平成17年12月1日文教委員会
中野区議会文教委員会〔平成17年12月1日〕
文教委員会会議記録
○開会日 平成17年12月1日
○場所 中野区議会第5委員会室
○開会 午後1時01分
○閉会 午後5時42分
○出席委員(9名)
飯島 きんいち委員長
酒井 たくや副委員長
北原 奉昭委員
久保 りか委員
はっとり 幸子委員
小串 まさのり委員
篠 国昭委員
昆 まさ子委員
江田 とおる委員
○欠席委員(0名)
○出席説明員
教育長 沼口 昌弘
教育委員会事務局次長 金野 晃
教育経営担当参事 村木 誠
学校教育担当課長 相澤 明郎
指導室長 小林 福太郎
生涯学習担当参事 大沼 弘
生涯学習推進担当参事 生涯学習担当参事兼務
中央図書館長 細木 博雄
○事務局職員
書記 岩浅 英樹
書記 鳥居 誠
○委員長署名
審査日程
○陳情
〔新規付託分〕
第137号陳情 区立みずのとう幼稚園、区立やよい幼稚園2園存続を願う要望について
第144号陳情 区立みずのとう幼稚園存続を願うことについて
第145号陳情 区立みずのとう幼稚園存続を願うことについて
第146号陳情 区立みずのとう幼稚園存続を願う要望について
第147号陳情 中野区10か年計画における区立幼稚園廃止案について
第148号陳情 区立みずのとう幼稚園存続を願う要望について
第149号陳情 中野区立みずのとう幼稚園存続について
第150号陳情 中野区立みずのとう幼稚園の廃止案について
第151号陳情 区立みずのとう幼稚園廃園案をもう一度検討する事について
第152号陳情 中野区立みずのとう幼稚園存続について
第153号陳情 新しい中野をつくる10か年計画について
○要求資料の提出
1 中野区の区立幼稚園に関する提案の過程
2 (仮称)子育て・幼児教育センターと幼児総合施設に関する考え方(案)
3 区立幼稚園・私立幼稚園別園児1人当たりの税等充当額の推移(決算額)(11年度から16 年度)
4 区立幼稚園保護者との意見交換会で使用した資料
○所管事項の報告
1 区立幼稚園の再配置について(案)(教育改革担当)
委員長
それでは、定足数に達しましたので、本日の文教委員会を開会いたします。
(午後1時01分)
本日の審査日程ですが、初めに要求資料の提出を受けた後に、昨日に引き続き、所管事項の報告の2番、区立幼稚園の再配置について(案)についての質疑を行い、続いて、第137号陳情及び第144号陳情から第153号陳情の審査を行い、次に継続審査分の陳情の審査と関連する所管事項の報告を受けたいと思いますが、これに御異議ございませんか。(資料1)
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
御異議ございませんので、そのように進めます。
なお、審査に当たっては、午後5時を目途に進めたいと思いますので、御協力をよろしくお願いしたいと思います。
それから、ただいま傍聴の希望が15人を超えましたが、本日は昨日に引き続きましてあらかじめ42名分のいすを用意してございます。42名までの傍聴を許可することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
御異議ありませんので、そのように決定します。
なお、3時近くになりましたら休憩をとりたいと思いますので、よろしくお願いします。
初めに、資料の差しかえと追加提出の資料がお手元に配付されております。既に提出されています「指定校変更・区域外就学の承認に関する基準」(資料2)という資料について差しかえと、それから、報告の2番についての「私立幼稚園にかかる保護者の負担軽減について」(資料3)が提出されておりますので、御確認をお願いしたいと思います。
それから、昨日確認をさせていただきました要求資料については1番から4番まで、中野区の区立幼稚園に関する提案の過程(資料4)、(仮称)子育て・幼児教育センターと幼児総合施設に関する考え方(案)(資料5)、区立幼稚園・私立幼稚園別園児1人当たりの税等充当額の推移(決算額)(11年度から16年度)(資料6)、区立幼稚園保護者との意見交換会で使用した資料(資料7)が配付されておりますので、御確認いただきたいと思います。
それでは、この提出資料についても、質疑をしているわけではありませんので、提出資料も含めた所管事項の報告の質疑とさせていただきたいと思います。それぞれ昨日質疑の御発言が十分ではございませんでした。そういうことからすると、それぞれ皆さん、資料を要求されたり、質疑を残しているというか、お答えを残されている方もいらっしゃいます。
一巡目は、時間の問題等々ございますので、一たん皆さんやっていただいて、それぞれその後挙手をしていただいてというふうにしないとよくないので、大変恐縮ですが、大会派順に順次質疑をしていただく。公明の久保委員もありましたら、そこでやっていただくということで、皆さん1度御質疑をしていただく。副委員長もあればその間でと考えておりますので、よろしくお願いします。
それでは、昨日に引き続き、所管事項の報告の2番、区立幼稚園の再配置について(案)についての質疑を行います。では、篠委員からお願いできればと思います。
篠委員
後でいいです。
委員長
後でよければ、もちろん結構ですけれども、では、小串委員。
小串委員
基本的なことだけ何点か、お聞きをしておきたいと思います。最初から私はちょっと気になっているところは、今の区立の幼稚園2園を廃止するというような考え方のところまでは、文教委員会であると。所管の問題ですよ。責任が持てる教育委員会が持つというところはわかるんですが、新たにそれを廃止して、2園は幼保園というのか、子ども園というのか、いわゆる幼保一元にした施設をつくろうという考え方ですよね。そこが要するにどっちなのかが非常に現時点でもあいまいなような気がしてならないんですけれども、これは子ども家庭部なんでしょうか、教育委員会なんでしょうか、あるいは両方ということなんでしょうか。まずそこをちょっと。
金野教育委員会事務局次長
幼保一元施設、今回は幼児総合施設というような言い方をしてございますが、この幼稚園と保育園の両方の機能をあわせ持ち、また、子育て家庭に対する支援の機能もあわせ持つという施設でございますので、この施設は、国の方では厚生労働省と文部科学省が両方でそれぞれ担当して進めております。法改正等についても両省でともに行っていくというような形と聞いております。中野区におきましても、教育委員会と子ども家庭部とそれぞれ教育の側、あるいは保育の側、それから子育て全体ということで考え方を出し合って、協働して検討しております。現在のところ、この考え方については両者で、教育委員会と子ども家庭部で一緒に進めているという状況でございます。
小串委員
一緒に協力しなければできないという部分はわかるんですけれども、最終的な所管が両方でやるということにはならないわけでしょう。だから、最終的な責任というのはどちらというふうに理解すればよろしいんでしょうか。要するに、区長部局なのか、教育委員会なのか。
金野教育委員会事務局次長
これにつきましては、新しい幼児総合施設の法的な位置付けがどうなるかということもかかわってくるかと思いますが、現在、区立幼稚園の業務のうち、施設管理、あるいは区立幼稚園の入園の事務等につきましては、補助執行という形で子ども家庭部が実施しております。それから、幼保一元施設に向けた幼保一元化の検討をかつて行った経過がございますが、そこにつきましては、区長部局で当時事務局を担って行ったというふうな経緯もございます。そうしたことから考えますと、実際の実施の場面では、子ども家庭部といいますか、区長部局の方で実際の実行に当たるということが今の段階では想定されますが、まだどういった形かということは確定しておりません。
小串委員
そちらの新しい方はまだはっきりしないということでありますけれども、だとすれば、現在の幼児教育を担っている施設、要するに区立の幼稚園がありますよね。私立の幼稚園がありますね。あと保育園がありますね。あとは、要するにそういうところに通っていない子どもたち、無認可等もありますけれども、それぞれについて最終的な責任はどこが持っているんでしょうか。
金野教育委員会事務局次長
まず、区立幼稚園につきましては、設置とか、あるいは廃止とか、そういう基本的な責任は教育委員会が持っております。そのうち教育指導に関する部分、また基本的な考え方に関する部分は、教育委員会事務局が引き続き担っているという状況でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、区立幼稚園の施設的な維持管理、あるいは入園の募集業務、保育料の徴収というようなことにつきましては、子ども家庭部の方に補助執行しているというのが区立幼稚園の状況でございます。
私立幼稚園、それからそのほかの民間の保育園、あるいは幼稚園類似の施設等につきましては、全体として子ども家庭部の方で所管をして、さまざまな補助、あるいは調整、連携等を行っているという形でございます。なお、教育委員会の方も、幼保の連携ですとか、保幼小の共同の研究などということでは役割を果たしておりますので、そういう事務的な行政的な所管とは別に、教育という面から保育園を含めたすべての施設にかかわりを持っているという状況でございます。
小串委員
いや、まだあるでしょう。あと保育園とか全部。
金野教育委員会事務局次長
保育園につきましては、子ども家庭部の所管でございます。また、家庭にいる幼児に対するさまざまな子育て支援については、子ども家庭部の方で担っております。
小串委員
だから、教育委員会というのは余り幼児教育に現在かかわっていないんじゃないでしょうか。違いますか。
金野教育委員会事務局次長
教育委員会の幼児教育のかかわりは、幼児教育全体に対する考え方、教育ビジョン等で定めましたが、そうした考え方をつくって、それぞれの関係機関、あるいは従事者等に働きかけを行うということと、それに合わせた研修や交流等を行う。あるいは共同の研究会などを支援するという役割がございます。それから、具体的には、区立幼稚園を設置して教育を実施する。教育内容自体は教育委員会がやっておりますので、そういう役割がございます。ただ、私立幼稚園の部分、それから保育園、家庭の幼児の部分については、教育委員会としては具体的な事業としてのかかわりは、確かにほとんどないという状況でございます。
小串委員
だから、要するに区立の幼稚園の実際の運営の部分は教育委員会がやっているんでしょうけれど、保育園、あるいは私立の幼稚園、区立の幼稚園の募集関係も含めて、現在は子ども家庭部が行っているという理解でよろしいですか。
金野教育委員会事務局次長
はい、そのとおりでございます。
小串委員
そういう現状なんですよね。だとすると、議論がそちらの方になってしまうとなかなかやりづらいという部分があるんですけれども、それを前提にして若干お聞きしたいと思うんですけれども、きのうのペーパーの中で障害児のことについて言及されております。その中で、現状、先ほど言いましたようないろんな幼児教育の場というのがございますよね。細かく分ければ、要するに公立の幼稚園、私立の幼稚園、あるいは保育園等ですね。そういう関係で、現在の障害児教育というのは現状どのような役割をそれぞれ果たしておられるんでしょうか。今言ったような幼稚園、保育園にそれぞれ通っているお子さんの数だとか、対応だとか、重度、軽度、いろいろ形態はあろうかと思うんですけれども、これもだから答えられるかどうかも含めて難しい部分はあるかと思いますけれども、お願いいたします。
金野教育委員会事務局次長
障害のあるお子さんへの対応は、幅広いところでそれぞれに所管をして、保健所、それから子ども家庭部における母子保健の部分、障害児を支援する療育センターアポロ園の担当、それから障害者福祉全体を所管する保健福祉部などがそれぞれ関係して進めております。現在、幼稚園、あるいは保育園に通っている障害者のお子さんですと、基本的には3歳児健診、あるいはそれぞれの家庭からの相談、また通っている通園先からの相談などに応じて、アポロ園が中心的に指導、あるいは巡回相談等をしております。
また、これから発達障害児に対するより具体的な対応を検討しているところですが、教育委員会も参加しておりますが、それにつきましては子ども家庭部の母子保健福祉などを所管する部分が中心になり、これからより全体の発達障害児を把握し、早期に指導する体制をつくっていこうということで進めております。また、それに関しまして、教育の分野では特別支援教育という大きな課題があるわけですが、幼稚園から小学校、中学校、あるいはその後を含みまして、一貫した特別支援教育の体制をつくるということで、これは教育委員会の方が中心になって、当然子ども家庭部にも入っていただいて一緒に検討しているということで、絡み合っている部分がかなりある状況でございます。
そういった中で、障害児の対応の一番専門的な知識を持っているという部分についてはアポロ園等の部分、それから具体的なそれぞれの施設での対応は、幼稚園、あるいは保育園各施設が行う。また、そういったことを支援する部分としては保健所の医師や専門家、あるいは教育委員会の中でも、教育センターの専門的な職員などがかかわっているという状況でございます。
小串委員
私の聞き方が悪かったかもしれないんですけれども、要するに、今の幼児教育を担っているそれぞれの機関の中で、どのように障害児が受け入れられているかと。よく耳にするところでは、私立ではどうしても障害児に対する対応がなかなかでき得ない。その辺のお子さんについては、やっぱり公立幼稚園が今まで担ってきているというようなことがよく言われると思うんですけれども、現状はどうであるのかということを保育園等も含めて、障害を持っているお子さん、あるいは、現実には障害をお持ちだけれども、はっきりとそういうことをお認めでないケースとか、そういう場合もあろうかと思うんですけれども、その辺の受け入れ機関としての現状を御説明いただきたいという質問だったんですが。
金野教育委員会事務局次長
現状、それぞれの施設での対応ということでございまして、なかなか全体をまとめた資料というのは少しわかりにくいかと思いますが、現在、私どもが一番わかりやすいかなと思っておりますのは、先ほど申し上げました、中心的な指導のノウハウを持っている療育センターアポロ園の巡回訪問等の状況でございます。療育センターアポロ園では、通所の指導のほか、保育園、あるいは幼稚園等を巡回して、障害のあるお子さん、障害のあると疑われるお子さんに対して、巡回の訪問などをしております。
昨日、幼児については若干答弁いたしましたが、保育園を含めた全体で見ますと、97の施設に対して、442人の対象の児童に対して訪問を行っているという状況でございます。このうち保育園を見ますと、区立保育園が172人、私立保育園が29人という状況でございます。また、幼稚園は、区立幼稚園が25人、私立の幼稚園が141人という訪問対象になってございます。私立幼稚園は30園が訪問対象なんですが、このうちの20園が区内の幼稚園ということですので、区内の私立幼稚園22園のうち、ほとんどがこうした訪問を必要とする園児がいて、実際に訪問を行っているという状況だというように承知しております。
小串委員
言葉だったので、はっきりちょっと書き取れなかったんですけれども、私立の幼稚園で141名。ちょっと聞く数字が、今までいろんな意味で私立幼稚園の関係者の方とも懇談をさせていただく機会というのは結構あるんですけれども、なかなかやっぱりその辺は公立にはかなわないというか、現状私立では難しいというお話も聞いてはおるんですけれども、意外というか、141人というと、公立の25人と比較するとかなりウエートが高いかなと。4園と22園ということで、園の数も違うんでしょうけれども、数は結構多いんだなというふうには思いました。
それはそれとして、今現在、公立の幼稚園の受け入れは25名ということですよね。仮にこれがいわゆる幼児総合施設になった場合、25人という数字が固定されているわけではありませんけれども、そのときの障害児に対する考え方は現状どうなっておりますか。
金野教育委員会事務局次長
障害児の受け入れは、今申し上げましたように、区立だけではなくて私立でも広く行っているわけですが、これからの障害児に対する幼児教育の重要性を考えますと、すべての施設でより受け入れやすくしていく方向が必要であるというように思っております。したがいまして、新しく幼児総合施設を開設した場合も、当然障害児については対応する必要がある。ここもそうした障害児を受け入れるということでは、その役割の一端を担っていくと考えておりまして、新しい施設が障害児については、これまでの施設以上に入りにくいというようなことはないと考えております。
小串委員
さりとて、今の区の考え方でいくと、たしか一、二年ですか、そのブランクの期間というのがどうしても出てしまうということになるんでしょうけれども、その間の障害児教育についてはどのような考え方をお持ちですか。
金野教育委員会事務局次長
現在でも私立幼稚園でも幅広く障害のある、あるいは疑いのあるお子さんを受けている状況でございますので、そちらの方を含めて全体で受け入れやすい方策をつくっていく必要があると思っております。残る区立園、私立園全体で受け入れやすくするということで、さまざまな方策を検討したいと。この報告の資料の中にも障害児受け入れの推進という、3ページのところにございますが、私立幼稚園についても障害児を受け入れやすい仕組みをつくっていくということでございます。ここではいろんな手だてが考えられるわけでございまして、研修等による支援のほか、巡回指導、あるいは私立幼稚園の取り組みに対する助成など、さまざまなことが考えられると思いますので、検討した上で実施をしていくという考え方でございます。
小串委員
余り長くするとあれなので、もう1点だけちょっと別の観点から質問させていただきたいと思うんですが、陳情の審査というか、補足説明をお聞きすると、いわゆる私立幼稚園の経営をされているところというのは、また大方が宗教法人であると。キリスト教、あるいはお寺さん、神社等が多いと。そういうところでやっぱり宗教教育というのがされていて、公立の場合には宗教教育がないわけだから、そういう意味での存在意義があるというようなお話というのもあったと思うんですけれども、50年近く前の話をしてもあれなんですが、私が通った幼稚園は今ないんですが、お寺だったんですね。
そのときの記憶というのは一切ないので参考にもならないんですが、私の大学はカトリックの大学であったんですが、私は基本的には無宗教というか、ごくごく普通の日本人だと思っているんですが、私の大学のときの経験でも、ミッション系の学校だったですが、余り宗教的なことを学生に求められたという記憶はないんですよね。私の子どもが今小学校3年生で、お寺の幼稚園に通っておりましたが、「お釈迦様いただきます」というのが食事のときのあいさつになっていまして、そういう意味では、そこのところは宗教的な、お釈迦様というぐらいですから、そこのところはそういうことなんだろうとは思うんですが、一方、キリスト教的なところに通わせている私の友達にもちょっと意見を聞いてみたんですが、特段宗教教育を押しつけられるというようなことはないというふうに、そのキリスト教関係のところに通うお母様も言っておられましたし、私も、お寺さんから押しつけられたという記憶は余りないんだけれども、現状はどうなんでしょうか。おわかりになりますか。
金野教育委員会事務局次長
私立幼稚園の経営をしている園長さんなどとお話をいたしますと、特に信仰によって受け入れを判断したりというようなことはしていないと。どんな信仰の人でも私どもの幼稚園では受け入れて大丈夫ですよと。また、それについて特定の信仰を強制するようなことはないというようなお話を伺っておりますし、また現にそれぞれの私立幼稚園では、いろんな形の信仰をお持ちの御家庭の方が行っていると。決して一つの信仰の方だけが行くという形ではない。これはもう幼稚園という学校の性格上当然のことだろうというふうに思っております。
なお、中野区の幼稚園22園のうち、宗教法人立が11園、学校法人立が6園、個人立が5園ということで、半分が宗教法人立ということになっております。ただ、入る方の御家庭はさまざまな考え方があるかと思いますが、こういう幼稚園の数がたくさんあり、また、区外も含めて考えますと、選択の幅はかなりあるというふうに思っております。
小串委員
ここで、私みたいな、いい意味でも悪い意味でも典型的な日本人、生まれれば神社へ行って、結婚式はキリスト教的にやって、死んだらお墓に入るというような非常におおらかな、多神教的なごくごく一般的な日本人からすると余りそういうことを意識しないんですが、一方あるときに、これはキリスト教の幼稚園の関係の方でしたけれども、例えばこういうケースに私立幼稚園が大同団結をして、公立の幼稚園を経営するなんていうことが考えられないでしょうかというような、雑談の中ですけれどもしたときに、あるキリスト教系の幼稚園の経営者の方は、いや、無理ですと。
やっぱり宗教的にいろいろありますからということをおっしゃっておられましたけれども、一方、仏教だとか、神社関係の経営の方は、いや、それこそが大同団結で考えられないことはないというような、やっぱり日本的な宗教観の人と、キリスト教の一神教的な考え方というものの温度差というのは当然あるのかなという気はしているんですけれども、ちょっと話が脱線しちゃいますけれども、いずれにしても、宗教と幼稚園の経営というもの、あるいはこれは学校なんかでもそうだと思うんですが、そういう経営上、信教の自由と学校経営、あるいは幼稚園経営というものの関係についてどのような見解をお持ちですか。
小林指導室長
今の経営というような立場と、それから実際に教育指導という立場とさまざまあろうかと思いますが、基本的には信教の自由を守るということ。また、宗教教育は強制しないというのが原則的な考え方であります。したがって、強制はあり得ないというふうに私どもも承知しております。しかしながら、それぞれ私立の中には教育方針として、そういった宗教を母体とした考え方で、さまざまな感性をはぐくむという一つの教育の手法があるというふうには承知しております。ただ、これは公立の学校ではそういうような手法はとらないということで進めているというところでございます。
北原委員
では、皆さんたくさん尋ねたいことが多いと思いますので、整理して御質問いたします。
まず第1に、今回137号陳情の中で、みずのとう幼稚園のお母さん方、保護者の方がたくさんお見えになっていて、きのうも発言をされていたんですけれども、やよい幼稚園も今回廃止の対象になっていると思うんですね。この辺の差を、地域の差、幼稚園の差がどういうところに原因があると思っているのかをお答えしていただきたいのが1点。
それから2番目に、既に募集が行われたと思うんですけれども、来年度入園の子どもたちの応募状況、倍率等。また、恐らく抽せんになってという話がありましたけれども、その後、その子どもたちは当然区立幼稚園に入園できないわけですから、近隣の私立の幼稚園に行かれるか、あるいは中野区だけではなくて他区に行くのか、あるいは保育園の方に行くのか。そのようなことがわかりましたら、もしことしわからなければ昨年の例も引いて、大体で結構ですので、お願いしたいと思っております。
それから3番目に、やはりことしの募集の中で、障害のあるお子さんもすべての幼稚園で募集しますと。ただし、障害の状況によっては入園をお断りすることもありますというふうに書かれておりますけれども、その入園を断る対象となる理由、そのことがわかりましたらお願いいたします。
それからもう1点、最後になりますけれども、かつて私立幼稚園は39あって、現在22園になっているわけです。私立を経営する側でありますので、万が一過去、私立の幼稚園が幼稚園経営を中止したときに、近隣の区立の幼稚園とか、そういうところに何らかの影響を与えたことがあったかどうか。あるいは廃園の手続等に関して、その他の影響についておわかりになるところがありましたら教えていただきたい。
金野教育委員会事務局次長
みずのとうとやよいで、みずのとうの方が少し反対の意向が強いというような御質問かと思いますが、私ども、お話をいたしまして、それぞれみずのとうからも、やよいからもさまざまな御意見をいただいておりますが、いずれも趣旨は同じような御意見が出ておりまして、特に両園について違った反応が際立っているというふうなことはないと受けとめております。
また、募集状況は学校教育担当課長の方から説明していただきますが、過去の経緯などにつきましては、これまで子どもの数が急激に減り、ピーク時の3分の1になる中で、私立幼稚園が順次減ってきたという形でございますので、全体としては、ほかの私立幼稚園、あるいは区立を含めて、受け入れ余地は十分な状況であったというふうに思っています。ただ、近隣の幼稚園が廃園になった場合、区立の倍率は上がったのではないかというようなことは当然想定されるところでございます。
相澤学校教育担当課長
18年度の区立幼稚園の募集に伴う入園の選考結果でございます。抽せんは10月14日に各園で一斉に行っておりまして、3歳児につきましては、募集人員が4園で64名、申込人数が203名ということで、倍率は3.17倍で、ほぼ従来どおりということでございました。4歳児につきましては、募集人員が4園で160名、申込人員が79名ということで、倍率は0.49倍でございましたが、唯一かみさぎ幼稚園が抽せんになりました。あとはすべて無抽せんということで入園が決定しております。欠員のその後ですけれども、来年の3月1日に再度子ども家庭部の方でまた抽せんを行って、決定を行うということになってございます。
また、質問のございました障害児の受け入れの状況の場合で、受け入れられない状況はどういう場合かという御質問ですけれども、幼稚園では医療行為を必要とするような場合は除いております。
北原委員
よくわかりました。それで、4歳児の倍率は0.4幾つということで、確かに3歳児というのは募集で3倍を超えるぐらいの数値だと思うんですけれども、その後、その抽せんに漏れていくお子さんは、教育委員会で把握されているということでは、やっぱり近隣の私立の幼稚園に行っていると理解してよろしいですか。
相澤学校教育担当課長
そういうように把握してございます。
昆委員
昨日報告されました区立幼稚園の再配置について(案)の中で、これは4ページなんですけれども、幼稚園保育料格差の是正というのがございます。それで、この件について聞きたいんですが、実は昨日の文教委員会ではっとり委員の方から資料要求をしていただきました。その資料がきょうお手元に出ているんですけれども、この資料のことからまずちょっとお聞きしたいと思っております。区立幼稚園の幼稚園関係の費用といいますか、区の財源は幾らかかっているのかということでお聞きしたいんですが、この表のどの部分になるんでしょうか。
例えば16年度、歳入歳出がありまして、16年度分が一番最後に出ておりますね。例えばその教育費ということで見ますと、事務事業名、これで言いますと学習指導幼稚園、それから介助員、教育経費関係人件費等幼稚園、それから学校経営幼稚園、教材、行事等ということで見ていったときに、区の財源がどのぐらいになっているのか。その辺、この数字から見てどれに当たるのか、ちょっとお聞きしたいんですけれども。
村木教育経営担当参事
本日お手元に御配付を申し上げました1人当たりの税等充当額の推移という16年度の欄をごらんいただきたいと思いますけれども、ここであらわしている歳入というのは、入園料と保育料、それから就園奨励費国庫補助金、いわゆる使用料と国庫補助金、これ以外はすべて一般財源を充当しているというものでございます。その一般財源充当分とこの特財を合わせた歳出総額が、2億8,381万6,000円ということになるものでございます。
昆委員
そうしますと、これは、都の交付金だとかそういうものはこの中に入っているんですか。
村木教育経営担当参事
区立幼稚園の運営上のいわゆる東京都からの例えば補助金といったものはございません。普通交付金で財調措置で需要額に算定をされているというものでございます。
昆委員
その都区財調需要額算定はどのぐらいの額になっていますか。
村木教育経営担当参事
16年度で申し上げますと、おおむねですが、需要額算定は1億5,700万円余というふうに聞いてございます。
昆委員
そうしますと、幼稚園ですから、使用料もございますよね。それと、今御答弁いただきました都区財調需要額算定と合わせてどのぐらいになりますか。
村木教育経営担当参事
これは、表に保育料ということで3,590万と出ておりますから、これを足したもの。細かいものを除けば、それ以外は他の税を投入していると、こういうことになります。
昆委員
そうしますと、合わせますと、大体ここで1億9,290万ぐらいになるでしょうか。その額だというふうに思っているんですけれども、その額から区の経費を引いたといいますか、そうなりますとどうなりますかね。区の純粋な負担額はどのぐらいになりますか。
村木教育経営担当参事
財調交付金制度というのは、これはもともと区の一般財源という考え方でございますので、これと税を合わせた2億4,700万円余が区の負担ということになるものでございます。
昆委員
そうしますと、区の負担分の額が今出ましたけれども、区立幼稚園の廃園ということで考えたときに、区立幼稚園保育料の適正額への改定及び私立幼稚園保護者補助の増額を行うということが、この幼稚園の保育料格差の是正というところで出てきているんですけれども、この考え方はどういうふうになりますか。どういうことを教育委員会では考えていらっしゃるんですか。
金野教育委員会事務局次長
公立、私立の区別なく、すべての子どもが幼児期に適切な教育を受ける環境をつくるという考え方からすれば、公立と私立に格差があるということは望ましいことではないというように考えておりまして、それを縮小するという方向で、区立幼稚園については保育料の見直し、それから私立に対する補助金については増額という方向で、格差の縮小を図っていきたいというものでございます。
なお、本日お配りの資料にございますように、「私立幼稚園にかかる保護者の負担軽減について」という1枚の資料が配付してございます。それをごらんください。これが現在の私立と区立の保育料負担等を示しているものでございますが、区立幼稚園につきましては、保育料が月額7,900円、私立幼稚園につきましては、平均ですが、保育料は月額2万3,284円という形になっております。ただ、その下に書いてありますように、保育料につきましては月額9,000円の保護者補助金が出ますので、それを差し引いた残り、6,000円余りが実質的な毎月の保育料の格差ということになるわけでございます。なお、所得によっては就園奨励費ということで助成の仕組みもございますので、それもあわせてこの費用には記載してございます。
昆委員
なぜこういう質問をするかといいますと、これは11月10日なんですけれども、南中野地域センターで行われた10か年計画改定素案についての地元説明会がございました。そのときに沼口教育長が出席して御答弁されておりましたけれども、やよい幼稚園に子どもさんを通わせている保護者の方だと思いますけれども、その方から区立幼稚園廃止等についての意見が出されました。そのときに教育長がお答えになったのは、区立幼稚園の配置計画で2園の廃園を示したと。それで、今、区の区立幼稚園の役割は私立幼稚園の補完ということで進めてきたけれども、その役割は終わったんだと。だから、区立保育園を2園廃止して、今、区が出している財源は私立幼稚園の支援の方に回せるというふうな、そういう意味合いの御答弁をされておりましたけれども、この格差是正というところでいえば、そういうことを考えていらっしゃるんですか。
沼口教育長
そういう趣旨のことではなくて、これからは保護者補助金も上げていかなければいけませんし、それから区立の保育料も上げていって、トータルで同じような負担になるように努力したいと。その考え方は、幼稚園を廃園したお金を回すとかそういう形じゃなくて、基本的にはやはり区立の保育料を値上げして、そういったものをできる限り私立の保護者補助金の方に回していくという考え方がまず基本だと思います。その上で、多分それだけでは足りないと思いますので、いろいろなところ、例えばこういう幼稚園の廃園に伴って費用が浮いてくる部分もありますので、そういう分も回していって、できる限り負担を平等にしていきたい、そういうような趣旨で申し上げました。
昆委員
その場にいて私も聞いていたんですけれども、そういうふうにはちょっと読み取れなかった部分があったかと思っております。ですから、聞いた方は、区立保育園の廃園を進めるという考え方のもとに、区の負担分をそれによって削減されると。そういうことが私立幼稚園の経費等の補助、保護者等の補助、そういうものに回っていくという意味合いにとれるような発言だったかと思っております。
そういう点では、保育園の公私格差をなくすということでいえば、公立保育園の保育料の適正額への改定ということについてもこれから議論をしていかなければ、そういう発言というのはなかなか出ないものではないかというふうに思っているんですね。それから、もちろん私立保育園の保護者の方からは、区が5か年計画で削減した保護者補助をもとどおりに戻してほしいという要望がここ何年か続いておりますので、そういう意味合いはとてもよくわかることなんですけれども、公立と私立のそういう保護者に対しての負担といいますか、そのものの格差をなくすことになるということで、区立幼稚園の保育料の改定というものを、これは本当に区民の関係者の意見を十分聞いてからでなければなかなか打ち出せないものというふうに思っておりますけれども、そういう考え方に私は思うんですが、その点についてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。
沼口教育長
何事も議論のやはりとっかかりというのがあると思います。我々が今回ここで示していますのは、こういう考え方がありますよ、こういう考え方でいきたい、そういう気持ちをこれは述べているわけです。具体的な保育料を幾らにするかという話になると、これは別な問題でございます。そういう意味では、当然保護者の方の意見を聞きながら、あるいは区民の方の意見も聞きながら保育料は決まっていくものと、そういうふうに考えてございます。
昆委員
だからこそ、そういう10か年計画の改定素案の説明のときに、教育長はそういうふうに言ったと言うけれども、あの場にいたときにはそういうふうに聞こえなかったと。確かに区立幼稚園の廃園、そのことによって私立幼稚園の援助の方に区の負担分を回せるんだと。そういう発言があったかというふうに思っております。それ以上ここでは言いませんけれども。
それから、もう1点は、この保護者の意見交換会に示された資料がきょう手元に渡されました。先ほども議論がございましたけれども、今回示された保育園の再編計画の中で、これも新しい考え方といいますか、幼児総合施設の配置というものがこの再配置計画(案)の中に示されてきているんですね。今までは、幼保一元化だとか、幼児教育センターだとか、いろんなことを言われておりましたけれども、この幼児総合施設の考え方について、教育委員会のところでは、この保護者の意見交換会ではどのように説明をされましたか。
金野教育委員会事務局次長
意見交換会の資料がお手元にございます。まず、10か年計画の該当ページの抜粋をお配りしましたので、その中で幼保一元施設として、民営化への転換を含め再配置するという全体の考え方があって、廃止する区立幼稚園を活用した民営の幼保一元施設の設置をしていきたいという考え方があるのだというふうなことをまず御説明いたしました。
そして、その幼保一元施設につきましては、まだ国の方で本格実施をしていないけれども、現在検討が進んでいて、本格実施の準備があるというふうなことをお話しした上で、その具体的な国の考え方として、この中教審と社会保障審議会の合同検討会議の審議のまとめ、これは最終答申にもこのとおり付加されているものでございますが、これについて、こういうおおよその考え方が示されているので、これに沿ったような総合施設として中野区も考えていますよというふうなお話をいたしました。
昆委員
先ほどの議論の中で、小串委員の質問の中で障害児教育について質問をされて、幼児総合施設のこの中では障害児も対応できると、していくというふうな含みの御答弁があったかと思いますけれども、これはそこまで区が権限を持って設置できる施設なんでしょうか。
金野教育委員会事務局次長
これは民間の運営、しかもこれから整備される法律に沿った運営ということですので、当然その中では、現在民間の幼稚園がしていますような形の機能、役割を果たす。また、民間の保育園等が行っているような役割も果たすということで、そこはこれまでの民間の状況を見ましても、当然に障害児についての対応もあるというふうに思っております。なお、この施設につきましては、区の用地等を貸与して開設するという想定でございますので、その際には、区が募集をした上で、事業者の提案内容などを見た上で、最も区民に沿った運営をするところを選定して、用地等の貸与をしていくということになると思いますので、そういう条件面の設定、あるいはそこの選定という中で、いろんな区として望ましい施設のあり方というものについては考え方を示し、また、判断できるというように思っております。
昆委員
国の中央教育審議会の幼児教育部会、それから社会保障審議会児童部会の合同検討会議が進められてきて、来年度から本格的に実施される総合施設というふうに言われてきていますけれども、しかし、この総合施設については、ここに保護者の皆さん方に配った説明の資料の中にも対象者というふうなことで書かれていますけれども、例えば3歳から5歳児は、「幼稚園と同様に4時間程度の利用」「保育所と同様に8時間程度の利用」。それから0歳児から2歳児、「親子登園、親子の交流の場の参加等の形態で利用」。「保育所と同様に8時間程度の利用」。また、親に対しては「子育て相談・助言等」、それから多様な利用形態を可能に、「週に数日程度の利用」「一時的な利用」「短時間の利用」「延長利用」というふうに、いろいろ中身がこういうものになりますよ、そういう施設になりますよということを書いているんですけれども、しかし、実際にはこの施設ができたときに、所管するところはどこになるんですか。これはまだ国の方でも所管するところはどこにするのか、どこになるのかということは定まっていないと思うんですね。
それからまた、運営基準ですけれども、今の保育園にしても、幼稚園にしても、運営基準というものがあります。施設面の要件もありますし、最低基準もあります。そういう基準がこの総合施設と考えたときに一体どういうふうになるのか、それはどのように検討されておりますか。
金野教育委員会事務局次長
総合施設につきましても、きょう改めて資料をお出ししておりますので、そちらで少し御答弁をさせていただきたいと思います。
資料の中で、「子育て・幼児教育センターと幼児総合施設に関する考え方(案)」とございまして、裏面の方が幼児総合施設の現在の区の考え方でございます。これは子ども家庭部と共同で進めている現在の考え方でございますが、おおむね今委員が御指摘になりました国の方向に沿って考えておりますが、基本的機能、それから対象者等をほぼ国が現在示し、また、モデル的な実施をしているという内容に沿って考えているということでございまして、教育・保育の内容などについては、幼稚園の教育要領、あるいは保育所の保育指針と両方を踏まえた内容にすると。また、施設規模についても1,000平米前後ということで、園児定員は、これまでのほかの区の実施例などを参考にしまして、100人程度というように想定してございます。
また、保育料などにつきましても、幼稚園、保育園の利用者負担ということのそれぞれを踏まえて、総合施設で設定をするということでございますし、また、職員配置、あるいは施設整備などにつきましても、原則として幼稚園の基準、あるいは保育所の基準の両方を満たすもの、そういう施設というように想定して進めているところでございます。
昆委員
今回廃園するというふうに区が考えた幼稚園の保護者の方々に、この資料を持って御説明されたと思いますけれども、しかし、この国の方で考えている総合施設についても、まだまだ検討しなきゃならないことがたくさんあると思うんです。それと同時に、今ある区立幼稚園のかわりになるのかということを考えたときに、ここに多様な保育内容、教育内容というものが掲げられておりますけれども、しかし、現在の区立幼稚園の幼児教育がこの場で行われるのかというと、そういうものではない。いろんな多様なものがここの施設としてやるということでいえば、今現在、区立幼稚園をこれからもますます充実させてほしい、幼児教育を充実させてほしいというその希望と合致するものになるのかどうかということが不透明なんですね。
ですから、何を言いたいかといえば、こういう不透明な施設を新たにつくります、不透明という説明はないでしょうけれども、幼児総合施設をつくります。だから、区立幼稚園を2園廃止しても、保護者の皆さん、区民の皆さん方にとっては選択の幅が広がりますよと。もしそこを望まなければ、私立の幼稚園は周りのところにあるじゃないですかと。そちらの方に行きなさいよというふうな、そういう考えに聞こえて仕方がないんですけれども、それは保護者や区民の選択の幅を広げるというよりも、むしろ押しつけてしまうというふうな物事の考え方にならないのかなと思っているんですね。
それと同時に、この総合施設の中身を見ますと、例えば親と施設の直接契約ということを国は言っていますよね。だから、先ほど言った障害教育の分野で区が責任を持ってそこのところはきちっと対応しますと言っても、親と施設の契約なんだから、まさに民民、民間ですよ。そこのところに区が障害児の子どもたちを入園するというふうなものに介入できるのかといったら、所管するところだってまだ決まらないのに、国の方の考え方でもそうなんですよ。所管するところがどこなのか決まらないのに、区がそういうふうなことを今この場で御答弁していいのかということを私は非常に疑問に思いますけれども、そのことにもう一度お答えください。
金野教育委員会事務局次長
まず、区立幼稚園のかわりに、区立幼稚園の機能や現在提供している区立幼稚園での園の教育を行う施設を新たにつくって区立幼稚園の機能の一部を引き継ぐ、あるいは区立幼稚園は必要だから、こういうものを引き続き残すという説明はしておりません。私立幼稚園、あるいは幼児教育全体を考えた場合、区立幼稚園は4園存続させる必要はないという考え方から、2園については廃止をしていくという考え方でございます。
その上で今後の幼児教育全体のニーズなどを考えますと、幼稚園も保育園もどちらも対応し切れていない新たなニーズがあるということが国の考え方の中心でもございますので、そういったニーズ。例えば就労はしているけれども、幼稚園的な教育も受けたいというような保護者の方、あるいは、家庭にいながら、毎日ではなくて、一定の日数のこういった利用をしたいというような方も含めて、全体として新たなニーズにこたえていくという施設が必要だということで示しております。
また、地方公共団体における所管は決まっていないと。この説明会に使った資料でも、地方公共団体における設置認可の監督体制は実情に応じて決定ということですが、その下に書いてありますように、教育委員会、あるいは保健福祉関係機関を所管する部署と連携すると書いてありますように、教育委員会、あるいは教育福祉関係機関を所管する部署が、当然こういった認可、監督等にかかわるものというように思っておりますので、場所が決まっていないから、区として対応が全くとれなくなるというようなこととは考えておりません。
江田委員
陳情については後でまたお尋ねしますが、区立幼稚園の再配置の先ほど財政の問題を少し昆委員が質問したんですが、もうちょっとはっきりさせておきたいんですが、区立幼稚園の入園料、保育料、それから就園奨励費国庫補助金、合わせて3,644万4,000円、これは入ってくるわけですよね。それから、東京都からの交付金は、先ほど明確に御答弁いただきませんでしたが、中野区のような30万の都市を想定して、こういう自治体だったら、幼稚園を運営するためのお金が幾ら必要かということで計算して、東京都が出しているものですね。ですから、その交付金の額は都区財調上の需要算定額は幾らなのかという質問ですので、まずその点をお聞きいたします。
村木教育経営担当参事
まず、都区財政調整制度上普通交付金の需要額算定の上で、区立幼稚園につきましての測定単位は、16年度で申し上げますと、16年度学校基本調査による区立幼稚園の数が測定単位でございます。それで、これに実は態容補正というものがございまして、中野区の場合、4園中2園が5学級ということになっております。この場合には態容補正で、2園でいわゆる2.0ではなくて、2.8という計算式を充当することが認められております。もともと標準算定上の区立保育園の数は1区当たり15園ということになっておりますので、これをもとにいたしまして出しました1園当たりの数値から、都区財であります使用料等を除いたものを15で除した数字というものが、中野区の場合に当てはめますと大体3,280万円ちょっとになります。これ掛ける4.8。したがって、先ほど昆委員の御質問にお答えいたしましたように、需要額で算定されている数値というのが1億5,700万円余ということになるものでございます。
江田委員
1億5,700万円余という額にいわゆる入園料、そういう施設使用にかかわる歳入分が3,640万ですから、これを足しますと1億9,700――概算しますと約2億円ですよね。ですから、お聞きしたかったのは、区立幼稚園を運営するに必要な総額が2億8,300万ですから、一応架空の数字ではあるけれども、それからその2億円分を引くと、区が負担する額というのは数字的には8,000万ということになるというふうに見るんですが、そういう見方でよろしいですか。
村木教育経営担当参事
先ほども申し上げましたように、財調交付金というのはあくまでも本来区の一般財源として制度上成り立っているものでございまして、これもある意味では区民の税と同じものでございます。そういうことからすれば、この財調で需要額として算定されている数字にプラスをして、純粋な税と申しますか、これを合わせたものが先ほどの2億4,700万円余であって、これは要するに区民が負担をしている数値ということで申し上げたものでございます。
江田委員
そのようにおっしゃるけれども、東京都が財調でお金を出しているわけですよ。これは、中野区に幾らの財調財源を保障するかという計算の根拠になっているわけでしょう。それは一般財源になっているから、それこそ1億5,700万円は幼稚園費用ですよといって色をつけて来るわけじゃないからわからないけれども、計算上はそういうふうになるでしょう。だから、計算上でいえば、東京都の交付金と、それから区民の方々が利用料として払っているお金と合算して、それから差し引き計算をすれば、8,000万円という数字になりませんかということを聞いているんです。
村木教育経営担当参事
都区財政調整制度上の普通交付金というものは、あくまでも52%の配分率の中で特別区の方に交付される、これは明らかに区の財源だということをまず念のために申し上げておきたいと思います。その上で、全体で需要額をすべて計算して、これからいわゆる基準財政収入額を除いたものが、その差が区の方に配分をされるという制度上の問題だということを改めて申し上げました上で、単純に申し上げれば、純粋な税というものの数字が大体9,000万円ぐらいというふうに考えております。
江田委員
8,000万が9,000万というふうに変わりましたけれども、いずれにしても、いろいろ前提があるから、単純に言われると困るということで、そういうふうにいろいろ回りくどくおっしゃっているのだと思うんですが、いずれにしても、8,000万から9,000万という数字が出てくるということを改めて申し上げておきたいと思います。
その上で、幼児総合施設というこの考え方、これは既に文書で示されておりまして、私どももインターネット等で取り入れることは大分前からできるようになっているんですが、いつの時点で国からこういう考え方が示されたんでしょうか。
金野教育委員会事務局次長
国の方で検討した結果の最終的な答申につきましては、ちょっと答申があったわけですが、その後、政府の方向として正式に決定しましたのが平成15年6月の閣議決定で、経済財政運営等構造改革に関する基本方針というものがございました。そうした中でこの総合施設を推進していくということが決定されております。また、改めて3カ年、平成16年度から18年度までの取り組みを定めました政府の規制改革民間開放推進3カ年計画、これは平成16年3月の閣議決定でございますが、この中では、就学前の教育、保育を一体としてとらえた一貫した総合施設の実現に向けて、16年度中には基本的な考えの取りまとめ、17年度には試行事業や法整備、18年度本格実施という国の考え方が示されております。
江田委員
ですから、この幼児総合施設というのは大分前から示されていたわけですよね。だけど、中野区の教育委員会は幼保一元施設ということをずっと言ってきたわけですよ。つい10月、改定素案になる前まではずっと幼保一元施設と言ってきたんですよ。それが突然改定素案の中で今度は幼児総合施設というふうに変わってしまう。そういうふうにどうして次々変わっていくんですか。そこら辺がよくわからない。
金野教育委員会事務局次長
これは呼称を改めたということで、今回幼児総合施設というふうにしたわけでございますが、これまで区の方では幼保一元化の検討をしてきて、その中で幼児教育、あるいは保育園の機能をあわせ持った一元施設、あるいは一元化施設というような言い方をしてきておりましたので、それを踏襲して使っておりました。しかしながら、今回の計画の中で幼保一元施設として示したところ、単に幼稚園と保育園が一緒にいる施設なのではないかというような質問も出された経緯がございますし、国の方の考え方でも、そうではなくて新たなニーズにこたえる、双方が一緒に同じ屋根の下にいるというだけではなくて、両方のサービスを結合して提供する。また、家庭への相談機能や在宅の親と幼児への支援機能を持つということから、一元施設ということではなくて、やはりもう少しいろんな機能があるというイメージを明確にした方がいいということから、国の言っている総合施設というようなやり方を取り入れて、言葉の修正をしたというものでございます。
江田委員
幼保一元施設と今回示された幼児総合施設の内容というのは、相当とまでは言いませんけれども、大分違うんですよ。従来の幼保一元施設と言われたものの中身、あるいはイメージと、こういうものがある日突然名称が変わってくる。もともと私たちはそういうことを考えていたけれども、今までの経過上、幼保一元施設と言ってきたにすぎないと言う。こういう言い方というのは、私はやっぱり対区民との関係で非常に不誠実だというふうに思っております。そのことが一つです。
それから、これは先ほどから出ておりますように民間で行う施設ですよね。それで、例えばみずのとう幼稚園が幼児総合施設というふうになった場合に、当然区境で道路を挟んで反対側、幼稚園の正門の真ん前は新宿ですから、言ってみれば、新宿に接したところにできる施設になるわけですね。民間で行うということになりますと、これは中野区民だけが利用できる施設ということに限定されるんですか。それとも、新宿区と他区も利用する施設ということになるんですか。
金野教育委員会事務局次長
どういった利用者に対する制限をつけるかというようなことについてはまだ検討しておりませんが、これまでの類似の区が支援をして、民間が設置をした施設なんかを見ましても、中野区民に限るというような受け入れのところは少ないと思っております。優先はするにしても、ほかの地域からも受け入れをしているというところがございますので、そういうこれまでの施設の考え方もあわせながら、どういう考え方で条件付けをしていくかということを検討したいと思います。
江田委員
そういう問題もまだはっきりしていないということですよね。さっき話がありましたように、民間で行うということですから、当然私はこれは中野区民に限るという施設ではなくなってくるだろうというふうに、これはだれでもそう思うと思うんですね。それで、問題は、幼児教育施設がどういうものになるかということもまだ不明確な部分が多いということもさることながら、一方では、みずのとう幼稚園の園児募集を中止して、20年には廃園するわけですよね。この前の答弁では、あのままでは施設が使えないので、1年かけて改修をして、21年に改修をして、22年には、前の答弁では幼保一元施設として開設をしますという話でした。
それで、一体どういうふうになっていくのかという問題を改めて考えますと、皆さんは、地域に私立幼稚園がまだまだたくさんあって、そこに十分お子さんを受け入れることは可能ですと。ですから、みずのとう幼稚園をなくしたとしても、公か私かさえ問わなければ、入るところは十分ですよという話をしてこられて、それで順次募集停止によって、20年度末には全部廃止をするわけですよね。だから、すべての地域のお子さんが私立、あるいは場合によっては他の公立ということもあるかもしれませんが、基本的には周辺の私立幼稚園に全部入っていくと。だから、選ぶ先さえこだわらなければ、全部就園できますよということですよね。それで一たんつぶしておいて、22年に改めてこういう施設を建設すると。それで、民間だから、どうぞ希望者はこちらに応募してくださいとやるわけでしょう。
そうすると一体どういうことになるかというと、20年までに全部基本的には私立園にお子さんが振り分けられて入って、そこで落ちつくと。そこで改めて22年にそういう施設をつくり上げる。100名規模のそういう施設を立ち上げるというふうになってきた場合に、では私立の幼稚園の方々は一体どういうふうに対応するんでしょうね。5割から6割程度しか今お子さんがいないと。だから、経営上非常に大変だというふうに私立の方々はおっしゃっていますよね。それはそれで経営上の問題として私たちも非常によくわかる。そういうところに公立が廃止されることによって、お子さんがずっと振り分けられる。振り分けられて落ちついたところで改めてこういう施設を立ち上げて、またまたどうぞこういういい施設ができましたから、ぜひ応募してくださいというふうに始める。こういうことは地域の幼稚園経営にとってもいいことだと思いますか。一体どういうふうになっていくんでしょうか。
金野教育委員会事務局次長
全くこれまでの幼稚園と、あるいは一部は保育園ですけれども、同じものが単にできるだけだというようなことであれば、今委員のおっしゃるように、完全に競合するということが生じるかと思います。しかしながら、今回国の方でも言っていますように、新たな多様化したニーズにこたえる。そして、これまで幼稚園や保育園のサービスのらち外に置かれていたような人も含めて、サービスを提供していくというような趣旨の施設でございますので、必ずしも私どもは、幼稚園と完全に同様のニーズにこたえる施設というふうには思っておりません。そういった意味からも、これまでにニーズがあって、それにこたえていないだろうというふうな状況も踏まえまして、こうした施設は中野区に必要だ、つくっていきたいというふうに考えております。
江田委員
次長はそういうふうにおっしゃるけどね、もしあなたが本当にそういう施設が必要だと思ったら、なぜみずのとう幼稚園がそういう方向、あるいはみずのとうに限りませんよね、ほかのところでそういう施設を立ち上げて、そういう施設がもっといい施設になって、区民のニーズにこたえられるようになりました。だから、みずのとうについてはどうでしょう、もう一度、皆さん、廃園も含めて検討できないでしょうかという方に持っていくというのが筋じゃないですか。
そういうこともやらないで、先々この幼児総合施設が大事だからということで、まだ何年も先のことなのに、そういうことを将来の絵として描いて、とりあえず公立幼稚園、区立幼稚園は廃止しましょうというのは、私は何度も言うけれども、全く逆行したやり方で、まずどう考えたって、区立幼稚園をとにかくつぶしちゃいたいと。その後に区民のニーズが高いから、そういうことも考えましょうということにすぎないと思えてしようがない。行政のやり方として、やっぱりこれは大きな逆立ちだというふうに言わざるを得ないと思うんですが、いかがですか。
金野教育委員会事務局次長
今回の区立幼稚園の廃止の見直しは、区立幼稚園をこれまで4園を運営してきたという状況のもとで、全体の幼児数の推移、また民間の幼稚園や区立幼稚園を合わせた需給の状況、あるいはそれを取り巻く行政全体の環境などを考え合わせて、全体として区としては幼児教育の環境整備に力を振り向けていこうと。そうした中では、これまでどおり民間の数が十分ある中で、区立幼稚園を維持していくということに専ら勢力を注ぐのではなくて、それをより民間を含む幼児教育全体の向上に振り向けていこうということで、子育て幼児教育センターの開設ですとか、さまざまな形の民間を含む支援策なども検討したいという考え方を出しております。
そうした中で、区立幼稚園につきましては4園そのまま存続するという考え方ではなくて、その数が足りない中で設置してきたという経緯を踏まえれば、現在4園を存続して、区立幼稚園の数を維持するという必要はないという考え方のもとに配置を見直すというものでございます。決して新しい総合施設をつくるために、それをつくるということがまずあって、そのために幼稚園を廃止していこうという考え方ではございませんで、まず区立幼稚園、民間幼稚園、それから幼児教育全体の考え方を見れば、区立幼稚園は4園は要らないという考え方で区立幼稚園の配置をまず見直した。その上で、その資源、土地や建物については幼児教育全体のために活用していく方がより望ましいものでございますので、幼児総合施設という形で開設を進めていこうという考え方を出しているものでございます。
委員長
ここでちょっと、申しわけありません。続けていただいて結構ですけれども、3時前には一応一巡をしたいと思っておりますので、済みません、よろしくお願いします。
江田委員
これでこの部分についてはやめますが、そういうふうにおっしゃるんだったら、私は、区立幼稚園をみずのとう幼稚園、やよい幼稚園を残しながら、この中でそういう今おっしゃったような方向がどういうふうにしたら可能なのかということを、まだ検討段階ですから、それをあわせて並行して検討していく。その中で区民の合意を得ながら、やよい、みずのとうの役割を見直していくという、これが順当な筋だし、その中で区民の合意を得るというのが本来とるべきやり方だということを重ねて申し上げておきたいと思います。答弁は要りません。
委員長
それでは、久保委員。一巡してもらって、一応篠委員、最後にお願いします。
久保委員
今、さまざまほかの委員の方からも質問がありまして、やはりきのうからいろいろお伺いしていますと、そもそもこの幼児教育の視点で物を見ているのか、それとも保育サービスなのかというところに非常に今矛盾を感じています。ここは文教委員会でございまして、教育委員会の方たちと教育についてここでは議論を交わすところではないかと思っているんですけれども、ちょっとそういった矛盾を私は今抱えながら、この区立幼稚園の再配置についていろいろ伺わさせていただきたいと思っているんですが、きょう出されました「中野区の区立幼稚園に関する提案の過程」というので、これは今までの経緯をまとめたものだと思うんですが、今回出された「区立幼稚園の再配置について(案)」というものの前までは、「区立幼稚園の役割、機能及び配置のあり方について」というふうに、報告というのは平成14年も平成15年もなっているんですね。これは、多分中身は、検討された幼児教育の現状ですとか、こういった部分というのは変わらないのに、なぜこの報告事項のタイトルは変わっているんでしょうか。
金野教育委員会事務局次長
これまでの検討の中で、平成14年、15年度、それぞれそのときの検討の方向、位置付けということに沿って報告のタイトルは決めてあります。今回は区立幼稚園の役割や機能をまず考えるというような、区立幼稚園に限ってといいますか、区立幼稚園がそもそもどうなのかという議論ではなくて、幼児教育を全体として考える中での議論というふうな位置付けをしましたので、それに合わせて、また、10か年計画の中で検討事項として示してきたテーマに沿って、「区立幼稚園の再配置について」というタイトルで報告をまとめております。
久保委員
今、次長の言われたことはすごくおかしいと思うんですね。幼児教育のあり方を今回は検討しているんですよね。なのに、タイトルは「区立幼稚園の再配置について」、区立幼稚園の再配置のみになっています。だったら、今までの方が、「区立幼稚園の役割、機能及び配置のあり方」という方が妥当だったんじゃないか。逆に言うならば、中野区の今後の幼児教育のあり方についてという、そういう報告であるべきだったんじゃないですか。
金野教育委員会事務局次長
幼児教育のあり方については、ことしの6月に決定しました教育ビジョンの中で教育全体の課題を示す。そうした中で、幼児教育の目標についても一定のまとめをしております。私どもは、それで幼児教育のあり方についての教育委員会の考え方は基本的にお示ししたというふうに思っておりまして、今回は区立幼稚園の再配置という具体的な課題に沿って改めて幼児教育の考え方を、教育ビジョンの方向ともちろん内容は一致しているわけでございますので、そうしたものとして整理をした上で記述をしたというものでございます。
久保委員
ということは、教育ビジョンに基づいて、教育ビジョンが中野区の幼児教育の根幹でありますから、それに基づいて区立幼稚園の再配置について、今回のプリントは出されたということですね。そういった意味でもすごく矛盾点を感じるのではないかと思います。昨日の教育長や次長の御答弁をいただいていてもそうなんですけれども、いかに次にいい計画、例えば子育て幼児教育センターですとか、総合施設というものが、本当にこの教育施設にもなっていくというようなことで考えていても、こういった議論がかみ合わないところですとか、不透明と先ほどもお話がありましたけれども、そういったところがあると、どうしても区民の方たちの同意は得られないのではないか。本当に中野区というのは幼児教育に対して真剣に取り組んでいるのかという、そういった不安が出てくるのではないかと思うんです。
それは、一つひとつの今回の区立幼稚園の廃園についての説明の過程にあらわれているのではないかと思うんですね。区立幼稚園の再配置についてということで今回の案というのは出ていますけれども、教育ビジョンで幼児教育についてはここでもう示したので、次は中野区の教育委員会のやることは、幼稚園の再配置なんだというふうにも受けとめられてしまうと思うんです。でも、ここでは再配置だけではなくて非常に重要なことが幾つも書かれておりまして、先ほどから言われています子育て幼児教育センターのことですとか、幼児総合施設の設置というのも非常にある意味具体的なことで記述があります。それは、同じ再配置が先になければ、幼児総合施設ですとか、また教育センターがないのかというと、そうではなくて、幼児教育センターというのも本当に今後考えていかなければいけないそういった機関でありますし、また、総合施設というのも考えていかなければいけないところだと思うんです。それが初めに再配置という、区立幼稚園の廃園がありきで物が語られていることが非常に矛盾を感じるんですけれども、その辺はいかがお考えですか。
金野教育委員会事務局次長
資料のタイトルについて再度お尋ねがありましたが、資料のタイトルは現在案でございますが、これでしか絶対にタイトルのつけようがないということではございませんで、幼児教育の全体を含めたような内容がわかるようにということであれば、タイトルについては検討したいと思います。どういう形がいいのかということについては、いろいろと議論の余地はあるというふうに思っております。
なお、幼稚園の再配置と別に、(仮称)子育て・幼児教育センター等を考えるべきではないかというふうな御質問かと思いますが、やはり私ども、区立幼稚園というものを考える際は、区立幼稚園を取り巻くさまざまな状況、またどういうことに力を注がなければいけないかということを考えながら、その中で区立幼稚園についてはどういうふうな位置付けにして、どういう方向にするかということで議論をしてまいりましたので、一体で議論してまいりました。
現実にもう区立幼稚園を維持しながら、なおかつ幼児教育センターを設置する、幼稚園教諭を追加で募集して人数をふやしながら、新たな規模拡大をしていくという選択肢は大変厳しいというようなことも踏まえて、検討してきたというものでございます。
久保委員
私は、中野区の教育委員会と保護者の方たちと、中野区がやっている区立幼稚園の考え方に非常に開きがあるように思うんですね。数の上だけの私立の補完的な役割として区立幼稚園は生まれたというようなことで、そういった義務を果たしたというふうにおっしゃっていますけれども、今ここで通園されている方たちというのは、非常に自分たちのニーズにマッチした幼稚園というのが、この公立幼稚園であったということで入られているわけですね。
また、今まではそういった私立の補完的な役割として公立幼稚園というのはできたということで言われていますけれども、そうではなくて、前々からこうした幼稚園を望む声というのが区民の中にあった。その上で、このみずのとう幼稚園というのは江原の地にできたんだというようなお話もございました。それで言うならば、逆にもうちょっと教育委員会は、自分たちのやってきた区立幼稚園に対して、本当に今まで区立幼稚園として中野区は幼児教育を真剣に考えて、いい教育をしてきたんだと。そして、今までやってきたことを踏まえて、今後さらに区民のために発展的な形で幼児教育センターという形のものを考えている。そういうふうに考えなければいけないんじゃないかなと思うんですが、その辺はいかがですか。
金野教育委員会事務局次長
私どもも、これまでの区立幼稚園の教育の取り組みは成果を上げてきたというふうに思っていますし、私立園とともに中野区の幼児教育の向上に役割を果たしてきたというように考えております。したがって、そうした区立幼稚園のこれまでの蓄積してきたものは、これからも区全体の幼児教育のレベルアップに生かせるものというように思っております。
なお、確かに保護者の皆さんと教育委員会の考え方は、意見交換会などをしてもなかなか一致しない部分があるわけでございますが、教育委員会でもこれについてはかなり長い時間教育委員が真剣に論議をしたというふうに私は承知しております。そうした中で、区立幼稚園の方がレベルが高くて、民間はレベルが低いというような考え方は到底とることはできないというのが、教育委員の一致した考え方でございますし、全体のレベルアップをしていこうというようなことで今回の提案になっているというものでございます。
久保委員
私は、特に私立幼稚園と公立幼稚園を比べて、どちらがレベルが高いですとか、そういったことはないと思います。これはそれぞれ利用される方たちのそれこそニーズだと思うんですね。ただ、教育委員会がニーズという表現を使うのはどうかなと一つは思っています。幼児総合施設のところですけれども、「親の就労事情に関わらず、多様なニーズに対応した幼児教育・保育の機会を提供する」となっていますけれども、多様なニーズに対応したというのは、保育の機会のことじゃないかと思うんですね。幼児教育であるならば、すべての子どもへの平等な幼児教育ですとか、そういった発想で教育というのは考えられなければいけないんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがですか。
金野教育委員会事務局次長
教育というものについて、ニーズとかサービスという言葉がなじむのか、なじまないのかということはさまざま論議のあるところですが、ここでは、全体に保護者、あるいは子どもたちの求めるものというようなことから、ニーズというふうな言葉を使っております。この言い方につきましては、これからどういう形で全体として整理をしていくのか。10か年計画の中の記述という兼ね合いもございますので、もう一度検討はしてみたいと思います。
酒井委員
今回、区立幼稚園の再配置についてでありますが、学校も再編ということで、より子どもたちにいい環境ができるので、学校の再編というのもあったと思うんですけれども、そして、今回の区立幼稚園の再配置に関しましても、子どもたちに対してよりよい環境が僕はできなければいけないのかなと思います。それで、きのうの陳情者の皆さんのお話をお聞きしまして、本当にみずのとう幼稚園、やよい幼稚園でしょうか、すばらしい幼稚園だなというのは改めて感じました。そうであるならば、それ以上のものを区としてつくっていくことが必要なのかなと思うんですけれども、それで、幼稚園2園を廃園するという案が出まして、その後に幼児総合施設の設置というお考えを示されました。これは別物であるという教育委員会の御答弁がございましたが、僕は、やっぱりよりすばらしい施設ができなければいけないなとは思うんです。
それで、ここの幼児総合施設についてお尋ねしたいんですけれども、何度も答弁の中で出てきた言葉がちょっと気になっているんですけれども、労働形態が変化し、より保育ニーズが高まってきたと。もちろん女性の社会進出などで、本当に昔と比べてこういった保育や幼児教育のニーズが以前とはがらっと変わったと思うんですけれども、その一方で私は、やっぱり親が子どもを家庭で育てるというのは非常に大事だと思うんですよ。そして、この幼保一元化を見てみますと、小さいときからだれかれ構わず預ける可能性が出てくるんじゃないかなとかちょっと思ったりするんですけれども、そういったところの懸念と、それから、そうではないと思うんですけれども、結局親御さんのニーズの方ばかり向いていまして、本来の幼児教育というところを向いていないような感じも、言葉が悪かったら申しわけないんですけれども、ちょっと感じてしまうんですけれども、そのあたり、2点をまずお聞かせください。
金野教育委員会事務局次長
国の検討の中でもこの幼児教育の重要性ということを踏まえて、中教審なり、社会保障審議会なりの議論が進んできましたが、そうした中では、幼児教育をより幅広く実施していく必要があるという考え方が示されております。それは、幼稚園という場だけではなくて、保育園に通っている子どもたち、あるいは家庭にいる子どもたちを含めて、広く幼児教育を拡充していく必要があるという考え方でございまして、そうした中からこういう総合施設という考え方も出てきているというふうに思っております。
特に教育ビジョンでも示しておりますが、現在、家庭の教育の役割、地域の教育の役割というものが大変重要になってきております。そうした中で、この新しい施設は幼稚園、保育園の機能をするだけではなくて、家庭に対する相談機能などの支援もするということから、一定の役割を果たすだろうというふうに私どもは期待しているところです。また、この施設はそうした機能の一つにすぎないわけですが、全体として区としては、子育て・幼児教育センターなどを通じまして、幼児教育全体のレベルアップをしていきたい。現在、部分的に行っております私立幼稚園と区立幼稚園、あるいは保育園との合同の職員による研修会、交流会などについてもこれを強化して、その成果をすべての従事者に広げて、子どもたちのプラスになるようにしていきたい、そういった方向で考えたいと思っています。
酒井委員
そうはいいましても、ゼロ歳から子どもたちを預けられる状況――そうですよね、預けることができるんですよね。そういった線引きとかはどうなるのかなというのが気になるんですけれども、何度も民間でできることは民間でとおっしゃられますが、行政として幼児教育はどのようにあるべきか、もしくはどこまでやらなければいけないかというのをどう考えているか、ちょっともう一回聞かせてください。
金野教育委員会事務局次長
まず、ゼロ歳から一、二歳というのは、これは保育園的な機能の部分でございますが、この総合施設では就労にかかわらずということでございますので、いろんな形で利用ができる。従来のような完全に入所といいますか、毎日利用する以外に一時的な利用も含めてということで進められております。
それから、幼児教育をどこまでやるべきか。これは行政だけではなくて、家庭の責任、親の責任、あるいは地域の役割ということもあるわけで、教育委員会では、基本的には家庭が教育の原点であるという認識のもとに、地域、あるいは行政、学校等が連携をして、子育てをしやすい仕組み、子どもたちによりよい教育環境を提供していく仕組みをつくる必要があると、そんな考え方を持っております。
酒井委員
最初の答弁の方をお聞きしたいんですけれども、就労にかかわらず預かることができるんですよね。そうなったら、また何度もこの話は続いてしまうのかなとは思うんですけれども、それで、やっぱり幼児教育の原点は家庭であると。先ほどおっしゃったのであらば、そうだけど、預かりますよと。何でもかんでも、本当に子どもたちのことを考えて、幼児教育がどうあるべきかというのをちゃんとやっていかなければいけないのかなと思うんですけれども、そうしたら、例えば区の幼児教育に対する考えがございますよね。そして今回、幼児総合施設が指定管理者、民間の力を活用してというふうにおっしゃっておりましたが、区の考えや意向とかそういったものは十分に反映できるんですか。皆さん、やっぱりそのあたりが気になっておられると思うんですけれども、幼児教育を放棄と言いますとちょっと言葉が不適切だと思いますので、何と言ったらよろしいんでしょうか。区の考え、意向なんかは、幼児教育をそちらの幼児総合施設に対して反映していただけることができるんでしょうかね。
金野教育委員会事務局次長
まず、区の考え方は先ほど御答弁申し上げましたように、この施設を設置するに際しての公募、あるいは条件付けの中で一定程度示せるものというふうに思っております。なお、そもそもこの幼児総合施設の考え方は、就学前の教育・保育を一体として行う施設という考え方でございますので、これまで保育園も教育的な機能は当然持っていたわけでございますが、それだけにとどまらずに、もっと保育園のような部分の利用者に対しても教育的な機能をふやしていこうというような考え方が基本になっていると認識しております。
酒井委員
応募のときにお示しすることができるとおっしゃられますけれども、もし来なかったら、そうしたらどうなるのかなと。ボーダーラインが例えば下がるのか、それとも、その間は中野の幼児教育は停滞してしまうのかなという懸念があるんですけれども、そのあたりはどうなんでしょうか。
金野教育委員会事務局次長
新しい総合施設につきましては、国が法整備をした上で18年度本格実施、しかも、先ほど御答弁申し上げましたように、政府も大変重点的な事業と位置付けていますので、必ず仕組みができて、また、それが現実に動くような形が成るというように見込んでおります。したがいまして、応募がないということは現在考えていないと、そうしたことにはならないだろうというふうに考えております。
酒井委員
余り時間がありませんので。それで、指定管理者により区のその考え、もしくは幼児教育に対する意向というのは示されるんでしょうかと先ほどお聞きさせていただいたんですけれども、例えば教育要覧なんかを見ますと、みずのとうなんかでしたら、「感じる心を持ち、元気に遊ぶ子どもら」、こんなふうに出ておりますけれども、もちろん民間の私立の幼稚園は出ておりませんけれども、このあたりなんかもどうなるのかなと思うんですよね。その区の意向、もしくは考え、それから区民の皆さんのそういった形が移行されるような形で指定管理者を募集することがきっちりできるんでしょうかね。そのあたりを最後に。
金野教育委員会事務局次長
指定管理者というのは、行政の仕事を代行して特定の団体に行わせるというものでございますので、これは行政の仕事ではなくて、民間が行う施設というふうな位置付けで考えております。そうした場合、区の方でこうやりなさいという方針をあらかじめ決めて、それをやらせるということではなくて、さまざまな提案の中から区として最もそれに沿ったもの、場合によっては部分的には注文をつけてやっていただくものを含めて選定して、そこにお願いしていくということになるだろうというふうに思います。
はっとり委員
以前、資料で出されております募集要項についてちょっとお尋ねをしたいと思いますけれども、ここで、下の方に(5)で「中野区では現在、区立幼稚園の役割や施設配置のあり方の検討を行っております。その検討の結果、在園期間中に事業運営等の見直しを行う場合もあります」と書いてあるんですけれども、このあたりの御説明といいますか、この募集要項は、募集要項を取りに見えた方に手渡すなり何なり、そういうことだけなんでしょうか。この中身を御説明されるということはなかったんでしょうか。
金野教育委員会事務局次長
きょうは資料では配っておりませんが、ことしの募集要項には今委員が言ったとおりの記述が入っております。それで、これは募集要項ですので、こういった形で募集しますよということで全般的に説明しているわけですが、ここについては、これ以上恐らく特段に突っ込んだ説明を募集業務に際してしていないのではないかと思っています。なお、募集業務につきましては、先ほどから議論もありますように、子ども家庭部への補助執行ということになっておりますので、教育委員会としては協議をした上で、こういう区立幼稚園の事業運営等の見直しが行われるということを明記してもらって、募集をしているということでございます。
はっとり委員
きのうの陳情者の御発言の中にもありましたけれども、とにかくいろいろ募集なり何なり、すべてが終わってから自分たちは今回のことを聞いたということがあるんですけれども、やはりその前に、在園児の保護者に対してもそうですけれども、来年度募集をかける、その応募された方に対しても、こうした説明というものが必要だったのではないかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
金野教育委員会事務局次長
私ども、募集と、それからこの計画の発表の時期、計画の調整を区全体でやったということもあって、どうしても募集の抽せんの後に、10か年計画の中の具体的な施設配置が示されたということになっておりますので、それをもっと早くできればすべきだったというように思っております。また、それぞれなるべく早い時期にということで声かけをして、後ほど10か年計画の方で御説明申し上げますが、保護者会への説明、あるいは今回廃園という形で名前が出た幼稚園での説明をしておりますが、応募して、まだ入ってきていない保護者の説明ということについてはちょっと対応がおくれまして、昨日、やよい幼稚園で行った。また、これからみずのとう幼稚園で、来年4月に入園してくる保護者に対して行うというふうな予定になっております。これについてももう少し早期に対応すべきであったというように思っております。
はっとり委員
この募集要項を見まして、私たちのように例えば10か年計画を議論している、今は案の段階ですけれども、改定素案までの段階で素案を見て、そして議論をしている者にとっては、ここにこういうふうに書いてあるじゃないかというようなこともある意味言えるんですけれども、多くの区民にとっては、やはりこの意味、中身というものが本当にわかりづらいと思いますので、後先になってしまったということについては、区の対応のまずさということを指摘せざるを得ないというふうに私は思っています。
それから、この募集要項の中で、先ほど北原委員からも御質問がありましたけれども、障害のあるお子さんの入園についてです。これは、障害の状況によっては入園をお断りすることもあるということで、医療行為が必要なお子さんの場合はお断りをするということを先ほど御答弁いただきましたけれども、実際に応募をして、そして抽せんで入って、だめになったというお子さんもあるというふうに聞いておりますけれども、そうした場合に、障害はあるけれども、中野区の幼稚園教育を受けたいというお子さんに対してはどのようなサービスがあるんでしょうか。実際にそういうお子さんが幼稚園教育を受けられるということはあるんでしょうか、ないんでしょうか。
相澤学校教育担当課長
障害があるなしにかかわらず、先ほど説明しましたとおりの募集で行っております。欠員がある状況が4歳児、5歳児がございますので、そういった場合については、随時募集する中で対応しているところでございますが、3歳児で定員の枠が十分満たされているという場合については、区の幼稚園ということではなくて、これは区全体の中でですけれども、アポロ園の先ほど巡回のいろいろ相談とか、そういった方策もありますので、そういった中で区全体の中で対応しているということでございます。
はっとり委員
そうすると、希望をしても、医療行為を必要とする障害がある場合のお子さんについては、幼稚園教育は受けられないという受けとめ方でよろしいんでしょうか。
相澤学校教育担当課長
現在の状況では、区立幼稚園ではそういう状況ではお受けしていないということでございます。
篠委員
時間が余りないのであれですが、酒井委員が静かにかなり強烈な御質問というふうに受け取らせていただいたんですが、基本構想の中でも、教育ビジョンの中でも、家庭が原点、家庭の教育力アップという視点から目を離さないんだという御旗を中野区は立ち上げたんですが、今回の提出された資料、「区立幼稚園の再配置について(案)」の流れの中を拝見させていただく限りは、今後の幼児教育のあり方、一連の流れは別段、ただすところはあっても、行き着く場所まではそのとおりに書かれておりますし、別の資料においてもそれなりに説得力のある流れをつくってはいるんですが、この流れの原点は、やはり文科省と厚生労働省の8月の中間報告を受けて、こういった流れがいよいよ来年度から本格化していくという、本格実施の段階に入ったという流れの中でやっているわけですが、発達障害児を含む障害のある子、発達障害児を含む障害、発達障害のある子というのは、現状では障害者手帳を持っているわけでもないんですが、教育委員会では把握していらっしゃるんですか。私立幼稚園、区立幼稚園、両方ともに。
相澤学校教育担当課長
非常に難しいような状況もございます。国の方では、児童・生徒の約6%ほどがこういった発達障害児の可能性があるというような状況もございます。個別には把握しておりませんが、おおむねそういう数値から、大体それに近い数が潜在的にあるのではないかというふうに考えておるところでございます。
篠委員
もう一回、何%ですか。
相澤学校教育担当課長
国の方でおおむね6%というようなことで、特別支援教育の検討の中でそういう数値を挙げてございます。
篠委員
この幼児教育のあり方の御説明の中で、私立幼稚園においても障害児を受け入れやすい仕組みをつくっていくと。これは、現状を認識しないまま進められると考えていらっしゃるんでしょうかね。
相澤学校教育担当課長
個別にいろんなケースはあると思います。例えばアポロ園が公立、私立を問わず巡回相談に回っているというようなこともございます。アポロ園でかなりのそういった個別の状況なども、あるいは全体的な傾向なども把握しているところでございます。そういったところの今までの蓄積や、今後、子育て・幼児教育センターなどといったところは、子ども家庭部と連携してそういった幼児の早期の把握を行い、その幼児に合った適切ないろんなさまざまな具体的な方策をとっていくべきかというふうに考えております。
篠委員
8月の中間報告をつくり上げた段階においても、我々が文部科学省の発表で目にすることができたのは、やはり日本で言う3歳児神話というのは正しかったという軌道修正を新聞を通して目にすることができましたが、厚生労働省自体は、厚生白書の中で3歳児神話は神話である、そういうことはあり得ないと。私は、本会議場で余りその問題について何度も質問していますので、少々議員の中からも嫌がられているかもしれないんですが、いわゆるダッチ・ミラクル、オランダの奇跡というのは、子どもの問題、精神的な問題なり、不良行為等が出た原点は何かというプロジェクトチームがたどり着いた結論は、母親の役目はそこにいることであると。
ですから、働く女性の支援という立場から、子どもを教育する母親を支援するという立場に軌道修正をヨーロッパではした。日本ではいまだに働く女性の支援一本やりの流れの中にいる厚生労働省と文科省が中間報告を出したということ自体、私はきな臭い思いでいるんですが、いずれにしろ、核家族化がこれほど急速に進んでいますので、幼稚園でも対応できない、保育園でも対応できない。具体的にわかりやすい対応ができない例としては、中野区で保育園に預けたいのに待機しているというお子さんはどのぐらいいるんですか。
金野教育委員会事務局次長
ちょっと数字的には今数字を申し上げられませんが、全体としてはほぼ充足しているんですけれども、地域によって、またゼロ歳というような区分の中では、まだ待機が生じているという状況でございます。
篠委員
議員が心配しているのは、やはりそういった教育委員会だけでは答えられない問題が入っているのだと。まして、この幼保一元化施設というのは、全国的に見たら待機児童がまだいると。要するに、幼稚園に行っている方は幼稚園のことしか頭にないだろう。保育園にいらっしゃる方は保育園のことしか頭にないかもしれないけれども、世の中の現実は、できたら待機しないで入れていただいて、かつ幼稚園と同じような教育を実施していただけたらなという願いが、全国的には大変多いということも我々は推測が十分できるわけですが、この一連の流れを、今回中野区においてステップ2ですから、平成19年、20年において行動に移すという決断をされたわけですね。
その待機児童はほとんど充足されているといった切り込みをされたときにでも、将来的に見越して、家庭にいるお子さんも含めて、幼児教育の重要性の視点から外せない施設なんだという認識で行動をとっていらっしゃるのかどうか。その辺を相当御父兄の方にしっかりと説明しませんと、なかなか譲歩はしてくれないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
金野教育委員会事務局次長
区立幼稚園の考え方と、新たな総合施設のために区立幼稚園の配置を変えるという直接の意味ではございませんが、総合施設につきましては、これまで国の考え方等を御説明してまいりましたが、私ども、委員御指摘のとおり、これからの中野区の子育て、幼児教育全体については必ず必要になる施設だと。また、区民のためにもこういう施設があるべきだというふうに考えておりますので、十分説明する努力をしたいと思います。
篠委員
3時ですのでもうほどほどにしておきますが、幼稚園の要するに公私間格差の問題につきましては、所得制限なしで9,000円保育料の補助金を出していますよね。入園料補助金2万5,000円を出されている。入園料は、私立幼稚園の場合は平均8万6,818円、保育料は2万3,284円。この第3子の場合は、そのほかに所得割課税額が12万4,400円以下の世帯には、月平均で言うとほぼ2万円ずつ補助が行っているというふうに読み取ってよろしゅうございますか。
金野教育委員会事務局次長
第3子以降で、所得割課税額が12万4,400円以下の場合、年間23万7,000円、24万弱でございますので、月にならせば、委員御指摘のとおり2万円ほどになるかと思います。
篠委員
第3子以降ですから、第3子に2万円。そのほかに所得に関係なく9,000円で、2万9,000円。2万9,000円という金額は、幼稚園の平均保育料よりは一応上回りますよね。そういった第3子以降をお持ちの方は少ないかもしれない。しかしながら、第1子のお子さんについては、今の課税対象の範囲においては月1万円少々から約5,000円という。こうやって見ていきますと、どういう考えで公私間格差を具体的に埋めていくんだというわかりやすい説得力ある言葉、たとえ500円上げても、所得割を関係なくやると区全体としても大変な金額になるわけですけれども、もう具体的な行動に入られているんですか。
金野教育委員会事務局次長
子ども家庭部と教育委員会で事務的な予備的な検討、幾らぐらいの額という考え方が適当だろうかというようなことについての資料収集等は始めております。それで、これからどういうふうな時期にどういった形で進めるべきかというふうな検討を始めるという準備をしているところでございます。
篠委員
やよいとみずのとうにお勤めなさっていらっしゃる職員の方は全部で何人ですか。
金野教育委員会事務局次長
やよい幼稚園が、幼稚園園長、教諭で6名でございます。それから、みずのとう幼稚園は、同じく幼稚園園長、教諭等でやはり6名でございます。このほかにまた業務職員などが配置されております。
篠委員
江田委員の質問の最後、お答えを要求されなかった部分に、希望としてはそこで幼保一元化の行動をとられたらどうですかと。恐らく公立を想定しておっしゃられたんだと思うんですが、教育委員会の譲れない方向として、民間にできることは民間にやっていただくという流れに教育委員会も乗るんだというイントロ部分の問題提起があったと思うんですが、3,000人弱から2,000人体制の中において、教育委員会は全体的に何人ぐらいの区の職員を2,000人体制に向けて想定していらっしゃるんですか。
金野教育委員会事務局次長
10か年計画では、確かに職員を2,000人に職員数を削減していくということで示されておりますが、各部のそれぞれの現有の職員数のうちどれだけを減らすかというふうな、部ごとの検討というのはまだ進んでおりません。全体に民間にできることは民間にしていく。また、区が行う業務についても極力効率化を図り、また、さまざまな形で一部外注できるものは外注をしながら職員数を減らしていく。また、職員について異職種の従事なども拡充していくというような方向が示されておりますので、教育委員会もそれに沿って、今、どういう方向で進めるべきかということを検討しているところでございます。
篠委員
きのう、陳情の方から、今も幼稚園に勤務されている方でしょうか、幼稚園の学校の指導要綱に当たるものの紹介がありましたけれども、文教委員会では、いわゆる小学校1年生問題というものは相当議論を深めたと思うんですが、具体的にはどう立ち向かうかといった具体案が出てきていない中で、今回初めてここに、子育て・幼児教育センターの中で本格的な取り組みを進めていくんだという形が出されたように思うんですが、ただ、この中に小学校の先生がだれも入っていないんですけれども、そういう認識でよろしいんですか。
小林指導室長
今、委員御指摘の幼稚園から小学校への円滑な接続という点におきましては、日常的に今後さらに教育活動を進めていく上で連携を深めていくことが大事であるというふうに考えております。とりわけ、現在でも教員の研修のシステムの中で、また、保育園も含めて幼稚園、小学校との連絡協議会、またさまざまな体験入学とか、学校行事、そういった折にいろんな形で連携をして、実際体験入学等も行っております。そういった中で今委員御指摘の心配等を払拭し、よりよい形に持っていければというふうに思っております。
委員長
ちょっと休憩をさせてください。
(午後3時08分)
委員長
委員会を再開いたします。
(午後3時10分)
以上で2番、区立幼稚園の再配置について(案)についての報告を終了して、休憩後、陳情審査をしたいと思いますので、今から3時25分まで休憩とさせていただきます。
(午後3時11分)
委員長
それでは、委員会を再開いたします。
(午後3時26分)
次に、陳情の審査を行います。
保留としておりました陳情、新規付託分、第137号陳情、それから第144号陳情から第153号陳情を一括上程いたします。
これより本件に対する質疑を行いますが、今度は手を挙げていただいてということにしたいと思いますので、よろしくお願いします。
休憩前にも確認しましたが、特定の陳情に関する質疑の場合は、陳情番号をおっしゃっていただいてから質疑を行うようにお願いいたします。
質疑ありませんか。
昆委員
陳情にかかわる質疑になりますけれども、どうしても納得いかないのは、10か年計画の改定素案が示されて、その中で2園の廃園ということを打ち出されたんですけれども、しかし、それは本来ならば、みずのとう幼稚園とやよい幼稚園の関係者のところに、入園募集をする前に区の考え方というのは示すべきではなかったのかという点が1点、最初の質問にさせていただきます。お答えください。
金野教育委員会事務局次長
この10か年計画改定素案における施設配置の確定、それから議会等に報告して公表した時期が、区立幼稚園の募集時期、抽せんの終わった時期以降になってしまったということについては、本来ならそれ以前に公表すべきであったというように考えております。これは区全体の計画決定の時期がその時期にどうしてもなってしまったということからそうなってしまったということで、私ども、できればもっと以前に発表すべきであったというふうな考え方は持っております。
昆委員
それから、陳情全体に通じて言えることですけれども、区立幼稚園の役割について、これまで私立幼稚園の補完として区立幼稚園の役割があったんだと。それがもう終わったから、区立幼稚園の2園の廃園をするというふうな方向を打ち出しておりますけれども、区立幼稚園の2園廃園の理由にする補完という意味、この意味をもう一度区の考え方を教えてください。
金野教育委員会事務局次長
区立幼稚園の開設の経過を考えますと、子どもの数がふえ、また幼稚園への入園ということが大変多くなった時期に、全体として幼稚園が入園希望の子どもたちを受け入れ切れないというような状況を踏まえまして、順次開設をしてきたというふうに思っております。現在、幼児の数は大幅に減っておりまして、私立幼稚園を含めて十分幼稚園が子どもたちを受け入れられるという状況でございますので、入園の需要に対して供給数を確保するという意味での補完するという役割については終了したというように考えております。
昆委員
実は、今回の文教委員会に、「中野区の区立幼稚園に関する提案の過程」という資料を出していただきました。ここには、平成14年、2002年からのものが出ておりますけれども、これは、平成13年の時期から区は区立幼稚園に関する報告というものを教育委員会で議論し、または文教委員会の資料としてもお出しして、その都度報告を受けておりました。
それで、この14年12月4日文教委員会報告「区立幼稚園の役割、機能及び配置のあり方検討会報告」について、その当時、さまざまな議論を私もいたしましたけれども、この時期に区民の皆さん方、区立幼稚園の保護者の方から陳情が出されまして、それは4園の区立幼稚園を存続させてほしいという内容だったと思います。その議論の中で、14年のこの12月4日に出された報告書を私は今手元に持っているんですけれども、この「区立幼稚園の役割、機能及び配置のあり方検討会報告」の中で、大変長いものですから全体は言いませんけれども、区立幼稚園の必要性と基本的役割というものが報告の中に書かれております。
それは、先ほどから教育委員会の方が御答弁で出しておりますように、幼児人口の急増期に就園需要を地域的に補完する目的で設置された区立幼稚園の役割は終わったという意見もあると。しかし、次に述べる理由から、本検討委員会は今後も区立幼稚園は必要であると考えるということで、一つは、障害児保育の取り組みの必要性ですね。今後、私立幼稚園では担うことが困難な障害児について取り組みの必要性がある。これは区立幼稚園として取り組んでいくという方向です。
それから、社会的な価値観に基づく教育実践を行う園の必要性ということでも、公立幼稚園ならではの教育を求める保護者も少なからずいて、保護者の選択を可能にする意味から、区立幼稚園は必要だと思っていると、そういうことを出しております。それから、中野区における区立幼稚園の意義として、中野区の私立幼稚園、保育園など、幼児教育関係機関や広く子育ての中の保護者に対して、幼児教育を機軸とした支援の中核となることが必要だということも、区立幼稚園の役割としてここで掲げられているんですね。
そういうことというのは、今回保護者の皆さん、区民の皆さんから出ている陳情の内容であるんですけれども、区は、今の現時点で、そういう14年の12月4日に出されたこの報告は、もうその方向としては考えないというふうにお考えなのでしょうか。お答えください。
金野教育委員会事務局次長
平成14年の12月に文教委員会に御報告したこのあり方検討会というのは、事務局の中で事務局職員によって構成された検討会でございます。したがいまして、教育委員の論議は基本的に反映されておりません。その後、教育委員会で教育委員がさまざまな形で十分論議をした結果、現在の考え方を取りまとめてきたということでございますので、当初、事務局が示した考え方については現在のように変更になったというように考えております。
昆委員
14年の12月に出された報告のこの内容というのは、今回の陳情を受けて再度読み直しますと、まさに今、区民の皆さん方が求めている中野区の責任を持つ幼児教育、保育、この観点からいって、区立幼稚園が今後も全体の幼児教育、保育の中核になるべき役割を持って、さらに発展させてほしいという願いがどの陳情にも出ているというふうに思いますけれども、その点についてはどのようにお考えなのでしょうか。
金野教育委員会事務局次長
この点につきましては、私が適切に教育委員の論議を要約できるかどうかというような不安を持ちながらも、ちょっとお話しさせていただきますが、区立幼稚園の積極的な役割、区立だけでしかできないような実践があるのかということについては、教育委員がかなり時間をかけて論議いたしました。その全体の方向としては、委員が御指摘になっているような障害児の教育、それから幼稚園教育を全体として向上させていくための先進的な取り組み、そういったものにつきましては、公私を問わず、区立、私立を問わず区全体で取り組むべきものであって、区立幼稚園だけがやるということではないということで、区全体の幼児教育という視点で改めて考え直そうというような方向で、教育委員は今回論議をしてきてまとめております。
昆委員
今回そういう形でまとめたとおっしゃいますけれども、14年12月4日に出された報告書から見て、きのう報告になりました新しい区立幼稚園の配置案について、これを見ますと非常に新しいメニューは幾つか掲げてありますけれども、その新しいメニュー、例えば幼児教育センターだとか、幼児総合施設だとか、幼保一元化だとか、そういうものが今区民の皆さん方、関係者が願っているように、区立幼稚園としての役割を果たしていくものとして望んでいるそのものからは、若干状況が違ってきているのではないかというふうに思います。
幼保一元化についても、教育センターにしても、それはある意味では保育園に行っている子ども、幼稚園に行っている子ども、また家庭で過ごしている子ども、どの子どもにとってもこの幼児教育というのは非常に必要になってきておりますし、その質の向上という点では今後ますます検討し、いいものにしていかなきゃならないというふうに思っておりますが、どの施設を見ても、区立幼稚園のその機能そのものを丸々入れ込んだものというふうに考えられないような、そういう視点があります。
それは、例えば子育て支援だったり、研究の場だったり、研修の場だったり、そういうものと区立幼稚園とはまた違っていると思うんですね。それから、総合施設にしても、国が考えている内容と、今皆さん方が継続を願っている中野区立幼稚園、この機能をきちっとこれからも存続してくれという、それともまた違っているというふうに私は思うんですけれども、その点についてはどのように思っているのか、お答えください。
沼口教育長
きょうの資料でもおわかりのように、確かに平成14年12月4日に出した報告と最終的な教育委員会の考え方は、若干考え方としては違っております。ただ、内容的には、今回もそういう障害児の取り組みですとか、いろいろな教育実践をやるということについては同じなんですけれども、ただ、我々が一番議論していますのは、私立幼稚園は今現在22園あります。区立は4園しかありません。仮に区立だけを一生懸命充実していっても、中野区の幼児全体のためには決してならない。やはりこれは、一番多い私立幼稚園も含めて全体として中野の子どもたちに一定レベルの幼児教育を与えていきたいという考え方が出ています。
当時は、14年のときには言っていませんでした幼児教育センターは、当時は幼児教育センター的機能を幼稚園に持たせるという発想だったんです。今回はそうじゃなくて、それはそこの幼稚園だけの機能になってしまうので、幼児教育センターをつくると。要するに、子育て・幼児教育センターを別のところにちゃんとつくって位置付けて、そこが中野の保育園なり、あるいは幼稚園なり、公立、私立を問わずきちんと情報提供して、研究成果を皆そこに投げかけて、同じようなレベルに持っていきたいという発想があります。
ですから、障害児の問題につきましても、私立幼稚園に入れることが難しい障害児を区立幼稚園でやるという発想も確かですけれども、それよりも、難しい子どもでも私立幼稚園に入れてもらうような支援をこれからやっぱりやっていって、身近なところに障害のある方も通えるような体制にしていく方がいいのではないかという考えがありまして、こういう形になっています。ですから、基本的にはもう公立も私立もない。そういう考えじゃなくて、今ある幼稚園を全体的に引き上げていく。そのために幼児教育センターをつくってやっていきたい、そういう趣旨でここができています。
それで、問題は、先ほどからも議論がありましたけれども、保育を何か重点的にやっていくという考え方でできているんじゃないかという御発言もいろいろと何人かの方からありましたけれども、これはあくまでも、今、保育園でも幼児教育という側面で、教育の面も確かに保育園はあります。ありますけれども、やはり幼稚園に比べれば若干弱いと私は思っています。そういう意味で、これから小学校との連携なども考えますと、やはり幼児教育というのは非常に大切になってくると。そうしますと、保育園でも幼稚園に準じた、あるいは幼稚園に匹敵するような教育をやっていかなければいけないんじゃないか。そういう考えで今考えています。そういう意味では、今回考えています子ども総合施設についても、そういう考え方で、保育を充実するというよりも、保育をやっている方でも教育の部分を充実させていきたいという考え方で今回の報告書はまとめているつもりでございます。
昆委員
幼稚園には保育機能を、保育園には教育的機能を拡充強化して、教育、保育の内容をそれぞれが充実させていくということは、それは私も異論はありません。ただ、率直に伺いますけれども、14年の12月に報告書が出されておりますが、これは15年の3月に区立幼稚園の4園を現状のまま存続させてほしいと。今と同じような関係者からの陳情が出されました。それから、13年には中野区の行財政5か年計画に基づく区立幼稚園の役割、機能と配置についてということで、同じように区立幼稚園の存続をというふうに区民から陳情が出されているんです。
そういうことを思いますと、4園ある中野区立幼稚園の果たしている役割と、その場で区が責任を負う公的な区立幼稚園の存続というのは、今後も中野区政にとって、子育て支援や幼児教育にとって本当に大切なんだと。そういう思いから、区が廃園といいますか、見直しを出し、廃園を出し、そのたびに区民からこれだけの陳情が出されるということに区はどのように考えておりますか。
金野教育委員会事務局次長
区立幼稚園は、現に区民の方がさまざまな形でかかわっていらっしゃいますし、また、現にお子さんを通わせている保護者の方は、また格別の思いがあるだろうというふうに思っています。そうしたことからすれば、こういう現に利用されている施設を廃止するというのは大変大きな影響があると思っておりますので、私どもも慎重に検討してきたわけですが、幼稚園全体の配置、それから行政全体の役割の中で、公がやる部分、区立として区がやる部分、それから民間が役割として担ってやる部分、全体として区が環境づくりで進める部分というような議論をしてきた結果、この区立幼稚園4園の存続という考え方はとらないという教育委員会の考え方を出したものでございます。
昆委員
慎重な検討を進めてきたとおっしゃいますけれども、今回のようなやり方が果たして本当に区民にとって納得いく形、それから理解できるやり方、そういうものを慎重に検討してきたなどというのは、全然受け取られない状況だというふうに思いませんか。そのことについてお答えください。
金野教育委員会事務局次長
区立幼稚園の見直しにつきましては、きょうの資料にも出ておりますように、平成14年からずっと課題としてきておりますし、また、区全体の基本構想10か年計画の素案等の中でも現在の施設を見直すということで、これは平成16年7月ですから、もう1年以上前から具体的に施設数についても見直しますというようなことをお示しして、同時に、これについて区民の皆さんからもちろん反対の意見も伺ったわけですが、意見も聞き、教育委員会でも議論をしてきたところでございます。
昆委員
その施設の見直し、廃止をするということが、区民にとって、関係者にとって大変なことだというふうに、そういう認識がおありならば、今回のような10か年計画、それも当初出したときには何も名前も載っていない、数も載っていない、そういう状況の中で改定素案が出された。その中にぼんと2園の廃止ということを出すことが、慎重に検討し、それから区民にとって、関係者にとって、この区のとる方向が、重要な大変なことなんだというその認識があるのかないのかということを問われたならば、それは全く机上の計画で進めてきて、関係する人たちに十分な説明もなく、区の考え方を押しつけるものというふうに思いませんでしょうか。その点にお答えください。
金野教育委員会事務局次長
教育委員会で時間をかけて検討してまいりましたが、その検討の考え方、区立幼稚園を具体的にどの園をどのようにしていくのかということは、どこかでお示しをすることになります。そのお示しをするのが、今回は区全体との施設配置の調整の中から10月という形になりましたが、案を示して意見を聞くということでは、どこかでこういう形でどうだろうかと示さなければいけないと思っていますので、例えば幾つかの選択肢を出して、こういう考えもあるし、こういう考えもあるというような形はとらずに、一定の議論を踏まえて出しているというようなものでございます。
江田委員
教育委員会として、みずのとうとやよいを廃園するというふうに決めたのはいつですか。
沼口教育長
決めたのは、ここの報告書を出しているときの最後のときでございますけれども、園名がもう議論の中に出てきたのは、きのうも申し上げたと思いますけれども、昨年の12月の段階ではみずのとうとやよいという名前は、教育委員会の中ではかなり論議はされていたというふうに記憶しております。
江田委員
私がお聞きしたかったのは、そういう議論をされてきたというのは昨年からというふうにお聞きしたんですが、教育委員会としてなぜそれが出せなかったかというのは、区長部局との調整が必要だったわけですよね。それで、最終的に、ではこれで教育委員会としての確認をしようというふうになったのはいつかという、それをお聞きしているんです。
金野教育委員会事務局次長
最終的にこの幼稚園について再配置(案)を確認したのは、10月14日の教育委員会だったというように思っております。
委員長
教育長が答弁しますか。
金野教育委員会事務局次長
ちょっと、済みません、答弁保留させてください。
江田委員
10か年計画の改定素案が出たんですから、その前じゃないですか。
沼口教育長
今、11月30日、きのうですか、出しました文教委員会の報告書の決めた日付を確認しますので、ちょっとお待ちください。
委員長
答弁できますか。では、答弁を許します。
金野教育委員会事務局次長
この内容を最終的に文章として確認したのは、11月25日の教育委員会になります。
江田委員
11月25日、それはおかしいじゃないですか。改定素案はその前に出ているんですよ。
金野教育委員会事務局次長
きのうも御答弁申し上げましたが、改定素案のときは改定素案の案といいますか、改定素案がこういう内容で出される見込みであるということを教育委員会で論議しまして、これは教育委員会の考え方の方向にも沿ったものであるので、この方向については確認をするということで、改定素案は確認しました。その後、改定素案が確定されたことに伴い、教育委員会としてこれまでの論議を整理して、改めて文章を精査して確認した上でまとめたというのが、今言った日付でございます。
江田委員
私がお聞きしたいのは、要するに皆さんは昨年からやよいとみずのとうを廃園の対象に考えていたけれども、それは出せなかったとおっしゃっていたわけですよ。だけれども、改定素案の中で出てきたわけでしょう。それから、後で聞きますけれども、当該の保護者の方々は改定素案を見て初めて、私のところが廃園対象になっているということを知ったわけですよ。皆さんから情報提供があるわけじゃなくて、そういう経過をたどっているわけですよ。ですから、改定素案に二つの園をのせようというふうに決めた時点はいつなのか。それは教育委員会の最終確認じゃなくても、教育委員会でとりあえずそれで行こうというふうにならないとおかしいわけですから。
金野教育委員会事務局次長
10月14日の教育委員会でございます。
江田委員
それで、陳情者の最初の発言の中で、一番最初に、教育委員会が幼稚園の再編を考えていると、1園か、もしくは2園を廃園対象として考えているというふうに答えたのは8月4日ですよね。それで、皆さんが改定素案の中に二つの園をのせて、園の方で当該の保護者の方々が、私たちの幼稚園が廃園対象になっているということで驚いて、教育委員会に連絡をとって、いろいろ経過はあるようですが、それで説明会を持ったのが10月28日というふうにお聞きしているんですが、これは間違いないですか。
金野教育委員会事務局次長
私の記憶では、この10月17日の常任委員会の報告をもって、議会に対しましても10か年計画の改定素案を明らかにいたしました。その前の週の金曜日だったかと思いますが、間もなく改定素案が出る見込みであるということを踏まえまして、私の方は、事務方に幼稚園保護者の方に近々説明会を開きたいので、日を設定してほしいというようなお願いをしたと記憶しております。そして、日程の調整等を行いまして、10月28日によつば会の区立幼稚園の保護者の皆さんに具体的にこの案の内容を御説明したということでございます。
江田委員
結局、当該のそういうところに対する説明、あるいは事前の意見交換といったものがほとんど行われていない。それで、当該園の名前が出ると非常にいろんな波紋を起こすので、教育委員会としては秘密裏に行ってきたということでしたが、その議論の経過は経過としていろいろ配慮すべきものがあったと思いますが、そういう方向が固まったら、まず当該園の方々の意見を聞くというのは当たり前なことだというふうに思うんですよ。
まして、さっき話がありましたように、今までも何回もこういう幼稚園廃園問題が出て、陳情が出て、議会でも何度となく議論に議論を重ねてきた案件ですよね。それだけに、私はやっぱりきちっとした対応をしなければ、大きなそごが生まれるということは当たり前だというふうに思います。皆さんの一番大事にすべき教育行政区民参加条例では、第3条で、区民参加の仕組みは、教育に関する施策または事業の内容、性質、重要性等に応じ、審議会、協議会等の設置、公聴会、対話集会等の開催、意向調査の実施、その他の適切な形態及び方法によるものとするというふうに、これは教育委員会の条例の中にそういうふうに書かれているわけですよね。
これほど今まで幼児教育を担ってきた区立の果たしている大きな役割を皆さんは、後で述べますけれども、大きく変更しようとしているわけですよね。そういう重要な問題に対して、どうして区民の意見を聞かないのか。まして、こういう条例がありながら、事実上全く無視されているということに対して一体どのように考えているのか、改めてお聞きしたいんです。
金野教育委員会事務局次長
これまでも、昨年度から非公開ではやっておりましたが、区立幼稚園の教育委員会での今後のあり方の論議に合わせて、さまざまな形で保護者会との対話集会も昨年度も実施したというように記憶しております。また、基本構想、あるいは10か年計画の地域説明会の中でも、区立幼稚園の配置見直しという考え方が出ておりますので、それについて私、あるいは教育長というようなことで説明会、意見交換会には参加をして、意見をお聞きしてきたというような形でございます。
今回、最終的に区の考え方で調整が10か年計画の改定素案ということが確定しない間は、やはりまだ変更の可能性があるということでございまして、それ以前に教育委員会として外部へ公表したり、説明をするということは難しかったというように思っております。
江田委員
私は、こういう教育委員会としてのスタンスが決まって、それから、この教育行政区民参加条例に従った手続が行われていく、住民のさまざまな意見をお聞きする場を保障していくというのが、本来これからは行われるべきところに皆さんがようやく到達したというところではないかと思うんですね。ところが、そうじゃなくて、これから区民の皆さんの意見を聞くというんじゃなくて、もう私たちの考えは決まりましたから、これで行かせてくださいということになっているわけですから、これはもう皆さん自身が持っている条例の立場からして全く道理に合わないし、今の答弁は到底納得できないものとして指摘しておきたいと思います。
それからもう一つは、区立は私立の補完的役割を果たしてきたと。その役割は基本的に終わったという、こういう言い方が随所に出るわけなんですが、一体中野区は、幼児教育については、区立は私立の補完的役割を担っていくんだという決め、考え方というのは、いつ、どこでなされたんですか。
金野教育委員会事務局次長
幼稚園に通われているお子さんのうち、8割以上、ほとんど9割近くが私立の幼稚園に区内、区外を含めて通園しているというふうな状況でございます。そうした中で区立の幼稚園に通っているお子さんはごく一部であるということからすれば、幼児教育の全体、大半は私立幼稚園が担っている。区立幼稚園はごく一部であるということは言えると思います。また、区立幼稚園の設立の経過、先ほどから申し上げましたが、子どもの数がふえて、幼稚園への入園自体がそもそも難しくなるというような状況のもとで、順次区立幼稚園が開設されてきたという経過を考えますと、当然数を補完するためというような目的が区立幼稚園にはあったと考えております。
江田委員
ということは、中野区において、幼児教育は原則私立が行うべきだということになると思いますが、そういうこととして確認してよろしいんですか。
金野教育委員会事務局次長
ここはあるべき論を述べたものではなくて、量の点、それから区立幼稚園開設の経緯からも、最初は民間しかございませんでしたし、民間幼稚園が区立の幼稚園教育の大部分を行ってきた事実を述べたものというように思っております。
江田委員
当初は、今おっしゃっているように、中野区は私立幼稚園がずっと幼児教育を担ってきて、それに対して、ぜひ公立をということで住民の運動、要望が高まる。そういう中で順次さまざまな経過をたどりながら4園備えてきたと、こういう経過がありますよね。ですから、時の流れからいえば、私立が先行して、区立が要望に従って順次整えられてきたという経過はそのとおりだと思うんですが、しかし、少なくとも幼児教育の補完的役割を中野区が果たしてきた、区立が果たしてきたという、これは本質的に違うというふうに思うんです。事実を述べたというふうにおっしゃるけれども、区立は私立の補完的役割というのは、これは本質にかかわる部分なんですよ。そういうふうに簡単に、要するにキャパシティーの問題として事実を述べたというふうに言われては困る重要な部分だと思うんですが、もう一度答弁ください。
金野教育委員会事務局次長
この区立幼稚園が私立幼稚園に対して補完的な役割を持ってきたということは今回初めて示したものではなくて、これまでの検討の中にもそういう文言で説明をしてきたわけでございますので、私としては、子どもの数、現に幼児教育を担っている私立幼稚園との関係から言うと、私立幼稚園が主に担っているということから、中心部分というか、大部分は私立幼稚園がやってくださっている。そして、一部を区立幼稚園がやっているというような構図を表現したものというように思っております。
江田委員
それは量の問題であって、中身の問題であったり、それから、何よりも保護者のそういう気持ちを全く無視した言い方として、私は到底受け入れることはできません。
それから、あと2点あります。前回、東中野保育園を廃止するときはどういうことが理由だったかというと、コンパスで2キロ範囲で円を描くと、かみさぎと、それからみずのとうと、やよいがあれば大体カバーできると。したがって、東中野保育園は廃園にするという、これが前回の理由でしたよね。今回はそうではなくて、近隣の私立幼稚園をいろいろ調べてみた結果、十分周りに私立があると。だから、みずのとう、やよいを廃園にするんだと、こういうふうに言っております。ですから、前の東中野保育園を廃園にするときというのは、公立としては2キロ円内の保護者、子どもさんに対して責任を果たしていくという、そういう一定の物の考え方というのがちょっとあったかなという感じもするんですが、それにしても、大事な役割を果たしてきたものを廃園にするということに対して、区民から厳しい批判があって、皆さん撤回したわけですよね。今回は、また違う理屈で2園を廃園にするというふうになってきたわけですが、そこら辺はどういうふうに皆さんの中では整合性のある説明ができるんですか。
金野教育委員会事務局次長
この平成14年に報告した区立幼稚園の役割、機能及び配置のあり方検討会報告というものは、先ほど申し上げましたように、事務局の職員が行った検討結果をまとめたものでございまして、教育委員会としてはそれを参考としながら、改めて議論をしたというものでございます。教育委員会が一たん考え方をまとめて、それを進めて示したというものではないというように受けとめております。
また、区立幼稚園の役割についても、委員御指摘のように、そのとき2キロぐらいの範囲で考えれば、3園で全区域をカバーできるというような論拠がこの報告には示されていると思います。そのときの区立幼稚園の考え方と、今回教育委員が論議をした上で示した区立施設の考え方とは違っているというものでございます。
江田委員
だから、なぜ違ったのかということをお聞きしているんです。それから、今まで出されたものは事務局で議論したものというふうにおっしゃっています。今回は教育委員会で議論されたものというふうにおっしゃっているんですが、教育委員の皆さんの会議に出していくのは、教育委員会事務局の考えを出していくわけでしょう。それで教育委員の議論を経て、最終的な確認がなされるわけですから、前の2回は事務局で議論したものであって、今回は教育委員会が議論したものだから違いますという、この論理は通らないですよね。
沼口教育長
先ほどから次長が申し上げているように、14年のときは、教育委員会のもとに、事務局の中ですけれども、検討委員会をつくって検討を行ったわけです。その結果上がってきたものが、教育委員会で報告は受けましたけれども、それについて教育委員会としてどういう判断をするかという議論はなしで、こういう文教委員会の場でも求められましたので、資料として報告したわけです。ですから、我々はこの報告を受けた後、教育委員会として議論を進めて、今回の最終的な形になっているということでございます。
特にその2キロとか、そういうことについて言えば、我々は、何キロ、何キロという話になりますと、必ず今までもありましたけれども、では1キロ超えたら、1キロと、ちょっと割ったらどうなるのかとか、そういう話が必ず出ますので、距離でいくのは問題であるんじゃないかということで考えてまいりました。そういうことで、今回は全体の中で、区外の私立幼稚園も含めまして、全体として足りているという大前提があった中で考えているものでございます。その中で、とりわけさぎのみやと、ひがしなかのについては、特にほかの2園に比べれば区外にも受け入れる幼稚園が若干少ないのではないかという判断で、2園は残すことにしたわけでございます。
江田委員
いろいろ御答弁いただくんですが、どう考えてもやっぱり筋が通らない。事務局でいろんな調査をして、事務局がまとめたものが教育委員会に上がっていくべきだし、過去2回は教育委員の議論を経ないで、事務局として、ひがしなかの幼稚園を廃園にするというのを事務局でまとめて、文教委員会に出したというふうにおっしゃるけれども、そういうことが事務局の判断でできるんですか。
沼口教育長
ちょっとはしょりましたけれども、一番左側にあります14年が事務局の検討委員会報告で、次の15年と17年は教育委員会が議論したものでございます。
それで、事務局の考え方が教育委員会の案として通るなんていうことはまずありません。当然教育委員会が責任を持って議論して、指示をして、直してやっていきます。ですから、最初の案が出てきても、それが教育委員会の考え方になるなんていうのはまずほとんどありません。必ず中で議論をして、訂正、訂正が加わって最終的な形に持っていくというのが、我々教育委員会のやり方でございます。
江田委員
ぜひそうあってほしいというふうに思っております。今答弁いただいたように、過去は事務局の案ということじゃなくて、14年は事務局だったけれども、その後は教育委員会でも議論したというふうにお答えいただきましたので、それはそれで了解をします。
それで、実はこの前、保護者の方々が集まりを開いていただいて、そこにぜひ話を聞いていただきたいということで案内をいただいて、私も参加させていただきました。本当にさまざまな角度から、みずのとう幼稚園が果たしている役割というのがこもごも語られて、私自身も、中野区の区立幼稚園の教育内容がこれほどお母さんたちに支持され、なくさないでほしいというふうに言われているということに対して、直接ではないけれども、一議員として本当に誇らしく思いました。
その中で一例だけ短時間に紹介させていただきたいんですが、これは青森から引っ越してきたというお母さんが1人おられて、その方の御発言で、前にいたところは私立しかなくて、その私立は、当然子どもさんが少なくなっているから、どう園児を確保するかということで非常にいろんな形での競争が行われて、うちは英語教育をやりますよ、うちはこういうサービスもやっていますよということが行われる。それから、当然園児の送り迎えも園の車で行われる。場合によったら、病気のときには、その幼稚園の先生が病院に連れていってくれると。そういうことまでやってくれていた。だから、本当に便利で助かっていたというお話でした。
その方が中野区に越してきて、みずのとうに入園されたわけですけれども、みずのとう幼稚園では、例えば時間が遅くなる場合に、電話一本で延ばしてくれるというようなこともないし、さまざまなことが園の側から要求されると。最初は何て不便な町に来てしまったんだろうというふうに思ったけれども、自分が都合が悪いときに子どもをちょっと面倒を見てほしいというふうにするためには、友達をつくらざるを得ない。そういう友達をつくり、お互いに助け合う中で、単にサービスを受けるだけではなくて、自分自身がこの幼稚園と一緒に子育てをしていこうという、そういう思いにもなっていく。
それから、先生方の方からも、単にどうぞどうぞと受け入れるだけではなくて、園の側からもさまざまなことが親に求められていく。つまり、そういう親の集団、それから先生方の集団、それから相互の連携、協力し合い、励まし合い、そういう中で、私自身はここに来て本当によかった。ここに幼児教育の本当の姿があるというふうに思ったと。前の何でもありのサービス競争のあれとは違う、本当の幼児教育はこうあってしかるべきだというふうに思ったという、概略で正確に伝え切れていませんが、そういう発言をされたお母さんがおられました。
私は、教育というのは本当にそうだなというふうに思いました。単にサービスを提供する、メニューが広がるというだけではなくて、幼稚園の側も保護者の側もお互いが成長し合いながら、その中で子どもが持っている成長・発達する、そういう本来持っている力を発揮させていく、支援していく。そういう関係ができてこそ、本当に幼児教育の発展があるんだなということを改めて学ばせていただいたんですが、そういうものであってほしい。そういう園だからこそ、このみずのとう幼稚園をこれからも存続させてほしいということだと思うんですよね。そのほかのお母さんのどの発言を聞いても、本当にそのとおりだと私は胸を打たれる思いで聞きました。
それで、そういう関係が今つくられて、しかも、そういうお母さんたちの熱意でこの園を守りながら、さらに発展させていきたいというふうに考えている。そういう力を皆さんが、教育行政がどう評価するのか。そこのところが物すごく大事なことだと思うんですよね。皆さんは、一番最初に触れたけれども、区立は私立の補完的役割を果たしている。子どもたちが減ってきたから、私立全体を見れば十分受け皿はもうできたから、みずのとうはつぶす、やよいはつぶすという、これはもう本当に机上の、机の上だけのことしか考えていない。現場で日々幼児教育を実践している方々の思いや、そういう方々の苦労や努力から全くかけ離れたものだというふうに言わざるを得ないと思うんですが、そのことについて考えをお聞きいたします。
沼口教育長
私立幼稚園も、それから区立幼稚園も、今まで中野区の幼児教育に本当に一生懸命取り組んでいただいて、それは我々も評価していますし、区立幼稚園が高い評価をいただいているということは、本当にありがたいことだと思います。ただ、問題は、親と教師のふれあい、その関係がきちんとできていって、子どものためになっていくというこれをやはり中野区の全部の幼稚園、あるいは保育園、そういうところに広めていきたいというのが我々の願いであります。
そういう意味で、先ほどからも何回も申し上げますけれども、子育て・幼児教育センター、そういうところもありますし、それから、これからまだ区立幼稚園も2園は残ります。そういうところを機軸にしながら、全体にそういう立派な幼児教育を広めていきたいという考えで今回もまとめているつもりでございます。
江田委員
先ほどから区立だけでなく、民間も力をつけていかなきゃならない、全体がレベルアップしていかなきゃならないという答弁をいただいています。障害児教育についても、区立だけではなくて民間も区立が受け入れているのと同じレベルで受け入れていけるような力量をつけるという、これは全く当然のことだと思うんですね。それは、区立に通わせているお母さんたちだけではなくて、現に私立に通わせているお母さんたちの大きな期待でもあるし、強い願いでもあろうと思うんですよ。
ですから、区立、私立に関係なく幼児教育のレベルを上げていく、そのことはだれも否定していないんですよ。当たり前のことで、みんなが望むことですよ。だから、そのために幼児教育センターをつくっていろんな研究をしながら、そこでレベルアップのためのさまざまな支援もしていきたい。そういうお考えでしょうから、それはそれでぜひ頑張ってやってほしいというふうに私も思うし、恐らく保護者の方々も同じ思いだと思うんですよね。
そういう努力をこれからやっていきます、それから幼児教育施設もつくります、そういうものをこれからつくっていきますということは、それは大いにやっていただきたいけれども、そうしたものが全く見えてもいない前に、とりあえず区立幼稚園はもう私立の補完的役割は終わりましたから、ここはつぶしちゃいますよというやり方というのは、どう考えたっておかしいでしょう。そうじゃなくて、そういうものがつくられて、それから、やよい幼稚園もさらにスキルを高めて、幼児教育施設でしたか、そういう方向になっていくということが見えてくるんだったら、なるほど、もっと全体が幸せになれるねということになるかもしれないけれども、何もないわけですよ。なのに、先に廃園ありきという、こういうやり方は納得できない。
しかも、冒頭に述べましたけれども、関係の保護者の方々には何の説明も行われていない中で、秘密裏にやってきて、ある日突然こういうふうになりましたよということで押しつける。これでは、これまでみずのとうや、そのほか4園の区立幼稚園をいい幼稚園にするために努力してきた、お互いのそういうものを全く無視するものだというふうに言わざるを得ないと思うんですよ。確かにみずのとう幼稚園はすばらしい園かもしれないけれども、それは先生方が努力しただけでそうなるわけではなくて、先生方の努力と、それから保護者の努力と、双方が相まって協力し合う中ですばらしい教育実践というのができるんでしょうから、そういう意味では、そういうところに本当に皆さんが心をいたして、お互いにそういうものを理解し合う中から今後の方向というのがつくられていくものだというふうに思うんですよね。そこの大事な部分が完全に欠落しているというふうに私は言わざるを得ないと思うんですが、いかがでしょうか。
沼口教育長
小・中学校の問題もそうなんですけれども、やはり子どもが減っている中で、社会全体の資源として、果たして効率的にこういうことが運営されているかどうか。例えば区立を残せば、私立が多分減るでしょうし、全体としては需要が足りているわけですから、多分これからはどちらかがなくなっていかなきゃいけない状況になります。ですから、そういうことを考えた場合に、これからの中野区全体の幼児教育をどういうふうに考えていくかという視点がやはり必要だと思います。その中で我々が考えていますのは、民間できちんとできるものは民間でやっぱりやってもらうのが、これから持続的に行政がやっていく分には、たとえ教育といえども必要なことではないかと思います。
先ほどの子育て・幼児教育センターなんかもそうですけれども、やはりそのセンターをつくるにしても人的な資源が必要になりますから、こういう区立幼稚園で働いている方の知恵というか、力をそちらの方に移すことによってセンターができていくわけでございます。それから、そういう総合施設にしても、ほかの場所ですぐ簡単にできるような施設ではございません。では私立幼稚園でどこかでやってもらったらいいんじゃないかという話もありますけれども、なかなかやっぱりスペースの問題とかがありますから、簡単に今ある私立幼稚園が総合施設に切りかえるというのも、なかなか難しい話だと思います。そういう中で、ああいったところの施設について我々としては活用していきたい、そういうふうに考えてございます。
江田委員
最後にします。今の教育長の答弁なんですが、このまま区立が残れば、私立か、区立か、どっちかつぶれていかざるを得ないので、まず区立を2園廃止しますと、そういう話じゃありませんか。じゃあ、どういう話なんですか。
委員長
教育長、教育長個人のお考えなのか、教育委員会のお考えなのか、その辺も立場を十分お考えになって御答弁ください。
沼口教育長
教育委員会全体の意見といいますと非常に発言がしづらくなりますから、若干教育長としての立場の意見もあります。
どちらかがつぶれていくだろうということでございまして、私立をつぶさないために区立をつぶすとか、そういう話ではございません。これは事実として、今の子どもの数からいって、全部が生き残るのはとても無理です。これはだれが考えても常識的な範囲のことだと思います。そういうことから問題が出ているということも確かでございます。
江田委員
言葉のあやですから、いろんな言い方ができるんだろうと思いますけれども、結論は、子どもたちが減ってきているんだから、私立か区立かがつぶれていくと。だから、区立2園を廃園にするんだということに、それはつながっていかざるを得ないじゃないですか、今の理論からいえば。もちろん既に私立はなくなってきていますけれども、あわせて、そういうことを理由として区立をつぶしていくということでは納得できないでしょう。これからの幼児教育のあり方、皆さんは皆さんでいろいろ考えているようですけれども、それがきちっと示されて実践に移されていく中で、なるほど、中野区の幼児教育に対して、教育委員会は補完的役割などと言わないで、立派に役割を果たしているということが確信持てるような、そういう教育行政にしなければ、区民も保護者の方々も到底納得がいかないでしょうということを申し上げておきます。
久保委員
137号陳情なんですが、主旨に「廃止案を白紙撤回して下さい」ということがございます。ここの中にも10か年において発表されたということが書かれていますけれども、教育委員会においては、廃止案を白紙撤回するというのはどのようなことだと思われますか。
金野教育委員会事務局次長
この10か年計画については今、改定素案、間もなく案という形でお示しをして、その後、パブリック・コメントなどの意見を聞いていくことになると思います。そうした中の議論は、教育委員会のみならず全庁的に行われるわけでございますので、その中で教育委員会の考え方、それから区の考え方が、やはりこれは今の案を変えようということになれば白紙撤回という形になると、理屈上はそういう形になるかと思います。
久保委員
ということは、10か年計画が変わればといいますか、そこでこの廃園という言葉がなくなったりすれば、白紙撤回ということなんでしょうか。今までずっと伺っていますと、10か年が出るのを待っていて、そもそもこの2園の廃園というのは教育委員会としてはずっと検討をされていた。この改定素案を出すに当たって、ほかのところとの足並みをそろえるといいますか、施設の配置計画について他の施設も名前が出てくるわけですから、そこに足並みをそろえるような形で、今回この10か年に合わせて出てきたかのように伺っていたんですが、そうではありませんか。
金野教育委員会事務局次長
出た時期は10か年計画に合わせているという形で、10か年計画の中で出したわけでございますが、やはり教育委員会が独自に区立幼稚園をこういう形にしていきたいと考えたとしても、区全体の財政、それから職員配置、施設配置の考え方の、区長のもとにおける総合調整ということを経なければ、それは内容的に教育委員会だけの判断で決められないというふうに思います。それの総合調整をするという作業が、この10か年計画改定素案の作成という作業の中で行われましたので、そうした総合調整が終わったということで内容が示されたというように考えております。
久保委員
あくまでも総合調整の中で2園の名前を出すことができたということですよね。以前に園の廃園というのはどこが決定をするのかということを伺ったときに、教育委員会が決定をするというふうなことではなかったでしょうか。
金野教育委員会事務局次長
教育機関の設置、廃止ということでは、教育委員会が教育機関としての幼稚園の設置、廃止について一義的な権限を持っている。ただし、それについては当然区議会の条例の審査ということをお願いすることになりますので、区長のもとで条例提案というような調整が行われた上で、議会に条例をお示しする。議会の決定をもって、実際に立法上も幼稚園の廃止が行われるという形になります。
久保委員
ということは、廃止は10か年には計画として案が出たとしても、廃園にはその段階では至らないということですよね。
金野教育委員会事務局次長
計画が確定したとしても、実施する場合には別途の法的な手続を踏むことになります。
久保委員
今のことは今のことといたしまして、先ほどから陳情者の方たちの思いというのが、教育委員会にはなかなか届いていないのだなということを感じているんですけれども、今回のこの陳情、また本当に多数集まった署名に、なぜこのように多くの署名や、また陳情が出てきたと思いますか。これは今通われている方ではなくて、OBの方たちからも出ている陳情というのもあるんですが、その辺は教育委員会としてはどう受けとめられていますか。
金野教育委員会事務局次長
率直に申し上げまして、区立幼稚園を存続してほしいという意見の方がたくさんいらっしゃるということ。また、区立幼稚園の現在の運営、これまでの運営してきた成果について評価をした上で、こういったことを残してほしいという意見がかなりあるというように思っております。
久保委員
区立幼稚園の何が評価されたんだと思いますか。
金野教育委員会事務局次長
私ども、意見交換会などもしておりますが、やはり区立幼稚園の現在の教育内容がいい、あるいは施設内容がいいというようなことでお話は聞いております。ただ、そのほか、実際に先ほどから議論がありますように、公私の格差、あるいはさまざまな負担の問題などもございますので、そういうことを全体として区立が評価されているというように思っております。
久保委員
私が今伺ったのは、その辺のことはもうわかった上で伺っているんですけれども、どのような教育内容がいいと評価をされているのか。また、施設の内容とおっしゃいましたけれども、施設はみずのとうに関しては本当に老朽化をしているなというふうにも思っておりますし、施設そのものが評価をされているとは思っていないんです。教育委員会が自分たちのやっている幼児教育に対して、自信を持ってこういう幼児教育を今まで自分たちは進めてきましたという具体的な話というのが、今まで全く聞かれていないんですよね。
逆に、先ほど江田委員からもお話がありましたけれども、私も、いろんな保護者の方たちと懇談をさせていただく中で、区のやっている施策ですとか、職員の態度に対して不満とか文句をたくさん伺うことはあっても、こんなに褒めていただいたということはほとんどなかったように感じています。そういう意味では、非常に区の中の施設でもレベルの高い、また区民の方たちに喜ばれている幼稚園なのだと思うんです。であるならば、もう少し今までの幼稚園の教育の内容に関しても、本当に教育委員会自身がもっと責任を持つ。また、これは教育委員会がやってきた教育内容なんだということを言えなければいけないと思うんですが、その辺はいかがですか。
金野教育委員会事務局次長
これまでも、幼稚園教育に対しましては、教育委員会としてできる限り環境を整理する。また、指導内容につきましてもいい指導をするように、よりよい教育ができるようにということで、教職員ともども積極的に取り組んでまいりましたので、今後も区立幼稚園がある限りは、直接の運営者として、その内容をできるだけ向上させるという取り組みは当然していくことになります。
ただ、先ほどから申し上げておりますように、区立幼稚園だけがよくなればいいのかということではもちろん既にないという状況でございますし、また、区立幼稚園だけができる実践があるのかどうかということが大きな問題です。区立だけができて、民間は絶対にできないということがもしあれば、区立を残さなければならないという議論になってくるわけですが、私が教育委員会でずっと議論を聞いてきたといいますか、議論を受けとめてきた内容では、区立幼稚園だけができる実践というような考え方をとるのではなくて、区立も私立も実践できるようにして、区全体でやっていくという考え方をとるべきだというのが教育委員会の考え方ととらえております。
久保委員
今、私が聞いたことはそういうことではございません。私は、先ほど教育長が言われた、区内の子ども全員に一定のレベルの教育をという発想に教育委員会は変わってきたと。また、それは区立幼稚園だけではなくて、本当に区内のお子さん全員に喜ばれるような、また本当に一定のレベルを保てるような教育が必要なんだ。障害者の方たちにとっても身近なところで幼稚園教育が受けられるように、公私の差なく教育委員会としても働きかけていきたいということを言われていたので、そのことを踏まえた上で聞いたんです。
こういうことをやるためには、今、園でやっている教育というのが本当に区民の方たちに求められ、また認められてきているわけですから、その考えをベースに次に発展していくということだと思うんですね。ですけれども、具体的な中身というのが全く語られていない。そういうことになってしまうと、今、みずのとうややよいで行われている幼稚園の教育内容というのを全く教育委員会は熟知していないんじゃないのか。ほうりっ放しで今まで園に任せてきたんじゃないか。そのように聞こえてしまうと思うんです。
だから、ただ施設の内容がどうとか、教育内容がどうとか、そういうことはわかった上で言っているわけですから、このようなところを今まで努力してきた、その具体的なことを言っていただきたいんです。だから、それをベースに次がありますというところを見せていただかないと、納得いただけないと思います。
小林指導室長
今、中野区の公立幼稚園に関して大変高い評価をいただいております。それぞれ園長を初め、副園長、教諭、職員一丸となって、子どもたちのために一生懸命教育活動を行っております。とりわけ、中野区の公立幼稚園に関しましては、いち早く3歳児保育を取り入れるとか、また、研究においても非常に都内でかなり先進的にやってきたという経緯もございます。そういった中で職員が研修を積み、具体的に教育活動の中でいい成果を上げてきたものというふうに思っております。
ただ、一方では、社会の変化がさまざま多様化する中で、教育ニーズというか、それぞれの一人ひとりの子どもたちに対応していくために、教員の力をもっとつけていかなきゃいけないという課題も同時に承知しているところでございます。なぜ中野区の幼稚園がというようなことでございますが、これはひとえに、いわゆる教育要領に基づいて真摯に取り組んできた成果であるというふうに私どもは受けとめております。
しかしながら、もう既に今教育改革が盛んに進んでいる状況の中で、今後はもっと特色ある教育活動を進めていく必要があるんだという視点から、現在では各園ともそれぞれ研究テーマ、さらには重点園として取り組んでいただいて、特色ある教育活動を進めていただいていると、そのような状況でございます。
久保委員
今、教育要領に沿った園の教育というようなお話がありました。子育て・幼児教育センターの中でも、先駆的な幼児教育プログラムの開発ですとか、また、中野区教育研究会などの研究の支援、研究成果などの情報提供ですとか、いろいろここの中にも書かれているわけなんですけれども、この辺のことというのは、現在は行われていないことを新たに行うということなんでしょうか。
小林指導室長
詳細については今後検討していくというようなことにならざるを得ませんので、ここで明快にどの部分をやっていくというお答えはできないと思いますが、少なくともこれまでの成果を生かし、発展的にそれを生かしていくと。そして、実践していくということだけははっきりと申し上げることができると思います。
久保委員
ここで職員配置は、専門研究員、幼稚園教諭、保育士などとございますけれども、この方たちが今後のこういった幼児教育プログラムなどを検討されていくんでしょうか。
小林指導室長
当然今そこに書かれてあるようなメンバーの方々、さらには行政、そしてさまざまな各界の意見をもとにして進めていくというようなことになろうかと思います。
久保委員
そうした中で、今までのみずのとうややよいで行われてきた園の教育というのは、十二分に生かしていただけるということですか。
小林指導室長
当然これまでの成果は、これまで幼稚園というような中で幼児教育のあるべき姿を追求してきたわけですけれども、今後、新しい総合施設の中でそれを大いに生かしていくというのは当然だというふうに認識しております。
久保委員
ほかの方もいろいろあると思いますので、最後にいたしますけれども、やはりもっと園の今まで努力をしてきたことですとか、また、本当に保護者の方たちに喜ばれてきた教育内容であったということをもう少し教育委員会が理解していかなくてはいけないのではないかと思います。そうでないと、幾ら幼児教育センターですとか、総合施設というふうに机上で今出ていたとしても、中身を皆さんが期待できるものをつくっていくとは思えません。その辺、教育長、いかがお考えですか。
沼口教育長
区立幼稚園の評価については、当然今までの話ではいい評価をいただいていますけれども、やはり区立幼稚園でもこういうところに問題があるんじゃないかという声も聞いたことがございます。そういう意味で、当然基本的には子ども中心の教育といいますか、やっぱり感性を育てる意味では、体験的な授業といいますか、教育をやっていると思います。そういう意味では、区立幼稚園は非常に私もすばらしい教育をやっているなと思います。ただ、先ほどから何度も申しますけれども、当然私立もやっているところはきちんとやっていますし、そういう意味では全体的に上げていくということでございます。
当然我々も、これから子育て・幼児教育センターをつくるわけですから、その中で、やっぱりよりよい、今行われていないもっといい教育もあるかもしれません。そういうことも研究しながら、それを全園に広げていきたいと、そういうふうに考えてございます。
篠委員
我々は今陳情の審査に入っているんですけれども、ただ、文教委員会としては、中野区の幼児教育全体の先行きとの関連において、しっかりと審査していかなければいけないという認識ではおります。具体的に、学校もそうなんですけれども、老朽化という問題も必ずあるんですが、4園の、今回陳情は2園の問題ですから2園に絞った場合、老朽化に対する教育委員会の認識はどのようになっていますか。
金野教育委員会事務局次長
それぞれの幼稚園は、早期に建てたところから最近のところまでありますが、かみさぎが1968、ひがしなかのが1970、みずのとうが1974、一番新しいやよいが1981年の開設でございますので、そのときに施設を整備したということでございます。あと、まだ基本的に学校等は50年から補修対象ということで、50年は使えるものと考えていますので、まだ耐用年数的には余裕があるというふうに考えております。
篠委員
建物的にはそういうことですね。ただ、区の職員が中で対応するわけなんですが、今後定年退職されたらちゃんと補充するという体制を現時点でとっているんですか。
金野教育委員会事務局次長
幼稚園につきましてばかりではなくてほかもそうなんですが、定年退職をした場合、必要があれば補充しますが、そのほかの手だてをさまざまな形で工夫して人員配置ができれば、そういう中でなるべく採用を抑制するという方向で進めてきております。
篠委員
区の一般職と違いますので、やはり2園の方向性を出した時点において、新しい新卒の先生を募集する気持ちはないというような決断も連動してされたんだと思うんですが、そういう認識でよろしいんですか。
金野教育委員会事務局次長
まだ計画は確定しておりませんが、来年度、あるいは次の年の採用というものは、見込まなくて大丈夫だろうというように思っております。
篠委員
流れの中でこの問題は、もちろん当事者から御事情を聞けば、もうOBになられた方も含めて、やはり学校についてもそうなんですが、思いというか、130年近い伝統を持ったところも対象となるような流れの中で、文教委員会は学校についても審議しているわけですので、思いと、現実と、これから進むべき道というのは、やはり冷静な目で判断していかなきゃいけない。
そういった中で、人数的には充足されている。100人のうち50人に当たる部分というのは、幼稚園機能を残すという具体的な数字も出されているんですが、そのことは我々が目を通させていただいた書類の中に入っているんですけれども、この充足されているということと、また新たな流れに乗った施設として、幼稚園機能ももちろん持っているのであるけれども、保育の施設としても半分の機能を有するという形ですよね。幼稚園機能がまるでなくなっちゃうとは言っていらっしゃらないので、充足されていると言いながら、やはりここで区が決断をしなければいけないといったところに対する説得力のある言葉を相当しっかりと披瀝していただかないと、今通われている人は幼児全体のパーセンテージからいけば少ない数字になると思うんですが、あくまで中野区全体の幼児から目をそらさないという流れの中で、なぜ幼保一元施設をそこにつくられるのかということについて、どなたかお答えください。
金野教育委員会事務局次長
この幼保一元施設といいますか、幼児総合施設という言い方にいたしましたが、この幼児総合施設につきましては、これまでの幼稚園、あるいは保育園という形だけでは満たせなかった新しいニーズにこたえようということでございますので、利用者が重なる部分も当然あると思いますが、これまで幼稚園では満たされなかった方、あるいは保育園ではいろいろな条件から入れない、そこでは自分たちの思うような対応ができなかったというような方を含めて、新しい多様なニーズに対応した施設ということでございます。したがいまして、単に幼稚園の入園の数を確保するというようなことではなくて、質的にも新しい内容を提供するということから、こういったものが必要だというように考えております。
篠委員
私は想定で申し上げたのは、数字的に合っていたかどうかわからないんですが、品川区の例なんかで見ると、1,000平米、100人。50人が保育、従来どおり、その半数の50人が幼稚園。しっかりと幼稚園機能も残すんだと。まるで幼稚園をつぶす考えなんていうのはないんだという形での行動をとられようとしているという認識でよろしいですか。
金野教育委員会事務局次長
本日配付をした「子育て・幼児教育センターと幼児総合施設に関する考え方」という資料にも書いてございますが、現在の私どもの考え方としている内容は、床面積900から1,200程度ということでございますので、ほかの自治体の例、1,000平米程度を持っている施設なども見学してまいりましたが、そういったことを考えますと、委員おっしゃるように、100人程度の施設の規模になるだろうと。保育園に当たるようなサービスを中心とする0~2歳児に対しては50人、幼稚園と重なるような年齢の3から5歳児についても、50人程度の定員が確保できる施設になるだろうと思っていますので、幼稚園的な利用を含めてこの施設がある程度の対応ができるというように思っております。
小串委員
ちょっと関連して、一、二点だけ確認させていただきたいんですけれども、幼稚園の先生の身分は、私は小・中とごっちゃになっていたものですから、東京都の採用で人事異動なんかもそういうふうにやっているのかなと思っていたんですけれども、ここでちょっと聞いたら、今の質疑をしていて、単独であるということですよね。そうした場合に、この2園を廃止した場合の身分はどうなっていくんでしょうか。ちょっとその辺が気になったものですから。
小林指導室長
当然区の職員でございますので、その中で有効に活用していくか、また、それに関連する業務につくというような形になろうかと思います。
小串委員
だから、新たにできる複合施設の場合に、現在は教諭の免許はもちろんお持ちなんでしょうけれども、保育士としてのものを持ち合わせておられるのか。要するに、そこで働く場がなくなったら、そこに行くか、子育て・幼児教育センターかという、単純に考えればそういうことなのかなと思うんですけれども、そういう意味での説明を求めているんですけれども。
小林指導室長
これは、その教諭の個人の状況によっても変わってまいります。と申しますのは、保育士の免許をあわせて持っているかどうかとか、そういったようないろんな個人の事情もあります。今委員が御指摘のように、こうした新しい施設の中で有効活用していくということもございますし、また、自然退職の部分も当然ございますので、そういったさまざまな人事計画の配置を考えて、有効に活用していくというふうに考えています。
小串委員
だから、現在の幼稚園の先生方の、両方免許を持っている方が何人おられて云々というのをちょっと説明してほしいということなんですよ。
委員長
わかりますか。
小林指導室長
わかりますが、答弁保留させてください。
小串委員
もう1点だけ、済みません。それと、新しい幼児総合施設を今の計画では幼稚園の2園の地に持っていこうということで、先ほど教育長は、私立幼稚園の幼保についてはなかなか難しい部分があるというような発言がありましたよね。私は、昔から私立幼稚園こそ幼保に取り組むべきだという持論を持っておるんですが、なぜそこが難しいのかということと、同時に、ここは文教委員会であるからして、幼稚園で、私立と公立という部分での幼児教育ということで非常に幅が狭くなってしまうんですけれども、あえてちょっとお聞きしたいのは、区の中で現在の保育園を総合施設に変えていくという議論をあわせてされた上で、今回の計画というものが出されてきたのか。私立幼稚園でやるというのも一つの考え方だし、現在の保育園がその幼児総合施設に生まれ変わっていくという考え方だってとれないことはないわけですよね。その辺の議論というのがどうであったのかというのをちょっとお聞かせください。
金野教育委員会事務局次長
新しい総合施設につきましては、先ほど申し上げたように、施設的な基準としましては、幼稚園の基準、保育園の基準の両方を満たすということで、ある程度の大きさが必要になるというふうに思っております。現在の保育園は、やはり幼稚園に比べますといずれも小規模の園でございますので、そこを幼保を取り入れた総合施設にしていくというのはなかなか難しいと思っております。現在の10か年計画改定素案の中では、幾つかの保育園につきましては、家庭の幼児を含む支援交流機能をあわせ持つような保育園としていきたいというふうな考え方が示されておりますが、それは本来の保育園機能に付加的なものをつけるというようなことで考えているところでございます。
沼口教育長
まず一つは、全く新しい施設ということもございますし、やっぱり私立でいきなりできるという可能性は少し少ないのではないかな。それから、施設の規模が一定規模必要になってまいりますので、そういう面からいって、現行の私立幼稚園の状況からそう簡単には取り組めない問題じゃないか。
それからあとは、やはり教員の処遇といいますか、人材を新たにいろんな職種の方を入れるということもありますので、そういった面で経営的にも一挙にそういう形で進められるかどうか、それは非常に問題かと思っています。まず我々は、区の用地を提供することによって、民間でそういう新しくやりたいところを探し出して、それを一つのきっかけにして起爆剤みたくして、現行の私立幼稚園の方々にも、これからの方向性はそういうところにありますので、できればそちらの方のメリットを見出していただいて、転換していっていただく、そういうことが期待できるのではないかなというふうに考えています。
小林指導室長
先ほどの小串委員の御質問でございますけれども、現在、24名中10名の者が保育士の資格を持っているということです。
それから、あわせましてちょっと補足をさせていただきたいと思いますが、この人事にかかわっては、23区におきまして人事交流の制度もございまして、それぞれそういったもののルートに乗せて、希望その他もそれぞれ踏まえて、そういった交流制度があるというような状況もつけ加えておきたいと思います。
小串委員
今の24名というのは2園の話ですか。4園ですか。
委員長
今のは4園全体ですね。
小林指導室長
はい。
委員長
では、2園に関して。
小林指導室長
失礼いたしました。みずのとうとやよいということですか。
小串委員
いや、両方聞きたいんです。
小林指導室長
みずのとうとやよいは、3名ずつが保育士の資格を持っております。
はっとり委員
陳情をたくさん出していただいたおかげで、いろいろと資料も教育委員会から出て、いろいろ議論を深めることができまして、とてもよかったというふうに思っております。ただ、ここまでいろいろと皆さん方の質疑応答を聞きながら、これからの新たな展開というものもおぼろげながら理解できる部分も私としては出てきたんですけれども、御答弁をお聞きしていて物足りないなと感じたのは、これまでの30数年の区立幼稚園の教育内容というのは、勝手にそれぞれの園がやってきたのでも何でもなくて、やはり中野区の教育委員会としての方針の中でいろいろさまざま提案され、もちろん園、現場からの提案もあったと思いますけれども、そうしたものが積み重なって、そして今皆さんがおっしゃるような、本当にすばらしい幼稚園だと評価されるような幼稚園として存立してきたんだというふうに私は思います。
議会の中でも、これまで例えば幼稚園の地域からの要望でありますとか、あるいは、地域社会に開かれた幼稚園というような議論もしてまいりましたし、それから、地域の子育て支援の一端を担うというようなことも区立幼稚園でやってきた、取り組みを進めてきたところだと私は考えています。そうした教育委員会としての取り組みがさまざまな形で功を奏してというか、それが今の保護者の皆さんがすばらしいと評価するものになってきたというふうに考えているんですけれども、そのあたりをやはりしっかりと御答弁いただくということが私は必要だと思いますし、この30数年間区立の幼稚園として存在してきた4園について、改めてその教育内容について教育委員会の御見解を伺いたいと思います。
小林指導室長
先ほども申し上げましたが、これについては大変高い評価をいただいて、ありがたいことだと思っております。実際に教職にある者としては、常にやはり自己を高めるという視点から研修が重要になってくるわけですが、とりわけ、この中野区の幼稚園については研究が非常に盛んであり、23区でも大変注目をされておりました。それが、研究のための研究ではなく、実践に結びつく研究であり、そして日々の実践が行われていたというような、そういった先生方にも自負があるということは事実でございます。私どもとしても、さらにこの幼児教育のこれまでの成果を今後の幼稚園及び総合施設の中で大いに生かしていきたいというふうに思っております。
はっとり委員
これまでの次長の御答弁の中で、区立の幼稚園に通う子どもは本当に一握り、人数は少ない。多くの9割方の子どもたちの幼児教育は私立で担われてきたというお話がありましたけれども、その私立が担ってきた、その私立の幼稚園と、それから中野区の教育行政がつかさどるところの幼児教育という観点からの私立幼稚園との連携ということについては、どのように進めてきたんでしょうか。
小林指導室長
この点につきましては、中野区においては中野区幼稚園教育研究会というものを組織いたしまして、恐らく他の23区26市には例のない公立と私立との協働による研究体制、実践を進めてきております。通常公立と私立との間は高い垣根がございまして、なかなか実践・研究の面でも交流ができないのでありますが、この点については中野区としても積極的に進めてきたという状況がございます。同じような点では、保育園、幼稚園、小学校、特にこの保育園、幼稚園は公立も私立も含めてこうした3者の連絡協議会というものも年間を通して行ってきております。こうしたものも他には余り例のない、すぐれた実践だというふうに私どもは承知しております。
はっとり委員
そういうふうにおっしゃるんですけれども、例えば今回出された中野区の教育ビジョンですとか、教育要覧を見ましても、私立の部分というのは全くないですよね。幼児教育もすべて中野の幼児教育が行っているような錯覚を起こすぐらいこの要覧にはない。その部分、やはり今おっしゃったような私立との連携が進めてこられたのであれば、やはりこの要覧、あるいは中野の教育ビジョンの中でもきちんとそれは載せられていくべきだろうというふうに思うんですけれども、そのあたりについてはいかがでしょうか。
小林指導室長
これにつきましては、幼稚園は教育委員会が所管をしていて、また、そうした私立の場合には教育委員会ではなく区長部局の方で所管をするというような、そういったところからの部分であります。決して何かそういった成果をあえて載せていないとか、そういうことではございません。今後、総合施設の中で当然、今委員御指摘のような成果もさまざまな部分で御紹介できるような場面が出てくるのではないかなというふうに思っております。
金野教育委員会事務局次長
教育ビジョンの方の御質問もございましたが、教育ビジョンの幼児教育の目標の中では、公立・私立、幼稚園・保育園の別なく、すべての子どもたちに適切な幼児教育をという書き方をしておりまして、その後、幼稚園では、あるいは保育園ではこうこうと書いてあるんですが、特に区立幼稚園という限定的な記述はなくて、幼稚園、保育園では各園の特色を生かしながら進めていく。また、義務教育への円滑な接続を図る等々、全体を含めた記述にしているものでございます。
はっとり委員
ただ、このビジョンを見ましても、学齢期の部分というのは大変いろいろ書かれているんですけれども、幼児期については大変薄いような気がするんですが、このあたりについてはお考えはいかがでしょうか。
沼口教育長
これは基本的な問題になってしまうんですけれども、幼児の部分の教育を、全部保育園の子ども、あるいはどこにも通っていない子どもを含めて、全部教育委員会が責任を負っていくのか。あるいは、区長部局の方で責任を負いながらやっていくのか。これは大きな取り組み方としては違ってきます。今、中野区の方向性としましては、子ども家庭部も設置しましたし、幼児教育全体の問題もできる限り一本化してやっていった方がいいだろうという考え方がございますので、幼稚園は法律的に教育委員会で決まっちゃっていますので、区立でつくった場合も教育委員会の所管でやらざるを得ませんけれども、そのほかの教育の部分も含めて新しい組織といいますか、子ども家庭部でやっていくというのも一つの考え方でございます。この辺はこれから調整しながら、どこが一番きちんとしたやり方ができるのか。例えば子育て・幼児教育センターも所管をどこにするか。共管でやれれば一番いいんですけれども、どういう形でできていくのか、その辺もきちんと詰めていく必要があると思っています。
はっとり委員
本当にこの30数年間、いろいろな社会的な背景、あるいは区民のニーズ、保護者のニーズということを受けながら、幼稚園の教育内容も変わってきたというふうに私は受けとめています。時代の背景ということでいえば、やはり今本当に行政のあり方として、教育行政だけではなく、全体として言ってみれば、民間できるものは、可能なサービスはできる限り民間に任せていくというような全体の考え方の中で、今後のあり方ということをやはり考えていかなければならない課題だというふうに私は思っています。
そうした中で、この提案の過程のところに書いてあります、区立幼稚園の設立当初の役割は既に終了した。今後の行政のあり方として、民間で提供可能なサービスはできる限り民間に任せていくことが基本。ですけれども、その下にすべての幼児教育を民間にゆだねてしまうのでは、区の責任を十分果たすことができないというふうに書かれていますけれども、民間にできることは民間にということで、教育行政すべてを民間にというふうにはいかないとは思うんですけれども、例えば幼稚園の運営を民間に任せるですとか、あるいは今回のような廃止という考え方ということの中で、それでは教育行政として、幼児教育についての役割をどういうものであるのかということについて、ここの考え方の中にも示されておりますけれども、改めてお考えを伺っておきたいと思います。
金野教育委員会事務局次長
幼児教育への役割ということになりますと、先ほどお答えしましたように、幼児期の教育、家庭が教育の原点というようなことを踏まえながら、家庭、地域、あるいは幼稚園を含めて学校が連携をして進めていく。そうした中でのよりよい環境づくり、また連携というものが行政、特に教育委員会の大きな役割というふうにまず言わせていただきます。
そして、具体的な現在想定している内容ですが、やはりまず一つは従事者への支援ということで、保育園の保育士、あるいは私立幼稚園を含む幼稚園教諭に対して、さまざまな形で研修や知識、それからいろんな交流の場などをつくっていって、技術、それから技能の向上を含めた支援をしていく必要があるというように思っております。それが結局子どもたちによりよい対応をすることにつながっていくというふうに思っております。
また、先ほどから議論がありましたように、幼稚園は、区立も含めてさまざま新しい課題、進んだ課題に取り組んでおります。そういう内容を一つの園だけで行うのではなくて、いいものについては中野区全体で共有をして広げていくというような情報交換、あるいはそういう研究を広げていくという役割も重要だと思っていまして、そういったことを主に担う場として子育て・幼児教育センターというようなものを考えているところでございます。
昆委員
148号陳情との関係になるんですけれども、ここのところの理由で、「みずのとう幼稚園は、保護者の国籍が六ケ国に及び、宗教色の無い幼稚園として切望されています」という理由が挙げられているんですけれども、先ほども申し上げましたように、14年の12月に区の方の事務局の検討だったというふうに先ほどから言われておりますけれども、少なくともここで示されている区の考え方の中で、社会的な価値観に基づく教育実践を行う園の必要性というのがあるんですね。公立保育園ならではの教育を求める保護者も少なからずおり、保護者の選択を可能にする意味からも区内幼稚園は必要だと考えているというふうに述べているんです。
それで、実はきょう報告に出ておりますこの再編の案を見ますと、4ページになりますが、再編対象となる園のところで、みずのとう幼稚園とやよい幼稚園においては、近隣に私立幼稚園が比較的多く設置されており、園児を受け入れる余裕があることから廃止するというふうに書かれているんですけれども、先ほども申し上げましたように、私立のところで園児が受け入れる余裕があるんだから、そこのところにこの二つの廃止される園の園児、保護者、そういう人たちはそちらに行きなさいということは、区が掲げてきた社会的な価値観に基づく教育実践を行う園の必要性というものからいっても、これは相入れない考え方ではないのかなというふうに思うんですよ。
多数民間の私立の幼稚園の中にあるけれども、私はやっぱり教育観点からいえば区立の幼稚園を選びたいと。やよいであり、みずのとうであり、そういう二つの園のところに行く人、行っている人、そういう思いを全く無視して振り分けてしまうというのは、多様なニーズにこたえるとか、合わせるとか言うけれども、全く押しつけになってしまうんじゃないかなということを重ねて質問いたしますが、このことについての答弁を下さい。
金野教育委員会事務局次長
14年の検討委員会のまとめのときは、確かに区立幼稚園ならではの役割というのを大変重視して、そういったことから区立幼稚園の必要があるというような報告になっております。そうした中で、今委員御指摘にありましたような、社会的な役割を重視した園の運営というようなことにつきましても、現在の教育委員会の検討を経た段階では、それは区立幼稚園だけがそういう運営ができるということではなくて、私立を含めて幅広く社会的な役割を踏まえた園の運営というようなものをしているだろう。
もちろん園によって個性がありますので、先ほどから議論がありましたような園の理念を踏まえたそれぞれのカラーなどがあるわけでございますが、そういったことも、現在の幅広く各園とも入園が可能、人数的には余裕があるという状況からは多様な選択が可能であるということから、区立幼稚園だけがそういう委員御指摘のような役割を担わなければいけない。また、区立幼稚園がなければ、そういったことは全く区民には提供されないのかというような状況でもないという認識でおります。
昆委員
そういうことではなくて、それは区の考え方ですよね。やっぱり園を選ぶ、あの区立幼稚園に子どもを通わせたいという保護者や関係者の気持ちが、全くそこのところで無視している考え方だと思うんですよ。いろんな私立の園はあるけれども、宗教がどうのということは私は言いませんけれども、いろいろあるけれども、やっぱりその中で区立幼稚園がいいと。そういうところを選ぼうとする保護者に対して押しつけてしまう。そっちに行きなさいということにならないのかということを私は再度申し上げたいと思います。
それからもう一つは、時間もありませんのではしょりますけれども、先ほども申し上げましたように、幼児総合施設の設置のところで、新しいニーズに対応するものとしてつくりたいという話が出ておりました。2園のところに創設すると。それが子育て支援にもなると。そして、それぞれのつくられた園のところでは、総合施設としてメリットを生み出すようなものにしていくべきだというふうな話が出ておりますけれども、この幼児総合施設というのは、区の方から示されているこの資料を見ても、例えばこの保育料をどうやって決めるのかというと、例えば区が上限を定めるとか、基準を定めるとか、そういうものじゃない。利用料の設定は各総合施設で行うことが適当ということになっていますから、親と施設の契約でそこに子どもをやるかどうかということを選ぶんですね。やるとなったときには、その利用料が一体どうなるのかということがあるんです。
それで、この利用料のことなんですけれども、例えば今区立の幼稚園を残すということ、それから子どもがどんどん少なくなっていって、そうなると私立幼稚園もつぶれてしまうというふうなお話がありました。それは子どもの数が少なくなるからということですよね。だったら、今何が必要かといったら、子どもたちをこの中野で育てられるような子育てと、幼児教育なら幼児教育をしっかり進めていく。そのことによって中野に住みたいと。中野で子どもを育てたいということになるのではないかと思うんですね。
それで、陳情者の方からお手紙といいますか、思いをつづったものを私も皆さんもいただいていると思いますが、この中に「宙ぶらりんの中野区で子育てをしていく自信がなくなりました。小学校は他区へ移ります。どうもお世話になりました」と。本当に私、子育て中の人たちが中野にこれだけ失望してしまって、他区で子育てをするという思いにさせている。それは一体だれなんだというふうに思うんですよ。
それで、今、子どもを育てるときに何が重要かといったら、やっぱり経済的な支援だということは、これは国の調査なんかでも出ているんですよね。中野区で次世代育成支援地域行動計画作成に当たって、区民の皆さんにとったアンケートの中で、子育て施策として一番何が求められますかということで見ると、児童手当、乳幼児医療費、保育料、教育費など子育て費用の助成というのが83.2%ですよ。それからもう一つ、これは国の方で次世代育成の支援対策をとるときにとったアンケートがあるんですけれども、女性が理想の数の子どもを持とうとしない理由、ここでは子育てや教育にお金がかかり過ぎるからということが挙げられているんですよね。
だから、そういう点では、民間の運営する施設、それはいろんなことを言いますよ。あれも入れます、これも入れます、ニーズにこたえられるようなメニュー盛りだくさんのそういう施設ですから、中野の区立幼稚園がなくなっても、新しいものをつくりますからと言っても、そこに、じゃあ、子育てをしている人たちが子どもを通わせたり、預けたり、一緒に行ったりというときに、利用するときのその利用料金がどうなるのかということを考えたときに、まさに子育て支援になるのかどうか。そういうことを考えても、今必要なのは区立幼稚園を充実させていくこと、残すことということで、経済的な負担も含めて幼児教育の充実という点からいっても、それは本当に区の責務ではないのかなというふうに思っているんですね。そのことについてお答えください。
沼口教育長
区立幼稚園を望む方はたくさんいると思います。先ほどの状況を見ても3歳児の場合はかなりいますので、区立に行きたいという方はたくさんいます。仮に区立でなければ嫌だということの需要にこたえていたらば、果たしてどういう結果になるかということも少し考えていかないといけないと思います。やはりそういうことを考えてずっといきますと、中野区内にもっと区立幼稚園をふやしていく、こういう政策をとらなければいけないということになっていきます。
我々は、そうではなくて、私立幼稚園に通っている方たちを置き去りにしていくのがいいのか、区立に全部転換していって、全私立幼稚園はもうどうなってもいいんだというふうに考えるのか、それとも、私立も含めて全体としてみんな中野に住みたいというような私立保育園をつくっていくのか、そういうことの考え方の違いだと思います。ですから、もう区立保育園でなければ絶対困るんだという考え方を我々は基本にとっていませんので、それはもう考え方の違いというふうにしか言いようがなくなってくると思います。
昆委員
そこまでおっしゃいますと、続けて言わなきゃいけないんですけれども、私はもっと区立幼稚園をふやせとか、そういうことは今の場所では言いませんでした。しかし、現実にある4園の中の2園を廃止するということが、果たして今区民が求めている子育て支援だとか、それから幼児教育の核に、中心として、これから中野がより充実した子育て支援、幼児教育、幼児保育、そういうものに発展させていく拠点としてこの区立幼稚園を軸にすると言ってきたわけですから、そのことが今、子どもの数がどんどん減っていくという中で、この中野区内で子どもを産み育てていく立場に立ってみたら、子育て支援として、少子化対策として、そのことをきちっと据えていかなければならないのではないかということを私は申し上げているんです。
金野教育委員会事務局次長
先ほど幼児総合施設の費用負担の話がございましたが、これにつきましては、幼稚園保育料の現在の利用者負担の考え方が含まれて設定するということになっていますが、現にそれぞれモデルでやっている施設の設定などはさまざまな形ですが、当然利用者が納得できる金額を設定して、利用者に来ていただくということから、それぞれ利用が十分見込まれるというような価格といいますか、利用料金設定になっております。保育料につきましても、これから国の方で基準を具体的に示すのかどうかというようなことも含めて少し状況を見る必要があると思いますが、必ずしもここが区民が利用しにくいような、区民がだれも利用できないようなものになるというようなことはあり得ないと思っております。
それから、他区で子育て、中野は幼稚園を廃止して、こんな区にはいられないというふうな御紹介がありましたが、私どもの方の調査でも、この10年足らずの間に他区では53の区立幼稚園を廃園しております。そういう中から、区立、公共の役割、私立幼稚園の役割というようなことから、区立幼稚園につきましては見直しをするということは、各自治体とも課題として行っていますし、中野はまだしておりませんが、多くの区では現に取り組んでいるというような状況だと思っております。
北原委員
3点だけお尋ねいたします。
まず最初に、学校再編は、児童・生徒数の減少とか、あるいは学校の校舎、施設の耐用年数というのがあって、再編計画が提示されたと思うんですけれども、今回この2園の廃園につきましては、財政的な問題があって廃園ということを示されたのかどうか。それがまず1点。
次に、147号と149号、それから153号は、保育料の公私間の是正をすればということが陳情の中の文章に含まれております。こうした場合、区の方がもしこの2園を存続していくということになれば、当然公私間の見直しを図るということになると思うんですが、その保育料の改定もある程度提案できるのかどうか。例えば2園を存続する、あるいは廃園を含めて、そういうことをまずやっぱり議論が進む中では明らかにしないといけないかなと思っておりますので、それをお尋ねいたします。
それから3番目に、137号と151号陳情については、幼児総合施設のことについて触れられております。これは篠委員の方からも発言がありましたけれども、平成17年度に開始されたモデル事業ですよね。それで、全国で今36施設というふうに教育委員会の方もおっしゃられておりましたけれども、確かにうまく運営されているところが多いやに聞いてはおりますけれども、まだはっきりしたその辺の検証というんですか、評価というか、その辺が今果たしてできるのかどうかというようなところも私は感じておりますけれども、その辺については教育委員会としてはどのように考え方を持っているのかどうか。その3点をお尋ねします。
金野教育委員会事務局次長
まず、この幼稚園の配置の見直しに財政的な問題から来ているのかということでございますが、先ほどから御説明申し上げているように、幼児教育全体の取り組みを進めるという中で、行政の役割、それから民間で担うべき役割という全体的な議論の中から、区立幼稚園として行政が直接運営する役割については見直していくという方向を出しました。もちろんその中には、これによって見込まれるであろう財政的な余裕については、例えば子育て・幼児教育センターの運営に振り向けるとか、そういうことも考えられるわけですが、直接財政的な問題ということではなくて、教育委員会は役割をどう考えるか、それから、あるべき役割の上でどういったことにこれから力を振り向けていくのかというふうな議論を中心にしてまいりました。
それから、保育料の負担をふやしてもいいから、存続というふうな陳情もあるわけでございますが、保育料につきましては、基本的には先ほどから申し上げておりますように、公私の格差の是正をしていくという考え方でございまして、これは幼稚園の配置の見直しとはまた別個に進めていきたい。幼稚園の配置を見直す、見直さないにかかわらず、保育料の是正はしていきたいというふうに考えておりますので、是正をすれば配置見直しをやめるというようなことでは教育委員会としては今のところ考えておりません。
それから、モデル施設の検証の状況ですが、国の方では評価委員会というものをつくりまして、評価をするということになっておりまして、現在、何回かそのモデル施設の評価委員会が開催されているというふうな情報が入っております。その中では、子育て支援とか、そういうモデル事業評価委員会というような形で何回かやっているということですが、今年度末までに最終報告をまとめるということでございます。それで、この中では、家庭に対する子育て支援事業が大変利用者の評価が高いとか、それから、在宅の支援をもっと充実できるような実施体制の確保をしたらいい、そんなような議論が行われているようでございますが、まだ報告、あるいは中間のまとめということは示されておりませんので、これから具体的に評価委員会の報告が出て、またそれと合わせるような形で法制度の準備が進むというふうに思っております。
はっとり委員
園児1人当たりの税充当額の推移ということで資料を出していただいたんですが、先ほど江田委員との議論の中で都区財調の金額を算入するとまた違ってきますというお話がありましたね。その場合に、ここでは区立幼稚園は1人当たり、16年度、昨年度で60万8,000円、それから私立幼稚園の1人当たり11万8,000円という金額が出ておりますけれども、算入した場合に幾らになるんでしょうか。
村木教育経営担当参事
1人当たり、全体では69万7,000円かかります。そのうち使用料等の特定財源が8万9,000円ですので、差し引き60万8,000円が一般財源を投入しているというものでございます。
委員長
ちょっと休憩をさせていただきます。
(午後5時28分)
委員長
それでは、委員会を再開いたします。
(午後5時36分)
上程中の第137号陳情及び第144号陳情から第153号陳情につきましては、閉会中も継続審査すべきものと決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
御異議ありませんので、そのように決定いたします。
以上で、第137号陳情及び第144号陳情から第153号陳情についての本日の審査を終了いたします。
暫時休憩します。
(午後5時37分)
委員長
では、再開いたします。
(午後5時41分)
休憩中に御協議をいただきましたように、幼児総合施設にかかわって先行事例についても、事務局、正副で、先方の問題もありますから軽々に日程は決められませんが、当たらせていただくということでよろしいでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
委員長
では、そのようにさせていただきます。
なお、陳情審査に関連して、教育委員会以外の区長部局からの出席説明員の要求については、しかるべき時期にしていただければと思いますので、それは議長に相談してお願いをするということにしたいと思います。
それでは、ほかに委員、理事者の皆さんから何かございませんか。
なければ、以上で本日の日程は一つ残しましたが、次回の委員会は12月2日金曜日、午後1時から当委員会室で行うことを口頭をもって通告いたします。
以上で本日の文教委員会を散会いたします。御苦労さまでした。
(午後5時42分)