平成26年06月30日中野区議会本会議(第2回定例会) 25.02.19 中野区議会第1回定例会(第2号)

.平成26年(2014年)6月30日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(42名)

  1番  若  林  しげお         2番  高  橋  かずちか

  3番  木  村  広  一        4番  甲  田  ゆり子

  5番  小  林  ぜんいち        6番  中  村  延  子

  7番  石  坂  わたる         8番  後  藤  英  之

  9番  石  川  直  行       10番  伊  東  しんじ

 11番  内  川  和  久       12番  ひぐち   和  正

 13番  白  井  ひでふみ       14番  平  山  英  明

 15番  南     かつひこ       16番  森     たかゆき

 17番  いながき  じゅん子       18番  林     まさみ

 19番  小宮山   たかし        20番  浦  野  さとみ

 21番  佐  野  れいじ        22番  北  原  ともあき

 23番  吉  原     宏       24番  いでい   良  輔

 25番  小  林  秀  明       26番  久  保  り  か

 27番  酒  井  たくや        28番  奥  田  けんじ

 29番  近  藤  さえ子        30番  金  子     洋

 31番  長  沢  和  彦       32番  大  内  しんご

 33番  伊  藤  正  信       34番  高  橋  ちあき

 35番  市  川  みのる        36番  篠     国  昭

 37番  やながわ  妙  子       38番  佐  伯  利  昭

 39番  むとう   有  子       40番  か  せ  次  郎

 41番  来  住  和  行       42番  岩  永  しほ子

.欠席議員

      な  し

.出席説明員

 中 野 区 長  田 中 大 輔      副  区  長  川 崎   亨

 副  区  長     直 彦      教  育  長  田 辺 裕 子

 政 策 室 長  竹 内 沖 司      経 営 室 長  副区長事務取扱

都市政策推進室長 長 田 久 雄      地域支えあい推進室長 瀬 田 敏 幸

区民サービス管理部長 白 土   純    子ども教育部長、教育委員会事務局次長 髙 橋 信 一

健康福祉部長   野 村 建 樹      保 健 所 長   西   新

 環 境 部 長  小谷松 弘 市     都市基盤部長   尾 﨑   孝

 政策室副参事(企画担当) 海老沢 憲 一 経営室副参事(経営担当) 戸 辺  眞

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  篠 原 文 彦      事務局次長    堀 越 恵美子

 議事調査担当係長 佐 藤   肇      書     記  関 村 英 希

 書     記  東   利司雄      書     記  土 屋 佳代子

 書     記  細 川 道 明      書     記  江 口 誠 人

 書     記  大 野 貴 子      書     記  鈴 木   均

 書     記  井 田 裕 之      書     記  田 中   寛

 書     記  遠 藤 良 太      書     記  香 月 俊 介

 

 議事日程(平成2年(2014年)6月30日午後1時開議)

日程第1 第31号議案 中野区基本構想審議会条例

 

午後1時00分開議

○議長(伊東しんじ) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 この際、御紹介申し上げます。平成26年6月27日付で本区副区長に就任されました川崎亨さんを御紹介申し上げます。

〔副区長川崎亨登壇〕

○副区長(川崎亨) 区議会の御同意をいただきまして、6月27日付で副区長に就任いたしました川崎でございます。田中区長のもと、区民福祉の向上と中野区の発展のために職員とともに誠心誠意努めてまいります。御指導のほどよろしくお願い申し上げます。

○議長(伊東しんじ) 以上で紹介を終わります。

 この際、申し上げます。平成26年6月27日付をもちまして、お手元に配付の文書のとおり本会議参与に人事異動がありましたので、御報告いたします。

 

本会議参与の人事異動

 

平成26年(2014年)6月27日

発 令

氏 名

経営室長 

(副区長 川崎 亨 事務取扱)

 

○議長(伊東しんじ) 次に、平成26年6月27日付をもちまして、お手元に配付の文書のとおり委員会参与に人事異動がありましたので、念のため御報告いたします。

 

人 事 異 動 表

平成26年6月27日 経営室人事担当

発令年月日 平成26年6月27日

【 部長級 】

区長発令

発令権者   中野区長  田中 大輔 

発   令

氏  名  等 

備考

経営室長

(  副区長  川崎 亨  事務取扱  )

 

備考

1 前経営室長 川崎 亨 は、平成26年6月26日をもって退職

 

○議長(伊東しんじ) この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、いでい良輔議員、久保りか議員、長沢和彦議員、酒井たくや議員、石川直行議員、大内しんご議員、平山英明議員、金子洋議員、中村延子議員、後藤英之議員、北原ともあき議員、南かつひこ議員、ひぐち和正議員、内川和久議員、高橋かずちか議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、いながきじゅん子議員、林まさみ議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 

 中野区議会議員 いでい 良 輔

 1 区長の施政方針について

  (1)国の新たな成長戦略と中野区の経済活性化について

  (2)中野区基本構想と10か年計画について

  (3)子どもの貧困対策について

  (4)その他

    (ア)待機児童対策について

    (イ)その他

 2 その他

 

〇議長(伊東しんじ) 最初に、いでい良輔議員。

〔いでい良輔議員登壇〕

○24番(いでい良輔) 第2回定例会に当たり、自由民主党議員団の立場から一般質問を行います。

 まず初めに、田中区長が先の区長選挙におきまして4期目の当選を果たされましたことを、心からお祝い申し上げます。

 区長は施政方針で「これまでの改革とさまざまな施策の着実な進展が有権者から評価・信任をいただいた」とし、それは「区議会での議論や指導、区民の御理解、御協力により生み出された」と述べられています。これらを裏打ちするように、選挙後の新聞報道でも「行政改革や中野駅前の再開発でにぎわいを生み出した3期12年の手腕が評価されたことも間違いない」と論じられています。このことは、区長とともに中野区の発展と区民福祉向上に努めてきた、私たち自由民主党議員団としても大変喜ばしいことであります。

 区長は施政方針で区政のさまざまな重要課題を取り上げられていますが、その中であえて最重要課題として挙げられるものがあれば、その取り組みについての決意も含めて、改めてお聞かせください。

 それでは、質問項目にあります、国の新たな成長戦略と中野区の経済活性化についてお伺いいたします。

 区長は施政方針の中で、「国は、存亡をかけて社会保障制度の維持やその財源を生み出す経済成長戦略の実行に取り組んでいます」と述べ、また、医療・福祉や介護など自治体の負担が大幅に増加する中で、その財源を生み出す地域経済の活性化を進めていくことが欠かせないとの考えも示されています。さらに、近い将来、日本が迎える超高齢社会に対応するためには、全ての区民が参加し、支えあうまちを構築すること、すなわち全員参加型の社会を実現することが経済の活力を守り、持続可能な地域社会を構築する唯一の方法であるとの認識を示されました。

 こうした考えは、政府が6月24日に閣議決定をしました新たな成長戦略の中でも示されているところです。社会における女性の活躍を促進するとともに、柔軟で多様な働き方を実現すること、さらには外国人が日本で活躍できる社会を実現することなど、社会の担い手を生み出すための施策として掲げています。こうした全員参加型社会の実現は、今後の区政運営を進める上での基軸になる考えであると私も感じるところです。

 さて、国政の動きに注目しますと、安倍内閣は発足以来、それまでの長期にわたるデフレと景気低迷に終止符を打つべく、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三つの政策を相互に補強し合う関係にある「3本の矢」、いわゆるアベノミクスを一体として推進してまいりました。その結果、経済状況は大幅に好転し、既にさまざまな成果が上がりつつあります。安倍内閣発足以降、実質GDPは5四半期連続のプラス成長となり、経済の着実な成長を示しています。また日経平均株価は、アベノミクスの効果が着実にあらわれる中で大幅に上昇しています。この株価上昇の恩恵は、株式を保有する企業や個人のみならず、保険や年金等の資金運用を通じて社会全体に幅広く波及しています。日本銀行が四半期ごとに発表する「全国短期経済観測調査」、いわゆる「日銀の短観」によりますと、企業の業況判断は幅広く改善しております。本年4月の発表では、特に中小企業の改善が顕著であり、製造業で6年9カ月ぶり、非製造業では22年4カ月ぶりの水準に達しております。

 これを裏付けるように、労働市場も活性化しています。厚生労働省が5月30日に発表しました4月の有効求人倍率は1.08倍にまで上昇しました。有効求人倍率の改善は17カ月連続を記録し、2006年7月以来、7年9カ月ぶりの高い水準となりました。また、失業率も2008年10月以来の3%台にまで低下するとともに、女性の労働参加率も大幅に上昇しています。さらに、ことしの春闘では、賃金引き上げ率、年間一時金ともに過去10年で最高の水準に達するなど、労働者の賃金引き上げにもつながりました。デフレからの早期脱却と日本経済の再生という目標を掲げ、アベノミクスを着実に実行してきた結果、日本経済はかつての力強さを取り戻し、成長への歩みを着実に刻み始めています。

 そこでお伺いします。以上申し上げてきました安倍政権の政策実行による成果につきまして、自治体の長の立場から区長はどのように評価されているのでしょうか。このことは過去にもお尋ねしましたが、このたびの区長選挙を通じて、区政への評価のみならず、区民の皆様が今の国政をどのように受けとめられているかについても区長は感じられたと思います。そのことも含め、忌憚のない御見解をお伺いしたいと思います。

 次に、アベノミクスの第3の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」については、投資の促進、人材の活用強化、新たな市場の創出、世界経済との統合を基本的な考えとして掲げ、さまざまな施策に取り組んできました。先日、閣議決定された新たな成長戦略では、戦略策定時に設定した政策項目ごとの成果指標の達成に向け、どれだけ前進しているのか、可能な限り具体的な数字で明らかにするとともに、成果指標の確実な達成のためにどのような政策を追加的に講ずるのかについても明確にしています。この中には、今後、国が取り組んでいく主要な施策が盛り込まれていますが、そのうちの一つとして、産業の新陳代謝とベンチャーの加速化、成長資金の供給促進があります。具体的には、ベンチャー企業と大企業のマッチングを促すプラットフォームの構築を目指し、ベンチャー支援に協力的な大企業等から成る「ベンチャー創造協議会」を、本年秋を目途に創設するというものです。日本は、御承知のとおり世界に誇る優秀な技術や人材を有しています。こうした技術や人材を活用する企業家に道が開けるよう、さまざまな支援を行うことは大切であると考えます。

 中野区においても、こうした国の施策の理念や趣旨を参考に取り入れ、区内企業の協力を得て、ベンチャー企業への支援を行うような具体的な施策が必要と考えます。

 そこで伺います。ベンチャー企業ならではの創意工夫を生かしつつ、区内企業との相互補完的な関係を構築できるよう、区として積極的に協議の場の設定や支援等の相談にかかわっていくような施策展開を図ってはいかがでしょうか。これまでの取り組み状況と今後の展開についてお伺いします。

 中野駅周辺の再開発により中野のまちは活性化し、注目度も高まっています。さらには2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催へ向けた機運も今後高まっていくものと思います。こうした好条件を有効に生かすためにも、時機を逸することなく国政の動きに機敏に連動し、機動的に中野区の取り組みを推進することは非常に重要なことと考えます。成長戦略の要であり、大胆な規制改革等の突破口である国家戦略特区は全国で6カ所が指定され、そのうち東京圏については、総合的な規制改革を実現する国際ビジネスやイノベーションの拠点を目指す方針が示されました。今述べてきたベンチャー企業の支援をはじめ、世界で一番ビジネスがしやすい環境を創出するための仕掛けとして、国家戦略特区を活用すべきと考えますが、都内で区域指定されているのは現在9区にとどまっています。新たな成長戦略においても、東京都における区域の拡大については早期に実現を図ることとされており、中野区も区域指定に向けて働きかけ、国家戦略特区として中野区の経済活性化を図るべきと考えます。御見解を伺います。

 次に、地域の活性化を牽引する区政の土壌づくりについてお伺いします。

 地域の活性化を牽引する区政であるためには、中野区の組織そのものが活気あふれるものでなければなりません。創造や工夫は、活性化した組織から生まれるのだと思います。施政方針で述べられているような変革の時代を乗り越えていくためには、意欲的かつ進取の精神に富んだ施策の提案や実行を生むような区政の土壌づくりが欠かせないのではないでしょうか。区長は所信表明の中で、新たな時代を切り開くためには、全員参加型社会を実現しなければならないと述べられています。このことは区の組織や職員の働き方にもそのまま当てはまるものと思います。職員がみずから発想し、生き生きと意欲的に提案を行い、主体的に課題解決に取り組んでいく、そのための新たな仕組みづくりが求められるところではないでしょうか。この件について、区長の御見解を伺います。

 次に、中野区基本構想と10か年計画について伺います。

 区長は施政方針説明の中で今回の選挙の結果に触れ、これまでの改革と着実な施策の着実な進展が有権者から評価・信任いただいたものであり、これまでの成果をさらに前進させていくと力強く宣言され、この10年の区政運営を振り返り、成果を評価した上で、区を取り巻く環境の変化を踏まえ、新しく中野区の将来像を描き出す基本構想、10か年計画の改定に着手すると述べられました。

 一方で、現在の中野区が置かれた状況を考えると、中野駅周辺に新たな顔が生まれ、今まさにまちづくりは現在進行形の状況であります。区役所新庁舎、新体育館の計画の推進など、すぐにでも解決しなければならない課題、取り組まなければならない事業が山積しており、目前の仕事に注力していくことが強く求められている状況でもあります。このような状況の中、なぜ長期的視点からの総合計画をつくり直そうとしているのか。とりようによっては、そうした取り組みについても、もとに戻った議論をしようとしているようにも受けとめられると思います。現時点において、基本構想、10か年計画の改定の必要性についての区長の御見解を伺います。

 区長に与えられた任期は4年間であります。長期間の展望や10か年計画の計画スパンをあまり強調されることは、不要な憶測を招くことにもなりかねないと危惧するものです。私は、当面する仕事についても、中・長期の展望に基づいて目標を立てるべきという区長の考えは理解しています。しかし、区民の中にさまざまな立場があることも事実です。区長御自身が施政方針説明の中で、批判的な立場の区民の皆様の存在についても、常に念頭に置きながら仕事を進めていきたいと表明されたとおりであります。基本構想、10か年計画の改定に当たっても、無用な誤解から区民の間の分裂を大きくしたりすることのないよう、さまざまな声に耳を傾け、幅広く議論を受けとめていくことが重要であるとのお考えを十分実行されることを求めておきたいと思います。

 そうした意味で、計画の改定に着手するに当たっては、これまで行ってきた事業の成果を十分に点検し、区民の声、議会の議論を受けとめ、原点に立ち返って見直すべきところは見直す姿勢で臨むことが大切であると考えます。区長はこの点を踏まえ、10年間の中野を形づくる計画をどのようにしてつくり上げようとしているのかお伺いし、この項の質問を終わります。

 次に、子どもの貧困対策について伺います。

 昨年6月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が公布されました。これは「子どもの将来が、その生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境の整備や教育の機会均等などを図るために、国や自治体の責務を明らかにして子どもの貧困対策を総合的に推進していく」ということを目的として制定されたもので、この6月で1年が経過しました。

 子どもの貧困については、親の収入が低いほど子どもの高校や大学への進学率は低いという報道や、さらには、大人になっても収入が低くなるという割合が高くなる、いわゆる「親から子への貧困の連鎖」という指摘もあります。このように、子どもの貧困は教育にも深刻な影響を与える問題となっています。

 子どもの貧困対策法では、まず国の責務が定められており、各自治体においても、国と協力しつつ地域の実情に応じた新たな施策を展開することとなっています。そして既存の施策とともに、子どもの貧困の解消や貧困の連鎖を防止するためのさまざまな施策を展開していくことを求めており、就学援助制度もその対策の一環として位置付けられています。

 そこで改めて伺いますが、この就学援助制度は、経済的理由によって義務教育を受けることが困難と認められる児童・生徒の保護者に対して必要な経費の援助を行っていますが、具体的にはどのような支援を行っているのでしょうか。また、就学援助の対象者はどのように決めているのかを伺います。

 次に、先日の6月10日の新聞報道によりますと、「中野区や横浜市など全国71の市区町村で、経済的に苦しい家庭の子どもに給食費や学用品代を補助する就学援助の対象が縮小されている」という記事が掲載されました。対象が縮小されたのは、国が生活保護基準額を段階的に引き下げることとし、今年度は昨年度比で約3%引き下がったためであり、その基準を根拠としている就学援助の認定基準が下がったためであると聞いています。都内においては、中野区以外のほかの自治体は引き下げ前の生活保護基準を採用したり、就学援助の基準の倍率を引き上げるなどの措置をしたために、生活保護基準引き下げの影響が生じなかったと聞いていますが、中野区は、なぜ基準倍率の引き上げなどの措置を講じなかったのでしょうか。お答えください。

 また新聞報道では、「中野区は平成25年度と比べ、今年度は200人程度が対象から外れる見通しである」と記載されています。その算出の根拠はどうなっているのか、また、今年度実際に影響が出るのは何人かを伺います。

 冒頭に述べましたように、子どもたちの将来が、その生まれ育った環境によって左右されることがあってはならないと思います。貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備し、教育を皆等しく受けられるようにすることが自治体の責務であると考えており、影響への対応については、国においても一定の対策を考えるべきであると思います。就学援助制度については生活保護基準を根拠にしているために、その基準が下がれば就学援助の認定基準も下がるということはやむを得ないと思いますが、さきに述べたように、経済的理由で学校生活を送る上での影響が生じることについては見直す必要があるのではないかと思います。

 子どもの将来は、生まれ育った環境や親の収入などの差によって左右されることがあってはなりません。貧困であるなしにかかわらず、子どもたちは皆等しく教育を受ける機会を得られなければならないと思います。中野の子どもたちが健やかに育っていくことのできる環境の整備などをさらに推進されていくということを切に願い、この項の質問を終わります。

 次に、待機児対策について伺います。

 国は平成27年4月にスタートする子ども・子育て支援新制度によって、全ての子どもが健やかに成長することのできる社会の実現を目指しています。中野区も子ども・子育て会議を設置し、その準備を進めています。しかし、都市型の子育て環境はライフスタイルの多様化により選択肢が多いようで、それぞれの家庭にフィットする施策の充実は大変に困難なことも事実であります。今後ますます議論が深まり、中野区独自の対策が進むことを願ってやみません。特に少子化が進む一方、就労する女性の増加や、家庭や地域における子育て環境の変化から、子どもと子育て家庭をめぐるさまざまな課題や深刻な待機児童問題の解決が早期に求められています。毎年、待機児童ゼロを目指してさまざまな手段を講じている中野区ですが、ことし4月の保育園の待機児童はどのような状況か、伺います。

 現在、区は急増する保育需要への対策として、待機児童解消加速化プランを活用し、賃貸型認可保育所の募集を行っているところですが、平成26年4月開設分については、3事業者募集に対し応募は2事業者という結果でありました。これについてはさまざま原因があると思われますが、その理由をどのようにお考えでしょうか。お答えください。

 また今年度は、平成27年4月開設に向けて現在も賃貸型認可保育所の募集を行っていると思いますが、全国的に保育士が不足している状況を考えると、新たな保育所を開設することができるのか、不安を感じます。昨年度と同じような状況に陥らぬよう、他区の事例を参考にしてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 次に、(仮称)南台五丁目保育園の開設について伺います。

 この保育園は、一部近隣住民の反対運動による工事の遅れから、開設が5カ月延期されています。開設の遅れは、新園への入園を希望していた方や、開設後に転園を予定していた弥生保育園分園の保護者にとって大きく影響し、さらには工事の遅れによる新たな財政負担や区全体の行政計画への支障が生じているのではないかと懸念しています。我々自由民主党議員団は、このような事態を再び招くことがないよう状況や地域に対する課題等をしっかりと認識し、新園開設を着実に進めなければならないと考えています。

 そこで伺いますが、現在建設中の(仮称)南台五丁目保育園の工事の進捗状況はどのようになっているのでしょうか。新園に転園を予定している弥生保育園分園園児の保護者から、新園の開設が11月から来年4月に延びたことを不安視する声が上がっているのももっともだと感じています。区は、保護者、区民の声をしっかりと受けとめ、安定した保育環境を確保し、説明責任を果たすべきだと考えています。この不安を取り除くためにも、弥生保育園分園の保育体制は年度末まで確保できているのか、ここでお聞かせください。

 待機児童の解決は喫緊の課題であります。新たな民間保育園の開設や賃貸型認可保育所の誘致等、可能な対策を組み合わせながら計画的に待機児童解消を図っていくことが重要です。待機児童解消に向けた今後の区の計画を改めて伺います。

 次に、2月、3月生まれの児童に対する保育所利用について伺います。

 ゼロ歳児の保育については、多くの認可保育園は受け入れを生後57日以上としています。そのため、多くの人が保育園の利用を希望する4月1日からの認可保育園の利用については、生後57日に達していない2月4日から3月末に出産した場合は入園できず、認可保育園のほとんど空きがない5月以降からの利用とならざるを得ません。生まれる月によってこのような差が生じてしまうことは好ましくないと考えています。

 そこで、例えば家庭福祉員制度での柔軟な対応を図ってはいかがでしょうか。家庭福祉員さんには、子どもを預かれない期間の財政的な保証をした上で、家庭福祉員の保育定員の一部を、この2月、3月に生まれた子どものために保育枠として空けておくことはできないでしょうか。このようなきめ細かな工夫をすることで、生まれる月に関係なく保育が受けられる状態を少しでも確保することは必要と考えていますが、区長の御見解をお聞かせください。

 以上で私の質問の全部を終わりますが、区長はじめ理事者の皆様には明快かつ明瞭な答弁を期待して質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) いでい議員の御質問にお答えいたします。

 私の施政方針についての御質問で、最重要課題として挙げられるものがあれば、それは何かといったような御質問でありました。選挙の期間中なども通じて、経済の活力につながるまちづくりや、あるいは誰もが安心して暮らせる地域支えあい、また安心・安全のまちづくりなど、個別の課題も掲げてきたところですけれども、どれ一つというふうに絞るというよりは、それらを着実に実施していくことによって、将来にわたって区民が住み続けられる持続可能なまち中野をつくるということが最も重要なことだと、このように考えているところであります。

 それから、国の成長戦略に対する評価についての御質問がありました。いわゆるアベノミクスは、株価の上昇、円高の是正、完全失業率の改善、有効求人倍率の上昇、実質GDP成長率の上昇など、各種経済指標が示すとおり大きな成果を上げ、日本の経済は着実に上向いていると評価しているところであります。区の歳入にも好影響としてあらわれるものとの期待も持っているところです。多くの区民は、この国の経済対策を今後も引き続き強力に実施するとともに、今後はこの動きが日本経済の成長力の本格的な強化につながり、より大きく確かな成果として国民の一人ひとりが実感できるようになることを期待しているものと、こう考えているところであります。

 中野区における経済活性化、ベンチャー企業の支援策についてであります。政府の成長戦略と同様に、中野区の経済活性化を図る上においても、ベンチャー企業の支援は非常に重要であると考えております。中野区内で起業を志す事業者に対しては、これまで事業資金の融資を受ける際の利子の一部を区が補給する創業支援融資や、商工相談員による創業や経営に関する相談などの支援を行ってまいりました。これらに加えて、産業振興センターにおいては、企業相互のビジネスマッチングを目的とした交流会の開催を予定しております。また、中野区産業振興推進機構においても会員企業に対して、個別のビジネスマッチングや創業相談などのサービスを提供しているところであります。こうした機会にベンチャー企業と区内企業が連携することで、区内企業の経営革新や新たなビジネスチャンスにつながり、区内経済が活性化すると考えているところであります。また、ベンチャー企業独自の発想やノウハウによってさまざまな地域課題を解決するビジネスが生み出されて、雇用を創出し、全ての人々に意欲と能力に応じた多様な働きの場が提供される全員参加型社会の構築に貢献することを期待しているところであります。

 国家戦略特区の区域指定についてであります。区といたしましては、地域経済の活性化やグローバルな都市活動拠点の形成に向けて、国家戦略特区における規制改革等を活用し、着実かつ発展的な取り組みを推進していきたいと考えております。国家戦略特区の区域については、国や東京都から今後の見通しを踏まえ順次拡大する意向が示されており、特区で示されている規制改革事項の可能性を勘案しながら提案を取りまとめ、国及び東京都に対して区域指定の働きかけを行っていきたいと考えております。

 職員の意欲を引き出す新たな仕組みづくりについてであります。複線型人事制度を導入しまして、多様な能力を持った職員を生かせるような、そうした人事配置を行っているところであります。そうした中で指定していますエキスパート職員は、自らの専門的な知識や能力を最大限に発揮して課題解決に当たっているところであります。また、目標と成果の管理による区政運営では、職員がみずから目標を立て、その実現に向けて力を発揮しております。その業績を人事評価で検証し、成果を上げた職員に対しては、給与などの処遇に反映させて職員のモチベーションを高める、そうした努力を行っております。今年度からは職員表彰制度によって、特別な成果を上げている職員に対して、その業績を認め、表彰し、他の模範とすることで、さらに職員の意欲向上と職場の活性化を図りたい、このように考えております。こうしたことをさまざまに行いながら、職員が闊達に自らの力を発揮できる、そうした職場づくりに努めてまいりたいと思っております。

 基本構想、10か年計画の改定の必要性についてであります。基本構想と10か年計画は、中野区の計画行政と目標と成果による区政運営の根幹となるものであります。制定から10年を迎えるに当たって、これまでの成果を踏まえ、次の時代に区政の目指す姿や目標を明確にすることは重要なことだと考えております。改定に当たりましては、これまでの取り組みを正しく評価し、改善するべき点は改善すると同時に、より発展させるべきもの、強力に推進すべきものについても明確にしてまいります。一方で、現在動き始めている喫緊の課題についても、停滞させることなく着実に取り組んでいくことが大切であると考えております。

 10か年計画改定に当たっての姿勢についてであります。基本構想、10か年計画は、区政全体の将来像や、それへのアプローチを明確に示すものであります。区長としての任期はあくまでも4年であり、それを上回る政治日程を視野に入れて策定するものではない、こう考えております。10か年計画につきましては、5年後の見直しが想定されていることでもあり、選挙等で区政の基本方針に変化が生じることになったら、その時点で区民の意思を踏まえて適切に改定していくべきものと考えております。

 基本構想につきましては、言うまでもなく議会において議決していただくものであり、議会での議論を十分に踏まえて策定していきたいと考えております。また、それに先立って、区民の皆さんからさまざまな意見や要望、行政ニーズを十分把握して、幅広い区民の意思に沿えるものとしていかなければならない、このように考えております。

 待機児童対策についてであります。平成26年4月における待機児童の数ということです。保育施設の整備については、平成26年4月までに212人分の定員増を図ったところでありますが、就学前人口が297人増加になるなどの結果、待機児童数は平成26年4月現在、昨年度より94人増加して241人という状況でありました。

 賃貸型認可保育所の募集について、応募が2事業者であったが、どう考えているかということです。平成26年度開設の賃貸型認可保育所の募集については、幾つかの事業者から打診がありましたが、結果として応募は2事業者でありました。打診のあった事業者からは、区が指定した重点地域内で物件を募集期間内に見つけることが難しい。また、物件が見つかっても、賃料や開設時期などの条件が整わないといったことなどを聞いているところであります。こうしたことから、重点地域の指定、募集期間や施設開設時期の設定について、工夫、対応が必要であると考えているところであります。

 (仮称)南台五丁目保育園の建設工事についてであります。御質問にありましたように、(仮称)南台五丁目保育園の開設が5カ月遅れるということになりました。このことによる影響ということですが、南中野区民活動センター及び障害児支援施設の開設も遅れることになってまいります。そのため、南中野区民活動センターの賃借料の負担でありますとか、弥生保育園分園園舎を活用した保育園運営経費の負担なども増えていくことになってまいります。(仮称)南台五丁目保育園建設工事につきましては、6月16日に着工し、現在、車両搬入口の確保と仮囲い設置工事が終了しておりまして、平成27年4月開設に向けて、作業はおおむね順調に進んでいるところであります。

 弥生保育園の分園についてであります。新園開設が来年4月に延びたことについて、不安の声が上がっているといった御質問でありました。弥生保育園分園につきましては、平成26年10月末に廃止して、新たに同分園園舎を活用した民設民営の認可保育園を開設する予定であります。この新たに開設する認可保育園については、(仮称)南台五丁目保育園の運営事業者が運営し、現在、弥生保育園分園に入園している子どもたちについては、希望があれば引き続き当該認可保育園を利用してもらうこととしているところであります。平成27年4月以降は、現在、南台五丁目に建設中の(仮称)南台五丁目保育園へ移転する予定であります。

 待機児童対策に向けて今後の計画、考え方についてということです。待機児童対策につきましては、賃貸物件を活用した認可保育所の誘致、グループ型家庭保育事業など、さまざまな対策を考えていきたいと考えております。こうした対策を講じるに当たっては、利用者のニーズ、利便性はもとより、事業者が参入しやすい条件、例えば4月1日にとらわれない開設時期の設定や、重点地域の指定などについて柔軟に対応することで施設整備を進め、待機児童が出ている、そうした状況の解消に努めていきたいと考えております。

 それから、2、3月生まれのお子さんの保育所利用についての御質問がありました。2、3月生まれのお子さんについては、月齢が基準に満たず、保育園の募集定員が一番多い4月の入園対象から外れているということについては認識しております。今後、新規施設等の開設を4月にこだわることなく、多様な待機児童対策を進めていくことで、当該時期における対象児童が入所しやすくなるよう、こうした対応を検討していきたい、このように考えております。

 私からは以上であります。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 子どもの貧困対策について、就学援助制度の御質問がございました。具体的にどのような支援を行っているか、また対象者はどのようなものかということです。学用品費や給食費、そして修学旅行費や移動教室費など、児童・生徒の学校教育に必要な経費の援助を行っております。対象者は、生活保護を受けている者及び生活保護を受けている者に準じる者となっております。生活保護を受けている者に準じる者につきましては、生活保護基準を根拠として就学援助基準額を定め、就学援助の支給対象者を定めているものでございます。

 次に、今般、他区と同様な影響回避措置を実施しなかった理由についての御質問がございました。就学援助につきましては、先ほどもお話ししましたとおり、当該年度の生活保護基準に連動して就学援助基準を定めてございます。今年度の認定に当たりましては、経過措置を含めた生活保護基準の見直しがあったため、それに沿って対応を行ったものでございます。

 また、生活保護基準引き下げに伴う影響者数でございますが、新聞報道による200人の根拠は、平成25年度の就学援助認定者について、今年度、26年度の基準を当てはめ算出したものでございます。実際に今年度影響があった人数は、申請のあった各世帯を基準に当てはめて認定を行った結果、145人となっております。

 影響が生じる児童・生徒への対応についての御質問がございました。就学援助の認定に当たって、生活保護基準を根拠とする考え方に変わりはございませんが、他区での状況等を踏まえ、区として必要な手だてを講じることを検討していきたいというふうに考えてございます。

○議長(伊東しんじ) 以上でいでい良輔議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 久 保 り か

 1 区長の施政方針説明について

  (1)基本構想と10か年計画について

  (2)西武新宿線連続立体交差事業と野方以西の沿線まちづくりについて

  (3)中野駅周辺のまちづくりについて

  (4)防災まちづくりについて

  (5)子育て支援について

  (6)地域支えあいについて

  (7)その他

 2 その他

 

○議長(伊東しんじ) 次に、久保りか議員。

〔久保りか議員登壇〕

〇26番(久保りか) 平成26年第2回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告どおりで、その他はございません。

 このたびの区長選挙では、私たち公明党も田中区長を全力で応援させていただきました。区長の当選を果たされたことを喜ばしいと思うとともに、責任の一端を感じております。4期目を迎えられた区長には、区民サービスを向上させ、区民の安全で安心な暮らしを守るために、強い決意と情熱を持ってこれからも区政運営に当たっていただきますことを改めてお願いし、質問に移ります。

 区長の施政方針説明について。

 初めに、基本構想と10か年計画について伺います。

 平成23年5月に地方自治法が改正され、改正前の地方自治法第2条第4項に規定されていた市町村の基本構想の策定の義務付けが廃止されました。中野区は、現中野区基本構想の内容、制定の経緯、経過を踏まえ、それに基づく今後の区政運営を適切に行っていくために、基本構想については、地方自治法の規定にかかわらず、区議会の議決を経て定めることを中野区自治基本条例の中に規定することとしました。

 施政方針で区長は、「現在の中野区基本構想と新しい中野をつくる10か年計画は、制定から10年目を迎えます。ことしは、この10年の区政運営を振り返り、成果を評価した上で、区を取り巻く環境の変化を踏まえて、新たに今後30年、50年先を見据えた中野区の将来像を描き直す基本構想、10か年計画の改定に着手します」と述べられております。現在の中野区基本構想は、平成22年度から10年後を見据えたものとしています。改正後の基本構想では何年先を見据えた将来像を描くべきと考えていらっしゃるのか、伺います。

 次に、基本構想と計画体系について伺います。

 現在の基本構想では、新しい中野をつくる10か年計画をはじめ行政計画は、常に時代の変化を捉え、必要な見直しを行っていくこととします、となっております。しかし、現状では10か年計画と区の実際に推進している個別計画が必ずしも一致しているとは言えません。特にこの数年は、時代の変化が目まぐるしく、27年度、28年度には行政の計画にも大きな変化が生じます。基本計画については、時間をかけず、現状に即して直ちに見直し、迅速に対応することが求められていると考えております。基本構想の法的義務付け廃止による総合計画の位置付けの再検討により、策定、運用にかかわるコストに見合うだけの成果を得ることができるよう、総合計画とその運用の仕組みを改善することが求められています。基本構想、10か年計画という総合計画のあり方も、この際、再検討するべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 施政方針で、「これからの4年間は区政にとって大変重要な4年間になると考えています」と述べられていることに、私も全く同感です。この4年間のかじ取りが、自治体としての存続も含め、これからの中野区の未来を、将来を決めると言っても大げさではありません。4年間の行政課題を具体的に示し、スケジュールや財政的な裏付けを明らかにした実効性のある実施計画策定に直ちに着手する必要があると考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 基本構想策定の上で、「議会での御議論や幅広く区民の声を反映するプロセスを大切にしていきたいと考えています」とのことですが、幅広く区民の声を反映するプロセスについてはどのようにお考えでしょうか。前回は区民ワークショップが開催されていましたが、今回も十分な区民参加や意見集約の場が必要と考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 また、職員の人材育成やモチベーション向上のためにも、プロジェクトチームなどによる職員の提案の場も重要ではないでしょうか。基本構想策定段階での職員参加のあり方について、お考えを伺います。

 田中区長の続投を支持した区民は、安定した区政運営とともに、今まで区長が迅速で時代に呼応した行政のあり方を追求し実行してきた政治姿勢に期待をされていると思います。今後も停滞のない区政運営に期待し、この項の質問を終わります。

 次に、西武新宿線連続立体交差事業と野方以西の沿線まちづくりについて伺います。

 5月14日の建設委員会において、「西武新宿線(野方駅~井荻駅間)連続立体交差化に係る構造形式の調査検討の結果」の報告が行われました。これまで、西武新宿線の連続立体交差化事業については、中野区内の全線地下化の旗を掲げて、進んできた経緯があります。このたびの構造調査結果においては、野方以西の連続立体交差事業が高架化の可能性が高まったように感じます。これは区の大きな方針転換であるとも見てとれますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

 全線地下化で今後のまちづくりを期待してきた地域としては、高架化になった場合のまちへの影響が具体的にはどのようなものなのか、容易には理解しがたい状況であります。まちづくりへの影響についてはいかがお考えでしょうか。特に景観や日照における沿線の住民への影響についてはどのように想定されているのか、伺います。

 事業採択を目指すのであれば、沿線住民が地域のまちづくりについて理解を深めることが重要です。高架化のまちづくりについての住民参加のワークショップや勉強会の開催を行うべきと考えますが、区の御見解を伺います。

 また、今回の比較検討結果について、隣接する杉並区には情報提供されたのか、どのような協議が進められているのか、伺います。

 次に、野方以西、特に鷺ノ宮駅周辺のまちづくりについて伺います。

 鷺ノ宮駅南側では、妙正寺川の護岸整備や橋梁の架け替え、中杉通り補助133号線の拡幅整備、公社西住宅の建て替え、白鷺第2都営の建て替えなど、主に東京都が事業主体の都市施設整備が進められていく予定です。鷺ノ宮駅周辺のまちづくりについて、東京都とはどのように協議をされているのか、伺います。

 連続立体交差事業も東京都主体の事業です。しかし、地域住民にとっては中野区が最前線の一番身近な自治体であり、住民の意見を受けとめる役割を担うべきであると考えます。高架化を視野に入れた鷺宮のまちの将来像を区が中心的な役割を担って検討していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 また、中野区立小・中学校の再編では、鷺宮小学校・西中野小学校の統合新校は現在の第八中学校の位置に改築の予定です。第八中学校の校庭は西武新宿線線路に面しておりますが、高架化になった場合の学校敷地への影響はどのようにお考えでしょうか。伺います。

 沿線住民、西武線を利用する区民にとって、暮らしやすく安全なまちづくりを進めるために一日も早い事業採択を願って、この項の質問を終わります。

 次に、中野駅周辺のまちづくりについて伺います。

 2020年を目指した中野駅周辺の防災・観光まちづくりについて伺います。

 グランドデザインVer.3では、中野駅周辺のまちの魅力を高めるために、タウンマネジメント推進体制の構築を掲げています。施政方針では、「東京オリンピック・パラリンピックの成功に向け、区内への外国人観光客の誘致など、都市観光資源の掘り起こし、都市観光事業の推進を図る」と述べられています。タウンマネジメント導入は急がれる課題であると考えますが、いつまでに推進体制を構築するのか、推進を図るための会議体の設置などはされているのか、伺います。

 次に、駅周辺のさまざまな情報発信のためのデジタルサイネージの導入について、伺います。

 我が会派の白井議員から、既にデジタルサイネージの導入については防災の角度から質問しております。御承知のとおり、デジタルサイネージは視覚情報伝達について非常に効果的なシステムです。災害情報などを文字あるいは映像という視覚情報で伝達する装置で、文字のみを表示する装置から大画面で映像、音声を表示するものまで、さまざまなタイプがつくられています。特に人通りの多い場所、道路などで災害情報を伝達するのに効果があることは検証済みです。また、文字や映像で観光案内や地域情報を発信することで、中野を訪れた外国人観光客にもまちの魅力を伝達することが可能になります。平常時には観光まちづくりにも役立つ災害時対応のデジタルサイネージを中野駅、東中野駅の駅前広場などに設置すべきと考えます。御見解を伺います。

 次に、中野駅周辺の景観と防災のための電線類の地中化計画について伺います。

 現在、早稲田通り新井交差点から環七までの区間の拡幅整備が進められておりますが、この際には電線類の地中化が図られるのか、伺います。

 既に中野通り、中野駅北側から新井交差点までの区間は、かつて東京電力が無電柱化を進め、整備されています。また、中野通り大久保通りの五差路の拡幅整備では、無電柱化が行われることになっています。都道では、拡幅整備などにあわせて電線類の地中化を推進していくことになっているそうですが、中野駅南側の中野通りについては、基本的には無電柱化・電線類の地中化は完了しているとのお考えだそうです。しかし、一部交通信号機用の電柱が設置され、上空を電線が走っています。また、中野通り東側にはアーケードがあり、電線類はこのアーケード上部に、はわされて配線されています。駅周辺のまちづくりを進めている中野区として、南口の駅前広場整備や西口南北通路開設にあわせて、電線類地中化を積極的に進めていくべきと考えますが、お考えを伺います。

 次に、防災まちづくりについて伺います。

 施政方針では、「未着手の木造住宅密集地域などでも防災まちづくりを進めてまいります」としています。中野区都市計画マスタープランには、「地域で防災まちづくりが推進されて、狭あい道路の拡幅や共同建て替えが進み、建て詰まりが解消されたため、身近なみどりが豊かになり、まちのオープンスペースが確保でき、良好な環境形成につながった。生活する人も働く人もみんなが安全・快適に過ごすことができている」と、まちの将来像が描かれています。中野区の防災まちづくりの課題の一つは狭あい道路であることは間違いありませんし、狭あい道路に建つ老朽家屋の建てかえも課題です。25年度調査の「地震に関する地域危険度測定結果」では、災害時活動困難度を考慮した建物倒壊危険度、火災危険度の総合危険度が5段階でランク4と位置付けられた町名が18地区ありました。中でも総合危険度の一番高い野方二丁目は、東京都の総合順位は141位、災害活動困難度を考慮した火災危険度は、東京29位という結果です。

 足立区では、老朽化が進む無接道家屋の建て替え促進に取り組むとして、特定地域における街区プラン(通路網整備計画)の策定や、街区プランに基づく建て替え計画における通路測量費の助成を行っています。建て替え促進を図りながら、狭あい道路の拡幅整備を進めることが狙いでもあります。これらは、足立区内に点在する無接道家屋などの全区的な調査を行った結果をもって進められている施策です。中野区でも、まずは総合危険度の高い未着手の木造密集地域を中心に建築物の調査を行い、中野区の現場に即した整備計画による防災まちづくりを進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 また、都市計画マスタープランで描くまちの将来像である「歩行者空間の整備やまちのバリアフリー化が進み、歩きやすい道」を整備することも進めるべきと考えます。都道だけではなく、区道における電線類の地中化を計画的に進め、防災まちづくりを推進すべきです。御見解を伺います。

 次に、子育て支援について伺います。

 先般、文部科学省の「平成26年度における就学援助実施状況調査」の結果が報道されました。この結果について、6月10日、生活保護基準額の引き下げによる就学援助への影響などについて、下村文部科学大臣は、生活保護費の基準額の引き下げに伴い、経済的に困窮している家庭の小・中学生に支給される「就学援助」を受けられない子どもが出てくるおそれがある。自治体に必要な対策を講じるよう促す考えを示しました。

 生活保護基準額の引き下げによる就学援助への影響回避について、23区では、千代田区などの18区が前年度と同様に平成26年度就学援助認定基準額を算定したため、影響なし、中央区など4区ができるだけ影響を受けないように対策を講じたとの調査結果があり、中野区だけが何ら対策を講じていない区として報道される結果となりました。この報道結果は事実であるのか、また、影響を受けた給付対象の人数や前年度と同じように算定した場合の総給付額等、中野区ではどのような状況であったのか、伺います。文部科学省から促されるまでもなく、中野区で子育てをする家庭に対して、区として独自の保護者負担の軽減措置を図るべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

 平成27年度からは、「子ども・子育て支援新制度」がスタートする予定です。中野区でも「子ども・子育てアンケート」を実施し、ニーズ調査を行い、「子ども・子育て支援事業計画」策定を進めています。まず、今回の調査結果を分析し、事業計画に反映させていくのか、伺います。

 施政方針の「子ども・子育て支援新制度の本格実施とあわせて、保育サービスや幼児教育、子育て支援の体系的な整理と拡充を図り、保育の待機をなくして、誰もが必要に応じて適切な保育サービスや教育が受けられるまちをつくります」との区長のお言葉に、大いに期待しているところです。まずは足元の課題を解決させることが、すぐれた新制度を策定することにつながると考えますので、待機児童対策には全力を傾けていただきたいと思います。そこで、平成26年度の待機児童の数は実際にはどうだったのか。その原因をどう分析され、今後どのように対策を検討されているのか、伺います。

 新制度をスタートするに当たって、現行サービスの新制度における移行に向けたさまざまな課題が示されています。具体的には私立幼稚園の3類型化や、認可外施設の区認可への変更、家庭的福祉員の体制などであります。新制度への移行がスムーズに行われなければ、教育・保育の重要施設を失うことにもなりかねません。丁寧な対応が望まれます。こうした変更点や、移行するに当たっての準備を段階的に進める必要があると思われますが、どのような協議が進められているのでしょうか。また、移行のための課題解決にはどう取り組まれるおつもりでしょうか、伺います。

 特に保育士不足が叫ばれる中で、移行時の保育士加配などは非常に負担の大きなものです。ハローワークなどで保育士を募集してもなかなか見つからず、民間の人材紹介業者に登録料を支払い、保育士を探すなど、保育士の確保に苦労しているというお話も耳にします。区が保育士確保の後押しを行う、また、保育士の処遇改善を図り、他の自治体よりも中野区で働くことのインセンティブを高めるなど、人員配置を充足させるために区としても取り組むべきと考えます。お考えを伺います。

 次に、地域の見守り、支えあいが重要な鍵となる子育て支援について伺います。

 現在、無国籍の子ども、居住不明児、虐待死などが報道されない日はありません。私は平成16年、初めての予算総括質疑で、乳幼児の訪問、健診などの機会を通じ、虐待などを未然に防ぐことを質問いたしました。昨今では、こうした機会の重要性が増しております。「こんにちは赤ちゃん訪問」で、訪問しても会えなかった母子の追跡調査や、健診などを受診しなかった乳幼児の訪問、また、こうした健診事業を通して見守りが必要と判断した母子に対しての対策など、どう取り組んでいくのでしょうか。伺います。また、日常的な生活を支えるために、地域の主任児童委員などと連携を図った見守り体制の強化を推進すべきと考えます。お考えを伺います。

 次に、地域支えあいについて伺います。

 施政方針では、地域包括ケア体制を具体化させることも述べられています。地域包括ケアシステムは、団塊世代が後期高齢者となる2025年を一定の目安として進められていますが、先進的な事例として取り上げられている自治体の取り組みと比較すると、中野区の取り組みは全体的な進捗状況がわかりにくく、遅れているような気がいたします。現在の中野区の地域包括ケアシステムの策定の進捗状況や、今後のスケジュールについてはどうなっているのか、伺います。

 平成27年度には、中野区保健福祉総合推進計画が改定されます。この総合推進計画の中で地域包括ケアシステムも盛り込まれるとのことです。私は、他の自治体の取り組みのように地域包括ケアシステムの方針や基本構想を策定し、区民にわかりやすく方向性や具体的な取り組み事例などを提示する必要があると考えます。お考えを伺います。

 この間、保健福祉審議会の介護・地域包括ケア部会ではさまざまに検討がされてきています。部会からは、介護保険制度見直しの動向を踏まえた中野区の課題が提示されています。そこで、提示された課題について何点か伺います。

 「地域ケア会議の推進」については、「中野区の地域包括ケアシステムのツールとして、多職種連携により個別や地域の課題を検討する地域ケア会議の機能や位置付けが整理されていない」との指摘があります。地域ケア会議は包括ケアを推進する上で重要な位置付けです。早急にスタートする必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 他の自治体では、地域包括支援センター圏域で、多職種協働による個別ケースのケアマネジメント支援のための実務者レベルの地域ケア会議を開催するとともに、必要に応じて、そこで蓄積された最適な手法や地域課題を関係者と共有するための地域ケア会議が開催されています。中野区では、すこやか福祉センター圏域で地域ケア会議を推進するような考えがあるようですが、中野区が地域包括支援センターではなく、すこやか福祉センター圏域で地域ケア会議を行おうとされているのはなぜなのか、その理由をお聞かせください。

 中野区は、健康福祉部、地域支えあい推進室、区民サービス管理部と三つの組織での検討が進められています。重層な組織で取り組みが進められているという他の自治体にはない強みが最大限に生かされるのが、今回の地域包括ケア体制ではないでしょうか。そのためにも、地域と一番関係の深いフロント組織である、すこやか福祉センターの組織体制の強化が求められます。また、地域包括支援センターへの支援も課題とされています。バックアップ体制として、すこやか福祉センターとの連携強化も図るべきですし、役割に応じた人員体制の強化も検討していくべきです。これら中野区の課題についてどのようにお考えでしょうか。伺います。

 また、今後、地域包括支援システムを推進していく上で、地域支援事業の拡充を図っていくことも急がれます。中野区の地域の独自性を生かし、生涯現役、生きがいづくりの推進として、ライフサポートビジネスへの高齢者の参入や、地域スポーツクラブを活用した40歳からの介護予防事業の推進など、生きがいと健康という角度での事業を拡充していくことも検討されてはいかがでしょうか。また、高齢者の住まいの充実のため、民間アパートなどの空き室を活用し、高齢者専用の賃貸住宅の推進拡充なども検討すべきではないでしょうか。豊富な中野区の資源を活用し、さまざまな角度から地域包括ケアシステムを構築していくべきであると考えますが、御見解を伺います。

 田中区長の取り組みの大きな成果が、地域の支えあいネットワークの構築であったことは言うまでもありません。このたびの区長選挙では、長年にわたる区長の努力や地域の取り組みを理解されていない誤った発言が横行していたことに、町会・自治会の皆さんからも怒りの声が聞かれました。実際には、この地域支えあいの仕組みは高く評価され、参議院の消費者問題に関する特別委員会でも区長が参考人として招かれ、区長の委員会での説明が重要と評価され、委員会としても中野区の取り組みが大変参考になったとも伺っております。区長は3期12年の間に町会をはじめとする地域団体、また医師会、歯科医師会、薬剤師会などの医療関係者と信頼を深め、連携を図り、協力体制を築いてこられました。こうした成果がさらに発揮されるときです。

 地域の支えあいの仕組みをさらに強化し、地域、医療機関、介護事業者や行政機関、警察、消防の関係者がしっかりと連携を図り、住みなれた地域で高齢者の方、障害者の方、誰もが安心して暮らせるように推進していかなくてはなりません。改めて区長の御決意を伺い、私の全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

〇区長(田中大輔) 久保議員の御質問にお答えいたします。

施政方針説明に関連して、新たな基本構想の目標年次についてという御質問であります。今後30年、50年先を見据えて中野区の将来像を描き直すというふうに言っておりますけれども、10年後を見据えたものとしている、こういったことに関連しての御質問であります。30年、50年というのは、いわば例えでありまして、長期的な展望を踏まえた上で、具体的に10年後に実現するまちの姿を新たに描くということで整理しております。

 また、総合計画のあり方についてであります。10か年計画は、目標を設定して、その実現に向けた取り組みの道筋を示しているものでありまして、事業の実施年次等を決めているものというわけではありません。10か年計画を踏まえて、実際の事業の実施に当たっては、その時々の状況に応じて柔軟に対応するということになってまいりますし、また、個別の事業計画などについても、それぞれ策定していくということになってまいります。

 それから、4年間の行政課題を具体的に示してスケジュール等を示した実施計画策定を行うべきではないかと、こういった御質問でありました。基本構想、10か年の議論を踏まえながら、一方で、4年間で行うべきことを定め、それを実現していくための成果ベースのロードマップのようなものをお示しすることができないか、検討していきたいと考えております。

 それから、基本構想策定に当たっての区民の声の反映の仕方についてであります。区関係団体からの推薦や、公募区民及び学識経験者によって構成する基本構想審議会を設置して議論していただきます。また、区報やホームページなどでの意見の募集、区民と区長の対話集会、それから、区民意識調査・実態調査、また、区民団体等との対話の場などを活用しながら幅広く意見聴取を行い、聴取した意見について、随時審議会に提供していくことを考えているものであります。

 それから、策定に当たっての職員の参加のあり方についてであります。基本構想の改定に当たりましては、各部・室の所管する事項の枠にとらわれずに、職員が新たな10年後のまちの姿を横断的に議論できる、そうした機会を設けていきたいと考えております。また、所管する事項につきましても、それぞれの職員が主体的に検討に参加し、将来像を描いていくよう、各部・室において取り組んでいく、そうした考えであります。

 それから、西武新宿線の連続立体交差事業と野方以西のまちづくりについてであります。野方以西の連続立体交差化の構造形式についてであります。このたびの区が行いました構造形式の調査は、技術的な可能性の検証でありまして、調査によって4通りの構造形式が可能であることが検証できたと、こういうふうに理解しております。踏切除却や地上部の空間活用の観点から、地下化が最適として進めてきたところですが、今回の調査では、四つの方式で、区が求めている全ての踏切除却が可能になるほか、各方式でさまざまなメリット・デメリットがあることがわかっております。区といたしましては、そうした状況を総合的に勘案しながら、早期に効果が上げられるような事業の実現を東京都に働きかけていきたい、こう考えております。また、切れ目なく連立事業を推進していくために、現事業認可区間に引き続いて、野方以西について早急に事業化が図られるよう強く働きかけてまいります。

 それから、仮に高架化した場合ということでの高架化によるまちづくりへの影響についての御質問がありました。一般的に鉄道を高架化した場合には、主に日影や騒音、振動、景観について、周辺への影響が心配されると言われておりますが、日影につきましては、線路の北側に6メートル以上の側道を設置することや、騒音や振動等については遮音壁を設置する等によって、現況より悪化させない対策を講じています。いずれにいたしましても、周辺環境への影響については、今後、都市計画決定の段階で東京都の環境影響評価条例に基づいて、事業主体となる東京都が影響や対策について具体的に調査していくこととなります。

 事業採択を目指すのであれば、沿線住民がまちづくりについて理解を深め、住民のワークショップや勉強会の開催などを行うべきではないか、こういった御質問でありました。連続立体交差事業は、いずれの方式をとったとしても、交差する道路交通を円滑化するだけでなく、鉄道により分断されていた沿線地域の一体化が図られ、新たな魅力あるまちづくりが推進されるなど、沿線地域の発展に極めて高い効果が期待できる事業であります。このため、野方駅以西の連続立体交差事業の進捗とあわせて、沿線の野方駅、都立家政駅、鷺ノ宮駅周辺地域についても一層のまちづくりの機運を醸成しながら、沿線のまちづくり計画を具体化していくことが必要となってまいります。区といたしましては、今年度、野方駅、都立家政駅、鷺ノ宮駅の各駅の駅前広場等の交通基盤やまちづくりについて調査検討を進めるとともに、区が支援し、地域住民が主体的にまちづくりについて検討してきた実績を踏まえ、今後さらに地元町会や商店街を中心とする検討を具体的に進めることができるよう、御指摘のような考え方も考慮しながら働きかけを行ってまいります。

 杉並区との調整についてであります。今回の委託調査結果につきましては、杉並区の区間も含まれております。このことから、杉並区には調査結果の説明を行っております。今後とも杉並区とも連携しながら、野方駅以西の連続立体交差事業の早期実現を推進してまいります。

 それから、鷺ノ宮駅周辺のまちづくりについてであります。鷺ノ宮駅周辺におきましては、特に駅の南側の地区において、中杉通りの新たな整備や妙正寺川の護岸整備、公社住宅、都営住宅の建てかえなど、多くの事業が東京都等で実施中、あるいは実施予定であります。区では、それらの事業が今後の鷺ノ宮駅周辺のまちづくりに大きな影響を与えるものであることを踏まえ、東京都等と協議を行っておりますが、今後まちづくりを具体的に進めていく中で、東京都や関係機関との協議をより一層密接にしていきたいと考えております。

 まちづくりに関する区の役割についてであります。鷺ノ宮駅周辺の将来のまちづくりを考える上では、東京都や住宅供給公社等の関係機関との調整が大変重要となってまいりますが、まちづくりについては、中野区が中心となってその検討を推進し、まちづくりを主導していく必要があると、このように考えております。

 それから、連続立体交差事業によって第八中学校の校庭への影響も出るのではないかと、こうした御質問がありました。一般的にではありますけれども、鉄道を高架化した場合には、環境保全等の観点から北側に側道が必要となるため、現在の鉄道用地で不足する分については用地取得が必要となります。昨年実施いたしました委託調査では、高架案の場合に第八中学校の敷地まで影響が及ぶこととなっております。こうしたことが学校再編について仮に影響が及ぶようなこととなるとすれば、早目に調整を図ることとしてまいりたい、こう考えております。

 それから、地域支えあい、また地域包括ケアシステムに関連しての御質問であります。地域包括ケアシステムの進捗状況とスケジュールについて、であります。地域包括ケアシステムの取り組みにつきましては、地域で進めてきた見守り・支えあいの活動の成果を踏まえ、支援や介護が必要な高齢者を医療・介護に幅広く連携させて、包括的に支える機能強化策について検討を行っているところであります。今後、秋までには地域包括ケアの取り組みにとって重要な地域ケア会議や認知症対策、在宅医療・介護の連携、生活支援サービスの充実などについても強化の具体的な方策を順次固め、保健福祉総合推進計画の改定素案や、あるいは次年度予算の中でお示しをしていきたいと考えております。

 地域包括ケアの策定方針についてであります。地域包括ケアの区の取り組みにつきましては、具体的な取り組みをわかりやすく区民や医療・介護関係者へ提示し、共通理解を図っていく必要があると考えております。

 地域ケア会議についてであります。区では既に全区圏域での地域支えあい推進会議、すこやか福祉センター圏域ごとの支えあいネットワーク会議、そして区民活動センターごとの会議といった3層による会議体を設置しております。こうした会議体をもとに、今後、多職種・多機関による連携も取り込んだ地域ケア会議としての位置付けを持ったものに充実させ、改編する方向で検討に着手しているところであります。

 地域ケア会議の圏域についてであります。すこやか福祉センターは、地域における総合的な保健福祉サービスの相談支援、地域支えあい活動の中心拠点として位置付け、運営しております。地域包括支援センターも、すこやか福祉センターの機能の一部として社会福祉法人に委託して運営しております。このため、委託により運営されている地域包括支援センターではなく、すこやか福祉センターを地域ケア会議の運営主体として位置付けていく方向で検討を行っております。

 すこやか福祉センター等の組織と支援体制の強化についてであります。すこやか福祉センターは、高齢者や障害者、子育て家庭など幅広い区民の相談・支援を行う窓口として、国の制度や区の事業など全てを総合的に把握した上で、区民一人ひとりの生活実態に合った支援やサービスを一体的に提供していくことができる体制を目指しております。すこやか福祉センターがこの役割を果たしていくためには、幅広い分野における専門知識を高めるとともに、ケアマネジメント事例の蓄積や関係団体、機関等との情報共有による相談支援のスキルの向上など、体制強化が必要であると考えております。また、高齢化の進展により業務が拡大していく地域包括支援センターの体制についても適切に強化するとともに、すこやか福祉センターによる地域包括支援センターへの調整、支援機能も強化してまいります。

 地域支援事業の拡充に向けた検討についてであります。地域支援事業については、さまざまな観点からの拡充が必要と考えております。検討に当たっては、区内の資源や人材の活用を図り、安心して地域生活を継続できる地域包括ケアシステムを構築していきたいと考えております。

 地域支えあいについての成果と決意について、であります。超高齢化が急速に進む社会においては、子どもから高齢者まで全ての世代の人々が連携し支えあって、互いを生かし合う社会でなければならないと考えております。こうしたことから、町会・自治会をはじめとする地域の団体、事業者、関係機関が連携し、相互の活動を生かし合う仕組みとして、地域支えあいネットワークづくりに取り組んでまいりました。このネットワークの拡充とあわせて、医療・介護・福祉などの幅広い連携を構築し、地域で誰もが必要な支援を適切に受けながら、安心して暮らせる地域包括ケア体制づくりを進めてまいりたいと考えております。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 子育て支援について。私からは就学援助についての御質問にお答えいたします。

 生活保護基準引き下げに伴う影響について、新聞報道は事実だったのかということです。先日実施された文部科学省の調査結果によると、23区では中野区以外の区は何らかの措置を実施しており、それを受けての報道であるというふうに認識しております。また、その影響ですが、今年度、実際に生活保護基準引き下げの影響が生じたのは145人であり、その影響額は全体で1,400万円ほどです。

 次に、区独自の負担軽減策という御質問でした。就学援助の認定に当たって、生活保護基準を根拠とする考え方に変わりはございませんが、他区での状況等を踏まえ、区として必要な手だてを講じることを検討してまいりたいと考えてございます。

〔都市政策推進室長長田久雄登壇〕

○都市政策推進室長(長田久雄) 私からは、中野駅周辺まちづくりについての御質問のうち、タウンマネジメントの導入についてお答えいたします。

 中野駅周辺まちづくりの進展には、さらなる都市の魅力創出や安全・安心、環境への配慮、情報発信機能、商業サービスなど、さまざまな都市機能の強化・充実が不可欠でございます。今後は関係団体等とさまざまな機会を捉えた情報共有などを通じて、協働・連携の強化を図りつつ、さらにこれらを深化・発展させたタウンマネジメント推進体制の強化の検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、中野駅周辺まちづくりについての御質問にまずお答えいたします。

 災害時にも対応可能なデジタルサイネージの導入について、でございます。今年度より5カ年計画で防災行政無線(固定系)のデジタル化を進めているところでございます。一方でデジタルサイネージも、その実現に向け検討しているところです。デジタル化された防災情報もデジタルサイネージを活用することが可能になると考えており、導入について検討してまいりたいと考えております。

 次に、中野駅周辺の電線類地中化についての御質問でございます。早稲田通りの新井交差点から環七までの区間につきましては、東京都による都道の拡幅整備事業にあわせて電線類地中化を進めることにより、無電柱化を図ることになっております。中野駅南口の中野通りにつきましては、東京電力による無電柱化の整備がされているところでございます。ただし、御指摘のように一部電柱や電線類が存在してございます。中野区としては、今後、南口の駅前広場整備や西口南北通路の開設にあわせて、東京都及び警視庁、各事業者へ電線類地中化の整備を行うよう働きかけてまいりたいと考えております。

 続きまして、防災まちづくりについての御質問にお答えいたします。まず、未着手の木密地域における無接道家屋等の調査についてでございます。木密地域における無接道家屋につきましては、防災まちづくりの上で大きな課題と認識しております。防災まちづくりを計画的に進める上で、無接道家屋の実態を適切に把握していきたいと考えているところでございます。

 次に、区道における電線類の地中化についての御質問でございます。現在、電線類の地中化には、主に電線類を格納する共同溝を歩道下に設置する方式が採用されており、歩道幅が約2.5メートル以上あることがおおむねの条件となっているため、区道における地中化は条件の整う限定された路線にとどまっております。しかし、区道における電線類の地中化が実現できれば、災害時における安全性の向上に大きく寄与するものと考えられるため、2.5メートルの歩道のないところでも実施できないかとの観点から、現在、大和町において無電柱化方策について検討しているところでございます。

〔子ども教育部長髙橋信一登壇〕

○子ども教育部長(髙橋信一) 私からは子育て支援について、子ども・子育て支援新制度についてお答えいたします。

 初めに、子ども・子育てアンケートの調査についてでございます。昨年10月に実施いたしましたアンケート調査では、乳幼児及び低学年の就学児童の保護者を対象としており、主な調査項目は、保護者の就労状況及び就労の意向、保育園、幼稚園や子育て支援サービスの利用状況等及び利用の意向等でございました。主な調査結果といたしましては、乳幼児の母親の5割を超えるものが就労しており、現在就労していない母親のうち、およそ4分の1が1年以内の就労を希望しているなど、依然として保育ニーズは高いことが想定されます。また、ゼロ歳から2歳までは認可保育所の利用意向が高く、一方、3歳から5歳では幼稚園の希望が最も多いことなど、幼稚園の利用意向が大きいことが判明いたしました。さらに保護者が希望する子育て支援策では、放課後の安全な居場所を求める声が強いなどということが確認されました。これらを含めまして、子育て支援サービスの現在の利用状況及び利用ニーズなど調査で得られた結果や、子ども・子育て会議の議論等を踏まえまして事業計画を策定していく考えでございます。

 次に、待機児童の解消についてでございます。平成26年4月におけます待機児童数は昨年より94人増加し、241人でございました。保育施設を整備して定員を増設したところでございますが、就学前人口が予想以上に増加したこと、また、就労する女性の増加が著しかったことなどによります保育利用希望者の急増が、待機児童解消に至らなかったと思ってございます。今後は待機児童解消に向けまして、認可保育所の増設や賃貸物件を活用した認可保育所の誘致、グループ型家庭保育事業など、事業者が参入しやすい条件を設定するなどして実施していきたいと考えてございます。

 続きまして、子ども・子育て支援新制度に向けた取り組みについてでございます。子ども・子育て支援新制度では、全ての子ども、子育て家庭を対象に幼児教育、保育、地域の子育て支援施策の質と量の拡充を図ることを主としてございます。区はこの新制度をきっかけに、幼稚園、保育園や認可外保育施設である認証保育所等の民間事業者の役割がこれまで以上に重要になると考えてございます。現在、国から示されてございます政省令に基づき、新制度におけます幼稚園や保育園等の施設の運営基準や認可基準等について、現状のサービスからの円滑な移行ができるよう検討を進めているところでございます。幼稚園や保育事業者に対して新制度について情報提供しながら、今後は移行についての課題等を整備し、新制度のもと安定した事業運営を行い、全ての子どもたちが質の高い教育や保育が受けられるよう支援に取り組んでまいります。

 最後に、保育士の確保支援策についてでございます。9月に区と私立保育園、認証保育所と合同の就職合同説明会を実施するほか、10月には東京都福祉人材センター主催の保育士就労支援研修・就職相談会を、また11月にはハローワーク新宿と中野区、杉並区が共催して合同保育士面接会などを実施いたしまして、保育士の採用を支援していく予定でございます。保育士の確保につきましては、国や東京都も昨年度、保育士の処遇改善事業を行うなど、保育士確保に努めているところでございます。今年度も実施予定と聞いており、国や東京都の内容を踏まえ、保育士の処遇の改善を進めていきたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

〔地域支えあい推進室長瀬田敏幸登壇〕

○地域支えあい推進室長(瀬田敏幸) 私からは、子育て支援のうち要支援家庭への支援と主任児童委員などとの連携についての御質問にお答えいたします。

 赤ちゃん訪問や乳幼児健診により状態を確認できなかったお子さんにつきましては、すこやか福祉センターの地区担当者が連絡や訪問により実態の把握に努めているところでございます。支援を要する御家庭につきましては、すこやか福祉センターでの専門相談や医療機関などの紹介のほか、子ども家庭支援センターによる養育支援ヘルパーの派遣や子どもショートステイ事業の実施により、要保護家庭への支援を進めているところでございます。主任児童委員などは既に要保護児童対策地域協議会の構成員といたしまして、区と子どもに関する情報共有を行っております。今後も地域を熟知した身近な支援者である主任児童委員など、民生児童委員との協力関係をより一層進めまして、地域ぐるみによる子育て支援を強化してまいりたいと考えております。

○議長(伊東しんじ) 以上で久保りか議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後2時30分休憩

 

午後2時50分開議

○議長(伊東しんじ) 会議を再開いたします。

 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 長 沢 和 彦

 1 区長の政治姿勢について

  (1)施政方針説明について

  (2)その他

 2 子ども・子育て支援新制度について

  (1)保育について

  (2)学童クラブについて

  (3)その他

 3 生活保護と就学援助について

 4 高齢者の福祉・住まいの施策について

 5 西武新宿線連続立体交差事業について

 6 その他

 

○議長(伊東しんじ) 長沢和彦議員。

〔長沢和彦議員登壇〕

○31番(長沢和彦) 2014年第2回定例会に当たり、日本共産党議員団を代表して一般質問を行います。

 初めに、区長の政治姿勢について伺います。

 施政方針説明についてです。

 このたびの区長選挙は29.49%と前回を下回る低投票率でした。田中区長が当選されましたが、得票は3万751票、得票率は41.06%と前回よりも減らしました。低投票率について言えば、区政に対する区民の信頼が失墜しているのではないでしょうか。区長が公約を破って出馬したことへの批判も大きく、絶対得票率が11.8%であったことからも、区長が選挙で誇ってきた実績や政策が絶大な支持を得たとは言いがたいと思います。リーダーシップと称されるトップダウンのやり方や、情報提供・公開、意見交換会のあり方、区民参加と住民自治といった民主主義的な課題と言えるこれらの点では、多選自粛の公約破棄も含め、12年間にのぼる区長のかじ取りへの批判は大変大きかったと言えます。

 施政方針説明で、「不支持あるいは批判的な立場の区民・・・についても常に念頭に置きながら仕事を進めていきたい」と述べ、「誠実・着実・謙虚を心がけていきたいと考えている」、と結んでいます。ぜひそのような姿勢での区政運営を望みます。見解を伺います。

 区長は施政方針説明で、高齢化と生産年齢人口の減少のもとで、社会保障のコストの増加と、国内・・・需要の減少、総所得を下げる要因と言い、この難題の解決に向けた道筋を構築し、実施していくことが求められると言及しています。そのために、「国は、・・・社会保障制度の維持やその財源を生み出す経済成長戦略の実行に取り組んでいる」とも述べられました。問題は、そのことが国民・区民、そして国にとって正しい道筋なのかということです。

 区長選挙と前後して、区民に多大な影響を及ぼすことがありましたので、その点を例に伺います。

 一つは、4月から行われた消費税増税です。安倍政権は、「影響は多少である」、「想定内」との認識を示しました。しかし、物価は上昇し、その一方で国民の賃金は増えていません。4月の勤労者世帯の実収入は7.1%減、非正規雇用も57万人増えています。懐具合が暖まらない中での消費税増税によって、国民は支出を切り詰めています。

 我が党は、野方商店街振興組合の協力も得て、消費税増税前後にアンケート調査と取材を行いました。経営への影響に54%の方が「悪くなる」と答え、「価格に転嫁できない」、「10%になったら閉店する」など、厳しい御商売の実態が語られました。既に4月以降、店を閉めたところも散見されます。安倍政権は、来年10月にはさらに10%への増税を行うことを年内に決めるとしています。区内の商店や中小業者の生業、区民の生活実態を見聞きすれば、厳しさを知ることはたやすいですし、選挙戦において区長も区民の声を聞いてきたと思います。区長は、区内業者をはじめ区民への消費税増税の影響をどのように感じているのか。また、10%への増税に対して反対の意思表示をすべきではないですか。伺います。

 二つ目に、社会保障の大改悪と財政再建です。消費税増税の口実に社会保障の財源のためと言われてきましたが、全くのでたらめです。年金給付が下がり続ける中、医療・介護の負担増とサービス給付の削減がめじろ押しです。財政再建もまた消費税増税の理由にされましたが、庶民に巨額の負担増を強いながら、大企業・大資産家には復興特別法人税廃止、投資減税など、大減税の大盤振る舞いを進めるという異常さです。

 安倍政権が24日に示した「骨太の方針」で、法人税減税については来年度から税率引き下げを開始し、35%前後の「実効税率」を数年間で20%台まで引き下げることが明記されました。1%引き下げただけでも5,000億円です。トヨタ自動車が5年間法人税ゼロだったことに見られるように、大企業の多くは各種の優遇税制によって、実効税率よりはるかに低い税負担しかしておらず、巨額の内部留保をためている大企業に、さらに減税のばらまきをしようというものです。これまでに消費税が導入されてからの税収額と同じ程度の額が、法人税減税により消えてしまっています。大資産家と大企業へのばらまき減税を正して、公平・公正な税収確保が必要です。それでこそ、社会保障費の充実と財政再建を両立させて進めることができます。見解を伺います。

 区長は、区長選挙の結果を得て、「区民から評価・信任していただいた」と述べられました。しかし、大規模開発に偏重した区政運営が丸ごと評価されたとは言いがたいと思います。別のところで、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに触れて、「オリンピックの成功には、外国人を受け入れる観光の振興、都市交通の整備・・・などなど、さまざまな対応が必要」と言い、「グローバルな都市活動拠点の形成など、オリンピックが生み出す貴重な資産をレガシーとして将来のまちの発展に生かし、時代の要請にマッチした持続可能なまちづくりにつなげていく」と述べられました。オリンピック開催をテコに大規模開発を推進したいということでしょう。外来者に長く滞在してもらうためにはホテルの誘致・建設も計画され、そのために区役所・サンプラザを壊して高層ビルをつくるのでしょうか。品川区の北品川再開発もホテルの誘致です。都心部で進めようとしているまちづくりの模倣によって、実力が試されるというのでしょうか。

 東京都では舛添都知事が東京オリンピック・パラリンピックに向けて、都議会での所信表明で競技場の整備計画を見直して再検討する考えを示しました。近隣県の施設の活用にも触れています。巨額をかけて都民の憩いの場や自然を壊す計画に多くの都民、競技団体などから見直しを求める声が上がっていました。

 1964年の東京オリンピックのときは、高度経済成長のさなかということもあって、幹線道路、インフラ整備など公共事業が進められました。同時に国債が発行され、それ以降、日本は借金漬けです。中野区でのサンプラザ・区役所の解体、一体開発など、新たな箱物計画は浪費と環境破壊につながるのではないですか。見解を伺います。

 区長は、「基礎的自治体は国や都道府県に依存し、政策や財源を求めるばかりではおよそ立ち行かない状況になっていく」と言います。しかし、国や東京都に慮って財政の責任を免罪した上で、区がその責任をきちんと果たすのでもなく、区民に負担を押しつけるのでは本末転倒です。

 400億円の基金を積み立てたことを誇っていますが、どのように貯めてきたかが問題です。12年間、景気の浮沈はあっても、区民の所得は下がりっ放し。それでも税収が上下したのは、庶民増税が繰り返されたからです。さらに、あれもこれもと区民施策が削減・廃止されました。職員削減による人件費減少が言われますが、要は、安上がりな労働力に置きかえただけの話です。実体論からしてできない、基金を積み立てないとか、基金を全部取り崩せとか言っているのではありません。もちろん区民に犠牲を押しつけずに財政規律を守ることも可能です。今日の区民生活の実態を見据えれば、取り崩して福祉・教育の支援に活用することが必要ではないですか。見解を伺います。

 基本構想と10か年計画の改定について、1点伺います。

 現行の10か年計画には、区民の財産である区有施設の売却等が29カ所も示されていました。既に売却が行われた施設もあります。しかし、基本構想の改定や10か年計画の策定当時に言われていた「財政の裏付けのある」というロジックは破綻していますし、財政計画はあってないような扱いです。新たな行政需要を考えても、既存施設・土地の活用を真剣に検討し、売却ありきは見直すべきではありませんか。見解を伺います。

 次に、原発再稼働に反対する立場でお聞きします。

 5月に、関西電力大飯原発3・4号機の安全性が確保されていないと住民が再稼働の差し止めを求めていた裁判で、福井地裁が住民側の訴えを認め、関西電力に運転再開の差し止めを命じました。判決文は冒頭、「ひとたび深刻な事故が起これば、多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業にかかわる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである」と指摘しています。指摘されたことは、大飯原発に限らず全国の原発に当てはまることです。電力会社も国も判決を受けとめ、原発の再稼働を断念すべきです。区長の見解を求めます。

 次に、教育委員会制度の改定についてお尋ねします。

 先の国会で、政治が教育を支配することを可能にする教育委員会制度を変える法律が成立しました。「首長からの独立性」が崩されることで、政治的中立が脅かされることに危惧の声が上がっています。自治体の教育政策の大もとになる「大綱」を定める権限を首長に与え、教育委員会はその大綱に即して教育行政を行わなければならない仕組みにし、大綱は国の方針を参考にしてつくることになっています。一方で、首長が大綱に書き込んだことであっても、教育委員会が同意していなければ、従う義務がないことも明確になりました。教育長が教育委員会の決定に従わなければならないことも確認されています。教育委員会がこれまでの取り組みを生かしながら、教育委員会の自主性が尊重されることが大切です。区長の見解を伺います。

 この項の最後に、集団的自衛権の行使について伺います。

 区長は、昨年の第3回定例会での我が会派の質問に、「我が国が専守防衛を前提として有効な防衛力を行使する権利を有する……。その具体的内容の一つとして、集団的自衛権のあり方を議論することは重要だ」との認識を示されました。しかし、集団的自衛権の行使とは、日本の国を守ることでも、国民の命を守ることでもないことが、国会論戦の中で明白となりました。日に日に、集団的自衛権の行使容認に反対の国民世論が広がっているのも、その正体が知られてきているからです。アフガニスタン戦争やイラク戦争のような戦争をアメリカが起こした際に、これまでの自衛隊派兵法に明記されていた「武力行使をしてはならない」、「戦闘地域に行ってはならない」という歯どめが外され、自衛隊が戦地にまで行って軍事支援を行う。アメリカの戦争のために日本の若者の血を流させることがその正体だ、ということが明らかになりました。集団的自衛権の行使容認の閣議決定に反対の意思表示をすべきです。見解を伺います。

 次に、子ども・子育て支援新制度について伺います。

 一つ目に、保育についてです。

 新制度の施行に当たって、条例制定や子ども・子育て支援事業計画の策定が義務付けられています。条例や支援事業計画に盛り込むべきことを中心に3点伺います。

 1点目に、区が定める保育料については、現在、国が定める額を減額して保育料を設定・徴収していますが、新制度施行後も現行の保育料設定を維持すること、また、その他の軽減措置や多子減免など、現行実施している事項を継続することを求めます。

 二つ目に、内閣府令では、保育料外負担について示されていますが、施設・事業を利用する子どもに係る日用品・文房具・行事参加費、質の改善に係る費用などは保護者負担とすることは避けるべきです。

 三つ目に、新制度の実施においても、現在、中野区の認可保育園で行われている1歳児クラスへの対応、5対1による保育士の配置や障害児対応の加配など、国の施策に上乗せ、横出ししている施策の継続を行うことを求めます。

 以上3点について答弁を求めます。

 ことしの4月1日現在の待機児童(速報値)が公表されました。旧基準、つまり認可保育園を希望しながら入園できなかった子どもは635名と、昨年よりさらに155名も増加しました。ちなみに新基準においても241名と、こちらも94名増えています。待機児童は、解決が待たれる喫緊の課題です。新制度になっても認可保育園の役割が変わるわけではありません。ニーズ調査でも現れている区民・保護者が求めている認可保育園の思い切った増設が必要です。廃止となった学校跡などの施設を活用して、認可保育園の増設を図るべきではありませんか。伺います。

 次に、学童クラブについて伺います。

 新制度では、市区町村が学童保育(学童クラブ)の基準について条例で定めることになりました。「その基準は、児童の身体的、精神的及び社会的な発達のために必要な水準を確保するものでなければならない」としています。学童クラブは、新制度において区の実施責任を強化することになり、事業計画で学童クラブの整備計画も義務付けられることで、中野区で発生している待機児問題の解決が進むことが期待されます。

 学童クラブの条例化や事業計画策定に当たっては、国基準を上回る基準によって、指導員の有資格者を複数配置することや、指導員の処遇の改善を図ること、専用的に使う施設の広さを「1人当たり1.65㎡以上」の最低ラインを超える広さを確保することや、児童の集団の規模はおおむね40人までとすることが求められます。見解を伺います。

 厚生労働大臣が放課後対策の総合的な推進として、文部科学省の推進する「放課後子供教室」と厚生労働省が推進する「学童保育の一体型を中心とした放課後児童クラブ・放課後子供教室の計画的な整備」が必要との考えが示され、文部科学大臣も「放課後子どもプランのさらなる充実について」という資料を提出し、同じ考えを示しています。共働き・ひとり親家庭などの子どもたちの毎日の生活の場である学童クラブは、「専用室」、「専任指導員」、「入所申し込みして毎日利用する子どもたち」という3点が保障されなければ、その役割が果たせません。条例・事業計画においては、学童クラブの目的を明確にして、学童クラブを全ての児童を対象とする放課後子供教室型の全児童対策にすることなく、学童クラブの量的・質的な拡充を図るべきです。見解を伺います。

 区では、内閣府令「特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準」に基づいて、確認の基準を条例で定めることになりますが、当初予定よりおくれて府令が公布されました。また、国の子ども・子育て会議の議論ではさまざまな意見が出ており、保育関係者や地方自治体の担当者から、準備の時間があまりにも少ない上に、新制度に向けた新たな事務作業の量が多いことから、新制度の拙速な実施の中止を求める声も広がっています。4月からの実施を見直すよう国に求めるべきではないですか。伺います。

 次に、生活保護と就学援助についてお伺いいたします。

 改定生活保護法が7月から本格施行となります。当初、生活保護法省令改正案は、国会での決議や答弁を骨抜きにするものが示されました。生存権を守れと闘ってきた団体・個人から批判の声が上がり、国会で激しい追及があり、さらに短期間に1,100件を超えるパブコメが厚生労働省に集中、そのほとんどが国会審議を尊重したものに改めるよう求めるものでした。世論に押され、大幅修正がされました。例えば、扶養義務者への照会は具体的な厳しい条件がつけられることになりました。

 そこで伺います。施行に当たり、現場での周知徹底を図ることを求めます。

 ことし4月からの実施要領の改定で、高校生のアルバイト収入の取り扱いが変わりました。大学や各種学校の進学、自動車免許の取得経費、就労や就学に伴って転居する場合の費用、国や地方自治体の貸付金の償還金が収入認定除外になりました。中野区での現在の保護受給者は、平成25年度で単身者が87.4%を占めています。2人以上の世帯が少ないため、高校生がいる世帯の把握は難しくありません。今後、申請される対象世帯への対応も含め、周知徹底を図ることを求めます。また、このことによって生活保護受給世帯の子どもの進学への環境が改善されるのですから、進学の支援に対して一層力を入れるべきではないですか。伺います。

 就学援助について。生活保護引き下げに連動した就学援助への影響について伺います。

 昨年8月の生活保護基準切り下げに連動し、今年度から就学援助の支給認定が引き下げられることになりました。政府は影響が及ばないよう対応する方針を決め、影響回避の要請を行っています。共産党議員団はこの間、定例会での質問や今年度の予算編成に当たっての要望書提出の際にも区長に、生活保護引き下げによる就学援助への影響を回避するよう求めてきましたが、区は影響を回避する措置を講じてきませんでした。今年度、生活保護引き下げによる影響を受けた就学援助児童・生徒は何人いたのか、伺います。

 6月10日付の東京新聞朝刊では、「約200人が対象から外れる」の見出しが躍りました。東京都内で影響回避の措置を講じなかったのは中野区だけです。そのことへの区の見解を伺います。

 就学援助費支給額への消費税増税分の上乗せについても伺います。

 日本共産党都議団の「就学援助の消費税増税への対応について」の調査で、23区と市部それぞれの6月10日時点での自治体の対応が明らかとなりました。市部は、国が示したとおりに上乗せしている自治体が多いことがわかりましたが、その後、議会の場で対応を約束、検討する区も出ています。国は要保護児童・生徒を対象にした事務連絡で、「消費税増税等を踏まえ、平成25年度に比べ、単価を増額することとしている費目がある」としています。要保護世帯の就学援助については国が自治体に対して補助を行っており、今年度は消費税増税を踏まえて、補助の対象となる学用品費などの費目単価が増額となりました。したがって、国の単価増額に倣い、準要保護世帯の就学援助の費目についても増額すべきではありませんか。伺います。

 次に、高齢者の福祉・住まいの施策について伺います。

 介護保険の改悪により、要支援者への訪問・通所介護が介護保険給付費から外されました。保険給付による訪問・通所介護はやめるかわりに、現在、市区町村で実施している地域支援事業に新たなメニューを設け、新しい総合事業として、要支援者には見守り、配食、緊急時対応などの代替サービスを提供すると厚生労働省は説明しています。しかし、これらのサービスには人員基準も運営基準もなく、サービスの内容は市区町村の裁量任せです。しかも、事業予算には上限がつけられ、これらに必要な費用を後期高齢者の伸び率の範囲内に抑制するというもので、これではサービスが後退するのは明らかです。昨年12月に提出した特別区長会の緊急要望を踏まえ、法改定のもとでも現行のサービス給付水準を確保し、利用者の負担増とならないようにすべきではないですか。伺います。

 要支援者の中には、認知症の症状が疑われる方も多くいると言われています。食事は配食業者、ごみ出しはボランティア、掃除はハウスクリーニング業者と、細切れに提供するばらばらの支援では、生活全体を視野に入れた援助は困難です。心身の状況が悪化し、家族の負担も増大しかねません。認知症の方は初期の対応がとても大事だと言われています。初期に専門職がかかわって適切な対応をとることで、進行を遅らせて穏やかに過ごすことができます。しかし、介護保険給付から外されると、要支援であった初期の認知症の方たちが専門職に対応してもらえなくなります。国のオレンジプラン(認知症施策推進5か年計画)でも、早期発見・早期対応ということで、初期の対応が大事だとしています。区はどう対応されていくおつもりなのか、伺います。

 虐待・貧困など処遇困難の高齢者が増えていることが報じられています。こうした処遇困難高齢者の支援は、本来、老人福祉法に基づく自治体の仕事です。困難を抱えた高齢者を救済する、自治体の福祉・保健・公衆衛生の機能を再構築することが必要だと考えます。その立場から、1点伺います。

 地域包括ケアを進めることにしている現在、地域包括支援センターの役割は大変大きいと言えます。地域包括支援センターを少なくとも1カ所は区直営で運営して、貧困や社会的孤立など高齢者の実態把握と相談事業、サービスにつなぐ役割を果たすべきではないですか。あわせて、地域包括支援センターの委託事業者の体制強化を図ることを検討すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 次に、高齢者の住まいについて伺います。

 2011年に成立した高齢者の居住安定確保法改正によって、各住戸で一定の床面積・設備・バリアフリーといった物的な整備と、安否確認と生活相談の二つのソフトサービスなどが具備されると、「サービス付き高齢者住宅」として都道府県に登録され、供給される制度が創設されました。第1回定例会の本会議質問でも触れた、このサービス付き高齢者住宅については、低所得者向けには必ずしもなりませんが、今日の高齢者の住宅問題を考えたとき、中野区においても誘導を図ることを検討してはいかがでしょうか。伺います。

 社会的格差が広がり、住まいの貧困化が進んでいます。民営借家に住む最低居住水準未満の世帯の状況は、平成15年住宅・土地統計調査では、60歳以上の単身者では2,300世帯であったのが、平成20年では、65歳以上に年齢が引き上げられているにもかかわらず、2,700世帯と増えています。最低居住水準未満の住まいに住んでいる高齢者が中野区内において増えていることが見てとれます。

 我が党議員団は、これまで区の住宅対策が専ら民間任せになっているため、量・質ともに充足していない状況を指摘し、公営住宅の整備や家賃補助などの提案をしてきました。2010年度にこれまでの個別の補助金が廃止となり、「社会資本整備総合交付金」が創設され、住宅対策事業や公営住宅の整備に関する自治体の裁量が拡大しました。改めて公営住宅の確保や家賃助成の検討を求めます。また、区としての住宅対策、特に高齢者向けの住宅対策については具体的な考え方や方針を持ち合わせていないのか、伺います。

 この項の最後に、高齢者の住まいに限ったことではありませんが、1点伺います。

 最近では、「脱法ハウス」と称される違法・脱法の建物に非正規雇用の若者などの生活困窮者を住まわせ、利益を上げる貧困ビジネスが東京などで急速に広がり、社会問題になっています。脱法ハウスの件数が全体の7割から8割を占める東京都は、住宅セーフティネット法第10条による居住支援協議会を設置することを決めました。都が広域的自治体の立場として、みずから居住支援協議会を設置することは、区市町村による居住支援協議会の設置促進と活動支援を行う上で効果的としています。東京都でも進めているのですから、中野区で居住支援協議会の設置を検討すべきではないですか。伺います。

 次に、西武新宿線連続立体事業について伺います。

 西武新宿線野方駅から井荻駅間の踏切渋滞解消について伺います。

 先般、野方駅から井荻駅間の連続立体交差化に係る構造形式の委託調査検討の結果が報告されました。3条件を勘案してメリット・デメリットが記されています。西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟の目的は、地下化の促進です。区民へも地下化での構造形式を説明してきました。そもそも、地下化であれば北側関連側道の敷設整備は必要がなく、当該地域住民の立ち退き被害が少なく済みますし、住環境の保全に役立ちます。地下化の場合の上部活用、例えば遊歩道の整備や緑と防災のベルトラインによる延焼遮断帯の形成など、環境に配慮して防災機能を高めることにもなります。地下化での事業整備は、総合的には有効性が高いと言えるのではないでしょうか。区は、事業主体である東京都に地下化を強く求めるべきだと思いますが、いかがですか。伺い、全ての質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

〇区長(田中大輔) 長沢議員の御質問にお答えいたします。

 区長選挙の投票率についての御質問がありました。選挙における投票率はさまざまな要因により変動するというふうに思っております。今回の選挙についても、4月に行われた練馬区長選挙よりもやや低く、昨日行われた杉並区長選挙よりもわずかに高いといったような状況でありました。こうした選挙の結果についてですけれども、私のこれまでの実績と政策が有権者の皆さんから支持された結果であると、このことは間違いないものだと考えております。

 施政方針で述べましたとおり、区政運営に当たっては、これまで以上に誠実・着実・謙虚を心がけていきたいと考えております。

 それから、消費税の増税についてであります。消費税の増税は、駆け込み需要の反動により個人消費への影響があったことは確かでありますが、マクロで見れば、雇用情勢と賃金は着実に改善しております。経済に対する影響は限定的であると言われていると認識しております。消費税の増税については、国の財政構造の改革や、将来の社会保障負担の増加への対応などのために不可避のことであると、こう考えております。

 10%への増税については、政府が法の規定に基づいて判断を行うものであり、消費税増税を日本の財政構造の改革や社会保障負担の対応などにしっかりと結びつけていく必要があると考えております。

 法人税制の改革についてであります。法人税制度改革は法人税の構造を成長志向型に変えて雇用を確保し、国民生活の向上につなげることを目的としているというふうに受けとめております。法人税制度改革は国において議論が進められているものでありまして、区としては、改革が区民の生活の向上へしっかりとつながるかどうかを注視していきたいと考えております。

 東京オリンピックを契機としたまちづくりについてであります。東京オリンピックの成功には、外国人を受け入れる観光の振興、都市交通の整備、まちの安全・安心、生活の利便性向上、多様な文化への対応など、私たちのこれからの暮らしに波及し、変化を求められるさまざまな対応が必要になります。区は、この機会を区民の生活の質の向上や産業振興、豊かなまちづくりにつなげられるような必要な取り組みを行っていく考え方であります。

 オリンピックの施設の整備についてであります。都の施設計画の見直しについては、オリンピックの大会の成功と整備施設の大会後の活用などを考慮した上で判断したものと報道されているところであります。必要な見直しがあれば常に行われるべきものであると、こう考えております。

 それから、中野区の基金、400億円の基金のことについてであります。区民の生活実態を見据えて基金を取り崩して使うべきではないかと、こういうことであります。基金はいずれも目的が定まっているものでありまして、その基金を取り崩して、目的でない経常的な支出に充ててしまうというようなことは財政の支出超過構造を招くものでありまして、財政悪化をもたらすことになる。このことから、厳に慎まなければならない、このように考えております。

 それから、区有施設の売却についてであります。売却ありきは見直すべきではないかということです。10か年計画では、財政運営の考え方を明確にした上で、10年間の財政フレームの見込みを作成し、その中で各事業の実施を計画化しているところであります。区として活用しない土地については売却しますけれども、その売却収入は、今後必要となる施設の整備を行うため、特定目的基金へ積み立てを行うこととしておりまして、健全な財政を保ちながら、施設整備の財源確保を行っているものであります。

 原発の再稼働についてであります。原発の再稼働については、十分な検証や、それを踏まえた安全対策の再構築などが必要であると考えております。安全基準に照らした審査が行われ、安全と判断されることによって稼働するものであると、こう考えております。

 それから、教育政策の大もとになる大綱についてであります。教育について政治的中立性・継続性・安定性の確保は肝要であると認識しております。今回の法改正は、それらを確保しつつ、地方教育行政における責任の明確化、首長との連携の強化等を図るものであると、こう認識しております。

 それから、集団的自衛権の行使容認についてであります。この議論については、アメリカの戦争のために行っている議論だといったような主張があったようですが、私は違うと思います。我が国の防衛にかかわる集団的自衛権のあり方について議論することは大変重要なことだと、これまでも言ってまいりました。政府の中で一定の見解がまとまりつつあるということについては歓迎したいと、このように考えております。さらに、これからも国政の場で議論が続けられるということでもありますので、今後の動向にも注目していきたい、こう考えております。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 就学援助についてお答えいたします。

 今年度、実際に生活保護基準引き下げの影響が生じたのは145人でした。就学援助の認定については、当該年度の生活保護基準に連動して就学援助基準を定めており、今年度の認定に当たっては、経過措置を含めた生活保護基準の見直しがあったため、それに沿って対応したものでございます。就学援助の認定に当たって、生活保護基準を根拠とする考え方に変わりはございませんが、他区での状況等を踏まえ、区として必要な手だてを講じることを検討したいと考えております。

 次に、消費税増税に伴う支給費目単価の増額についてです。実績払いとなっている要保護世帯の支給費目単価は消費税増税分を増額していますけれども、準要保護世帯の支給金額はそれより高いため、増額を行う考えはございません。

〔子ども教育部長髙橋信一登壇〕

○子ども教育部長(髙橋信一) 私からは、子ども・子育て支援新制度についてお答えいたします。

 初めに、保育料や保育料以外の利用者負担についてでございます。保育料につきましては、昨年度、負担の公平化の考え方により見直しを行い、今年度から保育料を改定したところでございます。子ども・子育て支援新制度におきましては、国から公定価格が示されていますが、子ども・子育て会議の中で、利用者が負担すべき適切な額について引き続き検討を進めていきたいと考えてございます。

 保育料の減免についてでございますが、現在、2人以上の児童が保育園に入園している場合に、減額や免除の対応を行ってございます。国は新制度においても同様の考え方を示しており、適切に実施していきたいと考えます。

 また、日用品等の保育料以外の利用者負担に関してでございますが、これまで認可の権限がある東京都の指導もあり、認可施設では負担を求めてこなかったものでございます。今後、新制度におけます東京都の動向を踏まえて検討していきたいと考えます。

 次に、保育所の職員の配置についてでございます。職員の配置に関しては、これまでも特別な支援が必要な児童への対応など、保育状況を踏まえて行ってきているところでございます。今後も適切な配置に努めていきたいと考えます。

 次に、保育施設の整備についてでございます。区はこれまで認可保育所に限らず、さまざまな保育ニーズに対応するため、賃貸物件を活用した認可保育所の開設やグループ型家庭保育事業など、さまざまな対応を講じているところでございます。今後もこうした対策を継続し、さらに新たな保育施設等を誘致するに当たっては、開設する地域の指定のあり方や開設時期など、条件について柔軟に対応し、待機児解消に努めてまいります。

 次に、子ども・子育て新制度における学童クラブの基準についてでございます。子ども・子育て支援新制度において、職員や施設・設備について国が新たに基準を設け、地域の実情に応じて対応を図っていくことは承知してございます。区が現在実施してきてございます学童クラブ事業は、ほぼ国の基準と同様でございます。今後この基準の詳細な点について検討を進め、適切な事業計画を策定していきたいと考えます。

 最後に、厚生労働省の示すモデルについてでございます。国が示してございます一体型放課後児童クラブ・放課後子供教室のイメージは、現在、区が進めてございます学童クラブとキッズ・プラザの両方の機能を一体的に運営していくものでございます。さらに、子ども・子育て新制度の中についても、全ての児童に安全・安心な居場所の確保、多様な体験や活動の機会の拡充、一体型放課後児童クラブ・放課後子供教室と学校との密接な連携といった考え方が区と同様でございます。したがいまして、今後ともキッズ・プラザ事業については積極的に推進していく考えでございます。

 あと、子ども・子育て支援新制度の実施時期についてでございます。現在、区は子ども・子育て支援法により、来年4月から本格実施が予定されている子ども・子育て支援新制度に向け、子ども・子育て会議を設置して議論を行うなど、準備を進めているところでございます。区として国に実施時期の見直しを求める考えはございません。

 以上でございます。

〔健康福祉部長野村建樹登壇〕

○健康福祉部長(野村建樹) 私からは生活保護法の改正等の御質問、それから、認知症対策についてお答えいたします。

 まず、改正生活保護法の施行と省令についてでございますが、今回の厚生労働省省令に関しましては、国会審議の趣旨にのっとって改正されたものと承知してございます。なお、例示されました扶養照会につきましては、法改正前から実施しているところでございますが、今回の改正では、扶養義務者から費用徴収を行うことの蓋然性が高いと判断されるような場合などに限定して実施されるものとされております。改正の趣旨を職員に十分に周知徹底してまいりたいというふうに思ってございます。

 続きまして、高校生のアルバイト収入の取り扱いでございます。高等学校在学者のアルバイト収入の認定除外の取り扱いについては、現に就労している世帯への周知のほか、その他、高校在学者のいる世帯、それから、新規の申請世帯へも十分に周知をしてまいりたいというふうに思ってございます。

 それから、生活保護世帯における各種学校や大学への進学支援ということでの御質問でございました。生活保護を受給されている世帯の子どもが就労に資する資格を習得することや、大学等へ就学することにつきましては、その世帯の自立助長に有効と考えられる場合がございます。今回の実施要領の改正を踏まえまして、適切に支援してまいりたいというふうに思ってございます。

 最後に、要支援者の認知症対策ということでの御質問です。認知症の高齢者の早期発見・対応は極めて重要な課題というふうに認識してございます。介護保険制度の改正によりましても、要支援の方々に対する対応につきましては、現行と同様、地域包括支援センターがケアマネジメントを行い、個々の状態に応じたプランを作成し、総合的なサービス提供を行うものでございます。区では、早期発見・対応の取り組みを含め、認知症対策全般の強化について検討しているところでございます。

〔区民サービス管理部長白土純登壇〕

○区民サービス管理部長(白土純) 私からは介護保険の新しい総合事業のうち、サービスの給付水準等についての御質問にお答えいたします。

 要支援者の訪問介護・通所介護サービスは、区市町村が実施する地域支援事業の中で新しい総合事業として実施することになりますが、その事業内容や実施方法、利用料や事業所の基準等につきましては、近々、国からガイドラインが示されると聞いております。このガイドラインを踏まえて、事業の実施方法、利用料などを定めるに当たっては、高齢者の方が住みなれた地域で安心して住み続けるために必要なサービスが受けられるよう留意してまいりたいと考えております。

〔地域支えあい推進室長瀬田敏幸登壇〕

○地域支えあい推進室長(瀬田敏幸) 私からは地域包括ケアに関連いたしまして、地域包括支援センターについての御質問にお答えいたします。

 地域包括支援センターは、広くすこやか福祉センター機能の一部として位置付けており、現在、社会福祉法人に委託し運営しているところでございます。このため、区直営の地域包括支援センターを設置することは考えておりません。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 高齢者の住まいの施策についての御質問にお答えいたします。

 まず、サービス付き高齢者住宅の誘導についてでございます。サービス付き高齢者住宅は、区としても高齢者向け住宅の供給に向けた有益な仕組みの一つと認識しております。サービス付き住宅の建設促進のために、区の同意に基づいて東京都が建設費等の一部を補助する制度があり、昨年、中野区でも同意基準を設け、制度のPR等を行っているところでございます。

 次に、高齢者向けの住宅対策の考え、方針についてでございます。平成21年度策定の第3次中野区住宅マスタープランにおいては、高齢者の居住の安定に向け、民間賃貸住宅等のストックの質を向上させ、保健福祉部門と連携を図りながら、入居時の支援を強化することなどにより、高齢者が安心して暮らせる環境を整備する旨の方針を示しております。この方針に沿って、区では高齢者等を対象とした住みかえ住宅の情報提供、保証人確保に係る助成等を実施しているところでございます。

 続いて、居住支援協議会の設置についての御質問がございました。区では現在、不動産業の団体と協定を結び、双方で連携しながら、高齢者への住宅情報の提供などの事業を実施しており、直ちに居住支援協議会を設置する必要はないものと認識しております。また、居住支援協議会の設置の実績も少ないことから、事業実績等を見きわめ、今後、設立について判断したいと考えております。

〔都市政策推進室長長田久雄登壇〕

○都市政策推進室長(長田久雄) 西武新宿線連続立体交差事業についてお答えいたします。

 このたびの区の構造形式の調査は技術的な可能性の検証であり、調査により4通りの構造形式が可能であることが検証できたものでございます。踏切除却や地上部の空間活用の観点から、地下化が最適として進めてまいりましたが、今回の調査では四つの方式で区が求めている全ての踏切除却が可能になるほか、各方式でさまざまなメリット・デメリットがあることがわかっております。区としては、そうした状況を総合的に勘案しながら、早期に効果が上げられるような事業の実現を東京都に働きかけていきたいと考えているところでございます。切れ目なく連続立体事業を推進していくため、現事業認可区間に引き続いて、野方以西について早急に事業化が図られるよう強く働きかけをしてまいります。

○議長(伊東しんじ) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 酒 井 たくや

 1 区長の施政方針説明について

 2 中野区における公共空間整備のあり方について

 3 子どもを取りまく環境について

  (1)子どものネット依存について

  (2)子どもをインターネットの危険から守ることについて

  (3)いじめ防止条例について

 4 その他

 

○議長(伊東しんじ) 次に、酒井たくや議員。

〔酒井たくや議員登壇〕

○27番(酒井たくや) 平成26年第2回定例会におきまして、民主党議員団の立場から一般質問をいたします。

 1点目は、区長の施政方針説明について、2点目は、中野区における公共空間整備のあり方について、3点目は、子どもたちを取りまく環境についてお尋ねします。

 1点目、区長の施政方針説明についてでありますが、任期満了に伴う、さきの中野区長選挙におきまして、区長は4選目の当選を果たされました。投票率は前回より0.79ポイント低い29.49%でありました。有権者の7割が棄権していることは憂うべき事態であり、首長単独選挙であるからと片づけられる状況ではありません。この件に関しては選挙管理委員会だけの問題ではなく、我々議会が、行政が一緒になって投票率向上に向けた取り組みをしていかなければなりません。

 さて、今回の選挙戦は低投票率であったことや、新人候補2名の獲得票数などありますが、どのような状況であれ、選挙により区民が出したこの結果を重く受けとめなければならないと我々は考えております。

 一方、有権者総数に占める得票数の比率をあらわす絶対得票率は、田中区長は11.8%でありました。この数字をしっかりと念頭に置き、区政運営を行っていただきたいとも考えております。

 区長は施政方針説明でも、今回の区長選挙は自治基本条例の「3期を超えて在任しないよう努めるものとする」努力規定の削除が話題になり、自らが提案した規定を、自ら削除を求めたことにもいろいろと意見があったとも触れられております。それももちろんあるかもしれませんが、しかし、多選自身に対する区民の思いもあったのではないでしょうか。

 区長は、多選により必ず行政が停滞する、腐敗の温床となる事例は、全国の事例を見ても正しいことではないと述べられております。このような考えもあると思います。他方、新宿区では、現職中山区長が、新しい風を吹き込むと3期12年で御勇退される意思を示されました。このような考え方もあります。多選に対する弊害もしくはそのようなイメージを少なからず持っている方は多いはずで、これを31万区民のリーダーである区長が今後払拭していくことも求められます。今回の選挙結果への見解、そして、るる申し述べた点についてはどのような姿勢で臨んでいくのか、お考えをお聞かせください。

 第1回定例会において自治基本条例の7条、区長の役割の2項、3項、多選自粛部分が削除されたことにより、活力ある区政運営のための条文が抜け落ちているのが現状です。こちらに関してはどのように取り組まれるのか。また、自治基本条例の第14条、区民参加の手続に関してお聞きしますが、条例には意見交換会、パブリック・コメントの手続を経るものとして、次に掲げる事項に関する条例の制定若しくは廃止又は当該事項に係る改正の案の策定、ア、区政運営に関する基本的な方針を定めることを内容とするもの、イ、広く区民に義務を課し、又は権利を制限するものとありますが、第1回定例会の7条の2項、3項の削除に関しては、区政運営の基本方針を定めるものではないという考えから、パブリック・コメント、意見交換会は行われませんでした。これに関して、パブリック・コメント、意見交換会の手続が必要ではないかという声も幾つかありました。

 自治基本条例前文には、「中野区における自治の基本を定めるものとして、ここに中野区自治基本条例を制定します」とあり、自治基本条例の全てが区政運営に関する基本的な方針にかかわるのではないでしょうか。区民参加の手続であるパブリック・コメント、意見交換会を必要とする基準をより明確化すべきであると考えますが、いかがでしょうか。お聞かせください。

 次に、持続可能な中野区政実現のための方策について。

 区長は、人口増加時代に建設された旧施設や道路・橋梁等のインフラ資産について、維持更新する必要に迫られており、将来負担を的確に把握し、効率的・効果的な対策を計画的に進めていく必要があると考えておりますと述べられております。

 地方公共団体において、過去に建設された公共施設等がこれから大量に更新時期を迎えます。財政は厳しい状況が続き、また人口減少・少子化等により、今後の公共施設等の利用需要が大きく変化していくことが見込まれるところでもあります。このような状況に鑑み、公共施設等の全体を把握し、長期的視点を持って更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うことにより、財政負担を軽減・平準化するとともに、その最適な配置を実現し、時代に即したまちづくりを行っていく必要があると考えます。国からも公共施設の総合的かつ計画的管理を推進するための公共施設総合管理計画、公共施設マネジメントとでもいうのでしょうか、この策定の要請がされております。

 総論で区全域で必要な施設のあり方を示さなければ、各論の個別の施設の改廃への理解は得られず、早期に公共施設マネジメントを作成し、将来負担を示し、区民と共有すべきであります。公共施設マネジメント策定のお考え、今後の進め方と改定される10か年計画との兼ね合いをお聞かせください。

 次に、子どもたちの声がこだまするまちをつくる、についてお尋ねします。

 ここでは、保育行政について1点お尋ねします。

 人口減少時代において、自治体間競争の時代も間もなく迫り来る中、選ばれる自治体として「子育て支援」の充実も大きな一つのポイントであります。区長も施政方針で、保育の待機をなくしていくと述べられております。今年度4月1日時点の新定義の待機児童数は昨年を94名上回り、241名という状況であります。区といたしましても、待機児童の解消に取り組まれていることは承知しておりますし、評価もしております。しかし、景気の上向きによる出産後に働く女性の増加と、定員増による潜在的な保育ニーズの掘り起こしも手伝い、なかなか解消されないのが現状であります。

 新宿区は、保育所の待機児童の緊急対策費として4億3,950万円などを盛り込んだ補正予算案を6月定例会に提出し、約376名の定員増を図られます。また、前年比175名増の613名の待機児童となった大田区は、緊急プランを策定し、待機児童数の約9割を占めるゼロ歳から2歳児を対象に区定期利用保育室を2カ所開設するなど、今年度中に620名の定員拡大を図るそうです。他区でもさまざま御苦労しながら、機を見てダイナミックな取り組みを行っております。

 また、この待機児童の解消とあわせて、深刻な保育士不足の解消も取り組んでいかなければなりません。子ども・子育て支援新制度では、今後、市区町村認可型の地域型保育を展開していく流れであり、それにより一層の保育士不足の問題が生じると考えます。厚生労働省の調べによると、平成29年には需要に対して保育士不足が7万人を超えるそうでもあります。保育士はほかの仕事と比べ待遇面が悪いと言われ、離職者が増加している状況です。離職者である潜在保育士は全国で68万人とも言われており、この離職者の活用も大きなポイントになっております。

 東京都では2万2,000人の保育士不足が生じると言われている中、本年3月に保育士実態調査を行いました。これをもとに今後は市区町村と連携し、保育士の安定確保と育成と職場定着を行っていくそうです。区としても、都とこれまで以上の連携が求められます。待機児童の問題、保育士不足の解消、あわせて取り組んでいく必要があります。区の見解をお聞きし、この項の質問を終わります。

 次に、中野区における公共空間の整備のあり方についてお尋ねします。

 公共空間整備の考え方として、税を投入して行われる公共空間の整備については、必然的に「最小の費用で最大の効果」を上げることが求められます。

 そこで、神田川四季の道を例に出し、区としての姿勢をお尋ねします。

 神田川四季の道は神田川沿いの遊歩道で、植栽がなされ、川沿いの開放感と、4月になれば桜が大変に美しく地元の皆さんに愛されている遊歩道であります。先日、この神田川四季の道に車椅子で入れない場所があると相談がありました。現地に行ってみると、道路から神田川四季の道に入る部分に、車椅子では通り抜けることが難しそうな車止めの柵が設置されていました。これは神田川四季の道をオートバイが通行することができないよう設置したものであります。人や車椅子は通行できるが、オートバイは入ることができない構造になっているとのことです。

 実際には車椅子が入れなかったと相談をいただいているので、担当さんに確認したところ、「幅の最低基準は90センチメートルで、幅の基準はクリアしているので問題はない」とのことでした。そこで、基準を確認してみると、このように書いておりました。「幅は120センチメートル以上とすること。ただし、地形の状況その他特別の理由によりやむを得ない場合は90センチ以上とすることができる」とあります。つまり、本来の幅は120センチメートル以上必要だったわけですが、神田川四季の道の柵については、「特別な理由」により、本来の幅よりも30センチも狭い90センチメートルとしておりました。

 そこでお聞きしますが、この場で本来必要とされる幅より30センチ狭いものでよいとした「特別な理由」とは何なのでしょうか。お聞かせください。

 「東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアル」では、ユニバーサルデザインを生かした公共空間や公共施設を整備するために必要となる五つの視点が示されています。それは公共・簡易・安全・機能・快適です。さらに、「こうしたユニバーサルデザインの考え方に立って整備していくためには、施設の設計者や管理者は利用者の意見を聞き、そのニーズを踏まえ、可能な限り全ての人に使いやすい施設とすることが重要です」と述べられています。

 また、道路の整備の基本的な考え方として「全ての人に安全で使いやすい歩行空間としての道路の機能を提供することが道路に課せられた重要な課題である」としており、「高齢者や障害者を含む全ての人の歩行、車椅子などによる移動を基本的な交通手段として位置付け、安全性・快適性を確保できるように道路の整備に努める」とあります。

 つまり、このマニュアルで述べていることは、基本的な考え方として、示された最低の条件の数値をクリアするように施設を整備するということではなく、まずは、どのように整備すれば全ての人に安全で快適な公共空間を提供できるかという検討の必要性及び重要性であると思います。「特別な理由」がたとえ正当なものであっても、現に「車椅子で入れなかった」お困りの方がいらっしゃいました。区としてどのような対応をするのでしょうか。お聞かせください。

 今申し上げた事例はささいなことかもしれませんが、区の公共空間の整備に対する姿勢をあらわしていると言えるのではないでしょうか。ただし書きの最低基準さえ守っていればそれで良い、ではユニバーサルデザインの考え方に立った空間整備には及びません。

 このことに限らず、区政全体が最低基準のみを目指すものになっていないか、心配であります。公共空間の整備は「最小の費用で最大の効果を上げる」ことが必要であり、「最小の費用」だけでは認められません。「最大の効果」がなければ意味がありません。条例には、さまざま「ただし書き」部分があり、これはあくまでやむを得ない場合であります。さまざま施策を展開される際、最初からただし書きに甘えることがないよう、見解をお聞きし、この項の質問を終わります。

 次に、子どもたちを取りまく環境についてお尋ねします。

 1点目に、子どものネット依存について。

 携帯電話やスマートフォンなど、携帯型端末は子どもたちの必須アイテムの一つであり、それに伴い、今、子どもたちのインターネット利用率は急激に高まっています。総務省情報通信白書、インターネット利用状況によると、平成24年末のネット利用率は13歳から19歳で約97%、6歳から12歳の小学生でも約69%に上ります。パソコン、携帯電話、スマートフォンにより、いつでも、どこでもネットを利用することができる環境があります。この「便利なツール」であるはずのネットに振り回され、精神や体調にトラブルを起こしてしまう「ネット依存症」になる人も増えています。ネット依存症とは、常にインターネットで過ごしていたい、無意識のうちにインターネットに接続している、何をするでもなくインターネットをしている状態のことであります。日常生活や社会生活に、これにより障害が起きる。友達とうまくつき合えない、学校に行かなくなるなどのコミュニケーション能力の低下、社会とのかかわり方について自分でコントロールできなくなったりするそうです。

 主には高校生や大学生などに多く見られるそうですが、その低年齢化も急速に進んでいます。「インターネット依存」の中・高生は、全国で推計51万8,000人に上るとも言われております。日本ではまだネット依存症への取り組みはあまり進んでおりませんが、お隣の韓国などでは先進的に取り組まれております。現代病とも言えるネット依存から中野の子どもたちを守り、健全育成を進めなければなりません。まず、区としてこの問題に関してどのようにお考えか、お聞きします。

 現在、学校現場では情報モラル教育を推進しておりますが、こちらにネット依存に対する取り組みも考えていくべきではないでしょうか。見解をお聞きします。

 次に、子どもをインターネットの危険、犯罪から守ることについてお尋ねします。

 先ほども申し上げましたが、子どもたちのインターネット利用状況は非常に高く、便利で楽しい道具である反面、子どもたちが被害者として、加害者としてネット犯罪に巻き込まれる事例も増加しております。

 東京都教育委員会が行ったインターネット・携帯電話の利用に関する実態調査では、携帯電話を持っている中学生のうち5人に1人が、小学生では11人に1人がインターネット、携帯電話を利用してトラブルに遭ったことがあるそうです。内容はさまざまで、暴力的なもの、性的なもの、誹謗中傷など好ましくない内容を見てしまう、個人情報を提供してしまい悪用される、不要なものを購入させられる、知らない人と実際に会う約束をして危険な目に遭う、電子メールや掲示板を通じて嫌がらせを受けるなどがあり、時には命にかかわることもあります。

 インターネット上の有害なサイトへのアクセスを制限する「フィルタリング」や、親子での約束事の徹底が必要なのは言うまでもありませんが、「フィルタリング」などは進んでいないのが現状だそうです。保護者への啓発が必要ですが、学校現場で全て教職員が対応するのも難しい状況で、専門家の指導も必要かと考えます。

 現在、セーフティ教室においてネット犯罪についての指導も行っておりますが、例えば、東京都のネット・ケータイ安全講座「ファミリeルール」や「出前講演会」もあり、これらを積極的に活用し、子どもたちをインターネットの危険から守る取り組みを強化すべきであると考えますが、いかがでしょうか。お聞かせください。

 次に、いじめ防止条例についてお尋ねします。

 第183回国会においていじめ防止対策推進法が成立し、平成25年6月28日に公布されました。この法律は、いじめの防止のための対策を総合的かつ効果的に推進するため、基本理念を定め、国及び地方公共団体等の責務を明らかにしているものです。これを受け、先の都議会第2回定例会でも「いじめ防止対策推進条例」が成立しました。都としては、区市町村のいじめ防止対策推進条例制定への支援を示しております。

 また、板橋区ではいち早く23区初の「いじめ防止条例」が成立しました。板橋区では、大津市の男子中学生がいじめを苦に自殺した事件が12年に発覚したことを受け、区教育委員会が独自に条例制定の調査をしていたそうで、国と都の動きを見ながら、制度面での整合性を図り実現に至ったそうです。豊島区や北区でも条例提案に向けた検討を進めております。

 中野区としては、これまでもさまざま、いじめ防止に関する取り組みは行ってきたのは理解しております。先の子ども文教委員会でも、いじめ対応冊子「いじめ防止に向けて(改訂版)」の発行にあわせて、中野区いじめ防止基本方針の報告がされましたが、国や東京都の動向を受け、中野区においても、条例制定による区としての姿勢を示すこともできるのではないでしょうか。また、啓発の効果などもあると考えます。大切なことは、条例、基本方針にかかわらず、中野区ではいじめを絶対に許さず、かつ起こさせないという姿勢と、実効性ある取り組みであると考えます。

 現在の中野区としての考え方についてお聞きし、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

〇区長(田中大輔) 酒井議員の御質問にお答えいたします。

 施政方針説明に関連して、選挙の結果についての御質問がありました。今回の選挙に当たりましては、12年間の成果を踏まえて、区政の継続を必要とするか否かという判断を区民の皆さんに仰ぐということで臨んだところであります。結果として、区民の判断は区政の継続・発展を選んだということでありまして、このことについては自信を持って区政に責任を果たしていきたい、このように考えております。

 御質問の中でありました多選の弊害というようなことが仮にあるとして、そうした事象が区政で生起することのないよう、誠実・着実・謙虚な姿勢をもって臨んでいきたい、このように考えております。

 それから、活力ある区政運営について。活力のある区政運営ということが自治基本条例の中から抜け落ちてしまったと、こういう御質問でありました。活力のある区政運営が7条の2項、3項だけで担保されていたというふうには考えておりません。区政運営に当たって、就任以来、目標と成果による管理を徹底して行ってきたところであります。活力ある区政を実現し、区民の信頼を得る上でも目標を明確にし、その実現に向かって積極的に政策を立案し、着実に実行していきたい、こう考えております。

 それから、パブリック・コメントの基準についてであります。自治基本条例第14条では、区の基本構想や基本計画の策定・改廃のほか、区政運営に関する基本的な方針や、広く区民に義務を課し、または権利を制限する条例の制定・廃止や、当該事項に係る改正案について、パブリック・コメント手続を実施することを明示しているところであります。この条例の適正な運用を行っていきたい、このように思っております。

 それから、公共施設の総合管理計画についてであります。国の要請は、公共施設の全体の状況を把握し、長期的視点を持って更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うことを目的に、総合管理計画の策定に取り組まれたいとするものであります。持続可能な区政運営を行っていくという上で、この総合管理計画の策定は大変重要なものだというふうに私も認識しております。管理をする、その一つの持続可能な区政運営のための管理という側面もありますし、区民サービスの、時代に合わせてより一層拡充していくといったような観点もあると、このように考えております。そうした視点から総合管理計画の策定に取り組んでいきたい、このように考えております。新しい中野をつくる10か年計画の改定との関係については、両者の整合性をとりながら策定を進めていきたい、このように考えております。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 子どもを取りまく環境について。初めに、子どものネット依存及び子どもをインターネットの危険から守ることについてお答えいたします。

 教育委員会では今年度、児童・生徒のネット等の利用状況の調査を行い、その実態の把握に努めているところでございまして、各学校におきましては、長時間にわたるインターネットや携帯電話、スマートフォンの使用について適切に指導していくことが重要であると考えてございます。加えて、御質問にもありました東京都のファミリeルールやe-ネットキャラバン、その他、通信会社等が行う情報安全教室等を積極的に活用し、保護者にもインターネット社会に潜む危険性について十分に理解してもらうことで、家庭でも適切な対応を図るよう啓発を図っていきたいというふうに考えてございます。

 続いて、いじめ防止条例についての御質問です。昨年成立した「いじめ防止対策推進法」を受け、中野区いじめ防止基本方針に、いじめアンケート調査とその追跡調査、いじめ等対策会議の設置、各学校におけるいじめ対応組織の設置などを位置付け、取り組みを進めてきたところでございます。さらには、教員向けのいじめ防止研修についても実施したところです。今後もこの方針に基づいた取り組みを進め、重大事態にもより迅速に対応していきたいというふうに考えてございます。

〔子ども教育部長髙橋信一登壇〕

○子ども教育部長(髙橋信一) 私からは、区長の施政方針説明のうちの保育所待機児と保育士不足の解消についてお答えいたします。

 平成25年度には保育需要に迅速に対応するため、補正予算による賃貸物件型認可保育所の新規誘致を行ったところでございます。今後も待機児童につきましては、さまざまな手法により解消を図ってまいりたいと考えます。

 また、保育士の確保についてでございますが、9月に区と私立保育園、認証保育所と合同の就職合同説明会を実施するほか、10月に東京都福祉人材センター主催の保育士就職支援研修・就職相談会を、また、11月にハローワーク新宿と中野区、杉並区が共催して合同保育士面接会などを実施して、保育士の採用を支援していく予定でございます。保育士の処遇改善につきましては、国や東京都も昨年度、保育士処遇改善事業を行うなど、保育士確保に努めているところでございます。今年度も実施予定と聞いており、国や東京都の内容を踏まえまして、保育士の処遇の改善を進めていきたいと考えてございます。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 中野区における公共空間整備のあり方についての御質問にお答えいたします。

 早稲田通りから神田川四季の道への入り口にある車止めの問題についてでございます。まず、車止めの有効幅の設定理由についてでございますけども、神田川四季の道は、歩行者、自転車専用の区道として管理しております。入り口部分の車止めにつきましては、主としてバイクの進入を防ぐことを想定して設置したものであり、その目的と円滑な通行のバランスを考え、出入り口の有効幅を90センチとしたものでございます。

 次に、車椅子利用者への対応でございますが、御指摘のあった箇所の車止めにつきましては、標準的な車椅子、座面幅40センチ程度による実施検分を行い、乗り入れ可能であることを確認しているところです。しかし、一方で電動の大型車椅子の普及などの環境変化も認識しているところであり、車止めの設置の仕方や出入り口の有効幅の設定などにつきましては、今後検討してまいりたいと考えております。

 次に、公共空間整備のあり方についての御質問でございます。区では今年度、全ての人が安心して移動できる歩行空間のバリアフリー化を推進することを目的として、平成17年に策定した中野区交通バリアフリー整備構想の改定を行う予定でございます。改定に当たりましては、高齢者、障害者団体へのヒアリング、まち歩きを実施し、関係者の意見をお聞きしながら進めていく予定でございます。改定後は、構想の具体的な取り組みを進めるとともに、関係団体との緊密な連携により、全ての人が安心して移動できる歩行空間確保への取り組みを進める、そのように考えているところでございます。

○議長(伊東しんじ) 以上で酒井たくや議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 石 川 直 行

 1 区長の所信表明について

 2 中野区資産活用福祉資金貸付制度について

 3 その他

 

○議長(伊東しんじ) 次に、石川直行議員。

〔石川直行議員登壇〕

○9番(石川直行) 平成26年第2回定例会に当たり、みんなの党の立場から一般質問をさせていただきます。

 まずは、6月8日に行われました中野区長選挙にて御当選され、おめでとうございます。今回の選挙は、区長も施政方針説明で述べているように、多選についての是非を問う選挙になった側面もあると考えますが、6月15日より新たにスタートした新しい4年間の着実な前進を図り、12年間の成果と合わせ、区民にとって最善な選択であったことを証明できるよう、全身全霊を傾け仕事に邁進していただけることを希望するとともに、みんなの党としても議論を尽くした上で支えていく所存でありますので、よろしくお願いいたします。

 さて、施政方針説明で区長は、基礎的自治体が自ら財源を生み出す地域経済の活性化を進めるためには、「全員参加型社会の実現」が必要であると訴えております。また、自治体はそれぞれの立場で財源を確保し、権限と責任を持ち、自己決定・自己責任で新たな日本社会の活力をつくり出していくと強調されております。

 しかしながら、地方自治体や行政が財源をもって進めていくには限界があり、民間活力・地域活力を生かしていかなくてはなりません。区長のお言葉を借りるならば、それぞれの地域や民間団体等が権限と責任を持ち、自己決定・自己責任でまちづくりを進めていけるよう、区が進めるべき目標に対し、区民に対する助成のメニューを増やすなど動機づけとなる支援を行い、さまざまな行動を導き出していかなければならないと考えますが、いかがでしょうか。また区民が、区にはない自由な発想で自立的な事業を行おうとする際、例えば行政手続の手助けやアドバイスなど、できるだけ実現できるよう支援する必要があると考えますが、中野区としての御所見をお伺いいたします。

 また、中野区基本構想と新しい中野をつくる10か年計画は制定から10年を迎え、区を取り巻く環境の変化を踏まえて、基本構想、10か年計画の改定に着手するとしています。現在の10か年計画(2次)の改定時にも、「区を取り巻く社会経済状況の変化」を踏まえ改定したものであり、この2次を着実に推進してまいりたいと冒頭で述べられております。

 そこでお伺いいたしますが、現在の10か年計画の中で未達成、あるいはできなかった目標に対しては、なぜできなかったのかの検証を十分にする必要があると考えます。並列的な目標・施策であれば、各分野での目標と成果について、合意形成の見通しが甘かったのか、財源の問題なのか、先送りの結果なのかなど、しっかりとした自己評価をした上での改定を望みますが、いかがでしょうか。区長の御見解をお伺いいたします。

 次に、「中野区資産活用福祉資金貸付制度」についてお伺いいたします。

 この制度は、中野区資産活用福祉資金貸付条例に基づき運用され、高齢者や障害を持っておられる方が住み慣れた自宅で生活していくために、自身が所有している土地・建物を担保として生活費を貸し付ける制度となっております。少子・高齢化が進む中、独居高齢者や高齢者のみ世帯が増えていることは地域活動を通して実感しているところであり、また、そういった方々の多くは、土地・建物は所有しているが、年金のみの生活は苦しいといった声が多く聞かれます。

 そうした中、民間の信託銀行をはじめとする金融機関が行っているリバースモーゲージは、身近な信用金庫も取り扱いを始めたと承知しておりますが、信金支店長によれば、普及にはいまだ至っていないようです。理由として、対象者が高齢者であるため、この制度自体の存在を知らない、または制度自体の固有のリスクばかりが誇張されるとともに、日本人特有の土地・建物を家族に継承させたいとの思い入れも相まって、耳を傾けない方が非常に多いと感じております。

 そこでお伺いいたしますが、この「中野区資産活用福祉資金貸付制度」の過去5年間の利用状況はどうなっているのでしょうか。また、区報も含めて周知方法はどうなっているのでしょうか。お伺いいたします。

 2008年、国土交通省作成の資料を見ますと、東京圏内の持ち家率は、60歳以上で76%、50歳代70%、40歳代59%、30歳代37%となっております。高齢者のみ世帯の持ち家率を中野区として把握しているのでしょうか。お伺いいたします。

 厚生労働省の通知に基づき、東京都社会福祉協議会が実施し、中野区社会福祉協議会が窓口業務を担っている「要保護世帯向け不動産担保型生活資金貸付制度」は、自宅を所有する要保護世帯に対し、自宅を担保に生活資金の貸し付けを行うことにより、世帯の自立を支援し、生活保護制度の適正化を図ることを目的としています。中野社会福祉協議会に問い合わせたところ、現在この制度を利用しているのは6世帯であります。この制度はもともと要保護状態の高齢者を対象としているので、分母の数から、この程度の件数ということは理解いたしますし、要保護状態というのは、この制度を利用しなければ生活保護の受給が必要であると福祉事務所が認める場合であるので、利用者は限定的であります。

 また、同じく東京都社会福祉協議会が取り扱っている「不動産担保型生活資金」は、集合住宅の利用は不可となっているものの、条件としては中野区の制度より利用しやすいものとなっているようです。しかしながら、この「不動産担保型生活資金」の利用状況も現在6件と、伸び悩んでいると言わざるを得ません。

 そこでお伺いいたしますが、中野区の「中野区資産活用福祉資金貸付制度」と東京都社会福祉協議会の「不動産担保型生活資金」とを比較して、それぞれどういう特色を持っているのか、または、どちらかが全体的に包括しているのか、お答えください。また、二つの制度の利用状況などから、区の制度の足らざる部分は何なのか、PDCAを駆使して改善するべきと考えますが、いかがでしょうか。制度本来の高齢者及び障害者の生活の安定を図る目的を達成するためにも、運用方法と利用者とのミスマッチの部分を解消しなければ、このような利用状況が続くものと思われます。

 要保護世帯には至らず、先ほど申しましたように、年金のみの受給では少し窮屈な生活をしている世帯に対する、的を絞った対応が必要であると考えます。例えば、貸付金を生活費の補助として、月数万円からと表記し、長期に渡って利用でき、なおかつ家族に対して相応の相続があることを説明する。さらに周知方法を見直し、わかりやすいパンフレットを作成するなど、検討がなされるべきであると考えます。御見解をお伺いいたします。

 住み慣れた我が家にて地域の安寧を願いながら生活していける選択肢を与えることは、行政としての責任ではないでしょうか。

 また、付帯の効果として、高齢者による消費拡大における地域経済の活性化が見込まれます。例として、リバースモーゲージを利用しての持ち家のバリアフリーリフォームや耐震改修などが挙げられます。さらに、土地・建物を担保することから、近年問題となっている「空き家」をつくらない環境整備にも寄与するのではないでしょうか。

 過日、東京新聞朝刊1面に、空き家の強制撤去について掲載されておりました。空き家の背景として、少子・高齢化と核家族化。「親が亡くなっても子どもが実家を引き継がず、手入れもしない空き家は価値もなく、結果として放置される」と紹介されていました。

 本日午後5時のNHKニュースでも、特集として「空き家問題」が取り上げられるようです。

 平成22年、国土交通省の成長戦略及び安倍政権の新成長戦略~「元気な日本」復活のシナリオ~でのリバースモーゲージ関連では、リバースモーゲージの拡充・活用促進などによる高齢者の資産の有効活用を図り、2020年までに中古住宅流通市場やリフォーム市場の規模を倍増させるとともに、良質な住宅ストックの形成を図るとしています。なおかつ結果として、土地の流動化を促すことにより、長期的には木密地域や狭あい道路の解消にも一役を担うと考えますが、いかがでしょうか。

 中野区としての御見解をお伺いして、全ての質問を終了させていただきます。

〔区長田中大輔登壇〕

〇区長(田中大輔) 石川議員の御質問にお答えいたします。

 区民活動への動機づけとなる支援について。区の政策目標の中には、区民自らの公益活動などの取り組みによって、より効果的に達成されるものも数多くあると考えております。区の基本構想や10か年計画などで区政の目指す方向を明確にし、区民に担っていただくことによって、より効果が上がる目標については、区民による公益活動団体と十分連携を図りながら、着実に取り組んでいきたいと考えております。

 また、活動の実現への支援ということです。区民を主体とした公益団体の活動が広がり、活発化することによって、自治の仕組みが効果的に機能し、さまざまな担い手によって多様なサービスが展開するまちが実現できると考えております。この視点を持って団体が公益的な活動を行うに当たっては、さまざまな助成制度の紹介をはじめ、手続への支援や関係機関との調整にもしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

 10か年計画の検証についてであります。10か年計画は基本構想で描く10年後のまちの姿を実現するため、目標を掲げた上で達成状況を図る成果指標と目標値を設定するとともに、それを達成するための手段として、主な取り組みを明らかにしているところです。基本構想、10か年計画の改定作業の中では、これまでの成果と目標の達成状況、新たな成果指標の設定方法などについて評価・検証を行ってまいります。しっかりとした自己評価、そして、さまざまな皆様からの評価を経た上で改定を行ってまいります。

 それから、過去5年間の利用状況と周知方法についてであります。平成21年度から25年度においては5世帯の利用がありましたけれども、新規貸付世帯はありませんでした。制度の周知については、区のホームページ、「わたしの便利帳」、「障害者福祉のしおり」のほか、チラシを活用しているところであります。

 中野区の高齢者のみの世帯の持ち家率についてですが、65歳以上の単身世帯及び65歳以上のみの世帯の2人以上世帯の持ち家率は67%でありました。

 区と、それから東京都社協の制度の特色、違い等についてであります。両制度の相違点を挙げると、まず、不動産の評価額最低基準が区の5,000万円に対して、都社協の制度では1,500万円であります。しかし、御質問にもありましたが、社協のほうではマンションは除外とされています。対象者としては、高齢者は共通ですが、区制度では65歳以下の障害者にも対応しております。さらに社協の制度では、連帯借受人や推定相続人の同意を必要とするなど、それぞれに特徴があって、比較することはなかなか難しいということもあると思います。評価最低額を5,000万円とする区制度におきましても、貸し付けの長期化によって貸付限度額に達する事例が出ております。また、今後償還時に回収不能額が発生する恐れがあるなど、制度存続にかかわる課題もあって、やはり何らかの見直しは必要というふうには考えております。

 周知方法の見直しについてですが、高齢者や障害者の生活不安のための有効な施策でありますから、高齢者や障害者の生活相談に日常的に携わっているすこやか福祉センター等で積極的な制度周知に努めていきたいと考えております。

 それから、高齢者が住み慣れた家で生活できるといったことについてであります。高齢者が現在の住宅にそのまま住み続けたいという希望が多いのは認識しております。このため、年金収入のみで手持ち現金にゆとりがないという不安を解消するための手段として、リバースモーゲージの活用は有効ではないか、このように考えているところであります。今後、区として活用の可能性、制度の改善のあり方等について研究してまいりたいと考えております。

○議長(伊東しんじ) 以上で石川直行議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(伊東しんじ) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後4時21分延会