平成13年09月19日中野区議会本会議(第3回定例会)
平成13年09月19日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録

1.平成13年(2001年)9月19日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(43名)
  1番  吉  原     宏        2番  伊  藤  正  信
  3番  きたごう  秀  文        4番  高  倉  良  生
  5番  やながわ  妙  子        6番  鈴  木  光  子
  7番  佐  伯  利  昭        8番  平  島  好  人
  9番  むとう   有  子       10番  長  沢  和  彦
 11番  牛  崎  のり子        12番  山  崎  芳  夫
 13番  高  橋  ちあき        14番  市  川  みのる
 15番  岡  本  いさお        16番  こしみず  敏  明
 17番  飯  島  きんいち       18番  小  串  まさのり
 19番  はっとり  幸  子       20番  佐  藤  ひろこ
 21番  来  住  和  行       22番  樋  口  きこう
 23番  若  林  ふくぞう       24番  古  木  謙市郎
 25番  し  の  国  昭       26番  斉  藤  金  造
 27番  斉  藤  高  輝       28番  大  泉  正  勝
 29番  柿  沼  秀  光       30番  木  村  勝  昭
 31番  細  野  たいじ        32番  岩  永  しほ子
 33番  昆     まさ子        34番  小  池  ひろし
 36番  伊  藤  岩  男       37番  西  村  孝  雄
 38番  江  口  済三郎        39番  藤  本  やすたみ
 40番  川  上     進       41番  近  藤  正  二
 42番  江  田     徹       43番  池  田  一  雄
 44番  小  沢  哲  雄
1.欠席議員(1名)
 35番  岩  田  みつる
1.出席説明員
 中 野 区 長  神 山 好 市      助     役  池 田   學
 収  入  役  藤 原 恵 一      教  育  長  子 安 圭 三
 政策経営部長   渡 辺 征 夫      行財政改革担当部長 石 神 正 義
 企 画 課 長  金 野   晃      総 務 部 長  沼 口 昌 弘
 総 務 課 長  西 條 十喜和      区 民 部 長  内 田 司 郎
 地域センター部長 柳 澤 一 平      環 境 部 長  正 木 洋 介
 保健福祉部長   浦 野 純 子      福祉担当部長   本 橋 一 夫
 都市整備部長   宮 村 光 雄      土木担当部長   石 井 正 行
 教育委員会事務局次長 須 崎 英 夫
本会の書記は下記のとおりである。
 事 務 局 長  山 岸 隆 一      事務局次長    佐 藤 栄 時
 議事調査担当係長 栗 原   望      区議会事務局主査 藤 塚 喜 正
 区議会事務局主査 大 石 紀 久      区議会事務局主査 巣 山 和 孝
 区議会事務局主査 永 田 純 一      区議会事務局主査 長 崎 武 史
 書     記  渡 辺 伸 郎      書     記  松 原 弘 宜
 書     記  西 田   健      書     記  三 浦 正 貴
 書     記  飯 田 浩 一      書     記  佐 藤 雅 俊

 議事日程(平成13年(2001年)9月19日午後1時開議)
日程第1 第72号議案 中野区特別区税条例の一部を改正する条例
日程第2 認定第1号 平成12年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について
追加議事日程
日程第3 第72号議案 中野区特別区税条例の一部を改正する条例

      午後1時03分開会
議長(斉藤金造) ただいまから平成13年第3回中野区議会定例会を開会いたします。
 本日の会議を開きます。
 会議録署名員は、会議規則第121条の規定に基づき、議長から御指名申し上げます。12番山崎芳夫議員、33番昆まさ子議員にお願いいたします。
 次に、会期についてお諮りいたします。
 本定例会の会期は、本日から10月22日までの34日間といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(斉藤金造) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 この際申し上げます。本定例会の会期中、略装を許します。
 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
 この際申し上げます。7月16日付をもちまして、お手元に配付の文書のとおり、委員会参与に人事異動がありましたので、念のため御報告いたします。
 次に、一般質問の時期の変更についてお諮りいたします。
 一般質問は議事に先立って行うことになっておりますが、別な時期に変更し、質問を許可いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(斉藤金造) 御異議ありませんので、さよう進行いたします。
 これより日程に入ります。
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 第72号議案 中野区特別区税条例の一部を改正する条例

議長(斉藤金造) 日程第1、第72号議案、中野区特別区税条例の一部を改正する条例を上程いたします。
 理事者の説明を求めます。

      〔助役池田學登壇〕
助役(池田學) ただいま上程されました第72号議案につきまして、提案理由の説明をいたします。
 第72号議案、中野区特別区税条例の一部を改正する条例については、租税特別措置法及び地方税法等の改正に合わせて、区民税の課税の特例を定めるものでございます。
 特例の内容は、平成13年10月1日から平成15年3月31日までの期間内に、所有期間が1年を超える上場株式等を譲渡した場合に、譲渡所得金額の計算上、当該譲渡に係る譲渡所得の金額から100万円を控除するものでございます。
 この条例の施行時期は、平成13年10月1日でございます。
 本議案につきまして、よろしく御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
議長(斉藤金造) 本件について御質疑ありませんか。
    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
議長(斉藤金造) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。
 上程中の議案は、会議規則に従い区民委員会に付託いたします。
 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
 議事の都合により、暫時休憩いたします。
      午後1時06分休憩

      午後2時43分開議
議長(斉藤金造) 会議を再開いたします。
 お諮りいたします。この際、本日の日程を追加し、日程第3、第72号議案、中野区特別区税条例の一部を改正する条例を先議するに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(斉藤金造) 御異議ありませんので、さよう議事を進行いたします。
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 第72号議案 中野区特別区税条例の一部を改正する条例
 (委員長報告)

議長(斉藤金造) 日程第3、第72号議案、中野区特別区税条例の一部を改正する条例を議題に供します。

平成13年(2001年)9月19日

中野区議会議長 殿

 

区民委員長 はっとり 幸子

(公 印 省 略)

 

議案の審査結果について


本委員会に付託された下記議案は、審査の結果、原案を可決すべきものと決定したので、中野区議会会議規則第78条の規定により報告します。

 

議案番号

件    名

決定月日

第72号

中野区特別区税条例の一部を改正する条例

9月19日


議長(斉藤金造)  区民委員会の審査の報告を求めます。はっとり幸子区民委員長。

    〔はっとり幸子議員登壇〕
19番(はっとり幸子) ただいま議題に供されました第72号議案、中野区特別区税条例の一部を改正する条例に関しまして、区民委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本議案は、租税特別措置法及び地方税法等の改正に合わせ、区民税の課税の特例を定めるものです。
 特例の内容は、平成13年10月1日から平成15年3月31日までの期間内に、所有期間が1年超える上場株式等を譲渡した場合、譲渡所得金額の計算上、当該譲渡に係る譲渡所得の金額から100万円を控除するものです。
 条例の施行時期は、平成13年10月1日であります。
 本議案は、9月19日の本会議において当委員会に付託され、直ちに区民委員会を開会し、審査を行いました。
 まず、審査の進め方として、本議案を議題に供した後、理事者から補足説明を受け、その後質疑を行いました。
 その主な質疑応答の内容を紹介します。
 初めに、「今回の改正案は株取引を行っている人に対する減税案なのか」との質疑に対し、「株式譲渡を行った場合に、その譲渡所得の額が100万円までは課税されないとする内容である」との答弁がありました。
 さらに、「課税の方式としては源泉分離課税制度と申告分離課税制度の二つがあるが、今回の内容は申告分離課税制度によるものなのか」との質疑に対し、「今回の改正内容は申告分離課税制度を選択した場合にのみ適用されるものである。なお、住民税が課税されるのは申告分離課税制度においてのみである」との答弁がありました。
 以上が主な質疑応答の内容です。
 さらに質疑を求めましたが、質疑はなく、質疑を終結しました。
 その後、意見の開陳を求めたところ、意見はなく、意見の開陳を終結しました。
 次に、討論を求めたところ、1名の委員が、本議案に反対する立場から、「法律改正そのものがいずれも緊急経済対策関連ということだが、これは、今の個人投資家の株式離れを招くとの理由から、こうした市場参加を促進するため、ごく一部の高額所得者に対して税制上の優遇措置を講じるものであり、税の公平性を著しく損なうので、認められるものではない。よって本議案に反対する」との討論を行いました。
 他に討論を求めましたが、討論はなく、討論を終結しました。
 そして挙手による採決を行ったところ、賛成多数で本議案を可決すべきものと決した次第です。
 以上で第72号議案に関する区民委員会における審査の経過並びに結果の報告を終了します。
議長(斉藤金造) ただいまの報告について御質疑ありませんか。
    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
議長(斉藤金造) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。
 本件については、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(斉藤金造) 御異議ありませんので、これより起立により採決いたします。
 上程中の議案を委員長報告どおり可決するに賛成の方は御起立願います。
       〔賛成者起立〕
議長(斉藤金造) 起立多数。よって上程中の議案は可決するに決しました。
 この際、お手元に配付の一般質問一覧表のとおり、きたごう秀文議員、樋口きこう議員、西村孝雄議員、木村勝昭議員、小串まさのり議員、吉原宏議員、岩永しほ子議員、高倉良生議員、はっとり幸子議員、むとう有子議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。

 中野区議会議員 きたごう 秀文
1 区長の行財政5か年計画実現に向けての決意について
2 環境問題について
(1)車の利用と環境について
3 教育行政について
(1)道徳教育について
(2)これからの公立学校施設整備について
(3)余裕教室を活用したリフレッシュについて
4 介護保険の保険料について
5 その他

議長(斉藤金造) 最初に、きたごう秀文議員。
   〔きたごう秀文議員登壇〕
3番(きたごう秀文) 平成13年第3回定例会におきまして、自由民主党議員団の立場から、21世紀初めての一般質問をさせていただきます。区長並びに理事者の皆さんにおかれましては、簡潔に、わかりやすい御答弁をお願いいたします。
 去る9月11日にアメリカ合衆国で起こりました民間旅客機を使用した連続無差別テロ事件につきまして、犠牲になられた方及びその御家族の皆様に対しまして、自由民主党中野区議団を代表いたしまして哀悼の意を述べさせていただきます。
 民間航空機をハイジャクし、それを使用して、世界屈指の、世界経済の集中している高層ビルに激突する、なんとも卑劣な行為であり、断じて許すことはできません。犯人であるテロリスト集団に対して怒りをあらわにし、非難するとともに、改めてこのようなテロ行為は今後絶対発生しないことを懇願するものでございます。
 また、去る9月12日昼、小泉純一郎総理総裁率いる我が自由民主党は、米国における同時多発テロに関する党声明を次のように発表いたしました。
 今回の米国におけるテロ事件は、何の罪もない多くの人々を巻き込み、未曾有の被害をもたらした。この卑劣で憎むべきテロ行為は、自由主義に対する重大な挑戦であり、断じて許すことはできない。我々は、今回の事件で多くの尊い人命が失われたことに対し、心から哀悼の意を表明するとともに、アメリカ合衆国及び犠牲となられたアメリカ合衆国国民並びに各国国民に対し心からお見舞い申し上げる。同時に、一刻も早く重大犯罪のすべてを解明しつつ、国際社会が一致団結して、あらゆる手段でテロと戦う決意を表明するものである。また、邦人の安否の確認と、日本国内における治安と安全の確保についても全力を挙げていきたい。
 以上、党声明を披露させていただきました。
 このテロ事件に対する区長の思いをお聞かせください。
 それでは、最初に、区長の行財政5か年計画実現に向けての決意についてお伺いいたします。
 先般、6月に行われました東京都議会議員選挙及び7月の参議院選挙は、我が自由民主党が大勝利をおさめました。もちろん小泉総理大臣の人気もさることながら、小泉内閣に対する国民及び都民の皆さんの期待感のあらわれだったと私は考えております。小泉総理大臣を先頭に、現在、政府・与党では、社会・経済及び国民生活の安定のために、今、聖域なき構造改革の実現に向け、全力で取り組んでおります。
 中野区におきましても、現在、長引く不況のもとで、区財政はいつまでたっても危機的な状況にあり、まさに未曾有の深刻な財政状況に置かれておりますが、区長を先頭に、行政、そして議会が力を合わせて財政再建を目指し、行財政5か年計画に取り組んでおります。
 この計画は、人件費の削減、施策の見直し、区施設の配置と運営方法、この3点が柱となっていると私は認識をしております。しかしながら野方北保育園の民営化、用地売却など各論になると、利害関係者の反対もあり、なかなか進捗しません。
 5か年計画では、5か年で財政の再建を行うことを区民に約束し、痛みを伴うことに理解を求めてきたはずです。平成12年度に財政調整交付金が少し余分に入り、決算余剰金が生じたことで気が緩んだとは思いませんが、まだ5か年計画の初年度です。区民に約束した財政再建は緒についたばかりであります。もっと積極的に区民に説明し、意見を求め、組織一丸となって計画の実現に取り組む必要があります。
 5か年計画の2年目となる来年は、計画を絵にかいたもちにしないための重要な年であるとともに、区長選挙の年でもあります。区財政再建のため、区長御自身が策定した5か年計画は、みずから全身全霊で取り組んでこそ実現できるものと私は思っております。ぜひとも区長の決意のほどをお聞かせください。
 もう1点、区長にお伺いいたします。
 区長は、5か年計画を実現するため、意思決定の過程を明らかにして、現場の意見が政策に反映できるように、経営会議、政策会議の仕組みを整備したと聞きました。また、部課長の声を聞くために、月に2度ほど、部長課長がアポなしで区長と話し合える場をつくったとのことですが、職員の意見が区長のところまで届いているのでしょうか。5か年計画の実現には、区長と職員との信頼関係が大変重要になると思います。仕組みや場をつくっただけでは機能はしません。使ってこそ機能するものです。そのためには、部課長が職員と政策や施策について十分話し合い、部、課としての考えを取りまとめ、区長に提言し、意見を交換して、その結果を職員に返す、この繰り返しが大切だと思います。仕組みや場を整備した区長のお考えと、現状についてお聞かせください。
 また、千代田区では、アポなしで職員と区長が区政について話し合っていると聞いております。日ごろから職員の方々には無理を言ってきているわけですから、区長みずから職員と接して、区政のさまざまなテーマについて話し合う機会をつくる、そのようなことをお考えになってはいかがでしょうか、区長のお考えをお聞かせください。
 次に、車の利用と環境問題についてお伺いをいたします。
 今日では東京における自動車交通は慢性的な渋滞になり、東京の産業及び経済機能を大きく損なっています。23区内の混雑どきの平均速度は、全国平均と比べますと約2分の1となっており、マラソン選手より遅い結果となっております。また、自動車からの排出割合が高い粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOX )は、私たちの健康に深刻な影響を及ぼしており、二酸化炭素(CO2 )は地球温暖化の一因となっております。このように、自動車は私たちの暮らしを豊かにする一方で、その効用を打ち消すような問題を生じさせております。
 このような中、東京都は国に先行した条例として環境確保条例を策定し、ディーゼル車が排出するPMについて独自の規制(15年10月施行)を行うほか、大規模な事業者に低公害車の導入を義務付けをしたり、重油を混和した軽油の使用禁止などを行っており、また、条例で規制する一方では、低公害車への買いかえに対する低利融資のあっせん、天然ガス車(CNG)の購入補助、PM減少装置の装着補助などの支援策を行うことになっております。
 東京が将来に向かって持続的に発展していくためには、自動車排出ガスの規制に加え、自動車に過度に依存した社会を見直し、自動車交通量の抑制を図る必要があります。このため、東京都では、駐車対策などに努めるとともに、自動車交通量の抑制に有効なロードプライシングについて、検討を進めているところと聞いております。
 そこでお尋ねいたしますが、中野区ではこのロードプライシングについてどのような御意見をお持ちなのでしょうか、御見解をお聞かせください。
 聞くところによりますと、隣の杉並区では、この6月から、毎週水曜日をノーカーデーと定め、ごみ収集車やコミュニティバスを除く、区所有の区長車、議長車を含む143台のうち、85台の公用車を対象に、使用禁止にしていると伺っております。そういうことですから、区長は水曜日に公務で外出する場合は、電車あるいはバスなど公共交通機関を利用していると聞いております。また、ごみ収集車とコミュニティバス以外の公用車からディーゼル車を全廃し、低公害車に転換を図ったそうです。これも車利用を抑制することと、省エネの促進を目指し、区が率先して大気汚染の改善につなげていく姿勢のあらわれではないでしょうか。その結果、実施される以前に比べ、区の年間ガソリン使用料が10%削減できるとも聞いております。
 私も、平成10年第3回定例会に、区長車を環境にやさしいハイブリッド車にかえてはと提案しております。いろいろと述べてまいりましたが、当区も環境にやさしいまちづくりを進めていくために、積極的に取り組む姿勢が必要かと思いますが、区の見解をお聞かせください。
 去る9月10日から東京都環境局では、環境確保条例に基づく自動車環境管理計画書について、事業者向けの説明会を始めました。この計画書は、30台以上の自動車を使用する事業者に対して義務付けられ、2003年10月から始まるディーゼル車規制への対応、大規模事業者に義務付けられた低公害車の導入、自動車の使用合理化計画などを5年間の計画として作成し、都知事へ提出するというものです。
 提出期限は10月23日で、事業者から計画書の提出を受けた後、自動車Gメンが計画に基づいて事業者への指導や助言を進めていくそうです。やはり民間事業者にこのような施策展開をしていくわけですから、区としても何らかの対応が必要と考えます。区の見解をお伺いいたします。
 次に、教育行政についてお伺いいたします。
 新世紀を迎えた今、我が国の社会環境を見ると、少年による凶悪犯罪、そして学校ではいじめに学級崩壊、不登校などの問題が次々と生じております。思春期の子どもたちは、いつの時代でも、肉体的に、そして精神的にも不安定であり、突拍子もないことをしてしまいがちな時期だということは理解しなくてはいけないと思います。私たちも、過去の自分や家族からも理解できることだと思います。
 子どもたちは、常に社会の中で生き、社会の影響を強く受けて生きています。特に近年は、高度情報化社会でありますから、マスメディアによる紙ベースやテレビなどの情報だけでなく、携帯電話の爆発的な普及によるインターネットの発達により、一層影響を受けやすくなっております。また、物質的な豊かさや少子化社会を背景とした閉塞状況等により、自己中心的で社会性に乏しい子どももふえていることも、現状として認識していかなければなりません。
 もちろん大多数の子どもたちは、家庭において親の愛情のもとにはぐくまれ、素直で常識的に育っていると私は考えております。しかし、社会の変化は大きく、価値観の多様化の中で、子育ての基盤に何をするかが難しい時代にもなっており、親自身が戸惑ったり悩むことが多くなっていると思います。その結果、最近では、幼児虐待で悲惨な事件が多くなってきています。子育ての基盤は、何といっても、家庭、社会で生きていくために身につけるべき最低限の根本的生活習慣、つまり、しつけを各家庭、親の協力のもとに共通して行われることがどうしても必要ではないでしょうか。親の悩みごとに対して、周囲の人に気楽に相談できる社会のシステムをつくることが必要だと思います。子どもに対するカウンセリングだけでなく、親に対するカウンセリングも重要だと思います。
 あわせて、道徳教育も重要と考えております。親と子の関係が希薄になってしまったために起きる事件、事故というのもあります。そのようなことを防ぐためにも、親と子の関係を密にする。そして学校を中心として、児童・生徒、先生、親が動くことで、よい方向に機能することもあるではないでしょうか。そのためにも、もっと学校において道徳教育をすべきかと思いますが、教育長の御見解をお聞かせください。
 近年、全国的な児童・生徒数の減少に応じて、余裕教室を有する学校がふえております。これまでも各学校では、余裕教室の活用をさまざまに行っております。中野区でも、最近では要介護者のデイサービスセンターを2カ所ほど開設し、過去では地域生涯学習館もあり、いろいろと活用しておりますが、今後においては施設の新しい資源として、余裕教室を活用することによって、既存の学校施設については、改築することなく新しい施設に生まれ変わらせることが大事なことではないでしょうか。
 その際、この余裕教室活用の検討でなく、学校施設全体の活用、機能を再検討するという視点を持つことが重要であり、それに基づき、新しいスペースの機能、性格に応じたふさわしい場にするために必要な改修、改造を行い、学校施設をリフレッシュすることが必要であると思います。また、机やいすを置くだけでも、保護者や地域住民が自由に談笑できる保護者のたまり場、地域住民と触れ合う場、これだけでも学校のイメージが変わると思います。
 また、カーペットを敷くだけで、子どもたちには今までになかった夢のスペースになるかもしれません。当然、先般の大阪・池田小のような事件が起きないような対策を講じるものの、新規の施設整備に至らないまでも、もっと気楽に教室を活用した施設、あるいは環境づくりができると考えられますが、区のお考えをお聞かせください。
 公立学校施設の今後の状況は、昭和40年代から50年代の児童・生徒急増期に整備された校舎等が大量にあり、これらが集中的に改築の時期を迎えることになります。国庫補助を前提として進められる公立小・中学校の施設整備については、現在の厳しい国の財政状況のもとでは、急増期のような年々の国庫補助予算の飛躍的な増加は困難であると思います。
 このような状況の中で、今後大量の学校施設の改築事業を円滑に進めていくためには、各年度の事業量をできるだけ平準化する必要があり、そのためには今から中長期的な整備計画を持って、大規模改修事業や地震補強事業も活用しつつ、計画的に整備していくことが不可欠であり、このため、文部省が中心となり、各都道府県、市町村と協力して、これからの改築事業について、中長期的な観点の整備計画を持って進めていき、また、それぞれの市町村においても、今後の学校施設の改革、改造の計画を早急に検討していく必要があると思います。義務教育施設の建てかえ計画について、区はどのようにお考えなのでしょうか。また、義務教育施設整備基金も余り期待できないようですが、区の見解をお伺いいたします。
 次に、介護保険の保険料についてお伺いいたします。
 介護保険制度は、高齢社会が進展する中で、これまでの行政による福祉の措置という発想を変えて、利用者本人の主体的な選択により必要な介護サービスを受けられるようにするとともに、利用者はその費用の一定割合を負担しながら、介護を社会全体で支えていこうという、新しい発想での制度の創設だったと私は考えております。
 介護保険制度がスタートして約1年半になりますが、これまでの運営状況から見て、この措置から選択へ、負担の分かち合い、支え合いという介護保険制度の趣旨は、区民の中に浸透、定着していると区では見ているのでしょうか。また、どのような課題があり、今後どのような対応が必要と考えているのでしょうか、区の考えをお伺いいたします。
 そして、介護保険制度では、介護サービスの利用について、利用料の負担も考えながらどんなサービスをどの程度使うかを考えて、ケアプランを作成することにも大きな意義があると私は考えております。もちろん所得の低い人に対する配慮も必要でありますが、制度の中でも、保険料は所得によって段階的に額を定めたり、サービス利用にあっては低所得者の負担限度額を設けるなど、低所得者に配慮しているところであります。自治体が独自で負担軽減の措置を行うことについては、介護保険制度の趣旨や、現在ある軽減の仕組みの活用も踏まえて、慎重に対応する必要があるというのが、我が自民党の基本的な考え方であります。
 今回提案されている補正予算案を見ると、区長は、低所得者の利用料の負担軽減措置を10月から実施しようとのことでありますが、区長はどのような考え方を持ってこの措置を提案されたのでしょうか、区長の考えをお伺いいたします。
 また、今回提案されている軽減措置は、介護保険制度の基本となっている、負担もしながら利用するという趣旨を十分に踏まえて、また、現在ある負担軽減の仕組みとの整合も考慮した内容になっているのでしょうか、区の考えをお伺いをいたします。
 その他の項で1点、ビル火災対策についてお伺いをいたします。
 去る9月1日未明に新宿・歌舞伎町で起きた雑居ビル火災で、44人の尊い生命が奪われました。犠牲者の御冥福を祈るとともに、このような悲惨な事故が二度と起こらないようにしなければなりません。そのような中、東京都はこのほど、建築確認業務を行っている23区及び八王子市など8市と合同で、都内の雑居ビルの緊急安全点検を早急に実施する方針を決めました。
 雑居ビルでの防火対策の問題点については、東京消防庁が消防法に基づいた緊急特別査察の実施を決めていますが、行政側も、建築基準法の観点から、建物の構造、設備面の安全性をチェックすることになりました。
 新宿区はこのほど、防災、建築、地域振興課、保健所等から成る連絡会を庁内に設置し、再発防止に向けた検討を始める方針を決め、小野田区長を会長とする対策会議を発足させ、繁華街の安全対策など徹底するため、独自に調査等を実施することを決めたようであります。
 また、渋谷区も、庁内にプロジェクトチームを編成し、同区内で点検対象となる建物約280棟を、緊急に安全点検することを決めたとのことであります。
 さて、中野区はといいますと、地下街はないにしろ、繁華街にも危険と思われる雑居ビル等が散在しています。消防車がすぐには行けない狭隘道路に雑居ビルが散在しております。そこで歌舞伎町ビル火災を教訓に、安全で、安心して快適に住める中野のまちをつくるために、地域の商店街などに情報提供の協力を求め、地域と連動した消防体制を組む必要があると私は考えております。既に、ビル火災対策について、当区においてもいろいろと御検討いただいているように聞いておりますが、具体的な対策を含めて、区の考えをお聞かせください。
 以上で私の質問は終わらさせていただきます。御清聴、ありがとうございました。
     〔区長神山好市登壇〕
区長(神山好市) きたごう議員の御質問にお答えいたします。
 まず最初に、無差別連続テロについての御質問でございます。
 アメリカで起こりました同時多発テロ事件は、きのう現在で218人の死者と5,422人の行方不明者という、多くの一般市民が巻き込まれた、悲惨な、非人道的な事件だと思っております。許しがたい行為だと考えています。事件によって亡くなられた方々及びその関係者に心から哀悼の意を表するとともに、まだ行方不明になっている方々の安否が一刻も早く確認されることを願っています。
 今後このような悲惨な事件が起こらないように、テロ根絶のために、国際社会全体で努力していくことが必要だと考えております。
 次に、財政再建を目指した5か年計画の区長の決意を聞きたいということでございますが、行財政5か年計画は、将来を見据えた、区民に安定的に必要なサービスを提供し、新たな区民需要に的確に対応し得る行政基盤をつくり上げることを目指したものでございます。この計画を着実に推進することが、財政を健全化し、最大限の区民福祉を実現する唯一の道であると考えております。今後とも、この取り組みの先頭に立って、全力を挙げていくつもりでございます。
 次に、職員との意見交換をする機会をつくった、これについての区長の考え方はどうかということでございますけれども、ことしから政策会議を設けました。意思決定の明確化を図るとともに、庁議での全庁的な情報共有を進めているところでございます。また、各部ごとに経営会議を設けて、施策の課題を検討するようにいたしました。この結果、職員参加が進むようになって、組織的な政策形成過程への参加が図られたと思っております。5か年計画を着実に実行していく上でも、より効果的な取り組みができるようになったと思っています。
 私は、5か年計画で示した区政全体の考え方を、各所管で十分に検討を行った上、仕事を進めていくようにしたいと考えております。部課長を初めとして、職員と積極的に話し合うために、庁議の終了した後の時間、これは一切スケジュールを入れずに、部課長を初め、職員との話し合いの時間に当てるということにしたものでございます。
 次に、私の方から介護保険の保険料についての御質問にお答えをさせていただきます。
 どのような課題があって、どのように対応していくのか。また、低所得者の利用料軽減負担をこの10月から実施をするけれども、これについての区長の考え方、また、現在ある負担軽減の仕組みとの整合性といいますか、こういったものを考慮した内容になっているのかということでございます。
 介護保険制度がスタートしてから1年半になります。これまでの運営状況等から見ますと、介護保険サービスの利用者数、利用率ともに増加しております。利用者や家族のサービス利用に対する意識も高まっていると思いますが、その一方で、手続がよくわからないとか、認定は受けたけれども、まだサービスを受けていないという方が少なくないと思っております。区としては、今後、適切なサービス情報の提供、基盤整備の推進に一層の努力をし、円滑な、効果的な制度運営を図っていきたいと考えています。
 利用料の負担軽減措置の質問でございますが、低所得者の介護サービス利用について、軽減負担措置を10月から実施をしたいと考えているところですが、これは国の特別対策の対象者が、従来から介護を受けていた対象者に限られているということがあって、新たに対象になる人がそこから除外をされているという点でも、不公平感がございますので、制度の趣旨を踏まえながら、低所得者間の不公平を是正しようというためのものでございます。
 なお、介護サービスの利用について、低所得者の負担が過大にならないようにする仕組みは、本来制度の中で適切に措置されるべきものという考え方は変わっておりません。これについては、引き続き国に働きかけをしていきたいと考えております。
 他の質問につきましては、それぞれ、教育長、関係部長から答弁させていただきますので、よろしくお願いいたします。
    〔環境部長正木洋介登壇〕
環境部長(正木洋介) 私からは、ロードプライシングについてのお尋ねに答弁させていただきます。
 ロードプライシングにつきましては、東京都は現在、東京都ロードプライシング検討委員会報告に基づきまして、実施案の検討を進めているところでございます。規制対象とするエリアの設定ですとか賦課金額、また、その徴収の方法等、いろいろ解決すべき課題も多いところでございますが、この制度につきましては、ディーゼル車排気ガス対策や低公害車の導入促進などとあわせまして、大気環境改善に有効な手段の一つになるものと認識しているところでございます。
    〔総務部長沼口昌弘登壇〕
総務部長(沼口昌弘) 庁有車と環境問題等についての御質問でございます。
 区は、庁有車の使用抑制、それから、低公害車の優先使用など、日常的に取り組んでおります。これまでも庁有車の削減や、買いかえに当たっては、LPガス車への切りかえなどを行ってきております。今後も低公害車の導入に努力するとともに、ノーカーデーの拡大等についても検討してまいりたいと思います。
 なお、東京都の環境確保条例で特定事業者に義務付けられております自動車環境管理計画書につきましては、区といたしましても、その対象になっていますので、当然計画書を策定し、東京都へ提出していくと、そのように考えております。
     〔教育長子安圭三登壇〕
教育長(子安圭三) きたごう議員から、教育行政につきまして、3点御質問をいただきました。私からは、道徳教育についてお答えをさせていただきたいと思います。あとの2点につきましては、次長よりお答えをいたします。
 道徳教育につきましては、今回改定されております学習指導要領におきましても、道徳教育は学校教育全体を通して行うとされています。そこで各学校では、重要な内容として取り組んでいるところでございます。
 中野区では、道徳の授業を、地域、保護者に積極的に開いていく道徳授業地区公開講座の試みを進めており、来年度にはすべての学校で開催する予定でございます。
 そのような取り組みの中から、家庭で道徳授業に出たことについて親と子どもで話し合ったなど、親子の関係を深めていったという事例も報告されています。今後さらに家庭や地域社会と連携をいたしまして、豊かな体験を通して、児童・生徒の内面に根差した道徳性の育成を特に推進していくことが大切であると考えているところでございます。
 〔教育委員会事務局次長須崎英夫登壇〕
教育委員会事務局次長(須崎英夫) 余裕教室を活用した学校のリフレッシュについてと、学校施設の建てかえ計画につきましての御質問にお答えをいたします。
 まず、余裕教室を活用した学校のリフレッシュについてのお尋ねでございますが、これまでも各学校におきましては、大規模な改修をすることなく、さまざまな工夫をすることによりまして、余裕教室を多目的な洋室や和室、ランチルーム、展示室、第2図書室、会議室など、新しいスペースとして活用をしてまいりました。もちろん地域の方々にも利用されております。これからも、御指摘の点も踏まえまして、創意工夫を図りながら、地域の方々にさらに気軽に御利用いただける、新しい機能を持った学校施設、開かれた学校施設となるよう努めていきたいと考えております。
 小・中学校の建てかえ計画につきましては、学校再編計画に合わせた校舎改築計画を策定することといたしております。現在、事務局内に設けました区立学校適正配置検討委員会におきまして、昨年1月に答申をされた、適正規模適正配置審議会の答申内容を踏まえまして、教育委員会としての考え方、方針を整理するのに必要な調査検討を行っているところでございます。
 年内には事務局としての検討を終え、来年3月までに教育委員会の方針を決める予定となっております。その後、全庁的な検討を経た上で、区としての案をまとめ、区民の御意見をお聞きしながら、平成14年度中には区としての学校再編計画を策定する手順になっております。
 さらに、学校再編計画の具体的な改築の手順、年次、財源対策、これらを明らかにする校舎改築計画を平成16年度中には策定したいということで作業を進めているところでございます。
   〔都市整備部長宮村光雄登壇〕
都市整備部長(宮村光雄) 新宿・歌舞伎町で起きたようなビル火災対策についての御質問にお答え申し上げます。
 中野区では、東京都などとともに、3階以上に飲食店、遊戯場等がございます建築物を対象といたしまして、一斉に安全点検を実施することといたしました。そのための緊急点検の体制を、建築課を中心に庁内の技術職員によりまして整え、消防等関係機関との連携を図りながら、10月末を目途に点検作業を進めているところでございます。
 この点検結果に基づきまして、個々の施設に対して改善指導を行うことになりますが、今回のような大惨事を繰り返さないためには、ふだんから防火関係法令を遵守し、十分な防火安全対策を講じておく必要がございますので、点検結果を踏まえまして、広報などを通して、区民を初め建物の所有者、使用者などへの意識啓発に努めてまいりたいと考えております。
議長(斉藤金造) よろしいですか。
 以上できたごう秀文議員の質問は終わります。

 中野区議会議員 樋口 きこう
1 「くらしを守る防波堤」の自覚はどこへ行ったのか
(1)なぜ、区民の生活から遠ざかっていくのか
(2)医療や福祉の負担増に、なぜ反対しないのか
(3)深刻な不況、失業と倒産の増大を静観するのか
2 区政の未来を切り開く道について
(1)内側からも崩れ、合併にのみこまれていくのではないか
(2)自治と人権保障を貫いていた区政をどう評価するか
(3)いまこそ「ともにつくる」「人間のまち」の再構築を
3 区の財政運営の課題について
(1)「都市再生」と称する大型公共事業を容認するのか
(2)IT革命"美化の破たんから何を学ぶか
(3)大型投資見直し、事務管理部門効率化、OA経費削減がすすまないのは、なぜか
(4)上野原の今後は、あらためて区民の意思を確かめて
(5)財調交付金をはじめ、不十分な財源確保こそ根本問題
4 介護保険の矛盾をどう緩和するか
(1)保険料・利用料の負担軽減に、なぜ及び腰なのか
(2)十分なケアマネジメントのため、区のケースワーカーの活用を
(3)本格的な実態調査にとりくまないのは、なぜか
5 保育園民営化の何がどう問題なのか
(1)「保育」と「託児」の違いを、きちんと認識しているか
(2)「区立ではできない」「私立ではできない」ことは何か
(3)なぜ、これほど閉鎖的で乱暴なやり方をするのか
(4)保護者や保育者とともに「中野の保育」の基準づくりを
6 その他
(1)第五杉の子作業所開設に向けて、もっと積極的に援助を
(2)その他

議長(斉藤金造) 次に、樋口きこう議員
     〔樋口きこう議員登壇〕
22番(樋口きこう) 2001年第3回定例会に当たり、日本共産党議員団を代表して質問します。
 まず初めに、11日、アメリカで起きた同時多発テロ事件に関して伺います。
 亡くなった方が200人を超え、いまだに数千人という方々が世界貿易センタービルの瓦れきの中に閉じ込められたままです。多くの市民を無差別に襲う、残虐で卑劣なテロ、憎むべき犯罪行為は絶対に許せません。どんな政治的見解、宗教的信条を口実にしようと、断じて認めてはなりません。このテロ行為は、アメリカへの攻撃であるだけでなく、国際社会すべてに対する攻撃、世界の法と秩序に対する攻撃です。
 私たちは、犠牲者、負傷者と御家族、関係者の皆さんに心からの哀悼とお見舞いの意をあらわすとともに、満身の怒りをもって、野蛮きわまるテロ行為を糾弾するものです。
 私たちは、このようなテロ行為を根絶することが、世界の人々、人類が平和に生きていくための根本条件の一つだと考えます。同時に、そのためには、決して、軍事力による報復ということがあってはなりません。法と理性に基づく解決を強く求め、テロ勢力を追い詰める国際的な大同団結が重要だと考えます。
 犯人を憎む思いはだれしも同じです。しかし、軍事力を使っての報復は、テロ根絶には役立たず、事件の解決にはなりません。そればかりか、新たな戦争と大惨害をもたらすことになり、さらに一層のテロ行為、軍事報復に対する再報復という悪循環を招くおそれがあります。復讐が復讐を呼び、殺りくの応酬となって、無数の犠牲者を生むという泥沼の事態に導く危険があります。
 今必要なことは、軍事報復を強行することではなく、徹底して法に基づく裁きを追求することです。法に基づく裁きによって犯罪を処罰するということは、人類が生み出した英知の一つです。国連憲章と国際法に基づき、テロ犯罪の容疑者、犯罪行為を組織し、あるいは支援した者を逮捕して、裁判にかけ、法に照らして厳罰に処することこそが、テロ組織の全容解明と撲滅、テロ行為の根絶に向けた真の解決の道だと確信します。
 そのためには、容疑者や組織、支援した者がだれなのかを立証する国際的な協力、共同の努力が重要です。アメリカも日本も、世界の政治と世論の力でテロ勢力を包囲、告発し、政治的・経済的制裁を含め、これらの勢力を法に基づく裁きのもとに置くため、可能なあらゆる努力を尽くすべきです。
 今、日本政府は、軍事報復の路線に沿って何ができるかという検討をしていますが、そもそもテロに対しどういう対応をとるべきかという根本が問われます。区長は、憲法擁護・非核都市を宣言し、平和条例を持つ中野区の区長として、どのような見解をお持ちでしょうか、お聞かせください。
 続けて、区長の政治姿勢、基本姿勢にかかわってお聞きします。
 行財政5か年計画の初年度が半年を過ぎようとしています。経営的な視点や、事業の費用対効果といったことを声高に押し立てた結果、とりわけ弱い立場の区民に過酷な仕打ちとなりました。
 少し例を挙げるだけでも、障害者福祉手当、難病患者福祉手当を3分の1カット、原爆被爆者見舞金を半減、高齢者福祉電話を廃止、生活保護世帯の出産祝品、新入学支度品、夏季健全育成費、中学卒業者自立援助をすべて廃止、ひとり親家庭の新入学支度品も廃止、準要保護世帯の新入学用品助成を減らし、障害児学級の就学奨励費も減額などなど、すさまじい限りです。どれも当事者の切迫した訴えに一切耳を傾けず、「時代が変わったのだ」の一言のもとに、強行してしまいました。
 障害者の場合、都の医療費助成と手当を削られ、文字どおり、命と暮らしが切り刻まれる悲痛な事態が生まれています。その矢先、区の手当までカットされました。月7,750円が5,000円になった、それだけでもどれほど追い打ちをかけたことか。しかし、区は、来年度さらに削るといいます。弱い者を踏みつけにして省みない態度です。
 確かに、社会環境は日々刻々と変化します。しかし、その中にあって、変えてはならないことがあります。あるいは、今、長引く不況と、国や都の福祉、医療切り下げが相次ぐもと、生活が一層脅かされているのですから、変化に対応するというのなら、何よりもこの厳しさを和らげる施策こそが必要です。反対に、国や都の冷たい政治で痛めつけられている区民をさらに苦しめてどうするのですか。どうしてこうまでひどいことができるのですか。
 区民に密着した仕事をしていた地域活動推進員の廃止、子どもたちを大事に見守っていた学校交通安全指導員や学校開放協力員の廃止も、心配されていたとおり、地域の区民や子どもたちに大きな影響を及ぼしました。区と区民の役割の見直しを行政だけで一方的に押し切ったことの弊害は、明らかではありませんか。
 この間の区政は、財政難を理由に、すっかり根本姿勢を転換してしまったと言わざるを得ません。本来、「財政難だから仕方がない」とは決して口にしてはならないことです。どんなに財政が苦しくても、住民の暮らしを守るため、あらゆる手だてを尽くすのが自治体の努めではありませんか。それが、どうでしょう。お年寄りや障害者、子どもたちといった最も弱いところを直撃することを平気でやってのけるようになりました。
 しかも、当事者、関係者の声はただ聞きおくだけ、事実上、問答無用の強権的なやり方を押し通しています。その上、こうした横暴を働いた結果、現実に矛盾が深刻になっても、事態を正面から見ようとせず、必要な改革だと言い張り、開き直るばかりです。ここには少なくとも二つの重大な問題があります。
 まず第1に、極めて観念的に、「新しい福祉」だとか「行政の関与を少なくする」だとかの言葉におぼれ、肝心の目の前の区民の実態をしっかりとらえなくなった誤りがあります。第2に、弱い者への我慢と痛みの押しつけをあからさまに推し進める国政、都政に追随、同調し、さらに、先取りするかのようになった間違いがあります。これらはいずれも、自治体が自治体でなくなることを示します。
 言うまでもなく、自治体の一番の使命は、住民の福祉の増進です。そしてまた、住民に最も身近な、最初の政府として、暮らしの現場から発想することが求められます。まして今日、自治事務としての仕事が大幅にふえ、福祉をはじめ、区が実施主体として積極的に自主的・主体的に取り組むべきときです。ところが今の区政は、むしろ、暮らしと密接に結びついた独自の政策判断を次々と後退、欠如させ、国や都と一体となって区民を脅かしているではありませんか。
 今や区政は、区民の暮らし、区民の目線からどんどん遠ざかっていると言わざるを得ません。国、都から押し寄せる、生活、福祉直撃の暴風雨や荒波に立ち向かい、区政としてできる限りのことを尽くす、暮らしを守る防波堤としての役割をすっかり投げ捨ててしまったのですか。防波堤の自覚は一体どこへやってしまったのですか、お聞かせください。
 医療、福祉など社会保障の分野は、引き続き大変なことになっています。この10月から介護保険料が倍額になり、シルバーパスも、5,000円での購入を余儀なくされた方は1万円に倍増されようとしています。マル福(高齢者医療費助成)の廃止と相まって、お年寄りの生活と健康が危うくなっています。
 その上、小泉内閣は、医療保険を改悪し、70歳から74歳までの窓口負担を3倍にする、新たに高齢者医療保険制度なるものをつくって、すべてのお年寄りを対象に、年金からの天引きで新しい保険料を取り立てるなどを打ち出しました。健康保険本人の窓口負担を3割にし、中小企業で働く人たちの政管健保は保険料まで値上げしようとしています。まさに、痛みに耐えられないなら長生きするなと、命を削る痛みを国民、区民に押しつけるものです。
 もともと、医療保険財政が悪化したのは、国庫負担の引き下げが最大の原因です。その責任を棚上げし、それどころか、来年度予算の概算要求でさらに2,800億円カットして患者負担に置きかえようというのですから、ひど過ぎます。介護保険を始めるとき、介護分野の国庫負担を2,500億円も削り、国民、区民に負担を押しつけましたが、加えて医療分野で追い打ちをかけるものです。
 小泉首相は、社会保障構造改革などと新しい装いを凝らしていますが、その中身は、まずは自助と自立だ、自己責任だ、立ち行かなくなったときだけお恵みを与えてやろうという代物です。こんなものは社会保障とは言いません。憲法25条が定めるように、健康で文化的な最低限度の生活水準は国と自治体が責任をもって保障するから、これを前提にして生活設計してくださいとなって初めて社会保障と言えるのです。この保障があってこそ、自立できるのです。生きる権利を保障するという前提を破壊し、命綱を断ち切るようなことをしながら、自立しなさいというのは、本末転倒と言わざるを得ません。社会保障を確立することは、国と自治体の最小限の責任であり、行政の一番の役割ではありませんか。
 そこで伺います。区長は近年、国や都の責任放棄、社会保障の切り下げのほとんどについて、何ら抗議することもなく、受け入れてきました。この秋、深刻さを増す社会保障の危機に対しても、小泉内閣に倣って、痛みを分かち合うのは当然だなどと容認するのですか。そうでないというのなら、今すぐ反対の意思をはっきりと表明し、国や都に申し入れるべきです。そうしないのはなぜですか。
 経済成長率が年率でマイナス3.2%、数値調整以前の名目では実にマイナス10.3%と、最悪の下げ幅を記録しました。底冷えする実体経済を反映し、東京市場の平均株価は1万円を上下するところまで落ち込んだまま、低迷を続けています。
 失業率はついに5%を突破しました。就職希望を出すことさえあきらめる人が多く、統計の不備を補えば、実際は10%を超えます。10人に1人が職を失っているという、異常な事態です。中高年に加えて、青年の就職難も一段と深刻です。倒産や廃業、店じまいで、自営業者と家族従業者の数も大幅に減っています。
 強引なリストラ、解雇が野放しで、しかも政府は、リストラすればするほど税金をまけてやるなど、あおっている始末です。大企業や大銀行の利益のためなら何をやっても構わないというやり方が、改革の旗印のもと、横行しています。さらに、不良債権の早期最終処理などといって、大企業、大銀行のために、中小企業、業者をつぶそうとしています。弱肉強食の論法がまかり通り、今日では、強く大きなものが生き残り、弱いものがつぶれても仕方がないどころか、強者を残すために弱者をつぶすまでになってしまいました。
 小泉首相は、「改革には痛みが伴う」と言い放ち、失業の増大さえ、「産みの苦しみだ」「やむを得ない」と、肯定しています。一人ひとりの人間の尊さ、日々の営みの重さを全く見ようとしません。それこそ、痛みやつらさを本当のところ何もわかっていないのではないでしょうか。「小泉旋風」という言葉が流行しましたが、この風は、人を人として見ない、襲いくる嵐です。国民生活に重大な責任を負う総理大臣が、こういうことを平然と言っているのを見て、私は、怒りを通り越し、心底、不安を禁じ得ません。弱きをくじき、強きを助けることばかり続けていけば、日本の経済・社会はいよいよ根底から崩れてしまいます。
 そこでお聞きします。今、区内でも、区民のだれにとっても失業や倒産が人ごとではなくなっています。しかし、こうした事態を前にしながら、依然として区長の姿勢は弱いのではありませんか。私たちが再三要求してきたように、直ちに区内の実情を調査し、仕事と雇用の確保、融資の拡充、金融機関に貸し渋りや強引な取り立て、貸しはがしをさせないことなど、急いで区としてできる対策をとるべきです。そうでなければ、結局のところ、首相同様、産みの苦しみだ、やむを得ないと言って静観していることになります。どうなさるおつもりなのか、伺います。
 ここで改めて、区政のあり方、未来への展望について問いたいと思います。
 区長も就任当初は、国や都の悪政に勇気をもって立ち向かうと表明し、区政には区民生活の防波堤の役割があると強調していました。しかし、今ではこの姿勢をすっかりかなぐり捨ててしまいました。
 中野駅北口整備、警察大学校跡地利用、山手通り沿道整備などの課題を前に、90年代に入るころから、市街地再開発、大型公共事業偏重、大規模プロジェクト指向など、危うい傾向が顕著になりました。福祉や教育への支出を削る一方、開発事業は手厚く補助するといった国や都の財政誘導、政策誘導に乗って大型投資にのめり込み、政策判断、政策の優先順位がおかしくなったのです。この時期の土木費、都市整備費の突出、過大な土地取得及び大型投資に伴う公債費の増大が、その後の財政困難の最大の要因です。
 ところが区長は、みずからの失政ともいうべきことを真摯に反省、総括することもなく、なお都市計画事業に執着し、ますます泥沼へと陥りました。そして国や都に対し、やるべき仕事をきちんとやらせる、必要な財源を保障させるといった追及もほとんどせず、行き詰まったあげく、ついに平然と、区民向け予算の圧縮、執行統制、施策の切り下げを強行するようになったのです。国や都が、暮らし、福祉、教育を切れば区も切る。むしろ、率先して区独自の施策までやめてしまうようになりました。きわめつけが行財政5か年計画です。
 ここで、これまでとは別の角度から、危惧していることを2点に限りただします。
 一つは、区民に対して不誠実、不健全な区政が、必然的に内側からも急速に崩れてきてはいないかということです。
 豊かな能力と資質に恵まれ、中野区政が好きだと公言し、情熱と気概にあふれていた職員が、最近、「しょせんは宮仕えだ。分相応にいくだけだよ」とこぼすのを聞きました。もう早々に退職しようと思うとの声も少なからず聞きます。
 そもそも、公務員は、全体の奉仕者であり、特定の方向にのみ動員されるものであってはなりません。主権者である国民・区民の立場に立って職務に当たることこそが基本で、本来、区民の利益第一に、やりがいのある仕事ができるはずです。しかし、ここへきてトップダウンが乱用され、これこれが方針だ、決定だという強制がはびこっています。区民の役に立つように努力するより、痛みに耐えよと説教することが強要されています。これでは本当の求心力は働かず、自発性も封じられてしまいます。自由に物を言えない空気が蔓延し、上の意向にばかり目が向く傾向が強まります。前向きの意欲は出てきません。
 その上、至るところで箝口令がしかれ、ガラス張りの区政運営にはほど遠いありさまです。恣意的な情報やうわさが飛び交い、職員の間にも疑心暗鬼の状態が生まれ、足を引っ張り合ったり、相互に不信感を募らせることも起きています。
 職場の人間関係も不安定です。過労とストレスから、健康をむしばまれる例も目立ちます。自律神経失調症やうつ病がふえ、病欠や病期休職が後を絶ちません。昨年度は職員が5人も亡くなり、今年度も既に3人亡くなっています。自殺者も出ています。もちろん区政のあり方だけが原因とは言いませんが、それにしても異様です。一部の幹部の思いだけで区政を動かそうとすることのひずみが、さまざまな形であらわれているのではありませんか。
 二つ目は、都区制度改革が行われ、分権と自治の発展が課題となっている今、国や都の出先機関のようになってどうするのかということです。営々と築いてきた自主性、主体性を次々と投げ捨てていますが、それが自殺行為だとわかっているでしょうか。財源確保の面でも、政策判断の面でも、これほど自主性、主体性を欠いて、国や都の財政・政策誘導策に乗るばかりでは未来はありません。中野らしさ、自治体らしさを失い続ければ、今強行にやられている上からの市町村合併の動きを持ち込まれたとき、ひとたまりもないではありませんか。
 国は、地方への財政支出を一方的に削り、いわば兵糧攻めをしながら市町村に合併を迫っています。地方交付税の削減、段階補正の縮小などの手段も振りかざし、合併へと追い込んでいます。23区でも、都が区の再編、整理統合を促し、幾つかの合併パターンを示そうとするまでになっています。中野区が何を中野らしさとするのかを改めて明確にし、自主的、主体的な行財政運営の方向を確立しなければ、合併にのみ込まれていくのではありませんか。あわせて見解を求めます。
 区政の歩みをもう少しさかのぼってみると、どうでしょうか。今からちょうど30年前の秋、1971年10月、区長の準公選実現を掲げた大内正二氏が区長に就任し、23区初の革新区政誕生と言われました。それはまさに、自治体を国や都の下請とせず、区民みずからの意思で区長を選び、区政を進めていきたいという機運によるものでした。だからこそ、区民に密着し、福祉や教育、営業を重視する、区民の生活を最優先に考えて取り組む区政が生まれたのです。
 今でこそ、地方分権の時代、区市町村みずからの政策判断が大事、自治体から政治、行政を変えるなどと言われますが、中野は30年前、他に先駆けてこの道へと踏み出したのです。その取り組みは、自治体のあるべき姿を指し示し、地方の時代、分権・自治の時代を切り開く役割を果たしてもきました。
 社会的立場の弱い人たちに対してこそ、区政のなすべき第一義的仕事があるとの考え方が鮮明に打ち出されましたが、オイルショック不況のときの対応が象徴的です。区財政が厳しいときは区民の暮らしはもっと厳しい、とりわけ子どもと保護者の負担が重いとして、あえて財政難のこの時期に、学校給食の牛乳代補助など、教育費の負担軽減策を始めています。何よりも区民の命と暮らしを大切にするという姿勢は、同時に、行き届いた施策を進めるには、区民の要望や批判、異議申し立てを積極的に歓迎し、丁寧に聞くことが欠かせないという認識を生みました。住民の要求の実現を自治体の責任として受けとめ、実施していくという自治体本来のあり方が追求されるようになったのです。
 区民の意見を誠実に聞き取り、政策へと練り上げる。区民と情報を共有し、ともに考え、区の意思決定を下す。だから生活実態を踏まえた施策が展開できます。さまざまな条件のもとで、不十分さを余儀なくされても、区民みずから納得、理解できます。ここにこそ、開かれた区政、参加の区政の本当の値打ち、意義があるのです。
 こうして、個性ある施策展開が中野らしさとなりました。地域センターと住区協議会構想のもと、住み続けられるまちづくりを住民参加で進めるようになりました。教育委員の準公選、夜の教育委員会を初め、教育行政に区民の声を生かす取り組みのもとで、栄養士、学校図書館指導員の全校配置などが進み、高齢者、障害者の住宅確保、障害者の生活実習所、痴呆性高齢者のデイホーム、訪問歯科診療、福祉オンブズマン、乳幼児医療費助成など、きめ細かな地域福祉・保健・医療が展開されてきました。さらに、保育園、児童館の増設、産休明け保育、延長保育の拡充、憲法擁護・非核都市の宣言と平和行政条例の制定などなど、数え上げればきりがありませんが、これらの施策を貫く一筋の理念は明確です。
 自分たちのまちのことは自分たちで考え、決めて、自分たちでつくっていく自治の追求であり、人が人として生きる権利、人権を大切にするということです。だからこそ、いわゆる保守、革新の枠組みを超えて多くの区民に信頼され、支持されたのです。
 時代につれて変わるものはあります。一方で、時代を通して変えることなく発展させるべきことがあります。一つひとつの施策の底に流れていたもの、区政運営の根幹を貫いていた精神、魂を、今なお、いや、今こそ思い起こすべきではありませんか。見解をお聞かせください。
 今日、政策の優先順位をどうするのかといった論議を通じて、区政の基本理念そのものが問われるようになっています。未来に向かって、どういう中野を、どうつくるのか、はっきりさせなくてはなりません。
 現実に生活を営み、中野のまちを形づくっているのは、決して強いもの、大きいものではありません。暮らしの担い手を尊重し、強く大きなものばかりが利益を得るのではない、真の意味で公正な地域社会をつくることが求められています。暮らし応援を最優先に、区民と一緒に取り組むことが求められています。改めて参加の区政本来の意義をとらえ返し、自治と人権保障を基軸に据え直して、何よりも命と暮らしを大切にする姿勢を新たに構築すべきではありませんか。中野区基本構想が掲げる「明日の中野」の姿は、今日でも色あせるものではありません。むしろ何がまだ実現できないでいるのかよく吟味し、今こそ、ともにつくる人間のまちを目指すべきです。見解を求めます。
 次に、区の財政運営の課題についてお聞きします。
 まず、国や都の動きに関連して伺います。
 政府は、来年度予算の概算要求で、福祉、教育、中小企業予算の一律10%カットを打ち出す一方、依然として軍事費はふやしています。そして公共事業を見直すと言いながら、「都市再生」を看板に掲げ、新手の大型公共事業を進めようとしています。都も、都民向け予算は一律10%カットしながら、首都圏の再生など重要施策と称する経費はシーリングの枠外に置いて、緊急5か年10兆円プロジェクトなるものを提唱しました。
 大手不動産会社やゼネコン、デベロッパー、大銀行の肝いりで、国と都の合作による大型プロジェクトの動きに拍車がかかっています。バブル期に大企業が買いあさり、焦げついた土地を、公費を投入して買いつけ、都市拠点の巨大開発を進めることや、三つの環状道路、湾岸道路の建設など、巨額の税金をつぎ込む大規模開発のプランが目白押しです。こんなことを許していたら、再び大変な浪費とむだ遣いに突き進み、財政のゆがみを一層ひどくします。区の行財政にも必ず大きく影響します。直接大型公共事業そのものに巻き込まれるおそれさえあります。
 民間の資金を活用して公共事業を進めるという、PFIの危うさも見えてきました。国土交通省は、概算要求で、民間事業者が自治体と契約を結んで都市開発などを手がけるときに、事業資金の一部を国が無利子で融通するという貸付制度を盛り込みました。この貸付資金は自治体が返済しなくてはならず、自治体の負担増を招くものです。
 都のPFI基本方針も、PFIによってつくる公共施設について、施設の利用料金を民間事業者の収入にできるようにするとか、施設そのものを公の施設でなく、民間事業者の施設にできるようにするといった方向を示しています。これでは民間資金の活用による公的施設の整備でなく、公的資金の活用による民間施設の整備になってしまいます。
 中野区は、かつては再開発事業に乗り出せば福祉や教育にしわ寄せが生じるとの批判的見地を持っていました。みずから中野四丁目東地区、中野坂上地区など開発ラッシュを引き起こし、財政負担を重くした経験も持っています。このことを思えば、なおさら国や都の動きの危険性をしっかり見つめ、厳しくただすべきではありませんか。
 今、IT関連の大規模なリストラが問題になっています。NTT11万人を筆頭に、NEC4,000人、松下5,000人、日立1万4,000人、富士通1万6,000人、ソニー1万7,000人、東芝1万9,000人など、軒並みです。内部留保という名で膨大に利益をため込み、生産拠点の海外移転を進めながら、労働者を犠牲にするという身勝手が、そもそも、許されません。
 同時に、華やかに描き出されていたIT革命の破綻を示してもいます。アメリカの景気低迷も、IT部門の落ち込みが要因で、ITバブル、ネットバブルの崩壊は明らかではありませんか。
 政府・財界は、経済・社会の改革の切り札だと持ち上げ、高度情報通信ネットワーク社会の到来"“ブロードバンド時代がやってきた"などとキャンペーンを繰り広げてきました。しかし、実体経済・社会の変化を人為的に起こそうとしても、不可能です。強引に需要の拡大、市場の拡張を果たそうと、国ばかりか自治体からも巨額の税金をつぎ込ませ、力づくでインフラ(基盤)整備を進めることさえもくろみましたが、結局過剰な設備投資と過剰生産に陥りました。
 IT(情報技術)は、確かに、画期的な意義を持ち、さらに高度化が進むでしょうが、それは経済・社会の無理のない発展に伴って生かされていくものです。今日の状況は、地域情報化などを考える上でも重要な示唆であり、警告として受けとめる必要があるのではないでしょうか。
 そこでお尋ねします。区長も、事あるごとにIT革命を時代の趨勢と強調し、情報化投資と称して、当然のごとく税金を投入してきました。費用対効果など、財政面での精査や事業評価は甚だ不十分で、予算措置の上での聖域の一つのようにすらしてきました。改めて冷静沈着に見きわめることが重要です。政府・財界は、てこ入れに躍起です。矢継ぎ早に繰り出す構想や計画に組み入れられ、ここでも新たな財政負担、理不尽な投資を押しつけられかねません。趨勢などと言っていたら、引きずられていくばかりです。きちんと点検し、堅実、厳格に対処していくことを求めます。
 続いて、2000年度決算も見ながらお聞きします。
 公債費が72億7,000万円、用特会計繰出金が18億4,000万円、土地開発公社への貸付金が2億9,000万円で、合わせて94億円にも及んでいます。節度を失って投資に走ったことの後始末に、歳出総額の1割を使っています。今年度予算では、開発公社保有地の買い取りも決めましたが、これも加えると121億6,000万円、予算の8分の1を占めます。すさまじくゆがんだ姿になってしまいました。
 ところが、区債を発行できる、国、都の補助金や財調算入を見込めるといって、開発事業ばかり優遇する傾向がまた強まっています。清掃事業の移管があった環境建築費を除くと、決算で唯一突出して伸びているのが都市整備費で、前年度に比べて6億7,000万円もふやしました。今年度予算は、これをさらに2億1,000万円上回っています。都市計画事業、市街地再開発など大型投資で苦い経験をしたではありませんか。目先にとらわれ、中長期的に区財政の圧迫要因をつくる失敗を繰り返してはなりません。
 地域まちづくり事業も、一時休止や繰り延べを含め、その進め方を見直すべきです。未利用の土地、施設の今後や、大規模改築の問題もあります。本当に必要なのか、経費の面ではどうかなど、大型投資のあり方を、区民の参加を得て検討する事業評価、アセスメントの仕組みを急いでつくるべきです。計画段階からのチェックはもちろんのこと、事業に着手してからも、計画の変更や休止、中止などの代替案の提示を含む評価を行い、事業終了後にも再点検する制度の確立を強く求めます。
 決算で、都市整備費と対照的に、冷遇ぶりがくっきりしたのが民生費と教育費です。民生費は、国保会計繰出金で5億円、介護保険会計繰出金で9億4,000万円の支出を新たにふやしながら、前年度に比べて46億1,000万円も減らしています。
 介護保険の導入で高齢者施設措置がなくなったなどの事情はありますが、それだけではとても説明がつきません。措置制度のとき、費用の4分の1を区が負担していたのが、保険制度で8分の1に減ったのですから、保険外の介護、福祉の充実に努めるのが当然ではないですか。介護予防、自立支援事業の開始などはありましたが、わずかです。むしろ、高齢者ホームヘルプサービスをすべてやめてしまったことを初め、介護保険実施を口実にして、従来の取り組みを後退させたことが顕著にあらわれています。
 障害者福祉にかかわる社会福祉費は、国保会計への繰り出しがふえた分を除くと3億2,000万円の減、児童福祉費も、国庫負担に基づく児童手当の増分を除くと2億5,000万円のマイナス、高齢者福祉費に至っては、新規に介護保険会計への繰り出し分がふえたにもかかわらず、実に72億6,000万円も減らしました。新たな施策展開などというその実態が、福祉のなで切り、めった打ちであったことを、決算が如実に物語っているではありませんか。
 教育費も、前年度で14億9,000万円ものマイナスです。民生費同様、もともと少なく組んだ予算を、さらに執行統制で使えないようにしたため、減額補正した予算に対してさえ執行率は94%、当初予算に対してなら92%に届きません。予算が予算として機能していない状態です。中でも、小・中学校の維持補修と施設整備は、2億1,000万円も減額補正しましたが、決算を見ると、その上1億円余りも抑えたことがわかります。この結果、学校営繕費は前年度と比べて6億6,000万円も減らしています。年々縮小してきた上に、この1年で一気に半減させてしまいました。
 こうして大変な目に遭っているのが教育費ですが、今年度予算は、この下がった決算値からさらに3億7,000万円削り込んだものとなっています。これでもなお、民生費、教育費を圧迫し続けるのですか。区民施策の切り下げが行政改革ではありません。区民にしわ寄せしない、本来の行政改革が極めて不徹底です。事務管理部門及びOA関連などこそスリム化が必要ですが、一向に進まないのはなぜでしょうか。
 都の予算編成方針は、生活施策切り下げオンパレードとでもいうようなものですが、その中にあって、特に管理事務部門の効率化を主張し、情報システム関係経費についても、「厳しく精査し、有効性に乏しいシステムは廃止、統合等を検討した上で、効率的なシステム運用を目指す」と言わざるを得なくなっています。
 中野の行革はどうでしょうか。内部努力と言いながら、暮らし、福祉、教育に直結した直接処遇職員などのカットだけが目立ちます。区民とじかに接する第一線は手厚くなくてはなりません。企画・計画部門や管理業務こそ、もっと効率的にすべきです。ところが組織や機構の再編という場合も、学校教育部と社会教育部の統合に続いて、福祉部と保健衛生部を統合し、関係分野の職員を減らす一方、行政改革担当部長を置き、行政改革課をつくり、新たに政策経営部を設けています。区民と直接結びついている現場ばかり削り、号令をかけるところばかり膨らませ、何ともいびつな形をつくり出しています。
 管理職の削減は遅々として進まず、天下りと批判されても仕方がないような幹部職員の退職後の処遇の見直しも、定かではありません。
 OA関連も、リースの精査など取り組んでいるようですが、不十分です。維持管理経費の縮減、機器類の最も効果的な更新など、本当の意味でのコストパフォーマンスをよく考えた、真剣な取り組みが決定的に足りないのではありませんか。
 上野原スポーツ・学習施設事業の見直しも、あいまいです。第1回定例会でも指摘しましたが、もとの施設建設計画や基本計画をそのままにしていたのでは、徹底した評価、検討はできません。当時の計画はまだ生きている、まず基本計画を評価してからなどと言っていて、まともな見直しのできるはずがないではありませんか。この際、以前の計画はきっぱり破棄すべきです。その上で、用地をどうするか、どう活用するか、区民の要望の変化などを十分に踏まえ、改めて区民の意思も確かめつつ、抜本的に検討すべきです。どうなさるのですか、お答えください。
 決算は、実質収支3億3,000万円で波紋を広げました。ついこの間まで、運用金を26億円までふやし、それでも足りないと言っていたのですから、無理もありません。もっと切れ、もっと削れというためだったのかと言われて当然です。
 財調の追加交付で一息ついた形となったわけですが、この3億円の黒字は、財源確保の努力を怠り、区民へのしわ寄せに走ることの間違いも浮き彫りにしました。とりわけ財調の当初算定で予算を27億円近く下回ったとき、その不当性を追及するより前に、いよいよ執行統制だと締めつけた過ちは明らかです。そもそも、財調の値切りともいうべき事態にこそ、怒りをもって対処すべきです。27億のうち、24億回復したとはいえ、当初予算で見込んだ額は割ったままなのです。追加交付をいただけたなどと卑屈になっていて、どうするのですか。
 大体、必要な額をきちんと見積もらず、算定残なるものを213億円も余すという都のやり方が不当でした。その上、当初算定の1回で決まり、再算定はないとまで、高圧的でした。昨年の場合、特に清掃経費が低く見積もられ、区側の見込みとの大きな違いとなりましたが、必要な額を交付させるのは当たり前のことではないですか。
 財調交付金は、結果として前年度に比べ58億5,000万円多くなりましたが、大半は清掃経費です。しかも、低く見積もられた分、実際には足りません。改築経費を起債で見させたことの復元分も含まれています。また、都は、支出金として出すべきものを次々と財調に組み入れています。国保会計への交付金をカットした見返りと称して、一部を財調算入したほか、これまで別途支出していたものを財調に組み込んだり、別立てにするのが当然の新規事業まで財調に入れるというやり方です。調整率を不十分ながら52%に引き上げましたが、中身がどんどん目減りさせられ、実態は引き下げと同じです。
 さらに、個々の需要額自体が、測定単位の数値や単位費用の切り下げによって低く抑えられています。各種事業経費の単価や標準職員数が、好き勝手に削られてきました。今年度も都は、児童福祉費の測定単位や、児童館、保育園の標準規模を切り下げようとしました。基準を改悪して必要な額を切り縮めることを、きっぱりやめさせるべきです。
 補正係数の扱いも問題です。区によって事情が異なるので、それぞれの区の実情、条件に応じて補正をかけるという趣旨のものなのに、肝心の各区の意向が十分反映されません。都の判断、しかも、恣意的な政策判断に左右されているではありませんか。
 都の政策誘導はまた、大きな矛盾も明らかにしました。都は今年度も、算定残と称して197億円も取り置きましたが、都の想定に比べて、各区のまちづくり事業が足りなかったのが一番の原因です。福祉や教育を充実させようとしても財調をつけない、開発事業をやるなら交付するというやり方をしても、そう都合よく需要はつくれなかったということです。区民の生活を支えるために必要な経費をしっかりと確保することが今、重要です。
 財調は本来区の財源なのですから、もらう、いただくの意識を根こそぎぬぐい去らなくてはなりません。財調協議は、対等、平等の立場を貫いて当然なのです。そのためにも、需要額算定を初め、どう積み上げるのか、区側から十分根拠をもって協議に臨むことが、いよいよ大事になっています。各部課も、財政当局任せにするのでなく、それぞれに必要な財源をきちんと財調算入させるため、精力的に取り組むべきです。
 以上、財調についての認識と取り組み、決意をお聞かせください。
 財源の問題では、国や都の負担金、補助金のあり方も重大です。決算で、国と都の補助を合わせてみると、都市整備費が7億7,000万円にもなるのに対し、教育費は1億6,000万円しかありません。大手ゼネコン、メーカーの利益に結びつくものがふえる一方、教育や福祉、保健の分野で集中的に削られてきています。財源のつくものをやり、切られるものはやめるというのでは、下請そのものとなって、国や都の政策判断に沿った区政運営しかできなくなります。
 財政が深刻な国保会計も、根本には国や都の責任逃れの問題があります。国はかつて歳入の半分近くを受け持っていましたが、相次ぐカットで、今は3割そこそこしか負担しません。国保会計決算で63億8,000万円に及ぶ老人保健拠出金、10億9,000万円にもなった新設の介護納付金の歳出も、国の負担は10分の4と低く、圧迫要因となっています。
 今回、特に重大なのは、都の態度です。都区制度改革を口実に、従来の交付金をなくし、一部の補助金だけにしたため、都支出金が5億8,000万円も減りました。以前は歳入の4分の1近く負担していたものを、一気に1%にさえならないところまで削ってしまったのです。こらえきれず、区の一般会計からの繰り出しを、前年度に比べて5億円も増やさざるを得ませんでした。医療改悪が強行されたら、いよいよ国保財政は苦しくなります。老健会計も、国の制度設計の矛盾が大きく、このままでは区の負担がふえるばかりです。
 国や都が負担していたもの、負担すべきものを次々と削減したり押しつけるやり方は、補助金の見直しという名目で、一層ひどくなっています。自治や分権を口実に、自主的な財政運営をますます困難にするのですから、全くもって不当と言うしかありません。
 区は、国や都の責任追及はおざなりにしながら、金がない、財政が大変だとばかり言って区民に負担を押しつけていますが、なぜ必要な財源がないか、特に、暮らし、福祉、教育にかかわる国や都の支出がいかに少なく、また、削られているかといった説明や訴えをきちんとすべきです。繰り返し提案してきたことですが、区民の要望にこたえて仕事をするのに、こういう財源を獲得したい、皆さんの力もかしてほしいと、率直に訴えたらどうですか。必要な財源確保のため、もっと本気になって、区民と一緒に取り組むべきです。見解を伺います。
 次に、介護保険の矛盾を和らげるための対策についてお聞きします。
 23区だけを見ても、独自に保険料の軽減策をとる区が11区と、半数に迫り、利用料の軽減策は14区と、6割を超えました。中野区も、ようやくこのほど、国の対策に加えて、新たなホームヘルプサービス利用者も助成の対象にすることとしました。保険料が倍額になろうとするときだけに、早速、歓迎されています。しかし、残念ながら、まだ及び腰に一歩を踏み出したにすぎません。
 国の対策がホームヘルプサービスに限られていることもあって、そのほかの在宅サービスの利用は依然として低いままです。世田谷区は、デイサービスも助成の対象とし、10月からは訪問看護、訪問入浴、ショートステイにも拡大します。目黒区なども、訪問看護や訪問入浴を対象にしています。デイサービスや通所リハビリテーションも3%の負担で利用できるようにした武蔵野市では、全都で50%を切っている平均利用率が66%を上回り、負担軽減策がどんなに役に立つかを鮮やかに示しています。
 中野区の判断がおくれ、しかも、不十分な背景には、所得が低いからといって、特に利用を抑えているとは言えないという見方がありますが、根本的にずれていると言わざるを得ません。
 90歳近いお母さんを見ている御家族の声を聞きました。「正直言って、あと1年か2年だと思うから、せめてそれまではとやりくりして頑張っているけれど、変な話だが、もし、もっと生き延びられたら、家族の生活がやっていけるか心配だ。長生きしてほしいと思いながら、複雑なんですよ」、これが実情ではありませんか。
 所得が少なくても、精いっぱいのことをする、当たり前です。それを、低所得層もそこそこ利用している、それほど軽減策が必要だろうかなどと考えるとしたら、とんでもない間違いです。7割、8割の利用があっておかしくないものが、3割、4割にとどまっていること自体が問題なのです。
 制度の改善要望で圧倒的に多いのは、負担の軽減です。負担が重くて、利用を抑えていることははっきりしています。それでもどうしても必要となれば、無理をしてでも利用します。そのとき、低所得層ほど負担が重くのしかかり、つらいというのは明らかではありませんか。区長は、十分に状況を把握し、整理し、踏み込んだ分析をしてなどと言いますが、その視点、ピントがずれていたのでは、幾ら時間をかけても、実態は見えません。
 中野区は、高齢者だけの世帯が際立って多く、所得階層第2段階の方の多いのが特徴です。わずかの年金しかなく、第1段階の老齢福祉年金受給者より所得が少なかったり、生活保護基準にさえ満たない収入で暮らしているという例も珍しくありません。だから保険料普通徴収の徴収状況を見ても、第2段階で一番滞納が多くなっているのです。
 そもそも、最小限の生活費にまでは税金をかけないということで住民税非課税になっているのに、そういう方からも保険料や利用料を取り立てるという制度に問題があります。しかし、苦境にあえぐ方たちを目の前にして、制度の改善まで待つことは許されません。急いでもう一段の軽減策を講じるべきです。
 また、利用料の一部が助成されても、保険料が高ければ、苦しさは変わりません。現行の減免規定は、要件が厳しくて、ほとんど役立たないものです。保険料についても、介護保険運営協議会に諮問し、事業計画改定の中で考えるなどと言っていたのでは遅過ぎます。要は区がどういう視点に立つかです。政策判断、政治判断が問われ、区長の決断が求められているのです。見解を伺います。
 負担の軽減とともに、安心して十分なケアを受けられるようにすることも大事です。自己責任や選択ということが強調されますが、負担が気になり、しかも、どんなサービス、施策があるかさえよくわからなければ、みずからの責任で選べと言われても、できません。負担の軽減はもとより、丁寧に援助し、適切にケアを受けられるようにすることは、区が果たすべき重要な役割の一つです。
 要支援、要介護となった方でも、十分なケアプランの作成、ケアマネジメントができているとは言えません。ケアマネジャー自身が、きちんとケアアセスメントできる状態にないからです。自立と認定された方が、その状況に合ったケアをきちんと受けるということは、なおさら難しくなっています。
 もともと、介護保険だけでは高齢者と介護家族の生活は成り立ちません。足りないところのないように、必要な施策を展開することも、区の責任です。だからこそ、地域保健法の指針も、支援を必要とする高齢者を早期に発見して、必要なサービスを提供することを自治体に求めているのです。それでもなお、制度のすき間は大き過ぎます。区の直接の取り組みとあわせて、介護保険事業者、主治医、民生委員、地域のボランティアなどの活動を、有機的、総合的に結びつけなくてはなりませんが、それができるのも区です。
 区は、事業者協議会や支え合いネットワークをつくると言います。しかし、なかなか立ち上がりません。事業者任せ、ボランティア任せで、区は調整する、コーディネートすると言っているだけだからではないですか。ケアカンファレンスを進めるべき地域支援会議も、年数回の開催では、情報交換、意見交換の域を脱し切れません。区は、幾つかある事業体、活動団体のうちの一つというのではないのです。いずれも区が核とならなくては、まともには機能しません。ただ調整するというのでなく、責任を持ってイニシアチブを発揮するという姿勢が必要です。
 行政の出番です。担い手はいます。区の職員、ケースワーカーです。措置制度の中で培ってきた経験と力を、さらに広い領域の中で積極的に生かせるようにすべきです。本来の意味での、十分なケアマネジメントができるように、区がしっかりとしたイニシアチブをとること、そのためにも、職員ワーカーを活用することを求めます。
 介護保険のサービスそのものをめぐっても、さまざまな問題が起きています。「サービスの中身が希望と違った」「ケアマネジャーの計算間違いで、予定外の出費になった」などという声を聞きます。国保連がまとめた都内の苦情相談でも、「ヘルパーが満足に食事をつくれない。言葉遣いや態度が横柄だ。頼んだことをやってくれない」とか、「ヘルパーがかわったが、引き継ぎが生かされていない」といった例が紹介されています。事業者のところにとどまっている苦情も多く、また、不満があっても、サービスを受けている相手には言いづらいということから、表に出てこないものが少なくありません。
 在宅介護支援センターなどに訴えても、苦情や不満を十分に受けとめる体制になく、権限もないため、うやむやになりがちです。区の保健福祉センターで相談に応じるといっても、一般の利用者からすると、まだまだ敷居が高いというのが実情です。どんな苦情や不満があるのか、よく調べ、問題を発見して、解決の道筋をつけることも、区ならばこそできることです。区として実態をつかむ努力が足りないのではありませんか。ケアを必要とする人がどんな状況に置かれているのか、全体として掌握できるのは区しかないではありませんか。
 今回、事業計画改定に向けて、実態調査を行うとの方針が示されました。負担の問題、介護保険と福祉、保健、医療などとの連携の問題、そして介護保険サービスそのものの問題など、この機会に総点検すべきです。国の制度改善に向けてのものでもあるのですから、第一線のリアルな状態を十分につかんで、問題点をきめ細かく指摘し、改善策を強く提起していく責任もあります。
 昨年の利用状況調査は、要介護認定の更新案内と一緒に郵送し、申請書と合わせて受け取るといった方法だったため、どう記入したらよいか悩んだ方も多く、半数ほどしか回収できませんでした。簡単なアンケート調査としてはやむを得ないとしても、これでは実態をつかむことにはなりません。制度、仕組みが複雑なだけに、穏やかに、じっくりと、心配事や不満、苦情、要望を聞き取る、聞き出すといったことが大切です。家族の声もよく聞く必要があります。関係者から事情を聞くことも大事です。
 98年度に実施した、要介護者等の実態調査では、区の職員による訪問聞き取り調査を行っています。今回、調査会社に委託するとのことですが、もっと腰を据えて取り組むべきです。プライバシーに配慮しつつ、専門資格職の方や地域のボランティアの協力も求めたらいかがですか。また、それだけの調査が必要だということを、国や都に対してもはっきりと訴え、財源を保障させればよいではありませんか。見解を伺います。
 次に、区立保育園の民営化問題についてお聞きします。
 国は、待機児ゼロ作戦と銘打って、子どもの受け入れを2004年までに15万人ふやすとの目標を掲げました。これまで対応を怠ってきたこと、保育園の建設整備を極端に抑え、運営費国庫負担を減らしてきた責任が、何より重大です。ところが、そのことはないがしろにして、民間活力の活用へと転嫁し、しかも、施設整備、子どもの定員、職員配置など、従来の低過ぎる基準をさらに引き下げています。既存の公立園まで、まとめて水準を落とすものです。
 都の待機児解消の目標は、国以下です。その上、都もまた、乳児室の面積を削り、園庭がなくてもよいことにするなど、施設設備の面でも、看護婦を初め職員の配置の面でも、基準を切り下げてしまいました。
 待機児問題は深刻です。どの保育園でも、できるなら、うちであと1人でも2人でもと、痛切に感じています。産休明け保育、延長保育の拡充など、保護者のさまざまな要望にもこたえたいと思っています。しかし、事は子どもにかかわっています。一人ひとりの確かな発達、成長を考えれば、施設設備や職員の数など、一定の水準の維持はどうしても必要です。狭いところに定員を超えて詰め込むとか、少ない職員で多くの子どもを見るというのは、一時的な託児としては成り立っても、保育とは言えません。
 保育は、高い専門性が求められるものです。子どもの育ちへの対応は、マニュアルでできるものではありません。常に変化する子どもや保護者の状態に応じて、先行きの成長を見通しながら、その都度、的確な方向付けや指導、適切な援助をすることが大切な仕事です。国の保育指針も、保育とは養護と教育だと定めています。保育園は、単なる託児所、利用施設とは違うのです。保育室や園庭、砂場や滑り台、絵本や遊具、給食やおやつ、水遊びも散歩も、それぞれに大事な意味があります。保育園は、子どもや保護者との信頼関係を土台に、日々、継続して、系統的、計画的に子どもを養護、教育し、豊かな人間性と人格をはぐくんでいくところです。まず最初に、この点の認識を伺います。
 続いて、区立と私立の違いを考えてみます。最もはっきりした違いは、人件費です。職員の平均年齢、勤続年数の違いによるものです。区立では、職員の新規採用を抑えてきたため、平均年齢が高くなりました。反面、私立では、国の人件費補助、民間給与改善費が極めて低いため、安定して長く働き続けることができず、平均勤続年数が大変短くなっています。本当は、経験豊かな中堅、ベテラン職員と、新鮮な活力を持った職員がバランスよく配置されることが望ましいのは言うまでもありません。
 このほかで、区立と私立の違いは何があるのでしょうか。財政以外の理由で、区立ではできないことがありますか。保育とは異なる事業やサービスをというのでもない限り、制度上の障害は何もないはずです。柔軟な対応や職員の質の向上、特色ある運営などはできないことではなく、やるべきことです。産休明け保育、延長保育、障害児保育など、区立でも実施し、その水準の引き上げを図ってきました。ゼロ歳児特例保育、2時間の延長保育なども、子どもの立場に立って検討してきています。区立だからできないという、制度上の支障はありません。
 一方、私立ではできないことが何かあるでしょうか。区立に比べて、施設設備の拡充や、十分な職員の配置がなかなか困難ですが、これも制度上の問題ではありません。やはり財政がネックになっています。区立、私立とも、運営に苦慮し、拡充を阻んでいる最大の原因は、財政問題です。それ以外に、区立だからできない、私立だからできないという特別の理由、違いはないのではありませんか。もともと、国の運営基準が極めて低く、その上、国庫負担を切り縮めてきたことが、現状維持さえ困難にしています。このことは、毎年の区長会の要望を見ても明らかです。
 都も、財調の需要額算定を削って、区立園の運営を厳しくさせ、低水準の補助を一層減らして、私立と多摩の公立を苦しめています。公私格差是正制度まで廃止したため、私立園にとってはダブルパンチとなっています。区立か私立かという以前に、何よりもまず、こうした国、都の姿勢を容認せず、強く改善を働きかけることが重要ではありませんか。どう取り組んでいるのか、お聞かせください。
 残念ながら、区は、国や都の責任追及はほどほどに、区みずからも、これ以上の財政負担はしない、むしろ、削るという方針に立ってしまいました。保育園の職員削減まで既定の方針としてしまったら、新たな需要にこたえることは到底できません。こういう中から、民営化の問題が生じたわけですが、最低限、きちんとした保育水準の確保を条件としなくては、話になりません。保護者や関係者にしっかり納得いただけるようにすることも、不可欠です。
 しかし、今の区のやり方はどうでしょうか。余りにも閉鎖的で、しかも、乱暴です。上鷺宮保育園は、区立園としての建てかえを再三繰り延べしてきたもので、それを、いきなり民営化すると決めてしまいました。どのように事業者を決めるのかも、不鮮明でした。幸いに、厳しい批判と注目のもとで、実際の選定において、施設設備や職員配置その他、それなりに丁寧に審査されたことは評価したいと思います。しかし、応募してきた事業者の中から、よりよいと判断したところを選んだにすぎず、必ず今回のように事業者を選べるという保障はありません。どういう事業者が選ばれるか、応募の状況次第で幾らでも変わってしまうというやり方をしたために、今後について、かえって不安を募らせてしまったとも言えます。
 どんな事業者が選ばれ、どういう保育になるのかが、保護者の一番気になるところです。ただ国や都の基準をクリアすればよいというだけでは、今、相次いで国や都の基準が下がっているだけに、安心できません。中野の保育園として、少なくともこれだけは必ず維持、確保するというものを、前もって明確にすべきではありませんか。
 野方北保育園については、ともかく乱暴過ぎるの一言に尽きます。今、子どもがいる園をということ自体が大問題です。卒園まではこの園でと思って入っている、そういう園を、突然民営化すると発表し、それも、この2月に発表して、来年4月からということでした。もってのほかと言うしかありません。
 このほど、実施を1年延期するとの方針が示されましたが、あわせて、この定例会で区立園廃止を確定し、事業者選定に取りかかりたいと言います。「どういう事業者になるかがわからないままでは心配だとの保護者の声があるので、早く事業者を決めた方がよいと思った」「事業者も交えて話し合うのがよいだろう」などと説明しているようですが、取り違えが甚だしくはありませんか。保護者の思いは、「今の保育園でとても安心できて喜んでいる。それがどのような保育園になるのか、どんな水準、どんな内容になるかがはっきりしないまま、民営化というから、不安だ」というものではありませんか。
 その思いに対し、こんなふうに返すのは、もう決まったことだ、事業者もさっさと決める、あとはじかに事業者と詰めなさいと言ったも同然です。現に、「いつまでも文句を言うな。1年延ばすから、もうこれで覚悟しろと突きつけられたように感じた」と言う方がいました。せっかく、話し合う時間が必要と考えた、もう一度初めから説明したいといって実施延期を打ち出しても、何にもなりません。むしろ、一層の困惑と不信感を招いています。民営化そのものに反対というわけではないと言っていた保護者も、これでは話し合おうと言われても無理と、憤っていました。
 「何がどう変わるのかがわからないから、よいも悪いも判断できない」「確かめたいことがいろいろある。提案したいこともある」、こんな声が少なくなかったのです。その心に寄り添った努力が必要なのに、ともかく廃止だけは決めておくというのでは、ひど過ぎます。急いで廃止を決めなくてはならない理由はないはずです。区の方針を明確にしておきたいというのなら、ほかにも方法はあるでしょう。どうして丁寧にできないのですか。廃止提案は見合わせるべきです。見解を求めます。
 今日の事態を見て、改めて感じるのは、中野の保育全般のあり方の確立が必要だということです。かつての保育基本計画のような形を含め、区の責任において、何を、どこまで保障するのかを明らかにすべきです。児童福祉法に照らしても、区立、私立を問わず、中野の保育の実施責任は区にあります。国や都の基準だけでない、中野の保育の基準を明確にすべきです。民営化の是非以前の問題です。中野の保育の基準や全体像をはっきりさせないまま、個々に民営化を進めようとしたら、事業者選定の手続ばかり急いだら、ますます紛糾するだけです。中野の保育の未来を展望しつつ、保護者や、区立、私立の保育者とともに、しっかりとした基準の確立に取り組むことを求めます。お答えください。
 質問の最後に、第5杉の子作業所に関してお聞きします。
 昨年の第3回定例会に、中野区愛育会から、早急な開設についての陳情が出され、議会は全会一致で採択しました。さらに、ことし第2回定例会で、来年度に開設できるよう、施設の提供と、人件費、運営費の助成を求める陳情が出され、これも全会一致で採択しました。私たちも、これまで、区の施設の貸与も含め、積極的な支援を求めてきました。
 知的障害者が一般企業に就労できる条件はまだ乏しく、作業所は欠かせませんが、既存の施設は既に定員を超える状況です。現在、区として、施設の確保と貸与など、目途をつけつつあるとも聞きますが、当事者はどんな検討状況なのかもわからず、不安にかられています。さまざまな経費の助成がどうなるかも、心配しています。どうか親身になって相談にも応じながら、確実に立ち上げていただきたいし、開設後も積極的に支えるべきです。具体的に、どのように援助するのか、現状と今後の取り組みを伺います。
 あわせて、愛育会の法人格取得に対する支援も求めます。社会福祉法人制度が改正され、小規模の通所授産施設も法定施設にできるようになりました。法人化すれば国の運営費補助の対象になり、区からの委託で、グループホーム、生活寮やデイサービス事業に取り組むことが可能になるなど、より豊かな展望も広がります。愛育会みずから、安定して運営できるよう、法人化に向けての準備を進めていますが、実務一つをとっても、大変な努力を要しています。区はこの面でも、できる限り積極的に援助すべきではありませんか。障害者施策の後退が著しい中でも、区を信頼し、区に期待しています。裏切ることなく、誠意をもって信頼と期待にこたえてください。
 以上をもって私の質問を終わります。長い時間、ありがとうございました。
     〔区長神山好市登壇〕
区長(神山好市) 樋口議員の御質問にお答えいたします。
 まず最初に、アメリカで起こったテロ事件についての御質問でございます。
 先ほどきたごう議員の御質問にもお答えしたところでございますけれども、私は、テロの根絶のために、国際社会全体で努力していくことが必要だと考えているところです。
 国の今後の行動について御質問がございましたけれども、憲法を十分に踏まえて行われるべきものと考えているところです。二度とこういう事件の起こらないようにということで、さまざまな事態を想像しながら対応しなければならないだろうと考えております。
 次に、暮らしを守る防波堤という自覚はどこへ行ったのかということでございます。区民生活から遠ざかっていくと。また、区政の根本理念といいますか、これを転換してしまったのかということでごございますけれども、行財政5か年計画は、将来を見据えて、区民に安定的に必要なサービスを提供し、新たな区民需要に対して的確に対応し得る、今後の中野区の身の丈に合った行財政運営をつくり上げていくということを目指したものでございます。
 区財政の立て直しには、歳入増を図ることに加えまして、歳出全体を削減せざるを得ないという状況もございます。区民の暮らしと安全を守る、サービスの確保を第一に、職員数の削減など、内部努力と施策の見直しをしたものでございます。今後も、区民に最も身近な基礎的自治体として、行財政5か年計画を着実に推進して財政の健全化に努め、主体的な行財政基盤を確立をするとともに、区民の立場に立った区政を進め、最大限、区民福祉の実現を目指して努力していきたいと考えております。
 次に、医療や福祉の負担増になぜ反対しないのかと。国や都の責任放棄、また、医療保険の改悪、社会保障の切り下げ、こういった動きを容認するのかということでございますけれども、医療保険や介護保険の仕組み、これは国民全体で支え合っていくものであると考えております。これらの制度が確実に維持をされ、円滑に機能するように、少子・高齢化の進行や給付費用の増加などに応じて、制度の改革を論議する必要があると考えています。
 社会保障は区民の生活を支えるものでございますし、制度を変えるに当たっては、その影響を十分に考慮しなければならないと考えています。区長会としても、これまで介護保険制度や国民健康保険について、制度改正等に伴う福祉施策の充実について、国や都に要望してきたところでございます。今後も、区長会、また、新たに加盟しました全国市長会を通じて、国や都に対して引き続き要望をしていきたいと考えています。
 次に、深刻な不況、失業、倒産増大、これを静観しているのかということでございます。区内の産業の動向については、区の商工相談や、国、都を初めとして各種の調査がございます。おおよそ推測できることと考えておりますが、事業経営者等の話からも、状況はますます厳しさを増しているというふうに判断をしております。傍観しているつもりではございません。環境変化に対応していくための民間の主体的取り組みとあわせて、国、都、区それぞれの役割に応じた支援方策が求められておりますし、区としても、緊急融資の実施や金利の引き下げ、情報化推進事業の支援など行ってきたところです。
 雇用対策については、区で取り組めるものというのは限られております。都や国で新たな雇用対策プログラムをまとめると聞いておりますので、区として連携して行えるものがあれば、積極的に取り組んでいきたいと考えています。
 なお、今後の緊急融資等については、中小企業の経営環境は依然として厳しいということから、情勢を見て検討していきたいと思っています。金融機関の貸し渋り等に対してはこれまでも要請をしてきたところでもございますけれども、区の融資制度の趣旨を十分に理解してもらえるように、今後とも、機会あるごとに協力を求めていきたいと考えています。
 次に、内側から崩れていくのではないか、合併にのみ込まれていくのではないかということ、また、庁内に箝口令、うわさというものが多いということですが、箝口令はこれまでも一度もしいたことはございませんし、うわさといいますか、いろいろな話はあろうかと思います。
 行財政5か年計画では、区の財政的な危機を乗り切って、区民サービスを維持して、安定した行財政基盤を確立をするということを区が検討し、区として取り組むべき方策を示したものでございますし、区はこれまで政策の選択に当たって、区民の意見、議会での議論を踏まえ、自治の立場で判断して区政をつくり上げてきた。今後も、都区制度改革と地方分権等によって強化された権限と責任を踏まえて、財政基盤を確立し、主体的な区政運営をしていきたいと考えています。
 職員は区の置かれている今の厳しい財政状況を十分に認識をして、それぞれ自覚をもって行財政5か年計画を受けとめて、改革に取り組んでいると思っております。今後も、職員と一体となって改革努力を進めていきたいと考えております。
 さらに、自治と人権擁護についての御質問、区政運営の理念が今、問われているんだということでございます。
 中野区は、区民に最も身近な基礎的自治体でございます。参加の区政、開かれた区政を進めてまいりました。私は常に、中野区基本構想にある、「中野のまちは人の基本的な権利を守る」「人のくらしを大切にする」「みずから参加してつくる」「ともにつくる」「人と人とを地域の中で結ぶ」というこの理念を大切にして区政運営をしてきたつもりです。現在の社会環境の中で、この理念を生かし、区政が直面している困難を打開して、区民の福祉を向上させていくために、行財政5か年計画をつくったものでございますし、この計画の実現に全力を挙げてまいりたいと思います。
 次に、保育園の民営化に関連して、野方北保育園の廃止条例の提案について、乱暴ではないか、なぜ今やるのかということでございます。また、中野の保育の基準づくりということでの提案をいただきました。
 野方北保育園につきましては、保護者から、民営化発表から移管までの期間が短いということ、職員が総入れかえになることに伴う児童への影響や、民間事業者の保育の質などへの不安の声が強いところです。保護者の理解を得るための十分な話し合いの期間を設ける必要があると判断しまして、1年間、実施の時期を延期しようということで提案をさせていただきました。この提案は、実施時期を確定をし、子どもたちや保護者にとって不安定な状況をいつまでも引きずっていかないようにしたいということ、また、保育園職員の採用など運営上の対応も困難になってまいりますので、できるだけ早く実施時期を確定させ、この1年間に個別具体的な問題を話し合い、保護者の理解を得ていくように努力していきたいと考えています。
 今後の中野区の保育についての御提案ですけれども、新しい保育需要への対応も含めて検討してまいります。
 他の質問につきましては、それぞれ担当部長の方から答えさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
   〔政策経営部長渡辺征夫登壇〕
政策経営部長(渡辺征夫) 私からは、3番、区の財政運営の課題の御質問のうちの2点についてお答えさせていただきます。
 最初に、国の都市再生プロジェクトに関連いたします御質問でございますけれど、中野区はこれまで中野四丁目、中野坂上地区再開発事業を取り組んできたわけでございますけれども、この再開発事業につきましては、区の財政負担を抑えながら、防災性の向上や都市機能の更新といった面で大きな成果を上げたと、そのように考えているところでございます。また、国の都市再生プロジェクトの中には、都市問題解決につきまして、木造密集市街地の改造だとか都市型水害対策など、そういったものも対象に上げられておりますので、区といたしましても、今後の動きに注目しているところでございます。
 二つ目は、IT革命について、冷静沈着に対処すべきではないかという御質問でございます。中野区は、行財政5か年計画の中で電子区役所を目指すことを掲げておりまして、簡素で効率的な行政の実現と区民サービスの向上のためには、ITの活用は欠かせないことであると認識しているところでございます。ただ、IT化の推進に当たりましては、新たな投資も必要となるということでございますので、必要な財源と効果、技術動向、社会動向などを見きわめて進めてまいりたいと、そのように考えているところでございます。
  〔行財政改革担当部長石神正義登壇〕
行財政改革担当部長(石神正義) 私からは、区の財政運営の課題についてのうち、大型投資見直し、事務管理部門効率化、OA経費削減が進まないのはなぜかという御質問と、財調交付金にかかわる御質問についてお答えさせていただきます。
 まず、大型投資見直し、事務管理部門の効率化、OA経費の削減が進まないのはなぜかという御質問でございますけれども、区では現在、財政健全化を最重要課題ということで、行財政5か年計画を策定いたしまして、全庁挙げて推進しているところでございます。この5か年計画では、投資的事業は極力抑制をする、圧縮をするということで、区民の暮らしを守る観点から、中長期的な財政運営に取り組んでいるところでございます。
 御質問の中で、地域まちづくりの件がございましたけれども、地域まちづくりにつきましては、災害に強い安全なまちをつくり、区民の命を守るために欠かせない重要な事業でございます。財政状況を踏まえた上で、継続して取り組むべきものと認識しております。しかし、新たな投資的事業に取り組む場合についてでございますけれども、着手前に、費用対効果や必要性、こういったことを十分吟味することが、以前にも増して重要になっているという認識をしております。現在、区では、事後の評価、こういうことによる行政評価制度を導入しておりますが、将来的には、実施前、実施中、実施後に評価を行うことを目指しております。そういう中で、今後十分研究してまいりたいと思っております。
 また、12年度決算で都市整備費が伸びているということでございますけれども、11年度からの繰越明許を行った中野坂上の地下通路の整備事業、また、南台一、二丁目の地域まちづくり事業による道路用地の取得、これが主な要因でございます。いずれにしましても、区民生活に密着した事業であると考えております。
 また、民生費の減少は、介護保険導入に伴う高齢福祉費の減、教育費の減少は、給食の委託などによる人件費の減が主な要因でございます。
 行財政の構造改革を着実に進めまして、この厳しい財政状況の中で、さまざまな工夫を行いながら財政運営を行っていきたいと思っております。今後とも、限りある財源を有効に活用していくための努力をしていきたいと思っております。
 次に、ポストの削減等の御質問がございましたけれども、行財政5か年計画の中では、区の組織につきまして、経営感覚を備えた、スリムで機動的な組織を確立することとしております。組織のあり方全般について、現在、見直しを行っているところでございます。そうした見直しの中で、組織の簡素化、効率化を実現していきたいと考えております。
 また、OA機器の導入、更新に当たりましては、ハードの仕様を必要最小限の機能にとどめることや、ソフトについては、導入目的に、最適でかつ安価なものの導入に努めることにしております。今年度からはさらに、各課単位での契約を改めまして、スケールメリットを生かせるような、一括契約に変更をするといった、経費節減努力をさまざま行っているところでございます。今後もさらに工夫をしてまいりたいと考えております。
 それから、財調交付金に関する御質問でございます。
 財調交付制度につきましては、平成12年度の改正によりまして、特別交付金でこれまで算定してきましたまちづくり事業など投資的事業が、普通交付金に算入されることになりました。新たな財調制度におきましては、算定残が生じないということを前提といたしまして、都と区で調整をしてきたところでございます。しかし、普通交付金に算入されることになりました投資的事業につきまして、財調のフレームを検討する時期における計画と当初算定の時期における実績、この見込み差が生じるために、算定残が生じるというものでございます。各区の財政状況を見ると、計画段階でのフレームに対する要求と、予算を策定しまして実施をするという段階での差、こういったことについてはやむを得ない状況があるというふうに考えております。
 なお、この生じた算定残につきましては、都区の協議によりまして、各区に共通する経費に充当するということで、全額、追加交付されるものでございます。
 また、国や都の補助金の削減、補助事業における超過負担、また、地方交付税や財調への算入、こういったことにつきましては、区への実質的な負担転嫁であると考えております。本来国や都の責任で財源補てんすべきと考えておりまして、これまでも国や都に働きかけをして、確保のための努力をしてきましたけれども、今後もさらにこういった努力をしていきたいと思っております。
 また、こういった内容等につきましては、区報を通して区民にも情報提供していきたいと考えております。
 以上でございます。
 〔教育委員会事務局次長須崎英夫登壇〕
教育委員会事務局次長(須崎英夫) 上野原スポーツ・学習施設につきまして、基本計画を白紙撤回し、抜本的に再検討すべきであるとの御質問でございました。
 上野原スポーツ・学習施設につきましては、教育委員会といたしましても、基本計画どおりの実現は難しいと認識をいたしております。今後、区民ニーズや社会・経済状況の変化も視野に入れ、改めて計画の再構築が必要であると考えているところでございます。
    〔福祉担当部長本橋一夫登壇〕
福祉担当部長(本橋一夫) 私からは、介護保険と第5杉の子作業所についての御質問にお答えをいたします。
 まず、低所得者の方々の介護サービス利用料の負担軽減措置を、ホームヘルプサービス以外のサービスにも適用すべきではないかとの御質問についてでございます。ホームヘルプサービスは、在宅介護を支えるサービスの中で基本となるサービスであります。さまざまある介護サービスの中でも、最も利用率が高いという状況にあります。国もこうした観点から、低所得者に対する特別措置の対象として、ホームヘルプサービスを選んだものと認識しております。ただ、国の特別対策では、低所得者の間に対象となる人、ならない人の不公平があるため、区はこの不公平を是正するために軽減措置を行うこととしたものでありまして、対象とする介護サービスは国と同じにしたものであります。
 次に、保険料の軽減措置を早急に行うべきではないかとの御質問でありますが、低所得者に対する保険料の負担軽減策を制度の枠内で実施する場合、その財源は他の第1号被保険者の保険料を充てることになります。被保険者間の保険料負担の割合を変更することになりますので、これにつきましては、区として、被保険者の代表も含めた介護保険運営協議会の意見を聞く必要があると考えたものであります。本年11月に次期介護保険事業計画の諮問を予定しておりますので、低所得者の負担を含めての保険料のあり方についても、この中で検討をお願いしたいと考えております。
 次に、援護を要する高齢者のサービス確保のための取り組みについてのお尋ねでございますが、区では、基幹型在宅介護支援センターとして位置付けられております保健福祉センター及び北部保健福祉相談所が、この取り組みの中心的な役割を担っております。ここでは措置から利用者による選択へという制度の理念を踏まえまして、要介護認定を受けた高齢者の担当マネジャーに対しまして、介護サービス及びその他の保健福祉サービスを含めた、総合的な支援計画の作成について、指導、援助を行っております。他方、自立と判定された虚弱高齢者等に対しましては、在宅介護支援センター職員や、保健福祉センター及び区内に三つあります保健福祉相談所の保健婦などによる相談や、実態把握活動を通じまして、区の介護予防事業の利用や、ミニデイなどのボランティア活動を含む、地域のさまざまなサービス資源を紹介するなど、適切なサービス利用が図られるよう援助を行っております。
 また、基幹型在宅介護支援センターでは、区内の七つの地域型在宅介護支援センターの活動支援や、ケアマネジャーに対する情報提供に努めるほか、地区在介ごとに地域支援会議を開催するなどして、地域の関係者やケアマネジャー、サービス事業者の連携強化に努めているところであります。
 次に、高齢者の実態調査についてのお尋ねでございますが、今回予定しております実態調査は、介護保険事業計画の改定に当たっての検討素材を収集するために行うものであります。介護保険運営協議会の検討スケジュール等からの調査時期や期間の制約、また、経費についての制約もあります。したがいまして、御質問にありましたような詳細な調査までは困難であります。しかし、高齢者の生活実態をできるだけ把握して、計画検討に生かせるよう工夫をしているところでございます。
 最後の御質問にありました、第5杉の子作業所の開設準備についてでございますが、現在、作業所のために提供する区の施設の具体的な調整を鋭意進めているところでございます。愛育会では、来年10月の社会福祉法人化を目途としておりまして、この第5杉の子作業所は、法人格取得の要件となる、法内福祉施設として予定をしていると聞いておりますので、このスケジュールも踏まえて、第5杉の子作業所の早期開設ができるよう援助をしていきたいと考えております。
 また、開設後の運営につきましても、法内小規模授産施設として、国や都が実施を予定しております補助制度、これも活用しながら、作業所の円滑な運営が図れるように支援してまいりたいと考えております。
 愛育会の法人化の支援につきましては、愛育会からは、資金面の見通しは持っているので、区には実務的な援助を期待しているということであります。区といたしましては、愛育会と連絡をとりながら、法人化に向けての可能な支援をしてまいる所存でございます。
 以上でございます。
  〔地域センター部長柳澤一平登壇〕
地域センター部長(柳澤一平) 保育民営化に関しまして、二つの質問にお答えを申し上げます。
 一つは、保育と託児の違いを認識しているかという御質問でございます。保育所というところは、継続して行われる一貫保育の場でございまして、生活指導を初めとする保育内容はすべて、子どもの成長と発達に必要な教育的機能を担っておりまして、一時的に預かる、単なる託児とは異なると認識をしております。
 次に、国や都の補助の関係でございます。特に国の補助制度は、必ずしも保育の実施に必要な運営経費の実態を反映しておりません。保育園の経営は厳しい状況にございます。このため、現在も23区の区長会等で、国に対し、運営実態に見合った国庫負担金の増額を求めているところでございますが、今後とも、適切な負担がなされるよう、継続して要望していきたいと考えております。
 以上です。
議長(斉藤金造) 以上で樋口きこう議員の質問は終わります。
 議事の都合により、暫時休憩いたします。
      午後5時17分休憩

      午後5時37分開議
副議長(飯島きんいち) 会議を再開いたします。
 一般質問を続行いたします。

 中野区議会議員 西 村 孝 雄
1 平成12年度の一般会計決算について
2 不在者投票所の増設について
3 地域センターの利用拡大について
4 行政書士に対する区の対応について
5 公的住宅への入居案内について
6 禁煙問題について
7 「健康都市宣言」の提案について
8 認証保育制度について
9 「福祉プラン21(中野区地域福祉総合推進計画)」の改定問題について
10
 その他

副議長(飯島きんいち) 西村孝雄議員。
     〔西村孝雄議員登壇〕
37番(西村孝雄) 平成13年第3回定例会に当たりまして、公明党議員団の立場から質問をいたします。
 初めに、その他の項目になりますが、私も、今回のあの信じがたい、アメリカで起こった同時多発テロ問題に関しまして簡単に言及をし、区長の所感を伺いたいと思います。
 当日の夜、先にテレビを見ていた家内に、「映画みたいなとんでもない事件が起こっているよ」と促されて見たテレビの画面に、思わず私もくぎ付けになりまして、とうとう朝まで見続けてしまいました。いまだに瓦れきの中に埋もれているであろう、5,000人を超えるという方々や、この事件の関連で亡くなられた方々に対しまして、私も心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 理由はどうであれ、このように無差別に人命を殺傷するという卑劣なテロ行為は、断じて許されることではありません。ブッシュ大統領は「これは戦争だ」と言っておりますが、それだけに、アメリカが犯人を特定して報復しようとするのは当然かもしれません。しかしながら、軍事的対応だけでこの新しい戦争状態が解決するとは思えません。報復とテロの連鎖が続き、新しい人類の悲劇が増幅するおそれさえ感じさせます。
 なぜ、このような用意周到で、計画的で、残忍な事件が起きてしまうのか、そんな強い疑問がだれの胸の中にもあると思いますが、朝日新聞の15日付朝刊に、自爆テロに踏み切る心理は何か、彼らなりのどんな論理があるのかという角度から、取材記事が掲載されておりました。その中には、イスラム過激派ハマスの精神的指導者の言い分が紹介されておりました。これらの記事を読みますと、問題解決のためには、事態はいかに容易でないかということを痛感させられます。
 15日の夜、「NHKスペシャル」の中では、報復とテロが繰り返されることの悲劇は、何としても避けなければならないという趣旨の見解が述べられておりました。だれもが、そうあってほしいと心から願っていると思います。
 では、どうすればよいのか。その答えは簡単に見つかるとは思えません。しかしながら、例えば「暴力主義は絶対排除する」、「あくまでも生命を尊厳する」、「地球上の人類は憎しみ合うのではなくて、助け合って共存共栄する」などの、深い、強い理念を掲げた上で、思想、信条、宗教の違いを理解し合いながら、悲惨な戦争をなくし、お互いに平和で豊かな世の中を目指して、世界の指導者が、継続的に、根気強く、徹底的に話し合う、そうした積み重ねを通して、根本的な解決の道筋を探るということがどうしても必要ではなかろうかと私は思います。そしてそうしたことを日本の総理大臣こそ提案をすべきではなかろうかと思いますけれども、神山区長はこの事件をどのように受けとめ、感じているのか。お二人の方に答弁をしておりますが、もう一度所感をお聞かせいただきたいと思います。
 それでは、通告に沿って質問いたします。
 初めに、平成12年度の一般会計決算について、2点伺います。
 平成12年度の決算では、12年度の最終補正予算で26億円計上していた運用金を一切使わずに、3億2,838万円の実質収支を出すことができたようです。これはこれまでのように基金の取り崩しや運用金などという特別な財源対策をしなくても、実質収支つまり黒字を出せたことになっています。また、経常収支比率が101.7%から91.4%に、公債比率が15.5%から12.8%にそれぞれ下がるなど、財政指標も改善されております。
 こうした数字は、その内容からしますと、決して単純に喜んでいいとは思えませんが、中野区の財政状況が今まで悪くなる一方だったのに対しまして、わずかではありますが、改善の兆しが見えてきたというふうに受けとめることもできると思います。
 平成12年度は、もちろん行財政5か年計画を実施する前で、財政健全化推進プランに基づいて何かと努力をしてきた最終年だったわけです。そこで歳入、歳出について、区側がそれぞれどのような努力をした結果、このような数字になったと考えているのか、具体的に報告をしていただきたいと思います。
 次に、平成12年度のこのような数字を見て、区の財政には余裕ができたとか、もう大丈夫などと言う人たちが早くもいるやに聞いておりますが、このような意見や雰囲気は私は間違いだと思います。現に監査委員の審査意見書の中には、こう書いてあります。「このことは決して中野区の財政事情が好転し安定的な財政に移行したことを意味するものではない。投資的事業の先送り、施設の維持補修費などの歳出を極限までに削減した結果の縮小均衡という側面が強い」、また、「実質収支比率、経常収支比率、公債費比率等に改善の兆しが見られたが、23区の平均値にもほど遠く、適正な水準に達するには、なお相当の努力を要することに変わりはない。職員数の削減を続けているにもかかわらず人件費の割合も依然として高い。ようやく財政改善の緒についたといえる段階である」と指摘をしております。この見解はもっともであり、当然であると私も思います。
 財政健全化への道というのは、そうたやすいものではないと思います。今年度からスタートした行財政5か年計画ですが、国の景気回復が楽観を許さない状況を反映してか、今年度の区民税は減収傾向にあるとさえ聞いております。こうした中にあっても、断じてこの行財政5か年計画はしっかり遂行していかなければ、区の財政均衡はおろか、強い財政基盤を築いていくことは困難だと思います。
 そこで区長に伺いますが、12年度の決算の結果を見て、区長は区財政の現況にどのような思いをはせているのか、そして今後の財政運営に関してはどのように取り組もうとしているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次の質問に移ります。不在者投票所の増設についてです。
 過日、都議会議員と参議院議員のダブル選挙が行われました。不在者投票が以前と比べて大分やりやすくなったということもあって、投票日を待つのではなく、不在者投票に足を運ぶ人がふえたようです。それはまことに結構なことだと思いますが、それだけに、中野区内の不在者投票所の数はもっと多くてもよいのではないかと思います。資料によりますと、23区の不在者投票所の数は、区の人口や面積とは関係なく、区によってかなりばらばらです。多い順番ですと、世田谷が29、杉並が20、大田が19、品川が14、新宿が11カ所となっており、あとはぐっと少なくなり、港、荒川、江戸川が同じ6カ所になっております。ほかの区の紹介は省略しますが、中野区は御承知のとおり3カ所です。3カ所だけではまだまだ不便を感じている区民の方が多く、もっと不在者投票所の数をふやすべきではないかと提案いたしますが、選挙管理委員会では検討した経過はあるのかどうか、見解を伺いたいと思います。
 次の質問は、地域センターの利用拡大についてです。
 過日、懇意にしている青年から相談されました。中身は、「このたび結婚することになりましたが、お金が余りありません。でも、お祝いしてあげようという人たちがいますので、形ばかりでもささやかなパーティーをやりたいと思います。つきましては、地域センターをお借りすることはできないでしょうか」というものです。この青年は、なかなかまじめな、気持ちのいい若者です。自分の郷里は四国で、一緒になる女性は東南アジアの外国人だそうです。話を聞いてもっともだと思い、改めて地域センターに問い合わせをしましたところ、「現在の使用規定では、残念ですが、当てはまらないので、お貸しできません」とのことでした。どうやら持ち込みによる飲み食いがいけないことと、個人ではだめのようでございました。こうした使用規定は検討し直して、変えるべきではないかと思います。今どき、彼のような質素な宴でよしという青年はそんなに多くはないと思います。それだけに、このような場合には、たとえ個人として申し込んでも、地域センターの利用を認めてもよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 関連で伺いますが、地域センターでの飲み食いは一切いけないかのようになっておるようでございますが、団体によっては黙認しているところもあるやに見受けられます。そうしたあいまいなことでは、区民に不信感を与えるだけでございます。私は、利用が原則無料から有料になったことでもございますし、隣の部屋やセンターの周囲に迷惑をかけるような利用の仕方は厳禁するとしても、アルコールを含めた少々の飲み食いは、むしろ許可した方がいいのではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。かつてそのような議論や検討をした経過があるのかもしれませんが、答弁をお願いいたします。
 次は、行政書士に対する区の対応について質問します。
 私ごとですが、昨年の夏、私の親がわりの郷里の長兄が突然他界をしたことで、相続の問題に直面しました。仙台の登記所に3回足を運びましたが、登記所が離れていることや、兄弟姉妹の数が多いこともありまして、簡単には終わりません。相続人の変更手続がいかに面倒なことか、身をもって経験をしております。手続の途中で、知り合いの行政書士にそれらのことを話しましたら、「だから私たちに任せてもらえばいいのですよ」とのことでございました。それまで私は、うかつでありましたが、行政書士が相続に関する手続をやれるという認識はありませんでした。率直にそう言いますと、彼は、「相続の手続に関しては、家族の間でこじれてしまえば弁護士に頼むことになるのでしょうが、もめる事態になっていなければ、司法書士や行政書士でもできるんです。費用ももちろん、弁護士よりもずっと安くなります」とのことでした。
 ところで「行政書士とはどんなことをやれるのか」と、その際改めて彼に聞いてみて、私の認識不足に恥じ入りました。外国人の入国、在留、永住等の許可申請は行政書士の独占業務だそうです。これは弁護士でもできないとのことです。そのほかの、官公署に提出する書類作成などの業務内容はかなり多岐にわたります。例えば遺産分割協議書や遺言書の作成、株式会社や有限会社の設立業務、建設業の許可や宅建業免許の申請、交通事故調査及び保険金請求手続、飲食店や風俗店の営業許可申請、告訴状や示談書、内容証明書、各種契約書の作成、NPOの設立などでございます。
 以上、主なものだけ紹介したわけですが、そのほかにもかなりの具体的な業務が可能で、結構区民の日常生活に深くかかわっていることが私もわかりました。この行政書士による無料相談を、中野区としてはようやく平成7年1月から始めたようですが、相談に訪れる人の数はまだ非常に少ないようです。これは、行政書士の存在や業務内容がまだまだ区民に知られていないからだと私は思います。区内には行政書士が約80人いるそうですが、どこにだれがいるか、なかなかわかりません。隣の渋谷区では、行政書士の名簿を名札にして、区役所の建物の外に、わかるように設置をしてあるそうです。私は、何らかの形でこの行政書士の名簿一覧と業務内容を、もっと区民の目に触れやすいように工夫してあげてもいいのではないかと思いますが、提案をいたします。
 次の質問に移ります。公的住宅への入居案内についてです。
 わかりやすく言えば、住宅供給公社や都民住宅の募集パンフレットですが、これを区役所内でも販売できるようにできないものだろうかという提案です。
 現在、都営住宅の申し込みができる募集案内は都の住宅局が発行しており、その都度、区役所内の住宅課で無料で手に入るようになっております。しかし、都民住宅や住宅供給公社の募集案内は、中野区内ではどこでも手に入りません。以前は丸井デパートのハウジングコーナーで買い求めることができましたが、今は一番近くても新宿の京王デパートの書籍売り場まで行かなければなりません。この供給公社と都民住宅の募集パンフはいろいろあり、都民住宅だけや供給公社だけ、両方セットになったもの、新築だけとか空き家だけとかの種類になっているそうです。新築の場合は200円、空き家の場合は300円で、年間を通すと毎月のように発行されているようです。
 場所によって違うにいたしましても、応募者はいつも相当の倍率になっているようです。ということは、かなり需要が多い証拠ではないかと思います。まだまだ、都営住宅と供給公社や都民住宅の違いがわからない人もおりますが、その点を教えてあげますと、「ぜひ申し込んでみたい」という人が私の周りでも多いのです。それだけに、住宅供給公社や都民住宅の募集パンフレットを、例えば庁舎内の売店などで販売できないものだろうかと思いますが、この点いかがでしょうか。
 次の質問は、禁煙問題についてです。
 理事者や議員の中にも愛煙家がおりますので、恐縮でございますが、この問題について、あえて発言をさせていただきます。
 毎年5月31日は、WHO(世界保健機関)が定めている世界禁煙デーだそうです。ことしは「他人の煙が命を削る:受動喫煙(環境煙)をなくそう」というスローガンのもとに、キャンペーンが展開されました。厚生労働省も、この世界禁煙デーを受けて、毎年5月31日から1週間、禁煙週間と定めて、禁煙思想の普及に努めております。健康に重大な影響を与える喫煙による被害は、文明国の中で日本は最悪の状況にあり、そのためWHOは、日本に対して警鐘を鳴らしてさえいるそうです。特に、子どもや女性は高いパーセンテージで受動喫煙にさらされていると言われております。こうした実情を少しでも改善すべきであるとして、日本のNPOの国連支援交流協会(FSUN)という団体は、「女性・こども・命・未来」を守る会を発足させて、たばこと健康の問題をテーマに取り組んでおります。
 この発足式の際に、日本臍帯血バンク支援ボランティアの会代表の有田美知世氏は、「喫煙常習主婦のへその緒は、非喫煙者に比べて極端に細く、胎児に栄養が行き届かない」と報告しております。日本医師会の坪井栄孝氏もこの会の発起人の一人になっておりますが、坪井氏は、この会のときではありませんが、別の場面で次のように発言をしております。
 「たばこはがんの原因の30%を占める。肺がんでは原因の60%を占める。肺がんには若い時期の喫煙が大きく影響する。そのため、私は中学生の禁煙教育を続けてきた。昨年、中学生に『今までたばこを吸ったことがあるか』とアンケートしたところ、1年生の99%が『ある』と答え、びっくりした。『どうして吸い始めたのか』と聞くと、『何となく』が半分以上だった。何となく吸い始め、何となくニコチン依存症になってしまっている。そうしないためには、我々がしっかり教育しなければならないと語っておりました。
 このたぐいの資料や発言の紹介はきりがありませんので、質問に移りますが、当区においても、中学生や妊婦はもちろん、女性を対象とした禁煙教育を徹底すべきであると私は思いますが、現状はどのように行っているのでしょうか。恐らく、決して十分な対応になっていないと思われますが、その場合、今後どのように力を入れていくつもりなのか、担当者の決意をお聞かせいただきたいと思います。
 次の質問に移ります。健康都市宣言の提案についてです。
 「健康は人生のすべてではないけれども、健康を失えばすべてを失う」という、とても大事な言葉があります。私はことし3月の1定の総括質疑の際に、こうした言葉を紹介したり、健康に関する行政の役割を再確認したりしながら、神山区長に、「福祉のまちづくりだけではなく、中野区が健康都市宣言をして、区民の健康を守る施策に一段と力を入れ、健康と福祉のまちづくりに意欲的に取り組んではどうか」という趣旨の提案をいたしました。
 それに対して、当時の保健衛生部長、現在の保健福祉部長は、「さまざまな視点から検討してみたい」と答弁しており、神山区長からは、「御提案の、健康と福祉のまちづくりといったキャッチフレーズは、今の時代にはいい目標になるのではないかと思います。さまざまな形で検討してみて、やり方についてもいろいろと研究してみたい」という趣旨の答弁がありました。それから半年経過しております。こうしたことは、その気になれば、そんなに難しいことではないと私は思いますが、その後どのような検討をしたのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次は、認証保育制度について質問します。
 この制度は、東京都が、子育てと仕事を両立したいというニーズに的確にこたえられるよう、無理なく送り迎えのできる駅前保育所の設置促進を図ろうとするものです。そのため、保育所設置基準を東京都が独自に設定するとともに、利用者契約方式を取り入れ、事業者の創意工夫が生かされる、新しいスタイルの保育所を展開していくことにより、保育サービスを拡充していくというねらいがあるようです。
 そして、この認証保育所にはA型とB型があり、都市型駅前保育所はA型で、この設置主体者には社会福祉法人や民間事業者などもなれるようになっております。B型というのは、現在認可されていない保育所から認証保育所に転換される場合です。こうして都全体として、待機児の多いゼロ歳や1歳児の保育や、2時間以上の延長保育、そのほかの保育サービスの拡充を図ろうとするものです。
 そこで質問ですが、中野区内にもA型の駅前保育所が、中野駅の北側に開設されるといううわさがありますが、事実なのでしょうか。これは東京都が直接かかわっていることでしょうけれども、中野区としても重大な関心事です。公表できる範囲で教えてほしいと思います。
 2点目は、区内には認可されていない小規模保育園が6園あります。東京都は、こうした保育所に対して、独自の基準を定めて、それをクリアしたところをB型の認証保育所に認定することにしましたが、区内では、こうした都の方針に呼応しようとしている保育園はあるのでしょうか。あるとすれば、区は当然、認証保育所になれるように積極的に推進すべきであると思いますが、どのような状況なのでしょうか。
 3点目は、区内の小規模保育園6園は、それぞれの事情や経過があって、恐らく、足並みをそろえてB型の認証保育所に認定されることはなかなか難しいと思います。東京都のこの問題の担当者の話によりますと、「今回の認証保育制度は、これらの現在認可されていない保育所を、ふるいにかけたり、足切りしようとするつもりは毛頭ありません。すぐにではなくても、今まで頑張ってきていただいた方には、全部の皆さんに認証保育所になってほしいとの思いです」とのことでございました。だとしますと、小規模保育園の皆さんと具体的に接触している区としては、こうした都の意向をくんで、あくまでも親切に、全面的に側面から応援してあげるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか、見解を承りたいと思います。
 最後の質問に移ります。福祉プラン21、いわゆる中野区地域福祉総合推進計画の改定問題についてでございます。
 この問題につきましても、ことし3月の1定の総括質疑で既に提案をいたしました。その際には、昨年12月にできた東京都福祉改革推進プランに私がざっと目を通した結果、いかにこれが画期的な内容のものになっているかを紹介いたしました。そして、新しい都の福祉改革推進プランと読み比べますと、中野区の福祉プラン21は、理念にしても、内容にしても、これからの福祉のあり方としてはかなりそぐわない内容になってしまっていることを痛感し、当然改定すべきではないかと提案をいたしました。それに対して、当時の福祉計画課長は、改定の必要性を認めた上で、「現時点では3年後、平成15年の改定を予定しております」と答弁しております。
 このときのやりとりの際に、当時の大沢課長は、「我が国の社会福祉のあり方にとって、今、大変革の時代を迎えています」と、さらりと答弁の中で語っておりました。そのときは課長が言った「大変革」という意味の内容が余りよくわかりませんでしたが、その後私なりに調べてみて、なるほどと思いました。
 大胆な都の福祉改革推進プランが作成された背景には、半世紀ぶりに、社会福祉事業法が社会福祉法に改正されたといういきさつがあります。そしてさらに、その背景には、戦後の日本の社会福祉のあり方に大転換をもたらしたと言われる、社会福祉基礎構造改革という、国レベルでの作業があったようでございます。
 この社会福祉基礎構造改革の基本理念は、これからの社会福祉の目的は、「従来のような限られた者の保護・救済にとどまらず、国民全体を対象として、社会連帯の考え方に立った支援を行い、個人が人としての尊厳をもって、家庭や地域の中で、障害の有無や年齢にかかわらず、その人らしい安心のある生活が送れるように自立を支援することである」と掲げられております。そしてこの理念の具体的な内容として、「自己責任原則を前提」「社会福祉の普通化・一般化」「社会連帯」「社会福祉の基礎は他人を思いやり、互いを支え、助け合う精神」などの項目が明示されております。
 さらに、これらの社会福祉の方向としては、対等な関係の確立、地域での総合的な支援、多様な主体の参入促進、質と効率性の向上、透明性の確保、公平かつ公正な負担、福祉文化の創造という内容が示されております。
 こうした社会福祉基礎構造改革という大きな流れの中で、このところ一連の福祉関係の法改正や制度改革、介護保険制度のような新設がなされてきているわけでございます。そして具体的には、いろいろな場面において、すべてではないにしても、今までの、何でも行政がやってあげるという措置から、民間の活力も活用した上での、利用者による選択または契約というシステムに大きく変わりつつあります。まさしく社会福祉の大変革時代に突入したものと認識をせざるを得ません。
 こうした観点から考えますと、私は、我が区の福祉プラン21は、前回にも指摘しましたとおり、今や時代おくれになってしまったのではないかなと思います。したがって、平成15年などと言わずに、もっと早く改定すべきではないかと思いますが、どうお考えなのでしょうか。
 総括質疑の際には、「改定します」という答弁を聞いております。当然、今私が述べたような、社会福祉基礎構造改革という流れを踏まえた上での内容に変更せざるを得ないと思いますが、どのような理念や考え方、さらに、どのような手続で、いつまでに作業を進めるつもりなのかを伺いまして、私の質問をすべて終了したいと思います。
     〔区長神山好市登壇〕
区長(神山好市) 西村議員の御質問にお答えいたします。
 まず最初に、アメリカで起こりました同時多発テロ事件の考え方ということでございます。
 この事件は、一瞬に多くの尊い人命が奪われた、許しがたい暴挙だと考えております。いかなる理由をつけても、許せるものではないということについては、全く同感でございます。二度とこのような悲惨な事件が起こらないように、テロ根絶に向けて国際社会全体で取り組んでいく、努力をしていく必要があると考えております。
 次に、12年度の一般会計決算について、経常収支比率、あるいは公債費比率が改善をされた、若干好転をしたということです。これについての具体的な努力はどういうものだったのかということと、今後の財政運営にどのように臨もうとしているのかという御質問でございます。
 12年度におきましては、歳入確保のために、区税や国民健康保険料の休日・夜間の窓口開設、また、管理職による臨戸徴収など未収金対策、財調交付金の確保努力、起債や国、都の補助金の積極的な活用などに努めたところでございます。また、歳出抑制については、光熱水費等の内部管理経費の節減や、事業の実施段階における執行の工夫による事務経費の抑制などでございます。職員一丸となって取り組んできたところでございますが、今年度に入って、景気がさらに悪化をしていると。歳入では、特別区税や国民健康保険料の調定額が伸びていないということと、歳出面でも、不況による扶助費等の増加も見込まれることから、財政環境は引き続き厳しい状況にあると考えています。
 平成14年度は、特別区税や都区財政調整交付金などの伸びが望めないということもございまして、利子割交付金の減少や、外郭団体からの返還金など臨時の財源対策がなくなりまして、歳入が落ち込む一方で、新たな財源を伴う課題も幾つかございます。予算編成はさらに厳しい状況のもとで行わざるを得ないと考えております。区は行財政5か年計画に基づいて行財政の構造改革に取り組んでいるところでございますが、私は、この計画の着実な執行に最大限の努力を払って、計画に盛り込んださまざまな課題の具体化を図り、一日も早く区民ニーズに的確にこたえられる、健全な財政構造を構築していきたいと考えております。
 12年度の決算の中で、3億円余の実質収支が出たということですが、決算を赤字にしないで済んだという点はよかったと思っておりますけれども、通常の繰越金から比較すれば1割程度にしか当たらないということで、条件がよくなったと言い切れる状況ではないこと。また、11年度経常収支比率が101.7%という数値になりましたけれど、これは運用金を5億数千万円消化した、この部分が1.7%のオーバー分に入るわけですけれども、運用金については、5年以内にもとへ戻さなければいけないという制約がございますので、3億円残ったといっても、使ってしまった5億円にもまだ足りないということですので、これからの行財政5か年計画の中で、十分回復する努力をしていかなければいけないと考えているところでございます。
 他の質問につきましては、それぞれ所管部長からお答えいたしますので、よろしくお願い申し上げます。
  〔選挙管理委員会委員長佐藤博登壇〕
選挙管理委員会委員長(佐藤博) 不在者投票所の増設についてお答えを申し上げます。
 不在者投票所は、当初、区役所1カ所でございましたが、平成5年に鷺宮地域に1カ所、その後、南北に長い区の地理的状況を勘案いたしまして、平成11年の統一地方選挙より、南中野地域に1カ所設置し、現在に至っております。
 不在者投票所の増設につきましては、選挙人の利便性が図れると考えていますが、一方では、適正に選挙事務を管理執行する必要があり、これまでも委員会として議論してきたところです。今後の増設については、地理的状況、有権者数、増設経費等を含め、検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
  〔地域センター部長柳澤一平登壇〕
地域センター部長(柳澤一平) まず、地域センターの集会室の利用についての御質問でございます。
 地域センターの集会室は、その設置の経緯から、地域自治に関する活動ですとか生涯学習活動など、継続的な地域の自主活動に使用していただいているところでございます。結婚披露パーティー等を目的とする利用につきましては、この趣旨からいうと、認めることはなかなか難しいのではないかと考えております。
 また、アルコールを伴う飲食についての御質問でございます。現在の集会室受け付けマニュアルでは、もっぱらアルコールを伴う飲食を目的とする利用は認めておりませんが、主たる団体活動に付随する飲食については、施設管理上支障がない範囲で認めることといたしておりまして、団体により対応が異なることのないようにいたしております。
 次に、認証保育所制度についての御質問でございます。
 まず、駅前保育所(A型)の状況についてどうかということでございます。民間事業者1社が、9月初旬に都へ認証申請書を提出したところでございます。都では正式に受理をしたということでございまして、順調に都の審査手続が終了いたしますれば、10月下旬には認証を得て、11月には開設の見込みというのが現状でございます。
 次に、認証保育所のB型、未認可保育室から認証保育所への移行の御質問でございます。
 このたび新設された東京都の認証保育所B型制度は、施設基準や職員配置を認可保育所に準ずる内容とするなど、保育環境の整備を図るとともに、13時間保育を義務付けるなど、時代のニーズに応じた保育サービスを提供していこうとするものでございます。
 区では、区内の保育水準向上のためにも、都の認証が得られ次第、認証保育所としての運営費補助を行っていく予定でございまして、3園が13年度中の移行を希望いたしております。
 なお、準備が整わない未認可保育室については、移行に向けまして、認証基準を満たすべく、区としては適切な指導、助言、情報提供を行っていきたいと考えております。
 以上でございます。
   〔政策経営部長渡辺征夫登壇〕
政策経営部長(渡辺征夫) 行政書士に関します御質問にお答えさせていただきます。
 御質問にもございましたように、現在、区では、月に1回、行政書士によります行政許認可相談を実施しているところでございます。それに加えまして、1階の広聴相談窓口に行政書士に関しますパンフレットを置くなど、PRを行ってきたところでございますが、確かに、認知度が低いということもございますので、今後は区民からの問い合わせに対しまして、窓口で行政書士の名簿をお示しするなど、配慮してまいります。
   〔都市整備部長宮村光雄登壇〕
都市整備部長(宮村光雄) 東京都住宅供給公社住宅の募集案内書の、中野区役所内の売店での販売についての御質問にお答えいたします。
 東京都住宅供給公社の募集案内書は、公社の本社や支社などの窓口と、都内の書店などで販売されておりまして、近くでは新宿、高田馬場、池袋などに販売所がございます。
 御提案の、区役所内の売店での販売につきましては、売店の運営主体の意向等も確認する必要がありますが、慎重な検討が必要だと思われますので、区役所内に限らず、区民に身近なところで入手できるように、東京都住宅供給公社に働きかけてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長浦野純子登壇〕
保健福祉部長(浦野純子) 私からは、禁煙問題と健康都市宣言の御質問についてお答えいたします。
 初めに、禁煙問題でございますが、御指摘のように、多くの研究結果から、喫煙妊婦では低体重児の出生、早産、周産期死亡、妊娠合併症の頻度が高いことなどが明らかになっています。また、受動喫煙による乳幼児突然死症候群(SIDS)への関与も指摘されています。
 区では、母子手帳を交付する際や、母親学級、両親学級開催時に、喫煙による胎児、乳幼児への影響に関する健康教育や、禁煙のパンフレットを手渡し、禁煙の大切さを指導しています。さらに、出産後の健診時には、喫煙の状況を聞き、母親ないし家族が喫煙者の場合は、個別に禁煙の指導を行っています。妊娠を契機にほとんどの妊婦が禁煙をしますが、出産後、育児ストレスなども誘引となり、再喫煙が始まる例が多く見られます。また、妊婦のみでなく、禁煙者の再喫煙率が高いことにつきまして、今後さらに健康教育で重視していきたいと考えています。
 次に、健康都市宣言の御提案について、どのように検討しているかについてお答えします。
 現在、中野区保健推進計画の改定作業に取り組んでおりますが、本計画は、乳幼児から高齢者までの、世代の特徴に合わせた健康づくり事業や、自主的な健康づくりグループへの支援策などを示すとともに、区民が生き生きと暮らすことができるまちの姿を具体的に描くものでございます。また、この計画は、健康日本21の地方計画として位置付け、区民とともに進める地域保健活動の目標を明らかにするものでございます。
 その目標を具体的に示すものとして、健康都市宣言について検討を進めているところでございます。
     〔教育長子安圭三登壇〕
教育長(子安圭三) 禁煙教育についてのお尋ねがございましたので、お答えをしたいと思います。
 中学校の保健体育の授業の中の「健康な生活と疾病の予防」の中で、喫煙の行為が心身に与える影響や健康への害などにつきまして、自己の課題として考える、課題解決的な学習を中心として取り組んでいるところでございます。さらに、養護教諭を中心とした保健指導の時間でも、喫煙防止について取り上げ、身体への影響だけではなく、依存性のための常習化などにも触れながら、進めているところでございます。今後は、飲酒、薬物乱用とあわせまして、身体への直接の影響だけではなく、人間関係の中で、断る勇気、それから、誘惑を受けやすい社会環境など、心の問題として、幅広く学校教育の場で考えていく必要があると思っているところでございます。
   〔福祉担当部長本橋一夫登壇〕
福祉担当部長(本橋一夫) 私からは、福祉プラン21の改定についての御質問にお答えをさせていただきます。
 現在の福祉プラン21は、12年度を初年度とした行財政5か年の計画で、3年ごとに改定することとなっております。次の福祉プラン21の改定は、15年度を初年度とするわけですが、この年度は障害者福祉の分野でも、措置から利用者による選択、支援費の支給という、制度の転換の時期にも当たります。社会福祉基礎構造改革の視点に立ちまして、サービスの利用者と提供者との対等な関係の確立や、利用者がみずから選択できるサービス提供体制の確立など、新しい、公私協働による地域福祉体制の整備を目指したいと考えております。
 また、本年4月に、保健と福祉の組織統合をいたしましたが、その趣旨も踏まえながら、地域で保健福祉施策を総合的に推進する計画とする考えでございます。
 計画の策定に当たりましては、学識経験者や区民、保健、医療、福祉関係者で構成する第3期保健福祉審議会において、先ほどお答えいたしました視点に立ちまして、基本的な理念や方向性などについて御議論いただき、14年度末までに策定をしたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
     〔西村孝雄議員登壇〕
37番(西村孝雄) 簡単に再質問しますが、一つは、公的住宅の入居案内の話ですが、既に、足立区と板橋区と墨田区は、区で契約してやっているそうです。ですから、こっちが手を挙げて交渉すれば、可能じゃないかと思うんですね。そういう意味では、都の話だからということではなくて、それから、さっき申し上げましたように、供給公社と都民住宅の違い、都営住宅との違い、この辺のことはまだまだ知られてないと思うんですよね。ですから、せっかく区に住宅課があるわけですから、その辺の違いについてももっとPRする中で、この募集パンフも、庁内でだめのような話ですが、ぜひ、庁内で何とか配付できるような工夫をすべきじゃないかと思います。もう一度答弁をお願いしたいと思います。
 それから、認証保育制度のことですが、さっきのような答弁ですと、場所なんかもうわかっているんじゃないですか。場所がどこか、話がなかったですが、11月からオープンというわけですし、恐らく、定員が50人ぐらいになるんじゃないかと思いますが、さっき樋口議員の質問ですと、中野の保育のあり方を云々という話がありましたけれど、これは中野の保育行政のあり方に対しても、今までと違ったインパクトといいますか、非常に大きな影響力があると思うんですよ。例えば50人定員のA型の認証保育所ができると、いろんな意味で、今度は公立の方の調整だってしなきゃいけないじゃないですか。そういうことを含めたりしますと、先ほど申し上げました、まさに都の福祉改革プランがあって、これができたわけですし、なぜこれができたかというと、やっぱり背景には、何でも行政だけがやればいいという時代はもう過ぎたんだといいますか、そういう時代でなくなってきたんだという認識を、このようなことを通して我々もすべきじゃないかと思うんですね。ですから、もっとオープンにできることはどんどんオープンにする中で議論をした方がいいんじゃないかと思います。場所もどこなのかわかりましたら教えていただき、本当はそれに関連した保育行政のあり方まで聞きたいですけれど、それは別の機会にしますが、11月といったらもう目の前ですからね。
 関連して、駅前A型は宣伝等は区でやるということは一切ないのかなと思うんですが、都の制度ですから、都はPRしますよね。区はこれを指をくわえて待っているのかどうか、あるいは眺めているのかどうか、追加質問みたくなりますが、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
 それから、最後の、福祉プラン21というのは、単なる福祉プラン21ということにとどまらないと私は思うんですよね。さっき申し上げましたように、社会福祉の基礎構造改革というのは大変大きな流れなわけですから、担当の福祉関係のところだけが認識をすればいいということじゃなくて、区全体としてこのことを認識しなきゃいけないと思うんですよ。ですから、どういう人にやってもらうのかということで、有識者とかなんとかというような話もありましたけれど、このことをまず庁内でしっかり受けとめて、どう議論するかということがまず大事なことじゃないかと思うんですよ。このことは、すぐ審議会に委託したりとか諮問をしてしまえばいいということで事済む問題ではないと思うんですよね。ですから、そのことを含めて、庁内でどういう議論をするつもりなのかということと、15年度からでは遅いんじゃないかと思うんですよね。都は、社会福祉基礎構造改革を受けて、もう去年の12月に東京都の福祉改革推進プランを素早くつくっているわけですよ。ですから、それを2年も3年もかけてやっと区が15年度からつくりますというようなことでは、ますますおくれてしまうという気がしてなりませんが、もう一度答弁をお願いしたいと思います。
 以上です。
   〔都市整備部長宮村光雄登壇〕
都市整備部長(宮村光雄) 再質問にお答えいたします。
 先ほども申し上げましたとおり、区役所内の売店での販売につきましては、売店の運営主体の意向の確認はやっぱり必要だと思います。それと、行政側でやることにつきましても、可能性としては、ほかの事例もないわけではありません。他の区では、区といいながらも、実際に外郭団体で対応しているというケースもございまして、具体的に、どんな形がやれるのか、それから、民間で今まで丸井でやっていただいていたわけですが、民間がやれるんであれば、それが一番望ましいのかなと思いますので、庁舎内のことももちろん否定いたしましたけれども、庁舎外でも、とにかく区民にとって身近なところで入手できるようにということでの働きかけを、公社等にやっていきたいと思っております。
  〔地域センター部長柳澤一平登壇〕
地域センター部長(柳澤一平) 再質問にお答えをいたします。
 認証保育所A型につきまして、先ほど申し上げましたように、都の審査中ということで、粗々な答弁になりましたけれども、中身に少し入りますと、開設場所でございますが、中野区中野4の6の20、フェイム中野ビルでございます。場所は、サンクオーレの丸井の本社と都税事務所の間の通りに面したところでございます。
 ここで扱いますお子様ですが、産休明けのゼロ歳から2歳まで、50名を予定しております。
 なお、PRについての御質問でございますが、開設に合わせまして、区報でPRをしていきたいと考えております。
 以上でございます。
   〔福祉担当部長本橋一夫登壇〕
福祉担当部長(本橋一夫) 福祉プラン21の改定についてでございますが、御指摘のとおり、この福祉プラン21の今回の問題につきましては、非常に大きな課題であります。保健福祉部門だけではなくて、全庁挙げてしっかり議論していくということについては、私どもも肝に銘じて取り組んでいきたいと思っております。
 策定のスケジュールについてですが、現在、支援費支給制度のあらましにつきましての国の提示等がおくれております。また、今年度、私どもの方でも障害者のケアマネジメントについて、試行的な取り組みをする予定でおります。それらの問題も整理しながら、14年度末までに、介護保険事業計画の改定と整合も図りながら策定していきたいと考えているところでございます。
副議長(飯島きんいち) 以上で西村孝雄議員の質問は終わります。
 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
副議長(飯島きんいち) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
 本日はこれをもって延会いたします。
      午後6時35分散会