平成15年02月21日中野区議会本会議(第1回定例会)
平成15年02月21日中野区議会本会議(第1回定例会)の会議録

1.平成15年(2003年)2月21日、中野区議会議事堂において開会された。

1.出席議員(41名)

  1番  吉  原     宏        2番  伊  藤  正  信

  3番  きたごう  秀  文        4番  高  倉  良  生

  5番  やながわ  妙  子        6番  鈴  木  光  子

  7番  佐  伯  利  昭        8番  平  島  好  人

  9番  むとう   有  子       10番  長  沢  和  彦

 11番  牛  崎  のり子        12番  山  崎  芳  夫

 13番  高  橋  ちあき        14番  市  川  みのる

 15番  岡  本  いさお        16番  こしみず  敏  明

 17番  飯  島  きんいち       18番  小  串  まさのり

 19番  はっとり  幸  子       20番  佐  藤  ひろこ

 21番  来  住  和  行       23番  若  林  ふくぞう

 24番  古  木  謙市郎        25番    欠    員

 26番  斉  藤  金  造       27番  斉  藤  高  輝

 28番  大  泉  正  勝       29番  柿  沼  秀  光

 30番  木  村  勝  昭       31番  細  野  たいじ

 32番  岩  永  しほ子        33番  昆     まさ子

 34番  小  池  ひろし        36番  伊  藤  岩  男

 37番  西  村  孝  雄       38番  江  口  済三郎

 39番  藤  本  やすたみ       40番  川  上     進

 41番  近  藤  正  二       42番  江  田     徹

 43番  池  田  一  雄       44番  小  沢  哲  雄

1.欠席議員(2名)

 22番   樋  口  きこう        35番  岩  田  みつる

1.出席説明員

 中 野 区 長  田 中 大 輔      助役       内 田 司 郎

 収入役      藤 原 惠 一      教育長      沼 口 昌 弘

 政策経営部長   渡 辺 征 夫      企 画 課 長  金 野   晃

 総 務 部 長  山 岸 隆 一      総 務 課 長  田 辺 裕 子

 区 民 部 長  鈴 木 勝 明      地域センター部長 柳 澤 一 平

 環 境 部 長  西 條 十喜和      保健福祉部長   石 神 正 義

 保健担当部長   青 山 キヨミ      都市整備部長   石 井 正 行

 土木担当部長   那須井 幸 一      教育委員会事務局次長 山 下 清 超

 選挙管理委員会委員長 諏 佐 剛 夫

1.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  正 木 洋 介     事務局次長    佐 藤 栄 時

 議事調査担当係長 大 谷 良 二     書     記  大 石 紀 久

 書     記  巣 山 和 孝     書     記  永 田 純 一

 書     記  長 崎 武 史     書     記  松 原 弘 宜

 書     記  西 田   健     書     記  岩 浅 英 樹

 書     記  飯 田 浩 一     書     記  佐 藤 雅 俊

 書     記  松 本 桂 治     書     記  吉 田 哲 郎

 

 議事日程(平成15年(2003年)2月21日午後1時開議)

日程第1 第5号議案 平成15年度中野区一般会計予算

     第6号議案 平成15年度中野区用地特別会計予算

     第7号議案 平成15年度中野区国民健康保険事業特別会計予算

     第8号議案 平成15年度中野区老人保健医療特別会計予算

     第9号議案 平成15年度中野区介護保険特別会計予算

 

      午後1時02分開議

○議長(斉藤金造) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の議会に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 来 住 和 行

 1 区長の政治姿勢について

 2 福祉施策の充実について

  (1)介護保険料、利用料について

  (2)支援費制度について

 3 区民健診・がん検診の無料を継続することについて

 4 「区立学校適正配置検討プロジェクトチーム報告」について

 5 若者の就職・雇用支援について

 6 18歳選挙権と投票権行使について

 7 山手通りの環境・安全対策について

 8 その他

 

○議長(斉藤金造) 最初に、来住和行議員。

     〔来住和行議員登壇〕

○21番(来住和行) 2003年第1回定例会に当たり、日本共産党区議団の立場から一般質問を行います。

 まず、区長の政治姿勢についてであります。

 施政方針で田中区長は、「経済情勢は一向に好転の兆しが見えず、日本経済と社会の将来に対する不安がますます広がっているように感じます。」と説明されましたが、一向に好転の兆しが見えないどころか、区民の暮らしを直視すれば、そこから深刻な景気の悪化は明白です。暮らしの深刻さと厳しさは、区民1人の当たりの平均年間給与収入が、2002年は98年より10万3,000円のマイナスとなったことからもうかがえます。

 ここで区長に聞いてほしい文集がありますので、御紹介させていただきます。

 「父は僕が中学2年に突然亡くなった。それまで生きていることが、自分に父親がいることが当然だったのに。

 遺書はなかった。誰も父の死を自死と決めつけることはできない。しかし1千万円を超える借金、そして保険の額は1,500万円。父の死ぬ前日、数年間一緒に風呂なんて入っていないのに、なぜか僕が入っているところに入ってきた。でも僕は中学2年で恥ずかしかったので、すぐ出てしまった。今思うと、最後に思い出というか、思い残しをしないようにしていたと思う。その最後に、僕と一緒に風呂に入りたかったんだと思う。

 僕は今とても後悔している。なんで一緒に風呂に入っていられなかったんだろうって。もしその時に父に一言言うことができたなら、背中を流しながら、「長生きしてね」って言うことができたなら、父は死ななかったんじゃないかなって。僕は今とても後悔している。あのたった数分の出来事を、僕が何もできなかったことを。」

 これは、親の死を自殺と言えない、その苦悩を抱えながら生きている子どもの文集の一部です。

 全国で、毎年、3万人を超える自殺者。中野区内においても、働き盛りの40代、50代の自殺者がふえています。私は、これ以上、このような悲しみを抱える家族を絶対に出してはならないと思います。区長はどのようにお考えになりますか、まずこのことをお伺いしたいと思います。

 生活保護者数も、この5年間で1,042人ふえ、4,392人となっています。2000年の国勢調査では、区内の完全失業者は1 万190人、率で5.49パーセントと、23区中、ワースト5です。区内の企業倒産は、99年から2001年までの3年間で174件と、増加しています。これに伴い、国民健康保険の加入者がふえるとともに、保険料の滞納件数もこの5年間で3,697件もふえています。

 区民生活が目に見えて苦しく厳しいものとなったのは、97年の消費税の増税と医療費の値上げなど、9兆円の負担増が国民にかぶせられたことが原因となったことは間違いありません。橋本元首相自身が、「結果として今の不況の原因の一つとなっていること、これは私、率直に認めて国民におわび申し上げます」と明言しています。区民の生活苦の原因は、明らかではありませんか。

 田中区長は、「今や日本の社会は、行財政や産業、社会保障など幅広い分野での改革が避けられないものとなっていると言えるでしょう。しかし、その改革の方途はいまだ明らかになっているとは言えません。」と説明されましたが、国民・区民には、この4月以降の「改革」の方途は既に政府から示されているではありませんか。

 4月からのサラリーマン等の医療の3割負担、介護保険料の引き上げ、年金給付の引き下げ、配偶者特別控除の廃止、そして増税による4兆円の負担増と、とんでもない「改革」です。

 さきに紹介しましたように、97年のときはそれでも区民1人当たり給与収入が今より年間約10万円高く、景気も回復の途上にあったのです。今回の負担増が区民の家計に与える被害は甚大なものとなることは、だれでも予測できることです。

 そこで伺います。4月からの、「改革」の名による方途の道、すなわち新たな国民・区民負担は、区民の暮らしも、区財政も痛めつける、最悪の結果となるだけです。今日、区民の暮らし全体にもたらされている困難は、政治の責任によるものです。区長はどうお考えですか、明快な答弁を求めます。

 昨年12月に、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会の4師会が、「現在、政府においては、本格的な少子高齢社会に対応する医療制度の構築に向けて、聖域なき構造改革を断行している。改革の柱は、患者及び国民の負担増、医療への株式会社参入、混合医療の導入であり、財政対策と市場原理の考え方に終始している。しかし、これらの政策は、国民の健康にたいする国の責任を放棄し、国民皆保険制度を根底から崩壊させるものである」との声明を出しました。この立場から、3割自己負担の実施凍結、高齢者の自己負担軽減など掲げ、国民運動を展開しています。

 繰り返される医療保険制度の改悪によって、60床のベッドを持つ区内病院がこの1月に病棟を閉め、60床のベッドが失われました。昨年10月からの老人医療の改悪によって、在宅酸素療養中の、東中野一丁目在住の88歳の方は、携帯用酸素を抱えて通院されています。これまでの850円が8,200円の窓口負担となり、月2回の通院を1回に減らしてしまいました。

 区長は、「今後、日本の社会は大きく変化していくことになると思います。先行きが不透明な時代であっても、地方自治体の使命は、住民の暮らしとともにあり、その未来をしっかり見据えた対応をしていくことにあります。」と表明されましたが、自治体は住民の暮らしとともにあるのではなく、自治体の役割と使命は、福祉の向上と住民の暮らしを守るというところにあります。

 区民にとって、今の暮らしなくして未来はありません。日本共産党区議団が復活を求めている、この間の、切り下げられた障害者と難病患者の福祉手当、原爆被爆者見舞金は、区民の暮らし、特に弱い立場の人たちを底辺から支え、温める施策として、その復活を繰り返し厳しく求めているのです。

 区長は、「21世紀においても、私たちが安心して暮らし続けることができる、持続可能な地域社会」とおっしゃいましたが、弱い立場の区民に心を寄せてこそ、持続できる生活が地域社会で区民みんなが可能となるのではありませんか。持続可能な地域社会と言いながら、あなたがやっていることは、弱い立場にある区民が暮らし続ける土台そのものを掘り崩してしまうことになるのではありませんか。区長はこれまで、障害者、難病患者、原爆被爆者の切実な声に耳をかさない態度をとり続けてきました。区民の生活、暮らしを直視し、その厳しさの中で生きている人たちこそ、政治の光を当てることが必要です。

 そこで伺います。私は、区政が区民の暮らしを支え、応援してこそ、経済も、区財政も立ち行くと考えますが、区長の見解をお聞きします。

 次に、介護保険料、利用料についてお伺いいたします。

 4月から、第2期の介護保険事業事計画がスタートします。中野区の第2期介護保険事業計画では、4月から、低所得者に対する減額措置や短期入所の移送サービス利用料の対象拡大など、独自の軽減策の実施を計画することになっています。日本共産党区議団は、低所得者の保険料、利用料の減免を繰り返し求めてきましたが、今回の対応について一定の評価をしつつ、質問をいたします。

 介護保険の最大の問題は、措置制度では、国庫負担50パーセント、自治体負担を含めて全体の75パーセントが公費負担だったのに対し、介護保険では、給付費に対する国と自治体の公費負担の合計が50パーセントに減らされ、残り50パーセントを保険料で賄うという費用負担の構造にあります。その結果、介護保険の利用がふえれば、保険料や利用料の負担が利用者を直撃する仕組みとなっているということです。

 介護保険の問題と矛盾の原因がはっきりしている以上、ここにメスを入れることは避けて通れません。保険料の高騰を抑えるためにも、自治体の介護保険財政を悪化させないためにも、国庫負担割合の引き上げがどうしても必要です。現在、25パーセントの負担を5パーセント引き上げれば、約2,400億円の財原が確保され、4月からの保険料引き上げをしなくても済みます。

 そもそもこの5パーセントは、調整交付金として25パーセントの枠外とされているのです。だからこそ、全国市長会も、町村長会も、同じ趣旨の要望を繰り返し国に上げています。中野区も緊急に国に対し、国庫負担を30パーセントに引き上げるよう強く要求すべきです。答弁を求めます。

 昨年秋に、第2期中野区介護保険事業計画案についての区民意見交換会が開かれました。このときには、基準となる介護保険料は現在より370円高い、月額3,400円が示され、参加者から、「高過ぎる、安くならないのか」との声が寄せられました。それが半年後の今日、介護保険利用率が高くなるとの予測から、現行の3,030円の月額基準額より615円高い、3,645円との推計になっています。

 第1号被保険者の生活は、昨年秋からの高齢者医療制度の改悪で打撃を受け、さらに今後、年金の減額などが高齢者の暮らしを直撃します。それだけに、区民と高齢者への負担増はこれ以上許せません。根本的には国の負担率を引き上げることが必要ですが、それができるまで中野区で可能な対策をとることが必要です。

 既に、板橋区や品川区など都内13の自治体が基金を取り崩し、保険料を現行のまま据え置く意向といいます。中野区も、保険料を据え置くべきです。推計された月額3,645円を基準に試算すると、値上げは1人当たり年額7,380円増となります。全体では、3年間で約13億円の値上げとなります。中野区は、介護給付準備基金を既に約10億円積み立てています。これは、保険料を取り過ぎていたということからであります。基金を充てて、介護保険料を据え置くべきと考えます。答弁を求めます。

 次に、利用料についてお聞きします。

 政府は、7月から、低所得者のヘルパー利用料に対する特別措置を3パーセントから6パーセントに引き上げるとともに、2005年度には1割負担に引き上げ、激変緩和措置を廃止することにしています。私たち区議団は、区長に対し、再三、国に対し3パーセントの特別措置を継続するよう強く求めることを要求してきました。あわせて、中野区独自の判断で3パーセントの特別措置を継続することを要望してきました。このために必要な国庫予算は約10億円です。中野区だけでいうなら、現行より月々166万円程度の区の負担で、3パーセントへの軽減継続が可能です。改めて、区としてホームヘルプサービス利用者の負担軽減を継続するよう求めます。見解をお聞きします。

 次に、支援費制度についてお聞きします。

 障害児・障害者の福祉制度が、4月から支援費制度の導入に伴って大きく変わります。支援費制度は、障害者が自己決定に基づき、みずからがサービスを選択し、事業者と対等な関係で契約をする、利用者本位のサービス提供などを導入趣旨として、準備が進められています。しかし、実施直前でありながら、さまざまな問題が指摘されている状況にあります。

 国が、年明け早々、突然にホームヘルプサービス利用の上限設定を打ち出したことに対し、多くの障害者関係団体が抗議し、厚生労働省前に座り込むという事態も生まれました。このように、制度実施をめぐって、さまざまな問題と矛盾が次々と生まれ、今後も何が起こるかわからないといった状況にあり、障害者、家族、関係者の不安は解消されるに至っておりません。

 中野区は、援護の実施者として、サービス提供体制の整備、支援費の支給申請の受け付け、調査、審査と支給の決定、受給者証の交付など、速やかに処理しなくてはなりません。

 そこで、中野区における準備状況について、再度お伺いいたします。対象となるべきすべての障害児・障害者に対し、連絡はとれているのでしょうか。特に、重度障害の方々への調査、判定、決定はどうなっているのですか。

 調査等に必要な土曜日、日曜日の特別体制、専門職員の増員を含む実施体制は十分なのでしょうか。4月実施時の相談体制など、利用者本位のサービス提供ができるようになっているのですか。

 以上のことについて、答弁を求めます。 

 支援費制度の実施によって、障害児・障害者と家族の最も大きな不安は、サービス利用の負担がどうなるのかということです。厚生労働省は、前年度の収入、所得に応じた応能負担を継続し、公費負担水準を継続することを繰り返し強調してきました。しかし、現段階で明らかにされている利用者負担金の基準案を見る限り、居宅サービス、施設サービスともこれまで以上の負担が心配される内容となっています。既に、保健福祉部の例示の試算でも、夫か妻のどちらかが重度の障害のある場合、現行で1万1,400円の負担が、支援費に移行することによって1万5,300円となり、結局今より毎月3,900円の負担増が見込まれる例も発生するとのことです。

 厚生労働省が説明してきたような、負担は従来どおりどころではないことは明らかです。支援費に移行することによって負担増となるようなケースを出さないようにすること、負担増によって利用を控えることが起きないようにすることが重要です。自治体独自の努力が求められていますが、どのような対策をとるのか、お聞きします。

 さまざまな発達における心配を持つ就学前の乳幼児が、自分の持っている力を十分に発揮し、家族や地域の中で生活できるように援助することを目的とした、療育センターアポロ園も支援費の対象となります。通園指導や送迎バスがその対象となるため、父母の所得が高い人で毎月の負担が4,000円程度になると見込まれています。3月中旬でないと額が決定されないため、4月からの支援費移行について、利用者の中から不安が広がっています。通園回数に応じて自己負担がふえるために、通園回数を減らしてしまうケースも生まれるのではないかとの声も聞かれます。

 私のところには、「アポロ園は、障害を持っている子どもと、その疑いのある子ども、発達のおくれのある子どもなどが通園している。支援費の導入で有料になるのはおかしい」「通園グループによっては、児童館で行っている乳幼児親子事業と同じような内容になる。これまでどおり無料であってほしい」「お金がかかると、生活が苦しい人は通園しようかしまいか考えてしまう」などの声が多数寄せられています。

 療育センターアポロ園の2002年度と2003年度の歳入予算を比較しますと、2002年度は、障害児通園事業で都からの補助金が994万7,000円です。支援費となる2003年度は、1,756万7,000円の支援費に加えて、利用者の自己負担が246万3,000円となり、合計で2,030万円と、支援費制度で1,083万円の増額となります。歳入が中野区にとって大幅にふえることになります。もし、240万円の自己負担分を軽減したとしても、なお区の歳入は762万円もふえるのです。利用者の自己負担軽減をすることは十分検討できることではありませんか。

 豊島区では、負担を求めずに、今までどおりに実施するとのことです。中野区も、障害児デイサービスを福祉施策として、今までどおり運営をすることは十分可能なことです。福祉施策の充実の立場で検討すべきです。答弁を求めます。

 次に、区民健診・がん検診の無料を継続することについて伺います。

 中野区は、4月から、区民健康診断のがん検診に自己負担を導入する予算案を示しました。その負担額は、胃がん、子宮がん検診それぞれ1,000円、乳がん、肺がん、喉頭がん検診が600円などとするものです。女性の方など4,000円を超える大変な自己負担となり、早期発見、早期治療の検診の本来の目的が根底から揺らぐことになります。

 現にお隣の杉並区では、昨年からがん検診に自己負担を導入したことから、例えば肺がん検診では、前の年が2,172人の受診に対し850人減の1,327人と、激減しました。自覚症状の出にくいがんだからこそ、早期に発見し、治療の選択肢を広げることができる、ここに検診の意義があります。検診の間口を広げる努力をすべき区行政が、費用の一部を自己負担することにより、自分の健康を自分が守り、つくっていくという意識を持ってもらうことを理由とし、検診を受けられない人をつくろうとしていることです。このことは、結局、病気の発見をおくらせ、病気の重病化を招くことになってしまいます。

 区民健診の対象となるのは、主婦、自営業者、また深刻な不況で突然のリストラ、倒産にさらされている区民です。暮らしや健康に不安を抱えている区民の健康を守るためにこそ、行政の存在と役割があるのではありませんか。自分の健康は自分で守るという意識というのならば、行政の存在する意味が問われます。改めて、これまでどおり、無料によるがん検診に戻すべきです。答弁を求めます。

 今回の自己負担導入で、総額約2,700万円が今年度の区民負担額とのことですが、区民健診、がん検診を今まで受診していた方が受診しない状態が生まれることについて、どう考えておられるのでしょうか。

 2003年度は、大腸がんを含む成人健診、眼科、歯科健診までの全面有料化の導入を検討することを明らかにしています。区民は、今回のがん検診有料化が、それにとどまらず、区民健診の全面有料化導入へ道を開くものとなるとの危惧を高めています。基本健診への有料化は絶対に認められません。もちろん中野区医師会や関係者の賛成も得られないでしょう。区民健診の全面有料化導入を協議することを、医師会をはじめ医療関係者と合意しているのですか、あわせてお聞きします。

 今回の区民健診変更案では、実施内容の拡充が含まれています。健診年齢の拡充、受け付け期間の拡大などです。日本共産党区議団は、これまで健診内容の拡充について再三提案してきたところです。

 さて、近年、肺がんによる死亡が上位を占め、2001年の中野区死因統計では、肺がんによる死亡が127人とトップとなっています。肺がん死の増加の中で、既に豊島区では、悪性腫瘍などの精密検査に有効とされ、特に肺部の診断に適し、肺がん検診に有効だとして、らせん状コンピュータ断層撮影装置、いわゆるヘリカルCTを検診に導入し、昨年度だけで10人の肺がんを発見し、早期治療に役立てたとのことです。品川区では昨年10月から、区民健診に肺がんヘリカルCTコースを導入しました。このように、肺がん対策が各区で独自にそれぞれの方法で進められています。

 そこで伺います。肺がん検診におけるヘリカルCT検査の効果をどのように評価されているのでしょうか。また、中野区においても導入への検討を始めるべきと考えますが、御答弁ください。

 次に、「区立学校適正配置検討プロジェクトチーム報告」について伺います。

 区立学校適正配置検討プロジェクトチーム報告が教育委員会事務局から示されました。報告では、「学校の適正規模・適正配置は、つまるところ統廃合の問題である。」と決めつけ、「中野区においては、区の施設のあり方や配置等について白紙から見直すことになっている。この検討にあたっては、学校施設も例外ではなく、白紙から必要な数がいくつなのかが問われることになる。」として、小学校18学級程度、児童数600人程度、中学校18学級程度、生徒数630人程度に満たない学校を早期に統廃合が必要とされる学校として、新山、向台、仲町、桃丘、谷戸、中野昭和、東中野、沼袋、西中野の九つの小学校、中学校は中野富士見中、十一中、十中、九中、三中、中央中、六中、四中、八中の統廃合を進め、中野区に必要な学校数は、現在の29の小学校を17校に、14の中学校を6校にするというものです。

 しかし、既に中野区は97年3月、教育委員会の附属機関として、児童・生徒数の減少に伴う教育環境の整備及び学校教育の充実を目的として、区立学校の適正規模及び適正配置並びにこれらに関連する事項の調査検討をするため、中野区立学校適正規模適正配置審議会を設置し、学識経験者、教職員、公募及び団体推薦の区民と区議会議員の参加のもと、2年3か月の審議を経て2000年1月に答申を得ています。

 この審議会の答申では、「本審議会としては教育的な視点を基本にしても心身ともに健やかな児童・生徒の成長を願う観点から学校教育の充実を目指した審議を心掛けた。」として、「本区の場合、小・中学校ともに学校規模において、学級数で6学級かつ児童数120人、生徒数で130人を下回る学校は現在存在しない。また、平成11年度推計値による平成17年度の学校数と児童・生徒数の推計値をみても、6学級の小学校が3校、中学校が7校と増加することが予測されるものの、児童・生徒数ではそれぞれ170人~200人が在籍するものと見込まれている。したがって、中野区における最小学校規模を基準とする限り、小規模校を統廃合し望ましい学校規模を確保しなければならない緊急性は見あたらないといえる。」と結論付けています。

 プロジェクトチームの報告は、この審議会の答申と全くかけ離れたもので、答申を否定するものとなっています。これでは審議会を設置し、諮問し、答申を得るという意味がなくなってしまいます。

 そこで伺います。条例で設置した審議会から得られた答申の趣旨や考え方は、それを尊重するのが諮問した者--ここでは教育委員会及び行政--の基本的責任と立場であると考えますが、お答えください。

 次に、具体的に伺います。2000年答申では、中野区の最小学級規模を、小学校6学級、児童数120人程度、中学校6学級、生徒数130人程度としました。この考え方は、審議会が合意した最も大事な見解となりました。それはさきにも紹介したように、プロジェクトチーム報告は、小学校18学級、児童数600人、中学校18学級、生徒数630人と勝手に決めています。しかも、これは、望ましい学級数として審議会が例示した三つの例をも否定するものとなっています。教育的な視点を基本にして検討したとされる、この審議会答申の中の最小学級規模が全く考慮されておりませんが、なぜでしょうか。

 次に、審議会答申は、地域と学校の関係について、次のように述べています。

 「区立学校は地域に根ざした学校であってほしいという主張をはじめ、通学区域と町会・自治会エリアの関係、学校と社会教育との関係、学校教育への地域の人材活用、地域防災拠点としての学校など議論のテーマは多岐にわたった。こうしたテーマの多様性は、反面、区立学校がいかに地域社会と密接に結びついているかをあらわしており、児童・生徒の健やかな成長には、地域社会の教育力に負うところがいかに大きいかを示している。今後、区立小中学校の再配置を行う際には、こうした区立学校と地域社会とのこれまでの多様な結びつきに十分配慮し、地域の教育活動の拠点化など区立学校を地域コミュニティーの一つの核として見直していく必要がある。」としました。しかし、プロジェクトチームの報告は、今ある学校と地域の関係、審議会答申のこの指摘を全く無視しています。

 そこで伺います。教育委員会は、答申で述べられた学校と地域の関係について、どのような認識を持っておられるのか、お答えください。

 審議会答申を覆すような、相当乱暴な報告をまとめ、つくるに当たって、どのような新しい調査が行われたのか、どのような検証が行われたのか。答申にかかわってこられた審議会委員であった教育専門家、学識経験者等からの意見聴取は行ったのか、お答えください。

 学校選択制について、審議会答申では、選択制を主張する論と、それがもたらす弊害の大きさを指摘する論の両方を紹介し、「選択制については、先行実施している他の区市町村の状況などを見ながら慎重に検討されることが望ましい」としたものです。ところがプロジェクト報告は、学校選択制の導入による弊害が解消される根拠も見通しも示さず、いきなり「具体的な実施を検討する必要がある」と結論付けています。学校選択制の導入は、保護者や子どもたちにとって非常に重要な事柄であり、慎重な検討と区民的な議論、合意を必要とするものです。

 改めて伺います。学校選択制について懸念されている問題点はクリアできると判断しているのでしょうか、お答えください。あわせて、その確たる見通しをお持ちなら、調査した結果を含め、具体的に示してください。

 中野の教育は、これまで学校関係者、地域、父母、PTAが粘り強い運動と取り組みで築いてきたものです。それぞれの学校には、その生い立ちと、その地域の中で果たしてきたかけがえのない役割と歴史があり、地域の文化をはぐくむ源となってきました。学校のこれからについて決めるのは区民であり、そこに学ぶ児童と生徒であるべきです。

 区長に伺います。区長は、内実のある区民参加を盛んに唱えています。私たちは、97年に設置された中野区立学校適正規模適正配置審議会こそ、委員の構成から見ても、また、その審議の内容を見ても、内実ある区民参加の好例であると考えるものです。区長並びに教育委員会はどのように御認識されているのか、お答えください。

 次に、若者の就職・雇用支援についてお聞きします。

 新宿のハローワークには150台の求人情報パソコンが設置されています。受付の人によると、1日2,000人が利用しているとのことです。男女、年齢を問わず、そのコーナーの張り詰めた空気は、雇用の厳しさを実感させられるものです。特に今、大きな社会問題となっている若者の就職難は深刻となっています。この春卒業する高校生の就職内定率は66パーセントにとどまり、内定をまだ得ていない生徒は約8万400人です。3人に1人は就職先がいまだに未定です。

 内閣府の青少年白書によると、2001年の15歳から29歳の青少年の失業者は125万人です。問題なのは、新規学卒求人数の激減にあります。東京労働局によると、90年には高校卒業の求人は27万3,066人から、2000年には3万2,601人と激減しているところにあります。定職がなく、アルバイトなどで暮らしをつなぐフリーターは、働く青年の5人に1人まで急増しており、平均月収はわずか13万円程度です。これでは年金、健康保険や社会保険などにも加入できず、自立した生計を営むのも困難な状態です。このままの状態を放置すれば、企業や産業にとっても仕事や技術が受け継がれないだけでなく、日本の経済、社会にとって大きな損失をもたらすことになります。

 最近、中野一丁目の街角で、受験を前にした中学3年の男子生徒3人グループから、「おじさん、政治家なんだから、僕たちが高校を卒業するときには就職できる社会に政治家の力でしてよ」と、詰問されました。高校受験を前にした中学生に将来への夢さえ奪っている政治のあり方に、責任を感じるものでした。

 中野区は、特に深刻さを増している若者の生活実態、就職難の現状、雇用の実態をどのようにつかんでいるのか、どのように見ているのか。若者の働き方がこれからの中野の区政にどのような影響を及ぼしてくると考えているのか、見解をお伺いいたします。

 世田谷区では、既に2000年度から若者の就職を支援するため、ハローワーク渋谷と共催し、種々の取り組みを進めて成果を上げています。学校、ハローワークと区が結んで、区内高校生、30歳未満の一般区民を対象に、年4回、世田谷区合同就職面接会を開催し、2002年度は参加企業100社、求職者719人、79人の採用が決定しています。夏の区内高校生対象の合同企業説明会や、年に2回、労働、就業相談会を開催し、71件の相談を受けています。

 また、八王子市では、就職を希望しながら就職できなかった高校生の新卒者20人を1年間臨時雇用し、就職へのステップにしてもらうなどの若者支援を行っています。

 このように、若者の就職、雇用、労働問題を、国の事業だからといって人ごととせず、自治体として独自の取り組みが始まっています。これらに学んで、中野区も積極的に学校やハローワークと情報を交換し、連携し、中野区勤労者サービスセンターとも協力するなどして、若者の就職、雇用支援のため、就職面接相談会や相談窓口など検討してはいかがでしょうか、お答えください。

 次に、18歳選挙権と投票権の行使について伺います。

 今日の日本社会には、高校、大学などの新卒者の就職難や高失業、環境問題、社会保障の改悪、財政破綻など、若者の未来にかかわる重要な問題が山積しており、若者の政治参加を図ることはとりわけ重要になっています。

 日本の法体系においては、勤労者への納税の義務だけでなく、運転免許、婚姻、深夜労働への従事など、18歳になると大人として扱われます。

 既に、18歳以上の若者に投票権を与える動きが各自治体で始まりました。秋田県岩城町は、合併問題で住民の意思を問う住民投票に、永住外国人を含む18歳以上の町民に投票資格を認めました。愛知県高浜市は、テーマを限定しない常設の住民投票条例を、18歳以上に投票権を与える改正を行うなど、地方自治体で始まった、住民投票に18歳以上を参加させる動きは、国に対し、18歳選挙権を確立する方向への大きな世論づくりとなっているものと考えます。

 世界の170か国の中で、18歳以下の選挙権は148か国、サミット参加国では日本以外すべて18歳で、今や世界の趨勢です。日本はいつまでもこんな国際的な立ちおくれを続けるわけにはいきません。日本共産党だけでなく、自民党を含む主要政党はすべて18歳を入党要件としており、このことからも、18歳以上の若者に政治参加の資格と能力があることを証明しているからではありませんか。

 今、若者の間に、若者の政治参加へ選挙権の年齢引き下げをとの声が高まっているだけに、若者自身から政治参加への意見を聞くなどの場も必要です。中野区選挙管理委員会は、18歳選挙権実現についてどのような動きになっているとの認識なのか、18歳選挙権についてどのような認識を持っておられるのか。99年の第1回定例会で、18歳選挙権を中野区として独自に要望してはどうかと求めましたが、答弁は、「地区選挙管理委員会連合会で検討の推移を見なければならないと考えておりますので、検討したいと思っております」との答弁でしたが、その後検討はどのように進んだのでしょうか。

 次に、昨年11月28日に、運動神経が侵され、体の自由がきかなくなる難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者3人が、投票用紙に自分で字を書けないために郵便投票制度を利用できないのは違法だとして、国を相手とした判決が東京地裁でありました。判決は、「患者らが選挙権を行使できる投票制度がなかったことは、投票権を保障した憲法に違反する状態」との初めての判断を示したものです。

 公職選挙法は、投票所での投票を原則とし、例外として投票所で他の人に投票してもらう代理投票制度や郵便投票制度などを設け、同時に、不正防止のため、有権者が自分で書くことが条件とされています。違憲判決を受けた総務省は、「ALS患者の投票機会の確保は重要な課題で、検討したい」とコメントしています。今後は、ALS患者、障害者の在宅投票制度の保障が強く求められてくることになります。あわせて、在宅寝たきりの高齢者の方々への投票機会の保障がますます重要だと考えます。

 そこで伺います。投票権の保障について具体的にどのようなことを検討されているのか、お聞きします。

 視覚障害者用の点字投票用紙について伺います。これまで視覚障害者から、点字投票用紙に選挙名の記載をしてほしいとの声が寄せられていました。特に、二つの投票が同時に実施される際に必要です。北海道選挙管理委員会では、今回の知事、道議選挙から、点字用紙に「ちじ」「どうぎ」と、選挙名の点字シールを張り込むことにしたそうです。中野区も、これまでは視覚障害者が投票用紙の種別を自分で確認できるようになっておりません。障害者の不安を取り除き、視覚障害者の投票権の保障を具体的に図るべきと考えますが、御答弁をください。

 最後になりますが、山手通りの環境・安全対策についてお聞きいたします。

 板橋区から中野、そして目黒区までの11キロ区間の地下高速道路中央環状新宿線と山手通りの街路整備工事が同時進行のため、工事が長期化し、沿道住民、特に地域商店では生活と営業への被害が大きくなっています。一方、将来の環境対策については、地域からの粘り強い運動と、議会と区側との連携もあり、成果を上げつつあります。山手通りにおいては、計画とされていた6車線を4車線とし、歩道は換気塔以外は5メートルを9メートルに、さらに自転車帯の設置などが実現し、街路のあり方については地域での協議が始まっています。しかし、何といっても、換気塔や本町出入り口の環境問題です。

 昨年12月10日に、住民組織の山手通り関連5区連絡会は、首都高速道路公団との交渉を行いました。ディーゼル排煙など浮遊粒子状物質(SPM)を高効率で除去する電気集じん機について、換気塔に設置することを確認しました。このことは、同じく昨年11月29日の、東京都、公団による東部地域における説明会でも同趣旨の約束を公団側は行っています。

 公団が実用化に向け京浜島で行っているのは、先ほど紹介したディーゼル排煙に含まれる浮遊粒子状物質(SPM)を除去する電気集じん機と、NO2 除去の低濃度脱硝装置、この二つの装置です。二つの装置は連結しているものの、別々の装置であります。中野区は、今後も公団に対し引き続き低濃度脱硝装置と土壌による大気浄化装置についての導入を強く働きかけるとともに、電気集じん機と低濃度脱硝装置の双方の除去率を100パーセントに高めるよう求めていくべきです。公団への要望に対する公団側の中野区への回答は、文書で求めるべきと考えます。あわせて御答弁ください。

 2003年度予算案に、新規事業として、東中野駅前広場整備予定区域の交通量実態調査の予算が490万円計上されています。東中野駅周辺における工事帯は月単位で大きく変更され、その都度、歩行者、自転車の流れは激変しているのが実態です。事業主が実施したことし1月20日の4測定地での調査結果によると、昨年6月の同測定地との比較では、20パーセントから60パーセントと、すべての測定地において、人と自転車の流れは大きく変化しています。工事帯の大きな変化が起きている中で、幾ら交通量の実態調査をやっても、基礎的なデータとしては参考にならないということです。6月末には山手通りの信号も一部変更が予定されるなど、流動的です。

 2002年第3回定例会において、東中野駅前広場整備について提案をさせていただきましたが、「広場の整備について地元住民の広範な意見を取り入れていく検討の場をつくっていく」とのことでした。

 広場の整備について、地元ではどんな意見、要望があるのか。それについてどんな調査が必要なのか。まず検討の場づくりから始めていくことではないでしょうか。実態と動きを見ない拙速な調査はすべきでないと考えます。御答弁を求めます。

 最後に、街路整備に伴う山手通りの横断歩道のあり方について伺います。先行整備される早稲田通り、大久保通りの交差点における歩行者の安全対策は、地域住民にとって大きな関心事です。先行整備が始まった大久保通りの宮下交差点については、中野区は95年3月、山手通り沿道地区まちづくり構想を示し、山手通り拡幅を契機に、町並み形成と沿道環境の改善、向上を図るということから、宮下交差点には、出会い、交流の場となる広幅員歩行者デッキの整備概念図を区民議論に持ち込みました。横断歩道については、歩行者が安全に山手通りを横断でき、高齢者や身障者の利用にも配慮し、現状を基本とし、形状や設備を検討していくというものでした。

 宮下交差点を接点として、塔山小学校、東部地域センター、宮園高齢者会館、特定郵便局、氷川神社などの施設があるだけに、横断歩道の将来的あり方は、地域にとっても、まちのありようにも大きな影響を与えるものとなるからです。昨年6月の塔山小学校の調査では、262名の全校児童の約半数、128名が登下校時に、宮下交差点に設置されていた横断歩道を利用しています。

 そこで伺います。これまで構想として示されてきた宮下交差点歩道橋構想は取りやめたのでしょうか。取りやめたとされるならば、それにかえて、歩行者の安全、とりわけ通学児童の安全を守る横断歩道のあり方はどこで協議し、検討してこられたのでしょうか。今後、スクランブル交差点に代表される、歩行者と車を分離する歩車分離方式などの地域の要望、意見を反映できる場をつくるのか。また、そこでの中野区の果たすべき役割があると考えますが、あわせて御答弁をください。

 これで私のすべての質問を終わりにいたします。ありがとうございました。

     〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 来住議員の御質問にお答えをいたします。私の方からは、政治姿勢についての御質問に何点かお答えをさせていただきます。

 まず、中野の働き盛りの自殺者がふえているということがございました。統計的にも、働き盛り世代の自殺がふえているということがあらわれているように思います。区民との対話集会などにおいても、そうしたようなことを指摘をされて、今の経済状況、社会状況は本当に厳しいんだということをお話になる区民の方が多数いらっしゃる、そういう状況であります。状況としては大変痛ましいということでもありますし、社会全体としてこの状況に立ち向かっていかなければいけないことだというふうに考えているわけであります。区といたしましても、15年度には、働き盛りの世代、この人たちを対象に、精神面での相談を強化をするといったような対策なども考えていきたいと思っているところであります。

 また、政治姿勢につきまして、今日の区民生活が悪化をしている、生活全体にもたらされた困難について、政治の責任ではないのかといったような御質問でありました。深刻な景気の悪化の中で、区民の生活が厳しいということについては、申し上げたとおりであります。現在の日本の社会全体に起こっている困難、そうしたことは、社会、経済がそもそも抱えております構造的な要因によるものが大きいといったようなことについて、かねがねご指摘をさせていただいています。こうした現状を打開するためにも、構造的な改革を進めていくこと、これが政治の責任であるというふうに考えているわけであります。

 それから、医療、年金、保険料など新たな負担が、区民の暮らしも、区の財政も痛めつけることになるということを、区長はどう考えるのかといったような御質問もありました。今日の社会の活力を取り戻し、構造的に改革をしていくという中にあって、持続可能な社会を実現をしていくためには、医療や年金など、負担と給付の仕組み、この再構築も欠かせないものなのではないかというふうに考えているところであります。税や社会保障の見直しなどについては、今後避けられない問題として、国民全体で論議をしていかなければならないことだというふうに考えております。

 それから、障害者福祉手当、難病患者福祉手当、原爆被爆者の見舞金等、これらの引き上げを区長は拒否をしているといったような御指摘がありました。こうした手当の関係については、制度を開始した時期と比較をして、社会状況も大きく変化をしている。また、福祉に対する社会の取り組み、考え方も変わってきているというふうに考えています。これからの福祉施策というのは、一律的な手当の支給などによるのではなく、きめ細かいサービスの提供を充実させていくということが必要だと考えています。そういう意味で、福祉の考え方が変わっていくべきだという考え方の中で、手当の減額を行っているということであります。

 区の財政構造を健全なものにしながら、かつ区民のために必要な施策をより充実させて展開をしていくということが重要なわけでありまして、これからもそうしたことに取り組んでいきたい、そう考えているわけであります。

 私からの答弁は以上でございます。

 〔選挙管理委員会委員長諏佐剛夫 登壇〕

○選挙管理委員会委員長(諏佐剛夫) 来住議員の、18歳選挙権と投票権行使について、3点の御質問にお答えをいたします。

 まず第1点目ですが、18歳以上の選挙権については、法律の改正をまたなければならないことでありますが、多くの国が18歳以上の者に選挙権を与えていることは十分認識しております。国会においても、2000年10月に、1政党の議員提案として、選挙権を18歳に引き下げる法案が提案されましたが、審議未了となり、廃案となっております。すなわち18歳以上の選挙権については公職選挙法単独での改正は難しく、少年法、民法等の関係法令の改正も必要であるとのことであります。

 当選挙管理委員会としては、国会での動向を見守りながら、今後とも適正な選挙の管理、執行に努力していきたいと考えております。

 次に、在宅での投票権の確保とその保障についての御質問です。現行の公職選挙法では、身体に重度の障害があるため外出が難しく、投票所に行けない人が自宅などで直筆で投票用紙に記入し、郵送する郵便投票が認められております。しかし、郵便投票の利用に当たっては、障害者手帳の所持や、直筆での投票用紙への記載が必要となり、このため、重度の難病患者でも、障害者手帳を受けていない人や、寝たきりの高齢者、自署できない方などは現行法では投票権を行使できないのが現状であります。

 2002年11月の東京地裁判決では、自署できないことで選挙権を行使できない投票制度は憲法違反との判断があり、また、ことし2月の大阪地裁判決では、郵便投票の対象拡大の方向で改善が図られるべきだとの判断がされていることは、選挙管理委員会においても認識しているところであります。投票権拡充については、今後も、公職選挙法の改正など、国の動向を見守りたいと考えております。

 最後に、点字投票用紙の種別について、視覚障害者の方が自分で確認できるようにできないかとの御質問です。視覚障害者の方の投票権確保のため、各投票所には点字による候補者氏名等一覧を備えておくとともに、点字機を配置しております。御指摘の点字投票用紙の種別については、今後、複数の投票となる選挙については、各投票用紙に選挙種別を点字で表示し、選挙人自身が確認できるように対応してまいりたいと思います。

 以上でございます。

   〔保健福祉部長石神正義登壇〕

○保健福祉部長(石神正義) 私からは、福祉施策について、4点の質問にお答えさせていただきます。

 まず、介護保険料や利用料にかかわる国庫負担率について、国に強く働きかけるべきではないかということでございます。介護保険制度につきましては、施行後5年を目途に、制度全般に関して必要な見直しを行うこととされております。既に、課題整理をするとか、さまざまな形での取り組みが始まっているというふうに聞いております。区といたしましては、介護保険制度が利用者にとってよりよいものになるように、全国市長会などの機会をとらえて、国の財政負担のあり方を含めて、積極的に意見を申し述べていきたいというふうに考えております。

 次に、保険料に関する御質問でございました。介護保険料につきましては、3年間の給付費用の見込み額をもとに算定するということになっております。今回の検討に当たりまして、介護サービスの利用者数や利用率をもとに給付費用を算定した結果、第2期の保険料の基準額は月額3,645円となり、改定率が20パーセントを超えるということが明らかになりました。このことから、基金を充当して3,400円にするということにいたしました。また、平成19年に江古田の森保健福祉施設が開設されることなどに伴いまして、第3期におきましても保険料の上昇要因が多いということでございます。そのために、介護保険の運営協議会の答申を受けまして、2期だけではなく、3期についても基金を取り崩して保険料の負担の激変緩和を図れるようにするべきだということから、基金の残額を確保することといたしました。

 続きまして、現在続けておりますホームヘルプサービスの利用料の軽減を継続すべきという御質問で、ホームヘルプサービス利用料に関する国の軽減策でございますが、介護保険制度の施行前からホームヘルプサービスを利用している低所得者に対しまして、利用者負担の激変緩和を図るということから、5年間の経過措置として実施されました。区といたしましては、介護保険制度施行前の利用者と施行後の利用者の負担の公平を確保するということを目的に、独自に、施行後の利用者に対してホームヘルプサービスの利用料の負担軽減策を実施したものでございます。その趣旨から、国の制度の変更に合わせて改定するものでございます。

 次に、支援費にかかわる御質問でございます。支援費に移行しますアポロ園では、母子保健の連携により、療育相談を充実する。また、移行対象となる通園事業、デイサービスについても、待機児をなくす、こういった事業を充実していくことにしております。支援費に移行する事業が、このアポロ園の事業の場合には通園事業のみでございます。現行の補助と比較しますと、歳入がふえることになるというふうには見ておりますが、アポロ園全体の規模からいいますと、影響はさほど大きくないということでございます。

 利用者負担につきましては、支援費の導入など、社会福祉制度全体のあり方と整合を図るという意味から、適切に負担していただくことになるというふうに思っております。また、サービスの利用を抑制することにならないかということでございますが、この利用者負担は応能負担ということで、一律の負担を求めるものではないことから、そういうことにはならないというふうに考えております。

 以上でございます。

   〔保健担当部長青山キヨミ登壇〕

○保健担当部長(青山キヨミ) 私からは、まず、新規サービスに関する調査、判定についての御質問にお答えいたします。

 昨年10月の時点でサービスを受けている障害者のうち、支援費の対象となる840人の方々には、全員、個別に申請を勧奨いたしました。現行の全身性障害者介護人派遣サービス対象者の支援費への移行について、国の見解がおくれていたため、判定を保留しておりました。1月末に明らかになり、現在、判定作業を進めております。現在サービスを受けている障害者の支援費への移行は、2月中に判定を終了する予定です。

 4月からの相談体制については、事業者の参入をさらに働きかけるとともに、組織の改正を含め、強化を図ってまいります。

 次に、区民健診、がん検診についてですが、平成15年度の区民健診では乳がんマンモグラフィ検査や成人歯科健診の年齢の拡大を予定しており、 その他の検診をも含め、全体として受診者増を見込んでおります。なお、低所得者に対しては配慮をしてまいります。

 がん検診以外の自己負担については、平成16年度の導入に向け検討を進めていますが、医療関係団体とは今後具体的な協議を行っていくことになります。

 肺がん検診におけるヘリカルCTについては、初期のがんの発見に効果があると報告されており、注目をしております。検診の方法等を含め、今後さらに検討してまいります。

 区民健診の受診者が年々ふえ、費用が増大していく中にあっても、検診内容の充実に精いっぱい努めてまいりました。こうした取り組みを今後さらに続けるためにも、自己負担の導入は必要であると考えております。

     〔教育長沼口昌弘登壇〕

○教育長(沼口昌弘) 私からは、区立学校適正配置検討プロジェクトチーム報告に関しまして、適正配置の審議会は、委員構成も審議内容も内実のある区民参加でありまして、そうしたことから、その答申を尊重するべきであるんじゃないかという御質問にお答え申し上げます。

 適正配置審議会に限らず、区の審議会からいただいた答申の趣旨を尊重するのは当然のことであると、そのように思っています。今回、事務局職員がまとめました報告書は、教育委員会での議論のたたき台にするために、この審議会答申を踏まえて検討されたものでありまして、適正配置に取り組む必要性や望ましい学校規模のあり方など、基本的な認識は同様であると受けとめております。

 〔教育委員会事務局次長山下清超登壇〕

○教育委員会事務局次長(山下清超) 私からは、適正配置検討プロジェクトチームの報告に対しての御質問のうち、残りのものにお答えをさせていただきます。

 まず、答申では三つの側面から望ましい学校規模が示されているが、報告はこれを否定する内容になっているけれども、なぜかというお尋ねがございました。審議会答申においては、学校の適正規模の決定的な考え方、理論は存在しないことを認めた上で、望ましい学校規模を考える目安として、小学校では各学年複数学級以上、中学校においては各学年2学級から4学級以上あることが望ましいというふうにされているところでございます。プロジェクトチームの検討は、こうした考えを踏まえまして、メンバーの中に学校関係者もおりましたので、その経験等も参考にして、クラスがえができる限り可能なこと、児童・生徒への評価が固定しないこと、教員の相互研さんによる資質向上が容易にできることなどを考慮して考えたものでございます。

 それから、学校選択制について、懸念されている問題はクリアできると判断しているのかとのお尋ねがございました。学校選択制については、プロジェクトチームの報告でも、懸念される問題について、正確な情報発信や提供に努めることなどによりまして解消されると考えられていることから、その導入に向けて、具体的な実施方法を検討する必要があると考えたところでございます。

 なお、地域との関係はというお尋ねもございましたが、学校はその立地をしている地域社会に支えられているんだという、そういう認識は私どもも持っているところでございます。

 以上でございます。

    〔区民部長鈴木勝明登壇〕

○区民部長(鈴木勝明) 若者の就職・雇用支援についてお答えいたします。

 若者の就職難の現状や雇用の実態をどのようにつかんでいるのか、またどのように見ているのか、区政にどのような影響が出るのかという御質問がございました。若者の就職難や雇用の現状につきましては、東京都などからの資料に加えまして、マスコミ報道や関係行政機関のホームページの情報などによって、委員からお話のあったような状況は承知しております。

 このような状況が長く続くと、若者が将来展望を持ちにくい社会になってしまうおそれがあるのではないかというふうに見ております。また、区政にとっても、区税収入の減少などの影響が出てくると考えられます。

 また、若者を対象にした就職相談会などを検討してみてはどうかというお話がございました。この点につきましては、今後、他区の状況等を調査しながら研究してまいりたいと、そんなふうに考えております。

 以上です。

   〔都市整備部長石井正行登壇〕

○都市整備部長(石井正行) 私からは、山手通りの環境・安全対策につきまして御答弁させていただきます。

 まず、換気所の脱硝装置、それから電気集じん装置につきましての御質問でございました。山手通りの環境対策につきましては、区としても、区民の健康と安全を守るため、これまでも首都高速道路公団や東京都などに要望を行ってまいったところでございます。低濃度脱硝装置や電気集じん装置につきましては、今なお実験を継続中でございます。区として、できる限りの性能向上について、今後も、文書によるかどうかは別にしまして、効果の上がる方法で強く求めてまいりたいというふうに考えております。

 次に、東中野の駅前広場に係る交通量の実態調査につきましてでございますが、交通量実態調査につきましては、環状6号線整備との整合を図り、駅前広場を中心とした交通処理のあり方につきまして、交通管理者と十分に協議をするために行うものであるということでございます。

 駅前広場整備の計画につきましては、地域住民の広範な意見を取り入れて検討していく場を、来年度、15年度早々に設けてまいりたいというふうに考えております。

 それから、宮下交差点につきましての御質問がございました。宮下交差点を結ぶ歩行者デッキの設置につきましては、平成7年に策定された山手通り沿道地区まちづくり構想に提示をされていたものでございます。その後、昨年の山手通りの車線数の見直しなどもございまして、現在の計画では、平面の4か所の横断歩道となっております。

 この交差点の歩行者の安全対策につきましては、山手通りを横断する歩道橋を東部地域センター前に設置するということでございます。歩道の構造などについても十分配慮した対策を講じるよう、東京都及び首都高速道路公団と協議をし、申し入れをしてきているところでございます。

 地域からの御意見等につきましては、区としてしっかり受けとめた上で、関係機関に伝えながら、できる限り反映されるよう働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

○議長(斉藤金造) 以上で来住和行議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 佐 藤 ひろこ

 1 福祉サービスの転換期における区の姿勢について

 2 少子高齢化に対応できる相談・支援のしくみについて

 3 新たなニーズに対応した施設の活用について

 4 中野駅周辺のまちづくりについて

 5 その他

 

○議長(斉藤金造) 次に、佐藤ひろこ議員。

     〔佐藤ひろこ議員登壇〕

○20番(佐藤ひろこ) 2003年第1回定例会に当たり、一般質問をいたします。

 福祉サービスの転換期における区の姿勢について、お伺いいたします。

 社会福祉の基礎構造改革が始まり、介護保険制度、そして4月からは支援費制度が導入され、福祉サービスのあり方が大きく変わろうとしています。行政が利用できる福祉サービスを決めていた措置制度から、サービスを利用する本人が選んで決める、選択と自己決定のあり方に、福祉の仕組みが変わると言われています。しかし、本人が選んで決めることができている実感をまだ持つことができない状態です。サービスの量がまだまだ足りない上に、要介護認定や、支援費の支給量の枠は行政が決めているからです。

 私たちが30年来つくろうとしてきた福祉サービスの理想は、自己決定ができる、地域での自分の生活を支える、24時間365日の福祉サービスでした。本人の意思を無視して、在宅で暮らしていけないから施設へ入所させられるのではなく、本人の意思を尊重した、在宅で暮らせるためのサービスをつくり出そうとしてきました。ヘルパーも自分で選んだヘルパーに賃金が払われる、自薦ヘルパーの仕組みをつくり出してきました。そこで一番大事にしようとしてきたのは、当事者の意思でした。これからつくられる仕組みやサービスは、当事者の意思に基づいてつくらなければならないと思います。

 このたび出されました中野区保健福祉総合推進計画の概要に、「健康福祉都市なかの」の理念として、「人間性の尊重と権利の保障」「区民参加、区民と区の協働による地域保健福祉の推進」と、前の福祉プラン21の理念に加えて、新しく「個人の意思と自己決定の尊重」「自立生活の推進」が理念として打ち出されています。「地域で自主的な保健福祉活動を行う区民や各種関係団体、高齢者や障害者などの当事者との意見交換の場を設けるなど、常に区民の参加や区民との連携を基調とし、公私の協働のもとに計画の着実な推進をはかる。」と、計画の推進のところでは述べています。

 目標を推進していくのは行政だけではありません。区民が、推進する一番の主体です。新しい福祉サービスを進める上で最も大切なのは、当事者の意思の尊重だと思います。これからの中野の保健福祉サービスの方向性をつくり、それを進めるため、欠かせないことだと考えます。

 区長は、よく、構造改革と言われます。施政方針説明の中でも、「日本の社会は、行財政や産業、社会保障など幅広い分野での改革が避けられないものとなっていると言えるでしょう。しかし、その改革の方途はいまだ明確になっているとは言えません。」と。本当に明確になっていないのでしょうか。「官による管理と規制から、民の自由で豊かな活動へ」と、その後述べられています。これからのあるべき社会の改革の方向は、自治体の側から発信していくべきであると考えます。

 区民とともにある区政が、私たちの行き方、社会の価値といった基本的な枠組みから、新たな姿を描き出していくことが求められていると考えます。ここに改革の方途があるのではないでしょうか。官による公共の独占から、公共を市民に取り戻すこと、新しい公共のあり方を市民の力でつくっていくこと、私は、改革の行き着く先はそこにあると思います。それは、福祉サービスについても同じであろうと思います。福祉サービスの転換期における区の姿勢について、区長の認識をお伺いいたします。

 この10年間、議会活動の一方で、障害を持つ人たち自身で運営する自立生活センターをこの中野にもつくりたいと、一緒に活動をしてまいりました。町田市、八王子市、田無市、世田谷区などの自立生活センターを見学して回り、話を聞き、「自立生活センターは、障害者を一市民として社会に参加する主体としてつくり上げてきました。自分たちが必要とするサービスを自分たちでつくり出し、仲間に提供する中から、行政のヘルパー制度を自薦式ヘルパーの登録方式として認めさせ、当事者が望む介助のあり方を拡大してきました。街を障害者が移動し、元気に活動する中で、権利擁護の活動が活発に展開され、結果的にハートビル法、交通バリアフリー法として、まちづくりを当事者の視点で動かすことになりました。それは、だれもが当事者として参加し、暮らしやすい社会を形成するモデルを当事者が自分自身でつくってきたと言えます。」と。

 あちこちの自立生活センターで話を聞き、中野でどうそれを立ち上げればいいのか、実際につくり出す動きをどうつくっていけばいいのかを議論してきました。そもそも、自立生活センターは、当事者が自分たちの自己決定が可能となるために、当事者によってつくり出されたものです。成り立ちからも、その目的からも、行政が行う仕事ではなく、当事者団体が行う事業です。既に先行してつくられておりました田無市、世田谷区の自立生活センターに、後で行政が事業の委託を行いました。そして行政として、当事者がつくり出してきたサービスを支援していくことになったのです。行政の役割は、当事者団体が力を発揮できるように、側面から財政支援などを行う、これが行政のこれからの大事な役割ではないでしょうか。

 中野区は、障害者団体による自立生活センターがまだ立ち上がっていなかったので、区が障害者会館への補助金を得るために、直営で設置しました。そしてやっとこの4月から民間法人に任され、24時間の本来の相談体制ができるのはうれしい限りです。しかし、障害者団体から白紙撤回という声が出されております。どうしてこんなことになるのでしょうか。区は、そもそも、だれが自立生活センターをつくる主体であるのか、忘れていたのではないでしょうか。いいことだから、区が勝手につくればいいということではありません。一緒に考えること、一緒につくり出すことを、なぜ当事者団体とやってこなかったのか。当事者団体がこれだけ自立生活支援センターに期待を寄せ、さまざまな角度で研究を行い、さまざまな思いを持っていたにもかかわらず、なぜそれを一緒に事前に考えることをしてこなかったのか、お伺いいたします。

 福祉サービスは本来民間がそれをつくり上げ、それを支援する仕組みを行政に整えさせてきたのだと私は考えます。行政が先につくり上げてきたものではなく、市民が、つまり民間が必要に駆られて生活の中からつくり出してきたものです。民間が行ってきた事業の中で、公共サービスとして必要があるものを行政が支援する。また、行政がトータルに、平等に満遍なくサービスを行うことをやってまいりました。しかし、中野区では、福祉サービスの運営主体がほとんど区であったために、また、住民も運営主体の中心を区に求めてきたために、区が行うものだと思われてしまっております。これから当事者の立場に立った多様な福祉サービスを展開するために、担い手となる市民や民間法人やNPOの力としっかり協働してサービスをつくり出していかなければならない、大事なときです。

 区から民間法人への運営の切りかえが進んでおります。保育園、高齢者福祉センター、そしてかみさぎこぶし園が、区が出資している社会福祉法人から他の社会福祉法人への切りかえが計画されております。しかし、現在、区議会に、民間法人への運営の切りかえ、民間委託を行わないでほしいという陳情が出されてきております。当事者のことなのに、高齢者福祉センターやかみさぎこぶし園の利用者と、なぜ、決める前にしっかり議論し、話し合ってこなかったのか。なぜこのようなことになったのか、どうすればよかったのか。公務員で運営するのが一番いいのか。民間の法人の運営はそんなに悪いのか。長年のやり方を変えるわけですから、利用されている方々への気持ちをおもんぱかって、丁寧な、納得がいく説明、議論を繰り返しすることが必要だったのではないでしょうか。本当にそれが一番いいという気持ちを、当事者の方たち自身が持たなければいけなかったのではないでしょうか。

 主体は当事者であることを肝に銘じながら、繰り返し議論を行うことが必要です。議論はきちんとできているのでしょうか。決める前に一緒に考えることが必要です。決めてから伝える、説明すればいいという対応は本当に区民参加を保障したものとは言えません。どのようにお考えになっているのか、お伺いいたします。

 区の職員の意識改革で今一番求められていることは、区民と考え、区民と議論し、区民と一緒につくる姿勢を持つことではないでしょうか。区の職員の方々は、区民と一緒に考えていくということを、面倒だから避けているようにも思えます。それとも福祉の理念、目標に対する思いが希薄なのでしょうか。福祉にかかわる分野の仕事は区民からの苦情が多いし、疲れるし、制度は変わるし、区の職員としては余りやりたくない部署になっているのでしょうか。私はそんなことはないと思います。区民の暮らしの基本を支え、行政サービスの最も根底を担っている大事な仕事だと思います。だからこそ、区政の次の時代をつくる先端行政であるべきだと思います。区民とともにつくり出す行政サービスのやりがいを、しっかり感じることができる部門であると思うのです。だからこそ、職員の意識改革で一番求められているのが、区民と協働し行政サービスをつくり上げていく姿勢です。その作業をすることが、本当の行政の改革と言えるのではないでしょうか。

 しつこいようですけれども、区民と考える、区民と議論する、区民とつくり出す、大変かもしれませんが、これこそ、本当にこの仕事についてよかったと実感が持てるのではないでしょうか。私は職員の方に期待しております。区民の方々ともっともっと一緒に考える作業を行ってください。本当に議論してよかったという実感こそが、本当の仕事の充実感になると思います。

 手ごたえのある区民参加をつくり出すための職員の意識改革で、市民と一緒に考える、市民としての感覚は欠かせないと考えます。それにどのように磨きをかけるのか、お答えください。

 2番目に、少子高齢化に対応できる相談・支援の仕組みについてお伺いいたします。

 高齢者の方に「これからの福祉サービスに望むことはありますか」と尋ねたときに、大抵の方から出てくる声が、「今は元気で1人で暮らしていますが、何かあった場合に助けてくれる人が欲しい」という声です。「先日、風邪で寝込んだとき、1人ではおかゆもつくることができずに困りました」「1人でいることがだんだん不安になった。ケアつきの住宅はないでしょうか」「民生委員による独居老人の定期的な安否確認はできないのでしょうか」との声をいただきます。

 遠くの家族と連絡をとり合っているものの、すぐ駆けつけてくれるわけにもいかず、また、お友達にしても、どんどん同じように高齢になり、余りこちらが当てにしているわけにもいかないということで、心配だということです。私の大阪の母も、病気で寝込んだときに困りました。父がいるものの、やはり体が弱っており、家事がきちんとできているわけではありません。SOSを受けて私が帰ったときには、ほこりだらけの部屋で、大した食事もせずに、精神的にも落ち込んで、寝込んでいました。私がずっとついているわけにもいかず、第三者を家には絶対入れたくないと言い張る父を説き伏せて、介護保険の申請をし、ヘルパー派遣をお願いしてきました。週2回、ヘルパーさんが来てくださることになり、掃除も行き届き、ふとんも干してもらえ、気持ちよく暮らすことができるようになり、やっと元気になってきました。

 民生委員はひとり暮らしの方は把握していますが、老老介護や、家族がいても家族に介護力がない、行き届かない場合の方々まで把握することにはなっていないようです。高齢化する一方の都会の中で、孤立しがちな方々をどう支えるシステムをつくっていくのかが、この中野のまちの大きな課題の一つだろうと思います。支え合いのネットワークが掲げられております。会議体だけではなくて、実際に現場に足を運び、サポートする仕組みを、区民と行政との協働でどうつくっていくのかが早急に問われています。

 利用者の安否確認を、電話で定期的に行っているボランティアグループもあります。しかし、限られた範囲の方々しか見守ることはできません。民生委員のことをよく知らない方々も多く、民生委員の方に対する研修が行われているといっても、民生委員の人による格差が大きいという声もあります。ひとり暮らしの方、2人暮らし世帯の方などを定期的に訪問する仕組みを、区民と協働でつくっていくことは考えられないでしょうか。情報が得られない、申請ができない、高齢者、障害者を介護サービスにつなぐ相談体制、支援の仕組みを具体的につくっていく必要があると思います。どう考えていらっしゃるか、お伺いいたします。

 2番目に、介護する側を精神的にサポートしてほしいという悲痛な声もあちこちで耳にします。介護者の精神的ケアが、孤立しがちな都会生活だからこそ必要です。

 先日、在宅介護をテーマに話し合いを持ったときに、さまざまな意見が出ました。介護されている方から、「介護者の精神的サポートの一つとして、カウンセリングも必要です。昨今、DV、児童虐待、育児ノイローゼなどの言葉を耳にすることは珍しくなくなりましたが、現実の介護の現場にも、介護ノイローゼ、介護放棄、介護虐待が存在しています。在宅介護は、嫁、娘、息子といった特定の者に大きな負担をかけているのが現実です。逆に言えば、そのような人々に支えられているのです。厚生労働省は、そのような介護者の負担の軽減を目的に介護保険があるのだと言うでしょう。しかし、現状の介護サービスでは、肉体的作業の軽減は図れても、精神的な支えになることはありません」と。

 介護保険の認定調査をされている方はこう発言されていました。「私たちは、決められている調査項目に答えてもらえれば調査としては終わりなのだけれども、家族の方の話を聞いていると帰れなくなることがある」と。また、ホームヘルパーをされている方はこうおっしゃっていました。「訪問先で、利用者よりも介護されている家族の方の話を聞いていることが多いときがある」と。これらの事例は、介護者が精神的に支えを求めているシグナルと言えるのではないでしょうか。

 多くの介護者は、毎日の介護の中で、肉体的疲労を抱えながら、精神的ストレスと闘っています。

 介護真っただ中の方からこんなメールもいただきました。「私は今、何をしているんだ。もし、この介護をしていなければ、私の人生は一体だれのためにあるんだ」と。このような言葉は想像の産物ではなく、長期の介護経験のある方ならば、一度は頭をかすめたことがあるのではないでしょうか。そのような介護現場で、介護疲れから、自殺、殺人へと、事態は悪化していくのです。介護者が抱えている精神的ストレスの一番は、孤立感ではないかと思われます。日々の介護のつらさを、だれ一人として理解してくれない。毎日一緒に生活している夫、子どもも例外ではありません。このような状態の中で、最悪の事態は発生するのです。

 現在の介護保険制度では、介護される側にしか視点が向けられていません。介護者は、肉体的疲労とともに、大きなストレスを抱えています。精神的ケアの必要性と、具体的な支援の方策について検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 次に、ヘルパーの医療行為の容認についてお伺いいたします。

 昨年11月12日、ALS患者やその家族が約17万人分の署名を厚生労働大臣あてに提出し、厚労相は、全身の筋肉が動かなくなる難病のALS患者らについて、たんの吸引行為が医師や家族以外には禁じられている現状を見直すため、省内に検討会を発足させる方針を決めました。介護現場の実態などを踏まえ、今春にも、吸引行為者をホームヘルパーにも拡大するかどうか、結論を出すことになるそうです。期待されております。

 ALS患者は、その多くが人工呼吸器を装着しており、24時間介護のもと、平均して30分に1度の間隔でたんの吸引が必要となります。厚生労働省は、家族の吸引は容認しても、ヘルパーに対しては、医師の医療行為に当たるということで、認めてこなかったのです。このため、家族の間では、目が離せない、肉体的、精神的負担が大きいとの声が強かったところです。

 施設の現場でも問題になっています。たんを吸引する、軟こうを塗るなど、高齢者施設の介護職員がこうした行為をやむを得ずする機会が増えています。しかし、医師や看護師がすべきだという声も多く、現場では戸惑いが多いところです。東京都社会福祉協議会が実施した都内の特養への調査では、介護職がたんの吸引をしている施設は半数を超え、経管栄養の注入は3分の1に達していました。軟こうを塗ったり服薬介助についてはほとんどの施設で行われ、血圧や脈拍の測定、点眼なども半数以上で実行されていました。

 ヘルパーの訪問介護先でも同様です。民間研究所の調査では、ヘルパーの70パーセントが薬を塗ったり、56パーセントが目薬を入れたりした経験があると答えています。

 ところが、「これらは医療行為だから、医師の指示で看護師がすべきだ。看護職にはその権限がない」という声があります。多くの施設は、「看護師の多くは夕方に勤務を終えてしまう」「コスト面から夜勤の看護師はほとんど配置できない」と、実態を訴えております。所属する事務所から、医療行為には手を出さないでと注意され、家族との板挟みに悩むヘルパーも多いところです。

 こうした実態を行政監察した総務省は、1990年9月、「利用者のニーズや家族介護の負担軽減から軟膏塗布などの身体介護に伴う行為はヘルパーに任せるように」と、厚生労働省に勧告しました。勧告に対して厚労省は、「何が医療行為かは個々の事例に則して判断すべきである」と回答いたしました。医師法では17条で「医師でない者の医療行為の禁止」とあるだけで、医療行為の内容には触れていません。厚労省は、「巻き爪や中耳炎など疾患があれば医療行為だが、普通の状態なら医療行為ではない」と、あくまで個々の事例次第と言います。医師の間でも「じょく瘡の手当てや経管栄養の注入は介護職がしてもいい」とする声が、在宅診療を手がけるお医者様から出ています。

 中野区の障害者福祉会館で行われております生活実習所の通所生の中にも、経管栄養を行っている方たちがいます。お一人は、お昼は毎日お母さんが通ってきて、経管栄養を介助されている状態がずっと続いているそうです。お一人は、やっと非常勤の看護師さんが週2回、経管栄養を行うことになりました。しかし、あとの曜日はできず、午前中で帰っている状態だと聞いております。ぜひ、何とか改善策に取り組むべきです。ヘルパーの医療行為の容認について、区としてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。ぜひ、国に早急に容認されるよう働きかけてください。

 年明けに、4月から始まります支援費制度で、ホームヘルプの時間に上限を設けようと厚生労働省が考えていることがわかりました。知的障害の人で1日2時間、身体障害の人は1日4時間まで、これでは重い障害を持つ人が1人で地域で暮らすことはできません。上限を決めず、24時間ホームヘルプが使えるようにすると、利用者は必要に応じて利用でき、働く人は時間をふやしたくさん働くことができます。中野で、障害を持つ人たち自身でホームヘルプ事業を立ち上げようという動きも始まっています。ホームヘルプの時間を制限するべきではありません。

 厚生労働省前には、1月下旬から連日、たくさんの人たちが車いすや呼吸器をつけて全国から集まりました。年明けの、ヘルパー時間の上限設定に驚き、「これでは地域では生きられない」と抗議の声を上げたのです。その中、厚生労働大臣は、やっと上限の撤廃を約束いたしました。しかし、一、二年の経過措置です。選べる福祉、自己決定ができる福祉の理念のもとに始められた支援費制度です。本人が必要なだけサービスが提供されなければ、理念は実現できないと思います。施設から在宅への流れを確かなものにするためにも、障害者のホームヘルプサービスに制限をかけず、目いっぱい使っても人間は24時間しか生きられませんので、24時間分もっと使っていただくように働きかけるべきではないでしょうか、お答えください。

 次に、子育て支援についてお伺いいたします。

 「お母さんだってほめられたい」とのタイトルで、北村年子さんの話を聞きました。北村さんは、中野で子育て中のジャーナリストです。子育てをめぐる問題をテーマに、中野区の児童館や学校の家庭教育学級を初め、全国を飛び回り、自尊感情、自己を尊重する考え方を伝えています。こうおっしゃっています。「なぜ泣かせているの?」「母親のくせに」「ちゃんとしつけているの?」--我が子に何かあると、お母さんは責任を感じて、「私がこんなだから」「私のせい」と、自分を責めてしまいがちです。でも本当はお母さんが悪いのでも、赤ちゃんが悪いのでもありません。お母さんが今ここにいてくれるだけで100点満点。

 北村さんのお話を聞いた後で、自分自身のことを話し出す若い母親たちの目から涙があふれました。本当に自分は頑張ってきたなと、ほっとしたのでしょう。自分のつらさを認めてもらえる場があったことがうれしかったのでしょう。

 「中野に引っ越してきたけれども、周りが冷たかった」「だれに相談していいかわからなかった」「近所の人も声をかけてくれない」「保健所に相談したら、お母さんが悪いと言われるだけで、自信をなくした」「ちょっと子どもを預けることもできずに困った」「児童館で出会いができてうれしかった」などなど、さまざまな声がありました。その母親たちの姿を見て、地域の子どもをはぐくむ力、親を支える力、私たちのそういったお互いの地域を支え合う力が弱くなっているなと思いました。

 子育て支援のNPOにかかわっている方からは、「行政のシステムだけでは限界に来ている。ともに育てる力の再生しかないのでは」という意見もありました。そのとおりかもしれないと思いました。地域で私たち自身が子どもをはぐくむ力をつけていかなければならない。そのための相談や支援が必要です。

 中野区は来年度、乳児院での子育て体験学習、保健所での子育てこころの相談の充実、女性会館保育室での子育て親子サポートルーム、区立保育園で中高生500人を受け入れ乳幼児とのふれあい体験と、子育て支援の新規事業がさまざま予定されております。どういった考えのもと取り組もうとされているのか、お考えをお聞かせください。

 主を3番目に、新たなニーズに対応した施設の活用についてお伺いいたします。

 上野原スポーツ・学習施設、上鷺宮五丁目公園、南部区民ホール、鍋横産業情報センターなど複合施設、平和資料館建設について、計画の廃止との方針が出されました。やっと身の丈以上の箱モノ施設建設計画のストップが宣言されたことを評価いたします。今後、土地の売却や他の目的への活用を含めて、しっかり住民と議論することが必要です。また、新たなニーズに対応した既存の施設の活用策についても、区民や民間法人の力を生かした検討を進めてほしいと考えます。

 二つほど提案いたします。一つ目は、環境リサイクルプラザについてです。

 12年前、環境リサイクルプラザ建設計画の話が持ち上がったとき、商工会館より遠くなると、利用が活発にされるかどうかという疑問があり、反対しました。その後、区民参加の建設検討委員会も設けられて、どのような施設にするのか、検討された上でつくられました。しかし、立派な施設がつくられたわけですが、広い1階のフロアが、行事があるとき以外は大変さびしく、区民がにぎやかに出入りするところとはなっていないように思います。

 板橋区のリサイクル施設を見学してまいりました。リサイクルサロンいたばしも、板橋エコポリスセンターも、ボランティア団体、あるいは区民のNPOに委託してリサイクルショップを運営しております。品物を持ち込む人、買いに来る人で大変にぎわっています。板橋エコポリスセンターには、「現代のいかけやさん」という看板を出しているリサイクル工房もあります。会社などを退職したベテランの男性たちが、さまざまな日用品の修理に当たっていらっしゃいました。

 また、以前御紹介した新宿区の新宿リサイクル活動センターは、財政難の中で、新宿区が廃止しようとした施設でしたが、新宿区の社会福祉法人新宿区障害者福祉協会の中に設置されております、障害者就労福祉センターが運営の委託を申し出て、障害者の労働の場所として、一石二鳥の役割を果たしております。リサイクルショップや日用品の修理をするコーナーで、障害を持つ人たちが生き生き働き、区民の人たちもたくさん訪れてにぎわっております。

 環境リサイクルプラザを、区民の力を生かしてにぎわいをつくる方策が必要です。どのような検討が進められているのか、お伺いいたします。

 2番目に、起業・創業・NPO支援のための支援策についてお伺いいたします。

 厚生委員会の視察のとき、電車待ちの時間に米原駅周辺を探索していました。そこでたまたま見つけたのが、滋賀県立文化産業交流会館内にあるSOHOビジネスオフィスです。立派なつくりの、大きな交流会館でしたが、大き過ぎて利用の仕方が追いつかないのか、中はがらんとした、さびしい感じでした。それで有効利用を考えようということになったかもしれません。ITを中核とした事業を立ち上げた個人や小規模な企業の活動拠点として、会議室を改装し、起業・創業支援のためのブースをつくり、1か月平均2万円で貸し出しています。入居期間は3年が限度です。総合受付や支援要員によるサポートも行われ、事業者の交流も活発になっているとのことでした。

 港区は、廃校になった六本木の三河台中学校を、NPOの共同事業所として有償で提供した、みなとNPOハウスを昨年の7月にオープンしました。ここには子ども劇場全国センターをはじめ、子ども、高齢者、障害者、学生など、さまざまな分野の28団体が入居中です。給食室を利用し、地域住民への配食サービスをしているNPOもあります。港区は、NPOを地域の課題を担う重要な行政パートナーとして位置付けています。

 仙台市では、市民活動サポートセンターを見学してまいりました。そして、目からうろこの話をお伺いしました。このセンターは、人が集まりやすい市の中心部の既存の民間のビルを借りてつくられております。そして運営はNPOせんだい・みやぎNPOセンターが担っています。学ぶべきは、市民と行政のまさに協働によりつくり上げてきた市民活動サポートセンターの設立までの経緯と、そこから生み出されてきた新しい公共の形成です。これをしっかり議論し、つくり出さないと、施設の表面的な有効利用をまねをしただけでは、これからの時代をつくる、担う既存の施設の利用も運営もできないと思いました。ただの施設貸しや施設転用の発想ではなく、これからの区政のあり方、区民サービスをどのように展開するのか、区民の力をどう生かすのか、新しい公共をどうつくっていくのか、検討されるべきだと考えます。

 既存の施設を生かした支援策は、市民と行政の協働をどう考えていくのか、まさに基本構想の改定の中で検討されるべき重要な課題だと思いますが、どうお考えになっているのか、お伺いいたします。

 4番目に、中野駅周辺のまちづくりについてお伺いいたします。

 私が議員になったばかりの12年前、中野駅周辺整備構想で持ち切りでした。多額の調査費をかけ、今から考えると、無駄な支出と労力をかけてきたわけです。中野駅周辺整備構想や中野駅北口広場整備基本計画は、廃止とも凍結とも言われないままに、行財政5か年計画のときに消えてしまいました。以前、この構想や計画は生きているのか死んでいるのかと質問したことがあります。そのときの答弁も、はっきりしないものでした。この構想をどう総括されているのでしょうか。今まで何人かの議員の方が伺っておりますけれども、はっきりした御答弁がされていないように思います。白紙に戻されるのでしょうか。白紙に戻すのであれば、これこそ白紙に戻すときっぱり言うべきではないでしょうか。一遍5か年計画で消えてしまったわけですから、白紙となったということではないでしょうか。生かすのか生かさないのか、けじめをつけるべきではないでしょうか。なぜ、このようなことになってしまったと、今現在、分析していらっしゃるのか、お答えください。

 再び、新たに調査をしようとしております、サンプラザを含めて、どういう視点で中野駅周辺のまちづくりが必要だと考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。今までのやり方の反省に立って、これからどういう手法でまちづくりを行おうと考えていらっしゃるのか。今のままではまちづくりのあり方に関しても、住民の共感は得られないと思います。住民の共感が得られるようなまちづくりの手法、やり方、考え方について御説明ください。

 中野区の財政力も考えず、大きく構想を広げ過ぎて、多額の調査費や、区民も含めて会議を繰り返しながら、結局何もできないままです。それよりも、必要があるところから、地道な積み重ねを行うべきではないでしょうか。昨年まとめたバリアフリー実態調査を生かす必要があります。せっかく行った調査をむだにしないために、できるところから、区民の必要性が高いところから、中野駅周辺のまちづくりに取り組むべきだと考えます。

 今までこの件に関しても質問をしてまいりました。そのたびに答弁は、バリアフリー化はまちづくり全体の中で考えるということで、結局なかなか具体的な改善策に手がつけられておりません。できるところからバリアフリー化に取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 その他のところで2点お伺いいたします。

 一つは、図書館の民間委託についてです。

 経営改革方針に、図書館の民間委託について書かれていましたが、現在の状況や情報の中での、図書館の民間委託は進めるべきではないと考えます。行政よりはるかに理念と実績のある民間の社会福祉法人による福祉サービスの民営化や民間委託と違って、図書館業務に理念と実績のある民間はほとんどいない中で、行政よりも理念と運営にすぐれた民間を委託先に選定することは難しいと思うからです。図書館業務が民間にできないとは思いません。中野区にある財団法人東京こども図書館は、行政の支援を一切受けず、市民の力だけで立ち上げ、運営されています。そのポリシーと運営方法は、図書館業務に携わろうとする人たちの研修の場ともなっているぐらい、すぐれたものです。

 しかし、現在、他の区で委託されている民間は、図書館業務に理念を持っているわけでもなく、実績が蓄積された人材がいるわけでもない会社が委託を受けています。その中で、江東区の図書館の事件が起きました。江東区は昨年4月から、図書館のカウンター業務を民間委託していますが、昨年11月下旬、委託先の会社から派遣されていたパート社員が、利用者の個人データを私的に利用し、本人と偽って図書資料の優先貸し出しを受けようとした事件が発覚しました。年明けに区民の方々と一緒に江東区のその図書館に行き、図書館長から話を聞いてきました。

 問題は、委託のための研修がきちんと行われているかどうか、行政がチェックすることができないことです。多分、ほとんど研修は行われていません。それまでも、基本的な業務ですらわからずカウンターに着き、利用者との間でさまざまなトラブルを起こしてきたことが報告されています。業務委託のため、図書館長はチーフに注意することはできますが、直接カウンターに座る職員には注意することはできないということも伺ってまいりました。全くおかしな関係になっております。

 業務委託費は1時間当たり1,650円の計算で人件費が支払われておりますが、働き手には850円しか支払われず、安い賃金、不安定な身分の中で、パート社員の入れかわりも多く、業務になれることもなかなかできません。図書のリファレンス業務は、経験の積み重ねの中で力がついていくと言われております。リファレンスは区の職員がやることになっていますが、利用者はまず、窓口に座っている人に尋ねます。根幹業務と非根幹業務を区民は使い分けしません。窓口業務も、図書館の知識がなくてもできる仕事ではありません。区民のプライバシーも扱うのですから、個人情報保護に対する研修もきちんと行われていなければなりません。今回の事件は、1人のパート社員の個人的なミスというより、理念や実績を持たない民間への安易な委託の問題があらわれたのだと思います。

 すぐれた委託先がない現状では、委託をせず、開館日や時間をふやしたり、図書費をふやしたりできる方法をしっかり考えるべきだと思います。区の職員の人件費がそんなに高いのが問題なのならば、常勤職員の人件費を思い切ってカットする。また、非常勤職員の身分保障や報酬をきちっとアップした上で採用し、管理職になってもらったり、常勤職員にかわって、開館日をふやすシフトを組む。働く女性にとっても、意欲を持って、専門性に磨きをかけながら働くことができます。それは利用者にとっても、図書について知っている人がカウンターにいて、安心することができます。さまざまな問題点をしっかり検討し、図書館の民間委託には慎重であるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 その他の項の2番目で、住民基本台帳ネットワークシステムについてお伺いいたします。

 区長が住基ネットの接続を切断した二つの大きな理由は、以下のようです。

 一つは、個人情報保護に関する法律が未成立、二つ目は、国の安全確保策が不十分ということです。国の安全確保策が不十分という点については、具体的に、情報提供に当たって、記録媒体の取り扱いについての安全確保策がまだ不明確であること、情報提供を受ける機関などの安全確保策について、自治体が確かめる手だてが用意されていないことから、セキュリティの信頼性が十分でないこと、接続先の機関が閲覧できる情報の範囲がどこまでかあいまいであること、情報処理業務の再委託先が想定されていることから、区民のプライバシー保護は十分とは言えないという問題点を指摘しました。

 昨年12月26日、福島県岩代町で、住民基本台帳の全町民9,600人の登録データが盗まれる事件が発生しました。災害に備えてつくっている、バックアップデータの保管を委託されたコンピュータ関連会社の車が車上荒らしに遭い、全町民の個人データを入力したマイクロテープがケースごと盗まれたのです。盗難に遭った個人データは、住基ネット6情報に加えて、戸籍や国民健康保険証などの有無など、合計13項目でした。そしてテープ5本のうち3本は、福島県の河川敷で見つかりましたが、残りは見つかっていません。まさに区長が住基ネット切断のとき指摘した、記録媒体の取り扱いや、委託会社の守秘義務についての問題が起こってしまったのです。

 長野県では、住基ネットによって行政の事務効率化が図れるかどうかについて調査をし、その調査結果が1月30日に出されました。都道府県による調査は全国で初めてです。住民基本台帳法に基づいて県が設置した長野県本人確認情報保護審議会が、県内120市町村を対象に調査し、この日の審議会で報告したものです。回答率は93パーセントだったそうです。8月25日に本格稼働する住基ネットについて、「行政事務が効率化される」と考える長野県の自治体は県全体の6パーセントで、国が唱える利点を自治体が疑問視していることが浮き彫りになりました。

 「何が住民データの安全性を脅かすと考えるのか」の問いには、「国に提供すること」が最も多く、52パーセント、続いて、本格稼働に伴って配布されるICカード、「住民基本台帳カードの活用」が40パーセントを占めました。カードの使用状況から、個人のプライバシーまで把握されることへの警戒心が強いと見られます。住基ネットに最も詳しい職員に意見を聞いたところ、「自治体の負担が多い割にメリットが少ない」と答えたところが91パーセント、「住民のメリットがない」と答えたところが58パーセントという結果でした。

 田中康夫知事は、「効率が上がらないまま、負担ばかりが増している。住基ネットには大きな課題があることが改めて分かった」とコメントしていました。長野県は、審議会を中心に調査を進め、今後の対応を決めるということです。

 田中区長は、「住民サービスの向上と行政の効率化を目的とした住基ネット自体を否定するものではない」と言っていますが、中野区でも、住基ネットについて、区民に対して住民サービスの向上につながるのか、また、職員に対して行政の効率化が進むのかについて調査をし、今後の動きの参考にされてはと思いますが、いかがでしょう。

 今年8月25日には、住基カードが導入され、住基ネットの本格稼働が予定されています。住基カードはICカードで、住民票コードを記憶しており、住居地以外の自治体でも住民票の写しを取得できるという広域交付のほか、引っ越し手続の一部省略もできる転出入特例などがメリットだと言われています。さらに、自治体ごとに、カードの記憶容量の空きスペースを利用した独自サービスが可能になります。これまで実験的に自治体で設けてきたICカードは、住民に浸透しませんでした。初年度の普及率2.5パーセントを総務省は目指そうということで、カードの利用対象を公的サービスに限定していた当初の方針を改め、利用条例の考え方では、商店街のポイントサービスや、交通機関、電気、ガスなど公共料金の決済など、民間利用にも広く認めることとしてしまいました。

 2月17日の衆議院予算委員会で、全国銀行協会が昨年9月出した各銀行向けの事例集の中で、銀行口座を開設するときなどに求める本人確認の書類として、住基ネットの住民票コードが記載された通知票も利用できるとの記載があることが発覚しました。民間利用を禁じた住民基本台帳法に違反する疑いがあるとして、全国銀行協会に中止を求めたことを総務大臣は明らかにしました。どこで、どうコードが流れるかわからない状態です。住民票コードなど基本情報が埋め込まれた住基カードに民間利用の情報も書き込めるとなると、ますますコード番号の民間利用が、1枚のカードでやりやすくなる状況になります。

 また、国が住基ネットを利用して本人確認を行う事務は、昨年12月の住民基本台帳法改正によって、93から264の事務にふえました。住基ネットの利用範囲が、なし崩し的に拡大するおそれが出ております。利用範囲が拡大していった場合、区長が切断の理由として挙げた、接続先の機関で閲覧ができる情報の範囲がどこまでか、あいまいになる可能性が大変大きくなります。住基カードの導入は、区民のプライバシー保護という観点から、大きな問題です。住基カードの導入に向けての予算は不必要だと考えます。個人情報保護が図れるかどうかの諸条件、住基カードの民間利用の問題など、慎重に考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 以上、お伺いしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

     〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 佐藤議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、保健福祉の新しい考え方ということに関連をして、区民のさまざまな活動、そうしたものを地域社会の中で生かしていくこと、また、障害を持つ当事者の活動といった支え合いも充実をさせていくべきであることといったような御指摘がありました。

 自由で、自主的で、多様な支え合いの社会をつくっていくということが、これからの社会を活性化していく上でも、本当に必要なことであるというふうに私は考えています。そうした区民の活動、あるいは障害者自身、支援を受ける人自身の意識といったようなことに職員が敏感になって、しっかりと受けとめられる、対応のできる職員にならなければならないというような御指摘もありました。福祉サービスが転換期であるからこそ、区が、あるいは職員が、今ある区民の意識や行動、活動についてしっかり受けとめられるようになければならない、私はそのように考えています。そうした職員の意識改革、あるいは能力向上ということについては、一つは、職員の専門性を向上させていかなければならないというふうにも考えています。

 また、職員が自信を持ってその専門職としての仕事に取り組むことができるように、人事異動のあり方を改善をしたり、あるいはその仕事での成果を正しく評価するような人事考課を行ったり、そうした人材を生かせる組織をつくることも、意識改革のためには必要なのではないかというふうに考えているわけであります。

 次に、住基ネットについての御質問がありました。長野県が行った意識調査では、行政事務が効率化されるという自治体は、県全体の6パーセントにとどまったと。中野でも、住民や職員にそういった意識調査をしてどうかといったようなことも含めて、見解を質した御質問だったと思います。

 今回の、住基ネット2次稼働になりますと、住民票の写しの交付件数が減っていくということで、事務の軽減が図れるということはそのとおりあると思っています。また、2次稼働でのサービスでは、住民票の広域交付でありますとか、転出入届の簡便化といったようなメリットがあるということも事実だと思っています。

 それから、今後、ネットワーク社会の中で、電子契約、あるいは電子申請といった、さまざまな個人の活動に必要な公的個人認証サービスなどが行われていくに当たっても、住基ネットがその中で欠かせないシステムとなっていくというふうに考えています。こうしたことから、住基ネットというのは今後のネットワーク社会の中では基幹的なサービスになっていくものと考えておりまして、住基ネットそのものを否定するものでないという私の立場は、従来申し上げているとおりであります。

 それから、住基カードの利用についての御質問がありました。きのう、区民部長からの答弁にもありましたように、当面、条例による活用は考えておりません。ただ、カードの活用については、今後さまざまな可能性が考えられるというふうに思っていますので、制度とか技術的な動向に関しての情報収集に努めていきたいと考えております。

 私からは以上でございます。

   〔保健福祉部長石神正義登壇〕

○保健福祉部長(石神正義) 福祉サービスの転換期における区の姿勢についての御質問にお答えさせていただきます。

 こういう転換期における区の姿勢でございますが、今回お示ししました「健康福祉都市なかの」の理念に基づきまして、個人の意思と選択が尊重され、高齢者や障害者などの自立生活が支援される地域社会を実現していくために、区、また、地域の住民、団体、NPO法人等が協働して、地域の中で多様なニーズにこたえていく取り組みが必要であるというふうに考えております。保健福祉総合推進計画の中で、こうした区民との協働について、具体的に提案することとしております。

 次に、民営化、委託化についての施設の運営の見直しについての御質問でございました。委託化や民営化の目的につきましては、サービスの提供が措置から契約というふうに変わる中で、高齢者や障害者などの個人の意思と選択に応じた新しいニーズや、質の高いサービスを提供していくことにあるわけでございます。そういう中で、御指摘にありました自立生活支援センターにつきましては、今回の委託の目的は、現在区が行っておりますサービスの提供が、24時間型の、本当の生活に密着した形での体制がとれないこと、緊急時の一時的な収容等の機能を持っていないこと、また、そういった派遣ができないこと、現在やっているサービスがそういった方向の対応ができないことから、社会福祉法人が現在持っているノウハウや施設、能力を活用して、既存の施設の充実を図ろうというものでございました。

 いろいろな団体からは、いろいろな役割だとか、そういったことについてはこれまでは提案されてこなかったわけですけれども、話し合いの中では、新たなサービスの創出だとか、そういったことが言われております。これからは、十分話し合いをしていかなければいけないんではないかというふうに思っております。

 また、高齢者福祉センター等につきましても、民間のノウハウの活用をすることによっての運営をしていくわけですけれども、運営主体が変わることによるサービス低下、また、職員の急激な交代、こういったことが不安であるということから、十分に理解していただけなかったということがあると思います。このことについては、民間活力を活用する趣旨が十分に説明し切れていなかった、我々の体制に問題があるというふうに認識しております。今後も含めて、利用者、家族に対して、時間をかけて十分な話し合いが必要だというふうに考えております。

 それから、全身性障害者の介護についての御質問がございました。いわゆるALS患者のたんを吸引する医療行為をめぐりましては、患者の方、家族の方に過重な負担がかかっているという現状は十分認識しております。厚生労働省は、質問にもありましたように、この2月に、療養支援に関する分科会を発足させております。この問題につきましては、医療行為にかかわる問題でございまして、現時点で区として判断をして対応することは非常に難しいというふうに考えております。3月中にこの会が結論を取りまとめることとしておりますので、その動きを見守りたいと考えております。

 次に、新制度にかかわる問題でございます。国が示しましたホームヘルプに関する補助基準については、サービス量の上限ではないという形で答えられておりますけれども、実際には、補助基準ということですから、現行のサービスの利用実態を相当程度下回ることから、区財政への影響が出てくるというふうに考えております。しかし、このような中にありましても、区としては、現在行っておりますサービスの量、そういった水準を維持していくことが必要だというふうに考えております。

 サービスの提供が措置から契約に変わることによりまして、障害者みずからが選択するためには、情報の提供が非常に大事になってくるわけでございます。そういう中では、窓口の相談だけではなくて、区報、インターネットをはじめとしまして、障害者の方に配慮したさまざまな方法によりまして、サービス情報や事業者情報などの必要な情報提供を行っていき、制度の転換に応じたサービスが提供できるような形をとっていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

   〔保健担当部長青山キヨミ登壇〕

○保健担当部長(青山キヨミ) 私からは、まず、高齢者や障害者の地域での相談支援の仕組みづくりについての御質問にお答えいたします。

 支援を必要とする方々に対し、地域では、民生委員、町会や自主グループ、ボランティアなど、住民の方々が見守り、支えてくれています。15年度には、ひとり暮らし高齢者に加え、高齢者のみの世帯についても、実態の把握や、緊急カードの記入を進めてまいりたいと考えております。

 いざというときに、地域で支えてくれている方々のバックアップをする体制をつくることが区の役割と考えており、現在、関係部署において、具体的な協力の仕方について、鋭意、協議を重ねております。

 次に、介護者への精神的な支援についてですが、家族等の介護者や、近隣の援助者等を対象として、在宅ケア家族教室を実施しております。その中で、ストレス解消法などの講義や情報交換、懇談会なども実施し、介護者同士も精神的に支え合えるようにしております。特に、精神的ストレスの大きい痴呆高齢者の介護者等を対象にした痴呆高齢者家族教室では、精神科医と保健師を交えて、痴呆高齢者への理解、対応や、介護の方法、情報交換を行っております。また、必要に応じて、保健師等が家庭訪問し、家族の相談に乗っております。

  〔地域センター部長柳澤一平登壇〕

○地域センター部長(柳澤一平) 子育て支援の問題、それから、NPO支援についての2点にお答え申し上げます。

 新たに取り組む子育て支援事業につきまして、どのような基本的な考え方なのかという御質問でございました。今、家庭や地域の養育力が低下してきているということでございまして、そのような状況を踏まえ、子育て不安の解消、虐待予防等は、緊急に取り組むべき課題として認識しているところです。そのため、子育て不安を持つ家庭の早期発見と早期対応を図ること、子どもを持つ以前から子どもに関する理解や親しみを深められるようにすること、それから、住民自身による地域の子育て支援の力を充実させること等を重点にいたしまして、新規の事業を実施することにしたものでございます。

 次に、NPO支援でございまして、NPO支援で、起業・創業の場づくりについてどのように考えているのかというような御趣旨でございました。NPOの活動がより活発化するための支援策の一つといたしまして、場の提供が必要ということは十分感じているところでございます。場の方策についてはさまざまな考え方がございまして、今後、15年度中に策定いたします、NPO・自主団体支援方針の中で具体的に明らかにしたいというふうに考えているところでございます。

    〔環境部長西條十喜和登壇〕

○環境部長(西條十喜和) 私からは、環境リサイクルプラザの、区民の力を生かした利用方法についてお答えいたします。

 環境リサイクルプラザの運営につきましては、相互に関連する環境保全活動と消費者活動を、暮らしのあり方や生活分野を見直すという視点から、組織を総合的にとらえ、効果的に展開するため、来年度から消費者センターと統合し、新たな、にぎわいのある活動拠点づくりを目指すことといたしているところでございます。そのため、環境リサイクルプラザ、消費者センター運営会議のメンバーでPTを結成いたしまして、職員も加わり、多くの区民、団体、事業者が集まり、主体的な活動をする運営のあり方について、検討を始めているところでございます。

   〔都市整備部長石井正行登壇〕

○都市整備部長(石井正行) 中野駅周辺のまちづくりにつきまして、御質問をいただきました。いろいろ多額の調査費をかけて策定をしてきた構想、計画等についてはどうなっているのかという御質問でございます。

 過去に行った調査をもとにして策定をしてまいりました、中野駅周辺整備構想構想、それから、中野駅北口広場整備計画につきましては、私どもとしましては、白紙に戻して、新たに考えていこうというスタンスでございます。社会経済状況の変化、それから、財政状況から、事業という形では結実してこなかったということにつきましては、昨日も御答弁申し上げておりますように、遺憾なことであるというふうに考えております。

 15年度の調査につきましては、これまでの構想、計画の調査をした資料もございますので、そういった成果物を整理をした上で、新たな15年度からの調査に生かしていくということでございます。

 中野区の都市計画マスタープランで目指しております、「賑わいの心」を構成しますサンプラザ、それから、中野駅の北口広場を含みます駅周辺一帯の今後のまちづくりの方向性や課題、それから、民間とのパートナーシップなども含めて、実現可能性のある整備手法、それから、都市計画制度、これらのあり方などについて、改めて検討を行う予定でございます。こういったことを行いながら、必要な都市機能や施設機能について調査を行ってまいりたいということでございます。

 それから、周辺のまちづくりを待たずに、そういった新たな計画を待たずに、中野区バリアフリー実態調査の結果を生かしていくべきであるという御質問がございました。中野区バリアフリー実態調査の結果を受けて、だれもが快適に自由に行動できるよう、移動の利便性、それから、安全性向上の促進を図るために、現在、中野区交通バリアフリー推進構想の策定に向けて取り組んでいるところでございます。中野駅周辺につきましても、この構想の中で、実施すべき事業の方針を定めまして、できるところから取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 〔教育委員会事務局次長山下清超登壇〕

○教育委員会事務局次長(山下清超) 私からは、図書館業務の委託に関するお尋ねにお答えをさせていただきます。

 教育委員会では、図書館サービスの充実、向上を図る方策の一環として、この委託化を検討しているところでございます。ここ数年、図書館業務の委託を行う自治体がふえてきております。これに伴いまして、当初は少なかった受託業者の数も、委託を行う自治体の増加につれて、業者の数も増加をしてきているところでございます。

○議長(斉藤金造) 以上で佐藤ひろこ議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

      午後3時34分休憩

 

      午後3時52分開議

○議長(斉藤金造) 会議を再開いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 近 藤 正 二

 1 住民対話で汲み上げた住民要望と区長の所感について

 2 基本構想改定の目的について

 3 上野原スポーツ・学習施設の廃止と責任について

 4 今後の施策の転換と区民への説明責任について

  (1)中野駅周辺整備、警大跡地について

  (2)江古田の森の施設と環境について

 

○議長(斉藤金造) 近藤正二議員。

     〔近藤正二議員登壇〕

○41番(近藤正二) 私は、各会派の方が、何々党の立場でというお話から始まっておりますが、お許しいただきまして、多少、こういう立場でということを先に2、3分述べさせていていただいて、本題に入ってまいりたいと思います。

 私は、昭和21年、ここにはまだお生まれになっていない方が多いだろうと思うんですけれども、北原という学校で、卒業生やその近辺の若者が集まりまして、北原文化クラブというサークルをつくりました。食べ物もない、本もないような時代で、勉強をしたいが先生がいない、設備もないという、それは小学校から大学まで同じ状況でございました。その中で集まった学生たちが、自主的に、小学校で子どもたちに授業を教えておりました。先生たちは敗戦のショックでもちろん教科書もありませんし、文部省は解体の状況であって、それに対して、せめてということで、私などもローマ字を子どもに教えた記憶がございます。一橋大のある教授が私に、あなたに私は英語を教わりましたと言われて、全然覚えがないんですけれども、そのことだったんじゃないかなということがございます。

 そうした中で、生活に密着した勉強をしながら、多くの人たちを集めて、講演会、あるいは美術や演劇や音楽等の集いをずっと続けてまいりました。この文化クラブは、後に夏季講座というものをつくりまして、毎年、これには中野の教育委員会も後援してくださいまして、講師の謝礼2万5,000円を分担して、職員も派遣していただいて、それが15年ぐらい、昭和40年代ですけれども、続いてまいりました。昭和45年を区切りにこの会も一応終わりましたが、その会の中で私は、昭和26年、御承知の「二十四の瞳」を書かれた壺井栄さんや、あるいは三岸節子さん、くし田さんなどに招かれまして、地方議会というのは非常に大事なものであって、中野区にはインテリが非常に多い、あなたはぜひやれということで、さんざん逃げ回ったんですけれども、公示寸前に、立候補させられたといいますか、したわけでございます。そういう経過をもって、地域の方々と一緒に、地域社会をつくろうと。そして平和で文化的な生活を守るために、未来を担う子どもたちのために、まちの政治活動を今日までやってきたつもりでございます。

 現在、区長ほか皆様のお話があったように、中野区でも少子・高齢化が目立っております。ひとり暮らしの高齢者の生活は、介護保険だけでカバーできるような状態ではございません。私はずっと無所属の議員として、行政に間違いのない方向に向かって、ある意味では反論し、また、税金の無駄遣いをチェックしてまいりましたが、今、この大変な時代になって、中野区が財政破綻を理由に、区民の生活を守れないような事態に陥ってしまっていることに対して、中野区政に身を置く者として、極めて無念な気持ちを持っております。

 子育てのお母さんたちが安心して暮らせる地域や、定年退職されたお父さんが新たに参加される地域、先ほど申しましたように、自発的に広がっていくということがなかなか難しい地域環境になっていると思います。そして現在、御承知のとおり、PTAの役員に参加する方がほとんどいない。町会も、古い方々が頑張っていらっしゃる。商店街は、青年部といえば60歳以上の方が青年部で働いておられ、今、くしの歯が抜けるような状況になって、それに不況が追い打ちをかけている現状です。これはもちろん、何も中野区政だけが悪かったということではありませんし、世界の経済的な変化、政治的な変化、日本の行政の変わり目というものが相まってこういう形になったことを重々承知しておりますので、区長が冒頭に述べた所信表明の前半の部分は、細かなことは除きましても、大体容認する立場でおります。

 しかし、なぜこうなったかということの中に、中野区には一つの特色があるというふうに考えるわけです。そのことについて触れて、区長の所信をお伺いしてまいりたいと思います。

 まず第1にお聞きするのは、住民対話でくみ上げた住民要望と区長の所感についてということでございますが、区長は就任以来、中野区内を月に2回巡回して、区民と対話を続けてきました。忙しい中、御苦労さまと申し上げます。そしてその手助けをされた職員の方も、大変であったろうと思います。ただ、住民参加、あるいは開かれた区政と、新区長はどこへ行ってもその言葉を繰り返して述べております。住民参加、開かれた区政という言葉は、中野区で30年来続いています。ある自治体ではそれが成功したところもあるでしょうし、中野区のように、新しい基本構想をまたつくり直さなければならないなどという事態になっているところもあります。

 そこで、区民対話をして区民にどのような反応があったか。現在、中野区民の意見や動向をどうとらえられたのか。期間は短いし、まだ回数は少ないかと思いますが、地域においていろいろな差があるでしょうけれども、どういうことを特色として感じられたのか。また、その要望等に対してどのようなことを考えていらっしゃるのか。例えてみれば、サンプラザの問題がありますが、始まったときには、サンプラザは難しい、金がない、あるいは条件が悪いと言っていましたけれども、ナポレオンの話じゃありませんが、だんだんと最後になってくると、買う意欲が非常に高いというふうに、聞いた人たちがそういうことを言っております。でも、それは具体性があるかどうかわかりません。いろいろな意味で発言があったと思いますので、住民対話における区長の所感の一つを伺いたいと思います。それが第1項です。

 次に、基本構想の改定の目的について、区長の発表、あるいはこの間政策経営部の方で出した中野区経営改革指針ですか、そういったものを読ませていただきまして、疑問がかなりありますので、その点について具体的にお聞きしてまいりたいと思います。

 まず、区長は今回の予算の編成に当たっても述べておりますが、先般の退職者の新年会においてこういうあいさつをしておりますよね。「区政の説明責任を果たし、区民参加を進めるため、区民対話集会を月2回ずつ定例的に実施しています。また、職員との対話も、職場単位や職層別、時間外など、さまざまな形で実施しておるほか、毎月の初めには庁内放送をするなど、できる限りコミュニケーションの機会を多くとるようにしております。職員の発想を埋もれさせないように、職員提案制度をつくってまいりました」と。そして以下は、「これからの状況は日本も世界も変わっていくというようなことの中で、新しく中野区基本構想の改定に着手をしました」というもので、施政方針演説の中でも同じことを触れております。

 先ほどの質問と絡むわけですけれども、振り返って、基本構想ができたのは昭和56年ですから、中野区が何をやろうとしているのか、理想とするまちというのはどういうものか、幾つかの箇条書き、いわゆる5本の柱を立てて、それを散りばめて、福祉だ、平和だ、子どもだ、環境だということを説明しながら、既にもう30年やってきているわけです。それが実現していればこんなことにならないわけですが、実際においては5本の柱が、前にも言いましたけれども、割りばしのように細くになってしまって、消えていってしまったというような形の中で、何を改定をして、どういうものにするのかというのがさっぱり見えないんですよね。できなくなりました。じゃあ、何をするのか。大したことはできません、当分借金を返しますと言うならば、何も基本構想をつくる必要はないんですけれども、また改めて言葉で、表現で、美辞麗句で、あるいは羊頭狗肉を掲げる形で区民に対して発表する。それも学識経験者を交えて今月作成に入るとか、あるいは前のように各地を回って住民の意見を聞くと。そしてつくったものに果たして責任があり、何ができるのかということについては見えていないわけで、つくる意味が私にはわからないと思うわけです。

 具体的な形で申し上げてみたいと思いますが、2年後につくるというわけですから、恐らく流れとして、この間の行財政5か年計画、そして今度の基本構想改定に向かっての関連の施策というものが、一つの橋渡しとして一応発表されたというふうに理解するわけですけれども、その橋渡しの内容を見ても、経営改革指針の考え方とか庁内のレイアウトの改善だとか、幾つかありますが、具体的な形がわからないんですよ。この2年間の橋を渡った先は穴に落ちるのか池の中に落ちるのか、その2年間の橋の先というものはこうなりますよ、これに向かってこれを積み上げ、これを削ってという形のものが、言葉は踊っていますけれども読めない。そこのところをしっかりとしていただきたいと思うんです。庁内のレイアウトの改善というけれども、これは何度もやり直して、都合でまた引っ込めている。保健所一つとっても、今現在、部長、所長と2人いますが、平和の森の前に保健所の中心をつくる、そして南北、東西というような形でやるということで保健所の議論をしましたが、現在の北保健所は相当老朽化しておりますよね。途中での政策発表というのは、先般、平和記念館の話が出ましたけれども、結局、財政難かどうかわかりませんが、消えていってしまう。それが再度繰り返されるんじゃないのか。

 それから、例えば人事権限は部長の方へ移譲すると。それはどういうことなんだろうか。部長が気に入った職員をおれのところへ来いとか、気に入らないから出ていってくれとか、何年もそこに置くというような権限があるのか。人事異動というものはどういうふうに考えていらっしゃるのか。研修も全然やっていないですからね。確かに、名札をぶら下げて、お客様と呼んで、「いらっしゃいませ」というようなことはやっていますけれども、ほかのところではやっている研修、民間に半月出かけるとかデパートに行ってやるとか、10年以上前から、接客態度ということだけでもやっているという話はお聞きだと思いますが、名札をぶら下げて、机の下に6つの約束の接客態度を書いただけで果たして接客態度がよくなるだろうかというふうに感じます。

 これは最近の経験なんですけれども、先週、ある小さな集会を開くので、地域センターの窓口に部屋の借り入れの申し込みに行ったわけですよ。名札はつけていらっしゃらなかったから、アルバイトの方かもしれませんが、「団体名を書きなさい。この登録の中にあるんですか」と言うから、大分前だから、新しく登録をし、600円なら600円払いますから、貸してくださいというお願いをしたら、この紙に名前と住所を書いて持ってきてくれというわけですね。金曜日の夕方ですから、月曜日にお届けしますということで行ったら、その窓口の人はかわっていて、何ですかという話になって、また同じ話が始まるわけですね。600円払うから、とにかく貸してくださいということで、何日にあいているのは洋室のAでございますと言われたんですよ。メモもちゃんと書いてあるわけですね。いいということで、600円払って借りたんですけれども、今度は使う部屋はBだと言うんですよね。私は皆さんにAとして日曜日に連絡してしまっているので、Aじゃなくて、Bですよということをやり直さなければいけない。次の、かわった方は奥へ行ってああだこうだという話をして、Bの部屋ということで、600円納めた。今度はその日に行って、受付に職員はいませんので、それを管理している管理者というんですか、座っているだけですが、この紙を持っていけと。かぎはこうだと。しかし、私は一番先に行ったけれども、ちょっと目が悪いものですから、かぎが下の方で、どこに穴があいているのか、簡単にかぎをあけるわけにいかないんですよね。若い方が来たので、この部屋なんだけれども、あけてくれといってあけてもらったわけです。終わって帰るときに、かぎを返しなさいと。使った記録をこれに書きなさいというから書いた。

 感じとして、住民にとって接客態度がいいというふうにはとれないような感じがするわけですよね。それを基本的にすべての場所で、地域センターだけじゃありませんよ。図書館にしてみても、あらゆるところにおいてよくしようといっても、並大抵のことではサービス向上というのは望めないんじゃないかなと。そう思うときに、何を研修するのか、あるいは庁内レイアウトの改善というのは何なのかと。

 まちづくり一つにしましても、10年ぐらい前ですけれども、7階から8階に上がると、今度はまちづくりの公社をつくったというので、半分が郵便局のわきへ行ってしまった。行ってみたら、ここじゃない、郵便局の方へ行ってくれというようなことを経験したこともありますが、その公社は消えて、また戻ってまちづくり課になって、預かるべきでない警察大学校のテーマをまちづくり課が一応格好だけは預かっている形というわけです。レイアウトを考えてみても、年中変わらざるを得ないわけです。

 これは私は申し上げましたけれども、例えば関西のまち、あるいは目黒へ行きましても、福祉に関する限りはワンフロアで済む。それから、長野なんかもそうやっていますが、1階に区長室があって、相談からなにから全部案内ができる。あるいは案内のシステムがちゃんとできていて、このとおり行けばいいと。我々議員ですら、ちょこちょこ変わるから、聞きながら行かないと目的とする部署へたどり着けないようなことだってあるわけですけれども、そういうことを踏まえると、レイアウトを刷新するなんていう言葉だけで、住民に喜ばれるようなものができるかどうかということを感じるわけで、そういう点について、区長なりあるいはその担当の総務部長なりに聞きたいなということです。

 今のは基本構想の改定の目的に絡んでちょっと嫌みのようなことを言っているわけですけれども、基本構想の改定というものが、先ほども申し上げましたように、昔のように中野の住民が、いろいろなことをやろうじゃないか、区を引っ張っていこうじゃないか、チェックしようじゃないかというだけでは、少子・高齢化の時代になって、簡単に、住民とともにとか、住民と協働といっても、相手の住民さんの方がどうなっているかということをしっかり把握しなければ、これは全く言葉が踊るだけの話で、はっとり議員なんかもそうだと思うんだけれども、NPOで一生懸命頑張ってやっていらっしゃるらしいけれども、やってみたら大変なわけで、役所に文句を言いたいことはいっぱいあるだろうと思うんですよね。NPOを立ち上げてとかNPOを支援してという言葉を簡単に区の方は使うけれども、実際にそれと対応してできるかどうかといったことを考えると、先ほど申し上げたような区の状態の中で、昔、この庁舎の周りをリボンフラワーで「江原小学校の第2校庭を取り上げるのは反対」と囲んだとか、3万人の署名を集めて、準公選をつくってくれとか、あるいはその反対に対しても人が集まるとかという、そういったエネルギーというものが今日のような状態の中で、飛び出していって、やろうじゃないかというのは、ある部分には、町のおじさんや老人の方もいらっしゃいますけれども、期待するほどのものができるのかどうか。幹部職員だって机に座っているだけじゃなくて、子どもが好きなら、子どものためのNPOをつくっている団体もあるわけですから、そこへ行ってみて、現実的にそれが伸びているのか、伸びるのか。例えば野方の青年館を去年つぶしました。夜、幾つかの団体が使っていますけれども、青少年の場として残したけれども、全然それが生きていない。それを何とか地域のNPOで支えようとしているけれども、限界があるという状態で、小学生、中学生、あるいは高校生を含めた青少年の場というもの、青年館というのはそういうものだったんですが、その場すら崩れて、それを地域で支えるということは大変な状態になっている。そういうことで、机に座っていないで、また、抽象的な答弁をするだけじゃなくて、実際に入っていって、どこに問題があるのか、どうしたら一緒にやれるのかということを体験した上で、一つのプランを出してもらいたい。先ほどまでのいろいろな質問に対して、全部、検討いたしますとか、あるいはこれからですという形で終わっているわけで、そういうものを今度羅列されたんではかなわんじゃないかなという感じがしますので、その点を強調しておきます。

 昨年の11月の定例会の一般質問で私は足立区の住区センターのことに触れました。時間がなくて、書類だけ送ってもらったんですけれども、ついこの間、住民の方何人かと足立区へ行って、部長、課長、それから、住区センターの現場を見せてもらってきました。そのときも申し上げたんですが、昭和53年、54年、中野区が基本構想をつくっているときに、大変きれいな、立派な、抽象的な文章を並べているときに、足立は職員の数をふやさないというのか、民営化というものを始めたわけです。ですから、都職労にしても区職労にしても、悪の枢軸のように、足立区は職員をカットする、職員を削減する、けしからんと。夜間の警備も民間委託、けしからんと。それから、一番先に給食の作業を全部民間でスタートさせたわけですけれども、役所でやらなければいけないという話が出てきたわけなんですね。この間行って聞いたときに、「小・中学校で、食事が民営なのか、あるいは役人がやっているのかなんていうことに関心を持つ人は今、1人もいません。出されたものを満足して食べています。警備についても、ちゃんとやっていただいていますから、職員であるか職員でないかということについての問題は出ておりません」と。

 具体的に見せてもらったわけですけれども、45の地域センター的なものは、この前も申し上げたように、6人から8人の運営委員会で、老人の施設、児童館の施設、それから、集会の施設、そういったものを一つの施設として扱って、そこに責任者がいる。年間に2,300万円預けますから、2,300万円の中でお祭りをしようがもちつきをしようが、隣の施設などと交流しようが何をしても構わない、年寄りがバスに乗っていっても、それは内部での運営の中の協議でもって決まるのだという形でやっています。私が見たときも、20人ぐらいの子どもが中と外で遊んでいるし、50代のおばさんというのか奥さんがおもちゃづくりなり面倒を見ている。年寄りはオセロゲームだとかビリヤードをやっていて、それから、おやつを食べるというような場面があるわけです。それが45か所あるということですよね。これを官でやった場合には約5,000万円程度に高くなってしまうということです。ただし、ただで働かせるわけじゃなくて、働く方には850円の時給を払って、ローテーションをつくってもらうし、監査は監査委員会が出ていって、全部の監査報告がある。法で定められていますから、単に民間に渡すというわけじゃなくて、事業団体として確認をして、その事業団体に対する監査は区でやっています。そのかわり四つだけは直営館を設けて、区で何かアイデアがあって、モデルになるかどうか。区としては4館、直営のものを持って、そしてお互いの参考にしてやっているという形になっています。それで結構活気があるし、よく動いているものだなと思った。

 何でこうなったんですかと聞いたら、少しも得意がってはいないんですよね。もともと足立は貧乏なんですという話なんですよね。確かに、私が区議会へ出てきたころから始まって、川向こうは貧乏で、山の手の金はみんな川向こうの方へ、都区財政調整で持っていかれてしまうわけですよ。今でも財政交付金の一番多いのは足立、それから、葛飾。ごらんになればわかりますけれども、都からの財調の流れる先はそういうところなんです。まだ川もあればどぶもあるようなところで、お百姓さんばかりだったようなところが村になり町になり区になってきた。お役人さんが一番いい職業だと地主たちが見ているところへ、区になったからといって役人をどんどん入れるわけにいかないんだと。怒られてしまうから。何とか考えて、そうしたら地主も自治会長も協力しようという形でこうなったと。もとは貧乏な区で、今でも貧乏なんですよと、そういう言い方をしているんですよね。

 その貧乏な区に新潟県からも視察においでになりました、どこからも視察においでになりましたと。というのは、日本が全部貧乏になってきてしまって、中野区も貧乏になっているんですよね。貧乏の中でできることは何か、サービスを落とさないでやれることは何かということが基本の考え方じゃないかと思うんですけれども、財源のことを考えない、借金の返し方は明示しない。そして先ほどから話しているように、5か年でどうだとか、こういう形を新しく考えましょうと言われてみても、その説明では納得できないんじゃないかなという感じがします。

 その貧乏になった一つの原因は、これは前から言われていますけれども、不要不急の土地を買った。ある時期はオール与党のときもあったと思います。各党の皆さんが持ち込んだというわけじゃございませんが、今残っている中で、売れない土地、使えない土地があるということは毎回問題になっています。その幾つかを挙げてみたいと思いますが、まず上野原について。

 基本構想に関連はしているんですけれども、3に入ります。上野原スポーツ・学習施設の廃止と責任の問題についてお伺いいたします。

 これはもう皆さん御承知のとおり、総括の場合にも毎年、例えば文教委員会にも昨年ちゃんと資料が出ておりますが、大体11億で買って、その後何を調査したと。よくも調査したわけで、とにかく航空写真を撮って、それから、温泉が出るか出ないか、半分掘ってやめて、そしてあちらこちらの地権者を回る。結局全部買い切れないで、借地権になったと。石神部長などは、夜討ち朝駆けじゃないけれども、一生懸命飛び回っていったわけですね。そもそもこれを買うとき、平成4年にはっきりしてきたんですけれども、教育委員会はもろ手を挙げて買いたいと言わされて、当時の教育長は依光さんですが、行ったらば、けんもほろろで、向こうの町長が、教育長が来ても話にならん、買うんなら区長だというわけで、区長に来ていただきたいということになったわけですね。助役が行ったのがその年の8月26日です。助役が行ったけれども、だめだ、やはり区長に来てくれということで、区長は8月の28日か29日に行っているんですよね。それで協定を結ぶというのは、水道を引いてもらうとか道路をつけるとか、あるいは残った土地を買うとか、水源をどうするというような話から、皆さんのところにも写しが届いていますが、上野原の町との契約は、土曜、日曜は中野区が使うと。中野区がつくって、上野原の町民も利用するという話で、上野原の町の開発構想にはきちっと、中野区の上野原の土地は上野原のスポーツ施設であるというのが印刷されて、また、壁にちゃんと書いてあるわけです。奈良町長はそれで選挙に出たわけですよね。とにかく中野区と一緒になってあそこをつくるんだと。水も1か所引いて、それを温水プールにして、鶴川の方を一つのスポーツ施設に持っていくという形で2回選挙をやって、まだ現在いるわけですね。

 相模湖のヘドロですか、一生懸命積み上げているわけで、また、返す金とか金利は年2回ずつ、正確な数字は控えますが、1,000万程度払わなければいけない。水道管は中に引いたけれども、貯水池のところはこれから中野区に金の要求があるわけですよね。1億かかるかどうかわかりませんが、それは払わざるを得ない。引いてくれと言ったわけですから、掘って配給するわけですから。

 町としては、公共団体同士が約束をして中野区も区民に、こういうものをつくりますと、写真入りで大宣伝をして、実物の模型をつくって、写真でも見せる。こういうものをつくりますということを、何回も区報で報道した。上野原もまた、そういう形でやってきているわけです。そうすると、中野区がやめますという形の中で、単なる信頼関係が破れたという形ではなくして、向こうは何のために水道を引いたのか、何のために道路を、便宜を図ってきたのか、何のために体育館を川の方につくったのかという話は残るわけですね。そうすると、責任の問題で向こうにとっての公約違反は中野区が破ったからだという形になると、弁償の責任は法的に生じるんじゃないかなというおそれがあります。ですから、計画を中止したとか廃止したとかという問題じゃなくて、今後どうなるのかということについて、区長は慎重に考えておかないと、訴えられる危険性だってあるわけですよ。そのことをつけ加えておきますが、まだあるわけですね。

 あそこに投じた金、先ほどのヘドロの中に中野区民の血税が約20億円、もう使っているんですよね。何にもならないわけですよ。今、相模湖から出てきた土が山盛りになっています。その下は廃棄物の山ですよ。むだに税金を使った責任というものをはっきりしなければ、区民は納得しないと思うんですよ。思い返していただければ、ここにも何人もいらっしゃいますが、佐藤議員や藤本議員などと一緒に何回も行っていますし、藤本議員は稲川会の会長の屋敷まで入り込んでいって、佐川は舎弟企業だということまで聞いてきて、それで発言しているんですよ。それから、佐藤議員もいろいろなことをやっている。

 私は、区長に向かって最後の反対演説ですけれども、「神山区長さん、これだけ違法である、そして問題がある、暴力団絡みだと言われている、しかも解決がまだつかない、こういったものを買っても、全くこれは使えないだろう、意味がない、最後に判こを押すのはあなたですよ、私、近藤が繰り返し繰り返し、この土地は買うなと言っているのにもかかわらず、最後の判をあなたは押すのですか、押してはいけませんよ」とちゃんと本会議の記録に残っていますよ。ということになると、議会の多数で決めたとか、どういう事情であの土地を買うことになったかという言いわけは見る者、あるいは調査した者はわかっている土地を、わけのわからない説明の中で買ってしまった。ヘドロの中に埋めた20億の責任はだれがとるのかということは全然ないでしょう、廃止というだけでもって。先ほど名前を出しましたが、区長や助役に言われて一生懸命働いた方々がとれとは言わないけれども、例えば群馬県の安中という町で、四、五年前に、4億幾らの使い込みをやって、いわゆる外郭団体の職員が逮捕されていますよね。それに対して区長は区長である限りは4割、それから、課長が1割で部長が2割、それを払い続けますということを安中市民に向かって発表しているんですよ。それが、私は信頼を取り戻す一つの政治姿勢じゃないかなというふうに考えます。

 そこで伺うんですけれども、区長さん、この責任はどうなるのですか。そして前の区長なり助役なりに、反対があるにもかかわらず、区民の血税を使われてしまったということについて、あなたは新区長として責任追及をするのですか。このままただ廃止しますと。後は何が出てくるかお待ちしますという形で終わってしまうのですか。そこのところをはっきりと示していただくという姿勢がなければ、何の基本構想だ、住民とともにということを言う資格はないと思うんですよね。

 続けます。今後の施策の転換と区民への説明責任についてですが、先ほど申し上げたところにかなりのウエートが入っておりますが、具体的に申し上げたいと思います。

 まず、中野駅周辺整備、警大跡地についてですが、これも同じことが言えるんではないかと思います。

 多大な調査費を使って、中野駅周辺整備構想を初め多くの構想や計画を作成してきました。そして平成元年には特別委員会を設置し、調査検討を行ってきました。しかし、中野駅周辺に範囲を広げ過ぎて、警察大学校だけではなく、言われているように、中野駅から北口、あるいは住宅を含めて、全部の地域を再開発といいますか、まちづくりをするんだと。そのために中村助役に、担当にしているんですよね。そして部をつくり、課をつくって、中野駅前の再開発をやってきている。どれだけのお金を使い、そして特別委員会で何を議論してきたんですか。

 そもそも、総務庁の方で、警察大学校を調布の方へ移す、平成11年にはなくなるよと。東京外語大学も移るよと。向こうにもう建っていますよね。そういったことが新聞記事に出たことで飛びついて、とにかくあれを中野区は取得しようじゃないか、開発しようじゃないかという話になって、その後、今度は焼却場の問題が出てきますよね。東京都の清掃局としても、各区に一つの焼却場をつくるというのが前提であるという形の中で、中野区は、偶然だけれども、あそこに空き地があると。都も結構ですと。町会連合会も結構ですという形で、あそこへ焼却場をつくろうと。焼却場をつくるという話が今度は重点的になってきて、焼却場はどういうものが要るのか、何百トンの処理能力が必要なのか、あるいは地下型がいいのか、不燃物をどうするのかという話にぐっと展開していったわけですよね。それで物すごく会議が開かれているわけです。焼却場の話は、平成12年の都区の事務移管の中で、清掃業務は都から区に渡しますと。そして一部事務組合をつくって、お任せしますという形で現在きているわけですよね。

 そのときに私はたまたま、皆様に推されて、都区改革の委員長をしていたものですから、23区で集まって、委員長会の会長にもなっていますから、1年間、随分そういう経過をそれぞれの部局から来たり、都からも来たり、23区の有田部長などともいろいろな経過を話しました。しかし、神山区長は余り区長会に出席していないんですよね。どの程度おわかりになっていたのかわからないんだけれども、そのときにはもうはっきりと、最後が目黒ですと。目黒もごたごたありましたが、一昨年、わずか200トンで終わっているわけです。だから新宿ももうつくらなくていい、千代田もつくらなくてもいい、中野もつくらなくていいんですと。平成24年まではもうつくりませんと。このままそっくり一部事務組合にお渡ししますということをはっきり言っているんですよ。それは立ち会った者であればみんなわかっているわけで、私も前にそういうことを申し上げましたけれども、まだそれが糸を引いて、焼却場をつくると。しかし、中野区でつくるわけはないし、都が見てくれるわけはないんだし、一部事務組合が中野に金を回そうということはまだ未定の話ですから、はっきりしていないものに対しての残影というんですか、煙も見えず雲もない状態の中で、人の土地をどうしようかというふうに考えているのが今の中野じゃないのかなというふうに思うわけです。

 いろいろな基本調査をやりましたよね。人がどういうふうに流れるかとか、それから、全体の大ぶろしきをどんな形でつくるかとかいう話をして、交通のシミュレーションをやった。その中で傑作なのは、中野駅周辺地区整備に伴う地域の冷暖房化、地下にガスなり電気を入れて、この周り一帯を冷暖房するというための調査費を何千万と使っているんですよ。それから、転換事業のための調査検討もありますし、まだ買ってもいない駐輪場のところをどうするかという、立体化の問題もあるわけですけれども、平成8年まで区民会議を開いて、土地を利用するための区民会議を平成10年もまだやっている。そして説明会、意見交換会をずっとやってきた。それが平成13年、14年に消えていってしまう。

 議会も責任はないとは言えないと思うんですけれども、平成元年の6月に、中野駅周辺整備・警察大学校移転促進特別委員会をつくっています。16人で、中野駅周辺の整備について、警察大学校移転について。小沢議員が小沢プランというのを出して、大資本は入れるべきじゃないというような発言をしたのもこのときなんですが、平成7年には、今度は内容が変わって、駅周辺整備特別委員会という形で、市川議員が関連している丸井の方までも含めて、広げた。しかし、五丁目の方は広過ぎるというので、それをまた削ってしまう。平成9年には警察大学校及び警視庁警察学校移転後の跡地利用について、清掃事業移管に係る清掃工場及び清掃車庫整備についてということを議題に、4年間やっているわけです。また平成11年に同じように、清掃事業・警察大学校の跡地の特別委員会を15人でやっている。現在も、平成10年から続いているわけです。

 調査費だけで1億2,172万円かかっていますけれども、それに加えて、部をつくったりしていますから、職員の人件費、我々議会のたびたびの特別委員会といったものの費用を入れると、やはり数億の金がこの調査のためにかかって、どうなんですかというのが今の現状になっているわけですよ。このことをはっきり区民に知らせないと、サンプラザが買えれば買うとか、サンプラザも含めてまちづくりをもう一度考えるというだけの話ではないのであって、あれだけ住民説明してきたのに、結局金の用意を全然していないわけでしょう。初めは500億用意するなんていうのは全然なくて、ゼロでもって他人の土地を買いますという話を実に15年間やってきているわけで、これも私は聞きましたが、必ず500億はためます、あとは値切りますという答弁を助役がしていたわけですけれども、結局減りっ放しで、基金は消えているわけですから。ただでもって国有地、都有地が買えるということはあり得ないというふうに考えます。

 この間の江古田の森ではないけれども、そういうチャンスがめぐってきたにしてみても、ただでくれるわけじゃないですから、やはり起債はしなければいけないだろうという、その辺のところを詰めて話が進んでいるのかどうかということを、江古田の森については伺っておきたいと思います。

○議長(斉藤金造) この際申し上げます。

 議事の都合上、会議時間を延長いたします。

○41番(近藤正二) 江古田の森の施設と環境について、簡単に質問します。

 もう既にこれは発表され、先日補正予算も通っていることですから、また区報等に詳しく載るかと思いますので、触れたいと思いますけれども、保健担当部長が答弁する病院関係と、江古田の森の方の関係は恐らく環境部長がやっていくんじゃないかなと思うんですが、今までそれがわからないままできたんですけれども、今度予算が通りまして、あの森を整備するという形になれば、中野区の主体性がはっきりとそこで出せるわけですよね。そのときに、これは防災公園ですから、どういうふうに整備していくのかということが大変重要な問題になってくるわけです。その際、住民の意見を聞く必要がある。100年以上の樹木があったり、いろいろな種類の木がある、そういった自然を勉強しようじゃないかとか、あるいはこれを守ってもらいたいとかと区民の人たちは言いますし、それから、あの周辺には非常に関心を持っている区民もいっぱいいらっしゃるわけですよね。今まででいくと、大体地域センターが窓口になって、こっちの話はこうです、こっちの話をこういうふうに聞いていますということでこれから動き出すわけですけれども、そうじゃなくて、整備するなら整備するとして、建設関係なら建設関係がその御意見を伺う、説明に行くという形をぴしっと4月に出していかないと地域センターは言われたことを伝える以外に何の権限もないわけですから。避難路として必要な道路はこれでよいのかとか、どうしても残すべきものはこれだというようなことは、あそこの周りに住んでいらっしゃる方が環境問題として一番よくわかるんじゃないかなと。役所の手法で勝手に決めないでいただきたいなということを申し添えておきます。

 それから、その他が一つあるんですが、これは何回も出ている話で、例のコミュニティバスの話です。20数年前に、当時の民社党の橋口君が上鷺宮のあたりからそういう話を持ち出して、この間の藤本議員の話にもつながっているんですけれども、検討しますというだけで20何年たってしまっているわけです。聞いてみたら、関東バスには言っているそうなんですが、実現化はないんだと。何かあるのかと聞いたらば、中野は金がないんだと。ほかの、吉祥寺にしてみても、この間できた、200円で行く、高田馬場から東中野までのコミュニティバスといいますか、関東バスの系列会社が、年寄りばかりですけれども、乗せて走っていますよね。今、中野で一番困るのは、北部だけの連絡じゃなくて、沼袋地域が一方通行で入れないので、タクシー代が物すごくかかるわけですよ。ぐるっと回って、丸山から入っていかなければ入れないということで。

 3,000万円あれば関東バスは話に乗るというようなことを私は聞いたので、それが本当だったら、3,000万円あれば、必要なところを回っていただくコースを設定できるんじゃないのかなと。それはないところから3,000万円出せというわけじゃなくて、各自治体で知恵を絞っていろいろな手法を考えていますよね。一つですけれども、これは自治法で許されている起債として、交通に関しての起債は出せるわけです。1人1万円の中野区債を3,000人が出せば、3,000万円できるわけですよ。それで関東バスと話し合って、例えば定期が2,000円だったらば500円引いてあげましょうとか、老人パス2万1,500円は見てあげましょうという形で、全都共通の老人パスじゃなくて、この辺の方に利用していただける老人パスを使ってもらえれば、それは目に見えた収入になるわけなので、そういうことを含めて、駅の前の駐輪の数を減らす。沼袋や新井の方から来る方の自転車をただ撤去するだけじゃなくて、足も考える。そのかわり幾らかの補助をするというようなことが、一つぐらいアイデアとして浮かんでもいいんじゃないのかなということを、この間ちょっと感じたものですから、これはどなたの答弁なのかわかりませんけれども、できるのかできないのかということをお話をしていただきたいと思うし、それこそ、3,000万円の工夫を財政的に考えた上で、関東バスに行ってきましたというところまで話を進めていただきたいなと思います。

 いろいろと話がわきに飛びまして、ポイントがずれた、まとまらない点があったと思いますが、恐らく再質問させていただくようになると思いますので、よろしくお願いいたします。

     〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 近藤議員の御質問にお答えをいたします。

 私からは、住民対話で汲み上げた住民要望、区民との対話を行ってきて、どういう感想、どういう所感を持っているかといったようなこと、その他幾つかの点にお答えをさせていただきます。

 区民対話集会という形だけではなく、いろいろな機会にお声をかけていただいた区民の皆さんの集まりへの出席を含めて、さまざまな形で区民の皆さんと直接お話をするということが、私がこれから区政運営する上では大変実になっているというふうに考えています。

 どういう御意見が多いのかということですけれども、一番多いというか、感じとしてはやはり、今後の中野区の行財政運営をどうしていくのか、中野区のこれからをどう考えていくべきなのかということについての私の考えをただされたり、あるいはいろいろな皆さんの御意見を言っていただいたりというようなことであります。そうした中で、私自身が申し上げていることだけではなく、区民の皆様からの声として強く感じるなと思っているのは、これからの社会というのは、これまでどおりの右肩上がりを前提にしているような、行政は年々大きくなっていくもの、公共サービスを行政が専門に引き受けて、行政がサービスそのものを生産して提供していくものといった、これまでの枠組みでの行政のあり方では21世紀はやっていけなくなっているという、区民の皆さんの意識は大きく変わってきているなというようなことを実感をしているところであります。

 そのほか出される御意見としては、議員からの御指摘にもありました上野原スポーツ・学習施設の用地の問題でありますとか、小中学校の適正配置、空き教室という問題、それから、後ほどの御質問にもありました、基本構想の改定をどういうふうにするのかといった、さまざまな問題が出ているわけであります。総じて、これからの行政のあり方について、区民の皆さんも新しい見方を持ってきているなということが全体として言えるというふうに思っております。

 それから、最近はやはり、区政の話題について敏感にお感じになった方が出てくださるということもありますけれども、西武新宿線の踏切の渋滞対策の問題でありますとか、中野サンプラザの問題でありますとか、今話題になっていることについてのさまざまな御意見が出ているということであります。

 そうした形で区民の実感というものについて私自身が触れていくということ、そして区民との対話の内容を職員に私自身がしっかり伝えていくということ、そういうことを通じて、区政全体が説明責任を果たす、あるいは参加の窓口をより大きくできていくようなことにつながっていけるのではないかと考えているわけであります。

 それから、基本構想の改定についての御意見が幾つかありました。これから基本構想をつくるのに、同じようなというか、美辞麗句をただ並べ立てるような、あるいはきれいなことだけ並べて、実際にできるかどうかわからない、羊頭狗肉になるような構想、ペーパープランのようなものをつくるために基本構想の改定をしようとしているのかというような御趣旨があったように思います。私も、そういう意味での基本構想をつくるという時代ではないということを再三申し上げているわけであります。基本構想では、将来の中野をまず展望したら、その将来の中野に向かってこの10年間でどこまでやりましょうかという、具体的な成果指標での目標をしっかり持たなければならないというふうに思っております。基本構想をつくっていく中で、10年後の中野の姿を、成果指標という形ではっきり数値であらわせるような目標として、みんなで描き出していくということが必要だろうと思っています。その成果指標に向けて、行政が財政的な裏付けをもって事業をつくっていける10か年の計画、そしてそれを実施する5か年の計画、10か年のうちの前半5か年を実行的な行政計画として、しっかり計画行政に反映をしていくといった形での基本構想の改定が必要であるというふうに考えているところであります。

 基本構想の中で、中身についての議論が聞こえてこないというようなお話でありましたけれども、そういう意味では、持続可能な地域社会と、それを支えられる中野区の行政ということを申し上げながら、これからの行政課題、少子・高齢化という中での高齢者への対応、あるいは支援が必要とされる方への対応を、新しい市民参加、NPOやあるいはさまざまな市民自身の力を生かし合いながら提供できるような形の中で、どういう支え合いの仕組みをつくっていくかという形で実現をしていくようなことでありますとか、少子化への歯どめをかけるといった意味での子どもの対策、あるいは地域社会を持続できる形での生産、雇用機会をつくる、支え合いそのものの人的な力を確保するという意味でのワークシェアリングでありますとか、高齢者の活動を地域の中で生かせるような仕組みづくり、そういったようなことについても考えていきたい。また、地球環境問題についての取り組みについても当然重視をしていかなければならない。総じて、新しい行政をつくっていくための自治の仕組み、行政の仕組み、また、区民参加の仕組みなどについても、基本構想の中で明らかにしていかなければならないというふうに考えているところであります。

 それから、上野原スポーツ・学習施設の廃止の問題で何点か御質問がありました。一つは、計画を廃止をしたとして、上野原町との間での約束、その履行をめぐって町との関係が大変難しくなるということが想定されるのではないかというお話でありました。当然、公的な機関同士として約束をしてきたことについては、中野区としては履行するべきものは履行しなければならないという立場にあると思っています。誠心誠意、誠実に対応していかなければならないというふうに思っています。しかし、お互いの立場として言い合ってきたことについて、中野区として言い分をしっかり主張をしなければならないというふうに考えているわけであります。

 それから、結果として20億円をむだにしたと。その20億円の数字について、内容はつまびらかでありませんけれども、結果としてむだになった計画の責任をどう考えるかという問題であります。この計画については、結果としてむだな計画だったというふうに私自身は申し上げているところです。しかし、この計画そのものについては、計画当初、区民の多くの方の声、ニーズ、また、議会の論議を踏まえてつくられてきたもので、そうしたことを受けて、区として対応してきたことの積み重ねであります。結果として時代に合わないものになったということについては、区全体として総括をしていく必要があるだろうというふうに思っているわけでありますが、当時の区長でありますとか実際に携わった職員そのものが個人責任を負うべきことかということについては、違法の事実でありますとか著しい不当の事実がはっきりすればそれは別のことでありますが、今我々が知っている限りにおいては、個人責任を追及するといった問題ではないというふうに私は考えております。

 それから、コミュニティバスについての御質問がありました。コミュニティバスについては、継続的に問題意識を持って区として検討を続けてきたことであります。実際に運営するに当たって財政的な負担が生じるということも事実であって、また、具体的にどういう形での運行をすれば一定の利用が確保できて、かつ採算性にも寄与できてといったようなやり方等についての検討も行ってきながら、実施になかなか結びつかなかったというものであります。

 財政負担について、3,000万円あればできるといった、その3,000万円のお話についても内容は私はちょっとわからないんですけれども、少なくとも他の自治体でやっている実例を見ます限りは、3,000万円なり何千万円かのオーダーの財政的負担は年々の負担として生じる。区債で賄うといったようなタイプの負担ではない、経常的な負担として生じるもののように理解をしているわけであります。そうした負担が少なくなるように、あるいは利用しやすいサービスとしてできるように検討していかなければならないと考えているわけであります。

 私からは以上でございます。

    〔総務部長山岸隆一登壇〕

○総務部長(山岸隆一) 経営改革指針にかかわりまして、二つお尋ねがあったかと思います。

 一つは、接客の向上が掲げられているけれども、本当にそう進むのか、並大抵のことではないよというようなことがございました。もちろん、名札をつけた、6つの約束を掲げたということで事足れりと思っているわけじゃございません。名札は当たり前のことですし、6つの約束、これも基本の最たるものというふうに思っております。

 一つひとつの現場や一人ひとりの区民に対する応対について、幾つか御指摘がございましたけれども、接客6つの約束の基本に沿って、具体的には、各職場で日常的に改善する、指導すべき立場の人間が指導していくということが必要であろうと思っております。接客6つの約束の趣旨に沿って、各課の所管業務に応じた接客改善策を検討し、実施する必要があるというふうに考えております。実際に15年度ではこれを全庁的な職員の接客向上運動という形で発展させて、さらに進めていきたいというふうに思っているところです。

 それから、庁内レイアウトについては、何度もやり直しをしているではないかという御指摘でございます。最近行っているレイアウトの変更ですが、新しい行政需要に伴う組織改正が必要になって、最小限の変更を行っているという認識でございます。限られたスペースで、できるだけ区民の方に御不便をかけないような形で実施をしております。これから考えておりますのは、来庁者が利用しやすいように、全体の庁内レイアウトにつきまして改善を図りたい。具体的には、接客対応スペースを広げる。あるいは子ども用スペースや授乳コーナーを設置する。また、16年度には、全庁組織をこれからの中野区政の運営にふさわしい形できちんと決める予定ですが、それに合わせた全庁の案内表示改善を行うというようなことを考えております。

 接客の改善にしましても、庁内レイアウトの改善にしましても、サービスの受け手であります区民の満足度向上の視点でとらえて、区民の立場に立った、利用しやすい区役所づくりを進めるために行おうとしているものでございます。

 以上です。

   〔都市整備部長石井正行登壇〕

○都市整備部長(石井正行) 中野駅周辺のまちづくり調査に関します御質問にお答えをさせていただきます。

 これまで駅周辺まちづくりの調査に関して、昭和62年以降やってまいったわけですが、それに要した費用が4億6,000万円ということで、区民への説明につきましては今後十分してまいりたいというふうに思っております。

 また、15年度に予定をしております調査につきましては、これまでもお答えを申し上げておりますように、駅周辺一帯を対象にして、住機能に加えまして、働き、学び、楽しむ、こういった機能を備えた、魅力ある多機能都市を目指すということでございます。まちの活性化、産業振興ということも視野に入れながら、これまでの反省点も十分踏まえた上で、真に実現できる計画を策定できるよう、必要な都市機能、あるいは施設機能について調査をしていきたいというふうに考えているところでございます。

   〔土木担当部長那須井幸一登壇〕

○土木担当部長(那須井幸一) 私の方からは、江古田の森についてお答えをさせていただきます。

 江古田の森、(仮称)北部防災公園でございますけれども、この計画地は中野では貴重な樹林が残っている、数少ない場所というふうに認識しておりまして、整備に際しましては、できるだけ現在あります樹林を保全しまして、そうした中で区民が緑に親しめ、自然に触れ合える憩いの場となり、また、災害時には防災機能を持った公園としていきたいと考えております。今後、区民の皆様方の御意見を伺いながら、公園の整備をしてまいりたいと考えております。

     〔近藤正二議員登壇〕

○41番(近藤正二) 区長の答弁は、わかるところはわかるんですが、やはりはっきりしないところが多いんですよね。これからの成果指標を考えるとか、それから、いろいろと言われたことについて、段取りをつけて説明をしていくと。人件費の問題も入っているわけですけれども。それだけの話で表へ出て区民に話しても、区民としては、同じようなことを蒸し返す、そして抽象的な議論で、やる努力をするというところで終わってしまうんじゃないかということが心配で聞いているので、聞き直したいと思うんです。

 先ほど足立のことに触れましたが、これは武蔵野市の便利帳です。行けばだれでももらえるんですけれども、読んでみれば、非常に丁寧で、人口わずか16万のまちですが、行き届いているなと。すべてのことがわかるし、かなりの事業をしているわけですが、一々取り上げません。海外交流事業は青年を派遣していますとか、いろいろなことがあるんですけれども、先ほどの質問に介護保険の問題が出たんですが、介護保険料3,600円が今度上がると。それについて、10億近く預金があったのが、年々介護を受ける方がふえてきていると。その上昇率は、見せていただいた限りでは1割3分ぐらい上がってきているんですよね。そういった形によって、基金も8億になり、8億を切っていると。一応基金ですけれども、集めた税金よりは支出の方が少なくて済んだという、これは全国的な状況です。介護を受ける方の人数はふえるに決まっているわけなので、恐らく、ある程度収入を考慮してだろうと思いますが、徴収する金額を基金の中から埋めてまいりますということで、300円ですか、サービスするというような話が先ほども答弁されていました。

 私が聞きたいのは、その300円が安いかとかそれでいいかということじゃないんですけれども、基本的な福祉の問題なり、対老人の問題なり、介護の問題というのは、実際蓄積があって、そしてでき上がっていくものであって、先ほど申し上げたように、中野の保健所がどうなるとか、あちらだこちらだといっているうちに老朽化してしまっている。介護保険は、田中区長もそこから始まったんだけれども、厚生労働省からおりてきたことをシミュレーション化して、中野のまちでしていくと。そういうんじゃなくて、武蔵野の場合は初めから特養ホームをすごくつくっているわけだし、ショートステイもやっているわけで、私は十二、三年に行って、その動きを説明してもらったんですが、すごいなと思った。わずか16万人足らずのところですけれども、特養ホームは全員が確保できていると。中野は3年待つというような状態であって、今でもそれに近いんじゃないかと思うのですが、武蔵野市ではまず待たせませんと。また、近いところの郊外に予約をしておりますと言っているわけです。

 私の知り合いが武蔵野に住んでいて、3年ぐらい前にお母さんが亡くなったんですけれども、倒れて、市役所へ電話したら、翌朝、ヘルパーというんですか、付き添いが来てくれて、入院させる手続を翌日ちゃんとやってくれた、よくやっている街だということを言っています。そういう意味で、取り寄せて、見直してみたんですけれども、武蔵野は、御存じかどうか知りませんが、かかった費用の3割でいいわけですよね。70パーセントは市が見るという形になっている。それは所得収入には差別なし、どなたでも7割は市が負担しますと。これはけたが違う対応なので、どうしてそうなったのかなという感じですけれども、預かる施設は何十の施設がありまして、ここへは市が直接払いますと。それから、市と契約している会社ですか、そういった施設等に対しては市の方から払いますという説明がちゃんと載っているわけです。

 私が会ったころ福祉をやっていた課長は、既に大学の福祉の教授になっているわけですけれども、そういったことを考えて区長にもう一回尋ねるんですが、介護保険の体験とか、それから、老人とか子どもなどに必要な人を、ある意味でははがしてというんですか、やめさせて、財政改革をせざるを得ないという形で、中野は最悪の状態があるわけなんですね。これは、上野原じゃないですけれども、続けてきた政策の失敗というんですか、使うべきところ、あるいは将来根を張らさなければいけないところへの対応というものは、上を見て歩いていたんじゃだめで、下を見て歩いて、手を出して勉強する、そういう姿勢がどこか欠けているんじゃないのかなというふうに感じるわけなんですよね。それを、先ほど足立のことを言いましたけれども、福祉に関してもつけ加えて申し上げます。

 そういう意味からいって、いま一つ、人件費の問題等があるんですが、区長は御存じだろうと思うけれども、中野の現在の職員の年齢構成はどうなっているかというと、40歳と50歳代が大体60パーセントなんですよね。20代はわずか100人いないんですよ。ことし退職者は100人を超えていますよね。区長も特例による勧奨退職の退職手当をもらって退職されたわけですが、既に10数人が手を挙げてきているわけで、昨年以上に退職手当には金がかかるわけです。年々、50歳から60歳まで、60人、80人というのが並んでいて、約3分の1近いところが50歳代。40歳代から入れると、3分の2に近い。20歳代は1割いない、100人いないんですよね。これからの中野区を区長が考えていく場合に、若い職員、やる気のある職員がどうしても要るんですよ。年をとったから悪いという意味じゃないんですけれども、住民からの見方というものは、若ければはつらつとしてやってもらっているんじゃないかと。それから、突っかかったような形になって、上を向いてなければいけない、金がないから仕事がないんだというふうに見られたんでは、先ほど区長の話があった、活気をつけるとか、あるいは研修をさせるというところとはかけ離れた職場の状況があるんじゃないかなということをつけ加えて、返事をいただきたいと思う。

 それから、上野原についての責任の問題ですけれども、違法かどうかはもちろんわからないという形で、これからどうなるかというような、公対公の問題として、20億というのは私が勝手に言ったわけじゃなくて、かかった人件費、あるときは課をつくっていますから、職員が3名いるんですよね。2名になった場合も、1名の場合もあります。それの出張旅費から人件費を全部出したわけです。それから、起債に対する利息、7パーセントから始まって4パーセントまで下がっていますけれども、それを足しますと、20億じゃきかないんですよ。間違いありませんというふうに確認していますから、そういう意味で、20億円はヘドロに消えたと言っているわけです。話にもあったけれども、区民はかなり関心を持っているというのだったらば、明確な対応をしていかないとまずいんじゃないかなと。ましてや、その後、言ったとおりに、金丸逮捕というのが始まるし、佐川急便の社長も逮捕される、会社はつぶれるという状況があったわけです。そういった認定は我々が指摘をしていたし、そのとおりになっているわけです。

 ここにお示ししますが、京都の前市長がゴルフ場を買ったが、議会に対する説明が十分でなかったと。上野原の場合もそうですけれどもね。よって市に多大な損害を与えたということで、住民400人が前市長を告訴したわけですよね。第1審の地裁では4億円払えということだったんだけれども、高裁において、前市長は市に対して26億円弁償しなさいという判決、これは2月の7日の幾つかの新聞に載っています。これと対比した場合に、もし住民が訴訟を起こしたならば、議会に対する説明が不十分ということじゃなくて、あの物件を買ったことによって生じた金額については責任が、これは高裁が決定を出しているわけですから、今の時代の流れというのは、公に厳しい、あるいは我々議員に対するまなざしというものは厳しくなっている。それを、あのときは仕方がなかったんじゃないかということで、追って調査研究するというあいまいな形では、一緒にやりましょうといった中野区民はついてこない。はっきりしていただいて、悪いところは悪い、こういうものだということで説明をしていく中で、よし、一緒になって中野区を再建しようじゃないかという形でなければだめだというふうに考えて、再質問しているわけです。

 ポイントは、先進的とは言わないけれども、今、あっちでもこっちでもいろいろなことをやっているわけですから、我々も歩いているんだから、実際に歩いて、何がネックで、中野に何ができるか。金がなければやれないんだと。それでペーパープランをつくって発表する、そういうことから脱却する。今、住民に一番望まれているのは、中野区は職員に活気を持ってもらいたい、仕事をやる姿勢を見せてもらいたいと。部長以下が一緒にどこへ行ってもいいから、やってみようじゃないかという形の中で何が生まれるか、そういうものがなければ、住民に参加をしていただきたいと言ったところで、参加する場所があれじゃとてもということになりはしないかなという感じがあります。

 いろいろと述べましたけれども、結論的には、武蔵野の問題、それから、続けて言えば、足立は340億円の退職金の基金というものを会計簿にちゃんと載せているんですよ。中野区3,100人が毎年出ていったら、どれだけ退職金が払われるのかという公表はしていないと思いますが、そういったきちんとしたものをみずから示していくということで、住民が一緒に手を携えようという形が生まれるのではないかなという感じがして、再度質問とさせていただきますが、ポイントだけで結構ですから、お願いいたします。

 これに至るまで、職員の方に去年から、随分資料をつくっていただきました。また、きょう発言するまでに、同僚の議員からも大変お世話になりました。そのことを厚くお礼申し上げまして、私の質問をこれで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)

○議長(斉藤金造) 傍聴者の皆様に御注意申し上げます。

 議場では拍手は禁止されておりますので、以後、注意していただきます。

     〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 再質問にお答えをいたします。

 武蔵野市、あるいは他の市、区において独自の福祉の施策を行っているということであります。武蔵野市につきましては、つまびらかに承知しておりませんが、財政力指数、基準財政需要額に対して基準財政収入額が約1.3倍あるというぐらい、財政力の非常に豊かなまちであるように承知をしているところです。中野区はそれと同じ比較でいうと、財調の制度がありますので、1という形になるのでしょうけれども、しかし、中野区も、財政力がしっかりとしている中であれば、もっと自由な政策ができるだろうということは確かだと思っています。政策の自由度がなくなる財政状況になってくる過程では、行政運営の計画性がうまくいってこなかった、財政の計画性がうまくいってこなかった、こういうことがあっただろうというふうに考えているわけであります。そういうことの象徴の問題として、上野原の計画があったという御指摘だったというふうに理解したいと思っております。

 そうしたことについてしっかり総括をした上で、中野区を自治体として、元気のある、財政力のある自治体に変えていくということについては、まちの成り立ち全体で産業の問題も活力の問題もやっていかなければなりませんし、区民の皆さんと一緒に汗をかける職員、そのことにやりがいを見出せる職員をつくるということも大切であると思っています。

 御指摘にありましたけれども、中野区はこの間、職員の数を減らさなければいけないということで、採用をストップしてきました。年齢構成がだんだん上に上がってきて、職場で若い人の数が余り見られなくなってきている、これも事実であります。そうしたことも一つの課題として、今後、解決のできる方法などを考えていかなければならないと思っております。来年度からは、少しでありますが、職員の採用を開始をしたいと思っています。将来的に年齢構成に偏りが起きた場合の対応ということについても、今後考えていかなければならないだろうというふうに思っております。

 以上でございます。

○議長(斉藤金造) 以上で近藤正二議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 むとう 有 子

 1 清掃事業について

 2 山手通りについて

 3 児童館について

 4 住民基本台帳ネットワークシステムについて

 5 中野サンプラザについて

 6 その他

 

○議長(斉藤金造) 次に、むとう有子議員。

     〔むとう有子議員登壇〕

○9番(むとう有子) この間、区民の皆様から私に寄せらました御意見をもとに質疑をいたします。

 まず最初に、清掃事業についてお尋ねいたします。

 今から4年前の1999年、私が中野区議会議員の選挙にトライした一つのきっかけは、清掃事業が東京都から区に移管されるという世の動きでした。当時、東京都の清掃事業が万全であったとは思っていませんが、自治権拡充の名のもとに進められていた清掃事業の区移管に私は反対でした。現在でも、清掃事業の区への移管は間違いだったと思っています。

 現在、ごみの収集・運搬は各区、中間処理は東京23区清掃一部事務組合、最終処分は東京都、各区の連絡調整は東京23区清掃協議会ということで、ごみ行政の責任者が分断されています。区移管前は、問題があったとはいえ、ごみの処理処分は東京都、リサイクルは各区という分担が明快であったと言えます。しかし、現在はごみ問題をトータルに議論する場もありませんし、責任者の顔も全く見えません。区長選挙前に「清掃工場建設はバツ」と答えていた田中区長でさえ、中野区の清掃工場建設については反対することができていません。

 清掃一部事務組合が出した、新たな工場建設の必要はないという検討結果を受け、23区の総意として受け入れてほしいという要望書を提出する際にも、区民は、九段下にある区長会と四谷の清掃一部事務組合、さらに、23区の各区長にそれぞれアプローチしなければなりませんでした。区移管前には、「身近な自治体できめ細かな清掃事業を」というのが各区のPRコピーでした。

 2000年に区に移管されてから、はや3年が経過しました。何が、どのように身近で、きめ細かな清掃事業となったのでしょうか。また、清掃事業について、いかなる権限が区にはあるのでしょうか。さらに、移管後の3年間をどのように評価しているのでしょうか。また、今後のあり方についてのお考えをあわせてお聞かせください。

 さて、私たちの暮らしの中にあるプラスチックごみが深刻な社会問題となってきたのは、1960年代半ばのことです。1970年に開催された大阪万博では、プラスチック容器の使用が全面禁止となりました。翌71年には、待ったなしの処分場危機の渦中にあった東京都知事美濃部氏は、「国には焼却・埋立てによらぬ廃棄物処理技術の開発を、そして企業にはプラスチックをはじめとする合成化学物質の生産抑制を強く望みたい」と東京ゴミ戦争宣言の中で警告を発しました。さらにもう一人、大阪市立公害研究所の本多淳裕氏は、ある官庁系の広報誌に、「用なしになったプラスチックはそれを買った商店に下取りさせ、石油化学工業側に返還する大きな循環の輪をつくれ」と提言をしました。それから30数年がたった今日、現状はどうでしょうか。石油化学工業界は、廃棄物の後始末をすべて自治体に押しつけて利潤拡大を図り、ひたすら大量生産・大量消費・大量廃棄路線を突き進みました。社団法人プラスチック処理促進協会によれば、1970年度のプラスチック樹脂の生産量は約500万トン、30年後の今日では約1,500万トンと、ほぼ3倍に達しており、廃プラスチック排出量は、現在、約997万トンと、驚くべき数字となっています。

 「資源回収に関し、中野区が今後概ね10年間に取り組むべき施策のあり方について」という答申が、2002年11月にまとめられました。おくればせながらも、この答申の中に「このまま闇雲にリサイクルを推進しつづけると、それが免罪符となって大量リサイクル社会へ移行してしまう怖れがあることを踏まえ、第一に発生抑制を果たすために拡大生産者責任と排出者責任を強化し、リサイクルのみでなく、発生抑制効果のあるリサイクル関連法を改正を要望すべき」とし、「容器包装リサイクル法では収集・運搬費用を税で負担するのではなく、製造・販売事業者や消費者に負担をさせる必要がある」との指摘をした上で、「例えばペットボトルの収集・運搬費用を事業者に求めたり、ワンウェイびんに課税し、リターナブルびんの普及を図るなど、発生抑制効果のある区独自の負担金の検討を期待する」と記されています。

 これまで、ごみを減らそうと頑張ってきました消費者団体は、今、後悔をしています。まだ行政がごみ問題に手つかずの20年前、消費者は自発的に、びん、缶、牛乳パックのリサイクルに取り組みました。当時の思いは、使い捨て容器はやめさせたい、安全性が確認できない容器はやめさせたいということで、容器メーカーや乳業メーカーとも話し合いを持っていました。よかれと考え、リサイクルをしてきたのですが、結果的には、使い捨て容器はふえ続け、資源回収を進めれば進めるほど、自治体の経費が増加してしまいました。一方、生産者は利潤拡大を図り続け、発生抑制には何ら結びつきませんでした。

 国は事業者の負担を軽くする事業者擁護に走るばかりで、発生抑制、再利用には全くというほど手をつけず、本来最後の取り組みであるべき再生利用のみに自治体の税金を莫大に使いました。回収すれば事足りるかのような目先のごみに振り回されているようでは、ごみゼロ都市中野は遠のくばかりだと、これまでの経験から、私は訴えます。

 本来のリサイクルとは、ドイツのように、メーカーが商品にリサイクル費用を上乗せすることによって負担し、過剰包装や処理困難な素材を回避する仕組みであるべきです。ところが日本の容器包装リサイクル法は、廃棄物処理コストの75パーセントを占める収集・保管コストをすべて自治体に負担させ、事業者は処理費用のわずか25パーセントしか負担しないという、矛盾をはらんだ仕組みとなっており、ごみの減量に結びついていません。

 ペットボトルリサイクル推進協議会が公表した最新統計によると、ペットボトルの生産量は2002年は43万3,000トンです。1997年は21万8,806トンでしたから、5年間でほぼ倍増したことになります。つまり容器包装リサイクル法では、ごみ問題解決の道筋である発生抑制はできないことが明らかになったと言えます。

 中野区ごみ減量推進懇談会の座長を務めた細田さんは、ペットボトルを大量に回収してもリサイクルは不可能であることを区民に知らせ、消費者にはペットボトルを買わないキャンペーン、販売者には販売を抑制するキャンペーンの実施を提案しています。この容器包装リサイクル法に参加するかどうかは各自治体に任せられているので、自治体の負担を見直し、事業者が処理費を100パーセント負担するような法改正が行われるまで、区は容器包装リサイクル法には取り組まない姿勢が必要であることを、2000年第2回定例会において私は質疑いたしました。しかし、中野区は、2003年度プラスチック製容器包装モデル回収事業を予算計上しています。

 ごみゼロ都市中野を目指すのであれば、ごみを出さない生産構造への転換を進めるべきです。1に発生抑制、2に再利用であり、3番目が再生利用、すなわちリサイクルでなければならないにもかかわらず、現実には、やむを得ぬ選択というべきリサイクルのビジネス化だけが進行しています。リサイクルの前提は大量廃棄であり、ごみが減っては成り立たないビジネスと言えます。現在、中野区がモデル事業で実施しようとしていることは、まさにその一つである、廃プラスチックリサイクルのコークス原料化というビジネスではないでしょうか。

 技術的にも不安があり、なおかつ発生抑制につながらない、単なる大量リサイクルビジネスとしての廃プラスチック製容器包装モデル回収事業はすべきではないと考えますが、お考えをお聞かせください。

 昨年10月と11月の2か月間、中野区はカラス対策と分別の徹底指導の二つの目的で、江原二丁目地区において、ごみの各戸収集のモデル事業を実施し、その検討資料として、12月10日を締め切りとするアンケート調査を清掃事務所が実施しました。しかし、そのアンケート結果は2か月たった今でも報告がなされておりませんが、アンケート結果を踏まえ、事業実施者として、各戸収集モデル事業の状況分析と成果、そしてそれが次年度の予算にどのように反映されるのか、あわせてお答えください。

 このモデル事業を実施する以前に、成果があれば各戸収集を拡大するつもりがあるのかという、どなたかの議員の質疑に対して、拡大するつもりはないと環境部長はお答えになり、失笑を買いましたが、このたびのプラスチックモデル回収事業を含め、中野区の清掃事業におけるモデル事業の位置付けについて、改めてお答えください。

 私も再三提案しておりますが、廃棄物減量等推進審議会の答申においても、「びん・缶の行政回収に対する報奨金は,当初の制度徹底の役割を終えたこと、現在は分別排出が区民自身の責務であると認識されるようになったことから終了してよい」と判断されております。区はこの答申をどのように受けとめているのでしょうか。また、2003年度予算においてその報奨金が予算計上されているのはいかなる理由からか、お答えください。

 警大跡地の焼却型清掃工場建設について、区長会でいまだに検討結果が出ていないようですが、2002年の第4回定例会において質疑いたしましたように、東京23区清掃一部事務組合事務局の、新たな清掃工場建設は不要とした検討結果を23区の総意とし、既存の清掃工場は23区の共有施設とするようなあり方を中野区としても検討し、区長会においても積極的に提案していただきたいと考えます。

 このような私の質疑に対し、「23区の共有財産であることを踏まえ、発言してまいりたい」と田中区長が御答弁なさったことをくれぐれもお忘れにならないよう望みます。区長選挙前に、区民に対して、「清掃工場建設はバツ」と答えたことを既に半分は裏切っておりますが、これ以上の公約違反がないよう、区長会において中野区の区長としての責務を果たしていただくことをここに強く要請いたします。区長の見解をお聞かせください。

 先ほどの来住議員と重なる部分がありますけれども、山手通りについて質問いたします。

 朝日新聞社発行の週刊誌アエラの2月17日号に、「暴走自転車の恐怖」という記事が載っています。それによれば、「自転車が歩行者を傷つける事故が増えている。警察庁によれば2001年1月から11月までの全国での人身事故は1,650件。前年同時期と比べて1割増加している。自転車の場合、警察に届けるのはごく一部であり、実際の件数はケタ二つ多いのではないか。今年1月には女子高生の自転車が帰宅途中の55才男性に衝突し、頭部を打ち死亡する事故もあった」と記されています。このような現状からも、自転車道の必要性を強く感じています。

 さて、2001年第2回定例会においても質疑いたしましたが、2001年の道路構造令の一部改正により、幹線道路を新設・拡幅する際は、原則自転車道と歩道を分けて設置することが義務付けられたことを受け、東京都は2002年2月22日、山手通りの整備方針を発表しました。東京都のその資料によると、「本路線は緑豊かな4車線の道路で、余裕のある歩道幅員を確保し、新たに自転車道を設けた道路として整備していきます。」とあり、整備の理念として、「全線にわたる自転車道の設置」を挙げ、具体的な施策として、「全線にわたり自転車道の設け、自転車道のネットワークを整備します。」と明言しています。にもかかわらず、このほど配布された東京都建設局と首都高速道路公団のパンフレットでは、「全線に渡り歩道には自転車通行部を設けます。」と、大きく表現が変わっています。道路構造令にいう自転車道とは、歩道と独立した、自転車のための道路であり、それに対して、自転車通行部というのは慣用的な用語で、あくまで歩道の一部を呼んでいるにすぎません。全く別のものであり、明らかなごまかし、住民を欺くすりかえと言えます。あくまで全線にわたる自転車道の設置を区は要求していくべきと考えますが、見解をお聞かせください。

 東京都と首都高速道路公団は、首都高速中央環状新宿線の換気所に機械式の低濃度脱硝装置を導入することを検討しているようです。この装置は、空気中の窒素酸化物を吸着剤あるいは吸収剤でとらえ、定期的に工場に運んで浄化処理するものです。浮遊粒子状物質については、別途、電気集じん機による除去を考えているようです。現在、京浜島で実証試験を行っていますが、浮遊粒子状物質除去装置については試験対象となっていないので、データもありません。機械式の低濃度脱硝装置では、この中で人体に最も有害ということが最近証明された微細な浮遊粒子状物質は全く除去できず、二酸化窒素の除去だけを目指した、時代おくれのもので、健康被害軽減にはつながらない可能性が高く、その上、高価であり、税金の無駄遣いと言えます。

 他方、大阪府や、私が見学に行きました川崎市で既に導入されている、土壌による大気浄化システムは、窒素酸化物ばかりでなく、微細な浮遊粒子状物質等のさまざまな有害物質を除去することができる上、現計画の巨大排気塔の設置が不要となり、運用経費もかからず、緑地の確保にもつながる、画期的な装置です。

 また、再三私は要望しておりますが、中野区としても、この土壌による大気浄化システム導入を東京都と首都高公団に再度強く要求すべきと考えますが、いかがお考えでしょうか、お答えください。

 次に、児童館についてお尋ねいたします。

 これまで2回ほど、児童館について質問いたしました。その中でも紹介いたしましたが、今から10年前の1993年に女性青少年課が発行しました、「未来ヘ! 児童館25年の歩み」という冊子に次のように記されています。「1970年代頃から急激な、無秩序ともいえる都市化により、「遊び空間」が地域からなくなり、塾通いなどにより「自由に遊べる時間」も無くなるとともに「遊び仲間」の姿が地域からみえなくなりました。いわゆる「3つの間(ま)」の喪失現象が子ども社会に見られるようになりました。この結果、子どもたちの人間関係が希薄になり、遊びを通して学び、あるいは体験する貴重な機会が失われてきています。」と。

 10年前からこのような課題としての認識を持ちながらも、改善されるどころか悪化が進み、子どもばかりでなく、保護者自身も、さまざまな人と交わりながら、社会性や生きる力を身につける機会が減少し、幼児虐待や育児放棄にまで及ぶ、複雑で深刻な課題を抱えた家庭が増加しています。そんな中で、これまで子育てに悩む乳幼児の保護者支援を積極的に展開してきた歴史を持つ中野区の児童館が、地域の子育て拠点の一つとして、さらに積極的にその役割を担っていくことを私は願っております。また、青年館が廃止され、中高生が集える場としてのあり方も課題であり、さらなる充実、発展が望まれるところです。

 障害児も含めて、どの子どもにもよりよい成長、発達を保障することが、子どもの権利条約をひもとくまでもなく、必要だと考えられますが、今後の児童館、学童クラブの運営の中でどのように実現していくおつもりでしょうか、区長の見解をお答えください。

 児童館の施設配置、運営の見直しについては、既に2001年12月に地域センター部調整課がまとめた、児童館・学童クラブ施設配置・運営の見直し(案)に、改革スケジュールまで具体的に載っています。一方、2003年2月示された中野区経営改革指針によれば、「施設のあり方について検討を行なうこととなる基本構想策定の区民論議の素材としてこれまで区の組織において検討してきた施設の現状と課題を整理し、2003年度の早い時期に区民に示していく」と記されていますが、区民に示すものはこれなのでしょうか。それともその後、さらなる検討が進んでいるのでしょうか、お答えください。

 2004年度に基本構想が策定されるまでは、現状維持のままで児童館運営がなされるものと思われますので、現状の中で、よりよい運営と、最大限、区民のニーズにこたえる努力が必要かと思います。

 そこで学童クラブについてお尋ねいたします。学童クラブ対象の小学校1年生から3年生の児童数は減少しているにもかかわらず、学童クラブ利用者は増加傾向にあり、ここ数年、定員を超える申請が続いているクラブもあり、2001年度から、定員を超えて5人まで受け入れており、待機児童は解消されているようですが、2003年度の状況はどのようになっているのでしょうか、お答えください。

 また、障害のある児童の受け入れは1クラブ4人までとなっています。そのため、障害児学級の設置が少ないので、障害児学級から一番近い学童クラブ人数が定員にはあきがあっても、障害児が入れない状況があるそうです。どのような理由から1クラブ4人と決めているのか、お答えください。

 また、クラブでは、多様な障害の状態、個性に見合った受け入れができるよう努力なさっていることと思いますが、職員体制の現状もお答えください。

 一つの事例を紹介します。障害のある児童が住んでいる学区内の小学校には障害学級がありません。このため、やむを得ず学区外の学級に通っている児童がいます。今年度は、通学している学校の近くの学童クラブを運よく利用することができました。しかし、来年度は、学区内に住む障害のある児童4人がその学童クラブを希望しているため、この児童は4人の受け入れ枠からはずれてしまいました。そのため、通いなれた学童クラブを継続して利用できなくなるということです。障害学級の偏在があり、現在の学童クラブの制度では、保護者と子どもの願いにこたえられていません。障害のある児童は1クラブ4人までとする要綱は見直すべきと考えますが、見解をお聞かせください。

 学校から離れた学童クラブでは1人では通えず、送迎が必要となります。夏休みのプール指導においても、送迎が必要となっています。保護者が送迎すれば、働き続けることも、生計の維持も困難になり、かつ学童クラブの対象からはずれてしまうという矛盾が生じます。介助が必要な場合は保護者の責任で介助員をつけなければならないとなっていますが、送迎などの介助者を探すことも、さらに、その費用負担も保護者にとって大きな負担となっております。この点も見直すべきと考えますが、見解をお聞かせください。

 次に、住民基本台帳ネットワークシステムについてお尋ねいたします。

 昨日の池田議員の質疑内容とほぼ一致いたしますので、ごく簡単に質疑いたします。

 2003年度当初予算案には、住民基本台帳ネットワークシステム整備費として7,794万円が計上されています。私は、この額が妥当かどうか以前に、そもそも、こうした事柄について予算計上すること自体に大きな疑問を持ちます。私は、区がこの予算措置を見直し、撤回すべきと考えます。

 昨年8月5日に稼働した住基ネットは、これまでたびたび指摘されていましたように、国民すべてに11けたの番号を振って、行政が個人情報を一元的に管理するという、人間の尊厳をも軽んずる発想に基づいています。そして個人の大切なプライバシーが外部に漏えいし、悪用されるおそれがあり、それを防止する手段が完全にはなく、法的な規制においても全く不十分なシステムです。

 田中区長は、こうした住基ネットについて、昨年8月5日に一たんは稼働しながら、9月11日になってシステムを切断しました。この問題に関心のある市民との話し合いの場や、議会答弁の中で、区長は、住基ネットを再稼働する条件として、個人情報が保護される法制度が整備されること、あるいは地方自治情報センターから本人確認情報が提供される機関・組織において個人情報の安全性が確認され、区としてそのことに関与できることなどを挙げています。そして、現在においても住基ネットを中断した理由は解消されていないと、昨日、区民部長は御答弁し、田中区長は、「条件が整ったときにすぐ接続できなければ、区民に不利益を負わせるといけないので、予算化した」とお答えになりましたが、全く説得力がありません。再稼働する条件が整う可能性はほぼないに等しい現状況下において、再稼働の可能性を探れば、区長が示した条件をみずから変更する以外に考えられません。そうならぬよう祈るばかりです。

 来年度予算に対しては、稼働当初から住基ネットに参加していない杉並区や、中野区と同じように途中から切断した国立市では、住基ネットの関連経費の予算計上を見送る方針だと伝えられています。田中区長は、よその区はよその区の判断だからとおっしゃいましたが、杉並区や国立市の判断こそ、理にかなった真っ当な措置であり、区民、市民の理解を得られる判断です。田中区長においては、ぜひとも、区民の期待にこたえて、住基ネット関連経費は予算計上しないという、良識ある決断を再度求めますが、区長の見解をお聞かせください。

 次に、中野サンプラザについてお尋ねいたします。

 雇用・能力開発機構所有の中野サンプラザを中野区に譲渡したい旨の申し出があってから、さまざまな波紋が広がっています。去る2月10日に、中野サンプラザ取得可能性の検討状況について等の資料も示されていましたので、それをもとに質疑いたします。

 田中区長は、2002年11月の中野区財政白書の中で、「区財政は、歳入が減少した分を歳出を極限まで絞り込むことによりなんとか均衡をたもっている状態です」と述べられておりますが、そのとおり、中野区は大変な財政難です。既に示されました今年度の予算案も、大変厳しいものになっております。そんな折、中野区に長い間所在していた物件とはいえ、50億円近くもするとされる売却価格の中野サンプラザを購入することには、しかも、区の判断だけで結論を下してしまうことには到底賛成できません。

 中野サンプラザ適正評価報告書の中では、サンプラザ職員を雇用した場合の各種試算が示されていますが、報告書の表書きに、「中野サンプラザを取り巻く現状及び将来性を分析・評価したものであって、内容の実現を約束したものでは有りません」とありますように、あくまでも試算でしかありません。収益がある場合もあれば、巨額な負債を抱えることになる場合もあるわけです。

 第三セクター方式で、運営は株式会社に委託すればよいような案もお考えになっているようですが、通常の民間企業が事業継続を検討する場合は、徹底したマーケティングリサーチを経てから、顧客分析をし、損益分岐点を算出して経営判断をするというのが当然の流れですので、短期間の検討で、区の財政をも左右しかねないような出費をしてしまうおそれがあるとすれば、余りに軽率と言わざるを得ないでしょう。

 中野サンプラザの各部門の経営状況を見ても、ホール、ボウリング、婚礼、宴会、ホテルとも赤字となっており、いわゆるバブル経済以後の経営の多角化論というものがいかに見込み違いであったかを示しているのではないでしょうか。

 さらに、中野区は区政を税収で運営する自治体であって、事業収益で区民を賄うような事業体とは異なるはずです。中野区が経営的観点で区の財政を見直すことは結構ですが、区が直接事業経営に積極的に乗り出すというのは次元の異なる話ではないでしょうか。企業は経営破綻すれば倒産して解散となるわけですが、区が事業破綻したからといって自治体を解散するわけにはいきません。将来にわたっての継続責任がより厳しく問われるはずです。より責任の所在を明らかにしておく必要があると考えます。

 そこでお尋ねします。今まで示された報告書等では成功した場合の対応は示されておりますが、経営破綻した場合の対応が示されておりません。仮に、サンプラザを取得した場合、取得後の中野区の責任の範囲をお示しください。万一負債を抱える事態になった場合、その負債はだれが負うのでしょうか、お答えください。

 また、中野区経営改革指針の中で、職員数の削減目標数値が具体的に示されております。仮に、サンプラザの職員を受け入れた場合は、全体の職員数が変更されるのでしょうか。中野区経営改革指針では、サンプラザの件はどのような形で検討がなされたのでしょうか、お答えください。

 区長は中野サンプラザを中野のシンボル的存在ととらえていらっしゃるようですが、その割には、区民に対しての情報公開が余りに少ないのではないでしょうか。なかの区報に「サンプラザ取得について」という記事が掲載されましたが、重要な施設という割には、具体的金額やメリット、デメリット等が具体的に示されておりません。区の財政が大きく揺れるかもしれない巨額な購入を迫られているという事態が、これでは区民には伝わりません。早急に情報公開を徹底していただきたいものです。

 また、区単位の話としては、雇用・能力開発機構対中野区という図式の話になっておりますが、現実には、中野区民の税金、サンプラザ職員の待遇という問題として立ちはだかってくるものと考えられます。しかしながら今までの報告書等にはそれらの点は触れられておらず、区民に対する説明会等も開かれてはおりません。そんな状況下で行政側が意思決定をしてしまうとしたら、それこそ、ゆゆしき問題なのではないでしょうか。

 中野サンプラザは、区に長く住む住民でなくても、多くの思い出がある場所だと思います。だからこそ、テレビや新聞等でも注目されているのでしょう。区民にとっては憩いの場であり、ささやかながらシンボルでもあったかと思います。そうであるならば、最終的な意思決定は中野区民自身の手にゆだねるべきではないでしょうか。雇用・能力開発機構から回答を急ぎ迫られているようですが、無理な注文はお断りするのも区長の務めです。

 そこでお尋ねいたします。今後サンプラザに関する情報公開をどのように進められるのか、お答えください。

 住民投票を含め、直接住民の意思が反映できる形での意思決定方法を取り入れるべきと考えます。区長も選挙前、区民参加で区政を変えるとおっしゃっていたわけですから、そのような考え方はおありかと思いますが、いかがお考えでしょうか、お答えください。

 その他で1点お尋ねいたします。2002年第3回定例会における、2001年度決算の総括質疑で、大阪府の事例を挙げてお尋ねいたしました。「精神障害を持つ当事者の当事者による当事者のためのピアホームヘルプ事業を実現させてはどうか。そのために、精神障害者を対象としたホームヘルプ養成研修2級課程を資格取得するための支援事業を検討していただきたい」との私の質疑に、「ピアサポートシステムの構築の中で考えていきたい」との御答弁でした。

 大阪府は、精神障害者20人を障害のない人20人でマン・ツー・マンの支援を行いながら、ともに学び、2級を取得したそうです。大阪府はホームヘルプ養成研修2級課程をつまり40人分資格取得するための支援事業を実施したのですから、およそ300万円ほどの経費だったかと思われます。私は期待を込めて2003年度の予算説明書を見ましたが、これに関する記載が全くありませんので、課長に確認したところ、3級課程をたった5人だけだそうです。しかし、区のピアホームヘルプ事業に結びつけるのであれば、身体介護ができる2級の資格取得が必要だと考えます。家事援助しかできない3級だとすれば、ピアホームヘルプ事業に結びつかないのではと懸念されます。

 区は障害のある方の就労支援をする立場にあります。区はみずから率先して、障害のある方の障害が生かされるピアホームヘルプ事業などは積極的に取り組むべきと私は考えます。就労に結びつく2級課程の資格取得支援事業を私は要求したにもかかわらず、3級課程だとするならば、なぜゆえ3級課程となったのか、お答えください。また、3級資格者をどのように就労活用なさるおつもりなのか、あわせてお答えください。

 以上で私の質疑は終わりますが、最後に一言申し上げます。

 この4年間、多くの区民の方々が私に御意見をくださり、私の議員活動を支えてくださったことを心より感謝いたしております。また、質疑通告するたびに、課長さん方が丁寧に取材をしてくださいました。私のつたない質疑に対して、ここにおられます区長並びに部長さん方の答弁に、毎回、勉強をさせていただきました。この場をおかりいたしましてお礼を申し上げたく思います。4年間、本当にありがとうございました。

     〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) むとう議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、清掃工場の問題ですが、当然ながら、各区に所在する現在の清掃工場は、一部事務組合、23区の共有財産でありますので、そのことを踏まえて主張してまいりたいと思っています。

 それから、中野サンプラザのことについてであります。まず、もし、中野区が買い取った場合、その責任はどうなるのかということであります。取得のあり方について、今検討しているところでありまして、その取得の仕方によって、責任等の形もさまざまに変わってくるものというふうに思っています。

 それから、職員のこともお尋ねにありました。仮に、取得をしたとした場合でありましても、職員は委託先等が採用するという形での想定でありまして、中野区の職員数とは全く関係がございません。

 それから、サンプラザの取得についての考え方等についてですが、区報やホームページなどで詳しくお知らせをするとともに、サンプラザの問題に限った対話集会を何度か実施をいたしまして、区民に御説明をしたり御意見をお聞きする機会を設けたいということで予定をしております。また、ホームページ、区報でお知らせをすることとあわせて、区民の御意見を集める、そうした手続をやりたいというふうに思っております。

 それから、住民投票というような御指摘もありましたけれども、この問題は住民投票にかけるような課題ではないと考えております。

 以上でございます。

    〔環境部長西條十喜和登壇〕

○環境部長(西條十喜和) 私からは、清掃事業につきまして何点かお答えいたします。

 清掃事業が区に移管後3年間をどのように評価し、今後のあり方についてどう考えているかという点でございます。平成12年、事業の区移管に伴いまして、区みずから一般廃棄物処理基本計画を策定することができるようになりましたことにより、ごみ減量を含む清掃事業について、区独自の取り組みが図れるようになった、このことによりまして区民により清掃事業が身近になったというふうに考えております。また、平成13年5月から、新たに高齢者や身体障害者の世帯に対して、玄関まで行って収集するごみの訪問収集を開始いたしましたし、また、カラス対策用の防鳥ネットの配布につきましても、地域センターでも配布できるようにいたしました。そういったことから、区民に身近な清掃事業になるように努めてまいっております。この3年間の事業推進を踏まえまして、より一層ごみ減量に努めるとともに、住民要望に的確にこたえながら、サービス向上を図ってまいりたいと考えております。

 それから、プラスチック回収のモデル事業が発生抑制につながらないのではないかということでございます。今回の事業を計画いたしました考え方といたしまして、容器包装リサイクル法に基づき、容器包装プラスチックをリサイクルルートに乗せることによりまして、過剰包装の抑制など、製造事業者側の発生抑制に一定の効果があるものと考えております。また、今年度行いましたごみの組成調査によりますと、プラスチック製の容器包装は不燃ごみの約26パーセントを占めているわけでございまして、これを分別回収・資源化によりまして、ごみ減量効果は非常に大きいものというふうに考えたものでございます。

 それから、ごみの戸別収集モデル事業についてのアンケート等の状況でございますが、現在アンケートにつきましては最終的な取りまとめ中でございますが、概略を簡単に申し上げますと、アンケート結果につきましては、モデル事業のねらいといたしましたカラス被害につきましては、「減った」という回答が半数を上回っておりますが、ごみ量については「変化なし」という方が半数を上回っている状況でございまして、大きな変化は自覚されていなかったような結果でございます。住民アンケートも含めまして、戸別収集の実施状況や結果、それから、カラス被害に対する効果、戸別収集におきます収集時間やごみ量の変化等につきましては、現在取りまとめ中でございます。この一定の常任委員会で報告させていただく予定でございます。今後、調査結果とアンケートにおける意見を踏まえながら、円滑な事業推進に努めてまいりたいと考えております。

 それから、モデル事業についての意味合いはどういうものかという質問でございますが、戸別収集のモデル事業につきましては、主にカラス被害に対する効果を確認することを目的としたものでございます。今後、どういった方法が効果的なカラス被害の防止策になるのかを検討していく上で、参考にしてまいりたいと考えております。

 また、プラスチックのモデル事業につきましては、プラスチックの分別体験を通しまして、区民が資源化によるごみ減量、発生抑制、リサイクルの意識の啓発を図る意味合いも持っているというふうに考えております。

 次に、びん・缶の行政回収の報奨金についての質問でございます。びん・缶行政回収につきましては、町会関係者の理解を得て、報奨金を支払うことにより安定的な回収拠点を確保し、実施してまいったものでございます。そのようなことから、審議会答申につきましては、今後、関係者と協議、調整していくことにしておるところでございます。

 以上でございます。

   〔都市整備部長石井正行登壇〕

○都市整備部長(石井正行) 私からは、山手通りの自転車道の整備、それから、土壌による浄化装置、この2点についてお答えを申し上げます。

 山手通りの歩行者と自転車の通行空間、これをどのように区分して整備するかにつきましては、現在、区とともに東京都と首都高速道路公団が、地元区民の意見を聞きながら検討をしておるところでございますので、この中で、御指摘の安全性等につきましても検討をしてまいりたいというふうに考えております。

 また、土壌による排気ガス浄化装置につきましても、導入に向けた検討を要請をしているところでございますけれども、現時点では、処理能力の安定性、それから、広範な面積を要することから、難しいというふうに聞いておるところでございます。

  〔地域センター部長柳澤一平登壇〕

○地域センター部長(柳澤一平) 児童館につきまして、6点ほど御質問がございました。

 まず、子どもの権利条約に、よりよい成長と発達を保障している。それを踏まえて、今後の児童館、学童クラブの運営はどうなのかという御質問でございました。区といたしましては、子どもたちが生き生き育つまち、安心して子育てができる地域づくりに努めてきたところでございます。今後とも、児童館、学童クラブの運営につきましても、障害の有無にかかわらず、子ども一人ひとりが尊厳を確保され、すこやかに成長できるよう努めてまいりたいというふうに考えております。

 次に、施設配置、運営の見直しに当たりまして、現状と課題を区民に示すが、どのようなものを示すのかという御質問でございました。経営改革指針で述べておりますように、児童館、学童クラブ等の現状と課題につきましては、現在各部で取りまとめているところでございまして、その取りまとめた内容を区民にお示ししたいというふうに考えております。

 なお、御指摘の、地域センター部で取りまとめました、児童館・学童クラブの施設配置・運営の見直し(案)につきましては、区からの提供素材としては考えておりません。

 それから、2003年度の学童クラブの申請状況でございます。2003年度の学童クラブの申請数は、2月12日現在で1,184名でございます。そのうち、定員をオーバーしたのは4学童クラブでございます。学童クラブを申請し、希望の学童クラブに入れないため、あきが生じるまで待つ待機児童が18名ございます。

 それから、学童クラブの職員体制はどうなのかという御質問でございました。学童クラブの職員配置につきましては、1学童クラブに対して、原則として常勤職員を2名配置しております。

 なお、障害等により特別に配慮を要する児童につきましては、正規職員のほかに、状況に応じて臨時の職員等を配置して対応しているところでございます。

 それから、学童クラブにおける障害のある児童の定数が1クラブ4名となっている、どうして4名なのか、見直しをすべきと考えるが、どうかという御質問でございました。障害のある児童の多くは、何らかの介助やコミュニケーションの工夫など、十分な配慮が必要ということから、1学童クラブ4名を上限としているところでございます。しかし、障害児学級のある小学校に対応いたします学童クラブ、ここの障害児の受け入れ定数については、保護者との話し合いも踏まえて、一定の配慮が必要だというふうに考えておりまして、16年度実施に向けまして、既に検討に入っているところでございます。

 それから、障害のある児童が隣接の学童クラブに通う場合の区の対応について、見直してはどうかということでございました。学童クラブは、放課後保護に欠ける児童に生活の場を提供するということが主な目的でございまして、学校からクラブに通うこと、これは原則として利用者の方々の自己責任の範囲というふうに考えておるところでございます。現在、障害等により送迎の必要な児童につきましては、保護者が介助者などの協力を得まして、通っておられるところでございます。学童クラブといたしましても、ボランティアや介助者などの人材の情報を提供するなど、保護者の支援に努めているところでございます。

 以上でございます。

    〔区民部長鈴木勝明登壇〕

○区民部長(鈴木勝明) 住民基本台帳ネットワークシステムについて、お答えいたします。

 予算を計上すべきではないというお話がございましたが、昨日、区長が、これは計上は必要であるということを御答弁申し上げております。ただ、昨日、私は、現時点では再接続できると判断する状況にはなっていませんということをお話ししました。ここですが、まだ判断できる時点ではないということであって、着実に前進している部分はございます。例えば全国センターのアクセスログ、これを都道府県が開示できるような仕組みをつくっていくとか、さらには磁気媒体のやりとりについて、新しい協定書ができているということ、また、今度再提出する予定の行政機関における個人情報保護法につきまして、幾つかの提案、例えば職権乱用によるものとか不正目的での提供、さらに、個人データの漏えい、こういったものに対して罰則規定を設けるというふうな話を聞いております。そういう点では、先ほど申し上げましたように、現在の時点ではまだ、再接続できるという判断ができないということで、着実に進んでおります。

 以上です。

   〔保健担当部長青山キヨミ登壇〕

○保健担当部長(青山キヨミ) 私からは、精神障害者のピアホームヘルプ事業についての御質問にお答えいたします。

 障害者が障害者の手助けをするピアサポートシステムの構築を目指し、平成15年度には精神障害者ピア協力員の養成講座を、20名ほどを対象として、スマイル社会復帰センターが主催して開催します。その受講生の中から、本人の希望と適性を考慮して、5名程度を社会福祉協議会主催のホームヘルパー3級養成講座へ派遣する予定です。

 精神障害者ピア協力員の養成講座は、ピア協力員の養成とあわせ、就労支援に向けて、導入的な講座として設けたものです。当面、3級講座の受講機会を提供することにより、2級資格所得への取り組みを支援してまいります。3級講座の修了者については、社会福祉協議会のほほえみサービスの協力会員になるなど、就労へのステップとしてまいりたいと考えております。

     〔むとう有子議員登壇〕

○9番(むとう有子) 再質問をさせていただきます。

 まず1点目です。山手通りのことについてですけれども、土壌脱硝装置をつけた方がいいと私は再三主張しているんですけれども、中野区としても東京都に対して、土壌脱硝装置をということをこれまで要望しておりました。土壌脱硝装置についてもかなりデータが出てまいりまして、かなりの部分、機械式の低濃度脱硝装置よりもいろいろなものが取れるということがわかってきております。御答弁ですと、東京都の方から難しいと聞いているというだけの答弁だったんですね。難しいと聞いているだけではなくて、中野区としても、山手通り沿線の中野区民の方々の健康を守るという視点から、もう少し区独自にも調べられたらどうかと思うんです。難しいと聞いているだけでは、行政マンとして仕事が怠慢ではないかというふうに言わざるを得ません。

 それから、戻りますが、清掃事業のところでお尋ねいたしました行政回収の報奨金のことですけれども、審議会の答申は昨年出ております。答申が出てから既に3か月は経過していると思います。これから検討するということですけれども、答申が出てから、次の予算に反映するつもりは全くなかったから、ずっと検討しないで今まできたんでしょうか。これから検討するんでしょうか。答申が出てから、予算に反映できるような形での検討をどうして進めなかったんでしょうか、その点をお答えください。

 それから、最後のその他のところの、精神障害者のピアホームヘルプ養成研修講座なんですけれども、区がやっているピアホームヘルプ事業に就労してもらうということを目指すのであれば、3級を取って2級にしなくても、2級でもいいわけです。3級というのは家事援助しかできません。身体介助は2級からです。どうして2級にしないで、3級にしたのかという理由をきちんと説明してください。

   〔都市整備部長石井正行登壇〕

○都市整備部長(石井正行) 再質問にお答えを申し上げます。

 区といたしましても、現状の能力につきまして、確認及び調査をしてまいりたいというふうに考えております。

    〔環境部長西條十喜和登壇〕

○環境部長(西條十喜和) 報奨金についての再質問でございます。

 先ほど申し上げましたとおり、びん・缶の行政回収につきましては、報奨金を支払うことで安定的な回収拠点を確保していただくといったことで、10年来やってきたものでございます。そうした経過を踏まえますと、安定的な状況を今後も引き続いてできる方策についても、私どもとしては、関係者と十分協議する必要もあるということから、今回その調整の時期を、今年度から来年度にかけて行ってまいりたいといった考え方から、今年度については従来と同じような形にしているものでございます。

   〔保健担当部長青山キヨミ登壇〕

○保健担当部長(青山キヨミ) 議員御指摘のように、3級のホームヘルパーというのは家事援助のみでございます。しかしながら3級の場合には講義等50時間で済みますが、2級となりますと130時間を要します。また、家事というのは生活における基本であり、これに対する援助というのは、基本的なものとして、御本人を含めてこれへの対応をしていっていただくことが重要であると考えております。さまざまな意味で、精神障害者の方は恒常的に一つの状態を保っているとは限りませんので、急激に負荷をかけていくことによって、場合によっては病状の悪化というようなことも考えておかなければなりません。したがって、ステップ・バイ・ステップで進めてまいりたいというふうに考えております。

○議長(斉藤金造) 以上でむとう有子議員の質問は終わります。

 以上をもって質問は終了いたしました。

○議長(斉藤金造) これより日程に入ります。

 日程1、第5号議案から第9号議案までの計5件を一括上程いたします。

 理事者の説明を求めます。

     〔助役内田司郎 登壇〕

○助役(内田司郎) ただいま上程されました、平成15年度各会計予算に係る第5号議案から第9号議案までの5議案につきまして、一括して提案理由の説明をさせていただきます。

 初めに、第5号議案、平成15年度中野区一般会計予算について説明いたします。

 第1条は、歳入歳出予算です。歳入歳出総額は888億5,100万円で、前年度に比べ1.4パーセントの増となっています。

 まず、歳入予算から説明いたします。

 特別区税は、平成14年度の決算見込みを基礎に、平成15年度の納税義務者数や課税対象所得の推計を行い、前年度に比べ0.6パーセント減の、270億7,100万円余を計上いたしました。

 特別区交付金は、平成15年度都区財政調整フレームに基づき見込んだ額に、平成14年度に購入する(仮称)北部防災公園用地に係る額を加え、前年度より0.4パーセント増の、274億4,600万円余を計上いたしました。

 その他、利子割交付金、地方消費税交付金、地方特例交付金などについては、国や都の予算及び今年度の実績を勘案し、見込みました。

 国庫支出金は、児童扶養手当や生活保護費などの増に伴い、6.3パーセント増の、102億2,000万円余を計上いたしました。

 都支出金は、主に清掃事業臨時特例交付金の減により、2.4パーセント減の、34億2,900万円余を計上いたしました。

 財産収入は、用地売払収入4億円を見込み、総額4億5,200万円余を計上いたしました。

 繰入金は、財政調整基金からの繰入金、介護保険特別会計からの繰入金など、7億6,900万円余を計上いたしました。

 諸収入は、産業経済融資などの金融機関への預託金の廃止や、区立介護施設の自主運営化に伴う介護報酬の減により、46.2パーセント減の、22億100万円余を計上いたしました。

 特別区債は、土地開発公社保有地の買い取りや住民税減税補てん債などの、合計68億7,200万円を計上いたしました。

 続いて、歳出予算を説明いたします。

 議会費は、議員定数が2人減となるため、前年度より5.6パーセント減の、7億8,100万円余となりました。

 総務費は、土地開発公社からの用地購入費が増加したことなどにより、36.0パーセント増の、146億8,300万円余となりました。

 民生費は、児童扶養手当や生活保護費の増加などにより、0.4パーセント増の、369億4,700万円余となりました。

 衛生費は、区民健診に係る委託料の増などにより、3.5パーセント増の、32億1,100万円余となりました。

 産業経済費は、産業経済融資に係る預託金の廃止に伴う減により、67.3パーセント減の、5億6,800万円余となりました。

 土木費は、道路、公園、河川、橋梁などの維持改修費を増額したことなどにより、0.6パーセント増の、36億400万円余となりました。

 都市整備費は、主に高齢者福祉住宅の整備費の減や、住宅融資に係る預託金の廃止に伴う減により、7.9パーセント減の、26億6,600万円余となりました。

 環境費は、清掃職員の人件費やごみ収集の雇い上げ車の経費などが減となったことにより、2.2パーセント減の、56億9,500万円余となりました。

 教育費は、小・中学校普通教室の冷房化などによる経費の増はあるものの、職員人件費などが減となったことにより、0.9パーセント減の、103億5,100万円余となりました。

 公債費は、総額58億6,800万円余で、前年度より14.7パーセントの大幅減となっています。これは区債の償還額の減によるものです。

 諸支出金は、13.8パーセント減の、14億9,400万円余となっています。

 以上の歳出予算を性質別に見ますと、人件費が3.8パーセント減、扶助費が7.5パーセント増、公債費が14.6パーセント減で、これらを合わせた義務的経費は509億9,200万円余りとなり、前年度より2.1パーセントの減となりました。

 また、投資的経費については、総額81億4,800万円余で、前年度より68.2パーセントの大幅増となりました。

 その他の経費については、297億900万円余で、前年度より3.1パーセントの減となっています。

 第2条は、債務負担行為について定めるものです。これは、OA機器等の借り上げ、特別養護老人ホーム等の建設助成、桃園跨線橋改修工事、中野区土地開発公社の借入金に対する債務保証などを定めたものです。

 第3条の、特別区債は、起債の目的、発行限度額などを定めるもので、総額68億7,200万円を計上いたしました。

 第4条の、一時借入金は、その最高額を100億円といたしました。

 第5条の、歳出予算の流用は、職員の人件費に過不足が生じた場合、同一款内の各項間で流用することを御承認いただくものです。

 以上が第5号議案、平成15年度中野区一般会計予算の概要でございます。

 続きまして、第6号議案、平成15年度中野区用地特別会計予算について説明いたします。

 第1条の、歳入歳出総額は8億300万円で、前年度に比べ53.7パーセントの大幅減となっています。

 なお、過去に用地特別会計で取得した用地については、その起債償還が進み、本年度の償還をもって終了いたします。

 次に、第7号議案、平成15年度中野区国民健康保険事業特別会計予算について説明いたします。

 第1条の、歳入歳出総額は264億2,900万円で、前年度に比べ12.4パーセントの増となっています。

 歳出については平成14年度は特例的に11か月分の計上であったものが、平年度化したことなどから、保険給付費は、15.3パーセント増の、152億100万円余を計上いたしました。

 また、老人保健拠出金は、4.9パーセント増の、84億6,100万円余を計上いたしました。

 歳入については、保険給付費等の増に対応し、国民健康保険料は7.6パーセント増の98億4,700万円余、国庫支出金は81億2,900万円余、療養給付費等交付金は31億9,700万円余、繰入金は42億3,700万円余を計上いたしました。

 第2条の、債務負担行為は、OA機器等の借り上げを定めました。

 第3条の、一時借入金は、その最高額を10億円といたしました。

 第4条の、歳出予算の流用は、職員の人件費及び保険給付費に過不足が生じた場合、同一款内の各項間で流用することを御承認いただくものです。

 次に、第8号議案、平成15年度中野区老人保健医療特別会計予算について説明いたします。

 第1条の、歳入歳出総額は264億6,800万円で、前年度に比べ5.4パーセントの減となっています。

 歳出のうち、医療諸費は、医療制度改革による対象者減を反映して、5.4パーセントの減の、263億8,800万円を計上いたしました。

 歳入については、支払基金交付金は184億2,600万円余、国庫支出金は53億5,800万円余、都支出金は13億2,700万円余、繰入金は12億7,600万円余を計上しました。

 次に、第9号議案、平成15年度中野区介護保険特別会計予算について説明いたします。

 第1条の、歳入歳出総額は137億2,700万円で、前年度に比べ20.8パーセントの大幅増となっています。

 歳出のうち、保険給付諸費は、対象者の増により、21.2パーセントの増となりました。

 歳入については、保険給付の増に対応し、介護保険料は23億4,300万円余、国庫支出金は33億5,200万円余、支払基金交付金は44億2,300万円余、都支出金は16億5,200万円余、繰入金は19億5,200万円余を計上いたしました。

 第2条の、債務負担行為は、OA機器等の借り上げを定めました。

 以上、5議案につきまして、よろしく御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

○議長(斉藤金造) 本件について御質疑ありませんか。

    〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(斉藤金造) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。

 上程中の第5号議案から第9号議案までの計5件は、議員全員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに審査を付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(斉藤金造) 御異議ありませんので、上程中の第5号議案から第9号議案までの計5件は、議員全員をもって構成する予算特別委員会を設置し、これに審査を付託することに決しました。

 本日はこれをもって散会いたします。

      午後6時42分散会