平成13年09月20日中野区議会本会議(第3回定例会)
平成13年09月20日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録

1.平成13年(2001年)9月20日、中野区議会議事堂において開会された。

1.出席議員(43名)

  1番  吉  原     宏        2番  伊  藤  正  信

  3番  きたごう  秀  文        4番  高  倉  良  生

  5番  やながわ  妙  子        6番  鈴  木  光  子

  7番  佐  伯  利  昭        9番  むとう   有  子

 10番  長  沢  和  彦       11番  牛  崎  のり子

 12番  山  崎  芳  夫       13番  高  橋  ちあき

 14番  市  川  みのる        15番  岡  本  いさお

 16番  こしみず  敏  明       17番  飯  島  きんいち

 18番  小  串  まさのり       19番  はっとり  幸  子

 20番  佐  藤  ひろこ        21番  来  住  和  行

 22番  樋  口  きこう        23番  若  林  ふくぞう

 24番  古  木  謙市郎        25番  し  の  国  昭

 26番  斉  藤  金  造       27番  斉  藤  高  輝

 28番  大  泉  正  勝       29番  柿  沼  秀  光

 30番  木  村  勝  昭       31番  細  野  たいじ

 32番  岩  永  しほ子        33番  昆     まさ子

 34番  小  池  ひろし        35番  岩  田  みつる

 36番  伊  藤  岩  男       37番  西  村  孝  雄

 38番  江  口  済三郎        39番  藤  本  やすたみ

 40番  川  上     進       41番  近  藤  正  二

 42番  江  田     徹       43番  池  田  一  雄

 44番  小  沢  哲  雄

1.欠席議員(1名)

  8番  平  島  好  人

1.出席説明員

 中 野 区 長  神 山 好 市      助     役  池 田   學

 収  入  役  藤 原 恵 一      教  育  長  子 安 圭 三

 政策経営部長   渡 辺 征 夫      行財政改革担当部長 石 神 正 義

 企 画 課 長  金 野   晃      総 務 部 長  沼 口 昌 弘

 総 務 課 長  西 條 十喜和      区 民 部 長  内 田 司 郎

 地域センター部長 柳 澤 一 平      環 境 部 長  正 木 洋 介

 保健福祉部長   浦 野 純 子      福祉担当部長   本 橋 一 夫

 都市整備部長   宮 村 光 雄      土木担当部長   石 井 正 行

 教育委員会事務局次長 須 崎 英 夫

本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  山 岸 隆 一      事務局次長    佐 藤 栄 時

 議事調査担当係長 栗 原   望      区議会事務局主査 藤 塚 喜 正

 区議会事務局主査 大 石 紀 久      区議会事務局主査 巣 山 和 孝

 区議会事務局主査 永 田 純 一      区議会事務局主査 長 崎 武 史

 書     記  渡 辺 伸 郎      書     記  松 原 弘 宜

 書     記  西 田   健      書     記  三 浦 正 貴

 書     記  飯 田 浩 一      書     記  佐 藤 雅 俊

 

 議事日程(平成13年(2001年)9月20日午後1時開議)

日程第1 認定第1号 平成12年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

 

      午後1時03分開議

○議長(斉藤 金造) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 木 村 勝 昭

 1 今までの用地取得と現状について

 2 まちづくりのこれからについて

 3 時代の変化と行政のあり方について

 4 その他

 

○議長(斉藤 金造) 最初に、木村勝昭議員。

     〔木村勝昭議員登壇〕

○30番(木村勝昭) 市民自治フォーラムの立場で、一員として、平成13年第3回定例会に当たり、質問をさせていただきます。

 まず、先般の米国でのテロ事件で亡くなられた方々、被害に遭われた方々に、心からお悔やみ、またお見舞いを申し上げます。

 さて、私は、土地開発公社の評議員のメンバーでもありますが、今回、議会の常任委員会の所属委員会が総務委員会になり、用地問題もいろいろ議論することになりました。いろいろ過去の経過を踏まえないと、物申せないことも生じてまいりました。そのため、今回この夏の時期、用地関係について、時間の及ぶ限りで、資料をもとに調べ、現場も見たりいたしましたが、そこで生じてまいりました疑問について、幾つか質問をいたします。

 あらかじめ申しておきますが、区における用地の取得の歴年の経過や会計区分、事業の実施状況、各用地の現況など、ひもといていきますと、実に複雑、難解であります。作成しました資料も、各議会に提出された資料などを何遍もじっくり目を通しながら、頭の中を整理したところです。まだ調査中であることを前提に、現時点での私の認識をもとに、質問をいたします。

 用地にかかわる財政負担が、財政危機の構造的要因の一つであることは、従来から指摘をされておりましたが、今回の私の質問の切り口は別の角度から行いたいと思います。

 まず、土地開発公社が発足以来の用地取得状況を見ますと、昭和63年度に発足以来、平成12年度までにおよそ86件の用地を取得しております。およそと申しますのは、いわゆるまちづくりのための用地など、小規模で同じ年度に取得している場合は、数件を一括して1件に数えております。そのような意味で86件であります。幾分か具体的に申し上げますと、昭和63年度が5件、平成元年度が10件、2年度が12件、3年度が15件、4年度が14件、5年度が8件、6年度が4件であります。これでこの期間で68件であります。合計が86件でありますから、平成7年度から12年度で18件ということになります。

 そしてまた、平成6年度までに土地開発公社で取得した68件の用地のうち、区で引き取った用地は39件であります。しかし、そのうちの4件は、用地特別会計に移したものであります。公社用地のまま残されているのが29件であります。用地会計に残された4件を含めますと、33件が区に引き取られずに残されたことになります。引き取り率は51%であります。

 平成12年度までで見ますと、実際に区で引き取ったのが44件になりますので、引き取り率はくしくも51%となります。7年度以降は用地取得実績もがくんと落ちておりますし、また区で引き取る財政能力もほぼなかったことを意味している数字とも言えます。

 私は今回、中野区のこのような状況は、各特別区の中でどのような状況にあるのか、これまた対比できるのかも必要と思い、調べてみましたが、これもまた大変驚くことであります。平成11年度末時点の各区の土地開発公社の保有地の保有額資料によりますと、平成11年度末でございますが、トップは足立区の651億円であります。続いて中野区の216億円であります。その後、世田谷区の193億円、葛飾区の186億円、練馬区の144億円、大田区の127億円、板橋区の107億円と続きます。言うまでもなく、これらの区の面積や財政規模は、我が区を大きく上回っている区であります。

 また、5年以上保有している用地の保有額で見ますと、100億円を超えているのは、足立区の525億円と中野区の142億円だけであります。10年以上保有している用地の保有額では、練馬区の17億円、次が中野区の12億7,000万円、足立区の12億4,000万円の3区であります。正直申し上げまして、私の感想といたしましては、これは一体どういうことなんだという一語に尽きたところでございます。

 用地取得は膨大な財源及び金利負担がついているわけですから、このような用地取得と今日まで続いた金利の支払い、そしてこれからの土地開発公社財政健全化計画に基づく後年度負担など、総合的に勘案して、どのくらいの区民の税金がむだに使われていたのかの試算は、過去いろんな方が議会でも質問をしております。数字なども出ておりますが、本日のところ、私はできませんので、推して知るべしというふうにしか、今思えません。現状分析をいろいろ述べますと、次々と述べざるを得ませんので、質問をいたします。

 まず、公社用地を適正な時期になぜ引き取りをしていないかということです。特に平成年度の初期、3年度、4年度などは、公社所有のまま公園開設などを数多く行っております。平成3年度取得分は、翌4年、5年度に公園やポケットパークとして5件、4年度も2件を公園拡張として開設しております。また、これは偶然だと理解しますが、平成3年度には高根保育園園庭拡張として201平米を1億8,000万円で取得しております。平成4年度には朝日ヶ丘保育園園庭拡張として78平米を3,200万円で取得しております。御承知のように、この2園は既に廃園になっております。この時期になぜ区に引き取らないままで、事業転用を行ってきたのか。また、最近の財政状況から見れば、まだ財政的な余力があったはずの当時に、なぜそれらの用地を区に引き取らないまま今日に至ったのか、その経過をわかりやすくお答え、御説明をください。

 次に、中野三丁目20番地にある囲桃園公園は、平成3年度に3件、いわば3回の用地取得で拡張を行っております。もちろん現在公社用地のままですが、私は3度にわたり用地取得を行っている公園拡張はどんな公園なのかと、不勉強ながら初めて現場を見てまいりましたが、拡張用地の一部は金網で覆われたままであります。中野区の所有という表示らしきものも何もありませんでした。なぜそのような状態になったままなのか、経過、理由を御説明ください。

 次に、中野五丁目3番地の中野五丁目公園用地というところは、平成4年度に668平米、平成5年度に501平米、平成6年度に375平米を、それぞれ5億7,900万円、6億1,000万円、2億2,000万円で取得をしております。合計で1,544平米をおよそ14億900万円で取得をしているわけでございます。当時の位置付けは保健福祉施設用地ということでありましたが、ここも現場を見てまいりましたが、御承知のように、現在は駐車場として利用されておりますが、ここでも奥の方の一部は囲いがされて、使用されておりませんでした。現在なぜそのような形状になっているのかの経過をわかりやすく説明をしてください。

 個別の質問はいろいろございますが、このぐらいにいたしますが、今までの用地取得の経過を調べますと、いろいろな問題を内包したまま、現在に至っているというふうに感じます。私は、冒頭申し上げましたように、議会の総務委員会で用地の売却の議論をするにつけ、現在売却の俎上に乗せられている用地ではないところで、もっと適切な用地がないのかどうかを把握することが、今回の私の調べの動機でもありましたが、現状を曲がりなりにも把握するにつれてわかってきたのは、今までの用地取得、用地管理、用地利用の位置付けのあいまいさなどであります。土地開発公社の用地とは別に、用地特別会計の土地も公社から移されたものを含め、相当の金額で、相当長期にわたって用特会計に置かれたままになっております。現在は9件あります。用地特別会計の用地の扱いについても、筋の通った対処を行うべきと、そのような姿勢が必要であるとも思います。今後どのように対処されるのか、お尋ねします。

 以上、いろいろ申し上げましたが、区における今までの用地取得による財政負担は、23区一律のものではありません。当区の固有の問題すなわち執行責任の問題でもあります。今後とも、いずれにしても、重い重い財政負担としてのしかかってまいります。

 さて、監査委員の決算審査意見書は、まとめのところで次のように述べております。昨日西村議員も引用されておりましたが、こんなように述べております。「12年度決算は、これまで積み重ねてきた歳入歳出全般にわたる厳しい見直しと、全庁挙げた改善努力に加えて、特別区交付金の比較的順調な歳入もあって、決算数値や財政指標としては、悪化の一途から改善の方向に向かったことがうかがえる。しかし、このことは決して中野区の財政状況が好転し、安定的な財政に移行したことを意味するものではない。投資的事業の先送り、施設の維持補修費などの歳出を極限までに削減した結果の縮小均衡という側面が強い」と指摘しております。「極限までの削減」という言葉を使用せざるを得ない状況の指摘は、私も同感をいたしますが、「縮小均衡」という表現はどうかと思いました。私は、現在の状況は「縮小不均衡」の状態にあると認識、見なければならないと考えております。投資的経費がない。すなわち仕事ができない。仕事をしない。維持補修すべきところが維持補修できない。これで何で「縮小均衡」というのでしょうか。「縮小不均衡」と表現すべきと思っているところでございます。それは別にいたしまして、また意見書は「職員の削減を続けているにもかかわらず、人件費の割合も依然として高い」とも指摘しています。いずれにしても、監査委員の厳しい指摘であります。

 用地取得にかかわる経緯と現状を見てまいりましたが、区民の目から見たら、巨額の先行取得債の発行で手に入れた用地が、現在も将来もどのように使えるようになるのかわからないというのでは困ったものであります。たまったものではありません。今後の対応について、当然検討いただくものと理解しておきますが、この質問の最後になりますが、用地取得とその後の処理にかかわる財政負担は消えず、現在、未来にわたり大きないわば重石であることが現実です。区長は責任者として、用地取得の経緯や状況を振り返り、また今の時点でどのような認識をお持ちなのかをお聞かせください。

 次に、まちづくりのこれからということでお伺いいたします。

 まちづくり公社の廃止が提案されているわけですが、これも政策的な議論の末に廃止が提案されたわけではありません。日本一に近い住宅密集地域であることは、世界一の住宅密集地域でもあるといっても過言ではない中野区であります。災害に強いまちづくり、人と人の触れ合いのあるまちづくりこの課題、方針と実践は一層大切になっています。したがって、今後どのような対応でまちづくりを進めていくのかが問われております。

 まちづくりということは、都市の現状把握や分析、対策、方針と、ペーパーに書けば極めてあっさりしたものでありますが、人、人間が住まうまちの改造、改修、修復など、具体論に入りますと、入り組んだ住民の財産、動産、不動産の錯綜、利害など、居住歴なども絡み、容易に物事が進まない、大変な仕事であることは言うまでもありません。だからこそ、お役所仕事ではなく、住民の立場を十分踏まえつつ、各種まちづくり手法の紹介や政策的誘導、説得、財政的援助、支援などを複合的、重層的に組み立てて取り組むために、公社の役割があったわけであります。

 各地区でまちづくり公社の改廃が行われていることもありますが、事、当中野区にとっては、課題が明確にあるわけですから、まちづくり公社的役割、機能は、どのようなことがあれ継続させていかねばならないと思います。

 公社が廃止の方向で進んでいるという現状の中で、現在区民の間でもいろいろな議論がされております。現在でも「公社は残してほしい」という意見もあれば、「そうはいっても現実的には存続は無理なんだから、それなら今後どうするかを考えよう」などと、区内のあちこちでの議論が行われております。また、そういうお話が私どもの耳にも入ってまいります。現在区に問われているのは、仮に公社が廃止されても、区は遜色ないまちづくりの対策の対応をすることにあると思われます。もちろん区は公社が解散した後も、公社が行ってきた事業をできる限り継続すると言っておられますので、今までのまちづくり公社の活動展開を踏まえて、特に区民との関係から見てという意味で、質問をいたします。

 第1は、区はまちづくり公社が解散した後、公社が行ってきた区民のまちづくりグループへの支援、交流機能を維持するとすれば、何らかの場が必要であると思います。私は、現在公社の評議員をたまたま務めておりますので、現在の公社には時折評議委員会などでお邪魔する機会がありますが、いつでも気軽に、また必要なときには不便なく参集できるような場の確保は欠かせないと思います。ところで、理事者の皆さんは余り苦労した経験がないと思いますので、私の私事のことですが、申し上げますと、現在区の中心部、すなわち中野駅周辺のエリアで会議や集まりを持つときに、私どもが一番大変本当に苦労するのは、会場探しであります。一々公共施設の名前は挙げませんが、ウイークデーの夜も大変ですが、土曜日の午後の時間帯などは、会場探しで消耗してしまうぐらいであります。これは私の率直な経験、感想であります。それが現実であります。場の提供ということが非常に大事だというふうに、私は個人的にも思っておりますので、この公社の亡き後のまちづくりに関連しての場の提供ということについて、いかがお考えか、どのような検討をされているのかをお聞かせください。

 また、先ほど申し上げましたように、これからのまちづくりについて、区民の間でも、区民の立場でこれからどのようにまちづくりにかかわっていくべきか、あちこちで議論がされておりますことは申し上げましたが、そのような中で、区民みずからも自分たちでまちづくりを支援する組織を立ち上げようとする動きも見られます。従前から区も提案しておりました区民との協働、区民から見たら区との協働、いわゆるパートナーシップ論がまちづくりにおいても具体的な課題として発生してきたと思います。公社なき後、区は区民と協働してまちづくりを進めることについて、どのような対応策をお持ちなのかをお伺いいたします。

 次に、時代の変化と行政のあり方ということで幾つか質問をいたします。

 先般議会の特別委員会、佐伯委員長のいわゆる分・税特委員会で、中央大学の佐々木信夫先生を講師に、学習会が開催されました。委員会でいろんな講師の先生をお招きして勉強会を行いますと、いつもいろいろな示唆を受けますが、先般は「地方分権推進と自治体のあり方」というテーマで開催いたしましたこの勉強会も、大変参考になる御意見をお伺いすることができました。

 よく現在の日本を例えて、明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革期であると言われておりますが、先般の佐々木先生の講演は、私の感覚で申し上げますと、第三の改革期と言われる内容のある部分を、現実に即して具体的に説明をいただいたという印象を持ちました。中央政府と自治体が上下主従関係から対等の関係に変化したという大きな転換や、日本の自治制度は自治体の長と自治体議員が双方とも住民の選挙で選出されるという、いわばいわゆる二元制民主主義の制度の中で、これからの自治体行政や自治体職員のあり方、またこれからの自治体議会あるいは自治体議員のあり方について、かなり突っ込んだお話をお伺いしました。例えば自治体議会は本来与党も野党もない、チェック機関に徹するべき、それが本来の議会であるというような佐々木先生の指摘は、今までの議員感覚から言えば、価値観の転換を伴うことでありますが、日本の自治体執行機関は議員内閣制で構成されているわけではありませんから、そのとおりであります。地方分権推進はやっとそれの扉が開かれたというのが、昨年4月以降でありますが、これから第2次、第3次の分権推進が進められようとしているのであります。昨日も西村議員が社会福祉行政の大きな転換期という議論をされておりますが、時代の変化は急速であるということであります。

 これから5年、10年とかけながら、今申し上げましたいわゆる地方分権推進の根本的変化を初め、いろいろなジャンルでの変化が進もうとしております。高齢者化社会の進展は、地域においていわば前期高齢者、定年退職直後の働き盛りの人材が地域にストックされるという状況をつくり上げつつあります。また、変化の急速な時期、これは激動期とも言えるわけですが、激動期には世代革命が起こるということも歴史の示すところであります。世代交代の時代という時代の変化でもあります。IT革命による急速な情報化推進の時代でもあります。これら一連の変化は、縦割り社会、上下主従関係の時代から、水平的な関係になる時代とも言えます。このような時代の変化に応じた、これからの行政のあり方について質問をいたします。

 まず、今後の地域センターのあり方でありますが、結論から申し上げまして、現在地域センターに配置されている職員を極力大幅に引き上げる方策を大前提にした対応をするべきではないかということであります。これは現在の区の財政構造改革を進める上でも、どうしても避けては通れないことではないかと思っております。同時に、地域のコミュニティ形成の場としての地域センターの有効利用は、さらに大切になっております。さらに英知を絞り、検討する必要があると思います。このことは地域センター問題だけに限られたことではありませんが、施設の統廃合ということが言われておりますが、内向きの議論だけではなく、区民との協働による新たな公共空間を、いわば財政負担を少なくしつつ、どのようにつくり上げるかということでもあります。本日は地域センターの今後についてということで、どのような検討をされているのでしょうか、お尋ねをいたします。

 次に、職員の意識改革、能力・人材開発に関連してお尋ねいたします。

 申し上げましたように、縦割り、上下、垂直的関係から、水平的な関係ということは、行政組織においても言えることではないでしょうか。特に分権推進の本筋は、指示待ち行政から、自律、自己責任、みずから判断をする行政、行政組織、行政マン、公務員への転換が求められております。

 さて、現在パソコン等によるメーリングリストも急速に進んでおりますことは、御承知のとおりであります。中にはマニアのような方もいて、意味のないメールのやりとりも見受けられますが、基本的には非常に重要な伝達手段、また使い方によっては非常に大切な能力開発手段にもなるわけであります。

 現在、またこれからは行政職員の問題意識の掘り下げ、みずから学び、自己能力を高めていくという課題は、非常に大切なことにもなっているわけでございます。行政課題を担当部署だけで協議して対応するという旧来の手法、枠組みだけでなく、現在の情報化は新たな発想で、新たな試みを行える条件をつくり出しているようにも思います。例えば行政の主要な課題、行政内部の大事な課題等について、セクションを超えて、また上下関係、年代などを超えて、テーマ別に意見交換を行う、あるいは意見を求める、フリー、闊達な議論を行う、そのようなことを試みてもよいのではないでしょうか。今私が提案申し上げているのは、これをいわば非公式でやるという意味ではございません。区のいわば公式サイトとして、メーリングの管理者などもきちと位置付けて、職員が自由闊達に議論を行うというようなことでございます。特に私が御提案申し上げておりますのは、行政全般のフリーな議論ということではなく、テーマや課題を設定した上でのことであります。ありきたりの課題を設定するのか、職員がやる気を起こす、参加の意欲を示すようなような課題、テーマを設定するのかは、これまた理事者の皆さん方次第であります。何かお考えをお持ち合わせかどうかをお聞かせください。

 最後になりますが、本年度から政策経営部が発足いたしましたが、状況は急速な時代の変化の中で、また中野区固有の問題として課題を抱えての発足でありますが、この政策経営部は現在どのような方針と課題設定を持ち、これからの中野区をイメージされているのか、最後にお尋ねをいたしまして、私の質問を終わります。

 再質問はできるだけしないようにしたいと思っておりますので、簡明、明快、簡潔な御答弁をお願いいたしまして、質問を終了いたします。

     〔区長神山好市登壇〕

○区長(神山好市) 木村議員の御質問にお答えいたします。

 今までの用地取得と現状について、いろいろ御質問いただきましたが、それぞれ個別の状況、またその取り扱いについては所管部長の方からお答えいたしますので、私の方から、取得した用地、この財源、大きなネックになっておるんではないかと。現時点でこの状況をどうとらえ、またどのような考え方を持っているのかということについて、お答えをさせていただきます。

 用地につきましては、その時々の区民の要望、ニーズに合わせて取得してきたものでございます。財政の悪化から、事業を凍結せざるを得なくなって、引き取りができないままとなっているものがございます。財政運営上、引き取りを見送ったものですが、その後の財政状況の変化を十分見通せなかったということについては、反省すべき点がございます。用地特別会計で取得した用地については、今15年度に償還が終了する予定でございます。また、土地開発公社で取得をした用地については、土地開発公社経営健全化計画に基づきまして、17年度までに起債を活用して、計画的に引き取る予定でございます。この起債の償還につきましては、ここ数年起債を抑制していることから、長期的に見まして、公債費比率も10%以内におさまるのではないかという見込みでございます。これからも健全財政確立を目指して、努力をしてまいりたいと思います。

 次に、まちづくり公社についての御質問でございます。これはまちづくり公社に限らず、昨年公益法人等への職員の派遣の制度について、法律が公布、施行されてまいりました。来年の4月からそこの派遣されている職員の身分取り扱い等に大きな条件の変化が出てくるということから、どうしてもここで対応せざるを得ないというところでございます。このまちづくり公社については、5名の職員、区の方から派遣した職員がおります。ほかの事業団、公社等の場合には固有職員もいるわけですが、このまちづくり公社の場合は、区の方の職員ですべて運営してきたということがございますので、この機能を、公社はここで解散ということになりますけれども、区の方で引き取って、まちづくり、これについての活動を継続して行っている住民団体あるいはグループ、これへの支援というものを引き続き行っていきたいというふうに考えております。その後、情報の提供やグループの交流などできる場所、これも必要になってくるというふうに思っておりますので、現在検討しているところでございます。

 次に、区民の中にまちづくりの組織ができている、これに対する区の協働ということについてどう考えているのかということですが、区と区民の協働の中には、まちづくりを考えるグループとの共同もあれば、そうしたまちづくりグループを支援する団体との協働もございます。できる限り支援、協力はしていきたいというふうに考えているところでございます。

 他の質問につきましては、それぞれ所管部長の方からお答えをさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

   〔政策経営部長渡辺征夫登壇〕

○政策経営部長(渡辺征夫) 私からは用地取得の現状につきましての何点かについてお答えさせていただきます。

 最初に、平成3年から5年にかけまして、公社で用地取得した、先行取得しましたのを今日まで引き取っていないわけでございますけれども、それにつきましては、当時、長期計画事業の推進といったような政策課題が多々ございまして、そういった他の施策との調整の中で、用地引き取りを先送りにするという、そういうような判断をして、今日に至ったものでございます。

 具体的に囲桃園公園の拡張用地、これも公社が取得して、現在そのままの状況でございますが、これにつきましても、開放というような形をとっていないわけでございますが、これは公社用地ではございますが、現在公社との間で貸借契約を結んで、一部植栽などをして、区で管理していると、そういうような状況にございます。ただ、拡張用地の隣接がすぐ民家がございまして、このままの状態では開放するのが難しいということで、ある程度整備が必要なわけでございますので、ちょっと財政的な観点から、その整備がきちっとできないということで、未整備のまま今日に至っていると、そのような状況でございます。

 それと中野五丁目の用地でございますが、これは平成4年度に国鉄清算事業団より公園用地として取得したものですが、その後隣接地の用地取得が可能となりましたので、その隣接地の取得とあわせまして、地域の方から要望もございました高齢者在宅サービスセンター等の建設用地といたしまして、第二次長期計画で位置づけた経緯がございます。この用地につきましては、平成6年から平成9年の3年間にわたりまして、びん・缶の回収ストックヤード用地としまして、暫定的に使用いたしました。その際、その暫定的使用につきまして、近隣の方々とのお話し合いをしたわけでございますが、御指摘の奥の方の地域、国鉄清算事業団より取得した部分でございますが、ここについて近隣の方で、できれば暫定利用に供さないようにしてほしいという、そういうような話し合いがございまして、現在はストックヤードから駐車場としての利用でございますが、その当時の話し合いの経緯がございますので、駐車場としても利用しないような形で現在に至っているものでございます。

 それと、用地特別会計で購入した用地が現在もそのまま用地特別会計の中に残っているわけでございますが、これにつきましては、先ほど区長もお答えしましたが、平成15年度には償還が終わりますので、通常は事業着手時に一般会計で引き取ることが原則でございますので、現在5か年計画の中で施設配置のあり方等を検討し、見直しをしているところでございますので、これを踏まえまして、引き取り時期等を明確にしていきたいと、そのように考えております。

 最後になりますが、政策経営部の課題認識についてのお尋ねでございます。

 政策経営部につきましては、区政運営に当たって、機動的で効果的な政策立案、事業の実施調整を行いまして、行財政5か年計画を推進し、行財政基盤を確立することが第一の役割であると、そのような認識を持っておりまして、コスト感覚や数値により成果の管理、区民満足の発想など、行政経営の視点を十分認識しながら、情報化への取り組みや効率的な組織編成、窓口サービスのあり方など、個別課題への取り組みを進めてきております。

 また、これからの自治体につきましては、分権の進む中で、自己決定、自己責任のもとに、住民自治を体現する経営が求められていると考えております。区民とともに、中野の自治を進めるためには、行政自体が変わらなければならないと、そのように考えております。行財政5か年計画の中でお示ししてございますように、行政の公開性の向上、行政評価制度の導入、バランスシートの作成、情報化推進、そういったような事柄につきましては、行政運営の改革、そういったものを目標とするとともに、これからの自治体行政を担い得る職員の育成と意識改革、こういったことに欠かせないとの認識に立っております。中野のまちは区民みずからが築くものでございまして、21世紀にふさわしい姿に区政を改革し、新しい時代に応じました生き生きとした地域社会の実現に向け努めてまいりたいと、そのように考えているところでございます。

  〔地域センター部長柳澤一平登壇〕

○地域センター部長(柳澤一平) 地域センターの今後のあり方についての御質問でございました。

 地域センターを中心といたします地域の自主活動は活発に展開をされまして、住民参加も十分に地域に根づいてきているというふうに思ってございます。これからは行政支援のあり方についても、各自治体の自主性を尊重するという視点から、そのかかわり方についても考えていくべきだというふうに思っています。このことを踏まえながら、地域センターの運営のあり方を見直す時期だというふうに思っておりまして、地域センターの職員の数も含めまして、そのありようについて十分検討していきたいというふうに考えてございます。

    〔総務部長沼口昌弘登壇〕

○総務部長(沼口昌弘) 職員の意識改革に関連しての御質問です。

 職員の意識改革や人材育成につきましては、現在行財政5か年計画に基づきまして、能力主義に基づきます人事制度の再構築、あるいは職員研修の充実、職場環境の整備のため、具体的な検討を行っているところでございます。

 今御提案のメーリングにつきましては、現在区で構築しています庁内LANの中に、職員参加の場としてのフォーラムを設けております。職員間で区政の課題から職場での情報まで、自由な意見交換ができるようにしていますので、これを有効活用していきたいと、そのように考えています。

     〔木村勝昭議員登壇〕

○30番(木村勝昭) 一つだけ、やっぱりちょっともう一度お尋ねしておきたいんですが、地域センターのことですけれども、さようないろいろ検討されているというような意味でしか答弁なかったんですけれども、もうちょっとわかりやすく、どんな議論がされているのかということは、もう少し、もし検討されているんでしたら、答えていただいてしかるべきじゃないかと思いますので、その辺よろしくお願いします。

  〔地域センター部長柳澤一平登壇〕

○地域センター部長(柳澤一平) 再質問にお答えいたします。

 地域センターのありようでございますけれども、議員が指摘されましたようなITの問題、こういう社会の進展を踏まえまして、地域センターがどう変容していくかということを具体的に、部のレベルで今検討をしているところです。これを庁内的に十分な検討を加えまして、しかるべきタイミングで議会に十分な御説明をしたいというふうに考えてございます。よろしくお願いいたします。

○議長(斉藤 金造) 以上で木村勝昭議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 小 串 まさのり

 1 21世紀の子供たちの成長と“ゆとりある教育"について

 2 (仮称)上野原スポーツ・学習施設用地の神奈川県企業庁への売却について

 3 家電リサイクル法と不法投棄、放置自転車とゴミ状自転車について

 4 その他

 (1)中野福祉作業所について

 (2)早稲田通りの渋滞解消について

 (3)CTNの活用について

 (4)その他

 

○議長(斉藤金造) 次に、小串まさのり議員。

    〔小串まさのり議員登壇〕

○18番(小串まさのり) 平成13年第3回定例会に当たり、区議会民主クラブ議員団の一員として一般質問を行います。

 その前に、このたびの同時多発テロで犠牲となられた多くの方々の御冥福を心よりお祈りするとともに、けがをされた方々の一日も早い回復を願いながら、テロを撲滅し、世界の平和を実現するために、これは各種の世論調査で示されている多くの日本国民の考え方と同様でありますけれども、憲法の枠内という制約はあるものの、日本の国と日本人は可能な限りのいかなる努力をも惜しんではならないということを申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず初めに、21世紀の子どもたちの成長と「ゆとりある教育」についてということで質問をいたしたいと思います。

 あのショッキングな大阪教育大池田小学校の事件の後も、マスコミでは連日のように幼児虐待、誘拐事件など、さまざまな事件報道が流され続けております。つい最近も、援助交際から高速道路上で中学生が亡くなるという事件がありましたが、その容疑者は何と現役の教師でありました。このような側面から見ても、我々が子どものころと比べると、比べものにならないほど子どもたちにとっては住みにくい世の中になってきたと、つくづくと感じる次第であります。

 さて、21世紀を迎えて、今、我々は「ゆとりある教育」の実現を通して、子どもたちの健全なる成長を目指すという命題に取り組もうとしております。このことは文部科学省が、教育委員会が、あるいは学校が単に取り組むべきことであるというのではなく、戦後から今日までの教育への反省を通じて、今日までの教育に別れを告げ、「ゆとりある教育」が社会全体のコンセンサスを得て、社会全体がそのことに取り組んで、初めて可能になることだと思います。

 しかし残念ながら、このいわゆる「ゆとりある教育」は、一般社会からは余り好意的には受け取られていない印象を受けます。いわく、「ゆとりある教育」とは完全学校週5日制を実現するための方便にすぎない。先生方にはただでさえ春、夏、冬と休みがあり、我々より今でさえ休みが多いのに、さらに教員を怠けさせるだけだ。いわく、教科ごとの授業時間数が減り、子どもに教えるべき内容が減る。さらに学力の低下を招く。いわく、完全学校週5日制の公立と実施しない私立との格差、いわゆる公私格差をますます助長するだけだ。これでは公立離れが加速度的に進むであろうなどなど、枚挙にいとまがありません。

 「ゆとりある教育」イコール完全週休2日制ととられると、現状では当たっているだけに、教育関係者にとって、これらの話はさぞ耳の痛い話に聞こえるであろうと思いますが、本来の意味するところの「ゆとりある教育」を実現するためには、そのためのビジョンが必要なのであります。今日までの我が中野区を振り返ってみると、中野区にはそのビジョンが一体あったと言えるのでしょうか。それがはっきりと見えてこない。教育の現場で次々と起きてくるさまざまな課題に、ただ単に場当たり的な対応をこれまでしてきただけのことではなかったのではないでしょうか。

 戦後50数余年を経過をして、戦後すぐの時代には親は食べることに忙しく、教育のすべてをある意味では学校に任せてきました。この時代にはそれしか方法もまたなかったのかもしれません。今日、時代を経て、親たちには経済的にゆとりができ、また子どもの数も少なくなって、バブル経済崩壊後の低迷する経済状況を差し引いても、以前とは比べるまでもなく、子育てには時間的にも経済的にも余裕が生まれてきているのではないでしょうか。

 また、今の時代、横社会としての地域はさまざまな人材の宝庫となっております。学校の先生方より教え方のうまい塾の先生はいるでしょうし、コンピュータをいじらせたらナンバーワンの学生もいるでしょう。生涯教育の時代であります。野球やサッカーのうまい人は地域にたくさんいます。あるいはピアノの先生や絵や彫刻の大家もいるでしょう。魚のことに関したら何でも知っている魚屋さん、太公望はごまんとおります。このように地域には専門的な分野ごとの人材はいっぱい存在しております。ただこれまで教育の現場では、これらの人材を教員資格がただないということだけで、うまく活用してこなかっただけのことではないでしょうか。

 またさらに、地域には老人ホーム、在宅福祉サービスセンター、福祉作業所などの福祉施設の一つや二つはどこにでもある時代になってまいりました。このような施設を通じて、子どもたちがボランティアを経験して、社会勉強をするチャンスは幾らでもあったはずです。ただ、これも学校の閉鎖性から、このような施設をいい意味で利用してこなかったというだけのことであります。今子どもたちには不登校、引きこもり、学級崩壊、学校崩壊、家庭内暴力、校内暴力、あるいは子どもの自殺などといったマイナス面の課題が山積をいたしております。これらの問題のすべてを、今のままの学校を初めとする教育システムで解決するのは、もはや無理な時代になってきました。

 このように時代の変化におくれをとっている教育を、時代に即した教育に立て直すことが、今我々に課せられた使命であります。それが本来の意味する「ゆとりある教育」でなければならないと考えますが、いかがお考えでありましょうか。「ゆとりある教育」の実現には、学校自体も変わらなければならないわけですが、親、家庭の果たすべき役割とは何であるのか。地域社会をどうとらえ、どのような協力が地域として考えられるのか。それらを総合してうまくコーディネートすること、それが中野区における「ゆとりある教育」を実現するために、中野区行政の果たすべき役割であると考えますが、このことについてどのようなビジョンをお持ちでありましょうか。また、それがなければ、どう構築していくつもりなのかについて、ぜひ区長さんのお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

 家庭、学校、地域が三位一体となってということがよく言われます。私もそのとおりだと思います。そのことを否定するつもりはありません。しかし、家庭には家庭の果たすべき役割があり、学校には学校の果たすべき役割があるわけです。子どもの成長にとって当たり前のようなことでありますが、道徳心やあいさつの仕方などのしつけは、本来家庭で行われるべきことです。学校は本来、学業を教える場であります。もちろん家庭で勉強を教えてはならないとか、学校でしつけをしてはいけないと言っているわけではありません。ただ、最近はこのようなことすらあいまいになってきているのではないでしょうか。家庭、学校の本来果たすべき基本的な役割を明確化するだけでも、「ゆとりある教育」の本質が見えてくるような気がいたしますが、いかがでありましょうか。その上で、学校に対する、家庭に対する、また地域自身に対する地域社会の協力の仕方を具体的に示せば、さらに「ゆとりある教育」の本来あるべき姿がより顕著になると思うのですが、いかがお考えでありましょうか。

 さらに、公私格差の点ばかりだけでなく、中野区立の学校をいかに魅力ある学校にしていくのかは、大変重要な課題であります。それぞれの学校がそれぞれの個性と特色を持ちながら、中野区の教育力を全体としてアップするためには、学校自由選択制は有効な手段であると考えます。また、学校がそれぞれの個性と特色を持つということは、例えばうちの学校では全員がきちんとあいさつのできる学校にするんだとか、漢字に強い子どもにするんだとか、あるいはスポーツに力を入れるんだとか、そういうことから取り組んだらどうかというふうにも思いますが、それぞれの学校で何か一つ目標を持つことも大切なことであります。また、学校評議員制の本来の目的が、学校がどういう教育方針で今後やっていくのかを地域に表明する、情報公開の場であるとするならば、そのことを有効にするためには、決しておざなりにならないようにちゃんとやっていくことも必要であります。「ゆとりある教育」とはそんなことから始まるのではないかと思いますので、これらのことに対して区の見解をお聞かせいただきたいと思います。

 また、先生が変わらないと、学校は変わりません。先生方には人を教育するということ、教育者、教師としてのプライドを持ってもらいたいと思います。そのためには、夏休みなどを大いに利用して、自己の研さんと研修に努めてもらいたいと思いますが、先生方の夏休みは、ことしと来年度ではどう変わるのでしょうか。今後の先生方の研修のあり方などについてお考えをお示しいただきたいと思います。

 さらに、先ほども述べましたが、地域のさまざまな人材を活用するシステム、学校ボランティアのような制度を地域に呼びかけてつくってみてはどうでしょうか。また、子どもたちに地域の福祉施設などでボランティアを経験できるような時間もぜひつくっていただきたいと思いますが、いかがお考えでありましょうか。

 以上についての中野区の考えをぜひお聞かせをいただきたいというふうに思います。

 次に、上野原の問題について質問いたしたいと思います。

 上野原の問題は、今日では中野区におけるいわば最大の不良債権問題となっております。民主クラブ議員団を初め、良識ある議員、区民の警告があったにもかかわらず、今日まで莫大な経費をつぎ込んできております。職員の人件費、これを除いても、用地取得費などの用地経理課の執行分だけで約11億1,000万もあり、平成2年度から12年度末までの11年間で総額約12億3,000万円に上っております。さらに今後も上野原町に支払う水道負担金だけで1億円が予定されているのは、御承知のとおりであります。

 今、我が中野区は、区政5か年計画を推進し、何とか区財政を健全化させようと、区民、職員と痛みを分かち合いながらも頑張っていこうとしている最中であります。

 ところで、現在この上野原用地では「棚からぼたもち」なのかどうかはわかりませんが、おいしい話が持ち上がり、神奈川県企業庁利水局との契約で、この用地にしゅんせつ土砂の受け入れを行い、今年度から17年度までの5年間で、約2億3,700万円のお金を手にすることができるようになりました。残念ながら、安全対策費と水道負担金を差し引くと、トータルで約6,500万円の黒にしかならないわけですが、ここのところをよく整理すると、新しい形が見えてまいります。

 すなわち神奈川県企業庁との間の契約で、中野区が負担をすることになっている安全対策費約5,200万円と、上野原町との契約で中野区が支払う水道負担金の--これは既に支払っている費用も含めてですが--約1億2,000万円、合計すると約1億7,000万円になりますが、これは今後も上野原スポーツ・学習施設計画を進めるために必要な支出であり、歳入として見込める約2億4,000万円は、この計画とは関係なしに入ってくるお金であるという点に着目をいたしたいというふうに思います。

 確かに今までの中野区の説明では、この約2億4,000万円はしゅんせつした土砂を受け入れる費用、すなわち土砂の捨て場としての費用ということですが、我々民主クラブ議員団では視察をし、神奈川県企業庁の担当者から話を聞いてきましたが、そのニュアンスはちょっと違っておりました。それはこの神奈川県企業庁の桂川で行っているしゅんせつ事業は、そのいただいたパンフレットによりますと、「県民の貴重な水がめである相模湖では、相模川上流からの土砂流入による堆積が多くなってきています。このため平成5年から31年度までの計画で、相模貯水池の有効貯水容量の回復と上流域の災害防止等を目的とする、相模貯水池大規模建設改良事業により、相模湖上流部のしゅんせつを行っています」と書かれており、また企業庁の担当者から話を聞いたところでは、中野区にしゅんせつ土砂を受け入れてもらうこと以上に、この事業の推進に当たってのしゅんせつ土砂の仮置き場として、中野区の上野原用地に魅力を感じているようでありました。なぜならば、企業庁のこの事業は、一応平成31年度までとなっておりますが、相模湖が県民の貴重な水がめであることはその後も続くのでしょうし、そのためには堆積した土砂はしゅんせつし続けなければなりません。しかも、中野区の上野原用地は桂川の企業庁の現場、ここから至近距離にあり、仮置き場としての需要は平成31年度以降も未来永劫、永遠と続くからであります。

 そこで、我々は企業庁の担当者に「この土地を買ってもらえないか」と聞いたところ、担当者は「正式に話があれば、あらゆる角度から検討をしてみたい」との答えでありました。我々議員団では、これは脈がありそうだと感じて帰ってきた次第であります。

 今、財政健全化に取り組んでいる中野区にあって、仮にそれがなし遂げられたとしても、現在、中野区が進めようとしている野球場やサッカーなどのグラウンドに暫定整備をしてみても、それほど多くの需要が見込まれるものでは決してありません。また、そのランニングコストだってかかってまいります。それならば、ぜひ現在も荒れ続けている新井の少年野球場をぜひ整備してほしいと思うくらいであります。

 ここで思い切って、中野区の負の遺産である上野原にきっちりと決別をして、神奈川県企業庁への売却を申し入れる考えはありませんでしょうか。また、売却が無理なら、平成18年以降も企業庁へお貸しになったらどうでしょうか。しゅんせつは未来永劫続くのですから。少々数字が乱暴かもしれませんけれども、平成17年度までの5年間で約2億4,000万円ですから、31年度までは無理かもしれませんけれども、平成35年度ぐらいで元が取れるのではないでしょうか。

 いずれにしても、この際、バブル期の上野原スポーツ・学習施設といった夢の計画にきっちりと目を覚まして、あれは夢であったことに気づいて、区民生活にとってもっと大切な施策に目を向けようではありませんか。

 以上でこの項の質問を終わります。

 次に、家電リサイクル法と不法投棄、放置自転車--ここで言う放置自転車とは、放置されて引き取り手のない自転車のことであります--ごみ状自転車の問題について、簡潔にお聞きをしてまいります。

 家電リサイクル法がことしの4月に施行されて、半年近くが経過しようとしております。この法律が施行される前の3月の地点では、引っ越しのシーズンであるということも重なって、ごみの集積所などにテレビなどが捨てられている現場をよく目撃いたしましたが、最近の現状はどうなっているのでありましょうか。

 この法律が施行されるに当たっては、不法投棄がふえるのではないかという点、仮に不法投棄された場合の処理方法、自治体が最終的に処理をするのか、あるいは投棄されたまま放置され続けるのかなどへの住民からの不安、リサイクル料金の値引き合戦から、体力の弱い中小小売店の経営を圧迫するのではないかという点、家電4品のリサイクルという本来のシステムが順調に機能するのかということなど、さまざまな懸念がありました。家電リサイクル法が施行されて、約半年が経過をしております。現地点では中野区として、これらの点についてどのような検証がなされておりますか。総合的にお聞かせをいただければというふうに思います。

 関連して、放置自転車とごみ状自転車の状況についてもあわせて、簡潔にお聞きをしたいと思います。中野区では放置自転車の引き取り料をこの7月より3,000円から5,000円に値上げをしています。これによって放置自転車を減らすことができたのでありましょうか。私の印象では、区内の放置自転車の状況は以前よりもひどくなっているような気がいたしております。引き取り料が高額なため、取りに来る人は減っているのではないでしょうか。以前にも増して、要らなくなったり、使い物にならなくなった自転車の処分場所として、駅前や道路、公園などが利用され、逆効果になっているのではないでしょうか。値上げ後の状況について、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

 中野区では、あらゆる資源の循環型社会を形成するために、さまざまな取り組みをしてまいりました。びん・缶の分別回収などは、町会の協力を得て、全国の自治体に誇れるシステムを確立したといっても過言ではないと思っております。清掃事業が区に移管をされ、リサイクル事業とあわせて総合的に放置自転車、ごみ状自転車などの問題を初めて考えることが可能になったのであります。この家電リサイクル法についてのさまざまな検証を通して、抜本的な放置自転車、ごみ状自転車の解決策を模索してみることも十分価値のあることだと思います。いかがお考えでありましょうか。お答えをいただきたいというふうに思います。

 以上でこの項の質問を終わります。

 次に、その他の項で3点、簡潔にお聞きをしてまいります。

 初めに、中野福祉作業所の問題についてお聞きいたします。

 中野福祉産業所については、中野区で最も老朽化し、使い勝手の悪い施設であるとの認識を持っております。その観点から質問に立つたびごとに取り上げてきましたが、中野区の財政状況を考えると、今すぐにこの施設を使い勝手のいい近代的な施設に生まれ変わらせることは、残念ながら現状ではほとんど困難でありましょう。当面は可能な限り現状の施設を、利用者に利用しやすいように改良をお願いするしかしようがないことは、承知をいたしているつもりであります。

 しかしながら、今我々がこうしているときも、この施設で一生懸命頑張っている障害をお持ちの方々、そこで働いている職員の方々、それを見守る多くの保護者がいることを、決して忘れてはならないと思います。さらに長引く不況の中で、福祉作業所の利用者はますます増加するであろうと予想されております。これらの人たちに希望を持ってもらうためにも、ぜひお聞かせをいただくことを1点のみ、お聞きをいたしたいと思います。

 現在進めている警察大学等移転跡地土地利用計画には、導入予定施設として福祉施設が含まれております。その実現自体が大分先の話であることは承知の上で、あえてお聞きしたいのですが、この福祉施設とは中野福祉作業所であると考えてよろしいのでしょうか。ここは現在の中野福祉作業所のある場所とも近く、中野駅にもより近くなるわけですから、利用者にとってはより利用しやすい場所になると思います。ここへの改築移転計画を将来的には考えていると、明確にお答えをいただければと思いますけれども、いかがでありましょうか。

 次に、早稲田通りの渋滞解消についてということで質問をいたします。

 早稲田通りと山手通りとの交差点を先頭にして、早稲田通りから新宿方面にかけては、慢性的な渋滞が起きており、朝夕のラッシュ時には特にひどい状況にあることは、近隣の住民や車を運転したことのある人ならだれでもが感じていることだと思います。この渋滞を引き起こす原因の一つとして、落合火葬場方面から中野通りに向かう道路からの信号機はなく、また交差点から山手通りまで距離が非常に短いために、その道路から進入する多くの車によって引き起こされていることが指摘をされております。

 そこで、ここに信号機を設置するなり、この抜け道を中野通り側からの一方通行にして、青原寺のある通りの方へ車を誘導すると、渋滞はより少なくなると思います。この方法がいいのかどうか、あるいは他により妙案があるのかもしれませんけれども、いずれにしてもこの問題については、中野区が所管する警察や東京都と今後十分協議をしてもらいたいと思いますが、いかがなものでありましょうか。お聞かせをいただきたいと思います。

 東京都の石原知事は、道路渋滞が時間的ばかりでなく、経済的側面からも日本経済に多くのマイナスをもたらしているという指摘をいたしております。渋滞の問題は、東京都、警察の問題であると片づけるのではなく、住民により身近な行政機関である中野区にもぜひ関心を持っていただきたいと思います。道路渋滞については、今後、中野区としても問題意識を持って取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでありましょうか。あわせてお聞かせをいただきたいと思います。

 最後に、CTNの活用についてということで質問をいたします。

 ことしは幾たびか台風が中野区にも押し寄せてまいりました。この際、NHKや多くの民放では予定番組を変更して、台風の今後の推移や各地の被害状況、交通機関の運行状況などの台風情報について、かなりの時間を割いて報道しておりました。

 一方、我が区民チャンネルである5チャンネルでは、一部テロップは流れておりましたが、残念ながら通常の番組が放映されておりました。中野区民からすれば、台風全般の状況はNHK、民放などを通じて知ることができますが、もっときめの細かい中野区内の情報を知りたいと感じているはずです。例えば神田川や妙正寺川の状況についての報道があれば、被害を未然に防ぐこと、あるいは被害を最小限にとどめることがより可能になります。この夏にはゲリラ的な集中豪雨もありました。環七の地下遊水地が整備されたからといって、被害が100%なくなるという保証はどこにもありません。いつ来るかわからない大地震などへの対策も含めて、災害時におけるCTNを活用した区民への情報提供として、防災センターもせっかくあるのですから、リアルタイムでの報道発信ができるよう、ぜひ検討していただきたいと考えますが、いかがでありましょうか。お考えをお聞かせいただきたいと思います。

 以上ですべての質問を終わります。ありがとうございました。

     〔区長神山好市登壇〕

○区長(神山好市) 小串議員の御質問にお答えいたします。

 まず「ゆとりある教育」についての区長の考え方ということでございます。教育のあり方あるいはその改革につきましては、基本的には教育委員会で対応していくべき問題であるというふうに考えておりますが、私は学校教育が単に知識の付与だけを目標にしたものではなくて、全人格、人間の形成と人格の形成ということを目標にすると考えれば、地域やその社会から切り離された場所で行っていればいいというものではないというふうに思っております。指導要領の改定に伴いまして、学校のクラブ活動、これについていろいろと議論をされていると。その中で社会教育にという議論もあるように聞いております。しかし、これは私は学校教育と社会教育とをはっきり切り離してしまう議論になるかなという点で、ちょっとおかしな議論にならなければいいがというふうに思っているところでございます。学校が主体になって、いかに地域の人材も活用して、教育活動を展開するかという課題だろうというふうに思っております。教師が、また学校が変わらなければ、開かれた学校ということも期待できないのではないかなというふうに思っています。

 知育偏重の学校教育、これから抜け出して、ゆとりの中に生きる力を育てると、このことが今回の教育改革のねらいであろうというふうに思っております。これは学校教育に時間的にも内容的にも十分ゆとりを持たせて、基礎的な内容を身につけさせて、どんな困難に直面しても、みずからその解決を図ることができる、たくましい人間を育てるということにあるというふうに思います。区としても、学校、地域、家庭、それぞれの連携を図りながら、子どもたちが健やかに成長できるようにと、支援を惜しまないつもりでございます。

 他の教育に関する御質問ございましたが、教育長から、またその他の質問につきましては、それぞれ所管部長の方からお答えをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

     〔教育長子安圭三登壇〕

○教育長(子安圭三) 「ゆとりある教育」につきまして、数点御質問いただきましたので、私の方から教育委員会の現在の考え方を含めて、お答えをさせていただきたいと思います。

 まず第1番目でございますけれども、地域社会と学校との協力の仕方についての御質問がございました。ゆとりある教育を推進していくためには、何よりも開かれた学校をさらに進め、学校と地域社会との連携を強化する必要があるというふうに考えてございます。そして、その連携の中で生まれたいろいろな実例につきましては、共有の財産として活用できるように、教育委員会としてはしていきたいというふうに思っているところでございます。

 それから、学校自由選択制や学校評議員についての考えはどういう考えを持っているかということの御質問がございました。学校評議員制につきましては、今年度、小学校8校、中学校6校で試行を始めたところでございます。これまでの各学校での取り組みを見ますと、学校に関係するさまざまな方からの貴重な御意見をいただき、学校教育に生かしていこうというふうに、学校ではこのことについて取り組んでいるところでございます。試行されている学校でのいろんな実情を、教育委員会としては十分検証いたしまして、来年度からは全校の学校で実施できるように進めていきたいというふうに思っているところでございます。

 また、学校自由選択制につきましては、教育委員会の内部で設置いたしました区立学校適正規模、適正配置の検討委員会で、他区市での実施の状況などを参考にしながら、現在検討を進めているところでございますので、御理解をいただきたいというふうに思います。

 それから、教員につきましての研修のあり方についての御質問がございました。よく言われますけれども、「教育は人なり」との言葉のとおり、教育改革、学校改革の中心となるのは、教員個々の資質向上にあると考えています。これまでも教育委員会は研修の充実に努めてまいりました。特に本年度からは、初任者研修に力を入れるとともに、不登校対応研修など、指導力向上のための研修を充実してまいってきております。教育愛を持ち、使命感に燃える教員を一人でも多く育成をしたいというふうに考えてございます。

 それから、地域の人材の活用するシステム並びに学校ボランティアの制度についての御質問がございました。各学校におきましては、教科等の課題や学習の内容に応じまして、地域の人材を活用する試みは既に進められております。そして、人材バンク的なといいましょうか、そういう情報を収集し、学校への支援の輪を広げていっている学校もございます。そのことはこれまで以上に学校の教育活動を活性化させ、学校を開いていくことにつながっており、今後もできる限り推進をしていく考えでございます。

 また、地域の福祉など6施設などでのボランティアの体験は、学校によっては以前から社会教育福祉協議会と連携をして、継続的に行っているところや、新たな取り組みとして始めたところなどがございまして、教育委員会としましては、こういった事例を区内の学校に広く知らせることによって、さらに多くの学校が取り組んでいくことを、強く期待をしているところでございます。

 以上、5点にわたって教育関係についての御質問がございましたので、答弁をさせていただきました。

 以上でございます。

   〔政策経営部長渡辺征夫登壇〕

○政策経営部長(渡辺征夫) (仮称)上野原スポーツ・学習施設用地の御質問にお答えさせていただきます。

 (仮称)上野原スポーツ・学習施設につきましては、事業評価を行った上で方向を決めていくことにしております。この事業を今後どうしていくかにつきまして、十分に検証し、区民の理解を得られるような結論を出したいと考えております。したがいまして、現在のところ用地の売却や貸し出しの延長を検討するということは考えておりません。

    〔環境部長正木洋介登壇〕

○環境部長(正木洋介) 私からは家電リサイクルの関係についてお答えさせていただきます。

 本年4月、これまでの行政回収にかわるシステムといたしまして、民間を受け皿としてスタートいたしました家電リサイクルのシステムでございますが、排出者による負担、また事業者によるリサイクル、この制度としてほぼ滞りなく運営されているというふうに考えてございます。

 不法投棄の現状ということでもお尋ねございましたが、この4月から8月まで、家電4品の不法投棄の件数を、この制度開始前の昨年同期と比べてみますと、ごみ集積所への不法投棄は減少しております一方、区道や公園等への不法投棄が増加しているという状況でございます。全体としては、不法投棄の件数は減っていないということでございまして、決してよい状況とは言えないというふうに認識しているところでございます。まだ制度発足後間もないことでもございまして、なお今後の推移を注意深く見守っていきたいと考えてございます。

 以上でございます。

   〔土木担当部長石井正行登壇〕

○土木担当部長(石井正行) 私からは、放置自転車とごみ状自転車についての2点と、その他の項で1点につきまして、お答えをさせていただきます。

 まず1点目でございますが、放置自転車の撤去手数料、7月に3,000円から5,000円に値上げをしたが、その後状況はどうかという御質問でございます。本年7月1日に放置自転車撤去手数料の改定をいたしましたが、その直後につきましては、返還率がそれまでの6割から4割へと、大きく低下をいたしました。その後、現在やや上昇をしておりまして、現在5割程度に回復をしております。その一方で、自転車駐車場利用者は、利用料の値上げにもかかわらず、伸びているという状況でございます。そういうことから、一定の効果はあったものというふうに考えてございます。

 次に、不用になった自転車、これを回収するシステムは考えられないかという御質問でございますが、23区の区長会は、循環型社会の形成並びに自治体の負担軽減を図るために、不用自転車及び自治体が撤去し保管期限を過ぎた自転車の回収制度を確立するよう、現在国に対して要望をしているところでございます。区といたしましては、このような全国的な回収システムの確立を訴えつつも、当面区が撤去した自転車のリサイクルを一層推進し、循環型社会の形成に資するよう努めてまいりたいと考えてございます。

 最後の、早稲田通りの渋滞問題でございますけれども、交通渋滞の解消には、幹線道路の整備や違法駐車対策の充実、通行車両の抑制などが不可欠であると考えているところでございます。交通問題は、広域での対応が必要なことから、現在東京都を中心に、パークアンドライドの検討や企業の保有車両の自宅持ち帰りの自粛などを含みますTDM(交通需要マネジメント)や、渋滞が著しい路線及びエリアについての違法駐車対策として、スムーズ東京21などといった事業を推進しております。区もこれに協力をしている状況でございます。

 違法駐車対策の道路環境の改善に当たりましては、警察署及び東京都と連携を図りながら、今後も取り組んでまいるつもりでございますし、早稲田通りを含みます幹線都市計画道路の拡幅整備につきましても、時間はかかりますけれども、東京都に対し、引き続き早期実現を要請をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

 以上でございます。

   〔福祉担当部長本橋一夫登壇〕

○福祉担当部長(本橋一夫) 私からは、中野福祉作業所についての御質問にお答えをさせていただきます。

 中野福祉作業所は、昭和44年に建設されまして、約33年たっております。施設の老朽化が進んでいることは、私どもとしても十分認識しておりますが、給排水管の取りかえ等の補修をしてまだ間もないということもあります。当面は現状での利用を続けながら、今後の対策につきまして、さまざまな角度から検討してまいりたいと考えております。

 なお、警察大学校等の移転跡地への移転改築は考えていないかとの御質問でございますが、跡地利用にあります福祉関連施設につきましては、まだ内容を確定しておりません。今後の保健福祉の課題を整理し、また跡地全体の利用計画との調整を図りながら、整備の手法、整備主体とあわせて、その施設の内容規模等を決めていくこととしておるものでございます。

    〔総務部長沼口昌弘登壇〕

○総務部長(沼口昌弘) 災害時の区民への情報提供としてのCTNの活用でございます。現在台風などの災害時には、区からの要請によりまして、CTNの5チャンネルで気象警報あるいは河川海水位などの情報をテロップにより提供しているところでございます。災害情報を区民にきめ細かく提供していくことは、災害予防や被害の軽減を図る点から、大変重要なことと認識していますので、さらに充実する方向でCTNと協議してまいります。

    〔小串まさのり議員登壇〕

○18番(小串まさのり) 余り再質問とかどうのこうのと、余り好きなタイプの人間じゃないんですけれども、上野原の点で1点だけ、ちょっと残念だなと思いましたので、再質問させていただきたいというふうに思います。

 きのう、たしか共産党の樋口さんの質問にも、上野原のことが少し触れられたと思うんですけれども、あのときの答弁は教育長であったと思います。きょうは政策経営部長がお答えをいただいたということで、これは質問としては、売却をしてしまえという質問になっておりますけれども、「はい、わかりました」というふうに、すぐ答えてもらえるなんて思って質問をしているわけではないんですよね。ただ、これは一つの政策判断の問題であります。部長さん、あるいは教育長にしても、区長の指示を受けて仕事をしている方々であって、政策の判断ということが理事者の中で唯一可能であるとするならば、それは区長さんなんですね。区長さんがきちっと決断をすれば、物事は進んでいくわけですから、なぜ区長がそのことを「私はこう考えている」ということを、私の考えと区長さんの考えが合うかどうかは別にして、「私はこう思っている」ということを明確にやっぱり答えるというのが、答弁ではないかと。私に対してというよりも、多くの区民に対してそうあるべきではないかというふうに思いますので、区長さんに再答弁を求めます。

     〔区長神山好市登壇〕

○区長(神山好市) 再質問にお答えいたします。

 上野原学習施設につきましては、先ほど政策経営部長からお答えいたしましたけれども、私の考えはどうかということですが、私は今、事業評価を行った上で方向を決めていくということにしています。その段階で私が別の方向をまた指示をするということについては、すべきではないだろうと。この事業を今後どうしていくかということについて、十分検証して、区民に理解を得られるような結論を出したいということで、先ほど答弁させていただいております。したがいまして、これについては今結論を先に出して処分するということにはできないということで、御理解いただきたいと思います。

○議長(斉藤金造) 以上で小串まさのり議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

      午後2時35分休憩

 

      午後2時53分開議

○議長(斉藤金造) 会議を再開いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 吉 原 宏

 1 区内の路線バスのあり方及びシャトルバス構想について

 2 一連の教科書採択に関する問題点について

 3 その他

 

○議長(斉藤金造) 吉原宏議員。

      〔吉原宏議員登壇〕

○1番(吉原宏) きのうの一般質問で我が会派のきたごう議員からもお話ございましたが、私も今回のアメリカの同時多発テロ事件で亡くなられた大勢の方々の御冥福を祈りながら、また、御遺族の方々に心からお悔やみを申し上げたく思います。

 それでは、一般質問を始めさせていただきます。

 なお、質問の時間は約10分程度で終わる予定でございますので、何分にもよろしくお願いをいたします。

 まず最初に、区内のバス路線のあり方及びコミュニティバスとシャトルバス構想に関して質問します。

 この問題は、以前より多くの議員によりまして取り上げられてきた問題でありますが、区民からの要望が依然として強く、より多くの角度から検討を続けていくべき問題であると思い、質問いたします。

 先日、我々自民党議員団と、ある団体との懇談会がありまして、その席上で出た問題が、「上鷺宮地区、鷺宮地区よりJR中野駅に直行するバス路線を設置してほしい。」というものでした。その内容は、行政機関の集中するJR中野駅に行く時に直行バスがないので、鷺宮から西武新宿線に乗り、エレベーターがなく、障害者には大変不便な野方駅、または沼袋駅を下車した後にバスに乗り換えていくのですが、不便この上ないというもので、「新青梅街道に中野駅行きにバス路線を運行願いたい」とするものです。

 この手の問題は、中野区の南の地域の人々からも以前より指摘されていた問題でして、バス路線がJR中野駅で分岐点となり、南部に住んでいる区民が北部に行く場合、または、その逆としても、バスを最低中野駅周辺で1回乗り換えなければならなくなっております。何とか乗り換えがなく、1回のバス料金で南部から北部へ、北部から南部へ行けるようにしてもらいたい、というものであります。

 問題解決のためには、中野区のみならず、国の行政機関及び東京都、そして何よりも民間バス会社の一致した協力体制がなければ実現しないものでありますが、中野区にも今までに何とかしてもらえないだろうか、という区民からの問い合わせが多数あったものと思われます。この問題に対して、中野区が行ってきた努力の経過、そして展望と見通しを御答弁ください。

 また、これらの問題を抱えている他の自治体が、障害者のためにもその補てん策として、コミュニティバスやシャトルバスを運行している話も聞き及んでおります。

代表的なものに、武蔵野市のムーバス、杉並区の杉マルなどがその例ですが、それらはどのような形で実施しているのか。中野区としても、財源的な問題ももちろんありますが、収支が合うように料金設定をして、実現できるか否かの展望、また、文化・スポーツ振興公社の施設を運行するような活用計画をつくり、その計画に取り込んでの運行は可能か否か。また、隣接区の渋谷区、練馬区の状況などもあわせてお伺いいたします。

 次に、一連の教科書採択に関する問題について質問いたします。

 ことしの夏、来年度から4年間使用される公立中学校の教科書の採択が行われたわけでありますが、教育委員会による公正な採択を妨害する運動が、心ない人たちにより日本全国で幅広く行われました。中には、教育委員の家にまで手紙、電話、ファクス等、深夜に至ることも多々あったと新聞にも載っておりました。採択日の当日、会場に大勢駆けつけ、外より精神的な圧力をかけられた教育委員も少なくなかったわけで、そのような精神的圧力による強迫観念から、公正な教科書採択ができなかった教育委員も全国的に少なくなかったと聞き及んでおります。

 中野区では、そのような公正な採択を妨害する人々による圧力が教育委員にあったかどうなのか。また、その結果が、中野区の教科書の公正な採択に影響を及ぼしたかどうかを御答弁ください。

 そして、本年8月15日に、全国の教育委員会による公立中学校の教科書採択が終了した後、8月下旬にNHKにて「NHKスペシャル」に中野区教育委員会による公立中学校の歴史教科書採択の模様が放送されました。主に、中野区と杉並区を取り上げておりましたが、この放送の内容より何点か質問をさせていただきます。

 中野区教育委員会による教科書採択の冒頭は、次のナレーションで始まります。

「都内のほとんどの教育委員会と違って、中野区教育委員会は、今回も教師の評価を教科書選びに反映させることにしました。」

このナレーションの後で、中野区の様子が映し出されて、解説が始まるわけでありますが、ナレーションどおりに言いますと、なぜ「都内のほとんどの教育委員会と違って、中野区教育委員会は、今回も教師の評価を教科書採択に反映させることにした」のかを、区民にわかりやすく説明してください。

 「NHKスペシャル」では、このことを組織図に表示して、都内のほとんどの教育委員会と違って、中野区だけ特異な形態になっているという放映をいたしております。

次に、各学校の教師による評価の模様が映し出され、各教科書にA、B、Cの3段階の評価がつけられ、その評価が教育委員会に集められ、集計されました。その集計結果もテレビに映し出され、学校の教師の評価の高かった歴史教科書のベストスリーが、日本書籍、東京書籍、大阪書籍であります。

 その後、教科書選定委員会の様子が映し出され、ナレーションが次のように流れます。

「選定委員会は、教師の評価の高い3冊の教科書を教育委員会に推薦することに決めました。」この3冊の教科書とは、先ほど述べました日本書籍、東京書籍、大阪書籍であります。

この時点で、NHKスペシャルでは、選定委員会が教師の評価だけで選定を行い、教育委員会に横流ししただけの、事実上有名無実の選定委員会ではないか、という点が読み取れますが、選定委員会では、現実に、本当にすべての教科書を十分検討されたのか否かを御答弁いただきたく思います。

 NHKスペシャルという報道特集番組は、以前より、その時節がら、時節がらの一般の目には見えない、隠された社会の問題点を鋭く指摘するという手法で、信用性と評価の高い報道番組として定評があります。ここが問題であるという場面では、問題の書類などにスポットライトを当て、暗闇の中から浮き上がらせるという手法がよく使われます。中野区教科書選定委員会の教科用図書選定調査報告書にその手法が使われました。学校の特に評価の高い日本書籍、東京書籍、大阪書籍の3冊のみ所見が書かれ、ほかの5つの教科書の所見は無記述であります。そして、次のナレーションで選定委員会の場面は終わります。

「教師の評価の低い教科書は、教育委員会に推薦されませんでした。」

このことは、事実上、中野区は他区と違って教師により教科書が絞り込まれたとする報道でありました。

 この時点で、今回の中野区の教科書採択のやり方は、5人の教育委員のはるか前の段階で、結果的に教科書が絞り込まれたわけで、教育委員自らがすべての教科書の中から採択を決定するという原則に著しく反するものであると思いますが、この件に関して御所見をお伺いいたします。

 公立中学校の教科書採択は、次回は4年後にめぐってくるわけでありますが、今度は公立小学校の教科書採択が3年後にやってくるわけであります。教科書というものは、あすの中野を担う子どもたちに絶対的な影響力を持つものであり、子どもたちには中野区を愛する子どもたちに、また、中野区民に迷惑をかけない子どもたちに、ぜひとも育ってもらいたいものです。また、育てなければなりません。

 放置自転車も1年後、2年後、10年後、20年後と、果たして減っていくのでしょうか。今のままでは1年後、2年後、10年後、20年後と、ますます増えていくような気がしてなりません。背筋がぞっといたします。

 前にも述べたとおりの公正な採択を妨害する人々の全国的規模の活動や、ある教科書の編集に携わる団体の事務所に対する放火などのテロ活動など、さまざまな問題を抱えた今回の教科書採択ではありましたが、それらの問題点を十分に踏まえた上で、来る3年後の公立小学校の教科書採択にかける中野区教育委員会の抱負を最後にお伺いをして、この項の質問を終えます。

 その他の項目としまして、カラス対策について質問いたします。

 去る9月3日に、東京都で庁内公募制人事の仕組みを使ってメンバーを公募した、「カラス対策プロジェクトチーム」の第1回目の会議が開かれました。このプロジェクトチーム発足に当たり、浜渦副知事は「このプロジェクトでは、大きな被害はないにしても、多くの都民に害をもたらすカラスの駆除を検討していただきたい。今までの枠を超えて、思い切った発想で取り組んでいただきたい」と述べました。

このプロジェクトチームでは、都民に害を及ぼすカラスを減らす対策について、約1か月かけて検討し、9月末に報告書をまとめる予定ということです。

 中野区内でも、春から夏にかけての子育てシーズンは、カラスの目の色が変わり、巣のある木に近寄ろうものなら、親鳥が攻撃をしてくるわけです。私も小さい子どものいるお母さん方から御相談を受けたことがありますが、そのシーズンにはおちおち公園を散歩することのできないわけであります。区でも、これまでカラスにまつわるさまざまな御相談を受けられていると思いますが、その実態について御紹介してください。

 私は、カラスの問題は人の問題であると考えております。生ごみの出し方など、増加原因を人間がつくり出してきたわけです。私は、これを機に、都市に住む人間と生物のかかわり方を見直さなければならないと考えております。中野区も東京都任せにするのではなく、カラス対策を自ら行ってみてはいかがでしょうか。また、行っているとしたら、これまでの対策状況等についてお答えください。

 以上ですべての質問を終了いたします。

     〔区長神山好市登壇〕

○区長(神山好市) 吉原議員の御質問にお答えいたします。

 区内の路線バスのあり方、シャトルバス構想についての御質問で、まず第1点の鷺宮から中野駅へ行く南北バス路線の新設について、お答えをさせていただきたいと思います。

 これまで、この路線につきましては、区民の要望を踏まえて、新しいバス路線の実現について協議をしてきました。取り組みをしてきました。平成6年にバス事業者、警察署、区の三者で、「バス交通対策検討委員会」を設けまして、需要予測やルート、運行経費の積算など、実務的な検討を行いました。平成11年に一定の結論を出したところでございますけれども、その結果は、上鷺宮、鷺宮地域とJR中野駅を結ぶ路線は、多額の運行経費がかかり、大きく採算割れするという見込みであるということがわかりました。バス事業者側は、この路線の運行に当たっては、不足額を区が補助しない限り難しいと、無理だという見解を示しております。このため、このルートについては、当面は見送らざるを得ないというふうに考えているところでございます。

 また、中野区内の南北を貫くバス路線の新設につきましては、運行距離が非常に長くなるということから、定時運行が難しいと言われます。バス事業者側からは慎重に取り組まざるを得ないし、無理だという、現在、見解を持っているようです。現段階では、本当にこの路線の新設が難しいというふうに考えているところです。そのかわりとして、シャトルバス構想ということになろうかと思いますが、シャトルバス導入についての各自治体の状況、また、その展望等について、所管の部長の方からお答えさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 また、教科書問題、カラス対策については、教育長、環境部長の方からお答えいたしますので、よろしくお願いいたします。

   〔土木担当部長石井正行登壇〕

○土木担当部長(石井正行) それでは、私から武蔵野市、それから、杉並、練馬、他区、他市の事例で、どのような形でコミュニティバス等を実施しているのか、という御質問でございますが、一般にコミュニティバス、また、シャトルバスは、自治体が何らかの形で関与しているバス交通を指す場合が多いわけでございますけれども、この自治体の関与の仕方は、さまざまな形態がございます。中には、財政負担の伴わないケースもございます。都内の区市で比較的成功を収めている例に共通しておりますことは、一つは、既存バス路線と競合しない地域を短い距離で循環または往復しているというようなこと。次に、交通渋滞の少ないルートを通り、定時運行を確保していることなどが挙げられております。

 一方、自治体側の強い要望で開設した路線でありましても、乗客が少なく、財政負担が増大し、廃止した路線もございます。また、最近は、バス事業者側でも運営のノウハウを蓄積をしておりまして、運行経費の補助を得ないで、独自の判断で運行を行うケースもございます。廃止した路線の例といたしましては、武蔵境駅から武蔵野市役所のルート、武蔵野市内のルートでございます。それから、練馬区の関出張所から練馬区役所へのルートでございます。これは練馬区内でございます。それから、今、申し上げましたように、バス事業者単独の運営例でございますが、渋谷駅から代官山循環。それから、三鷹駅から三鷹台駅。これは三鷹市内でございます。以上の例もございます。

 それから、今後、コミュニティバスのようなバスの運行について、区としてはどのような展望を持っているのか、という御質問でございます。これまで答弁いたしましたように、既存の路線と競合するような、運行区間の長いバス路線は、経費や効率などの点で負担が大きく、また、バス事業者の協力も得にくいというようなことから、区の財政状況を勘案いたしますと、現段階では実施は極めて困難な状況であると考えておるところでございます。

 以上でございます。

     〔教育長子安圭三登壇〕

○教育長(子安圭三) 教科書採択事務に関しまして、御質問にお答えをしたいと思います。

 まず第1点でございますけれども、各地で混乱があった。中野区の教育委員会ではそういう妨害があったどうか、という御質問でございますが、この採択事務に入りますとき、各教育委員個人に、公正な採択を損なう働きかけがあったときは、すべて教育委員会の場で公開するということを確認した上で事務に入りました。その結果、各委員に不当な圧力はなかったというふうに考えてございます。

 また、中野区教育委員会事務局宛には、手紙、ファクスなどさまざまな形での要望が届き、すべて教育委員会の場で明らかにしてまいりました。内容的には、ある限定された教科書を採択しないでほしい、あるいは、採択してほしいというものがございました。そのことが直接公正な採択に影響があったとは考えてございません。

 それから、「NHKスペシャル」での本区の教科書採択の様子が紹介されました。このことに関しての御質問が3点ございましたので、お答えをしたいと思います。

 まず、中野の教科書の採択の仕組みについて若干お話をさせていただきたいと思いますが、すべての教科書について十分な調査研究を行い、幅広く意見を聞きながら最終的には教育委員会の責任と権限において教科書を採択するというのが、中野区の採択の仕組みの特徴でございます。

そのための組織として、教科書を客観的に調査研究する調査研究会、教育委員会に複数の教科書を推薦する選定調査委員会を設けました。調査研究会は、小・中学校別に各教科ごとに設け、校長、教頭、教員から成り、それぞれの教科書の特徴を比較対照できるよう調査研究を行いました。選定調査委員会は、学識経験者、校長、教頭、教員、保護者代表、公募区民からなっており、これも小・中学校別に設けました。調査研究会からの報告を受けた選定調査委員会は、委員各自が教科書を研究し、また、さまざまな参考資料にも目を通し審議を行いました。その参考資料の一つに、保護者、区民からの意見、そして学校からの意見がありました。これらの意見は、あくまでも参考資料の一つであり、それに拘束されるものではありません。NHKスペシャルでは、この学校の意見というものに焦点を当て過ぎたために、一部誤解を招くような場面になってしまいましたけれども、これは決してそうではないということをはっきり申し上げたいというふうに思います。

 また、各教育委員は、この対象教科書が区に届けられた時点から、連日のように委員室に詰められまして、そしてすべての教科書に目を通し、入念な調査準備をし、それぞれの委員がその時点で、すなわち選定調査委員会の推薦される前に、既に中野区の子どもたちにはこの教科書はいいと、それぞれの委員が腹案というんでしょうか、1冊ということではないと思いますけれども、数冊の本をもう選ばれておられました。というふうに思います。

 そして、採択に臨んだわけでございますけれども、その時点でも、その前からすべての区民から、学校から、そして学校の子どもたちの意見も含めて、各委員はご覧になられていたと思います。それもあくまでも参考でございます。

 そして、選定調査委員会から推薦された教科書だけではなく、各委員が推薦する教科書も検討の対象に加え、各委員の良識に従い議論をし、教科書の採択を行ったというのが事実でございますので、ぜひ御理解を賜りたいというふうに思います。

 それから、3年後に教科書採択がまたあるわけでございますけれども、どのような抱負を持っているか、ということのお尋ねでございますが、今回の教科書採択は、制度が変更になって初めての中野区としての取り組みであり、仕組みづくりの段階から議会を初め、さまざまな意見を取り入れ御協議いただき、進めてまいりました。また、実際の採択に当たりましては、学校はもとより、広く区民の方々にも教科書展示会等で御意見をいただき、多くの方の協力を得て採択ができたというふうに考えてございます。

教育委員会といたしましては、今回、区民の期待に応える採択ができたと考えてございますが、さらによりよい教科書採択ができるよう、課題を検討し、3年後の採択に備えていく所存でございます。

 以上でございます。

    〔環境部長正木洋介登壇〕

○環境部長(正木洋介) 私からは、カラス対策の御質問についてお答えさせていただきます。

 カラスにつきまして、広聴広報課に寄せられました相談件数は、本年8月までで53件ございました。これ以外に公園緑地課や環境課等に直接寄せられたケースも何件かございます。相談の内容といたしましては、御質問の中にもございましたが、子育て中のカラスに襲われるのではないか、公園が怖いというふうなことですね。それですとか、ごみを散らかして困る。それから、電柱ですとか、森といいましょうか、木の上に巣をつくっているというふうな通報めいたもの、そのようなものが大半であるというふうに承知してございます。

 対応ということでございますが、カラスにつきましては、鳥獣保護及び狩猟に関する法律によりまして、規制保護されておりまして、都の許可を得ずにみだりに捕獲したり、卵を取ったりということはできないというふうになってございます。区としては、現在、カラスが生ごみを餌にできないようにすることが第一であろうということでございまして、ごみ出しのマナーの徹底、餌になるようなものをそのままの形で出さないようにしていただくというようなことでございますが、こういうことの啓発に努めますとともに、防鳥ネット、カラスネットというふうな言い方もしておりますが、ネットの貸し出し等を行っているところでございます。

 カラスの対策ということでございますと、なかなか決め手に乏しいというか、難しい点がございまして、広域的に取り組む必要のある問題という面もございます。このたびの東京都のプロジェクトチーム設置につきましては、効果的な対応策を期待しているところでもございますが、区としてこれに大いに協力していきたいというふうに考えているところでございます。

○議長(斉藤金造) 以上で吉原宏議員の質問は終わります。

 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 

中野区議会議員 岩 永 しほ子

 1 区民のくらし・いのちを守ることについて

 (1)行財政5か年計画の影響

 (2)乳幼児医療費助成の充実・拡大

 (3)国保資格証明書の交付問題

 (4)障害者の就労支援システム

 (5)生活保護の相談・訪問体制の充実

 2 中小企業・商店への支援について

 (1)融資対策

 (2)区内業者育成

 (3)ドン.キホーテの出店

 3 教育行政について

 (1)行財政5か年計画の影響

 (2)区立図書館のサービスの充実

 (3)学校図書館指導員

 (4)新学習指導要領の見なおし

 (5)教科書採択をめぐって

 4 山手通りの整備と環境対策について

 (1)自転車専用道整備など

 (2)脱硝装置を必ず設置すること

 (3)中野坂上地下通路の設備改善を

 5 その他

 

○議長(斉藤金造) 次に、岩永しほ子議員。

     〔岩永しほ子議員登壇〕

○32番(岩永しほ子) 2001年第3回定例会におきまして、日本共産党議員団の立場から質問いたします。

 質問に入る前に、アメリカ合衆国で発生した同時多発テロを強く糾弾し、被災された方々に心からの御冥福とお見舞いを申し上げます。

 それでは、質問をいたします。

 最初に、区民のくらしといのちを守ることについてをお聞きします。

 行財政5か年計画が区民に及ぼした影響は、わずか5カ月の間にも区民の生活を困難にする暗い影を落としています。福祉の面では、病虚弱のひとり暮らしの高齢者への福祉電話の廃止、障害者や難病患者福祉手当の縮小などにより、生活不安が深刻になっています。福祉電話は、非常勤職員が8人で245人の高齢者に電話で安否の確認をしていました。病気への不安、孤独で一人心細い気持ちで暮らす人は、電話が来るのを心待ちにして喜ばれていました。担当職員も閉じこもりがちの人には積極的に話しかけ、生活に関する悩みを聞いたり、必要な人には福祉事業課内だけでなく、生活援護課のワーカーに状態を報告して、様子を見に行ってもらうとか、医療機関など関係するところに連絡をとり対応するなど、安否確認にとどまらない幅広い取り組みで、安心と信頼を寄せられていました。

 区は、福祉電話を廃止するに際し、かわりの新しいシステムに移行するから心配ないと、職員にも区民にも説明していました。ところが、区が行ったことは「あなたはヘルパーが来るから安否確認ができる」「緊急通報システムが活用できるから」「給食サービスの配達の人が来るから」「病院に通院しているから」などの理由で、改めて安否確認の必要がないことにしてしまいました。そのいずれにも該当しない10人ほどの人については、在介支援センターにつなぎ、月に1度の訪問調査を委託しています。これでは福祉電話廃止当時の区の説明に反するではありませんか。

 さらに区は、ボランティアを募って、地域支え合いネットワークを開始する準備をしているといいますが、何年も前から話になりながら、今日まで実現に至っていません。結局利用者はほうり出されたままで、区民も職員もだまされたようなものです。これまで生活援護課ととれていた横の連携もとれていません。当初の説明どおり、福祉電話が果たしていた役割を担い得る、安心できるシステムをつくり、必要な対応をすべきです。見解をお聞きします。

 障害者は2,750円、難病患者は5,500円、それぞれ福祉手当が削減されました。福祉手当は貴重な生活費の一部となっています。介護保険の保険料や利用料など出費がふえる中で、むしろ手当をふやしてほしいと願っているのに、逆に削られたことの影響は本当に大きいものがあります。73歳で障害3級、ひとり暮らしの女性ですが、月に13万7,000円の年金と7,750円の障害者福祉手当、合わせて14万4,750円で暮らしていました。67歳まで働いていましたが、退職後、思うようなアパートに移ることができず、9万円もの家賃を払っています。残るのはわずか5万円余りで、これですべての生活を賄わなければなりません。1年じゅうコルセットをしているため、冷暖房費だけでも大変です。1足10万円もする特殊な靴が必要です。しかも、3年に一度つくり直しが必要です。もちろん1足だけでは足りません。かかとを直すだけでも、片方が1万円。電動車いすは3年に一度バッテリーを交換するのに5万円かかります。介護保険は、介護度1の認定で、週2時間ヘルパーに来てもらうための利用料も払わなければなりません。こうした費用を工面するために、福祉手当は重要な収入であり、頼みの綱でした。この人にとって2,750円の削減は、日常生活に大きな影響をもたらし、食費を一層切り詰め、石けんやタオルなどの日常品は、専らもらい物に頼っています。生活保護に頼らないで、何とか頑張っているが、もう限界ですと嘆いています。追い打ちをかけるように、これまで障害者会館で無料で利用していた手編みも、来年度から廃止になりそうで、もう何の楽しみもないとがっかりしています。

 難病患者福祉手当を受けている、ひとり暮らしで72歳になる女性は、生活保護費と月1万5,500円の福祉手当で暮らしていました。月5,500円が削減され、雨が降って病院に行くときのタクシー代や突然の出費に当ててきたけれど、その分切り詰めなくてはならない、どうしようと困っています。難病であるがために、さまざまな出費があり、福祉手当はそれを補う重要で貴重な収入なのです。

 また、奥さんが難病で、生命保険金を取り崩して生活費に当てている御夫婦は、介護タクシーを利用するのも、光熱費を払うのも苦しくなった。生きていたっていいことがないと悲しんでいます。

 区長は、現金給付の必要性を否定してはいません。しかし、財政が厳しいから区民にも我慢をしてもらうとして、これらの福祉手当を削減しました。区は、こうした人たちの生活実態をどのように把握しているのでしょうか。困難に直面している人たちの実情をつかみ、新たな対応策を講ずるべきと思いますが、いかがでしょうか。

 安心して子どもを産み育てるために、乳幼児医療費助成の充実拡大は、一層区民にとって重要な施策です。日本共産党は、1971年に衆議院本会議で、乳幼児医療費の無料化を求めて以来、繰り返し国における制度を要求してきました。

 また、鈴木都政の時代に、新日本婦人の会などを中心に、都に実施を求める署名が取り組まれ、日本共産党も都議会で条例を4回提案し、鈴木都政の最後の年に、3歳未満までの無料化を実現しました。その後順次対象年齢の拡大が進み、ついにことし10月から対象年齢が就学前までに拡大されることになりました。所得制限つきとはいえ、大きな前進です。この乳幼児医療費助成制度は、1972年に区民の要求と運動にこたえ、中野区が23区で初めて実施したもので、都に制度化させる大きな力になった歴史的な経過があります。

 中野区は、独自の努力で年齢を拡大し、就学前までの助成を実現していますが、5歳以上には所得制限があります。昨年度、この事業の予算は5億6,700万円で、決算は5億600万円でした。途中で減額補正をした上で、3,100万円の不用額を出しています。既に今年度の予算に見込んでいますが、都の年齢引き上げで2,700万円の補助金が入ります。5歳から就学前の2,500人中、1,500人分を予算化しているわけですから、所得制限を撤廃する場合の対象は1,000人ということになります。詳細に検討すれば、所得制限の撤廃は可能ではありませんか。どの子も経済的な不平等なく医療を受けられるように、中野区として5歳以上の所得制限を撤廃すべきです。23区では既に18区が所得制限なしで就学前まで実施しています。積極的な検討を求めたいと思いますが、御見解をお聞かせください。

 また、国に制度化を求める意見書を採択した自治体は866に達します。政府提出の資料では、1,020億円の国庫負担で、6歳未満児の医療費無料化は可能なことが明らかになっています。国には制度化を求めること、都には所得制限の撤廃を実施させるべきです。あわせて国・都に対し、乳幼児の入院時食事療養費の自己負担に対する助成を求めていただきたいと思います。見解をお聞きします。

 国保資格証の交付問題についてお聞きします。

 中野区は、ことしの4月に、昨年4月から1年以上の国民健康保険の保険料を滞納している人たちを対象に、この10月から全額を自己負担しなければ医療にかかれない資格証明書の発行が準備されています。これによって治療中断や受診抑制になることを、お医者さんを初め医療関係者が心配しています。担当職員は、資格証明書の発行を前にして、実態をつかむための全戸訪問や保険料納付相談を実施するなどの努力を行っています。その結果、9月現在の短期証交付は、当初7,500人に対し、6,500人に減っています。短期証交付者の中で、現在まで何の応答もなく、訪問しても、職場に連絡をしても状況がつかめない人は、1,000人以上いると聞きます。この人たちが資格証明書の交付対象になっています。

 もともと国保は、国民皆保険という考え方のもとで、ほかの医療保険に加入していない国民は、すべて加入しなければならない制度です。しかし、国は83年に国庫補助率を45%から38%に削減した上、応益制の比率を5割に近づけるようにしたため、毎年のように保険料が引き上げられてきました。しかも、区民生活は不況による所得の低下や失業などの生活困難がふえ、保険料を滞納する世帯が増加しています。さらに昨年の10月から介護保険料も徴収されるようになり、払いたくても払えないほどに負担が重なってきました。中野区民の1人当たりの所得は、23区平均より低く、年々減少しています。例えば小・中学校の就学奨励受給者と総児童・生徒数に占める受給率は、ともに年々増加し、区民生活の厳しい一端を示しています。

 資格証発行の範囲についても、厚労省は滞納を理由にした一律の保険証取り上げは不適切であり、あくまでも悪質滞納者にのみ交付するとの見解を示しています。国会においても、当時の厚生大臣が、悪質滞納者とは保険料を払う能力がありながら、特別な理由もなく滞納している者と答えています。さらに、被保険者証の返還を求める場合には、事前に十分な納付相談や指導を行いまして、各世帯の具体的な事情を把握した上で実施するように指導しているとも述べています。この立場に立てば、資格証を交付できる対象は、事前に十分な調査をした上で、悪質な者と判断できた人にのみ適用できることになります。

 ことしの第2回定例会において区長は、資格証は納付相談の促進をすることが主眼、資格証の発行については個々に判断せざるを得ないと答弁しています。ところが、区がこの10月から交付を予定している対象者は、そうではなく、連絡のつかない、事情が把握できない人たちです。これでは悪質滞納者かどうかの判断をしないまま、資格証を交付することになります。こうした姿勢で一律に資格証を交付することは問題です。

 労災で失業した人に短期証が送られてきましたが、保険料が払えずにいたら、ついに催促状とともに資格証に切りかえるとの文書が送られてきました。しかし、区からはだれも訪ねてこないし、保険料を払えるお金もないから、区役所に行っても仕方がないという人がいました。ほかにも訪問に来た職員に5,000円分割で払いたいと相談したら、それでは少ないと督促された人もいます。さまざまな取り組みをしている職員の努力は評価しますが、それでもこうした事情の人がまだまだいます。悪質滞納者と判断される人以外は、事情を把握する努力を引き続き行い、できるまでは短期証の再発行で対応して、相談、納付を促すべきです。見解をお聞きします。

 また、資格証の人が医療の窓口で10割の自己負担をすることができないとき、医療給付を受けられるように、何らかの対策が必要です。どのように考えますか。

 さらに、実態を把握する中で、保険料の納付だけでなく、生活を維持することが困難な人には、生活保護など、関係機関につなぐことが大事です。対応をお聞きします。

 障害者の就労支援システムについてお聞きします。

 国の緊急地域雇用対策特別交付金を活用して、障害者の就労支援で、雇用に結びつけるジョブコーチを実施してきました。このジョブコーチによる就労支援の成果は、昨年度で職場開拓件数86件、就職した人9名、今年度に入って、4月5月だけで10件と3名と、大きなものがあります。ところが、この交付金は今年度までというので、来年度からの継続が危ぶまれています。障害者への雇用状況は、かつてなく深刻です。全国で倒産や事業縮小などで解雇された障害者は、1997年度は2,091人、98年度は2,950人と、年々増加しています。障害者の就労と自立支援を具体化して進めるのは、行政の責任です。

 ジョブコーチの取り組みを展開してきた障害者福祉事業団を中心に、関係部署は来年度からも継続できるようにと、強い希望を持って、いろいろの角度から検討しています。そうした中、昨年1月に都福祉局が諮問した「地域における障害者の就労支援システムの構築に向けて」の答申が出されました。就労の機会は均等に与えられるべきであり、就労の意欲と能力を高めるための支援の条件整備として、就職前の準備支援から、職場実習支援、就職後の支援、そして職場への定着に向けた支援に至るまでの就労面の支援と、就労に伴う障害者本人の不安への相談、助言や家族関係の調整のほか、日常生活を維持し、自立に向けた生活設計を支援するなどの生活面の支援とを一体的に提供する新たな支援機関の整備が必要と結んでいます。そして、先駆的に取り組み、すぐれた成果を上げている自治体として、中野のジョブコーチが取り上げられています。

 国からの交付金がなくなるからというので、ジョブコーチがいなくなれば、この間築き上げた成果が生かされず、今後の取り組みがおくれてしまいます。中野区になくてはならない施策として、一層推進するという区の姿勢が必要です。東京都は、今年度に就労援助モデル事業を実施し、その成果を受けて、来年度から本格的に就労援助を実施することになりました。

 昨日の樋口議員の雇用問題に関する質問に対し、区長は、都や国において新たな雇用対策がまとめられるとの情報もあるので、区として連携できるものがあるかどうか探りたいと答えられました。その立場を具体的に示すならば、都の事業は中野の取り組みをモデルにしながら、来年度から本格実施しようとしているのですから、区として積極的に活用すべきです。見解をお聞きします。

 生活保護の相談、訪問活動体制の充実について、お聞きします。

 今日の区民の苦しく厳しい状態は、生活保護を選択せざるを得なくなる世帯が急増しています。窓口相談も、4月は321件、5月は335件と、どの月も300から350件を超えています。相談者や受給者が多くなれば、対応する時間もふえます。アル中や精神障害、身寄りのないひとり暮らしの増加などによって、調査、訪問活動の時間がどんどんふえています。例えば7月にケースワーカーが実施した訪問件数は、相談係と六つの係合わせて、一人平均延べ36件以上になっています。窓口相談は、多い月で相談係一人につき平均60人を超すこともあります。それぞれのケースワーカーは一人当たり85人のケースを担当していますが、10月から介護保険料が全額徴収されると、生保受給者がさらにふえる可能性もあり、年末には90人くらいになるのではないかと予測もされています。こうした相談、調査、訪問などに伴う報告は、手書きのケース記録、細かな会計処理、さらにパソコン入力するものと、大変な事務量で、残業しなければ追いつかない事態です。そうした状況は、職員の健康を侵し、精神的な負担も大きくなっています。

 生活保護法の本来の精神から言えば、保護の実施に関与する者は、保護を必要として申請した要保護者にとどまらず、常にその地域の住民の生活状態に注意を払い、必要な保護の漏れがないようにすることも配慮されています。この最も最終的な生存権を保障する保護行政に、支障を来してはなりません。区民の不安や悩みに耳を傾け、必要な援助や指導に従事するためには、時間の保障が必要です。当局はケースワーカーを増員するなどの対応はしてきましたが、十分ではありません。

 また、事務能力を高め、効率をよくすることも必要です。コピーとファクスが一体になった機械が1台しかないとか、事務処理能力が低いパソコンでは、それだけでも時間が過ぎていきます。本来の保護業務に専念し、十分な対応ができるように、職員の配置、事務設備の効率化など、体制を充実するために改善が必要です。見解をお聞きします。

 次に、中小企業、商店への支援についてお聞きします。

 不況が直撃する中小企業、商店にとって、小泉改革がもらたす痛みは死刑宣告に等しい、痛みに耐える余力を持っていないなど、マスコミも指摘しています。特に政府が二、三年の間に銀行の不良債権を最終的に処理をする方針を強行しようとしていますが、その対象になるのはほとんど中小企業です。これまでも銀行は貸し渋りと強引な取り立てで、倒産と失業者を記録的にふやし、経済社会に大きな弊害を及ぼしてきました。さらにこの方針で清算しようとする銀行によって、新たな倒産に追い込まれ、悲劇が広がります。それによって地域の景気が一層冷え込みます。

 ある信用金庫の現役支店長は、金融庁の検査マニュアルどおりにやると、実質的な破綻状態になる企業が多くなり、中小企業の自殺者がふえているのに、さらにふえる結果になってしまう。大手行は中小企業に融資を積極的にするよう、政府から求められているが、期末だけ一時的に融資して、すぐ引き上げるというやり方をするところもあって、中小企業への融資を締めている。肩代わりできればいいが、できるのはわずか。すると、商工ローンとか、マチ金に行ってしまわざるを得ないと、内情を話しています。喫茶店などを経営している知人も、既に銀行から融資の返済額をふやし、返済期間を短縮するよう求められました。

 政府の方針によって、区内の中小企業、商店が大きな影響を受け、倒産に至ることが十分予測されます。倒産、失業に追い込まれる事態を見放してはおけません。区長は、昨日の樋口議員の質問への答弁で、事業経営者などの話から、このところの状態がますます厳しさを増してきていると判断していること、傍観しているわけではないと述べられました。それならば、区長としてやるべきことは、国の強引なやり方に抗議し、不良債権処理の強行を中止するように申し入れることです。都に対しては、都民と一緒に中小企業、商店を守る立場に立って、政府に働きかけるよう、申し入れなどをすることが必要です。見解をお聞きします。

 さらに、中小企業、商店の立場に立った金融、融資対策が必要です。区内業者の倒産状況を見ますと、昨年の4月から今年の3月までに63件あり、小売業、サービス業、建設業の倒産が多い状況です。

 頼りにされてきた緊急景気対策特別融資の状況は、開始から今年の5月実施分の受付件数は1,291件、1回平均184件を超えています。多いときには246件もありましたが、今年の5月実施は、予定していた7億円の融資枠いっぱいになるまでに少し日数を要し、融資を受けたくても受けられないという厳しい声が聞こえました。5月の融資件数171件、7億3,230万円に対し、あっせん件数124件、実行件数106件、4億560万円と、実行件数率は62%弱です。否決、減額は26件で、保証協会以上に銀行からの否決、減額が多いと聞きます。また、取り下げた中には、減額された金額では間に合わないためという業者も出ています。

 中小企業、商店の倒産がふえれば、区内の景気は一層冷え込んでしまうため、手をこまねいて黙って見ているのではなく、区として積極的な融資対策をとるべきです。区はこれまでも区内の銀行に対し、貸し渋りをしないよう要請してきましたが、改めて保証協会や各銀行に、少なくとも区があっせんしたものは否決や減額しないよう、そして区があっせんをした融資が断られた場合、保証協会や銀行に理由を問いただし、実施するよう求めていただきたいと思います。見解をお聞きします。

 また、緊急景気対策特別融資を来年度も継続実施し、その際、現在借りている人たちも含め、産業経済融資の据え置き期間や返済期間を延長していただきたいと思います。見解をお聞きします。

 さらに、不良債権として返済を強化したり、貸し渋りをしないよう、強く求めることも重要です。そして、区として相談窓口を開設していただきたいと思います。見解をお聞きします。

 区内業者への仕事の発注についてお聞きします。

 先日、区内の建設業、土木業の方たちと懇談しました。皆さんから、区の経済状態がよくなるまで会社がもつかどうかとのため息が聞こえました。昨年4月から今年3月までの区内建設業の倒産は16件と報告されています。区内の倒産業種の中で最多です。これまで区の要請にこたえて、水害時など緊急対応が必要なときに力を貸してくれたのは、区内の業者です。納税者でもあります。ところが、今日の経済状況を反映して、仕事がないばかりか、せっかく区が発注した仕事も、内容によって区内業者が入札に参加できず、区外業者が落札している事態が起きています。昨年の工事関係の契約業者の状況を見ると、アルミサッシの改修工事に関しては、すべて区外業者となっています。これは建具工事として登録している業者が区内にないということから起きていると聞きますが、この不況の中、区内業者の仕事を確保するという立場に立つなら、工事の発注を工夫して、極力区内業者が参加できるようにする必要があります。検討していただきたいと思いますが、見解をお聞きします。

 スマイル中野に近い、旧拓銀跡に予定されているドン・キホーテの出店についてお聞きします。

 来年の6月開店予定で、地下1階、地上8階、延べ床面積約3,000平米の建物として説明しています。地域では話し合いを重ねていますが、他の店舗状況を見ると、「営業時間をいつの間にか延長して約束を守らない」「地元との協調がない」「自転車や駐車場が全く不十分で、放置状態になるのでは」「深夜の騒音など心配」という声があります。小金井では、都の審議会意見を経て、閉店した時間を合意したにもかかわらず、開店1カ月後に突然説明もなく、閉店時間を延長し、住民の怒りを買っています。

 こうした問題を引き起こすもともとの原因は、小売商、商店街の大店法のこれ以上の規制緩和絶対反対の声を押し切り、中小小売業の事業活動の確保を明確にしていた大規模小売店舗法を廃止し、大規模小売店舗立地法などが施行されてから、大型店の出店が緩和されたからです。さらに立地法は、自治体が大型店出店に際して、地元への経済的影響について何らかの対策をとろうとする手を縛るという問題を抱えています。

 そうした中で、ことしの第1回定例会において、中野区特定小売店舗の立地に関する条例を定めました。ドン・キホーテの予定規模から、届け出は東京都になりますが、区は条例の目的に沿って、区民とともに対応すべきです。そこで重要なのは、地元住民と自治体からの意見です。出店予定者に対し、事業計画、工事、管理運営が地元小売商、商店街に及ぼす経済的影響や、住民の生活環境の保持を配慮する立場を明確にして、着工は合意した後にすること、合意したことは厳守するよう、何らかの担保を保持することが必要です。いかがでしょうか。

 環境への配慮に当たっては、出店計画で不備と思える自転車と自動車の駐車場確保が大きな問題です。1階と8階に駐輪場が分かれていたり、敷地内に駐車場がなかったりするのでは、道路などに放置されることは明らかです。決められた台数が確保されているからいいというのではなく、放置状況がつくり出されないように、適切な対応をすべきです。対策をお聞きします。

 次に、教育問題についてお聞きします。

 第1は、教育行政が受けた行財政5か年計画による影響についてです。

 今年度から学童擁護員と校庭開放協力員制度が廃止され、そのことによって起きている問題について、第2回定例会で牛崎議員が具体的に指摘し、その対応をただしたところです。ところが、教育委員会は、計画の推進に固執する余り、その現実をまともにとらえず、指摘した問題点を直視しませんでした。しかし、その後の経過を見ても、問題点は解決されず、そのしわ寄せは子どもと教職員に押しつけられています。そこで、改めて区の姿勢と今後の対応についてお聞きします。

 2学期が始まり、すべての小学校で、4月に続いて児童安全誘導擁護業務委託を受けた人が、たすきをかけて校門の前などに立って、安全確保をしていました。このたすきは、区議会に交通安全指導員の配置を求めた保護者たちが、4月の実施状況を見て、従事者の服装が警備服やスーツ姿などいろいろで、各学校での対応がばらばらだと、実態を訴えたことにより導入したものです。これまでの学童擁護員は、交通ルールの研修を受けた専門家であり、車の運転手からも明らかに交通指導員とわかる服装で対応していました。

 第1回定例会に提出された陳情は、新たな交通指導員の配置を求めたものです。どの学校の保護者も区民も子どもたちを心配しているからこそ、文教委員会で採択されたのではないでしょうか。また、業務委託仕様書には、業務内容に交通安全の確保以外に「児童の通学時の安全を確保するために必要」と明記してあります。これは今日の世相を反映したさまざまな事件への対応も必要だということです。それなのに、年間わずか90時間の就業では、全く不足です。就業委託の内容についても、簡単な仕様書があるのみで、あとは委託を受けた誘導員任せでは、教育委員会の責任があいまいになります。登下校の安全確保に対する行政の責任は大きく、特に低学年については一層の配慮が必要です。交通安全指導員は年間を通して配置すべきです。見解をお聞きします。

 校庭開放協力員は、土曜、日曜は民間に委託し、平日は学校の教職員が対応することになりました。そのために平日は職員がその場にいなくて、遊具がすぐに手に入らないとか、最後の管理をする主事の勤務時間の関係で、開放時間が中途半端になって、十分遊べないという声が後を絶たず、子どもたちに魅力のないものになっています。給食調理が民間委託になったために、調理職員がいなくなり、事務の区費職員がいなくなり、学童擁護員がいなくなり、平日の開放協力員がいなくなるなど、子どもたちにかかわれる職員が小学校から次々と姿を消しました。校庭で遊べなくなった子どもたちは、スーパーや繁華街に行くようになったとも聞きます。子どもたちに豊かな放課後を保障するという、校庭開放制度本来の目的を提供する事業として、再構築すべきではないでしょうか。見解をお聞きします。

 学校の耐震補強工事は、あと4校を残すのみとなりました。教育委員会は、Cランクを2000年度までに完了したいという意向のようでしたが、5か年計画によって引き延ばされ、15、16、17年度に1校ずつ実施するとしています。それではいつ起こるかわからない災害から、子どもたちの安全を守ることはできません。区長は、来年度の予算編成方針で、一日も早く区民ニーズに的確にこたえられる健全な財政構造を構築していかなければならないから、5か年計画で一層絞り上げていくと宣言していますが、財政効果だけを追い求める5か年計画を取り入れた結果が、どれほど教育現場に負担が強いられ、活動を困難にしているか、はかり知れません。中P連は、教材、備品費の削減などは教育現場で子どもたちに直接マイナスの影響が懸念され、5か年計画が現状のまま維持されていけば、学校において子どもたちに与えられる教育環境は、23区で最悪のものになりかねませんと、予算要望書で訴えています。区民の心配にこたえ、教育環境を整備することは、教育委員会の仕事です。

 維持補修費は、小・中学校合わせて、98年度に比べ、今年度当初予算では3億5,400万円、35%の減少となっています。その結果、フェンスなどはさびだらけで、施設管理に不安を感じるほどだと、現場から指摘されています。教育予算を積極的に確保する立場に立つべきです。

 一つ、耐震補強工事は来年度から実施すること。二つ、教材、備品費は削減しないこと。三つ、維持補修費を削減せず、学校からの報告を受けている箇所などの補修を早急に行うなど、必要な予算を確保すべきです。3点についての教育委員会の見解をお聞きします。

 続いて、区立図書館サービスの充実についてお聞きします。

 区立図書館の図書、雑誌などの購入費は、99年度1億2,900万円、2000年度は33%削減されて9,000万円、そして今年度、5割削減で4,500万円になってしまいました。99年度に比べ、65%も削減されています。図書館だより4月号の第1ページ目で、図書館における5か年計画の取り組みと区民への協力をお願いしています。それは図書、雑誌購入費を確保するため、計画期間中はCD、ビデオテープ、カセットテープ、16ミリフィルムの購入休止、図書や雑誌、新聞の購入部数と種類を減らすこと、予約待ち時間が長くなることがあるなど、5点にわたっています。また、最終ページには、資料寄贈のお願いまでも掲載されています。

 同じく8月号には、2000年度の蔵書数は、全8館合わせて約95万冊で、11年度からふえていないこと、購入冊数は約1万8,000冊も減っていること、個人貸し出しは11年度に比べ5%も減少していることが紹介されています。明らかに図書購入費の削減で、利用者の蔵書への魅力を薄いものにしつつあることを示しています。

 図書購入費の50%もの削減の結果、中央図書館では人気の高い「ELLE(エル)」「VOGUE(ヴォーグ)」などの雑誌購入は、4月から中止されました。継続で購入している雑誌でも、8館で分担して購入するため、何々の雑誌はどこどこの図書館にありますなどの張り紙がされていて、すぐ手に取って読むことはできません。在住外国人が多い中野区なのに、中国や朝鮮の新聞は姿を消し、ニューヨーク・タイムスも週刊のものに、開架の洋書は12、13年度ともに減少しています。図書館サービスの低下は目に見えるようです。これで区民のニーズにこたえられるでしょうか。

 これまでも区民からのリクエストにこたえるため、区立図書館にない本や資料は、杉並、豊島、練馬、板橋の各図書館や都立図書館などから借りてきていました。今年度はその頻度が急増している上、すぐ手に入らなかったり、借りられなかったりする場合もあって、何とかリクエストにこたえようとしている担当職員も音を上げています。待ち切れなくて、買ってしまう職員もいると聞きます。購入数が少ない、新刊が買えない、雑誌がないので、待ち時間が半年、1年を超えてしまった。区民ニーズにこたえる図書館としての機能は、もはや失われたなど、区民からの苦情も深刻で、対応する職員も大変になっています。

 また、小・中学校図書館にも団体貸し出しをしています。学校も図書購入費が前年に比べ1割前後削減されており、学校で賄うことのできない本や資料は、区立図書館から借りています。したがって、図書館への依存と期待は大きく、区立図書館の図書購入費削減は学校への影響としても出てくるのではないかと心配されています。このまま5年間図書購入費を増額しなければ、区民ニーズにも学校の要望にもこたえられず、区立図書館としての存在を危うくしてしまいます。要望にこたえるために増額すべきです。見解をお聞きします。

 区立図書館と学校図書館との連携の一つに、1994年から児童への読書指導を実践している学校と、職員の能力向上を目指すとの合同研修会が実施され、学校図書館指導員、図書館職員、教員などが参加しています。これも予算絡みで、継続が心配されています。この研修会は継続すべきですが、いかがでしょうか。

 中野区は、時代と区民ニーズにこたえるために、中央図書館の機能を拡充しつつ、8館の整備を進めてきました。図書館を見れば、そのまちの文化水準がわかると言われます。図書館行政の先進区と言われていた中野区ですが、5か年計画で地域図書館の配置、機能について検討することにしています。現在そのための検討会が持たれ、来年4月ごろまとめの報告があると聞いています。既にこの問題では、区民が三つの地域図書館来館者から収集した意見を区に提出し、現在の図書館行政を守るべきだとの要請がされています。これ以上区民へのサービス悪化を招くような配置、機能の見直しはやめるべきです。見解をお聞きします。

 学校図書館指導員についてお聞きします。

 1997年、学校図書館法の一部を改正する法律が成立し、2003年までに12学級以上の小・中・高校に司書教諭を配置することになりました。ところが、それによって中野区の学校図書館指導員への影響はどうなるのかという心配が出ています。既に東京都は、都立高校の学校司書を教科教諭へと切りかえるとしています。その結果、専任の学校司書がいなくなるのではないかと指摘されています。中野区立の小・中学校でも、教職員の数をふやさないで、教科兼任の司書を配置するとなれば、中野区では現在専任となっている図書館指導員制度がどうなるのかという問題が起きます。2003年から司書配置をするのは、12学級以上の学校ですから、中野区の29小学校中9校が、14中学校中11校がそれ以下のため、法律どおりに実施すれば、配置対象外になります。これでは学校間格差が生まれ、せっかく前進してきた中野の学校図書館教育を後退させることになります。

 1989年4定で、私が初めてこの図書館指導員問題を取り上げましたが、その際教育委員会は、都の責任という態度でした。しかし、93年に小・中各2校に配置し、97年には全校配置となりました。その活動の効果は大変大きなものですが、一層の充実も求められています。この制度を少しでも後退させるようなことは避けるべきです。既に三鷹市は継続を表明しています。中野も今から継続の姿勢を区民に示していただきたいと思います。決意をお聞きします。

 また、来年度から完全週5日制になり、子どもたちの居場所や活動の場を確保する一つとして、学校図書館の活用を求めてきましたが、具体化の検討をお願いします。見解をお聞きします。

 次に、新学習指導要領の問題点がますます明らかになってきました。見直しについてお聞きします。

 1998年2月に文部省が行った学校教育に関する意識調査は、学校の授業が「よくわかる」が、小学校で19.9%、中学校で4.7%、高校では3.7%と激減し、一方で「わからない」が、小学校で19.9%、中学校で31.9%、高校では62.7%と急増しています。また、1994年から95年に国立教育研究所が行った国際調査によれば、中学生の数学、理科嫌いは世界のトップを占めています。これは80年代の臨時教育審議会答申を受けてつくられた、3割の子がわかればよいという現行学習指導要領と、わからないのも個性という新学力観がつくり出した、日本の子どもたちが置かれている学力の実態です。

 このような状況のもとで、2002年から完全実施される新学習指導要領は、基礎、基本に厳選したと言いながら、教える内容の削減よりも、授業時間数を削減し、教科ごとの構造や系統性を軽視しています。教師は、教科時間数と教科書の内容の関係で、系統的であり、どきどきしたり、おもしろいことがなくなる。子どもの興味をどう継続させるか。学力はどうなるんだろうという不安があると言っていました。また、ゆとりの教育を重視するとして、普通教科などの時間を削減して、100時間以上もカリキュラムに組み込まれる総合的な学習時間は、何を学習するのかと、モデル研究校でも試行錯誤を繰り返しています。ただでさえ忙しく、今でも必要な準備時間もとれないし、教材費のやりくりに苦労するほど教育予算が削減される中で、一体どのくらいの取り組みができるのかという心配もあります。

 最近、有馬前文部大臣は、基礎学力をつけることが軽視されていると、新学習指導要領を批判しました。平岩前経団連会長が所長である、財界のシンクタンク、地球産業文化研究所も「学力の崩壊を食い止めるための教育政策に関する緊急提言」というレポートで、「新学習指導要領実施の全面中止」を第1番目に主張しました。「教育改革」の中心的担い手であったところからも、新学習指導要領は「学力を崩壊」すると、評価が下されたのです。

 教育委員会は、子どもたちの学習嫌い、学校嫌いが増加している現状と、これまでの学習指導要領との関係で問題がなかったか、無批判に受け入れてきた姿勢に問題はなかったか、子どもと学校にどのような影響を与えてきたのか、明らかにする必要があります。そのためには、子どもや保護者、区民が意見を出せる場を設け、その意見を重視することが大事です。教育委員会の検討が必要です。見解をお聞きします。

 次に、教科書採択をめぐって何点かお聞きします。

 中野区が来年の4月から使う教科書が決まりました。歴史の事実を歪曲して、侵略戦争を肯定し、戦争に行く子どもたちをつくり出そうとした「新しい歴史教科書をつくる会」の中学歴史・公民は採択されませんでした。それは全国のどの区市町村でも採択されず、使用されようとしているのは都立養護学校2校1分教室、愛媛県立養護学校2校とろう学校1校、私立中学校6校と言われています。都立養護学校の教師は「障害者は戦争中、非国民と言われ、戦後に人権をかち取った。それなのに石原都知事は、あの人たちに人権はあるのかと発言した。その子どもたちに戦前を美化した教科書を押しつけることに憤っている」と批判しています。都教育委員会は採択を撤回すべきです。

 NHKの報道番組では「つくる会」の人たちが、政治家を動かして採択させようとする場面などがあり、採択させようとしている教科書の意図が映し出されたように思いました。

 この教科書に対しては、国連の人権小委員会では、戦時における旧日本軍の性的奴隷問題が教科書でどのように扱われているのか議論になり、日本政府の姿勢が厳しく追及されました。そして、教育課程において、歴史の事実を正確に教えることによって、人権侵害の再発防止を求める決議が採択され、あわせて小泉首相の靖国神社参拝も問題になり、日本政府が侵略美化の教科書を検定合格させたことなどに、改めて政治姿勢が問われました。

 今回の採択結果は、「つくる会」が財界などの豊富な資金力と政治家の力を総動員したにもかかわらず、子どもに最善の教科書をという良識が、不当な圧力に屈しなかったことを示しています。

 中野区では、運動を積み上げ、教科書採択の仕組みづくりから区民が参加してきました。仕組みづくりへの陳情や対案を提示し、「夜の教育委員会」での発言、区民の自主的な集会などでのアピールなどが教育委員会に集約され、全国でも注目される採択制度になりました。しかし、その仕組みが十分だったか、子どもと教師たちにとって最善の教科書が選ばれたかというと、幾つかの課題が残りました。

 1点目は、学校からの意見がどう生かされたかということです。今回の結果は、学校現場からの意見と、教科書によっては教育委員会が違う判断をしています。子どもたちに最も身近で、子どもたちの実態や教科書の内容など、一番わかっているのは学校現場です。その学校の意見がどのように尊重されたのか、お聞きします。

 2点目は、選定調査委員会への必要な資料の提供と検討のための時間が十分だったかということです。学習指導要領や都教育委員会からの資料、各教科書の編集趣意書、小学校11種目53冊、中学校16種目75冊の教科書などに目を通してから3冊を選ぶ作業には、長い時間がかかります。わずか3回の委員会活動では不十分です。また、子どもたちの現状や課題が不明のまま、意見交換して決めていくのだから大変。せめて学校現場からの声を尊重できるようにという調査委員の声もあります。そうした機会も必要です。選定調査委員会の活動を保障するよう、改善が必要です。見解をお聞きします。

 3点目は、公開されている教育委員会が、教科書の採択に関しては、いつ、どこで開催されているのかも知らされないほど、秘密裏に進められたのはなぜかということです。本来、教育委員会の議論を区民に公開すべきでした。外部からの不当な圧力を排除するためにも重要です。今回の教育委員会の対応は、かえって区民に不信感と不安を抱かせることになりました。今後は公開を求めます。

 また、せっかく高まった教科書への関心を発展させ、教育行政区民参加条例を生かして、学校嫌い、勉強嫌いの子どもたちをつくり出さない取り組みとして、子どもと学校、保護者、区民が参加した話し合いの場を設けてはいかがでしょうか。中P連からも採択後の教科書使用者による検証が求められています。あわせて見解をお聞きします。

 山手通りの整備と環境対策についてお聞きします。

 山手通りの拡幅整備と地下高速道路建設が事業化されてから、13年を過ぎようとしています。日本共産党区議団は、機会あるごとにこの問題を取り上げてきました。住民への事業説明が行われて以来、生活と環境を守るために、高速道路の通過地域の変更、出入り口の場所の変更、車の走行車線数の減少、歩道幅の確保、36道路のような側道など、住民が考えられる可能性を追求し、要求してきました。

 環境問題でも、環境影響評価のやり直しと出入り口のアセス調査の実施、換気塔への排気ガス対策、脱硝装置の設置、健康や環境への調査などの要求もありました。途中で高速道路が通過する豊島区内や中野区内の高速道路出入り口の場所を変更したことは、この事業決定の過程が住民不在で進められたからであり、この事業による生活と環境への不安は少しも解決されていません。こうした中でも工事は進み、住民は24時間体制の工事の騒音、振動に苦しみ、我慢を強いられています。

 山手通りの工事が着工されてから今日の間に、全国で行われている自動車公害などの裁判は、次々と住民が勝訴するという判決が出されました。そして、国土交通省は、今年の4月の閣議決定で、道路構造令を改正して、これからの道路には自転車専用道などの設置を義務づけました。私たちは、4月の24日に国土交通省の人に会い、改正された構造令の内容を聞き、山手通りで実現できれば、生活と環境を守るための前進になるのではないかと話し合いました。山手通りの整備はこれからですから、計画を変更するには十分な時間があります。そのうち東京都が自転車専用道の検討を始めたと聞きました。さっきの中野区定例本会議でも、都議会での答弁を部長は紹介しています。現在、区には正式な話は都から来ていません。しかし、私たちが聞いている範囲では、既に事業認可計画の変更を国土交通省に交渉しているとか、車線の変更について警察と協議しているとか、大久保通りなどの大きな交差点の先行工事についての地元説明会が行われるなどの話があります。区として、自転車専用道などの整備実現のために、積極的に情報を集め、住民とも協議しながら進めるべきだと思います。その際、歩道の幅を広く確保することは当然です。見解をお聞きします。

 これまでも脱硝装置については強い要望がありました。来住議員が土壌脱硝装置の成果も紹介し、設置を求めました。京浜島での脱硝装置の実験が終わり、実用化に向けた取り組みがことしから始まりました。2年間の実験期間ということです。山手通りの工事期間中に結果が出ること、設置期間は十分にあります。しかし、公団は規模やコストなどの問題があって、明確に設置を表明しません。区としても要望してきたところであり、いよいよ実現可能な状態ですから、東京都に設置の約束を表明するよう、強く求めていただきたいのですが、いかがでしょうか。

 この項の最後に、中野坂上の地下通路が完成し、雨の日や風の強い日などは利用する人が少し多くなる、中野坂上地下通路についてお聞きします。

 ことしの3月に、議会でこの地下通路のリフトについての改善を求めました。身体障害者車いす対応のリフトは使いづらく、その上足腰の弱い高齢者の方などが使いたくても使えないという状態は変わっていません。現在までのリフト利用者は、多くて月に3人です。通路の両端が階段ですから、足腰の弱い方にとっては、通路を利用するとき、必ず上り下りしなければならないので、かえって大変になります。利用するときは、一々警備員を呼んで、本体にリフト用いすを取りつけてもらったり、外したりするために、時間がかかるという問題もありますが、何よりも問題は、リフトがあるのに、車いすの身体障害者以外で足腰が弱くて使いたいと思う人が使えないということです。80歳になる母親がいる男性は「何のために税金を使って設置したんでしょうか。もったいないことです」と言っていました。必要があって使いたい人が使えるように改善を求めます。対応をお聞きします。

 その他の項で1件お聞きします。

 ことしのシルバーパスは、値上げされると同時に、バスの乗車口で運転手に見せるだけでなく、運転手の傍らにある機械を通さなければならなくなりました。高齢者の方から、なぜこんなことをしなければならないのかと、不満の声が上がっています。特に障害のある人、荷物を持っている人が困っています。乗客が多いときに、後ろに並んでいる人を気にしながら、パスを機械に通すため、時間がかかってしまうのはつらい。パスの料金が値上げされ、受ける手続にも手数がかかるようになった。その上、バスに乗るときまで不便になったのではたまりません。せめて従来どおり、運転手にパスを見せるだけで済むように、もとに戻してもらえないかとの要望があります。安全の確保も必要です。区長として、都に要請し、バス会社に改善してもらうようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。見解をお聞きします。

 以上で私の質問を終わります。

     〔区長神山好市登壇〕

○区長(神山好市) 岩永議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、行財政5か年計画の影響ということで、各項目にわたって御質問いただきました。この行財政5か年計画につきましては、既に本会議でも御答弁申し上げましたけれども、区の財政基盤を確立をしようということで、5年間にわたって見直しをしていくと、この取り組みでございまして、この3月に確定をして、まだスタートして半年ちょっとというところでございますし、現時点でこの計画を方向転換するというわけにはまいりませんし、今それぞれの立場で所管部長が取り組みをしております。個別の問題につきましては、所管部長の方からお答えさせていただきますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 私の方から、中小企業、商店への融資対策についての御質問にお答えをしたいと思います。

 融資の締めつけといいますか、中小企業に対する融資が厳しくなっていくと、こういった中で区長はどう考えているのかということでございますが、この件については、区長会として毎年国と都に施策及び予算の要望をしているところでございます。ことしも引き続いて中小企業対策の充実を求めているところでございます。

 その中で、融資については、厳しい環境におかれている中小企業に対して、円滑な資金調達ができるように、金融機関の指導監督の強化や、融資あっせん制度の安定的な運営に対する支援策などについて、要望しているところでございます。今後も状況に応じて、必要な申し入れを行っていきたいというふうに考えております。

 次に、ドン・キホーテの出店についての御質問にお答えをさせていただきたいと思います。

 このドン・キホーテの出店につきましては、建設予定地の周辺の町会あるいは商店街、その他の関係者で構成をしております住民組織とドン・キホーテとの間で、建築工事等に関する協定締結に向けた話し合いがされているところでございます。区としても、地域の意向を踏まえて、必要な調整指導を行っていきたいというふうに考えております。

 なお、このドン・キホーテの問題については、建築確認の問題と、また大店法の調整の問題とございます。建築確認の面では、新しい制度として、区の方の確認ということではなくて、今度は建築主事の資格を持った民間でも確認がとれるということになった。これまで自転車、あるいは駐車場の確保ということで指導をしてきた、話をしてきた。しかし、これまでの経過の中で、既に駐輪場等については、区の指導はこれ以上は受け入れられないということで打ち切って、地域との話にいっているという状況です。

 なお、この大型店の問題については、大店法の関係では、都の方で処理をし、その処理経過の中で、区の意見をということを求めてくる手順になると思いますので、そのときには区として、今この駐輪場の問題、また交通問題、地域環境の問題、さまざまな課題が予測されますので、こういった問題についての意見を積極的に言っていきたいというふうに思っております。

 他の質問につきまして、それぞれ所管部長の方からお答えいたしますので、よろしくお願いいたします。

   〔福祉担当部長本橋一夫登壇〕

○福祉担当部長(本橋一夫) 私からは、福祉電話廃止後の高齢者の安否確認、福祉手当の減額、障害者の就労支援、生活保護業務の体制、シルバーパスについての御質問にお答えをさせていただきます。

 まず、高齢者福祉電話が対象としてまいりました虚弱高齢者等のその後の安否確認についてですが、現在訪問給食サービスやふれあい食事サービス、ごみの訪問収集などを通じて、安否の確認を行うとともに、区内7カ所の在宅介護支援センターが訪問活動を行う中で、所要な対応をしているところであります。また、地域の人たちの協力により、見守り、支え合うための仕組みとして、支え合いネットワークの構築を目指しておりますが、現在対象となる高齢者の実態や、地域の自主的活動の実情等について把握をするなど、ネットワークの構築に向けての取り組みを進めているところでございます。今後も一層の努力をしていく所存であります。

 次に、難病患者福祉手当及び障害者福祉手当についてのお尋ねでございますが、行財政5か年計画にもお示ししているように、これからの福祉施策は手当の支給ではなくて、サービスの提供を基本に組み立てていくという考え方に立ち、各種手当の創設当時からの社会状況の変化や、国との制度との関係なども勘案しながら、見直しをして、今年度より手当の減額をしたものであります。先ほど区長の答弁にもありましたように、区といたしましては、行財政5か年計画を達成し、区の財政構造を健全なものにしていくことにより、区民のための必要な施策を展開できるようにするということが、今重要であると考えておりますので、手当額を復元することは考えておりません。

 次に、障害者就労支援についてのお尋ねについてでございます。区は、障害者の一般企業への雇用を援助するために、平成12年度から障害者福祉事業団に委託いたしまして、就労支援者派遣事業を実施しているところであります。本年8月までに障害者の職場受け入れが110件、就職につながった人は16名に上っているなど、一定の成果を上げてきたものと認識しております。今後の取り組みについてでございますが、都の補助制度の活用なども含めて検討してまいりたいと考えております。

 次に、生活保護の業務体制についてのお尋ねであります。生活保護の受給世帯数は、景気の低迷や高齢化の進展などを背景にして、中野区でも年々増加傾向にあります。今年度はケースワーカーを増員して、体制の強化を図り、適切な処遇の実施に努めているところであります。OAシステムなど機器につきましても、生活保護事務の専門性、複雑性に対応するとともに、膨大なデータを迅速に処理できますので、さらに効果的に活用して、ケースワーカーの業務の負担軽減を図ってまいりたいと考えております。

 最後に、シルバーパスについてでございますが、このシルバーパスにつきましては、平成12年10月から民間活力を生かすという趣旨で制度の変更が行われ、実施主体が東京バス協会になっております。シルバーパスがカード化されるということによりまして、高齢者にとって不便ではないか、危険ではないかという御懸念が指摘されておりますが、東京都及びバス協会では、今回のカード化に当たりまして、各バス事業者に対して、安全確保などについては十分配慮するよう注意をしているところでございます。この仕様変更による影響につきましては、使用状況を見た上で、区として要望すべきことがあれば対応していきたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

   〔保健福祉部長浦野純子登壇〕

○保健福祉部(浦野純子) 乳幼児医療費助成に関する御質問にお答えいたします。

 まず、所得制限の撤廃の御要望でございます。東京都の制度改革により、都の補助対象は拡大されることになり、これまで区が求めてきた内容に一歩近づいたとは言えますが、これを受けて直ちに対象者すべての所得制限を撤廃することは、当区の厳しい財政状況を考えますと、現時点では難しいものと判断してございます。

 次に、国・都に対する要望でございますが、子育て支援は国を挙げて対応すべき課題であるとの立場から、国に対し、乳幼児医療費助成制度の創設を求め、都に対しても、乳幼児医療費助成制度の所得制限を撤廃し、必要な財源措置を講ずるよう、特別区長会として毎年要望してきてございます。

 なお、入院時の食事療養費の自己負担につきましては、社会情勢の変化等を踏まえ、諸制度との整合性を確保することを目的に導入されたものでございまして、現時点で見直しを要望する考えはありません。

    〔区民部長内田司郎登壇〕

○区民部長(内田司郎) 私からは、国保資格証明書の交付問題と、中小企業への融資に関する残る御質問にお答えをいたします。

 初めの国保資格証明書の交付問題について、まず悪質滞納者と判断される人以外は、事情を把握できるまでは短期証の再発行でとのお尋ねでございます。今回中野区が資格証明書の交付対象としておりますのは、保険料の納付資力をお持ちになりながら、納期限から1年半たっても、区からの再三の要請に対して、全く保険料の納付実績がなく、また納付意思をお示しいただけない滞納世帯でございます。

 区ではこうした世帯に対しまして、これまで資格証扱いにならないように、短期証による事前の納付相談、自宅訪問による相談、夜間休日などの電話、各種文書催告など、さまざまな方法で働きかけ、事情把握に努めてきているところでございます。しかし、これら再三にわたる手だてを尽くし、要請しても、納付実績が全くなく納付約束不履行、あるいは連絡もないなど納付意思がない場合に、資格証による納付指導をしていくことは、国民健康保険制度の維持と被保険者間の負担の公平を図るという観点から、やむを得ないものと考えております。納期限から1年半経過しても、なお納付意思のない方に対する短期証の更新は、保険料の時効が2年であることから、資格証制度の実効を損なうことになりますので、難しいと考えております。

 次に、資格証の人が医療の窓口で10割の自己負担をすることができないときの対策についてのお尋ねです。くどいようですけれども、資格証明書は納付相談に全く応じていただけない方や、納付の意思がない方に交付するものでありますので、医療の窓口でお尋ねのようなケースがあった場合には、まず区に相談に行くよう、窓口での指導をお願いしているところでございます。こうした医療機関との相互の連携などによりまして、できるだけ通常の保険証で医療給付を受けていただけるよう、今後も努力をしてまいります。

 次に、保険料の納付だけでなく、生活を維持することが困難な被保険者の方に対する対応でございますが、保険料の納付相談だけでなく、被保険者からのさまざまな相談に対しましては、必要に応じて職員がその場で生活援護課などと連絡をとり、御案内するなどしているところでございます。今後も関係課、関係機関と連携を図りまして、適切な対応に努めてまいります。

 2つ目の中小企業への融資対策でございます。

 まず、金融機関や保証協会が否決、減額しないよう働きかけをとのお尋ねでございます。金融機関や保証協会に対しましては、今後もさまざまな機会を通じて、区の融資制度の趣旨を十分理解していただけるよう、協力を求めていきたいと考えております。なお、金融機関で融資が否決された場合には、その理由を確認し、保証協会の保証が得られる場合には、他の金融機関へ再度あっせんを行っているところでございます。

 次に、緊急融資については来年度も継続をする必要があるとのお尋ねですが、景気の低迷が長期化し、中小企業の経営環境が依然として厳しい状況にあることから、来年度の継続実施についても検討していきたいと考えております。

 次に、融資の償還期間、据え置き期間の延長に関するお尋ねですけれども、区の融資の償還期間、据え置き期間は、資金の種類や限度額に応じて適当と考えられる内容で定めております。償還期間の延長につきましては、現行制度上も最大6カ月の延長を認めているところですけれども、さらなる延長につきましては、金利の設定や保証協会の保証条件などについて、協会や金融機関との調整が必要となりますので、今後検討してみたいと考えております。

 最後に、相談窓口の開設をとのことですけれども、区の商工相談におきましては、融資の申し込みに関する審査だけでなく、中小企業診断士等による経営内容の改善に関する相談も行っておりますので、ぜひこうした窓口を御利用いただきたいと考えております。

 以上でございます。

    〔総務部長沼口昌弘登壇〕

○総務部長(沼口昌弘) 区内業者育成についての御質問にお答えいたします。

 現在、公共工事の入札契約適正化法に基づきまして、発注基準等の見直しを進めておりますので、その中で検討してみたいと考えています。

     〔教育長子安圭三登壇〕

○教育長(子安圭三) 教育行政につきまして、5点御質問をいただきました。私からは、新学習指導要領について、それから教科書採択についての御質問にお答えをいたしたいと思います。あとの3問につきましては、次長よりお答えいたしますので、御理解いただきたいと思います。

 まず、新学習指導要領の見直しについてのお尋ねがございました。学習指導要領は、御案内のとおり、学校教育法に基づきまして、文部科学省が定めた教育課程の基準であり、法的拘束力を持つものです。したがいまして、公立学校においては、これを遵守する必要があるというふうに理解をしているところでございます。

 来年度から学校週5日制とともに、新学習指導要領による新しい教育課程が完全実施されます。既に各学校では、昨年度より移行期に入っており、総合的な学習の時間を初め、創意工夫を凝らして実践をしているところでございます。学校教育を取り巻くさまざまな教育課程を解決するためにも、まずこのゆとりの中で生きる力をはぐくむ、新学習指導要領による教育課程の円滑な実施が必要であるというふうに考えているところでございます。

 それから、教科書採択をめぐっての御質問がございました。先ほど同様の質問につきまして、吉原宏議員にお答えをいたしましたけれども、教員や学校の意見を、どこでどのような形で取り上げられたのか、生かされたのかという御質問でございます。採択に当たりましては、区民、保護者、そして学校というように、各方面からの御意見を幅広く求めました。これらの意見は、選定調査委員会における審議、そして教育委員会における採択に際し、特に教育委員会では教育委員がそれぞれこの区民、保護者、そして学校の意見等も十分参考にして、採択をしたということで、御理解を賜りたいというふうに思います。

 それから、選定調査委員会の会合が3回しかなかったではないかと、次回に向けての改善を図るべきだということでございました。約2カ月にわたる選定調査委員会の作業は、全体で協議したのは4回でございますけれども、その間委員各自が実際の教科書の調査や各種の参考資料の研究をされ、そういった上で本当に御苦労の上に、十分な審議を尽くしていただいたということで、私どもは高く評価をさせていただいております。大変な御苦労をいただいたということで、ここで改めて、この席でございますけれども、感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 それから、不当な働きかけがないためにも、すべて会議は公開せよというようなお話がございました。不当な働きかけの防止、公正さの確保のために、特に中野の教育委員会として初めての事務ということもございまして、採択にかかわる教育委員会は非公開といたしましたけれども、採択終了後はすべての資料や各種会議の議事録は公開しており、その結果、大きな混乱もなく、公正な採択ができたと考えているところです。お話し合いの場等の御提案がございましたけれども、先ほども吉原宏議員にお答えをいたしましたとおり、3年後にはまた採択の事務がございます。まず、教育委員会でこの今回の採択の事務についての検証、自分で検証するということは、私は必要だと思いますので、この近々の教育委員会の中で、ぜひこういったことを私の方からも御提案をし、協議をしていただきたいというふうに考えているところでございます。

 以上です。

 〔教育委員会事務局次長須崎英夫登壇〕

○教育委員会事務局次長(須崎英夫) 残りの教育行政についての御質問にお答えをいたします。8件ございます。

 まず、今年度、各校に90時間ずつ措置をいたしました交通安全指導員、これを通年配置すべきだというお尋ねでございます。この交通安全指導員につきましては、基本的には学校、PTA、地域関係団体、あるいは区、警察等が連携をしながら、児童のみずからの身はみずから守ると、この能力や態度を育成していくことが基本であるという考え方に立ってございます。しかしながら、新1年生を迎える4月などにつきましては、安全確保に特別な配慮が必要だろうということを考えまして、各小学校に年間90時間の範囲で、学校が指定する箇所での安全誘導、擁護を委託して、実施をしてきたところでございます。したがいまして、通年での安全誘導員等の配置につきましては、消極的な考えに立ってございます。

 なお、1学期の実施状況の調査をいたしてございまして、その中で90時間では少ない、あるいは安全誘導の従事者が固定していない、いわゆる同じ人が来ないという意味ですが、さらに複数の危険箇所に対応できない等の学校現場からの問題点も指摘されてございます。これらを踏まえまして、学校からの意見を聞いた上で、来年度に向けて改善をしていきたいというふうに考えてございます。

 学校開放協力員の仕組みを再構築すべきだというお尋ねでございます。小学校校庭の遊び場開放につきましては、協力員の廃止後も校務主事及び業者委託によりまして、児童がこれまでと同じように利用できるように努めてまいってございます。校庭で遊びます子どもの数も、従来とはほぼ変わっていないという理解をいたしてございます。今後とも現行の仕組みを継続し、この事業を推進していきたいと、今思ってございます。

 学校の耐震補強工事を来年度実施すること、教材、それから備品費、維持補修費、これらを減額をしないこと等を前提として、教育予算の所要額をしっかり確保すべきだというお尋ねでございます。教育委員会といたしましては、厳しい財政状況の中ではございますけれども、中野区の教育行政に寄せる区民の方々の期待、非常に大きく受けとめてございます。その中での課題を厳選するとともに、限られた財源をさまざまな努力、工夫によりまして、活用し、真に必要な予算が措置されるよう、最大限の努力をしていきたいというふうに思っております。

 なお、耐震補強工事を15年からというようなお尋ねがございましたけれども、今年度から実施をしておりまして、来年度が1年間あいております。これを何とか来年度も工事できるように努めていきたいというふうに考えてございます。

 図書館のサービスの充実についての御質問が何点かございました。5か年計画期間中であっても、図書購入費を増額すべきであるとのお尋ねでございます。図書購入費につきましては、御指摘のとおり、削減をされてございます。したがいまして、非常に厳しい環境ではございますけれども、現在の予算の範囲で、既存資料の有効活用、レファレンスの充実、選書の全館分担収集などの執行面での工夫を図ることによりまして、極力レベルを下げないように努めていきたいというふうに考えてございます。

 学校と区立図書館の職員の能力向上と相互の関係を緊密にするための合同研修会、これを継続すべきであるというお尋ねでございます。学校の職員との合同研修会につきましては、教育委員会といたしましても、その必要性について十分に認識をいたしてございます。現在もその実施につきましては、意を用いておるところでございます。今後とも継続、充実させていきたいというふうに考えてございます。

 これ以上の区民へのサービス悪化を招くような行財政5か年計画でいう配置、機能の見直しはやめるべきだと思うが、どうかと、こういうお尋ねがございました。私ども現在、図書館内にプロジェクトチームを設けまして、現状の図書館のありよう、これを十分検証しながら、これからの図書館のあり方について議論を進めております。その基本になってございますのは、区民サービスの向上という視点から、開館日の増はできないか、インターネットによる蔵書検索などの区民サービスの向上が図られないかというような点を、いわゆるサービスの向上という視点で検討を進めております。その中で効率的な図書館運営、こういうものが実現できるような状態というものを模索をしているというのが、検討の状況でございます。したがいまして、これをやめるということでなく、継続してこの部分を詰めていきたいなというふうに思ってございます。

 学校図書館指導員についてでございます。区が独自に配置をしております学校図書館指導員につきまして、今後も継続をすべきではないかという御質問でございます。御指摘のように、平成15年度から国・都が配置を予定をしております司書教諭につきましては、12学級以上の学校が対象でございます。しかも、通常の授業を行う教諭との兼務ということになってございます。したがいまして、現在中野区が進めております学校図書館の充実ということのためにつきましては、やはり学校図書指導員、これはぜひ必要だというふうに、教育委員会としても考えてございます。この制度については、許される限り継続していきたいというふうに思ってございます。

 子どもの居場所に学校図書館を活用すべきであるという御意見でございました。現在、学校週5日制対応といたしまして、第2、第4土曜日の学校休業日に、校庭や体育館、特別教室を開放をいたしてございます。来年度から完全5日制になるわけでございますが、その対応について、学校施設をどうこれらに向けて開放していくかということについて、検討をいたしてございます。お尋ねの学校図書館の開放につきましても、この中で課題として含めて検討していきたいというふうに思ってございますが、ネックとしては管理上の問題があるということでございます。十分な議論を詰めていきたいというふうに思います。

 以上でございます。

   〔都市整備部長宮村光雄登壇〕

○都市整備部長(宮村光雄) 山手通り整備と環境対策についての3点の御質問にお答えいたします。

 まず、山手通りに自転車道を設置すべきだという御質問にお答えをいたします。

 東京都では、山手通りについて、その総幅員40メートルを生かして、緑豊かな広幅員の歩道や自転車道を設置する方向で具体的に検討中と聞いております。区といたしましても、以前から歩道拡幅を要望してきており、基本的には望ましいことと考えておりますので、今後具体的な計画案について意見や要望を出すなど、積極的に対応してまいります。

 次に、脱硝装置を設置するよう求めるべきとの御質問です。

 自動車排気ガスの脱硝装置につきましては、その実用化及び導入に向けた研究開発の推進を要望してきております。首都高速京浜島換気所の実験では、スペースコスト等を縮減する成果が見られ、今後さらに実用化の確認を行うべく、新たなパイロットスケール実験を2年間行うと聞いており、今後とも実用化されるよう、機会あるごとに要望してまいります。

 最後に、中野坂上地下通路の設備改善についてのお尋ねです。

 御質問の地下通路の階段昇降機は、車いす利用者が安全かつ円滑に地下通路を利用できるよう設置されたもので、利用者から連絡を受けた警備員が、乗車かごを装着し、付き添いながら、機器を操作することになっております。足の弱い高齢者などの利用に関しましては、機器の構造上、立ったままの利用はできませんので、現地に配備してございます予備の車いすに座っていただいて、利用できるようにすることについて、地下通路の管理会社と協議してまいります。

     〔岩永しほ子議員登壇〕

○32番(岩永しほ子) お答えをお聞きして、本当に、例えば福祉電話の件でも、それから教育の例えば維持補修費でも、どうしてああいうお答えができるのかなと、何か胸がいっぱいになるような気持ちで聞いていました。で、いろいろ聞きたいとは思いますが、こうした問題については、総括やそれぞれの分科会の中でやっていただくようにして、1点だけお聞きをしたいと思います。

 国民健康保険の資格証発行についてですが、私は質問の中で、区が今発行しようとしている人たちは、悪質滞納者とも判断ができない人も含めていると。これはこの質問をつくっていく上で取材をしましたが、何度も確認をしました。すべて連絡がとれて、悪質滞納者というふうに判断できる人かどうかということについては、私も本当に気になったところなので、何度も確認をしましたが、部長が先ほど、今回区が対象にしているのは、能力がありながら納付の意思がない人たちなどだというふうに、明確に答えられました。なぜ部長はこういうふうに明確に答えられるのか。その対象にしている人たちとすべて連絡がとれたのか。そのあたりについての根拠をお聞かせください。

    〔区民部長内田司郎登壇〕

○区民部長(内田司郎) 再質問にお答えをいたします。

 先ほども申し上げましたように、今回資格証の交付対象としております方は、繰り返しませんけれども、先ほど答弁させていただいた方ですが、納期限から1年半の間、私どもとしてはとり得る方法を駆使して接触に努力してまいりました。この1年半の間、例えば電話催告は延べ48回、督促等文書催告延べ29回、そして自宅訪問9回といったように、手だてを尽くして努力をしてまいりました。それでも御連絡いただけないという方がいらっしゃるわけで、そうした方々を含めて、最初の御質問に、現段階で1,000世帯くらいの世帯が対象となっているというふうなお話がありましたけれども、それは事実でございますけれども、私どもこれを、御質問にありましたけれども、一律に適用するといったような考えは持っておりませんで、先ほど申し上げましたような手だてをなお尽くしながら、この件数を少しでも減らしたい。それを現在も続けているわけでございます。

 その上で、どうしても、これだけ手を尽くしても、応じていただけない方の場合には、やはりこの制度の趣旨から、あるいは保険料の時効が2年といったようなことから、やはり他の被保険者の方々との負担の公平というふうなことも考えますと、やはり資格証というようなことを措置させていただいて、引き続いて納付指導につなげていく。それを促していく。こういった手だては講じざるを得ないというふうな考え方でございまして、すべての方が悪質滞納者というふうに決めつけることはできませんけれども、制度の趣旨からそのような対応をさせていただいている、努力をしているということでございます。

○議長(斉藤金造) 以上で岩永しほ子議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。議事の都合により本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(斉藤金造) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

      午後5時07分散会