平成28年09月13日中野区議会本会議(第3回定例会)
平成28年09月13日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録
25.12.05 中野区議会第4回定例会(第4号)

.平成28年(2016年)9月13日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(42名)

  1番  加  藤  たくま         2番  若  林  しげお

  3番  日  野  たかし         4番  木  村  広  一

  5番  ひやま      隆        6番  山  本  たかし

  7番  渡  辺  たけし         8番  内  野  大三郎

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  北  原  ともあき

 11番  高  橋  かずちか       12番  内  川  和  久

 13番  甲  田  ゆり子        14番  小  林  ぜんいち

 15番  白  井  ひでふみ       16番  中  村  延  子

 17番  細  野  かよこ        18番  小宮山   たかし

 19番  広  川  まさのり       20番  い  さ  哲  郎

 21番  佐  野  れいじ        22番  いでい   良  輔

 23番  伊  東  しんじ        24番  平  山  英  明

 25番  南     かつひこ       26番  小  林  秀  明

 27番  森     たかゆき       28番  石  坂  わたる

 29番  いながき  じゅん子       30番  小  杉  一  男

 31番  浦  野  さとみ        32番  伊  藤  正  信

 33番  高  橋  ちあき        34番  大  内  しんご

 35番  市  川  みのる        36番  篠     国  昭

 37番  久  保  り  か       38番  酒  井  たくや

 39番  近  藤  さえ子        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席議員

      な  し

.出席説明員

 中 野 区 長  田 中 大 輔      副  区  長  川 崎   亨

 副  区  長  本 田 武 志      教  育  長  田 辺 裕 子

 政 策 室 長  髙 橋 信 一      経 営 室 長  篠 原 文 彦

 都市政策推進室長 奈 良 浩 二      西武新宿線沿線まちづくり担当部長 角   秀 行

 地域支えあい推進室長 野 村 建 樹    区民サービス管理部長 白 土   純

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 横 山   俊     健康福祉部長   瀬 田 敏 幸

 保 健 所 長  寺 西   新      環 境 部 長  戸 辺   眞

 都市基盤部長   尾 﨑   孝      政策室副参事(企画担当) 海老沢 憲 一

 経営室副参事(経営担当) 朝 井 めぐみ  選挙管理委員会委員長 江口 済三郎

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長           事務局次長    古 本 正 士

 議事調査担当係長 佐 藤   肇      書     記  関 村 英 希

 書     記  大 野 貴 子      書     記  細 川 道 明

 書     記  井 田 裕 之      書     記  冨士縄   篤

 書     記  田 中   寛      書     記  遠 藤 良 太

 書     記  鎌 形 聡 美      書     記  松 丸 晃 大

 書     記  香 月 俊 介      書     記  亀 井 久 徳

 

 議事日程(平成28年(2016年)9月13日午後1時開議)

日程第1 第77号議案 平成28年度中野区一般会計補正予算

日程第2 認定第1号 平成27年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

     認定第2号 平成27年度中野区用地特別会計歳入歳出決算の認定について

     認定第3号 平成27年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について

     認定第4号 平成27年度中野区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算の認定について

     認定第5号 平成27年度中野区介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について

日程第3 中野区の財政の健全化判断比率について

 

午後1時00分開議

○議長(北原ともあき) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 久 保 り か

 1 2020年東京五輪を目指すまちづくりについて

  (1)文化芸術振興について

  (2)オリンピック・パラリンピックの機運を高めるための取り組みについて

  (3)受動喫煙防止について

  (4)その他

 2 食品ロス削減について

 3 西武新宿線野方以西のまちづくりについて

 4 妊娠・出産支援事業について

 5 その他

 

○議長(北原ともあき) 最初に、久保りか議員。

〔久保りか議員登壇〕

○37番(久保りか) 平成28年第3回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。

 質問は、通告のとおりです。その他はございません。区長並びに理事者の皆様には前向きでわかりやすい御答弁をお願いいたします。

 初めに、2020年東京五輪を目指すまちづくりについて伺います。

 本年、夏のリオデジャネイロでのオリンピック・パラリンピックでの日本選手の活躍は目覚ましいものがあり、多くの国民が寝不足になりながらも、期待に胸躍らせながらライブ映像に見入ったのではないでしょうか。オリンピックでの日本選手のメダル獲得数は過去最多の41個、パラリンピックでは、現在金メダルはまだとっておりませんが、日本選手の活躍が目立ち、東京五輪への期待が高まります。

 初めに、文化芸術振興について伺います。

 オリンピックは、スポーツと文化の祭典であり、オリンピック憲章にはスポーツと文化、教育の融合が挙げられています。2020年東京大会に向け、日本全国で長期的かつ大規模な文化事業が期待されています。平成27年文化科学白書では、文化プログラムの推進として、オリンピックを契機に、全国津々浦々で(仮称)文化力プロジェクトを展開し、総がかりで全国的に文化芸術振興に向けた機運を高め、「文化芸術立国」を実現とあります。中野区でも文化芸術振興への取り組みを進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。御見解を伺います。

 中野の誇る芸術には、世界的にも注目の高まる生の芸術アール・ブリュット、また今定例会で名誉区民として選定された梅若玄祥氏が学院長である梅若能学学院のような日本の伝統文化、さらには大衆芸能として人気の高い打越太鼓、江古田獅子舞、鷺宮囃子、ブロードウェイや駅周辺での集客力も高い漫画やアニメなどもあります。2020年東京大会では、中野のまちの文化芸術資源を活用し、その魅力を世界に向け発信する仕組みを構築すべきではないでしょうか。また、その一大文化芸術拠点として中野サンプラザを活用されてはいかがでしょうか。お考えを伺います。

 次に、オリンピック・パラリンピックの機運を高める取り組みについて伺います。

 今回のリオオリンピックでは、北中野中学校ラグビー部出身の選手も活躍していたことから、出身校では先輩の活躍に喜びの声が沸き起こりました。中野区の広報でも紹介がありましたが、中野区出身あるいは中野区在住等の選手の活躍はやはり地域としてはうれしいもので、関心も高まります。

 所沢市では、市の由来のある選手をホームページで紹介、市役所のロビーでは横断幕を掲げ、パネル展示等でも紹介し、市民に対しPR活動を積極的に行っていました。また、他にもホームページを活用して、ゆかりの選手を紹介する自治体が幾つも見受けられました。情報収集や個人情報の取り扱い等、難しいこともあるかもしれませんが、やはり中野に由来のある選手が活躍しているのであれば、紹介し、選手を応援していくことが大事ではないでしょうか。2020年に向け、情報収集の仕組みづくりを進め、今から機運を高める活動を推進していくべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 オリ・パラ機運を高めるための方策として、パブリックビューイングの推進について伺います。

 2020年東京大会、また前年の2019年にはアジアで初のワールドカップラグビーも開催されます。2019年は日本にラグビーが公式に伝わり120年の記念の年でもあるようです。しかし、どちらも東京で開催されるといっても、希望する人が皆、メイン会場に行かれるわけではありません。家のテレビでじっくり応援したいという人もいるかもしれませんが、多くの仲間と大画面で臨場感を味わいながら応援したいという区民のために公共施設でのパブリックビューイングを推進すべきと考えます。特にこれから東京大会前に建設される新中野体育館や四季の森公園、先ほど芸術拠点にと提案した中野サンプラザなど、パブリックビューイングを実施するのにふさわしい場所は区内に幾つもあります。区として、次の東京五輪に向けてパブリックビューイングを推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 今回のリオ五輪から、7人制ラグビーが男女とも正式種目として採用されるようになりました。さきに紹介した北中野中のラグビー部出身の選手以外にも、これからのワールドカップラグビー、また東京五輪の女子ラグビーでは中野区由来の選手の活躍が期待をされています。メインの競技会場を提供することは難しいかもしれませんが、練習会場等で7人制ラグビーを応援することは十分に可能性があると考えます。まずは、「ワールドカップラグビーを応援します!」というPRを行い、2020年東京五輪への流れをつくり、ラグビーを中野区のゆかりのスポーツとして位置付けてはいかがでしょうか。伺います。

 23区でも、東京オリンピックに向け、組織を明確にし、取り組む自治体がふえています。中野区でも、2020年オリ・パラ担当の組織を明確にし、取り組んでいくべきと考えます。お考えをお示しください。

 次に、東京大会を目前に取り組むべき課題である、受動喫煙防止の対策について伺います。

 厚生労働省は、8月31日、他人のたばこの煙を吸う受動喫煙が肺がんの危険性を確実に高めることなどを盛り込んだ報告書をまとめました。公共施設や飲食店など、不特定多数の人が利用する室内の全面禁煙を提言、通称たばこ白書は15年ぶりの改定で、受動喫煙の危険性を強調した内容になっています。白書は、受動喫煙が原因の死者は年間1万5,000人で、日本の防止対策は世界最低レベルとする世界保健機関(WHO)の判定に言及、肺がんだけでなく、心筋梗塞や脳卒中、小児ぜんそくなど、因果関係が十分あり、最もリスクの高いレベル1と判定されました。

 また、オリンピック開催地では禁煙化が進められています。東京都でも、今後、2020年に向け受動喫煙防止条例が施行される可能性があり、喫煙に関するあり方が大きく見直しされる場合もあります。現在、東京では、たばこを吸える場所と吸えない場所を区切る分煙にするのか、それとも屋内を全て禁煙にするのかといった課題があります。いずれにしても、区として、今後、受動喫煙防止対策の準備を進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 平成27年6月1日から職場の受動喫煙防止対策が事業者の努力義務となり、事業者が受動喫煙防止対策を行う際の経費の一部を支援する受動喫煙防止対策助成金の活用を厚生労働省・都道府県労働局では推進しています。この助成金は、事業者が直接都道府県労働局に申請するため、区では区内の事業者の申請状況を把握していませんが、区として、区内事業者の現状を把握し、受動喫煙防止対策助成金についても積極的に活用を推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 また、区として、公共的な屋内での喫煙を制限し、屋外での喫煙を推奨すべきと考えます。特に文化施設、スポーツ施設においては、屋根のあるところでは喫煙しないという発想が重要であると考えます。現在、中野体育館では出入り口付近に喫煙スペースが設置されています。屋外での喫煙ではありますが、体育館の正面の出入り口付近であり、たばこの煙が館内に流れ込む位置にあります。受動喫煙対策を講じた上で喫煙所の設置をすべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 この項の最後に、ムスリム旅行者受け入れ環境の向上について伺います。

 近年、ビザの緩和やLCCの就航により東南アジアをはじめとするイスラム圏からの訪日外国人旅行者が急増しております。今後、訪日外国人旅行者2,000万人を目指し、より多くのムスリム旅行者の受け入れを行うためには、宗教的・文化的な習慣により不便を感じることのないよう、ムスリム対応の一層の強化が重要となることから、観光庁では旅行者受け入れの実践例や必要な情報をまとめたムスリムおもてなしガイドブックを作成しています。

 こうした国の動きもあり、千葉市、台東区等でもムスリムおもてなしの取り組みが進められています。先日は文京区でもインバウンドを迎える環境を整備する商店向けの補助制度を創設、イスラム教の戒律に沿ったハラル対応などを対象に最大5万円まで費用の半額を補助することとしました。飲食店や小売店などのおもてなし能力を高め、増加するインバウンドを取り込むことが狙いとしています。中野区でも、2020年東京五輪を目線に入れたムスリムおもてなしを推進すべきと考えます。

 千葉市では、多様な機能を備えたウエブサイト「千葉おもてなしSHOPガイド」を開設しており、飲食店事業者がみずからの手で多言語のメニューを作成できるように支援するとともに、外国人旅行者が外国語メニューを置く飲食、物販、サービスを提供する事業者を検索でき、アレルギーや宗教などへ配慮したメニューが作成できるとのことです。

 中野区では、新・元気を出せ!商店街事業により多言語対応ホームページ作成などの活性化事業に対しての支援も行っています。商店街や飲食店に向けたムスリム理解のための普及啓発セミナーの開催や多言語メニュー支援サイトの開設など、おもてなしを推進してはいかがでしょうか。お考えを伺います。

 食品ロス削減の取り組みについてお伺いいたします。

 公明党では、まだ食べることができるのに廃棄されてしまう、食品ロスを削減していくための取り組みについて、国を挙げて推進していくべきと提唱しています。これまでにも食品ロス削減について質問をさせていただきましたが、新たな取り組みの提案も含め質問をさせていただきます。

 先月、甲田議員とともに、食品ロス削減では先進的な取り組みを行っている所沢市を視察しました。所沢市では、「未来の子どもたちに残したいマチへ~マチごとエコタウン所沢構想~」を掲げ、基本方針に、「もったいないの心」を大切に、ごみの減量・資源化に取り組み、食品ロスゼロのまち促進事業を進めています。取り組みの一つに、宴会の食べ残しを減らすための運動「食べきりタイム」があります。同様の取り組みは、食育推進の先進自治体として知られる松本市でも「おそとで残さず食べよう!30・10運動」が実施されています。どちらの市も、宴会の幹事・司会者などから、宴会の冒頭に、「もったいない」を心がけ、食べ残しを減らしましょうと呼びかけてもらいます。また、宴会中にきちんと食事のできる時間を設けています。食品ロス削減の啓発グッズ等も活用され、市民に広く周知を図っています。

 中野区でも、区内で開催される各種宴会の際、食べきりタイムによる食品ロス削減を推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。事業者にとってもせっかく出した料理が大量に残されるのはもったいないことですし、事業系ごみとしてごみの処分費用にも影響があります。食べきりタイムの実施についてお考えを伺います。

 次に、食品ロスゼロのまち協力店推進について伺います。

 同じく所沢市では、飲食店に協力依頼し、小盛りの提唱や食品ロス削減協力参加店として市のPRグッズを作成し、店舗に掲示し、活動を推進しています。協力店へのインセンティブとしては、市のホームページなどで「食品ロスゼロのまち協力店」として、その店舗と取り組み内容などを紹介しています。中野区でも食品ロス削減のための協力店を募り、飲食店での食品ロス削減を推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 第1回定例会予算総括質疑で、家庭での食品ロス削減の取り組みについて質問をし、その際、エコクッキングの紹介や区内の大学、専門学校と連携した取り組みについて伺いました。ごみ減量の視点でエコクッキングに取り組むという発想もありますが、食品ロスを食育や健康づくりの視点も交え、取り組みを進めるべきではないでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 3、西武新宿線野方以西のまちづくりについて伺います。

 8月23日、西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟が開催され、野方以西の踏切渋滞解消に向け、さらに強い決意で取り組むという姿勢が示されました。期成同盟の活動により、本年3月には、東京都が新規に着工を準備する区間として野方駅から西側の区間を社会資本総合整備計画に位置付けられました。現在、事業認可に向け一歩前へ進んだとはいえ、事業認可の時期や連立事業の構造形式などは決定していません。連続立体交差事業、地下化が進む中井から野方間が平成32年に完了するまでには切れ目ない事業の継続のために何としても決定を見たいところです。

 平成26年第2回定例会において、私は西武新宿線(野方駅~井荻駅間)連続立体交差化に係る構造形式の調査検討の結果の報告のことを取り上げ、「これまで西武新宿線の連続立体交差化事業については中野区内の全線地下化の旗を上げて進んできた経緯があります。このたびの構造調査結果においては、野方以西の連続立体交差事業が高架化の可能性が高まったように感じます。これは区の大きな方針転換であるとも見てとれますが、いかがでしょうか。お伺いいたします」と区長にお尋ねいたしました。それに対し、区長は、「このたびの区が行いました構造形式の調査は技術的な可能性の検証でありまして、調査によって4通りの構造形式が可能であることが検証できたと、こういうふうに理解しております。踏切除却や地上部の空間活用の観点から地下化が最適として進めてきたところですが、今回の調査では四つの方式で区が求めている全ての踏切除却が可能になるほか、各方式でさまざまなメリット・デメリットがあることがわかっております。区といたしましては、そうした状況を総合的に勘案しながら、早期に効果が上げられるような事業の実現を東京都に働きかけていきたいと考えております。また、切れ目なく連立事業を推進していくために、現事業認可区間に引き続いて、野方以西について早急に事業化が図られるよう強く働きかけてまいります」とお答えになっています。重要なことは、構造形式にとらわれず、1日も早い野方以西の踏切渋滞解消に向けた連続立体交差化事業の事業化を目指すことであると考えます。区長はいかがお考えでしょうか。

 また、現時点で切れ目なく連立事業を推進していくとはどういったことなのか、御所見を伺います。

 次に、学校再編と踏切渋滞について伺います。

 平成19年第1回定例会で、通学路の西武新宿線の踏切対策を検討すべきであると質問いたしました。区長は、「歩道橋、跨線橋の設置につきましては立地条件などさまざま地域によりまして課題があるということであります。通学に関連しては学校再編の動向も見ながら検討していきたいというふうに考えております」とお答えになっております。

 現在、野方以西の西武新宿線の踏切渋滞解消よりも早いスピードで学校再編は進められております。今後の学校再編による統合新校では、今まで以上に西武新宿線の南北で学区域が広がり、児童・生徒の踏切を渡る割合は必然的に高まります。児童・生徒が安全に通学できるためには跨線橋の設置など、具体的な措置を講ずる必要があると考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 次に、中杉通り補助133号線の都市計画に伴う用途地域変更について伺います。

 西武新宿線の連続立体交差化には、踏切と交差する都市計画道路の整備や沿線のまちづくりが欠かせません。野方以西においては、鷺ノ宮駅とクロスする中杉通り補助133号線の整備も課題です。現在、事業化が進む補助133号線白鷺約700メートル区間では、測量が進み、用地交渉なども進められてきています。交渉が進む中で、具体的な住宅の建てかえなどを検討するに当たり、沿道の用途地域が見直されるのは実際には全区間の整備が完了してからとなっていることにより建てかえが難しい、整備完了後の用途地域にあわせて建てかえを行うことができないのかとのお声もあります。都市計画道路の用途地域変更の時期は何によって定められているのでしょうか。また、どういった手順を踏んでいかなくてはいけないのでしょうか、伺います。

 道路整備に賛同し、新しいまちの発展に協力しようという地権者に対し、より協力しやすい環境を整備するためには用途地域変更を整備着手とともに行うべきと考えますが、いかがでしょうか。また、そうすることにより、早期に道路整備が進むのではないでしょうか。特に、西武新宿線野方以西については、都市計画道路の整備は事業認可に向けても重要な課題であります。区は、用途地域の見直し時期について東京都と協議を進めるべきと考えます。御見解を伺います。

 以上でこの項の質問は終わります。

 最後に、妊娠出産支援事業について伺います。

 平成28年度の新規事業として、子ども教育部では、結婚・妊娠・出産・育児について身近に考え、安心して産み育てることができるよう、若年層に対して理解の促進を図ることを目的に、妊娠出産支援事業が進められ、若年層への妊娠・出産を通じてのライフプラン講座を開催することとしています。今回、この事業では、成長に伴う心身の変化、加齢に伴う卵子・精子の老化、妊娠・出産について、感染症や食事についての正しい知識・生活習慣病予防等健康な生活に必要な知識について、若年層が人生のさまざまな選択肢について知り、主体的にみずからのライフプランを思い描くきっかけとする、中野区医師会産婦人科医師による区内中学・高校・大学等への講座を実施するということになっております。若年層が妊娠・出産について正しい知識を持つことは非常に重要な意味のあることです。

 また、中学校によっては、命の授業の中で妊娠・出産、命の大切さを学ぶとともに、若年層で問題になっているデートDVについてもあわせて学ぶ機会があるとのことです。このデートDVについての普及啓発などは、男女共同参画センターとも十分に連携が図られることがDVを未然に防ぐことや被害者を救出することにつながると考えます。若年世代による望まれない妊娠による出産も多く、この厳しい現状を理解し、大切な命を救っていくために、また望まれない妊娠で悩む女性を生まないためにも、区の妊娠・出産支援事業の取り組みには期待をするものです。

 そこで、さまざまな視点を持ち、男女平等担当とも連携を図り情報共有していくことにより、若者への理解促進の事業がより効果的に行われるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。御見解を伺います。

 DV、望まれない出産などの相談は、当事者が相談に踏み出す勇気が出ない、またどこに行けば安心して相談できるのかわからないなどの理由から、水面下で事態が深刻化していく場合が多く、2次、3次の被害が生まれる可能性もあります。

 先日、妊娠に関連した相談・同行支援活動に取り組む「にんしんSOS東京」の助産師の皆さんにお話を聞く機会がありました。心中以外の虐待死事例は年間582人で、そのうちの43%がゼロ歳児、その中でも生まれたその日に亡くなる命が98人、生まれたその日に亡くなる命が最も多いとのショッキングな専門委員会の報告もありました。加害者の9割が母親、9割が母子手帳未交付、9割が未受診、行政が実施している切れ目ない支援のスタートラインは母子健康手帳交付の場であるため、超ハイリスク群とつながることができていないとのことです。東京都の妊娠ホットラインでは相談時間が限られていて相談したいときに相談できないという状況がありました。現在、にんしんSOS東京では24時間体制で相談体制ができています。相談内容は多岐にわたり、母子保健、生活支援、住宅相談など行政との連携が図られなくては解決できない案件も多く、相談者に寄り添いながらさまざまな手続なども支援しているとのことです。これらの実態を把握するために、望まれない妊娠・出産で悩む女性を支援する団体からヒアリングを行い、支援体制を構築していくことが望まれます。まずは男女共同参画センターが中心となり、関係所管が連携し、職員向けの研修などを行ってはいかがでしょうか。伺います。

 以上で私の質問は全て終わります。御清聴、大変にありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 久保議員の御質問にお答えいたします。

 2020年、東京オリンピックを目指すまちづくりについて。このうち、芸術文化振興についてであります。2020年に向けた芸術文化振興の取り組みの推進、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、スポーツや健康づくり施策を継続的に進めるとともに、歴史、文化遺産等がにぎわいの資産となるよう、保護や活用、継承を支援するなど、文化・芸術振興を通して中野のまちの魅力の発掘、発信に取り組んでいきたいと考えております。

 中野駅周辺を文化芸術の拠点としていくことについては、中野サンプラザを含めた中野駅周辺の関係機関と調整、協議をしながら検討していきたいと考えております。

 東京オリンピックに向けた情報収集の仕組みについてであります。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、中野区にゆかりのある代表選手の情報を収集し、区としてPRを行うことは大会の機運醸成のためにも大切なことだと考えております。中野区出身の選手、中野区の学校を卒業した選手、中野区在住の選手など、区民や関係機関とも協力しながら情報収集する仕組みを構築し、大会に向けた機運を高めていきたいと考えております。

 公共施設でのパブリックビューイングの推進について。東京大会において公共施設を活用してパブリックビューイングを実施することは、観戦を通じて区民の連帯感を高めることにもつながり、大会の機運醸成のために効果的な手法であると考えております。区内スポーツ施設や公園施設等の公共施設などにおいて、大会中にパブリックビューイングを実施したいと考えております。

 ラグビーワールドカップの応援についてであります。ラグビーのワールドカップは世界のスポーツイベントの中でも有数の大規模な大会であり、2019年に東京で開催されることは、翌年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることからもスポーツの機運醸成のために大変大きなチャンスであると考えております。リオデジャネイロのオリンピックには7人制ラグビーの代表に北中野中学校出身の選手が出場し、2019年のワールドカップにおいても中野区にゆかりのある選手の活躍を期待しているところであります。今後のスポーツ機運の醸成のためにもラグビーワールドカップ応援のあり方について検討してまいります。

 オリンピック・パラリンピック担当の明確化についてであります。東京オリンピック・パラリンピック競技大会を4年後に控え、区として大会開催に向けた準備に本格的に取り組んでいくべきであると考えております。現在、オリンピック・パラリンピックの準備にかかわる担当としては企画担当が当たっておりますが、今後、取り組みの強化に向けて検討してまいります。

 次に、西武新宿線野方以西のまちづくりについての項目にお答えをいたします。1日も早い連続立体交差事業の事業化についてであります。連続立体交差事業については、地下化だけではなく、早期の事業化、まちづくりの視点など、さまざまな観点から最も適した構造形式が選択されるべきであります。そうした意味で考えられる構造形式について区として検討を行いました。検討では、四つの方式を例として挙げ、いずれの方式も成立し得ると確認をしているところですが、野方駅の東側から井荻駅付近までを高架化するという案がさまざまな点から一定の優位性を持っているという見解に区としては至っているところです。区としては、この考え方も踏まえて、事業主体である東京都に対して、地下化、高架化、それぞれのメリット・デメリットについて十分検討した上で最適な方式が採択されることと、1日も早い野方以西の連続立体交差事業の早期実現を求めているところであります。

 切れ目のない連続立体交差化事業の推進についてであります。現在、事業中の中井駅・野方駅間の連続立体交差事業の工事が完了するまでの間に、野方・井荻駅間の連続立体交差事業が事業認可され、中井・野方駅間の完了後、ただちに西側区間の事業が開始される、このことを切れ目のない事業の推進ということで目指しているところであります。今後、区といたしましては、地域でのまちづくりの検討を加速し、区が行うまちづくりの動きが東京都の連続立体交差事業の早期事業化を促すように働き、連続立体交差事業と連携したまちづくりが進められるよう全力を挙げていきたいと考えております。

 学校再編による通学路の安全対策について。踏切対策としては、連続立体交差化等の抜本対策と歩行者立体横断施設整備等の速効対策があります。野方以西の西武新宿線での速効対策としては、踏切幅の拡幅や踏切設備の改良による踏切遮断時間の短縮などを進めてきているところであります。野方・井荻駅間が社会資本総合整備計画に位置付けられ、抜本対策である連続立体交差化事業がこれから動き始める中で、跨線橋等の歩行者立体横断施設の整備、これについてはなかなか難しいと考えているところであります。連続立体交差事業の1日も早い実現を目指すとともに、ソフト対策などによる安全対策を検討していきたいと考えております。

 用途地域の変更の手続についてであります。用途地域の変更については、権限を持つ東京都の指定方針及び指定基準によって定められており、都市計画道路沿道の地区の用途地域につきましては都市計画道路が供用を開始した時点とされているところであります。この場合、区と東京都の協議によって東京都が都市計画において用途地域を変更すると、このようになっているところであります。しかしながら、鷺ノ宮駅周辺のまちづくりについては、まちづくり検討会から平成29年度を目途にまちづくり構想の提出を受ける予定となっております。区としては、このまちづくり構想を踏まえて都市基盤の方針であるまちづくり整備方針を策定していくわけであります。このまちづくり整備方針の中では、用途地域のあり方についても一定の方向性を示す必要があると考えております。区としては、この方針に基づいて地区計画等を定めていくことになりますが、この地区計画について都とも十分に協議を行い、円滑なまちづくりに対して協力が得られるよう協議をしていきたいと考えております。

 私からは以上です。

〔健康福祉部長瀬田敏幸登壇〕

○健康福祉部長(瀬田敏幸) 私からは、2020年東京五輪を目指すまちづくりのうち、受動喫煙防止と食品ロスの取り組みに関連する御質問にお答えをいたします。

 初めに、2020年に向けた受動喫煙防止の準備についてでございます。東京オリンピック・パラリンピックの開催は、運動・スポーツをきっかけに区民が主体的に生活習慣を見直す好機であると捉えております。現在、区では、中野区医師会と共同で実施する街頭キャンペーンや公共施設等での分煙の推進などによりまして受動喫煙防止を進めているところでございます。今後、国や東京都の動向を注視しながら、東京オリンピック・パラリンピックに向けた受動喫煙防止の取り組みを進める考えでございます。

 次に、助成金の活用推進についての御質問がございました。受動喫煙防止対策助成金は、中小企業が事業所内に喫煙室や換気装置を設置する場合の費用の一部を国が助成するものでございます。申請先は都道府県労働局となっております。今後、区報やホームページによる広報等を通じまして、区内事業者による本助成金の活用が進み、飲食店等における受動喫煙防止がより一層推進されるよう取り組んでいきたいと考えております。

 次に、中野体育館の受動喫煙対策についてでございます。中野体育館では、現在、正面玄関脇の屋外部分に喫煙スペースを設けております。利用者の声を勘案しながら、スポーツ施設の受動喫煙対策について工夫をしてまいりたいと考えております。

 次に、食品ロスの取り組みについてでございます。宴会の食べ残しを減らすための運動の推進について。この運動につきましては、この運動とあわせまして食品ロスゼロのまち協力店について、いずれも食品ロス削減を効果的に進める取り組み事例として今後参考にしていきたいと考えております。

 最後に、食育や健康づくりの視点も交えてという御質問でございました。食品ロス削減の取り組みは国の第3次食育推進基本計画の重点課題でもございます。ごみ減量の視点とともに、食育や健康づくりの視点も持ちまして、各種講座、食育月間や健康づくり月間の各種イベントなどを通じまして、より効果的に展開できるよう検討してまいります。

〔都市政策推進室長奈良浩二登壇〕

○都市政策推進室長(奈良浩二) 私からは、2020年東京五輪を目指すまちづくりの御質問のうち、インバウンド施策としてのムスリム対応についての御質問にお答えいたします。

 中野区においては、平成28年度より新・元気を出せ!商店街事業の補助制度を活用し、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催までの間、時限的な区の独自の上乗せ補助制度を創設し、商店街の多言語メニューの導入などの多言語対応、インバウンド対応を支援することとしてございます。この事業では、イスラム教など多様な信仰を持つ旅行者の受け入れ対応についても対象としているところでございます。区は、外国人観光客の受け入れを推進するため、商店街や飲食店に向けて、さまざまな国の文化、生活習慣の理解や具体的な取り組みを行う商店の事例紹介などを含む、普及啓発セミナーを今年度実施する予定でございます。

〔子ども教育部長横山俊登壇〕

○子ども教育部長(横山俊) 私からは、妊娠出産支援事業についてお答えいたします。

 事業実施に当たりまして、子育て支援担当と男女平等担当の連携についてでございました。若年層の妊娠・出産につきましては、さまざまなリスクがあることを承知しているところでございます。現在もすこやか福祉センター及び本庁舎の子ども総合相談窓口におきまして妊娠届け出の際に、妊婦の年齢が20歳未満であるとか、子どもの父親が不明、あるいは妊娠に対する不安が大きいといったハイリスクの妊婦等に対しまして、保健師等による相談・支援を行っているところでございます。

 今年度新たに実施することとしております妊娠出産支援事業につきましては、区内の中学校や高校、大学等の協力を得て、これから結婚や妊娠を迎えていく若い男女を対象としているものでございます。そういった若い層が妊娠・出産についての正しい知識、理解を身につけまして、みずからのライフプランの中にしっかりと結婚や子育てといったことを位置付けてもらう、これを目的としているものでございます。事業の実施に当たりましては、男女平等の視点を含めましてより有益な事業となるよう努めてまいります。

〔政策室長髙橋信一登壇〕

○政策室長(髙橋信一) 私からは、妊娠出産支援事業のうち女性のリスクに対する支援についてお答えいたします。

 女性に対する暴力防止についての啓発等の事業は、現在、人権・男女共同参画担当が中心となり、小学生、中学生や高校生、区民に向けた啓発や講座、職員を対象とした人権研修を行っているところでございます。妊娠出産支援に当たっては、思いがけない妊娠や準備のできない妊娠を迎えた方などの対応など、関連部署はそれぞれの立場から取り組むことになりますが、部署間の連携や対応の中心となる部署などについては整理していきたいと考えてございます。

〔久保りか議員登壇〕

○37番(久保りか) 2点、再質問をさせていただきます。

 一つは、区長にお答えをいただきました、西武新宿線野方以西の中杉通り補助133号の用途地域変更についてでございます。大変丁寧に御説明をいただきましたのですが、東京都の都市計画道路、供用開始時点で都市計画、いわゆる用途地域の変更というのが今現状でございまして、そういう状況になってしまうことによってなかなか建てかえ等が進まないという現実があるかと思います。今後、整備方針の中で一定の方針を区としても示される、また地区計画についても都と十分に協議をしていきたいという御答弁でございましたが、このいわゆる133号線につきましては、東京都が既に事業認可をし、進められているところでございますので、そことの兼ね合いが、地区計画ということで区がまた新たにそこで提案をしていくということになると調整が必要なのかなというふうに思いますので、その辺の関連についてお伺いをしたいと思います。

 それから最後にですが、妊娠出産支援事業についての関係機関が連携をしていただくというところなんですが、できればこの男女共同参画センターが中心となっていただきまして、関係機関がより緊密に研修などを行っていただきまして、情報共有していただきたいという思いで質問をさせていただいておりますので、その点についてもお答えいただきたいと思います。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 再質問にお答えをいたします。

 中杉通り周辺のまちづくり、これは鷺ノ宮駅南側のまちづくりの中では大変中心的で重要な地域であると、このように考えております。そうした中で、まちづくりの整備方針というものをまちづくり構想の考え方を踏まえて区として策定をしていくわけですが、この方針の中ではやはり今後のまちづくりの中で大変重要となる用途地域のあり方についても何らかの形で触れていくことが必要になっていくというふうに思っております。その用途地域について、区がこの方針を受けて定める地区計画、この中で用途地域地区の変更にかかわる、そういった内容を記載していく、こういったことも考えられるわけで、そうしたことが必要になった場合には当然東京都とよく調整をしていかなければいけないというような意味でお話を申し上げたところであります。

〔政策室長髙橋信一登壇〕

○政策室長(髙橋信一) 再質問にお答えいたします。

 今、男女共同参画センターが中学生とかさまざまな講座のほうの中心を行っているところでございますが、もちろん関係部署といろいろな連携も取らなくてはならない、そういった研修については今後一層進めていきたいと考えてございます。

○議長(北原ともあき) 以上で久保りか議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 若 林 しげお

 1 平成27年度決算について

 2 IoT活用について

  (1)見守りについて

  (2)支えあいについて

  (3)非常災害時について

  (4)その他

 3 中野区内分煙推進について

  (1)新型たばこについて

  (2)その他

 4 その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、若林しげお議員。

〔若林しげお議員登壇〕

○2番(若林しげお) 平成28年第3回定例会において、自由民主党議員団の立場から質問をさせていただきます。

 質問は通告のとおり、1番、平成27年度決算について、2番、見守り支えあいのIoTについて、3番、中野区内分煙推進として新型たばこについて、4番、その他はありません。よろしくお願いいたします。

 政府は、世界経済の不透明感が増す中、新たな危機に陥ることを回避するため、あらゆる政策を講ずることが必要となっていることから、平成29年4月1日に予定していた消費税率10%への引き上げ時期を平成31年10月1日に変更しました。成長と分配の好循環を実現しつつ、2020年度の基礎的財政収支黒字化目標を堅持し、財政健全化を進めて市場や国際社会からの信認を確保していきたいとしています。

 まず初めに、平成27年度決算の概要について伺います。

 普通予算における歳入決算額は1,333億円で、対前年度比9億円の増、それに比較して歳出決算額は1,301億円で、対前年度比26億円増加し、率にして2.1%の増加となっており、歳入の増加に対して歳出の増が大きくなっている状況であります。実質収支比率においても前年度比2.5ポイント減の3.7%となっており、昨年度の決算剰余金に比べると15億8,800万円あまり少なくなっています。この数字だけ比較して見ると、区の財政状況は歳入が減って歳出がふえ、剰余金が減った状況があり、区の財政は大丈夫なのかと疑問が出てくるところであります。

 一方で、財政の弾力性を見る経常収支比率については、対前年度比8.6ポイント減の76.5%と、一般的に望ましいとされる70%から80%の範囲となり、23区平均の77.8%を下回る結果となりました。また、実質公債費比率も対前年度比2.1ポイント減の2.9%となりました。さらに、地方債年度末現在高も昨年度より66億3,100万円あまり減額、積立金の年度末現在高を見ると昨年度より106億8,500万円あまり増加しています。区の負債が減り、積立金が106億円も増加したのだから、区の財政運営は順調だと判断できる材料だと思いますし、政令で定められた早期健全化基準も下回っています。

 普通会計による分析によると、区の決算の状況は健全性を確保しており、健全な財政運営を行っているとしていますが、決算収支など結果だけを捉えると、区の財政状況はマイナス要素とプラス要素があり、区民にとってわかりづらい状況があるのではないでしょうか。

 そこでお伺いします。平成27年度決算を健全な財政運営と分析した点についての理由について具体的にお答えください。

 歳入決算における一般財源については、特別区交付金や地方消費税交付金の増などにより、前年度比46億円増の792億円と、これまで最高であった平成26年度を上回る過去最高額となりました。また、一般財源に大きな割合を占める特別区税及び特別区交付金についても同様過去最高となっています。これは、国の経済対策、いわゆるアベノミクスの影響や区のまちづくりの取り組みなどの成果によるものと認識しているところです。

 特別区民税徴収率(現年課税分)は、平成18年度は97.2%でしたが、リーマンショックの影響から95.9%まで下がったものの、平成27年度には23区平均に近づきながら97.8%まで上がってきたことは高く評価したいと思いますが、依然として23区平均を下回っており、さらなる徴収率向上への取り組みが必要だと思います。

 特別区民税の収入額においては、平成24年度から増加に転じ、平成27年度は前年度比0.3%増の301億円となりました。主な要因は納税義務者数の増としておりますが、一人当たりの所得も上がっていることもあると思いますが、区としてどのように分析されておりますか。お聞かせください。

 歳出決算額の推移については、やはり義務的経費の増加が気になるところです。人件費、公債費は減となっていますが、全体として2.2%、14億円の増加で642億円となりました。扶助費が保育施設給付の増及び子ども・子育て支援新制度に伴い認証保育所運営費補助等が補助費等から扶助費に計上する取り扱いとなったことにより、前年度比7.7%増の345億円となったとあります。そのほか、人件費については、定年退職者数の減少により退職手当の減及び職員の年齢構成の変化などにより職員給の減により、前年度比5億円減とされています。職員削減のための窓口業務等委託などにより人件費削減を進めてきましたが、委託事業が含まれる物件費が大幅にふえるものだと思っていましたが、さほどふえていないように思われます。この点に関してどのような評価をされているのか、お聞かせください。

 最後に、今後の財政運営についてお伺いします。

 平成27年度の健全化判断比率の四つの指標は、全て前年度同様早期健全化基準を下回っています。区の財政状況は健全段階にあるとされており、健全な決算であったと認識しています。

 一方、今後の財政運営について心配されることもあります。

 そこでお伺いしたいのは、平和の森公園に整備する予定の新体育館について。このたび報告された経費を見ると、平成31年度にかけて86億円あまりの経費がかかるとされています。新体育館の経費については、本年4月に策定した新しい中野をつくる10か年計画(第3次)において、平和の森公園改修整備費を含めステップ1の段階で事業費2億円、ステップ2の段階で53億円と計画され、体育館はそのうち50億円と聞いています。基金の積み立て、繰り入れの計画の中でも示されているところでありますが、10か年計画の段階では、基金繰入は全体で4億円あまり、起債は37億円としているが、新体育館の整備費の予定だけでも86億円あまりを予定するということは10か年計画の資金計画に比べても体育館だけで36億円といった大きな経費の差が出てきます。東京都下水道局の下水道施設に先行して体育館整備を行うことや、オリンピック・パラリンピック開催までに竣工・開園を目指すこと、また大震災に備え、区対策本部の代替施設として十分な耐震安全性と機能を整備することなどにより、経費の増額を図る必要があることは承知しております。しかし、オリンピック・パラリンピック東京開催は次にいつ開催されるのか、50年後なのか、100年後であるのか、千載一遇のチャンスともいえる機会でもあります。子どもたちの未来を考えても中野区に新たな体育館をつくることはとても重要であります。財政運営への影響が気にかかりますが、やるべきことは実行し、それも見越した財政運営を区は行うべきと考えますが、具体的にお聞かせください。

 このような中で、整備経費の財源について、国の社会資本整備総合交付金やスポーツ施設整備費補助金などをどの程度活用し、またそのほかの経費については目的基金や地方債を起債することをどれくらい充当経費を予定し、また10か年計画と予定差はどの程度あるのか、お聞かせください。

 また、この新体育館の経費の差が生まれたことにより、10か年計画で予定していたほかの施設改修計画やまちづくりに影響が出ることはないのか、お聞かせください。

 このような施設再整備やまちづくりにおいて、10か年計画にない予定外の経費に対して今後健全な財政運営に影響が出ないのか、心配です。区の見解をお聞かせください。

 平和の森公園再整備計画の今後のスケジュールについてお伺いします。

 平和の森公園再整備については、さきの委員会で基本設計(案)中間のまとめが示され、あわせて概算工事が示されました。東京オリンピック・パラリンピック競技大会というチャンスを捉えて、新しい体育館をできるだけ早く区民の方に提供し、区民のスポーツへの関心・意欲をさらに高めていくことが今回の計画の重要なテーマであることを踏まえ進められてきたことについて認識しているところであります。

 一方、残された時間は4年を切っております。手順を工夫してできるだけ開設まで期間を短縮することが必要です。確実にこの事業を進めるためには、区はどのようなスケジュールで進めようとしているのか、確認の意味でお伺いいたします。

 今後も、まちづくり、学校再編、新しい区役所整備などの大規模プロジェクトに備えた財政需要を考えると、さまざまな要素を踏まえた財政運営を行っていかなければならないと考えます。中・長期の財政需要に的確に対応し、着実な新たな10か年計画を推進するとともに、計画的かつ健全な財政運営となることをお願いして、この項の質問を終わります。

 次に、2番、IoTの活用についてお伺いします。

 公明党の平山議員もIoTの活用の可能性について質問されましたが、私は違った角度から質問をさせていただきます。

 現在、少子化が進行しているにもかかわらず、子どもが被害者となる犯罪はふえております。中野区においては、報道には取り上げられないものの不審者情報は流れてきており、保護者にとっては心配を常に抱えていると思われます。中野区では、こども110番や2カ年で区立小・中学校に各校5台ずつの監視カメラ設置など、子どもの見守り体制を進めている状況ではあります。しかし、それでも夜の習い事、塾通いなどで心配な保護者の方は、個人契約による民間見守りサービスも充実してきており、携帯を持たせたりGPSを子どもに持たせるなど、対応をされているようです。しかし、値段は高く、全ての家庭が対応できるものではありません。経済格差が広がる中、家庭環境で見守りの機会が平等でないことはあってはならないと考えます。

 そんな中、大阪の箕面市でインターネット・オブ・シングス、略してIoTを活用し、低コストで地域による見守りを実現する「スマート見守りシティ構想」の実現に向けた全国最大規模の実証事業を行っています。IoT(ビーコン技術)を効果的に取り組むことで地域による見守りの効率を向上させ、コストを抑えつつ、見守り対象者を大幅に拡大することを可能とするシステムであります。

 学校、公共施設、商店街など、民間施設や家庭に設置された固定検知端末や専用アプリをダウンロードしたスマートフォンが見守り対象者の携行する小型端末が発信するビーコン信号を検知することによって保護者に位置が通知されます。携行見守り端末はGPS機能を搭載する必要がないため、製造コストを抑えることができ、GPS端末に比べ電池寿命が長く、頻繁な充電が不要になります。ペンダントサイズの小型発信機を持つ子どもが検知ポイントや見守りアプリの入ったスマートフォンの近くを通るとその位置情報がサーバーに通知され、学校や保護者が子どもの位置情報を確認できるシステムです。

 大阪府箕面市は、平成28年4月から平成29年3月31日まで実証実験を行っています。開始後半年を経過した状況では、検知ポイントをふやし、見守りの精度を上げるための試みを行っているとのことです。箕面市は、人口が中野区の半分以下ですが、面積は3倍です。人口が密集し、狭い範囲に多くの施設が存在する中野区で同じシステムを実施すれば、より質の高いシステムにすることができます。地域での人的見守りには限界があり、それを補う方法として手軽なスマートフォンで子どもたちの安全が確認でき、低コストで実現できます。区として、IoTを活用した子どもたちの見守りを検討してみてはいかがでしょうか。区の見解をお聞かせください。

 また、認知症高齢者の徘徊も増加の一途にあり、その家族の法的リスクも含め深刻な社会課題となっています。区内ではありませんが、全国には行方不明者になった高齢者が半年経過してから他県の施設で発見される事例もあり、厚生労働省が全国レベルでの調査を行い、自治体と警察との情報共有が検討されています。

 一方、中野区では、昨年、他県からの徘徊高齢者が区内の公園で亡くなるという痛ましい事件があり、それを契機に、認知症に対する理解を推進するため、区内の警察官、消防署員全員が認知症サポーター講座を受講するなどの取り組みが進みました。徘徊をできるだけ早い段階で発見することができる地域の見守り体制の充実が求められています。

 中野区は、位置情報専用探索機を貸し出し、GPSネットワーク網を利用して探索するシステムで、徘徊時に介護者に電話、インターネットで高齢者の現在位置を知らせる、徘徊高齢者探索サービスを実施しており、利用料は自己負担で月額600円です。しかし、探索機を高齢者が常に携帯することの難しさもあるのか、利用者数は伸びていないと聞いております。そのほか、民間での見守り・安否確認サービスを実施する企業も増加しており、活用は可能ですが、経済的に余裕のない家庭では契約が難しいと考えられます。

 先ほどのIoTのシステムは、認知症高齢者の徘徊捜索にも活用が可能です。箕面市でも9月から高齢者にもIoT導入を開始したとのことです。従来のサービスに比べ携帯見守り端末は小さく、身につけることが簡単です。日中高齢者が家に一人になる場合、家を出たことを確認できるなど、活用も可能です。子どもと高齢者両方に活用することで検知ポイントがふえ、見守りの制度が増す利点もあります。また、区民が無料アプリをインストールするだけで見守りに貢献できることで、多くの区民に呼びかけ、地域全体で子どもや高齢者を見守ることにもつながると考えます。低コストで設置可能で無料アプリで見守れる、このシステムを導入し、誰もが平等で見守りができる環境整備が必要であると考えますが、区の見解をお聞かせください。

 中野区において、東日本大震災等の自然災害による防災意識の高まりやひとり暮らしの高齢者等への見守り支えあいの活動の必要性が大きくクローズアップされている中、地域支えあいネットワークを推進するため、見守り対象者名簿の作成や地域自治活動の一翼を担い、地域コミュニティの核である町会・自治会や関係団体等との連携、調整を行っています。中野区の災害時避難行動要支援者名簿の登録者数は約3万3,000人になります。人的資源の活用によるネットワークの構築はとてもよいことだと思います。しかし、救助者も被災している可能性も多く、混乱のさなか、支援には限界があると考えられます。

 区は、区職員と区民が協働で避難行動要支援者の安否確認と避難支援を行う体制を進めていますが、避難行動要支援者の数が多いため、安否確認等の完了には多くの時間と労力を要することが想定されます。人的システムのほかに、もう一つのアイテムとしてIoTを活用した見守りシステムの位置情報を活用すれば、避難行動要支援者が外出しているか特定できるため、安否確認や避難支援の迅速化と効率化が期待できます。避難行動要支援者の家族も見守りシステムの位置情報で居場所を知ることができるため、災害対策本部や避難所への問い合わせ件数が縮減し、区職員が災害活動に専念しやすくなると考えられます。平時だけでなく、災害時の安心にも資することを理解すれば、見守り対象者が積極的に見守り端末を携行しようと考えるのではないかと思われます。

 区は、災害時の安否確認等充実策としてIoTを用いた見守りシステムの活用を検討すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

 以上でこの項の質問を終わります。

 次に、中野区内の分煙推進について伺います。

 分煙対策については、市川みのる議員から質問をさせていただきました。さらに、私のほうからは違った角度で質問をさせていただきます。

 第2回定例会の私の質問で、中野区内の全ての鉄道駅周辺を路上喫煙禁止地区にすることを検討していただきたいと質問をさせていただきましたが、区内各駅周辺における路上喫煙禁止地区の指定について検討していきたいと考えていると区長の答弁をいただきました。ぜひその後の検討を進めていただくとともに、環境に応じた喫煙スペースの設置を並行して進めていただければと思います。

 さて、ここでは、新型たばこと言われる加熱式たばこについてお伺いします。

 加熱式たばことは、火を使わず、電気で温め加熱し、水蒸気を発生させ、味や香りを楽しむたばこになります。火を使わないことからたばこの煙のにおいや灰も出ないので、周囲に迷惑をかけずにできるということです。人気番組で放映されて以来、爆発的な人気が出て品薄状態が続いている現状です。しかし、最近あちらこちらで加熱式たばこを使用している方を見かけるようになりました。そこで、この加熱式たばこの取り扱いが自治体で注目されています。

 この加熱式たばこについては、路上喫煙禁止にかかわり、その取り扱いについて自治体によってさまざまとなっています。横浜市や全国初の条例を制定した千代田区は、加熱式たばこもたばこ税が課税されていることを理由に罰金の過料対象としています。そのほか、台東区は路上喫煙禁止条例がなく、歩行喫煙は不可としていますが、加熱式たばこは除外とされています。豊島区、練馬区は火のついたたばこのみ規制対象とすることで加熱式たばこを対象外としています。加熱式たばこへの行政見解、路上喫煙に関する考え方は、ほかの行政区の動き等を見定めた中での対応をするというものがほとんどで、現段階で見解を示さない行政が多いのが実情です。民間の飲食店などでは、一般的な喫煙は規制しているが、加熱式たばこは緩和している場所がふえてきていると聞いております。

 中野区吸い殻、空き缶等の散乱及び歩行喫煙の防止等に関する条例の第2条7項の喫煙の定義には、点火されたたばこを保持することを含むとされています。さらに観光客や外来者がふえる中野区としても加熱式たばこに見解を示すべきではありませんか。区の見解をお聞かせください。

 以上で私の全ての質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 若林議員の御質問にお答えいたします。

 27年度決算についてであります。27年度決算が健全であると分析した理由についてということです。平成27年度歳入決算では、特別区交付金や地方消費税交付金等の伸びによって、一般財源は前年度比46億円増となりました。一方、特別区債については対前年度比104億円の大幅な減となったことによりまして、歳入決算全体では9億円の増となったものであります。歳出決算では、今後の財政需要を踏まえ、積立金が対前年度比53億円の増となったことによって、歳出決算全体としては26億円あまりの増となったものです。この結果、歳入決算額の増よりも歳出決算額の増が上回ったため、実質収支額は減となったということであります。これらを勘案すると、財政の動きとしてはよかったというふうに言っていいのではないかと、こんなふうに考えております。

 経常収支比率等の財政指標は改善をされ、起債残高の減少、基金残高の増加ということで、区の財務体力は向上していると見ることができると、こういうふうに考えております。

 しかしながら、御質問の冒頭にもありましたように、世界経済、日本経済の先行きというものは依然として不透明感が拭い去ることができないという状況であります。また、今後、施設の維持更新や少子高齢化に伴う歳出増の要因が先に見えているというところでもあり、目先の結果に捉われるということは決してあってはならず、今後とも財務規律の順守、これが不可欠であると、このように考えております。

 27年度決算に関連して、特別区税収入額の増加要因についてであります。平成27年度の特別区民税の収入額は、主に所得割の納税義務者数や区民一人当たりの所得割額が増加したことや徴収率の向上などが増加要因となっております。一方で、株式等譲渡分離分が減少したことなどの減少要因もあり、前年度比で0.3%の増となったと分析をしております。しかし、区民一人当たりの所得額と伸び率は、差は縮まってきたのですが、やはり23区平均を下回っている状況にあります。税収の増は区民の所得向上こそが最大のファクターであって、引き続きさまざまな施策が求められると考えております。

 それから、物件費の決算についてであります。平成27年度決算における物件費につきましては、委託料が対前年度比5億円の増となった一方、光熱水費の減などによって需用費が2億円の減となりました。このため、物件費全体では対前年度比3億円増の150億円となったといった状況であります。委託料が増加した、その増のうち職員の定数削減に伴う委託料、これにつきましては学童クラブ、キッズ・プラザや学校用務業務等によって1億5,000万円あまりの増となったものであります。

 新体育館整備の財源と財政運営についてであります。新体育館整備費の特定財源として見込んでいるものは、社会資本整備総合交付金につきましては約25億円程度であります。ほかには、オリンピック・パラリンピックの成功に向けた区市町村支援事業補助金を1億円程度充当する見込みを立てております。補助金以外の充当経費については、基金からの繰り入れや地方債の起債による財源の確保を行う予定であります。起債につきましては、対象経費から国や都の補助金を引いた残りの経費の75%まで行うことが可能となっております。また、残りの経費については、基金からの繰り入れやその他の一般財源の充当を検討する予定となっております。

 10か年計画の財政フレームとの差でありますが、起債額については変更を行うことではなく、基金の繰り入れについては増額が必要と考えております。これまでの予算編成において、基準となる一般財源を定め、財務規律を守りながら基金の確保に努めてきた、このことによって財源については一定対応ができる、こういう形になってきていると思っております。

 今後のスケジュールであります。東京オリンピック・パラリンピック競技大会までに新体育館を開設し、市民のスポーツ意欲を高めていくことが必要であると考えております。本事業を確実に進めるために、今回補正予算の議決をいただきましたならば、直ちに設計・施工一括方式による事業者募集の準備に入ります。そして、11月には公募、その後、選定後、仮契約、議決を経て、平成29年4月に契約を締結し、実施設計にとりかかり、平成31年度の竣工、開設というスケジュールを考えているところであります。厳しいスケジュールの中でも確実に計画を進めるため、最善を尽くしてまいりたいと、このように考えております。

 IoTの活用について。私のほうからは、認知症高齢者の徘徊捜索システムについてであります。IoTにつきましては、他都市での実証実験等を踏まえ、お尋ねの中にあった徘徊対策のほか、高齢者の生活支援などさまざまな可能性について研究し、できるものは取り入れてまいりたいと、このように考えております。

 また、見守り用システムを活用した災害時の安否確認の検討についてであります。避難行動要支援者が外出中に災害が発生した場合などは安否確認に時間がかかることも想定されるため、避難行動要支援者の位置が事前に把握できれば安否確認が迅速化されるということになります。こうしたことから、御提案の方法も含めて、位置情報を活用した避難行動要支援者の安否確認について研究をしてまいります。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) IoTの活用についての御質問のうち、子どもの見守り、安全対策に活用してはどうかという御質問でした。箕面市での検証結果なども参考にして、インターネットの位置情報を活用した子どもの安全を守る取り組みの有効性については研究をしてまいりたいと、このように考えてございます。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 中野区内の分煙推進についての御質問にお答えをいたします。新型たばこに関しまして、加熱式たばこの中野区吸い殻、空き缶等の散乱及び歩行規制の防止等に関する条例における扱いについての御質問でございます。条例制定時にはこのような火を使用しない加熱式たばこによる喫煙は想定していなかったところでございますが、加熱式たばこもたばこの葉に熱を加えて喫煙するものであり、区としても今後条例の対象となるかどうか検討してまいりたいと考えているところでございます。

○議長(北原ともあき) 以上で若林しげお議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 1 中野区の国家戦略特区施策について

 2 弥生町まちづくりについて

 3 東京オリンピック・パラリンピックに向けての区の取組について

 4 18歳選挙権導入結果を受けた選挙のあり方について

 5 その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、加藤たくま議員。

〔加藤たくま議員登壇〕

○1番(加藤たくま) 平成28年第3回定例会におきまして、自由民主党議員団の立場から質問をさせていただきます。

 質問に先立ちまして、さきの台風10号等によります被害に対しまして、自治体、自衛隊、消防関係者などによる救助活動に敬意をあらわすとともに、被災された方々にはお見舞い申し上げます。

 これに関しまして、中野区の豪雨関連の質問を後ほど少し触れさせていただきます。

 質問は通告どおりで、5、その他はございません。

 それでは、1の中野区の国家戦略特区についてから質問させていただきます。

 中野区に産業や人口が集まることは、国家全体で見たときは産業や人口がある自治体から中野区に移動したというだけであり、その国家的な合計値は変わらない、つまりゼロサムであります。中野区政の観点から見れば、産業・人口が集中することは財政が安定する方向へ向かうわけであり、好ましいことでありますが、出て行かれた自治体はその移動により運営が逼迫する可能性があり得ます。その自治体さえよければいいという考えはどの自治体も持っていないとは思いますが、そのような現状は限られた資源を奪う自治体間戦争をしているという見方ができます。それぞれの自治体は国内ゼロサムの状況を脱却して、おのおのの自治体で産業や人口を自己増殖していく、そういった状況が国家全体として理想であると考えます。

 アベノミクスの第3の矢、成長戦略は、新たな学術研究とそれを推進する際にボトルネックとなる規制の緩和などが伴う政策で、中野区は国家戦略特区に指定されていることからさまざまな試みをすることが可能となっております。中野区独自の産業をつくり、それに携わる方が住み続けたいまちとなり、中野の地で子どもを育む、そういった環境をつくるイメージが行政として必要で、産業・人口の自己増殖になると考えます。口をあけていれば人口流入してくるような立地条件に甘えず、常に成長していく自治体づくりをしていくべきだと考えます。

 自治体は、地方自治法の第1条で、国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とするとしております。また、第1条の2では、地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。そして、第1条の2の2、一部省略しますが、国は、国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動もしくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模でもしくは全国的な視点に立って行わなければならないと定めております。ちょっとややこしいということで、要するに、この自治法というのは、国は全国の状況を鑑みて、全国的に統一したルールを規定することが国に求められて、そして自治体はそのルールなどを用いて、地方自治体は地方に寄り添った施策をやらないといけないことが示されております。

 私も国で働いていた経験がありまして痛感するところですが、国は憲法に定めるところの基本的人権の平等主義に則して、決して均一ではない全国の状況を全て考慮して法律をつくっていかなければなりません。そのため地域ごとにさまざまな統計・観測・推計データをつくり、地域ごとの係数をつくるなど、不平等性の是正をする努力がなされます。東日本大震災のときに日本赤十字社が募った義援金が被災者の手元に行くには被害状況を分析しなければならないため、なかなか行き届かなかったのと同じ状況です。新法ができるには、その地域地域の問題を見ないといけないため長い調査期間が必要となり、制定には非常に時間がかかります。もしくは、後に取り上げる気象業務法のように、地方自治体とは全く関係性がない法律もたくさんあります。しかし、国家戦略特区制度ではその概念を取っ払うものでありまして、自治体が求める新法をつくることが可能といっても過言ではない制度です。

 平成25年に制定された国家戦略特別区域法の第1条では、この法律は、我が国を取り巻く国際経済環境の変化その他の経済社会情勢の変化に対応して、我が社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成することが重要であることに鑑み、国家戦略特別区域に関し、規制改革その他の施策を総合的、かつ集中的に推進するために必要な事項を定め、もって国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与することを目的としております。第2条におきましては、要するに、研究開発などをして国際競争力を強化しまして、居住者、来訪者、もしくは滞在者を増加させ、国際的な経済活動の拠点の形成に資する事業をやることによって、その地域のパワーをつけようという内容になっております。地方自治法の枠からこの国家戦略特区の法律というのは出られる、地方自治体を無視するというか、その枠を超えられるものであると考えております。中野区には国家戦略特区制度をフルに使っていただき、区政を前進させていただきたいと思います。

 そこで質問しますが、中野区は、今後、国家戦略特別区域制度に対してどのような御見解をお持ちか、伺いたいと思います。

 現在、国家戦略特区事業で推進されている事業としては、農業の1、2、3次産業を、この1から3を全部足した数字で一括で行う6次産業事業というものがあったり、ドローン利活用事業、都市計画法・エリアマネジメントに係る道路法等の特例、保育園の要件に関する事例など、いろいろなメニューが出ております。中野区においても、国家戦略特区制度を使うことで既存の規制緩和を利用することはもちろんのこと、中野区独自で規制緩和し前進できるシステム、技術がたくさんあると考えております。

 例えば、以前から私が一般質問、総括質疑で取り上げさせていただいている世界最先端豪雨予測システムの社会実験ですが、そのシステムが完成し、1時間先の豪雨と氾濫の予測情報を配信することが技術的には可能になったと伺っております。しかし、その社会実験ですが、予測情報を配信するためには気象業務法がボトルネックとなります。気象業務法第17条(予報業務の許可)、気象庁以外の者が気象、地象、津波、高潮、波浪又は洪水の予報の業務を行おうとする場合は、気象庁長官の許可を受けなければならないと定めておりまして、簡単に言えば、洪水予報するためには気象予報士がいなければいけないということになります。現状のルールにのっとれば、予測しているのが区の防災担当者でないにもかかわらず、その情報を発信するという理由で中野区の防災担当者が気象予報士の資格を持たなければならないということになります。人事上、なかなかそれは無茶な話となります。豪雨予測システムの開発には気象業務法の規制緩和が必要不可欠となるということです。これが国家戦略特区制度を用いることでボトルネックの解決が図られるものと考えます。

 また、ICTCOにおけるIoTを中心とした情報通信ツールの技術開発の中には電波法の規制緩和により発展が望めるものがあるということです。区役所・サンプラザ一体再開発には用途地域による制限などを変更させるような規制緩和も求められます。民泊におきましては、管理人がいないホテル型の施設を排除した良好な住環境の維持、国際交流の発展のためには独自のルールが必要になってくると思われます。中野区の今後の医療においては、病院の病床規制、国際的な医療人材、医療機器薬事戦略などの現在認定されている医療特区制度を利用するなどのニーズも考えられます。国家戦略特区制度を利用した新しい自治体にはグローバルな技術・人材が集まってくる可能性もあります。私が少し考えただけでもこれだけのアイデアが出てくるというわけで、中野区独自の産業をつくり、自治体として成長していくためにも、官民挙げて規制緩和を提案すべきと考えますが、大学、民間会社、財団、病院、NPOに提案を促し、それらを受けとめて国に上げていくための取り組みが必要と思われますが、区の体制はどのようになっているのでしょうか、伺います。

 また、内閣府では、地方創生コンシェルジュという地方創生にかかわるさまざまな自治体のサービスの相談窓口をつくっておりますが、その部署と中野区では連携をとられておりますでしょうか。あわせてお伺いします。

 既存の特例を利活用するとともに、中野区独自のクールなルールをつくることにより産業・人口の増加促進がなされることを期待しまして、本項の質問を終了させていただきます。

 それでは、二つ目に入ります。弥生町まちづくりについて。

 弥生町のまちづくりでは、用地買収及び新設道路の仮整備工事が始まりまして、弥生町の防災まちづくりは徐々に形となって目に見える具体的成果があらわれていると思います。

 都営川島町アパート跡地においてですが、区の避難道路5号、6号の整備にあわせURは代替地整備を進めていると聞いておりますが、事業の進捗状況や代替地運用に向けたURとの具体的連携はどのようになっていますでしょうか。

 また、都営川島町アパート跡地へ整備する公園は防災機能を備えた公園を計画していると聞いておりますが、それについても具体的にどうなっていますでしょうか。あわせてお伺いいたします。

 以前に御質問させていただきましたが、避難道路沿道の建物が不燃建築物に建てかわっても、その避難道路沿道の建物の後背地にある建物が変わらなければ、外づらだけよくなっただけで内側は安全性が向上しておりません。また、避難道路沿道の建物が建てられることによって、後背の住宅の建てかえがさらに困難になると考えられます。未接道敷地や行きどまり道路の解消も弥生町防災まちづくりの施策の一つとして挙げられておりますが、具体的な取り組みをどう行っているか、お伺いいたします。

 弥生町だけでなく、南台や平和の森公園周辺地区など、新設道路や建物が立ち並ぶ木密地域の避難道路の用地買収は、多くの権利者が、自分の土地が道路として買収された後、残地で建物の建てかえが可能なのか、設計や建築にかかる資金調達は大丈夫なのかという悩みや建てかえ時の仮住居の確保、また引っ越しの手配など、多くの手間と苦労があります。権利者は道路用地の買収に伴い大変な不安とストレスを抱えます。区は、道路拡幅に向け、単に補償額を提示して権利者合意を取りつけるだけでは売却に応じることはできません。幾ら地域の安全性向上をお題目にしても、自分の生活の基盤が揺らぐ、その状況に対して区の防災まちづくりに協力する権利者や住民の皆さんの厳しい実情を察した上での権利者に寄り添った丁寧かつきめ細かい相談や具体的な対応を行わなければなりません。

 例えば、借地上の老朽建物で減価償却資産となり、ほとんど補償額がなく、新たな住居を探すことが難しい場合、残った残地で引き続き家族皆が一緒に住めるような建てかえが可能な面積が残るのか、また高齢者のため個人で銀行から借金することが難しい、建てかえ地に移転するにも土地を買い足さなければ最低敷地面積を確保できず資金が足りなかったり、現在の土地建物に抵当権が設定されていて、補償金を受けても建物再築に回す余裕がなかったりするケースが想定されます。そのようなさまざまな権利者が直面する問題、まちづくりの担当職員は再建に向け具体的な対応に取り組んでもらえるのでしょうか。区は、これまでにそういった人たちに相談に乗るというような表現にとどめていますが、これらのケースは、権利者と銀行などとタフな交渉が必要となりまして、到底相談という甘いニュアンスで済むわけではなく専門家の介入レベルが求められます。不燃化特区の支援によりまして、例えば建築家やハウスメーカー、弁護士、税理士、金融関係の専門家を派遣し、権利者の課題解決に向けた現実的な対応を行ってもらえるのか、伺います。

 昨日、我が会派の市川議員が質問した狭隘道路の無電柱化とあわせ、東京都のパイロット事業となるもので、今後の防災まちづくりの行く末を占うものであり、失敗は許されません。かなり困難である事業であるということは認識しておりますが、この事業を成功裏におさめ、防災まちづくりの中野モデル、中野方式などと呼ばれるような事業としていただき、地元で生活する区民や権利者の立場や心情に十二分に配慮した防災まちづくりを進めることを切に望みます。

 以上でこの項に関する質問を終えます。

 3、東京オリンピック・パラリンピックに向けての区の取り組みについて。

 4年後に開催される東京オリンピック・パラリンピックでは、開催国として今大会以上の日本選手の活躍が期待されるとともに、競技の成績にとどまらず、大会の開催を通じたさまざまな効果をもたらすため、区としても全力で取り組んでいく必要があります。私も東京オリンピック・パラリンピック推進・スポーツ振興中野区議会議員連盟の一員として全力でサポート、バックアップしていきます。皆様もよろしくお願いいたします。

 平和の森公園に整備を計画されている新体育館では、東京オリンピック・パラリンピックの開催前に開設する予定であり、事前キャンプや練習場等と活用するための検討を進めており、本定例会におきまして市川みのる議員が海外選手団の誘致に関するメリットについて一般質問をしたところ、対外的な広報によるシティプロモーション効果、選手団の歓迎・おもてなしによるコミュニティ意識の醸成、青少年への教育効果が期待できるとの答弁がありました。

 そこで、具体的に計画を立てる必要性が出てきておりますので、伺います。

 区が海外選手団を誘致するためにはどのような手続が必要なのでしょうか。東京都や公益財団法人オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会などとの協議の必要性も含めてお答えください。

 また、東京オリンピック・パラリンピックを成功させるためには、行政による普及啓発にとどまらず、多くの区民が大会の運営に参画して区民みずからがつくり上げるオリンピック・パラリンピックとすることで、大会後も心に残る記憶となり、より強いレガシー・ヘリテージが形成されるものであると考えます。

 昨年の2月に東京都が発表した世論調査の結果によれば、およそ4人に1人がボランティアに参加したいと回答しております。現在開催されているリオデジャネイロ大会においても、7万人のボランティア募集に対して20万人以上の人から応募があったということです。運営に関する多種多様の役割を担うボランティアは、今やオリンピック・パラリンピックの成功には欠かせない存在となっております。組織委員会は2020年東京大会に向けて8万人のボランティアを募集するとしています。

 そこで伺いますが、中野区としてはボランティアの募集や活用についてどのように考えていますでしょうか。国際交流なども期待できる大きな事業です。御見解をお聞かせください。

 また、小・中学校においてはオリンピック・パラリンピック教育が進んでおります。オリンピック・パラリンピックは、オリンピック憲章に示されているオリンピック開催の意義について理解しながら、すばらしい演技や記録を追求する姿に感動を覚え、大きな成果の象徴であるメダルの重みを国民全員で受けとめることが大切であると認識しております。

 イギリスは、アテネ、北京、ロンドン、リオ大会と回を重ねるたびにメダル数をふやしております。宝くじの収益を各競技に充てるなどの金銭面でのサポートがメダル増加の一因と考えられておりますが、それとあわせて競技人口を国を挙げて増加させたということも理由にあるそうです。競技人口をふやすことで、その競技全体の裾野を広げ底上げをするということです。トップアスリートに特殊トレーニング環境を与えてさらに引き上げるというのも有効でありますが、その底上げがイギリスのメダル数に反映したということです。もちろん全国民が運動・スポーツすることは健康増進施策と合致するところです。今から日本代表を中野区から輩出してほしいなどと無理なことは言いませんが、日本全体を盛り上げて、そしてその競技の底上げを目指すためにもオリンピック・パラリンピック教育は非常に重要なことであると考えます。オリンピック・パラリンピック教育については、既に教育推進校を定め、昨年度は15校が指定を受け、本年度は公立幼稚園、小学校、中学校全体が推進校に指定されていると聞いております。メダリストやアスリートを招聘し、演技を見たり聞いたりすることは子どもたちにとってよい経験となるでしょう。

 そこで伺いますが、区がこれまでにオリンピック・パラリンピック教育にどのように取り組んでこられたのか、そしてどのような効用があったのか、お聞かせください。

 また、これまでの取り組みを踏まえて、今後のオリンピック・パラリンピック教育をどのように展開しようとしているのか、伺います。

 そして、教育によってスポーツ活動の機運が高まっても、区内のスポーツ施設の利用が不便であってはもったいないことです。私も施設の一利用者として実感するところでもありますし、ほかの施設利用者からの声としても、小・中学校体育館、スポーツ・コミュニティプラザ等の運動施設の備品の拡充が求められております。今後の区の運動施設のあり方についてお伺いいたします。

 東京オリンピック・パラリンピックによるさまざまなプラスの効果が最大限引き出されることを求め、この項の質問を終えます。

 最後、4番目、18歳選挙権導入結果を受けた選挙のあり方について。

 今回、7月に執行されました参議院選挙及び東京都知事選につきまして、選挙管理委員会委員長をはじめ、委員各位並びに選挙に従事された職員の皆様の公正かつ適正に対応されました点にまず敬意を表する次第です。

 既に御承知のとおり、昨年6月に公職選挙法が改正されまして、今回の参議院選挙から選挙権年齢が18歳に引き下げられました。これにより全国で240万人の18歳及び19歳の新たな有権者が生まれ、中野区においても約5,000人弱の若年層が新たに選挙権を持つことになったと伺っております。近年の選挙における投票率は低迷傾向にあり、今回の参議院選挙では新たに有権者となった若年層に対して注目が集まることとなりまして、選挙管理委員会でもこれを契機として、模擬選挙や各種啓発活動を行いながら若年層への関心を高める取り組みをさまざま行ってきたと思います。

 そこでお伺いいたしますが、今回、18歳、19歳が新たな選挙人となりましたが、参議院選挙において選挙管理委員会ではこれまでにどのような若年層への取り組みを行ってきましたでしょうか。

 今回の参議院選挙における中野の投票率は57%と、前回よりも3.5ポイント高くなったとの報告がありました。新聞報道等によりますと、今回の選挙では、高校などにおいて主権者教育を受ける機会の多かった18歳の投票率は高く、60%を超えたと伺っております。しかし、その反面、大学生や社会人が多い19歳の投票率では差が出る傾向があったと分析されております。改善の余地はあろうかと思いますが、18歳に対しては授業内での模擬投票などを行うなど主権者教育を行ってきたと思われます。7月上旬に開催されたということで、参議院選挙を投票できる高校3年生は全体の4分の1程度であり、18歳全員が、高校生で18歳のみんなが投票行動に移りづらい現状もあったかもしれませんが、60%という数字、3人に1人が投票所へ足を運ばなかったことになります。そもそも投票率はどこまで高くすべきなのか。投票率100%というのは投票を義務化しない限りほぼ無理な数字だと思われます。投票率のみでの議論するのは不毛かと思いますが、目安としては重要な数字であります。では、どこまで投票率を向上させるべきなのか。今回の18歳選挙権導入を奇貨として、授業で主権者教育を行った上で参議院選挙を18歳が60%という数字はその世代としてはアッパーな数字と見ることもできるのではないでしょうか。この数値を基準として投票率を向上させるだけではなく、下げさせないなどと選挙啓発のあり方について改めて考え直すいい機会になったのではないかと考えます。

 そこで伺いますが、今回の中野区における18歳及び19歳の投票率はどのような傾向があったでしょうか。また、そうした結果を踏まえ、これまでの取り組みを受けて今後はどのような啓発活動や主権者教育を展開していくのか、お伺いいたします。

 一方、さまざまな選挙啓発とは別に、投票しやすい環境整備を充実させていくことも大変重要であると認識しております。今回の選挙においては、駅近くの商業施設等への期日前投票所の設置とともに、期日前投票における投票時間の弾力的な設定ができるようになったことにも注目が集まりました。

 豊島区では、今回の参議院選挙から、JR池袋駅の西武百貨店及び東武百貨店の2カ所に期日前投票所を設置し、両百貨店が開店する午前10時から午後8時までを投票時間として実施したと聞いております。

 現在、中野区では、期日前投票所は区役所のほか五つの地域事務所を併設する区民活動センターで行われておりますが、とりわけ利便性の高い中野区役所の期日前投票所は大変混雑をしている様子です。期日前投票における投票者数の割合も年々高くなっている点からも、今後は中野駅周辺における期日前投票所を増設することも視野に検討を行っていく必要があるのではないでしょうか。投票所の立地や利用状況等を踏まえ、柔軟性のある投票所をさらに効果的に活用することができれば、若年層を含めた多くの有権者にも有効な投票機会を提供することができると思いますが、選挙管理委員会の御見解をお伺いいたします。

 共通投票所ですが、現在、投票日当日は指定された投票区の投票所での投票のみとなっているわけですが、今回の参議院選挙から駅ビルや大型商業施設にこうした共通投票所を設置することによりまして指定された投票区との投票所とは別に、区内のどこの投票区に属する選挙人も投票できるという共通投票所を各自治体の裁量によって設置することを可能としました。既に今回の参議院選挙におきましては、全国で四つの市町村がショッピングセンターなどの共通投票所を設置し、その結果は、買い物等の際に投票ができるといった利便性を高めることによって、投票率向上に一定の効果があったといった新聞情報もなされております。しかしながら、この共通投票所の設置には二重投票を防止するためのシステム改修に高額な経費がかかる点や選挙当日のシステムダウンなどの懸念もされているため、今回の参議院選挙では4自治体にとどまったと聞いております。こうした多額な経費負担を克服するためには、単に選挙単体のシステム構築にとどまらず、今後、地域において利用が見込まれるシステムとの連携、例えば、投票所は災害時の避難場所に指定される場所も多いため、中野区地域防災計画の災害復旧・復興計画で上げられ、現在、区が検討を進めている被災者支援システムと共有化を図るなど、行政全般で活用が可能なIoTを含めたシステム連携を図りながら構築することでエラーやコスト面での解消が図られるものと考えております。

 そこで伺います。中野区において将来的に共通投票所を設置する考えはあるのでしょうか。また、実現に向けて乗り越えるべき課題を含め、御見解をお伺いしたいと思います。

 以上、今後とも引き続き次世代を担う若者への積極的な選挙啓発を推進するとともに、有権者にとって利便性の高い投票環境への配慮を行っていただくようお願い申し上げ、この項及び全ての質問を終えます。御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 加藤議員の御質問にお答えいたします。

 中野区の国家戦略特区施策についてということです。国家戦略特区は、我が国における国際競争力の強化や国際的な活動拠点の形成に向けた規制改革の取り組みであり、これまでも東京圏国家戦略特区において、都市再生の手続迅速化や都市公園内の保育所設置など、さまざまな規制緩和が実行されているところです。日本再興戦略2016では、民間の能力が十分に発揮できる、世界で一番ビジネスのしやすい環境を整備し、経済成長につながることを目指し、国家戦略特区について、平成29年度末までの2年間を集中改革強化期間として位置付けているところです。区といたしましても、中野駅周辺における都市再生プロジェクトをはじめ、都市外交の推進や地域産業の振興など、グローバルな活動拠点の形成に向けた取り組みに当たって、国家戦略特区におけるさまざまな規制緩和策の活用や提案を行っていく考えであります。

 国家戦略特区における規制緩和は、民間事業者や地方自治体からの提案を募集し、事業化をしていくというものであります。内閣府がこの6月から7月にかけて行った募集では、提案件数110件で、応募団体数73団体という結果だったと聞いております。区内では、産学公金連携による中野区グローバル戦略推進協議会を発足させ、グローバル都市づくりに向けた取り組みを推進することとしており、国家戦略特区の活用もこの協議会における協議内容となっております。現時点では規制緩和にかかわる提案には至っておりませんが、さまざまな事業を進めていく上で支障となる事項を集約し、提案していけるよう、協議会における議論を活発化させていきたいと考えております。

 地方創生コンシェルジュの活用について。地方創生コンシェルジュには国の府省庁の職員が選任され、地方創生にかかわる自治体からの各種の相談に応じているところであります。区でも、中野区まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定に当たり相談を行い、策定方法等について助言をもらったところであります。

 弥生町まちづくりについてであります。代替地整備の進捗状況やURによるその代替地の運用についてということです。都営川島町アパート跡地につきましては、区が避難道路5号、6号と公園を整備し、UR都市機構については土地区画整理事業による地権者用の代替地の整備を行う予定となっております。区は、本年度、まず避難道路5号、6号について工事車両等が入れるよう仮整備を行います。これを踏まえて、URとしては来年度に権利者用の代替地の整備を区画整理の手法によってつくると、このようになっております。その後、区として5号、6号の本格整備をしていくと、こういった形になります。

 権利者の代替地への移転につきまして、これについては、区が進めております避難道路1号等の用地折衝の中で各権利者の御意向を伺い、UR都市機構の協力を得ながら対応し、この代替地について適切に利用していただけるよう取り組んでまいります。

 それから、公園整備についてであります。公園整備につきましては、ソーラー照明灯やあるいは防災備蓄倉庫等の設置を予定しております。また、先行して、この夏に東京消防庁によりまして100トンの防火水槽の設置工事を行ったところであります。

 それから、接道不良敷地や行きどまり道路の解消について。弥生町三丁目周辺地区内には接道不良敷地や行きどまり道路があり、木造住宅が密集している地区、そうした街区が幾つかあります。このような地区では、権利者が主体となった建物の共同化やあるいは敷地の形状を変えて通り抜け道路をつくるなど、街区単位で安全性を高める取り組みが有効であると考えております。区は、そうした対象として考えられる地区の一つで、地権者からの要望を踏まえて、UR都市機構の支援を受けながら関係権利者が主体となった建物共同化に向けた検討を始めているところであります。

 道路拡幅に協力をされた権利者の方の生活再建への支援についてであります。権利者の折衝の中では、御指摘のように、困難な生活再建の課題も多々あるということは承知をしております。個々のケースに応じて不燃化特区制度を積極的に活用し、また共同事業者であるUR都市機構の協力やあるいは専門家派遣の事業を使い、権利者ニーズに応えられるよう、現実的できめ細かな対応を行っていく考えであります。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 私からは、オリンピック・パラリンピック教育の取り組みとその効用についての御質問にお答えをいたします。

 オリンピック・パラリンピック教育は、体力の向上やスポーツに対して関心・意欲の向上に加え、多文化理解や国際社会で貢献できるグローバル人材の育成を目的に行ってございます。各学校におきましては、教科等の学習内容等とオリンピック・パラリンピックとを関連づけて取り組んでいるところです。具体的には、アスリートを講師として招聘しての技術指導や努力することの大切さを学ぶ講演会、オリンピック・パラリンピック参加国の文化や歴史についての調べ学習、外国人との交流活動などがあり、各学校の実情やニーズに応じて行ってきております。御質問にもありましたように、全校での取り組みを始めたことしが1年目でございますが、子どもたちはスポーツへの関心・意欲の向上や目標に向かって根気強く取り組む姿、外国や外国語への関心の高まりが見られるようになってきております。

 また、今後の展開でございますが、今後はオリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、精神、スポーツ、文化、環境の四つのテーマを組み込んだ年次計画を作成し取り組んでまいります。小中連携の視点からも各中学校区単位で特色ある教育を展開していく予定です。また、オリンピック・パラリンピック大会終了後もこれらの取り組みの成果がレガシーとなってさらに発展していくよう推進してまいります。

〔選挙管理委員会委員長江口済三郎登壇〕

○選挙管理委員会委員長(江口済三郎) 初めに、選挙管理委員会の職務に対しまして議員各位の御理解と御協力を賜りまして心から感謝申し上げます。この場をおかりしましてお礼を申し上げます。

 それでは、加藤議員の18歳選挙権導入結果を受けた選挙のあり方についての御質問にお答えいたします。

 まず最初に、若年層の投票率についてでございます。選挙管理委員会では、今回の18歳選挙権年齢の引き下げを契機としまして、四季の森公園に隣接する大学構内に懸垂幕などを掲示したほか、若年層に利用の多いフェイスブック等を活用した情報発信を行いました。また、選挙期間中は、区内の都立高等学校に赴き、明るい選挙推進委員と連携しながら3年生を対象に出前講座を行うなど、積極的な若年層への働きかけを行いました。今後とも、区内大学や高等学校等の連携を深め、若年層の意見を取り入れた選挙啓発を行うなど、実施内容をさらに充実させていきたいと考えているところでございます。

 次に、18歳、19歳の投票率と今後の啓発活動についての御質問にお答えします。今回の参議院選挙における中野区の18歳投票率は約65%となり、全体の投票率を大きく上回りました。その一方、19歳の投票率は約55%と全体よりもやや下回る結果となりました。こうした結果を踏まえ、選挙管理委員会では、これまで高等学校等で実施してまいりました模擬選挙や参加実践型の若年層啓発を区内中学校でも展開するなど、教育委員会とも連携しながら早い時期から進めていきたいと考えているところでございます。

 次に、期日前投票所の増設についての御質問にお答えします。中野区では、現在、区内各地域に六つの期日前投票所が配置されております。一定の利便性は確保されていると考えております。しかしながら、今回の制度改正により期日前投票所を弾力的に設置することが可能になったことを踏まえ、今後は他の自治体での事例や期日前投票の利用状況等を調査するなど、期日前投票のあり方について選挙管理委員会で議論していきたいと考えているところでございます。

 最後に、共通投票所の設置と実現に向けての課題についての御質問にお答えします。共通投票所の設置には、二重投票を防止するためのシステム整備に経費や時間がかかる点や、万一システムダウンが発生した場合のバックアップ体制をどのように構築するかなど、選挙を安全に執行する仕組みの担保が不可欠であると認識しています。このため、共通投票所を直ちに設置することは予定してございませんが、今回の選挙から試行的に導入いたしましたパソコンにより名簿対照を行う、当日投票システムについて全投票所への導入を進めるなど、将来的な共通投票所の実現に向けた環境を整えていきたいと考えているところでございます。

 以上で私の答弁といたします。

〔健康福祉部長瀬田敏幸登壇〕

○健康福祉部長(瀬田敏幸) 私からは、東京オリンピック・パラリンピックに向けての区の取り組みに関連いたしまして、2点の御質問にお答えをいたします。

 初めに、海外選手団の誘致についてでございます。誘致につきましては、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が運営するホームページ上の事前キャンプ候補地ガイドや東京都が運営する東京事前キャンプガイドへの掲載がございます。また、大会組織委員会が選手村の開村から競技終了まで設置する公式の練習施設を探していると聞いております。この場所として新体育館を活用することも誘致の手段の一つとして考えられるところでございます。東京都のオリンピック・パラリンピック準備局が各自治体による誘致等に関する情報提供や組織委員会との連携などさまざまな調整を行っておりまして、今後都と十分な連携をとりながら誘致等を実現したいと考えております。

 次に、運動施設の備品の充実についてでございます。スポーツの機運を高めていくためには、必要となる施設の整備やさまざまな事業の実施とともに、より多くの区民がスポーツに親しむことができるよう備品の充実も必要であると考えております。今後、利用者の声を酌み取りながら区内運動施設の備品についても充実してまいりたいと考えております。

〔政策室長髙橋信一登壇〕

○政策室長(髙橋信一) 私からは、東京オリンピック・パラリンピックに向けての区の取り組みについての東京大会に向けたボランティアの活用についてお答えいたします。オリンピックに向けたボランティアとしては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が競技運営、会場案内、輸送等の大会運営に従事する大会ボランティアとして8万人程度の募集を想定しているほか、東京都が国内外からの観光客への観光、交通案内に従事する都市ボランティアについて約1万人以上の規模を想定していると聞いているところでございます。現在、区としては、都と連携し、外国人おもてなし語学ボランティア育成講座の開催などを進めているところでございます。今後、東京大会に向けて都のボランティア募集等が具体的になることにあわせて、区としてボランティアの募集、活用について検討を進めていきたいと考えます。

○議長(北原ともあき) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後3時05分休憩

 

午後3時25分開議

○議長(北原ともあき) 会議を再開いたします。

 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 むとう 有 子

 1 生活保護業務の質の向上について

 2 その他

 

○議長(北原ともあき) むとう有子議員。

〔むとう有子議員登壇〕

○40番(むとう有子) 区民の方からお寄せいただきました御意見をもとに質疑をいたします。

 生活保護業務の質の向上についてお尋ねいたします。

 生活保護の廃止の理由は自立や転出などさまざまありますが、高齢者世帯が半数を占める中野区では死亡による廃止が最も多く、ケースワーカー一人当たり年間四、五件を処理しているそうです。

 生活保護マニュアルには、葬祭に係る対応は病院、親族、警察、業者、大家さんなど関係者が複数にわたることも多く、その中でケース―ワーカーは単なる金銭の給付ではなく、時として主体的に対処しなければならないこともある。保護受給中の同居親族がいる世帯は残された家族に葬祭扶助を現物給付することにより大半の処理が済むが、単身の保護受給者は親族との関係が絶たれていることも多く、連絡がついた場合であっても必ずしも援助が得られるとは期待できないと記載されており、葬祭に係るさまざまな処理を項目立てし、作成されています。しかし、残念ながら、査察指導員、ケースワーカー、精神保健福祉士の認識、経験、能力、連携や引き継ぎ不足により、このマニュアルが生かされず、御高齢の大家さんが自殺後推定3カ月という御遺体を発見し、大きな精神的・肉体的・経済的負担を強いられる事案が発生いたしました。この事案を検証することはケースワーク全体の質の向上につながると考え、質問をいたします。

 個人情報に配慮し、大家さんから相談された話をもとに経過を説明しつつ、問題点を提起いたします。

 自殺された保護受給者Aさんは、精神の病を持ちながらも家賃を毎月きちんと振り込み、アパートでひとり暮らしをしていました。ことし2月9日、ケースワーカーと精神保健福祉士が医療機関に付き添い同行。2月12日、区役所で精神保健福祉士が面談。2月26日、Aさんから精神保健福祉士に電話で体調が悪いとの訴えがありましたが、3月2日に障害者就労支援施設見学を約束。しかし、同日、施設見学には来ませんでした。3月7日、精神保健福祉士がAさんに電話をかけましたが、一度は電話に出たものの、話さず切られました。このことからもAさんは精神的に不安定であると推測できます。3月17日、精神保健福祉士がAさんに電話をかけましたが、電源が入っていませんでした。後の警察の検視結果から、3月7日から17日の間に自殺されたのではと推測できます。

 問題点の1、精神保健福祉士がAさんの状態が悪いことを3月30日までケースワーカーに報告しなかったことは、精神保健福祉士の危機意識の欠如と言えるのではないでしょうか。3月30日に報告を受けたケースワーカーはこの日で地区担当が変わり、4月1日からの引き継ぎの際に新旧2人でAさん宅の訪問を予定していたようですが、次のケースワーカーは4月2日から ―(発言取り消し)― 欠勤となり、7月1日まで職場復帰をしませんでした。この状況下で4月18日、さらに次の地区担当ケースワーカーが就任しました。つまり、4月2日から18日までの半月間、Aさんが暮らす地区を担当する専任のケースワーカーが不在となり、空白期間が発生してしまいました。

 問題点の2、ケースワーカーの長期にわたる ―(発言取り消し)― 欠勤の原因が職務内容に起因するのかどうか、検証が必要ではないでしょうか。

 問題点の3、地区担当ケースワーカーが不在期間中は上司で係長である査察指導員が業務を担うべきであり、ましてやAさんの状態が悪いと報告を受けていた以上、訪問類型にこだわらず、放置せず訪問するべきでした。査察指導員の職責意識の欠如と言えるのではないでしょうか。

 一方、4月、5月と2カ月分の家賃が振り込まれていないことを不審に思った大家さんから、5月20日、ケースワーカーに安否確認の要請がありました。

 問題点の4、安否確認要請を受けたにもかかわらず、1週間放置し、5月27日、ケースワーカーが訪問しましたが、Aさんの応答はなく、不在とし、隣に住む大家さんに話も聞かず、鍵を借りて室内を確認せず、安否確認を怠ったことはケースワーカーとしての職務能力の欠如と言えるのではないでしょうか。

 5月28日、長期間気配がなかったことを不審に思ったアパートの住民と大家さんがAさんの部屋の鍵をあけて御遺体を発見し、警察に通報しました。5月30日、警察からケースワーカーに連絡があり、自殺、死後推定3カ月程度であること、絶縁である兄とAさんの生存を知らなかった次女の連絡先の情報提供を受けました。同日、御遺族に電話連絡をした結果、対応不可との回答を受け、5月31日、無縁仏として葬祭執行を業者に依頼。同日、警察からAさんの通帳とキャッシュカードを受領。

 問題点の5、6月1日、次女がAさんのことを聞きに来庁し、ケースワーカーと面談。その際に、死後2カ月分の保護費が振り込まれている通帳とキャッシュカードを返還義務の説明や事後処理の必要性を説明せず、相続意思のない次女に渡したことはケースワーカーとしての常軌を逸していると言わざるを得ないのではないでしょうか。なお、現在まで2カ月分の保護費の返還はなされていません。

 6月2、3日ごろ、ケースワーカーに大家さんから家財処分や部屋の清掃について相談の電話があり、扶助費での対応は不可、次女の連絡先は教えられないが、大家さんに連絡するよう伝えるので次女に交渉するよう回答。しかし、現在まで次女から大家さんに連絡はありません。

 問題点の6、5月30日に警察から死亡の連絡を受けた後、大家さんから電話を受けるまで連絡をしなかったのはケースワーカーの職務怠慢と言えるのではないでしょうか。

 問題点の7、さらにこの事案は、適切な訪問が行われていなかったため、死亡の発見がおくれ、腐敗がひどく、室内が劣悪な状況であり、単身世帯の荷物撤去及び清掃の法外援護利用事務取扱基準に該当するため費用が支給されることを大家さんに説明せず、なおかつ対応不可との回答をしている次女に交渉するよう誤った説明をしたことはケースワーカーとして知識不足と言えるのではないでしょうか。

 問題点の8、3月17日に電話が不通になった時点ですぐに訪問をしていれば、早期に御遺体の発見ができ、死後の2カ月分の保護費を振り込まずに済んだのではないでしょうか。これは税金の無駄づかいと言えます。

 想像してみてください。死後3カ月を経過した御遺体、密閉されたその部屋の状況。この一連の不適切な生活保護業務によって、遺体発見者となった大家さんの精神的苦痛、清掃作業に伴う肉体的・精神的苦痛、今後アパートが事故物件となる経済的損失、区職員との話し合いで受けた精神的ストレスをかいま見て、私は申しわけない気持ちでいっぱいです。結果的には7月29日、荷物撤去と清掃に要した経費の一部が大家さんに支給されました。

 このような一つひとつのケースの検証がケースワーク全体の質の向上につながると私は確信しています。

 そこでお尋ねいたします。この事案について指摘した八つの問題点についての認識、再発防止策について、区の見解をお答えください。

 ケースワーカーは、保護受給者の生活状況や健康状況を的確に把握し、必要な措置や生活指導、自立支援等を行うという、受給者の人生、生き死にに関わる責任が重い厳しい職務です。だからこそやりがいのある職場とも言えます。人はそれぞれの人生があり、マニュアルどおりには行かず、適正な保護業務には知識や経験の蓄積が必要です。生活保護の適正化が求められる中、査察指導員による指導監督の強化、ケースワーカーの増員、社会福祉法に定める社会福祉主事資格取得の支援策、本来のケースワークに専念できるよう業務内容の改善、短期異動にならぬよう人事の見直し等、さらなる生活保護業務の改善を求めます。区の見解をお答えください。

 経験豊かなケースワーカーと未熟なケースワーカーとの実力の差を是正し、生活保護業務全体の質の向上を目指す、真摯な答弁を求め、質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) むとう議員の御質問にお答えいたします。

 生活保護に関する個々の処遇に関連することにつきまして、個人情報保護等の観点から特段の配慮を要するため、第三者にお答えすることということはできないということであります。議会の場での答弁につきましては制約が大きいということを御理解いただきたいというふうに思っております。

 御批判いただいた内容につきましては参考にさせていただき、区としても、検証の上、より適切な処遇となるよう努めてまいります。

〔むとう有子議員登壇〕

○40番(むとう有子) 個々のケースについての今の御答弁はある程度納得いたします。

 2問目の質問で、生活保護の適正化が求められる中、査察指導員の指導強化とかケースワーカーの増員、社会福祉法に定める社会福祉主事の資格の支援策とか、ケースワークに専念できるよう業務内容の改善、短期異動にならぬよう人事の見直し等についての御答弁がなかったように思いますので、そこのところの答弁を再度お願いいたします。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) お答えいたします。

 御指摘が多岐に及びますので、先ほど申し上げましたように、御指摘も踏まえて、区として検証しながら常に改善に努めていきたいと、このように考えているところであります。

○議長(北原ともあき) 以上でむとう有子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 近 藤 さえ子

 1 高齢者と生活保護について

 2 第六中学校跡地の道路整備について

 3 その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、近藤さえ子議員。

〔近藤さえ子議員登壇〕

○39番(近藤さえ子) 無所属の近藤さえ子です。

 まず、高齢者と生活保護について伺います。

 9月7日、厚生労働省が発表した生活保護受給世帯数によれば、ことし6月に生活保護を受けたのは163万4,693世帯で、前月より1,292世帯ふえ、2カ月連続で増加しました。世帯別では65歳以上の高齢者世帯が前月より957世帯ふえ83万2,525世帯で、このうちひとり暮らしの世帯が90%以上を占めるそうです。

 私は、8月に生活保護問題対策全国会議、全国公的扶助研究会主催の研修会に参加しました。生活保護に関して、大学教授、ジャーナリスト、弁護士等さまざまな立場の方から講演がありました。講師の1人であり、昨年6月に出版され、20万部以上の売り上げになった新書「下流老人」の著者、藤田孝典氏によれば、下流老人とは生活保護基準相当で暮らす高齢者及びそのおそれがある高齢者のことで、現在700万人いると類推され、今後もふえる傾向にあるそうです。

 国は、ふえ続ける社会保障費を抑えるために、2015年度、住宅扶助、冬季加算、基準生活費の引き下げなどを行ってきました。しかし、今後、低年金、無年金等の高齢者がふえていけば確実に生活保護を受ける高齢者はふえていきます。さきに挙げた厚生労働省の生活保護受給世帯数によれば、働くことができる世代で生活保護の受給世帯は減少しているが、年金だけで生活できないひとり暮らしの高齢者がふえ続けているため、全体では増加しているのではないかと分析しています。生活保護の基準に達し生活保護を受けている人の割合を生活保護の捕捉率といいますが、生活保護基準相当の暮らしでも生活保護を受けていない人も大勢います。その原因としては、生活保護を受けるのは恥ずかしいと思う、生活保護制度そのものを理解していない、あるいは理解できない、手続が煩雑でわからない等、高齢者にありがちの理由が挙げられています。日本の生活保護の捕捉率は20%から30%程度と言われています。生活保護基準以下の低所得者で生活保護を受給していない人が7割以上いるということです。捕捉率の計算は難しく、一概に比較はできませんが、例えばフランスでは90%という数字があります。現在、区の生活保護基準以下の世帯で、実際に生活保護を受給している世帯数、生活保護の捕捉率は何パーセントぐらいなのでしょうか。

 生活保護費は、区の財政の10%と大きなウエートを占める予算です。その中でも増加しているのが高齢者世帯の予算です。その要因としては、無年金もしくは年金額の低さ、預金の少なさ、また急な病気やけがにより働けなくなり想定外に預金を取り崩さなくてはならなかった等がありますが、特に長引く病気やけが、あるいは認知症の発症、これは高齢者にとって避けられないリスクです。今後は超高齢化が進み、独居老人もふえていきます。区には、生活保護制度の目的である最低限の保障と自立の助長をいかに果たしていくかの手腕がますます求められていくことでしょう。

 前述の藤田氏が、生活保護に頼るしかない、あるいは生活保護にも頼れず孤独死していく下流老人の増加を解決するために挙げた方策の一つに高齢者に対する就労支援があります。現在、人生はどんどん長くなり、65歳以上でも元気で働ける高齢者は増加しています。また、何歳であっても働いて社会とかかわり続けることで社会的孤立化を防ぎ、高齢者の人生に自信を与え、受け取る金額以上に生活を豊かにすることができます。シルバー人材センター、NPO、短時間・簡単な労働を担っていく中間的就労などの支援を65歳以上の高齢者にも取り入れていくべきではないでしょうか。区では、生活保護基準相当の65歳以上の就労支援にどのように取り組んでいるのでしょうか。

 区には、生活保護受給者や経済的に困窮して孤立している高齢者と地域社会とを結びつける取り組みはあるのでしょうか。私は、健康教室への参加などを呼びかけ、区民検診受診後の改善運動プログラムの提供などを行い、高齢者の健康と医療費削減につなげるべきだと考えます。ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 また、区では1人のケースワーカーが100人以上も担当し、生活困窮者に向き合い、健康と自立への道を共に模索するにはあまりにも遠い体制と思います。今後ますます社会保障費が膨らんでいく超高齢社会に向かい、限りある財源を生かし、区民が少しでも心豊かな老後を過ごせるように、ケースワーカーの質と量の確保は喫緊の課題と考えますが、御見解をお聞かせください。

 今後、日本は高齢化社会が進み続け、古くからの住宅地が多い中野区もますます高齢者が圧倒的に多い地域になります。高齢化してから年金受給額をふやすことはできませんし、預金をふやすこともできません。高齢化が大きなリスクとなる病気やけが、認知症の発症等は個人の力で防ぐことはできません。いつ、何時、私たちは生活保護を必要とする立場になるかもしれません。中野区に長く住まい、これまで活躍してきた高齢者が社会的に孤立することなく、いつまでも元気に幸福感を持って生きていける地域を目指して、高齢者に対する社会保障・社会福祉が整った区になるよう希望いたします。高齢者が幸せに暮らせるまちは若者にとっても幸せなまちとなることは間違いないと申し上げて、この質問を終わります。

 次に、第六中学校跡地の道路整備について伺います。

 平成26年度、区は、第六中学校跡地を東京都に売却しました。その一部を残し、今年度、区道を整備する計画となっています。

 ことし6月、第六中学校跡地の近隣の区民から、区から、家の裏に道路が整備されるのでボーリング調査を開始する旨の知らせが来たが、家の裏に道路ができることは何も聞いていないがと怒りの問い合わせを受けました。この地域は住宅密集地であり、防災の観点からも幅のある道路の必要性は理解できます。しかし、ボーリング調査を始める段階まで隣接する住民が新しくつくられる道路について何の情報も与えられなかったことに私は驚きました。あまりにも区民を無視した対応であると思い、担当部署に尋ねましたが、基本的に区の土地に何をつくるかは特に事前に近隣住民に説明はしていないということでした。道路整備は、たとえ用地買収等がなくても、地域にとっては重要な事柄です。計画立案の際に、区はなぜ地元に相談や説明を一切しなかったのでしょうか。学校の跡地整備なので、住民の立ち退き等のリスクもなく、残る広い敷地もあり、行政にとっては道路がつくりやすい環境ではありますが、ボーリング調査を始めるまで住民には何も知らされず、突然「道路をつくります」というのはあまりにも乱暴なやり方に思えます。この道路が整備されることで家の三方が全て道路になってしまう家もあります。また、この場所は日常的に車道として必要性を全く感じられず、かなりの勾配があり、スケートボードなどのたまり場にもなりかねないと住民は危惧しています。現場に暮らす住民の意向を尋ねることなく、突然生活環境を変えられてしまうことに区民は大変困惑しています。新しく建設される道路の詳細について区からは何も説明がありませんでしたが、そもそもこの道路を新たに整備する理由と必要性を教えてください。

 この道路予定地に隣接する区民からは、道路整備に対する反対意見や計画変更を求める意見なども出されています。一方、この道路整備については、既に平成28年度予算に整備費が計上されていますが、これら反対する人たちの理解を得ない状況で、予定どおりこの道路整備を行う予定でしょうか。お答えください。

 今、中野区の各所でまちづくりの勉強会が行われています。大和町のまちづくり、西武新宿線のまちづくり、中野駅周辺のまちづくり、いずれも近隣住民たちは自分たちのまちの未来図を描き、少しでも自分たちのまちがよくなるように検討を重ねています。第六中学校跡地周辺地区も他の地区と同じように住民が未来を描く時間は持てないのでしょうか。

 先ごろ、野方駅周辺地区まちづくり検討会が設立されました。区の報告によれば、野方駅周辺地区がより魅力的で活力があり、安全で安心なまちとなるためにまちづくりを検討することがこの検討会設立の目的であるといいます。第六中学校跡地周辺もこの検討会の検討対象区域となっています。野方駅周辺地区全体のまちづくりを検討する中で、今回の道路整備についても再検討することが必要ではないでしょうか。このまま整備を進めることは地域にとっても区にとっても望ましい形にはならないと思いますが、いかがでしょうか。

 野方駅周辺地区まちづくり検討会は始まったばかりです。その検討地域でもある第六中学校跡地周辺の道路整備について、一度立ちどまり、近隣住民が自分たちのまちの将来のあり方を検討できるお時間をいただきたくお願いして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 近藤議員の御質問にお答えいたします。

 高齢者と生活保護についての御質問であります。中野区における捕捉率について。捕捉率につきましては、区の統計数値はありません。また、捕捉率の算出については、中野区全世帯の就労所得のみならず、年金や資産状況、世帯構成などを詳細に把握するなどの必要があるため、区独自の調査は難しいと考えております。

 高齢世帯に対する就労支援について。高齢者世帯に対する就労については、就労を希望する方がいる場合は中野就職サポートや中野就労セミナーを活用して就職を支援しております。正規就労が難しい場合などには中野区被保護者自立促進事業によってシルバー人材センターの活動につなげるなど、社会参加を促進しているところであります。

 高齢者の社会的孤立の防止について。高齢者の社会的孤立を防止するため、各地区の民生・児童委員と担当ケースワーカーとの連絡会の開催やケースワーカーによる訪問活動の中において地域参加への促しを行っているところです。また、被保護者自立促進事業を活用し、ボランティア講座受講料、ボランティア保険の一部を支給しているほか、健康増進の一環として高齢者が介護予防教室に参加する際の費用についても支給し、地域参加を支援しているところであります。

 ケースワーカーの質と量の確保について。生活保護ケースワーカーについては、所管分野での職場研修のほか、東京都をはじめ関係機関の研修に参加し、育成を図っております。配置数については、さまざまな行政課題を解決するため、毎年度各部からのヒアリングを行い、組織体制や業務執行方法などもあわせて検討を行いながら適切な人的配分に努めているところであります。

 私からは以上です。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 第六中学校跡地の道路整備についての御質問にお答えいたします。

 計画立案の際の地元への相談、説明についてでございます。本件道路整備につきましては、用地の買収等が伴わないものであることから、計画段階での地元への相談などは行っておりません。今後、道路整備に着手する前に隣接地などへ説明を予定しているところでございます。

 次に、道路整備の理由、必要性についてでございます。第六中学校跡地周辺は木造住宅密集地域であり、避難に利用できる道路の整備がおくれていることから、災害時の地域の安全性の向上のために既存の公共用地を活用して道路整備をするものでございます。また、第六中学校跡地は隣接する都立中野工業高等学校の拡張地として避難所となる予定であることから、避難所としての機能向上を図るために避難所に接して道路を整備することとしたものでございます。

 隣接への対応についてでございます。今後、道路の必要性等について丁寧に御説明し、御理解を得ながら整備を進めたいと考えております。

 最後に、野方駅周辺地区まちづくり検討会での検討についての御提案でございますが、新たな道路整備につきましてはその必要性を踏まえ、予定どおり整備を進めていきたいと考えているところでございます。

○議長(北原ともあき) 以上で近藤さえ子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 いながき じゅん子

 1 震災対策について

 2 「憲法擁護・非核都市」宣言について

 3 その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、いながきじゅん子議員。

〔いながきじゅん子議員登壇〕

○29番(いながきじゅん子) 無所属のいながきじゅん子でございます。

 平成7年の阪神大震災に始まり、16年の中越地震、23年の東日本大震災、そして平成28年4月に発生しました熊本地震と、特定非常災害に指定された大地震が過去20年間で4回発生しています。平成19年発生の中越沖地震など、この間この4件以外にも大きな地震が起きているという現実を見据えますと、国内のどこかで近い将来において大震災は必ず起きるであろうという前提で我々も備えておくべきだと思います。

 これまで他の議員の方々からも指摘されていることですが、大規模災害の対応は最初の72時間が極めて重要です。熊本地震の際もそうですが、これまでの大地震は夜間や早朝、休日に発生していることが多く、その場合は職員がどれだけ早く各自の持ち場につき初動態勢をとれるかが重要となります。

 そこで改めて伺います。

 中野区では、震度6弱以上で職員が全員参集することになっていますが、現時点で中野区及び隣接区に居住する職員数は何名でしょうか。また、避難所として指定している区立小・中学校の教職員はこのとき参集義務があるのか、その役割はどのようになっているのかについても伺います。

 なお、招集をかけても、乳幼児など小さな子どもや障害を持っている職員はすぐに駆けつけられるのかという問題があります。お子さんがいる方は、発災直後の混乱の中で預かってくれる家族なり誰かなりがその場にいない限り、すぐに参集したくともできないというケースが多くなるのではないでしょうか。発災後、しばらくは保育園に通常どおり預けられない可能性も高いですし、小さな子どもを置いて駆けつけられない状況はほかにも多々さまざまあると考えられます。公共交通機関が全面的にストップしている中で、徒歩で職場まで向かうことが難しい障害を持った職員も早期の参集は難しいと思われますし、無理をして道中事故に遭ってしまってもいけません。発災直後の72時間における緊急対応業務には一人でも多くのマンパワーが必要となるのは明らかですが、早期の参集が困難な事情がある職員への対応はどのようになっているのでしょうか。伺います。

 なお、特定非常災害に指定されるような大規模な震災が起きた場合、初動の72時間を過ぎても区職員は現場の最前線で災害対応に昼夜を問わず追われ続けることになります。特に重要なこの期間を切れ目なく乗り切り、その後の長丁場に備えるためにも、対応職員の交代体制や健康保持が重要となります。現在の区役所では仮眠するスペースも寝袋もなく、災害時には宿直の職員たちが床にそのまま寝ているという話も聞いております。現在、職員用の水や食料をセントラルパークに2,000人掛ける3日分用意しているとのことですが、毛布や医薬品、仮設トイレなど、それ以外は何か備蓄しているのでしょうか。不足している場合は、新区役所に移転する前であってもそのためのスペースを確保し充足しておくべきだと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 発災直後は、被災状況の把握、被災者の救助、避難所の開設、運営などの緊急対応業務に区は忙殺されることになります。その際に総合支援協定を結んでいる各自治体や民間団体からの応援部隊、そして物資を円滑に受け入れるための受援計画が必要ですが、中野区ではまだ作成されておりません。10か年計画にも受援体制の検討、整備を進めると明記されておりますが、いつ大地震が起きてもおかしくない状況の中、速やかにこの計画策定に着手すべきではないでしょうか。区の見解を伺います。

 次に、昭和57年8月15日に区が行った「憲法擁護・非核都市」宣言について伺います。

 これは、当時、合計1万1,973名の区民の方々の署名とともに、憲法施行35周年記念「憲法擁護・非核都市中野区宣言」などについてという請願が区議会に提出され、賛成多数で可決されたことによりなされた宣言です。その後、合計1万2,191名の区民の方々の署名が添えられた区議会への陳情があり、この宣言に基づいた中野区における平和行政の基本に関する条例が平成2年に制定され、今日に至ります。区ではこれまでこの条例に基づきさまざまな形で平和事業が行われてきておりますが、その条例ができるきっかけとなったのはこの憲法擁護・非核都市宣言であり、これはまた当時から現在に至る区の平和行政の原点かつ根幹となっているというふうに私は捉えております。

 さて、国会では、さきの参議院選挙を経ていわゆる改憲勢力が3分の2に達し、この秋の臨時国会から改憲論議が本格化するとの報道もあります。国内で憲法への注目が高まっている中、中野区が1自治体としてこのような宣言を掲げる意義について、そしてその内容について改めて確認させていただきます。

 今回、お聞きしたいのは、この宣言にあります憲法擁護の持つ意味についてであります。

 2013年3月に発行された区の「平和のあゆみ」によりますと、請願を提出した市民団体は憲法施行35周年記念・憲法を守る中野の集いなどを実施し、戦争の悲惨さや平和の大切さを区民に訴え、そして署名を添えて請願を区議会に提出したとの記述があります。この記述のほか、宣言を行った当時の区長の挨拶文や宣言の中身を改めて読んでみますと、明文化されてはいないものの、憲法の理念そのものを尊重し擁護するための宣言というよりは、現憲法の内容を擁護したい、特に戦争に言及している第9条を擁護しようという思いが込められた宣言であるような印象を受けました。そうではないとしても、「憲法擁護」という漢字4文字だけを見た場合に、中野区は自治体として護憲の立場なのか、今の憲法の改正に反対しているのかという印象を受ける方もいるのではないでしょうか。

 非核平和を宣言している基礎自治体は珍しくありませんが、憲法について宣言している自治体は中野区だけであるとお聞きしております。区が憲法について宣言するということは、区民が宣言しているということにもなり、非常に重い意味があります。よって、この「憲法擁護」という文言やこれをあえて宣言することに対する思いや認識が区民と区との間できちんと共有されているかどうかということは大事なポイントであり、そこに大きな乖離があってはならないと考えます。

 宣言から34年という長い月日がたち、日本を取り巻く世界情勢も当時とは大きく変わりました。中野区においても、当時請願を採択した区議会は全員議員が入れかわっており、現在32万人いる区民の中には34年間のうちに新しく区民になられた方々も多数いらっしゃいます。国会で憲法改正論議が本格的に始まろうとしている中で、「憲法擁護」という文言に対する区民と区の認識や思いは一致しているのか、区としてこれを宣言することが今でも区民の総意となっているのか、一度立ちどまって検証する時期に来ているのではないでしょうか。

 そこで、中野区が自治体として「憲法擁護」とあえて宣言する意義、そして区が認識している「憲法擁護」という文言の意味について、改めてこの場で我々区民に対し丁寧に説明していただきたいと思います。

 以上で私の質問を全て終了いたします。ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) いながき議員の御質問にお答えいたします。

 震災対策について。中野区内と隣接区に居住する職員数ですが、震度6弱以上の地震が発生した場合の参集職員は2,233名であります。居住区についていいますと、ことし、平成28年4月1日時点で区内在住者が464名、隣接区が615名となっております。

 区立小・中学校で参集義務のある職員とその業務について。震度5強以上の非常配備態勢で参集義務のある教職員は、校長、副校長及び学校勤務の区職員である学校連携担当者、校務主事であります。これらの教職員は、災対教育部学校班として、児童・生徒の避難誘導及び保護者への引き渡し、児童・生徒の家庭被害状況の調査及び被災住民の避難所に関することなどに従事することになっております。

 災害時早期参集が困難な職員への対応についてであります。中野区では、震度5強以上の地震が発生した場合、職員安否確認メールにより、職員の安否や参集にかかる時間、参集できない理由などを把握し、その上で災対組織に適切な人員配置を行うことを想定しております。災害時に早期参集が困難な職員については、その原因となる事由が解消した時点で参集を促し、災害対策業務に従事することとなります。

 区職員用の備蓄について。職員用の備蓄物資については、水、食料以外に、毛布、便袋、応急医薬品を備蓄しているところであります。昨今の災害対応では災害対策本部設置が長期化していることから、備蓄物資の種類、数量について検討し、充実を図ってまいりたいと考えております。

 受援計画の早期作成についてであります。区は、各種団体と災害時における相互応援に関する協定を締結しており、災害時にはさまざまな団体から支援が受けられるよう受援体制を整備しているところであります。中野区地域防災計画では協定締結団体に支援を求める時期と要請方法などを規定しており、速やかに支援を受けられる体制になっております。また、総合防災訓練では、協定締結団体との公的連携を図る実動訓練を行うこととしており、受け入れた支援の実効性を高める取り組みを行っているところであります。

 憲法擁護・非核都市宣言に関連しての御質問であります。憲法擁護を掲げる意義等についての御質問でした。この宣言における憲法擁護の意味するところとしては、中野区における平和行政の基本に関する条例第2条にもあるとおり、憲法の基本理念である恒久平和の希求をあらわしたものであり、意義のあるものと考えております。宣言における憲法擁護につきましては、憲法にはそもそも改正規定が定められていることから、憲法改正そのものを否としているものではないと考えております。また、現在憲法改正をめぐって行われている議論の中で、この宣言や平和基本条例の趣旨と矛盾する内容が語られているとは理解をしておりません。

 私からは以上です。

○議長(北原ともあき) 以上でいながきじゅん子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 石 坂 わたる

 1 オリンピック・パラリンピックに関連した、バリアフリーやユニバーサルデザインについて

  (1)オリンピック憲章について

  (2)車椅子競技について

  (3)その他

 2 性別・SOGI(性的指向・性自認)に関する犯罪・暴力とユニバーサルデザインについて

  (1)暴力や犯罪の予防とユニバーサルデザインについて

  (2)その他

 3 見え難く気づきにくい障がいやLGBTへの合理的配慮やユニバーサルデザインについて

 4 その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、石坂わたる議員。

〔石坂わたる議員登壇〕

○28番(石坂わたる) 質問いたします。

 1、オリンピック・パラリンピックに関連した、バリアフリーやユニバーサルデザインについて伺います。

 まず、オリンピック憲章についてです。オリンピック憲章では、人種、性別、性的指向、言語、宗教、国や社会のルーツなどの理由で差別を受けることなく、憲章の定める権利や自由が享受されなければならないとしています。

 本年8月22日の朝日新聞オンライン記事によると、リオオリンピックでは50人以上の選手がLGBTであることを公表して出場したとのことです。2020年東京オリンピック・パラリンピックでは、障害をはじめ、さまざまな選手の参加が予測されます。当然競技を見に来る側にもオリンピック憲章で例示列挙をされているような方々や障害、民族、国籍、性自認などについてさまざまな人がいます。区は、そうした観点で、更衣室を含むスポーツ施設に関し、障害や性自認などに限らず誰もが利用しやすい施設整備や運用、さまざまな人に対する人権意識の啓発などについて、オリンピック前はもちろんのこと、レガシーの一つとしてオリンピック後にも継続的に進める考えをお持ちでしょうか。

 また、オリンピックやパラリンピックを契機とした相互理解の推進について、さまざまなハンディキャップや社会的な不利を抱えている、あるいは不遇な人が頑張っていて偉いというような感動ドラマに浸って終わるのではなく、日常生活ですれ違う人の多様性、例えば、身体だけでなく知的・発達・精神の障害や日本で暮らす外国籍の人、その他、先ほど例示列挙をした方々などにもオリンピック憲章の精神に基づき意識が向けられるような取り組みも求められますが、いかがお考えでしょうか。

 次に、車椅子競技について伺います。具体的にウィルチェアラグビーについて伺います。

 この競技は、車椅子ラグビーとも呼ばれ、2000年のシドニーパラリンピックから公式種目になり、1997年には日本ウィルチェアラグビー連盟も設立されています。しかし、車椅子が床を傷めるなどとの理由で練習場所が確保できず、その結果、東京に本拠地を置くチームがありません。また、渋谷区が区内で行われるパラリンピック競技の日本代表に練習場所を提供する方針のため、ウィルチェアラグビーも渋谷区のスポーツセンターが使えるようになりました。しかし、オリンピック後の将来を見据えた練習場所の確保には至っていません。新中野体育館はオリンピックやパラリンピックの練習場所としても意識され、アリーナの床は障害者スポーツも意識されたものになるそうですが、新中野体育館につき、パラリンピックに向けた渋谷の体育館を補うウィルチェアラグビーの日本チームの練習場所や、パラリンピック後も東京でのウィルチェアラグビーチームが利用できる体育館としての活用方法なども検討されてはいかがでしょうか。

 なお、スポーツ・文化施設について、施設周辺を含めたバリアアリー化や障害児・者が利用しやすい料金設定などを含むアクセス性の向上も要望しつつ、次の質問に移ります。

 性別・SOGI、ソジやソギとも言いますけども、性的指向・性自認に関する犯罪・暴力の予防やユニバーサルデザインについて伺います。

 平成27年度、中野区の犯罪被害の窓口には42件の相談があり、うち7件が性犯罪、3件がDVだったそうです。夫婦間やカップル間のDV(ドメスティックバイオレンス)には身体的な暴力のほかに、言葉で相手を脅かす精神的暴力、相手を束縛する社会的暴力や経済的暴力、避妊に協力をしないなどの性的暴力があります。被害者側でノーという意思や逃げるという選択ができない状況やDVであることに気づけない精神状態に陥っている場合もあります。また、同性間DVやDVの被害を受ける側が性同一性障害などの場合もあります。そして、その支配の背景には過剰過ぎる性差意識や腕力で女性に勝る男性のおごり、あるいは性に関する差別的な意識が根底にある場合が少なくありません。

 横浜市にある「認定NPO法人エンパワメントかながわ」では、中学生向け、高校生向け、大学生向け、大人向けのデートDV予防プログラムを作成し、デートDV予防プログラム実施者や電話相談員の養成を行っています。

 中野区では、ユニバーサルデザインで目指すべき姿として、年齢、性別、身体能力、国籍等のさまざまな特性を持つ人がいることを前提としたまちづくりが進むことにより、全ての人が安心・安全で快適に暮らすことができていますということも掲げています。今後、ユニバーサルデザイン推進条例や推進計画を策定する際、性別・性的指向・性自認に起因する暴力や犯罪を予防、早期発見し、そうした行為を許さない女性に関する人権意識の涵養や被害に遭いそうな場合を含めた相談や逃げ込みができる窓口の明確化や周知、関連する部署との連携強化などの必要性についていかがお考えでしょうか。

 3番目として、見え難く気づきにくい障がいやLGBTへの合理的配慮やユニバーサルデザインについて伺います。

 2001年に台東区で短大生が殺害された事件がありました。その事件の加害者は発達障害を抱えていたとされています。20年以上前から自閉症や知的障害者の裁判で弁護活動をしてきた副島洋明弁護士は、この事件に関し、加害者の生育歴を見ると、発達障害のゆえに徹底的にいじめられ傷つけられていた。しかも、普通だったらとうに自殺していておかしくない極貧の状況下で辛抱強く生きてきた。追いつめられる前にちょっとでも相談できる人がいたら、コミュニケーションに飢えていなかったら、あの事件はなかったと思いますと述べています。また、2009年、牧野麻由子氏らは新潟医学会雑誌にて、HIV感染者はさまざま心理社会的課題について悩みを抱いており、抑うつ感や不安感を抱きやすいとの発表を行いました。さらに、昨年8月には、SNSで同性愛者であることを暴露された一橋大のロースクール生が自殺をする事件がありました。しかし、発達障害イコール犯罪でも、同性愛者イコール自殺でも、HIVイコール鬱でもありません。誰にも相談や気持ちの吐露ができず、外から気づかれないことを要因とする自己肯定感の低下や情緒不安定を避けることが必要です。そのためには本人が自己受容をしやすい環境の整備、そして家族や周囲が早期に気づいて受容的な支援の手を伸ばせることが必要です。

 「見えにくい」という点においては、ほかにも、日本風の通称を持つアジア系の外国人、初期の認知症、軽度の知的障害、精神障害、高次脳機能障害、内部障害などもあります。また、障害としての認定が得られるかどうかのぎりぎりの状況でさまざまな困難を抱えている人もいます。周囲に伝えにくく、また周囲から見えづらい困難、周囲から理解されにくい困難、時には本人が自覚すらしていない場合すらある困難については、困難の原因やそれを抱えている人の属性にかかわらず、必要な人が必要なときに必要な支援や配慮が得られるようにしておくこと、そして社会における少数者だけでなく全ての人、誰もが安心して自己肯定感を高められる環境をつくることが必要です。中野区における合理的配慮を含むユニバーサルデザインの推進も、このような必要性を踏まえて行うという理解でよろしいでしょうか。

 私からの質問は以上です。答弁をお願いいたします。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 石坂議員の御質問にお答えいたします。

 オリンピック・パラリンピックに関連したバリアフリーやユニバーサルデザインについてであります。

 オリンピック憲章について。2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い、世界各国から多様な言語、慣習、文化などを持つ方々の来訪が予想をされます。こうしたことも踏まえ、スポーツ施設も含め、誰もが利用しやすい施設整備等を進めるとともに、多様性への理解促進など人権意識の啓発についても引き続き力を入れて取り組んでいきたいと考えております。

 新体育館におけるウィルチェアラグビーの活動についてであります。新体育館のメインアリーナ、サブアリーナの床材につきましては、障害者スポーツを含めてさまざまな競技に対して安全性と耐久性を備えた整備をする予定であります。一方、ウィルチェアラグビーは、滑りどめとして松やにを使用することもあり、他のスポーツと比べても床が損傷しやすい競技であるため、床の保全対策等も含め、練習場として活用できる可能性について検討していきたいと考えております。

 性別・性的指向・性自認に関する犯罪暴力とユニバーサルデザインについてであります。

 女性暴力や犯罪予防とユニバーサルデザインについて。DV被害や女性の人権問題に関する相談窓口や啓発については、男女共同参画基本計画に基づいて現在進めているところであります。人権問題等においては、時世の変化とともにさまざまな形での対応が必要となってきております。そのことを踏まえて、来年度、男女共同参画計画の改定においてさらなる人権意識の向上に向けた取り組みや関連部署の連携強化などについて検討をしていきたいと考えております。

 見えづらく気づきにくい障害やLGBTへの合理的配慮やユニバーサルデザインについてであります。ユニバーサルデザインの推進は、誰もが自由に社会参加が進むまちを目指し、目指すべき将来像や基本方針等を検討し、これを実現するための取り組みを進めていくものであります。周囲から困難が見えづらい人、こうした方々を含むさまざまな人に対する理解、促進を図るなど、今後構築する区のユニバーサルデザインの理念に沿った取り組みを行っていくことになると考えております。今後、ユニバーサルデザインを進める中で、どこまでが合理的配慮としてあるべきことなのかといった合理的配慮の範囲などについても十分に議論を行っていく必要があると考えております。

○議長(北原ともあき) 以上で石坂わたる議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 小宮山 たかし

 1 公益活動(市民活動)の活性化について

 2 待機児童対策について

 3 Nakano Free Wi-Fiについて

 4 その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、小宮山たかし議員。

〔小宮山たかし議員登壇〕

○18番(小宮山たかし) ただいまより小宮山たかしの一般質問をさせていただきます。

 通告した質問のうち、3番はまた別の機会にさせていただきます。

 市民活動、公益活動について質問をさせていただきます。

 今、中野区内で熱心に市民活動に取り組んでいるAさんがいます。Aさんは、区内で活動する子ども食堂が今三つありますけれども、そのうちの二つをウェブ上で結びつけ、中野区子ども食堂ネットワークの設立をコーディネートしました。そのネットワークは、今はまだたいした活動はしていませんけれども、子ども食堂同士の情報交換や相互交流には役立っています。

 また、今、区内では、中野区が行っている無料塾「しいの木塾」とは別に、それ以前から中学生対象の無料塾「よもぎ塾」という市民活動が行われています。とある子ども食堂の日程とそのよもぎ塾の日程が重なっていることに着目したAさんは、子ども食堂からよもぎ塾に対しておにぎり等の軽食を差し入れてもらうように両者をコーディネートしました。

 今、そのAさんは、区内で子ども食堂を開設したいと考えている人と、そして同じ地域にあって地域とのつながりを模索している福祉施設、その福祉施設には広い活動スペースがありますので、その両者を結びつけようとしている最中でございます。Aさんの活動は、子ども食堂関連にはとどまらず、区内の子育て支援活動者同士のネットワークをつくったり、子育て支援活動の宣伝告知の場をウェブ上につくったりと、Aさんがいたことによって中野区の子育て支援活動を3年は先に進めることができたと、私はそう考えております。

 そろそろ皆さんお気づきのことかもしれませんけれども、そのAさんとは、何を隠そう、この私でございます。私は、区内の子ども食堂や子育て支援活動の支援にこれまで長年かかわってまいりました。市民活動の多くは、社会における何らかの問題を既存の社会システムや行政には頼らず、若しくは頼れず、自発的に解決しようとして生まれています。こうした市民活動を支援していくことで地域の支えあいやネットワークが広がっていく、本来行政がするべきサービスを補完したり、行政のサービスでは補えない部分までをも補完することができる、市民と行政が協働していくことによってより暮らしやすい社会ができていく、新しい公共の一つの形であると私は考えております。そうした市民参加型の社会をより形にしていくためには、やはり行政による市民活動の支援が必要だと思います。これまでは行政が一から十まで全てやらなければならなかったことを、1の種をまいて、あとは育てることと広げることを応援してあげれば、それが10にも100にも育ち、広がっていく、その可能性が市民活動にはあるんです。市民活動の支援は行政にとっても大きなメリットがあるんです。とりわけ、これから児童館がなくなってしまう中野区にとっては子育て支援活動の担い手を育成支援していくことは大きな課題ですし、児童館をなくす中野区の責任であると私は考えています。

 中野区では、現在、公益活動に対する基金助成や政策助成を行っており、多岐多様な市民活動に対する金銭的な援助を行っていることは私も高く評価いたします。しかし、金銭ではないサポートに関しては主に社会福祉協議会が行っており、どうしても福祉寄り、高齢者向け、障害者向けのサービスの提供が中心となってしまっています。冒頭に私が申し上げたような、人と人とをつなぎ、団体と団体とをつなぐコーディネート役をできる人や組織が今の中野区には圧倒的に不足しているんです。そもそも中野区では、NPOを除く、草の根の市民活動に関する情報の把握すらしていない。どこで誰がどんな活動をしているのか、区民活動センターがそれぞれ細切れな情報を把握しているほかは、ほとんど誰も情報を持っていない。手元に情報がなければ情報の提供もできませんし、ましてやコーディネートなどできるわけがありません。

 中野区は、これまで公益活動支援として年に1回の公益活動団体交流会を開催してきました。参加者の評判はおおむね好評であるようですが、年に1回とはあまりにも少な過ぎる。直近の公益活動団体交流会は、今年2月、平日の夜に開催され、約50人の参加者がいました。しかし、その中で子育て支援活動の関係者は私1人だけでありました。繰り返しになりますけれども、児童館が廃止されるこの中野区において、子育て支援活動の担い手となる区民を今から育成支援していくことは喫緊の課題であります。

 また、中野区の地域活動推進分野では、NPOに対する一定の支援を行っております。NPO設立のための講座を開催したり、窓口では相談にのったり、先日開催されましたがNPOパネル展示も行っております。NPOという制度ができてから15年以上がたち、一時期のNPOブームは沈静化しております。草の根の市民活動をする人たちの間ではNPOのメリット・デメリットも理解され、必ずしもメリットばかりではないという共通認識も生まれています。中野区内に本拠を置くNPO団体の数は200を超えたあたりで頭打ちであり、ここ数年あまりふえておりません。また、中野区に本拠を置くNPOのうち、今現在、中野区内で活発に活動をしている実態のあるNPOは多く見積もって3割程度しかいないのではないかという印象を私は持っております。これは、中野区の例ではありませんけれども、選挙に出る際の肩書欲しさに、ほとんど実態のないNPO法人をつくり、NPO代表などのプロフィールを名乗っている人もいるという噂を聞いたこともあります。このように、NPOイコール市民活動と考えられていたのはもう10年も前の話でありまして、今の市民活動家の多くは、必要があればNPOをつくるけれども、必要がなければあえてつくらない、そういったスタンスでおります。にもかかわらず、中野区はいまだにNPOを支援することイコール公益活動支援だと勘違いしている節があります。NPOだけが公益活動じゃない、それ以外の草の根の市民活動を活性化させるためにもっといろんな取り組みをしていただきたいと私は考えております。

 例えば、新宿区では、社会福祉協議会が地域イベントに対して無償でさまざまなイベント用品を貸し出しております。新宿区で無料で貸し出されているイベント用品を列挙いたしますと、餅つきセットに高齢者疑似体験セット、子どもが喜ぶ綿菓子機は2台もあって、ゲームや輪投げのセット、鉄板焼機に石焼き芋機にポップコーン機に発電機、さらにはウサギと虎の着ぐるみが一つずつ、あとはテントが二張りと。ここにいる皆さんの多くは区内のさまざまなイベントにかかわって汗を流している方々だと思いますけれども、そうしたイベント運営者が泣いて喜ぶような物品の貸し出しを何と無料で行っています。これは新宿の社協に限った話ではなくて、全国津々浦々、大体どこの自治体でも市民活動支援センターとかボランティア活動支援センターのような施設があり、そこの施設では物品の貸し出しをはじめ、さまざまな市民活動支援をしております。

 一方の中野区はどうでしょう。区役所1階にあった公益活動情報コーナーはたった3年で廃止されてしまいました。公益活動のために10年前の古いプロジェクターとスクリーンを貸し出ししてくれるそうですけれども、もうそれもそろそろ交換してもいい時期なんじゃないかなと私は考えております。区民活動センターでは机と椅子とテントを貸し出してくれるのはこれはこれで本当にありがたい。また、食育推進のためにうさごはんの着ぐるみを貸し出していただけるのも本当にありがたいと考えています。しかしですね、しかしやっぱり綿菓子機とか欲しいです。市民活動支援に関しては、中野区は本当におくれている、ここまで理解のない消極的な自治体も珍しいんじゃないかと思うぐらいにおくれています。

 中野区でも新区役所ができます。そこには公益活動のためのスペースもできるのではないかと聞いております。具体的にどういう使われ方をするのか確定するのはもう少し先でしょうけれども、草の根の市民活動への配慮もしていただけるものと私は期待しております。

 今までいろんなことを述べましたけれども、それらのことを踏まえまして、中野区の公益活動、市民活動に対してより一層の支援をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 次に、待機児童対策について伺います。

 先日、区役所3階の子ども総合相談窓口である保護者が来春までに新たに開設される保育園の情報を求めたところ、担当ではないのでわからないと言われたそうです。しかし実際は、このまま順調に行けば来春までに4園、約250人分の定員の保育園が新規開設されるであろうと、5月と6月の子ども文教委員会での報告を受けています。これらの情報は、11月に開設される1園を除き、区のホームページ上ではいまだに確認ができません。来春保育園入園を考えている家庭の保護者にとっては、来年度どこにどんな保育園が整備されるのかは重大な関心事であります。従来は新園の情報については他の既存施設とともに11月に告知していたそうですが、新規誘致により開園がほぼ確実となっている保育園についてはなるべく早い段階でより迅速に情報提供することが、区民にとってより親切で適切な対応であると思いますが、いかがでしょうか。

 以上で私の一般質問は終了です。御静聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 小宮山議員の御質問にお答えいたします。

 私のほうからは、公益活動の活性化について、公益活動、市民活動に対する支援の充実をという御質問でした。公益活動の支援については、すこやか福祉センターを核として施策助成などの各種の経費的支援に加え、地域においてその活動と人やもの、場所、情報などが的確にコーディネートされる体制の充実を図ってまいりたいと考えております。

 私からは以上です。

〔子ども教育部長横山俊登壇〕

○子ども教育部長(横山俊) 私からは、待機児童対策についてお答えいたします。新園情報の早期開示についてでございました。新園の開設情報につきましては、お知らせできる状況になった時点でなるべく早く情報提供を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

○議長(北原ともあき) 以上で小宮山たかし議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 渡 辺 たけし

 1 生活保護受給者を対象にしたパチンコ店などの遊技場への見回りについて

 2 学習指導にかける予算配分について

 3 その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、渡辺たけし議員。

〔渡辺たけし議員登壇〕

○7番(渡辺たけし) 日本維新の会の渡辺たけしです。

 質問に先立ちまして、さきの連続した台風によりお亡くなりになられた方々に深く哀悼の意を表すとともに、被害に遭われた皆様におかれましては1日も早く日常生活に戻れることを願い、心より御見舞いを申し上げます。

 初めに、生活保護受給者を対象にしたパチンコ店などの遊技場への見回りについて質問いたします。

 2015年12月15日の大分県別府市の市議会において、自治体職員がパチンコ店や競艇場など市内の遊技施設に生活保護受給者がいないか巡回調査し、場合によっては見つけた受給者の支給額を減額していたという報告がされ、全国的に大きな話題となりました。

 生活保護制度は、国が生活困窮者に対しその困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立の助長をすることを目的としています。この文言の中には、国民の権利と義務である生存権と勤労の義務の両方が含まれていることが読み取れます。つまり生活保護制度というものは、資産や貯金がない状態でやむにやまれぬ事情で仕事をすることが困難な状況になり、定期的な収入を得ることができなくなった際の一時的な避難場所のようなものであり、働くことができる人は生活再建を目指し、自立をしていくために必要な準備をする義務が伴われなければならない制度であると、解釈できるのではないでしょうか。

 パチンコをするということが生活再建をして自立していくために必要なことだというのであれば誰からもとがめられることのない行為ではありますが、ギャンブル性の高い遊びにお金を投入する行為は生活再建や自立という言葉とはかけ離れたものであると言わざるを得ません。パチンコ店見回りのニュースが出た際も、世間の反応は、「もっと巡回を強化しろ」という声が圧倒的であり、報道後に寄せられたメールのほとんどが市の取り組みを支持するものだったといいます。この取り組みは決して珍しいことではなく、生活保護受給者がギャンブルで浪費しないようにするため、自治体の職員らによるパチンコ店や競艇場などの見回りが九州・沖縄各県の約15%に当たる計39市町村で実施されています。大分県の中津市では、遊技場内で発見すると、1回目は口頭注意、2回目だと文書通告、3回目の発見の際は福祉事務所へ呼び出し弁明の機会をつくり、弁明内容によっては減額処分を行い、給付の一部を停止するなどの措置をとっておりました。こちらの罰則については平成26年の法改正に伴い県や厚生労働省からの指導により廃止されましたが、罰則廃止の一報がニュースに出た際、100件近い電話が所管部署に入り、「なぜやめるんだ、もっと見回りや罰則を強化しろ」というような意見がほとんどであったとのことでした。そもそもパチンコ店の見回りを、世間では不埒な輩を監視するパトロールと捉えがちですが、もともとのきっかけというのは生活指導の見守りの範疇の中で生活改善の指導を目的として始まったものです。パチンコで時間をつぶすよりも、読書をしたり資格取得のために勉強をしたり地域コミュニティに参加したりするなど、有効な時間の使い方はたくさんあります。さらに言えば、パチンコは換金システムがあるため、ギャンブル要素の強い娯楽でもあります。短時間で数千円のお金が消えてしまう遊びに生活保護受給者が興じてしまうと生活再建どころか日常生活が破綻してしまいますし、勝って換金した場合は収入申告を福祉事務所に提出する必要があるのですが、そのような報告を受けたという事例は中野区をはじめ、私が取材をした自治体では聞いたことがなく、これは不正受給に相当するものと思われます。生活保護受給者に支給されているお金の財源は、労働者の方々が汗水流して支払っている税金であります。支給されたお金を何に使おうが個人の自由ではありますが、国民の血税をパチンコ台に注ぎ込むというのは納税者側からの感覚では決して許されるものではありません。

 そこで伺います。中野区として、生活保護受給者がパチンコ店へ出入りしていることについてどのように思っているのか、またパチンコ店への出入りは不正受給の温床となり得る存在として認識しているのか、区の見解を伺います。

 ケースワーカーの増員についても伺います。先ほどむとう有子区議や近藤さえ子区議からも同じような質問がありましたが、現状でも社会福祉法の規定に沿ったケースワーカー一人当たり80世帯の生活保護世帯を受け持つことが中野区では困難な状況であると聞いております。仕事が多忙な状況になると余裕がなくなり、なるべく揉め事を起こさずに済ませたいと思うのが人情であります。一人でも多くの生活保護受給者が自立していくためにも、不正受給を未然に防ぐためにも、受給者へはきめ細かいサポートが必要なのではないでしょうか。生活保護制度を適正に運用するためにはケースワーカーの増員は不可欠であり、区はその点をどのように考えているのかを伺いまして、この項の質問を終わります。

 続きまして、学習指導にかける予算配分についてお聞きします。

 昨今、子どもの6人に1人が貧困状態にあるというニュースが大きな話題となりました。中野区でも、平成27年4月から低所得世帯の小学校5・6年生及び中学生を対象に学習支援事業を開始したところでありますが、反応も上々で、今後も継続していく事業であると聞いております。

 教育への投資がどのような効果をもたらすのか。一般的によく言われていることとしては、学校の成績や高校卒業率が高まることで犯罪発生率は下がり、将来の所得がふえる。この結果、政府の支出は減り、税収がふえることが期待されるというものです。

 中野区の教育理念については、前回の総括質疑でお尋ねしたところ、言語活動の充実を重点として日々の学習活動に取り組んでいるという回答をいただきました。考える力を養うために言語力を磨き、論理的表現力や主体的にものを考える力を身につけさせる。そして、多くの人たちと会話をしたり議論を積み重ねていくことで、コミュニケーション能力の向上にもつながる言語力の強化に主軸を置く考えには私も深く同意いたします。

 現状の学習指導にかかる中野区の予算は、教員の質の向上を目的とした研修、研究支援や各校への学習指導支援員への人件費、学力調査、体力調査をもとに授業の質を上げるための研究費が主なものになると聞いております。今後も引き続き教員のレベルアップ、授業内容の質の向上には力を入れていただきたいのですが、学習指導要領の全面改訂に伴い、アクティブラーニングと呼ばれる学習、指導方法が今後の教育の主流になると言われており、それに伴って授業形態も変わっていくと言われています。生徒が主体的になって授業に参加する授業形態は、具体的には通常授業の中に班に分かれてのグループワークやディベートをさまざまな形で取り入れていくことになるわけですが、授業内容もそれに伴い変化していくことはごくごく自然な流れなのではないでしょうか。例えば、グループワークの際にタブレット端末を班ごとに生徒に渡して辞書やノートがわりとして活用したり、生徒が授業に興味・関心を持ち積極的に参加させる狙いでデジタル教科書や電子黒板を導入して新しい授業スタイルを構築するなど、新たな試みを行っている自治体がふえてきております。ICT機器を操って時代に合わせた授業形態を構築できるようなレベルの高い教員を育成することは中野区としても必要なことだと思いますが、例えば、ICT機器の導入一つをとっても、端末費用はもちろんですが、月額のインターネット利用料金や保守管理費など一定のランニングコストが発生します。社会にとって有用な人材を育成していくためには、義務教育でどれだけ生きていくために必要な基礎知識を身につけるかが大きな要の部分となるわけですが、やはりその分どれだけ質の高い教育を子どもたちに受けさせることができるか、予算を投資できるかということを真剣に考えていかなくてはいけません。

 そこで伺います。中野区として、質の高い教育指導を行っていくために、必要に応じて学習指導部分の予算を投入していく意思があるのか、教育委員会の見解をお尋ねします。

 私は、生活保護の問題を調べていく中で、教育の役割がいかに重要なことかということを改めて認識いたしました。社会で求められる人材は業種によって多種多様ではありますが、それぞれの職場ニーズに合うために必要な知識や技能を身につけていることはもちろんのこと、新たな知識や技能を取得する前向きな姿勢や素直で信頼できる誠実な人間性を持っている人が多くの職場で求められる共通の人物像だと思います。どのような職場でも歓迎されるような人材を一人でも多く輩出していくためにも、中野区が教育へ力を注いでいただくことに期待をいたしまして、私の全ての質問を終了します。御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 渡辺議員の御質問にお答えいたします。

 生活保護受給者を対象にしたパチンコ店などの遊技場への見回りについての項目であります。生活保護とパチンコについてということです。生活保護法において、パチンコを直接に禁止する規定はありませんが、同法第60条により、被保護者には生活上の義務として、支出の節約を図り、生活の維持向上に努めることが求められると、このようになっております。原則として保護費は被保護者本人の管理下にあって、使途にも制約はありません。しかしながら、パチンコで生活費を浪費して生活保持ができないような状態であれば、ギャンブル依存症などの可能性を考慮して医療機関の受診及び治療を進めるといった対応をとっているところです。また、一般論として、被保護者が何らかの収入を得た場合には収入申告をする義務があるところであります。

 生活保護行政における人的資源の配分についてであります。さまざまな行政課題を解決するため、毎年度各部からのヒアリングを行い、組織体制や業務執行方法などもあわせて検討を行いながら適切な人的配分に努めているところであります。生活保護の分野においても、そのような形で適切な配分に努めてまいります。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 私からは、学習指導にかける予算配分についての御質問にお答えをいたします。今般、学習指導要領の改訂の課程において示されているアクティブラーニングとは、児童・生徒がみずから課題を発見し解決していく問題解決的な学習と児童・生徒が相互に学び合う協同的な学習の両方の特色をあわせ持つ学習方法であり、重要視されているものでございます。教育委員会といたしましては、学習指導要領の改訂の動向を見据えて適切に対応していくこととしておりまして、ICT環境にかかわらず、授業改善や教育の質の向上に必要な予算を確保していくことを検討しております。

○議長(北原ともあき) 以上で渡辺たけし議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 内 野 大三郎

 1 中野駅南口再開発について

 2 孤立死の死後事務委任について

 3 その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、内野大三郎議員。

〔内野大三郎議員登壇〕

○8番(内野大三郎) 平成28年第3回定例会に当たり、日本の文化と伝統を守る無所属議員の立場で一般質問をさせていただきます。

 リオデジャネイロのオリンピックで過去最高のメダルを獲得した選手の皆様に心より感謝申し上げます。子どもたちだけでなく、あまねく大人も涙しながら、勝ったときの喜びを、負けたときの悔しさを共有されたのではないでしょうか。また、今月8日から開催中のパラリンピックについても同様に日本全国から応援の声が届いているものと思われます。4年に一度の国を挙げてのスポーツの祭典に日本人選手が活躍していることを心からうれしく思っております。

 さて、質問通告にあるように、一つ、中野駅南口再開発について、二つ、孤立死の死後事務委任についてでございますが、二つ目の孤立死の死後事務委任については質問を取り下げさせていただきました。取材に応じていただきました理事者の皆様におわび申し上げます。その他の項目はございません。

 中野駅南口再開発についてです。

 本年5月12日に区による区画整理組合設立認可がなされ、市街地再開発事業と土地区画整理事業との一体施工として区内でも珍しい形での再開発が事業化しました。既に大久保通り北側から解体工事が始まりました。この解体工事が始まる前、組合設立認可がなされる直前に地元の皆様への解体手順の説明会が行われました。当日は、事業化がされたとしたらどのくらいの期間でどの程度の工事をどのような順番で行っていくのかをお示しいただきました。工事が始まる時期がわかりさえすれば、素直に頭に入ってくる内容のものだったと記憶しています。そして、事業化がなされた今、その計画どおりに解体が進み、地元の皆様も交通混雑などの不透明さはありながらも、ひとまずは安堵しているところであります。しかし、その後の工事内容については一向に見えてまいりません。通り一遍の説明会ではそもそも事業に反対しようとする方々も来られることがあり、実質的な議論の妨げになる場合もあります。

 そこでお尋ねいたします。この事業の個別具体的な工事竣工の時期や道路供用開始の時期、工事の進捗に伴う具体的な図示を伴う説明会を行い、近隣住民の目線を重視した説明をしていただけますでしょうか。平成36年度までの9年もの事業ですから、地元に根付いて地域の一員として事業を進めるべきと考えます。区としていかがお考えでしょうか。

 次に、公園緑地についてお尋ねします。

 今回の事業では、大久保通りから千光前通りへ高低差約9メートルの南北主要区画道路を整備します。完成後には、例えば、極端ですが、原宿表参道のような魅力ある坂道を目指してはどうかと考えています。また、中野駅南口は桃園地域と呼ばれているため、その地名に由来する地域の皆様に愛される植栽を植えることで新しい地域と今までの地域との歴史的連続性が醸成されるものと思われます。地元住民だけでなく、来街者のおもてなしにつながるような魅力ある緑の整備にしていただきたいと思いますが、区としてはいかがお考えでしょうか。

 次に、第2回定例会中の区内駅周辺等まちづくり特別委員会においても質問をいたしましたが、中野駅前開発によってにぎわいの恩恵を授かるのが再開発エリアだけであってはまちづくりとしての意味がわかりにくくなります。その周辺にも再開発の効果が広がることにより、南口地区まちづくりへの好影響があるのではないでしょうか。例えば、南口駅前交番からゼロホールまでの道、千光前通り沿いにも魅力ある沿道空間をつくればまち全体が盛り上がっていくのではないかと考えています。新しくできる南北主要区画道路は幅13メートルあり、この道路の境目が再開発エリアとその外部との断絶にならないように周辺まちづくりを進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 最後に、喫煙所についてお尋ねします。

 中野駅南口には、約5年前にロータリーの中央部分に喫煙所が設置されていました。その喫煙所は北口開発のバス停移動に伴い撤去してあります。区内全域で歩きたばこは禁止になっていますが、中野駅周辺だけは立ちどまっての路上喫煙も禁止されているようです。一方、北口周辺には3カ所喫煙場所が用意されています。南口の町会商店街の皆様はこの状態に長くなれてこられました。民間でできることは民間がその役割を担うべきであり、南口には数箇所の民地で喫煙ができるところがあります。新たに南口に喫煙所を設置せずともこれで十分であると考えています。たばこ税は区にもかなりの税収をもたらしているのも事実ですが、喫煙所の設置や維持管理は全て民間企業であるJT、日本たばこさんが行っているようです。商店街には、駅前の一等地に喫煙所があると来街者の印象を悪くするという苦情も寄せられているようです。喫煙環境は分煙の推進を図り、歩行環境にも十分配慮すべきと考えます。

 今後、南口再開発に伴い、駅前の歩行環境を良好に保つために、今の状態で新しいロータリーを整備していただきたく思っています。区民の健康増進を進めていく意味でも、良好な喫煙所環境をバランスよくつくっていくことも区の責務と考えています。区が新たに喫煙所を設置する必要はないと思っております。区の見解をお尋ねします。

 以上で私の全ての質問は終了します。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 内野議員の御質問にお答えいたします。

 中野駅南口再開発について。住民の目線を重視した説明ということです。土地区画整理事業については、本年5月に区が組合設立認可し、事業化されたところであります。事業化に当たり、本年4月に2回にわたって地域への事業説明会を開催するとともに、事業に伴い設置する仮設自転車駐車場について、7月に説明会を開催しているところです。今後も必要に応じて適宜、町会をはじめとして地域へのきめ細かい説明会を開催し、組合とともにまちづくりを進めてまいります。

 魅力ある緑の整備という内容でありました。中野駅南口再開発では、駅周辺と住宅地をつなぐ良好な環境の形成、緑化の推進、潤いとゆとりのある歩行者ネットワークの形成を図り、地区の東側に公園を整備することとしております。周辺の住宅や事業所などの緑化モデルとなるように接道部などの敷地内の緑化を進めるとともに、人工地盤上の広場については緑のオープンスペースを創出するなど、緑のインフラの保全・育成を図ることとしております。どのような植栽にするかについては、今後地域の意見も伺いながら、良好な都市環境やまち並みの形成に資するよう適切に対応してまいりたいと考えております。

 周辺にも再開発の効果が広がるまちづくりをということでありました。区としては、中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3において中野駅南口再開発を推進するとともに、隣接する周辺街区を含めて計画づくりを行い、計画的にまちづくりを進める方針を明らかにしているところであります。今後、中野二丁目地区において、防災性の向上、良好な住宅環境の保全など、中野二丁目再開発地区の周辺も含めた地区全体の都市機能の改善を進めていきたい、このように考えております。

 私からは以上です。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 中野駅南口の喫煙場所についての御質問にお答えをいたします。中野駅南口のバスロータリーに設置していた喫煙場所は暫定バス乗降場の設置により廃止となった経緯がございますが、人が多く集まる駅周辺に喫煙場所を設置することは喫煙に関するトラブルの防止やきれいなまちを実現する上で大切なことであるため、喫煙場所の設置については今後も検討していく考えでございます。

○議長(北原ともあき) 以上で内野大三郎議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 細 野 かよこ

 1 雨水の活用と浸透の推進について

 2 その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、細野かよこ議員。

〔細野かよこ議員登壇〕

○17番(細野かよこ) 市民自治を広げる中野・生活者ネットワークの一員として質問いたします。

 質問は通告どおり、雨水の活用と浸透の推進についてで、その他はありません。

 近年の地球温暖化による気候変動や都市化の進展などに伴い、水資源の循環の適正化に取り組むことが課題となり、2014年に雨水の利用の推進に関する法律と水循環基本法が施行されました。国レベルでの雨水の利用と健全な水循環の維持または回復に向けた取り組みが推進されています。

 私は、住宅などに雨水タンクを設置して、散水、清掃、打ち水などに利用する、同時に雨水浸透ますで自分の家の屋根に降った雨は地中に戻す、こうした一人ひとりの小さな取り組みでまちの中に小さなダムの機能をつくっていくことで、水害の防止、緩和と地下水の涵養やヒートアイランド現象の緩和など、環境に大きく寄与すると考え、雨水の活用と浸透を推進する立場から質問します。

 2005年9月に発生した当区と杉並区を中心とした時間100ミリを超える豪雨は、両区合わせておよそ3,000世帯に浸水被害を及ぼしました。都は、2007年に東京都豪雨対策基本方針を策定。2014年に改定され、当区との関連では、豪雨対策強化流域として神田川流域が、対策強化地区として東中野が指定されています。西の武蔵野市から東の中央区まで2市13区を範囲とする神田川流域の中でも、中野区は区内のほぼ全域が流域にかかっており、流域に占める面積の割合が杉並区、新宿区に次ぐ3番目に大きい自治体で、中野区の豪雨対策が流域全体に与える影響が大きいと言えます。神田川流域自治体の一員としての当区の取り組みについて、1点お聞きします。

 東京都は、市民と行政が協働・連携して神田川流域の川づくりを進めていくために、流域の住民、区・市及び都が情報や意見の交換・提案を行うことを目的に、2004年、神田川上流懇談会を設置しました。現在5期目に入っていますが、当区では第1期から行政委員としてかかわっています。

 初めに、中野区が委員として出席する意義について伺います。

 神田川流域は97%が市街化されており、自然地はわずか3%で、雨がしみ込む地面がなく、雨水のほとんどが下水管に入る構造になっています。これを合流式下水道と呼び、23区では8割方この方式が採用されています。晴天時、汚水は全量、水再生センターに送られて処理されますが、一定量を超える雨が降ると下水管からオーバーフローした汚水まじりの雨水が河川に流出し、東京湾を汚しています。こうした現状から、雨水を下水管に入れて流す対策から、生かす、浸透させる対策へのさらなる転換が求められていると考えます。雨水の貯留と浸透の推進について、3点お聞きします。

 1点目です。区は、雨水の貯留、浸透の効果についてどのように捉えておられるのか、伺います。

 当区では、現在、水害対策として、公共団体が建設する施設、敷地面積300平方メートル以上の大規模民間施設などに、浸透ます、透水性舗装、地下貯留、屋上貯留などの雨水流出抑制施設の設置をお願いしており、その達成率は公共団体が100%、大規模民間施設は約80%と高い設置率になっています。

 2点目として、どのような働きかけでこの数字が達成されているのか、伺います。

 ゲリラ豪雨は、その一帯に降った雨水が一気に下水管に入り、管からあふれた汚水まじりの雨水が河川に流れ込むことで洪水を引き起こします。東京都では、水害対策として神田川、妙正寺川の河川改修、環状七号線などの地下調節池を整備しています。しかし、こうした大規模な事業には時間と整備費、維持管理費がかかり、多大な費用をかけて対策を講じても整備水準を上回る降雨が多発しています。敷地に降った雨を半日、少なくとも二、三時間敷地内に留め置くことができれば、下水管に雨水が入る時間をずらすことができ、水害が軽減できると考えます。

 1988年度から2000年度まで、当区では東京都の補助金を受けて雨水流出抑制施設の設置助成を行っていましたが、2000年度の都の補助休止に伴い区の助成事業を廃止しています。東京都の補助金は対象敷地面積を1,000平方メートルから500平方メートル未満に引き下げて2007年度から再開されていますが、区の助成制度は廃止されたままです。小規模施設も含めた民間施設の雨水の貯留・浸透を進めるため、例えば、雨水流出抑制施設の設置助成の再開の検討など、区として積極的に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

 続きまして、雨水の利用について、2点お聞きします。

 雨水の利用の推進に関する法律では、その目的に、雨水の利用を推進し、もって水資源の有効な利用を図り、あわせて下水道、河川等への雨水の集中的な流出の抑制に寄与することとあり、雨水の利用の効果が水資源の有効利用だけでなく下水や河川への流出抑制になるとうたっています。雨水の利用について、区としてこれまでどのような取り組みをしてこられたのか、伺います。

 家庭における雨水利用の促進には、天水尊のような雨水タンクの設置が有効で、既に設置している区民の方もいらっしゃいます。区としても、例えば、なかのエコポイントの活用など、設置に向けたインセンティブを検討すべきと考えます。区の見解を伺います。

 最後に、雨水に関する啓発について、1点お聞きします。

 神田川流域上流に位置し、上水道の原水の80%を地下水が占める武蔵野市では、2012年に雨水の地下への浸透及び有効利用の推進に関する条例、通称雨水利活用条例を制定し、2014年に水の学校を開校しています。水の学校は、市民と一緒に暮らしの中の身近な水循環、上下水道の役割から世界規模の水課題など、水についてのさまざまなテーマを取り上げて学び、行動につなげるための講座です。

 また、1日約40万トンの地下水を水道水源として利用している多摩地域にある小金井市では、安全でおいしい水を飲み続けるために、2004年に小金井市の地下水及び湧水を保全する条例を制定しています。

 2008年には、武蔵野市、小金井市を含む近隣8市の市長によるサミットを開催して、「雨を活かすまちづくり50年の継承」を確認しています。水は、循環という名のとおり、広域にわたりめぐっています。一自治体だけの取り組みで維持・復元できるものではなく、広域的な対応が求められます。そのためには、上流自治体における取り組みを知り、当区での取り組みが他の自治体に与える影響を考えるなど、水循環の中にある一員としての自治体、個人を認識することが重要です。雨水がもたらす環境の恩恵と、都市における水循環の実態とそのリスクについて、広く深く学ぶ区民向けの学習会や雨水タンクや浸透ますの設置相談会などを開催し、雨水の貯留と浸透の推進を図ってはいかがかと考えます。区の見解を伺います。

 元国交省の官僚で、現在は九州大学教授の島谷幸宏氏は、ことし4月に発生した熊本地震の際に、大災害時には人工的なインフラは途絶し、身の回りにある自然資本を有効に活用することによって緊急時のレジリエンスを高めることが重要であると感じたとおっしゃっておられます。雨水の活用と浸透はまさに自然資本の活用です。防災、減災のサブシステムとして、また災害時のインフラとして、雨水の活用と浸透に向けた区の積極的な取り組みを要望いたしまして、私の質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 細野議員の御質問にお答えいたします。

 雨水の活用と浸透の推進について。神田川上流懇談会出席の意義についてであります。神田川上流懇談会は、神田川流域の住民等から選出された都民委員と、東京都及び中野区をはじめ流域自治体の行政委員により構成され、都民と行政が共通認識に基づき協働・連携して地域に生きた親しめる川づくりを進めるため、東京都が事務局を担って運営をしております。この懇談会について、中野区は流域自治体の一員として、河川にかかわる計画や工事等に関する情報提供や意見交換を行うため、出席しているところであります。

 雨水の貯留、浸透の効果について。中野区は東京都をはじめ、流域自治体が合同で策定した神田川流域豪雨対策計画の中で、貯留・浸透施設の整備に向け、目標量として17.2万トン、雨水に換算すると時間5ミリの降雨に相当する分の流出抑制を図ることを目指しており、区として雨水の貯留、浸透の推進は治水対策として効果があると考えております。

 雨水流出抑制施設の設置率についてであります。中野区では、敷地面積が300平方メートル以上の民間建築物については、建築主より、建築確認申請に先立ち、雨水流出抑制施設の設置に関する計画書を提出していただいております。この計画書の提出がなく建築確認申請があった場合、職員が雨水流出抑制施設の設置協力を働きかけているため、設置率が高くなっていると考えております。

 雨水の貯留、浸透の取り組みの推進について。雨水流出抑制施設の設置助成の再開は考えていませんが、雨水流出抑制施設の設置は治水対策に効果があるため、今後も高い設置率が維持できるよう指導・啓発に努めていきたいと考えております。

 私からは以上です。

〔環境部長戸辺眞登壇〕

○環境部長(戸辺眞) 私からは、雨水利用に関する、まず、区の取り組みについてお答えいたします。家庭における雨水の利用につきましては、雨水貯留タンクを設置することで環境面や防災面において一定の効果があると考えてございまして、区のホームページで普及啓発活動を行っているところでございます。また、中野ZERO本館や温暖化対策推進オフィスにおきまして雨水を水洗トイレ洗浄用水に利用しているところでございます。

 続きまして、家庭における雨水利用の推進についてでございます。なかのエコポイントにつきましては、これまでCO削減の取り組みに対しポイントを交付するということを基本としてきたところでございますが、第3次中野区環境基本計画アクションプログラムに基づき、現在、区民の参加促進に向けて、環境への貢献について幅広くポイントメニューを設けることなどを含め検討しているところでございます。家庭における雨水利用の促進に向けたインセンティブづくり、こうしたことについてもこの中で検討してまいりたいと考えてございます。

 最後に、雨水に関する啓発のあり方ということでございますが、今後とも都市における水循環の課題や取り組みにつきまして情報提供のあり方や啓発の方法も含め、さらに検討してまいりたいと考えてございます。

○議長(北原ともあき) 以上で細野かよこ議員の質問は終わります。

 以上をもって質問は終了いたしました。

 これより日程に入ります。

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 第77号議案 平成28年度中野区一般会計補正予算

(委員長報告)

 

○議長(北原ともあき) 日程第1、第77号議案、平成28年度中野区一般会計補正予算を議題に供します。

 

平成2年(201年)9月9日

 

中野区議会議長 殿

 

総務委員長 若林 しげお

  (公印省略)

議案の審査結果について

 

本委員会に付託された下記案は、審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので、中野区議会会議規則第78条の規定により報告します。

 

 

議案番号

件    名

決定月日

第77号

平成28年度中野区一般会計補正予算

9月9

 

○議長(北原ともあき) 総務委員会の審査の報告を求めます。若林しげお総務委員長。

〔若林しげお議員登壇〕

○2番(若林しげお) ただいま議題に供されました第77号議案、平成28年度中野区一般会計補正予算に関しまして、総務委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。

 本議案は、歳入歳出にそれぞれ25億4,440万2,000円を追加計上するものです。これにより既定予算との合計額は1,318億386万4,000円となります。

 この補正予算の歳出予算の内容としましては、保育園・幼稚園費では、私立保育園等における保育業務支援システムの導入経費及び安全管理推進のためのビデオカメラ設置経費を追加計上するものです。保健予防費では、平成28年10月1日からB型肝炎ワクチンの予防接種が定期接種化されることに伴い、その委託等のための経費を追加計上するものです。健康・スポーツ費では、新体育館整備手法が確定し、新体育館実施設計・施工一体整備が行われることに伴い、従前計上されていた新体育館実施設計等の経費を減額するものです。地域まちづくり費では、不燃化特区の大和町地域における老朽建築物の建てかえや除却等の助成事業について、申請件数の増加に伴う助成経費を追加計上するものです。諸支出金では、平成27年度からの繰越金を原資として財政調整基金積立金を追加計上するものです。

 歳入予算としましては、国庫支出金、都支出金、繰入金、繰越金及び諸収入を追加計上するものです。

 このほか、債務負担行為の追加計上を行うものです。

 本議案は、9月9日の本会議において当委員会に付託され、9月9日に審査を行いました。

 審査の進め方として、本議案を議題に供した後、理事者から補足説明を受け、その後、質疑を行いました。その主な質疑応答の内容を御紹介いたします。

 初めに、新体育館実施設計・施工一体整備にかかる特定財源の詳細を問われ、特定財源25億8,000万円余のうち、1億円がオリンピック・パラリンピックの区市町村事業の補助で、それ以外が社会資本整備総合交付金を想定しているとの答弁がありました。

 これに対し、社会資本整備総合交付金は満額を確保できることを想定しているのかとの質疑があり、制度上では体育館の工事費の5割が対象となるが、これまでの実績を踏まえ、補助の6割を見込んでいるとの答弁がありました。

 次に、平和の森公園再整備基本設計(案)中間のまとめでは10月に説明会を開く予定となっている。今後の事業予定や施工事業者との関係からも、今、この時期に補正予算で債務負担行為を定める必要はなく、説明会を終えた後の第4回定例会でも間に合うのではないかとの質疑があり、新体育館の整備については、オリンピック・パラリンピックの開催に間に合わせるため、実施設計・施工一体整備をすることで工期の短縮を図るものである。今後のスケジュールを考慮し、今回の補正で予算措置をし、業者選定に入っていきたいとの答弁がありました。

 これに対し、さらに他の委員から、この時期に補正を行う理由を明確に説明するよう問われ、オリンピック・パラリンピックの開催時期から逆算すると、今回の補正で予算措置をし、速やかに業者選定に入らなければスケジュール的に間に合わないためであるとの答弁がありました。

 次に、決算認定の前に補正を行い、24億円余もの金額を財政調整基金に積み立てる理由はとの質疑があり、繰越金や剰余金について決算議会の時期に合わせ積み立てを行いたいと考えている。今回提案した補正予算の中のB型肝炎ワクチン予防接種の事業が10月実施ということで補正予算の先議をお願いすることになり、財政調整基金積立金に関しても決算認定の前に審査をしていただくことになったとの答弁がありました。

 さらに、補正を行うことで財政白書に記載されている金額と異なることになるが、区の考えはとの質疑があり、剰余金については、第2回定例会の委員会において見込みの金額を速報値として報告をしているものが、今回金額が確定したので先議の中に入れさせていただいたとの答弁がありました。

 これに関連し、他の委員から、本来基金というものは特定の目的があって積み立てを行うものだが、今回の補正で繰越金を全て財政調整基金に積んでいるが、他の基金に積み立てる考えはなかったのかとの質疑があり、26年度剰余金については、財政調整基金のほか、義務教育施設整備基金にも積んだ経緯がある。28年度においては義務教育施設整備基金に当初予算で10億円を計上しているところであり、今回は財政調整基金に積むことにより、今後さまざまな計画に生かしていきたいとの答弁がありました。

 以上が主な質疑応答の内容です。

 なお、関係分の審査を行った厚生・建設・子ども文教委員会から申し送られた意見はありませんでした。

 その後、委員会を休憩し、取り扱いを協議した後、委員会を再開し、さらに質疑を求めましたが、質疑はなく、質疑を終結しました。

 次に、意見の開陳を求めましたが、意見はなく、意見の開陳を終結しました。

 次に、討論を求めたところ、1名の委員が、本議案に反対する立場から、8月末に区から報告のあった平和の森公園再整備基本設計(案)中間のまとめでは、体育館やその他の公園の再整備に係る費用が当初の55億円から108億円と大きく膨れ上がっている。これをもとに、今回、債務負担行為として実施設計を減額し、実施設計・施工一体整備を行うというものであるが、区が整備を拙速に進めていこうとする一方で、公園利用者をはじめとする、整備をしてほしくないという声も強まっている。今後、区も説明会を行うということでもあり、この説明会を経た上で検討を進める必要がある。まして、第3回定例会において補正をしなければ事業が進まないわけではないとも思っており、本議案には反対であるとの討論を行いました。

 さらに討論を求めましたが、討論はなく、討論を終結しました。

 そして、本議案について、挙手による採決を行ったところ、賛成多数で可決すべきものと決した次第です。

 以上で第77号議案に関する総務委員会における審査の経過並びに結果の報告を終了します。

○議長(北原ともあき) ただいまの報告について御質疑ありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(北原ともあき) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。

 本件については討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(北原ともあき) 御異議ありませんので、これより起立により採決いたします。

 上程中の議案を委員長報告どおり可決するに賛成の方は御起立願います。

〔賛成者起立〕

○議長(北原ともあき) 起立多数。よって、上程中の議案は可決するに決しました。

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 認定第1号 平成27年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

 認定第2号 平成27年度中野区用地特別会計歳入歳出決算の認定について

 認定第3号 平成27年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について

 認定第4号 平成27年度中野区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算の認定について

 認定第5号 平成27年度中野区介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について

 

○議長(北原ともあき) 日程第2、認定第1号から認定第5号までの計5件を一括上程いたします。

 理事者の説明を求めます。

〔副区長川崎亨登壇〕

〇副区長(川崎亨) ただいま上程されました認定第1号、平成27年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について、認定第2号、平成27年度中野区用地特別会計歳入歳出決算の認定について、認定第3号、平成27年度中野区国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について、認定第4号、平成27年度中野区後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算の認定について、認定第5号、平成27年度中野区介護保険特別会計歳入歳出決算の認定について、以上5件につきまして一括して説明いたします。

 初めに、中野区一般会計決算について説明いたします。

 平成27年度一般会計の歳入総額は1,344億9,099万3,719円、歳出総額は1,313億2,361万6,373円で、前年度と比較しますと、歳入で6.8%の増、歳出で8.5%の増となりました。歳入から歳出を差し引いた形式収支額は31億6,737万7,346円となり、翌年度へ繰り越すべき財源3億4,901万1,000円を差し引いた実質収支額は28億1,836万6,346円となりました。

 それでは、歳入につきまして主な款について説明いたします。

 第1款特別区税は総額323億3,400万円余で、前年度と比較して6,000万円余、0.2%の増となりました。

 第2款特別区交付金は総額374億2,500万円余で、前年度と比較して14億6,400万円余、4.1%の増となりました。

 第7款地方消費税交付金は総額72億7,600万円余で、前年度と比較して31億6,400万円余、77.0%の増となりました。

 第13款国庫支出金は、中野駅周辺整備事業に係る社会資本整備総合交付金の増などにより、前年度と比較して15億2,000万円余、7.0%の増の総額233億2,100万円余となりました。

 第14款都支出金は、都市計画交付金の減などにより、前年度と比較して12億1,000万円余、12.9%減の総額81億4,200万円余となりました。

 第17款繰入金は、財政調整基金繰入金の皆増などにより、前年度と比較して39億7,400万円余、116.4%増の総額73億8,600万円余となりました。

 第19款諸収入は、土地開発公社貸付返還金の増などにより、前年度と比較して12億9,600万円余、76.6%増の総額29億8,900万円余となりました。

 第20款特別区債は総額26億4,800万円で、前年度と比較して25億7,500万円、49.3%の減となりました。

 これらの結果、歳入決算額の予算現額に対する収入率は97.6%となり、前年度より1.1ポイント下がりました。

 次に、歳出につきまして主な款について説明いたします。

 第2款経営費は、新区役所用地取得費などにより、前年度と比較して33億700万円余、51.6%増の総額97億1,100万円余となりました。

 第3款都市政策推進費は、中野駅新北口駅前広場整備用地取得費などにより、前年度と比較して26億5,800万円余、191.3%増の総額40億4,800万円余となりました。

 第4款地域支えあい推進費は、南部すこやか福祉センター等整備費や南中野区民活動センター等整備費などにより、前年度と比較して14億6,800万円余、30.5%増の総額62億7,900万円余となりました。

 第8款環境費は、清掃事務所車庫移転用地取得費などにより、前年度と比較して12億7,900万円余、25.3%増の総額63億3,800万円余となりました。

 第9款都市基盤費は、(仮称)本町二丁目公園用地取得費の減などにより、前年度と比較して61億1,800万円余、36.2%減の総額107億6,900万円余となりました。

 第11款諸支出金は、財政調整基金や減債基金、道路・公園整備基金の積立金の増などにより、前年度と比較して50億4,900万円余、40.2%増の総額175億9,600万円余となりました。

 これらの結果、歳出決算額の予算現額に対する執行率は95.3%となり、前年度より0.5ポイント上がりました。

 この歳出決算額を性質別に見ますと、人件費、扶助費及び公債費を合わせた義務的経費は607億1,200万円余で、前年度と比較して2.2%の増となりました。また、投資的経費は209億3,200万円余で、前年度と比較して22.6%の増となりました。

 なお、平成27年度決算では実質収支が28億1,800万円余となり、前年度決算に比べ15億8,700万円余の減となりました。

 また、財政指標から区の財政状況を見ますと、前年度と比較して実質収支比率が2.5ポイント下がり3.7%、経常収支比率が8.6ポイント下がり76.5%、実質公債費比率が2.1ポイント下がり2.9%となっています。

 平成27年度は、中野区基本構想と新しい中野をつくる10か年計画の改定に取り組むとともに、将来の生産年齢人口の減少や超高齢化などに備えて、まちづくり・産業復興など地域経済の活性化、子育て環境の充実、スポーツ・健康づくりなど、持続可能な区政に向けて中・長期的な区政の方向の基礎を固める施策を展開しました。また、こうした施策の展開を将来にわたって支えるために、計画的な基金の積み立てと繰り入れを行うなど、財政運営の基本方針にのっとり、将来を見据えた財政運営に努めました。

 今後も、少子高齢化に伴う扶助費や繰出金等の増加が予測される中、本年度策定しました新しい中野をつくる10か年計画(第3次)を着実に推進するとともに、計画的な施設更新に係る経費など、大規模な財政需要に的確に対応するため、引き続き計画的かつ健全な財政運営を行っていく必要があると考えています。

 続きまして、中野区用地特別会計決算について説明いたします。

 歳入歳出の決算額は同額で48億5,611万1,211円、前年度と比較しますと歳入歳出ともに62.5%の減となりました。

 歳入歳出総額が減となった主な要因は、弥生町六丁目用地の取得による特別区債と用地費の皆減によるものです。

 歳入の主なものは、第1款財産収入が46億6,600万円余で、前年度と比較して8,300万円余、1.8%の減となりました。

 歳出の主なものは、第1款公債費が46億7,300万円余で、前年度と比較して4億2,100万円余、8.3%の減となりました。

 次に、中野区国民健康保険事業特別会計決算について説明いたします。

 歳入総額は399億3,195万8,659円、歳出総額は396億5,285万9,458円で、前年度と比較しますと、歳入で18.7%の増、歳出で19.4%の増となりました。

 歳入の主なものは、第1款国民健康保険料が90億7,600万円余で、前年度より6,200万円余、0.7%の減、第7款共同事業交付金が100億7,700万円余で、前年度より60億1,100万円余、147.8%の増、第8款繰入金が55億9,300万円余で、前年度より4億7,500万円余、9.3%の増となりました。

 歳出の主なものは、第2款国保給付費が213億5,800万円余で、前年度より4億1,800万円余、2.0%の増、第6款介護納付金が19億9,900万円余で、前年度より1億900万円余、5.2%の減、第7款共同事業拠出金が98億9,100万円余で、前年度より59億5,600万円余、151.3%の増となりました。

 次に、中野区後期高齢者医療特別会計決算について説明します。

 歳入総額は62億9,166万6,366円、歳出総額は62億4,346万6,866円で、前年度と比較しますと、歳入で1.0%の減、歳出で1.2%の減となりました。

 歳入の主なものは、第1款後期高齢者医療保険料が34億6,400万円余で、前年度より800万円余、0.2%の減、第2款繰入金が26億7,700万円余で、前年度より5,200万円余、1.9%の減となりました。

 歳出の主なものは、第1款広域連合納付金が61億4,600万円余で、前年度より7,700万円余、1.2%の減となりました。

 最後に、中野区介護保険特別会計決算について説明いたします。

 歳入総額は212億9,152万4,450円、歳出総額は208億2,937万7,521円で、前年度と比較しますと、歳入で2.3%の増、歳出で1.2%の増となりました。

 歳入の主なものは、第1款介護保険料が47億5,200万円余で、前年度より5億3,200万円余、12.6%の増、第4款支払基金交付金が54億5,100万円余で、前年度より2億1,600万円余、3.8%の減、第7款繰入金が32億1,800万円余で、前年度より1億400万円余、3.4%の増となりました。

 歳出の主なものは、第2款保険給付費が195億2,200万円余で、前年度より9,700万円余、0.5%の増となりました。

 以上、平成27年度の各会計決算について説明いたしました。

 なお、詳細については、あらかじめ送付いたしました「中野区各会計歳入歳出決算書」、「各会計事項別明細書」及び「各調書」、「主要施策の成果」並びに「中野区各会計歳入歳出決算説明書」によりまして御確認いただきたいと思います。

 また、監査委員におかれましては、本決算につきまして、7月20日から8月17日までの間、慎重に審査をいただき、別冊のとおり「中野区各会計歳入歳出決算審査意見書」及び「中野区基金運用状況審査意見書」の提出をいただきました。御指摘のあった点については十分に対処していく所存です。

 最後になりましたが、ここに平成27年度の決算につきまして議会の認定をお願いする運びになりましたことは、区議会の適切な御指導と御協力によるものと深く感謝を申し上げる次第です。

 以上、認定第1号から認定第5号までにつきまして、よろしく御審議の上、御認定くださいますようお願い申し上げまして、平成27年度中野区各会計決算の説明とさせていただきます。

○議長(北原ともあき) 本件について御質疑ありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(北原ともあき) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。

 上程中の認定第1号から認定第5号までの計5件は、議員全員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに審査を付託いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(北原ともあき) 御異議ありませんので、上程中の認定第1号から認定第5号までの計5件は、議員全員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに審査を付託することに決しました。

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 中野区の財政の健全化判断比率について

 

○議長(北原ともあき) 日程第3、中野区の財政の健全化判断比率について報告いたします。

 本件については、地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項の規定に基づき、区長から9月9日付の配付文書のとおり報告がありましたので、さよう御了承願います。

 

     28中経経第1645号

     平成28年(2016年)9月9日

中野区議会議長 北原 ともあき 殿

         中野区長 田 中 大 輔

中野区の財政の健全化判断比率の報告について

 地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条第1項の規定に基づき、別添のとおり報告します。

 

 

○議長(北原ともあき) 本日はこれをもって散会いたします。

午後5時39分散会

 

 

会議録署名員 議 長 北原 ともあき

       議 員 渡辺 たけし

       議 員 篠 国昭