平成26年09月12日中野区議会本会議(第3回定例会)
平成26年09月12日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録
25.12.05 中野区議会第4回定例会(第4号)

.平成26年(2014年)9月12日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(40名)

  1番  若  林  しげお         2番  高  橋  かずちか

  3番  木  村  広  一        4番  甲  田  ゆり子

  5番  小  林  ぜんいち        6番  中  村  延  子

  7番  石  坂  わたる         9番  石  川  直  行

 10番  伊  東  しんじ        11番  内  川  和  久

 12番  ひぐち   和  正       13番  白  井  ひでふみ

 14番  平  山  英  明       15番  南     かつひこ

 16番  森     たかゆき       17番  いながき  じゅん子

 18番  林     まさみ        19番  小宮山   たかし

 20番  浦  野  さとみ        21番  佐  野  れいじ

 22番  北  原  ともあき       23番  吉  原     

 24番  いでい   良  輔       25番  小  林  秀  明

 26番  久  保  り  か       27番  酒  井  たくや

 28番  奥  田  けんじ        29番  近  藤  さえ子

 30番     欠  員          31番  長  沢  和  彦

 32番  大  内  しんご        33番  伊  藤  正  信

 34番  高  橋  ちあき        35番  市  川  みのる

 36番  篠     国  昭       37番  やながわ  妙  子

 38番  佐  伯  利  昭       39番  むとう   有  子

 40番  か  せ  次  郎       41番  来  住  和  行

 42番  岩  永  しほ子

.欠席議員

  8番  後  藤  英  之

.出席説明員

 中 野 区 長  田 中 大 輔      副  区  長  川 崎   亨

 副  区  長  英   直 彦      教  育  長  田 辺 裕 子

 政 策 室 長  髙 橋 信 一      経 営 室 長  竹 内 沖 司

 都市政策推進室長 長 田 久 雄      地域支えあい推進室長 瀬 田 敏 幸

 区民サービス管理部長 白 土   純    子ども教育部長、教育委員会事務局次長 奈 良 浩 二

 健康福祉部長   野 村 建 樹      保 健 所 長  寺 西   新

 環 境 部 長  小谷松 弘 市      都市基盤部長   尾 﨑   孝

 政策室副参事(企画担当) 海老沢 憲 一  経営室副参事(経営担当) 戸 辺   眞

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  篠 原 文 彦      事務局次長    堀 越 恵美子

 議事調査担当係長 佐 藤   肇      書     記  関 村 英 希

 書     記  東   利司雄      書     記  土 屋 佳代子

 書     記  細 川 道 明      書     記  江 口 誠 人

 書     記  大 野 貴 子      書     記  鈴 木   均

 書     記  井 田 裕 之      書     記  田 中   寛

 書     記  遠 藤 良 太      書     記  香 月 俊 介

 

 議事日程(平成26年(2014年)9月12日午後1時開議)

日程第1 認定第1号 平成25年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

 

午後1時00分開議

○議長(伊東しんじ) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 吉 原 宏

 1 成年後見人制度について

 2 まちづくりの中での無接道建て替えについて

 3 私道管理について

 4 中野消防団第2分団本部の移転について

 5 杉山公園、(仮称)本町五丁目公園について

 6 その他

 

○議長(伊東しんじ) 最初に、吉原宏議員。

〔吉原宏議員登壇〕

○23番(吉原宏) 平成26年第3回定例会に際しまして、自由民主党の立場から一般質問を行います。質問は通告順で、その他で労働環境のモニタリングについて質問いたします。

 それでは、成年後見人制度について伺います。

 9月というと「敬老の日」、敬老週間ということで、先日配布された9月5日号の区報でも、88歳の方への敬老カードと、100歳以上の方への敬老祝い品の贈呈の記事もありました。伺ったところによりますと、ことし100歳以上の方として民生委員の方が祝い品をお届けする対象は、200人近くにもなるとのことであります。その敬老祝い品の記事は、「運動や趣味を楽しみながら健康・生きがいづくりを」という特集記事の一つとして掲載されていました。表紙には、卓球やヨガなど、楽しみながら健康づくりをされている皆さんの写真が飾られ、これも健康長寿を支援する長年の中野区の取り組みの成果だなと、うれしく思う人も少なくないと思います。

 ところで、同じ区報の12面には、高齢者・障害者のための成年後見相談会の目立たない記事がひっそりと載っておりました。男性も女性も平均寿命が80歳を超え、80歳を超えても元気な方がふえ、単純に65歳から高齢者として扱う施策の対象の見直しが求められるほどの健康長寿の世の中になったとはいえ、認知症をはじめ、さまざまな原因から、自分では日常生活で求められる適切な意思決定ができない方もおられるようです。今後、80、90、100とさらに高齢の方がふえていくにつれ、ひとり暮らしの方や認知症の方も一層ふえると見込まれています。医療や介護のサービスの基盤整備が必要であると同時に、その医療や介護を受けるためのさまざまな手続や意思決定、金銭管理などを誰かが支援しなければ、そもそものサービスが受けられない方もふえるということになると思います。このための支援が成年後見ということで、中野区でも既に成年後見支援センターを運営し、今回は相談会を開くという記事が載ったわけですが、成年後見にかかわっている弁護士、司法書士、行政書士、社会福祉士などの皆さんの話を聞きますと、その制度の活用を進めるにはまだまだ区としてすべきことがあるようです。成年後見を引き受けた成年後見人の方には、やはり適切な報酬を支払う必要があり、家庭裁判所でその報酬額が決定されますが、その報酬を払うべき後見されている御本人の資産、収入が少なく、実際には必要な報酬を受けられない後見人もいらっしゃるようです。

 そこで3点伺います。区では、成年後見の申し立てをする親族がおられないために、区長が成年後見を申し立てたケースについては、後見報酬を助成する制度を持っていますが、申立人が親族か区長かで区分けせず、同一条件で必要な場合に報酬を助成すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、実際に報酬助成をする際には、御本人の資産、収入状況を問わず誰にでもというわけにはいきません。現在の中野区の基準では、対象を生活保護受給者に限定してはいませんが、基本の考え方に生活保護基準があり、収入の範囲を、報酬を支払うと生活保護の対象になる要保護までを対象としています。対象を区長申し立てした人に限定している現状では、全て区の中で判断されるため、基準がどんなに難しくても職員の方が処理されるのでいいかもしれませんが、親族申し立てをした人も対象に拡大する見直しをする際には、もう少しわかりやすい基準が必要なのではないでしょうか。助成する対象をこの面でも多少拡大し、生活保護基準に素人の後見人でも判断しやすい基準を設定してもよいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 また、成年後見人をつけるべき状態なのに、親族が申し立てをしないケースもあると聞きます。報酬助成を親族申し立てに広げるのにあわせ、親族申し立てを促進する方策の一つとして、後見申し立ての相談対応を行っている成年後見支援センターで、経済面で申し立てをちゅうちょする御家族を支援するために、必要な経費を一時立て替えたり、助成するなど、成年後見制度の実際の活用に向けた支援を強化してはいかがでしょうか。

 以上をお伺いいたしまして、この項の質問を終わります。

 次に、まちづくりの中での無接道建て替えについて伺います。

 中野区では、これまでの安全で快適な都市基盤を築くため、防災まちづくり、緊急輸送道路沿道建築物等の耐震化、橋梁長寿命化修繕計画の策定、そして、大規模公園の整備などの取り組みを推進していると理解しているところでありますが、東京都の災害危険度マップによれば、危険度の高い地域としては、弥生町三丁目や大和町地区などが取り沙汰されていると聞いておりますが、今後はこうした危険な地区・地域に対して、特徴を生かした防災まちづくりに取り組む必要があると考えております。また、木造密集地域における課題の一つである無接道敷地に建つ老朽建築物が、災害時に倒壊や火災の延焼を助長し、避難経路をふさぎ、被害の増大を招きかねないのではないかと危惧するところでもあります。

 そこで、さきの第2回定例会において、弥生町三丁目周辺地区における接道不良敷地や行き止まり道路の解消に向けた取り組みについての質問に具体的な手法が示されましたが、他の密集市街地と異なり、この地区に特徴的な点を教えていただきたいと思います。

 さらに、無接道敷地は、密集市街地ばかりではなく、区内の至るところに存在していると思われます。一般的には、建築審査会の同意を得て、建てかえが可能なケースもあると聞いておりますが、さきの定例会において、防災まちづくりを計画的に進める上で、無接道敷地の実態について適切に把握していくとのお答えがあったように記憶しておりますが、その後の取り組みについて教えていただきたいと思います。実態を把握することで、区が今後取り組むべき課題が見えてくると思われますので、時間がかかっても前向きに取り組んでいただくことを要望して、この項の質問を終わります。

 次に、私道の管理について伺います。

 去る8月4日、青梅街道の杉山公園交差点の中央四丁目側の角、マクドナルド横の道路に三、四カ所に及ぶ陥没があったため、区に現場調査をお願いいたしました。現場は、路面が陥没しているために、雨が降れば水たまりができ、歩行者がつまずくおそれもあるのではないかと思われる状態であり、素人目にも舗装のやり直しが必要だと思われる様子でありました。しかしながら、区の回答としては、その道路は私道であり、区が管理する範囲ではないので、舗装のやり直しなどの手直しはできないとのことでありました。しかし、そうはいいながらも、区では状態の悪さを踏まえ、また、歩行者もいることなので、私道の持ち主が判明する間の応急処置ということで、特に陥没が大きい部分の穴埋めを行ってくれました。そのため当面は事故の心配がなくなったとは思います。しかし、長期的に見れば根本的な問題は解決されておらず、先延ばしになっただけであると思われます。この例に限らず、私道の管理に関する相談は私のところにもよくあります。実際、区内には、今回の私道と同様に管理が行き届かず、相当に傷んでいるところが数多く見受けられると思います。そういう私道の中には、表面化はしていないが、事故につながるような舗装の損傷も起きているのではないだろうかと心配しているところでありますが。

 そこでお尋ねいたします。現在、区内に私道はどのぐらいあるのでしょうか。そのうち傷んでいる私道はどのぐらいあると認識しているのでしょうか、お伺いいたします。

 また、そうした区内の傷んだ私道に対して、区ではどのような対応を行っているのでしょうか。私道は、私有財産であるとはいえ、一般区民の通行にも使用されているわけであります。私道について区による維持管理の対応がなされないのは、区民サービスを提供する区の立場としていかがかと思う面もあり、区では、私有財産ということから、私道への区による対応が困難だというわけですが、生活者目線に立てば、私道も区道も道路として区別がないわけであります。事故を未然に防ぐ意味でも、区による積極的な私道の管理に対する対応が必要と考えるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか、お伺いいたしまして、この項の質問を終わります。

 次に、中野消防団第2分団本部の移転について伺います。

 未曾有の被害をもたらした東日本大震災以降、消防力の強化は待ったなしの状況であり、消防団に対する期待もますます高まっております。現在、中野消防団第2分団の本部は、区立第二中学校敷地内に整備されておりますが、非常に手狭な状況にあり、現在地の西側に位置する千代田公園に移転する計画が、地元の要望により進められていると聞いております。消防力の強化について望ましいことではありますが、どのような計画が進められているのでしょうか、お伺いいたします。

 次に、現在公園として使用している場所に分団本部を移設するとなりますと、公園を使用している方々の意見も聞いて進める必要があると思われますが、近隣の方々への説明や意見の聞き取りなど、丁寧な対応がなされているのでしょうか。さらに、何か要望が出されているのでしょうか、お伺いいたします。

 施設整備に当たり、今現在の進捗状況はどのようになっているのでしょうか。また、施設を整備するということであれば、災害対策を踏まえて早急に進めるべきではないでしょうか。今後の予定はどのようになっているのでしょうか、お伺いいたしまして、この項の質問を終わります。

 次に、杉山公園について伺います。青梅街道と中野通りが交差する位置にある杉山公園は、中野通りの拡張に伴い、改修されてリニューアルし、平成21年度末、地下の自転車置き場や大きな遊具なども設置された、きれいな公園として生まれ変わりました。おかげさまで日中は、ベンチでは高齢者やサラリーマンがくつろぎ、親子連れや子どもたちは遊具で遊び、バドミントンを練習するなど、近所のコミュニケーションの場として利用者の多い人気スポットとなっております。あすには氷川神社のお祭りがあり、その準備も進んでおりますが、さまざまな活動の拠点として、さらには地域の防災拠点としても期待されている、地域にとってはかけがえのないオープンスペースであります。その杉山公園についてお尋ねいたします。

 杉山公園の改修工事は、交通渋滞の解消に向けた「スムーズ東京21-拡大作戦-」の一環で、中野通りが拡張されることに伴って行われたものでありますが、中野通りの拡張によって公園の区域が縮小されることの代替として、公園の北側、青梅街道沿いの一角を区が取得した経緯があります。その後、区が取得した拡張部分については、これまで東京都第三建設事務所が中野通りの拡幅工事を行うための資材置き場として借用し、使用してまいりましたが、その工事もことし6月に終了したと聞いております。

 そこでお尋ねいたしますが、公園北側の拡張部分は現在どのようになっているのでしょうか。地域に愛される杉山公園の拡張部分の整備については、地域の大きな関心事であり、地域の声を踏まえた内容できちんと工事が実施されるよう願う声がよく聞こえてくるわけでありますが、区としてしっかりと整備に取り組んでもらいたいと思いますが、拡張部分整備の今後の見込みについてお伺いいたします。

 次に、(仮称)本町五丁目公園についてお伺いいたします。(仮称)本町五丁目公園は、近隣公園としての機能だけではなく、広域避難場所としての防災機能と、少年野球などのスポーツを楽しめる多目的広場が整備されると認識しております。平成26年度、27年度の2カ年にわたる整備事業の第1期工事がいよいよ7月から始まったところでありますが、安全に、そして、確実に工事が進捗することを切に願うところであります。

 そこでお伺いいたしますが、(仮称)本町五丁目公園は、区立第二中学校に隣接しております。安全に工事を遂行するためには、通学する生徒に対する特段の安全配慮が不可欠であると考えますが、どのような安全対策を講じているのかお聞かせください。また、本公園整備の特徴の一つである多目的広場の整備内容に変更はないか、お聞かせいただきます。あわせて、確認のため、今後の予定についてお聞かせください。

 以上でこの項の質問を終わります。

 最後に、その他といたしまして、指定管理者における適正な労働環境モニタリングの確保に関する質問をいたします。区では、厳しい財政状況の中で、民間事業者のノウハウや経営手法を活用してより効率的な区民サービスを向上していくために、指定管理者制度の導入をはじめとして、公共業務の民間委託を拡大しています。自治体から公共業務を受託する企業の中には、コスト削減を重視する余り、低賃金、長時間労働、社会保険未加入など、労働法令違反や適正な労働条件が確保されないおそれもあります。そうした条件で働く労働者は、仕事に対する意欲や満足度が低下し、結果として区民サービスの質の低下につながってしまうことが危惧されます。そうしたことを未然に防ぐためには、委託者である区の責任として、指定管理者における労働環境をモニタリングし、改善提案を行う仕組みを導入する必要があると考えます。

 具体的には、社会保険労務士が就労規則や賃金台帳などの書類を審査し、法令上の問題点がないか審査するとともに、現地の従業員から現場環境や区民サービスに関するヒアリングを行い、労働環境をモニタリングして改善や是正すべき事項を取りまとめて、区に報告するような仕組みが考えられます。23区の中でも、既にこうした取り組みを実施している自治体が11区あるとも聞いております。中野区においても、指定管理者制度を導入した施設において、社会保険労務士による労働環境のモニタリングを実施し、適正な労働環境を確保することにより、区民サービスのさらなる向上につなげていくべきと考えますが、区の見解をお伺いいたしまして、私の全ての質問を終了いたします。

 ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 吉原議員の御質問にお答えいたします。

 成年後見人制度についてであります。成年後見人制度の活用支援の充実について、来年度に向けて後見人等の報酬助成において、親族申し立ての場合についても助成できるよう支援の検討を行っているところであります、あわせて、成年後見申し立て経費の助成についても検討を行ってまいりたいと考えております。

 また、対象の要件の緩和をというようなことでありました。現在の対象については、十分に周知を行って、個々の相談の際に成年後見支援センターとも連携して適切な対応ができるよう、わかりやすい対応に努めてまいりたいと考えております。その上で、さらなる要件緩和や支援のあり方等については、今後の利用状況を踏まえて検討していきたいと考えております。

 まちづくりの中での無接道敷地の建て替えについての御質問であります。弥生町における接道不良敷地等の解消に向けた取り組みについて、弥生町三丁目周辺地区では、東京都の木密地域不燃化10年プロジェクトによる不燃化特区制度を活用する中で防災まちづくりを進めている。こうした点に特徴があるわけであります。そして、この地区では、UR都市機構が区との協定に基づいて、都営川島町アパート跡地に予定している代替地を整備いたします。この代替地を整備するとともに、この代替地も活用しながらURとして実施する事業、木密エリア不燃化促進事業などによって接道不良敷地などの土地・建物の共同化を進め、また、不燃建物への建て替え誘導などを進めていくこととしているところであります。

 無接道敷地の実態の把握状況についてであります。無接道敷地の実態を把握し、改善を図り、建て替えの促進に向けた取り組みを進めることが、安全なまちづくりを行っていく上で今も課題の一つであると認識しているところでありまして、現地調査の進め方、あり方について検討を行っているところであります。そこで、今年度の後半においては、一部の地域、街区をモデルとして指定し、建物や敷地の現地調査を実施して検証を行い、それらを踏まえて、次年度以降は調査範囲の拡大を図っていきたいと考えております。

 私道の管理についての御質問もありました。把握している私道延長はどのぐらいかということですが、私道の長さでいうと11万7,014メートル、面積にいたしまして35万7,199平方メートル、これが私道ということになります。

 私道の損傷の状況についてですが、御質問にもありましたとおり、区で管理しているわけではないということから、把握はできていないという状況であります。私道につきましては、私有財産であるため、積極的な区の対応というのはなかなか難しいわけですが、陳情があった場合には、現状の調査を行った上で私道助成制度を御案内するなど整備を促しているところであります。また、陥没などの状況が緊急性がある場合においては、応急的な措置も行っております。私道につきましては、所有者による管理が原則となりますけれども、区といたしましても、一般の交通の用に供されている、このことに鑑みて、私道助成制度によって私道所有者の負担軽減を図っているところであります。所有者と協力しながら良好な管理を進めていきたいと考えております。

 私からは以上です。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、まず中野消防団第2分団本部の移転についての御質問にお答えいたします。

 分団本部の移転計画についてでございますけれども、現在の中野消防団第2分団の本部施設は、区が第二中学校の敷地の使用を許可して、都が施設を建設したものでございます。現在進められている移転計画は、そこから約200メートル西側にある千代田公園の敷地の一部を区が提供し、都が消防車両を配備できる規模の分団本部を整備する計画でございます。

 近隣住民からの意見聴取についての御質問もございました。地元の町会を通じまして移転計画の説明を行い、近隣の方から要望をいただいているところでございます。具体的には、遊具や鉄棒は残してもらいたい等、今までの公園としての使い勝手が損なわれない方法について要望が寄せられており、十分に検討し、施設配置等に反映させていきたいと考えております。

 次に、進捗状況につきましての御質問でございます。現在、地元町会の意見を踏まえ、公園の用地に消防団施設を建設した場合にどのような影響があるのか、建物の配置、公園としての使い勝手等、東京都とともに検討しているところでございます。

 今後の予定についてでございます。今後の予定につきましては、地域からの要望を踏まえて建設予定地を確定させ、実際に施設を整備する都が図面等を作成し、さらに、地元の町会等と話し合いながら、建設に向けてのスケジュールを具体化していく予定でございます。

 続きまして、杉山公園、(仮称)本町五丁目公園についての御質問にお答えいたします。

 初めに、杉山公園北側拡張部分の整備についての御質問でございます。北側部分は、中野通り拡幅工事の資材置き場に使用されておりましたが、資材の撤去後は整地して、現在は更地となっているところでございます。拡張部分の整備につきましては、出入り口の改修や植栽を予定しております。具体的な整備方法は、地域の意見を伺いながら今年度中に工事を行う予定でございます。

 続きまして、(仮称)本町五丁目公園の整備工事の安全対策についての御質問でございます。工事車両を通す場合は、警備員を必ず配置するとともに、隣接する第二中学校や近隣住民には、その週の工事工程を周知するなどの安全対策を講じているところでございます。

 また、この公園の多目的広場の整備内容についての御質問でございます。人工芝舗装を行い、少年野球をはじめとして、少年サッカー、フットサル、グラウンドゴルフなど、多目的に利用できるという整備内容に変更はございません。

 それから、今後の予定についての御質問でございました。整備工事を平成26年度、27年度の2カ年に分けて行う予定でございます。今年度は草地広場を除いた運動広場を主体とした第1期整備を行っております。平成27年度の第2期整備では、引き続き草地広場も含めた公園全体を閉鎖し、整備工事を行い、平成27年度中の供用開始を予定しているところでございます。

〔政策室長髙橋信一登壇〕

○政策室長(髙橋信一) 私からは、指定管理者におけます労働環境のモニタリングについてお答えします。指定管理者制度を導入した施設や委託している業務につきましては、区民サービスを向上させるためには、事業者によります労働法令の遵守や適正な労働条件の確保が必要であると考えているところでございます。業務の適正な履行を担保するために、事業者へのヒアリングや現地における業務の実施状況の確認、事業報告の内容審査等を行い、利用者アンケートの分析結果や苦情・要望への対応状況等の確認を徹底しまして、改善すべき点がある場合には、区が指定管理者に指示をしていくことによりまして、区民サービスの向上を図っているところでございます。社会保険労務士によります労働環境のモニタリングにつきまして、今後他の自治体の導入事例を参考に研究してまいりたいと考えます。

○議長(伊東しんじ) 以上で吉原宏議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 木 村 広 一

 1 認知症施策について

 2 地域活性化について

 3 一人暮らし高齢者支援について

 4 教育行政について

 5 外国人支援について

 6 防災情報について

 7 その他

 

○議長(伊東しんじ) 次に、木村広一議員。

〔木村広一議員登壇〕

○3番(木村広一) 平成26年度第3回定例会におきまして、公明党議員団の立場から一般質問を行います。質問は通告どおりで、その他はございません。

 初めに、認知症施策について伺います。

 団塊世代が75歳を迎える2025年に向け、地域包括ケアシステムの構築が各自治体によって検討されています。その中で、医療・介護の連携とともに重要な柱となっているのが認知症施策であります。厚生労働省は、認知症施策の今後目指すべき基本目標として、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続ける社会の実現を目指す、としています。中野区において介護認定者における認知症傾向者数は、昨年12月の時点で6,766人とされ、介護認定者全体の半数を超える52.5%となり、高齢化が進むにつれてこの認知症の比率がさらに高まると予測されています。

 来年度策定される第6次介護保険事業計画では、認知症施策の推進が重要となってきますが、制度的な流れ、認知症ケアパスについてお伺いいたします。認知症ケアパスとは、認知症が発症したときから生活する上でさまざまな支障が出てくる中で、その進行状況にあわせて、いつ、どこで、どのような医療・介護サービスを受ければよいかを標準的に示すもので、認知症施策の根幹をなすものです。

 そこで伺います。認知症の可能性のある方、または、その家族や知人などがどのような窓口に相談し、どのような医療・介護サービスが受けられるかなど、ケアの流れを明確化すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 また、軽度の認知症、その可能性に気づいた、また、発見した場合、どの機関につなげるかを明確にすべきではないでしょうか、伺います。

 次に、早期診断・早期対応について伺います。認知症ケアパスのベースになるのが、早期診断・早期対応になります。認知症やその疑いのある人をいち早く掌握し、支援の検討・実施を進める専門チームである認知症初期集中支援チームがオレンジプランによって提唱されています。杉並区浴風会病院の認知症アウトリーチチームが認知症の支援事業を行っていますが、この認知症アウトリーチチームを活用しつつ、中野区で認知症初期集中支援チームの設置をしてはいかがでしょうか、伺います。

 また、早期発見、情報提供のツールとして、区のホームページでの対応も重要です。ホームページで認知症対策コーナーを作成し、診断シート、相談先、認知症アドバイザー医、家族会の紹介、講座の情報など、わかりやすく情報提供してはいかがでしょうか。また、例えば内閣府が提供している認知症のインターネットテレビは、ドラマ構成になっており、非常にわかりやすくなっていますが、そういった効果的なリンクを活用してはいかがでしょうか、伺います。

 中野区において、今年1月時点での高齢者を含む世帯は4万8,815世帯、全世帯の26%ですが、そのうち高齢者のみ世帯は70.6%、さらに、高齢者のみ世帯の中で単身高齢者世帯は68.2%の約2万3,500世帯となっています。世帯の多さだけでなく、単身高齢者は近隣のおつき合いが不足する傾向があり、認知症の早期診断・早期対応で最も重要な対象は、このひきこもりがちな単身者世帯と考えます。保健師や民生委員などの見守り支援、認知症アウトリーチ活動、また、チェックシートを区報に載せるなどが考えられますが、さまざまな分野からの重層的な支援が必要と考えます。ひきこもりがちな単身者世帯に対する認知症対策のアプローチをどのように考えているのか、伺います。

 次に、地域での支援について伺います。オレンジプランでは、認知症施策の中核となる認知症地域支援推進員、東京都でいう認知症コーディネーターを、五つの中学校区で1人の配置を目指しています。同じ第2次医療圏の新宿区、杉並区では2人を配置しています。区では、認知症コーディネーターの配置を検討していると思いますが、チームとして機能させるためには、区で2人以上設置してはいかがでしょうか、伺います。

 また、地域での支援として、以前より推進を要望している認知症サポーターは、認知症に対する区民の理解、地域の支援に大きく貢献します。認知症になっても安心なまち、優しいまちを目指すために、地域で活動する小・中学生の協力も必要です。子ども向け認知症講座「キッズサポーター養成講座」もあり、高齢者社会を理解し、さらに、道徳的にも価値があり、担い手として期待できると考えます。認知症サポーター養成講座を小・中学校でも開催してはいかがでしょうか、伺います。

 また、以前より提案しています商店街、事業所などでの認知症サポーター推進に関しては、商店街に提案しつつも、その手挙げを待っている状況であり、また、商店街に加盟していない銀行、郵便局、コンビニなどでは、認知症の対策が進んでいる事業者もあります。多方面からの推進が必要と考えますが、その進捗状況はいかかでしょうか、伺います。

 次に、家族への支援について伺います。これまで認知症カフェの設置を要望してきましたが、ひとり暮らし高齢者や認知症高齢者などが気軽に交流や相談ができる場として、例えばサロンのような認知症カフェに近い集いが増えてきています。そういった地域で協力していただいている方を支援していくために、その掌握が必要です。区として、地域の中で活動意欲のある区民ボランティアの活動を掌握し、その情報を広報したり、ボランティアの方に認知症カフェに関する情報を提供するなど、認知症カフェの推進をしてはいかがでしょうか、伺います。

 また、認知症家族会の支援として、家族会の掌握、家族会への情報発信や家族向け講演会の実施など、支援をより強化してはいかがでしょうか、伺います。

 最後に、若年性認知症と予防事業について伺います。若年性認知症の啓発も認知症施策として重要です。区内でも若年性認知症を支援するボランティア活動も行われ始めたとのことです。そういった活動への積極的支援、また、区の対応として若年性認知症の方への介護サービス、就労などの相談体制を強化してはいかがでしょうか、伺います。

 認知症予防事業として、計算しながら運動するなど二つのことを同時に行うデュアルタスクが、軽度認知症対策として極めて予防効果があるとされています。新たな介護予防事業として、デュアルタスク認知症に特化した事業を行ってはいかがでしょうか、伺い、この項の質問を終わります。

 2番目として、地域活性化について伺います。

 初めに、イベント助成について伺います。東京都の「新・元気を出せ!商店街事業補助金」は、波及効果の高い商業イベントを、商店街での自主事業として安定的に運用することを目的としており、区内ではこの補助金を活用してさまざまなイベントが行われています。補助の内容は、対象経費が100万円以下の場合は都の補助率2分の1以内、区は6分の1以内、100万円を超えるものは都の補助率が3分の1以内、区は3分の1以内で、都と区を合算した上限が300万円とされています。しかし、中野区では対象経費の上限を100万円とし、100万円を超える補助の活用ができない状況にあります。大きなイベントを企画している商店街などにとっては、その上限が大きな足かせとなっており、イベントの拡大が困難な状態です。ただ、予算額が変わらない場合、上限撤廃によって従来補助されていた少額のイベントへの補助ができなくなる可能性もあります。従来のイベント補助を確保しつつ、中野区負担分の予算を拡充し、100万円の上限を撤廃すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 この補助金の交付時期ですが、例えば夏の祭りの補助金が年度末に交付されるなど、非常に時間がかかっているのが現状です。場合によっては、交付を待つまでの資金繰りのために、融資を活用したり、個人が負担しているケースもあります。交付のための資金繰り負担をなくすためにも、区が前払いを検討する、または、都と連携して速やかな処理を検討してはいかがでしょうか、伺います。

 次に、地域振興について伺います。区の施策の集中により、中野駅周辺が大変にぎわいを見せていますが、それを全区にどのように波及させるかは非常に重要なテーマであります。北部地域は、西武新宿線連続立体交差化事業の推進により今後の活性化が見込まれ、区全体の施策の影響という点で見れば、南部地域の活性化は取り残されている感があります。第一義的には地元の商店街や諸団体が積極的に振興を図るべきですが、そのきっかけづくり、方向性づくりは、区が担う重要な責務であります。今後、南部地域振興・活性化についてどのように考えるのか伺います。

 次に、区のイメージアップづくりとして、アプリのLINEスタンプの活用について伺います。従来はLINEスタンプの作成に多額の費用がかかっていましたが、今年5月に始まったLINEクリエイターズマーケットは無料であり、広告や収益が望まれることから、今後企業や自治体などの参入が見込まれます。LINEのユーザーは、男女とも10代から30代前半に偏っており、既存の媒体では届かなかった区民に情報提供ができる可能性もあります。LINEスタンプの活用には公式アカウント取得が必要ですが、区ではフェイクブックやツイッターの発信を継続しており、LINEでの発信はさほど困難ではないと考えます。若い方の区への好感度を上げるために、中野区版LINEスタンプの作成を検討してはいかがでしょうか、伺い、この項の質問を終わります。

 3番目として、ひとり暮らしの高齢者支援として、ごみの片づけについて伺います。

 練馬区では、ごみをため込んでしまった高齢者宅などへの支援として、平成25年9月よりごみ片づけ「あしすと」事業の試行を行っています。これは、高齢者や障害者のみ世帯で、部屋にごみをため込んでしまい、住環境が悪化している世帯のごみ出しを区が支援する事業で、清掃事務所の職員が居宅内でごみの分別や片づけを実施しています。本人からの要望に限らず、日頃の保健・福祉の見守りで早期発見した世帯に必要なサービスをより迅速かつ正確に提供し、生活衛生の向上と地域の良好な住環境を確保することを目的としています。ごみをため込んでしまう原因はさまざま考えられますが、本人が希望しているにもかかわらず、身体的な理由や費用負担の心配などで、片づけが行われないケースが高齢化とともに増加すると考えられます。私も区民相談などでひとり暮らしの高齢者のお宅を訪ねると、住環境が年々悪化する方に接する機会が多くなっています。しかし、介護保険の生活支援サービスには、一般的な清掃を超えるごみの分別はできないなど、区が支援するサービスでは限界があり、結果的には個別的な対応になるのが一般的です。住み慣れた地域で暮らし続けることは誰しも願うことです。こうした高齢者などが健康で文化的な生活を営んでいく上で、また、地域の生活環境を守っていく上でも、住環境の悪化を未然に防ぐ取り組みが重要と考えます。社会福祉協議会の困り事支援事業、あるいは、シルバー人材センターの活用なども含め、福祉と清掃事務所が連携し、分別から支援をする片づけ手段を検討してはいかがでしょうか、伺い、この項の質問を終わります。

 4番目として、教育行政について伺います。

 第2回定例会で行われた施政方針説明では、目指す方向性の一つとして、「グローバルな都市活動拠点の形成、オリンピックが生み出す貴重な資産をレガシーとして、将来のまちの発展に生かし、時代の要請にマッチした持続可能なまちづくりにつなげていくことが求められています。」と述べています。また、新たに中野の一員となった大学との交流など、中野区のグローバル化は急速に加速することが予測されます。一方で、施政方針説明では、学校教育においてはグローバルな人材としての資質の強化・育成に努めることを掲げており、中野区のグローバル化に合わせた適切な指標であると考えます。

 「中野区教育ビジョン(第2次)」の改定は、来年、27年度中に改定が予定されている基本構想や10か年計画などの策定と調整を図り、改定スケジュールを定めていくとされています。「中野区教育ビジョン(第2次)」では、時代のニーズとしてグローバル化は認識しつつも、国際理解教育や英語教育については具体性に欠け、必要最低限にとどまり、積極的に推進する内容にはなっていません。平成25年度に策定された「東京都教育ビジョン(第3次)」では、「国際社会で活躍する日本人の育成」と題し、国際理解教育や英語教育を主要施策の一つと掲げ、その取り組みを明らかにしています。区においても、次期教育ビジョン策定においては、中野区のグローバル化に合わせ、国際理解教育、英語教育を大きな施策の柱の一つにするなど、その強化を盛り込んではいかがでしょうか、伺います。

 次に、教育センターの機能強化について伺います。中野区の教育相談は、開設以来40年以上の実績があり、一般来室相談と電話相談「子ども110番」の相談事業が行われています。このほかにも教育相談に関する調査及び研究、就学時健康診断の助言、障害児就学相談の援助、関係資料の作成、教育相談研修を実施しています。これら教育センターを中心として行われてきた事業が中野区の教育に果たしてきた役割は、非常に大きいと感じております。しかし、昨今では、複雑化するいじめ問題、児童虐待をはじめとする家庭の問題など、相談も非常に困難な内容や、より専門的な知識が必要とされる場合が増えてきているように思います。また、相談内容においては、発達の遅れについて増加傾向にあり、特別な支援を必要とする児童・生徒への対応も、さらにきめ細やかな指導が求められています。

 そこで、いじめ、学習の遅れなど児童・生徒への対応、発達の遅れなど保護者の相談への対応、さらには、これらの教育現場を抱える教員の研修充実など、教育センターの機能の強化を図るべきと考えます。また、平成28年からスタートする特別支援教育の巡回指導など新事業に対し、特別支援のスーパーバイザーを配置することも検討すべきと考えます。

 教育センターの機能強化についてお考えを伺います。現在、教育センターの北側に面する早稲田通りが拡幅される予定です。この道路整備の機会に教育センターの改修などを図り、機能・施設両面において拡充すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、南部教育相談室の移転について伺います。中野駅南口地区のまちづくりの影響で、南部フリーステップルーム、南部教育相談室の移転が予想されます。都市計画決定の時期を考えると、来年度には移転先の施設整備がされなくてはならないのではないでしょうか。中野区では、南部・北部教育相談室の2カ所において、区立小学校及び中学校に在籍し、長期欠席の状態にある児童・生徒に対し、学習指導、教育相談などを行い、再び登校できるように援助する適応指導教室が非常に好評であり、高い効果を得ています。この機能を縮小することがあっては、中野区の教育の後退を招きかねません。早期にこの南部教育相談室の機能を確保すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 また、教育センターでは、教員向けの勉強会、研修、セミナーが行われています。学校教育におけるグローバル人材の強化・育成のために、まずは教員の英語教育強化が必要となってきます。今後、教員向けの研修に英語教育の充実を図るべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、青森市との交流について伺います。区は、今年4月9日に青森市と交流連携協定を締結しました。今後、スポーツや学術、文化、芸術を通じての市民交流が図られていくものと期待していますが、将来にわたる裾野の広い交流をつくる意味では、小・中学校の段階での交流も重要になると考えます。その交流の一つとして、中学校の修学旅行先として青森市を中心とした東北方面を検討してはいかがでしょうか。区立中学校の修学旅行先は、25年度では全ての中学校が京都・奈良方面となっています。歴史・文化を学ぶ機会として、関西方面の修学旅行も大変いい企画とは思います。一方で青森では、世界遺産の白神山地、十和田湖、奥入瀬渓流などの自然資源、三内丸山遺跡やねぶた、三味線などの歴史・文化遺産、平成28年度以降は函館までの新幹線開通により、五稜郭や函館の夜景などの、函館を含めた数多くの修学旅行スポットがあります。学校ごとの判断にはなると思いますが、教育委員会で推奨するなど、青森市との交流を活用した修学旅行を検討してはいかがでしょうか、伺い、この項の質問を終わります。

 5番目として、外国人支援について伺います。

 初めに、ホームページでの支援について伺います。海外からの旅行者が日本での観光先を考える場合、その情報のほとんどはネット検索から入手することになると考えられます。しかし、国外の検索サイトでは、中野区のホームページが検索されない場合が数多くあります。これは、区のホームページの外国語情報がグーグル翻訳を活用していることに原因があり、外国語でのページが存在しないために検索にはひっかかりません。中野区の観光情報の発信源として、区のホームページが大きな役割を担うべきでありますが、国外で検索されにくいのであれば大きな問題であると考えます。ホームページの全ての情報を外国語にするのは無理としても、例えば、中野区の基本情報の外国語ページを作成し、国外のサイトで検索されるようにしてはいかがでしょうか。それに合わせ、そのページから外国語で区のホームページを活用できるように構成してはいかがでしょうか、伺います。

 また、単にホームページに誘導するだけでなく、外国語での観光情報の充実も必要となりますが、現在、ホームページでは外国語の観光情報の提供はされていません。外国語での観光資源紹介については、今月には「まるっと中野」でガイドマップを4言語で作成すると伺っています。そのガイドマップをネット上でも活用できるよう、データとしてリンクを貼り、観光情報として誘導できるようにしてはいかがでしょうか、伺います。

 次に、窓口業務の外国人支援について伺います。今年の5月、同僚議員と北区のクラウド型ビデオ通訳サービスを視察に伺いました。このサービスは、外国人住民と区職員のやりとりを、タブレット端末を介してリアルタイムで翻訳するもので、5カ国語に対応したサービスです。それまでは人材確保や対応可能言語の制限などの課題がありましたが、ビデオ通訳サービスの導入により、窓口における対応時間や待ち時間を短縮できるなど、円滑な窓口業務に改善されたと評価されています。地域事務所を含めた5台の設置で、イニシャルコスト、月間のランニングコストも10万円前後であり、職員や委託を配置するよりも費用がかかりません。個人情報保護や専門用語対応などは問題なく、実際にタブレット端末を通して通訳の方とお話をしましたが、非常に丁寧な対応で、外国人の方も安心されると感じました。中野区でもこのクラウド型ビデオ通訳サービス導入を検討してはいかがでしょうか、伺い、この項の質問を終わります。

 最後に、防災情報について、インターネットを活用しての情報提供について伺います。

 区のインターネットを活用しての防災情報のツールとして、ホームページ、メールマガジン、ツイッター、フェイスブック、そして、エリアメールが挙げられます。それぞれが異なった機能、対象を持ち、多種多様なツールの活用によって、区民が情報を得る手段の多重化を図っています。そのうち震災やゲリラ豪雨時などで緊急度が高い情報を、区民のアクセスを待つことなく伝達するツールとしては、メールマガジンやエリアメールが挙げられます。しかし、メールマガジンは登録が限定されていること、また、エリアメールはその影響が大きく、容易に活用できるものではありません。そのはざまとして活用が期待されるサービスにツイッターアラートが挙げられます。ツイッターアラートは、昨年の9月よりツイッターのサービスとして運用が開始されました。事前に登録をしたフォロワーに区が発信する情報を画面上のポップアップなどで通知し、確実にユーザーの目にとまるように表示されるものです。それに気づいたユーザーは、それ以降ツイッターから情報を入手し続けること、また、拡散することが期待され、他の情報ツールと合わせて一気に情報伝達が進むと考えられます。現在、東京都、埼玉県、神奈川県をはじめ、23区中6区が運用を行っています。局地的な気象情報が必要とされている状況でもありますので、区の緊急情報をリスクなく伝えるツールとしてツイッターアラートを導入してはいかがでしょうか、伺います。

 また、災害時の情報発信のツールとして、ヤフー株式会社との災害協定があります。これは、自治体から発せられる避難勧告、避難指示や、自治体によって指定される避難所情報、その他さまざまな災害に関する情報に住民の方がいつでも、どこでもアクセスできるよう、ヤフージャパンにて集約・整理して提供すること、また、災害時に自治体のホームページがアクセスの集中により閲覧しづらい状況になることの防止を目的とされています。災害情報の提供だけでなく、費用負担なくキャッシュサイトを活用して、災害時のホームページ負担軽減をカバーすることができます。現在、東京都と23区中4区が運用を行っています。ヤフー株式会社との災害協定を検討してはいかがでしょうか、伺い、私の全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 木村議員の御質問にお答えいたします。

 まず、認知症施策についての御質問です。認知症ケアパスの確立とその明示についての御質問でした。認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域で暮らし続けられることがわかるように、認知症の進行状況にあわせて、いつ、どこで、どのような医療・介護サービスを受けることができるのか、具体的な機関名やケア内容を、認知症の人、そして、その家族に明示的に提示することは、認知症の方を地域全体で支える取り組みの基本になると考えております。区といたしましては、認知症の懸念や気づきについての相談窓口を含め、問い合わせ先、対応機関等について案内したリーフレットなどを作成して、区民に周知をしてまいりたいと考えております。

 認知症の早期診断・早期対応についてであります。東京都が浴風会病院に設置した認知症疾患医療センターと連携した、認知症の早期発見・早期対応の取り組みについて、今年度から着手していきたいと考えております。また、コーディネーターの配置に関する御質問もありましたが、コーディネーターの配置数につきましては、この取り組みの中で検討していきたいと考えております。

 それから、ひきこもりがちな単身世帯への対応、また、ホームページ等の活用ということであります。ひとり暮らしなど高齢者世帯への訪問活動などから、閉じこもりや認知症が疑われる場合は、現在もフォローを行っておりますが、今後とも複数の機関、職種連携によって早期発見・早期対応を強化していきたいと考えております。自己チェックシート等の普及や認知症の啓発につきましては、区報、ホームページ等、さまざまな媒体の有効活用を図ってまいりたいと考えております。

 小・中学校でのサポーター養成講座の開催や認知症サポーター店の推進についてであります。小・中学生には、認知症理解のためのリーフレットの配布を行っております。今後ともさまざまな機会を通じて理解の促進に努めてまいりたいと考えております。また、商店街や事業所向けに認知症サポーター養成講座を開催してきているところですけれども、引き続き商店街連合会等と連携しながら、サポーターのいるお店や事業所の拡大に取り組んでいきたいと考えております。

 いわゆる認知症カフェの設置、家族への支援についてであります。認知症の方と介護する家族や支援者が集って、認知症についての悩みや情報を共有し、家族の息抜きともなるような地域の場の設置、これについては、利用されやすさ、あるいは、空きスペースの有効活用など、地域での取り組みを踏まえて具体策を検討していきたいと考えております。介護にあたる家族や家族会への支援もまた重要でありまして、家族介護教室の開催や政策助成によります家族会支援などを行っているところであります。今後さらに充実を図っていきたいと考えております。

 また、若年性認知症対策と認知症予防対策についてであります。若年性認知症につきましては、医療や介護サービスのほか、社会保障、就労支援等、幅広い相談支援が必要となってまいります。東京都の若年性認知症総合支援センターを活用しながら、区内での支援体制のあり方について検討していきたいと考えております。また、現在高齢者会館等で実施しております介護予防事業を活用して、デュアルタスクなどの認知症予防の側面を強化した取り組みによって、効果的な介護予防事業としていきたいと考えております。

 次に、地域活性化についての御質問であります。イベントの助成に関連して、補助金の上限についてであります。商店街のイベントに対する助成について、限られた予算の中で区内全域にわたっての活性化を図るというようなことから、あまねく商店街に活用いただけるよう一定の条件をお願いしてきたところであります。御指摘の件につきまして、イベント助成やハード整備などに対する助成も含めた、全体の商店街補助制度の中で総合的に検討していきたいと考えております。

 審査期間の短縮について。新・元気を出せ!商店街事業は、都の補助制度を前提としているものであります。区が行う実績報告にかかわる補助対象経費等の審査においては、対象額の決定に都の判断が必要となり、さらに、商店街に追加書類の提出を求めるケースもあるなど、期間が長くなる案件も一部で生じております。今後は、都との連絡調整をさらに緊密にしていくとともに、当該商店街との事前協議を強化して、事務処理の迅速化を図ってまいります。

 それから、南部地域の振興、活性化についてであります。地域活性化に向けた取り組みについては、既存の中野の逸品グランプリに加えて、昨年よりなかのまちめぐり博覧会などの事業によって、区内全体の回遊・活性化を図ってきたところであります。南部地域の活性化については、地元商店街や諸団体に向けた各種助成制度の紹介や活性化事例の情報提供を行うなど、地域が主体となった取り組みを支援していきたいと考えております。大規模公園の整備が進んで、防災まちづくりも南の地域では動き出しております。また、地域事務所やすこやか福祉センター、また、地域スポーツ施設といった施設の整備も行われております。そうした安心・安全のまちづくりに加えて、魅力ある区民の活動場所をつくり出していくなど、まちづくりの成果を通じた地域活性化も目指していきたいと考えております。

 LINEスタンプの活用についてであります。本年11月8日から30日に開催のなかのまちめぐり博覧会では、実行委員会との協働によりLINEアカウントの開設・運営や、マスコットキャラクターである「クルトン中野」のLINEスタンプの販売に向けて準備を進めているところであります。区全体のLINEスタンプの活用につきましては、他の自治体の動向なども踏まえながら検討してみたいと考えております。

 次に、ひとり暮らし高齢者支援についての御質問であります。部屋にごみをためてしまう、そうした事例についての対応について、現状ではすこやか福祉センターや関係部署が連携して、個々の困難事例に対応してきております。今後、ごみのため込みや住環境を悪化させてしまうような問題、こうしたことが増えていくことも予想されることから、さらに実効ある取り組みにつきまして関連部署が共同で対応する方策を含め、検討していきたいと考えております。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 教育行政につきまして、初めに、教育ビジョンと国際理解教育についてお答えいたします。平成18年に教育基本法が改正され、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことが新たに規定されました。これを踏まえまして、中野区教育ビジョン(第2次)におきましても、重点事項の一つとして英語の語学力の向上や国際理解教育の充実に取り組んでまいりました。今後改定する教育ビジョンの中で、重点的に進める取り組みなどを示していきたいと考えてございます。

 続きまして、教育センターの機能強化の御質問です。現在、教育センターは大きく二つの機能になってございます。一つは相談機能であり、もう一つは研修機能です。相談機能につきましては、臨床心理士や特別支援教育に関わる学校経験者など、数多くの専門性の高い職員が配置され、いじめの問題をはじめ、不登校、発達の遅れなど、さまざまな相談などに既に対応しているところです。また、平成28年度から実施される特別支援教室の巡回指導に伴う教員の指導・助言については、教育委員会内に所属している専門性の高い巡回相談員により十分対応できる、と考えてございます。研修機能につきましては、若手教員が増加する中で喫緊の課題として認識しておりまして、教育センターなどで行う研修の充実を図ってまいりたいと考えています。

 続きまして、適応指導教室についてです。適応指導教室につきましては、長期欠席の状態にある児童・生徒の安心できる場所であり、学校復帰を目指して学習等に取り組む場として重要な機関であると認識してございます。都市計画決定に伴い、南部教育相談室は移転することになりますが、現在のところ、その移転先も含め、教育相談機能の充実やそのあり方について総合的に検討しているところでございます。

 教員の英語力の向上についての御質問もございました。2020年に東京でオリンピックが開催されるなど、これからの国際社会を生き抜くためのグローバル人材を育成することは、国や都のみならず、中野区におきましても重要な課題であると考えてございます。教員の英語力・指導力向上については、これまでも外国語活動を中心とした教員研修を実施しているところでございますが、教員の英語力そのものを高めるためにも、研修内容を見直し、工夫してまいりたいと考えてございます。

 最後に、修学旅行先についての御質問がございました。修学旅行の行き先につきましては、御質問にもございましたが、教育的効果や生徒及び保護者の意向、そして、これまでの実績などを総合的に勘案して学校長が決定するものでございますが、今回、区が交流連携協定を締結した経緯等も含め、豊かな歴史や文化を持つ青森市など、東北地方について校長会などで情報提供してまいりたいと考えています。

〔政策室長髙橋信一登壇〕

○政策室長(髙橋信一) 私からは、外国人支援とツイッターの防災情報についてお答えいたします。

 初めに、中野区のホームページ等、外国人観光向けの情報等の外国語ページの作成についてでございます。中野区で外国人が生活やビジネスを行う上で必要な情報を提供します英語版ページにつきましては、その方法について検討していきたいと考えてございます。また、ガイドマップなど、外国人観光客に役立つ情報、他の英語版サイトへのリンク集についても作成したいと考えてございます。

 次に、ビデオ通訳によりますシステムについてでございます。本サービスでございますが、タブレット端末を利用して対話形式で通訳を行うサービスでございます。区部では、北区のみならず、文京区でも同様の通訳サービスを導入していると聞いてございます。3大学の進出によります外国人留学生の増加もございます。2020年のオリンピック・パラリンピックの開催に向けまして、今後外国人の来街者、居住者の増加が予想されるところでございます。中野駅周辺のまちづくりでグローバル都市を目指していくためにも、区の窓口におけます外国人対応を向上させていく必要があると考えてございます。他区での成果を踏まえながら検討してまいりたいと思います。

ツイッターアラートの導入についてお答えいたします。希望者が登録すれば自動的に受信、表示されますツイッターアラートは、ユーザーに直接情報が届けられるという点で有効性があると承知してございます。緊急時の情報提供の手段の一つとして検討してまいりたいと考えます。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、防災情報についての御質問のうち、ヤフー株式会社との災害協定締結についてお答えいたします。区災害対策本部が発信する避難勧告、避難指示や避難所開設状況につきましては、東京都災害情報システムに入力することで都に報告することになるとともに、自動的にヤフー株式会社にこの情報が提供され、すぐに公開される仕組みになっております。このほかにもヤフー株式会社には、アクセス集中時の負担を軽減するサービス等の提供もありますので、今後それらの内容を検討した上で災害協定の締結については考えていく予定でございます。

〔木村広一議員登壇〕

○3番(木村広一) 再質問いたします。すみません、ちょっと聞き漏らしたかもしれないんですけども、教育センターの拡充というところで、機能面と施設面というお話をしたんですが、施設面というところでもう少し詳しく、もしお答えできればしていただければと思います。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 教育センターにおきましては、先ほども申し上げましたように、相談機能と研修機能という二つの主な機能があるというお話をさせていただきました。相談機能や研修機能につきましては、学校との関係ということで、教育委員会事務局の中にもスタッフがおりまして、学校との関係と、それから、教育委員会の中のスタッフとの関係ということで、どのように連携が十分とれるのかというようなことを含めまして、施設面について検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○議長(伊東しんじ) 以上で木村広一議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後2時13分休憩

 

午後2時30分開議

○議長(伊東しんじ) 会議を再開いたします。

 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 浦 野 さとみ

 1 子どもの貧困対策と就学援助について

 2 誰もが安心して医療・介護が受けられる施策について

  (1)経済的格差が命の格差にならないようにすることについて

  (2)地域包括ケア、認知症対策について

  (3)医療介護総合法の問題点について

  (4)その他

 3 中野駅周辺のまちづくりについて

 4 区内産業の活性化について

 5 ブラック企業対策について

 6 窓口業務外部委託の問題について

 7 西武新宿線連続立体交差事業について

 8 その他

 

○議長(伊東しんじ) 浦野さとみ議員。

〔浦野さとみ議員登壇〕

○20番(浦野さとみ) 2014年第3回定例会本会議において、日本共産党議員団の立場から一般質問を行います。質問項目は通告のとおりで、その他の項はありません。

 初めに、子どもの貧困対策と就学援助について伺います。

 ことしの7月に発表された厚生労働省の国民生活基礎調査によると、子どもの貧困率が過去最悪を更新しました。子どもの貧困率は、平均的な所得の半分、年122万円を下回る世帯で暮らす18歳未満の割合であり、2012年の子どもの貧困率は16.3%、相対的貧困率で16.1%となりました。6人に1人が生活苦の中にあり、前回調査の2009年から0.6ポイントの悪化。調査が開始された1985年時は9人に1人ということだったことからも、状況が悪化していることが伺えます。経済協力開発機構(OECD)によると、加盟34カ国の子どもの貧困率は平均で13.3%であり、さきに御紹介しました2012年の子どもの貧困率が16.3%ですから、国際比較でも、先進国の中でも深刻な状況にあることがわかります。特にひとり親世帯ではさらに深刻であり、その率は54.6%まで上がります。大半を占める母子世帯では、4割以上が非正規での就労であり、その背景には所得の低い非正規雇用の増加があります。親が一生懸命働いても生活苦から抜け出せない状況が、貧困を生む要因にもなっています。これは区内においても例外でないと考えられます。

 そこで伺います。この厚生労働省の調査と同様の基準で考えたとき、区内における子どもの貧困率はどの程度になりますでしょうか、答弁を求めます。

 昨年6月、国会において全会一致で成立し、ことし1月に施行された「子どもの貧困対策推進法」は、先月の8月末に政府による大綱が閣議決定されました。大綱には、「子どもの将来が生まれ育った環境で左右されることのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る」という理念は並ぶものの、具体的な施策は既存の事業をまとめただけで、当事者の方たちが強く求めていた施策である、貧困率削減の数値目標の設定やひとり親世帯への児童扶養手当、また、返済の必要のない給付型奨学金の拡充などの多くが盛り込まれませんでした。これまで本会議質問や予算特別委員会総括質疑等において、区としての具体的対策を求めてきましたが、「国の動向を見ながら適切に対応していく」との答弁にとどまっています。8月29日の毎日新聞に掲載された、佛教大社会福祉学部教授ら小児科医チームの調査結果によると、自己負担を伴う水ぼうそうやおたふく風邪の予防接種について、貧困世帯の子どもの接種率が低く、貧困でない世帯の子どもと比較すると7分の1から3分の1の接種にとどまっているとのことです。また、高校や大学などの進学率などにも影響するという調査も出ています。この後に触れます医療や介護分野においても同様ですが、経済状況の格差が命や健康の格差、子どもの教育の格差につながること、ましてや、最低限の生活すら保障されないようなことにつながることはあってはなりません。区としての具体的な施策を講じることを強く求めます。

 その上で、現状の実態把握は不可欠と考えます。いろいろな調査なども参考にしながら、区でもまずは実態把握の調査を進めていくべきです。また、学習支援やひとり親世帯などへの支援など、区としての今後の具体的な対応をどのように進めていくのか、あわせて答弁を求めます。

 次に、就学援助について、2点伺います。

 昨年の8月、ことしの4月と、連続して引き下げられた生活保護基準は、来年の4月にも予定されており、3年連続の引き下げとなります。これ自体、大変に許しがたいものですが、経済的に苦しい児童・生徒の就学援助に対しての影響を回避することは当然のことです。大変に遅い対応ではありましたが、経過措置が3年という中で、先月から一部においてその対応が講じられました。

 そこで伺います。来年4月の生活保護基準引き下げに伴う就学援助への影響を回避する対応もきちんと行うべきです。答弁を求めます。

 もう1点、ある保護者から、就学援助の支給対象となる項目がどの程度の額なのかという御相談が寄せられました。区の案内等を見てもわからないとのことです。学校で保護者の方に配布している「就学援助のお知らせ」の中で、支給対象となる費目(項目)については掲載がありますが、金額などの詳細については記載がありません。現在区では、認定結果の通知とあわせて、支給対象に該当した方にのみお知らせをする仕組みになっています。以前、足立区や練馬区では、この項目についてどの学年に、また、その額についてもわかりやすく記載されていることを取り上げて、申請者にとってもよりわかりやすい表記の工夫・改善を求めましたところ、「他区の状況なども見ながら考えていきたい」との御答弁でした。その後、記載の表記について改善はされたのでしょうか。実際に対象となる方に、少しでもわかりやすく案内をする工夫・改善を来年度に向けて行うべきです。答弁を求め、この項の質問を終わります。

 次に、誰もが安心して医療・介護が受けられる施策について伺います。

 初めに、経済的格差が命の格差にならないようにすることについて伺います。ことしの5月、全日本民主医療機関連合会が、経済的理由で受診がおくれ、死亡につながった事例に関する調査を発表しました。この調査の中では、保険料が支払えず無保険の状態にある方、また、保険料の滞納が理由で、一旦医療費全額を窓口で支払わなくてはいけない資格証明書を発行された人を含めると、5割近い人が無保険状態に置かれていることがわかったと報告されています。まさに経済的格差が命や健康の格差につながっている状況が浮き彫りになっています。日ごろ寄せられる区民の方からの相談の中でも、本来は毎月の定期受診が必要な方でも、医療費が高いことを理由に受診頻度を減らしている方、また、体調が悪く受診したいが、検査代や薬代が支払えないと受診をしないでいる方もおられます。しかし、これは氷山の一角にすぎないと思われます。根本的には高すぎる保険料の引き下げが必要と考えますが、ここでは無保険の状態にある方が、医療が必要である場合の保険証の発行の扱いについて1点伺います。

 加入したくても保険料が支払えないなど、何らかの理由で国保加入の手続をしていない方、いわゆる無保険の状態にある方が、医療が必要な状態になったとき、病院に行く必要があるという申し出を御本人が行った場合、一時的に保険で医療が受けられる、過去の保険料については改めて納付の相談をすることが可能となっています。保険証を発行しないという、いわゆるとめ置きの状態があってはならないことです。そういった相談が寄せられた場合、適切に国民健康保険の加入手続の案内をし、保険証を発行するという対応が徹底されているのでしょうか、伺います。

 次に、地域包括ケア、認知症対策について伺います。都内でも連日猛暑が続いていた8月のお盆前、ある区民の方から相談が寄せられました。ふだんよく見かけるAさん、この方はおひとり暮らしの70代の女性ですけれども、その方の姿が最近見えない。そのため心配になり、Aさんの御自宅を訪ねてみたところ、布団の上でかなり悪い状態にある。対応を含め相談したいので、今すぐ来てもらえないかということでした。すぐにAさんのお宅を訪問したところ、数日前から体調が悪くなり、食事も十分とれていないような、また、この暑さでの熱中症にも近いような状態でした。幸いに救急車での対応が必要なレベルではありませんでしたが、状況を確認の上、管轄のすこやか福祉センターへ連絡し、地域包括支援センターの方と訪問をしていただきました。その後、病院受診の手配、食事の確保、介護保険申請の手続などを進めていただき、現在は生活支援を中心に、必要な介護保険サービスの利用などの一つひとつを具体的に進めていただいている状態です。

 私自身、このAさんとはこのときが初めての対面でしたので、これまでの生活スタイル等は詳しくわかりませんが、経過をたどってみると、基本的には毎日お一人で外出し、買い物なども含め、自立した生活を送られていたようです。しかし、6月ごろから家賃も未払いとなるなど、金銭管理も徐々にできなくなっていたことがわかりました。また、医師診察の結果、認知症であることがわかりました。このAさんのように、特におひとり暮らしの方ほど自分からSOSを発しにくいこと、また、発せられない状況の一つには認知症があるとも考えられます。区では、地域での見守り・支えあい活動を進めていますが、今後さらに高齢化を迎える中で、地域包括支援センターの役割はますます重要になってきます。

 現在、区には四つの日常生活圏域ごとに各2カ所ずつ、計8カ所の地域包括支援センターがありますが、個々の相談も複雑・多様化しており、専門職が専門的知識で丁寧にかかわることがより求められます。その点からも地域包括支援センターの箇所数や、現在配置している専門職の配置をふやしていくこと、また、認知症ケアの専門職種の一つでもある作業療法士なども配置をしていくなど、質・量ともに対応力を強化・拡充すべきと考えます。見解を伺います。

 2012年6月、厚生労働省は、「今後の認知症施策の方向性について」と、それに基づく「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」を策定しました。その中で、認知症の人と家族、地域住民、専門職等の誰もが参加でき、集う場として、認知症カフェの普及がうたわれています。特に認知症対策の中では、当事者に対する初期段階での専門的なかかわり、適切な治療とあわせて、御家族の介護負担の軽減、地域での認知症啓発は重要です。地域での日常生活、家族支援の充実に向けた取り組みの一つとして、この認知症カフェは、認知症初期集中支援チームや認知症地域支援推進員との連携とあわせ、地域における包括的な認知症ケアの対策の一つとしても効果が期待されています。区内においても民間主導での運営が始まっています。例えば長野市では、認知症カフェの設立のための資金助成事業も行われていると聞きます。区内において、例えば地域包括支援センター管内ごとに一つずつの認知症カフェ設置の検討や、現在運営されている認知症カフェへの支援など、認知症対策についての施策の充実を区としても進めていくべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 この項の最後に、医療・介護総合法の問題点について1点伺います。6月に成立した医療・介護総合法については、先日厚生労働省のガイドラインも示されました。この法改正の一番の問題は、要支援者向けサービスの切り捨てです。要支援者向けサービスを保険給付から外すことや、特別養護老人ホームへの入所を原則要介護3以上に制限すること、利用者負担をふやすことなど自助・共助を言って、結局は医療や介護の公的責任を縮小・削減するものとなっています。全国210の地方議会で法案を批判する意見書が可決されていることも、この法律に対しての異義をとなえる声が大きいことをあらわしています。「必要なサービスの担保」、「地域間格差が生じないよう、財源の確保を含めた必要な支援」という参議院での附帯決議にもあるように、要支援1、2の方がきちんと選択をしながら、今後も必要なサービスを継続できるようにすること、また、新規の利用者においても、ボランティアによる掃除や民間業者の宅配弁当などの多様なサービスに一律的に流し込まず、介護サービスの利用を広げることなど、区として対応すべきです。見解を伺い、この項の質問を終わります。

 次に、中野駅周辺のまちづくりについて伺います。

 中野駅周辺のまちづくりに関しては、今後、南北通路、橋上駅舎、駅ビル建設を含む第2期整備、区役所・サンプラザ地区一体開発、中野駅南口や中野三丁目広場整備等を含む第3期整備、さらには、中野二丁目再開発事業など、今後10年以上かけて大きな再開発計画が予定・検討されています。8月22日の中野駅周辺地区等整備特別委員会において、国家戦略特区にかかわる中野区提案について報告がされ、中野区提案を東京都へ提出し、特区の追加指定を目指していくとのことでした。既に国家戦略特区に指定された関西圏や福岡市では、企業代表、政府、地方自治体で構成する区域会議が相次いで開かれ、企業を呼び込むための規制緩和の議論が始まっています。そこに暮らす住民や地場産業の意見を反映させることは二の次にされ、国の求める規制緩和をどう実行できるかという、政府主導による姿勢が露骨に出ています。東京圏での区域会議開催は調整中となっていますが、会議の構成員は国家戦略特区大臣、関係地方団体の長、内閣総理大臣が選定した民間事業者となっています。まちづくりの主体はそこに暮らす住民です。外から大きな企業を連れてきても、地域産業を大事に育てる視点がなければ、大企業がもうけを持ち去るだけで地域経済の発展につながらず、雇用の安定も危ぶまれ、地域が荒廃してしまう可能性すらあると考えます。こういった懸念されることについての区の見解を伺います。

 中野駅周辺のまちづくりは、今後10年以上かけての計画が検討されていますが、一体どれだけの財政規模になるのか、これまでも指摘をしてきましたが、いまだに明らかにされていません。財政問題についてお聞きすると、「それぞれの地区別にどれくらいの事業費になるのか、毎年予算編成の中で精査して、財政運営の考え方の中で概算を示している」と繰り返し御答弁されますが、この財政運営の考え方も、向こう5年間の事業費を記しているだけで、それだけを見ても既に年度ごとにずれが生じています。計画は10年以上のものであり、これでは総体が幾らになるのかは明らかにされませんし、計画が進むほど年度ごとに予算が膨れ上がっていくことは容易に想定されます。まして、財政が厳しいと事業見直しによって区民サービスは後退させておきながら、中野駅周辺まちづくり全体の財政規模を明らかにしないのでは到底納得がいきません。この期間に開催された中野駅周辺のまちづくりに関する区民との意見交換会や都市計画審議会においても、同様の意見や質問が出されています。駅周辺のまちづくりに関する総予算をきちんと示すべきです。答弁を求めます。

 4番目、次に区内産業の活性化について伺います。

 地域経済の担い手であり、地域社会の支え手でもある小規模事業者を支援することは、地方自治体にとっても大きな意義があることは言うまでもありません。仕事確保や雇用の創出にも大きくつながります。1999年に全国にあった小規模事業者は、423万から、2012年には334万と激減しました。この背景には、当時改定された中小企業基本法で、小規模・零細業者が切り捨てられたことも要因となりました。そういった意味では、ことしの6月に成立した小規模企業振興基本法では、小企業者が着目され、基本原則としておおむね5人以下の従業員の小企業者を含む小規模企業について、技術やノウハウの向上、安定的な雇用の持続等を含む、事業の持続的発展が重要だと位置付けられました。また、このような小規模企業を単に個別に支援するにとどまらず、商業の集積や産業集積に果たす役割を評価し、面として支援する必要性を述べています。この法律では、小規模企業施策について国が5年間の基本計画を策定し、継続性・一貫性を担保する仕組みをつくるとされています。さらに、法律の第7条では、地方自治体に対し、その地域の条件に応じた施策を策定し実施する責務規定が定められています。国会答弁においても、それぞれの地域特性があり、具体的な施策の企画等については地方公共団体を中心に進めていく、また、各地方公共団体において実態調査を行うということは、実情を踏まえた効果的な施策を講じる観点からも有用な取り組みとし、計画を定めていく上でその基礎となるのは、自治体ごとに小規模事業者の実態調査を行うことであるとしています。

 区では、2013年度に区内事業所調査を実施していますが、調査対象は、区内に立地する法人事業所のみとなっています。全国に先駆けて中小企業振興基本条例を制定した墨田区では、その大きな基礎となったのは区内の全業者に対する実態調査だったと聞いています。

 そこで伺います。さきの法律成立に伴い、中野区ではどのように具体化、計画を定めていくのでしょうか。区内産業の大半を占める小規模事業者や中小企業を発展させていく支援こそ進めていくべきではないでしょうか。その際、地域経済の担い手である区内の小規模事業者、中小企業の実態調査を行った上で、より有効で実効性のある計画になることが求められます。また、計画作成の段階においても、現場当事者である小規模事業者に加わってもらうことも大切と考えます。あわせて見解を伺います。

 次に、ブラック企業対策について伺います。

 昨年、厚生労働省が実施した、過酷な労働を強いるブラック企業の疑いがある企業への立ち入り調査では、8割を超える企業・事業所で違法な時間外労働などの労働基準関係法令違反があったことが明らかになり、改めて労働者の置かれている深刻な実態が裏づけられました。この種の調査は全国で初めてです。現在、長時間労働の是正や離職者数の公表などの情報公開、パワハラをやめさせることの3本柱で構成される「ブラック企業規制法案」は、参議院で継続審議となっていますが、政府は、今年度からハローワークを通じて大学生や院生を採用する企業について、採用者の数、また、離職者の数を公表するなど、この法案の柱の一部が実現するなど、国での対策が動き始めており、さらなる対策が求められます。今月の9月1日からは、厚生労働省がブラック企業対策を目的として、夜間や休日にも電話にて無料で労働相談を受け付ける、労働条件相談ほっとラインを開設しました。昨年は9月のみの1カ月間の電話相談でしたが、今回はこの9月から来年の3月までと半年間へ拡大されています。中野駅の北口で月1回の街頭相談においても、20代から40代を中心とした方から、就職先に関する相談がこの一、二年間の間でもふえています。その多くが残業代未払いや違法な時間外労働の実態に関するものであり、休憩室が窓も机もないという状況や、契約書すらない労使関係、過労による心身の不調に関する相談も複数寄せられています。さきに紹介しました立ち入り調査の調査対象となった事業所は、電話相談やハローワークなどを通じ、深刻で詳細な情報が寄せられた事業所でした。この点を見ても、電話相談等の窓口を広く広報していくことは、ブラック企業をなくしていく一歩につながると考えます。

 区には、就労求人支援サイト「ぐっJOBなかの」がありますが、このサイト内においてもこういったブラック企業に関する相談を受け付けることや、産業振興センター等においてブラック企業対策のセミナーなど、区としても取り組みを行うべきではないでしょうか。少なくとも今月から行われている厚生労働省の労働条件相談ほっとラインの案内先を、この「ぐっJOBなかの」のサイトのトップページに掲載し、積極的な情報発信をすべきと考えます。あわせて答弁を求めます。

 次に、窓口業務の外部委託の問題について伺います。

 区では、2012年の7月から国民健康保険の窓口を、また、今年度から介護保険の窓口と戸籍住民窓口にかかわる入出力等を民間に業務委託しています。足立区では、ことし1月から区役所の戸籍窓口業務を大幅に民間企業に外部委託しましたが、本来職員でなければ行えない判断業務(公権力行使)を委託事業者が行ったことで、3月には東京法務局から戸籍法違反を指摘されました。その指摘に基づき区の職員が関与した結果、今度は東京労働局から偽装請負が指摘され、結果的には窓口業務の大半を区の職員の配置に戻すことになりました。また、委託によってコストの削減、サービス向上が説明されてきましたが、コストも今まで以上にかかり、待ち時間もふえたとの苦情が殺到したようです。

 そこで伺います。現在、区が実施している国民健康保険窓口の外部委託では、足立区のような問題を引き起こす可能性はないのでしょうか。また、足立区の件を受け、国民健康保険窓口の外部委託に関して、何らかの検証はされたのでしょうか。こういった疑義が生じる可能性がある以上、窓口の外部委託はやめるべきではありませんか。あわせて答弁を求めます。

 また、中野区においても民間業者への委託は、区民サービスの向上やコストの削減につながると説明されてきましたが、それでは、国民健康保険窓口の外部委託において、年間を通して委託した2013年度と、委託する前の2011年度とを比較して、コストは幾ら削減できたのか、また、待ち時間はどの程度減少したのか、その効果を具体的にお答えください。

 最後に、西武新宿線連続立体交差事業について。ここでは新井薬師前駅のホームの安全対策について伺います。

 西武新宿線のあかずの踏切解消に向け、沼袋駅・新井薬師前駅の地下化に向けた工事が開始されています。しかし、完成までには少なくとも6年かかるとされており、電車乗降のためのドアとホームとの間が一部で大きくあいている新井薬師前駅については、安全対策が求められ続けています。また、地下化後についても、ホームドアや可動ステップなどの安全対策は不可欠と考えます。鉄道事業者には、乗客の安全を確保する責任があります。

 そこで伺います。区として現在の新井薬師前駅の安全対策について、現状での認識をお聞かせください。また、地下化完成までの間におけるホームの安全対策について、西武鉄道との話し合いを進めるべきです。そして、地下化後においては、ホームドアや可動ステップ設置を改めて西武鉄道に要望すべきです。あわせて答弁を求めまして、全ての質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 浦野議員の御質問にお答えいたします。

 子どもの貧困対策についてであります。区では、国の基準による子どもの貧困率について把握しておりません。また、独自に調査を行う考えはありません。今後、子どもの貧困対策に関する大綱の趣旨を十分に踏まえ、東京都の動向などを見きわめながら適切な対応を図ってまいります。

 国保への加入時の手続についてであります。国民健康保険への加入がおくれると、保険料は最長で2年前までさかのぼってお支払いいただくことになりますが、過去の保険料が払われないことを理由に保険証を発行しないということはありません。国民健康保険の窓口では、来庁者の状況に応じて制度の説明や手続の方法など、適切に御案内するようにしております。

 誰もが安心して医療・介護が受けられる施策について、そのうち地域包括支援センターの強化についてです。区では、地域包括支援センター管内の高齢者人口に比例して、委託料について一定の増額をすることとしております。したがいまして、地域包括支援センターの箇所数の増などについては考えておりません。

 認知症カフェについて。認知症患者と介護する家族や支援者が集い、認知症についての悩みや情報を共有し、家族の息抜きともなるような地域の場の設置は、利用されやすさや空きスペースの有効活用など、地域での取り組みも踏まえて具体策を検討していきたいと考えております。

 医療・介護総合法に関連して、要支援1、2の方の介護サービスについてであります。地域支援事業の中で実施するものとされた訪問型サービス、通所型サービス等については、現在、7月に国から示されたガイドラインを踏まえて、事業実施の時期、形態等について検討を行っております。高齢者の方が住みなれた地域で安心して住み続けるために、さまざまなサービスが多様な主体により提供され、高齢者の方が個々の状態に応じて適切にサービスが利用できるよう、今後も検討を進めてまいります。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 生活保護基準引き下げに伴う影響の回避についてお答えいたします。

 就学援助の認定に当たりましては、生活保護基準を根拠とする考え方に変わりはございませんが、生活保護基準の引き下げにより影響の出る世帯につきましては、今年度から平成28年度まで一定の支給費目を支給する経過措置を実施することとしたところでございます。

 次に、就学援助の申請書の記載についてです。申請書と一緒に配布しているお知らせには、学用品費や給食費といった支給費目のほか、就学援助を受けることのできる対象者や認定される目安となる所得金額を明記した世帯構成のモデルケース、そして、申請から支給までの手続の流れなど、就学援助制度について理解していただけるよう工夫しているところでございます。したがいまして、必要の方には申請をしていただけているものと認識しておりまして、具体的な支給金額の表示は考えてございません。

〔都市政策推進室長長田久雄登壇〕

〇都市政策推進室長(長田久雄) 私からは、中野駅周辺のまちづくりなど、4点についての御質問にお答えいたします。

 まず、中野駅周辺のまちづくりに関連して、国家戦略特区について御質問をいただきました。国家戦略特区が目的としている規制改革等による産業の国際競争力の強化は、地域経済の活性化とは不可分のものであるという認識を持っているところでございます。区で取り組む際にも、地域経済の活性化につながる基盤づくりが必要であるというふうに考えているところでございます。

 次に、中野駅周辺まちづくりの事業費の総額についての御質問がございました。これまで中野駅周辺整備に要する経費の概算は、新しい中野をつくる10か年計画(第2次)に基づき、財政運営の考え方としてお示しをさせていただいているところでございます。その上で、事業ごとに毎年必要な経費を精査し、予算化しているところでございます。今後も10か年計画や財政フレームの中で、まちづくりの進捗に応じた事業費概算をお示ししていきたいと考えております。

 次に、区内産業の活性化について御質問がございました。とりわけ小規模企業の支援策ということでございます。区では、昨年度、区内の全事業所を対象に調査を行ったところでございます。この調査においては、各事業所の強みと課題、それから、事業を行う上で活用したいもの、事業所の環境に対する満足度などの調査項目について回答を得ているところでございます。区では、従来から融資あっせんの本人負担率を優遇して、小規模事業者を支援しているところでございます。小規模事業者を含む区内企業の支援策については、今回の調査結果も踏まえて検討していきたいと考えてございます。

 次に、就職希望者などを対象とした労働条件相談に関連した御質問がございました。労働相談につきましては、東京労働局などを案内しております。また、国において就職希望者などを対象に労働基準関係法令の知識を身につけることを目的としたセミナーを、本年10月から全国各地で開催する予定であるため、区が独自に実施するという考えはございません。国の取り組みである労働条件相談ほっとラインにつきましては、区の就労求人支援サイト「ぐっJOBなかの」において紹介できるよう、今後検討を行ってまいります。

 最後に、西武線の連続立体交差事業に関連した御質問がございました。新井薬師前駅の安全対策についてでございます。現在の新井薬師前駅は、カーブ上に駅があることから、電車とホームの間にすき間ができ、安全上課題があるということにつきましては認識しているところでございます。これまで西武鉄道は、ホームに駅員を常駐させたり、音声転落防止装置等を設置するなど、ホームの安全確保に取り組んできているところでございます。しかし、電車とホームとのすき間を抜本的に解消するためには、現在のホームのカーブを緩くする改良をするなどの対策が必要となるものでございます。現在事業中の連続立体交差事業では、新井薬師前駅の線型を緩くする計画となっており、完成後は電車とホームとのすき間が大幅に改善されることから、区としては事業の早期完成を進めることが大切だと考えているところでございます。連続立体交差事業により新しく生まれ変わる、新井薬師前駅のホーム上の安全対策の具体的な内容につきましては、今のところ西武鉄道からは示されておりません。ホーム上の安全対策については、基本的には鉄道を運営する鉄道事業者が責任を持って対応すべきと考えているところでございますが、区としては、今後の西武鉄道の動向を注視しながら対応を考えていきたいというふうに思っております。

 私からは以上でございます。

〔区民サービス管理部長白土純登壇〕

〇区民サービス管理部長(白土純) 私からは、窓口業務外部委託の問題に関する御質問にお答えいたします。

 足立区の事例については、区民サービス管理部内で検証を行ってございます。中野区における国民健康保険の窓口業務の委託では、区と民間事業者が行う業務を仕様上明確に区分した上で、業務上の疑義が生じた場合には、民間事業者の業務責任者を通じて区の職員へ引き継ぐ体制を整えているところでございます。このため、御指摘の事例のように疑義照会が民間事業者の指示に当たると判断されることはないと考えております。また、民間事業者の従業員に対する指示や労務管理は、区とは独立して業務責任者が行っているところでございます。したがいまして、国民健康保険の窓口業務委託は、法令上問題はないと考えております。今後、窓口業務の委託につきましては、窓口のワンストップ化など区民満足度の向上や業務の効率化、コスト削減等の観点から、定型的な業務で一定の業務量があるものについては、法令を遵守しつつ委託を進めていきたいと考えております。

 次に、窓口業務外部委託によるコスト削減等についてでございます。国民健康保険の窓口業務委託では、職員が7人で行っていた業務を委託しておりますが、年間のコストは委託する前の平成23年度と通年化した平成25年度との比較では、約1,500万円程度削減できたと考えております。また、窓口業務を委託し、職員が徴収事務に力を注いだ結果、平成25年度は保険料の収入率も、平成23年度と比較して現年分で約2.7ポイント向上し、23区中の順位も10位に入ることができたと考えております。また、窓口での待ち時間につきましては、計測していないため委託の前後で比較することはできませんが、委託後、受託事業者の工夫により、待ち時間中に申請書等に記入してもらうようにしたため、全体の処理時間が減り、待ち時間の短縮につながっていると考えております。

〔浦野さとみ議員登壇〕

〇20番(浦野さとみ) 1点再質問させていただきます。初めの貧困対策と就学援助のところで、就学援助の生活保護基準の影響についてというところで、今回行った対応についてはもちろん承知していますけれども、来年4月のこの生活保護基準引き下げに伴う影響の回避をどのように対応されるのか。きちんと回避する対応を行うべきということで質問させていただきましたので、そのことについての御答弁をお願いいたします。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 今年度対応をとりました対策につきましては、平成28年度までの対応ということで、今回生活保護基準の影響に伴う対応というのは、中野区としてはこれで対応していきたいというふうに考えております。

○議長(伊東しんじ) 以上で浦野さとみ議員の質問は終わります。

 ここで傍聴人に申し上げます。規則にのっとり、静粛にお願い申し上げます。

 

 中野区議会議員 森 たかゆき

 1 子育て支援について

  (1)産前の支援について

  (2)待機児童問題解消に向けた取り組みについて

 2 中野駅周辺の再開発について

  (1)区役所・サンプラザ地区の再開発及び区役所移転について

  (2)中野駅南口のまちづくりについて

  (3)その他

 3 情報公開について

 4 その他

 

○議長(伊東しんじ) 次に、森たかゆき議員。

〔森たかゆき議員登壇〕

○16番(森たかゆき) 平成26年第3回定例会に当たり、民主党議員団の立場から一般質問をいたします。質問は通告のとおりですが、大きな2番の中野駅周辺の再開発についての(3)その他では、西口改札の整備の進捗状況についてお伺いいたします。大きな4番のその他についてはございません。

 まずは、子育て支援についてお伺いいたします。

 本年5月、増田寛也元総務大臣が座長を務める日本創成会議の人口減少問題検討分科会が、若年女性の流出によって2040年に896市区町村が消滅の危機に直面という試算結果の発表を行い、23区では豊島区が消滅すると大きな話題となりました。その直後に行われた特別区議会議員講演会、「人口減少時代の地域づくりを考える」においては、明治大学の加藤久和教授は、この試算結果に批判的に言及しつつ、5つのパターンの独自の人口推移予想を示されました。それによると、5つのパターンのうち、中野区では出生率が1.8まで回復した場合のみ、2040年に向けても人口増となる試算となっております。出生率の向上が人口推移にプラスの影響があるのは当然のことでありますが、中野区の場合は他区の推計と比較しても、出生率の上昇が人口増に与える影響が顕著に出ております。一方、2013中野区区民意識・実態調査報告書によると、中野区に住み続けたいという人に理由を尋ねたところ、「子育て・教育環境がよいから」は、わずか2.5%に対し、中野区から転出する予定の方に理由を尋ねたところ、「子育て・教育環境がよくないから」が14.1%にも上っています。これらの数字は、中野区では、子育て環境を改善することによって出生率の向上を支えていくとともに、若い世代の区外流出を減らしていくことが、そのまま区の持続可能性を高めることにつながることを示していると理解できます。

 そこで、今回の質問では、子育て支援の充実こそが区の持続可能性を高める、子育て支援は、ばらまきではなく未来への投資であるという立場から、区の支出増につながる施策についても提案させていただきます。

 まずは、産前の支援についてお伺いいたします。晩婚化などの影響から不妊の問題に悩む人が増えており、社会問題と化してきております。中野区議会でも、前定例会一般質問で公明党の南議員が取り上げておられました。今月4日、日本産科婦人科学会は、2012年に国内で行われた体外受精の治療件数と出生児数を公表しました。それによると、年間約33万件の治療が行われ、3万7,953人が生まれたとのことでした。これらの数字は、いずれも過去最高となっております。不妊治療は、例えば保険適用外である体外受精では、1回当たり約25万円から50万円と高額の費用がかかります。厚生労働省は、不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、2004年から特定不妊治療費助成事業を始めています。自治体レベルでも独自の助成を行っているところもあり、東京都が東京都特定不妊治療費助成を行っているほか、23区でも10区が独自の助成事業を行っております。不妊治療を受ける人が増えている背景には、こうした助成制度の存在もあるのではないかと考えられます。一方、中野区には独自の助成制度はありません。それどころか、8月29日の子ども文教委員会に示された資料、「(仮称)中野区子ども・子育て支援事業計画の基本理念等について」には、「妊娠・出産期からの切れ目ない支援を行っていく」との表現があり、妊娠に至る手前の不妊の問題に対する認識が抜け落ちてしまっているのではないか、ということすら危惧される状況です。

 そこでお伺いいたしますが、中野区は不妊の問題をどのように捉えているのでしょうか。子育て支援とは別枠で問題と捉えているのであれば、そのことを明確にしていただきたいと思います。少子化が国家的な問題となっている現在、不妊治療を受ける、受けないは、単に個人の選択の問題にとどまりません。中野区としても不妊治療への独自の助成制度の創設を具体的に検討するべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 続いて、妊婦健診についてお伺いいたします。現在、中野区では、妊婦健康診査14回分と妊婦超音波検査1回分を一部公費で受診できる受診票を配布しています。検査は、それぞれの回ごとに項目が決められており、C型肝炎とHTLV-1抗体検査については、2回目以降の検査からでしか受けられないということとなっております。しかし、実際には、何度も血液をとられる妊婦への配慮や病院側の手間の削減、リスクはできるだけ早く発見したほうがよいといったことから、1回目の検査の際に血液検査を全てまとめて行っている病院もあると聞いております。こうした場合、C型肝炎とHTLV-1抗体検査の費用は自己負担となってしまいます。一方で、受診票で定められたとおり、2回目以降にこれらの検査をした場合、1回目に検査をした場合とは逆で、費用は公費負担となりますが、リスクの洗い出しが遅れる、複数回採血されることで妊婦の負担が増すといった問題が生じます。つまり、現在の助成制度では、これらの検査を1回目に行っても2回目以降に行っても、いずれかの問題が生じる制度となっております。妊婦健診については、東京都内全域、共通のルールで行われており、中野区だけが仕組みを変更できるものではありません。現状、2回目以降の検査でしか受けることのできないC型肝炎とHTLV-1抗体検査を、1回目の検査でも助成対象になるような仕組みの変更を東京都下の自治体に呼びかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。東京都も、都はあくまで取りまとめ役であるといったことから、区から提案があれば、妊婦健診のあり方検討会などを再び開いて検討することは可能である、といった姿勢でいると聞いております。中野区として積極的に制度改善の呼びかけを行っていただけるようお願いいたします。

 続いて、待機児童問題解消に向けた取り組みについてお伺いいたします。待機児の問題、また、子ども・子育て支援新制度の問題については、昨日の一般質問で自民・公明・共産、各党の同僚議員から質問がありました。一部質問がかぶる点もございますが、私なりの観点から取り上げたいと思いますので、御理解のほどお願いいたします。

 9月4日の区長記者会見において、これまでの待機児童問題解消の取り組みに加えて、さらに300人程度の保育サービス確保策を行うことが発表されました。このこと自体は歓迎いたしますが、待機児童問題が深刻化する中、お隣の新宿区をはじめとして、他の自治体でも今回の中野区と同様に数百人規模の保育サービス確保に踏み出すところが出てきております。保育士不足も深刻化しており、果たして区の計画どおりに事業者が見つかるのか懸念されるところです。着実に計画を達成し、来年度待機児童ゼロを実現するためには、単に事業者の応募を待つのではなく、応募がしやすくなる環境整備等、積極的な取り組みが必要であると考えられますが、区としてどのように取り組むおつもりでしょうか、見解をお伺いいたします。

 来年度からは、子ども・子育て支援新制度がスタートいたします。幼児期の教育、保育、地域の子育て支援の量の拡大や質の向上を進めていくための制度ですが、保護者の方々からは、新制度がどんなものなのかわからない、具体的にどう変わるのか見えない、といった不安の声も聞かれます。世田谷区は、7月6日に子ども・子育て支援新制度せたがやフォーラムを開催、千代田区は子ども・子育て支援新制度説明会を9月に3度開催するなど、他の自治体では住民向けに説明会を開いている、または、開催予定であるというところもあるようですが、中野区では現在のところ、そうした取り組みは聞いておりません。また、内閣府、厚生労働省、文部科学省が「子ども・子育て支援新制度なるほどBOOK」という冊子をつくっており、これがわかりやすいと割と評判なのですが、しかし、中野区の施設を幾つか回ってこの冊子を手に入れようと思った方が、中野区内の施設では手に入らず、わざわざ新宿区の施設まで取りに行った、こうした話も聞いております。子ども・子育て支援新制度について、区から区民への情報提供が不十分なのではないかと感じます。制度のスタートが近づく中、今後は区民、特に当事者世代に対するより積極的な情報提供が必要であると考えますが、いかがでしょうか、見解をお伺いいたします。

 新制度の特徴の1つに、小規模保育が認可事業として位置付けられたことが挙げられます。大型園がつくりにくい都市部の待機児問題解消の切り札と期待される一方で、小規模B型、C型については、中野区のような都心部では、自治体の独自助成がなければ採算がとれないのではないかとも言われております。区として独自の助成を行い、小規模B型、C型についても区内で事業展開できる環境整備を行っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 小規模保育施設は、3歳児未満に重点を置いており、3歳時に新たに保育施設を探さなくてはならないという課題もあります。新制度では、小規模施設卒園後の受け皿等の役割を果たす連携施設が定められるということで、3歳の時点でまた保育園に入れるか入れないかわからない、といった不安は緩和されることになるかと思いますが、2歳から3歳という時期に子どもが過ごす環境が変わることに不安を感じる保護者も多くいらっしゃいます。区としてこうした保護者の不安に応えるような取り組みをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 新制度では、家庭的保育事業、いわゆる保育ママも認可事業として位置付けられますが、自園調理が基本となり、調理設備の整備や調理員の配置が求められることとなっております。しかし、家庭的保育事業の現状を考えると、特に調理設備の整備は、現実的にはなかなか難しいのではないかと思います。

 そこでお伺いしますが、これまで待機児童問題解消に一定の役割を果たしてきた家庭的保育事業について、区は今後どのような役割を期待していくのでしょうか。今後とも事業の継続を期待しているというのであれば、5年の経過措置の間に自園調理を基本とするという条件の見直しも含めて、現場の状況を見つつ、事業継続に必要な措置を講じていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。この点を伺いまして、子育て支援についての質問を終わります。

 続いて、2番の中野駅周辺の再開発についてお伺いいたします。

 まずは、中野サンプラザについてです。本年6月27日付、日本経済新聞に「五輪へ中野変身 サンプラザ解体、駅ビルも誕生」との記事が掲載されました。その中に、多くの人にとって愛着の深い建物だったが、中野区都市政策推進室では、既に老朽化が激しいので安全面から考えても建て替えないといけない状況だとの記載がありました。しかし、以前から私が聞き及んでいる範囲では、中野サンプラザは100年以上十分に使えるつくりとなっているということであり、本当に建て替えが必要なほど老朽化しているのか疑問を感じます。

 そこでお伺いいたしますが、現区役所エリアとの一体的な再整備の計画とは切り離し、中野サンプラザという建物単体で見た場合、耐震性など安全性の面からの建て替えの必要性はどの程度あるのでしょうか、お答えください。

 8月29日には、公益社団法人日本建築家協会から区長宛てに、「中野サンプラザの活用に関する要望書」が提出されたと聞いております。どのような内容で、それについて区はどのように受けとめているのか、見解をお伺いします。

 いずれにしても、中野サンプラザは区のランドマークとして多くの区民が愛着を持っており、また、ポピュラー系音楽のメッカ、近年ではアイドルグループの聖地として全国的な知名度もあります。前述の日経新聞の記事によると、区には、再開発後は単なる商業ビルではなく、中野らしい特徴があり、多くの人から愛される文化施設を建てたいといった意向もあるようですが、建築というものは、単にいいものを建てれば愛着が持たれるものでもありません。大規模なリノベーションなど、建て替えか保存か二択ではない、中野サンプラザという既に存在する地域資源を活かした選択肢も検討するべきではないかと考えますが、いかかでしょうか。

 続いて、区役所移転についてお伺いいたします。区役所は、現中野体育館の位置に移転するとされていますが、いまだ正式な決定には至っておりません。7月に行われた中野駅周辺まちづくりにかかわる意見交換会においても、中野四季の都市にある区有地に移転できないか検討しているという説明にとどまったとのことです。決定に至るまでに何がネックになっているのでしょうか。また、本年度中に決まる見込みはあるのでしょうか、お答えください。

 新体育館についてもお伺いいたします。新体育館は、新区役所と同じ場所に一体的に整備することとされています。一方で、新中野体育館整備基本方針(たたき台)によると、新中野体育館は全区レベルの大会を行う中央体育館として十分な施設規模を検討するとされています。区役所と一体的に整備することと全区レベルの大会を行う規模を確保することが、本当に両立可能なのか疑問を感じます。その点を含め、現段階で新体育館についてどのような検討がなされているのかお聞かせください。

 次に、サンプラザ・区役所エリアの再開発についてお伺いいたします。先月22日の中野駅周辺地区等整備特別委員会に示された資料、「国家戦略特区にかかわる中野区提案について」によると、区役所・サンプラザ地区再整備はグローバル都市の中核となるとされ、国際ビジネス拠点形成等を目指すなどとされています。しかし、なぜこのエリアがグローバル都市を目指すべきなのか、必然性を感じません。まちのにぎわい創出や経済活性化は重要ですが、その観点からすると、区はユニバーサルデザインや環境負荷軽減などの実現のための適切な規制を行いつつ、その範囲で民間の自由な競争を促すことこそが重要であって、「グローバル」と分野を限定する必要はないのではないでしょうか。区はかつて四季の都市のオフィスエリアについては、ICT・コンテンツ産業を中心とした都市型産業の集積を目指すとしておりました。しかし、実際に来られたのは、もとは1907年設立のビール会社であるキリン、1949年設立の水処理事業を手がける栗田工業などです。日本を代表するような企業が来られたこと自体は歓迎するべきことですが、都市型産業の集積は実現していません。

 そこで伺いますが、このエリアの再開発の方向性について、区がグローバル都市と限定することにどのような必然性があるのでしょうか。また、仮に必然性があるとしても、それを区主導で実現できると考えているのでしょうか、お答えください。

 南口のまちづくりについてもお伺いいたします。南口のまちづくりについては、現在(仮称)中野駅南口地区まちづくり方針(素案)、中野駅地区整備に係る都市計画変更(原案)などが示され、今後、都市計画決定に向けた手続が進められると承知しております。まちづくり方針素案には、動線整備、にぎわい創出、ユニバーサルデザインへの配慮、省エネ、脱温暖化への取り組みなど、多岐に渡る内容が盛り込まれています。また、具体的な事業の中には、組合を設立して施行を行うものもありますし、計画の範囲の中には東京都住宅供給公社の住宅もあります。多様な課題に対して多くの主体がかかわることとなりますが、それぞれの役割と責任はどのようになるのでしょうか、御説明ください。

 まちづくりに当たっては、当然のことですが、現存する課題の解決が求められます。まちづくり方針にはさまざまな課題が掲げられていますが、その中に南口改札前でのバス・タクシーなどの輻輳、駅前広場と千光前通りとの交差部での自動車と歩行者の交錯が挙げられています。しかし、改札前のバス・タクシーの輻輳は、改札前で降ろしたほうが利用客に親切であろうということで、特にバスがバス停ではなくて改札前で利用客を降ろしていることによるもので、広場整備によって解決するものなのか疑問です。千光前通り入り口の自動車と歩行者の交錯については、同じような状況が、例えば北口のサンモール入り口前の横断歩道でも見られますが、こちらについては解消の取り組みの予定はなく、課題とは認識されていないようです。このようにまちづくりにおいて何を課題とするのか、その課題を解決する手段として現計画が適切なのか疑問に感じる点があります。

 そこでお伺いしますが、南口まちづくりにおいて課題の洗い出しはどのような基準で行われたのでしょうか。また、計画が実現すると、それぞれの課題がどうなるのかをどのように検討されたのでしょうか、お聞きいたします。

 この項の最後に、その他で、中野駅西口工事の進捗状況についてお伺いいたします。区役所・サンプラザ再整備も南口のまちづくりも壮大な計画ですが、一方で、現在の中野駅周辺は、ラッシュ時の北口の混雑やサンプラザ前の仮バス停の問題など、区民の生活に密着した課題が存在しています。大きな夢を語る前に、こうした目の前の課題の解決こそ優先してほしいと思いますが、西口改札の工事については既に遅れが懸念される状況だと聞いております。現時点で平成32年完成を目指すという方針に変更はないのでしょうが、その実現に向けて区はどのように対応していくおつもりなのかお伺いいたします。

 最後に、大きな3番、情報公開についてお伺いいたします。

 本年3月、中野区情報公開審査会は、情報公開制度を利用して行われた情報公開請求に対して、区が非公開決定を行い、その後異議申し立てがあった2件の案件について、いずれも公開するべきものであるとの答申を出しました。この2件は、どちらも民間企業からの企画提案書にかかわるものです。区は、これまでこうした提案書は事業者の営業利益、競争力にかかわるものであり、公開することにより模倣による事業者利益損失のおそれがあるとして、それを非公開の根拠としてきました。しかし、今回の情報公開審査会の答申では、法的保護に値する程度の蓋然性をもって利益侵害が生じるとは判断しがたいとされ、区の主張は退けられております。区として情報公開審査会のこの答申をどのように受けとめているのでしょうか。

 審査会の答申は、今後に向けた中野区らしい取り組みとして、事業者公募の募集要項に「提案書は公開するものとする」と明記し、そこで文書公開される法人情報のいかんを応募事業者の選択にゆだねることが適切であると考えるとしております。企画提案型の入札については、一般競争入札と比べて、なぜその事業者が選ばれたのか不透明であり、こうした取り組みによって提案書が公開され、事後的に事業者選定の妥当性を検証できるような制度とすることは、区民の知る権利の保障、開かれた区政運営の推進といった観点から必須であると考えます。区としては、今後の同様な事例についてどのように対応していくおつもりでしょうか。この点をお伺いいたしまして、私の一般質問を終了いたします。

 ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 森議員の御質問にお答えいたします。

 子育て支援について。産前の支援についてであります。不妊治療について、さまざまな面で負担が大きいことは承知しております。不妊治療を行うことについては、個人それぞれの考え方によるところもあります。不妊治療の助成制度については、他の子ども施策とのバランスを踏まえて、その効果を研究することとしています。

 妊婦健診についてですが、これについては、御質問の中にもありましたように、東京都、特別区、市町村、東京都医師会から成る東京都地域保健事業連絡協議会で定めた共通ルールのもとで実施しているものであります。C型肝炎につきましては、2回目以降で検査をすることとしております。検査時期や内容等について、医療機関や妊婦に対してさらなる周知を図っていきたいと、このように考えております。

 待機児童対策についてであります。今回の追加募集に当たり、さまざまな事業者に施設開設に向けた条件等についてヒアリングを行いました。その結果、募集期間を設けず、応募のあった事業者から選定していく公募方法に改めております。また、家賃補助の充実を図るとともに、これまで行っていなかった株式会社等に対する施設建設費補助制度を設けております。

 子ども・子育ての新制度の周知についてであります。新制度につきましては、これまで子ども家庭支援センターやすこやか福祉センター窓口にパンフレットを配置したほか、区報、ホームページで周知してまいりました。また、私立幼稚園連合会や私立保育園長会など関連団体の会議に出向き、説明なども行ってまいりました。引き続きこれらの取り組みを強化してまいります。また、今後、利用申請手続などについて区民の皆様に対し、区報、ホームページや個別の通知、窓口での個別の相談などにより、きめ細かく周知をしたいと考えております。

 それから、小規模保育に対する支援について。小規模保育事業の基本的な運営経費となる国の公定価格は、現在示されている仮単価では、小規模保育事業への移行を予定しているグループ型家庭的保育事業の、現在の実行ベースでの運営費に及ばない、と試算しております。来年度の制度運営に向けて適切な運営ができるよう検討していきたいと考えております。

 それから、連携施設の確保と保護者の不安解消についてであります。子ども・子育て支援新制度において、家庭的保育事業者等は、乳幼児に対する保育が適切に行われ、3歳以降も必要な教育または保育が継続的に提供されるよう連携施設を確保しなければならないとされております。家庭的保育事業者等において連携施設の確保が困難な場合などには、家庭的保育事業者等からの求めに応じて区が連携施設の調整を適切に行っていく考えであります。認可保育園の転園に当たっては、これまでも適切な対応が図られており、保護者が不安を抱くことはないと考えております。今後、連携施設においても同様の対応が行われると考えております。

 家庭的保育事業の役割、そして、新規参入についてであります。家庭的保育事業は、家庭的な環境の中で子どもと密接にかかわりながら成長を支えていく事業であり、今後もそういった保育を希望する区民のニーズに対応していくべきものと考えております。家庭的保育事業を行う事業者に対しては5年間の経過措置が設けられている。この5年間の間に献立作成や調理員の確保策などの支援を行っていきたいと考えております。また、自園調理が困難な場合には、近隣の認可保育園などの連携施設からの給食搬入の仕組みを検討し、給食が適切に提供できるようにしていきたいと考えております。

 私からは以上です。

〔経営室長竹内沖司登壇〕

○経営室長(竹内沖司) 中野サンプラザの建物の状況についての御質問にお答えいたします。中野サンプラザは、昭和48年竣工の建築物であり、現時点で集客施設としての耐震性を有しており、株式会社まちづくり中野21から、近いうちに建物の躯体に係る大規模な改修や修繕が必要との報告は受けておりません。しかしながら、経年劣化に伴う設備の更新に係るコストは年々増加しており、建物全体の維持管理コストの増加要因となっていると聞いております。

 それから、情報公開についての御質問にお答えいたします。情報公開審査会には、区政情報の公開に関する条例にのっとり、専門的、公平・公正な視点から厳正な審査を行っていただいており、その答申は真摯に受けとめているところでございます。今回、答申された事案については、非公開決定を取り消し、公開決定したところでございます。答申の内容を踏まえ、提出資料の公開・非公開の取り扱いについて厳密に運用するとともに、プロポーザル等における提案募集に当たっては、応募する事業者へ情報公開制度の周知など配慮をしているところでございます。

〔都市政策推進室長長田久雄登壇〕

〇都市政策推進室長(長田久雄) 私からは、中野駅周辺まちづくりに関連した御質問についてお答えいたします。

 まず、サンプラザに係る要望書についてでございます。日本建築家協会関東甲信越支部より、「中野サンプラザの活用に関する要望書」を8月末に受け取ったところでございます。中野駅周辺まちづくりグランドデザインの改定において、中野サンプラザの保存活用の有効性をぜひとも再検討いただきたいとの内容でございました。区役所・サンプラザ地区再整備では、求心力のあるシンボル空間形成を目指しており、機能、品質、規模が充実した多機能複合施設の整備により、東京の新たなランドマークとしていく考えでございます。また、駅前立地にふさわしい土地活用や街区構成によって、安全で円滑な交通や活力ある都市活動の基盤となる次世代都市の骨格形成を目指すものでもあり、再整備は必要であるというふうに考えてございます。

 それから、再整備における選択肢の検討について、という御質問がございました。再整備の目標を達成するためには、新北口駅前広場も含め、一体的に整備していくのが妥当であるというふうに考えているところでございます。中野サンプラザが持っているシンボル性につきましては、何らかの形で活かすよう検討してまいります。

 次に、区役所移転と新体育館についての御質問がございました。新区役所と新体育館の配置のあり方や、周辺の地権者を含めた地区全体のよりよい都市計画のあり方などを検討した上で、配置方針を定めていく考えでございます。新体育館については、あるべき体育館像を検討しながら、必要な規模や機能を確保していきたいと考えているところでございます。

 それから、区役所・サンプラザ地区の再整備に関連して、国際ビジネス拠点の形成についての御質問もいただきました。中野駅周辺は、外国人にも働きやすく、過ごしやすい、質の高いビジネス環境整備やホスピタリティー豊かな都市づくりによって、国際ビジネス拠点、文化学術創出拠点の形成を目指しているところでございます。区役所・サンプラザ地区再整備は、その中核としての役割を担っており、このたび策定いたしました再整備基本構想などを通じて、目指す都市像を発信し続け、民間を巻き込んでいく取り組みが求められているところでございます。区が積極的に関与していくことが不可欠であるというふうに考えております。

 それから、中野駅南口まちづくりについての御質問がございました。再開発における組合、区、住宅供給公社の役割分担ということでございます。中野駅南口の再開発につきましては、土地区画整理事業と市街地再開発事業の一体的施行により施行することとしております。両事業とも地権者で構成される組合施行で実施いたします。また、中野区も地権者の一員という側面を持っているものでございます。都市計画行政を担う中野区としては、東京都とともに再開発の準備組合に対して、計画段階では技術的支援を行う立場にあり、現在準備組合とともに東京都等の関係機関との協議を進め、事業化の第一歩となる平成26年度末の都市計画決定に向けて手続を進めているところでございます。東京都住宅供給公社は、再開発の地権者の1人であり、市街地再開発事業区の南側に換地を受け、公社単独で公社中野駅前住宅の再編――賃貸住宅の建て替えということでございますが――を行う予定でございます。

 次に、現南口駅前広場の課題等についての御質問がございました。現在の南口駅前広場では、バス降車とタクシー乗降が二重停車となっており、バスから降りた客が歩道に出るためには、客待ちタクシーの間を通らなければならないという課題がございます。さらに、歩道では、バス降車客と通行人とで交錯や混雑が生じているなど、駅前の歩行者空間が不足しているという課題がございます。タクシープールがなく、客待ちタクシーが中央の植栽の周りで滞留しているという課題もございます。南口駅前広場の拡張整備により、バス・タクシー乗降場、タクシープールを適切に配置して、交通機能を強化するとともに、バス降車場や改札口付近は広い歩道を設けるなど、安全で快適な歩行者環境を形成することで、課題の解決を図っていけるものというふうに考えているところでございます。

○議長(伊東しんじ) 質問時間を終了しております。この先の御答弁は結構です。

 以上で森たかゆき議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 石 川 直 行

 1 「地域の底力再生事業助成」の中野区としての取り組み方について

 2 区民活動センター発行の広報紙について

 3 防災対策について

 4 その他

 

○議長(伊東しんじ) 次に、石川直行議員。

〔石川直行議員登壇〕

○9番(石川直行) 平成26年第3回定例会に当たり、みんなの党の立場から一般質問させていただきます。質問は通告のとおりで、その他はございません。

 まず、東京都が行っている「地域の底力再生事業助成」に関し、中野区としての取り組むべき課題についてお伺いいたします。

 この「地域の底力再生事業助成」の中野区内における利用実績は、平成22年度4回、平成23年度7回、平成24年度11回、平成25年度11回、平成26年度上半期にて8回と伸びており、中野区内においても周知され、定着してきていると考えますが、対象が中野区町会連合会、地区町連、単一町会と、120を超える団体数となっておりますので、利用率から見ると10%未満であります。

 そこでお伺いいたしますが、中野区としてこの「地域の底力再生事業助成」の事業件数を、内容も含め、どのように把握しているのでしょうか。

 また、この申請をする際の事業区分は、1、防災・節電活動、2、青少年健全育成活動、3、高齢者の見守り活動、4、防犯活動となっております。それぞれの地域が課題や重要性を持って取り組んでいる事業区分を、担当である地域支えあい推進室として各分野へ情報提供しているのでしょうか、お伺いいたします。

 また、各分野にて地域の取り組みを今後どのように生かしていくつもりなのかお伺いいたします。

 この「地域の底力再生事業助成」を比較的多くの町会・自治会が利用している杉並区では、町会等が申請する場合、中野区の区民活動センターに当たる7カ所の地域区民センターで、杉並区の職員がフェース・ツー・フェースのもと、事業内容や申請書作成のための個別相談を行っているとのことです。もちろん中野区としても、相談があれば都度相談に乗っていることと思いますが、今以上に積極的に取り組みにかかわることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

 また、大田区では、年4回の募集に大田区としてまとめ、一括提出しております。メリットとして、申請書類の不備の点検・確認が行えること、そして、それ以上にそれぞれの地域がどういった事業を申請しているのかを把握することにより、それぞれの地域課題や地域事情、また、その時々の関心を持っているテーマなど、時流を推察できるとのことでした。さらに、助成対象事業の内容を事例にまとめ、町会連合会へフィードバックしております。このことにより、どのような事業が申請可能なのか、また、多様な発想による事業がどのくらいあるのか、地域間の情報の共有が図られることにより、申請書類の作成から実施、報告に至るまでの過程がわかり、事業申請のハードルが下がるのではないでしょうか。

 区長は、さきの第2回定例会における私の、「区が進めるべき目標に対し、区民に対する助成のメニューをふやすなど、動機づけとなる支援を行い、さまざまな行動を導き出していかなければならないと考えます。区民が、区にはない自由な発想で自立的な事業を行おうとする際、例えば行政手続の手助けやアドバイスなど、できるだけ実現できるよう支援する必要があるのではないか」との一般質問の問いに、「団体が公益的な活動を行うに当たっては、さまざまな助成制度の紹介をはじめ、手続の支援や関係機関との調整にもしっかり取り組んでいきたい」と答弁されております。杉並区、大田区の取り組みを御紹介させていただきましたが、この2区の事例を引き合いに出すまでもなく、中野区としてさらに積極的・能動的に取り組むよう関係部署へ指示していただきたいと改めて要望いたしますが、区の見解をお伺いいたします。

 次に、各区民活動センターが発行している広報紙についてお伺いいたします。

 区民活動センターが運営委員会によって運営され、4年の歳月を経て、地域課題に沿った自主的な活動が顕著に見られるようになりました。事務局員の雇用期間、いわゆる雇い止めに関する課題などがあるものの、各区民活動センターとも確実な進化を果たしていると実感しているところであります。

 さて、区民活動センター業務委託仕様書によると、地域情報の収集・提供が盛り込まれており、年3回の発行と年間3,500部以上の発行部数が条件となっています。また、中野区区民活動センター条例によれば、地域の課題の解決に向けた地域住民の自主的かつ主体的な取り組みを促進するため、地域住民による地域自治の活動の拠点として中野区区民活動センターを設置するとしています。各区民活動センター発行の広報紙を見ますと、それぞれ独自の創意工夫がされており、また、地域のさまざまな事業や催し物が掲載され、毎回大変楽しみに拝読しております。

 さて、この広報紙ですが、幾つかの区民活動センター運営委員会より、広告掲載の希望が出ているようです。地域内のなじみのある企業や店舗等の紹介が中心となると思われますが、一方では広告収入による自主財源の確保も要素としてあるのではないでしょうか。現在の委託料収入の中で、地域センター当時からの事業について規模を維持しながら継続するためには、どうしても人件費に係る部分が不足しているようです。例として、地区まつり等の行事の場合、地域センター当時は、センター職員総出で支援をしていただきましたが、現在はセンター常駐の職員2名がお手伝いとして手助けをしていただいているのが現状です。そのためシルバー人材センターをはじめとして、要員を確保するための人件費が必要となっております。また、要員確保が困難との理由が、事業継続をする場合の足かせとなってはなりません。広告収入を得るという発想は、自主財源の確保を目指し、新たな事業展開を見据えた、まさに自主的かつ主体的な取り組みの考え方が芽生えた結果とも言えます。

 そこでお伺いいたしますが、区民活動センター運営委員会が広報紙に広告を掲載し、収入を得ることは可能でしょうか、お伺いいたします。

 また、この際における広告スペースと紙面の割合や広告掲載料金等、一定のルールづくりが必要です。区として、指針もしくはルールの案など、運営委員会に示すことが肝要であると考えますが、いかがでしょうか。区としての見解をお伺いいたします。

 次に、防災対策についてお伺いいたします。

 昨日、東京新聞にて、洪水ハザードマップ配布について、区長みずから写真つきで紹介されていました。我々は現在、自然の驚異や地球の息吹をとめる力を持ち合わせてはいません。しかしながら、災害が起きたときに被害を未然に防ぐ方法や被災を免れる知恵は持っています。今回の洪水ハザードマップ作成も一つの方法と評価します。

 さて、荒川区では、東京都の地域防災力向上モデル地区に指定され、町会や消防、警察等の関係機関とともに、地域防災力向上のための取り組みについて2年間にわたり検討してきました。その検討の結果として、災害時における安否確認の方法の確立が重要であるとして、安否確認が必要な住宅と必要としない住宅を容易に識別できる、この「無事ですシール」を区内全域に今年度9月から配布することを決定しました。また、東京防災隣組認定団体活動事例集の中では、過去3年間で認定された143団体のうち、8団体で独自に安否確認用の無事を知らせる用品として、マグネットシート、旗、ステッカーなど工夫を凝らして作成・配布をしております。中野区としても、地震発生の瞬間には一人ひとりが自分や家族の命を守り、次に地域全体でまちを守る、この自助・共助の行動がとれるよう、公助としての役割を確実に実施していくとしています。災害時に各防災会は、自助として自身の身と家族の安全を確保し、隣近所、災害時救援希望者の安否確認、そして、現在計画中の災害時避難行動要支援者3万人の安否確認などを行い、その上で避難所開設・運営をしていくという大変重要な役割を担っています。被害を減らし、スムーズな避難所運営に移行し、復興へとつなげていかなくてはなりません。そのためには、初期段階での無駄のない行動が求められます。この「無事ですシール」を玄関ドアなどの見やすい場所に貼付することで、安否確認が必要な住宅を特定することができるため、防災関係機関及び防災会、近隣住民等が効率的に救助活動を行うことができます。荒川区をはじめ、各地域で工夫を凝らしている安否確認用の用品作成を検討するべきと考えますが、中野区としての見解をお伺いして、全ての質問を終了させていただきます。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 石川議員の御質問にお答えいたします。

 地域の底力再生事業の関連であります。事業件数の把握についてであります。東京都からの通知によって助成団体と事業名を把握しております。また、助成対象団体から相談があったところについては、詳しい事業についても把握しているところであります。私自身、事業の現場にお招きをいただいたりする機会などもあり、事業の成果を評価するとともに、関係者の御努力について敬意を感じているというところでございます。

 また、各分野への情報提供及び今後の活用についてであります。現在は、地域支えあい推進室から庁内の関係部署への情報提供は行っておりませんが、今後は地域の底力再生事業の助成制度をはじめ、他の助成制度についての情報も提供していきたいと考えております。

 また、事業をする際の相談への対応についてであります。現在も相談があれば、区民活動センターの運営委員会や区職員が、助成要件や必要な手続の案内をしているところです。今後は、区民活動センターの職員が運営委員会と連携し、地域の事業の企画段階から助成制度の活用を提案するなど、積極的に取り組んでいきたいと考えております。

 新たな申請の拡大についてであります。町会・自治会の活動の活性化や、地域における公益活動に資する地域の底力再生事業助成については、今後も町会・自治会への情報共有を図っていくとともに、申請手続の作成などについても必要に応じ支援・助言をしてまいります。

 また、庁内全体の取り組み強化としては、公益活動団体を対象とした各種助成制度については、庁内関係部署が十分に内容を把握した上で、団体に対して情報提供・情報共有をするなど、公益活動団体の活動支援を庁内各部署が連携して進めていきたいと考えております。

 私からは以上です。

〔地域支えあい推進室長瀬田敏幸登壇〕

○地域支えあい推進室長(瀬田敏幸) 私からは、区民活動センター発行の広報紙に関連しての御質問にお答えいたします。

 まず、広告掲載の可否と収入の点についてのお尋ねでございます。当初から地域ニュースなどに広告を載せることは可としており、運営委員会の自主性に任せているところでございます。ただし、地域ニュースの紙面など全体の内容構成などにつきましては、区民活動センターの運営方針などを踏まえていただく必要があると考えてございます。

 また、掲載に当たっての区からのルールづくりなどの提示についての御質問がございました。区といたしましては、各運営委員会での御判断によりまして、必要に応じて区報の料金基準などの情報も提供してまいりたいと考えております。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

〇都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、防災対策についての御質問にお答えいたします。安否確認用品の作成についてでございますけども、近隣のコミュニティが安否確認を行うことは、発災早期の対策として有益であり、その際無事であることをみずから情報発信する方法を講じることも必要だろうと考えております。災害時の安否確認のあり方や要支援者の支援のあり方につきまして、さらに研究してまいりたいと、そのように考えております。

○議長(伊東しんじ) 以上で石川直行議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 市 川 みのる

 1 国家戦略特別区域について

 2 地域包括ケアシステムについて

 3 住民自治と団体自治について

 4 その他

 

○議長(伊東しんじ) 次に、市川みのる議員。

〔市川みのる議員登壇〕

○35番(市川みのる) 最初に、国家戦略特別区域、いわゆる国家戦略特区のビジョンについてお伺いいたします。

 先般、第2次安倍改造内閣が発足し、自由民主党の石破茂前幹事長が地方創生担当及び国家戦略特別区域担当大臣として起用されました。9月3日に行われた就任会見で、地方創生については、元気で豊かな地方の創生のため、関係大臣と協力して総合的な施策を立案して実施すること、国家戦略特別区域については、社会・経済の構造改革を推進し、産業の国際競争力の強化と国際的経済活動拠点を形成することを総理から託され、このうち国家戦略特区については、時間、選択肢、財源が限られている中、いかに効果的に、いかに早急にこの問題に取り組むかが責務であり、そのために力を尽くしたい、また、現時点で6カ所指定されている特区ごとの区域会議を強化していかなければならない、といったことを語られておりました。さきの第2回定例会一般質問において、私どもの会派、いでい良輔幹事長は、この国家戦略特区を取り上げ、「区域の指定に向けて働きかけ、国家戦略特区として中野区の経済活性化を図るべき」と投げかけ、区長からは、「地域経済の活性化やグローバルな都市活動拠点の形成に向けて、国家戦略特区における規制改革等を活用し、着実かつ発展的な取り組みを推進していきたい」とお答えいただいているところであります。

 中野区の区域指定については、舛添東京都知事からも、区の意向を受けて取り組んでいきたいとの考えが示されておりまして、国家戦略特区の指定に一歩近づいた印象を持っております。それだけに、中野区がどのようなビジョンを持って取り組もうとしているのか、これが大変重要であります。東京都に提出されました提案書を垣間見ますと、国家戦略特区における規制改革等を活用し、中野のポテンシャルを最大限に引き出すプロジェクトによって、都市のグローバル化を推進し、東京、中野、日本の国際競争力の強化や多文化共生社会の実現を目指すとあります。言い方としてはこうなるんだろうと思いますが、もっとインパクトのある、都や国を動かし、民間をも巻き込んでいくような構想を打ち出すぐらいのものがないと、幾ら特区で規制緩和をしても、人・物・金は動かないわけであります。この国家戦略特区で中野区をどういった方向に導きたいのか、まず区長の見解を伺いたいと思います。

 既に区域指定を受けている9区、これは東京の新しい都市ビジョンの中でも、センター・コア再生ゾーンや東京湾ウォーターフロント活性化ゾーンとして、国際競争力を強化する上で特に重要なエリアに位置付けられております。このエリアでは、このたびの国家戦略特区以前にもさまざまな制度や施策を適用して都市づくりが進められており、特に都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域の指定によって、大手町・丸の内・有楽町、いわゆる大丸有地区では連鎖型開発が進み、品川駅、田町駅付近では、新駅構想など都市構造そのものを変えていく、非常に大胆で大規模な都市開発が行われようとしています。国家戦略特区でも、都市再生、まちづくりにおける規制緩和がうたわれていますが、そもそも都市再生緊急整備地域とはどう違うのか、制度の概要を説明いただいた上で、中野区はこの都市再生緊急整備地域の指定についてはどのように考えているのか、2点目、ここを伺いたいと思います。

 国家戦略特区の区内展開について触れてみたいと思います。

 さて、冒頭で紹介いたしました石破茂大臣の就任会見では、国家戦略特区は、経済・社会の構造改革を推進し、産業の国際競争力の強化と国際的経済活動拠点を形成すると述べられています。先行する9区の例からも、中野区が区域指定されれば区全域ということになるだろうと思われます。中野駅周辺を起爆剤にして、中野区全体の均衡ある発展を図りたいというのは大変大事なことではありますが、中野駅周辺以外の地域においても、30年、50年先を見越した取り組みが必要ではないかと思います。

 先日行われた定例会閉会中の建設委員会で10か年計画の実施状況が報告され、私は、交流拠点のまちづくりの推進に位置付けられている、その交流拠点とはどこなのか、東中野なのか、中野坂上なのか、その他の交流拠点はどうなのか伺いましたところ、明確な答弁、回答は得られませんでした。しかし、実際には、中野区都市計画マスタープランには、区内の交流拠点として東中野駅周辺、中野坂上駅周辺、野方駅周辺などが位置付けられ、例えば中野坂上駅周辺地区においては、大規模な再開発が既に行われて、拠点としての空間が整備され、都営地下鉄大江戸線の開通による利便性の向上から企業の立地が進み、まちが進化していきました。そして、いずれは首都高速道路中央環状品川線の開通により、羽田空港から中野坂上までの所要時間は20分余りとなり、中野駅周辺と並ぶ拠点性が発揮できるまちとなります。こういったことを生かす取り組みも可能となってくるでありましょう。同様に野方や東中野、鷺宮なども、地区ごとに生かすべき特色を十分に備えているまちであると私は思います。これら交流拠点においても、国家戦略特区に基づいた各拠点の特色に応じた取り組みがされるのでしょうか。さらに、交流拠点以外の地域においても、国家戦略特区に基づいてどのようなことが行われるのか、具体的にお答えください。

 次に、国家戦略特区により実現することについて伺いたいと思います。地方創生と国家戦略特区、一見して相反するようにも思えますが、どちらも人口減少、少子高齢化社会を背景として、人材の流通や地域経済の活性化を促す仕掛けであることは間違いありません。中野区内の企業や事業所の潜在力、可能性を引き出し、そのことによる区民生活の安定、さらにはレベルアップが求められているのであり、国家戦略特区だからといって外国の企業だけを見ていればよいのではないはずであります。

 もう少し具体的にいいますと、例えば、次の質問項目で質問を予定しております地域包括ケアシステムに関して、システムを有効に機能させるために必要な民間事業者の参入促進に向けた規制緩和、こういったことが実現すれば、区民生活の安定とレベルアップに大きくつながるのではないでしょうか。これは、住まう場として、暮らす場として、中野区の質を向上させることとなり、あわせて経済活動の拠点の形成が実現されるならば、都心部にはない職住近接の新しいスタイルを提示できるかもしれません。国家戦略特区は、区民の生活基盤を整え、まちの活性化に寄与するものでなければならないと思いますが、そうした区民生活へのメリットは、具体的にどのようなものがあるとお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。

 これまでの枠にとらわれない大胆な発想で、中野区らしい国家戦略特区を形成していき、その効果は区内全域に行き渡る、そんな意気込みと、より多くの人を巻き込んでいく影響力を発揮しながら推進されますことを願いまして、この項の質問は終わります。

 高齢者が住みなれた地域で生活を継続できるようにするため、介護、医療、生活支援、介護予防を充実させる、いわゆる地域包括ケアシステムは、平成23年6月に成立した介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律によって、法律上の位置付けがなされたところであります。さらに、本年6月に成立した地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律によりまして、平成18年度から創設された地域支援事業の大幅な見直しなどが来年度から施行されることとなりました。地域包括ケアシステムの構築につきましては、目下全国の基礎自治体でその取り組みが急がれております。

 私は、先日、自由民主党の武見敬三参議院議員から、大田区大森医師会の関係者の皆様方の御尽力、御努力に対してのお話を伺う機会を得ました。大田区では、厚生労働省の地域診療情報連携推進費補助金を活用しながら、医師会、歯科医師会、薬剤師会、地元大学病院が、大田地域医療連携ネットワークの確立に向けて準備を進めておられます。参加者がVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)、これの接続を用いて処方箋情報を保存するとともに、医科、歯科、薬科の連携を活性化し、もって治療の適切化による患者の健康増進を目指しているそうであります。

 そこでお尋ねいたします。中野区でも平成24年度から在宅療養推進協議会などを設置して、多職種連携のあり方を検討していると伺っておりますが、大田区と同様なネットワークを構築できるように研究をし、関係機関の支援に取り組んではいかがでしょうか、御見解を伺います。

 次に、地域包括ケアシステムについては、中野区でも第7期保健福祉審議会での議論を踏まえながら検討を深められております。この検討に当たりましては、他の自治体が支援の対象を高齢者のみに限定しているのに対しまして、中野区長は、地域支えあいの理念に基づき、広く支援を必要とする区民、すなわち高齢者、障害者、支援を必要とする子どもやその保護者を対象として、総合的で包括的な地域ケアの体制づくりを進められております。国から示された通知やマニュアルを引き写すのではなく、地域自治の観点からニーズを掘り下げておられることは高く評価しているところであります。そうであるとするならば、中野区における地域包括ケアシステムには、医療、介護、福祉における多様な職種とその幅広い連携が、より一層、他の自治体以上に不可欠となってまいります。

 そこでお尋ねいたします。実際に連携を進める医療、介護、福祉の関係団体として、具体的にどのような機関、人材の活用を考えておられるか。例えば、「コ・メディカル」と呼ばれる医療従事者がおられます。医師の指示のもとに業務を行うスタッフもあれば、接骨院、整骨院を独立して開業し、地域に施術を提供する柔道整復師などもこの「コ・メディカル」に属します。医療分野における高度化・複雑化によって、これまで医師のみが従事していた業務においても細分化・分業化が進んでいるところであります。「コ・メディカル」の医療従事者にも積極的に加わっていただき、効果的な連携の実現に寄与していただくことも有効と考えますが、いかかでしょうか、御見解を伺います。

 地域包括ケアシステム実現のためには欠かせないツールである地域ケア会議につきまして、平成27年度の開始に向けて、現在その詳細を検討されているようでございます。日常生活圏域である各すこやか福祉センターを単位として、地域課題の発見とネットワークの構築、地域づくりと地域資源の開発機能を担う「すこやか地域ケア会議」と、区全域レベルにおいて包括的な地域ケア体制の確立に向けた政策提言、事業計画に対する助言などを行う「中野区地域ケア会議」の二層で構成するイメージのもと、多職種・多機関の連携による会議として充実させるべく、既に検討に着手している旨伺っております。

 そこでお尋ねいたします。地域ケア会議は、多職種の協働によるケアマネジメント支援やネットワークの構築につながる、実効性ある会議体とすべきであると思いますが、具体的な構成団体など、いかがお考えでありましょうか。現在における検討状況をお聞かせ願いたいと思います。

 次の項、住民自治と団体自治についてお尋ねいたします。私どもの会派の大内しんご総務会長のほうからも、区民活動センターの事務局員の充実についての質問がありましたので、また角度を変えて住民自治という角度から質問をさせていただきたいと思います。

 一般的に地方自治の本旨とは、団体自治、住民自治の二つの要素から成ると言われています。住民自治とは、地方における行政を行う場合に、その自治体の住民の意思と責任に基づいて行政を行うという原則を指すとされます。この住民自治の発展こそが、今日、防災や見守り・支えあいなど、さまざまな場面において要請されているところであると考えます。中野区では、区民活動センターを地域住民の活動拠点として条例で定めました。活動センターの地域に存在する地縁団体の連合組織から推薦された方々を中核として運営委員会を結成し、中野区はこの運営委員会に区民活動センターの運営を委託する仕組みになっているのが現状であります。この運営委員会こそが、まさに中野区独自の住民自治の仕組みそのものであります。この仕組みでは、区民活動センターの設置主体者は中野区、事実上の運営は運営委員会となっています。当然のごとく住民自治としての主体性を、運営委員会を構成する地域の住民側は主張されることになります。要するに、この主従関係はどのようなものであるかが問われる場面に突き当たることがあるわけであります。

 その一つが事務局員の雇用の問題であります。事務局員は、区の運営指針により最高連続4年まで年度ごとの契約を結び、事務に従事するとされております。したがって、運営委員会が仮に同一の人材と雇用関係を4年以上にわたって結びたいと思っても許されません。なぜかといえば、これは労働契約法上、1年間限りの有期の雇用であっても、雇用関係が反復して5年を超えた場合は無期の常勤雇用になってしまうからにほかなりません。この法律の壁が運営委員会の独自性とか主体性を妨げることになります。これは承知をしているところでありますが、実際の現場では必ずしもそれが十分に理解され、納得されているとばかりは言えないようでございます。事務局員の雇用について、大変よくやってくださった事務局の方の雇用を、4年の上限だからといって打ち切るのは忍びない、もっと運営委員会の裁量、意思が尊重されるべきではないか、といった声も聞こえてきます。実際のところ、運営委員の在任期間を事務局員の在任期間が上回る逆転現象も、まだこの間の3年では発生していないといった事情も一つあります。区民活動センターの設置目的に照らせば、地域住民の主体性・自主性を尊重し、地域特性を生かした運営の工夫等ができてしかるべきであります。でなければ、地域自治の拠点とは呼べないことは承知の事実でございます。そして、実際に取り組んできた運営委員会や地域の方々には、中野区からの提案に応じてそれを実践してきたという自負も芽生えております。実績が上がってきたという実感もあります。

 そこで伺いますが、このような観点から見た場合、住民自治の推進の一翼を担う運営委員会の権能、裁量はどこまで許されるのでしょうか。区と運営委員会とがそれぞれ受け持つ範囲、両者の関係はどういうことになるのでしょうか。団体自治をつかさどる自治体として、中野区がつくった仕組みであります。中野区が設置した公の施設である区民活動センターについて、その運営を住民組織に任せたという関係にあるわけでございます。その狙いの達成に向け、運営委員会の主体性、裁量が十二分に発揮されるよう配慮すべきと考えますが、御見解を伺います。

 区民活動センター運営委員会については、事これだけにとどまらない取り組みを区はしてきました。すなわち、地域支えあい推進室を新たに設置し、すこやか福祉センター構想を構築して、その推進体制を整えてきたのが現実です。その一環に区民活動センターは位置付けられました。中野区が運営委員会という場を設けて、地域の住民の方々による支え合いの取り組みをはじめとする地域力の向上、住民自治のクオリティーを高めることを目指してきたのでございます。地域住民自治の主体だと思ってやってきたその方々が、今、運営委員会という任意の自主組織の運営の中身である事務局員の雇用について、頭を悩ませている実情にあります。区民活動センターがスタートして以来、さまざまな議論があって、事務局員の雇用の年数については4年を上限とするルールに落ち着いたところであり、この点をないがしろにすることはよろしくないことを、ここではお断りしておきます。

 さて、このルールを堅持したまま、しかし、運営委員会の自主性・主体性をより発揮しやすくする運用はできないものなのか。運営委員会の裁量の余地を拡大する方法はないものなのか。3年が経過したこの時期に、そうした点についても総括すべきではないかと考えますが、御見解を伺いたいと思います。

 確かに一部の特定の人に地域のことが集中してしまうことは、望ましくないことは承知しております。それは、地域地縁の方々でつくる団体の連合組織を中核にして運営に当たるとしたことにも反します。しかし、そうした望ましくない事態の発生を未然に防げるようにしていくことも欠かせないことでございます。リスク対策は欠かせないことでございますけども、確率的に少ない小手先のことばかりに目を奪われてしまって、順調に進んでいる場合への配慮がおろそかになってもいけないと思います。現状では、多くの運営委員会の方々は事務局の方々とうまくいっている。地域の自治の推進に貢献いただいているといった実感があると思います。そして、それが望ましい状態であったはずであることは申すまでもありません。中野区は、今、望ましい状態をしっかりと展開していけるようにしなければいけません。区民活動センターをスタートさせた時点と、地域の方々が実際に取り組みを進めてきた現在とでは、状況が異なってきた部分もあります。そうした実情の変化を踏まえた場合、必要に応じて改善すべき点が出てくることもあるのは当然の帰結です。

 この時期に中野区の役割と住民ないし運営委員会の役割、そして、相互の関与の範囲などについて改めて整理をしていってもらいたいと要望しておきたいと思います。15の運営委員会の方々が、本当にやってよかった、地域のためになってよかった、力になったと実感することのできる区民活動センターの運営委員会にしていってもらいたいのでございます。切に要望して、この項の質問を終わります。

 また、各項の質問につきまして、詳細につきましては決算特別委員会の総括質疑で触れさせていただきたいと思います。

 どうも御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 市川議員の御質問にお答えいたします。

 まず、国家戦略特別区域についてであります。国家戦略特区のビジョンについて。2020年東京オリンピック・パラリンピックをきっかけとして、さらに将来のまちの発展を実現していくためには、外国人を受け入れる観光の振興、都市交通の整備、まちの安心・安全、生活の利便性向上、多様な文化への対応など、さまざまな対応が必要だと考えております。こうした区政課題に対応していくに当たって、国の成長戦略の目玉とされる国家戦略特区を活用し、次世代にわたるグローバル都市のモデルとして、東京や日本の国際競争力の強化を牽引していく職住近接型の拠点形成を目指していきたいと考えております。

 都市再生緊急整備地域との違いについてであります。都市再生緊急整備地域は、都市再生特別措置法に基づき、都市の再生の拠点として、都市開発事業等を通じて緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域として政令で定める地域で、都内では東京都心・臨海地域など7カ所が指定されております。緊急整備地域では、既存の用途地域に基づく容積率や高さ等の規制を適用除外とした上で、自由度の高い計画を定めることができる都市再生特別地区を都市計画として定めることができ、認定された民間事業者が受けられる税制措置や金融支援などが制度化されております。産業の国際競争力の強化に向け、幅広い分野において総合的な施策展開を図る国家戦略特区に対し、緊急整備地域は、都市機能の高度化や都市居住環境の向上といった都市再生を目的としている点が大きな違いであります。重点的に取り組むべき中野駅周辺のまちづくりをさらに前進させるためには、都市再生緊急整備地域の指定は不可欠であると考えており、条件整備や調整に取り組んでまいりたいと考えております。

 交流拠点などにおける展開についてであります。国家戦略特区は、区内の地区を限定したものではないものであります。また、拠点の整備だけでなく、幅広く産業振興や地域活性化の方策を包含しております。都市計画マスタープランにおいては、東中野駅周辺、中野坂上駅周辺、新中野駅周辺、新井薬師前駅周辺、野方駅周辺、鷺ノ宮駅周辺などについて交流拠点と位置付け、商業・業務施設や交流などの集いの場、地域に根差した文化活動の場などの集積を図り、生活、仕事、交流、文化活動を支える拠点として育成・整備するとしております。そうした観点から、国家戦略特区の展開にあっては、産学公連携に基づいて民間活力の活発な活動を促し、各地区ごとの特徴を踏まえながら、区内全域を視野に入れて地域経済の活性化を図ってまいります。

 区民生活へのメリットについてであります。中野駅周辺まちづくりグランドデザインバージョン3では、将来像の一つとして最高レベルの生活空間を掲げ、安全性や快適性の向上、商業空間の拡充、生活サポートや健康サポートの構築、また、多世代居住促進による地域形成の方向性を持った取り組みを推進していく考えであります。これは、中野駅周辺のまちづくりから区内全域に波及させていくべき将来像と捉えております。区が提案している職住近接型の拠点は、ビジネス環境のみならず、生活環境の向上にも着目したものであり、働く、住む、楽しむ、学ぶといったことが融合することで相乗効果を生み、魅力ある都市を形成していくと考えております。国家戦略特区を活用して民間投資や業務・商業などの集積を促していくことで、地域経済の活性化や地域における雇用の創出、あわせて区民の生活利便性の向上を図っていきたいと考えております。

 次に、地域包括ケアシステムについてであります。医療連携ネットワークについて、大田区の事例を挙げての御質問でありました。中野区の在宅療養推進協議会では、現在のところITを活用したネットワーク構築に向けての具体的な議論はまだ行われておりません。情報共有のためのツールは、連携を図る上で必要であるとの認識がございます。難病や小児慢性医療もカバーする在宅医療の取り組みでは、既に多様な連携シート――紙ベースですけれども――が使われております。今後の課題として、これらに関してITを活用していく、そうしたことも視野に入れた検討を行っていく必要があると考えております。

 それから、医療・介護・福祉連携とコ・メディカルの活用についてであります。平成24年度から区が実施しております在宅療養、摂食・えん下機能支援両推進協議会には、医師会、歯科医師会、薬剤師会をはじめとして、医療と介護にかかわる多くの職種が参加し、区民が安心して在宅療養生活を送るために必要な課題の分析や研修等を行っております。この活動を通じて、各職種の役割をお互いに理解し、連携が深まりつつあり、一定の成果も上げてきていると評価しているところであります。今後、こうした医療・介護・福祉の連携を構築していく上で、柔道整復師等も含めた幅広い連携やさまざまな職種の活用を、これまで以上に一層力強く進めていくべく検討を行ってまいります。

 それから、地域ケア会議についてであります。区では、高齢者だけでなく、障害者や支援の必要な子どもやその保護者など、広く支援を必要とする区民を対象とした包括的な地域ケアの取り組みを推進する手段として、地域ケア会議を設置するものとしております。現在、運営方法や構成員等について検討を行っているところでありますが、地域ケア会議の役割として地域課題の解決やネットワークの構築が重要であることから、医療・介護・福祉にかかわる多職種・多機関の団体や地域福祉にかかわる活動団体等、幅広い関係者で構成することを考えているところであります。

 次に、住民自治と団体自治をめぐって、区民活動センターの運営委員会と区との関係、運営委員会の裁量拡大についてであります。運営委員会は、区民活動センターの目的の実現に資するよう、地域の特性を生かした創意工夫のある運営をしていただくものと考えております。公の施設としての区民活動センターという性格から、一定の制約はあると考えておりますが、運営委員会の自主性・主体性については最大限発揮できる仕組みとしていきたいと考えているところであります。

 運営委員会そのものが、年々構成が変化する中、事務局職員については単年度雇用を大原則としており、連続5年を超えた雇用は自動的に期間の定めのない雇用になるという法の趣旨から、4回までの任用という点を動かすことはできない、そのように考えております。しかしながら、雇用による以外の事務局スタッフの確保でありますとか、あるいは、地域間での人材交流であるとか、運営委員会の考え方で工夫ができる余地も検討し得ると考えております。運営委員会を核とした地域の自主的・主体的な取り組みがさらに発揮されるよう、運営委員会からの声もよく伺い、これまでの3年間の検証も踏まえながら改善に取り組んでまいりたいと考えております。

〇議長(伊東しんじ) 以上で市川みのる議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇議長(伊東しんじ) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、9月16日午後1時より、本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後4時37分延会