平成29年09月12日中野区議会本会議(第3回定例会)
平成29年09月12日中野区議会本会議(第3回定例会)の会議録

.平成29年(2017年)9月12日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(41名)

  1番  加  藤  たくま         2番  若  林  しげお

  3番  日  野  たかし         4番  木  村  広  一

  5番  ひやま      隆        6番  山  本  たかし

  7番  渡  辺  たけし         8番  細  野  かよこ

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  いでい   良  輔

 11番  高  橋  かずちか       12番  内  川  和  久

 13番  甲  田  ゆり子        14番  小  林  ぜんいち

 15番  白  井  ひでふみ       16番  中  村  延  子

 17番  内  野  大三郎        18番  小宮山   たかし

 19番  広  川  まさのり       20番     欠  員

 21番  佐  野  れいじ        22番  北  原  ともあき

 23番  伊  東  しんじ        24番  平  山  英  明

 25番  南     かつひこ       26番  小  林  秀  明

 27番  森     たかゆき       28番  いながき  じゅん子

 29番  石  坂  わたる        30番  小  杉  一  男

 31番  い  さ  哲  郎       32番  大  内  しんご

 33番  高  橋  ちあき        34番  伊  藤  正  信

 35番  市  川  みのる        36番  篠     国  昭

 37番  久  保  り  か       38番  酒  井  たくや

 39番  近  藤  さえ子        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席議員

      な  し

.出席説明員

 中 野 区 長  田 中 大 輔      副  区  長  川 崎   亨

 副  区  長  本 田 武 志      教  育  長  田 辺 裕 子

 政 策 室 長  髙 橋 信 一      経 営 室 長  篠 原 文 彦

 新区役所整備担当部長 相 澤 明 郎   都市政策推進室長 奈 良 浩 二

 西武新宿線沿線まちづくり担当部長 角   秀 行      地域支えあい推進室長 野 村 建 樹

 区民サービス管理部長 戸 辺   眞    子ども教育部長、教育委員会事務局次長 横 山   俊

 健康福祉部長   小 田 史 子      保 健 所 長  木 村 博 子

 環 境 部 長  白 土   純      都市基盤部長   豊 川 士 朗

 政策室参事(企画担当) 青 山 敬一郎   経営室参事(経営担当) 朝 井 めぐみ

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  吉 村 恒 治      事務局次長    古 本 正 士

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  関 村 英 希

 書     記  立 川   衛      書     記  若 見 元 彦

 書     記  井 田 裕 之      書     記  冨士縄   篤

 書     記  野 村 理 志      書     記  鎌 形 聡 美

 書     記  遠 藤 良 太      書     記  松 丸 晃 大

 書     記  香 月 俊 介      書     記  古 谷 友里香

 

 議事日程(平成29年(2017年)12日午後1時開議)

日程第1 認定第1号 平成28年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について

 

午後1時00分開議

○副議長(南かつひこ) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 渡 辺 たけし

 1 平成28年度決算状況について

 2 待機児童対策について

 3 その他

 

○副議長(南かつひこ) 最初に、渡辺たけし議員。

〔渡辺たけし議員登壇〕

○7番(渡辺たけし) 平成29年第3回定例会に当たり、都民ファーストの会中野区議団の立場で一般質問を行います。質問は通告のとおりです。その他はございません。

 まず初めに、平成28年度の決算状況について伺います。

 中野区の財政白書によりますと、歳入総額が昨年度から5.1%減の1,265億1,915万3,000円となりましたが、財政の弾力性をはかる指標である経常収支比率が76.9%となっており、前年度と同様に23区平均を下回る数値となっております。また、実質収支比率も3.8%となっており、昨年度の3.7%に続き、一般的に言われている3%から5%内の適正な数値におさまっており、都民ファーストの会中野区議団としては、中野区は健全な財政運営に努めたと判断し、一定の評価をするところであります。

 歳出決算額の推移を見てみますと、扶助費の増加が懸念する点として挙げられますが、扶助費の推移を見てみますと、生活保護費に係る費用は横ばい傾向であり、児童福祉費と社会福祉費の増加については、お年寄りや障害者に優しく、子育てしやすい環境づくりを推進しているという見方をすることもでき、引き続き扶助費に係る費用がふえていくことについては、生活保護費に係る費用が増大しない限りにおいては注視していく必要がありますが、特に問題にするべきではなく、このような増加傾向が比較的続いていくものであると考えております。

 また、区債残高におきましても約258億円と、昨年度の286億円から28億円の減少となり、財政調整基金289億円を下回ったことは、過去20年間のデータから見ても初めてのことであり、大変注目すべき成果をなし遂げたと言ってもいいのではないでしょうか。ただ、一般財源の推移を見てみますと、過去10年間の平均値を下回った年が5回あり、平均額からのマイナス分が累計で197億円程度不足しております。今後ふえ続けるであろう扶助費の部分や、数多くの区有施設の建てかえを控えている状況からも、都民ファーストの会中野区議団としては、中・長期的な視点から見ると、まだまだ財政に余裕がある状況であるとは言えないと考えております。引き続き区債残高を減らし、今後は財政調整基金としてではなく、特定目的基金を中心とした基金の積み上げを要望するところであります。

 財政運営が健全であるかどうかの判断基準として、公債費負担比率の割合についても着目する必要があると考えます。平成28年度の公債費は49億円となっており、公債費負担比率は昨年度の9.7%から5.4%まで大幅に下がり、過去10年間の中で最も低い数値となっております。扶助費が増加傾向にある中、公債費負担比率は今後も極力低い数値で推移してもらいたいと考えているところですが、区債残高の返済計画が今後の公債費負担比率の数値を予測する上で重要なポイントになるのではないでしょうか。

 そこで伺います。今後の区債残高の償還金は、起債しない前提で計算した場合、毎年どの程度の金額になるかをお答えください。

 また、都民ファーストの会中野区議団としては、区債残高258億円の返済に向けて注力をしておきながら、一方で、大規模改修などのあらかじめ予測される高額の支出に備えて特定目的基金を積み上げていくべきであると考えています。起債の必要性がある場合には、この目的達成に必要な最低限の区債の発行にとどめるべきではないでしょうか。

 そこで伺います。直近では新区役所の建築費として起債を行う計画が上がっておりますが、利子分の負担を考えると、全ての建築費用を起債するのではなく、特定目的基金として新区役所の建築費を少しでも積み上げていくべきではないでしょうか。区の見解を伺います。

 財政白書の公債費の推移のところで、特別区債は世代間の負担の公平化を図るという側面もあり、予算段階で公債費負担比率がおおむね10%以内となるよう目標を定めて、公債費の抑制を図っていると記載しておりますが、この数値については疑義を抱かざるを得ません。財政調整基金より区債残高が多かった時期や、公債費負担比率が10%前後にある時期であれば理解できるところもありますが、昨今の財政事情を鑑みると、10%という数字は大きいのではないでしょうか。

 そこで伺います。公債費負担比率がおおむね10%以内という数値を、中野区方式でいうところの5%、もしくは23区平均以下というような修正をすべきであると考えますが、区は公債費負担比率の割合についてどのように考えているのでしょうか。区の見解を伺います。

 区債残高が財政調整基金を下回ったことで、中野区は起債に頼る時代が終わりを迎えたのではないかと思います。これからは安定した財政運営を行う上で、特定目的基金の積み上げを軸にしていく考え方に移行していくことを強く要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。

 続きまして、コスト削減の観点から幾つか質問してまいります。

 超高齢社会を迎えるに当たり、今後、医療費の増加については避けて通ることのできない流れであると認識していかなくてはなりません。生活保護費の約4割は医療費であり、財政白書に示されている繰出金についても今後増加することが懸念されるところであります。

 医療費抑止のため、健康寿命の促進は区の重要政策の一つとなっておりますが、体の健康と心の健康の両面をサポートしていく施策を推進していく中で、ひとり暮らしの高齢者への行政サービスが行き届かないという課題が根強く残っている状況であります。これからもふえ続けていくひとり暮らしの高齢者へ、心身の健康づくりや介護予防を推進し、医療費の削減につながる取り組みを強化していくことが必要であると考えますが、なかなか有効な打開策が出ていないとも聞いております。

 そこで伺います。区は今後、介護予防への取り組みを掲げていく中で、具体的にどのような取り組みを行っていくのでしょうか。区の見解を伺います。

 10か年計画にも記載されていますが、ランニングコストの削減という観点から、施設の統合、集約を行い、区有施設の維持管理費を抑制させていくという方法もコスト削減の有効な手段と考えられます。実際、区立小・中学校の統廃合、東中野図書館と本町図書館を集約し、教育センターも含めた十中跡地への複合施設の建設計画、今定例会にて昭和区民活動センターと保育所を入れる計画を発表した旧環境リサイクルプラザの活用方法など、区有施設の統合や複合施設への変換などが数多く見られています。

 このような区政運営を行っていくことで懸念されるのが、近隣住民との合意形成の部分であります。さきの昭和区民活動センターの移転話も、それまで現地建てかえで話し合ってきたプロセスを一切無視した突然の移転話に、近隣住民は大変驚いている状況であります。平和の森への体育館移転のときと同様に、この2点をとってみても、住民との合意形成への気遣いが区は足りないのではと疑義を抱かざるを得ません。

 そこで伺います。今後も区の10か年計画の方針どおり、区有施設を統合、集約し、複合施設へ変換していく方向で区政運営を行っていくのでしょうか。またその際、区は住民との合意形成にきちんとした対応をとる努力をこれまで以上に行うべきではないのでしょうか。区の見解を伺います。

 今回の昭和区民活動センターの移転話の件では、区民から「今までの話し合いを無視した今回の提案はあり得ない。中野区は独裁国家なのか」「10か年計画に記載されていることがこんな簡単に覆っていいものなのか」という批判も出ております。施設の統合、集約は、今までの場所から離れてしまう区民が出てくることから、必ず利便性を損なう方々が出てまいります。古い区有施設を集約し、複合施設をふやしていくことは、今までよりも不便さを感じてしまう区民をふやしていくことであるということを強く意識して、近隣住民との合意形成に力を注いでいくことを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。

 続きまして、税収を上げていくための施策についてお尋ねいたします。

 コスト削減だけではなく、税収を上げていくことも、安定した財政運営を行っていくことで真剣に考えていかなくてはいけないところであります。大企業や大学の誘致、商業施設やイベント広場をつくり、にぎわいを創出させるなど、税収を上げていく方法は幾つかあるかと思いますが、その中で、働き盛りの子育て世帯を中野区へ呼び込むことも、担税力のある納税者の層を厚くすることにつながる施策であると考えます。

 現在、中野区では待機児童解消に向けて本腰を入れて取り組んでおりますが、都内では待機児童を解消している自治体には子育て世帯の家族が流入するという現象が起きており、待機児童の少ない自治体が子育て世帯の家族にとっての住みよいまちとなっております。中野区としても、まずは待機児童の解消、そして、子育て世帯の家族が中野区から離れることなく、長く住み続けたいと思える仕組みを構築することで、働き盛りの子育て世帯をふやしていくことができるのではないでしょうか。既に豊島区や新宿区、目黒区などで実施されているファミリー世帯への家賃助成制度なども一つの有効な手段であると思われますが、自分の子どもを地元の公立学校へ通わせたいと思わせるような公教育の質を上げていくことも、よき納税者を長く中野区へとどめていくために必要な重要施策であると考えます。

 そこで伺います。区は、公教育の質の向上が子育て世帯の家族を長く在住してもらうことにつながるという認識を持っているのでしょうか。区の見解を伺います。

 労働者人口の減少とこれからさらに進む超高齢社会において、財政状況はますます厳しくなっていくことが予測されます。その中で、健全な財政運営をどのように行っていくのか、限られた財政の中で、行政サービスの質を落とさないためにどのような工夫をしていくのか、さまざまな制限の中で選択肢も限られてくるところもあるかと思いますが、その中でも区民満足度を向上させるための努力を続けていくことを期待いたしまして、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、待機児童対策について伺います。

 区はこのたび、待機児童緊急対策本部を設置し、区長みずからが本部長に就任し、来年4月までに70人規模の小規模保育を7園、ゼロ歳から2歳までの児童を約420人受け入れるという態勢を整え、待機児童ゼロを目指していくという発表をいたしました。

 小規模保育所を急激にふやすことは、待機児童の大半が2歳までの児童のため、待機児童解消に大きな効果が出る一方で、3歳からの受け入れ先が足りなくなることが懸念される施策であります。2年後までに420人規模の新たな受け入れ先を用意しなくては、3歳児の保育難民が中野区内にあふれてしまうという大きなリスクをのみ込まなくてはなりません。このような課題を認識した上で、背水の陣の覚悟で待機児童解消に向けて取り組む姿勢は、都民ファーストの会中野区議団として、トップの判断によりこれほどまでの事業ができるのだということを驚きとともに実感し、区長のリーダーシップに期待をしているところであります。

 ただ、やはり大きなリスクがあることが前提となっている今回の計画において気になる点があるので、幾つか確認してまいります。

 通常、保育園開園に向けての準備期間はおおむね1年から1年半かかると言われております。園長をはじめとする保育士の確保、近隣住民への説明会、建物の設計・建築や、都から認可を取るためのさまざまな事務手続など、保育所開園に向けての準備は多方面にわたり、膨大な作業が必要となります。待機児童緊急対策本部の設置期間は10月いっぱいまでの3カ月間となっていますが、区有地などへの保育所整備や開園までのさまざまな手続が4月の開園に終わるとは思われないタイムスケジュールとなっております。保育士が不足しているために開園できませんといった事態にならないように、しっかりと保育事業者を監視していく体制が必要なのではないでしょうか。

 そこで伺います。区が今回立てた事業計画を確実に実現させていくためにも、少なくても年度内までは緊急対策に係る保育所の着実な開園に向けて体制を維持すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。区の見解を伺います。

 保育所の新規開設を手がける保育事業者からは、保育所整備の大きな壁は、整備用地の周りに住んでいる近隣住民の対応と保育士の確保であると聞いています。待機児童緊急対策として、ゼロ歳から2歳児までの2年限定の保育所整備を進めていきますと、この場合、31年度には2歳児の接続を、32年度には全ての園児の受け入れを行える新規保育園の整備が必要となります。このように継続して保育所整備を行っていく必要があることから、今後さまざまな保育事業者に協力を求める必要があると思われます。ここ最近では、保育事業者側から行政側に対して、自治体の力強いバックアップを求める声が大きくなっています。

 ある保育事業者は、近隣住民の反対運動があるところでは、事業者側がどんなに保育所開設の必要性を説明会で訴えても、開園後のトラブルを懸念して、行政側が諦めるケースがふえてきているので、もっと毅然とした対応をしてもらいたいと話しておりました。このような事業者からの要望に真摯に応えていかなくては、土地の少ない中野区では保育所をふやしていくのは難しいのではないでしょうか。

 また、事業者からの持ち込み物件に関しては、基本的に区が関与する話ではないのですが、保育所開園の手続は全て区が整備していると誤解している住民も多くいると聞いております。このような誤解を解いていくことも、保育所をふやしていくために必要な作業であると思います。

 そこで伺います。今後、事業者が保育所整備を円滑に進めることができるように、今回の緊急対策の実施を踏まえ、区は何が何でも保育所をふやし、待機児童を減らしていくという意思表示を明確に示し、区長から待機児童ゼロを目指す宣言などを行うべきではないでしょうか。また、全ての物件に区が関与することが望ましいとは考えていませんが、ケースによって、保育所整備の必要性などについて区が説明に入るなど、臨機応変な対応が必要なのではないでしょうか。区の見解を伺います。

 保育所開園に当たり、もう一つ懸念点になっているのが保育士の人材確保であります。

 中野区は、今年度当初予算により、保育所整備に係る補助について、賃貸物件、建設型物件の施設整備費の上限を大幅に上げ、23区の中で一、二を争う保育所を開設しやすい区となりました。待機児童解消を本気で考えているのであれば、あわせて保育士確保に係る支援についても、事業者目線で23区の中でもトップクラスの補助を与え、保育事業者に大きなインパクトを与え、保育所の誘致の促進を図るべきではないでしょうか。

 具体的な取り組み策の一つとして、保育士等の宿舎借り上げ経費の補助が挙げられます。現在中野区では、宿舎借り上げ経費の補助対象が保育士のみとなっており、職員として採用された日から起算して5年を経過していないことを条件としております。近隣区である新宿区、杉並区、練馬区、渋谷区、豊島区に確認したところ、保育士の採用年数の制限はなく、対象者も保育士はもちろんのこと、栄養士、看護師、保育補助、施設長と、児童に接する全ての職員を対象にしております。今のままでは、中野区に保育士を呼び寄せるどころか、勤続6年目を迎えるベテラン保育士が他区へ流出することにもなりかねません。また、就職説明会の現場でも、中野区が他区より条件の悪い補助制度のままだと、中野区内の保育施設で働きたいという意欲を失わせる要因にもなりかねません。近隣区では都の補助対象の範囲まで制度を拡大しているだけなので、中野区もその気になれば、すぐにでも他区と横並びの条件に持っていくことができるのではないでしょうか。

 そこで伺います。区は、宿舎借り上げ経費の補助対象の範囲を早急に都の補助制度内の範囲に広げ、採用年数の撤廃と、看護師、調理師、栄養士まで補助対象を拡大すべきと考えますが、いかがでしょうか。さらに、都の制度の対象外となりますが、23区の中でもトップクラスの補助制度を確立しているというインパクトを出すためにも、他自治体でも例の少ない、事務職員や用務員まで対象を広げることも検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。区の見解を伺います。

 都内の自治体では、待機児童解消の取り組みは新たなまちづくりにつながると考え、保育所をふやし続けているところもあります。保育所をふやし、子育て世帯の家族を中野区に呼び寄せ、未来を担う子どもたちをふやす。そして、これから新たにつくる保育所で育った子どもたちが大人になり、結婚して生まれた自身の子どもを、自分が通った保育所にまた通わせてあげたいと思えるような、長く住み続けたいと思われるまちづくりをコンセプトとして、子育て世帯に喜ばれるような質の高い保育所運営や教育環境を整えることを強く要望いたしまして、私の全ての一般質問を終了いたします。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 渡辺議員の御質問にお答えをいたします。

 28年度決算状況について。起債残高についての御質問です。今後5年間、公債費について新たな起債を行わなかった場合、29年度には45億5,000万円余、それから、30年度には38億3,000万円余、31年度には30億800万円余、32年度には17億3,000万円余、そして、事業がふえますことから33年度には26億8,000万円余となると予測しております。起債についてですけれども、御議論では、財政状況が一定改善をしてきた現在にあっては、公債費負担比率を現在の考え方、10%程度というところをもっと少なく設定するべきではないかということであります。公債費は後年度の負担ということでもあります。また、人口減少やさまざまな財政需要がふえていくということから、公債費負担というものをできるだけ将来に向かって軽減させていくべきだと、こういう御議論は大変意義の深いものだというふうに私も認識しているところです。

 そうではあるのですが、現状のところではまだやらなければいけない事業、それから、これまで積み上げることのできた基金の額、それから一般財源、そういったようなものの関係の中では、やはり一定、現在規律として守っている程度の公債費負担比率というものはまだ維持をしていかなければいけないのかなと、こんなふうに考えているところであります。

 起債というものは、公共施設等幅広い世代に利用されるもので世代間の負担の公平を図る、それから、一時的に多額の費用を必要とするまちづくりなどについて財政負担の平準化を図るために活用するというような考え方でありまして、財政の状況次第という面はあることは確かですけれども、やはりこれは必要な取り組みであるというようなことだと考えております。

 新区役所整備にかかわる財源についてであります。新区役所整備の財源としては、区役所・サンプラザの敷地を最大限活用することによって生み出すこととしております。しかしながら、その財源の収入時期が建設時期と多少ずれがあること、このことから、収入時期に応じて一時的に起債や基金を活用して対応することが必要になると、こう考えております。起債による利子負担、これは可能な限り少ないということが望ましいのでありまして、そこのところをどう工夫するかということで、基金による対応が重要になってくると、こう思っております。そのため、財政調整基金について施設改修相当分の積み立て、これを当分の間大きくしていくということで備えていくということが一つ考えられるかなというふうにも思っているところであります。

 先ほどの公債費負担比率にかかわる指標ということであります。一般財源にかかわる公債費の割合を軽減していくこと、このことは本当に望ましいことでありまして、将来、基金の積立額が今よりももっともっと大幅にふえてきたというようなことが起きるようなことがあれば、起債に頼らない無借金経営というようなことも視野に入ってくる時代もいつかはあるかもわからないと思いますが、現状では、やはり先ほど申し上げたように、現役世代の負担である一般財源と、それから、過去の積み立てによる基金と、それから、将来世代にお願いをする起債と、これらのバランスのある投資ということが大事になってくるかと考えております。現状、さまざまな要素を勘案して、10%程度ということを現在は適切であると、このような判断をしているところであります。

 それから、介護予防の取り組み強化による医療費削減について。区では健康づくりやデータヘルスの取り組みで、高齢化を迎える前から糖尿病性腎症重症化予防等の生活習慣病対策を進めることで、医療費や介護費用の抑制を図っていく考えであります。さらに、高齢者会館を地域の介護予防拠点として、ミニデイサービス等の介護予防事業の取り組みを充実させ、健康寿命の延伸を目指しており、これを地域包括ケアシステム推進プランの達成指標としているところであります。さまざまな取り組み、これからも工夫をしながら、介護予防の取り組みを実のあるものにさらに強化していきたいと、こう考えております。

 私からは以上です。

〔政策室長髙橋信一登壇〕

○政策室長(髙橋信一) 私からは、コスト削減における施設の複合化と区民の情報提供、また、税収を上げていくための施策について、子育て世帯の中野区への呼び込み策についてお答えいたします。

 初めに、施設の複合化と区民との情報共有についてでございます。平成29年3月に中野区公共施設総合管理計画、建物編でございますが、これを策定し、財政負担の軽減、標準化を図るという視点のみでなく、施設の複合化・集約化によるサービスのワンストップ化や、民間活力の活用による施設サービスの質・量の向上、ユニバーサルデザインへの対応、利便性の高い施設配置の実現などにより、区民サービスの向上を図るという視点を取り入れてございます。こうした視点を踏まえまして、その時々の区民ニーズに的確に対応することとしてございます。区民に対しては、今後も引き続き意見交換会やパブリック・コメント手続などのさまざまな形で、情報の共有と意見の反映を進めていきたいと考えてございます。

 また、個々の施策の具体的な整備におきましては、その検討を進める中で、整備の目的、内容などを地域の人々や利用者などに対して情報提供を適切に行うなど、整備に理解を求めようと考えてございます。

 次に、子育て世帯の中野区への呼び込み策についてでございます。子育て世帯が中野区を選び、また、長く住み続けられるためには、妊娠・出産・育児と切れ目のない子育て支援、多様で質の高い幼児教育・保育の提供、学校教育ではグローバル社会の進展を見据えた確かな学力の育成やコミュニケーション能力の向上、また、ファミリー世帯が安心して居住できる住宅の誘導などが必要であると考えてございます。こうした環境づくりを今後も多角的に進め、子育て世帯が安心して暮らせる施策の充実を図っていきたいと考えております。

〔子ども教育部長横山俊登壇〕

○子ども教育部長(横山俊) 私からは待機児童対策についてお答えいたします。

 初めに、緊急対策本部の設置期間についてでございます。緊急対策本部は、平成30年4月1日における待機児童解消に向けまして、緊急対策を着実に実行することを目的として設置したものでございます。緊急対策が着実に実行できるよう今後の進捗状況を見きわめ、どのような体制が必要か検討していく考えでございます。

 次に、待機児童ゼロ宣言についてでございます。待機児童対策につきましては、記者会見をはじめ対話集会など直接区民と接するさまざまな機会を通じまして、その取り組みについて説明してきているところでございます。今回の緊急対策につきましても、これまでの待機児童対策の一環として取り組むものであり、今後ホームページ等を通じまして、区有施設等の利用について地域の方々に協力をお願いするほか、保育の利用者などにも十分なお知らせを行っていく考えでございます。

 民間の新規保育所整備に対しましては、施設整備費や保育士確保などさまざまな面での支援を行っておりますが、今後より円滑に保育所整備が進められるよう、効果的なあり方について検討していく考えでございます。

 次に、民間の保育施設整備に際しての区の臨機応変な対応についてでございます。民設民営の保育施設の整備に関しましては、その整備や進め方につきまして、事業者みずからが近隣説明等を行うべきものと認識しております。一方で、民間保育事業者に対しましては、地域との良好な関係づくりを要請してきているところでございまして、これが円滑に進むよう必要に応じて区として支援をしているところでございます。

 最後に、保育士確保に係る支援についてでございます。保育士確保のための支援は、新規保育所整備とともに、既設保育所の安定的な運営を行っていく上でも重要であると認識しております。宿舎借り上げ経費に係る補助対象の拡大に関しましても、新規保育所の整備や既存保育所の運営に寄与するかといった観点から検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○副議長(南かつひこ) 以上で渡辺たけし議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 篠   国 昭

 1 待機児童問題について

 2 物件費に於ける議会の関与について

  (1)委託料について

  (2)労働環境モニタリングについて

  (3)その他

 3 教育問題について

  (1)中野区教育ビジョンについて

  (2)学力・体力の動向について

  (3)小中連携について

  (4)その他

 4 鷺宮西住宅一帯の整備について

 5 その他

 

○副議長(南かつひこ) 次に、篠国昭議員。

〔篠国昭議員登壇〕

○36番(篠国昭) 第3回定例会に当たり、自由民主党議員団の立場で質問させていただきます。質問は、1番目に待機児童問題について、2番目に物件費に於ける議会の関与について、内容としては、委託料について、労働環境モニタリングについて、3番目に教育問題について、中野区教育ビジョンについて、二つ目に学力・体力の動向について、三つ目に小中連携について、その他で発達障害児の早い段階での把握についてをお伺いします。大きな4番目で、鷺宮西住宅一帯の整備についてお伺いします。そして、最後のその他で、発災時における避難所支援についてお伺いいたします。

 それでは、質問に入ります。

 まず、待機児問題について。

 今年度の待機児童数については、先般報告があったとおり、375人と昨年度に比べて約120人程度の増加となっており、待機児童の解消に向けた取り組みが急務となっています。今年度は当初予算編成時において約1,300人の保育定員の拡大に向けた目標を設定しながら進めていたようですが、現状においてはなかなかはかばかしくない状況から、今回の緊急対策本部が設置されたものと理解しています。

 そこで、まずは昨年度の整備状況について伺います。昨年度の認可保育所及び小規模保育事業所の予算上の整備目標とその実績はどのような状況になっていたのでしょうか、お伺いします。

 次に、二つ目に認定こども園についてお尋ねします。先日、(仮称)中央部認定こども園の新規整備について報告がありました。幼稚園としてのニーズと保育園のニーズの両方に応えることのできる認定こども園は、幼児教育・保育の一元化を目指す上でも大変望ましいものであると考えております。待機児童を解消する上においても有効な施策ということについて、今後も整備を促進すべきと考えますが、いかがお考えであるか伺います。

 次に、小学校1年生になった児童が教員の話を聞かなかったり、授業中勝手に歩き回るなど、学校生活に適応できないために起こす問題行動、いわゆる小1プロブレムの問題が日本においては顕在化していると言われています。この要因としては、家庭におけるしつけや学校における指導の問題だけにとどまらず、保育園や幼稚園における就学前教育をいかに充実させていくかが鍵になると考えます。

 ニュージーランドでは、子育て施設には幼稚園や保育園など日本と同様な種類の施設がありますが、子育てに関するカリキュラムについては国が全て一元管理し、小学校までに必要とされる教育を保育所においても行っているということです。こうした中、日本においては、これまで待機児童対策として、保育所の量の議論が重視されてきていますが、その一方で、小学校へ入学を見据えた質のよい教育を受けることは極めて重要であると考えます。

 待機児童解消に向けた保育所の整備が進む中、今後は保育園における教育の質を高めることが重要であると考えますが、どのような見解をお持ちなのか、お伺いします。

 次に、ゼロ歳児を抱える母親にとって、家庭的な環境で育てることは非常に重要であると思っております。江戸川区では、こうしたゼロ歳児という一番大切な時期を家庭で保育に専念しながら育てる保護者に対し、あるいは保育ママ制度のもとで育てる保護者に対して、経済的な支援を目的とした乳児養育手当を支給しております。

 この江戸川区における乳児養育手当というのは、理念、趣旨としては、赤ちゃんにとって一番大切な時期に保育に専念してもらう。家庭的環境で育てることが大切である。江戸川区では月額1万3,000円の乳児養育手当とともに、保育ママ制度をセットして導入しています。平成28年度の事業実績は6万8,613件、金額にして8億9,196万9,000円でした。なお、江戸川区では、公立保育園ではゼロ歳児の保育は行っていません。

 中野区においても、こうした家庭的な環境で子どもを育てるといった趣旨の子育て支援事業を行っているのか、お伺いします。

 5番目に、江戸川区では家庭的な環境の中で愛情深く保育を行う保育ママ制度があります。この保育ママになるためには、区による研修を受講し、保育ママとして認定が可能かどうかの判断を行っていると聞いています。

 江戸川区での保育ママ制度について少し説明しますと、スタートの理念は、保育養育手当と方向を同じく、家庭的環境で育てることが大切。また、ゼロ歳児保育はどの区でも1人毎月40数万円かかるという現実、これもしっかり見据えています。そして、25歳以上65歳までの女性、定年延長あり、6畳以上の保育室を用意できる家庭。57日目以降1歳の年度の3月31日まで。都区財政調整制度に反映と、こういった内容です。

 一方、中野区においては、家庭的保育事業として11施設がありますが、家庭保育者となるためには、区市町村が行う研修を受講する必要があるということです。こうした家庭的保育事業者に向けた研修の内容はどのようなものなのでしょうか。また、江戸川区では保育士でない方もいるということです。この江戸川区における保育ママの研修と比較して、中野区の研修は厳しい内容となっているのか、お伺いします。

 次に、物件費に於ける議会の関与について。

 まず、委託料についてお伺いします。

 過去5年間の物件費の推移を見ると、平成24年度の131億円に対し、平成28年度は161億円と約23%増加しています。その内訳としては、委託料が大きく増加しており、額にして32億円、実に約39%の増加となっています。増加の主たる要因としては、施設の指定管理業務の増、施設の運営委託の増であり、平成28年度決算においても、南中野の障害児通所施設ゆめなりあの指定管理業務や学童クラブ等の運営委託の増が主なものとなっています。

 区では平成19年度から職員2,000人体制に向けた行財政改革の取り組みを進めてきており、この5年間だけでも約15億円の削減となっていることは、将来の財政負担も考慮すると高く評価できるところであります。また、その一方で、人件費の一部は委託料に振りかわっているという面も見逃すことはできません。すなわち、職員定数の削減と民間活力の活用を同時に進めることで、これまで職員が直接担っていた施設の管理運営やサービス提供などの業務について、民間の指定管理業者に委ねる形へと施設の管理運営体制の転換が図られてきました。

 区は10か年計画の中で、民間事業者に委託可能なものは積極的に民間開放を推進するとともに、民営化した公共サービスの質の確保や安定供給の仕組みを整えることにしていますが、指定管理による運営の状況については外部からはなかなか見えにくいものです。

 職員2,000人体制を掲げ、民間活力の活用を推進してきたことで得られた成果と、その一方での課題を踏まえながら、指定管理者による施設運営について、区や議会がしっかりとチェックできるようにしていく取り組みが求められていると思いますが、区の見解をお伺いします。

 二つ目に、労働環境モニタリングについてお伺いします。

 指定管理者の選定に当たっては、労働法令を遵守することなどが募集要項に明記されているとのことですが、事業者によってはコスト削減を意識する余り、適正な労働条件が確保されず、結果として区民サービスの質が低下してしまうことが懸念されます。このようなことを未然に防止するために、指定管理者制度を導入した施設においては、社会保険労務士による労働環境モニタリングを実施し、適正な労働環境の確保、区民サービスのさらなる向上を図るべきではないかと2年越しでお尋ねさせていただいております。

 これに対して区では、職員が現場確認や事業報告書の審査などを行い、業務の適正な履行を確保しているということでしたが、指定管理施設で働く職員一人ひとりの労働環境を把握するためには専門的な知見も必要となります。

 昨年9月に、国は内閣官房に働き方改革実現推進室を設置し、働き方改革を政策の柱と位置付け、長時間労働や非正規雇用といった課題の解決に本腰を入れて取り組んできています。中野区においてもこうした流れにおくれることなく、働き方改革という視点に立って、指定管理施設における労働環境モニタリングを実施すべきではないでしょうか。改めて見解を伺います。

 三つ目に、中野区における働き方改革の取り組みについてお伺いします。

 昨年9月から、国においては長時間労働等の働き方改革に取り組んでいるところですが、中野区職員に対する長時間労働等の働き方改革についてはどのように取り組んでいるのでしょうか、お尋ねして、この項の質問を終わります。

 教育問題について。

 最初に、中野区教育ビジョンについてお伺いします。

 中野区教育ビジョンはこの5月に改定され、教育ビジョン(第3次)が策定されました。教育ビジョンは、子どもたちを取り巻く教育環境に的確に対応し、区の目指す教育の姿を実現するため、今後10年間の取り組みの方向性を示す大事な計画でありますので、改めてその内容について確認をしておきたいと思います。

 3月には中野区教育大綱が策定されましたが、まず、今回の教育ビジョン策定に当たっての法改正をはじめとした背景の変化などについてお伺いします。

 この教育ビジョン(第3次)は、これまで第2次の教育ビジョンの時代に中野区と中野区教育委員会が取り組んできたさまざまな施策や、地域・学校の努力により培ってきた土壌の上に策定されているものだと理解していますが、教育ビジョン(第3次)における新たな変更点、重点が置かれた内容がどのようなものとなっているのかお聞かせください。

 最後に、教育ビジョン(第3次)の策定に当たり、中野区教育委員会として教育理念の実現のために今後どのように取り組んでいく考えなのか、教育長の意気込みを含めた御見解をお伺いします。

 次に、教育問題の二つ目で、学力・体力の動向についてお伺いします。

 教育ビジョンに掲げられた目標を達成するために、学力の向上は重要であります。学力については、都が小学校5年生、中学校2年生、国が小学校6年生、中学校3年生に学力調査を実施しています。さらに中野区では、区独自に小学校2年生から中学校3年生まで学力調査を実施し、その結果を踏まえて、学力向上の取り組みを推進していると伺っています。学力調査の結果全てが子どもたちの状況を示しているわけではなく、学力の一側面を調査していることではありますが、これらの大規模な調査結果につきましては、真摯に受けとめ、活用していくことが重要であると考えております。

 そこで、国や都の調査も含めた平成28年度の中野区の学力全般の状況について伺います。調査結果の中でも特に注目しておりますのが、中学1年生から中学3年生の結果でございます。中学校での学習が充実すれば、学力調査の結果は向上するし、そうなることが望ましいと考えているところです。しかし、学年が上がるにつれて下がってしまうことは問題であると考えております。

 中学校1年生から中学3年までの状況はどうなっており、どのように分析しているのでしょうか。また、どのように対応しているのか、お伺いします。

 次に、体力の状況について伺います。学力同様、新体力調査を国や都、区で実施していると伺っています。体力向上につきましては、東京オリンピック・パラリンピック大会に向け、気運も高まっており、しっかりと取り組んでいるように感じているところでございます。

 そこで、教育委員会として体力向上における施策はどのようなことがあるのでしょうか、お伺いします。また、体力調査の結果をどのように分析し、どのように対応していくかについてもお伺いします。

 学力調査や体力調査は結果だけで一喜一憂するものではなく、今後の方策が重要であると考えています。教育委員会や学校の取り組みに期待したいと思っております。

 次に、小中連携についてお伺いします。

 中野区は、小中一貫教育ではなく、中野区の地域性や学校再編を踏まえ、小中連携教育に重点的に取り組んで、今年度で5年目を迎えています。学校現場や保護者からは中学校へ期待感が出てきているなど、成果が上がっていると聞いているところです。

 そこで、現在の小中連携教育の取り組み状況について伺います。また、その成果はどのようなところにあらわれているのでしょうか。

 中学校に入学する生徒にとって、新たな教科の英語に対しては、誰もが期待と希望を胸に抱いていると感じています。しかし、新聞報道によると、英語が好きと感じている生徒の割合は、中学2年生で半数となっている状況でした。これはとても残念なことであると考えております。子どもたちにはぜひ英語やコミュニケーションの楽しさを味わい、学んでいってほしいと願っているところです。

 そのために、小中連携教育を活用することが大切であると考えております。英語教育の視点で、小中連携教育の取り組みをお伺いします。

 その他で、英語教育について。

 次期学習指導要領が示され、平成32年度からは小学校が、平成33年度からは中学校が新しい学習方針で取り組んでいくことになります。その中で、英語教育の充実が取り上げられているところです。具体的には、現在行われている小学校5・6年生の外国語活動が英語という教科になり、小学校3・4年生に外国語活動が導入されます。グローバル化する社会において、コミュニケーション力や英語の能力は重要であると考えております。

 学習指導要領の本格導入を踏まえて、現在の小学校の英語にかかわる取り組み状況について伺います。

 また、このような取り組みを進めていくに当たっては、小学校の全ての教員が英語についての指導力向上が求められるわけですが、教育委員会としてどのように対応していくのか、お伺いします。

 次に、いじめ問題についてお伺いします。

 いじめについては、社会的な問題として大きく取り上げられており、いじめ問題解決は急務であると捉えられております。しかしながら、いじめはどこでも、誰にでも起こりうるという捉え方を踏まえると、いじめが起きない人間関係を構築することは重要でありますが、いじめ発生件数をもって論ずるのではなく、いじめについて子どもたちが向き合い、解決することが重要であると考えております。

 そこで伺います。教育委員会や学校では、いじめが発生した場合どのように解決していくのでしょうか。

 いじめについては、社会が断片的な情報で評価するのではなく、子どもたちの気持ちを酌み取りながら、解決に向けた方策を支援していくことが大切であると考えます。子どもたち一人ひとりが豊かな人間性と社会性を培うよう取り組むべきであると思うわけであります。

 この項の質問はこれで終わります。

 障害児の早い段階での把握についてお伺いします。

 発達障害のある子どもが増加していると言われています。文部科学省が平成24年度に行った調査において、発達障害のある可能性のある児童・生徒の在籍率は6.5%だということです。

 発達障害には、対人関係を築くのが不得意な自閉症スペクトラム障害、衝動的に行動しがちな注意欠陥・多動性障害、読み書きや計算といった特定の分野が苦手な学習障害などがあり、いずれも脳の機能障害が原因とされています。発達障害のある子は周囲から理解されず、不登校やいじめになるケースがあると聞いています。

 そうした状況に至らないためにも、発達障害を早い段階で見きわめる必要があります。そして、見きわめる機会として、就学時健康診断が有効です。この就学時健康診断は、就学する子全員が受診するため、障害の有無について確認するよい機会だと考えます。

 現在、区は就学時健康診断で発達障害の有無の確認は行っているのでしょうか。また、それ以外に、入学する児童の発達障害をどのように把握しているのでしょうか。

 平成28年から区は小・中学校に特別支援教室を設置し、発達障害の児童に対する支援を行っています。この教室を機能させるためにも、きちっとした発達障害の見きわめが必要となります。発達障害が理解されず、困っている子がなくなるように、さらなる取り組みを進めていただきたいと思います。

 次に、鷺宮西住宅一帯の整備についてお伺いします。

 中野地区防災計画によると、広域避難場所である公社鷺宮西住宅一帯には、上鷺一丁目、三丁目、鷺宮一、二、三、四丁目、白鷺二、三丁目、下井草二丁目の9町丁が割り当てられており、その範囲は駅周辺から区境まで(公社鷺宮西住宅約3万4,000平米に加えて、鷺宮体育館から西中野小学校を含む)まで、区域面積は約7万5,000平米、そのオープンスペースに災害時に九つの町丁から約2万5,000人が避難するという計画がされています。しかし、広域避難場所の周辺は4メートル未満の道路に囲まれており、家屋の倒壊などでたどり着けないことも想定されます。

 私は、これだけ広範囲の場所から避難者が集まってくることを考えると、地域全体の問題として捉え、新たにできる駅前広場などと鷺宮西住宅一帯の整備を一体に進めていく必要があると思います。連続立体交差事業を契機として、踏切渋滞解消などのさまざまな課題を解決し、新たにできる駅前広場に連続させた鷺宮西住宅一帯の整備を進めるためには、住民の理解と協力を得て、駅前広場や接続道路を拡幅、整備していくことが必要です。

 現在、西武新宿線南側で事業が進められている都市計画道路補助133号線整備事業については、用地買収に時間を要していると聞いています。用地買収に係る住民の方には、まちづくりの必要性を理解していただき、用地取得に協力していただかなければいけません。中野区は連続立体交差事業を契機として、まちの課題を解決し、駅前広場に連続した鷺宮西住宅一帯の整備を進めていくためには、この地域を巻き込み、東京都や東京都住宅供給公社と連携し、整備していくことが必要です。

 このような中で、今後の鷺宮西住宅一帯を含む駅周辺のまちづくりをどのように進めていくのか、お伺いします。

 最後に、その他で、発災時における避難支援についてお伺いします。

 現在、区は、平成25年の災害対策基本法の改正に伴い、災害時避難行動要支援者名簿を区内の災害対策地域本部に配備しているところでありますが、それに先駆けて非常災害時救援希望者登録制度があり、災害支援に対する区の姿勢は評価できるものがあります。しかしながら、現在配備されている災害時避難行動要支援者名簿は、あくまでも発災時のみに避難支援に使われているものです。

 効果的な避難支援のためには、日ごろから町会・自治会や地域防災組織が支援の方々の情報を把握していく必要があると考えますが、このことについて区の見解を求めます。

 また、既に計画書作成対象者総数約3万人のうち、調査終了者は2万4,000人ほどと聞いています。そのうち1万2,000人の方が計画書を作成し、今年度においても約6,500人の新規対象者に対し郵送調査を予定しているとのことです。

 これまでの郵送調査においては、約半数が未返信であり、これについては職員による調査となっておりますが、新規対象者の調査と計画書の作成が終了するのは平成30年3月とのことです。これらの新規対象者について、区や町会・自治会や地域防災組織との具体的な連携について、今後の対応の方法をつくり上げていくべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。

 また、既に作成した計画書については、情報が古くなっていることになりますが、これについても対応を検討すべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。

 以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 篠議員の御質問にお答えをいたします。

 初めに、待機児童問題について。昨年度の整備目標と実績はいかがなものであるかという御質問でありました。認証保育所につきましては、当初及び補正を合わせ、予算上の整備目標は970名であったところ、実績については4施設251名にとどまりました。小規模保育事業所におきましては、補正予算上の整備目標は5施設95名のところ、実績は1施設19名となったものです。

 認定こども園の整備についてであります。(仮称)中央部認定こども園を平成31年4月に開設するとともに、今後、区立幼稚園2園を民設民営の認定こども園へ転換する予定であります。認定こども園は、幼稚園と保育所の機能や特徴をあわせ持ち、さまざまなライフスタイルの家庭が利用できるものであり、今後、転換意向のある幼稚園等については、転換に当たっての支援を行ってまいりたいと考えております。

 次に、保育園における教育の向上についての御質問であります。公立・私立の保育所運営の基本を定めた保育所保育指針、厚生労働省の定めるものであります。この保育所保育指針は、その幼児教育にかかわる内容については、幼稚園教育要領とほぼ同じものと理解をしております。この指針を基本とした上で、各園が独自の工夫を凝らしながら幼児教育に取り組んでいるところであります。中野区におきましては、保育園、幼稚園、小学校との連絡協議会を通じて、保育士や教職員が保育や教育のあり方について意見交換を行うほか、合同研修や交流会を開催するなど、質の向上に取り組んでまいりました。現在、子ども・子育て会議の審議なども踏まえ、小学校への接続を見据えた保育・教育のあり方など、就学前教育の充実に向けた検討を行っているところであります。

 家庭的な環境での子育てへの支援事業についてであります。在宅で子どもを育てる家庭が安心して子育てを行うための事業としては、子育てひろば等の居場所の確保、身近な場所での子育て相談、保育園を活用した一時預かり等の各種サービスを展開しているところであります。

 家庭的保育事業者に対する研修についてであります。家庭的保育者は、厚生労働省の基準により、区市町村が行う研修を修了した保育士、または保育士と同等以上の知識、経験を有すると区市町村長が認める者として定められております。中野区におきましても江戸川区と同様、厚生労働省の定める内容に沿いながら研修を実施しているところであります。この研修のカリキュラムとしては、家庭的保育に必要とされる基礎的な保育に関する知識習得や衛生管理、また、児童の安全確保や保護者対応、さらに、保育所における実習などが盛り込まれているものであります。

 次に、物件費に於ける議会の関与について。委託料についての御質問からであります。指定管理者による施設運営についてのチェックに関連して、よりよいサービスの提供を目指して、民間事業者のノウハウを活用した指定管理者制度を導入し、多様化するニーズに対してより効果的・効率的なサービス提供を進めてきているところであります。区としては、このサービスの質を確保するため、指定管理者制度ガイドラインを設け、これに基づき運営状況の確認や改善の指示などを行うとともに、個々の施策の実施状況について、行政評価の中で議会や区民の皆様にお示しをしてきたところでありますが、今後、さらなるこうした取り組みの充実を図っていきたいと考えております。

 労働環境モニタリングの実施についてであります。指定管理業務における職員の労働環境の把握をさらに徹底するため、専門家の知見を生かした労働環境モニタリングは有効な手法の一つであると考えております。働き方改革が提唱される中、公の施設を設置している区としても、労働環境改善の取り組みと事業の安定的運営やサービス向上の両立を図る必要性がますます重要になってきていると認識をしております。労働環境モニタリングの具体的な実施方法について検討してまいります。

 その他に関連して、区職員に対する長時間労働等の対応についてであります。区では、超過勤務の縮減及び年次有給休暇の取得促進に努める旨の周知を適宜行うとともに、月45時間を超える超過勤務があった場合には、当該所属の部長及び統括管理者へ通知し、注意喚起及び職場環境の改善を指示する等の対応を行っております。また、月45時間を超える超過勤務が3カ月以上継続している場合、当該所属の統括管理者に状況の把握を行うとともに、当該所属の部長及び統括管理者に職場環境の改善策を提出させるなど、長時間労働の解消に努めているところであります。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 教育問題につきまして、初めに、教育ビジョン(第3次)策定に係る背景変化についての御質問です。教育ビジョン(第3次)の策定に係る法改正等の背景変化といたしましては、平成26年6月の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正が挙げられます。改正のポイントは、より一層民意を反映した教育行政を推進するために、新教育長の設置、総合教育会議の設置、教育に関する大綱を首長が策定することが盛り込まれたことなどがございます。このことに伴いまして、中野区でも総合教育会議が開催され、本年3月に中野区教育大綱が策定されたところでございます。今回の教育ビジョン(第3次)はこの中野区教育大綱を踏まえて策定したものとなってございます。

 続きまして、教育ビジョン(第2次)から(第3次)への変更点、重点などです。教育ビジョン(第3次)では、これまでの教育理念を継承するとともに、新たに教育理念を実現するための視点として、1、知・徳・体のバランスのとれた教育、2、みずから考え、学び、行動する人材を育成する教育、3、一人ひとりを大切にする教育、4、幼児期からの連続した教育、5、家庭・地域・学校の連携による教育の五つの視点を設定いたしました。また、グローバル化や情報化などの社会状況の変化を踏まえつつ、中野区教育大綱とも整合をとり、目指す人間像を示しました。取り組みの方向性につきましては、就学前の教育の充実、保幼小中連携教育の推進、また、オリンピック・パラリンピック大会の開催を契機とした国際理解教育の推進、体力向上などを掲げてございます。

 続きまして、教育理念実現のための今後の取り組みで、教育長の意気込みもという御質問でした。新たな学習指導要領の本格実施やオリンピック・パラリンピック東京大会を控え、時代が大きく変化していく時期であると考えています。グローバル化が進む社会に必要な資質・能力の育成に視点を当て、みずから学び、考え、行動する人材、日本の歴史や伝統・文化を重んじ、日本人としての誇りを持つ知・徳・体のバランスのとれた人材を育成していきたいと考えています。そして、みずからの未来を切り開くとともに、日本や中野のまちの発展に寄与してほしいと願っております。

 続きまして、学力・体力の動向について。初めに、平成28年度国・都・区の学力調査の結果についてです。中野区の子どもたちの学力については、国や都・区の調査結果全てにおいて、平成28年度は前年度と比較して向上しており、ここ数年上昇傾向にあると認識してございます。また、国や都と比較すると、平均正答率については国の正答率を全ての項目で上回っており、都の正答率については同等か上回っている状況であり、子どもたちの学習の定着状況はおおむね良好であると考えてございます。

 続きまして、中学校における学習状況とその分析、対応です。平成28年度は区の学力調査の結果から、中学校1年生から3年生へと学年が上がるに従い、教育目標値に達した項目が教科ごとに増加したり減少したりと、学習状況に差がある状況になってございましたが、平成29年度は学年が上がるに従い達成状況は向上したと見込んでおります。これまで各中学校において少人数指導やチームティーチングなど、生徒の学習状況に応じたきめ細やかな指導を展開するとともに、放課後学習教室により生徒に学習習慣を身につけさせるなどの取り組みを積み重ねてきたところであり、今後も継続的に取り組んでいくこととしております。

 続きまして、教育委員会における体力向上施策についてです。体力調査の結果を踏まえ、学年ごとに設定した目標値である中野スタンダードを達成するために、体幹を鍛える運動など授業改善の視点を示した体力向上プログラムを各学校ごとに設定し、日々の授業を充実させてございます。そのほか、幼児期から低学年児童の体幹を鍛えることを目指した元気アップトレーニングや、体力向上をテーマとした学校教育向上授業、オリンピック・パラリンピック教育における研究指定校の実践研究などの取り組みを行っているところでございます。

 体力調査の結果の分析、その対応です。前年度の体力調査の結果については、敏捷性や持久力については向上傾向にある一方、投力及び握力については課題であるという結果が見られました。効果があると思われる遊びを通じた取り組みや、肩を使う動きを取り入れた運動などが有効であると考え、運動遊びプログラムに反映し、区内全小・中学校への活用を図ってきたところでございます。

 続いて、小中連携教育についてです。初めに、小中連携教育の取り組み状況と成果です。平成25年度から計画的に進めてきました小中連携教育は、当初は小学校6年生が年3回中学校を訪れ、中学校の環境になれるようオープンキャンパスを実施し、その後、これに加えて小・中学校の教員が相互に出向く乗り入れ指導を中心として取り組み、充実を図ってきたところでございます。取り組みの成果といたしましては、小学校では中学校に向けての憧れの気持ちが増し、進学に当たっての不安感が解消していること、中学校では小学生を受け入れる取り組みを通して寛容さや自己有用感が育まれたことなどが挙げられます。また、教員におきましても、小・中学校の教員相互の共通理解が深まり、保護者においても取り組みについての理解が進んでいると認識しています。

 続きまして、英語教育の視点での小中連携教育の取り組みです。小中連携教育の取り組みとしては、乗り入れ指導において英語を取り上げ、実施しているところでございまして、効果を上げていると認識しています。また、中学校教員の専門性を生かし、日常的に外国語活動のあり方について小学校教員に指導・助言なども行っているところでございます。

 続いて、小学校における外国語にかかわる取り組みの状況です。英語教育については早期からの学習が大切であることから、次期学習指導要領において、外国語活動を3年生から前倒しをするとともに、中学校における指導との接続にも留意するよう示されています。中野区では今年度から、小学校3年生、4年生で外国語活動を先行実施し、児童のコミュニケーション能力の素地を早期の段階から育成を推進しているところでございます。5年生、6年生の英語についても、来年度以降の先行実施についての検討を行っているところでございます。

 また、取り組みの状況ですけれども、教員の外国語の指導を高めるため、外国語に関する研修の内容や形態等を工夫しているところでございます。今後もより実践的な研修を実施し、教員の指導力向上を高めてまいります。また、これまでに引き続き、ALTとのチームティーチングによるコミュニケーションを大切にした授業や、ICT機器を効果的に活用した授業を展開できるよう、研修等において授業モデルを示すとともに、教育環境についても整備していく考えでございます。

 教育問題のその他として、初めに、いじめが発生した場合の解決策についての御質問でした。いじめを認知した場合は、学校が校内委員会の一つである学校いじめ対策委員会を中心に、教員が一丸となって組織的・継続的に対応するほか、スクールカウンセラー等とも連携を図り、解決に向けて取り組んでいることとしています。教育委員会といたしましては、各学校のいじめの解決に当たってさまざまな助言をするほか、関係機関との連携を図れるよう支援をしているところでございます。また、いじめが起きた際の対応として、きめ細やかな対応がとれるよう、指導資料等の作成を検討しているところでございます。

 次に、発達障害児の把握についての御質問でした。就学時健康診断では、内科、耳鼻科、眼科、歯科の健康診断を行っており、発達障害の診断については行ってございませんが、就学時健康診断時に校長等による全員面談を行い、学校生活を送るに当たって支援を要するか否かを把握しているほか、すこやか福祉センターから発達障害等の所見を把握している児童に関する行動の特徴や、各関係機関における指導経過などの情報提供を受けて対応しているところでございます。

 以上でございます。

〔西武新宿線沿線まちづくり担当部長角秀行登壇〕

○西武新宿線沿線まちづくり担当部長(角秀行) 鷺宮西住宅一帯の整備について、まちづくりの進め方についてお答えいたします。鷺ノ宮駅周辺のまちづくりは、今見えているさまざまな課題の解決だけではなく、その立地特性や潜在的な魅力を存分に引き出し、区の北西部の中心的な交流拠点として整備する必要があると考えてございます。また、この周辺地区におきましては、東京都の鉄道連続立体交差事業をはじめ、補助133号線整備事業、妙正寺川の改修事業、東京都住宅供給公社の鷺宮西住宅の建てかえ、現中杉通りの整備、駅前広場の整備など、複数の事業を連鎖的に展開していく中で、周辺道路の拡幅や駅前の拠点を整備していくこととなります。区は、まちづくり検討会から提案されるまちづくりの考え方を踏まえまして、まちづくり整備方針を平成30年度に策定する予定としており、その策定過程の中で地域の方々と意見交換会などを実施して、合意形成を図っていくものとしてございます。引き続き区は関係機関とも連携をとり、地域住民の理解と協力を得ながら、地区全体の新たな都市像を描いた上で、その実現に向けて一つひとつステップを踏んで進めていきます。

〔地域支えあい推進室長野村建樹登壇〕

○地域支えあい推進室長(野村建樹) その他の項で、発災時における避難支援についてお答えをいたします。

 初めに、災害時要支援者に関する日ごろからの情報把握という御質問でございました。区では現在、見守り対象者並びに災害時個別避難支援計画書提出者及び災害時救援希望に関する名簿の統合について検討を進めております。早期に統合を図り、平常時からの見守り・支え合いの体制の強化を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 続きまして、町会等の地域団体との連携についての御質問でございます。今年度の調査の主な対象者でございますが、年齢到達等の日常生活の自立度が比較的高い区民の方々が多く、災害時の避難支援者を特定していない方が多いものと予想してございます。こうした支援者がいない方々については、区として支援者確保の働きかけを行っていくとともに、町会・自治会、地域防災組織と対応方法の検討を行っていきたいというふうに考えてございます。

 最後でございます。災害時要支援者個別計画の更新という御質問でございます。一旦災害時の個別避難支援計画書を御提出いただいた区民につきましても、要介護度の変化等、身体状況の変化に合わせまして再調査を行ってまいります。さらに、定期的な計画の更新方法についても今後検討してまいりたいというふうに思ってございます。

○副議長(南かつひこ) 以上で篠国昭議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 小 林 秀 明

 1 C型肝炎の早期治療促進について

 2 介護保険について

 3 空家対策の推進について

 4 公園の活用について

 5 災害対策について

 6 地域活性化支援について

 7 その他

 

○副議長(南かつひこ) 次に、小林秀明議員。

小林秀明

員登壇〕

○26番(小林秀明) 第3回定例会に当たり、公明党の立場から一般質問を行います。

 まず初めに、C型肝炎の早期治療促進について伺います。

 東京都は7月から、C型肝炎ウイルスに感染している患者の医療情報を記録する「肝臓手帳」の運用を始めました。C型肝炎は、治療しなければ肝硬変や肝がんに進行するケースが多く、治療後の経過観察が必要です。専門医が交付する肝臓手帳に、患者が検査結果や治療内容を記入して、患者や地域のかかりつけ医、肝臓の専門医の間で情報を共有して、治療を適切に受けられるようにします。また、肝炎の治療後も、専門医とかかりつけ医が連携して、患者の状態を定期的にチェックして、肝がんの発生など病態が悪化した場合には、早期に治療する体制を整えます。

 C型肝炎の治療は飛躍的に進歩しており、適切な治療により肝がんの発生や肝臓疾患による死亡を減らすことができます。しかし、そのようなことがあまり知られていないのではないでしょうか。C型肝炎は、進行する前は症状が出ないことが多く、感染していることを知らない人も多いと言われています。日本の6割以上の人が、まだ肝炎ウイルス検査を受けていません。症状が出る前に、感染の有無を知る検査を受けることが重要だと考えます。

 また、症状が出ないことから、感染を知って医療につながっていない人もいると言われています。感染していても、医師が肝機能の数値や年齢などを考慮して、治療せずに定期的に検査をしながら経過を見る場合もありますが、肝臓の病気について詳しい医師とよく相談して、治療や経過観察をすることが大切です。

 C型肝炎の感染者が、症状が出る前に感染を知り、適切な治療や経過観察につながることが、肝がんを防ぐ上で重要と考えます。区はどのような対策をしているのか、また、区民への周知や啓発が重要と考えますが、区の見解をお伺いいたします。

 次に、介護保険についてお聞きいたします。

 2000年に介護保険法が施行され、介護保険制度が始まってから早くもことしで17年になり、今年度になってから介護保険法の改正も行われました。地域包括ケアシステムの強化や介護保険制度の持続可能性がテーマの法改正と受けとめていますが、高齢化と核家族化が進む中、まだまだ社会全体の課題となっているのが介護の問題です。特に、高齢者同士による老老介護や認知症の高齢者世帯の介護など、住みなれた地域で生活していくためには、解決していくべき課題は多いと感じております。

 そんな中、健康寿命をできるだけ延ばし、住みなれた地域で元気に生活していくために、介護予防に重点を置いた介護予防・日常生活支援総合事業がこの4月から中野区でも実施されております。それまで介護予防給付であった予防訪問介護と予防通所介護が、現行相当サービスと基準を緩和したサービスに変わっただけではなく、住民ボランティアが提供する訪問活動事業や地域の自主的活動団体などが提供する通所事業を、また、短期間で生活機能の改善を目指す取り組みが開始されたと聞いております。

 そこでお聞きいたします。4月から開始された総合事業は、6カ月の進捗状況と今後の見直しについて、お答えをお伺いいたします。

 次に、認知症の対応については医療機関との連携が重要であります。例えば定期的に通院するなどかかりつけ医がいる人は、認知症の症状が出たときも早目に気づいて、専門医や関係機関につなげてもらえるなど早期の対応が可能になります。

 認知症の対応において、かかりつけ医の認知症対応力向上と関係機関との連携をどのように行われているのか、お伺いいたします。

 次に、介護保険について最後にもう1点お聞きいたします。介護保険制度は、ことしも改正されたように、大変制度が細かく、なかなか区民の方々が理解することが困難な場合が多いと感じております。また、介護保険制度を利用することへの抵抗感、つまり、他人の手をかりることへの抵抗や、家族を施設に入れたりすることに罪悪感を感じる人も少なくはないのではないでしょうか。そこで大切になってくることは、介護に困ったとき、認知症に困ったときに、制度を熟知した機関に相談して、サービスにつなげ、介護保険制度という社会的なサポートをうまく活用する必要があるということでございます。

 そこでお聞きいたします。地域包括支援センターが介護保険の相談窓口ということは理解していますが、区民の皆様に対して、総合事業の相談窓口として十分な周知がされているのか、そして、その役割が果たされているのか、区の御見解をお聞きいたします。

 次に、空家対策の推進について伺います。

 昨年度実施した空家の実態調査では区内には何棟の空家があるのか、お伺いいたします。また、その中で、倒壊などの危険性が高い、いわゆる特定空家は何棟を確認されたのか、お伺いいたします。

 次に、周辺環境に悪影響を及ぼすような空家の対策について伺います。空家の所有者が見つからない、状態の改善が進められないということが問題となります。このような状況では、区ではこれまでどのような対応を進めてきたのでしょうか、お伺いいたします。

 また次に、空家の所有者が見つからない場合など、また、危険性が極めて高く、緊急的な対策が必要な空家に対しては応急措置を行う必要があります。また、そのために区の空家対策条例が必要であると考えます。条例施行によって、敷地内への立入制限、壁・屋根などの危険部位の一部除却など、危険回避、また措置を区が行うことが可能となります。こうした条例の考え方について区の御見解を伺い、この項の質問を終わります。

 次に、平和の森公園整備事業について伺います。

 平和の森公園は、昭和60年の開園以来、区内でも大規模な公園として、地域住民の憩いの場、ジョギングなどの区民の健康づくりの場として利用されております。さらに、大規模災害時には広域避難場所として役割を担った貴重な公園です。

 そこで、平和の森公園再整備計画は、未開園のままである約1ヘクタールを活用しながら、区民のスポーツ・健康づくりの場としての機能を高め、さらに公園全体の機能向上を図るべく、平成27年度からその検討が進められております。そして、平成27年度に平和の森公園再整備構想、平成28年度には平和の森公園基本計画、基本設計を作成し、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック開催と時期を同じくして平和の森公園を再整備し、体育館の建設や野外スポーツ機能の充実を図るべく、着実に進行しているものと聞いております。

 メインアリーナ、サブアリーナを配した新体育館は、区民の多様なスポーツニーズに応えて、全区的なスポーツ大会が行われる規模の体育館となり、アウトドアスポーツ機能の併設により、スポーツ振興の中心的な場所になることが期待されています。

 また、野外公園部分についても、多世代の交流や多様なスポーツを楽しめる多目的広場や、中野区唯一のドッグラン、中野区で最大のじゃぶじゃぶ池や水流れも整備され、公園の機能も魅力もさらに高まるものと期待しております。

 しかし、新たに整備される公園整備で課題が残っているものもあります。それは、バーベキューサイトの整備は平和の森公園再整備構想、基本計画では示されておりません。平成28年10月の常任委員会で報告された基本設計(案)の中で突然示されました。理事者側の説明では、他の自治体の公園でも人気のある公園施設とされていますが、一方で、利用上のトラブルを懸念する施設であると考えているところです。

 そこで伺います。バーベキューサイトは、人気の高い公園施設である一方、利用者のモラルに任せるだけでは、逆に公園環境を阻害する施設になりかねないので、しっかりとした利用ルールと管理体制が必要であると考えますが、お伺いいたします。

 また、利用者についてですが、登録制とすることで、利用モラルの向上と利用責任の認識周知につながり、良好な施設利用が期待できると考えますが、お伺いいたします。

 最後に、平和の森公園の再整備は、各種防災機能を高め、重要な防災活動施設として充実することから、バーベキューサイトを利用して、楽しみながら防災を学ぶ防災教育のステージとして活用したらいかがですか、伺って、この項の質問は終わります。

 5として、災害対策について伺います。

 震災時には、災害時要配慮となる妊産婦も避難所に避難してきます。そのときには妊産婦をケアする専門家が必要となります。区内には東京都助産師会新宿中野杉並地区分会があり、この団体と災害協定を結ぶべきと考えます。また、災害時の医療体制などを話し合う医療関係者の会議への参画も考慮すべきでないでしょうか、お伺いいたします。

 次に、オストメイトの方々の災害時の対応について伺います。オストメイトが避難所生活を送る場合に必要となるストーマ装具について、災害時の避難所機能充実の一つとして備蓄するべきと考えますが、お伺いいたします。また、オストメイト用の仮設ポータブルトイレの備蓄も必要と考えますが、お伺いいたします。

 また次に、先日、東京都柔道整復師会中野支部より災害対策の要望を伺いました。現在、区は地域の拠点となる15カ所の避難所を拠点医療救護所に指定、医療資機材の7点セットを配備しています。7点セットの中に骨折セットはありますが、四肢の外傷に対する固定材料などがほとんど配備されていないと聞いています。また、包帯やサラシ、アイスパックなど固定材料も備蓄品として追加をすべきと考えます。伺って、この項の質問は終わります。

 次に、地域活性化支援について伺います。

 地域の見守り・支え合い活動、防犯パトロール、交通安全運動、また、防災訓練や地域安全の取り組み、福祉活動、青少年育成など、町会・自治会が担う役割は非常に大きくなっています。しかしながら、町会・自治会の高齢化、人材不足は全国的に深刻な課題でございます。町会・自治会に委託する事業は年々ふえており、町会・自治会の力を次世代へ継承することは、区民サービスの維持のために区としても真剣に取り組まなくてはならない課題です。2025年、団塊の世代が退職となるときまでに地域の受け皿を確立しておく必要があり、また、子育て世代の父母等、新たな力がそれぞれのライフスタイルに合わせて地域で活躍できる方策の検討も必要と考えます。

 先日、中野区の町会連合会の懇談会の折に、区はコンサル事業者に委託し、区と町会の代表とで今後の町会の加入促進等についての検討会を設置するとの話を聞きました。この検討会については委員会での報告もまだありませんが、どのようなものなのでしょうか。協議会の目的、メンバー、進め方、スケジュール等、具体的な内容を伺います。目的には、2025年団塊の世代の受け皿の検討と、新たな若い世代の活躍の方策については欠かせないかと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

 町会・自治会が担う役割の一つには、区からのさまざまな生活情報を町会・自治会所有の掲示板に掲載して、地域住民に周知するということも行っています。しかしながら、町会の掲示板においては、設置場所や、また掲示板設置費用の問題から、個人宅にお願いして家の壁に設置しているところも多いと聞きます。区は平成27年度より加入促進助成を行っていますが、掲示板については設置費用が高額であり、加入促進助成費用だけでは賄えないのが現状です。町会の掲示板は町会活動の情報発信のみならず、区からの情報を発信するツールでもあることから、区としても掲示板を設置しやすいよう支援する必要があると考えます。

 そこで、町会掲示板の設置費用については、加入促進助成とは別に設置助成を行うようにしてはいかがでしょうか、伺います。

 平成18年度より、町会・自治会への公益活動助成金は1世帯当たり150円交付されるようになりました。この額は開始当初から変わっていません。その上、町会・自治会の活動は多岐にわたり、活動量もふえています。世帯の少ない町会の場合は当然助成額も少なくなります。区内において、世帯数が一番大きい町会は4,985世帯でございます。助成金は74万7,700円になります。一方で、世帯数が一番少ない自治会は32世帯で、助成額はわずか4,800円です。こうした小さな町会・自治会の活動が制限されるようなことがあってはならず、地域の活性化を促進するためにも、活動がしやすいように支援の検討をするべきと考えます。

 世帯数の少ない町会・自治会においても必要な活動が行えるように、最低限度額の助成費用などを検討してはいかがでしょうか、伺います。

 昨年、中野区地域包括ケアシステム推進プランが策定され、平成29年度より介護予防・日常生活支援総合事業がスタートしました。この総合事業には、町会・自治会、民生児童委員なども地域の見守り・支え合いとして大きな役割を担っています。一方で、区は、平成16年度より地域見守り支援ネットワークの推進として「元気でねっと」事業を行ってきました。この事業には163団体が協力機関として加入しており、地域の見守り・支え合いを行っていただいてきました。この協力機関の中には、例えば新聞販売店など毎日単身高齢者宅へ新聞を届けるというような事業者もあり、新聞がたまっている単身高齢者世帯については家族に連絡するなど、日常の業務内でも見守りを意識して動いているところもあります。「元気でねっと」については過去に見直しを行うということのようでしたが、要綱は設置されたままとなっています。

 そこで、協力機関との連携や会議の開催など、現状はどのようになっているのでしょうか、伺います。また、会議の開催、現在の区の見守り・支え合いの取り組みに関して、全ての協力機関など周知されていないと聞いていますが、周知すべきではないでしょうか、伺います。

 協力機関に対して積極的に連携をとり、見守り活動を推進していくべきと考えますが、区は今後、こうした協力機関との連携などどのように進めていこうと考えているでしょうか、伺い、この項の質問を終わります。

 最後のその他でございます。最後にその他の項目で、今の中野体育館の維持管理について伺います。

 現中野体育館は昭和45年に建築され、中野区の中心的な体育館として区民に活用されてきました。竣工からことしで47年が経過し、老朽化も進んできており、床や壁などの破綻が目立ちます。特に体育館のメインアリーナでは、床の板が破損して、板がささくれになっている箇所が何カ所もあって、応急処置として上からテープを張っているような状態でございます。中野体育館のメインアリーナでは現在、バスケットボールやバレーボール、フットサル、バドミントン、卓球などのスポーツが行われていますが、いずれも運動量の多いスポーツであり、こうしたスポーツの中に、施設の老朽化の問題でけがをすることがないように配慮する必要があるのではないでしょうか。

 新体育館の建設までの間の中野体育館の維持管理について、利用者がけがをすることがないように必要な修繕を行うべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。

 以上、私の全ての質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 小林秀明議員の御質問にお答えをいたします。

 C型肝炎の早期治療促進について。区はどのようなC型ウイルス肝炎対策を行っているか、また、区民への周知や啓発についてという質問でした。区は、肝炎ウイルス検査を受けていない国保特定健診や長寿健診、健康づくり健診の対象者に、肝炎ウイルス検査が無料で受けられる受診券シールを送付し、受診を促しています。また、保健所では、区民健診や職場健診で肝炎ウイルス検査を受けたことがない区民を対象に、毎月1回肝炎ウイルス検査を無料で実施しております。肝炎ウイルス検査で陽性と判定された方に対しては、早期に医療につながるよう、精密検査を受ける際の医療費の自己負担分について、東京都の助成制度が利用できる旨の案内を行っております。区報やホームページなどで肝炎ウイルス検査やインターフェロン治療等の医療費助成制度を掲載し、区民への周知を行っておりますが、さらなる受診勧奨に努めていきたいと考えております。

 次に、介護保険について。総合事業の実績と見通しについてであります。現行相当サービスについては、旧介護予防サービスと同規模の実績となっている一方で、緩和基準サービスについては、6月現在ですが、訪問型、通所型サービスともに数件の実績となっているところです。住民主体型サービスについては、訪問型をシルバー人材センターに委託し実施しております。通所型は、高齢者会館において、現在、ミニデイサービスを計9カ所、音響機器を活用した一般介護予防事業を計15カ所で開始しているところです。短期集中予防サービスである「なかの元気アップセミナー」は52コースを予定し、運動機能改善、口腔機能向上及び認知症予防プログラムについては、6コース終了時点で、定員67人に対して約7割が参加している状況であります。今後着手した総合事業のプログラムの進捗状況や課題を検証しながら、さらに効果的な事業展開を目指してまいります。

 かかりつけ医の認知症対応力向上と関係機関との連携について。中野区医師会では中野区独自の認知症アドバイザー医制度を設け、かかりつけ医師の対応力の向上に努めております。区では、平成28年度より認知症初期集中支援チーム事業を開始いたしました。この事業では、医師会より派遣された医師と、地域包括支援センターや介護サービス事業者が加わり、認知症への早期対応のための関係機関連携や多職種連携の実践事例を積み上げてきているところです。こうした中で得られたノウハウをかかりつけ医等へもフィードバックすることで、関係者の対応力向上を図っているところであります。

 地域包括支援センターの役割の周知について。地域包括支援センターが介護予防マネジメントなど総合事業の相談窓口であることについては、パンフレットや区報等による広報のほか、高齢者会館等への出張相談等で周知を図ってきております。今後もさまざまな機会を捉え、介護予防の重要性、サービス内容など広く周知を図り、必要な方に必要なサービスが届けられるよう、総合事業利用者への拡大に努めていきたいと考えております。

 次に、空家対策の推進についての御質問にお答えいたします。区内の空家棟数について。平成28年度に実施した空家実態調査は、主に戸建住宅を対象に外観目視の調査を行い、空家状態となっている建物を把握したものであります。調査では、区内に852棟の空家を確認いたしました。また、そのうちの78棟は、そのまま放置すれば倒壊等、著しく保安上危険となるおそれのある状態であり、空家特措法で定義される特定空家に該当する可能性が高いと考えております。

 所有者が見つからない空家への対応について。空家の登記簿調査だけでは所有者が判明できない場合においては、空家特措法の施行により可能となった都税情報の開示により、所有者を確認しております。その上で、所有者に対し、口頭や文書による空家の是正指示を行っているところです。

 空家対策条例についてであります。空家は所有者の責任において適切に管理されるものであり、区は必要に応じて所有者に対する是正指導を行っております。しかしながら、所有者が判明せず、危険性が高く、緊急的な対策が必要な空家に対しては、所有者に代わり、区が危険性を回避するための応急措置を講じる必要性も認識しているところであります。こうした応急措置の考え方も含めた空家対策条例について、空家等対策審議会での議論及び年度内に予定される審議会からの答申を踏まえて、条例化に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

 私からは以上です。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 再整備に着手いたします平和の森公園の活用に関しましてお答えを申し上げます。

 まず、バーベキューサイトの利用ルールと管理体制についてでございます。平和の森公園に設置するバーベキューサイトにつきましては、中野区で初めての施設となるため、他の公園の事例などの調査研究を行うなどして、公園環境を阻害しないようしっかりとした利用ルールと管理体制を構築してまいります。

 次に、利用者の登録制についてでございます。バーベキューサイトの利用者登録制につきましては、他区の状況を見ながら検討していきたいと考えております。

 それから、平和の森公園の防災教育のステージとしての活用についてでございます。屋外での生活体験を通じて、防災教育のステージとなるよう活用していきたいと考えております。

 続きまして、災害対策についてお答えを申し上げます。

 まず、東京都助産師会分会の災害医療への参画についてでございます。地域防災計画では、災害時等に避難所へ避難していく住民の中には、災害時要配慮者である妊産婦や乳児もいることを想定しております。妊産婦や乳児については、避難所生活全般にわたり配慮が必要であるため、状況に応じて二次避難所を開設し、そちらに移動して避難所生活をしていただくことになります。妊産婦や乳児が安心して避難所生活を送れるよう、一次、二次避難所での産前産後ケアが受けられる体制を整える必要があることから、東京都助産師会新宿中野杉並地区分会との災害時応援協定の締結や災害医療連携会議への参画について検討してまいります。

 次に、オストメイトに必要な装具、トイレの備蓄についてでございます。人工肛門や人工膀胱を有しているオストメイトの方に必要なストーマ装具やトイレにつきましても、避難所機能の充実を図るという観点で、導入に向けて検討してまいります。

 それから、骨折用資材の追加備蓄についてでございます。避難所のうち、15の拠点医療救護所に備蓄している医療資機材7点セットの医療器具や医薬品の品目、数量につきましては、中野区医師会をはじめ歯科医師会、薬剤師会、柔道整復師会などで構成する災害医療連携会議におきまして、随時、見直し等を図っているため、今後の会議の場におきまして、骨折の際の固定材料の配備については検討してまいります。

 以上でございます。

〔地域支えあい推進室長野村建樹登壇〕

○地域支えあい推進室長(野村建樹) 地域活性化支援、このうち町会・自治会の参加促進に関する検討会についての御質問でございました。見守り・支え合いが広がるまちの実現には、中核としての町会・自治会の存在は不可欠でございます。町会・自治会活動へのさまざまな世代の参加促進とそのための具体的な方策につきまして、検討会を設置し、議論していきたいというふうに考えてございます。メンバーにつきましては、町会・自治会の活動者、区の関係管理職、さらには学識経験者を加えまして、コンサルティング事業者による支援を得て、この10月から検討を開始し、年度内には報告書をまとめていきたいというふうに考えてございます。

 次に、町会掲示板の御質問でございます。掲示板の重要性につきましては、区としても認識しているところでございます。町会・自治会活動の幅広い区民への周知、広報の観点からも、掲示板の設置支援策を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 続きまして、加入世帯数の少ない町会・自治会への助成についてという御質問でございます。世帯数の少ない町会・自治会への活動支援のあり方につきましては、先ほど申し上げました検討会、これらの議論等も踏まえまして、助成額も含めて検討してまいりたいというふうに思ってございます。

 最後に、「元気でねっと」の御質問がございました。平成16年度から始まりました高齢者見守り支援ネットワーク「元気でねっと」の協力機関会議につきましては、現在のところ一旦休止をさせていただいております。この間に、区内郵便局ですとかセブン-イレブン店舗、こうした業種団体との間での見守りに関する協定の締結というような取り組みもございました。これら関係事業者との協力体制の整理統合を行いまして、さらに広がりのあるネットワークとして再構築を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

〔健康福祉部長小田史子登壇〕

○健康福祉部長(小田史子) その他の項目の中野体育館の補修の御質問についてお答えいたします。中野体育館は昭和45年に開設した施設でございまして、床面の老朽化などさまざまな課題があることは認識しております。安全に御利用していただくために、軽微な補修につきましては指定管理者が対応を行っているところでございます。体育館利用時などに随時確認を行っているところではございますが、安全に利用ができるよう管理を徹底してまいります。

○副議長(南かつひこ) 以上で小林秀明議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後3時10分休憩

 

午後3時30分開議

○議長(いでい良輔) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。

 議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 小 杉 一 男

 1 第7期介護保険事業計画の策定について

 2 認知症施策の推進について

 3 がん検診の充実について

 4 障害者施策の拡充について

 5 学校教育について

 6 住宅施策の拡充について

 7 その他

 

○議長(いでい良輔) 小杉一男議員。

〔小杉一男議員登壇〕

○30番(小杉一男) 2017年(平成29年)第3回定例会本会議におかれまして、日本共産党議員団の立場から一般質問を行います。質問項目は通告どおりで、このほかの項はございません。

 第1に、第7期介護保険事業計画の策定についてです。

 ことし5月、改定介護保険関連法が成立いたしました。佛教大学の岡崎教授は、今回の介護保険改革は、負担増や給付カットで住民を苦しめ、包括的サービス保障を放棄する改革と言わざるを得ないと、国、自治体の公的責任後退の仕組みを厳しく批判しています。

 第7期計画の策定に向けて幾つか伺います。

 一つに、保険料の引き下げについてです。第1回定例会で保険料の引き下げについて取り上げました。第6期計画期間では、介護保険料の上昇幅を抑えるために、3年間で介護給付費準備基金積立金の8億円の取り崩しを予定しているとしながら、実際には同積立金を積み立て、今年度末で25億円以上となる見通しです。これは過去最大の積立金です。これは保険給付額の増加が見込みよりもふえなかったとしても、そもそも介護保険料額の設定の制度が甘く、多くもらい過ぎたためです。

 そこで伺います。第7期の保険料額の決定を行うために、健康福祉審議会で検討される予定です。第1回定例会で、被保険者が必要な給付を受けられるよう受給権を保障するとともに、介護給付費準備基金積立金を活用するなど、介護保険料を極力引き下げるよう努めることなど十分に検討することを求めましたが、第7期保険料額がどのようになっていくのか、区としての見解を求めます。お答えください。

 二つに、利用料負担の増加による実態把握についてです。2015年(平成27年)の8月に、年間収入単身で280万円以上の場合に、利用者負担割合が1割から2割にふえました。来年8月には年間収入単身340万円以上の場合、負担割合を2割から3割に引き上げられます。収入に応じた応能負担の形をとっていますが、狙いは将来原則2割負担化への地ならしと思われます。年金が切り下げられる中で、この8月には高額介護サービス費も住民税課税者の上限額が引き上がりました。利用者負担割合が2割になった方でも、所得が下位の方は生活が成り立たないという声が多く寄せられています。

 そこで伺います。利用料の引き上げなど負担増による高齢者の家計への影響を把握していくべきと思われます。利用料負担割合や上限額と介護給付費の受給状況の変化を把握したり、年金の切り下げや医療の保険料の増加など、高齢者の暮らしの実態を総合的に把握し、区として低所得高齢者への特別な支援を行うことを検討すべきと考えます。お答えください。

 三つに、自立支援・重度化防止への保険者機能強化についてです。自立支援・重度化防止に向けて、国が示す評価指標に基づいて、市町村が目標を設定し、その成果に応じて財政支援(財政的インセンティブの付与)を行います。具体的な評価指標として、現在の国の説明では、介護予防の取り組み状況や地域ケア会議の開催頻度などが挙げられています。しかし、要介護認定率の引き下げに成功している埼玉県和光市や大分県などが好事例として紹介されている点から見ても、最終的に要介護認定率や1人当たり介護給付費を勘案した評価指標が作成され、自治体間のばらつきを明確化させ、それを是正させる方向に向かうのは確実と思われます。

 厚生労働委員会の参考人質疑でも、こうした仕組みにより自治体が介護認定を厳しくするおそれがあり、事業者も改善する可能性のある利用者を選別することにつながると批判が出ています。以前、北区では独自の認定基準による認定ランクの切り下げが実施され、施設を退所せざるを得ない、必要な介護サービスが受けられないという事態となり、結果として介護給付費が3年で100億円も計画と乖離する結果となりました。

 そこで伺います。要介護認定率や1人当たり介護給付費を勘案した評価指標を設定しないよう国に求めるべきではないでしょうか、お答えください。

 地域医療構想では、病床の2025年(平成37年)における必要量を推計することになっていましたが、この8月に政府は、第7期市町村介護保険事業計画の策定に当たり、介護施設、在宅医療の必要量を追加して盛り込むことを決めました。2025年(平成37年)には、現在の病床数を133万床から119万床に圧縮する一方で、介護施設、在宅医療等を約30万人分ふやすことを見込んでいます。今まで医療保険で見られていた在宅医療や医療療養病床の代替まで介護保険で見ろという、地方自治体に対する乱暴な押しつけは許されません。

 そこで伺います。国の突然のこの提案に対し、区としてきちんと意見すべきではないでしょうか、お答えください。

 四つに、介護予防・日常生活支援総合事業についてです。この仕組みは、新総合事業の総額の伸びを75歳以上の高齢者の伸びの範囲におさめようということを意図しており、より費用の低い基準緩和サービス、そして、さらに安上がりな住民主体サービスに利用者を移行させていくものです。

 中野区では4月から同事業を開始しました。介護予防訪問型・通所型サービスである現行相当サービスについては、介護サービス事業者からこれではやっていけないなどの声が区に寄せられ、今年度については加算が前年度の実績に応じることを理由に減算を適用せず、報酬を現行と同額としました。

 我が会派が視察を行った岡山県倉敷市は、基準緩和サービスを設けず、2016年(平成28年)から現行相当サービスのみで、報酬100%で実施をしています。倉敷市はサービスづくりより地域づくりを主眼としてきました。介護報酬の改定を踏まえ、同事業を検討したら、2015年(平成27年)3月時点では現行相当サービスを行うことが有利であったため、基準緩和サービスを行うのではなく、現行相当サービスを行うと判断をしましたとのことです。案内チラシには「必要な方は従来と同様のサービスが受けられます」「サービス利用料金は変更ありません」と書かれ、市民に安心感を与えています。なお、このような独自な判断をしても、倉敷市に対し国や県からの指導は特にないそうです。

 そこで伺います。区民に安心した介護を保障するのなら、介護労働者が安心して働けてこそこれらが実現できます。中・長期的には優秀な介護人材も確保できます。次年度以降も現行相当サービスの介護報酬は100%を継続させることを求めます。お答えください。

 基準緩和サービスは事業所85件中27件が登録をしています。8月に我が会派が在宅介護支援事業所に対してアンケートを行いました。回答者の多くが「基準緩和は見送りをしています」「現行サービスを利用されているので、あまり変わっていません」など、未実施、見合わせるところが目立ちました。一方で、「質の維持の前に量の確保のほうが問題。サービスが必要でも受けられない人がふえている」「報酬が安過ぎるのが問題だ」「サービスの質にばらつきがひどい。基準緩和サービスは不安だ」など、介護の内容の低下を懸念される声が多く寄せられました。

 4月、5月の介護報酬の請求件数は、現行相当サービス、基準緩和サービスともに1桁の件数にとどまっています。基準緩和サービスの仕組みはまさにタコが自分の足を食うような抑制を強いるものです。これでは未来を担う若者らがたとえ介護に魅力を感じても、希望を持って踏み出すことはできないのではないでしょうか。倉敷市のように、魅力ある介護を行う環境を整えることが何よりもの行政がとるべき姿勢なのではないかと考えます。

 2015年(平成27年)の介護報酬改定では2.7%の大幅引き下げが実施されました。区内事業所からは、「来年度の報酬改定でさらなる引き下げとなれば、経営が立ち行かない。身近なところでも事業所を畳むところが出てきている」との切実な声が出されています。東京都は介護施設職員に家賃補助を1人7万円まで行う事業を開始しています。区で率先して介護職員への処遇改善策を行う必要があると考えます。

 そこで伺います。基準緩和サービスは実施を中止する判断を行うとともに、区として介護労働者の処遇改善策を独自に行うことを求めます。また、次年度介護報酬の改定では、介護労働者の処遇改善などを行うよう国に要望することを求めます。区の見解を伺い、この項の質問を終わります。

 第2に、認知症施策の推進について触れます。

 認知症の人の数は、2012年(平成24年)462万人であったものが、2025年(平成37年)には800万人に増加をします。

 近年、介護にかかわって痛ましい事件が発生しています。日本福祉大学の湯原悦子教授の著書「介護殺人の予防」によると、1996年(平成8年)から20年間で介護殺人の件数は754件、1年30件から50件ほど起こっているそうです。そうした事件を起こした経緯を調べると、介護者自身が鬱病などの精神疾患や認知症の発症が疑われる事例が多くあったと報告をしています。

 また、NHKの「私は家族を殺した」という番組では、「一緒に死にたい」「手にかけてしまいたい」と思うときが「ある」「時々ある」と答えた介護者は合わせて回答者の24%、4人に1人の割合でおられたと紹介をしています。

 認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)では、介護者への支援も新たに位置付けられました。介護する人が、介護者としてだけではなく、社会に生きる1人の市民として、自分自身の人生をも大切にできる支援システムの構築が求められています。

 そこで伺います。新オレンジプランで位置付けられた介護者への支援策について、今後どのように進めていくのか、区としての認識を伺います。

 中野区内には認知症の人や家族が集う認知症カフェ、通称オレンジカフェが8カ所あります。認知症の人と介護者を支援する人らが自主的に行っているものです。こうした小さな火を絶やさないことが必要です。ある方は「認知症の方などの居場所のない方が安心して過ごせる場所がありません。行政が高齢者の居場所づくりや外出支援を率先して進めてほしい」と期待をされています。

 そこで伺います。中野区内にあるオレンジカフェの活動内容や場所、有料老人ホームなどレスパイトできる施設の場所を案内するリーフレットを発行することで、認知症高齢者とその介護者を孤立化させないことにつながると考えます。ぜひリーフレットの発行などを検討してください。見解を伺い、この項の質問を終わります。

 第3に、がん検診の充実についてです。

 国はがんとの闘いに終止符を打つため、がんの一次予防の推進、二次予防であるがん検診の受診率の向上を図るとしています。東京都も受診率50%を目指しています。しかし、日本のがん検診の受診率は、OECD諸国の70から80%と比べて、30から40%ととても低い状況です。

 東京都がん検診精度管理評価事業によると、中野区では2015年(平成27年度)、男女計で胃がん4.2%で23区中17位、肺がんは未実施、大腸がんは30.7%で7位、子宮頸がん19.4%で17位、乳がん21.5%で16位でした。大腸がん以外は皆23区の中で下位の状況です。今年度、中野区では乳がん、子宮頸がんの対象者に対し受診券を送付し、受診率向上を目指しています。

 そこで伺います。乳がん、子宮頸がんに受診券を送付し、それが受診にどれだけつながったのか、その効果をきちんと評価し、がん検診の受診率向上を一層推進させる力にしてほしいのですが、見解を求めます。

 東京都が2015年(平成27年)に発行した「がん検診受診率向上の手引き」には、国が推奨する取り組みを紹介しています。実際に都内市町村が取り組んでいる取り組みの一つとして、自己負担額の設定について見直した自治体が16自治体、23区内では7自治体あることがわかりました。23区内の4自治体は有料化に伴い所得制限を設けたものでしたが、3自治体で自己負担の無料化もしくは軽減を実行していました。

 墨田区は「2011年(平成23年)から実施してきた国の無料クーポン事業の終了に伴い、区独自で延長させた。その理由は、受診率が上がり、効果が見られたからだ」と答えました。豊島区では2012年(平成24年)で、区長候補が選挙公約でがん検診の無料化を掲げ当選し、がん検診全て無料化にして、以前は23区中22位であった5がん検診が2014年(平成26年度)7位となったと喜ばれていました。杉並区では区独自でがん対策推進計画を策定し、受診率向上や自己負担の軽減を掲げ、以前自己負担1,000円を500円にそろえ、受診率は上がったそうです。

 受診率を上げるにはさまざまな方法があると思います。我が会派は、無料化によってがん検診の受診率を向上させることを求めてきました。

 そこで伺います。がん検診の無料化を、まずは受診率が23区内中17位である胃がん検診で試行し、その効果を評価してみてはいかがでしょうか。区の見解を伺います。

 がん検診による早期発見・早期治療で、区民の負担を減らす。区民にはがん検診の意義をわかりやすく伝える努力を引き続き区に求めるものでございます。この項の質問を終わります。

 第4に、障害者施策の充実についてです。ここでは、いずみ教室の廃止と新たな知的障害者等生涯学習事業に限って伺います。

 戦後、知的障害者対象の特殊学級が設置され、その後、いずみ教室は知的障害者の青年教室として活動されてきました。しかし、いずみ教室はことし3月31日をもって廃止になりました。かわりに新たな知的障害者等生涯学習事業「(仮称)まなビーバーくらぶ」として6月から事業を開始する方向でした。2月に企画提案公募型方式で事業の公募を行いましたが、人材の確保が課題との理由で事業者選定をすることができず、開始時期を延期することになりました。

 そこで伺います。いずみ教室を廃止するに当たって、利用者や支援者に十分説明もなく、どういう理由で廃止をし、新事業に変える必要があったのでしょうか、お答えください。

 2014年(平成26年)12月に区が実施したアンケートによると、いずみ教室の年間回数、開催時間については、学級生、家族、支援者の8割以上が「ちょうどよい」と答え、学級生、家族8割以上が「楽しい」「とても楽しい」と回答しています。

 昨年9月の決算特別委員会総括で、我が会派の長沢が事業を早急に検討する必要があるのかとの質問を行い、当事者や関係者にきちんと意見を聞くべきと求めました。新事業では、従来の参加者がそのまま移行できることを十分配慮されたのでしょうか。このままでは単にいずみ教室を廃止しただけになるのではないでしょうか。知的障害者を支援し、ともに喜び合う、ともに成長し合うのは福祉文化だと思います。これを規格化し、サービスに置きかえることがそもそもできるのでしょうか。

 そこで伺います。いずみ教室に参加されていた学級生、家族、支援者の希望をかなえるように、新たな事業に従来の参加者が無理なく参加できるように責任を果たしていただきたい。区の見解を伺い、この項の質問を終わります。

 第5に、学校教育について。

 一つに、学校給食の無料化・負担軽減についてであります。

 7月31日付東京新聞が、低所得者の子どもはそうでない子に比べ、成長に欠かせないたんぱく質や鉄分の摂取量が少ないなど栄養面の格差があるが、その差を学校給食が解消させているとの研究調査を報じました。貧困と格差の責任は子どもにはありません。給食費が払えずに肩身の狭い思いをしたり、生活費を切り詰めて給食費を捻出したりするなど、子どもたちや家庭に大きな負担となっています。

 1月の時点で、少なくとも362の自治体で学校給食費に対する一部補助を行っています。都内では23区で港、荒川、足立、葛飾各区4区で、多摩地区では16市町村で学校給食に対して補助を行っています。葛飾や品川区では、中学校以下の子が3人以上いる多子世帯に給食費補助をしています。

 そこで伺います。学校給食の無償化を見通しながら、子どもの貧困と格差の是正策、子育て支援策として、学校給食費の負担軽減を実施することを求めるものです。見解を伺います。

 二つに、就学援助の拡充についてです。

 就学援助については我が会派が再三取り上げてきました。中野区では「前年の所得額に基づき当該年度の認定を行っている。所得額が確定するのは6月であるために、認定時期の前倒しは難しい」と答えています。要保護者の予算単価は小・中学校ともほぼ2倍に引き上げられましたが、準要保護に対しては据え置かれ、大幅に低いものとなっています。

 3月31日の文部科学省初等中等教育局長通知では、援助が必要な時期に速やかな支援を行えるように要綱を改定するとの趣旨を鑑みれば、支給額を引き上げ、支給時期を入学前に変更すべきです。援助が必要な時期は、通常入学前の秋から冬であり、その対象者を選定するのは、基準はその前年の所得になるのではないでしょうか。既に支給時期を入学前にしたのは、都内で中学校では10区市、小学校では8区市の各自治体にまで広がっています。従前の考え方にこだわらず、変える必要があるのではないでしょうか。

 そこで伺います。今年度からの支給額の引き上げと支給開始時期を入学前に行うべきです。文科省の通知にある要綱を改定するとの趣旨に対する区の認識と対応について伺います。

 三つに、少人数学級の推進についてであります。

 子どもの豊かな学びを保障する少人数学級は、保護者、学校関係者の強い要望で、国会では35人学級の全学年実施が全会一致で決議されました。しかし、安倍政権は5年間も完全実施を見送り続け、いまだに小学1・2年、中学1年のみの実施にとどまっています。

 我が会派からの少人数学級実施を求める質問に対し、区は「教科によっては一定規模の学習集団による指導が効果的。少人数学級より少人数指導の充実に取り組むことが重要」「都の学級編制基準にのっとり進めていく」と、少人数学級を拒み続けてきました。しかし、2012年(平成24年)に再開された文科省の検討会議は、同年9月の報告で、全ての教科等でより一層きめ細かい指導を充実させるためには、学級規模そのものの縮小が必要として、全学級での35人学級を推進することが不可欠としています。

 そこで伺います。区として、小・中学校の全ての学年で35人学級を実施し、さらに30人学級を目指すことを東京都に求めるべきです。見解を伺います。

 四つに、教員の多忙化解消について、教員の勤務実態の把握と長時間労働の規制、休憩時間の保障について伺います。

 教員の多忙化解消については社会問題となっております。2016年(平成28年)、文科省は教員勤務実態調査を行い、中学校では1週間当たり平均勤務時間は10年前より5時間12分ふえ、56%が過労死ラインを超えていました。教員の平均勤務時間は、平日1人当たり小学校が11時間15分、中学校では11時間32分で、所定内労働時間を大きく上回っています。

 8月末に文科省中央教育審議会の特別部会が教員の働き方改革を提言いたしました。学校現場でのタイムカードや留守番電話の導入など、勤務時間の管理徹底を図ることが柱となっています。ICカードなどタイムレコーダーで勤務時間を把握し、改善を試みる自治体もふえています。

 23区でも世田谷区、品川区が既に導入しているICカードシステムを、今後は勤務時間の把握や統計に活用する検討をしており、港区、大田区でも導入を検討しています。中野区でも導入してはいかがでしょうか、お答えください。

 次に、休憩時間についてです。都教組「働き方」緊急アンケートによると、教員の働き方を改善するために縮減または簡素化してほしいと思う業務の1位は、休憩時間や勤務時間外にかかる会議・業務が77.8%でした。本来、休憩時間は、労働基準法では使用者側が与えなければならない義務です。休憩時間や勤務時間外に会議や研修、打ち合わせを恒常的に行っているとの実態があると聞いています。

 そこで伺います。休憩時間や勤務時間にかかる会議等が行われているとしたら、直ちに改善すべきと考えます。教職員の勤務時間と休憩時間についてのどのような問題意識をお持ちでしょうか。区の見解を伺い、この項の質問を終わります。

 第6に、住宅施策の拡充についてです。安心して住み続けられる住宅困窮世帯への支援について3点伺います。

 第1に、居住支援協議会の設置についてです。

 いわゆる住宅セーフティネット法に基づく同協議会の設置について、これまでも繰り返し提案をしてきましたが、区は、不動産団体と協定を結び、連携しながら、高齢者、低額所得者、障害者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者への住居支援を行ってきたと回答してきました。しかし、区内の住宅確保要配慮者は、高齢などを理由にアパートが見つからない、障害者・LGBTを理由に拒否されたなど、困難な状況を抱えたままです。区が行う住みかえ住宅の情報提供や居住安定支援事業だけでは、困難な状況を改善させるに至りません。

 昨年11月末時点で、全都道府県と17区市町村が同協議会を設置しています。都内では江東、豊島、板橋、千代田、杉並の5区と調布、八王子の両市であります。

 豊島区は2012年(平成24年)に立ち上げ、空き家実態調査や空き家バンク、居住支援を行うNPO団体等への補助事業やセミナーの実施等、多彩な活動を行っています。

 杉並区は昨年立ち上げましたが、メリットは行政内部の福祉と住宅部門の連携、区と業界団体と居住支援団体との連携をより一層深めることのできること、現行の事業をより使いやすくするための検討や、要配慮者へ貸し出すための家主への支援強化策を検討する中で、空き家改修の補助事業を新たに始めました。国も同協議会の取り組みに対し、支援策を事業化しています。

 そこで伺います。中野区においても、これまでの事業にとどまらず、居住支援協議会を設立し、高齢者や障害者に寄り添いながら、区民の安全・安心な生活の基本となる住まいの確保を一層推進させるべきと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。

 第2に、区営住宅の改善についてです。

 2017年4月現在、区営住宅は453戸のうち、築年時の古い約340戸については、入居者が浴槽及び給湯設備を自費で設置し、退去する際に居住者が設備の撤去を行っており、次の入居者が新たな浴槽や給湯設備を自費で設置しています。そして、浴槽や給湯設備が故障した際には、自費で改修や取りかえ工事をしています。その費用は約40万から50万ほどかかることもあります。これでは区営住宅にお住まいの方にとっては大変困難なことで、お風呂は壊れたままで、銭湯通いをしているという方もいるそうです。

 都営住宅においては、居住者が退去した際には新たな浴槽及び給湯設備の設置を都が行うこととしており、新しい入居者には設置の負担がなくなっています。また、東京都住宅供給公社では、居住者が自費設置した浴槽や給湯設備が故障した際に、公社が取りかえ工事を実施しています。

 国は、ことし3月に閣議決定した住環境基本計画において、住宅の最低居住面積水準を満たしていない住宅の早期解消を定めました。この最低居住面積の水準を満たす条件に、浴槽及び給湯設備の設置が定められており、これらが自己負担の区営住宅は最低居住面積水準さえ満たしていないということになります。公営住宅法に基づく区営住宅だからこそ、速やかに実施しなければいけないと考えます。

 そこで伺います。区営住宅においても、居住者が退去した際には、浴槽及び給湯設備の設置を区が行い、また、現在入居中の居住者が自費設置した浴槽や給湯設備についても、その改修や取りかえ工事を区が負担すべきであると考えますが、区の見解を伺います。

 第3に、公営住宅の新増設についてです。

 高齢者や障害者にとって住まい探しは困難であり、こうした住宅確保要配慮者のために整備されている公営住宅は、戸数が十分であるとは言えず、入居時の抽せん倍率は非常に高くなっています。こうした住宅に困窮する世帯に対し、安心して住み続けられる住宅を確保することは自治体の責務です。

 区はこれまで、民間の住宅を活用することにより、区営住宅の新設は必要ないとの見解を示してきましたが、今こそこうした住宅政策を転換し、今後は十分な量の公営住宅戸数の確保を目的に、区営住宅の建てかえ計画を示すとともに、東京都に対しても都営住宅を新設整備を求めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。区の見解を伺い、全ての質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 小杉議員の御質問にお答えをいたします。

 第7期介護保険事業計画の策定に関連する御質問です。第7期介護保険料の見通しについて。介護報酬の改定案が国から示されるのが平成30年1月となる見込みであるため、これを踏まえた上で第7期の介護保険料額の試算を行い、中野区健康福祉審議会において協議していただく予定であります。現時点では、第7期における給付見込み量の試算をしているところであります。

 高齢者の実態把握と低所得高齢者支援について。今回の利用者負担割合が3割になる改定は、現役並み所得と言われる方が対象であり、高額介護サービス費の上限額の改定についても、区民税が課税されている方が含まれる世帯を対象としたものであり、いずれも低所得高齢者をその対象から除いているものであります。

 利用者負担割合の改正の影響については、利用者負担割合引き上げ前後における介護サービスの利用の変化や、家計への負担等の調査や適切な措置について、参議院で附帯決議がされていることから、区が独自に把握する予定はありません。また、低所得高齢者に対しては、現在においてもさまざまな配慮が制度設計されていることから、区が新たに特別な支援を行う考えはありません。

 それから、保険者機能の強化、これにかかわる評価指標についての御質問でした。市町村が行う自立支援や重度化防止等の取り組みを推進することを目的に、保険者のさまざまな取り組みの達成状況を評価できるよう、客観的な指標を設定した上で、市区町村に対する財政的インセンティブの付与が予定されています。その評価指標については、適正なサービス利用の阻害につながらないことを前提とし、各保険者の地域特性等を踏まえ、幾つかの指標を組み合わせるとしていますが、まだ具体的な評価指標は示されておりません。国に要望を出す考えはありません。

 それから、医療と介護における整合性の確保について。介護保険制度は社会的入院の解消に向け、老人保健施設や療養型病床の創設、在宅サービスの充実など、医療と介護の連携強化が進められてきたものと受けとめております。国は、地域の高齢化等の実情に応じた病床の機能分化・連携を進めることにより、効率的な医療提供体制を構築するとしており、東京都が策定する地域医療構想では、2025年の医療需要を踏まえ、療養病床の患者をどの程度、慢性期機能の病床と在宅医療、介護施設等で対応するかについて目標を定めることとしております。今後、医療計画を所管する東京都との協議も行われる予定であり、その上で必要な介護サービスを見込むことが介護保険事業計画には必要と考えております。こういったことから、国に対して意見を述べる考えはありません。

 現行相当サービスの報酬額についてであります。平成29年度の現行相当サービスの介護報酬については、総合事業の円滑な実施のために、予防給付と同額の介護報酬といたしました。次年度の現行相当サービスの介護報酬については、平成30年度に改定される介護報酬全体の動向も見ながら今後検討してまいります。

 緩和型サービスの廃止と処遇改善について。平成29年4月の新総合事業開始以降、緩和基準サービスについては、訪問型サービスが27事業所、通所型サービスが4事業所となっております。現状の利用把握では利用者は少数にとどまっていますが、サービスを計画するケアマネジャーを中心に、より一層の制度周知を図ることにより、このサービスが認知されていくにつれ利用者がふえていくものと考えております。また、緩和の訪問型サービスに従事する職員は、介護従事者としての入門的な研修を受講しており、介護人材の裾野を広げることに寄与しているものであります。このようなことからも、緩和サービスを継続していく必要があると認識しております。

 区としては介護職員の資質向上を図り、職務経歴に応じて専門性を高め、定着が図れるよう、介護従事者の定着支援事業を行っており、独自の処遇改善を行う考えはありません。介護職員の処遇改善策については、国が介護報酬において重層的に処遇改善加算の拡充を図っており、全国的な処遇改善が進められてきていると認識しており、この段階で国に要望する必要はないと考えております。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 学校教育についての御質問で、初めに、給食費の食材費の負担軽減を求めるという御質問でした。学校教育法によって学校給食の食材料費については保護者負担とされており、負担軽減の考えはございません。

 それから、就学援助費の前倒し支給についての御質問です。就学援助は住民税の税額計算のもととしている前年の所得額に基づき、当該年度の認定を行っております。住民税における前年度所得額が確定するのは、当初課税の時期である6月となります。認定時期の前倒しは難しいと考えております。

 小・中学校全ての学年における35人学級の実施についての御質問です。学級編制基準は国により定められているところでございまして、中野区としては定められた基準の中で対応していく考えでございます。

 次に、ICカードシステムの導入についてです。教員の出退勤のICカードシステムを導入した他地区における実績も参考に、その効果や活用方法等について研究してまいりたいと考えています。

 最後に、教職員の勤務時間及び休憩時間についてです。教職員の労務管理上、勤務時間及び休憩時間については、やむを得ない場合には振りかえ対応をすることなどを含め、適切に割り振られて運用されるべきものであると認識しています。不適切な運用がされている場合には指導していくべきであると考えてございます。

〔地域支えあい推進室長野村建樹登壇〕

○地域支えあい推進室長(野村建樹) 認知症施策の推進についてお答えをいたします。

 まず、家族等の介護者に対する支援についてという御質問でございます。区では、認知症等の高齢者の家族が介護方法等の知識を学びながら互いに交流できる場として、家族介護教室を区内4カ所で実施し、介護に伴う心身の負担軽減を図っているところでございます。今後は、医師や介護事業者が気づいた家族等が発するSOS情報を的確に集約し、必要に応じてレスパイトのためのショートステイサービスにつなげるなど、ケアマネジャーや地域包括支援センターなど関係する医療介護職種間での情報連携のためのツール開発も決定してまいりたいというふうに考えてございます。

 続きまして、認知症カフェに対する支援の御質問でした。認知症カフェは、認知症の本人と介護者を支援する場として重要でございます。ボランティア活動の場として、認知症サポートリーダーの活用を図ったり、マニュアル等を用意するなど、認知症カフェの安定的な運営を支援してまいりたいというふうに考えてございます。こうした認知症カフェの周知につきましては、認知症の人や介護者に広く情報が行き届くよう、ホームページ等を活用してわかりやすい情報発信に努めてまいります。また、その一環といたしまして、リーフレット等の活用も図ってまいりたいというふうに考えてございます。

〔健康福祉部長小田史子登壇〕

○健康福祉部長(小田史子) がん検診の充実と障害者施策の拡充についての御質問にお答えいたします。

 まず初めに、がん検診の充実の部分で、受診率向上に向けた取り組みについてお答えいたします。乳がん検診、子宮頸がん検診は、がん罹患率の高い世代に対し受診勧奨はがきを送付する受診勧奨方式に変えましたことで、受診者の増加や検診受診率の向上が見られたものでございます。今年度はより効果的に事業を進めるため、9月下旬に勧奨はがきにかえまして受診券を送付する予定でおります。がん検診のさらなる受診率向上に向けまして、より効果的な方策を研究していきたいと考えております。

 続きまして、がん検診の無料化についてでございます。中野区では、胃がん対策といたしまして、胃がん検診だけではなく、胃がんの発生リスクが血液検査でわかります胃がんハイリスク診査を実施しております。胃がんハイリスク診査によりまして、リスクの高い方々が直ちに医療の受診につながり、結果として胃がんの早期発見につながりやすいと考えております。こうしたことから、相対的に胃がん検診の受診率は下がることが想定されるというようなことでございます。

 社会的コスト意識だけではなく、みずからの健康はみずから守るという自覚を持って、健康づくりの意識を高めていただくという意味からも、がん検診のある程度の自己負担は必要なものであるというふうに考えております。

 次に、障害者施策の拡充についてというところで、いずみ教室の廃止理由についてでございます。障害者総合支援法や障害者差別解消法の制定、特別支援教育の推進など、障害者を取り巻く社会状況や社会環境は大きく変化してまいりました。こうした変化に対しまして、いずみ教室では、専門的な支援や指導方法などにおいて新たな展開を図ることが難しい状況にありまして、平成28年度をもって廃止したものでございます。新たな事業の実施に当たりましては、保護者等を対象といたしました説明会を実施した上で事業者の公募をしたものでございます。

 次に、いずみ教室にかわる新規事業についての御質問でございます。平成27年度に実施いたしましたアンケートは、いずみ教室の実態を把握し、今後の持続可能な障害者施策の検討に役立てるために、いずみ教室の学級生や家族、スタッフを対象として実施したものでございます。新たな生涯学習事業におきまして、多くの知的障害者の方々が参加できるような事業の実施方法等につきまして検討してまいります。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 住宅政策の拡充についてお答えいたします。

 まず、居住支援協議会の設立についてです。区はこれまで、不動産団体との協定により、双方で連携しながら住宅確保要配慮者への居住支援を行ってきたところでありますが、こうした取り組みは居住支援協議会の役割も果たしているものと考えております。今後は、地域包括ケアシステムの推進に向けたより効果的な居住支援のあり方につきまして、福祉的な視点もあわせ持ちながら検討してまいります。

 続きまして、区営住宅の浴槽及び給湯設備についてでございます。居住者が自費で設置した浴槽及び給湯設備の改修工事や、居住者の退去時に新たな浴槽及び給湯設備の設置を区が行うことについては、区が負担する費用の住宅使用料への反映のあり方も含め、今後検討を進めてまいりたいと考えております。

 それから、公営住宅の新設についてでございます。区営住宅の建てかえ更新につきましては、区営住宅全体の今後のあり方を踏まえ、地域のまちづくり等との整合を図りながら検討を進める必要があると認識しているところでございます。一方、住宅確保要配慮者の住まいの安定に向けましては、民間の住宅に高齢者や障害者等が住みやすくなるための取り組みを検討し、住宅ストックの活用が推進されることが必要であると考えてございます。なお、都営住宅の新設整備に関しましては、東京都全体の住宅政策の中で都自身が判断するものと考えてございます。

○議長(いでい良輔) 以上で小杉一男議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 山 本 たかし

 1 「貧困の連鎖」解消への取り組みについて

  (1)子どもの貧困について

  (2)生活保護について

  (3)その他

 2 子ども達の教育環境について

  (1)教育施設の改善について

  (2)学校給食の無償化について

  (3)その他

 3 その他

 

○議長(いでい良輔) 次に、山本たかし議員。

〔山本たかし議員登壇〕

○6番(山本たかし) 平成29年第3回定例会に当たり、民進党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。質問項目は通告のとおりですが、2の(3)その他において、学校給食の公会計化についてと中学生の体験学習についてもお聞きいたします。

 1、「貧困の連鎖」解消への取り組みについて。

 (1)子どもの貧困についてお伺いいたします。

 日本財団の子どもの貧困対策チームが出した調査では、子どもの貧困はこのまま放置した場合の社会的損失は、所得はマイナス42.9兆円、税・社会保障の財政収入はマイナス15.9兆円、1人当たりの生涯所得マイナス1,630万円にまでもなると試算されております。また、子どもの貧困対策調査によって判明した大きな特徴として、高い投資対効果があること、対策は早いほうが望ましいこと、大事なのは非認知能力であることがあります。

 この問題についてシカゴ大学のノーベル経済学者ヘックマン教授は、恵まれない境遇にある子どもたちに対する投資は、公平性や社会正義を改善すると同時に、経済的な効率性も高める非常にまれな公共政策であるとも述べており、まさに子どもの貧困を自分ごととして捉えることが必要だとの示唆を与えてくれております。

 これまでも子どもの貧困問題に対しては、保護者の経済的な貧困の解消だけではなく、周囲に相談できる大人や友人がいない、あるいは居場所がない等の関係性の貧困の解消が必要であることは、質疑を通して訴えてまいりました。特に、関係性の貧困については潜在化しやすく、把握が困難であり、公募型の支援メニューを充実させても支援が届きにくい課題があります。支援を必要とする子どもの把握のためにはさまざまな主体の取り組みによるアウトリーチが重要となりますが、対象となる子どもにまだ漏れている子が多くいるのではないかと危惧しているところです。つまり、まだアクセスできないでいる子どもたちに対して、いかに漏れなく早期に発見し、支援の手を差し伸べられるかが行政の視点として大切であると考えます。

 気になる子どもを早期に発見する取り組みとして、大阪府箕面市で行われている子ども成長見守りシステムについて先日視察してまいりました。箕面市では、今までの課題が顕在化してから対応するといった対症療法的なアプローチでは貧困の連鎖を解消することはできないと考え、継続的な取り組みによって貧困の連鎖を断ち切り、社会から子どもの貧困の総量を減らしていくことに取り組むこととし、各部署が把握している子どもの情報を集積し、定期的に見守り対象者を判定し、早期に必要な支援を行うために、子ども成長見守りシステムを構築し、運用を始めました。

 このシステムは、まず、子ども成長見守り室を設置し、異なる部署で管理されている子どもに関するデータを取り込み一元管理した上で、判定ロジックにかけて、行政の一機関による施策では発見しにくい見守りや支援の必要な子どもたちを早期に見つけ出し、見守り判定を行い、判定を受けた対象者には必要な支援を関係機関と連携して行っていくものです。

 そこで伺いますが、中野区でも、課題が顕在化する前にリスクを把握し、見守り・支援を進める仕組みを導入すべきと考えますが、見解を伺います。

 また、区では、子ども・子育て支援事業計画を平成27年3月に策定し、子どもと家庭を取り巻く状況の分析を示しており、年内に計画の中間の見直しを図っておりますが、この計画では保護者を対象とした調査であり、子どもを対象とした調査事項も必要ではないかと感じております。新学習指導要領において以前より強く押し出されている生きる力、これは意欲、自制心、やり抜く力、社会性、自律性などのいわゆる非認知能力のことですが、これを高めると、不登校や中退率が下がったり、将来の年収、学歴や就業形態などの労働市場における成果にも大きく影響することが知られており、重要な指標であると考えられています。非認知能力は本来目に見えないものですが、箕面市のシステムの判定ロジックでも使われているように、心理学的な方法によって数値化することもできるようでありますので、学力テストや体力テスト、読書習慣、スマートフォンの利用調査などに加えて、こうした調査も検討に加えるべきと考えます。

 るる申しましたが、今回の見直しに当たっては、複数の指標を分析することによって有益な指標となることも多いため、経済状況、社会的対応力、健康状態など子どもの生活実態をあらわす数値等についても把握し、既存のデータをクロス集計するなども考慮に入れ、必要な施策展開につなげていくべきと考えますが、いかがでしょうか。御見解を伺います。

 次に、区の生活保護制度について伺います。

 これまで生活保護制度において、我が会派は区民の納税意識の観点から、制度に不信感を持たれぬよう、不正受給者に対しては厳しい対処を求めてきたところですが、本当に保護が必要である方が萎縮することによって、制度を利用しない、または利用を制限されるべきではありません。

 生活保護基準以下の方、つまり、生活保護を利用する資格のある人のうち、現に利用している人の割合である捕捉率について、2010年に厚生労働省が2割程度との推計を初めて示し、その後調査はありませんでしたが、昨年、山形大学の戸室教授の捕捉率の地域別研究により、東京都において19.7%と示され、今でも2010年から捕捉率2割程度の変わらない低い状況だと考えます。ドイツでは6割、フランスでは9割、スウェーデンでは8割であることを考えると、日本は圧倒的に低い現状にあります。この生活保護の捕捉率の低さは、制度があっても利用しにくいことを示していると考えます。そうなる理由の中で、特に日本では生活保護受給に対して恥の意識が社会に広く存在しています。

 区は、困窮状態にある方が生活困窮者自立支援制度や生活保護受給資格の要件など、必要な情報をわかりやすく得ることができ、また、後ろめたさやスティグマを感じることなく生活保護の申請ができる環境づくりをするべきであると考えます。

 区は、相談窓口に来庁された方については、素早く適切な形で支援につなげていると思いますが、関心のある方が相談窓口に来庁するところまで行くには、心理的に大変遠い距離感を感じている方も多いのではないかと感じます。また、関心のある方が区のホームページ内で「生活保護」と検索して2番目に出る生活保護制度の御案内と数行書いてありますが、これでは説明がないに等しい状況です。もちろんホームページでは詳細な説明はできません。しかし、住民が安心して生活の相談の電話をしてみよう、窓口に行ってみようと思えるような親しみやすい内容のものであるべきです。

 本年1月に、小田原市の生活保護担当部署の職員が受給者に対して威圧的な言葉をプリントしたジャンパーを着て各世帯を訪問していたことが発覚し、事件となりました。その後、生活保護行政のあり方検討会を設置し、報告書にまとめた改善策の一つとして、利用者の視点に立った生活保護業務の見直しとして、保護のしおりを市民にわかりやすく、自尊感情を傷つけない表記に見直すこととなり、広報体制全般に及ぶ大幅なリニューアルが施されました。

 そこで伺いますが、生活保護を受給しようと考えている方がまず目にする概略版たる「生活保護のてびき」、また、生活保護受給開始となった方向けの「生活保護のしおり」、そして、関心のある方が事前に見られることの多い区のホームページにおいて、利用をためらってしまうような表現、例えば生活保護を利用する要件ではない扶養義務を要件のように記載し、誤解を招く表現になっているように見受けられますし、全ての漢字にルビを振ってはおりません。一度見直していただき、改善を図るべきではないでしょうか。見解を伺います。

 また、これから生活保護を受けようとしている方向けの一次情報「生活保護のてびき」について、現在は生活援護分野の窓口で配布するのみであると聞いておりますが、この配布場所を他の適切な区有施設、関係施設にも拡大する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 さらに、手引き、しおりの内容についても、イラストを入れるなどデザインを改めて見やすくする、ホームページにはその改善した手引きを載せるなどの改善が必要ではないでしょうか、お聞きいたします。

 次に、医療扶助制度について伺います。厚生労働省から自治体に通知されている生活保護制度に関する平成29年度の取り組み方針では、医療扶助の適正化の一環として、ジェネリック医薬品の利用を促進し、年度の中ごろまでに使用割合75%の目標を掲げております。昨年、厚労省は後発医薬品調剤体制加算を改定し、調剤数量が65%以上の場合は18点、75%以上の場合は22点へ引き上げをし、区では医療保険制度並びに生活保護制度体制の維持の使命もあり、平成26年は62.2%、27年は67%、28年は70.7%と着実に割合を上げて努力されてきておりますが、ジェネリックに切りかえる際の薬局側のインセンティブについてはさらに改善の余地があると考えます。後発医薬品調剤体制加算制度について、区として国に意見を上げていくべきだと考えますが、区の見解を伺います。

 次に、ケースワーカーの負担について簡潔に伺います。社会福祉法16条で定められている、ケースワーカー1人に対し80世帯担当が適正との基準に対し、地区担当員1人当たりの担当世帯数は昨年時点で97.2世帯であり、高齢者居宅介護支援事業対象の委託世帯数を含めた現業員1人当たりの担当世帯数は108.2世帯との状況にありました。生活保護受給者への支援を適切に行うため、これまで会派としてもケースワーカーの増員を求めてきたところです。そうした中、今年度はケースワーカーの配置人数が4人増となったと伺い、対応を評価するものですが、人員増により今年度のケースワーカー1人当たりの担当世帯数は何人になったかをお示しください。

 結びに、生活保護制度は長らく入りづらく出にくいと言われてきましたが、生活困窮者自立支援制度も設置されたことにより、稼働能力がある方をハローワークと協力しながら段階的に就労へと結びつけていく就労支援員の役割が重要です。入りやすく出やすいトランポリン機能を持った制度となることが期待されております。また、最後のセーフティーネットであるこの制度を本来利用する権利のある方が萎縮せず安心して受けられるように、また、担当される職員の方々がより時間的・心理的に余裕を持って困窮者支援に取り組める環境になることを求め、この項の質問を終わります。

 次に、2番、子ども達の教育環境について伺います。

 (1)教育施設の改善について伺います。

 区は学校再編計画において統廃合を進めておりますが、統廃合が予定されていても、区内の学校施設はおおむね50年を経過しており、老朽化が目立ってきております。小・中学校PTAからも毎年多くの要望が出されておりますが、物の規模によっては毎年出されているものもあります。

 現在、区はトイレの洋式化、特別支援教室の冷房設備、水飲栓直結給水化工事を5カ年計画で行っておりますが、そのほかにも重要度が高く、修繕ではなく抜本的に中規模改修が必要な施設もあるのではないでしょうか。例えばカビの発生やシロアリの繁殖など健康被害や建物の腐食につながりかねない雨漏りについては、構造内部において漏れの原因のもとを処置しなければなりません。また、年々真夏の高温化が進む中、体育館の熱中症対策はまさに子どもたちの命の危険性をはらんでおり、また、災害時には避難所ともなるなど、大型扇風機の導入、あるいは屋根や壁面への反射塗料の塗布など対策の計画が急務です。

 区は、PTAからだけではなく、学校からの要望や年次点検、法定点検などを踏まえてさまざまな課題箇所を把握していく中で、統廃合の計画や危険度、重要度などを考慮し、優先順位をつけておられると思いますが、学校や保護者、地域住民の皆さんに御理解いただくためのもととなるスケジュールがありません。これではむやみに不満がたまってしまうのではないかと感じます。

 学校施設において、改修が必要ではありますが、年次計画が定まっていない施設の部位について、計画的な改修スケジュールを示すべきではないでしょうか、お聞きいたします。

 また、学校再編計画において、次年度の統合に向けた準備を進めている第三中学校・第十中学校の統合新校については、統合に先立ち教育環境を整備するため、新校舎建設までの間校舎として使用する第三中学校の改修工事を行っています。今後統合が予定されている学校においても、新校舎ができるまでの校舎において同様の改修工事が行われるのでしょうか、伺います。

 最後に、今後新たに建設される学校施設においては、将来多くの修繕が当然予想されます。効率的に対応するためにも長期修繕計画を策定すべきではないでしょうか。また、修繕費の積み立てなど計画的な予算確保を検討すべきではないでしょうか、伺いまして、この項の質問を終わります。

 次に、(2)学校給食の無償化について伺います。

 先ほど子どもの貧困の話もしましたが、実際、家庭の事情により、自宅で十分な食事を与えられていない子どもがいます。低所得世帯の子どもほど朝食をとらない割合が高く、野菜を食べる機会が少ないという調査もあり、家庭環境による栄養格差をどう改善するかという点で、現状、学校給食の果たす役割は大きいと考えます。

 就学援助制度は、生活保護基準の1.2倍から1.15倍へと認定基準が引き下げられ、経過措置期間も終了しております。今まで補助を受けられていた方々が受けられなくなり、行政上は生活困窮者とは呼ばれないが、生活が苦しいと感じている層は多くおられます。区は毎年、就学援助制度の説明を行っているとのことですが、就学援助を知っているが申請をためらったり、あるいは日常生活に追われて制度を見落としている保護者などもいるのではないかと思っております。

 現在、区内小・中学校の給食食材費の未納状況は少ない状況と区は説明しておりますが、いつ起こるかわからない社会情勢の急激な変化があれば、生活は苦しいが就学援助基準を満たさない家庭にとっては、未納が大幅にふえることも予想されると考えます。未納がふえれば、栄養士がその減った予算内で栄養バランスのとれた献立メニューを考えなければなりません。

 今年度4月の参議院厚生労働委員会において、学校給食の無償化に関する全国的な調査分析を今年度実施するとの政府答弁があり、国が調査に乗り出すとのことですが、前向きな結果となるとしても、支援の手が届くまでは時間がまだまだかかります。

 子どもは社会で育てるものであり、育ち盛りの子どもが家庭の事情に関係なく十分な栄養をとれる環境を整えるためにも、区は学校給食の無償化をすべきと考えますが、見解を伺います。

 私は、成長期の子どもたちに栄養価の高い学校給食を安心して安定的に提供するために、学校給食の無償化はぜひとも取り組んでいただきたいと思っております。他方、今の学校給食の現場においては、会計が私費会計になっていることにより課題も生じておりますので、(3)その他で、あわせて学校給食の公会計化についても伺います。

 昨年、文部科学省内に「次世代の学校指導体制にふさわしい教職員の在り方と業務改善のためのタスクフォース」が設置され、学校現場における業務の適正化に向けて検討されました。その検討報告書では、教員の担うべき業務に専念できる環境の確保、統合型の校務支援システムと並んで、学校給食費などの学校長集金会計業務の負担から教員の解放と打ち出し、既に公会計化し、徴収・管理等の業務を教育委員会や首長部局に移行した自治体の効果として、会計業務の透明性が図られるとともに、年間を通じて安定した食材調達等が可能となったと示され、学校給食費の徴収・管理の業務を地方自治体みずからの業務として行うことが望ましいと提言されました。加えて、学用品費や修学旅行費等の学校長集金の徴収・管理業務についても学校給食費と同様に必要な環境整備を推進する必要があると示されております。

 さらに、ことしの4月11日の参議院総務委員会において文科省が、学校給食の実施に係る経費について、食材費を含めて公会計化を進めるとともに、徴収・管理等の業務を地方自治体がみずからの業務として行うよう、地方自治体の会計ルールや徴収・管理システムの整備など必要な環境整備を促しつつ、地方自治法を所管する総務省ともよく連携しながら、文科省としても対応を進めてまいりたいとの御答弁がありました。その上で、文科省は徴収方法のガイドライン策定の経費を平成30年度の概算要求に盛り込みました。

 また、仙台市が平成31年度から、千葉市では平成30年度から公会計方式に移行を決定しました。千葉市ではその理由として、給食費を市の予算とすることで、会計のより一層の公正・透明性を確保し、厳正な徴収管理を行うことや、学校ごとの徴収状況に左右されることなく、質の高い給食を提供すること、保護者の口座振替手数料負担がなくなることや、手続の負担軽減を図ることなどを挙げております。

 こうした公会計化が進められている流れの中で、区としても透明性の確保の観点から、また、安定的な食材調達の観点から、改めて学校給食食材費の公会計化を求めます。区の見解を伺います。

 次に、中学生の体験学習について最後に伺います。

 現在、区立中学校の2年次において商店、飲食店、公的機関などで職場体験を実施しておりますが、高校生になるとアルバイトを初めてする子も多く、若年労働者が労働現場において不当な労働をさせられる、いわゆるブラックバイトと呼ばれる実態に出くわすことも問題となっております。また、労働相談窓口に来る相談者には、雇用主との間に書面による契約が義務付けられているにもかかわらず、交わされていないケースが多くおられます。

 こうした状況の中、将来のトラブルを未然に防ぐため、こうした中学生の職場体験の機を捉えて、体験先と生徒が実際に模擬労働条件通知書を取り交わし、働くときに必要なワークルールを体験してもらう事業者もふえてきております。高校進学前の子どもたちの時期のタイミングとしても適切かつ必要なことであり、こうした視点を持って取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。区の見解を伺って、私の全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 山本議員の御質問にお答えをいたします。

 まず、「貧困の連鎖」解消への取り組みについてという質問の中で、早期の課題把握、対応についてであります。区では、妊娠・出産・子育て期にわたり、育児に係る情報提供、相談、家庭訪問、サービス提供等を行うことを通じて、子どもや家庭をめぐる課題の発生の予防に努めているところであります。また、問題が発生した際には、関係部署や他機関も含めて連携し、早期発見・早期対応を図っているところであります。今後、地域包括ケアシステムの充実を進める中で、子どもと家庭を支えるシステムも取り込み、さらにきめ細かい対応を図ることが可能になると考えております。

 子ども・子育て支援事業計画見直しに関連しての御質問です。子ども・子育て支援事業計画では、産後鬱、食事の摂取、虫歯の罹患、児童虐待等の子どもや家庭の状況について、指標等として位置付けをしております。現在、計画の見直しを行っているところであり、さらに必要なデータの把握や施策展開について引き続き検討を進めてまいります。

 生活保護制度の周知方法の改善についてであります。相談者に渡す「生活保護のてびき」、生活保護の受給が決定したときに渡す「生活保護のしおり」、区ホームページのいずれについても、私どもから見て表現上の問題は特にないと考えております。相談者に渡す「生活保護のてびき」は、単に配布するだけのものではなく、個々の状況に合わせた説明を行うための資料として作成したものであり、配布場所の拡大は考えておりません。生活保護の手引きやしおり等の見やすさ、また、わかりやすさにつきましては、今後研究を進めてまいります。

 ジェネリック医薬品の利用促進の国への要望であります。調剤報酬におきましては、ジェネリック医薬品の調剤割合で加点される後発医薬品調剤体制加算の項目があり、一定のインセンティブが図られていると認識しており、現時点ではこれに重ねた新たなインセンティブについて国に求める考えはありません。

 ケースワーカーの担当世帯数についてであります。これにつきましては、昨年度から7世帯減少して、1人当たりの担当世帯数は91世帯となっているところであります。引き続き適切な取り組みに努めてまいりたいと考えております。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 子ども達の教育環境について、初めに、教育施設の改善についての御質問です。計画的な改修スケジュールにつきまして、御質問にもありましたけれど、トイレの洋式化や特別教室の冷房化工事などについては、年次計画を策定して順次工事を実施しているところでございます。それ以外の屋上防水や外壁などの大規模な改修につきましては、耐用年数を考慮した区有施設の年次予定を踏まえつつ、優先度やコストなども考慮して、計画的に改修を進めてまいりたいと考えております。

 次に、改築までの間使用する学校の改修工事についての御質問です。学校再編計画において統合が予定されている学校については、統合後も一定の教育環境を確保していくために、新校舎建設までの間校舎として使用する学校においても、必要な改修を今後も行っていく予定でございます。

 次に、改築後の学校施設における長期修繕計画についてです。毎年実施している施設の安全点検などの結果を踏まえ、優先度に基づき修繕を行っているところでございますが、施設の長寿命化や施設の活用を図るため、適切な改修・保全を推進していく必要があると考えてございまして、今後も計画的に進めてまいりたいと考えています。

 続きまして、学校給食の無償化についてです。学校給食法によって、学校給食の食材費については保護者の負担とされておりまして、給食費を無償化することは現在のところ考えてございません。

 次に、学校給食の公会計化についてです。現在、私費会計で行っている学校給食費に関しましては、その収納、支払いについて学校事務職員が行い、その後、校長、副校長等が確認するという複数チェック制をとってございます。また、決算時において、複数の保護者等で構成する校内監査委員による監査を実施し、その結果を保護者に報告してございます。さらに、教育委員会事務局が一連の取り扱いについて適正に行われているかを監査しています。以上のとおり、給食費については適正な運営が行われていると考えていることから、現在、公会計に変更することは考えてございません。

 最後に、職場体験における契約トラブル防止の学習についてです。職場体験は、生徒が事業所などの職場で働くことを通じて、職業や仕事の実際について体験したり、働く人々と接したりする学習活動でございます。子どもたちと実社会のかかわりという観点から、生徒の勤労観、職業観を育成するとともに、学びを支え、生き方を考えさせることを主たる目的としてございます。雇用関係などに関する指導につきましては、今後、職場体験の事前学習、事後学習の中で検討してまいりたいと考えてございます。

〔政策室長髙橋信一登壇〕

○政策室長(髙橋信一) 私からは、子ども達の教育環境について、学校再編等の財源確保策についてお答えいたします。学校再編、学校施設の大規模改修の整備につきましては、義務教育施設整備基金を財源として活用しているところでございます。今後の需要に備えた義務教育施設整備基金の運用については、当初予算において一般財源を積み立てるほか、学校関係用地の売却等による財産収入等を積み立てる予定でございます。

○副議長(南かつひこ) 以上で山本たかし議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 内 野 大三郎

 1 指定管理者制度における労働環境モニタリングについて

 2 災害対策について

 3 その他

 

○議長(いでい良輔) 次に、内野大三郎議員。

〔内野大三郎議員登壇〕

○17番(内野大三郎) 平成29年中野区議会第3回定例会において、都民ファーストの会中野区議団の立場から一般質問をさせていただきます。質問は通告のとおりです。その他の項目はございません。

 初めに、指定管理者制度における労働環境モニタリングについてです。

 この質問については、過去に多くの議員から何度も質問が出ており、今定例会においても自民党の伊東議員と篠議員とが同様の質問をされておりますが、視点を変えての質問とさせていただきます。

 平成15年から始まった指定管理者制度は、地方自治法第244条の2に基づき、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設である公の施設について、民間事業者などが有するノウハウを活用することにより、住民サービスの質の向上を図っていくことで、施設の設置の目的を効率的に達成するためのものです。これにより、平成24年には全国で約7万件以上の公共施設が指定管理者制度によって運営されています。

 一方で、制度発足から5年間で運用面での見直しを図ってもきました。平成20年6月6日に発出された総務事務次官による都道府県知事宛ての「平成20年度地方財政の運営について」というタイトルの文書によると、指定管理者制度の運用に当たって、そのあり方について検証及び見直しを行うように書かれています。一部抜粋いたしますが、「指定管理者の適切な評価を行うに当たっては、当該施設の態様に応じ、公共サービスについての専門的知見を有する外部有識者などの視点を導入することが重要であること」とあります。

 さらに総務省は、平成22年12月28日に「指定管理者制度の運用について」という文書を総務省自治行政局長名で都道府県知事、指定都市市長、都道府県議長、指定都市議会議長宛てに発出をしています。この中に、「6 指定管理者が労働法令を遵守することは当然であり、指定管理者の選定にあたっても、指定管理者において労働法令の遵守や雇用労働条件への適切な配慮がなされるよう、留意すること」という項目があります。

 こうした背景には、指定管理者制度が単なる価格競争の場になってはならないこと、労働法令の遵守や雇用労働条件への適切な配慮が足りない側面が散見されていることが挙げられます。平成24年11月に総務省自治行政局行政経営支援室から公表された「公の施設の指定管理者制度の導入状況などに関する調査結果」を見ると、リスク分担の項目の調査結果では、協定書などへの記載状況として、施設の修繕に関する事項、備品に関する事項や緊急時の対応に関する事項に関して、「指定管理者選定時に示している、かつ、協定等に記載している」と回答した施設は6割から7割程度の施設でした。他方、労働法令の遵守や雇用労働条件への配慮規定については、4割弱の施設でしか記載がありません。自治体と指定管理者にとって、労務管理がいかに大きなリスクであるかを認識させられる調査結果であると思います。

 中野区はこの4割弱の中に入っており、また現在、区では指定管理者との協定などに基づき、定期的な報告を受け、ヒアリングなどを実施している状況のようです。しかし、労務管理のリスクをより低減していくためにも、さらにその実効性を確保していくためにも、「専門的知見を有する外部有識者などの視点を導入することが重要である」と考えています。区内全ての指定管理者施設で実施を求めているのではありません。専門家のチェックが入るという実績自体が、労務管理の徹底を促すようになり、ひいては公共サービスの充実を図っていくことができるのではないでしょうか。

 23区中20区で実施している労働環境モニタリングです。そろそろ一定の結論を出す時期に来ていると思われますが、いかがでしょうか。

 次に、災害対策についてです。

 避難所開設訓練について。

 災害対策基本法第2条の2の第2項には、「国、地方公共団体及びその他の公共機関の適切な役割分担及び相互の連携協力を確保するとともに、これと併せて、住民一人一人が自ら行う防災活動及び自主防災組織その他の地域における多様な主体が自発的に行う防災活動を促進すること」とあります。

 現在、中野区では、町会ごとに防災会を組織し、その世帯数に応じた上限のある助成金の申請を受け付けています。そして、その運営方法としては、「地域防災住民組織活動の手引き」――以下、手引きといいます――というものを作成し、防災会への配布をしています。この手引きは、平成25年に発行されて以来更新されていません。防災会の役員も交代などにより手引きを持っていない人がふえていることから、防災会を運営する主要メンバーである全ての役員に行き渡るよう、印刷部数をふやし、再度配布してはいかがでしょうか。

 また、この手引きでは、災害時に起こり得る困難な事象に対応できる実践的な内容の手引きにするとともに、この手引きを持っている人が、避難所開設時に運営会議で決められた組織図や主要メンバーの氏名を自分で書き入れ保管するように、様式を定められるような専用のシートを配布してはどうでしょうか。想定される災害時の混乱の際に落ちついて対応できるためには、手元にあるこのような手引きが実践的な視点をふんだんに盛り込んだものにする必要があると思います。

 さらに、平成25年発行の手引きの内容に、その後どのような内容が新規に加わり、またさらに変更になっているのか、その内容はどのように防災会へ周知徹底しているのか、お尋ねします。

 以上のことを勘案した上で、最後に、先ほどの手引きを活用した実践的な訓練を行うためにはどうすればよいと考えていますでしょうか、お尋ねします。

 次に、耐震補償の充実について。

 現在、中野区では、東京都の住宅耐震施策の助成制度を活用し、耐震診断や建替え助成を一部の地域で実施しているようですが、改修助成については実施しておりません。そこで、建替え助成の実施を一部地域から区内全域に広げ、さらに、改修助成についても取り組んでみてはいかがでしょうか。

 区民の選択肢を広げ、耐震改修への意識向上を図るためにも、区内全域を対象に東京都の木造住宅の耐震改修助成制度を活用すべきと考えるが、いかがでしょうか。

 また、区民の安心・安全につながるまちづくりを進めるに当たり、区民の自己負担と区の財政負担軽減となる東京都の助成制度が拡充された場合、区として現在の取り組みを見直す考えはあるでしょうか、お尋ねします。

 続きまして、防災頭巾についてです。

 中野区内の小中学生は、現在、防災頭巾を準備して、避難訓練などで活用しております。防災頭巾は頭と肩を保護する構造になっていますが、戦前・戦後の木造校舎時代にはある程度の実効性を確保できたのかもしれませんが、現在の区内の公立学校はほとんどが鉄筋コンクリート造です。かたくて重いものが落下してきたときのためには、ヘルメットが効果的と思います。かつてヘルメットは置き場所確保ができないとの理由で設置を見送ることが多かったようですが、現在のヘルメットは折り畳み式でコンパクトに収納できるものも多数見受けられます。耐久性、耐熱性、そして耐火性にすぐれたものを慎重に選び、防災頭巾からヘルメットへの方向へかじを切ってはいかがでしょうか。予算のかかることなので、全ての公立学校での変更ではなく、例えば来年度の1年生にまずは支給するというのはいかがでしょうか、お尋ねいたします。

 最後に、防災担当人事についてお尋ねします。

 先般の北朝鮮の弾道ミサイル発射に当たり、日本中が緊張に包まれました。迫りくる脅威は机上の空論ではなく、まさに現実のものとなろうとしております。自然災害の対策も同様で、いついかなるときにも区民・国民がパニックを起こさないように、冷静に対処することが求められています。

 首都直下型地震などの大災害時には、地元の警察・消防だけでなく、中野区支援のため全国から自衛隊や警察・消防が駆けつけてくれることになろうかと思います。

 現在、中野区では、警察・消防の関係者やそのOBらをそれぞれ生活交通安全担当や危機管理担当部長、そして、防災担当に配置をしております。しかし、災害時には自衛隊も駆けつけることが想定されます。警察・消防・自衛隊の連携が不可欠になる場面において、災害対策本部の組織強化、迅速化、適格化を図る意味でも、警察・消防同様に自衛隊の関係者を区役所に配置する必要性があると思われますが、いかがでしょうか。特に自衛官の得意分野は、ミサイル等の発射に対処できる危機管理の分野と災害復旧の分野に精通しており、昨今の日本の情勢において不可欠な存在になっていると感じております。

 非常勤も含めた退職自衛官の採用は、都庁では4名、品川区、板橋区ではそれぞれ2名、荒川区、足立区でも同様の配置をしております。平成27年に新設された区役所を持つ豊島区では危機管理監を設置、危機時の組織運用のノウハウを駆使して区民の安心・安全のために、任期付ながらも元陸上自衛官のベテランを採用しました。

 責任感を持って対処していただくためにも、任期付採用などの方法も含め検討していただけますでしょうか。

 以上で私の全ての質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 内野議員の御質問にお答えをいたします。

 労働環境モニタリングの実施について。指定管理業務における職員の労働環境の把握をさらに徹底するためには、専門家の知見を生かした労働環境モニタリングが有効な手法の一つであると考えております。働き方改革が提唱される中、公の施設を設置している区としても、労働環境改善の取り組みと事業の安定的運営やサービス向上の両立を図ることがますます重要になってきていると認識しているところであります。労働環境モニタリングの具体的な実施方法について検討してまいります。

 災害対策に関連しての御質問がありました。手引きの防災会役員分の印刷についての御質問です。避難所開設や運営に使用する「地域防災住民組織活動の手引き」の来年の改訂では、本冊と要約版を作成し、携帯できる要約版は各防災会の全役員に配布することを検討しております。なお、本冊につきましては、避難所運営会議をはじめ、訓練や実災害時の運営に活用していただくため、個人への配布ではなく、防災会への配布としたいと考えております。

 組織名等を記入し掲示できる専用シートの配布についてであります。「地域防災住民組織活動の手引き」には、避難所開設訓練などにより判明した問題点とその対応策などをQ&A方式で掲載するなど、実践的な内容への改訂に努めるとともに、避難所運営時には各種情報の掲示が必要となるため、手引きに織り込める記入用のシートについても検討してまいります。

 手引きの内容の周知についてであります。平成25年の手引きの発表後、新規に配備された防災用資機材としては、スタンドパイプをはじめ、救出用の資機材である通称おんぶひもなどがあります。また、変更内容としては、組み立てリヤカーを鉄製からアルミ製にするなどがあります。新規または変更した内容につきましては、年2回開催する防災会連絡会で配置計画や使用方法などを取りまとめた資料を配付して、各防災会への周知徹底に努めているところであります。

 手引きを活用した訓練についてであります。災害発生時には、時間経過とともに「一人ひとり個々での対応期」、「隣近所での対応期」、「防災会と区が連携する組織的な対応期」など、求められる行動や対応が変化をすることから、そのことを前提に訓練を計画する必要があります。また、「地域防災住民組織活動の手引き」は、災害の初動対応、避難所の開設・運営、防災資機材の活用方法など、イラストや写真を多く用いて詳細に解説されていることから、その内容を参考として、自分たちの地域・避難所の実情に応じた実働訓練を重ねることにより、実践的な活動力を向上させる訓練とすることができると考えているところであります。

 退職自衛官の防災担当としての配置についての御提案であります。自衛隊出身者の知識、経験、これらが区の対策の中でどのような形で生かすことができるものなのか、これを研究してまいりたいと思います。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 防災対策のうち、ヘルメットの公費による配布についての御質問です。現在は、学校を通じて保護者に防災頭巾を用意していただいております。避難の指導や誘導指示は統一的に行うことが必要だというふうに考えています。今後、全体的に現状の学校における防災体制のあり方を評価する中で、ヘルメットの有効性についても研究していきたいというふうに考えております。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 耐震補償の充実についてお答えいたします。

 まず、東京都の耐震改修助成制度活用についてでございます。東京都では、住宅の耐震改修助成制度は、防災都市づくり推進計画で指定されております整備地域内の建物に限定して、実施をされているところでございます。中野区では、耐震改修や建替え助成の前提として、対象となる建物所有者が主体性を持って耐震化に取り組めるよう、無料で耐震診断を実施し、診断結果等を踏まえ、改修や建替えに向けた検討がなされるよう助言を行い、区民の意識向上に努めているところでございます。現在のところは、制度の拡充等は考えていないところでございます。

 それから、取り組み方針の見直しについてでございます。これまでも区としては、東京都が提示する助成事業の内容を十分に検証・検討を行い、必要に応じて見直しを図ってきたところでございます。今後も東京都の動向等を踏まえまして、区民や区にとって耐震化向上に資する制度や事業については前向きに検討してまいります。

○議長(いでい良輔) 以上で内野大三郎議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。

 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(いでい良輔) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時02分延会

 

会議録署名員 議 長 いでい 良輔

副議長 南 かつひこ

議 員 小林 ぜんいち

       議 員 小杉 一男