平成14年06月27日中野区議会本会議(第2回定例会)

1.平成14年(2002年)6月27日、中野区議会議事堂において開会された。

1.出席議員(42名)

  1番  吉  原     宏        2番  伊  藤  正  信

  3番  きたごう  秀  文        4番  高  倉  良  生

  5番  やながわ  妙  子        6番  鈴  木  光  子

  7番  佐  伯  利  昭        8番  平  島  好  人

  9番  むとう   有  子       10番  長  沢  和  彦

 11番  牛  崎  のり子        12番  山  崎  芳  夫

 13番  高  橋  ちあき        14番  市  川  みのる

 15番  岡  本  いさお        16番  こしみず  敏  明

 17番  飯  島  きんいち       18番  小  串  まさのり

 19番  はっとり  幸  子       20番  佐  藤  ひろこ

 21番  来  住  和  行       22番  樋  口  きこう

 23番  若  林  ふくぞう       24番  古  木  謙市郎

 25番    欠    員         26番  斉  藤  金  造

 27番  斉  藤  高  輝       28番  大  泉  正  勝

29番  柿  沼  秀  光       30番  木  村  勝  昭

31番  細  野  たいじ        32番  岩  永  しほ子

33番  昆     まさ子        34番  小  池  ひろし

36番  伊  藤  岩  男       37番  西  村  孝  雄

38番  江  口  済三郎        39番  藤  本  やすたみ

40番  川  上     進       41番  近  藤  正  二

42番  江  田     徹       43番  池  田  一  雄

44番  小  沢  哲  雄

 

1.欠席議員(1名)

 35番  岩  田  みつる

 

1.出席説明員

 中 野 区 長  田 中 大 輔      収  入  役  藤 原 惠 一

 教  育  長  沼 口 昌 弘      政策経営部長   渡 辺 征 夫

 企 画 課 長  金 野   晃      総 務 部 長  山 岸 隆 一

 総 務 課 長  田 辺 裕 子      区 民 部 長  鈴 木 勝 明

 地域センター部長 柳 澤 一 平      環 境 部 長  西 條 十喜和

 保健福祉部長   石 神 正 義      保健担当部長   青 山 キヨミ

 都市整備部長   宮 村 光 雄      土木担当部長   石 井 正 行

 教育委員会事務局次長 山 下 清 超    選挙管理委員会委員長 諏 佐 剛 夫

本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  正 木 洋 介      事務局次長    佐 藤 栄 時

 書     記  大 谷 良 二      書     記  大 石 紀 久

 書     記  巣 山 和 孝      書     記  永 田 純 一

 書     記  長 崎 武 史      書     記  松 原 弘 宜

 書     記  西 田   健      書     記  岩 浅 英 樹

 書     記  飯 田 浩 一      書     記  佐 藤 雅 俊

 書     記  松 本 桂 治      書     記  吉 田 哲 郎

 

 議事日程(平成14年(2002年)6月27日午後1時開議)

日程第1 

常任委員の所属変更について

 

      午後1時03分開議

○議長(斉藤金造) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さようご了承願います。

 この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、市川みのる議員、岡本いさお議員、江田徹議員、木村勝昭議員、藤本やすたみ議員、伊藤正信議員、西村孝雄議員、佐藤ひろこ議員、鈴木光子議員、むとう有子議員から質問の通告がありますので、これを順次許します。

 

 中野区議会議員 市 川 みのる

 1 新区長の政治姿勢について

 2 その他

 

○議長(斉藤金造) 最初に、市川みのる議員。

     〔市川みのる議員登壇〕

○14番(市川みのる) 第2回定例会に当たりまして、自民党議員団の一般質問のトップバッターを務めさせていただきます。

 まず冒頭に、先般の中野区長選挙におきまして、史上2番目の低い投票率と低い得票率に支えられて当選されました新区長の田中さんに対しまして、一言お祝いを申し上げておきます。御当選まことにおめでとうございます。

 早速ですが、今回の投票率や得票率を御自身でごらんになって、区民から真の信任、負託を得たとお考えでしょうか、まず伺っておきます。今後、議会の場においても、あなたが選挙中に訴えてこられた説明責任、アカウンタビリティーをきちっと果たしていかれるよう望むとともに、区政が停滞を招かないように明確な御答弁をいただき、有言即実行の新しい区長像を強く強く望むものでございます。

 あなたは自らの所信表明の中で、区財政は危機的状況にあるとの認識を示されました。もちろん御指摘のとおり、区政、都政、国政とあらゆる政治の場面において、現在の政治状況は危機的な状況に陥っております。この混迷した状況下、求められるのは首長のリーダーシップであることは、今さらながら申すまでもございません。大局的な見地から、新区長の田中さんが持っておられるリーダーシップのあるべき姿について伺ってみたいと思います。

 私ども日本人は危機意識が深刻でない面があって、例えば台風で被害を受けても、台風が過ぎ去れば後はまたのんきに暮らす、「台風型政治体質」の民族とかつて命名したのは、とある学識経験者でありました。「その都度主義」とか「成り行き主義」とも言えますが、国民一般にこういったカルチャーや体質があるのは否定できません。危機的な時代には政治のリーダーシップに求めるものが非常に重大であるのに、今の日本の雰囲気を見ていると、政治リーダーをアイドルとかタレントみたいに思っているのが大問題です。これで一体乗り切っていけるのだろうかと尋ねられれば、答えは即ノーです。日本が険しい状況なのに、国民意識との間に大きな落差があることが、私は一番の日本の危機的事態と思います。

 日本の周辺では、それでは済まないという事件が起きています。不審船の問題、中国・瀋陽の総領事館事件もありました。テレビで韓国人と思われる中年の女性が次のように話をしていました。「中国の官憲はアメリカの在外公館には踏み込んでこない。日本の在外公館には踏み込んでいく。日本人の自尊心がないからだ」。第三者からこのように言われるのは大変恥ずかしいことだと思います。ここで大切なことは、デモクラシーなきリーダーシップは独裁を招き、リーダーシップなきデモクラシーは無政府状態に陥るということであります。健全なリーダーシップの確立が民主主義には不可欠でありますが、戦後の日本はそうなってこなかったのであります。

 一つは、民主主義を日本人が誤解したことであります。民主主義は平等だ。多数の意見で決めるのだ。下手にリーダーシップを振るわれたら、独裁政治の復活を招きかねないという感情がありました。やがて政治的無関心の状況も広まり、政治的リーダーシップを正当に評価する意識は生まれず、否定されるか、軽視されてきました。さらに、日本では昔から伝統的にリーダーシップをあからさまに示すことが好まれませんでした。潜在的リーダーシップを好んだと言ってもいいのであります。国政にとどまらず、都政、区政にあっても同様の危機的状況下において、今必要なのは、リーダーがまず原理原則の意思表示をして、それでどうだと選択をメンバーに迫り、問いかけて、多数決で決するやり方であります。危機に対処するには、穏やかに取りまとめ円満に処理をするという、これまでの意思決定では間に合いません。伝統は大事にすべきでありますが、日本在来型政治の伝統に固執していると、事態の打開ができないことを日本国民はもっと理解する必要があります。

 以上、私なりの危機的状況下におけるリーダーシップのとり方を考えとして述べさせていただきましたが、区長はリーダーシップのあるべき姿についてどのようにお考えか、お聞かせください。

 続いて、新区長の区政に対する所信につきまして、区議会自由民主党の立場から質問をいたします。

 私は、田中新区長の所信表明をある一面の期待を持って聞かせていただきました。しかし、あれだけ前区長を批判し、区政を変えると区民に公約したにもかかわらず、理念的・抽象的な言葉の羅列と、トーンダウンに正直がっかりしました。区長に就任してわずか1週間程度ですから、新区長の考えていることをすべて所信表明の中で表現すべきという方がむちゃなのかもしれませんが、新区長自ら所信で言われているように、区長の職責と使命は非常に重いものであります。若いから、経験がないから、時間がないからなどということは通用しません。また、選挙中の公約は区長として区民に対して約束したことで、実行する義務があると私は考えます。その意味からして、区長として最初に行う所信表明は、公約を区民にわかりやすく説明し、先ほども触れましたが、実行する道筋を示すものでなくてはならないと考えます。

 そこで、所信で表明された内容に沿って、新区長の考える21世紀にふさわしい新しい区政と地域のあり方についてお尋ねします。

 田中新区長は、区民の信託にこたえるため、区議会との密接な連携のもと、区政運営に全力を傾注したいと述べております。区議会は区民の直接選挙による議員により構成され、区長との関係でいえば、区政を監視し、牽制を行い、統制していくことが期待されております。このため、区議会の機能の中で最も本質的なものは立法権であり、中野区が行う事務に関し、かなり広範な条例制定権を持っております。また、予算や決算に関する権限のほか、重要な契約の締結に関する議決権など、行政作用に参与し、決定する権能が広く認められており、監視的な機能も持っております。

 このように、地方自治にあって議会と執行機関とがともに直接住民の選挙に基盤を置き、それぞれの職責に分けて牽制し、それぞれの職務権限について直接住民に責任を負うという仕組みをとっているのは、この仕組みが民意を反映するには、民主的であり、政治勢力の独裁化を防ぎ、相互の牽制と調和により、公正な行政運営を期待する住民にこたえることになるからであります。

 私はこれまでの区議会運営について、また議員活動について、地方自治の原点に返って見直す必要性を感じております。議員が住民の代表として公正に職務を遂行するために、兼職や兼業を禁止している意味、議会の議決権、意見表明権、調査権、請願受理権、同意権等、区政の重要な活動に関する意思を決定する議決機関の役割を改めて考えてみなければと思っております。

 そこでお伺いします。区長は「区議会との密接な連携のもと」と言っておられますが、密接な連携とはどんな連携を想定しているのでしょうか。また、区長の考えている議会と執行機関の関係についてあわせてお聞かせください。

 情報公開、説明責任を区民に約束した区長は、自らの言動について責任を持たなければなりません。言語明瞭、意味不明瞭であってはならないと思います。ましてや区長として初めての所信表明にあっては、言葉の一つひとつに細心の注意を払って所信をまとめたものと思います。

 そうしたことを前提に伺います。区長は、議員、区民に理解と協力を2度にわたって「お願いします」という表現をしています。所信表明の終わりの言葉としてはわからないでもありませんが、最初の「お願いします」の内容についてお尋ねします。区民の信託にこたえるため、区政運営に全力を傾注することは、区長の当然の責務であり、理解を求められるまでもないことであります。我々議員に対して理解と協力を求めておりますが、何を理解し何を協力したらよいのか、わかりやすく説明してください。

 地方自治の本旨は、団体自治という要素と住民自治という要素の結合・調和の上に成り立つ観念であると言われております。地方自治体の自主性、自律性の強化の原則は、団体自治の観念に由来し、住民の権利の拡充という原則は、住民自治の観念に由来していると言われております。住民を自治の主人公と位置付ける住民自治の理念に沿って、住民の総意と責任において行われる自治体の運営の基本的な手段として住民参加はあると思います。地方自治法も代表民主制を地方自治の基本的仕組みとしながらも、住民投票や直接請求制度などの直接民主制を取り入れることで、住民自治、いわゆる住民参加を制度化しております。しかし、法の想定した住民参加の制度は十分に機能したわけではなく、これまで各自治体独自で導入した住民参加制度や住民の自主的な協議の場に行政が出向くなど、さまざまな取り組みが行われてきました。

 中野区でも対話集会、区政協力員制度、モニター制度、住区協議会の設置などの取り組みが試みられてきました。また、中野区独自の住民参加の制度化も行われてきました。教育行政区民参加条例やまちづくり条例などが制定されました。みどりの条例、ポイ捨て条例、環境基本条例など、区と住民の役割や責務も制度化されております。中野区は基本構想を制定するに当たって、住民参加とともに行政と住民との協働を提案しました。そして、行政と住民の対等な関係、パートナーシップづくりも提案されたところでした。このように、中野区では住民自治の実現の手段として、社会経済環境の変化に合わせ、参加から協働、そしてパートナーシップへと多様なチャンネルが試行され、用意されてきました。

 前区長が取り組んだ行財政5か年計画は、こうした取り組みを背景に住民自治の実現に向け、計画の基本的な考え方の項で、中野の自治を発展させる、自主・参加・連帯に支えられた地域をつくる、平和な暮らしと人権を守る、安定した行財政基盤をつくり効率的な区政を進めると述べ、新しい区政の姿を目指して、新たな課題への対応、区の役割、区民との協働、行政の体質改善を提案しています。また、新たな施策の展開の章で、区政の課題と施策の方向を具体的に示しております。

 田中新区長の所信表明をお聞きして、前区長の政策とどこが違うのか、十分に理解はできませんでした。これは、所信表明では十分に表現し切れなかった点が多くあるのではないかと思います。そこで伺います。まず、新区長が選挙中に触れてきた区民の区政に対する意見、期待、失望などのさまざまな思いの具体的な事例をいくつか聞かせてください。

 次に、新区長の基本姿勢についてお尋ねします。

 現行、行財政5か年計画では、「区が基礎的自治体として区民の負託にこたえ、必要なサービスを着実に実施していくため、歳入とバランスのとれた施策体系をつくること。また、区政課題の解決と区民要望を新たな行財政の枠組みの中で最大限実現できるよう、施策の体系を改めて構築することを目指している」と言っております。新区長は、「新しい時代の要請に合ったサービスと施策の体系をつくり出すとともに、健全な収支構造をつくることを目指していく」としていますが、新しい時代の要請に合ったサービスと施策の体系とはどのようなものなのか、また、新区長の目指す健全な収支構造はどのような構造なのか、わかりやすく説明してください。

 新区長は「形だけでない手応えのある区民参加」の中で、「自治の原点は住民参加にあります」--途中割愛いたしますけれども、後段の部分では、「施策の検討や決定に当たって、地域全体のために区民が議論できるよう、情報の提供を徹底します」と言っておりますが、これは、施策の決定は区政の主役である区民が行うということなのか、お尋ねします。

 「一人ひとりの可能性をひらく」という理念の中で、「だれもが自由に活動し、達成感やともに成長する喜びを得られるよう、区民のさまざまな活動を結びつけ、支援します」と述べていますが、これまで行政が地域のさまざまな住民グループやボランティアグループを育成し、支援してきた経緯から、こうした育成や支援を受けたグループなどは行政に取り込まれていることが多く、行政任せの体質を持っていることも否定できないと言われています。新しい区長は、どのように区民の活動を結びつけようとしていくのか、また、いるのか、どんな支援を考えているのか、聞かせてください。

 次に、主要な政策の柱について何点かお尋ねいたします。

 まず、基本構想の見直しですが、昭和56年に策定された基本構想は、近年の国際化・情報化の著しい進展や、急激な高齢化や少子化による人口構造の変化、人間の活動による環境負荷の蓄積など、新たな行政課題に対応しておりません。また、地方分権などの潮流にもこたえておりません。こうしたことから、基本構想は見直す時期に来ていると思います。新区長は、「基本構想は制定から20年以上を経ており、新たな理念で補強したり整理するべき点も出てきている」と見直しの必要性を述べておりますが、区長の言う基本構想を補強したり整理すべき新たな理念とは何なのか、わかりやすく説明してください。

 また、「行財政5か年計画にかわる本格的な区政の将来構想と計画をきちんとした手続のもとに定めていくことが必要である」と区長は言っておりますが、きちんとした手続とはどういうものなのか、5か年計画の策定は手続的にどこに問題があったのか、お尋ねします。

 自治と住民参加の理念と手続を定める、(仮称)自治基本条例の制定を提案しておりますが、先ほども述べましたけれども、これまで中野区が制定した住民参加に関する条例はさまざまあります。しかし、どれをとっても機能しているようには思えません。制度化を目指す余りに屋上屋を重ねたり、理念倒れになってはいけないと思います。そこでお尋ねします。これまでの住民参加の仕組みや制度はなぜ機能しなかったのか、新区長の御見解をお聞かせください。また、新たな条例を機能するものにするため、どんな工夫を考えているのか、お聞かせください。

 また、自主団体の活動を支援するための新たな条例の制定も考えておられるようですが、自主団体とはどんな団体を想定しているのか。町会・自治会も対象にしているのか、お考えをお尋ねします。

 区立小・中学校の教育環境を充実するために、学校の適正規模・適正配置を検討し、実施するとしていますが、前区長が行ってきた検討は白紙に戻して、新たに検討に着手するのかどうか、お尋ねします。

 財務省は今月21日に、内閣府を含む12省庁の31事業を対象に初めて実施した予算執行調査の結果を発表しました。これによると、公営の認可保育園の運営費が全国平均基準の2.5倍に達し、民間に運営委託した保育所の1.3倍と比べても高コスト構造が鮮明で、予算のむだ遣いが改めて浮き彫りになったと指摘しています。また、19日付の日本経済新聞では、首都圏で公立保育園の運営を民間企業に委託する動きが相次いでいる状況が報道され、文京区の事例などが紹介されていました。区立の保育園の民営化については、平成17年度までに5園の民営化の実施は議会、区民に説明されてきました。財政再建に取り組む新区長は、「区立保育園の民営化とあわせて民間保育園への支援を行うことによって、待機児をなくし、多様な保育サービスの充実を進める」としておりますが、平成17年度以降、さらに保育園の民営化を推進していくのか、お考えを聞かせてください。

 次に、施設建設について数点お尋ねします。

 新区長は、6月17日の区長就任記者会見で、大型のハコモノ計画で見通しの立たないものについて廃止をする。具体的には上野原スポーツ・学習施設だと言っておりますが、所信表明では、凍結したままの施設計画の多くは今後も建設できるような状況ではない。早急に見直して、計画の廃止等の考えを区民に示すつもり。上野原スポーツ・学習施設については、教育委員会と早急に調整して、具体的な検討に入ることにすると、大分トーンダウンした言い方になっているように思います。区民に公約していた、計画は廃止して不要な用地は売却するという考えに変わりはないのか、お尋ねします。

 また、警察大学校跡地利用計画を区民参加で見直すと公約したことについても、所信表明では「現在ある計画案の実現可能性などを早急に検討した上で、関係機関との調整も行いながら、計画案の見直しについて考えていきたいと思います」と、大幅にこれもトーンダウンしたものになってしまいました。警察大学校跡地利用計画は、中野区の単独の事業ではなくて、東京都、杉並区とともに時間をかけて検討し、合意して策定してきたものであります。そして、三者がそれぞれの決定手続を経て、共同して財務省に用地の払い下げを要請してきた経緯があり、簡単に見直すというわけにはいかないものだと考えます。区議会も、この計画に基づく道路の都市計画決定のための予算を議決しました。田中新区長はこういう経緯を十二分に理解し、知った上で、見直すことを公約してきたのだと思います。そこで、改めてお尋ねをしておきますが、区長は公約どおり警察大学校等跡地利用計画を区民参加で見直すのでしょうか、お尋ねします。

 その他の項についてですが、質問を自由民主党議員団の2番目に質問させていただきます伊藤正信議員の方にお譲りしまして、私の質問は以上で終わります。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 市川議員の御質問にお答えいたします。

 まず、今回の低投票率と、私自身の低得票率ということでございます。真の信任を得たというふうに受けとめているのかどうかという御質問でございます。

 前回より上昇したとはいえ、投票率が33.42%にとどまったということについて、大変残念に思っております。これまで区からの情報発信が少なかったこと、また、区民参加のあり方等にも問題があって、区政への関心が低下しているのではないかといったようなことも感じてまいりました。それはともかくといたしまして、私の得票率につきましても、相対的な1位ということでございますが、先ほど御指摘にありましたような形でございます。今後、区政運営に当たりまして、私自身が区民参加を常に心がけ、私自身が区民の意思を常に把握しながら進めていくということが、こうした状況の中にあって重要である、そのように考えている次第でございます。

 次に、リーダーシップについてのさまざまな御指摘、御意見がございました。私自身、大変参考になる部分の多い御示唆をいただいた御発言であったというふうに考えております。特に住民参加とリーダーシップといったようなところについて、私自身きちんと受けとめ、お答えをしなければならないというふうに感じたものでございます。

 私が考えております住民参加。住民参加はさまざまな形、さまざまな場面があるわけでございますが、私自身、長として、区長として行っていく、受けとめていく住民参加、これについては、一つは、住区協議会などで行われているような住民自治、あるいは地域合意の形成を行うといったような参加の仕組みでございます。もう一つは、審議会などの形できちんとした役割が位置付けられて行われる参画の仕組みでございます。また、対話集会など、不特定多数の区民から自由に意見を聞く仕組み、こういったものもあると考えております。対話集会以外にもさまざまなメディアを介しての自由な意見を聞き取ると、そういったこともあろうかと考えております。こうした三つの形での住民参加、それぞれが私は必要であるというふうに考えております。こうした住民参加による区政運営を進めるために、徹底した区政の情報公開と、それから、区民との議論に取り組んでいくという考えでございます。

 一方、御指摘にありましたように、区長の仕事において区政運営の停滞というのは許されないものでございます。政策は、常に期間のある中で決定していかなければならないものと考えております。住民参加は区長としての決定に生かされるものでございまして、住民参加を意味あるものにするためには、議論の上で区長が決定した内容について、十分な説明責任を果たしていくことが重要であると、そのように考えております。区長のリーダーシップは、区民に議論をしてもらう上で、その議論をリードする理念、それから、議論の結果を公正な見地から決定する決断、そして、その決断を実施していく実行、それぞれの段階で発揮されるべきものでありまして、そのそれぞれが十分な説明能力によって裏付けられていなければならない、そのように考えております。

 議会と長との関係についての御質問がございました。議会と長、それぞれ直接住民に選挙されて仕事を行っている、自治における重要な機関でございます。これについて、自治の制度の中で車の両輪に例えられている関係であると、そのように理解しているところでございます。それぞれの権限、議会におきましては立法権、予算・決算議決権、さまざまな権能が有している、そういう仕組みでございますので、その点について市川議員の御指摘、まことにそのとおりであると、そのように考えております。

 そこにおける密接な連携、あるいは私が申し上げました理解と御協力をお願いしますという、御理解、御協力の内容といったような御質問でございました。密接な連携というのは言うまでもなく、執行機関側がどのような経過において、どのような判断において行政運営を行おうとしているのか、そのことを常に議会の皆様と情報発信、情報交換をしながら、同じ情報、同じ判断の基盤に立てるような、そうした密接な連携が必要である、そのようなことと考えております。そうした密接な連携を行っていく、その上で、常に良好なコミュニケーションを保っていくこと、あるいは情報交換、情報交流を行っていくこと、そうしたことが必要なことである、そのように考えておりまして、そうした面での御理解と御協力をお願いしたい、そのように申し上げたものでございます。

 5か年計画の理念、また新たな課題、そのようなことと関連いたしまして、前区長と私の考え方、どう違っているのか。そうしたことの中で、私が所信表明の中で申し上げました、選挙中に感じた区民の意見、期待、失望の具体的な事例を示されたいという御質問がございました。

 区民の御意見、一つは、やはり中野区の置かれている現状、行政運営の現状について、きちんと情報が知らされていなかった。そうした御意見、こういったことが多い、私はそのように感じたものでございます。また、失望といったような事例の中では、例えば住民参加という形でさまざまな検討の場に区民が出席される。さまざま御意見をおっしゃる。そうしたことがどのように反映したのか、区の決定の内容を見ても全くわからない。あるいは区の決定した後の説明がほとんどない。つまり、参加といって一生懸命意見を言い、参加したところが、区政の中にそれがどう生かされ、反映されてきたのかよくわからない。そのような失望感、そういった声を私は多く受け、感じてきたところでございます。区民からの期待ということの中では、身近な自治体としての中野区に対して、区民の自治で区民の意思がきちんと生かされるような区政をつくっていきたい。そのような期待感、そういったものを私自身受けとめていきたいと、そういったところでございます。

 新しい時代に合ったサービスと施策の体系、あるいは健全な収支構造、どのようなことを想定しているのかといったような御質問でございました。新しい時代に合ったサービス。21世紀は20世紀と全く違う社会の形になっていく。その21世紀に私ども既に立ち至っているわけでございます。20世紀100年間で、日本の人口は3倍にふえたそうでございます。この20世紀の100年間で、日本の社会は産業革命を経験し、産業化を経験し、大きな近代化を経験したわけでございます。21世紀になって、もうすぐ人口が減少し始めていく、そんな状況であるというふうに聞いております。年齢構成におきましても、40歳以上の人、要するに大人から高齢者と言われる人口が、全人口の半分以上を占めていく。ますます少子化の傾向は進んでいく。そうした世の中になっていく。高齢化といっても、現在の高齢者の倍の数の高齢者が出てくる。そうした社会になっていくわけでございます。

 国民の負担の関係や、あるいは行政、財政の規模、そういったようなものについても、大きく膨らませていくような時代ではなくなっていく。一方、高齢化という中、あるいは少子化が進行していく中で、新たな政策的な課題がさまざまに出てくる。こういう時代に対応した新しい地域社会のあり方、新しい福祉や新しい子育てへの対応のあり方、そういったようなことについて、区民みんなで議論しながら、中野区の区政、中野区の地域社会をどうつくっていくのか。そうしたことをつくり上げていくのが、新しい時代に合ったサービスと施策の体系づくりであると、私はそのように考えているものでございます。

 健全な収支構造ということにつきましては、当然ながら、収入と支出が見合った形の収支構造であると同時に、一定の計画性、財政的な動きを見据えた一定の年限の財政計画をきちんと裏付けに持った、そうした財政構造、そうした計画的な財政運営が行われているような財政構造、そうしたことを考えているところでございます。

 情報提供に関連いたしまして、区民に情報を徹底して提供していくという中で、施策の決定は区民が行うのかというような御質問、御懸念がございました。先ほど申し上げましたように、区長の決定に当たって、区民参加、情報公開は必要でございますが、区長が行う決定につきましては、区長が責任を持って決定していく。そのことをきちんと踏まえてまいりたい、そのように考えております。

 さまざまな活動を支援する、そうしたことの中で、活動を支援された活動、とかく行政任せになりがちではないかと、そうした御指摘もございました。どう自主的な活動を結びつけたり、支援するのかということでございます。

 区民の皆さんの中には、さまざまな主体、それは団体の性質、そういったものを問わず、さまざまな活動主体がさまざまに豊かな活動をされている。そうした現状、そうした実情にあります。そうした活動をきちんと支えていくこと、あるいはそうした活動、例えば介護福祉であったり、教育であったり、子育て、あるいはまちづくりであったり、さまざまな分野で自主的な団体が有益な活動をされている。そうした活動と、そうした活動を求めている区民を結びつけたり、あるいはそうした活動同士のネットワークを支援したり、そういう形での結びつけ、支援といったような意味で私が申し上げているのが、さまざまな活動を支援する、そういった考え方でございます。

 基本構想のことに関連いたしまして、新たな対応、見直しの視点ということで、補強をしたり見直したりする理念についてどのようなことがあるのかといったような御質問がございました。補強したり見直すといったような意味で、最も大きい分野といたしましては、環境リサイクルといった分野、地球環境保全と地域社会のあり方といったようなことを補強したりしていく必要があろうかと思っております。それから、20数年前につくられたという基本構想でございます。当然、現在のIT、情報技術についての前提というものはなかったわけでございますので、そうした意味での情報化社会、現在のIT技術を受けての社会変容といったようなことについても、当然補強していく必要があろうかと考えております。

 それからもう1点、先ほど申し上げました21世紀、新しい地域社会のあり方、人口の構成、社会の構成、新しく変わっていく。そうしたことの中で、より区民の活動、区民のサービス提供能力、そういったようなものが重視されたり、注目されたりしていく、そうした時代になっていく、そのように考えています。そうした住民の活動を生かしたり結びつけたり、支援をしていく。そうした考え方も基本構想の中でもっと見直したり、補強したりしていく必要があろうかというふうに考えております。

 住民参加条例、自治基本条例という私の仮称の条例名で、所信表明で申し上げましたことにつきまして、中野区には既に住民参加の仕組みや条例等さまざまあるけれども、屋上屋にならないように、きちんと制度や仕組みが機能するように、そういったような面から、これまでの仕組みがなぜ機能してこなかったのかといったような御質問がございました。

 これまでの参加の仕組みが機能しなかったと、必ずしも全く機能しなかったと私は考えているわけではございません。しかし、私がこの間指摘してまいりました中野区の例えば財政危機であるとか、財政運営の実情であるとか、そういったようなことについて、区民の皆さんに対して積極的に行政の側が情報を提供する。あるいは積極的に情報を共有したり、積極的に議論を求めていく。そうした姿勢において欠けている部分があったのではないかと。そうしたことから、制度や仕組みがなかなか機能しない、そういう事態にもなってきたのではないかと、そのように考えています。私が今考えております自治基本条例の中では、そうした住民に対して情報を提供したり、あるいは議論をしたり、あるいは説明責任を果たす、そうした行政の義務や手続について、きちんと条例で定めることが必要であると、そのように考えています。いわば行政が行政の勝手で暴走しないような歯どめ、そうしたものをこの条例の中に自ら持つことが、自治参加の基本を形づくることに寄与するのではないかと私は考えているところでございます。

 それから、自主団体の活動支援という中で、町会・自治会等は対象になるのかといったような御質問がございました。当然、そうした団体の種類や団体のジャンルといったようなことを想定した上で活動支援するというふうに今想定しているわけではなくて、住民が自主的に行う有益な活動、地域の中で生かすべき活動について支援をするということを検討したいということを申し上げているわけでございますので、当然、そうした中では町会・自治会の活動も対象として視野に入ってくるであろうと、そのように考えております。

 それから、学校の適正規模・適正配置の問題でございます。前区長の検討は白紙になるのかということでございますが、学校の適正配置について、主として教育委員会の方で検討してきたところというふうに理解しております。これまでの検討については当然踏まえた上で、新しい時代の、今の中野区の地域にとって、これからの中野区の財政環境にとって、学校教育をどう充実させていくのかという視点から、これまでの検討も十分踏まえながら新しい検討をしてまいりたいと、そのように考えております。

 それから、保育の民営化についての御質問がございました。17年度以降、民営化は進めるのかどうかということでございます。民営化をしながら、その一方、区立保育園の運営改善にも努める。さまざまな形で保育の充実に努めていきたいと、そのように考えております。

 それから、施設建設計画、大型の無理なハコモノ計画について廃止をする。この間、私が訴えてまいりましたところでございます。公約と所信表明、トーンダウンしているかのような御質問でございました。公約については、当然ながら、私、区民の皆様にお約束をしたところでございます。4年間の中で着実に実現をしてまいる、そういう所存でございます。所信表明につきましては、当面いたします私の姿勢についての表明、そして、当面いたします取り組みについて中心的に申し上げたところでございまして、多少のニュアンスの違いはあったといたしましても、全く矛盾がある、そのようには考えておりません。

 警察大学校の見直しの問題でございます。警察大学校跡地の見直しに関しまして、市川議員が御指摘になりましたように、さまざまな都や杉並区といった機関、あるいは国、あるいは警察病院の建設主体、さまざまな機関がかかわっている現在の計画でございます。しかしながら、現在の土地利用転換計画案には、まだまだ具体性に欠ける部分、不十分な部分もございます。また、現在、この跡地の計画の置かれている環境がさまざまな変化をしようとしていると、そういった状況も踏まえた上で、この警察大学校等跡地の計画につきまして、一定の見直し、しかも区民参加による、本当に今の時代に合った計画に変えていく、そうした見直しは必要である、そのように考えているところでございます。

 以上でございます。

     〔市川みのる議員登壇〕

○14番(市川みのる) あまり多くを伺いますと時間が倍かかりますから。今、区長があえて住民参加とリーダーシップのすみ分けについての答弁がありましたので、ちょっとその部分についてもう一度お尋ねしておきたいということ。それから、あと数点ちょっとお尋ねしたいことがありますので、簡潔に答えてください。

 ある一定の議論を住民参加を経た上で決断を下すと、これが区長の決断だと、そういう答弁でしたね。それで、ある一定の議論というスケールがあるんですね。このスケールがなかなか決まらないで、今までの中野区のさまざまな住民参加の機能というものが働かなかったのではないかというのが、私どもの見解なんです。ということはどういうことかと申しますと、住民参加をうたう上で一番大切なことは、住民の皆さん方に過大な期待を持たせないということです。余りにも私たちの申し上げることを区長がすべて聞き取ってくれるんだと。例えば警大の跡地の土地利用転換計画案にしても、十分に私たちが意見を申し述べる場を担保として保証してくれるんだと。しかしながら、それを区長が区民の皆様方に公約として訴えてこられたことはよくわかります。だけども、そこで必要なことは、所信表明の中で、ある一定の議論をどのようなスケールで考えて私は決断を下すんですということを盛り込んで、きちっと語りませんと、またこの部分が、従来の住民参加同様にあやふや、うやむやになっていくのではないかという心配をしているんです。まず、これが1点です。

 それから、警察大学校の跡地の土地利用転換計画案の見直しについては、もう既に都市計画道路の予算づけを議会では議決して、決定している。これを前倒しにして道路線を引かなければ、警察病院等はこの警察大学校の跡地に、その病院建設のための着工の時期を迎えることができないと。非常に限られた時間の中で進められている作業だと思います。漏れ伺うところによりますと、警察病院そのものに対して、ほかの自治体が手を挙げ始めているといううわさも私たちは聞き及んでいます。この警察大学校跡地の土地利用転換計画を、またこれも住民参加という形の中で、また一から一つひとつを積み重ねて、積み上げていこうという作業をいたしますと、それらの時間に十分対応できる時間ではなくなってしまうのではないかということを申し上げたいなというところです。その点について区長は、先ほども私申し上げましたけれども、住民参加で一定の議論を経た上でと、これはよくわかります。その一定の議論を経た上でというスケールをどのように住民の皆さん方に説明し、どの次元で、どの段階で区長の決断があるのかというリーダーシップを発揮されるということの説明が、少し答弁の中で見えてきません。いま一度答弁をお願いしたいと思います。

 それから、町会や自治会に対しての支援はどのようになっているのか。いわゆる対象として町会や自治会も含まれているのだろうかというような質問に対して、当然、自主団体の一つの単位として町会・自治会も含まれておりますと、こういう答弁がありました。しかしながら、所信表明の中では、文言、いわゆる文字になってあらわれていない。今までさんざん区は町会にお願いをして、歳末助け合い運動だとか、日赤の日ごろの活動だとか、交通安全の問題だとか、そういうたくさん、多大な一つのお仕事をゆだねながら、ともに歩んできている団体なんです。貴重な団体だと私たちは位置付けております。その今まで実績を積み上げてきた、びん・缶の分別回収だってしかりです。そういう実績を持った団体の名前が文言として文章化されていないという、いわゆる固有名詞が文章化されていないということについては、どうしたことなのかと。それももう一度お尋ねしておきたいと思います。

 それと、所信表明の位置付けを区長は先ほど触れられました。それで、当面取り組む課題について、施策についての所信表明であるというお答えをされました。でも、区長、あなたがこれから4年の任期を務める上で、所信表明というのは、それは例えば第1回定例会のときに、これは施政方針演説というのがあります。施政方針説明というのがあります。だけれども、所信表明演説というのはめったにないことなんですよ。よほど大きな転換期を迎えなければ、所信表明を区長は議長には申し出ません。私たちはそういうふうにとらえている。それを、しかもこのスタートの時点であなたが所信表明として述べることは、この向こう4年間の自分の抱負であり、自分が区民の皆さんとお約束をしてきた公約であり、実行しなければいけない施策なんですよ。それを当面取り組むものとしての所信表明という表現をされたことに対しては、これはもう一度答弁を求めますが、もう少しそのようなお考えに至っている経緯というのかな、そこいらを伺いたいと思います。もし答弁を訂正されるならば、訂正されても結構ですが、そういうことでお願いします。

 先ほども申し上げましたように、何点も何点も指摘いたしますと時間が倍かかりますから、今私がお尋ねした点についてを再質問として答弁をお願いしますので、よろしくお願いします。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 市川議員の再質問にお答えいたします。

 住民参加というところで、参加のスケールを定めることが必要であるということ。私もそのように考えております。まず、一定の議論をするという以上、行政は常に物事を動かしていかなければならない立場でございますので、議論をするという以上、時間的な制約条件、与条件は必要なものでございます。また、議論に供するという上でも、既に決まってしまっていること、議論の中で動かせないことについての与条件ということを明確に示すこと。このことも必要なことでございます。さらに、その上で議論をして、それぞれの住民参加が進めば進むほど、多くの方の御意見が集まれば集まるほど、全体的に一致するということが難しくなるわけでございます。極端にいえば、100人の方が100通りの御意見を言われたとして、一つの結論を出したときには、ほとんどの方が自分の思ったとおりにはならない。そんなふうになりかねないのがいわゆる住民参加でございます。

 そういう中で、長として御意見を十分、虚心に聞いた上で、長として最善、最適と考えた判断をするのが長の責任であると、そのように考えております。どうしてそういう結論に至ったのかということについて、きちんと説明責任を果たすということにおいて、一定のスケールの中で行われる住民参加というのが住民の方に御理解いただけると、その条件になるのではないかと私は考えているところでございます。

 警察大学校跡地等の見直しの関連でございます。警察病院の立地につきまして、警察病院をあそこに立地させたいといったようなことについて、基本的に中野区全体としての合意がもう既にでき上がっている。そのことを前提に物事が動いている。私自身は警察病院に関してそうした認識を持っております。そうしたことも当然、検討していく上で与条件として定まっていくもの、そうしたことの一つであろうかと考えています。しかしながら、この検討に当たりましてどのような与条件というものがあるのかということについて、今後きちんと早急に精査をした上で、いわば見直しについてのスケールといったようなことについて考えていきたいというふうに思っております。

 それから、町会・自治会への支援ということでございます。町会・自治会、これまでさまざまな実績があったり、あるいは区にとって非常に重要な役割を果たしていただいている。そうした他の団体にない、地縁団体としての非常に大きな役割、意味合いを持っている団体であるということについて、私自身深く自覚し、町会・自治会との連携といったようなことについてもきちんと保っていきたい、御協力もお願いしていく場面もあるだろうと、そのように考えているところでございます。

 今回、所信表明の中で文言が出てこなかったということでございましたが、今回の所信表明につきまして、次の御質問にも関連いたしますが、当面取り組むことと申し上げたのは、当面具体的に取り組むことについてのことでございまして、基本的には今回の所信表明、私がこの期、4年間に行っていく行政運営の基本的な考え方について申し上げている。そういうところでございますので、そうした意味では、個別具体の文言、さまざまな施策にかかわります文言について一々触れていられるという、そこまでの余裕というか、長さ的な余裕と申しましょうか、それだけの所信表明とは考えていないということでございます。

 以上でございます。

     〔市川みのる議員登壇〕

○14番(市川みのる) 再々質問になりますが、所信表明の部分についてもう一度触れます。

 私、この間所信表明を伺って、大変時間が短いなと、ページ数も大変少ないなと、こういうふうに思いました。これは率直な感想です。4年間取り組むことを一つひとつ精査してと、今、区長は私の再質問に対して答弁をしてくださいましたが、実のことを申しますと、私が思い描いている所信表明像というのは、一つひとつの施策、政策というものを精査して、それをすべて盛り込んで発表するのが所信表明です。それで、それに対しての途中途中での変更については、例えば第1回定例会の施政方針説明なり、緊急を要する変更点なり、新しい施策の構築については、議長に改めて申し出をして、所信表明を特別に設けて語るなりというのがやはり基本的な考え方かなというふうに思っております。それは違うという方もいらっしゃるようですが、私はそういうふうに思っております。

 それで、例えばあれは25分だか30分だかで所信表明は終わりました。私は夕方の5時まで本会議のためにちゃんと時間を用意して待っておりました。楽しみに待っておりました。延々と途中休憩も入らず、4時間にわたって語り上げてくれるものかと思っておりました。というふうに考えていたんです。ですから、いま一度所信表明についての物の考え方を整理していただきたいなと思います。この点についてはもう一度答弁をお願いします。

 それから、ほかの点につきましては、最初ですので、区長と私どもと自民党議員団と今お話しして、質問をして答弁をいただいても、すれ違う場面が多いと思いますので。もう1点、さっき答弁漏れがありました。答弁漏れしたのは、行財政5か年計画にかわる本格的な区政の将来構想を計画として、きちんとした手続のもとに定めていく必要があるというふうに区長は語っておられます。きちんとした手続というのはどういうものなのか。従来の現行5か年計画の策定は、あなたが行革課長として携わっていた限りだから、よくわかっていらっしゃるのかもしれないけれども、手続的にどこに問題があったのか、それを尋ねました。その点についての答弁もあわせてお願いします。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 再々質問にお答えいたします。

 所信表明でございます。御期待に沿えなかったということについては、お聞きいたしました。私の考え方といたしまして、まず、基本的な私が行政運営を行うに当たっての姿勢を表明することが大事と考えました。個々の施策の細かい組み立て等々につきまして、現時点で組み立てられる範囲、限界といったようなことも当然ございます。そうしたようなことを踏まえながら、4年間にわたって行財政運営を行っていく。その最も基本になる部分について申し上げるのが所信表明であると、今回の所信表明で必要なことであると、そのように考えたものでございます。

 行財政5か年計画について、これにかわる新しい展望を持った計画をつくることということについてのお尋ねでございました。きちんとした手続によって新しい計画をつくると、そのようなことを申し上げたところでございます。きちんとした手続、それは先ほど来私が強調しておりますように、きちんとした情報公開、情報提供、そして、きちんとした議論の場が保証されている。そして、決定したことについてきちんと御説明する、説明責任が果たされる。そうしたようなことを想定しているものでございます。

 現5か年計画につきまして、どこが欠けていたのかということでございます。現5か年計画につきましては、財政が悪化してきた、その長い時間のプロセスの間で、もっと早い時期にきちんと取り組むべきこと、もっと早い時期に情報提供されているべきこと、そうしたことについて十分な取り組みがなかった。また、十分な情報提供がなかった。そうした中で、策定期間、策定の作業に入ってからの期間の短さ、あるいはそこでの区民との議論のキャッチボール、そうしたことの不十分さ、そうしたようなことは私自身、否定できなかった、そのように考えております。そういう意味で、行財政5か年計画で決めていく手続、決められていく、策定されていくプロセス、そういったものについて欠けているところがあった。私自身、そのことを担当としてかかわっておりました私自身の責任も含めまして、新しいやり方、この区政の新しいやり方をつくっていく必要がある、そう思って私自身が現在に至る活動を行ってきたと、そういうことでございます。

○議長(斉藤金造) 以上で市川みのる議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 岡 本 いさお

 1 区長の所信表明について

 2 男女平等施策について

  (1)女性施策の組織について

  (2)その他

 3 平和事業について

  (1)記念行事について

  (2)その他

 4 電子区役所について

  (1)IT推進担当などについて

  (2)電子投票について

  (3)その他

 5 その他

 

○議長(斉藤金造) 次に、岡本いさお議員。

     〔岡本いさお議員登壇〕

○15番(岡本いさお) 平成14年第2回定例会に当たり、公明党の立場から区長並びに理事者に質問いたします。

 初めに、区長の所信表明について質問いたします。

 区長の所信表明を伺って、率直な感想を申し上げたいと思います。全体を通して感ずることは、区長選挙の公約や選挙戦で訴えられた内容と比べて大きくトーンダウンしており、当選から所信を表明された25日の2週間の間に何かあったのかと言いたくなるほどです。

 まず、厳しい区財政を再建し、区政を改革しようとの息吹が全く伝わってきません。区財政が厳しいという危機意識が薄く、どうかじ取りをされようとしているのか見えない上、抽象的な言い回しばかりが多く、何を言いたいのかよくわかりません。特に喫緊の課題である財政再建への具体策が示されていません。これは財政状況に対する認識の甘さと、一日も早く明るいあすの中野を何としてでも築くという区長としてのリーダーシップの欠如を示していると言わざるを得ません。

 全体にわたって言えることですが、それぞれについて手法やプロセスとして、区民の意見を聞き、区民参加、区民との協働でと強調されていますが、そのプロセスの大前提となる理念が希薄で、所信の何を表明されようとされるのかよくわかりません。今後4年間、区政を担う最高責任者の決意が感じられません。

 それでは、所信表明について具体的にお尋ねしてまいります。質問に当たっては、区長選の公約や、候補者みずから発表した「区民の力で中野を変える」及び支持団体の「区民参加で中野を変える会」発行の法定ビラなどに示された内容も引用いたしました。

 初めに、基本構想と行財政計画との関係について伺います。

 所信表明では、「長期計画など計画行政のあり方についても、これまで財政的裏付けを持たない基本構想に基づいて行政計画をつくったため」と現行の基本構想及び行政計画の策定について批判しています。それに対して、「本格的な区政の将来構想と計画をきちんとした手続のもと定めていく」という手法をとろうとされています。この部分について、6月18日付の朝日新聞に書かれている記事はなお一層明確です。区長は、「81年につくった区の基本構想を2年以内に改定し、行財政計画もその基本構想の中に組み入れていく方針」と言っております。

 区の基本的な構想と喫緊の課題である行財政再建や行財政計画とは、全く次元の異なるものであって、行財政計画を基本構想に組み入れたり、財源的裏付けを持たせた基本構想などということ自体、全く理解に苦しみます。今までの発想と異なると思われますが、いかがでしょうか。具体的にお答えください。

 次に、行財政5か年計画について伺います。

 区長は行財政5か年計画について、所信表明では「策定に至るまでの過程での情報提供や区民の議論において十分でなかった」と述べています。しかし、区長が行政改革課長のとき、行財政5か年計画策定に対して、議会で次のように答弁しています。「計画の検討につきましては、さまざまな場面で区民の皆様から御意見をいただいております。また、関連をしております団体から御意見もいただいているところでございます。また、議会においてもさまざま請願・陳情等が出ていたり、あるいは各委員会においてさまざま御議論をいただいているというところでございまして、そうしたさまざまな場面での御意見、御論議全般を受けて私どもとして検討してきた」と述べております。

 所信表明で話されていることと議会での田中行政改革課長の答弁とでは全く食い違っており、御自分の答弁を否定するような所信表明となっています。これでは議会軽視・議会無視も甚だしいと言わざるを得ません。先ほど、公約あるいは選挙中に訴えたことと所信表明は、多少ニュアンスの違いがあっても大筋は変わらない旨のお話がありましたが、私が今引用したのは課長の時代のことでございますが、課長の時代のことは、それは否定してもいいというのでしょうか。一体どっちが正しいのですか、明確に御答弁ください。議会をだまして計画をつくったと言っているようなものではないでしょうか。

 また、所信表明では「中野区基本構想について、幅広い区民参加のもとで見直しに着手し、2年程度の期間をかけて、実現性や計画性を重視した形のものに改定したい」と、さらに「5か年計画にかわる本格的な区政の将来構造と計画をきちんとした手続きのもとに定めていくことが必要である」と述べています。ところが、区長は「区民の力で中野を変える」の資料で、みずから「不十分な行財政5か年計画を廃止し、区民参加で区政運営の基本となる基本構想の見直しを行い」と、明確に5か年計画を廃止するとおっしゃっています。

 そこで伺います。5か年計画は直ちに廃止するのでしょうか、あるいはいつ廃止するのでしょうか、伺います。その際、2年後に基本構想と計画を定めるとおっしゃっていますので、直ちに5か年計画をやめた場合、これからの2年間は何の計画のない空白の期間となると思いますが、いかがでしょうか、伺います。もし2年後に5か年計画を廃止するのであれば、既に本5か年計画を実施して4年目に入っているわけですから、わざわざ5か年計画の終盤に来たときに廃止しても、新たな計画を立てる意味がなくなってしまうと思いますが、区長はどう考えているのでしょうか、お答えください。

 先ほど上野原スポーツ・学習施設のことについて質疑がありまして、御答弁いただいていますが、少し角度が違っておりますので質問させていただきます。公約には「上野原スポーツ・学習施設はいらない。大型ハコモノ計画を廃止します」と述べています。また、区長として初登庁の際も「上野原を廃止し、土地を売却する方向で検討する」ことを明らかにしています。ところが、所信表明では「教育委員会と早急に調整して、具体的な検討に入る」と述べ、「廃止します」から「検討に入る」と断固とした決意が大きくトーンダウンしていますが、廃止の方針が変わったのでしょうか、伺います。区民の中には、上野原スポーツ・学習施設を待ち望んでいる推進派の皆さんもいらっしゃいます。その方への説明責任と区民参加をどのように行い、調整され、決断されるのでしょうか、御説明願います。

 また、大型ハコモノと言っていますが、大型ハコモノの基準はあるのでしょうか、伺います。今日まで区民参加で施設の建設計画に長年取り組んできた南部区民ホールや、東中野五丁目に予定されている施設も、大型ハコモノとして廃止するのでしょうか、伺います。

 また、選挙の法定ビラにも「ハコモノ・バラマキはもういらない」と述べてあります。そこで伺います。バラマキとは具体的に何を指しているのでしょうか、明確にお答えください。また、本年度予算約935億円のうち、区長が認識しているバラマキの予算額は幾らになっているのでしょうか、お示しください。

 次に、(仮称)自治基本条例の制定について伺います。

 条例案の策定に当たり、従来の手法である審議会、区民会議等を設置するなど、従来の手だてを講じた上策定しようとしているのでしょうか。あるいは他の方法をお考えなのか。条例制定に際し、住民参加の方策について、また、いつまでに制定されようとしているのでしょうか、あわせてお答えください。

 次に、行政改革に関して伺います。

 まず、職員数の削減について質問します。区長は選挙公約で「職員数を減らし、23区で最も高い人件費比率を下げます」と述べていますが、こんなあいまいな公約も珍しいと思いますが、それはともかく、この公約は、行財政5か年計画で実施している職員数の削減とは内容は異なるのでしょうか。区長は5か年計画を廃止するとおっしゃっていますので、なおさら職員数削減のことについて具体的に目標を区民に示すべきですが、いかがでしょうか、お答えください。

 一方、選挙期間中とは打って変わったように、所信表明では職員数の削減については一言も触れていないのはなぜでしょうか。区長になってから方針を変えたのでしょうか、あわせて御説明願います。

 次に、公約には「公用車を全廃します」と述べていますので、そのことについて伺います。

 区長の言う公用車とは、どの車を想定しているのでしょうか。「公用」という語句を広辞苑で引きますと、「国家や幕府・役所など公共の用務」とあります。そうしますと、公用車とは「役所など公共の用務に使う車」となりますから、区の公用車は防災課、清掃事務所、道路課、公園緑地課などで使っている車、これら中野区には、議長車、区長車などを含めて121台すべてが該当します。

 そこで伺います。公約には「公用車を全廃します」と言っていますので、「これら121台の公用車を全廃します」となるに他なりませんね。したがって、区長はこれらの車を全部廃止するのですね、伺います。もし区長の公用車だけを指しているのであれば、この公約は偽りです。御答弁を求めます。

 さらに区長は、財政の厳しい認識と行政改革への姿勢を示すために、区長給与をさらに削減したいと述べていますが、区の方針を明らかにしないでこのようなことをおっしゃるのは、個人的な単なるパフォーマンスとしか感じられませんが、どうなのでしょうか、お答えください。もしそうでないとおっしゃるのであれば、区全体として行革への取り組みについて明確にお示しすべきです。

 次に、区政運営について、「新しい時代の要請にあったサービス体系を創り出すとともに、健全な収支構造をつくることを目指しています」とありますが、健全な収支構造とはどのような構造なのでしょうか。先ほども御答弁ありましたが、私はこの収支構造について、経常収支比率あるいは人件費比率で数値で示せると思いますので、お示しいただきたいと思いますし、また、いつまでにそれをおやりになるのでしょうか、伺います。

 次に、区の未利用土地に関して伺います。

 先のビラには、「買ったけど使えない塩漬けの土地が12カ所、180億円分あり」云々とあります。12カ所に限定したのはなぜでしょうか、お答えください。また、この土地をどうするおつもりで記載されたのでしょうか、区長のお考えをお聞かせ願います。

 次に、民営化について伺います。先ほども質疑がありましたが、追加させていただきます。

 行財政5か年計画では五つの保育園を民営化する予定となっていますが、区長は保育園については民営化を述べていますが、今後の民営化の手法を導入するのは、保育園以外でどの施設なのでしょうか、伺います。また、保育園の待機児をなくすと言っておられますが、いつまでに実現されるのでしょうか、伺います。

 次に、その他の懸案事項で1点、警察大学校跡地のことを質問するつもりでおりましたが、先ほどの御答弁で私たちの質問と似ていますので、これは省略しますが、1点だけ。

 東京警察病院は、予定では平成19年度中建設となっておりますが、区民の合意を得ているというさっきの区長の御答弁ですから、建設の、あるいは誘致の方向でいると思いますが、19年度中に建設するために区長はしっかりと努力するのか、また努力すべきだと思いますが、御見解をお願いいたします。

 次に、介護保険に関連して伺います。

 平成14年度までに介護保険事業計画の見直しを行っていますが、介護保険については、先のビラには「足りない介護サービスを多様な工夫で増やします」とあります。何を言っているのか、漠然としてわかりません。介護保険準備課長、介護保険課長をやっておられた田中区長でございますので、具体的な方策がおありだと思いますので、お示しください。

 この項の最後に、土地開発公社など外郭団体について伺います。

 土地開発公社、文化・スポーツ振興公社、福祉サービス事業団、勤労者サービスセンター、障害者福祉事業団などは、区として今後どのような方針で取り組まれるおつもりでしょうか、御見解を伺ってこの項の質問を終わります。

 次に、男女平等施策について伺います。

 去る3月、中野区男女平等基本条例が提案されました。しかし、基本構想に示されている内容より後退しており、本気になって男女平等施策を推進しようとする熱意が感じられませんでした。少子・高齢化社会に対応するためにも、男女平等の社会づくりを推進する区の確固たる姿勢を区民にわかりやすく示すために、私たち公明党は区の責務の部分に具体的な1項を起こす必要があると考え、「設置された会議等の構成員の性別に偏りが生じないように積極的に努める」との文言追加の修正案を提案いたしました。その修正案が全会一致で採択されました。この修正により、この条例はさらにわかりやすく実効性を担保するものになったと確信しています。これで条例は画竜点睛を欠くことがなく、魂が入ったと思っています。

 中野区は既に、昭和56年1月に制定した基本構想「「あすの中野」をめざす道」の中で、行政委員や審議会などへの女性の参加について「男性と同じ比率になるように努める」と定めております。しかし、構想が制定されてから21年が経過しておりますけれども、現状はその構想とはほど遠いものがあります。

 また、6月16日付「なかの区報」の1面には、6月23日から29日まで「男女共同参画週間」であるお知らせがありました。この男女共同参画週間は、男女が互いに、女性の視点と男性の視点でそれぞれ長所を認め合い、支え合い、高め合っていく住みよい社会、人間が人間らしく、自分らしく生きられる社会をともに築こうとの思いを確認するための週間であると思っています。その記事の中にも、4月から中野区男女平等基本条例が施行されたことのお知らせと、区の目標も次のように示されています。「区の施策の策定過程においても男女の隔たりなく参画の機会を確保するため、審議会などへの女性の参画率を40%を目指している」と述べています。

 基本構想や男女平等基本条例に明確に示されているわけですから、どうして女性の参画率の目標を50%と言わないのでしょうか、伺います。その区報の同じ1面に新区長就任の記事が載っていますが、40%の目標についての認識について区長はどう思っておられるのか、伺います。

 また、区長の所信表明には、「家庭や職場、教育などの場で男女参画社会の推進を図ります」と述べていますが、家庭や職場、教育などの場と言っていますが、区の文言が入っていません。区が率先してやらずして、どうして家庭や職場、教育などの場でリードができるのでしょうか。男女平等基本条例に謳われた区の責務を率先してやらずして、どうして家庭や職場、教育などの場をリードできるのかと繰り返して申し上げておきます。区長は本気になって男女平等社会を目指す御決意があるのでしょうか、伺います。

 21世紀は女性の世紀と言われております。今後も男女平等施策は区の重要な施策の柱となると思います。国においては、行政改革に伴う省庁再編の中、総理府に男女共同参画審議会の設置と男女共同参画局の新設など大きな動きがあります。私は、男女平等施策は区の政策立案の中枢で行うことが必要であると思います。しかし、中野区の女性施策担当課は地域センター部の女性・青少年課が所管しています。このような体制で区の主要な施策を企画し推進することは無理があると思っています。今日まで男女平等参画施策が進んでいないのは、そこに原因があると言わざるを得ません。中野区は条例が制定されたのを受けて、男女平等施策を推進する組織の整備が必要ではないでしょうか。

 そこで、具体的には、女性・青少年課から女性施策を分け、区の中枢部に(仮称)男女平等推進室あるいは男女平等参画室を設置すべきだと思いますが、区長の決断ある御答弁を求めます。その際、男女共同参画意識を幅広く推進するために、初代の室長には男性を起用すべきだと提案いたしますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、会議等の構成員の性別に偏りのないように積極的に努めるための手だてについて、提案を含めて質問します。

 去る3月29日、同僚議員と鳥取市の「女性人材バンク制度」事業について視察してきました。男女平等施策を推進するために、人材バンク登録制度を設けて、登録者の研修を実施し、研修を受けた女性が附属機関などの審議会の委員として加われる仕組みをつくり、現実に成果も上がっています。

 中野区として、このような女性人材バンク制度を設置して、条例の条項を推進するため、積極的に女性が参加しやすい手だてが必要と思いますが、区のお考えをお聞かせ願います。

 最後に、子ども施策にかかわる区の組織について伺います。

 少子・高齢社会にあって、子ども施策は極めて重要な施策です。区長も所信表明で、「子どもたちが生き生きと育つまち、安心して子育てができる地域にすることも重要です」と述べています。女性・青少年課から女性施策を(仮称)男女平等推進室を設置する提案に伴って、青少年課をどうするのかという問題が残ります。中野区の子ども施策の窓口は多岐にわたってばらばらです。区民から見てわかりづらくなっており、また、行政の効率化からいっても好ましくないと思います。かつて私は子ども部の設置を提案したことはありますが、少なくともこども課、あるいはこども室、あるいは子育て支援課などとわかりやすい名称で設置すべきだと思います。そこで、子ども施策を一括し、重層的に取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。区の御見解をお聞かせ願って、この項の質問を終わります。

 次に、平和事業について伺います。

 中野区はことし3月、平和を考える「よすが」となる区内の史跡を集めた「なかの平和マップ」をつくりました。その中の一つに中野刑務所が紹介されています。かつては豊多摩刑務所と呼ばれた中野刑務所は、1945年に悪名高い治安維持法が廃止されるまで、政治犯や思想犯など、戦争反対を訴え続けた人々を多く収容していました。戦後、この刑務所は、粘り強い住民運動によって昭和58年に廃庁、跡地は平和の森公園となり、区民が平和の実現を願うシンボル的なエリアとなっています。また、区が平成3年4月に制作したビデオ「光の中に消えたレリーフ」でも、中野刑務所は平和の象徴としてとどめられています。

 私が中野刑務所の前身である旧豊多摩刑務所の名を知ったのは、ある小説からです。「戦争ほど、悲惨なものはない。戦争ほど、残酷なものはない。だが、その戦争はまだ、続いていた」。第1巻の冒頭は、その書き出しの一文とともに、治安維持法と不敬罪で捕らえられた宗教者・平和主義者、そして教育者であった主人公が、昭和20年7月3日、豊多摩刑務所から出獄する場面が描かれています。そして、中野駅に向かう道々、だれに言うこともなく、戦争への憤りを激しい口調で「戦争をやって、誰が喜ぶか、平和と幸福への願いは、人々の共通の念願であるはずだ」云々とつぶやきます。この叫びは戦争反対へのみずからの誓いとなって、私の心の中に深く焼きついて離れません。

 私のこの愛読書の冒頭に登場する豊多摩刑務所、後の中野刑務所は、私にとって戦争の悲惨さ、平和の尊さを考える原点でもあり、私は中野こそ平和を世界に発信していく使命を持つ地であるとの強い思いを持ち続けてきました。その意味から、私もこれまで中野の平和事業についてたびたび提案をしてまいりました。

 本年は、中野区が非核都市宣言から20周年、平和行政の基本に関する条例制定から10周年という重要な節目になっております。また、平和憲法制定から55周年にも当たり、記念すべき年であると思います。本年度の区の憲法擁護・非核都市宣言の20周年記念行事計画(案)によれば、地域パネル展、平和作品展、戦争記録資料展示、平和の集いなどを企画しているようですが、財政が逼迫しているとはいえ、節目に当たる企画としては、幅広い区民の共感を得る企画としては余りにも貧弱な気がいたします。

 私は同僚議員と4月21日、福井県丸岡町で行っている「一筆啓上賞」の事業について視察してまいりました。地元丸岡町の歴史に根ざしつつ、全国から共感を呼べるまちづくりがしたいとの目的で始めたと伺いました。「一筆啓上賞」として平成5年度からスタートし、ことしで10回目になります。25文字から35文字で短い手紙としてまとめた著書「日本一短い手紙」は大変に有名になっています。今までに集まった手紙は75万通を超えています。毎年テーマを決めております。第1回は「母」への手紙。それから順次、「家族」への手紙、「愛」、「父」へなどと続き、昨年度は「いのち」、そして今年度は「喜・怒・哀・楽」だそうです。

 昨年の「いのち」をテーマにした手紙の最優秀賞を受賞したのは、埼玉県朝霞市立朝霞第一中学2年生の四方田栄子さん、14歳です。アメリカで起きた同時多発テロとその後のアフガニスタンへの空爆は、命の重さを深く刻みつけた手紙です。その文章は、「仕返ししてどうするの たくさんの人が死んでもっとたくさん悲しむだけじゃん」。彼女は「今まで賞をもらうとか余りなかったので。戦争が早く終わってほしいと思って書きました」と。今も続く戦争に「もうやめてほしい」と胸を痛めたそうです。この祈りをすべての人が受けとめなくてはならないと思います。

 手紙は短い文章ですが、提出者の状況や思いが伝わり、感動するものばかりです。文字で表現することによってその思いを共有し、継承していくことができます。手紙の数が着実にふえ、この数年は毎年10万通を超えるようになっています。何と10代の若い世代の作品が6割を超えているのが大きな特徴です。最近の携帯電話も大きく寄与しています。

 そこで、提案を含めて質問いたします。このような事業を参考にして、中野独自の平和の思いをつづった「日本一短い平和の手紙」をまとめて、(仮称)「平和の万葉集」をつくることを提案いたしますが、いかがでしょうか。「平和の万葉集」事業を提案するのは、中野が率先して平和の心をはぐくみ、平和へのかじ取りができればと念願するからです。大勢の区民が参加でき、共感も得られ、文字をとどめることによって平和への願いを共有し、その思いを後世にまで残せると思うからです。その際、作成に当たっては、実行委員会や審査委員なども民間の活力をフルに活用し、「平和の万葉集」の単文収集には、中野区内への周知はもとより、海外も含めて全国から募るなど、さまざまな工夫が可能だと思います。区長の御見解を伺います。

 次に、平和の森を蛍が飛び交う「蛍の里」にする公園の試みです。

 「平和の万葉集」は、心に平和の思いを築く、いわゆる精神の部分。そして、その思いを平和の象徴として形の上で残すことも大事であると思っています。毎年、終戦記念日の前後にテレビ放映されるアニメ映画「火垂るの墓」、そして、特攻隊が蛍になって帰ってくるエピソードから題名をとった、高倉健主演の映画「ホタル」を見て、蛍は平和の象徴だと強く感じるようになりました。平和の森公園は、歴史的にも平和を訴える使命を持っている場所であると思います。その意味から、平和の森公園に蛍を放し、蛍が飛び交う平和の里として、水辺の公園にしてはいかがでしょうか、区長の御見解を伺います。

 また、豊多摩刑務所に治安維持法で予防拘禁としてとられた、戦争を反対し、平和を願望した人たちを思い、私どもが忘れないように末永く顕彰し、また継承していくことは大事であると思います。そこで、刑務所の表門を保存・管理している法務省にも働きかけ、これらの方々の名前を刻んだ銘板をつくり、平和の森のしかるべきところに設置してはいかがでしょうか。御見解を伺ってこの項の質問を終わります。

 次に、電子区役所について伺います。

 初めに、庁内LANによる区長と職員とのメールについて伺います。

 田中区長が誕生して10日ほどたちましたが、区長は「中野区の職員と組織の潜在的に高い能力と活力が引き出せるよう」と所信表明で述べ、職員とのコミュニケーションを大事にされているように思います。この間、区長は当然、職員とかなりの数のメールのやりとりがあったと思いますが、どのくらいあったのでしょうか、伺います。私は、区長から管理職の方々にはメールでのごあいさつなどがされたのではないかと思っています。

 区長は、区民との協働と言う前に、まず職員と交流し、意思の疎通を図るべきだと思います。少なくとも区の管理職以上とは、1カ月に1回はメールなどで意思の交流を図るべきではないでしょうか。区長のお考えをお聞かせ願います。

 ITに関する中野区の取り組みについて伺います。

 行政の情報化について発信している、週刊「行政情報化推進ニュース」の6月3日の臨時号には、電子自治体実現に対する日経が行ったアンケート結果が出ています。695市区に対しアンケートをとり、584市区から回答を得て、行政サービス情報化ランキングづけを行い、ベスト30が掲載されています。それによりますと、三鷹市が第1位、23区では台東区、荒川区が同率17位、武蔵野市が同率30位と報告されています。また、昨年の2月のIT先進都市ランキング20には、第1位が横須賀市、三鷹市が同率5位、武蔵野市が同率19位と出ています。

 そのアンケート結果に次のようなコメントが載っていました。「上位にランクされている市は、市長の理解及びリーダーシップが強いところがあり、かつオピニオンリーダーとしての情報システム・政策課長がいらっしゃる。この組み合わせが必要なのでしょう」と。私たちも情報化の進んでいる各自治体を視察した際、いつも感じていることと符合しており、全くこのコメントのとおりであると実感しております。

 私は、区のITや電子区役所に関する所管は当然、情報システム課が行うのが自然ではないかと思っていました。しかし、本年4月から情報化推進や電子区役所などの計画は行政管理課の所管となったそうです。テレトピア計画や電子区役所実現3か年プログラムを作成したのは企画課、それらを進行管理するのが行政改革課、電算機や庁内LANなどの設備や管理は情報システム課となっています。これは一見役割を分担しているようですが、こんなわかりにくい組織はないと思います。情報化施策や電子区役所を本気になって推進しようとしているのか、本当に疑いたくなります。

 そこで伺います。まず、企画課の事務分掌に情報化推進施策にかかわる企画調整が今年度からなくなりましたが、今まで地域情報化推進計画や電子区役所実現3か年プログラムを策定した企画課は、今後、情報化にかかわる取り組みはどうされるのでしょうか、伺います。

 ITや電子区役所など情報施策は、中途半端な寄せ集めの組織ではなく、これから本格的に取り組まなければならない、しかも一貫して推進する部及び課をつくるべきではないでしょうか、あわせてお答えください。

 さらに、中野区の情報化施策を進めるためのオピニオンリーダーはいらっしゃるのでしょうか。どの部署のだれなのでしょうか、お答えください。

 この際、IT推進をしている組織や事務分掌に明確に記述して、わかりやすい組織にするとともに、中野区においても区長直属のIT戦略室をつくるべきだと思いますが、区長の御見解をお聞かせ願います。

 国のIT戦略本部が「平成14年度IT重点施策に関する基本方針」、いわゆるe-Japan2002プログラムが発表されてからちょうど1年経過しました。そこに示されているように、平成15年度までに電子政府を実現し、電子自治体の構築を推進することとされています。

 中野区の場合、新しい区長が誕生したことでもあり、ITについてオピニオンリーダーシップがとれるような職員の養成を行うとともに、リーダーシップがとれる中心者を配置すべきではないでしょうか。この件に関する区長の御決意をお聞かせ願います。

 次に、中野区は平成15年度までに実現する電子区役所実現3か年プログラムが策定されていますので、その計画について数点質問いたします。

 5月24日に千葉県市川市の情報プラザを視察してきました。このプラザの5階に情報システム課の職員がおりますが、特徴はアウトソーシングです。情報システム課の人数は25人ですが、今年度からそのうち6人は民間人を加え、区の職員と混在して仕事をしております。それは、ITの進歩に市の職員だけで対応するのが厳しくなってきているため、民間の情報技術を積極的に導入するためだそうです。その情報システム課は、3年計画で市の職員を5~6人まで減らし、あとはすべて民間人にする予定にしています。このように、情報システム課内でアウトソーシングが具体的に進んで、情報施策に関する民間活力がしっかりと生かされているような仕組みができつつある様子をうかがえました。

 中野区の電子区役所実現3か年プログラムの中にも「アウトソーシングの有効な活用」という文言があります。来年度までのこの計画で、具体的にアウトソーシングをどのように進めるお考えなのでしょうか、伺います。

 次に、区民との交流ですが、区のホームページに携帯電話からアクセスできるようにしていることは評価いたします。ホームページには、フォーラムとして区民の意見や相談を「電子版・区民の声」で受けていますが、クローズドされていて、区の担当の一部しか区民の声が知らされないようなシステムになっているのでは、情報化社会のありようではないと思います。

 また、区長は、区長選法定ビラに「区長と区民の直接対話を毎月2回定例化します」と述べていますが、この対話集会に集まれる区民はそう多くないと思います。毎日遅くまで働いている優秀な中堅サラリーマンはたくさんいますので、その方たちには物理的に難しいと思います。私は、電子会議室や直接メールのやりとり、また、政策に反映するようなフォーラムを新設・充実させることによって、ユビキタスでノンストップで区民の声を伺え、さらに区の考えを返信するようにすれば、より有効な対話になると思います。

 藤沢市では、3年前の6月から市民電子会議室を設けて、テーマごとに発言がそのまま見られるようになっています。ことしの6月1日現在、3年間で29万2,000件のアクセス、また登録者は2,009人となっています。藤沢市の特徴は、アクセスが多いだけでなく、市政のテーマについて市民が自由に意見を述べることができるとともに、その意見を市の政策に反映させていることです。また、江戸川区、中央区、杉並区でも、区民が直接区長へメールを送る仕組みができており、その概要をだれでも知ることができます。

 そこで質問します。これらの自治体のように、電子会議室やメールで区長と対話ができるようにすれば、なお一層区民との交流ができると思いますが、区長のお考えをお聞かせ願います。

 次に、企業支援について伺います。

 さきに紹介した市川市の情報プラザの3階には、建築、デザイン、福祉などコンピュータを活用した会社が集まっています。荒川区では、廃校になった学校を活用した企業支援事業「西日暮里スタートアップオフィス事業」を行っています。先日そこを視察してきましたが、20の部屋数に対して7倍を超える154社の申し込みがあるなど、この事業に対する企業の関心の極めて高いことがわかりました。

 中野区として、IT事業などの企業に対する支援策のお考えをお聞かせ願います。区長は警大跡地の見直しをするお考えもあるようですが、そうであれば、そこで企業支援策の事業を行ってはいかがでしょうか、御見解を伺います。

 電子区役所に関する最後に、住民基本台帳ネットワークについて伺います。

 いよいよこの8月から住民基本台帳ネットワーク、いわゆる住基ネットが稼働する予定になっています。この件についてさまざまな意見や論議がされていますが、中野区としてこの住基ネットについてのお考えを伺います。

 この項の最後に、電子投票について伺います。

 今月6月23日に実施された岡山県の新見市の市長・市議同日選挙では、全国で初めて電子投票による投開票が行われました。投票機の故障など一部にあったものの、投票内容に影響する大きなトラブルはなく、全体の9割を占める電子投票分、約1万5,000の開票はわずか25分で集計が終了したようです。不在者投票数約1,700余の開票は、疑問票などの確認で2時間かかったと報道されました。

 このために使った費用については報道されていませんので、定かではありませんが、4月の報道では、当初、電子投票を実施する場合の機器を購入すれば1億4,000万円余の予定でしたが、機器をレンタルで行うことによって、わずか250万円という激安で投票事務ができるようになったとされていました。地方選挙はレンタル方式で機器を使い回すことができますので、一番のネックであった費用がかかり過ぎることに対するハードルは越えられたと思います。中野区として、電子投票の導入についての検討状況と御見解をお聞かせ願います。

 最後に、選挙に関連して簡単に伺います。

 私は平成9年第4定の一般質問で、選挙の入場券について、費用と有権者の自覚を勘案して、封筒式なども含めて、選挙の入場券の形式や送付方法を検討すべきではないかと伺いました。選挙管理委員会から、「現在は、有権者一人ひとりに入場券を発送しているところですが、事務の効率化、簡素化、経費等を勘案するとともに、有権者の自覚という点も配慮して、入場券の形式などについて検討したいと考えております」と御答弁いただきました。はがきに複数の有権者入場券方式も含めて、その後の検討状況をお聞かせ願って、私のすべての質問を終わります。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 岡本議員の御質問にお答えいたします。

 まず、基本構想についてでございます。基本構想そのものに計画を持たせるというのは、今までと考え方が違う、他でも余り見られないといった御質問でございました。中野区の基本構想は昭和56年に制定されたものでございます。現在では20数年たっているということでございます。そのときの基本構想の目指している年次といいますか、スパンは、およそ30年程度で想定されていたというふうに私は認識しております。

 最近、多くの自治体で、そうした過去に制定されました基本構想の改定の作業が進められるようになってまいりました。そうした中で行われている改定の作業にあっては、基本構想の策定と、基本構想を一定の10年ぐらいのスパンとして見て、それにあった形の長期計画を一緒に策定するといったような例が多く見られるようになってまいりました。

 私も中野区において基本構想の改定については、現在のように財政環境も大きく変わる、時代の環境も大きく変わっていく、そうした時期にあっては、基本構想そのもの、目指すべき姿についても一定の10年くらいの幅で、しかもその10年間の間で実現できる可能性といったことを重視した形の構想にしていくべきであると、そのように考えているところでございます。したがいまして、基本構想の策定とあわせた形で、10か年程度の財政的な一定の見通しを持った行財政の長期計画を策定していくというような形で、基本構想の実現性、計画性といったものをより強く打ち出していきたいということでございます。

 次に、行財政5か年計画に関連いたしまして、私が一昨年、行政改革課長として御答弁申し上げていたその内容と、私の現在の立場との違いについての御質問がございました。

 行政の組織の中で仕事を行っております。それぞれの役割にそれぞれの権限と限界がある、そういう中で仕事をしているわけでございます。行財政5か年計画策定の主な担当といたしまして、私が行政改革課長として仕事を行っていたことは御案内のとおりでございます。その中で、私自身、中野区の財政、その策定期間の間で財政立て直しのための5年間の計画をつくらなければならない。少なくとも平成13年度の予算を成立させるための計画をつくらなければならない。そうした至上命題のもとで仕事を行っていたものでございます。そういう中で、きちんと区民の皆様に御説明をしたり、議論をしたり、さまざまな団体に御説明をしたりということを私なりの立場でできる限りやっておりましたし、そういったことについて御答弁申し上げていたものでございます。

 しかし、本来、区の組織として策定をしていく上で、あるいは策定に至る過程で必要であったこと、それは、区そのもの、区政を担う区長みずからがきちんと区民の皆さんに対して財政の状況を説明したり、そこに至る過程の責任について御説明をしたりと、そうしたことであったと考えているところでございます。そうした部分において欠けている、その認識のもとに私は、みずからやってきた仕事の中での私の責任も含めて、この中野区政を変えていく必要がある、そのような認識に基づいて、今日、現在のような活動に至ったと、そのように考えております。

 5か年計画の廃止と、私が申し上げております基本構想、10か年の行財政計画の策定ということの関係でございます。5か年計画につきましては、現在の区政を運営している5年間の財政計画を含んでいるところでございます。状況の変化によりまして、一定の見通しの食い違いといったようなものが出てきているかもわかりませんが、現在、この5か年計画が生きて機能しているということは、御指摘のあったとおりでございます。しかし、この5か年計画で示されている財政運営に当たっての指針というのは、当初の2年間については、歳出の削減計画について一定の具体性を持った記述があったわけでございますが、平成15年度以降の歳出の削減、あるいは人員削減については、具体的な方策が実際に書き込まれていないのが現実でございます。

 したがいまして、5か年計画で示されている財政の数値的な達成というのは、これから検討しながら進めていかなければならないというのが、その実態でございます。そうした先行きの展望、新しい区政をつくっていく見通しを持っていない5か年計画にかわる新しい基本構想、そして10か年程度の行財政の事業計画を持つこと、このことが必要であるという認識に立ちまして、私は基本構想と計画の策定ということを御提案申し上げているということでございます。したがいまして、そうした計画の策定によりまして、5か年計画が廃止となり、新しい計画が生まれてくるということを今回の所信表明で申し上げた内容が示しているということでございます。

 上野原の売却の方針ということと、それから、上野原について要望している区民の方もいらっしゃる、そうした方々との御議論、話し合い等についてどう考えているのかということでございます。上野原スポーツ・学習施設について、私が選挙期間中に持っておりました認識と現在の認識とは、全く変わっておりません。廃止するべきである。そして、あの土地について売却の方向で進めていくべきである。そのように考えている認識について、変わったものはございません。しかし、区政の責任者として、これからその方針を実現する方策をつくっていくということを所信表明では表明させていただきました。新しい考え方、どういう方策を用いてこの上野原スポーツ・学習施設についての私の考え方を実現していくかについて、今、早急に検討を行っているところでございます。そうした過程で、要望されている方も含めて区民の皆様の御意見を伺う機会、お話し合いをする機会、そうしたことも当然考えてまいりたいと思っております。

 大型ハコモノの基準は何か、どれが大型かといったようなことで御質問がございました。区の現在の財政力等でつくることが無理な、あるいは、できたとしても賄い切ることができるかどうかわからない、そういったような施設計画について、大型ハコモノ計画といったような形で表現いたしております。具体的に大型というふうに申し上げたものの中では、上野原スポーツ・学習施設用地のほか、南部区民ホール、あるいは上鷺宮五丁目の公園用地、そういったものを私自身は想定していたものでございます。そのほかにも、12カ所、買ったけれども使えない土地ということで申し上げておりました。12カ所については、現在、区が保有している未利用地のうち、施設の建設の計画がついている土地を挙げまして、12カ所お示ししていたところでございます。これらの施設につきましても、それぞれにその施設の必要性、現在の財政状況、今後の見通し等々を考えながら、それぞれに結論を出していくべきもの、そのように考えております。

 それから、ハコモノはもういらないという表現の中のバラマキということについて御質問がございました。この言葉については、現在の財政状況を踏まえた区政のあり方の中で、今後とってはならない選択として象徴的に述べたものでございます。バラマキというのは、財政状況や施策の意味、効果といったものを十分に検証することなく、過大に給付を行うような施策ということを想定しているものでございます。

 自治基本条例の策定の方法ということでございます。自治基本条例につきましては、現在、策定の方法、あるいは策定に至る期間等についての検討・準備を行っているところでございまして、今しばらくその点につきまして具体的に明らかにすることを控えさせていただきたいと思います。

 それから、職員数の削減をするという公約があったということでございます。職員数の削減について、所信表明でほとんど触れていないといったような御指摘がございました。中野区の事業を見直すということ、施設の配置やサービスのあり方を見直すということ、それらはすべて職員数と密接に関連している、あるいは事業の見直しをすることそのものが職員数の削減につながる、そういったことでございます。財政基盤を確立するという中でも、最も大きな要素が職員数の削減ということになるわけでございます。さまざまな見直し、検討の中で、それぞれに職員数の削減を図ってまいりたい、そのように考えております。

 それから、公用車の廃止ということについて、中野区が業務上使っております自動車の全部を廃止するのかという御質問でございました。私がわかりやすいという意味で申し上げていた公用車というのは、運転手つきの乗用車、公務員の運転手が運転しているような乗用車のことでございます。中野区の区の組織の中でそういった乗用車が、ちょっと台数は今手元に持っておりませんが、6~7台あろうかと思っております。それの運転に携わっている職員もいるということで、そうした業務、そうした車について、必要がないというふうに申し上げていたところでございます。

 それから、給与を削減するということについて、パフォーマンスにすぎないのではないかといった御指摘がございました。現在の財政状況は、私は危機的な状況にあると認識していると繰り返し申し上げてきたところでございます。そのことについて私自身、きちんとした形でお示しする、その一つの方法として考えたのが私自身の給与の削減ということでございますので、御理解をいただきたいと思っております。

 それから、健全な収支構造というようなことについて、数字で示せないものかという御質問がございました。健全な収支構造については、先ほども少し申し上げた点がございますが、収入と支出がバランスをしている、また一定の将来的な財政的な見通しの上で、収支がきちんとバランスできている状態、あるいは新しい仕事、必要な仕事にも取り組めるような状態、そういったようなことを想定しているわけでございます。現在でも収支構造を数値で評価する、あるいは目標数値を定めて表現するといったようなことが行われているわけでございますが、その時々の行政の状況、あるいは社会環境の変化によりまして、その数値は変わってくる。そういう面があると思っておりますので、そうした健全な収支構造を数値であらわすといったようなことについて、これから計画を策定する中で、きちんと意識しながら見定めてまいりたい、そのように考えております。

 それから、保育園の民営化にともなって、引き続き保育園の民営化を行うのか、あるいは保育園以外で民営化をする施設というのはどういうところを考えているのかといったようなお尋ねがございました。保育園の民営化については、これからも多様な保育ニーズにこたえること、あるいは保育の質を高めていく、そうした観点の中から、保育園の民営化についても必要な形で進めてまいりたいと思っております。

 待機児の解消をいつまでという具体的な年限を示すようにというお尋ねでございましたが、現在の時点でそこまでの具体的な計画は持ってございませんので、御容赦いただきたいと思っております。

 保育園以外での民営化の問題でございますが、例えば介護保険における特別養護老人ホームの運営でありますとか、デイサービスの事業の施設でありますとか、そういった、現在、区が直営の形で行っている事業につきましても、介護保険のような形で運営形態がきちんと定まっているものについて、民営化が可能であるというふうに考えております。時代や社会環境の変化によりまして、さまざまな区の事業が民営化できる可能性があるといったようなことについては認識しているところでございまして、それを踏まえてこれから検討してまいりたいと考えております。

 それから、警察病院の立地に向けて、区として努力をするべきであるという御質問でございました。中野区という地域の中で、警察病院という病院が立地することについて、地域全体の意思として必要であるという合意が形成されている、私はそのように考えているところでございます。中野区として、警察病院の立地に向けて一定の努力をしていく、そのことは必要であると考えております。

 それから、足りない介護サービスを多様な工夫でふやすということについて、具体的な方策はあるのかといったような御質問がございました。足りない介護サービスで最も代表的なのが老人保健施設という施設サービスでございます。これが江古田の森の保健福祉施設の中で立地することになっている施設でございます。さまざまな工夫でふやすということについて、江古田の森の保健福祉施設を、例えばPFIのような手法を活用しながらふやしていくというようなことも一つであろうかと思っております。それから、介護保険の関係は、在宅サービス等については、NPOや自主的な団体等、さまざまな活動主体が可能と考えられておりますので、そういった活動をどうやって生かしていくのかといったようなこともきちんと検討しながら、サービスの確保につなげてまいりたいと考えております。

 それから、福祉サービス事業団、文化・スポーツ振興公社等々の外郭団体についての方針ということでございます。外郭団体にはそれぞれの沿革と目的というものがございますので、なかなか一律に申し上げることは難しいとは思っておりますが、基本的には、外郭団体はその運営が機動的に行われたり、柔軟に行われたり、行政でできないことをきちんと行いながら効率的に公共目的を達成していくということが、その目的であるというふうに認識しております。そうした目的がきちんと果たされない、非効率な運営であったり、あるいは行政がやるよりもかえって効率が悪かったりというようなことがないように、外郭団体の改革にはきちんと取り組んでまいりたい、そのように考えております。

 それから、男女平等施策についての御質問がございました。6月16日号の区報でございます。男女共同参画週間についてのPRとあわせて、中野区の男女平等基本条例について説明をしたものでございました。その意味で、条例制定前につくられたところの男女共同参画基本計画の行動プランにおける目標数値40%を、何の注釈もつけずにそのまま中野区の目標であるというふうに表記してしまったという掲載内容について、適切ではなかったと考えております。そうした考え方はきちんと改めていかなければならない、そう思っております。今後、男女平等基本条例に規定されておりますように、どの会議体においても男女の偏りのない構成になるよう、50%の参画率を最終目標として、その達成に向けて努力をしてまいりたいと考えております。

 男女平等施策について、所信表明で具体的な言及がない、積極的な姿勢が見られないというような御指摘がございました。私は、中野区の男女平等基本条例に基づきまして、これまで区が取り組んできた男女平等施策の成果を踏まえて、区・区民・事業者との協働によります男女平等社会づくりを積極的に進めたいと考えています。区政のあらゆる分野で男女共同参画を視野に入れて、着実に各施策を進めていきたい、そのように考えております。

 それから、女性施策を担当する組織についてのお尋ねがございました。担当組織を中枢部に置いて、そして、その新しい組織の初代の室長は男性にするべきであるという御提案でございました。現在の組織のことで申し上げますと、男女平等の推進には、地域に根ざした区民の主体的な取り組みが欠かせないものでございますので、区は区民の活動を積極的に支援していく立場にあると考えています。そのような意味からも、地域にかかわる施策調整機能が地域センター部にはあるわけでございまして、そういった機能を持つ地域センター部が所管しているというのが現在の状況でございます。今後の組織のあり方について、これからさまざまな施策の考え方を検証していく中で考えてまいりたい、そのように思っております。

 なお、男女平等を所管する責任者の問題でございますが、これまでは女性が担当するということがずっと続いてまいりました。私自身は、これからは男性とか女性とかいうふうにこだわるべきでないというふうに考えております。そういった視点をさらに拡張して、担当者を男性にするべきだといった御主張についても十分理解できるところでございます。

 それから、平和事業について、旧豊多摩刑務所、旧中野刑務所でもあるわけでございますが、あの刑務所のあった土地が平和の森公園として、平和を中野の地から発信していくシンボル的な存在となっているということについての御意見は、私も全くそのとおりだというふうに思っております。中野区から平和のメッセージを発信していきたい、さまざまな場面でこれから積極的に取り組んでまいりたいと思っております。例えば、8月には長崎で日本非核宣言自治体協議会の総会が行われるわけでございますが、これについても私自身出席するなど、区民とともに平和を訴えてまいりたいと考えております。

 それから、ITに関連いたしまして電子メールのお尋ねがございました。就任後、職員からのメールはどのぐらい来ているかということでございます。あいさつ回りをしたり、さまざまな部の引き継ぎを聞いたり、時間が慌ただしく過ぎておりますので、私の方からなかなか職員にそれぞれメールを打ったりというような時間がとれなかったのが実態でございます。職員の方から入ってくるメールについては、日に3件ぐらいは入ってきております。その中には、区政について自分が思っていることといったようなことについてのメールがあったりして、私自身、こういうことがもっと幅広く広がってくればいいなというふうに思っているところでございます。私の方からのメールでは、事業の実態とか現状について少し知らせてほしいといったようなことで打ったりしております。

 電子メールを活用すれば、直接会って打ち合わせたり、会議をしたりすることを省くことができる。さまざまに活用することができるわけでございますが、なかなかそうした慣習が進んでいないのが実態でありまして。メールを活用したり、あるいはもっと進めて、庁内LANの中にはフォーラム、電子会議室なども設けられてございますが、そうしたようなことを活用しながら、職員との意見交換、職員参加を進めてまいりたいと考えております。

 IT推進に関して、区長がきちんとリーダーシップを発揮していくべきだという御指摘でございました。従来の区政を変えてほしい、改革の新しい息吹を区政に吹き込んでほしいという、私に託された区民の思いを実現し、区政改革を進めるに当たりましては、ITは欠かせない手段の一つであると考えております。電子区役所推進の本部を区長中心に設けるというような予定にもなっておりますが、IT推進の先頭に立つのは当然、区長である私であると、そのように自覚しております。

 それから、住民基本台帳ネットワークシステムについてさまざまな意見があるなか、実施の取り組み状況、対応についてというお尋ねでございました。住民基本台帳ネットワークシステムの整備については、8月5日の第1次稼働に向けて、これまでさまざまな準備を進めてまいりました。一方で、改正住民基本台帳法の附則で、法施行に当たっては、個人情報の保護に万全を期すため、速やかに所要の措置を講じるという定めがございます。ここで言うこの所要の措置については、国会での議論などを見ておりまして、個人情報保護法の制定を指すものであるというふうに認識しているところでございます。現時点で個人情報保護法の成立の見通しが立っていないといったような、新しい状況が生じております。そうしたことから、この問題につきまして、国等の動きなど慎重に対応を見定めてまいりたいと、そのように考えているところでございます。

 私からの御答弁は以上でございます。これ以外のことにつきまして、それぞれ所管の部長の方からお答えをさせていただきます。

 以上でございます。

   〔地域センター部長柳澤一平登壇〕

○地域センター部長(柳澤一平) 私の方からは、審議会への女性の参加を進めるためには、女性の人材育成を含めて女性の人材バンク制度をつくったらどうかと、こういう御質問でございました。

 中野区では、審議会等の場への女性の参画促進や人材育成を図るために、女性会館でさまざまな講座を実施してございます。その中から、審議会等も含めて、そこに参加する方も含めて多くの人材が出てきているところでございます。

 また、女性の人材情報の把握や活用につきましても、女性会館の機能の一つとして既に取り組んでいるところでございます。

 以上でございます。

    〔政策経営部長渡辺征夫登壇〕

○政策経営部長(渡辺征夫) 私からは、大きく3点の項目につきましてお答えをさせていただきます。

 まず最初に、男女平等施策に関連いたしまして、子ども施策の組織についてのお尋ねでございます。子ども施策につきましては、平成13年に保育部門を加えまして、地域センター部が全庁の連絡体制を整備して取り組んでいるところでございます。部門構成につきましては、経営感覚を備えたスリムで機動的な行政組織を目指しまして、今後も見直す必要があると、そのように考えております。区長が所信表明で述べましたように、基本構想の見直しということもございますので、その中で子どもの施策のあり方や組織についても検討していきたいと考えております。

 次に、平和事業でございますが、1点目は、福井県丸岡町のような例をとって、中野でも「平和の万葉集」のようなものをつくってはどうかと、そういうお尋ねでございます。中野区は憲法擁護・非核都市の宣言、ことし20年を迎えるわけでございます。できるだけ経費の点に配慮しつつ、より多くの区民の方の参加が得られるような、そんな事業を今考えているところでございます。特に、区民の平和への願いを込めたポスターあるいはイラスト等の作品募集、各地域での平和パネル展など、こういったものを順次実施していく予定でございます。この作品の募集に当たりましては、絵などのほか、詩や俳句、メッセージなど、さまざまな形で広く受け入れたいと考えております。これはお子さんからお年寄りまで、すべての区民の方にお呼びかけして応募していただきたいと考えているわけでございまして、ホームページなどを活用いたしますと、御提案のような趣旨も考えられますので、今後、内外に呼びかけるような工夫を考えていきたいと思います。

 平和事業で2点目でございます。中野刑務所、旧豊多摩刑務所に投獄された、そういったような歴史、そこの方々、銘板を平和公園の中に設置したらどうかということでございます。中野刑務所につきましては、その歴史を伝えていく必要があると考えまして、廃止までの経過を記した冊子を発行しております。御提案の銘板の設置につきましては、私どもが現在承知しているところでございますと、収容された人々の名簿も失われているというようなことでございますので、現状ではなかなか難しいと考えております。

 次に、電子区役所についてのお尋ねにお答えさせていただきます。

 区の電子区役所やIT推進の担当がわかりにくいということで、どこが中心になってやっているのか、また企画部の事務分掌の関係、そういったことのお尋ねでございます。さらに、それを含めて、今後きちっとした区長直属のIT戦略室をつくる考えはないかというお尋ねでございます。企画課の分掌につきましては、企画課の本来的所掌事務でございます全般的企画調整に含まれるということで、平成14年度に文言整理を行ったものでございまして、情報化施策全体の企画調整は引き続き企画課が行っております。電子区役所の推進につきましては、今年度から行政管理課が中心となりまして、区長をトップとする推進本部をつくり、全庁的な取り組み体制を構築することを考えております。電子自治体を含めた、区全体のIT化の推進を図るという点では、御指摘のように、現行体制は必ずしも効果的、機能的とは言いがたい面もあるということは認識しておりますので、これから早急に体制の見直しを行いまして、専管組織を整備するなど、改めて積極的なITの推進に向けて、総合的かつ効率的な体制整備と組織強化を図りたいと考えております。

 また、市川市を例にとりましたアウトソーシングについてどのように考えているかということでございますが、区といたしましても、IT化の推進に当たりまして、中央電算システムの維持運用から、ネットワークの開発、管理運用を含めまして、アウトソーシングする部分と行政内部で人材を確保すべき部分をきちんと区分けしながら、民間資源の活用を図ってまいりたいと考えております。現在、民間資源を活用する場合に必要なセキュリティーも含めた情報安全対策の検討を進めているところでございます。

 次に、藤沢市のような電子会議室、そういったものを考えたらどうかということでございます。現在は「電子版・区民の声」ということで寄せられました区民の声と、それに対する区の対応につきましては、まだ双方向になってございません。また、庁内にも直接寄せられたものがITを使って直接所管課にというような、そういう体制になってございません。まずは寄せられた声を、概要はホームページに掲載して、区民の皆さんだれでも見られるようにしていきたいと考えておりますし、これから区長も対話集会を月2回というようなことも考えてございますので、そういったようなことも区民の方にITの手段を通じまして知らせていきたいと考えております。

 藤沢市の市民電子会議室のような、さまざまな分野にわたります電子フォーラムにつきましては、管理などいろいろな問題がございますが、ITを活用した区民との情報交流の必要は感じておりますので、今後、そういった方法につきまして研究してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

    〔土木担当部長石井正行登壇〕

○土木担当部長(石井正行) 平和事業に関する御質問の中で、平和の森公園に蛍が飛び交うような公園にしてみてはどうかというような御質問がございました。

 平和の森公園に蛍が飛び交うような環境をつくり出すということが、現在のところ厳しい。水質条件や生息環境などの技術的な問題、また、設備費やランニングコストなどの点で課題がございます。実現がなかなか難しいものと考えております。区は、都市の中に失われた自然を再生し、緑や水、そして多くの生き物と触れ合うことは、大変重要なことであるというふうに認識しております。そういったことから、今後ともさまざまな情報を収集しながら、研究を継続してまいりたいというふうに考えてございます。

     〔区民部長鈴木勝明登壇〕

○区民部長(鈴木勝明) 私からは、ITを生かした企業家等への支援についてお答えいたします。

 区長が所信表明で申し上げましたように、区内の産業や商店街を元気にし、にぎわいと活力のある中野の町をつくり出していくことは、区政にとって重要な課題であると認識しております。御質問の企業家等への支援を含めた商工業の活性化について、具体的に何ができるのか、商工業団体等と一緒になって考えていきたいと思っております。

 以上です。

  〔選挙管理委員会委員長諏佐剛夫登壇〕

○選挙管理委員会委員長(諏佐剛夫) 選挙管理委員会から岡本いさお議員の御質問にお答えいたします。

 電子投票については、ことし2月に特例法が施行され、当委員会としても大きな関心を寄せているところでございます。今回行われました新見市の選挙では、全国初の電子投票であることから、機械の提供については破格の料金の落札に至ったとのことであり、この経費を直ちに参考にすることは難しいと考えております。これまで東京都電子投票制度検討研究会のメンバーとして検討してきたところでございますが、現行の電子投票特例法では、対象選挙が地方選挙に限られており、国政選挙は適用外であること、不在者投票は従前の開票が必要なこと、またシステムの信頼性等、区民の理解を得ることなど、解決すべきさまざまな課題がございます。しかしながら、電子投票は、開票時間の短縮による選挙結果の迅速な公表、正確な投票による無効票の減少などの大きな効果があることから、今後も国やメーカー側の動向を把握し、東京都や他区の選挙管理委員会とも情報交換を行い、研究してまいりたいと存じます。

 次に、入場券の形式についての御質問でございます。これまでもはがき連記式や封筒式等について検討してきたところでございます。はがき連記式は、個人あてはがきに比べ経費は安くなりますが、投票所の案内図や不在者投票の案内等を記載することができなくなり、有権者への十分な情報提供ができなくなります。また、封筒式は情報提供のチラシ等を封入できるメリットはありますが、単身世帯が多い中野区の現状や封入作業等を考慮すると、経費的に割高になります。したがいまして、現時点においては、従来どおり、選挙の入場券は個人あてはがきとしていきたいと考えております。御理解をよろしくお願い申し上げます。

     〔岡本いさお議員登壇〕

○15番(岡本いさお) 実は再質問も先ほどの市川議員のように切りがないほどあるんですが。一言だけ区長に私が申し上げたいのは、区長は常々、区民にわかりやすい説明責任とおっしゃっていますね。今回、私が質問したことについての御答弁は、きちっと説明責任として、わかりやすい言葉でわかりやすい用語を使えば、質問しなくても済むものもたくさんあったんですよ。例えば基本構想と言ったら、だれもが中野でつくった20数年前の基本構想であるというふうに思うじゃないですか。それを財源的裏付けと言うから、おかしなことになるというふうに私どもは質問するのであって、新しい形式の、新しい型の、例えば10年をスパンにした、そういう基本構想をつくると丁寧に説明すれば、そういうものかというふうになるわけです。

 それから、これはちょっとすりかえの答弁のように私は思うんですが、行政改革課長の時代の総務委員会の答弁の話が出ましたけれども、あのときは私は委員ではありませんでしたが、議事録を読みますと、5か年計画についての御答弁なんですよ。先ほどの御答弁は、予算を編成しなければならないので、そういう担当として何か限度があるとかという、わからない話をされていましたけれども。ですから、それはもっときちっと説明しませんと、あの課長のときの答弁はこういうわけでというところがなくて、何か予算のことにすりかえたような感じがいたします。そこをちょっと、もう少し丁寧にお願いします。

 それから、これも説明の仕方なんですが、区長が考えている公用車というのは、一般にそういう意味で使われているんですか。私はわざわざ広辞苑を引いて、公用という意味を言いましたが、私の言う公用車とはというのじゃなくて、わかりやすく一言、運転手つきの公用車とか、いろいろな言い方があると思います。みずから説明責任をわかりやすくと言っておりながら、そういうところに質問をしなければいけないようなことにならないように、ぜひともお願いしたいと思います。

 それから、先ほど大型ハコモノで南部区民ホールが出ました。これについては本当に長年、地域の方が参加して、そして合意を得てつくってきたものです。こういう長年参加して築いてきた計画を廃止の対象だと言うのは、余りにも何か一方的なような感じがいたします。こういう推進してきた計画についての廃止の仕方については、私も前、総括質疑で質問したことがございますけれども、計画を立てる以上に慎重に、手順や区の説明の姿勢等を示さなければならないと思っていますので、その辺、南部区民ホールについて、あるいは長年計画を地域住民と立ててきたものについて廃止する場合の手順についてお伺いします。

 そのほか答弁漏れもたくさんありますが、次の一般質問をする西村議員にその点はまた質問してもらうようにしたいと思っています。

 それから、あと、ちょっと区長にお伺いしたいんですが、女性施策の組織のことで。地域センター部長は今の体制で十分だというようなお話をされていますが、自分の部にある課のことですから、なかなかそういうことは言いにくいんでしょうが。女性施策を区の中枢部に持って、そこで全体の計画推進をするようにすることについて、これは区長に聞いていなかったんですが、今、御答弁を聞いて、私はそれでは済まないなと思っていますので、この点、区長に御答弁いただきたいと思います。

 それからもう1点だけ、蛍のことでございますが。部長から全く絶望的なお話がありましたが、いずれ中野の浄水場は3次処理ができて、子どもが遊べるような水辺にするという計画になっておるわけですから、その際には検討をできるような今から取り組みが--区内にはそういう蛍の生息を研究しているグループもあるということですから、今からとてもそれはやれないということでなくて、ビオトープも簡単に今、これからできる、あるいは方々でやれるようになる時代ですから、かなり先だと私も承知していますが、そういう水が整備ができたときには、蛍の生息するような、蛍の里としての平和の森公園ができるかどうか。ぜひしてほしいとの思いを込めて再質問をさせていただきます。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) まず、第1点目の再質問、説明責任との関連で、基本構想について、中野区で基本構想といったら、従来の基本構想を思い浮かべる。提案しているのは10年単位で全く別の考え方のものであるということで、説明の仕方がよくなかったという御指摘でございました。これについては、私の説明が足りなかったと思っております。御指摘のとおり、基本構想をつくる、10か年程度の事業計画、行財政計画とあわせた形でつくっていくといったような考え方について、今後もっとわかりやすく御説明できるように努力をしてまいりたいと思っております。

 続いて、課長のときの答弁の話でございます。すりかえもあったのではないかというようなことでございました。もう一度申し上げなければならないかと思っています。さまざまな制約の中で仕事をしていたということをまず理解していただきたいという状況について申し上げました。その制約条件の中でも、自分としては精いっぱい説明責任も果たそうとしていたし、区民の皆さんともきちんと議論をしながら仕事を進めてきたつもりであったということも申し上げました。しかし、結果として、区全体が進んでいく仕事の中では、私自身の立場の限界性が当然あるわけでございまして、区としてきちんと説明責任を果たすことができていなかった。区長がみずから責任を示したり説明をするといった点において、欠けているところがあった。そういう策定過程であったということを申し上げました。そうした策定過程の誤りを正していくべきだ、区政のあり方を正していくべきだというふうに私自身思ったわけでございます。誤りのあった区政の中で私がやってきたことについての反省も含めまして、新しい区政をつくるという行動を起こしてきたというのが、私の申し上げた趣旨でございます。

 公用車のことでございます。公用車のことについては、選挙期間中から、それは何のことを言っているんだというふうに区民の方から御質問される機会がございました。文章の形ではっきりお示ししていたわけではございませんが、さまざまな場所で私がお話をしている機会には、運転手つきの乗用車のことを指しているんだということを申し上げながら訴えをしてきたつもりでございます。車が1台あれば、それに公務員1人分の労働力がついてしまうといったあり方について、行政のむだをなくしていくという観点から、廃止をしていきますというようなことを申し上げてきたところでございます。

 それから、南部区民ホールのことでございますが、南部区民ホールも、先ほどの例に出ていた上野原スポーツ・学習施設も、さまざまに地域の方が御要望されたり、あるいは南部区民ホールの場合には、設計段階でのさまざまなかかわりをお持ちになって計画が進んできたものであるという認識を私自身も持っております。しかし、今回、中野区の財政状況、現状、それから将来のことを考えたところ、私としては、南部区民ホールを含めまして、こういった大型のハコモノの計画を維持することはできないであろうという判断をしたところでございます。しかし、それを実際に廃止していくという段階にあって、区民の皆さんにきちんと理解していただかなければならないこと、また、そうした決定も新たな決定でございますから、それに当たっては、きちんと参加や説明の責任を果たす、そのことが必要であることについては、御指摘のとおり、私も十分肝に銘じているところでございます。

 それから、女性施策の組織について、中枢部に置いておいた方がやはりいいのではないかというお考えでございました。区の組織というのは、できるだけスリムでわかりやすく小さい組織、個々の組織が機動的に動ける組織がいいというふうに思っているところでございます。そういうそれぞれの組織の役割の中に女性施策の推進をどう位置付けるかということの中で考えていくべきだということでございますので、組織全体の考え方を検討していく中で、女性施策の位置付けについても当然考えてまいりたいと思っております。女性施策そのものが区政の施策すべての分野にかかわるということについては、間違いないと思っておりますが、そうしたことの推進と、区がこれから政策部門をどういう形で設けるかというようなことについても、まだ検討できていないところでございますので、今後の課題とさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、蛍のことで、平和の森公園の処理施設の3次処理水ができるようになってくれば、もっと可能性も出てくるのではないかという御指摘でございました。3次処理水がどういう日程でというか、いつごろどういう形で利用可能になるのか、今、私自身材料を持っていないわけでございますが、そうした3次処理水で、蛍もすめるような環境の水を供給できるのだという前提があるのであれば、そのことも踏まえながら、今後の考え方の中では検討していくことも可能ではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

○議長(斉藤金造) 以上で岡本いさお議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

      午後3時50分休憩

 

      午後4時13分開議

○議長(斉藤金造) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 江 田   徹

 1 区長選挙の結果について

 2 区長の所信表明及び行財政5か年計画の見直しについて

 3 有事3法案など憲法問題について

 4 警大跡地利用及び江古田の森施設整備について

 5 西武新宿線の踏切対策について

 6 その他

 

○議長(斉藤金造) 江田徹議員。

      〔江田徹議員登壇〕

○42番(江田徹) 2002年第2回定例議会におきまして、今回、選挙によって新しく中野区長に就任された田中大輔区長に、日本共産党区議団を代表して初めての質問を行います。

 今回の選挙は、投票数8万3,330、投票率33.42%で、前回に続く極めて低調な選挙となりました。86年選挙の44.20%、90年選挙の41.56%と比較しても、10ポイント前後も落ちています。田中区長の得票率は26.97%、絶対得票率はわずか8.8%であります。

 今回の区長選挙の最大の争点は、中野区がとってきた福祉・教育を切り捨てて区民に痛みを押しつける区政を受け継ぐのか、それともこれを変えて、区民生活を大事にする区政を取り戻すのかにありました。実際、区民の中には、痛みと我慢を強いる区政に不信と不満が高まり、閉塞感が強まる中で、区政を変えたいという欲求が区民の中に沸き上がっていました。

 あなたは昨年末まで、中野区の行革課長として痛みの根源である行財政5か年計画をつくり、これを推進する先頭に立ってきた人であります。つまり前区政の中枢にいて、区政そのものに責任を負わなければならない立場にありました。その意味では、5か年計画の推進を主張する他の2人の候補者と同じ立場にあったのです。他の2人の候補者が行財政5か年計画の推進を明確に掲げたのに対し、あなたは行革課長としての自身の実像を覆い隠し、幹部職員としての責任を棚上げにして、専ら前区長と区政批判をしながら、「区政を変える」「100%市民派」などの言葉を使って、区民の批判をかわす戦術をとりました。

 町には、区政に対する不信と失望感、将来への展望を持てないなどから、だれが区長になっても同じという無力感がたまっています。こうした区民の気分や感情に加えて、1月から先行していたあなたが争点をぼかしてしまった。私はこのことが低投票率の一つの要因になっていると思います。区長はどのようにお考えか、見解をお聞きします。

 区長は「100%市民派候補」という意味不明の言葉を使っておられました。このことに関して二つの点で質問します。

 区長が民主党や自由党、緑の会議、生活者ネットなどの政治団体の支援を受けていたことは、周知の事実です。みずから推薦依頼をして支援を受けながら、法定ビラにも選挙公報にも政党名や政治団体名はありません。国会議員や都議会議員の名前だけを並べて政党名を隠すのは、政党や政治団体の支援を受けていることを隠すためではありませんか。こうしたやり方は区民を欺き、結果として区民の政治不信を助長するものであります。なぜ政党名を隠したのか、その理由をお聞きします。

 あなたは昨年12月28日までは中野区の行革課長でした。つまり行政の立場から福祉や教育に大なたを振るう計画の立案者であり、推進者でありました。高齢者や障害者、低所得者などの区民の切実な願いや要求を切り捨てる先頭に立ってきたのがあなたでした。ところが、区役所を退職した途端、それまで区民に冷たかったお役人が一夜にして「100%市民派」に変身したという、そんなことがあり得ようはずがありません。これは「100%市民派」という言葉を繰り返し使うことによって、あなたの実像を隠し、区民の目をごまかすための計略ではありませんか。答弁を求めます。

 区長の政策の至るところに、情報公開とか説明責任とか、自治、参加などの言葉がちりばめられています。所信表明では「形だけでない手応えのある区民参加」がうたわれ、「自治の原点は住民参加にあります」と言っています。そのとおりだし、そうあってほしいと区民は願っています。しかし、あなたの政策とあなたがこれまでやってきたことは、180度違っています。さきにも述べたように、あなたは半年前まで中野区の行革課長として、中野の自治と参加をつぶす先頭に立ってきたではありませんか。行財政5か年計画による福祉事業の切り捨てに抗議し、見直しを求める区民には、「あなたとは立場が違う」という言葉で対話すら拒み、障害者や低所得者が窮状を訴え、福祉手当削減の再検討を求める切実な声には一切耳を傾けようとしなかったのであります。情報公開も説明責任も果たそうとしなかったではありませんか。

 2000年11月の総務委員会で、「寄せられる意見の数が単純に多いから多数なのか、強い主張だから区民全体の意見なのかといったところに簡単に揺れ動くようなことで、こういった計画はつくっていけるとは思いません」、このように発言しています。つまり区民の意見に左右されるようでは、5か年計画のようなものはつくれないと断言しています。

 あなたが介護保険準備課長の時代、低所得者に対する保険料・利用料の軽減措置を求める区民に対し、国の法律に基づく制度だから中野区としての独自対策はとらないと、一顧だにすることなく門前払いをしました。

 自治と参加が大事で、そのことをあなたが追求しようとするならば、まず、自身がとってきたこれまでの態度や言動に対する率直で真摯な反省が必要であります。これは前の区長が悪いというだけでは済まされない問題です。区長の見解をお聞きします。

 中野区における自治と参加を語る場合、教育委員候補者選び区民投票、いわゆる教育委員準公選の問題を欠かすわけにはいきません。私は、教育委員準公選は、中野区における教育への住民参加と住民自治、教育自治の最高の到達点だったと確信しています。残念ながら、当時の文部省その他の妨害を受け、条例は廃止されましたが、この経験は中野区民だけでなく、全国的にいろいろな形で受け継がれています。区長は、中野区民の自治の営みとしての教育委員準公選をどのように評価しておられますか。また、法律的にどのようにお考えですか。自治と参加を標榜する田中区長の見解をお聞きします。

 続いて、中野区基本構想の見直しについてお聞きします。

 区長は、理念は評価できると言いながら、制定から20年以上たっており、新たな理念で補強したり整理すべき点も出ているので、見直しに着手すると言っておられます。私は、これを機に改めて中野区基本構想を読み返してみましたが、実に格調があって、基本理念とするところは今に十分通ずるものであります。「基本構想をつくる」、「基本構想の理念-自主と参加と連帯と-」、「あすの中野」、「「あすの中野」をめざす道」、「基本構想を達成するために」という五つのパートから成り立っており、全体として非常によくできています。

 区長は、「財政的裏付けを持たない基本構想に基づいて行政計画をつくったために、行政の役割や財政規模が常に拡大するなど、問題が生じてきた」と言っておられますが、これは基本構想に問題があるのではありません。基本構想は、「区は長期的な財政見通しを立て、基本構想を実現するために、区政が取り組むべき課題と事業内容を明らかにした5か年程度の行政計画を策定し」云々となっており、基本構想を実現するために財政的裏付けを持った行政計画を策定することにもともとなっているのです。同じように、基本構想を「実現性や計画性を重視した形のものに改定したい」と述べていますが、本来、実現性や計画性は行政計画で担保すべきものであります。

 先ほどの答弁では、基本構想の改定にあわせて行財政にかかわる10か年計画をつくると述べられましたが、所信表明ではそんなことは一言も触れておりません。「2年程度の期間をかけて実現性や計画性を重視した形のものに改定したい」と述べているではありませんか。これも説明不足というだけで済ますのでしょうか。わかりやすい説明を求めます。

 中野区基本構想は憲法の精神を基軸としており、「憲法を 生かそうくらしに 中野のまちに」や「障害のある人ない人みな区民 ともに歩もう中野のまちを」などのすぐれた区民の合い言葉に象徴される、区民本位の施策を次々に生み出してきました。区長はこの中野区政の根本を生かすのか、変えようとするのか、区長の基本的考えをお聞きします。

 区長は、行財政5か年計画は「当面する歳出削減策を中心とするもので、将来構想としては弱い」として、「5か年計画にかわる本格的な区政の将来構想と計画」をつくると述べています。一体「本格的な区政の将来構想と計画」とはどんなものですか。将来構想というのは、限りなく基本構想に近くなるのではありませんか。基本構想と行政計画の関係、並びに区長が言うところの将来構想と計画との関係をわかりやすく答弁してください。

 さて、5か年計画にかわる将来構想と計画がいかなるものなのか、これが大問題です。区民に犠牲を押しつける5か年計画の基本スタンスをそのまま踏襲し、施設の統廃合や民営化を推し進めるものであるならば、田中区政も区民から一層激しい批判を受けることになります。自治体の使命は、区民の安全を守り、福祉・教育を大事にして、安心して住み続けられる中野をつくることにあります。区長が所信表明で、「区の役割の基本は、区民の人として生きる尊厳を守ること」、「人権・福祉・教育など区民の暮らしをしっかり支える」と述べています。このことを文字どおり生かすならば、区民生活優先の区政に方向転換することでなければなりません。区長はどういう立場で5か年計画にかわる新しい計画をつくるのですか。答弁を求めます。

 次に、財調問題についてお聞きします。

 23区にとって、財政問題を論議するとき、財調問題は避けて通れない重要課題であります。清掃事業や大都市事務の問題を初め、調整率問題などに関する23区と都側の話し合いは、何ら進展もないままに推移しています。2000年の財調協議のとき、区側の主張を実現して、実態に見合った調整率に引き上げる大きなチャンスでありました。しかし、最後は政党の仲介という形を経て、区側52%で妥協してしまったという経緯があります。都区間の財調問題が区側の財政困難の大きな原因になっているという自覚が弱いのではないかと指摘せざるを得ません。

 23区の主張を実現し、道理にかなった改善ができるかどうかは、中野区の財政問題にとって最も重要な課題であります。この結果が今後の区政運営に大きな影響をもたらします。新区長として、この問題にどのように取り組んでいかれるのか、決意をお聞きします。

 区立保育園の民営化についてお聞きします。

 マスコミで児童虐待や育児放棄の実態が報道されていますが、これらの報道の裏にはたくさんの親と子どもの問題が隠されています。区立保育園が地域の保護者の育児相談に応じたり、保育園を開放したりするのも、こうした変化に対応するための努力でありましょう。保育園では、子どもの家庭環境や条件の変化に伴い、子どもの年齢や発達に応じた保育がことさら大事になっており、一人ひとりの子どもに時間も手間もかかると言われています。親の育児力が低下している中で、親への援助・支援も大事な仕事になっています。

 社会環境の変化や子育てにかかわるさまざまな問題が生じてくる中で、しっかりした保育機能を備えた保育園が地域にあるということがますます大事になってきます。これまで区立保育園が地域で果たしてきた大きな役割と実践の蓄積がありますが、社福法人などの民間保育園の先進的な取り組みなどとも交流し、互いに学び合いながら専門性を向上させていく取り組みが本来必要なことであります。

 ところが、区長は、国の法律が変わったということを理由に、株式会社も含めての民営化を目指しているとのことであります。これでは、財政支出の削減を目的とした安上がり保育を追求し、これまでの豊富な保育の蓄積を捨ててしまうことになります。その結果、肝心の一人ひとりの子どもの成長・発達を行政が援助するという大事な役割を放棄することになります。

 中野区基本構想には、「子どもはすべて、人として貴ばれ、社会の一員として心身ともに健やかに育つ」、「子どもは親の愛情と正しい知識をもって育てられる。家庭に恵まれない子どもは、それにかわる環境が与えられる」と書き込まれています。これは子どもたちの権利であり、区はそれを保障する努力をしなければなりません。中野区の区長がなすべきことは、基本構想を葬ることではなく、基本構想に基づく保育環境を整えることではありませんか。区長の見解を求めます。

 区立小・中学校の修繕や図書館の図書購入費問題についてお聞きします。

 この数年の間に教育予算が大幅に削減されてきました。その中でも学校の維持補修予算の削減ぶりは23区最悪の状態になっており、図書館の図書購入費は劇的に削減されて、区民1人当たり図書購入費は、昨年から23区最低にまで落ち込んでしまいました。

 これまで党議員団が異常な削減ぶりを指摘して、改善を要求してまいりましたが、改まるどころか一層ひどくなっているのが現状です。その結果、学校の雨漏り対策や施設の維持補修が追いつかない状態に置かれています。図書館職員の努力にもかかわらず、今まで購入していた図書を次々にやめざるを得なくなり、館の魅力そのものが薄れてきています。

 あなたがまだ行革課長としてらつ腕を振るっていた当時、図書購入費を1年間凍結するという、とんでもないことを主張したことがあります。これは、図書館の役割と機能を理解しようとしない、余りにも乱暴な主張であります。さすがに反対が強くて凍結はされませんでしたが、予算の大幅削減は強行されました。

 教育行政の充実を目指して努力してきた中野にとって、余りにも情けない実態ではありませんか。この事態はだれよりも区長御自身が御存じのはずです。早急な見直しを行うべきと思いますが、区長の見解をお聞きします。

 住民基本台帳ネットワークシステムに関してお聞きします。

 国会で審議中の行政機関の保有する個人情報保護法案は、個人情報収集制限に関する明確な規定を置かずに、個人情報の目的外利用を初め、個人情報の利用目的の変更や、行政機関内部や行政機関同士の情報提供が容易にできるなど、極めて問題の多い内容になっています。第三者提供に対する罰則規定もありません。

 防衛庁における情報公開請求者の個人情報リスト作成問題が表面化し、個人の思想信条にかかわる情報の記載などの違法行為が指摘されていますが、この法律が通れば、これらのことも許される可能性すらあります。

 個人情報保護関連の法案は、もともと国や公共団体が保有する個人情報を国民が自己管理することを促し、民間事業者が保有する個人情報が商業目的に不正流出することのないように規制するために検討されたものであります。ところが、実際に提案されたものは、国民のプライバシー保護を明記しないなど、個人情報保護に不十分な上、ジャーナリズムを含む民間全体を取り締まるものに性格を変え、表現の自由への公権力の介入に道を開き、取材、報道、表現活動を制限する内容となっています。最も大事なセキュリティー対策も未確立のままです。

 99年に住基台帳改正案が審議されたとき、国民のプライバシーが侵害されるおそれが大きいことから、当時の首相が「個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることが前提」と答弁していました。その大前提が、広範な国民の反対運動と国民大多数の反対世論によって大きく崩れています。このまま8月から住基ネットが稼働することになれば、大混乱を引き起こすことになります。

 国と自治体、国民の人権をめぐる緊急課題ですから、本来ならば区長の所信表明の中で触れるべき事柄であったと思います。しかし、区長から言及がありませんでした。区長は、国に対し住基ネットの稼働時期を延期するよう直ちに申し入れるべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。

 次に、有事法制3法案と憲法問題についてお聞きします。

 有事法制3法案は、米軍が行う戦争を支援するために、自衛隊が海外で武力行使ができるようにするものであります。あわせて、米軍の戦争のために国民の人権や自由を奪って強制動員する戦時体制をつくるもので、日本国憲法を真っ向から否定するものであります。この法律はすべての国民に戦争協力を義務付け、医療、土木建設、輸送などに従事している民間人には業務従事命令が出されます。取り扱い物資などの保管命令も出せるようになり、命令違反者には懲役などの罰則が科せられることになります。自治体や指定公共機関などを動員するために、国が指示をする権限を持ち、この指示に従わなければ、国が直接実施する権限を持つなど、自治体の権限すら侵すもので、戦前の国家総動員法を思わせるような戦時体制がつくられることになります。

 先日、代々木公園で「STOP!有事法制 6・16全国大集会」が開かれ、6万人の人々が集まって有事3法案を廃案にする決意を示すなど、全国的な闘いが進められています。ナショナルセンターを超えた労働組合の共闘や、女性、市民、平和団体、青年などの創意を凝らした運動が大きく広がっています。

 日本弁護士連合会は、憲法に抵触する重大な疑義があるとして、4月20日に「有事法制に反対する理事会決議」を上げています。宗教者が「平和をつくり出す宗教者ネット」を結成して運動に取り組んでおり、仏教界やキリスト教界における教団レベルの反対決議や声明が相次いでいるのも、これまでに例を見ない大きな特徴です。

 長野や高知、徳島などの県知事を初め、多くの市町村長が次々に反対の意思表示をし、疑問の声や慎重審議を求める要望を上げています。国立市の上原市長は、市民や市民団体の疑問を代弁する形で、問題を解明するための質問書を内閣総理大臣あてに提出しています。

 こうした闘いの中で、NHKの6月の世論調査では、「今国会で成立すべき」は8%、「今国会にこだわらず十分に審議すべき」が70%、「廃案にすべき」が17%、合わせると87%が今国会での成立に反対という調査結果が出ております。

 区長にお聞きします。平和憲法の根本を突き崩そうとする有事法制3法案に対し、憲法擁護、平和と安全を守る立場から、明確に反対の意思表示をすることを求めたい。区長の明快な決意をお聞きします。

 中野区民が提案し、区と区議会の三者が協働してつくり上げた中野区の憲法擁護・非核都市宣言、これに基づく「中野区における平和行政の基本に関する条例」は、中野区の基本姿勢をあらわすもので、お互いの立場を超えて尊重しなければならないものであります。国是である非核三原則の見直しが官房長官の口から飛び出しました。小泉政権は、これまでのどの政権にも増して憲法感覚が欠如していることのあらわれであります。このような時期、中野区の憲法擁護・非核都市の宣言と平和行政条例は、ますます重要な意義を持ちます。草の根からの運動や地方自治体からの非核・平和の運動がこれまでにも増して重要になってきます。

 区長は所信表明の中で、中野区が憲法擁護・非核都市の宣言から20周年を迎えたことに触れながら、「核兵器の廃絶と平和の創造に向けて区民の意思を発信し、市民の連帯を一層推進する」と述べておられます。区長にお聞きします。さきの官房長官の非核三原則見直し発言に対し、小泉首相はどうってことはないという態度をとりましたが、区長御自身はどのようにお考えでしょうか、見解をお聞きします。

 20周年に当たることしの取り組みを意義あるものにするとともに、憲法の精神と反核平和の思想を区内外に発信するための日常的な取り組みを一層重視すべきであります。区長自身が非核平和の会議に参加することを含め、積極的に行動すべきだと思います。区長の決意をお聞きします。

 次に、警察大学校等跡地利用についてお聞きします。

 先日の議会運営協議会に、新宿・中野・荒川地区清掃工場用地の取得について、概要という報告がされました。この中に、23区清掃一部事務組合事務局の検討結果として、次のような記述がなされています。

 1、ごみ量は12年先の平成26年まで横ばいないし微増で推移する。可燃ごみ量は293万トンから303万トン。

 2、焼却能力はおおむね340万トンから360万トンで推移する。

 3、ごみ量と焼却能力の推移から、焼却能力率は平成18年度以降115%前後で推移し、安定的焼却が可能であることから、工場新設のための用地取得は不要。

 つまり清掃一部事務組合として、今後の清掃工場建設は不要であることを公然と認めたものであります。

 当議員団は、早くから焼却型清掃工場の建設は不要になることを明らかにし、資源循環型清掃工場などへの見直しを繰り返し主張してきましたが、ようやく見解を一致させることができました。しかし、問題なのは、いまだに中野区が23区部長会の中で、計画どおりに清掃工場整備を進めるべきと主張していることです。既に清掃工場建設の条件はなくなっているのに、いまだに実態を無視した主張をしていることに驚きを禁じ得ません。焼却型清掃工場を前提とした土地利用計画は、もはや成り立たないのです。

 田中区長は告示前の候補者アンケートに答えて、「清掃工場の建設が実現する可能性はほぼない」と既に答えています。直ちに根本的な見直しを図るよう強く求めます。区長の答弁を求めます。

 さて、清掃工場が成り立たないということになりますと、清掃関連施設にかかわる地区幹線道路も見直しの対象に当然しなければなりません。少なくとも当面は計画を凍結すべきであります。今年度予算の中に、地区幹線道路1、2号の都市計画決定に向けての調査・設計費が1,800万円計上されています。予算審議のときにもこの予算は必要がないと主張してまいりましたが、こういう事態になった以上、1,800万円の予算の執行は凍結すべきであります。区長の決断を求めます。

 江古田の森保健福祉施設の整備についてお聞きします。

 区長は、PFI方式を導入して施設の整備を行うことを所信表明で述べました。これまで区はPFI・BOT方式を採用したい旨の報告をしていますので、区の方針に基本的な変更はないということだと思います。この方式による福祉施設の建設は、これまで事例がないと言われています。それだけに、区と区議会の十分な議論と情報の共有が重要であります。残念ながら、これまで議会に対する情報提供が不十分と指摘せざるを得ません。調査会社の調査報告などは、区が加工した簡単なペーパーしか配られておりません。少なくとも概要版ぐらいは議会に提出すべきであります。

 新区長に対し、これまで区が検討してきた関連資料の提出を改めて要求します。あわせて、区民への適時・適切な報告を行い、住民合意の上での建設計画を進めることを求めたい。区長の考えをお聞きします。さらに、厚生労働省と中野区との計画変更に関する交渉が、実務的には最終段階に入っているころだと思います。現状と今後の見通しについての答弁を求めます。

 最後に、西武新宿線開かずの踏切対策についてお聞きします。

 都と西武鉄道とで構成する西武新宿線についての検討会は、その後どのような検討が行われているか、報告を求めます。区長の公約にも「西武線開かずの踏切対策」が入っておりますが、区長は今後どのような取り組みを進めるつもりでおられるのか、考えをお聞きします。

 検討会には中野区は入っておりません。私は、中野区自身がこの問題の当事者なのだから、この検討会に参加し、積極的な役割を果たすべきだとこれまでたびたび要求してまいりました。改めて要望しますが、この検討会に区がメンバーとして参加し、西武鉄道や国、都にしっかり物を申すべきであります。あわせて、事態打開のためには、いずれ区と区議会、区民が一体となった大きな区民運動に高めていくことが重要です。そのことを視野に入れた取り組みが重要だと思います。区長の考えをお聞きします。

 質問を終えるに当たりまして、一言つけ加えておきたいと思います。日本共産党議員団は、どんなときにも区民の命、暮らし、教育を守ることを最優先課題として闘ってまいりました。区民の目線に立って物事に対する賛否も判断してまいりました。田中区長になってもこの立場は変わりません。今後も区民の立場に立って、区民の代表として私心なく全力を尽くすことを申し上げて、質問を終わります。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 江田議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、区長選挙の結果をめぐって、政党や政治団体に推薦要請を行って支援を得ながら、これを隠していたという御質問でございました。このたびの選挙に当たりまして、幾つかの政党から推薦、御支援をいただいたところでございます。これらのことについて新聞等に発表しておりまして、またマスコミでも報道されているところでございまして、全く隠すようなことはいたしておりません。

 それから、半年前まで行革課長だったと。役人が一夜明けたら100%市民派になってしまったというお話でございます。公務員も1人の市民であることに当然変わりはないものでございます。私自身の考え方、区民とともに、区民の意識や生活実感に依拠して政策をつくること、そして、それを進めていくことというのを私の主な主張としてきたところでございまして、その意味で、私の主張として市民派という言葉を使ってきたものでございます。

 また、行政改革課長であったと、そこで仕事をしてきたということについて、私、区民の皆さんに隠したり、そういったことは一度もしたことはございません。きちんと明らかにして運動してきたところでございます。

 行財政5か年計画の推進の中で、私がさまざまに区民の皆さんとの間でやりとりがあったこと、御指摘がございました。私自身としては、先ほどもお答えいたしましたように、限界のある立場の中での仕事をしていたというのは、組織の中の人間として当然のことでございます。そうした中で、私自身、できる限り説明責任、あるいは区民の皆様とのお話し合いに努めてきたこと、当然私自身としてやってきたことでございました。しかし、区としての進め方の誤り、区政のあり方について、これを正さなければいけないということから、この区政を変えるための行動を始めたということでございまして、その中では私自身が果たしてきた役割についての反省も含めて、新しい区政をつくっていくという動きを開始したということを御理解いただきたいというふうに思っております。

 なお、行財政5か年計画の中で、さまざまにやらざるを得なかった歳出削減のための方策について、私自身、あらゆる場で、多くはいたし方のない、取り組まざるを得ないこととして行財政5か年計画の歳出削減はあった、このように御説明をしているところでございます。しかしながら、そこに至る過程での、財政が悪化していく中での区政の責任のとり方、情報提供のあり方、区民参加のあり方、そうしたことについて、やはり区政のあり方として変えていかなければならない。もっと早くからきちんと区民の皆さんと向き合って、きちんと改革に取り組んでいれば、あの行財政5か年計画のような形での取り組みはしなくても済んだのではないか、そのような立場で私は活動を行ってまいりました。

 教育委員の区民投票の制度についての御質問でございます。教育委員選び区民投票の制度につきましては、中野区における教育自治を発展させる上で意義のあるものであったというふうに認識しています。現在は教育委員候補者の区民推薦の制度となっているわけでございますが、これが現在の区民の総意による現行の仕組みであると考えておりまして、今後とも教育に区民の意思が反映されるように努めてまいりたい、このように考えております。

 基本構想と10か年の計画ということでございます。新しい基本構想については、10年後に目指す中野の姿について、理念だけではなく、現実的に達成できる目標をはっきり示すべきであるというふうに考えております。そうしたことから、所信表明の中での御説明のような形になったものでございます。具体的には、10か年の現実的に達成できる財政的な裏打ちというようなところから、10か年の行財政計画をあわせて策定するという、そういう手法になるということを申し上げているところでございます。

 都区財政調整制度のことでございます。都区財政調整制度について、特別区に必要な財源、当然きちんと確保していく必要があるわけでございます。今後とも都に対しまして適切な財源配分を強く求めていくように、区長会の中でも私自身きちんと発言をしていきたいというふうに思っております。

 住民基本台帳ネットワークシステムの問題でございます。先ほどもお答えしておりますように、改正住民基本台帳法の附則で、法施行に当たっては、個人情報の保護に万全を期すため、速やかに所要の措置を講じるというふうに定めているところでございます。ここで言う所要の措置について、いわゆる個人情報保護法の制定を指すものであるというふうに私どもは認識しているところでございます。現時点ではさまざまあって、個人情報保護法案の成立の見通しが立たないという状況になっているところでございます。国などの動きを慎重に見きわめながら対応を見定めていきたい、このように考えております。

 有事法制についての御質問でございます。有事法制について、現在、国会で議論が行われているわけでございますが、内容といたしまして、内閣総理大臣による自治体への指揮命令、それから、住民の権利義務の制約といったような内容が含まれているところでございます。地方自治のあり方にも大きくかかわる問題を含んでいるところでございます。自治体の長といたしましては、現在の法案のままで法律化すべきではないと考えておりまして、さらに十分かつ慎重な論議が行われるべきであると考えているところでございます。

 それから、官房長官の非核三原則の見直し発言についての御質問でございました。非核三原則の見直しの可能性や核兵器の保有を容認するといった旨の発言については、許されないことであるというふうに考えております。中野区が加入しております非核宣言自治体協議会におきましても、抗議と発言の撤回を求めたところであると、このように承知しております。

 それから、憲法擁護・非核都市の宣言をしている中野区として、平和の意思を発信する取り組みを進めるべきだということでございます。中野区は憲法擁護・非核都市の宣言をしまして、平和行政の基本に関する条例を制定しているところであります。宣言から20年目を迎え、ことしは多くの区民が参加できる企画としていきたいと考えております。また、今後も平和への取り組みを重視して進めていく考えでございます。

 なお、8月に長崎で開催予定の日本非核宣言自治体協議会の総会には、私自身が出席いたしますなど、区民の皆さんとともに平和を訴えていく、そのようなつもりでございます。

 それから、警察大学校跡地の問題でございます。清掃一部事務組合の検討報告を読むと、焼却型清掃工場を前提とした建設計画は成り立たないという御質問でございます。区の用地取得に対する清掃一部事務組合内での検討の結果が、23区全体として、現段階での用地取得は不要という考え方として、同組合の評議会に報告されたということを聞いているところでございます。

 しかしというか、その場において、この問題、自区内処理の原則、清掃一部事務組合がよって立っています大原則、自区内処理の原則、そういったようなこととか、それから23区の清掃事業の運営のあり方、こういったようなことに非常に大きな影響があるということでありまして、今後この考え方について、区長会の場において検討されるようになったというふうに聞いているところでございます。この問題に関しまして、各区それぞれの立場があるということでございますので、区長会での議論を見きわめながら、現在ある土地利用転換計画案の実現の可能性などを検討してまいりたい、このように考えております。

 西武新宿線の踏切対策でございます。昨年2月、東京都と西武鉄道によりまして、西武新宿線の検討会が設置されていると。渋滞解消に向けた対策として、道路と鉄道の立体交差化の調査検討などを行ってきているということでございます。東京都は近々、複数の案について区に示しまして、今後の進め方等について調整に入りたい意向であると聞いております。区といたしましても、これを踏まえまして十分検討してまいりたい、そう考えております。

 なお、この検討会につきましては、私も早期に加われるように要請をしてまいりたい、そのように考えております。

 以上でございます。

   〔地域センター部長柳澤一平登壇〕

○地域センター部長(柳澤一平) 保育園の民営化に関しての御質問につきまして、私の方から御答弁をさせていただきます。

 中野区の保育サービスを今後とも維持改善していくため、区立保育園の運営を改善するとともに、区立保育園の民営化とあわせて民間保育園への支援を行うことによって、待機児をなくし、多様な保育サービスの充実に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

  〔教育委員会事務局次長山下清超登壇〕

○教育委員会事務局次長(山下清超) 小・中学校の修繕費、あるいは図書購入費の削減についての御質問にお答えをさせていただきます。

 区財政の危機的な状況から、経常経費を削減する必要がありまして、学校修繕費あるいは図書購入費の総額について、やむを得ず抑制してきた経緯がございます。しかし、限られた予算の中ではありますが、小・中学校につきましては、耐震工事を初めとして、安全性の確保あるいは緊急性ということについて最大限の配慮をしてまいりました。また、図書館につきましても、選書にさまざまな工夫をするなど、影響を極力小さくするよう努めているところでございます。今後につきましては、財政状況全体を勘案しながらということになりますが、必要な措置がとれるよう、私ども最大限の努力を払ってまいりたいと考えているところでございます。

    〔都市整備部長宮村光雄登壇〕

○都市整備部長(宮村光雄) 警察大学校等跡地の地区幹線道路の調査委託は凍結すべきだとの御質問にお答えいたします。

 地区幹線道路の調査委託は、道路予定地付近の地形測量等を行うとともに、周辺交差点などでの交通量調査や、導入予定施設からの発生交通量に基づき、将来交通量を予測するものでございます。既に本年5月に契約をいたしまして、現地での測量及び調査に着手しているところでございます。約13.7ヘクタールと広大な跡地の土地利用転換には、骨格となる道路が不可欠であり、昨年策定いたしました土地利用転換計画案にある地区幹線道路は、清掃工場の有無にかかわらず重要な役割を持つものであると認識しております。したがいまして、この調査は今後の跡地の検討などに欠かせないものであり、また交通量予測などについても、清掃工場がある場合とない場合のいずれにも対応する調査でございまして、予定どおり執行してまいります。

    〔保健福祉部長石神正義登壇〕

○保健福祉部長(石神正義) 私からは、江古田の森の整備につきまして、2点にわたる御質問にお答えいたします。

 まず、調査報告など資料の提供についての御質問にお答えいたします。

 昨年、専門家に委託して行った調査につきましては、行政の内部で検討するための参考資料として、整備手法のコスト比較及び民間事業者の参入意欲、こういったことを把握するために行ったものでございます。この結果につきましては、既に概要という形で議会に報告したところでございますが、議会と情報の共有を図りまして十分な論議をしていくためには、この調査報告につきまして議会に提供していきたいというふうに考えてございます。

 次に、厚生労働省との交渉の現状と見通しということの御質問にお答えいたします。

 これまで厚生労働省とは、国有地の取得にかかわる売買契約の内容のうち、PFI法をとることによりまして変更すべき事業計画、また、事業主体及び用地の買い取り期限の延伸について協議を行ってきたところでございます。事務レベルでは理解されているというふうに考えてございます。今後は、この契約変更を正式に検討してもらうために、変更申請とともに、厚生労働省が求めております、江古田の森に整備する保健福祉施設の整備方針、これを早急に示したいというふうに考えてございます。このため、区といたしましては、厚生労働省から示されている申請期限10月までに、区議会、区民の方に理解を得て、整備方針を取りまとめていく考えでございます。

 以上でございます。

      〔江田徹議員登壇〕

○42番(江田徹) 何点か再質問させていただきます。

 行政改革課長として果たしてきた役割と、それから、この所信表明の中でいろいろ述べられていることとの関連ですが、先ほどの答弁で区長は、当時はみずから与えられた権限の中でこうするしかなかったという、そういう趣旨の答弁をしておられます。私はそれが、例えば新しい区長が誕生して、田中さんが助役になられたと。行政マンとしてそのまま行政のトップになられたということであれば、そういう御答弁もあるだろうと思うんですね。ただ、あなたは選挙を通じて政治家になるということを目指して区長になられたわけですから、政治家区長として、かつての行財政5か年計画をみずから、御自分が先頭に立ってやってこられたことに対してきちっと総括をして、区民に対して、新しい政治家区長として私はどう考えると、これからどうしていくかという、そのことを明確に述べるのがあなたの責任だと思うんですよ。先ほどまで述べているのは、あくまでも行革課長としての限られた権限しかない行政マンが、さらに一つ二つ上の段階になった、その程度の答弁でしかないというふうに思いますので、その点についてはもう一度、政治家区長としてこの問題をどのように考えるか、お聞かせいただきたいと思います。

 それから、先ほど、政党隠し、あるいは100%市民派の問題については答弁いただきましたが、全くすりかえの答弁でありまして、これでは納得できません。ただ、質問については省きますが、そのほかのことで2点ございます。

 一つは、私は基本構想を区長が変えるということに対してお聞きして、一体どのように変えるのかということもその際あわせて質問いたしました。所信表明の中では、基本構想を変えるということは言っているけれども、基本構想とあわせて行財政10か年計画みたいなものをつくるんですよということは、どこにも書いていないんですよね。あなたは書いてあると言うかもしれないけれども、どこを見てもそれはないんですよ。そういうものを、私は所信表明の中でそういうふうに答えたんですという、そういう言い方はないでしょう。もう少し御自分の所信表明の文言に責任を持った答弁をいただきたいと思います。

 それから、あわせて私が基本構想でお聞きしたのは、中野区の基本構想の根幹をなしているのは憲法なんだと。「憲法を 生かそうくらしに 中野のまちに」とか、「障害のある人ない人みな区民 ともに歩もう中野のまちを」というのは、あの基本構想の中から出てきたものなんだと。この一番大事な精神をあなたは守っていくのか、それとも変えようとしているのか、そのことをお聞きしました。これに対しては答弁がありませんので、もう一度お聞かせください。

 それから、5か年計画についても答弁がありませんでした。所信表明の中では、5か年計画にかわる本格的な区政の将来構想と計画をつくるというふうに述べているんですよ。ここで言う将来構想というのは、基本計画に限りなく近づいていくじゃないか。一体ここで言う将来構想とは何なのか。それから、その後に計画というのがくっついているけれども、これは一体どういうものなのか。それから、5か年計画の中身は、区民に痛みを押しつける、そういう中身であるけれども、あなたが所信表明で言っているように、区民の人権を守るという立場に立つならば、この5か年計画の基本的スタンスを全面的に変えなければおかしいではないかということを私は質問しているんです。そのことについての答弁がありませんので、お答えをいただきます。

 それからもう1点、保育園の問題に絞ってお聞きします。ほかにも聞きたいことがいろいろあるんですが、一番腹に据えかねるのはこの保育園の民営化についての答弁です。余りにもひどいじゃないですか、これは。今まで何度もあなたはこういう答弁をしてきたんですよ。これは間違いだということを私は理を分けて述べているのに、私自身の考えを述べているのに、あなたの答弁は十年一日のごとし、全く変わっていない、全く不誠実な答弁であります。こんなばかげたひどい答弁はない。もう一度明確にこの問題についての答弁をいただきたい。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 再質問にお答えをいたします。

 行政改革課長として果たしてきた役割、立場上しようがなかったからということを私は再三申し上げているわけでは全くございません。私が行ってきた仕事、立場として仕事を行ってまいりました。その立場で変えられることと変えられないことがある。区長としての立場、それこそ政治家としての立場で変えなければ、この中野区を変えられないというふうに判断して、私は今このような立場になったものでございます。そういう意味で、行財政5か年計画についてどう思うかというお答えに入ってまいるということだと思っています。

 行財政5か年計画については、先ほど来何度も申し上げていますように、その策定に至るプロセス、やはり区としては間違っていたと言わざるを得ないと思っています。そのことを変えたいということも何度も申し上げました。そして、行財政5か年計画の不十分さというのは、当面する歳出削減策、これを計画しただけにすぎない。将来的な中野区をどうしていくのかとか、あるいは5カ年の中でも3年目、4年目の歳出削減策をどうつくっていくのか。そういったような先の見通し、展望といったようなものについて全く持ち得ていなかった。このことが大きな限界であります。中野区の行財政の動き、流れの中で、こうした行財政5か年計画しか持つことができないようになってしまったこと、そのことそのものが中野区のこれまでの区政の限界であったと、私はそのように申し上げているところでございます。

 基本構想をどのように変えるかというようなことの中で、全く所信表明の中に10か年の計画という文言が書いていなかったということでございますが、基本構想を策定する中で、長期計画などの計画行政のあり方についても見直しを行い、そうした立場に立って、基本構想について実現性や計画性を重視した形のものにするということを申し上げております。そうしたことの具体的な内容として、10か年程度、つまり基本構想と同じ計画スパンを持った行財政計画が必要であるということを本日申し上げたわけでございまして、所信表明のさらに中身に踏み込んだ内容がきょう出てきたというふうに受け取っていただくしかないのであろうと思っております。

 5か年計画にかわる将来構想というようなことが言われているわけでございますが、5か年計画を策定した段階で、中野区の基本構想というもの以外に長期的な計画が今はないという状態になってしまいました。基本構想自体が、先ほど来申し上げているように、昭和56年につくられて30年程度の計画スパンを持ったものであるという形のものであります。今、21世紀になって、新しい中野区の区政の形、区民の皆さんが本当に生きがいを感じたり、お互いに支え合ったり、地域社会の中でお互いに安心して支え合って暮らし合えるような、新しい地域社会をつくっていく上で、基本構想という形での新しい将来像を描き出すことというのは、非常に重要なことになってきているという認識を再三申し上げているところでございます。しかもこの時代の変化が激しい、財政的な裏付けを持った計画が必要ということの中で、基本構想と10か年の行財政計画をあわせて策定することの意味は大きいというふうに申し上げているところでございます。

 それから、区民の人権を守るという立場に立つのなら、行財政5か年計画の内容をすべて否定するべきであるといったようなお話があったかのように受けとめました。区民の人権を守る。言い方を変えれば、区民の人間として、人としての尊厳を守ることが行政として大きな役割、基本的な役割であるということを私、認識として持っております。そうした区民の人としての尊厳を守る、人として生きることの喜び、人として生きることを支える、そうした区政をつくっていく。その土台をつくっていかなければならないのが、今回、財政再建をしなければならない、そして、新しい区政の形をつくり出していかなければならない、基本構想の改定であり、行財政計画の策定であるということで私は御提案申し上げているところでございます。

 それから、保育園の民営化についての御質問でございました。保育のあり方については、保育という事業そのものは、法律によって、保育を実施するのは区の責任ということになっているわけでございます。そこで、中野区のお子さんが保育園で保育をされるということについて、中野区は保育園にお子さんを、今、措置すると言いませんけれども、入所させるということをする以上、保育の質をきちっと維持したり、あるいは、必要なお子さんすべてにきちんと保育サービスが提供できるようにしたりということをしていくことが非常に重要なことになってくるわけでございます。

 保育園の保育サービスにつきましては、区立保育園でも提供している、民間の社会福祉法人でも認可保育園として提供している。今の制度のあり方によりまして、株式会社でも認可保育園として提供することができる。そうした形で、認可保育園として保育サービスが提供されているという状況があるのであれば、そうした保育サービスを中野区の中で活用していく、生かしていく、そうした可能性は当然否定するべきでないというふうに考えております。ここで重要になってくるのは、そうした保育サービスを活用していく中で、保育の質や保育の内容、そういったようなものを、必要で十分なものをきちんと維持していくために、保育を行う責任を持つ行政としての役割、これをきちんと果たすことであるというふうに私は考えております。

 以上でございます。

      〔江田徹議員登壇〕

○42番(江田徹) 最後の質問になります。

 私は今、区長から基本構想及び行財政5か年計画に関する答弁をいただいたんですが、区長自身が説明責任を強調しておられるわけですから、聞いている方がわかるように、もっと率直な説明をいただきたいというふうに思うんです。先ほど基本構想と10か年計画が必要だということを繰り返し言っているんですが、私は10か年計画を一度も否定していないんですよ。そうではなくて、あなたの所信表明の中には、10か年計画の問題はどこにも入っていないじゃないですかということを言っているんですよ。それに対してあなたの今の答弁は、長期計画など計画行政のあり方についても、これまで財政的裏付けを持たない基本構想に基づいて行政計画をつくったために云々ということで、つまり、この長期計画とか計画行政で触れたところは、今までのことを言っているんですよ。そうでしょう。これからのことをここでは言っているわけじゃないんですよ。今までこうだったということで、反省を述べているんですよ。それで、その次に、私は中野区基本構想について、幅広い区民参加のもとで見直しに着手し、2年程度の期間をかけて、実現性や計画性を重視した形のものに改定したいというふうに述べているんですから、これは明らかに、2年間かけて基本構想を改定したいということなんですよ。ですから、この所信表明の中は、あなたが答弁したような中身になっていませんよと。もしこの説明が、あるいは所信表明の文章が不十分ということであれば、そういうふうに明確に述べて議会に説明をすべきであって、非常にそういう点ではすりかえの答弁ではないかというふうに率直に言わざるを得ません。

 それから、私は、人権ということを言うのであれば、行財政5か年計画を否定すべきではないかと、そんな乱暴なことは一言も言っていないんですよ。そうではなくて、あなた自身が行財政5か年計画についてはこういうふうに言っているんですよ。それにかわる本格的な区政の将来構想と計画をきちんとした手続のもとに定めていきたいというふうに言っているわけですから、ここで言う将来構想と計画というのはどういうことなんですか。それから、将来構想をこれから言うのであれば、議論するのであれば、これまで区民に痛みを押しつけてきた行財政5か年計画のスタンスと、これからあなたが考えようとするスタンスとでは、当然変わっていくべきではないですかということを言っているんですよ。行財政5か年計画を全部否定しなさいなんて、そんな乱暴な聞き方はしていないんです。そのことについてもう一度、ここの部分は正直言って非常に混乱していると思います。整理をして答弁をいただきたい。

 それからもう1点、保育の問題での答弁がありました。民間保育園、民間を否定すべきでないと、そういうふうにおっしゃっているんですが、私は民間株式会社による保育というものを、この質問の中で否定している部分はどこにもないんですよ。そうではなくて、今、国が目指しているのは、民間企業に保育の場を開くことによって、そこを市場にほうり込むことによって、社会福祉法人立の保育園や、あるいは公立保育をつぶすというのが国の基本的な流れでしょう。そういう流れの中に今あるんですよ。だから、そういう中で、私が言っているのは、本当に区長が保育の質を守るということであれば、今ある区立保育園の蓄積とか、あるいは社会福祉法人が果たしてきたすぐれた実績があるわけですよ。そういったものをしっかり生かしながら、そこがしっかりしていることによって、あなたの言うレベルアップというものも図られてくるんだと。そのことを全く抜きにして、さっき地域センター部長が答弁したように、民間のそういうこともあり得るんだという、そういう乱暴なやり方はないでしょうということを僕は言っているんですよ。そのことについて答弁をもう一度いただきたい。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 再々質問にお答えをいたします。

 私が申し上げた基本構想と10か年程度の行財政計画について、否定しているわけではないという御質問の前提でございましたので、安心いたしました。所信表明で申し上げているのは、もう一度でございますが、これまで財政的裏付けを持たない基本構想に基づいて行政計画をつくったため云々で問題が生じてきたところです。このように私は申し上げています。そうした上で、中野区基本構想について、2年間程度の期間をかけて、実現性や計画性を重視した形のものに改定したいと考えていますというふうに申し上げています。その具体的な内容についてお尋ねがあったので、基本構想を10か年程度のスパンにすること。それから、10か年程度の同じようなスパンを持った行財政計画が一緒にあることによって、計画性や実現性が担保されるものであることということを申し上げているわけでございます。決して、所信表明に書いてあることと本日申し上げていることと、違っているというふうには思っておりません。答弁の中で説明がわかりにくい、説明が下手だというようなことにつきましては、私自身これから研さんに努めてまいりたいと思っております。よろしく御理解をお願いしたいと思います。

 それから、5か年計画のあり方について、将来構想と計画をつくるんだということで、人権を守るということに立つのであれば、5か年計画のスタンスは改めなければつくれないだろうといったようなことだったかと思います。行財政5か年計画は、先ほど来何度か申し上げておりますが、実際のところ、歳出削減のための方策が具体的に先行している、そうした計画でございます。しかし、私がこれからつくらなければいけないと申し上げているのは、新しい取り組み、21世紀、私たちの地域社会が何が必要かということをきちんと展望して、その取り組みをつくり出していく構想をつくるということを申し上げているわけでございまして、当然、行財政5か年計画で持っている限界、そうしたものとは全く立脚点を異にする発想になるというふうに私は考えております。

 それから、民間保育園を全く、株式会社も含めて否定されていないということなので、その点同じ考え方だというふうに理解しております。国が目指しているのが、保育を市場原理の中にほうり込んでしまって、そのことで法人や公立の保育をつぶそうとしているんだといったような御質問があったように思うわけでございます。(「質問じゃないよ」と呼ぶ者あり)御主張があった上での御質問があったのだというふうに理解いたしております。あらゆる立場の保育園が全く自由競争のちまたで弱肉強食の野にほうり込まれるといったようなこと、私たち地域社会で保育について責任を持っている行政、また責任を持って認可保育をしようとする事業者、そして何よりも子ども、安心して保育をしたいという住民の皆さん、そうしたすべての動き、すべての考え方を総合して考えまして、単に市場の中に全く投げ込まれてしまう、その中で法人や公立保育園がつぶれてしまう、そういった考え方は、私は全くとれないというふうに思っております。新しい、あるいは今の保育の仕組みの中で、その保育の質やその量、またその内容、それを維持するためのさまざまな方策は現在も講じられているわけでありますし、これからも保育を実施する行政として、中野区は中野区の役割をきちんと果たしていくんだということを私は申し上げているわけでございます。そういう意味では、これからも中野区の保育について、お子さんたちに本当によい保育を、そして、必要なお子さんたちに保育がきちんと提供できるように保育行政を進めてまいりたい、そのように考えているところでございます。

 以上でございます。

○議長(斉藤金造) 以上で江田徹議員の質問は終わります。

 

中野区議会議員 木 村 勝 昭

 1 分権推進のうごきのなかでの執行機関と議会のあり方について

 2 これからの自治体経営、行政運営について

 3 地域と学校の協力、連携について

 4 その他

 

○議長(斉藤金造) 次に、木村勝昭議員。

      〔木村勝昭議員登壇〕

○30番(木村勝昭) 時間も過ぎていますので、手短かに質問いたします。

 2002年、平成14年度第2回定例会におきまして質問をさせていただきます。さきの区長選挙では、中野の過去・現在を踏まえ、そして未来の方向性を決める選挙でありましたが、区民の選択により区長に就任された田中大輔区長が率先垂範の姿勢で区政のかじ取りを果たしていただきますようまず要望し、また御期待申し上げるところであります。

 早速第1の質問に入りますが、地方分権推進の中での執行機関と議会のあり方ということでございます。地方分権推進の中でということについて、少し私の所感も含めて申し上げませんと理解していただけないと思いますので、若干説明させていただきます。

 現在、日本は、よく言われるように、明治国家以来続いた中央集権の国家統治から地方分権に向かい、改革が進められております。その進捗状況が遅いかどうかは別にして、この動きは歴史の流れであります。現在進められようとしている地方分権を第1次地方分権などと呼んでいる専門家もおります。この地方分権の意義は、上下主従関係から対等協力関係へ、また自治体は自己決定・自己責任の運営を進めることなどとも言われております。中央依存体質から地域自立型の自治体に転換すること、国の事業の下請の事業官庁から政策官庁への転換、このようなことが地方分権推進の中身でなければならないのではないかとも思います。中央政府のさまざまな政策・事業メニューを賢く利用し、顔は地域に向けて地域住民との協働を進めていく、そんな自治体が望まれていると思います。

 このように大きく変化していく自治体のあり方の中で、同時に問われているのが執行機関と議会の関係、あるいは自治体議会のあり方ということになると考えております。先ほど申し上げました自治体の自己決定・自己責任の運営、言いかえれば、おのれの自治体をどのようによりよい自治体にするのかが自治体の課題に、これはすなわち執行機関または議会の双方の課題であると思います。

 先ほど、冒頭の市川みのる議員の質問でも、市川議員からいろいろ質問されておりましたが、日本の自治体政治は二元制民主主義と言われていることは御承知のとおりです。自治体の長も住民の投票によって選ばれ、議員も同様に住民の投票によって選出されます。長は予算の提案や行政組織の人事権を持ち、一言で言えば大統領的な権限を持っていると言われております。そして、戦後の日本の自治制度は一貫してこのシステムで運営されてきているわけですが、特に分権推進が開始されて以降、この二元制民主主義の解釈は、片や住民から選出された長、片や住民から選出された議会という構図のもとに、執行機関と議会の緊張関係、あるいは切磋琢磨が地方自治の本領を豊かにしていく源泉であるとの解釈や認識も今広まっております。

 議会も議決機関、立法機関としての権限を保有しておりますが、日常、行政執行をしている執行機関の提案の諾否を行うことを中心課題にしてきていたのが、今日までの議会の現状ではあったと思います。本日のところ、ここで議会の課題がどうとかということはさておきますが、いわば地域自立型・自己責任・自己決定の原則が主流になる時代において、また中野区という自治体がよりよいものを創造していく上で、行政の責任者としての長のビジョンや、執行機関から議会へのさまざまな問題提起やコミュニケーションというものが非常に大事になると私自身思っております。

 さて、そこで、区長は既に区民との対話を積極的に進めていくことを明らかにしており、それはそれで大いに結構なことであると思いますが、私流に解釈しますと、住民との対話、すなわちこれは直接民主主義的な手法であります。同時に、近代社会・現代社会は間接民主主義の制度化、議会制民主主義のもとで制度・政策が決定されてもおります。そのような意味では、区長は議会とも積極的な対話、あるいは、みずからのビジョンを明確にみずからの言葉で語りかける姿勢がこれから求められるのではないかと考えておりますが、区長の所感をお尋ねいたします。

 次に、これからの自治体経営・行政運営ということでお尋ねいたします。

 さきの質問でも申し上げましたが、自治体も大きな転換期に差しかかっております。自治体は地域の最大のサービス産業だと言われてからも随分久しくなります。お役所仕事からの脱皮・脱却が大きな課題であります。区長もそのことに所信表明で触れられております。そこで、幾つか質問をいたします。

 組織の改革、職員の意識改革、新しい事業展開などを考えたときに、その手法として、民間の経験者などを積極的に活用することも必要ではないかと思います。この発想は既に全国の自治体でも取り組んでいるところであります。また、この議会で同僚議員からもそういう提案もあった記憶もございますが、現在、教育行政などでは、特に民間公募の教育長や教育委員などが今あちこちで話題になっていることもございます。私は、行政全般においてそのような手法による新しい知恵、発想など、抜本的改革を行う上では必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 この件に関しては、これもたまたま、偶然にも昨年、区議会の江口委員長の総務委員会、私も総務委員でありますが、総務委員会が寝屋川市に視察に行きました。区長も当時、そのときは課長職としてたまたま一緒に参加されました。この寝屋川市では、3年間の任期で部長職待遇の方を公募し、採用して、行政改革・政策評価・事業評価などの作業を精力的に進めていることを視察したわけでございます。

 この寝屋川市の公募に対し、全国で30数名の方が応募したそうですが、市ではその中から3名に絞り、さらに最終選考の中である方に決めました。その方はたまたま地元、寝屋川市に住んでいる、三洋電機の販売戦略部長的な仕事を最後に退職された方でございました。今、部長職といっても公務員給与並みの待遇ではありません。給与は非常勤職員並みであります。それプラスその方の年金で地元の市に奉仕すると、そういう気概で採用されたのではないかと思いますが。この方、期間限定の特別職的な位置付けで、市長の特命で精力的な仕事をこなしておりました。田中区長もそこにおいででしたから、これ以上説明は避けますが、民間経営に携わった経験者の価値観や経験、こういうものを行政組織に組み込むことによって進む改革作業、こういうことを私どもも2時間近くにわたってその方のお話を聞きましたが、本当にうなずくことしきりの2時間でありました。

 そこで、課題によっては、任期制の民間人の登用なども大いに検討すべきことと思いますので、いかがでしょうか。

 次に、区長は区民との対話を継続的に進めていくということであります。私はそれに加えて議会との対話も重要であると先ほど申し上げましたが、これも先ほど同僚議員の質問のところでもちょっとございましたが、同様に大切なのは職員との対話ではないでしょうか。今、私のところにも、また多分同僚議員の皆さんのところにも、いろいろな意見、苦情が寄せられていると思いますが、その中で職員に関することが本当に多くあります。区政の停滞という中で、非常に現場の職員のやる気、問題意識というものは弱まっているのかなと、そんな感じがしないでもございません。

 区長も述べておりますように、職員の潜在的能力はあるはずです。これは別に中野区の職員に限らず、人間にはすべてそういうものが備わっていると私は考えておりますが、潜在能力はあるはずです。今、それを激励することが大切であると思います。職員との対話と申し上げているのは、何もかしこまった形式的な対話と申し上げているわけではありません。例えば、区長も就任早々お忙しいかもしれませんが、区長が現場を回る、あるいは庁内を歩く、軽くコミュニケーションを交わす、またメールを利用して職員に区長の考え方を伝えるなど、いろいろな方法があると思いますが、そのような形で、いろいろな意味、方法、手法で職員との対話をする必要が今あるのではないか。それをまた職員も待っているのではないか。こんなふうに感じておりますが、区長はいかがお考えでしょうか。

 所信表明の中で区長は「職員の専門性を向上させる人事配置」と言っておられますが、現在も例えば、職員はジェネラリストかスペシャリストかなどとよく言われますが、私は二者択一の問題ではないと最近思うようになっております。公務員であれば、ジェネラリストは当たり前。もちろん3年、5年の勤務の若手の方にそれを要求するつもりはございませんけれども、10年、20年の職員がジェネラリストは当たり前、そういう前提で今後対応していく時代に、また公務員制度も見られているのではないでしょうか。ですから、この人材育成ということにつきましては、申し上げましたように、ジェネラリストを前提にして、同時にスペシャリストをつくる、そういうことを考えていく時代なのではないかと思います。

 専門性を向上させるための人事配置もうなずけないわけではありませんが、これも非常に大事なことだと思いますが、職員の専門性の向上のために今後どのような具体策を検討すべきなのかについても、お考えがあったらお答えください。

 さらにまた所信の中で、区の組織をさらにスリム化し、体質改善を行い活性化させるとも述べられておりますが、その具体策についてもお考えがあったらお答えいただけますようお願いいたします。

 次に、地域と学校の協力・提携ということについて、事前には二つと申し上げましたが、一つだけにしますのでお願いいたします。

 これは四中のことでございます。今、第四中学校で始めた日曜日の一般開放についてでございます。これはまだ御存じない方もいらっしゃるかと思いますので、ちょっと概略を説明申し上げますと、学校の施設を学校教育の支障のない限り、地域の人々に開放する。また生涯学習の中心的な場となることを目標にということで、日曜日の午前9時から11時半までの学校開放を行うということでございます。

 ユニークなのは、開放するのは校庭、テニスコート、体育館、プレイ広場--プレイ広場というのはバスケットのボードなどがある、四中の裏側の方ですけれども、あと中庭、視聴覚教室、これは卓球用に使っていただくということで開放すると。会議室、これは囲碁・将棋用に開放と。それから図書室。図書の貸し出しはできませんけれども、図書室を御自由にお使いくださいと。それからまたコンピュータ室であります。コンピュータについては、教える方が調達できていないという場合もあったりしておりますが、最近は大体、ほぼ地域の方の御協力を得られるということにまでなってまいりまして、このコンピュータ室も開放でございます。

 この開放を運営するのは第四中学校学校開放運営協議会という会で、すべて地域の方々のボランティアであります。御承知のように、学校開放、あるいは開かれた学校のあり方ということについては、本当に大げさにいえば、戦後の教育行政の大きな課題でございました。中野区でも過去いろいろな取り組みもありましたし、変遷もありました。私も振り返るといろいろな記憶が思い起こされますけれども、今回のこの第四中学校の試みは、当区で私の知る限り、画期的な取り組みであると思います。日曜日の当日、学校に先生方がいるわけではありません。また、教育委員会から委託された業者や学校開放の指導員がいるわけではありませんが、現実に学校開放を行っているわけでございます。地域のボランティアの方が受付をしたり、パソコンを初めいろいろな指導をする方がいるわけでございます。

 私も四中の近くに住んでおりますから、昨年からこの取り組みの準備が開始されたことは承知しておりましたが、いざ実際に開始されてみて、先ほど申しましたように、私も現実に学校に行ってみたりしまして、ああ、これは本当にすごいことだなと。と同時に、今までなぜできなかったのだろうかなというふうにも思いました。

 先般の6月23日の日曜日には、体育館がスポーツチャンバラの大会、中野・杉並・三鷹の合同の大会ということで、体育館は体育館でそういう団体の方が大勢おり、また、学校全体は地域の方が受付を通していろいろ出入りしているということで、大変なにぎわいを見せておりました。同僚議員の方もおいでの方もおりましたので、御承知のことかと思います。

 このようなことができた最も大きな要素は、私の見たところ、いろいろな経緯を踏まえながら学校教育に携わってこられた里見校長の熱意、判断、決断、こういうものが大きいのかなと思います。また同時に、そういうアプローチがあれば、地域はそれにこたえる。そういうことも現実に、そういう地域の皆さんの熱意、そういうものがあったのかなと、そういうふうに思うわけでございます。晴れた天気のよい日曜日のある午前、お孫さんを連れたおばあちゃんが、言ってみれば緑豊かな四中の中庭などを散歩しているところを見るのは、本当にほのぼのとする光景でございます。学校と地域は目に見えない、深い溝が今までありました。本音と建前のずれもありました。今回の四中の試みは、四中の自主的な試みではありますが、やればできるということを見事に示しているものとも思われます。

 教育委員会では、この四中の試みを、これは全く今、試みとしてやられているようでございますが、どのように受けとめ、評価されているのか。また、この試みについて、今後どのような課題があるとお考えなのか、お答えいただければと思います。

 その他で1項目質問いたしますが、これは環境行政について1点だけでございます。

 地球環境問題はますます深刻になってきております。同時に、そういう意味で、問題がグローバルな課題となって、地域や国境を超えた対策を講じていかなければならない、そういう課題が非常に多くなってきておるのも事実であります。が、同時にまた、やはり自治体の役割が問われているのが現実でございます。一口に環境行政というのは非常に広く、深く、専門的になってきております。大きな問題だからといって、国に任せていいわけではありません。自治体がもっといろいろな立場で活動を進めるイニシアチブを発揮するとき、時代でもあります。

 そういう意味で、全国を散見すれば、例えば東京都のディーゼル車の規制問題、杉並区のレジ袋問題、あるいは三重県の産業廃棄物税の新しい導入とか、また、23区では墨田区の雨水利用の積極推進。この雨水利用は、最近では廃校を利用した環境学習センターの開設や、雨水資料館などの併設というようなことにもなっております。また、「雨水利用を進める全国市民の会」などのNPOの立ち上げなど、あるいはまた、国連などからも注目されるような水の重要さという意味で、そういう事業にもなってきております。

 さて、振り返りましてというか、また現実を見詰めたときに、我が中野区の場合を考えたときに、中野区の置かれている状況、これは一口に申し上げれば、住宅都市、消費都市、そういう中で、また大企業がたくさんあるということではなく、中小の、これから熱心にベンチャーを起こそうなんていう人たちも含めまして、いろいろな中小企業が存在するというような都市でございます。このような都市の性格に応じた環境政策、そういうものを本当にこれからきちんと考えていただく、そういうことが必要なのではないか。地球温暖化問題などを考えたときにも、そういう中で何を本当に重点的に取り組むのかというようなことを考えることが必要なのではないでしょうか。

 実は先般、6月15日には、環境リサイクルプラザで第4回中野区環境行動の日なるものが開催されました。私もそこに参加させていただきまして、いろいろな催し物も見てまいりましたけれども、1回、2回と進めるに従って中身がだんだん充実してきているなと。職員の人も一生懸命やっているなと。参加する環境ボランティアの区民の方も徐々にふえているなという感じはいたすわけですが、ちょっとまだまだ環境問題というのは、もっと自治体としてやることがあるのではないかなというのが率直な私自身の感想でございました。

 そのような意味合いを置いてちょっと質問させていただくわけですが、環境政策について随分、この10数年間も長い議論の中でまた指針をつくり、条例をつくり、基本計画をつくりと進んできてはおりますが、今、中野区政が重点としている環境政策、環境行政、そういうものは何なのか、その辺だけ本日はお答えいただければ。また同時に、これから本当に行政・企業・区民、一緒になって地球温暖化問題などに対応するということで、私自身も一生懸命頑張ってまいりたいという気持ちもございますので、一つだけ、今の中野区における環境行政の重点課題というような意味でお答えいただければということでございます。

 以上で私の質問はすべて終わります。どうもありがとうございました。

      〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 木村議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、地方分権推進の動きの中で、執行機関と議会のあり方についてという御質問でございました。執行機関、区長の側と議会、議決機関、この関係はまさに自治の制度にあって車の両輪に例えられているというふうに再三申し上げております。議会には、条例を議決したり、さまざまな区の施策形成に関与する、そうした大きな権限があるわけでございます。そうしたいわゆる議決権、そうした議会の権能というものが近年、どんどん重要性を増している実態にある。私はそのように認識しております。新しい地域の問題、新しい課題に対して、これまでなかったような条例で対応する、そうした動きもさまざま見られるようになってきているわけでございます。豊島区が場外車券売り場の問題で新しい条例をつくる、そうした動きをしていることが報道されたりいたしております。そうした意味で、政策を実現する、新しい地域社会のあり方を考えていくという意味で、議会の動き、議会の機能、非常にますます重要になってきている、そのように考えています。提案型の議会の活動、提案型の議員活動、そうしたものもさまざま見られるようになってきている、そういう状況であります。

 私ども執行側が、区民参加で区民の意思を踏まえながら進めていく。その一方で、議会の側もまた多くの区民の皆さんの声を背景にさまざまな活動をなさっている。そういう中で、日常的に情報交換をしたり、あるいは情報交流、さまざまな意見交換を進めていくということの中で、執行側の活動も適正になり、かつ豊かなものになっていく。議会側の方の活動に対しても、執行側からよりよい情報が提供できる、よりよい働きかけができていく。そうしたことになれるのが、議会と執行機関側の関係の望ましいあり方であろう、というふうなことを思っておりまして、議会に対して区長が自分の言葉で働きかけるようなことが必要ではないかという木村議員の御意見、全くそのとおりであると考え、私としてもできるだけ議会とのコミュニケーション、そして、私の側からの情報発信についても心して努めさせていただきたい、そのように考えているところでございます。

 それから、寝屋川市の例を挙げまして、これからの自治体運営・行政運営の中で、民間の知恵、民間の豊かな活動経験を生かしていくような、そういった民間の専門性を生かすような、そういうやり方を考えていくべきではないかという御提案でございました。御発言の中にありましたように、寝屋川市の例につきましては、私も御一緒に拝見させていただいたところでございます。本当に、まさに適材適所という感じで、寝屋川市の行政改革を進めていく上で非常に役に立っている事例であるというふうに感じてきたところでございました。

 中野区でもそうしたやり方ができるのかどうか。寝屋川と中野では、またさまざま地理的な条件、歴史的な環境、さまざま違っておると思いますので、すぐさま同じことができるかどうかという問題は別にいたしまして、ああした民間の経験や能力を活用する方法というものを検討していく、研究していく値があるのではないか、そのように考えております。

 それから、職員との対話、それから、これからの組織のスリム化・活性化、どういった考え方かといった御質問でございます。これからの自治体運営に当たっては、行政の組織というのは、お話にございましたように、多様な適性と能力を持った職員を生かすことができる組織であること。それから、わかりやすく簡素な組織の中で、職員が自由な議論ができる組織であること。さらに、区民サービスを第一に考える職員の創意工夫が生かせるような、柔軟な組織であることが必要というふうに考えております。そうした形での組織をスリム化したり、体質改善をしたりということに努めてまいりたい、そのように考えております。

 また、職員との対話でございますが、職員との対話、現場を知っているのはそれぞれの現場にいる職員であります。私自身が現場のことを知るためには、現場の職員との対話をどれだけできるかということにもかかってくる、そのように考えております。職員との対話のチャンネルも多様に用意しながら、私自身が行政運営の上での研さんにも努めてまいりたい、そのように考えているところでございます。

 他の質問につきましては、それぞれの担当部長の方からお答えさせていただきます。

 以上でございます。

     〔総務部長山岸隆一登壇〕

○総務部長(山岸隆一) 職員の専門性の向上についてどうするのかというお尋ねでございます。

 所信表明で区長は、職員の専門性を向上させる人事配置を行うと述べました。職員の人事配置につきましては、これまで各年度の定数、異動基準などをもとに実施してきましたが、ともすれば短期間の人事異動となる場合もございました。その結果、専門的な職員を必要とする職場において、専門的な知識や経験が不足し、区民サービスの低下を招いたというような指摘もございました。このため、今後の職員配置に当たっては、それぞれの職場の特性を踏まえた上で、個々の職員の資質や個性に合った専門性が育成できるような人事配置を行っていくというふうに考えたものでございます。

 ただ、人事配置だけでなく、専門性を向上させるためには、職員自身が職務に関連した専門性を高める努力、自己研さんに励むということが基本になければならないわけでして、そのためには、適切な指導を管理者としても行っていかなければならないと思っております。また、各職員あるいは各職場で蓄積された職務に関連する専門性が継続されていかなければいけないというふうにも思っております。特定な職員限りのものであったり、ある職場でのある時期限りにはあったけれども、それきりになってしまったというようなことのないように、職場全体で専門性が蓄積、さらに向上、継続されていくような取り組みも必要だと思っております。

  〔教育委員会事務局次長山下清超登壇〕

○教育委員会事務局次長(山下清超) 第四中学校での取り組みについてお答えをさせていただきます。

 第四中学校では平成14年度から、通常の学校開放事業とは別に独自の試みとして、地域の方々の手による学校施設の開放に取り組み始めております。これは特色ある学校づくりの一環として、昨年度から準備を進めてきたものでございます。地域の方々がボランティアとして管理運営の中心になっていただくということで、学校の施設や設備を生涯学習の中核的な場として広く開放できるということ。それから、部活動などにも地域の広範な御協力をいただくきっかけにできるのではないかというようなことで、私ども期待をしているところでございます。これは他に例がない取り組みということで、待ちの姿勢でない、積極的な姿勢を学校で、あるいは地域の皆さんに呼びかけてとっていただいているという点については、大いに評価ができるというふうに考えております。

 ただ、これはシステムとしてまだ定着しているものではないわけで、そういった点での課題があるかというふうに思いますし、今後、行政としてどういう関与や支援をしたらいいのかというようなこと、あるいは現在、教育委員会で総合型地域スポーツクラブの検討を始めておりますが、それとの関係などをどう考えるかというような点について、十分詰めていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

    〔環境部長西條十喜和登壇〕

○環境部長(西條十喜和) 私からは、中野区は環境行政として何に重点を置いて取り組んでいるかという御質問にお答えいたします。

 区は、循環型社会の形成を目標に重点的に取り組んでおりますことは、まず第一に、ごみの減量でございます。ごみゼロを目指し、これまでびん・缶・古紙・古布・ペットボトルなどの資源回収によるリサイクルを推進しているところでございます。今後、さらにこの秋に予定されております、廃棄物減量等推進審議会の中野区が今後おおむね10年間に取り組むべき資源回収施策のあり方に関する答申をもとにいたしまして、資源回収施策の充実を図り、ごみ減量に一層努めていく考えでございます。

 次に、環境基本計画の重点事項でございます、環境を考え行動する人づくりでございます。現在、環境学習講座、環境ボランティア登録制度、こどもエコクラブ、小・中学校におけます総合的学習の環境学習への援助等を実施しておるところでございます。先ほど御指摘ございました環境行動の日の交流会につきましても、こうした活動を発表していただきまして、区民への普及啓発と活動の推進を目指したものでございます。今年度はさらにボランティアやNPO、区民、事業者の参加によります環境に配慮したみずからの行動指針づくりを進めまして、区民や事業者の主体的な取り組みを地域に根づかせたいと考えているところでございます。

 また、区は、事業者・消費者といたしまして中野区環境行動計画を策定し、省エネルギー、ごみ減量など環境保全に努めておるところでございますが、今年度からは、環境への負荷の低減を図るため、清掃車に天然ガス車を導入するなど、率先行動に取り組んでまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

○議長(斉藤金造) 以上で木村勝昭議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、ご異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(斉藤金造) ご異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

      午後6時07分延会