平成29年06月02日中野区議会本会議(第2回定例会)
平成29年06月02日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録

.平成29年(2017年)6月2日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(41名)

  1番  加  藤  たくま         2番  若  林  しげお

  3番  日  野  たかし         4番  木  村  広  一

  5番  ひやま      隆        6番  山  本  たかし

  7番  渡  辺  たけし         8番  細  野  かよこ

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  いでい   良  輔

 11番  高  橋  かずちか       12番  内  川  和  久

 13番  甲  田  ゆり子        14番  小  林  ぜんいち

 15番  白  井  ひでふみ       16番  中  村  延  子

 17番  内  野  大三郎        18番  小宮山   たかし

 19番  広  川  まさのり       20番     欠  員

 21番  佐  野  れいじ        22番  北  原  ともあき

 23番  伊  東  しんじ        24番  平  山  英  明

 25番  南     かつひこ       26番  小  林  秀  明

 27番  森     たかゆき       28番  いながき  じゅん子

 29番  石  坂  わたる        30番  小  杉  一  男

 31番  い  さ  哲  郎       32番  大  内  しんご

 33番  高  橋  ちあき        34番  伊  藤  正  信

 35番  市  川  みのる        36番  篠     国  昭

 37番  久  保  り  か       38番  酒  井  たくや

 39番  近  藤  さえ子        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席議員

      な  し

.出席説明員

 中 野 区 長  田 中 大 輔      副  区  長  川 崎   亨

 副  区  長  本 田 武 志      教  育  長  田 辺 裕 子

 政 策 室 長  髙 橋 信 一      経 営 室 長  篠 原 文 彦

 新区役所整備担当部長 相 澤 明 郎    都市政策推進室長  奈 良 浩 二

 西武新宿線沿線まちづくり担当部長 角   秀 行      地域支えあい推進室長 野 村 建 樹

 区民サービス管理部長 戸 辺   眞    子ども教育部長、教育委員会事務局次長 横 山   俊

 健康福祉部長   小 田 史 子      保 健 所 長  木 村 博 子

 環 境 部 長  白 土   純      都市基盤部長   豊 川 士 朗

 政策室参事(企画担当) 青 山 敬一郎   経営室参事(経営担当) 朝 井 めぐみ

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  吉 村 恒 治      事務局次長    古 本 正 士

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  関 村 英 希

 書     記  立 川   衛      書     記  若 見 元 彦

 書     記  井 田 裕 之      書     記  冨士縄   篤

 書     記  野 村 理 志      書     記  鎌 形 聡 美

 書     記  遠 藤 良 太      書     記  松 丸 晃 大

 書     記  香 月 俊 介      書     記  古 谷 友里香

 

 議事日程(平成29年(2017年)6月2日午後1時開議)

日程第1 第34号議案 中野区ユニバーサルデザイン推進審議会条例を廃止する条例

 

午後1時00分開議

○議長(いでい良輔) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 大 内 しんご

 1 「東北復興大祭典 なかの」について

 2 台湾との都市間交流について

 3 海での体験事業について

 4 (仮称)中央部認定こども園の整備について

 5 その他

 

○議長(いでい良輔) 最初に、大内しんご議員。

〔大内しんご議員登壇〕

○32番(大内しんご) 平成29年6月2日、中野区議会第2回定例会におきまして、自由民主党の立場から一般質問をさせていただきます。

 最初に、「東北復興大祭典 なかの」について質問をいたします。

 東日本大震災の発生から6年が経過しました。建物や設備などのインフラ関係については復興が進んできているように見えますが、被災された方々の生活再建という意味合いでは、まだまだ継続した支援の取り組みが必要だと考えています。私ども自民党では、昨年12月に熊本地震の被害状況を視察するために、益城町の仮設住宅、南阿蘇村大橋崩落現場、熊本城の被害状況を確認し、県庁において熊本地震からの復旧・復興についての説明を受けてまいりました。以前の姿に戻るまではまだ長く険しい道のりだと感じました。

 先日、区長とともに東北各県、熊本県の東京事務所を訪問しました。各県の現状や課題をお伺いするにつけ、大震災が被災された方だけの問題ではなく、中野区をはじめとした日本全体で支えていかなければならないと改めて思いました。そのような状況の中、中野区では東北復興大祭典を開催し、毎年多くの方にお越しいただいています。被災地の復興の状況や現状、復興を忘れないといったメッセージを広く日本中に発信し、被災地や東北地方の復興に大きく寄与していると思います。また、昨年からは、熊本県の災害状況や復旧についての展示に加え、熊本県の物産の販売にも参加していただいております。私たち議員有志も6年前の第1回目から参加しており、第2回目から立ち上げた東北復興・ねぶた振興中野区議会議員連盟においては、ねぶたの運行や祭りのPR、物品販売への参加など、超党派の議員で参加し、盛り上げているところであります。さらに、今年度については一層取り組みを強化し、被災地や東北復興、熊本の復興、あわせて尽力していく考えであります。

 これまで多方面の関係者の協力のもと発展させてきた東北復興大祭典なかのは、最近では区内外から24万人の人出を超える区内最大級のイベントになっていますが、区としてはどう評価しているのか、改めて区長の見解をお聞きしたいと思います。

 今年度については、例年共催で行ってきた青森人の祭典が開催されないと聞いておりますが、ねぶたの運行等、大祭典の実施内容は、ことしは大きく変わったりするでしょうか。お尋ねをいたします。

 また、特別区が一体となって進めている特別区全国連携プロジェクトの一環として田中区長が特別区長会に強く働きかけ、支援、協力を行ってきた東北六魂祭については、東北6市を一巡したことから、今年度から名称を「東北絆まつり」と変更し開催します。東北6県との連携強化を深めていくためにも東北復興大祭典の機会を活用して東北絆まつりのPRを行っていくことがお互いに有益だと思います。区長の見解をお聞きします。

 予算質疑の際にも申し上げましたが、今年度については、東北復興大祭典と同時期に棟方志功ゆかりの五つの自治体が集う棟方志功サミットin中野が開催されます。より多くの方が参加し、興味を持ってもらうためにも両イベントの協力体制を充実し、準備していくことが重要と考えますが、どのようになっているのか現況をお伺いしたいと思います。

 2番目に台湾との都市間交流について質問いたします。

 中野区議会においては、平成27年に日華友好促進中野区議会議員連盟を結成しました。これは、日本と台湾との友好を促進し、両国の友好親善を図ることを目的としたものです。台湾は、東日本大震災の際にも、いち早く我が国に対して多額の義援金を送るなどさまざまな支援を行っていただきました。このような国と国との絆を市民レベルの交流へとつなげていくことが大切です。

 日華友好促進中野区議会議員連盟では、こうした交流の可能性を調査するために、本年4月17日から20日までの4日間台湾を訪問しました。訪問に当たっては、台湾の日本における外交の窓口である台北駐日経済文化代表処を昨年11月、ことしの3月と2回にわたり訪ねて趣旨を説明し、日本の自治体との交流に関心がある都市を紹介していただき、台湾の中心都市である台北市をはじめ、彰化市、嘉義市の市長とそれぞれお会いしてまいりました。日本からのアウトバウンドに期待し、その拡大に大変な努力をしていると感じました。さらに、訪問中には、故蒋介石氏のひ孫で台湾の国会議員である蒋萬安氏にも面会の機会を得ました。蒋氏の地元である台北市の中山区についても、中野区との交流に関して大変好意的に考えていただいたと感じました。

 台湾においては、特に都市部の若者の間で、日本のアニメなどサブカルチャーに対する関心が強く、台湾の中心都市である台北市中山区には、こうした流行に敏感な若者も多く存在します。この地区において、中野区との関係を深めて情報を発信していくことは、東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機として海外からの観光客を獲得しようという中野区の目標に大いに寄与するものと考えますが、いかがでしょうか。区長のお考えをお尋ねいたします。

 現在中野区は、中国北京市西城区との間で友好区関係、韓国ソウル市陽川区との間で姉妹都市関係を締結し、さまざまな交流を行っています。こうした友好区や姉妹都市という形でなくても、外国都市との間において、例えば、里・まち連携などのように、お互いのまちの魅力をPRし、特産品を販売するといった交流のあり方も考えられると思いますが、いかがでしょうか。お聞きをいたします。

 また、今回、台湾市内にあります日本の外務省に当たる外交部も訪問してまいりました。我々の訪問の際には、沖縄県の翁長知事がみずから沖縄県との経済交流の促進のために訪れていました。田中区長にも、ぜひこうしたトップセールスを行ってもらいたいと考えます。国際化の推進については、今年度も友好都市や諸外国との交流事業は予定されていますが、こうした事業の一環として、台北市中山区との交流を前提とした調査や協議など、区として取り組んでみてはいかがでしょうか。お聞きをいたします。

 3番目に、海での体験事業について質問いたします。

 中野区の小学校では、東日本大震災の影響により、毎年実施されてきた岩井での臨海学園を中止して、最近では、夏休み期間中に小学校5年生・6年生を対象に海での体験事業を実施しています。そして本年度からは小学校単位で実施することになります。昨年度は向台小学校と北原小学校を指定し、学校単位で実施したところであります。この海での体験事業は、子どもの成長段階において実際に自然に触れ、体験を重ねることがとても重要であると考え、友達と海でさまざまな体験ができるよい機会だと思います。ぜひともこの事業を拡大させ、一人でも多くの子どもたちに貴重な海での体験を共有してほしいと願っています。

 そういった立場から改めて質問させていただきますが、海での体験事業は、平成24年度から平成28年度、昨年度までは2泊3日で3クールを行うという内容での実施でした。今年度からは、昨年度の実施内容を踏まえ、学校単位で事業を実施する予定ですが、今年度の学校単位での事業とはどのように行っていくのでしょうか。今までとはどのように実施内容や目的が違ってくるのかお尋ねをいたします。

 また、海での体験事業は、平成24年度に臨海学園を廃止したことに伴い、教育委員会の主催事業として始めたものと認識しています。平成22年度に臨海学園を実施したときは小学校26校で1,400名の参加でした。それが海での体験事業になった平成24年度からは、参加者数が大幅に減り、昨年度は3クールの実施合計は93名と10%にも及びません。今年度から学校単位で行うということで、昨年度よりも参加する子どもたちがふえるよう、どのようなPRをしているのか。また、どの程度の参加を見込んでいるのかをあわせてお尋ねをいたします。

 現在、海での体験事業は、静岡県沼津市の大瀬海水浴場で実施をしています。この場所においては、以前私たちも視察に行ってまいりましたが、海が穏やかで透明度が高いというのは、これまでの教育委員会での説明のとおりだとは思いますが、一方で、バスでは海岸へ向かう道幅が狭く、週末を中心に一般の海水浴客も数多く来ます。今後この環境の中で参加人数をふやしていくことは、海岸や宿舎のキャパシティに無理があると考えます。平成23年度まで中野区は千葉県南房総市の岩井海岸臨海学園を実施していました。ここは、現在でも多くの自治体が引き続き臨海学園を行うなど、安全性も確保された事業にふさわしい場所ではないかと思います。

 そこでお伺いします。教育委員会が事業の参加者をふやしていくことを目指していくなら、事業の実施場所について今後変更する必要があると思いますが、どうお考えでしょうか。お尋ねをいたします。

 また、事業の実施体制についてもお聞きをいたします。海での体験事業は、教育委員会が主催し、民間事業者に委託をして事業を行っています。学校は、参加者の募集をしているだけと聞いています。今後事業を学校単位で実施していく場合、学校ともっと連携をし、事業を行ったほうがいいのではないでしょうか。海での体験事業の拡大は、学校との関係を含めての事業拡大を行うべきだと考えます。改めて教育委員会のお考えをお伺いいたします。

 四つ目に、(仮称)中央部認定こども園の整備についてお聞きをいたします。

 平成24年、子ども・子育て支援法が施行され、この法律等に基づき、幼児期の学校教育や保育、地域の子育て支援の量の拡充や質の向上を進めていくため、子ども・子育て支援新制度が平成27年4月から本格的にスタートし、はや2年が経過しました。子ども・子育て支援新制度の具体的な取り組みの大きな柱として、幼稚園と保育所のよさをあわせ持つ認定こども園を地域の実情に応じて普及させていくことが掲げられており、中野区においても新しい中野をつくる10か年計画(第3次)において、幼稚園と保育所の機能や特徴をあわせ持ち、さまざまなライフスタイルの家庭が利用できる認定こども園の整備を推進していくこととされています。

 また、この認定こども園は、就学前の子どもに幼児教育・保育を提供する機能と地域における子育て支援を行う機能をあわせ持つものであり、世帯の生活スタイルに変更があった場合にも、同一施設に通園を続けられるという利点も多いと考えられています。こういった点で、さきに開園しているみずのとうとやよいの認定こども園は、保護者の満足度や入園希望者も大変高いと聞いています。地域の子育て支援に厚みを持たせていくため、さらにこれからの幼保一元化に向けた考え方の道筋をつけていく意味からも極めて重要な政策になってきていると認識しています。

 区は昨年の3月に、この認定こども園の整備を進めるため、今後の認定こども園の考え方を示し、区立幼稚園の認定こども園への転換とともに、新たに区の中央部に民設民営による認定こども園を誘致し、整備していくことを報告しました。特に中央部に整備を予定している認定こども園は、考え方の中で最も早い段階で整備が図られることとされ、その後の認定こども園整備のモデルになると思います。この中央部での開園は、平成31年度からとされており、そろそろ具体的な整備に関するスケジュールが示されるべき時期ではないかと思われます。

 一方、ことし2月、私は自民党東京都連本部の会議の席で、東京都では、待機児童解消に向けた緊急対策(平成28年9月9日発表)に基づき、緊急対策の一環として、昨年10月に情報提供した財務局所管の未利用地に加え、さらに各局が所管する都有地についても保育所等として活用可能な土地を洗い出したとの情報提供がありました。この調査では、活用できる用地は、近隣の杉並区で5カ所、練馬区で9カ所、渋谷区で1カ所、中野区では活用可能な用地は野方一丁目の土地が1カ所のみでした。この用地は、昨年6月、第2回定例会の一般質問において、私が「今後区として活用していく考えがあるのか」とお聞きした際には、「当該用地にかかわる都の動向等について情報収集に努め、用地の活用について検討しているところである」との答弁をいただきましたが、昨今の状況から、野方一丁目の用地については、都との調整がある程度進んでいると推測されます。中野駅からもさほど離れておらず、今後予定されている認定こども園とのバランスを考慮すると、中央部に整備する認定こども園の用地として適地であると考えますが、その点について何点かお聞きをいたします。

 現在のところ、新しいこども園は、これまで区の中央部といった表現でしか示されていませんが、具体的にどこに整備する予定なのでしょうか。お考えがあればお聞きしたいと思います。

 認定こども園については、設置運営する民間事業者を誘致するとのことですが、どのような整備手法、手順により誘致整備を図っていくお考えなのかお聞きいたします。

 さらに、予定されている平成31年4月開園を考えると、事業者の募集等のスケジュールはおおむね固まってきている時期と思われます。開園までのスケジュールはどのようになっているのかお聞きをいたしたいと思います。

 以上、その他はございませんので、質問は終了いたします。御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 大内しんご議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、東北復興大祭典なかのについてであります。東北復興大祭典なかのの評価、実施内容について。東北復興大祭典なかのは、東日本大震災で多くの被害があった東北の復興を祈念し、支援する意を込めて平成24年から始まり、来場者数も年々ふえてきており、区内最大級のイベントになっているところです。今後とも引き続き東北各県の観光や文化、芸能などを発信していくことで地域振興に貢献するとともに、中野区にとってもより大きなにぎわいとなるよう発展させていきたいと考えております。

 青森人の祭典は、ことしは開催されないこととなりましたが、サンプラザ前でのステージイベントや各会場での特産品販売、ねぶたの運行などのほかに、実行委員会において東北絆まつりのPR、また、棟方志功サミットin中野の同時開催など、全体として催しの充実を図っていきたいと考えております。

 東北絆まつりのPR、棟方志功サミットin中野との連携について。6年前に被災地の復興支援のために東北六魂祭が始まりました。昨年青森市での開催をもって東北6県での開催を一巡したところです。それをさらに継承、発展させる趣旨でことしから新たに始まったのが東北絆まつりでありまして、東北六魂祭に引き続いて、我々23区区長会としても支援・協力を行っているところであります。東北復興大祭典なかのの場を活用して、この東北絆まつりのPRを行うことは、被災地の復興を支援するとともに、東北6県の自治体との連携・協力関係を深めていく貴重な機会になると認識をしております。大祭典で効果的に東北絆まつりのPRができるよう、関係自治体に働きかけを行っていきたいと考えております。

 また、今年度につきましては、東北復興大祭典なかのと昨年から始まっております棟方志功サミット、これの中野版、in中野が同時に開催されることから、両イベントのPRなどを連携して行うことで相乗効果が高まり、より多くの集客やにぎわいが期待できると考えています。東北復興大祭典の実行委員会と区が準備や実施の各段階で十分協力することによって両イベントが盛大に実施されるよう進めてまいります。

 次に、台湾との都市間交流についてであります。観光客獲得のための情報発信について。区は、今年度からアニメコンテンツを活用した地域ブランドづくり事業を新たに開始し、観光や産業の振興につなげることとしております。また、区のグローバル戦略においても、インバウンドの獲得を目標に掲げております。中野区の地域特性の一つであるアニメやサブカルチャーに対する関心が強い層に対して積極的に情報発信を行うことは、こうした区の目標に寄与するものであると考えております。

 既存の友好都市関係以外の交流についてであります。区は、中国北京市西城区との間で友好区関係、大韓民国ソウル特別市陽川区との間で姉妹都市関係を締結しておりますが、民間主導で市民交流が中心となって発展してきた例としてニュージーランドのウェリントン市との間での子どもたちの学校体験やホームステイなどの教育を中心とした交流も行っております。友好区や姉妹都市の関係以外にも観光や産業、文化などにおいて単なる行政間交流ではない市民同士の実りある交流が可能であれば検討していきたいと考えております。

 今後の台湾との都市間交流について。東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機としたインバウンドの獲得、観光や産業の振興、双方の文化理解などを目指した交流について、他の自治体の事例なども踏まえ、区として可能性を研究していきたいと考えております。

 続いて、(仮称)中央部認定こども園の整備についての御質問がありました。認定こども園の位置及び整備手法について。ことし2月に都から福祉インフラ整備のために活用可能であると照会のあった旧警視庁職員寮跡地については、3月に認定こども園の整備用地として活用を希望する旨回答をしたところであります。今般照会のあった用地について都との調整が整い、整備手法としては都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業の活用を考えており、今後、正式な手続に入る予定であります。用地につきまして東京都から中野区が借り受け、区が公募により選定した事業者に転貸し、選定された事業者が施設整備を行う、こういった形を考えているところであります。

 開園までのスケジュールについて。今後都との手続を経た後、公募を開始し、当初の予定どおり、平成31年4月に開園できるスケジュールで行うよう、現在検討を進めております。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 海での体験事業について。初めに、学校単位で実施することの目的や実施内容についてです。海での体験事業の目的は、学校とは異なる環境の中での体験を通して、生きる力の育成や自己の可能性を伸ばし、学校生活の向上に資することとしており、これについては変更はございません。しかし、より多くの参加者が集まるよう、友人同士での参加や学級や学年の絆を深める意味から学校単位で実施することとしたものでございます。

 次に、事業のPR方法や参加者の見込みについてです。参加者をふやすため、早い時期からの周知をはじめ、参加希望の予備調査を昨年12月に行いました。それをもとに希望者全員が参加できるよう、各学校の実施時期の調整を行い、3月に事業実施のチラシを、当時の4年生・5年生全員に配布いたしました。そのほか、PTAの会合や学校だよりなどで周知を順次行い、5月から正式な募集を行っているところでございます。今年度の定員は300人程度を予定しておりまして、必要ならば募集期間の延長も含め、できるだけ多くの参加が得られるよう周知に努めてまいりたいと考えています。

 続いて、実施場所の検討についてです。事業の効果を上げるためには、学校単位でより多くの児童が参加することが大事だと考えています。限られた期間に多くの子どもたちが参加することを考えると、1クールの定員を拡大することが必要でございます。こうした状況を踏まえ、児童がふえても十分に収容できる規模の海岸や宿舎などの条件を満たす場所として、以前臨海学園を実施していた岩井海岸を含め、現在複数の場所を候補地として検討しているところでございます。

 学校単位での事業実施の内容についてです。今後は事業の効果を高めていくためにも学校ごとにより多くの児童が参加できるよう事業構築を図ってまいりたいと考えています。学校ごとにより多くの児童が参加することを考えますと、各学校の教育活動との連携も必要になってきます。また、募集や事業実施後の効果等も含めて、学校と十分連携を図ってまいりたい。このように考えてございます。

○議長(いでい良輔) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 白 井 ひでふみ

 1 災害対策について

 2 健康施策について

 3 通学路等の安全対策について

 4 東中野駅東口について

 5 その他

 

○議長(いでい良輔) 次に、白井ひでふみ議員。

〔白井ひでふみ議員登壇〕

○15番(白井ひでふみ) 平成29年第2回定例会に当たり、公明党の立場から久方ぶりの一般質問を行わせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 質問内容は通告どおりですが、1、災害対策について。この項では4点伺います。①遠隔避難所の設置について。②指定管理者制度導入施設における災害時の協力体制について。③避難訓練コンサートについて。④防災行政無線のデジタル化とデジタルサイネージの活用について。

 2、健康施策について。この項では2点伺います。①胃がん検診について。②無料低額診療事業について。

 3、通学路等の安全対策について。

 4、東中野駅東口について。

 5のその他はありません。

 それでは、初めに、災害対策について、①遠隔避難所の設置についてお伺いいたします。そもそも避難所とは、災害が発生した際に避難するための施設や場所を指しますが、従来の災害対策基本法では、切迫した災害の危険から逃れるための避難場所と避難生活を送るための避難所が必ずしも明確に区別されておらず、東日本大震災では、被害拡大の一因になったとも指摘されています。このため、平成25年6月に改正された災害対策基本法においては、切迫した災害の危険から逃れるための緊急避難場所と、一定期間滞在し、避難者の生活環境を確保するための避難所が明確に区別されることとなりました。区別はされたものの、指定緊急避難場所と指定避難所とは相互に兼ねることができます。今回の質問で取り上げるのは、この指定避難場所についてです。

 指定避難場所とは、災害対策基本法第49条の7には、災害の危険性があり避難した住民等を災害の危険性がなくなるまで必要な間滞在させ、または災害により家に戻れなくなった住民等を一時的に滞在させるための施設として区市町村長が指定するとあります。区内には、区民の避難場所として、27年4月現在、区立小・中学校を中心に49カ所、二次避難所としては43カ所が指定されています。災害発生時から72時間の救命救急期を経過したころから、本格的に長期に及ぶ避難生活の備えが必要となります。さらに、復旧・復興期には、仮説住宅や災害ごみの置き場など、場所の確保が必要に迫られることとなりますが、もとより空き地の少ない中野区においては大きな課題であり、区内で全ての課題を解決することは難しく、どうしても広域での協力体制が必要不可欠となります。大規模災害時の広域での避難所の指定については、災害救助法の適用がなされ、都内だけでの受け入れが困難な状態となった際に可能となります。さらに、国の災害救助法の弾力運用が適用されると、被災者の受け入れ先としてのホテルや旅館などの宿泊代金と3食の食事料金として被災者一人につきおおむね1日5,000円までの国の支援が受けられると聞きます。

 昨年の11月、同僚の南議員とともに、里・まち連携都市であるみなかみ町に行ってまいりました。みなかみ町には温泉がたくさんあり、旅行客などの受け入れ宿泊施設が充実しています。訪問の主な目的として、一議員の考えではあるが、災害時に中野区民の受け入れが可能であるかどうか。また、区からの上乗せ費用負担のない国の被災者の受け入れ支援額のみの費用負担で受け入れが可能であるかどうかとの御意見をお伺いするためです。

 みなかみ町側からは、実は、東日本大震災の折に、みなかみ町の独自の支援策として御協力いただけるホテルや旅館を募り、総受け入れ人数1,573人、延べ滞在日数1万7,071日の実績があるとのお話があり、また、当初は町の独自支援策として一人3,000円での受け入れを実施したとのお話がありました。さらに、東日本大震災の影響で観光客のキャンセルが相次ぎ、宿泊客が激減したため、東京都市部での災害時にはさらに影響があると推測している。里・まち連携都市である中野区への支援としてはもちろん、町としての事業者への支援策にもなると考えられるとのお話がありました。災害時の中野区民の受け入れについては、こちら側のお願いが主になると考えていましたが、思いもよらぬ返答をいただきました。大規模災害時の災害救助法の適用が前提となりますが、高齢者や障害者、子育て中の御家庭などの要配慮者の支援ともなり得る区内ではない遠隔地での避難所、遠隔避難所の開設を進めるべきと考えますが、お伺いいたします。

 あわせて、まずは中野区が里・まち連携協定を結んでいる群馬県みなかみ町や山梨県甲州市、千葉県館山市、茨城県常陸太田市、そして福島県喜多方市と交渉を進め、他の自治体とも被災者の受け入れ先の選択肢をふやす取り組みを進めるべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。

 また、平時における交流促進が災害時に避難する際の安心につながると考えます。角度は変わりますが、平時に連携都市を訪問する区民への特典をわかりやすく明示し、ホームページ等での紹介もすべきと考えますが、お伺いいたします。

 次に2点目として、指定管理者制度導入施設における災害時の協力体制について伺います。中野区では、区有施設の管理運営面において指定管理事業者の導入が進んでいます。区の施設は、指定管理者制度導入施設を含めて、地震や風水害での災害が発生、または発生の予想がされる場合に、物資集配拠点やボランティア活動拠点、補完施設等として使用することが地域防災計画に記載されています。そのため、区は、地域防災計画に位置付けられた施設の指定管理者との平時の基本協定のほかに、別途災害時等における協定や具体的な取り組み内容について契約を結んでおく必要があると考えます。現行の地域防災計画では、なかのZEROホールの指定管理事業者との災害協定のみが掲載されていますが、区有施設における指定管理者との災害時等における協定や具体的な取り組み内容についての現状をお伺いいたします。

 また、現段階では地域防災計画に役割が位置付けられていない区有施設であったとしても、災害時等に被災者が身を寄せることが予想されます。また、区の職員だけでは人手不足の状況が予想されるところです。事前に災害時等の対応についても指定管理事業者と協力内容を決めておく必要があると考えますが、お伺いいたします。

 次に3点目として、避難訓練コンサートについてお伺いいたします。過日の5月7日、中野サンプラザ内広場において、東京消防庁音楽隊の御協力による青空コンサートが開催されました。東京消防庁音楽隊の活動として、青空コンサート以外にも避難訓練コンサートという活動があり、近隣自治体の大規模集客施設において数多く開催されています。避難訓練コンサートとは文字どおり、コンサートの最中に災害が起きたという想定のもと、集客施設において避難訓練を体験するもので、施設の運営側においても災害時の備えとして役立つものとなります。3.11の東日本大震災の当日は、中野サンプラザにおいてもコンサートの予定がありました。来週の6月7日には、小金井市の宮地楽器ホールで避難訓練コンサートが開催される予定となっています。

 中野区においては、なかのZEROホールにおいて避難訓練コンサートが実施されたこともあるとお伺いしますが、中野サンプラザや野方WIZ、また、なかのZEROホールも含め、区内の大規模集客施設において施設運営に携わる指定管理事業者等の協力も仰ぎながら開催を検討すべきと考えますが、お伺いいたします。

 次に4点目として、防災行政無線のデジタル化とデジタルサイネージの活用について伺います。区は、音声の情報発信手段としてだけではなく、アナログ防災行政無線を音声だけでなく、文字や映像、そして双方向の情報通信が可能となるデジタル防災行政無線への転換を平成30年の完成を目指して5年計画で進めているところです。音声のみではなく、文字や映像による情報伝達手段が加わることで音が遠くまで飛ぶようにと高い場所に設置されているスピーカーである防災行政無線のパンザマストの選定場所のほかに、大勢の人の目につきやすい場所の選定が重要であると述べてまいりました。

 また、区民が災害時に情報を取得する手段として、さまざまな情報発信手段を整えるとともに、大もとの防災行政無線とシステムの一元化や連動が大事であるとも述べてまいりました。防災行政無線、区の災害時ホームページでの掲載、SNS、防災メール、ケーブルテレビのLウインドーの表示などが一つの操作で同時に瞬時に発信できる仕組みが重要であるとの意味です。

 一方、平時のにぎわいに供する手段として、デジタルサイネージの設置について、区は今年度内に計画をまとめ設置まで行うとしています。そこで、今年度中に計画、設置されるデジタルサイネージは、災害時の防災行政無線のシステムと連動したものとなるのか、確認のためお伺いいたします。

 また、デジタルサイネージの設置場所や運用方法についての現在の検討状況を伺い、この項の質問を終わります。

 次に、健康施策について。

 初めに、胃がん検診についてお伺いします。中野区では、胃がんの早期発見・早期治療に結びつけることを目的として、他の自治体に先駆け、平成25年から胃部X線検査に加えて、血液検査による胃がんハイリスク検査を導入しました。胃がんハイリスク検査は、胃がん予防やリスク評価の観点から、ピロリ菌の有無や胃粘膜の収縮程度により胃がんの発生リスクをAからDまでに分類し、より効果的に胃がん予防、早期発見に結びつける検査です。胃がんハイリスク検査の導入後、胃がんの方が平成25年度は10人、26年度は15人、27年度は6人が発見され、効果が上がっているとお聞きします。区における胃がんハイリスク検査は、40歳から75歳までの5歳刻みで実施されていますが、検査導入から本年で5年目となることから、来年度の30年度からは対象者・対象年齢を拡大し、現在40歳以上全年齢の未受診者に拡大すべき考えますが、伺います。また、胃がん予防の観点から、対象年齢を健康づくり健診とあわせて35歳まで引き下げるべきとも考えますが、お伺いをいたします。

 国は、平成27年度に、がん検診のあり方に関する検討会中間報告書を踏まえ、がん検診実施のための指針を改訂し、平成28年度から適用しています。この指針では、胃がん検査の検診項目に胃内視鏡が加わり、他区でも胃がん検診に内視鏡を導入するところがありますが、中野区においても内視鏡による胃がん検診の導入を検討すべきと考えますが、お伺いいたします。

 また、胃がんハイリスク検査の検査結果によっては、ピロリ菌除去治療や内視鏡検査が保険適用になります。中野区は先駆的に胃がんハイリスク検査を導入してきた経緯があることから、胃がん検診において内視鏡検査を導入し、中野区としての新しい胃がん検診のあり方についての検討を進め、明年度の30年度をスタートの目標とし、推進すべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。

 次に、2点目として、無料低額診療事業についてお伺いします。我が国は国民皆保険制度を実施しています。国民全員が何らかの公的医療保険に加入することとなっていますが、さまざまな事情で医療機関を受診しがたい人もまれな存在ではありません。生活が困窮していて、健康保険料が払えず健康保険証がない方、この場合、一旦は医療費の全額を自費で賄うしか他に方法がないと思っている人が多くおられます。また、病院での医療費の自己負担額が払えない人、配偶者間暴力、DVから避難している人、ホームレスの人、さらに3カ月を超える適法滞在者の外国人は、国民健康保険や後期高齢者医療の加入対象となりますが、短期滞在や不法滞在の外国人など、さまざまな場合や事情が混在します。このような場合に、病気やけがをしても受診を控え我慢をしていたら、さらに状態が悪化し、重篤化や障害、場合によっては生命が危険な状態に及ぶこともあり得ます。必要な医療を受けられる方法、救済措置はないのか、ひもといてみたいと思います。

 まず、生活保護の申請が考えられます。最後のセーフティネットであり、生活保護による医療扶助の受給が認められれば、保険料や医療費の自己負担額が生じることもありません。しかし、全ての人が生活保護を受給できる要件を満たすわけではなく、また、受給要件を満たすとしても、申請の準備や保護の開始決定まで一定程度の日数が必要となります。あまり知られていませんが、生活に困窮する人が条件を満たせば必要な医療が受けられ、生活保護制度を補うことにもなり得る方法があります。それが無料低額診療事業です。社会福祉法第2条第3項第9号には、「生計困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業」とあり、第二種社会福祉事業として位置付けられています。国は、病院事業者に対して、生活に困っていて医療費が払えない、あるいは医療費を払う余裕がない人々を受診させてもらえるように無料低額診療事業を設けているのです。

 ちなみに、無料低額診療事業を実施する病院には、無料または低額での医療行為を一定数以上実施することを条件に、税制上の優遇措置が受けられるようになっています。無料低額診療事業を実施する代表的な医療機関として、恩賜財団済生会があります。貧困者医療のために明治天皇が出資され設立されたものです。さらに、北海道社会事業協会も同様で、昭和天皇が皇太子時代に福祉のために出資され設立されています。また、全日本民主医療機関連合会に加盟する病院・診療所も無差別平等の医療という理念に立って多くの施設で実施され、歯科診療に応じる施設もあります。東京都のホームページには、この無料低額診療事業と実施施設の紹介がなされています。都内では、52カ所の実施施設があり、中野区内には2カ所の病院施設が紹介されています。また、医療のみならず、生計困難者が経済的な理由によって必要な介護を受ける機会を制限されることのないよう、無料または低額な料金で介護老人保健施設を利用できる事業、無料低額介護老人保健施設利用事業もあり、あわせて紹介がなされています。無料低額介護老人保健施設利用事業は都内18カ所で実施されており、中野区での該当施設はありません。

 そこで、まず、無料低額診療事業制度とはどのような制度であるのか。この制度を利用したいと考えられる方々にわかりやすい概要の説明をお尋ねいたします。

 また、無料低額診療事業を実施する施設は、区内には2カ所あると述べましたが、近年の制度利用状況はどのようになっているのかお伺いいたします。

 この無料低額診療事業制度を利用できる対象者の条件は、共通の基準がなく、実際の運用は個々の医療機関に委ねられ、利用条件に幅があります。そのため、どのような条件であれば制度を利用できることとなるのか、対象者の条件を、区内の施設はもちろん、区民の利用が見込まれる近隣施設ごとに利用条件を把握整理する必要があると考えますが、お伺いいたします。

 制度設計の上では、相談の窓口として、福祉事務所、社会福祉協議会、該当施設となっていますが、事業を活用し、生活困窮者の救済となるように、区における担当所管、社会福祉協議会、区内・近隣該当施設との連携を図る必要があると考えますが、お伺いいたします。

 さらに、制度運用について、実際に窓口で当該事業の対象者の相談を受ける関係部署と制度の担当所管における庁内での制度周知や連携のあり方についても、この制度を機能させるために取り組むべきと考えますが、伺い、この項の質問を終わります。

 次に、通学路等の安全対策についてお伺いいたします。

 登下校時の児童等が事故や事件に巻き込まれる案件が後を絶たない状況です。過日、登校中の児童等の列に車が飛び込むという事故がありました。また、登校中の児童が連れ去られ亡くなるという痛ましい事件が起きました。怒りにも近い感情を覚えるのは、私だけではないと思います。このような報道がなされるたびに、通学路等や通学時等の安全対策を望む保護者の方々の御相談の声をたくさんお受けいたします。これまで、相次ぐ事故を受けての緊急合同点検をはじめ、通学路の安全対策については、学校、PTA、警察、道路設置者が一体となって通学路の安全点検に取り組むとともに、区は必要な整備を行っている状況です。放課後学校内に設置されている学童クラブやキッズ・プラザを利用する児童たちは、帰宅時の帰り道は通学路と重なることとなります。学校の外にある学童クラブを利用する児童たちは、帰宅時の帰り道は通学路に含まれていない場合があります。学校の外にある学童クラブを利用する児童の帰宅時の帰り道の安全対策については、どのような取り組みをされているのか。また、今後の学校再編時や学校改築時に学校施設内での学童クラブやキッズ・プラザの開設を目指すとしていますが、全ての施設が移転するまでにはまだ年月が必要です。施設の移転を待たず、区は積極的な安全対策に取り組むべきと考えますが、お伺いいたします。

 キッズ・プラザを利用できる時間帯は、当該小学校の授業終了後から18時までとなっています。学童クラブを利用できる時間帯も原則18時までですが、19時まで延長利用ができることとなっており、延長利用の際は、帰宅時、保護者のお迎えが条件となっています。今年度区では、キッズ・プラザを利用する児童の入退室状況を管理するシステムを7月の完成を目指して構築中と聞きます。このシステムは、キッズ・プラザを利用する児童の保護者に対して、希望する場合は児童の入退室時間をメールで送信するサービスを無料で利用できる仕組みが用意されていると聞きます。子どもたちや保護者の方々の安全と安心に大きく貢献できることであり、大いに歓迎するものです。

 全学童クラブ25カ所のうち八つの学童クラブは学校施設内にあり、キッズ・プラザとともに運営されているため、この八つの学童クラブの利用者も入退室メール配信のサービスが受けられると聞きます。18時までに帰宅する児童、保護者の安心・安全に大きく貢献できるため、この件も歓迎するところです。しかし、学校の外にある他の17カ所の学童クラブにおいては、入退室の管理システムがなく、メール配信サービスもない状態です。利用する学童クラブによって差が生じています。学童クラブを利用する全ての児童、保護者の方々への安心・安全のため、入退室メール配信サービスの導入を含め取り組みを進めるべきと考えますが、お伺いをいたします。

 さらに、利用対象を広げ、全ての小学校の全児童の登下校を対象とした安心・安全のためのメール配信サービスの検討もすべきと伺い、この項の質問を終わります。

 次に、東中野駅東口についてお伺いいたします。

 JR東中野駅周辺については、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)において、東中野駅西口の整備に続き、東口の利便性、回遊性の向上を目指し、周辺住環境との調和を図りつつ、交流拠点としての機能を拡充していきますとしています。これまでの経緯として、平成22年度には東中野地域まちづくり検討会から報告がなされ、東中野地域まちづくり構想が策定されています。策定後、検討の進展が見られないことから、我が会派から強く要望させていただいた東口周辺の調査予算が27年度、28年度に盛り込まれ調査が実施されています。この両年度の報告が議会においていまだなされていない状況です。東中野駅東口において、27年度、28年度の東口調査の取りまとめの進捗状況とその概要についてをお伺いいたします。また、今年度の29年度の東中野駅東口についての取り組みと今後の進め方についてもお伺いし、私の全ての質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 白井議員の御質問についてお答えいたします。

 まず、災害対策についてであります。遠隔地避難所の開設について。自治体との災害時の相互応援協定については、これまで福島県田村市をはじめ、山梨県甲州市、青森県青森市、茨城県常陸太田市など、中野区と関係の深い自治体と協定を結んできているところです。協定では、応援内容として、食料、飲料水、生活必需品や応急復旧等に必要な資機材の提供、職員の派遣、そして一時収容施設の提供などを取り決めているところであります。災害発生時には被害の程度により避難所生活の長期化や近接地での応急仮設住宅の確保の困難さが想定されるため、高齢者などの災害時要配慮者も含め、避難生活者にとって遠隔地の避難施設の必要性は高いと考えるところです。なかの里・まち連携協定で交流している自治体とは、今後こうした避難施設の確保の観点からも、災害時相互応援協定の締結を進めてまいりたいと考えております。

 また、そうした里・まち連携自治体の中野区民に対する特典の紹介について、区では現在連携自治体が作成した中野区民のための特典に係る周知物を窓口で配布したり、あるいは各地区町会連合会の会合における周知などに努めているところであります。区民が主体となった連携自治体との自主的な交流を推進していくために、今後各自治体が用意するさまざまな特典を整理し、区のホームページや中野区都市観光サイトまるっと中野などで紹介していきたいと考えております。

 次に、区有施設における指定管理者との災害協定について。中野区地域防災計画で避難所及び二次避難所に指定している施設の指定管理者との協定について再確認をし、未締結の指定管理者や新たに開設された二次避難所の指定管理者と協定を締結するように作業を進めているところであります。

 指定管理者との災害時の協力内容について。区有施設の指定管理者からの災害時の人的協力については、既に協力について協定に含まれているところもあり、そうしたところでは円滑な協力が得られる状況にあると考えます。そうでない指定管理者については、今後協定内容を確認の上、実態に応じた適切な協力体制を構築できるよう協力依頼をしていきたいと考えております。

 避難訓練コンサートについて。中野サンプラザ、なかのZEROホール、野方WIZなどの大規模集客施設では、歌謡コンサートや各種のイベントが数多く開催されており、その公演中に大地震や火災が発生する場合もあり得ることから、客席に人を配置した状態で災害の発生を想定した避難訓練を実施することは、施設を管理する指定管理者等にとっては非常に大切なことであると認識をしております。指定管理者と中野消防署や東京消防庁と避難訓練コンサートの実施について検討していきたいと考えております。

 デジタルサイネージの防災活用と検討状況について。デジタルサイネージにつきましては、現在提供する情報のあり方や設置場所、それから運用の仕組みなどについて検討を行っているところであります。この検討に当たりましては、災害情報の配信、これにつきましてもそうしたことを盛り込んでいくべく検討を行っているところであります。

 次に、健康施策について。このうち、がん検診に関連する御質問です。胃がんハイリスク検査の年齢拡大について。一般的にがん検診のような集団検診には、患者一人を発見するのにかかる費用と対象者全体の死亡率を減少させる効果という二つの要素を考慮した費用対効果が求められるところです。区で行っている胃がんハイリスク検査は、ピロリ菌感染と萎縮性胃炎の有無によるがん発症リスクを調べているところですが、35歳以下では、このリスクが大変低く、対象年齢を引き下げることについては慎重な検討が必要と考えております。対象者を40歳以上の全ての未受診者に拡大することにつきましては、区が委託している医療機関の受け入れ可能数や財政負担なども見きわめた上で検討していきたいと考えております。

 胃がん検診における内視鏡検査の導入検討について。区で実施している胃がんハイリスク検査は、胃がんリスクを効果的に把握でき、身体への負担が少ない検査法であると認識をしております。胃がん検診における内視鏡検査の導入、これにつきましては、国の指針を踏まえ検討していきたいと考えております。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 通学路の安全対策のうち、小学校の登下校時のメール配信制度を含めた検討についてお答えいたします。

 小学校における新たなメール配信制度につきましては、保護者などによる通学路の安全誘導や防犯カメラの設置等、現在講じている安全対策全体のあり方を検証する中で、その有効性や必要な機能などについて検討していきたいと考えております。なお、現在は各学校ごとに悪天候に伴う下校時間の繰り上げや移動教室等、行事による解散時刻など、通常の下校時刻に変更が生じた場合には、学校情報配信システムを利用して保護者に対して情報発信しているところでございます。

〔健康福祉部長小田史子登壇〕

○健康福祉部長(小田史子) 健康施策に関する御質問のうち、無料低額診療事業についての御質問にお答えいたします。

 まず初めに、無料低額診療事業の制度概要と利用状況についてでございます。無料低額診療事業は、社会福祉法に基づき、社会福祉法人の病院や診療所が事業実施施設となり、低所得者、路上生活者等の生活困難者を対象として施設ごとに定めた基準により、無料または低額な料金によって診療を行う事業となっております。区は実施医療機関から特別診療券の発行を受けまして、対象者に特別診療券を交付することによりまして当該事業を実施している医療機関への取り次ぎを行っているものでございます。

 利用状況でございますが、平成19年度に1件、平成28年度に1件の利用がございました。

 次に、無料低額診療事業の実施施設の把握と制度活用についてでございます。現在区では、区内に2施設、区外で1施設の特別診療券の交付を行っております。今後は、近隣区の医療機関につきまして、実施の意向、利用条件などの情報収集を行いまして、集約した情報につきましては当該事業の利用対象者から相談があると思われます区の関連部署や社会福祉協議会と情報共有を図ってまいります。ただし、国民健康保険の一部負担金の減免制度の活用も考えられますことから、制度の紹介や周知のあり方につきましては、今後検討してまいります。

地域支えあい推進室長野村建樹登壇〕

地域支えあい推進室長(野村建樹) 私からは、通学路の安全対策の御質問のうち、学童クラブ関係で二つの御質問にお答えをいたします。

 まず学童クラブからの帰り道の安全対策という御質問でございました。学童クラブでは現在、延長保育時は児童の保護者への引き渡しを原則とし、その他の時間帯につきましては、同一方向への集団帰宅を指導してございます。また、学童クラブでは、保護者との間で児童の帰宅経路を確認しているほか、安全教室などにより利用児童に対して指導を行っているところでございます。学童クラブからの帰路の安全対策につきましては、今後もさらに工夫をしてまいりたいというふうに思ってございます。

 本年度導入をいたしますキッズ・プラザの入退室管理システム、これの児童館内学童クラブへの拡充ということでの御質問でございました。本年度導入いたします入退室管理システムにつきましては、メール配信サービスも含めまして、その運用状況を検証し、今後児童館内の学童クラブへの拡大を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

都市基盤部長豊川士朗登壇〕

都市基盤部長(豊川士朗) 私からは東中野駅東口についてお答えいたします。

 まず、調査委託の概要と進捗状況でございます。平成27年度は東口周辺の南北歩行者動線等の確保の検討として、南北歩行者動線及び歩行者空間の確保などに向けた現状の把握と課題の抽出等を行ってございます。平成28年度は前年度の検討を踏まえまして交通量調査を実施し、南北の歩行者動線及び歩行者空間の確保に向けた具体的な考え方を検討いたしました。

 次に、東中野駅東口のまちづくりの今後の進め方についてでございます。今年度はこれまでの検討を踏まえまして、東中野駅周辺の回遊空間やにぎわい拠点形成などについて検討を行う予定でございます。検討を進めるに当たりましては、地域のまちづくり団体や町会、商店会など地域と十分な連携を図るとともに、JR東日本等との協議を進めてまいります。

 以上でございます。

○議長(いでい良輔) 以上で白井ひでふみ議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後2時05分休憩

 

午後2時30分開議

○副議長(南かつひこ) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。

 議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 広 川 まさのり

 1 国民健康保険について

 2 学校施策について

  (1)学校再編について

  (2)給食費無償化について

  (3)就学援助・入学準備金について

  (4)その他

 3 待機児童対策について

 4 その他

 

○副議長(南かつひこ) 広川まさのり議員。

〔広川まさのり議員登壇〕

○19番(広川まさのり) 2017年第2回定例会本会議におきまして、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。

 まず初めに、国民健康保険について伺います。

 この間、深刻な社会保障制度の改悪により、国民の暮らしや福祉は悪化の一途をたどっています。その中でも、国民健康保険料の引き上げは、非正規労働者、中小零細業者、年金生活者などの生活を圧迫しています。今年度23区の国民健康保険料は、1人当たり平均7,252円引き上げられ、11万8,441円となります。加入者の平均所得が下がっているにもかかわらず保険料が年々上昇する中で、国保の構造問題が深刻となり、制度が疲弊していると指摘する声も上がっています。保険証の取り上げや差し押さえが貧困に追い打ちをかけ、医療を受けたくても受けられないという状況も広がっています。全国保険医団体連合会が昨年行った調査によれば、経済的理由による患者の治療中断があると答えた医療機関が40.9%に上りました。

 先日、区内に住む40代独身の方にお話を伺いました。持病がありフルタイムで働くことが困難なため、業務委託という形態で働いているため、国民健康保険に加入しており、年収は約200万円、保険料は約18万円ということでした。現在、保険料や医療費、家賃、税金、通信費などを払うために、生活費、主に食費などを極力切り詰めている状況ですが、さらに保険料が上がれば、払いたくても払うことができない。通院できなくなり持病が悪化してしまえば、仕事を続けられなくなる。とても不安と話しておられました。健康を維持し、いざというときに命を守るはずの国民健康保険が、逆に健康を損ね、命をも脅かしかねないという危機的な状況となっています。

 そこで伺います。このように、度重なる保険料の引き上げが中間層の疲弊を招き、貧困層、境界層の生存権をも脅かしていることについて、区はどのように認識しているのでしょうか。

 生活保護基準をぎりぎり上回っている低所得世帯が、国民健康保険料を払うことによって生活保護基準以下に落ち込むという実態があります。介護保険制度には境界層該当措置があります。介護保険のサービス費用の負担額や保険料を支払うと生活保護を必要とするが、それより低い所得段階のサービス費用の負担額や保険料であれば、生活保護を必要としなくなる場合により低い基準を適用する制度です。国民健康保険制度も介護保険制度と同様、生活保護基準以下になるような保険料負担や医療費負担をさせるべきではありません。国民健康保険料についても、生活保護境界層に対する軽減制度の創設を国に働きかけるとともに、区独自の制度の創設を検討すべきではないでしょうか。伺います。

 国民健康保険の一部負担金の減免制度についても伺います。国民健康保険法第44条には、保険者は、特別の理由がある被保険者で、保険医療機関等の一部負担金を支払うことが困難であると認められる者に対して、一部負担金の減額や免除ができるという規定があります。中野区では、中野区国民健康保険一部負担金の徴収猶予及び減免の取扱いに関する要綱が設けられ、生活困難に一時的に陥り、一部負担金の徴収を猶予する必要があると認めるとき、その徴収を猶予することができるとしています。さらに、その上で、生活困難となり、一部負担金の減免を行う必要があると区長が認めるとき、一定期間の一部負担金を免除することができます。この猶予、減免の対象として、世帯主が(1)震災、風水害、火災その他これに類する災害により、死亡し、心身に障害を受け、又は資産に重大な損害を受けたとき、(2)事業又は業務の休廃止、失業等により、収入が著しく減少したときと記されています。昨年度、中野区の実績としては、東日本大震災等災害の影響による減免が189件に対して、生活困窮が4件となっています。要綱において、一部負担金の減免の対象は、一時的に生活困難に陥った場合に限定されており、恒常的な低所得者を理由とする申請は対象とされておりません。

 全国生活と健康を守る会連合会は、厚生労働省国保課に対して、国は年金生活者などの恒常的低所得者は減免の対象と考えているのかとの質問を行っており、昨年12月、国は恒常的低所得者は減免の対象と考えているとの回答がありました。厚生労働省は、この見解の周知について、周知を行うかどうかについては、自治体の実施状況を見ながら検討していくと回答しています。

 そこで伺います。中野区の国民健康保険一部負担金の減免に係る要綱は23区統一でありますが、このたびの厚生労働省の見解にのっとり、恒常的低所得者が減免の対象となることを広く周知していくべきではないでしょうか。区の見解を伺います。

 今年度、国民健康保険料は、金額、率とも過去5年間で最高の引き上げとなりました。来年度から行われる広域化に向け、特別区として実施していた高額療養費への一般財源からの繰り入れの割合を、昨年度33%から25%に縮小したことや、区民1人当たりの医療費がふえることによる医療分の賦課総額が増加することなどが大幅な引き上げの要因となっています。広域化に向け、厚生労働省は、2016年4月、都道府県に策定を求めている国保運営方針の基本的考えを示す国保運営方針ガイドラインを策定しました。同ガイドラインでは、国保財政における赤字の解消が強調されています。保険料の収納不足や医療費の増加については、財政安定化基金からの貸し付けで対応し、自治体の自主判断による保険料の負担緩和、任意給付、独自の保険料減免などへの繰り入れは、計画的に削減、解消する方針が示されています。高額療養費の一般財源の繰り入れ、縮小も、国の方針に基づいたものとなっています。

 そこで伺います。2018年度の広域化に合わせ、高額療養費の賦課総額への算入率を75%から100%に引き上げた場合、これによる保険料への影響はどの程度と想定しているのでしょうか。重ねて、東京都が行った標準保険料率の試算によれば、来年度の国民健康保険料はどの程度引き上がると想定されるのでしょうか。伺います。

 2011年度、国民健康保険の広域化に向け保険料算定方式が変更され、所得計算から扶養控除が外されたことにより、多子世帯や障害者のいる世帯の負担する保険料が大幅に上がりました。また、所得に関係なく世帯の人数分を支払う均等割も年々上がり続け、子どもが多い世帯に負担が重くなっています。今年度は4万9,500円となり、1999年と比較すると90%も上がっています。

 ことしの第1回定例会予算特別委員会において、我が会派の羽鳥区議が、保険料の多子世帯減免の検討を求めました。その際区は、「昨年12月、特別区長会では、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、国の責任において、区市町村の補助制度に対する財政支援について、緊急要望を行った」と答弁しています。現在、さまざまな自治体が独自の取り組みとして多子世帯などに対する国民健康保険料の負担軽減策を実施しています。都内では、東村山市が同一世帯内の18歳以下の加入者について、3人目以降の均等割を無料とする措置を一般財源を投入して実施しています。子どもの貧困対策の一つとして有効な施策と考えられますが、区は多子世帯に対する減免制度の創設は、国の財政支援なくしては困難との見解を示しております。

 そこで伺います。国は医療費助成によって安易な受診が増大するとして、現物給付で助成を行う自治体に対して国民健康保険国庫補助金を減額する措置、いわゆるペナルティーを講じていますが、昨年12月、厚生労働省は、未就学児を対象とする助成に対するペナルティーを2018年度以降無条件で廃止する方針を示しました。中野区において未就学児医療費助成に対するペナルティーの影響額は、2015年度で約1,600万円となっています。これを財源として、18歳未満の第3子以降の均等割無償化の実施を検討してはいかがでしょうか。見解を伺って、この項の質問を終わります。

 次に、学校施策について伺います。

 まず学校再編についてお聞きします。中野区では、中野区立小中学校再編計画(前期)のもとで、2012年度までに小学校8校を4校に、中学校6校を3校にする統廃合を行いました。区は2005年10月、中野区教育委員会で中野区立小中学校再編計画を決定しましたが、この中で、最も大きな課題の一つは学校の小規模化であるとし、0歳から14歳の年少人口は2000年の2万7,667人から2015年には2万6,780人と15年間で約3.2%減少すると予測しています。しかしながら、住民基本台帳によれば、2015年4月の年少人口は2万7,474人、今年度4月現在では2万8,470人と2000年と比べ800人程度増加しています。こうした計画決定当初の推計との乖離による問題が表面化しています。再編計画(前期)における統廃合により生まれた小学校4校の統合新校のうち3校において、普通教室の不足が見込まれることから、増築等の対応を図るための測量や設計を行うため、今年度予算に4,464万円が計上されました。教員や保護者からは、工事が始まればただでさえ手狭な校庭がさらに狭くなってしまい、安全、健康が心配。そもそも統廃合が正しかったのか疑問を感じるといった声が聞かれました。さらに、白桜小学校では、普通教室として使用できる教室数は転用できる教室数を含め17教室あるものの、推計によると、今後21教室を確保しなければならない状況であり、児童数の増加に対応するために通学区域の変更計画を見直さざるを得なくなりました。

 昨年第1回定例会本会議一般質問に当たり、前期の再編計画に対する区としての評価を伺いました。区は、一定規模の学級数が確保され、より充実した教育環境を整えていくことができたと評価していると答弁しています。しかし、実態は、計画決定当初の推計に反し、子どもの数が増加し、教室不足や通学区域変更の見直しが発生しています。統廃合が一定規模を超過する学級数を生み出しているにもかかわらず、前期の計画を高く評価することに矛盾を感じざるを得ません。区はいま一度この学校再編計画(前期)のどこに問題があったのか、子どもの学校生活にどのような影響を及ぼしているのか真摯に検証するべきではないでしょうか。見解を伺います。

 現在、2013年3月に教育委員会で決定をした中野区立小中学校再編計画(第2次)に基づき新たな統廃合が進められています。この再編計画でも、前期計画の少子化を前提とした推計が引き継がれ、2020年には中野区における年少人口が2万1,547人に減少すると記載されています。ことし4月と比較すれば、約7,000人減という数字です。あまりにも実態とかけ離れています。昨年2月の一般質問において、2021年、区立小学校に通う児童数の見込みについて伺ったところ、教育長は、2021年度には区立小学校の児童数が1万人を超え、2016年度に比較すると1,400人程度増加すると答弁しています。

 そこで伺います。現在、区は区立小学校の児童数が何年をピークに何人増加すると推計しているのでしょうか。また、中野区立小中学校再編計画(第2次)における人口推計が実態と乖離していることについてどのように認識しているのでしょうか。

 再編計画(第2次)においても、推計と実態に大きな差が生じているにもかかわらず、区は、今後も第2次再編計画に基づいて再編を進めるとしています。実態に目を向けず、少子化ありきの統廃合を進めてしまえば、前期の再編計画と同様の問題が繰り返されます。会派としては、学校は統廃合ではなく、少人数学級の実現でゆとりある教育環境の充実を求めてきましたが、今年度より再編計画(第2次)に基づく統廃合が始まっています。ことし3月で廃校となった南台の新山小学校校舎は、2023年度まで南台小学校とみなみの小学校の仮校舎として使用されます。近隣では、大型のマンション建設などが計画されており、今後地域の子どもの数が大幅にふえる可能性もあります。新山小学校のように統廃合され、今後使用されなくなる予定の施設を想定以上の児童数の増加に備え、仮校舎としての利用が終了した後も、いつでも学校として再び使用できるよう活用方法を検討するべきではないでしょうか。見解を伺います。

 ことし4月の子ども文教委員会におきまして、2020年度と2021年度に竣工する統合新校3校、みなみの小学校、美鳩小学校、向台小学校・桃園小学校統合校の校舎等整備基本構想・基本計画が示されました。この中で、児童数に対して校庭面積が非常に狭いのではないかと一部の保護者から不安の声が上がっています。文科省は2002年、学校の1人当たり約10平方メートルという校庭の設置基準を低下した状態にならないようにすることはもとより、これらの水準の向上を図ることに努めなければならないと位置付けています。統合新校竣工時における1人当たりの校庭面積を基本構想・基本計画に基づき試算をすると、向台小学校・桃園小学校統合校は5.7平方メートル、みなみの小学校は5.5平方メートル、美鳩小学校は4.4平方メートルと文科省の小学校設置基準が規定する面積の半分以下となる学校もあります。さらに、区の推計によれば、いずれの統合新校においても児童数は竣工後も増加していく傾向が示されています。

 文科省の小学校設置基準第8条では、校舎及び運動場の面積は、法令に特別の定めがある場合を除き、別表に定める面積基準10平方メートル以上とするとし、「ただし、地域の実態その他により特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合は、この限りでない」としています。区は、このただし書きをもって設置基準に満たない校庭面積を正当化してきました。しかし、ただし書きは教育上支障がない場合が前提となっています。

 そこで伺います。区として児童1人当たりの運動場面積が何平方メートル以上あれば、教育上支障がないと認識しているのでしょうか。校庭面積が及ぼす教育面、安全面、健康面への影響を区として調査するべきではないでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 次に、給食費無償化について伺います。憲法第26条は、「義務教育は、これを無償とする」としています。しかし、日本の子どもにかかる保護者の教育費負担は、欧米と比べはるかに高く、子育て世帯の負担軽減が求められています。文部科学省が行った2014年度「子供の学習費調査」によると、学校教育費は、公立小学校で学校給食費を合わせて年間10万2,404円、公立中学校で16万7,386円で、うち給食費の占める割合は、小学校で約42%、中学校で約23%となっています。この間、少子化対策や子育て世帯の経済的負担の軽減を目的として、小学校や中学校で提供される学校給食を無償にする自治体がふえています。学校給食無償化は、1951年に山口県和木町がスタートし、現在も幼稚園から中学校まで実施をしています。全国教職員組合が昨年全国1,740市区町村を対象に実施したアンケート調査では、199自治体が給食費の補助があると回答。うち45自治体は全児童・生徒を対象に全額補助を実施していることが明らかになりました。さらに、ことし1月の時点で、少なくとも362の自治体で給食費の一部補助、55市町村で無償化が広がっています。全国教職員組合は、給食費の無償化が広がっている背景について、子どもの貧困が広がる中で安心して学校生活を送れるようにとの保護者、住民、教職員の願いとそうした願いに応えようとする行政の努力があると思われると述べています。現在、給食費は食材費として保護者が負担している状況ですが、給食は食育という位置付けからすれば、義務教育の一環です。全国的に学校給食の無償化が広がるもとで、中野区としても子育て世帯の負担軽減のため、給食費無償化の実施を検討してはいかがでしょうか。見解を伺います。

 次に、就学援助・入学準備金について2点伺います。就学援助は、生活保護法第6条第2項に規定する要保護者と区が要保護者に準ずる程度に困窮していると規定し、教育委員会が認めた準要保護者を対象としています。就学援助率は、基準額が生活保護基準額の1.2倍から1.15倍に引き下げられましたが、2016年度、小学生では18.44%、中学生は27.82%と高い割合となっています。この就学援助の一つに入学準備金があります。中野区では、準要保護者に対する入学準備金として、小学生に2万470円、中学生に2万3,550円が支給されます。文部科学省が行った調査によると、学校給食のために家庭が支出する金額は、小・中学校ともに1年生が最も多く、中1では制服だけで平均4万6,000円、通学かばん、体操服、上履きなども含めると入学時に10万円以上かかるケースもあることが明らかになりました。入学準備金が実際に必要となる費用と大きく乖離していることから、文科省は財務省に引き上げを要求し、2017年度予算より要保護者への補助単価を、約2倍となる小学生4万600円、中学生4万7,400円へと引き上げました。国が定める単価は、自治体が独自の財源で、準要保護世帯に支給する就学援助の事実上の目安となっており、これを受け、準要保護者の補助単価を引き上げる自治体が続いています。

 中野区においても、準要保護者に対する入学準備金を実態に即した金額へ引き上げるべきではないでしょうか。伺います。

 中野区は、入学準備金を毎年6月末に支給していますが、現在、支給時期を入学前の2月から3月に前倒しする自治体がふえています。ことし4月現在、少なくとも156の市区町村がランドセルや制服などの購入で出費がかさむ入学前に変更をしています。支給の前倒しを求める声が広がる中、文部科学省は5月4日、要保護者の入学準備金について、入学前から支給できるように運用を改めると発表しました。来春の新1年生から適用されます。これにより、各自治体で準要保護者に対しても同じ運用を実施する自治体が増加しています。狛江市では、5月の臨時市議会で入学準備金の増額に加え、7月の支払いであった入学準備金を3月に前倒しして支給する内容を盛り込んだ補正予算を計上しています。中野区としても、児童・生徒が援助を必要とする時期に速やかに支給できるよう、就学援助を受ける全ての方へ、3月までに入学準備金を支給することを検討すべきではないでしょうか。区の認識を伺いまして、この項の質問を終わります。

 次に、待機児童対策について伺います。

 厚生労働省の有識者会議は、ことし3月30日、保育園に入れない待機児童の新たな定義を取りまとめました。育児休業を延長した保護者の子どもは、親に復職の意思があれば待機児童として扱う一方、自治体が独自補助する認可外施設を利用している子や親が求職活動を中止している子は待機児童に含めないというものです。厚労省は、2018年度からの運用を予定していますが、可能な自治体には2017年4月から新定義での集計を求めています。

 まず、厚労省の新定義に基づく区内の待機児童数及び今年度認可保育園への入園を申し込んだものの入園に至らなかった方の総数とその内訳を伺います。

 昨年4月1日時点の待機児童数が全国ワースト20だった自治体のうち、12自治体でことし4月に向けた保育施設の整備目標を達成できなかったことが毎日新聞の調査で明らかになりました。この記事の中で、中野区は、整備目標の達成率が最も低く、目標1,065人に対して実績は331人、31%にとどまる結果となったことが紹介されています。この待機児童数ワースト20の自治体のうち、2017年度末の待機児童解消の見通しがあると回答した自治体は、中野区を含め6自治体となっています。

 そこで伺います。中野区は今年度予算で1,300人の定員増を図るとしていますが、現段階で何人分の定員増を見込めているのでしょうか。

 昨年同様の整備率では、需要が増加するもとで待機児童を解消することは見込めません。民間事業者にとって、保育士採用にかかわる経費の負担が新規開設や保育士採用を難しくしている要因の一つとなっていることは区も認識しているところだと思います。昨年度北区では、区立保育園の増設に伴い80名程度の保育士を区の職員として募集しました。例年にない大規模な募集に対し、537名の応募があったと聞いています。自治体が責任を発揮し、待機児童対策に乗り出すことが今求められています。

 中野区としても、これまでの民間ありきの待機児童対策を抜本的に切りかえ、区立保育園の増設、保育士の募集を行うことが最も確実で即効性のある待機児童の解消策と考えます。区の認識を伺います。

 保育士確保が求められるもとで、保育士資格を有しながら保育士として働いていない潜在保育士が注目されています。2015年に報告された厚生労働省の調査によると、保育士登録者数は全国で約119万人、そのうち約43万人が実際に勤務をしており、潜在保育士は約76万人に上ることが明らかになりました。保育士として働かない理由は、賃金の低さや就業時間、職場環境、責任の重さなどさまざまあり、さらなる処遇の改善やサポート体制の充実が求められています。

 一方で、この潜在保育士の中には、自身の子どもが待機児童問題に直面し、働く意思があっても働けないというケースもあり、保育士不足の一因となっています。そこで、保育士の子どもが保育園に優先的に入れる仕組みを導入する自治体がふえています。既に制度を導入した自治体では、保育士が子どもを預けやすい環境を整えたことにより、保育現場を離れた保育士の復職にもつながっていると言います。今年度から杉並区や千代田区が、選考過程で保育士の子どもの優先順位を上げる制度を取り入れています。

 中野区としても保育士確保策の一環として保育士の子どもが優先的に保育園に入れる制度を導入してはいかかでしょうか。伺います。

 昨年9月、東京都は、待機児童解消に向けた緊急対策を発表するとともに、都が保有する土地を最大限活用するため、全庁横断的な都有地活用推進本部を設置しました。そして、財務局所管の未利用地の情報提供と都有地の洗い出しの実施により、活用可能な土地情報を民間保育事業者からの照会や提案に対する窓口、「とうきょう保育ほうれんそう」が開設されました。この「とうきょう保育ほうれんそう」のホームページには、ことし2月現在の情報提供地一覧において、中野区では1カ所、野方一丁目にある警視庁所管の野方警察署若葉寮敷地、約950平方メートルの情報が記載されています。東京都の福祉保健局総務部契約管財課に確認したところ、中野区が保育施設の整備を検討しているとのことでした。さきの答弁でもあったとおり、区はこの土地に認定こども園の誘致を検討しているようですが、区内では依然0歳から2歳の待機児童が深刻なもとで、認可保育園の増設を優先すべきと考えます。

 そこで、この野方警察署若葉寮敷地において、近隣住民の十分な合意を得られた場合、園庭のある認可保育園を整備してはいかがでしょうか。伺います。

 待機児童問題の解消に向け、引き続き公有地を最大限に活用し、園庭のある認可保育園の整備をスピード感を持って進めていくことを求めまして、全ての質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 広川議員の御質問にお答えいたします。

 国民健康保険についての御質問であります。国民健康保険料と生活保護境界層への軽減制度ということです。

 国民健康保険は、加入者の高齢化や高額調剤の使用拡大により、1人当たりの保険給付費が増加しています。国民健康保険制度を維持するためにも、保険給付に見合う一定の保険料の増額は必要であると考えております。低所得世帯には、所得に応じて均等割を減額しているほか、失業などで一時的に収入が減った世帯には3カ月を限度に保険料を減免する制度もあります。したがって、これら保険料の減免制度に加えて、生活保護境界層への軽減制度の創設を国に要望していく必要はないと考えております。また、区独自の制度を創設する考えもありません。

 生活保護境界層への減免制度の創設について。特別区の一部負担の減免基準では、災害などで資産に重大な損害を受けたときや失業等で収入が著しく減少したときに、3カ月を限度に一部負担金を減免することとしております。一時的な生活困窮の救済や生活再建の支援が基本であり、一部負担金の減免期間が3カ月以上にわたると見込まれる場合は、生活保護の適用を受けるよう指導することとしております。このため、恒久的な低所得者の一部負担金を減免対象にする考えはありません。

 平成30年度の高額療養費の算入割合と保険料の見込みについての御質問もありました。国は、納付金算定ガイドラインの見直しを進めており、都は国のガイドラインに基づき来年度の標準保険料率等を再度試算することとしております。このため、高額療養費の算入割合を含め、現時点では保険料を算出することはできません。

 18歳未満の第3子以降の保険料の無償化について。国民健康保険の広域化の目的の一つは、安定的で持続可能な医療保険制度の運営を確保することであります。区ではここ数年、30億から32億円の公費を国民健康保険特別会計へ繰り出しており、他の社会保険加入者との公平性の観点からも、できる限り法定外繰り入れの削減に努めていきたいと考えております。現時点では新たな保険料の減免制度の創設を検討する考えはありません。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 学校施策の御質問のうち、初めに学校再編についての質問にお答えをいたします。

 前期再編計画の問題点と影響の検証についてです。統合校につきましては、再編の目的としていた小規模校の解消と一定の集団規模での活気ある教育活動や小中連携教育についての成果があらわれており、そうした状況を踏まえつつ、第2次再編計画を着実に進めていく考えでございます。

 児童数が第2次再編計画の推計と乖離していることについてです。第2次再編計画を策定した時点では、年少人口が減少傾向にありましたが、直近の国勢調査結果では増加に転じてございます。年少人口の増加傾向は今後数年続くと想定してございますが、その後、15歳から49歳までの女性の人口から見て減少に転じるとの見通しでございます。一時的に児童数が増加いたしましても、小規模校を解消するために統合を進めていく必要があると認識をしております。

 空いた学校を今後も学校として使用できるようにすることについてです。現在の児童数の推計では、第2次再編計画後の学校数で足りると考えてございまして、現在のところ再び学校として使用する必要が生じるとは考えてございません。

 それから、運動場の面積についてです。運動場の面積が狭い、広いということが直接に教育上の支障の原因となっているとは考えてございません。今後改築する統合校の校庭は、可能な限り運動場の面積の確保に努めているところでございまして、運動場の面積が子どもたちに及ぼす影響についての調査は考えてございません。

 次、給食費無償化についてです。学校給食法によって学校給食の食材料費については保護者負担とされておりまして、給食費を無償化することは考えてございません。

 就学援助の入学準備金の引き上げと前倒し支給についてです。就学援助は前年の所得額に基づき当該年度の認定を行ってございます。所得額が確定するのは6月であるため、認定時期の前倒しは難しいと考えてございます。また、現在、金額の引き上げについては考えてございません。

子ども教育部長横山俊登壇〕

子ども教育部長(横山俊) 私からは、待機児対策についての御質問にお答えをいたします。

 まず初めに、待機児童数についてでございます。本年4月1日現在の待機児童数につきましては、現在数値を整理しているところでありまして、今定例会の常任委員会において報告することとしてございます。

 次に、現段階での定員増の見込み数についてでございます。現在、民間保育所の新規誘致の取り組みを進めているところでありまして、定員増の見込みを示すことは難しい状況でございます。

 次に、区立の保育園の増設等をすべきとのお尋ねでございます。区といたしましては、民間活力を活用し、多様な保育ニーズに対応するとともに保育定員の拡大を図っていく、こういった考えでございまして、新規民間保育園の誘致や区立保育園の民設民営化を進めていくこととしてございます。

 保育士の子どもの優先的な入園についてのお尋ねでございます。子どもを持ちながら保育士として働いている方についての入園申し込みにつきましては、現在は他と同じ水準で入園を決定しているところでございますが、待機児ゼロに向けまして、保育士の確保などに向け、とり得る有効な手だてについて検討を行っているところでございます。

 最後に、野方一丁目警視庁職員寮跡地の活用についてでございます。東京都から福祉インフラ整備のために活用可能であると照会のありました旧警視庁職員寮跡地につきましては、認定こども園の整備用地として活用を希望する旨回答したところであります。今般この用地の活用について都との調整が整ったところでございます。

〔広川まさのり議員登壇〕

○19番(広川まさのり) 再質問させていただきます。

 待機児童数についてでございますが、常任委員会で報告するということでございますが、この一般質問の後に正副委員長の会議があるわけでございますから、集計は終わっていると考えます。もう一度お聞きします。区内の待機児童数をお答えください。

〔子ども教育部長横山俊登壇〕

○子ども教育部長(横山俊) 待機児童数についての再質問にお答えいたします。

 現在、数値の整理をしているところでありまして、今定例会常任委員会において報告をさせていただくこととしてございます。

〔広川まさのり議員登壇〕

○19番(広川まさのり) 再々質問をいたします。

 厚生労働省の新定義に基づく区内の待機児童数をお答えください。

〔子ども教育部長横山俊登壇〕

○子ども教育部長(横山俊) 待機児童数につきましての再々質問にお答えいたします。

 現在数値を整理しているところでございまして、今定例会常任委員会に報告をさせていただくこととしてございます。

○副議長(南かつひこ) 以上で広川まさのり議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 酒 井 たくや

 1 旧桃丘小学校跡施設に係る諸問題について

 2 区職員の働き方について

  (1)仕事の見直しについて

  (2)コールセンターについて

  (3)勤務形態について

  (4)その他

 3 公民連携による区立公園の整備について

  (1)公園トイレについて

  (2)その他

 4 その他

 

○副議長(南かつひこ) 次に、酒井たくや議員。

〔酒井たくや議員登壇〕

○38番(酒井たくや) 平成29年第2回定例会におきまして、民進党議員団の立場から一般質問をいたします。

 質問1点目、旧桃丘小学校跡施設に係る諸問題についてお聞きします。

 経緯に関しては、同僚議員からもありましたので割愛させていただきますが、我が会派としては協定締結後間もない平成23年第3回定例会から学校法人タイケン学園の他自治体とのトラブルやタイケン学園はスポーツやペットの専門学校を運営しており、漫画やアニメなどの専門性はなく、区の求める文化芸術振興に寄与することができるのか。また、このマンガ・アートコートが適切に運営されるのか懸念し、タイケン学園と連絡を密にとる。場合によっては強い管理監督を行うべきだと主張もしてまいりましたので、裁判費用などの本来なかった区民負担が生じた今回の件はまことに遺憾であります。

 まずプロポーザルについてお尋ねしますが、桃丘小跡地の施設運営事業者はプロポーザル方式によりタイケン学園に決定されました。評価は100点満点で42.8点、半分にも満たない評価点であり、最低点を設けることなども今後の課題と考えます。当時タイケン学園は、他自治体とのトラブルがありました。応募事業者に対する事前の調査によりこれは確認できるはずで、チェック体制の強化も必要であります。また、提案書には、有名漫画家、有名企業等との連携も提案されておりました。夢のある事業のように見えますが、素人の私が見ても疑問を抱くものであります。提案内容が実現可能なのか。大言壮語ではないのか。また、漫画やアニメの分野において専門家は中野区にはおりませんので、事業内容によっては専門性を持った選定委員を加えること、選定委員会に外部の目を入れることも必要かと考えます。いずれにせよ、自治体が行うプロポーザルにおいて、提案書作成の代行業者も存在する現状、資料や言葉の美しさに惑わされずに実態を判断できる選定委員会にしなければなりません。

 オープニングイベントは10項目の事業が提案されておりましたが、実際には3事業しか行われておりませんでした。訴えの時点においての区の訴状では、基本協定に結ばれた七つの基幹事業が二つしか実施されていなかったと主張しておりますが、当初からタイケン学園はほとんどの事業を実施することができませんでした。予兆はオープニングからありました。区の業務の履行を委託するプロポーザルと当時のタイケン学園とのプロポーザルとの違いは理解しますが、プロポーザルによる事業者選定においての事前のチェック機能、選定のあり方、選定委員、その後のかかわり方、全てにおいて今回の件を繰り返さないよう見直すべきです。お聞きします。

 次に、公有財産の貸し付けについてお尋ねします。施設の貸し付けにおいて、定期賃貸借契約ではなく、借家人に有利になる普通賃貸借契約を行ったことも今回の件を招いた一つの要因であります。桃丘小学校跡地活用基本方針、また募集要項において、貸し付け期間は5年間とする。ただし、期間終了後においても活用可能な状態にある場合には、継続貸与についても協議できるものとするとあります。このようにわざわざ書き記したのであれば、なおのこと定期賃貸借契約にするべきでありました。当時の同じ区民生活部所管の温暖化対策推進オフィスは定期賃貸借契約で施設の貸し付けをしております。区に過失はなかったのかお聞きします。

 仮にタイケン学園が転貸をしていなければ、普通賃貸借契約で借家人としての権利を主張されていたことも十分考えられる状況であり、その場合は、裁判は非常に厳しいものになったかと考えますが、お聞きします。当時の契約書などのチェック体制が不十分だったのではないでしょうか。これからはまちづくりの協定書の締結なども控えております。各部分野任せではなく、経営室が管理統括し、標準仕様を作成する。また、新設された法務担当によるリーガルチェックを行う仕組みが必要と考えます。お聞きします。

 次に、訴訟の内容についてお尋ねします。東京地方裁判所で記録の閲覧をしてきました。区とタイケン学園は七つの基幹事業を実施する基本協定を締結しました。訴えの時点において、タイケン学園がその基幹事業を2事業しか行わず、施設を無断転貸していることが発覚したことも訴えの理由の一つです。転貸先の一つに、食文化を発信するプラネッツフーズという事業者があります。裁判において、タイケン学園は、プラネッツフーズへの転貸は区も認識していたとし、中野区から食の事業者をプロポーザル終了後に紹介されたと主張しております。また、プラネッツフーズも同様に、区からタイケン学園を紹介され、新しい食文化の発信で合意し、中野区に報告したところ、ねぎらいの言葉も受けたと言っております。タイケン学園だけではなく、区に協力すると、早期に和解に応じた事業者であるプラネッツフーズも同じ口ぶりであり、これが本当なら重大な問題です。区として転貸にかかわったということはなかったのか。当該担当職員、プラネッツフーズに対してもヒアリングを行い、事の真相を解明すべきです。お聞きします。

 また、プラネッツフーズの新しい食文化の発信事業は、平成26年3月にタイケン学園からの事業内容の一部変更の願書において区として認めておりますが、基本協定の七つの基幹事業に、このような食文化に関しての記述は一切ありません。また、基本協定書別紙の今後予定する事業にも記述はありません。どのような理由で認めたのか。また議会にも報告はありませんでした。報告すべきではなかったですか。お聞きします。

 タイケン学園は、七つの基幹事業のうち、6番、マンガ普及センター・インターネットラジオステーション、7番、マンガ図書室・交流スペース等を契約当初から行わないと説明し、事業報告書にも常に記載していないと訴状において主張しております。実際に事業報告書を確認しましたが、この6番と7番の事業は、初年度の事業報告書から記載されておりません。区は、これまで事業報告書の確認により、中野マンガ・アートコートは適宜適切に運営されていると説明・答弁されておりましたが、これまでの議会答弁はどのような事実に基づきされていたのかお聞きします。また、基本協定書18条に、本協定に定める事項を履行しないとき本協定を解除することができるとあるとおり、即座に契約解除を行うことができたのではないでしょうか。あわせてお聞きします。

 事業報告書の確認がされていなかったのか、黙認されていたのかわかりませんが、紙物を見て、事業を確実に実施しているかの確認は限界があるのは明らかです。これは全ての区の事業においても言えることであり、改善を強く求めます。

 また、タイケン学園は、区からの桃丘小学校跡地の賃借料200万円以上の利益を転貸により上げていたと区は試算しております。区は、訴状では、基幹的事業を全て転貸で行っていたと主張し、基本協定を破り、あたかも不動産賃貸業を行っているにすぎない状態であり、公共的な目的を有するものではなく、到底許容できない行為であると厳しく非難しております。タイケン学園が活用していた桃丘小跡地の土地建物の本来の賃借料は月額751万241円です。区の政策目的に合致しているため、相当賃料の3分の1以下の200万円で貸し付けをしておりました。しかし、実際は合致しておりませんでした。タイケン学園は、不動産賃貸業者のようなものであると区は主張するのであるならば、差額の月額551万241円も実際の損害であると考えます。すなわち、5年間で3億3,061万円の見えない損害があったと区は認識するべきです。見解をお聞きします。

 私は、タイケン学園と協定を結ばれた直後の23年10月7日の決算特別委員会総括質疑において、今後、タイケン学園に対しての持ち出しはないんですねと確認をしました。当時の担当も、区として持ち出しはないと答えております。実際には、裁判費用などで多額の区民負担が生じてしまいました。裁判などの桃丘小跡地に係る訴訟費用は全体で幾らになったのかお聞きします。また、裁判費用と先ほどの3億3,061万円と合わせて今回の損害額と考えなければなりません。区として重く受けとめていただきたいと考えます。

 最後に、今回の責任についてお尋ねします。地域から愛された学校の跡地が5年間、民間の不動産賃貸業にあたかも利用されたような形になってしまい、地域に貢献、還元されない形で幕を閉じてしまいました。反省とあわせ、責任を果たさなければなりません。これまでも職員の不祥事などにおいて、監督責任としてトップが責任を果たされてきましたが、今回の件は、これまでとは少し毛色が違うように感じております。桃丘小跡地の活用に関しては、当時、保育園として活用してほしい、また、地元からは地域に開放していただきたいとの要望がありました。区の政策判断としてこの事業を進め、本来ならばなかった多額の区民負担が生じてしまいました。議会からの指摘も再三ありました。これまで以上の責任も求められると考えますが、いかがでしょうか。お聞きし、この項の質問を終わります。

 次に、区職員の働き方についてお尋ねします。

 政府は、働き方改革を進めており、職員2,000人を抱える中野区も一事業者として職員の働き方改革に取り組まなければなりません。区の職員体制は、最高3,500人から2,000人へと見直しされ、職員は減りましたが、住民が職員に求めるレベルは年々高くなり、必要な知見も広範にわたり負担が増加しているように感じ、少しでも負担を軽減し、職員一人ひとりが仕事も家庭生活も充実していると実感できるよう、ワークライフバランスを実現するための職場環境の整備が必要です。

 そこで、超過勤務の縮減と休暇取得の促進を例に仕事の見直しについてお尋ねしますが、現在、超過勤務縮減のために全ての勤務日をノー残業デーにすることや、月間45時間を超えた場合は、人事担当からの勧告をする取り組みを行っております。休暇の取得の促進は、職員間での調整や業務の分担などがありますが、仕事が残っていれば超過勤務を行わなければなりませんし、年次有給休暇も取得することはなかなかできないため、仕事の総業務量、仕事のあり方を見直さなければ抜本的な解決策につながらないと考えます。

 郡山市では、業務量の削減手法を提示し、業務の効率化に取り組む郡山スタンダードを策定し、年間5万時間、2億2,000万円の人件費の削減を見込んでおります。23区では意識改革、事務事業の見直し、業務の効率化を柱とする働き方改革の取り組みが始められております。中野区の1人当たりの平均超過勤務時間はそれほどではありませんが、時期や部署によっては恒常的に超過勤務を行っており、また俗人的な問題もあります。区としては、PDCAサイクルのもと、常に業務の見直し効率化を図られているとのことですが、ここ4年間の超過勤務時間の状況は横ばいで、年次有給休暇の取得もあまり進んでおりません。区長が昨日、職員向けの庁内放送でイクボス宣言について触れられたことは歓迎しております。職員のワークライフバランス実現のためにも、これまでどおりではなく、仕事のあり方を見直し、意識改革を促す新しい具体的な働き方改革の取り組みを行うべきと考えます。いかがでしょうか。

 あわせて、管理職、教員の長時間労働の管理に関しては明確なルールがありません。健康管理とマネジメントの観点からも行うべきです。お聞きします。

 次に、具体的な仕事量を見直す方策として、コールセンターを提案させていただきます。コールセンターとは、民間活力を活用し、区民からの電話問い合わせにコールセンターが一元的に対応し、よくある質問、FAQなどをもとに専門のオペレーターがその場で回答するものです。電話のたらい回しがなくなり、年末年始、土日祝日、夜間と対応時間も拡大され、区民サービス拡充の観点からさまざまな自治体でも導入されております。今回は、区民サービス向上の観点と、職員の仕事量の削減という観点からの提案でございますが、現在、中野区役所本庁舎には1日平均4,000件もの電話問い合わせがあり、当然その都度担当職員が対応しているわけでありますが、先行的にコールセンターを設置している自治体に問い合わせたところ、FAQなどにより半分以上はオペレーターで対応できるそうです。問い合わせの電話により業務を一度ストップしなければならず、1日4,000件もの電話問い合わせの幾らかをオペレーターで対応することにより作業効率も上がるはずです。現在の電話交換手との一括委託などによれば、費用もそれほどかからず、区民サービスの向上と職員の仕事の見直しの観点からコールセンターの導入を検討してみてはいかがですか。

 次に、勤務形態についてお尋ねします。職員の勤務時間は、中野区職員の勤務時間、休日、休暇等に関する規程により、午前8時半から午後5時15分、休憩時間は正午から午後1時までと定められております。区民説明会や夜間の会議がある際、保育園への送迎、または業務上必要な場合においては勤務時間の割り振りの変更を認めております。

 東京都では、都庁働き方改革の取り組みの一つとして、職員のライフ・ワーク・バランスの推進に向け、生産性の向上を含めた柔軟で多様な働き方への第一歩として時差勤務の拡大を行っており、これまで6種類の勤務時間を今年度より9種類に拡大します。午前7時から午前11時まで30分刻みに出勤時間を設定しております。出勤時間をずらすことで、ストレスの要因でもある満員電車を回避することもできますし、ラッシュの緩和、朝と夕の時間を有効活用でき、働く意欲にもつながると考えます。育児や介護の両立、女性活躍の後押しにもなるのではないでしょうか。

 あわせて、休憩時間、昼休憩についてですが、この時間もずらすことにより、庁舎内のエレベーターや職員食堂の混雑を緩和できます。ランチ難民という言葉もあり、これにより昼休みの混雑時間帯を避け、昼食等を楽しむこともできます。昼休みの過ごし方の幅が拡大することにより、リフレッシュによる疲労回復や集中力向上により生産性も向上することにつながります。

 るる申し上げましたが、勤務形態の改革に向け、まずは試行からでも取り組んでいくべきではないでしょうか、お尋ねします。

 最後に、公民連携による区立公園の整備についてお尋ねします。

 公園トイレについてお尋ねします。区内には165の区立公園と広場、ポケットパークがあります。そのうちトイレは112カ所設置され、ほとんどの建物が昭和の時代に建設され、トイレは和式であります。老朽化しており、衛生面もとてもよいとは言えない状況です。豊島区では、コカ・コーライーストジャパンと包括連携協定を締結し、公園への自動販売機の設置やトイレ外壁への企業ロゴを掲示するネーミングライツを認めることと引きかえにトイレの改修を行ってもらう取り組みを始めようとしております。これまでの40年、50年の長期利用を前提としていた従来のトイレの発想を転換し、比較的短期の更新を前提に公園公衆トイレの使用も見直し、イニシャルコストの削減効果をランニングコストに還元するそうです。区の公園公衆トイレも老朽化、衛生面、バリアフリーなどの課題があります。このような民間活力を活用することにより、区の負担軽減を図るとともに、衛生的で利用しやすい公園トイレの設置に取り組むべきではないでしょうか。あわせて、現在トイレはコンビニエンスストアでも借りることができ、実際に公園公衆トイレはあまり利用されていない状況で、都市部では公衆トイレの役目も果たされた感もあります。近隣の現状や利用状況、安全性なども加味し、公園公衆トイレ全体のあり方も見直していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 次に、この公園管理についてお尋ねします。港区では、区立公園、児童遊園合わせて107園全ての園に指定管理者制度を導入しております。区内5カ所の地域事務所単位で公園をグループ化し、それぞれの事業者が総合的に維持管理業務を行っております。それにより地域特性を生かした公園施策や区民協働による公園アドプト制度や地域との連携が可能になり、また一つの事業者が巡回・清掃等を行い、強風や大雨などに対する緊急対応や公園利用者からの苦情や事故対応なども一体的かつ迅速に行えるそうです。中野区では、公園管理に関しては、公園の清掃、トイレの清掃、樹木の剪定、遊具やベンチなどの保守・点検、カラスの巣の撤去まで、もろもろ細かなものを入れると約45本の契約をしており、それぞれ別々の事業者が行っております。グループ化することにより面的に公園の状況把握が行え、専門性を生かした迅速な対応、きめ細やかで柔軟な維持管理とともに、経費面でのスケールメリットも望めます。それには、管理事務所機能を持った拠点公園が必要だそうです。現在、哲学堂公園には管理棟があります。また、今後整備する(仮称)弥生町六丁目公園にも管理棟が併設されます。この二つの公園を拠点とし、近隣の一定地域をグルーピングして、小規模公園も一体的に管理し、新たなサービスを提供できるような中野の公園のあり方を検討してみてはいかがでしょうか。

 以上で私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 酒井議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、旧桃丘小学校跡施設に係る諸問題についてのうちの、まずプロポーザルについてであります。現行の委託業務契約の相手方を選定するプロポーザルは、区が策定した仕様書に基づき、そのための実施体制や事業運営の考え方、手法等について事業者から提案を受け、優先候補者を決定するものであり、随意契約の相手方を決定するための選定方法であります。

 一方、旧桃丘小学校跡施設活用に係る協定の相手方を選定する際のプロポーザルは、委託契約のように仕様を細かく決めた上で提案を受けるものではなく、区が定めた基本方針を示した上で施設活用に係るコンセプト、事業内容、資金計画等についての提案を受け、優先候補者を決める方式であります。施設運営についての協定を締結する相手方を決めるものであり、提案された事業内容等については、協定の締結を進める中で合意をして決定していくものであります。プロポーザルを含めた入札契約制度については、最新の事例等を参照するとともに、区における過去の事例をよく分析しながら改善に努めているところであります。今回のこの事例につきましても、十分に分析を加え、今後の評価の仕組みの改善に生かしていきたいと考えております。

 普通賃貸借契約であったことについて。区は、学校法人に旧学校跡施設を貸し出す際には、一定の信頼関係や協力関係のもと、期間を定めて普通賃貸借契約により施設を貸し出していましたが、他の学校法人について特に問題が起こるといったようなことはありませんでした。タイケン学園側に、プロポーザル、基本協定、賃貸借契約書のいずれにおいても、まちづくり事業を行うため期間を5年間とする旨明示しており、タイケン学園側も基本協定の趣旨を十分に理解し、5年間の事業計画書を提出しておりました。これを前提として普通賃貸借契約により対応していたところであります。

 さらに、賃貸借契約において、公用または公共の用に供するため、賃借物件を必要とする場合に解除できる旨の取り決めがあり、中野三丁目における土地区画整理事業についても、この公用または公共の用に当たるとして当該契約を解除することの正統性を裁判でも訴えていたところであります。裁判所の和解勧告において、まちづくり事業の必要性が強調されていることから、裁判所においても区の主張について十分認識されているものと考えております。

 契約書等のチェック体制についてであります。現在、契約の締結に際しては、公告、仕様書、計画書、協定書等の作成といった準備行為からリーガルチェックの実施を基本としているところです。今後も、今年度より設置した法務担当副参事の関与を高め、契約における法的側面の事前審査、確認を徹底、強化してまいります。

 食文化の発信事業について。区はタイケン学園が実施していた事業内容に新たに食文化の発信事業を加えたい旨の申請を受け、この事業が表現活動に携わる人材の育成・交流・発信という桃丘小学校跡施設の活用の趣旨に沿うものとして承認したものであります。追加する事業を始めるに当たり、区はプラネッツフーズという会社にタイケン学園が桃丘小跡施設の一部を転貸するということについて把握することはできませんでした。また、タイケン学園側が主張しているような対応をした職員はおりません。この食文化の発信事業の追加は、基本協定や基幹事業を変更するといった桃丘小跡地施設活用事業の基本的な枠組みの変更を伴うものではなかったため、議会への報告は行わなかったところであります。

 実施されていない基幹事業について。基幹事業については、タイケン学園側の提案に基づいて基本協定を結んでいるものであります。基本協定の趣旨から、この2事業について、当初から行わないという表明があったはずはないし、当然それを認めたなどということはないのであります。事業についての実施報告は、基本協定に基づく年間の事業報告書の提出を受け、必要に応じて聞き取るなどの確認を行ってまいりました。事業開始当初からこの事業は実施されていませんが、他の事業については実施をされているものもあり、この2事業が実施されていない、このことだけをもって直ちに契約解除を行うということまではできないと考えております。

 区の損害についてであります。タイケン学園側から提出された事業報告書によれば、桃丘小跡施設では、児童から高校生までの漫画教室などの若い表現活動者の育成、文化芸術の活動、発信場所としての現代美術の作品展示会等の開催、地域イベントへの参加によるまちの活性化への協力が行われており、基本協定に沿った事業展開が一定程度行われていたことから、御指摘のような損害が出ていたとは考えておりません。

 訴訟費用についてであります。現時点で交渉委任契約における費用として1,404万円、訴訟等委任契約として着手金756万円、その他印紙代、通信費等、訴訟費用として137万円余りを支出しております。今後は弁護士に対する訴訟等委任契約の報酬金として5,400万円、その他交通費との実費費用として数万円程度の支出を予定しているところであります。これら弁護士費用等の訴訟費用ですが、合計するとおよそ7,700万円といった額となったところであります。なお、占有移転禁止仮処分の担保金として488万円を支出しておりますが、現在、訴訟取り消しの手続をしているところであり、今後区に返還される予定であります。

 区の責任について。旧桃丘小学校に係る土地建物明渡等請求事件については、訴訟上の和解により解決が見られたところでありますが、一定期間にわたって当該契約相手方の債務不履行状態の継続という状況に至ったものであります。相手方の一方的な行動によるものとはいえ、結果として係争状態になったことは遺憾に考えているところです。今後このことについて区政運営上の責任について明らかにしていく考えであります。

 私からは以上です。

政策室長髙橋信一登壇〕

政策室長髙橋信一) 私からは、区職員の働き方についてお答えいたします。

 初めに、仕事のあり方の見直しについてです。事業見直しにつきましては、行政評価などを踏まえて、各事業所管において改善案を検討し、全庁的な議論を経た上で業務の効率的な区民満足度の向上を目指しまして取り組みを推進しているところでございます。こうした取り組みなどにより、超過勤務については月に45時間を超える職員の延べ人数につきましては、28年度は前年に比べて約4割減少させることができてございます。ただし、国の働き方改革の動きもあり、さらなる超過勤務の削減は課題であると考えてございます。今後は職員の働く時間や効率性といった視点も踏まえ、職員の意識改革も含めて改善を図っていきたいと考えてございます。

 次に、コールセンターの導入についてお答えいたします。区ではこれまでも臨時福祉給付金など特定の業務については、コールセンターを設置し活用してきたところでございます。しかしながら、区の行政全般にわたるコールセンターにつきましては、個人情報や専門的な相談を伴うものについては使えないということから、問い合わせ全体の7割程度が担当職員に取り次がれているということが他の自治体からも聞いているところでございます。また、導入に当たってはFAQのデータベースの構築費やオペレーター、業務委託費などが必要となるというふうに聞いてございます。こうしたことから、区民サービス向上の視点や費用対効果などの点から総合的に検討していきたいというふうに考えてございます。

経営室長篠原文彦登壇〕

経営室長篠原文彦) 区職員の働き方のうち2点についてお答えをいたします。

 初めに、管理職、教員の長時間労働についての質問でございます。管理職につきましては、超過勤務手当の支給がないことから時間数の管理は行っておりませんが、健康管理とマネジメントの観点から部長等が適宜状況の把握を行っているところでございます。また、教員につきましても、管理職が状況を把握するとともに、事務の効率化や会議の精選など、教育委員会としての長時間勤務の改善に取り組んでいるところであると承知をしてございます。

 次に、勤務形態についての御質問でございます。現在、御指摘にありましたように、保育園の送迎のほか、いわゆる超過勤務の縮減などに向けた取り組みの一環としまして、勤務時間の割り振りの変更、いわゆるズレ勤の活用を行っております。時差勤務等を拡大することにつきましては、他団体や民間企業の取り組み状況を踏まえまして、さらに検討してまいりたいというふうに考えております。なお、ワークライフバランスの推進及び都が進めております通勤ラッシュ緩和のための時差出勤、時差Bizでございますが、これの推進に向けまして、本年7月に一部職場において試行で実施することを予定してございます。

 以上です。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 私からは、公民連携による区立公園の整備についてお答えいたします。

 まず、トイレ更新時における民間活力の活用についてでございます。区内の公園トイレの多くは老朽化してきているため計画的に更新していく予定でございますが、民間活力の活用によりまして、区の負担軽減が可能かどうか検討してまいります。

 それから、公園トイレの見直しについてでございます。公園トイレの使われ方はさまざまで、その頻度なども公園によってまちまちの状況でございます。利用状況や必要性を整理し、トイレ施設の配置や適切な維持更新のあり方を検討してまいります。

 それから、今後の公園管理のあり方についてでございます。現在、指定管理者が管理している公園は4カ所ございますが、今後どのような管理形態が区民にとってよいのか、他区の事例などを参考に検討してまいります。

〔酒井たくや議員登壇〕

○38番(酒井たくや) 後に控えるひやま議員からお許しもいただいたので再質問させていただきます。旧桃丘小学校跡地に係る問題について4点お尋ねします。

 区が行ってくださいねといった基幹事業七つのうちの二つの事業が、初年度の報告から行われていなかったわけなんですね。それから3年報告書は出されていますが、3年間、するとね、その事業が、七つのうちの2事業が行われていなかったことを放置していたんですか。そこをまずどういうふうに議論を庁内でされたのか。それからまたその件に関して議会に報告すべきだったんじゃないのかなと思うんです。

 それと、これまで事業報告書によってマンガ・アートコートの運営は適切にされているかの答弁がございましたが、その答弁とのそごはどうなっているのか。

 そして最後に、今回またこの事業報告書の中で七つのうちの二つの事業が行われていないという新たなことが表に出てきました。それからまた秘密会においては、裁判の影響があるので我々もそれから理事者側も質問、答弁を控えていたところもありましたので、やはり昨日質問もありましたが、こういった新たなことも出ましたので、このタイケン学園の諸問題に関しては検証して総括し、報告すべきだと思いますので、その4点お尋ねします。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 再質問についてお答えをいたします。4点というのがちょっと正しく聞き取っているかどうかわかりませんので、もしかしたら再々質問のほうでおやりになっていただければと思います。

 基幹事業のうちの2事業が行われていなかった、その状態を放置していたのかと、こういったようなことであります。相手方が行う事業というものを区が確認していくという中であります。協定が履行されているかどうかということについて、お互いに情報交換をしながら、区としては内容の確認をしながらやってきたと、こういう形でありまして、放置したというのは必ずしもというか、放置していたというのは当たらないというふうには思います。ただ、強制力を持って監督するとか、強制力を持って命令するというような形の関係ではないといったようなことだと認識をしております。

 それから、その基幹の2事業が行われていないことについて議会に報告をしていないと。報告の仕方というものの全体としてのまとめ方の問題ではあるかと思います。一定相手方も努力をして協定の履行をしているというようなこと、そういう立場に立って報告をさせていただいていたということで、協定の各項目に沿って逐条的に御報告をするといったようなことはしていなかったということであります。

 それから、こうした実態の状況と区が適切に行われているという報告をしていたではないかと。このことと実態と報告にそごがあったのではないかと、こういったようなことであります。実態に対する評価というのが、一定時間がたって4年目、5年目といったような状況になって、区として実態をより詳しく認識をしてきたと、そういうことでもあるわけでありまして、このそごというのが実態を把握していなかった部分というところにかかわってくるのかなというふうに思っております。

 それから、このてんまつ、この跡施設活用にかかわる事業の経過について検証をするべきだと、こういったようなことですけれども、区としてはさまざまなこれまで行ってきた事業、こうした事業における経過ということについては常に検証を怠らないという考え方でやっておりますので、この事業についてもこれからも必要な検証は行ってまいりたいと、このように思っております。

○副議長(南かつひこ) 以上で酒井たくや議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 高 橋 かずちか

 1 景観まちづくりについて

 2 江古田合同住宅跡地整備について

 3 新しい防災訓練の取り組みについて

 4 その他

 

○副議長(南かつひこ) 次に、高橋かずちか議員。

〔高橋かずちか議員登壇〕

○11番(高橋かずちか) 平成29年第2回定例会におきまして、自民党の立場から一般質問をさせていただきます。

 質問内容は通告のとおりで、その他の項目はございません。

 まず初めに、景観まちづくりについて質問いたします。

 超過密都市、人口密集都市であるわがまち中野は、有効利用できる土地の面積は限られており、投資効果を考えれば、当然敷地内にできる限り目いっぱい建物を建てたいと考えますし、高さもできるだけ高く、容積をフル活用したいと考えるのは当然のことであります。

 私は、中野のような都心に近接をしていて交通の利便性のよい地区は、コンパクトシティーという概念が合うと考えております。ここでのコンパクトシティーとは、小さなまちの形成を目指すということではなくて、地区によってまちづくりのめり張りをしっかりとつけるという意味であります。良好な住環境を確保する一方で、影響周辺や交通結節点など、利便性の高い地区には建築規制を緩和して容積を上乗せするなどして、建てかえのメリット、インセンティブを与えて、同時に防災性と空地確保などを担保させるという考え方であります。こうしたことを考えてみると、それぞれのまちがばらばらな考え方でまちづくりを進めるのではなくて、街並みの統一感や連続性というものが重要になってくると考えます。景観という切り口でまちづくりを進めるための具体的ガイドラインが必要になってくるのではないでしょうか。

 そこで、まずお聞きします。これまで中野でも幾つかの開発、面的整備が進められてきたと思いますが、中野駅を起点としたJRと中野通りによって形成される四つの駅前地区では、どのような景観に配慮した施策が進められてきたのでしょうか。また、その効果について教えてください。

 中野四季の都市(まち)の開発、警察大学校等跡地開発においては、都市計画公園等の公共施設や民間施設や学校施設など、多様な計画主体による開発として、当然景観に関する統一的ルールが定められたことと思いますけれども、具体的には、どこが主導してどのような視点で景観について論議され、またどのような答えが導き出されたのでしょうか。

 新しい中野をつくる10か年計画(第3次)では、「魅力ある都市景観の形成」の重要性をうたい、「区の景観政策のあり方を示した基本方針及び景観計画の策定を行い、景観行政団体に移行」するとあります。

 そこで、景観行政団体に関することについてお聞きします。景観行政団体とはどういう団体で、どのような手続で移行していくのでしょうか。また、景観行政団体となった場合、中野区においてどのような効果が期待できるのでしょうか。また、そのことによって何か、例えば中野区の都市計画行政の自由度が狭められるなど、デメリットなどはあるのでしょうか。教えてください。

 23区を見てみますと、都心区以外の概ねほとんどの区が景観行政団体に移行、もしくは移行準備中とのことでありますけれども、景観に関する施策について国が定めた景観法にのっとって進めると、国あるいは東京都から何らかの助成金などが見込めることがあるのでしょうか。また、中野区がこれまで景観行政団体に移行していなかったことについて、どのようにとらえればよろしいのでしょうか。これまで移行していない理由はあるのでしょうか。

 国が平成16年に定めた景観法がありますが、この制定経過、国と地方自治体との関係の中で、どのような経緯で制定に至ったのでしょうか。それまでの地方自治体の景観行政に何か問題点などがあったのでしょうか。また、中野区の景観行政にどのような影響があるのでしょうか、教えてください。

 今後の中野区における具体的展開についてお聞きします。哲学堂公園及び哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画には、景観整備方針、景観整備の手法が述べられております。中野駅から中野通りの桜並木、そして新井薬師梅照院から哲学堂、みずのとう公園(旧野方配水塔)までを歴史・文化を生かした都市観光ルートとして位置付けています。このことは、景観行政団体への移行とともに、歴史的資源を生かした景観形成として新しい中野をつくる10か年計画(第3次)にもありますが、具体的にはどのような手順で進めていくのか教えてください。

 ところで、平成21年に策定された都市計画マスタープランには、景観都市づくりの基本方針が示されており、基本的考え方として、優れた都市景観の創造、並びに景観を阻害する要素の排除、東京の新たな顔としての中野駅周辺の景観の創出や神田川沿いの景観の形成、中野通りや山手通り沿道のみどりの環境軸におけるみどり豊かな街並み景観の形成、歴史的・文化的景観資源を生かした景観の形成などが示されています。一方、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)の景観施策については、先ほど申し上げたものしか述べられておりません。景観施策に関して、現在中野区の上位計画の中ではどのように考えているのでしょうか、教えてください。

 また、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)や都市計画マスタープランで示されている景観に関する施策、方針はまだ生きているものと考えていいのでしょうか、教えてください。

 次に、西武新宿線連続立体交差事業に関して、地下化が実現されるとする平成33年度以降、現在の鉄道敷空間の景観施策はどのように考えているのでしょうか。

 良好な景観づくりの考え方として、緑地に恵まれた自然豊かな地区における開発に対する景観施策はどのように考えているのでしょうか。

 また、中野区内には、神田川や妙正寺川などの河川がありますが、川沿いに点在する緑や家並みと連携した河川景観の考え方はどのように考えているのでしょうか。

 景観行政によって積極的なまちづくりが進展することは望ましいことですが、同時に既存の地域との調和も必要と考えます。例えば、緑に囲まれ、日照による明るさと日没後の静寂、暗さを体験できる自然光・自然環境を意識した施設がある閑静な住宅街に突如照明を多用した商業系の施設建設が計画されたなどの場合、区はどのような対応をとることができるのでしょうか。規制ありきではない調和のとれた形での指導をする方策はないのでしょうか。

 中野は今生まれ変わろうとしております。中野駅周辺地区のまちづくり、西武新宿線連続立体交差事業に伴う沿線まちづくり、木造密集地域不燃化10年プロジェクト、大規模防災公園整備など、敷地を最大限有効活用しながら、安全・安心をベースに活性化や暮らしやすさを目指すまちづくりを進めています。そこには単に規制ありきで現在のまちのありようを変えようとしない消極的都市政策ではなくて、都市観光拠点を整備して区民に楽しんでもらうことはもちろんですが、来街者を呼び込み、にぎわい・活性化を引き出しインバウンドも進める、交通至便で魅力的な都市を形成するために中野らしい景観行政、景観まちづくりを創出、そして推進していくべきと考えますが、区の見解をお示しください。

 次に、二つ目としまして、江古田合同住宅跡地整備についてお聞きします。

 江古田三丁目にあります総面積約4.4ヘクタールに及ぶ江古田合同住宅跡地整備につきましては、中野区は国家公務員宿舎跡地払い下げから民間開発に至る経過の中で、区の施策において関与してきており、また、災害時には周辺一帯が広域避難所に指定され、当該地にはそこにアクセスする避難通路の役割を担っているなど、竣工後には中野区の防災上重要な地域であることから、民間開発とはいえ中野区の継続的な関与が必要であると考えます。そのため一般質問、また総括質疑において私はたびたび質疑してまいりましたけれども、いわゆる江古田の杜プロジェクトと言われるA、B、C各街区についての現在の整備状況と今後のスケジュールについてお聞きします。

 B街区では、総合東京病院新棟が建設され、この4月にオープンをいたしました。この新棟では、病児・病後児保育や小児初期救急医療の機能を備えて運営されております。

 そこでお聞きします。病児・病後児保育について、今後新たな展開は検討されているのでしょうか。また、小児初期救急診療についてはいつから稼働するのか、確認のために教えていただきたいと思います。

 また、病児・病後児保育や小児初期救急医療など、今後も子育てを支援するサービスや医療の確保を図っていく上で、利用者の声を区として把握しておくべきと考えます。区は、これらの利用実態をどのように把握して今後の施策に反映させていくのか教えてください。

 また、小児初期救急医療における関係機関との情報共有はどのように図っていくのか教えてください。

 A街区の分譲マンションの竣工、またC街区の子育て世帯向けの賃貸マンション、医療従事者向け住宅、学生寮、サービス付き高齢者住宅、有料老人ホームの竣工、このいろいろな機能についてのスケジュールを教えてください。

 さらに、関連施設としてまちのコミュニティの拠点となるリブインラボ、コンビニエンスストア、学童クラブ、認可保育所のオープン、これはC街区の竣工に合わせたグランドオープンと考えてよろしいのでしょうか。既に地域にも概要が伝わってはおりますけれども、区が押さえている情報を確認のため教えていただきたいと思います。

 このプロジェクトの竣工、グランドオープンによって、A街区、C街区合わせて約1,100世帯、2,500人以上の居住者がふえることが予測されます。これらに対して次の項目について区のお考えをお聞かせください。

 一つ目は、本地域一帯は、東京都の広域避難場所に指定されており、A街区、B街区の間の道路は江古田小学校からの避難ルートにもなっております。本地区の大規模開発に伴う大幅な人口増加があることから、区は事業者に対して建築、開発の相談段階から自主防災など自助・共助に関して何を指導し、どのような状況に現在なっているのか教えてください。

 二つ目は、本地区の居住者の増加によって新江古田駅などの周辺駅への通勤・通学等で自転車を使う住民もふえることになるのではないかと思いますが、周辺駅への自転車駐輪場への影響は大丈夫なのでしょうか。また、違法駐輪対策はどのように考えているのでしょうか。

 三つ目は、ファミリー世帯の大幅な増加により小学校の児童数も増加すると考えますが、教育委員会として事業者と具体的な協議、調整は行っているのかお聞きします。

 4番目は、本地区の居住者の増加に関して、地元町会との関係や町会加入等について、事業者が地元町会と協議等を行っていると聞いておりますけれども、区はどのように関与しているのでしょうか。

 5番目は、この開発は地元商店街や商店街振興との関係においても、居住者等の増加は地域に大きな影響を及ぼすと考えております。この点について地元との協議や調整など、区の考えをお聞かせください。

 次に3番目、新しい防災訓練の取り組みについてお聞きします。

 阪神淡路大震災から22年、日本列島はその後も幾つもの大震災に見舞われ、不幸にも甚大な被害が出てきております。残念ながら地震を防ぐことはできませんし、予知もまだ難しい状況であります。それであれば、いつ起こるかわからない大地震に備えて少しでもその被害を少なくする減災を目指すことしかないと考えます。耐震化、不燃化、道路や空地や公園などの整備による延焼遮断帯の確保といった都市計画的なもの以外に、私たち住民ができることは備蓄と平時からの訓練、これに尽きると思います。

 そこで、防災訓練について、区の現状と過去の災害からの教訓について、また新しい視点での防災訓練についてお聞きします。

 まず、平成7年の阪神淡路大震災、また平成23年の東日本大震災、昨年の熊本地震、それぞれ多くの被害が発生しましたけれども、その教訓を中野区の防災力向上のためにどう生かしているのでしょうか。

 また、中野区から業務支援のために職員を被災地自治体へ派遣していますが、その経験を中野区にどのように生かしているのでしょうか、確認をしたいと思います。

 これまでの事例を見てみますと、復旧・復興に関して苦慮されているようでありますけれども、中野区ではどのように考えているのでしょうか。

 昨年発災した熊本地震についてはまだ記憶に新しいところではありますけれども、阪神淡路大震災から22年、新潟中越地震からも13年、東日本大震災からは6年、大震災の経験や記憶、被災地での教訓が年ごとに薄れていくのではないか、今後の防災施策の課題であると考えます。万が一の震災に見舞われたとき、パニックにならず、冷静に対処できるようにするために平時からできる準備として、食料、飲料水の備蓄と防災訓練への参加は必須だと考えます。

 そこでお聞きします。中野区の防災訓練や各防災会などで行われる防災訓練、どのような実施方法、訓練内容となっているのか押さえていきたいと思いますので、教えてください。

 また、先ほど伺った中野区内で行われている防災訓練、平時からの防災への意識を持つことや地域防災リーダーを育成する取り組みにも有効に機能しているということで、その重要性については今さら申し上げるまでもありません。こうした防災訓練を通じて、どのような課題があると区の防災担当は考えているのでしょうか。

 防災訓練を継続的に行う現在の取り組みは非常に有益と考えます。一方で、参加者が固定をしていて高齢化も進んでいるのではないか。また、メニューがマンネリ化しているのではないか。こうした不安を覚えます。ここで新しい防災訓練に取り組む事例を二つ紹介させていただきたいと思います。

 一つは、サバイバル親子キャンプというものであります。昨年8月、中野四季の森公園及び当時拡張予定地にて100名近い多くの親子が参加して行われた訓練であります。テント泊での二日間で、火おこしや炊き出し、電気ステーション開設などさまざまな防災に関するワークショップや仮設トイレ、マンホールトイレの組み立て、AED体験、煙体験、起震車体験、さらに自衛隊の災害対応部隊の展示見学や警察犬訓練など中野区の防災担当はもちろん、野方警察、野方消防など防災関係諸官庁も参加しての内容の濃いメニューでありました。参加対象者を5歳以上13歳未満の子どもとその親というふうに絞ったこのイベントは、子どもたちや子育て世帯に災害時の過ごし方や避難生活など、非日常体験の中でサバイバルの知恵をつけようとした企画で、アンケートでは、「災害でないときにも必要に感じた」、「防災リュックを見直してみたい」、「いつ起こるかわからない災害に対応できる準備と訓練が大切」などと反応も非常によく、ことしもまた夏に開催に向けて企画が進んでいると聞いています。

 そして次の防災、新しい訓練の事例としては、カエルキャラバンというものであります。カエルキャラバンというのは、子どもたちや若いファミリー層を対象に、地域の防災訓練プログラムと、かえっこバザールといって、おもちゃの交換会を組み合わせた防災イベントであります。1995年に発災した阪神淡路大震災の教訓が薄れていってしまうことに危機感を覚えた人たちが発災後10年目の2005年に立ち上げたプログラムで、阪神淡路大震災や東日本大震災の教訓をもとに、ゲーム感覚、あるいは競技感覚で学ぶ防災プログラムを、おもちゃの物々交換プログラムかえっこバザールのシステムに組み込むことで、これまでなかなか防災訓練に参加しなかった子どもたちやその子どもたちを引率する親、子育て世代が積極的に参加するようになったということであります。

 簡単に言いますと、遊ばなくなったおもちゃを持っていくと、そこでカエルポイントというポイントがもらえます。このポイントによって会場に集まったおもちゃと交換することができます。そして、このカエルポイントは防災訓練に参加してもポイントがもらえるということで、いいおもちゃをゲットすべく、子どもたちは次々に防災訓練に参加するというわけです。さらに、開催地に商店街があれば、その商店街の賛同が得られれば、イベント開催中、その商店街で買い物をすればさらにポイントがつくといった企画も考えられており、地域商店街の活性化にもつながります。運営スタッフは事前に講習を受けた地元、地域の人たちということで、当事者意識とテーマ性が確立され、それが災害時の地域の連帯にもつながるということになります。都内で最近開催されたものとしては、台東区の社会福祉協議会が主催するカエルキャラバン、また日本気象協会、UR主催で豊島区のサンシャインで開催されたカエルキャラバン、また荒川区の主催で、荒川区の総合防災訓練に採用し、区内の中学生がスタッフ役を担ったという事例もあるようであります。また、大企業では、東京ガスなどのインフラ企業も各地で開催しているようであります。

 震災は、いつ起こるかわからない。即応体制が不可欠であるのと同時に、10年後、あるいは20年後、将来に備えた防災知識と対応スキルを伝えていかなければならないと思います。次世代を担う子どもたちに、こうした震災の教訓を伝えていかなければならない。そのためには子どもたちに防災知識、防災体験や被災した際の非日常の不自由な生活も体験してもらうなど、そうした工夫が必要ではないでしょうか。こうした日ごろの地域の防災訓練に参加していない子どもたちや子育て世代の参加が見込める防災訓練を推進してはいかがでしょうか。

 お聞きします。次世代を担う子どもたちや子育て世代など、幅広い世代を参加させ、自助・共助の精神のもと、実災害への対応力を身につける必要がある、新しい防災訓練の取り組みや導入についてどのようにお考えでしょうか。

 また、こうした新しい防災への取り組みは、単なるイベントではなく、日ごろより防災活動に取り組む行政と工夫・英知を駆使した民間との視点を切りかえた協働防災活動であると考えます。区は、こうした防災活動に共催者として積極的にかかわり、取り組み、そして区内に広く展開すべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。

 以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 高橋議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、景観まちづくりについて。中野駅地区における景観施策についてであります。中野駅地区第1期整備に当たっては、学識経験者、東京都、中野区等からなる中野駅地区整備・景観等検討会を設置し、中野駅前4地区の各駅前広場の景観形成の基本方針、景観コンセプトを検討するとともに、現北口駅前広場空間のあり方の検討を行ったところです。現北口駅前広場東西連絡路は、検討の成果としての現北口駅前広場景観整備の考え方に基づいて、中野らしいにぎわい創出拠点空間の形成として車道空間と広場空間の一体感の形成や広場通路上の上屋、シェルターですね。上屋デザインの調和等に配慮し整備を実施したところであります。

 中野四季の都市(まち)の景観検討について。警察大学校等跡地の開発は、地区全体での一体的な開発整備を目的として、国から開発事業者が土地を取得する前に再開発等促進区を定める地区計画の主要な内容を決定しております。この地区計画では、都の制度運用上、建築物整備に際して都の景観計画に従った事前協議が義務付けられており、各開発事業者は、区域全体の景観に配慮しながら、建築計画をまとめていったものです。建築計画をまとめるに当たっては、区が主体となって民間事業者等と開発協議会を設置し、開発事業にかかわるさまざまな調整を行っており、景観に関しても基本方針や配慮すべきポイント等の協議を行ったところです。具体的には、地区の一体的でより良好な景観形成、地区全体としての空間の質を向上させるという観点から、区や開発事業者が連携して取り組むべき自主的ルールとして、警察大学校等跡地地区景観形成ガイドラインを策定し、これに即して建築、空間整備を行ったものであります。

 景観法と景観行政団体について。景観行政については、それまで各自治体が独自条例を制定して対応してきたところですが、これには強制力がなく、実効性に課題がありました。そこで、平成16年に景観法が制定され、一定の法的拘束力を持たせるとともに、地域の実情に応じて規制内容等を柔軟に定められるようにしたものであります。具体的には、景観法に基づいて、区は都知事との協議、同意を経て、景観行政団体に移行し、景観計画を区が独自に定めることにより、建物のデザインや色の規制など景観施策に主体的に取り組むことが可能となります。景観に関する施策について、区が活用可能な国や都の助成金の制度は特に設けられていませんが、景観法の活用と他の都市計画手法の組み合わせによって、区における都市計画行政の自由度やまちづくりの可能性が広がると考えております。

 景観形成と上位計画の関係について。区は基本構想において、景観やみどりに配慮された魅力あるまちにしていくことを明示しております。これを受け、新しい中野をつくる10か年計画や都市計画マスタープランでは、中野駅周辺や哲学堂公園・旧野方配水塔周辺などの景観形成について方向性を示しており、景観行政団体に移行することなく、これらに沿って施策を進めてきたところであります。今後は、景観の保全と観光拠点としてのにぎわいの創出を目指して、景観行政団体への移行を目指す中で、景観法が他の制度との親和性を特徴としていることを踏まえ、必要な取り組みを進める考えであります。

 次に、西武新宿線連続立体交差事業に関連して、鉄道上部空間における景観施策について。鉄道上部空間を利用した東西交通ネットワークの形成や駅周辺のにぎわい空間の創出などの検討を想定しているところであります。この中で、沿線の公園や寺社等の緑との連続性など、まちの景観づくりについても、事業主体である東京都及び土地所有者である西武鉄道などと調整を図っていく予定であります。

 河川沿いの景観について。神田川については、平成12年7月に景観基本軸として都により指定がされています。景観づくりの方針及び景観づくり基準が定められ、一定の規模以上の建築物の建築等に対する都への届け出制度による景観誘導が行われております。区は、神田川、妙正寺川も含め、河川沿いについては、都市計画マスタープランにおいて、水とみどりの親水軸として位置付けており、治水対策と調整を図りながら、河川管理通路や河川沿いの敷地、公園などと一体的にみどりの保全・育成を進め、水とみどりの連続空間を形成する考えであります。

 閑静な住宅街に照明を多用した商業系の施設建設が計画された場合にどう対応ができるかといったような御質問もありました。建築関連法規にかかわる関与ということしか、現状のところなかなか難しいと考えております。そこでということですが、現在の状況では、直ちに景観施策上の対応をとるということは困難だと認識をしております。

 今後の中野らしい景観づくりについて。これからのまちづくりは、中野ならではの魅力を生かした持続可能で活力ある地域の形成やそれに向けたまちの基盤整備、都市機能の充実が一層重要となります。そこで、単に規制を強化するのではなく、まちの活性化やにぎわい創出の一つのツールとして中野らしい景観行政、景観まちづくりを推進していきたい、こう考えているところであります。

 次に、江古田合同住宅跡地整備についての御質問がありました。総合東京病院が実施する新棟での事業について。総合東京病院は、区との協定に基づき、病児・病後児保育を5月から、小児初期救急診療は6月から開始をしています。病児・病後児保育事業の新たな展開については、利用実態や需要動向を見きわめ対応を検討していくこととしております。利用者の声、利用実態の施策への反映についてであります。利用者の声や利用実態については、実施機関等を通じて把握に努めることとし、今後の施策を考える上では、これらの声を十分参考にしてまいりたいと考えております。また、小児初期救急医療の推進に係る関係機関の協議の場である小児初期救急医療事業推進協議会においても、事業の実施状況について情報共有を図ってまいります。

 分譲マンション、賃貸マンション等の完成時期について。A街区の分譲マンションは、平成30年3月完成予定であります。また、C街区のファミリー向け賃貸住宅やサービスつき高齢者住宅等が入る建物については、平成30年3月に完成予定であると聞いているところであります。

 C街区のコミュニティ関連施設の設置について。C街区に計画中のコミュニティ関連施設のうち、コンビニエンスストアは、建物完成後に内装工事等を行い、平成30年10月ごろにオープンする予定と聞いております。学童クラブや認可保育園については、完成時期等を含め、関係機関と調整を行っているところであります。

 開発による人口増加に伴う地域防災体制について。本地区の開発事業に当たっては、区は計画段階から事業者であるUR都市機構に対し、江古田小学校から広域避難場所への避難路整備を含む地域の防災性向上、優良なファミリー世帯向け住居の確保、貴重な緑や地域コミュニティへの配慮等の要請を行ってまいりました。区の要請を受け、UR都市機構では避難路の整備を行い、またマンション居住者による自主防災組織の立ち上げや地元防災会、総合東京病院との連携など、自助・共助による防災活動に向け情報交換を行っていると聞いております。さらに、開発地区内では、災害時に強い中圧ガスの施設、太陽光発電、非常用発電機等のライフライン供給システム等の整備や防災井戸、マンホールトイレ、かまどベンチ及び防災備蓄倉庫の設置など、自主防災に向けた活動に資する施設整備等も充実させているところであります。

 自転車駐車場及び放置自転車対策について。自転車駐車場への影響であります。開発によって新たに入居可能となる約1,100世帯のうち、通勤や通学で駅まで自転車を利用する可能性があるのは、分譲マンション及び子育て世帯向け賃貸マンションの合計794世帯で、利用する主な駅は都営大江戸線の新江古田駅と西武新宿線の沼袋駅と考えております。これまでもこの地区から自転車で新江古田駅まで行く人はあまり多くなかったことから、このマンション完成後も通勤や通学で駅まで自転車を利用する人はそれほど多くないと想定しており、新江古田自転車駐車場への影響はほとんどないものと考えております。沼袋駅については、周辺に区営自転車駐車場を3カ所整備しており、特に駅の北側に整備している沼袋地下自転車駐車場については、定期利用370台分の利用率は約75%となっており、十分に対応できる余力があると考えております。

 放置自転車対策について。新江古田駅及び沼袋駅を含め、区内全ての鉄道駅周辺を自転車放置規制区域に指定しており、放置防止指導員による区域内の循環による放置防止指導及び放置自転車への警告札の貼付、そして放置自転車の即時撤去などの放置自転車対策を実施しております。分譲マンション及び賃貸マンションの完成後は、自転車駐車場の利用状況や放置自転車の状況を注視してまいりたいと考えております。

 開発事業者と地元町会との協議への区の関与について。区では、開発計画の当初から住生活の基本に関する条例の趣旨にのっとり、良好な地域コミュニティ形成への寄与を開発事業者募集の条件とするようUR都市機構に対して求めてまいりました。その後、UR、開発事業者と地元町会・自治会との連絡調整や情報交換の場の設定などに適宜関与することで、共同住宅入居者の町会・自治会への加入促進に努めてきたところであります。

 地元商店街や商店街振興との関係。江古田三丁目地区の開発事業により、地域には病院通院者のほかに1,000世帯以上の多様な世代の居住者が生活し、日常の買い物等の需要増加が予想されます。地元商店会としては、本開発事業を商店街活性化の好機ととらえ、UR都市機構、マンション事業者、地元町会等と情報交換を行っていると聞いているところであります。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 江古田合同住宅跡地整備についてのうち、児童数の増加への対応についてお答えをいたします。

 計画の概要については、事業者から情報を受けております。また、事業者が想定している児童や未就学児の人数の推定数の情報提供も受けております。江古田小学校につきましては、現在の教室数で対応できると想定をしております。今後も情報収集に努め、必要な教育環境を整えていく考えでございます。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 私からは、新しい防災訓練の取り組みについてお答えをいたします。

 まず、過去の地震の教訓をどのように生かしてきたかでございます。過去に発生した大地震による被害は、発災場所の地域特性により被害状況が異なってまいります。中野区においては住宅密集地が多く、特に火災への対応力を向上させる必要があるため、住民による初期消火の有効な手段となるスタンドパイプを各地域防災住民組織へ配備するとともに、該当の大型消火器との配置交換を推進しているところでございます。さらに、被災地で作成された災害報告書を参考にして備蓄物資品目を見直すなど、中野区の防災力の向上に努めております。また、今年度は中野区地域防災計画の修正を行いますので、避難指示、避難勧告等の判断基準、土砂災害警戒区域設定後の避難計画及び避難体制、他自治体からの受援計画及び受援体制の構築、復興対策全般について、過去に発生した大地震の教訓を生かして計画の見直しを行ってまいります。

 それから、被災自治体の派遣職員の活用についてでございます。派遣された職員が習得した災害対応、復興計画作成についてのノウハウをはじめ、被災地における業務推進、運営などの経験を中野区の災害対応や復興業務のみならず、多種多様な行政運営に生かしてまいります。

 それから、復旧・復興についてでございます。被災自治体におきましては、支援物資の滞留や現地での情報の混乱、また被災者でもある職員自身の業務継続の困難等さまざまな課題が発生したと聞いてございます。中野区としては、被災地派遣した職員などを通じて実態を把握し、今後の復旧・復興への対応に生かしてまいりたいと考えております。

 それから、中野区防災訓練の実施方法、訓練内容についてでございます。中野区総合防災訓練につきましては、昨年から実施日を分け南北2カ所で行っております。一方が災害医療救護訓練を兼ねた訓練、もう一方が公助連携訓練とした内容となっており、詳細な訓練内容は、各実行委員会で決めております。各防災会等の防災訓練では、実質的に訓練計画を策定いたしまして、スタンドパイプ、煙体験、各種資機材の操作訓練などが行われてございます。そのほか、炊き出しや避難所開設訓練、さらにはゲーム形式の避難所運営の図上訓練も行われております。多くの防災訓練では、区や消防の職員が訓練計画の事前相談や資機材の操作指導等を行ってございます。

 それから、防災訓練の課題についてでございます。幅広い世代に対して防災訓練の参加を呼びかけてはおりますが、特に単身者や子育て世帯の訓練参加率が低く、課題となってございます。これらの方々が防災に関心を持ち、参加する訓練をふやしていくことが重要な課題であると考えております。幅広い世代が防災訓練に参加することにより、自助・共助の必要性を感じていただき、実際の災害への対応力を向上させ、減災へとつなげてまいります。

 それから新しい防災訓練の取り組みや導入についてでございます。区総合防災訓練は、より多くの参加者を募ることや、身につく訓練を目指しまして、参加者が見る訓練から参加体験できる訓練を主として行っております。その中で昨年度よりPTAなどに呼びかけを行いまして、未来を担う子どもたちが楽しく参加できるスタンプラリーなどのゲーム性を取り入れた訓練を行いました。各防災会の訓練内容も、総合防災訓練の実績を受け、数カ所でこういった試みが始まっております。今後さらに改善がなされるように、他自治体や各団体の防災訓練が実施している新たな手法につきまして総合防災訓練及び各防災会への訓練へ導入することを提案してまいります。

 それから、民間の取り組みとの協働についてでございます。幅広い世代が参加する防災訓練の実施を目指しまして、他自治体のさまざまな訓練や民間で行われている訓練手法を区としてより積極的に収集分析いたしまして、各防災会との協議の中で適宜提案することといたします。また、各団体や民間との協働による防災訓練等についても可能な範囲で取り組んでまいります。

○副議長(南かつひこ) 以上で高橋かずちか議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 甲 田 ゆり子

 1 子育て支援施策について

 2 平和の森公園の再整備について

 3 防災対策について

 4 住宅施策について

 5 新井薬師前駅周辺まちづくりについて

 6 その他

 

○副議長(南かつひこ) 次に、甲田ゆり子議員。

〔甲田ゆり子議員登壇〕

○13番(甲田ゆり子) 平成29年第2回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告のとおりで、その他はありません。

 初めに、1、子育て支援施策について伺います。

 現在親子関係や地域の人間関係が希薄化しているため、密室育児による児童虐待が右肩上がりに増大し、胸が締めつけられるような切ない子どもの虐待死事件も後を絶ちません。中野区は、昨年の児童福祉法改正以降、児童相談所設置に向け、鋭意推進していただいていることを評価しています。今後は、児相設置までにいかに地域の児童虐待防止のための人材、担い手の育成を図るかが重要な課題となっています。

 区はこれまでも、妊娠・出産・産後からのトータルな切れ目のない子育て支援施策を構築してまいりました。このことにより、支援の受け皿が要所要所につくられ、時間軸でいう縦の切れ目が解消してきたと考えます。次なる大きな課題としては、地域に広がる横の連携、そしてそれらを効果的につなぎ合わせるため、コーディネート機能を充足させていくことではないでしょうか。気軽に参加できる親子交流の場や子育て広場などの中で自然に相談ができるよう参加を促してあげる人の存在と、常に居心地のよい場所が提供され、そういう場が知られ、つながり、ふえていくことが今後の子育てしやすいまちづくりにとって需要なポイントとなります。

 地域にはさまざまな地域団体が子育て支援活動を長年支えてくださっており、中野区には誇るべき子育て支援、児童育成の伝統や人材が多く存在しています。また、民間でニーズに合った事業を展開している団体もあります。しかし、それら多くの団体、支援者に伺ってみたところ、中野区内で現在どのような団体がどのようなフェーズにおいて子どもの育成に貢献されているのか、お互いのことを全く知らないまま一生懸命に活動されていることが多いという現状であると感じます。

 中野区から児童虐待を根絶し、子どもの生きる権利、子どもが愛情をたくさん受けた家庭、地域で育つ権利を確立していくために、民間団体、地域団体、そして区の職員が理念を共有してそれぞれ親子支援をしながら次の段階へとつなげてあげるなどのコーディネート機能を果たすことで、子ども版地域包括ケアシステムを早急に構築するべきと考えますが、区は子ども版地域包括ケアシステムをどのように構築しようとしているのか、改めて区長の見解を伺います。

 具体策として一つ目に、担い手の裾野を広げるため、里親の周知とファミリーサポート制度の拡充について伺います。

 現状、里親は東京都の児童相談所の管轄、ファミリーサポートは区が社会福祉協議会へ委託しているため区の管轄の事業となっています。管轄の違いから、これまで交わったり、ともに高めあったりすることはほぼありませんでしたが、どちらもほかにかわる制度がなく、貴重なサービスを担っている大切な支援者であります。ひとり親も多く需要はふえていると感じます。これらの制度がさらにすき間を埋めるものとなっていくためにも、ファミリーサポートの協力会員をふやし、里親制度の周知、啓発も積極的に行うべきと考えます。取りかかりは、里親の研修をファミリーサポート協力会員さんにも受けてもらうなど、段階的、断続的に両者の研修機会を共有していく制度を検討してはいかがでしょうか。そのことにより、ファミリーサポートだけの協力会員がいきなりハードルの高い里親ではなく、短期間の預かりを行う里親へと徐々にステップアップしたり、里親同士がピアサポートのできる幅が広がると考えられるのではないでしょうか。見解を伺います。

 また、このほど総合東京病院にて中野区初の病児保育事業が始まり、地域の保護者だけでなく、孫を持つ祖父母の皆さんも大変に喜んでいます。実際に利用する場合には、5時以降の送り迎えのサービスとしてもすき間を埋めるファミリーサポートがますます重要性を増してきます。今後は、さらにファミリーサポート事業を拡充すべきと考えます。安全対策、マッチングの向上、コーディネート機能の拡充も視野に入れ、時代の要請に応えられる事業としていく検討をしてはいかがでしょうか。伺います。

 二つ目に、より困難な人を救う施策のため、産後ケアにおける多胎児と早産などにおける母親の支援について伺います。

 多胎児、いわゆる双子等の子育てについて私は何度か相談を受けています。双子は特に産後、二人の赤ちゃんのお世話に母親は休まる暇がなく、本当に大変な毎日を強いられ、産後うつになりやすいようです。区の産後ケアについて、双子の場合、面談時の子ども商品券は二人分いただけますが、産後ケアを受けられる時間の限度は子ども一人分となっています。確かにケアを受ける母親は一人ですが、子どもが二人いるということは、2倍以上の手がかかると言われています。当然、せめて2倍のケアが受けられるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 あわせて、早産や未熟児の対応にも改善が必要と考えます。早産により未熟児で生まれた赤ちゃんが数カ月たって退院した際、既に産後ケアの対象期間が残り少なくなっています。そしてケアがほとんど受けられていないというケースが実際にあります。早産や病気で育児に不安を抱える母親こそ産後ケアが必要と考えます。このような場合には、例外規定を持たせ、利用できる期間を伸ばす必要があると思いますが、いかがでしょうか。伺います。

 産後ケア事業創設の趣旨を踏まえれば、必要なところに支援の手が入っていないことは課題であると考えます。携わる職員にはいま一度政策の目的観を共有して遂行していただくよう求めます。

 この項の最後に学童クラブについて伺います。5月1日現在、中野区の学童クラブの待機児童が118名となりました。学童クラブ全体として毎年4月から6月に待機児が多く、3年生などが学童クラブから自然に退所する夏ごろにやっと解消していくと聞いています。いわゆる小1の壁の課題です。特に入学したばかりの児童を持つ家庭が安心できるよう、4月時点からの待機児童ゼロを目指し、このような状態の早期解消をしていくべきと考えますが、区としてどのような対策を考えているのでしょうか。また、今後の学童クラブのあり方についてどのように考えているのかお聞かせください。

 学童クラブに一旦入ることができても、下に兄弟が生まれ、生後57日を過ぎるといわゆる産休終了時点で上の子は学童クラブを退所しなければならないという規定があります。つまり、母親が育児休暇中は上の子の学童クラブ入所対象外ということであります。その後、仕事復帰をして下の子が保育園に入園できたとしても、定員がいっぱいのためすぐに上の子が学童クラブに入れるとは限らないということになります。そうすると、結局安心して仕事復帰ができないなど、困惑している区民の方もいました。区はこうした制度のはざまにおける育児不安を解消できるよう、保育園入園の問題と連携して相談に当たるべきではないでしょうか。見解を伺って、この項の質問を終わります。

 次に、2、平和の森公園の再整備について伺います。

 初めに、公園の森の再整備について伺います。現在、平和の森公園の再整備において、周辺地域の一部の方々を中心に、木が伐採され自然が破壊されると喧伝され、公園再整備事業が木を切る、切らないといったことに矮小化されて全体像が正確に伝わっていないことを憂いている区民の方の声をお聞きしました。私は、平成28年第1回定例会の際、環境保全の意味において専門家に相談をしながら整備をし、都会の中の小さな森として地域に広く愛され、子どもたちが自然の生物や植物を観察して楽しみ、ふるさとの思い出をつくれる公園として整備すべきと質問しました。大人から子どもまでこの公園の森で、例えば木々や昆虫、鳥などの観察会や写生会など、自然体験プログラムを行うことによって、環境問題や生物多様性、自然の大切さなどについて学ぶことができ、そういった取り組みにより、環境意識の高い、区、区民づくりに資する森を再創造することが大切であると考えます。

 平和の森公園再整備基本設計の中で示されている四つの大きな方針の一つには、「既存の森を継承し、四季を彩るみどり豊かな公園 既存の豊かな水辺と緑を継承しつつ、花や実のなる植物を植えることでより四季を楽しめ、かつ多くの生き物と共生する健やかな自然を次世代へ引き継ぐために適切な管理を行います」とあります。これはまさに生物多様性の回復・保全に配慮した森づくり、森の再構築、再創造をしていくことがうたわれていると考えますが、こういったことが周辺住民をはじめとする区民にあまり伝わっていないと感じます。平和の森公園再整備基本設計では、植栽のコンセプトについてはっきりと表現されていますが、それ以外の多くの情報とともに並列で記載されており、一般的には具体的な内容を理解することが難しいのが課題となっています。このコンセプトを生かすものとするため、区は今どのような努力をしているのでしょうか。

 基本設計は専門家による公園内の動植物調査をもとに作成されているという話を伺いましたが、そうであれば、その調査内容を示した上で、区の方針が間違いなく遂行されていることを示す意味でも、具体的な整備内容を周知してはいかがでしょうか。伺います。

 その際には、森の再整備がそれらのコンセプトに基づいた植栽計画であることを示して、平和の森公園の森が、さらに魅力あるものになることの区民理解を深めるようにしてはいかがでしょうか。

 あわせて、平和の森公園の機能は、スポーツ、防災、憩い、平和の四つが大きなテーマでありますが、それぞれのテーマ項目が今回の再整備によりどのように向上するのか。地域の方々に完成後のイメージがわかりやすくなるよう、工事の進捗に合わせて示すべきと考えますが、区の見解を伺います。

 この項の最後に、今回、平和の森公園の防災機能が低下するといまだに勘違いされている区民の方もいます。公園と体育館という屋内外施設を擁する防災公園としてどれだけの防災機能が向上するのかいま一度お示しください。今後、区民理解を深めるため最大限の広報周知に努めていただくことを要望し、この項の質問を終わります。

 次に3、防災対策について伺います。

 初めに、図上訓練の目的と検証について伺います。中野区では、年1回の震災図上訓練を行っていますが、昨年度は震災発生後24時間経過後の状況を想定した訓練を行いました。さらに、熊本地震を踏まえ、各応援団体の受け入れについても図上訓練を行っています。この訓練は、地域防災計画及び震災マニュアルを事前に確認して訓練に参加し、問題への対処を震災マニュアル等に従い的確に対応できたかどうかなど、評価・検証して震災マニュアルの見直し・検証につなげることになっていますが、区は訓練実施後、評価・検証を踏まえて震災マニュアルを見直し、修正しているのでしょうか。あわせて、災対各部の震災マニュアルも修正されているのでしょうか。伺います。

 図上訓練の目的の一つとして、困難な状況下における的確な判断力を養うことであると考えますが、具体的な判断、行動の事例についてお聞かせください。

 図上訓練後、評価・検証した結果を訓練参加者にフィードバックするとともに、担当分野における訓練状況の情報を他の分野の職員とも共有化すべきと考えますが、どのように対応しているのでしょうか。お伺いいたします。

 次に、大震災等の復旧・復興期における被災者支援システムの導入について伺います。熊本地震、阪神淡路大震災のような大災害が発生した場合、被災自治体は通常の業務に加え、膨大な臨時的な業務を処理しなければなりません。大量の業務を効率的に処理し、復旧・復興を進めるには事前に情報システムを構築していくことが不可欠と考えます。中野区地域防災計画及び新しい中野をつくる10か年計画(第3次)では、被災者を支援するシステムの導入について記載されていますが、進捗状況はいかがでしょうか。伺います。

 代表的な支援システムである阪神淡路大震災の発災を受け、西宮市で開発された被災者支援システムとその後、京都大学、新潟大学及びNTTの産学連携で開発された被災者生活再建システムの実災害での使用実績はいかがでしょうか。お伺いします。

 被災者生活再建支援システムは、建物等の被害状況の調査やり災証明発行業務を効率的に行うことができます。しかし、り災証明書発行機能以外の大震災発生後に膨大に発生する業務を処理するために、必要な機能は十分とは言えません。その点、西宮市が開発した被災者支援システムは、住民基本台帳を基本に各種のシステムが構築され、東日本大震災を経てさらに改良されており、大震災時に実績があります。緊急物資や避難所の管理、倒壊家屋や仮設住宅の管理、義援金の配分管理、さらには災害援護金の貸し付け業務などを処理する機能が備わっております。

 そこで、被災者支援システムの導入については両方のシステムを導入し、り災証明発行業務は被災者生活再建支援システムを使って処理し、その他の被災者支援業務、復旧・復興業務は被災者支援システムを使って処理する体制を構築し、大震災等に備えるべきであると考えますが、区の見解を伺って、この項の質問を終わります。

 次に4、住宅施策について伺います。

 初めに、空家対策について伺います。空家等対策の推進に関する特別措置法が平成26年11月27日に成立し、翌年5月26日に施行され、本年で2年が経過しました。この間、中野区においても空家等対策に関する取り組みが進められ、平成28年度には中野区全域の空家実態調査が実施されるとともに、中野区空家等対策審議会が設置され、基本計画の策定に向けた検討が進められています。空家等対策は、倒壊のおそれがあるなど、保安上の危険性が高い特定空家の解消だけではなく、空家の利活用についても検討が必要です。昨年度実施した空家等実態調査では、特定空家だけでなく利活用可能な空家についても把握をされているのでしょうか。伺います。

 空家特措法の施行により、地域住民の生活環境に重大な影響を及ぼす特定空家に対して、行政代執行などの措置も可能となりましたが、空家所有者の経済的な事由等により費用の回収が困難なケースも想定されるなど、その執行に際しては慎重な判断が求められています。しかし、人の生命、身体または財産に著しい損害が生じるおそれがあり、緊急性が高い場合においては、行政として必要最小限度の応急措置を講じる必要があると考えます。こうした即時執行の考え方は、他の自治体においても緊急安全措置であるとか、応急措置という名目で空家に関する条例に組み込まれている例が見受けられます。周辺住民の生活環境保全を担保するため、中野区においても空家特措法の実効性を補完し、この即時執行の考え方を含んだ空家条例の制定が必要であると考えますが、いかがでしょうか。

 あわせて、これまで建築基準法による規定だけでは対応が難しいケースがあったごみ屋敷や火災により放置された建物などにおいても、近隣住民の生活環境保全のために必要な措置が可能となるような規定を条例に盛り込む必要があると考えますが、いかがでしょうか。区の見解を伺います。

 特定空家の抑制と空家の利活用促進には、まずは所有者の責任による適切な管理が必要です。条例では、改めて空家所有者の責任を明示するとともに、区の支援策についても明らかにすべきと考えますが、いかがでしょうか。また、空家利活用の促進のためには所有者への相談対応や積極的な情報提供が必要であり、不動産事業者のほか、弁護士、司法書士、行政書士といった相続や税制の専門家との連携が欠かせないと考えますが、区の見解をお伺いします。

 次に、小規模集合住宅について伺います。現在、中野区内に寄宿舎と言われる小規模な集合住宅が多数建築され始めています。以前、上高田における脱法ハウスが問題になったことがありましたが、いわゆるシェアハウスとも言いがたい、共有のリビングもない2階建ての宿舎であり、50坪の敷地に1室7.2平米の部屋が各階10部屋程度あるような建物であります。近隣への説明もないままに建築され、ターゲットは若い学生や地方から出てきて一時的に住まいを求める若者、または外国人の方たちなどです。地域住民として心配になるのは当然のことながら、ごみ出しの問題、路上へのはみ出し駐輪、室外機を含む騒音、路上での喫煙などであります。

 こういった寄宿舎は地主が土地を売った不動産会社がさらに転売し、サブリース契約を取り扱う管理会社が買い取り、投資ビジネスとして地方の投資家に土地建物と家賃保証つきで売られているケースが多いようです。よって、地域のことなど全く知らない所有者が管理会社に任せて関知していないといった形です。

 このような一見タコ部屋のような建物であっても、国の基準、東京都の建築安全条例の基準をクリアしているため、違法ではありません。しかし、入居率が低い寄宿舎も多く存在しており、それでもなお次々に建築されるところを見ると、近隣住民からはいつか転用されて民泊などに使用される可能性があるのではないかという心配の声も出ています。区内の寄宿舎は、26年度から28年度までの3年間で24棟から45棟へと倍増しています。こういった建物が違法ではないからといって区内各所に軒並み建築されてしまっては、住民の不安は増大するばかりで住みにくい中野区と言われてしまいます。

 民泊新法については、国の動向を見きわめ、区の条例をよく検討すべきですが、新たな寄宿舎を含む同じような心配事が重なる既存の小規模集合住宅についても当面の不安解消の手段として、中野区として現在できることをすべきであると考えます。

 中野区の集合住宅条例が成立してから6年が経過しています。この条例では、3階以上かつ12戸以上の集合住宅を特定集合住宅と位置付け、標識設置期間なども厳しくしていますが、今回の寄宿舎のように、2階建てであれば標識の設置も必要ないなど、かなりの基準の緩さがうかがわれます。また、ごみ出しのルールなどを徹底するための手段も清掃事務所との協議だけではなく、地元町会との協議や定期巡回管理の回数の取り決め、連絡先の表示、苦情窓口の明確化なども検討すべきではないでしょうか。そのような観点から、今後の小規模集合住宅の管理に関する条例手続や建築計画書のよりきめ細やかな報告体制などを見直す時期に来ているのではないかと考えますが、区の見解を伺います。

 区の住宅施策としては、できるだけファミリー世帯層をふやす努力をすべきと考えます。今後、地主の方たちが相続対策により土地を手放すことも多くなり、いつの間にか転売されて思いもよらない投資家の手に渡ることも考えられます。そういった際にも地域住民にとって良好な住環境や地域コミュニティが維持されるような住宅や施設を誘致できるよう、何らかの支援をしていくべきと考えます。そのためにも、地元の不動産会社や建築関係の専門家からも協力を得ながら、施策について検討していくべきと考えますが、いかがでしょうか。伺ってこの項の質問を終わります。

 最後に5番、新井薬師前駅周辺まちづくりについて伺います。

 本年2月、新井薬師前駅駅前の区画街路第3号線、いわゆる交通広場が東京都より街路事業の認可を取得しまた。また、西武新宿線沿線まちづくり整備方針の詳細版として、まちづくり推進プラン(案)が新井薬師前駅と沼袋駅周辺地区編のそれぞれが作成され、5月の建設委員会にて報告されました。

 新井薬師前駅周辺まちづくりについては、まちの活性化が大きな課題と考えます。門前通りや哲学堂通りの歩道は狭く、バスが両面通行のため、歩行者や自転車が安全に走行できず、事故も頻繁に起きています。商店街は住民が安心して買い物ができる環境でなければなりません。私はこの課題に真正面から取り組まなければならないと常々感じているところです。また、連続立体交差事業の完成予定は、平成32年度となっておりますが、地下化が完成した後に交通広場予定地である鉄道施設を撤去しなければ街路整備には入れないため、平成33年度から34年度、2カ年にかけて街路整備を行っていくこととなります。その間、交通広場の部分は工事中になることが想定されています。つまり、地下化事業が終わってすぐには安全で利便性の高いまちができるわけではなく、交通広場予定地の用地買収で商店等が立ち退きとなり、2年もの間、駅前の顔となる場を失う時期をつくってしまうことは、にぎわいが今よりも低下する期間が出ると危惧しております。

 推進プランにおいては、商店街のにぎわいの再生・創出をうたっており、新たに創出された駅前のにぎわいが区画街路第3号線沿線に波及するよう、地区計画の導入も視野に入れていると記載されていますが、具体的にはどのようなことでしょうか。お考えを伺います。

 このほど哲学堂公園・旧野方配水塔の歴史文化的価値を高め、都市観光の拠点として形成するプランも示されております。哲学堂公園及び哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画(素案)では、中野駅周辺との対比を生かした相互に引き立て合う魅力あるまちづくりを目指すとしています。中野駅周辺から徒歩で30分から40分程度で哲学堂公園へと至りますが、その間の新井薬師の各商店街は、まち歩き・回遊ルートであり、近い将来まさに観光拠点そのものにしていくことができます。この商店街が歩くだけで楽しい場所となっていれば、観光拠点として人を呼び込むのにふさわしいものとなります。それを実現するためには、商店街のコーディネーターやコンサルタント等が必要と考えます。駅周辺のまちづくりが進んでいく中で、商店街の広報をはじめ、専門家や職員によるまちの人たちの機運を高めるようなソフト面の支援が一層重要な時期になってくると考えますが、区の見解を伺います。

 推進プランにおいては、この地域の防災性向上のために、補助220号線の推進と220号線整備に合わせた上高田五丁目地区の街区再編、木造密集地域である上高田一丁目から三丁目における防災まちづくりの推進も明示しています。大災害に備えるまちづくりは重要と言えますが、これは推進プランにある地区の将来像、歴史文化の薫りを求めて、誰もがゆっくり散策できるまちというものを実現するための施策の一つであり、まずは将来像を本気で進めていくという区の方向性を区民の隅々にまで理解していただく広報やアピールの取り組みが必要と考えます。哲学堂公園の観光拠点政策とあわせて、新井薬師前駅周辺をすばらしいまちに変えていくという意気込みをさらに示すとともに、これまでにない周知を図っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。区長の決意を伺って、全ての質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 甲田議員の御質問にお答えいたします。

 まず、子育て支援施策についての御質問であります。子ども版地域包括ケアシステムについて。中野区が目指す地域包括ケアは、子どもから高齢者まで、そのライフステージに応じた一貫した相談支援や支え合いの体制を構築するために、区と区民、団体や医療・介護・福祉等の専門機関とが協働して取り組むものであります。子ども版の地域包括ケアについては、さらに妊娠期から子育てまでのトータルケアの充実とともに、子ども施設や学校との連携や地域のさまざまな団体の子育て支援活動をコーディネートすることで、子どもとその家庭を支える仕組みをつくるものであります。すこやか福祉センターや区民活動センターに配置される職員などを中心に、地域で活動するさまざまな資源の掘り起こしや、またそれらの団体活動の連携の促進、そして潜在的に存在する支援の必要性といったようなものを掘り起こして具体的な支援につなげていく。そうした活動が不可欠であると考えているところであります。

 里親周知、ファミリーサポート事業の拡充について。より家庭に近い環境での養育を進めるためには里親の推進が重要であります。ファミリーサポートの協力員への里親に係る理解促進、普及啓発も含め、里親の拡充を図るためのよりよい方策を検討していきたいと考えております。

 ファミリーサポート事業の拡充について。ファミリーサポート事業は、子育ての援助を行う協力会員と援助を受けたい利用会員が子育ての相互援助活動を行うものであります。この事業の趣旨や実態をはじめ、類似事業の状況等も踏まえて対応について検討していきたいと考えております。

 産後ケア事業の改善について。産後ケアのショートステイ事業では、産後4カ月までの母子を対象に五日を限度とし、またケア支援者派遣事業では、産後6カ月まで15時間の派遣を原則として実施をしております。現在、区では、低体重による出生や多胎児等、それぞれの産婦が抱える困難状況を勘案した対応策を検討してきており、早急な改善を図り、安全・安心な子育て支援に取り組んでまいりたいと考えております。

 学童クラブの待機児童解消について。学童クラブの待機児童は、現在のところキッズ・プラザ内での見守りなどで対応をしているところであります。こうした待機の状況については、特定の学校区に集中する傾向があることから、今後は需要予測の精度を上げるとともに、適切な民営学童クラブの誘致によって早期解消に努めていきたいと考えております。

 保育園・学童クラブの利用相談についてであります。育児休業中の学童クラブの利用、これについては難しいところですが、仕事への復帰に際し保護者の不安を解消できるよう、保育園と学童クラブの同時利用については、子ども総合相談で十分に連携のとれたワンストップ対応を行っていきたいと考えております。

 次に、平和の森公園の再整備についての質問がありました。動植物調査結果と設計内容の関係を明示することについて。公園内の生物調査は、緑地の構造、植物層、動物層の分野で行っており、基本設計の基礎資料の一つとなっております。この生物調査では、重要種の生態も確認されており、その保全を設計に反映しているところでありますが、この資料の公表によって持ち去りといった事態なども懸念されることから、公表の可否について専門家の意見も聞いて今後検討してまいります。

 工事の進捗に合わせた完成後のイメージの周知について。公共工事では、一般住民への建設事業の広報活動に充てる経費が計上されております。そうした広報活動の中で、完成後のイメージがより深まり、多くの区民が楽しみに思ってもらえるような情報発信を行うことについて、建設事業者と協議をしてまいりたいと思います。

 防災機能の向上について。再整備により平和の森公園に警察、消防、ボランティアなどの各種支援団体の活動拠点や救援物資の輸送拠点、帰宅困難者の一時滞在施設などの防災機能が追加され、防災機能は大幅に向上すると考えております。災害用トイレの増設や平和の森公園の未開園部分の一部を草地広場として整備すること、このことによって避難有効面積が拡大し、避難場所としての機能は向上すると考えております。また、公園外周部の防火樹林は、適切に維持することで防火性能はこれまでどおり維持されるものと考えております。

 次に、新井薬師前駅周辺まちづくりについての御質問がありました。駅前のにぎわいの区画街路第3号線への波及について。まちづくり推進プランでは、新井薬師前駅交通広場――駅前広場のことです――に隣接する街区において、市街地再開発事業等の共同化を行い、日常生活を支える生活利便施設を充実させることで、人が集い、にぎわいを創出することを想定しております。また、新たに創出されたにぎわいは、駅前にとどまらず、中野通りまでつながる区画街路第3号線、五中つつじ通りですね。その沿道に波及することを目指すものであります。地域の合意形成に基づき、地区計画の導入なども含め、区画街路3号線の沿道のにぎわいを連続させることのできる環境づくりをしていきたいと考えております。

 商店街活性化支援について。商店街のイベント事業や活性化事業に対して、専門家を活用できる体制をつくっていくことは有効だと認識しています。今年度から商店街への専門家派遣を支援するため、東京都が行う商店街ステップアップ応援事業が新たに創設されたところであります。区は、商店街が新たな支援制度を活用できるよう、中野区商店街連合会とともに検討を行っているところであります。

 新井薬師前駅周辺まちづくり推進にかかわる、それに向けた決意についてという御質問もありました。新井薬師前駅周辺については、連続立体交差事業を契機として、駅を中心として生活利便性が高く、安全・安心で住み続けられるまちを構築したいと考え、取り組みを進めているところであります。また、新井薬師前駅は都市観光のアクセス拠点である中野駅と哲学堂公園との中間に位置することから、双方を結びつける哲学の回廊を整備するためにも、にぎわいにあふれ、かつ、歩きやすいまちにしていきたいと考えております。地域と協働したまちづくりを一層加速するために、西武新宿線沿線まちづくり推進プランについては、ホームページの掲載や地域における丁寧な説明はもちろんのこと、さまざまな機会を通じて、その周知と理解を図っていきたいと考えております。

 私からは以上です。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 防災対策について、それから住宅施策についてお答えいたします。

 まず防災対策についてです。震災マニュアルの見直し、修正についてございます。中野区では、平成29年1月28日に大規模地震が発生して24時間経過後の想定として迅速な応急対応に習熟するとともに、平成28年熊本地震の教訓を踏まえ、各応援団体の受け入れ及び関係機関との連携等に対応することを目的とした図上訓練を実施いたしております。後日開催されました検討会の結果や、訓練参加者のアンケート及び評価・検証等は報告書に取りまとめてございます。今回の訓練では、受援体制を実践する際の問題点もある程度把握することができました。こうした課題につきまして、東京都と連携して内容の検討を行い、地域防災計画の修正を行う予定でございます。報告書で指摘されたその他の課題等につきましては、災対各部において職員防災マニュアル震災編の見直し作業を進めているところでございます。

 次に、訓練時の具体的な判断、行動の事例についてでございます。まず、訓練中、応援部隊の進出拠点及び救援物資の輸送ルートをどのように確保するかという状況付与に対しまして、地震による道路、橋梁等の被害状況を早期に把握し、応援部隊や救援物資輸送隊の進出拠点、避難所へのアクセス等を考慮しつつ、道路啓開の優先順位を設定する的確な判断・指示がございました。また、一方では、的確でなかった事例といたしまして、災害対策本部内の情報共有が遅延したことがあり、本課題への対応といたしまして、今後情報共有の効率化を図るため、防災情報システム導入を検討してまいります。

 次に、訓練状況の情報共有化についてでございます。図上訓練の評価・検証結果については報告書として取りまとめ、災対各部指揮班と情報を共有することにより、訓練参加者及び図上訓練に参加していない他の職員に対し、訓練で明らかになった課題等についてフィードバックしております。今後、庁内で報告書に基づく報告会を開催することとしております。

 それから、被災者生活再建支援システムについてでございます。被災者生活再建支援システムは、各災害での使用を受けまして、システム機能の検証・検討を重ねまして、り災証明書のデータ化からり災者台帳を作成し、り災者の生活再建を支援する多様な業務に対応可能なシステムとなっております。費用対効果も含め、被災者生活再建支援システムが区の導入システムとしては優位性があるものと考えてございます。二つのシステムを比較いたしまして、被災者生活再建支援システムのほうが区の求める機能に幅広く対応していること。また、今後のシステムの拡張性も十分備えていることから、被災者生活再建支援システムを導入して機能拡充を図っていきたいと考えております。現在、被災者生活再建支援システム導入に向けまして、東京都が主催する東京都被災者生活再建支援システム利用協議会に参画いたしまして、システムについて検討をしておるところでございます。

 次に、住宅施策についてでございます。まず利用可能な空家についてです。昨年度実施いたしました空家等実態調査では、建物の老朽度や管理状態を確認することによりまして、利活用が可能と考えられる空家につきましても把握をしているところでございます。

 それから、緊急時における応急措置についてでございます。空家は個人資産でございまして、所有者の責任により改善が図られることが原則でございます。しかしながら、近隣への危険性が高く、早急な対応が求められる際には、区が応急措置を講じる必要性も認識しているところでございます。空家等対策審議会での議論を踏まえながら、空家条例における緊急時の応急措置につきまして区の実情に応じたあり方を検討してまいります。

 空家条例の対象についてでございます。空家条例では、空家法の規定による特定空家に対する措置だけではなく、特定空家にまでは至らないものの、近隣住民の生活環境に悪影響を及ぼすような空家についても、他の関係法令等とも照らし合わせながら、適切な規定のあり方を検討してまいります。

 空家所有者の責任と区の支援についてでございます。空家の適切な管理は、所有者の責任であることを明確にするとともに、所有者への周知や適切な管理に関する情報提供を進めてまいります。また、空家所有者や民間事業者による積極的な空家利活用の推進に向けまして、必要となる区の支援やかかわり方について検討いたしまして明らかにしてまいります。

 専門家との連携についてでございます。空家所有者や区民が空家のあらゆる悩みを気軽に相談し、その後の対応にまで結びつけることのできるそういった体制のあり方につきまして、民間事業者や各種専門家と連携しながら検討をしてまいります。

 それから、集合住宅の管理に関する条例の見直しについてでございます。中野区集合住宅条例では、3階かつ12戸以上の建物を特定集合住宅といたしまして、条例により種々の義務を課してコントロールをしているところでございます。また、それ以外の規模のものにつきましても、届け出義務を課しまして指導しているところでございます。今後は、小規模集合住宅の建築にかかわる実態把握に一層努めるとともに、課題等の検証を進めまして必要に応じて見直しを図ってまいります。

 それから適切な住宅の誘導についてでございます。地域にとって適切な住宅の誘導や良好な地域コミュニティの形成につながる取り組みにつきまして、地域の実情や問題の本質をよく見きわめることから出発する必要があると考えてございます。区としては今後、御質問のような事例について実態把握に努めるとともに、地域住民や民間事業者等と連携しながら検討してまいります。

○副議長(南かつひこ) 以上で甲田ゆり子議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。

 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○副議長(南かつひこ) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、6月5日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時20分延会

 

 

会議録署名員 議 長 いでい 良輔

副議長 南 かつひこ

議 員 甲田 ゆり子

       議 員 いさ 哲郎