平成26年09月22日中野区議会決算特別委員会
平成26年09月22日中野区議会決算特別委員会の会議録
23.09.30 中野区議会決算特別委員会(第1日)

.平成26年(2014年)9月22日、中野区議会第一・第二委員会室において開会された。

.出席議員(41名)

  1番  若  林  しげお         2番  高  橋  かずちか

  3番  木  村  広  一        4番  甲  田  ゆり子

  5番  小  林  ぜんいち        6番  中  村  延  子

  7番  石  坂  わたる         8番  後  藤  英  之

  9番  石  川  直  行        10番  伊  東  しんじ

 11番  内  川  和  久       12番  ひぐち   和  正

 13番  白  井  ひでふみ       14番  平  山  英  明

 15番  南     かつひこ       16番  森     たかゆき

 17番  いながき  じゅん子       18番  林     まさみ

 19番  小宮山   たかし        20番  浦  野  さとみ

 21番  佐  野  れいじ         22番  北  原  ともあき

 23番  吉  原      宏       24番  いでい   良  輔

 25番  小  林  秀  明       26番  久  保  り  か

 27番  酒  井  たくや        28番  奥  田  けんじ

 29番  近  藤  さえ子        30番     欠  員

 31番  長  沢  和  彦       32番  大  内  しんご

 33番  伊  藤  正  信       34番  高  橋  ちあき

 35番  市  川  みのる        36番  篠     国  昭

 37番  やながわ  妙  子       38番  佐  伯  利  昭

 39番  むとう   有  子       40番  か  せ  次  郎

 41番  来  住  和  行       42番  岩  永  しほ子

.欠席議員

      な  し

.出席説明員

 中野区長    田中 大輔

 副区長     川崎 亨

 副区長     英 直彦

 教育長     田辺 裕子

 政策室長    髙橋 信一

 政策室副参事(企画担当)        海老沢 憲一

 政策室副参事(予算担当)        黒田 玲子

 政策室副参事(広報担当)        酒井 直人

 政策室副参事(業務改善担当)      中谷 博

 経営室長    竹内 沖司

 危機管理担当部長            小田原 弦

 経営室副参事(経営担当)        戸辺 眞

 経営室副参事(人事担当)        角 秀行

 経営室副参事(行政監理担当、債権管理担当) 田中 謙一

 都市政策推進室長長田 久雄

 都市政策推進室副参事(産業振興担当)  青山 敬一郎

 都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 滝瀬 裕之

 都市政策推進室副参事(中野駅周辺まちづくり担当) 松前 友香子

 都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 石井 大輔

 都市政策推進室副参事(中野駅周辺地区整備担当) 宇佐美 吉久 

 地域支えあい推進室長          瀬田 敏幸

 地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 朝井 めぐみ

 地域支えあい推進室副参事(区民活動センター調整担当)、

 中部すこやか福祉センター所長      横山 俊

 中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 松原 弘宜

 北部すこやか福祉センター所長      田中 政之

 北部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 吉沢 健一

 南部すこやか福祉センター副参事(地域支援担当) 宇田川 直子

 鷺宮すこやか福祉センター所長      小田 史子

 鷺宮すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 松本 麻子

 鷺宮すこやか福祉センター副参事(地域支援担当) 石崎 公一

 区民サービス管理部長          白土 純

 区民サービス管理部副参事(区民サービス担当、戸籍住民担当) 上村 晃一

 区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 小山 真実

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長  奈良 浩二

 子ども教育部副参事(子ども教育経営担当)、

 教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 辻本 将紀

 子ども教育部副参事(子育て支援担当)、子ども家庭支援センター所長、

 教育委員会事務局副参事(特別支援教育等連携担当) 永田 純一

 子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当)、幼児研究センター所長、

 教育委員会事務局副参事(就学前教育連携担当) 古川 康司

 子ども教育部副参事(幼児施策整備担当)、

 教育委員会事務局副参事(幼児施策調整担当) 濵口 求

 子ども教育部副参事(子ども教育施設担当)、

 教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 伊藤 正秀

 教育委員会事務局副参事(学校再編担当) 石濱 良行

 教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 伊東 知秀

 教育委員会事務局指導室長        川島 隆宏

 健康福祉部長  野村 建樹

 保健所長    寺西 新

 健康福祉部副参事(福祉推進担当)    藤井 康弘

 健康福祉部副参事(臨時福祉給付金担当) 小堺 充

 健康福祉部副参事(保健予防担当)    坂野 晶司

 健康福祉部副参事(健康・スポーツ担当) 石濱 照子

 健康福祉部副参事(障害福祉担当)    岩浅 英樹

 健康福祉部副参事(生活援護担当)    伊藤 政子

 健康福祉部副参事(生活保護担当)    鈴木 宣広

 環境部長    小谷松 弘市

 環境部副参事(地球温暖化対策担当)   鳥井 文哉

 環境部副参事(ごみゼロ推進担当)    高橋 均

 環境部清掃事務所長           杉本 兼太郎

 都市基盤部長  尾﨑 孝

 都市基盤部参事(都市計画担当)     豊川 士朗

 都市基盤部副参事(地域まちづくり担当、大和町まちづくり担当) 荒井 弘巳

 都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 高橋 昭彦

 都市基盤部副参事(都市基盤整備推進担当) 千田 真史

 都市基盤部副参事(建築担当)      小山内 秀樹

 都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 大木島 実

 都市基盤部副参事(生活安全担当、交通対策担当) 中井 豊

 会計室長    浅野 昭

 選挙管理委員会事務局長         吉村 恒治

 監査事務局長  古屋 勉

.本会の書記は下記のとおりである。

 事務局長     篠原 文彦

 事務局次長    堀越 恵美子

 議事調査担当係長 佐藤 肇

 書  記     関村 英希

 書  記     東 利司雄

 書  記     土屋 佳代子

 書  記     細川 道明

 書  記     江口 誠人

書  記     大野 貴子

 書  記     鈴木 均

 書  記     井田 裕之 

 書  記     田中 寛

書  記     遠藤 良太

 書  記     香月 俊介

 


前1000開議

○内川委員長 定足数に達しましたので、ただいまから決算特別委員会を開会します。

 認定第1号から認定第5号までの計5件を一括して議題に供します。

 前回、9月19日(金曜日)の理事会の報告を行います。

 初めに、本日の委員会運営についてです。本日の総括質疑は、1番目に佐伯利昭委員、2番目に石川直行委員、3番目に篠国昭委員、4番目に小林ぜんいち委員、5番目に来住和行委員、6番目に中村延子委員の順に、6名の質疑を行うことを確認しました。

 次に、資料要求について、お手元に配付の資料要求一覧(追加分)のとおり、新たに3件の資料要求について整理をしました。

 

平成26年(2014)9月22日

決算特別委員会

 

決算特別委員会資料要求一覧(追加分)

 

 

追加分 

◆厚生分科会関係

 48 地域支援事業の実績・決算額(室、部別)(前年度までの3年間) <公>

 

◆建設分科会関係

 29 中野四季の森公園における占用件数と主な利用内容(前年度・前々年度) <自>

 30 中野駅北口暫定広場における占用件数と主な利用内容(前年度・前々年度) <自>

 

○内川委員長 以上が理事会の報告ですが、質疑ありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○内川委員長 ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内川委員長 御異議ありませんので、さよう決定します。

 続いて、資料要求についてお諮りします。お手元の資料要求一覧(追加分)のとおり資料を要求することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内川委員長 御異議ありませんので、そのように決定します。資料は昼休みに配付します。

 ただいまから総括質疑を行いますが、答弁される理事者は答弁前に大きな声で職名を述べるようにお願いいたします。

 それでは、質疑に入ります。佐伯利昭委員、質疑をどうぞ。

○佐伯委員 おはようございます。金曜日に引き続きまして、総括質疑を行わせていただきたいと思います。

 防災問題についてお伺いします。

 ことしの夏、浜松で行われた自治体議員の勉強会に参加し、元東京都副知事の青山やすし氏、東京理科大学大学院国際火災科学研究科教授の関澤愛氏の講義を受けました。関澤氏は、消防庁の消防研究所に長くいた方なので、副参事は御存じかもしれませんが、この方から「8分消防」という言葉を聞きました。まずこの8分消防について教えてください。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) お答えいたします。119番通報を受けてから消防車両が現場に到着いたしまして、8分以内に放水開始できれば、住宅火災において近隣への延焼を阻止できるとされる消防体制のことでございます。

○佐伯委員 現状の消防署の配置でそれを目指しているという認識でいいわけですね。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 大都市圏にありましては、達成できているところもございますし、まだまだ達成できていないところもあるという認識でございます。

○佐伯委員 そして、このお二人の講師の方の話で共通だったのは、震災時の火災による危険、被害を取り上げられたことでした。例えば、今言われたような8分消防、こういった短時間で現場に到着できるような公的消防体制がとられているにしても、全ての現場に対応できないことは想定しなければいけないということですよね。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 現行の公的消防体制におきましても、首都直下地震の想定では複数の火災が発生いたしまして、延焼拡大することが想定されているところでございます。

○佐伯委員 平常時に同じ地域で同時に火災が多発することは、連続放火事件以外には極めてまれで、通常は1件の火災に対して多数の消防車が駆けつけ、圧倒的優勢の消防力により火災初期のうちに消火することが可能なわけですが、大規模地震などのときに、もし現有の消防車数を上回る火災件数が発生すると、当然全ての火災に対応できないため、一部の火災は否応なしに延焼してしまう。それが実際に阪神淡路大震災では起こりました。阪神淡路大震災では、地震発生の午前5時46分から午前7時までの間に、神戸市、西宮市、芦屋市で出動可能だった消防ポンプ隊40に対し、63件の火災が発生。もちろん全ての火災に消防ポンプ隊が対応することはできず、被害が拡大したわけです。

 こうした問題を踏まえ、青山氏は、自治体の防災計画見直しの中で、地震火災からの避難方法の周知・教育について必ずしも十分には使われていない。昔も今も大都市の密集市街地では、地震によって発生する火災による犠牲がかなりの割合を占める。確かに初期消火の徹底は大事だ。同時に、消し切れない以上、火災の犠牲にならない方法を啓発することも大切ではないかと指摘しています。指摘のとおり、これまで防災訓練で避難方法等について周知などはなかったと思いますけれども、いかがでしょうか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 区の総合防災訓練では、避難途中に何らかの障害があり、これに対応する訓練を取り入れて実施してございます。また、地域での訓練でも、より一層避難方法の周知等を図ってまいりたいと考えているところでございます。

○佐伯委員 ありがとうございます。東京大空襲では、広い道路を火災の烈風が襲って、燃え残った家屋に逃げ込んで助かったという証言もあります。また、マンションやビル内では、地震火災でなくふだんの火災でも、煙にまかれ犠牲になる人が多くいます。これらは一例ですが、今後発災時に地域ごとに火災発生情報を把握して、避難誘導するシミュレーションなども大切だと思います。また、デジタル映像などを駆使して火災からの避難のポイントについて啓発する。これまでのようなパターンの防災訓練ではなく、こうしたことも行政として投げかけていくことも必要だと思いますし、また、新たな取り組みの中で訓練参加者もふえるのではないでしょうか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 新たな訓練といたしましては、防災訓練ではスタンドパイプですとか、避難所の運営では避難所運営ゲーム、通常HUGと言われているようなものも取り入れて取り組んでいるところでございます。今後、消防署の協力を得ながら延焼シミュレーション等のデジタル映像を取り入れた、そういった訓練の取り組みを検討いたしまして、訓練参加者の増員を図ってまいりたい、そのように考えてございます。

○佐伯委員 ぜひよろしくお願いします。

 さて、関澤氏の話の中でもう一つ気になることがありました。現在地域の防災組織に可搬式の消防ポンプを配備しているのは、東京、静岡市、大阪市、神戸市で、その他はほとんど配備していないそうです。そうしたことから、地域防災組織が担うべき役割について、関澤氏が他の政令指定都市の調査を行ったところ、行政側が自主防災組織に期待している活動は、発災直後の応急対応よりも、それ以降の活動に重点が置かれていること。つまり多くの自治体では、発災直後は災害情報の収集と伝達や近隣住民の救出や救護、それに加えて簡易な消火活動を期待していて、主には一段落した後の避難所運営での活動を期待しているということです。中野区では、この可搬ポンプを各町会に配備しているわけですが、実際のところ、地域防災組織の活動として期待していることはどのようなことなのでしょうか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 近年の大震災では、隣近所の方々の共助の力によりまして被災直後の消火・救助が行われているところです。同時に、避難所の運営にも大きな力を発揮いたしましたのは、ふだんから地域で活動している方々の力だったと。区といたしましては、地域防災住民組織の方には、訓練等の事前対策から発災後の初期消火、避難誘導、その後の避難所運営等、あらゆる場面で力を発揮していただけることを期待しているところでございます。

○佐伯委員 実は昨日、私の町会でも防災訓練がありまして、防災分野の皆さんにもお手伝いいただき、ありがとうございました。その際、防災分野の方から、以前は「地震のときはまず火を消せ」でしたが、今は「身を守れ」ということになっていますという説明がありました。これは、わずか20年足らずの間に2度の巨大地震を経験したことからの教訓でしょう。実際町会の防災部としても、もちろん初期消火は大切なものですが、地域防災組織としての限界というものも常に念頭に置かなくてはいけないと思います。関澤氏も、都市大火のような猛威を振るう火災に対しては、風上側での延焼防止活動のほかにはあまり多くを期待すべきではなく、強風下など、場合によっては危険さえ伴うことを理解しておくことも重要であると述べています。火を消すことへのこだわりが逆に災いに転じないよう、こうしたことも周知していくことも大事だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 災害対応で最も重要なのは、自身の身を守るということでございます。献身的な対応が悲劇とならないように、初期消火活動から避難に移行する時期を含めた安全管理の重要性につきまして、消防署の協力を得てさらに徹底を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

○佐伯委員 どうもありがとうございました。

 最後に、その他としてスクールゾーンの交通規制についてお聞きする予定だったんですけども、これは若林委員もお触れになりましたけど、全く性格の違う質問だったんですけども、板橋区がこれまで学校ごとにまちまちだったスクールゾーンの交通規制時間帯を、区が主導してこの9月から実際の子どもたちの通学時間に合わせて統一したのですが、中野区でもこの時間帯の違うところがあります、という質問だったのですが、先週末に地域で新しい動きがありました。今回は当面地域の動きを見守ることとし、この質問は見送らせていただきます。答弁を御用意いただいた理事者の方にはおわびを申し上げます。

 これにて私の総括質疑は全て終わらせていただきます。ありがとうございました。

○内川委員長 以上で佐伯利昭委員の質疑を終了します。

 次に、石川直行委員、質疑をどうぞ。

○石川委員 第3回定例会決算特別委員会にて総括質疑をさせていただきます。

 質問は通告のとおりで、中野区資産活用福祉資金貸付制度について、2、区民活動センターの指定事業について、3、見守り対象者名簿の提供について、その他はございません。誠意ある御答弁とともに、答弁については責任を持って実行に移していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、中野区資産活用福祉資金貸付制度についてお伺いいたします。

 この具体的な質問に入る前に、一つ確認をさせてください。この制度は、中野区資産活用福祉資金貸付条例に基づき運用されていると理解しておりますが、改めて所管分野及び所管の委員会をお伺いいたします。

○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) お答えします。この中野区資産活用福祉資金貸付制度の所管分野は、健康福祉部生活援護分野でございまして、所管委員会は厚生委員会でございます。

○石川委員 それでは、この中野区資産活用福祉資金貸付制度について、他の委員会での報告、議論はされることはないという認識でよろしいでしょうか。

○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) そのとおりでございます。

○石川委員 この件については、最後にも改めて質問、提起をさせていただきます。

 それでは、質問に入らせていただきます。第2回定例会一般質問でも取り上げさせていただきましたが、この貸付制度は、高齢者や障害を持っておられる方が住みなれた自宅で生活していくために、自身が所有している土地・建物を担保として生活費を貸し付ける制度となっております。9月19日に配付された平成26年度版健康福祉事業概要の137ページによれば、過去5年間の利用状況は5世帯と低迷していますが、今年度の利用状況はどうなっているのでしょうか。また、利用状況についてどう捉えているのでしょうか。

○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) まず、今年度9月時点の利用状況でございますが、3世帯となってございます。この利用状況についての捉え方ということですけれども、決して多いとは言えないというふうに認識してございますが、評価は難しいというふうに考えております。

○石川委員 条例を制定し、区の政策として取り組んでいる割には、広く利用されているとは言えません。周知方法をお聞かせください。

○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 周知につきましては、中野区ホームページ、「わたしの便利帳」、「障害者福祉のしおり」、また、区報等で周知しております。

○石川委員 チラシの活用や、すこやか福祉センターを通じての周知徹底も必要と思われますが、一方で伸び悩んでいるのは、日本人特有の土地・建物を家族に継承させたいとの思いがあると思われます。また、対象者が高齢者であるため、この制度自体の存在を知らない、または、制度自体の固有のリスクばかりが誇張されているのではないかと考えますが、区としてどのように捉え、対策を考えておられますか。

○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 利用が伸びていないという状況に関しましては、御質疑にございましたように相続の問題を含めまして、社会経済環境の変化など、さまざまな要因によるものと推測しておりますが、調査・分析などが十分にできていないため、詳細には把握できていない状況でございます。そのため現時点では、本制度の活用を必要とする方が、制度の存在を知らないために、また、正しく内容を知らないために活用できず、経済的に不安定な状況で暮らしていらっしゃるということがないよう、十分な周知を図っていきたいというふうに考えてございます。

○石川委員 この貸付制度を利用するにあたっての条件が幾つかありますが、土地・建物の固定資産税の評価額が5,000万円以上となっています。また、貸付限度額は評価額の8割で、日常生活費としては毎月13万円が限度となっていますので、13万円×12カ月、20年間の貸し付けで合計3,120万円、支払い利息を含めるとちょうど4,000万円くらいかなと感じます。全く家族に相続させないということであれば、この仕組みは成り立ちますが、先ほど述べたように家族に継承させたい、少しは財産を残してあげたいとの思いがあることも事実だと思います。一方で、少子高齢化が進む中、独居高齢者や高齢者のみ世帯がふえていることは共通の認識と思います。こういった方々の多くは、土地・建物は所有しているけれど、年金のみの生活は苦しい。月あと数万あれば、少し窮屈な生活からゆとりある生活が送れるといった高齢者の方たちの声を耳にします。

 9月14日、読売新聞に特集記事として、金融商品、リバースモーゲージが掲載され、記事によれば、総務省の2013年度家計調査で、夫65歳以上、妻60歳以上の2人暮らしで、ともに無職の高齢夫婦無職世帯の一月当たりの収入が、公的年金を入れて21万5,000円弱なのに対し、支出は27万2,000円以上で、差し引き5万7,000円以上の赤字であります。つまり、赤字分は貯蓄を切り崩しているわけで、収入がふえるめどがなければ、消費税増税、介護保険の見直しなど支出がふえるばかりで、当然消費の落ち込みが懸念されます。このような調査結果を踏まえ、チラシについては、現状の文字だけの1枚ペラの、興味ある人向けの説明書のようなものではなく、目につきやすいカラーイラストや図表を挿入して、貸付金を生活費の補助として長期にわたって利用でき、なおかつ家族に対して相応の相続があることを明記するなどの工夫をした、わかりやすいパンフレットを新たに作成することが望ましいと思いますが、いかがでしょうか。

○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 御指摘のとおり、現行のチラシにつきましては、窓口に来ていただいた方に制度の説明をする際の補助的な資料として作成したものでございます。今後は、関連部署や機関等に設置・配布するものとして、よりわかりやすいものを作成していきたいと考えてございます。

○石川委員 ありがとうございます。

 また、別の角度から申しますと、貸付条件が評価額の5,000万円以上となっております。先ほど述べたように、5,000万円で月13万円が毎月の貸付限度額となっていますので、月数万円でゆとりある生活ができるとすれば、仮に貸付条件の評価額を半分の2,500万円と修正すれば、月の貸付限度額が6万5,000円と計算上はなります。野村資本市場研究所の試算値では、月5万円を20年間にわたって受け取るには2,350万円の評価額があればよいとのことですから、私のラフな計算ともほぼ一致しています。また、世田谷信用金庫では、リバースモーゲージとして、年金生活の足しになるよう月5万円の融資を行う金融商品を扱っております。評価額の基準を5,000万円から2,500万円に変更することで、潜在的需要は大幅に広がると思います。一気に5,000万円から2,500万円とは言わないまでも、貸付条件のうち土地・建物の固定資産税の評価額を変更するお考えはありませんか。

○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 評価基準額の変更につきましては、平均寿命の伸び、土地評価額の変動、また、社会福祉協議会をはじめ民間金融機関が実施している同種の貸付制度の動向のほか、貸付金としての区のリスクの面等々、総合的な検討が必要というふうに考えてございます。

○石川委員 よろしくお願いいたします。

 別の視点から質問します。まず空き家対策です。この空き家対策については、佐野委員が以前から取り上げている問題ですが、空き家の実態を知るに当たって資料要求をさせていただこうと担当分野に相談したところ、中野区としての資料がないとのことでした。空き家の定義について説明していただけますか。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 御説明させていただきます。一般的に空き家の定義は幅が広く、難しい問題と考えておりますが、そこで、総務省統計局の定義によれば、居住世帯のない住宅のうち、昼間だけの使用とか交代で寝泊まりしているなど、そこにふだん居住している者が1人もいない住宅と、あと建築中の住宅を除いたものとされております。また、空き家の種類を2次的住宅――別荘とか、あと、貸し用の住宅、売却用の住宅、その他の住宅の四つに分類しているところでございます。

○石川委員 本年第1回定例会一般質問で佐野委員が指摘している83戸の空き家、これは一軒家で居住していた実態があったけれども、現在住んでいない。こういう理解でよろしいでしょうか。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) そのとおりでございます。83件は区民等からの対応を求められた老朽化した空き家の件数でありますが、その後解体や建て替えが行われたケースも見受けられ、この83件については改善が見られてきている状況でございます。

○石川委員 空き家の原因として考えられることは何でしょうか。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 理由はさまざまでありますが、相続をしたが活用できる土地・建物でないこと、現時点で入居する必要がないこと、また、相続調整に時間がかかることや、売却先がなかなか見つからないなどの理由が多いというふうに考えております。

○石川委員 今お答えいただいたようにさまざまな要因があるとは思いますが、根本的な問題は不動産に相続権があるということだと思います。この貸付制度の大きな特徴として、土地・建物を中野区として担保するもので、貸付制度終了後には中野区や相続人が処分をし、現金化した上で、貸付金と受取利息を含めて区の収入となるということです。そして、この際残った現金は相続権のある者に渡すということです。この理解でよろしいでしょうか。

○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) はい、そのとおりでございます。

○石川委員 そうすると、この貸付制度を利用した物件が多くの場合空き家になることはない、こういう理解でよろしいでしょうか。

○伊藤健康福祉部副参事(生活援護担当) 区や相続人が担保物件を売却した場合は、その後の土地・家屋の扱いについては区が関与するものではございません。また、過去に担保物件を売却せずに親族が現金で返還した例もございますため、空き家にならない場合もあれば、そうでない場合もあるというふうに承知しております。

○石川委員 もう一つ別の視点から質問します。安倍政権の新成長戦略、元気な日本復活のシナリオでのリバースモーゲージ関連では、リバースモーゲージの拡充、活用促進などによる高齢者の資産の有効利用を図り、2020年までに中古住宅流通市場やリフォーム市場の規模を倍増させるとともに、良質な住宅ストックの形成を図るとしています。その効果について中野区としてどのように捉えていますか。

○豊川都市基盤部参事(都市計画担当) リバースモーゲージの潜在需要を顕在化させる、あるいは、リバースモーゲージの制度を普及させるための課題は多いとは考えられますけれども、政府の柔軟で積極的な活用策と制度の理解等がきちんと得られるのであれば、一定の効果があるというふうに考えております。

○石川委員 リバースモーゲージを利用しての持ち家のバリアフリーリフォームや耐震改修などが挙げられ、高齢者による消費拡大における経済の活性化が見込まれます。また、高齢者のみが住むには広すぎる戸建て住宅を、広い住宅を必要とする子育て世帯へ賃貸することを円滑化する制度により、子育て世帯へ広い住生活空間を提供するとともに、高齢者の高齢期の生活に適した住宅への住みかえなどを促進する効果もあります。なおかつ、結果として土地の流動化を促すことにより、長期的には木密地域や狭隘道路の解消にも一翼を担うと考えますが、いかがでしょうか。

○豊川都市基盤部参事(都市計画担当) リバースモーゲージの活用ですが、高齢者による消費拡大等、さまざまな面で有効ではないかと考えられますけども、建て替えの促進との観点からは、今御指摘のように効果もあるものと思われます。今後、区としてもどのようなかかわりが可能か、見きわめていきたいと考えております。

○石川委員 冒頭で質問させていただいた担当する所管分野の話に戻りますが、空き家対策や耐震改修、木密地域、狭隘道路の解消など、この貸付制度のあり方や運用方法を見直すことにより、都市基盤部が抱えている諸問題に対して有効であれば、都市基盤部として検討することも必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○豊川都市基盤参事(都市計画担当) 空き家対策等の手法の一つとして、関係する所管と連携し、有効性を検証していく必要はあるものと認識しております。

○石川委員 住みなれた我が家にて、地域の安全を願いながら生活していける選択肢を与えることは、行政としての責任であると思います。急激な社会変化や少子高齢化による人口構成の変化など、複雑に絡み合った現在社会に突きつけられたさまざまな問題に対し、いわゆる縦割り行政では解決し得ない課題に対応するため、政策室が中心となって横断的な対応が必要であると思いますが、いかがでしょうか。

○海老沢政策室副参事(企画担当) 組織横断的な政策課題につきましては、必要に応じて政策室が事業部間の調整を行い、庁内調整を踏まえて対応策をつくり上げていくというところでございます。本課題につきましても、必要があれば政策室が事業部間調整を行ってまいりたいと考えております。

○石川委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 次に、区民活動センターが行っている指定事業についてお伺いいたします。

 この指定事業は、開始されてから3年目を迎えております。中野区が提示する課題に沿った内容で、暮らしやすい地域づくりに向けた取り組みを推進するための事業であり、数年にわたって継続的に行われる取り組みを対象としています。一方で、同一事業の提案申請は3カ年までとしてありますが、間違いないでしょうか。

○横山地域支えあい推進室副参事(区民活動センター調整担当) お答えいたします。指定事業につきましては、同一の事業での提案申請を3年までとしているところでございます。

○石川委員 3年で区切った理由は何でしょうか。

○横山地域支えあい推進室副参事(区民活動センター調整担当) 区から運営委員会に対しまして、地域課題の解決に結びつく取り組み、これの実施等を委託しているところでございます。こうした取り組みを活性化するきっかけといたしまして、地域統制を生かしながら運営委員会の創意工夫や意欲的な取り組み、これを喚起するために指定事業を導入したものでございます。この点から、同一の事業は3年までとしたものでございます。

○石川委員 今の仕組みでは、来年4年目を迎えるセンターでは、指定事業の継続をする場合には委託料を含めた運営委員会の予算から計上することになります。一方で数年にわたって継続する事業と指定しながら、一方では3年までとしています。ちょっと矛盾しているように思えますが、いかがでしょうか。

○横山地域支えあい推進室副参事(区民活動センター調整担当) 区から委託しております事業は、地域の自治や公益活動、これの推進等を目指すものとなっております。これには一定の期間をかけて取り組む必要のある事業があるかと思ってございます。こうした点から、単発の催しということではなくて数年にわたって行う事業というふうにしたものでございます。なお、この事業を指定事業として、そのために委託料に加算した予算を充てるのを3年までというふうにしたものでございまして、その事業そのものを3年で打ち切りということを求めているものではございません。

○石川委員 指定事業を実施している13のセンターのうち、10カ所では同一事業を継続して実施しております。これは当たり前のことで、数年継続することが申請時の条件となっているからですけれども、運営委員会としてもその必要性を感じて継続している面もあると考えられます。例えば、指定事業を新規に提案申請する場合でも、現在行っている指定事業についても、運営委員会が希望する場合には2分の1の経費を継続して認めるとか、あるいは、指定事業の考え方を見直して、もともと枠が用意されている地域事業に統合して、合わせた金額の中で一体的に実施できるようにしないと、定期的に継続することが難しいと思われますが、どうお考えでしょうか。改善を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○横山地域支えあい推進室副参事(区民活動センター調整担当) 経費区分、これの扱いなどを含めまして、指定事業をはじめとする運営委員会の活動実績等の評価・検証、これを行いまして、さらに運営委員会の自主性・主体性が発揮され活性化されるよう、改善について検討してまいりたいというふうに思ってございます。

○石川委員 来年2月、3月には次年度に向けての運営委員会の予算編成等もありますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、見守り対象者名簿の提供についてお伺いいたします。

 この見守り対象者名簿の提供時期については、本年2月28日、第1回定例会予算特別委員会総括質疑にて、大内委員から、申し込み時期によっては提供まで1年近いブランクがあるので、迅速に対応するべきではないかとの問いに、今後町会・自治会への名簿提供が1回当たり減っていくという中では、提供回数や提供時期についても町会・自治会の御意見を伺いながら、できるだけ改善していきたいと答弁しています。資料要求させていただきました厚生46の資料を見ますと、年度ごとの見守り対象者名簿提供団体数は、ピーク時の平成24年、25年度の年平均28団体から、今年度は9団体となっており、当初の事務手続や研修会実施などの1年間に提供を2回とする根拠は薄れてきており、時の経過とともにPDCAをお題目とするのではなく、改善・検討するべきと考えます。このことについて、いつ、どのような席で町会・自治会の意見を聞いたのでしょうか。

○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 現在は、まだ内部で提供回数の増等につきまして方法を検討している段階でございまして、町会・自治会への御相談はまだしていない状況でございます。

○石川委員 この提供時期について初めて指摘をさせていただいたのは、ことしの1月21日に行われた昭和地域ネットワーク会議終了後です。当時の区民活動センター調整担当副参事と提供の申し込みについて話を聞いたときに、今から申し込むと8月の提供になると聞き、大いに疑問を持ちました。現在のこの方式では、申し込みから提供まで最大11カ月間待たされます。間違いないでしょうか。

○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) はい、そのとおりでございます。

○石川委員 1月21日に問題提起をし、朝井副参事にも2月に入って直接改善をするべきとの話もさせていただいております。そして、予算委員会総括質疑の中でも改善していくと答弁されていますが、その形跡がありません。4月9日に町会連合常任理事会が開催されていますが、このときにも淡々と見守り対象者名簿の提供についての報告が述べられただけでした。また、9月4日の理事会においても、第2回目の提供時期が示されただけで、提供回数や提供時期についての意見聴取や説明は全くありませんでした。第1回目の提供に関しては、3月20日締め切り、名簿提供8月11日の改善はできなくてもしようがないとしても、第2回の提供については検討・改善できるだけの期間が十分過ぎるほどあったと思います。結果的に1年間改善が行われなかったということですが、いかがでしょうか。

○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 現在のところは検討段階でございましたので、町会連合会にはこれまでどおり2回の提供ということで御説明をいたしましたが、今後は、今年度中から回数をふやすことも含めまして検討を進めていき、町会連合会にも御意見を伺いたいと考えております。

○石川委員 改めてお伺いしますが、地域支えあい推進室として、会議等を通じて改善における検討をどの程度真剣にされたのでしょうか。

○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 名簿の提供方法の改善につきまして、地域支えあい推進室長を交えた内部検討、また、地域支援副参事会等でスケジュールや課題等を整理いたしました。回数をふやす案を現在も検討しております。内部的な案ができた時点で、町会・自治会等と連合会を通じて相談したいと考えております。

○石川委員 繰り返しになりますけれども、指摘したのがことしの1月、総括質疑は2月28日です。この方法では、町会・自治会がことしの3月21日に名簿提供の申し込みをすると、提供されるのは来年の2月16日です。ぜひ改善をしていただきたいと思います。とにかく今回の件については、対応が非常に遅い。もう少しスピード感を持って、役所の論理ではなく議会での答弁を重く受けとめ、また、区の政策に沿って区政運営に協力・参加している区民の声を真摯に取り入れ、少なくともやる気をそぐことがないよう対応していただきたい。本年の予算総括質疑の中で、大内委員が、事前に質問通告をしているから淡々と答えているけど、実際に実行に移さなければいけない。委員会を乗り切ればよいという問題ではないとの趣旨を述べられておりますが、この言葉を申しつけて、提供時期だけではなく、今述べたような区の体質改善を強く要望いたしますが、最後に区長の御見解をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○田中区長 公平性とか、あるいは、例えば区民の権利を守るとかというような、区民のためのという事情で一定の時間がかかったりというようなこと、これはある程度やむを得ない面はあるかと思いますけれども、区の側が、職員が業務をしていく、そのことの都合で区民の方に待っていただくとか、そのことの都合に区民に対するサービスを合わせてしまうとかというようなことは、やはり私はあってはいけないことだというふうに思っております。職員の仕事のあり方とか、区の仕事を進めていく上での物事の進め方、きちんと改めていくように私としても指導を徹底していきたいと思っております。

○石川委員 ありがとうございました。これで私の全ての質問を終了させていただきます。

○内川委員長 以上で石川直行委員の質疑を終了します。

 次に、篠国昭委員、質疑をどうぞ。

○篠委員 おはようございます。自民党は、総括質疑をどうしてもやりたいという議員が7人もおりまして、私の持ち時間は、70分ぐらいあったんですが、幹事長が熱弁を振るいましたので、黙っているうちに大分少のうございますが、次の方に質問をしっかり渡せるように、質問を途中で減らしながらやれればいいかなと、このように思っているところでございます。

 最初の自治基本条例の問題点について。

 これ、自民党も立ち上げるときに参加しているんですから、やたらのことは言えない立場にはあるわけですが、問題点はやはり残っていると。もともと国家より市民に重きを置く自治基本条例、こういう捉え方を今自民党の本部にできたプロジェクトチームはしております。全てが悪いというんじゃなく、完全に法律違反という部分も見当たる。自治基本条例は、もともと1970年代、学生運動が盛んになったころ、法政大学の松下圭一教授が提唱したものです。菅直人元首相や仙石由人元官房長官などが信奉者です。その理論は、国家の概念を否定し、個人やグループの存在と発信に重きを置く運動体の中で生まれました。市民がやれないことを市町村がやり、さらに、市町村がやれないことを都道府県がやる。都道府県がやれない部分を国がやるという理論が生まれました。いわゆる補完性の原理です。そして、国がやれないことを国際機関がやる。いわゆる地球市民などという発想はこういうところから出てきたと言われています。このため自治体の権限も財源も、議会も、行政も、市民からの信託にすぎない。国家も地方自治体も市民の信託によって成り立つと理論づけています。これが複数信託論です。中野区の答申も、この信託という言葉をそのまま答申では使っております。しかし、これでは議会も行政も法的根拠が不要となり、法律の範囲内で地方自治を認めている憲法の考え方とは大きく異なっているわけです。

 振り返って、この答申などに見られることも含めまして、区民参加、決して悪いわけじゃないんですが、全てを解決すると信ずるがごとくの理論展開は大変危険なわけです。今申し上げた一連の流れの中に答申で評価されている、中野区の中村武助役が主導したと言われる住区協議会、あるいは、教育委員の準公選制度、こういったものは自治として高く評価されております。しかし、例えば教育委員の準公選につきましても、公選がいいというのはこの理論展開の行き着くところなんです。そして、監査委員も公選にすべきだというような目標も掲げているように見受けられます。それで、教育委員を公選にしましたところ、日本中の教育委員の選挙に受かってきた人の7割方を日教組の人で占めていると。これはまずい。中立性が守られないということで、国会で廃止されました。中野区においては、はがきであれば法律違反にならないだろうということで、はがきによる投票で、それがいわゆる準公選。そのころは花籠部屋ですとか二所ノ関部屋ですとか、ちょうど相撲、若乃花のあの部屋のほうが日本全体的には有名でした。サンプラザも有名でした。しかし、この準公選というのはそれより人気がある物件でした。物じゃないです。そういった流れの中で、我々は直接参加が全てではないと。間接性民主主義とのバランスにおいてしっかりと機能できるんだという立場をとります。

 例えば、わかりやすい例では、石神前副区長、この方が館山市の市議会議員選挙に出ると。(「市長選」と呼ぶ者あり)市長選に出るということで、我々は彼の行政手腕を非常に高く評価していましたので、松本文明氏、川井さん、我々自民党、こぞって石神さんの応援に行きました。そして、出てきたチラシを見て、これはちょっと我々と違うことを言い出しちゃったなと。彼は、市民の真っただ中と。このチラシだと我々は応援しづらいんですけど、彼の行政手腕たるは、まあ、中野の歴史に残るような演説をして応援したんですが、自民党本部から公認された人にやはり差をつけられてしまった。立会演説会等に行くと、お年寄りの特殊な――特殊というか少数派の市民の方が熱弁を振るう。どうも選挙では勝てそうもないような状況。もう一回出てきたらまた応援はしますけどね。やはり市民の真っただ中、これが全てを解決するというような理論展開は大変危険である、このようにも思っております。

 そして、具体的な質問は2問しかない。

 例えば、川崎市の自治基本条例第3条、市民とは、本市の区域内に住所を有する人、本市の区域で働き、もしくは学ぶ人、または本市の区域内において事業活動を行う人、もしくは団体をいいます。三鷹市の自治基本条例は、市民とは――全く同じことが書いてある。中野区においては、この自治基本条例の中で全然規定していないんですね。答申では言われているんですけど。ただ、基本構想の中では同じことが書いてあります。私としては、区民の定義を明確にしない条例、要するに条例だけ見た場合ですが、そういう条例は類を見ないと思うんですが、いかがですか。

○海老沢政策室副参事(企画担当) お答えします。自治基本条例での区民の定義につきまして、区内在住者を基本とするわけでございますが、自治の場面によりまして、区内在勤者ですとか、あるいは在学者などが含まれるということなど、多様な状況によりまして区民の定義が異なるということでございまして、定義をしていないということでございます。

○篠委員 国民という言葉を使うにしても、区民という言葉を使うにしても、地方自治法の住民という言葉を使うにしても、全ての法律において、あるいは条例において、定義していないのは中野区の自治基本条例のみです。これを別に欠陥とは言いませんけどね。例えばこういう、次に質問する部分は完全に欠陥ですので。この第5章条例の位置付け、これ、致命的条例。なぜ自民党も加わったのに落としてしまったか。第18条、この条例は、区政の基本となる事項を定めるものであり、他の条例、規則等の制定または改廃に当たっては、この条例の趣旨を尊重し、整合性を図るものとする。これは、例えば川崎市の自治基本条例では、第2条、この条例は、本市の自治の基本を定める最高規範であり、市は、自治運営に関する他の条例、規則等の制定、改廃及び運用に当たっては、この条例の趣旨を尊重し、この条例との整合を図ります。三鷹市はまるで同じ条文です。これ、憲法学者、行政法学者、日本の現状は、95%ぐらいは左側の人と言われています。いや、これが現実なんです。ただ、誰一人としてこの議論に賛成する人がいないというのも事実です。右であろうが左であろうが。憲法、法律と自治基本条例の関係で言えば、憲法は国の最高規範です。あらゆる法律は憲法に違反することはできません。同じように、法律の範囲内で条例はつくられます。ですから、正確にいうと、自治基本法というのをつくるのが筋であったということは当事者も理解しているんです。これは大変なエネルギーを使う。そうであれば、自治基本条例という既成事実をどんどん積み上げてしまおうという逆の作戦を見事にとった例なんですけど、それは、本当は、正確にはまずい。同じ条例の中で上位に位置付けられる条例などもちろんないわけですが、まあ、ここに書いちゃった。これについて企画のほうでコメントがあればおっしゃってください。

○海老沢政策室副参事(企画担当) 御指摘のとおりでございますが、中野区自治基本条例につきまして、自治の仕組みや参加に当たっての手続を定めているものでございまして、他の条例の上位に位置付けているものではございません。第18条に記載されているとおりでございますが、他の条例、規則等の制定、改廃に当たって、尊重し、整合性を図るものというふうに位置付けているものでございます。

○篠委員 まあ、その答弁以上のことはお聞きしませんので。

 中野区は、準公選制度を廃止したときに大変なエネルギーを使いました。これは先ほども申し上げたように、住民参加のすばらしい仕組みだという高い評価もいただいているんですが、じゃあ、こういったものが出てきたときに、法律違反だぞと指摘する、自民党本部も指摘したかと。憲法裁判でもしたかと。しかし、どっちが勝つかわからないようなことになかなかエネルギーを使いづらい。国の法律では外国人参政権を認めていないのに、自治基本条例では認めちゃったというのは賛否もあるんですけど、一々かかわっていられないという状況も確かにあるんです。ただ、この準公選を、例えば中野区議会はどうやって廃止したか。これは、私が総務委員長でした。平成6年の第4回定例会のとき、いわゆるプロ市民という方々が、本会議場まで入れないように廊下を埋め尽くした。それで、桜井議長が入れないで、4定の全議案を流しちゃった。それで総務委員会は72時間審議をして、可否同数で、委員長裁決で廃止したという案件なんですよね。市民参加というのが、やはり、決して悪いと言っているんじゃない。これが全てだという流れ自体が危険であるということを申し上げて、この項の質問を終わります。ありがとうございました。

 教育行政についてお伺いします。

 学力向上の取り組みについて、中学校に入ったときはそれなりの成績を持って入る子どもたちが、3年までの成績が毎年下がる傾向が続いている。これは、いまだにとまっていないのかどうかお聞きしたいと思います。

○川島教育委員会事務局指導室長 お答えいたします。中学校の3年間で、一部の教科において学年進行に伴って成績が下がる傾向にあることは認識しております。具体的な例でいいますと、数学の式ですとかグラフ、それから、関数の問題、また、理科の実験と結果から考察する問題などでその傾向が見られます。このことは、学年進行に伴って内容が高度化・複雑化しているということと、それから、生徒の学習意欲に個人差が影響しているというふうに思っています。ただ、一方、学年にもよりますが、英語や社会科などでは成績が上がっている教科もございます。

○篠委員 中野区では、区独自に学力テストを行っていますが、これも同じような傾向ですか。

○川島教育委員会事務局指導室長 区で行っている学力調査におきましても、同様な傾向が見られます。

○篠委員 中学校で特に下がるということは、中学校に対して特別な対策が必要と考えておりますが、現状ではどのような対策をしていますか。

○川島教育委員会事務局指導室長 まず、生徒に学習意欲というものを喚起することが大切だというふうに考えておりまして、そのために学力調査で課題として見えてきたものに対して、各学校で授業改善推進プランをつくって、授業を魅力的なものにすることに努めています。また、考える力に例年課題が見られるということもありますので、毎日の授業の中で、例えば幾つかの資料から必要な情報を読み取って、それを考えて自分の言葉や文章でまとめるというような、そんな学習場面を取り入れながら、生徒の思考力ですとか判断力、表現力を高めることに力を入れてございます。

○篠委員 ありがとうございます。学力の向上は、学校だけで取り組めばいいという問題ではなく、家庭と一体となって取り組んでいくことが必要であります。そこで、生徒が生活習慣を改めることも大切と考えますが、スマートフォンの使用状況やテレビ視聴の長時間化に対して、どのように対策、対応をしておられますか。

○川島教育委員会事務局指導室長 全国の学力・学習状況調査クロス集計というものがあるんですが、今、委員御指摘のとおり、スマートフォンなどの使用時間と学力に密接な関係があるという結果が出てございます。教育委員会では、平成24年度に「家庭学習の手引」を各家庭に配布しまして、家庭学習の必要性とその具体的な方法について保護者へ啓発を図ってきたところであります。また、今年度、児童・生徒に携帯電話、スマートフォン等の利用状況の調査をいたしました。現在、結果を集計・分析しているところですが、各学校に対して適切に指導を行うように指示をしていきたいというふうに考えてございます。また、家庭において取り組むべきこと、例えば、ノーゲームデーですとかノーテレビデー、または、携帯電話を使う時間を決めるなどのルールを家庭でつくっていただくように、啓発を図っていきたいというふうに思っております。

○篠委員 まあ、鷺宮小なんかではそういう取り組みをしておりますが、私は孫5人と一緒に住んでいるんですけど、あまり実行していないみたい。なかなか実行は難しい。ですけど、やはりこれからは目が離せない。

 次に、全国学力調査については、学校ごとの結果の公表は各自治体にゆだねられ、中野区は学校ごとの結果の公表は、多くの自治体がそうであるように行っていないわけですが、区独自に行っている調査結果、各学校では公表をどのように行っているんですか。

○川島教育委員会事務局指導室長 区の学力調査についてですが、各学校はその結果を踏まえて、先ほど申し上げたように、授業改善プランというのをつくっておりますが、この授業改善プランとあわせて各学校の結果についても、学校便りですとか、または、ホームページなどでさまざま公表してございます。

○篠委員 わかりました。

 次に、3学期制についてお聞きします。2008年に学習指導要領が改訂され、授業時間がふえたと言われますが、実際内容はどうなんですか。

○川島教育委員会事務局指導室長 2008年度の学習指導要領を踏まえて、小学校の場合でいいますと、6年間の合計で278時間です。また、中学校では3年間の合計で105時間ふえたとなっております。

○篠委員 中野区では現在2学期制を導入しているわけですが、これを導入したのはいつごろで、どんな理由からでしたか。

○川島教育委員会事務局指導室長 本区では、平成17年度に2学期制を2校で導入しまして、平成20年度から全校で実施してございます。これについては、それまで固定的に捉われていた教育課程の改善を図る、また、学期を長くすることで、ゆとりある中できめ細かな指導をしていくというような指導的強化を行って、そして、より教育活動の充実を目指していくことを狙ったものであります。○篠委員 実際、2学期制に戻したほうがいいという声も全国的には起きているわけですね。(「3学期制」と呼ぶ者あり)ああ、3学期制にね。テストが2回少ないのと、夏休み前に三者面談をやっても、話の材料等々、いろいろ考えますとね。ただ、戻すにはものすごいエネルギーが要るんですよね。法律で上から来たものについては見事な対応をするわけですけど、これは子どものためにいいという研究結果を実行に移すのは、大変エネルギーが要ることは承知しております。この議論は子ども文教委員会で伊藤正信議員が展開する可能性もあります。この質問はこれで、答えはいいです。

 文部科学省の道徳教材についてお伺いします。平成26年度、小・中学校に対して道徳教材「私たちの道徳」を作成し、一人ひとりに配布したところですが、これは学校の教育活動はもちろん、家庭での生活や、学校と家庭の連携の強化、地域での活動に際しても有効に活用されることを趣旨としており、長期休養中などは家に持ち帰るようになっています。ところが、さきに文部科学省が調査したところ、80%以上が持ち帰っていないという回答があったそうです。

 そこでお伺いしますが、文部科学省の通達を受けて、中野区はどのような対応をしたのか、どの程度持ち帰っているのか、この2点、お伺いします。

○川島教育委員会事務局指導室長 ことしの7月に文部科学省、それから、東京都教育委員会からその旨の通知を受けまして、各学校に対しましてこの道徳教材を夏季休業または長期休業の折に児童・生徒が持ち帰って、家庭でも活用するようにというようなことを指導させていただきました。その後国のほうは、それがちゃんと行われているかというような調査がございました。中野区では、全ての学校で持ち帰るように指導したという報告を受けてございます。

○篠委員 教育問題のその他で2点お伺いします。

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正され、第1に、教委のトップを教育長とし、首長が任命できるとして責任の所在を明確にしました。第2に、首長が教育委員によって構成される総合教育会議を随時開催できるとし、首長の教育行政へのかかわりを強化するとともに、機動性を高めたわけです。会議では、教育行政の大綱をつくることができるという、要するに方向性を示すことができるということでございますが、これに取り組んでいるのはどの部署とどの部署ですか。

○辻本子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 教育委員会事務局の立場からお答えいたしますけども、現在教育委員会事務局、経営室、政策室におきまして、委員御指摘の点について協議をしているところでございます。

○篠委員 わかりました。これについては予算も関係してくることになるわけですが、来年4月より実施する予定ですか。

○辻本子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 法律の施行が27年4月からということでございます。したがいまして、総合教育会議及び大綱の策定につきましては4月から取り組むことになるかと思います。

○篠委員 また、教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保するため、教育委員会は引き続き執行機関として職務権限は従来どおりとするとあるわけですが、教育委員会として何か違った流れのものはできるんですか。

○辻本子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 教育委員会事務局の立場からでございますが、今般の法改正によりまして、市長と教育委員会がより連携した教育行政が展開されるものと考えてございます。

○篠委員 わかりました。

 それでは、次に、不登校児童・生徒数が増加しているということですが、中野区ではどうなっていますか。実態とその要因、対策についてお伺いします。

○川島教育委員会事務局指導室長 お答えいたします。平成25年度の不登校児童・生徒数ですが、本区においても前年度に比べて増加してございます。その要因ですが、無気力、それから、情緒的な混乱など本人に起因するものが最も多く、次いで、友人関係や親子関係などの問題がございます。その対応としては、スクールカウンセラーや心の教育相談員が学校における相談事業を行っておりますが、家庭生活にかかわる課題が原因として不登校になっているというような児童・生徒がふえておりまして、そのお子さんに対してはスクールソーシャルワーカーを活用して、保護者も含めた支援に当たっているところでございます。

○篠委員 大変ですが、これはしっかりと対応しないといけない問題ですので、よろしくお願いします。

 その他でもう1点、居住実態が把握できない児童に関する調査の結果が新聞に出ておりましたが、現状を、あるいは、所在を把握するチェックを対象とした機関、これらについてお答えください。誰もいなければ答えないでいいです。

○伊東教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 義務教育の児童・生徒に関しましては私の所管でございまして、毎年学校基本調査の中でそういった居所不明の児童・生徒の調査がございまして、最終的に私のほうの所管で学校と連携しまして実際お手紙を出しまして、それでも返ってこない場合については直接職員が訪問して、それで居住の実態を確認するというところでございます。あるいは、外国に出国している可能性も多々ございますので、出入国管理局のほうで出国記録を確認させていただいて、今年度については、義務教育の児童・生徒についての居所不明児については1人もいないという結果が出てございます。

○篠委員 今のはなかったことにします。ちょっと私と連絡し合ったことと大分違っていたから。

 防災対策についてお伺いします。

 避難所の開設について、震災を想定すると火災の延焼拡大が危惧される場合、一時的に避難場所に避難し、火災の危険がなくなれば自宅に帰るか、避難所に避難することになるわけですが、大きな災害が発生すれば避難所が開設されると思うんですが、開設の基準はどの程度の災害なんですか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 避難所の開設のお尋ねでございますが、要収容者、救護者が多数見込まれるとき、また、区長が必要と認めたとき、また、中野区で震度5強以上の地震が発生した場合などが基準となってございます。

○篠委員 3・11のときには、鷺宮区民活動センターでは副参事が泊り込んでの対応というのがあったんですけど、あれは5強ですが、鷺宮小学校で避難所を開設したという雰囲気にはなっていませんでしたね。いずれにしても、避難所の開設は震度で決まっているが、震度だけで決まるものではないと思うんですが、いかがでしょうか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 中野区で震度5強以上の地震が発生した場合以外でも、避難所運営本部の構成員が必要と認めたとき、これは開設することができることになります。この場合は、避難所の本部長・副本部長、班長・副班長、あと施設管理者の方などが開設の判断をしていただくという形になります。

○篠委員 この避難所開設の判断は、地域のリーダーとしては相当気を使うところだと思うんですが、多くの人を動かし、多くの人の生活に影響を与えることを考えると、相当なエネルギーを使うわけです。区から他の避難所の開設状況、被災状況等の情報がタイムリーに提供されれば、非常に有用なわけですね。積極的に行うように仕組みを精査してはいかがと思いますが、どうですか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 確かに現場の判断で避難所の開設を判断するということは非常に大きな決断であると考えます。災害対策本部に集約されました避難所の開設状況ですとか被害状況などは、速やかに避難所ですとか地域本部に情報提供等をしていきたいと考えております。また、本年新たに東京都の災害情報システムにより収集されました避難所の開設状況ですとか、避難勧告等の情報が、テレビではBSのNHK、パソコンではヤフーのサイトで周知できる仕組みが整備されてきているところでございます。

○篠委員 避難所運営本部のメンバーと全員が知るところとするには、やはり相当なエネルギーを要するわけで、さらなる地域との連絡のし合いを強めていただければと思います。

 次に、災害時に支援を要する者についてお伺いします。平成25年6月に災害対策基本法が改正され、「要配慮者」という言葉が定められました。防災上配慮が必要とされる方という認識であるが、どのような方を指していらっしゃるんですか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 災害対策基本法の8条2項に定められてございます。高齢者、障害者、乳幼児、その他特に配慮を要する者が「要配慮者」という名前で定められてございます。

○篠委員 区でも災害対策基本法で定める避難行動要支援者名簿が作成され、災害対策本部と各地域本部に配備されました。この名簿の対象はどのような方ですか。

○横山地域支えあい推進室副参事(区民活動センター調整担当) お答えいたします。避難行動要支援者、これにつきましては、災対基本法のほうで規定されてございます。先ほど御答弁を差し上げました要配慮者のうち、災害時に自力避難が困難な者で、円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、特に支援を要する者というふうになってございます。これを受けまして中野区の要支援者名簿におきましては、医療、福祉など専門的な支援、あるいは、同行しなければいけないといった方といたしまして、要介護認定あるいは障害支援区分認定が1以上、あるいは、障害手帳所持者のうちの重度等といった方々、これを抽出し、登載してございます。このほか、避難時に見守りをしなければいけないだろうという方、それから、平常時には自力移動ができますけれども、災害時にはその安否を確認しなければいけない方といたしまして、要支援1、2程度、あるいは、70歳以上の単身、75歳以上の高齢者のみ世帯といった方に相当する方々を抽出して登載したところでございます。

○篠委員 中野区の取り組みは、町会を悩ますほど精力的なのは理解できるんですが、この要配慮者というのは、外国人だとか、もう本当に、ああ、これは忘れちゃいけないというような大変広範囲ですので、さらに情報を、地域と連絡をとり合いまして内容を密にしていただきたいということを要望して、この項の質問を終わります。

 次に、子宮頸がん予防ワクチンについてお伺いします。これは、全ての新聞で社説なり、いろいろ取り上げておりますが、本年8月30日に子宮頸がんワクチンの副作用に関して、国が情報収集の強化などに取り組むことに関する新聞報道がありました。これに関して質問いたします。子宮頸がん予防ワクチンについて、直近の、去年と比較して接種実績、今は途中ですので何とも言えない部分もあるんですが、実績はどんなふうになっていますか。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) お答え申し上げます。子宮頸がんワクチンの直近の接種実績、今年度4月から7月分、4カ月分でございますが、12件でございます。昨年度、平成25年度分は353件でございます。本年度分に関しましては、中野区内で接種した他区の区民の方を含んでおりまして、昨年度分に関しましては中野区民のみ353件ということでございます。

○篠委員 あまり大騒ぎすると少なくなっちゃうのかもしれませんけど、いずれにしろ全額お金を出していただけるんですよね。5万円ぐらいかかると聞いていますが、それでよろしいですか。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) おおむねその程度の額でございます。

○篠委員 同ワクチンの副作用について、従来は五つの症状について報告対象であったわけですが、さらに追加されたものがあるとお聞きしています。その症状と追加されたものについてお伺いします。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 8月30日の朝日新聞及び産経新聞等々の報道は、その前の日、8月29日に当時の田村大臣の記者会見の中で述べられたことでございまして、9月11日の予防接種基本方針部会に報告されたところでございます。その中で子宮頸がん予防ワクチンに関しましては、今まで五つの症状について報告せよということになっていたんですが、これが一つ追加になります。その五つの症状というのは、アナフィラキシー、急性散在性脳脊髄炎、ギランバレー症候群、血管迷走神経反射、血小板減少性紫斑病、この五つが従来報告せよというものだったわけでございますが、ここで追加されたものが、その他、医師が予防接種との関連性が高いと認める症状であって、入院治療を必要とするもの、死亡、身体の機能の障害に至るもの、また、死亡もしくは身体の機能の障害に至るおそれのあるものということで、非常に広い範囲が報告範囲に含まれるようになったということでございます。

○篠委員 この国の情報収集体制の変化について、かなり込み入っていると聞いておりますが、あまり詳しくじゃなく、短く具体的に。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 非常に今回の改正内容は複雑多岐にわたっておりますが、ものすごくかいつまんで申し上げますと、まず医療機関が変わってしまったときに、転院先まで追跡をするスキームが今までなかった。それを今度は転院先についても追跡しようということで、ついては居住自治体もそれに協力せよというのが一番大きな柱かと思います。

○篠委員 ありがとうございました。後ろの二つの質問は、2人で何を話しているのか恐らくわからないような、かなり専門的な言葉が飛び交いましたが、いずれにしろ目を離せない問題として見守っていきたい、このように思っています。ありがとうございました。

 最後に、公会計についてお伺いします。区では、財政白書の第1部で普通会計における中野区の決算状況を明らかにしております。これは現金収入に基づいて現金収支の動きを捉えたもので、予算の執行や現金収支の把握に適しているわけです。第2部では、発生主義をベースとした新地方公会計に準拠した財政書類に基づく資産や負債のストック情報、資産の減価償却費や退職手当引当金繰り入れなど、実質的に発生している現金以外のコストを把握できる企業会計的手法による分析でございますが、区において新地方公会計に準拠した財務諸表をこれまでどのように活用されていたのかお伺いします。

○田中経営室副参事(行政監理担当) 新地方公会計制度の財務諸表を作成したことによりまして、資産、負債といったストック情報の把握、資産の減価償却費、退職手当引当金繰り入れなど、実質的に発生している現金以外のコストの把握も可能となり、そのような分析を行っているところでございます。この結果を決算状況とあわせた財政白書として取りまとめ、公表し、区民に対して行政運営の結果をわかりやすく説明しているところでございます。あわせて、平成25年度におきましては、整備が完了しました固定資産台帳のデータを財務書類に反映し、より精度の高いものとなっているというふうに認識しているところでございます。

○篠委員 ありがとうございます。

 中野区各会計歳入歳出決算審査意見書6ページのまとめに、財務書類を経営という視点から分析・評価し、これらのデータを積極的に財政運営に活用するなどし、最小の経費で最大の効果を上げるよう踏み込んだ改革に取り組まれたいと、かなり注目すべき指摘があります。この意見に対して現時点での考えをお聞かせください。

○田中経営室副参事(行政監理担当) 現在は、固定資産台帳を整備したことによって、資産評価の精度は高まったと認識してございますが、普通会計決算データを活用した総務省改訂モデルに基づきまして財務書類は作成しているところでございます。総務省からは、今後の新地方公会計の推進に関する研究会報告書、これに基づきまして新たな統一的な基準による財務書類を、平成29年度までに作成するということが示されているところでございます。この統一的な基準の財務書類を作成することによりまして、事業別、施設別など、より細かな単位でのフルコスト情報の分析が可能となる。また、他区との比較がより正確になるため、区のマネジメントにも活用が可能となる。このようなことを考えているところでございます。

○篠委員 ありがとうございました。最後の部分は今すぐということじゃない対応となると思うんですが、石原前々都知事、やはりもう東京都の誇りであるぐらいにこの問題については、どの辺が誇りなのかを我々も体感しないといけないわけですが、今後とも勉強させていただいて区政運営に役立てたい、このように思っております。ありがとうございました。

 以上で私の質問を全て終わります。御清聴ありがとうございました。

○内川委員長 以上で篠国昭委員の質疑を終了します。

 次に、小林ぜんいち委員、質疑をどうぞ。

○小林(ぜ)委員 平成26年度第3回定例会決算特別委員会におきまして、公明党議員団の立場から総括質疑を行います。質問は通告のとおりでありまして、その他はございません。

 初めに、中野駅南口再開発・まちづくりについてお伺いいたします。

 中野駅周辺のまちづくりにつきましては、平成24年春、中野四季の都市(まち)が開設され、来場者が約2万人増えるなど着実にその成果を上げてきております。さきの中野駅周辺地区等整備特別委員会でも報告がありましたが、8月に中野駅南口まちづくり方針案も策定され、中野駅地区及び南口の再開発・まちづくりの準備が進められています。このうち中野駅南口の住宅供給公社中野住宅一帯の再開発は、平成27年度に事業化することを目標に、今年度末、都市計画決定に向けて手続が進められています。中野駅南口の再開発が進むと、昭和初期に形づくられた現在の中野通りの整備や中野駅の現在地移転以来の大改造で、中野駅南口が大きく変わることになります。今、中野駅南口で再開発について地元で説明会が開催され、建築計画について配置や規模も示されています。それによると、線路に近い現在の住宅供給公社住宅跡地に計画される業務棟と住宅棟は、延べ床面積が約9万7,000㎡、主要な用途は共同住宅、事務所、店舗で、住宅については約400戸となっています。1・2階に主たる用途として、店舗、飲食店、事務所、診療所、保育所などの施設を導入するものとしています。また、現在の医師会の会館前にある駐輪場跡地には、住宅供給公社が住宅を計画しています。この地域には、商業、業務、都市型住宅など多様な都市機能が集積する、南口の未来の核が形成され、数千人からの人たちでにぎわうことが期待されているところであります。

 私は、かねてからこの南口一帯を、公共、医療、福祉、子育てゾーンとして、にぎわいのある流れを引き寄せる計画にすべきと言ってまいりました。8月には南口五差路の郵便局前側から右折できるように整備され、今後は南口での交通利便性も一層高まります。また、我が会派のやながわ委員が語った「降りてみたくなるまち 中野」という視点から考えると、駅に近いという立地から、さらに利便性を高めたさまざまな公共性の高い施設の充実を図ることが、中野駅南口のまちづくりの重要なポイントであると考えます。

 そこで、南口まちづくり方針によりますと、平成28年には住宅供給公社の住宅の建て替えが工事に着手する予定になっています。この住宅によって多くの子育て世代が増加することも考えられ、また、地域生活向上に資するためにも、住宅の一部に世田谷区や板橋区において入居例もある、要望の高い保育所、病児・病後児保育施設、高齢者施設機能やコミュニティカフェなどの併設を公社に要望することも考えられるのではないでしょうか、お伺いいたします。

○海老沢政策室副参事(企画担当) お答えいたします。南口の市街地再開発事業に先立ちまして、東京都住宅供給公社中野駅前住宅の移転・建て替えを行う計画になっているということは認識してございます。住宅供給公社の住宅建て替えに当たりましては、保育園などの子育て施設や高齢者施設など、地域や居住者に必要な公共施設機能を施設内に併設する事例がある、ということも聞いてございまして、地域生活の質の向上のため公社へ要望していくということについても検討したいというふうに考えております。

○小林(ぜ)委員 一方、再開発組合による市街地再開発事業が行われる業務棟、住宅棟の計画は、駅から近いこともあり、かねてから南方面からの要望の高い区役所機能を、駅及び南口広場に面した位置に設けることも考えられると思いますが、いかがお考えでしょうか、お伺いいたします。

○海老沢政策室副参事(企画担当) 今後、南口の市街地再開発事業につきましては、区は再開発組合におきまして地権者としてもかかわっていく、ということになるというふうに考えてございます。区が、例えば業務棟の中にどれほど活用できる面積が確保できるかなど、今後検討されていくということになる、というふうに聞いてございます。区として活用できる部分につきましては、今後区全体として必要な機能を検討する中で考えてまいりたいと思ってございます。

○小林(ぜ)委員 これによって新たな再開発地区の住宅に住まう人の利便性も高めることになり、また、優良な住宅として資産価値が高まるものと思います。また、高齢者が集える施設の設置も必要であると考えます。再開発に伴い移転となる堀江敬老会館の機能はどこに配置されるか、改めてお伺いいたします。

○海老沢政策室副参事(企画担当) 最終的な立地は現時点では未定でございますが、当該機能につきましては近隣を含めまして何らかの形で確保したいというふうに考えてございます。

○小林(ぜ)委員 さらに、区の観光の発信は、今後の中野にとって重要な視点であることは区長も述べられているところであります。駅から至便の立地を生かし、この場所で中野の文化・芸術を発信するアートゾーンの拠点として、展示や学生が集えるスペース、にぎわいの拠点となる活用を考えることはできないでしょうか、お伺いいたします。

○海老沢政策室副参事(企画担当) 観光、文化、にぎわいの視点につきましても、区として今後の課題のひとつでございまして、これらの視点を区としてどのように展開していくかということにつきまして、検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○小林(ぜ)委員 住宅供給公社等への強い要望を先ほど言いましたけれども、他区でも事例のある子育てにかかわる施設、それから、高齢者への施設、こういったこと、そして、再開発事業に区が積極的に働きかけ、床面積もあるということでしたので、区の利便性が高まる施設、また、回遊性を生かした南口の魅力的な拠点として、活力あるまちづくりが今後行われることを要望して、この項の質問を終わります。

 2番目に、中野のまちづくり、国家戦略特区の活用についてお伺いいたします。

 中野駅南口方面でのまちづくり計画が進む中で、中野駅周辺でのまちづくりには現行での法規制があり、軒のそろった、建物の高さのそろったきれいなまちづくりが進まない。法規制がネックになっているものと思います。思い切ったまちづくりを行う必要があると考え、私は国家戦略特区制度の活用も効果的と考えます。

 そこで、初めに、国家戦略特区の規定・定義について何点かお伺いいたします。さきの中野駅周辺地区等整備特別委員会や建設委員会で示された国家戦略特区は、日本経済社会の風景を変える大胆な規制や制度改革を実行していくための戦略で、現在6か所が指定されています。東京圏では既に9区が指定され、中野区を含め9区が追加指定を目指しています。今回、追加の中で中野区も指定に向けて取り組む考えが示されました。そこで、確認の意味で、東京圏における特区の目的とは何とお考えでしょうか。また、中野区が区域として指定されると、具体的にどのような取り組みができるのでしょうか、お伺いいたします。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 東京圏では、世界で一番ビジネスのしやすい環境を整備することによって、世界から資金、人材、企業等を集める国際的ビジネス拠点を形成するとともに、企業やイノベーションを通じて国際競争力のある新事業を創出することを目指しております。こうした考え方を踏まえまして、中野区では、産業・文化のプラットフォームの構築による、次世代グローバル都市のモデルとなる職住近接型の拠点の形成を提案したところでございます。

○小林(ぜ)委員 今その中にありましたグローバル化の推進や産業・文化のプラットフォームを構築していくといった取り組みは、特区の指定を受けないと取り組めないのでしょうか。また、特区となることのメリットは何かお伺いいたします。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) グローバル化の推進やプラットフォームの構築は、特区の有無にかかわらず取り組むべきことでございまして、特区の指定はその推進力となり得るものと考えております。特区を活用して民間投資や業務・商業などの集積を促し、地域経済の活性化や雇用創出につなげていきたいと考えております。

○小林(ぜ)委員 今後のスケジュールについてですけども、具体的にどのようになるとお考えでしょうか、伺います。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 今後のスケジュールは具体的に示されておりませんけれども、東京都は中野区を含む9区を指定区域の拡大対策をする考え方を示しておりまして、東京都における区域会議などを通じて働きかけるものと考えております。

○小林(ぜ)委員 次に、国家戦略特区における規制緩和についてお伺いいたします。国家戦略特区で岩盤規制を突破すると言われていますが、まちづくりの分野ではどのような規制緩和があるのでしょうか。法規面ですとか、補助金面といった規制緩和はあるのでしょうか、お伺いいたします。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) まちづくり分野の規制緩和では、都心居住促進のための容積率等、土地利用規制やエリアマネジメントの民間開放規制、道路整備基準の緩和などが挙げられております。特区制度全体では、事業者を対象とした金融支援や税制支援の措置が講じられるとされております。

○小林(ぜ)委員 国家戦略特区を活用する利点は、そうすると、どういったことなんでしょうか。民間の参入によるまちづくりが欠かせないと考えますが、民間の参入者の手は挙がっているのでしょうか、伺います。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) まちづくりの分野では、規制緩和そのものが民間参入を促すものと、このように考えております。国家戦略特区の指定はこれからでありまして、現在のところ特区のメニューを活用したいとする事業者の情報は得ておりません。

○小林(ぜ)委員 国家戦略特区では、医療、雇用、教育、都市再生、まちづくりや歴史的建築物の活用といった分野での規制改革事項が示されていますが、中野区のまちづくりではどのような規制改革を活用するのでしょうか。エリアマネジメントの民間開放は具体的にどのようなことを考えているのでしょうか。また、それは中野駅周辺での展開を考えているのでしょうか、伺います。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) エリアマネジメントの民間開放の適用によって、デジタルサイネージの設置など取り組めないか検討しているところでございます。中野駅周辺における取り組みをモデルといたしまして、他の地区にも波及させたいと、このように考えております。

○小林(ぜ)委員 規制緩和によって外国の方々が中野に来やすくなる、また、滞在しやすくなると考えます。四季の都市(まち)の早稲田大学国際交流センターへ数百人の留学生が来ており、また、中野区内の外国人の人口も1万人を超える状況にあります。よって、海外へ中野を発信する機会にもなると考えます。滞在施設の旅館業法の適用除外は、具体的にどのような展開を考えているのでしょうか、伺います。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 今後、外国人観光客の増加が見込まれておりまして、東京オリンピック・パラリンピックの開催も視野に入れながら、中野区での観光や滞在につなげていく方策を検討しているところでありまして、滞在施設の旅館業法の適用除外もすべきときと考えております。

○小林(ぜ)委員 この項、国家戦略特区の最後に、容積率の移転などについてお伺いいたします。都心住居での容積率の緩和の見直しはどの程度となっているのでしょうか。また、区内で対象となる案件はあるのでしょうか、伺います。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 都心居住促進のための容積率の緩和につきましては、国家戦略住宅整備事業として区域計画に定められた物件について容積率の緩和を図るものでございまして、商業系を中心とした用途地域に適用されるものでございます。区域計画に定められることが前提となりますので、現時点では対象となる案件はありませんけれども、可能性はあるものと考えております。

○小林(ぜ)委員 都心区の住宅整備を想定したものと考えますけれども、中野区の木造密集地域や住宅密集地域での適用は考えられないのでしょうか。私が以前から提案している高度利用と防災機能の向上の観点からも、空中権の移転・活用をしたまちづくりを行うべきと考えております。中野らしい国家戦略特区制度の活用により思い切ったことを行う、中野らしい空中権の活用などを行ってはいかがでしょうか。また、私がかねてから提案してきた空中権というのは、単に東京駅、大丸有などの考え方ではなく、既に一部港区や中央区などでもセットバック方式の考え方が行われていますけれども、中野らしいアレンジした空中権を採用していくべきだと思っています。それは、例えば弥生町三丁目や大和町の木密10年プロジェクト地域で、本来だったら3階、4階建つところを、そのお宅の事情などによって2階しか建てない場合の、3階、4階などの容積率をほかの整備事業者に買ってもらい、そのお金でそこへ新たな住宅を建てる。その買った容積率でほかでの事業展開に活用していく。こういった考え方についていかがお考えか、お伺いいたします。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 国家戦略特区では、規制改革の提案、これを募集しているところでございまして、中野区の特性を踏まえながら国際競争力の強化に資する提案を投げかけることはできるものと考えております。御指摘のような空中権の運用は一般的に難しいとされておりますけれども、都市計画上の妥当性や可能性、こういったものについて研究をしてまいりたいと考えております。

○小林(ぜ)委員 今さまざまな角度から確認を幾つかさせていただき、また、この展開についてお聞きしました。中野のすばらしいまちづくりが進むことを要望して、この項の質問を終わります。

 次に、公立学校施設整備についてお伺いいたします。

 中野区内での学校再編が本格化する中で、平成24年、中央中学校と中野第九中学校が統合され、この春新たな中野中学校の校舎が完成し、新校舎での授業が始まりました。そこで、子ども文教委員会で報告のあった、学校施設整備計画案や現状を踏まえ、何点かお聞きいたします。

 初めに、中野中学校の建設などにかかわる費用は、当初1校当たりおおむね30億程度と言われてきましたが、この金額を大きく超え膨らんだと聞いています。区立学校の整備に当たり、学校規模、教室規模、必要な教室などの施設構成などについて標準的な考え方は、中野区ではあったのでしょうか、お伺いいたします。

○伊藤子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) お答えいたします。教育委員会では、これまで平成19年に作成された中野区立小・中学校改築等整備の考え方を踏まえ、学校施設の整備を行ってございます。この考え方には、学校規模や教室規模、施設構成などの標準的な考え方を織り込んでございません。

○小林(ぜ)委員 今回、1万2,000平方メートル近くなりまして、8,000㎡を超えるとビル管理法の対象になり、校舎の維持管理、メンテナンス費用も増大することがあります。中野中学校で8,000㎡を超えて設計をしなければならなかった理由は何でしょうか、お伺いいたします。

○伊藤子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 中野中学校新校舎では、学校統合委員会で学校、保護者、地域等の要望を取り入れながら、生徒の体格に合わせた教室の拡大、図書館の拡充、武道教育や少人数教育への対応等、よりよい教育環境に配慮したことや、一般開放用のプールや体育館に配慮した結果、新校舎の規模が8,000㎡を超えることになりました。

○小林(ぜ)委員 また、中野中学校は、今後、今回の維持管理法にもありましたけれども、維持管理、メンテナンスにかかわって、屋内開放プールのない中野区内の平均的な学校と比較して、費用はどうなのかお伺いいたします。

○伊藤子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 施設維持管理経費についてでございますけれども、区内の平均的な学校と比べまして一般開放用も含んでいるため、単純には比較できないところでございますが、約1,000万円程度多くかかるものとなってしまいました。

○小林(ぜ)委員 毎年1,000万ずつかかっていく。ほかの学校にはない費用がここにかかっていくということで、設計の段階においてもさまざまあったんですけれども、8,000㎡を超えるとビル管理法がかかる。設計の段階でこういったことに気づいておくべきだったというふうに思います。これらはさまざまな要因があると思いますが、区はどのように分析しているのでしょうか、伺います。

○伊藤子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) よりよい充実した教育活動や一般開放用に施設を拡充したため、中野中学校の新校舎の維持には必要な経費と考えてございます。

○小林(ぜ)委員 先ほど言いましたので、次の質問に行きます。

 施設整備方針について何点かお伺いいたします。学校施設整備計画案はなぜ策定するのでしょうか。また、この計画は中野中学校の新校舎の建て替えを踏まえ策定するのでしょうか、お伺いいたします。

○伊藤子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 学校施設整備計画案は、校舎の主要部分が建築後50年を迎えた学校や、小・中学校再編計画(第2次)に基づく統合対象校の施設整備を着実に進めていくため、学校施設の改修・改築計画と基本的な施設整備の考え方を定めたものでございます。この学校施設整備計画案については、中野中学校の建設を踏まえまして、限られた財源の中でより効率的・効果的な整備を行うことや、今後展開される教育活動にふさわしい施設や整備を確保することを目的として、大規模改修・改築における学校規模、それと、施設面積、施設構成等の標準的な考え方を取り入れ、策定してございます。

○小林(ぜ)委員 今後、新築や改築、大規模改修の際には、地域の利用団体や諸団体、前回もさまざまな指摘がされていましたけれども、意見を聞いて整備を行うべきではないでしょうか、これについても伺います。

○伊藤子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 改築や大規模改修などに当たっては、PTAや地域、利用団体など、諸団体からも意見等を取り入れていきたいと考えております。

○小林(ぜ)委員 3番目に、今後の施設整備にかかわる財政面の考え方についてお伺いいたします。中野区財政白書、平成25年度決算書の22ページを見ますと、基金残高の推移が載っています。冒頭、平成25年度末基金残高は、義務教育施設基金や社会福祉整備基金の積み立てにより、前年度より3億円増加しています。今後のまちづくりや施設整備、学校再編などの財政需要を考えると、より計画的に積み立てと繰り入れを行う必要があるとうたわれています。現在、義務教育施設基金の残高はどのくらいあるのでしょうか、お伺いいたします。

○黒田政策室副参事(予算担当) 25年度末での基金残高でございますが、107億2,654万1,000円となってございます。

○小林(ぜ)委員 そうしますと、今後の再編計画スケジュールを見ますと、再編に伴う施設計画に大きな費用がかかることがわかりますが、6年後の平成32年には4校で同時に整備が行われることになり、非常に財政負担が大きくなることが予想されます。それに伴い、一般財源についても大きな額を投入することが予想されます。義務教育施設整備基金の積み立てを推進することも考えられますが、新たな10か年計画改定時には積み立てを行うことも考えなければならないと思いますが、区はいかがお考えでしょうか、お伺いいたします。

○黒田政策室副参事(予算担当) 基金積み立てのことでございますが、24年度以降、義務教育施設整備基金の充実を図るために、当初予算の段階で10億円を積み立てるということをしております。新たな10か年計画の策定の中等で財政フレームなどの検討をする際に、学校建築等の経費の対応を図るためにも、積立額の増額については検討していきたいというふうに考えてございます。

○小林(ぜ)委員 最後に、中野中学校で活用した負担金、補助金が何かお伺いいたします。また、改築・新築で本体に活用できる負担金、補助金はあるのでしょうか。大規模改修では活用できないものもあるのでしょうか、あわせて伺います。

○伊藤子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 中野中学校では、国の公立学校施設整備費負担金、学校施設環境改善交付金、東京都の新しい学校づくり重点支援事業交付金を活用して新校舎を建築してございます。補助金等の活用でございますが、校舎の改修・改築に当たっては、公立学校施設整備費負担金、学校施設環境改善交付金の活用が考えられるところでございます。しかし、その対象事業は広範囲にわたっており、要件も対象事業ごとにあるので、最大限これらの負担金、補助金の財源を確保できるような方策を検討していきます。

○小林(ぜ)委員 今後のさまざまな新規改築、大規模改修がありますけれども、使える補助金は全て活用していく。一般財源にかかる負担を少しでも軽減していく。使えなくなった補助金があるというようなことがないようなことを要望し、この項を終わります。

 4番目に、公立学校の通学路の防犯、安全・安心対策について伺います。

 未就学児や小学生などの誘拐事件や交通事故などの報道が後を絶ちません。先日も世田谷区で帰宅途中の児童の列に車が突っ込む交通事故がありました。私のもとにも未就学児や小・中学生を持つ親御さんから、子どもに対する防犯や予防対策の声が寄せられます。その対策のひとつとして、公立学校の通学路など、防犯カメラを設置することが効果的と考えます。防犯カメラの設置は、犯罪の抑止にもなりますし、事件・事故の確認にも使えます。ただ、プライバシーの侵害という声もあります。一方では設置してほしいという声も出ています。

 初めに、現在中野区では、町会、自治会、商店街などに防犯カメラが設置されていますが、その設置状況についてお伺いいたします。

○中井都市基盤部副参事(生活安全担当) 平成20年度から開始いたしました中野区防犯設備の整備に関する補助金交付事業におきまして、現在24の団体がこの制度を御利用いただいております。台数は140台の防犯カメラが既に設置されているところでございます。なお、今年度につきましては13の団体がこの制度を利用いたしまして、64台の防犯カメラの設置を予定しているところでございます。

○小林(ぜ)委員 そうすると、37町会・自治会で204台ですね。町会、自治会、商店街の現在の設置状況を学校区の地図に落としてみました。鷺宮、野方、中野地域には防犯カメラが多く設置されていますけれども、江原、江古田、中央、本町、南台の地域には設置がほとんどありませんでした。そこで、中野区全校区内の通学路へ防犯カメラを設置し、安全対策を強化してはいかがでしょうか。設置は、小学校区25校区の中でも既に200台を超えて――先ほど204台ありましたけれども――設置された町会、商店街とも連携をとり、既に事件・事故などの発生した箇所を中心に設置することも可能と考えます。東京都では、今年度から5か年計画で公立学校の通学路への設置補助事業があり、これを活用し、中野区は全校区に防犯カメラを設置してはいかがでしょうか、伺います。

○伊東教育委員会事務局副参事(学校教育担当) お答えいたします。通学路への防犯カメラの設置につきましては、その設置場所ですとか管理方法、また、地域やPTAとの調整も必要となるため、現在検討に当たっての課題の整理を行っているところでございます。

○小林(ぜ)委員 課題の検討もいいですけども、これは今年早々に出たことですので、早目の検討をお願いしたいと思います。

 その上で、現在防犯カメラにはさまざまなタイプがあります。今や民間の技術は進歩しており、フェイスブックなどの顔認証のように、映像から顔や人を認知する高感度機能を持ったカメラもあります。通学路の中には痴漢の発生する道路もあります。また、まだまだ減らない詐欺事件や、家までとりに来る詐欺、また、これから特に高齢化社会に向かい、認知症の徘徊者などを捜すことなど、幅広く活用できる高感度の防犯カメラを通学路に設置してはいかがでしょうか、伺います。

○伊東教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 導入に当たりましては、委員の御紹介のとおり東京都の補助事業を活用することとなるため、御提案のような高感度の防犯カメラの設置については難しいのかなというふうに考えてございます。

○小林(ぜ)委員 まあ、ゆくゆくこういったものも安価になってくるかというふうに思いますし、また、事業者によってはモデル事業をつくる方もいると思いますので、そういうときが早く来ることを願っています。

 私は、区として身近に行える防犯対策から始めることが大事であると考えます。中野区と姉妹都市交流のあるソウル特別市陽川区では、数多くの防犯カメラが設置され、地域の防犯のために役立っているとも聞きます。田中区長も訪問の折には大きな関心を持たれたと聞きます。防犯カメラ設置について区長はどのようにお考えでしょうか、御見解をお伺いいたします。

○田中区長 陽川区の場合は、たしか700か所ぐらいの多数の場所に区が直接、事件・事故の連絡をするような装置も含めて防犯カメラを設置して、1か所で集中して監視・管理をするという、大変、言ってみれば未来的な仕組みのような気がして、日本でそういったことができるのかどうかというのは、いろんな意味でその事情が異なる部分はあるのかなというふうに思いましたけれども、大変進んでいると思いましたし、まちの安全性には大変寄与しているというふうに思いました。防犯カメラの設置による犯罪抑止の効果というのは大変高いというふうに思っております。また、犯罪が起きてから後の捜査にも役に立っているという認識を持っております。今後とも町会・自治会や商店会等に対して設置を呼びかけ、防犯カメラの設置地域について広げていくということが大事なのではないかと考えております。

○小林(ぜ)委員 23区の中でも多くの区が今そうした取り組みを行っておりますので、中野区だけとは言いませんけれども、防犯のための安全・安心の対策が行われてこなかったということがないようなことを要望いたします。

○内川委員長 小林ぜんいち委員の質疑の途中ですが、ここで休憩したいと思います。

午前11時59分休憩

 

午後1時00分開議

○内川委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。小林ぜんいち委員、質疑をどうぞ。

○小林(ぜ)委員 休憩が入りましたので、改めて午後の質疑に入らせていただきます。

 午後の最初は、父親による子育ての支援について、5番目についての質問をさせていただきます。

 私の子育ては既に20年以上前のこととなってしまいましたが、そのころから見ますと、今の子育てをする親、お父さんお母さんたちの社会的背景、環境が大きく変わっていると思います。安倍首相も女性活躍担当大臣に女性議員を起用し、女性が輝き働ける時代に大きく期待を寄せています。女性が輝き働き続けられることは、夫の存在が大きく、また、子育てを通じて男女共同参画社会へ向けワークライフバランスも大事であり、子育てに父親の参画も必要となります。私はこの数か月間、中野区内をはじめ、大阪や埼玉、被災地・岩手で多くの助産師さんの話や、産前・産後を被災地で経験した方々からお話を伺う機会を得ました。また、お産施設、産後ケア施設、子育てを中心とする子育てグループ、イクフェス、両親学級、そして、父親のための親育ちワークショップなどもあわせて視察させていただきました。そこで得た感想は、父親の子育てへのかかわりがあまりにも少ない。逆に、母親の負担があまりにも大きい、この差です。母親は1人で子育てに悩んでいます。特に産後のホルモンバランスに変調をきたし、一時的に情緒不安定にもなりがちです。

 中野区には、初めての赤ちゃんを迎える御両親のための、産前の両親学級があります。両親学級は、中野区内在住で初めて出産を迎える御夫婦で、妊娠5か月以上の参加が中心で、パパのための教育実習、妊娠体験と産後の心と体についてなどを学びます。両親学級について区の現状を調べてみましたら、すこやか福祉センターや児童館で毎年32回開催され、利用者は約500組の1,000人が利用されています。これは、中野区内で母子手帳を受け取る約3,000人のおよそ6分の1です。そして、予算額は約250万です。両親学級は、ほぼ全員がパパ、ママの2人で参加しています。イクメンと語られて久しくなりましたが、区の男性職員で育休制度を活用している人数は毎年ゼロから1人。つまりほとんどいないと聞きます。区が先立ち、もっと多くの職員が活用すべきと思います。

 現在の子育ての問題点として、親が自分の育ちの中で親になるための経験ができていないこと、また、育児以外の面では高い能力を持っていらっしゃいますが、これについてはほとんど何も知らない親が孤立して育児をしている。育児について相談し合える仲間づくりや、親が心身ともに安定して赤ちゃんにかかわることで、親子の絆がより深まると指摘する専門家もいます。また、仲間づくりでママたちが孤立から解放されることで、子どもへの虐待予防にもつながると考えます。子育て中の子どもは、ほぼ全てが母親だけによって育てられていますが、さまざまな意味で父親の存在、かかわりが大事と考えます。

 そこで、特に産前・産後育児など育ちの充実に父親の協力が必要、重要と思いますが、区はどのようにお考えでしょうか、伺います。

○永田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 出産や子育てを安心して行っていく上で、父親のかかわりは重要であると考えてございます。例えば、産前・産後に不安やストレスを感じる母親に対して、父親が寄り添い、パートナーとして精神的な支えとなることや、家事を積極的に分担することなどにより、母親の心身の健康を保持していくこと、そして、生まれてきた赤ちゃんの世話やスキンシップなどにより、喜びや大変さを共有しながら父親としての自覚を高め、愛情を深めていくということなどが、子どもの健やかな成長にとって大切なことと認識してございます。

○小林(ぜ)委員 6月14・15日、なかのZEROホール西館で行われたイクフェスには、区内外の方々が多く参加され、お父さんも多く参加されていました。私は、参加者に感想を伺いながら、父親としてかかわれる子育てに高い関心を持っていることを肌で感じました。先ほど触れた両親学級に参加するなど、産前・産後の母親を支え、子育ての責任を果たそうと意識している男性も少なくありません。とはいえ、一般に父親は、乳幼児期の子育てにおいて母親とは意識的にも遠くなりがちです。最近では、育児に関する父親向けに書かれた本も出ていますが、母親中心の講座や両親を対象にした両親学級などではなく、父親という立場から専門的に子育てについて学ぶ機会が大切ではないかと考えています。例えば、父親を対象に絞った専門家による講演や、体操、料理教室、懇談などを行い、子育てをもっと身近に感じられるようパパさん学級を実施してみてはいかがでしょうか。父親が子どもを連れて教室に参加している間は、つかの間とはいえ母親のリフレッシュ、レスパイトケアにもなります。また、教室を複数回実施することで、先輩パパや新人パパ同士が懇意になり、近い将来地域で活動できる人材の育成にもなると考えます。地域には、団体支援や地域支援を行っている大切な資源の育児グループも数多くあります。パパさん学級中は、地域の育児グループに支援をお願いしながらパパさん学級を開催してはいかがでしょうか、伺います。

○松原中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) すこやか福祉センターや児童館などでの地域子ども施設におきまして、すこやか福祉センターの専門職、あるいは民間の助産師、医師などによって、子育て家庭を対象とした講座を実施しているところでございます。今後につきましては、委員の御提案も参考にしながら、子育てや教育の負担が女性に偏ることなく、男性もより効果的に参加できるように、さまざまな機会を確保して工夫しながら支援を進めてまいりたい、このように考えております。

○小林(ぜ)委員 ひとりで孤立するお母さんのためにも、ぜひパパさんのための講座を開催していただきたいと思います。

 3番目に、医療機関で妊娠の診断を受けた方に、母子健康手帳が入った母と子の健康バッグの交付があります。このときにあわせて父親手帳の発行を行い、父親の意識改革の機会にすべきではないでしょうか。内容は、母子手帳の内容はもちろん、父親側から見た育児に関するさまざまな事柄、例えば出産一時金、健診14回、予防接種、児童手当、医療費無料など、父親の役割も入れてはいかがでしょうか。父親手帳の交付についていかがお考えでしょうか、伺います。

○永田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 子育てにおけます父親の役割やその重要性などにつきましては、妊娠届け出時に配布してございます母子健康手帳や母子健康手帳副読本のほか、区の子育て支援ハンドブック「おひるね」の中でも取り上げているところでございます。特に父親に向けた情報の提供や発信につきましては、父親手帳やインターネットの活用など、どのような方法がより効果的であるか研究してまいりたいと考えてございます。

○小林(ぜ)委員 東京都でもホームページに掲載されたり、他県でも行ったりしていますけれども、まずは周知、そして、この存在をよく知っていただいて、渡すことを前提によく検討していただきたいと思います。

 6番目に、地域包括ケアシステムの構築についてお伺いいたします。

 来年度から始まる地域包括ケアシステムについて、中野らしいモデル、中野スタイルの構築へ向けてお伺いいたします。団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、住んでいる地域で医療や介護などのサービスを一体的に受けられる体制の構築へ向け、地域包括ケアシステムの取り組みが具体的に始まろうとしています。現在、中野区では65歳以上の方々が約6万5,000人、高齢化率は20.7%、そのうち65歳から74歳は10.5%の約3万3,000人です。65歳以上の方々のうち、介護保険を利用している要介護の方々が約9,000人、要支援の方々は約4,000人いらっしゃいます。こうした状況の中で新たに始まる地域包括ケアシステムは、住み慣れた地域で最後まで尊厳を持って自分らしく生活を送りたいという願いをかなえるため、介護状態になることを予防し、遅らせ、重度化を防ぐ取り組みのことで、今までとは180度異なる考えの取り組みが始まると考えます。

 中野区では、現在、地域包括ケアシステム構築へ向け、中野区保健福祉審議会の介護・地域包括ケア部会でもさまざま検討がなされていますが、その検討状況と、中野区における地域包括ケアの仕組みの検討の進捗状況を踏まえてお伺いいたします。私は、国の示すモデルを中野区としてさらに進め、進化させ、広義のケアと捉え、子どもから高齢者、障害者なども広く対象にした中野らしい地域包括ケアの取り組み、構築が必要と考えますが、区としていかがお考えでしょうか、お伺いいたします。

○小田鷺宮すこやか福祉センター所長 お答えいたします。区では、高齢者、障害者、支援を必要とする子どもやその保護者など、全ての区民が住み慣れた地域で一人ひとりの能力や状況に合った支援によって、自立した地域生活が送れるような包括的な地域ケアを目指しておりまして、区内4圏域のすこやか福祉センターを中心としてその取り組みを進めているところでございます。

○小林(ぜ)委員 次に、今後の取り組みについてお伺いいたします。私は、今ある高齢者何でも相談所、地域包括支援センター8か所とすこやか福祉センター4か所が、コーディネーター役として機能と連携の強化が欠かせないと考えています。強化とは、待ちの姿勢では何も変わらない。こちらからアプローチをしていくぐらいの勢いがなくては変わらないと考えています。そこで、地域支援事業である介護予防事業、2番目の包括的支援事業、3番目の任意事業、の3つの今後の取り組みがありますが、新たに加わる包括的支援事業の中身についてお伺いいたします。

○藤井健康福祉部副参事(福祉推進担当) お答えします。今回、制度改正によりまして、包括的支援事業の中に新たに入りました3つの事業といたしましては、ひとつは在宅医療・介護連携推進事業、ひとつは生活支援体制整備事業、もうひとつは認知症総合支援事業、の3つの事業になります。これらはいずれも地域包括ケアシステムを構築するために、必要な推進体制を整備するものと認識しております。

○小林(ぜ)委員 高齢者が病気を抱えても、今の生活の場で自分らしく人生を送る生活が大事と思います。そのためには在宅医療や介護・看護サービスが連携し、住まいにやってくる居場所づくりがあると思います。また、体制の確立により行われる地域包括ケアシステムは、できる限り介護サービスを受けずに住み慣れたところに住み続けていくことも選択できるようになるということから、そのために本人、家族の心構えが大切となり、意識改革と啓蒙も必要と考えます。在宅医療の継続のためには、医療、看護などのサービスの充実も必要ですが、しかし、元気になれば日常生活が活発になり、生きがいや生活の張りを持ち、要介護状態から脱出することにつながります。より多くの方が元気を取り戻すために、早期に多様な角度から支援が用意され、選択できるようになっていくことが重要と考えます。

 中野区保健福祉審議会では、これまでの会議で中野区の課題が洗い出され、今月8日には介護・地域包括ケア部会でこれまでの議論の結果が第一次報告書として取りまとめられました。その中に要支援・要介護高齢者を地域で支える地域包括ケアシステムについて、今後の取り組むべき重点項目が4点挙げられていました。この4点とは、1.地域ケア会議の推進について、2.認知症の早期発見・早期対応への取り組み、3.在宅医療・摂食えん下機能支援の推進、4.介護予防事業の拡充ということです。さまざまな問題がある中で、新規に取り組む、また、優先して取り組むものとされています。これに沿った内容でお伺いいたします。

 最初に、新たな会議体の位置付けとして、区、すこやか、町連、個人単位で行われている現行の地域支えあい推進会議を発展させていくことが大事と考えます。地域ケアの会議体の今後のあり方はどのように持ち、運営されるのでしょうか、お伺いいたします。

○小田鷺宮すこやか福祉センター所長 現在区で考えております地域ケア会議は、区全体を所掌いたします中野区地域ケア会議と、各すこやか福祉センターの圏域ごとにすこやか地域ケア会議を設置することを考えております。現在、地域ケア会議の運営方法や構成員等について検討を行っているところでございますが、地域ケア会議の役割といたしましては、地域課題の解決やネットワークの構築が重要であることから、医療、介護、福祉にかかわる多職種・多機関の団体や、地域福祉にかかわります地域団体など、幅広い関係者で構成することを考えております。区全域を所掌いたします中野区地域ケア会議につきましては、現行の中野区地域支えあい推進会議の改編も含めまして、実効性のある会議体となるように検討しているところでございます。

○小林(ぜ)委員 マスコミ等でも取り上げられていますけれども、例えば和光市で行われているコミュニティケア会議では、専門家とともに市民一人ひとりへの効果的・効率的な介入を担っているケアマネジャーも入れて、一人ひとりのケアプランを一緒になって検討し、落とし込むところまで行っています。高齢者の幸福、尊厳、QOLを向上させるために、専門性の高いケアマネジメントを提供するとの方針のもと、理学療法士、歯科衛生士、薬剤師などの専門家が入り、OJTでケアマネを育成する会議をしているようです。これを参考にケアマネさんの育成強化を行ってもよいのではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか、お伺いいたします。

○小田鷺宮すこやか福祉センター所長 一人ひとりのケアプランの検討につきましては、支援を必要とする個別の対象者ごとの個別検討会議で行うというふうに考えておりまして、この個別検討会議をさらに充実させることによりまして、ケアマネジメント能力の向上を図っていきたいと考えております。区全域やすこやか福祉センター圏域で行う地域ケア会議では、個別検討会議の内容を集約化いたしまして、具現化したものについて検討していくことを考えてございます。

○小林(ぜ)委員 私は、認知症になっても尊厳ある生き方が大事と考えています。そこで、認知症の早期発見・早期対応への取り組みとして、窓口となるすこやか福祉センターや地域包括支援センターの取り組みは、現在どのように行われているのかお伺いいたします。

○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 高齢者の生活状況を把握するために、70歳以上の高齢者につきまして、すこやか福祉センターや区民活動センターの職員による訪問活動を行っています。また、民生委員によるひとり暮らし等の高齢者調査を行っています。そういった訪問調査の中で認知症の疑いのある場合などにつきましては、すこやか福祉センターが地域包括支援センターなどと連携いたしまして、家族などを通じて医療機関への受診を促すなど、必要な支援を行っております。地域包括支援センターでは、認知症高齢者の御家族や御本人からの相談で、認知症の気づきチェックリストを用いるなど早期発見にも努めているほか、認知症サポーター養成講座などの開催によりまして、地域や家族に正しい知識の普及をしているところでございます。

○小林(ぜ)委員 私は、すこやか福祉センターや地域包括支援センターに認知症専門の窓口を設け、家族や認知症アドバイザー医などとともに対応する体制をつくることが第一と考えますが、その点いかがお考えでしょうか。

○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 認知症の相談対応につきましては、これまでもすこやか福祉センターや地域包括支援センターで行っておりますが、今年10月には認知症コーディネーターと位置付けた職員を庁内に設置する予定としております。今後は、医師会の認知症アドバイザー医や二次医療圏のアウトリーチチームを活用した取り組みも進めていくところでございます。また、現在、認知症高齢者をさらに早期に発見し、より適切なサービスにつなげるための、区と関係機関のかかわり方について検討しているところでございます。

○小林(ぜ)委員 3番目に、在宅医療と介護連携は、かかりつけ医をはじめ、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、保健師、介護福祉士や、訪問指導・機能訓練などを行う各団体と多職種連携を促進するために、現在どのように取り組んでいるのでしょうか。また、在宅でできる支えるサービスを強化すべき具体的なことは何とお考えでしょうか、お伺いいたします。

○藤井健康福祉部副参事(福祉推進担当) 平成24年度より多職種が参加した在宅療養推進協議会及び摂食・えん下機能支援推進協議会を立ち上げまして、区民向けの講演会、在宅療養にかかわる多職種のレベルアップと連携を深めるための研修などを開催しております。ただ、従来からの医師会等の取り組みの成果もありまして、地域で顔の見える関係が構築されつつあるということでございます。しかしながら、高齢者福祉・介護保険サービス意向調査のケアマネジャー調査におきましては、主治医が忙しくてなかなか時間をとってもらえないというふうな回答がいまだ3割程度ございます。これにつきましては、今後も医療と介護の連携を推進する取り組みを行っていく所存でございます。

○小林(ぜ)委員 例えば、新宿区の戸山ハイツで行われている「暮らしの保健室」というものがあります。先日もNHKスペシャルで取り上げられた「新宿人情保健室」ですけれども、この団地には約3,300世帯、6,000人の住民が住んでいらっしゃいますが、高齢化率が約50%。保健室には、国から助成を受ける在宅医療連携拠点事業の一環で、新宿区内にある民間のケアーズ白十字訪問看護ステーションが運営主体となっています。2011年、ハイツ1階の空き店舗に開設されました。相談は無料。例えば、お医者さんの言っていることの意味がよくわからないなど、介護、生活の困り事に看護師やボランティアスタッフが何度もワンストップで話を聞いたり、相談を受けたりしてくれます。高齢化率の高い地域の「地域の保健室」の存在意義はとても大きく、今後地域医療、在宅ケアを進めるにあたって、このような訪問看護で培ったノウハウと、地域のつながりが生かされる検討を重ねていく勉強会を開催しているような方々を支援することに取り組むべきと考えます。中野区医師会で行っている訪問看護ステーションは、今後地域の保健室として発展していきたいという意向もあるようです。そのようなことが可能であれば、さらに支援をしてモデル的な事業を展開すべきではないでしょうか。区のお考えをお伺いいたします。

○藤井健康福祉部副参事(福祉推進担当) 地域で誰でも立ち寄り、健康状態や疾病、介護などについて相談できる、地域の保健室的な取り組みがあることは承知しております。また、医師会ではそのような地域の保健室の取り組みとして、健康相談事業を多職種の連携を視野に入れて検討されていると聞いております。今後の医療・介護の連携を推進する観点からも、区としてもこの活用について検討していきたいと考えております。

○小林(ぜ)委員 4番目に、介護事業の拡充、日常生活の支援総合事業は、今後の制度改正によって手軽なサービスを受けられると考えられますが、区としてどのように考えているのかお伺いいたします。

○藤井健康福祉部副参事(福祉推進担当) 介護予防・日常生活支援総合事業につきましては、現在区としての対応を検討しているところでございます。予防教育から移行する訪問・通所のサービスだけでなく、今までは介護保険の制度外で行われていた民間のサービスや地域で行われている各種の取り組みなども活用し、総合事業の対象者にとって生活機能の維持、減退防止に役立つような、多様なサービスが受けられるようにしていきたいと考えております。

○小林(ぜ)委員 区内の社会資源の発掘と活用と、区の経営資源の充実した活用を視野に入れて、区長の言う全員参加型の取り組みを進めるためには、社会福祉協議会などとの連携を強化すべきと考えます。いかがお考えでしょうか、お伺いいたします。

○小田鷺宮すこやか福祉センター所長 包括的な地域ケアを進めていくためには、さまざまな社会資源の発掘や活用が大変重要であるというふうに考えております。地域福祉の向上のため、区民を支援するさまざまな活動を行っております社会福祉協議会とは、今後より一層連携を深めてまいりたいというふうに考えております。

○小林(ぜ)委員 私は、区内の社会資源の活用のひとつに、先ほども言いましたけれども、社会福祉協議会の強化も大事であり、支援の拡充も、と考えています。例えば、スマイルなかのでは狭過ぎますし、地域でのサロンやボランティア活動をもっと支援すべきと考えますので、これは強く要望しておきます。

 次に、区の経営資源の活用のひとつであるすこやか福祉センターや地域包括支援センターのあり方と充実についてお伺いいたします。杉並区では、所在不明高齢者が発生したことを受け、「安心おたっしゃ訪問」を、75歳以上の介護保険などの公的サービスや健診を受けていない方を、地域包括支援センターの職員と民生委員で全戸訪問し、地域の中で日常的に相談できる関係づくりや適切な支援につなげることを目的に行っています。杉並の例では75歳ですが、こちらからの訪問ということですが、地域のつながりのない人たちにアプローチしていく方法として、私は、65歳になったら全員が介護保険や老後についての心構えや選択肢を知る機会があるとよいと思います。例えば、まだ若いので働きたい、どこかで働けないか、お金をかせぎたい、ボランティアをしたい、学んでみたい、これからの生活、介護についてなど、何でも話し相談のできる場があってもよいのではないかと考えています。地域包括支援センターだけでは、そのようなことには応えられないと思いますが、それがすこやか福祉センターであるというのであれば、65歳になったとき、1度はすこやか福祉センターへ行ってみたくなるようなツールを用意するなどして、今後生活が変わっていくことへの準備、大きな意識転換ができるよう支援してもよいのではないでしょうか、お伺いいたします。

○小田鷺宮すこやか福祉センター所長 区内4つの圏域にございますすこやか福祉センターは、現在も地域の区民の方の相談窓口としてさまざまな相談を受けております。すこやか福祉センターでは、相談の入り口として区民の方のお話を伺いまして、必要な情報の提供を行うとともに、必要な支援につなげることを行っておりますが、今後地域で高齢者の方が大変多くなっていく状況を踏まえまして、さまざまな要望や御相談の窓口として気軽においでいただけるよう、より一層PRに努めるとともに、地域包括支援センターとも十分な連携を図りまして、区民の皆様の抱えていらっしゃる問題の円滑な解決に向けまして、地域のコーディネーターとしての役割を充実させてまいりたいというふうに考えております。

○小林(ぜ)委員 次に、人材面からお伺いいたします。地域包括ケアは、現在バックアップする心材が少なく、育成、仕組みをどうつくるかが急務と考えます。地域における元気な高齢者、一定の仕事を終えた方々の地域での役割、担い手づくりと支えあい活動の担い手づくりが欠かせないと思います。担い手づくりのひとつに、2020年に東京オリンピック・パラリンピックがあります。このときをチャンスと捉え、元気な高齢者がその後も活動できる場づくりを行うべきと考えます。場づくりには、シルバー人材センターや町会、自治会、友愛クラブ、地域スポーツクラブ、社会福祉協議会などもそのひとつと考えます。いかがお考えでしょうか、伺います。

○小田鷺宮すこやか福祉センター所長 今後、オリンピック・パラリンピックを契機といたしまして、多くの区民の方が地域に関心を持ち、地域での活動の担い手となることを期待しております。そのためにも地域の情報や状況を積極的に発信し、担い手の育成に努めていきたいというふうに考えております。このため、シルバー人材センターをはじめとします地域のさまざまな団体と連携し、担い手の発掘・育成に努めてまいりたいと考えております。

○小林(ぜ)委員 また、ケアマネを含めた介護職の資質の改善も行うべきと考えます。介護にかかわり、区の直営から地域包括支援センターへ委託され、サービスの質が変わってしまったと感じます。区が責任を持ってかかわってくれるのか心配もあります。板橋区では、地域包括支援センターをわかりやすい名称で「おとしより相談センター」といい、お年寄りの総合相談として、お年寄りが住みなれた地域で安心して生活が続けられるようお手伝いをしています。また、例えば情報支援のひとつとして、ケアマネがタブレットなどを活用し、区で一元化された相談者の欲しい情報支援を行ってもよいのではないかと思います。さきにも述べましたが、すこやか福祉センターの中に相談、アドバイスに応じられる人がいることが大事と考えます。あわせて、区職員の専門性の強化や地域での対応能力強化、例えば認知症コーディネーターや生活支援コーディネーター、すこやか福祉センターの職員、地域包括支援センター、日常的には見守り・支えあい活動を行う町会・自治会や民生委員などが、医師会などの専門機関との連携強化も大事と思います。こうした面を強化するには、担い手である人材の質・量ともの成長が特に急務と考えます。区として積極的に人材の育成をすべきと考えます。国や都の役割も大きいと思いますが、区としてどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。

○小田鷺宮すこやか福祉センター所長 精神疾患のある高齢者の方などの個別ケースにつきましては、すこやか福祉センターの保健師が、ケアマネジャーの相談に応じるなどの支援を現在でも行っておりまして、さまざまな事情のある御家族への支援につきましては、地域包括支援センターとすこやか福祉センターの職員が一体となって支援を行っているというような現状がございます。また、地域ケア会議の設置目的といたしましては、地域の関係者や関係機関とのネットワーク体制の構築というものがございまして、地域ケア会議を開催することにより、より連携の強化を図っていきたいと考えております。今後、地域で発生いたしますさまざまな課題に対応するため、区職員の専門性の強化は重要なことでありまして、地域も含めた幅広い人材の育成については、国・都の動向を踏まえながら、区としての取り組みについて検討していきたいというふうに考えております。

○小林(ぜ)委員 こうした人材の育成も含め、所管の見直しも必要かと思います。区の経営的資源の活用や専門性のスキルアップを行い、区長を長として中長期的立場に立ち、各分野が兼務しながら、横断的に、積極的に努力を推進すること、また、地域包括ケア推進室といった部署、プロジェクト、あるいは本部体制の創設などが考えられますが、いかがお考えでしょうか。現状も含めてお伺いいたします。

○海老沢政策室副参事(企画担当) 地域包括ケアの体制を構築するためには、医療や介護の連携、予防の推進、見守り、高齢者になってからも住み続けられるバリアフリーの住まいの対策など、総合的な対策が求められるところでございます。これまでの区が取り組んできた施策を踏まえまして、総合的な取り組みを構築していく必要があるというふうに考えてございまして、区として進めるべき地域包括ケアの全体像や目標を明らかにして目標体制の整備を行い、必要な体制の整備につなげていく必要があるというふうに考えております。

○小林(ぜ)委員 この項の最後に、区長にお伺いいたします。中野の地域社会が今までに経験したことのない高齢化社会の現実、スピードを加速して迫ってきています。特に75歳以上の高齢者の増加が急速であることに着目しなければならないと思います。こうした時代の転換ともいうべき時期を迎えているときに、最も大事なことは、さきに述べましたが、区民はもとより町会・自治会をはじめとする公益活動団体、民間事業者、関係機関、そして、行政などが一体となって、地域における新たな生活や暮らしの価値観を共有することではないでしょうか。そして、その理念の根本に据えておかなければならないことは、例えば一人ひとりにとって尊厳ある生き方の尊重と生活の豊かさを求めつつ、お互いの生活を認め合い、生かし合い、そして支え合う、共感力、実践力、活動力ともいうべきことではないでしょうか。また、誰もが当事者である、誰もが支え手であると同時に、やがては支えられる存在になるという現実を直視しながら、身近な地域の中にあって具体的なサービスがいざというときに受けられる、そのための地域包括ケアの仕組みが整えられていくと思います。そこで、区長のおっしゃっている全員参加型という区民全体の共通理念、区民同士が互いに共感・共鳴し合う新たな中野の地域包括ケアビジョンがあると思います。こうした区民共通の理念のもとに、高齢化社会をチャンスと捉え、新たな地域コミュニティを展望し、具体的な構築の出発点にしてほしいと私は思います。この点について区長はいかがお考えでしょうか、お伺いいたします。

○田中区長 超高齢化社会を安心してみんなが住み続けられる社会にするということは、先進国どの国もやがて突き当たる大事な課題でありまして、日本がそうした課題にいち早く対応した国、社会をつくっていくということが、私たちの国をこれから新しい形で発展させる上でも大変重要なことだというふうに思っております。そういう意味で、地域で包括ケア体制をしっかりつくり出していくということが、今早急に求められている大変重要な議論をしていただいたというふうに思っております。今、委員の質問にありましたように、一人ひとりの尊厳ある生き方の尊重、また、互いを認め合い、生かし合い、支え合う、共感力・実践力・活動力を基本とするということ、また、誰もが当事者であり、誰もが支え手であると同時に、やがては支えられる存在になるという、そうした現実を直視して、身近な地域で具体的なサービスを受けられる体制をつくる。そうした理念を共有していく。御質問いただいた言葉をそのまま使ってしまいましたけれども、まさにそういう形の地域をつくっていくことが重要なことだというふうに思っております。

○小林(ぜ)委員 ありがとうございます。これから高齢化社会が迫ってまいります。また、来年から始まってくる新しい制度でもありますので、区としてのさまざまな取り組みもあると思いますし、また、困難な点もあると思いますけれども、よりよい地域包括ケアシステム、そして、中野らしい、中野スタイルとしての構築ができるように要望いたします。

 7番目に、見守り・支えあい活動についてお伺いいたします。

 高齢者の見守り・支えあい事業が始まって3年がたちます。区内の町会や自治会が区より高齢者の名簿の提供を受け、名簿閲覧者による戸別訪問を行っています。名簿の提供を受けた団体は、110町会・自治会中、74町会。全体の67%になり、地域での見守りの関心の高さが伺えます。地域では、町会や自治会のほかに地域包括支援センターの職員、民生委員、社会福祉協議会や医師会など、さまざまな事業者が見守り・支えあいに協力してくださっています。東京都水道局では、6月から検針時に異常を見つけたら地元自治体に連絡する協定結びを始めました。2か月に1度の検針の機会ですが、このときに安否確認は非常に大事な機会と考えます。私は、中野区も締結すべきと言ってまいりましたが、その後の状況をお伺いいたします。

○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 中野区は、東京都水道局と平成26年9月1日付で、行政による支援を必要とする者に係る情報の提供に関する協定を締結いたしました。区は、この協定に基づきまして、水道局が業務を通じて把握した要支援者に関する異変等につきまして情報提供を受けまして、すこやか福祉センターを中心に要支援者の安否確認や必要な支援への提供へ結びつけていくことになります。事業者と連携した見守り・安否確認は非常に重要と考えておりますが、この新たな仕組みのひとつであるというふうに捉えておりまして、今後の活動に十分生かしていきたいというふうに考えております。

○小林(ぜ)委員 関連して、我が会派のやながわ委員からも以前提案していますけれども、安否確認付ごみ収集についてお伺いいたします。区が行っているさまざまな事業の中でも、清掃事業は区民生活と密接にかかわっています。このため清掃事務職員の皆さんは、毎日ごみ収集においてこうした見守りが必要な方々と接する機会も多いと思いますが、ごみ収集に当たってどのようなことをされているのでしょうか、お伺いいたします。

○杉本環境部清掃事務所長 清掃事務所では、高齢者や障害者など御自分で集積所までごみを出すことが困難で、親族、ボランティアの方等の協力を得られない世帯を対象としまして、御自宅を訪問してごみを収集する訪問収集という事業を行ってございます。

○小林(ぜ)委員 高齢者の見守り・支えあい、安否確認には、こうした訪問収集の折に、ごみが出ていませんが大丈夫ですか、暑さ、寒さが厳しいですが、おかげんはいかがでしょうか、などのお声がけをすると安否確認ができると思いますが、どのような対応をされているのでしょうか、お伺いいたします。

○杉本環境部清掃事務所長 訪問収集に当たりまして、ごみの排出状況を日々確認してございます。連続してごみが出されていない場合ですとか、約束をした日にごみが出されていない場合などには、あらかじめお申し出をいただいてございます緊急連絡先のほうに御連絡申し上げております。

○小林(ぜ)委員 今の答弁で、お約束した日にごみが出されていない場合は、緊急連絡先へ連絡しているということを言われていましたけども、まずは声かけが最初の見守りではないかと思います。声かけ、そして、顔を見ることがコミュニケーションを図る上で最も大事だと思います。ごみ収集時の声かけを徹底すべきと思います。お隣の杉並区では、訪問収集の対象者へ3か月ごとに連絡や面会を行ったり、この7月から9月を強化月間として、1回でもごみが出ていない場合にはお声がけを行うなど、一歩進んだ安否確認を行っています。中野区においてもそうしたさらに進んだ取り組みを行うことを要望して、この項の質問を終わります。

 8番目に、中野区シルバー人材センターの事業についてお伺いいたします。

 先ほども地域包括ケアシステムの構築の項でも述べましたが、これからは生産年齢の人口が減少し、高齢化がさらに進んでいく時代です。中野区でも65歳以上の高齢者が20%を超え、高齢化が進行しています。こうした中にあって、私は、地域の中でも元気に活躍できる高齢者を増やす施策が大切と思います。そのためには、地域包括支援の充実、健康スポーツの充実、高齢者の生きがい就業を担う事業の充実が必要であると思います。こうした元気な高齢者を増やす取り組みのひとつに、私はシルバー人材センターがあると考えています。中野区シルバー人材センターの会員数は、平成25年度末現在で1,648人と、平成24年度と比較すると20数名減少したと聞きます。また、企業等の定年延長や再雇用も増え、入会年齢は上昇しているとも思います。社会参加に意欲のある健康な高齢者は、さまざまな経験や知識、スキルを持たれた方々で、就業を通じ、地域に貢献したいと考えています。また、家事支援を行う女性会員の不足もあると聞きます。エイジング社会からロングライフ社会、長寿社会へ変わろうとしている今、区として会員確保に向け、地域団体や高齢者団体へのPRなど、支援をしてはいかがでしょうか、お伺いいたします。

○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) お答えいたします。健康で働く意欲のある高齢者の就業を促進し、能力に合った生きがいの実現を支援するシルバー人材センターが果たす役割は非常に重要であると考えております。今後、中野区報にシルバー人材センターの利用促進と会員募集の記事をあわせて掲載するなど、区民に向けて幅広くPRを行い、会員の確保を支援していきたいと考えております。

○小林(ぜ)委員 区はシルバー人材センターへ、外国語講座の講師や区内の掲示板への掲示、区報などの全戸配布、自転車駐車場、自転車整備などの業務を委託しています。シルバー人材センターとしても、区に依存することなく一般家庭や企業等に対して事業開拓をすることは当然として、区としても高齢者の生きがい就業をさらに進めるため、政策目的の随意契約を活用するなど、シルバー人材センターへの発注を増やせないものでしょうか、お伺いいたします。

○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) 区は、高齢者の就業支援による福祉の向上の目的から、シルバー人材センターを指定業者としてさまざまな業務を委託しているところでございます。今後も所管としまして区の各職場に対してこうした趣旨を説明し、シルバー人材センターが受託可能な業務は同センターに発注するよう呼びかけてまいります。

○小林(ぜ)委員 シルバー人材センターの本年6月の定期総会の資料を見ますと、区の補助金が前年度と比較すると180万円ほど削減されています。ここ3年間続いています。平成24年から始まった削減はいつまで続くのでしょうか。今年も削減されているとも聞いております。他の団体でも見受けられます。シルバー人材センターでの経費等の削減をはじめ、工夫を行っているようにも見えますが、区の補助金の削減については、これからの高齢者が迎える社会環境が大きく変わる中で、むしろ増額を図るべきではないでしょうか、お伺いします。

○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) シルバー人材センターに対する区の補助金は、平成24年度から26年度までの3年間、毎年180万円ずつ削減してきたところでございます。来年度以降の補助金につきましては、区全体の財政状況などを踏まえて検討していくことになると考えております。

○小林(ぜ)委員 来年度以降も続くんでしょうか。すごく気になります。

 この項の最後に、自転車駐輪場の施設改善整備についてお伺いいたします。私はこの夏、駐輪場を訪問し、そこで就業されている会員の方々からお話を伺う機会を得ました。自転車駐輪場の管理施設には、トイレや洗面所がないところもあります。近くの公園、コンビニや駅を利用しています。高齢者の会員の中には、決して健康が十分な方々だけとは限りません。管理施設の環境を整える支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

○中井都市基盤部副参事(交通対策担当) トイレが未設置の駐車場は、道路拡幅予定地などの仮施設として運営している駐車場でございます。これらにつきましては、近隣の鉄道駅の協力を得たり、また、公園のトイレを使用しながら運営をしていただいているところでございます。したがいまして、仮施設を本整備する際には、敷地内にトイレを完備した駐車場を設置する予定でございます。

○小林(ぜ)委員 ぜひ仮から本設置になるように要望いたします。

 また、現在多様な自転車が増え、ラックでの対応は難しく、1台置きに駐車しているところもあります。自転車の幅が大きくて、後ろにお子さんを乗せるためのラックがついていたりすることで、自転車を置くラックを1台置きに駐車している。一部のラックを取りやめ、1台でも多く駐車対応できるよう平置き駐車を増やすなど、工夫を図ってはいかがでしょうか、お伺いいたします。

○中井都市基盤部副参事(交通対策担当) 自転車駐車場の自転車ラックにつきましては、強風などによる転倒や、他の自転車との接触などによる自転車の破損を防止するために、原則としまして自転車ラックによる管理が望ましいといった考えを持ってございます。しかし、近年の親子車などの大型の自転車の利用に対することもあります。そういった中で利用状況を考慮いたしまして、一部ラックを撤去しまして平置きにするなどの対応を今後検討していきたいと考えてございます。

○小林(ぜ)委員 自転車のラックにつきましては、1台置きにとめるよりも、ラックがむしろないほうがより多くの方々に利用していただけるので、ぜひ早急に対応していただきたいと思います。

 最後に、災害対策の情報発信についてお伺いいたします。

 この夏も全国各地で想定外の大災害、豪雨や河川のはんらんなどが数多く発生し、甚大な被害が起こっています。8月20日付の区報は、9月1日「防災の日」を前に、「改めて震災対策を考える」と題して発行されています。3ページ目には、私が平成23年第4回定例会で提案しました、切り取り型の災害用ポケットマニュアルがついています。すばらしい出来だと思います。今後も続けてほしいと思います。いつも想定外の災害の後に、情報発信や勧告の遅れなどが課題として検討されています。他の地域のことだからと考えるのではなく、中野区も同様に検討すべきと思いますが、いかがお考えでしょうか、お伺いいたします。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 風水害対策では、大雨・洪水に関する注意報が発表されると、風水害対応のため人員を増員し、情報収集強化を図っています。以降、警報の発令や降雨の状況により、職員体制の強化を図り対応しているところでございます。震災の場合は、発災後の対応になりますが、震度4以上の場合に職員を参集させ、情報収集体制を強化し、震度6以上の場合は全職員が災害対策に当たることとしてございます。風水害時には、上流域の降雨量や河川状況及び気象状況等を収集し、震災時には延焼状況や区民の方々の避難状況等を収集して警戒に当たり、避難勧告、避難地域等の適切な情報発信に努めることとしており、今後も万全を期してまいりたいと考えてございます。

○小林(ぜ)委員 2番目に、中野区もホームページで災害情報を発信していますが、災害に対し、さらに多様な情報を発信すべきと考えます。警報が発令される際には、区民から我がまちに災害が起こっていないかとの問い合わせも多く寄せられます。その中には想定外の場所から災害情報が寄せられることもあります。そこで、区の掌握している災害情報の発信や、受付専用の災害状況ツイッターなどを設けてはいかがでしょうか。区民が自分の情報だけではわからない区内の地域情報を、SNSなどで知ることも防災につながると考えます。いかがお考えでしょうか、伺います。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 区は、災害時、現場へ職員を派遣し、また、防災関係機関からの情報収集、区民の皆様からの通報等で被害の状況を把握いたしまして、被害の拡大のおそれがある場合には、避難勧告等の情報発信を行うこととしているところでございます。受付専用の掲示板方式の災害状況ツイッター等、書き込まれた情報をそのまま公開するような掲示板形式の情報提供につきましては、即時性は非常に高いとは思われますが、内容の正誤、あと、受け手の誤った判断等を誘発する可能性もあることから、導入した場合は適切な管理が難しいと考えているところでございます。

○小林(ぜ)委員 まあ、性善説がなければできないことだと思うんですけれども、今後に期待したいと思います。

 次に3番目、河川のライブカメラについてお伺いいたします。区のホームページにある河川のライブカメラでは、河川の水位状況を見ることができますが、河川の状況は妙正寺川のみで、神田川の情報は発信されていません。そこで、以前、我が会派の南委員からも提案しています、神田川のカメラ映像も配信すべきではないでしょうか。東京都では神田川の河川水位カメラの公開を検討しているようですが、活用してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 神田川のカメラ映像は、東京都が収集・管理しているものでありまして、都が神田川河川カメラの映像を一般へ公開を行うことになった場合は、区のホームページにおいても映像発信が可能となるように、技術的な問題も含めまして検討してまいりたいと考えてございます

○小林(ぜ)委員 また、桃園川の水位情報が神田川のライブカメラ情報に入っているので、わかりにくくなっています。単独に設けるべきと考えますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) ホームページで水位情報として、旧桃園川の地下下水幹線につきまして1か所の水位の配信を行っているところでございます。神田川の観測点のひとつのように表示されている部分がありますので、これは改善に向けて検討させていただきます。

○小林(ぜ)委員 現在、ジェイコムと協定を結び、区が情報発表したときにポップアップ警報が出るようですが、実際警報が発令された場合などの災害情報はまだ放映されていません。今後は、警報などが発令された場合にも河川の映像など、ホームページだけではなく、テレビでも確認できるポップアップやウインドウを活用して放映してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 区は、ジェイコム中野と災害時等におけます防災情報の放送業務等に関する協定を締結しておりまして、災害時等にその自主放送チャンネルで災害情報等を流すようにしてございます。テレビでの情報提供の方法につきまして、協定先と技術的な面や視覚効果も含めましてさらに研究してまいりたいと考えてございます。

○小林(ぜ)委員 この項の最後に、今まで述べてきたホームページやソーシャル・ネットワーキング・サービス、ジェイコムなどのメディアの活用方法やその内容について、どのような情報で、どのようなメディアを使用するのか、基準づくりも必要ではないでしょうか、お伺いいたします。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 災害対応時の情報発信につきましては、ジェイコム中野をはじめ、ホームページ、防災情報メールマガジンなど、必要に応じて適切に運用してきているところでございます。災害時におけます情報発信は、被災のおそれのある地域の方々、あるいは、被災した地域の方々にとっては大変重要な情報となりますことから、情報の種類ごとに効果的なメディアの使用を検討いたしまして、マニュアル化についても考えてみたい、このように考えております。

○小林(ぜ)委員 以上で私の全ての総括質疑を終了させていただきます。ありがとうございました。

○内川委員長 以上で小林ぜんいち委員の質疑を終了します。

 次に、来住和行委員、質疑をどうぞ。

○来住委員 2014年決算特別委員会において、日本共産党の立場で総括質疑を行います。

 まず、防災対策についてお聞きいたします。

 首都圏直下型地震が発生したならば、東日本大震災とは比較できない甚大な被害が生み出されるのではないかという報道もあります。まず、首都直下地震における被害について、被害想定、帰宅困難者なども含めてどのように想定されているか伺います。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 平成24年の4月に公表されました首都直下地震等による東京被害想定で、最も被害が大きく見込まれているのは、冬の夕方18時、風速8メートルの想定です。震度6強で、中野区でこの震度が発生いたしまして、全壊棟数が2,241棟、焼失棟数は7,222棟、死者214名、負傷者2,415名、帰宅困難者につきましては5万8,123名が想定されてございまして、そのうち屋外被災者、いわゆるまちにあふれ出る帰宅困難者の方は1万6,780名が想定されてございます。

○来住委員 これまで発災後の備えとして、飲料水、生活用水の確保、また、公園への避難用のトイレの設置なども求めてきました。東京都は、大災害が起きた際に職場から帰宅できなくなった従業員のために、食料や水の3日分の備蓄を条例で努力義務化しています。東京都帰宅困難者対策条例の施行から間もなく1年半を迎えますけども、中野区内の事業所の把握はされているのでしょうか。また、区内事業者におけるみずからの帰宅困難者対策の状況はどのように把握されていますか、お答えください。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 中野区帰宅困難者対策協議会で集計したアンケート結果によりますれば、東京都帰宅困難者対策条例において努力義務とされる、3日分の備蓄をしているといった事業所が最も多く、45%ございました。また、1日以上の備蓄を確保しているという事業所は66%ございました。また、区内の消防計画の届けの義務がある事業所、このうち計画上帰宅困難者対策がとられているという事業所は約33%となってございます。

○来住委員 かなり近くこの直下地震が想定されておりますので、把握を強めていただきたいと同時に、中野区では帰宅困難者対策について、昨年9月に設置しました帰宅困難者対策協議会で、区内事業所の備蓄義務化についても検討されているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 帰宅困難者対策協議会での協議事項といたしまして、災害時の行動ルールが定められております。協議会の中で定められた中野区帰宅困難者対策行動ルールに、自助のルールの平常時のルールの中に、施設内待機のための備蓄の確保が定められており、取り組むべき事項として示されてございます。

○来住委員 協議会の要綱では、特に主要駅等での災害発生時の協力体制、それから避難訓練、これらが行動ルールの1番だそうですけども、4番のところでは、これらに掲げる以外の帰宅困難者対策に関することも協議できると協議事項の中に掲げておりますので、この協議会で、中野の事業所として協議会に参加されている方々の中で、十分な備蓄の内容について、3日分が確保できる方向での議論をぜひ進めていただきたいというふうに願っております。

 さらに、中野区のこの要綱でいきますと、協議会の区内の主な団体は、中野駅、東中野駅、中野坂上駅などの駅に関連するところ、西武線の駅の関係者、さらに、多くの区内の関係団体、約50人で構成されているというふうになっております。この中で女性の構成員、参加はどうなっているでしょうか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 中野区帰宅困難者対策協議会委員のうち、女性の委員は2名でございます。

○来住委員 約50名いらっしゃる中で2名ということでありますので、やはり主要駅等からの避難誘導、それだけにとどまらず、一時的に駅舎やオフィスで避難をせざるを得ないという状況も十分予測できますので、この件については十分女性の方々の視点、避難や人の誘導には女性の視点が大切だというふうに思いますので、女性の委員をふやしていただくよう努力していただきたいというふうに思います。

 備蓄の問題の二つとして、区立保育園、区立幼稚園には現在どのような備蓄がされているのか。また、指定管理の保育園ではどのようになっていますか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 区立幼稚園・保育園、また、指定管理園につきまして、水やおかゆ、ビスケットなどの非常食のほか、防寒シートなどの備蓄を行っています。区立幼稚園、区立直営の保育園は区が準備しておりまして、指定管理園につきましては管理者が準備するということでございます。

○来住委員 わずかな備蓄だということでもございますが、いずれにしても、わずかであれ、区立園については、直営については直接区が備蓄しているというお答えだったと思います。一方、私立保育園、これは、これまで区立園の建て替えに伴う民営化であったり、園舎そのものを民営化するというケースももちろんあります。そういう民営化をする中で、保護者の皆さんについての説明の中では、保育士が変わるだけで、保育内容はよくなるというような説明もされてきました。指定管理者も同じでありますけども。それでは、民営化園と指定管理者園はどうなっているんでしょうか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 区立の保育園を民営化した保育園ですとか、指定管理者園についての備蓄については、施設管理者の、事業者の責任として準備を行っていただくということになってございます。

○来住委員 もともと区立園であったものを民営化した保育園、それから、指定管理者として保育園の運営をお願いすると。もともと区が直営でやっていたものですから、当然そこは区が何らかの責任で、保護者の皆さんにもそういう説明をし、保育の内容は変わらないという説明をしてきたわけですから、少なくとも民営化した本来区立園だった保育園、そして、指定管理者については、区がこれまでどおり備蓄については負うべきではないかというふうに思います。民間の保育園や私立幼稚園の各園も要望がありますけども、スペースの問題ももちろんあります。一律でなくても、その園に応じた対応、むしろ園側から要望を出してもらって、それに基づいて支援をしていくというやり方も当然あると思います。それらについては、今後どのようにお考えですか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 繰り返しになるところがあると思いますけれど、区立の保育園を民営化した保育園、あと、指定管理園の備蓄については、現在も行っていただいているとおり、事業者の責任で行っていただく。また、私立幼稚園、私立保育園についても同様に考えているところでございます。

○来住委員 やはりそこは変えていく必要があると思うんですね。同じ子どもたちが区立園で育っている。それは、区が必要として備蓄、内容は先ほど言われたとおりで、その強弱はありますけども、やはり区として区内の児童に責任を持つという点では、私立、そして、民間を含めて区として対応すると。そして、それは一律である必要はないのではないかというふうにも考えます。保育園の、幼稚園の建物やその状況はそれぞれありますので、そこは先ほど言ったように、当事者から希望を出していただくなり、御相談をしていただくなりして必要な手だてをとっていくということは、新年度はぜひそういう方向で検討いただきたいと思いますが、再度答弁をお願いします。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 東日本大震災後に検討いたしまして、現在の備蓄の形になっているということです。当時検討したものが今の形ということで、状況は発災した後と大きな変化は今のところないのかなというふうに考えております。十分に検討した結果が今の形という認識でいます。しかし、一般質問でもありましたし、本日もこのような質問があったということは認識いたしましたので、今後どのように考えていくのかも含めまして、質問の内容については持ち帰らせていただきたいというふうに考えております。

○来住委員 一般質問でも重複した質問でございましたので、議員の皆さんの思いは一緒だと思いますので、ぜひ積極的に検討し、新年度対応していただきたいということを申し上げておきます。

 備蓄の問題、さらに三つ目ですけども、この2月の定例会で、私、共産党として提案をさせていただきました。中高層の共同住宅の新築時に防災用品を、その共同住宅そのものがみずから備蓄を行うというような条例や要綱が、他区では取り組まれているということで紹介しました。そのときの答弁では、他区の実施状況やそれらを検討させていただきまして、中野区に最も合致した方法を検討させていただきたいとのことだったわけですけども、他区においてはこの条例、要綱など、それぞれのようですけども、例えば江東区の場合はどのような内容になっているでしょうか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 江東区では、マンション等の建設に関する条例によりまして、一定程度以上の戸数を有するマンションにつきまして、災害用格納庫の設置と、格納庫内に照明器具ですとかバールですとか、物資の収納を定めてございます。

○来住委員 渋谷区にしろ、今紹介のあった江東区にしろ、それぞれ区の独自性を持って要綱や条例にしています。したがいまして、私どもも共同住宅の備蓄の内容についても一律である必要はないというふうに考えています。同時に、例えば地域避難の場所、江東区の近くに一定の共同住宅が建つ、それから、山手通りでありますとか、幹線道路に面してかなりの規模の共同住宅が建つであるとか、そういう場合に、やはり一定の基準を持ちつつも、それぞれの規模に応じた備蓄の協力をお願いしていくと。これは必要なことだということで提案しているわけですが、既に前回も若干紹介しましたけども、山手通り沿いの30階建ての超高層であるとか、それから、第十中学校の近くのマンションでも、近隣の皆さんとの協議のもとで備蓄品の準備を整えるということができております。そういう自主的な事業者の判断もありますけども、やはり区としてそういう一定の基準を示して、要綱なり条例などで求めていくということが大事だと思います。特に避難所等の負担を軽減していくと。かなりの規模の共同住宅の方々がそこに避難するということが当然考えられるわけですけども、そういう自分のマンションで一定期間過ごしていただけるような、そういう手だても必要というふうに考えますけども、いかがでしょうか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) マンションにその住民の方が使用するための備蓄であれば、これは自助の範疇というふうな考えがあります。ただ、結果として周辺の住民の方々の利益にもつながるという考えも今のところございますので、多角的な観点から備蓄のあり方については今後検討していきたいと思います。

○来住委員 ぜひ区としても検討していただきたいと思います。

 次に、地震の場合に感じてブレーカーが自動的に落とされて出火を防ぐという、感震ブレーカーの問題が今報道されております。出火防止対策として中央防災会議が打ち出したのが、地震を感知して電気を遮断する感震ブレーカーの普及促進。震度5強程度の揺れと同時に、配電盤で建物全体の電気をとめたり、コンセントごとに遮断できるということが紹介され、これは政府が補助金制度を検討しているということも言われておりますし、出火防止の対策に効果があるということも言われているところですけども、これについてはどのように認識されているでしょうか。

○大木島都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) これは、平成25年の12月に中央防災会議が報告いたしました「首都直下地震の被害想定と対策」によりますれば、感震ブレーカー等の設置によりまして、電気火災による出火件数は減少して、焼失棟数は約5割減少するという想定が報告されてございます。今後、感震ブレーカーの効果や東京都の対応なども見ながら、区としても検討していきたいと考えております。

○来住委員 補助金制度の検討もあるということもありますが、東京都のそれに対する動きも出てくると思いますので、区としての補助制度を検討していただくことを要望しておきたいと思います。

 さらに、中央防災会議の、今紹介ありました最終報告によりますと、建物の耐震強化率を100%にすることで、揺れによる全損棟数が85%削減されると。建物倒壊などによる死亡者数ともに95%削減されるということが、この最終報告で指摘されています。お伺いしたいのは、現在進められている大和町等の補助事業がございます。そこで、今般、東京都が補助第227号線の延焼シミュレーションというものを、東京都が発注してつくられております。これについて既に御存じだと思うんですけども、例えばということで、大和町のシミュレーションについて見ていただいたと思いますが、どのような御感想でしょうか。

○荒井都市基盤部副参事(地域まちづくり担当) 今御指摘のございました東京都のほうの調査でございまして、補助第227号線、大和町中央通りの沿道に仮の出火点を置いて、道路の拡幅の整備の段階に応じまして、整備前、整備された後、また、その沿道について拡幅された後の沿道が不燃化されたというような、いろんな条件をそろえまして延焼シミュレーションを行ったということでございます。

○来住委員 例えば、ちょっと見にくいと思いますが、大和町の三丁目で1点で出火した場合に、整備の前と整備後の状況がシミュレーションされております。整備前ですと1,033棟が延焼棟数、整備をした後には739棟ということで、かなり延焼が減少するというシミュレーションとなっています。しかし、これは発火点が大和町三丁目の1点で発火したという想定ですので、道路を広げることによって延焼を食いとめられるということは、これは大事なことではあるんですけども、しかし、大和町の拡幅される道路の左右で出火した場合には、道路の役割がそういう意味では発揮できないということにもなるということも、一方では教えているというふうに思います。しかし、非常にこのシミュレーションについては、いろいろ要因もあるかもしれませんが、道路の拡幅だけでは、被害の軽減はされますけども、なかなか面として効率的に被害を食いとめるということは厳しいということも言えるかと思います。これは大和町の一つのシミュレーションでありますけども、やはり大和町に隣接する地域、例えば若宮であるとか白鷺であるとか杉並区であるとか、そういう隣接地域も含めた対策がとられないと、効果を十分発揮できないということもありますので、これまでも繰り返し私たちが要望しております、木造住宅の耐震補強を制度として、面として、現在の事業以外のところでもそれを広げていくということが大きな効果になっていくんじゃないかというふうに思います。もちろん東京都がその点で思い切った対策をすべきですし、助成制度をきちっとして、自治体ができるようにするということも大事ですが、中野区としても、今つくられていない木造住宅の耐震補強の助成制度が、今の大和町、弥生町等の事業とあわせて同時に進行していくことが必要だと思いますけども、いかがでしょうか。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) これまでどおり、区としては個人の財産形成につながる耐震改修の助成はしないということを原則としておりますが、不燃化促進事業や木造住宅密集地域整備事業を実施しているような地域等では、地域の安全性を向上させるという公共的な目的で、耐震性能の低い木造住宅を建て替える助成を行って、普及を図っているところでございます。

○来住委員 新たな事業とあわせて、中野区全体として、壊れない、燃えない建物にしていくということが、防災の上では極めて大事だということを申し上げておきたいと思います。ぜひ防災対策に力を入れていただきたいと思います。

 次に、区内産業と商店街振興についてお聞きいたします。

 中野区は、昨年末、区内に立地する法人事業所7,700を対象に、郵送方式で事業所調査を実施しました。これは約28%の回収があったということであります。これまで実態調査を私たちは繰り返し求めてきましたけども、アンケート方式ではありますけども、一つの調査としての評価はしたいと思います。調査の結果は、事業を中野区内で継続したいという方が81%の回答だったと記されております。事業所の環境についての項目では、交通の便のよさということが満足度を高めているということになるようです。一方、中野区の補助金制度、経営支援制度に対しては、「不満」「どちらかといえば不満」という回答も多くあるように見ました。このことについてはどのように評価されているでしょうか。

○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) お答えいたします。昨年度実施いたしました区内事業所調査におきまして、区の補助金制度と経営支援制度について、「満足している」という回答が一定程度ある一方で、「満足していない」という回答もあったことは承知しております。今後も区の施策としての有効性や妥当性を勘案しつつ、事業者により満足していただける支援策を研究してまいります。

○来住委員 このアンケートの回答では、具体的にどのような制度を求めていらっしゃるのかということはなかなか見えてきません。一方で、事業をする上で活用したいものとして、知識の習得、それから、補助金、助成金の受給、資金の融資などを挙げられているということも大変重要だと思います。区内事業者のニーズを的確に捉えていくには、アンケートも一つの入り口ではありますけども、やはり私たちが提案してきましたように、直接面談をして事業主から聞き取りを行うと。こういう調査が必要だろうと思います。さらに、今回は法人に限るということでありますので、個人経営の多い中野区の中で、やはり個人経営に至る実態調査が対面式で行われるべきではないかな、そのほうがよりニーズを的確に捉えられるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) アンケートによる調査には、経費や時間に限りがある中で、一定の数の対象を調査できるというメリットがございます。今年度、当分野で実施予定の調査におきましては、個々の事業者の意見や希望について回答する項目も設けてございます。また、個人や法人にかかわらず、区内事業者のニーズを対面で聞き取る機会といたしましては、産業振興センターで実施しております融資や、創業・経営の相談や、相談員が事業者の希望の場所に出向いて行う、どこでも出張相談といった機会がございます。これらの調査や相談などの内容も踏まえまして、今後の支援策に生かしていきたいと考えております。

○来住委員 この6月に小規模企業振興基本法というのが国会で成立しています。国や自治体に小規模企業、いわゆる5人以下の支援ですね、ここの支援に取り組むということが法で定められたわけです。したがって、この法にのっとって具体的な支援に取り組んでいただきたいということをお願いしておきます。

 区内の商店街の現状についてお聞きします。中野区商店街連合会の加盟状況は、15年前の99年には73商店会で3,685店舗だったそうです。それが今日では、61商店会、2,172店舗で、これでいきますと毎年100店舗減少しているということになります。商店街の現状と、個店、商店の役割についてどのように認識されているでしょうか。

○滝瀬都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) お答えいたします。個人消費の持ち直しの動きが推測される一方、大型の商業施設の進出でございますとか、インターネット販売などによる購買機会の多様化、そうしたことに加えましての消費税の引き上げに伴う駆け込み需要の反動、そういったような状況の中で、商店街にとっては厳しい状況が続いているものと認識しているところでございます。一方、商店街は身近で買い物ができる場として区民の消費生活を支えるとともに、見守りなどの安全・安心といった機能でございますとか、地域コミュニティの核としての重要な役割といったものを果たしているものと考えてございます。

○来住委員 地域でも極めて大事な商店街の役割でもありますので、支援をお願いしたいと思います。セントラルパークサウスにも飲食店を中心に商店会が組織されたというふうに聞きます。まだ区商連には加盟されていないようですけども、ぜひ区商連に参加いただきたいなと。これ、希望でもあります。

 ところで、商店街連合会への加盟協力については、区として努力されているわけですけども、肝心の個店が失われていくということでは、足元から崩れてしまうという状況にもなります。商店街連合会そのものも頑張ってはいますけども、なかなか厳しい状況でもあります。今回、新年度の予算懇談会の中で区商連のほうからいただきました要望の中に、いろいろたくさんの要望をいただいていますけども、12番目だったと思いますが、その中で東中野のことについて、また、JR東中野駅の北口エリアというところでの問題も、一方で好ましくない状態も出現してきましたという中で指摘をいただきました。これは、東中野駅北口は、昭和の街並みを残す古きよき商店街で、映画やテレビのロケなどが行われ、また、撮影の依頼がひっきりなしに来る商店街が存続の危機を迎えています。これらは地域資源であり、区の進める都市型観光と密接につながりがある区の資産です。中野の名所、地域資源を保全する活動に御支援をお願いいたしますということで、この商店街への支援、保全を区商連として要望をいただきました。東中野駅前飲食店街の立ち退きなどの問題、ここで指摘されている状況はそこにあるんですが、今のこの状況については、区としては認識をいただいているのか。どのようにいただいておられるのでしょうか、伺います。

○滝瀬都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 御案内の商店街につきましては、土地の買収等によりまして多くの店舗が閉店している状況ということで認識してございます。

○来住委員 そうですね。今の状況で、もしそのまま進んでいくと、約40店舗ありますけども、そこがなくなってしまうというような状況が生まれてはならないというふうに思っていますので、区としても関心を持って対応を、商店街支援、飲食店街の支援をお願いしたいというふうに申し上げておきます。

 第1回定例会での私の質問で、商店街支援策についてということでただしました。そのときに、地域商業にかかわるビジョンを策定中のところでした。その中で助成制度、支援制度を検討するということではなかったかと。私が申し上げましたけども、それらを走りながら検討してほしいということをお願いしたわけですけども、これについては、今現在この地域商業にかかわる助成制度、支援制度についてはどのような検討の状況になっているでしょうか。

○滝瀬都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 商店街支援を含みます地域商業の活性化というものにつきましては、常に喫緊の課題であると認識してございます。国や都の支援制度でございますとか、それらと区の制度の整合化といったものを図りながら、そのときの商店街に必要とされる支援、こうしたものを随時適切に行っていくというふうに考えてございます。一方で、中長期的な視点での地域商業の活性化の道筋といったものを構想するに当たりましては、区内商業を取り巻く社会経済状況の変化でございますとか、国や都などの商業施策展開といったさまざまな側面を踏まえまして、効果的で実効性のあるものとなるように検討を重ねていきたいと考えてございます。

○来住委員 高齢化や後継者がいないという問題も出てきておりますので、2代目の若手育成の試みであるとか、それから、リフォーム助成であるとか提案してきましたけども、ぜひ必要な手だてを具体的にとっていただきたいということを申し上げておきます。

 消費税の8%への増税の中で、なかなか経営が苦しく、展望がなかなか見えないという中での支援策が求められていると思います。例えば、2009年4月に5億5,000万円のプレミアム商品券の販売を区商連で実施いたしました。それには区が5,000万円の予算を支出したと思いますが、この支出効果についてはどのようにお考えになっているのか。一般消費が冷え込んでおりますので、効果を上げるという機会にもなるのではないかと思いますが、このプレミアム商品券の発行についての見解、考えがありましたらお聞きしたいんですが。

○滝瀬都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 御案内のプレミアム商品券でございますが、平成21年の4月11日から30日の間に販売したものでございます。このプレミアム商品券の有効期限がその年の7月31日までということでございます。こうしたところで、有効期限を発行から約2カ月半ということで短期間に設定いたしましたことなどによりまして、即効性のある経済効果でございますとか、商店街そのもののPR、また、商店会内部での非加盟店への加入勧誘活動にもなるだろうといったようなことで、一定の効果があったものと考えてございます。一方で、再度の発行でございますが、こうした前回の効果の一方でさまざまな課題、例えば利用可能な店舗数でございますとか販売PRの手法、それから、販売場所の確保といったような課題も指摘されてございまして、今後の発行などにつきましては、地域商業活性化の今後の取り組みの全体の中で研究してまいりたいと思っております。

○来住委員 ぜひ、こういう落ち込んだ状況の中ですので、一定の刺激的なものも効果の一つの大きな要因にもなろうと思いますので、十分御検討をいただいて、実施の方向でお願いしたいと思います。

 次に、区立公園の管理運営についてお聞きいたします。

 まず、私立保育園の区立公園使用について伺います。私立保育園が近隣の区立公園を運動会の練習などで使用する場合の使用申請の手続について、これを簡素化してほしいという要望をいただいているわけですが、現状の手続はどのように行われているのでしょうか。

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) お答えいたします。区立公園の占用申請をする場合には、区役所の道路管理担当窓口で手続をしていただくことになります。窓口で申請の内容、料金免除の要件等を確認した上で収受いたしまして、翌日以降、許可証の受け取りに来てもらうという流れになります。

○来住委員 そうしますと、保育園から申請と受け取り、2回本庁に来なくてはならないというのが現状の手続になっているということだと思います。2回出向くということでありますけども、今の園庭もいろいろ限りがありますので、伸び伸びと思い切った運動をさせたい、遊びをさせたい、それから、保護者も含めた行事の中でよりよい保育をしたいということでの活用でもあります。したがいまして、年間の行事でありますので、大きな行事については、年間の行事作成の過程の中である程度スケジュール化できるのではないかと思います。したがいまして、保育の分野との調整はあると思いますが、近くの区民活動センター等で申請し、それが受理できるような、そういう簡素化ができないのかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 公園の占用につきましては、集会室の貸し出しとは異なりまして、一定の条件が満たされた場合に占用を許可するものでございます。つきましては、利用方法や利用の場所の確認が必須となってまいります。内容を詳しくお聞きし、場合によっては留意事項等を伝える場合もございますので、基本的に区役所の窓口で受け付けることを考えております。来庁回数については、1回で済むよう工夫をしていきたい、そのように考えております。

○来住委員 ぜひ申請の簡素化に、日常の保育が毎日あるわけですから、それに専念できるように御努力をお願いしたいと思います。

 次に、中野四季の森公園についてお伺いいたします。四季の森公園は、公園と公共空地の一体的な安全確保を図ることを目的に、東京建物株式会社と中野区が協定書を締結し、本協定書に基づいて公園等の管理委託を行っております。まず、本協定書で定める公共空地と公園はどこを指すのでしょうか。

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 警備の対象区域ということでございますけれども、中野区の警備対象区域は、中野四季の森公園及び囲町ひろばでございます。一方、東京建物株式会社が管理する公共空地でございますけれども、セントラルパークサウスの北側及びセントラルパークイーストの南側の区域となります。

○来住委員 そこを一体として管理していくということが協定されているわけですが、四季の森公園の維持管理費、この3年間、平成24年決算からということになりますかね、お答えください。

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 中野四季の森公園の維持管理委託に係る費用でございますけれども、平成24年度の決算額が4,160万余、平成25年度の決算額が5,300万余、26年度につきましては、これは予算額となりますけれども、7,240万余となってございます。

○来住委員 この3年間で約3,000万以上アップしているということになります。公園維持管理の契約は、大きく清掃、植物管理、水施設管理、水施設点検、そして、経費ということで分かれているようですが、それ以外に、今現在公園の入り口で不法駐輪の警備をされている方がいらっしゃいます。これに新年度の予算で840万円がついて、これは交通対策の中でつけられております。公園とは全く別に扱われております。したがいまして、今答弁いただいた予算額でいいますと、約8,000万円の予算がこの四季の森の公園、清掃、維持管理に投入されているということになりますが、すみません、それでよろしいですか。確認だけ。

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) はい、そのとおりでございます。

○来住委員 公園管理と自転車駐輪はまた別ではないかと思います。しかも、管理費の中に――当然公共空地と公園の利用者が自転車でおいでになるわけですから、注意をされてそこを管理するということであれば、中野区だけが負うようなことではないのではないかということも思います。しかも、公共空地と公園を一体としてその安全を確保するというのがこの協定の中身でもありますので、今後についてはそれらも含めて再検討する必要があるのではないかというふうに思います。

 そこで、先ほど申し上げました大きく六つに分かれております項目の契約は、それぞれ競争で入札されているんでしょうか。

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 四季の森公園の維持管理委託に係る経費のうち、委託契約でございますけれども、水施設点検については施設設計に携わった業者に、また、警備委託につきましては、先ほどお話のとおり東京建物株式会社が警備業務を委託する事業者とそれぞれ随意契約をしております。その二つ以外の委託については競争入札によるものとなってございます。

○来住委員 東京建物の公共空地を管理する警備会社との契約というのは、中野区は把握されているんでしょうか。

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 区では把握してございません。

○来住委員 委託仕様書では、警備員は公園隣接建物詰所に常時滞在するということがあります。これは、東京建物の中に警備の詰所があるということは確認いたしました。警備会社は、この東京建物の中、公共空地、それから公園、一体として恐らく警備をしているのではないかと。これは、先ほどおっしゃったようにわからないということですので定かではないんですが、私が思うには、やはりこの一体として、契約している警備会社はこの建物の中、公共空地も含めて同時に警備を行っているのではないかと。これは推測ですけども、そういう点が大変不明瞭に思います。これは、お答えは結構ですけども。今後、これだけの維持管理費が毎年上がり続け、しかも、自転車警備を入れると8,000万円を超える額で管理されるということについては、十分精査をする必要があるのではないかということを申し上げておきます。これは答弁は結構です。

 次に、四季の森公園の拡張用地について伺います。拡張用地の取得費は幾らになったのでしょうか。

○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 四季の森公園拡張用地の購入費でございますけれども、41億5,300万円でございます。

○来住委員 41億を超える額で取得されている。現状は、しかし、中野中学校の通学路として一部使用するにとどまっております。本格整備を急ぐべきだというふうに思いますが、本格整備についてはいつになるのでしょうか。

○千田都市基盤部副参事(都市基盤整備推進担当) お答えいたします。今後のスケジュールといたしましては、平成27年度基本設計・実施設計、平成28年度整備工事、完了後開園というスケジュールで考えております。

○来住委員 28年というと再来年ですね。これではやはり、あれだけ41億も公園用地として取得したわけですから、暫定であれ使用できる方策を考えるべきだと思いますけども、お考えはありませんか。

○千田都市基盤部副参事(都市基盤整備推進担当) 来年度基本設計・実施設計、それで、28年度に整備工事ということで考えておりますので、仮に開放できるといたしましても来年の期間なんですが、その中でも、例えば地下埋設物調査とか、そういうケースもございますし、また、暫定整備に当たりましても、コンクリート型等を撤去して安全な環境をつくらなければならないので、現段階としては、暫定開放については考えておりません。

○来住委員 できるだけ急いで、公園の少ない中で中野はあれだけのものがあるわけですから、早急な対応をお願いしておきます。

 次に、子育て施策の拡充と充実について伺います。

 来年4月から保育園、幼稚園、学童保育など、子育て支援にかかわる制度を根幹から転換する、子ども・子育て支援新制度の実施が予定されています。それに必要な条例が準備されております。新制度においても、児童福祉法24条1項に規定されている、保育を必要とする子どもには保育を受ける権利があり、区市町村には保育所保育を求める子どもを保育所に入所させて保育する責任があります。これはしっかりとうたわれております。中野区も待機児ゼロを掲げて定員増を行ってきました。その中心は、主に区立園の建て替え・民営化と認証保育所の誘致などでありましたが、この間の、過去4年間の待機児童の状況はどうだったのかお答えください。

○濵口子ども教育部副参事(幼児施策整備担当) 各年度4月1日現在の待機児童数でございますが、平成23年度は135人、平成24年度114人、平成25年度147人、平成26年度241人となってございます。

○来住委員 それは、申請時の数をおっしゃったと思いますが、認可保育園を希望して入れなかった児童は、平成26年度は635人という数に大きくなりました。日本共産党議員団は、一貫して認可保育園の増設で待機児解消を、と提案してまいりました。中野区の子ども・子育てアンケート調査でも、利用したい施設の第1位が認可保育園となっています。今年度認可保育所を新設、田中ナースリーなど、しかし、4月1日は、先ほど言いましたように635人がそれでも待機ということになりました。来年の4月の取り組み、それから、待機児童の解消の見通しはどうなっているでしょうか。

○濵口子ども教育部副参事(幼児施策整備担当) 平成27年4月までに、(仮称)南台五丁目保育園の開設、松が丘及び橋場保育園の民営化、賃貸型等の認可保育所と小規模保育事業の募集を行いまして、定員拡大を図っていく予定でございます。これらの保育所等の施設を開設することで、待機児童は解消できるものと見込んでおります。

○来住委員 認可保育園の建設、補正も含めて方向としては出ているわけですけども、しかし、園庭がないであるとか、賃貸マンションであるとか、それから、0歳から2歳の小規模の認可園であるとか、いろいろ子どもの育ちについては、健やかな成長、安全が保証できるのかという不安も保護者の皆さんからいただいております。既に家庭的保育所で低年齢児の保育が行われている中にありまして、今おっしゃった計画はありますけども、今後0歳から2歳児対象の小規模保育園で6園が計画されていて、114人が新設の定員になっておりますが、3歳以降の連携保育施設というのは確保できるということでよろしいんですか。

○濵口子ども教育部副参事(幼児施策整備担当) 子ども・子育て支援新制度におきまして、小規模保育事業は、乳幼児に対する保育が適切に行われ、3歳以降も必要な教育または保育が継続的に提供されるよう連携施設を確保しなければならないとされております。小規模保育事業者において連携施設の確保が困難な場合は、小規模保育事業者からの求めに応じて、区が連携施設の調整を適切に行ってまいりたいと考えてございます。

○来住委員 新制度のもとでいろいろ変わりますけども、保育の最後にしますが、家庭的保育事業は、1人の保育者が3人の子どもを保育する。保育者は少なくとも複数いるべきではないかと思います。区としてこの複数の保育士の対応を考えるべきだと思いますが、区の積極的な支援のお考えを伺います。

○濵口子ども教育部副参事(幼児施策整備担当) 家庭的保育者は1人で3人以下の乳幼児を保育することが可能でございます。新制度の中では、事業者の判断によりまして補助者を活用することも可能でございますが、その際は給付費の加算が行われるという制度になってございます。

○来住委員 区としての対応をよろしくお願いいたします。

○内川委員長 来住和行委員の質疑の途中ですが、ここで休憩したいと思います。

午後2時57分休憩

 

午後3時20分開議

○内川委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。来住和行委員、質疑をどうぞ。

○来住委員 時間の関係で若干順番を変えますけども、次は予定どおり区立学校の施設整備についてお聞きいたします。

 区立中学校PTA連合会から、中学校の教育環境及び施設整備の改善に関する要望がことしも出されました。各学校の要望の中には、毎年繰り返して要望されているものが多くあります。今回は3点に限って伺います。

 まず、区立学校の校割予算の関連で伺います。第十中学校は、この3年間、2012年に161人の生徒、13年が194人、14年が222人と、3年で61人の児童数がふえております。第十中学校では生徒数がふえて、机・椅子を各学校で配分される校割予算で購入しているというふうにありますが、これはルールとしてそのようになっているということでしょうか。中学校の1生徒当たりの校割予算額は幾らでしょうか。平成25年度についてお答えください。

○辻本子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) お答えいたします。普通教室の机や椅子につきましては、新JIS規格への対応といたしまして、平成20年度から25年度にかけまして、別途予算計上いたしまして買いかえを行ったところでございます。それ以降、壊れたり、児童・生徒数の多少の変動が生じた場合につきましては、校割予算による追加購入、あるいは、学校間で調整しているといった状況でございます。また、中学校生徒1人当たりの校割予算額、25年度でございますが、2万4,759円でございます。

○来住委員 子ども文教の3で校割予算額の推移が出されております。中学校でいいますと、2008年(平成20年)度は3万3,133円。これは1生徒当たりの予算額です。しかし、今ありましたように、2013年度は2万4,759円ということで、9,000円も生徒1人当たりの校割予算は減らされています。先ほど答弁がありましたが、今回のこの十中の生徒増は、学校の再編計画に起因することが大きいのではないかと考えられます。こういう教育委員会の計画等で児童の変動が生じる。しかし、それに対して教育委員会は、校割予算で机や椅子も自前で買いなさいということを、これがルールだという答弁だったと思います。校割予算は、先ほど言いましたように、中学校で1人当たり2万4,759円ですから、ほぼ机と椅子を買う額に近いのではないかと思われます。1人当たりの生徒の年間の校割予算が机・椅子の購入に充てられる。こういうことになっているのではありませんか。本来校割予算は、学校の、また、クラスの教育条件等の向上に生かされるものだというふうに思います。机や椅子、先ほどおっしゃったように、新規格になったときには全て教育委員会が入れかえを行ったということですね。その後は、椅子や机のやりとりを学校間でやってくださいということになっていると。これらも含めて、教育委員会が学校全体の児童数については一番先に把握できるわけですから、学校間に任せずに教育委員会として調整を行うと。机や椅子がもし余っていれば、それを回すこともあるでしょう。足らなければ購入することもあるでしょう。そういうことは教育委員会の仕事ではないかというふうに思います。

 聞きますけども、改めて机や椅子の準備は、校割予算がルールというのであれば、これを変えればいいだけのことです。教育委員会が対応すべきです。生徒の数に応じて配分される校割予算は、あくまでも学校全体、クラス全体の学習条件に生かしていくということではありませんか。お答えください。

○辻本子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 校割予算の算定基準は、学習活動に必要な経費のほか、学校備品でありますとか事務用品、さらには維持管理用品などの経費も含まれてございまして、学習環境の向上に生かされているものと考えてございます。したがいまして、予算計上につきましては維持していきたいと考えております。

○来住委員 ちょっとわかりませんでしたけども、最後は。教育委員会が進める学校再編計画のもとで生まれてくるという状況は、かなりこの学校についていえばはっきりしているわけですから、それについては少なくとも対応するというふうに改めて申し上げておきます。

 次に、整備の問題で、中学校の熱中症の対策としての冷房化についてですが、中学校の理科室の残り3校については、来年度ですか、終了するということでありますし、家庭科室が7校、技術室が7校、美術室が3校、中学校では未実施となっております。特別教室の冷房機設置の平均的工事費は、約500万円というふうに聞いております。3分の1は国からの補助があるということでもありますので、中学校の特別教室の未実施については、新年度一斉に全校でやってはいかがかということを改めて答弁を求めたいと思います。いかがでしょうか。

○伊藤子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 特別教室の冷房化についてでございますけれども、昨年度より小学校では図工室、中学校では理科室で計画的に整備を進めてございまして、来年度で冷房化が終了する予定でございます。今後も特別教室の冷房化については、計画的に取り組んでいくということでございます。

○来住委員 計画的にという回答がずっと続いていますが、中学校の生活は義務教育の最後の短い3年間ですので、全校一斉の冷房化をお願いしておきたいと思います。

 もう1点はトイレの改修についてでありますが、これも毎年の要望に具体的に出されてきております。また、特に私は優先して女子トイレの改善を実行してほしいと。第三中などを含めた女性トイレの改修や洋式化、これも実施すべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○伊藤子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) トイレの洋式化についてでございますけれども、計画的に改修を進めてございまして、現在約4割程度のトイレの洋式化が図られているというところでございます。今後も大規模改修、改築の時期などを踏まえまして、計画的に取り組んでいくというところでございます。

○来住委員 毎年の要望が少なくなるように、PTA連合会からの要望、要求にしっかりと応えて、スピードを持って改善していただきたいということを申し上げておきます。

 次に、順番が変わりますけども、東中野のまちづくりについて伺います。

 東中野まちづくりは、2006年度から東中野駅東口を中心とした開発、これがまちづくりとして行われてきました。06年度からほぼ毎年、この間5年間、計画策定業務の委託が行われましたけども、委託料は合計で幾らになったんでしょうか。

○荒井都市基盤部副参事(地域まちづくり担当) 平成18年度から平成22年度までの合計で、約3,100万円でございます。

○来住委員 3,100万円の委託をしてでき上がったのが、まず一つは、これが2007年、東中野駅周辺まちづくり調査業務報告書というのが、これは概要書ですけども、コンサルを利用してまとめられました。これをもとにしながら、さらに東中野地域まちづくり検討会が区の主導で発足されたと認識しております。そして、その東中野地域まちづくり検討会は、中野区から推進室長ほか4名、東京都、そして学識経験者や町会代表、公募区民2人で構成され、しかも、この検討会は傍聴禁止の検討会として運営されました。そこで最終的にまとめられたのが、この東中野地域まちづくり検討素案というもので、2011年です、これが出されました。ここでまず、今商店街支援のところでも申し上げました東口の、特に駅に付属するムーンロード商店街、もちろん一丁目側もありますけども、この東口のにぎわいの拠点と位置付けましたけども、これはどういう位置付けとしてこの場所をにぎわいの拠点にしたんでしょうか。

○荒井都市基盤部副参事(地域まちづくり担当) 検討素案の中では、今、委員おっしゃったような形の、合計24名の委員に御検討いただきまして、検討素案におきましては、東口の周辺につきまして再開発事業等による土地の高度利用化を図っていく。また、広場空間の整備や南北の連携機能の強化、また、バリアフリー化など、利用しやすい駅づくりということで、そのほかにも神田川のみどりとの連携、そういったことを図っていくということで、にぎわいの一方、潤いある拠点整備を図っていくというようなことで素案の中ではうたってございます。

○来住委員 検討素案から東中野まちづくり構想には至らずに、その検討会はそこで終了した形になっています。それを受けて東中野では自主グループが立ち上がって、東中野駅周辺まちづくりの会ということで発足しています。そこにゆだねた形になったというふうに考えます。現在、この会も開店休業中という状況にありますけども、会のニュースを見てみますと、アドバイザーとして当初から前田建設、三菱地所、三菱地所レジデンス、この多くのディベロッパーがこのまちづくりの会のアドバイザーとして参加しております。そして、出席者の中でアドバイザーが半分を占める。約8人がアドバイザー。住民の皆さんの出席が大体七、八人ということですから、これを見ますと半々の構成で行われてきたというふうに考えられます。しかし、この検討素案ができ上がったことによって、地元では地上げ屋さんと呼んでおりますが、そういう事業者さんが土地を買う。そういう攻勢に出られて今の状況が生まれているというふうに思います。

 そこで伺いますが、区商連からもありますように、この昭和のまち、この薫りが漂うこの一角については、極めて中野の中でも価値ある街並みだと地元の商店街の皆さんは評価しています。しかし、今歯抜けの状態が幾つか生まれるという状況になっていることについて、区の認識はいかがでしょうか。

○荒井都市基盤部副参事(地域まちづくり担当) 特に駅東口周辺につきましては、バリアフリー化という課題があるということで、先般もお答えしたとおりでございます。駅周辺の土地利用の動向につきましては、課題でありますバリアフリー化なども進めていく観点から、注視していく必要があるというふうに区でも考えてございます。

○来住委員 大変心配する状況にあります。中野区が入ったこの検討素案でも、まちづくりの主体は地域住民だということも、一方ではちゃんと位置付けているわけですから、東中野に限らず、まちづくりについては、そこに住む住民をどれだけ主体に置いて検討し進めていくかということなしには、成功もしないし、まちづくりとしての形は整えられないということも思います。小学校や中学校を廃校したまちづくりはないということも重ねて申し上げておきます。

 この東口でいうならば、さきのこの委員会でも、自民党の幹事長さんからもバリアフリーの問題をおっしゃっていただきました。力強いメッセージをいただいたなというふうに思っております。私も19年間このことを言い続けてきましたし、また、地元の皆さんのこれは悲願でもあるわけです。東口のバリアフリーは、駅にエスカレーター、エレベーター設置は地域の一番の要望です。これを本当に実現していくためのまちづくりの検討をやるべきだと思いますし、中野区として早急にこの地域の要望に応える。エスカレーター、エレベーターのための皆さんの取り組み、JRへの働きかけについて御答弁をお願いします。

○豊川都市基盤部参事(都市計画担当) 今、委員御指摘の東中野駅周辺のバリアフリー化でございます。これは、駅舎のみならず、東口周辺全体の地域としてのバリアフリー化、こういった推進の一環としまして、駅舎のバリアフリー化につきましてもJRに求めていきたいと考えております。

○来住委員 東口についてはJR側も、私たちとの交渉では、中野区がその気になってもらえればということも言っておりました。したがいまして、区の負担ももちろん出てくるんでしょう。地域のために、改めてこのことを早急に実現していただきたいということを申し上げておきます。

 障害者の雇用について、支援について伺います。

 ハローワークを通じた障害者の就職件数は、昨年度約7万8,000件で、前年度より約9,500件ふえました。中でも精神障害者の就職が大きく伸びたとのことです。障害者団体からの雇用への支援要望をいただく中、工賃アップ、一般就労への区の支援が求められてきました。これまで四季の都市(まち)の進出企業への障害者就労の働きかけ、また、商工会館に誘致したアイエスエフネットハーモニーによる企業への区内障害者の雇用について求めてまいりましたが、結果はどうなっているでしょうか。

○岩浅健康福祉部副参事(障害福祉担当) 四季の都市(まち)に進出いたしました企業につきましては、中野区障害者福祉事業団が当初から企業訪問等、働きかけを行ってまいりました。平成26年5月に1名が就労したというふうに聞いております。また、企業実習としての場の提供ですとか、社内イベント用の物品の発注等をいただいているところでございます。株式会社アイエスエフネットハーモニーにつきましては、中野区民の障害者を優先的に雇用するという協定を締結いたしまして、区民の障害者の雇用を推進してまいっているところでございます。平成26年4月現在で、8名の中野区の障害者が雇用されているという状況でございます。

○来住委員 商工会館の雇用についてはふえておりますので、努力を評価したいと思います。大企業の進出ですから、1名と言わずに積極的な雇用につながるように、再度御努力を繰り返しお願いしておきたいと思います。

 障害者の雇用促進や福祉的就労の向上、工賃アップの取り組みについては、障害者福祉団体に委託している部分があります。さらなる取り組みの強化、今後の取り組みについて支援を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○岩浅健康福祉部副参事(障害福祉担当) 障害福祉事業団に委託をして行っている事業でございますけれども、事業団では現在登録者が645名おりまして、これらに対しまして就業相談、訓練等を行っております。また、職場実習等も行いまして、25年度、50名の障害のある方の一般就労に結びついたというところでございます。

○来住委員 障害者優先調達推進法が昨年4月に施行されました。1年前になるわけですけども、中野区は平成22年度より要綱を定めて取り組んでいき、推進してきたわけですが、これは自治体がシール張り等の役務等について、障害者就労施設から優先的に調達することになっています。区が障害者施設に発注する役務などの実績は横ばいという状況にあると思いますが、今後どのような発注増に取り組んでいくというお考えでしょうか。

○岩浅健康福祉部副参事(障害福祉担当) 物品・役務等の調達につきましては、平成25年度実績で5,170万円余ということで、前年度同額となっております。区の業務の進め方ですとか、委託内容等、改めて検証いたしまして、障害就労施設への優先調達を進めてまいりたいと考えております。

○来住委員 区内障害者の福祉的就労による平均的な工賃は、25年度は平均月1万8,049円、25年度は91.2%、目標に対してとどまっています。登録者数がふえていることもあるんですけども、やはり仕事の確保などに取り組んで、ぜひ会員に受注が追いつくようなこともあわせて努力をお願いしたいと思います。

○岩浅健康福祉部副参事(障害福祉担当) 区からの役務等の発注ですとか、共同受注の増によりまして、区内の障害者就労施設の平成25年度工賃支払総額は7,300万円余りということで、前年に比べまして260万円ほどふえております。ただ、各施設におきまして作業に取り組む利用者の方が年間で148名、12カ月で割りますと12名ほどふえたということで、目標には若干いかなかったというところでございます。今後、共同受注等の取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。

○来住委員 よろしくお願いいたします。

 次に、介護保険の問題についてお聞きいたします。

 今回の制度改悪で最大の問題は、2017年までに要支援1、2の訪問介護と通所介護を給付対象から外し、地域支援事業に移行するということであります。全国一律の基準で運営される介護給付によるサービスは廃止され、市区町村が独自に実施する新たな介護予防・日常生活支援総合事業として代替サービスが行われます。そこで、区内の訪問介護を利用している要支援1、2の方、通所介護を利用している要支援1、2の方の利用人数についてお聞きします。

○小山区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 平成25年度の月の平均になりますが、介護予防・訪問介護の利用者は1,688人、介護予防・通所介護の利用者は963人となっております。

○来住委員 総合事業は、既存の事業所によるヘルパー派遣やデイサービスとともに、NPOなどによる清掃・洗濯、ボランティアによるごみ出し、サロンなどが実施されます。2015年度から移行を開始するということになっています。中野区は、対象者本人が選択する、これまでのサービス水準で介護が利用できるように、区としてどのように検討を進めているんでしょうか、お答えください。

○小山区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 地域支援事業の中で実施されるものとされた訪問型サービス、通所型サービス等については、現在7月に国から示されたガイドラインを踏まえて、高齢者の方が住みなれた地域で安心して住み続けるために、さまざまなサービスが多様な主体により提供されるよう、事業実施の時期、形態等について検討しているところでございます。

○来住委員 要支援で介護サービスを利用している方々は、デイサービス、ヘルパーなどの専門的な支援のもとで、要介護にならないように、そういう努力をされている方々です。一昨日、80代の要支援1、2の方4人とお会いしました。2人はつえをついて、1人はシルバーカーでの移動をなさっております。料理を1品つくるのに台所で座ったり立ったりして、やっとつくれているという方でありました。中野区は、訪問介護、通所介護の役割、大切さをどのように認識されているのでしょうか、伺います。

○小山区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 2025年に向け、高齢者の健康寿命を延ばすために、介護状態の軽減や悪化防止の取り組みは大変重要だと認識しております。また、予防給付から地域支援事業へ事業を移行した後は、より効果的な介護予防マネジメント等、自立に向けたサービスを実施することにより、重度化の予防を推進してまいりたいと考えております。

○来住委員 十分な対応を検討し、対応していただきたいと思います。

 次に、介護申請を直接受理するこれまでの方式から、チェックリストによって事前に自治体がチェックすることに変わることになります。見えないと思いますが、現在は窓口から要介護認定申請を直接行ってサービス利用につながりますが、これからは窓口で25項目のチェックリストでチェックされ、そこでサービスに直結する部分、それから、要介護の認定申請に行くかどうか、まずは窓口でのチェックリストによって判断されるということになってまいります。事前のチェックで要介護認定を受けさせずに、安上がりの生活支援サービスに直接誘導するということがあってはならないというふうに思います。選別をしてはならないということです。中野区の窓口としてはどういうことになっているのでしょうか、お答えください。

○小山区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 国のガイドラインでは、介護保険の相談窓口で介護認定申請に係る相談を受けたときには、基本チェックリストにより介護予防・日常生活支援総合事業の対象者かどうかを判断するものとされております。介護予防・日常生活支援総合事業の対象者となっても、介護サービスが必要になった際には、介護認定申請等ができることを事前に説明するものとされております。申請ができることについては、誤解が生じないように窓口で丁寧に対応していきたいというふうに考えております。

○来住委員 今回の改定によって、中野区内の利用者で2割負担となる人が出てきます。これまでは利用者負担が1割だったものが2割負担と。これは一定の所得の方々がそうなりますが、この2割負担となる人数だけお答えください。

○小山区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 2割負担になる介護サービス利用者は、利用者全体の約28%、2,139人と見込んでおります。

○来住委員 介護の最後になりますけども、介護保険準備基金は、決算、この年度も積み増しして14億7,800万円となりました。中野区の第1号被保険者数で基金残高を割りますと、1人当たりにすると2万2,300円となります。23区でトップクラスの基金残高となります。今後の対応の中で、基金を活用して利用料の低減や、サービスの低下を招かないようにしていただきたいと思いますが、お考えをお聞きします、

○小山区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 介護給付費準備基金は、その運用により介護保険の収支を均衡させ、同時に後年度の費用不安に備える機能を持っております。介護保険事業計画作成に当たって、サービスの見込み量や保険料の推計を行う中で、介護給付費準備基金の適正な取り崩しについても検討していく予定でおります。

○来住委員 ありがとうございました。

 その他に入ります。その他で1点だけお聞きします。

 旧中野刑務所正門の保存について教育委員会にお聞きします。区内で活動されている団体から区議会議長宛てに、旧中野刑務所正門を保存すること、受け継いでほしいとの訴えが届けられています。そこには、私たちが中野の誇りと思う建物の一つに、旧中野刑務所正門があります。昭和58年に刑務所が解体された折、その一部が日本建築学会からの要望書を受けて保存され、中野区教育委員会発行による報告書「中野を語る建物たち」には、特にすぐれた建築物として調査結果が掲載されています。さらに、この中では、平和を愛する中野区民こそ、この歴史的な構造物を生かして、ユニークな学校として教育施設の中にうまく取り込んでほしいと。どこにも誇れる小学校にしていただきたいと。平和の名にふさわしい中野の広い心を、都内に、そして全国にアピールして、日本の歴史が新たな明るい中野の環境の中に刻まれてほしいと願っておりますと結んでおられます。教育委員会として歴史的文化遺産を保存するための方策についてのお考えをお聞きします。

○辻本子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) お答えいたします。法務省矯正研修所跡地につきましては、今後区と交渉することになっているところでございます。現在のところ、教育委員会として具体的な対応につきまして答える時期ではないと考えております。

○来住委員 要望が区議会議長宛てに出されているものですので、教育委員会としても十分ここを考慮いただいて、御検討いただきたいということをお願いして、私の全ての質問をこれで終わります。

 ありがとうございました。

○内川委員長 以上で来住和行委員の質疑を終了します。

 次に、中村延子委員、質疑をどうぞ。

○中村委員 平成26年第3回定例会決算特別委員会において、民主党議員団の立場から総括質疑を行います。質問は通告のとおり、一つ目に行政評価について、二つ目にがん対策について伺います。その他で1点、感染症対策について伺います。

 初めに、行政評価について伺います。

 その中で一つ目に、外部評価について伺います。平成25年度各会計の歳入歳出決算額合計は、歳入が1,827億9,292万7,000円、歳出が1,793億1,753万5,000円と、いずれも前年度と比較して増となりました。また、中野区は平成12年度から試行による行政評価を開始し、平成14年度から外部評価をこの行政評価制度に取り入れています。行政評価の目的は、目標と成果による区政運営の考え方に基づき、区の仕事の成果や効率性などを区民の視点で評価し、事業の見直しへつなげる行政評価を継続して行っていくこと。そして、五つの目的として、1、仕事の目的を明確にする。区の仕事の目的・目標を数値により客観的に明らかにする。2、仕事の成果を管理する。仕事の必要性、有効性、効率性などを管理する。3、区の仕事を十分に説明する。客観的に評価して結果を公表し、行政運営の透明性を高める。4、経営(マネジメント)サイクルの確立。評価をもとに目標や事業の見直しを行い、成果を高める。5、職員の意識改革。成果目標を明確にして、職員の意識向上を図るとしています。この行政評価制度も毎年PDCAサイクルの中で強化、変更されてきていますが、中野区は昨年、平成25年から外部評価のシステムを大きく変更されました。復習になりますが、昨年からどのように変更したのか教えてください。

○田中経営室副参事(行政監理担当) 行政評価の精度を高めるとともに、より効果的な評価を行うため、また、平成24年度の外部評価で指摘された、外部評価は重点分野をローテーションで定め、集中的に評価をすることを検討してはどうかという意見等を踏まえまして、内部評価の時間を十分にとり、その上で外部評価を実施するように変更したものでございます。外部評価は3年スパンで全分野を一巡するようにし、また、実施時期を10月以降にすることで、決算資料を含めてより詳細な評価を行うこととしてございます。また、公開ヒアリングに先立ちまして、分野ごとに事業説明会を行い、施策別に事業概要や実績等についての確認を行う、このような変更を行ったものでございます。

○中村委員 ありがとうございます。

 今までは8月に行っていた外部評価委員会を1月に今回は実施し、これまでよりも時間に余裕を持ったスケジュールになりました。これは、平成25年度からは決算値も含めた評価を行ったというふうに覚えておりますが、どのように予算に反映していく方針か教えてください。

○田中経営室副参事(行政監理担当) 外部評価につきましては、10月以降に実施ということで変更しました。今年度からは、外部評価のヒアリングの時期を早めるようなことを考えてございまして、このヒアリング内容を踏まえ、適宜次年度の予算への反映も可能となるというふうに考えているものでございます。また、外部評価結果の内容によっては、翌々年度の予算編成にも反映できる、そのように考えているところでございます。

○中村委員 平成26年第1回定例会予算総括質疑の森委員の質疑の中で、外部評価委員の公開ヒアリングに先立ち、分野ごとに事業説明会を実施し、その中で施策ごとに事業概要や事業実績に関する確認や質疑を行ったとの答弁がありました。どこからどこまでを公開にし、どこまでを外部評価という公開の場で行うかという判断は、どのように決定したのでしょうか。

○田中経営室副参事(行政監理担当) 公開しているものにつきましては、評価とともに改善に向けた議論等を行う、外務評価委員による公開ヒアリングでございます。分野ごとの事業説明会につきましては、精度の高い外部評価を行うための事前準備と考えてございまして、事業概要や実績に関する事前確認を行うことを目的としているため、特に公開はしないということにしているものでございます。

○中村委員 わかりました。平成25年度外部評価の大きな変化の一つが、3年間で全分野の外部評価をするというところかと思います。今までは分野での自己評価の後、全ての分野を外部評価委員の方々に評価していただくという手順を踏んでいたのを、昨年からは自己評価後に内部で評価する。そして、全分野を3年に分け、3分の1ずつ外部評価委員会に評価していただくとなりました。中野区の行政評価の中で、内部評価と外部評価の位置付けはどうなっているのでしょうか。どうしても時差が出てきてしまうため、内部評価と外部評価で評価に違いが出てしまう可能性もあります。あくまでも内部評価が中心なのでしょうか。そのすみ分けを教えてください。

○田中経営室副参事(行政監理担当) 内部評価、外部評価ともに行政評価であるという認識でございます。平成25年度の見直しによりまして、外部評価は10月以降に実施しているものでございます。時差の有無にかかわらず、内部評価及び外部評価、これには差異が生じることはあり得るというふうに認識しているところでございます。内部評価、外部評価に違いはございましても、両評価とも施策や事業の見直しに活用されるものということでは、変わりがないというふうに認識してございます。

○中村委員 平成25年度外部評価報告書の「外部評価の総括と今後の課題」のところで、こういうコメントがあるんですが、プレゼンテーション面で行政担当者の不慣れな点が多々あったことは否めない。貴重な区民との対話の機会と捉え、効果的なプレゼンテーションを心がけてもらいたい。そして、一方的な業務説明ないしは業務の正当化を図るばかりではなく、外部評価委員との対話を通じて業務改善のためのヒントを得ようとする、積極的な姿勢、取り組みを期待したいとのコメントがありました。これまで平成25年度の外部評価は11回目ということなんですけれども、そもそも外部の目を入れ評価していただくということは、業務の改善のためなのではないでしょうか。「正当化を図るばかりではなく」というふうに言われてしまうことは、行政評価への形骸化ではというふうに感じてしまうのですが、いかがでしょうか。

○田中経営室副参事(行政監理担当) 昨年度行政評価を見直して、新たな方法で実施してございますけれども、御指摘のとおり外部評価委員のヒアリングなどの際には、一部に十分でない面があったということも認識してございます。全体としましては、自己評価、部間総合評価、それから、内部評価委員による評価、これらを通じまして、管理職をはじめとした職員の行政評価に対する理解と意識は高まっているのではないかと考えてございまして、形骸化しているとは考えてございません。今後につきましても随時見直しを行いながら、行政評価の質と実効性を一層高めていきたいというふうに考えているところでございます。

○中村委員 形骸化ではないというふうに今お答えがありましたけど、そういうふうに言われてしまっているという現実があるので、そこはちょっと重く受けとめていただきたいなというふうに思っております。先ほど申し上げました目的のところの5番の、職員の意識改革というところもありますので、ぜひそこはお願いしたいと思います。

 また、区は、区民に行政評価を広く知ってもらうために、行政評価のパネル展や、過去にはフォーラム等を行っておりますが、もちろんそれも大切なことではありますけれども、まずは職員に対し行政評価の重要性を理解するよう努めるべきではないでしょうか、見解をお聞かせください。

○田中経営室副参事(行政監理担当) 中野区におきましては、御案内のとおりPDCAサイクルに基づいた区政運営を実施してございます。職員におきましては、区政目標と、それに基づいた個人目標を設定し、評価をするということは定着しているのではないかというふうに考えてございます。こういった土壌のもと、行政評価についてもよりわかりやすく実施要領の作成や説明に努め、行政評価の重要性等につきましては、職員への理解と意欲を一層高めていきたいというふうに考えてございます。

○中村委員 さっきのようなコメントをもう二度と言われないように、ぜひ努力をしていただきたいなというふうに思っております。

 外部評価結果の中で唯一C判定されているのが、経営室の経営分野になります。その要因は、評価項目の三つ、1、成果指標の目標達成度(成果指標の妥当性を含む)、2、事業実績、3、事業執行の効率性のうち、1の成果指標の目標達成度5.7だと見受けられます。外部評価結果の主な判断理由・根拠を見ると、分野の目標達成度は平均85%を超えており、おおむね良好と言える。しかし、区政目標における成果指標値が向上した割合は、経営分野だけでコントロールできるものではないので、成果指標として妥当ではない。また、秘書業務やサンプラザ事業などの施策で成果指標が設定されていないことは適切ではないとされています。また、1年前を振り返り、平成24年度内部評価の資料を見ると、内部評価の同じ項目、成果指標の目標達成度は5.6で、評価結果の主な判断理由・根拠には、分野3成果指標の平均達成率から目標達成度は7点とした。成果指標のうち区政目標における成果指標の向上率は定量的に把握できるものではなく、より適切な成果指標を検討すべきである。また、秘書、サンプラザ事業の2施策でも成果指標を設定すべきである。成果指標の妥当性、0.8というふうにされております。内部評価、外部評価ともに同じような指摘を受けております。この指摘をされている「区政目標における成果指標の向上率は定量的に把握できるものではなく、より適切な成果指標を検討すべきである」という部分ですが、分野によっては指標が定量的に把握できないものも出てきて仕方がないというふうに私は考えております。ただ、外部評価委員から指摘を受けたわけですので、きちっと説明はあるべきだというふうに考えております。平成26年度の成果指標にはどのように反映されているんでしょうか。

○戸辺経営室副参事(経営担当) お答えいたします。今、御質問にありました区政目標における成果指標が向上した割合という成果指標でございますが、経営本部体制が効果的に機能し、目標達成に向けて区政全体が効率的・効果的に運営されている、そういう経営分野の目標をはかる成果指標としては、設定の考え自体については妥当であるという考えでございます。しかしながら、平成25年度までの成果指標についてでございますが、全ての分野の全ての施策の成果指標を範囲としていたということから、外部評価でも指摘されたとおり、経営分野だけでコントロールできるというものではございませんでした。今年度から成果指標の範囲を全分野の全施策ではなく、政策的判断が必要となるそれぞれの分野の重点施策に絞って、その成果指標が向上した割合としたところでございます。

 それから、秘書業務とサンプラザ経営についての目標値の設定について御意見をいただいてございます。秘書業務は、業務の性質上、成果を適切に評価する数値的な成果指標、そうしたものを設定するのは非常に難しく、まだ設定していないわけですが、今後とも継続して検討してまいりたいと考えてございます。それから、サンプラザ経営についてでございますが、サンプラザ経営が現在順調に経営されているということから、今年度区政目標の位置付けを見直しまして、サンプラザ経営という施策ではなく、経営施策の中の一つの事業として位置付けし直したというところでございます。したがいまして、今後評価にあたっては、経営施策の中のサンプラザ経営ということで会計状況などを説明するなど、事業の内容を十分理解していただけるよう努めていく考えでございます。

○中村委員 わかりました。今、経営分野を例に挙げましたが、今年度の評価について、設定された目標値に対する疑問が多く出されております。目標値設定の根拠を評価表に明示するとともに、歴年の目標値についても評価表に記載することが望ましいとの提案が全体会でされたとのことですが、これに関して御担当として今後どのように取り組んでいくつもりか、お聞かせください。

○田中経営室副参事(行政監理担当) このような指摘を受けまして、来年度からの行政評価表につきましては、目標値の根拠等を示し、適切な行政評価が行われるように改善に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。また、過去の目標値につきましては、評価の際に必要であれば、過去の評価表や区政目標シートが見られる、そのような形で工夫も考えていきたいと思っているところでございます。

○中村委員 ぜひ工夫をしていっていただければと思います。

 次に、平成25年度の内部評価についてお伺いいたします。昨年から新たな行政評価制度として内部評価を取り入れております。内部評価においては、まず主管部が自己評価を行い、その評価結果に基づき他部による部間相互評価を実施。さらに、各部長で構成する内部評価委員会による評価を行ったとのことです。今年度の内部評価ですが、行政監理分野としてPDCAサイクルの中で、制度として前年から何か変更点はあったのか教えてください。

○田中経営室副参事(行政監理担当) 制度としての変更点は特にございません。ただし、内部評価の質をさらに高めるために、評価の際に、例えば特殊な事情により発生した臨時的経費、これを明らかにすることによりまして、例えば経常的な経費の経年比較を可能とするなど、そのような評価の質を高めるための改善の工夫は行っているところでございます。

○中村委員 ありがとうございます。内部評価の結果の表し方として、総合評価点が9から10点はA、7から8点台はB、4から6点台はCとなり、主要施策の成果(別冊)、各分野の行政評価結果を見ますと、Aが3分野、Bが36分野、Cが6分野となっています。C評価の6分野を見てみると、情報・改善分野、産業・都市振興分野、地域活動推進分野、子ども教育経営分野、学習スポーツ分野、地球温暖化対策分野がここに含まれています。そのうち学習スポーツ分野以外の5分野は、いずれも指標の目標達成度が低いために全体の評価を下げてしまっている結果となっています。その中でも10点満点の半分を切る5点以下となった分野を取り上げたいと思います。

 まず、情報・改善分野は、平成24年度の内部評価では、この指標の目標達成度で8を獲得している中、平成25年度の内部評価では4.8と大幅に点数を下げています。主な判断理由を見てみると、平成24年度には、目標達成度は平均すると100%を超えている。目標の達成度10点。分野の成果指標は研修受講のみで、全体最適化やシステム変更等に関する指標が設定されておらず、分野全体を表す指標の設定が必要である。成果指標の妥当性0.8となっています。一方、平成25年度内部評価では、指標の達成度は分野及び施策全体で平均87.4%であることから、達成度評価は「6」とした。研修受講に関するものや見直しによる財政効果額など、必ずしも目指す状態を表していない指標、一概に経年比較できない指標も見受けられるため、妥当性は0.8としたとなっており、「4.8」とかなり低い結果になっています。この評価結果を御担当はどのように感じておられるか。また、今後、この評価を受けてどのように取り組んでいくのかお答えください。

○中谷政策室副参事(業務改善担当) 平成25年度の情報・改善分野の指標の目標達成度が、平成24年度と比較いたしまして大幅に下がっている要因としましては、九つある指標のうちセキュリティー研修の受講割合が低かったということと、庁内情報システムのユーザー満足度につきまして、全庁的にパソコンのリプレースを行っていたということから、アンケート調査の実施を見送ったことによるものでございます。こうした結果を踏まえまして、今年度は、セキュリティー研修につきましては、未受講者に対する受講勧奨を徹底しているところでございます。また、庁内情報システムにつきましては、安定したシステム運用と利用者への適切なサポートによりまして、満足度の向上を図っていきたい、そのように考えてございます。

○中村委員 わかりました。次に、産業・都市振興分野ですが、平成24年度5.6だったものが、平成25年度内部評価では4.8となっています。平成24年度の主な判断理由を見ると、目標達成度は、分野目標に対する指標に加え、施策指標の中で打ち合わせ回数や事業件数など、施策目標の成果指標として適切でないと判断したものを除き、各指標の達成度を平均化して7点と判断した。数値が把握できない指標を分野目標に設定するなど不適切な指標が見受けられるため、成果指標の妥当性は0.8としたと書かれています。一方で、平成25年度の主な判断理由は、分野・施策の10指標のうち、数値化できた指標は5項目であり、そのうち2項目は目標を達成した。数値化できた項目を全体的に評価して6点とした。一方、指標の達成度を示すことができない指標もあることから、妥当性は0.8としたとなっており、こちらもまた低い結果の4.8をつけられました。この評価結果を御担当はどのように感じておられるか。また、今後、この評価を受けてどのように取り組んでいくのかお答えください。

○青山都市政策推進室副参事(産業振興担当) まず、目標達成度でございますが、昨年度までは中野区産業振興推進機構の設立や中野区産業振興センターの開設準備などの基盤整備、及びライフサポートビジネスセミナーやシンポジウムなどの啓発的な取り組みが中心でございました。今後は、これらの基盤の上に実質的な成果を上げていきたいと考えております。

 また、指標の妥当性につきましては、国の経済センサスや国勢調査など、毎年実施されないものをもとにしている指標につきまして、当該年度の成果を示すことができなかったものでございます。国の調査などにつきましては、他の区や東京都、全国のデータなどと比較するために必要であるため、今後も指標として掲げてまいりますが、これらに加えて、今年度からは毎年の成果をはかることのできる補助指標を設定したところでございます。

○中村委員 わかりました。外部評価のところでも取り上げましたが、この成果指標が妥当であるとかないとか、それぞれの評価の中でさまざまな指摘を受けています。もちろんPDCAサイクルの中で指摘を受けた部分に関しては改善していく必要がありますが、この成果指標が毎年ころころ変わってしまうと、毎年の事業実績を判断できなくなってしまいます。一方で、成果指標が妥当でない場合、事業実績自体をはかることができません。毎年この「成果指標が妥当ではない議論」を目の当たりにする中、チェックの後のアクションがとられているのか本当に心配です。今後、区としてこの問題をどのように解決していくのかお聞かせください。

○海老沢政策室副参事(企画担当) 適切な指標の設定につきましては、目標の達成度を適切に評価する上で必要であるというふうに考えてございます。平成27年度の指標につきましては、行政評価の指摘も踏まえまして、区民から見てわかりやすく、他の自治体との比較も可能な統計情報、統計調査等の結果を用いるなど、統一的な考えのもとで整理・改善を行ったところでございます。一方で、経常的な評価も可能となるよう、一部従前の指標も残すなど、円滑に適切な指標によって評価を行えるよう調整したところでございます。

○中村委員 わかりました。

 次に、一番指標の目標達成度が低かった分野なんですが、これは地域活動推進分野でした。平成25年度の評価結果は、そこだけ見ると4.0、総合評価点でも5.5と、全45分野の中で唯一6点を切り、一番低い評価結果となっています。平成24年度の総合評価6.7も決していい結果ではありませんが、そこからも大きく点数を下げています。評価結果の主な判断理由・根拠ですが、指標の目標達成度に関しては、分野の成果指標が全て前年度実績より低下しており、特に地域住民相互で見守りや支えあいの活動をしている割合指標は、3年連続低下が続いていると指摘されています。また、事業実績のところでも、緊急連絡カードの発行枚数等、実績が上昇しているものもあるが、分野の成果指標は低下しており、事業が分野目標を達成するために効果的な取り組みとなっていないと書かれてしまっています。区長の肝入り施策としてスタートしたはずの地域活動推進分野が、非常に低い評価を受けていることを危惧しております。

 まず、地域住民相互で見守りや支えあいの活動をしている割合が3年連続で低下していることに関して、また、この低い評価結果を御担当としてどのように捉えているのかお聞かせください。

○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 地域活動推進分野の評価結果が5.5と低い数字であった要因につきましては、成果指標の一つであります地域住民相互で見守りや支えあいの活動をしている割合、この目標達成度が低かったためであると認識しています。この指標につきましては、保健福祉に関する意識調査における「あなたは地域住民間の見守りや支えあい活動をどの程度していますか」という質問に対する回答の結果でございますが、年代別で見ますと、30代から70代にかけて、高齢になるほど活動している方の割合は増えておりますが、そういった活動をしている方が各年代とも平成22年度以降減少傾向の状況になっています。今後、高齢化社会が進む中では、若い世代を含めた地域の見守り・支えあい活動への担い手を増やしていくことが求められているというふうに認識しておりまして、この指標の数値も上がっていかなければならないものと考えているところでございます。

○中村委員 指標の目標達成度も4.0なんですけど、事業実績も7.0ですし、事業執行の効率性も7.0で、決して高い数字ではないというところも指摘をさせていただきます。

 総括質疑の初日に我が会派の佐伯委員からも指摘をさせていただきましたが、日本では高齢化がどんどん進み、支えられる人が増える中で、中野区で行っている地域支えあい推進が必要だということは共通認識だと思いますが、どうやって担い手を確保していくのか。一般質問の我が会派の森議員が取り上げていた、2013年中野区区民意識・実態調査報告書の定住理由で、「子育て・教育環境がよいから」を挙げた人が2.5%のみ。また、転出理由の14.1%が「子育て・教育環境がよくないから」というふうに答えていることもあります。区から何かをしてもらったという実感だったり満足感があって、そこで初めて区のため、地域のために何かをしようというふうに考える方がほとんどだと思うんですね。子育て環境でこのようなアンケート結果が出ている中、若い世代はどんどん離れていってしまうのではないかなというふうに感じております。ここに関してはしっかりとビジョンを持って、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに要望しておきます。

 さらに、今後、災害時要支援者名簿や行動計画の作成がこの分野に加わってくる中、支える側の町会・自治会の方々、もっといえば、すこやか福祉センターの職員さんたちの疲弊がとても気になっています。一人ひとりの負担が大きくなっていく中、本当に乗り越えていけるのか、区の考えを教えてください。

○朝井地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 町会・自治会は、地域での支えあいの担い手として重要な役割を果たしていただいています。区は、区民活動センター、すこやか福祉センターを整備し、町会・自治会などの活動団体としっかりと連携できる体制づくりをしています。今後とも必要に応じて体制の強化をしていくことにより、しっかりと対応していきたいというふうに考えております。

○中村委員 ぜひそこはよろしくお願いいたします。

 一方、A評価となった事業は3事業ありました。住民情報システム分野、保険医療分野、選挙管理委員会事務局の三つです。選挙管理委員会事務局の評価は、三つの評価項目全てで9.0を獲得し、総合評価も9.0というふうになっております。分野の目標は、一つ目が、選挙が公正に誤りなく、かつ効率よく行われるとともに、区民が投票しやすい環境が整っている。二つ目が、区民が高い政治意識を持ち、自由な意思で積極的に投票に参加しているという二つになります。1の目標に関しては、確かに高い実効性を発揮しておりますが、2の目標に関しては少し疑問に思う点があります。

 平成25年の参議院議員選挙、53.07%という投票率でした。これは前回の平成22年は54.52%と、1.5%ほど下げています。都知事選挙は、平成26年46.70%で、その前が平成24年12月に行われておりますが、こちらは61.80%と、これは15%ぐらい下げてしまっております。また、平成25年の都議会議員選挙の投票率は43.10%でした。一つ前の平成21年、4年前の都議会議員選挙の投票率は54.01%。比べると約11%も投票率が下がっております。確かに、いつもおっしゃられるように天気や顔ぶれ、まあ、都知事選挙は雪が降っていたこともありましたけれども、あと、マスメディアの報道など多くの外的要因が投票率を左右することも確かであると思います。以前、外部評価で指摘を受けたことから、投票率の推移を成果指標から省いたことも記憶しておりますが、2の目標に対しての指標が見受けられません。「区民が高い政治意識を持ち、自由な意思で積極的に投票に参加している」ということがわかる指標は、投票率そのものだと思います。むしろ、それ以外にはかる術がないと思います。選挙管理委員会事務局がどれだけ努力しても、成果が上がらないこともあるかと思いますが、達成できるできないにかかわらず、やはり指標として設けるべきではないかというふうに考えます。例えば、23区平均と比べて高い投票率を推移するなど絶対的な数字ではなく、相対的な数字を目標に掲げることも可能だと思います。いかがでしょうか。

○吉村選挙管理委員会事務局長 お答えいたします。選挙管理委員会といたしましても、投票率の向上は重要な課題だと認識してございます。区民の高い政治意識、あるいは、積極的な投票参加を促すためということで、選挙情報の効果的な提供はもちろん、地域における身近な課題への問題提起をきっかけにした、話し合い活動による政治への関心の底上げ、また、成人の集いでのアンケートの実施と分析など、若年層へのアプローチがさらに重要であると考えております。

 年度における比較でございますけれども、23区においても選挙の対応や日程、さらには区政状況も異なっておりまして難しいところもあり、引き続き、より目標に見合った適切な成果指標について検討してまいりたいと、そのように考えてございます。

○中村委員 ぜひ検討をお願いいたします。

 続いて、主要施策の成果(別冊)の33ページ、広報分野の中で、平成25年度からの新規事業としてフェイスブックページの活用があります。分野の成果に対する自己評価の中にも記載がありますが、中野の魅力発信のために25年4月からフェイスブックの掲載を開始し、約1,500人の読者を獲得することにより、身近な区政情報等を届けることができたと書かれております。区のホームページへの誘導が基本だとは思いますが、若い世代が多く利用しているSNSで発信することは、ふだんあまり区政に関心を持ってもらえない層にアウトプットするということにつながると思います。私も「いいね!」を押し、フォローさせていただいておりますが、とても充実した内容になっているというふうに感じております。御担当の御努力だと思いますし、今後もよりよいものにしていっていただければと思います。

 そこで伺います。現在のページの「いいね!」数、各投稿に対する「いいね!」数の平均、各投稿のリーチ数を教えてください。

○酒井政策室副参事(広報担当) 中野区役所フェイスブックページの「いいね!」数は、現在1,560件でございます。区が投稿した各記事の平均の「いいね!」の数は約100件で、各投稿を読んだとするリーチ数の平均は約1,900件でございます。(「よくないね。本当にそれしかないの」と呼ぶ者あり)

○中村委員 そうですね。100件は若干少ないかなという印象はありますが、平均にすると仕方がないのかなというふうに思います。

 次に、今後のページへの「いいね!」数の目標があれば教えてください。

○酒井政策室副参事(広報担当) フェイスブックを昨年の7月に開始しまして、年度内に一応1,000を達成いたしました。今年度に入って伸びが鈍化していますが、今年度中に2,000件を獲得したいと考えております。

○中村委員 中野区内の新聞社さんだったりとか、さまざまなところがいろいろ中野の情報発信について、そこはもう既にページへの「いいね!」数が2,000件を超えていたりしておりますので、ぜひもう少し高い目標を持っていただきたいなというふうに私からお願いしておきます。

 また、ページなんですが、運営の課題点などがあれば教えてください。

○酒井政策室副参事(広報担当) フェイスブックページは、区政をより身近に感じてもらうために、写真、動画などを用いてわかりやすく伝えるための媒体です。そのためには現場に足を運んで、読者により関心を持ってもらえるエピソード、写真を取材する必要があります。常に情報にアンテナを張って、機動力を高めることが重要だと思っています。

○中村委員 ぜひそこはよろしくお願いいたします。

 次に、フェイスブックページは有料広告が出せるということで、企業やブランドのページ利用が促進されてきました。例えば、集客したいイベントに関する情報や、区にとってとても重要な情報を発信する際などの広告の利用についても検討してみるべきと考えております。中野区にお住まいの方限定で広告を出すことも可能です。もっと言えば、年齢層を絞ることも可能なため、見てもらいたい層限定にリーチすることも可能です。ぜひ利活用を考えてみてはいかがでしょうか。

○酒井政策室副参事(広報担当) フェイスブックでの有料広告について、「いいね!」数を伸ばす効果が大きいことは認識しています。まずは、区政をより身近に感じてもらうために、取材等に力を入れ、発信力を高めていきたいと考えております。

○中村委員 わかりました。なかなか有料広告は難しいのかなというふうに思いますが、ぜひ検討していただければというふうに思います。

 区報、ホームページとも違う層への広報として、フェイスブックは一定の情報発信ができるツールであるため、区政に興味を持ちにくい層への新しいものとして、これからも引き続き活用していっていただきたいと思います。

 さまざまな分野や施策の評価について触れてきましたが、内部評価にしろ、外部評価にしろ、ほかの手法にしても、行政評価を行い改善していくことはとても重要だと考えています。ただ、形骸化されてしまっていたり、やっていても仕方がない、改善されないことにはやっている意味もなければ、それこそが予算の無駄につながってしまいます。また、先ほども例に挙げましたが、中野区区民意識・実態調査報告書の結果は、普通に暮らしている区民が、区政に対してどのように考えているかが見えるものになっております。外部評価で評価される学識経験者や区政に積極的に携わっていただいている公募区民とは、また違う目線でいらっしゃると思います。せっかくお金をかけて大々的な意識調査をしているのであれば、内部評価や外部評価とあわせて、こういった調査結果も取り入れていっていただきたいというふうに思います。中野区が行っている行政評価が自浄作用を発揮し、わかりやすい、効果が見えやすい制度になっていくことを期待し、次の質問に移ります。ありがとうございました。

 続いて、がん対策について伺います。

 私が生まれた1981年から、日本における死因の1位はがん、2位は心疾患、3位は脳血管疾患となっており、厚生労働省が発表した世代別の死亡原因を見てみると、0歳から4歳は先天性の異常、5歳から9歳は不慮の事故、10歳から14歳ががん、15歳から39歳までが自殺、40歳から89歳までががん、90歳から99歳までが心疾患、100歳以上が老衰と、各年齢層で死因に違いが見られました。また、女性に限って見ると、20代から30代は子宮頸がんが非常に多くなっており、40代からは乳がんが死亡原因のトップになっております。御存じのとおり、日本人の約半分の方ががんにかかり、3分の1の日本人ががんでお亡くなりになっている現状がございます。我が国では、平成18年6月にがん対策基本法が成立し、平成19年4月に施行されました。その年の6月にがん対策推進基本計画が閣議決定されました。平成21年7月には、厚生労働省にてがん検診50%推進本部が設置されました。平成24年6月には、がん対策推進基本計画の見直しが閣議決定されております。がんは、今から国を挙げて取り組んでいかなければ、団塊の世代が75歳を迎える2025年問題には到底対応ができなくなってしまう、大変重要な課題だと考えています。

 今月9月は、がん制圧月間となっており、また、来月10月は、乳がん検診の早期受診を推進することなどを目的として行われる世界規模の啓発キャンペーン、ピンクリボン月間であります。中野区では、9月のがん制圧月間にあわせ、9月4日に子宮頸がんに関するミニ講座を開催。講師には今年4月にがん協定を締結した新渡戸文化短期大学臨床検査学科の尾形准教授にお願いされました。この子宮がんに関するミニ講座にはどれぐらいの方が参加されたのでしょうか。このような協定に基づいた取り組みは今後も続けていくのか、あわせてお聞かせください。また、このミニ講座のほかに、がん制圧月間の中で区としてどのような取り組みをしているのか教えてください。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 9月のがん制圧月間の取り組みでございますが、まず新渡戸文化短大のイベントを今年初めてやったわけなんですが、ミニ講座2回で35名ほどの参加がございました。また、これ以外の取り組みでございますけども、今ちょうど出ておるんですけども、区役所の壁面に横断幕が出ております。あとは、区のお知らせの掲示板へポスターを張らせていただいていることと、あるいは、がん検診等の受診を呼びかけるチラシを自治会あるいは町内会様の御協力で回覧していただく。あるいは、区役所1階のパネル展示等々をやっているところでございます。来年度以降も協定企業と御相談の上、できる範囲で取り組んでまいりたいと、このように考えています。

○中村委員 ありがとうございます。

 また、10月のピンクリボン月間ではどのような取り組みをする予定か教えてください。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 来月のピンクリボン月間でございますけども、私もつけてきておりますけども、ピンクリボンのバッジですね、これを特別職、管理職をはじめとして職員有志はつけるということ。また、区役所でのパネル展示、ピンクリボンのバージョンの横断幕を出すと。あるいは、保健所、すこやか福祉センターでのぼり旗を出すということも考えています。あと、10月2日でございますけども、区長をはじめといたしまして、午前中、中野駅の駅前で街頭キャンペーンを予定しております。また、アロマ石けんを利用した乳がんの自己検診法の指導等を企画しているところでございます。

○中村委員 ありがとうございます。ピンクリボン月間では、大きな建物にピンクのリボンを装飾したり、東京タワーのライトアップがピンク色になったり、全国的にもさまざまな啓発活動が行われておりますが、ぜひ中野区も一層の啓発に努めていただきたいと思います。

 中野区では、平成24年度事業見直しにより、平成25年度のがん検診の見直しが行われました。その中には、胃がんペプシノゲン検査を廃止し、ハイリスク診査の導入。肺がん検診廃止。そして、大腸がん検診の受診手続の簡略化が行われました。

 まず、胃がんハイリスク診査の導入の目的を教えてください。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) それまで行われておりました胃がんペプシノゲン検査、これを発展的にハイリスク診査に切りかえていったということでございます。具体的には、従来行っておりましたペプシノゲン検査に加えまして、ヘリコバクター・ピロリ菌の検査を加えることによって、よりつまびらかな胃の状態を把握ということでございます。ちなみに、25年度でございますけども、6,580人の方々がハイリスク診査を受診されまして、リスクがあるというふうに判定されたB、C、D判定、1,964人というふうに結果が出ているところでございます。

○中村委員 次に、肺がん検診廃止の理由を教えてください。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 肺がん検診でございますけども、平成24年度までの過去5年分の追跡を見まして、精密検査の結果、肺がんと判明するケースがわずか数名のみであったということで、非常に発見率が低いということで、がん検診の財源をほかのより有効性のあるがん検診のほうに充当するために廃止したものでございます。

○中村委員 また、大腸がん検診の受診手続の簡略化をされたとのことですが、どのように簡略化されたのか、また、受診率の向上にはつながったのか教えてください。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) ただいま御指摘ございましたように、25年度から大腸がん検診につきましては、申し込み方法を、シールを使う方法で事前に申し込みをしなくても受けられるようにしたということで、非常にこれは大きな効果が出ておりまして、24年度の受診率は21.6%でございましたが、25年度29.1%というふうに大きく改善したところでございます。

○中村委員 ありがとうございます。

 現在中野区で行われているがん検診は、乳がん検診、子宮頸がん検診、胃がん検診、大腸がん検診です。まず乳がん検診ですが、平成24年度の受診率が22.8%であったのに対し、平成25年度は20.4%と、受診率が下がってしまいました。この受診率が下がった原因を区としてはどのように分析しているのでしょうか。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 若干受診率の低下があったということは御指摘のとおりでございます。その原因ということなんですが、そんなに大きな落ち込みではないということもございまして、なかなか分析はしきれていないのでございますが、一つ要素として考えられるかなと思うのは、大震災の後、しばらく公共広告機構が、スポンサーが落ちてしまった啓発のCMがたくさんあったというのが、あるいは少しは効いているのかというふうに考えております。

○中村委員 あれは子宮頸がん検診だった気がするんですが、まあ、次に行きます。

 次に、子宮頸がん検診も受診率が下がっております。これは、平成24年度に21.3%だった受診率が、平成25年度は20.3%になってしまいました。これはどのように分析されていますか。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 1ポイント程度の減少ということで、これもなかなか分析しにくいところではあると思うんですが、いろいろなメディアからの情報とか、そういうのがきいているのかなというふうに、担当ではそう思っているところでございます。

○中村委員 大腸がん検診は、先ほど手続の簡略化により、21.6%だったのが29.1%というふうに大幅に上がっております。もしほかにも理由で考えられることがあれば教えてください。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) ほかの理由でございますが、ほかにもいろいろ、東京都等々の啓発等々も結構強力なのがありましたが、やはり一番大きな原因は、申し込みしなくても受けられるようになったことと見ているところでございます。

○中村委員 次に、胃がん検診ですが、平成24年度の受診率は、これはすごく低いんですけれども、3.6%だったものが、平成25年度は4.2%と微増しています。受診率が上がった原因はどのようにお考えでしょうか。微増とはいえ、日本人の死因が、がんの方のうち一番多いのがこの胃がんになります。それにもかかわらず4.2%と、ほかのがん検診に比べても低受診率が続いている理由はどのようにお考えでしょうか。区の見解を教えてください。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 1ポイント以下の変動ということで、これまたなかなか理由は分析しにくいところでございますが、平成25年度からこれまで偶数年齢、奇数年齢という分け方をしておったところが、前年度未受診者というふうにカテゴリーを変えたというのが、あるいは影響していたのかもしれません。なぜ胃がん検診の受診率がこんなに低いのかということでございますが、中野区は4%ぐらいでございますが、これが杉並区に至っては2%ぐらい、世田谷区も5%ぐらいということで、どこの区も非常に低い。いろんな理由があるかと思うんですが、バリウムを飲むというのが嫌な方が多いのかなと。これも一つの理由ですが、少なくともこういう理由は一部あるのかなと思います。

○中村委員 さまざまな取り組みをしていただいていることは重々承知をしております。今並べた受診率を見ても、国が掲げるがん検診の受診率50%の目標には到底及ばない状況です。先ほどの大腸がん検診の受診手続の簡略化みたいに障害を省いていくことが、やっぱり受診率を上げる一つの要因かなというふうに考えております。今後もさらに努力をお願いしたいと思います。

 受診率向上はとても重要な予防策でもありますが、見落としがちなのは、検診を受診された方で要精密検査というふうに診断された方が、きちんと精密検査を受けていただくことだと思います。検診の診断結果で要精密検査と診断された方の中には、病気が発覚することを恐れ、逆に精密検査を受けないという選択をしてしまう方も多くいらっしゃいます。でも、当たり前のことですが、要精密検査が出た方にこそ病気の早期発見をしていただき、もしがんが見つかった場合は早期に治療に取りかかっていただく必要があります。現在、中野区では、要精密検査と診断された方が確実に精密検査を受診する体制を築くために、何か実施していることはあるのでしょうか。また、精密検査を受けた方の結果は把握されているのでしょうか、お答えください。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 現在、直接区では未受診者への働きかけをやっておらないわけでございますが、要精密になったにもかかわらず、精密検査の結果が区に報告されるわけなんですが、この報告が区に上がってこないというような場合には、この上がってこない方のリストをつくりまして、これを年に3回医療機関のほうにお送りしているということでございます。その際、精密検査結果が見られなかった場合には、受診勧奨をしていただくようにお願いをしているのが現状でございます。

○中村委員 ごめんなさい、ちょっともう一回整理をしたいんですけれども。ということは、要精密検査の結果が出た方に関しては、医療機関から区に報告が上がるということでいいんですか。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) はい、そのとおりでございます。

○中村委員 わかりました。そうであれば把握をしていって、できれば受診勧奨というふうにつなげていただきたいなと思っております。

 次に、精度の高い検診についてお伺いいたします。子宮頸がん検診の細胞検査では、従来綿棒を使用し採取されてきましたが、綿棒採取だと細胞数が少なく精度が低いというふうにされてきました。中野区では、数年前から綿棒採取とベセスダブラシの併用というふうにしてきましたが、現在区内で行われている検診では、ベセスダ式に全て移行されたのでしょうか、教えてください。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 御指摘のとおりベセスダ方式に移行しつつあったわけなんですが、今年度から全医療機関がベセスダ方式に移行した、と。今年度からということでございます。

○中村委員 ありがとうございます。検診率はなかなか上がらず、20%前後の方々のみ検診を受けていることは事実ですが、せっかく受診されている方の検診精度は、高いものであるべきというふうに考えております。全て今年度から移行されたということで、大変安心いたしました。

 次に、細胞診とHPVウイルス検査との併用検診について伺います。平成25年から、国ではモデル的に併用検診を全国の34自治体で実施しております。国よりも先進的に併用検診をスタートさせていた島根県出雲市のデータでは、初期的には費用が大きくなるものの、HPV検査で陰性が出た場合、現在隔年で行っている子宮頸がん検診を3年ごとに延ばすことができるため、長期的に見ると自治体の財政負担も軽減されるというふうにされております。もちろん女性も検診頻度を少なくできるため精神的負担を軽くできることからも、併用検診はとてもメリットが大きいものだというふうに感じております。国のモデル事業が終わり、検証後に自治体への通知が来ることになるかと思います。将来的にガイドラインに入ったときのために体制を整えておくべきだと考えますが、区の現状を教えてください。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) ただいま委員から御指摘ございましたHPV検査につきましては、実証的な事業が今幾つかの自治体で行われております。その結果を受けまして、国において全国的な実施の方向が明らかになりました場合、システム対応等、総合的に勘案して、実施の可否について検討してまいりたいというふうに考えております。

○中村委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 今年度中野区では、新規事業として子宮頸がん検診、20歳から40歳の未受診者に対し、はがきにて受診勧奨を行っております。私自身は区役所の検診で受けておりますが、中野区の検診に登録していないため、私のところにも届きました。これが実物のはがきなんですが、こういうふうに開くようになっています。今回、帝京平成大学の学生さんに御協力いただき、この勧奨はがきを作成されたとのことですが、とても見やすく、かつ、必要な内容が全て盛り込まれており、とてもすばらしい出来になっているというふうに感じました。これにより平成25年度は下がってしまった受診率が、平成26年度に大幅にアップしてもらえることを期待しているのですが、今までに区に対してあった問い合わせ件数を教えてください。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 御指摘のとおり、今年度初の試みとして、未受診の方にはがきを送りました。9月5日にはがきを投函したわけですが、その次の週、9月8日から18日までのわずか10日間で1,167人の方から申し込みがございました。ちなみに25年度、昨年度の受診者数が8,200名余りでございますので、大きく受診率の向上に寄与するのではないかと考えております。

○中村委員 このような1,167人もの方からの問い合わせがあったというふうに今おっしゃいまして、大きな反響があったということですけれども、御担当としてこの未受診者に対する受診勧奨はがきは、検診率向上につながると思いますか。御見解をお聞かせください。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 非常に大きな効果があるのではないかと、今のところ考えているところでございます。

○中村委員 今回は20歳から40歳の未受診者に対する受診勧奨でしたが、こういったスポット的な受診勧奨はとても効果があるというふうに考えております。ほかの自治体でも実績が上がっている施策でもあると思います。子宮頸がん検診での継続も含めて、ほかの検診でも実施してみてもいいのではないかと感じますが、いかがでしょうか。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) 来年度以降ということなんですが、乳がん検診、あるいは、ほかのがん検診等々の受診勧奨とのバランス等の兼ね合いを見まして、いろいろ検討してまいりたいと思います。

○中村委員 本当に効果があると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 制御不可能な発がんリスクとして、遺伝、加齢などが挙げられる一方で、制御可能な発がんリスクとしては喫煙が挙げられます。喫煙者の中にはニコチン依存症に陥っている方がおり、なかなか禁煙をしようとしてもニコチンへの依存と習慣依存により、みずからの意思でやめることができないことも多いのが現状です。最近は禁煙外来も多く存在し、NRT、これはニコチン・リプレースメント・テラピーの略なんですが、例えばニコチンガム、パッチ、内服薬を利用し、禁煙治療を行う方もいらっしゃいます。現在、喫煙に関する区民への情報提供はどのような形で取り組まれているのでしょうか。

○石濱健康福祉部副参事(健康・スポーツ担当) 区では、毎年5月31日の世界禁煙デーにあわせまして、区役所本庁舎の外壁に「未成年者の喫煙を防止しましょう」という横断幕を掲出しているほか、中野駅前における街頭キャンペーンなどにて、中野区医師会、中野区民の健康づくりを推進する会、並びに健康づくりパートナーなどと協力いたしまして、啓発用のポケットティッシュを配布しております。また、区報やホームページ、リーフレット等で禁煙対策について情報提供を行っているところでございます。

○中村委員 また、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催も禁煙を考えるべき契機になり得ます。IOCが1988年以来、オリンピック大会における禁煙方針を採択し、会場の禁煙化を図ってきました。2010年7月には、WHOと「タバコのないオリンピックをめざす協定」にも調印しています。2020年東京オリンピック・パラリンピックにおいても、北京やソチと同様に、オリンピック開催までに受動喫煙防止条例を施行する必要性があるとも言われています。6年後も見据え、小・中学校での教育や区民への周知など徹底していっていただきたいと思います。

 がん対策基本法の制定もあり、全国ではがん対策に力を入れる自治体が出てきています。そういった背景もあり、自治体によってがんの現状には大きな格差があると、東京大学公共政策大学院の埴岡健一客員教授はおっしゃっております。がんの死亡率に大きな差があり、さらに、専門的医療スタッフなど医療資源についても地域格差があります。現在、32道府県でがん対策推進条例が制定されており、残念ながら東京都を含む15都県はいまだ未設定です。平成24年に見直しが閣議決定されたがん対策推進基本計画の第5、がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項の中には、都道府県による都道府県計画の策定も含まれております。

 まず、都道府県でがんの死亡率の格差があることを、担当としてはどのように受けとめていらっしゃるでしょうか、教えてください。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) ただいま委員から御指摘ございましたように、がんの死亡率ということでございますけども、都道府県で順番に見ていきますと、東京都は47都道府県の大体真ん中ぐらいということでございまして、御指摘ございましたように非常に格差がございます。例えば、非常に成績がいいのが長野県、逆にここ5年ほど一番悪いというのが青森県なわけで、その差が大体1.5倍ぐらいということでございます。順番でいくと大体真ん中ぐらいではあるんですけども、逆に言うと、まだそれだけ改善する余地が大きくあるというふうに担当としては考えておるところでございます。

○中村委員 東京都では、都議会民主党ががん対策推進条例を議員提案したものの廃案になった経緯がありますが、東京都内でも豊島区と日野市ががん対策推進条例を制定しております。現在、世田谷区でも検討されているとのことです。そのほかにも、公表できる段階ではなくとも、制定に向けて検討中の自治体もあると漏れ聞いています。高齢化社会を迎えていく中で予防医療の観点からも、がん対策は喫緊の課題だと考えております。中野区でも制定に向けて検討していくべきではないかと考えますが、区の見解をお聞かせください。

○坂野健康福祉部副参事(保健予防担当) がん対策を推進するにあたりましては、国あるいは東京都、その他の関係機関と協力・連携していくことが重要ではないかと考えております。このがん対策を効果的に推進する上で新たな条例を制定することにつきましては、現時点では直ちに必要であるとは考えておりません。今後は情勢の推移等をよく注視してまいりたいと考えております。

○中村委員 ぜひ、さまざまな自治体の事例なんかも参考にして検証していっていただきたいなというふうに考えております。

 豊島区では、小学校6年生、中学校3年生に、年間1時間ずつがんに関する教育を行っております。これは、健康教育の一環として、がんの仕組みやがん予防に関する正しい知識を学ぶこと、また、児童・生徒の教育だけではなく、家族でがんの予防について考え、家族全員が意識を高められるようにすることを目標に行われております。国でもがん対策推進基本計画の中の目標で、がん教育普及啓発を挙げており、子どもに対するがん教育のあり方を検討し、学校教育の中でがん教育を推進するとあります。将来への予防という観点からも、中野区でも実施してみるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○川島教育委員会事務局指導室長 お答えいたします。学校における健康教育では、生涯を通じてみずからの健康を適切に管理し、改善していく資質や能力を育成することが重要であります。そのためには小学生段階から、みずからの健康の維持・向上のための知識の習得や実践力を身につけていく必要があります。がん教育を含めた健康教育につきましては、各学校で児童・生徒の発達段階に応じて実践しているところです。御質問のがんについては、小学校6年生、中学校3年生の保健教育において、喫煙などの生活習慣との関係で学習することになっております。今後の取り扱いにつきましては、国の動向も踏まえ研究していきたいというふうに考えております。

○中村委員 ありがとうございます。いろいろな角度からがん対策に関して質問してきましたが、子宮頸がんのHPVとの併用検診やがん教育、都道府県との連携など、国でも今後さまざまな動きが出てくることが予想されます。冒頭にも述べましたが、がんは今から国を挙げて取り組んでいかなければ、2025年問題には到底対応できなくなってしまう大変重要な課題です。今回子宮頸がんの未受診者に対する受診勧奨も、とてもうまく進んでいると感じております。こういった成功事例も参考に、今後も一層努力をしていただきたいと申し上げ、この質問を終わります。

 そして、そのほかで1点、感染症対策についてお伺いする予定でしたが、こちらは分科会に回させていただきたいと思います。

 以上で私の全ての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○内川委員長 以上で本日の総括質疑を終了します。

 次回の委員会は、9月24日(水曜日)午前10時から当委員会室において開会することを口頭をもって通告します。

 以上で本日の決算特別委員会を散会します。

午後4時58分散会