平成18年12月06日財政制度調査特別委員会
中野区議会財政制度調査特別委員会〔平成18年12月6日〕
財政制度調査特別委員会
○開会日 平成18年12月6日
○場所 中野区議会第2委員会室
○開会 午前10時02分
○閉会 午前11時23分
○出席委員(14名)
大泉 正勝委員長
はっとり 幸子副委員長
佐野 れいじ委員
奥田 けんじ委員
小堤 勇委員
大内 しんご委員
伊藤 正信委員
高橋 ちあき委員
平島 好人委員
山崎 芳夫委員
こしみず 敏明委員
佐伯 利昭委員
岩永 しほ子委員
江口 済三郎委員
○欠席委員(0名)
○出席説明員
区長室長 寺部 守芳
政策担当課長 川崎 亨
総務部長 石神 正義
財務担当課長 篠原 文彦
税務担当課長 遠藤 由紀夫
区民生活部長 本橋 一夫
区民生活部経営担当課長 登 弘毅
子ども家庭部長 田辺 裕子
子ども家庭部経営担当課長 合川 昭
保健福祉部長 菅野 泰一
保健福祉部経営担当課長 寺嶋 誠一郎
都市整備部長 石井 正行
都市整備部経営担当参事 尾﨑 孝
教育委員会事務局次長 金野 晃
教育経営担当課長 小谷松 弘市
○事務局職員
書記 松本 桂治
書記 荒井 勉
○委員長署名
審査日程
○議題
都区財政調整について
財政自主権について
財政運営について
○所管事項の報告
1 第4回都区のあり方に関する検討会(議事要旨)について(財務担当)
2 第5回都区のあり方に関する検討会(議事要旨)について(財務担当)
3 「中野区の財政白書」について(財務担当)
4 その他
(1)19年度の都区財政調整の東京都提案について(財務担当)
○その他
委員長
定足数に達しましたので、財政制度調査特別委員会を開会をいたします。
(午前10時02分)
本日の審査については、お手元に配付の審査日程(案)(資料1)のとおり進めたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
御異議ありませんので、そのように進めさせていただきます。
なお、審査に当たっては12時を目途に進めたいと思いますので、御協力のほど、よろしくお願いを申し上げます。
それでは、議事に入ります。
都区財政調整について、財政自主権について、財政運営についてを議題に供します。
所管事項の報告を受けたいと思います。
初めに、1、第4回都区のあり方に関する検討会についての報告を受けたいと思います。
篠原財務担当課長
それでは、本年の9月19日に開催されました第4回都区のあり方に関する検討会について報告を申し上げます。(資料2)
まず、会議の概要の前に、会議に先立ちまして西野大田区長、これが特別区区長会長に就任をしたことが報告されております。その後、本日のテーマを「特別区の区域」、それを前回に引き続きまして行うということと、その後に税財政制度について検討することを確認をしてございます。
それでは、会議の概要でございます。
まず、(1)の区域のあり方でございますが、主な議論といたしましては、区側から、思い切って都が行っている事務を移管した方がいいといったような提案をしてございます。この提案に対しまして都側は、区域割りを含めた仕組みの議論が大切であるといったような答弁があったというふうになっております。
この区域割りの発言に対しまして、区長会側につきましては、さまざまな問題があるということで、何点か意見を述べております。その一つが、特別区の偏在性をなくすことになれば、大がかりな再編が必要になるといったこと。それから、23区の現状がどうか。日本経済を牽引するというエリアとしてはどうあるべきかという議論を深める必要があるといったような意見。それから、区域のあり方は区民生活にとってどのようなメリットがあるのか。明確なコンセプトがなければ、区民に投げかけることができないといったような意見もあります。
そのほか、特別区の事務分担が不十分であること、また今後の財政調整のウエートの高まり、一層の財政自主権が低くなる可能性があるということから、区域の議論をするかどうかについて、議論の大きな分かれ目になるといったような意見もあります。
また、区域の問題につきましては、相当慎重な議論が必要であるといったようなことが、意見として述べられております。
以上が区域のあり方、(1)の部分でございますが、それの会議の概要でございます。
続きまして、(2)の税財政制度でございます。
本来、この検討会につきましては、この問題を第1番の議題として取り上げるということで当初お話がありました。最終的にはこの1日足らずで終わってしまったわけでございますが、都側から、特別区の財源保障、このための都区財政調整制度については、平成12年度の都区制度改革によっても変更はないといったことを述べてございます。
区側では、調整3税、市長村民税法人分、それから固定資産税、それから特別土地保有税がありますが、これは都税であっても都区との調整税である。固有的財源であるということを区側は主張をしてございます。この件については2ページになりますが、自治法の282条、こういったことについては明記をされているといったことを、一応区側としては意見として述べてございます。
それから、区側から、この税財政制度の検討につきましては、まず1点目として、各区の財源の偏在性をできるだけ縮小すること。2点目が、財政調整交付金への依存度が高いため、各区の税割合を高めること。それから3点目に、財政調整制度の算定基準の簡素合理化を検討することが必要であるといったようなことを区側は提案をしてございます。都側につきましては、こういった意見に対しまして、財政調整制度を廃止することについては考えていないが、現行制度を堅持することは大変難しいといったような答弁がございました。
この都側の意見に対しまして、区側につきましては、財政調整制度があるから23区均一な行政ができる。地方税が変われば財政調整も変わってくる、そういったことではなくて、制度のよい点は残すという独自の考え方があってもいいといったような議論をしてございます。
以上が主な、会議における概要でございます。
今後の検討体制でございますが、都区のあり方検討会を都区協議会の下に置く。なおかつ、現在と同様の構成員とするということが、一応確認をされてございます。したがいまして、その後に、検討会の下に幹事会を設置いたしまして、座長は区長会代表者。副座長は都側とするといったことも確認をされてございます。幹事会につきましては、検討会が決定した方針を受けて具体的な検討を行うというようなことになってございます。まだ詳細な人員など、どのような形でこの幹事会について入るかということについては、未定でございます。
以上が、簡単でございますが、第4回の会議の概要でございます。
委員長
ただいまの報告について質疑はありませんか。
岩永委員
第4回は、行われたのが9月19日ですね。この時点での議論の全体の流れですが、第3回の報告を受けたときに、区域のあり方についての議論があったという報告を受けました。それで1カ月後の第4回では、いわゆる財源調整をどうするのかという中の事務分担の配分、要するに都と区の事務の配分というのか、事務のあり方ですね。そのことと区域のあり方が、ある意味では一体の議論のような部分も紹介されているんですが、流れとしてはそこは明確に分かれているというふうに思っていたんですが、そのあたりはどうなんでしょう。
篠原財務担当課長
これまで4回、最後取りまとめを含めまして5回行っているわけでございますけれども、1回目については、地方制度改革と東京の自治、2回目が都区の事務配分、3回目が区域のあり方、それから4回目が税財政制度といったようなことで、四つのテーマで今まで議論されております。
今、委員御指摘のとおり、事務配分とか地方制度改革、こういう部分の中でも、区域のあり方、道州制とか具体的な表現がその中で出ております。あくまでもこの検討会につきましては、自由に討論ができる場、フリーで行うような場ということで、それぞれ東京都、それから特別区側で自由に意見を交換できる場として設置をして、その中での課題をまとめて、この後でまた報告いたしますが、5回の検討会におきましてその確認をして、今後の検討方向を定めようといった流れになっております。
したがって、すぐさまこれまでの議論がそのまま今後決まっていくというようなものではなくて、これからさらに都区協議会の下に検討会が設けられますので、そこで慎重に議論されていくというようなことになってございます。
岩永委員
まだ中野区の議会の中でも、区域のあり方などについての議論はされているわけではありませんし、もともとこの検討会のあり方は、税制等をどういうふうにしていくのか、事務のあり方をどうしていくのかというところが大きな課題として始まっているから、やっぱりそのところは流れの中でごっちゃになることのないように、きちんとした議論を進めていくということが大事だろうと思うんです。
あわせて、税財政制度についての議論の部分、今課長も少し言われましたけれども、今回、この4回目は、税財政制度についてやるんだというのが3回目の最後の取りまとめですけれども、御紹介いただいている範囲ではそんなに大きな議論というんですか、突っ込んだ議論がなされたというふうにも思えないんですね。今までの議論されていたものを、再度なぞった部分等が主だったのかなというふうに思っていて、そのあたり、次に5回の検討会の報告を受けるんですが、なかなか、このあり方検討会の中でも進んでいかない。これ結局、東京都の姿勢がずっと変わらないから、そのまま23区側も言い分としては繰り返しになっているということでしか、このあり方は進まなかったと、そういうことなんでしょうか。
篠原財務担当課長
先ほども申し上げましたが、あくまでもこの検討会は自由な討論をする場ということで設定されておりまして、何かを決めるというような、そういった権限を持った会議体ではないです。
したがいまして、今後の税財政制度につきましても、当然特別区の事務配分とか、区域のあり方がある程度一定の方向性を出さない限り、こういった税財政についても議論が進まないというような形で最終的にはまとめられております。これにつきましては、後ほどまた説明いたしますけれども、そういった方向で今、今後の検討会において、これまでの議論されたテーマがそこでまた、もう少し突っ込んだ議論がされていくというようなことでございます。
委員長
他に御質疑ありませんか。よろしいですか。
〔「はい」と呼ぶ者あり〕
委員長
それでは、この報告は終了いたします。
次に、2、第5回都区のあり方に関する検討会についての報告を求めます。
篠原財務担当課長
それでは、10月20日でございますが、開催されました第5回都区のあり方検討会につきまして、会議の概要を報告申し上げます。(資料3)
今回、この第5回については、一定の取りまとめがされてございます。これまでの4回の都区あり方検討におきまして議論されました地方制度改革と東京の自治、都区の事務配分、特別区の区域のあり方、それから税財政制度につきまして取りまとめた議論をするということで開かれてございます。
以下に、項目ごとに整理したものがございますので、検討の内容とか、項目ごとにまた、その意見について報告を申し上げたいと思います。
まず、1点目の地方制度改革と東京の自治でございます。
今回の検討の目的でございますが、東京都と特別区につきましては、「東京、ひいては日本の将来を展望し、都区の新たな役割分担や効率的な行政の実現を図り、互いに協力して、東京の自治のあるべき姿を確立する」というふうにまとめてございます。
主な意見といたしましては、特別区のエリアが日本のダイナモとしての日本のあり方を牽引していくという気構えで検討していくべきだといったような意見が出されてございます。それから、東京富裕論への抵抗でございます。東京都と特別区につきましては、東京の財源のねらい撃ち、それから都心の直轄化論に対しまして、協力して対抗していこうということで確認をしてございます。
この中での主な意見としまして、東京の財源、膨大な市長村民税法人分と事業者税があるわけでございますが、こういったものが今、地方制度調査会でもかなり疑問視をされるといいますか、そういったものを地方に配分すべきじゃないかというような議論がされてございます。そういったことにならないように、協力して共通認識を持っていこうということでございます。
それから、2ページ目になりますが、検討の枠組みでございます。これらの検討につきましては、二層制を前提といたしまして、現行の都区制度を出発点とするといったことも確認されてございます。また、事務配分、それから税財政制度につきましては、議論の状況によっては国に法改正を求めていくといったようなことで取りまとめがされてございます。
主な意見といたしましては、一番偏在が激しい住民税、これをどうするのかという議論が出てきます。偏在をできるだけ均等化しまして需要に合ったものにするということに対しましては、国を含んだ議論をすべきだといったような意見が出されてございます。
次に、マル2の都区の事務配分でございます。
検討の基本方向といたしましては、大都市の一体性を確保するために、都が行う必要があるとされた事務を除きまして、都から特別区への事務移管をさらに進めるべきだというような基本的な方向がまとめられております。
こちらについての主な意見でございますが、都区の一体性の確保のために東京都が行う事務につきましては、例外的なものということが特別区の考え方でございます。この確認すべきことについては一体性を確保するべきということと、都が行う必要がある事務以外につきましては、可能な限り区に移管しようといったようなことも意見として述べられております。
それから、3ページになりますが、移管対象事務の選定基準でございます。選定基準につきましては、今回の検討目的に照らしまして幹事会が検討し、その結果を検討会で整理をするといったことが確認をされてございます。
主な意見としましては、住民に身近な事務、それから対人サービスにつきましては、基礎的自治体の大事な事務であるとしております。基幹的な方針の決定、それからまちづくりなどについても、自治体としての基本的な業務であるといったことが、区側から意見として述べられてございます。
それから、その下の具体的な事務移管の是非を判断する基準でございます。この基準につきましては、今回の検討目的に照らしまして幹事会が検討し、その結果を検討会で整理するといったことが確認をされてございます。
その他といたしまして、まず一つ目が、都の事務を特別区に移管する場合につきましては、特別区全体で一部事務組合、または広域連合を設置して、移管の受け皿とすることは考えないといったようなことを意見として区側が述べてございます。また、この検討におきまして、全区が対象となる事務移管につきましては、全区が等しく受けることを原則とするといったことも確認をされてございます。
それから、次の4ページになります。マル3の特別区の区域でございます。
検討の基本的な方向といたしましては、再編を含む区域のあり方について議論が必要であるといったようなことでまとめてございます。
主な意見といたしましては、区側の方から、最初から区域のあり方を前提にすることはできないといったようなこと、こんなことが述べられてございます。
それから、区域のあり方に関する検討の視点でございます。検討の視点につきましては、幹事会が検討し、その結果を受けて検討会で整理することということが確認されてございます。
このことについての主な意見でございますが、都区の事務の役割分担が決まれば、その受け皿を決めるという議論になる。こうしたことから、事務も決まっていないのに23区にかわれといったことにはならないということが、強く区長会側から出てございます。
こうしたことで事務配分は、役割分担が決まれば、区の責任や果たす役割が自然として決まってくる。そうしたときに初めて区域のあり方が議論されるものだといったような意見が出されております。
それから次に、5ページになります。税財政制度でございます。
税財政制度につきましては、今後の検討課題の議論の推移を踏まえて最終的に整理をするということになってございます。
ここで先ほど岩永委員にお答えしましたように、事務配分、それから区域の問題、こういった方向が整理された後に、こうした税財政制度について検討するという意見が述べられております。
それから、最後でございますが、今後のスケジュールでございます。
検討課題の整理につきましては、文言的な整備は一応合意をしてございます。それから今後のスケジュールといたしまして、この検討結果を11月の区長会で説明をし、了解が得られれば都区協議会を開催して、検討会とその下に置かれる幹事会を設置するといったような流れになってございます。
なお、この件につきましては、11月17日に開催されました特別区議会議長会にも報告がされてございます。特別区議会議長会におきましては、都区のあり方に関する検討会における取りまとめ結果、これが日本経済新聞に掲載されたということについて、その真意をただす質疑が冒頭に行われております。また、3年後をめどに結論の方向を出すということについて、区長会の考え方をただしましたが、この3年間については都と区の間では議論をしていないというような答弁がございます。この3年間につきましては、日経新聞にそのような記載があったということで、冒頭に議長会側から区長会に説明があったところでございます。ただ、この検討会の中では、この3年をめどにといったようなことについては約束をしていない、議論していないということになってございます。
それから、議長会側から、特別区の調査会の果たす役割、調査会の活用、区長会のスタンス、そのほか道州制の動き、こういったことを今後どのように考えるべきかということで質疑がありました。
それから、その他、東京富裕論に対しまして都区が協力して反論していくということは理解できるといったことから、むしろ警戒しなければならないことは、東京富裕論というよりは、特別区富裕論というふうに問題が変わってしまうようなことにならないように、今後臨んでいただきたいといったようなことが要望としてまとめられております。
委員長
ただいまの報告について質疑はありませんか。
山崎委員
毎回お聞きをして、何となく、さっきも岩永さんおっしゃっていたけれども、ここでの議論のあり方、あるいは進め方、議題の上がり方が不透明でよくわからなくて聞くんですが、これ5回の取りまとめということで今御説明をいただいたんだけれども、新聞なんかでは世田谷が財調について独自の案を出して、二層制を確認したり、さまざま報告はあるけれども、そうしたものとは別に、特別区側では財調をこうやったらどうだろうかというような試案までつくって発表しているというふうに、新聞なんかには書いてあるんですよね。そういう動きからすると、このあり方検討会が、そういう意味では23区と東京都が共同し合ってあり方を検討している会は会としてよくわかるんだけれども、どちらかというとやっぱり都が主体で、都の言い分を聞かされる場であって、それに区側がかみつく場面もあるんだろうけれども、どうしても区側の立場、あるいは区域なんていうものも議論に出されて、言い分が言えない。
そうした中で、各区は、本来なら水平調整というか、それぞれに話し合って、世田谷が独自案を出したり、中央が出したりということじゃなくて、区長会そのものが東京都とは別に、二層制ではないんだというようなことも含めて案を打ち出すという動きがあってもいいんだろうと、私なんかはこう思うんですが、いかがなんでしょうか。
篠原財務担当課長
区長会内部、それから財担課長の何人かで、そういったような勉強会も既に開いております。そういったところで一定の方向性がとれれば、そういった御提案を区長会の方に投げかけまして、具体的な検討組織、こういったものに発展するような形でいけるのではないかということで、今、調整をしているというふうに聞いてございます。
山崎委員
そうすると、世田谷あたりはかなり大きな区なんですよね。そうしたところが独自の案を出して、苦しみながらやっているのに、23区が共同してできないというのは悲しいことなので、ぜひともそういう形でやっていってほしいと。これは議会側でお願いをするしかないんだろうと思いますが。
それから私、一つわからないのは、地方制度調査会の方から道州制についての提言があって、それを踏まえて東京都と特別区の間であり方検討会の中で、道州制の議論はしないで、特別区の区域のあり方を持ち出されている。私はちょっとすりかえの議論になってやしないのかなと。言い方をかえると、道州制そのものについては東京都も大きなダメージをくらう。したがってそれを回避するために、道州制を導入するのには、特別区のあり方を検討せにゃなりませんよというような、なかなか難しいハードルを出してきて、この問題に対抗しているのかなというふうに私なんかは理解をしているんだけど、この区域のあり方を検討することと、道州制についての議論を進めることは、元来私は少し質が違う問題だと思っているんですが、このあり方検討会ではどのような感じなんでしょうか。
篠原財務担当課長
道州制については、議論としては出ているということは聞いてございますが、特別区の区域のあり方と関係するものではないというふうな中で、今、議論が交わされていると聞いてございます。
山崎委員
それからこれ、御説明にも出てきましたけれども、区域のあり方を検討すること自身に特別区側も一緒に議論をして、一定の方向を出そうということなんですが、私とても気になるのは、行政サイドとして特別区の区域のあり方というのは検討せにゃならないことだろうな。これは政府の方から見ても、道州制もそうだし、統治をする側からすると、そうした議論は避けて通れない議論にはなるんだろうと思うけれども、分権の議論からすると、あるいは地域に住んでいらっしゃる区域の住民の人たちに目を移したときには、全く逆の論点になるんじゃないのかな。区域のあり方がひとり歩きをして、本当に住んでいる人たちが不利をこうむるような区域のあり方論がどこかで論じられてやしないのかなという思いがするんですが、いかがでしょうか。
篠原財務担当課長
この区域のあり方については、議長会側からもかなり心配をされているということで聞いてございます。ですから区長会といたしましても、この問題につきましてはより慎重に議論を進めるべきだということで、今回整理をされてございます。
高橋委員
質疑は私も議長会でさせていただいておりますから、質疑ではないんですけど、今山崎委員がおっしゃったように、私たちは報告しか受けられないので歯がゆく思っている現状なわけですよ。ですので、我が区のトップにもお願いをしておきたいのは、発言できる場所があればきちんとそれなりに区の思いは発言をしていただきたいということをお願いしておきます。
篠原財務担当課長
今御指摘の点につきましては、議長会からも、区長会側と意見の交換をする場を設けてほしいといったような要望が出ております。今、その場面の設置に向けて検討されているというふうに聞いてございます。そういった中で発言ができるかなというふうに考えております。
岩永委員
どちらかというと今までの流れの中での確認という形になりますが、事務配分の件です。この間、東京都が大都市事務として行うものは何なのかということでなかなか決着がつかないというのが、大きな流れだったのではないかと思っているんです。その上で、今回の検討会の中でも、じゃ、大都市事務とは何なのかというようなことを詰めていきましょうということが、割と主だったテーマなのではないかというふうにして思っているんですが、改めて今後の検討の方向をこういうふうに示されてきますと、例えば2ページ目の検討の基本的方向の「・」の三つ目。いわゆる東京都がやるという枠組みが大前提になっているが、そのこと自体も議論の対象にするということになるという部分がありますね。この後にも確かに「・」が続くんですが、このあたりはさっき私が言ったように、大都市事務としては何なのかというような具体的なことも含めたことが中心だったというふうにして思っているところから見ると、改めてこういうことまでもが議論をせざるを得ないということになっているのか、こういう意見としてただ出たというようなことなのか、そのあたりの様子はどうなんですか。
篠原財務担当課長
あくまでもフリーに議論できる場ということの中で出た、その中で出た意見でございます。
岩永委員
いずれにしても、そうするとこれから、このあり方のまとめられた今後の方向で議論をされていくということになるわけですね。
検討会に中野区長は参加しておられませんでしたね。それで、今度幹事会を設けるということですが、中野区長がかかわる場というのはあるんですか。
篠原財務担当課長
幹事会の構成につきましては、まだ決まってございません。区長会役員がなるのか、それとも部長級におろすのか、そういった議論もまだされてございませんので、現在のところ何とも言えません。
委員長
他に質疑はありませんか。
なければ、以上で本報告は終了いたします。
では次に、3、「中野区の財政白書」についての報告を求めます。
篠原財務担当課長
それでは「中野区財政白書」につきまして報告を申し上げます。お手元に財政白書の冊子と、説明資料がございますので、本日は説明資料に基づきまして報告させていただきます。(資料4)
中野区の財政白書でございますが、過去、平成14年(2002年)に発行をしてございます。その後はおおむね3年に1回発行するというような方針をつくっておりました。今回は17年度決算ということでございますので、作成をしたわけでございます。ただ、こういったものにつきましては、毎年公表しておりますバランスシート、これとあわせて広く区民の方に中野区の財政状況をお知らせしたい。こういったことで区民参加をより一層推進していくということで、こういう形で毎年、今後発行していこうというふうに考えてございます。
それでは、資料に基づきまして、財政白書の概要について報告をいたします。資料をごらんいただきたいと思います。
まず、作成に当たっての基本方針でございますが、普通決算に基づきまして、10カ年の財政状況の分析、それから23区との比較を行ってございます。この10カ年は、平成8年から平成17年(1996年~2005年)までの間となってございます。
それから、この冊子の中に財務諸表、バランスシートを盛り込みまして、一体的に公表するといったようなもの。それから、区民にわかりやすい表現といたしまして、区民参加の推進に資するものということで、三つの基本方針を定めてつくったものでございます。
白書の構成でございますが、第1部が、公会計の決算状況に見ます中野区の財政分析を中心に整理をしてございます。こちらにつきましては、7ページから32ページの間に記載がございます。それから第2部が、財務諸表に見ます中野区の財政を企業会計による分析を中心に整理をしたものでございます。最後に資料編ということで、財政用語の説明ということで、82ページから86ページにかけまして財政用語、こういったものを説明を加えてございます。
それでは、中身の部分について報告を申し上げます。
まず、公会計(普通会計)によります分析でございます。これは第1部に記載をされているものでございます。それぞれ各ページも申し上げますので、御参照いただきながらごらんいただければというふうに考えてございます。
まず、平成17年度の歳入歳出の決算額でございますが、これは16年度に比べまして大幅に増加をしてございます。これは7ページから9ページにかけて記載がございます。経常収支比率につきましては、80.1%まで改善をしておりまして、しかしながら23区平均の77.1%までには至っていないといったような分析をしてございます。
それから、歳入の内訳でございますが、特別区税につきましては、8年ぶりに増加に転じております。ただし、納税者一人当たりの所得額につきましては、引き続き減少しているということで、なお特別区の交付金につきましては、景気の変動によって増減をしているということが13ページから15ページにかけまして記載がございます。
また、19ページ、人件費につきましては、平成12年の清掃事業移管によりまして増加をしてございますが、その後、平成10年度以降は一貫して減少しているということになってございます。
それから、21ページ、22ページでございますが、扶助費でございます。これは平成12年度の介護保険導入によりまして一時減少してございますが、その後につきましては年々増加をしてございます。また、国民健康保険事業特別会計、それから老人保健医療特別会計、介護保険事業特別会計の繰出金、これにつきましても増加の傾向にあることがわかります。
それから、23、24ページ、投資的経費でございます。財政状況の悪化によりまして抑制をしてまいりましたが、平成13年度以降につきましては、土地開発公社の健全化計画、こういったことに基づきまして公社の用地の取得を再開したといったことから、増加に転じてございます。
その後、25、27ページになりますが、平成9年度以降特別区債の発行を抑制をしてまいりました。こうしたことから区債の合計は、平成17年度末現在511億円まで減少してございます。また、公債費比率につきましても、平成11年度の15.5%をピークに、17年度につきましては7.4%、半分以下に減少したというふうになってございます。
それから、28、29ページにつきましては、基金残高を記載をしてございます。平成12年度につきましては46億円まで基金残高が減少してございましたが、17年度末につきましては176億円までに改善をしているといったようなことになってございます。しかしながら、23区中まだ20番目ということになってございまして、23区平均の371億円には達していないというような状況が見てとれると思います。
第1部の総括といたしましては、結果として区の財政につきましては大幅に改善をしてまいりました。しかしながら今後の財政運営の課題といたしましては、少子高齢化の影響、それから施設の改修・改築のための経費、団塊の世代の定年に伴う退職金の増、土地開発公社の保有地の買い取り、こういったことがありますので、中長期的な財政計画を作成していく、こういったことが必要だろうというふうに考えてございます。
次に、財務諸表によります中野区の財政、企業会計による分析でございます。括弧内につきましては、対前年度増減の額でございます。あわせて参照願います。
まず、バランスシートでございますが、これは42ページに前年度比較の表がございます。資産の合計につきましては2,693億4,147万円ということで、52億3,416万4,000円、2.0%の増となってございます。この要因につきましては、基金への積み立て、歳計現金の増加などによりまして増となったと分析をしてございます。
それから、負債の合計でございます。784億8,387万7,000円。こちらは逆に、27億939万5,000円、3.3%の減でございます。こちらは地方債の償還によります残高の減少によりまして、こういった減が生じたものでございます。
これら合わせました正味資産の合計でございますが、1,908億5,759万3,000円、79億4,355万9,000円、4.3%の増となってございます。結果的には資産合計から負債を引きました一般財源等が87億円ふえているということで、87億円の黒字経営であったということを示しているものでございます。
それから、59ページになりますが、行政コスト計算書でございます。行政コストの合計でございますが、780億5,283万6,000円。前年度比6億1,611万7,000円の減でございます。これは人件費、それから退職手当引当金繰入等、それから繰出金、公債費、これらは減少しておりますが、扶助費が増加しているということで、全体としては減少したということでございます。
それから収入の合計でございますが、855億2,502万8,000円ということで、前年度比36億5,227万4,000円、4.5%の増でございます。この要因は、国、それから東京都の支出金と一般財源等の増によるものでございます。
差し引きの一般財源等の増減額につきましては、86億6,803万4,000円ということで、これは先ほどのバランスシートの一般財源とも一致をしてございます。約87億円の黒字経営であったということを示してございます。
次に、キャッシュフロー計算書でございます。こちらは71ページに対前年度比較の表がございます。行政活動によりますキャッシュフロー、これが223億2,235万1,000円ということで、33億23万3,000円、17.3%の増となってございます。この要因につきましては、人件費の減少と、交付金による収入の増加などによりまして、結果的には増加をしたものでございます。
それから、投資活動によりますキャッシュフローでございますが、マイナス167億4,994万8,000円ということで、前年度比33億3,903万6,000円の減、24.9%の大幅な減となってございます。これは、土地開発公社からの用地の買い取り、基金への積み立てによる支出の増、こういったことによりましてマイナスの幅が増加をしたものでございます。
それから、財務活動によりますキャッシュフローでございますが、41億7,367万1,000円の減でございます。こちら対前年度比15.7%の減でございました。これは地方債発行によります収入を、地方債償還額による支出が上回ったといったことから、マイナス幅が増加したものでございます。
それから続きまして、77ページになります。連結バランスシートでございます。こちらにつきましては、まず資産の合計でございます。2,813億2,725万6,000円、40億1,891万9,000円、1.4%の増となってございます。その次の負債合計でございますが、881億8,703万2,000円、こちらが37億2,783万円の減となってございます。こちらの要因としましては、土地開発公社におけます負債の減少などによりまして、普通会計ベースによる減少額が大きくなっているといったようなことでございます。
こうしたことで、正味資産の合計でございますが、1,931億4,022万4,000円ということで、対前年度比77億4,674万9,000円、4.2%の増となってございます。
以上がバランスシート、財務諸表の説明でございます。今後この冊子でございますが、閲覧公表の方法といたしまして、ホームページに掲載する外、各地域センター、図書館、区政資料センターに必要部数、閲覧用のものとして備えていきたいというふうに考えてございます。
委員長
ただいまの報告について質疑はありませんか。
小堤委員
冊子の方でちょっと御質問したいと思います。13ページですなんですけれども、この中で平成17年度の特別区民税は、納税義務者数がわずかに増加したことから、8年ぶりに増加に転じたということです。これはやっぱり税制改正によって、非課税だった方が課税になったということなわけです。しかし、納税者一人当たりの所得額は減り続けており、23区との差はむしろ広がっていきますというふうに書いてありますけれども、この点で数字でちょっと示していただけますか。
遠藤税務担当課長
委員おっしゃっている非課税から課税の税制改正は、18年度の税制改正でございますので、17年度は従来どおりでございます。
小堤委員
冒頭の質問、失礼いたしました。
ただ、納税者一人当たりの所得が減り続けているという数字、それから23区との平均でどれだけ数字が違うのか。そこをちょっとお聞きしたかったわけです。
篠原財務担当課長
23区と中野区の比較でございますが、この一番下の表に納税者一人当たりの所得額の推移ということで、上段が23区で、下段の実線が中野区ということで比較していただければというふうに考えております。
小堤委員
こういう差なんですけれども、どうしてこれだけ開くのか。その要因というのはどういうふうにとらえているんですか。
遠藤税務担当課長
中野区の納税者一人当たりの所得額は、この表のとおり、年々下がっているという状況にありますけれども、それと23区全体との比較ということでは、なかなかどこに要因があるかというのは、すぐには出ないわけでございますけれども、やはりこれまでの中野区の納税義務者の所得状況ということからすると、やはりかなり所得の高い層がふえないという状況の中で、所得が減り続けている状況にあるということでございます。
小堤委員
所得の高い層がなかなかふえないという答弁だったんですけれども、逆にやっぱり、中野区というのは青年層と高齢者が多いということが指摘されておりまして、若い方の雇用がなかなか難しいということだと思います。中野区のこれからの財政事情にとっても重要な問題で、だからこそ私はやっぱり、若年層を中心とした青年の就職活動に対しての具体的な区の支援ということが必要だということを改めて言いたいわけなんです。
次に、ページ数に沿ってお聞きしたいのは15ページなんですけれども、ここで都区財政調整交付金の配分割合のことについて書かれてあります。この中で、区民に身近な仕事をできるだけ区が担うことを基本とした適切な配分割合を確立するためにということなんですけれども、例えば具体的に、当面、担うべき仕事というのはどういうものが区というか、23区の中にあるんですか。
石神総務部長
先ほど岩永委員からも質問ありましたが、23区の中で一体的に東京都の方で担っていくべき仕事ということで、平成12年度以来ずっと議論になっていた大都市問題というのがあります。これが今、議論されているわけですが、そこで23区と都が今後どういうふうに事務配分をしていくのかということが提案され、議論が一定おさまらずに、現在、あり方検討会がつくられてやっているわけです。
23区が担う仕事というのは、自治法に書いてある普通地方公共団体が行う事務ということで、現在中野区が行っている事務、これが23区が行う事務ということで行っているわけでございます。
小堤委員
わかりました。
次に、基金残高のことでお聞きしたいんですけれども、28ページなんです。ここで平成17年度末の基金残高が176億円だと。しかし23区の中で20番目というふうに書いてあります。これを区民一人当たりの基金残高で割りますと、23区の中で何番目ぐらいになるんですか。
篠原財務担当課長
ちょっと、そこまで今、計算をしてございませんので、後ほどまたお答えさせていただきます。
小堤委員
私はこの基金残高というものを23区の中でも、その区の体力というふうにして見れば、中野区はまだ、全体平均の半分以下というふうになります。しかし、この間、急に基金残高が多くなっているわけなんですけれども、じゃ、さらに多くすればいいのかという点について言えば、区民の暮らしとの関係で見ると、なかなかそう単純ではないと思っております。
ここで一つお聞きしたいんですけれども、本定例会でも子どもの医療費の無料化が来年10月から、中学3年生まで入院・通院とも無料というふうに拡充するという報告がされました。ちょっとお聞きしたいんだけれども、この拡充によってどのぐらいのお金がかかるのか確認できますか。
篠原財務担当課長
おおむね4億円程度というふうに確認しております。
小堤委員
話を進めたいと思います。
例えばこの4億円というのは、子育て世代にとっては非常に助かるわけです。逆に言うと、それをほかのことに使えるわけですよね。それを貯蓄に回すという世帯もあるかもしれないけれども、今の子育て世代の状況からすると、それがほかのものに消費できるということになると思うんです。地元の商店街で買い物するとか、またその商店が仕入れのためにお金を使うとか、みずからの生活のために使うとか。そういうふうに周り回って区民税という形で、その何割かがまた区に還元されるというコースだと思うんです。
ただ、4億円がなければ単純に、それが当初から基金として積み立てるのかという話も出てくるし、準剰余金として残れば2分の1は積み立てるというふうになると思うんですけれども、やはり地域経済を活性化させるといった場合、そういうお金の使い方というのが日本の経済全体で弱いのかなというふうに思うんです。
そういう点で、基金のため方の問題と、あわせて区民の暮らしをどう改善していくのかという点で、この中で基金残高が23区平均の半分にも達していませんと書いてあって、何を言いたいのかなと思ったんですけれども、そういう見方も、お金の使い方、見方が必要だと思うんですけれども、そういう点での認識というのはどうなんですか。
篠原財務担当課長
基金につきましては、景気変動に十分耐えられる、また持続可能な財政運営をする、そういったことのために積んでいるものでございます。なお、今後、学校の改築、それから体育館の改修、そういったことで大幅な財源が必要となりますので、そういったことに耐えていくということであれば、やはり基金の積み立てが、必要な額はしていかなければならないというふうに認識をしてございます。
小堤委員
今の答弁は理解できます。将来の学校等の改築に必要な基金をため込むということと、やはり今度の無料化にしても、4億円というのは子どもの医療そのものにかかわる大事なお金の使い方だから、ぜひそういう見方もきちっとしていくということを意見として述べたいと思います。
石神総務部長
今委員が言われましたように、所得再配分をする、こういった機能も自治体は持っているわけですが、それだけではいかないということでございます。やはり歳入が入ってこなければ、そういった事務もできないわけでございます。4億円だからということではなくて、4億円をこれから義務的経費としてずっと出していかなくちゃいけないわけです。その場合に、景気変動があって、これまでも単年度で50億以上超えて景気変動があって歳入が減ったところもあります。そうしますと、現在の歳入に合わせた形で事業を進めていきますと、そういった大きな景気変動が出たときに、そういう事業ができなくなってしまう。これが赤字の原因だったわけでございます。
そういうことから、先ほど課長が言いましたように、財政調整交付金という年度間調整、そういった調整機能を持った財源によって、安定的に事業を運営していかなければいけないわけでございます。そういう中で、どの程度財政調整交付金があって、またそういう事業ができるのか。そういう総合的な判断の上で、今回も判断をしていく。ただ、これについては景気変動というものを見越していきますと、臨時的な対応にならざるを得ない。将来的には、区長の方から答弁いたしておりますが、事務の見直し、そういったことを行って、安定的な財源確保策をつくっていかなくちゃいけないということでございます。
ですから、簡単に所得再配分機能だけを持って事業を運営していくというのは、非常に危ないというふうに考えてございます。
奥田委員
まず確認させていただきたいといいますか、資料の中でちょっと整合性のとりづらい部分があると思いますので、そこの確認をまずさせてください。
26ページです。区債残高、17年度末で511億と書かれておりまして、その中では減債基金の積み立ての部分を除いているというところで書かれていますね。それに対して一方で29ページ、特別区債残高と基金残高の推移と書かれております。こちらを見ますと、基金残高の合計のところには28ページの資料で示されていますように、減債基金の残高を加えた形での数字が入っております。つまり、29ページの特別区債残高と基金残高の推移というグラフを見ますと、一方では減債基金の残高を除いた形、一方では加えた形という表記になっておりまして、ここの整合性が他区間であるとか都との関係での比較には、他区がそのようにやっていますからいいのかもしれませんけれども、区民の視点で見ますと、こちら、一方で入って一方で抜けておりますと、やや整合性に欠けるものになっているというふうに感じるんですが、いかがでしょうか。
篠原財務担当課長
今御指摘の点につきましては、私どももいろいろ、これについてはどのような形で表現すればいいのか、大変悩んだところでございます。
実は、総務省の普通会計処理上、区債残高には6%相当額を繰り入れなさいと。基金残高については、逆に4%引きなさいというような通達がございます。そういった処理をいたしましてやったものでございまして、そういった表現がなかなかこの中でしにくいといった部分がございます。減債基金については、確かに10年間で積み立てをしながら返還をしていくというような形の中で、その当初、当初は10%ずつ。そうしますと、6%が区債残高に乗っかって、4%が基金残高にまた落ちるといったような処理をしていると。ですからそれが、ちょっと申しわけないんですが、ちょっと言葉が足りなかったということについては、今後また工夫をしてまいりたいというふうに考えます。
奥田委員
ぜひここの部分については、そうした総務省の通達に従っていくという方向性ももちろん必要だと思いますけれども、これ区民に対しての情報公開といいますか、説明責任を果たしているという意味もありますから、そういう意味で言うと、資産の側と負債の側のバランスを見て健全性を図っていく資料の一つだと思いますので、そのあたり、誤解がないような形での表記をできる限り工夫していただきたいと思います。
あと、こちらの構成の2部の側の、いわゆる企業会計ベースというところで表記されているもので、従来からバランスシート等の作成については、何のためにつくっているのかという、目的がなかなか明確にならないという部分がありまして、そこのところを行政としてはっきりとしていただきたいという思いがあります。というのは、企業であれば、このバランスシート等を作成する目的というのは明確でして、一つには組織の収益性を分析する。もう一つが効率性を分析する。もう一つが安定性。この三つを分析するためにつくっております。お示しいただいております資料で、それぞれ見せていただきますと、必ずしもそれが、行政としてどういった性質のものを分析するためにあるのかというのが、なかなか。例えばさまざまな指標といいますか、分析された比率等が出されておりますけれども、結果的にこういった比率になっていると、性質の分析に終わっておりまして、そのことが何を意味しているかというところまで記述がほとんどなされていないんですね。そこのところ、改めて区として何を目指してこれをつくっているのかというのを定義していただきたい。その上で、それぞれの分析する指標の持っている意味、あるいは目標値であるとか適正値というものをやはり持たないと、分析する意味といいますか、かけている労力自体の意味がなかなか出てこないと思うんです。
例えば、バランスシートの分析という51ページのところで、この分析で世代間負担比率という表現になっています。しかし、世代間の負担という意味で言うと、財政学的な表現で言えばもちろん、負債の部分が将来負担、世代間の公平性という意味で表現されているので、理解はできるんですけれども、一方で、世代間の負担というふうな表現になっておりますけれども、いわゆる自己資本と負債とのバランスというとらえ方をした場合には、これは安定性の指標にはなるんですね。どれぐらい、負債の大きさがあまりにも大きいと、組織として安定性を欠くというような意味合いにもとることができます。ですから、世代間での負担をどのようなバランスにしていくかというのも、とらえ方は非常に難しいですから、そういった世代間の調整をしていて何%になっているという表現をしても、この適正値というのはなかなか出していけないと思います。そういったことを考えますと、安定性という視点で分析されるのも一つかというふうに、この部分については私は思います。
あと、52ページ、歳入の総額対資産比率という、この比率も出されております。これは企業で分析する際の見方としては、例えば歳入部分を売り上げというような形でとらえますと、この資産と歳入との比率は、企業でいえば効率性という分析に当たります。例えば、資産の回転率といったような分析のものに当たるわけです。こちらの場合も、回転率とは逆数になっておりますけれども、どれぐらい持っている資産が効率的に使われているかということです。そういった比率が幾つか出ているだけでは、なかなか区民の皆さんのその数字が「だから何なの」というところまでつながっていかないというふうに考えております。これら、企業分析をしていく際のものをある程度参考にされながら、せっかく出てきたものを生かしていくということで、この指標を改めて定義付ける、それから意味を持ったものとして適正な数字、あるいは目標値というものをある程度掲げていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
篠原財務担当課長
このバランスシートにつきましては、この結果を総務省の方には送って、全国的な比較をするような形になってございます。15年度につきましても、一定のそういった中で各自治体のベンチマークを示すような統計書も出てございます。この指標がどういうふうに使われるのか。そういったときの比較の際に、中野区が全国でどのような位置にいるのか。中野区は今後どのような位置を目指していくのか。そういった指標にはなるかなというふうに考えておりますので、そういった部分で活用していきたいということに考えております。
奥田委員
今お答えいただいたのは、いわゆる横分析ですね。同じような財政規模の自治体、あるいは政治的に見た自治体に対して、横で比較していくときに活用するということで、同じ指標を使ってまいりませんと比較ができないというようなことでおっしゃったと思います。
一方で、同じ中野区内で経年的に分析していく。いわゆる時間軸でいう縦分析です。この縦分析に関しては、必ずしも横で整合性というか、合わせていく必要はありませんで、縦で独自に分析していくのにふさわしい指標等を持つことは必要だと私は思いますので、それに関して、横で分析していく際には合わせていく必要がある一方で、縦分析、時系列で分析する際には、独自のものがやはり重要になってくると思いますので、そのあたりの研究をしていただきたいと思います。
あと一つ、41ページ、バランスシートの未収金というところがあります。未収金の地方税その他というところで、相当額の計上がなされております。これが資産という形で計上されております。未実現の資産、将来、現金あるいはお金になってくる可能性のあるものとして計上されておりますので、資産として認識するのは間違っていないというふうには思いますけれども、一方で、これが実現の可能性がどれぐらいあるのかというところで、引き当てを必要とする資産だと私は思います。ですから、総務省がこれ、求めていないかもしれませんけれども、中野区としては、この未実現のものの中でどれぐらい実現可能性があるかという分析をされた上で、引き当てをある程度していただきたいというふうに考えているんです。そうしませんと、例えば、来年返さなきゃいけない借金に対して、今の現金、あるいは流動的な資産がどれぐらいあるかというので、ある程度安全性というものを図っていくような分析手法もありますけれども、その際に、分析の正確さを欠くものになりかねませんので、そのあたりの検討もしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
石神総務部長
今、委員の方からさまざま言われましたが、発生主義会計、これをとっていきたいという中には、今委員が言われたような形で、財政をどのように運営していくのか、また区民の方に今の状況を見てもらうということで、現在の決算ベースでいうと単年度しか見えない。今幾ら借金があるかわからない、また幾ら今後出ていくのかわからないということから一歩進んだ形でこういう形でやってきたわけですが、このもとの数字、毎年このごろ答弁する中で言っていますが、例えば固定資産の評価については取得価格であったりということになっているわけでございます。そういうことで言うと、現在建物があっても、その評価が適切な評価でないと、今後幾らそれに減価償却した部分を積んでいかなければ建てかわらないのかということになってしまうわけです。そういうことについて、やはり総務省が提示した内容だけでは十分ではないというふうに思っています。
そういうことから、発生主義会計をやる中に当たっては、そういう部分の見直しをすること。それから、総務省の方で言っておりますような形ではなく、今言われましたように、未収金ということで言えば、これ資産ですけれども、これは取らなければ当然、それに当たるべき財政負担が出てくるわけでございます。今の会計制度で言いますと、基金のうちでも現金にカウントされる財調基金がそれに対応するような形でしか、ここでは幾らやっても読み取れない状況になっております。
そういうことを、全体を含めてもう一度見直さなければ、いわゆる発生主義会計を公会計に論ずることが難しい点がございます。そういう意味で、この発生主義会計に向けた調整をするという言い方をしてございます。
それと、それぞれ目標値、望ましい数値を示した方がいいのではないかということですが、今の現金主義会計の中で出した数字、例えば公債費比率だとか何かについては出ていますが、これは発生主義でやった場合にはどういう形になったら見やすいのかということでの検討はさせていただきたいというふうに思います。
ちょっと時間的に、今すぐに--問題点は、今私が言いましたように言えますが、それに対する答えを出すためには、もうちょっと検証が必要だというふうに思っております。東京都が発生主義会計ということで、仕組みは用意しましたが、その仕組みから読み取れる方法についてはいまだ検討してございます。そういうこともあわせながら、中野区もそういうことに対応できるような検討を進めていきたいというふうに思っております。
篠原財務担当課長
先ほど小堤委員から御質問ありました、区民一人当たりの額でございますが、5万7,000円でございます。
委員長
他に質疑はございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
なければ、本報告については終了いたします。
4番目に、その他で、所管事項の報告がありますか。
篠原財務担当課長
お手元に、19年度の都区財政調整の東京都提案についてという資料(資料5)をお配りしてございます。これにつきまして報告をさせていただきます。
実は、12月4日でございますが、都区財政調整協議会が開催されました。その中で東京都から、三位一体改革によります特別区の減収の補てんといたしまして、現行の調整率、これは現在52%でございますが、これを2%アップして54%としたいというような提案がございました。
また、現行の特別区の特別交付金。現行は、普通交付金と特別交付金の二つの交付金がございますが、現行の配分率の2%、これを5%に拡充をし、各区のさまざまな需要に対応する財源としたいといったような提案がございました。
こうしたことで、本来はことしの2月に都区協議会等で確認した54%プラスアルファというような数値が示されておりましたが、東京都につきましては54。なおかつ、特別交付金の配分率2%を5%にするといったことで、19年度財調の提案をしてきたというようなことになってございます。
この件につきまして昨日、区長会の役員会が開かれまして、この問題について協議がされてございます。その中でとうてい区としてはこれは受け入れられないというような発言があったというふうに聞いてございまして、区側とすれば、少なくとも56%、実はこれ、三位一体の影響額が777億円というような新聞報道があったのを御存じかと思いますが、それに対応する数字については4%に相当する部分でございます。こういったことで現在、東京都から提案が来てございますので、今後また、特別区区長会、それから議長会等にも報告があると思いますので、一応情報までと思いまして報告させていただきました。
委員長
ただいまの報告について質疑ありますか。
高橋委員
確認なんですけれども、いま一度。これはいつ示されたと言っていましたっけ。
篠原財務担当課長
12月4日の都区財政調整協議会でございます。
高橋委員
きのうの区長会役員会の様子というのは、聞いていますか。
篠原財務担当課長
けさ、ファクスでまいりました部分でございますが、昨日の区長会の役員会が開かれまして、副知事に対しまして申し入れをしてございます。
申し入れの内容でございますが、配分率の2%では、これまでの経過及び影響の大きさを踏まえると納得がいかない。上乗せをしてもらいたいということで申し入れをしてございます。
また、特別交付金の枠の提案についても、区側の方ではまだ議論をしていない。こういったことから、少なくとも配分率の上乗せが前提であって、その前提のもとに、この特別交付金の割合も決めるべきだというような申し入れをしてございます。
岩永委員
今、課長の方から報告を受けたとおり、東京都のこの提案について、23区としては受け入れられないと、これで一致しているわけですね。まず、それを1点。
篠原財務担当課長
一応まだ区長会総会が開かれておりませんので。ただ、きのうの区長会役員会では、役員同士ではこういったような申し入れをしたということで確認をしてございます。
岩永委員
総会はこれからということですが、少し気になるのは、前回も決着するときの決着の仕方が、当初、23区一致してやっていくんだと言っていた状況から、決着をする過程の中で幾つかの動きがある中で、最終的には「えっ」と思うような決着の仕方をしたと私なんかは思っています。区長もそういうニュアンスを言われたりしているわけですね。ですから今回は、区として、いずれどこかで決着をせざるを得ないことにはなるんだけれども、総会の中で一致して、やはり区としてこれではのめないという根拠があるわけですから、ぜひ、当初から区が求めている、その状況で頑張っていただきたい。特に中野区長には頑張っていただきたいと思うんですけれども、そのあたり、こういうあれなのでお聞きしておきたいと思います。いかがですか。
石神総務部長
23区側といたしまして財調協議会に出るに当たっては、やはり4%以上という根拠を持って、先ほど課長が言いましたように、この三位一体改革の影響額が770億ということで言った上で出しているわけでございます。そういったことについて、都の方も770億ということは認識した上でこういうことを言っているということで、都の内容、その言い分が違っているということで、何点かの問題点が整理されて、これから議論されるわけですが、23区の中ではそういう共通項目を持った上で対応していると。当然、中野区長もそういう方向でこれについては考え方を持っておりますので、最後までそういう方向。うちの方は、財調交付金というのは非常に大きなウエートを、これから税収の伸びが低い中では他区に比べてもウエートが大きくなってくるということで、慎重にまた発言の場面でははっきり発言していきたいと。また区長の方にも、そのように伝えておきたいと思います。
委員長
他に質疑はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
なければ、ただいまの報告については終了いたします。
以上、なければ、所管事項の報告は終了いたします。
次に、審査日程のその他でありますが、次回日程について御協議いただきたいので、委員会を暫時休憩をいたします。
(午前11時22分)
委員長
委員会を再開いたします。
(午前11時23分)
休憩中御協議いただきましたとおり、次回は第1回定例会中とし、何か緊急な案件が生じた場合は正副委員長が相談の上、招集をさせていただくということで御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
御異議ありませんので、そのように決定をいたします。
以上で本日予定した審査日程はすべて終了いたしますが、各委員、理事者から何か御発言はありますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
なければ、本日の財政制度調査特別委員会を散会いたします。御苦労さまでした。
(午前11時23分)