令和7年09月17日中野区議会本会議(第3回定例会)

.令和7年(2025年)9月17日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(40名)

  1番  高  橋  ちあき         2番  山  内  あきひろ

  3番  武  井  まさき         4番  日  野  たかし

  5番  木  村  広  一        6番  斉  藤  けいた

  7番  井  関  源  二        8番  黒  沢  ゆ  か

  9番  大  沢  ひろゆき       10番  武  田  やよい

 11番  広  川  まさのり       12番  いのつめ  正  太

 13番  間     ひとみ        14番  河  合  り  な

 15番  市  川  しんたろう      16番  加  藤  たくま

 18番  小  林  ぜんいち       19番  白  井  ひでふみ

 20番  吉  田  康一郎        21番  立  石  り  お

 22番  小宮山   たかし        23番  内  野  大三郎

 24番  い  さ  哲  郎       25番  細  野  かよこ

 26番  斉  藤  ゆ  り       27番  杉  山     司

 28番  ひやま      隆       29番  高  橋  かずちか

 30番  大  内  しんご        31番  伊  藤  正  信

 32番  平  山  英  明       33番  南     かつひこ

 34番     欠  員          35番  石  坂  わたる

 36番  むとう   有  子       37番  羽  鳥  だいすけ

 38番  浦  野  さとみ        39番  山  本  たかし

 40番  中  村  延  子       41番  酒  井  たくや

 42番  森     たかゆき

.欠席議員(1名)

 17番  甲  田  ゆり子

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  青 山 敬一郎

 副  区  長  栗 田 泰 正      教  育  長  田 代 雅 規

 企 画 部 長  岩 浅 英 樹      総 務 部 長  濵 口   求

 防災危機管理担当部長  吉 沢 健 一   区民部長、窓口サービス担当部長  高 橋 昭 彦

 文化・産業振興担当部長 高 村 和 哉      子ども教育部長、教育委員会事務局次長 石 崎 公 一

 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 森   克 久  地域支えあい推進部長、地域包括ケア推進担当部長 石 井 大 輔

 健康福祉部長  杉 本 兼太郎      保 健 所 長  水 口 千 寿

 環 境 部 長  浅 川   靖      都市基盤部長  松 前 友香子

 まちづくり推進部長  角   秀 行    企画部企画課長  中 谷   博

 総務部総務課長  永 見 英 光

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  堀 越 恵美子      事 務 局 次 長  分 藤   憲

 議事調査担当係長 鈴 木   均      書     記  田 村   優

 書     記  細 井 翔 太      書     記  森 園   悠

 書     記  北 村 勇 人      書     記  梅 田 絵里子

 書     記  川 辺 翔 斗      書     記  志 賀 優 一

 書     記  竹 中 雅 人      書     記  堀 井 翔 平

 書     記  稲 葉 悠 介      書     記  砂 橋 琉 斗

 

 議事日程(令和7年(2025年)9月17日午後1時開議)

日程第1 第81号議案 みずの塔ふれあいの家内装改修等工事請負契約

     第84号議案 感震ブレーカーの買入れについて

     第99号議案 緑野中学校校庭整備等工事請負契約

日程第2 認定第1号 令和6年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

     認定第2号 令和6年度中野区用地特別会計歳入歳出決算の認定について

     認定第3号 令和6年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について

     認定第4号 令和6年度中野区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算の認定について

     認定第5号 令和6年度中野区介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について

日程第3 中野区の財政の健全化判断比率について

 

午後1時00分開議

○議長(森たかゆき) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 大 内 しんご

 1 中野区で被害が増大している「アメリカカンザイ(乾材)シロアリ」対策について

  (1)区内の被害状況の把握について

  (2)区民への情報提供と啓発活動について

  (3)高齢者世帯への支援について

  (4)専門業者との連携体制について

 2 中野工科高等学校改築について

  (1)妙正寺川沿いの遊歩道・緑道整備について

  (2)新しい橋の架け替え事業について

 3 外国人との共生に向けた課題について

 4 その他

 

○議長(森たかゆき) 最初に、大内しんご議員。

〔大内しんご議員登壇〕

○30番(大内しんご) 令和7年9月17日、中野区議会第3回定例会におきまして、自由民主党議員団の立場から一般質問をいたします。

 1番目に、中野区におけるシロアリ対策、とりわけ近年増加傾向にある外来種、アメリカ乾材シロアリへの対策について質問いたします。

 アメリカ乾材シロアリは、日本に昔からいたシロアリと全く異なる生態をしており、今までのシロアリ防除が全く通用しない脅威のシロアリです。大きさは10ミリ程度。頭部と顎のみ異常に大きく、褐色なのが特徴です。同じ木材の中でもあちこちに巣が細かく分かれており、イエシロアリやヤマトシロアリに比べて巣の再生能力も非常に高いことから、たとえ駆除を行っても再び被害がすぐに発生してしまう可能性があります。つまり、隣の家に住み着くアメリカ乾材シロアリの羽アリが飛んで、我が家に侵入する危険性があります。アメリカ乾材シロアリは、乾燥した木材内部に生息する非土壌性のシロアリであり、従来の侵入を防止する措置では対応が困難です。

 中野区内では、築年数の経過した木造住宅だけでなく、築浅の住宅や空き家においても被害が報告されており、住民からは「羽アリが室内に大量発生した」、「壁際に砂粒状のふんが落ちている」といった不安の声が寄せられています。羽アリは6月から10月にかけて壁の隙間などから飛び出すことがあり、ふんは和風だしのような乾燥した顆粒状で、窓際に落ちている場合には注意が必要です。

 こうした兆候からも、アメリカ乾材シロアリの被害は早期発見が極めて重要であると言えます。シロアリ被害は発見が遅れるほど被害額が増大し、耐震性や安全性の低下を招きます。シロアリは、木造住宅や公共施設の構造材を食害し、耐震性の低下や修繕費の増大を招く深刻な問題です。特にアメリカ乾材シロアリのように、乾燥した木材や高所に巣をつくるシロアリは、日本でも多く見られるヤマトシロアリとは異なり、被害の発見が遅れやすいという特徴があります。

 中野区保健所は、最近になりホームページでシロアリについて紹介を始めました。7月20日からは、区役所電子掲示板デジタルサイネージの活用や、9月5日号の区報掲載により、情報提供や相談窓口の案内を行っています。しかし、現状では、駆除や防除工事は住民自身の判断と費用負担で行う必要があります。

 提案を含め、幾つか質問をいたします。

 中野区内におけるアメリカ乾材シロアリ被害の相談件数や分布傾向について伺います。現在、中野区はどのような方法で被害状況を把握しているのでしょうか。また、そうした被害に対して、区はどのような予防・駆除の取組を行っているのか伺います。

 区民への情報提供と啓発活動について伺います。羽アリ発生時期、春から夏に合わせた注意喚起やふんの特徴などを示した啓発資料の配付を行うなど、住民が自宅で簡易的に確認できるチェックリストや区役所相談窓口の充実が必要と思います。特にアメリカ乾材シロアリの特徴や在来種との違いを明示し、誤認や放置を防ぐ情報提供を行うべきです。

 シロアリ被害は発見が遅れるほど被害額が増大し、耐震性や安全性の低下を招きます。区民の財産と生命を守るためには、発生状況の見える化、予防啓発、重点支援の三位一体の対策が不可欠です。区民に対して、早期の発見・対策につながる情報提供や啓発活動について、どのような取組を進めているのか伺います。

 高齢者世帯への支援について伺います。高齢者世帯では、アメリカ乾材シロアリへの対策について、被害の発見・対応が遅れる傾向があり、地域全体の安全性にも影響します。

 区民活動センターのアウトリーチチームは、地域の高齢者への訪問支援や情報提供を通じて、地域包括ケアの推進に取り組んでいます。アウトリーチチームが高齢者世帯への訪問時に既存の見守り活動と連携し、簡易的なアメリカ乾材シロアリの被害兆候チェックや、区が作成している注意喚起を目的としたチラシを高齢者世帯に届けることは、早期発見や予防に有効です。アウトリーチチームの活用について伺います。また、駆除に係る高齢者世帯に対して費用の一部を補助する制度など、支援策を検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 専門業者との連携体制について伺います。一般社団法人関東シロアリ対策協会などの専門団体と連携し、住民が安心し、相談・施工できる体制を整えるなど、紹介制度や無料診断キャンペーンの実施について、区の考えを伺います。

 2番目に、中野工科高等学校改築について質問いたします。

 中野工科高等学校は、昭和30年創立の歴史ある工業高校であり、中野区野方二丁目・三丁目の住宅密集地に位置しています。食品工業類型や工業化学類型を有する都内唯一の専攻課設置校として、長年にわたり地域の産業人材育成に貢献してきました。しかしながら、校舎の老朽化が著しく、教育環境の改善が喫緊の課題となっていたことから、東京都立中野工科高等学校の改築工事は令和5年に着工され、令和9年1月の完成を目指して現在も進行中です。

 この改築事業は単なる校舎の更新にとどまらず、東京都及び中野区が進める緑のネットワーク構想や都市型親水空間整備と密接に連携していると考えられます。

 東京都建設局は、妙正寺川(環状七号線・新昭栄橋下流から山谷橋下流)の整備事業を中野工科高等学校改築と同時に説明・推進しており、護岸改修、遊歩道の整備、新たな橋の架け替えなどが計画されおり、学校敷地との一体的な空間形成が構想されます。

 中野工科高等学校の改築と妙正寺川の橋梁整備は、教育・防災・都市環境の3領域を横断する重要な公共事業です。地域住民の安全性と利便性を高めるためにも、行政間の連携を強化した整備方針を推進することが重要です。中野工科高等学校の改築は、地域と連携しながら防災拠点としての整備も求められています。地域住民との連携や情報提供はどのように行われているのか伺います。

 妙正寺川の南岸には、中野工科高等学校の実習棟があります。改築に伴い校舎配置が変更され、妙正寺川南側の土地利用が見直されました。中野工科高等学校は中野区と避難所協定を締結しています。この建物が解体された後には、ゲリラ豪雨や洪水時の緊急通路としての機能を担う河川管理用の通路が整備されると聞いています。その通路部分を含め、この跡地については平常時には遊歩道を兼ねた緑の公園や散策路として整備されるということで、地域の居住環境の向上にもつながるものと考えます。どのような計画になっているのでしょうか。伺います。

 次に、河川整備と防災機能強化の一環として、避難活動や緊急通行に対応できる橋の架設が検討されています。防災・避難機能を兼ねた構造となる見込みで、地域住民の安全確保にも資する計画です。河川改修工事は、校舎建て替え完了後に再開される予定と聞いています。新設される橋梁(山谷橋と環状七号線の中間地点付近)の整備については、位置・構造・目的・着工時期及び完成予定はいつか。緑道整備事業の進捗と併せて伺います。

 学校敷地に隣接する妙正寺川に架かる三谷橋は、通行機能の課題が指摘されています。河川改修工事と連動した架け替え・新設の計画が進められていると伺っています。河川改修工事に関連して、妙正寺川沿いの三谷橋の整備についてどのように計画されているのでしょうか。東京都及び中野区の役割分担も含めて伺います。

 3番目に、外国人との共生に向けた課題について伺います。

 近年、外国人居住者や外国資本による投資活動が急速に拡大しています。多様性の進展は地域に活力をもたらす一方で、生活習慣の違い、税負担の不公平、公共サービスへの過度な圧迫といった課題も顕在化しています。これらを放置すれば、地域社会の安全性・公平性・持続可能性が損なわれかねないと考えます。一方で、日本国内における外国人・外国資本の増加は不可避であり、共生の視点に立った制度設計が急務であると考えます。

 そこで伺います。外国人居住者が国外転出時に特別区民税や国民健康保険料を未納のまま出国してしまうケースがあると聞いています。それぞれの未納人数と未納額はどの程度でしょうか。また、確実に徴収していくための対応策について伺います。

 次に、私立幼稚園や保育園の現場において、外国籍の園児の増加に伴い、様々な対応に苦慮していると話を伺っています。子どもとのコミュニケーションはある程度取れますが、保護者とのコミュニケーションが円滑に進まず、当該園児の課題や状況を保護者にうまく伝えることができない。さらに保護者や家庭が抱える問題を把握することが困難である場合もあるとのことです。また、日本語を十分に理解できない保護者への対応においては、申請書1枚でも複数言語での対応が求められるケースもあり、職員の業務負担が拡大している現状もあります。こうした現状を区は把握しているのでしょうか。また、対応策について何かお考えをお持ちなのか伺います。

 災害対応についてお伺いします。外国の方が日本に滞在中に災害が発生すると、言語が伝わりにくいことから情報を集めるのが難しく、どう行動すればよいか分からなくなることが懸念されるだけでなく、文化の違いから孤立することも考えられます。

 外国の方や日本語が苦手な方の安全を確保し、孤立を防ぐための対策が必要です。例えば、震災時は学校の体育館等が避難所となり、水害時は区民活動センターが一時避難所となります。この違いが理解されず、避難行動の遅れや混乱を招く可能性が指摘されています。また、多言語での情報や地域における避難訓練の参加不足も課題となっています。特に日本語の苦手な外国人の防災訓練参加を促進し、地域コミュニティと接続させる必要があると考えます。こうした指摘や課題も踏まえ、区ではどのような対策を取っているのでしょうか。また、こうした要配慮者への対応強化をどのように考えているのか伺います。

 投機目的マンションの取引が増加することにより、過度な住宅価格の上昇や賃貸住宅賃料の高騰など、悪影響を及ぼすことを懸念し、千代田区ではマンションの転売規制を不動産業界に要請しました。このことに関連し、先日の記者会見で区長は、中野区内におけるマンション事業者に対する転売規制の可能性について言及されていました。これは外国資本に対する規制だけを意味するところではないと思いますが、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画が白紙となり、しばらくは大規模なマンションの供給がないものと想定される中、中野区としてマンションの転売規制について、今後どのように考えているのか伺います。

 中野区内でも闇民泊やルールを理解していない外国人住民に起因するものと思われる騒音やごみの放置などのトラブルが多くなっていると聞いております。特に発火性のあるカセットコンロやスプレー缶の不法投棄においては、火災の原因になるための特段の配慮が必要です。区の対応について伺います。

 また、こうした現状を踏まえると、区に届けている民泊は管理者による適正なごみ出しなどが指導できますが、そもそも闇民泊の場合は正規の管理者が存在しません。闇民泊の情報を中野区は持っているのでしょうか。闇民泊に対する取締りの強化が必要と考えます。区の対応についてお伺いいたします。

 以上で質問を終わらせていただきます。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 大内議員の御質問にお答えいたします。

 私からは、まず、中野工科高等学校改築についての御質問です。まず、改築に伴う地域住民との情報共有について。避難所として位置付けられている中野工科高等学校の体育館は、令和7年4月から供用を開始しています。新たな避難所に関する地域との連携や情報提供は、避難所運営会議を通じて地域への周知を図ってまいります。

 次に、実習棟跡地についてです。実習棟の跡地には、妙正寺川に沿って幅4メートルの河川管理用通路を東京都が整備し、整備後は区が管理をする予定です。通路部分も含めた跡地全体の活用方法につきましては、今後、東京都と協議を進め、公園や緑地としての活用も視野に入れながら検討していきたいと考えております。

 次に、新設橋梁についてでございます。この新設橋梁については、中野工科高等学校敷地内の占用橋がなくなるため、災害時の避難経路確保を目的に、東京都の河川整備に併せて高等学校の西側付近に幅員6メートルの中野区道の橋を整備する計画であります。現在、実施中の高等学校校舎建替工事完了後に河川改修工事を再開し、新設橋梁及び河川管理用通路も含めて令和13年までに完成する予定でありまして、今後、東京都と協議・調整を進めてまいります。

 次に、橋梁整備計画と役割分担についてです。東京都が行う妙正寺川河川整備に伴い架け替えられる三谷橋につきましては、現況幅員4メートルから8メートルに拡幅する予定であります。橋梁の整備につきましては、河川整備に併せて東京都が行い、整備費用については、現況幅員部分は東京都が、拡幅部分については区がそれぞれ負担する予定であります。

 続きまして、外国人との共生に向けた課題について。初めに、外国人の出国時の住民税等徴収対策であります。令和6年度の特別区民税現年度分について、令和6年中に未納のまま国外転出の届出をした外国人は95人でありまして、その未納額は約540万円となります。

 また、国民健康保険料においては、令和7年5月末現在、未納のまま国外転出の届出をした外国人は323人、その未納額は約600万円であります。滞納者には催告や財産調査の上、滞納処分などを行っておりますが、未納のまま出国することのないよう、国外転出の手続の際に未納分の納付相談や納税管理人の設定を促しております。国の動向も注視しつつ、より効果的な周知方法等を検討するなどして、確実な徴収を図ってまいります。

 次に、外国語を母語とする保護者への対応についてです。幼稚園・保育園の現場において、外国籍の保護者と言語によるコミュニケーションが難しい場合があるという話があることは承知をしております。今後、区内の幼稚園・保育園に対して、保護者とのコミュニケーションや申請書類等における多言語対応等の支援について検討してまいります。

 次に、外国人への防災対応についてです。区では多言語対応の防災地図や「やさしい日本語」の防災情報メールを活用し、外国人にも分かりやすい情報提供に努めてまいります。

 また、外国人防災リーダーの育成を進め、地域とのつながりを深めることで、災害時の孤立を防ぎ、円滑な避難行動につなげてまいります。

 最後に、マンションの転売規制についてです。区内におけるまちづくりの進展や地価の上昇に伴い、マンション価格や家賃など、住宅市場にも影響が生じていることは認識しております。今後は都内他地区における取組などにも注目しながら、必要に応じて対応を検討してまいります。

〔保健所長水口千寿登壇〕

保健所長(水口千寿) 私からは、中野区で被害が増大している「アメリカカンザイ(乾材)シロアリ」対策についてお答えいたします。まず、被害状況の把握と区の取組についてですが、区民からの相談や民間駆除業者からの情報提供により、区内の一部地域に集中して被害が発生していることを把握しており、様々な予防・駆除方法に関して複数の民間駆除業者からの聞き取りを行っています。

 次に、区民への情報提供と啓発活動についてですが、現在、複数の民間駆除業者から収集した情報を基に、来春の羽アリ発生時期に合わせて被害の兆候である糞や糞孔の特徴を写真で示し、自身で被害発生の可否をチェックできるような注意喚起のチラシを作成し、アメリカ乾材シロアリの発生エリアを中心とした特定の区域に対し各戸配付することを検討しています。

 次に、高齢者世帯への支援についてですが、高齢者の見守り活動は主に町会や民生委員が行っており、シロアリ対策の注意喚起は連携して行っていきます。また、認知機能に問題があり、持家の場合、害虫駆除業者を装った詐欺被害も想定されることから、アウトリーチチームが直接注意喚起を行うなど、個別に対応してまいります。

 アメリカ乾材シロアリに係る支援策については、効果的な事例を研究していきます。

 次に、専門業者との連携体制についてですが、アメリカ乾材シロアリに対しては、確立した駆除方法や予防法がないことから、一般社団法人関東しろあり対策協会などの専門団体を相談先として案内しています。区民は紹介した複数の駆除業者から直接説明を受け、選択肢の中から御自身が納得した方法を選んでいただいております。現時点では、無料診断キャンペーンの実施については考えていません。

 次に、外国人との共生に向けた課題についてのうち、無許可無届施設に係る不法投棄のごみ等への対応についてですが、無許可無届施設の宿泊客が不法投棄したごみは、営業者を特定するための調査を行い、旅館業の許可、もしくは住宅宿泊事業の届出をするよう指導しています。併せて現地の状況を確認し、騒音やごみの適正な廃棄についても指導を行っています。今後、宿泊客がルールを理解し、騒音やごみの放置等のトラブルを防止することができるよう、改善してまいります。

 次に、無許可無届施設の取締まりについてですが、民泊は届出制であり、届出のない施設については区として情報を得る手段がありませんが、主に区民等からの相談や苦情によって保健所に届出等がない施設であることが判明した場合には、必要に応じて関連部署が連携して施設等の調査を進め、営業者を指導しております。営業者に対して、届出義務等民泊の制度を周知する効果的な方法を検討し、改善してまいります。

〔大内しんご議員登壇〕

○30番(大内しんご) 再質問させていただきます。

 アメリカ乾材シロアリの高齢者世帯への支援について、費用の一部を補助する制度など、支援策を検討すべきではないかと言ったんですけど、何かお答えがよく分からなかったのですが。今、出していないのは分かっています。これから検討するべきではないかと言ったんですけれども、その答えがよく分かりませんでした。

 また、事業者と連携を取って無料診断キャンペーンの実施というのは、当然業者にも協力してもらって、そういった心配のあるところにはやってみたらと、ちょっともう一度そこら辺の答弁をお願いします。要はそういうのを検討してみたらどうかといって、今やっていませんという答えではなくて、これからそういうのを検討したらどうですかと言っているんです。もう一度、お答えをお願いします。

〔保健所長水口千寿登壇〕

○保健所長(水口千寿) 大内しんご議員の再質問について、お答えいたします。

 まず、アメリカ乾材シロアリに対する高齢者への支援策については、効果的な事例について、今後、研究してまいります。

 また、無料診断キャンペーンの実施については、繰り返しの御答弁にはなりますが、現在のところ、実施については考えておりません。

○議長(森たかゆき) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 山 本 たかし

 1 清掃事業について

  (1)家庭ごみ有料化に対する区の考えについて

  (2)酷暑対策としての夏季手当について

  (3)採用計画について

  (4)注射針の回収について

  (5)その他

 2 障害福祉施策について

  (1)重度心身障害児への支援について

  (2)認知症対策について

  (3)障害者差別解消法における合理的な配慮の庁内体制について

  (4)その他

 3 町会・自治会活性化支援について

 4 野方1・2丁目防災まちづくりについて

 5 その他

 

○議長(森たかゆき) 次に、山本たかし議員。

〔山本たかし議員登壇〕

○39番(山本たかし) 令和7年第3回定例会におきまして、立憲・国民・ネット・無所属議員団の立場から一般質問をいたします。

 質問は通告のとおりです。その他はございません。

 1、清掃事業について。

 家庭ごみ有料化に対する区の考えについて伺います。

 東京23区清掃一部事務組合が運営する清掃工場の老朽化等で建て替えが必要になり、経費が増加しています。このため、各区ではごみの減量化が求められており、現在、区長会において対策として、古紙の工場搬入の規制・廃棄物手数料の増額・家庭ごみの有料化の一斉導入が議論されていますが、他自治体では有料化による減量効果は一時的であり、数年で鈍化したり、増量に転じるのが実情です。

 物価高騰がまだまだ収まらない中、税の二重取りとの批判もある家庭ごみ有料化は、区民負担を増やし、35年前との比較では平均給与は下がり続けるも、消費税・社会保険料・物価指数・教育費が上昇し、手取りが非常に厳しい今の社会状況にとって、さらに家計負担が増えます。また、実施他自治体の傾向として、不法投棄の増加も懸念されることから、日本国籍の区民への指導だけでなく、外国籍の区民が多く住む当区において、その方々へのルール指導の徹底には相当難しいと考えるべきです。目的であるごみの減量の継続的な効果を見込むのであれば、3Rや分別の徹底、古紙・ペットボトルのさらなる資源化対策や指導班によるきめ細かい指導とごみ減量に向けたPRの徹底が欠かせず、まずそちらの体制強化を図るべきです。また、国や企業に対して、実効性のある拡大生産者責任を求めていくことも重要です。

 伺います。家庭ごみ有料化はごみの減量には継続的な効果はないと考えますが、区の見解を伺います。

 次に、酷暑対策としての夏季手当について伺います。

 区では夏の暑さ対策として、区民活動センターなど、クールシェアスポットを48か所設置されていますが、これは清掃職員も利用できると案内されております。清掃職員は作業上どうしても制服につく収集物の臭いなどが区民に影響することを考え、御自身が遠慮されるため使いづらく、作業員には使われていないのが現実です。現場では1日に多量のペットボトル飲料を水分対策として飲んでおりますが、冷えていなくては意味がないため、都度、自動販売機やコンビニエンスストアで購入されています。

 今夏、中野区でも日中39度の酷暑とでも言うべき気温となるなど、朝から30度を超える猛暑が長く続きました。業務内容が著しく危険・不快・不健康とのことから、特殊勤務手当が700円出ておりますが、昨今の酷暑による厳し過ぎる作業環境を鑑み、兵庫県神戸市、岐阜県八尾市、群馬県高崎市では6月から9月までの夏季期間は別の手当枠を設け、増額しております。当区でも夏季における作業手当を検討すべきではないでしょうか。伺います。

 採用計画について伺います。

 清掃事業の業務は、法律・条例などの理論と現場で培った経験があって、安定した収集運搬、区民に対する普及啓発が可能となります。また、委託先である雇上会社の連絡・調整や事業系ごみ排出者指導などは継続性が必要であり、現場を把握していない行政職が行えるものではありません。また、環境学習やごみの適正排出調査指導などの普及啓発、訪問収集、中野区粗大ごみ減免手続に係る回収についても、長期的な視点や個人情報の関係から民間の下請会社が実施できるものではありません。

 併せて、災害時の災害廃棄物対応や他の自治体の災害派遣において、清掃現場の職員が必要なことから、人材と機材が不足している雇上会社の実態も踏まえた上で、職場の年齢構成や今後を見据えた人材育成の観点から、運転職、作業職の職員を計画的・継続的に採用することが重要です。

 採用人数について、21年間新規採用をしてこなかったしわ寄せが現場に回ってきており、ごみが市中にあふれる清掃クライシスとも呼ぶべき状況が近い未来起きることを大変懸念しております。

 区は、新規清掃職員について、今年度も作業職を3人採用予定で募集案内を出されましたが、現状をしのぎ、何とか回していくだけの毎年3人では現場を回す人員は足りないと考えます。技術継承には時間がかかります。この観点からも退職者の採用人数を踏まえ、必要人数の採用を行ってほしいと考えますが、見解を伺います。

 また、区は議会答弁で、「燃やすごみの収集の半分を直営職員により週1回程度実施できるよう、災害時に70人程度、運転手10人、合わせて80人強の職員を確保していく」とのことですが、災害規模や発生するエリアにもよりますが、東京または近郊在住の職員が被災した場合、職員自身・家族や地域の状況、通勤を考えた場合、80人程度が全員出勤できることはないと考えるのが冷静な思考です。災害時、必要な職員が80人程度とするなら、災害時に出勤ができない職員も想定し、平時の業務体制について改めて必要な清掃職員数を見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 退職不補充が続いている運転職については、次年度採用しなければ、再来年定年により足りなくなります。まさにぎりぎりの採用計画であり、余裕がありません。運転職を採用するにも人材不足でもあり、運転手を必要とする業界との厳しい採用競争があります。運転職を採用すべきでありませんか。答弁を求めます。

 運転手や訪問指導などでは、女性も大きく役割が果たせます。また、男女雇用機会均等の観点からも女性職員の採用を進めるべきですが、なかなか応募が厳しい状況です。性別を分けて採用することは区としてできませんが、女性職員の採用について募集の工夫はできないでしょうか。例えば東京23区清掃一部事務組合で女性職員の座談会などの記事を募集ページに載せるなど、募集案内に工夫を凝らし、積極的な広報に努めてほしいと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 令和7年第2回定例会で示された中野区区有施設整備計画(骨子)では、建築後60年で大規模改修、80年で建て替えと示されましたが、女性を含めて職員を応募している中にあって、女性の受入れ体制を整備しないことや窓口が2階であるのにエレベーターがないことは、ユニバーサルデザインの視点からも問題だと考えます。

 また、清掃事務所は、年末年始以外の期間は月曜日から土曜日まで収集作業を実施しており、区民生活を守るためには作業を止めることはできません。女性の受入体制に必要な浴槽や更衣室の設置や区民用のエレベーターの設置工事が大規模改修工事で実施できるとお考えなのか伺います。誠実な答弁を求めます。

 注射針の回収について伺います。

 区は、中野区薬剤師会に対し、在宅患者が薬局で購入し、使用した注射針の回収容器代及び処分費用の2分の1を助成しておりますが、23区では現在7区が全額補助をしております。今後も高齢化社会の進展において糖尿病患者の増加が見込まれており、針の不適正排出による収集員の感染症事故防止にも資すると考えます。

 また、近年は、重い経口栄養剤を持って帰れない高齢者も多く、医薬品のメーカー欠品も続き、高騰するガソリン代を使い、無償で配達する状況でありまして、社会状況変化の影響により人工的にも金銭的にも薬局経営を圧迫し、苦しい状況と伺いました。こうした観点から、処分費用の助成割合を増やすべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 清掃事務所では、注射針の排出方法を啓発しておりますが、区民が家庭ごみとして排出してしまう事例が後を絶ちません。家庭ごみ等の収集に当たっての感染症や針刺し事故を防止するには、薬剤の処方を行う医療機関や薬局、家庭で注射針を利用する区民へ直接啓発を行うため、清掃事務所、保健所、在宅医療を所管する地域包括ケア推進課との連携が不可欠です。さらなる連携を求めて、次の項に移ります。

 2、障害福祉施策について。

 重症心身障害児への支援について伺います。ここでは、主に特別支援学校に通うお子さんについて伺います。

 中野区では、早稲田通りから北にお住まいのお子さんは、小学校・中学校までは中野特別支援学校に通いますが、都の学区割により、高校からは練馬特別支援学校に行かなくてはなりません。場所は光が丘駅から健常者で徒歩20分の場所にあり、中野からでは大変アクセスの悪い場所にあります。練馬特別支援学校にはバス通学を希望せざるを得なくなる子も複数おり、定員もあり、また、学校は基本的に自立を促すため、希望してもバス通学には当たらないと判断されてしまう課題を抱えております。

 そうした中、学校後、放課後等デイサービスに通いたいわけですが、中野区放課後デイサービスセンターみずいろは、利用者の状況によって受け入れており、併用している民間の放デイには送迎がなく、練馬特別支援学校へ迎えに行けない事業者も多く、困る利用者が出ています。併せて当然家族の就労にも影響が出ている状況です。練馬特別支援学校に在籍している生徒は、送迎できる放課後等デイサービスが少なく、困っております。なぜ事業者にとって送迎が難しいのでしょうか。伺います。

 第3期障害児福祉計画を見ると、令和6年度の放課後等デイサービスの利用者数の見込み量が539人に対して、審議会資料を見れば、実績は631人と見込みより伸びておりますし、今後の見込みを区として60人ずつ増との見込みで計画しております。

 練馬特別支援学校に行く子たちの通学に関わる課題について、区としてできるだけ早く短期的措置・中期的対策を検討すべきと考えますが、区はどう対応を考えているのでしょうか。区の見解を伺います。

 短期入所の課題について伺います。一方、区内には障害児を受け入れる短期入所の数が少な過ぎるといった課題もあります。以前あった大和荘・弥生荘がなくなり、新規開設したやまとの杜では子どもは受け入れしておらず、現在、中野区内での受入れには大変限られております。中野区内の利用希望者は他区のショートステイに頼らざるを得ませんが、なかなか利用できないといった状況もあります。

 様々な個別の子どもに対応するためには、障害者施設がないと、併せて短期入所事業を整備することが難しいのが実情であり、区として次期区有施設整備計画において、障害児の短期入所や居場所についての整備の検討も必要だと考えますが、いかがでしょうか。区の見解を伺います。

 合わせて、子どもショートステイ事業についても伺います。現在、区では、保護者の育児疲れや仕事・入院・親族の介護などに対応するため、環境の整備や改善を図ってきております。子どもショートステイ事業実施施設の昨年度稼働率は約50%で、聖オディリアホーム乳児院が54%、中野区さつき寮が46%利用されている状況です。しかし、子どもショートステイ事業実施事業者と保護者との面談の中で利用調整を行うも、一定数利用をお断りしているケースがあるようです。現状では、医療的ケアなど、特別な対応が必要な場合だけでなく、特別支援学校の子も体制として受け入れられない判断となり、実質お断りせざるを得ない対応となってしまう実情があります。

 区ホームページに掲載されている子どもショートステイの対象児童について、「限られた職員数で事業を行うため、特別な対応が必要な場合お預かりできないことがあります」と記載されております。軽度ならと期待を持って相談し、失望するケースやそもそも相談することを諦めてしまうケースもあるのではないかと考えます。利用対象の一定の明確さを表示している区もあり、当区として、今後、改善する必要性についてどうお考えなのか、お伺いいたします。

 今年度10月から東中野において新たに開設される子育て短期支援実施独立型施設を受託する事業者は、他自治体での子どもショートステイ事業だけでなく、学童クラブや放課後の子どもの居場所事業の実績があるとのことです。発達に課題のある子の受入れの経験もあることが想定されるため、新たに開設される施設の受託事業者を含め、個々の事業者と保護者との面談での利用調整の状況について、区と各事業者間で共有するなどして、事業者によって対応に差が出ないよう、必要な見直しを適宜行い、発達に課題のある子どもが一人でも多くの受入れができるようにしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 最後に、障害福祉課では、今まさに発達支援等調査アンケートを対象児童から650人抽出し、調査するところです。回答結果や分析については、子ども・若者相談課にも共有していただき、連携を図ることを求めます。御答弁願います。

 取り巻く課題として移動支援についても伺います。先ほど申し上げた練馬特別支援学校への通学支援や放課後等デイサービスの送迎の課題を抱える子どもに対して、区は保護者から相談があれば個別に対応しているようですが、保護者たちに伺うと、区に個別に相談ができることをそもそも知らない方が多くおられました。入学前の適切な時期など、前もって工夫して周知できるよう努めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 また、移動支援の受給者証が発行されても、ヘルパーの不足や身体介護なしの子どもでは事業運営が厳しく、受けてくれる事業者がほとんどいないのが現状です。中野区で移動支援ができる人材を増やすために講習会を開催し、隙間時間などでも働ける人材を確保してはいかがでしょうか。伺います。

 認知症対策について伺います。

 団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を迎え、当事者にとっても支える家族やケアラーにとっても認知症対策がますます重要になっています。中野区認知症施策推進計画によれば、65歳以上の認知症有病者の推移については、2010年9,363人が2030年には1万3,174人の見込みです。区では平成14年から徘回高齢者の探索サービスをはじめ、これまで様々な認知症施策や介護予防にも力を入れてきました。

 2040年には日本の65歳以上の高齢者人口が全人口の約35%に達し、社会保障制度の維持が困難になるなど、深刻な社会問題が表面化すると予測されており、いわゆる2040年問題を想定する上でも、さらなる効果的な施策の実施が求められていると考えます。

 また、当事者への支援として、中野区では高齢者や障害のある方の希望者に対し、緊急通報システムを提供しています。このシステムは事業者が貸与する緊急ペンダントや見守りセンサー・火災センサーを用い、異変があった際に民間受診センターに通報が行くもので、介護度は要件とはしておりません。事業概要によれば、自己負担があるものの、令和5年と令和6年にはいずれも高齢者500人強・障害者20人との規模で利用されております。このシステムは実際の危険度が高まった際に通報が行くサービスですが、今は高齢者の見守りサービスの種類がここ数年で格段に増加・流通しており、例えばテレビのリモコンスイッチを押すことで、離れた場所に住む子どもに通知が行くことで状況を見守るスマート乾電池や、センサーにより玄関やトイレ、寝室のドアの開閉状況を検知し、アプリに送られるなど、緊急通報システムとはまた違った日常の緩やかな見守りとして、離れた場所に住みケアをする子どもから選ばれるケースが増えてきました。

 そうした中、今年度から立川市では高齢者安心見守り事業として、これまで中野区での緊急通報システムのように、あらかじめ登録された連絡先に機器を操作して緊急事態の発生を知らせるものだけでなく、機器の操作履歴等を定期的にお知らせする見守り機器などの設置費用を補助する事業を始めました。中野区としても、立川市のこの事業を参考に導入すべきではないでしょうか。

 さらに視点を加えて、我がまち中野に目を向けますと、都心部特性から親と子どもが区内に住んでいないケースも多いと考えます。この見守りサービスは、区外に離れて住む親を少しでも見守るために子ども世代が設置を希望するものと考えます。ケアする介護者としての中野区民への支援としても要件を広げ、検討してみてはいかがでしょうか。伺います。

 次に、障害者差別解消法における合理的な配慮の庁内体制について伺います。

 障害者差別解消法が改正され、令和6年4月から障害のある人への差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供の義務化が行政や事業者に向けて施行されました。ここで言う障害者とは、障害者手帳を持っている人だけではなく、身体・知的・精神障害のある方、そのほか心や体の働きに障害のある方で、障害や社会の中にあるバリアによって継続的に日常生活や社会生活に相当な制限を受けている全ての人が対象となり、負担が重過ぎない範囲で障害者の求めに応じ、合理的配慮をするものとしています。

 今夏、私宛てに家族に障害を持つ地域の方から工事業者による騒音や実施の在り方について相談を受けました。区に問い合わせましたが、電話のたらい回しに遭った上で環境課につながりましたが、対応が難しいとのことで私に相談が来ました。

 本法律の施行により、国はつなぐ窓口を設置し、行政につなぐ役割を担っております。

 障害福祉課の相談窓口において、区の障害者差別解消に関する事業者の差別や合理的配慮に関する相談は、法が施行された昨年度と今年度現在までにおいて何件相談があったのでしょうか。うち、「つなぐ窓口」経由は何件か内訳をお示しください。

 実は、今回、相談者にはこの法が施行されたことを伝え、つなぐ窓口を紹介もさせていただきましたが、つなぐ窓口では受益関係にあることが対象要件とのことで、今回の建築騒音などの場合は対象とはならず、まだまだ障害者に対する合理的配慮の達成には道半ばとも感じました。

 しかし、障害を持つ方にとっては、こうしたつなぐ窓口につながれる方はまだまだ少ないと考えます。障害を持つ方のお困り事に関しては、区のどの部署にかけても障害福祉課につながれる体制になっていなかったことは残念です。今回のわだちを経て、全庁で行政と事業者への合理的配慮が施行されたこと、内閣府のつなぐ窓口が設置されていること、区に事業者の差別や障害者の合理的配慮に関する相談が来た際は、自分の所属だけで判断することなく、障害福祉課で受けられるよう、庁内での積極的周知をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。伺って次の項に移ります。

 次に、3、町会・自治会活性化支援について伺います。

 多くの町会・自治会は、会員の高齢化とともに、地域では新しく家が建て替わる姿をよく見るも、働く層の入会は進んではおらず、とても持続可能な状態とは言えない深刻な状況にあると考えます。区として今後の町会・自治会が抱える、すぐそこに迫る運営困難に対して、もっと危機感を持ち、補助金だけの支援ではない知恵での伴走支援も積極的に取り組んでいただきたいと思います。以下、入会促進にはアナログとデジタルの両方のアプローチが必要との観点から質問いたします。

 若者の地域活動への参加を促すには、参加しやすい環境づくりが重要ですが、現状では関心を持っても、参加までのハードルが高いのが実情です。特に子育て世帯は地域との接点を持ちやすく、こうした世帯への働きかけが若者層の参加拡大にもつながると考えます。区として、子育て世帯を起点とした地域活動促進の取組を強力に推進する必要があると考えますが、区の見解を伺います。

 転入者の中には、パンフレットを窓口で配付されても、住まう単一町会がどのような活動をしているのか分からず、参加するきっかけをつかめない人が多いのではないかと思います。また、区として町会・自治会のホームページ・SNSなど、広報媒体所有の有無や防災訓練をはじめ、1年を通したイベントなどの活動を体系的に把握していないことも課題と感じます。町会の活動内容を整理し、転入者に具体的な情報を提供する仕組みが必要であると考えますが、区の見解を伺います。

 都のつながり創生財団が行っているプロボノプロジェクトは、ボランティアの方が仕事の経験やスキルを活かして、町会・自治会の課題解決を支援する事業で、区内でも既に活用している町会・自治会があると聞いております。こうした事業を区としても積極的に推進すべきであり、まずは活用事例の効果や課題を把握し、地区町連などを通じて広く紹介することで、他の団体への展開を促すことが効果的と考えますが、いかがでしょうか。

 町会・自治会では、パソコンやインターネットなどの作業を担当している方の高齢化が進み、今後の活動継続に不安を抱える団体も見受けられます。後任の育成や技術支援が必要な場面において、区が支援できる体制を整えることが重要と考えますが、区の見解を伺います。

 地域活動への参加を促すには、参加者への動機付けが重要です。その手段として、区が導入を進めるデジタル地域通貨ナカペイと連動したコミュニティポイント制度は有効であり、活動参加者にポイントを付与することで意欲向上が期待されます。商店街イベントなどでの活用事例もあり、町会・自治会でも導入すれば、担い手不足や若年層の参加促進につながると考えますが、区の考えを伺って次の項に移ります。

 4、野方1・2丁目防災まちづくりについて伺います。

 中野区内では、南台地区、平和の森公園周辺地区、そして、不燃化特区の弥生町三丁目地区、大和町地区、さらには若宮地区や上高田地区などで防災まちづくりを進めています。しかし、野方一・二丁目地区は、東京都の防災都市まちづくり推進計画において整備地域に位置付けられ、また、東京都の地域危険度測定調査でも火災危険度が高く、総合危険度5と示されているにもかかわらず、この地区の防災まちづくりは進んでおりません。このように危険度が高い野方一・二丁目地区の防災まちづくりについて、区は着手する考えはあるのか伺います。

 野方一・二丁目地区は、老朽木造住宅が密集し、東西に暗渠の通路も走っており、そういった道では1.8メートルにも満たない狭隘道路や行き止まり道路も多く、迷路のようになっているため、運転が非常にしづらいとの声も多数あります。このような地区を改善するためには、どのような防災まちづくりの手法が考えられるのか伺います。

 これまでの防災まちづくりの流れを見ると、まちづくり検討会などの設置を経て、勉強会を重ね、避難道路ネットワークの設定、まちづくり計画策定を経て、地区計画策定とおおむね進みますが、大変長期にわたります。そうした事例の中でも、地元からの発意があるケースでは、通常よりも合意形成が早く進んできました。ゆえに、本地区の防災まちづくりを取り組むに当たっては、地域の町会・自治会や防災会などと連携することが何よりも重要と考えます。今後、本地区の防災まちづくりに着手する場合には、地元町会や地域住民などへのヒアリングを経て連携する対応が急務と考えますが、いかがでしょうか。

 以上伺って、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 山本議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、清掃事業についてで、家庭ごみの有料化についてです。

 23区は清掃一部事務組合が運営する清掃工場で可燃ごみの共同処理を行っています。当面、人口増が予想される中、多くの清掃工場は改修時期を迎え、処理量が制限されるため、さらなるごみ減量が急務となっております。このため、今後、実施すべきごみ減量施策を区長会を中心に様々検討しているところでありまして、家庭ごみの有料化もその一つに挙がっております。

 中野区は、現在、「1人当たりごみ量が少ない区第3位」となっておりまして、これも日々、区民の皆さんが3Rに御協力いただいている結果でございますが、有料化する場合には区民にさらなる負担をお願いすることになります。それにより削減されるごみ量や新たにかかる経費、作業効率等を23区全体で精緻にシミュレーションし、慎重に結論を出すべき課題だと認識をしているところでございます。

 続きまして、夏季作業手当の創設についての御質問です。近年の夏季における異常な高温は、清掃業務に従事する職員にとって大きな負担となっており、熱中症等の健康被害を防止するための取組が必要であると認識をしております。現時点で夏季作業手当を創設する考えはありませんが、区においても清掃職員の安全確保のため、業務中の水分補給の徹底、空調作業服の貸与などの対応を進めているところでありまして、引き続き職員が安心して業務に従事できる環境整備に努めてまいります。

 続きまして、清掃技能職員の採用についてです。現場での技術やノウハウの継承の必要性については認識しておりまして、区全体の職員数の状況を鑑みて、清掃技能職員の採用についても検討を進めてまいります。

 次に、清掃事務所職員数の見直しについてです。清掃事業は大規模災害などの非常時における安定的な運営確保の必要性等から、一定規模の直営を維持するための人員を確保することとしております。将来的な清掃職員数の考え方を直ちに見直すことは難しいと考えておりますが、他自治体の清掃事業の体制について今後も注視してまいります。

 次に、清掃事務所運転手の採用についてです。現在、運転職につきましては、災害時等に燃やすごみの収集に必要な清掃車両台数の3分の1を直営車両で対応するための職員数を確保していくこととしております。安定的な清掃事業を確実に実施していくために、職員の退職状況等を踏まえて、今後の職員採用の必要性を検討してまいります。

 次に、女性の清掃事務所職員の採用についてです。清掃業務における女性職員の参画は、職場の多様性の確保や業務の質の向上にもつながる重要な視点であると認識をしております。清掃職員の選考では性別を限定せず実施しているところでありますが、より多くの女性にも関心を持ってもらい、就職先として選ばれるように、区の職員募集のホームページなどでの周知などについて工夫をしてまいります。

 次に、清掃事務所の大規模改修内容についてです。区有施設整備計画(骨子)では、築60年で大規模改修をした上で、80年で建て替えとしております。これを昭和43年度に建築の清掃事務所に当てはめると、改修年次は令和10年度、建て替えは令和30年度となりますが、大規模改修の前に改修による長寿命化が可能かを調査することになります。長寿命化に当たっては、女性職員受入れのための設備やエレベーターが必要だと認識しておりますが、施設上の制限もあることから、代替案も含めて今後検討してまいります。

 次に、家庭用注射針の処分費用のさらなる助成についてです。家庭用注射針をごみ集積所に出すのは危険なため、患者には針を薬局に返してもらい、医療廃棄物として回収をしています。このスキームに基づき、区は中野区薬剤師会に対し、回収容器代全額に加え、令和4年度から処分費用の半額を助成しております。区は今後も中野区薬剤師会と協働し、注射針の適正排出に向けて周知・啓発を行っていく必要がある一方、助成割合についても他区の状況を参考にしつつ、検討してまいります。

 続きまして、障害福祉施策についてです。放課後等デイサービスの送迎についてです。練馬特別支援学校は遠方に立地していることに加えて、区の北西部に放課後等デイサービス事業者が少ないことから、送迎に時間がかかり、送迎可能な事業者が限られているということでございます。引き続き事業所が少ない地域への事業所の開設を促していくほか、区外の放課後等デイサービスの利用など、放課後等デイサービスの送迎が確保できる環境を整備してまいります。

 次に、障害児の短期入所についてです。障害児の受入れ体制が整う短期入所施設や居場所については、今後のサービス利用希望者数に基づいた整備を検討しておりまして、次期基本計画や区有施設整備計画に反映してまいります。

 次に、区ホームページでの子どもショートステイ事業の対象児童の記載についてです。医療的ケア等専門的な看護や常時介護が必要な場合は利用をお断りしていることから、ホームページ等において、その旨を説明しているところであります。一方で、児童の状況によっては、施設に相談を頂いてお預かりしている場合もあります。ホームページ等での記載内容について、他区での事例も参考にしながら改善してまいります。

 次に、子どもショートステイ事業における利用調整についてです。今年度から当事業の実施事業者による連絡会を開催しておりまして、この中で各事業者の利用調整の状況を共有し、対応の見直しを促しながら、発達に課題のある児童等の受入れの拡充の可能性について各事業者と調整をしてまいります。

 次に、発達支援等調査の共有についてです。今年度実施する発達支援等調査の結果は、ショートステイを使えていない家庭の状況や要望の分析に活用するほか、障害福祉に加え、子育て支援所管とも共有をし、さらなる連携強化を図ってまいります。

 次に、移動支援についてです。移動支援事業については、保護者や本人の状況を勘案して必要と認められた場合に支給決定を行うなど、柔軟に対応しております。しかし、サービス支給の可否については、個別具体的な事情に応じて決定しておりまして、広く周知することで制度趣旨の誤解を生む可能性もあることから、慎重に対応しております。移動支援のヘルパーの人材不足に伴う確保の重要性は、区としても認識しておりまして、講習の必要性も含め、制度全体の仕組みの中で報酬体系等も含めて総合的に検討してまいります。

 続きまして、認知症のある人の見守りサービスについてです。認知症のある人の日常生活を見守る手段としては、センサーを使ったものや訪問・配食サービスなど様々あり、対象者や家族のニーズに応じて利用できるよう、地域包括支援センターなどにおいて相談支援を行っているところであります。区では、室内ライトによる安否確認を含む「あんしんすまいパック」を既に導入しておりますが、様々な機器やサービスが出てきておりまして、それぞれの有効性の把握や対象要件など、検討してまいります。

 次に、他自治体に住む家族の見守りについての御質問です。認知症の介護では家族の支援も重要でありますが、他自治体に住む親の見守りサービスへの支援は重複する場合もあり、慎重に見定めていく必要があると思います。必要に応じて他自治体の見守りサービスの情報提供や先方の地域包括支援センターと連携を図るなど、相談支援を充実させてまいります。

 次に、障害者への合理的配慮等の相談実績についての御質問です。区の障害福祉課の障害者差別解消に関する相談窓口で受けた事業者の差別や合理的配慮に関する相談の件数は、令和6年度で3件、うち、「つなぐ窓口」経由は2件でございます。令和7年度は8月末時点で0件となっております。

 次に、事業者の合理的配慮等に関する庁内周知についてです。区ではこれまで障害者差別解消法の施行による地方自治体の業務における障害者差別禁止や合理的配慮の提供について、「中野区障害者対応基本マニュアル」を作成し、全庁的に周知を図ってまいりました。今後は事業者による合理的配慮の提供が義務付けられたことを踏まえ、その内容や国も含めた相談体制、また、各課における障害者への合理的配慮に関係する事案につきましては、障害福祉課の相談窓口を御案内するように徹底してまいります。

〔地域支えあい推進部長石井大輔登壇〕

○地域支えあい推進部長(石井大輔) 私からは、町会・自治会活性化支援についての御質問にお答えいたします。

 まず、若年層の地域活動への参加促進についてでございます。これまでに2回開催いたしました「中野区つながり広場」では、若者や子育て世帯を町会活動に巻き込んだ参加事例が紹介されるなど、活発な町会の活動を知るきっかけとなっております。また、町会・自治会とPTAの交流も行われるようになってきておりまして、区ではそうした学びや交流の場づくりの支援を行ってまいります。

 次に、転入者への地域活動の周知についてでございます。区では、町会に対し、加入促進助成を行っており、加入呼びかけのチラシや啓発物品の作成のほか、誰でも参加できるイベントの開催などに活用されております。今後も町会・自治会と協力しながら、転入者を含む多様な区民が地域とつながるきっかけを得られるよう、環境整備に取り組んでまいります。

 次に、プロボノプロジェクトの推進についてでございます。プロボノプロジェクトの活用は、地域活動の担い手不足の解消や若年層の参加促進につながる可能性があると考えておりまして、今後は活用事例の効果や課題を把握した上で、地区町連などを通じて広く情報提供を行い、各団体への展開を促してまいりたいと考えております。

 次に、町会のICTの活用支援についてでございます。区では、今後、東京都の「町会・自治会デジタル化推進助成事業」などを活用し、電子回覧板やQRコード決済の導入支援を行っていく考えでございます。また、ボランティアで活動しているICTサポーターのほか、若年層やプロボノなども巻き込みながら、ICTに関する相談対応や情報提供を充実させてまいります。

 最後に、町会活動へのコミュニティポイントの導入支援についてでございます。町会活動への参加促進に向けたコミュニティポイントの活用につきましては、区としても有効な取組と認識しており、既に町会連合会に対してはナカペイ及びコミュニティポイントの概要について説明を行っております。今後は町会が防災訓練や清掃活動などにコミュニティポイント制度を導入できるよう、事業内容に応じた付与方法の検討や運用面での側面的な支援を行っていく考えでございます。

〔まちづくり推進部長角秀行登壇〕

○まちづくり推進部長(角秀行) 私からは、野方1・2丁目防災まちづくりについてお答えさせていただきます。

 本年度、区内全域に関する総合的観点から防災まちづくりの進め方について検討を行っているところでございます。この中で、隣接する平和の森公園西側地区との課題を整理しつつ、野方一・二丁目目周辺のエリアを含め、着手に向けた検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 次に、木造密集地域の防災まちづくりの手法についてでございます。本地区の防災まちづくりの手法につきましては、国や都の支援制度を活用し、避難道路整備や延焼遮断帯の形成、老朽家屋の建て替え促進、接道不良敷地の解消に向けた取組などが想定されます。また、合わせまして地区計画によるルール等を定め、地区の特性を踏まえ、良好な住環境と防災性の向上を図ることが重要と考えてございます。

 次に、地元町会・自治会と防災まちづくりを連携することについてでございます。防災まちづくりを進めるに当たって、地元町会・自治会等の住民意見や提案を踏まえ、地区内のまちづくりの進め方などを検討していく必要があると認識しております。本地区における防災まちづくりについても、地元住民組織との連携に努めてまいりたいと考えてございます。

○議長(森たかゆき) 以上で山本たかし議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 山 内 あきひろ

 1 子どもの居場所について

 2 自殺対策について

 3 その他

 

○議長(森たかゆき) 次に、山内あきひろ議員。

〔山内あきひろ議員登壇〕

○2番(山内あきひろ) 令和7年第3回定例会におきまして、自由民主党議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告のとおりで、その他はございません。

 1、子どもの居場所について。

 中野区における子どもの居場所は、子育てひろば、児童館、学童クラブ、キッズ・プラザなど、多様な形態で展開されています。このうち子育てひろばは区内に8か所設置され、多くの乳幼児親子にとって重要な居場所となっています。

 現行の整備方針は、「乳幼児親子の徒歩圏内、おおむね半径500メートル圏域」とされていますが、実際には地域人口や利用実態との乖離が見られます。その結果、人口密集地域や利用需要の高い地域では利用したくても利用できない状況が生じ、一方で、人口の少ない地域では稼働率の低下につながっています。こうした課題を踏まえ、現行の整備方針を基本としつつも、人口分布や地域特性、保育需要率などの要素を反映した、より実態に即した整備方針を導入すべきと考えますが、区の考えを伺います。

 現行の徒歩圏内基準においては、特に区境部の地域で、近隣に子育てひろばが存在せず、利用が著しく困難なエリアが見受けられます。こうした地域的空白は、乳幼児親子にとって身近な居場所の確保ができず、子育て支援の公平性にも影響を及ぼします。

 他区では、地域ニーズを的確に捉えた上で、出張型の「出張ひろば」や移動型の「移動型子育て支援車両」など、柔軟な形態による補完施策を展開し、空白地域の解消を図っています。中野区においても現行の空白地域を補完する手段として、こうした出張型・移動型サービスを導入し、地域特性やニーズに即した形で空白地域を埋めていくべきと考えますが、区の考えを伺います。

 中野区の子育てひろば事業は18館全ての児童館でも実施されており、専用の子育てひろばと合わせて現在区内26か所で展開されています。令和6年度の利用実績は延べ約19万人に達し、曜日や時間帯によっては混雑して利用しづらかったと聞いています。その結果、暑い中せっかく来ても利用や相談ができない事態が生じています。さらに乳幼児特有の感染症が流行する時期には、混雑する施設の利用控えが起こり、必要な支援機会の減少につながるおそれがあります。こうした状況を踏まえると、各施設のリアルタイム混雑状況が事前に把握できれば、利用者は混雑を避けて計画的に訪問でき、利用機会の確保や感染症リスクの低減にもつながります。

 他区では、既に乳幼児や児童が通う施設において、リアルタイム混雑表示を導入している事例があります。中野区においても各施設の混雑状況や開催有無をスマートフォンなどでリアルタイムで確認できる仕組みの導入を検討し、運営改善を図るべきと考えますが、区の考えを伺います。

 現在、中野区内には子育て関連の居場所が多数ありますが、その案内は各施設の紙媒体やウェブ情報にとどまっています。統合型GISを活用したオンラインマップも存在しますが、必要な情報に直接アクセスしづらく、利用者にとって分かりにくいのが現状です。このため、初めて利用する家庭や複数施設を比較・検討する利用者にとっては、情報収集に時間と手間がかかり、利便性が十分に確保されているとは言えません。

 利用者の利便性向上を第一に考え、区内の子育て関連の居場所を一覧化した紙媒体の作成とオンライン上で直感的かつ迅速に必要情報へアクセスできる情報提供システムの構築をすべきと考えますが、区の考えを伺います。

 次に、施設の評価基準について伺います。子育てひろばを含む地域子育て支援拠点事業については、令和6年度の利用者アンケートで「地域とのつながりができた」と回答した割合が90%を超えるなど、一定の満足度が示されています。しかし、現状では、施設ごとの評価指標が設定されていないため、例えば、沼袋の子育てひろばで発生したような事態が再び起きた場合でも、契約を打ち切るかどうかを判断する明確な基準が存在しません。このままでは事業改善や契約延長の可否を客観的に判断する仕組みが不十分なままとなります。

 そこで、各居場所の特色や運営状況を踏まえた評価指標を設定し、その結果を事業改善や契約締結の判断材料として活用すべきと考えますが、区の考えを伺います。

 次に、学童クラブの地域偏在解消について伺います。現在、中野区内には区立学童クラブが24か所、民間学童クラブが18か所、合わせて42か所設置されています。しかし、地域によっては依然として希望する学童クラブに入れない児童が発生し、通所に長距離移動を強いられるケースも見受けられます。こうした地域には、現在、閉鎖管理中の区有施設や活用可能な空き民間物件も存在しています。

 地域偏在を是正し、子どもの安全で身近な居場所を確保するためにも、これら既存施設などの有効活用を図るべきと考えますが、区の考えを伺います。伺って次の項に移ります。

 2、自殺対策について。

 令和7年6月11日に公布された改正自殺対策基本法では、子どもの自殺対策を基本理念に明記し、学校の責務を新たに規定するとともに、学校・教育委員会・児童相談所・精神保健福祉センター・医療機関・警察・民間団体等で構成する協議会の設置を可能としました。さらに自殺未遂者や遺族への支援、心の健康保持に関する教育・啓発、医療提供体制や発生回避体制の整備など、施策の拡充が盛り込まれています。

 全国的には自殺者数は平成15年をピークに減少してきましたが、令和2年以降は新型コロナウイルスの影響や社会経済環境の変化を背景に、特に若年層と女性の自殺が増加傾向にあります。中野区でも同様に令和6年の自殺者は57名で、20代が最多、40歳未満が約半数を占め、女性も増加しており、全国的傾向と一致しています。中野区としてこの要因をどう把握・分析しているか伺います。

 自殺の要因は多岐にわたり、特に若年層や女性、精神疾患を抱える人は全国的にも自殺のハイリスク層とされています。令和6年の全国自殺者は、依然として若年層と女性の割合が高い状況です。また、自殺未遂者は再企図リスクが極めて高く、初動支援の遅れが命に直結することは多くの研究や自治体事例で明らかになっています。

 改正自殺対策基本法の趣旨を踏まえると、区単独での対応にとどまらず、救急搬送や医療機関受診が区境をまたぐケースが少なくない現状に即して、近隣区との情報共有・支援連携を制度化することが不可欠です。特に未遂者への迅速なアプローチと継続的な支援を実現するためには、医療・福祉・警察等を含む広域的な連携体制の構築が必要と考えますが、区の考えを伺います。

 次に、ゲートキーパーについて伺います。中野区のゲートキーパー養成講座修了者は、これまでに累計約1,200人に達しています。しかし、近年の自殺増加傾向を踏まえると、養成者のさらなる拡充と活動の継続支援が求められています。

 命を守るためには、養成した人材が継続的に学び、地域や学校で効果的に活動できるよう、研修や情報交換の機会を確保するとともに、関係機関との連携を強化することが不可欠です。また、子どもの自殺予防には家庭の理解と関与も重要であり、教育委員会と連携して保護者に対してもゲートキーパー養成講座の周知・参加促進を図るべきと考えますが、区の考えを伺います。

 次に、PFAについて伺います。災害時は生活環境の変化や孤立、喪失体験などによって自殺リスクが高まることが知られています。国際的には初期段階での心理的支援としてPFA(心理的応急処置)が標準的に用いられており、中野区においても避難所運営マニュアル等に自殺リスク対応手順を明記し、職員や関係機関がPFAの考え方に基づく支援を行い、ハイリスク者を早期に支援につなげる仕組みを制度化すべきと考えますが、区の考えを伺います。

 以上で私の全ての質疑を終えます。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 山内議員の御質問にお答えいたします。

 私からは、自殺対策について。

 初めに、自殺者の傾向と背景要因についてです。自殺の状況については、警察庁の自殺統計や厚生労働省の人口動態統計で把握をしておりまして、全国的な傾向と同様に、区においても自殺者における若年者や女性の割合が高くなっております。全年代に共通する自殺の原因としては新型コロナウイルス感染症の流行に伴い社会経済環境が変化したこと、若年者については就学や就労の有無など、女性については雇用環境など、多種多様であると分析をしております。

 次に、広域な連携体制の構築についてです。区では、自殺対策について総合的かつ効率的な推進を図るために、学識経験者や三師会、中野・野方の両警察署、社会福祉関係者、関係行政機関で構成する中野区自殺対策審議会を設置し、幅広い視点から中野区自殺対策計画の策定や事業の評価・課題・改善点についての審議をお願いしているところであります。広域的な連携体制の構築についても課題として認識しておりまして、先進事例を参考に充実を図ってまいります。

 次に、教育委員会との連携についてでございます。子どもへの自殺対策が重要であるということは教育委員会とも共有しておりまして、今年度より一部の教職員を対象としたゲートキーパー養成講座の試行を予定しております。また、今後開催するゲートキーパー養成講座の周知・広報についても、教育委員会と連携を図っていく予定であります。

 最後に、災害時における自殺対策についてです。避難所運営マニュアルにおいて、避難所生活の長期化に伴う「災害関連死の予防」や「こころのケア」の必要性について記載をしております。区としても災害時の自殺リスクとPFAの重要性を踏まえ、避難所運営マニュアル等への対応手順の明記やPFAの実施体制の整備について、関係機関と連携して検討を進めてまいります。

〔子ども家庭支援担当部長森克久登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(森克久) 子どもの居場所についての御質問にお答えをいたします。

 まず、子育てひろばの整備方針についてでございます。子育てひろばの需要見込みにつきましては、区全体で将来人口推計や0歳から2歳の在宅率等を勘案して算出をしているところでございます。現在、子育てひろばがない沼袋地域におきまして、令和8年4月からの開設に向けて準備を進めているところでございます。それ以外の地域につきましては、今後、新たな需要や課題が発生した場合などを見定めながら、対応を検討してまいります。

 続きまして、空白地域を補完する手段についてでございます。現在、児童館及び事業者による子育てひろばがないエリアにつきましては、地域の現状やニーズを把握しまして、効果的な実施方法を検討してまいります。

 続きまして、混雑状況等を確認できる仕組みについてでございます。児童館での子育てひろばは、専用ルームにより実施しております。また、事業者による子育てひろばは、すこやか福祉センターや保育園などで実施しているところでございます。おおむね10組程度が利用できることとしておりますが、施設によって広さが違うなど、利用できる人数が異なりまして、混雑する時間帯もあるということは認識しております。現状は、施設へ問合せをして混雑状況等を確認していただくことになっておりますが、より簡易に混雑状況等が確認できる仕組みが導入できるか検討をしてまいります。

 子育て関連の居場所の一覧化についてでございます。区内には子育てひろばのほか、地域の団体が任意で実施している子育て関連の居場所もありまして、利用者にとっては全体像が分かりにくい状況となっているということは認識しております。利用者が手間なく的確に情報を得ることができるよう、子育て関連の居場所を一覧化した紙媒体と情報提供のシステム化について検討を進めてまいります。

 運営状況の評価・判断基準についてでございます。事業者による8か所の子育てひろばは利用者アンケートにより満足度を把握し、運営改善に活用しているところでございます。今後も運営状況の確認に努め、運営に重大な支障が生じ、改善が見込まれない場合などは、契約継続もしくは次年度契約締結の可否について判断すべき時期やその判断基準の設定について検討をしてまいります。

 最後に、既存施設を活用した学童クラブの設置についてでございます。現在、地域によっては他の学童クラブに空きがあるものの、希望する学童クラブの空きを待っている児童や、やむを得ず他の学区内の学童クラブに通っている児童もいるところでございます。児童や家庭が安心して学童クラブを利用できるよう、引き続き既存施設の活用を含めた効果的な対応策について検討をしてまいります。

〔山内あきひろ議員登壇〕

○2番(山内あきひろ) 再質問させていただきます。

 まず、子どもの居場所について再質問させていただきます。まず、人口分布や地域特性ということですけれども、先ほど人口が減っていく、そういった趣旨の話がございました。しかし、共働き世帯が右肩上がりで上がってきておりまして、実質的にはこれは高止まりするのではないかというふうに思います。また、人口分布の今足りない場所、また、空白地域の場所は重複した場所になります。ですので、まさに今足りなくて困っているという世帯が同じような場所で起きておりますので、より実効性のある具体的な回答を改めていただければと思います。

〔子ども家庭支援担当部長森克久登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(森克久) 山内議員の再質問にお答えをいたします。

 先ほど御答弁いたしましたとおり、子育てひろばの需要につきましては、将来の人口推計ですとか、0歳から2歳の在宅率等を勘案して算出しているところでございます。現時点におきましては、ある程度需要が満たされているというふうには考えておりますが、今後、新たな需要ですとか、課題が発生した場合につきましては、整備方針等について今後対応を検討してまいりたいと考えております。

○議長(森たかゆき) 以上で山内あきひろ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 むとう 有 子

 1 区民の生活環境悪化を防ぐまちづくりについて

  (1)住宅宿泊事業・民泊について

  (2)中野3丁目自転車駐車場について

 2 その他

 

○議長(森たかゆき) 次に、むとう有子議員。

〔むとう有子議員登壇〕

○36番(むとう有子) 区民の方からお寄せいただきました御意見を基に質疑をいたします。

 1、区民の生活環境悪化を防ぐまちづくりについて。

 中野区では、区民の生活がより豊かに快適になるよう、様々な施策が講じられておりますが、利便性やにぎわいを優先するあまり、もともと住んでいる人たちの生活環境が悪化するケースが多々あり、憂いております。

 そこで、(1)住宅宿泊事業・民泊について。昨日の武田議員や本日の大内議員の質疑と重複する部分がありますが、私からもお尋ねをいたします。

 宿泊施設を提供する旅館業は、1948年に施行された旅館業法によって規定されています。その後、何度か改正されていますが、インターネットを使った新しいビジネスモデルの出現などで、改正だけでは対応困難となりました。

 そこで、新型コロナウイルス感染症の流行でもくろみは外れましたが、東京オリンピック開催による外国人観光客の急増を視野に入れ、宿泊施設の不足や深刻化する空き家問題もあり、2018年に民泊という営業形態の宿泊提供に関する法律、住宅宿泊事業法が施行されました。この法律は、旅館業法に定める①ホテル・旅館、②簡易宿所、③下宿の三つの営業形態や国家戦略特別区域の特区民泊に当てはまらない新しい営業形態である民泊に関して規定する法律です。対象となる民泊サービスは、旅館業法の対象外となる条件として、「既存の住宅を1日単位で利用者に貸し出すもので、1年間で180日を超えない範囲で有償かつ反復継続するもの」となっています。

 本法律の施行に伴い、2018年、区は「中野区住宅宿泊事業の適切な実施の確保に関する条例」を制定しました。この条例は、「住宅宿泊事業の適正な実施を確保し、もって住宅宿泊事業の実施に起因する生活環境の悪化の防止を図ること」を目的として定めています。

 中野区では民泊を行う場合、①都市計画法に基づく用途地域のうち、第一種及び第二種低層・中高層住宅専用地域に該当する制限区域内では、宿泊可能日を金・土・日・祝日のみとしています。ただし、家主居住型の要件を満たす事業者は、区長の許可を得て、制限区域内でも平日に事業を実施することができます。②第一種住居地域、近隣商業地域や商業地域などの制限区域外は、宿泊の曜日の制限はありません。ただし、③届出をする7日前までに、周辺住民等への書面等による事前周知が必要です。制限区域内で家主不在型の民泊は、書面等による事前周知に加えて説明会が必要です。以上のような区独自ルールを設けています。

 なお、区が制限区域外とする第一種住居地域とは、住宅専用地域ではないため、住宅だけではなく、店舗や事務所、ホテルなども建築が可能ですが、良好な住環境を保護することを目的とした地域です。

 制定から7年、新型コロナウイルスによる行動規制が外れ、外国人観光客の増加に伴い、9月11日現在、制限区域外家主不在型が214件、家主居住型33件、制限区域内家主不在型は66件、家主居住型53件、合計届出施設数366件となっています。受付窓口は中野区保健所ですが、法令に基づく添付書類が提出されれば、区は受理するのみで拒否することはできません。

 法律制定の際に国は、民泊のコンセプトは「旅行者に日本各地の暮らしを体験させ、より深い交流と日本文化の理解を促すこと」と説明していました。地域によってはより深い交流ができているところもあるのかもしれませんが、中野区においては、家主居住型は23%であり、大多数である77%の旅行客は家主不在型民泊で、日本人との深い交流などなく、宿泊のみで利用しています。

 中野区の人口密度は、豊島区に次ぐ2位です。つまり狭い土地にぎっしり区民が暮らしています。中野駅周辺を除いて、幹線道路から一歩入れば、制限区域内外を問わず区民が居住しています。民泊はそもそも既存住宅ですので、隣家との距離がない上、防音設備はほとんどありません。深夜から早朝の時間帯に集団でキャリーバッグを引きずる音、玄関前で鍵をすぐに開け閉めできず、大声で話したり、たばこを吸いポイ捨てしたり、持ち込んだアルコール類や食べ物での宴会騒ぎ、さらには夜の営みとおぼしきあえぐ声まで隣家に聞こえるありさまです。そういう現状にしっかり目を向けてください。

 もちろん静かに民泊をする礼節のある旅行客もいらっしゃいますが、そもそも旅行とは日常から離れて楽しむものですから、人口密度の高い中野区では、日常生活を送る住宅との共存は無理なのではないかと私は実感を込めて主張いたします。隣家との距離のある地方と住宅密集地域である都会を同じ法律で一律に対応するのは無理があります。

 今年度4月から8月末までに区に寄せられた苦情件数は177件です。制限区域内外を問わず、家主不在型の宿泊者に対する苦情が圧倒的多数です。主な苦情内容は騒音とごみの散乱、区に対しては条例への不満です。苦情の改善がなされない場合には、営業停止期間を設けるなど、罰則規定を条例に盛り込むことを求めます。区の見解をお聞かせください。

 また、民泊施設から民泊施設までの距離の規制がないため、両隣が民泊、その上、苦情の多い家主不在型民泊に挟まれた民家もあります。両隣からの騒音とごみの問題、これを不運と一笑するわけにはまいりません。区民の生活環境悪化を防ぐためにも、例えば民泊を新設する場合には、既存の民泊から20メートル以上離れていなければ新設できないなどの距離の規制を条例に盛り込むことを求めます。区の見解をお聞かせください。

 区民の通報で発覚する無届の民泊も多数あり、区が苦労して事業者を割り出し、注意を受けてから渋々届出を行う悪質事業者もいます。無届で民泊を行った事業者の届出は受理しないという規制を条例に盛り込むことを求めます。区の見解をお聞かせください。

 23区ではどの自治体も同様の問題に頭を抱え、豊島区では年間84日ルール、墨田区では管理人常駐義務などの規制強化を検討しているとのことです。9月12日、新宿区では定期報告義務を怠った12業者に対して30日間の業務停止命令を出しました。住宅密集地域での民泊はもう飽和状態です。このままでは良好な住環境を保護することはできません。23区が一丸となり、国に住宅宿泊事業法の改正を要求し、改善がなされるまでは区の条例で規制強化を行う必要があると考えますが、届出と苦情窓口を担っている区の見解をお答えください。

 民泊事業者によると、住む家として貸すより民泊のほうがもうかるとのことで、事業者のお金もうけのためにもともと住んでいる人の生活が脅かされるのはあまりにも理不尽です。生活環境の悪化を防ぐため、民泊の規制強化を強く求めて次の質問に移ります。

 (2)中野3丁目自転車駐車場についてお尋ねをいたします。

 中野三丁目14番18に550台分の2階建て自転車駐車場を設置する計画に係る近隣住民説明会が8月に行われ、30日に傍聴いたしました。区は中野駅周辺自転車駐車場整備計画に基づき、方向別自転車駐車需要やまちづくりの進捗、交通量調査や推計を踏まえて、この場所に必要であると説明しました。もともとの計画は、拠点施設内での設置としていたものを拠点施設外に、民家に接する場所に変更しての計画なので、接する民家への説明と配慮を十分に行う必要があります。

 今回の説明会で初めて住民の方に平面図と立面図が示されました。委託を受けた設計者の説明は、自転車駐車場を利用する人の利便性ばかりに配慮し、接する住宅に暮らす人への配慮に欠けていると私は感じました。それは設計者の責任ではなく、そもそも設計を依頼した中野区に住民への配慮の視点が欠如しているためと考えます。

 24時間こうこうと明かりがともる無人の550台の自転車駐車場が家の隣にできたら、生活環境が悪化することは目に見えています。犯罪抑止には窓がたくさんあり、中がよく見え、明るく開放的、人専用の出入口が駅に近い側にあることも利用者への配慮だと思います。しかし、隣に住む人にとっては、開放的な窓からはブレーキ音など、自転車を操作する音や話し声が聞こえ、隣家もよく見え、就寝時になっても明かりが入り、配慮に欠けます。

 区民の生活環境悪化を防ぐために、管理人を置く、民家に接する南側の窓は面積を減らし、曇りガラスにし、はめ殺しにする、夜9時以降は明かりの照度を落とす、西側に建物をずらすなど、近隣住民の意見を尊重して最大限配慮をし、計画や設計、その後の運営に反映させることを強く求めます。区の見解をお聞かせください。

 区の全ての施策において、もともと住んでいる人たちの生活環境が悪化しないよう配慮する視点を持つことを強く求めるとともに、簡潔明瞭な答弁を求め、全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) むとう議員の御質問にお答えします。

 私からは、区民の生活環境悪化を防ぐまちづくりについてのうち、中野3丁目自転車駐車場について。

近隣住民の意見を尊重した計画等への反映についての御質問であります。近隣住民の生活環境を守ることが重要であるということで、区は中野三丁目自転車駐車場の施設計画について、近隣住民の方々を対象とした説明会を開催をし、御意見を伺ったところであります。説明会では、主に騒音や防犯に対する不安の声が寄せられたということです。頂いた御意見を踏まえ、反映可能な事項について、設計から運営までを担う公益財団法人自転車駐車場整備センター、こちらと共に検討を行ってまいります。

〔保健所長水口千寿登壇〕

○保健所長(水口千寿) 私からは、まず、区民の生活環境悪化を防ぐまちづくりについてで、住宅宿泊事業・民泊についてのうち、苦情改善がなされない場合の罰則についてお答えいたします。近年、民泊等に係る苦情件数は大きく増加しており、課題として捉えています。届出者の違反行為には業務改善命令や業務停止命令の規定があり、区として届出者に繰り返し指導し、これらの規定を適用することにより是正を促してまいります。効果的な改善方法については、他自治体の事例等を参考に取組を進めてまいります。

 次に、民泊の距離の規制についてですが、現在のところ、区民の生活環境悪化防止のために一律に距離の規制をすることが効果的であるかどうかは検証されておりません。国や都の政策動向や他自治体の状況を注視しながら、効果的な対応について研究を進めてまいります。

 次に、無届民泊についての規制ですが、無届の事業者が営業を継続した場合、区として届出者に対する業務改善命令を出せず、区民への悪影響が続くと考えられます。住宅宿泊事業法の立法趣旨から鑑みて、まず届出を受けて区が指導してまいります。

 住宅宿泊事業に係る国への要望についてですが、住宅宿泊事業法第15条から第17条の規定に基づき、監視・指導を行っています。ルールの整備等については、国や都の政策動向を注視しながら、都内の他自治体と協力して国への要望も含め、効果的な対応について研究を進めてまいります。

〔むとう有子議員登壇〕

○36番(むとう有子) 再質問いたします。1点、民泊について、生活環境の悪化を防ぐために、距離による規制というのはどんなに大切かということを伝えました。両隣が民泊という現状がある中で、研究しますなんて悠長なことを言っている場合ではないので、もう一度答弁を求めます。

〔保健所長水口千寿登壇〕

○保健所長(水口千寿) むとう議員への再質問にお答えいたします。

 民泊の距離の規制についてですが、繰り返しの御答弁にはなりますが、一律に距離の規制をすることが効果的であるかは、現在のところ検証されておりませんので、効果的な対応については今後も研究を進めてまいります。

○議長(森たかゆき) 以上でむとう有子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 石坂 わたる

 1 子ども・若者・子育て支援施策について

  (1)学齢期の子どもの活動と居場所について

  (2)養育家庭(里親)について

  (3)その他

 2 すべての人の生命を守る防災について

  (1)震災時の避難所について

  (2)二次避難所(福祉避難所)及び、障がい者などの避難行動要支援者等について

  (3)その他

 3 公聴・意見交換におけるワークショップについて

 4 その他

 

○議長(森たかゆき) 次に、石坂わたる議員。

〔石坂わたる議員登壇〕

○35番(石坂わたる) 質問いたします。

 1、子ども・若者・子ども施策についての(1)学齢期の子どもの活動と居場所について伺います。

 中高生機能強化型児童館(若宮児童館)、複合交流拠点内の拠点施設、区南部地域における中高生向け施設について伺います。

 自転車移動も可能な中学生に関して、画一的な機能が重複する施設が幾つも必要なのでしょうか。中高生が欲しいと声を上げても、同じ機能が複数箇所に必要とは限りません。また、子どもたちの声を反映するにしても、予備知識がない状態では思い浮かばなかったり、気付かなかったりする機能、経験してみて初めて興味が湧くようなものを提供することも大人や行政の責務だと思いますが、いかがでしょうか。併せてお答えください。

 また、施設の特徴について、例えば、以下のものが考えられます。従来のスポーツに加え、ニュースポーツやパラスポーツなど、運動が苦手な子も楽しめる機能。工芸、アート、ダンス、演劇、音楽など、芸術活動を重視する機能。囲碁や将棋など、知的ゲームを深く追求できる機能。実験、電子工作、プログラミング、バーチャル体験など、科学研究に特徴を持つ機能。創業体験、職業体験、国際交流など、将来の夢を広げることができる機能。これらの機能に加え、地域の指導者育成やコミュニティ連携機能を持たせることも考えられます。そして、教育委員会や区民部とも連携をし、中学生の部活動の地域移行や文化・国際・創業の観点からプログラムや施設を考えていくことで、施設の特徴を持たせることも必要ではないでしょうか。

 次に、中野区でも朝の小学生の預かりが検討されておりますが、そこにおける朝の食事提供について伺います。先行して今年度から実施をしている品川区では、国の調査で児童の7%が欠食しているというデータを受け、パン等を無償提供する朝食支援についても、「朝の児童の居場所」で今年度中に実施予定となっております。

 聖徳大学の小林仁美氏らの研究によると、「朝食欠食群は朝食摂取群と比較して国語の成績が有意に低く、算数の成績も低い傾向にあり、朝食の摂取の意義は非常に大きい」ことが示唆されています。中野区では昼食の給食が無償化されましたが、その分、各家庭の負担が減った金額で賄える程度でもよいので、任意で朝食の提供を行うべきではないでしょうか。

 この項の最後に、子どもや親子等の文化・芸術活動の参加費の決済手段の拡充について伺います。

 現在、区有施設の利用料の決済手段として、ナカペイの利用が検討されていますが、例えば、なかのZERO主催の「こども科学教室 夏休み実験室」をはじめ、文化施設の指定管理者における実施事業、民間による子ども育成・文化・芸術事業認定制度による実施事業、子ども・若者文化の芸術振興基金を活用した事業などにおいて、区立の施設であるなかのZEROではより早く、民間のものについても適宜を促す形で、子どもや親子で参加できるものなどについて、ナカペイで参加費の決済を可能とすべきではないでしょうか。

 (2)として、養育家庭(里親)について伺います。

 中野区に児童相談所が移管されて4年目となります。養育家庭は、家庭で生活ができない子を家庭的な環境で一時的に育てる制度です。里親と子どもが安心して生活をするため、子どもの情報や利用可能な行政サービスをしっかりと提供することが必要です。児童票の情報を里親へ提供し、利用できる行政サービス・支援を一覧できるものも作成すべきではないでしょうか。

 次に、養育家庭の子どもの生活費は公的に負担すべきですが、塾代を里親が持ち出す事例もあるようです。高校生の塾代支給は上限額が決められていますが、中学の場合と同様な実費精査にできないでしょうか。

 さらに要件を満たした法律婚をしていない単身者や同性カップルが里親となることへの心理的なハードルを下げるため、「可能である」という情報や里親の事例紹介、リーフレットの挿絵等を通じて広く知ってもらうことが必要と考えますが、いかがでしょうか。

 (3)その他で伺います。

 中野区では、区立学校の給食無償化のみならず、私立学校等についても給付金により給食費相当額を支給しており、フリースクールの場合、在籍校に時々でも通学できる可能性があれば在籍校の給食費の無償化、在籍校に通学する可能性がなくフリースクールのみに通う場合、私立学校等給付金の対象となり、フリースクールの昼食代に充てることができると思います。ただし、在籍校に行く可能性はあるものの、1年の大半はフリースクールに通っている場合、「在籍校の給食をどうすべきか」と保護者の判断が難しい場合があると思われます。フリースクールに通う子どもは、給食費相当分の給付金の対象としつつ、在籍校に行って給食を食べた場合も給食無償化の対象として給食の提供を受けられるようにしておくことが必要ではないでしょうか。

 2、すべての人の生命を守る防災について。

 (1)震災時の避難所について伺います。去年9月の猛暑の中、東京大学附属中等教育学校で行われた避難所開設訓練に参加をした際、体育館にクーラーがなく、蒸し風呂状態でした。この問題は、昨年度、危機管理対策等調査特別委員会でも指摘をしました。

 避難所となる体育館へのクーラーの設置がベストですが、区有施設でない場合は難しいと思われます。次善の策として、冷房がない施設や部屋に十分な数のスポットクーラーなどを備蓄として用意すべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。

 (2)として、二次避難所及び障がい者などの避難行動要支援者等について伺います。この項目において、1点目の質問として、障害者等避難行動要支援者参加での二次避難所、いわゆる福祉避難所の開設訓練について伺います。

 これに関しても危機管理対策等調査特別委員会等で質問を繰り返してきましたが、以前は救援救護班を担う障害福祉課と一緒に当事者参加の訓練が行われていました。当事者参加の形での二次避難所開設訓練を再開すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、災害時の避難行動支援や通常の避難所や二次避難所での生活について、避難行動要支援者が困らないようにすることが必要です。支援に当たる町会・防災会や避難所運営に関わる人向けの支援マニュアル、当事者や家族向けの受援マニュアルを作成してはどうでしょうか。

 ほかにも災害時に、障害、難病、慢性疾患などがある人について、通院・治療・投薬・処方が再開された医療機関の最新情報をSNSや避難所での掲示を通じて行うべきではないでしょうか。

 また、個々に合わせたオストメイト用のストーマなどについて、医師会や薬剤師会などと協力をし、医療機関や薬局等にローリングストックで備蓄をしてもらえないものでしょうか。

 (3)でその他として、井戸について伺います。区内の個人宅の井戸は飲用に向かない浅井戸が多いですが、銭湯(公衆浴場)の井戸は保健所が水質検査を行う深井戸です。しかし、公衆浴場は減り続けています。公衆浴場の井戸を廃業後も協定を結ぶなどし、活用していくべきではないでしょうか。

 3、公聴・意見交換におけるワークショップについて伺います。区が行う区民対象のタウンミーティングや意見交換会では、適宜ワークショップが行われています。こうしたワークショップは単なるガス抜きやブレーンストーミングで終わるべきではありません。

 多様な意見を拡散させず、現実的な制約を踏まえ、いかに問題を乗り越えるかを考えながら集約をすることが大切です。また、ワークショップでまとまった意見やアイデアについて、文字面だけでは表現し切れないものも含め、具体的な政策や設計などに活かせる形で記録・保存し、担当者に理解できるようにしておくことが必要ですが、いかがお考えでしょうか。

 そして、ワークショップを実施する各部署の職員が結果を政策に落とし込むスキルを身につけることが必要です。広聴・広報課を中心に職員研修を企画・実施したり、実際にワークショップが行われる際に会場に足を運び、その成果を確認・助言したりすべきではないでしょうか。

 質問は以上となります。前向きな答弁をお願いいたします。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 石坂議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、子ども・若者・子育て支援施策についての、学齢期の子どもの活動と居場所についてで、中高生年代向けの機能についての御質問です。中高生年代向けの機能につきましては、「当事者のニーズに対応した居場所・遊び場」及び「中高生年代の交流と社会参加の促進」といった役割を果たすため、中高生年代からのニーズの高い軽運動や音楽活動が可能な空間、おしゃべりや交流のできるロビー機能、落ち着いて学習や読書ができるコーナーなど、一定程度共通したものを各施設に設ける必要があると認識をしているところであります。実際の整備に当たっては、中高生がより具体的にイメージしやすいよう、周辺環境や他自治体の施設などの情報も提供しながら、当事者のニーズを拾い上げて検討を進め、それぞれの施設に反映してまいります。

 次に、関係所管が連携した機能等の検討についての御質問です。中高生年代向けの機能やプログラムにつきましては、文化振興や産業振興、スポーツ振興などの観点から関係所管が連携をし、当事者である中高生のニーズを踏まえながら検討を進めてまいります。

 次に、子ども・親子向け文化・芸術事業参加費のナカペイ決済導入についてでございます。スマートフォンを所有・使用していない子どもがいるなど課題はありますが、文化・芸術事業の参加に係る利便性向上策の一つとして検討してまいります。

 次に、養育家庭(里親)についてで、子どもの情報提供・手引き作成についてでございます。中野区児童相談所が里親へ子どもを委託する際は、児童養護施設と同様の詳細な情報提供を行っているところでありますが、他自治体の児童相談所から委託される子どもについても児童相談所間で緊密に連携をしてまいります。

 また、区では、個々の里親家庭と行政手続に同行するなどのサポートをきめ細かく行っているほか、今年度より事業を開始したフォスタリング機関と「里親のしおり」の内容をより分かりやすい内容に改訂を進めているところであります。

 次に、高校生の塾代補助の実費精算化ついてです。高校生の塾代補助に上限額が定められているのは、国や東京都内統一の基準であるため、中学生と同様に実費精算することを中野区のみで実施することはできませんが、実費精算にしてほしいという声があることを、機会を捉えて国や東京都へ伝えてまいります。

 次に、里親登録要件の周知についてです。里親制度推進のため、登録要件の周知につきましては、フォスタリング機関と連携し、より分かりやすい周知方法について引き続き検討してまいります。

 次に、公聴・意見交換におけるワークショップについての御質問で、ワークショップの手法についてです。区民向けの意見交換会をワークショップ形式で行う場合、グループで出た意見やアイデア等は各人が付箋に書き出し、グループ内で共有し、参加者全員向けに発表する手法を採用しております。また、職員がファシリテーターとしてグループを取りまとめ、政策につながる議論の促進や雰囲気づくりを担っております。頂いた意見やアイデアを共有し、より効果的に政策の立案や事業の改善に活かせるよう、ワークショップの記録の手法についても工夫してまいります。

 次に、ワークショップを職員に浸透させるための支援ということで、区民と区長のタウンミーティングを実施するときには、事前にワークショップの手法や心構えについて各部署と意識合わせを行い、当日の運営においてもファシリテーターを務める職員に対する助言やフォローを行っているところであります。各部署で行う意見交換会等におけるワークショップについても、実施の手引きを作成したり、職員向け研修を行うことなどで検討してまいります。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、子ども・若者・子育て支援施策についての御質問にお答えいたします。

 まず最初に、「朝の子どもの居場所づくり」における朝食提供についてでございます。「朝の子どもの居場所づくり」は、共働き家庭の増加や保護者の早朝出勤により、登校前に子どもが1人になる時間が生じる「朝の小1の壁」への対応として、子どもが安全・安心に過ごせる場を提供することを目的としており、現在のところ、朝食提供は考えておりません。

 次に、フリースクール通学者への給食費対応についてでございます。現在、私立学校等保護者支援給付金は10月1日時点で区立小・中学校に在籍していない児童・生徒や、区立学校在籍者のうち給食を喫食していない児童・生徒を対象としているところでございます。不登校やフリースクールへの給食費相当分の給付や支給方法の変更につきましては、来年度に向けて本制度の在り方を含め、検討していきたいと考えております。

〔防災危機管理担当部長吉沢健一登壇〕

○防災危機管理担当部長(吉沢健一) 私からは、すべての人の生命を守る防災について、お答えいたします。

 初めに、冷房がない施設等の冷房機器の配備についてでございます。現在、記録的な猛暑が続く中、避難所におきましては熱中症対策の強化が急務となっております。冷房設備のない施設におきましては、特に高齢者や障害者等の要配慮者が安全に過ごせる環境を確保するため、スポットクーラー等の冷房機器の配備を検討しているところでございます。

 続きまして、二次避難所の開設訓練についてです。令和6年度に実施しました震災図上訓練におきましては、療育センターアポロ園及び東京総合保健福祉センター江古田の森が参加しまして、二次避難所の開設訓練を行ったところでございます。実動訓練につきましては、二次避難所として指定されている各施設と連携の上、実施に向けて検討を進めてまいります。

 次に、支援マニュアル等の作成についてでございます。障害のある方が安心して避難所生活を送ることができるよう、必要な配慮事項を盛り込んだ「避難所運営マニュアル」を改定したところです。また、二次避難所運営マニュアルにつきましても、障害者への対応や必要な備蓄内容の記載など、関係機関と連携の上、改定作業を進めているところでございます。

 次に、災害時の医療機関情報の発信についてです。医療機関につきましては、発災後72時間以降、可能な限り通常業務の再開を図ることとしております。災害時に対応可能な医療機関の情報については、医師会等と連携の上、円滑な提供に向けて検討を進めてまいります。

 次に、オストメイト用のストーマの備蓄方法についてでございます。オストメイト用のストーマにつきましては、災害時に必要とされる方が安心して避難生活を送れることができるよう、区として備蓄を実施しているところであります。

 また、より円滑な供給体制の確保に向けまして、関係機関と連携し、ローリングストックによる備蓄の可能性も含めまして、検討を進めてまいりたいと考えております。

 最後に、廃業後も含めた公衆浴場の井戸の活用についてです。廃業後の公衆浴場に残る井戸につきましては、災害時の貴重な生活用水や飲料水の確保に資するものと考えております。このため、個人所有の井戸と同様に活用できるよう、関係団体や所有者と連携し、必要な調整を進めてまいります。

○議長(森たかゆき) 以上で石坂わたる議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 小宮山 たかし

 1 公益活動について

 2 「みなし育休」について

 3 古民家保存について

 4 その他

 

○議長(森たかゆき) 次に、小宮山たかし議員。

〔小宮山たかし議員登壇〕

○22番(小宮山たかし) 質問の前に一言言わせていただきます。決して時間が余ったからというわけではありません。

 先日、弥生町にある栄町公園の公園づくりに関するオープンハウスに行ってまいりました。現地で「何かたたき台のようなものあるんですか」と尋ねてみたところ、「全く白紙の状態なので、たたき台はありません。区民の皆さんの意見を聞いて、ゼロベースから公園をつくっていきます」というお話でした。

 私は、南はみなみ公園から北は北中野公園まで、区内全域全ての公園に足を運んだことがございます。私が区議になった14年前、中野区の公園の遊具はぼろぼろでした。酒井区政になって、区民アンケートを基に公園遊具が一新されたと思ったら、半径500メートル圏内の三つの公園に全く同じ滑り台を三つ配置するという、お粗末な事故が起きてしまったこともありました。

 そして、今、白紙の状態から、わざわざ現地まで出向いて区民の意見を聞いて、ゼロベースから公園をつくっていくという、私がかねてから愚直に訴え続けてきたことがようやく実現をした。雨垂れ石をうがつ。私の手柄とは言いませんけれども、酒井区長をはじめ、行政関係の皆様に厚く御礼を申し上げて、いつもの区政批判に入らせていただこうと思います。

 こちらのグラフは、なかの東北絆まつりの当初予算額でございます。区政批判をするのに便利なものですから、もう何度も使い回しておりますが、間もなくイベント本番を迎える大事な時期でもありますので、今回は批判めいたことは言わず、私は事実だけを申し上げておきます。

 コロナ禍を挟んだものの、酒井区政になってからなかの東北絆まつりにかける予算は右肩上がりで増えております。また、このイベントには1日100人、2日で延び200人もの職員が公務として動員をされている。さらに事務局機能も区が担っている。千葉県佐倉市には1年100万円で倉庫を借りて、そこに中野区のねぶた2基を保管している。全て事実でございます。批判をしているわけではございません。

 川島夜店市を今年プライベートで手伝っていただいた地域に飛び出す心ある職員さんが、実は1人だけ、ついに、ついに現れましたが、川島夜店市や鷺宮盆踊りを公務として手伝ってくれる職員さんは1人もいないのに、なかの東北絆まつりだけはなぜか200人もの職員さんが公務として動員をされている。お祭りの手伝いが公務だと区が言うのならば、200人来いとは言いません。そして、プライベートを犠牲にしろとも言いません。しかし、2人や3人ぐらい公務として、川島や鷺宮、あるいはその他の地域に飛び出して、地域のイベントを手伝う職員さんがいたっていいじゃないですか。

 一方で、今年度、区民の公益活動助成が全て一律に、申請額の70%しか認められなかったということがありました。申請額の70%ということですが、これはもともと3分の2しか助成されないものですから、その70%というと、総事業費の半分も認めていただけなかったということになってしまうんです。じゃあ、総事業費を減らせばいいじゃないかと思うかもしれませんが、総事業費を減らし過ぎてしまうと、それに比例して助成金額も減らされてしまう。だから、半分は自腹を切らなければならない。行くも地獄、退くも地獄。この物価高の世の中において、区の税収は増えているというのに、区民の公益活動は冷や飯を食わされている。

 冷や飯と言えば、子ども食堂です。かつて区の子ども食堂に100万円の寄附が寄せられたことがあった。区はこれ幸いと補正予算を組んで、区の予算100万円を減額し、そこにその寄附金を充当し、結局、子ども食堂の予算は1円も増えなかったということがありました。子どもたちに少しでもいいものを食べさせてあげたいという善意の寄附は、区によってうやむやにされてしまったんです。今年度、中野区の子ども食堂運営助成金は、昨年度より団体数が増えたからという理由で、希望額の8割しか助成をされませんでした。

 今、物価高によって生活に困窮する人が増えている。その一方で、日経平均株価は過去最高となり、豊かな人はどんどん豊かになっていく、貧しい人はどんどん貧しくなっていく、貧富の格差が加速度をもって開きつつあります。その社会課題を区民自らの手で少しでも解決していこうと立ち上がったのが、区民の公益活動であり、子ども食堂じゃないですか。区民や子どもたちが冷や飯を食っているその一方で、なかの東北絆まつりだけはじゃぶじゃぶと右肩上がりで予算が増えていく。

 私はなかの東北絆まつりを否定はしていません。区民の公益活動や子ども食堂、あるいは区民まつりのために、例えば1億円を使っているのであれば、なかの東北絆まつりに2,800万円使ったっていいと思うんですよ。しかし、そうじゃない。公益活動には年間2,000万円、子ども食堂には年間約250万円、にぎわいフェスタにはたった200万円。23区のほとんどの区で開催されている区民による区民のための区民まつりは、中野区には存在していない。その一方で、東北の皆さんと一部区民のためのなかの東北絆まつりにはたった2日で2,800万円。繰り返しますが、区民の公益活動に対しては1年で2,000万円しかかけていないのに、なかの東北絆まつりには2日で2,800万円、優先順位が違うんじゃないですか。

 中野区議会議員、あるいは中野区長という者は、中野区民の幸せを最優先に考えていくものじゃないんですか。世界のどこかで、日本のどこかで、東北のどこかでは困っている人がいるかもしれない。しかし、我々、この議場にいる我々は、何よりも中野区民の幸せを最優先に考えていくべきじゃないんですか。物価高で貧富の格差が開く今こそ、社会課題解決のための助成を増やすべきです。区民の公益活動助成、そして、子ども食堂運営助成の在り方を見直すべきと思いますが、いかがでしょうか。

 次の質問です。データで裏付けることはなかなか難しいそうなんですが、中野区はフリーランス、あるいは自営業で働く区民が比較的多い区なんじゃないかということを私は兼ねてから感じております。

 御存じのように、フリーランスや自営業者には育児休業制度がありませんから、第1子、あるいは上のお子さんが保育園に在園中の場合、産後8週間を過ぎても仕事復帰をしない場合、上のお子さんは保育園を退園しなければならないという決まりがございます。一方、会社員の場合、最長2年の育児休業を取ることが可能となっています。育児休業期間中は、上のお子さんは保育園に1年以上であっても、在園することが可能となっています。

 そもそも育児休業というものは、親が育児に専念できる時間を確保し、子どもの成長を支えること、仕事と育児を両立しやすい環境を整備し、労働者が安心して子育てに取り組めるようにすることなどを目的としているもので、ワークライフバランスを行政がサポートしていくことで、それが我が国最大の課題である少子化対策にもつながっていくと私は考えております。

 中野区においても、産前から産後、あるいはそれ以降の切れ目ない支援ということを、子ども・子育て支援事業計画をはじめ、いろんなところで謳っている。その中野区が育児休業制度のないフリーランスや自営業者は、産後8週間過ぎたらすぐに働けと、さもなくば上のお子さんは保育園の在園資格がなくなりますと、そういうことを区が言っている。待機児童がゼロになり、「こども誰でも通園制度」の試行を区は始めましたが、その誰でもという中にフリーランスのお子さんは入っていないんじゃないですか。フリーランスも会社員も同じ血が通った人間なんですよ。身体の仕組みは一緒なんですよ。出産も育児も等しく大変なんですよ。ましてフリーランスは、休めば休んだだけ収入が減ってしまう。そういう福利厚生においては、会社員よりもむしろフリーランスのほうが大変なんです。

 かつてまだ平成だった時代に、この問題を私が議会で取り上げたところ、「待機児童が多くいる現在の状況では難しい」というような答弁を頂きました。しかし、今、待機児童がゼロになり、「こども誰でも通園制度」の試行が始まった今、改めて杉並区のように事実上の「みなし育児休業」を設けたり、世田谷区や荒川区などのように「みなし育児休業」を制度化するなどして、フリーランスと会社員との間にある差別をなくすべきではないか。第2子以降のみなし育児休期間中の上のお子さんの保育園在園を可能にしてはどうか。区の見解を伺います。

 次の質問です。東京都の都市計画道路補助線街路第133号線では、鷺ノ宮駅南側の中杉通りの拡張が予定されています。事業の完了は令和10年を予定しているそうですが、用地買収が完了しているのは今年春の段階で19%と、幸か不幸か、予定どおりには進んでいないようです。といいますのも、白鷺のこの道路予定地上には、個人所有の中野区で唯一にして最後のかやぶき屋根の江戸時代の古民家が奇跡的に残されています。しかし、このままいくと取り壊されてしまう運命にもあるんです。戦災で多くの文化財を失ってしまった中野区にとって、この文化財的な価値は大きなものがあり、山崎家の茶室同様に後世に残していくべき文化財であると私や心ある区民は考えています。

 この質問をするに当たり、23区で区が管理している古民家について調べていただきました。全部で11区が区内にある江戸時代の古民家を区として保存・管理しているとのことでした。そのうち4区は現地保存を、7区は移築保存もしているそうです。世田谷区に至っては7軒も移築保存していますし、杉並区のように一時的に解体保存していたものを郷土資料館の建設に合わせて移築したというケースもありました。

 既に事業が始まっている都市計画道路を止めろとは言いませんが、その予定地上にある貴重な古民家を移築保存するか、あるいは解体保存をしておいて、例えばサンプラザ跡地が公園になったその暁には、そこに移築保存するとか、区立学校や保育園新築の際に有効活用するとか、将来の活用を見据えて区として保存活用をしていくべきではないでしょうか。

 以上で私の質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 小宮山議員の御質問に、私からは公益活動についてお答えいたします。

 区民公益活動助成や子ども食堂運営助成等、公益活動をしている団体への助成は、区民との協働を促進し、地域活動を活性化する上で重要なものだと考えております。今後も公益活動に対し必要な支援ができるよう、助成額については、助成申請状況等を踏まえ、適切に見積もってまいります。

〔子ども教育部長石崎公一登壇〕

○子ども教育部長(石崎公一) 私からは、「みなし育休」についての御質問にお答えいたします。

 育児休業は雇用された労働者が利用できる制度でございまして、自営業・フリーランスの方に適用されてございません。今後、「みなし育児休業」の制度化につきましては、周辺区の状況等を踏まえ、検討してまいります。

〔文化・産業振興担当部長高村和哉登壇〕

○文化・産業振興担当部長(高村和哉) 私からは、古民家保存についての、かやぶき屋根古民家の保存活用についてお答えいたします。昨年度、区が整理した「区内文化財の保存と活用の考え方」、これに基づきまして、所有者の意向を確認した上で、保存活用の在り方等につきまして検討してまいります。

○議長(森たかゆき) 以上で小宮山たかし議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後3時07分休憩

 

午後3時30分開議

○議長(森たかゆき) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 吉 田 康一郎

 1 育児支援政策について

 2 教育政策について

  (1)海外のデジタル教科書の動向と当区の今後の対応について

  (2)その他

 3 環境政策について

 4 商店街振興及び街の安全対策について

 5 23区の火葬料の高騰への対策について

 6 治水対策について

 7 その他

 

○議長(森たかゆき) 吉田康一郎議員。

〔吉田康一郎議員登壇〕

○20番(吉田康一郎) 育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会、吉田康一郎です。

 質問の順番を変更しまして、5、23区の火葬料の高騰への対策についてからお聞きをしてまいります。令和5年第3回定例会において、「行政が運営主体となる新規火葬場建設を求める陳情」が採択されました。

 火葬場は公共性が高い事業であるため、他の自治体では公営がほとんどである中、特別区では歴史的経緯から民営の火葬場が多い状況にあります。この民営の火葬場が中国資本の傘下に入って以降、火葬料の急激な値上げが続き、2020年に5万9,000円であった火葬料は、2024年6月に9万円に引き上げられました。他自治体の火葬料は、横浜市1万2,000円、千葉市6,000円、府中市、立川市、札幌市、新潟市等は、市民は無料であり、全国的に無料か1、2万円程度が一般的です。

 この状況が一向に改善されなかったばかりか、特別区内で6か所の火葬場を運営する東京博善株式会社が令和8年3月31日をもって特別区区民葬儀(以下「区民葬儀」という。)が、この取扱いをやめる旨を公表しました。

 区民葬儀とは、終戦後、「都民葬儀」として始まった区民の葬儀費用の負担軽減のため、全東京葬祭業協同組合連合会に加盟する区民葬儀取扱業者が行ってきた、区民の低所得者に対し低廉な価格で行う葬儀であります。

 この取りやめを受け、特別区は令和8年度から当面の間、23区共通の助成制度を創設します。

 まず23区の火葬料が高騰している状況について、区はどのように認識しているのか、伺います。

 次に、火葬料全体の高騰に対し、区は区民葬儀への助成制度以外にはどのような対策を講じるつもりなのか、伺います。

 そして、次に、火葬場の経営に対する区の認識について伺います。

 そもそも火葬場の経営主体については、昭和43年4月5日厚生省環境衛生局環境衛生課長通知において、「原則として市町村等の地方公共団体でなければならず、これにより難い事情がある場合であっても宗教法人、公益法人等に限ることとされてきたところである。これは墓地等の経営については、その永続性と非営利性が確保されなければいけないという趣旨によるもの」とされ、さらに昭和46年5月14日通知において、「現に墓地等の経営主体が公益法人である場合であっても、いやしくも営利事業類似の経営を行うことなく、公益目的に則って適正な経営が行われるよう関係者に対して強く指導されたい」とされています。

 現下の状況は、明らかにこの通知に反していると言わざるを得ません。火葬料を過去、あるいは他自治体と同水準の価格に抑え、区民が安心して葬儀を行うことができるようにすべきでありますが、そのためには民間の営利事業者による火葬料の値上げに、区が公費による助成制度で対応していくという対症療法で良しとするべきではありません。火葬場の適正な経営主体による適正な経営を確保するため、国に対し必要な法制度等の整備を要望するとともに、東京都に対し、例えばこの問題に関する都と特別区の協議体の設置を提案するなど、一層真剣な取組をしていくべきと考えます。

 火葬場のあるべき経営の在り方と、その在り方に向けた区の取組について伺います。

 次に、1、育児支援政策についてで、育児世帯の住宅支援について伺います。区長は「子育て先進区の実現」を公約に掲げ、区は基本計画に掲げる重点プロジェクトの中にも「子育て先進区の実現」を位置付けていますが、23区の中でも人口に占める年少人口0歳から14歳の割合が低く、0歳から9歳の転出入を見ると、転出超過の傾向が続いています。

 2024年中野区区民意識・実態調査では、転出したい世帯の転出理由として、「自分の家・土地ではないから」が最も高く、「次に家賃(地代)が高いから」となっています。転出予定先は「東京都以外(他の道府県)」が最も多い結果となっています。

 ここで質問します。近隣区も同様の傾向であるのか、区は把握しているのか、伺います。

 そして、次に、子育て世帯を定住促進するための有効な住宅政策の検討状況について伺います。

 次に、2、教育政策についてで、幼稚園の給食費支援について伺います。保育園の給食費は無償化されています。提案を続けてきましたが、保育園に比べて全体として支援額の少ない幼稚園についても、給食費相当額の無償化を行うべきだと考えています。

 本年9月12日現在、23区のうち私立幼稚園の給食費について、所得制限なしで全員を補助対象にしている区は4区となりました。ここまでいかないまでも、対象者または金額を上乗せしている区は13区に上っています。中野区は国基準の補助しか行っておらず、今の段階で子育て中進区となっております。

 小・中学校の給食費の無償化については、最後の2区まで残りました。私立幼稚園の給食費についても、最後の2区になるまで国基準の補助以上の支援をしないのか、伺います。

 次に、海外のデジタル教科書の動向と当区の今後の対応について伺います。海外及び日本の研究者がデジタル教科書使用の弊害について、研究論文をまとめ、発表しています。これらの論文では、「言語理解の深化」や「記憶の定着率」などにデジタル教科書のほうが弊害があるとの報告があります。

 デジタル教科書の導入の最先進国であったスウェーデンは、政権交代もあり、政策を完全に転換し、脱デジタル化、紙の教科書に戻しています。フィンランドでも同様の動きが出ています。こうした研究報告や国の教育施策の変化に対する中野区の認識を伺います。

 次に、区立学校にデジタル教科書が導入されていますが、今後、メリットばかりに注目して推進をしていくのではなく、その弊害についても確認しながら、活用の在り方について慎重に考えていくべきだと考えます。最新の知見、海外の動向を踏まえながら、検証や検討していくべきと考えますが、区の見解を伺います。

 次に、4、商店街振興及び街の安全対策について伺います。商店街の街路灯について、区は、街路灯の電灯料助成について、今年度から定額制から定率制に変更しました。中野区商店街連合会及び中野区商店街振興組合連合会から令和7年度要望書が提出されておりますが、その中に「電気代の高騰等による負担増についての不安の声」が上がっています。区は、この声をどのように受け止めているのか。補助率の引上げなど、商店街の負担を減らす方策を検討すべきと考えますが、見解を伺います。

 また、安全対策としての街路灯の点検・補修をする際には、東京都の補助金や中野区商店街街路灯等の残置灯修繕助成金を活用できますが、これらの補助金を活用しても、零細な商店街にとって負担が大きく、商店街の解散も続いています。都補助金への上乗せ補助、区の補助金の補助率や上限額の引上げ等を行うべきと考えますが、見解を伺います。

 次に、7、その他で、区政100周年事業について伺います。2032年には中野区制施行100周年を迎えます。100年史の編さんや記念事業の実施等の準備にもう本腰を入れて取り組む段階、時期に入っていると考えます。全庁的な体制を早期に整備し、準備に着手していく必要があると考えますが、見解を伺います。

 そして、時間が来ておりますが、3、環境政策についてで、酷暑対策について伺います。今年、史上最高の猛暑、酷暑になりましたと、この説明は割愛をしまして、東京都の酷暑は、地球温暖化に伴う気候変動とヒートアイランド現象の複合的な要因によるものと考えられ、来年以降も同様の傾向が続く可能性があります。

 この暑熱対策について、改正気候変動適応法に基づいて様々な施策を進めていくものと考えますが、私から申し上げたいのは、何か区民に対してやっている感を見せるために、費用対効果の低い事業を拙速に進めるということのないようにしていただきたい。腰を据えて取り組んでいただきたいのは、グリーンインフラ整備という基本的な考え方に基づいて暑くなることを前提に、それに対処するのではなくて、なるべく暑くならないようなまちづくりを進めるということであります。

 国土交通省は、令和5年9月に改訂し、新たなグリーンインフラ推進戦略を策定しています。こうした国の考え方を中野区としても十分に踏まえて暑熱対策に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

 他の質問もございますが、答弁の時間を考えて、ここで質問を切り上げさせていただきます。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 吉田議員の御質問にお答えいたします。

 育児支援政策についてで、子育て世帯の定住促進に資する住宅政策についてです。子育て世帯の入居機会の拡大を図るため、区営住宅の入居者募集において、今年度から子育て世帯への優遇倍率を設定する優遇措置を実施したところであります。また、子世帯とその親世帯が区内で新たに近居または同居する際の多世代近居助成や、子育て世帯が区内に転居する際の次世代育成転居助成など、他区の先進事例を参考に、子育て世帯の定住促進に資する新たな住宅政策を検討してまいりたいと考えております。

 転出超過について、近隣区も同様な傾向であると承知をしておりますが、住宅施策を検討する上で参照してまいりたいと考えております。

 私からもう一点、教育政策についてで、幼稚園の給食費の補助についてでございます。区では、現在、国の制度に基づいて第3子や低所得者世帯の児童の幼稚園における給食費のうち、副食費について補助を行っているところであります。幼稚園では、自園調理や弁当給食のように、幼稚園で提供する場合や家庭から弁当を持参する場合など、保護者の負担の状況も様々であります。国や東京都の状況、近隣区や幼稚園での保護者負担の状況など、総合的に判断して、今後、検討してまいります。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、教育政策についての御質問にお答えいたします。

 最初に、デジタル教科書使用の弊害に関する中野区の認識についてでございます。東京大学の酒井教授のデジタルと紙とを比較した研究結果は、承認しているところでございます。海外では、韓国のように積極的に導入して成果を上げている国がある一方で、スウェーデンのように慎重な姿勢を取っている国もあり、導入の在り方は国によって様々であると認識しております。

 次に、デジタル教科書の弊害と今後の活用の在り方についてでございます。デジタル教科書の導入に当たっては、文部科学省が学習の定着度や集中力・健康面への影響などを検証しながら活用の在り方を検討しております。中野区としても、こうした国の動向や専門機関による研究成果を注視しつつ、デジタル教科書の利点と課題を総合的に評価し、引き続き研究を進めてまいります。

〔健康福祉部長杉本兼太郎登壇〕

○健康福祉部長(杉本兼太郎) 私からは、23区の火葬料の高騰への対策についてで、火葬料対策と国等への要望についての御質問にお答えいたします。

 特別区の区域は、ほかの地域に比べて火葬料が高額であると認識をしております。特別区では、これまでも必要に応じて、特別区内で火葬場を経営する民間企業に対して適正な火葬場の経営・管理について要請し、墓地、埋葬等に関する法律第18条の規定に基づく検査等を実施してまいりました。また、昨年8月には特別区長会として、厚生労働大臣に対して「火葬場の経営主体の如何にかかわらず、引き続き、火葬場経営の永続性・非営利性が確保されるよう」要望したところでございます。

 今後も、特別区の区域における火葬場の在り方について、引き続き検討していくとともに、必要に応じて国等への要請等を行ってまいります。

〔文化・産業振興担当部長高村和哉登壇〕

○文化・産業振興担当部長(高村和哉) 私からは、商店街振興及び街の安全対策についての御質問のうち、まず商店街の負担を軽減する方策について、お答えします。

 街路灯の補助を定額制から定率制に変更したことで負担が増える商店街も一部あることから、令和7年度においては激変緩和措置を設けるとともに、街路灯の維持が難しい商店街に対しては、撤去に関する補助を拡充したところでございます。こうしたことから、補助率の引上げなどは考えていないところでございますが、商店街への支援につきましては、今後もエネルギー価格の推移など、社会経済状況を見極めつつ、必要な取組を検討してまいります。

 私から最後に、商店街街路灯維持管理に係る区独自補助の見直しについてでございます。区は、都の補助対象とならない小破修繕に対して、道路交通の安全確保と犯罪の防止等に資することを目的として、令和4年度から区独自の補助制度を設け、街路灯の維持管理に係る支援を行っているところでございます。利用実績やニーズ等を踏まえながら、補助率等について検討してまいります。

〔総務部長濵口求登壇〕

○総務部長(濵口求) 私からは、その他の御質問で、区制施行100周年について、お答えいたします。

 令和14年には中野区制施行100周年を迎えます。今後、中野区の歴史の記録を含め、100周年事業の検討の開始時期や実施内容、体制、手法等について調整を進めてまいります。

○議長(森たかゆき) 質問時間は終了しております。答弁は結構です。

 以上で吉田康一郎議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 立 石 り お

 1 持続可能な財政運営について

 2 未来を見据えた教育について

 3 保育園への児童発達支援施設の併設について

 4 その他

 

○議長(森たかゆき) 次に、立石りお議員。

〔立石りお議員登壇〕

○21番(立石りお) 令和7年第3回定例会において一般質問いたします。

 初めに、1、持続可能な財政運営について伺います。中野区は、区有施設の更新に関して、長寿命化が可能と判断される施設については、建築後80年まで延命する方針を示しています。その結果、直近でかかる予定だった施設更新費は減少します。しかし、2050年頃の特定の時期に建て替えと大規模改修が集中して発生することになります。このピークをその時々の税収のみで賄おうとした場合、将来世代へ大きな財政負担を強いることになります。この費用発生の波を「基金」や「起債」を戦略的に活用することで平準化し、長期的に安定した財政運営を実現しなくてはなりません。今回示された「財政運営の考え方における減価償却費に基づいた基金積立の考え方」では実態に合わない積立であり、負担を平準化する仕組みにはなっていません。

 現状の中野区区有施設整備計画では、「今後概ね20年間を見据え、新築・改築・大規模改修等の施設を対象に検討を行う」としておりますが、長寿命化を行うのであれば、30年以上の視点で作成すべきと考えます。人口動態や経済状態の変動シナリオを考慮した30年程度の超長期財政推計を毎年作成し、将来の財政負担についての議論の基礎とすべきです。将来的には現在の財政運営から脱却し、必要な積立をどのように行うべきか定める必要があります。いつから将来の財政負担に備えた積立を始めるおつもりか、具体的な見解をお聞かせください。

 また、建て替えのピーク時に起債発行を集中させ、単年度の負担急増を抑制する長期計画の策定が必要です。現在は金利上昇局面であることもあり、平時は起債発行を抑制し、常に発行余力を確保しておく戦略が不可欠であります。

 また、長寿命化を実現するためには、事後的な修繕から計画的な予防保全が不可欠です。計画的な予防保全は、施設の劣化が軽微な段階で補修を行うことで、結果的にライフサイクルコストを縮減し、トータルでの財政負担を軽減する効果があります。予防保全型管理を徹底するための体制強化と必要な予算を継続的に確保する仕組みについて、区の見解を伺います。

 長期的には中野区も人口減少に陥るため、人口推計などを踏まえ、人口動態や区民ニーズの変化を的確に捉え、施設の統廃合や複合化・多機能化を通じた施設面積を圧縮していくことが不可欠となります。施設の統廃合や複合化による総面積の縮小にどのように取り組む方針でしょうか。具体的な目標やロードマップをお示しください。

 2050年頃に建て替えが重なることにより多額の更新費用が必要になります。負担の平準化をどのように進めるつもりか、伺います。

 令和8年度の予算編成方針の中で、事業計画を立てる際は、事業期間を見定め、政策的位置付け、戦略的展開や事業効果、事業実施に伴うリスクを明確にした上で、予算(投入資源)をかけるだけの効果(アウトプット)が得られるかなど、エビデンスベースでの計画作成を必須としております。エビデンスベースの予算編成はこれまでも行ってきたという認識ですが、昨年までの取組との違いがあれば、お答えください。

 続いて、2、未来を見据えた教育についてです。昨今、生成AIの進化が目覚ましく、社会構造や働き方に不可逆的な変化をもたらしています。今の子どもたちが社会に出る頃には、従来のホワイトカラー業務の多くが生成AIに代替され、新卒採用後の長期育成を前提とした「修行期間」といった概念は過去ものとなります。

 これからの時代は生成AIをツールとして使いこなし、いかに高い付加価値と成果を生み出すか、そして、人間ならではの創造性や自ら問いを立てる力が問われてきます。こうした未来を見据え、教育の在り方を早急にアップデートすることが求められております。令和5年第2回定例会で教育現場での生成AIの活用を求めてきましたが、現状ではあまりまだ活用が進んでおりません。活用が遅れることでどんどん子どもたちは時代から取り残されてしまいます。こうした先進的な教育を実効性あるものとするためには、指導に当たる教員の役割が極めて重要となります。しかし、多忙な教員が新たなスキルを習得し、日々の授業をアップデートしていくことは容易ではなく、指導力の向上と負担軽減を両立させる視点が不可欠です。したがって、子どもたちの生成AI教育を推進する前提として、まず、教員自身が積極的に生成AIを活用できるよう環境整備することが先決であると考えます。

 文部科学省のガイドラインにおいても、生成AIは校務の効率化に資するツールとして有効とされています。既に先進自治体が取り組んでいる事例として、各種お便り、通知文、挨拶文などのドラフト作成などの文書作成の効率化、授業のアイデア出し、小テストやワークシートのたたき台作成、英会話スクリプト案の作成など、教材研究・授業準備、また、研修や会議の音声データからの議事録作成など、情報収集と整理などで活用されています。無料で使えるものもありますので、費用対効果を検証した上で、中野区においても教員が授業準備や校務において生成AIを活用できるよう早急に環境整備するべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、これと合わせて教員のリテラシー向上も不可欠であるため、全教員を対象とした体系的な研修プログラムを行ってはどうでしょうか。見解を伺います。

 教員の環境整備とリテラシー教育が整った上で、子どもたちへの生成AI教育を段階的に推進すべきと考えます。文部科学省のガイドラインでは、学校管理者が許可をすれば、児童・生徒も生成AIを利用できることになっています。適切な準備と指導体制の下、中野区でも使用の許可を検討すべきです。生成AIには13歳以上など、年齢制限があるサービスもあります。そういった場合には、小学校段階では児童の発達段階を考慮し、教師が介在する形で児童が直接AIに触れない運用など、慎重な対応がなされており、これは現段階における適切な配慮と評価できます。

 他の自治体の公立学校でも様々な先進事例があります。例えば生成AIが生成した「誤りを含む出力」をあえて教材として使って情報の真偽を確かめる重要性や、AIの限界に気付かせる情報モラル教育や、学級活動で学芸会の劇の台本を制作する際、児童のアイデアを基に生成AIに台本作成を補助させ、最終的に児童たちがオリジナル作品を仕上げるなど、創造活動の補助として活用しています。中野区としても区立小学校で教師を介した生成AIの活用を進めてはどうでしょうか。見解を伺います。

 中学校段階では、情報活用能力やデジタル社会における責任ある行動規範を育成する上で極めて重要な時期であると考えます。AIネイティブ世代が将来の社会でその能力を最大限発揮するためには、GIGAスクール構想によって整備された一人一台端末という環境を最大限に活用し、早期から体系的な教育を提供することが不可欠です。

 具体的にはAIの出力には誤情報(ハルシネーション)や偏見が含まれる可能性があり、著作権侵害、個人情報の漏洩等のリスクも伴います。また、ディープフェイクなど、悪意ある利用への対策や安易な利用による思考力の低下・依存のリスクも考慮しなくてはなりません。これらを正しく理解し、情報を批判的に吟味する力(クリティカルシンキング)を養うことは、AIを安全かつ責任ある形で利用するための基盤が必要です。

 同時にAIを学習支援ツールとして実践的に使いこなす「活用能力」の育成も不可欠です。情報収集やアイデアの創出、文書作成といった場面でAIから的確な回答を引き出すための指示や問いの技術、すなわち「プロンプトエンジニアリング」の基礎を学ぶことは、AIネイティブ世代にとって必須の素養となります。生成AIを探求学習のパートナーとして活用する視点を養う必要があります。

 中学校の先進事例としては、英語の授業で生徒が作成した英作文を生成AIでブラッシュアップしたり、AIを相手に英会話の練習を行ったりしています。また、総合的な学習の時間で生徒が執筆した小説の校正や講評を生成AIに依頼し、作品の品質向上に取り組んだりもしています。中学生に対する生成AIのリテラシー教育や活用方法の指導を早期に導入すべきと考えます。見解を伺います。

 最後に、3、保育園への児童発達支援施設の併設についてです。近年、中野区においても発達に支援を必要とするお子さんは増加傾向にあります。早期に適切な支援につなげることは極めて重要ですが、現状の支援体制には課題もあります。お子さんが保育園と別の場所にある児童発達支援事業所の両方を利用するなど、「並行通園」をされている保護者がいらっしゃいます。保護者は保育園を早退・中抜けし、療育施設へ送迎をしなくてはなりません。この負担は保護者の安定した就労継続を妨げる要因となっています。

 この構造的な課題を解決する鍵が認可・認証保育園への「児童発達支援事業の併設」です。併設により、送迎を行う保護者の負担は劇的に軽減し、安心して働き続けられることが可能になります。子どもは慣れ親しんだ環境で移動することなく、専門的な療育が受けられます。さらに、保育士と療育の専門職が日常的に連携することで、「保育と療育の一体化」が実現し、支援の質は向上します。

 さらに重要な視点は、インクルーシブな環境の実現です。障害の有無にとらわれず、全ての子どもが同じ場で共に過ごし、多様性を尊重し合う経験は将来の共生社会の基盤となります。実際に中野区内の認可保育園から児童発達支援を併設したいと私のところにも相談が来ております。まだ中野区では事例がありませんので、必要な条件や手続なども分かりにくい状況です。国や東京都も施設のトイレや出入口の兼用を認めるなど、規制を緩和しており、こういった施設を誘導していく方針であります。

 しかし、現状では事業者が併設を進む上での多くのハードルが存在します。例えば施設改修に関わる基準の複雑さや初期コストの負担、専門人材の確保の難しさ、煩雑な行政手続などが挙げられます。国の障害児受入促進事業などを活用し、改修費用などを補助する支援メニューや複雑な申請手続をワンストップでサポートする相談体制の構築が必要です。

 保育と療育の一体化は、子ども・保護者にとってもメリットのある取組で、保育園の定員割れ対策としての活用も考えられます。中野区として保育園に児童発達支援を併設する必要性についてどのように認識しているのか、伺います。

 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 立石議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、持続可能な財政運営についてで、将来の財政負担に備えた基金積立についてです。近年顕著である物価高騰や今後の施設整備スケジュール、整備経費を勘案し、今回、財政運営の考え方における基金活用の考え方を見直したものであります。基本計画や区有施設整備計画など、主要な計画と合わせて整理をしておりまして、計画的な基金の積立と併せて計画的な起債を行うことで、将来の施設整備にも対応していると考えているところであります。

 次に、施設保全に係る体制の強化と財源の確保についてです。過去の改修履歴や劣化状況などから予防保全を進めているところでありますが、今後は更新・保全が必要な区有施設が増加することが見込まれるということで、保全に係る計画を策定することを考えております。保全計画策定後の組織体制については、保全に係る計画と併せて今後検討を進めるとともに、計画的な基金への積立を行ってまいります。

 次に、延床面積に係る数値目標やロードマップについてです。区有施設整備計画(骨子)でお示ししているとおり、長期的には区の人口が減少に転じ、人口構成も変化していくことから、区有施設の見直しや再編に係る検討を進める必要があります。次期区有施設整備計画において、延床面積の削減に係る削減目標など、具体的な数値を示すことは予定しておりませんが、各施設の整備計画を事前共有し、計画策定後も施設の集約化・複合化等について、引き続き検討してまいります。

 次に、区有施設整備に係る負担の平準化について、区有施設に係る目標耐用年数を60年から80年に変更したことによって、施設更新経費のピークは概ね30年程度先となることを見込んでおります。区の人口が減少に転じることも踏まえ、区有施設の集約化や複合化など、総延床面積の縮減について検討を進めます。

 次に、令和8年度予算編成方針の特徴についてです。令和8年度予算編成方針において、「事業計画を立てる際は、期間、政策的位置付け、戦略的展開や効果、実施に伴うリスクを明確にした上で、予算に対する効果、統計や業務データ等の収集・分析と事前の庁内調整を踏まえた、エビデンス・ベースでの計画作成を必須とすること」と明記をしたところであります。

 事業の有効性や実効性といった目標が明確になることで、効果検証時に実績と比較が可能となり、既存事業の廃止、統合、縮小といった見直しが推進され、歳出の抑制及び効果的・効率的な政策実行につながると考えております。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、未来を見据えた教育についての御質問にお答えいたします。

 最初に、教員の生成AI活用の環境整備と研修についてでございます。生成AIの導入に当たりましては、現在、教員及び生徒に配布しているタブレット端末で利用できるように検討してまいります。また、生成AIを効果的に活用するためには、教職員に対する生成AIの使い方や特徴などを理解するための研修を実施する必要があると考えております。

 次に、小学校段階の生成AIの利活用についてでございます。小学校段階における生成AIの利活用につきましては、文部科学省のガイドラインに沿って児童の発達段階や安全性に十分配慮した上で、他自治体の活用方法を参考に、教員を介した生成AIの利活用の在り方を検討してまいります。

 最後に、中学生の生成AIに関する教育の導入についてでございます。現在、第二中学校が東京都の指定を受けて、生成AIの利活用を含む「デジタルを活用したこれからの学び」に関する研究を進めております。今後は同校の研究成果を踏まえ、他校においても生成AIのリテラシーに関する教育や効果的な活用指導の導入について、検討してまいります。

〔健康福祉部長杉本兼太郎登壇〕

○健康福祉部長(杉本兼太郎) 私からは、保育園への児童発達支援事業の併設についての御質問にお答えいたします。

 保育園と児童発達支援事業が連携することで、子ども同士の自然な交流が生まれ、障害のある子もない子も共に育つ環境を整えることが可能となります。また、保育士や療育スタッフが互いに学び合うことは、専門性の向上につながるものと認識してございます。

 保育園と児童発達支援事業が連携したインクルーシブ保育について、施設整備や人材確保などを含めて、他自治体の事例も踏まえ検討してまいります。

○議長(森たかゆき) 以上で立石りお議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 斉 藤 けいた

 1 犬と共生するまちづくりについて

 2 外国人施策の課題と展望について

 3 人材マネジメントについて

 4 その他

 

○議長(森たかゆき) 次に、斉藤けいた議員。

〔斉藤けいた議員登壇〕

○6番(斉藤けいた) 令和7年第3回定例会、日本維新の会の立場から一般質問を行います。

 質問は通告どおり、その他はございません。

 1、犬と共生するまちづくりについて。犬は多くの区民にとって家族であり、ペットとの共生環境整備は安心な暮らしや地域のつながりを支える重要課題です。ドックランは健康やしつけ、飼い主同士の交流、防災協力にも寄与しますが、区内の常設は平和の森公園のみであり、身近に利用できる場所を望む声も少なくありません。課題と今後の方向性について伺います。

 南部や西部の区民からは利用しにくいとの声が寄せられています。新たな区有施設整備計画において、今後の活用方針を検討している未利用施設について、公園としての活用を進める場合には、区民ニーズを把握した上でドックラン設置を視野に入れるべきだと考えますが、区の見解を伺います。

 公園再整備計画に基づき、ドックランも民間事業者や地域団体との協働で進めていくべきだと考えます。区は運営における民間活力の導入をどのように考えているのか、伺います。

 例えば港区では区が制度を整え、民間の指定管理者が日常管理を行い、さらにボランティア募集をし、清掃やマナー啓発、イベント運営に関わる三層体制により持続的な運営を実現しています。こうした官民連携モデルを中野区としても参考にできないか、伺います。

 ドックランは犬の運動やマナー向上にとどまらず、飼い主同士の交流を促し、地域コミュニティの形成にもつながります。こうしたつながりは災害時におけるペットの避難や協力体制の円滑化にも資すると考えますが、区の見解を伺います。

 災害時の連携に関連して伺います。私はこれまで災害時におけるペットの受入体制の必要性を指摘し、区と区内動物専門学校が協定を結び、災害時のペット受入拠点として活用するよう提案をしてきました。現在の進捗状況について伺います。

 犬は区民にとって家族であり、ドックランは健康や交流、防災連携に資する基盤です。地域バランスを踏まえた新設や民間活力の活用、防災協定の強化を進め、区が「人と犬が安心して暮らせるまち」を実現するよう求めます。

 2、外国人施策の課題と展望について。外国人観光客や住民の増加は多様性をもたらす一方で、ごみ投棄や民泊、教育現場の負担など、区民生活に直結する課題も伴っています。中野区でも外国籍住民は約2万6,000人に達し、年々増加しています。こうした現実に対応するには、国任せではなく、地域の実情に即した改善を区が主体的に示すことが不可欠です。

 外国人住民の増加に伴い、ごみ投棄ルールの徹底不足が課題となっています。区ではごみ分別アプリの多言語化を進めるとともに、集合住宅や集積所に二次元コード付案内板を設置し、利用しやすい環境整備を進めています。しかし、現状では全てが二次元コード付きに差し替えられておらず、早急な対応が必要です。さらに外国人住民が転入や在留登録を行う際には、多言語版のごみ分別リーフレットを配布し、初期段階からの周知の強化をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、今定例会で他の議員からも取り上げられている民泊の問題について、私からも1問伺います。旅館業及び住宅宿泊事業を含む開設相談件数は、令和5年度の576件から令和6年度は3,335件へと増加、苦情対応件数も令和5年度の34件から令和6年度は196件に増えています。令和7年度からは住宅宿泊事業として集計をしており、8月31日時点で開設相談件数は622件、苦情対応件数は177件に達し、区民にとって大きな不安の要因となっております。営業日数の制限があっても、現場での確認には限界があり、適正事業者と違法・迷惑事業者の線引きを明確にしなければ、地域の安心・安全は守れません。

 そこで、区は、ごみ出し、防災ルールの多言語対応の義務化、苦情の多い事業者への営業停止や届出抹消の制度化、区域、形態を問わず、近隣住民への事前説明の義務化といった規制強化を進めるべきだと考えますが、区の見解を伺います。

 外国籍住民の増加は教育現場にも大きな影響を及ぼしています。区立小・中学校に在籍する外国籍児童は現在約400人に達し、令和2年から5年間で約1.6倍に増加しました。加えて、日本語指導を必要とする子どもも年々増えており、教育現場の負担は着実に大きくなっています。こうした状況を踏まえ、中野区としては、現在検討を進められている日本語学級を確実に設置するとともに、入学時点で児童の日本語力を客観的に確認できる仕組みを制度化することが不可欠です。

 これらの取組は、外国籍児童にとっては学習機会を保障するものであり、同時に日本人児童にとっても落ち着いた教育環境の維持につながると考えます。区として今後どのように教育支援体制の構築・拡充をしていくのか、見解を伺います。

 3、人材マネジメントについて。区政を支える最大の支援は「人材」です。将来像である「人と人がつながり、新たな活力が生み出されるまち」の実現には、人材マネジメントが欠かせません。多様な人材が地域を支える中野区だからこそ、その特性を踏まえて伺います。

 本区は基本構想において「職員力でまちの価値と地域の力を高める」を掲げ、区長も「職員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境づくり」を重視されています。現在、中野区では職員の研修や異動歴などの人材情報をデータベース化し、個々に着目した人材マネジメントを推進していると認識しています。しかし、その取組が実際にどの程度職員の成長や区民サービスの向上につながっているかは、十分に見えていません。

 そこで伺います。職員への投資を区民サービス向上への投資と位置付け、その成果をどのように客観的に評価し、組織運営や人材育成に反映していくのか、区の見解を伺います。

 職員の異動は、専門性の途切れや業務とのミスマッチを招く懸念があります。一方で、キャリア形成や組織全体の活性化には不可欠です。区は職員の異動に当たり、専門性が途切れないようにするため、どのような工夫や仕組みを講じているのか。併せて専門性をさらに発展させていくためにどのような取組を行っているか、伺います。

 基本計画では「職員の多様性、特性、専門性を生かした人材マネジメント」が掲げられています。区はこれまで地域に飛び出す職員を増やしていく方向性を打ち出してきました。これは地方自治体の中でも中野区の特徴の一つだと思います。地域に飛び出す仕組みの検討状況は、現在、どのようになっているのでしょうか。

 職員が主体的に区民と直接関わっていくことは大切です。若手職員を計画的に地域へ派遣し、その成果を組織内で共有する仕組みを強化すべきだと考えますが、見解を伺います。

 区政の基盤は「人」であり、職員一人ひとりの力を最大限に引き出すマネジメントと地域に飛び出す文化の定着は非常に重要です。人材管理システムの活用、異動の在り方の見直し、地域派遣の制度化を進めることで、「人材が育ち、活躍する中野区」を実現していただきたいと考えます。

 以上にて質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 斉藤議員の御質問にお答えいたします。

 初めに、犬と共生するまちづくりついてで、ドッグランの設置についてです。新設する公園に限らず、公園の規模や特性、周辺環境を考慮して、地域でのニーズや公園利用者との共存などを勘案しながらドッグランの設置を検討してまいります。

 次に、官民連携によるドッグランについてです。平和の森公園のドッグランは、指定管理者制度によって管理運営しているところでありまして、先行自治体の事例を参考として、地域団体等との協働についても検討を進めます。

 次に、ドッグランによる地域連携についてです。平時における飼い主同士の交流や地域コミュニティの形成は、災害時のペットの避難及び協力体制の円滑な構築に寄与するものであると認識をしているところでございます。

 次に、区内動物専門学校との協定の進捗についてです。現在、区内の動物専門学校と情報交換を行い、災害時のペット避難支援や施設の一時利用など、具体的な連携内容について協議を進めているところであります。災害時における円滑な避難支援体制の構築に向けて、協定締結に向けた調整を着実に進めていこうと考えております。

 続きまして、人材マネジメントについてお答えします。区民サービス向上のための職員への投資についてです。近年では企業経営の考え方として、従業員を資本、育成・定着を図る取組を投資と捉えて、従業員への投資が組織の力を高め、中長期的な視点で企業の価値を高めていく「人的資本経営」の考え方が注目されています。

 区では令和5年度より「人財マネジメントシステム」を導入し、職員の能力・スキルを把握し、適材適所の人材配置などに活用しておりまして、これも投資の一つと考えております。職員の成長と活躍は、区民サービスの向上に大きく寄与するものと認識しておりまして、引き続き中長期的な視点で職員の育成・定着を図る取組を一層強化し、着実な成果につなげてまいります。

 次に、各職場の専門性の継続についてです。職員の人事異動に当たっては、職員の業務経験や本人の希望等を総合的に勘案し、専門性が継続されることにも配慮して、人事配置を行っています。

 特に職務の性質などによってより専門性が求められる分野では、一定期間以上継続的に従事をし、業務の習熟と知識の蓄積ができるよう調整をしています。また、専門分野に長期的に従事する職員を育成するため、特定の部門においてはエキスパート職員認定制度を実施をしています。

 最後に、地域に飛び出す職員の検討状況についてです。基本構想における「つながる・はじまる・なかの」を実現するためには、職員が地域や現場に積極的に飛び出し、地域の実態把握や人的ネットワークの獲得などを行い、区政に還元することが重要であると認識しております。現在、勤務時間内外において地域に飛び出す職員を育成、応援する仕組みを検討しているところであります。

〔教育長田代雅規登壇〕

○教育長(田代雅規) 私のほうからは、外国人施策の課題と展望についてお答えいたします。

 日本語指導が必要な児童・生徒への教育支援体制についてでございます。区は外国からの転・入学者等と日本語指導が必要な児童・生徒の支援のために日本語学級の設置を考えております。併せて、日本の学校生活に関するガイダンスを実施するとともに、日本語能力のアセスメントを行い、その結果を踏まえて適切な支援につなげられるよう、教育支援体制の整備を行ってまいります。

〔環境部長浅川靖登壇〕

○環境部長(浅川靖) 私からは、外国人施策の課題と展望についてで、外国人へのごみ出しルールの周知徹底について、お答えをさせていただきます。

 区は言語や習慣の異なる外国からの転入者に対して、分かりやすい分別・排出ルールの啓発を心がけております。スマートフォンの外国版アプリにリンクをする二次元コードをごみ収積所の看板に掲載する対応は、既に大部分の集積所で完了しておりますけれども、まだのところは至急対応してまいります。

 また、転入直後から正しい出し方に馴染んでいただくために、二次元コードも記載した外国語版「資源とごみの分け方・出し方」のリーフレットは5か国に増やし、転入手続の際、窓口で手渡しております。

〔保健所長水口千寿登壇〕

○保健所長(水口千寿) 私からは、外国人施策の課題と展望についてで、宿泊事業者に対するルールの義務化等について、お答えいたします。

 現在、区民からの苦情が寄せられたときは、保健所職員が速やかに対象の施設を実地で確認し、違反行為等が認められた場合には、住宅宿泊事業の届出者に是正を求めるよう指導しています。条例等の整備については、国や都の政策動向や他自治体の状況を注視しながら、効果的な対応について研究を進めてまいります。

○議長(森たかゆき) 以上で斉藤けいた議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 井 関 源 二

 1 住宅支援について

 2 汚染土について

 3 南京事件について

 4 その他

 

○議長(森たかゆき) 次に、井関源二議員。

〔井関源二議員登壇〕

○7番(井関源二) れいわ新選組の井関源二です。

 敗戦後80年という節目を迎えました。私は現在51歳で、戦後29年生まれです。子どもの頃は、第二次世界大戦と大日本帝国というのは遠い昔の出来事のつもりでおりましたが、この年になると、たかだか29年前というのは、私の生まれた頃と地続きなのだなと感じております。

 人類は有史以来、世界はどこかで戦争が続き、平和だったことがありません。今もロシアとウクライナで戦闘、そして、イスラエルが大量虐殺、ジェノサイドを行っております。私のSNSにはひどい画像や映像がタイムラインに流れてきます。もともとイスラエルがパレスチナを攻撃し始めたのは、イスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃したということに端を発しましたが、今ではこのジェノサイドが何によって始まったのか、何のために戦っているのか、みんな分からなくなっているのではないでしょうか。

 イスラエルはパレスチナのガザ地区だけではなく、ここ数日でレバノンの首都ベイルート、カタールの首都ドーハ、イエメンの首都サヌアと立て続けに空爆し、シリア南部に侵攻しました。世界から孤立すればするほど戦線を拡大する。まるで第二次世界大戦の大日本帝国のようです。ならず者国家の所業です。

 日本は22日にパレスチナを国家として承認することを検討しています。今月、パレスチナを国家承認する国はフランス、イギリス、イタリア、フィンランド、ベルギー、カナダ、オーストラリア、マルタ、デンマーク、ニュージーランドです。

 この原稿を書いていると、アメリカが日本に対してパレスチナの国家の承認見送り要請というニュースが入ってきました。アメリカの内政干渉に屈せず、パレスチナの国家承認していないのはアメリカと日本だけということがないように、一刻も早いパレスチナの国家の承認、そして、イスラエルへの停戦を求め、質問に移ります。

 なお、質問は通告どおり、その他の項目はございません。

 1、住宅支援について。最近、中野区は区営住宅の子育て世帯への優遇措置をしたということで大変良いと思っております。中野区は高齢者や障害者、ひとり親世帯に保証会社の紹介、保証料、契約料の助成制度があるそうです。この制度も子育て世帯に拡充できないでしょうか。

 若い子育て世帯も子どもが増えて住み替えしようと思っても、実家と折り合いが悪いなど、保証人や初期費用に困っている方はいらっしゃると思います。

 日本はこのまま少子化が続くと、2065年に人口が8,000万人になると言われております。一つの国の人口が3分の2になってしまう、これは緩やかな大虐殺だという説があります。経済の復興どころか、労働力不足で沈没します。フランスは少子化が改善しました。やったことは三つ、教育の無償化、公的住宅の提供、低所得者への補填。

 子育て先進区を謳っている中野区だからこそやりましょうよ。中野区は若い方がたくさん住んでいます。しかし、結婚すると、他の自治体に引っ越してしまいます。できれば中野区で子を産み、に育てていただきたいです。

 将来は中野区に住みたいという学生、夢を持った若者、子どもが欲しいという若いカップルも念頭に置き、まずは子育て世帯に保証会社の紹介、保証料・契約料の助成を拡充できないでしょうか。また、こちらの制度はあまり申請する人がいないそうで、こういった制度があるという周知も含めてできないでしょうか。

 2、汚染土について。先日、福島県にある中間貯蔵施設を視察させていただきました。場所は双葉郡大熊町の帰宅困難区域にあります。放射能汚染された瓦礫や除染した後に残った汚染土を保管しています。

 この写真の放射線測定器の数字ですが、地面に近いほうが低い数字が出ました。これはこの近隣の森や地面の除染が進んでおらず、そこから出る放射線を感知しているからだそうです。案内してくれた方は、歯医者さんでレントゲンを取る程度の被曝量だと言っていました。それでも福島第一原発の過酷事故よりも前だと、一刻も早く逃げなくてはいけない数字なのですが。また、レントゲンだと一瞬ですが、長期間低線量被曝を続けるとどうなるのかも分からないです。しかも自然被曝とダブル、トリプルで受けるわけです。こちらの土地はもともと所有者のほうがいらっしゃって、500年近く住んでいらっしゃったそうですが、大変お気の毒なことに土地を国に売られたそうです。

 国はこの汚染土の最終処分を県外でしないと福島県の真の復興はないということで、2045年3月までに福島県外で最終処分をすることを先々月の7月に法律で定めました。

 視察をさせていただいたとき、道路の盛土にする案を紹介されました。シートを敷いて、その上に汚染土を載せ、その上に土をかぶせ、道路にする。セシウム137とストロンチウム90の半減期約30年、シートの経年劣化で放射性物質が地下水に染み込んでしまうのではないかと思いました。ちなみに、プルトニウム238の半減期約90年、プルトニウム240、6,561年、プルトニウム239、2万4,000年、ウラン235、7億年、ウラン238、45億年、人類誕生から30万年、地球誕生から46億年です。この先、どうするのでしょうか。

 国はまず手始めに、首相官邸に2立方メートルの汚染土を持ち込みました。お隣の新宿区では、新宿御苑に持ってくるという計画がありましたが、地域住民の反対で中止となりました。

 そこでお伺いします。福島第一原発事故に起因する汚染土の受入れ要請が国からあった場合、区としてどのように対応するのか、区の見解を伺います。

 3、南京事件について。「南京事件はなかった」という主張は虚構説として発表されたもので、多くの証拠から日本軍による非戦闘員の殺害や略奪行為が南京で発生したことは日本政府も認めており、中国政府は毎年12月13日に「南京大虐殺国家追悼日」を設けています。

 日本政府の見解、日本政府は、日本軍の南京入場後、非戦闘員の殺害や略奪行為があったことは否定できないとしています。歴史的な証拠の存在、多くの証拠が南京での虐殺行為の存在を示しており、「なかった」とする説は学術的・歴史的に広く受け入れられていません。したがって、「南京事件はなかった」という主張は学術的に認められたものではありません。

 今、話したのは私の自説ではなく、「南京事件」、「なかった」とグーグルで検索すると、トップに出てくるAIの記事です。ちなみに、ChatGPTとGrokに聞いても同じような回答です。

 以前は「南京大虐殺」と呼ばれていましたが、大虐殺と言うと、被害者の人数ばかりフォーカスされるので、最近は日本軍の南京への移動にまつわる略奪行為から、南京攻略、南京に傀儡政権が樹立し、日本軍の駐留がなくなり、虐殺がなくなるまでの一連を殺人以外の不法行為を含めて「南京事件」と呼ぶのが主流だそうです。

 8月、産経新聞の一面に、櫻井よしこ氏が「南京大虐殺は我が国の研究者らによってなかったことが証明済みだ」との記述が載りました。

 外務省のウェブサイトには、「南京事件」について、「日本政府としては日本軍の南京入場(1937年)後、非戦闘員の殺害や虐奪行為等があったことは否定できないと考えています。しかしながら、被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定することは困難であると考えています」と記載されています。

 2006年にあの安倍元首相が選出した「日中歴史共同研究」で、政府間の正式な共同研究で「南京事件はあった」と結論を出しています。

 女性自身によると、櫻井氏に「「南京大虐殺」は我が国の研究者らによってなかったことが証明済み」と記した根拠などについて問い合わせましたが、回答は得られなかったそうです。櫻井よしこ氏は、2002年の時点では虐殺は1万人弱と、虐殺自体は認めていたのですが、一体何があったのでしょうか。

 参政党、初鹿野裕樹参議院議員は、7月にSNSに「南京大虐殺が本当にあったと信じている人がまだいるのかと思うと残念でならない」と投稿しました。また、女性自身が初鹿野議員に質問を送ったところ、回答がありました。回答するだけ偉いですね。

 日本軍の南京入場時の南京の人口は20万人であったとされ、日本軍の南京入場で治安が保たれ、25万人に増加したことが確認されております。そして、当時の南京の状況の写真は朝日新聞にも掲載されました。また、当時の中国の警察庁長官であった王固磐氏も南京の人口は20万人と明言され、南京安全区国際委員会のジョン・ラーベ委員長も南京の人口を20万人と報告しております。

 なるほど、私も何も知らなければ信じてしまいそうです。しかし、7月30日に「南京事件新版」を上梓した笠原十九司都留文科大学名誉教授が、「当時の南京の人口は100万人だった」、「王固磐という人物はいない」と反論しております。時間の都合上で全ては取り上げませんが、よければ、皆さん、御覧ください。

 議長の許可を頂き、取り上げさせていただきますが、私は今回の質問をするに当たってこの本を読みました。先ほど挙げた、「南京事件新版」。内容ですが、ひどいです。言葉にするのもはばかれます。精神的に来るものがあるので、なかなか読み進められませんでした。

 南京攻略の中支那方面軍には補給がなかったのです。補給は現地調達です。食料がないので、捕虜を捕虜として扱えません。略奪・強姦・殺人・放火です。伝わるかどうか分かりませんが、私の同世代のほうには伝わるかもしれませんが、原作版「デビルマン」の最終エピソードがずっと続いている感じです。当時の将校の陣中日記にしっかり残っております。

 東中野修道亜細亜大学名教授が夏淑琴という方は偽証権者であるとの主旨の記述をしました。夏淑琴さんがどのような目に遭ったかは、あまりにもひどいので、内容は触れないですが、夏淑琴さんが訴訟を起こし、東中野氏と展転社に対し合計400万円の賠償を命じる判決が下りました。

 これらの事例でも分かるとおり、南京事件がなかったというのはセカンドレイプです。被害者に対してさらにむちを打つ行為です。逆の立場になって考えてみてください。もし仮に東京大空襲10万人、沖縄戦10万人、広島・長崎20万人の被害者を生んだ原爆投下、これらが「なかった」という言説が出たら、私は怒り狂うでしょう。

 日本保守党の共同代表、河村たかし衆議院議員は、名古屋市長時代、自分の父親が1945年に南京で優しくもてなされた経験から、南京からの訪問団に対し「南京事件はなかったのではないか」と発言し、国際問題を起こしました。この発言の影響でSKE48の南京公演が延期になったりしました。

 この件で当時の河村市長は、「いろんなところから「言わんでくれ」と言われとるから、個別のインタビューは受けないことにしとる、かんべんしてちょうよ」と答えたそうです。「かんべんしてちょうよ」はこちらです。ちょっと想像力を働かせば、恩讐のかなただと分かるでしょう。

 じゃあ、日本は進駐軍に対して子どもたちが「ギブミーチョコレート」と言って仲良くしたと言えば、都市部への空襲や原爆投下がなかったことになるのですか。中国残留孤児の面倒を見てくれた家庭とかあるわけです。感謝こそすれ、南京事件はなかったはないでしょう。

 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という、ドイツの宰相ビスマルクが言ったとされる言葉があります。実際のところ、「自分で経験しないと学べないというのは愚か者だ、私は始めから間違えないように他者の経験から学びたい」というようなニュアンスだそうですが、日本は過去の戦争を反省し、80年、戦争に参加しなかったのです。これこそが誇るべき実績ではないでしょうか。

 南京事件を反省した日本だからこそ、中国のウイグルやチベットの重大な人権侵害について、非難できるのではないでしょうか。アメリカに対して原爆を落としたことを反省しろ、核保有国に核軍縮をしろと言えるのではないでしょうか。ICANのノーベル平和賞受賞を喜べるのではないでしょうか。イスラエルに対してジェノサイドをやめろと言えるのではないでしょうか。

 今後、二次加害を生まないため、平和事業をリードする自治体たるために、新たに陰謀論に引っ張られる人を出さないために、これ以上無意味な論争を繰り返さないために、国際社会で孤立しないために、区としてそういう認識・発信をするべきだと考えております。区の南京事件に対する見解をお伺いします。

 以上で質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 井関議員の質問で、私からは住宅支援について、お答えいたします。

 家賃債務保証サービス利用助成の対象拡充について、近年の地価高騰や再開発、建物の老朽化等による住み替え機会の増加に伴い、一部自治体によっては助成対象の拡充を進めている例があることは認識をしております。制度の運用状況や他自治体の事例を参考にし、今後の社会情勢を見極めつつ、対象者の拡充について研究をしてまいります。

 周知については、区報やホームページへの掲載、チラシの配布を行っているところでありますが、周知の拡大について検討してまいります。

〔環境部長浅川靖登壇〕

○環境部長(浅川靖) 私からは、汚染土についての御質問でございます。

 区はこれを除去土壌として捉えてございますけれども、この除去土壌の再生利用の受入れについてでございます。中野区における公共工事の規模を勘案いたしますと、実際に国から中野区に対して除去土壌の再生利用について要請があるかどうかは不明ではございますけれども、そうした要請があった場合には、区民の意見も伺った上で、区としての方針を検討していきたいと考えてございます。

〔企画部長岩浅英樹登壇〕

○企画部長(岩浅英樹) 南京事件についての御質問で、南京事件に関する区の見解について、お答えをいたします。

 区といたしましては、「日本政府が1937年の日本軍の南京入城後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できないと考えている。しかしながら、被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定することは困難である」という見解を示していると認識をしているところでございます。

○議長(森たかゆき) 以上で井関源二議員の質問は終わります。

 以上をもって質問は終了いたしました。

 これより日程に入ります。

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 第81号議案 みずの塔ふれあいの家内装改修等工事請負契約

 第84号議案 感震ブレーカーの買入れについて

 第99号議案 緑野中学校校庭整備等工事請負契約

(委員会報告)

 

○議長(森たかゆき) 日程第1、第81号議案、第84号議案及び第99号議案の計3件を一括議題に供します。

 

令和7年(2025年)9月12日

 

中野区議会議長 殿

 

総務委員長 河合 りな 

(公印省略)

 

議案の審査結果について

 

本委員会に付託された下記議案は、審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので、中野区議会会議規則第78条の規定により報告します。

 

 

議案番号

件    名

決定月日

81

みずの塔ふれあいの家内装改修等工事請負契約

912

84    

感震ブレーカーの買入れについて

912

99

緑野中学校校庭整備等工事請負契約

912

 

○議長(森たかゆき) お諮りいたします。上程中の議案に関する委員長報告は、会議規則第40条第3項の規定により省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森たかゆき) 御異議ありませんので、委員長報告は省略いたします。

 本件については、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森たかゆき) 御異議ありませんので、これより採決いたします。

 上程中の議案を委員会報告どおり可決するに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森たかゆき) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

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 認定第1号 令和6年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

 認定第2号 令和6年度中野区用地特別会計歳入歳出決算の認定について

 認定第3号 令和6年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について

 認定第4号 令和6年度中野区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算の認定について

 認定第5号 令和6年度中野区介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について

 

○議長(森たかゆき) 日程第2、認定第1号から認定第5号までの計5件を一括上程いたします。

 理事者の説明を求めます。

〔副区長青山敬一郎登壇〕

○副区長(青山敬一郎) ただいま上程されました認定第1号から認定第5号までの5件につきまして、一括して説明いたします。

 初めに、中野区一般会計決算について説明いたします。

 令和6年度一般会計の歳入総額は1,894億7,132万5,717円、歳出総額は1,852億5,344万3,991円で、前年度と比較しますと、歳入で7.1%の減、歳出で6.8%の減となりました。歳入から歳出を差し引いた形式収支額は42億1,788万1,726円となり、翌年度へ繰り越すべき財源9億7,951万円を差し引いた実質収支額は32億3,837万1,726円となりました。

 それでは、歳入につきまして、主な款について説明いたします。

 第1款特別区税は381億6,700万円余で、前年度と比較して2億7,800万円余、0.7%の減となりました。

 第2款特別区交付金は462億8,200万円余で、前年度と比較して10億5,400万円余、2.2%の減となりました。

 第7款地方消費税交付金は85億3,300万円余で、前年度と比較して3億8,600万円余、4.7%の増となりました。

 第13款国庫支出金は、子ども・子育て支援事業費補助の増などにより、前年度と比較して7億4,500万円余、2.2%増の347億9,800万円余となりました。

 第14款都支出金は、中野駅周辺地区整備の増などにより、前年度と比較して25億600万円余、13.2%増の215億600万円余となりました。

 第17款繰入金は、財政調整基金からの繰入金の減により、前年度と比較して13億8,400万円余、8.2%減の155億7,100万円余となりました。

 第20款特別区債は、新庁舎整備債の皆減などにより、前年度と比較して158億9,900万円、71.5%減の63億2,300万円となりました。

 これらの結果、歳入決算額の予算現額に対する収入率は96.8%となり、前年度より0.5ポイント下がりました。

 次に、歳出につきまして、主な款について説明いたします。

 第3款総務費は、新庁舎整備費の減などにより、前年度と比較して133億4,400万円余、44.8%減の164億4,200万円余となりました。

 第4款区民費は、もみじ山文化センター改修工事費の増などにより、前年度と比較して2億6,100万円余、1.9%増の139億6,300万円余となりました。

 第5款子ども教育費は、学校再編・改築工事費の増などにより、前年度と比較して6億2,700万円余、1.0%増の607億300万円余となりました。

 第7款健康福祉費は、新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業経費の減などにより、前年度と比較して6億6,400万円余、1.9%減の343億5,600万円余となりました。

 第10款まちづくり推進費は、囲町東地区市街地再開発事業に係る経費の増などにより、前年度と比較して35億9,300万円余、24.6%増の182億2,100万円余となりました。

 これらの結果、歳出決算額の予算現額に対する執行率は94.7%となり、前年度より0.1ポイント下がりました。

 この歳出決算額を性質別に見ますと、人件費、扶助費及び公債費を合わせた義務的経費は830億円余で、前年度と比較して13.4%の増となりました。

 また、投資的経費は415億7,100万円余で、前年度と比較して28.0%の減となりました。

 なお、令和6年度決算では、実質収支額が32億3,800万円余となり、前年度決算に比べ2億4,800万円余の減となりました。

 令和6年度は、未来の中野のために新庁舎移転や新たな行政需要に応じた効率的かつ効果的なサービスを展開し、基本構想で描く10年後に目指すまちの姿の実現に向けて、全庁を挙げて着実に区政の歩みを進めてきました。

 また、子育て先進区の実現に向けて、子育て・子育ちに必要な環境の整備を進めるとともに、学校教育の充実に取り組んだほか、まちづくりや地域の防災・安全の推進などに幅広く取組を進めました。

 今後も子育てサービスの質の向上、超高齢社会への対策、公共施設の建て替えや大規模改修など、歳出の増加が見込まれます。「財政運営の考え方」を踏まえ、区民満足度の高い区政を維持するため、基金や起債をバランスよく活用し、将来を見据えた財政運営を行っていく必要があると考えています。

 以上が一般会計決算の説明です。

 続きまして、中野区用地特別会計決算について説明いたします。

 歳入歳出の決算額は同額で11億480万5,533円、前年度と比較しますと歳入歳出ともに著しい減となりました。

 歳入は、第1款財産収入が5億600万円余で、前年度と比較して82億500万円余、94.2%の減となりました。

 第2款繰入金が2,200万円余で、前年度と比較して5,500万円余、70.8%の減となりました。

 第3款特別区債が5億7,600万円で、皆増となりました。

 歳出は、第1款公債費が2,200万円余で、前年度と比較して87億6,600万円余の著しい減となりました。

 第2款諸支出金が5億600万円余で、皆増となりました。

 第3款用地費が5億7,600万円で、皆増となりました。

 歳入総額及び歳出総額が減となった要因は、一般会計での平和の森小学校用地取得に伴う繰上げ償還が皆減となったことによるものです。

 次に、中野区国民健康保険事業特別会計決算について説明いたします。

 歳入総額は338億8,771万4,154円、歳出総額は335億6,538万1,889円で、前年度と比較しますと歳入歳出ともに0.1%の増となりました。

 歳入の主なものは、第1款国民健康保険料が94億1,500万円余で、前年度と比較して6億7,400万円余、7.7%の増、第4款都支出金が195億4,500万円余で、前年度と比較して7,500万円余、0.4%の減、第5款繰入金が45億600万円余で、前年度と比較して6億1,500万円余、12%の減となりました。

 歳出の主なものは、第2款国保給付費が192億8,000万円余で、前年度と比較して2,800万円余、0.1%の減となりました。

 第3款国保事業費納付金が127億7,000万円余で、前年度と比較して7,700万円余、0.6%の減となりました。

 次に、中野区後期高齢者医療特別会計決算について説明いたします。

 歳入総額は83億2,895万8,536円、歳出総額は82億6,666万636円で、前年度と比較しますと歳入で7.7%の増、歳出で8.3%の増となりました。

 歳入の主なものは、第1款後期高齢者医療保険料が47億6,400万円余で、前年度と比較して3億9,700万円余、9.1%の増、第2款繰入金が33億1,000万円余で、前年度と比較して1億4,800万円余、4.7%の増となりました。

 歳出の主なものは、第1款広域連合納付金が81億4,200万円余で、前年度と比較して6億2,300万円余、8.3%の増となりました。

 最後に、中野区介護保険特別会計決算について説明いたします。

 歳入総額は257億1,990万5,178円、歳出総額は253億1,618万1,066円で、前年度と比較しますと歳入で2.7%の増、歳出で2.8%の増となりました。

 歳入の主なものは、第1款介護保険料が53億7,000万円余で、前年度と比較して6億2,900万円余、13.3%の増、第3款国庫支出金が55億5,800万円余で、前年度と比較して8,000万円余、1.4%の減、第4款支払基金交付金が64億8,200万円余で、前年度と比較して2億4,700万円余、4.0%の増、第5款都支出金が34億5,500万円余で、前年度と比較して1億2,000万円余、3.6%の増となりました。

 歳出の主なものは、第1款制度運営費が8億円余で、前年度と比較して1億600万円余、15.4%の増、第2款保険給付費が228億1,700万円余で、前年度と比較して7億300万円余、3.2%の増、第3款地域資源事業費が10億9,800万円余で、前年度と比較して4,200万円余、3.7%の減となりました。

 以上、令和6年度の各会計決算について説明いたしました。

 なお、詳細につきましては、あらかじめ送付いたしました「中野区各会計歳入歳出決算書」、「各会計事項別明細書」及び「各調書」、「主要施策の成果」並びに「中野区各会計歳入歳出決算説明書」によりまして御確認いただきたいと思います。

 また、監査委員におかれましては、本決算につきまして慎重に審査を頂き、別冊のとおり、「中野区各会計歳入歳出決算審査意見書」の提出を頂きました。御指摘のあった点については、十分に対処していく所存です。

 最後になりましたが、ここに令和6年度決算につきまして議会の認定をお願いする運びになりましたことは、区議会の適切な御指導と御協力によるものと深く感謝を申し上げる次第です。

 以上、認定第1号から認定第5号までにつきまして、よろしく御審議の上、御認定くださいますようお願い申し上げ、令和6年度中野区各会計決算の説明とさせていただきます。

○議長(森たかゆき) 本件について御質疑ありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森たかゆき) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。

 上程中の認定第1号から認定第5号までの計5件は、議員全員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに審査を付託いたしたいと思いますが、御異議はありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森たかゆき) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

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 中野区の財政の健全化判断比率について

 

○議長(森たかゆき) 日程第3、中野区の財政の健全化判断比率について御報告いたします。

 本件については、地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項の規定に基づき、区長から9月12日付のお手元の文書のとおり報告がありましたので、さよう御了承願います。

 

中総総第1856

令和年(2025年)9月1

 中野区議会議長

  森 た か ゆ き 様

中野区長 酒 井 直 人

中野区の財政の健全化判断比率の報告について

 地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項の規定により、別添のとおり報告します。

 

 ○議長(森たかゆき) 本日はこれをもって散会いたします。

午後4時51分散会

 

 

 

会議録署名員 議 長 森 たかゆき

       議 員 河合 りな

議 員 杉山 司