平成18年10月18日中野区議会財政制度調査特別委員会(第3回定例会)
平成18年10月18日中野区議会財政制度調査特別委員会(第3回定例会)の会議録
平成18年10月18日財政制度調査特別委員会 中野区議会財政制度調査特別委員会〔平成18年10月18日〕

財政制度調査特別委員会

○開会日 平成18年10月18日

○場所  中野区議会第2委員会室

○開会  午後1時05分

○閉会  午後1時49分

○出席委員(12名)
 大泉 正勝委員長
 はっとり 幸子副委員長
 奥田 けんじ委員
 小堤 勇委員
 大内 しんご委員
 伊藤 正信委員
 平島 好人委員
 山崎 芳夫委員
 こしみず 敏明委員
 佐伯 利昭委員
 岩永 しほ子委員
 江口 済三郎委員

○欠席委員(2名)
 佐野 れいじ委員
 高橋 ちあき委員

○出席説明員
 区長室長 寺部 守芳
 政策担当課長 川崎 亨
 総務部長 石神 正義
 財務担当課長 篠原 文彦
 税務担当課長 遠藤 由紀夫
 区民生活部長 本橋 一夫
 区民生活部経営担当課長 登 弘毅
 子ども家庭部長 田辺 裕子
 子ども家庭部経営担当課長 合川 昭
 保健福祉部長 菅野 泰一
 保健福祉部経営担当課長 寺嶋 誠一郎
 都市整備部長 石井 正行
 都市整備部経営担当参事 尾﨑 孝
 教育委員会事務局次長 金野 晃
 教育経営担当課長 小谷松 弘市

○事務局職員
 書記 松本 桂治
 書記 荒井 勉

○委員長署名


審査日程
○議題
 都区財政調整について
 財政自主権について
 財政運営について
○所管事項の報告
 1 第3回都区のあり方に関する検討会について(財務担当)
 2 特別区財政の現状と課題について(財務担当)
○その他

委員長
 定足数に達しましたので、財政制度調査特別委員会を開会いたします。

(午後1時05分)

 本日の審査については、お手元に配付の審査日程(案)(資料1)のとおり進めたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

委員長
 御異議ありませんので、そのように進めてまいります。
 それでは、議事に入ります。
 都区財政調整について、財政自主権について、財政運営についてを議題に供します。
 所管事項の報告を受けたいと思います。初めに、第3回都区のあり方に関する検討会について。
篠原財務担当課長
 それでは、平成18年8月29日に開催されました第3回都区のあり方に関する検討会につきまして報告を申し上げます。お手元の資料(資料2)をごらんいただきたいと思います。
 会議の概要でございますが、その前に、初めに、当日のテーマにつきましては、特別区の区域についてということが確認されてございます。この協議に先立ちまして、都側から配付資料が配られております。一つが特別区の区域のあり方、これは再編等の議論の必要性といったような資料でございます。それからもう1点が、区域のあり方を検討する際の視点についてといったようなものが配られておりまして、議論の前に説明がございます。その説明の内容を多少紹介させていただきたいと思います。
 最初に特別区の区域のあり方、再編等の議論の必要性でございますが、これまでの経過、東京23区の区域の変遷の説明がございました。これは、例えば明治22年に市政町村制によって15区となった。それから東京市の区域を15区から35区に変えた。また昭和22年に35区から22区、その後すぐ23区といったような、こうした特別区の区域の変遷の説明がございました。都側は、明治から昭和にかけまして東京が急速に拡大したこと、それから昭和22年以降、現在まで60年間、特別区の区割りにつきましては変わっていないこと、そして交通手段の発達や経済活動の広域化など、生活圏や経済圏の広がりにかんがみまして特別区の区域のあり方を改めて検討する必要があるというふうにしております。
 また、第22次地方制度調査会の都区制度の改革に関する答申、これは平成2年に出されたものでございますが、この論点も説明されてございます。ここでは、本来都区制度の改革を行う際には、特に人口減少等の著しい都心地域の特別区の再編を初め、周辺地域もあわせて特別区の区域の見直しを行う必要があるというような記述を都側が提示してございます。
 また、2点目の区域のあり方を検討する際の視点について説明がございまして、四つの視点が示されてございます。一つ目は特別区を取り巻く環境の変化といたしまして、基礎的自治体の区域につきましては生活圏、それから経済圏を踏まえまして形成するものというふうにしていますが、特別区税の区間格差、これが平成16年については9倍までに拡大してございます。特別区の一体性といったことから、こうした偏在の大幅な格差を財政調整制度だけで対処していいのか、こういったような視点が一つ示されてございます。二つ目の視点でございますが、都区間の事務配分と区域の関係といたしまして、さらなる事務移管のために特別区の事務処理権限の拡充に対応する条件整備が求められるといたしまして、区域の見直しも積極的に議論すべきだということを二つ目の視点で都側が提案してございます。三つ目でございますが、効率的な行政運営といたしまして、高齢化対策や災害に強いまちづくりなど、特別な行政需要への対応や不安定な税財源のもとで中長期的な健全な行財政運営の維持など、効率的な行政運営の実現が重要であるといったような視点も示してございます。また四つ目に、外部の見方といたしまして、地方制度調査会が特別区の再編を含めた区域の見直しを指摘していること、また地方では、究極の行革であります合併を選択してまでも自治体を維持している、こうした状況の中、特別区の再編の議論さえ不必要ということになれば、東京富裕論に拍車がかかりまして、東京富裕論は特別区を対象とした議論まで進んでいる、こういったこともこの区域のやり方や運営を議論するについての四つの視点というふうに示してございます。
 こうした特別区の区域のあり方の議論の必要性、区域のあり方を検討する際の四つの視点、こういったもとで議論が交わされてございます。
 会議の概要につきましては後ほどごらんいただきたいと思いますが、区側からは、再編の問題につきましては住民にとって非常に大きな問題でありまして、説得力を持った議論が必要であるといったことを述べてございます。また、区長会といたしましても再編について積極的な議論をしたこともなく、現段階としてはまとまった意見も形成されていない。こうしたことから、問題を提起している都側から踏み込んだイメージを示していただかないと議論が進まないといったようなことが議論の中身でございました。
 裏面になりますが、(2)になります。今後の検討体制についてでございます。前回の検討会におきまして、区側から検討会の下に幹事会を設置し、座長を区側から選任したいといった旨の提案をいたしました。都側からは都区協議会と検討会の関係を整理すべきというような意見がございましたが、このことにつきましては検討の方向が整理された段階で、ここにありますように、この件につきましては事務局で調整をし、次回に整理することが確認されてございます。
 それから次の委員会でございますが、9月19日に既に税財政制度について開催されてございます。また、現段階では議事要旨が届いておりませんので、次回の委員会で報告させていただきたいというふうに考えております。
 以上が第3回都区検討会の会議概要でございますが、この第3回の検討会の会議概要につきましては、9月19日に開催されました特別区議長会にも報告されてございます。議長会といたしましては、区長会とともに運命共同体で行く、議長会の移行も含め、都側と折衝するためにも意見交換の場を持ってまいりたいというような要望が寄せられてございます。区長会側につきましては10月に一定の方向性が示されるということで、ぜひその際には議会の方のお考えもお聞きしたいというような発言があったというふうに聞いてございます。
 また、都区検討会に臨む上での区長会の財調問題、これは配分割合52%プラス2%プラスアルファといったような配分割合の問題でございますが、この決着に対するスタンスについて再度確認もございました。区長会側からは、財調の配分割合につきましては、年内に一定の解決をしなければ検討会における議論もその時点ですべてゼロになるというようなことは当然であるというふうな答弁がされてございます。
 以上、大変雑駁ですが、第3回都区のあり方に関する検討会の報告でございます。
委員長
 ただいまの報告について質疑はありませんか。
小堤委員
 この検討会については、5月から大体毎月1回のペースで10月をめどに結論を出したいということで、第4回でこの税財政制度について議論がされたということですが、一応これでめどが立ったという見方なんですか。
篠原財務担当課長
 一応10月には一定の方向性をとりまとめるといったことになっておりますので、9月19日に開催された検討会におきまして、ほぼこれまでの大きな課題については議論がされたというふうに考えております。したがって、10月中には第5回というような検討会が開かれまして、そこでは今後の方向性、そういったものが確認されるというふうに考えてございます。
小堤委員
 すると、この検討会の下に幹事会を置くというような、区側の提案で今度設置されるということなんですけれども、この幹事会の役割がどういうものなのかということと、あと必要に応じて専門部会の設置ということがありますけども、考えられるものはどういう方面で幾つくらいというのがわかればお聞かせください。
篠原財務担当課長
 区側が示した検討体制のイメージでございますが、都区協議会が一番上にあります。その下に都区のあり方に関する検討委員会がございまして、その下にさらに都区のあり方に関する検討委員会の幹事会を設けるものです。その下に専門部会を三つ設けるわけでございますが、その三つの専門部会については、まだ今の時点では決まっておりません。考えるところでいえば大都市事務の事務配分の関係でありますとか、特別区の区域のあり方、あと税財政の関係、まだ詳細はわかりませんが、そうしたような専門部会がつくられるんではないかというふうに考えてございます。
委員長
 他に質疑はありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

委員長
 なければ、以上で本報告は終了いたします。
 次に2番目、特別区財政の現状と課題についての報告を受けたいと思います。
篠原財務担当課長
 それでは、特別区財政の現状と課題につきまして、この冊子(資料3)に基づきまして報告をさせていただきます。
 本年9月に特別区区長会事務局におきまして、平成17年度の特別区の普通会計決算、これに基づきまして特別区総体の現状分析、また今後の特別区の財政上の課題につきまして冊子にまとめて公表いたしましたので、本日はその概略を説明させていただきます。なお、この冊子につきましては、まだ私たちも詳細な説明を受けてございませんので、一部答弁ができない部分もあると思いますが、その辺につきましては御了承いただきたいというふうに考えております。
 初めに、2ページほどめくっていただきますと第1章、特別区財政の現状というのがございます。そのまず1ページ目でございます。1番といたしまして区税収入の推移でございますが、ここにありますように、区税収入につきましては平成16年度に比べ5.2%の増となり、平成14年度以降3年ぶりに増加に転じたが、今後の動向は決して楽観視できないというふうにしているものです。この要因といたしましては、19年度から実施されます個人住民税のフラット化、この影響が懸念されまして、区税収入の動向は予断を許さないというような状況があるということで分析をしてございます。中野区につきましては、平成17年度のこの区税収入でございますが、0.3%の微増ということで、他の23区の平均に比べますと、かなり低いという数字になってございます。
 次に2ページをごらんいただきたいと思います。2ページの歳入構成の推移でございます。こちらはここにありますように、平成6年度と比較すると各基金の取り崩しや特別区債の活用は減少傾向で、国・都支出金、財調交付金が増になるなど、構成の変化が顕著となっているとしてございます。特徴といたしましては区税収入、これは一番下の網かけの部分でございますが、区税収入はほぼ横ばいであるのに対しまして、財調交付金につきましては市長村民税法人分の増収を反映いたしまして、15年度から増に転じてございます。また、中ほどの網かけになりますが、国、それから都支出金につきましても三位一体改革によります減があるものの、扶助費の増や国保基盤安定負担金の当負担分の増によりまして、総体としては増になっているというような傾向がございます。これは中野区についても同様な傾向を示してございます。
 次に3ページ、3番の性質別歳出の推移でございます。こちらでは、平成11年度までに歳出総額の伸びを大きく上回って急増してきた公債費につきましては、低減傾向にあるものの、引き続き大きなウエートを占めていると。また、扶助費につきましては生活保護費、児童福祉費の増によりまして大幅な増加が続いている。一方、普通建設事業費につきましては17年度に上向きに転じたが、依然として低水準にあるというふうにしてございます。表をごらんいただきますとわかりますが、平成6年度、これを指数で100といたしますと、公債費につきましては11年をピークに下降に転じ、依然まだ高い水準にございます。扶助費につきましては中ほどの太い線でございますが、こちらが生活保護費や児童福祉費の増加の影響を受けまして、引き続き大きく伸びているのがわかると思います。人件費でございますが、人件費につきましては薄い線になってございますが、職員定数の見直しで減少傾向にございますが、一番下にあります点線の部分、普通建設事業費につきましては、平成6年度と比べ、大きく落ち込んでいる状況が続いてございます。こちらにつきましても、中野区もほぼ同様の状況となっているということでございます。
 次に4ページでございます。実質的な義務的経費に要する一般財源負担額の推移でございます。ここでは、実質的な義務的経費に係る一般財源の負担額が一般財源全体の6割を超えているというふうにしてございます。義務的経費にかかわります一般財源の負担額につきましては、平成12年度をピークに人件費と公債費の減が扶助費の増を上回りまして減少傾向に向かっておりましたが、国保、老健、介護の特別会計の繰り出し金を加えますと、一般財源に占めます財源は6割を超えてございます。依然厳しい財政状況にあるというふうにいってございます。中野区については66.5%となってございます。普通会計上はこの66.5%の中では繰り出し金を除いてございます。繰り出し金を除きますと58.6%という数字になってございます。いずれにしましても、中野区の義務的経費にかかわります一般財源負担額につきましては、23区の平均を多少上回っているというような状況がございます。
 次に、5ページの実質収支の推移でございます。ここでは実質収支は引き続き黒字となっており、実質収支比率を見ると、おおむね適性水準とされる3%から5%の範囲で推移をしているというふうにしてございます。平成6年以降につきましては、おおむね特別区につきましては適性水準とされます3から5の範囲におさまってございます。ただ、17年度につきましては財政調整交付金の増などによりまして、平均で5.2%となってございます。ちなみに中野区でございますが、平成6年度から12年度につきましてはおおむね3から4%の間で推移をしておりました。しかしながら、11年度につきましては0%というような最悪な状態になっております。12年度につきましては0.5%、13年度につきましては行財政5か年計画の関係で一時6%となってございますが、14年度、15年度につきましては、またさらに1%台、16年度からようやく4.5%、17年度については6.3%というような状況で推移してまいりました。
 次に6ページをごらんいただきたいと思います。6番の経常収支比率の推移でございます。こちらでは財政の弾力化を示す経常収支比率につきまして、景気の回復による税収等の増、各区の財政健全化に向けた着実な取り組みによりまして、平成5年以降、12年ぶりに適性水準に至る70%台になったというふうにしてございます。この経常収支比率につきましては、平成6年度に80%台となりまして、その後11年度の91%をピークに適性水準の70から80台を超える状況が続いております。17年度につきましては77.1%と確かに12年ぶりに70%台に減少してございます。ちなみに中野区につきましても、平成5年度までにつきましては80%台を切るような状況でございましたが、その後年々増加いたしまして、11年度につきましては101.7%というような末期的な状況になってございます。その後は行財政5か年計画、それから経営改革指針によります取り組みを続けた結果、17年度につきましては80.1%とほぼ平成6年度の水準まで減少したというような状況になってございます。
 次に7ページでございます。都区財政調整と地方交付税の基準財政需要額の推移でございます。ここでは、都区財政調整における基準財政需要額の伸びにつきましては、地方交付税の基準財政需要額の伸びを下回って推移しているというふうにしてございます。この地方交付税でございますが、交付税の財源となっております所得税ほか5税でございますが、これは所得税、酒税、法人税、消費税、たばこ税でございます。この財源が不足する状況が国において続いておりました。これにつきましては、一般会計からの特例加算措置、これは総額補てん制度と言われておりますが、これによりまして必要な額が国において確保されているということから、表にありますように、市町村につきましては基準財政需要額については年々増加をしてございます。なお、16年度の地方財政計画によります圧縮が行われるまでにつきましては、こうした増加を続けてきたというような状況が見てわかると思います。一方、特別区でございますが、ちょうど太線になります。特別区につきましては地方交付税のような特例加算措置、こうした制度がございません。このため調整三税、固定資産税、市長村民税法人分、それから特別土地保有税、この一定の割合と区税の範囲でこの基準財政需要額が設定されるということで、平成12年度、これは清掃事業の移管があった年でございますが、これを除けばほぼ横ばいで推移し、厳しい東京都の調整が続けられてきたということが見てわかると思います。
 続きまして8ページをごらんいただきたいと思います。8番の都区の大都市財源の推移でございます。ここでは、特別区の区域の大都市財源に占める特別区分の割合は、平成12年度の都区制度改革によりまして約64%の水準に上昇したが、その8割は経常経費に充当されているというふうにしてございます。これは東京都と特別区が保有いたします大都市財源、市長村民税法人分などでございますが、この総額はおおむね3兆円前後でこれまで推移をしてきてございます。このうち、特別区の分の占める割合、シェアでございますが、12年度の都区制度改革で約64%──これは配分率の52%プラス区税等でございます──の水準となっております。この特別区の財政財源の約8割、これは白い棒グラフになりますが、白い棒グラフの約8割が経常経費に充当されているということになります。経常収支比率が8割あれば、残り2割が投資的経費になるというようなことで、こうしたことからかなり財政状況、柔軟な財政運営がしにくい構造になっているということが言えると思います。
 次に9ページでございます。特別区債残高と基金残高の推移でございます。ここでは、ここ数年特別区債の残高が減少し、基金の残高が増加してきているが、依然として区債残高が基金残高を上回っているというような状況を示してございます。特別区におきましては、この表にありますように、平成5年度に区債残高が基金残高を上回りまして、その乖離は大きく拡大してございます。ただ、11年度を契機にその乖離は解消傾向にございます。しかし、依然といたしまして区債残高が基金残高を上回っておりまして、今後の行政需要、学校の改築、こういったことなどによりまして、この乖離が再び拡大することが懸念されてございます。中野区におきましても同様な状況でございまして、平成9年度につきましては636億円余の乖離がございました。17年度末につきましては、その乖離が約半分の334億円まで減少してきたということで、ただ、まだその乖離が330億円以上ありますので、依然として中野区の財政は厳しい状況にあるというふうに言わざるを得ないというふうに考えてございます。
 以上が特別区財政の現状でございます。
 続きまして、次のページでございます。第2章、特別区財政の課題でございます。まず10ページでございますが、職員数の削減でございます。職員数の削減につきましては、ここにありますように、職員数の削減を着実に実施してきた結果、清掃事業移管前の規模を下回るまで職員数は減少してきているというふうにしてございます。特別区の職員数につきましては、平成12年度の清掃事業によりまして増となりましたが、現在では下回る状況となっていることはたしかでございます。これは各区が着実に削減努力を続けたものというふうに考えてございます。中野区におきましては、清掃事業移管後の翌年の13年度につきましては既に清掃事業移管前の職員数を下回るような状況となっておりまして、その後も着実に削減が進んでいるというような状況にございます。したがって、中野区につきましては、この職員数の削減につきましては、着実に他の区を上回って削減してきているというふうに考えてございます。
 それから次の11ページでございます。課題の2つ目が退職手当の増加でございます。職員数の削減により人件費を抑制しておりますが、今後の退職者の増に伴う退職手当の増加が見込まれるという一つの大きな課題となってございます。特別区におきましては、東京都と同じように平成19年度以降に団塊の世代の大量退職に伴います退職手当の増が見込まれております。中野区におきましても21年度がピークとなりまして、退職予想人員が150人を超えるような状況がございます。その額につきましては約33億円を見込んでございます。ただ、その後減少傾向にありまして、平成27年につきましては18年度の約20億円の水準になるというふうに試算をしているところでございます。こうした需要があるということで、財政調整基金等にこの退職手当分については積み立てを行っておりまして、計画的に実施していくということで中野区は対応してまいりたいというふうに考えております。
 次に課題の三つ目でございます。12ページの区税徴収率の動向でございます。区税の徴収率につきましては、各区の徴収努力によりまして、区税徴収率は毎年連続して増加してございます。一方、滞納繰越額につきましては大幅に圧縮されてきているというような状況、これを課題としてございます。各区におきましては、区税の収納強化、それから滞納抑制に努めてございます。区税収入につきましては平成11年度以降連続して増加を続けていると。また、滞納繰越分につきましても大幅に圧縮が図られているというところでございます。ただ、19年度からの住民税フラット化によります徴収率の低下が懸念されているということがございます。区税の収入強化と滞納抑制につきましては、中野区も同様な取り組みを今後していかなければならないというふうに考えてございます。
 次に13ページでございます。四つ目の課題といたしまして、扶助費と特別会計繰出金の増があげられてございます。ここでは、扶助費の総額につきましては平成12年度の介護保険導入前の水準を超えて年々増加しており、財政圧迫の要因の一つとなっているというふうにしています。また、実質的な義務的経費である医療保険制度への繰出金も増加傾向にあるということが大きな課題となってございます。特別区におきましては、景気の長期低迷などによりまして、生活保護費、それから児童福祉費は大幅に伸びております。また国保、老健、介護の特別会計の繰出金につきましても、医療費の増や保険料収入の低下などにより増加しておりまして、財政を圧迫する要因となってございます。ここに円グラフがございます。左側が平成10年度の各扶助費の構成比でございます。右側が平成17年度の構成比となってございます。ここではやはり生活保護費が42.4%と大きなパーセントを占めてございます。これが平成17年度になりますと、この生活保護費の割合がさらに拡大をいたします。特別区においては55.3%というような状況になってございます。このグラフに中野区の数値をあてはめますと、まず平成10年度でございますが、社会福祉費が13.9%です。それから老人福祉費が27%、児童福祉費が9.1%、生活保護費が50.1%となってございます。したがって、この時点で生活保護費が23区の平均の割合を中野区は約8ポイントほど超えているというようなことになります。これが右側の17年度におきますと、中野区については社会福祉費が14.7%、老人福祉費1.8%、これは平成10年と17年で老人福祉費が大きく違いますのは、介護保険に移行した関係でこういうような数値になっております。それから児童福祉費、これが23%、それから生活保護費が中野区の場合は60.5%というような割合になっております。こうしたことで、依然として生活保護費が高い割合を占めているということになってございます。また、大きく変わったものが児童福祉費でございまして、平成10年度は中野区は9.1%でございましたが、これが23%というような額に伸びてございます。
 それから最後に14ページになります。5点目の特別区の課題といたしまして、老朽化した公共施設と改築経費でございます。ここでは、区が保有いたします公共施設の老朽化が年々進んでおりまして、その改築、改修に伴う経費の増が財政状況を圧迫する可能性があるという一つの大きな課題を示してございます。公共施設、標準的な耐用年数が50年というような数値がございます。この50年を迎え、改築を行う必要性が迫られておりまして、そのピーク時が特別区においてはおおむね平成36年度となってございます。中野区におきましても平成30年を超えたころから学校等の改築需要期を迎えることになります。こうしたことを見込みまして、財政調整基金、それから義務教育施設基金、そういったところに着実に基金を積み立てていく、そういった必要があるというふうに認識しているところでございます。
 以上、大変長くなりましたが、特別区の財政の現状と課題ということで報告をさせていただきました。
委員長
 ただいまの報告について質疑はありませんか。
奥田委員
 14ページの5番目の公共施設改築経費の部分ですが、中野区においてもピーク時平成36年前後ということでお話あったと思うんですけれども、それに対応する教育施設等の基金で、そのピークに対応するための基金としてどれぐらいの金額が必要になってくるとお考えですか。
篠原財務担当課長
 区立学校で申し上げますと、小学校27校と中学校が14校、再編で幾分数が減るかもしれませんが、ほとんどの学校が平成30年ぐらいから35、36年に向けて改築需要期を迎えるというふうに試算してございます。そうしたことでいいますと、改築経費については1校当たり30億とも言われておりますので、相当な額を積み立てる必要があるというふうには考えてございます。
 ただ一方、そういった改築に伴って、例えば耐震補強をするとか、新たに大規模改修をすることによって、その改築期を10年もしくは15年延ばすことも可能であるというふうに聞いてございますので、そういったことも併用しながら財政計画を立てていかなければならないというふうには考えております。したがいまして、現段階では1校あたり30億というふうな数値がございますので、そういったことから言いますと、相当な額を積み立てなければならないというふうには考えてございます。
奥田委員
 まだそうした具体的な数字というか、再編計画等もまだこれからというところもありますから、まだ具体的に幾らというところでは出てこないのかもしれないですけれども、できるだけ早い段階で、例えば金額の大枠といいますか、1,000億ぐらいなのか、500億ぐらいなのか、大きな枠組みというか、前後あるでしょうけれども、見えてくると思いますので、全体の大きさを早い段階でつかまえた上で、10年改修で延びるからその金額がここの後ろに行くんだとか、そういう議論が早目にできるような形で整備していただけますでしょうか。
篠原財務担当課長
 学校以外もいろんな施設がありますので、そういうところも含めまして、早いうちにそういった将来的な需要額を想定を予測いたしまして、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
岩永委員
 今報告をいただいたものは区長会事務局がつくったものですね。特にこの特別区財政の課題というところなどを読んでみますと、各区、例えば中野なら中野なんかでも共通した認識に立つところなんだろうとは思うんですけれども、この現状と課題、要するに課題ですから、この課題に対してどういう取り組みをしていくかということも当然出てくるわけですが、これはどういうふうな扱いになるんですか。その区長会事務局が出したと。そうすると区長会で検討してどうするのかとか、各区でこれをもとにしてどうするのかとか、そういう意味でこれはどういう扱いになるんですか。
篠原財務担当課長
 各区ではそれぞれ独自に財政分析は進んでおります。特別区区長会がつくったのは、特別区全体としてみて、今の都区制度の内容、または財調の絡みです。そういったことで見ますと、これは東京都向けとも言える部分があるんですが、かなりこういう厳しい状況に特別区は置かれているんだということを示していると。特に東京都は都財政の現状というものを別に出しております。そこでは東京都はかなり隠れ都債というようなものがあったり、都区財調における部分でもう少し圧縮すべきじゃないかというような、区側に対する攻撃的なことも書いてあります。そういったものに一部対抗する部分としてこういった冊子がつくられたというふうにも聞いてございます。
山崎委員
 すみません。どこで聞こうかなと思っていたんですが、大都市財源のお話になるので、先ほどの報告と重複するかもしれませんが、今の報告ですと8ページになるんですが、特別区側が財調財源について市長村民税であると、こういう主張は一貫してやっていると思うんです。しかしながら、都区とも主要5課題も含めて協議をしていく中でどうしても埋まらないのはこの考え方で、東京都は大都市事務を含めて私たちの税であると、こういう主張が一貫して崩れないわけですね。そこのお互いの考え方をすり合わせるのに歩み寄れないので、あり方検討会だとか、あるいは大都市事務だとか大都市行政だとかいう形でどこかで歩み寄らなければいかぬということでお互いに今話し合っていると思っているんですよ。しかし、法律では市長村民税であるということは僕は間違いないと、区側の考え方は間違いないと。しかし、それを徴収して垂直調整するのが東京都の役割だと、こういうふうに法律は書かれているだけで、市長村民税であることは間違いないわけだから、そこのところをどうして今でも東京都に認めさせることができないのか。あるいは大都市行政だとか新たな考え方が出てきて、12年の法改正では何て書いてあるかというと、役割分担をしてそれにあわせた財源配分をしなさいよということになっていて、区側は私たちの仕事はこういう仕事なんですと明らかに提示して、東京都側が示してこない。大都市行政だ、大都市事務だと新たな考え方を入れて示してこないと。その平行線をずっと引っ張っちゃっていて、私はどういうふうにこれを決着つけるのかなと思って見ているんだけれども、最終的にはその部分がやっぱり埋まらないと。一つ一つ事務を詰めて、なぜそういう対等な関係で協議が進まないのか、少しこの報告とは違うかもしれませんが、この委員会しか聞けませんので、ちょっとお答えいただけますでしょうか。
篠原財務担当課長
 平成12年におかれました都区制度改革によりまして、ある一定の自治権拡充とか特別区の役割とかそういうことの役割といったものが議論されてきております。ただ、この議論が進まない一つの大きな要因といたしまして、いまだに東京都は各特別区を内部団体的なものにしかとらえていないという大きな状況がありまして、向こう側が考え方を改めていただけなければ、この議論はなかなか進まないんではないかなというふうに考えております。ですから、そういったような意識的な部分、そのわだかまりを解消することによって、ここの議論が一歩、二歩進んでいくのかなというふうには今考えてございます。
山崎委員
 だから、こうした報告も、これは区長会事務局がつくられたんでしょう。これを読むと64%の水準に上昇したと。今の話からすれば、市長村民税は当たり前なんだよ。財調でもらうんじゃないの。当たり前の財政自主権なわけ。それを区側が財調でもらうんだとか、64%に上昇したんだなんて、みずからが認める区長会がどこにあるんだと。僕はこれを読んでいてとても腹立たしい気持ちでいるんですが、どう思いますか。
篠原財務担当課長
 御指摘のように、議長会からも厳しくその辺につきましては区長会の方に申し入れがされております。特に今回の三位一体改革によります財源配分、調整率の問題でございますけれども、52%プラス2%プラスアルファ、これがいまだに決着してございません。議長会としても、これが決着しない限りは、検討会はおろか、もう協議にものるなといったような、そういった決意を示していくべきだというふうなことも言っております。区長会といたしましても、そもそもの出発点が57%、これを一昨年の12月に区長会として確認しております。これが出発点になっておりますので、主要5課題はああいった形で不本意な決着をいたしましたが、あくまでも区長会といたしましては57%を何としても勝ち取るんだと、それが本来の区の財源なのだということを強く主張していかなければならないかなというふうに考えております。
委員長
 他に質疑はありませんか。
 よろしいですか。

〔「はい」と呼ぶ者あり〕

委員長
 なければ、以上で本報告は終了いたします。
 3番のその他であります、所管事項の報告、その他ございますか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

委員長
 なければ、以上で所管事項の報告は終了いたします。
 次に、大きなその他でありますが、次回の日程について御協議いただきたいと思いますので、委員会を暫時休憩いたします。

〔午後1時49分〕

委員長
 委員会を再開いたします。

〔午後1時49分〕

 休憩中御協議いただいたとおり、次回は、第4回定例会中とし、緊急の案件が生じた場合は正副相談の上、皆さんに御参集いただくと、こういうことで御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

委員長
 御異議ありませんので、そのように決定をいたします。
 以上で、本日予定した日程はすべて終了いたしますが、各委員、理事者から何か御発言はありますでしょうか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

委員長
 なければ、本日の財政制度調査特別委員会を散会いたします。
 御苦労さまでした。

〔午後1時49分〕