平成29年02月21日中野区議会本会議(第1回定例会)

.平成29年(2017年)2月21日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(42名)

  1番  加  藤  たくま         2番  若  林  しげお

  3番  日  野  たかし         4番  木  村  広  一

  5番  ひやま      隆        6番  山  本  たかし

  7番  渡  辺  たけし         8番  内  野  大三郎

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  北  原  ともあき

 11番  高  橋  かずちか       12番  内  川  和  久

 13番  甲  田  ゆり子        14番  小  林  ぜんいち

 15番  白  井  ひでふみ       16番  中  村  延  子

 17番  細  野  かよこ        18番  小宮山   たかし

 19番  広  川  まさのり       20番  い  さ  哲  郎

 21番  佐  野  れいじ        22番  いでい   良  輔

 23番  伊  東  しんじ        24番  平  山  英  明

 25番  南     かつひこ       26番  小  林  秀  明

 27番  森     たかゆき       28番  石  坂  わたる

 29番  いながき  じゅん子       30番  小  杉  一  男

 31番  浦  野  さとみ        32番  伊  藤  正  信

 33番  高  橋  ちあき        34番  大  内  しんご

 35番  市  川  みのる        36番  篠     国  昭

 37番  久  保  り  か       38番  酒  井  たくや

 39番  近  藤  さえ子        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席議員

      な  し

.出席説明員

 中 野 区 長  田 中 大 輔      副  区  長  川 崎   亨

 副  区  長  本 田 武 志      教  育  長  田 辺 裕 子

 政 策 室 長  髙 橋 信 一      経 営 室 長  篠 原 文 彦

 都市政策推進室長 奈 良 浩 二      西武新宿線沿線まちづくり担当部長 角   秀 行

 地域支えあい推進室長 野 村 建 樹    区民サービス管理部長 白 土   純

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長  横 山   俊    健康福祉部長   瀬 田 敏 幸

 保 健 所 長  寺 西   新      環 境 部 長  戸 辺   眞

 都市基盤部長   尾 﨑   孝      政策室副参事(企画担当) 海老沢 憲 一

 経営室副参事(経営担当) 朝 井 めぐみ

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  小 田 史 子      事務局次長    古 本 正 士

 議事調査担当係長 佐 藤   肇      書     記  関 村 英 希

 書     記  大 野 貴 子      書     記  細 川 道 明

 書     記  井 田 裕 之      書     記  冨士縄   篤

 書     記  田 中   寛      書     記  遠 藤 良 太

 書     記  鎌 形 聡 美      書     記  松 丸 晃 大

 書     記  香 月 俊 介      書     記  亀 井 久 徳

 

 議事日程(平成2年(2017年)21日午後1時開議)

日程第1 第号議案 平成29年度中野区一般会計予算

 

午後1時00分開議

○議長(北原ともあき) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 い さ 哲 郎

 1 保育園について

  (1)待機児童問題について

  (2)民営化について

  (3)保育士確保策について

  (4)その他

 2 子ども施策について

 3 防災の取り組みについて

 4 住宅施策について

 5 その他

 

○議長(北原ともあき) 最初に、いさ哲郎議員。

〔いさ哲郎議員登壇〕

○20番(いさ哲郎) 2017年第1回定例会本会議において、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。

 質問項目については、1、保育園についての(2)と(3)の順序を入れかえてお聞きします。

 まず最初に、待機児童の問題についてお尋ねします。

 ちょうど1年前、「保育園落ちた日本死ね」のブログが国会で取り上げられて以降、ツイッター上で、「保育園落ちたの私だ」というハッシュタグを使った不承諾の実態の共有や国会前の抗議行動の盛り上がりの中、さまざまなメディアを通じ、待機児童問題が大きく取り上げられてきました。あれから1年がたって、待機児童問題はどうなったのでしょうか。ツイッター上では、ことしも「保育園落ちた2017」、「保育園に入りたい」などのハッシュタグで、不承諾だった保護者の皆さんの悲しみと怒りの声が巻き起こっています。この中には、中野区在住の保護者の方のつぶやきもありました。

 中野区においても、この数年で保育ニーズが急増しています。保育園の申し込み数は、2013年、460件だったものが、2016年には750件となっています。

 最初にお聞きします。新年度の保育園、1次募集での応募数、保育所等保留通知書の送付数、新年度の待機児童見込み数はどうなっているでしょうか。

 さて、待機児童の問題では、潜在的待機児童、いわゆる隠れ待機児童の問題も重要です。我が会派の広川議員、浦野議員と隠れ待機児童を明らかにすべく質問を繰り返してきました。特に、昨年の浦野さとみ議員の質問では、特定園を希望したけれど、入れなかったのは何人か。育休を延長したのは何人かというふうに一つひとつ聞いていって、当区において公表された待機児童数257人に対し、隠れ待機児童まで含めると644人、2.5倍であることが明らかにされました。そして、この質問の直後には、厚生労働省によって、全国の隠れ待機児童の実数が明らかにされています。日本全国で6万5,000人以上、都内だけでも1万9,000人、この数字は、新聞各社によって衝撃とともに報じられ、これも大きな話題となりました。保育新システムにより、待機児童の数え方が変わり、数字上、待機児童数が減ったというように見えるようになったわけですが、いよいよそういうごまかしがきかない状況になっているというあかしにほかなりません。

 ここで、お聞きします。待機児童数を公表するに当たっては、潜在的待機児童数においてもあらかじめ公表すべきと考えますが、いかがでしょうか。昨年、既に厚生労働省により公表されているのですから、新年度についてはきちんと数字を明らかにすべきです。

 さて、今月初旬、内閣府より、子ども・子育て支援計画の中間年見直しの考え方の手引きが各自治体へと送付されています。この手引きには、各自治体の待機児童解消の見込み数について、実態との乖離をどうするかという記述があります。10%以上の乖離がある場合は見直しをしなさいと、こういうことになっています。当然、計画を見直す必要があると考えますが、目標のほうを引き下げるというわけにはいきません。待機児童解消に向けた本気の取り組みが求められています。保育園の民間事業所誘致がうまくいかなかったことについて、区は、物件がない、保育士がいないという理由を挙げています。しかし、根本の問題は、民設民営という方針により、保育事業そのものを民間に丸投げする姿勢にあるのではないでしょうか。事業者に任せ切りにするのでなく、区が本来の公的責任を果たすことが必要です。

 東京都においては、民有地を活用した保育所等整備促進税制の導入によって、保育園事業者の事業用地確保を促進する方針が示されました。事業者が土地を確保しやすくするための税制軽減措置としては評価はできますが、これでも事業用地確保についてはまだまだハードルが高いのではないでしょうか。

 お伺いします。保育園用地については、国や都の所有する公有地も引き続き検討しながら、一定以上の面積のある民間の土地について、区として取得することなども視野に入れつつ、独自の調査をすべきではないでしょうか。お答えください。

 また、いろいろな自治体で、待機児童解消のため、緊急的な対策本部の立ち上げが進んでいます。中間見直しをしろという内閣府の意向も踏まえ、本気で待機児童解消を目指すなら、それを担当する組織をつくるべきです。当区においても、待機児童解消のための専任の部署を立ち上げるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、保育士の確保策についてお尋ねします。

 中野区においても、事業者に対する宿舎借り上げ補助、就職支援準備資金などの保育士確保策を準備検討しています。保育士不足が大きな問題となっている昨今、どの自治体も保育士確保のために独自の策を打っている状況です。他の自治体と比較し、見劣りがするようでは保育士に選んでもらえない。この保育士の取り合いとも言える状況で、どうすべきでしょうか。

 目先の問題としてはもちろん、必要な数の保育士を確保するための手を打たなければいけません。しかし、その上で、持続可能な保育行政を運営するためには、確保した保育士に中野区で働き続けてもらう必要があり、保育士の待遇そのものを向上させていかなければいけません。確保策と待遇改善はセットでなければ、安定的な保育行政を進めていくことができないということです。

 そこで、お尋ねします。東京都では、来年度より保育士の直接的な給与補助について、月額2万1,000円上乗せし、4万4,000円とする方針を決定しています。しかし、これでもまだ他業種との賃金格差が残ります。中野区として、さらに独自の上乗せをする仕組みを検討するべきと考えますが、いかがでしょうか。

 そもそも論として、保育士確保策で、自治体間の競争が起きるほど保育士が不足する原因は、保育士の待遇が他の業種に比べて見劣りするからにほかなりません。続けたい気持ちがあっても生活ができない、仕事を続けられない、こういう実態に耳を傾ける必要があります。この間、私が取材した若い保育士からも、「生活が苦しい、親元を離れられない」、「ひとり暮らしを始めてみたものの、週末に飲みに行ったり、休日に遊びに行ったりできなくなった」という声を聞いています。保育士の持っている仕事へのモチベーションは非常に高いと感じています。その保育士が、子どもの命を預かるという責任と給与が見合わないとやめていく、これは社会的な損失ではないでしょうか。他の業種に比べ、10万円の格差があると言われている保育士の給与を上げる必要性については、論を待ちません。

 しかし、もう一点、保育士の長時間労働についてはなかなかスポットが当たりません。保育士配置基準については、長年見直しがない中、書類などの雑務もふえており、配置基準の想定する労働時間と実態との乖離が生まれています。タイムカードを打刻してからの業務や、風呂敷残業をしているという違法労働が疑われる実態も聞き取っています。この長時間労働の直接の原因は、恒常的な人員不足にあります。保育士を定着させ、潜在的保育士に再び現場に戻ってもらうためにも、保育士配置基準を見直して業務改善につなげ、より多く子どもたちに向かい合う時間を保育士に確保していくことが求められています。給与の改善と保育士配置見直しを同時に行ってこそ、保育士が持てる力を発揮して、質の高い保育を行い、長く続けることで高い保育の質を保つ好循環が生まれるのではないでしょうか。

 特別区において、保育士の給与と配置基準を決めているのは、都区財政調整制度です。この基準の抜本的な引き上げを区長会を通じ、都に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、民営化の問題についてお尋ねします。

 今、区が進める民営化方針は、昨年4月に策定したばかりの10か年計画(第3次)にも示されていない、突如として示された計画です。あまりの唐突さに多くの父母の皆さんから不安や疑問の声が上がっています。これまでの民営化の進め方にもなかった仮設園舎と同時の民営化施策に、「せめて仮設園舎は公設公営で運営をしてほしい」という声も広がっています。なぜこんなに民営化を急ぐのか、その理由の一つには、区職員をふやしたくないという区側の事情があるのではないでしょうか。

 これまで区は、区立園の保育士が退職した後には補充をせず、民営化を進めてきました。しかし、退職者などが多過ぎて保育士不足になり、本年度8人、来年度15人と、保育士を採用することになりました。定年退職などにより保育士不足が今後も続くと、さらに採用しなければいけなくなります。ここに、とにかく性急に民営化を進めたい、仮園舎の段階からでも民間事業者に委ねたいという区の動機があるのではないでしょうか。見解をお伺いします。

 区は、民営化方針の理由について、「多様なニーズに対応するため」と答弁しています。この「多様なニーズに対応する」ということが、なぜ区立園の民営化なのでしょうか。過去には、保育ニーズが延長保育に集まっている時期もありました。民間園では、すぐ延長保育に対応したため、この時期は民間園を求める声が少なからずあったのは事実です。しかしながら、現在は、区立園でも延長保育を実施しています。その他、特色ある保育方針などで民間園を求める声もあるにせよ、区立園を民営化する理由として、「多様なニーズに対応するため」は成り立たなくなっているのではないでしょうか。

 2015年1月に、「日経DUAL」という雑誌が行った調査では、9割の保護者が公設公営の認可保育園が第1希望だと回答しています。中野区においても、大きな差があるとは考えられません。多くの方が区立園を求めていることに、区は真摯に向き合うべきです。行政都合を押しつけるのでなく、保護者の皆さんの願いにこたえること、子どもの健やかな成長を第一に考えることこそ、行政の責任ではないでしょうか。

 お尋ねします。民営化ありきの保育行政を根本から改め、公設公営の区立保育園によって中野の保育園の質を担保しながら、待機児童問題を解決するべきと考えますが、いかがでしょうか。現在の拙速な民営化は一度立ちどまり、区立園についてはそのまま残すべきです。

 次に、防災についてお聞きします。

 まずは、当区における雨水対策です。当区における雨水対策の中でも、力を入れている河川の対策においては、各河川での拡幅、調整池整備も進んでいます。一方、河川に流入する前の地面の雨水対策は十分とは言えないのではないでしょうか。年々激しさを増している雨の対策は待ったなしです。

 気象庁の研究チームが、過去118年の観測データを使い、東京における夏の夜、6月から8月の午後5時から11時の短時間降水量を調べたところ、期間全体で100年当たり約50%の割合で増加していること、他の時間帯や季節では、同様の傾向は見られなかったことがわかったそうです。

 また、最近30年のデータ分析では、東京都心の夏の夕方における降水量は、周辺地域より30%以上多くなっています。アメダスで見た短時間強雨の発生回数では、統計を取り始めた1976年以降、1時間降水量50ミリ、80ミリ、どちらの回数もふえていますが、時間当たり80ミリのほうがより急激な増加傾向を示しています。都心部において、強雨の回数がふえながら、1度の降雨量も多くなっていることが、これらのデータから見てとれます。

 こうした都市環境の激変を受け、東京都は、雨水対策について、下水でも河川でも、これまでの時間50ミリ対応を時間75ミリ対応と、水準を上げることになっています。中野区は、これまでの道路面の雨水対策として、区道において部分的に透水アスファルトの施工を試みたものの、耐久性の問題から通常のアスファルトに戻し、かわりに路面下に埋設する新しい雨水貯留施設を整備するよう、防災計画を刷新することになっています。この計画は、50年かけて、全ての区道の舗装をやり直し、その際に新しい雨水貯留施設「レインステーション500」の整備を進めるというものです。この計画についてお尋ねします。

舗装面の地下に雨水貯留施設を設け、河川への流入に時間差を設けるというのは、雨水対策として有効な施策であることは認識しています。しかし、その事業を50年かけて行うということについては、大きな疑問があります。一般的なアスファルトの耐用年数が50年であることから、舗装を直すという観点で50年サイクルを想定しているものですが、風水害が50年の間待ってくれるわけではありません。先ほども述べたように、都心部でのゲリラ豪雨は、目に見えて激しくなっています。アスファルトを直すついでにという考え方を改め、防災の観点からも迅速に雨水貯留施設の新設を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、この計画は、区道に対してのものです。区内の道路面積の24%を占める私道部分が置き去りにされています。都道を除く区内道路のうち、4分の1には対策がとられないとしたら、せっかくの区道の雨水対策も十分な効果が発揮できないのではないでしょうか。

 そこで、伺います。道路における雨水対策に、私道部分で穴をあけないためにも、私道についても具体的な対策が必要と考えます。区の見解をお示しください。

 次に、建築物の敷地における雨水対策についてお聞きします。

 現在中野区には、一定程度以上の建築物に対し、その申請の際に「雨水流出抑制装置設置のお願い」という要綱を事業者に対して渡しています。敷地面積300平米以上500平米未満の建築計画では2トン、500平米以上1,000平米未満では3トン、それ以上では6トンの雨水をその敷地面積で処理してもらうというものです。この要綱はあくまでお願いであって、拘束力があるものではありませんが、現時点でも8割程度の協力を得られているとお聞きしています。逆に言えば、2割は協力してくれない業者がいるということです。事業の性質から、これは100%の完全実施を目指すべきと考えます。

 お尋ねします。業者間の不公平をなくし、雨水流出抑制施設の100%設置のためにも、行政として制度を変え、強制力を持ちながら補助金などで雨水流出抑制装置設置を支援する仕組みが必要ではないでしょうか。事業者の善意頼みでない、計画的な雨水対策が必要です。お答えください。

 次に、住宅地の雨水対策についてお聞きします。

 宅地については、雨水ますによって雨水の流入に時間差をつけるのが一般的です。雨水ます普及のため、近隣の杉並区、練馬区では、今年度も上限40万円の助成を行っています。中野区では、平成12年度に都の雨水浸透施設助成制度がなくなったタイミングで、それまで区として行っていた助成事業をやめてしまっていますが、都のこの助成制度そのものは平成19年度に復活しています。であるならば、雨水浸透ますなどの区の助成事業を復活すべきではないでしょうか。

 次に、感震ブレーカーについてお聞きします。

 感震ブレーカーについては、会派としてもこれまでも議会で取り上げています。地震発生後の通電火災を防ぐ有効な手だてとして普及が求められています。この普及のために中野区では業者と提携し、感震ブレーカーのあっせんを行っているところですが、これまで申し込みがあったのが46件、うち契約に結びついたのが43件と、火災を防ぐために必要な普及率が7割とも言われる中、普及にはほど遠い状況です。結局、これはあっせんという方法そのものがうまくいっていないということではないでしょうか。23区のほかの自治体では、感震ブレーカーの機器代金を区が負担する助成制度の創設が進んでいます。一日も早い感震ブレーカー普及のため、中野区でも助成制度を創設すべきと考えます。答弁をお願いします。

 次に、当区の子ども施策、今回はU18プラザについてお聞きします。

 U18プラザについては、今年1月の子ども文教委員会にて、3カ所全て、平成29年度中に廃止する方針が示されました。近隣住民の皆さんにとってはまさしく寝耳に水で、今でも多くの皆さんがU18プラザ廃止方針に怒っています。そもそもこのU18プラザというものは、児童館廃止方針の中から、その後の施設利用として登場しましたが、小学生はキッズ・プラザへ、乳幼児と中高生がここを利用するという運営形態には当時から疑問の声が上がっていました。しかしながら、現場職員や地域の皆さんの奮闘の中、中高生もさまざまに利用していることは区も承知しているはずです。バスケットボールや卓球などのスポーツの利用は日常的に行われています。テスト前には自主的な勉強会、時には高校生が中学生を教えたり、地域の退職教員の方がサポートしたりということもあります。U18を通じ、地域のボランティア活動にも参加をしてもらっています。こうした中高生の活動のよりどころであるU18プラザをなぜ廃止するのでしょうか。

 区は、中高生の事業の代替として、中高生育成支援事業を新設するとしています。しかし、この内容は、中高生に対し、さまざまな仕事のプロがその道を説くというような内容です。この事業そのものを否定するものではありませんが、今現在のU18プラザにおける中高生の利用実態とはかけ離れており、これが代替であるとはとても言えません。利用実態を踏まえれば、よりどころとなる場所、何らかの建屋が必要なはずです。区は、U18プラザ廃止に当たり、施設利用者に対し、説明会を行うとしています。しかしながら、この説明会は、廃止を前提としたもので、近隣住民の皆さん、利用者の皆さんの理解を得られるかと言えば、甚だ疑問です。何より、追い出される格好になる中高生の皆さんはどんな思いでいるでしょうか。

 このU18プラザ廃止方針は、地域の皆さん、利用者の皆さんの納得と合意を得るプロセスが不十分であると考えます。区の見解をお伺いします。

 そもそもこの問題は、区内の児童館を全て廃止するという方針から出発しています。U18プラザについては、事業としては小学生の利用は想定していませんが、実際には多くの小学生が利用しています。特に、高学年になると、キッズ・プラザでなく児童館を利用する児童が多いのもわかっています。児童館やU18プラザがなくなると、高学年の子どもたちはどこに行くことになるのでしょうか。ともすれば、親や地域の目の届かない場所に行ってしまうかもしれない、犯罪に巻き込まれるという事態にもなりかねません。

 親世代にとっても、児童館は地域の子育てセンターとして機能してきました。他の学校の児童や異年齢の子どもとの交流は、子どもの社会性を形成することにも寄与してきました。児童福祉法40条に規定される児童福祉施設の一つである児童館を廃止する道理がどこにあったのか、このことが改めて問われているのではないでしょうか。少なくとも、現在のU18プラザ廃止計画については、立ちどまって見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 次に、住宅の問題についてお尋ねします。

 今月初旬、住宅セーフティネット法の改正が閣議決定されました。今回の改正では、高齢者、低額所得者、障害者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者がより円滑な住宅確保のため、新たな仕組みがさまざま用意されました。その中でも注目しているのが、居住支援協議会です。地方公共団体、不動産関係団体に加え、新たにNPO団体の協議会への参加も示されています。現在中野区には、居住安定支援事業という不動産業者と連携し、高齢者、障害者の住みかえを応援する仕組みがあります。しかし、居住確保要配慮者への着実な住宅供給のために、事業者だけでなくNPOが加わることには、これまでにない大きな意味があるのではないでしょうか。住宅確保要配慮者に対し、法改正の理念に基づく福祉的な対応を担うのがNPOの役割だと考えます。

 そこで、お聞きします。当区としても、この法改正、閣議決定を受け、新たな住宅セーフティネット制度を創設し、住宅政策にかかわるNPO団体にも参画を呼びかけ、居住支援協議会を構成すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 続けて、お聞きします。この法制度改正の中で、住宅確保要配慮者の入居のハードルを下げるため、家賃の低廉化に要する補助も新設されました。この補助は、最大4万円の家賃を助成するもので、国庫から2分の1、都から4分の1の特財が期待できます。これまで区は、いわゆる家賃補助についてはいかなる年齢であっても行わないとの答弁をしてきましたが、法改正における制度創設の趣旨を鑑み、また国や都からの補助金を望めるという情勢の変化を受け、当区でもこの事業を開始する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 「住まいは人権」という言葉があります。憲法25条からも、世界人権宣言や社会権規約からも、生存権として居住の権利が存在することに疑いはありません。1996年、第2回国連人間居住会議、ハビタットⅡにおいて採択されたイスタンブール宣言は、日本政府も署名しています。この宣言には、適切な住居への権利は基本的人権であると明記されています。下流老人、若者の貧困、共働きやひとり親世帯の子育ての困窮など、世代を越えて貧困が拡大している中、そういった困難な状況から救い上げる切り口として、住居確保をどうするのか、まさしくここに行政の責任が問われています。

 お尋ねします。住民の居住権に責任を負う行政として、住宅確保要配慮者を念頭に置いた区営住宅の新設を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、東京都に対しては、石原都政以降新設されていない都営住宅の拡充を求めるべきと考えますが、この点はいかがでしょうか。

 加えて、高齢者向け住宅、障害者向け住宅については待ったなしの状況です。自立した生活を営んでもらうためにも、ここには特に力を入れ、国や都に必要な支援を求め、優先して増設に努めるべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁をお願いします。

 住宅問題でもう一つお聞きしたいのが、アパート、マンションの崩壊、スラム化の問題です。マンションのスラム化とは、住民の高齢化などが原因となる管理不全状態を指す言葉です。住民の高齢化などによって、組織率が下がり、管理組合が運営できなくなる。これにより、供用部分の維持管理が困難化し、ごみが散乱する、エレベーターがとまる、廊下の電灯もつかないなどなどの状況になる。さらに、空き部屋がふえ、退去者がふえ、コミュニティが崩壊していく、このような住環境の悪化を招くことになります。このスラム化を起こさないようにするには、管理組合を立て直し、供用部分の管理体制を整えるとともに、コミュニティを保全することです。住宅セーフティネット法の中で、空き家や民間賃貸を活用することが強調されている理由は、集合住宅に空きをつくらないことによって、地域の住環境を維持したいという政府の意図があるように思います。

 そこで、伺います。区が制度を利用して入居した住宅確保要配慮者とともに、当該物件の管理組合に積極的にかかわっていくことで良好な住環境を維持し、コミュニティ崩壊、スラム化を防ぐ、法改正の意を酌み、ここまでをパッケージとした事業展開について検討を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。地域コミュニティの保全、中野区の地域力向上という点からも、住宅セーフティネット法改正を根拠とした住居確保策には大きなメリットがあると考えます。前向きな答弁をお願いします。

 以上をもちまして、全ての質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) いさ議員の御質問にお答えをいたします。

 保育園に関連して、保育所等利用保留通知書送付件数と待機児童数の見込みについて、平成29年度保育所入所に関する申し込み者数は2,198人でありました。また、ことしの2月1日に発送した保育所等利用保留通知書の発送件数は933通でありました。待機児童につきましては、今後、2次募集や認証保育所の入所状況等が判明した時点で明らかになるものであり、その段階で公表をしたいと考えております。

 待機児童数の公表の仕方について。国の集計の都合上、その定義に沿って待機児童数としているところです。現在、国がその見直しを検討していると聞いております。国の動向も注視しながら、対応について考えたいと考えております。

 民有地の活用、調査についてであります。新規に整備される保育所の多くは、土地、建物の所有者から保育事業者に土地等を賃貸する方となっています。保育事業者が行う保育所の整備や賃借料に対しては、国等からの補助があることや、土地保有者にも来年度から税制上の優遇措置が講じられるなど、民間ベースによる促進策が用意されており、区が民有地を直接取得することは考えておりません。

 待機児童対策にかかわる対策本部の設置について。既に待機児童問題解消を区政目標に掲げ、その達成を目指した組織体制を整え、担当副参事を置き、さまざまな施策を展開しているところであります。こうした体制を十分に活用し、待機児童問題解消に向けた有効な手だてを講じていく考えであります。

 区立保育園民営化の理由について。区立保育園の民設民営化は多様な保育ニーズへの対応とともに、老朽化している施設の更新や保育定員の拡大などを図るため、民間活力を活用し、進めているものであります。今般、保育の継続性を保ちつつ建てかえを行うため、必要となる仮園舎等の用地確保の実現性を踏まえ、進め方を具体化したものであります。

 保育士につきましては、必要が生じた場合には採用も検討いたしますが、民営化の進捗と退職者数を勘案して、平成30年度以降は採用する必要はないと見込んでおります。

 区立保育園の存続について。全ての区立保育園について、民設民営化を推進していく考えに変更はありません。

 なお、民設民営化の該当園の保護者の方々とは、現在、仮設園舎等について話し合いを進めているところであり、御理解をいただけるよう、今後も丁寧な説明に努めていく考えであります。

 私からは以上です。

〔子ども教育部長横山俊登壇〕

○子ども教育部長(横山俊) 私からは、保育士確保策の所管分とそれから子ども施策についてお答えいたします。

 初めに、保育士確保について、区独自で保育士給与の上乗せをしてはどうかというお尋ねでございます。区は、平成29年度、保育事業者が実施する保育士宿舎借り上げに対する補助の増額や対象となる保育士の人数制限を取り払うなど、補助事業の拡充を予定しているところでございます。

 また、保育士の給与そのものにつきましては、既に国や都が給与の改善予定を発表しているところでありまして、区独自で保育士給与の上乗せを行う予定はございません。

 次に、子ども施策についてです。U18プラザの廃止に係る地域の合意形成、それから廃止を見直してはどうかとのお尋ねでございます。

 U18プラザの廃止につきましては、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)におきまして、その策定過程で区民参加も得て決定したところでありまして、変更する考えはございません。

 その後、お示しをしました廃止時期や跡活用につきまして、中高生向けの新たな施策など、今後の事業の拡充策もあわせ説明しまして、地域の方々や利用者の方々に御理解いただけるよう努めてまいります。

 私からは以上です。

〔政策室長髙橋信一登壇〕

○政策室長(髙橋信一) 私からは、保育士確保策のうち、都区の財政調整の見直しについてお答えいたします。

 23区では、財政調整について、その時々の行政需要に見合った算定となるよう、毎年東京都と協議を行っているところでございます。今年度の協議において、平成29年度の都区財政調整、新規算定項目について、待機児童解消緊急対策として、認可外保育施設等の保護者負担軽減事業や保育士宿舎借り上げ支援事業費などが盛り込まれたところでございます。

 なお、特別区交付金についてでございますが、調整3税の55%が23区に交付されるものであり、新規に項目が追加される場合には、他の項目が見直しの影響を受けるなど、新規項目の追加により交付金が純増するものではございません。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、まず、防災の取り組みについての御質問にお答えをいたします。

 初めに、雨水対策についての御質問です。豪雨対策工事の計画短縮についての御質問がございました。現在、道路ストック総点検に基づく道路舗装維持管理計画を定め、道路損傷に対する事後対応型の管理から、道路の安全性を高める予防保全型への転換に向けて、長期計画で取り組んでいるところでございます。予防保全型へ完全に移行するために必要な道路工事は50年かかると見ており、今回の豪雨対策工事は、この道路工事とあわせて実施する方針とし、豪雨対策事業の計画期間を道路舗装維持管理計画と同期間となるようにしたものでございます。

 次に、私道における豪雨対策について御質問がございました。豪雨対策として設置を検討している雨水浸透貯留施設は、東京都総合治水対策協議会が策定した神田川流域豪雨対策計画に基づいて整備を進めるものでございます。この計画では、必要とする対策量について、区道を含めた公共施設及び大規模民間施設等における対策で充足するものとして定められているところでございます。

 次に、雨水流出抑制施設の制度変更、強制力のある仕組みとしての制度化という御質問と、助成制度の再開についての御質問でございます。雨水流出抑制に関しましては、要綱に基づき、建築主に対し、雨水を貯留する施設や地下に浸透させる施設を設置するよう協力を求めていることで一定の効果が上がっております。今後も積極的に働きかけることで、より多くの建築主の協力が得られるよう努めていきたいと考えており、制度の変更や助成制度再開は考えておりません。

 次に、地震対策についてでございます。感震ブレーカーの助成制度についてでございますが、区は、平成28年7月から感震ブレーカーのあっせんを開始し、平成28年12月末までの半年間で43件申し込みがあり、そのうち42件が設置済みでございます。区が行っているあっせんの成果が出ていることから、今後もあっせん制度の周知に努め、感震ブレーカーの普及に取り組んでいく考えでございます。

 続きまして、住宅施策についての御質問にお答えいたします。

 居住支援協議会の設立についての御質問でございます。いわゆる住宅セーフティネット法では、住宅確保要配慮者への民間賃貸住宅への円滑な入居促進に関して協議するため、地方公共団体と宅地建物取引業者等により居住支援協議会を組織することができるとされております。区では、不動産団体と協定を結び、双方で連携しながら、高齢者等の住宅確保要配慮者への居住支援を円滑に行っていることから、現在のところ、居住支援協議会の設立は考えておりません。

 なお、今後は、地域包括ケア推進との連携により、福祉的な視点もあわせ持った居住支援を進めていきたいと考えているところでございます。

 次に、家賃の低廉化補助についての御質問でございます。今回の住宅セーフティネット法の制度改正では、賃貸人に対する家賃の低廉化補助の考え方について示されているところでございます。この補助事業につきましては、現時点において制度運用の詳細や東京都の関与、そういったものが明らかにされておらず、今後国や都の動向を見守ってまいりたいと考えております。

 次に、区営住宅の新設及び都営住宅の拡充についての御質問です。住宅セーフティネットの観点から、区営住宅は、今後も一定の住戸数を維持していくことが必要であると考えておりますが、住宅の確保は、基本的に民間のストックを活用して行われるべきものであり、原則として区営住宅の新設は考えておりません。また、東京都に対し、都営住宅の建てかえの際には、住戸数の増加やさまざまな世帯が居住できる住宅の供給について、これまでも要望を行ってきたところでございます。

 次に、高齢者向け及び障害者向け住宅の増築についての御質問でございます。住宅セーフティネット法では、高齢者や障害者等の住宅確保要配慮者の居住支援として、空き家や民間賃貸住宅の活用促進が示されているところでございます。こうしたことから、民間事業者と連携しながら、高齢者及び障害者向け住宅の確保を進めていくものと考えており、区営の福祉住宅増設は考えておりません。

 最後に、マンション管理組合への関与についてでございますが、民間のマンション管理は、基本的には所有者や管理組合等が担うべきものであり、区が関与する考えはございません。今後、NPOやマンション管理士等との連携により、所有者や管理組合向けのセミナーを開催するなど、区としての支援のあり方について検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(北原ともあき) 以上で、いさ哲郎議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 ひやま 隆

 1 子どもの貧困について

 2 契約のあり方について

 3 民間企業との包括連携協定について

 4 その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、ひやま隆議員。

〔ひやま隆議員登壇〕

○5番(ひやま隆) 平成29年第1回定例会に当たりまして、民進党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。質問は、3番の民間企業との包括連携協定につきましては、また次の機会に質疑をさせていただきます。その他はございません。

 初めに、子どもの貧困対策について伺います。

 厚生労働省の調査によると、子どもの貧困率は、最新の平成24年データで16.3%に達し、全国の18歳未満の子どものうち約328万人、およそ6人に1人が貧困状態にあることが明らかとなりました。とりわけ深刻なのは、母子家庭などのひとり親世帯の子どもで、貧困率は54.6%、2人に1人を超えています。今や子どもの貧困は日本社会全体を揺るがす大きな問題であり、中野区にとっても重要課題の一つであると考えます。しかし、今回の所信表明も含め、これまで区長から率先してこの問題に対して言及されることはなく、区長が子どもの貧困の現状をどのように把握し、どのような問題意識をお持ちなのか、なかなか見えてきません。

 そこで、改めて伺いますが、中野区の子どもの貧困の現状について、中野区としてどのように把握しているか、お伺いをいたします。

 平成28年6月、子どもの貧困対策に連携して取り組む全国161の首長が集まる、「子どもの未来を応援する首長連合」が設立されました。今後は、研修会でそれぞれの自治体の取り組みを情報交換したりするなど、現場レベルでの情報を共有するプラットフォームとして機能するほか、国へ積極的に政策提言を行っていくとしています。

 そこで、伺います。現在、中野区ではこの「子どもの未来を応援する首長連合」に参加していないとのことですが、今後についてはどのようにお考えでしょうか。ぜひ区長には、こうした取り組みに率先して参加していただき、他の自治体と連携をしながらこの問題の解決に取り組んでいただきたいと考えますが、区の見解をお示しください。

 子どもの貧困問題の解決に向けて必要な施策を講ずるためには、まずその実態を把握することから始めなければならないと考えます。さきに我が国の子どもの貧困率の実態をあらわす具体的な指標として、子どもの貧困率の数字をお示ししました。しかし、この数字は、依拠するデータによっても数値が変わり、所得だけでその他の要素を見ていないことから、どこまで正確に実態を反映しているかについては議論の余地があるという見方もあります。さらに、この数字は日本全国で平均した数字であるため、子どもの貧困率の割合が多い地域、少ない地域、そういった地域差は見えてきません。したがって、この問題の解決に向けた施策展開を行うためには、それぞれの地域ごとの丁寧な実態把握が不可欠であると考えます。

 実態を把握する取り組みとして先進的な事例としては、足立区と江戸川区の取り組みが挙げられます。先日、我が会派で両区を訪れ、区の担当者にお話を伺ってまいりました。足立区では、子どもの貧困対策の第一歩として、できる限り正確に子どもの健康と生活の実態を把握する取り組みを実施しています。具体的には、区立の小学校に在籍する1年生全員に対し、無記名アンケートを実施し、国立成育医療研究センター研究所が結果の集計、分析を行うというものです。この足立区の調査からは、子どもの健康や生活の実態と生活困難の関係性について、次のような傾向が確認されています。第1に、生活困窮世帯では、虫歯の本数が多く、予防接種を受けていない割合が高い傾向がある。そして第2に、運動や読書習慣により、生活困難な状況においても逆境を乗り越える力を培える可能性が見られること。第3に、困ったときに保護者に相談できる相手がいると、子どもの健康に及ぼす影響を軽減できる可能性があること。そして第4に、子どもを取り巻く家庭環境や生活習慣を変えていくことで、子どもの貧困の連鎖を軽減できる可能性があるということです。これは貧困の連鎖を断つ上で重要な示唆であると考えます。

 そこで、伺います。現在中野区では、虫歯の本数や生活習慣、朝食をとる習慣、読書習慣など、子どもたちの生活実態をどのように把握しておりますでしょうか。足立区の調査では、子どもの健康や生活実態と生活困難が密接に関係していることが示されておりますが、区としてはこれらの関係性をどのようにお考えなのか、見解をお示しください。

 子どもの貧困の実態を把握する取り組みのもう一つの方法として、江戸川区の事例が挙げられます。江戸川区では、子どもや子育て世帯が抱える課題について、学校、児童館、保育園・幼稚園、民生・児童委員、保護司、関係部の区職員といった地域の関係者や区職員、約1,500人を対象に、日々見聞きする実態や過去に直面した事例について調査を実施しました。そして、その実態からあらわれる課題や行政需要を区の施策と照らし合わせて検証しながら、施策展開を実施しています。

 そこで、伺います。中野区では、子どもや子育て世帯の置かれた生活実態を把握するため、区職員や地域の関係者を対象にヒアリング調査や実態調査などを実施した実績はありますでしょうか。実施していないということであれば、子どもの貧困問題に関して、現場で取り組む方々の声を全庁的に調査する取り組みを中野区でも実施する必要があると考えますが、区の御見解をお示しください。

 これまで子どもの貧困の実態把握として足立区と江戸川区の取り組みを紹介させていただきましたが、現在、中野区では、子どもの貧困の実態をどのような手段で把握されておりますでしょうか。子どもの貧困はさまざまな要素が絡み合った問題です。だからこそ、その施策を展開するに当たっては丁寧な実態調査が必要であると考えますが、いかがでしょうか。今後の予定とあわせて、区の見解をお示しください。

 この項の最後に、中野区の子どもの貧困問題の対策について伺います。

 これに関しては、平成27年第2回定例会の本会議において、我が会派の森たかゆき議員の質問に対して、区長からは、「就学援助や所得に応じた減免措置などを行い、必要な支援やサービスが受けられるようにしている」、「平成27年4月から、低所得世帯の小学5、6年生及び中学生を対象に学習支援事業を開始した」、「子育てサービスの利用料について、所得の低い家庭への配慮をしてきている」との答弁をいただきました。このうち、学習支援事業については、平成29年度中野区一般会計当初予算案の中で、生活困窮世帯を対象とした学習支援事業を拡充し、これまでの小学6年生、中学3年生に加え、中学1年生、中学2年生も対象とするとしています。日本財団の子どもの貧困の社会的損失推計によると、大学進学率は全世帯の平均が約73%に対し、ひとり親世帯だと約42%、生活保護家庭であれば約33%、児童保護施設におられる方は約23%という数字になっています。さらに、文部科学省の調査によれば、親の年収によって子どもたちの成績が比例してくる、こういったデータもあります。格差の固定化と貧困の連鎖、これを断ち切るためには、学力というのは大変重要であり、今回の区の学習支援事業拡充を大変評価するものです。

 この学習支援事業に関して、板橋区の取り組みを我が会派で視察に行ってまいりました。板橋区では、子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることがないよう、また貧困が世代を超えて連鎖することがないように、質の高い教育環境の整備を目的としてさまざまな施策を展開しています。このうち、学習支援事業「まなぶーす」では、委託事業者のNPO法人と板橋区が連携しながら、世帯への相談支援、子どもの居場所づくり、学習支援事業を実施し、貧困の連鎖を防止、解消する取り組みを実施しています。この事業の特徴としては、ADHDや学習障害、発達障害など、子どもの一人ひとりの課題を把握し、それぞれの特徴に応じてきめ細やかな支援を行っている点、また状況によってはこども支援員が御自宅に訪問し、子どもの学習や進路、就労に関する相談を受け、解決に向けた具体的な提案を行っている点です。学習支援事業の利用者の中には、経済面や家庭、学習環境に問題を抱えているケースもあり、こうしたきめ細やかな視点は大変重要であると考えます。

 そこで、伺います。現在、中野区が実施している学習支援事業を利用する子どもたちが抱える課題は、中野区、あるいは受託事業者はどのように把握しておりますでしょうか。

 また、それらの課題を抱えた利用者に対して、同事業の中でどのようなケアを実施しているか、お示しください。

 この項の最後に、今後の施策について伺います。

 作家、司馬遼太郎氏は、不朽の名作「坂の上の雲」の中で、明治維新から日清・日露戦争に至るまでの我が国の隆盛期について、次のように述べています。「社会のどういう階層のどういう家の子でも、ある一定の資格をとるために、必要な記憶力と根気さえあれば、博士にも官吏にも軍人にも教師にもなり得た。この時代の明るさは、こういう楽天主義から来ている」。翻って、今日の社会はどうでしょうか。生まれ育った環境によって、学校の成績や大学の進学率、将来の所得にも差が出てしまう。生活保護の御家庭で生まれ育った子どもは、大人になっても生活保護から抜け出せない。どこで生まれたか、どういう家庭環境で育ったかで、意欲と能力があってもチャンスがなかなか生まれない、そうした格差の固定化と貧困の連鎖による悲観主義が社会を覆っているのではないか、そういう気がいたします。

 そこで、伺います。子どもの貧困は、失業、離婚、孤立、病気、虐待など、さまざまな要素が絡み合った問題であるがゆえに、その解決のための特効薬はありません。したがって、まずはこの問題に対する問題意識を共有し、中長期的な視点で全庁的な取り組みを粘り強く進めるべきであると考えますが、いかがでしょうか。また、今後、区として新たに計画、基本方針の策定、基金の創設、専門部署の設置なども検討するべきであると考えますが、これに対する区の見解をお示しください。

 子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることなく、全ての子どもが夢と希望と志を持って生き生きと育つ社会、今こそ中野区にもそのような「坂の上の雲」の精神が必要ではないでしょうか。子どもたちの未来のためにぜひ真摯な姿勢でこの問題に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終えます。

 次に、契約のあり方について伺います。

 平成22年、区は桃丘小学校跡施設を若い世代の表現活動者や団体が育つ場とするという施設活用内容を示し、学校法人タイケン学園を事業者として選定し、当該施設を貸し出すこととしました。しかし、その後、同学園による複数の重大な違反行為が判明し、区は施設の明け渡し及び損害賠償を求める訴えを裁判所に提起することとなり、中野区議会においては、中野区政史上初めてとなる秘密会が開催される事態となりました。審議過程を一般公開されることにより、区民に重大な不利益が生じることはあってはならないという断腸の思いで、我が会派としては秘密会の開催に賛成をいたしましたが、公開が原則である議会を一定期間とはいえ、非公開とする行為は、民主主義、住民自治の精神にもとるものであり、この点については改めて重く受けとめていただきたいと思います。こうした事態が再び繰り返されぬよう、再発防止に向けた取り組みについて、契約のあり方の観点から幾つか伺います。

 平成23年6月28日の建設委員会資料によると、桃丘小学校跡施設運営事業者については、事業者をプロポーザル方式により公募・審査し、学校法人タイケン学園を交渉順位第1位の運営事業者候補として選定し、基本方針に示す活用内容の実現が可能であると判断し、「同学園と桃丘小学校跡施設活用にかかわる基本協定を締結した」とあります。プロポーザルに当たっての同学園の「中野マンガ・アートコート提案書」を拝見しますと、著名な企業とのコラボ事業や、著名な漫画家を呼んでのオープニングイベント、著名な声優による声優養成講座など、一見、期待値の高い内容が並べられております。しかし、実際、それらの多くが実施されなかったことから、提案書の内容の実現可能性も含め、選定の段階で事業者をしっかりと見きわめる必要があると考えます。とりわけ桃丘小学校跡施設活用のケースでは、活用の考え方には、若い世代の表現者や団体が育つ場とする、文化、芸術の活動発信場所としての機能の実現を図る、文化、芸術の持つ創造性を牽引力にして、まちの活力を生み出す、都市型産業の育成につなげるなど、高度な内容が含まれており、本来は、選定する側にも専門性と識見が求められたものと考えます。

 そこで、伺います。桃丘小学校跡施設利用に関する事業者選定の際、選定委員のメンバーはどのように構成され、その中には専門性や識見のある外部有識者は含まれておりましたでしょうか。

 また、これまでに区が実施した現行のプロポーザル方式による事業者選定の際、委託先選定に関する委員会の委員に外部有識者が含まれたケースはどのようなケースがあるのか、実績をお示しください。

 委託先選定に関する委員会の委員に、外部有識者を含める制度を導入している自治体は多数あります。例えば立川市では、「外部審査委員は、プロポーザル方式運用ガイドラインに基づき、原則として2名以上とする」としています。また、会津若松市では、選考委員会に関して、「委員会は、職員及び複数の外部の学識経験者等により組織し、定員を5人とする」としています。

 そこで、伺います。現在、区が発注する一般業務の契約において、プロポーザルにより受託候補者を決定する場合の取り扱いに関しては、中野区企画提案公募型事業者選定実施試行要領に定められておりますが、この中で、委託先選定に関する委員会の委員の構成はどのように定められておりますでしょうか。また、その中で、外部有識者に関してはどのように定められておりますでしょうか。

 そういった規定がないということであれば、しっかりとルールを定め、区が発注する一般業務の内容によっては選定する委員会の委員に専門性や識見のある外部有識者を取り入れる必要があると考えますが、これに対する区の見解をお示しください。

 平成28年、中野区議会第3回定例会の総務委員会において、「学校法人タイケン学園に対する対応について」に関する所管事項の報告がなされました。委員会資料によると、基本協定及び賃貸借契約の解除に関して、「タイケン学園による基本協定及び賃貸借契約にかかわる複数の重大な違反行為が判明した」とあります。契約履行過程及び契約終了後、契約どおりに履行されているかどうかについては、監督検査が必要であり、これに関しては、地方自治法第234条の2で規定されています。これによると、地方公共団体が契約を締結した場合においては、当該地方公共団体の職員は、政令の定めるところにより、契約の適正な履行を確保するため、必要な監督、または検査をしなければならないと規定されています。さらに、この規定を受けて、地方自治法施行令第167条の15第1項では、監督は立ち会い、指示、その他の方法によって行わなければならないと規定され、同条2項では、検査に関して、契約書、仕様書及び設計書類に基づいて行わなければならないと規定されています。

 そこで、伺います。現在、中野区では、締結された契約が適正に履行されているかどうかについては、どのようなルールに基づいて、どのように実施されておりますでしょうか。今回の桃丘小学校跡施設活用に関する一連の事態を受けて、これまでのチェック体制の見直し、そして、さらなる強化が必要ではないかと考えますが、これに対する区の見解をお示しください。

 お尋ねして、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) ひやま議員の御質問にお答えをいたします。

 子どもの貧困対策についてという御質問です。中野区の子どもの貧困の現状についてということであります。世帯の所得を一定の場所で区切って、そこから下が子どもの貧困であるという大まかな物の見方だけでは、子どもたちが当面するさまざまな課題、このことに適切に対応していくということはできないだろう、こんなふうに思っております。また、ひやま議員が示された生まれた環境や育った環境で未来が閉ざされたり、あるいは貧困が連鎖をしていく、そうしたことになっては絶対にならないのだという、そうした御意見については、私も共感をするところであります。

 それで、子どもの貧困の現状というところですが、一定の経済状況のもとにある家庭等に対して実施をしている就学援助の受給者、それから児童扶養手当の受給世帯、それから生活保護受給世帯に属する未成年者数、これらの数におきまして、中野区においては、特段増加している傾向は見られない、このような状況になっています。むしろこの3年間で言うと、漸減傾向にあるといったようなことになっているところです。

 それで、子どもの貧困対策の連合、子どもの未来を応援する首長連合、これが設立されたということは知っているところですが、目的や活動内容についての具体的な詳細な情報がなく、現在、参加について判断する材料はないと判断しております。

 それから、足立区が行った調査報告で、生活困難と健康や家庭環境等との相関などについて示されているというふうに認識をしているところです。この調査の内容から、それぞれの因果関係といったようなところまで読み取ることは難しいと思いますが、子どもたちが置かれた多様な状況を読み解く材料として、区としても参考にしていきたい、こんなふうに考えたところです。

 子どもの健康や生活実態の把握についてであります。虫歯の本数、運動習慣、朝食をとる習慣、読書習慣、これらにつきましては、児童・生徒の歯科健診や生活習慣病予防健診、また学力・学習状況に係る調査、これらなどによって把握をしているところであります。

 区として、子どもの貧困問題に係る実態調査をどのように行っているかといったようなところであります。区は、これまでも子育て支援サービスをはじめとするさまざまな領域で、所得に配慮をした利用者負担を行うことや、個別ケースでの関係機関等による連携などによって、課題を抱える家庭の状況を把握した上で、必要な支援が適切に行われるよう取り組んできたところであります。こうした取り組みの中で、支援に必要な状況が把握できていると、こう考えているところであります。

 子どもの貧困対策にかかわる検討体制等であります。課題を抱える子どもや家庭への支援については、子ども家庭支援センターを中心としながら、さまざまな部署や関係機関等の連携によって支援をしているところであります。今後、子ども等を含む地域包括ケアシステムの構築も進めながら、必要なサービスやケアなどの適切な提供を進めてまいりたい、このように考えております。

 学習支援事業を利用する子どもたちの課題把握と支援についてであります。学習支援事業は、低所得世帯の子どもの学力向上を図ることを目的とした事業であり、現在、区は少人数指導体制を実施することで、子ども一人ひとりの課題を的確に把握するとともに、指導方法を工夫するなど、課題解決のための支援を継続しているところであります。また、発達に課題があると見受けられる場合には、必要に応じて保護者との個別面談や自宅訪問なども行うことで、家庭状況を確認しつつ、個々の状況に応じた学習方法や生活習慣等に関するアドバイスなども行っているところであります。

 私からは以上です。

〔都市政策推進室長奈良浩二登壇〕

○都市政策推進室長(奈良浩二) 私からは、契約のあり方の御質問のうち、桃丘小跡施設運営事業者選定時の選定委員につきましての御質問にお答えをいたします。

 桃丘小跡施設運営事業者の選定につきましては、当時産業振興分野を所管しておりました区民生活部が設置した選定委員会によって実施をしたところでございます。この選定委員会におきましては、区民生活部長が指定した各部の関連する分野の統括管理者で構成され、外部の有識者は含まれてございませんでした。

〔経営室長篠原文彦登壇〕

○経営室長(篠原文彦) 契約のあり方についての御質問にお答えを申し上げます。

 初めに、プロポーザル方式選定委員の外部有識者参画の実績についてでございます。プロポーザル方式の事業者選定においては、これまで選定委員に外部有識者を参画させた事例はございませんでした。

 次に、プロポーザル方式選定委員の構成等についてでございます。プロポーザル方式の事業者選定に当たりましては、中野区評価選定委員会と事業所管設置の選定委員会の二つの委員会の関与がございます。中野区評価選定委員会は公募の適否の審査、事業所管評価結果等に基づいて、選定予定事業者を決定する役目を担い、構成は経営室長を委員長として、指定された6人の統括管理者で構成をしております。また、事業所管設置の選定委員会は、事業者から提出されました提案書及びヒアリング等の審査を行う役目を担いまして、構成は事業所管部長が指定した統括管理者等で構成をしております。要領に特段の定めはございませんでした。

 次に、プロポーザル方式の選定委員の外部評価、有識者参画の必要性についての御質問でございます。事業内容が高度な専門性にわたる場合につきましては、コンサルタントや専門家に調査を委託するなど、専門的な知見を補って公正性を確保しております。また、選定委員会に専門家が参加することについては、今のところ必要とは考えておりません。

 次に、契約内容の適正な履行を確保する調査、監督についてでございます。区の契約におけます履行確認に当たりましては、契約書、仕様書等に基づきまして、検査員及び立会人による書類検査及び実地検査を実施しております。また、必要に応じて、中間検査の実施や改善指導等によって履行、それから品質の確保を行っておるところでございます。

 最後に、契約履行にかかわるチェック体制の強化についてでございます。桃丘小学校のケースの場合につきましては、賃貸借した相手側の覚書に基づいて、相手方自身の業務を履行するように求めるものでございます。区の業務の履行を委託するものではなく、履行確認と同列に論じることは必ずしも適切というふうには考えてございません。

 なお、そこでの具体的な問題等につきましては、今、裁判が行われておりますので、ここでは答弁を差し控えさせていただきます。

 なお、区の業務を委託する等の契約の場合につきましては、定められた履行確認や検査の手続がありまして、それにのっとって適正に事務が行われているというふうに考えているところでございます。

 以上です。

○議長(北原ともあき) 以上で、ひやま隆議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 篠 国昭

 1 財政運営について

 2 鷺ノ宮駅周辺地区まちづくりについて

  (1)中杉通りについて

  (2)鷺宮西住宅一帯の整備について

  (3)その他

 3 待機児童対策について

 4 小中教員約12時間勤務について

 5 その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、篠国昭議員。

〔篠国昭議員登壇〕

○36番(篠国昭) 第1回定例会に当たり、自由民主党議員団の立場で質問させていただきます。

 質問事項は、1番、財政運営について、2番、鷺ノ宮駅周辺地区まちづくりについて、1番目に中杉通りについて、2番目に鷺宮西住宅一帯の整備について、そして大きな3番目は待機児童対策について、4番目は小中教員約12時間勤務について、その他はございません。

 まず、財政運営について。

 経済政策を評価する物差しは失業率と言われています。国家にとって最大の損失は失業なので、失業を減らすことが財政政策の目的だと言えます。民主党政権時代に5%あった失業率は、今は3%ほどまで下がりました。「アベノミクスによる名目GDPは44兆円増え、過去最高水準、雇用は大きく改善し、全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれている」。1月下旬の参議院本会議で、安倍首相は4年間の成果をこう強調しています。一方、政府が掲げる2020年、平成32年に基礎的財政収支、プライマリーバランスを黒字化するという目標の達成が困難な状況になったと報道されています。

 国とは同一比較できないと思いますが、区の財政状況についても、景気動向による税収減、少子高齢化の進展による医療費や扶助費などの義務的経費の増加など、楽観できる状況ではありません。また、報道された国の状況によって、区財政への何らかの影響もないとは言えないと考えます。特に、これまでも経験しているリーマンショック時など、大幅な税収減の状況になることも可能性としてないわけではなく、危機意識を持った財政運営を行っていくことは非常に重要です。

 中野区において、持続可能な財政運営を続けるためにどのような目標を持って財政運営を行っているのか、お伺いします。

 また、持続可能な財政運営を行うためには、義務的経費の伸びの抑制につながる施策展開が必要です。平成29年度予算において義務的経費抑制に向けた具体的な施策はどのようなものがあるか、お伺いします。

 次に、鷺ノ宮駅周辺地区まちづくりについての1番目として、中杉通りについて。

 中杉通りは、昭和41年7月に都市計画道路補助133号線として、幅員16メートルの道路として都市計画決定しています。線路北側から新青梅街道までの区間については、東京都の都市計画道路の整備方針である第3次事業化計画に選定されていましたが、計画期間中には事業化されず、第4次事業化計画、これは平成28年度から平成37年度までを期間とするものですが、そこに送られました。線路南側から杉並区境までの区間については、平成27年3月に事業認可され、平成32年度末の完成を目指していますが、残り4年間で約700メートルの都市計画道路を完成させるのは至難の業だと思います。線路北側から新青梅街道までの区間の沿線地権者からは、事業に協力するから早く事業化してほしいという地域の事情があります。地域が協力しようとしているところを後回しにすべきではないと思います。今後のまちづくりへの影響が心配されます。後回しにすることなく、私は地域の実情を考慮するのであれば、着手すべきだと思っています。

 現在事業中の中井駅―野方駅間に切れ目なく連続立体交差事業を継続していくためにも、地域の実情をしっかり考慮して、線路北側から新青梅街道までの区間の早期事業化に向け、第4次事業化計画に至急取り掛かるように東京都に働きかける必要があると思いますが、区の見解を伺います。

 次に、二つ目として、鷺宮西住宅一帯の整備について質問させていただきます。

 鷺宮西住宅一帯は、広域避難場所であるとともに、公社鷺宮西住宅と学校再編による統合跡地となる敷地など周辺の公共施設を含めると、中野区に残された広大な敷地です。

 まず一つ目に、この地帯の中心に位置する公社鷺宮西住宅ですが、建築後50年以上が経過しており、一団地の住宅施設という都市計画を変更して建てかえを進めたいと検討しているようですが、接続する道路がないので建て替えが思うように進まないと聞いています。建てかえを進める上でどのような条件をクリアすれば建て替えが進むようになるのか、お伺いします。

 2番目として、鷺ノ宮駅の連続立体交差事業が実現し、駅前広場と都市計画道路補助133号線が整備されると、駅周辺が大きく様変わりすることが想定されます。私は、鷺ノ宮駅周辺の潜在的な可能性を引き出す上で、鷺宮西住宅一帯をまちづくりにどう取り組むことができるかが大きな鍵を握っているように思います。昨年3月に西武新宿線野方駅―井荻駅間が、社会資本総合整備計画に位置付けられたことで連続立体交差事業の実現に一歩踏み出したことに加え、この広大な敷地をまちづくりの中に組み込むとなると、新しい中野をつくる10か年計画に影響が出てくるかもしれません。私は、鷺ノ宮駅周辺地区のまちの課題が解決され、まちがより良くなるのであれば、計画の見直し、将来を見据えて検討したほうがよいと思いますが、区の見解をお伺いします。

 3番目に、鷺宮西住宅一帯は整備するとしても、その敷地の周辺道路の幅員は、中杉通り以外6メートル以上の道路が少なく、4メートルにも満たない狭あい道路に囲まれており、災害時には2万5,000人以上が避難すると計画されておりますが、広域避難場所につながる避難道路としては脆弱です。中野区では、連続立体交差事業を契機として、まちの課題を解決し、鷺ノ宮駅周辺のまちづくりを推進していくには、この地域を巻き込み、東京都や東京都住宅供給公社と連携し、周辺の道路整備など、鷺宮西住宅一帯の整備を進め、広域避難場所として機能させていくような対応を示すべきであると思いますが、区の見解を伺います。

 次に、3番目に、待機児童対策についてお聞きします。

 先日の29年度予算のプレス発表では、28年度の私立保育園の新規誘致が思うようにいかず、来年度4月1日には目標の3割程度、既に話がまとまっていて、来年度途中で開園できるものを含めても4割程度の達成にとどまると聞いています。

 待機児童の問題は全国的な問題となっており、中野区としても力を入れてきたと思います。28年度の当初予算には、認可保育所5施設で約300人程度、その後、第2回定例会での補正予算では、さらに認可保育所8施設、認可小規模保育事業所5施設で約700人の整備を図るとし、合わせて1,000人の保育定員の拡大を目標としていたはずです。27年度は目標を上回る550人程度の定員拡大が図れたと聞いています。しかしながら、年を遡ると、目標に達せず、今年と同様に減額補正を行った年もあったように記憶しています。今年度も大きな目標を掲げ、区としても新規誘致に並々ならぬ努力をしてきたと聞いており、決して手をこまねいていたわけではないと思いますが、保育所の整備は緊急を要するものであり、来年度に向けては待ったなしの状態です。今年度の反省を踏まえ、来年度こそ目標達成に向けて取り組みを加速させなければならないし、その実現のための議論をしていくことが重要です。

 そこで、幾つかお伺いします。

 一つ目として、今年度新規保育所整備に関する事業者から、整備予定件数を上回る相談はあったと聞いていますが、その話がまとまらなかった主な要因は何なのか、お聞きします。

 次に、2番目として、来年度、更に高い目標を掲げていることは評価できますが、それを実現するために、今年度の反省を踏まえ、どのような手立てを打っていくのか、お聞きします。

 三つ目に、既に行っていると思いますが、これほどの目標を達成するためには、事業者からの提案を待つだけの姿勢では足りません。土地などの所有者と事業者のパイプ役となることや、整備用地の情報を得るため、様々な業種との連携も必要と考えますが、いかがでしょうか。

 次に、施政方針の4番目に、生きる力・担う力育成戦略では、近年急増している多様な保育需要に対応するため、待機児ゼロを目指すほか、私立幼稚園において特別な支援を必要とする園児の受け入れの促進を図るとしています。特別な支援が必要な子どもたちが安心して保育や教育を受けられるよう、保育園や幼稚園における受け入れを更に充実させることが重要です。私立幼稚園に対する具体的な支援の内容についてお伺いします。

 大きな4番目として、小中教員約12時間勤務について質問します。

 教員の質の向上は様々あると考えますが、「教育は人なり」と言われるように、やはり教員一人ひとりに帰結していくものです。一方、社会的には、働き方が社会問題となっており、いわゆるブラック企業に代表される残業時間の負担問題があります。そのような中、先日の新聞報道では、教員の平均在校時間が示されていました。これは連合総研の調査によるもので、2015年12月に全国の公立小・中・高と特別支援学級の約5,000人を対象としています。調査結果は、中学校教諭の平均出勤時刻は午前7時25分、退勤時刻は午後7時37分、小学校教諭は午前7時31分に出勤し、午後7時4分に退勤していました。在校時間は、中学校では約12時間10分、小学校では11時間30分に上っています。午前7時以前に出勤している割合は、小学校で7.0%、中学校で12.5%。中学校が早いのは、運動部の部活運動練習に顧問として参加しているためと見られています。退勤も、運動部の顧問は遅い傾向があります。

 ちなみに、連合総研が2007年に民間企業の労働者を対象にした調査によると、職場にいる時間は平均9時間15分だそうです。もちろん教員の職務の特殊性もあり、決められた業務以外に管理職が残業を命じることができない状況があります。また、在校時間が長いことが、すなわち残業時間には直結していないことも理解しています。しかしながら、教員が多くの時間を職務に費やしていることは違いありません。ほとんどの教員は主体的に職務に取り組み、例えば学力向上や部活動などで熱意を持って子どもたちの育成に当たっています。これらの教員の主体的な意欲を否定するものではありません。むしろ学力向上や体力向上など、教員の職務の本質的なところに教員が集中できる環境をつくることが重要であると考えているのです。

 そこで、お伺いします。教育委員会は、このような教員の多忙な環境について、改善のためにどんな対応をしているのでしょうか、お伺いします。

 フィンランドなどの教育先進国と言われる国の学校の先生は、時間通りに帰るのが普通の行動パターンだとお聞きしています。日本の場合、教員がスポーツや音楽の部活動の指導に情熱的に取り組むことが当然視される傾向があります。もちろん先生と生徒の触れ合いや、良好な人間形成につながるよい面もあるわけですが、教員については、勤務時間を大幅に超過するなど、時間的な負荷が大きくなり、結果として教員の職場環境については厳しい状況を招くことが多いわけです。また、指導者がいなくなった場合の継続性に問題があると思います。

 今後は、地域が継続的に学校のスポーツや音楽など文化活動を支える仕組みを整え、その上で教員が関わるように変えていくべきではないか。区は、中学校部活動への支援を行うことも想定して、区内4カ所に地域スポーツクラブの設置を進めていますが、今後の学校での文化的な活動を支える地域づくりについて、区はどのように考えているか、区長にお伺いしたいと思います。

 教員一人ひとりが働きやすい環境の中で力を発揮してこそ、教育の質の向上が図れます。今後の取り組みの充実を願って、この項の質問を終わります。

 以上で、私の質問は全て終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 篠議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、財政運営についてであります。中野区の財政運営は、中野区の言わば身の丈に合った財政規模を基準となる一般財源規模として定め、これを財務規律として予算編成を行っております。経済危機に陥った際など、過去に単年度で50億円近くの一般財源が減収をしたことがあります。この影響が二、三年続くというふうに考えた場合には、社会保障など義務的経費に係る区民サービスを維持するためには、少なくとも100億から150億円の財政調整基金の維持が必要であると、このように考えております。また、今後は、区有施設の改修、改築の経費も見込まなければならない、こうしたことから、施設整備に充てる基金については積み増しを行うことが必要と考えております。今後も、基準となる一般財源規模を超える財源があった場合には、財政調整基金を軸に、特定目的基金も含めて、将来的な備えとして積み立てを着実に行うこととしていきたい、このように考えているところであります。

 義務的経費の抑制に向けた施策はどのようなものがあるかということであります。義務的経費としては、社会保障に係る扶助費や繰出金、また起債の償還額としての公債費などが挙げられるところです。義務的経費における規律としては、財政運営上では、これまで同様に公債費において区の独自指標である公債費負担比率を10%以内に抑えることとしております。平成29年度予算では約5.8%となる予定であります。

 義務的経費の工夫の一例といたしましては、国民健康保険事業特別会計の中で、今年度新たに糖尿病性腎症重症化予防事業に取り組むこととしております。これは、糖尿病を放置することで病状が悪化することを避ける事業であります。このような取り組みを通して、区民の健康意識を上げ、結果として医療費の伸びを抑えることを考えているところです。

 また、介護保険特別会計の介護予防日常生活支援総合事業においては、心身の機能低下のサインを見逃さず体力づくりを行うプログラムを用意しており、健康長寿社会を目指し、結果として介護費用等社会保障経費の伸びを緩やかにするといった効果も期待をしているところであります。

 こういった早期対応や予防的視点を持って義務的経費の工夫に取り組んでいるところでありますが、高齢化社会の進展や、また子ども・子育て施策の拡充に伴う扶助費の増加等、義務的経費の抑制、これは大変厳しい状況にあるというところを感じているところでもあります。

 次に、鷺ノ宮駅周辺地区まちづくりについてであります。いわゆる中杉通り、補助133号線、この線路北側の事業化についてであります。補助133号線線路北側から新青梅街道までの区間の早期事業化、これは地元の悲願でありまして、事業化することによってまちづくりの機運をさらに高めるものと考えております。現在、鷺ノ宮駅周辺のまちづくりについて、地域の皆さんと検討を進めているところであります。この中では、補助133号線の線路北側についても、早期事業化ということを視野に入れた検討が行われているところであります。まちづくりの検討を進める一方で、西武新宿線連続立体交差事業の野方駅―井荻駅間の早期事業化等とあわせて、中杉通り北側の事業についても都に強く求めていきたいと考えているところであります。

 鷺宮西住宅一帯の整備に関連して、この西住宅の建て替えを進める上での条件についてであります。建築基準法や都市計画法等によって、この当該住宅におきましては、そこに取り付く一定幅員の道路が必要であります。この当該団地につきましては、接道要件を満たしていない、このことが建て替えできない大きな要因となっております。これを解決していくというためには、今後、区のまちづくりと東京都住宅供給公社側の計画が十分整合をとりながら進められるよう、公社と協議をしていかなければならない、このように考えているところであります。

 大変広大な敷地を持つ鷺宮西住宅の敷地、これらをまちづくりに取り込むと新しい中野をつくる10か年計画に影響が出るのではないかと、こういった御質問でありました。鷺ノ宮駅周辺地区のまちづくりにおいて、交通広場や地域内の道路ネットワークを計画するなど、都市基盤の再構築、これが必要だと考えております。こういう中で、大きな敷地を持っております鷺宮西住宅、これの建て替えに伴う大きな影響、これについては、区としてもしっかりと計画の中に取り込んで考えていく必要があるだろう、こう考えているところであります。今後、そうした形で、鷺ノ宮駅周辺のまちづくりの検討を進めていく中で、都市基盤整備の方向性が定まっていった場合、10か年計画においても変更が必要となった場合には、当然変更も行っていかなければならない、このように考えているところであります。

 また、鷺宮西住宅、この一帯については、広域避難場所として指定もされているところです。この広域避難場所につながる避難道路の整備についての御質問もありました。連続立体交差事業を契機として、当地域の都市基盤の整備には、都市計画道路補助133号線、中杉通りの整備、それから妙正寺川の改修など、周辺整備の整合を図るとともに、鷺宮西住宅、この計画的な建て替えについても視野に入れることが必要であります。さらに、それに加えて避難道路の整備、これもまた考えていかなければならないということであります。こうしたまちづくりに向けて、今後地域住民の皆様の御理解と御協力を得ながら、さらに検討を深めていきたいと考えているところであります。

 待機児童対策について。保育所整備が進まなかった理由についてであります。今年度、当初予算で予定していた保育所整備に伴う保育定員の確保、これはほぼ達成できたところであります。補正予算で追加した整備予定分につきましては、保育所の整備に一定の期間が必要でありますということや、あるいは保育士の確保に時間を要する、そういったことなどから、年度末までに開設準備が間に合わなかったということであります。今年度のこれまでの取り組みによって、29年度途中の整備につながったものもあります。引き続き整備に向けて最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。

 来年度、整備目標達成のための手立てについてであります。資材費や人件費の高騰に対応し、事業者負担の軽減を図り、保育所整備の促進を図るために、賃貸物件型の施設改修経費、建設物件型の施設整備経費、これらのそれぞれについて、補助基準額の増額や補助率の引き上げ、これを来年度予算案に盛り込んでいるところであります。

 事業者からの提案を待つだけの姿勢では足りないのだと、こういう御指摘がありました。関連業種との連携等についてであります。土地建物所有者に対して、区報やホームページ、チラシで呼びかけるほか、町会連合会や不動産情報を有する業界団体、金融機関等への直接的な働きかけを通じて、保育所整備が可能な用地情報を得、それを保育事業者に積極的に紹介していきたいと考えております。

 あわせて、民有地等を活用した保育所等の整備を進めることを目的に東京都が立ち上げた福祉インフラ民有地マッチング協議会、これを積極的に活用し、そこから得られる物件情報も私立保育園の新規誘致に結び付けていきたいと考えております。

 私立幼稚園における特別な支援が必要な子どもの受け入れに関わる支援についてであります。これまでも私立幼稚園において特別な支援が必要な子どもが在園する場合には、介助の必要度に応じて人員の配置に要する費用の補助を行ってまいりました。平成29年度につきましては、1対1で対応が必要な状態の子どもには、職員1人の配置が可能となる人件費相当分の補助を増額することを考えており、このことによって特別な支援が必要な子どもの受け入れを促進してまいりたい、こう考えております。

 小中の教員の長時間勤務に関連して、学校でのスポーツ活動を支える地域づくりについての御質問がありました。地域スポーツクラブは、現在、中部と南部に運営委員会を設置しており、今後のスポーツ・コミュニティプラザの整備に伴い、区内4カ所に設置する予定であります。地域スポーツクラブの活動として、学校部活動の支援を行うこととしており、外部指導員の育成等を通じて部活動の活性化を図ることによって、部活動顧問の負担軽減にもつながるものと考えております。また、教育委員会においても、文化・スポーツなど、学校支援のための地域との連携の仕組みについて、学校に配置している学校連携担当職員を活用するなどして構築していくことを検討しているところであります。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 教員の勤務環境改善に向けた教育委員会の対応についての御質問がございました。教員の長時間勤務につきましては、教育委員会としても課題として認識をしておりまして、校長会等を通じて、超過勤務の軽減について指導を行っているところでございます。これまで教育委員会では、校務のICT化として、校務支援システムの導入、学校連携担当職員の配置、部活動における外部指導員の拡充等、教員の校務改善のための取り組みを進めてまいりました。今後も職務の効率化に向けた取り組みを推進してまいる考えでございます。

○議長(北原ともあき) 以上で、篠国昭議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後2時44分休憩

 

午後3時05分開議

○議長(北原ともあき) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 木 村 広 一

 1 健康施策について

 2 データヘルスについて

 3 地域包括ケアシステムについて

 4 少子化対策について

 5 行財政改革について

 6 自転車安全運転について

 7 その他

 

○議長(北原ともあき) 木村広一議員。

〔木村広一議員登壇〕

○4番(木村広一) 平成29年第1回定例会におきまして、公明党議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告のとおりで、7のその他はありません。

 初めに、健康施策について伺います。

 区では、区民の誰もが心身ともに健やかで、個人としての尊厳が保たれながら、自立した生活を営めるまち、「健康福祉都市なかの」の実現を目指し、平成16年に健康福祉都市を宣言しました。その保健福祉に係る基本計画として、平成27年度に健康福祉総合推進計画2015、第6期介護保険事業計画、第4期障害福祉計画の三つの計画を今後区が取り組むべき内容として策定しました。介護保険事業計画及び障害福祉計画は、3年を期間とした計画の策定が定められ、平成27年度から29年度までを計画期間としています。一方、健康福祉総合推進計画2015は初年度を平成27年度とし、31年度までの5年間における取り組みを対象としています。

 昨年、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)が策定されました。少子高齢化・人口減少社会への対応など、区を取り巻く社会経済状況の変化を踏まえた新たな取り組み、指標が盛り込まれました。その中には、既存の計画との整合性が必要な内容が散見されています。そこで伺います。

 施政方針で取り上げられた健康寿命の延伸など、10か年で新たに示された取り組み、指標と中野区健康福祉総合推進計画2015の整合性はどのように図っていくのか、お伺いいたします。

 また、区の健康施策の行動プランである中野区健康づくり行動プランは、平成25年度から28年度を計画期間とし、今年度で終了いたします。その行動プランの取り組み、指標の実施状況を検証すべきではないでしょうか、お伺いいたします。

 また、本来はプラン終了前に検証を行い、終了と同時に新しい行動プランを策定すべきでありますが、どのように考えているのか、また、29年度は何を行動プランとするのか、あわせてお伺いし、この項の質問を終わります。

 次に、データヘルスについて伺います。

 データヘルス計画については、平成26年第1回定例会から何度かその推進を要望させていただき、今後の健康施策の大きな柱となると考えています。先日の各常任委員会での区政目標の見直しの報告で、新たにデータヘルス事業を立ち上げ、国民健康保険被保険者を対象とした特定健診・保健指導事業について、保健予防分野から区民サービス管理部に移管し、一体的に推進するとありました。

 区はデータヘルス計画をいつ策定するのか、また、計画期間をどのように考えているのかお伺いいたします。

 今回のデータヘルス事業の見直しは、平成27年の国民健康保険法改正による30年度の国民健康保険の広域化を見越しての対応と考えます。

 国はその広域化に合わせ、保険者努力支援制度を設定しています。保険者努力支援制度とは、医療費適正化への取り組みや国保固有の構造問題への対応の推進を目的としています。具体的には客観的な指標に基づき、保険者としての努力を行う都道府県や区市町村に対し、700億円から800億円の支援金を交付することで、国保の財政基盤を強化する制度となっています。本来は広域化される平成30年度からの実施でありましたが、今年度から前倒しで実施をされています。

 その指標として、国保を含め、協会けんぽ、健保組合など保険者共通として6項目、国保固有として5項目、計11項目が設定をされています。その中にはデータヘルス計画の策定状況の項目もあります。それぞれ配点が決まっており、その配点の合計により交付金が決まる仕組みとなっています。つまり、保険者に対するインセンティブと言えます。

 区は保険者努力支援制度の指標に対してどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

 その指標にあわせ、幾つか取り組みについて伺います。

 まず一つ目として、特定健診・特定保健指導の実施率への取り組みがあります。区の国保特定健診の受診率は、26年度36.1%、27年度35.8%と低い状況が続いています。特に40歳から44歳が20%以下となっています。さらに区では、35歳から40歳までの健康づくり健診を実施していますが、毎年受診率が5%以下と、若い世代の健康への関心が低いのが現状です。生活習慣病を改善するためには、若い世代からの習慣が重要であり、この世代の健康への関心の向上が課題となっています。

 若い世代の健康づくりとして、20歳、25歳、30歳の各年齢を健康づくり健診の対象とし、受診のみならず健康づくりの啓発として推進してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 二つ目として、糖尿病等の重症化予防の取り組みがあります。

 糖尿病は、糖尿病患者と予備軍が全国で2,050万人いると言われ、高血糖や高血圧による心疾患や脳血管疾患に進展するケースが多く、糖尿病はがんの発症リスクを上げることも明らかになっています。

 区では来年度、30人程度を対象とした糖尿病性腎症重症化予防事業を実施する予定となっています。その前段階の対策として、糖尿病予防対策事業を行っていますが、参加者は50人前後であり、重症化前の取り組みとしては十分でないと考えます。

 糖尿病予防対策事業について、各スポーツ・コミュニティプラザを活用するなど、より予防対策事業の規模を拡大してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 データヘルスに関連して、生活保護受給者の健康管理について伺います。

 生活保護受給者の自立のための基盤として、健康状態を良好に保つことは不可欠です。また、医療扶助費の適正化の上でも、生活習慣病の予防や重症化防止のための健康管理が重要です。しかし、受給者の健康データは健診によるものしかなく、その受診率も10%強とデータが不足しているのが現状です。

 まず、データを活用した生活保護受給者の健康管理についてはどのような取り組みをしているのか、お伺いいたします。

 また、低い健診率を補うため、受給者の受給以前のデータ、例えば国保の健診データなど、健康データの入手を検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 また、そのデータ抽出等により、特に糖尿病予防対策事業をより一層活用した支援を行ってはいかがでしょうか、あわせてお伺いいたします。

 指標の三つ目として、加入者に対する予防・健康づくりの取り組みとして、個人のインセンティブ提供実施の項目があります。

 区での個人健康へのインセンティブの取り組みはまだ見えてきていませんが、どのように考えているのかお伺いいたします。

 また、インセンティブにつなげる支援として、健康アプリの作成を検討してはいかがでしょうか。区が作成予定のウオーキングマップ、ラジオ体操マップの活用、また、区内登録者同士でランニングや健康活動の数値をゲーム感覚で競うなど、楽しく運動できるツールとして検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 四つ目として、後発医薬品の使用促進に関する取り組みがあります。区では平成26年から後発医薬品差額通知を開始し、年々効果が上がり、平成27年度では使用率は54.2%となっています。しかし、23区内で比較するとおよそ20位前後と、後発医薬品の使用割合が低い状況です。国は平成32年度までに80%という目標達成を呼びかけていますが、現状の伸び率ですと区では実現は困難と言えます。

 差額通知の回数の増加、また、対象医薬品の一時的変更など工夫をし、後発医薬品推進をより進めてはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 五つ目として、国保固有の指標として、過年度分を含む収納率向上に関する取り組みがあります。平成30年度の広域化に伴い、都が安定的な財政運営や効率的な事業運営の確保などの国保運営の中心的な役割を担い、制度の安定化を図るとされています。区市町村が引き続き保険料を賦課、徴収することになり、より未収金対策が課題となります。国保滞納者には若い方が多いとされていますが、若い方を含め、近年は固定電話所持者が減少し、携帯電話、スマートフォンの登録が多いと伺っています。

 納付率の向上の一つの方法として、また、督促状など郵送経費の削減を図るため、国保加入者の携帯にSMS(ショートメッセージサービス)を活用して滞納通知をするなど検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 この項の最後に、データ活用として協会けんぽとの連携について伺います。

 中野セントラルパークに協会けんぽ東京支部事務所があり、平成26年に区と協会けんぽ東京支部で覚書締結が行われました。中野区の国民健康保険と協会けんぽの加入者の合計は、区民の約半数に達します。そのため、両者の保有するデータを分析することで、区民の健康状況をより正確に把握することが可能となり、今後の健康づくりの効果的な推進が期待されています。

 締結より2年たちましたが、協会けんぽとのデータ活用についてはどのようになっているのか、お伺いいたします。

 また、データ分析による区全体の健康増進はもとより、区内協会けんぽ加入者は、定年後には区の国保に加入することが予想され、加入者の健康促進は区の課題ともなります。区の健診や予防対策事業に協会けんぽの加入者の参加を推奨してはいかがでしょうか、お伺いします。

 区民の健康増進、健康寿命の延伸の実現のため、データヘルスを着実に実施することを改めて要望し、この項の質問を終わります。

 次に、地域包括ケアシステムについて伺います。

 ことし4月から介護予防・日常生活支援総合事業がスタートします。まず、現行相当サービスの事業者インセンティブについて伺います。来年度は介護保険については据え置くと各委員会での報告がありましたが、95%に報酬を下げた上でのインセンティブ加算をするとのことでした。

 介護事業者が利用者の状況を維持・向上させることができた介護事業者の取り組みをより一層評価するインセンティブを検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 総合事業ではさまざまな事業が開始されますが、総合事業の核となっていくのは、住民、ボランティアなどによる事業への参加と考えます。区は、この地域の支え合いの力をしっかりと支援する必要があります。しかし、事業によっては自前の施設がなく、長期的なスケジュールを立てるために会場確保に課題を抱える活動もあります。

 住民主体サービス、介護予防など団体・ボランティアが活動しやすいように、区民活動センター、高齢者会館など区有施設を利用しやすくする、また、他の会場の情報提供をするなど、会場確保を区も積極的にサポートしてはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 そういった団体やボランティア活動をする方、そして、介護をする家族などは、インターネットを活用した情報提供、情報収集を積極的に行っています。紙媒体の情報提供では情報アクセスが限定的であり、情報の更新も伝えにくい課題があります。

 総合事業のさまざまな取り組み、サロンなどの情報提供として、例えばまなVIVAネットを活用し、活動の情報を団体が自由に情報更新でき、マップ上でわかりやすく紹介するなど、インターネットでの情報提供を積極的に支援してはいかがでしょうかお伺いし、この項の質問を終わります。

 次に、少子化対策について伺います。

 先日の少子高齢化対策調査特別委員会の報告で、27年の合計特殊出生率が1.03と23区平均にはまだ及ばないものの、前年の伸び率は平均を上回り、区の取り組みの成果が反映されていると推測できるとありました。しかし、年少人口の動向として、2013年の出生数を1として3年間の転出入を加えると0.936に減少し、23区平均の0.983を下回り、出産・育児の時期の転出超過の傾向が強いと分析できます。施政方針に、子どもを産む世代の定着を図ることが必要とあるとおり、住み続けたいまち中野を目指すためにも、課題を明確にする必要があります。しかし、人口データなど客観的な状況分析は把握できていますが、子育て世帯が住み続けるための意向調査など、何が必要かを十分に調査、分析がされていない現状と考えます。

 的確な分析の上に政策検討できるよう、子育て世帯向けのアンケート調査を検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 子育てしやすい環境づくりについて伺います。

 区では産前産後ケアのサポートを強化し、子育て支援の充実を図っています。そういった中で、子育て世帯への関与、情報提供が増加しています。近年、子育て世帯向けのアプリがふえ、幾つかの自治体でも独自の電子母子手帳サービスを開始し始めました。また、自治体でアプリを開発しなくても、契約により自治体情報を更新、提供できるアプリも出始めています。

 現行の母子手帳に加え、アプリなどの電子母子手帳サービスを検討してはいかがでしょうかお伺いし、この項の質問を終わります。

 次に、行財政改革について伺います。

 平成23年、議員になって初めての一般質問で、PPS(特定規模電気事業者)の推進を要望させていただき、区は平成24年度よりPPSの導入活用をスタートさせました。PPSは、電力料金の削減、CO2排出係数の削減に効果があり、毎年その規模を拡大してきました。

 折に触れ、PPSの積極的推進、特に東京エコサービスの活用を要望してきましたが、PPSの現在の電力調達状況はどのようになっているのでしょうか。また、今後の取り組みをどのように考えているでしょうか、お伺いいたします。

 平成28年4月より電力の自由化がスタートしました。これは一般家庭向けが中心ですが、低圧電力を使用している事業者にとっても、電気料金を見直す機会ともなっています。

 区有施設の低圧施設化が進んでいると伺っています。PPSの低圧施設での活用を視野に入れてはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 次に、区有施設の固定電話、携帯電話などの契約について伺います。

 区では、固定電話、携帯電話などの契約は、本庁舎分での使用は掌握しているそうです。しかし、庁舎外では各所管対応となっており、区有施設全体での契約内容は掌握されていないと伺っています。

 区有施設での固定電話、携帯電話、データ回線の契約のスケールメリット活用、効率化のために、全体の契約内容を掌握し、一元化に向けて検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 また、契約の一元化が実現すれば解消する課題でもありますが、各所管に送られる固定電話、携帯電話、データ回線などの請求書の管理、支払い方法を一元化し、代行するサービスもあります。これにより通信コストの削減、業務効率化を実現した自治体もあります。

 請求書の管理、支払い方法の一元化を検討してはいかがでしょうかお伺いし、この項の質問を終わります。

 最後に、自転車安全運転について伺います。

 都は、平成28年10月に自転車の安全で適正な利用に関する取り組みをさらに促進するため、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例を改正し、今月の2月1日に施行されました。改正のポイントは、自転車小売業者等による販売時などの啓発の義務化、自転車使用事業者等による自転車安全利用推進者の選任、保護者による児童に対する安全利用対策の実施が挙げられます。この自転車使用事業者は民間とともに各自治体も含まれ、条例に定めた自転車使用事業者による研修は努力義務となっています。区では約420台の自転車を保有し、通勤で自転車を利用する職員は約800人と伺っています。

 努力義務とはいえ、区は民間に範を示す立場でもあり、事業や通勤で自転車を使用している職員に対し、区でも自転車安全研修を検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 また、保護者による児童に対する安全利用対策の実施として、具体的にはヘルメット着用と自転車保険の加入が努力義務として、より強化を呼びかけています。地域でお子さんにヘルメットを装着せず自転車を運転する保護者を何度か見かけ、危機意識の低さを実感することがあります。

 保育園、幼稚園、小学校などを通じ、ヘルメット装着の幼児・小学生の保護者への啓発を推進してはいかがでしょうか、お伺いいたします。

 また、幼児・児童のヘルメット装着の推進、啓発を目的として、幼児・児童用の自転車ヘルメット購入補助を検討してはいかがでしょうかお伺いし、全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 木村議員の御質問にお答えをいたします。

 健康施策について。10か年計画と健康福祉総合推進計画の整合性についてであります。中野区健康福祉総合推進計画2015については、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)を踏まえた改定を予定しているところであります。計画に盛り込むべき基本的な考え方について、平成29年度、第8期健康福祉審議会に諮問し、答申を得て改正するところであります。

 中野区健康づくり行動プランの検証及び策定ということであります。中野区健康づくり行動プランの取り組み状況や指標等の検証を行いながら、中野区健康福祉総合推進計画改定の検討とあわせて、新たな計画体系について検討してまいります。

 平成29年度の取り組みはどうするのかということでありますが、これにつきましては新しい中野をつくる10か年計画(第3次)に基づいて取り組みを進めてまいります。

 データヘルスについての御質問、データヘルス計画の策定時期と計画期間についてであります。国保データヘルス計画は、生活習慣病対策等の保健事業を一体的に推進するため、来年度、特定健康診査実施計画と一体的に策定することを予定しております。計画期間は平成30年度から34年度を予定しています。

 保険者努力支援制度についてであります。中野区では既に後発医薬品の使用促進や保険料の収納率向上対策などに取り組んでいますが、来年度はデータヘルス計画の策定や糖尿病性腎症重症化予防事業にも取り組む予定であります。

 健康づくり健診の年齢拡大と啓発についてであります。若い世代の健康診断としては、労働安全衛生法でも35歳を除く40歳未満は血液検査等を省略することが認められていますが、若いときから健康づくりを意識していただけるような知識の啓発等は重要であると考えております。今後、若い世代に有効な健康づくりや知識の啓発などの方法を検討してまいります。

 糖尿病予防事業の拡充について。糖尿病ハイリスク層などへの主体的な生活習慣改善を支援するため、平成29年度、糖尿病予防に着目した健康づくり事業の実施に向けて検討を予定しているところであります。事業の実施に当たっては、スポーツ・コミュニティプラザの効果的な活用等によって、規模の拡大も図っていきたいと考えております。

 生活保護受給者の健康管理支援について。生活保護受給者にはみずから健康の保持及び増進に努める義務があり、区はこれまで生活指導において健康づくり健診の受診を勧奨してまいりました。また、健診結果のデータに基づいて、医療機関の受診指導や糖尿病予防対策事業への参加を促すこととしてきたところです。今後、区は従来の取り組みを継続するとともに、保護開始以前の特定健診に関するデータの入手や、生活保護受給者の健康保持及び増進に関する動機付け等、糖尿病予防対策事業をより一層活用するための効果的な支援のあり方について検討してまいります。

 個人の健康づくりへのインセンティブについてであります。いわゆる健康づくり無関心層に対して、主体的に生活習慣を見直す機会を提供する方策として、来年度、ウオーキングマップの作成や糖尿病に着目した健康づくり施策の検討を通して、スマートフォンアプリの活用についても検討してまいりたいと考えております。

 後発医薬品の使用促進についてであります。後発医薬品、ジェネリック医薬品の使用率は、平成26年度は50.7%、平成27年度は54.2%と向上しているところでありますが、23区の平均使用率よりまだ3ポイント程度低い状況であります。このため、今年度からジェネリック医薬品差額通知の送付回数を1回ふやし、3回送付することとしましたが、短期間に同一内容の差額通知を送付しても十分な効果が得られないことから、生活習慣病などで長期間服用する医薬品のほか、消化器官用薬や血圧降下剤などを対象医薬品に加える工夫などをしているところであります。

 国保料の滞納者への通知にショートメッセージサービスを活用することについて。区では国民健康保険料の収納率の向上を図るために、ペイジーによる口座振替の加入を勧奨したり、コンビニ収納やモバイルレジなどさまざまな納付方法を用意するとともに、滞納者に対しては督促状や催告書の送付だけでなく、電話での納付案内も実施しております。メール等を活用した国民健康保険料の催告の方法については、今後研究してまいります。

 協会けんぽとのデータ活用に関する連携・協力について。協会けんぽとは、健診受診率や健診結果、疾病分類別1人当たり年間医療費などにつき、それぞれが保有するデータの相互比較、検証作業などを行っているところであります。協会けんぽの被保険者も、一定の年数を経て国民健康保険等の被保険者となる、そういうことが見込まれる方たちなので、早い時期からの糖尿病予防対策が効果的だと考えております。このため、協会けんぽとの連携・協力をより密にしながら、区の糖尿病予防事業の周知と事業への参加拡大などを進めていく予定であります。

 次に、地域包括ケアシステムに関連して、介護保険現行相当サービスのインセンティブについての御質問がありました。総合事業の円滑な移行を図るために、平成29年度の現行相当サービスの報酬は現在の報酬と同様とすることにいたしましたが、介護事業者へのインセンティブ、このあり方につきましては、先進的な取り組みも参考にしながら、今後さらなる検討を加えていきたいと考えております。

 私からは以上です。

〔地域支えあい推進室長野村建樹登壇〕

○地域支えあい推進室長(野村建樹) 私からは、地域包括ケアシステムに関連いたしまして、住民主体サービスに対するサポートという御質問にお答えをいたします。 

 地域の団体による介護予防活動や住民主体サービスのための区有施設の利用につきましては、積極的に支援をしてまいりたいというふうに思ってございます。

 また、現在、民間福祉施設が設置いたしますコミュニティスペース、あるいは町会・自治会会館などの地域にさまざまある活用可能な資源情報につきまして、収集を進めております。資源マップ化を進めて、これらについて活動団体に情報提供しながら支援をしてまいりたいというふうに思ってございます。

 また、総合事業関係情報あるいは活動団体の情報につきましては、ウェブを活用した区民への情報提供についても取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

〔政策室長髙橋信一登壇〕

○政策室長(髙橋信一) 私からは、少子化対策における子育て世帯の定住に関するアンケート調査と、行財政改革における通信回線等の一元化についてお答えいたします。

 初めに、子育て世帯の定住に関するアンケート調査でございます。区が毎年実施しております区民意識実態調査では、毎年の定住意向のその理由について継続的に調査を行っており、昨年度の調査において定住意向を示した方は84.1%であり、家族形態別では、親と子どもの2世帯家族に限ってみますと87.8%の方が定住意向を示しているところでございます。中野区に住み続けたい理由としては、買い物や病院などの生活の便や交通の便がよいことなどが主でございますが、一方で、子育て環境や居住環境についてはさらなる充実が求められるところでございます。

 区民意識実態調査での定点的な項目調査を継続し、今後は定住意向の詳細な調査項目の追加も検討いたしまして、定住意向の増加を目指した取り組みにつなげてまいりたいと考えてございます。

 次に、行財政改革におけます通信回線の一元化、支払い業務代行サービスについてお答えいたします。

 本庁舎のダイヤルイン用の電話回線につきましては、利用料金が安価な光回線によるサービス利用をすることでコスト削減を図っているところでございます。また、携帯電話についても、各所管におきまして、使用状況に応じて最も安価な料金プランとするなど工夫をしているところでございます。区の情報システムのネットワークにつきましては、複数のネットワークを物理的に統合することにより、運用管理の効率化や回線コストの削減を図っているところでございまして、これらの取り組みを通して、通信回線の効率的で柔軟な調達が図れると考えているところでございます。

 なお、通信に係る請求書の管理や支払い業務を一元化する代行サービスの導入につきましては、現状においてどのような課題があるかについて整理していきたいと考えてございます。

〔子ども教育部長横山俊登壇〕

○子ども教育部長(横山俊) 私からは、少子化対策のうち、電子母子手帳サービスについてのお尋ねにお答えいたします。

 電子母子手帳につきましては、自治体からの情報をタイムリーに提供することができることや、子どもの健診や予防接種の記録などの保管や活用に便利なことなど、メリットは大きいと考えてございます。今後の子育て相談支援システム等の改修に際しまして、プッシュ型など子育て支援サービスのあり方を整理していく中で検討してまいりたいと思ってございます。

〔経営室長篠原文彦登壇〕

○経営室長(篠原文彦) 行財政改革の質問のうち、特定規模電気事業者、いわゆるPPSに関する質問にお答えをいたします。

 初めに、PPSの利用状況と今後の取り組みについてでございます。区はこれまでにCO2排出削減、それから、電気料金の削減のため、高圧受電施設についてPPSの積極的な活用を進めてまいりました。現在、区有施設のうち、高圧受電施設は85カ所でありますが、このうち約51%に当たる43施設をPPS事業者から電気の供給を受けてございます。来年度以降も、小・中学校を中心にPPS事業者から電力供給の拡充をさらに図っていく考えでございます。

 次に、PPSの低圧施設への導入でございます。区有施設の低圧施設へのPPSの活用につきましては、現在、供給可能なPPS事業者に対して、料金試算等の情報収集を行っているところでございます。今後ガスの自由化も予定されておりまして、電気だけではなくガスも含めた光熱水費の削減について検討していきたいと考えております。

 それから、自転車安全運転の質問がございました。職員に対する研修の実施についてでございます。職員が日々の業務や通勤におきまして、法を遵守いたしまして、自転車の安全運転に心がけることは重要な責務でございます。これまでも庁有の自転車の貸し出し時におきましては、職員に対しまして注意喚起を行っているところでございます。今後は業務のみならず、通勤で自転車を使用する職員も含めまして、都や警視庁発行の啓発用のリーフレット等を活用しながら、さらなる意識啓発に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 自転車安全運転についての御質問のうち、ヘルメット装着の保護者への啓発についての御質問にお答えをいたします。

 まず、児童・幼児のヘルメット装着の啓発についてでございます。現在は区報やホームページ、自転車安全利用講習会や小学校で行っているPTA主催の自転車教室等において、ヘルメット装着の必要性や重要性を啓発しているところでございます。今後さらに保育園や幼稚園、児童館などに啓発用のチラシやパンフレットを置くなどして、保護者への啓発を推進していきたいと考えております。

 次に、ヘルメット購入に対する補助制度導入の検討についてでございます。補助につきましては現在考えておりませんが、今後、他自治体の取り組み事例などを調査してまいりたいと考えております。

〔木村広一議員登壇〕

○4番(木村広一) 健康施策について1点再質問をさせていただきます。

 健康づくり行動プランが、来年度がなくて、そこを10か年の指標を当てていくという話でございました。その中で、福祉総合推進計画を改定とともに行動プランも恐らく策定していくという流れかと思うんですけども、ちょっとその時期がいつごろになるかというのがなかったというか、そこが少しわかれば、行動プランが来年度だけで終わるのか、その先がどうなのかというのを少し教えていただければ、答弁をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 再質問にお答えをいたします。

 健康づくり行動プランについて、健康づくり行動プランという形で改めて策定するのか、全体的な計画体系を整合化させていく中で新たな形になっていくのか、そのことも含めて検討していきたい、こういうふうに考えております。スポーツ・健康づくり推進計画というのを昨年7月に策定したというような経過もあります。この辺少し、計画について体系的な見直しというものをしていく必要があるのかなと、こんなふうに思っているところです。

○議長(北原ともあき) 以上で木村広一議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 長 沢 和 彦

 1 国民健康保険について

  (1)保険料について

  (2)国保の都道府県化について

 2 地域包括ケアシステムと介護予防・日常生活支援総合事業について

 3 教育行政について

  (1)中野区教育大綱(案)について

  (2)学校統廃合と少人数学級について

 4 その他

  (1)都立中野工業高校の建替えについて

  (2)その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、長沢和彦議員。

〔長沢和彦議員登壇〕

○41番(長沢和彦) 2017年第1回定例会本会議に当たり、日本共産党議員団の立場から一般質問を行います。

 初めに、国民健康保険について。

 最初に、保険料について伺います。

 1月の特別区長会で、2017(平成29)年度の国保の基準保険料率が確認されました。被保険者に占める前期高齢者の割合がふえ、調剤医療費もふえることで、1人当たりの医療費がふえるため、医療分の賦課総額が増加するとしています。高額療養費への一般財源からの繰り入れは、2018年度には予定どおり廃止をし、そのことを前提に一般財源の繰り入れ割合を25%とします。その結果、1人当たりの平均保険料が11万8,441円、前年度比7,252円、6.52%の値上げとなり、これで15年連続の値上げになります。しかもこの5年間の中で金額、率とも最高の値上げ幅となります。国の政令改正で、低所得者の均等割の5割・2割軽減の対象をふやしますが、低所得世帯を含め軒並みの値上げです。例えばモデルケース試算では、年収300万円の年金生活2人世帯で22万2,936円の国保料が、1万4,685円も引き上がり23万7,621円にもなります。40歳から64歳の方は、これに各区の介護分が加算されるので、負担はより大きくなります。

 保険料の負担は限界に来ています。現在も約3分の1の世帯がそうですが、中野区の被保険者に占める滞納世帯が一層ふえ続けることになりかねません。保険料だけでなく、医療機関での3割の窓口負担が重くのしかかり、医療にかかれない事態を生むことにもなります。絶対にそうさせてはなりません。保険料の値上げはやめるべきではないですか、伺います。

 社会保険は強制加入が大原則です。国保は、他の公的医療保険の対象とならない人々全てが加入し、皆保険制度を下支えする役割を担っています。保険料負担が困難な人も加入者になることが大前提です。だからこそ、保険料負担については、負担能力に応じた応能負担の原則を徹底しなければ、負担能力の低い人々が社会保険から排除されてしまう。現実に国保の現場で起きている実態です。保険料負担が重く家計を圧迫し、貧困を拡大する要因ともなっています。国庫負担の増額は待ったなしです。

 昨年の12月26日付で厚生労働大臣宛てに、特別区長会会長名で「国民健康保険制度に関する特別区緊急要望について」が提出され、「国の責任において必要な対策を講じられるよう」と要望しています。我が党議員団は、国保制度における国の責任と国庫負担の増額を繰り返し求めてきました。これまで区長は「求めない」と言ってきましたが、このたびの特別区長会による緊急要望には賛意を示し、国庫負担の充実を求める立場に立ったと理解してよいですか、伺います。

 次に、国保の都道府県化について伺います。

 2018(平成30)年度からの国保の都道府県化では、都道府県が財政運営の責任主体として中心的な役割を担うこととされる一方、市町村においても、地域住民と身近な関係の中、資格管理、保険給付、保険料率の決定、賦課・徴収、保健事業等の地域におけるきめ細かい事業を引き続き担うとされています。新制度では、都道府県が1年間の医療費を推計し、国保事業費納付金として自治体ごとに決定することになります。市町村は納付金を100%納付しなければならないため、不足が出れば、一般会計からこれまでどおり法定外の繰り入れが求められることになると考えますが、いかがですか、伺います。

 次に、地域包括ケアシステムと介護予防・日常生活支援総合事業について伺います。

 地域包括ケアシステムをめぐる取り組みでは、医療と介護の連携がかなめであると考えます。地域包括ケアシステムで新しく位置付けられた四つの事業の一つに在宅医療・介護連携推進があります。政府は改定介護保険で、在宅医療・介護連携推進によって、医療提供体制の縮小・再編による病院追い出しの受け皿づくりを期待していますが、そうさせてはなりません。市区町村の役割は地域の現状把握・連携調整等となっていますが、医療は都道府県が医療計画等を所管しており、市町村は権限そのものが少ない上に、医療分野の知識や蓄積が不足しています。また、医療と介護の両方を一括して担当するセクションが市区町村組織内にないところが圧倒的でもあります。厚生労働省や東京都が医療と介護の連携が大切だと唱えても、遅々とした前進しか実現されていません。都・医療、区・介護の壁を取り払うことは果たして無理なのでしょうか。

 お隣の練馬区は独自に地域医療計画を策定しました。その中で、不足している病床確保のための分析と地域医療の課題が整理されています。練馬区が主張するように、医療計画の一部分、病床の回復期と慢性期については、基礎自治体の判断で必要数を決定できるようにすることは、医療計画として検討に値するのではないでしょうか、見解をお伺いします。

 介護予防への総合的な取り組みの考え方についてでは、介護予防ケアマネジメント体制の強化が示され、地域包括支援センター専門職員による訪問体制を含む相談体制の強化が記されています。これまでの介護予防ケアマネジメント、総合相談支援業務、権利擁護業務、ケアマネジメント支援に加え、新総合事業が始まると、在宅医療・介護連携の推進、認知症施策の推進、地域ケア会議の推進、生活支援サービスの充実・強化が盛り込まれました。相談件数の増加で日々業務に追われている中で、虐待ケースへの対応や新総合事業にかかわる取り組みをどうマネジメントしていくのかが大きなポイントになってくると言われています。

 2006年の制度改定では、予防給付のケアマネジメントが発足したばかりの地域包括支援センターに移されたため、他の業務に手が回らず、予防プランセンターになっていると酷評されたことがありました。今回をその二の舞にしてはなりません。

 地域包括支援センターの職員体制の抜本的な拡充を図るためにも、委託料を増額し、区が密接な連携を日常的にとって、行政責任を明確にした運営を行うことは不可欠です。見解を伺います。

 また、地域包括支援センターに対する支援として、すこやか福祉センターの技術的助言とありますが、現場での高齢者福祉・介護に携わってこそ、相談支援業務やケアマネジメント支援等のスキルも身につくのではないでしょうか。

 地域に点在する地域包括支援センターで行われる業務がきちんとマネジメントされるためにも、区内全体を俯瞰してマネジメント機能を強化する必要があると考えます。基幹型の地域包括支援センターを直営にて新たに設けることを検討すべきではないですか。お隣の豊島区では直営の地域包括支援センターがなくなっていましたが、基幹型の包括支援センターの必要性が再認識されて再建されています。

 四つの生活圏域に点在する8カ所の地域包括支援センターの水準を維持・発展させていくことにつながるのではないですか、見解を伺います。

 新総合事業について。中野区では、介護予防・日常生活支援総合事業における介護予防への総合的な取り組み、いわゆる新総合事業を4月から実施するとしています。先日、区民委員会等に報告された「現行相当サービスの進捗状況について」によれば、現行相当サービスは予防給付に係る報酬の95%相当額とする予定であるが、利用者の状態に維持・改善が見られた事業所に対して加算を創設することにより、事業者のインセンティブを促し、区民の介護予防を進めるとしています。ただし、適用は平成30年度以降に実施するとされ、平成30年度以降は報酬を下げて現行相当サービスを実施するというものです。改善を何によって判断するかといえば、要介護度が軽くなればというものです。高齢者の状態はさまざまで、要介護だけでは一律にはかれません。しかも早期改善を求めていくとなれば、事業所のサービス内容の水準確保は欠かせません。今でさえ介護報酬が下がり、介護給付の中でのサービス維持が困難になっています。平成30年度以降についても介護報酬同様の報酬とすべきではないですか、伺います。

 緩和した基準によるサービス(サービスA)の指定事業者の参入は、現在、通所サービスは1カ所、訪問サービスは3カ所だと聞いています。区は指定事業者の参入を期待しているようですが、実情は厳しいのではないですか。安定したサービス提供は期待できないと思われます。国のガイドラインは、専門性を問わない無資格者を大量に活用することを奨励しています。現行介護保険事業者への緩和基準サービスの導入は、ホームヘルプ、デイサービス全体に混乱を与え、その専門性と社会的評価を低め、サービスの質を低下させる可能性があります。生活全般の支援を行うホームヘルパーは在宅サービスのかなめであり、生活援助の担い手の非専門職化としないことが重要です。厚生労働省サイドからも、既存の介護事業者の報酬単価を削るようなサービスをつくるということは、専門職のホームヘルパーの賃金を低下させることにつながり、さらなる介護人材の不足を招く可能性もあるとして、慎重な対応を求める指摘がなされるほどです。

 資格を取る講座を開くことや、積極的に専門職を置くところには補助金を出すなど検討すべきではないですか、伺います。

 住民主体サービスはボランティア等が提供するサービスです。国のガイドラインでは、人員・設備について一切の基準を示しておらず、清潔保持、秘密保持、事故対応などを運営基準に書いているだけです。善意、自発性に基づく行為を、法令に基づくサービス事業に位置付けること自体に無理があります。生活支援にかかわるサービスについて厚生労働省は、生活支援サービス、住民の互助を推進する手段と位置付けています。多様な生活支援サービスが利用できるような地域づくりを市町村が支援するとして、生活支援の担い手の養成・発掘等の地域資源の開発や、そのネットワーク化などを行う生活支援コーディネーターの配置と協議体の設置を行うとしています。生活支援コーディネーターは、住民間のコーディネートだけでなく、地域課題を解決するために必要な資源、施策をつくり出すための役割も期待されるところです。幸い中野区では、区の職員が生活圏域であるすこやか福祉センターと庁内にも兼務ではありますが配置されています。それゆえ、具体的な地域課題の抽出、施策・事業の展開につながりやすいと考えます。

 住民主体サービスは、代替サービスの受け皿づくりとしてボランティア等による互助に期待するのではなく、公的責任を果たしてサービスを確保すべきと考えますが、いかがですか、伺います。

 次に、教育行政について。

 初めに、中野区教育大綱(案)について伺います。

 1月に中野区教育大綱(案)並びに中野区教育大綱(素案)にかかわる意見・質疑の概要が議会に報告されました。中野区教育大綱の位置付けについてお聞きします。

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改定により、当該地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱を定めることになりました。現在、中野区教育大綱(案)に対するパブリックコメント手続を実施しているさなかです。区は議会への報告の中で、教育大綱は基本構想を踏まえた教育部分の指針という形、10か年計画に当たるのが教育ビジョンというものであると述べています。また、教育ビジョン(第3次)では素案の中で、基本構想、10か年計画及び中野区教育大綱と整合性のあるものとして策定としています。

 文部科学省の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律について(通知)」によれば、地方公共団体において、教育振興基本計画その他の計画を定めている場合には、その中の目標や施策の根本となる方針の部分が大綱に該当すると位置付けられることが考えられることから、地方公共団体の長が、総合教育会議において教育委員会と協議・調整し、当該計画をもって大綱にかえることと判断した場合には、別途大綱を策定する必要はないとされています。この通知を読む限りでは、大綱と教育振興基本計画(中野区教育ビジョン)における上下関係はないと思われます。

 そこで伺いますが、一つは、教育大綱と教育ビジョン(第3次)は対等の位置付けであると理解してよいですか。

 二つ目に、教育長及び教育委員は、教育行政が教育大綱に即して運営されるよう意を用いなければならない旨定められていますが、これは教育大綱そのものに強制力があるものではないと理解してよいですか、伺います。

 中野区教育大綱は、中野区の教育に関する総合的な施策について、中野区教育ビジョンで記す目標や施策の根本となる方針であるとしています。さきに触れた国の通知では、大綱の主たる記載事項は、各地方公共団体の判断に委ねられているものであるが、主として、学校の耐震化、学校の統廃合、少人数教育の推進、総合的な放課後対策、幼児教育・保育の充実等、予算や条例等の地方公共団体の長の有する権限に係る事項についての目標や根本となる方針とあり、教育にかかわる外的事項、教育の環境・条件整備を中心としたものであると理解できます。ところが、中野区教育大綱(案)では、目指す人物像を設定した上で、中野の教育のあり方について五つの取り組みの方向性を示す構成としたとしています。ちなみに、東京都教育施策大綱骨子では重点事項を項目別に箇条書きしていますが、構成をよりわかりやすくするためにはこちらを参考にすべきではないですか、見解を伺います。

 中野区教育大綱(案)の内容に触れてお聞きします。中野区教育大綱(案)前文には、「人として生きる上で変わってはいけないもの」の例示や、それを「守るべき人としての根幹的な価値」として記述されていますが、訓示的に感じられ、権利意識を育もうとする意思が感じられません。これらが子どもや若者の姿勢や心のあり方として、普遍的な価値観として捉えようとしているのはいかがなものかと考えます。

 また、「時代の変化を適切に受け止め、より良い社会に向けて変化をリードする。そうした人材を育て、世に送り出すこと」と述べられれば、区が例示として挙げた価値観とあわせ読むと、国や企業が効率的に使える人材育成が中野区の目指す教育なのかと思ってしまいます。

 時代の変化を適切に受けとめるのであれば、子どもの貧困をはじめ、今の子どもや若者がさまざまな困難にさらされ、自尊感情や未来への希望を奪い取られていることに言及し、その状況を切り開き、子どもと若者に希望をもたらす教育をつくり出すことを目標に据えることが必要ではないですか、見解を伺います。

 中野区教育大綱(案)で示す「中野の教育がめざす人物像」なるものは、大綱にふさわしいのでしょうか。例えば「公徳心に富み、社会に役立つ人」とありますが、決めつけの道徳教育という誤解を生みかねません。人間の道徳性は、みずからの行動を点検し、自己吟味する内的規範であるとともに、社会の仕組みや正義がどうであるべきかを批判的に吟味する規範としての側面を持ちます。自己責任論が流布されていますが、社会に目を閉じさせ、社会の不正義を問わないままに、全てを自分の弱さや努力の足りなさとして放置するこの考えは、人間の道徳性の本当の発達を押しとどめるものですらあります。

 また、「家族、わがまち、そして自らの祖国を愛する人」とありますが、家族、我がまち、祖国が住みやすく、居心地がよければ自然に湧いてくる感情であり、目指す人間像としては違和感を持ちます。むしろ、家族形成、異文化に育った外国人とも協力して社会をつくっていく立場からの記述がふさわしいと考えます。

 子どもの権利条約では、子どもを権利の主体として尊重し、子どもの最善の利益を何よりも大切にし、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利などをうたっています。子どもの可能性を最大限に伸ばし、自分も他人も大切にされる存在だと知って、平和で平等な社会をつくる存在に成長しようとする、そうした教育の目指す姿を描くことを盛り込んではどうでしょうか、見解を伺います。

 二つ目に、学校統廃合と少人数学級について伺います。

 学校で35人以下の少人数学級が広がっています。東京都の小池知事は、この課題についてはまだ言及していません。国は小規模校を問題にしますが、ふさわしい教員配置がなされていないことが大きな課題です。国も都も教員の増員と小規模校への配置を積極的に進めていくことが必要です。35人以下の少人数学級を推進し、ふさわしい教員配置をするなら、学力をつける学習面はもちろん、生活面においても効果を発揮することは間違いありません。子どもたちの存在をありのままに捉えるために、大人の目がふえることはよいことです。忙しい教員の報告事項などの事務仕事を減らして、子どもたちに向き合う時間を十分にとることもできます。

 35人以下の少人数学級は世界の常識です。今後、日本においても進められていくことになるでしょう。35人以下の少人数学級に対する評価と今後の見通しについての認識をお聞きいたします。

 現在、小中学校再編計画、学校統廃合が進められています。来年度予算案の中では、普通教室の不足が見込まれる学校について、学級数増設が予算計上されています。平和の森小、白桜小など、我が会派が再三指摘してきた学校の教育環境に係る問題が区内あちこちで顕在化してきています。

 中野区の住民登録者数がふえ、就学児童数の変動の見込み違いもあらわれています。廃校を避けて統合校を希望する児童もふえています。区の都合で子どもと保護者を振り回し、地域にも影響を及ぼしてきました。

 また、統合新校での運動場面積についても、改善が図られるどころか、1人当たりの児童に対する確保すべき面積は狭くなってさえいます。教育上も安全上も適切とは言えず、改善が図られるべき事柄です。前期の再編計画をまともに検証することなく、学校統廃合を進めているのは問題が大きいと考えます。

 今日の社会経済情勢のもとでは、人口減少は続いていきます。一方、都心回帰など東京都の人口動態、中野区の人口微増は10年単位で見ればあるでしょう。その上で、さきに触れた35人以下の少人数学級が展開されることになればどうなるのか。学校統廃合計画は、そうした教育の条件・環境の整備を考慮した上での計画になってはいません。統廃合の基準としているのはあくまで学級数です。35人以下の少人数学級によって学級がふえる可能性は高くなります。統合新校の児童数推計においては、1・2年生を1学級35人としているだけです。10年、20年の期間で見ていけば、当然、他の学年についても1学級35人ないしそれ以下を与条件とした制度設計が必要となるのではないですか。しかし、計画ではうかがい知ることはできません。見解を伺います。

 最後に、その他で1点、都立中野工業高校の建てかえについて伺います。

 来年度の東京都の予算案に、都立中野工業高校の校舎等の建てかえにかかわる基本設計費用が計上されたと聞いています。大規模な工事が想定されますが、本来であれば、基本構想・基本計画などの事前の説明があってもよかったはずです。現在、中野区は当該地域の道路整備を進めていますが、中野工業高校の建てかえに伴い、河川の管理通路の整備や河川改修等も計画として検討もされてくると思われます。

 こうした点について、地元の周辺住民の方々には何ら説明も、情報提供さえ行われていません。東京都が行う事業とはいえ、旧中野区立第六中跡地が更地のままになっていることもあり、周辺住民の方からの問い合わせもあります。

 中野区として、東京都に対して積極的な情報提供を求め、議会や当該地域の町会・自治会、周辺住民の方々に知らせることが必要ではないですか、お伺いし、全ての質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 長沢議員の御質問にお答えいたします。

 国民健康保険について。平成29年度の保険料の改定についてであります。平成29年度の保険料率につきましては、被保険者の高齢化や高額医薬品の使用拡大が進んだことによって、1人当たりの医療費が大幅に増加する見通しとなったことを踏まえ、23区統一の保険料として特別区長会が算定したものであります。低所得の世帯に配慮し、所得割と均等割の賦課割合を据え置くとともに、保険料の均等割軽減判定所得額についても一部引き上げを行っております。国民健康保険制度を持続していくためにも必要な改正であると考えております。

 国への財政負担の要望について。保険料を引き下げるための国庫負担の抜本的な引き上げを国に求める考えはありません。今回の特別区長会としての緊急要望に関しては、医療費の急増などにより国保運営が大変厳しいものになっている現状から、国に国保財政基盤の強化拡充等について緊急要望を行ったものであります。国保財政基盤強化のための財政支援については、持続可能な医療保険制度を構築する観点から、これまでも全国市長会としてたびたび国に求めてきているところであり、区として考え方を改めたわけではありません。

 法定外繰入金について。国民健康保険の広域化の一つの目的は、安定的で持続可能な保険医療制度の運営を確保することであります。平成30年度以降も財源の不足が生じる場合には法定外の繰り入れの措置をとることになりますが、国は一般会計からの法定外繰入金を計画的、段階的に解消することを目的に、都道府県が策定する国保運営方針に、区市町村ごとの赤字解消削減の目標年次及び赤字解消に向けた取り組みの記載を求めております。区としても、他の社会保険の加入者との公平性の観点から、できる限り法定外繰り入れの削減に努めていきたいと考えております。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 教育行政に関する御質問のうち、初めに、少人数学級の評価と今後の見通しについてお答えをいたします。

 中野区では、東京都が定めた基準にのっとり、小学校低学年及び中学校第1学年で35人の学級編制を行っているところであり、これにより児童・生徒にきめ細やかな対応ができていると認識しております。今後も都が定めた基準にのっとり行っていく考えでございます。

 次に、1学級35人を条件とした計画についてでございます。第2次再編計画における統合新校の施設整備計画を進めるに当たっては、その時点における児童・生徒数の推計を幾つかの条件のもとに行っており、多様な学習形態に対応できる学校施設の整備を進めているところでございます。

 なお、1学級の人数につきましては、今お話ししましたように、東京都の学級編制基準にのっとり、小学校については1・2年生のみを35人学級としているものでございます。

〔健康福祉部長瀬田敏幸登壇〕

○健康福祉部長(瀬田敏幸) 私からは、地域包括ケアシステムの医療介護連携に関連いたしまして、区に必要な病床機能と病床数の確保、決定についての御質問にお答えをいたします。

 地域における病院、診療所の病床は、東京都が医療法に基づく医療計画として策定する東京都保健医療計画において基準病床数を定めております。都の計画策定に当たりまして、区の意見を問われる機会には、地域包括ケアを視野に入れまして、地域医療に必要な医療体制の整備に向け、意見を伝えてまいりたいと考えております。

〔地域支えあい推進室長野村建樹登壇〕

○地域支えあい推進室長(野村建樹) 地域包括ケアシステムと介護予防・日常生活支援総合事業についての御質問のうち、私からは地域包括支援センターの体制の充実についてお答えをいたします。

 介護予防に重点を置く総合事業の取り組みにおきましては、基本チェックリストを活用した高齢者の虚弱化の早期発見と、一人ひとりへの丁寧な介護予防ケアマネジメントが重要であるというふうに考えてございます。こうした介護予防ケアマネジメントで中心的な役割を担う地域包括支援センターにつきましては、職員体制の充実を図る予定でございます。

 また、複合的な課題を抱える事例や密接な医療介護連携を要する事例など、いわゆる困難事例に関する地域包括支援センターの対応力の向上、あるいは援助技術水準の維持につきましては、地域包括ケア体制の構築のために設置をしておりますすこやか福祉センターがその役割を担ってございます。新たに基幹型の地域包括支援センターを設置する考えはございません。

 もう一つ、総合事業と公的責任という御質問でございました。住民みずからが参画する住民主体サービスは、既存の介護サービスの代替ではなく、地域における生活ニーズなどの実情を踏まえて、創意と工夫を生かしながら提供するサービスの形態でございます。区ではこうした住民主体サービスの確保につきまして、講習会等で新たな担い手を養成するとともに、団体によるサービスの立ち上げと運営に係る経費助成、また、専門職による技術的助言などを通じて支援を行っていく考えでございます。

〔区民サービス管理部長白土純登壇〕

○区民サービス管理部長(白土純) 私からは、介護予防・日常生活支援総合事業についての御質問のうち、現行相当サービス、緩和基準サービスについてお答えをいたします。

 まず、介護保険の現行相当サービスの介護報酬についてでございます。総合事業への円滑な移行を図るため、平成29年度の報酬は現在の報酬と同様とすることといたしましたが、平成30年度以降の報酬につきましては、平成30年度の制度改正に伴う介護報酬の改定の動向を見きわめて検討してまいります。

 次に、介護保険、緩和基準サービスの専門職配置への補助についてでございます。将来的には介護ニーズの拡大に伴う有資格者の不足が想定されているため、介護サービスの担い手の育成は喫緊の課題であると認識しております。このため区としては、介護資格の取得を支援する助成事業を継続するとともに、緩和基準サービスに従事する中野区認定ヘルパーの養成講座を開催するなど、さまざまな介護ニーズに応じた担い手の育成に努めていく予定でございます。

 また、総合事業の開始によって多様なサービスが提供されることから、身体介護やリハビリが必要な方は現行相当サービスや短期集中サービスを、それ以外の方は緩和基準サービスや住民主体サービスを利用することとなります。したがって、緩和基準サービスへの専門職の配置に対して補助することは考えてございません。

〔政策室長髙橋信一登壇〕

○政策室長(髙橋信一) 私からは中野区の教育大綱(案)についてお答えいたします。

 初めに、教育大綱の位置付け、強制力についてでございます。教育大綱は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づきまして、地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策について、その目標や施策の根本となる方針を、区長、教育委員で構成される総合教育会議での協議を踏まえて、区長が策定するものでございます。

 教育委員会は、教育基本法に基づく中野区における教育振興基本計画として教育ビジョンを定め、教育委員会の所管に属する事務をみずからの権限と責任において管理・執行することとなりますが、区の教育大綱(案)は、総合教育会議において調整がついた事項を大綱に記載してございまして、区長及び教育委員会の双方に尊重義務があることから、教育ビジョンは大綱に沿ったものと考えてございます。

 次に、教育大綱の構成についてでございます。教育に関する総合的な施策について、その目標や施策の根本となる方針を教育大綱で定めるに当たり、まず、人に焦点を当てて記述することがわかりやすい方針となり得るとの判断から、目指す人物像を設定し、この人物像を育むことを目標とした取り組み方針を定めるという構成にしたところでございます。大綱の記載事項などは各地方公共団体の判断に委ねられており、中野区としては、総合教育会議での議論を踏まえ、現在の構成としたものでございます。

 なお、都の教育大綱で示される重点事項等につきましては、区としては、区における教育振興に関する具体的な取り組みとして、区の教育ビジョンの中で議論されているところでございます。

 次に、教育の目指す目標の姿の追加でございます。子どもと若者に希望をもたらす教育については、教育大綱の前文で、「中野区で育つ全ての子どもたちに対し、学校教育、地域活動、行政施策、健康教育などを通して成長のための指導や支援、機会・環境の提供を保障します」と記載してございます。「未来を拓く力を育む教育」という項目の中で、その具体的な内容を示しているところでございます。

 また、子どもの可能性を最大限に伸ばし、自分も他人も大切にされる存在になるという点でございますが、「基礎となる力を着実に身につけるとともに、一人ひとりの個性や関心に応じた発展的な学習」や「多様性を理解し、自他を認め合う社会を目指す教育」や「自他の生命を大切にする」というところで示しているところでございます。

 さらに、平和で平等な社会をつくるという点は、前文で「平和を愛し、人類の幸福を目指す志」を価値観の根幹とし、また、「多様性を理解し、自他を認め合う社会を目指す教育」の項目の中で、多様性の理解や相互に尊重し合う心の教育に力を注ぐとともに、偏見や先入観にとらわれない公平平等な価値観を育むとしてございまして、目指す姿はしっかりと描いていると考えてございます。

〔経営室長篠原文彦登壇〕

○経営室長(篠原文彦) その他の項目で、都立中野工業高校の建てかえについてお答えをいたします。

 都の事業であります都立中野工業高校の再整備につきましては、周辺住民等に対する丁寧な説明をされるよう、今後東京都に対して申し入れていきたいというふうに考えております。

〔長沢和彦議員登壇〕

○41番(長沢和彦) 1点だけ再質問をさせていただきます。

 国民健康保険について、保険料についてでございますけども、区長に御答弁いただいた、国の国庫負担の増額について充実を求める、こういう立場に立ったと理解してよいですかという質問に対して、それはそうではないんだというお話でありました。

 昨年の12月26日の特別区長会の出された緊急要望で、「国の責任において必要な対策を講じられますよう、緊急要望いたします」の記書きの一番最初のところで、「定率国庫負担割合の増や調整交付金の財政調整分を別枠とするなど、国庫負担を充実させ、国保財政基盤の強化拡充」──これは区長がおっしゃられたところですね。「と被保険者の保険料負担軽減を図ること」と、ここのところが新しい部分として盛り込まれたんじゃないかということでお聞きをしたわけでございます。それにつきまして再答弁をお願いいたします。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 要望の趣旨といたしましては、国保財政基盤をしっかりと強化していただきたいと、こういった趣旨であります。

○議長(北原ともあき) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 市 川 みのる

 1 実感の持てるまちづくりについて

  (1)南口駅前広場の活用策について

  (2)西口駅前広場と連担するまちづくりについて

  (3)その他

 2 その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、市川みのる議員。

〔市川みのる議員登壇〕

○35番(市川みのる) 平成29年第1回定例会に当たりまして、自由民主党議員団の一員として一般質問をさせていただきます。

 まず初めに、実感の持てるまちづくりについてであります。これは内容が二つありまして、1点は中野駅の南口駅前広場について、もう1点は中野駅の新しく構想、予定されております西口駅前広場と連担するまちづくりについてであります。あともう1点、その他で中野サンプラザの名称の継承等について触れてみたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず初めに、中野駅南口駅前広場について伺います。

 中野駅南口の改札口を出た正面に、バスの降車専用と表示がしてあるポールが立っていますが、不思議なことに、ここにバスがとまっていることはあまりなく、常にタクシーがとまっています。これは、バスの降車専用ポールの10数メートル東側にタクシー乗り場があって、そこを先頭にして並んだ客待ちのタクシーが、その列が常時このバスの降車専用のポールの場所まで達していることによるものであります。このような状況になれば、このポールの立っている場所でバスをおりることはできません。

 そこで、バスはしばしば客待ちのタクシーの列の外側に停車して、乗客をおろしておりますが、バスをおりた乗客はバスとタクシーの間をすり抜けて駅に向かいます。また、バスの発着便数が多いことから、しばしばバス同士の二重駐車となり、その間を乗客がすり抜けていきますが、そこにタクシーが進入してきたり、さらに後続のバスが来たり、一般車が来たりと、バスの降車客には非常に危険な状況となっております。加えて、タクシー乗り場から出発するタクシーとバス乗り場へ向かうバスとの動線の交差や、ロータリーの東側のスペースに常時出入りしている荷さばき車両との動線の交差など、車両にとっても危険性が高くなっています。また、タクシーの待機場がないことから、ロータリーの周りにタクシーが並び、他の車両が通りにくくなっていることもあります。

 一方、中野駅南口駅前広場から中野通りを出て南に進めば中野南口五差路に至りますが、この区間の中野通りの中野二丁目側、西武信用金庫のある側でありますが、平日朝の8時前後には、沿道の商店への荷おろしの車両が常に何台か路上に停車をします。特に、中野南口五差路交差点近くへの荷さばき車両の路上停車があった場合には、五差路を南方向へ直進する車線が塞がれる格好となって、しかも車線は大久保通りを左折する車線も兼用していることから、しばしば五差路を先頭とした交通渋滞を引き起こしております。結果として、貴重な朝の時間にこの区間を車で通過するのに多くの時間を要し、中野駅南口の地域にとってもマイナスであるばかりか、中野区を含む広いエリアでのある意味社会的な損失ともなっております。

 かねてよりこういった状況を大変憂慮しておりまして、一つの暫定的な解決策として、先ほど申し上げました中野駅南口の駅前広場中央のロータリー、これを改良して生み出されたスペースを、荷さばき車両の駐車や、バスやタクシーの待機場所として利用する、これによっていわゆる駅前広場の危険性がある程度減少するとともに、中野通りに路上停車する荷さばき車両をこの場所に誘導することにより、中野通りの渋滞も解消することができるのではないかと考えております。そして、このことを南口の商店街等関係の皆さんとの合意のもとで地域ルールとして定め、実効性のあるものとしてはどうかということであります。

 一方、南口駅前広場は、今後、中野二丁目地区市街地再開発事業及び土地区画整理事業により拡張及び再整備が予定されています。この拡張及び再整備が実現すれば、現在の南口駅前広場の抱える課題が解決するのはもちろんのこと、利便性や快適性が飛躍的に向上し、中野駅南口一帯のまちづくりに大いに貢献するものとなることは間違いなく、早期の完成が待たれるところでありますけども、新しい中野をつくる10か年計画によれば、完成はステップ4、すなわち平成34年度から37年度の間と示されております。中野区では、南口駅前広場の機能向上や安全性確保などは、この中野二丁目地区市街地再開発事業等の完成により実現されるとの回答を繰り返されておりますけども、完成するまでの間の南口駅前広場の安全確保については全くその考えが見えてきません。

 中野区は、あくまでも南口駅前広場を暫定整備でなく最終形で整備したいとの意向のようでありますけども、そうであるならば、例えば新北口駅前広場に昨年整備されました野方方面行きのバス乗り場、これはどうなのか考えるところであります。まさに区役所・サンプラザ地区の再開発が完成するまでの、これは暫定整備にほかならないわけでありまして、北口は暫定整備がオーケー、南口は暫定整備がノー、これでは理屈が通らないというのが区民感情であると思います。

 中野駅南口広場の安全確保は地域にとって解決すべき喫緊の課題であり、中野通りの渋滞解消についても同様であります。その解決策として、町会、商店会及び関係機関等との協議を重ねて地域のルールを定め、南口の駅前広場を有効活用とする今申し上げた私の提案に対する区の見解、これを伺いたいと思います。

 中野通りの先ほど二丁目側の問題を述べましたが、三丁目側、いわゆる中野駅の南口五差路から中野駅に向かうその動線も、同様に荷さばきの路上停車による渋滞がまま見られることもつけ加えさせていただきます。

 続きまして、中野駅西口の駅前広場に連担するまちづくりについての質問に移ります。

 中野三丁目にありますレンガ坂通り商店街、レンガ坂通りは、私道ではありますが、近年、地元の方々の大変な努力により大変美しく整備されております。夕暮れどきともなると、勤め帰りや学校の帰りにこのレンガ坂を訪れる人が急増しております。両側にあるお店は夜遅くまでにぎわっていて、もはや中央線沿線の名所の一つとなっております。全国各地にレンガ坂という名前の坂は数多くありますけども、インターネットで「レンガ坂」と検索をしてみますと、トップからしばらくずっと数行はこの中野三丁目のレンガ坂に面する店の案内がずらりと出てまいります。それほどに名の知れた坂となってきているわけです。

 ところで、現在、このレンガ坂を含む中野三丁目地区ではまちづくりの大きな動きがあります。平成27年10月に中野区が議会に報告をした中野駅西口地区まちづくり基本方針によれば、このレンガ坂や、今後新たに整備される西口広場等を中心とした約3.7ヘクタールが中野駅西口地区として定められ、まちづくりを推進することが示されました。この中野駅西口地区はA地区からD地区までの四つの地区に区分をされ、レンガ坂の沿道やレンガ坂より南側の桃園通りを中心とした地域はD地区とされ、地区の特性や課題を踏まえ、共同化や建てかえ等に合わせたまちづくりの手法を検討していくこと、あるいは中野駅西口広場から連なる、いわゆる連担する地区のにぎわい軸となる安全で快適な歩行者空間を創出することが報告されました。

 しかしながら、この報告以降今日までの間、このD地区のまちづくりの進捗については議会に特段の報告もなく、地域の方々にお尋ねをしても、まちづくりに関する区からのアプローチは全くないということであります。

 一方、この中野駅西口地区まちづくり方針の中で示されたB地区、これは桃丘小学校跡地から新たに整備される西口広場までの区域でありますけども、このB地区については、地区計画の決定や土地区画整理事業の認可など、具体的なまちづくりが急ピッチで進んでおります。地区によっては進み方が違うのはある程度やむを得ないとしましても、このB地区とD地区の差、違いはあまりにも大き過ぎると私は思います。レンガ坂の沿道を今後どのようなまちにしていくのか、沿道の今のロケーションを大切にしながら、その後背地の木造密集市街地、特に道路が狭隘で、また、桃園会館等を中心とした私道に挟まれたような木造密集市街地、これらをどのようにしたいと区は考えているのか、全くその意思が我々にも地元住民にも伝わってきておりません。これでは、中野駅西口地区まちづくり基本方針を3.7ヘクタールにわたって定めた意味が全くないように思います。

 このD地区につきましては幾つかの課題があります。もちろん道路の幅が狭く、道路斜線制限等により、指定された比較的高い容積率が使いこなされていないことがあります。一方、同じ中野駅西口地区でまちづくりが先行しているB地区につきましては、今後、一部の区域に町並み誘導型地区計画が導入され、壁面の後退や建物の最高の高さの制限などにより、道路の斜線制限を緩和して、土地の有効利用と町並みの統一を図ることが予想されているとも伺っております。例えばそういったことがこのD地区ではできないのか。

 また、レンガ坂の沿道では、先ほど申し述べましたように、各地からの来街者が絶えない魅力的な町並みが形成されています。まちづくりによって、先ほども申し上げたとおり、この町並みを変えてしまうことではなくて、残すべきところは残す、改善すべきところは改善するといった、めり張りのあるまちづくりが大切であると私は考えます。D地区全体を同じような手法でまちづくりを進めるのではなくて、このDの地区の地区内を幾つかのブロックに分けて、それぞれで勉強会等を立ち上げ、ほかにはない、個性ある町並みの形成をきめ細かく誘導していく、そういった方法がよいかもしれない。

 レンガ坂沿道やその背後の後背地に当たる密集市街地などを含むD地区のまちづくりについて、中野区は今後どのようなスケジュールで何をしようとしているのか、伺います。

 続きまして、その他の項で、区役所・サンプラザ地区の再整備に関して1点伺います。

 区役所・サンプラザにつきましては、まちの人々の声を聞いてみますと、新しい区役所、新しいサンプラザといったものに大変大きな期待を持たれていることが聞こえてくることがあります。特にサンプラザにつきましては、何ができるかわからないんだけど、何か楽しいところになってほしいという希望、期待も含まれているかと思われます。

 多くの区民にとってサンプラザは中野のシンボルであり、誇りであり、そして、人生の1ページに刻まれた思い出の場所でもあります。七五三のお祝いや成人式、結婚式など人生の節目の思い出、熱狂したコンサートの思い出、また、ふるさとの新聞を図書室で読みふけった思い出。昭和48年の開業から45年ともなりますと、人それぞれの数多くの楽しかった思い出と郷愁感、哀愁感が残るものであります。

 サンプラザの解体・再整備となりますと、このあたりの区民の思いを大事にしながら、新しい施設への期待を醸成していくことが欠かせないと思います。

 一方で、45年の間に積み重ねてきたサンプラザのブランド、これを使わない手はないと思います。地方で中野を紹介するとき、手っ取り早いのはサンプラザであります。「中野はサンプラザがあるところですよ」、これで通じるわけです。

 このサンプラザを一躍有名にしたのは、私の思うところでは、昭和40年代後半から50年代に盛んに行われたテレビでの歌謡ショー、これの全国中継があるんだと思っています。「本日は中野サンプラザからの中継です」といったアナウンサーの声が、テレビ、ブラウン管から通じて各お茶の間に流れていた、これが全国ネットで流れていた。そういったことが、地元である我々も「中野がテレビに映っている」と言って、うれしく感じた時代もあったわけであります。つまり、中野や中野サンプラザが全国的に有名になることは我々の誇りであり、まちのポテンシャルを引き出す原動力になります。

 整備工事の間の数年間、これは施設がない状態でありますけども、サンプラザのブランドというものは残っていくはずでありますし、新しくできる1万人アリーナへの求心力を持たせていくにも、サンプラザのブランド力を活用すべきではないかと考えます。

 そこで伺いますが、区民の誇りや期待の醸成、また、新しい施設の円滑なキックオフにつなげていくためにも、「サンプラザ」、この名称をうまく活用してはどうかと考えます。また、この名称を継承していくこともあわせて考える必要があると思いますが、区長の御見解をお聞かせください。

 私の質問は以上でございます。どうか御答弁よろしくお願いを申し上げます。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 市川議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、南口駅前広場の安全確保、中野通りの渋滞解消に向けた広場の有効活用についての御質問であります。私も毎日前を通っている場所のお話ですので、大変実感を感じる、そういう御質問でありました。

 中野駅南口広場というのは、現況3,300平米の限られたスペースの中にバスの乗車場4カ所とタクシー乗り場があって、流入車両で混雑をしている状況であります。この中にさらに荷さばき車両を入れるということ、実際には現在入っちゃっているところもあるわけですけれども、これがさらに交通負荷をかけることになるということでありまして、なかなか難しいというふうに考えているところであります。

 一方で、駅前広場内ではタクシー乗り場外側でもバスからの降車が行われている。これは御質問で御指摘のあったとおりであります。降車時の人と車の交錯というのは交通安全上の課題だと、こんなふうに認識をしているところですので、安全の確保に向け、対策を引き続き検討していかなければならない、このことも感じているところであります。

 こうした南口駅前広場の課題につきましては、区はこれまで地元商店街、中野警察署、東京都第三建設事務所と意見交換を行ってまいりました。引き続き、地域の皆様とともに対話をしながら、具体的な検討を進めてまいりたい、このように考えております。

 中野駅、仮称の西口ですけれども、西口の駅前広場と連担するまちづくりについてということであります。

 中野駅西口地区まちづくり基本方針では、地区の実情を踏まえて地区計画を定めてまちづくりを進めていくと、こういうふうにしております。西側南北通路や駅ビルを整備する中野駅地区であるA地区、また、中野三丁目土地区画整理事業によって整備するB地区、これらは事業が具体化をしているので、地区計画をまず定めるということで、現在、地区計画や関連都市計画の手続を進めているところであります。並行して、レンガ坂商店街や桃園通り沿道を中心としたD地区、これにつきましては、現在もそうですし、将来も新しいこのまちの顔となる場所になっていくだろうということだと思います。これらにつきましては、誘導型まちづくりを進めることとして、平成29年度より意向調査やまちづくり勉強会などを通じて地域の意向を把握するとともに、地域の特色や課題を踏まえて具体的な検討を進め、地区計画の策定に向けていきたい、このように考えているところであります。

 それから、中野サンプラザの名称についてであります。

 御質問でもありましたとおり、中野サンプラザは長年の間、交流の場として区民から親しまれ、今も文化を発信し続ける拠点であります。全国的にもサンプラザというと中野、中野というとサンプラザというような形で知られている、大変貴重なブランド力を持っている、こんなふうに認識をしております。このブランドの価値の高さというものについて、その認識を踏まえてやっていかなければならない、こういうふうに思っております。

 区役所・サンプラザ地区再整備では、1万人のアリーナをはじめ、オフィス、商業、ホテル、住宅などの複合用途の開発を想定しているところでありますけれども、全体の開発コンセプトや施設の名称など、次世代のまちづくりをリードするためのイメージ戦略として大変重要なものになってまいります。こうした中での自由な発想というものを阻害するということは、現状ではまだ避けたほうがいいと思いますが、サンプラザという名称とかブランド力の活用、こうしたことも十分に意識をしながら検討していくべきだと、こんなふうに思っております。

○議長(北原ともあき) 以上で市川みのる議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 伊 藤 正 信

 1 平成29年度予算編成について

 2 区民活動センターの改修・改築計画について

 3 大規模公園の管理について

 4 中野区総合防災訓練について

 5 その他

 

○議長(北原ともあき) 次に、伊藤正信議員。

〔伊藤正信議員登壇〕

○32番(伊藤正信) 平成29年第1回定例会に当たり、自由民主党議員団の立場で質問をいたします。

 まず初めに、平成29年度予算編成について伺います。

 区のホームページを拝見したところ、2月8日に平成29年度予算(案)についての区長の記者会見があり、区が来年度取り組む主な事業の発表があったところであります。来年度は、平成28年度に策定した新しい中野をつくる10か年計画(第3次)において区が取り組むべき施策となるものについて、未来への扉を開く八つの戦略の中で着実に進めていくことであります。今年度から継続している待機児童対策や小・中学校改築、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた気運醸成などについても対応していく予算になっているものと考えています。具体的な予算審議は予算委員会で行われますが、予算の概要について予算を編成するに当たって、前提となる区の歳入の一般財源や平成28年度の予算審議でも課題となっていた社会保障経費のうち、増加が続いている扶助費などの傾向についてお伺いいたします。

 一般会計の歳入歳出予算規模は、平成28年度1,283億円余の予算規模から0.8%の伸び、およそ1,293億円であります。平成27年度の過去最高額の1,327億円に次ぐものとなっております。歳入予算では、特別区税は今年度予算から8億3,000万円近く伸びを見込んでおりますが、特別区交付金では今年度比12億円減、3.4%の減額であり、地方消費税交付金についても2億円の減、3%の減額となっています。特別区交付金については東京都の調整三税が基本となります。先日、東京都の予算の発表では、特別区交付金のもととなる調整三税は、海外経済の不確実性などの景気への影響などで2年ぶりの1.2%マイナスとしています。

 中野区における特別区交付金についても連動して減額になったことを受けて、地方消費税交付金なども景気の動向からの影響額が出たものと考えられます。主要となる一般財源についての認識はこれまで述べたようなことであるのか、認識を伺います。

 一方で、特別区民税については増額されており、特別区交付金などとは違った動きとなっていますが、どのように見込んだのか、伺います。

 一方、歳出予算の傾向でありますが、扶助費の伸びが12.3%と増加しています。扶助費は、27年度から28年度にかけても4.8%の増、26年度から27年度にかけては5.6%と増加し続けています。

 子ども・子育て支援新制度などが始まり、扶助費の内容にも変化があったと考えています。社会保障経費は必要不可欠な経費とは考えますが、扶助費の伸びは区の財政運営にも大きく影響を与えるものであり、扶助費を抑えるためにも財政運営の工夫が必要であります。扶助費の伸びについて、どのように実態を把握しているのか、伺います。

 次に、物件費ですが、平成28年度からは4.2%の増となっています。物件費についても27年度から見ると毎年増加傾向にあり、さまざまな拡充事業や新規事業が委託という形で実施されていることが大きく影響しているのではないでしょうかと思います。民間の力を活かすことで、より有意義で効果的な事業を進めるための方策とも考えます。来年度の物件費増加の特徴についてもあわせて伺います。

 区の財政を左右する扶助費の伸び、区の業務を拡充する物件費の伸びを見ながら、今後、区はどのような財政運営を進めていかれるのか、認識を伺います。

 次に、区民活動センターの改修・改築計画について伺います。

 今年度から区民活動センターや高齢者会館について、トイレの洋式化などの改修を進めています。

 区民活動センターは15施設のうち、昭和45年までに建てられた施設が3カ所、昭和50年から63年までに建てられた施設が10カ所、今年度開設された南中野活動センターを除いた中で一番新しい上高田区民活動センターでも築22年を迎えます。高齢者会館は、昭和50年から63年までに建てられた施設が8カ所になると聞いています。

 トイレの洋式化などは、利用する区民が高齢化することからも、要望も強いと聞いております。具体的な改修が進んだり、計画が示されたり、予算計上のある区民活動センターや高齢者会館は、使い勝手もよくなり、安心であります。今後、区民活動センター、高齢者会館を改修する計画は、どういった基準でどのように進めていく予定であるのか、伺います。

 また、改築計画などにより、当面改修のない区民活動センターなどについては、建築計画など早まることがない限り、不便なままでトイレなどを利用することとなります。具体的な計画を区民に示す必要があると思いますが、どのように考えているのか、伺います。

 新しい中野をつくる10か年計画では、東中野区民活動センターは旧東中野小学校跡地を活用して整備されると計画が示されております。昭和区民活動センターは現地での建てかえ、鷺宮区民活動センターは鷺宮小学校再編後の跡地を活用し開設予定、鍋横区民活動センターは、本町四丁目44番の現在、中野警察署に車庫として貸している用地及び鍋横区民活動センター分室の用地に、高齢者会館を持つ施設としてステップ4で整備されると思いますが、中野警察署との賃貸契約は平成31年3月と聞いておりますが、いかがでしょうか。そうであるならば、整備計画を前倒ししていくべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 現在の鍋横区民活動センターは、昭和45年、鍋横保育園と併設して旧出張所がそのまま地域センターとして、地域の人々が自主的に相互に交流を深め、豊かな地域社会をつくるための拠点として建てられました。昭和59年に地上3階・地下1階819平方メートルの増築工事が行われて、現在に至っております。

 平成23年4月からは鍋横区民活動センターと名称が変わり、鍋横町会連合会をはじめとして地域の活動団体で構成する鍋横区民活動センター運営委員会が中野区と業務委託契約を交わして運営をしております。

 地域の自治活動としてさまざまな事業を企画・運営しておりますので、事業によっては大勢の参加者になったり、部屋が手狭になったり、高齢者への昼食会などを行うときは、4階が調理室になっていることから、利用する団体からは食事の運搬が大変苦労するなどの声が寄せられ、多くの方から新しい区民活動センターの建設が望まれております。鍋横区民活動センターの移転する場所は鍋横商店街に位置しており、活動センターを利用する区民が商店街で買い物をすることもふえていくと思います。商店街の活性化にもつながると思いますが、いかがお考えでしょうか、伺います。

 次に、大規模公園の管理について伺います。

 ここ数年で区内に大規模公園が開園されて、多くの区民に利用されています。平成27年6月には白鷺せせらぎ公園が開園され、昨年の28年に南部地域に相次いで、2月に南台いちょう公園、3月に本五ふれあい公園が開園されました。

 そして、今後も、中野四季の森公園拡張用地約0.6ヘクタールが29年度に開園、(仮称)本町二丁目公園約0.6ヘクタールが平成30年度に、(仮称)弥生町六丁目公園約1ヘクタールが同じく平成30年度に開設され、そして、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、区民の健康づくりなどの取り組み向上に寄与するために、新体育館建設を含めた平和の森公園の全面開園に向けた拡張整備を進めて、平成31年度中に完成する予定を目指しております。

 このように大規模公園ができることによって、それぞれの公園での維持管理費は相当な経費がかかってくると思われます。

 まず初めに、大規模公園と言われているそれぞれの公園の維持管理費は年間どれくらい経費がかかっているのか、伺います。昨年開園された南台いちょう公園は、2月をもってちょうど1年たっておりますが、本五ふれあい公園は3月で1年なので、見込み経費を含めてお答えいただきたいと思います。

 今後整備予定される(仮称)弥生町六丁目公園について伺います。

 (仮称)弥生町六丁目公園基本設計(案)では、にぎわいのある公園としての運営と管理コストの低減を図るため、将来的な管理運営に関する民間活用の検討を基本設計に合わせて進めているとのことで、地域の活性化にもつながる公園とするために、また、効果的な民間活用の検討を進めるための基本設計(案)に関する区民との意見交換会等の開催とともに、サウンディング型市場調査を実施し、民間意見の募集を行うこととしております。

 公園整備のテーマとして、1、災害活動拠点となるオープンスペースを確保する、2、四季の変化を楽しみながら憩い、安らぎ、健康を育む森づくり、3、自然とふれあい遊びながら子どもたちの健康を育む空間づくり、4、地域の活性化とにぎわいを創出する公園づくりとしております。

 体験学習センターを設けて、そのセンターを活用して公園をステージにして、多様な自主事業収入により維持管理費を低減していくとのことですが、今までにない区立公園が整備されることになると思いますが、具体的に(仮称)弥生町六丁目公園はどのような公園になるのか、また、従来の公園とどう違うのか、伺います。

 また、南部地域の大規模公園である南台いちょう公園、本五ふれあい公園、(仮称)弥生町六丁目公園の三つの公園をパッケージとした公園の企画運営と管理・運営体制に関する意見を募集し、南台いちょう公園、本五ふれあい公園の多目的広場は、活用方法によっては高い収益性が期待され、また、管理施設を併設する(仮称)弥生町六丁目公園とパッケージで運営することで、常駐性の高い管理が可能となり、禁止事項の少ない公園の提供や魅力ある自主事業の提供も期待されることと思いますが、従来の指定管理者制度との違いや、どのような民間事業者を想定されているのか、伺います。

 今後は、大規模公園に係る維持管理費をいかにして抑えていくことが必要と考えます。今までに整備された大規模公園の維持管理費、これからの整備予定の大規模公園の維持管理費を区としてはどのように考えているのか、伺います。

 最後に、中野区総合防災訓練について伺います。

 東日本大震災が発生して6年になろうとしています。また、昨年4月14日にマグニチュード6.5、最大震度7を記録したのが前震で、その2日後の16日、マグニチュード7.3、最大震度7の本震が発生して、間もなく1年になろうとしております。私ども自由民主党議員団は昨年12月に、熊本地震で被害の大きかった益城町の応急仮設住宅整備、南阿蘇村の大橋落下の現場、熊本城の被害状況や熊本県の復旧・復興プランについての説明を受けた視察をいたしました。202名の死亡者数、住家被害は18万3,000棟にも及び、余震回数も4,000回を超え、いまだに不自由な生活を送る方々が多くいるようです。

 地震大国と言われる我が国では、いつ、どこで大地震が発生してもおかしくありません。国の中央防災会議は、首都圏でも震度6以上の直下地震の発生はある程度の切迫性を有していると指摘しており、政府の地震調査研究推進本部でも、首都直下型地震の発生確率を30年以内に70%としています。大地震が発生したとき、身を守るためには、一人ひとりが日ごろから地震に対する意識を持ち、いざというときのための準備をしておくことが重要であります。

 中野区では今年度より、9月と11月の日曜日、南地域と北部地域に分けて中野区総合防災訓練を行っております。訓練内容に関しても、初期消火活動、災害時の医療開設、救出救援訓練、避難所資器材体験訓練、応急救護訓練、AEDの使い方などに加えて、スタンドパイプによる消火訓練や、防災大声コンテストやサバイバルクッキング試食体験など、気軽にできる訓練も実施することで参加者の増加を図るなど工夫が見られます。

 29年度は鍋横地域と鷺宮地域で開催される予定と聞いております。鍋横地域では6町会の防災会が、鷺宮地域では16町会の防災会が参加をされ、参加予定関係機関も消防署、警察署、消防団、陸上自衛隊や指定公共機関、公的団体、医療機関や中野区と災害時協定締結団体など、多くの団体が参加する予定です。

 そこで、今年度の結果を踏まえ、来年度の総合防災訓練はどのような内容としていくのか、伺います。

 また、区内で外国の方もふえていることから、国際交流協会との連携を深めて、外国の方も総合防災訓練に参加しやすくする工夫が必要と考えます。区の考えを伺います。

 また、来年度は起震車を買いかえる予定と聞いております。そこで、どのような機能が装備されている起震車を導入する予定なのか、伺います。

 また、町会などでは掲示板で広報したり回覧したりして総合防災訓練の周知に努めていますが、防災会の役員さんや同じ顔ぶれの方々ばかり参加されております。区民の防災意識を高めるためには、総合防災訓練により多くの区民が参加することが重要と考えます。総合防災訓練の参加者を1人でも多くふやすための取り組みについて区の決意をお伺いいたしまして、私の全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 伊藤正信議員の御質問にお答えをいたします。

 平成29年度予算編成について。一般財源に関して、特別区交付金の減額の要因などについて御質問がありました。

 特別区交付金は、東京都の市町村民税法人分、固定資産税、特別土地保有税のいわゆる調整三税の総額の55%が23区の交付額の財源となっております。したがいまして、基本的にはこの調整三税の歳入予測が減少した場合には、特別区交付金についても減少する、そうしたことになるわけであります。今回の調整三税につきましては、海外経済の不確実性など景気の影響を想定した上で、東京都が見込んだ1.2%マイナスというような数字に基づいて、私どもとしては算定をしてきているところであります。

 この特別区全体では、今申し上げましたように1.2%の減が見込まれているところですが、中野区における29年度の特別区交付金の見込みについては、前年度比3.4%の減となっております。これにつきましては、まちづくり事業の進捗の中で、財産費相当額が今年度よりも減少したと、こういったような状況ということで、差が出てきたというようなことであります。

 特別区民税収入額の増加要因について。特別区民税は、ふるさと納税の影響により約7億円の減収となりますものの、人口の増などに伴う納税義務者数の増加や平均給与収入の増加、個人住民税の特別徴収推進や滞納整理の推進などによる収納率の向上などを見込み、平成28年度比で約7億8,000万円余りの増というふうに見込んだところであります。

 扶助費、引き続き増加傾向にありますけれども、この扶助費の実態把握についてどうしているのかという御質問でした。扶助費の増加の主な要因ですが、平成29年度から子ども・子育て支援新制度によって、認証保育園に支払う運営経費約7億円について、これまで予算計上の上で、義務的経費の補助費として支払っていたものを、今回、扶助費の扱いに変更した、このことの影響が7億円と大きいものがありました。そのほかに、28年度から29年度にかけて、待機児対策の対応によりまして、認可保育園、認定こども園への運営費にかかわる給付費につきましては、約17億円、30%以上増加していることが大きな要因であると考えているところであります。

 来年度、物件費も伸びとなっております。物件費増加の特徴についてという御質問でした。物件費は、委託料や需用費、備品購入費などの支出を示すものであります。平成29年度に物件費として増加した主な要因は、区民の基本情報を扱う次期住民情報システムや更新時期を迎えた高齢者・障害者の福祉サービスに係るシステム、内部事務管理に係るシステム、これらに対応したところであります。

 扶助費の伸び、物件費の伸びなどを見ながら、今後どのような財政運営を行っていくのか、これについての認識の御質問であります。扶助費など義務的経費や必要不可欠なシステム関連経費などの物件費は、区民サービスの維持のためにも必要であるとともに、その費用については将来においても固定的であります。そのため、予算編成の中では、扶助費等について毎年需要見込みの再精査や適切な執行方法の検証を行っているところであります。また、システム経費などの物件費は、開発や将来的な運用費についても、導入効果やライフサイクルコストなどを厳格に精査し、執行することとしているところです。

 中野区では、従来どおり、区の身の丈に合った財政規模を基準となる一般財源規模として定め、不断の事業見直しを進めながら、財務規律の遵守を今後も続けていきたいと考えております。さらに、将来の財政運営にかかわる公債費については、歳入予算の推移を見ながら、起債発行額についての調整を行い、持続可能な財政運営を進めていきたいと考えております。

 次に、区民活動センターの改修・改築計画についてであります。

 区民活動センター等の今後の改修予定であります。区民活動センターや高齢者会館については、男女共用トイレの解消や洋式化、環境対策としてのLED化とともに、壁や床等の内装改修を行います。また、設備更新の時期を迎える施設については、給排水や電気関係設備についても更新を行うこととして、平成32年度までに順次改修を図り、利用者の利便性、快適性を確保してまいりたいと考えております。改修工事に伴って、休館など一部に施設の利用制限も想定されますので、改修計画につきましては、適宜地域に周知していくよう努めていきたいと考えております。

 鍋横区民活動センターの移転整備についてであります。鍋横区民活動センター移転用地の中野警察署による利用は平成31年3月までとしており、時期に変更はありません。この契約期間満了後につきましては、区民活動センターの移転整備が可能であります。そうしたことから、できる限り早く整備に着手できるよう検討してまいりたいと考えております。

 また、移転に当たりましては、10か年計画でお示ししているとおり、高齢者会館機能や自転車駐車場についてもあわせて整備をすることで、地域のにぎわいや活性化、利便性の向上に資するものとしていきたいと考えているところであります。

 私からは以上です。

〔都市基盤部長尾﨑孝登壇〕

○都市基盤部長(尾﨑孝) 私からは、大規模公園の管理について及び中野区総合防災訓練についての御質問にお答えをいたします。

 初めに、大規模公園の管理についてでございます。

 大規模公園の維持管理費についての御質問がございました。近年開園した大規模公園の清掃、巡回管理及び光熱水費等を含めた維持管理費の平成28年度決算見込みでは、白鷺せせらぎ公園は約555万3,000円、南台いちょう公園は約869万3,000円、本五ふれあい公園は約922万5,000円でございます。

 次に、検討している新たな公園運営形態についての御質問でございます。これまでの公園は、整備して提供し、適正に維持管理するという、公園施設の管理の基本に沿ったものでございますが、厳しい公園利用のルールや利用者の少ない公園など課題がある公園もございます。(仮称)弥生町六丁目公園は、公園と体験学習センターを活用し、指定管理者が自主事業による多様な体験学習、交流プログラム等の企画運営をすることで、公園のにぎわいと地域の活性化を図ることができるよう検討を行っているところでございます。

 また、民間事業者が行う自主事業は、公園を利用した区民参加型企画を想定しておりますが、公園利用の規制緩和と民間事業者の工夫が連携することで、維持管理費低減につながる自主事業を展開できないか検討しているところでございます。

 次に、検討している指定管理者制度の活用についてでございます。これまでの指定管理者制度の活用は、既定の公園ルールと規制のもと、区にかわって施設の貸し出しや維持管理を行うことに主軸が置かれていたものと考えております。現在進めている民間活用の検討では、多目的広場や体験学習センターなどの公園施設を有効に活用し、公園のにぎわいや地域の活性化につながる魅力ある企画を提案し、実施できる事業者を想定しているところでございます。

 次に、今後の大規模公園の維持管理経費への対応についてでございます。公園の魅力を高めながら維持管理経費を低減する手法の導入が急務であると認識しております。多くの来街者が訪れるまちのにぎわい拠点の役割を担う四季の森公園や、人工芝を配した本格的なスポーツ機能を有する南台いちょう公園、本五ふれあい公園など、公園の持つポテンシャルは、設置されている公園施設や公園の規模、立地によりさまざまでございます。したがって、区内の大規模公園を特徴ごとに分類し、それぞれのポテンシャルを最大限に生かした公園運営が必要であると考えております。

 平成29年度から公園の維持管理部門と整備部門を統合するとともに、新たな施策として公園マネジメントを定め、緑とオープンスペースを持つ多機能性をまちのため、地域のため、区民のために発揮しながら、そのポテンシャルを最大限に生かして、公園の魅力向上と維持管理経費の低減を図るべく検討を進めていく方針でございます。

 続きまして、中野区総合防災訓練についての御質問にお答えをいたします。

 29年度の中野区総合防災訓練の内容についてでございます。今年度の総合防災訓練では、スタンドパイプを使用した消火訓練や担架・車椅子を使用した搬送訓練などを自分たちのまちの中で行う実践的な防災訓練を実施するとともに、主会場となる学校では体験できる訓練の種類をふやし、誰でも気軽に参加できるスタンプラリー方式を採用するなど、訓練内容の充実を図ったところでございます。前年度と比較して区民の参加者数が207人増加したこと、参加した区民からは、以前参加した防災訓練よりもよかったなど前向きの評価を得たことなどから、改善の効果があったものと考えております。今回の結果を踏まえ、来年度の総合防災訓練がより充実したものとなるよう、総合防災訓練実行委員会で、区民や防災関係機関とともに検討してまいりたいと考えております。

 総合防災訓練への外国人の参加促進についての御質問でございます。総合防災訓練において、中野区国際交流協会は、多言語センターの開設訓練など、被災した外国人に対する語学支援などの訓練を毎年実施しております。区内に住む外国人の方が総合防災訓練へ参加しやすくなるよう、外国人向けの周知などについて、中野区国際交流協会へ相談してみたいと考えております。

 更新する起震車の機能についての御質問でございます。来年度更新する起震車は、過去の大地震の揺れ方を再現できるようにする機能を持ち、地震の怖さを再認識してもらうとともに、災害時は電源車として電気を供給できる機能を備えた車両とする予定でございます。

 最後に、総合防災訓練の参加者増加への取り組みについての御質問でございます。総合防災訓練の周知につきましては、町会の協力を得て、ポスターの掲示やチラシの回覧を行っているほか、区報やホームページ、ツイッターなどでも周知を図っているところでございます。平成29年度の総合防災訓練はより多くの区民が参加するよう、周知の方法について十分検討してまいりたいと考えております。

○議長(北原ともあき) 以上で伊藤正信議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。

 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(北原ともあき) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時22分延会

 

会議録署名員 議 長 北原 ともあき

       議 員 羽鳥 だいすけ

       議 員 大内 しんご