平成28年11月25日中野区議会本会議(第4回定例会)
平成28年11月25日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録
25.09.12 中野区議会第3回定例会(第3号)

.平成28年(2016年)11月25日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(42名)

  1番  加  藤  たくま         2番  若  林  しげお

  3番  日  野  たかし         4番  木  村  広  一

  5番  ひやま      隆        6番  山  本  たかし

  7番  渡  辺  たけし         8番  内  野  大三郎

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  北  原  ともあき

 11番  高  橋  かずちか       12番  内  川  和  久

 13番  甲  田  ゆり子        14番  小  林  ぜんいち

 15番  白  井  ひでふみ       16番  中  村  延  子

 17番  細  野  かよこ        18番  小宮山   たかし

 19番  広  川  まさのり       20番  い  さ  哲  郎

 21番  佐  野  れいじ        22番  いでい   良  輔

 23番  伊  東  しんじ        24番  平  山  英  明

 25番  南     かつひこ       26番  小  林  秀  明

 27番  森     たかゆき       28番  石  坂  わたる

 29番  いながき  じゅん子       30番  小  杉  一  男

 31番  浦  野  さとみ        32番  伊  藤  正  信

 33番  高  橋  ちあき        34番  大  内  しんご

 35番  市  川  みのる        36番  篠     国  昭

 37番  久  保  り  か       38番  酒  井  たくや

 39番  近  藤  さえ子        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席議員

      な  し

.出席説明員

 中 野 区 長  田 中 大 輔      副  区  長  川 崎   亨

 副  区  長  本 田 武 志      教  育  長  田 辺 裕 子

 政 策 室 長  髙 橋 信 一      経 営 室 長  篠 原 文 彦

 都市政策推進室長 奈 良 浩 二      西武新宿線沿線まちづくり担当部長 角   秀 行

 地域支えあい推進室長 野 村 建 樹    区民サービス管理部長 白 土   純

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長  横 山   俊    健康福祉部長   瀬 田 敏 幸

 保 健 所 長  寺 西   新      環 境 部 長  戸 辺   眞

 都市基盤部長   尾 﨑   孝      政策室副参事(企画担当) 海老沢 憲 一

 経営室副参事(経営担当) 朝 井 めぐみ

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  小 田 史 子      事務局次長    古 本 正 士

 議事調査担当係長 佐 藤   肇      書     記  関 村 英 希

 書     記  大 野 貴 子      書     記  細 川 道 明

 書     記  井 田 裕 之      書     記  冨士縄   篤

 書     記  田 中   寛      書     記  遠 藤 良 太

 書     記  鎌 形 聡 美      書     記  松 丸 晃 大

 書     記  香 月 俊 介      書     記  亀 井 久 徳

 

 議事日程(平成28年(2016年)11月25日午後1時開議)

日程第1 第89号議案 平成28年度中野区一般会計補正予算

 

午後1時00分開議

○副議長(白井ひでふみ) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 平 山 英 明

 1 中野駅周辺まちづくりの課題について

  (1)中野三丁目地区まちづくりについて

  (2)中野駅周辺における安全対策とバリアフリー化について

  (3)その他

 2 契約のあり方について

 3 スポーツ・健康づくり推進について

  (1)施設使用料の見直しについて

  (2)学校再編に伴う地域の運動施設の確保について

  (3)その他

 4 安心して預けられる保育環境の整備について

  (1)人口推移を踏まえた待機児童対策について

  (2)保育環境の充実について

  (3)区立保育園の民営化について

  (4)その他

 5 子どもの安全確保と学力向上策について

  (1)児童・生徒の安全対策について

  (2)区立小中学校での学力向上の取り組みについて

  (3)その他

 6 介護ボランティア事業の創設について

 7 その他

 

○副議長(白井ひでふみ) 最初に、平山英明議員。

〔平山英明議員登壇〕

○24番(平山英明) 平成28年第4回定例会において、公明党議員団の立場から一般質問を行います。

 質問は通告どおりで、7のその他はありません。区長、理事者におかれては、簡潔明瞭な答弁に努めていただきますようにお願いをいたします。

 それでは初めに、中野駅周辺まちづくりの課題について。まず、中野三丁目地区のまちづくりについて伺います。

 桃丘小学校跡地をめぐる学校法人タイケン学園に対する対応について、昨日、自民党の内川議員から質問がありました。今後の裁判への影響を考慮し、今回は本件についての詳細な質問は控えますが、区民の財産が侵害される事態の早期終息を望むとともに、懸念されるのは中野三丁目地区まちづくりへの影響です。内川議員の質問と重なりますが、最初に、確認のため2点だけ伺います。

 本件により、中野三丁目地区まちづくりにおくれが生じることはないのでしょうか。伺います。

 桃丘小学校跡地は、区からUR都市再生機構への売却が行われています。中野三丁目地区まちづくりの主体であるURと本件に対する対応の協議は行われているのでしょうか。伺います。

 次に、中野駅周辺における安全対策とバリアフリー化について伺います。

 昨年改定された中野区バリアフリー基本構想では、重点整備地区計画における施設別の方針として、ホームにおける安全対策を「列車との段差及び隙間をできる限り小さくする」、「警告ブロックやホーム柵の設置等を進める」と定めています。中野駅では、内方線つき点字ブロックが全てのホームに整備されましたが、ホームドアの設置については中野地区の特定事業とはされていません。区が目指す中野駅周辺地区の再整備による駅利用者の増加を考えると、中野駅へのホームドア設置は必須です。現在、総武線、東西線においてホームドア対応車両の導入が進んでおり、総武線では千駄ヶ谷駅、信濃町駅に、東西線でも高田馬場駅、飯田橋駅、早稲田駅、神楽坂駅、竹橋駅に、2020年度までにホームドアが設置されることが決定をしました。総武線、東西線でのホームドア対応車両の導入は両線が乗り入れる中野駅にとっては朗報です。この機を逃さず、中野駅1、2番線及び3、4、5番線についてもホームドアの早期設置を改めて求めるべきではないでしょうか。伺います。

 区役所・サンプラザ地区再整備が完了し利用が始まるまでには、駅舎についても万全の安全対策を講じなくてはなりません。区役所・サンプラザ地区再整備完了までに全てのホームにホームドア設置を行うことを区の目標として明確に定め、JRとの協議を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 11月18日付の建設通信新聞に、区長が17日に行った定例会見が掲載されていました。記事を紹介すると、「官民連携によるまちづくりについて『公共用地を活用していく場合に民間の力を活用することは、優先順位の高い配慮事項』との考えを明らかにした。将来の人口減少などを見据えた中で、区が直接所有する施設を減らす必要性を指摘するとともに、活用方策について『区が関与しながら区民にとってより有益な施設を誘導していく』とし、民間の資金やアイデアを積極的に取り入れていく方針を示した。」とありました。これからの地方公共団体のあり方を考えると、全くそのとおりであろうと思います。今後の区のサービスへの民間活力の導入が進むにつれて、民間と結ぶ契約案件も増加するとともに、これまでに区として経験のない複雑な契約などへの対応が求められることも考えられます。そして、より厳しいリスク管理が求められます。

 そこで、契約のあり方について、2点伺います。

 区は、昨年度から法律顧問業務委託を始めました。しかし、顧問弁護士に相談する内容などに一定の基準がまだ設けられていません。契約案件についてはリーガルチェックを原則とすべきではないでしょうか。伺います。

 都は、公有財産の管理及び処分の適正を図り、あわせてその効率的運用を行うため、東京都公有財産管理運用委員会を設置しています。23区では調べた限りでも、墨田区、荒川区、目黒区、足立区、港区、豊島区、北区、品川区、江東区などが同委員会の設置を行っています。区も同委員会の設置を行ってはいかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、スポーツ・健康づくり推進について。初めに、施設使用料の見直しについて伺います。

 区は、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、区民の健康づくりやスポーツ活動を推進するため、スポーツ活動を目的とした使用に関して体育館開放使用料及び冷暖房費を平成28年7月1日から当分の間免除としました。区が取り組むスポーツ・健康づくり推進の上から大変有効な取り組みと評価いたします。

 そこで、推進のための取り組みをさらに加速させるために伺います。

 現在の施設使用料算出に用いられている施設の性質別負担割合のうち、スポーツ施設について、東京オリンピック・パラリンピックに向けた機運醸成を図るために、次の見直し時期である平成30年度から当分の間、利用者の負担割合を現行の70%から50%まで引き下げる大胆な見直しを行ってはいかがでしょうか。伺います。

 施設使用料の見直しの考え方に基づいた使用料改定を行ってから10年が経過する来年度、利用者、利用団体の声を聞くなど総括を行うべきと考えます。その上で、区が定めた中野区スポーツ・健康づくり推進計画の実現に資する見直しの考え方の再構築を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 次に、学校再編に伴う地域の運動施設の確保について伺います。

 新しい中野をつくる10か年計画(第3次)では、鷺宮スポーツ・コミュニティプラザの開設はステップ1、北部スポーツ・コミュニティプラザの開設はステップ3となっています。平成17年に策定された第1次といえる10か年計画に区内4圏域への地域スポーツクラブ開設目標のスケジュールが示され、平成20年3月に地域スポーツクラブ構想が策定されました。しかし、そのあり方に議会からもさまざまな意見が寄せられ、区も再考を重ね現在の計画となったため、スケジュールについては大幅におくれた形となっています。他方、学校再編については、多少のスケジュールのずれはあったものの、前期はほぼ計画どおり終了し、後期計画も進められているところです。現在閉校となった学校で区民の利用可能な体育館がない中、スケジュールのずれにより、特に北部圏域において一定期間地域の運動施設が失われていることについての対策を講じるべきです。北部スポーツ・コミュニティプラザ開設までの間、北部圏域での屋内運動施設の確保を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 若宮小学校と大和小学校の統合校である美鳩小学校が、来年度若宮小学校の位置に開校します。そして、現在の大和小学校は、美鳩小学校の新校舎建設までの間、学校開放の利用ができなくなります。近隣の小学校である啓明小学校と北原小学校は校舎の構造上の問題から体育館の開放を行っておらず、来年度から美鳩小学校新校舎完成までの間、環七以西の野方・若宮・大和町地域で体育館開放を利用できるのは新校となる美鳩小と第四中学校だけとなります。また、その後は美鳩小が、四中・八中の統合校新校舎建設のため、同様に一定期間利用不可となります。

 中野中学校の開設に当たり、新校の構造上の問題から一般開放用に設置された更衣室などが使えない状況を議会で指摘し、その後、区による対策が講じられました。啓明小、北原小が今後学校体育館の開放を行うか否かは当然それぞれの学校の判断ではありますが、地域事情を考え、仮に学校が開放を検討する場合については、中野中学校と同様に、区として、校舎から体育館に至るまでの動線などのセキュリティー対策を行うべきと考えます。いかがでしょうか。伺います。

 今後建設する区立小・中学校の新校舎については、体育館開放を前提とした動線確保とトイレなどの配置について、教育委員会、建築分野、健康・スポーツ担当で十分な協議を行い、設計委託をすべきであることを改めて求めます。いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、安心して預けられる保育環境の整備について。初めに、人口推移を踏まえた待機児童対策について伺います。

 待機児童対策は最優先で取り組むべき課題であり、国や都も緊急対策を示し、待機児解消に向けた取り組みを進めています。今週22日には都の緊急対策会議が開催され、多くの首長が参加をされ、当区からは区長と御担当が出席されたとも聞きます。

 9月2日に厚生労働省が発表した「保育所等関連情報のまとめ」では、中野区は待機児童数が全国20位、23区では9番目という厳しい結果が示されました。

 来年度の待機児解消に向けた進捗はいかがでしょうか。今年度当初予算、補正予算を合わせ1,105名の定員増を目指し懸命に取り組んでいることは承知をしていますが、第3回定例会での我が会派の日野議員が保育定数拡大に向けた進捗状況と今後の保育園誘致の見直しを尋ねた際、保育園誘致の進捗については楽観を許さない状況にあるとの答弁もあったところです。

 初めに、現状認識として、現時点における保育園誘致の状況を伺います。

 土地や施設など、保育園誘致のための環境は他区と比べ決して有利とは思えない中で保育定数の拡大を図るためには、都が新たに打ち出した空き家の活用を積極的に推進すべきではないでしょうか。

 区は、(仮称)中野区空家対策基本計画の策定に向け、現在実態調査の取りまとめを行っていると聞きます。その中で、特定空き家と利活用を促す空き家などの分類分けも行われ、その後所有者に対して意向調査が年内には行われるとも聞きます。

 そこで、利活用促進可能な空き家について、意向調査の際、保育園、保育施設としての活用の意向についても調査を行ってはいかがでしょうか。保育担当と連携し、保育園、保育施設開設に当たっての手順や補助制度などについてわかりやすい資料を同封し、具体的なイメージが湧く内容を伝えるなど、積極的な誘導策を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 足立区は、3年間の中期計画である「足立区待機児解消アクションプラン」を策定し、毎年更新を行っています。区民に対し、待機児童数の推移や就学前人口の見込み、人口と保育需要の見込みなどをグラフをもとにわかりやすく示し現状把握ができるようにするとともに、区内を13のブロックに分け、地域ごとのマンション建設やまちづくりなどの情報を盛り込んだ上で、ブロックごとの定員過不足見込みも示した上で整備計画を立てています。23区の中でも非常によくできた計画です。御担当も足立区にこの計画内容について話を聞きに行かれたと聞きますから、同様の中期計画、「(仮称)中野区待機児解消アクションプラン」を策定してはいかがでしょうか。伺います。

 次に、保育環境の充実について伺います。

 区としても、積極的に誘致を行った小規模保育施設の現場から、夏のプール遊びを含む近隣の遊び場についての相談を受けます。これまで我が会派としても、公園活用における配慮や近隣園、小学校との連携による遊び場確保を求めてきました。近隣施設との連携強化は今後の保育施設の誘致促進にもつながります。現在の進捗状況を伺います。

 区立保育園民営化についても伺います。

 大和保育園父母会から区長宛てに緊急質問書が提出されました。さまざまな要望に誠実に対応されることを望みます。その中で保護者の大きな不安の一つは、いまだ示されない仮園舎の位置にあるように思います。仮園舎の位置については既に具体的な調整の段階に入っていると思いますが、公表される時期はいつになるのか、現在の予定を伺って、この項の質問を終わります。

 次に、子どもの安全確保と学力向上策について伺います。

 区と教育委員会は、これまで通学路の安全対策として通学路における緊急合同点検を実施し、危険が予測される箇所への対策を講じてきました。平成27年には「中野区通学路交通安全プログラム」を策定し、通学路の交通安全対策に関する取り組みの方針を定めました。また、防犯面の対策として区立の全小学校の通学路への防犯カメラの設置も行ってきたところです。しかしながら、ここ最近通学中の児童の大変痛ましい事故が頻発し、改めて通学路の安全対策が求められています。同プログラムのPDCAサイクルを回しながら方針にのっとった不断の取り組みを進めるとともに、学校再編により新たに通学路が拡大する統合新校に対する対策も検討しなくてはなりません。

 そこで、児童・生徒の安全対策について、何点か伺います。

 統合新校の通学路の設定と安全対策については同プログラムどおり行われますが、学童クラブを利用する子どもたちの帰宅ルートの安全対策は検討されているのでしょうか。来年度開校の美鳩小学校に通う予定の保護者からは、特に学童を利用する低学年の子どもたちの移動距離が大幅に伸びることについて安全確保を懸念する声が上がっています。学童の安全対策は教育委員会ではなく地域支えあい推進室が担当となりますが、双方の協議は行われているのでしょうか。学童クラブを利用する子どもたちの帰宅ルートについてどのような安全対策を検討されているのか、伺います。

 防犯カメラについて、統合新校の通学路が新たに決定した場合、現状の設置箇所を見直す必要があると考えます。場合によっては増設も必要となるかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。伺います。

 警察庁は、平成23年度より、生活道路における歩行者などの安全な通行を確保することを目的として、区域(ゾーン)を定めて最高速度30キロメートル毎時の速度規制を実施するとともに、そのほかの安全対策を必要に応じて組み合わせ、ゾーン内における速度抑制やゾーンを抜け道として通行する行為の抑制などを図る、新たな生活道路対策「ゾーン30」の取り組みを開始しています。そもそも生活道路における安全対策ではありますが、学校の通学路に生活道路が多いこともあり、警察庁は通学路の安全対策にも有効であるとしています。

 警視庁のホームページを見ると、平成23年度から平成28年度までに都内の市区町村の239地区を整備することを目標としています。当区においても、昨年6月22日に中野警察から弥生町二丁目、本町三丁目区域内のエリアについて、6月24日には野方警察から新井一丁目から三丁目地域内の3エリアについて、区長宛てにゾーン30の設置依頼があり、本年度予算で整備を進めているところです。

 中野区における通学路の指定は学区内の多くの生活道路が含まれているという現状を鑑みると、中野区通学路通行安全推進連絡会において面的な安全確保のため学校区ごとのゾーン30活用の可能性について協議を行うべきと考えます。いかがでしょうか。伺います。

 次に、区立小中学校での学力向上の取り組みについて伺います。

 日本漢字検定協会が主催する漢字検定は多くの小学生も受験しており、私の娘も学校の担任の先生の影響で受験するようになりました。

 文部科学省の審議会である英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会は、昨年3月に示した、英語の資格・検定試験の活用促進に関する行動指針(案)の中で、資格・検定試験の有効性を踏まえた活用、生徒学生が受験しやすい環境への配慮などを求めています。区内の区立中学校では、現在、漢字検定を11校中9校、英語検定を11校中8校、数学検定を11校中3校、学校主体で検定試験を実施しています。区立学校の児童・生徒の学力向上の施策の一環として、これらの検定試験の積極的な活用を行ってはいかがでしょうか。区の教育の特色の一つとして教育委員会主導での取り組みを検討してはいかがでしょうか。その上で、現在改定中の教育ビジョンにおいて検定試験の活用について盛り込むべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 さきに紹介した区立中学校における学校主体の検定試験の取り組みは、部活動などにより一般会場での受験が困難な場合もあることを考えると受験機会を提供しやすくなるものですし、同じ学校の同級生といつもと同じような環境で受験できることは生徒に安心感を与え、受験のハードルを下げることにもつながります。規模などによって実施が困難な学校もあることも考えられます。例えば、全校での実施が困難であればブロックごとに持ち回りでの実施など、区立中学校の全生徒が等しく受験可能な環境をつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 最後に、介護ボランティア事業の創設について伺います。

 我が国が直面する超高齢社会の課題をいかに乗り越えていくのか。この課題克服のために、現在それぞれの自治体が地域の実情に応じた高齢者の支援体制整備の必要性に迫られており、この支援体制を地域包括ケアシステムと呼んでいます。地域包括ケアシステムの最大のポイントは、高齢者が住みなれた地域で介護や医療、生活支援サポート及びサービスを受けられるよう、基礎自治体が中心となり、「住まい」「医療」「介護」「生活支援・介護予防」を包括的に体制整備していくという点です。地域包括ケアにおける地域支援事業の中の総合事業においてさまざまな自治体で、介護サービスを利用する方が介護等級の改善や介護からの卒業を目指して生活機能の改善のための取り組みを多職種協働で支援する体制が進められています。この取り組みによりサービス利用者の生活機能改善の結果があらわれた際に、利用者本人やケアマネジメント事業者、介護サービス事業者にそれぞれ改善の結果を評価し、利用者には褒賞やポイントなどを、事業者にはインセンティブとしての交付金を付与する取り組みを行っている自治体があります。中野区としても、生活機能改善のために努力された利用者本人や支援事業者の取り組みを評価し、取り組みを促進するためにも制度を導入すべきと考えますが、伺います。

 また、従来の任意事業としての包括的支援事業に生活支援体制整備や認知症施策推進などが加えられています。この施策を進めるに当たってはボランティアなど幅広い協力体制が望まれるところです。他の自治体においては、支援を必要とする高齢者の生活・認知症施策支援に対して協力いただいた方に褒賞やポイントなどを付与し、広く協力者を募る制度を実施しているところがあります。

 中野区においても、高齢者の生活・認知症施策支援体制の強化のために褒賞やポイントなどを付与し、介護ボランティアを募る仕組みを構築すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺って、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 平山議員の御質問にお答えをいたします。

 中野駅周辺まちづくりの課題について、中野三丁目まちづくりについてであります。三丁目まちづくりのおくれ、URとの協議について、区としては、本件訴訟の事業への影響について、事業施行者である独立行政法人都市再生機構と協議をして着実に事業を実施していきたいと考えているところであります。

 中野駅のホームドアの設置についてであります。中野区バリアフリー基本構想においては、鉄道駅のホームにおける安全対策として、ホームからの転落や列車との接触を防ぐため、警告ブロックやホーム柵の設置等による転落防止対策を進めることとしております。この方針に沿って、今後全てのホームについて、JR東日本に対しホームドア設置の実現に向けた要望及び協議を進めたいと考えております。遅くとも区役所・サンプラザ地区再整備完了及び橋上駅舎の整備完了までにはホームドアが整備されるべきであると考えておりますが、これらの整備時期を待つまでもなく、可能な限り早期に整備できるよう働きかけを行う必要があると考えております。

 次に、質問の3番目、スポーツ・健康づくり推進についてのお答えをいたします。

 スポーツ施設使用料の引き下げについて。スポーツ施設は、区がスポーツ振興を行うための政策的な観点から整備した施設であり、民間類似施設の利用機会なども勘案し、施設コストの一定割合を公費で負担する考えから利用者負担率を70%に設定しております。

 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催は今後の区のスポーツ振興のためにも貴重な機会であり、学校区開放の体育館使用料についてはことしの7月から当分の間免除としたところであります。東京大会の開催を契機としたスポーツの機運醸成のために、施設使用料の設定についても3年に一度の料金改定の中で検討をしていきたいと考えております。

 施設使用料見直しの考え方の再構築についてであります。平成19年度に施設使用料の見直しの考え方に基づく使用料改定を実施して以降、平成23年度、27年度と使用料の改定をこの考え方に基づいて行ってまいりました。平成30年度に予定をしております使用料改定に向けては、算出根拠や受益者負担の公平性等を考慮し、検討を進めてまいりたいと考えております。

 北部地域の運動施設の確保についてであります。学校再編により現在開放を行っている学校が減少する時期が生じ、地域の方々が運動する機会に影響が生まれるという、このことについては認識をしております。北部地域の屋内運動施設の確保についても、全区的な施設活用のあり方を整理しながら対応方法について今後検討していきたいと考えております。

 学校開放未実施校の開放に向けた防犯対策についてであります。区としては、スポーツ・健康づくりの観点からできる限り学校の体育館開放を進めていきたいと考えております。開放を実現するためには構造上一定の要件をクリアすることが必要となる場合もあります。そうした要件等を勘案しながら、今後とも施設の条件整備や学校教育活動との調整を行いつつ、学校開放を進めてまいりたいと考えているところです。

 校舎と体育館の区分などの安全対策については、学校と協議を行った上で、例えば、区として、ロープパーテーションを設置することなどにより防犯対策を行うことも可能ではないか、このように考えております。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 初めに、スポーツ・健康づくり推進についてのうち、新校舎建設時の体育館開放を前提として関係所管間の十分な協議についてにお答えをいたします。学校をはじめ、それぞれの施設の利用者に配慮した動線の確保、更衣室、トイレ等の配置について、関係所管との協議を踏まえ、建設を進めていくこととしてございます。

 続きまして、子どもの安全確保と学力向上策について。初めに、統合新校の通学路防犯カメラの設置についてです。統合新校の通学路につきましては、通学路交通安全推進連絡会の構成メンバーである、教育委員会、区都市基盤部、学校、PTA、警察署、東京都第三建設事務所で安全点検を実施した結果、現行の防犯カメラの台数で対応することを確認してございます。なお、統合新校の校長が新しい通学路を指定することになるわけですが、必要があれば防犯カメラを移設することも考えてございます。

 続きまして、学力向上施策の一環としての検定試験の積極的な活用についてです。漢字検定や英語検定等につきましては、受験料は個人負担を伴うものであり、個人の判断で受験し、全員が参加するものではございません。漢字検定や英語検定等につきましては、意欲の高い子どもたちに応えるためのものであり、発展的な学習として放課後の指導を行ったり、受験のための準会場を設けたりするなど、各学校の判断で取り組んでおりまして、正規のカリキュラムに取り入れるものではございません。こうしたことから、教育ビジョン(第3次)への記載についてはなじまないというふうに考えてございます。

 以上でございます。

〔経営室長篠原文彦登壇〕

○経営室長(篠原文彦) 契約のあり方についての2点の質問にお答えを申し上げます。

 初めに、契約案件におけますリーガルチェックについてでございます。現在は、経理担当におきまして法的、財産管理の側面からチェックを行っているところでございます。今後増加していく複雑な案件につきましては、専門家による確認を徹底してまいります。

 次に、公有財産管理運営委員会の設置についてでございます。公有財産管理運営委員会の設置や用地委員会の機能拡充を含め、公有財産の取得、管理、処分に係りますチェック機能をさらに高める方策を検討してまいります。

〔子ども教育部長横山俊登壇〕

○子ども教育部長(横山俊) 私からは、安心して預けられる保育環境の整備の御質問のうち、所管分についてお答えいたします。

 まず初めに、待機児童対策につきまして、保育所の誘致状況についてのお尋ねでございます。昨年度におきまして推計をいたしました保育需要、これに基づきまして、平成29年4月時点で約330人の保育定員の増を目指していたところでございます。現在、既に開園済みのものを含めまして、認可保育所4園、小規模認可保育所1園のほか、事業所内保育所2園、認証保育所の認可化1園によりまして、平成29年4月時点において約300人の定員増を図ることができる見込みとなってございます。このほか、定期利用保育事業などの方法によりまして、当初予定しておりました保育定員約330人、これの確保を実現できるものと考えております。さらに、今年度の補正予算によりまして、今後の保育需要の伸びを最大限見込みまして、平成29年4月以降の開園分、これも含めまして約700人の保育定員の拡大を目指しているところでございます。現在、これにつきましては、認可保育園、それから小規模保育園の平成29年度中の開園によりまして約500人の定員増に向けまして調整を進めている状況にございます。

 次に、待機児童解消に向けました中期計画の策定についてでございます。保育を含めまして、子育て支援サービス、これの5年間にわたります中期的な需要の見込みと確保策につきましては、子ども・子育て支援事業計画によりまして明らかにしているところでございます。しかしながら、同計画の初年度から保育につきましては計画を大きく上回る需要の増加がありまして、待機が生じる状況にございます。こうした待機児童の状況を勘案いたしまして、保育につきましては毎年需要見込みの調整を行い、必要な保育定員の拡大を図っているところでございます。なお、より適切な保育施設の整備を図る観点から、一定の地域ごとの動向を踏まえた保育需要の予測などにつきまして研究してまいりたいというふうに考えてございます。

 次に、小規模保育事業所の遊び場確保についてでございます。固有の園庭がない小規模保育事業所につきましては、区立や一部の私立保育園の園庭や水遊び場の利用あるいは行事への参加など、連携を進めているところでございます。また、小学校の校庭利用等につきましても一部今年度から開始をしたところでございます。引き続き、固有の園庭がない小規模保育事業所につきましては、遊び場の確保等のため、区として支援を行ってまいります。

 次に、仮園舎位置の公表の時期についてのお尋ねでございます。仮園舎の立地につきましては、さまざまな点で調整を行っている段階でございまして、できるだけ早い時期に公表したいというふうに考えているところでございます。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、まず人口推移を踏まえた待機児童対策についての御質問のうち、空き家利活用の意向調査についての御質問にお答えいたします。空き家所有者への意向調査におきましては、空き家となった背景や空き家管理上の問題などを把握するとともに、空き家の利活用に対する意向についても確認したいと考えております。また、意向調査の際に空き家の利活用に関する情報提供を行う中で、空き家所有者が保育施設等への利活用についても前向きに検討できるような取り組みを進めてまいりたいと考えております。

 次に、児童・生徒の安全対策についての御質問のうち、ゾーン30活用の可能性の協議についての御質問でございます。ゾーン30の交通規制は、交通量や交通事故の発生状況等をもとに警察が道路管理者や地域住民と協議調整し決定しているものでございますが、地域からの要望によって警察が整備の必要性を検討し決定している場合もございます。区は、通学路の安全対策のため、関係機関との連携を目的として、区、小学校PTA、警察署及び東京都第三建設事務所を構成員とした中野区通学路交通安全推進連絡会を設置して、通学路の合同点検や点検後の対策の検討・実施、さらに効果の把握、改善などを行っているところでございますが、これらにあわせ、御提案のような協議も必要に応じて行っていきたいと考えております。

〔地域支えあい推進室長野村建樹登壇〕

○地域支えあい推進室長(野村建樹) 児童・生徒の安全対策についてのうち、学童クラブ利用時の帰宅ルートの安全対策についてお答えをいたします。学童クラブ利用時の帰宅ルートにつきましては、学校の通学路によることになり、統合新校の通学路は教育委員会の定める基準に基づいて安全を確保し指定をしてまいります。

 学童クラブは、小学校の統合後、新校舎にキッズプラザを展開するまでの間は現在の位置で運営を行います。帰宅時のことを考慮し、自宅から近い学童クラブを選択することも可能でございます。また、新1年生の下校時には、入学式後の数日間、小学校まで送迎をするとともに、登録児童の家の位置と帰宅ルートを把握し安全確認や児童への安全指導を行い、安全の確保に努めてまいります。

 最後に、介護ボランティア等に対するインセンティブの導入という御質問でございました。介護予防・日常生活支援総合事業における介護予防効果の向上のためのインセンティブ策としましては、現行相当サービスにおいて利用者状態に一定の改善が見られる場合の状態改善加算を検討してございます。

 また、介護予防ケアマネジメント事業者、住民主体サービスの提供者、ボランティアなど、さらには当該サービスを利用される方に対するインセンティブ策につきましては、ポイント制の導入も含め、今後検討してまいりたいというふうに思ってございます。

○副議長(白井ひでふみ) 以上で平山英明議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 広 川 まさのり

 1 保育施策について

  (1)待機児童対策について

  (2)区立保育園の民営化について

  (3)その他

 2 住宅の防災対策について

 3 民泊について

 4 第三・第十中学校統合新校・複合施設整備について

 5 その他

 

○副議長(白井ひでふみ) 次に、広川まさのり議員。

〔広川まさのり議員登壇〕

○19番(広川まさのり) 2016年第4回定例会本会議におきまして、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。

 初めに、保育施設について伺います。

 まず、待機児童対策についてお聞きします。

 近年、中野区の就学前児童人口は増加傾向にあります。さらに、国の調査によると、2015年の女性の就業率は5年前と比べ高くなっており、20歳代後半から40歳代前半の就業率が約4%から7%上昇しています。こうした状況から中野区でも保育需要は増加の一途をたどっており、ことし4月の認可保育所入所申込者数は1,744人となり、前年比で67人増加しています。4月時点で中野区の待機児童数は257人となり、認可保育園が不承諾となり認証保育所を利用されている方や私的事由等で保育施設を利用できていない方を加えた潜在的待機児童数は644人に上ります。

 ことし1月、子ども文教委員会において、区は、2015年3月に示した来年4月の保育需要見込みを332人ふやして5,638人に変更するとし、認可保育所5施設、定員330人増の方針を示しました。さらに第2回定例会では、保育需要の見込みをさらに313人増の5,951人へ変更し、80人規模の賃貸物件型認可保育所8施設と小規模保育施設5施設の計13施設の追加誘致を行う補正予算が組まれました。当初予算で約8億7,000万円、補正予算で約7億500万円が民間保育施設新規開設支援として計上されています。区は、6月21日に行った記者会見においても、来春までに1,065人の定員増を図り、2017年4月1日時点で保育所に入れない待機児童ゼロを実現すると発表しました。しかし、今月から始まった来年4月の保育園入園申し込みの案内には新規開設予定の園として3園が記載されているのみです。

 そこで伺います。区が「来年度、待機児童をゼロにする」として打ち出した待機児童対策において、来年4月に何園の新規園が開設され、何人の定員増となるのでしょうか。また、来年度、待機児童は解消されるのでしょうか。お聞きします。

 今年度、多くの自治体で中野区と同様に大規模な保育施設の新規開設計画が打ち出されています。第3回定例会決算特別委員会の総括質疑の中で、来年度の民間保育施設の新規開設における進捗状況を伺った際、楽観は許されないというような状況はお聞きしておりますとの答弁があり、傍聴された方の中には事業者任せだと感じた方もいらっしゃいました。待機児童の解消が切実に求められる中で、今回の中野区の待機児童対策が全体的に事業者任せであったことにより計画倒れとなっているのではないでしょうか。他の自治体では今年度から待機児童の解消に向けて緊急対策本部などを設け、本格的に保育施設の整備に向けて取り組んでいる自治体もあります。中野区としても、今後、対策本部などを設置し、もう一歩踏み込んだ待機児童対策を行うべきではないでしょうか。見解を伺います。

 また、将来の保育需要を見据え、複数年度にまたがった保育施設の整備計画を設け、待機児童の解消に取り組む自治体もあります。中野区としても、単年度の計画にとどまらず、中・長期的な施設整備計画を作成してはいかがでしょうか。伺います。

 今年9月、東京都は待機児童解消に向けた緊急対策を発表し、「保育所等の整備促進」、「人材確保・定着の支援」、「利用者の支援の充実」を柱とする補正予算126億円が可決されました。保育所等の整備促進については、賃貸物件を活用した保育所等の土地や建物賃貸料を5年間、都が4分の3、区と事業者が8分の1ずつ負担するという補助事業が設けられました。年度内開設であれば、区と事業者の負担は16分の1となり、また人材確保・定着の支援として、現行では採用5年目までを対象としている宿舎借り上げ支援事業を6年目以降も対象とし、1戸当たり月82,000円の支援を行う事業へと拡充されました。さらに、待機児童解消区市町村支援事業や病児保育施設整備事業なども補正予算で示されています。区として、この補正予算を具体的にどのように活用していくおつもりでしょうか。伺います。

 区が、主体性と責任感を持ってこれまで以上の対策を講じなければ待機児童の増加に歯どめはかかりません。子育てする世代が他区に流出していくことも懸念されます。区が保有する土地や建物を積極的に活用し、認可保育園の増設に取り組んでいただきたいと思います。

 続いて、区立保育園の民営化について伺います。

 現在、本格的な待機児童対策が求められる中で、区は新しい中野をつくる10か年計画(第3次)に基づき区立保育園の民設民営化計画を進めています。かつて、「ポストの数だけ保育所を」というスローガンのもと、区内には41園の区立保育園が建てられましたが、現在は20園にまで減っています。そして、既に発表されている2園に加え、第3回定例会において、今後5年間に7園を民設民営化する方針が示されました。突然の民営化を告げられた区立保育園を利用する保護者からは戸惑いの声も上がっています。

 先日、2018年度に民間事業者に運営を委託し、園舎の建てかえを行う方針が示された大和保育園を見学させていただきました。大和保育園には運動会も開催できる広い園庭があり、夏と秋には隣接する畑においてトウモロコシやサツマイモの収穫を体験することができます。年間を通してさまざまな行事が行われ、非常に恵まれた環境と施設のもとで充実した保育内容を実践しています。大和保育園の園舎は、2013年の冷暖房工事と照明のLED化に続き、昨年度、総合防水工事として外壁の塗装や屋上の防水化、トイレの改修、2階ベランダの日よけシェードの取りかえやシャワーの設置などが行われました。民設民営化について、区は、老朽化が進み、建てかえの時期を迎えている区立保育園に対する適切な支援としていますが、大和保育園は耐震診断の結果、Aランクとされています。

 そこで伺います。この間約5,900万円が投じられ、冷暖房や照明の改修工事、さらに総合防水工事が終わったばかりであり、耐震性にも問題のない大和保育園を仮設園舎の用地確保の可能性が高いとの理由で早急に建てかえ、民営化する必要はあるのでしょうか。

 各区立保育園の民設民営化については、第3回定例会において所管の委員会に報告されましたが、それぞれの園の園長先生にはその前日に伝えられたと伺っています。先日行われた保護者説明会では、どこにどのような仮設園舎が整備されるのかということについて一切示されませんでした。保護者から希望があった複数回の説明会も実施せず、区は今月下旬から事業者募集を始めます。保護者により区に提出された質問書でもこういった区の対応について多くの質問や意見が出されたと伺っています。十分な合意も説明もない中で、区の計画の進め方はあまりにも拙速なのではないでしょうか。見解を伺います。

 民営化を行えば、長い歴史の中で積み上げられた数多くの実践と経験、地域とのつながりが失われてしまう可能性もあります。これまでの保育の水準や信頼が継承されるかどうかも民営化されてしまえば検証することは困難です。このたび示された民営化のスケジュールでは、区立保育園が仮設園舎に移ったタイミングで運営も民間事業者に委託されることになります。中野区において、場所と職員が同時に入れかわるような形での民営化は過去に例がありません。区は、これまで進めてきた区立保育園の民設民営化に何ら問題がなく高い評価を得ているような説明をしておりますが、実際には民営化に際しさまざまな問題を耳にしています。区は、今回の計画を進める上で子どもたちへの影響についてどのような懸念が生じると認識しているのでしょうか。伺います。

 自治体には、待機児童の数の問題だけでなく、子どもが安心して保育が受けられる、保育の質を担保することが求められています。民間企業の参入により保育の質にばらつきが出ないよう明確な基準を示すという点においても区立保育園は大きな役割を果たしており、私立保育園の園長先生からも区立保育園の必要性を訴える声を聞いています。保育の質を維持向上させていくために区立保育園の存在は欠かせません。区立保育園が中野区全体の保育の内容や質の向上を牽引する役割を担っていることについて、区はどのように認識しているのでしょうか。お聞きします。

 児童福祉法に照らせば、本来は区立保育園が保育を担うことを基本としなければなりません。区立保育園は単なる保育施設ではなく、低所得世帯や貧困世帯、障害児保育など、特別な支援を必要とする区民への支援施設でもあり、全ての区内の児童に対して公的保育を保証するセーフティーネットとしての児童福祉施設です。区立保育園の民営化による公的責任の後退が、児童福祉法第24条に定められた自治体の保育の実施義務に反するという立場から、会派としてこれまでも民営化に反対の立場に立ってきました。中野区として、児童福祉法第24条において自治体に課せられた保育の実施義務についてどのような認識を持っているのでしょうか。見解を伺います。

 区は、区民ニーズに対応した保育サービスの拡充と将来にわたって多様な保育サービスを安定的に提供していくため、区立保育園の民営化を推進するとしています。ことし12月の区立保育園のクラス別入所申し込みの状況は、10月28日の時点で、ゼロ歳児クラスで952人、1歳児クラスで432人、2歳児クラスは233人となっています。複数園希望されている方が含まれるものの、区立保育園には非常に多くのニーズが存在します。一方で、区はこの間区立保育園の定員を減らしており、今後全ての区立保育園を民営化する方針を示しています。民営化することで財政負担は軽減できますが、児童福祉法で定められた保育の実施義務を果たすための公的責任を区が後退させる理由には到底なり得ません。

 来年度、北区では正規保育士80人を採用し、直営の区立保育園を2園開設すると聞いています。待機児童問題が深刻化する中で拙速に区立保育園の民設民営化を進めるのではなく、区民の切実な声に応え、中野区においても区立保育園の拡充に踏み出すべきと考えますが、見解をお聞きして、この項の質問を終わります。

 次に、住宅の防災対策について伺います。

 1995年の阪神・淡路大震災以降、四半世紀の間に、新潟県中越地震、東日本大震災、そしてことし4月の熊本地震と、震度7を記録する地震が立て続けに発生しました。また、震度6規模の地震も毎年発生しています。日本列島のほぼ全域が大地震の活動期に入ったと指摘する地震学者もいます。全国のいつどこで巨大な地震が発生してもおかしくない状況にあり、首都直下の地震が発生すれば被害は未曽有の規模になることが予想されます。中野区においても首都直下型地震に備え本格的な防災対策の推進が求められています。

 建築物の耐震化にはさまざまな自治体で取り組みが進められています。中野区においても、建築物の耐震対策支援制度のもとで木造住宅に対しては、耐震診断助成対象地域に建つ木造住宅の建てかえ助成、耐震改修工事を行った木造共同住宅が全損した場合の助成制度などが設けられています。しかし、区は木造住宅の耐震化に伴う改修に対しては助成を行っていません。人命を救い、大火災を防ぐためには木造住宅の倒壊を防ぐことが一番の要となります。阪神・淡路大震災において神戸市内の死因は、建物倒壊によるものが83%、焼死が13%であり、その焼死も建物が倒壊し逃げることができなかったためだと言われています。

 昨年度修正された中野区地域防災計画によると、マグニチュード7.3の地震が発生した場合、区内で24件の火災が発生し、7,222棟が焼失すると想定されています。1棟でも多くの倒壊や火災を起こさせないことが被害の拡大を防ぐことにつながります。大地震から区民の命と財産を守る対策の抜本的な強化が求められます。

 そこで伺います。いまだ23区で唯一、個人の財政形成につながることを理由に、木造住宅の耐震改修を助成しない、区の姿勢を改める考えはないのでしょうか。

 ことし7月、東京都がインターネットを通じ行った、建物の耐震化に対する都民の意識調査によると、今後、行政が特に力を入れて取り組むべきことについて、7割が「耐震化に係る助成制度の充実」と回答しています。また、どのような状況になれば耐震化を実施しようと思うかについても、7割が「行政から耐震化に係る費用について助成を受けられる(状況)」と回答しています。耐震化が進むかどうかは行政の施策に大きく左右されるということが明らかとなりました。

 こういった状況の中で、耐震化に対する幅広いニーズに応えて、建てかえや耐震改修といった大規模な工事を伴う工事だけではなく、部分的な工事により倒壊を防ぐ取り組みも進んでいます。墨田区では、耐震改修工事助成事業に加え、区独自に住宅の倒壊から人命を守ることを目標にした簡易改修工事の助成制度も実施しています。東京都が選定した「安価で信頼できる木造住宅の耐震改修工法・装置」の中で耐震改修工法部門が選定した工法を活用した改修工事に対し助成を行います。簡易的な改修工事であっても倒壊の危険を大きく減らすことができ、資力が乏しく大規模な改修に踏み出せないような方も利用しやすい耐震化工事となっており、昨年度は30件の工事に対し助成を行っています。また、他の自治体でも同様の制度の実施が進んでいます。老朽化した木造住宅の多い中野区でも簡易改修工事に対する助成制度の実施を検討してみてはいかがでしょうか。伺います。

 東京都が2013年に発表した東京都マンション実態調査によれば、都内には分譲、賃貸合わせて13万3,188棟、推定301万戸のマンションが存在していることが明らかになり、現在も増加の一途をたどっています。こうした中で、首都直下型地震における深刻なマンションの損壊や倒壊の発生に警鐘を鳴らす専門家もおり、震度7程度の地震が発生すれば、約5,300棟のマンションで構造部分が致命的な損傷を受け、約1万5,000棟で大規模な補修が必要になるとする民間の調査もあります。とりわけ都内には老朽化したマンションが多く、都の調査によれば、新耐震基準以前のマンションは全体の18.5%に上ります。区では、非木造建築物の助成制度として、1981年5月31日以前に建築されたマンションに対し耐震診断に係る費用750万円を限度に助成しております。

 そこで、現在までに、この助成制度を利用して耐震診断を行ったマンションの棟数をお聞きします。またそのうち、Is値、構造耐震指数が震度6強程度の大地震で倒壊または崩壊する危険性があると言われる0.6未満とされたマンションの棟数をお聞きします。さらに、耐震診断の結果を受けて耐震化工事を行ったのは何棟でしょうか。伺います。

 東京都は、旧耐震基準で建設されたマンションの耐震化を促進するために、マンションの耐震改修等に関する助成事業を行う都内の区市町村に対し補助を行っており、現在23区では中野区以外でマンションの耐震設計や改修に対し助成制度が実施されています。都が行ったアンケート調査によれば、耐震診断が未実施とされる分譲マンションの58.9%が耐震診断を検討していないと回答し、理由として半数が改修工事の費用がないためとしています。中野区では耐震診断を行うものの、耐震設計や耐震改修工事につながっていないという実態があります。首都直下型地震において住民にとどまらず近隣や通行人にも大きな危険となる、マンションの耐震化の実施を自治体として後押ししていくべきと考えます。区として、耐震診断にとどまらず、他区でも実施している設計や耐震改修工事への助成を検討するべきではないでしょうか。見解を伺います。

 中野区が行っている建築物に対する耐震診断は、1981年5月31日以前に建設された旧耐震基準の住宅が対象となっています。旧耐震基準は震度5強の地震を想定したものでしたが、1978年に宮城県沖地震が発生し多くの建物が倒壊したことから、1981年、震度6強から震度7の揺れを想定した新耐震基準が設定されました。これにより必要壁量が旧基準から1.4倍に増加されましたが、1995年に起こった阪神・淡路大震災では新耐震基準の木造住宅にも多くの被害が発生しました。調査の結果、倒壊した住宅では筋交いなどの接合が不十分であったことが判明し、2000年に壁の配置の仕様や柱と梁の接合金具を厳格化した新・新耐震基準が設定されました。2000年6月までに建てられた木造住宅においては、旧耐震基準と同様、震度6強から震度7の地震で倒壊する可能性が高いとされています。実際、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合が行った2万113棟の耐震診断の結果をまとめた調査データによると、新耐震基準で建てられた住宅でも約85%が耐震性に問題があるとされています。

 ことし10月に行われた国土交通省の建築物等事故・災害対策部会において、熊本地震における建築物被害の原因分析とこれを踏まえた取り組みが報告され、倒壊等防止のための取り組み方針として、今後、既存の木造住宅で2000年以前のものを中心に接合部の状況確認を推奨していくとしました。現在さまざまな自治体において耐震対策を見直し、2000年に設定された新・新耐震基準以前の建築物を支援の対象としています。中野区としても、耐震診断など耐震対策支援制度の対象を新・新耐震基準以前の建築物へと拡充すべきと考えます。見解を伺います。

 建築物の耐震化対策とともに、アスベスト対策の重要性も指摘されています。大地震が発生した際、被災した建物に使用されていたアスベストを適切に除去・廃棄することは困難を極めることから、平時から計画的にアスベストの使用実態を調査し、その結果を集積したアスベスト台帳を作成する必要があります。阪神・淡路大震災では、当時復旧作業にかかわった方がアスベスト疾患に罹患して死亡し、労災認定を受けたというケースもあります。こういった教訓や調査の成果を踏まえ、国土交通省はどの建築物にアスベストが使用されているのかを把握するためのアスベスト台帳の整備を必要不可欠なものであるとし、調査の実施と情報の集積を地方自治体に勧告しています。国は2008年より台帳作成の費用を全額負担する補助制度で整備を促し、23区では豊島区などで整備が終わったと聞いています。

 そこで伺います。中野区として、アスベスト台帳の整備はどの程度進んでいるのでしょうか。また、アスベストの調査や除去に対してどのような取り組みを行っているのでしょうか。お聞きします。

 中野区は、23区内で比べても防災対策に対する考えの優先順位が非常に低いと言わざるを得ません。人口密度が高く、木造住宅も多い中野の特性に鑑み、より積極的な施策の展開を求めまして、この項の質問を終わります。

 次に、民泊について伺います。

 民泊について、政府の検討会は、戸建て住宅や共同住宅等の全部または一部を活用して宿泊サービスを提供するものと定義付けています。インターネットを通じて空き家や空き部屋を短期で貸したい人と旅行者をマッチングするビジネスが世界各地で展開され、日本でも都市部や観光都市で急速に広がっています。

 第3回定例会において、所管委員会に区内の民泊の動向及び今後の方向性について報告があり、その中で区が民泊仲介サイト6件における中野区内物件の件数等をウェブ上で検索する調査を行った結果、610件に上る物件が民泊として登録されていることが明らかとなりました。

 そこで、現在までに中野区において旅館業法上の許可を受けた民泊は何件あるのでしょうか。また、違法な民泊に対して区はどのように取り組みを行っているのでしょうか。対応件数についても伺います。

 区の調査では、民泊が行われている区内の住宅については集合住宅が447件確認されており、戸建てに比べると圧倒的に集合住宅の割合が高くなっています。

 今回質問するに当たり、最近まで民泊を行っていた方にお話を伺いました。賃貸マンションに暮らす30代の夫婦は、使っていない1部屋を民泊として民泊仲介サイトに掲載し、宿泊者には部屋の合い鍵を渡し、トイレ、浴室、キッチン、リビングなどを共用していました。時間が合えば観光につき合うこともあったといい、使っていない部屋の有効利用と国際交流が民泊の目的であったと伺っています。マンションの家賃14万円のうち10万円前後は民泊の収入で賄っていましたが、先月マンションの管理会社から注意があり、民泊仲介サイトの掲載を中止したということでした。民泊として部屋を貸していた当時、民泊を行うには旅館業法上の許可が必要だという認識はなかったとのことでした。このように違法な民泊を行っている方の中には、少なからず旅館業法に違反していることを理解していない方もいると考えられます。

 そこで、区報などを積極的に活用し、注意喚起とともに、厚生労働省が作成した民泊サービスと旅館業法に関するQ&Aなど、わかりやすい記事を記載してはいかがでしょうか。伺います。

 また、区内において全体の73%を占める集合住宅における民泊の場合、管理規約に規定を設けるなどの改定によりトラブルを未然に防止することができます。区内マンションの管理組合などに情報提供を行うべきではないでしょうか。伺います。

 民泊の増加に伴い、近隣住民からは不特定多数の人物が出入りしていることへの不安や騒音に関するトラブル、ごみの放置や喫煙マナーなどの問題がふえています。区では旅館業法を管轄する保健所が相談・苦情等に対応している状況ですが、今後増加が予想される民泊関連の問題に対応する体制を強化すべきではないでしょうか。

 京都市では、ことし7月13日、市民からの苦情、相談を電話やメールで一元的に受ける民泊通報・相談窓口を設置しました。市民が通報しやすくなる上、個別に受けていた相談内容を保健センターや消防などがメールで素早く共有することで迅速な対応が可能になり、違法な民泊が見つかった場合は市が指導するとしています。同窓口には7月末までの半月あまりの間に260件の通報や相談が寄せられ、多くの市民が民泊に不安や懸念を持っている現状が浮き彫りになりました。区としても、民泊に関する相談・苦情等に一元的に対応する窓口を設置し、違法民泊に対する強い姿勢を示してはいかがでしょうか。見解を伺います。

 ことし4月の旅館業法における簡易宿所の規制緩和に続き、9月の国家戦略特別区域諮問会議では特区民泊の最低滞在日数を現行の6泊7日から2泊3日へ規制緩和が決定しました。また、今後国会に提出される予定の民泊新法をめぐっては、住居専用地域でも運営ができ、フロントの設備も必要なく、床面積の制限がないという内容になる可能性があります。こういった国の主導する規制緩和が拙速だとして独自に規制強化を進める自治体もあります。ことし3月、台東区議会では、宿泊施設の営業時間内は従業員を常駐させることやフロントの設置を義務付ける独自の条件を課した旅館業法施行条例改正案が議員提案され、全会一致で可決されました。マンションの管理会社や近隣住民などから相談が多く寄せられる中で、規制緩和による民泊の誘導よりも区民の住環境の安心・安全を優先した形です。また、兵庫県や石川県が規制の強化を求める意見書を国に提出しています。

 中野区は、新たな民泊の法制化や国家戦略特別区域における民泊の要件緩和を見据え、条例において規定する事項や制度運用に係るガイドラインの検討などを進めていくという方針を示しています。区内でも民泊によるトラブルや近隣住民の不安が増加している状況を鑑み、国が進める規制緩和について中止を求めるべきではないでしょうか。伺います。

 さらに、民泊新法など規制緩和が進められた場合でも地域住民の安心・安全な生活環境を守る立場に立ち、区独自の規制を強化した中野区旅館業法施行条例の改正を検討すべきと考えます。見解を伺いまして、この項の質問を終わります。

 次に、第三・第十中学校統合新校・複合施設整備について伺います。

 区は、2013年11月に決定した中野区立小中学校再編計画(第2次)に基づき、2018年4月に第三中学校と第十中学校を第三中学校の位置で統合するとしています。また、統合新校の校舎に当たっては、現在の第十中学校の校舎を2020年度中に整備する計画です。統合新校には子ども家庭支援センターと教育センターが併設され、将来的に移管を目指す児童相談所と統合した(仮称)総合子どもセンターとして整備し、さらに東中野図書館と本町図書館を廃止・統合する形で新たな図書館も設置した大型の複合施設とする方針です。ことし6月の意見交換会では6階建てや8階建てとして説明されてきた複合施設が、基本構想・基本計画において10階建ての計画となりました。これにより、当初は2020年4月から統合新校として供給を開始するとしてきたものが、建設工事が2020年度末までかかると見込みを変更しました。区はできる限り早く完了したいとしていますが、学区内の地域や生徒・保護者にとって、いつ開校するかということはとりわけ大きな問題です。今月3日間にわたって行われた区民説明会において、3日目の最後に、参加者の1人が資料に記載された建築工事の期間が当初の説明より1年近く延長されていることに気づき、指摘があったという経緯を伺っています。工事期間の延長について十分な説明がなかったことは問題であり、周知も十分ではありません。改めて関係する小・中学校の保護者や町会などに対し説明会を開く必要性を感じますが、見解を伺います。

 複合施設に設置される(仮称)総合子どもセンターについては、利用する児童・生徒や保護者の立場を考えたとき、非行、不登校、不適応、ひきこもり等の相談や支援を受ける場として学校の敷地内に併設される施設が適切だとは思えません。区は設置の理由を、さまざまな要因を持った不登校児童・生徒への対応や教育相談に切れ目なく総合的に支援することができるためとしていますが、とりわけひきこもりや不登校はその原因が学校での人間関係やいじめである場合も多く、学校という施設自体に抵抗を感じてしまうことも考えられます。区は、そういったひきこもりや不登校の児童・生徒に対する相談や支援の場が学校にあることについてのデメリットについては検証されているのでしょうか。伺います。

 複合施設の配置の検討に当たっては、第三中学校・第十中学校統合委員会の中においても再三学校生活や学校施設を第一義として考えるよう求める声が上がっています。基本構想・基本計画において、(仮称)総合子どもセンターの入り口を山手通り側に設置するとしています。区民説明会では、外観や専用入り口、動線などを十分工夫することで不登校の子どもたちに配慮していると区の考え方を示しておりますが、登下校に際し多くの生徒が山手通り以西から通うことになる中で、校舎とは反対側に位置する東側の通用門まで道幅が狭い裁判所通りを使い敷地を回り込むことになり、生徒にとって不便な構造であると言わざるを得ません。また、建設工事の期間の延長が施設の規模に応じて工期も影響を受けるとの理由であれば、複合施設を高層にするとしたことが開校の時期、学校生活に影響を与えているということは明らかです。こういった基本構想・基本計画が生徒の学校生活、学校施設を第一義として検討された結果であると言えるのでしょうか。区の見解を伺います。

 この間、意見交換会やパブリックコメント、区民説明会において、「図書館が使いにくくなる」、「(仮称)総合子どもセンターの学校併設はふさわしくない」、「セキュリティーが心配」など多くの意見が寄せられました。区は、これらの意見を計画に反映させることなく基本構想・基本計画の策定に至った印象が拭えません。

 昨年11月、文化科学省が学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議において取りまとめた報告書では、学校施設の複合化を計画・設計する際の留意事項として、具体的な計画立案に際しても、早い段階から教育委員会だけでなく、公共施設等関係部局、学校関係者、地域住民やまちづくりに関するNPO法人等民間団体の関係者が問題意識を持って、みずから主体的にアイデアを出すことで合意形成に至るよう進めることが重要であるとされています。

 そこで伺います。2013年に策定された中野区立小中学校再編計画(第2次)において第三・第十中学校の統合計画が示され、複合施設の整備についてはことし2月の新しい中野をつくる10か年計画(第3次)(改定素案)の中で唐突に打ち出されました。そして、3カ月あまりで新しい中野をつくる10か年計画が策定をされました。区は、統合新校における施設の複合化や高層化について、文部科学省が示すプロセスにのっとって十分な合意形成が行われたとの認識でしょうか。伺います。

 先月、子ども文教委員会で札幌市立資生館小学校を視察しました。資生館小学校は、2004年に札幌市中央区の大通地区4校を統合し新設され、ミニ児童館や子育て支援総合センター、保育所が併設された複合施設となっています。1階部分には図書館も設置されていますが、当初は地域に開放された図書館とする計画であったものの、警備上や運営上の問題で開放を見送っているという話を伺いました。

 第三・第十中学校統合新校における複合施設の整備について、セキュリティー面での不安、日照時間を含めた高層化による圧迫感や運動場の規模、反対の声が広がる本町と東中野図書館の廃止を前提とした図書館の設置など、多くの問題が浮き彫りとなっています。

 そこで、統合新校の複合施設整備計画は一度立ちどまり、複合施設の併設見直しも含め、地域住民や関係者の自主的な声に基づいた計画へと変更すべきではないでしょうか。伺いまして、全ての質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 広川議員の御質問にお答えをいたします。

 保育施設について、保育所の誘致状況についてであります。昨年度において推計した保育需要に基づき、平成29年4月時点で約330人の保育定員の増を目指していたところであります。現在既に開園済みのものを含め、認可保育所4園や小規模認可保育所1園のほか、事業所内保育所2園、認証保育所の認可化1園により、平成29年4月時点において約300人の定員増を図ることができる見込みとなっています。このほか、定期利用保育事業などの利用によって、当初予定をしていた保育定員の確保を実現できるものと考えております。さらに、今年度補正予算により、今後の保育需要の伸びを最大限見込み、平成29年4月以降の開園分も含め約700人の保育定員の拡大を目指しているところであります。現在、認可保育所及び小規模保育園の平成29年度中の開園により約500人の定員増に向け、調整を進めている状況であります。

 中・長期的な保育所整備計画の策定について。保育を含め、子育て支援サービスの5年間にわたる中期的な需要の見込みと確保方策については、子ども・子育て支援事業計画により明らかにしているところであります。しかしながら、同計画の初年度から保育については計画を大きく上回る需要の増加があり、待機が生じる状況にあります。こうした待機児童の状況を勘案し、保育については毎年需要見込みの調整を行い、必要な保育定員の拡大を図っているところであります。

 東京都の待機児解消に向けた緊急対策の活用について。今回の緊急対策で創設された建設コストの上昇に対応するための整備費への高騰加算や創設された賃貸型保育所整備に係る開所後の賃借料補助については今年度から活用を図る考えであります。このほか、緊急対策において示された内容において、待機児童解消に効果のあるものを活用することについて検討をしているところであります。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 第三中学校・第十中学校統合新校・複合施設整備について。初めに、建設工事期間延長に関する説明についてお答えをいたします。今般策定した基本構想・基本計画で決定した施設に関して必要な設計や工事期間を算定したところ、終了予定が当初より延長したものでございます。この工期につきましては、11月に行った区民説明会の資料でお示ししたほか、関係小学校や統合委員会委員、小・中学校のPTA関係者にお知らせしたところです。また、12月5日号の区報で周知するとともに、保護者や地域の方へは改めて統合委員会ニュースを配布することとしてございます。

 続きまして、(仮称)総合子どもセンターが学校にあるデメリットについて御質問がありました。適応指導教室に通うお子さんなどに学校に対する抵抗感を持つ生徒がいるということは想定をしてございます。そうした抵抗感を緩和するよう、複合施設については動線や外観の工夫をするほか、巡回支援等の充実を図るなど、不登校対策全体の取り組みの中で対応を検討してまいります。

 続きまして、基本構想・基本計画は生徒の学校生活、学校施設を第一義として検討したのかという御質問です。教職員、生徒等のアンケートも参考にしつつ、第三中学校・第十中学校統合新校、(仮称)総合子どもセンター・図書館等複合施設整備基本構想・基本計画は、施設整備計画の標準仕様を定めた規模の確保を第一としたほか、複合併設する公共施設等の整合性を図り、定めたものでございます。

 続いて、統合施設複合化・高層化への合意形成についてです。文部科学省では、学校施設の複合化に当たっては、教職員や児童・生徒、保護者、地域住民などの関係者の意見を取り入れつつ、地域の実情を踏まえて進めていくことが重要だとしております。中野区立小中学校再編計画(第2次)で高層化について検討すること、中野区立小中学校施設整備計画で複合化をする考え方を示し、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)において複合する施設の内容を定めたものです。それぞれの計画策定に当たっては区民参加の手続きを踏み、その都度決定してきたものでございまして、十分な合意形成が図られているというふうに認識をしてございます。

 最後に、統合新校の複合施設の計画を見直すべきではないかという御質問でした。新しい中野をつくる10か年計画(第3次)に基づき第三中学校・第十中学校の統合新校、複合併設施設については計画どおり進めていく考えであり、計画の転換や延期等は考えてございません。

〔子ども教育部長横山俊登壇〕

○子ども教育部長(横山俊) 私からは、区立保育園の民営化についてお答えいたします。

 初めに、改修工事を行った大和保育園の民営化の必要性についてでございます。改修工事につきしましては、園舎の安全性や環境等を維持するために必要なものであったというふうに考えてございます。今回の民設民営化の考え方につきましては、施設の老朽化の状況だけではなく、切れ目のない保育を継続するため、建てかえに伴い必要となる仮設園舎の用地確保、これの実現性を勘案して対象園を決定したものでございます。また、建てかえによりまして保育定員の拡大を図ることも待機児童対策を進めていく上で必要であるというふうに考えてございます。

 次に、民営化の進め方についてでございます。民設民営化につきましては、平成15年度から着実に実施してきているところでございまして、今般決定いたしました新しい中野をつくる10か年計画(第3次)におきましてもその推進を明記しているところであります。職員につきましては、園長会等を通じて周知しております。また、現在保護者の方へ説明会を順次実施しているところでありまして、必要に応じて随時説明を行うなど丁寧に対応していく考えでございます。

 次に、在園児の影響についてです。民営化によりまして環境が変化する、このことに対しましては、保育士による引き継ぎ保育を実施するとともに、仮設園舎移行後におきましても、園児への十分な配慮や保護者との積極的な信頼関係の構築を図ることを通じまして安定的な保育の継続が図られるよう配慮を行っていく考えでございます。

 次に、区立保育園の役割についてでございます。保育園につきましては、公立・私立ともに保育所保育指針に基づき運営が行われているところでございまして、保育の水準の確保がなされていると承知してございます。区といたしましては、保幼小の連携や保育内容を充実するためのさまざまな研修の実施等を通じまして、公立・私立の別なく保育の質の向上に取り組んでいるところでございます。現在、就学前教育の充実について検討しているところでありまして、この中で推進体制の強化も図っていく考えでございます。

 次に、保育の実施義務についての認識についてでございます。児童福祉法第24条は、保育を必要とする乳幼児について、市区町村は、公立・私立を問わず認可保育所において保育を行うほか、認定こども園や家庭的保育事業等によりまして必要な保育を確保するための措置を講ずることを規定したものであります。この措置の確保のあり方といたしましては、民間の活力を活用し、必要な保育サービスを提供していくことでよいものと考えてございます。

 最後に、区立保育園の拡充についてでございます。先ほどの答弁のとおり、区立保育園の民設民営化につきましては従来から継続して取り組んでいるところでございまして、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)においてもその推進が明記されております。今後も着実に区立保育園の民設民営化を進めてまいります。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 住宅の防災対策についての御質問にお答えいたします。

 木造住宅の耐震改修についてです。木造住宅の耐震改修助成につきましては、これまでどおり、補助することは考えておりません。

 次に、木造住宅の簡易型改修助成についてでございます。震災時における木造密集地域での被害を防ぐため、整理地域内や火災危険度ランクの高い地域での建てかえを優先的に促進することで耐震化の向上を図っているところでございます。

 次に、耐震診断助成制度の活用と実績についてでございます。区の耐震診断助成制度を活用した非木造共同住宅の建物は187棟で、そのうち診断の結果、Is値が0.6未満の建物は162棟となっております。さらに、改修工事が完了したと把握している建物は緊急輸送道路沿道の16棟だけで、緊急輸送道路沿道以外の非木造共同住宅につきましては把握できていないことから、今後調査を行っていきたいと考えております。

 次に、共同住宅への設計及び改修助成の創設についての御質問です。緊急輸送道路沿道建築物の耐震化促進は震災時の緊急輸送道路としての物資の輸送や救急活動の円滑化などの機能確保に取り組んでおり、道路の閉塞防止、また木密地域整備事業区域は地域の安全性を向上させるという公共的視点から助成を実施しております。このことから、それ以外の地域の共同住宅につきましては、戸建て住宅と同様に、個人資産の形成につながることから耐震診断以外の助成は行わないこととしているところでございます。

 次に、耐震診断助成範囲の拡充についてでございます。平成12年6月の建築基準法の改正は、阪神・淡路大震災の被害の教訓から規定が見直されたものと理解しておりますが、耐震改修促進法に基づく東京都耐震改修促進計画では、昭和56年5月以前の設計基準による建物の耐震診断を対象としていることから、拡充については考えておりません。

 アスベストへの取り組みでございます。区では、国が指定した期間の昭和31年から平成元年までに施行をされた1,000平方メートル以上の建築物について抽出作業を行い、平成19年に国土交通省に報告するとともに電子データ化し管理しているところでございます。

 また、建設リサイクル法に基づく解体工事等の届出や大気汚染防止法に基づく吹付けアスベストの除去作業等の届出の際は適正な作業に向けた指導を行っており、これらの届出情報をアスベスト台帳の更新に役立てているところでございます。

○副議長(白井ひでふみ) 質疑時間は終了しております。答弁はここまでといたします。

 以上で広川まさのり議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 ひやま  隆

 1 社会保険について

  (1)健康保険(社保)違法未加入問題について

  (2)国民健康保険料滞納者の差押えについて

  (3)国民健康保険料の一斉臨戸徴収について

  (4)その他

 2 り災証明システム等の導入について

 3 国による羽田空港機能強化策について

 4 その他

 

○副議長(白井ひでふみ) 次に、ひやま隆議員。

〔ひやま隆議員登壇〕

○5番(ひやま隆) 平成28年第4回定例会に当たりまして、民進党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。

 質問は通告のとおりです。その他はございません。

 初めに、社会保険について伺います。

 法的には厚生年金に加入していなければいけないにもかかわらず加入していない、いわゆる漏れた年金が大きな問題となっています。この問題につきましては、平成28年中野区議会第1回定例会の本会議において質問をさせていただきましたが、区からいただいた答弁の中身と今後の対策について幾つか伺います。

 厚生労働省が昨年12月に公表した平成26年国民年金被保険者実態調査結果の概要によれば、国民年金第1号被保険者のうち、厚生年金適用の可能性があるにもかかわらず国民年金に加入している方がその1割に当たる約200万人に上ることが明らかになりました。

 現在、我が国の公的保険は、年金に関する保険と医療に関する保険の二つの柱から成り立っています。このうち厚生年金に加入する場合は、一部の例外を除き、健康保険(社保)に加入することが原則となっています。したがって、この漏れた年金問題は同時に漏れた健康保険問題でもあり、法的には社保に加入できるにもかかわらず加入できていない方が全国で約200万人に上る可能性があることが厚労省の調査により明らかとなりました。現在、その対象者のほとんどが国民健康保険(国保)に加入していることが推察されますが、保険者の中野区としては適正化に向けて早急な現状把握と対策を実施していく必要があると考えますが、これに対する区の見解をお示しください。

 また、平成30年度から国民健康保険制度の広域化に伴い、それらの取組みはどのように実施していくのか、伺います。

 平成28年中野区議会第1回定例会の本会議において、私からは、平成26年度の国保滞納者の中で、1、給与等支払い実績が確認できている方の人数、さらに、2、給与等支払い実績が確認できているにもかかわらず、社保に加入せず国保に加入している方の人数について質問したところ、区長からは、平成26年度の国民健康保険料の滞納者のうち、給与の支払い実績を確認できた方が約6,000人、さらに資格の適正化を目的として、そのうちの400人について勤め先に対して社会保険の加入の有無の調査を行った結果、既にそのうちの約300人は社会保険に加入し、残りの約100人については社会保険への加入は確認できなかったとの答弁をいただきました。この調査の結果を、給与の支払い実績を確認できた国保滞納者約6,000人に当てはめれば、約4,500人が既に社保と国保と二重に加入している状態であること、そして約1,500人が社保に加入していないということになります。

 そこで伺いますが、この調査で社会保険への加入が確認できなかった約100人については、これまでどのような調査を実施してきたのか、実績をお示しください。

 国民健康保険の適正化を進めていく上では、中野区における社保違法未加入の現状を把握することが不可欠です。この調査で社会保険への加入が確認できなかった約100人について、これまで調査等を実施してこなかったということであれば、早急に現状を調査し、区として現状把握に努めることが必要であると考えますが、区の見解をお示しください。

 さきに申し上げたとおり、この調査を給与の支払い実績を確認できた国保滞納者に当てはめれば、約1500人が社保に加入していないということになります。私は、この中には法的には社保に加入すべき方が多数含まれている可能性があると考えますが、この数字を区はどう分析し、どう捉えているか、お示しください。

 そして、もう一つの大きな問題は、国保の保険料を支払うことができず、財産が差し押さえとなる人が増加しているという問題です。全国的に見ますと、国民健康保険の保険料を滞納し、差押えをされている方が2000年から6倍も増加し、年間25万件にも上っています。中野区においても同様に、差押え数、差押え金額ともに増加傾向にあります。しかし、これらの滞納者の方の中には、本来は社保に加入できるにもかかわらず加入できていない、そういったケースがある可能性は否定できないと考えます。低賃金の人にとっては保険料額が給与比例で半分が事業主負担の社保の保険料のほうが無理なく支払うことができ、本来であれば差押えをされることはなかったかもしれない。そういった理不尽な差押えを野放しにしてはならないと考えますが、これに対する区の見解を伺います。

 この問題については、第1回定例会の本会議において、私から、平成26年度の国保滞納者の中で、給与等支払い実績が確認できているにもかかわらず社保に加入せず国保に加入している方のうち、差押えになった方の人数、更にその中で、本来ほかの健康保険に加入すべき方あるいはその可能性のある方の人数について質問をしたところ、区長からは、「平成26年度中に滞納者の財産の差押えを行ったのは約900件あり、滞納処分を行うに当たっては給与等の支払い実績の有無については調べていない。ただし、国民健康保険と他の健康保険との二重加入によって滞納処分が取り消されるような事態を避けるために、勤務先が判明している場合などには、差押えの前に、国保の加入期間中に他の健康保険にも加入していないかどうかといった調査は行っている」との答弁をいただきましたが、これは、国保滞納者で差押えにあった方のうち、本来は他の健康保険に加入すべき方、またその可能性のある方の人数に関して区としては把握していないということなのか、あるいは国保滞納者で差押えにあった方のうち、本来は他の健康保険に加入すべき方は中野区においては存在しないということなのか、区の説明を求めます。

 さらに、勤務先が判明していない場合は、二重加入と社保の違法未加入の確認をせずに差押えが執行されているという理解でよろしいのでしょうか。言うまでもなく、差押えとは大変厳しい措置であり、差し押さえを実施する前の段階で、他の健康保険に入れる可能性のある方に対しては、区としても適用促進を積極的に実施していくことは極めて重要であると考えます。この点に関しては、第1回定例会の本会議において、区長からは、「他の社会保険に加入できる可能性のあるケースにつきましては、国民健康保険の加入や納付相談の段階でも詳細に聞き取りを行い、助言等を行っている。これまで国民健康保険の窓口での相談や助言に加えて、区のホームページ等での社会保険への加入条件等の案内を行ってきた」との答弁がありました。しかし、こうした国保適正化に向けた取組みを実施しているにもかかわらず、区の調査では、国保滞納者の400人のうち約300人が国保と社保の二重加入であった事実が明らかとなりました。更には残りの約100人につきましても、社保の違法未加入状態である可能性は否定できないと考えます。したがって、国保と社保の二重加入や社保の違法未加入など、差押えを執行する前の段階での更なる詳細な調査を区に強く要望いたしますが、いかがでしょうか。

 特に、社保に違法に未加入の方に対しては、区としても適用促進を積極的に実施し、該当事業所に対しては行政指導等を含めた厳正な対応を強く要望いたしますが、これに対する区の見解をお示しください。

 社保の違法未加入の問題に関して現状を把握する手段とその対策として、第1回定例会の本会議において、私から国民健康保険料の一斉臨戸徴収での聞き取り調査を提案させていただきました。これについては、平成28年10月5日の総務委員会において、住民税、国民健康保険料の一斉臨戸徴収の実施についてに関する所管事項の報告がありました。委員会資料によると、その目的と意義は、住民税及び国民健康保険料を確保し、更なる収納率向上を図る、早期納付を促す、区民の生活実態に触れ、徴収の大変さを直接体験する重要な機会とするとともに、徴収業務の重要性の認識やコスト意識を高めていく場とするとあります。これらの目的と意義は重要でありますが、それに加えて、社保の違法未加入対策や国保と社保の二重加入対策の機能が必要であると考えます。

 そこで伺いますが、現在、国民健康保険料の一斉臨戸徴収の際には、給与等支払い実績がある方に対しては会社の規模や働き方などの聞き取り調査を行うなど、社保の違法未加入や国保と社保の二重加入等の対策を実施しておりますでしょうか。実施していないということであれば、区として取り組む必要があると考えますが、区の見解をお示しください。お尋ねして、この項の質問を終えます。

 次に、り災証明システム等の導入について伺います。

 このテーマについてはこれまでも中野区議会において議論があったところですが、その後の進捗状況と今後のあり方について幾つか伺います。

 平成25年の災害対策基本法改正により、り災証明書を遅滞なく交付することが市町村長に義務付けられました。これは、東日本大震災に際してり災証明書の交付に長期間を要し、結果として、被災者支援の実施そのものに遅れが生じた事例が多く発生したという教訓を踏まえたもので、り災証明書の速やかな発行とそれを実効あるものとするため、住家被害の調査に従事する職員の育成や他の地方公共団体等との連携確保など、り災証明書の交付に必要な業務の実施体制の確保に平常時から努めることも市町村長の義務と定められました。

 り災証明書の速やかな発行を主たる目的としたり災証明システムの代表的なものとして、「被災者支援システム」と「被災者生活再建支援システム」があります。このうち、被災者支援システムとは、阪神・淡路大震災の際に甚大な被害を受けた兵庫県西宮市が開発したもので、その後は総務省が財団法人地方自治情報センターを通じて地方自治体に無償で配布しています。一方の被災者生活再建支援システムは、京都大学や新潟大学の研究チームが開発し、東京都が独自の改良を実施した上で導入し、現在、同システムはNTT東日本が製品化し、販売しています。

 先日、我が会派では、このうち西宮市が開発した被災者支援システムに関して、その開発に中心的な役割を果たした被災者支援システム全国サポートセンター長、吉田稔さんに話を伺ってまいりました。

 これら二つのシステムは、ともに建物の被害状況の調査結果と住民基本台帳等の各種データを照合することにより、被災者へのり災証明の発行や支援情報の提供等を円滑に行うことを目的としたシステムですが、これらのシステムの導入に当たってはそのメリット・デメリットをしっかりと検討する必要があります。

 被災者支援システムのメリットとしては、1、緊急物資の配布のための緊急物資管理システムや避難所の入居管理のための避難所関連システムといった、より包括的な機能が備わっていること。そして、2、それらのソフトは無償で提供されており、コストが低く抑えられること。また、デメリットとしては、建物の被害状況といった被害調査票の内容を手作業で入力する必要があり、手間がかかることが挙げられます。

 一方の被災者生活再建支援システムのメリットとしては、り災証明書の発行に必要な建物の被害状況の調査結果をスキャナーで読み取り、データ化することができるため、作業が迅速化できること。そして、建物の被害状況の調査方法をフローチャート化し、専門知識のない職員でも調査を実施することができるような機能や、建物の被害状況のデータを電子地図上に反映することができ、電子地図の地点をクリックするだけで各世帯の被災状況と支援の現状を一覧できる機能を備えている等が挙げられます。また、デメリットとしては、導入に当たっての初期費用と維持管理費がかかることが挙げられます。

 中野区では、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)、第3章戦略Ⅱにおいて、復旧・復興対策の推進として、東京都及び他自治体が採用しているり災証明システム等を導入して業務の共通化を図ることにより、災害時に応援に来た他自治体職員が復旧・復興の即戦力になる体制の構築に努めますとしていますが、区では被災者支援システムと被災者生活再建支援システムのメリット及びデメリットをどう考えておりますでしょうか。また、り災証明システム等の導入を検討するに当たってはどのような点を区のニーズとするのか、区のお考えをお示しください。

 被災者支援システム全国サポートセンターによると、被災者支援システムを導入するためのインストールキーの発行団体数は、最新のデータで、東京23区では品川区をはじめ14区、全国では延べ1,017自治体となっています。ただし、発行はしたものの、実際には運用しているかどうかは把握していないとのことです。

 一方、被災者生活再建支援システムを導入している自治体は、平成28年5月12日時点で、東京23区では12区、全国では京都市、神戸市、秋田市など複数の自治体が導入しています。その他、東京23区では杉並区がこの二つとは別のシステムを採用するなど、導入をめぐっては自治体によって対応が分かれています。NTT東日本によると、被災者生活再建支援システムの特徴として、専門知識のない自治体職員や土地勘のない遠方からの支援職員でも建物被害認定を実施できるとありますが、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)にある、り災証明システム等の導入による業務の共通化と災害時に応援に来た他自治体職員が復旧・復興の即戦力になる体制の構築とは、被災者生活再建支援システムの導入を前提として考えておられるのか、区の見解をお示しください。

 東京都は、り災証明システムを統一化すれば情報処理の迅速化が期待でき、職員の応援が容易になるなどの理由から被災者生活再建支援システムを推奨していますが、り災証明システム導入に向けての中野区の現状と今後の進捗状況をお示しください。お尋ねして、この項の質問を終えます。

 次に、国による羽田空港機能強化策について伺います。

 国土交通省は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて羽田空港に発着する国際線の便数を増やすため、離発着時の新しい飛行ルートを計画しています。国土交通省によると、これらのうち、南風が吹いているときの到着便(午後3時から午後7時に限る)を対象として、中野区を含む都内上空を北西から南東方向に飛行する二つのルートが想定されています。平成28年7月下旬、東京都など関係自治体は国による安全・騒音対策の実施を前提に新ルート案を了承する考えを明らかにし、これにより東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに東京都心を旅客機が低空飛行する見通しとなりました。国交省は、観光やビジネスで日本を訪れる外国人旅客が増え、年間3,500億円程度の経済効果が見込めると試算しているほか、海外企業の国内進出を促し、日本経済の活性化にもつながると主張しています。しかし、こうした羽田の利便性向上に期待が高まる一方で、住民からは騒音や万が一の重大事故への不安の声も出ています。

 まず、懸念されるのは騒音問題です。中野区上空を飛ぶ2本のルートのうち、A滑走路到着経路は当初3,000フィートを飛行するというもので、これにより予想される騒音レベルは63デシベルから70デシベルで、このうち70デシベルは主要幹線道路の沿線に値します。その後、国は環境影響等に配慮した方策として、南風時の到着経路に係る進入開始高度の引き上げ、飛行経路の一部についての修正を公表し、これについては、平成28年8月30日の中野区議会区民委員会において所管事項の報告がなされました。理事者からの説明によると、悪天候時を除き、もっと高い高度から区内に入りまして、角度をつけて航行し、区内を出るときに3,000フィートになるという御説明でしたが、この修正により騒音レベルはどの程度改善されるのか。C滑走路到着経路と併せてお示しください。また、この騒音問題についての区の認識と対策について見解をお示しください。

 さらに、飛行機の部品や氷塊、つまり氷の塊などの落下物の危険性も指摘されています。成田空港株式会社によると、現在、航空機からの落下物は、成田空港では年間に3件程度発生し、その多くが氷塊です。同社では、着陸直前の車輪を下げる際に氷塊が落ちやすいため、航空会社に洋上で下げるよう対策を進めてきました。しかし、新ルートでは着陸前に洋上を通らず、どこで落下しても住宅地や繁華街を直撃する可能性もあります。この落下物の危険性についての区の認識と対策について見解をお示しください。また、落下物で被害を受けた際には、どのように補償されるのかといった情報は区民にどのような形で周知されているのか、伺います。

 落下物に関連して、万一の重大事故のリスクも懸念されています。航空機が離陸上昇中の3分間及び着陸降下中の8分間を合わせた11分間は、航空関係者の間でクリティカル・イレブン・ミニッツ、魔の11分と呼ばれています。飛行高度が低い地表付近は気象が変化しやすいことに加えて、鳥も多く、操縦士の作業も増え、管制官との連絡も多くなることから、ヒューマンエラーが起こりやすいとされています。実際にボーイング社の統計によると、1959年から1995年までに起きた航空機事故のうち、2割が離陸時、5割は着陸時に発生しています。

 そこで伺いますが、平成28年8月の区民委員会での区の説明では、中野区上空を飛行する新ルートのうち、A滑走路到着経路では、航空機は中野区の上空では着陸に向けた態勢に入り、高度を下げながら飛行するものと推察されますが、これは着陸降下中の8分間に含まれるという理解でよろしいのでしょうか。また、航空事故が起きやすいとされる、いわゆるクリティカル・イレブン・ミニッツのリスクについて、区の認識と対策について御見解をお示しください。

 人口が密集している市街地をここまで低空で飛ぶのは世界に例がないという専門家の指摘もありますが、騒音や落下物、万一の重大事故、さらにはテロの危険性に至るまで、こうしたリスクを考慮すると、今回の新ルートは十分な安全性と住民の理解が得られているものではないと考えます。我が国の経済成長やグローバル戦略、それらを否定するものではありませんけれども、それらの名のもとに区民の安心・安全が脅かされることがあってはなりません。中野区としては、今回示された新ルートの見直しを国に求めていくべきであると考えますが、これに対する区の見解をお示しください。お尋ねして、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) ひやま議員の御質問にお答えをいたします。

 社会保険についての問題です。社保の未加入の実態把握、また事業所への対応についてということです。社会保険に加入すべき事業所かどうか、この実態を把握し、是正を指導することは厚生労働省の所管であります。今年度試行的に2自治体で、国保加入者の中に健康保険、厚生年金に加入すべき人はいないかを調査し、日本年金機構が事業所を指導しているところであります。したがいまして、区といたしましては、引き続き国保の保険者として国保加入者に配布している冊子やホームページで、会社勤めの人は社会保険に加入できる場合があることを周知するとともに、被保険者に対して加入の手続であるとか納付相談の際などに助言等を行ってまいります。

 平成30年度以降は東京都が国民健康保険制度の財政運営の責任主体となりますが、区は引き続き被保険者の資格管理等の役割を担い、被保険者証の発行、保険料の賦課徴収を行っていくことになりますので、区としては現在と同様の取組みを行っていくことになります。

 国保加入者の社保加入に関する調査について。差押えを行った6,000人のうち、400人は社会保険に加入している可能性が高いと考えられる人、これは社会保険料控除額が多い人、こういう人たちのことをそういうふうに見るわけであります。それで、調査の結果、そのうち300人は社保の加入を確認できましたが、100人については勤め先に確認しても確認できなかったものでありまして、区としてはそれ以上調査する方法はありません。今後、このようなケースについて、日本年金機構に対する情報提供など、連携、協力の在り方について検討をしていきたいと考えております。

 この400人のうち100人という、この100人についてということでありましたが、この調査の結果というのは、社会保険に加入している可能性が高いという人を絞り出して調査をしたものでありまして、これをそのまま6,000人の比率に持ってくるというのは無理があるということであります。

 国民健康保険料の差押えに関連してです。社保と国保の二重加入については、差押えの前に、給与等の支払い実績のある人で社保加入の可能性が高いと思われる人について、事業主に対して社会保険加入の有無を確認して、加入している場合には国保の資格が喪失となります。したがいまして、区の債権もなくなるので差押えは行っていません、その二重に加入している期間についてですね。それで、社会保険に加入していない人については、これの国保加入期間中の保険料の滞納につきまして、国保の保険者として差押えを行うことは適法であり、我々から見れば理不尽ではありません。

 それから、働き方の聞き取り調査について。一斉臨戸徴収では、滞納者に対して納付催告や納付相談の案内を行っていますが、時間的な制約もあることから、庁内で待機している職員が相談対応を行っております。その際にも勤務先の規模や労働時間などを聞き取っているところであります。

 私からは以上です。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、り災証明システム等の導入についての御質問にお答えをいたします。

 まず、被災者支援システムと被災者生活再建支援システムのメリット及びデメリットについてでございます。御質問の中で御指摘がありましたけれども、被災者支援システムのメリットは、ソフトが無償で提供されていること、避難所管理や支援物資の管理など、被災者支援以外の機能も充実していること、システムのカスタマイズが柔軟に行えることなどが挙げられております。デメリットといたしましては、調査結果の入力を手作業で行うため、被災者生活再建支援システムよりも電子データ化に時間がかかることが挙げられております。

 次に、被災者生活再建支援システムのメリットは、被災現場の調査やシステム入力について研修制度が充実していること、調査結果の電子データ化が高速であるため、早期にり災証明の発行ができること、同じシステムを採用している自治体からの応援を受けやすいことなどが挙げられているところでございます。一方、導入費用及び維持管理費用が被災者支援システムよりも高くなるということで認識しているところでございます。

 次に、区がり災証明システム等に求める条件についてでございます。首都直下地震において、区内では約7,000棟が焼失し、9,000棟以上の建物が全壊又は半壊するなど、被害の発生が想定されております。区内に多数の被害が生じることから、早期の復旧・復興に着手するためには多大な量となる被災状況の調査結果を速やかに取りまとめ、り災証明書の発行や各種被災者支援を迅速に行っていく必要がございます。そのため、り災証明システム等につきましては、被災状況の調査結果を速やかに電子データ化や取りまとめができること、り災証明書の発行を始めとする被災者支援を一元的に実施できることを条件に検討していくこととしております。

 次に、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)と被災者生活再建システムの関係についてでございます。首都直下地震において多数の被害の発生が想定されていることから、早期の復旧・復興に着手するためには他自治体等の応援が不可欠であり、即戦力として活用するためには業務の共通化等を図ることができるシステムを導入する必要があると考えております。被災者生活再建支援システムは、調査結果の電子データ化が迅速なだけでなく、同じシステムを導入した他自治体職員が即戦力として活用しやすく、都との連携も図りやすいことから、有力な候補として検討しているところでございます。

 最後に、り災証明システム等の導入に関する現状についての御質問でございますが、防災システムにつきましては、最適なものをできるだけ早く導入できるよう検討を行っているところでございます。

〔環境部長戸辺眞登壇〕

○環境部長(戸辺眞) 私からは、国における羽田空港の機能強化対策についての御質問にお答えいたします。

 最初に、到着経路進入高度引上げに伴う騒音レベルの向上についてでございます。御質問にもありました、区内西側ルートとなるA滑走路到着経路につきまして約3,000フィート、約900メートルで航行する場合の直下の騒音は63デシベルから70デシベル程度でございます。国土交通省によりますと、今回の到着経路進入高度の引上げは悪天候時を除き運用するものでございまして、中野区内に進入した段階では少なくとも約4,000フィート、約1,200メートル以上となるとのことでございます。この場合の騒音レベルは59デシベルから68デシベル程度となるため、当初案より2デシベルから4デシベルの改善が図られるという見解でございます。

 一方、東側のルートとなりますC滑走路到着経路につきましては、当初より大きく新宿区側に飛行するため、中野区上空を飛ぶ距離は短くなります。高度はおおむねこれまでと同一の約3,000フィートでございます。新たな飛行ルートの運行に伴い、中野区上空を通過するのは南風時のみ、想定で時間にして年間約4割であること。しかも、夕方4時間に限定されること。さらに、職員が中野区と同程度の進入高度のもとで実地体験をしてございます。その結果等を総合的に勘案すると、騒音の程度はおおむね区民の良好な生活環境を脅かすものではないというふうに認識しているところでございます。

 続きまして、落下物対策についてでございます。環境影響に配慮した方策におきまして、国は、乗り入れる外国の航空会社の機体の整備点検を徹底させるということや、駐機──陸地にいて待機中ですね、待機中の航空機に対しまして注意すべき箇所を国の職員が重点的に確認する仕組みを新たに構築する等が含まれていることから、落下物対策のさらなる強化が図られるものと認識してございます。万一、落下物事故が発生した場合は、区としても国の担当所管等と適切に連携をとるなど、被害を受けた住民の救済をサポートしていく考えでございます。

 落下物事故が発生した場合の責任の所在でございますが、原因となった航空会社が被害を補償するものでございます。また、原因者である航空会社が特定できない場合、可能性のある複数社が共同して補償する制度が確立されております。これらは、国のホームページ「羽田空港のこれから」にも掲載されているところでございます。

 続きまして、クリティカル・イレブン・ミニッツ、魔の11分という御質問でございます。国土交通省に確認したところ、確かに中野区を含む東京都内は着陸降下中の8分間に含まれるというものでございます。しかしながら、航空機の性能向上、その他近年の安全対策の飛躍的向上等もございまして、国土交通省としては特に事故の起きやすい特別な時間帯とは認識していないと聞いてございます。国に対して、今後とも最新の技術開発の動向も踏まえ、安全管理等の徹底に取り組むよう要望しているところでございまして、国は住民の安全・安心をより高めるための取組みを行っていくものと認識してございます。

 最後に、ルート変更の撤回を区として求めることについてでございます。羽田空港の機能強化につきましては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを円滑に開催することをはじめ、グローバル社会におけます首都圏の国際競争力の強化やさらに国際線と国内線との連携による地方の活性化等を目的としているものでございます。このため、仮に深夜・早朝の時間帯に増便しても需要が少ないためその効果は薄く、また成田空港におきましても昼間の時間帯はフル稼働の状態でございます。このようなことから、今回国がルート変更により羽田空港の機能強化を図ることとしたと考えてございます。今後とも、区民の良好な生活環境に向け、都や関係自治体とも連携しつつ、国に対して更なる安全対策の充実を求めていきたいと考えているところでございます。

○副議長(白井ひでふみ) 以上でひやま隆議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後3時08分休憩

 

午後3時30分開議

○議長(北原ともあき) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。

 議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 伊 藤 正 信

 1 町会・自治会の活動活性化の推進について

 2 区の防犯対策の取り組みについて

  (1)青色パトロールカーの運行について

  (2)防犯カメラの設置について

 3 学校教育の課題について

  (1)3学期制について

  (2)土曜日授業について

  (3)通学路の安全確保について

  (4)学校再編と施設整備計画について

 4 その他

 

○議長(北原ともあき) 伊藤正信議員。

〔伊藤正信議員登壇〕

○32番(伊藤正信) 第4回定例会におきまして、自由民主党の立場から質問をさせていただきます。

 初めに、町会・自治会の活動活性化の推進について伺います。

 地域自治の推進、地域包括ケア体制の構築の土台となり、地域での活動の核である町会・自治会については、活動の担い手の高齢化や役員の固定化など課題を抱える団体が少なくなく、組織力強化や地域力向上が課題となっております。区においても、そうした課題認識のもと、10か年計画(第3次)の戦略V「地域見守り・支えあい戦略」において、施策の方向性として「地域課題を自ら解決する活動の推進」を取り上げ、町会・自治会への加入促進、地域への参加や担い手育成の推進を主な取り組みとして進めるよう位置付けております。

 町会・自治会の活動活性化については、他の市区町村でも同様の課題となっており、その解決に向けてそれぞれの地域の状況を踏まえたさまざまな取り組みが行われております。中野区においても中野区町会連合会が地域活性化促進委員会を設置しPR活動の充実を検討するなど、みずからの力で区民理解の促進、活動の活性化を目指しているほか、区としても、区町会連合会に対する助成金の増額、連合会事務局の活動スペース拡大、また区民活動運営委員会を通じた活動支援など、積極的に取り組んでいると認識しておりますけれども、顕著にその成果があらわれているというまでには至っておりません。

 そこで、区が考える条例制定について伺います。

 今後も継続した取り組みが必要だと思いますが、品川区では住みよいまちづくりに取り組む町会・自治会の活動を応援するため、23区初となる、「品川区町会および自治会の活動活性化の推進に関する条例」を制定し、ことし4月に施行したと聞いております。区は10か年計画(第3次)の中で、町会・自治会への加入促進、地域への参加や担い手育成を推進するために、地域での課題解決に向けて期待される住民の役割、担い手の発掘・育成、区の果たすべき役割等を位置付ける条例を検討しますとしていますが、品川区と同様の条例を作成しようとしているのか、どのような条例を制定しようとしているのか、区の考えを伺います。

 次に、町会連合会の事務局体制強化に向けての区の支援充実について伺います。

 町会・自治会活動の活性化に向けては、町会・自治会みずからが動きをつくっていくことがとても重要であると考えます。そういう意味で、中野区町会連合会が地域活性化促進委員会の活動に取り組んでいることの意義はとても大きいと思いますが、実際に活性化促進委員会の様子を見てみますと、委員さんとともに事務局の存在と役割が重要だと強く感じました。今後の連合会活動のさらなる発展のためには事務局体制の拡充を支援することが必要だと思いますが、区の考えを伺います。

 次に、人の参加を促すための町会・自治会への区の支援充実について伺います。

 今後、加入促進の動きを具体的なものとするためには、理解促進やPR拡大とともに、実際に住民が地域で町会・自治会と一緒に活動する機会をつくること、またそうして集まってきた人たちを含め、町会・自治会の運営側に新たに参画する人をふやしていくことが欠かせないと思います。

 東中野地域では、ごみ拾いを通じた地域住民の参加促進の取り組みをしているようですが、このように気軽に参加できる機会づくりなどはとても有効だと思います。今後、そうした多くの人の参加を促す事業や町会・自治会の運営側に新たな参加者をふやしていくための事業を地域の町会・自治会、中野区町会連合会が取り組んでいけるよう、区としても応援するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。伺います。

 次に、区職員による地域での町会・自治会への支援充実について伺います。

 地域において、個別の町会・自治会の活動に対する区職員の働きかけも重要だと思います。中野区では、地域センター時代から区職員と地域との距離が近く、顔の見える関係の中で地域の課題解決に向けて取り組んできた歴史があります。これはかけがえのない財産だと考えております。区は、地域包括ケア推進プランの策定を検討する中で「(仮称)地域力推進チーム」による地域の関与をうたっていますが、町会・自治会への活動の関与についてはどのように考えているのか、お伺いをいたします。

 次に、区の防犯対策について伺います。

 青色灯防犯パトロールカーの運行について伺います。

 昨今、中野区内でも殺人事件が起きました。昨日、殺人事件の犯人が逮捕されたようですけれども、また、住宅への侵入盗や自転車の盗難などの事案が多く発生しております。犯罪の抑止効果として青色灯防犯パトロールカーの運行は効果が発揮されております。改めて運行に携わっている関係者に敬意をあらわすものであります。

 平成18年度から導入し、もう10年経過しておりますけれども、この間における犯罪発生状況はどのように推移されているのか、伺います。さらに、青色灯防犯パトロールカーの運行による犯罪抑止の効果は区としてどう評価されているのか、伺います。

 次に、青色灯防犯パトロールカーの運行体制の充実について伺います。

 現在、10時から18時の間を運行時間として区内を巡回していると聞いておりますが、通勤・通学時間の早朝や、毎日ではなくとも週の2日ぐらい、杉並区のように夜間にも運行時間を拡大するなど、さらに運行体制の充実を図っていく考えはないのでしょうか。伺います。

 また、現在は中野区内を南北に分けて2台運行しているようですが、最近では中野駅周辺には区民や多くの来街者が見られます。さまざまな犯罪の発生も懸念されます。青色灯防犯パトロールカーをふやす考えはないのでしょうか。伺います。

 次に、防犯カメラの設置について伺います。

 以前から何度か質問をさせていただいておりますけれども、隣の杉並区では、平成16年7月1日に杉並区防犯カメラの設置及び利用に関する条例を施行し、この間区内には27年度末で2,963台が設置されており、そのうちで区の独自事業により、平成20年度から街角防犯カメラを27年度末で258台設置しております。防犯カメラは設置すること自体で犯罪抑止の効果があり、条例施行以降、刑法犯認知件数は4割減少、平成16年8,994件から平成26年5,248件になり、近所に防犯カメラが設置されたことによって地域住民の防犯意識が高まり、自主的な防犯活動が行われるようになったと言われております。また、教育委員会としても、平成26年度から通学路防犯カメラを90台設置されており、子ども見守り宣言を発表し、通学路に設置された防犯カメラととともに、PTAが地域の住民と一緒に子どもたちの登下校の安全をさらに見守るようになりました。

 そこで伺います。現在の中野区内での街頭防犯カメラは何台設置されているのか。また、その中には教育委員会が設置した通学路への防犯カメラも含まれていると思いますが、設置箇所の状況等は把握されておりますか、伺います。

 防犯カメラは、中野駅周辺や大きな商店街や繁華街に多く取りつけられていると思います。住宅地など設置が進んでいない地域、いわゆる空白地域をどのように考えているのか、伺います。

 区としても公共施設や小学校近辺の通学路に設置していることは承知しておりますが、空白地域をなくすためには地域の方々の情報や警察署と連携をしながら、杉並区のように区独自で防犯カメラを設置するなど対策を考えてみてはいかがでしょうか。伺います。

 補助制度を活用して設置された町会・自治会や商店街の防犯カメラの維持管理費や更新時を迎え課題となっているところもあり、区からの補助を求めたい声もあります。いかがお考えでしょうか。伺います。

 この項の最後に、先ほど述べたように、町会・自治会、商店街等、区有施設や通学路等管理形態を一元的に管理していく必要があると思います。防犯カメラの設置目的は犯罪や事故の抑止、事件・事故の早期解決や区民が安全で安心して暮らしていけることだと思いますが、いかがお考えでしょうか。伺います。

 次に、学校教育の課題について伺います。

 まず初めに、3学期制について伺います。

 教育課程の改善や、よりきめ細かな指導と評価を行うなど、子どもたちにとってより充実した教育活動の展開を目指すことで、平成20年度から全校で実施しております2学期制は、学びのゆとりと心のゆとりを生み出すことでこれまで以上に先生が子どもたちとじっくり向き合い、きめ細かな学習指導や生徒指導を充実させ、学習状況や生活の様子を子どもや保護者の方々にわかりやすくお知らせすることで、子どもたちの確かな学力の向上と豊かな心の育成です。2学期制に移行することで一つの学期が100日前後で長くなり、各学校ではこれまで以上に教育効果の高まりを期して、柔軟で実行力のある教育課程、指導計画等を編成することが可能になるなど、新しい計画に基づいて各教科の単元やまとまりごとに適切な評価を行ったり、きめ細かな指導を実践したりして子どもたちの学力向上を目指し、また年間授業時数を増加させることによって道徳教育や体験活動等をより一層充実させ、子どもたちの豊かな心を育んでいきますとして実施しておりますが、これまで2学期制を導入して、教育委員会としてはどのように検証されてきたのか。どのようなメリットがあり、またどのような課題があるのか、伺います。

 2002年度より全国的に3学期制から2学期制に変更する学校が相次ぎましたが、3学期制に戻す学校もふえております。3学期制は、4月から7月を1学期、9月から12月を2学期、1月から3月を3学期として、夏休み、冬休み、春休みの長期休業で学期を区切っています。子どもたちにとっても1学年を通じて日本の風土である四季を感じる3学期制に戻してみてはいかがでしょうか。

 10年ぶりに3学期制を復活させた横浜市のある中学校では、前年度までの2学期制では、前期の期末テストを夏休み後の9月半ばに行っており、通知表は10月に渡していた。3学期制では、期末テストは6月下旬で、夏休み前に通知表も渡されています。夏休み前の個人面談で学習や生活面のしっかりした評価をもとに保護者、生徒と話ができると先生は話しております。一方、生徒も自分の弱点に早めに気づき、受験に向けた勉強の仕方も見直せると話されていました。この中学校では、2学期制を導入したときには授業時間を20時間ふやしましたが、3学期制に戻しても終業式の日に授業を行うなどして授業時間を確保しています。

 2学期制にしてからの問題点もあり、またメリットもあったかと思いますが、2学期制を導入してから8年がたっています。以前も、この3学期制に戻す検討をしてみてはいかがでしょうかという質問に対して、「2学期制は一定の成果を上げていると考えているが、今後さまざまな教育施策を検証していく中で2学期制についても検証していく考えでございます」という答弁をいただきましたが、その後どのような検証をなされて、どのように考えているのか、伺います。

 次に、土曜日授業について伺います。

 区立の小・中学校では、原則第2土曜日を公開授業として3時間授業を実施しています。保護者や地域の方々に公開し、各学校の取り組みや児童・生徒の学校生活の様子などを見ることができて、私もなるべく参加するようにしております。保護者や地域の方々には大変よい評価をいただいていると思いますが、教育委員会としてはどのように考えているのか、伺います。

 しかし、小学校、中学校同時に公開日になるのでなかなかしっかりと見ることができません。日時を変更することや小中連携の視点からも柔軟に変更できるような工夫をすることはできないのでしょうか。伺います。

 次に、通学路の安全確保について伺います。先ほども平山議員の質問にもありましたけれども、私からも通学路の安全確保について伺います。

 先月、10月28日午前8時ごろ、横浜市港南区大久保の市道で87歳の高齢者が運転する軽トラックが暴走し、前で停車していた軽自動車に衝突し、バランスを崩して横転した勢いで通学中の小学生9人の列に突っ込み、死傷者を出した事故がありました。亡くなったのは、市内の小学校に通う、まだ6歳の小学1年生で、事故を起こした87歳の高齢者は、その後事情聴取を受け、自動車運転処罰法違反、過失致死傷容疑で逮捕されました。87歳の容疑者の供述は二転三転していることから認知症の疑いがあると言われております。「ごみを捨てに行く」と家族に言い残したまま、24時間軽トラックで走り続けた末に横浜市港南区の事故現場にたどり着いたそうですが、本人もなぜそこに行ったのかよくわからないという供述をしているようであります。認知症だとしても運転できてしまう現実は何とも怖い思いがいたします。この軽トラックの暴走事故に巻き込まれて死亡した小学校1年生の遺族やけがをした小学生たちや被害者を思いますと、本当に気の毒でなりません。

 また、今月10日、栃木の大学病院では84歳の運転する乗用車が突っ込み、女性3名が巻き込まれ、89歳の方が亡くなった事故があったり、立川市の国立病院機構災害医療センターの駐車場で車が暴走し、歩いていた30代の男女2人も亡くなり、運転していた83歳の女性もけがをされた事故もありました。このように相次ぐ高齢者による悲惨な交通事故が毎日のように発生しています。

 前段で申し上げたように、横浜市での子どもが巻き込まれた交通事故など、教育委員会としてはどう捉えているのか、伺います。

 子どもの安全確保は、通学時の交通安全だけではありません。先日も、8日の朝8時過ぎ、児童が登校途中に若い男性が近づき、急に壁に押しつけられて頬を殴られ足を蹴られた傷害事件がありました。幸いにして犯人は逮捕されましたが、このような事件も発生したので懸念をいたしております。

 通学路とは、各学校が児童・生徒の通学の安全の確保と教育的環境維持のために指定している道路をいい、学校においては児童・生徒の保健、安全等に関する事項について計画を立て、これを実施しなければならないと規定されておりますが、中野区の小・中学校の通学路の指定はどのようにされているのか、伺います。

 地域によっては、スクールゾーンとして設定されていても通学路が幹線道路の渋滞の抜け道となっているところも多くあり、ある地域では車両の交通規制をしてほしいとの要望もあるようです。子どもたちに交通ルールを守ることを教育することはもちろんですが、自分さえ交通ルールを守っていても、守らない人によって事故に遭うことがあるということを教えることも重要であります。教育委員会、道路管理者、警察など関係機関や地域住民等が連携して通学路の安全対策に取り組んでいくことが大切であり、地域の学校やPTAが中心となってまとまっていくことと、学校長やPTA会長さんなどが率先して取り組むリーダーの存在も重要であると考えます。教育委員会として、子どもたちの通学路の安全確保についてどのように考えているのか、お伺いをいたします。

 次に、学校再編と施設整備計画について伺います。

 教育委員会は、学校教育の充実を目指すという教育的視点を基本に再編計画を着実な実施に向けて取り組んでこられました。充実した学校教育のため、望ましい規模の学校をつくるため、小学校においては少なくても12学級、学年2学級程度、中学校においては少なくても9学級、学年3学級程度を目指すこととしておりました。これまでの再編計画での統合新校は目標とされていた学級数を確保されていたのでしょうか。伺います。

 また、平成20年度に桃園第三小学校、桃丘小学校、仲町小学校の3校の小学校が統合された桃花小学校が誕生いたしました。それ以降、小学校は3校の新校、中学校も3校の新校が誕生いたしましたが、これまでの統合された学校の評価をどのように捉えているのか、伺います。

 区立小中学校再編計画(第2次)では、望ましい規模の学校として、小学校としては18学級、学年3学級、中学校としては15学級、学年5学級程度を目指すとしております。来年度より統合新校が3校、最終の35年度までに合計8校が統合新校として計画されておりますが、望ましい規模の学校として学級数が確保されるのか、伺います。

 平成27年12月に、区立小中学校再編計画(第2次)及び区立小中学校施設整備計画において大規模改修としていた学校は改築することといたしました。区立学校の施設は昭和30年代後半から40年代に建設されたものが大部分を占め、既に建築50年を経過している学校があるほか、今後8年から13年間に建築後50年を迎える学校がほとんどです。再編対象校以外の学校の改築を行う場合、原則統合に伴い閉校した学校を仮校舎として使用することとしておりますが、こうした変更の対象となる学校では保護者に対して説明会などを行うようですが、通う学校の位置の変更や通う時期など、スケジュールについては特にこれから学校へ入学するお子さんをお持ちの保護者の方々にとって大変に重要な情報だと思います。通う学校の位置を確認して住む家を決めるという話もよく聞きますし、慣れ親しんだ学校生活を終える最後の卒業式が仮校舎で迎えることもあり得ます。

 そこで伺いますが、こうした学校の改築のスケジュールや改築に伴う情報はどのように周知していくとお考えですか。伺います。

 これからの学校施設整備の考え方として、多様な学習環境を可能にし、地域活動の拠点となる施設の整備、効率的・効果的な施設配置や施設整備の共同化、今後の教育環境や社会状況の変化に対応できるような快適な安全で安心な学校施設を整備するとしておりますが、具体的にどのように学校施設を整備していかれるのか。また、改築に必要な経費は義務教育施設整備基金の活用や国庫支出金の確保など効率的・効果的に進めていかなければならないと思いますが、いかがお考えなのか、伺います。

 学校は、地域の伝統や文化が継承されていく場でもあり、再編や施設整備を進めるに際しては地域、保護者の理解や協力が不可欠であるということは言うまでもありません。

 最後に、教育委員会の意気込みを伺いまして、私の全ての質問を終了いたします。ありがとうございました。

 

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 伊藤正信議員の御質問にお答えをいたします。

 町会・自治会の活動活性化の推進について。良好な地域社会づくりに向けた条例整備についてであります。地域の自治の将来像として、区は住民相互のつながりを基礎とする地域のコミュニティーにおいて地域活動の核となる町会・自治会がさまざまな公益活動を行う団体と連携し、みずからの意思で地域課題へ対応する姿を描いております。こうした地域自治を推進していくためには、町会・自治会が区の重要なパートナーであることの位置付けや、その活性化のための区や住民の役割などを規定した条例の制定を通じて良好な地域社会づくりを進めていきたいと考えております。今後、区民意見等を踏まえながら具体的な検討を進めていきたいと考えております。

 区町会連合会事務局活動への支援について。新しい区役所整備基本計画では、中野区町会連合会事務室のスペースを十分に確保することとしており、事務局の活動環境を整備してまいりたいと考えております。また、活性化推進のための事務局体制の充実、これについても支援をしてまいりたいと考えております。

 地域住民の参加を促すための活動の支援についてであります。区では、今年度各町会・自治会が取り組む事業やイベント情報などを適宜発信するため、町会連合会のホームページ立ち上げを支援したところであります。今後も、町会・自治会の運営や事業の担い手の確保について町会連合会の取り組みをしっかりと支援をしてまいります。

 (仮称)地域力推進チームとして検討している体制、こうした体制の町会・自治会への活動支援についてであります。(仮称)地域力推進チームとして検討している体制は、地域との顔の見える関係のもと、地域課題の把握や人材などの地域の資源の発掘と育成に取り組んでまいります。また、地域で支援を必要としている全ての人のニーズを掘り起こし、適切なサービスに結びつけるなど、地域全体を見守るコーディネーターとしての活動を想定しております。町会・自治会活動への具体的なかかわり方としては、例えば、町会・自治会の見守り支えあい活動の中で見出された、閉じこもりがちで心配な高齢者を適切なサービス利用へつなげていくことや、区のさまざまな事業などで出会った新たな活動の担い手を町会に紹介することなどを通じて、活動内容の充実、発展を支援することを考えております。また、町会・自治会と随時定期的に情報交換を行いながら、地域の活動と区の活動が密接に連携をしながら活動していく、そうした中核となる体制を想定しているものでございます。

 青色灯防犯パトロールカー運行による防犯上の効果についてであります。警視庁が発表した資料によりますと、青色灯防犯パトロールカーの運行を開始した平成18年の区内における刑法犯の認知件数は5,465件でありました。昨年は3,446件まで減少いたしました。件数にして2,019件、率にして約37%減少しているわけであります。これらの全てが青色灯防犯パトロールカーの運行による効果とは言えないと思いますが、地域で事件や事故が発生した際にはパトロールコースを変更するなど柔軟に対応していることや、必要な箇所には重点的にパトロールを行っていることなど、地域の住民からは安心度が高まったとの声が寄せられているところであります。

 青色灯防犯パトロールカーの運行時間については、子どもたちをはじめ多くの地域住民が屋外で活動している時間帯に実施することが効果的であると考えており、昼間から夕方の時間帯にパトロールを行っているところであります。早朝や夜間のパトロールなど運行時間を拡大することについては、他自治体での実施状況やその効果を見極めて検討していきたいと考えております。

 パトロールカーの台数増についてです。青色灯防犯パトロールカーの運行台数をふやすことについては、来街者の増加や犯罪発生状況の推移等を総合的に判断する必要があると考えており、今後の研究課題とさせていただきたいと思います。

 次に、区の防犯対策の取り組みについてのうち、防犯カメラの設置について。街頭防犯カメラの設置台数です。町会・自治会や商店街等が補助制度を活用して設置している防犯カメラは今年度末で311台となります。また、区立小学校の通学路への設置は今年度末で125台であります。町会・自治会、商店街が設置している防犯カメラ及び区が通学路に設置している防犯カメラに加え、学校や区有施設に設置している防犯カメラ、こうしたものについて設置箇所の状況は把握をしているところであります。

 防犯カメラ設置の空白地域について。地域によって防犯カメラの設置台数の差がありますが、年々町会・自治会や商店街等による防犯カメラの設置が進んできており、また昨年度と今年度で通学路の安全対策の一環として全ての区立小学校の通学路に防犯カメラを設置することとしております。今後とも警察や地域団体と連携し、さらに防犯カメラ設置の有用性を周知して町会・自治会等による防犯カメラ設置の普及に努めていきたいと考えております。

 区による防犯カメラの設置について。防犯カメラ設置に対する補助制度は地域の主体的な防犯活動に対する支援の一つとして実施しているものであり、地域がみずから防犯カメラを設置することにより地域住民の安全に対する意識がさらに向上するものと考えているため、現段階においては区が直接防犯カメラを設置することは考えてはおりません。

 維持管理費の補助についてであります。区の補助制度を活用した町会・自治会、商店街等による防犯カメラの設置が進んできており、補助金の申請も増加傾向にあります。そのため、現在は防犯カメラの整備、設置に対する補助を優先して実施している状況にあることから、維持管理経費を補助の対象にすることについては今後の状況を踏まえ研究をさせていただきたいと思っております。なお、設置から7年以上経過した防犯カメラについて、これを更新する際には再度この助成制度を活用することができるので、活用をお願いしたいと思っております。

 防犯カメラの一元的管理についてであります。区では、通学路における児童の安全や学校を含めた区有施設の安全を確保するため防犯カメラを設置し、町会・自治会や商店街等においては補助制度を活用して地域や商店街の安全のため防犯カメラを設置しております。それぞれの設置主体が防犯カメラの管理運用を行っているのが現状であります。したがいまして、現段階においてはこれらの防犯カメラについて、設置箇所や方向、録画の内容や保管管理などについて区が一元的に管理する、このことは難しいと考えておりますが、一定の統一的な基準で地域の安全の向上という面から効果的な運用をすることができるか、他自治体の事例などを参考に研究をしてまいります。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 学校教育の課題につきまして、初めに3学期制についての御質問です。

 まず、2学期制導入の検証とそのメリットと課題はどのようなものかということです。2学期制の導入についての検証は、これまで小・中学校の全保護者を対象とした学校教育に関する保護者アンケート結果や学校からの報告や意見等をもとに検証してまいりました。メリットとしましては、ゆとりある教育課程が編成できることや、長期休業中の個人面談や三者面談により児童・生徒にみずからの課題の解決に向けての意識を高められたことなどが挙げられております。課題といたしましては、成績表を受け取る回数が減ったことや学期の区切りがわかりにくいことが挙げられております。

 次に、2学期制の検証と今後の方向性についてということです。今年度、教育課程検討委員会を設置し、現在も協議・検討しているところでございます。この検討委員会では、各学校の管理職等の教員を対象に、昨年度実施した2学期制に関するアンケートの調査結果をもとにその成果と課題について確認するとともに、これまでの2学期制の成果や次期学習指導要領の方向性を踏まえ、子どもたちにとって適切な学期制のあり方について検討を行っているところでございます。この結果を踏まえ、教育委員会での協議を進める予定でございます。

 次に、土曜日授業についてです。土曜公開授業について、教育委員会としての評価のお尋ねでした。土曜公開授業については、子どもたちの学習の様子や学校の教育活動を保護者や地域に広く周知するよい機会であり、開かれた学校づくりの手だてとして有効であると認識をしております。

 また、土曜公開授業の柔軟な変更をというお尋ねです。現在も第2土曜日以外に土曜授業日を変更することについては対応してございます。例えば、中学校の土曜授業を小学生とその保護者が参観できるなど、小中連携教育を推進する意味からも、今後も日程や内容について工夫してまいりたいと考えてございます。

 続きまして、通学路の安全の確保についてのお尋ねです。通学路の安全を確保するためには、児童・生徒の安全教育を進めるとともに、警察や地域と連携し、地域全体で通学路の安全確保に向けた取り組みを進めることが必要だと考えてございます。これまでもPTAや町会等の方には登校時における見守り活動や防犯パトロール活動などを担っていただいているところでございまして、これからも学校、PTA、町会等が連携した取り組みを推進し、通学路における安全の確保を図っていきたいと考えています。

 なお、通学路の指定につきましては、教育委員会が中野区立小学校の通学路の設定に関する基準を定めてございます。これに基づきまして、各小学校長は、学区内の交通状況、防犯上の観点等を総合的に勘案するともに、児童の保護者に意見を聞き、かつ所轄の警察署に事前の相談をした上で通学路の指定をしてございます。

 次に、学校再編と施設整備計画についての御質問です。初めに、前期再編計画の統合校の学級数について。前期再編計画である、中野区立小中学校再編計画に基づき統合した小学校4校については平成28年度の学級数が14学級以上、中学校3校については9学級以上となり、いずれも目指す学級数の規模は確保されてございます。

 続きまして、統合新校への評価についてです。統合された学校におきましては、一定規模の集団や学級数が確保され、行事や集団活動が活発に行われ、子ども同士の触れ合いや友人関係も豊かになっているというふうに認識をしてございます。また、学級数が確保されたことにより、教員数も一定規模の確保ができ、個に応じた指導や多様な学習活動が展開され、充実した教育活動が行われていると認識しています。このような中、それぞれのもとの学校の伝統や歴史を引き継ぎながら新たな校風と伝統をつくり、児童・生徒一人ひとりが今通っている自分の学校に対して誇りを持って学校生活を送っているというふうに考えています。

 続きまして、第2次再編計画と学級数についてです。区内の児童・生徒数は、今後、全体では微増すると推計をしております。今後開校する統合新校については、小学校では13学級以上、中学校では9学級以上の規模になると推計をしておりまして、適正な学級数が確保される見込みでございます。

 学校改築に係る保護者等への周知についての御質問がありました。再編対象校以外の学校の改築に関するスケジュールにつきましては、在学期間中に仮校舎へ通学することになる児童・生徒の保護者に対し就学通知等であわせてお知らせをする予定でございます。また、その後に改築や仮校舎への通学等に関する状況が明らかになった段階で、区報、教育委員会ホームページ、学校便りなどへの掲載に加え、必要に応じて説明会の開催や個別広報紙の発行等を検討し、きめ細かい周知に努めてまいりたいと考えています。

 学校施設整備の進め方についてです。学校施設の整備に当たっては、中野区立小中学校施設整備計画で定めた標準仕様による施設規模や教室、管理諸室等の構成を基本としつつ、多様な学習環境への対応、地域開放を前提とした利用形態、災害時の避難所機能などを考慮しなければならないと考えています。具体的には、多目的に使用できる部屋の設置、学校のセキュリティーを確保した上での一般利用者の動線確保、災害時に必要な設備等の導入などを設計等の中で検討していくことになります。

 最後に、学校再編と施設整備計画についての御質問です。学校再編を進めることで一定規模の学級数が確保され、集団活動や部活動の充実や専科の教員の確保など充実した教育環境を整えることができていると考えてございます。来年度統合を予定している学校ではそれぞれのPTAや町会が交流を深めていただいている例もございまして、地域や保護者の理解や協力を得ながら進めていくことが極めて重要であると認識をしております。今後、学校再編に引き続き施設整備を進めていく際にも、地域や保護者等へ丁寧に説明をし、理解・協力を得ながら進めてまいりたい、このように考えてございます。

〔政策室長髙橋信一登壇〕

○政策室長(髙橋信一) 私からは、学校再編に係る改築等の財源についてお答えいたします。

 学校の改築、統合新校の大規模改修などの整備費につきましては、国の補助金など、対象となるものについては最大限活用することとし、その他の経費につきましては区民の世代間の負担公平も踏まえた財源構成とするため、義務教育施設整備基金と起債の活用を基本としていく考えでございます。

○議長(北原ともあき) 以上で伊藤正信議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 甲 田 ゆり子

 1 子育て支援について

  (1)中野の子育て支援の考え方について

  (2)児童虐待防止と予防について

  (3)その他

 2 教育行政について

  (1)多様性を尊重する教育行政について

  (2)いのちの授業について

  (3)その他

 3 私道に関わる整備について

 4 がん総合対策について

 5 その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、甲田ゆり子議員。

〔甲田ゆり子議員登壇〕

○13番(甲田ゆり子) 平成28年第4回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行わせていただきます。

 質問は通告どおりで、5のその他はありませんが、1、子育て支援についての(3)その他の項でB型肝炎ワクチンについて質問いたします。

 昨年、国連加盟国は、地球規模でよりよき将来を実現するための「持続可能な開発目標(SDGs)」を掲げました。少子高齢社会の時代にあって、まさに我が国も中野区も持続可能な目標を掲げながらさまざまな政策を推進しています。全国民が自分の地域や時代だけがよくなればよいというのではなく、将来にわたり持続可能な社会を築くため、皆で支え合っていくことが希望の道につながります。その意味で、区長には、今後とも区民の生命と生活を守るため、区の目指す方向性について、区民が希望を持てる説明を常に積極的に発信していただくことを期待するものであります。

 初めに、1番、子育て支援について伺います。(1)中野の子育て支援の考え方について、4点伺います。

 1点目は、子育て支援の方向性です。

 中野区は、ことしある不動産会社のリサーチで、「子育てにあたたかい行政区」の第3位になりました。これは、昨年10月よりスタートした妊娠・出産・子育てトータルケア事業が最大の要因であると考えられ、このような取り組みが始まったことを高く評価いたします。今後、年数を経るにつれ、その効果が明確になってくるものと確信しています。子育てしやすいまちになることは、住民に選んでいただけるまちづくりの大事な要素です。中野区じゅうのどこを歩いても子育てに温かい雰囲気が伝わってくるようなまちづくり、行政の姿勢、取り組みが今後ますます大切であると思います。区長は、そのためにも縦横に切れ目のない子育て支援、教育環境をつくると言って、この数年取り組まれてきました。そういった中で、子育て支援施設に対してはどのような課題と方向性を持たれているのか、いま一度区長のお考えをお示しください。

 2点目は、子どもの地域包括ケアシステムについてです。

 切れ目のない支援のためにはあらゆるサービスが連携をし、また支援をコーディネートしていくことが重要です。地域の資源に対して行政がかかわる支援はまだまだ網の目が粗いのではないでしょうか。子育てひろば事業を行う箇所数をふやすだけでなく、気軽に寄れてほっとできる場が地域に偏在し、孤独な育児をしている方々が本当に必要とするときに支援の網の目に引っかかるようにしなければなりません。そのために子ども版の地域包括ケアシステムをつくる必要があると考えますが、御見解を伺います。

 関連して、今後は民間で行っているサービスの活用体制もよく検討していくべきと考えます。家庭のあり方が多様化している中、一人ひとりに応じた支援が必要です。介護でいうところのケアマネジャー的な人材のように、区の職員が各ステージに合わせたサービスの情報提供をアプローチ型で積極的に行うことや、地域の担い手の掘り起こしにも努力すべきと考えますが、御見解を伺います。

 3点目に、在宅で子育てしている家庭に対する公平なサービスのあり方について伺います。

 毎年需要がふえる保育園の待機児問題について、保育の定員をふやすということだけで解決しようとしていることに私は一つの課題があると思えてなりません。いわゆる保活に苦しんでいる母親、父親が多くいます。その中にはさまざまな思いの人たちがいます。どう切り詰めても働かなければ生活ができない人、反対に、それほどではないが、育休制度が短いなどの理由で、子どもともっと一緒にいたいが、気持ちと現実が裏腹になっている場合もあります。仕事をやめて専業主婦になることは社会から何の評価もされないような空虚感があるという女性も多いと聞きます。母親は、保育園入園のためにやむなく多少無理な働き方をしている場合もあると感じます。その思いは認可保育園選考のための点数には、当然ですが、反映はされません。シビアな話ですが、ゼロ歳から2歳まで保育所に入る子どもと在宅の子どもとでは明らかに税金の恩恵に格差がかなり出ています。私はその差も鑑みて、本当の親のニーズが選択できるようにすることが大事であり、そのような課題を直視し、もっと柔軟に女性の活躍の仕方、働き方、生き方を後押しすべきと考えます。子育てに専念する期間に、同時にキャリアに生かせる要素をつかめれば将来の不安も小さくなり、焦って早く働きに出る以上のお得感があります。子育てそれ自体が十分キャリアとなるビジネスもあります。そのような意味から、例えば、子育て期間にキャリアアップのための資格がとれるような支援など、在宅ならではのサービスがあれば、保育園入園を1年でもおくらせる家庭や幼稚園を選択する家庭もふえると考えます。ゼロ歳、1歳児の入園希望者が減れば、1歳児、2歳児の枠をふやしていくことができます。

 今後はこのような抜本的な取り組みを検討し、在宅家庭への支援によってさらに子育て家庭に温かい区となり、待機児削減にもつながる政策を打ち出してはどうかと考えますが、区長の御見解を伺います。

 4点目に、就学前教育の充実について伺います。

 幼稚園と保育園の教育プログラムにはまだまだ差があると聞きます。そして、小学校へ連携する際に「小1プロブレム」という課題があります。文科省の国立教育政策研究所教育課程研究センターでは、幼保の側からのアプローチプログラムに対して、小学校側でのスタートカリキュラムの実施を進めていると聞いています。このカリキュラムに沿って幼保の違いをしっかりと認識しつつ、小学校にきちんとつながっていくことのできる幼保側からの連携とともに、小学校の側においても受けとめる際のプログラムの中野スタンダードをつくり進めていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 あわせて、今後、民間の幼稚園、保育園が多くなっていくことに伴い、幼保側からのアプローチプログラムを図り、努力していただいているとは思いますが、特に配慮が必要な子どもに対する情報提供などの体制を一層強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。見解を伺います。

 次に、児童虐待防止と予防について伺います。

 児童虐待は、過去最多を更新している悲しい現実があります。全国では、現状、社会的養護を必要とする児童の約9割、4万6,000人が児童養護施設等に入所しています。

 ことし、私は愛着障害に関する幾つかのセミナーに参加し、学ぶ機会を得ました。そこで学んだことは、幼いときに虐待を受けた子どもはその恐怖から自分の身を守るために人を支配することを身につけ、虐待の連鎖を引き起こします。虐待をとめるためには親子を切り離すことだけでは解決しません。温かい家庭で育てられることにより愛着の絆が生まれ、脳が正常に発達をして人とのコミュニケーション能力が身につきます。施設で育った場合にはこの反対で、ほとんどが愛着障害を持ってしまうことになります。その期間が長ければ長いほど愛着障害の修復にも時間がかかると言われています。

 中野区では、昨年度、児童相談所により一時保護された児童28名のうち、20名は自宅に戻ったが、残りの8名は全員施設に入所させられていると伺っています。必ずしも虐待を受けた児童とは限らないと思いますが、いずれにせよ、愛着形成の大事な時期を施設で過ごす幼い子どもの心や将来を考えると胸が痛みます。現在のこうした状況を区はどのように認識しているのでしょうか。伺います。

 先日、会派で静岡市里親家庭支援センターを視察してまいりました。全国の里親委託率が1割程度なのに対し、静岡市は28年4月現在で46.9%と突出しています。児相とともに里親を支援する体制ができていることが要因です。中野区においても家庭養護に重点を置き、施設偏重ではなく親子支援ができる体制を今から検討すべきと考えます。現実的には里親委託を急にふやすというよりも里親等の研修を拡充させ、子育てに関心のある人、支援を行っている人たちにも一緒に研修を受けていただき、虐待予防の支援として短期間の自宅での預かり等を行ってもらう仕組みを検討してはいかがでしょうか。

 今後の虐待予防のための地域の担い手育成には、我が家に他人の子をも招き入れて慈しむことのできる里親のような人材育成がどれだけできるかが試金石となると考えますが、区の見解を伺います。

 この項の最後に、予防という観点でもう1点伺います。

 中野区の産後サポート事業では、生後2カ月から5カ月の子を持つ親子で参加できる4回連続講座「BPプログラム」を実施しています。毎回の利用率は高く、地域によって年2回のところもあり、タイミングが合わず、電車で別の地域の講座に通っている親子もいました。講座が終わっても参加者同士の交流があると聞きます。ある方が、「本当に苦しいときだった。もしこの講座に参加していなかったならば、自分はこの子に何かしていたかもしれない」とおっしゃっていました。この事業は、一番つらい時期に母親の不安を取り除くことで虐待予防にも効果があります。出生率もふやそうとしている今、全員が受けられるよう、さらに回数もふやし、啓発をして参加を促すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 子育て支援の(3)その他で1点、乳児のB型肝炎ワクチンについて伺います。

 今、慢性肝炎、肝臓がんの患者がふえています。B型肝炎ウイルスに感染しキャリア化するのを防ぐために有効なものが、ことし10月より定期接種化となったB型肝炎ワクチンです。乳幼児が感染し、キャリア化する確率は決して低くありません。厚生科学審議会の報告書によりますと、ゼロ歳児が90%、1歳から4歳の場合が20%から50%の確率でキャリア化すると言われています。一度キャリア化するとウイルスが体内から排出せず、将来的に肝硬変、肝がんといった重篤な疾患へとつながるケースも多いそうです。

 今回の公費助成の対象はゼロ歳児ですが、ことし4月1日に生まれた子どもからが対象です。10月から満1歳になるまでに3回のワクチンを接種するとなると、例えば4、5、6月ごろに生まれてお子さんについてはかなりタイトなスケジュールとなります。もし3回目が打ち切れなかった場合には自費となります。区は既に制度の周知を図り、この期間に接種が完了するよう促されているとのことですが、それでも間に合わないケースが懸念されます。経過措置的な救済として、来年度の当初、そういったケースにも接種機会を与える区の制度を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 あわせて、キャリア化のリスクが高いと言われている低年齢、せめて1歳児を対象にした公費助成ができないかと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 2、教育行政について伺います。

 先ほど述べました、国連の持続可能な開発目標の基礎は「平和の文化」という考え方に起因しています。すなわち、平和の文化をつくっていくことが持続可能なまちをつくることとも言えます。私は、他人を尊重できる平和の文化をつくるものは教育と考えます。

 そこで、(1)多様性を尊重する教育行政について伺います。

 1点目に、現在、20人に1人はいると言われている、性的少数者LGBTへの理解教育については今後真剣に検討すべきと考えます。つい先日も、同性に告白した学生が心ない吹聴をされたことで自殺に至ったとの報道がありました。思春期になり、自身の性について悩み苦しんでいる生徒がかなりいると思います。教員が気づいてからでは遅い場合があります。

 そこで伺います。LGBTに対する人権教育プログラム、校長会の通知にはどのように対応していくことを主旨としているのでしょうか。伺います。

 教員がもし生徒から相談を受けたときに、まずどのように対応するか、徹底はされているのでしょうか。また、そういう生徒がいると感じ取った場合の対応はどうされるのでしょうか。伺います。

 倉敷市の小・中学校が9月より性の多様性について考える授業を始めたとの報道がありました。そのころに芽生える差別意識の目を摘むため、やはり学校教育の中で教員があえて取り入れていくことが大切と考えます。倉敷市では、唐突にLGBTの授業をすると児童・生徒が教室内で当事者を探す恐れがあるとの助言を受け、性的少数者を扱う前に、人の考え方などの多様性に関する内容の授業も行い、工夫をしているとのことです。少数でも自分を否定せず、自信を持って大丈夫というメッセージを伝えるだけでも安心につながります。

 また、もう一つの手段としては当事者の体験談を聞く機会です。先日、私は、「普通」を考える図書館・ヒューマンライブラリーというイベントがあるのを知りました。マイノリティーというだけで偏見を持ってしまいそうな「人」を本のように貸し出して、体験談を話してもらうという面白い企画です。毎年、明治大学中野キャンパスで開催されています。そこにはLGBTの代表として石坂わたる議員も「本」として用意され、既に3回話をしているそうです。これまであまり知らなかったマイノリティーの方の体験談を聞き知ることは、触発を受け、偏見、差別から親近感へと変わる機会を得られます。例えば、このような企画を使って外部講師に登場していただき、LGBTの理解を深めることも可能であると考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 また2点目に、親が離婚、再婚などにより血縁関係のないステップファミリーについても差別がないように教育現場でも後押しをすべきです。いろいろな家族のあり方があってよい、これも生き方の違いや尊さを認め合う理解教育となり、ひとり親家庭などもふえている中、とても大切と考えます。

 私の友人の里親さんが、小学4年生の里子とともに、みずから先生に頼んで授業の中で体験発表をさせてもらい、クラス内にあった偏見や差別意識を未然に防いだことを伺いました。さらに、その体験談を聞いた後、数人の生徒が手を挙げて、「実はうちもお父さんは実親ではない」「うちもひとり親家庭だ」などみずから言う子もいたそうです。「そういう家庭も全然ありだよ」と肯定し合う雰囲気が生まれたという話を聞き、感動しました。このように体験を聞く教育は多様性を学ぶ機会の一助となり、できるところから取り入れる選択肢を情報提供してほしいと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 次に、いのちの授業について伺います。

 幾つかの中学校で実施されている「赤ちゃんふれあい教室」では、本物の赤ちゃんを迎え、赤ちゃんのかわいさ、親の愛情を感じ、命の重さを体験し実感する授業です。私も数年前に見学をさせていただきました。区のホームページにも授業風景が掲載されていますが、この赤ちゃんふれあい教室は、2回シリーズとして助産師さんが行う性教育とセットになっています。中学生には大事な教育課題であると考えます。インターネット、SNSの普及もあり、非行、性被害も年々ふえている現状があります。特に女の子については、自分の身体、命を自分で守ることが重要であることを具体的に教えてもらえる貴重な機会であります。教員が指導するには荷が重い分野であり、外部講師の活用を図り、教育委員会として積極的な推進をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、3番、私道に関わる整備について伺います。

 私道整備助成制度について、昨日、市川みのる議員の質問により画期的な方向が示されたところであり、若干重なりますが、私からも質問させていただきます。

 私道整備助成制度を使う際、所有者から承諾が得られないケース等について制度の緩和措置がなされる方向であることは長く悩んできた多くの方々が救われるものとなります。相続手続が行われていないケースは非常に多いと感じます。年を経るにつれ、手続も複雑化し、道路の維持管理対策は難航を極めていきます。私が直面したケースもいわゆる所有者不明の私道で、そのうち大正時代より相続がされておらず、昔からその地域に住む方々に聞いてみてもその方の存在、子孫すら浮かび上がってこないというものです。登記の住所にも戸籍が存在していた形跡がないため、不在者の財産管理人申し立てを行い、数十万円の報酬費用を裁判所に払わなければ手続が前に進みません。さまざまなケースがあると思いますが、一部の土地所有者からの承諾が得られないだけでなく、土地所有者が不明な場合でも、私道の舗装や下水が損傷し現状のままではそこを通る一般区民が危険な状況になりかねない場合もあり、私道関係者の維持管理行為として私道整備助成制度を活用できるよう、助成要件の見直しが必要であると思いますが、いかがでしょうか。

 もう1点は、不特定多数の方や車両が日常的に多く通行している私道についてです。

 区が公道上で安全対策を講じているカーブミラーなどの道路上設置物について、私道がかかわってくる場合には区に設置義務はないと伺っています。私道から車両が出るのは特定住人のためであることから、私道の所有者が責任を持って安全対策を行うのは当然です。しかし、私道の中には沿道住民以外の車両が多く通過するものや、中には公共施設に接道している私道もあります。そのような私道から車両が出る際の区道上の安全対策は場合に応じて区が行う必要があるのではないでしょうか。

公道通行者の安全性を高める観点から、私道の利用状況や公共施設に接続しているなどの環境に応じて、この点についても要件緩和を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 最後に、4番、がん総合対策について伺います。

 最近、まだ働ける若い世代でがんにかかり、命を落とす人が大変にふえています。我が会派では、予防と早期発見のための検診率向上、啓発事業について、これまでもたびたび質問に取り上げてまいりました。

 先般の決算特別委員会総括質疑において、私は、がん検診の勧奨はがきで効果があったことを評価し、対象者には直接検診の受診券を送付するようにしてはどうかとの質問をし、検討するとの答弁をいただいたところであります。そのような受診勧奨対策が重要である一方、これだけがん患者がふえている以上、がんになった後のきめ細かい支援策もまた重要です。昨今、がん治療や生活の形態も多様化している中、そうしたがんになってからの治療方法の選択、医師の選び方、仕事、介護サービスの受け方、経済的な問題等々については、がんの種類やステージ、発症した年齢などに応じて相談できる窓口が必要ですが、現状はほとんどないことが課題であります。医療機関と在宅をつなぐ看護師などの専門職を活用した、気軽に相談ができる相談窓口が必要であると考えますが、区はがん相談窓口について設置を義務付けているがん対策基本法にのっとりどのように推進していこうとされているのか、伺います。

 さらに、今後は緩和ケアの体制を充実していくことも重要であります。

 在宅とホスピスとの連携ネットワークがあれば、在宅での緩和ケアが可能となります。国が目標としている「患者とその家族などががんと診断されたときから、身体的・精神的・社会的苦痛などに対して適切に緩和ケアを受けられる体制を図る」というものにはまだ遠く、末期がん患者のための在宅での緩和ケアの受け皿やサポート体制には課題があると考えますが、どのように改善していく方向であるか、伺います。

 次に、がん教育について伺います。

 これまでも、我が会派ではがん教育の推進を訴えてきました。つい先日は、国会議員のがん教育議員連盟が立ち上がりました。文科省も平成26年度からモデル事業を展開、厚労省と連携してがん教育のガイドラインを策定し、29年以降の全国展開を目指しています。私も、昨年会派で豊島区におけるがん教育授業を視察した折、生徒の理解力のよさ、また両親に向けて、「がん検診を受けてほしい」、「たばこやお酒を飲み過ぎないで健康でいてほしい」という手紙を書くなど、健康に対する意識が変わったことについて大変感銘を受けました。全国的には外部講師の十分な確保など課題は山積しているそうですが、ことしは一度、中野本郷小学校でがん教育授業が実施されました。中野区には協力してくださるすばらしい講師もいらっしゃいます。

 先進的にがん教育を継続的に進めてきた埼玉県の熊谷市では、平成26年度からがん教育を実施、副次的な効果として、がん受診率が大幅に伸びるという実績が出ています。特に乳がんの検診受診率は、がん教育を始める前よりも7ポイントも上昇する結果が出ています。このような実績が出ている以上、国の方向性も受け、中野区全域の小・中学校においてがん教育を一層推進する方策を検討してはいかがでしょうか。御見解を伺います。

 ほかにもがんの対策にはもろもろあると考えます。がんの手術等で休業を余儀なくされ、生活困窮になった場合の一時的な補給制度や就労相談なども強化が必要です。昨日の小林ぜんいち議員からも要望した骨髄ドナー提供者への支援など、区民がいざというときに救ってもらえるような温かい政策は、死に直面しせっぱ詰まっている方や家族の不安を感謝と希望に変え、予算以上の効果があるものと考えます。このような取り組みも含め、中野区民の健康寿命を伸ばし、まだ若い世代ががんによって命を落とすことを防ぐための政策として、がん対策の総合的な政策、計画が必要な時期に来ていると考えますが、御見解はいかがでしょうか。伺って、私の全ての質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 甲田議員の御質問にお答えをいたします。

 子育て支援について、子育て支援施策の課題と方向性についてということでした。子どもの育ちや教育の課題は多様化、複雑化しており、新しい中野をつくる10か年計画で示したように、子どもの育ちを支える地域づくりや妊娠・出産期からの一貫した相談支援体制の整備、配慮や支援を必要とする子どもと家庭への支援強化が重要だと考えております。御質問の中でもお示しをいただいたように、縦に切れ目なく、つまり妊娠・出産期からの一貫した相談支援体制、そして横に切れ目なく、地域で暮らすさまざまな方に温かく配慮の行き届いたケアの目、支援の網の目というものを用意をしていくということだと認識をしております。

 また、児童相談所の設置を視野に入れ、(仮称)総合子どもセンターを整備し、地域の関係機関との連携やアウトリーチによる支援の充実を行うことで、中野区で子育てをする世帯が安心と自信を持って子どもを産み育てていくことができるようにしてまいりたいと考えております。

 子ども版地域ケアシステムの推進が必要であるということであります。区が目指している地域包括ケアシステムは、子どもから高齢者まであらゆる区民がそのライフステージに応じて切れ目なく一貫した相談や支援を受けられる体制の整備であり、今後構築を進めてまいりたいと考えております。

 また、今後、すこやか福祉センターや区民活動センターに配置する職員がアウトリーチ機能として地域で展開される子育てひろば等の事業の場に赴くなど、支援をする側や子育て世帯の状況を把握しつつ、子育て相談や情報の提供、サービスのコーディネートなどを行うとともに、子育て支援活動の担い手への支援も行っていく、そうした考えであります。

 在宅での子育てにかかわる独自の政策についてであります。子どもを預けて働くのか、在宅で子育てをしていくのかといった働き方や生き方にかかわる選択については、保育施設などの環境条件をはじめ、育児休業のとりやすさやその期間、あるいは育児のために一旦職を離れた場合の再就職のしやすさなど、就労や雇用の慣行といったことも含めて社会全体で考えていくべき、対応するべき課題も多いと、このように考えております。

 厚生労働大臣や都知事とのミーティングの中では、特別区長会のメンバーはそれぞれにこうした働き方の問題、社会全体で子育てを支えていける、そうした全員参加型の社会をつくっていくといった問題意識、こうしたことについて主張をしてきている、そういった状況であります。そうした条件を整えていくということを前提にしつつ、ゼロ歳から2歳までの子どもについて在宅で子育てをしようという家庭に対して何らかのインセンティブのある施策を構築すること、これについては税の公平性の観点からも意味のあることと考えており、今後研究をしてまいりたいと考えております。

 配慮が必要な子どもへの小学校へのスムーズな接続について、私のほうからは、幼保側からのアプローチプログラム、このことについてのお答えになります。これまでも配慮が必要な子どもについては、小学校への円滑な接続の観点から、配慮や支援が必要な状況や教育、保育に関する内容について幼稚園、保育園から小学校への情報提供や、就学に当たり不安や心配を抱えている保護者へは就学相談の活用などを促すことを行ってきております。現在、就学前教育の充実に向け検討を進めているところであり、配慮を要する子どもへの取り組みの拡充や推進体制の強化などについて明らかにしていきたいと考えております。

 家庭的養護、里親の育成について。施設入所については、虐待等により親の養育が著しく困難な場合や集団生活により子どもの生活指導を行う必要がある場合などにおいて児童相談所の判断で措置されているものと認識をしております。また一方で、子どもが地域において暮らすことが安全に確保ができる場合には、より家庭的な環境での養育を進めることが子どもの健やかな成長にとって重要であると考えております。区としては、児童相談所設置に向け準備を進めているところでありますが、児童養護施設への措置のあり方や地域に根付いたきめ細かい里親の開拓、支援の方策等についても積極的に検討をしてまいりたいと考えております。

 産後サポート事業の工夫・拡充について。産後サポート事業には、主に母体ケアなどを目的とした助産師型講座と、お尋ねにあった、子育て学習と仲間づくりを目的とした地域子育て支援者型講座があります。利用者ニーズの高い地域子育て支援者型講座については、お住まいのすこやか福祉センター圏域での開催回数が少なく、他の圏域での講座を利用する方がいる、こうした現状を踏まえて、各圏域ごとに十分な開催回数を確保し、ニーズに応えられるよう工夫を図ってまいります。

 B型ワクチンの定期接種外の助成制度についてであります。タイトなスケジュールとなる4月から7月生まれにつきましては、事前に個別通知するなどの通知に努めて周知を行ってまいりました。今後も定期接種の期間内に適切に接種できるよう努めてまいります。なお、病気などで期間内に接種できなかった、こうした方については接種年齢を過ぎても一定期間定期接種の対象者とすることができる、国の救済制度があります。B型肝炎の持続感染になる危険性が著しく高いのはゼロ歳児の時期であります。このゼロ歳児、出生後早い時期に漏れなく定期接種できるようにすることが早期予防として肝要であると考えて、現在重点的に行っているということについて御理解いただきたいと思います。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 初めに、子育て支援について。私からは、小学校側のプログラムの作成についてお答えをいたします。御質問にありましたスタートカリキュラムとは、小学校へ入学した子どもが、幼稚園や保育園などの遊びや生活を通した学びと育ちを基礎として、主体的に自己を発揮し、新しい学校生活をつくり出していくためのカリキュラムでございます。保育園・幼稚園と小学校間における円滑な接続については、切れ目のない支援を行っていく観点からも重要であると認識をしておりまして、各学校においても入学時のカリキュラムを工夫しているところでございます。現在、就学前教育の充実に向け検討を進めておりまして、この中でスタートカリキュラムについても実践等を踏まえ検討していく考えでございます。

 続きまして、教育行政について。多様性を尊重する教育行政の御質問のうち、いわゆる性同一性障害等に対する対応の趣旨についてです。

 人権教育プログラムでは、いわゆる性同一性障害等について、人権課題の一つとして取り組むこととしておりまして、これを踏まえ、教員の正しい理解に基づき、多様性を踏まえ一人ひとりの人権を尊重する旨の周知を行ったところでございます。

 次に、生徒からの相談や教員の気づきがあった場合の対応についてです。文部科学省の通知を踏まえ、児童・生徒の性同一性障害等についての悩みの相談や教員の気づきがあった場合は、まずは児童・生徒の心情に寄り添い、共感することから相談等を進めることとしております。また、校内の支援体制を整え、組織的な対応を行うとともに、関係機関との連携を図ることとしてございます。

 続きまして、当事者からの体験談を聞く機会についての御質問です。性同一性障害やステップファミリーなどの家庭など、内面的な悩みを抱える児童・生徒については、その実情を踏まえ取り組むことが重要であると考えています。体験談を聞く取り組みについては、児童・生徒の発達段階を踏まえ、適切な対応を図ることが必要なことから、各学校の取り組みの中で判断をすることとしてございます。

 次に、いのちの授業についてです。命にかかわる教育は、教員が主体的に取り組む内容であると判断しており、各学校では性に関する全体計画を作成し取り組んでいるところでございます。その一つとして、御紹介にありました、赤ちゃんふれあい教室の取り組みの例もございますので、生命尊重教育の取り組みの一つとして各学校へ情報提供してまいりたいと考えてございます。

 最後に、がん総合対策について。小・中学校におけるがん教育の推進についてです。がん教育の導入に向けては、平成27年度から人権教育の一環として人権尊重推進校1校において実施をしております。また、小学校における体育の保健領域、中学校の保健体育の病気の予防の中でがんについては取り上げられており、全校で取り組んでいるところでございます。今後も積極的に取り組みを進めてまいりたいと考えています。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私道に関わる整備についての御質問にお答えをいたします。

 まず、私道助成制度の要件見直しについてでございます。土地所有者が不明なため、私道助成制度を活用できず、損傷した私道の維持管理が関係者間で進まないケースがあることは認識しております。御指摘のようなケースなども踏まえ、私道関係者による整備が着実に進行するよう、現行の助成制度の見直しを早急に検討し対応していく考えでございます。

 次に、公共施設に接道する私道のカーブミラーの設置などについての御質問でございました。私道の交通量増加の一因が私道にしか接道していない公共施設にあるケースにつきましては、今後調査をして対応を検討してまいります。

〔健康福祉部長瀬田敏幸登壇〕

○健康福祉部長(瀬田敏幸) がん総合対策の御質問のうち、がん患者のケア相談窓口、サポート体制、そして総合的な政策、計画についての御質問にお答えをいたします。

 がんの相談は、保健所やすこやか福祉センターで応じることもございますが、がん患者の支援、相談には医療との連携が重要であると認識してございます。今後は、がん診療連携拠点病院等との連携や地域でのケア体制を踏まえた相談窓口のあり方について検討してまいります。

 国のがん対策基本法改正や都のがん対策推進計画の動向を注視しつつ、がん総合対策について区として必要な施策、体制を検討してまいります。

〔地域支えあい推進室長野村建樹登壇〕

○地域支えあい推進室長(野村建樹) がん総合対策のうち、緩和ケアの御質問でございました。在宅における緩和ケアあるいは看取りに関する在宅療養体制の構築につきましては、在宅医療介護連携推進協議会の重要な課題の一つというふうに認識してございます。これを支える医療、介護の多職種、多機関連携の推進や区民理解の促進などの方策につきまして今後検討してまいりたいというふうに思ってございます。

○議長(北原ともあき) 以上で甲田ゆり子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 伊 東 しんじ

 1 区役所・サンプラザ地区再整備について

  (1)事業対象範囲について

  (2)整備・誘導を図る施設機能について

  (3)区有地等の資産の扱いについて

  (4)その他

 2 保育所待機児童対策について

 3 西武新宿線中井駅野方駅間連続立体交差事業と沿線まちづくりについて

 4 その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、伊東しんじ議員。

〔伊東しんじ議員登壇〕

○23番(伊東しんじ) 平成28年第4回定例会に当たり、自由民主党議員団の立場で質問させていただきます。

 質問項目は通告のとおりで、その他はございません。

 1項目め、区役所・サンプラザ地区再整備について。

 ことし4月に、区役所・サンプラザ地区再整備実施方針が示され、この方針にのっとり再整備に係る事業協力者の募集が行われ、7月に事業協力者が決定され、区役所・サンプラザ地区再整備に係る協定が締結されました。今後、この協定に基づき地区再整備事業計画が策定され、区役所・サンプラザ地区まちづくりの全体像が具体化されます。この再整備は、築50年を迎える区庁舎やサンプラザの建てかえにとどまらず、半世紀前に構築された中野駅周辺の都市基盤の再構築、駅周辺まちづくりの核となるだけでなく、中野のにぎわい創出の起爆剤となる一大プロジェクトです。また、中野区としても、新庁舎の整備や新たなにぎわいの創出を狙い、区役所・サンプラザ用地、中野駅北口広場整備事業用地といった貴重な資産をいかに活用するかがかかった大事業になります。

 そこで、区役所・サンプラザ地区再整備実施方針に関して幾つかお尋ねします。

 最初に、事業対象範囲について伺います。対象範囲は、区役所・サンプラザ地区再整備基本構想から区役所・サンプラザ用地に、中野税務署、NTTドコモ中野ビルや中野駅北口広場整備事業用地を加えた約4.85ヘクタールとされ、実施方針においても同様の範囲とされてきました。

 そこで伺います。対象範囲に中野税務署、NTTドコモ中野ビルを加えた理由と、財務局並びにNTTドコモが再整備事業に参画する意向の有無について、御答弁をお願いいたします。

 続いて、整備・誘導を図る施設機能について。再整備実施方針では、集客交流施設、多機能複合施設、交通基盤施設の整備・誘導を目指すとされています。このうち集客交流施設は、コンサート・イベント・会議などの催事を開催できる会場及び付帯施設とされ、最大収容人数1万人を目標としたアリーナやMICEの展開をにらんだホールなどの施設整備の検討が行われようとしています。

 そこで、アリーナについて伺います。

 株式会社日本政策投資銀行によるレポートに、スポーツを核としたまちづくりを担う「スマート・ベニュー」があります。スマート・ベニューとは、周辺のエリアマネジメントを含む複合的な機能を組み合わせたサステーナブルな交流施設を指す政投銀の造語とされています。本レポートでは、従来のスポーツ施設が公共的な役割のもと、郊外に立地する単機能型体育施設として建設・運営され、収益性が低かったゆえに、逆にアリーナ等、利便性の高い立地に多機能複合型交流施設の中核に据え、収入源の多様化、コンサート等の文化的興行などスポーツ興行だけにとどまらない利用の多様化を図ること、官民連携による建設・所有・運営の最善の事業スキームを構築することなどにより、収益力の大きな伸び代が期待できると同時に、周辺地域への経済波及効果やエリアマネジメントに寄与することも期待されると指摘しています。

 また、政府の名目GDP600兆円に向けた成長戦略では、スポーツ施設の魅力・収益性の向上、スポーツとIT・健康・観光・ファッション・文化芸術等との融合・拡大によりスポーツの成長産業化を目指し、スポーツ産業市場規模を5.5兆円から15兆円へ伸ばすとしています。

 また、2020年以降を展望した我が国のスポーツビジネスにおける戦略的取り組みを進めるための方針策定を目的に、スポーツ庁、経済産業省によるスポーツ未来開拓会議も設置されました。会議では、スポーツ産業活性化を目指す際の課題及び今後の方向性が示され、(仮称)スポーツ産業ビジョンの策定が目指されます。こうした研究や政策によってアリーナの整備・誘導の可能性がある一方、東京という立地による競合施設の存在も十分に検証されなければなりません。中野区がいう、1万人規模のアリーナについては、都内に日本武道館、国立代々木競技場、東京体育館、両国国技館などが既にあり、来年1月には武蔵野の森総合スポーツ施設が竣工します。さらに今後、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、有明アリーナ、有明体操競技場等も整備が予定されています。特に武蔵野の森総合スポーツ施設は、中野から直線距離でわずか15キロの調布市にある東京スタジアム隣接地に、多摩地域のスポーツ振興の拠点形成を目的に東京都が整備を進めるもので、最大1万1,000人収容のスポーツ仕様、コンサート興行仕様を兼ね備えた延べ面積2万7,000平米のアリーナとされています。また、このメーンアリーナに加え、2万1,000平米のサブアリーナ、プール棟が併設され、総工費350億円と言われており、中野区が目指すアリーナの強力なライバルと目されます。

 そこで伺います。こうした競合ひしめく中、区はなぜアリーナを、それも1万人収容と規模を特定して整備・誘導の検討を行うのか、御答弁をお願いします。

 アリーナ開設により、再整備事業の足かせになったり、将来世代へ負担を残したりしないか、十分な検証が必要と考えます。

 一方、沖縄県沖縄市は、中野区同様、1万人規模のアリーナ施設の2020年度開設を目指すとのことです。このアリーナは、バスケットボールを中心としたスポーツ興行、各種コンサート、コンベンションなどを開催しやすく、観客満足度が高く、より多くの事業主体が利用しやすい施設としての整備が目指されています。市は、整備に当たり詳細な事前調査・検証を行い、その結果を300ページに及ぶ報告書にまとめています。

 中野区においても、こうした市場調査も含めた検証を行うべきと考えます。区の御見解を伺います。

 また、施設整備・所有・運営についても、区と再整備事業者がどのような役割を担い、どのような事業スキームを構築するのか。民設民営なのか、従来型PFIなのか、コンセッション型PFIなのか、またはPPPなのか、あらゆる角度から検討すべきと考えます。区の御見解をお聞きします。

 続いて、その他の集客交流施設について伺います。

 中野サンプラザは、永年コンサートホールとして親しまれてきました。再整備に際してそのホールがなくなることを惜しむ声や、東京厚生年金会館、渋谷公会堂、五反田ゆうぽうと、日比谷公会堂などが相次ぎ休館・閉館し、2,000人規模のコンサートホールが不足する中、現状の2,000人規模のコンサートホールの需要が大きく、使い勝手がよいのではとの声が聞こえます。また、バンケット機能についても、現在、区内においてはサンプラザやセントラルパークの300名程度収容のものがあるだけで、それ以上の催事は隣接する新宿などを利用せざるを得ない状況で、区内に1,000名程度収容のバンケットを望む声もあります。こうした声を受けとめ、アリーナ同様、整備・所有・運営を精査し、そのほか集客交流施設について検討すべきかと考えます。区の御見解をお聞きします。

 この項の最後に、区有地等の資産の扱いについて伺います。

 再整備事業対象範囲4.85ヘクタールの中には、区が直接所有する土地、土地開発公社の所有する土地、まちづくり中野21の所有する土地があり、その総面積は3ヘクタール以上と思われます。対象範囲は中野駅直近の1等地であり、路線価でも平米当たり100万円を超える土地であります。こうした区有地等の資産は、公共交通基盤を整備する中野駅北口広場整備事業用地相当分を除いても、実勢価格で350億円以上の資産価値があると想像できます。このうち、まちづくり中野21の所有地については取得時の借り入れの返済残が45億円あり、その扱いも現時点で明確ではありません。区は、これまでこうした資産価値について説明を行ってきていません。一方で、この資産を活用して新庁舎整備費の220億円を調達するとしていますし、1万人規模のアリーナを仮に区が整備するのであればさらに100億円近い費用を要することになるでしょう。再整備事業計画策定前にこうした資産価値について中野区財産価格審議会による価格評価を行い、公表すべきと考えます。御答弁をお願いいたします。

 2項目めといたしまして、保育所待機児童対策について伺います。

 27年度当初予算並びに補正予算で保育所の拡充策を講じましたが、想定を下回る結果となり、28年度4月時点で前年を85人上回る257人の待機児が生じてしまいました。このことから、28年度も引き続き当初予算、補正予算を合わせて約1,000人分の定員増の保育所誘致の策を講じましたが、単年度内に事業スキームを構築し、認可申請・審査、設計、建築を行うには工程があまりにも窮屈であり、誘致の伸び悩みが懸念されます。ゆえに、効果的な誘致、事業の迅速な進展施策を工夫すべきです。

 そこで伺います。先日、22日、都庁において都内自治体首長約30人が集まっての待機児解消に向けた緊急対策会議が開かれ、課題について意見が交わされたとのことです。会議で出た意見と都の対応について御答弁をお願いいたします。

 保育所誘致の効果的な方策について、私は、27年第2回定例会一般質問にてスケルトン・インフィル方式の提案をさせていただき、区の見解を求めました。その際の御答弁で事例がないとされたスケルトン・インフィル方式による保育所整備の区内事例ですが、29年春、上高田において開設される定員67名の認可保育所があります。この保育所整備事業は、土地所有者、不動産仲介業者、保育事業者、設計施工業者が当初からプロジェクトチームを組み、土地所有者が建物整備を行い、保育事業者が保育施設特有の設備等整備を行い、一定期間その建物を賃借する仕組み、いわゆるスケルトン・インフィルが採用されています。スケルトン・インフィルとは、建物を構造体(スケルトン)と内装・設備(インフィル)に分けて設計する考え方、建築方法です。耐久性が高いスケルトンと、ライフサイクルの変化に合わせて柔軟に変更できるインフィルをはっきり分離することによって、物理的にも社会的にも長持ちする建物につながり、内装、設備機器の交換が行いやすいなどのメリットがあります。この方式を保育所整備に用いると、土地所有者は構造体のみ建築することでの初期投資が軽減され、保育事業者は東京都から施設整備補助金を受けながら内装、設備の整備を行います。こうした方式ゆえ、保育事業者が月々支払う賃料が軽減され、経営の安定化が図られると同時に、事業の成立も容易にします。区も保育所誘致を進める際、こうした事例を検証し、事業スキームのモデルを示し、保育需要の高い地域に対し積極的アプローチを図るべきではないでしょうか。御答弁を求めます。

 保育所誘致のもう一つ課題として保育士不足があります。保育士が不足することで、保育事業者はそのあっせんを人材バンクに求め、保育士年収の2割から3割程度のあっせん料、広告費が新たな負担として保育所開設に必要とされ、新規開設のハードルを上げています。このことは、既存保育所の職員補充にも重くのしかかり、運営を圧迫しています。

 そこで伺います。こうした経費に対して区は独自の支援策を講じるべきと考えます。御答弁をお願いいたします。

 この項に関連して、中野区子ども・子育て支援事業計画について伺います。

 子ども・子育て関連3法を踏まえて昨年策定されたこの計画では、質の高い幼児教育や保育の必要性と同時に、保育規模の増加に対する対策の必要性を説いています。こうした待機児対策の方策として、保育所誘致のほか、幼稚園の認定こども園への転換や現行の一時預かり保育の幼稚園型一時預かり事業への移行といった幼稚園の保育拡充を見込んでいます。しかし、認定こども園への転換では施設の拡充や職員の資格取得、一時預かり事業の推進では職員の待遇など、さまざまハードルがあり、なかなか思うように進捗していない感が否めません。

 また、保育の担い手確保のための緊急対策として、保育士の処遇改善、教諭の保育への活用、小規模事業保育誘致による3歳児以降の受け入れ、未就学児の特別支援教育という期待も加わり、今、私立幼稚園とその教諭を取り巻く状況は新たな局面を迎えています。

 区が幼児の教育を尊重する一方で、ふえ続ける保育ニーズへの対応策の一翼を私立幼稚園に求める以上、より効果的な支援が必要と考えます。現行の区の施策展開への幼稚園の支援の実情と課題、今後の支援拡充策について、御答弁をお願いいたします。

 最後の項として、西武新宿線中井駅野方駅間の連続立体交差事業と沿線まちづくりについて伺います。

 西武新宿線中井駅野方駅間については、連続立体交差事業化が決まり、工事が進められ、平成32年度中には地下化が完了します。先日も中井7号踏切周辺で地上軌道敷きの移動が行われました。しかし、地上から見る限りでは地下化工事のどの工程に達しているのかがわからないのが実情です。連続立体交差事業の現在の進捗状況について説明を求めます。

 次に、西武新宿線沿線まちづくりについて伺います。

 連続立体交差事業に伴い、中野区施工の道路、交通広場整備も動き始めました。補助220号線の都市計画決定が昭和41年ですから、既に50年を経過しています。全線整備完了までにはさらに15年ほどの期間を要するため、都市計画決定から通算すれば70年近い期間を要してのまちづくり事業といえます。新井薬師前駅周辺、沼袋駅周辺のそれぞれのまちづくりの進捗状況について、説明を求めます。

 都市計画事業は、単にその事業を完遂して終わりではありません。事業に起因する関連まちづくりや目指すまちづくり、いわゆる都市計画マスタープランや西武新宿線沿線まちづくり整備方針の着実な具現化を同時あるいは事業完了後も絶え間なく取り組むことが肝要です。そのために、住民の理解・協力や住民みずからの努力、行政との協働は不可欠です。住民の理解・協力を得るためには住民との情報共有が必要であり、そのための情報の発信に努めることを怠ってはなりません。西武新宿線連続立体交差事業と関連するまちづくりの区民への情報提供の現状は、ホームページに重きが置かれ、丁寧さに欠けます。限られた紙面であることは承知しておりますが、年に2回程度、区報紙面での進捗状況の広報を行うことが地域住民の理解とまちづくりへのインセンティブにつながると考えます。御答弁をお願いいたします。

 続いて、まちづくり団体への支援について伺います。

 公共基盤整備に連動するまちづくりについて、新井薬師前駅、沼袋駅各駅周辺で地域住民参加のまちづくり協議会が講師を招いての勉強会や視察、住民説明会などの活動を行っています。講師招聘の費用や説明会資料などの活動に係る経費は会員の会費だけでは足りず、協議会役員は公的助成を得るために奔走し、申請・報告書類作成に汗を流しています。

 新井薬師前駅周辺地区まちづくり協議会では、公益財団法人東京都都市づくり公社のまちづくり支援制度を活用し、平成27年度からまちづくり活動費等の助成を受けていますが、助成総額が100万円の制度となっており、その先の見通しがありません。自分たちのまちをよりよいものにするための住民みずからの取り組みは中野区の都市計画マスタープランの具現化につながります。区として、こうした活動に対し助成を行い、まちづくりの裾野を広げるべきと考えます。御答弁をお願いいたしまして、私の全ての質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 伊東しんじ議員の御質問にお答えをいたします。

 区役所・サンプラザ地区の再整備についてであります。

 まず、事業対象範囲について。区役所・サンプラザ地区再整備実施方針における再整備検討範囲は、都市計画の観点から地形、地物で区域設定したものであり、西側は補助222号線及び223号線を境としております。このため、中野税務署とNTTドコモビルも区域に加わっております。実際に再整備事業を行う区域は、事業手法や地権者の意向を踏まえ設定することとなります。現在、中野税務署用地は、中野四季の都市(まち)への動線など公共空間として重要な地点と考えており、地権者である国と定期的に協議を行っているところであります。また、NTTドコモビルは現時点では建てかえや移転の計画がないと聞いております。

 1万人規模のアリーナについて。アリーナについては、世界を視野に入れた集客と発信を可能とする大規模な集客交流施設を目指して検討を進めてきております。昨年度、事業構築パートナーと意見交換する中でさまざまな提案を受け、街区再編によって大型施設の立地が可能となること、また大規模コンサートの需要や採算性など、事業運営面においても実現可能性を見出したことから、実施方針において最大収容人数1万人を目標としたアリーナ型の集客交流施設の整備を提示したものであります。アリーナは、一体的に整備する、オフィス、商業、ホテルなど多機能複合施設との相乗効果も見込まれ、中央線の直近という中野の好立地や交通利便性を生かし、コンサートあるいはスポーツ興行だけでなく、各種イベントや展示会、大規模な国際会議、学会など、MICEとしての利用にも適した多目的の集客交流施設を目指してまいります。

 アリーナの検討や事業スキームについてであります。アリーナの計画検討に当たりましては、音楽、スポーツ、イベント業界など市場動向の把握や関連事業者へのヒアリングといった調査を踏まえ、効果的かつ効率的な事業運営を可能とし、採算のとれる施設として計画していく必要があります。また、安全性や経済性などの観点からの検証も必要であります。現在、事業協力者とともに事業化の検討を進めており、区は街区構成や交通計画の観点からの検証、事業協力者は市場調査を含めた施設計画の検討など、それぞれの役割に応じた調査・検討を行っているところであります。

 アリーナ施設の整備手法については、事業手法として想定している市街地再開発事業の枠組みの中で検討をしてまいります。また、所有と運営のあり方については、関連事業者へのヒアリングなどを通じて、事業性の高い最適なスキームとなるよう検討してまいります。

 その他の集客交流施設について。アリーナ以外の集客交流施設については、中野区のみならず、周辺圏域における業務、商業等の集積や地域交流の状況を踏まえ、コンベンション、カンファレンス、バンケットなどの機能を有するものとして複合施設に取り組むことを検討しております。バンケットとしての利用については、区民や企業などによる大規模な会合のニーズも把握しているところであり、事業協力者とともにさらに調査を行い、検討を進めてまいります。アリーナとあわせてこうした施設を設けることにより、大規模な国際会議や学会などにも対応できるMICEの展開も想定をしているところであります。

 区有地等の資産の扱いについて。再整備事業における区有地等の資産の活用については、土地区画整理事業による換地や市街地再開発事業による権利変換を想定しております。その中で従前、従後の資産評価を行っていくことになります。現時点では大まかなシミュレーションを行っている段階であり、今後、再整備事業計画を策定していく過程で区有地等の資産の扱いの考え方をお示ししてまいります。

 次に、西武新宿線中井駅野方駅間連続立体交差事業と沿線まちづくりについてお答えをいたします。

 連続立体交差事業の進捗について。西武新宿線中井駅野方駅間連続立体交差事業については、平成25年4月に事業認可を取得して以降、東京都が主体となって事業を進めております。現在は、西武鉄道が東京都から委託を受けて事業用地の取得を進めており、事業起終点の地下へ潜る部分において土どめ工事及び軌道仮受けのための支持杭設置工事を、また沼袋駅部においてはホームの仮設化工事等を進めております。中野区においても区有地の一部を工事ヤードとして提供するなど、連続立体交差事業の着実な推進に向けて東京都や西武鉄道と連携をして取り組んでまいります。

 新井薬師前駅及び沼袋駅周辺のまちづくりについてであります。新井薬師前駅周辺地区及び沼袋駅周辺地区では、平成27年9月に西武新宿線沿線まちづくり整備方針を策定し、同方針をもとにまちづくりを進めているところであります。新井薬師前駅周辺地区では、都市計画道路補助第220号線について現在用地取得に向けた取り組みや用地測量を行っているところであります。沼袋駅周辺地区においては、区画街路第4号線の沿道におけるにぎわいの再生及び防災性の向上に向け、平成28年5月から8月まで沼袋区画街路第4号線沿道地区まちづくり協議会を開催し、地区計画等のたたき台を取りまとめたところであります。両駅ともに、それぞれこうした都市計画道路あるいは広場といった関係の事業のみならず、駅周辺の在来の街区の弱点を解消し、新たな街区を形成していく、にぎわい、防災、安全性などにも資するような、そうしたまちづくりに向けて西武新宿線沿線まちづくり整備方針の深度化を図り、中野区としてのさらなる具体的な検討を進めているところでございます。

 まちづくりの情報提供について。まちづくりに関する広報につきましては、西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟の決起大会の開催など、重要な情報について区報により情報発信しているほか、沿線全体のまちづくりを伝える、沿線まちづくりニュースを発行し、沿線5駅の町会などに配布をしております。また、各駅のまちづくりについては、駅周辺地区においてまちづくりに関する広報紙を発行するなど、きめ細やかな情報提供を通じ、地域と協働したまちづくりを一層充実をさせてまいります。なお、連続立体交差事業に関する広報は西武鉄道がホームページや駅周辺に設置されている掲示板等で行っているところでありますが、よりきめ細かな広報を行うよう、事業主体である東京都や西武鉄道に対しても働きかけを行ってまいります。

 まちづくり団体への助成についてであります。まちづくり団体への助成については、地区まちづくり条例に基づくまちづくり団体等への助成や、中野区区民公益活動の推進に関する条例に基づき区が行う政策に合致し区政目標の実現に貢献する活動に対する助成制度があります。しかしながら、現在活動しているまちづくり団体等が今後まちづくりの検討を進めるためにより活用しやすい助成制度、活動が円滑に進展できるような助成のあり方といったことを求めている状況も承知をしているところであります。区としても、地元まちづくり団体に対して情報提供や助言など、さまざまな支援を行っていくことがまちづくりの推進につながっていくと考えているところであります。助成制度についての検討もさらに進めてまいります。

 私からは以上です。

〔子ども教育部長横山俊登壇〕

○子ども教育部長(横山俊) 私からは、保育所待機児童対策についてお答えいたします。

 初めに、待機児解消に向けました都主催の緊急対策会議についてでございます。緊急対策会議では、保育人材の確保に向けた取り組みや保育の規制改革、働きながら子育てをしやすい環境づくりなど、こういったことをテーマといたしまして、各首長から自治体の実情を反映したさまざまな意見が出されたところでございます。都のほうからは、首長からの意見を踏まえまして、さまざまな点につきまして各自治体が待機児童解消に向け力を発揮できるよう検討や改善を図っていく旨の回答があったところでございます。

 次に、保育所整備のための事業スキームの積極的なPRについてでございます。お尋ねのスケルトン・インフィル方式につきましては、土地所有者、保育事業者ともに利点が多く、今後の私立保育所誘致を進めていく上で有効な施設整備の方式であると認識してございます。新規の私立保育園整備におきまして、この方式における整備事例も参考にして、保育所整備への土地所有者等の協力を促すことができるよう、事例の紹介などを行ってまいりたいというふうに思ってございます。

 次に、区独自の保育士確保施策についてでございます。一部の保育事業者においては保育士採用に係る経費の負担が新規開設や保育士採用を難しくしている要因の一つとなっているといったことにつきましては認識をしているところでございます。保育事業者の状況も把握し、どのような仕組みが必要なのか研究してまいりたいと考えてございます。

 最後に、私立幼稚園への支援の実情と課題についてでございます。幼稚園の認定こども園への転換あるいは幼稚園における一時預かり事業につきましては、増加する保育ニーズへの対応策として効果があると考えておりまして、区は昨年度から補助事業を設け、推進を図っているところでございます。一時預かり事業を実施した場合、これまでの預かり事業に加え、長期休業中に保育を行うことになることから、その担い手である幼稚園教諭等の人材確保が課題の一つであると認識してございます。私立幼稚園の状況等について把握をいたしまして、平成29年度に向けまして、より実情に合った支援策を実施できるよう検討してまいりたいと考えてございます。

○議長(北原ともあき) 以上で伊東しんじ議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。

 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(北原ともあき) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、11月28日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時35分延会


 

会議録署名員 議 長 北原 ともあき

       副議長 白井 ひでふみ

       議 員 内野 大三郎

       議 員 市川 みのる