平成14年11月28日中野区議会本会議(第4回定例会)
平成14年11月28日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録

1.平成14年(2002年)11月28日、中野区議会議事堂において開会された。

1.出席議員(43名)

  1番  吉  原     宏        2番  伊  藤  正  信

  3番  きたごう  秀  文        4番  高  倉  良  生

  5番  やながわ  妙  子        6番  鈴  木  光  子

  7番  佐  伯  利  昭        8番  平  島  好  人

  9番  むとう   有  子       10番  長  沢  和  彦

 11番  牛  崎  のり子        12番  山  崎  芳  夫

 13番  高  橋  ちあき        14番  市  川  みのる

 15番  岡  本  いさお        16番  こしみず  敏  明

 17番  飯  島  きんいち       18番  小  串  まさのり

 19番  はっとり  幸  子       20番  佐  藤  ひろこ

 21番  来  住  和  行       22番  樋  口  きこう

 23番  若  林  ふくぞう       24番  古  木  謙市郎

 25番    欠    員         26番  斉  藤  金  造

 27番  斉  藤  高  輝       28番  大  泉  正  勝

 29番  柿  沼  秀  光       30番  木  村  勝  昭

 31番  細  野  たいじ        32番  岩  永  しほ子

 33番  昆     まさ子        34番  小  池  ひろし

 35番  岩  田  みつる        36番  伊  藤  岩  男

 37番  西  村  孝  雄       38番  江  口  済三郎

 39番  藤  本  やすたみ       40番  川  上     進

 41番  近  藤  正  二       42番  江  田     徹

 43番  池  田  一  雄       44番  小  沢  哲  雄

1.欠席議員(0名)

1.出席説明員

 中 野 区 長  田 中 大 輔      収  入  役  藤 原 惠 一

 教  育  長  沼 口 昌 弘      政策経営部長   渡 辺 征 夫

 企 画 課 長  金 野   晃      総 務 部 長  山 岸 隆 一

 総 務 課 長  田 辺 裕 子      区 民 部 長  鈴 木 勝 明

 地域センター部長 柳 澤 一 平      環 境 部 長  西 條 十喜和

 保健福祉部長   石 神 正 義      保健担当部長   青 山 キヨミ

 都市整備部長   石 井 正 行      土木担当部長   那須井 幸 一

 教育委員会事務局次長 山 下 清 超

本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  正 木 洋 介      事務局次長    佐 藤 栄 時

 書     記  大 谷 良 二      書     記  大 石 紀 久

 書     記  巣 山 和 孝      書     記  永 田 純 一

 書     記  長 崎 武 史      書     記  松 原 弘 宜

 書     記  西 田   健      書     記  岩 浅 英 樹

 書     記  飯 田 浩 一      書     記  佐 藤 雅 俊

 書     記  松 本 桂 治      書     記  吉 田 哲 郎

 

 議事日程(平成14年(2002年)11月28日午後1時開議)

日程第1

第49号議案 中野区基本構想審議会条例

 

      午後1時03分開会

○議長(斉藤金造) ただいまから、平成14年第4回中野区議会定例会を開会いたします。

 本日の会議を開きます。

 会議録署名員は、会議規則第121条の規定に基づき、議長から御指名申し上げます。19番はっとり幸子議員、27番斉藤高輝議員にお願いいたします。

 次に、会期についてお諮りいたします。本定例会の会期は、本日から12月11日までの14日間といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(斉藤金造) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、きたごう秀文議員、やながわ妙子議員、長沢和彦議員、平島好人議員、江口済三郎議員、牛崎のり子議員、はっとり幸子議員、小串まさのり議員、むとう有子議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 

 中野区議会議員 きたごう 秀 文

 1 中野サンプラザ売却について

 2 今後の区財政運営について

 3 区民と区長の対話集会について

 4 基本構想について

 5 環境保全と省エネルギー推進について

 6 青少年健全育成について

 7 職員対象の「事業提案制度」について

 8 区報への有料広告の掲載について

 9 西武新宿線地下化の問題について

10 東京大学海洋研究所について

11 その他

 

○議長(斉藤金造) 最初に、きたごう秀文議員。

    

〔きたごう秀文議員登壇〕

○3番(きたごう秀文) 平成14年第4回定例会におきまして、自由民主党議員団を代表いたしまして一般質問をさせていただきます。いつもながら、区長並びに理事者の皆さんには簡潔でわかりやすい御答弁をいただきたいと思います。

 ことしも余すところ34日を残すのみとなりました。ことし平成14年、2002年も、世界、そして日本において明るいニュース、暗いニュース、そしてまた恐ろしい事件がありました。

 明るいニュースといえば、6月に日韓両国共催のサッカーワールドカップが開催されたことではないでしょうか。日本全体で大変な盛り上がりがあったように思います。それと、やはり巨人軍の完全優勝ではないでしょうか。冷え切った日本経済に一つの光を与えたのは言うまでもありません。

 さて、中野区に目を移しますと、6月9日には区長選挙が行われました。結果というと、田中区長が誕生という大きな番狂わせが生じました。改めておめでとうございますと言わせていただきます。しかしながら、中野区の私物化をはからぬよう、また、中野区議会を軽んずることのないように改めて御忠告を申し上げておきます。

 去る11月21日午後10時52分、高円宮憲仁親王殿下が心室細動のため、47歳の若さで薨去されました。

 高円宮様は、日加協会や日本スペイン協会、日本サッカー協会、高円宮杯全日本中学校英語弁論大会などの名誉総裁のほか、読売交響楽団の名誉顧問をされておりました。また、先ほど紹介いたしました日韓共催のサッカーワールドカップでは、皇族として戦後初めて韓国を公式訪問されました。韓国に行かれた際には「近くて遠い国が、近くて遠くない国になった」と発言され、日韓の橋渡し役を担っていただきました。国際経験豊かな、そして何よりもスポーツと音楽を愛された殿下だからこそできたことだと思います。

 中野区議会自民党議員団一同より哀悼の意を表したいと思います。

 心室細動という病気は余り耳にしたことがなかったわけですが、改めて健康の大切さを感ぜずにはおられませんでした。そこで区長にお伺いいたしますが、日ごろから区長は健康を維持するために行っていることはあるのでしょうか。また、どんなことに気をつけていらっしゃるのか、御紹介ください。

 健康、医療というと、先日、またもや残念な事件が起きてしまいました。南部保健福祉相談所で起きましたBCGの接種事故であります。

 ことしの初めに鷺宮保健福祉相談所で医療事故が発生しております。その際にも再発防止には十分な対応をすべきとの意見が出されていたはずです。先日、再開に向けて報告書がまとまりました。この報告書をまとめるに当たって、担当された職員の方々は夜を徹して作業をしたと聞いております。この職員の方々には敬意を表するところでありますが、このような事故が再発したことは、区役所全体がたるんでいるとしか言えないのではないでしょうか。

 区長は、このような事件が起きたことに対してどういった思いでいるのか、また今後どのように対処していくつもりなのか、また当事者にはどのような処分をしていくのか。最終的な管理者である区長はどのように自分を律していく覚悟なのか、区長の決意のほどをお伺いいたします。

 次に、北朝鮮拉致問題についてお伺いいたします。

 北朝鮮拉致被害者5名が帰国されてから既に1カ月が過ぎました。最初は戸惑いを隠せなかった5人の方々は、温かい家族や地元の皆さんなどに支えられ、徐々に落ちつきを取り戻しているように思えます。

 しかし、残された課題はまだ数多くあります。その一つに、拉致被害者の北朝鮮に残された御家族の問題であります。御家族を含めて早く日本で皆さんが暮らせるよう、早期に日朝国交正常化交渉が始まるように政府に頑張っていただきたいと思います。

 拉致は犯罪です。そして、共産主義は崩壊したのです。かつて北朝鮮を「地上の楽園」と機関紙で書いていた政党があるようでございます。それが大きな間違いであったことは言うまでもありません。

 区長は政治家として、北朝鮮拉致問題についてどうあるべきだとお考えでしょうか。また、拉致被害者支援策としてどのようなものが必要だとお考えでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

 続きまして、中野サンプラザの売却についてお伺いをいたします。

 昨年閣議決定された特殊法人等整理合理化計画により、中野サンプラザの売却が検討されております。譲渡完了の期限は、原則として雇用・能力開発機構が独立行政法人に移行する平成16年2月と聞いております。

 中野サンプラザは中野区のランドマークとして、中野区になくてはならないものとして存在していると私は考えております。また、将来、中野駅周辺のまちづくりを考えていく上でも必要不可欠なポイントと考えております。

 そこで区長にお尋ねいたしますが、中野サンプラザの譲渡について区として検討しているのでしょうか。譲渡を受ける方向での検討はされているのでしょうか。区長のお考えをお伺いしたいと思います。

 次に、今後の区財政運営についてお伺いをいたします。

 平成13年度の決算では、一時的な景気回復により特別区交付金や地方消費税交付金などが増加したことなどから、実質収支が39億3,000万円生じるなど、財政状況はやや好転したように見えますが、しかし、その後も株価低迷、デフレ加速と景気はますます悪化しており、14年度以降の特別区税や特別区交付金などは大幅な減収が予想されます。

 また、人件費などの義務的経費の割合が高く、将来の財政需要に備える基金は57億円と23区で最低水準であり、起債残高に債務負担行為額を加えた将来負担額は766億円もあり、依然として中野区の財政は危機的な状況にあります。人件費を初め、歳出全体に占める経常的経費の割合が高く、新規・レベルアップ事業や施設改修などに向ける財源が極端に少なくなっています。

 中野区の財政運営は、歳入が減少した分を、歳出を極限まで絞り込むことにより何とか均衡を保っている状態でありますが、我が国の経済はバブル期の後処理や構造改革のおくれから低迷を続けており、今後しばらくはゼロあるいはマイナス成長を覚悟しなければなりません。

 こうした状況のもと、今後とも行財政の構造改革を進め、財政を再建することが区の最重要緊急課題と思いますが、区長の考えはいかがでしょうか。

 また、区長は、幅広い区民の参加を求めて基本構想の改定を行い、10年後の中野区の将来像を明らかにするとともに、これを財政的に裏付けた基本計画を策定すると言っておりますが、区民会議のあり方などに変更を加えられたと聞いておりますが、今後どのように進めていくのか、いま一度お聞かせください。

 次に、区長の区民との対話集会についてお伺いいたします。

 区長はことし6月の区長選公約に、毎月2回のペースで区民との対話集会を行うと掲げておりました。集会は7月から11月まで10地域センターで開かれ、594名の方が参加されたようであります。区長はこの数に満足しておられるのでしょうか。

 初回からの数回は「区長と語る」等をテーマとし、それ以降は区の新規事業や課題、または地域ごとの課題を設定して開かれたと聞いております。区長はどのように話をされたのか、また、参加者からはどのような質問等があったのでしょうか、その一端を御披露いただきたいと思います。

 また、参加者の平均年齢は何歳ぐらいなのでしょうか。また、これまでの対話集会についての印象をお聞かせください。

 さらに、部長も出席されたと聞いておりますが、各部長の率直な印象をお聞かせください。

 次に、基本構想について10点ほどお尋ねをさせていただきます。

 区長は、新たに策定しようとしている基本構想にどのような思いを込めようとしているのか。これまでの区長の発言を聞いていても、新たな基本構想のイメージが具体的にわいてこない。もっと区民に具体的なイメージを提案して、それから議論してもらうことを考えないと、区民はもとより議会も検討ができないのではないでしょうか。

 審議会の中には区民委員15人程度が入る予定になっておりますが、検討に当たっては幅広い区民参加の場を設けるとしております。区民の委員がいるのに、さらに審議会で区民参加の場を設けるというのは、屋上を重ねることにならないですか。また、審議会が区民参加の場を設けるということは、自分たちの役割を区民に押しつけていることとなると思うのですが、どうでしょうか。また、選ばれる15人の区民は、いつでも出てくる区民になってしまうのではないでしょうか。

 職員検討プロジェクトチームが既に9月に発足しておりますが、どのような検討をしているのか、審議会の検討とそごは生じないのか、整合をどのようにとるのか、お聞かせください。

 総務委員会に報告されました「中野区基本構想及び(仮称)新しい中野をつくる10か年計画策定の方針」には、「21世紀の課題への対応」として、21世紀の潮流を見据えた内容を目指すとしていますが、具体的に21世紀の潮流をどのように考えているのか。こうしたことを先に区民や議会に示すべきではないでしょうか。

 また、方針の中の「検討過程での情報提供」では、可能な限り区民等への情報提供を行うとしているが、どのように行うのか。議会への情報提供はどうするのか。議会の中でも十分検討ができるようにしてほしいと思います。

 10か年計画の策定は具体的にどのように作業をしていくのか、これについてのイメージが見えてきません。これでは区民や議会が十分検討できる状態ではありません。きちんと示すべきであると思いますが、いかがでしょうか。

 基本構想を策定するまでの2年間に取り組む「経営改革指針」をまとめているということですが、10月から12月までの3カ月間で簡単にまとめられるのでしょうか。取り組み事項を見るとかなり広範囲な課題を検討するようですが、こんな短期間の検討でよろしいのでしょうか。区長が否定している行財政5か年計画と同じような内容になってしまうのではないでしょうか。

 そして、財政状況はさらに厳しくなることが予想されると思いますが、財政状況の好転に寄与できる内容なのでしょうか。

 この指針は、区民との協働や顧客満足度の重視などの視点で策定するようですが、これこそ区民参加で策定したらどうでしょう。区長のこれまでの姿勢と異なるのではないですか。

 基本構想や10か年計画、それに経営改革指針という大がかりなものでなくても、足元から財政状況を分析し、改善していく取り組みをすべきではないでしょうか。全体的に上滑りな計画や指針のような印象がいたします。どのようなお考えなのか、お答えください。

 続きまして、環境保全と省エネルギー推進についてお伺いをいたします。

 このほど東京都は、都内にある約1,000カ所の大規模事業所に対し、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素(CO2)の排出削減について条例で義務付ける方針を固めたようであります。これは政府が6月に批准した「京都議定書」のCO2削減義務に関し、国に先駆けた初の法的措置となり、近く都の環境審議会に諮問し、数値目標の設定や罰則など検討した上で、環境確保条例に盛り込むようであります。

 といいますのも、都が8月にまとめた調査では、都内にある約80万カ所の事業所のうち、0.1%足らずの大規模事業所が、全体の4割に当たる年間約1,000万トンのCO2を排出していることが判明。また、これら大規模事業者から提出された削減目標量では、今後3年間で現状の2%、20万トンしか減らせないこともわかったようであります。

 このため都は、目標を達成するには、総排出量の約4割を占める業務・産業部門の排出削減に重点を置き、法的に義務付けることが不可欠と判断。環境確保条例を改定するなどし、大規模事業所に一定の削減義務を求めることにしたそうです。

 板橋区では、2001年度から環境保全や省エネルギー推進に関する目標などを定めた「環境マネジメント」に取り組み、基準年に定めた1999年度と比較すると、区役所などの各施設で省エネ推進に成功し、電気で1.24%、ガス2.94%、上水道4%の使用量をそれぞれ削減し、目標数値をクリアしたそうです。これも職員の意識改善などの成果によるものであります。これにより約7,300万円が節約され、約765トンの二酸化炭素(CO2)の排出を抑制しました。このCO2排出量は、都内の約750世帯分の年間排出量に相当し、紙の使用量や廃棄物に関しては削減できたようであります。

 東京都も現在、環境保全に全力で取り組んでおります。中野区も数値目標を定めていると聞いておりますが、どのような取り組みか、その成果は上がっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

 次に、青少年健全育成についてお伺いをいたします。

 日本は、戦後の高度成長からバブル崩壊に至るまで一直線に発展し、国家的な繁栄を経験いたしました。現在はというと、経済的な発展が頭打ちになり、そのために活力を失い、元気がなくなったと言われております。しかし、その実態を見ますと、社会全体から道義心がなくなり、モラルを守り真っすぐに生きようという気概そのものがうせているように感じられます。

 青少年の問題はまさに大人社会の反映であると実感いたしております。経済的な問題も重要ですが、青少年問題は社会を引き継いでいく次世代の問題であり、たとえ今日の社会が困難な状況にあったとしても、将来を担っていく青少年を健全に育て、指導していくことができるならば、必ず社会は希望的な方向へ発展することができると私は考えております。

 このほど警察庁の調べによりますと、ことしの上半期だけで、出会い系サイト関連事件が昨年同期に比べ2.6倍増の793件で、そのうち児童買春事件は約3倍にふえ、全体の半数以上の400件に上り、被害者は女子高生335人、女子中学生173人と報告されています。

 そこで伺いますが、中野区での状況はどうなのでしょうか。わかる範囲で結構ですから、教えていただきたいと思います。

 また、これらの事件、そして社会状況をどのように感じているのか、区長の御意見をお伺いいたします。

 先日、ある新聞に「日本の中学生は米中の中学生と比較した場合、勉強意欲は乏しく自信なし」という記事が載っておりました。日米中3カ国の比較をした研究機関で、昨年10月からことしの3月の間に、3カ国それぞれ1,000人から1,300人の中学生を対象にアンケートを行ったそうです。

 幾つかを例に挙げますと、「数学がわからない」が日本は米中の3倍、「今の自分に満足している」は米が53.5%、中国が24.3%で、日本はわずか9.4%です。「将来に関心はない」が8.7%で、これは3カ国中トップであります。このほかにも数項目にわたり調査したところ、積極的で自信満々の米国の中学生、高学歴志向で強い国を目指す中国の中学生、現在の3カ国の勢いがそのまま投影されているようで、将来を考えると気がかりでなりません。

 非常に残念な結果であるとしか言いようがありませんが、当区はこれらの実態をどう受けとめているのか、また、教育現場等でどのように対処していくつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

 次に、職員対象の「事業提案制度」についてお尋ねいたします。

 台東区では昨年秋に「事業提案制度」を創設し、職員49人から34件の応募があり、募集期間は1カ月と短かったが、想像以上の反響があったと聞いております。そして、提案したアイデアが事業化された場合、民間企業の「社内ベンチャー制度」を参考に、採用事業には提案者や他の職員も含めて、意欲次第で担当課への異動やプロジェクトチームへの参加ができるようにというような制度がつくられております。

 台東区では、これまでに「ヒント提案制度」を約30年間続けておりますが、応募件数の減少や提案者の固定化に進み、制度の形骸化が課題となり、採否の決定は所管課の判断を重視しているため、「新しい仕事をふやしたくない」こともあり、否定的な見解が出されて、せっかくの提案が葬り去られる傾向が強かったようであります。

 聞くところによりますと、中野区でもこの12月ごろに職員提案制度が創設されると伺っております。中野区の職員提案制度の目的及び募集期間など、その具体的な内容についてお聞かせください。

 次に、区報に有料広告の掲載についてお伺いいたします。

 区報に有料広告を掲載し、わずかでも収入を得ようとしている区があります。23区では品川区、墨田区、そしてこのほど荒川区でも始めたと聞いております。

 内容は公共性が高いものや区民生活に密着したものなどに限定され、毎月3回発行され、約7万2,000部が新聞折り込みや公共施設などに配布され、広告料が安いのが魅力のようであります。荒川区では年間240万円の収入を見込んでいるそうです。財政難の折、中野区でもこうした収入源を積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 中野区介護サービス事業者連絡協議会が発行した介護事業者ガイドブックについては、既に区の負担はゼロで作成され、区民にわかりやすい内容であると大変な好評を得ていると聞いております。また、23区でも注目され、来年度は10区で同様の方法により作成されるそうであります。やり方次第で、工夫次第で、使わなくてもいい予算も出てくるのではないでしょうか。区のお考えをお聞かせください。

 次に、これは西武新宿線地下化についてとなっておりますが、現在四つ提示されている、その一つの地下化についてお尋ねいたします。

 10月1日に東京都より「西武新宿線検討会」の報告が示されました。

 これまで西武新宿線につきましては、輸送力増強及び踏切渋滞緩和に寄与することから、平成5年に地下急行線の都市計画が定められました。しかし、平成7年に西武鉄道が事業化の延期をしたことから、地表式の在来線と交差する中野通りを初め、踏切遮断時間が1時間当たり最大で50分に達するボトルネック踏切の解消が課題となっております。

 このため、西武新宿線の急行線地下化計画を踏まえつつ、渋滞解消に向けた対策として、道路と鉄道との立体交差などの実現化手法について検討することを目的として、都と西武鉄道がこれまでに検討会を行ってきました。今後は、この検討会で整理された課題を踏まえながら、地元区が主体となって沿線地域のまちづくりの検討を進め、道路と鉄道の立体化方式のあり方について検討していく必要があると言われております。

 そこでお伺いいたしますが、この報告の結果を踏まえて、今後、区はどのように動いていこうとしているのか、区長のお考えをお聞かせください。

 地下化についてはかなりの多額の経費が必要となります。都の報告書によると、新井薬師駅と沼袋駅までしか対象としていませんから、そこまでを第1期と考えると、野方駅、都立家政駅、鷺ノ宮駅といったエリアを第2期と考え、中野区内の西武新宿線踏切対策を一体的に検討していくことが必要と考えますが、区長のお考えをお伺いいたします。

 最後になりますが、東京大学海洋研究所についてお尋ねいたします。

 私はこの海洋研究所関連について、これまでも一般質問や予算特別委員会でもお尋ねしておりますが、田中区長が就任されましたので、改めて新区長の考えについてお伺いいたしたいと思います。

 地震災害に関する危険性が高いと言われている南台一、二丁目地区においては、平成5年から関連町会ごとの勉強会が始まり、防災まちづくりに対する熱心な論議がなされております。現在、地域住民の理解と協力を得ながら防災街区地区整備事業が進められており、この事業の一つである西側道路の拡幅整備がいよいよこの12月から始まり、19年度完成を目指していると聞いております。

 この南台一、二丁目地区の防災対策について、区長はどのように認識し、どのような意識をお持ちなのでしょうか、お答えください。

 さて、このほど国立大学が平成16年には独立法人になると聞いております。海洋研究所が移転もしくは売却となった場合、南台一、二丁目地区の防災まちづくり対策はどういった方向にいくのでしょうか。区で買収することなどを考えているのでしょうか。区のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 以上ですべての質問を終わります。

     

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) きたごう議員の御質問にお答えいたします。私の方からは、サンプラザの売却の問題など何点かの御質問にお答えをさせていただきます。

 まず、鷺宮保健福祉相談所に続きます、南部保健福祉相談所におきますBCG接種事故についてでございます。

 鷺宮保健福祉相談所の事故を本当に大いに反省いたしまして、万全の安全対策を講じることを区民の皆様にお約束しながら、今回の事故によって再び区民の皆様の信頼を裏切ることになってしまいました。本当に責任を重く感じているものでございます。おわびを申し上げます。本当に申しわけありませんでした。

 区としての取り組みが甘かった。ここに原因があるというふうに深く反省しているわけであります。私自身の責任を明確にして身を処す。このことはもとより、事故にかかわった職員につきましては、今後、懲戒分限審査委員会におきまして適正な処分を行うと、このように決しております。

 続きまして、高円宮殿下の急逝に関連いたしまして、私自身の健康維持のための心構えといったようなことのお尋ねをいただきました。

 健康維持のための大きな要素というのは、栄養・運動・休養というようなことだと考えております。私自身は肥満しがちな傾向にありますことから、食生活に十分に気をつけること、バランスのとれた栄養をとること、また適度な運動をすること、それから睡眠を十分にとりまして、疲れを翌日に残さないといったようなことを心がけなければならないと思っているわけでございますが、必ずしも着実に実施できているというわけではないことを反省している次第であります。その他、ストレスをためないといったようなことにも留意しなければならないというふうに思っております。

 それから、北朝鮮によります拉致という重大事件についての問題でございます。

 このような犯罪行為が一国の政府機関によって行われたということは、あり得べからざることであるというふうに考えるわけであります。北朝鮮当局は情報をすべて明らかにし、速やかに問題の解決を図るべきでありますし、我が国の政府もそれを強く求めていただきたいというふうに思っているものであります。

 拉致被害者、またその家族の皆さんに関しましては、日本での生活の安定に資するよう、支援策が必要だというふうに考えているわけであります。拉致被害者及びその家族を支援する法律制定の動きがあるというふうに聞いているところでありまして、被害者の方々に真に役立つものになってほしいというふうに念じているところでございます。

 続きまして、中野サンプラザの売却についてということです。

 中野サンプラザは、文化的な機能、また中野区で唯一最大の集客機能という、全国区のレベルでの知名度のある集客機能を持っている施設であります。そういう意味で、中野の町のにぎわいにとって非常に重要でありますし、また、中野のこれからのまちづくりにとっても非常に意味のある施設であるという認識を持っています。

 したがいまして、今回の譲渡についての申し出を受けまして、現在、中野サンプラザをどういった形で取得できる可能性があるのか、財政負担、また運営の問題などさまざまな問題がありますので、そうしたようなことを検討しているところであります。

 次に、今後の区財政の運営についてということで、今後とも行財政の構造改革を進め、財政を再建することが区の最重要課題であるといった御指摘でございました。まさにそのとおりだと思っています。我が国の経済は低成長が常態化いたしまして、今後とも歳入の伸びというのは期待できないというふうに思っています。これは一時的な不況で現在だけそうだということよりも、この先の一定期間続く、そうした常態化しているということに着目しなければならないというふうに認識しているわけであります。

 こうした中でも、福祉、教育を初めとして、新たな課題がさまざま出てきているわけです。区としては、これらの課題に積極的に取り組む、そのことによって区民の信託にこたえていかなければならないというわけでありまして、そのためには何よりまず行財政の構造改革を進めること、健全で強固な財政基盤を確立すること、これが必要であると考えております。財政の再建については、区民の協力なくしてはできることではありません。区財政の状況についてきめ細かく説明をしながら、理解と協力を得て進めていきたいと考えています。

 今後の区財政運営についてということの御質問の中で、基本構想の改定、そして、それの財政的に裏付けた基本計画の策定というような御質問に関連いたしまして、区民会議のあり方といったような御質問がございました。

 基本構想を策定するに当たりまして、区長の附属機関として審議会を設置する、そのようにいたしました。この審議会には、幅広い区民の参加を踏まえて、基本構想について総合的、専門的な視野から検討を行っていただくように考えているところであります。幅広い区民意見を聴取するために、審議会が主催するような形で区民参加のテーマ別検討の場のようなものを設置するほか、審議会の検討状況の説明、また、多くの区民との意見交換といったようなことを積極的に行っていただく、そうした予定でおります。

 次に、区民と区長の対話集会についてという御質問の中で、区長がどのような話をして、参加者の方からはどのような御質問等があったかといったようなお尋ねがありました。

 私の方からは、現在の区政の取り組み、行財政改革の取り組みでありますとか、社会状況の変化に対応するこれからの区政のあり方という観点から、中野区基本構想の改定、また職員の意識改革への取り組み、そういった区政運営の重要なポイントと考えていることについてお話をさせていただいています。また、住民基本台帳ネットワークシステムの切断など、さまざま、折々に区民の方からの御関心が高いそうした課題についても、状況や考え方を私の方からお話しさせていただいているところであります。

 参加された方からの御意見、御質問など、さまざま多岐にわたっているんですけれども、主なものといたしましては、財政改革の進め方、それから上野原スポーツ・学習施設、これらの用地売却問題、用地の帰趨についての問題も含めてということでございますが、そういったこととか、小学校の適正配置や空き教室の問題、また、先ほども言いました住民基本台帳ネットワークシステムの問題、また職員の勤務態度、お客様に接する態度、また、今後の意識改革といったようなことについての御意見が多数寄せられているところであります。

 対話集会で参加者数が594人ということ、この数についてどう思っているかということ、それから、平均年齢などについてのお尋ねもございました。

 平均いたしますと、毎回60人ぐらい区民の方が参加していただいているわけであります。本当にありがたいというふうに思っています。この数は、私としてはかなりの数だなというふうに認識しています。初めて会う区民の方とひざ詰めでお話をするというような意味では、もっと少ない方が、むしろお話し合いとしては参加した方にとって御満足いただけるような場面もあるかなというようなことも考えております。今後引き続き継続してまいりますので、そうした中で定着していくものというふうに思っております。

 年齢的には、おおむね40歳以上の方が多いようだというような感じを持っています。

 いずれにいたしましても、こうした対話集会を通じて、区民の皆さんが区政に寄せている思いというのは非常に強いものだということを常々実感しているところです。

 それから、基本構想についてという御質問の中で、新たな基本構想のイメージが具体的にわいてこないと。また、21世紀の潮流を見据えた内容を目指すというふうにしているけれども、そのことをどう考えているのかといったようなことを示すべきではないかというお尋ねがございました。

 21世紀というのは、これまでさまざまな機会に申し上げているわけでありますが、20世紀とは全く違った世紀になっていくというふうに考えているわけであります。これまでの行政、企業、国家のあり方、人間の生き方そのものが大きく変わっていく時代になるというふうに考えています。したがいまして、従来型の行政のシステムでありますとか役割をベースに物事を考えるのではなく、新たな時代の要請に見合った新しい仕組み、そうしたことをつくり出すことが求められているというふうに考えています。

 新たな基本構想は、中野区という地域社会が基本としていく理念を示すとともに、新たな時代の変化に柔軟に対応ができる、そして、実現可能性を踏まえた将来の中野区の姿、地域社会としても行政としてもどうあるべきかという、将来の中野区の姿が指標などによって具体的に描けるようなものにしていきたいというふうに思っています。

 21世紀の低成長下でのこれからの私たちの社会のあり方といったようなことに関連いたしまして、持続可能な社会の実現というのが一つ重要なポイントになるかというふうに思っています。これまでと全く違った世紀になっていく。財政の収入は低下傾向になっていく。人口も低下傾向になっていく。そうした中で高齢化、少子化が進んでいくというようなことでありまして、今の社会の仕組みを変えていかなければ、このままの地域社会では持続できない。また、私たちの地域社会、私たち人間のつくっている地域社会のあり方も、そうしたことの中でこのままでは持続することができない。また、環境の問題などをとりましても、持続可能な社会をつくっていくというようなことが非常に重要になっていくというふうに考えています。

 そうした意味で、少子・高齢化の一層の進行については、支え合いの仕組みの構築。また、子育てを社会化していくということを、より一層この時代のあり方に沿った形で推進していくこと。それから、地球規模の環境問題といったようなことをしっかりと視野に入れて、ごみゼロの取り組み、またリサイクルの推進、こうしたことを具体的により一層進めていくというようなことが重要であるというふうに考えているわけであります。こうした観点から、具体的な事柄につき、折に触れて提案してまいりたい、そう考えているわけであります。

 それから、青少年の健全育成についてであります。

 出会い系サイトの関連事件が大変急増していると。児童買春事件というんでしょうか、買春事件がふえているといったようなこと。中野区でどういう状況なのか、また、区長としてどのように考えているのかといった御質問でありました。

 中野、野方の両警察署管内におけるいわゆる買春事件でありますが、中野区内の両署ではごくわずかであるというふうに聞いているわけであります。しかし、区内の女子中高生がかかわるようなこういう事件というのは、必ずしも区内だけで起きるわけではございませんので、区として、なかなかそういった実態の全容を把握するというのは難しい現状にあるわけであります。

 当然こうした事件は由々しいことでもありますし、御質問の中にもありましたように、大人の無責任な行動というものが社会の規範意識の乱れとなって、そして子どもの行動に、子どもに影響、反映してしまっているということであります。

 子どもたちに対して、やはりまず大人が行動を戒めるということは当然であります。そして、子どもたちに対して、自分が本当に自分の人格を大事にしなければならないんだということを実感として持てる、そうした育て方をしなければならない。親も保護者、地域社会も、本当に子どもたちが幼少の時代からしっかり保護されている、自分は大事な存在なんだ、自分の存在は社会にとって意味がある存在なんだ、そんなふうに思って育つことができる家庭や地域、社会のあり方というものをつくっていくことが私は重要なのではないかというふうに考えています。

 それから、西武新宿線地下化の問題についてであります。

 今回の東京都からの検討会にかかわる報告につきましては、中野通りを中心とする渋滞解消に向けた対策ということで出てきたわけであります。したがいまして、中野通りを中心とした検討案として提示されているという形で、今回のような形になっているというふうに考えています。

 そこで、御質問の中にありました、まず、新井薬師駅と沼袋駅の区間を第1期と考え、野方、都立家政、鷺宮を第2期と考え、西武線を一体的に検討していくことが必要なのではないかという御質問が出てくるわけであります。

 西武新宿線問題の検討に当たりましては、区としては当然、野方駅以西についても視野に入れて検討していかなければならないものというふうに考えているわけであります。今後、区民の皆さんの意見を十分にお聞きしながら、関係機関と調整を進め、検討を進めてまいりたい、そう考えております。

 それから、東京大学の海洋研究所についての御質問でございます。

 まず、南台一、二丁目の防災対策についてどう認識しているかということですが、南台一、二丁目地区につきましては、防災性を高める必要があるということで、現在、防災街区整備地区計画によって計画を進めているわけでありまして、今後ともこの取り組みをしっかりと進めていかなければならないというふうに認識しております。区としては、東大附属の西側道路を初めといたします道路の整備でありますとか、建築物の不燃化など努めてまいりたい、そう考えています。

 一方、地域の防災行動力の向上もやはり重要だというふうに思っています。区といたしましては、街頭消火器の増設など初期消火体制の強化充実、また地域防災会での活動の活性化、そうした活動を積極的に支援していきたいというふうに考えています。

 次に、海洋研究所が移転もしくは売却となった場合、南台一、二丁目地区の防災まちづくり対策の中でどう考えていくのかと。買収することになるのではないかといったような御質問でございます。

 南台一、二丁目地区防災街区整備地区計画や中野区都市計画マスタープラン等におきまして、広域避難場所内に防災公園を整備するというふうにしているわけであります。区としてその方向で粘り強く取り組みを進めてまいりたい、そう考えております。

 私からは以上でございます。

   

〔政策経営部長渡辺征夫登壇〕

○政策経営部長(渡辺征夫) 私からは、大きく4点につきましてお答えをさせていただきます。

 最初に、区民と区長の対話集会に出席した各部長の率直な印象ということでございますが、所管部長といたしまして、各部長共通の印象についてお答えをさせていただきます。

 一人でも多くの区民の声に耳を傾けようとする区長の姿勢が、お集まりいただいた区民の方々にも伝わり、活発な対話が展開されているとの印象を受けております。また、区民の皆さんの発言には新しい区長への期待感が強く込められていると、そのように感じているところでございます。

 次に、基本構想について6点ばかりお答えさせていただきます。

 まず最初に、審議会の中に設ける区民委員15名程度、それについて、いつもと同じような形になるんじゃないかという御心配でございますが、審議会につきましては、基本構想について総合的、専門的視点から検討を行うに当たりまして、幅広い区民参加の場を設けて、より多くの区民意見を基本構想案に反映させていただくようお願いしたいと考えておりますので、区民委員を募集する際には、選考方法についていろいろ工夫してまいりたいと考えております。

 次に、職員PTを9月に発足させましたが、現在の検討状況、それと、審議会での今後の検討とそごを生じないのかという点でございますが、職員PTにつきましては、職種、職層など幅広い職員80名の職員で構成しておりまして、現在、四つの分野に分かれて現状分析を中心に検討を行っているところでございます。職員PTのメンバーにつきましては、審議会やそのもとにつくられる区民参加の場へ積極的に参加させまして、PTからの提案や意見交換を行うなど、審議会やそこで行われます幅広い区民参加をサポートしたり、協働していけるようにしていきたいと考えております。

 また、区民等への情報提供、議会への情報提供はどう考えているのかということでございますが、審議会の検討過程につきましては、審議会の会議録を区のホームページに載せることや、ITを活用しながら検討過程の経過を明らかにしていきたいと考えております。審議会が主催する区民参加の場の意見、提案等につきましても、適宜工夫して情報提供に努めていきたいと考えております。議会には適宜適切に検討経過の状況について報告していきたいと考えております。

 次に、基本構想に関連しまして、10か年計画の策定の具体的な作業というお尋ねでございます。

 10か年計画につきましては、基本構想を実現するための基本計画として策定いたします。財政再建への道筋と区の施策の方向、施設配置等の主要な課題に関する方針と目標を明示いたしますとともに、財政状況の見通しを踏まえた事業計画や行財政改革の内容を示すよう考えているところでございます。

 この10か年計画につきましては、平成16年8月ごろには素案をまとめまして、地域で意見交換を行い、平成17年2月をめどに計画決定をしたいと考えているところでございます。

 次に、経営改革指針についてのお尋ねでございます。短期間であること、あるいは財政効果が期待できるのか、なぜ区民参加で策定しないのかというようなお尋ねでございます。

 経営改革指針につきましては、区政運営を新たな経営改革の視点でとらえ直しまして、今後の2年間で取り組むべき方針を定めるものでございます。策定期間自体短期間ではございますが、行財政改革については、これまでも全庁を挙げて取り組んできております。今回の指針は、これまで進めてきた検討の成果も踏まえてまとめることにしているものでございます。

 また、これまでの行財政改革をさらに強化する方向で検討を進めておりますので、財政上の効果が上がるものにしていきたいと考えております。

 経営改革指針につきましては、内部改革を中心とした執行の工夫や、行政の体質改善、あるいは2年間の取り組み課題など、これまで行ってきました区民との議論を踏まえて作成するものでございますので、短期間でございますが、しっかりしたものにしていきたいと考えております。

 次に、基本構想や10か年よりも、足元の財政状況をしっかり改善していく取り組みをすべきではないかということでございます。

 先般、財政白書でお示ししましたように区財政は、さらに厳しい状況が続くものと認識しておりまして、財政改革に取り組んでいるところでございます。今後の区財政の健全化を着実に実現するためにも、しっかりした基本構想、行財政計画が欠かせないものと考えているところでございます。

 次に、職員を対象とした提案制度についてのお尋ねでございます。

 12月には中野区も職員の提案制度を発足させたいと現在検討しているところでございますが、その目的とするところは、区政運営に対する職員の自由な発想と創意工夫を生かした提案を行うことによりまして、区民サービスと行政の質の向上に資すること、組織の活性化と職員の意識改革を図ること、そういったことを目的に創設するものでございます。

 提案につきましては期限を設けませんで、常時受け付けるようにしたいと考えております。提案は審査会で評価をいたしまして、優秀者には表彰なども行うことを考えております。

 最後になりますが、区報等への有料広告の掲載の件でございます。

 区の刊行物等への広告の掲載は、可能なものから取り入れておりまして、今年度は区民課の窓口封筒及び「中野区のしおり」に掲載しているところでございます。

 区報につきましては、毎月第4日曜日に発行する「情報のひろば」に広告を掲載する予定でございまして、来年4月からの実施に向けて現在準備を進めているところでございます。

 今後とも刊行物等への広告の掲載を進めるなど、歳入の確保に努力したいと考えております。

 以上でございます。

    〔環境部長西條十喜和登壇〕

○環境部長(西條十喜和) 私からは、環境保全と省エネルギー推進に関連いたしまして、中野区としての地球温暖化防止のための取り組みについてお答えいたします。

 区は、平成13年6月に「事業者・消費者としての中野区環境行動計画」を改定し、この計画に地球温暖化対策実行計画としての性格を持たせまして、温室効果ガスの削減目標を設定したところでございます。この目標では、温室効果ガスを平成17年度までに平成12年度比で3%削減することを目標にしてございます。平成13年度におきましては、電気、ガス、車の燃料の使用抑制に努めまして、12年度と比較してCO22.8%、約527トン削減いたしました。また、水道使用量では6.2%の削減を行ったところでございます。

 今後とも各課に配置したエコ推進員の活用などを図りまして、省エネルギーに努めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

     〔教育長沼口昌弘登壇〕

○教育長(沼口昌弘) 日本、アメリカ、中国、この3カ国の中学生のアンケート調査の結果に対する御質問にお答えいたします。

 この調査は意識調査という要素が強いものでございまして、それぞれの国の国民性、そういうものも影響すると思います。しかし、一方で、日本の子どもたちの多くが将来に希望がない、あるいは自分への評価が低い、こういうことがございまして、現在の日本社会あるいは大人たちの姿を反映しているように受けとめました。

 子どもたちは今後の日本の社会の担い手でございますので、学校ではどの子もわかる授業を目指しまして、子どもの学ぶ意欲や生きる力の向上を図りたいと思います。また同時に、学校だけでなく、やはり子どもを取り巻く社会全体で子どもたちの健全育成を考え、子どもたちがそれぞれにふさわしい将来の夢を持ち、着実に取り組む姿勢や力を育成していく必要があると、そのように考えてございます。

   

〔都市整備部長石井正行登壇〕

○都市整備部長(石井正行) 私からは、西武新宿線地下化の問題につきましてのうち、東京都と西武鉄道によります検討会報告、この結果を踏まえて、今後、区はどのように動いていくのかというような御質問でございました。この御質問にお答えしたいと思います。

 区としましては、西武新宿線による渋滞問題への対策は、区政の重要な課題であるというふうにとらえております。今般の東京都からの案の提示につきましては、沿線地域のまちづくりも含め、具体的な検討に早急に着手する必要があるというふうに考えております。

 現在、この検討会の報告につきまして区民への情報提供を行っておるところでございますが、今後、中野区、東京都、それから西武鉄道、この三者により調整・検討の場を設けたいというふうに考えております。 

以上でございます。

○議長(斉藤金造) 以上できたごう秀文議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 やながわ 妙 子

 1 環境施策について

  (1)ゴミ減量の身近な取り組みについて

  (2)クリーンエネルギーの導入について

  (3)環境学習教育について

  (4)環境保全都市宣言について

 2 子育て支援について

  (1)養育家庭制度の支援のあり方について

  (2)人権教育について

 3 音楽療法について

 4 NPOの活動推進について

 5 注意欠陥・多動性障害(ADHD)等新たな対応を求められる障害について

 6 その他

 

○議長(斉藤金造) 次に、やながわ妙子議員。

    

〔やながわ妙子議員登壇〕

○5番(やながわ妙子) 平成14年第4回定例会に当たり、公明党の立場から質問をさせていただきます。簡潔に、そして前向きな御答弁をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、最初に環境施策について4点ほど伺います。

 まず初めに、身近なごみ減量の取り組みについて伺います。

 先日、私は環境問題に関する講演会に行ってきました。それは「だれでも、どこでも、いつでもできるごみ減量」の話でした。その中で、特にレジ袋を減らす工夫に感心いたしました。講師の漫画家でありエコロジストの赤星たみ子さんは、常にかばんの中に折り畳んだレジ袋を入れておき、買い物のときレジ袋を断るとのことでした。リサイクル運動を持続するには、身近なところから「楽しく」「おもしろく」やることが大事なかぎだと言っていました。

 中野区でも1日一人が1枚のレジ袋を使わないようにすれば、1日で30万枚減量できます。小さなことですが、その効果は大変大きなものがあります。私もそれ以来、こうしていつも小さく折ったレジ袋をマイバッグあるいはハンドバッグの中に持ち歩くようになりました。

 鳥取県では、地球温暖化防止のため、だれでもできる二酸化炭素を減らすアイデアを募集いたしました。タイトルは「おうちゃくもんのエコライフ大募集」というものです。今月20日には選考委員会でユニークアイデア賞5名を決定しました。副賞は5万円相当の省エネ商品だったそうです。

 ちょっとしたきっかけやアイデアで、すぐにでもできる身近なごみ減量の取り組みは幾らでもあると思います。これまで、幅広い区民が参加して進められるようなごみ減量あるいはエコ事業はなかったように思います。中野区は「協働による環境保全活動推進」という事業がスタートしたようですが、全く区民になじみがないように思います。

 大勢の人が関心を持って、身近なところで楽しく、おもしろくごみ減量を進められるような企画を中野区でも考えるべきだと思います。例えば「ちょっとおしゃれでお得なごみ減量のアイデア集」などと銘打って、区民からアイデアを公募し、中野区版「エコアイデア集」の冊子を発行してはいかがでしょうか。その際、優秀なアイデアや斬新な提案に対しては、中野ハートフル商品券やエコ商品などを懸賞として贈呈してはいかがでしょうか、お考えを伺います。

 さらに、アイデアの審査には、先ほど紹介した赤星たみ子さんのような人に審査員になっていただき、アイデア集の発行に際しては、記念講演会など区民に広くアピールできるイベントを開催するなど、さまざまな工夫ができると思います。あわせてお考えを伺います。

 次に、クリーンエネルギーの導入について伺います。

 私は先日、港区の清掃事務所の天然ガススタンドを視察してまいりました。同区は平成13年6月にISO14001を取得し、低公害車の導入を自動車対策の一つとして位置付けています。天然ガス清掃車の導入に伴い、安定した燃料供給を確保するため、軽油スタンドを廃止し、天然ガススタンドを設置したとのことでした。この結果、区外まで燃料供給のために車を走らせなくて済むようになりました。

 また、お隣の杉並区では、大気汚染の改善につなげるため、民間の天然ガススタンド建設に補助を出し、設置後は区の天然ガス車もそのスタンドを利用するとの新聞報道がありました。

 中野区は、数年後にはすべての清掃車が天然ガス車へ切りかわると聞いています。その燃料供給は現在と同じように新宿のスタンドを利用するお考えのようですが、わざわざ離れた新宿まで車を走らせること自体、環境保全に逆行するのではないでしょうか。天然ガス車への切りかえとともに、区内のしかるべきところに天然ガススタンドを設置すべきではないでしょうか、伺います。

 また、天然ガス車への切りかえについては、当区では購入という形ですが、港区では購入ではなく、5年または3年のリースで補助金を活用して導入を進めています。1台当たり月11万6,000円のリース料で済んでいます。購入よりかなり安くなることは間違いありません。中野区も今後はリースを含めて検討してはいかがでしょうか伺います。

 今後、庁有車全体についても、NOX対策など環境に配慮した低公害車やクリーンエネルギーへの切りかえも図っていく必要があると思います。民間への範を示すべき中野区は、それについて明確な目標を持つべきだと思います。いかがでしょうか、お考えを伺います。

 3点目に、環境教育について伺います。

 私はこの問題に関して、省エネ教育推進モデル事業の対象となっている北海道苫小牧市拓勇小学校でのエコ教育を見てまいりました。そこでは「学びの環境づくり」の一環として、屋上に設置されたソーラーパネルや風力発電でつくられる電気の量が、校内に設置された表示パネル「省エネナビ」によってわかる仕掛けになっていました。ロビーの照明や扇風機にこれら自然エネルギーが使われており、子どもたちが自分の目で確かめられるようになっていました。

 校長先生は、「電気がこれだけつくられるんだ」とか「電気をむだにしてはいけない」など、子どもたちにとって「実際から学ぶ体験学習の効果が上がっている」と述べていました。

 さきにヨハネスブルクで開かれた環境開発サミットでは、NGOが提唱した「持続可能な教育の10年」が制定され、環境教育の重要性が強く訴えられました。持続可能な社会づくりの第一歩は、実際に行動できる人間を育てることです。学校における環境教育がこれから極めて大事になってくると思います。

 中野区では、この環境教育をどのように進めようとされているのでしょうか。私は、子どもたちが実際から学ぶ体験学習を通して環境保全について学習できる「エコスクール」が必要だと思います。ただ単なる「エコスクール」ではなく、中野独自の「スーパーエコスクール」づくりのモデル計画を立てるべきだと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 この「スーパーエコスクール」の実現に向けては、国のモデル事業の活用を図るとともに、NPOや市民グループ、あるいは地元の企業による最良の技術や商品の提案、提供も積極的に取り入れていくべきだと思います。それが雇用を生み出し、地域を活性化させ、人材を輩出し、そうした共生の循環が学校を中心として巻き起こってくることが理想になるのではないかと思います。教育委員会の御見解を伺います。

 また、環境教育を幅広く推進していくための組織、例えば自治体、NPO、学校、企業などから成る「エコ教育推進委員会」を設置してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。そして、その中で、学校や公園でのビオトープづくりや、中野版「こども環境ISO」なども検討してはいかがでしょうか、御見解を伺います。

 この項の最後に、環境保全都市宣言について伺います。

 日本国憲法には「平和的生存権」がうたわれていますが、私たち公明党は「共生的生存権」として新たに「環境権」を加えるべきだと主張しています。

 私はかねてから、中野区は「環境保全都市宣言」をすべきだと訴えてまいりました。このことの重要性は、時代とともにますます高まってきていると確信しています。今こそ中野区は環境問題への取り組みを区の最重要施策と位置付け、それを内外にはっきりと示すために、積極的に環境保全都市宣言をすべきだと思います。区長の御見解を伺います。

 熊本市は先ごろ、環境保全都市宣言から5年目を迎えた記念として、国内を初め世界17カ国77の環境先進都市や国際機関、環境NGOの代表が集い、「環境国際会議」を開きました。杉並区でもこのほど「環境エコ博」を実施し、そこにも世界の環境先進国の識者を招いて交流を図っていました。先進自治体との交流を初め、国際間での交流を図っていくべきです。

 私は、環境施策は身近なところでの取り組みと同時に、地球規模の視点が大事だと思います。中野区の環境施策に欠けているのはこうした点だと思います。

 そこで伺います。区は今後、国内のみならず世界に目を向け、幅広いネットワークづくりを進めていくための「環境交流」に力を注いでいくべきだと思いますが、いかがでしょうか。区長に御見解を伺って、この項の質問を終わります。

 次に、子育て支援について伺います。

 初めに、養育家庭制度の支援のあり方について伺います。

 昨年、私の身近なところで児童虐待の事件が起こりました。その相談を受け、直ちに児童相談所に連絡をとるように勧めました。そこでさまざまな手当てをしていただきました。その結果、二人の子どもたちが別々の施設に預けられることになりました。この地を離れていく幼い子どもたちの姿を目の当たりにし、何ともつらい、悲しい思いがいたしました。何とかぬくもりのある家庭で育てられないものかと考えました。

 そこで、改めて杉並児童相談所に出かけ、所長さんから親元で育てられない子どもたちの現状についてお話を伺いました。所長さんは「子どもたちが生きやすい環境をつくることが必要だ」と強調されていました。親元で育てられない子どもたちの養育は、やはり施設で育てられるより、家庭の中で育てられることが一番大切であり、米国においては、要保護児童の過半数は里親でケアされているようです。里親制度の充実が必要だと実感いたしました。

 また、児童相談所で里親制度や養育家庭制度の体験発表大会が開催されることを伺い、そこで私たちは、小岩駅近くの西小岩コミュニティ会館で、実際に養育家庭をされている方々の体験発表を聞いてきました。その際、東京都のこれまでの取り組みも知りました。児童福祉法に基づく里親制度は、養子縁組を伴う場合と縁組をしない場合の2種に大別され、現在、東京都で300の家庭が登録されています。

 一方、親と一緒に住めない子が現在3,500名おり、この数はここ10年余り変動がないようです。養育施設や乳児院などで集団生活をしている子どもが3,200人で、全体の9割以上います。養育里親のもとで育てられている子どもは250人で、全体のわずか7.5%にしかすぎません。

 厚生労働省はこのたび、専門里親などの制度を新たにつくりました。また、東京都も施設養護から家庭的な養護へとシフトを考えているようです。しかし、昭和48年からこの制度ができていますが、ほとんど進展していないのが現状です。中野でも約80名の子が養育施設で生活しています。里親として登録しているのはわずか4名です。実際に養育家庭として子どもを預かっているのは2名にしかすぎません。こうした現状を区長はどのようにお考えなのでしょうか、伺います。

 現在の東京都の制度だけでは、家庭的な養育にシフトすることは恐らく無理だと思います。中野区の子どもは中野区で責任を持って育てていくという基本的なスタンスをきちっと持つべきだと思います。私は、これからの時代は中野区でも独自に児童相談所機能を持つくらいの体制が必要だと思います。中野区として、里親制度をさらに充実させていくための具体的な支援、取り組みを考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 私が体験発表を聞いて感じたことは、実子の家庭と養育家庭での子育ての苦労、楽しみ、つらさ、励みは変わらないこと、むしろ養育家庭の中にこそ子育てのすべてのノウハウが凝縮されており、今子育てに悩んでいる方々にとって必要なアドバイスになると思いました。また、大勢の人が養育家庭の体験を聞くことの重要性でした。

 これからの里親制度や養育家庭の普及啓発のあり方として、区報などお知らせだけではなく、対話や体験の活用が極めて大事になってきます。体験ほど人の心をとらえるものはありません。中野の子育て支援の一つとして、養育家庭の体験を聞けるような講演会などを繰り返し開催すべきだと思いますが、いかがでしょうか、お考えをお聞かせください。

 中野には児童相談所との連携が深い「子ども家庭支援センター」があります。その機能をもっと充実すべきではないかと思います。子ども家庭支援センターに里親の相談窓口を設置し、里親普及の検討をする仕組みをつくってはいかがでしょうか、伺います。

 また、児童相談所の専門家の指摘もあるように、だれもが行きやすい環境づくりが極めて大事であるとすれば、現在庁舎の6階の奥にある子ども家庭支援センターの場所は、果たして最適なのでしょうか。前回も提案いたしましたが、もっと気軽に足を運べる場所に移してはいかがでしょうか。例えば商店街の中の空き店舗を利用するとか、女性会館、あるいは旧まちづくり公社の跡などを考えてみてはいかがでしょうか、伺います。

 次に、人権教育について伺います。

 先日、私はある講演会と展示を見てまいりました。そのテーマは「いじめのない、心やさしい社会を!『無関心にならないで』」というものでした。

 いじめが原因でみずから死を選んだ15歳の娘さんのお母さんの話は余りにも衝撃的なもので、ショックを受けました。お母さんは、子どもが自ら命を絶ったという大き過ぎる事実に、加害者を恨むよりもただ自分だけを責めて毎日を過ごしていたようです。しかし、亡くなる直前に娘さんが残した「やさしい心が一番大切だよね」の言葉を夫婦の宿題として受けとめ、いじめの悲惨さをこの社会からなくそうと立ち上がりました。

 私はかねてから、いじめは人権無視の最たるものだと思っておりました。人の心を傷つけても何も感じない意識が子どもたちの中に少しでもあるとすれば、これからの社会の大きな問題ではないでしょうか。中野区でも過去において、いじめの事件を通してさまざまな議論がありました。文部科学省の調査によると、いじめは減ってきたそうですが、その一方で不登校が過去最高になっています。これはいじめが依然として存在することのあらわれだと指摘する識者もいます。

 中野区教育委員会では、最近、こうした子どもの人権や人権教育を推進していくことについて議論をしたことがあるのでしょうか。また、中野の教育の中で人権教育をどのように位置付けているのでしょうか、伺います。

 先日視察した鳥取県では、21世紀鳥取県教育ビジョンが策定されており、10年間の総合的な教育施策が明確に示されています。その中にははっきりと人権教育が盛り込まれています。

 中野区教育委員会として、まず、教育ビジョンをしっかりと確立すべきではないでしょうか。そして、その中に人権教育の推進を大事な柱として位置付け、あわせて人権教育プログラムをつくり上げていく必要があると思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 人権教育といってもさまざま試みがあると思います。私は先日、「子どもが暴力から自分を守るための教育」CAPプログラムというワークショップ型の人権教育学習を見てきました。人権という大きなテーマについて、自由・自信・安心という身近な視点からみんなで一緒に学んでいくという学習方法で、大変わかりやすいプログラムになっていました。

 欧米では、こうした人権についての学習は体験学習や実践マニュアルを活用し、児童・生徒と一緒になって考えながら進めているそうです。

 これからの学習は、児童・生徒と教師が一緒になって参加する形が極めて大事だと思います。中野区もCAPプログラムのような参加型の実践体験学習を保育園、幼稚園、学校等で実施してみてはどうでしょうか、お考えをお聞きいたします。

 今回の質問に当たり、区や教育委員会に現状をいろいろお聞きいたしましたが、子どもの問題だというのに担当が多岐にわたり、大変複雑でした。この際、私は、子どもに関する施策について総合的に組織を見直す必要があると思います。足利市では来年から、役所の仕事をもっとわかりやすくするために、元気老人課や、乳幼児の施策をまとめた子ども課を新たに設置するという報道がありました。中野区においても、多岐にわたる子どもの施策をまとめ、子ども部あるいは子ども課として編成してはと思いますが、区長の御見解をお聞きいたします。

 この項の最後に、子育て支援の中心拠点づくりについて伺います。

 中野区では、児童館で親子乳幼児事業を中心に相談等をしていますが、私は、これからの区政の大事な課題になる子育て支援を強力に推進するためには、情報提供、相談、交流、遊び場機能などを持った子育ての総合的な中核施設が必要だと考えます。区長も子育て支援について重点的に取り組むお考えのようですが、この中核となる施設づくりについてどのようなお考えを持っているのか伺って、この項の質問を終わります。

 次に、音楽療法について伺います。

 最近、テレビや新聞報道で音楽療法の紹介を目にする機会が多くなりました。音楽療法は音楽を通して心をケアし、体の機能回復を図る効果的な方法です。その担い手となる音楽療法士が全国でふえてきています。

 公明党は音楽療法の効果に着目し、プロジェクトをつくって普及や療法士の国家資格の制度化、保険適用等を推進しているところです。私もプロジェクトの一員として各地の音楽療法を見てきました。

 その中で知り合ったお二人の音楽療法士の方と懇談する機会がありました。お二人は足立区にある老健施設で音楽療法を行っており、その熱意あふれるお話に感動いたしました。ぜひ一度その現場を見てみたいと思い、中野区の職員とともに足立区の老健施設「レーベンハウス」のセッションに行ってまいりました。

 当日は、広間に集まった約80人ほどの高齢の入所者に対し、歌や楽器を使った楽しいプログラムが進められていました。およそ1時間でしたが、参加者の表情が次第に明るく生き生きとし、目の輝きも増し、さわやかになってくるのが印象的でした。施設の職員のお話では、音楽療法を実施した日は、ナースコールや徘回がいつもより顕著に少なくなるなど、効果がはっきりわかると話していました。

 また、私は奈良市が実施する音楽療法も見てまいりました。そこでは、元気な高齢者の介護予防事業として、音声館という専用施設を中心に市内5カ所の会場で、数千人が参加して音楽療法が進められていました。

 私が参加した音声館では、およそ600人の高齢者が音楽療法士や独自のサポーターのリードによって、楽しそうに音楽に合わせて歌を歌ったり、体を動かしたりしていました。見る見る会場が盛り上がっていく様子を見て、音楽療法は介護予防にとって極めて有効であることを実感してきました。

 私はかねがね、介護の充実とともに、元気な高齢者のための介護予防策が大事だと考えてきました。介護保険がスタートしましたが、介護保険を利用していない人は全体の9割に及びます。こうした元気なお年寄りの介護予防を充実させることが、これからの高齢化社会の中で重要ではないでしょうか。音楽療法はその効果的な方策です。介護が必要な人にとっても大変大きな効果があります。

 また、私は「音楽療法の取り組みのための講座」にも参加してきました。その中で、大分市では市長みずからが音楽療法の現場を見て感動し、導入に弾みがついたとの話がありました。現在では市独自で音楽療法士を養成し、認定までしている自治体もふえています。

 音楽療法といっても見なければわかりません。私も実際に見てその効果に驚き、触発された一人です。ぜひ、まずは区長や保健福祉部長も音楽療法を行っている現場を見るべきだと思います。行政のトップが理解することが最初だと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 その上で、中野区として音楽療法の導入に向けた取り組みが必要だと考えます。例えば(仮称)音楽療法推進検討会を設置してはいかがでしょうか。その際、音楽療法士など関係者の専門的な立場からの意見も十分取り入れられるよう工夫してはいかがでしょうか、伺います。

 現在、中野区では、呼吸器の病気の方やパーキンソン病の方々のため、また、高齢者福祉センターや高齢者会館事業の中で音楽療法的な取り組みをされているようですが、いまだ本格的な音楽療法には至っていないのが現状です。

 私は、これからの介護事業及び介護予防事業の大事な方策として、音楽療法を積極的に導入すべきと思います。例えばリハビリ事業や区内の特別養護老人ホームなどで音楽療法を取り入れてはいかがでしょうか、伺います。あわせて、策定中の保健福祉総合推進計画の中で、介護施策及び介護予防施策として明確な位置付けをすべきと考えますが、御見解を伺います。

 厚生労働省では、介護予防・生活支援事業として平成14年度には500億円を計上し、自治体の介護予防・生きがい活動の支援をしています。この中には指導スタッフへの謝礼、会場賃借料などを含め、1回3万円を補助する事業もあります。中野区での音楽療法の導入に当たっては、こうした国の補助の活用も図るべきではないでしょうか、区のお考えを伺います。

 また、中野区内の老人クラブでも、音楽療法に近い考え方で活動を展開しているとのお話を聞いています。参加者には大変好評で、機会をふやしていくお考えのようですが、講師の費用がかさむため、実施が大変な状況だとも伺っています。こうした老人クラブの取り組みや音楽を活用した活動を既に実施しているグループに対し、区としても積極的にサポートしていくべきです。国の補助の活用も十分に可能だと思いますが、いかがでしょうか。御見解を伺って、この項の質問を終わります。

 次に、NPOの活動の推進について伺います。

 先日、私は港区の「みなとNPOハウス」を視察してきました。港区では、多様化する区民ニーズに的確に対応し、より効果的な区政運営を行うため、区民やNPOとの協働のあり方について検討した結果、廃校になった旧三河台中学校をNPO等の活動拠点として開設いたしました。

 この施設は、自主的に活動するNPO等が公益的な課題を担うパートナーの活動拠点として位置付けています。現在、23団体のNPOが入っています。例えば、NPO事業サポートセンター、カンボジアに学校をつくる会、アトピッコ地球の子ネットワーク、生活福祉ネットワークなどの団体がさまざまな活動をしています。これらの中には、港区の枠を超え、広域的な事業を展開している団体もあります。

 さらに港区では、区の職員がNPOに対しての理解と、どう支援をしたらよいのかわからないので、職員十数名がみずからNPO団体を立ち上げたそうです。活動は午後5時以降、土・日を主体に環境部長を中心として活発な活動をしていました。NPOに対する意識と積極的な姿勢がうかがえました。

 また、宮城県古川市のNPOの取り組みについても学んできました。古川市はNPOに対し「NPO支援センター」としての場を提供し、その管理・運営の一切をNPOでつくる運営協議会が行っていました。現在六つのNPO団体があり、住環境整備、インターネットを活用したまちづくりなどを主な事業としています。14年度は五つの委託事業を行っており、市と対等な立場で仕事をしていました。

 港区も古川市も活発に事業を行っていましたが、NPOの支援策として共通している点は、行政が活動の場を提供しているということでした。NPOの活動を活発にするには、まず活動しやすい環境づくりが大切であり、そのためには拠点となる場が不可欠です。

 しかし、中野区の現状を見ると、社会福祉協議会のボランティアセンターが事務局となり、NPOの懇談会を時々開催しているだけです。参加団体も限られており、理想的な情報交換や交流する場としては不十分ではないでしょうか。

 中野区には既に37団体のNPO法人があります。その他に自主団体もたくさんあります。これからの新たな公共の担い手となるこうした団体がさらに活動しやすくする第1段階として、中野区は適当な場所を見つけて直ちに場の提供をするべきではないでしょうか、区長の御見解を伺います。

 次に、重要なのは区の組織体制です。港区は戦略事業推進室事業推進課があり、また、世田谷区は区民活動推進課がNPOの推進に対して取り組んでいます。NPOの活動や事業の拡大は、間違いなくこれからの大きな時代の流れになっていくと思います。そのためには区の組織の体制も変わらなければならないと思います。

 区長は就任してすぐ、区民対話担当課長やIT推進担当課長、さらには基本構想担当課長を置くなど、明確に政策展開をしていく組織体制をしきました。ところが、所信表明で自主団体やNPOの支援を明確に示しているにもかかわらず、そのための組織体制の整備をされていないのはなぜでしょうか。地域センター部の調整課で自主団体やNPOの支援を行う組織体制では、時代おくれではないでしょうか。協働のあり方一つとっても、区のあらゆる施策や事業にかかわってくる問題です。

 私は、自主団体やNPOの支援する組織体制は、区の中枢部に置くか、あるいは独自の新しい組織として、市民活動推進室またはNPO活動推進担当を設置すべきだと思いますが、区長のお考えをお聞かせください。

 先日、厚生委員会で滋賀県草津市の「地域通貨おうみ」について視察してきました。驚いたことに、この事業を実施していたのはNPOでした。今、NPOは行政から独立して、地域コミュニティ事業を始め行政と肩を並べるような仕事をする存在になっています。このようなNPOと行政は今後どうつき合っていくのか。それは、対等なパートナーとして協力し合っていくということが極めて大事だと思います。最近懇談をした区内のNPO法人の理事長さんも、対等なパートナーということを繰り返し訴えておりました。

 私は、行政はNPOと同じ視線に立たなければいけないと思います。このような考えのもとで、行政とNPOが率直に意見交換し合えるテーブルがぜひ必要だと思います。例えば、中野区も含めたNPOネットワークのための懇話会を設置してはいかがでしょうか。また、草津のような地域通貨をNPOとの協働で中野でもできるのではないかと思いますが、あわせて区長のお考えをお聞かせください。

 この項の最後に、NPO活動の財政支援について伺います。

 活動には市民からの会費や寄附が不可欠です。NPOの財政支援に対して、杉並で行っているような基金をつくるやり方もありますが、融資制度も含めて区独自で何か具体的な支援や施策をすべきと思いますが、お考えを伺って、この項の質問を終わります。

 次に、注意欠陥・多動性障害、いわゆるADHDなど、新たな対応を求められる障害について伺います。

 このほど文部科学省の調査研究会が、全国の国・公立小学校の児童・生徒4万人を対象に、ADHDや高機能自閉症などの実態調査を行いました。それによると、ADHD的な傾向を示す子どもが2.5%に上ることがわかりました。

 いつも落ちつきがなく、よく忘れ物やなくし物をする。注意力が散漫と言われ、話し過ぎてしまう。他人の話などにすぐ首を突っ込むなど、これらはADHDの特徴と言われています。

 今回の調査が実態を反映しているとすると、中野区内の区立小・中学校には400人を超えるほどのADHDの傾向の子どもがいることになり、学校のどのクラスにもいるということになります。

 ADHDはこれまで障害と余り認識されてきませんでした。しかし、医学的には脳の機能障害であると言われるようになってきましたので、早急に新たな対応を検討すべき大きな課題ではないかと思います。

 文部科学省の「特別支援教育のあり方に関する調査研究協力者会議」は今回、ADHDについての定義と判断基準の試案を示しました。従来、学習障害児の判断基準はありましたが、ADHDについては初めて基準を示したことになり、画期的なことだと思います。このADHDの判断基準について、区長及び中野区教育委員会はどのような認識を持っておられるのでしょうか、お聞かせください。

 さきに文教委員会で示された「障害学級のあり方について」の中でも、ADHDに関して教育委員会は「存在が医学的にも明確になったことなどから増加してきており、新たな対応が必要である」と述べています。「新たな対応が必要」だというなら、その前提となる実態調査が不可欠ではないでしょうか。まずは中野区においても実態調査を実施すべきと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 ADHDは学校現場だけの問題ではありません。先日、仙台市の障害者の発達相談センター「アーチル」を視察してきました。ここでは従来の知的障害に加え、ADHDや高機能自閉症を明確に障害者福祉の対象として取り組んでいました。ADHDや高機能自閉症は、従来の三障害、いわゆる知的・身体・精神障害の枠ではとらえられず、新たな対応が求められる障害です。中野区は障害者福祉の中でADHDや高機能自閉症をどうとらえ、今後どのような対応をお考えになっているのか、御見解をお聞かせください。

 障害者福祉として新たな対応を考える際には、まず、早期発見をどう図っていくか。そして、医療との連携をどう進めていくかということが大事です。このうち早期発見については、子どもの健診などを通しても対応が可能ではないでしょうか。

 ADHDは子どもが集団生活を始めるころから顕著にあらわれるようです。集団生活を始めるのは保育園や幼稚園ということになります。乳幼児健診は3歳児までです。その後は就学前まで健診はありません。そこで提案ですが、3歳児健診と就学前健診の間に、特に行動や社会性の発達を目的にした4歳児ないし5歳児の健診を実施してはいかがでしょうか、伺います。

 また、保育園や幼稚園、小・中学校における発見や相談、指導体制を整えることも大切です。まず、保護者にわかりやすい相談窓口を設けるべきです。加えて、ADHD等に関する専門家の巡回相談やカウンセリングの体制も整備する必要があると思いますがいかがでしょうか、伺います。

 教育現場においては、教員みずからのADHDへの理解が少ないと思います。ADHDの傾向がある子どもの教育現場では、ともすると怠慢や不まじめなどと誤解され、問題児扱いにされる場合が少なくありません。温かい目で見守り、的確な指導をしていけば、むしろすばらしい才能を開花させる可能性を持っているのではないでしょうか。そのために教員への専門的な研修を実施し、指導・対応方法をしっかりと身につけてもらうべきだと思いますが、いかがでしょうか、伺います。その際、研修用のビデオの活用や、あるいはADHDに取り組むNPOの力をかりるのも一つの手法だと思います。あわせてお考えをお聞かせください。

 私は、障害者福祉はライフステージに応じた施策が必要だと思っています。そのために中野区としても、赤ちゃんから高齢者に至る障害者福祉のトータルプランがぜひとも必要です。従来の障害ではとらえられないADHDや高機能自閉症もその中に含め、対応を考えるべきです。

 学校を卒業したものの、療育手帳がないために福祉サービスも受けられず、ADHDや高機能自閉症によって社会に適応できない人がいます。また、そうした障害が正しく理解されないために、二次的な障害、いわゆる引きこもりや社会的反抗に至るケースもあります。

 今後、中野区として、ADHDや高機能自閉症への対応にどう取り組んでいくのか、十分に検討する必要があります。策定中の保健福祉総合推進計画の中に明確に位置付けるべきだと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 また、この問題は、教育委員会と障害者福祉など多面的な対応が必要になります。今後この問題をどうしていくのかお考えを伺って、私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。

     

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) やながわ議員の御質問にお答えいたします。私からは、養育家庭制度の問題など何点かの御質問にお答えをさせていただきます。

 まず、養育家庭制度の支援のあり方についてというところで、中野区では里親、養育家庭の制度が、登録している人がわずか4名であるというような、こうした現状についてどう考えているかという御質問でございました。

 養育家庭制度、里親制度というふうにも言うのかと思いますが、我々日本人のこれまでの家族間とか、私たちが住んでおります居住空間が狭いとか、また個人の社会貢献ということに対する意識のあり方、姿勢といったようなことから、広く一般に浸透するということがなかなかできてこなかったんだというふうに考えているわけであります。そうしたことが、子どもに対する社会的な養護というようなことについては、児童養護施設や乳児院といった施設養護を中心にしてきたというふうに認識しているわけであります。

 しかし、お子さんの育ちというようなことを考えた上で、温かい愛情、またきめ細かい養育というようなこと、そうしたことを考えていきますと、里親制度といったようなものが定着し、ふえていくというようなことは非常に大きな意味を持っているというふうに考えているわけであります。

 里親、養育家庭制度というものが、需要の発生頻度とか持っている事柄の意味から考えて、区内だけで充足するということよりは、もう少し広域的な対応という中でつくられていく方が、より適しているのではないかというふうに思うわけでありまして、そうしたところから東京都が所管しているというふうに私どもでは理解しているわけであります。区といたしましても、そうした事業の実施主体は都であったとしても、都をしっかり支援し、積極的に対応しながら養育家庭制度の充実というようなことを図っていく、そうしたことが区としての取り組みとして行われるべきではないかというふうに考えているわけであります。

 それから、環境施策についてという部分で、環境保全都市宣言をしてはどうかといったようなこと、また、海外との交流も積極的に進めるべきだといったような御質問がございました。

 さまざまな環境問題を解決していくためには、多くの区民、また事業者の環境意識の向上ということが欠かせないわけであります。そのために、そうした意識を喚起する、醸成していくというために、区民こぞって実践しようという思いを込めて、何らかの形での宣言というような形で発表するというのも一つの方法ではないかというふうに考えているわけであります。

 また、他の自治体とか海外の先進的な取り組み、こうした分野は本当に、いい意味で各自治体や各国で先を争っていろいろな事例が出てきているというような状況もあるわけでありまして、できるだけ情報を収集する、それを広く区民に提供する、また交流の機会を設けるといったようなことも当然必要であって、そのように努めていきたいというふうに思っているわけであります。

 それから、子育て支援の人権教育に関連いたしまして、子どもに関連する施策について総合的に組織を見直す必要があると。多岐にわたっている子どもの施策をまとめて、子ども部あるいは子ども課といったような、専管の部門を設けるべきではないかという御質問でありました。

 21世紀の社会を展望していく上で、少子化という、こうした事態に歯どめをつくっていく、また、新しい社会を担っていくお子さんたちが本当にしっかり、たくましく成長できるような環境をつくっていくというのは、私たちの行政にとって非常に大きな意味を、ますます意味が大きくなっていく、そういうふうに認識しているわけでありまして、子育て、子どもの部門というものも非常に重要な意味を持つというふうに考えております。

 現在、施策の関連性によりまして部門を大くくりにするという中で組織整備をしていきたいと考えているところであります。子ども施策につきましても、総合的に施策や事業に取り組めるような組織整備を行っていきたいというふうに考えております。

 それから、NPO活動の支援というようなところで、これも組織の関連でありますが、NPOの支援のための専任の組織を設置するべきではないか、そういったような御質問でありました。

 NPOの活動は市民がそれぞれの自主性によって、それぞれの能力・工夫、そうした知恵を使いながら公益的な活動を行える、新しい公共というようなサービスを提供できる主体として、これからより重要になっていく。中野区においても、これからの地域社会をつくっていく上では非常に大きな意味を持つ存在になってくるというふうに考えているわけであります。

 そうしたことを踏まえて、自主活動やNPOの支援のための仕組みというようなことをつくっていきたいと思っているわけであります。そういうNPO等の支援ということで、新しい課題ということでありますので、必要な組織を整備いたしまして、NPO等の活動についてしっかり支援をしていけるようにしてまいりたいというふうに考えております。

 私からは以上であります。

    〔環境部長西條十喜和登壇〕

○環境部長(西條十喜和) 私からは、環境施策に関連いたしまして2点御答弁いたします。

 まず、ごみ減量の身近な取り組みにつきまして、小冊子を区民から懸賞方式で公募したらどうか、あるいは講座の講師について、漫画家など楽しめる話のできる人を頼んだらどうかという点でございます。

 ごみ減量等の身近な環境問題への取り組みにつきましては、無理なく、楽しく続けられることが大切であるというふうに考えてございます。御提案の方法によります小冊子につきましては、なかなか難しい面があるというふうに考えてございますが、ごみ減量等の取り組み事例の作成に当たりましては、だれもがわかりやすく、おもしろく、楽しくなるような区民からのアイデアの募集など、さまざまな手法を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 また、環境問題を考えるきっかけづくりの講座につきましては、これまでも環境落語を取り入れるなど工夫をしてきたところでございます。今後もこのような催し物を実施いたしまして、ごみ減量や環境問題に関心を持つ人々の底辺を広げていきたいというふうに考えております。

 次に、クリーンエネルギーの導入についてでございますが、清掃車について、天然ガススタンドが区内に必要ではないかという点、それから、清掃車のリースという方法もあるのではないかということでございます。

 区といたしましては、東京ガスに天然ガススタンドを区内に設置するよう働きかけておりますが、適地の確保が難しいというふうに聞いてございます。また、既存のガソリンスタンド等の転換という方法もあるということでございますけれども、採算性等から希望するところがなかなかないということでございます。現在の天然ガス車の普及率から見まして、当面、近隣のスタンド等の利用によりまして大きな支障はないというふうに考えているところでございますけれども、今後の課題といたしまして、どのような助成措置があれば設置に動いてくれるのか、情報収集してみたいというふうに考えてございます。

 また、天然ガス仕様の清掃車の導入に当たりましては、今年度の購入価格と5年間のリースを想定して、そのリース料を比較いたしましたけれども、購入に対します補助金の関係から、購入した方がその時点では安くなるというふうに考えてございました。今後、補助金などについてもさらに十分検討いたしまして、リースにすることも今後含めて検討してまいりたいというふうに考えてございます。

    

〔総務部長山岸隆一登壇〕

○総務部長(山岸隆一) クリーンエネルギーの導入に関連しまして、庁有車の買いかえに当たっては、低公害車などクリーンエネルギーへの切りかえを図っていくという明確な目標を持つべきと思うがどうかというお尋ねでございました。

 平成13年3月に策定しました中野区環境基本計画におきまして、庁有車への低公害車の導入を図るということとしております。また、同じ年につくりました自動車環境管理計画でも、庁有車の買いかえに際しては低公害車の導入を図るということとしておりまして、今年度、清掃車の買いかえに際しましては、天然ガス車4台を導入したところでございます。クリーンエネルギーの方向にあるわけですけれども、スタンドの確保など条件が整えられる中で、目標につきましても考えていくこととしております。

     〔教育長沼口昌弘登壇〕

○教育長(沼口昌弘) 人権教育に関しまして、教育委員会での議論あるいはその位置付けについての御質問でございます。

 人権教育は教育行政の基盤でございまして、中野区教育行政目標、あるいは学校教育の指導目標の基本方針の柱の一つに位置付けてございます。教育委員会といたしましては、こうした行政目標、これを検討する際に、人権教育の重要性について議論し、確認し合っているところでございます。

 次に、教育ビジョンの策定に関する御質問でございます。

 学校の主体性と創造性を高めるとともに、21世紀の社会を支えるにふさわしい人材の育成を進めるためには、新たな理念を盛り込んだ中野区の教育ビジョンの必要性を認識しています。現在、そのビジョンづくりに向けた準備に着手したところでございまして、その中で人権教育についても中心的な課題として検討してまいります。

 次に、いわゆるADHDについての定義と判断基準の試案が出されまして、それにつきまして教育委員会での認識ということでございます。

 ADHD等の特別な支援が必要となる子どもにつきましては、担任教員の理解や経験、あるいは学校内の協力体制、これが十分でない場合には、その子どもに対して適切な指導ができなかったり、あるいは学級としての機能が十分働かなくなるようになってしまうなどの問題がございまして、その対応が課題であると認識しています。その意味で、今回の定義あるいはその判断基準は、特別の教育的配慮が必要とされる児童・生徒を把握する上で一つの手だてとなるだろうと考えてございます。

 いずれにいたしましても、こうした子どもたちは早い段階から適切な指導をしていく必要がございます。こうした基準なども参考にしながら、教職員はもとより保護者等への幅広い理解の促進や、学校内の協力体制の強化、あるいは相談窓口の整備等に取り組んでまいりたいと考えています。

 

〔教育委員会事務局次長山下清超登壇〕

○教育委員会事務局次長(山下清超) 私からは、環境学習について、それから人権教育と、いわゆるADHDについての教育長がお答えした以外の御質問にそれぞれお答えをしたいと思います。

 まず、環境学習についてでございますが、今日、区内のすべての小・中学校が何らかの形で環境学習に取り組んでいるところでございます。中でも沼袋小は東京都で唯一、国から環境のための地球観測プログラム推進校としての指定を受けて、取り組んでいるところでございます。また今年度、省エネルギー教育推進モデル校に、この沼袋小のほか中野神明小、中野富士見中が指定され、こうした取り組みを進めておりますし、それから、成果の公表もすることになっております。

 教育委員会では、学校の主体性を大切にしながら、こうした先駆的な取り組みの成果が多くの学校で共有され、全体として環境教育の質的向上や充実が図られるように支援をしてまいりたいと考えてございます。

 それから、各学校で環境教育に取り組む際に、必要に応じてNPOあるいは企業等から人材を派遣してもらい、学習への支援をいただいている状況がございます。今後もこうした取り組みを強めてまいりたいと思っております。

 それから、この環境教育の推進でございますが、これは大変重要な課題の一つとして考えておりまして、御提案なども参考にさせていただきながら、より広範で効果的な推進方策を検討していきたいと思っております。また、具体的な内容については、各校の取り組みの特徴、あるいは子どもたちの発想を大事にしながら進めていきたいと考えてございます。

 次に、人権教育についてでございますが、さまざまな体験学習を取り入れてはという御提案でございますが、指導に当たる教員の力量が問われてくるというふうに考えております。このため、教員の研修に力を注いでいるところでございます。一昨年、生活指導担当の教諭を中心に、児童虐待についての理解と各学校での配慮を促すために、いわゆるCAPについての研修会を持ってございます。そして、各学校ごとの取り組みをお願いしたところでございます。

 児童・生徒への直接的な体験学習の実践、これについては教育上有効であるというふうに考えておりますが、具体的な取り組みに当たりましては、発達の段階に応じたり、また、個々の子どもの精神状態等に配慮しながら進めることが必要であると考えているところでございます。

 それから、いわゆるADHDについての対応でございます。

 まず、実態調査ということでございますが、毎年1学期に生活指導・巡回教育相談員がすべての小・中学校、それから幼稚園を訪問しまして、それぞれ在籍する児童・生徒・幼児の障害を有しているかどうかというような状況の確認を行っていることがございます。御指摘のような実態調査が必要だというふうに考えておりますので、保護者の理解も得ながら、今後一定の基準を設けるなどして、実施に向けて考えてまいりたいと思っております。

 それから、現在、小・中学校、幼稚園では、担任を中心として教職員が相談や対応を行ってございます。それから、教育センターでは、教育相談室で幅広く教育相談を受ける一環として、このいわゆるADHDを含んだ障害のあるお子さんの御相談などを受けてございます。またさらに、巡回教育相談員が定期的に各校・園を訪れまして、教員等への教育上の指導に当たっているところでございます。その中で、医療を初めとする専門的な対応が必要だと思われた場合には、関係諸機関等の紹介を行ってございます。教育センターで相談に当たっております相談員は、さまざまな分野の専門家から研修を受けるというようなことによりまして、対応能力の向上にも努めているところでございます。

 それから、教員に対しての研修の充実ということでございますが、教育委員会では年に2回、こうした障害教育についての研修会を開いてございまして、主として障害のある子どもたちを担当する担任に対しての研修を行っております。また、ことしの夏休み中の時期にはADHDを取り上げて研修を行っております。ただ、この問題についての研修は、現在必ずしも十分ではないという認識を持っておりまして、今後重点的に取り組んでまいりたいと、そういうふうに考えております。

 それから、その際にはNPOの協力ですとか、研修ビデオの活用なども選択肢の一つとして考えておりますし、それから、都立の養護学校等との連携、協力を得るというようなことも必要だと思っております。

 次に、今後の対応ということでございますが、こうしたADHDあるいは高機能自閉症などの障害のある子どもさんへの対応は、大変緊急、それから重要な課題になってきていると認識しております。教育委員会といたしましては、通常の学級に在籍するこうした子どもたちへの対応、それから学級担任への支援等をしていくという、そういう観点から、一つは教員研修の充実、それから学習指導補助員や介助員の配置、それから教育相談の一層の充実、さらには情緒障害学級の設置校の増設などを考えていきたいと思っております。

 また、医療や障害者福祉の面でのアプローチも欠かせないというふうに考えておりまして、教育委員会と保健福祉部との連携を一層深めて、適切な対応を心がけていきたいと、そういうふうに思っているところでございます。

 以上でございます。

  

〔地域センター部長柳澤一平登壇〕

○地域センター部長(柳澤一平) 私の方からは、子育て支援とNPOの活動推進について何点かお答え申し上げます。

 まず、中野区として里親制度をさらに充実させていくための具体的な支援方法はという御質問でございました。

 里親制度を充実するための区としての取り組みは、区報による広報のほかに、区民が参加する各種会議やさまざまな団体・グループの集まりにおける啓発活動などにも積極的に、そこで努めていきたいと思っています。

 それから、次が、養育家庭の体験を聞けるような講演会を開催すべきだというお話でございました。

 里親制度の普及啓発には、体験や対話の活用が大変有効な方法であるというふうに考えてございまして、養育家庭の体験を聞けるような講演会については、東京都とも連携した中で実施を検討していきたいというふうに思ってございます。

 里親の相談窓口を設置して対応する仕組みをつくってはどうかというような御提案でございました。

 現在、区における養育家庭の相談は、子ども家庭支援センターの総合相談窓口の中で受けとめておりまして、児童相談所につないでいくということでございますが、さらに連携を強め、里親の普及に向けてより一層適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

 それから、今、庁舎の6階にございます子ども家庭支援センターの場所が適当なのかという御質問でございました。

 子ども家庭支援センターは、子どもにかかわる各部署と連携をとって機能を十分に発揮するということから、現在、本庁舎に位置しているところでございますが、6階という点も踏まえて考えますと、だれもが行きやすいということからは検討の余地があるのではないかというふうに考えてございます。区民にとってより足を運びやすい子ども家庭支援センターの場所は、今後、望ましい区の施設のあり方を検討していく中で見きわめていきたいというふうに考えてございます。

 それから、子育て支援を強力に推進するための中核的施設が必要だと思うがどうかという御質問でございました。

 当区ではこれまで、子育てに関する相談や乳幼児親子の交流、遊び場の提供といった子育て支援に関する事業は、総合的な中核施設を中心とした対応ではございませんで、さまざまな施設や機関のネットワークにより行ってきているということでございます。そういう形で行っているんですけれども、子育て支援のより一層の充実を図るという視点から考えますと、総合的な中核施設の設置についても、今後その必要性について検討していきたいというふうに考えます。

 次に、NPOの活動推進についてでございますが、NPO支援のための場の提供をするべきと思うがどうかというお話でございました。

 区内には多数のNPOが活動してございまして、情報交換や交流活動の拠点が重要であると認識してございます。NPOの活動がより活発化するための支援策の一つとして、場の提供が必要であるというふうに考えているところでございます。

 次に、NPOネットワークのための懇談会の設置をというお話でございました。

 NPOと行政がパートナーとして協力し合うためには、対等な立場で、お互いを尊重したルールに基づいた上で協力する必要がございます。NPOと区が協力を円滑に進めるため、話し合いの場のあり方についても検討しているところでございます。

 次に、NPOと協働して地域通貨を実施することはできないかというお話でございました。

 地域通貨は、地域の支え合いや活性化を進めるための一つの有効な方法であるということは認識しているところです。NPOは地域通貨事業の主体として有力な一つというふうに考えてございます。区といたしましては、NPOも含め、地域通貨の考え方や仕組みを使って活動する可能性がある各団体に対しまして、地域通貨に関する情報やノウハウの提供など、側面的な支援や協働のあり方などについても検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 最後に、NPOへの財政支援のお尋ねでございました。

 NPOに対する財政支援については、自主的・自立的に活動を行っていくNPOの独立性というものを考えますと、行政による財政支援は望ましくないのではないかというふうにまず考えているところでございます。ですが、立ち上げ後の運営経費は望ましくないわけでございますが、立ち上げ時については、活動拠点の確保などから資金が必要でございますので、この時点に限定した支援については検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

   

〔保健福祉部長石神正義登壇〕

○保健福祉部長(石神正義) 私からは、やながわ議員の質問のうち2点についてお答えさせていただきます。

 まず、音楽療法についてという御質問でございます。

 音楽療法につきましては、要介護化の予防、また健康づくりにも効果があるというふうに聞いてございます。区長とも話してございますけれども、近々現場を見に行く予定としてございます。既に議員から御質問がありましたけれども、現在、機能訓練事業だとかミニデイ、それから、呼吸器疾患等のリハビリ事業について取り組みを始めているところでございますけれども、こういった個々での取り組みではなくて、施策として、地域リハビリ事業の一環として、明確に位置付けて対応していく必要があるのではないかというふうに考えてございます。そういう意味で、福祉施策として、高齢者施策、そういったこととして取り組みを行っていきたいというふうに考えてございます。

 また、そういうことから、事業主体ということでいうと区だけではございませんので、先ほど質問にもありましたように、自主グループでもさまざまな取り組みが行われているということから、活動支援についても検討させていただきたいというふうに思っております。

 また、こういった制度を積極的に活用するためには、財政的にも国や都の補助制度を積極的に活用していくということが必要だというふうに思ってございます。

 こういった検討の経過につきまして、施策として体系的にやっていくためには、現在検討してございます保健福祉総合推進計画の中で明確に位置付ける必要があるというふうに考えてございます。

 次に、ADHD等の新たな障害についての御質問の中で、私に関係するところのお答えをさせていただきます。

 従来の障害の枠ではとらえられないADHDや高機能自閉症、こういった新たな障害についての対応、これに対しては、保健福祉部といたしましても、相談機能を強化するとか、そういったことを含めて障害福祉施策として考えていきたいというふうに思ってございます。

 また、そういった施策については、障害者福祉計画というのが国では言われておるわけでございますけれども、私どもでは、そういった計画は保健福祉総合推進計画の中で位置付けていくということで考えてございますので、当然、そういった施策等についてこの計画の中に明確に位置付けることが必要というふうに考えてございます。

   〔保健担当部長青山キヨミ登壇〕

○保健担当部長(青山キヨミ) 私からは、ADHD等の早期発見・早期対応のために保健所で4・5歳児健診を実施できないかとの御質問にお答えいたします。

 保健所では、3歳児健診でADHDや自閉症などが疑われる子どもに対し、相談や助言をしながら経過観察を行うとともに、子どもの状況や保護者の子どもに対する認識の高まりを踏まえつつ、専門機関などを紹介しております。保育園、幼稚園に通っている幼児は、定期的な園医による健診とともに、保母や幼稚園教諭が日常的に状況を把握しておりますので、保育園や幼稚園との連携を強め、園や保護者からの相談に保健所で随時応じるとともに、御提案のような視点は極めて大切であると考えますので、園での健診への取り組みを保健所としても応援していきたいと思います。

 通園していない子どもについては、保健福祉センター、保健福祉相談所で育児相談など個別に相談に応じておりますので、これらについても区報等でお知らせすることを強化してまいりたいと思います。

    

〔やながわ妙子議員登壇〕

○5番(やながわ妙子) 何点か再質問させていただきます。

 先ほど人権教育の中で、実践学習、体験学習というんですか、子どもの適正な対応を見てということなんですが、今まで学校の先生たちを中心にCAPプログラムをやったことがあるという経緯を伺いました。もちろん子どもがやる前に大人がワークショップをやるんですけれども、むしろ私はもっと積極的に、人権教育は大変難しいので、こうしてはいけないとか、ああしてはいけないという防止教育というんですか、そういう教育よりも、本当にそれぞれ教師と子どもたちが一体になって、どうしてこれをしてはいけないのかということを考えさせる、そういう実践マニュアルが本当に大事になってきているんじゃないかと思うんですね。やはりこういう参加した子どもたちの声を聞きますと、自分には権利というものが関係ないと思っていた。しかし、こういうことを通して自分も、また相手も権利を侵してはならないし、尊重していくことが大事だという、その中から子どもたちみずからが探して見つけて、感じていくという。

 先ほどの答弁だとちょっと弱いんじゃないかなと思うんですね。教育長が今、教育ビジョンの中でも人権教育を大事な柱としていくとおっしゃっていますが、先ほども申しましたように、これは大変難しいだけに、こうした本当に語りかけるような、参加型の、こういうものをまず教育現場で推し広げていくというか。まだやってもいないわけですから、やってみて、その結果どうだったのかという、そういう具体的な判断、そういう積極性がまず必要なのではないかなというふうに思います。その点もう一度伺いたいと思っております。

 それから、環境について、エコスクール、スーパーエコスクールはどうかという質問をしたんですけれども、やはり私は、質問にも言いましたように、学校そのものが子どもたちにとって環境学習の場なわけで、何校か指定されているようですけれども、やはり教育委員会として、さまざま見ますとモデル事業がたくさんありますので、そうしたものを積極的に、声がかかって、じゃあ、この学校、あの学校というんじゃなくて、やはり計画ぐらいつくって、これから持続可能な社会、あるいは持続可能なものをつくっていくためには、人をどう育てるかというところに重点を置かなければいけない。そのことを考えると、学校そのものが環境教育の現場だという、その認識を大事にしていただきたいし、そういうモデルをつくっていただきたい。支援をするというだけじゃ何をどうするのかなという、ちょっと弱いのではないかなというふうに思います。

 また、こちらの環境部長の御答弁では、すぐガススタンドをつくりなさいというわけではありません。ただ、あの答弁によりますと、今、新宿のスタンドまで行っているし、しようがないからいいんだというんじゃなくて、環境基本計画、すばらしいのができていますし、一つひとつ実践していく、実行していく上において、今、しようがないからいいんだという、大体この姿勢がおくらせていくんじゃないかと、こう思います。ですから、しかるべき場所とか、民間の東京電力にも働きかける。こんな場所があるからどうなんだとか、そういう積極性がやはり区民に幅広く、環境はこれから本当に大事な中野の重要な施策にもなっていくわけなので、部長の答弁は大変弱腰なんじゃないかと、こう思いますので、もう1回答弁いただきたいと思います。

 

〔教育委員会事務局次長山下清超登壇〕

○教育委員会事務局次長(山下清超) 再質問にお答えさせていただきます。

 まず、人権教育についてでございます。

 各学校での取り組みを何よりも大切にしたいというふうには思っておりますが、教育委員会としましても、人権教育を考えるための検討委員会を設けてございます。そういった中で、御指摘のございました体験学習などについてさまざま検討していくというような、そういったことをまず始めさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、次には、環境学習についてでございますが、特別の設備を学校に新たに加えていくということはなかなか難しい面もございますが、既に備えておりますそういったものをうまく活用しながら、先ほど申し上げました、指定を受けている学校などでの取り組みをさらに応援する形で、学校の特色づくりというような側面からも、環境学習というような視点での取り組みが強められればということで、そういったことを学校と一緒に教育委員会としても取り組んでいきたいというふうに思っております。

    〔環境部長西條十喜和登壇〕

○環境部長(西條十喜和) お答えいたします。

 天然ガススタンドについてでございますけれども、御指摘の場所の問題などもいろいろな条件があるかと思います。そんなところも今後、東京ガスとも十分協議いたしまして、中野区に適地があるのかどうか、そういったことも話し合っていきたいというふうに考えてございます。

○議長(斉藤金造) 以上でやながわ妙子議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

      午後3時32分休憩

 

      午後3時52分開議

○議長(斉藤金造) 会議を再開いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 長 沢 和 彦

 1 区長の政治姿勢について

  (1)「中野区基本構想」及び「(仮称)新しい中野をつくる10か年計画」について

  (2)(仮称)中野区経営改革指針について

  (3)「中野区財政白書」と「中野区施設白書」について

  (4)その他

 2 高齢者の医療費値上げによる影響と改善について

 3 区民健診の有料化について

 4 介護保険の保険料と利用料について

  (1)保険料の引き上げと減免について

  (2)利用料の軽減について

 5 学校の施設整備と維持補修への予算措置について

 6 保育園の民営化について

 7 野方駅の改善について

 8 その他

 

○議長(斉藤金造) 長沢和彦議員。

     

〔長沢和彦議員登壇〕

○10番(長沢和彦) 2002年第4回定例会に当たり、日本共産党議員団を代表し質問を行います。

 最初に、今月13日に発生した医療事故について一言申し上げます。

 この事故は、南部保健福祉相談所における乳児のBCG接種の際、消毒用アルコール液と逆性石けん液を間違えて使用し、乳児の上腕を消毒してBCG接種を行ったというものです。

 去る2月21日、鷺宮保健福祉相談所において同じく乳児のBCG接種にかかわる医療事故が発生したばかりです。このような医療事故を再び起こさないことを区民に誓い、さまざまな見直しを行って出直しを図った直後の事故です。しかも被害にあったのは2度とも生後3カ月の乳児です。被害に遭った保護者のみならず、区民の怒りと不信は大きなものがあります。

 部内の事故調査委員会の調査と改善の取り組みに続き、今後、専門家による第三者委員会の設置を含め、総合的な対応を行うことになっています。組織上の問題を含め徹底した見直しを行い、あってはならない事故を根絶するための対策を確立するよう強く求めます。

 それでは、質問に入ります。

 初めに、区長の政治姿勢について伺います。

 「中野区基本構想」及び「(仮称)新しい中野をつくる10か年計画」についてお聞きします。

 区長は就任して以来、中野区基本構想の改定について述べてきました。議会が開かれるたびにこの改定をめぐって議論が集中しています。区側が議会に示した基本構想改定の目的がどこにあるのか、いまだにわかりづらいものとなっています。

 また、改定に当たっての方針・手法についても、中野区基本構想審議会の設置を要綱で定めることとしていたのを、条例で定めることに変更しました。制定の時期も、2004年であったのを1年延ばして2005年としています。改定の意図はもちろん、改定の方針についても軸足のぶれが激しいことを指摘せざるを得ません。

 さて、中野区基本構想及び(仮称)新しい中野をつくる10か年計画策定の方針が改めて示されました。基本構想に対する我が党議員団の立場は、第2回定例会、第3回定例会の中で繰り返し「改定の必要はない」ことを主張してきました。しかし、改定にかかわる予算措置がされたもとでは、どのような基本構想にすべきか、今後積極的に主張していくつもりです。

 そこで伺います。これまでの我が党の質問に区長は、「現行基本構想の理念を引き継ぐ」と再三答えています。具体的にそれをどのように引き継ぐのか、新しい基本構想にもその理念は文章として表現されるのかどうか伺います。

 また、理念を引き継ぐとすれば、策定に参加する区民にも、審議会委員など関係者にも、現行の基本構想をしっかり議論していただかなければなりませんが、その作成過程で現行基本構想をどのように扱われるのか、お答えください。

 新しい基本構想は、10年後の新しい中野の姿を具体的に描き出すものに改定するとしていますが、区長自身は10年後の新しい中野の姿をどのように描いているのか、伺います。

 区民の暮らしや福祉、教育がどのような姿になっていくのか。よもや全面的な切り捨てや廃止、民営化、民間委託などが10年後の中野の将来像だと言うのではないでしょう。しかし、後で触れますが、中野区の財政白書で述べているような、財政再建を最大の課題とし、区民の暮らしの実態や区民要求もこの枠のもとでしか扱わないとするならば、基本構想も10か年計画も、区民サービス切り捨ての財政再建計画にならざるを得ないことを危惧するものです。

 財政あっての区政ではありません。区民あっての区政です。見解を伺います。

 策定指針の中で、基本構想の改定については、新たな時代の変化に柔軟に対応できることを強調していますが、新たな時代の変化とは決して区民にとってプラスの変化ではなく、マイナスの変化の方が大きいのです。しかも「実現し得る具体性」とか、「実現可能性を踏まえたものにする」としていますが、初めから「できることしかやらない」と明言しているように聞こえるだけに、区長の言う新しい中野は、明るい中野区政の未来ではなく、ダイナミズムに欠ける、こせこせしてゆとりのない中野へと押し込んでいくのは必定です。

 区民の暮らし、福祉、教育、環境の取り組みを大きく前へ進めるという原点に立った基本構想の検討を強く求めるものですが、見解を伺います。

 2点目に、(仮称)中野区経営改革指針についてお聞きします。

 (仮称)中野区経営改革指針は、行財政5か年計画と同計画を補強し、10か年計画策定までのつなぎの行財政運営の指針とするとしています。その検討視点や検討課題を見てみると、区政の根本にかかわる、かなり重要なものとなっています。

 例えば施設配置の見直し、施設の運営見直しが示されていますが、これらの問題を間近に迫った課題としてこの12月に結論づけてしまうことは、区民無視につながります。施設の問題は区民サービスに直結しているものが多いだけに、区民の意向を聞いて、区民参加で進めるべきです。庁内だけの議論で済ませ、区民には形だけ議論をしてもらうということであってはなりません。

 区長も、「5か年計画をつくる上で不足していたことは、区民の意見を聞くこと」だったと述べていたのですから、同じ轍を踏まないことを求めます。見解をお聞かせください。

 次に、「指針策定にあたっての基本的な視点」に関して伺います。

 この中に「顧客満足度の重視」という記述があります。なぜ区民を顧客、つまりお客様扱いするのでしょうか。別の視点のところでは「区民との協働」とか、取り組み事項のところでは「手ごたえある区民参加」と言っていることからも、区政の主役である区民をお客様扱いするのは大変失礼ですし、間違っています。区民サービスを含めて区民と一緒になってつくっていくところに、協働も区民参加もあるのです。区民が求める行政サービスは、基本的に区民の権利に属するものです。企業が行うサービスとは根本的に違うものです。そうした認識はあるのか、伺います。

 「策定指針に当たっての基本的な視点」では、さらに「市場・競争原理の活用」といったことも書かれています。これは大きな問題があります。今日の時代ほど市場・競争原理が行き詰まり、国民に被害を及ぼしているときはありません。リストラの横行と不良債権の早期最終処理のもとで、中小企業はつぶされ、失業者があふれ出ています。市場・競争原理の導入を誤ると、どこまでひどい状況に経済も社会も陥るか、そのような認識はあるのでしょうか。

 市場原理を無批判に導入しようとすることは、余りにも軽はずみで不用意で危険です。見解を伺います。

 取り組み事項のところでは組織整備が示されています。

 議会運営協議会で出された資料の「平成15年度組織整備にあたっての考え方」の中で、区長室の設置を挙げています。ここに権限を集中するようでは、基本的な視点で示した権限の移譲と矛盾することになります。今、中野に求められている最大の課題は、行政の都合を区民に押しつける組織でなく、区民に顔を向けた、区民の目線で考えられる職員の養成と組織のあり方を検討することではないでしょうか。見解を伺います。

 この項の最後に、「中野区財政白書」と「中野区施設白書」について一言触れます。

 二つの白書をつくられた職員の皆さんの努力は大いに認めるところです。しかし、問題はこれらの白書をどう使うかというところにあります。この二つの白書の結論は、「中野の財政は大変だ」「施設の改修、維持補修に膨大なお金がかかる」というものです。しかし、日本じゅうのどこの自治体を見ても、財政が大変でない自治体はありません。財政難を過大に宣伝することによって、区民の中に渦巻いている区政への要求を抑え込む。そのための道具にこれら白書が使われるのでは本末転倒です。

 基本的には、どんな財政事情にあっても、区としてやらなければならない区民への責務があります。そのことを棚に上げさせるような区政のあり方に同調することはできません。白書が誤って使われることのないように厳しく求めます。見解をお聞かせください。

 次に、高齢者の医療費値上げによる影響と改善についてお聞きします。

 10月から70歳以上の高齢者の医療費窓口負担が1割、一定の収入のある人は2割に引き上げられました。それまで開業医を初め、大病院以外の診療所等の医療機関では1回850円の定額制、それも4回まで。しかも薬局での負担はなかったために、この改悪で負担が何倍にもなった人が出ています。

 月2回の往診を受けている女性は、「これまで1,700円だったのが5,350円の負担になった。その上薬代が2,000円も取られた」と嘆いています。「往診を1回にしてくれ」「往診をやめて外来に変えたい」と車いすで来院する方さえいます。中でも在宅酸素の方の負担増は大きく、「酸素をやめてください。家計を圧迫するくらいなら、自分が我慢すればいいのだから」と医師に申し出ている人もいます。

 外来の患者からも悲痛な声があがっています。糖尿病でかかっている患者は、「検査はしないで」「薬も減らしてほしい」と言っています。検査をやらず、薬をやめたら、命を落としかねないにもかかわらずです。どれも深刻な訴えです。

 全国で薬や検査の拒否、受診回数の減など、明らかに受診を控える傾向が出ています。あるいは負担を捻出するために、生活費、食費など身を削って家計をやりくりしているのが実態です。このまま放置できません。区としてこのような実態をどのようにつかんでいるのか、伺います。

 住民税課税所得が基準額以上の場合、自己負担が2割になります。しかし、70歳以上の方が複数いる世帯で年収が637万円未満、70歳以上の方が一人だけの世帯で年収が450万円未満の場合は、申請によって1割負担になります。

 区で1割負担なのか2割負担なのかの認定を確定できない方々が約1,200人いると聞きます。区は医療受給者証を送付するにあたって、この1,200人にこのことを知らせる文書と該当する場合の申請書を同封したとのことです。丁寧に対応してこられたことについて評価します。

 この中で、現在、320人の方が1割負担の申請をしていると伺っています。既に300人を超える問い合わせがあったと聞いていますが、申請を行えば1割になる高齢者がまだ多数いると考えられます。煩雑、複雑な仕組みのため生じている問題です。申請した翌月からしか1割負担にならないことからも、区は再度、対象となる高齢者すべてが申請できるように進めることが必要です。早急に、そしてわかりやすく周知徹底を図ることを求めます。御答弁ください。

 また、住民税非課税世帯の場合に、申請により「老人医療の限度額適用・標準負担額減額認定証」を交付することになっています。これは入院のときの医療費や食事代の支払いなどに必要となります。あらかじめ対象となる高齢者に、丁寧な解説をつけたお知らせと申請書を送付することを求めます。いかがですか。

 さらに、制度の変更に伴って、負担分全額を窓口で支払った後に、1カ月の医療費が限度額を超えた場合には、申請によって償還払いすることになっています。先ほど触れたような負担額の増大によって、それまでは考えられなかった外来受診での高額医療費の受給対象者がたくさん出てくることになります。こうした方々は、今までは申請書と一緒にその月の領収書を持って申請をしていました。毎月毎月こうした手続を行うことは、高齢者にとって大変なことです。実務的な負担を軽減することが必要です。申請を初回時のみで済むように工夫すること、受け取りについても初回に指定した口座に2回目以降も継続して振り込むことができるようにすることを求めます。見解を伺います。

 次に、区民健診について伺います。

 「なかの区報」11月17日付に「老人保健医療制度の現状と、医療費を有効に使い、その増加を抑えるためのポイント」が載っていました。その中で、みずからの健康管理を重視するとともに、医療費の節約になるからと、健康診断で病気の早期発見・治療を行うことを強調しています。区みずからが、重病化が医療費の増大につながることを認めています。

 2000年度の「厚生白書」では、1人当たりの医療費が最も低い長野県について、健診などの事業と老人医療費との関連について、事業実施が多い市町村ほど老人医療費が少ないこと、最も関連が強いのは健康診査であると述べています。反対に、受診のおくれが住民の命と健康を脅かし、医療費の増大につながることを証明しています。

 中野区の区民の健康診査の受診者はふえていますが、さらにこれを伸ばす努力が求められます。そのためには、受けていない区民への勧奨と徹底したPRによる受診率アップが欠かせません。医療機関の協力を得て、受診しやすい工夫など環境づくりも大事です。さらに成人健診、がん検診の内容を一層充実させることが重要です。区の見解を伺います。

 ところで、区は来年度から区民の健康診査に一部有料化を導入しようとしています。なぜこの時期に有料化するのでしょう。自分の健康は自分で守ることをことさら強調しますが、区が区民にこれを押しつけるのは間違いです。区民がみずから気をつけることと、区が強要することは全く異なります。

 「一定の負担をお願いすることで健康への自覚を持つ」ともいいますが、「自己負担」と「健康への自覚」をイコールで結びつけるのも間違いです。この論理でいくと、負担が高ければ高いほど健康への自覚を持つといったおかしなことになります。今年度から有料化を実施した杉並区の広報でもそうしたことが言われていました。しかし、議員が「自覚が高まったか」と質したのに対し、理事者は「そうではない」と答えています。

 また、区長みずからが有料化に当たって「受ける人と受けていない人がいるのは公平性に欠ける」と言っていますが、これも正しくありません。

 第1に、有料化で負担を強いることが「受けられる人」と「受けられない人」をつくり、かつ受けにくい状況をつくり出すことになるからです。すなわち、公平性を欠く事態を区みずからがつくり出すことになります。

 第2に、「受けた人は負担するのが当たり前」と言わんばかりの受益者負担も認めがたいものです。不況が続き、リストラ、倒産が相次いでいる中で有料化が行われれば、受けたくとも受けられない人が生まれるのは明らかではありませんか。そういう人を生み出してはいけません。何でもかんでも受益者負担は間違いです。

 そもそも有料化の考えは、老人保健法の事業から除外されたことにより、補助金が一般財源化され、結果として国の財源措置がされなくなったことで、区の財政が厳しくなったことが発端です。それを区民に転嫁しようとしているのです。区は区民の命と健康を守り、支えることこそが責務です。区民に責任を押しつけることは許されません。見解を伺います。

 3定での総括質疑や陳情審査の中で、杉並区の今年度からのがん検診有料化をめぐって質疑が行われました。受診者が大きく減っていることが明らかとなっています。例えば、肺がん検診で昨年度受診者が2,172人だったのが、今年度には1,327人と39%も減っています。

 先日、熊本市を視察しましたが、ここでも昨年度に各種がん検診を有料化したことで、前年度と比べて、例えば胃がん検診は1万6,224人から1万1,906人に、子宮がん検診では1万5,487人から9,573人へとおよそ3分の2に激減しています。担当者も「有料化で受診率が低下した」と話されました。がんでの死亡率がトップである現状からも、殊のほか受診の抑制を招いて、早期発見・治療の効果を薄れさせてはなりません。

 区は受診率が下がることをよしとはしていないはずです。区民の健康診査の無料制度継続を強く求めて、この項の質問を終わります。

 次に、介護保険の保険料と利用料について伺います。

 初めに、保険料についてです。

 来年4月に向けて、各自治体で介護保険事業計画と65歳以上の第1号被保険者の介護保険料の検討が進められています。中野区でも諮問した介護保険運営協議会の中間答申を受け、区の第2期介護保険事業計画素案を発表し、検討を重ねているところです。

 介護保険制度は、介護費用の2分の1を保険料で賄う仕組みのため、介護サービスの量がふえればふえるほど保険料は高くなります。この問題の解決は制度の抜本的な見直しなしにはできません。国庫負担割合を引き上げることがどうしても必要です。

 区の計画素案では、基準額3,400円が示されました。計画素案に対する区民意見交換会が開かれましたが、保険料改定について「なぜ保険料をアップしなければならないのか」とか、「保険料はたまっているのか。いるとしたらなぜ保険料を上げるのか」といった意見が出されています。今でも高過ぎる保険料にたくさんの不満が出されています。これ以上の保険料引き上げは耐えられないというのが区民の率直な意見です。

 既に保険料を極力現行水準を維持しようとする自治体の努力が見られます。東京都内で見ると、品川区、文京区、江東区で、「現行水準と同程度にする」「基金の活用も含めて検討する」としています。国分寺市では「現行で抑える」との議会答弁がなされています。中野区においても、保険料の引き上げを前提とすることなく、約10億円ある介護給付費準備基金を取り崩して、現行水準を維持すべきです。いかがですか、御答弁ください。

 区は、保険料について現行の5段階を6段階の区分とし、各段階の料率を変更することにしています。さらに、低所得者に対する減額措置を設け、生活保護受給者を除く第1段階と第2段階のうち、収入が一定基準以下で生活に困窮している人を対象としています。

 我が党議員団は、議会のたびに保険料の減免の問題を取り上げ、区に実施を求めてきました。区がこうした減額措置をとることにしたことを評価しつつ、その内容についてお聞きします。

 区は保険料の段階区分を5段階から6段階にし、その料率を変更することにしていますが、具体的にはどのような料率を検討しているのでしょうか。生活の困難を抱えている第1・第2段階、いわゆる低所得者への思い切った減額を求めるものです。いかがでしょうか、お答えください。

 さらに、低所得者に対する個別申請に基づく減額措置についてお聞きします。

 これも多くの区民が求め、党議員団も再三議会で取り上げてきた課題でしたが、今回、区が検討している減額措置はどういった要件、内容となるのか、その内容を具体的に示してください。

 続いて、利用料についてお尋ねします。

 ヘルパーを利用していた低所得者の利用料が、来年7月に3%から6%に引き上げられます。厚生労働省は、ヘルパー利用料の軽減は激変緩和措置だと言って、2005年度までに1割負担にしていくとしています。不況と経済政策の誤りによる収入減に加え、社会保障の負担増で消費マインドが冷え込んでいます。そうしたときに利用料率を上げるのでは、サービスを控えることになるのは必至です。

 約10億円の国庫補助で、こうした引き上げをしなくても済むのです。特別対策を既定の方針とせず、3%への軽減を引き続き行うよう、あわせてすべての在宅サービスへの軽減措置を行うよう、国に強く要望すべきです。お答えください。

 区は、国の方針に倣って軽減率を6%にするとしています。区民が必要なサービスを受けられるかどうかの視点を持つことが、自治体として肝心なところです。せっかく区も独自にヘルプサービスの3%軽減を行うことで利用者の数、率ともにふえてきたのが、またしても軽減前のサービスを控える事態とならないかを懸念します。

 第3回定例会でも述べたように、区が月々105万円程度の負担で3%への軽減を維持していくことができるのですから、区としてサービス利用料の負担を軽減する措置を講じるべきです。見解をお聞きします。

 次に、学校の施設整備と維持補修への予算措置についてお聞きします。

 初めに、小・中学校の普通教室の冷房機設置についてです。

 昨年の第4回定例会で党議員団は、子どもや学校現場の切実な声を紹介しながら、普通教室の冷房化を求める質問をしました。このときはまだ消極的な答弁でしたが、ことしの第3回定例会では各党がこの問題を取り上げるところとなり、区長も教育長も検討を約束する答弁をしました。

 教育委員会では、空調機の設備を重点課題の一つとして議論が交わされていると聞いています。どこの小・中学校でも事態の深刻さと強い要望があります。学校間の格差を生まないためにも、一斉に実施することが必要です。来年度予算の中に必ず盛り込むことを改めて求めます。区長の見解をお聞きします。

 あわせて、冷房設備の設置工事については、不況にあえいでいる区内業者が優先して参加できるよう、積極的に検討してください。今年度の補正予算で対応する品川区では、積極的に区内業者に発注できるよう努力すると答弁していることを紹介しておきます。

 施設整備の2点目に、小・中学校の各階トイレに洋式便器を設置することについてお聞きします。

 小・中学校合わせて3校8カ所のところでまだ設置がされていません。特にけがをした児童・生徒にとっては、洋式便器は欠くことができません。肢体不自由の児童・生徒が入学した場合、より切実になってきます。

 家庭ではほとんどが洋式を使っているため、和式ではできない児童・生徒もふえています。そのため、我慢をして便秘がちになっている子どもがいると聞きます。こうなると、機能上の問題にとどまらず、体調不良など健康問題に影響してきます。

 先日、五中を訪ねましたが、ここもまだ設置されていません。「早く設置してほしい」との強い要望を伺いました。全校各階に設置するにしても、8カ所だけですから大きな金額ではありません。直ちに対応すべきことですが、教育委員会の見解をお聞きします。

 この項の最後に、学校の維持補修への予算化について伺います。

 今年度も中学校のPTA連合会を初め、小・中学校の保護者、学校関係者から、学校の維持補修にかかわる要望をさまざまな形で伺っています。窓サッシにしても、非常階段や屋上フェンスにしても、そして雨漏り防水であっても、「一体いつ改修・補修をしてくれるのか」といったぐあいです。幾つかの学校の話を聞き、実情も見ましたが、いずれも急がれるものばかりです。

 区教育委員会は、「安全・衛生・機能上の問題があるものを優先的に実施する」としていますが、関係者から出されている要望は、多くがこれらに該当するものばかりです。維持補修にかかわる予算を削減し続け、しかも予算執行を抑えてきたことがこうした事態を招いています。思い切った予算措置をして、来年度に解決を図るべきと考えます。いかがですか、お答えください。

 次に、保育園の民営化について伺います。

 5か年計画で民営化が示されたみなみ、あけぼの、大和北の3園で、定期的に保護者への説明会が開かれ、事業者選定が進められようとしています。今問題になっている民間福祉施設、私立保育園への人件費補助の削減及び区の補助について伺います。

 私たちは民営化の議論が始まったとき、既に社会福祉法人への支援が次々と打ち切られつつあり、このままでは大変厳しい状況が予想されると指摘しました。しかし、区は、「都の動向を見たい」というだけの極めて無責任な態度でした。その後、都は、新しく運営する社会福祉法人に対し、人件費補助経費を支出しないことまで決めてしまいました。

 社会福祉法人をめぐる状況は、当初の想定をいっそう超えた事態となっています。さらに都は、既存の社会福祉法人に対してもこの経費を削減しようとしていますが、とんでもないことです。東京都に削減せず存続するよう強く求めるべきです。答弁を求めます。

 さて、中野区における民営化5園については、新規のため人件費補助経費はつきません。それを区としてどう補うのかが、民営化園保護者を初め、父母連絡会の関心事となっていました。

 区は、人件費補助の補てんではなく、いわゆる準備資金の形で補助を出すことにしています。それもわずか3年間だけです。これでは人件費補助経費のかわりとなり得るものではありません。年々保育士の年齢が上がる中で、補助金が3年で打ち切りになれば、運営が困難になることは明らかです。延長保育について、区が提案している体制を確保することも難しくなります。職員の入れかわりが早まり、区が言う「若い人も中堅・ベテランもバランスよく配置してもらう」ことなど、できなくなるのではありませんか。結果的にしわ寄せは子どもと保護者に向けられることになります。こうしたことは認められません。きちんと財源措置をすべきです。御答弁を求めます。

 質問の最後に、野方駅の改善について伺います。

 一つは、エレベーター、エスカレーターの設置についてです。

 毎年、福祉連合会から「野方駅にエレベーターを設置してほしい」との要望が区に出されています。我が党で取り組んだアンケートでは、野方駅周辺の8町目、238名から回答が寄せられました。しかも大半の方が意見を書いてきています。「乗るときと降りるときに上り下り両方の階段を使うのは、年寄りにはとてもつらい」「ベビーカーの乗りおりが大変。エレベーターがあれば助かる。お年寄りも多いのでぜひ」「毎日利用しています。調子の悪い日や重い荷物のある日などは、どうして野方駅は不便なんだろうと思います」と切々と訴えています。また、「階段がつらいので、多少遠回りになっても都立家政まで行く」、こうした人も多いのです。

 区のバリアフリー実態調査報告書の中でも、野方駅が「早急な整備が必要な地区」として抽出され、地区別整備課題の検討で「駅からホーム間を安全で円滑に横断できる経路の確保が課題」とし、「バリアフリー整備への重要性は高い」と記述されています。

 また、西武鉄道が発行している「かわら版」で、「西武新宿線のバリアフリー整備の設置状況」を伝えています。エレベーター、エスカレーター、車いす用トイレと何一つ整備されていないのが、野方駅とほか1駅だけです。ここでも野方駅の置かれている実態が浮き彫りとなりました。

 エレベーター、エスカレーターなど昇降機設置の必要性をどのように認識されていますか、お答えください。

 昨年、「野方駅の改善をもとめる会」が西武鉄道本社に申し入れ、交渉を行いました。交渉の中で西武側は、「エレベーターを設置したい」と回答しています。区との協議も行い、具体的な構想を既に持っているようでもありました。その際、中野区から「財政が厳しいので今は難しい」との話がされたことも伺っています。

 本来、こうした設備設置は事業者である西武鉄道が負担すべきものです。我が党も機会あるごとに事業者の責任と負担を求めてきました。しかしながら、野方駅の現況と切なる住民要望から、放置することはできません。「中野区鉄道駅舎エレベーター等整備事業補助要綱」の目的に沿って、早期に実現することを求めます。お答えください。

 もう1点は、北側の改札設置についてです。

 野方駅のプラットホームは対面ではなく、1本の形のいわゆる「島型駅」のため、改札口は南側にあるだけです。西武新宿線の駅で同様の形は花小金井だけです。ここも数年前までは北口の改札しかなかったのが、今は南口もできて、立派なバスロータリーまでつくられています。この点でも野方駅は取り残されています。先ほど紹介した、我が党で取り組んだアンケートの意見でも、「開かずの踏切があって、線路北側の住民はとにかく不便で困っている」、こうした声がたくさんつづってありました。

 第2回定例会での質問に対し「検討する」との答弁がありましたが、現在どういった検討状況なのでしょうか。あわせて、西武鉄道と粘り強く協議をし、地元住民への情報提供を進めていくことを求めます。御答弁ください。

 さらに、障害者・高齢者対応のトイレの設置が待たれています。また、10両編成の車両が入線したときには、プラットホームより屋根が短いため、環七側で2両分、屋根部分がはみ出してしまいます。そのため、雨や雪、風の強い日は、利用者が大変困っています。西武鉄道は「利用者が減って投資に余裕がない」と渋っていますが、屋根をつけることを望んでいる人たちが多いのです。これらについても、区から西武鉄道に設置・整備するよう申し入れることを求めます。御答弁ください。

 以上ですべての質問を終わります。ありがとうございました。

     

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 長沢議員の御質問にお答えいたします。私からは、政治姿勢についてなど何点かについてお答えをさせていただきます。

 まず、基本構想、それから(仮称)新しい中野をつくる10か年計画についてのお尋ねであります。基本構想の理念を引き継ぐと再三答えているけれども、具体的にどう引き継ぐのかというような御質問でありました。

 現行基本構想のよい部分は当然引き継がれていくものというふうに考えております。区長が文章を書くかのような御質問でございましたが、具体的に文章表現をどのようにするのかといったようなことについては、区民論議を踏まえた上で、さまざまな手続の上に決まっていくものというふうに考えております。

 それから、基本構想の中で、基本構想も財政再建計画にならざるを得ないと危惧しているというような、また、区長は新しい中野の姿をどのように描いているのかといったような御質問でありました。

 財政と行政は全く別物で、財政はともかくとして、施策を充実していくのが行政であるといったような趣旨の御発言があったように私には聞こえました。全く私はそう思っておりません。財政と行政は一体のものであります。健全な財政なくして行政の充実はあり得ないわけであります。私の認識をまずお尋ねされていることについてお答えしなければならないということであります。

 基本構想は、中野区が地域社会として基本として進んでいく、そのための理念を示すということとともに、新たな時代の変化にしっかり対応ができる、そういう新しい地域社会のあり方、区の行政の形をつくっていかなければなりません。財政の収入というのは、さまざまな社会状況、その他を見ておりますと、今後減少傾向にあるというのははっきりしている。少なくとも伸びていかないだろうという見方は多くの方が持っているわけであります。そうした中にあって、ただただ施策だけを拡充していけるという考え方は、到底持つことができないわけであります。このままのことと同じことを続けていったのでは、中野区という地域社会がやっていけなくなる。行政もやっていけなくなる。そうした考え方に立って、新しい21世紀に本当に安心して私たちが暮らせる地域社会や行政をつくっていく、それが基本構想ということであります。

 21世紀という新たな時代には、従来型の行政のシステムや役割をベースに物事を考えるのではなく、低経済成長下にあっても持続可能な社会の実現のための方策、少子・高齢化の一層の進行については、支え合いの仕組み構築、また子育ての社会化を一層進めていくこと、地球規模での環境問題についても、ごみゼロへの取り組み、またリサイクルの一層の推進などを基本構想改定の中で、本当にこれからも継続して私たちが取り組んでいける、こういったあり方はどうあるべきなのかということとして議論を進めていきたいというふうに考えています。

 それから、学校の施設整備と維持補修への予算措置についてという御質問の中で、学校の普通教室の冷房化についてのお尋ねがございました。来年度予算に措置する考えはあるかという御質問でございます。

 教育委員の皆さんと意見交換をさせていただいた際にも、教育委員の皆様からかなり積極的な趣旨での御発言をいただきました。私がその際申し上げましたのは、現在、非常に厳しい財政状況ということも当然踏まえていただきたいということも申し上げましたが、この冷房機を設置するに至ったそもそもの原因が、ヒートアイランド現象という、地球が温暖化している中でも都市の中において気温が非常に上昇する、そういう場面が出てくるというような現象についてであります。都市の中で集中して冷房機を使う、そのことがまたヒートアイランド現象を加速してしまう。そういった中にあって、暑いから冷房機をというようなことの対応をただただ繰り返していくということが、教育現場の中でそのまま行われていいというふうには私は考えておりません。

 そういう意味で、仮に冷房機の設置についての取り組みをするとしたとしても、それよりももっと環境についての子どもたちへの教育と。ヒートアイランド現象を含めた、この環境教育といったようなことをまず考えていくべきなのではないかといったようなことを申し上げたところでございます。

 私からの答弁は以上とさせていただきます。

   

〔政策経営部長渡辺征夫登壇〕

○政策経営部長(渡辺征夫) 私からは、区長の政治姿勢につきまして5点お答えさせていただきます。

 最初に、基本構想の改定に関連しまして、現行の基本構想について、これから審議会で御審議いただくわけですけれども、そういったところでどのように扱うのかということでございますが、区民参加で基本構想策定の検討を行う中で、時代に合った基本構想を作成するためには、当然のことながら、現行基本構想も含め、さまざまな資料をもとに多角的な検討が行われるようにしていきたいと考えておりますので、現行基本構想については、まず第一番の資料と、そのように考えております。

 次に、中野区経営改革指針についてのお尋ねでございます。

 一つは、策定期間が短過ぎるので、来年8月ぐらいまで、その後区切りをすべきだというような趣旨でございますが、経営改革指針は、内部改革を中心とした執行の工夫や行政の体質改善、2年間の取り組み課題などを、これまで行ってきました区民との議論を踏まえて作成するものでございまして、来年1月には区民へ公表していきたいと考えております。

 次に、経営改革指針の視点として、顧客満足度の重視、あるいは市場・競争原理の活用、そういったものを掲げているわけでございますけれども、これにつきまして、私どもとしては、行政の運営を活性化する手法として新しい公共経営、ニュー・パブリック・マネジメントの考え方が広く受け入れられているところでございますので、この手法を取り入れて中野の行政の体質自体も変えていこうと考えているわけでございます。そういった手法の中で、顧客満足度や成果の重視、権限の移譲、市場・競争原理など、民間の経営の理念が行政にも有益でありますので、これらを活用しまして行政の効率化や透明性の向上を図ろうと、そのように考えているところでございます。

 顧客満足度の重視といたしましたのは、サービスの受け手である区民に着目いたしまして、よりよいサービスを目指そうとするものでございます。また、市場・競争原理につきましては、より低い経費でより大きな成果が上がる施策に取り組む姿勢を示すものでございます。顧客満足度や市場・競争原理の活用につきましては、いずれも区民にとってよりよい区政を実現するための考え方であり、改革の視点として示したものでございます。

 次に、組織整備について。区民に顔を向けて、区民の目線で考えられる組織整備にすべきではないかということでございます。

 私どもが現在検討しております組織整備につきましては、効率性と区民サービスの成果を重視し、区民にわかりやすい、簡素な組織整備を考えております。そのために、施策の関連性による部門の再編を図ることとしたいと考えております。部に権限を与えて経営感覚を持ち、かつ一人ひとりの職員が意欲と責任を持って働けるような、そういった組織にしていきたいと考えているところでございます。

 最後に、財政白書、施設白書、それの使い方が問題であるというような御指摘でございます。

 区民のニーズにこたえるためには、区政の情報をきめ細かく発信しまして、説明責任を十分に果たした上で、区民の皆さんと活発な議論をすることが必要であると考えております。財政白書、施設白書とも、現状と課題を明らかにするために作成したものでございまして、今後の区のあるべき姿につきまして区民論議をする際に、こうした資料が欠かせない、そういう思いでつくったものでございます。また、そういうような使い方をしていきたいと、そのように考えております。

 以上でございます。

   〔保健担当部長青山キヨミ登壇〕

○保健担当部長(青山キヨミ) 私からは、まず、高齢者の医療費値上げによる影響と改善についての御質問にお答えいたします。

 医療制度改革は10月に実施したばかりでもあり、診療報酬の請求が区へ届くのが12月中旬になるため、実態を具体的には承知しておりません。国に改善策を求めていくことについては、他区を含めた状況を見て、制度上の問題点があるとすれば、検討してまいりたいと考えております。

 次に、申請をすれば自己負担が1割に変更となる可能性がある方へは、個別に案内をいたしております。今後も区報等で周知を図ってまいります。

 老人医療費の限度額適用・標準負担額減額認定証の対象となる方は約1万3,000人おられますが、減額認定証を必要とするのは、入院または在宅総合診療を受けている方に限られており、既に負担区分とあわせお知らせをいたしておりますので、改めて対象者全員に申請書を送ることは考えておりません。

 高額医療費の支給申請の簡素化については、既に実施するよう準備を進めております。

 次に、区民健診の有料化についての御質問にお答えいたします。

 生活習慣の改善、病気の早期発見・早期治療に結びつけるために、区民健診の制度を着実に運用していくことが大切であると考えております。医学の進歩に伴い、検査方法、検診内容など、新しい手法も開発されております。より効果のある健診にするための工夫を今後ともにしてまいります。

 健診の意義は、自分の健康は自分で守るという意識をいかに多くの区民に持っていただくかにかかっております。費用の一部を自己負担することにより、自分の健康を自分が守り、つくっていくという意識を持って受診することにつながると考えております。

 なお、経済的に負担が困難な方々には十分配慮をしてまいります。受診率を上げるには、いかに効果的な健診にしていくかが大切であると考えております。

   

〔保健福祉部長石神正義登壇〕

○保健福祉部長(石神正義) 私からは、介護保険の保険料と利用料についてお答えさせていただきます。

 まず、保険料の引き上げと減免についてという御質問の中のうち、介護給付費準備金の取り崩しをという御質問がございました。

 介護保険の事業計画の素案では、要介護認定者数や介護サービスの利用状況、こういった状況につきましては、直近までの実数をもとに3年間の保険料を算定したところでございます。素案の策定後、8月、9月、10月、こういった状況を見ますと、介護認定者数や利用者数、これが大幅にふえております。また、在宅サービスの利用率、これは予想を上回る状況になっているということでございます。このために、改めて保険給付費等について現在推計をしているところでございます。

 こうした状況から、基金の取り崩しにつきましても視野に入れなければならないというふうに考えてございます。介護保険運営協議会の意見等も聞きながら計画を策定していきたいというふうに考えてございます。

 次に、保険料についての6段階導入、この見直しについての御質問でございます。

 介護保険料の改定に当たりましては、介護費用の一定割合、これは18%に当たりますけれども、これを1号被保険者で負担するということになってございます。この保険料を6段階にするという導入の目的でございますけれども、これは所得の高い区民に負担能力に応じた負担を求めて、第1段階及び第2段階にある被保険者の保険料負担を軽減するというものでございます。この保険料の負担割合を考えるに当たりましては、年間収入に占める各保険料の段階ごとの保険料率、保険料と収入割合、この負担割合の差をできるだけなくすような形で行いたい。いわゆる収入に占める保険料の割合が各段階とも同じような形になるようにしていきたいということでございます。

 次に、保険料の減額措置についての御質問がございました。

 区が独自に行う保険料の軽減策というものにつきましては、保険料を全額免除しない、収入のみに着目した一律の減免をしない、一般財源により保険料の減免分を補てんしないという、国の示す3原則がございます。区といたしましては、この3原則に基づき実施していこうというふうに考えてございます。

 この実施に当たりましては、収入だけではなくて、資産の保有状況等、また被保険者の負担能力等、こういったことを個々具体的に判断することが必要というふうに考えてございます。

 次に、利用料の軽減についての御質問にお答えいたします。

 国の軽減策でございますけれども、これは介護保険制度を発足するときに、制度以前から行っていたホームヘルプサービス、この利用料負担の激変緩和策として実施されたものでございます。区は昨年10月から独自に、この施行前と施行後の利用者間の負担の不公平さをなくそうということから、国の制度に準じて行ってきました。本来、低所得者対策というものにつきましては、介護保険制度の枠内で実施すべきと考えてございます。このことから、区独自に行う利用料負担率を考えていくということではなくて、国の制度とあわせて行っていきたいということで、利用者負担率を3%で継続する考え方はございません。

 また、軽減措置について国に強く要望すべきということでございますけれども、これまでも低所得者対策といたしましては、利用料の負担軽減策の拡充を全国市長会を通じまして国へ要望しているところでございます。今後もこういったことについては引き続き行っていきたいというふうに考えてございます。

 

〔教育委員会事務局次長山下清超登壇〕

○教育委員会事務局次長(山下清超) 私からは、学校施設の整備についての御質問にお答えいたします。

 まず、洋式トイレについてでございます。

 これまでも洋式トイレの増設に努めてまいっております。その結果、各学校で各階に洋式トイレが設置されていない学校、御質問でもありましたが、3校ということになっております。できるだけ早い時期に全校で設置ができるような努力をしていきたいと思っております。

 それから、今後の考え方というところでございますが、教育委員会では、これまでも子どもたちの安全が何よりも大切という考え方で、耐震補強の工事、あるいは老朽化して危険なサッシの改修などを優先して取り組んでまいっております。今後とも限られた財源の中ではございますが、安全確保が最重要というような課題として扱っていきたいと、そういうふうに思っているところでございます。

 以上でございます。

  

〔地域センター部長柳澤一平登壇〕

○地域センター部長(柳澤一平) 保育園の民営化に関しまして2点お答え申し上げます。

 東京都では私立保育園の人件費補助、いわゆるB経費の削減を考えているようだが、存続を求めるように要望したらどうかという御質問でございました。

 既存の私立保育園へのB経費の補助につきましては、外部委員で構成しております福祉サービス提供主体経営改革に関する提言委員会というところの中間提言が出されまして、その中でB経費の基本的廃止が提言されました。東京都はこの提言を受けて、今、改革のあり方及びその進め方について検討している最中ということでございます。都の具体的対応がまだ明らかになっておりませんので、区といたしましては、今後の動向を見守るとともに、各区とも協力して対応していきたいというふうに考えているところでございます。

 次に、区の民営化園の事業者に対する開設準備の補助、これが3年間となっているが、経年化すべきではないのかという御質問でございました。

 この事業につきましては、区立保育園が円滑に私立保育園に移行していく、そのとき、園児に適正な処遇がなされるよう、また開設当初の運営費、物品整備費及び職員の研修費等について、必要な費用の補助を行おうとするものでございます。このような趣旨を考えますと、区が現在想定しているこの制度につきましては、一定期間に限りたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

   

〔都市整備部長石井正行登壇〕

○都市整備部長(石井正行) 私から、野方駅の改善についての御質問にお答えいたします。

 まず、野方駅のエレベーターの設置につきましては、その必要性は十分認識しておるところでございます。現在、区では、駅及び駅周辺を歩きやすく利用しやすい環境となるよう、連続性のあるバリアフリー空間を整備するために、(仮称)中野区交通バリアフリー推進構想、これの策定を考えております。野方駅のエレベーター設置等につきましても、この推進構想の策定過程で検討してまいります。

 次に、北口の開設につきましてでございますが、これまでも西武鉄道に要請してきておるわけでございますが、西武としましては、区に適切な用地提供、これを求めております。区といたしましては、財政事情も考慮しながら検討を続けてまいりたいというふうに考えております。

 また、障害者用トイレ等の整備につきましても、引き続き粘り強く要望してまいりたいというふうに考えております。

○議長(斉藤金造) この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

     

〔長沢和彦議員登壇〕

○10番(長沢和彦) 再質問を1点だけさせていただきます。

 区長にお伺いしたいんですが、私どもは財政がどうでもいいなどとは言っておりません。ただただ財政を削ることばかり述べて、区民の暮らし向きを見ていないのではないかと、そういったことで質問をさせていただきました。財政が厳しい中で温かい政治行政を最大限大切にしている、そういった自治体もあるわけです。財政を理由に暮らし、福祉、教育を切り捨ててはならない、こうしたことを主張しているわけです。厳しい中で何よりも暮らし、福祉、教育、これを大事にするという姿勢に立つのかどうか、このことを問うているわけで、このことをどのように考えられているのか、再度答弁をお願いいたします。

     

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 長沢議員の再質問にお答えいたします。

 財政が大切だという共通認識をお示しいただいたことは、大変ありがたいというふうに思っております。財政を削るためにという、そもそもの御発言が私とちょっと認識が違っているかというふうに思っています。財政というのは、削るとか削らないではなくて、基本的に「入るを量って出ずるを制す」。入るというものと出ずるというものが両方あって、財政というのは構成されるわけであります。したがいまして、財政が破綻してしまうということは、行政そのものの破綻ということになるわけであります。財政で収支のバランス、均衡をとりながら、その中で区民のために最も役に立つ施策を、最も役に立つ行政運営をするというのがまず第一であるというふうに考えているわけでありまして、そうした行政を行っていく中で、税金を負担して区政を支えている区民の皆さんが、本当に安心して必要なサービスが受けられるように、そうした区政を展開していくことが重要であるというふうに考えているわけであります。

○議長(斉藤金造) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(斉藤金造) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、あす午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

      午後4時53分延会