でも、その後の議会報告でも令和4・5年の2か年で終わりとした設計業務があらかじめ令和6年度までの契約となったことについて、どのような手法を用いられたのか、また、令和4年度予算のどこにそのことが示されていたのでしょうか、伺います。

○藤永子ども教育施設課長 中野本郷小学校設計業務の契約と予算についてでございます。具体的には、令和4年度予算議案9ページ、第2表、債務負担行為、予算説明書168ページの債務負担行為調書新規分、ここで令和6年度までの債務負担行為を設定したところでございます。この債務負担行為を議決していただいたことで、小中学校施設整備計画よりも長い期間での設計業務の契約が実行できたものでございます。

○平山委員 議決していただいたことでみたいな御答弁をされていましたけど、これは議会に報告されていましたか。いわゆる債務負担行為のところを見ないと分からないんですよ。ただ、そもそもの計画とそれまでの報告では2か年の予定だったはずなんです。これを、債務負担を延ばすということは、予算上程時に議会に報告されていましたか。

○藤永子ども教育施設課長 さきの委員会等々で御報告申し上げたとおり、この件について、予算上程時には御説明してございません。

○平山委員 ですよね。そういうことなんです。

 続けます。改築スケジュールが2年延伸されたこと、これは伊藤委員も聞かれていましたが、またさらに半年延伸となったことにより、物価高騰の影響はどうだったのか、具体的に伺います。

○藤永子ども教育施設課長 改築スケジュール延伸による影響でございます。今後の物価高騰やインフレの影響が不透明なところでございますが、着工年度として3年間延長したことを前提として、過去の小学校建設の平米単価、検討中の中野本郷小学校の建築面積から影響額をシミュレーションすると、約12億4,000万円でございます。

○平山委員 12億4,000万円。財政負担の軽減のための措置がかえって区民の負担を増したことについて、どのようにお考えですか。

○瀬谷構造改革担当課長 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う区財政の影響に鑑み、令和2年度予算執行及び令和3年度予算編成においては、歳出の抑制を図るべく、学校施設整備も含めまして、事業実施の時期や方法などの見直しを行いました。見直しを行った時点においては現在の物価高騰の状況を予見できたわけではなく、区財政の状況を勘案したやむを得ない判断であったと認識しております。

○平山委員 当時はやむを得ない判断であったが、現在こういう結果になっています。単年度会計らしい、お役所らしい御回答なんですけど、一般的には、これを一つのプロジェクトと見たら、それだけの損失を与えたわけですから、本来であれば、責任が発生するような事態ということは認識を頂きたいと思います。

 続けます。今後、小中学校の整備計画を進める中でのインフレの影響をどのように考えるのか。必要な施設整備なのでそのまま進めるか、あるいは物価高騰を踏まえた施設規模の在り方について再検討するのか、または、計画のスケジュール自体を延期するのかの判断が迫られると思いますが、御見解を伺います。

○藤永子ども教育施設課長 小中学校施設整備計画とインフレの影響についてでございます。小中学校施設整備につきましては、学校教育の基盤であるとともに、地域活動や防災活動の拠点でもあることから、引き続き整備を進める予定でございます。一方で、検討中の新校舎も含め、改築後の新校舎については全て7,000平米を超える施設となる予定でございまして、インフレの影響により、工事費が上振れするおそれもございます。学校教育の現状と将来を踏まえた上で、今後のインフレや区の財政状況を考慮しつつ、学校の適正規模や機能については検討していきたいと考えてございます。

○平山委員 スケジュールを遅らせる等々ではなく、適正規模を検討されるということですね、分かりました。

 インフレ下にあっては、基金は価値が下がり、起債は負担が軽くなります。経済のお話ですが。そうなると、基金と起債、または補助金や一般財源とのバランスについて見直す必要があるのではないかと考えますが、御見解を伺います。

○森財政課長 起債につきましては、公債費負担比率の目標を定めて、それを踏まえて活用を図ってきたと。また、基金につきましても、新たな財政の考え方で、積立ての考え方、それから、残高の目標額について整理してきたといったようなところでございまして、当面は現在の考え方で進めていきたい、そのように考えておりますが、今後、インフレ等の状況の変化、それから、財政への影響、そういったところも見定めながら、今お話しの基金活用の考え方については、また整理をしていきたいと考えております。

○平山委員 問題は、ここに利息がどうなっていくのか、利息がどう変化していくのかというのが分からないとなかなか判断は下しにくいと思うんですけど、単純に考えて、インフレが進むと、今積んでいる基金では足りないんですね。それはそうですよね。そういったことをどう考えられるのか、もしかしたら起債を増やしたほうが当面の間は楽なのかもしれない。そういうことも考えられますので、ぜひ御検討をお願いします。

 続いて、貨幣価値が下がっている状態で、単純に歳入増と見るのは危険ではないかと思います。今必要なのは、財政運営をはじめとする区の主要計画を物価高騰の一定の係数を加味して再検討することではないでしょうか。少なくとも今後5年の計画の見直しが必要と考えますが、御見解を伺います。

○森財政課長 来年度、基本計画におけます実施計画の策定も予定しているところでございます。その際、財政フレームの見直しといったことも行っていくということでございますので、物価高騰の状況なども踏まえながら検討していきたいと考えております。

○平山委員 ぜひよろしくお願いします。一般質問等々の答弁を聞いていますと、財政フレームの見直しを物価高騰に当てはめてシミュレーションするのはなかなか難しいような話もあったんですが、ただ、上昇率を見ながら数パターンの係数を掛けていけば、ある一定の未来予測はできるはずですから、それをやっていかないと、難しい、難しいと言っているままだと、今後ちょっと大変になるかなと思いますので、ぜひともよろしくお願いします。

 そして、これまで度ごとに間断なき行財政改革を我々は訴えてきましたが、残念ながら事務事業の見直しはほぼ行われぬまま、先ほど加藤委員の質問でもありましたが、経常経費が年々膨らんでいます。インフレ下にあっては、膨大した経常経費がさらに上昇し、区財政への影響を及ぼすことは想像に難くありません。子どもたちの未来のためにも、行財政改革に本気で取り組むべきと考えますけれども、区長の御見解を伺います。

○酒井区長 社会経済情勢は変化するものでございますけれども、そうした変化にも一喜一憂することなく、安定的かつ計画的な行財政運営を行っていかなければならないと考えているところでございます。新たな財政運営の考え方では基金の計画的な運用を示したところでございまして、今後もよりよい施設、サービス提供ができるよう、老朽化が進む区有施設の建て替えを着実に行っていくとともに、行政サービスの改善や業務効率化に取り組んでまいりたいと思います。

○平山委員 なかなかうまいキャッチボールができなかったんですけど、我々が言っている行財政改革というのは、単純に言えば、事務事業の見直しです。これをやらないと。今、区が進めようとしている行財政改革というのは、DXなんですね。DXでは経費の削減というのはできないです。効率的な仕事はできるようになるんでしょうが、DXを推進するためにかえって経費がかかってしまう。今必要な財政改革、行財政の改革というのは、私は、経常経費を見直していくこと、ここに取り組んでいくことだと思っていますので、ちょっとかみ合いませんでしたけども、ぜひともよろしくお願いいたします。

 この項の最後に、組織と予算の関係について伺います。

 区民費、文化振興・多文化共生推進費中、エリアマネジメントとして、中野駅周辺エリアマネジメントビジョン推進業務委託として905万3,000円が計上されています。まちづくり推進部が執行すべき予算が区民部にあることは、法令や条例、規則等に照らして問題はないのでしょうか、伺います。

○森財政課長 予算の科目につきましては地方自治法に規定がありまして、歳出にあっては、その目的に従って、これを款項に区分しなきゃならないということでございます。今お話があった4款の区民費の4項文化振興・多文化共生推進費ですが、にぎわい、文化を起点としたまちのブランディングを進めていくことを目的に区分しておりまして、御指摘のエリアマネジメントの推進に係る経費については、その目的に沿ったものとして同項に計上したということでございます。区の運用におきましては、原則予算科目と組織体系を整合させているところでございますが、法令や条例、規則において予算科目と組織体系を一致させるというような規定はございませんので、問題はないと考えております。

○平山委員 ちょっと戻りますけど、組織条例改正案を決定した後、本来は、でも、やっぱりまちづくり推進部にあることのほうが望ましいわけなんですよ。組織条例改正案を決定した後に、どうして予算案の修正を行われなかったんですか、そのままの予算案でこれを上程されているわけですか、伺います。

○森財政課長 予算案を決定した後、予算書等の作成作業ですとか、年度当初契約事務というものの事務的な作業に入っております。その後、組織条例改正の案が決定されたといったようなことで、改正案の決定時点においてはそれらの事務についてはかなり進捗をしておりまして、後戻りというのは難しい状況であったわけでございます。先ほど申し上げたとおり、法的に問題があるものではないということもございまして、修正は行わなかったということでございます。

○平山委員 そうなると、人事のほうは何をやっていたんだ、お尻のスケジュールが決まっているのに、どうして第4回定例会ではなくて、あのタイミングで組織条例の改正案について報告をしたのかということになってしまうんですが、責任の押しつけ合いみたいになってしまうといけないので、そのことは伺いませんけども、先ほどもちらっとおっしゃっていましたが、組織と予算というのは一体だというのは、これは区がお持ちの考え方なんです。前区政から始まっていて、これも継承していくという考え方を示されている。であるならば、決して望ましい状態ではないと私は思っています。

 地方自治法第138条の2というのは、恐らく公務員になられたときによく勉強されることだと思いますが、執行機関の議決、執行機関は議決や法令、条例等の遵守と誠実な執行の義務、これが求められている条文ですね。法令に違反しなければいいという姿勢は、私は誠実さを欠くのではないかというふうに思っています。

 令和3年度予算でも、開設を見送るとした令和小学校の地域開放型学校図書館に児童書1,000冊の予算が計上されたことが問題になりました。結局全額未執行だったようですけど、地域開放型学校図書館の扱いが一転二転をしていたときです。先ほどの本郷小学校の測量の件も、私はかなり近いものがあるのではないかと思います。議会に対して、予算というものに対しての誠実性を大変欠いた上程をされているというふうに思っています。今回も、意思決定の遅さは言うまでもありませんけども、組織全体に緩みがあるように感じられてなりません。そのことを指摘して、次の項の質問に移ります。

 2番として、図書館の在り方について伺います。

 中野の図書館には楽譜の蔵書が少ないという声をお聞きしました。必要とする楽譜は冊子のうちの一部であるため、特に子どもたちは図書館で借りることが多いようですが、区の図書館での現在の楽譜所蔵数は、中央図書館17冊、鷺宮図書館2冊、中野東図書館1冊の合計20冊のみです。ちなみに、隣の練馬区は11館全てに蔵書があり、最多は貫井図書館の661冊、最少は南田中図書館で34冊、全館で2,111冊を所蔵しているそうです。

 中野も、図書館への楽譜の蔵書、特に子ども向けの蔵書を増やしてほしいと思っていますけども、いかがでしょうか。

○渡邊子ども・教育政策課長 現在、楽譜につきましては、御指摘のとおり、所蔵数は少ない状況でございます。楽譜の所蔵数につきましては、子ども向けの楽譜を含め、利用者ニーズを踏まえ、配慮していきたいと考えてございます。

○平山委員 高いらしいんですね。だけど、本当に、この曲とこの曲しか使わないというのもあって、図書館にあると大変助かるというお話をお聞きしましたし、文化に力を入れるというふうにおっしゃっているんですから、ぜひお願いしたいと思います。

 令和2年・3年度に開校予定だったみなみの、美鳩、中野第一の地域開放型学校図書館は、新型コロナ感染拡大により見込まれる財政見通し、つまり、区長の財政的非常事態との認識を受け、令和2年第2回定例会で、蔵書規模が5,000冊から2,000冊へ、開館日も、土、日、祝日も含めて毎日だったものが平日は週2日のみに、さらに、開館時間も短縮され、現在まで続いています。地域からは、今も、当初の区の説明と違うことについて失望の声が上がっています。

 区長は、昨年第2回定例会では、財政的非常事態からは脱したとの認識を示されました。であるならば、早急に当初計画に戻すべきと考えますが、新年度予算にも変化は見えません。

 一般質問で我が会派の甲田議員からも質疑しましたが、地域開放型学校図書館は迷走を続けているように思います。教育長からも御答弁はあったところですが、地域開放型学校図書館というものそのものの必要性について、区長はどのようにお考えなのか、御見解を伺います。

○酒井区長 令和3年4月に開設をいたしましたみなみの小学校、美鳩小学校、中野第一小学校、これらの地域開放型学校図書館は、小さい図書館、身近な図書館として利用者の評判もよく、その中でも、近隣の図書館まで若干離れている美鳩小学校の地域開放型学校図書館は、利用者数も大変多いということで認識をしているところであります。御指摘の利用時間とか蔵書の数、そこら辺については、今後、必要性を見ながら考えていく必要があると思っております。また、図書館サービスの地域差が生じないように検討を進める必要があるということで認識をしておりますけれども、限られた学校スペースなどを考慮すると、必ずしも区立小学校全てにある必要はないというふうに今考えているところでございます。

○平山委員 分かりました。もともと、この地域開放型学校図書館を試験運用します、3館を、という決定の後に、財政的な非常事態で、蔵書数とか開館日数が減らされたんです。ということは、本来、このシミュレーションが成り立つような環境にないわけなんですよね。本来の当初の計画でのシミュレーションというのは一度も行われていないわけなんです。今回の図書館在り方検討の結果というのは、それを踏まえたものだということもぜひ御理解を頂ければと思います。

 3項目目に、平和事業について伺います。

 区長の記者会見で次世代向け平和事業についての説明があり、その内容は、戦争の実相を体験的に学ぶ機会とするため、被爆地への平和旅を実施するとし、対象は中学生8名程度、訪問先は広島市とされました。この8名程度というのがちょっと引っかかっていますので、伺います。

 区立中学校は9校です。私は、参加者は、区立中学校から1名ずつの選抜制とし、9名が望ましいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○堀越ユニバーサルデザイン推進担当課長 平和の旅の参加者についてでございます。来年度からの平和事業は、今までの語り継ぐものという趣旨を尊重しつつ、次世代となる子どもたちが自ら考えてつくるものとなるよう内容を充実させていきたいと考えております。その一環といたしまして、被爆地である広島市への旅を行いたいと考えておりまして、区内の中学生8名程度を対象としたいと考えております。参加者を9名とすることは可能と考えておりますが、区立中学校の生徒のみを対象とするかなどについては、教育委員会とも相談し、決定をしてまいりたいと考えております。

○平山委員 そこはよくよく御検討いただければと思います。

 平和旅に参加した中学生の体験のみにとどまらず、その体験を、学校に戻り、全校生徒、可能であれば保護者にも伝える機会をつくるべきというふうに考えていますけれども、どのようにお考えでしょうか。

○堀越ユニバーサルデザイン推進担当課長 平和の旅の体験を伝える機会についてでございます。次世代向け事業としての平和の旅につきましては、参加した生徒さんたちには、平和のつどいなどの事業で経験したことを発表してもらい、区内の若年層などにも広く伝わるよう協力をお願いしたいと思ってございます。各学校での発表等につきましても、可能な状況であれば御協力をお願いしたいと考えているところでございます。

○平山委員 ありがとうございます。1期の頃からずっとこの平和旅については質疑をさせていただいていまして、何度となく質問してきましたけど、今回、現下の状況のようなタイミングで区が御判断されたということは非常に高く評価をいたします。

 ただ、スタートは、私はやっぱり区立からスタートするということでいいんじゃないのかなというふうに思っていますので、そこはぜひ御検討いただければと思います。

 最後に、休日保育と学童クラブについて伺います。

 休日保育の延べ利用人数は、平成28年度587人、29年度654人、30年度819人、令和元年度1,051名と、増加の一途をたどっていました。しかし、コロナ禍の令和2年度は775名、令和3年度は860名と、一旦減少に転じました。5月から5類への移行となると、再び増加の可能性も考えられます。現在、打越保育園で行っている休日保育の年間最大利用人数は1,320名です。増加を考えると、地理的条件も加味した上で、区内2か所での実施についても検討を行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○藤嶋保育施設利用調整担当課長 休日保育につきましては、利用実績が増加傾向にあることなどから、実施施設を増やしていく必要性があると認識しております。今後は、地理的条件なども踏まえまして、2か所目の設置に向け、検討していきたいと考えております。

○平山委員 学童クラブにも休日に預けられるサービスが欲しいというお声も聞きます。保護者が休日も勤務の場合、低学年の児童のみで留守番をさせることへの不安がありますけれども、日曜日は、民間も含め、開いている学童クラブが当然ありません。学童クラブについても日曜保育に対するニーズ調査を行ってはいかがでしょうか、伺います。

○細野育成活動推進課長 学童クラブは、保護者の就労等の理由によって放課後に適切な保護を受けられない児童を対象として開設してございます。現状、学童の土曜日の利用でございますが、こちらは、在籍者数の1割未満にとどまっている状況がございます。日曜日の開設につきましては、ニーズの把握など、研究してまいりたいと考えております。

○平山委員 研究ということでしたけども、ぜひ、研究でも構わないので、一旦やっていただければなと。要は、学童の待機が増加をした、その前には何があったかというと、保育の待機増なんですね。今保育現場で起こっていることというのがそのまま学童にスライドしていくということが十分考えられます。分かります。学童クラブの本来的な目的は休日に行うことではないというのも理解をしていますけど、じゃあ、学童という形でなくてもいいのかもしれないけども、そういった御家庭の支援というものも検討する必要が出てくるのではないかと思っているので、そういう意味で調査をお願いしましたので、どうかよろしくお願いをいたします。

 以上で私の全ての質問を終わるんですが、時間がないと思ったら5分も余ってしまって、皆さんに本当に明瞭な答弁を頂きましたので、スムーズに進行させていただきました。余計なことをしゃべらずに、次のメンバーに時間を残したいと思いますので、よろしくお願いします。

 大変ありがとうございました。

○ひやま委員長 以上で平山英明委員の質疑を終了します。

 次に、浦野さとみ委員、質疑をどうぞ。

○浦野委員 2023年第1回定例会予算特別委員会におきまして、日本共産党議員団を代表して総括質疑を行います。

 質問は通告どおりで、その他はありませんが、大きな2番と3番の順番を入れ替えて伺いたいと思います。

 初めに、1番、2023年――令和5年度予算案について。

 予算案の特徴についてまず伺います。

 新年度予算は、一般会計が1,956億3,000万円で、前年度比で約377億円、23.9%の増、また、四つの特別会計の合計は772億200万円で、こちらも前年度比で19.7%の増となり、いずれも過去最大の予算規模になりました。

 特別会計の一部は、明日、羽鳥議員から伺いますので、私のほうからは、一般会計についてまず伺いたいと思いますけれども、規模がこのようになった要因について、まず伺います。

○森財政課長 新年度予算の規模が過去最大となった、その要因でございますが、区役所の新庁舎整備費、平和の森小学校等の用地購入費、囲町東地区の市街地再開発事業関連経費などの投資的経費の増がかなりございます。また、新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保、教育・保育施設給付費や区有施設の光熱水費など、こういったところが増の要因として挙げられます。

○浦野委員 今御説明いただいた点が大きいんだと思うんですけれども、全体として、子ども教育費に関する予算が大きくなっていると思います。この中で、ひとり親家庭の支援や18歳以下の医療費助成事業、既存の学校図書館の機能や区立図書館の蔵書の充実、また、教育相談体制の充実など、新年度から新規で計上されたものについては評価をいたしております。

 また、同じく子ども教育費で拡充となっている子どもの貧困対策の推進についての中で、東京都立大学が実施する令和4年度の子どもの生活実態調査の詳細分析というものも新規の中で入っておりますけれども、この内容について伺います。

○青木子ども政策担当課長 令和4年度子どもの生活実態調査につきましては、東京都立大学が令和5年1月下旬から2月中旬にかけて、区内の高校2年生年齢の子どもとその保護者を対象としまして、学業の状況、自己肯定感や健康状態、保護者の経済状況などを把握するために行った調査であり、区としてもその実施に協力しているものでございます。

○浦野委員 これまで我が会派も長年求めてきた子どもの貧困実態の調査については、2019年――令和元年度に、中野区の子どもと子育て家庭の実態調査が行われ、その結果を基に、この間、就学援助基準の引上げであったりとか、区の様々な施策展開につながったと認識をしています。今回、今御説明いただいた新年度予算に盛り込まれた令和4年度子どもの生活実態調査の詳細分析の後、今後、これをどのように、分析した後、施策展開につなげていくと考えているのか、伺います。

○青木子ども政策担当課長 区として詳細な分析を行いまして、分析結果を踏まえた上で、高校生年代に必要な支援策を検討してまいりたいと考えてございます。

○浦野委員 この間行ってきた調査が、いろいろ区の施策で、今年度、新年度も新規に盛り込まれた様々な子ども施策のところにもつながっているところもあると思いますので、新年度、分析の結果をまた新たな施策展開、必要な施策にぜひつなげていってほしいと思います。

 新年度予算の中では、先ほど他の委員の質疑でもありましたけれども、基金の積立ての新たな考え方も示されていると思いますけれども、これについては、これまでとどのように考え方を変えたのかについて伺いたいと思います。

○森財政課長 基金の積立ての考え方の変更点について申し上げます。施設整備に関する基金については、当該年度に発生する減価償却費相当額の25%を積み立てる、また、道路・公園整備基金やまちづくり基金については、今後10年間の基金活用計画額の平均額を積み立てるといったようなところで、積立ての考え方の変更点ということについては、その主な点というのは以上のところになってまいります。

○浦野委員 財政調整基金の年度間調整分について、これを200億円確保することに努める、ここも新たな点かなと思うんですけれども、その点を伺います。

○森財政課長 すみません、失礼しました。いわゆる残高の目標額ですね、残高の目標額については、今お話があったように、財政調整基金の年度間調整分の年度末残高200億円を確保するですとか、施設整備に関する基金についての年度末残高の目標として、減価償却累計額の相当額の25%を維持するといったようなことについても、考え方として整理したところでございます。

○浦野委員 もちろん今後の学校施設の整備などで計画的な積立てというのは当然必要だと思うんですけれども、年度間調整の分の年度末残高200億円の確保というのは、本当にそこまで必要なのかなという部分もあります。そのことによって、必要な施策が打てなかったり、遅れてしまったりということはやはりあってはいけないというふうにも一方で思っております。

 各指標について伺うのは省略しますけれども、端的に伺って、今の区の財政状況としては健全ということでよいのか、その点について伺います。

○森財政課長 令和5年度当初予算案におきまして、一般財源の見込額の範囲内で一般財源充当事業費が収まり、また、基金の積立額の目標額も確保できているということ、それから、公債費負担比率についても上限を超過していないといったようなこともありまして、これらの点について、財政運営の考え方に合致しているということでございます。財政状況としては健全であるというふうに考えております。一方で、世界的なエネルギーや食料価格の高騰、世界経済の後退懸念など、区を取り巻く状況の厳しさというものはございますので、そういったところはしっかり認識をしまして、常にリスクを想定して財政運営を行っていく必要があると考えております。

○浦野委員 午前中、森委員からもありましたけれども、今の財政状況を鑑みれば、もっとできることがあるのではないかというところについては、この後、詳細に伺っていきたいと思います。

 その前に、歳入についても伺います。

 これも他の委員からもありましたけれども、ちょっと重複をしますけれども、歳入の特別区民税のところでは、納税義務者の増、所得の増を見込んで、前年度比と比べてもかなり大きくなっています。それぞれ区民税の具体的な人数、所得金額についての見込みについて、ちょっと重複しますけれども、お伺いいたします。

○竹内税務課長 お答えいたします。令和5年度特別区民税については、納税義務者数は前年度と比較して1,120人増の20万4,657人、1人当たり総所得金額は、前年度と比較して38万1,536円増の437万3,124円と見込んだものでございます。

○浦野委員 納税義務者数、また、1人当たりの総所得の金額も、いずれも増加をしているということになります。その要因についてはどう分析されているのか、納税義務者数の階層ごとの増減の分析と併せて伺いたいと思います。

○竹内税務課長 特別区民税の令和4年度の課税状況から分析いたしますと、令和4年度と令和3年度の7月1日現在の課税標準段階別納税義務者数と比較したところ、課税標準額200万円以下の納税義務者数は3,109人減少、700万円以下の納税義務者数は2,914人増加、700万円超の納税義務者数は1,702人増加してございます。新型コロナウイルス感染症の影響が減少したこともございまして、1人当たりの総所得金額も増加したのではないかと推測してございます。

○浦野委員 これは、今、200万円以下が減っていて、700万円以下が増えているということなんですけれども、やはり私も、実感としては、景気がよくなったという実感というのはないんですね。それは、日々の生活相談からなんかは、逆に格差が広がっているということも実感をします。先日、区内の飲食店の方から、個人事業税の納付相談があって、これは都税事務所の管轄になりますけれども、また、別の事業者さんも、納税するために逆に借金をして、それによって納税をしているということも伺いました。こうした事例は区への相談の状況からも見てとれると思うんですけれども、今年度を含めた過去3年の納税相談の件数がどうなっているのかについて伺います。

○竹内税務課長 過去3年の納税相談件数につきましては、令和2年度が3万9,383件、令和3年度が3万6,110件、令和4年度が、12月時点でございますけれども、2万5,697件でございます。

○浦野委員 令和4年度は12月現在の件数とのことなので、年度末のところで見ると、恐らく今年度も3万件を超えていくのかなと。昨年に近いくらいの相談件数になるんだろうというふうに想定されます。今、令和2年度、3年度、4年度を伺いましたけれども、新型コロナの前の令和元年度の相談件数は約2万7,000件ということでしたから、それを今、令和2年度は4万件近く、この間も3万5,000件、今年度も3万件を超えるだろうということでは、相談件数が多い状況というのは続いているんだろうというふうに思っています。より丁寧な状況把握と相談に対する対応については引き続き努めていただきたい、これについては要望したいと思います。

 次に、暮らしを守る施策について伺います。

 区としてこの間、物価高騰の対策として、補正予算を組みながら、18歳以下の子どもがいる世帯への所得制限なしの中野区独自の給付金をはじめ、子ども、障害者、介護施設などへの食材費や燃料費の補助など、対策を取ってきたことについては評価をいたします。

 しかし、一方で、やはり年末年始をはじめ、民間団体や有志のボランティアの方々が行う食料支援や相談会に足を運ぶ方は逆に絶えない、むしろ増えている状況も続いています。先ほど少し御紹介しました区内の事業者の方の状況などと照らせば、やはり区の対策としてはもっとできることがあるのではないか、こういうふうにも思っています。

 新年度予算の中では、これまで行ってきたものを継続して行うという対策もあるものの、区民生活を守る立場ではもっとできることがあるというふうにも思うんですけれども、当初予算には計上できなかったけれども、今後の補正予算などで現在検討していることがあるのかについて伺います。

○堀越企画課長 物価高騰対策の検討についてでございます。区民や区内事業者の方に対する物価高騰対策につきましては、経営状況など、生活状況などを聞き取りしながら、必要な対策を講じてきたところでございます。第1回定例会中の補正予算等の提案は考えてございませんが、社会経済状況を注視しながら、どのような対象の方にどのような内容による対策を取るべきであるかなどについて、継続して検討を行っているところでございます。

○浦野委員 例えば葛飾区では、この2月、3月で、物価高騰対策の緊急対策支援金として個人や法人に支援金を行っていたり、西東京市でも、昨年からこの1月にかけて、事業者の物価高騰対策の応援支援なども行っています。

 区は、この間、実態把握に努めて、必要時に機動的にということも言っているんですけれども、把握しているうちにまた状況も変化していくと思うんですね。今、まさに機動的な対策が必要ではないかというふうにも思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○堀越企画課長 機動的な物価高騰対策についてでございます。区内事業者の方々の支援につきましては、社会経済状況や国や東京都の動きを捉えつつ、福祉施設など公共的サービスのうち、サービスの量や質の確保に影響を及ぼすおそれのあるものにつきまして、今後も必要に応じ、機動的に対策を講じていく必要があると考えてございます。

○浦野委員 ちょっと同じような御答弁かなとも思うんですけれども、ぜひ状況把握しながら機動的な対応をお願いしたいと思います。

 それで、新型コロナや物価高騰で苦境にあえぐ事業者にさらにとどめを刺すのがインボイス制度だというふうにも思っています。昨年、第4回定例会での小杉議員の質問に、区長は、中野区の区内の9割が中小業者であって、中野区でも影響は大きいという御答弁がありました。現在、年間の売上げが1,000万円以下の事業者にとっては約1か月分の新たな税負担となり、地域経済も壊し、商店街がなくなるということにもつながりかねません。実際に、取引先からインボイスの登録をしない場合には発注を減らすなど判断を迫られている方もいますし、インボイスを登録しても増税、登録しなければ仕事が減るという選択をせざるを得ない状況にもなっています。

 区としては、個人事業主となるシルバー人材センターについては委託費の増で対応するということを示して、これ自体は可とするものですけれども、シルバー人材センターだけがそれでいいのかといえば、そうでもないと思います。例えば区内の福祉作業所などへの影響も出てくるのではないかと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○河村障害福祉課長 障害者就労支援事業所のインボイス制度の影響についてお答えをさせていただきます。

 就労支援事業を実施する事業者へインボイス制度に対する取組について確認しましたところ、十分に理解をしていない事業所も見られました。今後も、障害者自立支援協議会や中野区障害者福祉事業団が運営しているなかの障害者就労支援ネットワーク等の関係機関を通じて状況把握に努め、必要に応じて講師を招いての学習会を検討してまいりたいと考えてございます。

○浦野委員 状況把握していくということなんですけれども、作業所は、地元の業者からの受注で成り立っている側面も多いと思います。私が伺った、これは他区の精神障害者支援の事業所ですけれども、今でも工賃を少しでも高くするために作業に必要な事務用品などは売上げから出さずに事業所持ち出しで行っている、何とかこういう対応をしているけれども、インボイス導入となれば、今でさえ低い工賃を減らしての対応も検討せざるを得ないとも言っています。

 根本的には、このインボイス制度は中止をすべきだと思いますけれども、同時に、公正公平の観点からは、シルバー人材センターだけ委託料を増やせばいいということにもならないと思いますし、急ぎ区内の各部署に関わる分野での聞き取り、それこそ実態把握を早急に行って、シルバー人材センターのように何らかの対策をすべきというふうにも考えますので、これはそれぞれぜひ把握をまず努めていただきたいと要望したいと思います。

 次に、物価高騰対策として、そもそも義務教育は無償であるべきとの立場から、学校給食費の無償化について伺います。

 私たち会派は、2012年から繰り返し求めてきました。昨年、第3回定例会で区議会として全会一致で国への意見書が可決できたこと、また、先週の本会議でも複数の会派からも求める質問が出たことを歓迎いたします。新年度からの実施に向けては、23区でも、昨年秋の葛飾区の表明を皮切りに、この数か月間で大きな変化が生まれています。

 まず、確認として、区立の小学校児童、中学校生徒の年間1人当たりの給食費は幾らか、区分ごとに御答弁をお願いいたします。

○松原学校教育課長 1年間、年間200食とした場合としてお答えさせていただきます。小・中学校の令和5年度の給食費の1人当たりの年間負担額、年間額でございますけれども、小学校の低学年は5万3,600円、中学年が5万7,600円、高学年が6万1,600円、中学校が6万9,800円となります。

○浦野委員 先週の本会議で長沢議員が、区が食材費を負担した場合、無償化をした場合に幾らの支出になるのかと質問した際に、約8億7,000万円という御答弁だったと思います。この積算は、区立の小・中学校の児童・生徒およそ何人での想定なのか、また、既に無償となっている就学援助を利用している方を含んでの金額なのか、その点について伺います。

○松原学校教育課長 こちらの数字でございますけれども、令和5年度の人口推計に基づく数値ということでございまして、8億7,000万円というものは、就学援助の認定者に対する額も含んだ額となってございます。

○浦野委員 含んだ額ということですね。

 そうすると、含んだということであれば、そこを除いて、新たに必要となる財源というのはどのぐらいになるんでしょうか。

○松原学校教育課長 含まない場合の影響額は、およそ7億2,500万円ほどを見込んでございます。

○浦野委員 7億2,500万円ですね。

 それで、令和5年度の予算特別委員会の要求資料の子ども文教52によると、公立小・中学校以外への進学状況というのが資料でありますけれども、この中で、中学校の進路を見ると、約3割が公立外への進学、3割弱ですかね、公立外への進学となっています。給食費の無償化の実施を検討していく場合には、公立学校以外に通う児童・生徒についても検討していくということも大事な視点かと思っています。

 同時に、この間、我が会派の求めに対して、他自治体の情報収集を行うであったり、区が負担する費用や様々な影響を精査しながら研究していくという答弁だったんですけれども、先週の本会議の答弁では、学校給食費の無償化よりも区として優先的に取り組むべき課題があるとの答弁で、少しちょっと今までとニュアンスが違うのかなというふうにも受け取りました。

 ほかにも優先的に取り組む課題があるというのは、具体的にどういうことを指しているのかということを、先ほど述べた公立学校以外への対応についての点と併せて区長に見解を伺います。

○酒井区長 全ての子どもの育ちと学びを支えていくことが基礎自治体である区の重要な責務であると考えておりまして、良好な教育環境の整備や子どもの安全対策、いじめ・不登校への対応などの課題に迅速かつ重点的に取組を進めていく考えでございます。学校給食費につきましては、義務教育であるということから、公立、私立を問わず、本来なら国が負担すべきものと考えておりまして、国に対して支援を求めてまいりたいと考えております。

○浦野委員 今、最後におっしゃられた、憲法第26条で定められている義務教育は無償という中で、給食費もその一環に入ります。給食も入りますから、国が本来的にやるべきだというのは、私たちも同じ見解です。ただ、本来、国が行うべきと思いますけれども、国がやらないのであれば、住民の福祉の増進に努めるという地方自治体の役割の一つとして、その役割を果たしていくということも一方で大事ではないかと思います。

 だからこそ、この間、全国的にも、また、東京都内でも広がってきていると思いますし、まして物価高騰で大変な状況が続く中だからこそ、自治体としてできる判断をということで実施する区が増えてきていると思いますので、もちろん冒頭にあったいじめや不登校など、その他の対応というのは、それ自体も大変重要だと思いますけれども、それ自体が学校給食の無償化をやらないという理由にも、一方でならないのかなというふうにも思いますので、改めて、子育て先進区を目指す中野区として、教育費の負担軽減の観点からも、実施に向けた検討を改めて求めたい、これは要望しておきたいと思います。

 次に、(4)で、補聴器の購入助成と聞こえの支援について伺います。

 この課題についても、会派として、認知症との関係や早期からの支援、また、アフターフォローの重要性など、加齢性難聴への支援としての補聴器購入助成制度や聴力検査の必要性を繰り返し提案してきました。補聴器の助成は、今年度、港区、三鷹市、荒川区で新たに開始をされ、23区では約半数の自治体を含め、都内18自治体に広がっています。この間のやり取りの中で、聞こえの問題は、区民が関わる健康問題の一つであるという答弁の後に、昨年の第4回定例会で、来住議員の質問に対し、高齢者の社会参加を目的として導入の検討を始めたいとの考えが示されたことは歓迎をしております。

 新年度予算案の中では、補聴器購入費用の助成検討が新規として18万円計上されていますけれども、この中身について伺います。

○古本介護・高齢者支援課長 お答えします。令和5年度当初予算案には、高齢者の補聴器購入費用助成に係る検討会の設置のために3回分の検討会の委員謝礼を計上してございます。

○浦野委員 第4回定例会での質問時に、補聴器に慣れるためのアフターフォローも含めて医師会との事前協議等が必要だという御答弁もありました。私たちは、助成制度自体の必要性とともに、やはり補聴器そのものへの理解であったり、購入前からの相談体制、購入後の調整やトレーニング方法などのフォロー体制、専門医などのアドバイスの体制も含めた検討の必要性についても提案をしてきました。その点について、助成制度だけでない、そういった必要性についての認識について、担当部長に伺いたいと思います。

○藤井地域包括ケア推進担当部長 お答えいたします。難聴の原因は、加齢によるものだけではなく、様々な疾患が原因であることも考えられるため、まずは専門医に受診をし、難聴の原因を特定することが重要だと考えております。その上で、それぞれの高齢者の状態に合った補聴器の選定、購入後のフォローの在り方、認知機能に問題がある場合は対処方法など、多くの課題があると考えておりまして、助成制度の必要性を検討するに当たっては、様々な視点から、体制の在り方も含めて検討する必要があると考えております。

○浦野委員 今、体制の在り方についてということで、ここも、認識としては今の御答弁で一致できたのかなというふうに思います。

 この観点では今年度から始めた港区が非常に充実をしておりまして、補聴器の相談員であったり、認定補聴器技能者と連携をしながら、補聴器購入前の相談、そして、購入時の調整、アフターフォロー体制をつくっています。補聴器を利用するには聞こえのトレーニングということも同時に大切ですけれども、使い始めは不快があるということは当たり前であること、こういったことも作成しているパンフレットの中にはきちんと明記がされています。新年度の検討の中で、助成自体の検討とともに、今御答弁があったような体制についてもぜひ検討してほしいと思うんですけれども、その点を伺います。

○古本介護・高齢者支援課長 委員の御指摘のようなトレーニングの重要性や不快感等につきましては、医師会等と連携をいたしまして、周知方法について検討していきたいというふうに考えてございます。

○浦野委員 ぜひ検討をしてほしいと思います。一昨年の特別区議長会での国への施策の予算に関する要望でも、助成制度以外での必要性についても要望を明記されていますから、ぜひこの観点での前向きな検討もお願いしたいと思います。

 次に、(5)誰一人取り残さない区政の実現について伺います。

 コロナ禍以降、子どもの不登校の急増や、子ども、女性、高齢者、障害者などへの虐待に関する相談や認知件数の増加などの状況も続いています。ものすごい閉塞感が強く、生きていくこと自体になかなか希望が持てない、誰にも相談できない、こうした状況も日々の相談の中でも感じております。区としては、今後、アウトリーチ体制の強化も行いながら、困っている人に優しいまちを目指し、誰一人取り残さない区政へと、地域包括ケア体制の実現を重点プロジェクトの一つにもしています。

 子どもの不登校については本会議でも複数の議員から質問がありましたので、私からは、高齢者と障害者の虐待の状況について伺います。

 初めに、高齢者についてですけれども、昨年の第3回定例会のときに、福祉推進費、高齢者専門相談の中の高齢者虐待等専門相談の緊急一時宿泊事業が増額補正をされました。このときなぜ増額補正が必要だったのか、その理由と、あと、この事業の概要について、簡潔に御答弁をお願いいたします。

○中谷福祉推進課長 高齢者緊急一時宿泊事業は、高齢者虐待や介護者の急病などの理由により在宅での生活が困難となった高齢者について、区内の特別養護老人ホームなどを活用して一時的に保護をする事業でございます。高齢者緊急一時宿泊事業の予算につきましては、当初245日分の予算を計上しておりましたが、利用実績が急増しており、令和4年4月から6月の実績が155日分、1か月平均で約52日分であり、年間で624日分になる見込みであったことから、不足する379日分の予算を増額したところでございます。

○浦野委員 これまでこの事業での補正予算での対応はしてきたことがなかったというふうにも聞いています。それだけ必要な現状となっているということだと思うんですけれども、第3回定例会での補正予算の対応後の状況と傾向についてどうなっているのか、伺います。

○中谷福祉推進課長 月によって若干実績にばらつきがございますが、令和4年4月から令和5年1月までの実績が455日分、1か月平均で約45.5日分であり、このペースで推移した場合、年間で546日分になる見込みでございます。

○浦野委員 補正予算後も、前後はありながらも高い状況が続いているということだと思います。

 こうした現状を踏まえて、新年度の予算ではこの部門について大きな増額となっているんですけれども、増額となっている理由と予算内容について伺います。

○中谷福祉推進課長 これまで高齢者緊急一時宿泊事業は、区内の特別養護老人ホームなどの空床を利用して実施してきたところでございますが、実績が急増しており、年間の利用日数が365日を超えるようになっていることに加えまして、緊急一時保護の必要がある場合に迅速かつ円滑に対応できるように、365日分の有料老人ホームのベッド1床を確保するとともに、280日分の特別養護老人ホームなどの空床利用を併用する方法に見直したことにより、予算が増額となっているものでございます。

○浦野委員 今まで空床だけだったものを必ず1床確保する、さらに、その空床を増やすということで、高齢者に対して、もちろん起きてしまったことへの対応ということも必要なんですけれども、虐待をせざるを得なかった、してしまった側についてもいろいろケアが必要だと思うんですけれども、この虐待をしてしまった側の傾向についてどうなっているのか、伺います。

○中谷福祉推進課長 高齢者虐待の通報・届出の件数は、養護者によるものが、令和元年度が71件、令和2年度が75件、令和3年度が107件、今年度が4月から2月17日までの実績で103件でございます。一方、施設従事者などによるものは、令和元年度が7件、令和2年度が5件、令和3年度が11件、今年度が4月から2月17日までの実績で12件でございます。

○浦野委員 養護者が一番多いということだと思います。

 こういう状況を、こういう方のケースの場合、既にすこやか福祉センターが関わっているというケースも多いとは思うんですけれども、それでも防ぐことができなかった、虐待する側もせざるを得なかったというところでは、その後どういうフォローにつなげていくのか、また、未然に防いでいく手だてがほかになかったのか、この点についてどのように認識をしているか、伺います。

○中谷福祉推進課長 高齢者虐待の通報・届出件数は急増しておりますが、認定件数につきましては、令和元年度が58件、令和2年度が55件、令和3年度が58件と、ほぼ横ばいの状況でございまして、虐待に至る前の段階で早期に支援が必要な状況を把握し、迅速かつ適切な対応により未然防止につなげることができているのではないかというふうに推測をしてございます。虐待の加害者につきましても、精神疾患があったり、生活困窮者であったりして、被害者を保護しただけでは課題が解決せず、残された加害者の側にも別な支援が必要であるような困難な事例が増えているように感じているところでございます。そうしたケースにも適切に対応ができるように、すこやか福祉センターや地域包括支援センター、生活援護課や障害福祉課、児童相談所など関係機関と連携・協力をして対応しているところでございます。

○ひやま委員長 浦野委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。

 3時20分まで休憩にいたします。

午後2時57分休憩

 

午後3時19分開議

○ひやま委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き、総括質疑を行います。

 浦野委員、質疑をどうぞ。

○浦野委員 それでは、障害者の状況について、引き続き伺いたいと思います。

 障害者への虐待も増えているという状況の中で、令和2年度と3年度の障害者虐待の相談・通報・届出の件数、虐待の認定状況について、併せて伺います。

○河村障害福祉課長 令和2年度、3年度の障害者虐待の状況についてお答えをいたします。

 令和2年度の障害者虐待についての相談・通報・届出件数は11件で、虐待認定の件数は5件でございます。令和3年度の相談・通報・届出件数は25件で、虐待認定の件数は9件でございました。

○浦野委員 令和3年度は、前年度と比べても倍以上ですかね、なっているという状況です。

 令和3年度、こちらも先ほど伺いましたけれども、虐待をした側の類型の状況についてどうなっているか、伺います。

○河村障害福祉課長 令和3年度の障害者虐待の類型についてお答えをいたします。

 令和3年度の障害者虐待通報25件のうち、養護者によるものが13件、施設従事者等によるものが9件、使用者によるものが3件となってございます。

○浦野委員 こちらも高齢者と同様に、養護者によるものが一番多いという状況だと思います。

 今年度の現時点での障害者虐待についての相談や通報・届出の傾向、虐待認定の状況がどうなっているのかについて伺います。

○河村障害福祉課長 今年度の障害者虐待の状況につきましては、現時点で、相談・通報・届出件数が20件であり、そのうち虐待認定をした件数は2件となってございます。

○浦野委員 認定件数自体は減っているけれども、届出の件数としては、現状でも昨年度に近い数だということだと思います。

 先ほど高齢者のところでも伺いましたが、やはり未然防止や支援の在り方、虐待を防げなかった状況についてどのように認識をしているのか、伺います。

○河村障害福祉課長 障害者虐待の認識についてお答えをいたします。

 障害者虐待については、令和2年度までは年間10件程度の相談・通報・届出件数だったものが、令和3年度には25件と倍以上に増加し、今年度も、現時点で20件と、令和3年度と同様の状況になってございます。虐待に至る要因を分析し、障害者や養護者等への迅速、適切な支援や環境調整等について、関係機関が連携して行うことが必要であると考えてございます。虐待を防ぐことができなかったことにつきましては、必要なサービスにより、障害当事者の生活の質を確保し、介護者の負担を減らすほか、虐待防止に係る普及啓発や相談支援の研修等により、一層取り組んでまいりたいと考えてございます。

○浦野委員 先日相談を受けた方は、同居する高齢のお母さんを虐待してしまったというお子さんから相談を受けました。相談をできる場所がなかったということもおっしゃっていました。令和3年度の主要施策の成果で、医療職である保健師の配置等についての検討の記述がされております。現在は、会計年度任用職員での看護師を配置しての対応と聞いていますが、常勤の保健師の配置が必要ではないかというふうにも考えます。新年度の体制はどのように検討されているのか、伺います。

○中谷福祉推進課長 福祉推進課における常勤保健師の配置につきましては、人事異動にも関わることから、まだ決定はしておらず、現時点で確定的なことまではお答えできませんが、高齢者虐待の対応などを行う高齢者専門相談係と犯罪被害者などの支援を行う地域福祉推進係の兼務で1名の常勤の保健師を令和5年度に配置する予定でございます。

○浦野委員 今、1名の増員ということでありました。まさにこの分野は、やはり誰一人取り残さない区政の実現という中でも、公の役割の発揮が求められると思いますし、専門職の関わりや、また、部署間を超えた連携もより重要になってくると思います。この課題については、共に共有しながら考えていきたいと思いますので、引き続き、ぜひ検討も含めて、分析も含めてお願いしたいと思います。

 次に、この項の最後に、生活保護行政の改善・拡充について伺います。

 生活保護の大事な目的の一つには、自立の助長があります。自立する上では、一人ひとりの学びたいという思いや働きたいという思いを支援することは当然の役割と考えますけれども、区の認識を伺います。

○只野生活保護担当課長 生活保護の目的の一つに自立助長がございますが、一般的に自立助長とは、生活保護受給者の内容的可能性を発見し、その能力にふさわしい状態で社会生活に適応されることと解釈されております。生活保護受給者の自立を促すために、御本人の意思を酌み取り、原則生活保護制度の中で可能な支援を行い、自立を助長させていくことが区の役割であると考えております。

○浦野委員 昨年の第3回定例会で、生活保護利用の50代の女性の事例を取り上げました。その方は、50代の前半で、中学生と高校生4人のお子さんを育てるシングルマザーで、お子さんが小学校を卒業したことを機に、自身が被害に遭ったDVの経験を少しでも生かしたいと、昨年4月から二つの自治体の女性相談、DV相談者支援の相談員としてパートで働き始めました。今後、仕事を継続しながら通信制の大学に通い、心理士の資格を取得し、仕事の幅を広げ、なるべく早く自立したいと考え、大学に通うに当たっては、生活保護の制度の中で難しい面もありましたから、社会福祉協議会の教育支援資金の貸付けをしたいとケースワーカーに相談をしました。この方のように、就労での自立を目指すために社会福祉協議会の貸付けを利用した事例というのは今までにあるのでしょうか、伺います。

○只野生活保護担当課長 就労自立を目指すために生活保護受給者が社会福祉協議会の貸付制度を利用した事例は、承知しているところでは今年度の1件だけでございます。

○浦野委員 この方が実質初めてということだったんですよね。この方も、最初はケースワーカーにできないというふうに言われました。しかし、自立更生に資するという点では、事前に自立更生計画書を提出し、貸付けの理由を福祉事務所が妥当と判断すれば、制度としては認められます。この方は、御相談いただいていろいろやり取りをしながら、最終的には貸付けが認められ、今、通信制の大学で心理士の資格を取るために学んでいます。

 私は、この方の件を通じて、やはりケースワーカーの対応や説明が不十分で、そうした申出があったにもかかわらず、そういう自立の芽が阻まれてきたのではないかということも一方で危惧をしています。

 同じく生活保護利用のお子さんの学びの機会として高校進学についても伺いますけれども、生活保護利用世帯の中学生が高校へ入学する際、生活保護費の中から出る費目にはどのようなものがあるのか、伺います。

○只野生活保護担当課長 生活保護世帯のお子さんの高校進学に係る費用は、生活保護費の生業扶助として支給されます。上限はございますが、受験料、入学準備金、通学のための交通費、教材などが支給され、このほか、学習支援費という名目で、課外クラブ活動費も支給されます。また、生活保護世帯のお子さんの高校授業料は、国の高等学校等就学支援金制度により原則無償化されておりますが、無償化対象以外の学校に進学した場合であっても、その授業料を生業扶助として都立高校の授業料の額以内で支給することができます。そのほか、高校入学前や入学後の塾の費用については、生活保護制度ではなく、区が実施している自立促進事業の枠組みで支給しております。

○浦野委員 今御説明があった学習支援費というものが高校での部活動費に充てられると思います。この学習支援費については、上限は幾らなのか、また、合宿など大会参加などに充てられる特別基準というものもあると思いますけれども、併せて伺います。

○只野生活保護担当課長 学習支援費の上限は年間8万4,600円でございます。また、合宿及び大会等への参加に係る交通費及び宿泊費が必要になることにより年間上限額を超えてしまい、真にやむを得ないと認める場合には、学習支援費の年間上限額の1.3倍の範囲内において、特別基準の設定があったものとして、必要な額を認定しております。

○浦野委員 昨年秋に寄せられたCさんの事例ですけれども、区立中学校で部活動は吹奏楽部に所属し、その能力が認められ、吹奏楽部で有名な高校から推薦に近い形でのお話がありました。しかし、毎月4万円近い部活動費がかかるため、これでは今の御説明いただいた基準内では到底収まらず、困っておられていました。こうした相談を福祉事務所として受けた場合はどういう対応になるのでしょうか。

○只野生活保護担当課長 一般的に、生活保護受給世帯の高校生のお子さんが高校就学中に必要とする全体的費用が生活保護費や自立促進事業の基準額の範囲で収まらない場合は、奨学給付金や社会福祉協議会の教育支援資金の利用を案内しております。社会福祉協議会の教育支援資金利用については、収入認定除外の取扱いをしてございます。

○浦野委員 この方も、やはりケースワーカーに相談をしたところ、社会福祉協議会の資料は送られてきたんですけれども、当然それを見ただけではよく分からなくて、社会福祉協議会に相談をしたら、ケースワーカーに相談をと言われました。とても困られていての相談の中で、最終的には、係長にも入っていただき、社会福祉協議会との話合いも重ねて、申請をし、先日、その結果が届き、無事に貸付けも認められ、高校への入学も決まり、この方のお子さんは新たな門出を迎えることになりました。本当によかったと思っていますけれども、やはりこうした一人ひとりの学びたいとか働きたいという気持ちにやはりケースワーカーがより丁寧に寄り添ってそれを支援することがケースワーカーの大事な役割だと思っています。

 これはちょっと認識を伺う予定でしたけれども、時間の関係でこちらから申し上げますが、この間、5年間で18人というケースワーカーの増員が図られたことは評価をしております。しかし、1ケースワーカー当たり80世帯という基準に照らせばまだまだ不十分ですし、職員の方も本当に大変な状況だと思います。研修制度、研修体制も欠かせないですし、やはり誰一人取り残さない中野区を目指すのであれば、こうした一人ひとりの生き方をきちんと支援できる体制は必要であることを重ねて要望したいと思います。

 この項の最後に、制度の周知について伺います。

 昨年3月、生活保護の申請は権利ですという中野区独自のポスターを作成し、区内300か所に掲示がされました。来月も改めて実施すると伺っていますが、いつ頃にどのような規模で行うのか、伺います。

○葉山生活援護課長 お答えします。今年度も生活保護制度についてポスターを作成し、3月1日から、区の掲示板のほか、区民活動センター、地域事務所、すこやか福祉センター、図書館などの施設においてポスターを掲示し、周知を図る予定です。

○浦野委員 また実施されるということで評価をいたします。

 ただ、お知らせ板は2週間という期限があるので、区有施設であれば継続して掲示ということも、昨年のものが今貼られているところもまだありますけれども、ポスターのみならず、SNSなどのネット媒体も活用して、やはり繰り返し発信をしていくということが大事だと思いますけれども、その点について伺います。

○葉山生活援護課長 ポスター掲示と併せまして、区のホームページやSNSを活用した周知も予定してございます。今後も引き続き、支援を必要としている方がためらわず相談いただけるよう、生活保護制度の周知に努めてまいります。

○浦野委員 当時、担当の課長がポスター作成の背景について、生活保護は生活の立て直しをするために社会の中で必要とする人に利用されてこそ意味があると述べました。やはり今ある制度をきちんと使っていただく、また、相談のハードルも下げるという意味では、こうした取組は非常に大事だと思いますので、今SNSでの発信もということもありましたので、ぜひ併せて引き続き取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、先に3番を伺います。旧中野刑務所正門のよりよい保存活用について伺います。

 区では、2021年6月に、旧中野刑務所正門、文化財名としては旧豊多摩監獄表門が中野区の有形文化財に指定されました。今後、曳家により移築をしていきますけれども、昨日20日から3月13日までの期限で、この正門の保存活用に関する区民意見の聴取が始まりました。まだ実際に公開されていくのは2027年度以降の予定とされていますが、この段階から正門の保存活用に関する意見聴取を行う意図について伺います。

○矢澤文化国際交流担当課長 お答えいたします。現在行っている旧中野刑務所正門の移築・修復に係る設計業務の参考とするため、正門の保存活用につきまして、区民等から広く意見を聴取するものでございます。

○浦野委員 設計業務に生かしていくということで広く意見を聴取する、とても大事なことだと思います。

 やはり移築して終わりではなくて、有形文化財としてよりよい保存活用が求められます。これまでも、専門家の皆さんや幅広い方から保存活用への要望・提案もあったと聞いていますけれども、一昨年、区が行った公開見学会、2日間で5,000人以上の方が参加されましたが、その場でもアンケートを取っていたと思います。そのアンケートで保存活用についての意見もあったと聞いていますけれども、その内容について、一部御紹介をお願いいたします。

○矢澤文化国際交流担当課長 正門の見学会で出た意見についてでございますが、刑務所全体の模型や全景ジオラマの作成・展示、展示室や資料室の併設、ライトアップやイルミネーション、バーチャル復元などといった意見が主立ったものでございます。

○浦野委員 非常に多彩な意見だなというふうに思います。

 先日まで歴史民俗資料館でも企画展示が行われていました。今回、早い段階での意見聴取を評価するとともに、やはり共につくっていくという姿勢が大事だと思いますけれども、今回の1回に終わらせることなく、機会を捉えて意見交換等を実施してほしいと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○矢澤文化国際交流担当課長 今回の意見聴取を踏まえまして、正門の移築・修復に関する設計業務は進めていくことになります。一方、正門の公開までにはまだ時間があることから、今後も適宜意見を伺いながら、正門のよりよい保存活用を検討していきたいと思っております。

○浦野委員 例えばこの間、哲学堂公園の保存活用計画は、区民委員を公募した上での検討委員会が行われています。日曜日にも2回目が行われました。これは、検討委員会が終わらない中での意見交換会であって、参加された方は、区が保存活用計画について意見をきちんと聞こうとする姿勢が伝わってきた、今回のような意見交換会であればもっと参加したいなどの声も寄せられています。今後、幅広い方が参加できるような意見交換会とともに、哲学堂公園の保存活用計画のように、専門家と共に区民委員を公募しての検討委員会の設置も含め検討していく必要があるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○矢澤文化国際交流担当課長 旧中野刑務所正門の保存活用におきましても、適宜、区民や学識者からの意見を伺いつつ、哲学堂公園保存活用計画と同様の組織体設置の在り方につきましては、今後検討してまいりたいと考えてございます。

○浦野委員 議論を重ねて、一定のキャッチボールをしながら、やはりその中でお互い共につくっていくという環境がつくられてこそだと思います。ぜひその姿勢で取り組んでいただき、よりよい保存活用になるように、重ねて求めたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、最後に、学校等の区有施設の有効活用について伺います。

 当面の暫定利用について、旧上高田小を例に伺います。

 中野区立小中学校施設整備計画では、旧上高田小学校は、今年度を含めた4年間の空白期間があり、2026年度から約2年半、第七中学校の代替校舎となる予定です。現在、一部で暫定貸出しがされていますけれども、どのようなところに貸し出されているのか、伺います。

○辻本スポーツ振興課長 お答えいたします。旧上高田小学校跡施設のスポーツを目的とした貸出しにつきましては、スポーツ振興課が担当しているところでございます。体育館につきましては、現在令和小学校の体育館を使用している団体で構成されております自主開放運営委員会に所属する団体を対象に、また、校庭につきましては、旧上高田小学校として供用していた当時に校庭を使用していた団体を対象に貸出しを行っているところでございます。

○浦野委員 これは、どういう規定というか、どういう手続で可能になるのか、区立小学校の一般開放のルールに準じているのか、利用している率とともに、その手続等を含めて伺います。

○辻本スポーツ振興課長 施設の貸出しにつきましては、財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例及び中野区公有財産規則に基づきまして、施設を所管する中野区教育委員会と施設の使用を希望する団体が普通財産の使用貸借契約を締結いたしまして、使用していただいているところでございます。稼働率でございますけども、本年度の1月末現在、校庭が約13%、また、体育館は約53%でございます。

○浦野委員 今、稼働率の御説明がありました。

 当然今利用している方や運営委員会との調整は必要になるとは思うんですけれども、やはりより有効に活用する手段について検討すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○辻本スポーツ振興課長 現在、申込手続につきましては、事前に使用貸借契約を結ぶことを除きまして、利用の調整につきましては学校開放の手続に準じた取扱いとしており、申込書類のやり取りもスポーツ振興課とメールや郵送で行うなど、区民の方の利便性の向上に努めているところでございます。今後、より有効に活用されるようにするため、どのような手だてが有効か、利用団体や地元の意向等を把握しながら検討してまいりたいと考えてございます。

○浦野委員 今、上高田小学校を例に挙げましたけれども、例えば沼袋小学校の跡地は北部すこやか福祉センターになる予定のため、所管は地域支えあい推進部が担当部署になっています。学校ごとに所管がばらばらで、暫定の貸出状況も異なっています。本会議で長沢議員からも伺いましたけれども、施設ごとにきちんと精査をして暫定利用について検討すべきではないかと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

○宮脇経理課長 閉校した学校施設につきましては、職員が常駐していないことから利用に制限があるものの、利用希望に応えるべく、統一的な運用を定める方向で検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。また、当面の間でございますが、スポーツ等の利用に当たりましては、学校の供用当時からの経緯や主な利用ニーズを踏まえつつ、所管部署において施設の規模や老朽化の状況などを考慮した利用のルールを定めることで、有効活用を図ってまいりたいと思います。

○浦野委員 分かりました。

 ちょっと時間もないので、跡地の活用で1点だけ伺います。

 これも先日の本会議で、代替施設、今までは今の暫定利用ということでしたけれども、代替施設等で終わった後の跡地の活用については地域の声を聞きながらとありました。例えば平和の森小学校については、新校舎への移転後は売却となっていますけれども、このことに限って地域の声を聞いたことはないと思います。多くの方がやはりそうした方針とは知らないですし、平和の森小学校の売却方針については見直しが必要と考えています。特に学校施設は大事な区民財産でもあります。施設や土地の活用は住民参加での検討を大前提にすべきと思いますが、最後にこの点を伺います。

○瀬谷構造改革担当課長 平和の森小学校移転後の跡地の売却については、区有施設整備計画策定時にも、タウンミーティングやパブリックコメント手続、関係団体への意見聴取を行ってきたところであり、売却益を新校の整備財源等に充当することとしております。未利用の施設跡地につきましては、今後の財政状況や行政需要、地域の御意見等も踏まえながら、利活用について検討してまいりたいと考えております。

○浦野委員 今、施設整備計画の中で伺ってきたとありますが、全体の中でのことであって、平和の森小学校に限定しての聞き方にはなっていなかったと思います。

 そもそもこれは前区政時代の学校統廃合計画に基づいてのいろんなしわ寄せの中で、やはりこれを行うべきではなかったですし、これを進めてきた区議会にも責任があると思っています。当時から指摘してきたとおり、子どもたちの教育環境にしわ寄せがいっていますし、実際に統廃合したほとんどの学校で教室などが不足し、増築工事を行う結果にもなっています。今後、桃園第二小学校の代替校舎として旧第九中学校を活用する中で、耐震性や仕様変更など大規模な工事をする予定ですけれども、その後も新校としての開校も判断としてはあり得ることではないかと思います。統廃合の検証をきちんと行うべきであるということも重ねて求めて、私の全ての質疑を終わります。

○ひやま委員長 以上で浦野さとみ委員の質疑を終了します。

 次に、山本たかし委員、質疑をどうぞ。

○山本委員 令和5年予算特別委員会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から、中野区議会23期最後の総括質疑を行います。

 質問は通告のとおりです。その他はございません。

 冒頭に、今月発生したトルコ・シリア大地震につきまして、被害に遭われた多くの方々に心よりお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早い支援の手が届き、救済が進むことをお祈り申し上げます。

 まず、物価・燃料高騰における区民生活への対応について伺います。

 1、公契約条例について伺います。

 昨年度末に公契約条例が成立し、令和5年度から運用が開始されます。区は労働報酬審議会を設置し、諮問の答申の結果、区は、中野区の委託指定管理の公契約適用案件で働かれる方々の労働報酬下限額を1,170円で決定されました。また、東京都の最低賃金は、10月から1,072円でありました。特別区で公契約条例を制定している区は、現在、中野区を含めて9区とのことですが、条例を制定している他区の令和5年度の労働報酬下限額はどのような状況か、伺います。

○宮脇経理課長 2月16日現在の調べでございます。公表していることを確認できたのは、4区でございます。委託業務及び指定管理協定については、世田谷区では1,230円、新宿区1,202円、千代田区1,129円、江戸川区1,120円でございました。工事請負契約につきましては、東京都における公共工事設計労務単価の90%、見習い、手元工の未熟練労働者につきましては、同じく公共工事設計労務単価の軽作業員の70%としている区がほとんどでございます。

○山本委員 真ん中ぐらいですかね。

 公契約条例を適用することで、令和5年度の委託業務や指定管理協定の委託料が増えると考えられますが、指定管理料は前年度比3億3,700万円余の増と、我が会派の中村幹事長の質問で答弁がありました。委託業務については、令和5年度の適用案件が特定できないので算出ができませんが、適用案件が特定されれば、令和5年度に増額した額を把握できるのでしょうか、伺います。

○宮脇経理課長 令和5年度の適用案件が適用されましたら、同じ件名の委託契約の案件につきまして、令和4年度と令和5年度の契約額の比較をすることができますので、予算額の比較ではございませんが、その増額した額を算出することができます。なお、適用案件が特定されるのは、早くても契約締結後となることを申し添えます。すみません、もう一つ、ただし、人件費、事業費といった内訳を個別に把握していない上、仕様の変更など、人件費とは別の要因が含まれておりましたり、既に下限額以上の額が支払われている場合などがございますので、条例の適用による影響額がどの程度なのかまでは把握はできないところでございます。

○山本委員 つまり、個別の費目で差を比較して影響をはかることは難しいということでしたけれども、公契約条例第1条の目的を見ますと、最後に、「もって地域経済の活性化及び区民の福祉の向上に寄与すること」ともあります。中野区公契約条例が適用される130件程度の工事委託、指定管理契約によって、実際に区でどれだけの労働者数に影響を及ぼすのか、地域経済にどれだけ波及していくのかという点を公契約発注主体の区として把握することは重要だと考えます。

 事業者は、労働者の労働条件に関する報告書により労働報酬や管理の状況などを報告するとのことですが、工事請負契約においては、人数を報告対象としております。一方、委託や指定管理協定は、人数を報告対象とはしておりません。区としてどの程度の労働者がこの条例の影響を受けているのか把握することも必要と考えますが、いかがでしょうか。

○宮脇経理課長 委託や指定管理協定につきましては、受託者の負担などを考慮して、支払うべき人数の報告の対象とはしていないところでございます。支払うべき人数の総数につきましては、条例の影響の及ぶ範囲をはかる一つの指標と考えられるところでございますが、仮に報告を求めますと受託者の負担が増えるため、把握の是非については、今後の検討課題としてまいりたいと考えてございます。

○山本委員 それでは、引き続き適宜状況の整理をお願いしたいと思っております。

 次に、新型コロナウイルスに係る国民健康保険料の減免制度について伺います。

 例年、国からコロナ減免の財政支援の取扱いについての通知が来ていると報告を受けておりますが、令和5年については、そのような通知は来ておりますか。

○伊藤保険医療課長 厚生労働省から2月10日付で都道府県宛てに国民健康保険料の通知が出ており、その通知がこちらのほうに転送をされてきてございます。

○山本委員 その通知の内容はどのようなものか、教えていただけますか。

○伊藤保険医療課長 本年5月8日から、新型コロナウイルス感染症につきまして、感染の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律上の新型インフルエンザ等感染症に該当しないものとし、5類感染症に位置付ける方針が示されたことを踏まえ、令和4年度相当分の保険料まで財政支援の対象といたしますけれども、以降については財政支援は終了するというものでございます。

○山本委員 そうですね。5類になるということで、支援がなくなるということでありました。

 確認ですけれども、令和4年度の保険料のコロナ減免については国費で財政支援の対象になるということですけれども、区として申請受付を延長するという考えでよろしいでしょうか。新型コロナウイルスワクチン開始のときですけれども、未予約接種者に対して、架電してアウトリーチで接種予約支援につなげたということがありました。こうした役所が区民に寄り添う酒井区政の姿勢を今回も見せるべきときだと考えておりますが、いかがですか。

○伊藤保険医療課長 申請の受付につきましてはホームページ等で3月31日で締め切ってございますけれども、延長につきましては、今後の検討とさせていただきたいと考えます。また、令和4年度保険料が対象となる可能性がある件数が確定する時期につきましては、確定申告の情報が確定する6月頃といったようなことになってございます。現時点では、今把握している状況ではございません。

○山本委員 件数が確定する時期が6月頃になるということですけれども、四つ、ちょっと申し上げさせてください。

 一つが、令和5年度は財政支援が今申し上げたようにないこと、それで、二つ目がコロナ減免の対象となった場合は国の財政支援により補填されることから、区財政への負担がかからないこと、三つ目が、現在の物価・燃料高騰の時期において少しでも区民の負担軽減に寄与できると考えられること、4番目が、中野区の国民健康保険料収納率が23区の中でもかなり低い状況にある順位にあるということで、収納率の向上が見込めるのではないかということなどから、対象者が確定した段階で、その対象者に個別通知等により周知すべきではないかと考えますが、いかがですか。

○伊藤保険医療課長 今、委員がおっしゃったそうしたことも含めまして検討させていただきたいと考えてございます。

○山本委員 よろしくお願いします。高齢者や低所得者が多い国民健康保険被保険者において、保険料減免の対象に該当していると気づかれておられない方は多くおられると思います。行政は様々なサービスがありますけれども、必要とする方に届け切れていないというのはこれまでも申し上げてまいりました。申請主義だからいいではなくて、権利の行使は情報を得ていることが前提で、その上で行使するかどうかは区民の判断と考えるべきだと思っております。助かる方は相当おられると思いますので、職員の皆様、どうか命をつなぐ取組であるということを御理解いただきまして、ぜひよろしくお願いしたいと思います。結構です。

 次に、学校給食食材費の無償化について伺います。

 一般質問でも我が会派の中村幹事長から給食無償化の質問をさせていただきましたが、区長は、区として優先的に取り組むべき課題があるとの御答弁でした。先ほども浦野委員からの質問もありましたけれども、私からも伺わせていただきます。

 区長の考える他の優先的に取り組むべき課題とは何でしょうか。

 また、目下の社会情勢を鑑みれば、物価や燃料が今後も上がるばかりで下がる見込みは直近では現状ないと言われております。臨時的に緊急物価対策として給食食材費単年度無償化を検討する段階に来ていると考えるのですが、いかがですか。

○酒井区長 全ての子どもの育ちと学びを支えていくことが基礎自治体である区の重要な責務であると考えておりまして、良好な教育環境の整備や子どもの安全対策、いじめ・不登校への対応などの課題に迅速かつ重点的に取組を進めていく考えでございます。学校給食費につきましては、義務教育であるということで、本来、国が負担すべきものと考えております。なお、臨時的な対応ということでございますが、物価高騰等の状況下における子育て世帯への支援として給付金を支給することとしたものでございます。

○山本委員 育ちと学びを支えるという考えの下でやられているということなんですけども、それは、通常、どの区でも、自治体でも一緒かと思います。特に令和5年度で力を入れる取組は何か、確認させていただけますか。

○渡邊子ども・教育政策課長 令和5年度当初予算においては、全ての子どもたちの育ちと学びを支えていくことを中心に据え、あわせて、急務となっている学校における働き方改革、教員不足への対応を図るものとしてございます。具体的には、スクールソーシャルワーカーの増員による教育相談体制の充実、学校図書館の蔵書の充実及び放課後の開放などの学習環境の充実、宿泊による英語体験活動などの新しい学びへの対応、任期付短時間教員の増員や担任を補佐するアシスタント職員の配置などの指導体制の充実などに取り組むことを考えております。

○山本委員 様々やられていると思いますので、その子育て政策、学びを支える政策としてやっているものについて、区民にしっかりお示しできるような形でしていくことも肝要だと思いますので、その点がちょっと足りないのかなと思っております。しっかりそういったところも進めていただき、また、社会情勢は刻一刻と変わっておりますので、よく踏まえていただいて、臨時的にでも支援のタイミングを逃さぬよう、改めてお願いをしたいと思います。

 次に、子育て世帯への住宅支援について伺います。

 物価上昇の中で、家賃の上昇傾向についても懸念しております。不動産会社のアットホーム株式会社が2022年12月時点の全国主要都市の賃貸マンション・アパート募集家賃動向について調査レポートを先月末に公開されました。これによると、マンションの平均募集家賃は、23区の全面積帯で前年同月を上回りました。特に特筆すべきは、50から70平米と70から90平米のファミリー向き物件は、15年1月の調査以降、最高値を更新したとのことです。

 そこでまず伺いますが、当区の子育て世代の人口動態はどうなっているか、教えてください。

○青木子ども政策担当課長 区における令和4年の転入者・転出者の割合を見ると、0歳から4歳及び30歳代から40歳代の転出超過が多い傾向となってございます。

○山本委員 就学前に転居が多い傾向にあるという理解でもよろしいんでしょうか。

○青木子ども政策担当課長 データからしますと、0歳から4歳、また、子育て世帯を多く含むと考えられる30歳代から40歳代の転出超過が多い傾向となっていると……

○ひやま委員長 指名されてから答弁してくださいね。

○山本委員 前期の、22期の区議会の議論を通して、私は、中野区では子どもができると小学校に上がる前に引っ越しが多くて、定住しづらい傾向があるということが議会の中でも大きな課題の一つであったんじゃないかなと認識しております。調査レポートを紹介したように、昨今は過去最高値を更新しているとのことで、やはりファミリー向け住宅の家賃がますます値上がりしていることは、当区にとって課題ではないのかなと思っております。区は、住まいに関してこれまでどういった政策を、子育て世帯が定住するための施策を打ってきたか、教えてください。

○落合住宅課長 区では、子育て世帯向けの適度な広さの質の高い住宅の供給・誘導が必要であることから、中野区集合住宅の建築及び管理に関する条例に基づき、一定規模以上の集合住宅におけるファミリータイプの住戸の供給を促進しております。また、良好な子育て環境を形成するために、公営住宅等の建て替えに当たっては、子育て支援施設の整備・誘導等を行っております。また、子育て世帯を含む住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、居住支援協議会の設立・運営を支援し、住宅部門と福祉部門が連携して民間賃貸住宅のオーナーと入居者双方に対する情報提供や支援に取り組んでいるところでございます。

○山本委員 これまでの取組は分かりました。

 他方、他区、世田谷区の保坂区長のプレス会見をテレビで拝見したんですけれども、昨今の家賃の上昇に言及された上で、こう述べておられました。お子さん1人はよかったけれども、2人目ができ、もう少し広いところにと探してみると、子育て世帯にいい物件があっても高かったりという事情があり、今、子育て世帯で世田谷区に住むのが難しい人に届けていく政策の展開が必要であろうと述べておりました。我々も同じ認識ではないのでしょうか。

 ニーズはあるのかという点について二つお示ししたいと思いますが、2021年、中野区区民意識・実態調査では、転出意向理由に、自分の家・土地ではないからが3割、次いで、家賃が高いから、家の広さなど居住環境がよくないからと続いております。これは、子育て世帯ではなく区民全体へのアンケートですが、潜在的な数値として見ることができると考えております。

 また、2020年の中野区子どもと子育て家庭の実態調査では、定住意向の質問では、全体で、ぜひ住み続けたいが19%、できるなら住み続けたいが42.2%とあります。できるなら住み続けたい、でも、結果難しく、転居せざるを得ないといった方が多いのではないでしょうか。

 他区事例ですが、新宿区では、次世代育成転居助成制度といって、先着順50世帯のみですが、区内から区内への住み替えに家賃差額最大3万5,000円を2年間助成、引っ越し代も最大10万円が助成される政策があります。

 令和元年度の我が会派の杉山議員の子育て世帯への家賃助成制度提案の質問では研究するといった御答弁でしたが、区として賃貸物件に住む子育て世帯が定住できるよう、家賃補助も含めて具体的な検討を始める時期に来ているのではないでしょうか、いかがですか。

○落合住宅課長 子育て世帯の状況、課題は様々であり、総合的な取組が求められていると考えます。他区の家賃補助等の制度を研究したところ、各区の特性に応じて、親世帯との同居や近居、独り親世帯を対象としたものや、先着や抽せん、助成期間が2年、3年と限定的なものなど様々でございました。中野区では、家賃補助ではなく、子育て世帯に適した立地、居住面積や子育てに資する施設・サービスを備えた住宅の誘導、子育てしやすい住まいの供給の促進に取り組んでまいります。

○山本委員 施策効果が限定的というような御答弁がありましたけれども、ニーズというエビデンスはまずあるわけであります。では、それに応えられるようにトライ・アンド・エラーをして、施策効果をはかっていく、いかないと、何だって先に進めないのかなとも思っております。

 子育て世帯の定住策として、子育て支援は充実してきている、公園やまちづくりも鋭意取り組んでおられます。あと大きいのは住宅政策じゃないのか、この点、改選後の議会でも継続的な当区の課題であると捉えて、次の質問に移らせていただきます。ありがとうございます。

 次に、2番、地域包括ケア推進体制について伺います。

 区では、地域包括ケア体制を推進するため、2018年に地域包括ケア推進担当部長を設置し、外部からの公募を行い、藤井部長をお招きし、任に当たっていただき5年目に入っております。これまで部長が就任されてから、オンライン元気アップ体操ひろばの開始、配食業者による見守りサービスの実施、新型コロナワクチン接種予約支援など、コロナ禍での支援や医療介護情報連携システム「なかのメディ・ケアネット」の導入、ひきこもり支援事業の開始、高齢者のICT活用を支援するICTサポーターの創設とスマホカフェの開始、もの忘れ検診の開始、認知症支援拠点の開設など、様々な取組がなされてきており、我が会派として大変評価しております。

 先月、大和区民活動センターで大和支えあいネットワークといった、町会・自治会、民生委員、社会福祉協議会、青少年育成委員会、区民活動センター運営委員会、区職員などが集まる場で、藤井部長をお招きして、地域でつながる支えあいの輪、大和地域の現状と将来予測を踏まえてと題して講演を行っていただきました。御専門の人口動態の分析データから導いた中野区の未来、地域包括ケアシステムの説明、暮らしの状況と意識に関する調査結果、大和エリアの将来人口推計と地域活動と、4テーマで分かりやすく、時にユーモアも交えながらお話しいただき、終了後、会場にいる多くの方々から、とても内容がよかったとの感想が多かったです。

 講演資料のうち、とりわけ社会福祉協議会さん発行の居場所一覧に掲載されている地域団体を、福祉・介護予防的活動、趣味的活動、男性が多い、女性が多いといったキーワードを設定し、マッピングされたものを紹介されておりました。これは大変分かりやすく、他地域と比べて、この地域でどういった団体が充実して、あるいは不足しているのかという点を認識できたことは大変実りがありました。地域包括ケアを推進していくためには、地域の現状として、不足する人材や資源を地域の方が把握すること、その上で、地域の方が何ができるかを明確にし、地域で支え合う体制を築いていく機運を醸成することが必要だと考えております。

 そこで提案ですが、この藤井部長の講演を、各地域ごとの特性を踏まえた内容で各地域で講演をするといった、いわば地域に出向くアウトリーチ型なども含めた広報活動が必要と考えますが、いかがですか。

○藤井地域包括ケア推進担当部長 これまで、意見交換会やシンポジウムのほか、区民活動センターや高齢者会館などに出向いて説明会を開催したり、担い手養成講座や各種団体の研修会などの様々な場を利用して、区が目指す地域包括ケアについて、地域の方々にお話をしてまいりました。今後も、積極的に地域に出向いて、直接区民の方々と意見交換するなどの目的と対象ごとに周知方法を工夫して、広報を行ってまいりたいと思います。

○山本委員 また、支援が必要な人を支援につなげる、地域で支援をする人を増やすためにも、地域包括ケアについて理解促進につなげる一層の広報が必要だと考えます。当区では、公式ユーチューブを運営しており、防災や子育てなど、暮らしでためになるいい動画も充実してまいりました。中野区ユーチューブを活用して、広くこの講演内容を区民に見てもらえるようにしたほうがよろしいんじゃないかなと考えますが、いかがでしょうか。

○鈴木地域包括ケア推進課長 区民や関係団体、企業などに地域包括ケアに関心を持っていただき、支援が必要なときにSOSを発信できる、支援につなげる、支援活動を活性させるため、いつでも手軽に見ることができる情報の一つとして、動画の作成等も検討してまいりたいと考えております。

○山本委員 よろしくお願いをいたします。

 この件に関してあと1点なんですが、地域包括ケアという名前が難しく、内容が伝わりづらいという課題認識はこれまでも区側にもあったと思います。代わるネーミングとしてどう考えておられますでしょうか、教えてください。

○鈴木地域包括ケア推進課長 区の地域包括ケアにつきましては、「できることから始めよう!“オールなかの"の地域包括ケア」という言葉を合い言葉といたしまして、区民や関係団体等が身近な地域に目を向け、できることから進めていけるよう働きかけております。地域包括ケアや地域共生社会の理念、目指す姿、具体的な取組などをより広く周知するため、呼称をつけることの検討も含めて、効果的な広報に努めてまいりたいと考えております。

○山本委員 オール中野について申し上げられましたね。オール中野は、地域包括ケアの中身の話ではないのかなとも思いましたので、むしろ地域包括ケア体制は、地域共生社会、地域で共に生きるという概念から生まれたものだと思っておりますので、他自治体の例も参考に、理解されやすいように工夫していただきたいなと思います。これは要望にしておきます。

 最後に、今後の地域包括ケア体制についてお伺いします。

 現在、重層的支援体制整備事業を契機として組織再編に取り組んでいるところですが、現在構築しようとしている支援体制でも、支援の網の目から漏れてしまう可能性が高い方がいるかと思います。区としてはどんな方だと認識されておりますでしょうか。

○鈴木地域包括ケア推進課長 自らSOSを発信しない、あるいは発信できない社会的孤立に陥っている方、特に既存の政策の対象になっていない方、一人暮らしの若年層などは発見が難しいというふうに考えております。組織体制や機能強化により、支援を必要としている対象の方をできるだけ適切な支援につなぐことを目指してまいります。

○山本委員 また、中野区の地域包括ケア体制が理念どおり一人も取り残さない体制となるには、今後どのような取組が重要になると考えているか、区の認識を伺います。

○鈴木地域包括ケア推進課長 誰一人取り残さない地域包括ケア体制の実現のためには、民間企業も含めた体制づくりや、支援を必要としている人が声を上げやすい地域づくりも重要と考えております。

○山本委員 後半が大分概念的にちょっと聞こえたんですが、今を取り巻く社会状況は厳しいものがあります。大型台風や線状降水帯の水害、大地震や津波などの災害や感染症、我が国で戦争や食糧難だってよもや起きてしまうかもしれません。人工知能がホワイトカラーの仕事を片っ端から奪っていく、こうした何が起きるか分からない不安で不透明な時代だからこそ、人間にしかできないこと、社会関係資本――ソーシャルキャピタルと言われております地域での横のつながり、顔の見える関係づくりが人間社会の基礎であり、重要だと思っておりますし、一朝一夕ではできません。

 区は「つながる・はじまる・なかの」をキャッチフレーズにしておりますが、私は、人間の根本のエッセンスが入ったとてもいいネーミングだと思っております。まちづくりは人づくりです。匿名性の高い都会だから、その特性上難しいと嘆くのではなく、様々な世代間交流の縦串と地域でつながりを増やす横串を通す方法を、議会だけでなく、区長をはじめ職員全員で一層知恵を絞っていただきたいとお願いを申し上げ、次に進みます。

 こちらは、令和元年度、質問で求めておりましたおくやみガイドブックを作成いただきました。助かる区民は多くいるはずです。通常業務のほかで奮闘された職員の方に心から感謝を申し上げます。

 まず、何部刷られて、どこにどういう配置や配布をしているのか、教えてください。

○伊藤戸籍住民課長 今回、令和4年度分としておくやみガイドブックを2,500部印刷しており、死亡届を受け付けている戸籍住民課戸籍係、地域事務所、宿直室に置いて配布してございます。

○山本委員 中身を見させていただくと、まず気になったのが、ルビが振られていないということでした。高齢者や外国籍住民などは読みづらい方もおられると思います。ルビを振るなど、やさしい日本語にしてあげられないか、伺います。

○伊藤戸籍住民課長 おくやみガイドブックは、遺族が迷わず、漏れなく必要な手続を行えることを目的として作成してございます。今後も、ルビを併記するなど、遺族の方にとって分かりやすいものになるよう改善していきます。

○山本委員 よろしくお願いいたします。

 それから、予算書ではちょっと見当たらなかったのですが、どういったスキームで製作されておられるのか、教えていただけますか。

○伊藤戸籍住民課長 今回のおくやみガイドブックは、おくやみガイドブックの発行を専門に行っている事業者との官民協働事業で、区の予算措置はしてございません。

○山本委員 まずは事業者がお持ちの一定のデザインで作成されたということでしたが、配布されていく中で、区民からの声や職員間で改善すべき点が出てこようかと思います。新庁舎に合わせて、独自予算でアップグレードしたものを製作されたほうがよろしいのではないかと思いますが、そのおつもりはどうでしょうか。

○伊藤戸籍住民課長 おくやみガイドブックの発行については、しばらくの間は官民協働事業を継続して、実施状況を勘案しながら今後のことは検討していきたいと思ってございます。

○山本委員 また、このガイドブックを周知していくことも必要かと思っております。ホームページに載っているのは分かっておりますが、家族が御逝去したときにならないとこのホームページのページを目にする機会は少ないと思います。エンディングノートや終活など、事前に頭でこうしたことを巡らせる準備が大切だと考えております。この現庁舎の1階のロビーで、待合の方の目線にとどまるように工夫して周知に努めていただけないでしょうか、伺います。

○伊藤戸籍住民課長 今、委員がお話ししたように、おくやみガイドブックについては、区のホームページでPDF化した冊子を掲載し、区民の遺族が広く情報を取得できるようにしてございます。今回のおくやみガイドブックは、2,500部と発行部数が少ないため、来年度に発行するガイドブックでは、必要な区民に配布できるように、冊数を増やして広く周知していきたいと考えてございます。

○山本委員 よろしくお願いいたします。ますますバージョンアップをお願いしたいと思っております。

 最後に、もう最後になりましたけれども、お悔やみ窓口やガイドブックを質問で提案させていただいたのは、私の親の死に接した経験からでありました。親の死亡に際し、高齢の親に代わって働く稼働層の子どもが事務手続を行うことも多いと思います。稼働層に届きやすいように、区の公式LINEでも案内していただきたいことを、これは最後に要望とさせていただき、私の質問の全てを終了いたします。

 ありがとうございました。

○ひやま委員長 以上で山本たかし委員の質疑を終了します。

 次に、若林しげお委員、質疑をどうぞ。

○若林委員 令和5年第1回予算特別委員会において、自由民主党の立場から総括質疑をさせていただきます。

 まず初めに、地域活動と地域経済の好循環について質問をさせていただきます。

 これから、コロナ禍において、在宅勤務、また、早期帰宅が増えてくると思っております。増えております。それで、自宅における飲食も増えてくる。それで、商店街、近くの飲食店に行かれることもこれから増えてくるでしょう。増えております。それと、あと、自宅で食事をされるということは、商店街とかに買物に行く機会も増えてくるだろう。その中で、特に飲食店なんですが、飲食店が出会いの場というか、交流の場として活躍をできるような場合ができる。そこで地域の方々と接触ができ、地域のイベントや地域の活動に触れることが増えてくるだろう。今まで会社勤めの方々が地域に触れてくる機会がここで増えてくる。そこで、地域活動、また、地域のイベント、そして、地域の活性化がそこで得られるのではないかというこの循環モデル。それにおいて、地域に誘導させるために、区としてどういうことができるかということをこれから質問させていただきます。

 地域交流の促進と町会・自治会の活力向上について伺います。

 新型コロナウイルス感染症発生から3年余りがたちまして、未曽有のコロナ禍という言葉が当たり前のようになって、重みがなくなってきております。そんな中、政府は、新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類を5月8日から季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げると決めました。

 このコロナ禍において日常生活で状況が大きく変化したことの一つが、在宅勤務、また、リモートワークとなります。まず、コロナ禍における経済状況をお聞かせいただけますか。

○平田産業振興課長 2021年に東京商工会議所中野支部におきまして行いました区内事業者へのアンケート調査でございますが、新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、平均で63%の事業者が大きな影響を受けたと回答してございます。特にその中でもバスやタクシーなどの旅客運送業では、100%が大きな影響を受けてございました。また、その後の原油価格・物価高騰等の影響による仕入れコストの状況につきましても、調査対象のうち34%の事業者が直面する経営課題として捉えている状況でございます。

○若林委員 バスやタクシー等の旅客運送業、これが100%、区民の移動が少し少なくなっているのかなということになります。JR東日本が公表している中野区の1日平均乗車人数、新型コロナウイルス発生前の2019年においては15万907人であり、新型コロナウイルス後は、2020年に10万3,280人、2021年に10万8,524人となっております。また、東京メトロが公表している中野区の1日の平均乗降数、乗降人数になりますけれども、2019年は16万3,466人、2020年は10万9,528人、2021年は11万3,089人となっております。2020年から2021年にやや増えてはおりますが、コロナ禍前と比べると、明らかに少なくなっている、そんなところでございます。

 また、コロナ前の令和元年度の燃やすごみは5万4,088トン、令和2年度は5万5,743トンと、約3%増えております。この3%というのは、1.6トンの運搬車で約1,035台分だそうです。粗大ごみも、アルミ缶の回収、びんやペットボトルの回収も、増加傾向にあります。コロナ禍でごみが増えているということは、家庭で滞在する時間が多くなっていると推定されます。

 また、それ以外に、中野区で毎年20億円近く収入がある地方たばこ税は、東京都23区全体で前年度比90.6%である中、都心部のたばこの売上げは減っている傾向にありました。前年度比、千代田区は67.4%、中央区は74.6%、港区は74.8%、新宿区は84.7%となっております。その中で、中野区は99.6%と、ほぼ変わらず地方税の収入がある。その中で、やはり区内でたばこを買っている方が増えているということが想定されます。

 これらのことから、多くの区民が在宅勤務、リモートワークを行っていることが推定されます。リモートワークが行われることにより、家庭にいる時間が多くなり、それに伴い、家庭での食事が以前より増しています。また、近所での買物が増えているとも言えます。

 コロナ禍の猛威が少し落ち着いたものでありますから、地域活動、イベントの再開も進み始めております。旅行に行かれる方も増えてきました。しかし、以前――コロナ禍前の状況に比べたら、まだまだ少ない中にあるはずです。旅行に使うはずだったお金でおいしいものを食べようとする家庭も増えてきました。

 つまり、地方へ落とすはずのお金が中野区で使われる可能性が高くなっています。今後、新型コロナウイルス感染症が5類に変わることにより、以前のような生活に戻り始めていくと考えられる中、まさに地域に誘導できる施策を行えるのは今しかないと考えております。

 今年度、中野区生活応援事業、ポイント還元事業を行いましたが、どのような業種に使われてきたか、お聞かせいただけますか。

○平田産業振興課長 生活応援事業の状況でございますが、まず、第1回目、大手チェーン店等を除く区内中小加盟店を対象としたキャンペーンでございますが、一番利用が多かった業種としましては、飲食店・喫茶店になってございます。次に、居酒屋・パブ・バー、3番目が理容・美容となっているところでございます。また、昨年12月に実施しましたコンビニエンスストアを除く大手チェーン店も対象とした第2回目におきましては、一番利用が多かった業種は食品スーパー、次に飲食店・喫茶店、3番目が医薬品・化粧品・ドラッグストアとなっているところでございます。

○若林委員 区内の飲食店、また、飲食店のテイクアウトや食品配達業に使われていたということは、やはり家庭近くでの消費が多くなっていると考えられます。区内の飲食店が多く利用されることにより、今まで会社勤めだった方々が飲食店を中心に地域の方々と接触する機会が増えていきます。飲食店が交流の場として活用できると思っております。

 リクルートの外食市場に関する調査で、1万2,305件にランダムでメール配信をし、9,564件を回収した中で、なじみの外食店についてのアンケートで、新型コロナ以降、新たななじみの外食店ができた人は57.5%、新たにできたなじみの外食店の立地は、自宅や最寄り駅の周辺が74.8%という結果があります。コロナ禍で、不要不急の外出自粛が要請され、また、在宅勤務等も影響してか、なじみの外食店の場所も自宅近くにできた人が多いと分析がされております。

 その中で、キャッシュレス型地域通貨の導入について伺っていきます。

 このたび生活応援事業、PayPayによるポイント還元制度は、以前から指摘しているように、中野区民が中野区内だけで消費できるのか、そこに区民税を入れることが適切なのかと疑問を投げかけておりました。先ほども話させていただいたとおり、中野区民が間違いなく中野区内の飲食店、区内の商店街で使用してもらえる仕組みを構築しなければならないと考えております。

 区内商店街への誘導に大きく寄与するための仕組みは、やはり他自治体も取組を始めているキャッシュレス型地域通貨だと思っております。他自治体も多く進めていることから、メリット、デメリットの事例もデータとして多くあると思います。それらを参考にし、中野区のキャッシュレス型地域通貨を導入すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○平田産業振興課長 キャッシュレス型地域通貨の導入についてでございますが、現在、中野区商店街振興組合連合会におきまして、区内共通商品券の電子化に向けての検討を行っているところでございます。同様に、区としましても、区内での経済循環を拡大していくためには、区内消費の誘導に向けたデジタル地域通貨の検討が必要であると認識しているところでございます。世田谷区のせたペイ、また、渋谷区のハチペイなど、先行自治体の事例を参考としつつ、中野区でのデジタル地域通貨の在り方を検討してまいりたいと考えております。

○若林委員 できるだけ早く、と申しますのは、ハチペイは渋谷区であります。南台は渋谷区の真隣でありまして、早速南台の商店街の方からハチペイの情報がたくさん寄せられておりまして、中野区はどうなっているんだという話がありましたので、ぜひ進めていただければなと思っているんです。

 区内商品券は間違いなく区内で使われるものであり、電子化することにより使いやすくはなる、それは分かります。その上で、地域通貨と同時進行をして互換性を持たせたキャッシュレス型地域通貨が可能となる仕組みをつくるべきだと考えております。この仕組みができることにより、今回のようなポイント還元はもとより、様々な地域活性化につながることへ誘導が可能だと思っております。地域の飲食店にポイント還元で誘導できれば、会社勤めの方々がリモートワークになったことにより、今まで接触がなかった地域の方々と、飲食店を中心につながりを広げていく可能性があると考えます。地域付き合いの増加、地元仲間との交流も増え、地元という言葉に重みが増してきます。

 こういったこれまでの地域コミュニティに参加してこなかった層に、地元の交流の場、すなわち町会や商店街等の行事に参加してもらう方策について、区の見解をお聞かせください。

○池内区民活動推進担当課長 お答えします。地域コミュニティに参加してこなかった方々が何かをきっかけに新たなコミュニティを形成し、地域活動に携わっていただけることは望ましいことと考えております。区は、地域共生社会の実現に向けた重層的支援体制の中で地域づくりの強化に取り組んでおり、次年度は、相談支援体制の強化、公益助成制度の見直し・改善、広報媒体としてウェブアプリケーションの導入を行い、新たに活動を始めたい団体や既存の地域団体に対して、伴走的な支援を行ってまいります。その取組を行う中で、新たに地域で活動されたいという方から個別に相談があった場合には、円滑に地域活動につなげられるようコーディネートする体制を構築してまいります。

○若林委員 地域の飲食店への誘導が進めば、地域活動、地域イベントが行われることを知っていただける、また、地域活動、地域イベントへの参加の声かけが可能となります。地域の担い手発掘につながると考えております。

 三鷹市では、ボランティアポイントと地域通貨の特徴を併せ持ち、コミュニティ活動の参加者に対して市がポイントを付与し、コミュニティ活動への参加促進と地域のにぎわいを創出する、共に支え合う新しい地域社会の実現に向けた基盤として、地域ポイントの取組を導入をしております。これは、スマートフォンやタブレット等を利用するデジタル型を基本としつつ、アナログ対応で、紙やプリペイドカード等の仕組みを設け、幅広い層の方が利用できるようにしてあります。まさに、他自治体も進めている地域活動への参加ポイント付与の仕組みも、キャッシュレス型地域通貨を利用すれば可能となると思っております。

 今、新型コロナウイルス感染症を理由に、地域行事、イベントが次々と行われなくなっています。ボランティアの参加できる場も少なくなっているはずです。地域活動を復活させる、また、てこ入れをするのは今しかないと考えております。期間限定の導入でもいいと思うので、地域活動ポイントに対する区の見解をお聞かせいただけますか。

○池内区民活動推進担当課長 次年度の取組としまして、令和4年の厚生委員会で報告いたしました地域団体の活動情報の発信アプリの導入やチャレンジ基金助成制度の開始、区と中間支援組織の連携による伴走支援体制の強化を図り、地域活動団体の支援強化に戦略的に取り組むことで、地域づくりの基盤を整備してまいりたいと思っております。また、地域活動ポイントの導入に関しましては、現在のところ考えてございません。

○若林委員 現在のところ考えていないというお話ですが、まず、活動情報の発信アプリがあると思うんですけれども、そこにボランティア募集なども行事ごとに記載していただいたり、また、これが将来的に地域行事の参加ポイントを付与でき、そしてまた、それが地域通貨に構築される、そんなものも連携が取れるようなことを考えていただければなと思います。

 地域の飲食店を交流の場としてこれから進めていくとなると、その誘導がしっかりできれば、町会の増員やイベント参加、また、イベントのお手伝いの増加、また、地域の団結、地域の活力の活性化、地元愛などが生まれてくると思います。例えば防犯・防火の強化になりますけれども、こういう場を使えば、消防団への入団の促進や地域防災会への入会の促進、そんなことにも使えるのかなと思っております。関東大震災から100年を迎える、自然災害に対する備えも改めて考えなければいけないこの時期ですので、いつ大規模な地震が、自然災害が起きるか分からない中、地域の防災・防犯に関しては強化をしていくべきだと思っております。

 そんな中、ほかの、自然災害が起こったときに、我々がいろんなボランティア活動をさせていただいても、結局行政の方々は、ボランティアの采配とか、また、罹災証明の発行とかいろいろありまして、結局地元で活動している町会・自治会の方々が、瓦礫の撤去とか通路の確保、そんなものもやる、それが我々がボランティアに行ったときの感想でありましたので、やはり地域の防災活動、これを強化する、これはいいことだと思っておりますので、それがこんな流れがつくれればなと思っております。

 また、地域の見守りとかも、こういった地域活動が、また、人数が増えていけば行っていけるのだろうと。板橋区で、「はじめてのおつかい」なんて、地元の幼児が地元の商店街を歩くなんていう行事もありました。それも面白い考え方だと思っておりまして、商店街の方々と若いお父さん、お母さん、そんな方々の交流もつかめる。そんなものも、地域通貨ができれば、かわいらしくお小遣いポイントとかをつけて。要は、商店街のイベントごとにも地域通貨、地域ポイントが付与できる、そんなこれからの未来のことも考えられるのかな、そんなものも一緒にキャッシュレス通貨システムの中に確立できればいいのかなと思っております。

 商店街主導のスタンプポイントなどにも使える、そんな中でポイント還元も可能になるのではないかと思いますが、区の見解をお聞かせいただけますか。

○平田産業振興課長 板橋区の事例でございますが、商店街と地域を結びつけ、商店街の活性化にもつながっていくよい事例だと考えてございます。デジタル地域通貨導入の検討に当たりましては、様々な活用の場面を想定しながら検討を進める必要があると考えているところでございます。

○若林委員 コロナ禍をマイナスに考えずに、言い方が難しいですけれども、ポジティブに考えて、これで新しい地域の循環、経済循環が起こせればなと思っております。その一つのアイテムとして、やはりキャッシュレス通貨の構築は進めるべきと考えております。少し中野区は出遅れているということが幸いしているのかなと思っております。様々な自治体のメリット、デメリットを参考にして、中野区のキャッシュレス通貨の導入及び地域活動の参加への誘導に向けたポイントの導入を進めていくべきと考えますが、改めてお聞かせください。

○堀越企画課長 全庁的な地域活性化、好循環モデルの構築についてでございます。区は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響下におきまして、地域経済の活性化や地域の再生等の対策について、ICTなど新たな手法も加えながら、適宜取組を進めているところでございます。今後、キャッシュレス化のさらなる推進や、区民の方のデジタル機器の活用状況等を踏まえまして、他自治体の先進事例も参考にしながら、デジタルによるポイント活用などによって、商店街や地域に新たなつながりですとか活性化を生み出すような仕組みについて、全庁的な検討を進めてまいりたいと考えております。

○若林委員 様々な方に答弁いただきました。この地域の循環モデル、これを進めることというのは、産業振興課だけじゃなく、もちろん企画課もそうだし、また、地域支えあい推進部なんかにもつながっていくもの、町内の活性化を図るものとして、ぜひ全庁的にこういうモデルを考えていただき、このコロナ禍で中野区が元気をもう一度取り戻すための仕組み、またはそういうものを構築していただければと思います。要望にしておきます。よろしくお願いします。

 青少年育成地区委員会について伺います。

 青少年育成地区委員会の活動ABCというものがあります。中野区子ども教育部が発行しているガイドラインになります。その中で、育成部の中に、ミニリーダー講習会というものがございます。ミニリーダー講習会は、地区によって異なりますが、チームでのゲームやまきでのカレーづくり、また、キャンプ、ハイキングなどを通して、班活動をすることにより、子どもたちの中で、活動への協力、対応力、人とのつながり、優しさや助け合いなど、日常では得られない経験をしてもらい、子どもの育成をお手伝いするというものであります。私の子どももミニリーダーに入らせていただいて、地域の方々に育てていただき、また、見本のような娘に育たせていただきました。感謝しております。

 私は、今まで何の疑問もなくミニリーダー講習会を受け入れ、そして、子どもを入会させ、お手伝いをしてきました。ところが、「ミニリーダーって何」という声を最近聞いております。確かに活動の説明は幾らでも説明できますけれども、インターネットで調べてみますと、ミニリーダーというのは中野区だけしか出てきません。先ほど御紹介したガイドラインにも、育成部はミニリーダー講習会を開くとなっておりますが、その定義が定まっていません。ミニリーダーという存在は、他自治体ではどのようになっているか、お聞かせください。

○細野育成活動推進課長 中野区内におけるミニリーダー講習会は、各地区によって様々でございますが、おおむね小学校3年生から6年生を対象としております。一方、他の自治体では、ジュニアリーダー講習会といたしまして、小学生から高校生までを対象にしていることが多く、中野区のミニリーダーも含めて、ジュニアリーダー講習会として実施しているというふうに調べさせていただきました。

○若林委員 ミニリーダーというのは中野区独自のものといいますが、ミニリーダーの活動がどのように組織されてきたか、お聞かせください。

○細野育成活動推進課長 詳しい経緯につきましては不明でございますが、各地区における自主的な取組として、地域の子どものリーダーを養成しているというふうに考えてございます。

○若林委員 では、ミニリーダーという名前になぜなったか分かりますか。

○細野育成活動推進課長 小学校高学年や中高生も対象とするジュニアリーダーという概念に対して、小学生を対象とするという考えから、中野区ではミニリーダーとしたというふうに思われます。

○若林委員 こうやって聞かせていただいている理由というのが、昔からの伝統、または、地域の方々は何となく当たり前のように思っていた活動、そして、協力を頂いておりますが、新しい方々は、なぜうちの子を地域のリーダーにさせなければいけないのだろうかとか、自己開発セミナー的な名前に違和感があるなど、率直な意見を実は聞いております。それで、実際、新しく入る方は、よく分からないというのがあります。

 名前はともかく、本来なら行政がやるべきことを地域の方々に託し、地域の皆様方に子どもたちの見守り、そして、その子どもたちに地域で愛着が生まれるよう、大人になったとき、また、次の地域の住民の地域の子どもたちを育てていく、こんな流れを担う大事な役目が青少年育成地区委員会になります。その活動の一つのミニリーダー講習会、ネーミングも含めて、位置付け、活動をしっかりと示し、新しい方々でも入会しやすい仕組みづくりをしなければならないと考えますが、区の見解をお聞かせください。

○細野育成活動推進課長 ミニリーダー講習会は、地区委員会が主体になり、地域で人材を育成する取組として、長年にわたって継続してきていただいた活動であるというふうに認識してございます。区といたしましては、「区民公益活動に関する政策助成」や「子育て支援地域づくり啓発助成」、また、情報・意見交換会や研修会などの実施によりまして、青少年地区委員会の活動を支援しているところでございます。引き続きこういった支援を継続していきたいというふうに考えてございます。

○若林委員 各地区、中野区において、ミニリーダーがやられている地区、やられていない地区があるわけですよね。やはり中野区の子どもとしては、どこに住んでいても、このミニリーダー講習会というものに参加できたほうがもちろん望ましい形だと思っています。どうやら中野区でばらつきがあるように感じております。

 そんな中、やっぱり改めて中野区全体で再整備が必要であると考えますが、区の見解をお聞かせください。

○細野育成活動推進課長 長年にわたって地区委員会の運営につきましては自主的に行われてきているところでございます。また、区としては、その自主的な活動を損なわないように、側面的な支援を行ってきたところでございます。また、地域の人材育成の取組として、各地区委員会ごとに工夫をし、活動していくことも重要であるというふうに考えております。そういった支援につきましては、引き続き継続していきたいと考えております。

○若林委員 であるならば、青少年地区委員会の活動を理解してもらい、もっと区民に分かりやすいように、ミニリーダーの入会促進をホームページなどに掲載し、進めていくべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

○細野育成活動推進課長 ミニリーダー講習会は、委員がおっしゃっていただいたように、大変重要な取組だと考えています。そういったことも含めた青少年地区委員会の活動について、より広く周知できるよう、区のホームページへの掲載等について検討してまいりたいと考えております。

○若林委員 レジリエンスという言葉があります。しなやかな強さ、また、精神的回復力、復元などと訳されます。まさにミニリーダー講習会の活動を通して、自然とレジリエンスを身につけてもらうことが必要と考えております。

 子育て先進区の実現を目指している中野区として、各区ばらばらな活動をできる限り同じようにし、中野区の子どもたちが平等に活動できる機会をつくり、せめて青少年育成地区委員会が活動しやすくするための支援をすべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

○細野育成活動推進課長 地区委員会の活動につきましては、地域住民の自主的団体として位置付けられまして、行政は、その自主的な活動を損なわないように支援を続けているところでございます。

地域の子どもたちの健全育成のため、地区委員会の活動は重要なものというふうに認識してございまして、引き続き、先ほど御紹介申し上げたような各地区の情報交換会の実施など、各委員会のニーズ把握に努めまして、必要な支援を引き続き行ってまいりたいというふうに考えてございます。

○若林委員 ありがとうございます。ぜひ、子育て先進区を目指すというのであれば、一番直結しているような団体でありますので、御協力を頂ければと思っております。

 以上でこの項の質問を終わります。

 太陽光パネルの設置助成について伺います。

 施政方針説明でも触れられましたが、中野区の予算案に、新規事業太陽光パネル発電促進助成が盛り込まれております。昨年12月、東京都では、太陽光パネル設置義務化条例が可決されました。都議会自民党は、都議会建設委員会、また、同環境委員会、そして、本会議においても、時期尚早として、より慎重な議論を求め、反対をしております。東京都の条例は2年1か月後に施行となり、それまで仕様変更等について議論がされることを期待しております。

 区として独自で太陽電池の設置を推進していくことについて伺ってまいります。

 都の太陽光パネル設置義務化条例の検討が始まった昨年の夏頃から、区民や業界団体からも、太陽光パネルの設置を強要するような条例に疑問の声を多く伺っております。例えば、そもそも太陽光パネルを設置できる場所、できない場所があることは周知の事実であります。方角や角度、日照権など様々な要因があり、必ず建物に設置できる、そういうものではないと考えております。場合によっては、補助の享受ができる区民が制限されるのではないかという声も伺っております。特に個人宅への設置の義務化は、建物の形状を制限し、自宅の自由設計を規制してしまう可能性があると思いますが、区はどのようにお考えでしょうか。

○永見環境課長 東京都の説明によりますと、本制度は、義務対象の住宅供給事業者に対し、日照などの立地条件や住宅屋根の大きさなど個々の住宅の形状等を踏まえて太陽光パネルの設置を進め、供給する建物全体で設置基準の達成を求める仕組みとなっているものでございます。本制度の実施により、直ちに住宅の自由設計の規制につながるものとは考えておりません。

○若林委員 東京都を基準に考えられていると思いますが、それなりの基準を決めれば、その前後の建物において設計を変更しなきゃいけないということもあるかなと思っております。私個人としては、自らの意思で、エネルギー資源について熟慮をし、太陽光発電の必要性を感じて設置するのであれば、まだ一定の理解はするのですが、義務化、設置を強制するような制度は様々な課題が残っていると思います。

 そうした中、中野区では、太陽光発電整備を促進する制度を始めるわけですが、どのような仕様で発電整備を補助するのか、太陽電池の仕様は制限がないのか、お聞かせいただけますか。

○永見環境課長 本制度におきまして補助の対象となる機器の要件としては、2点を想定しております。まず、1点目は、太陽電池の最大出力が2キロワット以上の製品であること、2点目といたしまして、一般社団法人電気安全環境研究所――JETと呼ばれますけれども、こちらが実施をする太陽電池モジュールの認証の試験に合格し、認証された製品であることでございまして、JETの認証試験におきましては、火災等を想定した安全性についても審査されていると聞いてございます。

○若林委員 蓄電池設置補助と並行して太陽光パネルの設置推進補助を進めていくようですが、従来の太陽電池では都心部に設置は難しいと考えております。

 そんな中、新しい太陽光パネルの実用化に向けた国の動きがあります。従来の太陽光パネルであるシリコン系太陽電池は、重量や形状から、平たんな広大な土地や耐荷重の大きな建物の屋根などへの設置に限られてきます。大規模な設備を設けるのは難しい都心部では、再生可能エネルギーを利用するために電力購入契約や自己託送制度を活用しており、電力の購入コストと送電負荷によるエネルギーロスが課題となっております。

 そんな中、次世代型太陽光パネル、フィルム型のペロブスカイト太陽電池の実用化が高まっております。柔軟な軽量なものであって、ビルの壁面に直接貼ったり、耐荷重の小さな屋根でもつけることが可能となります。脱炭素社会の実現に大きく貢献することが期待されています。我が国においても、ペロブスカイト太陽電池の活用に向けた実証実験が様々な場所で行われております。

 従来のシリコン系太陽電池設置は不安に感じざるを得ません。シリコン系の約4分の1程度の価格で済みます。次世代型太陽光パネル、これがペロブスカイト太陽電池になりますが、これに対して認識はございますか。

○永見環境課長 ペロブスカイト太陽電池の研究が進んでいることは、区としても把握してございます。また、東京都におきましては、共同研究など、新技術の実用化を促進していく、そういった動きもあると聞いてございます。

○若林委員 また、さらに、このシリコン系の太陽電池というものは、有害物質があります。鉛であり、セレンであり、そして、カドミウムも含んでおります。この太陽電池、20年の寿命で設置をされているのですが、今後10年後ぐらいになると、これが廃棄処分、どうやって廃棄するかということが問題になってきます。また、台風とか自然災害で破損し、近隣に飛んで災害が区内でも起きたということを確認しておりますし、また、火災発生時に太陽電池が炎の光によって発電し、消防隊員が感電するなどの事例が全国で起きております。また、先ほど話したとおり、分離、処分が地中の中に埋めなきゃいけないという中で、このシリコン系は時期尚早と思いますが、区として今後どのように考えていますか。

○永見環境課長 先ほど御紹介いただきましたペロブスカイト太陽電池とか、そういった技術も進んでいるということでございますので、そういった動向についても補助を実施する中で注視をしていきたいと考えてございます。

○若林委員 これからそういった太陽電池を進めていくのであれば、ぜひいろんな時期を考えていただいて、区として進めていただければと思います。

 以上で私の質問を全て終了します。

 御清聴ありがとうございました。

○ひやま委員長 以上で若林しげお委員の質疑を終了します。

 以上をもって、本日の総括質疑を終了します。

 次回の委員会は、2月22日(水曜日)午前10時から当委員会室において開会することを口頭をもって通告します。

 以上で本日の予算特別委員会を散会します。

午後4時54分散会