1.平成29年(2017年)2月28日、中野区議会第一・第二委員会室において開会された。
1.出席委員(42名)
1番 加 藤 たくま 2番 若 林 しげお
3番 日 野 たかし 4番 木 村 広 一
5番 ひやま 隆 6番 山 本 たかし
7番 渡 辺 たけし 8番 内 野 大三郎
9番 羽 鳥 だいすけ 10番 北 原 ともあき
11番 高 橋 かずちか 12番 内 川 和 久
13番 甲 田 ゆり子 14番 小 林 ぜんいち
15番 白 井 ひでふみ 16番 中 村 延 子
17番 細 野 かよこ 18番 小宮山 たかし
19番 広 川 まさのり 20番 い さ 哲 郎
21番 佐 野 れいじ 22番 いでい 良 輔
23番 伊 東 しんじ 24番 平 山 英 明
25番 南 かつひこ 26番 小 林 秀 明
27番 森 たかゆき 28番 石 坂 わたる
29番 いながき じゅん子 30番 小 杉 一 男
31番 浦 野 さとみ 32番 伊 藤 正 信
33番 高 橋 ちあき 34番 大 内 しんご
35番 市 川 みのる 36番 篠 国 昭
37番 久 保 り か 38番 酒 井 たくや
39番 近 藤 さえ子 40番 むとう 有 子
41番 長 沢 和 彦 42番 来 住 和 行
1.欠席委員
な し
1.出席説明員
中野区長 田中 大輔
副区長 川崎 亨
副区長 本田 武志
教育長 田辺 裕子
政策室長 髙橋 信一
政策室副参事(企画担当) 海老沢 憲一
政策室副参事(予算担当) 黒田 玲子
政策室副参事(広報担当) 堀越 恵美子
政策室副参事(業務マネジメント改革担当) 永田 純一
経営室長 篠原 文彦
危機管理担当部長志村 和彦
経営室副参事(経営担当) 朝井 めぐみ
経営室副参事(人事担当) 伊藤 政子
経営室副参事(行政監理担当) 田中 謙一
都市政策推進室長奈良 浩二
西武新宿線沿線まちづくり担当部長 角 秀行
都市政策推進室副参事(産業振興担当) 青山 敬一郎
都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 藤永 益次
都市政策推進室副参事(都立家政駅周辺まちづくり担当、
鷺ノ宮駅周辺まちづくり担当) 菊地 利幸
地域支えあい推進室長 野村 建樹
地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 高橋 昭彦
地域支えあい推進室参事(区民活動センター調整担当)、
鷺宮すこやか福祉センター所長 上村 晃一
地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 酒井 直人
中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 只野 孝子
中部すこやか福祉センター副参事(地域支援担当) 濵口 求
北部すこやか福祉センター所長、
北部すこやか福祉センター副参事(地域子ども施設調整担当) 石濱 良行
北部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 吉沢 健一
北部すこやか福祉センター副参事(地域支援担当) 矢島 久美子
南部すこやか福祉センター所長 相澤 明郎
南部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 伊藤 廣昭
南部すこやか福祉センター副参事(地域支援担当) 森 克久
鷺宮すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 平林 義弘
鷺宮すこやか福祉センター副参事(地域支援担当) 葉山 義彦
区民サービス管理部長 白土 純
区民サービス管理部副参事(区民サービス担当) 吉村 恒治
区民サービス管理部副参事(情報システム担当) 中谷 博
区民サービス管理部副参事(戸籍住民担当) 伊藤 正秀
区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 渡邊 健治
区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 古川 康司
子ども教育部長、教育委員会事務局次長 横山 俊
子ども教育部副参事(子ども教育経営担当)、
教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 辻本 将紀
子ども教育部副参事(子育て支援担当)、
教育委員会事務局副参事(特別支援教育等連携担当) 平田 祐子
子ども家庭支援センター所長、
教育委員会事務局副参事(教育相談連携担当) 神谷 万美
子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当)、
教育委員会事務局副参事(就学前教育連携担当) 小山 真実
子ども教育部副参事(幼児施策整備担当)、
教育委員会事務局副参事(幼児施策調整担当) 荒井 弘巳
子ども教育部副参事(子ども教育施設担当)、
教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 浅野 昭
教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 石崎 公一
教育委員会事務局指導室長 杉山 勇
健康福祉部長 瀬田 敏幸
保健所長 寺西 新
健康福祉部副参事(福祉推進担当) 石濱 照子
健康福祉部副参事(保健予防担当) 水口 都季
健康福祉部副参事(健康・スポーツ担当) 宇田川 直子
健康福祉部副参事(生活援護担当) 鈴木 宣広
環境部長 戸辺 眞
環境部副参事(地球温暖化対策担当) 鳥井 文哉
環境部清掃事務所長 滝瀬 裕之
環境部副参事(生活環境担当) 浅川 靖
都市基盤部長 尾﨑 孝
都市基盤部参事(都市計画担当) 豊川 士朗
都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 塚本 剛史
都市基盤部副参事(地域まちづくり担当、弥生町まちづくり担当) 安田 道孝
都市基盤部副参事(大和町まちづくり担当) 細野 修一
都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 高橋 均
都市基盤部副参事(都市基盤整備担当) 千田 真史
都市基盤部副参事(建築担当) 小山内 秀樹
都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 鈴木 崇
都市基盤部副参事(生活安全担当、交通対策担当) 伊東 知秀
会計室長 古屋 勉
監査事務局長 小谷松 弘市
1.本会の書記は下記のとおりである。
事務局長 小田 史子
事務局次長 古本 正士
議事調査担当係長 佐藤 肇
書 記 関村 英希
書 記 大野 貴子
書 記 細川 道明
書 記 井田 裕之
書 記 冨士縄 篤
書 記 田中 寛
書 記 遠藤 良太
書 記 鎌形 聡美
書 記 松丸 晃大
書 記 香月 俊介
書 記 亀井 久徳
1.委員長署名
午前10時00分開議
○若林委員長 定足数に達しましたので、ただいまから予算特別委員会を開会します。
第5号議案から第9号議案までの計5件を一括して議題に供します。
前回、2月27日(月曜日)の理事会の報告を行います。
初めに、本日の委員会運営についてです。本日の総括質疑の順番は、1番目に伊東しんじ委員、2番目に小林秀明委員、3番目に羽鳥だいすけ委員、4番目に山本たかし委員、5番目に高橋ちあき委員、6番目に久保りか委員の順序で6名の質疑を行うことを確認しました。
以上が理事会の報告ですが、質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○若林委員長 ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○若林委員長 御異議ありませんので、さよう決定します。
ただいまから総括質疑を行いますが、答弁される理事者は答弁前に大きな声で職名を述べるようお願いいたします。
それでは、質疑に入ります。伊東委員、質疑をどうぞ。
○伊東委員 おはようございます。昨日に続きまして、総括質疑を行います。質疑の順番につきましては、通告どおり、最初に戻りまして質問を続けさせていただきます。
それでは最初に、住民情報システムの推進、管理、運営について伺います。
区はこれまで個人情報保護法、中野区個人情報の保護に関する条例に基づき、各種個人情報保護措置を講じてまいりました。その後、番号法の施行で特定個人情報の厳格な保護措置、情報提供に関する安全管理措置が義務付けられ、区は中野区個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例を制定し、これにより区の住民情報は、個人情報、特定個人情報の2段階管理となりました。また、条例のほか、区の情報安全対策体系には情報安全対策基本方針、情報安全対策基準、さらに情報安全対策実施手順があり、これらのうち情報安全対策基準、情報安全対策実施手順は、番号法施行に伴い、特定個人情報の厳格な取り扱いに関するガイドラインにのっとり改定されるとともに、行政運営に重大な支障を及ぼすおそれがあることを理由に非公開とされております。
最初に伺いますが、安全対策基準を非公開とする行政運営に重大な支障を及ぼすおそれとは何を指しているのでしょうか。
○永田政策室副参事(業務マネジメント改革担当) 行政運営に重大な支障を及ぼすおそれの例といたしましては、近年、急速に複雑化、巧妙化しているサイバー攻撃などの脅威によりまして住民情報が流出するような事態を重大なリスクと捉えておりまして、徹底して防止する必要があると考えているところでございます。
○伊東委員 安全対策上、慎重を期すことはよろしいんですけれど、しかし、その範囲についてあまりにも広範囲に及び過ぎて、今回の議会調査等で大層足かせになっているような気がしてなりません。
次に、これら方針、基準、実施手順のほかに情報政策の推進に関する規則や要綱があり、これらについては公開されております。そこで、まず公開されている規則、要綱のうち、最初に情報政策の推進に関する規則の概要と、この規則以外の情報安全対策に係る規則の有無について伺います。
○永田政策室副参事(業務マネジメント改革担当) 中野区情報政策の推進に関する規則は、区の情報政策の推進に関しまして、その推進体制や情報安全を推進するための最高情報安全責任者の設置や、情報安全対策基本方針の策定などを定めることによりまして、情報システムの適正かつ効率的な運用管理を図り、もって情報システムを活用した区民生活及び行政サービスの向上並びに情報システムの信頼性の確保を図ることを目的としてございます。情報安全対策に係る規則はほかにはございません。
○伊東委員 大綱みたいなものでして。次に、公開されている要綱について説明を求め、あわせ、非公開とされている要綱の有無、三つ、たしか公開されているものはあるんですけれど、そのほかにあるかどうか伺います。
○永田政策室副参事(業務マネジメント改革担当) 情報安全対策に係る要綱といたしましては、情報システムの管理運営に関する要綱、基盤システム端末装置のパスワードによる適正使用に関する要綱、住民基本台帳ネットワークシステム運用管理要綱がございまして、情報システムのセキュリティを確保するための手続等を定めてございます。これらの要綱は全て公開されてございます。ほかにはございません。
○伊東委員 この要綱について、細かな内容は問いませんけれど、大変詳細な記載が盛り込まれております。
続いて、情報安全対策基準の概要について、改定の際にのっとったとされます特定個人情報の適正な取り扱いに関するガイドラインに照らしての説明をお願いします。
○永田政策室副参事(業務マネジメント改革担当) 特定個人情報に関する安全管理措置の中で講ずべき安全管理措置として示されておりますのは、組織内の権限と責任を明確にするなどの組織的安全管理措置、職員への教育などの人的安全管理措置、入退室の管理などの物理的安全管理措置及びアクセス制御などの技術的安全管理措置などでございます。一方、中野区情報安全対策基準につきましては、組織体制、情報資産の分類と管理、物理的セキュリティ、人的セキュリティ、技術的セキュリティなど、同様の構成となってございます。
○伊東委員 この国のガイドラインについては、ホームページ等で既に公開されていて、それにのっとった中野区の情報安全対策基準、これが非公開というのもちょっと不思議に感じておるところでございますけれど、先ほども申しましたように、今回の情報漏えいの案件につきまして議会で調査する際に、規則、要綱だけではなかなか、どこに瑕疵があったのかということが調査しにくいということになっておりますので、そこを申し上げておきまして、個人情報不正利用再発防止策で基本方針を見直すこの際、あわせ、安全対策基準も見直し、住民情報安全対策体系を整理し、安全対策基準を公開すべきと考えております。見解を求めます。
○永田政策室副参事(業務マネジメント改革担当) 今回の情報セキュリティ事案を受けまして一斉点検を行い、強化すべき対策を確認するとともに、情報安全対策がより明確で実効性のあるものとなるよう、情報安全対策基準のうち入退域の管理、パスワードやログの管理に関する規定などにつきまして改定を予定しているところでございます。情報安全対策基準を公開するといたしますと、区のセキュリティ対策ですとか、その脆弱性などにつきましても外部の脅威にさらされることとなりますことから、その取り扱いといたしましては、引き続き非公開とすることが適当と考えているところでございます。
○伊東委員 今回の情報漏えいの案件について、議会で、どこに問題があったのかという委員会等でも質疑があるわけですけれど、確かに規則、まあ、規則に基づいて議会として調査というよりは、どちらかというと要綱、要綱には細かな記載があると先ほど申し上げましたけれど、その安全対策基準、これを、基準なんですからね。その下の実施細則はともかくとして、基準ぐらいは公開できるように、内容を振り分けて精査すべきじゃないかということを申し上げているんです。これから見直しをかけるということですから、よくよく検討して対応していただけたらと思っております。
次に、情報セキュリティについて。
消費者庁が平成21年11月に発表した平成20年度――多少古いデータで申しわけございません。個人情報の保護に関する法律施行状況の概要では、平成20年度の事業者からの個人情報漏えい事案の状況が示され、公表されている個人情報漏えい事案は538件とされております。これによると、漏えい形態は電子媒体が40%、紙媒体が60%とされております。また漏えい元については、事業者から直接漏えいが76%、委託先からの漏えいが23%となっております。さらに実際に漏えいにかかわった者については従事者が80%を占め、第三者による漏えいは13%と、大きく上回っているわけです。また、漏えい者と漏えいの原因を見ると、従事者の漏えいにかかわった事案では、意図的なものが3.3%、不注意によるものが72.3%であり、ほとんどが不注意とされる一方、第三者が漏えいにかかわった事案については、意図的なものは11.2%、不注意は1.1%と、意図的なもののほうが多くなっております。これらの調査結果から、システムセキュリティにおいては外部からの不正なアクセス対策と同時に、従事者の過失並びに不正アクセス対策は重要で、そのためのシステムの構築並びに運営管理制度の厳格化が求められると思います。そこで、一般的な過失による情報漏えいの事例と、その対策について伺います。
○永田政策室副参事(業務マネジメント改革担当) 一般的な過失による情報漏えいの事例といたしましては、メール等によりデータを誤って送信してしまうことや、データを入れた記録媒体やパソコンを持ち出し、それを紛失してしまうといったようなことなどが想定されます。その対策といたしましては、機密性の高い情報をメールに添付する場合には、事前に許可を得た上で、添付ファイルについて、暗号化またはパスワードの設定をするということとしてございます。また、情報資産を持ち出す場合にも、同様に事前に許可を得た上で暗号化やパスワードを設定するなど、情報資産の不正利用を防止するための措置を講じることとしてございます。
○伊東委員 実際に重要情報をメールで送るということはあるんですか。
○永田政策室副参事(業務マネジメント改革担当) 業務の内容によりましては、例えば区民の方のお名前などをメールで送るといったような場合もございます。
○伊東委員 その場合は特に暗号化なんかはしていないわけですよね。
○永田政策室副参事(業務マネジメント改革担当) これも個人情報に当たるということで、暗号化をしてございます。
○伊東委員 わかりました。暗号化、またパスワード等によっての管理ということで。なかなか煩雑ではあると思いますけれど、そもそも、あまりメールでそういうものをやりとりしないほうがよろしいのかなという気がしております。
次に、一般的な従事者の不正による情報漏えい事例と、その対策について伺います。
○永田政策室副参事(業務マネジメント改革担当) 一般的な事務従事者の不正による情報漏えいの事例といたしましては、従事者が情報システムなどに不正にアクセスをして情報を盗み出すといったようなことでありますとか、今回の中野区の事例でございますように、業務に関して知り得た情報を不当な目的に使用したことが疑われるといったような事例が想定されます。その対策といたしましては、全ての従事者に対して情報セキュリティ教育を徹底すること、遵守事項等について組織的に管理監督を徹底すること、パスワード、生体など2要素認証によるアクセス制御等の管理を徹底することなど、これらを確実に実施していくことが大切であるというふうに考えてございます。
○伊東委員 ありがとうございます。今、披見していただきました情報漏えい対策、これについては後段でまた質問させていただきます。
続きまして、区もセキュリティリスクを把握し、研修、管理、監視などの対策を講じてきましたが、今般、元臨時職員による個人情報漏えい事案が残念なことに発生いたしました。区は急遽防止策を講じ、発表いたしました。その内容は、情報安全対策委員会は個人情報を取り扱う業務の一斉点検と注意喚起、個人情報を取り扱う業務内容、体制等の確認、個人情報へアクセス管理方法を検討、職員、委託事業者への研修・指導、業務のあり方等の再検討を行うとしております。
ここで伺いますけれど、業務のあり方について、今回の情報漏えい事案の委員会質疑に対して、答弁では、データ入力は専ら臨時職員に任せ、正規職員が窓口対応に従事とのことでした。個人情報の入力等を臨時職員に委ねる理由を、御答弁をお願いします。
○伊藤区民サービス管理部副参事(戸籍住民担当) 戸籍住民分野では、正規職員には窓口業務や申請業務などの非定型的で判断を要する業務を行わせてございますが、臨時職員には非定型的で判断を要する業務を行わせることができないため、届出の確認やデータの入力などの定型的で補助的な業務を行わせてございました。
○伊東委員 そのような理由でそういう対応をとられているようですけれど、重要な情報に関しては、やはり区民の立場から、感覚からしますと、信頼のおける正規の職員の方に扱ってほしい。それができないのであれば、臨時職員が重要な個人情報に接する機会を極力コントロールするということが大切なのではないかと考えております。
次に、個人情報の不正利用に係る再発防止方針の情報安全に係る実施体制について、挙げられております7項目は、通常はどのような方法、頻度で行われているのかをお尋ねします。
○永田政策室副参事(業務マネジメント改革担当) 今回の一斉点検につきましては、情報資産の取り扱い状況、情報システムの管理状況、委託事業者による個人情報の取り扱い状況などに関する100項目ほどのチェックシートを用いて、自己点検により緊急的に実施したところでございます。日常的な情報安全に係る実態把握につきましては、これまで年に一度ほど自己点検を実施してございました。平成28年9月からは情報セキュリティマネジメントシステムの体制を構築いたしまして、全庁において内部監査を年に一度、実施することといたしました。このISMSの仕組みを適切に運用することによりまして、情報セキュリティポリシーの遵守状況について客観的に把握し、監査結果や課題を共有することで、改善すべき課題について、職員一人ひとりが問題意識を持って継続して改善に取り組むようにしていきたいと考えているところでございます。
○伊東委員 今回、7項目の総点検を行ったわけですよね。改めて、事案が発覚した後。その総点検の結果、重要な瑕疵というのは見つかったんですか。
○永田政策室副参事(業務マネジメント改革担当) 遵守事項の全体としては、おおむね適切に運用されているということでございましたが、その中でも、やはり入退域の管理でありますとか、パスワードの管理でありますとか、情報機器の操作上の点検等について、さらに徹底すべきであるといったような課題が見つかったという状況でございます。
○伊東委員 そういったことから、重大な瑕疵は見つからなかったと。ただ、細かな点で改善が求められるというような項目が見つかっているということで、防止策で6項目ほど挙げられておりますけど、実際の取り組みについて、今後のですね、説明をお願いします。
○永田政策室副参事(業務マネジメント改革担当) 一斉点検で把握された課題を踏まえまして、各職場におきまして、管理職による職員への指導・監督を改めて徹底することとしたほか、区民の個人情報を取り扱う住民情報端末のあるエリアにおきまして不正な情報の持ち出しが行われないよう、メモ用紙の管理やスマートフォン等情報機器の使用に関するルールを徹底させたところでございます。また、あわせて安全対策基準の改定を予定しておりますほか、生体認証につきましては、2月上旬から順次稼働してございまして、操作ログの効率的かつ有効なチェック方法の確立につきましては、住民情報システムについて、今年度中に操作ログを確認できるようにしてまいります。また、監視カメラにつきましても、補正予算の審議をいただきながら、順次設置を予定しているところでございます。
○伊東委員 これから再発防止策を構築していくという中ですので、細かいことはまた別に機会があればお尋ねしますけれど、なれというのが大変怖いものでして、今回も長年の業務に携わる中で、ついつい業務の繁忙さから、逆にセキュリティのほうがおろそかになったんじゃないかなと想像します。
次に、臨時職員の任用と職員に対する情報安全に関する研修等について伺わせていただきます。
今回、個人情報漏えい事案で個人情報を不正盗用した住居表示申請業務補助従事者は、臨時職員とされております。そもそも臨時職員が従事する職務について、今回の事案の当該臨時職員はどういう扱いだったんでしょう。
○伊藤経営室副参事(人事担当) 臨時職員につきましては、区の条例におきまして、短期間の業務に従事させる職、季節的業務に従事させる職、育児休業中の正規職員の代替として従事させる職というふうに規定してございまして、このたびの臨時職員は、短期間、また季節的業務の職ということでございます。
○伊東委員 他の委員の質疑でも、そうした臨時採用ということは必要というのは一定理解しております。それで、現在の臨時職員の募集、審査、任用の仕組みについて、説明をお願いします。
○伊藤経営室副参事(人事担当) まず人事担当におきまして、一般事務職の場合では、区報では年3回程度、ホームページでは年間を通じまして募集を行うほか、保育園など事業所では独自にポスター等を作成して募集をしている場合もございます。応募につきましては、履歴書の持参や郵送、電子申請によって行うことができます。人事分野におきまして、応募者を登録者として名簿を作成しまして一括管理をしてございます。登録有効期間は1年間としてございます。臨時職員が必要な各分野におきまして、登録者の応募書類によって、適当と思われる人材を選定します。電話等によって連絡をとりまして、面接を行っていただきます。その面接の結果を受けまして、経営室で任用の可否を決定し、手続を行っております。
○伊東委員 取材の中で伺ったお話ですと、書類による登録、その際の登録の方法というのは一般的な履歴書による登録ということですけれど、もうちょっと、そうした個人情報に接する機会の多い場所ですから、その分野分野、担当担当でいろんな人材を求めていると思いますので、その登録の仕方というのはこれから検討の余地があるんじゃないかと思っております。
次に、情報安全対策基本方針で、最高情報安全責任者は、新規採用職員を対象にした情報セキュリティ対策に関する研修設置や、職員へ所定研修の履修を行うこととなっております。また、地方公務員法第39条や中野区職員研修規則にも職員研修の定めはあるものの、情報セキュリティに関する特段の記載はなく、研修実態について把握ができない状態であります。今回、再発防止方針では、職員教育の再徹底を行うとし、臨時職員の緊急研修、任用時研修の制度化や職員管理監督者の個人情報保護等の研修強化を行おうとしています。このことから臨時職員の任用時研修、遵守事項説明の制度はあるものの、形骸化し、十分に機能していなかったことがうかがえます。また、職員管理監督者の個人情報保護等の研修も十分に機能していないのではないかと危惧されます。そこで、情報安全研修を統括する最高情報安全責任者は誰がその任についているのか、伺います。
○伊藤経営室副参事(人事担当) 最高情報安全責任者は本田副区長でございます。このたびの事案を受けまして、緊急に情報安全対策委員会が招集されまして、研修体制を含めた事案の検証、対応策について検討を行ってまいりました。
○伊東委員 本田副区長が統括されていると。その下、実際の研修の実務を担っているのは、具体的には人事分野なのか情報システム分野なのか、それとも各部部長ないしそれぞれの事務を担任する統括管理者、執行責任者、いずれなんでしょうか。
○伊藤経営室副参事(人事担当) 研修につきましては、人事分野、業務マネジメント改革分野、情報システム分野、行政監理分野それぞれにおきまして、説明会や集合研修、eラーニング、自主学習の資料配布等、単独または共同で実施しております。
○伊東委員 それぞれが分担しているということで、大体の研修の概要は今お話しいただいたようですので。今回、改善すべきだと思っている点はありますか。
○伊藤経営室副参事(人事担当) まず、臨時職員につきましては、これまでの業務の中においてOJTの形で研修を実施してきておりましたが、これをきちんと任用時に一定の時間をとって研修をするということで制度化するというふうに考えております。それから、先ほど御答弁申し上げましたように、さまざまな関連部署、専門部署で人事分野も含めまして研修してございますので、これらを総合的に一つの研修のカテゴリーとしまして、全職員が最低1回以上はきちんと研修をする、そういうふうな意識づけですとか、制度化をしていきたいというふうに思っております。
○伊東委員 取材いただいているうちに、これからどのように情報セキュリティを再構築していくかという部分で、真剣さは受けとめております。ただし、申し添えておきますのは、マイナンバー導入に伴いまして、昨日の他の委員の質疑にもありましたように住民基本台帳、これまでは個人情報であったものが、そこに個人番号がついたということで、特定個人情報に変容していると。番号法ではその管理が非常に厳格に求められているということを念頭に、改革に取り組んでいただきたいと思っております。
次に、情報漏えい事案が生じた戸籍住民分野に伺います。
今回の情報漏えい事案で当該臨時職員が住居表示申請業務補助に携わっていたのは平成26年10月から平成27年3月の間で、この間に個人情報を不正に盗用しております。この住居表示事務は、かつては都市整備部建築分野の所管事項でありましたが、平成23年の住居表示台帳の電子化に伴い、区民サービス管理部戸籍住民分野に所管替えされております。そもそも住居表示とは何を目的とし、台帳記載されている事項について特段の定めはあるのでしょうか。実際に区の住居表示台帳に記載されている項目について説明を求めます。
○伊藤区民サービス管理部副参事(戸籍住民担当) 住居表示は、町名、街区符号、住居番号であらわされ、住まいや事務所などの所在地を表示するために、住居表示に関する法律に基づき住居表示制度が定められてございます。住居表示台帳は、街区ごとに作成した街区内の建物の住居番号が確認できる台帳で、記載事項に関しては法令等に特段の定めがございませんが、住居表示の運営管理を目的として、基本情報であります建物の位置、主たる出入り口、住居番号、建物名称などが記載されてございます。
○伊東委員 建築主の名前は入っているんですか。
○伊藤区民サービス管理部副参事(戸籍住民担当) 建築主の名前も入ってございます。
○伊東委員 ちゃんと答弁をお願いしますね。住居表示事務を戸籍住民分野に移した理由は、住民基本台帳の参照の必要性からなんでしょうか。要するに、住居表示として住民基本台帳を見る必要があるのかどうか。
○伊藤区民サービス管理部副参事(戸籍住民担当) 建物を新築した際、新築届により住居表示が住居表示台帳及び住民基本台帳に登録されることになりますが、この届け出がないと住居表示が住民基本台帳に登録されておりませんので、転入届などがあった場合、住民登録ができない状態になります。戸籍住民分野で住居表示事務を担当すれば、新築届があった場合、住居表示台帳への登録後すぐに住居表示を住民基本台帳に登録できます。また、転入届があり、新築届がなされていないことが判明した場合、現地調査などを行い迅速に対応できます。これらのことから、事務の効率性、正確性、区民の利便性を考慮して、平成24年度に建築分野から戸籍住民分野に住居表示事務が所管替えになってございます。
○伊東委員 注意しておいてくださいね。今の御答弁ですと、住民登録、異動等の手続上、住居表示台帳の参照の必要性を御説明いただいていますけれど、住居表示事務から住民基本台帳等の参照、それについて御答弁いただいているわけではなく、逆に、ちょっと手間になるかもしれないけれど、別の参照の仕方も考えられるのかなという疑問を持っているところでございます。そういった意味で、二つのシステムですね。住居表示と、それから住民基本台帳、このシステムは独立しているのか、不要な連携がないのかどうか、お伺いします。
○伊藤区民サービス管理部副参事(戸籍住民担当) 住居表示事務では、住居表示システムを使用して住居表示台帳の管理を行ってございますが、このシステムは個別システムで、住民情報システムとは物理的に完全に分離されてございまして、住民情報システムとの情報連携はございません。
○伊東委員 システムは独立しているんですけれど、事務を行う際に、取り扱っている端末からは両方の情報をかいま見るというか、閲覧することは可能ということなんですよね。ですから、そうした部分で、多分、今回の臨時職員による不正な盗用が生じてしまったんだと思うんですけれど、その当該職員、臨時職員に付与されていましたID、パスワードで立ち入れた個人情報の範囲、これについて御答弁をお願いします。
○伊藤区民サービス管理部副参事(戸籍住民担当) 当該臨時職員が住居表示申請事務補助に携わった時期においては、住民基本台帳の基本情報でございます住所、氏名、生年月日、性別などでございます。
○伊東委員 住居表示につきましては、そうした情報を、事務を扱う上では必要ない情報だと思います。ですから、そういった意味では、個人情報の厳格な管理が不徹底だったというような気がしてなりません。
それと、今御答弁いただいた中で、ここ近年、住居番号の付定件数なんですけれど、大体1,000件余で推移している中で、それほど臨時職員を雇ってまで行うような業務には思えないんですけれど、逆にそうした意味から、その臨時職員に住居表示以外の仕事、事務を担任させていたということはないんですか。
○伊藤区民サービス管理部副参事(戸籍住民担当) 当該臨時職員が戸籍住民分野の住民記録担当に配属されていた際、従事していた業務は、住居表示申請事務のほか、全体実態調査事務であり、当該臨時職員はこれらの事務補助を行ってございました。住居表示申請事務補助では、当該臨時職員は建物の新築届に伴う住居表示や、建物名の登録作業などを住民情報システムや住居表示システムの業務端末で行っていたほか、区内街区表示板の張りかえが必要な箇所の特定のために、街区表示板の劣化状況調査も行ってございました。全体実態調査事務補助では、当該臨時職員は住民基本台帳法に基づいて住居の居住実態を把握するため行われる全体実態調査の事前準備作業として、区役所に返戻された郵便物に関して、既に転出していないかどうかなどの確認作業を住民情報システムの業務端末で行ってございました。
○伊東委員 その辺、しっかりと管理するのが特定個人情報の管理だと思うんですよ。おっしゃられるように、住居表示の申請業務補助の範囲と、戻ってきた返戻の書類等のチェックというのはまた別の事務だと思うんですね。番号法においては、特定個人情報を扱う人間の登録、監督、それをしっかりしなければならないと。番号法では全項目評価、項目評価ですね――を行って、それを届け出て公表するということを行っています、中野区も。ただ、職員の扱いについてはそういう部分が少しおろそかになっているのではないかなと疑問を生じてなりません。戸籍住民分野の職員について、しっかりとした階層的アクセス制御は行われていたんですか。
○伊藤区民サービス管理部副参事(戸籍住民担当) アクセス権限は、証明担当、住民記録担当などといった業務により指定してございました。その指定以外の業務に関するデータにはアクセスできないようアクセス制御を行ってございました。
○伊東委員 だから、さっき言ったように特定番号を扱っているんですから、他の委員の答弁でありましたように、今後はもうちょっと事務の内容を精査して、しっかりと階層的アクセスコントロール、それをしていただかなければいけないと思います。今度の見直しでしっかりそれに取り組んでいただけるんですか。
○伊藤区民サービス管理部副参事(戸籍住民担当) 今後については、さまざまな面で検討いたしまして、アクセス制御に関してもできるだけ検討していきたいと考えてございます。
○伊東委員 できるだけじゃだめなの。法律で決まっているんだから。それ、肝に銘じてもらわないと、今度の見直しで。しっかり全庁的にその辺取り組んでいただきたい。これは戸籍住民分野だけじゃなく、個人情報、特定個人情報を扱う全庁、そうした思いで今回の見直し、しっかり取り組んでいただけますようお願いします。ありがとうございました。
次に、中野区住民情報システム全体最適化計画について伺ってまいります。
区の住民情報系システムは、レガシーシステムの持つ課題に加え、政策やニーズ対応のため、都度、システム改修分散化を進めた結果、複雑化、分散化し、事務記録の重複により、その管理が極めて非効率となっておりました。そこで、全体最適化計画が策定され、将来的に地域情報プラットフォームの導入を目標に、段階的にシンプルで高効率なシステム構築が目指され、その第1弾が平成21年に行われましたレガシーマイグレーションでありました。最初に、平成21年に行ったホストシステムのマイグレーションの内容と、その投資額について伺います。
○中谷区民サービス管理部副参事(情報システム担当) レガシーマイグレーションというのは、レガシーは遺産、マイグレーションは移植という意味の英語を組み合わせたIT用語でございます。平成21年度に実施したレガシーマイグレーションでは、それまでホストコンピュータで職員が長年自己開発してきたプログラムをそのままウィンドウズサーバーなどのオープン環境に変換しまして稼働させてございまして、ハードウエアのオープン化を行ったというものでございます。その背景としまして、大手ベンダーが開発したホストコンピュータとそのソフトウエアはベンダーが独自に開発したものであったため、競争原理が働かずにコストが高どまりしていたということから、オープン調達によるITコストの削減が求められていたということがございます。マイグレーションを行った後はハードウエアの調達で競争原理を確保した結果、調達コストを大幅に削減することができてございます。マイグレーションにかかった初期投資としましては、約2億7,900万円でございます。
○伊東委員 その後、平成26年にももう住民情報システムサーバーのリプレイスが行われていると思います。その内容と投資額並びに現行のサーバーシステムの概要について、説明をお願いします。
○中谷区民サービス管理部副参事(情報システム担当) 平成26年度にリプレイスを行った住民情報システム用サーバーなどにつきましては、5年間のリース契約を締結してございまして、1年間で約3,000万円の賃借料がかかってございます。また、これらの機器などの保守委託料としまして、1年間で約2,500万円の費用がかかってございます。サーバーシステムの概要としましては、オンラインサーバーやデータベースサーバー、バックアップサーバーなどで構成する本番環境のほかに、プログラムの開発環境や本番適用前にテストを行う環境などで構成されてございます。
○伊東委員 そのほかにも統合仮想サーバーの構築やサーバーの集約化、分散系システムの再編等が進められているようですが、その進捗、費用対効果、現在のシステムの全容が示されておりません。住民情報系システム最適化計画策定時に比べ、システムの全容がどのように再編最適化されたのか、それにより要したコストと調達以前に比べ年間のランニングコストの削減額、いわゆる費用対効果についてお尋ねします。
○中谷区民サービス管理部副参事(情報システム担当) 住民情報システムはマイグレーションの結果、ハードウエアのオープン調達が可能となったことによりまして、住民情報系システム全体最適化計画策定時には、システム運用経費が1年間で約4億9,000万円かかってございましたが、平成29年度予算では約1億3,700万円となってございまして、年間で約3億5,300万円、約70%のランニングコストを削減できてございます。また、平成23年度から平成28年度までの運用経費は、合計で約19億1,400万円削減することができております。費用対効果の点から言いますと、約2億7,900万円の初期投資に対しまして、6年間で約16億3,500万円の削減効果があったというふうに考えてございます。この計画策定当時のシステム運用経費は、ハードウエアの賃借料が全体の82%と大きなウエートを占めておりましたが、現在は39%になってございます。
○伊東委員 技術革新で、時代とともにハードに関する投資額というのは小さくなるんですけれど、その分が逆に維持管理費等で物件費として出ていくということ、これを十分にこれからも精査していただかなければいけないかなと思っております。
次に、次期情報システムの再構築、今、目指されておりますけれど、その見直しの時期なんですけれど、現在稼働しているシステムのサーバーOS、これが、保守が切れる段階で行うとされています。実際にその新たなシステムの構築というのは、現行システムのほかに新たなサーバーを用意して構築するということなんですか。
○中谷区民サービス管理部副参事(情報システム担当) レガシーマイグレーションを行った際に、ホストコンピュータで職員が開発してきたプログラムをオープン環境に変換しましたが、その変換を行うためのプログラムがドットフレームという製品でございます。このドットフレームに対するサポートがサーバーOSのサポート期限である平成32年1月に終了するため、その前までに次期住民情報システムの構築を行う必要がございます。次期住民情報システムの構築に当たりましては、御指摘のとおり、新たなサーバーOSを搭載したサーバーを導入して構築を行うことになってございます。
○伊東委員 この先、新庁舎の移転ということが検討されております。そうした中でも、やはり新庁舎のほうで稼働するシステムというものも当然生じてくるでしょうから、そうしたものも視野に入れて、次期情報系システムの構築を目指していただきたいと。
その際導入されます地域情報プラットフォームについて、目的と効果について伺います。
○中谷区民サービス管理部副参事(情報システム担当) 地域情報プラットフォームとは、さまざまなシステム間のデータ連携を可能にするための標準仕様のことでございまして、各システムが準拠すべき技術面、業務面のルールが定められてございます。地域情報プラットフォームに準拠した製品を導入することによりまして、データ連携に係る開発コストの削減や、システム調達時に複数の事業者による競争性を確保することによりコスト削減が図れるほか、さまざまな情報システムの連携によるワンストップサービスの実現などの効果が期待できるものでございます。
○伊東委員 ありがとうございました。時間のほうも少なくなってまいりましたので。
この件につきましては、再発防止策、これからも、所管は多分区民委員会になろうかと思います。自民党といたしましても、今後の見直しについて注視してまいりたいと思いますので。先ほど指摘させていただいたように、全庁気持ちを引き締めて臨んでいただきたいと思っております。ありがとうございました。
ちょっと超過するかもしれません。U18プラザ上高田廃止に伴う区有施設のファシリティマネジメントについて伺います。我が会派のいでい議員がファシリティマネジメントの視点から、商工会館を例に区の考え方をただしたのに続き、私もU18プラザを事例に、ファシリティマネジメントについて伺ってまいります。
ことし1月、区はU18プラザの廃止の時期を平成29年度末として、その後の施設等の活用について考え方も発表され、関係地域団体に説明が始まっております。区の考え方では、U18プラザ上高田を廃止後、民設民営の保育所、学童クラブの誘致、子育てひろば事業の展開を目指すとされ、この方針説明に対して既にさまざまな声が聞こえてきており、方針にもさまざまな課題、疑問が存在しております。
最初に、U18プラザ上高田廃止後の活用の考え方に対する地域、施設利用者からの意見はどのようなものがあったんでしょうか。
○平田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 地域の声でございます。これまで運営協議会や地区町会連合会などで御説明してきた中では、ボランティアの活動場所はどうなるのか、すこやかでと言われても、中部すこやかは遠い。また、乳幼児親子の居場所が途切れないようにしてほしい。既存保育園の建てかえで園庭を仮園舎として使うのはやむを得ないが、U18プラザ上高田の建物は壊さず、地域で活用させてほしいなどでございます。
○伊東委員 そうした区民の声を踏まえて質問を続けさせていただきますが、U18プラザ上高田は築年数もさほど古くなく、10年ほど前には設備改修も行われております。廃止後の跡活用の考え方に基づけば、施設は解体されることになります。そこでお尋ねします。当該施設が建設された年次は何年なんでしょうか。
○平田子ども教育部副参事(子育て支援担当) U18プラザ上高田の建設年度でございますが、平成元年でございます。
○伊東委員 大体28年前ということはバブル経済真っ盛りということで、当時建設に要したコストは、今に比べれば相当割高なものになっていたんじゃないかと思っております。当時建設に要した費用と、その後改修に要した費用、現在の固定資産台帳における直近の評価額について伺います。
○田中経営室副参事(行政監理担当) U18プラザ上高田の建設に要した費用でございますけれども、1億5,600万円余でございます。また、その後改修に要した費用につきましては、平成18年度に冷暖房設備の更新を行いまして、その費用は1,400万円余でございます。また、固定資産台帳における最新の資産価値でございますけれども、平成28年3月末現在で8,300万円余となってございます。
○伊東委員 初期あるいは改修等で1億7,000万ぐらい費やして、現在8,000万の残存価格があるという中で、まだ築30年に満たない建物。今のファシリティマネジメントの考え方で言えば、あと30年ないし40年ぐらいもたせたいなというような施設を、今回の考え方では取り壊して、新たな施設をそこに導入したいというのは多少疑問に感じているところでございます。今回、U18プラザ上高田廃止後の跡活用では、前述のとおり、三つの異なる事業の展開が示されております。この事業について順次伺おうと思っておりますが、最初に、民設民営保育所誘致について伺います。
区は待機児童解消に積極的に取り組んではおりますが、需要増に供給が追いつかないで、待機児童数はふえていることから、今後もしばらくは小規模を含め保育所誘致が必要なことはわかっておりますが、だからといって、地域間の偏在を見ずに保育所誘致を進めることは、保護者の負担をふやすことにもつながる懸念がございます。この2年間ほどの間で、U18プラザ上高田がある区内北東部では保育所開設が進み、133名ほどの保育定員が増加し、さらに年内に70名を超える定員の保育所の開設が予定されていると聞いております。また、当該施設近隣には、あさひ、昭和といった区営の保育所もございます。しかし、いずれもこの両園、築50年を迎え、建てかえが迫られている中で、建てかえ用の仮設園舎のめどが立たないといった地域事情もございます。こうした地域事情を考慮すると、U18プラザ上高田隣接の児童遊園にプレハブ仮設園舎を建て、保育所2園を順次建てかえ、建てかえに合わせて保育定員をふやせば、U18の既存施設はそのまま活用でき、区にとって効果的な施策になると考えております。区の見解を伺います。
○荒井子ども教育部副参事(幼児施策整備担当) 御指摘の地域におけます新規の私立保育園の誘致については進んでいることは承知してございます。しかしながら、保育園につきましては、当該地域以外にお住まいの方々も御利用されるという施設でございまして、区全体として保育需要の拡大が進んでいる中では、一定の保育定員の確保は今後も図っていく必要があるというふうに考えてございます。また、区立保育園の建てかえによります民設民営化を進める中では、保育定員の拡大も図っていく考えでございます。これに伴います仮設園舎の整備でありますとか、今回の跡活用による私立保育園の誘致につきましては、現在考えているところでございまして、こうした区の考え方につきまして、地域にも十分説明し、御理解を得られるように対応してまいりたいというふうに考えてございます。
○伊東委員 保育所の建てかえについては上高田に限った課題ではなく、区はこれまでも遊休施設・土地を活用し仮園舎を用意し、待機児童対策を講じてきました。今後はさらなる可能性追求のため、用地特別会計で保有ないし取得する土地の暫定利用も、そうした仮園舎の手配の関係で検討してみてはいかがかと思っております。具体的に申しますと、29年度予算用地特別会計で13億でしたっけ、13億7,000万ほど費やして取得しようとしております上高田五丁目の国有地、そちら、確かに隣接には上高田運動公園というものがございますけれど、そことの総合的な公園整備というものを視野に入れて取得されるんでしょうけれど、当初、区がもくろんでおりました当該国有地、これは3分の1ほどしか今回は取得できない。残り3分の2については、まだ国が手放す方針を示していないということがございますから、公園として最終的な整備まで時間を費やすんじゃないのかなというような気がしてなりません。そうした視野を広げた取り組みをお願いしたいと思っております。
この項の残り、民設民営学童クラブの誘致についてですが、これは時間の関係で、分科会のほうに回してまいりたいと思っております。
また、もう一つ子育てひろば事業、これも厚生分科会分担分でございますので、そちらで質疑をさせていただきたいと思っておりますが、先ほども申し上げましたように、残存価格が8,300万ほどですか、あるU18の建物、これを取り壊さずにどうにかうまく活用できないのかというのが一つ、それから、もともとU18プラザ上高田は、前身は昭和児童館でございました。ですから、当時はそこで児童館と学童クラブというものを、実際に事業を行っていたわけですから、その施設をうまく活用すれば、そのまま学童クラブとして活用できる可能性は十分持っているわけですし、児童館の機能がキッズ・プラザに移行している現在は、そこで子育てひろばを事業展開するには十分なスペースがあるかと思っております。また、そうした子育てひろばを行うに当たりまして、国としても、厚生労働省の地域子育て支援拠点事業にメニュー、補助要綱が出ております。そうしたものを活用して、子育てのネットワークとして地域の活性化を目指していけたらなと思っておりますので、その辺は分科会のほうで細かく質問させていただきます。
もう一つ、残ってしまっております区民活動センターの什器備品と情報化推進について、これも私が所属しております厚生分科会の所管でありますので、そちらのほうで細かく質問させていただこうと思っております。
取材に御協力いただきました皆様に心より御礼申し上げまして、全ての質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○若林委員長 以上で伊東しんじ委員の質疑を終了します。
次に、小林秀明委員、質疑をどうぞ。
○小林(秀)委員 公明党の立場で総括質疑を行います。質問は順番を入れかえて、1番、災害・救助対策について、2番、空き家対策について、3番が保育園の待機児童対策について、4番、児童相談所について、その他はありません。よろしくお願いいたします。
最初に、災害・救助対策について。
中野区は、昨年度から区民と中野区の職員が協働で災害時の避難行動要支援者の避難支援の仕組みをつくっております。しかし、避難支援の仕組みをつくっても、避難行動の要支援者を安全に、そして避難支援をする人の負担を軽減する機材がなければ、避難支援の仕組みは機能しないと考えております。そこで伺います。災害時の避難行動要支援者など自力で避難できない人を搬送する機材として、区はどのようなものを配備しているのか、お伺いいたします。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 区は、災害時避難行動要支援者など、自力避難ができない方を搬送するために、担架、車椅子、ヘルパーカー、レスキューカーなど、人を乗せて搬送する機材と、あと自力避難ができない方を背負って搬送する背負い式救助脱出用具、いわゆる成人用のおんぶひもでございます。こういったものを配備しております。
○小林(秀)委員 今お答えいただいた機材の多くは、屋外で使用するもののように思われます。そういう機材も必要ですけども、建物の中から屋外へ搬送する機材も必要であります。こちらをごらんください。写真を出させていただきます。これはエアーストレッチャーという階段で人をおろすための担架型の機材であります。見てのとおり持ち上げる必要はなく、引きずるように搬送するのでございます。力がない人でも搬送ができます。自動で空気が入って、ショックを和らげる仕組みになっておりますので、運ばれる人も段差のショックを感じません。これを使えば、エレベーターがない共同住宅や、停電でエレベーターが使えない場合であっても、安全、そして楽に何度でも避難行動要支援者を地上までおろせます。既に多くの自治体や病院などで採用されているので、実績もあります。また、避難行動要支援者を安全に、さらに避難支援をする人、区民の負担軽減のためにも、中野区はこれからの機材の導入については検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 災害時は停電などによりエレベーターが使用できない可能性が高いことから、多くの建物で階段を使用して避難行動要支援者を地上へおろす必要があると想定しております。区は避難行動要支援者を建物の中から屋外へ搬出する機材といたしまして、背負い式救助脱出用具、いわゆるおんぶひもを配備しておりますが、おんぶひもは避難行動要支援者の体重がかかりますので、避難支援する方の負担も大きいものと考えております。御提案の機材を含めまして、避難支援する人の負担軽減を図る搬送機材につきまして、検討していく予定でございます。
○小林(秀)委員 災害・救助対策について、これは終わります。
次に、空き家対策について伺います。
近年、住む人がいなく、管理の行き届いていない空き家がふえ、また、空き家がもたらす悪影響を懸念する声が多くなりつつあります。家屋の腐食による倒壊の危険や、ごみの放置、不法投棄など衛生上の問題、害虫などの増殖や不法侵入や、また、放火を心配するなどの治安のおそれ、道路の通行上の影響、景観上の問題などが挙げられます。区内においても、今にも倒れそうな状況の空き家が何件か私の地域にもあり、地域の方々から不安の声を聞いております。この空き家問題に対して、国は平成27年5月に空家等対策の推進に関する特別措置法、別称、空家対策特別措置法が全面施行されました。まず、法の趣旨である空家対策特別措置法の目的とは何か、確認とともに伺います。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 空家特措法の目的でございますが、適切な管理が行われていない空き家等が地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることから、地域住民の生命・身体・財産の保護、そして生活環境の保全及び空き家等の活用を促進するため、自治体は空き家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉増進と地域の振興に寄与すること、これを目的としてございます。
○小林(秀)委員 空き家対策の特別措置法には、空き家等の定義を、居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物とその敷地としています。しかし、この表現では基準がわかりにくいことから、年間を通じて使用されていないことが指針として打ち出されました。区が把握しようとしている空き家とは、約何カ月使用されていない空き家を指すのか、伺います。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 国の指針に基づきまして、空家特措法が示す空き家とは、使用されていない状態がおおよそ1年間続いているものであるというふうに定義がされております。区としましては、この考え方にとどまらず、使用されていない期間が1年に満たないものであったとしても、利活用可能な空き家につきましては、情報の把握をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○小林(秀)委員 また、特別措置法は全ての空き家を措置の対象にしておらず、周辺への影響が大きい空き家を特定空き家と定義しております。これはどういうことなんでしょうか。具体的にお願いいたします。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 空家特措法により示されております定義によりますれば、特定空き家等とは、そのまま放置すれば倒壊するおそれがあるなど、著しく危険な状態である、あるいは著しく衛生上有害となるおそれのある状態であるもの、もしくは著しく景観を損なっている状態、周辺の生活環境を保全するためには、そのまま放置することが不適切である状態、こういった空き家について、特定空き家等と定義がなされております。
○小林(秀)委員 この立法の趣旨を受けて、倒壊などのおそれがある危険な空き家や適切な管理が行われていない空き家などに対して、区として具体的な対策を講じていく必要があります。我が国の住宅と、そこに居住する世帯の居住状態で、世帯の保有する土地等の実態を把握し、その現状と推移を明らかにする調査として、住宅・土地統計調査というものもあります。5年ごとに取りまとめられますけれども、最も新しい統計調査が平成25年次の調査で、平成27年、確定値が発表されたものでございます。
23区と比較して空き家の状態を見ると、空き家率の最も多い区が豊島区の15.8%、続いて大田区14.9%、千代田区14%、そして中野区は13.8%の4位となっております。空き家の内訳として、腐朽・破損のある空き家が豊島区の3.5%を筆頭に、足立区、渋谷区、港区、板橋区、新宿区で、この7位に中野区では2.4%です。腐朽また破損のない空き家は大田区の12.6%に続いて、豊島区、千代田区、そして中野区は4位で11.4%になっております。腐朽・破損のない空き家が多くあります。どのような空き家対策を打ち出すにしても、まずは中野区内における空き家の現状を把握しなければ、対策や措置を講じることができません。空き家の所在地と、所有者の把握に必要な調査や情報の提供を求めることができると法には規定されています。区は、空き家の現状をどこまで把握されているんでしょうか。また、現状把握のためにどのような取り組みをされているのか、お伺いいたします。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 区では現在、区内全域におきまして、空き家等の実態調査を行っているところでございます。調査結果につきましては、今年度中に空き家データベースとして取りまとめを行う予定としてございます。
○小林(秀)委員 現状を把握した上で、区は対策が必要な空き家を選別することになります。所有者に対して適切な管理を促進するため、情報の提供や、その他必要な援助を行います。そして、特に対策が必要な著しく保安上の危険となるおそれがある空き家、著しく衛生上有害となるおそれがある空き家を特定空き家等に指定し、強制の対処を含め、措置を講じることとなりました。中野区におけるこの空き家の選別方法や、必要な支援のあり方をどのような仕組みで考えているのか、伺います。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 特定空き家等につきましては早急な対策が必要であり、特定空き家等の指定方法でありますとか対処の方針、こういったものにつきまして、区としての考え方を早急に取りまとめていきたいというふうに考えてございます。
○小林(秀)委員 従来の登記簿に、空き家の所有者の調査に加えて、税の情報の開示による所有者の調査が行われることとなりました。全ての空き家について、区では税情報の開示による所有者の確定を行うこととなるのか、伺います。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 空き家の所有者特定につきましては、登記簿情報による調査を原則としておりまして、特定空き家等などの対応におきまして、登記簿情報だけでは所有者が判明しない場合など、必要に応じまして税情報の開示を求め、所有者の特定を行うこととしております。
○小林(秀)委員 税情報の開示による所有者の調査をお伺いしましたので、次に固定資産税、また都市計画税の特例対象からの除外について伺います。
建物がある土地が建物のない土地より税法上の優遇される点があり、特定空き家を助長することになるとも指摘されてきました。特定空き家等に対する区の改善勧告があると、土地に対する固定資産税の特例、優遇措置から除外され、固定資産税が最大で4.2倍にも増額されると聞きます。その点、お願いいたします。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 固定資産税の特例除外ということでございますが、地方税法第349条及び702条に基づきまして、人の居住の用に供する家屋の敷地のうち、一定のものにつきましては、仮に敷地面積が200平米以下であるとした場合におきましては、固定資産税を課税標準額の6分の1、都市計画税につきましては3分の1とするなどの特例措置が講じられております。家屋を除却してしまいますと、この特例措置が適用されなくなるということから、空き家の除却が進まない要因の一つであるというふうに指摘されておりまして、空家特措法の施行により特定空き家等に指定された物件におきましては、この特例措置が適用されないこととなったものでございます。
○小林(秀)委員 固定資産税、また都市計画税の特例対象から除外する制度とはどのようなものか、よろしくお願いします。
○若林委員長 今、聞きました。
○小林(秀)委員 そうですね。すみません。
単に長期間、人が住んでいない、使用していないだけ、管理された空き家は法の対象外となっています。区が把握する空き家とは適切に管理されているのか、基準を置くのか。基準を設ける場合はどのように基準を考えておられるのか、見解をお伺いいたします。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 区としましては、適切な管理が行われている空き家につきましても把握してまいりたいというふうに考えております。また、適切な管理が行われている空き家とは、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさない状態であるというふうに考えてございます。
○小林(秀)委員 空き家の管理について、所有者が遠方に住んでいたり、また、高齢の方が療養により適切な管理が難しい場合、清掃や軽作業などを中心に、シルバー人材センターを紹介している自治体の事例があります。こうしたシルバー人材センターを紹介して、こういう状況をしていただきたいと思いますけども、中野区においてもシルバー人材センターを活用し、紹介できる仕組みをつくるべきではないかと考えますが、伺います。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 空き家の所有者自身による空き家の適正管理が困難な場合におきましては、地域団体でありますとか関連事業者等によりまして、空き家の管理代行といった仕組みのようなものも必要であるというふうに考えてございます。他自治体の事例等も参考にしながら、シルバー人材センターの活用についても検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○小林(秀)委員 ありがとうございました。
次に、空き家の活用、住宅のミスマッチの解消について伺います。
中野区は特定空き家等を中心にした空き家の対策だけでなく、空き家の活用、住宅のミスマッチを解消するために新たな仕組みを検討するとしています。空き家の期間が長いほど近隣への危険度が増すことになるため、そもそも空き家にしないための取り組みを進めることに大いに期待しております。反面、大変難しい取り組みになるとも思われます。そこで、区は空き家の活用のために所有者に対してどのような取り組みが必要と考えているのか、伺います。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 空き家活用に向けた所有者への取り組みということでございますが、民間事業者等と連携しまして、例えば空き家活用モデルのようなものを検討していきたいと。そういった上で所有者に提案を行うなど、所有者に対してさまざまな情報提供を行うことで、まずは空き家の活用について興味を持ってもらうことが必要であるというふうに考えてございます。
○小林(秀)委員 また、住宅のミスマッチの解消とは、例えば、ひとり暮らしでは広過ぎる家にお住まいの高齢者で、日常の清掃が困難であったり、家の中での動線に階段があり、移動に困難があるといった場合と、子育て世帯で住宅が手狭になってきた場合などのマッチングが考えられます。このような住宅のミスマッチの解消のための方策について、どのような情報収集で支援体制が必要と考えておられるのか、伺います。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 住宅のミスマッチ解消のためには、区民に対しまして、適切な情報提供とともに、住まいに関するさまざまな悩みを相談できる相手、あるいはそういった場の提供が必要となってくるというふうに考えてございます。
○小林(秀)委員 ありがとうございます。住宅のミスマッチの解消は、さまざまな日常生活の支援のあり方と結びつけることも大事な取り組みであると考えます。介護との連携など、幅広い支援体制を組む必要があると考えますが、いかがでしょうか。伺います。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 現在検討を進めております地域包括ケアシステムにおきましても、適切な住まいの確保、これの促進を図ることとしておりまして、福祉の視点もあわせ持ちながら、幅広い支援体制の構築を目指してまいりたいというふうに考えてございます。
○小林(秀)委員 区のアプローチだけではミスマッチの解消は難しく、民間の活力が必要となります。区では、現在民間事業者とどのような連携を行っているのか、伺います。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 民間事業者との連携でございますが、区では現在、不動産団体と協定を結びまして、双方で連携しながら、住宅確保要配慮者に向けての居住支援といったものを行ってございます。
○小林(秀)委員 そうですね。不動産とかそういう形で連携をとっていただきたいなというふうに思っております。
国は、高齢者や障害者、子育て世帯などのうち、住宅を確保することが困難な人たちを支援するために、新たな住宅セーフティネット制度を創設するために閣議決定を行い、そのための予算と関連法案の準備を進めております。この中では、増加する民間の空き家を活用して、円滑な入居を促すこととしています。空き家、空き室の活用は、まさに区の目指す考え方と同じであります。今後はこの新たなセーフティネット制度の活用が期待できるのではないでしょうか。また、この新たな制度において居住支援協議会の設置についても触れられています。区のこれまでの説明では、区は既に不動産業者との連携体制が整っていることから、居住支援協議会の必要性は認識してはいないとのことでした。一方、区は今後、福祉の視点を持ちながら、住まいの支援の拡充を図っていくとのことであり、そのためには、区と不動産団体との連携体制をより拡充していく必要があると考えます。
そこで伺います。今回の新たなセーフティネット制度では、居住支援協議会の運営補助として、国から最大で1,000万円の補助金が活用できる仕組みとなっております。現在の不動産団体との連携体制をより拡充させ、これを居住支援協議会とみなして、この補助金を活用するべきではないかと考えますが、伺います。よろしいですか。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 今、委員御指摘のように、新たな住宅セーフティネット制度の中で、居住支援団体に対しまして1,000万円の補助金が活用できるといった仕組みが示されたところでございますが、現在のところにおきましては、この新たな住宅セーフティネット制度における補助金の制度の詳細が不明でございますので、今後、確認をしてまいりたいというふうに考えております。
○小林(秀)委員 ぜひ詳細を注視、また確認の上、検討をしていただきたいと思っております。
新たなセーフティネット制度では、ほかにも大家さんに対する家賃の低廉化の補助や、現在、区が単独事業で行っている家賃債務保証料の補助についても、国費補助が可能となっています。これらの補助金を活用するにはどのような要件が必要となるのか、伺います。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) こちらにつきましても、現在のところ補助金制度の詳細が不明となっておりますが、現時点で判明しているところでございますれば、住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の供給促進計画、こちらの策定とともに、高齢者居住安定確保計画、こちらの策定によりまして、対象となる高齢者の定義でありますとか、対象の数の明示が必要となっているということでございます。
○小林(秀)委員 平成30年度末に予定されている中野区住宅マスタープランの改定に当たっては、住宅要配慮者向け賃貸住宅の供給促進計画や高齢者居住安定確保計画を考え方に盛り込む、あるいは住宅マスタープラン自体をこの計画と位置付けることも検討すべきではないかと考えますが、伺います。よろしくお願いします。
○塚本都市基盤部副参事(空家・住宅政策担当) 空き家の活用も含めまして、住宅確保要配慮者向け賃貸供給住宅のあり方、こちらにつきましては、区としても考え方を取りまとめていく必要性があるというふうに認識しております。今後、改定予定の住宅マスタープラン改定の中で、こちらのほうも検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
○小林(秀)委員 中野区の中で、本当に高齢者の方とか、障害の方もいらっしゃいます。いろいろな形で、私もこれからまた勉強させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
次に、保育園の待機児童対策について伺います。多くの同僚議員が既に質疑を行っていますが、私からもお伺いいたします。
昨年の4月時点での中野区の待機児童数は250人でした。今日現在は認可保育園の2次の募集を締め切り、発表を待つタイミングにあるため、待機児童の数はまだわからないということであります。待機児童の人数は、区の定義では、認可保育施設の新規申し込みから認可保育施設、また新規入所者数を引き、さらに認証保育所の利用や私的な理由等の人数を引いた残りが待機児童数となっています。昨年、28年の4月のときの認可保育施設の新規申し込み数は1,906人、認可保育施設新規入所、入ったのが1,262人、その差は642人でしたが、本年4月時の人数を伺います。
○小山子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 現在、2次募集の利用調整をしている段階でございます。本年の4月の見込み数をお答えするのは難しい状況にございます。
○小林(秀)委員 そうですね。ここから認証保育所、この利用数や私的な理由等の人数を考慮しなければなりませんが、本年の待機児童数はどのような結果となりそうか、伺います。よろしくお願いいたします。
○小山子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 待機児数を見込むためには、2次募集の結果を踏まえて集計する必要がございますので、公表には少しお時間をいただきたいというふうに考えているところでございます。
○小林(秀)委員 28年度は、当初予算、補正予算を含めて大幅に保育園の入所人数をふやす予定でしたが、残念ながら当初の目標を達成するに至りませんでした。改めてその理由を伺うとともに、来年度の目標人数を達成するための具体的な方策を伺います。
○荒井子ども教育部副参事(幼児施策整備担当) 当初予算で予定してございました保育定員数につきましては、ほぼ達成できたというところでございますけれども、補正予算で追加した整備予定分につきましては、保育所整備、また保育士の確保に一定の期間を要することや、整備用地等の賃借料、建設経費等の高騰などによりまして、土地所有者と保育事業者との契約が調わなかったケースがあるなどにより、目標を達成するに至らなかったというふうに考えてございます。来年度につきましては、整備用地の賃借料や建設経費の高騰に対応して、昨年中に行った賃借料の拡大とともに、施設の改修経費や建設経費に係る補助基準額や補助率の引き上げを来年度の予算案に盛り込み、事業者負担を軽減し、保育所整備の促進を図る考え方でございます。また、土地・建物所有者への保育所整備のための土地活用の呼びかけや、不動産情報を有する業界団体、金融機関などへも直接的な協力依頼を行う中で得られた用地情報を保育事業者に積極的に紹介するなどして、保育所の整備に結びつけていきたいというふうに考えているところでございます。
○小林(秀)委員 来年度はさらに不動産業界、また宅建業界等に御協力をいただき、保育園誘致開設のために、土地や家屋の所有者に直接保育園開設のための活用を働きかけると聞きますが、その取り組みをお伺いいたします。
○荒井子ども教育部副参事(幼児施策整備担当) 保育所の整備に関します一般的な手順でございますとか、施設の整備、運営費に係る補助制度に関する情報でございますとか、一定の規模、定員を設定した保育所のモデルなどを紹介できるような資料を作成いたしまして、土地等の所有者から資産活用の相談があった際などに保育所の整備をPRしていただけるように、不動産情報を有する業界団体とか、金融機関などへ足を運んで協力依頼を行ってまいりたいというふうに考えてございます。なお、既に東京都の段階では御指摘の団体など含めまして、福祉インフラ民有地マッチング協議会が立ち上げられており、この動きにも連動して、保育所の整備が進むようなさまざまな団体に働きかけを行っていく考えでございます。
○小林(秀)委員 保育園の開設・運営に対しては、今年度に上乗せ拡充をした形で、家賃補助や開設の手厚い支援が来年度の予算案に盛り込まれております。一方、不動産所有者へ直接支援する仕組みはまだありません。保育施設開設に向けて、所有者への支援策も検討すべきではないかなということで考えますが、伺えますか。
○荒井子ども教育部副参事(幼児施策整備担当) 今般、東京都が発表いたしました民有地を活用した保育所等整備促進税制につきましては、23区内の土地を対象といたしまして、保育所等のために有料で貸し付けられたもののうち、一定の要件を満たすものにつきましては、固定資産税及び都市計画税を保育所開設から5年間、全額免除するというふうな形で聞いてございます。具体的な手続につきましては、3月以降公表されると聞いてございますが、区報やホームページをはじめといたしまして、町会連合会や不動産情報を有する関連業界団体などの協力を得ながら、制度の周知を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○小林(秀)委員 本当に、東京都の力がありますので、よろしくお願いいたします。
居宅訪問型保育事業は、保育士1人に対して子ども1人のマンツーマンの保育が基準となっております。既に千代田区ではこの基準の柔軟的な運用によって定員の増加を実施しています。中野区においても、基準の柔軟な運用により、預かれる子どもの人数をふやすべきではないかと思いますけども、伺います。
○小山子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 居宅訪問型保育事業は、研修を受けたベビーシッターを自宅へ派遣し、1対1の保育をすることから、ベビーシッターの確保や利用規模などを含め十分な検討が必要であるというふうに考えております。他区の実施状況も踏まえまして、今後、研究課題としてまいりたいというふうに考えております。
○小林(秀)委員 ありがとうございました。
小規模保育事業の受け入れ年齢は、ゼロ歳から2歳が原則となっています。いわゆる3歳の壁問題です。この件について、保護者からの継続の保育を求める声があり、東京都では国に特区創設を要望、国ではいよいよ基準緩和の動きがあります。また、その際、現在保育士1人に対して3歳児の20人の保育が可能とし、この積算で補助を行っていますが、もとより子どもの人数が少ない小規模園です。保育士の補助の増額を検討すべきではないかとも考えますが、伺います。
○小山子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 小規模保育事業の受け入れ児童の対象年齢の拡大については、地域や年齢等の待機児童の状況や、施設に受け入れ可能な面積があるかどうかなど十分に分析した上で、実施に向けては検討が必要だというふうに考えておるところでございます。その上で必要があれば、保育士等の人件費等や運営補助を行うかどうかについても検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○小林(秀)委員 さらに待機児童問題が将来的に解消した際を見越して、他の用途の目的にも転換できるように、あらかじめ施設改修を見越した整備補助のあり方を検討すべきではないかと考えますが、伺います。
○荒井子ども教育部副参事(幼児施策整備担当) 建物の構造でございますとか、内装設備を分けて設計することによりまして、整備後も利用形態の変更に応じて比較的容易に改修が行える建築方法もあることから、土地所有者や保育事業者の双方に利点が多い、そういった整備方法につきまして、保育所整備への協力を促すことができるように、土地所有者等に紹介などを行っていきたいというふうに考えてございます。このような建築方法をとった場合でございましても、現在の補助基準額や補助率の範囲内で対応できるとは考えてございますが、改めて検討してみたいというふうに考えてございます。
○小林(秀)委員 待機児童解消のために保育施設を一つでも多く、入所人数を一人でも多くとの思いで大変に努力されていることとは思いますが、来年度の目標達成は相当困難をきわめると思います。一層の協力をお願いいたします。
次に、保育士の確保策について伺います。
待機児童対策は、保育園の新規開設とともに、新しく保育士の確保がなされなければ入所できる定員を満たすことはできません。杉並区では、認可保育園などの新設で新たに300人以上の保育士が必要になります。保育士確保のために、区内の私立保育園で今春の採用が決まった保育士に、区内で使える商品券5万円分を支給すると発表いたしました。こうしたことで、中野区でも潜在保育士の掘り起こしのために来年度はどのような施策を盛り込まれているのか、伺います。
○小山子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 中野区でも、区内保育施設に内定した保育士へ就職準備資金10万円の支援を行うことを予定しているところでございます。区内の潜在保育士の方を直接的に把握することは難しい状況でございますけれども、潜在保育士等を対象とする東京都保育人材・保育所支援センターの研修や面接会の機会を活用いたしまして、区といたしましても、潜在保育士の掘り起こしと支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
○小林(秀)委員 来年度の東京都の予算には、保育士の賃金補助の増額が盛り込まれています。待機児童の解消に向け、保育士の待遇改善のために、保育士1人当たりの賃金補助を月額2万1,000円上乗せし、4万4,000円相当に倍増するというものであります。平均すると、約32万円ほどになると言われていますが、実際に保育士の給与の増額につながっているのか、調査をする自治体がふえてきております。区は、賃金台帳などの掌握を従前より行っていると聞きますが、確実に待遇改善、賃金増額につながることとなるのか、伺います。
○小山子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 保育士の賃金アップのための補助金等の申請時には、中野区は独自に賃金改善額計画書の提出を求めるとともに、実績報告時には賃金台帳の提出を義務付けているところでございます。このことによりまして、改善後の給与につきましては確認を行っているところでございます。平成29年度の組合との保育士の処遇改善のための対策につきましても、保育士給与の増額につながるものと認識しているところでございます。
○小林(秀)委員 ありがとうございました。
保育士の離職が多いと聞きます。保育士の離職率は毎年10%以上との統計があります。その理由は、賃金、待遇の低さが一番の理由になっていますが、さらに早期の離職も多いと言われています。一般的な民間企業の場合は、役職につくことで月給が上がることが期待であります。しかし、保育の現場では、園長、主任保育士など、まず少ない役職しかありません。園長と主任保育士はそれぞれ園に1人ずつが一般的であるため、長く継続しても、昇格による昇給は難しいのが現状であると思います。そのため、勤続5年未満の保育士が全体の半分を占めており、10年を超える保育士はわずか2割弱と、そういう早期離職の傾向が見てとれます。厚生労働省は、離職防止、早期離職防止のために、ことしの4月から副主任保育士、また専門リーダーの新しい役職を、この中堅保育士に向けて、月給は4万円を上乗せする制度をスタートする予定でございます。それでよろしいですかね。それで、主任保育士が園長になるまで、平均的に毎年何年を要しているのか、区内の保育園の現状はいかがでしょうか。伺います。
○小山子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 区内の保育園の実態については把握してございませんけれども、国の民間保育士等に関するキャリアアップのイメージでは、主任保育士が園長になるまでの期間を、平均約3年程度を目指すということを示しているところでございます。
○小林(秀)委員 主任の前段階にライン職という副主任保育士と、保育に求められるさまざまな分野に通じた専門リーダー、スタッフ職分となっていますけど、新設するとしています。それぞれ7年以上の勤務の経験に加え、乳幼児や障害児童――幼児の教育のほか、食育・アレルギー、保健衛生・安全対策、保護者支援など、キャリアアップのための都道府県が行う研修修了を要件としています。中野区においても、保育士の待遇改善とキャリアアップによる保育士の一層の質の向上に取り組むべきと考えますが、伺います。
○小山子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 委員御質問のように、平成29年度、国は研修による技能の習得により、キャリアアップができる仕組みを創設する予定でございます。中野区といたしましても、保育の質の向上につながるために、区内の保育所に対し、この仕組みの活用について周知を図ってまいりたいというふうに考えております。
○小林(秀)委員 もう時間がありませんね。参ります。潜在保育士の確保のために、時限的な取り組みを視野に、保育士の子どもを優先的に入園できる仕組みについて検討すべきではないかと考えますが、よろしくお願いします。伺います。
○小山子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 潜在保育士の子どもを優先的に保育園に入所させる優遇措置につきましては、他区での状況も把握しながら、今後の研究課題としてまいりたいというふうに考えております。
○小林(秀)委員 ここで、保育園の待機児童対策について、終わりました。
次、最後に、児童相談所の設置について伺います。
先日、鷺宮にある養護施設、愛児の家を訪問いたしました。家庭的な雰囲気で地域との関係性も良好な養護施設で、子どもたちが伸び伸びと過ごす様子に安心いたしました。しかし、本来、自分の家庭で暮らせることが子どもにとって幸福であり、これから、この人生にも希望が持てると思います。子どもたちの幸福のための一助になればとの思いで、この質問を行います。
親などによる子どもの虐待が深刻な社会問題となっています。区内における児童虐待については、子ども家庭支援センターで相談を受け付けていますが、受け付けた後、どのように支援を行っているのか、伺います。
○神谷子ども家庭支援センター所長 子ども家庭支援センターでは、児童虐待に係る相談を受け付けますと、48時間以内に子どもの安全確認を行いますとともに、相談の履歴や家庭環境等確認いたしまして、状況に応じて、虐待者等への助言、子育てサービスや専門相談等の実施、すこやか福祉センターや関係機関等による地域での見守りの要請を行うなど、必要な対応を行っております。また、子どもの安全・安心を確保するために、一時保護や施設入所が必要と考えられる場合には、児童相談所へ援助要請等を行い、連携した対応を図っているところでございます。
○小林(秀)委員 中野区では今後、東京都から児童相談所が移管されることを視野に入れ、準備が進められております。児童相談所が区に移管されることによって、きめ細かな指導や対策ができることが想像できますが、具体的には何がどう変わるのでしょうか。伺います。
○神谷子ども家庭支援センター所長 区が児童相談所を設置しました場合には、児童虐待の未然防止、早期発見、行政サービスだけではなく、地域のさまざまな資源を活用した在宅での支援に加えまして、施設への措置や施設から家庭への復帰支援などについて、一貫して切れ目なく展開することができることになると考えてございます。
○小林(秀)委員 基本的には、現在、児童養護施設に入所する理由の7割が保護者の虐待によるものでありまして、非常に厳しいなというふうに思っております。児童の保護については、初めに保護した児童相談所がかかわります。児童相談所が1人の子どもにかかわる責任は重く、一時保護から児童養護施設などへの入所、さらには、その先の自立援助ホームの入所の際も、初めにかかわった児童相談所がかかわるとのことです。そこで、区では当初、一時保護所については広域で連携を図りながら運営していくと検討していましたが、自区内での一時保護所の運営へと考え方を変えました。なぜなんでしょうか。伺います。
○神谷子ども家庭支援センター所長 一時保護所の設置につきまして、主として、単独設置に向けて検討を行っているところでございます。この理由としまして、一つは、法改正以後、各区の検討状況を踏まえますと、一律移管ではなくなったことによりまして、設置の時期や検討の進捗状況が異なっており、施設設置について共同で話を進めることが難しい点、また、一時保護は子どもが最も不安定な時期を過ごす場所でありまして、区として児童相談所を設置するに当たりましては、地域できめ細かく保護後の対応に向けた観察・指導などを行う体制を整えることが、子どもたちの処遇の面からふさわしい場合もあると考えてございます。
○小林(秀)委員 一時保護所の運営について伺いますけど、区で開設される一時保護所は9名程度の入所の予定です。全国的に一時保護所が不足していることから、区がこの児童相談所を開設する際に、一時保護所を設置する必要があるかもしれませんが、やはり広域的な連携をするべきだと思います。東京都には都外にも一時保護所がありますし、他県の一時保護所との連携も可能であると聞きます。広域連携についてはどのようにお考えでしょうか。伺います。
○神谷子ども家庭支援センター所長 一時保護につきましては、地域から離れた場所での処置が適切なケースもあることから、広域連携が必要になってくるものと考えてございます。特別区間、東京都などとの広域連携のあり方について、今後検討を進めてまいります。
○小林(秀)委員 一時保護所の職員体制について伺います。一時保護所は延長可能ですが、長くても2カ月の措置、非常に短期間で退所の場合もあり、不安定な状況の中、常時職員を配置しておくのは難しいと聞きます。職員の体制についてはどうなるでしょうか。また、専門職となる職員の体制についてはどうなるのか、伺います。
○神谷子ども家庭支援センター所長 一時保護所の職員体制につきましては、関連法令や運営基準などにより、児童指導員、保育士、家庭支援相談員等の配置が定められているところでございます。こうした配置基準を踏まえまして今後検討を進める中で、児童相談所の専門職との連携なども含めて、必要な体制について具体化を図ってまいりたいと考えてございます。
○小林(秀)委員 また、児童養護施設では、原則18歳までには施設を退所することとなります。その後、自立につながらず、貧困に陥るといったケースも少なくないと思いますが、そうした状況についてどのように捉えているのか、伺います。
○神谷子ども家庭支援センター所長 児童福祉法上の児童年齢は18歳とされております。それを超えた場合におきましても、自立のための支援が必要なケースがあるといったことは承知してございます。こうした背景から、先般の法改正等により、18歳以上の者に対する必要な支援の継続について規定がされますとともに、関連する制度の創設なども予定されているというふうに聞いております。
○小林(秀)委員 わかりました。児童養護施設を退所した後、出た先としては自立援助ホームがありますが、現在、自立援助ホームは社会人向けで、大学生向けの自立援助ホームは開設されていないようでございます。社会人と大学生では生活状況が大きく違い、一緒に生活するのが難しいのではないでしょうか。区内に大学生向けの自立援助ホームの開設に向け、誘導することを検討されてはいかがでしょうか。伺います。
○神谷子ども家庭支援センター所長 児童相談所の設置に当たりましては、保護した後の子どもたちの生活を支える社会的養護基盤の確保が必要でございます。自立支援ホームなども含めまして、今後、社会的養護のあり方について検討を進めてまいります。
○小林(秀)委員 そうですね。児童養護施設を退所する人にとって、継続的に悩みを相談できる仕組みが必要と考えますが、こういう形でいかがでしょうか。最後に伺います。
○神谷子ども家庭支援センター所長 児童養護施設の入所者は、退所後に社会で自立した生活を継続していくための家庭等の支援環境が十分には整っていない場合もあると聞いております。退所に向けまして、施設などにおいて現在でも自立への準備が進められているところでございますけれども、状況に応じまして、そうした退所後の生活相談などを行う、また、自立した生活の継続を支援する取り組みなども必要と考えてございます。(仮称)総合子どもセンターでは、児童相談所機能に加えまして、若者支援機能を含めることとし、子ども期から若者期における専門相談、支援等を総合的に実施していくことを予定しております。施設退所者への自立支援につきましても、児童養護施設や民間事業者等と連携を図りながら、必要に応じて支援できる体制を整えていきたいと考えてございます。
○小林(秀)委員 本当に悩みを抱えて――そういう形の人たちにも、ちゃんと皆さんに、そういう形でちょっとよろしくお願いいたします。これから私もそういう方々のところにまた行きたいなというふうにも思っていますので、どうかよろしくお願いいたします。
以上でございます。ありがとうございました。
○若林委員長 以上で小林秀明委員の質疑を終了します。
ここで休憩にしたいと思います。13時まで委員会を休憩します。
午前11時56分休憩
午後1時00分開議
○若林委員長 委員会を再開します。
休憩前に引き続き総括質疑を行います。
羽鳥だいすけ委員、質疑をどうぞ。
○羽鳥委員 2017年第1回定例会に当たり、日本共産党議員団の立場から総括質疑を行います。どうぞよろしくお願いします。
初めに、教育施策について。1、教員の労働環境についてお聞きします。
文部科学省初等中等教育局が、2年前に「学校や教職員の現状について」という報告をまとめています。ここでは、文部科学省教員勤務実態調査とOECD国際教員指導環境調査(TALIS)の結果から、日本の教員の勤務時間は、諸外国と比べても断トツに長いことが明らかになっています。この間、私は中野区の教員の方にお話を伺いましたが、教員の労働には、命令ではないけれど、授業準備などのために自発的に仕事をせざるを得ない状況があるとのことでした。こういった中には、勤務時間として計上できないものも多くあるとお聞きしました。つまり、見かけ上の勤務時間よりも実際働いている時間のほうが長いということです。
まずお尋ねしますが、中野区では教員の労働時間の把握についてどのように行っていますか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 教員の労働時間につきましては、学校管理職が職員の状況とともに把握しているというふうに考えております。
○羽鳥委員 学校の校長が把握できるようにということですから、もう恐らく文科省の定める方法、現認や点呼、目視といった方法で確認を、それぞれの校長が把握されているということだと思います。しかし、この現認や目視といった方法では正確な勤務時間は把握できないのではないかと考えます。タイムカードなどで客観的な勤務時間の把握を行うべきではありませんか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 教員の職務内容の状況から、タイムカードが勤務状況を正確に示しているかどうかは判断が難しく、現時点でのタイムカード等についての使用は考えてございません。
○羽鳥委員 学校にいる時間と勤務時間が違うんだということをおっしゃりたいんだと思いますけれども、2006年4月3日付の初等中等教育企画課長等通知、「労働安全衛生法等の一部を改正する法律等の施行について」では、都道府県教育委員会及び私立学校主管課においては、域内の市町村教育委員会及び所管の学校に対して周知されるようお願いをしますとして、2番、労働時間の適正な把握についてという項目の中で、始業・終業時刻を確認し、記録をする方法として、現認するということとともに、タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録することとしています。客観的な勤務時間を把握できるようにする。これは民間では当たり前のことです。この通知について、区の見解をお尋ねいたします。
○杉山教育委員会事務局指導室長 始業や終業時刻を確認し、教員に過重な負担がかからないよう環境を整えることは重要であると考えています。
○羽鳥委員 環境を整えるということでしたけれども、私は今言っているのは、正確な勤務時間の把握こそ、労働環境を改善するのに一番の方法ではないかということを言っているんです。現認なんていうのは、結局、職員室をざあっと見て、何人残っているだろうかとか、そういったことでも現認ということになるわけです。こんなことでは勤務時間の正確な把握などできないと思います。客観的な記録を残すということをやらないといけません。
この客観的な勤務時間の把握がいかに大事かということを示す実例としてちょっと御紹介いたしますが、昨年、我が党の田村智子参議院議員が国会質疑において、愛知県岡崎市の事例について紹介をしています。ここでは、岡崎市の80時間の超勤が異常に少ない報告になっていたわけです。周辺の市では、4割から8割が80時間の超勤をされているというところを、岡崎市はわずか2.7%しかないと。そして同時に、70時間台の超勤、79時間台の超勤が多いことがわかったんです。岡崎市では、教員の自己申告で在校時間を記録し、報告しています。そういった中でどういった事例が生まれてきているか。教員の方から実態の告発が寄せられて、その国会質疑の中で紹介されていました。
校長から、80時間以上の勤務時間、超勤を出したら呼び出しを受け、校長からは、年度末の忙しい時期に自分たちの首を絞めないために、80時間以内で出してくれないかと言われ、79時間55分にして出し直したと、そういった証言です。やはり客観的な勤務時間の把握の仕組みというのは非常に大事だと思われます。岡崎市は、しかも、こういった報告に基づいて、自分たちの教育委員会、教員は、80時間を超える先生がほとんどいない。大きな成果であるとまで喧伝をしているわけです。
もう一度お尋ねしますが、タイムカードなどで客観的な勤務時間、やはり把握を検討すべきではないですか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 先ほども答弁させていただきましたが、教員の状況については、学校管理職が職員の状況とともに把握していると承知しております。あわせて、教員の職務内容の状況から、タイムカード等が勤務時間の状況を正確に示しているかどうかというのは判断が難しいと考えておりまして、教員に過重な負担がかからないよう環境を整えることが重要であるというふうに考えてございます。
○羽鳥委員 そういった立場で、やっぱり教員の命、健康を守りにくいんじゃないかなというふうに思います。
中野区においても、教員の長時間勤務の傾向に変わりはないと考えられます。こうした長時間勤務を削減していく必要があると考えますが、区の見解をお聞きします。
○杉山教育委員会事務局指導室長 教員の長時間勤務については課題と認識しており、校務支援システムの導入や学校地域連携主査の配置、部活動外部指導員の拡充等、校務の効率化や負担軽減に取り組んでいるところでございます。
○羽鳥委員 今おっしゃいました中野区の校務支援システムを導入して、教員の超過勤務の抑制に努めている、効率的な業務をやろうとしているということでしたが、私がお話を伺ったところですと、便利にはなったけれども、パソコンで何でもやることになったため、昔あったような、家に持ち帰って仕事をするということはできなくなり、特に成績の処理などは土日に出勤しなければやっていけないというふうにおっしゃっていました。持ち帰り残業を是とするわけにはいきませんが、根本的には仕事量が多過ぎて、やっていけないということだと思います。
札幌市が2年前に行った教員の勤務実態調査では、校務支援システム導入による校務処理にかかる負担感について調査を行っています。そこでは、負担が減った、やや減ったが、合わせて44.7%であるのに対し、変わらないが28.6%、負担が増したが26.8%となって、過半に達しています。制度の導入が負担の軽減につながるかどうかということは慎重に見る必要があると思います。
中野区では、校務支援システムの導入によって勤務実態が改善したという実感が本当に教員にはあるのでしょうか。調査、聞き取りなどが必要と考えますが、区の見解をお聞きします。
○杉山教育委員会事務局指導室長 校務支援システムについては、現場の状況を把握している校長から教員の使用状況を確認しており、現状を把握していると考えてございます。
○羽鳥委員 みずから、この取り組みによって改善していると誇っているわけですから、確認の作業くらい必要ではないかなというふうに思います。
厚生労働省の労災認定基準では、発症1カ月前、1カ月ないし6カ月間にわたって、1カ月当たりおおむね45時間を超えて時間外労働が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると明記されています。労働時間とさまざまな疾患の発症の因果関係について、区の認識をお尋ねします。
○伊藤経営室副参事(人事担当) 長時間労働は、疲労回復に必要な睡眠、休養時間を減少させ、重大な健康障害を引き起こす可能性があるというふうに認識してございます。
○羽鳥委員 昨年2月には東京地裁が、2006年に西東京市で起きた小学校の新任女性教員の自殺について、全体として業務によって強い精神的・肉体的負荷があったとして公務災害の認定を行い、先週23日には東京高裁の控訴審が改めて自殺は公務が原因としました。中野区においても、精神的疾患を原因とする休職が教員に発生しています。中野区の教員で精神的疾患を原因とする休職は現在何人でしょうか。今年度まで5年間、それぞれお答えください。
○杉山教育委員会事務局指導室長 精神疾患による休職教員数は、平成24年度7名、25年度4名、26年度6名、27年度6名、28年度6名でございます。
○羽鳥委員 こういった過去5年のところを見ても、やはり減ることがないという状況になっていると思います。こういった精神的疾患による休職、区に対してということでもありますが、児童、そして、何よりもその人の人生への影響というのは本当に大きなものがあると思います。精神的疾患を防いでいく取り組みが必要です。
埼玉県川口市では、これまで児童と教員をスクールカウンセラーが相談を受けるという体制をとっていましたが、それでは十分に対応できないということで、教員のメンタルヘルスだけを担当する心理職を起き、学校訪問をしたり、24時間の電話相談をやったりして、年間20から30名の休職を防ぐ大きな成果を挙げていると報告されています。中野区でもこのような専任の体制をとり、教員の精神的疾患、またこういったもの、休職を防いでいく取り組みが必要ではないでしょうか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 現在、そのような対応につきましては、管理職をはじめ、スクールカウンセラーや都のメンタルヘルス相談窓口、メンタルヘルス相談員の巡回などの相談体制を整えており、教員のメンタルヘルスを支援しているところでございます。
○羽鳥委員 今後、やっぱりそういう精神的疾患に基づく休職を減らしていくためにも、体制の強化が必要ではないかということを申しておきたいと思います。
また、教員の負担を軽減する体制づくりも重要と考えます。中野区では新任の先生と一緒に教室に配置をされ、学級運営を行う育成教員という制度、これは東京都の制度でありますけども、配置をされています。しかし、今年度の新規採用教員数28人に対して、育成教員は7人という配置になっています。そもそも東京都の制度ですけれども、この育成教員はどういう配置基準で配置されているのでしょうか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 新人育成教員は、東京都教育委員会が、退職して再任用となった教員を必要な状況に応じて配置している制度でございます。
○羽鳥委員 こういった再任用の職員の方が一緒に教室に入ることによって、新人の教員の人にとっては本当に大きな効果があると思います。これまで働いていた経験があるといっても、教師の仕事には高い専門性が求められ、緊張を要する仕事です。ベテランの先生と2人で教室を見ることによって、子どもたちに目が行き届き、いじめなどにも気づきやすくなると思います。そうした中で、新任の先生も健康に、そして、より一層鍛えられていくのではないでしょうか。育成教員の配置を新規採用の教員全員に、担任全員に広げるよう東京都に求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 初任者教員の育成につきましては、新人育成教員制度に限らず、教育委員会や各校の組織的な取り組みの中で進めることとしており、学校の人事体制については既に要望しているところでございます。
○羽鳥委員 現場で一緒に教員を見ると、こういった人が大事であるんだということを再度述べておきたいと思います。教員の労働環境の改善のために、区が積極的な役割をさらに果たしていってほしいと思います。
続いて、特別支援教室についてお聞きいたします。
これまで情緒障害などの児童に対して、通級指導学級に通うという形態で指導を行っていたものを、今年度から各学校に特別支援教室を設置し、先生が児童の在籍する学校に巡回して指導を行うという方式に変更しました。区は児童一人ひとりに応じた指導ができると、この間おっしゃっていますが、我が会派からは、この間、巡回指導になれば、教員の移動時間も加わり、これまでどおりの指導時間が確保できなくなることや、そもそも教員の体制が在籍児童の規模に追いついていないのではないかということなどを指摘してきました。
まず、今年度当初の特別支援教室を利用する児童はどのくらいでしょうか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 平成28年5月1日現在、特別支援教室の在籍児童につきましては、全区立小学校25校で135名でございます。
○羽鳥委員 それに対して教員数は何人でしょうか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 拠点校4校で巡回指導教員は16名です。
○羽鳥委員 私がお話をお聞きしたところによりますと、今年度当初の子どもたちに対して先生の数が少なく、先生1人に対して児童が2人つくという場合もありました。そうしたところでは、先生が1人の児童を見ている間に、もう1人が突如として走り出す場合もあって、児童にも危険が及ぶ、こういったおそれもさらにあるといったことも聞きました。教員配置の仕方の見直しが必要だと考えています。
先ほど御答弁いただいたように、今年度5月1日時点で、特別支援教室の在籍児童数は135人ということでした。この中でも教員は多忙な状態に置かれていますが、ここに年度途中から多くの児童が毎年度特別支援教室に加わっています。今年度、何人の児童が年度途中に加わり、特別支援教室での在籍児童数は、現在何人になったでしょうか。また、2014年度、15年度に、年度途中にふえた児童数は何人でしょうか。お答えください。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 今年度につきましては、年度当初に比べ、2月1日現在25名ふえている状況でございます。また、26年、27年につきましては、今年度から特別支援教室での巡回指導を開始いたしまして、それ以前は情緒障害等通級指導学級で指導を行っていたところであり、年度当初に比べ、2月1日現在、平成26年度は22名、27年度につきましては25名の増加となってございます。
○羽鳥委員 また、年度途中にふえた児童数のうち、1年生はそれぞれ何人になるでしょうか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 平成26年度は13名、27年度は8名、28年度は16名というふうになってございます。
○羽鳥委員 そのうち、1年生のこの加わったうち、年度当初から特別支援教室に在籍した児童はいるのでしょうか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 1年度の当初から在籍している児童はおりません。
○羽鳥委員 どうしてそのような実態となっているのでしょうか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 入学前に情緒障害等で発達に課題があると思われた児童につきまして、入学後、通常の学級に適応しているケースもございまして、必ずしも巡回指導が必要と限らないため、在籍学級での児童の状況を見て判断していることによるものでございます。
○羽鳥委員 中には、小学校入学前にアポロ園に通っていた児童や、保護者の方々より、入学当初から特別支援教室を利用したいと相談に来た方々もいらっしゃると思うんですけども、そのような方々にも同じ対応をとるんでしょうか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 特別支援教室での巡回指導が必要であるかどうかにつきましては、在籍学級での児童の状況を見て判断しております。巡回指導支援委員会で対応を検討することとなりますので、入学後すぐ巡回指導の対象とはならないものとなっております。
○羽鳥委員 そういったことを聞いてみますと、一体、中野区が日ごろから言っている保幼小の連携というのはどこに行ってしまったのかということを率直に言って思うわけです。少なくとも、特別支援教室においては保幼小の連携はないと言わざるを得ない状況だと思います。一人ひとりの児童に指導を合わせて行うとか、必ずしも特別支援教室の指導は必要ない、こういったことをおっしゃいますが、裏を返せば、中には特別支援教室の指導が最初から必要な児童だっているわけです。こういったことを考えますと、一人ひとりの児童の状態に合わせて指導を行うとしている中野区の方針そのものとも全く矛盾しているんじゃないかと断言せざるを得ません。
練馬区では就学相談を入学前に行い、年度当初から特別支援教室には1年生が参加できる仕組みを整えています。隣の区です。就学相談は1回目の相談を前年度の6月、2回目の相談を9月に行い、12月中旬をめどに、次年度から特別支援教室に在籍することになる児童を数え、必要があれば、それに基づいて教員の配置も行うそうです。今年度では207件の相談があり、64件が通級の判定、これは特別支援教室ということだと思いますけども、実際に54人が4月から利用を開始しています。中野区でも、練馬区のように年度当初から1年生が特別支援教室に在籍できるような仕組みを整えるべきじゃないでしょうか。そして、それに基づいた4月からの教員配置にすべきではないですか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) まずは通常の学級で適応状況を見きわめることが必要であるというふうに考えております。そのため、中野区で現在行っております巡回指導開始のシステムを変更する考えはございません。
○羽鳥委員 非常に実態を見ない答弁だなというふうに思います。本当に冷たいと思います。一人ひとりの状態に合わせということを区もおっしゃっているわけですから、よくそのことを、自分たちが言っている意味を考えてほしいと思います。
そして、そもそもこうした教員の多忙化、こういう年度途中からどんどんと追加されていって、多忙化が起きていることについて、区はどういう認識を持っているんでしょうか。区として何らかの対応をとるべきではないでしょうか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 先ほど申しましたように、特別支援教室の支援検討会議でその対応も含めて考えてございます。教員の配置につきましても、その中で実施しているということでございます。
○羽鳥委員 また、現在特別支援教室への区としての対応の中には、特別支援教室の専門員ということもあると思います。これもまた都の制度ではありますが、こういった方たちも特別支援教室のために奮闘されている現状はあると思います。しかし、これも私が聞いたところですと、特別支援教室の専門員の方、この年度内に何人もやめています。それぞれの方々には、やめた御事情はさまざまあるでしょうが、こういった職員からお話を聞くと、事務仕事だと思っていたら、体をかなり使って大変だとか、こういった募集のときのお話と実際にやる仕事との乖離ということも聞いています。特別支援教室専門員の想定されている役割、そして現在、区には何人が配置されているのでしょうか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 特別支援教室専門員につきましては、特別教室の円滑な運営のために、担任や巡回指導教員等との連絡調整、また、指導記録、教材作成、学習支援等を行うことを役割としてございます。今年度につきましては、全小学校25校に1名ずつ配置しているものでございます。
○羽鳥委員 そのうち、この年度では何人がやめてしまっているのでしょうか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 今年度につきまして、年度途中で退職いたしました職員につきましては、2月1日現在、6名でございます。
○羽鳥委員 6人ということで、25分の6、4分の1ということになると、かなり割合としても多いのではないかなと思います。やめてしまっても、補充者の名簿に基づいて欠員がすぐ補充されるということですが、児童にとっては、自分とかかわる大人が変わってしまうことへの影響もありますし、先生にとっても引き継ぎの必要性が生じるなど、大きな影響があると思います。やはり日ごろから子どもたちに接するという任務を持った専門の方の配置が必要とされていると思います。
中野区では、2013年度まで通級指導学級にクラス担任1人につき1人の割合で専門の介助員がついていましたが、なくなってしまいました。制度改定前に、介助員はどのような役割を担い、どこに何人配置されていたのでしょうか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 通級指導学級に配置されておりました介助員につきましては、教員の補助、児童が学習に集中できるように支援することを役割としておりました。平成25年度は塔山小学校、上高田小学校、若宮小学校の通級指導学級に3名ずつ配置されておりました。
○羽鳥委員 そして、2014年度からどういった変更が行われたのでしょうか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 介助員の配置につきましては、26年度から通級学級には配置せずに、全小学校に1名ずつという配置になってございます。
○羽鳥委員 通級指導学級、特別支援教室の方たちから見れば、かなり体制が薄くなったという実態だと思います。そして、この介助員についてなんですけれども、2006年度までは臨時職員として配置をされていましたが、これを中野区は任期付短時間職員に変更しました。まず、任期付短時間職員とはどういう職種でしょうか。
○伊藤経営室副参事(人事担当) 任期付短時間勤務職員の制度について御説明申し上げます。地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律第5条に規定されておりまして、一定の期間内に終了することが見込まれる業務、一定の期間内に限り業務量の増加が見込まれる業務、住民に対して職員により直接提供されるサービスについて、その提供時間を延長し、もしくは繁忙時における提供体制を充実する場合等におきまして、短時間勤務職員を当該サービスに係る業務に従事させることが公務の能率的運営を確保するために必要であるときは、条例で定めるところによりまして、短時間勤務職員を任期を定めて採用することができるという制度でございます。
○羽鳥委員 今御答弁いただきましたように、任期付短時間職員ということは、一つは一定の期間内に業務が終わると、もう一つに、一定の期間内だけ業務量がふえると見込まれているということだというふうに御答弁がありました。しかし、こうした御答弁から考えてみますと、介助員の任務から考えてみますと、この任務というのは臨時的に終わるものではなく、ずっと続いていくものなのではないかなというふうに思います。なぜ介助員を任期付短時間職員として雇っているのでしょうか。引き続き継続雇用できるように改めていくべきではないでしょうか。お尋ねします。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 介助員につきまして、それまで臨時職員でございましたが、臨時職員では半年から1年で介助員をかえざるを得なかったということから、任期付短時間職員とするものでございます。なお、任期付短時間勤務職員につきましては再度任用が可能でありまして、一定程度、長期的に継続して雇用することができるものというふうに考えてございます。
○羽鳥委員 そういった、これまでは通級指導教室、これからは特別支援教室において、先生と一緒になって本当に大事な役割を果たしてきた、そしてこれからもずっと任務があり続ける人に対して、再度任用ができるからというふうに言って、3年で区切ってまた契約を更新する、そういったことを繰り返す、こういった姿勢ではいけないというふうに思います。
そして、この介助員の任務ですけれども、前、お聞きした際には、その介助員、人がかわれば任務も変わる、こういったこともおっしゃったこともありました。こういったことになってくると、区職員をふやしたくないと、そういった中で任期付短時間職員として運用しているのではないか、こういうふうに思わざるを得ないです。改めて、大事な役割を果たされているわけですから、3年でどんどんと区切っていく、そういった雇用をずっと続けさせていく、こういったやり方ではなくて、雇用の仕方の転換を求めておきたいというふうに思います。
続きまして、今年度から始まった巡回指導というあり方そのものについてもお尋ねいたします。
これまでは通級指導学級において、小集団による教育実践が情緒障害などを持つ児童の社会性獲得などに大きな成果を果たしてきました。この教育実践の成果を区としてはどのように認識しているのでしょうか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 小集団指導を行うことで、児童同士のコミュニケーション能力や社会性が育つなど、集団での適応力が向上したと考えてございます。
○羽鳥委員 今年度から始まっているこの巡回指導にかかわる保護者や先生方が心配しているのが、これまでの小集団による教育実践が行えなくなってしまうのではないかということです。現在は拠点校での通級指導という形も残されていますが、やがて、区はこれを基本的には巡回指導に変更していく方針ですが、そこでも小集団による指導は維持されるのでしょうか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 特別支援教室で指導を受ける児童数が一定程度いることで、小集団指導が実施できると考えてございます。
○羽鳥委員 そういった態度ですと、結局、児童数の変化によって、個別になるか、小集団になるかということが成り行き任せになってしまうのではないかなというふうに思います。特別支援教室に在籍する児童の多くは、やはり情緒障害を持っているのであり、小集団による教育実践、この社会性の獲得にこそ重点が置かれるべきであると考えます。児童に小集団による教育を行うために、先生方は本当に苦労されています。私がお話を伺った先生は、拠点校通級を行うとともに、その拠点校に配置されている先生全員で別の学校に巡回指導に行き、準拠点校通級として指導を行っています。また、ある学校には、その時間に特別支援教室に行く児童が1人しかいないために、別の巡回先の学校から児童に来てもらって、小集団の体制を組んでいます。小集団による教育というのは、教材づくりから授業の流れまで、一人ひとりの児童に合わせた先生の集団による独自の打ち合わせが不可欠だということで、本当にエネルギーが要るということでした。それでも、子どもたちによりよい教育成果を与えたいとの思いから、必死に頑張っておられるわけです。しかし、中には先生の体制が組めず、全て個別指導にしてしまったというところもあると聞いています。こういうように、実態としても情緒障害による小集団の教育、これが圧倒的という実態もあるのですから、主に小集団で指導実施をするというふうに方針を改めるべきではありませんか。また、教員の加配を改めて求めますが、いかがですか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 児童が通うから、教員が動くとして、児童の学習時間の確保も含めた特別支援教室の導入に当たって、その趣旨を踏まえながら対応していくものと考えてございます。教員の加配については、東京都として教員加配が成立しているところであり、現状の教員配置の中で運用を工夫してまいりたいと考えてございます。
○羽鳥委員 教員の配置自体は、それは東京都ということですから、いろいろ動かせないところもあるんだと思います。しかし、今まで、るる御紹介してきましたが、本当に大変な先生の実態をもうちょっと見て、区費などそういったところからも、区費などからも出して教員の加配、介助員のより充実した配置なども考えてほしいと思います。答弁を聞いていますと、やっぱり中野区の教育の現状に対して、先生の現状、本当に責任持って改善しようと思っているのかなと、こういったものを疑わざるを得ません。特別支援教室について言っても、教員の体制拡充とともに、拠点校をふやしてほしいという声も聞いています。区においては、こういった現場の声をよく聞いて対応に当たってほしいと思います。以上でこの項の質疑を終わります。
続きまして、国民健康保険制度について質問いたします。
我が会派の長沢議員が本会議一般質問で指摘しましたように、国民健康保険は、ほかの公的医療保険の対象とならない全ての人々が加入し、世界に誇るべき日本の国民皆保険制度を下支えしています。しかし、それゆえに低所得者や退職高齢者も被保険者として加入し、収入に対する保険料割合が高くなってしまっています。減免措置のより一層の拡充が求められています。現在、中野区が設置している国保の法定減額措置を受けている世帯数はどれくらいでしょうか。また、申請減免の件数はどれくらいでしょうか。お答えください。
○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 保険料の軽減世帯数と減免件数でございますけれども、平成27年度は7割軽減世帯が2万4,399世帯、5割軽減世帯が5,717世帯、2割軽減世帯が4,858世帯でございました。また、平成27年度の保険料減免申請件数でございますけれども、10件でございました。
○羽鳥委員 減免措置、減額の措置を受けている方々が加入者の3分の1を超える、こういった事態になってしまっているのが、今の国保の加入者の現状であると思います。国保には均等割という一人ひとりに必ずかかる保険料が設定されているため、所得が同じでも、子どもがいる世帯ほど負担が大きくなってしまうことになります。年収150万円、年収200万円の2人の子どもがいる世帯では、その世帯の保険料はどの程度になるのでしょうか。
○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 子ども2人を扶養している40歳以上の夫婦、給与収入150万円と200万円のモデルケースを想定した場合でございますけれども、国民健康保険料はどちらも均等割額が5割軽減となりますので、給与収入150万円の場合は、所得割額を含めまして年額で16万1,648円、給与収入200万円の場合は20万461円でございます。
○羽鳥委員 子どもが2人いる世帯の場合で、保険料が収入に対して10%を超えると、こういった水準になってしまうわけです。3人の場合にはさらに重い負担になることになります。中野区で行っていない減免の措置として、多子世帯、子どもが多い世帯への減免というものがあります。具体的には、18歳未満の子どもを扶養する家庭の第2子や第3子にかかる均等割を軽減するという制度です。例えば北九州市では、申請減免の項目に、多子、子どもが多いという項目を設け、子どもが2人以上いることをこの多子、減免の要件にしています。また、兵庫県赤穂市では、第3子は均等割の2分の1を減額、第4子では免除としています。都内自治体でも実施は広がってきています。中野区でも多子世帯減免を申請減免の項目に加えることを検討すべきではないでしょうか。また、国に対して制度の創設を強く求めるべきではないでしょうか。
○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 多子世帯に対します減免制度の創設につきましては、国の財政支援なくしては困難であると考えております。昨年12月、特別区長会では、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、国の責任において、区市町村の補助制度に対する財政支援について、緊急要望を行ったところでございます。
○羽鳥委員 国保加入の世帯で150万円、200万円という収入で、第2子がいる、第3子がいる、そんなに数は多くないんじゃないかと思うんです。ぜひとも制度の創設を検討していただきたいと思います。
もう1点、子どもに関連しまして、子ども医療費の無料化の措置についてお尋ねいたします。
東京都は就学前の子どもまで、そして中野区ではそれに上乗せをして、中学生までの医療費の無料化を実現しています。しかし、国はそうした自治体独自の努力に対して、無料化をすれば医療費がふえると根拠のないことを言って、区に対してその分を自己負担せよと、国庫負担の減額を行ってきました。子ども医療費にかかわっての国庫負担の減額調整の措置は一体幾らになるでしょうか。
○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 子どもの医療費助成など、地方単独事業を実施した区市町村国保の国庫負担を減額する、いわゆる波及増カットの総額でございますけれども、平成27年度はおよそ7,200万円で、そのうち子どもや乳幼児の医療費助成に係るものは約3,100万円でございました。
○羽鳥委員 昨年12月、厚生労働省において、2018年度からこの減額調整の措置の廃止が方針として決定をしましたようです。しかし、この廃止の対象となるのは、全ての区市町村が何らかの無料化措置を行っている未就学児までとする方針です。これでは、中野区が独自に実施している15歳までの医療費無料化の措置には引き続き減額調整が実施されることになってしまいます。子ども医療費無料化は、少子化対策という側面もあります。国に対して、減額調整措置の廃止は制度全体を対象として廃止するよう求めるべきではないでしょうか。
○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 国は昨年12月、全ての区市町村が未就学児まで何らかの助成措置を実施していることを踏まえまして、平成30年度より未就学児を対象とする医療助成については、国保の減額調整を行わないことを決定したところでございます。また先週、衆議院の予算委員会の中で総務大臣は、子どもの医療費助成に対する減額調整措置の制度全体の廃止について、厚生労働省にさらなる検討を求めているところでございます。就学児の医療費助成に係る国保の減額調整措置につきましては、今後の課題であると認識しているところでございます。
○羽鳥委員 国においてもさらなる検討がなされているということで、ぜひ地方としても、こういった国への要望を引き続き強く行っていってほしいというふうに思います。
この項の最後に、国保の運営協議会についてお尋ねします。
先日の運営協議会で新年度の国保料の値上げが諮問され、そのとおりに答申をされました。まず、国保運営協議会とはどういったもので、なぜ国保料などは協議会に諮問をして話し合う仕組みにしているのでしょうか。
○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 国民健康保険運営協議会は、国民健康保険法第11条に基づきまして、国民健康保険事業の運営に関する重要事項を審議するために、区長の附属機関として設置しているものでございます。被保険者が医療機関の窓口で払う一部負担金の割合ですとか、翌年度の保険料率などは国民健康保険の重要事項でございますので、区長から諮問し、審議の結果を区長に答申していただいているところでございます。
○羽鳥委員 この国保運営協議会のメンバーは、一体どういった基準で選んでいるのでしょうか。求められる能力、資質というのはどういったものでしょうか。
○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 国民健康保険運営協議会の選任基準でございますけれども、国民健康保険法施行令で、被保険者を代表する委員、保険医または保険薬剤師を代表する委員、公益を代表する委員とされております。中野区の運営協議会につきましても、この基準に従って委員を選任しているところでございます。また、委員に求められる能力につきましては、法令上の定めや基準はございませんけれども、国民健康保険運営協議会では幅広い意見を聞く場として設置しているため、そのような観点から、施行令の基準に従い、それぞれの立場から意見をお聞きできる方を選任しているところでございます。
○羽鳥委員 私、先日、この前1月に行われました国保運営協議会を傍聴させていただきしたけども、ある委員からは、共同事業拠出金とは何か、また、23区は同じ保険料だが、中野区だけ変えることはできないかなど、国保財政や統一保険料方式についての基本認識も率直に言って持ち合わせていないのではないかなという質問や、議論の観点も、収納率はどのくらいか、23区で比べるとどういった水準にあるのかといった質問は出るものの、加入世帯の3分の1が滞納している。そして、先ほど御答弁いただきましたように、3分の1が軽減措置を受けている。こうした国保料の水準そのものの高さには何一つ触れることはなく、値上げの答申が決まってしまいました。協議会での審議の充実、勉強会なども場合によっては必要ではないかと考えます。
また説明でも、専ら財政の面だけからではなく、国保料のこうした滞納を大量に生んでいるこの水準が区民生活に何をもたらしているのか、こういった分析や説明が必要ではないでしょうか。
○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 国民健康保険運営協議会では、国民健康保険の財政面における運営状況のほか、被保険者の現状ですとか制度上の課題、医療費の適正化などについても報告してございます。また、世帯人数や年収ごとの具体的なモデルケースをお示ししながら、保険料水準について十分審議を尽くしているところでございます。
○羽鳥委員 十分審議を尽くしているということでしたが、率直に言って、傍聴したときは、議論は低調だなというふうに思いました。また、国保運営協議会の委員を公募するということも、広く意見を募集する手段としては大事な取り組みであると考えます。近隣区では、公募委員や議員などはこの協議会に加わっているのでしょうか。
○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) まず、中野区での運営協議会の委員に公募委員ですとか区議会議員は選任しておりません。また、第4ブロックで公募委員のいない区は5区中3区、また、区議会議員が委員になっていない区は中野区だけでございます。近隣区では、公益代表として区議会議員の方を運営協議会の委員に選任しておりますけれども、中野区では公益代表として学識経験者、社会福祉協議会、社会保険労務士などから選任することとしてございます。
○羽鳥委員 公募委員もいない、議員も協議会委員になっていないというのは、近隣区を見ても少数派である。そして、それが重なり合っているのは中野区だけであるということです。中野区においても、国保運営協議会委員に公募委員を加えるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 中野区では被保険者代表につきましては、区政を取り巻く状況を御理解いただいている方の中から選任することとしておりまして、地域の実情ですとか、区政に対する関心をお持ちの方を民生児童委員協議会などから推薦していただいているところでございます。したがいまして、国民健康保険運営協議会の委員を公募する考えは今のところございません。
○羽鳥委員 ぜひとも検討を今後していっていただきたいというふうに思います。
また、議会への情報提供も、私は今現在適切に行われているとは言いがたい状況があると思います。例えば、次年度保険料率については、条例が提案されるまでは議会には情報が何も回ってきません。区長会では年末年始にかけて、次年度の保険料率についてなどが審議され、今回も既に1月の時点で保険料率の目安は出ています。区長会での議論の状況に応じて、議会には適時情報提供等報告を行うべきではありませんか。2011年には1月中の閉会中の厚生委員会に、国保料の賦課方式についての従来の住民税方式から旧ただし書き方式へ移行する旨の報告がありました。このような事例もあるわけです。中野区のやる気次第であると思います。条例提案前に、保険料など区長会の議論の状況を報告すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 現在、国民健康保険の保険料率につきましては、23区統一の保険料方式を採用してございます。このため保険料率につきましては、特別区長会で検討し、その結果を国民健康保険運営協議会に諮問し議論していただいてから、区議会に国民健康保険の改正条例案を提案しているところでございます。したがいまして、特別区長会での途中の検討状況を区議会にお示しすることはできないと考えているところでございます。
○羽鳥委員 別にそこで決めるというふうに言っているわけではないのですから、改めてこうしてほしい、今後検討してほしいということを申しておきたいというふうに思います。
3番目に、地球温暖化対策についてお聞きいたします。まずは、地球温暖化対策、緩和策についてお聞きします。
2016年の世界平均気温、またしても過去最高を記録し、3年連続で過去最高となりました。この原因は、科学者らから、人間活動による二酸化炭素(CO2)の排出が主な原因だったと指摘されているところです。今年度から、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)と第3次中野区環境基本計画が始まり、地球温暖化を防いでいくための新しい目標が設定されたわけでありますが、この目標というのは、昨年の第3回定例会で私が一般質問した際に御答弁いただいたとおり、パリ協定における世界平均気温の上昇を2度未満に抑えるという目標を達成するためのものであると認識をしてよいですか。
○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) 国は、パリ協定におけます世界の平均気温の上昇を2度未満に抑えるとの目標を前提に、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議、いわゆるCOP21に向けまして、平成27年7月にこの温室効果ガスの削減目標を定めたものでございます。さらに東京都におきましても、こうした国の目標を踏まえた上で、平成28年3月に温室効果ガス削減目標とエネルギー消費量の削減目標を設定してございます。区は、こうした国及び東京都の動向も踏まえまして、第3次中野区環境基本計画におきまして掲げた区内のエネルギー消費量削減目標、これはパリ協定の世界の平均気温の上昇を2度未満、この目標を前提とした目標であると認識してございます。
○羽鳥委員 すると、今回の計画で示されている目標を必ず達成しなければならないというふうに思います。そのことへの認識はいかがでしょうか。
○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) 地球温暖化防止は、環境問題の中で最も重要な課題の一つでもございます。また、人類共通の課題と認識してございます。このため、第3次中野区環境基本計画は地球温暖化対策を中心とし、エネルギー消費量やCO2排出量の削減目標を掲げ、削減に向けた具体的な取り組みを示したアクションプログラムを定めたというものでございます。区民、事業者、区がこの目標達成のためにそれぞれの役割を果たし、連携した取り組みを推進して達成していきたいというふうに考えてございます。
○羽鳥委員 達成に向けては、多くの区民がCO2削減のために行動することが求められており、区がそれを後押しをする積極的な施策展開を行っていく必要があります。中野区は、区のこの削減目標を達成するために、区民の取り組めるCO2の削減メニューとしてどのようなものを用意しているでしょうか。
○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) 区が実施してございます区民の皆様が取り組んでいただけるCO2削減メニューといたしましては、まず、なかのエコポイントでございます。これは全ての御家庭が参加いただき、年間を通じて電気や都市ガスの削減に取り組む、CO2の削減に取り組むというものでございます。CO2削減コースのほか、エコマークの環境商品コースも御用意してございます。次に、環境学習教材「なかのエコチャレンジ(家庭版)」、これを作成してございます。主に小・中学校の児童・生徒の方中心でございますが、その家庭での省エネ行動に活用していただいてございます。このほか、断熱性の高い住宅を建築した場合には、区として高断熱建築物の認証、これを行ってございまして、エコポイントを差し上げてございます。
また、29年度からでございますが、家庭の省エネ診断事業を開始いたします。こうした家庭生活の中で環境に配慮した取り組みを行う事業を実施してございます。
また、削減目標の数字そのものに直接反映されるものではございませんが、中野の森プロジェクトを実施してございます。これは森林資源を保有するなかの里・まち連携自治体、みなかみ町や喜多方市との連携によりまして森林整備事業、これを実施してございまして、区民の方が環境基金への寄附を通じて参加することが可能になるという仕組みでございまして、これによりカーボン・オフセットという形でのCO2削減に向けた取り組み、これも実施してございます。
○羽鳥委員 本日は、エコポイント制度についてお聞きをしていきます。2011年度より始まったこの事業ですが、区が目標としていた事業規模に達しているのでしょうか。エコポイント制度は登録数こそ少しずつはふえてはいますが、実際に行動を起こさなければ意味はありません。登録しているだけのところも多いのではないかと思います。エコポイント制度が始まってからの毎年度のエコポイントの交付申請数は、それぞれ何世帯でしょうか。
○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) エコポイントの平成23年度の開始当時は、大震災、原子力発電所の事故等があった直後でございまして、電力危機、節電の意識が行き渡っていたというような状況でございました。このため、23年度に参加登録いたされた1,099世帯のうち約42%、466世帯が24年度にポイント申請をされてございます。しかし、その後、ポイントを申請する世帯数は減ってございまして、26年度にはポイント申請世帯数が約全体の12%、169世帯にまで減少いたしました。このため、区としても制度を見直しまして、継続して取り組んでいただく区民への新たなポイント付与などを実施したところでございまして、ポイント申請世帯数は回復傾向にございまして、今年度で申し上げますと、まだ年度途中でございますが、252世帯となってございまして、これは登録世帯数の約15%になってございます。年度末に向けてさらにふえる想定でございまして、29年度はさらにふえると見込んでございます。
○羽鳥委員 そして、それぞれの年度でのCO2の排出削減量、どのくらいだというふうに算定できるでしょうか。
○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) 現にポイント申請をされた方の取り組みによってわかっている実際のCO2の削減量、これでございますが、平成24年度は137トンでございました。25年度は27.4トン、26年度は6.9トン、27年度は10.8トンというふうになってございます。
○羽鳥委員 参加している区民の方々は、それぞれ努力をされていると思いますし、発電所の電力係数などの問題もありますから、いろいろと大変なところもあると思いますが、区の目標と照らしても、やはり少ない水準と言わざるを得ません。区は、エコポイント参加登録数のうち、どの程度が交付申請を行うと想定していたのでしょうか。また、交付するポイント数について、予算を立てる際、どの程度交付すると見込み、実績はどうだったのでしょうか。
○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) まず実績のほうでございますが、なかのエコポイントの参加登録世帯のうち、実際にポイント申請を行った世帯の割合は、制度発足当初の42%を除きますと、おおむね12%から15%程度になってございます。交付ポイント数の実績につきましては、24年度は約120万ポイントでございましたが、その後25年度は27万ポイントに落ち込んでございまして、その後回復しつつありまして、今年度は最終的には約100万ポイントを見込んでございます。
次に、予算積算の際の想定でございますが、参加登録世帯数のうち、おおむね24%から30%程度がポイント申請をすると見込んで、ポイント数を積算してございます。
○羽鳥委員 いろいろ努力をされているところだとは思いますが、区が目標としている規模には到達していない状況だと思います。また、区は目標として、エコポイントの登録数1万世帯というものを掲げています。この登録数のうち、どのくらいの世帯が実際に交付申請を行うと見込んでいるのでしょうか。
○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) なかのエコポイントの平成32年度におきます参加登録世帯数の目標数値は1万世帯としてございます。その場合のポイント申請をする世帯数につきましては、現在の状況を前提といたしますと約1,500世帯ということになりますが、できるだけ多くの世帯に参加登録していただくとともに、実際に省エネに取り組み、かつポイント申請もしていただけるよう、制度改善の検討を進めているところでございます。
○羽鳥委員 私は、エコポイント制度自体は、区民一人ひとりが地球温暖化対策への意識を高めていく上で大事な事業だとは思っていますが、これまでの実績からいっても、区の目標はやはり達成できません。別の施策が必要だと思います。おととしの決算特別委員会の総括質疑で、アクションプログラムでCO2排出削減量を検証できないものが削減見込み量の大半を占めている問題を指摘させていただきました。今回、中野区の環境基本計画における目標がどのようにして目標達成を行えると見込んでいるのでしょうか。
○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) 今回の第3次中野区環境基本計画でのエネルギー消費量の削減目標の設定の考え方でございます。これはまず内容としましては、10年後の平成37年度におきますエネルギー消費量を、平成24年度と比べて15.2%削減するというふうに設定いたしました。この目標設定に当たりましては、まず今後の傾向の推計を行ってございまして、その結果、今後新たな地球温暖化対策を追加実施しないで現状の対策にとどまった場合には、平成37年度におきまして、エネルギー消費量は2.2%の減にとどまってしまうとの結果が出てございます。そこで、区としましては今後の技術革新ですとか、設備機器の省エネ性能の向上を見込みまして、国や東京都の対策も含め、また、区のアクションプログラムの推進によりまして、区民、事業者の方の設備機器の買いかえ、また省エネ行動が拡大し、さらに区の大規模事業者としての環境配慮率先行動を行うというようなことで、さらなる削減を目指すとの考え方を持ちまして、目標を15.2%減と設定したものでございます。今後このエネルギー消費量の削減目標に向けまして、アクションプログラムにおきまして四つのプロジェクトを掲げ、取り組んでまいります。
○羽鳥委員 お答えいただきましたように、今後の技術革新でありますとか、機器の買いかえでありますとか、省エネ行動でありますとか、こういったものに頼らざるを得ない、目標達成が不確実なものだと指摘せざるを得ません。区が責任を持って現状の目標を達成するための施策を行うことが求められています。これは何度も求めているところではありますが、太陽光発電設備への設置助成が必要だと考えます。持ち家にしか助成できないと言って、中野区ではホームページでの紹介にとどまっていますが、23区ではほとんどの区が制度を導入しています。意識のある人から、条件のある人から対象としていく、実施をしていく、こういった始め方で取り組んでいくべきです。中野区の認識をお尋ねします。
○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) 家庭への太陽光発電機器設置に係る費用の助成につきましては、実際上、一定の条件の持ち家のみが助成の対象となることから、機器設置そのものへの助成は考えてございません。区では、なかのエコポイント制度を実施してございます。これは持ち家である、賃貸を問わず、また一戸建てや集合住宅を問わず、区民の皆様どなたにも御参加いただけるものでございまして、電気や都市ガスを中心に、その削減に取り組んでいただける仕組みでございます。今後ともその参加促進を図りまして、家庭におけるエネルギー消費量削減、CO2排出量削減を進めていきたいと考えてございます。
○羽鳥委員 こういったところを見てみましても、エコポイントの制度、仮に1万世帯登録して1万世帯が申請した、こういったところでも、やっぱり目標達成には大変なわけです。新たな施策展開、改めてやっていかないと目標達成できないということを指摘しておきたいと思います。
目標自体についてもお尋ねいたします。今回、気温上昇を2度未満とする長期的な目標、これを前提としているというふうなお答えでしたけれども、この長期的な目標を達成するためには、今の環境基本計画、あるいは10か年の目標を達成したとしても、私は率直に言って不十分であると考えます。計画の改定時、大体5年後ということになると思いますが、この目標の引き上げをやっぱり毎度毎度検討していく必要があると思いますが、そのような目標引き上げの意思はありますか。
○鳥井環境部副参事(地球温暖化対策担当) 現在の計画において掲げた数値も、パリ協定の世界の平均気温上昇2度未満の目標を前提としたものであると認識してございます。次の計画改定の際には、国や東京都の動向、また計画の達成状況、これを見きわめながら、削減目標の設定について検討してまいります。
○羽鳥委員 私もこれからもいろいろ提案していきますが、区においても積極的な施策展開を行っていってほしいと思います。
続いて、地球温暖化対策の適応策についてお聞きいたします。
第3次中野区環境基本計画では、CO2そのものを削減する緩和策とともに、適応策を展開することがうたわれています。その中では水害対策として、公園や道路に地下貯留浸透施設を設置しますとなっています。区道への雨水貯留浸透施設について、今定例会でのいさ議員の指摘答弁にもありましたように、道路舗装維持管理計画と歩調を合わせて行うとしています。しかし、これでは50年かけて施設設置を進めることになってしまいます。豪雨は50年も待ってくれません。水害防止のために、最適な設置計画を立てるべきではないでしょうか。
○千田都市基盤部副参事(都市基盤整備担当) 道路ストック総点検に基づく道路舗装管理計画は、舗装の耐用年数を延ばしながら予防保全型管理への転換を果たすものであることから、道路附属物である雨水浸透貯留施設の設置に当たっては、掘り返しによる舗装劣化を最小限に抑えるための埋設企業者との事前施工調整など、計画的な工事実施が求められます。また、雨水浸透貯留施設は他の埋設企業者との占用位置調整を必要とする地下構造体であることから、道路管理上、道路舗装維持管理計画に合わせた計画的な実施が不可避であると考えております。
○羽鳥委員 何度も何度も舗装を掘り返してしまっては、これは確かに効率的な工事とは言えませんから、そういったところと合わせるのは必要だと思います。しかし、設置することによって、区の被害も減らせるわけですから、最適な設置計画というのを立てるのはぜひとも必要だと思います。実際にこの工事を行うかどうかというのは、それはもちろん調整は必要だと思います。地球温暖化の影響というのは、区の全分野に及び、適応策の推進というのは――ごめんなさい。間違い。
また、道路舗装の維持管理計画では、区道を対象としているわけですが、しかし、区内には都道も通っており、水害防止という観点からは、都道に、例えば真っ先に設置を進めたほうがいいということもあるとは思います。環境基本計画の中では、河川の改修や下水路の整備については東京都等と連携して推進しますとあります。雨水貯留の浸透施設の設置についても連携すべきではありませんか。
○千田都市基盤部副参事(都市基盤整備担当) 計画している雨水浸透貯留施設の整備は、東京都都市整備局、建設局、下水道局及び神田川流域関係区市で構成する東京都総合治水対策協議会で定める神田川流域豪雨対策計画で、中野区が求められている対策量に応えて実施するものでございます。したがいまして、東京都と連携して一体的に取り組んでいるものと認識しております。
○羽鳥委員 適応策の推進というのは、やっぱり全庁的な推進体制の構築が必要です。設備によっては多額の費用が必要な場合もあり、改めて計画的な推進というのを行うことが必要だというふうに申しておきます。
最後に、不良な生活環境の解消について、いわゆるごみ屋敷条例についてお聞きします。
昨年の第4回定例会で、不良な生活環境の解消に関する条例に盛り込むべき内容について、素案が報告されました。まず、今回このような条例を制定する方針を出したのはなぜでしょうか。
○浅川環境部副参事(生活環境担当) 区内には、家屋や敷地、また、私道などの私有地におきまして、物品の蓄積等により近隣住民の生活環境に支障が及んでいる事例が散見されております。このように、いわゆるごみ屋敷と言われるような事象は、今後さらに進展する高齢化や、親族や地域における人間関係の希薄化によって増加することが懸念されているところでございます。区は、地域での支えあいネットワークを軸に、これまでも高齢者等の孤立解消や見守り支援を推進しており、今後とも一層の強化を図っていきますが、その一方で、近隣住民の生活環境に支障が及ぶ事態が生じた場合への対策もあわせて講じる必要があると認識してございます。このため、安全で良好な生活環境を確保し、区民が健康で安心して暮らすことのできる地域社会の実現に資するため、新たに条例を制定する必要があると判断したものでございます。
○羽鳥委員 社会の変化などで、今後ますます、御答弁にもあったようにこういった事例がふえると思います。区としても対応を求められる中で、条例制定の方針を出されたというふうに理解しています。中野区では現在、何件が区民の相談によって不良な生活環境にある状態と認識されているでしょうか。また、そのうち庁内のほかの分野から生活環境担当に、対処したほうがよいというふうに報告をされたものというのはあるでしょうか。
○浅川環境部副参事(生活環境担当) いわゆるごみ屋敷として近隣から苦情があり、区として指導等の対応を行っている件数は、区全体で7件でございます。このうち、他の分野から寄せられた情報によりまして、生活環境分野が連携して対応している案件は5件となります。
○羽鳥委員 現在のそうした物件への指導状況というものはどうなっているでしょうか。また、中には、指導したけれども、なかなか改善されないという苦労されている事例もあると思います。そうした改善が困難な理由について、区はどのように認識されていますか。
○浅川環境部副参事(生活環境担当) まず、指導の内容でございますけれども、近隣住民等から苦情や相談がありました場合には、状況に応じ、環境公害担当ほか関連のある担当が現地確認や発生者からの聞き取り等を行いまして、解決に向けた指導を行っております。具体的に申しますと、物品等除却指導を中心に、発生者に対し、近隣に不良な生活環境をもたらしているということを説明いたしまして、原状回復を繰り返し説得しているところでございます。
また、ごみ屋敷の解決が困難な理由でございますけれども、まず、私有地における物品の蓄積等を原因としている場合、これを規制する国の法律がないということが根本にはあると思っております。また、発生者本人の精神的疾患等が背景にあることが多くございまして、親族等の協力により一旦は改善が見られても、再びもとの状況に戻ってしまうという傾向があること等も、事例解決を困難にしている一因であると考えてございます。
○羽鳥委員 この間、会派として行った視察、また区民委員会でも先日、足立区に視察に伺いました。そうしたところ、また新聞報道など見ていますと、行ってみたら、生活に困窮して、生活保護につなげたという事例など、福祉的対応が必要なケースということも多数見られました。こういった場合には、中にはセルフネグレクトということも考えられます。生活環境分野だけではやはりなかなか対応が難しい現状も、今後ますます多くなってくると思います。そうした福祉的対応の必要性とともに、庁内のほかの分野で連携して指導していく、対応に当たっていく必要性について、区としてはどのように認識されているでしょうか。
○浅川環境部副参事(生活環境担当) 発生者本人のごみ屋敷となった要因、背景を的確に捉え対応することが、良好な生活環境を取り戻し、再発を防ぐことにつながると認識してございます。このため、庁内の関連分野はもとより、関係機関等とも幅広い連携を図っていきたいと思っております。
○羽鳥委員 先日の区民委員会で視察に伺った足立区では、169件をごみ屋敷と認定し、114件を解決しています。解決事例の中には、そのごみ屋敷の発生者と話が合った生活環境分野の課長さんが福祉事務所に連れていき、生活保護につなげた。これによって解決を図っていったという事例もありました。条例に基づく運用を開始し始めた段階でこうした力になったのが、庁内の部長級や担当課長、福祉部、衛生部とも連携できる生活環境適正化対策会議ということでした。条例や実施要綱で、こうした対策会議について設置を明記していく必要もあるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○浅川環境部副参事(生活環境担当) これまでも課題解決に当たりましては、庁内の関連分野と連携をとり、対応してきたところでございます。それぞれの事象によって原因や状況が異なるため、連携すべき関連分野の範囲もケース・バイ・ケースとなってございます。こうしたことも踏まえまして、不良な生活環境の解消に向け、適切かつ機動的に対応できる庁内関連分野との連携のあり方について、今後とも検討してまいりたいと思っております。
○羽鳥委員 ぜひとも検討をよろしくお願いいたします。社会の変化の中では、やはりこれまでの部署だけでは対応できない、今回のような事例はまさにその一つだと思います。区が条例の制定に当たっては、今御答弁をいただきましたが、不良な生活環境を解消するということありきではなく、やっぱり原因の根本を解決する立場でこの問題に臨んでいっていただきたいというふうに思います。
この項の質問を終わりまして、以上で私の全ての質問を終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。
○若林委員長 以上で羽鳥だいすけ委員の質疑を終了します。
次に、山本たかし委員、質疑をどうぞ。
○山本委員 平成29年第1回定例会予算特別委員会におきまして、人への投資が未来をつくる、民進党議員団の立場から総括質疑をさせていただきます。(「もう一回」と呼ぶ者あり)民進党議員団の立場から総括質疑をさせていただきます。会派から50分の持ち時間をいただいております。なるべく早くやってまいりたいと思います。
1番、子どもの貧困についてお伺いいたします。質問項目は通告のとおりで、その他はございませんが、3番と4番を入れかえて質問させていただきます。
初めに、1番、子どもの貧困についてですが、今定例会一般質問で、我が会派のひやま議員から質問をさせていただきました。その中で区長から、「生まれた環境や育った環境で未来が閉ざされたり、貧困が連鎖していくことになっては絶対にならないのだという御意見については、私も共感するところであります」との答弁があり、頼もしく思うとともに、来年度予算で学習支援事業の拡充について大変評価するものです。この支援をきっかけに、勉強が楽しくなって、自己肯定感が高まり、ぐんぐん伸びて、いずれノーベル賞をとる子が出るかもしれない、こう期待しているところであります。
さて、私からの視点でも質問をさせていただき、区長と私も同じ思いであるか、確認させていただきたく思います。高校入試の結果もあさってに控えておりますが、まず学習支援事業についてお伺いいたします。
予算補助説明資料246ページ、就労等自立支援の項目に、学習支援事業は4,895万9,000円と拡充されました。現在、区が行っている生活困窮者自立支援制度の学習支援事業であるしいの木塾ではどのような支援が行われているのか、お伺いいたします。
○鈴木健康福祉部副参事(生活援護担当) 学習支援事業は、低所得世帯の子どもへの学習の機会を提供しまして、学力の向上を図り、学習習慣の定着や、全日制高校への進学等を実現することで貧困の連鎖を解消することを目的とした事業でございます。現在、区は少人数指導体制を実施することで、個々の子どもの学力等、個別の状況に応じたきめ細やかな支援を継続しているところでございます。
○山本委員 続いて、学習や生活環境など、子どもをめぐるさまざまな課題についてどのように把握しているのか。把握された課題について、またどのような対応を行っているのか、具体的に伺います。
○鈴木健康福祉部副参事(生活援護担当) 子どもの課題把握と対応についてでございますが、先ほど答弁させていただきましたように、学習支援事業では少人数指導を実施しているところでございます。例えば中学生につきましては、指導スタッフ1名に対して生徒2名という体制を構築することで、生徒の学習のつまずきを把握するとともに、指導方法を工夫することで学習理解における弱点の克服に努めております。また、受験に関するアドバイスや進路相談など、高校進学に向けての総合的な支援を行っているところでございます。さらに個別の保護者面談や自宅の訪問を実施することで、子どもの身体状況や家庭環境を把握しつつ、関係機関と協議の上、課題解決に向けたアドバイスを行ってきたものでございます。
○山本委員 詳しくありがとうございます。一般の学習塾においても、途中でやめてしまうといったケースはままある話ですが、しいの木塾においても途中で辞退するケースというのはあるのでしょうか。お伺いいたします。
○鈴木健康福祉部副参事(生活援護担当) 一般の学習塾と同様、しいの木塾においても辞退するケースはございます。
○山本委員 今年度の実績で合格者100%と言われておりましたけれども、その母数には、こうしたやめられた方を差し引いた上での100%だと思います。
では、義務教育後のフォローについてお伺いします。
一昨年、第4定例会で指摘しましたが、高校に入学し、6月に最初の高校中退のピークがあることがさまざまな調査で知られておりますが、小・中学校での不登校や、高校で中途退学を経験した生徒など、これまで能力や適性を十分に生かし切れなかった生徒のために、都が設置しているチャレンジスクールという高校において、2学期補欠募集制度を使って転入するには、それ以前に中退し、空白期間をつくってはなりません。高校に入っても支援があれば、私のように大検を挟んで大学へ行くといった遠回りする子も減るかと思います。生活困窮等の課題を抱える子どもたちが、将来自立した社会生活を送る、貧困の連鎖を断てるようにするための取り組みとして、今の区の学習支援事業がありますが、来年度から東京都の補助事業である自立促進事業において、中学卒業後の高校生に対する学習塾への通塾等の経費に関する支援が拡充されるようです。区においても従来の支援を拡充すべきと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
○鈴木健康福祉部副参事(生活援護担当) 自立促進事業は、被保護者及び被保護世帯に対してその自立支援に要する経費の全部、また一部を支給することによりまして、被保護者等の自立の促進を図ることを目的とする事業でございます。この事業の中に学習環境整備支援費が設けられておりまして、平成29年度から学習塾への通塾や大学等の受験料について、経費を支給する仕組みが拡充される予定であると聞いております。今後、自立促進事業の内容について精査した上で、対応を研究していきたいと考えております。
○山本委員 ぜひ研究して、前向きにお願いしたいと思っております。
次に、子どもの未来を支える対策について伺います。
昨年の総括質疑で、都が進める中野区の子ども・若者計画策定について提案させていただきましたが、検討は今進んでおられるのか、お伺いいたします。
○平田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 子ども・若者計画についてでございます。平成21年に策定されました子ども・若者育成支援推進法第9条によりまして、市区町村は、都道府県子ども・若者計画を勘案して、当該市区町村の区域内における子ども・若者計画についての計画策定に努めるものとされてございます。現在、子ども・子育て支援計画の改定に合わせまして、情報収集などの準備を行っているところでございます。
○山本委員 状況はわかりました。
それから、先週、東京都において、子供の生活実態調査【若者(青少年)調査】の結果の概要、中間のまとめが発表されました。この調査では、新宿区、足立区、八王子市に在住の15から23歳の若者本人と、その保護者が調査対象ということで、質問項目だけは参考になるものの、本区の実態ではありません。義務教育を卒業しても区民であることに変わりはないことは当然ですし、効果的な施策を打つために、他区では、本年、都立高校を中退した区民の数といったデータを把握できているように、中学卒業後も実態をつかめるよう、ぜひ東京都教育委員会と連携してデータの把握に努めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○平田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 東京都の教育機関も含めまして、必要なデータ収集を行ってまいりたいと考えております。
○山本委員 ありがとうございます。
また、貧困の実態調査と新規にエネルギーをかけてやらずとも、既に今ある区が所有するさまざまなデータを、例えば東京都が首都大学東京に設置した子ども・若者貧困研究センターなど調査機関に依頼すれば、今ある手持ちのデータでわかる新しいデータがあるのかないのか。これとこれがあればこれが判明するなど、分析して教えていただけると思うんですよね。聞くだけは費用がかからないわけでありますし、アプローチしてみてもいいんじゃないか、こう考えるんですが、いかがですか。
○平田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 現在、区が保有するデータにつきまして、有効活用を図ってまいりたいと考えてございます。調査機関の活用につきましては、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
○山本委員 よろしくお願いします。
新宿区では、昨年度から子ども未来基金を設立しました。28年度の寄附額は約110万円とのことで、多額の寄附金が集まったわけではない印象を私は受けます。しかし、中野区でも子ども未来基金を創設すべきと私は考えております。現在、区に寄附をしたい、こうした問い合わせがあった際、来庁いただくなどして、教育やまちづくりなど、目的が記された項目にチェックしていただき、基金に入りますが、区民にとって、区に寄附をしようと考えが及ぶ人は、人数としてはまだ少ないのではないかと思います。結果として、寄附は思ったより集まらないかもしれませんが、区報等で周知することは、区民が区の子どもたちへの意識と理解を進める上で、インパクトは多大なものがあると考えております。
また、対策を行っている他自治体では、子どもの貧困対策にはさまざまな部署を横断して協力が必要なことが多いため、メーンの肩書と兼任して子どもの貧困対策を統括する役職を設置したり、子どもの未来課といった名前で部署を新設する場合もあります。都では来年度、子供の貧困対策支援事業として、専任職員を派遣してもらえる補助メニューも活用するなど、より進めていける体制を考えるべきだと考えます。私としては、子どもの未来基金をはじめ、子どもの未来課など部署を新設して、区として子どもの未来を支える対策を推進する姿勢を区内外に打ち出すべきと考えておりますが、いかがでしょうか。
○平田子ども教育部副参事(子育て支援担当) 今後、子ども等を含めまして、地域包括ケアシステムの検討及び構築も進めつつ、体制整備などもその中で検討してまいりたいと考えております。
○山本委員 次に、子どもの居場所や話せる関係のチャンネルづくりということについて伺います。
区政運営のトップである区長にぜひ耳を傾けていただきたいのですが、大人も含んだ現代の貧困には、大きく経済的な貧困と関係性の貧困の二面があると考えております。何か悩んだときに話せる間柄の人がいなければ社会的な孤立に陥りやすく、大人でそうであるなら、子どもにとってはなおさらだと思います。先ほどの中野区の学習支援事業ですが、経済格差による学力不足によって貧困の連鎖を生まないよう、積極的に学力に力点を置いて拡充した点を評価しているところですが、関係性の貧困にもぜひ注目、着目していただきたく思います。
さまざまな悩みを子どもは持ちますが、学校の友人に話せないことや、親に話せないこともあります。そうしたときにいつでも迎えてくれる、話せる関係の方がいる。居場所があればベストなんですが、まずは関係があるだけで私は構わないと思っております。悩みを話すことで、自分と年が近い、離れているを問わず、自分に同意されることで、時には違った切り口の考え方によって悩みが救われた、目指すべきロールモデルになったというケースは皆さんもあるかと思います。こうしたチャンネルをできるだけ複数用意してあげることで、社会に巣立ってもらえるまで頑張れるのではないかと考えております。
会派で視察に伺った板橋区の学習支援事業では、子どもと担当者の相性を大切にして、子どもと先生の人間関係をゆっくり着実に育み、きめ細かな支援をしておりました。江戸川区では、学生ボランティアが週6日、うちで言えばU18、中高生のための施設で、年の近いお兄さん、お姉さんとなって丁寧に勉強を指導して、心を通わせておりました。翻って、うちの学習支援事業ですと、進学塾の栄光ゼミナールさんに委託して、生徒と個別指導をして高校に受からせる。これはこれで大変重要だと思いますが、個別指導は相性があり、生徒と先生の相性がありまして、中学卒業後も関係性が続く環境には乏しく見受けられることもあります。さまざまな理由で引っ越しとか、先ほどの話ですけれども、途中でやめてしまう方の中には、さまざまな理由で引っ越しとかもあるかもしれません。相性が合わず断念してしまった方もおられるのではないかと思っております。また、高校に入った後にも、友人ではない、悩みを話せる関係性の人が必要だと考えております。
そこで伺いますが、現在、区では地域包括ケアシステムを進めており、ステップ2では、高齢者だけでなく、子育て世帯、障害者など全ての人へ対象を拡大する計画でありますが、何よりも地域の人的資源の掘り起こしと、コーディネートして活用することが求められていると考えております。さまざまな課題を持つ子どもも含め、安心して集い、悩みなどを相談できる居場所や関係のチャンネルづくりを学生ボランティア、地域住民等との連携により、地域で本気で取り組む必要がありますが、区は地域で子どもを受けとめ、地域で支えていく仕組みの構築こそ、子ども版地域包括ケアシステムの検討では重要だと考えておりますが、いかがでしょうか。
○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 青少年育成地区委員会や子ども会、子育てグループなどの育成活動団体や学校、次世代育成委員との連携を強めるとともに、これらの活動への助成制度を拡充するなど、新たな活動の担い手の育成を進めて、地域における包括的な子育て支援ネットワークの強化を図っていきたいと考えております。すこやか福祉センターでは、地域に根差したこれらの活動を支援するため、すこやか福祉センターや区民活動センター等の活動の場を提供するとともに、区民活動センターのエリアを担当する福祉職、医療職などの職員によるチームを編成し、コーディネート等の人的支援を行っていこうと考えております。
○山本委員 子育て支援担当としっかり連携をとっていただきまして、区の人材資源のポテンシャル、こうしたものを生かしたものをつくっていただきたいと思います。あすを担う中野の子どもたちが、豊かな関係性によって自分なりの未来の道を描けて、能力を発揮できるよう力強くお願い申し上げ、次のページに移ります。
次に、子どもたちが充実した学校生活を送るための取り組みについてお伺いいたします。
予算補助説明資料196ページ、子ども教育費で3,456万1,000円と予算がついております。来年度、海での体験事業の予算が拡充されましたが、この事業の目的は何であるか、お伺いいたします。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 海での体験事業につきましては、学校と異なる環境の中で、生きる力の育成を含め、自己の可能性や友達の新たな一面の発見などが生まれることを期待しておりまして、学校生活の向上に資するとともに、泳力の向上やライフセービングなど、危険を回避する技術を身につける機会とすることを目的としております。
○山本委員 学校教育のカリキュラム外のこれは事業ですが、事業評価はどのように行っているのか、お伺いいたします。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 事業に参加した児童、保護者から、シュノーケリングや持久泳など、自主プログラムごとに満足度や事業の感想、また、今後の事業に取り入れてほしいことなどをアンケートで伺いまして、今後の事業運営に役立てているところでございます。
○山本委員 それでは、学校教育のカリキュラム内として、軽井沢移動教室がありますが、その目的は何でしょうか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 目的でございますが、平素と異なる軽井沢の豊かな自然環境の中で、自然や文化などに親しむとともに、集団宿泊活動を通して人間関係を深めたり、集団生活のあり方などについて望ましい体験を積んだりすることで、児童相互が協力して、よりよい学校生活を築こうとする自主的・実践的な態度を育てることを目的としてございます。
○山本委員 では、実施内容は誰の責任でどのように決めておられるのでしょうか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 教育課程の編成権は校長にございます。校長の責任で実施内容を決定しているところでございます。
○山本委員 そこで伺いますが、この軽井沢移動教室の事業の評価・検証はどのように行っているか、教えてください。
○杉山教育委員会事務局指導室長 移動教室は、当日のみの学習活動ではなく、事前・事後においても継続的に学習に取り組んでいるものでございます。移動教室にかかわる教員が児童一人ひとりの行動や態度、児童が記述した感想等をもとに、長いスパンで児童の変容、学年、学級の集団の変容を捉え、移動教室の成果と課題等について評価しているところでございます。
○山本委員 そこで、自然体験事業を評価する方法として御紹介いたしますが、独立行政法人の国立青少年教育振興機構が開発・実施している生きる力の事業評価測定・分析ツールのIKR調査があります。そのままこの軽井沢教室に使えるわけではないということは承知しておるんですが、この調査ツールも新学習指導要領に合わせて、自己肯定力を高める、へこたれない力、こうしたものに焦点を当てて、教育委員会でも使えるように、来年をめどに改良が進んでいると聞いております。このような調査を取り入れることで、学校現場が事前と事後で成果を把握する考えもあっていいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 事業評価については、移動教室の前後も含め、先ほど申しましたとおり、日々の教育活動の中で継続的に接している教員が、児童の変容を通して評価しているところでございます。教科の学習とは異なり、定性的な評価がなじむと捉えてございます。一人ひとりの教員の能力の研鑽に努めているところでございますが、より有効な方法があれば検討してまいりたいと考えています。
○山本委員 見える化しようという、こういう取り組みだと思いますので、ぜひ検討いただきたいなとも思います。それからまた、学習指導要領の改定によって、体験事業の拡充がうたわれていると聞いております。体験事業は教員、児童・生徒ともに、より強いきずなを育むためのものでもあります。ふだん学校で先生が気になる児童・生徒や、気になる児童・生徒同士の関係などを、日常とは違う環境に身を置き、共同作業や寝食をともにする中で関係が改善する、そうした力を持っております。そのためには、教員だけではなく、活動プログラムなどノウハウを持った外部人材を活用していくことも必要ではないかと思います。教育委員会として学校の移動教室に外部人材を活用している例を御存じであるか、お伺いいたします。
○杉山教育委員会事務局指導室長 承知してございます。学校の実情や移動教室の目的に合った取り組みであれば、外部人材を活用している例がございます。
○山本委員 たくさんのNPOや公益団体があるんですけれども、ちょっと近場で言うと、三鷹市では、翌年同じ中学校に通うことになる小学校6年生2校で外部人材を活用したプログラムを取り入れた集団宿泊事業を行っておりまして、効果を上げているとのことでした。中野区でも学校統廃合が進められており、そうした例もございます。こうした外部人材を活用したプログラムの導入によって、子どもたちの健やかな成長や児童・生徒の関係向上、改善、効果を上げることができると考えますが、現時点で導入する考えはありますでしょうか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 外部人材の活用プログラムの導入については、先ほど申しましたように、校長の各校の判断によるものとしてございます。
○山本委員 わかりました。
また、千代田区では委託事業者が大学生や社会人を集めて、子どもたちと接する際の注意点や遊びのサポートの研修を受けてもらい、ボランティアリーダーとして、青少年地区委員会のキャンプなどに派遣する子どもの遊び場事業を実施しております。中野区でも大学がふえて学生が多く住むなど、学生や若い社会人を活用したプログラムが期待できます。現在、ボランティアなどで学生を活用するための取り組みは何をしておられるのか、お伺いいたします。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 現在、区立の小・中学校におきまして、学校支援ボランティアといたしまして、多くの学生が学習のサポートや部活動の支援、図書館の図書の整理、児童の安全管理など、多様な活動を行っているところでございます。
○山本委員 我が会派の酒井議員が所属する青少年育成昭和地区委員会では、野外教育プログラムを持っているNPOに予算の中で講師料を払い、指導に来てもらっていると聞いております。区でもこうした取り組みを参考にしていかれるやり方もあっていいんじゃないかと思います。先ほど申し上げましたように、子ども版の地域包括ケアに絡んでくることでもあるのかなとも思います。これは要望にしておきますので、御検討いただきたく存じます。
次に、なかの里・まち連携についてお伺いいたします。
なかの里・まち連携は、平成21年4月に始められ、地方の課題と都市の課題をお互いの長所を発揮して補うことで、よりよい関係、お互いの発展を目指していくという趣旨とのことですが、この地方と都市との関係性やお互いの発展という点は、23区で進められている全国連携プロジェクトとほぼ同じ考え方であり、これらの全国的な取り組みが進行する前に進められた、いわば中野区における先駆的な事業と位置付けることができると思います。この里・まち連携は、三つの柱として、経済交流、観光交流、環境交流の三つの柱を中心として進行しており、現在の連携自治体は福島県喜多方市、山梨県甲州市、千葉県館山市、群馬県みなかみ町、茨城県常陸太田市の5自治体であります。
そこで、まずお伺いいたしますが、平成29年度予算補助説明資料126ページになかの里・まち連携の項目がありますが、上段の事業者交流会等92万1,000円という事業は何であるのか、お伺いいたします。
○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 補助説明資料の経費でございますが、里・まち連携の経済交流事業のうち、事業者交流会等を行う経費でございます。事業者交流会とは、連携自治体の事業者と中野区の事業者を結びつけまして、経済取引を活発化することにより、連携自治体事業者の販路拡大、中野区の事業者、商店などの商品力の向上を目的として実施する商談会ビジネスマッチングの経費でございます。
○山本委員 今お聞きした事業者交流会は、三つの柱のうちの経済交流だと思います。区は、里・まち連携に力を入れているが、どうしても地方自治体のメリットだけが目につくように見受けられるのですが、区民のメリットとしてどう考えておられるのか、お伺いいたします。
○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 三つの柱ずつにお答えしたいと思います。
観光交流事業につきましては、例えば喜多方市における農泊、農家宿泊の体験事業のように、単なる個人の観光旅行では経験できない市民同士の交流などを通じまして、連携自治体の自然や文化を体験できるというメリットがございます。経済交流事業につきましては、連携自治体と区の事業者の経済取引が活発に行われることで、先ほど申し上げたとおり、販路の拡大や区内商店の商品力の強化、また、区民は連携自治体の特色ある産品を手に入れることができるというメリットがございます。また、商店街のイベントに連携自治体が物産展参加ということをやっていただいて、商店街の振興というメリットもございます。環境交流におきましては、カーボン・オフセット事業などの仕組みを通じて、個人ではなかなか解決できない環境問題に対し取り組むことができる、環境に対する意識を持つことができるというメリットがあると思ってございます。
○山本委員 経済交流について、確かに地方の特色ある産品の中には、県内消費が大半を占めるという産品も多く、東京でも手に入りづらい商品もあります。里・まち連携においては、そのような掘り出し物的な産品が、この経済交流を通じて区民に届けられるというメリットはあるのだろうとは思います。今、答弁された特色ある産品が中野区民に直接届いているという現在の状況を教えてください。
○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 例えば常陸太田市との間では、道の駅でしか通常手に入らない新鮮な野菜が、区内の地元スーパーを通じて区内に届けられているという状況がございます。また喜多方市との間では、県内消費が50%というなかなか県外では手に入ることのできない地元酒造の商品を、区の酒販協会とコラボレーションして、区内商店を通じて区民へ届けられている状況もございます。その他、にぎわいフェスタや商店街のイベントにおいて物産展が開催されまして、みなかみの果物とか、甲州のワイン、館山の海の幸など、各自治体の特色ある産品が区民に届けられているという状況です。
○山本委員 それでは、観光交流はどういう内容で、現在どういう状況になっておられますでしょうか。
○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 観光交流事業につきましては、連携自治体が観光PRのためのキャンペーンイベントを区内で実施したり、中野区民向けの観光ツアーを企画して、区民がその自治体を訪れ、市民交流を行うなどの事業が行われてございます。商店街では、例えばブロードウェイ商店街などは、商店街イベントの景品として連携自治体への旅行を企画しており、100人単位での区民交流事業が行われているところでございます。また、町会などの地域団体では研修旅行や親睦会の機会に連携自治体を訪れ、交流を深めております。
○山本委員 それでは、そもそも里・まち連携を始める際の話ですが、里・まち連携自治体をどのような選定基準で選んだのか、お伺いいたします。
○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 連携自治体の候補の基準につきましては、当時、中野まつりや花と緑の祭典への参加など、当区と交流のあること、そして今後の交流の意向がある自治体であること、また、連携事業により中野区の価値を高めることのできる資源を有する自治体であること、ブランド、特産品を有していると中野区民が認知できる自治体であること、連携事業によって中野区と連携自治体が相互にメリットが生きる自治体であることなどを考慮して呼びかけ、賛同した自治体との間で連携を行ったものでございます。
○山本委員 連携自治体を決定する際には基準があることがわかりました。簡単に言えば、その当時まで交流があった自治体であり、自治体にブランドや特産品があり、相互にメリットがあることということでした。つまり、お互いの交流の歴史やお互いの価値の向上などが重要であり、それを通して区民へのメリットがあるとの基準でありました。また現在、人口減少社会が進行しつつある中、地方都市はさまざまな形で都市部、特に首都圏との連携を強めようとしております。全国連携プロジェクトはその流れを全国的に加速していると捉えられます。
そこで伺いますが、先ほど前項目で質問させていただいた中で出てきた、区内の小・中学校が移動教室として集団宿泊事業を長い期間続けている区所有の施設のある軽井沢町、軽井沢は全国的な観光地であり続けており、高いブランド力を保有していると考えられ、選定の候補基準は満たしていると見受けられますが、軽井沢町は里・まち連携自治体の選定の際の候補には挙がっていたのでしょうか。
○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 当時の里・まち連携の候補にはなってございません。
○山本委員 何で入らなかったんでしょうか。
○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 連携自治体の候補の絞り込みにつきましては、当時の交流実績や自治体のブランド、特産品など、先ほど御説明した基準を勘案して行ったところでございます。長野県軽井沢町については、区有施設を有しているものの、当時、自治体間や地域団体間における交流実績が乏しかったため、連携自治体候補とはならず、呼びかけを行わなかったというところでございます。
○山本委員 そうしたら、この先、例えば中野区は、先ほどの基準を満たしているような地方自治体から連携の申し込みがあった場合、つまり新規の手挙げがあった場合は、中野区はどうするんでしょうか。
○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 相手方の自治体の連携の意向があった上で、互いの連携効果が見込まれれば、新たに里・まち連携を始める可能性はございます。現に平成24年度には、みなかみ町が新たに連携自治体に加わったという事例もございます。
○山本委員 連携自治体との関係を強化するということもわかりますが、軽井沢町には少年自然の家という区所有の拠点施設もあり、仮に軽井沢町と連携を結んでいれば、今ごろは他の自治体と比べても、よりさまざまな分野での交流を通して、強い連携のメリットや区民のメリットが今の里・まち連携自体にも広がりがあったように思います。現在の自治体との連携を強化・継続していくことが大切であるとは思いますが、これまでの交流の歴史や軽井沢のブランド力も考えれば、新たな連携都市の一つとして連携を考えてもいいんじゃないか、こう思うんですが、いかがでしょうか。
○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 長野県軽井沢町につきましては、自治体間、地域団体間との連携自治が乏しいため、先ほど申し上げたように連携の意向は今現在、確認していない状況でございます。機会を捉えて、まずは里・まち連携事業についての紹介を行い、その上で軽井沢町での連携意向があり、互いに効果が見込まれれば、連携の可能性を探っていきたいと思ってございます。
○山本委員 ぜひ交流していただきたいと私は思っております。
お隣の世田谷区ですが、世田谷区では、長年、群馬県川場村に、うちと同じように区所有の移動教育施設があったことから姉妹都市となり、今年度から川場村が行う木質バイオマス事業を連携して、区民が木質バイオマス事業で生まれた電力を買うことができる仕組みを導入するための関連予算をつけております。今はないという答弁しか今はできないんだとは思いますが、今後のさまざまな可能性を考えて、せっかく区の拠点施設を持っていて、接点と縁と背景を持っていらっしゃるんですから、里・まち連携をしていただきたいなと思っております。今後もほかの分野で自治体間連携事業をやっていく際には、区と関係がある自治体の候補リスト選定作業をする上で、漏れのないよう十分注意を払っていただきたいと思います。これは自治体同士の縁でもありますし、その縁は区の財産でもあります。一朝一夕ではできません。こうした縁を大切にしていただきたいと思います。これは要望で結構です。
なかの里・まち連携、三つ目の目的である観光交流についてもお伺いいたします。先ほどカーボン・オフセットの話もありましたが、また違う切り口としてお尋ねいたします。我が区は、区民1人当たりの緑地面積が低い状況にあって、前回の中野区区民意識アンケートでは、もっと緑を求める声もありましたが、区は公園の整備など進めてはいるものの、それでも、やはり他地区に比べればまだまだ足りず、我が区にはふやせる土地には限りがあるといった課題があり、緑をふやすには高いハードルがあります。
そこで提案させていただきますが、緑のかわりに自然を感じるものとして、木のぬくもりというのがあると考えます。木を使った自治体の取り組みを紹介いたしますと、豊島区は「環境対策を先導する樹木のような新庁舎」と題して木材をふんだんに取り入れ、新宿区では、小学校跡地につくった四谷ひろばという施設に東京おもちゃ美術館を誘致し、子どもが木のおもちゃを通して目いっぱい遊べる環境を用意しております。台東区では、上野公園に太陽光パネルで蓄電し、USBケーブルを差して、公園利用者が携帯など充電できる機能を持った木のベンチを設置。岐阜市の新図書館、みんなの森メディアコスモスや、渋谷区の小中一環教育校本町学園など、全国的に新設計物には木のぬくもりといった魅力を意識して取り入れている事例は枚挙にいとまがありません。こうした自然を感じる木を通したデザインは、自然に触れづらい都市部の人にとっては高いニーズがあると思います。
一方、材料たる木を扱う日本の林業については、全国的に見て、世界との競争の激化によって木材価格の低下や運搬コストの高さ等から、伐採し、製材加工して販売する、こうした業態は大幅に減少傾向にありますが、山を保全・育成するための間伐作業やクリーンエネルギーである木質バイオマス事業を行い、資源を有効活用しよう、こうした動きが見られ、連携自治体においても同様のようです。調べたところ、スペイン発祥のフラメンコに用いられるキャスタネットを日本で初めて教育用カスタネットとして開発したのは、みなかみ町の木工職人の方で、最盛期には全国で7割のシェアを持っていたようです。現在でも地場のみなかみの木を素材として制作に励んでおられます。
今年度当初予算でも、新規施設や整備の計画がさまざま示されております。こうした今後整備していく設計物や既存の施設で、自然の豊かな連携自治体の地場の木材を用いた連携はできないものなのでしょうか。例えば、新庁舎や新体育館内外でのテーブルやベンチ、区内の公園遊具、乳幼児親子ひろばや保育園での積み木やカスタネットなどの知育教材、統廃合後の新小学校において、音楽室の吸音板など、木を用いた製品はたくさん思いつくことができます。子どもたちが、小さいころから里・まち連携自治体の木のぬくもりを通して成長していくことができれば、必然と大人は事業を知り、子どもは心に残ってまいります。
平成18年9月に閣議決定された森林・林業基本計画におきまして、市民や児童の木材に対する親しみや、木の文化への理解を深めるため、多様な関係者が連携・協力しながら、材料としての木材のよさや、その利用の意義を学ぶ「木育」ともいうべき木材利用に関する教育活動を促進するとしており、木育の促進が明記されております。
新宿区では木育を推進するウッドスタート宣言をし、新宿区で生まれた赤ちゃんに対し、連携自治体である長野県伊那市の職人がつくった国産材の木工玩具を誕生祝い品としてプレゼントし、子どもが木材に触れながら育てる環境の整備をしております。
また、連携自治体のみなかみ町もウッドスタート宣言市区町村の一つでもあります。私の住んでいる大和町の七海保育園は、ウッドスタート宣言を実践しているモデル保育園でもあります。多くの可能性がある中で、あえてこれをやったらどうか、こうした具体的な指定はしませんが、いずれにいたしましても、木のぬくもりといった、木から始まる環境連携というのは中野区にとって大きな魅力となり得ると思いますし、今後考えていかれたほうがいいと思いますが、いかがでしょうか。
○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 委員御指摘の木のぬくもりをきっかけとした交流につきましては、連携自治体の状況を把握しつつ、要望、提案がございましたら、今後、里・まち連携の一つとして進めていきたいと思います。
○山本委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。
連携自治体を調べたところ、ニーズはあります。常陸太田市のホームページでは、平成28年度地域おこし協力隊を募集しますとあり、活動内容は、まさに林業の担い手とあります。その依頼説明文には、常陸太田市で林業に従事し必要な技術習得に努め、豊かな森林資源で新たな可能性を追い求めつつ、木のぬくもりやおもしろさをPRするために力をかしてください。森林組合と協力・連携した取り組み、地場産材を活用した商品開発や販路開拓、首都圏などにおいての木工品のPR・販売促進とあります。
また、みなかみ町の利根沼田森林組合では、工房を開設し、間伐した木によって制作した生活に使える小物商品から、積み木パズルなど知育玩具、テーブル、椅子まで多くの木工製品がこの組合のホームページで販売されております。
ここから読み取れるのは、今は産業としては衰退してしまったけれど、山の保全のために間伐はしなくてはならない。しかし、製材にはされないで山に残っている未利用間伐材など、山を持つ自治体特有の課題に頭を悩ませており、豊富な自然資源をもっと活用したい。観光業だけでない、こうしたメッセージが既に連携自治体から発せられております。連携自治体の有名酒造と区内の事業者で「中野」というお酒も開発されて、区内で販売されているとのことです。それはそれでおもしろい試みだと思いますし、丸正さんに並ぶ「朝採れ野菜」販売も、地域の方からは喜ばれております。しかし、自治体側からの要望を待つという消極的な姿勢のままでは、区民の認知も進まないですし、事業者ではない区民は、里・まちのメリットを享受しにくいと思います。
区役所前で野菜販売と同時に、連携自治体の地場の木材を使った子ども用知育玩具の販売会をやってもいいんじゃないかと思います。経済交流だけでなく、環境交流、自然教育にも通じますし、区民も喜ぶと思います。待ちの姿勢ではなくて、我が区からの提案型でも互いにウイン・ウインになれる関係ならいいと思います。まずもって、区がこうして進めている自治体連携事業について、まだまだ周知が薄い現状があります。一層区民に知ってもらい、理解を深めていただける取り組みだと思いますので、ぜひお願いしたいと思いますが、最後に区長、ここまで聞いていただきまして、木を通した里・まち交流について、私は大きな可能性を感じておりますが、一言いただけますでしょうか。
○田中区長 カーボン・オフセットは、まさに木を通した交流ということで、実を上げていると思っていますけども、そのみなかみ、喜多方だけでなく、里・まち、どの都市も、どの地域も、木を生かした産業おこしとか、まちおこし、あるいは人を呼び込む、いろんなことを強く望んでいることの一つなんだろうと思います。そういう意味で、これから里・まち連携を充実させていくという中で、木のぬくもり、これをまた木と人間の暮らしを結びつけていく、こういうようなことは一つの切り口として大変有効なのではないかというふうに感じるところです。
○山本委員 ありがとうございます。夢がある提案なのかなと私はわくわくしておりますので、ぜひ、ともに進めさせていただければありがたいなと思います。
○若林委員長 山本委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。15時20分まで委員会を休憩します。
午後2時58分休憩
午後3時20分開議
○若林委員長 委員会を再開します。
休憩前に引き続き総括質疑を行います。
山本委員、質疑をどうぞ。
○山本委員 続きまして、3番、社会的インパクト投資についてお伺いいたします。
まず、財政を健全化させる一つの手段と言われている社会的インパクト投資という仕組みは御存じか、お伺いいたします。
○海老沢政策室副参事(企画担当) アベノミクスの成長戦略である日本再興戦略や、まち・ひと・しごと創生基本方針2015の中で、民間資金を活用した社会的課題解決手法の一つとして示されているということで承知しているところでございます。
○山本委員 ソーシャルインパクトボンドの名で呼ばれることもありますが、行政サービスを複数年にわたり民間のNPOや企業に委託し、その事業費をインパクト投資家から調達します。このインパクト投資家というのが恐らく、私もいろいろ調べたんですが、プロジェクトに対して投資する方だと思います。インパクト投資家から調達して、事業が実際に成果を上げた場合に、削減された行政コストを原資に、投資家に対して償還を行う仕組みです。現在はパイロット事業として、横須賀市が特別養子縁組推進を目指す事業を、尼崎市では若者就労分野において生活保護世帯の若者、15から39歳を対象に就労支援事業を行い、長期的な自立を促進しています。特にひきこもりなどの行政の介入が難しい若者に対し、ケースワーカーと連携し、本人のもとへ出向き支援するアウトリーチ事業を行っています。生活保護世帯の若者が就労することができれば、生活保護の費用を行政が負担することがなくなり、さらには納税者をふやすことにもなります。メリットとしては、経済的効果を計算し、一部を投資家に返還したとしても、行政コストの削減につながります。また、多様化する区民要望に応えるに当たって、民間の持つノウハウを活用できることなどが挙げられます。一方、課題としては、社会的成果を客観的に評価する必要があること、運営費を投資家から収集するのが困難な場合があることなどが挙げられます。
日本では、主に健康、福祉分野で事業を期待され、進められ始めております。また、福岡市や熊本市では、認知症を予防し重症化を防いで、社会福祉費用を削減する事業の実験が実施され、区でも進めようと検討している糖尿病重症化予防や健診率・受診率向上、依存症克服支援なども想定されるプログラムとして挙げられております。中野区としてもこういった流れを注視し、積極的に取り組んでいくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○海老沢政策室副参事(企画担当) この仕組みにつきましては、今後、国のパイロット事業も行われているというところでございますので、その検証結果等注視するなど情報収集に努めまして、区の事業で取り入れられるものはないか、研究を進めてまいりたいと考えております。
○山本委員 アメリカでは大分進んでおられるようでもありますので、ぜひ注視していただいて、うちでできるものにはいろいろと手を挙げていただくことも必要なのかなと思っております。
以上で私の全ての質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。
○若林委員長 以上で山本委員の質疑を終了します。
次に、高橋ちあき委員、質疑をどうぞ。
○高橋(ち)委員 皆さん、お疲れさまでございます。質問に入る前ですけど、きのう、酒井議員が、役所には新しい風を感じるというふうにおっしゃっていましたけれども、まさしく私も最近そのように感じておりますけれども、議会のほうもやっぱり新しい風を感じさせる人たちがいるということは、役所サイドの皆さんは認識してくださっていますか。大丈夫ですか。私たちも新しい風を吹かせている方たちがいらっしゃいますのをわかっていますか、新人の皆さん。新しい風をこちらサイドからも理事者の皆さんに影響を与えてほしいなというふうに思っておりますので。これは質問ではございませんので、きのう、酒井委員がそのようなことをおっしゃっていて、議会もあるのに、何で議会のことも言わないのかななんて思っておりまして、一応、言っておきました。
それでは、質問は順番どおりにさせていただきます。
まず、1番目の内部統制、ずっと私、この内部統制について伺わせていただいているんですけれども、ことしの仕事始めの日に日経新聞の朝刊に、職員の不祥事防止、首長に対策義務付けという見出しの記事が載っておりました。上場企業に準じて内部統制の仕組みを導入するというもので、住民の信頼を高めることを狙いに、総務省が自治法の改正を準備しているというような内容でございました。このように新聞に載っていたんですけれども。伺うところによると、中野区ではもう既に内部統制の仕組みは取り入れておりますけれども、きちんとした導入の時期と、その狙いを確認させていただこうと思います。この内部統制の対象となっている事務はどのようなものなのか、また、それぞれの事務についてどのような方法、手段によって統制をきかせようとしているんでしょうか。教えてください。
○田中経営室副参事(行政監理担当) 中野区におけます内部統制とは、業務の有効性及び効率性の向上、予算及び財務会計の信頼性の確保、行政活動に関する法令等の遵守の促進及び資産の保全という目的を達成するための措置を実施することを通じて、区政の運営を統制するということでございます。このような目的を達成するための措置であり、基本的には区の全ての事務事業が対象であるというふうに認識してございます。
内部統制の円滑な実施を図るため行政監理会議を設置し、内部統制の実施状況を把握するとともに、各種監査指摘事項や不適切な事務処理など、再発防止策を議論の上、内部統制の実効力向上に向けた取り組みを行っているところでございます。
○高橋(ち)委員 状況はわかりました。では、事務処理上のリスクを回避し、事務処理の適正さを確保するための方策は、財務事務などに関しては既に自治法の中で法制化されているというのは知っているんですけれども、中野区において、それでもなお新しい仕組みが必要とされるのはどういう事情なのか、わかりやすく教えてくれますか。
○田中経営室副参事(行政監理担当) 区では、業務が多様化、複雑化していく中で、平成22年度ごろでございますけれども、事務処理のミスが散見され、また財務監査の指摘事項が増加するなど、業務効率の低下をさせる結果となっていました。こうした状況を緊急事態と捉えまして、平成23年度に「内部統制のしくみ再構築に係る基本方針」を策定し、内部統制の実効性を高める取り組みを進めていくこととなったものでございます。
○高橋(ち)委員 私は、内部統制を一言で言うと、組織がエラーをするのを防ぐ仕組みのことだと思うんですけれども、こういう理解でいいんでしょうか。
○田中経営室副参事(行政監理担当) 内部統制を端的に言いますと、組織が業務を適正に確保するために、自発的に組織を統制する仕組み。まあ、組織がエラーを防ぐ仕組みというのも重要な部分であるというふうに認識してございます。
○高橋(ち)委員 そのとおりだと思うんですけれども、日々、区長や管理職が行っている決裁には、組織の中でどんな意味や役割があるのか、確かめておきたいと思います。
○田中経営室副参事(行政監理担当) 決裁とは、さまざまな事務処理などの原案につきまして、事案決定規定に基づき、決定権限を有する者が承認することで、組織としての意思を確定するものでございます。組織におきまして事務を適正に処理するためには、その決定案に係る組織内部の意思決定が適正になされていなければならず、事案の決定手続は事務を処理する過程の中で特に重要なものであると、このように認識してございます。
○高橋(ち)委員 大変大事なことだと思うんですけれども、決裁が典型的な内部統制のための働きだと思っているんですけど、これはどうですか。
○田中経営室副参事(行政監理担当) 決裁につきましては、業務の適正を確保するための重要な要素となっている、このように認識してございます。
○高橋(ち)委員 では、エラーを防ぐにはダブルチェックが大切で有効だという話を聞いたことがあるんですけれども、かつては管理職の決裁が必要であったんだけど、それが係長決裁で了解される仕組みに変わったというようなことを前回質問したときに聞いております。それで、これはダブルチェックが働かない、今は働いていないように思うんですけれども、どうでしょうか。かわりの仕組みが取り入れられているんですか。
○田中経営室副参事(行政監理担当) 柔軟かつスピーディーな事務処理を遂行する。それを推進するために、平成16年度からは一部の権限を、当時課長ですけれども、課長から執行責任者、係長級に委譲しているところでございます。しかしながら、監査指摘の増加傾向を受け、内部統制の再構築を行う中でチェック機能を強化するため、平成24年度から分野に予算、会計、契約などに関する知識を有する執行責任者、または担当者を審査担当者として設置しました。審査担当者は、分野の予算及び会計並びに契約に関する事務が財務会計システムにより適正に処理されているかどうかを審査しており、これにより複数職員による確認を担保したところでございます。
○高橋(ち)委員 今の話を聞いていても、何か、かつての仕組みが廃止されて、会議の仕組みが取り入れられるまでにかなりの時間がかかっていたのかなと思いますし、それまでに蓄積されてきたスキルや知識が失われてしまって、その後を受け継ぐ職員も育っていないのではないかというふうに心配になってしまうんですけれども、このようなことを担当者としてどう考えているのかということと、チェック体制の強化って、そういうふうにおっしゃっていますけれども、お題目を唱えるだけではエラーやミスは減らないという話も耳にします。仕事の仕組みそのものに目を向けて、人間がチェックしないでも済む仕事の仕組みに変えたり、人間の行うことはミスやエラーもつきものということを前提で起きた際の被害を最小限にとどめるような工夫をしておくなど、発想の転換が必要ではないかと思っています。
重大事故は、信じられないような負の連鎖によって起きるそうですけれども、かけ声だけではなくて、いろいろな仕組みを取り入れるべきではないかと感じますが、いかがお考えですか。
○田中経営室副参事(行政監理担当) 先ほど御答弁申し上げたとおり、平成16年度から一部権限を委譲した後、平成24年度にはチェック機能を強化するため審査担当者を設置してございますけれども、この権限を委譲したことによることによって職員のスキルや知識が失われた、そこまでは考えてございません。しかしながら、業務が多様化、複雑化していく中で、監査等でも指摘をいただいてございますけれども、会計事務などの基本的なルール、これらの認識不足、こういうことも指摘されてございますので、いわゆるこういう基礎的な実務、これのスキルアップや人材育成、これについての課題はある、このように認識してございます。
○高橋(ち)委員 私も監査委員を務めた経験から、今おっしゃったように一生懸命チェックをしていても、会計規則や契約の規則などのルール違反とか、それから事務処理のミスとかは、注意喚起が行われてもちっとも減っていないように感じているんですね。これも声かけだけのような気がしてなりません。ルールが実態にそぐわなくなって、実務の現場ではそれを守ることに意味を見出せないのに、一向に改める気配はなく、結果、現場が疲弊していくというようなことの心配はないんですか。
○田中経営室副参事(行政監理担当) 平成26年度に執行責任者及び審査担当者を対象に、会計事務に関するアンケート調査を実施してみました。その際、審査担当者に関しておおむね理解はされていることはうかがえてございますが、一方でその審査担当者の効率的なチェック、こういうことにつきましても御意見をいただいたところでございます。これらを踏まえまして、審査担当者用のチェックリストなどの見直しは行ったところでございます。また、不適切な事務処理の再発防止に向けた通知等による注意喚起や、各種監査指摘事項、伝達注意事項への対応の検証、それから、職員を対象としたリスク管理や危機管理理解度調査の実施、また、今年度は5年目職員と若手管理職による実務基本書の作成など、さまざまな取り組みは行っているところでございます。こういった取り組みや会計事務調査におけるヒアリング等を通じて、各職場の現状の把握にも努めているところでございますけれども、今後も効率的・効果的な取り組みが行えるような工夫はしてまいりたいというふうに認識してございます。
○高橋(ち)委員 認識していただいているということを確認させていただきましたけれども、行政の役割はますます重くなる一方なのに、職員の数は以前に比べてかなり減っていますよね。合理的にシンプルなルールのもと、事務効率を高める以外方法はないのじゃないかなというふうに考えます。内部統制の担当部門には、こうした目線で全庁を牽引する役割もあると思うんですが、どのようにお考えですか。
○田中経営室副参事(行政監理担当) 職員数が減少した一方で、委託であるとか、指定管理者が増加している。こういった状況におきまして、効率的かつ効果的、また正確な事務処理を行うことは非常に重要なものというふうに認識してございます。多くの職員が実務の基本を十分に認識するとともに、事務処理能力の向上を図る、また過去の失敗事例を十分に浸透させる。あわせて効率的なチェック方法に努めるなど、実効力ある取り組みを進めていきたいと、このように考えてございます。
○高橋(ち)委員 内部統制の仕組みは万能ではないし、はっきりした狙いを持って組み立てないと、手間と時間ばかりがかかってしまうというふうに感じます。今後、所管はこれをどのように検討していきたいと考えているんでしょうか。
○田中経営室副参事(行政監理担当) 冒頭申し上げたとおり、内部統制の目的は、いわゆる業務の有効性、効率性の向上、予算及び財務会計の信頼性の確保、行政活動に関する法令等の遵守の促進及び資産の保全でございますけれども、この目的を多くの職員が認識することが非常に重要であるかなというふうに認識してございます。また、効率的にどうやってチェックしていくのか、そういうチェック方法など実効力ある取り組みをさらに推進してまいりたいと、このように考えてございます。
○高橋(ち)委員 ぜひそのようにしていっていただきたいと思います。大分はしょって聞いておりますけれども、内部事務は組織の基礎代謝だと言う専門家がおります。政策実現のための手足や骨格に相当する組織の外辺は盛んですが、内部事務の仕組みに向けられる関心が薄く、組織の健康に黄色信号がともっても、手が打たれないというふうにおっしゃっている方がいらっしゃいます。その結果、仕事の効率や職員の意欲が低下するなどの症状が出てきて、生存の危機に結びつきかねないということです。そうならないように手を打つことこそ、内部統制の真の役割のはずだと思います。ぜひそれを目的として頑張っていただきたいですけど、もう一度お聞かせください。
○田中経営室副参事(行政監理担当) 区民にとっての価値と満足度を向上するための区政運営を行っていくため、これにつきまして、多くの職員が内部統制の重要性、また効率性、効率的に事務処理を行っていく。これの必要性を多くの職員が認識していくこと、これが非常に重要であると認識してございます。今後もこれまでの取り組み内容も検証しながら、実効力向上を目指してさまざま工夫してまいりたい、このように考えてございます。
○高橋(ち)委員 ありがとうございます。最終目的は、区民にきちんとお知らせをする、また議会にお知らせをするということが総務省の狙いだとは思います。これを機に、内部統制の仕組みと監査委員の役割とを見直しまして、監査機能の実効性を高める取り組みが必要と指摘もあるようですけれども、監査事務局ではどのように受けとめているんでしょうか。
○小谷松監査事務局長 地方制度調査会の答申と、それに基づきます法改正の想定につきましては、内部統制の監査委員の直接的なかかわりというものは想定されていないようでございます。しかし一方で、監査基準の策定や勧告制度、専門性の強化など、監査制度の充実強化が想定されてございます。現在、中野区ではPDCAサイクルを行政運営の基本としてございますけれども、区民ニーズを的確に把握して新規・拡充事業を推進し、事務改善を通して効率的な執行体制を推進していくにしましても、その基本は、正確でミスのない事務執行がその土台でなければならないと、そのように考えてございます。その意味では、内部統制の強化もこのPDCAサイクルの土台を支え、推進するための歯車の一つであり、そこに区長部局等から独立いたしました監査委員として一層のチェック機能強化を図った役割、これをしっかり果たしていきたいと考えてございます。
○高橋(ち)委員 ぜひお願いしたいと思います。内部統制の狙いである区民の信頼向上ということは、監査への狙いでもあるし、互いの機能が相乗効果を発揮できるようにということが狙いではないかなというふうに思っておりますので、相互の相乗効果を期待して、この項の質問を終わりにいたします。
次に、日常生活支援総合事業の実施に向けた取り組みについてお伺いいたします。
昨年の決算議会においても、日常生活支援総合事業についてお尋ねしましたけれども、国が定める実施期限が迫る中、新年度から始める予定の事業体系や内容、実施に向けた準備状況などについてお伺いしたいと思います。御案内のとおり、この事業実施は介護保険制度開始以来、最も大きな制度改正となります。事業実施の責任は保険者である中野区が負うことになり、介護予防事業を進めることになります。この事業の特色は、自治体の裁量が極めて大きいということですが、違いますか。また、事業対象者の認定方法、介護予防事業の内容、対象者により選択できる事業、料金体系など、これまでの介護保険制度のもとでの取り組みと大きく違ってくることが予想されます。
そこで、まずお伺いします。新しい事業は介護予防に力点があるとのことですが、新年度から始める事業のあらましとその特色についてお聞かせください。
○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 川上志向で介護予防に取り組み、高齢者の虚弱化に対して、虚弱にさせない虚弱からの改善、虚弱を進行させない取り組みを効果的に進めていきたいと考えております。支援が必要な高齢者に対して、最適なアセスメントやモニタリングを行い、その人に合った目標設定とケアプランの作成など、介護予防ケアマネジメントの強化を図っていきます。生活機能等の低下を早期に発見し、改善に向けて短期間で集中的に取り組む4種類の改善プログラム、なかの元気アップセミナーを開始いたします。それから、カラオケを活用したプログラムでは、すこやか圏域での短期集中プログラムで改善を図った上で、新たに介護予防の拠点として位置付けた高齢者会館での一般介護予防事業の中で健康維持を図り、さらに自主活動へとつなげていけるよう、一体的に取り組んでいこうと考えております。
○高橋(ち)委員 その内容は、この新規事業のところにも書いてございますけれども、中野区より先に取り組んだ近隣区などと比べて遜色のないものになっているのか、また、他区より実施がおくれた分、さまざまな検証を踏まえた改善が行われているのかをお尋ねします。新たな事業体系に移行するに当たっては、当然、区民に十分な周知が必要となりますけれども、今伺った特色なども含めて、利用者にわかりやすい説明がなければなりません。どうでしょうか。
○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 先行している他区の状況を踏まえて、この間、現行相当、緩和基準、短期集中予防サービス、それから住民主体サービスについて多様なメニューを準備してきました。他区において総合事業の特色である住民主体サービスについては、訪問型についてはシルバー人材センターへの委託が多く、通所型については近隣区でもほとんど実施はしてございません。中野区では通所型については高齢者会館での全区展開を予定しており、一気に23区では先行したと考えております。今後、事業の効果を検証し、先進自治体の取り組みも参考にしながら、常に見直しながら進めていきたいと考えております。
○高橋(ち)委員 では、そのようなことを皆さんにお知らせするにはどのような方法で行うんでしょうか。区報やホームページの活用は当然として、パンフレットのようなものも欠かせないと思っておりますけれども、準備に残された時間はわずかです。時期的には既にでき上がっていてもおかしくないくらいですが、どのようになっているんですか。
○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) パンフレットは基本的には説明が必要であると思われるので、主に地域包括支援センターで総合事業のパンフレットを用意して、相談の際や地域の説明会などで活用しているものがございます。地域包括支援センターのほか、区民活動センターや高齢者会館などにも配布しております。介護サービス事業者に対しても積極的に情報提供を行い、区の取り組みへの理解や協力を促していくことを考えております。
○高橋(ち)委員 包括支援センターにも置いてあるというふうにおっしゃっていましたけれども、それでは、そうした事業者のもとに必要な部数のパンフレットが行き渡って、利用者のために活用される環境がつくられているんですか。
○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 総合事業のパンフレットにつきましては1万4,000部用意しまして、地域包括支援センターに訪れた要支援の方の説明用に地域包括支援センターで活用するということも十分準備して行っております。
○高橋(ち)委員 ぜひ利用者の人たちの目に触れるようにしっかりとやってもらいたいんですけれども、この利用者の状況を見きわめ、サービスに結びつけるには、ケアマネジャーさんの役割というふうに聞いております。多くのケアマネジャーさんたちが心配しているのは、事業移行に伴って新しいサービスを提供してくれる事業者を的確に利用者に紹介できるかだそうです。区では、各事業者に対して新しいサービスに取り組む意向があるかどうかという調査を既にもう行っていると伺っておりますけれども、そこでお伺いいたしますが、そうした情報を、ケアマネジャーをはじめ関係機関や事業者にどのように提供する予定なんですか。
○古川区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 指定事業者への情報等の周知でございますけれども、緩和基準サービスに参入する事業者に対する指定手続が完了次第、具体的には来月早々でございますが、区のホームページに事業者情報を掲載して周知する予定でございまして、既に関係者にはその旨、連絡を行っているところでございます。
○高橋(ち)委員 事業者はもとより、利用者である区民が安心して制度移行に備えられるように、速やかに情報提供を行うべきと思っております。また、既に制度移行を行った近隣区の様子を伺うと、現行と同様のサービスを手がける事業者はかなりの数に上るのに対して、区の独自基準で行う新たなサービスについては、手がける事業者が少ないそうです。恐らくこうした傾向は中野区でも同じだと思われますが、区民が不自由するようなことはないんでしょうか。
○古川区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 緩和基準サービスのうち、訪問型サービスにつきましては、先週までで16事業所がこの4月の開設に向けて指定申請を行ってございまして、現在、指定手続を行っているところでございます。一方、通所型サービスに関しましては、サービス提供を行う時間帯や場所等を区別する必要があることから、現時点での申請は2事業者というところでございます。いずれにいたしましても、これまで予防訪問介護や予防通所介護を利用されている方は、主に引き続き現行相当サービスに移行することから、実際のサービス利用に当たっては問題のないものというふうに考えてございます。
○高橋(ち)委員 ぜひ問題のないようにしてもらいたいんですけれども。区では、事業移行に備えて、新しいサービスの担い手となる従事者研修を行うとも聞いております。そこでお伺いしますが、この研修の受講修了者はどのくらいを想定しているんですか。
○古川区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 緩和基準サービスの担い手につきましては、ことしに入ってから区独自で養成を始めているところでございます。平成29年度におきましても、研修機関に委託することにより、約100名の担い手を養成するための経費を平成29年当初予算に計上しているところでございます。
○高橋(ち)委員 では、介護サービスの人材不足が深刻というふうに聞いております。新しい事業が軌道に乗るまでは、区として新しいサービスの従事者研修をずっと続けるお考えがあるんですか。
○古川区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 緩和基準サービスは来年度から実施されるサービスでございまして、しばらくは緩和基準サービスの担い手が必要とされることから、中野区認定ヘルパーの研修につきましては、当面継続したいと考えてございます。
○高橋(ち)委員 ぜひ、安定するまでは継続していただきたいと思います。
この受講修了者には就労先の紹介をする予定はありますか。
○古川区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 平成29年度の委託による養成研修におきましては、区内の緩和基準サービス事業者やハローワークとの共催によりまして、研修の最終日に受講修了者と事業所との雇用に関する相談会等も行うことを考えてございます。
○高橋(ち)委員 前向きに取り組んでいただいて、ありがたいなと思います。さらに今後、従事者の養成に取り組む事業者に対して、何らかの支援措置を講じる考えというのはお持ちですか。
○古川区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 事業所内で従事者の養成に取り組む事業者の場合は、社内研修の一環として行われるため、それに対して直接的な支援を行う予定はございませんけれども、社内研修の内容が区の定めたカリキュラムの内容を満たしていれば、緩和基準サービスの従事者として認めていくこととしているところでございます。また、現在ホームヘルパーの初任者研修や実務者研修の研修費用助成は研修受講者に対しまして、また介護福祉士の資格を取得するための受験費費用助成につきましては事業者を対象に行ってございまして、これらの支援は継続していきたいと考えてございます。
○高橋(ち)委員 新しい事業が利用者のために真に役に立つものになるには、いろいろ推移を見ながら必要な手当てをしていくことが欠かせないと思っているんですけれども、今後どのような姿勢で進めるのか、最後、お答えをいただければと思います。
○古川区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 区民の皆さんにとりまして必要なサービスが、ケアプランをつくる中で適切に選択されるような状態にする必要があると考えてございます。新総合事業への移行後におきましても、区民のニーズですとか、あと介護事業者の動向を踏まえて調整を図りながら、区民が自立に向けた健康な生活が送れる事業となるように努めてまいりたいと考えてございます。
○高橋(ち)委員 ありがとうございます。パンフレットも、私、先日取材を受けていて、初めてこのようなものがあると聞いたので、ぜひとも議会の議員全員にも配っていただきたいなというふうに思います。これは大事な事業ですので、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、お願いをしておきます。
では、次の項に移ります。教育現場における動物(生き物)の教育のあり方についてお伺いいたします。
これはもう本当に端的に簡単でございますので、しっかりとした答弁をいただければと思いますけれども、教育要覧の中を見ても、生き物というか、いろんな動物に対する体験的な心の教育というものが記載されていなかったので、何でなのかなというふうに思いまして、まず、現状の確認をさせていただきますけれども、現在、学校で生き物など飼育する施設がどのようになっているのか、または設置されている数とか、並びにどのように使用されているのか、教えていただきたいと思います。
○杉山教育委員会事務局指導室長 学校で飼育されている小動物等でございますが、飼育小屋を設置してある学校は小学校で22校、使用している学校は13校でございます。
○高橋(ち)委員 この22校のうち13校ですね。使っていない場合は、なぜ使っていないんでしょうか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 状況を確認したところ、飼育動物が死んでしまうなどをきっかけにして、飼育を取りやめた場合がございました。
○高橋(ち)委員 使っている学校はどういう使い方をしているんですか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 こちらは、ウサギや亀などを飼育しているという状況でございます。
○高橋(ち)委員 最近は小動物を飼う側にもさまざまな問題点が浮かび上がっているというふうに聞いています。その多くが、正しい飼い方を知らないままに生き物を飼っていることにあるようです。もっと言えば、動物に触れないまま大人になってしまうことが多くなってきた今、自分の子どもに対しても、動物との触れ合いを通して、育つ命の仕組みや自然とのかかわり方を学ばせる学ばせ方がわからない人がふえてきているんだというふうに伺っています。そうした意味において、今日、学校での生き物に対する教育活動は新たな転換期を迎えようとしていると思いますが、担当としてはどのように認識されていますか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 飼育動物も含めた動物と触れ合う機会は重要であるというふうに認識してございます。
○高橋(ち)委員 重要であると認識されているわけですね。本当に重要なんですよ。生き物に親しみ、日々世話をし、愛情を抱くようになると、かわいい、かわいいっておもちゃのように扱っていた生き物を生命あるものとして受けとめて、いたわりの気持ちを持つようになり、このような体験を通して実感していくことが人間形成の基礎を培う大切なことだというふうに言われているんです。どのようにお考えになりますか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 動物や植物も含め、生き物を育てる活動は心の成長などに大きくかかわるものであると認識してございます。
○高橋(ち)委員 指導室長ね、認識とか重要だというお答えでございますので、本当だったら全学校でいろいろそういう動物に対して活動してもらいたいんですけれども、学校という場で飼育活動を行うことは、動物たちとの触れ合いを通してこそ育つ大切な教育効果をもたらすと言われているんです。例えば、飼い続けることによって学ぶもの、協力し合ってともに世話をする中で学ぶもの、動物の固有の性質や習性の中から学ぶもの、感動を表現し活動を振りかえることによって学ぶもの、地域の人とのかかわりの中で学ぶものなど、学ぶことがたくさんあると言われているんです。生き物は教材としてのものではなくて、子どもたちにとって、よき生きた仲間であって、世話をすることは命を預かることを意味するというふうにも言われているそうです。どう思われますか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 生き物を飼育することは、児童は生き物の食事や排せつなどの世話をしたり、抱いたときに体温を感じたりする体験をすることになると考えています。このことは、生き物には自分と同じ命があることについての実感につながると考えてございます。
○高橋(ち)委員 本当に大切な体験というか、実感が湧いてくるそうなんですけれども。
では、最近では動物介在教育という活動が盛んに導入されていると聞いているんですけれども、この介在教育というものを知っていらっしゃるか。そして、この活動を取り入れている学校は現在あるんですか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 例えば、日本動物病院協会による動物介在教育とは、講師が学校等に動物とともに訪問するなどし、正しい動物の触れ合い方や命の大切さを学ぶ取り組みであるというふうに認識しています。外部講師を活用したこのような取り組みを行っている学校は、平成28年度では小学校では2校、中学校では1校ございました。
○高橋(ち)委員 これは中野の学校で小学校が2校、中学校が1校という理解でいいんですか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 そのとおりでございます。
○高橋(ち)委員 それはびっくりでした。やっていらっしゃるということはうれしいことであります。現状、小動物などを飼育していない学校もあるということですので、この動物介在教育という制度を上手に活用することも必要ではないかというふうに感じます。現在、小学校2校、中学校1校というところでやってくださっているということですので、今後このような活動をさらに取り入れるお考えはお持ちですか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 動物介在教育を支援する団体等の取り組みにつきましては、子どもたちの動物アレルギーなどの配慮を行った上で教育課程に位置付けて、取り入れられるかどうか検討していく必要があるというふうに考えてございます。
○高橋(ち)委員 子どもたちはさまざまな体質がありますから、アレルギーとかもあるでしょうけれども、そういう現状においても、やっぱり動物には周りの人々の関係を修復する力があって、人の心を安らかにし、開かせる、その力もあるというふうに言われています。このようなことを活用して、医療施設やリハビリ施設でも多く取り入れられ活用されているというのは、もう室長も御存じだと思いますけれども、おとなしい動物の存在は人の血圧を下げる効果もあるそうです。動物は人を元気にもさせてくれる力を持っているとも言われています。再度確認をさせていただきますけれども、さまざまな生き物がいる中、こういう、まあ、動物介在教育だけではないですけれども、行っていない学校においても制度を取り入れて活用して取り組んでいただきたいというふうに思いますけど、どのようにお考えでしょうか。
○杉山教育委員会事務局指導室長 今、飼育動物についてのお話をさせていただいておりますが、それ以外に、生活科の遠足等で小動物園に行ったときに小動物に触れ合う機会を設けている学校などもございます。そのような取り組み全般も踏まえながら、生き物を活用する制度、取り組みについては一定の成果があると捉えてございますが、学校の教育活動の狙いや取り組みを踏まえながら、各校において必要に応じてやはり取り組んでいくものというふうに考えてございます。
○高橋(ち)委員 ぜひお願いしたいと思うんですけど、立教女学院の小学校では、バディウォーカーという制度も取り入れながら、動物介在教育を重点的に行っているという話も伺っています。これは私学ですからね。そんなに制約がないからできているんだと思うんですけど、今後も大いにこれに興味を持っていただきまして、学校教育に取り入れていただきたいということは要望しておきます。ありがとうございます。
次に、新庁舎における食文化、いわゆる食堂のことなんですけれども、これについて若干お伺いをさせていただきたいと思います。
昨年の第4回定例会において、新しい区役所整備基本計画についての報告がございました。また、今定例会においても区役所の位置の変更に関する条例が提出される予定でおりますが、新しい区役所に対しては大きな期待を持たれている区民の方々にとっても、利用しやすい区役所にならなければなりません。私がここでお伺いしたいことは、食の文化を発信できるスペースがないように感じておりまして、多少気になっているので、触れておきたいと思います。
整備基本計画の中には、シティホール、フードコート等の飲食スペース、活動、情報等の発信スペースなどと記載されているだけで、食の文化などが発信できる食堂のスペースがないんです。これはどうしたらいいんでしょうか。
○朝井経営室副参事(経営担当) 新しい区役所につきましては、区民が気軽に立ち寄り、集い、交流し、活動する拠点となるよう整備していくことを考えております。そのため、区民が気軽に集える飲食スペースとしまして、1階のシティホールに隣接する部分にカフェなどの飲食スペースを整備することとしているところでございます。
○高橋(ち)委員 それは説明を聞いて十分わかっていることなんですけれども、たかが食堂なんだけど、されど食堂という感じで、最近では公共施設や会社などでも本当に単なる食堂ではなくて、食文化を発信するさまざまなコンセプトを持ってつくり上げているものが多くなってきているようです。以前は、低価格でボリュームがあるというのが主流でしたけれども、現在は、低価格は当然なんですけれども、健康であることが必要になっているように聞いています。健康である店は幾つかのポイントがあって、一つは安全な食材を使ったもの、二つ目は社員、職員の健康管理を手助けするものということで、社員、職員の健康はランチからという考え方を持って、健康面に配慮したコンセプトがふえているというふうにも伺っています。区では、職員の健康をこういう観点からもサポートしていこうというお考えはお持ちではないんですか。
○伊藤経営室副参事(人事担当) 区としては、職員が心身ともに健康を保てるようにさまざまにサポートをしていくことは非常に重要なことというふうに認識してございます。現在では、健康診断の結果を受けまして、食事、運動、飲酒、喫煙などの観点から、産業医や保健師が保健指導を行っております。また、産業保健だよりなどを庁内情報システムで配信しておりまして、今後とも、それらを使いまして食の安全、栄養など、健康をサポートする情報発信などを続けていきたいというふうに考えてございます。
○高橋(ち)委員 それは健康診断からの観点ということですよね。そういうのも大事なことなんですけれども、秋田県庁などは健康面もランチから、そして健康面のほかにも、学校給食で提供している地元の名物をランチにしたり、ヤンマー本社では、つくる人と食べる人をつなぐ取り組みなどを導入して、職員はもちろん一般にも広く開放し、健康を発信しているそうです。区では、職員は当然ですけれども、一般の区民の方々に対しても、誰もが期待している区役所ですから、新庁舎ですから、ここから食の安全、そして健康を発信しているんだよというような発想は持っていないんでしょうか。
○朝井経営室副参事(経営担当) 区は、区内の飲食店や食品などを観光資源に認定しまして、食文化についても発信しています。区内の食文化は貴重な観光資源でもあり、新しい区役所では1階に整備します交流のスペースなどを活用しまして、こういったPRを強めていきたい、そういうふうにも考えているところでございます。
○高橋(ち)委員 ちょっと考え方が違うんですけどね。区内の飲食店は当然のことでありますけれども、新庁舎、区役所という一つの個体の中に発信する場所があるというだけで違うというふうに思うんです。また、食堂という名前、ネーミングがいけないかとは思いますけれども、そのスペースが災害のときなど非常事態に対応する対策本部として活用できるようにしているという会社もあります。さまざまなところを視察、見学していると聞いておりますけれども、そのようなことも検討したことはあるんでしょうか。
○朝井経営室副参事(経営担当) 区は、大規模災害時には会議室の壁を外しまして、災害対策本部を設置することを想定しています。また、1階のシティホールにつきましては、災害時の情報発信や復興時の各種相談窓口として活用することも考えているところでございます。他の自治体の新庁舎を多数視察しているところでございますけれども、やはりさまざまな情報を収集しまして、各部屋、各スペースを本来機能以外の活用をしていく、そういったことについては今後も検討していきたいというふうに考えております。
○高橋(ち)委員 いろいろなところを見ていくと、公共施設の食堂も、今や、単なる食堂じゃないんですよ。いわゆる食べるだけのスペースではなくなってきているように感じます。そういうスペースから多くの情報発信ができることは、本当に間違いないと思っているんですけど、これは私だけが思っているかもしれませんけれども、区民や職員が愛着の持てる確かなコンセプトを持って、誰でも親しめるという食堂というスペースを考えてほしいなというふうに思っております。スペースがないからとかそういうことじゃなくて、多少、考えの中にも入れていただきたいと再度お願いしておきますけど、いかがですか。
○朝井経営室副参事(経営担当) 飲食スペースにつきまして、1階の部分以外に、基本設計に当たりまして、1階のスペース以外に食堂を整備するということを検討するためには、スペースの確保とか、その食堂を運営する事業者の採算性の問題などもありますので、さまざまな自治体や企業の例などを踏まえた上で、そういったことについても研究していきたいというふうに考えております。
○高橋(ち)委員 ぜひ、食堂なんてと思わないで、大いに検討していただきたいと思いますので、これはお願いしておきます。
残り6分ですので、もうあと一つで終わります。ちょっと待ってくださいね。
最後、その他ですけれども、先ほど民進党の山本委員も聞いておりましたけど、体験事業について。まさか彼がこういうことを聞くんだななんていうふうに感動してしまいましたけれども。
まず、しつこくお伺いをさせていただきますが、海での体験事業の来年度の予算が3,400万余計上されていて、また人数も320人となっておりました。今までの体験事業の内容から、各学校ごとでの参加となっているようでございますが、現状を確認させていただきます。私たちがお願いして復活してほしいと言っている岩井海岸での事業の見通しはどのような状況なんですか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 海での体験事業でございます。現在の海での体験事業の実施場所につきましては、透明度が高く、海の生物を観察する上におきまして適切である一方で、海岸が狭く、事業を拡大していくには課題があるというふうに認識してございます。岩井海岸を含め、複数の場所を候補に検討を進めているところでございます。これまで複数の候補地につきまして、現地の視察を行いますとともに、民宿組合、また個別の宿に出向き、事業の目的と重要性について説明し、協力の可能性について検討していただいているところでございます。
○高橋(ち)委員 検討していただいているところなんですということですけれども、検討していただいているって、検討していただいているまんま、何もしていないのかねという感じなんですけど、行って情報をいただいてきたりとかしていますか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 直接現地に行ってやりとりをさせていただいております。
○高橋(ち)委員 そうじゃないと、やっぱりこちらの気持ちも伝わらないし、相手の様子もわからないので、ぜひとも今後ともそういう調整はやっていただきたいと思います。
次に、各学校対応ということになるんですけれども、周知徹底はどのようにしてきているんですか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 平成29年度から事業の実施形態をこれまでの個人単位から学校単位に変更することにつきまして、今年度当初より小学校の校長会で説明いたしますとともに、昨年度末には、来年度事業対象となる4年生、5年生の全保護者に対しまして周知を行ってきたところでございます。
○高橋(ち)委員 4年生、5年生。6年生は入らないんですか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 来年度の事業対象者になりますので、現の4年生、5年生ということで周知をしてまいりました。
○高橋(ち)委員 はい、わかりました。それでは、その説明をしていっている中に、各学校はこの事業のことをしっかりと理解しているんですか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 今年度に校長を構成員といたします海での体験事業の検討会を設けまして検討してございます。その内容、結果につきましては、適宜校長会等で周知しているところであり、理解をいただいているものと認識してございます。また、今年度につきましては、校長、副校長等による事業視察も行いまして、事業について理解を深めていっていただいているということでございます。
○高橋(ち)委員 これは本当に当該校の先生方も含めて理解していただかないことには、かけ声だけ出していても、全ての学校においてのこの事業がいかに子どもたちにとって大事な事業であるかということを理解されないと、何の意味もないんですよ、本当に。対応など、今後もどのようにやっていかれるんですか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 海での体験事業の目的を達成するためには、学校とのより密接な連携が必要であるというふうに考えてございます。そのため、学校の中でこの事業と関連する取り組みを行うなど、学校と連動した動きもつくっていくことを検討してございます。
○高橋(ち)委員 よろしくお願いしたいと思います。継続していた事業を、事情があったというのは仕方のないことでありますけれども、途中でやめてしまって、また都合よく復活を目指すということは容易なことではないと思うんですよ。本当にこれは私たちが懇願して、復活していただきたいということで、ここまで一生懸命そちらも力を出していただいて、全校で取り組もうというふうにまで持ってきていただいているんですけれども、この先、きちんと目標をしっかり置いて取り組んでいかない限り、また中途半端で終わってしまうような気がするんですけど、目標を持って取り組んでいていただいておりますか。
○石崎教育委員会事務局副参事(学校教育担当) この事業につきましては、学校と異なる環境の中で、生きる力の育成を含め、自己の可能性や友達の新たな一面を発見するなどが生まれることを期待しておりまして、学校生活の向上に資するとともに、泳力の向上やライフセービングなど危険を回避する技術を身につける機会とすることを目的としているものでございます。これにより学校教育の充実を目指す貴重な取り組みと考えております。今後も拡充しつつ、継続して進めていくべきものであるというふうに認識してございます。
○高橋(ち)委員 ぜひしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。そのためには私たちも協力は惜しみませんので、何とかこれをもとのように復活、完成したよというふうにしていただきたいと思います。
体験学習、体験を子どもたちがするということは、動物に対してもそうですけれども、体験学習は非常に子どもたちにとって大事な学習の場だと思います。先ほど山本委員がおっしゃっていましたけれども、簡単に実績を何とかで調査すれば出るんだよということじゃないんです。これは歴史があって、その歴史を通して子どもたちが伝わってくるという大事な中野の体験学習事業であるということは、皆さんにも認識してもらいたいし、岩井臨海学園だけじゃなくて、軽井沢もそうだし、今まであった常葉自然の家もそうであったように、きちんとした体験学習がいかに大事であるかということをしっかりと教育委員会が先頭に立って、区長もぜひ海の体験には一度は行ってもらいたいかなというふうに思っておりますので、これは要望としておきますけれども、ぜひお願いしたいと思います。
以上で私の質問を全て終わりにいたします。御清聴ありがとうございました。
○若林委員長 以上で高橋ちあき委員の質疑を終了します。
次に、久保りか委員、質疑をどうぞ。
○久保委員 お疲れさまでございます。きょう最後の質問者となりまして、公明党としても最後の質問者でございます。私、持ち時間のほうは、こちらに出ているように1時間45分ということでございまして、途中で切れるところになるかと思いますので、若干、質問の順を並べかえさせていただきまして質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、平成29年度予算案についてという、これが第1項目になってございますが、こちらのほうをあすに回させていただきまして、初めに、防犯カメラについてお伺いいたします。
平成29年度予算の主な事業には、防犯カメラ設置状況調査が拡充・推進となっています。この間、我が会派からは、安全対策としてさまざまな角度から防犯カメラに関する質問を行ってまいりました。その際に、区の設置するカメラ、町会、商店街などの設置する防犯カメラの設置状況について、情報を一元的に収集することも提案してまいりました。今回の予算での調査の目的と、調査後の活用についてのお考えを伺います。
○伊東都市基盤部副参事(生活安全担当) まず、今回の対象でございますが、区が直接設置しております防犯カメラ、それと町会・自治会並びに商店街等が設置している防犯カメラでございますが、町会・自治会、商店街に設置している防犯カメラにつきましては、設置費用を助成しているものについては区が把握してございますが、それ以外にも、独自に地域ですとか商店街の皆様が設置している場合もございますので、そういった防犯カメラにつきましても調査をさせていただきまして、区内全域における防犯カメラの設置箇所を把握したいというふうに考えてございます。また、設置箇所のみならず、例えば撮影の範囲ですね。どういった場所を写しているかということも、個々の防犯カメラごとに把握したいというふうに考えてございます。
それと調査後の活用方法についてでございますけども、情報を例えば電子地図上に一元的に管理した上で、未設置地域への一層の防犯カメラ設置の働きかけを行ったりですとか、あと区が直接行っております青色の防犯パトロールカー、青パトでございますけども、効果的なパトロールの実施ですとか、捜査機関からの問い合わせに迅速に対応するなど、地域の安全・安心のために有効に活用していきたいというふうに考えてございます。
○久保委員 まさに、本当に設置をしているだけではなくて、防犯カメラを有効的に使うためにはどうしたらいいのかということを徹底して今回調査をしていただけるのだなというふうに思っております。東京都の予算が拡充されまして、29年度からは防犯カメラの設置主体者の負担割合は現行の6分の1から12分の1に軽減されると伺っております。このことについて、担当は御承知でしょうか。
○伊東都市基盤部副参事(生活安全担当) まず、東京都の予算プレス発表ですとか、先般開催されました安全・安心まちづくり担当課長会、東京都のほうから説明がございましたので、承知してございます。なお、12分の1に地元の負担が半減されるものは新規の設置分ということで、残念ながら、更新の場合は従来どおり6分の1ということでございました。
○久保委員 防犯カメラの設置の負担が軽減されるということで、さらにこの設置が進んでいくのではないかなというふうに考えます。先ほど、マップ上に落としたもので、未設置地域などもしっかりと掌握するということでいらっしゃいましたので、今後のカメラの設置に対しましては、今回の調査結果をもとに計画的に進めていく必要があるのではないかと考えております。しかし、予算のこともありますので、既に警察署からは主立った地域には、ことしつけませんかというような、そういったお話も行っているところもあるようでございます。次年度はこの予算の負担割について、こういうふうに変わりますので、つけやすくなりますよというようなお話を受けまして、つけるかどうかということを悩まれているような、そういった町会や商店街もあるようです。効果的なカメラの設置を進めるためにも、一日も早く情報を一元化し、情報提供していくべきと考えますけれども、その点はいかがでしょうか。
○伊東都市基盤部副参事(生活安全担当) 町会・自治会等が防犯カメラを設置する際につきましては、区が設置している防犯カメラと重なることのないように、設置の御相談があったりとか、補助金の申請があった際には、丁寧に防犯カメラの設置箇所等についての情報を提供していきたいというふうに考えてございます。
○久保委員 また、調査後の一元化のあり方ですが、先ほど、電子地図上に設置位置を落とし込んで、カメラの写し出せる範囲なども記すということでございました。さらにこの地図情報を活用いたしまして、例えばAEDの設置箇所などをレイヤーをかけまして、安全・安心の資源について地図上での情報一元化をすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○伊東都市基盤部副参事(生活安全担当) 委員御提案のようなことも含めまして、地図上にどのような情報を落とし込むことができるかどうか、また、その効果ですとか活用方法なども含めて、今後研究してみたいというふうに考えてございます。
○久保委員 また、以前よりカメラのランニングコストについては、設置されている商店街や町会・自治会のほうから要望があるところでございます。現在、他区におけるランニングコストなど、設置に関する助成以外の補助制度が大変進んでいるともお聞きしますが、御担当はこの点については御存じでしょうか。
○伊東都市基盤部副参事(生活安全担当) 現在、23区の中では10区が何らかの助成、例えば電気料金ですとか、あと電柱の共架料ですね。電柱使用料でございますけども、それについて年間の限度額を設けて支給していたり、かかった費用の一定の割合を補助するなどということを、10区で行っていることを承知してございます。
○久保委員 10区で既にこういったランニングコストについては助成を行っていると。さらに3区が検討中というふうにも伺っております。このカメラの設置に対してのさまざまな形で、他区ではランニングコストについてまで充足しているなというふうに感じます。今回、東京都の予算拡充により、負担割が変わることは大変喜ばしいことですけれども、既にカメラを設置し、早くからまちの安全のために貢献してきた商店街、町会からは不公平感を持たれることもあるかと思います。中野区においても防犯カメラを設置し、維持管理する団体に対しまして、ランニングコストに関する助成をすべきと考えますけれども、その点についてお考えを伺います。
○伊東都市基盤部副参事(生活安全担当) 区としましては、現在、防犯カメラの整備・設置に関する補助をまずは優先して実施してきているため、ランニングコスト、維持管理経費の補助を対象とするかどうかにつきましては、今後の申請状況を踏まえて、引き続き研究させていただきたいというふうに考えてございます。
○久保委員 進展状況によって研究するということでございまして、その進展状況がどのようなものなのかというのが今回の調査の結果であるかなというふうに思っております。ですので、次年度調査結果を踏まえた上で、今後どの程度防犯カメラを設置していくことが区にとっての安全・安心の角度から大変重要なのか。その点で、またきっちりと精査いたしまして、その後、ランニングコストについても十分検討していただきたいというふうに思っておりますけれども、その辺のところが、研究という言葉でございましたが、設置するために、今は設置費用の補助を負担されているわけですけれども、それがある程度の設置が進みまして、今後は設置に対しては方向性が見えてきて、補助が大体わかってきたというような段階になったときには、これはランニングコストのほうも十分考えられるような余裕があるのではないかなと思いますが、その点はいかがですか。
○伊東都市基盤部副参事(生活安全担当) 繰り返しの答弁になりますけども、今後の申請状況、あと、区内での設置状況、そういったことも鑑みながら、あと、他区の事例なども参考にしながら、どういったことができるかどうかについて引き続き研究してまいりたいというふうに考えてございます。
○久保委員 その点につきましては、何度も要望していくことになるかと思いますので、お願いいたします。
次に、ごみ集積所における監視カメラについて伺います。監視カメラの効果についての検証はされているのか、お伺いいたします。
○滝瀬環境部清掃事務所長 ごみ集積所の監視カメラでございますけれども、不法投棄ですとか不適切排出といった排出状況が悪いごみ集積所の監視を目的といたしまして、平成27年3月からこれまで延べ44台設置してございます。おおむね7割程度の集積所が改善しているものと認識してございます。
○久保委員 この期間限定の設置というところで、カメラが外されてしまうと効果が薄れてしまうというようなことはないんでしょうか。カメラ設置期間終了後の継続的な指導についてはどのようにお考えでしょうか。お伺いいたします。
○滝瀬環境部清掃事務所長 カメラの設置によりまして改善した集積所でございますが、撤去後もおおむね良好な排出状況と認識してございます。一方で継続的な現地調査でございますとか、排出指導を行っているところでございます。また、設置いたしましても改善が困難だった箇所につきましては、集積所の移設でございますとか、分散化を利用者や町会などに働きかけまして、1集積所当たりの利用世帯の規模を縮小するといった取り組みを進めているところでございます。
○久保委員 さまざまな手だてをしていただいているんだと思うんですけれども、私のところにも、この集積所のカメラの設置を、つけてほしいというような地域の方たちのお声というのは大変高いなというふうに思っております。集積所は持ち去りや不法投棄だけでなく、地域の安全上の管理においても重要なポイントです。そういった意味では、防犯カメラの設置の趣旨とも共通していると思われます。防犯カメラの設置状況調査の結果に基づいて、集積所における効果的なカメラの設置場所を検討してはいかがでしょうか。お伺いいたします。
○滝瀬環境部清掃事務所長 ごみ集積所の監視カメラにつきましては、不法投棄や不適正排出が特に著しい集積所に、集積所が撮影されていることがわかる位置に設置するといったような形で、カメラ設置による不法投棄の未然防止、抑制効果も期待しているところでございます。他の防犯カメラも設置場所によりましては不適正排出の映像が記録されるといったようなことから、監視カメラの役割を兼ねることも可能であると考えてございます。ごく集積所に近い位置にあるといったような条件もあるため、具体的な活用方法とか手法につきましては、調査結果を活用いたしまして、より効率的な運用の観点から検討してまいりたいと思っております。
○久保委員 今まではそういった情報共有というのがなされていなかったんだと思うんですね。ですので、それぞれにおやりになっていた事業を、今回のこの調査を機にしっかりと一元化をしていただきまして、より効果的に進めていただきたいと思います。ありがとうございました。
次に、都市計画マスタープランについてお伺いいたします。
中野区都市計画マスタープランには、安全・安心な都市づくり基本方針が定められております。特に地震災害に強いまちづくりとして、火災危険度の高い地域の改善について、また都市型水害に強いまち、地域防災力の強化、これらにつきましてお伺いいたします。
初めに、都市型水害に強いまちづくりについて伺います。平成29年度には新規予算として、豪雨対策実施計画策定が示されております。地域特性に応じた中野区独自の一時貯留施設、また浸透施設の設置にかかわる実施計画の策定とのことですが、中野区独自の施設とはどのようなものなのか、貯留施設、浸透施設による豪雨対策で得られる効果をどのように見込まれているのか、お伺いいたします。
○千田都市基盤部副参事(都市基盤整備担当) 計画している雨水浸透貯留施設は、近年開発された舗装路面下に設置するプラスチック製の浸透貯留槽で、軽量であることから施工性がよく、また、目詰まりが発生しづらくメンテナンス性もよいことから、長期的な供用が期待できるものでございます。整備効果につきましては、これにより豪雨対策として75ミリ対応を掲げる神田川流域豪雨対策計画で、中野区が道路空間での対策を求められている目標対策量約4万3,000立米を達成することができると考えております。
○久保委員 中野区が道路におきましての対策として求められているこの4万3,000立米というのが可能になるということで。すみません、この計画の策定をされるということでございまして、実施する機関については定められていくんでしょうか。
○千田都市基盤部副参事(都市基盤整備担当) 実施の機関というところでございますが、先ほどの神田川流域豪雨対策計画、こちらにつきましては、東京都都市整備局、建設局、下水道局及び神田川流域関係区市で構成した東京都総合治水対策協議会で定める目標量を達成するということで、それぞれ構成する自治体がそれぞれの役割に従って取り組むということになっております。概要といたしましては、まず、河川につきましては東京都都市整備局、建設局が中心に50ミリ対応対策をするものとなっておりまして、また、河川と下水道局のほうで、おのおのがそれぞれ貯留施設として15ミリ対応、それから、流域を構成する自治体のほうが浸透貯留対策10ミリを行うということで、合わせて75ミリ対応というような計画になっているところです。
○久保委員 申しわけございません、詳細にお伺いいたしまして。
今回の豪雨対策については、内水氾濫ですとか、都市型水害への効果が見込まれるということでございます。この対策は道路埋設物ということになります。一方で東京都は無電柱化を進めまして、電線類の地中化を都道だけでなく区道にも推進していくとのことです。共同溝などの地下埋設物と新たなこの貯留施設の設置の整合性をどのように図られていくのか、お伺いいたします。
○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 電線類の地中化につきましては、今後、無電柱化の推進に関する計画を策定しまして実施する予定でございます。この計画は、今、委員おっしゃいました新たな貯留施設の実施計画との整合を図りながら策定したいと考えております。
○久保委員 2月6日に東京都では今後の無電柱化を踏まえまして、小池都知事は地下埋設物について、民間事業者を含めた関係機関との協議を行ったということでございます。今、副参事のほうから豪雨対策のこの実施計画もありますので、こういった地下埋設物のこと、総合的に無電柱化の計画についても定めていくということでお話がございましたけれども、これは中野区における無電柱化の計画ということでよろしいのでしょうか。
○高橋都市基盤部副参事(道路・公園管理担当) 中野区における計画ということでございます。
○久保委員 ありがとうございます。道路整備につきましては、道路ストック総点検での道路の老朽化、空洞化、路面の傷みですとか、さまざまに整備を進めていくということになってまいります。事業の効率化を図るためにも、新たな豪雨対策の取り組みや関係機関との事業など、これらの事業を一元的に進めていくべきと考えますけれども、その点について、お考えを伺います。
○千田都市基盤部副参事(都市基盤整備担当) 中野区で進めている道路舗装維持管理計画による道路工事は、舗装や道路附属物の老朽化や空洞対策などの修繕工事にあわせて、他の埋設企業者と事前に工事調整を図り、連携しながら、計画的かつ効果的に実施しているところでございます。例えば、公共下水道施設については道路工事前に東京都下水道局と下水道施設に老朽化や損傷がないか協議し、大規模な修繕等が必要な場合は東京都下水道局が道路工事前に修繕工事を行い、取りつけ管等小規模な修繕で足りる場合は東京都下水道局からの受託工事として、中野区が道路工事とあわせて補修工事を行っているところでございます。
○久保委員 道路というのは、非常に重要な都市インフラでございまして、今、治水対策でございますとか、無電柱化ということで、さらにこの価値というのが高まってまいると思います。その中で、多くの整備の事業ということが行われてまいりますので、そこのところでもしっかりと連携を図りながら一元的に進めていただくこと、効果的に進めていただくことをお願い申し上げます。
次に、火災危険度の高いまちの改善について伺います。
昨年末より大規模な火災が国内で多発し、改めて火災の怖さを実感しております。特に12月22日に発生した糸魚川大火については、さまざまな条件が重なっての大災害ではありますが、中野区内でも起こり得る災害であり、諸条件が重なれば、その被害は甚大なものになるであろうと思われます。現在、区は、大和町、弥生町の木造密集地におけるまちづくりを進めております。そのスピード感については一定の評価をするものです。しかし、最も危険と判断される野方一・二丁目についての対策が進められていないことが懸念されます。まずは中野区内の北部の中心に当たる野方地域の火災危険度についての認識を伺います。
○安田都市基盤部副参事(地域まちづくり担当) 防災まちづくりを進めるに当たって基礎となる火災危険度は、当然認識しているところでございます。東京都が平成25年9月に公表した地震に関する地域危険度調査において、災害活動困難度を考慮した火災危険度は、野方二丁目がランク5で最も高く、次いで高い一丁目、三丁目、六丁目は4でございます。なお、野方四丁目と五丁目はランク3となってございます。
○久保委員 なぜそれだけの危険があるということがわかっていながら、何の対策も打たれていないのか、疑問に感じます。地域住民には火災危険度の高いまちとの認識があるのか、それらの問題は持たれているのか、お伺いいたします。
○安田都市基盤部副参事(地域まちづくり担当) 野方一丁目及び二丁目地域では、昨年度、地元町会と建築の専門家から成るグループが区民公益活動の助成を受け、地震時等における地域の危険性を具体的に調査し、独自に防災マップを作成し全戸配布する活動を行うなど、問題意識を持っている住民の方々もいることは把握してございます。
○久保委員 問題意識を持っている方がおいでになられまして、こういったマップを全戸配布されたということで、ちょっと見にくいかもしれませんけれども、十分にこの火災危険度が高い地域であるということを、ごらんいただければわかると思います。例えば、地区まちづくり条例など、こういったことを地域に紹介いたしまして、住民団体と行政とが連携を図りながらまちづくりに取り組んでいくと、そういったことを誘導することはできないのか、お考えを伺います。
○安田都市基盤部副参事(地域まちづくり担当) 地元町会や専門家が連携して防災マップを作成した団体に対しては、地区まちづくり条例に基づく団体登録や支援制度があることを周知しているところでございます。また、野方一丁目から三丁目地域は、東京都が防災都市づくり推進計画において、危険度が高く、かつ老朽化した木造住宅が集積するなど、震災時に特に甚大な被害が想定される整備地域と指定していることから、区としても、弥生町や大和町地域と同様に、地元と連携して防災まちづくりを進めていきたいと考えているところでございます。
○久保委員 防災まちづくりを進めていきたいという意向はあるということで、どういった手法かというところになってくるのかなと思います。まちづくりについては、住民や地権者の皆さんの理解が不可欠です。いたずらに火災危険度が高いということで不安をあおる必要はありませんけれども、想定される事態を理解していただくためのそういった手段は講じていく必要があると思います。
東京消防庁の火災延焼シミュレーターを使用することで、火災危険度を目で見て確認し、理解することができます。地域住民の皆さんとの勉強会などを開きまして、シミュレーターを活用し、我がまちをみんなで守るという、そういった意識啓発を行っていくべきではないかと考えますが、また、そのことによりまして、まちづくりの機運も高まっていくのではないかと思います。火災延焼シミュレーターを活用いたしました学習会について、お考えを伺います。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 東京消防庁の延焼シミュレーションとは、都内のある地点で発生した火災がどれくらいの範囲まで延焼するか算出するシミュレーションでございまして、各消防署では、大規模災害時に管轄区域で発生した火災の延焼範囲を予想するツールとして活用しております。また、過去には消防署が延焼シミュレーションを活用し、大和町にお住まいの方に防災まちづくりの必要性など理解を高める指導を行っております。延焼シミュレーションを活用いたしました地域防災まちづくりの意識高揚につきまして、消防署と相談してみたいと考えております。
○久保委員 ぜひお願いいたします。
地域における防災体制づくりについてもお伺いいたします。火災の際に逃げおくれないための訓練などを通じ、まちの状態を熟知していく必要もございます。先日、火災延焼シミュレーターを我が家でも試してみました。東京消防庁のものだけではなく、ほかのものでもシミュレーターは今できております。野方一・二丁目で設定しましたところ、延焼遮断帯として機能するのは環七、妙正寺川で、早稲田通りでも一部燃え移るという可能性がありました。少しこの道幅があるバス通りと私は思っていたんですけれども、そこに至っては全く延焼遮断帯の役割は示しておりません。現実に糸魚川大火でもほぼ同様の道路を飛び越え、延焼は広がっておりました。震災の際に火災が起きれば、避難所までたどり着けないことも懸念されます。日ごろの備えとして、火災危険度の高いまちの避難訓練を充実させるべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。伺います。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 総合防災訓練では、参加した防災会が自分たちのまちから会場となる学校まで移動する途中で、通行どめや火災発生などに伴いまして迂回などが必要となる実践的な避難訓練を実施しているところでございます。また、防災マップづくりを通じまして、震災時の避難経路を自分たちで研究し、設定している防災会もございます。延焼シミュレーションを活用することで、より実践的な避難訓練が可能となると考えられますので、その点につきましても消防署と相談してみたいと考えております。
○久保委員 よろしくお願いいたします。
都市計画マスタープランには、災害時の高齢者、障害者などの避難や救助などが安全かつ適切に行われるよう、災害に弱い人々の立場に立った防災対策を講じるとともに、災害時における速やかな復興行動がとれるように体制づくりを進めますとされております。現在、災害時避難行動要支援者の個別計画も進められていると思いますが、進捗状況についてお伺いいたします。
○上村地域支えあい推進室参事(区民活動センター調整担当) 個別避難支援計画作成の進捗状況でございますけれども、計画書作成の対象は約3万3,000人でございます。昨年度から始めまして、昨年、27年度には介護度1から5、障害支援区分1から6等の方など、比較的重度の方を対象に約1万人を職員が直接訪問調査いたしました。一部継続調査中ではございますが、同居家族がいること、また入院、施設入所などを理由に、個別支援計画を要しないとするケースが一定割合ありました。訪問調査を終了した方のうち、個別支援計画を要しないとするケースを除いた計画作成対象者4,799名のうち71%の方、3,404人の方の計画書を作成いたしました。これらを分析いたしますと、作成者のうち84%の方は支援者がありとなってございます。支援者の内訳を見ますと、親族の方が93%、残りの7%は近所の知人等の方となってございます。
平成28年度につきましては、要支援1・2の方と70歳以上単身、75歳以上のみ世帯の方、約1万9,600世帯に対して郵送調査を行っております。返送率は1月末現在で51%でございまして、未返送者につきましては、職員による訪問調査を実施中でございます。
○久保委員 ありがとうございます。1万人以上の訪問調査を実施されてということでございまして、大変にお疲れさまでございます。一方で、見守り対象者名簿、災害時避難行動要支援者名簿、非常時救援者登録名簿などの統一を図っていくという課題もあったと思います。この点については現在どうなっているのでしょうか。お伺いいたします。
○高橋地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 名簿の統一・統合ということでございますけれども、平常時の見守り・支えあいの対象者と災害時に支援を必要とする方の情報の一元化につきましては、現在、町会・自治会等に提供している見守り対象者名簿に災害時の必要となる情報を掲載して統合する方向で検討を進めてございます。その際、個人情報の取り扱いが課題となりますが、現在作成を進めております災害時要支援者に対する個別避難支援計画におきまして、町会・自治会、地域防災会、民生児童委員への平常時からの情報提供に関して、本人の同意を確認する項目を設定しております。平成29年度中の統合を目指し、要支援者台帳システムの改修も含め、準備を進めていきたいと考えてございます。
○久保委員 29年度中に、この要支援者台帳の統合をされていくということで。先ほど見守り・支えあいのほうとの統合ということで、そうなってまいりますと、これは条例改正なども必要なんでしょうか。その点についてはいかがお考えですか。
○高橋地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 条例改正必須というところで現在は考えておりませんが、場合によっては条例改正が必要な場合があるかと思います。その場合には、また手順を踏んで進めてまいりたいと思います。
○久保委員 わかりました。
次に、平常時の見守り・支えあい、災害時の救出活動におけるタブレット端末の活用についてお伺いいたします。先ほども1万件の訪問ということを言われておりましたけれども、現在、すこやか福祉センター、区民活動センターの職員によるアウトリーチによる取り組みが検討されております。地域での巡回、訪問時の際にさまざまな情報をきちっと処理ができるようなタブレット端末の導入を進めるべきではないかと考えますが、その点についてはいかがでしょう。
○高橋地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) タブレット端末の活用につきましては、現場での最新情報の提供、また、活用可能なサービスの検索、相談履歴の参照などが可能となり、現場での相談の質を向上させるほか、ペーパーレス化やデータ入力作業の省力化も期待できると考えており、導入する方向で考えてございます。また、将来的には、寝たきりの高齢者や重度障害により外出が困難な方に対して、職員が御自宅まで伺い、区役所の総合窓口と同等のサービスを提供できるようにしていきたいと考えてございます。
○久保委員 ぜひ早期に取り組んでいただきたいと思うんですけれども、見守り・支えあい活動を充実させるためのタブレット端末と、また地図情報ということで、先ほども防犯カメラのときにも申し上げましたけれども、さまざまな地域資源がきちっと地図でわかるような、そういった情報と連動させるということも、非常に的確に地域の実態が把握することができて効果的ではないかと思いますが、その点についてはいかがお考えでしょう。
○高橋地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 対象者や地域資源の状況などを地図情報と重ね合わせ、地域を面的に捉えることは、平常時のみならず災害時においても有効だと捉えてございます。現在導入している要支援者台帳システムについても地図情報をベースとしているところでございますが、タブレット端末の導入を踏まえながら、機能の充実を今後図っていきたいと考えてございます。
○久保委員 ぜひお願いいたします。
次に、地域における防災活動の担い手の研修について伺います。
地域防災を担う地域防災会、日常的な見守り活動をされている民生委員、また、現在養成が進められている地域防災リーダーの方たちに学ぶ機会を持ってほしいと思いますのが、巨大災害時のリーガル・ニーズです。「災害復興法学」の著者であり、東日本大震災の際、無料法律相談会を実施し、支援に当たられた弁護士の岡本正氏の講演を伺いました。その際、地域で防災活動に当たられる方たちに、災害時に知っておくと役立つ基本的なリーガル・ニーズ、必要な法的な知識があることを実感いたしました。防災リーダーのスキルアップ研修や、地域防災会の研修の際、例えば知っておきたい災害時の生活再建などに関する基礎的な法制度、これらにつきまして、リーガル・ニーズを学ぶ場が必要ではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか。伺います。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 防災リーダーは、自助・共助に関する深い知識を有し、地域の防災活動の充実を図るためのリーダーと位置付けております。防災リーダーには防災に関する法的知識も必要になると考えております。
○若林委員長 休憩いたします。
午後4時49分休憩
午後4時51分開議
○若林委員長 委員会を再開します。
久保委員。
○久保委員 先ほどは防災リーダーなどの研修にリーガル・ニーズをということを申し上げましたけれども、職員向けの災害時を想定した求められるリーガル・ニーズの研修も推進すべきではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか。お伺いいたします。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 区は、新規採用職員に対する研修、震災・風水害対応図上訓練、総合防災訓練、避難所運営に関する研修などで、職員に対しまして防災の知識、技術を指導しているところでございます。防災に関する知識、技術の法的根拠を明確にし、より一層、法制度に基づく災害対応を指導してまいりたいと考えております。
○久保委員 指導していくということですが、また改めた形でこういった学習の場を設けられるのもいいのではないかと思いますので、御検討ください。
都市計画マスタープランに地域の初期消火能力を充実するため、軽可搬化ポンプの適切な配備と運用の充実や防火水槽の整備を誘導しますとあります。マスタープラン策定後にスタンドパイプが取り入れられておりますので、その点の記述がありませんが、消火栓の位置を理解していること、また、消火栓の設置の充実も重要であると考えます。地域防災マップを見ると、避難所となる地域の学校に消火栓の設置がされていないことが気になります。避難所となる学校内にも消火栓の設置がされるべきと考えますが、いかがでしょうか。お考えを伺います。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 各避難所には東京都のほうで応急給水用のスタンドパイプを配置しております。都は避難所の敷地内だけで応急給水が実施できるよう、避難所の敷地内に応急給水栓を増設する計画を区、市、町に示しております。現在はその実施に向けて調整を行っている最中でございます。
○久保委員 ということは、それは消火栓ということで今御質問させていただきましたけれども、それと同じ意味合いであるということでよろしいんでしょうか。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) この避難所の敷地の中に設置する応急給水栓につきましては、あくまでも応急給水活動専用でございますが、構造は消火栓と全く同じものでございます。
○久保委員 わかりました。
次に、地域での防災対策の強化のところ、ここの最後に、女性の視点での防災対策について伺います。
2月26日、今週の日曜日でございますが、公明党東京都本部女性局では、「女性の視点をいかした防災対策」フォーラムを開催いたしました。防災アドバイザーの岡部梨恵子さんを講師に迎え、「命をつなぐお片づけ&備蓄」の御講演をいただきました。会場には小池都知事も駆けつけ、公明党からの要請もあり、東京都では女性の視点での防災ハンドブックを策定することとなったことや、女性の視点の防災対策の重要性などについて言及されました。東京都が女性視点を踏まえた防災意識を高めるため、ノウハウをまとめた女性視点の防災ブックを作成することについては大いに期待するものです。平成29年度策定される東京都の女性の視点での防災ブックを地域の防災力向上のために活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。
○鈴木都市基盤部副参事(防災・都市安全担当) 都が来年度策定を予定しています女性の視点での防災ブックにつきましては、策定された際には適切に活用してまいりたいと考えております。
○若林委員長 久保委員の質疑の途中ですが、5時になりますので、今後の運営について協議するため、理事会を開会します。
委員会を暫時休憩いたします。
午後4時54分休憩
午後4時58分開議
○若林委員長 委員会を再開します。
理事会の報告をします。
久保委員の質疑の途中ですが、本日の質疑は終了し、あす、久保委員の質疑から始めることを確認いたしました。
以上が理事会の報告ですが、質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○若林委員長 それでは、ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○若林委員長 御異議ありませんので、そのように決定します。
本日の総括質疑を終了します。
次回の委員会は、あす3月1日(水曜日)午前10時から当委員会室において開会することを口頭をもって通告します。
以上で本日の予算特別委員会を散会します。
午後4時58分散会