平成29年09月20日中野区議会決算特別委員会

.平成29年(2017年)9月20日、中野区議会第一・第二委員会室において開会された。

.出席委員(41名)

  1番  加  藤  たくま         2番  若  林  しげお

  3番  日  野  たかし         4番  木  村  広  一

  5番  ひやま      隆        6番  山  本  たかし

  7番  渡  辺  たけし         8番  細  野  かよこ

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  いでい   良  輔

 11番  高  橋  かずちか       12番  内  川  和  久

 13番  甲  田  ゆり子        14番  小  林  ぜんいち

 15番  白  井  ひでふみ       16番  中  村  延  子

 17番  内  野  大三郎        18番  小宮山   たかし

 19番  広  川  まさのり       20番     欠  員

 21番  佐  野  れいじ        22番  北  原  ともあき

 23番  伊  東  しんじ        24番  平  山  英  明

 25番  南     かつひこ       26番  小  林  秀  明

 27番  森     たかゆき       28番  いながき  じゅん子

 29番  石  坂  わたる        30番  小  杉  一  男

 31番  い  さ  哲  郎       32番  大  内  しんご

 33番  高  橋  ちあき        34番  伊  藤  正  信

 35番  市  川  みのる        36番  篠     国  昭

 37番  久  保  り  か       38番  酒  井  たくや

 39番  近  藤  さえ子        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席委員

      な  し

.出席説明員

 中野区長    田中 大輔

 副区長     川崎 亨

 副区長     本田 武志

 教育長     田辺 裕子

 政策室長    髙橋 信一

 政策室参事(企画担当)         青山 敬一郎

 政策室副参事(予算担当)        海老沢 憲一

 政策室副参事(広報担当)        堀越 恵美子

 政策室副参事(業務マネジメント改革担当)、

 経営室副参事(新区役所区民サービス担当)永田 純一

 経営室長    篠原 文彦

 危機管理担当部長志村 和彦

 新区役所整備担当部長          相澤 明郎

 経営室参事(経営担当)         朝井 めぐみ

 経営室副参事(人事担当)        田中 謙一

 経営室副参事(施設担当)        髙田 班

 経営室副参事(行政監理担当)      石濱 良行

 経営室副参事(経理担当)        石橋 一彦

 経営室副参事(生活・交通安全担当)   三原 伸恭

 都市政策推進室長奈良 浩二

 西武新宿線沿線まちづくり担当部長    角 秀行

 都市政策推進室副参事(産業振興担当)  浅川 靖

 都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 平田 祐子

 都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 藤永 益次

 都市政策推進室副参事(中野駅周辺まちづくり担当) 松前 友香子

 都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 石井 大輔

 都市政策推進室副参事(中野駅地区都市施設調整担当) 小幡 一隆

 都市政策推進室副参事(中野駅地区都市施設整備担当) 江頭 勝

 都市政策推進室副参事(新井薬師前駅周辺まちづくり担当) 高村 和哉

 地域支えあい推進室長          野村 建樹

 地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 伊藤 政子

 地域支えあい推進室副参事(区民活動センター調整担当、

 地域包括ケア推進担当)         酒井 直人

 地域支えあい推進室参事(地域子ども施設調整担当)、鷺宮すこやか福祉センター所長、

 鷺宮すこやか福祉センター参事(地域ケア担当) 上村 晃一

 中部すこやか福祉センター所長     志賀 聡

 中部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 大場 大輔

 中部すこやか福祉センター副参事(地域支援担当) 濵口 求

 北部すこやか福祉センター所長、

 北部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 小山 真実

 北部すこやか福祉センター副参事(地域支援担当) 矢島 久美子

 南部すこやか福祉センター所長      石濱 照子

 南部すこやか福祉センター副参事(地域ケア担当) 伊藤 廣昭

 南部すこやか福祉センター副参事(地域支援担当) 森 克久

 鷺宮すこやか福祉センター副参事(地域支援担当) 葉山 義彦

 区民サービス管理部長          戸辺 眞

 区民サービス管理部副参事(区民サービス担当) 古屋 勉

 区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 渡邊 健治

 区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 古川 康司

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長  横山 俊

 子ども教育部副参事(子ども教育経営担当)、

 教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 高橋 昭彦

 子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当)、

 教育委員会事務局副参事(就学前教育推進担当) 長﨑 武史

 子ども教育部副参事(幼児施設整備推進担当)、

 教育委員会事務局副参事(幼児施設整備推進担当) 荒井 弘巳

 教育委員会事務局指導室長        杉山 勇

 健康福祉部長  小田 史子

 保健所長    木村 博子

 健康福祉部副参事(福祉推進担当)    岩浅 英樹

 健康福祉部副参事(健康推進担当)    只野 孝子

 健康福祉部副参事(文化・スポーツ担当) 永見 英光

 健康福祉部副参事(障害福祉担当)    菅野 多身子

 環境部長    白土 純

 環境部副参事(地球温暖化対策担当)   高橋 均

 環境部副参事(生活環境担当)      高橋 英昭

 都市基盤部長  豊川 士朗

 都市基盤部副参事(都市計画担当)    辻本 将紀

 都市基盤部副参事(地域まちづくり担当、弥生町まちづくり担当) 安田 道孝

 都市基盤部副参事(大和町まちづくり担当) 細野 修一

 都市基盤部副参事(道路担当)      鈴木 宣広

 都市基盤部副参事(自転車対策・地域美化担当) 伊東 知秀

 都市基盤部副参事(公園担当)      千田 真史

 都市基盤部副参事(建築担当)      小山内 秀樹

 都市基盤部副参事(住宅政策担当)    塚本 剛史

 都市基盤部副参事(防災担当)      中川 秀夫

 会計室長    鳥井 文哉

 選挙管理委員会事務局長         松原 弘宜

.本会の書記は下記のとおりである。

 事務局長     吉村 恒治

 事務局次長    古本 正士

 議事調査担当係長 鳥居 誠

 書  記     関村 英希

 書  記     立川 衛

 書  記     若見 元彦

 書  記     井田 裕之

 書  記     冨士縄 篤

 書  記     野村 理志

 書  記     鎌形 聡美

 書  記     遠藤 良太

 書  記     松丸 晃大

 書  記     香月 俊介

 書  記     古谷 友里香

 

.委員長署名

     


午前10時00分開議

○高橋(か)委員長 定足数に達しましたので、ただいまから決算特別委員会を開会します。

 認定第1号から認定第5号までの計5件を一括して議題に供します。

 昨日、9月19日の理事会の報告を行います。

 本日の委員会運営について、本日の総括質疑は、1番、酒井たくや委員、2番、渡辺たけし委員、3番、高橋ちあき委員、4番、木村広一委員、5番、いさ哲郎委員の順に5名の質疑を行うことを確認しました。

 以上が理事会の報告ですが、質疑はありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 ただいま報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 御異議ありませんので、そのように運営します。

 ただいまから総括質疑を行いますが、答弁される理事者は答弁前に大きな声で職名を述べるようにお願いします。

 それでは、質疑に入ります。酒井たくや委員、質疑をどうぞ。

○酒井委員 おはようございます。昨日に引き続き質疑を行わせていただきます。昨日、28年度決算の歳出、目的別歳出の子ども教育費についてのところで質疑漏れがあったので、1点だけ質疑をさせていただきたいと思います。中野区の就学前における保育施設利用児童数、幼稚園利用児童数、在宅で子育ての児童数をお聞かせください。

○高橋子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 平成29年4月現在の就学前人口は1万3,344人でございまして、そのうち保育施設利用児童数が5,638人、幼稚園・認定こども園利用児童数が3,041人、その他が4,665人となってございます。

○酒井委員 ありがとうございます。保育園が約5,600名、幼稚園が3,000名、在宅で子育てされている方が4,500名ぐらいでしょうかね。幼稚園と在宅で子育てされている方を合わせると7,600名ぐらいでしょうか。6款子ども教育費、4項、保育園・幼稚園費の保育園に係る費用なんですけれども、保育園・幼稚園関係人件費を除き、事務事業の保育園に係るところ、区立保育園、民間保育、指導、給付施設事業検査、幼児施策計画、待機児童対策、こちらを足し上げると約83億円になりました。他方、幼稚園に係る事務事業、幼稚園・認定こども園費は約10億円で、かなり差があるなと感じております。もちろん私立幼稚園には国からの補助金も出ております。ただ、保育園と幼稚園、それからまた保育園、幼稚園に通っていないお子さんに対する予算措置は微々たるものであり、就学前のお子さんでも中野区ではこれだけ予算の開きがあるんだなと感じております。もちろん一概に比較することができないのは重々承知しておりますが、担当さんとしてはこのような状況をどうお考えでしょうか。

○高橋子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 今お話の中にもございましたけれども、区の歳出比較では保育園関係の額が大きくなってございますが、単純に金額のみで比較することは難しいと考えてございます。区では在宅での育児を支援する取り組みとして、一時保育事業や子育てひろば事業などを行っているところでございます。在宅で育児する家庭や幼稚園・認定こども園を利用する家庭が子育てしやすい環境づくりに向けて、孤立感や育児の不安を解消するための取り組みなど、必要な施策の充実を図っていきたいと考えてございます。

○酒井委員 就学前の同じ中野の子どもたちでも予算措置が違うんだなと私は感じているんです。ただ、今の状況を考えると待機児童対策、もちろん力を入れていただきたいと考えますが、あわせて保育園を利用していない在宅で育児を頑張っている方、それからまた幼稚園を利用されている方の支援も手厚く行っていただきたいと考えております。区は今年度、U18を廃止します。今後は児童館も廃止していくことを考えると、こういう子育て支援のサービスというのは、私は低下していくんだろうと考えております。ただでさえ日本は、それから各自治体は子育て支援の予算が少ない状況下、例えばこのU18というものは廃止をして、保育園、学童保育、それから子育てひろばができますよね。数少ない子育て支援の予算の中で子育て施設を取り合っているような状況だと思うんですね。そういうことを僕はやめていただきたいなと思っております。それで、そういう観点で今回質疑をさせていただいているんですが、同じ就学前の中野の子どもたちにもかかわらず、予算規模が違い過ぎると考える中、今後、在宅で子育てされている方々への手厚い支援を施策に反映していただきたいと思いますが、最後にお尋ねします。

○高橋子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 在宅育児家庭への支援につきましては、今後、子育てひろばの拡充や一時預かり事業の拡充など、関係部署が連携をとりながら進めていく考えでございます。また、子ども・子育て支援事業計画の中間見直し作業を進めているところでございますけれども、その中でも課題として捉えているところでございまして、今後必要な施策の具体化を図っていきたいと考えてございます。

○酒井委員 ありがとうございます。次の質問にいきます。順番を入れかえ、5番の保育行政についてお尋ねいたします。東京都が行った東京都保育士実態調査というものがあります。それによると、雇用形態は6割が正規保育士、1割が有期契約、3割がパートタイム。正規保育士の週勤務日数と勤務時間を見ると、週当たり勤務日数6日以上が3割であり、1日当たりの勤務時間は9時間以上が半分以上という状況です。職場の改善希望点のトップ3は上から順に、給与・賞与等の改善、職員数の増員、事務・雑務の軽減です。保育士退職意向理由のトップ3も同じような内容で、給料が安い、仕事量が多い、労働時間が長いというものです。保育士の処遇改善に関しては、さまざま取り組んでいただいているのは理解しております。それとあわせて、職場改善希望、退職意向の理由のトップ3にある事務・雑務の軽減、長時間労働につながるこの問題を解消しなければ、保育士不足の抜本的な解決につながらないと考えます。保育現場ではパートの保育士さんもふえており、その方は定時でもちろん終業します。その分、負担が正規職員にかかってしまうと考えております。勤務時間のほとんどは保育を行い、それ以外の時間で翌日の準備や保護者への対応などをやっているのではないでしょうか。こういった現場の状況を担当さんは把握しておりますでしょうか。

○長﨑子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 保育園におきましては、日中の子どもの保育以外にも処理すべき事務が多岐にわたるとともに、大きく時間が割かれている。そういった現状につきましては、各園からもさまざま要望を伺っている。そんな状況でございます。

○酒井委員 職場改善希望と退職意向の理由の3番目にある事務・雑務の軽減を図ることが重要で、1日の仕事の中に保育の計画、準備、まとめ、また会議や研修等の時間の確保が必要だと考えます。まさに保育士の働き方改革を進めなければなりません。担当さんはどのようにお考えですか。

○長﨑子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 保育士への事務軽減に向けましては、昨年度から補助金を活用しましたICTによります事務改善を推進しているほか、職員についても必要に応じて研修を受講できるよう、区における合同研修などは時間外に開催するなど、区としても保育士の働き方の改善に向けた取り組みについて助言なども行っております。保育の質の向上といった観点からも、今後は改革が不可欠であると考えておりまして、必要な支援に向けて働き方改革の取り組みについて進めてまいりたいと考えております。

○酒井委員 本会議で森議員から土曜保育についての提案がありました。小規模保育施設において利用が1人だけであっても、保育士や調理師など複数の人員を配置しなければならないはずで、休暇取得に影響が出ているのではないかという内容でした。例えば区がある一定の地域ごとにブロック分けをして、各園の開所、閉所を調整し、当番交代制を行うなど、それからまた地域の実情を考慮したシステムを構築し、各園の閉所日の保育保障の体制を築ければ、現場の負担の軽減につながります。もしくは同一事業者でそういう枠組みも考えることができるんじゃないかと思います。これは理想なんですけれども、例えば交代制で夏休みや年末年始などのまとめた休暇の取得ができる体制、それから研修などによる閉所など、そういうことを考えなければならない。もちろん解決すべき課題は多いですが、従来の発想を転換しなければ抜本的な保育士不足の解消にはつながりません。知恵を絞り、工夫をし、今までにない発想で保育現場の負担の軽減に努めていただきたいですが、いかがですか。

○長﨑子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 本会議での御質問に答弁したとおり、土曜日における共同保育につきましては、保育士等の勤務環境改善、これに資するために厚生労働省から実施が可能であるといった旨の通知が出ております。実際の導入に当たりましては、共同保育になることの保護者の同意ですとか園児の情報把握、また引き継ぎだとか、さまざまな調整が必要となってまいります。こうした中、既に実施している自治体もあるといったことも承知をしておりますので、今後はそうした先進事例も参考にしながら効果等について研究してまいりたいな、このように考えております。

○酒井委員 土曜保育のことだけで言っているんじゃないんですからね。全体でさまざま工夫してくださいと言っているんです。1園完結型で相互競争主義じゃなく、中野区が先頭に立って社会全体で中野の保育の質を上げる。現場の状況を改善していく。そういう取り組みをしていただきたいと思います。答弁は結構です。

 次に、学童保育についても1点だけお尋ねします。保育の現場でも保育士不足が叫ばれておりますが、学童保育に関してもそうなんだろうと思っております。26年4月に制定された省令基準において、学童保育には放課後児童支援員を置かなければならないとありました。資格を取得するには保育士有資格者、社会福祉士有資格者、高卒以上で2年以上児童福祉事業に従事した者などですが、放課後児童支援員の中には当然保育士有資格者もいるはずで、昨今の保育士の処遇改善の流れを鑑みると、放課後児童支援員から保育士に流れていくことも十分に考えられます。放課後児童支援員の確保に関してはどのようにお考えかお聞きいたします。

○上村地域支えあい推進室参事(地域子ども施設調整担当) 学童クラブの職員の資格要件は、保育士・教員免許等を基礎として、放課後児童支援員認定資格を取得することになっております。保育園職員の待遇改善が先行して、学童クラブ職員の確保について事業者も苦労していると聞いているところでございまして、事業者の社内でも保育部門へ人員が流れる傾向があるとのことでございます。学童クラブは事業者への委託により運営してございますので、必要な経費を確保することに努め、適材の確保に努めてまいりたいと考えております。

○酒井委員 ありがとうございました。次の質問に参ります。順番を入れかえ4番、昭和区民活動センター移転整備についてお尋ねします。8月24日厚生委員会に中野区温暖化対策推進オフィスの廃止及び廃止後の施設活用についての報告がありました。その施設に昭和区民活動センターを移転整備するとともに、民間保育所を誘致するという内容です。そもそもこの昭和区民活動センターは10か年計画の第1次では、中野五丁目3番、当時の放置自転車保管所の用地に民間住宅とあわせて、平成23年から26年の間に整備するとありました。それが10か年計画第2次で現地建て替えに変更されました。そして、10か年計画第3次ではそれを引き継ぎ、同じ現地建て替え整備となっております。そもそも第2次10か年計画の策定の際、中野五丁目3番に整備する予定だった昭和区民活動センターを現地建て替え整備に変更された理由をお聞かせください。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) この第1次から2次への変更につきましては、区における施設配置等の総合的な観点からの見直しを行ったものでございます。また、あわせて、地元から現地建て替えを望む御意見があったことも承知しているところでございます。

○酒井委員 そうですね。地域の9町会の会長の連名で要望を出すとか、現地建て替えにしていただきたいとか、そういう話もあったかというふうに聞いております。そういう中で10か年計画の1次から2次に改定される際に現地建て替えというふうに変更したということだと思っております。それでは、今回10か年計画第3次で昭和区民活動センターを現地建て替え整備とあるにもかかわらず、変更された理由はどういう理由でしょうか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 現地建て替えのためにさまざま代替施設等検討を行ってきたところでございます。なかなか適切な代替施設が見当たらないということで、しかし、一方で現施設の老朽化が激しいというふうなことで、早急な建て替え整備が必要というふうな中で、地域内に非常に堅牢な建物があるということで活用を図るというふうに検討したところでございます。

○酒井委員 10か年計画の1次から2次に改定する際は、地域の声を聞いたりなどをして変更しているわけですね。今回の変更は地域からの声もないと聞いています。また、10か年計画の改定時期でもないんですよね。そして、第3次10か年計画は28年4月に改定され、策定されているんです。1年と半年前に改定されているわけで、その作業をする際にこういう議論はなかったんですか。昭和区民活動センターを現地建て替え整備から温暖化対策推進オフィスに移すという。改定のときそういう考えはなかったんですか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) このたびの10か年計画第3次を策定する際には、現昭和区民活動センターの建て替え整備につきましては、第2次計画を踏まえ、現地建て替えのままという議論をいたして、そのようにしたところでございます。

○酒井委員 いや、本来ならば10か年計画を改定する際に、区政の課題はどういうものがあるのか、昭和区民活動センターは現地建て替えはなかなか難しいね。じゃ、どうしようという中で、改定の作業の中に議論をやっぱりしていかなければならないわけじゃないですか。本来ならそこで、今回考えを変更するんじゃなく、盛り込むべきだと思うんですね。すると、10か年計画はどういう計画なんですか。位置付けを教えてください。

○青山政策室参事(企画担当) 10か年計画でございますが、基本構想で描く10年後の中野のまちの姿を実現するために区が取り組むべき方策を明らかにするものでございます。また、中長期的な目標と戦略を明示し、目標を達成するための手段である事業を最も効果的、効率的に展開していくための基本的な方向を示す区の基本的な計画でございます。

○酒井委員 基本的な計画、要するに最上位計画でしょう。

○青山政策室参事(企画担当) はい、最上位計画でございます。

○酒井委員 最上位計画の10か年計画はそんなに簡単に変更できますか。

○青山政策室参事(企画担当) 先ほど申し上げましたとおり10か年計画、区の最上位計画でございますが、区民サービスの向上をより効果的、効率的に達成するため、また時宜を得た事業展開を行うために必要がある場合、その取り組みの内容や時期などを変更することもあり得ると考えております。

○酒井委員 今までそういう事例はあったんですか。

○青山政策室参事(企画担当) 10か年第3次という形ではございませんが、例えば中野体育館の移転についてなど、当初と変更したといったような事業はございます。

○酒井委員 先ほど10か年に関しては、さまざまな区政課題の解決においては変更することもできる。そういうふうな答弁だったかと思うんですけれども、例えば区立幼稚園の陳情がありましたね。我が会派の森委員が29年の1定の予算特別委員会の総括質疑を行いました。半年前ですね。区立幼稚園の存続を求める陳情が採択された。議会として一定の態度を示している中、この区立幼稚園の陳情採択ということに対して区はどう応えていくのか。こういう質問に、就学前教育連携担当さんがこう答えています。議会の議決の重みは受けとめているところでございます。一方では、最も区政の基本となる10か年計画第3次の策定をしたばかりのタイミングでもあり、直ちに修正を行う状況ではございませんと答弁されているんですよ。片方では、総合的に判断し、区政の基本である10か年計画を変更された。片方では、議会が議決をして意思を示しているにもかかわらず、10か年計画を策定したばかりだからと議会の意思に応えない。これはどういうことですか。おかしくないですか。

○長﨑子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 区立幼稚園についてということで、保育園・幼稚園担当からお答えいたします。陳情が採択されました重みにつきましては十分に受けとめているところではございますけれども、現在陳情で示されました懸念だとか心配につきまして、保護者等の理解をいただけるよう努めているところでございます。認定こども園への転換の目的でもある10か年計画にも書かれたライフスタイルに応じた保育の充実、こうしたニーズにつきましては今も必要なものであると考えておりまして、直ちに改める考えはないとしているところでございます。

○酒井委員 いや、違うんです。片方では、議会の議決の重みを受けとめていますよと答弁でおっしゃっているんですよ。ただ、10か年計画は策定したばかりだから変更できません。けど、片方では、どういう議論があったかもわからず、10か年計画を変更しているんですよ。これ、おかしくないですか。10か年計画は議決案件じゃないですよ。議決されていないんです。片方で、陳情に関しては議会で議決をして意思を示しているわけなんです。けど、その意向は聞きません。なぜなら10か年計画を策定したばかりだから。けど、10か年計画を策定したばかりにもかかわらず、区民活動センターに関しては考え方を変更しているわけじゃないですか。すると、区立幼稚園に関しても考え方を変えていただきたいなと思ってしまいますよ。どうですか。

○長﨑子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 同じ答弁になりますけれども、その陳情採択の重みは十分に受けとめているところでございますけれども、区立幼稚園の廃止につきましては陳情で示された懸念について保護者の理解をいただけるように努めているところでございます。

○酒井委員 10か年計画があって、いろんな計画があるわけなんですよ。片方では答弁で、策定したばかりだから変更しません。けど、片方では変更しちゃうわけだ。そして、地域からの声もないんですよ。改定の時期でもないんですよ。少し前の改定する時期にそういう議論をされなかったわけなんですね。すると、10か年計画が揺らいじゃうんじゃないかと思うんですね。いろんな用途の廃止だとか見直しだとか、区民生活に大きく影響を及ぼすものがあるじゃないですか。じゃ、それも変わるのか、変更できるのかというふうに思ってしまうと思いますよ。すると、これまで昭和区民活動センターを現地建て替えというふうに言っておりましたが、そういう取り組みというのはこれまでしっかりやってきたんですか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 10か年計画第2次の策定時におきましては、昭和区民活動センターの現地建て替えを隣接する桃園第二小学校との関係などを含め、効率的、効果的な跡地の活用などの検討を進め、現地での建て替えを行うという考えでさまざま検討しておりましたが、具体化するまでには至らなかったということでございます。

○酒井委員 10か年計画2次に現地建て替えと変更しましたよね。すると、そのときに根拠だとか裏付けだとか、そういうのはあったんですか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 繰り返しの御答弁になりますが、その策定当時ですね、策定して、その後、計画期間にわたって隣接する桃園第二小学校との関係などを含め、建て替えを模索してきたということでございます。

○酒井委員 これ、10か年計画2次の改定のときに、ステップ4に入っているんですね。それでステップ4に位置付けて、その後、現地の建て替え整備だとかを何とか検討していこうというふうに考えたんだと思うんですけども、策定をする際にステップ4だと10年後なんですね。すると、そういう10年のスパンがある中で、区の余裕といいましょうか、それから、位置付けのところがやっぱり甘いところが僕はあったんじゃないかと思うんですよ。すると、10か年計画のこのステップ4に位置付けられているところをやっぱり全部洗い直さなきゃならないと思うんですね。そういうところはどうお考えですか。

○青山政策室参事(企画担当) 10か年計画のステップにおきまして取り組む事業内容につきましては、まず中長期的な目標と戦略を立て、これに基づき計画策定段階において想定する事業内容や実施時期を踏まえて定めているところでございます。しかし、社会状況や区民ニーズの変化などに対応して、必要があれば変更するという場合もございます。

○酒井委員 次に、企画担当さん、青山参事ですよね。これ、10か年で、繰り返しになっちゃいますけれども、片方では議会の重み、議会の議決の重みを受けとめますが、変えません。片方では変えているわけですね。先ほど就学前担当さんがお答えになりましたが、本来は企画担当さんの所管なんですから、総合計画に関しては。企画担当さんがしっかりお答えするべきだと思いますが、いかがですか。

○青山政策室参事(企画担当) 計画変更する、しないということに関してでございますが、その時点で最善の方策が何かということを区として検討した上で判断しているということで、それぞれの結論に至っているということでございます。

○酒井委員 すると、幼稚園の陳情の採択をどう考えているんだって森委員が質疑をしたときに、10か年計画を策定したばかりだから変更できませんと言うんじゃだめですよ、答弁として。(「全会一致じゃなかったよね」と呼ぶ者あり)いや、それは関係ないんです。ですから、そうじゃなく、最善の方策を考えた中で答えを出していると答えなきゃ、10か年改定したばかりだから変更することはできません。今回変えちゃっているんですから、行政としての一貫性がなくなっているわけですから、そこはやっぱり反省しなければならないと思いますよ。

 最後にします。この区民活動センターというのは運営委員会が運営しておって、地域の自治の拠点であると思うんですね。現状なかなか地域から今回の計画というのは、理解は得られていないとも聞いております。ただ、他方、伊藤さんがさまざま昭和区民活動センターの老朽化、何とかしなければならないというふうな中で所管を超えて取り組まれたところも理解します。ただ、地域にはなかなか理解されていないところもあるんですね。すると、地元としては現地建て替えをやっぱり考えている。それはどうしてかというと、桃園第二小学校があって、現の昭和区民活動センターがあって、そして文園児童館があって、この3層が相まって地域力を強化していきますといいますか、そういうことがあって、あそこの拠点にあるわけなんですね。すると、温暖化対策推進オフィスに例えば仮で移転をして、また現地建て替え整備に戻ってこられるようなことも場合によっては検討しなければならないと考えるんですが、いかがでしょうか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) このたびの昭和区民活動センターの建て替え整備に関しましては、現状を踏まえた中で最善の策というふうに考えております。今後も丁寧に御説明をさせていただきまして、御理解をいただきたいというふうに考えております。

○酒井委員 全てやっぱりそういう考えも昭和区民、区民活動センターなんですから、地域の方々に区として運営を委託しているわけですから、その皆さんに理解を得られなければ、なかなか難しいと思いますので、どのような形になるのか、地元の声を吸い上げて、考え方をまた変更するのか、それとも理解を求めていくのか。膝を突き合わせて努力していただきたいと思います。

 3点目、西武新宿線連続立体交差化に伴う上部空間の活用については分科会で質問させていただきたいと思います。担当さん、答弁を御用意していただいたのに申しわけありません。建設分科会のほうで質疑をさせていただきます。

 以上で、2日間にまたぎました私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

○高橋(か)委員長 以上で酒井たくや委員の質疑を終了します。

 次に、渡辺たけし委員、質疑をどうぞ。

○渡辺委員 おはようございます。第3回定例会決算特別委員会におきまして、都民ファーストの会中野区議団の立場から総括の質疑を行います。

 きょうは、6番目に中野駅周辺再整備事業についての項目におきまして、本田武志副区長より答弁いただく予定となっております。私、渡辺たけしと申しまして、同じ「たけし」つながりということで、こういった機会をいただくことを非常に、中野区に対する熱い思いなどをちょっと聞かせていただければと思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 では、平成28年度決算についてお尋ねいたします。まず初めに、平成28年度決算状況について伺います。中野区の財政白書によりますと、歳入総額が昨年度から5.1%減の1,265億1,915万3,000円となりましたが、財政の弾力性をはかる指標である経常収支比率が76.9%、実質収支比率も3.8%となっており、都民ファーストの会中野区議団としては、中野区は健全な財政運営に努めたと判断し、一定の評価をするところであります。

 歳入が下がったにもかかわらず経常収支比率や実質収支比率が前年度並みの数値になったということは、何かしらのコスト削減の努力をしたのではないかというふうに見ることもできるのですが、今回具体的にどの部分を削って、昨年と同じような健全な財政運営となったのでしょうか。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 地方消費税交付金や特別区交付金などの減によりまして、経常収支比率につきましては、分母である経常一般財源が10億円の減となったものの、公債費が区債元金償還金の減により、分子である経常経費充当の一般財源が4億円の減となり、平成28年度の経常収支比率は前年度に比べて0.4ポイント増の76.9%となったものでございます。公債費につきましては、前年度に比べまして16億円、24.3%の減の49億円となっております。また、普通建設事業費が前年度に比べて14億円、8.8%減の148億円となったものでございます。

○渡辺委員 公債費の減少ですとか普通建設事業費などが減ったというのが主な理由ということでお答えいただきましたけども、それだけですとコスト削減の努力をした結果とはちょっと言えなくなると思うんですけれども、それ以外に何か歳出を抑制するための努力をした部分がありましたらお聞かせください。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 従来におきましては個別調達をしておりました子育て関連システム、こちらのほうを最適化するために必要な機能や調達方法の検討等を行ったり、住民情報系、それから庁内情報系の回線の統合を行いまして、回線経費の削減を図ったりいたしました。また、学童クラブ2カ所、キッズクラブ3カ所、学校用務業務4校、子ども相談窓口の定形業務、こういったものを新たに委託しまして、事業の委託拡大による人件費の抑制、事務の効率化を図ったところでございます。

○渡辺委員 さまざまなそういった削減努力をしてきたということでありますが、その中で委託や指定管理、そういったところも進めてきたというお答えがありましたけれども、毎年、物件費はその分、上昇していくところがあるんですけども、やはり委託、指定管理などを進めていくと、人件費は当然その分下がっていく傾向に出てくると思いますが、財政白書を見てみますと、人件費の部分に関しては横ばい傾向になっているというふうに見て取れます。その辺の委託や指定管理への移行を行ってきた財政効果、これはどのように考えているんでしょうか。

○永田政策室副参事(業務マネジメント改革担当) 民間事業者への委託化につきまして、過去10年間で見ますと人件費の削減にも一定の効果が見られるところでございます。一方、多様化し、ふえ続ける行政ニーズに対応していくためには、民間による効率的なサービス提供は欠かせないものと考えてございます。民間の専門性や効率性を活用することで、事業経費全体としての経費抑制に寄与しているものと考えてございます。

○渡辺委員 より多くの利用者を確保しようとする民間事業者の発想を取り入れることで利用者に対するサービスの向上が期待できるとともに、人件費を抑える効果が期待できる委託や指定管理者制度への移行は今後も推進していくべきだと考えております。今後の指定管理や委託についてどのように進めていくつもりでしょうか。

○永田政策室副参事(業務マネジメント改革担当) さまざまな行政ニーズに的確に対応していくためには、民間の持つ専門性やノウハウを生かした事業展開が不可欠であると考えてございます。そのため、民間事業者に委託可能なものにつきましては民間開放を推進するとともに、民営化した公共サービスの質の確保や安定供給の仕組みを整えてまいりたいというふうに考えてございます。

○渡辺委員 民間に任せる部分は民間に任せる。この姿勢を崩すことなく、歳出抑制への努力を続けていただければと思います。

 続きまして、繰出金の部分についてお伺いをいたします。各特別会計に対する法定負担額やその他の財源不足を区が支出する繰出金は、例年少しずつではありますが、ふえてきている状況です。繰出金の予測についての区の見解をお聞かせください。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 国民健康保険事業特別会計、後期高齢者医療特別会計及び介護保険特別会計への繰出金でございますが、その多くが医療給付費や介護サービス給付費等、社会保障の経費に対しまして区の一般会計から繰り出しをしているというものでございます。今後5年間の区の財政フレームを作成するに当たりまして、歳出の一部としての繰出金の予測を立てているところでございまして、将来にわたる医療給付費や後期高齢者医療広域連合への搬出金等の伸びを推計いたしまして、繰出金の経費を想定しているというところでございます。なお、国民健康保険事業につきましては制度改正が予定されているというところでございまして、制度の内容を的確に把握するとともに、繰出金を含め事業経費を注視していくという必要があるというふうに考えているところでございます。

○渡辺委員 今後増加するか、減少するか、それとも横ばいなのか。その辺ではどのように予測していますでしょうか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 高齢化に伴いまして一定の伸びが見込まれるというふうに考えているところでございます。

○渡辺委員 今後増加することが予測される繰出金なんですけれども、国保の部分について伺います。国保の徴収率の増減、そして繰出金の相関関係、ここはそういった何かしらの徴収率が上がる、下がるにおいての相関関係はあると考えていますでしょうか。その辺どういうふうに分析しているかお答えください。

○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 徴収率と繰出金との相関関係でございますけれども、収納率が向上すれば繰出金は一定程度減るものと考えてございます。

○渡辺委員 相関関係があるというのであれば、徴収率というものは当然上げていかなくてはならないものになるかと思います。徴収率向上のために国民健康保険税という形にしてみてはいかがでしょうかという提案をさせていただきます。滞納期限の時効を2年から5年にするということや、滞納処分の優先順位が高くなるということもあります。23区は共通の保険料率で運営してきた歴史があり、足並みをそろえていくためには、簡単に中野区独自で国民健康保険税という形にすることはできませんが、23区区長会などで都に国民健康保険税という形にするような提言をすることはできないでしょうか。

○渡邊区民サービス管理部副参事(保険医療担当) 国保事業に要します費用を賄う方法といたしましては、保険料方式と保険税方式の2種類の徴収方法が認められております。現在、都内では特別区と立川市、西東京市の25区市が保険料方式、その他の37市町村においては保険税として賦課しているところでございます。保険税につきましては、時効期間や差し押さえの優先順位のメリットがあるものの、保険料につきましては社会保険における相互扶助の理念に合致している。あるいは所得割の算定方法において選択肢が多く、弾力性に富んでいるなどの理由から、特別区では従来から保険料としてきたものでございまして、現時点で求める考えはございません。

○渡辺委員 国保の運営は2018年から都道府県に移管して、財政基盤を強化することになっておりますけれども、被保険者証等の発行、保険料率の決定、保険料の徴収などは区が引き続き行うことになっています。全国の自治体の半分近くが既に国民健康保険料を国民健康保険税という形にして、時効を2年から5年に引き上げております。これはもう政策判断になると思いますので、社会扶助の部分を重視するか、それとも税収の部分を重視するかというところになりますので、それはそれぞれの自治体の方針があるかと思うんですけども、私ども都民ファーストの会としては、23区も税への転換を目指した活動を行っていただければと思っております。

 続きまして、人件費について伺います。人件費について、昨年度まで職員数の削減とともに人件費は右肩下がりで下がってきましたが、減らすところまで減らした結果なのか、今年度は横ばいとなっております。退職金については、多少上下はするものの、極端にふえることも減ることもないと予測されておりますけども、今後の人件費の推移についてお聞かせください。

○田中経営室副参事(人事担当) 今後10年間の人件費の推移でございますけれども、職員2,000人体制を維持した場合、職員の新陳代謝が緩やかに進んでいくため、ほぼ横ばい、あるいは減少傾向になるというふうに見込んでいるところでございます。

○渡辺委員 扶助費も今後ふえることが予測される中、人件費も横ばい傾向ということになりますと、経常収支比率が上がり、投資的経費に余裕がなくなる時代が来るのではないかと考えてしまうところもあります。社会保障費である扶助費を下げるわけにはいきませんし、2,000人体制と言われている現段階で職員の人手不足と言われているこの状況の中、これ以上の職員の削減というのは行政サービスの低下を招く部分があるかとも思います。そうなりますと、今後の予算編成というのはどのような形になっていくのか気になるところですけども、区の考えをお聞かせください。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 歳入におきまして、特別区交付金の当初算定で前年度比29億円余の減となっているというところでございます。また、消費税10%段階における法人住民税の一部国税化の拡大、あるいはふるさと納税の影響の拡大ということもありまして、今後も大変厳しい財政状況が続くと言わざるを得ない状況であります。歳出におきましては、扶助費など社会保障経費の増加、内部事務等に関するシステム経費が増加傾向にあるという状況でございます。このような状況の中で、限られた一般財源により区民サービスを低下させることなく財政運営を行っていくためには、事業の見直しにおいて区民サービスや効率性、事業の効果など、改善の視点から点検を行うとともに、全ての事業について事業の廃止、統合、執行方法の検討など、改めて具体的に検討することを進めまして、一般財源充当事業の経費削減、経費抑制を行うとともに、時期を逸することのできない事業に選択と集中を図りまして、財政規模に見合った事業構築を行うなどの財政運営を考えているところでございます。

○渡辺委員 限られた枠組みの中での行政サービスをどのように質を落とさずに提供していくのかということは、この命題は消えることのない課題だと思いますので、課題解決のために常に解決策を考えていただきたいと思います。

 中野区は職員2,000人体制の実施、委託、指定管理者制度への早くからの取り組み、区有施設の統合、集約など、他区と比べて財政の健全化に向けての取り組み策を数多く実施していると思います。それでも今後の財政状況を考えていくと、扶助費や繰出金の増加が財政を圧迫してくることが予測され、経常収支比率や実質収支比率が平成28年度と同じ数値を保っていくことはできないのではないかというふうな結論にならざるを得ません。幸いにして、ここ最近は都心に人が集まるという現象が起きており、中野区も年々納税義務者数が増加しております。それがこの厳しい現状を打破することができる可能性がある一つの数値なのではないかとも思います。担税力のある労働者人口を中野区内に呼び寄せる施策を考え、実行して、来年度も引き続き平成28年度と同じような健全な財政運営を示す数字になることを期待いたしまして、この項の質疑を終了いたします。

 続きまして、中野区の土地開発公社について伺います。一般質問の際に申し上げましたが、都民ファーストの会中野区議団としては、特定目的基金を積んで極力起債を抑えた財政運営を行うべきであると考えております。公債費負担比率の数値を下げるべきではないかという質問に対しても、議論の余地はあるという区長答弁をいただきました。我が会派としては、引き続き区債発行を抑えつつ、特定目的基金の積み立てを主軸とした財政運営を目指していただきたいということを、この場をおかりして重ねて申し上げておきます。

 そして、借金をしないで財政運営をしていくという観点で財政白書を見てみますと、土地開発公社の存在が気になるところであります。財政白書の20ページに土地開発公社の土地保有面積と借り入れ総額の推移が記載されておりますが、平成20年をピークに直近では減少傾向になっております。現在、土地開発公社が所有している土地は何がどの程度あるのでしょうか。総数と内訳について教えてください。

○石橋経営室副参事(経理担当) 平成28年度末現在の中野区土地開発公社の保有土地でございますが、総面積にして3,204.5平米、総額にして28億8,082万3,359円でございます。その内訳でございますが、中野駅南口市街地整備事業用地が812平米程度、中野駅北口広場整備事業用地が1,355平米程度、八成公園拡張用地が838平米程度、その他は全て道路用地で198平米程度でございます。

○渡辺委員 総務省のホームページに記載されている平成27年度土地開発公社事業実績調査結果概要に10年以上保有している土地がありますが、本来5年以内に区が引き取らなくてはいけません。土地開発公社が持っている土地は銀行からの借入金で買っていますので、区が買い取らない限り利子を払い続けることになります。今現在の土地開発公社が所有している土地の買い戻し計画についてお聞かせください。

○石橋経営室副参事(経理担当) まず、中野駅南口市街地再整備事業用地及び北口広場整備事業用地につきましては、中野駅周辺の再整備事業の進捗に合わせて買い戻しをする予定でございます。八成公園拡張用地につきましては、隣接する都市計画道路の整備計画の状況を踏まえ、買い戻しのタイミングを検討している状況でございます。その他の道路用地につきましては、取得から1年以内に買い戻しをする予定でございます。

○渡辺委員 北口、南口は今、利用目的がはっきりしているということで買い戻しということにもなっておりますが、八成公園拡張用地、こちらは時期を見てタイミングということでのお話でしたが、具体的な計画はあるんでしょうか。

○千田都市基盤部副参事(公園担当) 拡張用地部分は平成21年11月19日に公園として区域変更告示を行っており、高齢者農園などで活用しているところでございます。なお、現時点では全体改修や再整備など具体的な公園整備計画は決まっておりません。

○渡辺委員 八成公園に接するように都市計画道路の整備が予定されていますけれども、その計画の見直しがあったとも聞いております。今後の見通しをお聞かせください。

○辻本都市基盤部副参事(都市計画担当) 委員御指摘の当該地の都市計画道路、補助第215号線でございますけども、平成28年3月に策定されました東京における都市計画道路の整備方針第4次事業化計画におきまして、見直し候補路線区間として位置付けられたところでございます。今後、地域の視点から改めて路線の必要性につきまして検証していくものとしてございます。

○渡辺委員 仮に都市計画道路の見直しがされた場合、八成公園の整備計画をいつ、どのように進めていくのでしょうか。その際、今ある高齢者農園はどのようにするんでしょうか。

○千田都市基盤部副参事(公園担当) 今後、都市計画道路の進捗状況に応じて、高齢者農園も含め公園の整備内容を定めていきたいと考えております。

○渡辺委員 今の時代、土地が急激に高騰するような事態もないわけなので、議会を通すことなく無制限に土地を買うことのできるような体制を維持させることはいかがなものかというふうに考えております。このような中、公社を活用して用地を取得している意義はどこにあるんでしょうか。

○石橋経営室副参事(経理担当) まず区の用地取得の手段、機能として、一般会計、特別会計、そして土地開発公社がございます。対象とする用地の特性に合わせ、最適な手段、機能を選択しているところでございます。土地開発公社の土地取得機能の特徴として、金融機関から機動的な資金調達が可能、地権者との交渉経過に応じて柔軟に土地取得手続ができる点にございます。現在、土地開発公社で取得している用地の大半が道路用地でございます。さまざまな事情を抱える多くの地権者との交渉は予定どおりに進捗しない場合が多いことから、道路用地については特に土地開発公社の機能が最適であるというふうに考えてございます。なお、実務的には、計画的に取得できる大規模な国有地等につきましては用地特別会計によって、また取得時期や規模が明確である場合には一般会計で取得してございます。

○渡辺委員 土地開発公社は江戸川区、千代田区、港区、文京区がゼロ、ないんです。そして、中央区、台東区、新宿区、墨田区は土地開発公社を持っていますけども、土地を保有していません。公社の機能を活用せず、他の手段で用地を計画的に取得している区も多く存在しています。例えば他区では基金を活用して用地取得している事例もありますが、用地取得における基金の活用を中野区でも検討してみてはいかがでしょうか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 区において用地を取得する場合、土地開発公社からの取得、用地特別会計及び一般会計の取得の方法があるということは今説明をさせていただきました。土地開発公社を活用して用地を取得する場合、区の予算においてあらかじめ経費を計上する必要がなく、用地の取得に関して早急な対応や機動的な対応ができるということや、国庫補助等の活用のタイミングなど、適切なタイミングで一般会計で引き取ることができ、財政運営上メリットがあるというところなどから、必要に応じて活用しているというところでございます。今後も用地取得につきましては、土地開発公社の効率的、効果的な面も踏まえまして、土地開発公社で対応するか、区で直接購入するかについても判断していく考えでございまして、基金の設置や活用についても考えていないということでございます。

○渡辺委員 公社をもし残していくというのであれば、購入できる用地の規模に制限を設け、大規模な土地購入は土地開発公社を通してはいけないという規約をつくってみてはいかがでしょうか。一定の大規模用地の取得については、議会の関与を要する一般会計や用地特別会計に限定するなど、新たな用地取得のルールを構築すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○石橋経営室副参事(経理担当) 先ほども申し上げましたとおり土地開発公社の特徴は、機動性のある土地取得機能にございます。道路用地に限らず、まちづくりの進捗に有益となる用地がある場合は、その規模にかかわらず時期を逸することなく取得する必要があるというふうに考えてございます。なお、土地開発公社における土地取得に当たりましては、予算や事業計画の決定、あるいはその変更の際に、区議会から選出されました、現在では11名の評議員によって構成される中野区土地開発公社評議員会において諮問、答申の手続を経て決定していくものであり、手続の透明性、チェック機能は確保されているというふうに考えてございます。

○渡辺委員 私どもで今回提案したことというのが、基金を積んで、道路用地しか今買っていないのであるならば、そちらで買ってみてはどうだろうか。土地開発公社を通すと利子が発生するので、そこはちょっと無駄なんじゃないか。スピード機能は確かに優先ではあるかもしれませんが、そこはいかがなものかというのがあったので、基金を使ってみませんかという提案をしました。ですが、検討していないと。土地開発公社というのは、やはり大きい土地というのをどうしてもスピード感を持って買わなきゃいけない時代は、バブルの時代は一日ごとに土地の値段が上がっていっているという状況の中で必要性があって、それをつくられたというような流れがある中で、その時代はもう終わっているわけだから、必要ないんじゃないかということで、せめて制限などを設けてみてはどうかという提案をしたんですけども、それもだめだということは、今までどおりというふうなことになるというふうな結論なのかなというのはちょっと今感じました。

 これは、これからのちょっと政治的な判断もあると思いますけど、他区に関しては土地開発公社も使っていない。土地保有もゼロであるというふうなところもあるというわけですから、やろうと思えばできることだと思うんですね。中野区の場合は、総務省のホームページとかを見ますと、10年以上保有している土地が板橋区と同じぐらいものすごく目立つような形であります。それは徐々に売っているというようなところなんですけども、ずっと利子が払われてきているというふうな現実もあるわけなんですよ。それは非常に税金の無駄遣いなのではないかというようなこともありまして、今回の項目、質疑をさせていただきました。今、あまり姿勢は変わらないというようなことでありましたけども、この面に関しましては、土地開発公社、私たちはこれからも今言ったような話を提案し続けていきたいと思っております。以上でこの項の質疑を終了いたします。

 続いて、施設整備の方向性についてお尋ねいたします。未利用施設となっている旧常葉少年自然の家は10か年計画の中で売却予定と書いているのですが、現在貸し付けを行っており、月額35万円の家賃収入が入っている状況です。その貸し付け期間が今年度いっぱいとなっています。こちらの施設の維持管理費が年間160万円と聞いており、貸し付けが終了した後の維持管理費が気になるところです。施設売却の目標というものは達成できますでしょうか。

○石橋経営室副参事(経理担当) 旧常葉少年自然の家に関してでございます。10か年計画第3次で予定してございます売却という方針に変更はございませんが、立地条件や施設の状態等により不動産売買のマーケットが成立しにくい状況にあるというところでございます。施設の立地している田村市にも適宜売却先の情報について協力をいただきながら、売却先候補や売却時期のタイミングを探っているところございます。

○渡辺委員 今貸し付けているところが延長を希望した場合は受け入れるんでしょうか。

○石橋経営室副参事(経理担当) 現在、東京電力発注事業である震災関連の減容化処理施設建設事業の従事者宿泊施設として民間事業者に貸し付け、今年度末までの定期借家契約を締結しているところでございます。新たな定期借家契約の申し出があった場合については、その時点における売却の可能性を見きわめた上で、貸し付けに当たっての条件を踏まえながら、その可否について検討していくことになるというところで考えてございます。

○渡辺委員 年間160万円の維持管理費をかけて建物を持ち続けるのでしょうか。

○石橋経営室副参事(経理担当) 現時点では建物つきの土地として売却する予定でございます。売却するまでの建物の価値を維持管理する経費として、法定点検や機械警備等の最低限必要なコストを支出する必要があるというふうに認識してございます。貸し付けのニーズにも対応しながら、売却の可能性が高まる時期を見きわめ、売却に向けた具体的な事務手続を進めていく予定でございます。

○渡辺委員 取り壊しというような選択肢というのはあるんでしょうか。

○石橋経営室副参事(経理担当) 施設の規模が非常に大きく、解体には高額な費用を要することが想定されます。また、解体することによって売却先の選択肢が狭まるリスクが生じたり、あるいは貸し付けの可能性、これもなくなるなど、現時点で解体することは考えてございません。

○渡辺委員 今すぐに取り壊すというような必要は当然ないと思うんですけれども、年間160万円の維持管理費を出し続けて、ずっと持ち続けて、借り手もないまま売却先もないまま持ち続けていいものかどうかというふうな議論もいずれは出てくる時期があると思います。本気で、例えば期限を設けて売却先を探してみて、期限内に見つからなかった場合、施設を取り壊すということも、それもまた一つの選択肢だとも思います。当然億単位のお金がかかるかもしれませんけれども、年間160万円、毎年毎年払っていっていいものかどうか。その辺の議論が出てくる前に、一生懸命まずは売却先を探して、早く買い手が見つかるように一生懸命頑張ってもらいたいと思います。

 続きまして、官民一体型の施設について伺います。練馬区では、2014年4月に練馬駅前にある区有地を活用した区施設と民間施設からなる官民複合施設をオープンいたしました。1階はスーパーマーケット、2階は衣料品やドラッグストア、食料品店や喫茶店が入っており、3階から8階までは病院や保育所、多目的ホールや産業振興センター、会議室などを設け、官民一体となっている複合施設は近隣住民にとっても日常生活の中で生活の一部として利用することができる施設として大変重要な位置を占めているところであります。建設費用についてですが、練馬区は定期借地で土地を民間に貸し、建物の費用は全て民間側で負担しております。建物ができた後、区の施設部分の3階、4階を約21億円の金額で区が買い取りましたが、賃借料が約13億円入ってくるため、実質区の負担は約8億円で済んでおり、大幅なコスト削減を実現させた事例として大きな注目を浴びております。鍋横区民活動センターの建て替え用地となっている土地がありますけれども、あそこは商店街の近くということもあり、このような官民一体となった複合施設の建て替えができるのではないでしょうか。区の見解を伺います。

○青山政策室参事(企画担当) ただいまの御質問にありました本町四丁目の用地でございますが、鍋横区民活動センターを高齢者会館機能を有する施設として移転整備するほか、鍋横自転車駐車場を併設する予定でございます。こちらにつきましては、商店街の中という立地や敷地の容積率なども勘案し、区民サービスの向上に資するよう施設整備について検討を進めていきたいと考えております。

○渡辺委員 ぜひ前向きに検討していただければと思います。今後建て替え予定となっている大久保通り沿いにある保健所や早稲田通り沿いにある商工会館などは大通りにも面しており、商業施設など官民一体となった土地の利活用という考え方をしていくことができるかと思います。これからは近隣住民から喜ばれるような民間施設を入れて、条件によっては建設資金も民間が出す。月々の地代も取れるという形にして、区の負担を減らすような仕組みを構築していくような視点を持った考え方をしてみてはいかがでしょうか。新たな施設建て替えの際の一手段として提案いたしまして、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、行政が取り組むスポーツ振興策について伺います。2020年オリンピックに向けて気運醸成のため、オリンピアン・パラリンピアンによる講演会や東京大会で実施される競技などの体験会を行うことで、大会開催に向けた気運を高めた事業を行っております。また、今回の東京オリンピックを契機として、子どもたちの体力向上やスポーツへの関心を高めるとともに、区立小・中学校、区立保育園・幼稚園においてオリンピック・パラリンピック教育を推進したと主要施策の成果に書かれております。このオリンピック・パラリンピック教育というのはどのような内容なんでしょうか。

○杉山教育委員会事務局指導室長 東京2020オリンピック・パラリンピック大会を契機として、オリンピック・パラリンピックの精神、スポーツ、文化、環境の四つのテーマを推進する教育であり、委員お話しの例えばアスリートを講師として招聘した講演会や各幼稚園、小・中学校における体力向上のさまざまな取り組みなどでございます。

○渡辺委員 オリンピック・パラリンピック教育と聞くと、子どもたちにスポーツへの意識高揚を喚起させるような事業を行ったと思っていたのですけれども、そういった部分ではないところも多々教えているのであるなというのを今の答弁を聞いて感じました。具体的にオリパラ教育を通して子どもたちにどのような力を伝えていくことを考えているのでしょうか。

○杉山教育委員会事務局指導室長 オリンピック・パラリンピック教育を通しまして、スポーツ志向、日本人としての自覚と誇り、豊かな国際感覚、障害者理解、ボランティアマインドの五つの資質を重点的に育てていくものでございます。

○渡辺委員 この事業は2020年まで継続して行う予定でしょうか。

○杉山教育委員会事務局指導室長 継続して実施する予定でございます。

○渡辺委員 2020年以降、オリンピック終了後もこういった教育は続けていくことを考えていますか。

○杉山教育委員会事務局指導室長 オリンピック・パラリンピック教育で取り組んだ成果について、東京2020オリンピック・パラリンピック大会終了後もレガシーとして引き継ぎ、継続して取り組んでいく考えでございます。

○渡辺委員 仮に事業を継続していく場合は、区独自の予算を出すというようなことになるんでしょうか。

○杉山教育委員会事務局指導室長 予算につきましては、その取り組みの状況を踏まえまして、区として編成していくものと考えてございます。

○渡辺委員 オリパラを通しまして自国の歴史、文化に触れ、興味を持つきっかけとなるような取り組みは非常に有効であると思います。このオリンピック・パラリンピック教育を通してグローバルな人材を育てる環境をつくり、他区との差別化を図った魅力ある質の高い教育を行ってもらいたいと思います。また、中学校の運動部活動においては、トップアスリートの実技指導など、合同部活動を二つの部活動で実施し、生徒の運動技術の向上を図りましたと主要施策の成果に記載されています。このような取り組みを行った際の中学生の反応はどういったものだったでしょうか。

○杉山教育委員会事務局指導室長 生徒たちは技術向上のみならず、オリンピック・パラリンピックのすばらしさを実感したり、部活動やスポーツに対するさらなるモチベーションを向上させたりするとともに、夢に向かって努力したり、困難を克服したりする意欲を培うことができたと捉えております。

○渡辺委員 競技力向上に向けて部活動に励んでいる中学生にとって、トップアスリートの実技指導はさらなるモチベーションの向上と一生の思い出をつくることができる大変すばらしい機会を提供した施策だと思います。ぜひ2020年のオリンピックまで、そしてその後も継続的に続く事業であってほしいと思います。

 続きまして、学校の部活動というところで外部指導員のことであります。毎年、中学校PTA連合会と懇談する際、外部指導員が足りなくて困っているという話を伺います。区からも外部指導員のあっせんをしてもらうと大変助かるという要望を受けているのですが、区は今現在、体育協会との連携など、外部指導員の紹介など、そういったものは行っていないのでしょうか。

○永見健康福祉部副参事(文化・スポーツ担当) 中学校部活動の外部指導員に関する課題につきましては、中学校長会への出席等を通じて認識しているところでございます。昨年度から地域スポーツクラブで指導者養成講座を開始いたしまして、中学校の外部指導員の育成につきましても今後、教育委員会と連携をしながら取り組んでいく予定でございます。この指導者養成講座の修了者は指導員の候補者として人材登録を行い、学校に紹介をして、学校が採用の可否を判断する。そういった形を考えております。

○渡辺委員 外部指導員の養成講座というのはどういったものでしょうか。

○永見健康福祉部副参事(文化・スポーツ担当) 指導者養成講座のプログラムの内容でございますけれども、救命救急処置について学ぶスポーツ現場における安全管理、またスポーツ指導論やコンディショニングについて学ぶ競技力向上に向けた取り組みなどをテーマとして予定しております。

○渡辺委員 中学校PTA連合会が求める外部指導員については、指導スキルなどはもちろんですけれども、人格的な部分を求めているところがあると私は感じております。やはり部活動も教育の一環と考えると、それは当然のことであると考えているんですけども、研修プログラムにはそういった要素は入っているんでしょうか。

○永見健康福祉部副参事(文化・スポーツ担当) 中学校部活動の外部指導員に対しましては、教育委員会と協議を行い、部活動の指導者としてのさまざまな資質についても講座の内容に含めていく考えでございます。

○渡辺委員 そもそもこの研修プログラムは誰がどういうふうにしてつくったものなのかというところをお聞かせください。

○永見健康福祉部副参事(文化・スポーツ担当) プログラムの内容につきましては、地域スポーツクラブの運営委員会や理事会において検討を重ねて作成しているものでございます。地域スポーツクラブの理事といたしまして、帝京平成大学のスポーツを専門とした教授の方に御参加をいただいておりますが、この方、地域スポーツクラブの事務局と協力をいたしまして、プログラムの案を作成していただいたものでございます。講座の実施に当たっても帝京平成大学の教員に講師として御協力をいただく予定でございます。

○渡辺委員 この取り組みはぜひ進めていってもらいたいと思います。外部指導員の拘束時間についてちょっと確認いたします。外部指導員の拘束時間は、平日だと15時から18時まで、土日はほぼ終日拘束される状況であります。必然的に仕事をしている一般人は外部指導員をかけ持ちして行うことは困難であります。そのように考えますと、外部指導員ができる方というのは、学生や定年退職をした方じゃないと難しいのではないでしょうか。

○高橋子ども教育部、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 今、委員からございましたけども、条件的に学生さん、あるいは現役を終えた方などが多くなってございます。

○渡辺委員 例えば先ほど外部指導員の養成プログラムをつくった方が帝京平成大学の教授ということでしたが、その方に協力をしてもらって、学生を外部指導員という形で区内の中学校に派遣するという仕組みを構築することを考えてみてはいかがでしょうか。官学連携のプロジェクトで外部指導員の研修プログラムを受けた大学生が区内中学校の外部指導員として派遣される。外部指導員となった学生は中学校の部活動を指導する。ゼミやフィールドワークの一環としての位置付けをして、外部指導員を行った学生には単位を与えたり、何かしらのインセンティブを与えるというような地域にとっても学生にとってもお互いにメリットがあるような仕組みを構築することを提案いたしますけども、いかがでしょうか。

○永見健康福祉部副参事(文化・スポーツ担当) 地域スポーツクラブの会議におきまして、事業の実施における学生の活用につきましても議論が行われているところでございます。帝京平成大学からも大学と地域のつながりを深める一環といたしまして、学生を地域スポーツクラブの活動に活用していきたいというような意向をいただいているところでございます。部活動の外部指導員としての学生の活用につきましても、大学や教育委員会と協議をしながら仕組みについて検討していきたいというふうに考えております。

○渡辺委員 学生は毎年入れ変わり入ってきますので、このような仕組みが構築され、外部指導員不足を少しでも解消していくことで教員の労働時間や拘束時間の短縮につながりますので、ぜひ前向きに御検討してください。こちらの提案を要望いたしまして、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、新体育館建設について伺います。平和の森に建設される新体育館は、2020年オリンピックの練習会場として利用してもらうべく、これから急ピッチで建設工事が進んでいくものと思われます。去年の区役所及び体育館整備調査特別委員会で、来年の夏ごろまでには第1案が上がるという報告を受けましたが、夏はそろそろ終わりを迎えようとしております。オリンピックの練習会場として使えるようになるという話は入っているでしょうか。

○永見健康福祉部副参事(文化・スポーツ担当) 公式練習会場の誘致につきましては、新体育館の活用について組織委員会から打診を受けまして、区として誘致の方向性を決定し、新体育館の施設の概要等について情報提供などを行っている状況でございます。公式練習会場の決定につきましては、組織委員会から各競技の国際競技連盟に対しまして、候補地についての情報提供を行い、最終的に連盟の意思により決定するものであるというふうに聞いているところでございます。当初は夏ごろに第1案を決定するということでございましたが、組織委員会と各連盟との調整に時間がかかっているということで、現時点では決定していない状況であるというふうに聞いております。

○渡辺委員 ぜひ決定をしてもらえたらということを私も思っております。もしオリンピックの練習会場に決まるとすれば、これは中野区にとっても大変名誉なことであります。選手たちに快適な環境で充実した練習をしてもらい、試合でよい結果が残せるように空調設備などもきちんと完備し、利用者の視点で本当に使いやすい体育館、世界の代表選手を迎えるのにふさわしい体育館をつくっていただきたいと思います。新体育館建設を含む平和の森公園整備により、防災機能向上を目指すとありますが、具体的に新体育館の防災拠点としての役割はこれまでと何か変更になることはあるのでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 平和の森の再整備前は備蓄倉庫や災害用の貯水槽等の機能を有しておりました。それに加えまして、再整備後の新体育館は帰宅困難者の一時滞在施設、また警察、消防、自衛隊の受援を受けるわけですので、その活動拠点として使用する予定になっております。また、区役所の被害が、現区役所ですね、被害が大きい場合は新体育館を区災害対策本部の代替施設として使用するなど、防災拠点として多くの役割を担うこととなっております。

○渡辺委員 オリンピック終了後のレガシーを次世代へきちんと伝えるためにも、快適に利用してもらうために、またさまざまな機能として使えるようにするためにも、かけるべきところにはきちんとお金をかけるべきだと思います。ただ、やはり10か年計画第2次では、中野体育館移転整備費が概算事業費で約45億円と示されていましたが、設計、施工だけで約89億円、当初の計画の数字を大幅に上回っているような報告をされますと、事前の見積もりが甘かったのではないかと思わざるを得ません。平和の森公園の未開園部分に新体育館をつくることで東京都への土地使用料など、通常の土地であれば発生しないであろう経費がかかっているという部分や、現体育館よりも規模を拡大し、耐震性を向上させたことで建築費が膨らむという話を伺いましたが、当初計画よりもこれだけ大きなコストがかかることに対してどの程度の問題意識を持っているのか区の見解をお聞かせください。

○青山政策室参事(企画担当) 新体育館建設場所の選定に当たりましては、体育館と草地広場が隣接することによるスポーツ機能と公園機能の拡充に加えて、オープンスペースが広がることによる防災機能向上などの観点から、平和の森公園が最適であると判断したものでございます。当初は1万平米の更地に標準的な体育館を建設するという想定で経費を見込んでございましたが、その後、公園内における体育館の配置を検討した結果、未開園部分を活用することが公園機能の向上に最も効果的であることから、下水道施設の整備に先行して体育館を整備することといたしました。このため、下水道局が将来整備する予定の下水道施設を考慮した構造とする必要があること、また、体育館の防災機能を向上させたことなどから整備経費が増加したものでございます。なお、平和の森公園に体育館を整備することで社会資本整備総合交付金の活用を図ることができるほか、長年の懸案でございました平和の森公園の全面開園が実現するなどメリットが大きいと考えております。

○渡辺委員 あまり問題意識はないと思っているということでいいんでしょうか。

○青山政策室参事(企画担当) 必要な機能を盛り込むということとメリットも大きいということで、必要な経費というのは使っていくということでございます。

○渡辺委員 さまざまな事情があってこういった結果になったということで、コストもかかったというのはわかるんですけども、本来もともと45億円というのが中野区の身の丈に合った新体育館の移転整備費だったんじゃないかと思うところもやはりあります。中野区初の設計施工一体方式を今回採用したということも聞きますと、オリンピックまでに体育館を建設することが最優先、これは当然のことなんですけども、そこを優先するがあまり、コストの点はあまり重視していないのではないか。今回の事業に当たり、先ごろ平和の森公園再整備に関する基本協定を東京都と改めて締結しましたが、体育館建設に関連する費用負担の割合など、金銭面での協議もいまだ終了しておりません。結果的にコスト条項を後から出してくる区の姿勢、これも問題ではないかと考えていますけども、その点はどのように考えているのでしょうか。

○青山政策室参事(企画担当) 新体育館整備に係る費用につきましては、既に平成28年第1回定例会におきまして、下水道局施設との合築とするため、費用負担については下水道局と調整していく旨を御答弁しております。その後、費用の総額を明らかにして、債務負担行為の議決もいただいたところでございます。今回の基本協定におきましては、体育館の地下の一部に下水道施設の機械室を整備することが明確になり、その費用の一部を東京都が負担する旨を定めたものでございます。費用負担の詳細につきましては、現在、体育館の実施設計を行っている最中でございますことから、別途協議を行うこととしたものでございます。

○渡辺委員 結局金額は後から出してくることも問題ないという認識なんでしょうか。

○青山政策室参事(企画担当) これにつきましては先ほども申し上げましたとおり、費用については既にお示しをしているところでございます。現在、東京都と協議しておりますのは、東京都にも一部負担を求めるということで、全体の費用の中で東京都の負担があるということ。ですから、区の持ち出し分がその分、当初の経費よりも減るということでございます。

○渡辺委員 実際に計画したことを実施していく中で想定外のことが出てくるというのはいたし方ないものだとは思います。ただ、やはり今回の新体育館建設の流れを見ていますと、オリンピックまでに間に合わせるために多少のことには目をつぶって突き進んでいかなくてはならないという思いがにじみ出ているというところも感じます。竣工時期が決まっているのであれば、新体育館建設に特化する部署を立ち上げて対応するなど、計画的に動いているようなところを見せるべきでありますし、このような形で進んでいることに問題を感じていないということであれば、その意識こそが本当に問題であると思います。今後、より計画的にさまざまな事業のプロジェクトを進めてもらいたいということを要望いたしまして、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、中野駅周辺再整備事業についてお伺いいたします。新しい体育館が平和の森に建設され、中野体育館跡地に新区役所が建設された後に中野駅北口は本格的に再開発事業が進むことになります。区役所と中野のシンボルである中野サンプラザが取り壊され、新たな複合施設ビル、1万人規模のアリーナを建設するということが発表され、これから中野駅北口が大きく変わろうとしています。中野駅北口の風景が大きく変わるこの大事業がどのようなプロセスを経て実現していくのか。私たち都民ファーストの会中野区議団としても大きく注目しているところであります。そして、このプロジェクトを成功させるには事業者との協力が必要不可欠であるとも思います。まず事業協力者として野村不動産グループが決まった経緯を改めて伺います。この選定に当たっては審査委員会が設けられていますが、審査委員はどなたが務められたのでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 区役所・サンプラザ地区再整備事業の事業協力者の選定に当たりましては、昨年の6月から7月に審査委員会を設置いたしました。この審査委員会につきましては、学識経験者2名、区職員1名で構成する委員で構成をいたしました。この委員会の審査を経て事業協力者を選定したという経緯でございますが、審査委員については公表をしてございません。

○渡辺委員 なぜ名前を公表できないのか御説明ください。もう既に選定作業は終了したというわけなので、公表しても問題ないのではと思うんですけども、いかがでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 事業協力者の選定でございますが、今後、民間参画事業者の選定までの過程の一つと考えておりまして、この公表によってその後の選定に影響がある。このように考えております。

○渡辺委員 今回名前を出すことで次の事業にどのような影響があると考えていますか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 民間参画事業者の選定に当たりまして、再度審査委員を依頼するという可能性もございます。この公表によって公正な審査が行われなくなるというおそれが生じると考えております。

○渡辺委員 では、事業協力者が決定したプロセスを伺います。野村不動産グループに決めたのは審査委員会が決定したんでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 事業協力者は審査委員会における審査結果を踏まえて、最終的には区が決定をしたものでございます。

○渡辺委員 決定権がないのであれば、なおさら審査委員会のメンバーは公表してもよいのではないかと思います。改めて野村不動産グループが事業者に選ばれた決め手となった点を具体例も交えて御説明ください。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 審査委員会による審査の結果、応募者3者のうち最も点数の高かった応募者1者を審査委員会として選出しております。当該応募者の提案内容は課題を広く認識し、その解決方法が提示された提案であり、総体的に評価が高かったものでございます。提案内容とその後に提出がありました提案概要書にあるとおり七つの課題を抽出し、街区再編や1万人規模のスマートアリーナなど、具体的な解決方策が示されているということが決め手になったと考えております。

○渡辺委員 今回、我々都民ファーストの会中野区議団は、応募してきた企業がどのような資料を持ってきてプレゼンしたのかというのを確認したく、資料の閲覧を希望したのですが、原則非公表ということで断られました。非公表にしている理由をお聞かせください。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 今回の応募書類につきましては企業のノウハウが含まれておりまして、これを公表するということは今後の公正な競争が損なわれるため、原則非公表としたものでございます。

○渡辺委員 中野区区政情報の公開に関する条例に基づく区政情報の扱いとなるということで、その企業の資料もその対象となるということで明記されている以上、応募してきた民間事業者もそれを承知で公開されてもいい情報しか出していないのではないでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 募集要項には、応募書類を区政情報として扱う旨を説明したというものでございまして、公表を前提としたものではございません。応募書類の内容につきましては、企業の考えによるところでございまして、企業情報であることから慎重に扱うものとすべしと考えております。

○渡辺委員 ちなみに、資料公開などの情報公開請求というのはありますか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) この事実が発生をいたしました応募から昨日までの時点で、情報公開請求を1件受け付けているところでございます。

○渡辺委員 今その状況はどのような状況になっていますでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) この請求の案件につきましては、現在処理中でございます。このことから状況については控えさせていただきます。

○渡辺委員 こちらの資料は開示しても問題ないと思いますので、開示されることを期待しております。続きまして、事業計画について伺います。平成30年度に区役所・サンプラザ地区再整備事業計画を策定する予定となっていますが、その計画は基本的に今回の事業提案書の内容を反映させたものになるのでしょうか。細かい変更はあったとしても、高層の多機能複合施設と1万人アリーナという二つの大きな要素は変わらないということでよろしいですか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 1万人規模のアリーナと多機能複合施設の整備につきましては、平成28年4月に策定いたしました再整備実施方針において示したものでございます。これを基本としながら事業協力者からの提案を踏まえ、事業化に向けた検討を進めていく考えでございます。

○渡辺委員 1万人アリーナをつくることで中野の個性や特徴をどのように発信していくことができるのか具体的に教えてください。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 1万人規模のアリーナはコンサートをはじめスポーツや各種イベントなど、さまざまな用途での活用の可能性があると考えております。こうしたイベントを中野のまちと連携しながら実施していくことで、将来にわたって中野の文化や産業を広く発信していく施設として計画してまいりたいと考えております。

○渡辺委員 今回の事業計画に区民の声や要望を取り入れるということはありますか。例えばアリーナをつくってほしいという要望は区民からの声でもあったんでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 再整備事業のこの計画の策定に当たりましては、区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議ですとか区民との意見交換などを通じて幅広く意見や要望を聞きながら検討を進めてきたものでございます。この再整備に当たりましては、現在の中野サンプラザホールの機能を継承し、音楽イベントなどが開催できるようにつくってほしいという声が区民や業界の関係者などからも寄せられているところでございます。

○渡辺委員 例えばアリーナ以外で何か要望するような声はほかにありましたでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 例えば現在の中野サンプラザにある宴会場、バンケットですね。そうしたものですとか、中野駅周辺で不足している宿泊機能など、さまざまな機能について要望する声を聞いているところでございます。

○渡辺委員 現区役所の土地はもちろん、サンプラザの土地も株式会社まちづくり中野21の所有とはいえ、実質区の所有のようなもので、これらの敷地は区民の財産だとも言えます。その区民の財産をどのように活用していくかについては、今後事業を進めていく中でさまざまな形で区民の声を聞く場をつくり、区民の声に耳を傾けながら再開発事業を進めていってもらいたいと思います。

 続きまして、今後の手続の部分で幾つか伺います。今回の入札はあくまで事業協力者ということでしたが、正式な事業者の公募はいつ決まるんでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) ただいま入札ということがありましたけど、今回はあくまで事業協力者の選定ということでございます。今後のこの再整備事業の参画事業者の選定でございますが、平成30年度に策定予定の再整備事業計画に基づきまして、再整備の参画事業者の募集を策定する予定でございます。この公募によって事業計画の内容に沿って事業を実施する事業者を選定する考えでございます。

○渡辺委員 平成30年度に策定予定の区役所・サンプラザ地区再整備事業計画の後に事業者を公募するとなれば、当然その事業計画の内容に沿った再開発を行う事業者を選定するという流れになりますが、そういう解釈でよろしいでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 委員のおっしゃるとおりでございます。

○渡辺委員 一般的に事業者の要望は住宅部分をなるべく多くつくりたいという話を聞いています。地区再整備実施方針や事業提案書で示されている高層の多機能複合施設は、その構成としてオフィス、住宅、ホテル、カンファレンスセンター、商業施設となっております。これらの割合について区が要望しているところと事業者が要望する住宅部分の割合が一つの重要な交渉部分になるかと思うのですが、事業者の言い分ばかり取り入れて住宅部分の割合が多くなると、区がかかわって再開発する意味がなくなってしまうと思います。区の要望を満たしつつ、事業者にとってもメリットのあるような形で話し合いが進むことを強く期待しております。

 続いて、運営部分のところで幾つかお伺いします。企業などの会議やセミナー、国際会議や総会、学会、展示会、見本市などのイベントを考えているようですが、アリーナのほうを主に使うことを考えているのでしょうか。それともこちらの複合施設の中にスペースをつくることを検討しているのでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 大規模なイベントのメイン会場につきましてはアリーナを使用するということも想定しておりますけれども、多機能複合施設の中にはカンファレンスですとかバンケット、そういった機能を入れることも検討しております。アリーナとアリーナ機能と連携した、より効果的な施設運営について検討してまいりたいと思っております。

○渡辺委員 国際会議や総会、学会、あるいは国内外からの観光客誘致に力を入れていくとすれば、羽田から高速道路を使って30分以内で中野駅に到着できるのはアピールポイントの一つになると思います。その場合、大型バス駐車場の整備が必要となるのではないでしょうか。そのような整備予定はありますでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) アリーナでの大規模イベントや観光客の誘致につきましては、鉄道だけではなくて大型バス等の利用をした交通アクセスの利便性向上も重要になってくると考えております。交通や環境への影響を十分に検討しながら、大型バスの利用も視野に入れて検討をしてまいりたいと考えております。

○渡辺委員 多機能複合施設、あるいは1万人アリーナの施設の一部に公共施設を入れる。あるいは事業者にそのようなパブリックスペースの確保を働きかけていくという予定はありますか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 再整備後の施設を区民や来街者が気軽に利用でき、より親しんでもらえるよう、屋内外の空間の確保につきましては事業協力者とともに検討を進めてまいりたいと考えております。

○渡辺委員 例えば災害対策について伺います。1万人アリーナや多機能複合施設は大地震発生時には帰宅困難者受け入れスペースとして活用できるようにするのでしょうか。それ以外にも災害時に必要となる救援物資置き場ですとか、他自治体からの応援職員の寝泊まりスペースなど、再開発にあわせて確保しておく活用もあるかと思いますが、いかがでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 今回の整備につきましては、アリーナですとか、ほかの集客交流施設を設ける考えでございます。こうした、特にアリーナにつきましては大規模な屋内空間が生まれるということでございますので、震災時には帰宅困難者の受け入れスペースとしての活用というのは考えられると考えております。その他の活用の可能性につきましても今後検討してまいりたいと思っております。

○渡辺委員 区民の財産を活用しての再開発でありますし、区を中心として計画策定や整備に取り組むというのであれば、区民のためのスペースを設けることも積極的に検討していくべきだと思います。

 続きまして、アリーナの部分についてお尋ねします。もともと区は新庁舎建設費については区役所・サンプラザ地区の土地を活用して財源を生み出すとしていましたが、事業提案書では新区役所庁舎のみならず、アリーナ整備費用も確保すると記載されております。これを見る限り、アリーナは公設民営となるのではと考えるのですが、いかがでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 事業協力者の提案内容では、所有形態や運営のあり方を検討するということとしております。公設民営、あるいは民設民営と特定しているものではございません。

○渡辺委員 仮に例えば公設民営の場合、建設費はどのように確保することを考えているんでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 仮に公設民営の場合でございますが、従前の資産を権利床に変換するということで、アリーナ整備も含めて確保することができると考えております。

○渡辺委員 そうなりますと、土地を例えば手放した場合、新区役所の費用とアリーナの建設費用は施行者が出すという提案が出ているということでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 事業協力者の提案でございますが、市街地再開発事業の中で現区役所・サンプラザ地区の資産を活用して、新庁舎とアリーナの建設費用を確保するという内容となっております。事業区域外に移転する新庁舎は転出補償で、区域内に整備するアリーナは権利変換で財源を確保するということになっておりますが、その支出については再開発事業の施行者が負担するということになります。

○渡辺委員 例えば定期借地権にして土地を売却しないことを条件にした場合、同じように新区役所の費用ですとかアリーナの建設費を事業者が負担する。こういった提案をもらうことは可能でしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 定期借地権を設定する場合は借地人の地代からの収益ということになります。土地の所有権は移転しないということでございますので、土地を売却する場合と比較して資産の活用により生み出される財源は少なくなると考えております。提案につきましては、定期借地であればどうなのかということで提案をいただくということはあろうかと思っております。

○渡辺委員 私は駅前の一等地を簡単に手放していいとは思っておりませんので、できることなら定期借地権にして交渉を進めてもらいたいと思っております。豊島区では定期借地で入る地代を一括式で受け取り、土地を手放さないまま新しい区役所を建てております。豊島区と同じ条件ではありませんが、区民の財産でもある中野駅前の土地を安易に手放すのではなく、定期借地権で土地を貸し出した形での交渉もぜひ選択肢として入れてもらいたいと思います。これは要望です。

 続きまして、アリーナの運営方式についてお尋ねいたします。仮に例えば公設民営の場合、指定管理なのか、それとも東京都の有明アリーナのように運営権を民間に売却するコンセッション方式なのか、その辺どのように考えているんでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) アリーナの運営につきましては、民間活力の活用を考えておりまして、仮に公設民営とした場合につきましては指定管理者制度、あるいはコンセッション方式、どちらの適用も考えられると思っております。

○渡辺委員 指定管理者制度とコンセッション方式、どのような違いがあると考えていますでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 一般的にコンセッション方式は指定管理者制度と比較をいたしまして、契約期間を長く設定できること、あるいは運営者が施設の利用料金を自由に設定できることなど、自由度の高い制度であると考えております。

○渡辺委員 アリーナの場合、大規模修繕が必ずあり、そこが大きな負担となっております。指定管理者制度ですと大規模修繕の費用負担は区の負担になるかと思うのですが、コンセッション方式だと事業者側の負担という形で契約することは可能でしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) どちらの制度におきましても、大規模修繕は基本的に公設民営ということですと区の負担になると考えておりますが、コンセッション方式の場合につきましては、運営権対価の中に修繕費用の全部または一部を含めることが制度上可能である旨が規定をされているところでございます。

○渡辺委員 指定管理者制度ですと契約期間が3年か長くても5年となるため、中長期的な事業計画をつくることが困難であり、大規模修繕費用も区が負担することになるというお答えでした。コンセッション方式ですと、中長期的な事業プランをつくり、思い切った事業運営をすることが可能であり、大規模改修費用も事業者負担という契約をすることもできるため、区の維持管理費に係るコストも少なく、事業者にとっても制限枠の少ない事業運営ができることを考えますと、コンセッション方式での運営方式も一つの選択肢になるかと思います。運営形態についてもさまざまな角度から検討いただければと思います。

 続きまして、再開発事業の効果についてお尋ねします。区役所・サンプラザ地区の再開発で大きな経済波及効果があると区は言っておりますが、どのくらいの効果があるのか具体的な御説明をお願いいたします。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 一般的な経済波及効果の考え方でございますが、投資による効果というのがまずあり、それが所得からさらに消費に回っていく効果が期待できるということが経済波及効果として言われております。今回の再整備事業につきましても、大規模な複合開発であり、投資、所得、消費という循環の中で相当な経済波及効果があるものと考えております。

○渡辺委員 中野駅周辺以外の地域にもその効果が及ぶと考えていますでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 中野駅周辺は区全体を持続可能な活力あるまちへと牽引する中心の拠点であることから、今回の再整備事業は中野駅周辺だけでなく、区内全域にその効果が波及するものとしていく必要があると考えています。

○渡辺委員 区民感覚としては、中野駅前が再開発され、新たなにぎわいが創出されたとしても、中野駅前周辺以外に住んでいる人たちからしてみれば、経済波及効果を実感することというのはなかなか難しいのではないかとも思います。ただ、中野駅前が再開発されて、周りの土地の資産価値が上がったり、富裕者層が駅前の住居に引っ越してきたり、1万人アリーナや複合施設ビルの影響で人が集まるというようなことで税収が上がり、めぐりめぐって行政サービスの向上につながるという意味においては、中野区全体に駅前再開発の波及効果が出るのではないかというふうに考えることもできるかと思います。区民の中には、中野駅前ばかりにお金をかけて、ほかの地域にはなかなかお金をかけてくれないという意見を言う方もおりますけれども、駅前再開発は中野区全体の行政サービスの向上につながる部分もあるんだということを区民一人ひとりに伝えていくという姿勢を持っていただきたいと思います。

 続きまして、エリアマネジメントの部分でお尋ねいたします。中野グローバル戦略推進協議会が平成27年に立ち上がり、平成28年5月には中野区グローバル都市戦略が策定されました。中野区をグローバル都市化するという目標がある中で、中野駅周辺再整備事業にこの内容を具体的にどのように反映させていくのでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) この中野区グローバル都市戦略の中でグローバル都市づくりの方向性ということが掲げてございます。その一つといたしまして、土地再生を軸としたグローバルビジネス拠点の形成、これを掲げております。中野駅周辺都市再生プロジェクトを着実に進めること自体がグローバル都市への道筋であると考えております。

○渡辺委員 中野区グローバル都市戦略の中では、産学公金連携によるビジネスイノベーションの促進、産学公金連携によるシンクタンク機能の構築とあります。多機能複合施設の中に産学公金連携の新ビジネスや研究の拠点を設置し、産業振興につなげていってみてはいかがでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 事業協力者の提案の中で次世代のビジネス環境の創造ですとか、多様な人・企業を引きつける魅力づくりということも提案をされております。そうした方向の検討を進めていきたいと考えております。

○渡辺委員 区の予定では、ことしの5月に産業振興センター内に(仮称)一般社団法人中野シティマネジメントという組織を立ち上げるとして、産業振興センター1階のスペースを確保したようですが、いまだに設立されておりません。いつできるのでしょうか。また、おくれている理由があれば御説明願います。

○平田都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) シティマネジメントの設立についての御質問でございます。区では昨年5月のグローバル戦略推進協議会の報告を受けまして、中野駅周辺地域のエリアマネジメント、ICTを利活用した情報発信、シティセールスなどの具体的な事業に取り組むため、新たな組織整備と事業計画について現在検討しているところでございます。検討が整い次第、設立に向けた手続に入りたいと考えております。

○渡辺委員 この(仮称)中野シティマネジメントという組織でどのような事業を行うことを考えているのでしょうか。

○平田都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 新たに設立する予定の法人では、中野駅周辺地域を中心としましたエリアマネジメント事業、ICTを利活用しました情報発信のための情報プラットフォーム整備運営事業、また地域のブランド力向上のためのシティセールス事業を行うことを考えてございます。

○渡辺委員 エリアマネジメントとは具体的にどういった形で進めていくんでしょうか。

○平田都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) エリアマネジメントにつきましては、まず中野駅周辺地域におきまして、中野四季の都市(まち)など第1期整備が終了した地域をはじめとし、区役所・サンプラザ地区、中野二丁目地区、中野三丁目地区など、開発の進展に伴いまして各地区で展開していくことを想定してございます。

○渡辺委員 これまで再開発を進めてくる過程の中で、さきのグローバル戦略推進協議会や区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議など、まちづくりのための組織や会議体をさまざま設けて議論したり、イベントなども行ったりしてきていますが、その成果がいま一つ見えない状況であります。まちづくりや再開発はソフトとハードの両輪から進めていく必要があり、本来はこれらの協議体や組織をもっと早めに立ち上げて、ソフト面での今後の方向性やビジョンを明確にし、それを中野駅周辺まちづくり分野が担当するハード面の計画にきちんと反映していくべきだと思います。しかし、区の事業はそれが逆で見えてしまいまして、まちづくり分野のハード面での事業計画策定が先行し、多機能複合施設と1万人アリーナ建設の流れで動いている中で、ソフト面の事業を実現するためのスキームをつくる中野シティマネジメントがいまだ立ち上がっていません。期限を設けて一刻も早くやるべきではないでしょうか。

○平田都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 区といたしましても、ハードとソフトが一体となったまちづくりの重要性は認識しているところでございます。現在、エリアマネジメントなどで実施する事業の具体化を図っているところでございまして、準備が整い次第できるだけ早期に考えをまとめ、体制を整えていきたいと考えてございます。

○渡辺委員 中野シティマネジメントの早期の立ち上げを強く要望いたします。

 続きまして、西側橋上駅舎・南北通路の工期についてお尋ねいたします。1万人アリーナができ上がると、コンサートやイベント終了時、駅の改札が大変混雑することが予測されます。今でも中野駅北口の状況は、朝の8時半近くなりますと、改札から人があふれ返って、いつ大きな事故が起きても不思議はない状況であります。そのような状況の中、先日の特別委員会で西側橋上駅舎・南北通路の工期が地盤の再調査と建物の縮小などにより短くなったとの報告がありました。しかし、これまでの流れを見ていますと、JRは頑なに工事期間を短くすることができないと言い続け、工期短縮が不可能だということを繰り返すばかりでありました。私も国会担当のJR担当者とお会いする機会をいただいて、いろいろお話を伺ったのですが、その際、中野駅の駅舎工事は電車が動いていない夜間しか工事ができない。しかも、中野駅は操車場があるため、夜は遅く、朝は早い時間に電車が動き出すため、他の駅より条件が悪いというような説明を受けました。ところが、今回の報告内容では日中も工事ができるという話になっており、JR側の説明に一貫性がないように見受けられます。こういったところを見ていますと、区の交渉次第では工期をもっと短くすることができたのではないかというような疑義を抱かざるを得ません。そこで幾つかお尋ねいたします。西側橋上駅舎・南北通路の平成21年9月にJRと協定を結んだ中央本線中野駅西側橋上南北通路・改札新設及び北口改修に関する調査設計で中野区が3,349万5,000円をかけて行った調査では、地盤調査はしていなかったのでしょうか。

○小幡都市政策推進室副参事(中野駅地区都市施設調整担当) 区では、平成21年度に駅西側南北通路・橋上駅舎の整備の実現に向けた検討を深めるため、調査設計を実施しております。調査設計は検討における基礎資料という位置付けでございまして、作業の中では既存の地質データを用いて設計しております。現地での当時の地質調査は行っておりません。

○渡辺委員 もしそこで調査などを行っていれば、その時点である程度工期が長期化するかどうかというのはわからなかったんでしょうか。

○小幡都市政策推進室副参事(中野駅地区都市施設調整担当) 工期につきましても、調査設計は南北通路と橋上駅舎のみを整備する基礎的な検討でございまして、現在、区が進めております駅ビルを含んだ道路一体建物の基本設計とは考え方が全く異なっているものでございます。

○渡辺委員 平成23年の特別委員会で突然駅ビル建設の話が報告されましたが、その後、平成26年3月まで基本設計の協定が締結されなかったのはなぜなんでしょうか。

○小幡都市政策推進室副参事(中野駅地区都市施設調整担当) 中野駅西側南北通路・橋上駅舎と駅ビルを線路上空で一体的に整備していくことの方向性については、中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3策定検討の中で示しております。この方向性に基づき、制度上の整理や技術的な検証を進め、立体道路制度を活用し、自由通路、駅舎、駅ビルからなる道路一体建物の整備を進めることとしました。本件整備については、立体道路制度を活用して自由通路を整備する全国初の事例でございまして、十分な検討整理が必要となり、各機関と調整の上、平成26年度に基本設計に着手したものでございます。

○渡辺委員 先日の特別委員会の報告では工期が短縮されることが報告されましたが、その結果、区の費用負担はどうなったのでしょうか。

○小幡都市政策推進室副参事(中野駅地区都市施設調整担当) 南北通路・橋上駅舎整備におけるJRの修正設計は駅ビル部分の見直し検討でございまして、区が整備する南北通路と橋上駅舎部分の基本的な考え方は変わっておりません。区負担額については、くいの見直しによる減額はありますが、工期短縮による増額もあり、こうした金額の変動要素はあるものの、現時点では当初の基本設計時と大きくは変わってございません。今後、駅北口で区役所・サンプラザ地区再整備事業や新北口駅前広場の整備が予定されておりまして、南北通路と橋上駅舎の整備費用につきましては、これらの事業との工程調整による現場の施工条件によって大きく変わってくることは想定をされます。今後の実施設計作業の中で費用を精査していきたいと考えております。

○渡辺委員 通常、工期が短くなればなるほど経費は減るというふうに考えられるものなんですけれども、区の負担は減らない。重ねて聞きますけども、区の負担は減らないんでしょうか。どのような説明を受けて、工期は短くなるが費用はふえたというような説明を受けたのでしょうか。

○小幡都市政策推進室副参事(中野駅地区都市施設調整担当) 今回の修正設計では、くいについて見直しをしてございます。工期短縮のためJRはくいの施工について、これまで全て夜間施工であったものを一部作業について、昼夜継続しての施工ということで検討してございます。ホーム上でくいを昼間施工するに当たり、旅客の安全確保のための仮設費として仮囲いですとか多数の交通誘導員が必要になる。そういったことが金額の増額の要素となっているものでございます。

○渡辺委員 JR側の内容というのは確かに見えない部分もありますので、どういうふうに言ってきても、そうなんだというふうに言える部分もいたし方ないとは思うんですけども、どうも説明の一貫性もないし、JRを別に疑うわけじゃないんですけども、何か都合のいいように言われているんじゃないかというふうに端から見ると感じるところがあります。交渉事でありますので、費用負担の面に関してもきちんとした事例とか、難しいかもしれませんけども、コスト削減の部分には努めていってもらいたいと思います。

 最後に、本田副区長にお尋ねいたします。中野区はここ10年間、国交省から副区長を招き入れております。副区長が1人の区もあり、かつオリンピック・パラリンピックに向けて大規模な再開発を進めている区もある中、現時点で国交省出身の副区長がいるのは中野区と豊島区だけであります。西武線の立体交差事業も進行中ではありますが、この中野駅周辺再整備事業でも大いに手腕を発揮されることを期待してのことだと思うのですが、改めて伺います。本田副区長の駅周辺再整備事業における役割とはどのようなものなのでしょうか。それぞれのエリアや事業ごとに担当が分かれておりますが、そういった組織を統括する立場という認識でよろしいんでしょうか。

○本田副区長 駅周辺整備における私の立場ということでございますが、区長の指示のもと、駅周辺整備全般を見させていただいており、その意味ではおっしゃるとおり事業、組織の統括ということになろうかと存じます。

○渡辺委員 これまで西側橋上駅舎・南北通路の工期の長期化などさまざまな問題があり、今後も大規模な再開発を進めていくに当たり、数々の課題をこなしていかなければならないことが予想されます。本田副区長には駅周辺の再開発の成功に向けて、ぜひこれまでのキャリアや知見を活かして手腕を発揮していただきたいと思います。中野駅周辺地区再整備事業の今後について、中野区の目指す姿やその実現のために任期中にやり遂げたいことをぜひこの場で表明ください。これが最後の質問になりますので、残り11分間よろしくお願いいたします。

○本田副区長 駅周辺の再整備につきましては、その高いポテンシャルを生かして、中野区全体、ひいては東京都を活性化するぐらいの良好な都市機能の開発ができるというふうに考えております。そのために今現在、関係者を含め議論、検討を進めておるところでございます。ただ、御指摘いただいたとおり数多くの課題があるものですから、一つひとつ丁寧に対応し、解いていきたいというふうに思っております。その結果は、今後、都市基盤に係る都市計画案、また再整備事業計画案などを通じまして区民、議会にお示しし、将来確度の高い、来るべき未来として駅周辺の姿に対して多くの方々に共感、共有をいただき、再整備を加速したいというふうに考えております。そのため私が30年まちづくりをやってきた知見を組織に移転し、また、いろんな人たちとお話をしながら、できるだけ早期に前に進めたいということを考えております。

○渡辺委員 どうもありがとうございました。以上で私の総括質疑を終了いたします。

○高橋(か)委員長 以上で渡辺たけし委員の質疑を終了します。それでは、12時になりましたので、休憩をとりたいと思います。

午後0時00分休憩

 

午後1時00分開議

○高橋(か)委員長 それでは、委員会を再開いたします。

 総括質疑を引き続き行います。高橋ちあき委員、質疑をどうぞ。

○高橋(ち)委員 皆さん、お疲れさまです。総括質疑が2日目のこのお昼が終わった午後最初というのは本当に皆さんもきっと、もう面倒臭いなとか思っていらっしゃるかもしれませんけれども、(「そんなことないですよ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。平山委員が足が痛くならないように質問は素早く進めていきたいと思いますけれども、私ども自由民主党は古き歴史を重んじながら新しいものに対してもチャレンジをしていこうという、そういう精神のもとで議会に携わらせていただいております。自由民主党2番手として質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、質問は順番どおりに行わせていただきます。1番目の中野区における危機管理についてであります。けさほどもメキシコのほうで大きな地震があったように報道されておりますけれども、本当に災害はいつ、どういう形で来るかわからないというところがいつも不安になるところでございますけれども、私たちは、現在、中野区が進めている新庁舎やアリーナ構想などを勉強するために、大阪城ホールや姫路の駅前再開発、そして神戸市の危機管理センターを視察してきました。その中でもとても気になった、印象に残ったのが危機管理についてでした。神戸市では、より効果的な体制の構築を目指して、神戸市危機管理基本方針を作成していると聞いております。阪神淡路大震災を経験した神戸市においては、市、事業者、市民がそれぞれの役割を課し、協働することにより、全ての市民が安心して暮らすことのできる安全なまちづくりを推進するため、多くの年月をかけて理念から実践へという方向性で神戸市危機管理指針を策定し、人材を危機対応の柱と位置付け、経験したことのない危機に直面しても、さまざまな危機に対して柔軟に展開できる人材を育成しているそうです。そこで幾つかお伺いをさせていただきます。現在の中野区では危機管理担当部長を危機管理官という役職で配置をされていますが、この部署は部長職しかおらず、いざというときはどのような対応をとられるのか、とてもわかりづらく心配になっております。区では、平成17年から22年ごろまでには危機管理分野があったように思いますが、なぜその分野が今存在していないのでしょうかお伺いをいたします。

○田中経営室副参事(人事担当) 平成23年度の組織改正によりまして、当時の危機管理分野のうち、内部的な組織内危機管理につきましては、内部統制も含め新設された行政監理分野に、また対区民にかかわる地域の生活安全、こちらにつきましては防災分野とともに都市基盤部へ移管したことによるものでございます。

○高橋(ち)委員 多分組織改正によってそういうふうに分かれたんだと思うんですけれども、近隣区を見ても、練馬区は危機管理室という部署がきちんと置かれており、危機管理課、防災計画課、区民防災課というものがあります。その室の中にきちんと置いてあるわけですね。また、他区にも総務部の中に危機管理室という部署が置かれておりまして、それぞれ担当する課が所属しています。中野区の現在の組織体制は全く違っているように私はいつも感じるんですけれども、経営室の危機管理部長と都市基盤部の防災分野と今分かれているんですけれども、これで連携が上手にとれているんでしょうか。

○田中経営室副参事(人事担当) 経営室につきましては、内部的なリスク管理等いわゆる組織内危機管理、それから内部統制を統括し、推進していくため経営室の行政監理分野が担当しているところでございます。一方、都市基盤部におきましては、平常時における防災まちづくり、また耐震化などの都市基盤整備といわゆる災害への備えなど、区民の防災意識向上の取り組み、このような取り組みを一体的に行うべきとの考え方から、防災分野は都市基盤部において担当しているところでございます。なお、平常時と緊急時につきましては、それぞれの役割は異なってございまして、大規模災害等の緊急時につきましては、災害対策本部体制のもと全庁的な対応を行っているところでございます。十分に連携して適切に対応しているものというふうに認識はしてございます。

○高橋(ち)委員 まあ、そうじゃないと困るんですけれどもね。傍目から見ると、分かれているということ自体が不安を招くんじゃないかなというふうに実際感じているところであります。また、新しい中野をつくる10か年計画の中では、災害への備えや防犯の取り組みが進んだまちという目標を掲げています。平成24年には中野区危機管理ガイドラインも作成をされていて、災害への備えについて区民一人ひとりが意識を高めていくことはとても大切で必要なことでもありますが、想定外の災害においてもきちんと示していくことが必須です。このように書かれているんですけど、どのようなお考えを持っていますか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 新しい中野をつくる10か年計画にあるとおり、災害への備えは自助、共助、公助の連携が必要であり、防災訓練についても町会・自治会、地域防災住民組織を中心に行われていますが、委員おっしゃるとおり学生や勤労者など、より多様な住民の参加を促していく必要があると考えております。区民一人ひとりの防災等の意識を高めていくためには、現在行われている総合防災訓練や各種の訓練や講習会をさらに充実させるとともに、乳幼児がいる家庭を対象とした訓練など、年代やターゲットを絞った訓練や講習会を実施することを検討しております。また、区では現在、年間50人の防災士を養成しており、知識、技術を持った防災リーダーとともに、災害時にはさまざまな状況に対応してまいります。

○高橋(ち)委員 すごく努力してくださっていることはよくわかっておりますし、区民の意識も今まで以上に高くなっているのも感じているんですけれども、それにおいてもやっぱり組織図を見ると、きちんと区民の皆さんにわかるような組織って必要なんじゃないかなというふうな思いで聞いているわけでありまして、改めて確認をさせていただきますけれども、きちんと危機管理室を立ち上げる考えを持っているのかどうかということなんですね。先ほど申し上げたように神戸市においては危機管理室という部署があって、その組織は危機管理監がトップにいて、室長、課長、係長と専従の職員を配置されていて、その組織のほかに兼務している職員がいらっしゃり、全体で45名の職員体制となっておりました。こういうことを区では全体的に組織、万が一のことがあったら組織で対応するからというお考えですけど、どう考えていらっしゃるんでしょうか。

○田中経営室副参事(人事担当) 中野区においては、緊急時においては全庁を挙げて対応に当たる体制、これを継続していく考えでございます。現在のところ組織体制を見直す予定はございません。災害等緊急時の危機管理対応につきましては、今後ともそれぞれ十分に連携を行いながら、区民の生命、財産をしっかり守れるよう、そういうような組織体制としていきたいというふうに考えてございます。

○高橋(ち)委員 区の全庁的な組織体制も聞いておりますから、よくはわかっております。でも、それは職員の皆さんがわかっていることであって、区民の皆さんからは目に見えてわからないと私は感じているんですね。だから、誰が見てもわかるようなものをやっぱり置いておくのは必要じゃないかなというふうに感じているので、再度またいろいろ聞きますけれども、神戸市においては危機管理センターというものもあります。そのセンターの中に今申し上げたような管理体制があって、そこの中で危機管理の対応をされているということであります。中野区はそういうことを考えていないということですから、それは無理かもしれませんけれども、今後体制は考え直していかなくてはいけないというふうに私は思います。さらに神戸市ではドローンの活用も行っているそうです。協定を締結したドローンの運用事業者との連携も密にしているそうですけれども、中野区として今後ドローンを活用することも視野に入れているんでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) ドローンの活用についてお答えいたします。現在、災害時の被災状況を映像で確認するための手段といたしましては高所カメラだけであります。ただ、今後導入を図る予定になっております防災情報システムでは、現場での映像を送れるタブレット端末を活用して情報収集することを検討しております。また、ドローンについては救助者が近づけない、また入り込めないような現場の映像を通して状況確認に有効なことから、まず先ほど申しました防災情報システムの中での活用方法について検討いたしまして、必要性があればドローン運用業者との協定を締結するなど、連携等を図ってまいりたいと考えております。

○高橋(ち)委員 ぜひ考えていっていただきたいと思います。ドローンは災害のときには大変重要な役割を示すと思いますし、さまざまなところでこのドローンを使った活用方法をされているところがございます。ぜひとも考えていただきたいと思います。また、さらに防災対策調査特別委員会でも報告されましたけれども、Jアラートに対する周知徹底も必要になってきております。今後の対応はどのようにされていくのかお伺いをいたします。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 昨今の北朝鮮の弾道ミサイルの状況でございます。北海道上空通過に伴いまして、2回のJアラートの発令により、国のほかテレビ、新聞、インターネット等のメディアにより、その都度発令時の基本対応動作について情報発信されているのが今現在でございます。区といたしましても、繰り返しホームページ等で周知するほか、区施設利用者等に対してJアラートで流れる緊急アナウンス文や政府の広報資料の掲示や区民が参加する総合防災訓練会場における案内などにより周知に努めてまいります。

○高橋(ち)委員 ぜひそのようにしてほしいと思います。この間、弥生の区民活動センターに行きましたら、エレベーターの中にもJアラートのお知らせが張ってありました。そうすると、目に見えるところにいろいろな媒体がありますと、区民の人たちはさらに関心を持つことになると思いますので、早急に何らかの方法で伝えていっていただきたいと思います。

 この項の最後になりますけれども、危機管理において想定される危機は、大地震、豪雨、洪水などの自然災害、大規模火災や危険物の爆発災害、爆破予告などの重大事件、重大事故、弾道ミサイル攻撃やテロなどの武力攻撃緊急対処事態、食中毒や新たな感染症の発生など、区民の生命や健康を脅かす重大な健康被害のほか、重大な情報漏洩の発生といった情報セキュリティなど行政運営上の重大な事件、事故等、非常に多岐にわたっていると思います。このような重大な災害や危機が発生しないにこしたことはないと思いますけれども、万が一このような重大な災害や事件、事故が発生した場合においても常に適切に対応できるよう体制を整えておくことは非常に重要であると考えております。このような重大な危機が発生した際にしっかりとした対応を行うような体制強化のため、危機管理担当部長を配置されているんだと私は思っているんですけれども、万が一、中野区において想定し得ない重大な危機が発生した際の区の対応について、危機管理担当部長としての御見解、御認識を最後に伺わせていただきます。

○志村危機管理担当部長 先ほど委員の御指摘のとおり、危機の内容は多岐にわたりますが、とりわけテロ、大規模災害、弾道ミサイル落下などといった武力攻撃事態は、区民の生命、身体、財産に重大な被害を受けるため、中野区として総力を挙げて取り組むべき究極的な危機管理だと考えております。区としては区長をトップに司令塔としての、官民一体となって関係機関、関係団体などと連携をしていくことが求められます。その中でも、とりわけ区民の命を守るという意味では、警察、消防との連携が極めて重要でありますけども、その一翼を担うのが、区の中では経営室生活・交通安全分野と都市基盤部の防災分野であります。この両分野というのは、平常時はそれぞれ両分野において個別にテロ防止キャンペーンだとか防災訓練だとか、そういった危機を未然に防ぎ、また被害を最小限に抑えるための事前対策を行っております。しかしながら、この両分野というのは、部は分かれておりますが、私を含めて庁舎の8階でお互いに顔が見える位置で席を並べているために、常に連携が保たれております。したがって、中野区内で一たび何があったとしても、中野、野方両警察署、両消防署からの情報は全て一元的に把握ができております。一たび重大危機が発生しましたら、その両分野と行政監理が一致協力して各対策本部を設置し、中枢機能を担っていくことで、平常時から非常時への移行がスムーズに行われるようになっています。今後さらに震災図上訓練などの全体訓練を通じて練度を高めてまいりたいと思っております。

 また、危機管理の要諦は、最悪の事態を想定し、備えることだと言われております。もはや危機管理に携わる者としては、想定外という言いわけは通用しないと考えています。想定外を想定することが重要なんですけども、これには二つの意味がありまして、一つ目は、可能な限りマニュアルを整備する。もう一つは、それぞれ想定外の事態が発生したときの心構えの準備をする。たとえ一時的にパニック状態に陥ったとしても、いち早く自分自身を取り戻して、冷静な判断ができるようにイメージトレーニングをすることが大事だと考えております。そのためには、ドイツの鉄血宰相ビスマルクの「愚者は政権に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉のとおり、私たちも過去の想定外の事例を学びつつ、私自身も地下鉄サリン事件の実体験もありますので、そういった体験を踏まえて行政監理分野が主催する危機管理講習会などを通じて職員に指導を徹底してまいりたいと考えています。

 最後に、委員の御指摘のとおり現在の危機管理体制についても常に新たな発想で見つめ直し、他の自治体のいいところも参考にすべきだということで助言をしてまいりたいと考えています。

○高橋(ち)委員 ありがとうございます。頼もしい危機管理担当部長からの御答弁をいただきまして、組織は別々であっても顔の見える体制はきちんととっていらっしゃる。そういう御答弁であり、想定外であってもパニックにならない。ビスマルクさんの格言まで言っていただきまして、本当に心強いと思っております。ですので、今後、議会にも顔の見える危機管理担当部長であっていただきますことをお願いいたしまして、この質問は終わらせていただきます。ありがとうございます。

 では、2番目の保育事業及び幼児教育についてお伺いをさせていただきます。これは子ども教育部の主要施策の中においてもいろいろと書かれておりましたけれども、成果の中に民間保育施設新規開設支援を挙げていらっしゃいました。担当部局は大変努力をされていることは十分承知しています。また、今回もさまざまな委員がこの保育園のことに対しては質疑をされていると思いますけれども、本年度は政策室を筆頭に緊急対策本部を立ち上げ、待機児童対策に向けた取り組みを早急に行うこととした対応は当然のことと思っております。とても大変な作業だとは思いますけれども、待機児ゼロに向けてしっかりと取り組んでほしいです。そこで何点かお伺いをいたします。限られた期間の中での取り組みは相当なチームワークが必要となりますが、待機児童と一くくりに言っても、何歳の枠がどれだけ不足しているのか、きちんとさまざまな状況を把握して対応されていらっしゃるんでしょうか。

○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(幼児施設整備推進担当) 4月1日現在におきます年度別の待機児童については把握しているところでございます。平成29年4月1日におきます待機児童数375人でございますけども、約97%は0歳から2歳に集中をしている状況でございます。待機児童緊急対策におきましては、その年齢における待機児の解消、これを主要な取り組みとして考えているところでございます。

○高橋(ち)委員 把握されて対応されているということですから安心はしますけれども、区有地や都所有地などの7園の確保の見通しはどのような状況になるんでしょうかね。

○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(幼児施設整備推進担当) 緊急対策におきます保育所整備に係る用地につきましては、ほぼ見通しがついているところでございます。現在、運営事業者につきまして公募を行っている段階でございます。

○高橋(ち)委員 チームワークが大変よろしいかと思いますけれども、では次に3歳の壁と言われていることに対してもきちんと検証して、開設に向けた準備をすることが大事だと思います。そのようなことも念頭に入れて取り組んでいらっしゃるんですか。

○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(幼児施設整備推進担当) 緊急対策におきましては、民間の新規保育所整備などによりまして、翌年度以降の接続、これを念頭に置きながら整備を進めているところでございます。

○高橋(ち)委員 現在、待機児童がゼロになっている区は、調べたところなんですけれども、千代田区と豊島区の2区であり、千代田は昼間人口が少ないからかもしれませんけれども、豊島区ではベビーシッターが子どもを保育する事業なども取り入れているそうです。また、園庭のない私立認可保育園に対して小学校の校庭を開放するモデル事業も始めているそうです。そのほかに、としま鬼子母神プロジェクトを発足されて、民間企業から採用した、女性にやさしいまちづくり担当係長という方がいらしてからは、順調に待機児童が減ってきているというふうに伺っています。専門的に対応できる職員の方をふやすことも考えるべきじゃないかなというふうには思います。

 それから、保育園をふやすのも当然なんでしょうけれども、豊島区では空き家をリノベーションして、子育て世代が住みやすいように変えていこうという、そういう施策が始まってから様子が大変変化したそうでもあります。待機児童ゼロを宣言している都市は、子どもにもよい環境に恵まれ、仕事も安定して働くことのできる都市だそうであります。担当部署としては、このことをどのように考えていらっしゃいますか。

○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(幼児施設整備推進担当) 保育室の整備でございますとか、保育所に応えるさまざまな施策の展開とともに、誰もが安心して子どもを生み育てられるための支援づくりにつきましても、子育てしやすい環境を総合的に整えていくということが必要であるというふうに考えてございます。

○高橋(ち)委員 本当に総合的に考えていかないと、ただ保育園をつくってゼロにしましただけでは済まないような気がします。関東だと高崎市や前橋市が大変その環境に当てはまるそうでありまして、待機児童問題はただ保育園の数をふやし、子どもが入園できればよいといったことではなくて、住む場所から通勤もしやすく、スーパーや病院、学校などが近くあり、生活するには困らない。その上で、子どもを安心して預けられる保育施設が必要であって、初めて待機児童問題が解消されるというふうにうたっています。日本経済新聞社が独自にリサーチした子育てしやすいまちランキングでは、なぜか1位が荒川区で、2位が福生市、3位が千代田区、4位が港区、5位が東大和市となっていました。残念ながら中野は入っていないんですけども、ランク入りしてほしいとは言いませんが、さまざまな保育の支援方法があることを研究して、ゼロ対策を行っていただきたいと思います。先ほど述べましたベビーシッター制度の活用など、今後の対策としてさまざまなことを考えていられるんでしょうかお伺いします。

○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(幼児施設整備推進担当) 新規の民間保育所の誘致にととまらずに、新たな保育所の受け皿、こういったものの拡大をしていく観点から、実施しています自治体の状況などを踏まえまして検討を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

○高橋(ち)委員 ぜひいろいろなことを考えて、それを取り入れられるような施策を生み出してほしいかなというふうに思います。また、この緊急的措置は2年間ということでありますけれども、2年間過ぎた後の事業者へのフォローまたは対応などは考えていらっしゃいますか。

○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(幼児施設整備推進担当) 緊急対策におきます事業者の公募に際しましては、平成32年4月に区内において認可保育所を開設する意向のある方ということを応募条件としてございます。その時点での状況によるところでございますけれども、新園を整備する場合には区としてできる範囲内での支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

○高橋(ち)委員 ぜひそのようにしていただきたいと思いますね。将来的に待機児童対策というようなことが万が一解消されたときのことも視野に入れまして、施策を進めることが必要だと思いますけど、このことについてはどのようにお考えですか。

○荒井子ども教育部、教育委員会事務局副参事(幼児施設整備推進担当) 0歳から5歳までの就学前人口に対する保育需要率の拡大につきましては、当面の間続くものというふうに予測されていると思います。今後につきましては、民間の保育事業者の判断によるところではございますけれども、公立、私立の需給バランスといったことも含めまして調整を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

○高橋(ち)委員 ぜひよい方向に考えていっていただきたいと思います。この緊急的な措置は本当にチームワークが必要でありまして、早急につくっていかなくちゃならないという施策になっておりますので、ぜひとも大変な労力を使うかもしれませんけれども、待機児童ゼロに向けて頑張っていただきたいと思います。

 次に、新制度で立ち上げた家庭的保育事業者に対しては、現在どのような対応をされているのか確認をさせていただきます。

○長﨑子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 家庭的保育事業者に対します区の支援といたしましては、保育の質向上を念頭に置きました区主催の研修を開催するほか、それに伴う代替保育、こういったものも実施をしております。また給食提供につきましても、本年6月から近隣の区立、私立の保育施設との連携によりまして、5事業者においてスタートしたほか、さまざまな課題を有する場としての事業者連絡会などを開催するなど、日ごろから区としての支援を行っているところでございます。

○高橋(ち)委員 ぜひ必要に応じた支援は必ずできるようにしていただきたいと思います。保育を希望される保護者の方々はどうしても認可保育所が念頭にあるような感じがいたしますが、それぞれの幼児に合った保育を進めるということも大事なことだと思います。新たに導入したコンシェルジュが上手に保育の選び方などの援助をわかりやすく説明していくことが必要ですが、現在きちんとした対応がとれていらっしゃいますか。

○長﨑子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 子ども総合相談窓口におきましては、保護者からの保育施設への入園相談はもとより待機児に対するさまざまな問い合わせや要望、また時には苦情なども対応しているところでございます。こうした保護者の要望も的確に把握をしながら、個々の区民ニーズに合わせた保育所選びが可能となるよう、必要な情報提供を丁寧に行ってまいりたいと、このように考えているところでございます。

○高橋(ち)委員 ぜひそのようにしていただきたいと思います。それぞれに合った保育がお勧めできるような対応をしていただきたいと思います。また、今は国をはじめ都や各自治体も待機児童対策に力を入れて、その対策に追われているのが現状だと思いますけれども、もちろん待機児童対策はとても重要なことだと私たちも認識はしています。しかし、その中においても幼児教育というものが何かどこかに置いていかれてしまっているようにも感じてなりません。さきの教育基本法の改正によりまして、幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備に努めなければならないという条例が新たに規定されました。これは区としても重く受けとめ、対応していかなくてはならないと思います。まずは改めて伺いますけれども、幼児教育に対して区としてはどのようなお考えを持っていらっしゃいますか。

○長﨑子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 先般策定をされました教育ビジョンの第3次、これにおきましては人格形成の基礎となる幼児期の教育の充実、これを目標に掲げますとともに、子ども・子育て支援事業計画の改定においても、小学校への円滑な接続、また障害のある子どもへの切れ目のない支援など、就学前教育の充実に向けた取り組みを推進するということでしております。こうした取り組みを行いながら、さらに幼児教育を充実してまいりたい。このように考えているところでございます。

○高橋(ち)委員 教育ビジョンにもそうですけれども、10か年計画の中でも生きる力、その育成戦略の中でも、誰もが成長し続けるまちを目標として、産前産後のサポートの充実をはじめ、家庭への切れ目のない支援を行い、関係機関が連携して一貫した支援体制を構築し、相談の充実や関係機関、地域が連携して成長過程への支援を行うとうたっています。その中でも全ての乳幼児に対し、家庭の理念や選択に即して必要に応じた保育や幼児教育を受けられるよう十分なサービスを提供しますともうたっているんですよ。今、保育ビジョンに対してのサポートが非常に中心であるように感じるというか、中心であると思います。幼稚園に対してはどうなっているのかなというふうに時々感じてしまうわけでありますけれども、現在、公立が2園、そして私立が22園あるわけですが、将来的には、要は公立幼稚園が、ここで話題にするのもあれですけれども、いよいよ施策が変わっていくわけでありまして、私立幼稚園に幼稚園の事業を任せることになってしまうということになりかねなくなる時代がやってまいります。その上において私立幼稚園の支援はさらに充実していくことが必要かと考えています。職員に対する支援、園に対する支援、保護者に対する支援、これは現在の保育行政と同様に対応を考えないといけないというふうに考えますが、いかがお考えですか。

○長﨑子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 私立幼稚園に対しましては、園に対する支援といたしましては、預かり保育、また教育環境整備に係る補助、こういったものを今現在実施しております。また、保護者に対しても入園料ですとか就園の奨励費、こういったものの補助を実施しているところでございます。教職員に対しましては、保育園、幼稚園、小学校との連絡協議会など、合同の研修も通じながら相互に連携を図っているといったような状況でございます。今後も私立幼稚園からの意見や要望、そういったものも聞きながら実態に即した支援について引き続き検討をしてまいりたいと、このように考えているところでございます。

○高橋(ち)委員 今お答えをいただきましたけれども、さらに充実した施策を考えていっていただきたいと思います。幼児教育って言葉では簡単に言いますけれども、さまざまなことがあると思います。この間、本会議で区長が御答弁していたかと思いますけれども、保育も幼児教育、要するに幼児教育の一環であるんだというふうにおっしゃっていたような記憶があるんですけれども、今や保育園も教育環境と等しいものになっていくような、そういう方向性に向かっているように思いますけれども、幼稚園を中心とした幼児教育と保育園が中心となった幼児教育とは違いがやっぱりあるんじゃないかなというふうに感じ取っているところでありますので、さらに今お答えをいただきましたけれども、今後この幼児教育を推進していく上に当たってどのような対応をされてまいりますか。もう一度確認をさせていただきます。

○長﨑子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当) 今、私立幼稚園という話もありましたけれども、今後、区立としての直営の幼稚園は認定こども園という形で転換をされることになりますけれども、行政としては幼稚園をはじめとする就学前教育の充実、これに向けた役割を果たしていくため、今年度配置をいたしました就学前教育推進員、こうした体制の強化も進めているところでございます。また、保育園、幼稚園、小学校が連携をしながら教育・保育の質向上に向けた取り組みを進めるための推進会議の設置等も検討しているところでございます。こうした取り組みを通じまして、さらに就学前教育の充実、これを推進してまいりたいと、このように考えているところでございます。

○高橋(ち)委員 ありがとうございます。将来を担う子どもたちのためでございますので、ぜひともいろいろなことを考えて進めていっていただきたいと思います。ありがとうございます。

 次に3番目ですけれども、教育現場における動物教育のあり方について何点かお伺いをさせていただきます。これは予算のときにも聞かせていただいたんですけれども、確認を幾つかいたします。平成18年、大分前の文科省の通達なんですけれども、学校における望ましい動物飼育のあり方が発表されておりますが、この通達をどのように学校へ周知したのか確認をさせてください。

○杉山教育委員会事務局指導室長 学校における望ましい動物飼育のあり方の通知につきましては、文書の保存年限が経過しており、通知文等について確認はできておりませんが、文科省の通達どおり適切に配布していると認識しております。

○高橋(ち)委員 もう11年も前のことですから、廃棄されているとは思いましたけれども、これが通達がちゃんとされていれば、ちゃんとそのように伝達されていて、現在に至っているんではないかなということで、いま一度しつこくこの動物について聞きますけれども、その飼育のあり方の中の第2節、児童と動物飼育には、生き物を飼育していくことにより子どもたちに優しい心が芽生える。命のすばらしさを学ぶ。級友や地域とのつながりによる協調性を育めるなど、学校で動物を飼育する意味が記載されています。このこともきちんと現在も理解されて、そのような対応をされているんでしょうか。

○杉山教育委員会事務局指導室長 子どもたちに命の大切さや動物への親しみ、世話をする責任感等を育むなどの生き物を育てることの意義については、学習指導要領の生活科や理科等に示されており、各科における教育活動に位置付けられていることから、理解されているというふうに認識しています。

○高橋(ち)委員 それはよかったと思います。ぜひ理解していて、ずっとし続けていただけることを望んでおりますけれども、前回の質問では、動物を飼育されている学校が幾つありますかと聞いたら、あまりないのかと思ったら結構ありました。現実的には動物のお世話はとても大変な状況のようです。このような状況では本来の今申し上げたような意義が生かされていないということになるのではないかと心配です。現在、動物を飼育している学校では、どのような体制で動物を飼育しているのか現状を教えてください。

○杉山教育委員会事務局指導室長 飼育委員会など委員会活動の中で取り組んだり、特定の学年に飼育活動を割り振ったりするなど、児童がみずからの手で継続的に世話をできる体制で行っているところでございます。

○高橋(ち)委員 それはよいことだと思います。動物の飼育は子どもたち、生徒、先生方だけでしかしてはいけないという決まりがあるわけではないと思いますけれども、そうでなければ第三者の力をかりたり、地域の方の応援をいただいたりと、さまざまな対応が考えられると思いますが、どのようにお考えになりますか。

○杉山教育委員会事務局指導室長 動物の飼育に当たっては、その管理や環境について十分に配慮する必要があると考えております。学習指導要領においても、専門的な知識を持った地域の専門家や獣医師などから支援を得たり、休日や長期休業中の世話についても地域と連携したりするなど、多様な対応を展開することが示されております。学校が専門家や地域の教育力を活用し、よりよい飼育体制、飼育環境を整えることは大切であると認識しております。

○高橋(ち)委員 認識されているけど、現状やっている学校というのはいらっしゃるんですか。

○杉山教育委員会事務局指導室長 獣医師から継続的に指導を受けているということではありませんが、何か機会があったときに助言をいただいているというのは聞いております。

○高橋(ち)委員 ありがとうございます。前回も動物介在教育の話をさせていただきましたけれども、今、獣医師のお話がありましたけれども、中野区にも獣医師会があり、この組織の方々との連携で新しい中野の動物教育というものが構築できるんじゃないのかなというふうに思います。いかがお考えなのかまず一つ伺うことと、動物の専門家としての飼い方指導や講演を交えてのふれあい学習など、教員の負担にならない程度で始めていければ、より一層子どもたちにとって大切な学びが始まると考えますが、どのようにお考えでしょうか。

○杉山教育委員会事務局指導室長 これまでも学校飼育動物の冬の飼育対策等について、獣医師会からの協力について各校に紹介してきたところでございます。動物飼育の専門家として獣医師を講師とした学習は、動物愛護の精神や生命の尊さ等、効果的であると考えてございます。獣医師をはじめとした地域人材を活用した教育活動を展開していけるよう各校に示してまいりたいと考えています。

○高橋(ち)委員 ぜひそのように進めていただければと思います、生命の誕生や死に対しても動物を介在して学ぶことはとても重要だと私は思います。生き物は教材としての物ではなくて、子どもたちにとってよき仲間であって、世話をすることは命を預かるということを意味すると思います。ぜひ積極的に今後考えて取り入れていただきたいと思いますが、いま一度お答えをいただきたいと思います。

○杉山教育委員会事務局指導室長 生き物を育てたり、世話をする活動につきましては、子どもたちにとって大変意義のある活動であると捉えております。取り組み内容につきましては各校が定めることとなっておりますが、教育委員会としてはその取り組みが充実していけるよう支援してまいりたいと考えております。

○高橋(ち)委員 前向きな御答弁ありがとうございました。ぜひともそのように進めていっていただきたいと思います。ありがとうございます。

 次に、4番目の地域包括ケア事業について伺いたいと思います。これはきのう長沢委員も何か触れていたように思いますので、ダブったとしたら申しわけありませんけれども、私なりに何点かお伺いをさせていただきます。これも主要施策の成果の中に書いてあったんですけれども、平成28年度は新たに地域包括ケア推進分野を設けたとなっておりまして、そして区の組織体制を整備し、医療、介護、福祉の関係機関、町会・自治会や商店街、シルバー人材センター等の関係団体とともに、中野区地域包括ケアシステム推進プランを策定とあります。プランは1から4までのステップとなっていますが、現在ステップ1においての現状を確認させていただければと思います。ステップ1の目的として、理念の共有、気運醸成とありますが、どのようなことをされているんですか、教えてください。

○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 地域包括ケアシステム推進プランのステップ1から4までのステップは、中野区の地域包括ケア体制の構築を進める10年間の取り組みの方針を示したものでございます。ステップ1では、喫緊の課題である高齢者の地域包括ケアシステムの構築を主としており、可能な限り住み続けられる地域づくりに向けた基盤整備を軸としております。理念の共有、気運醸成については、地域包括ケアシステムを構築して、目指すまちの姿を共有するために、昨年度は町会・自治会をはじめとした地域団体、医療関係者、介護事業者、さまざまな事業者団体などが一堂に会して討議を重ねました。区だけでなく各団体みずからが具体的な取り組みを各団体の中で話し合い、達成目標を定めて推進プランにあらわしました。今後、取り組みの内容を互いに評価して、PDCAサイクルを回していこうと考えております。

○高橋(ち)委員 様子がわかりました。では、サービス基盤の充実でありますが、詳細はどのようなことなんですか。

○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) サービス基盤の充実の取り組みとしては、地域包括ケアシステムの構築に向けてアウトリーチチームの設置などの区の推進体制の整備、それからアウトリーチで相談を行う際に活用できる情報システムの検討、それから住民主体サービスなどの担い手育成などが挙げられます。

○高橋(ち)委員 では次に、サービスの質の維持向上ということも内容がはっきりわからないので、どのようなことなのでしょうか。

○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) サービスの質の維持向上の取り組みとしては、要支援者の状況に応じてさまざまな総合事業で提供するメニューを準備するとともに、コーディネートを含めた質の維持向上を図ることなどでございます。

○高橋(ち)委員 では、支援レベルの適正化とはどういうことですか。

○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 支援レベルの適正化については、地域包括支援センターが作成する介護予防のケアプランが対象者の自立支援になっているかを点検するケアプランチェックを実施することなどが挙げられます。

○高橋(ち)委員 それから五つ目なんですけれども、不足する資源等の抽出と積極的な地域の資源開発とあります。これも抽象的でわからないんですけれども、教えてください。

○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 不足する資源等の抽出と積極的な地域の資源開発については、例えば若年性認知症の調査など、これまで施策が行き届いていなかった対象を調査し、不足するサービスを明らかにする取り組みということで考えております。また、新たに設置したアウトリーチチームによる地域の人材や活用できる施設などの発見などにも取り組んでいます。

○高橋(ち)委員 今伺いました5項目はステップ1に掲げられているものでありまして、平成30年までに進めていくのにどのような対応をされていくんでしょうか。

○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) ここまでに紹介した以上の取り組みを通じて、高齢者の地域包括ケアの基盤を確実なものにした上で、これを土台としてステップ2の子育て世帯や障害者へと段階的に対象の拡充を進めていきたいと考えております。

○高橋(ち)委員 いろいろと伺って、内容がよくわかるんですけれども、予算のときにも伺いましたけれども、介護予防・日常生活支援総合事業の開始に向けて29年度から始めたわけですけれども、新たなメニューや多様な準備を進めてきたとのことですが、どのようなメニューをつくってきているんでしょうか。

○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 介護事業所が提供する現行相当のサービス、それから中野区独自の基準によるサービスに加えて、短期間に集中的に改善を図る短期集中予防サービス、なかの元気アップセミナーと名前をつけまして、運動機能や口腔機能の改善を図るプログラムや認知症予防、それからカラオケ体操などの多彩なメニューを用意しました。住民主体によるサービスでは、家事援助などの訪問型に加えて、食事提供と体操を組み合わせた通所型のミニデイを高齢者会館で実施しております。それから、一般高齢者を対象とした一般介護予防事業は、高齢者会館等での体力づくり教室のほか、カラオケ体操事業を開始しております。また加えて、一般介護予防事業では新たにスポーツコミュニティプラザにおいても運動機能向上プログラム及び南部においては水中運動プログラムを始めております。

○高橋(ち)委員 今お伺いしたような事業がたくさんあるわけでございますけれども、この事業はこれから先もとても大事な事業となっていくと思うんです。中野の地域包括ケア体制の中身も現在どのように周知されているのか、ちょっと心配に感じられるんですけれども、まずは必要な人に必要な事項がきちんとわかりやすく伝えられることが大切なことなんじゃないかなというふうに思います。どれだけこの事業のことを理解しても、必要な人たちが全く理解できないで、全然知らなかったというんじゃ意味がないと思いますけれども、今後どのような対応をされていくのか最後にお伺いをいたします。

○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 地域包括ケア体制の周知については、4月、5月、9月と区報の巻頭特集などで、それから、区民活動センターの地域ニュースなどでも具体的な取り組み、アウトリーチチームの活動を紹介するなどをして、積極的に周知に努めているところでございます。今後はホームページの情報などをわかりやすく整理し、複数の媒体を使いながらも幅広い地域包括ケアの周知を図ってまいりたいと考えております。また、地域包括ケアは支援の必要な人に必要な支援を届けることが重要なので、町会・自治会、それから民生児童委員などと十分連携しながら、地域包括支援センターへつなぐことができるよう、アウトリーチチームの活動を通じてさまざまな地域包括ケアの取り組みを周知、浸透を図っていくことを重要と考えております。

○高橋(ち)委員 わかりました。その際にお願いが一つあるんですけれども、これを必要とする方たちって若い方じゃないんですよね。高齢の方たちが多いと思います。そのお知らせをするに当たっても、なかなかカタカナ語で難しくて、これ、何だろうねというような言葉が多いような気がします。なので、一目瞭然、ああ、これは何を言っているのかということがわかるような文言で、やっぱり区報に載せるに当たってもわかりやすい言葉で載せていっていただければいいかなというふうに思いますけど、どのようにお考えでしょうか。

○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) しょっぱなからアウトリーチチームという横文字を使ってしまいましたので、もちろん高齢の方を中心としたサービスでございますので、わかりやすさに努めていきたいと考えております。

○高橋(ち)委員 ぜひそのようにお願いしたいと思います。では、5番目の町会・自治会の参加促進に関することについてお伺いをさせていただきます。まず初めに確認をさせていただきますが、町会・自治会の参加促進に関する検討会についてお伺いをいたします。スケジュールとしてはどのような段取りで行っていくのでしょうか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 検討会はこの10月に立ち上げまして、年度内で4回程度の検討を予定しているところでございます。

○高橋(ち)委員 検討メンバーとしてはどのような方を想定しているんですか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 検討メンバーにつきましては、各地区の連合町会、各地区の区域から町会・自治会の代表者の方、それから区の関係管理職、あと学識経験者を加えまして、20名程度の構成を予定しているところでございます。

○高橋(ち)委員 学識経験者という方が入るようですけれども、じゃ、この方が第三者的な立場になるんでしょうか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 学識経験者は専門的な領域を研究されていることで助言をいただきたいというふうに思っておりまして、あとそのほかに町会・自治会活動ですとか地域交流活動などにおける調査研究の実績を持つ事業者の支援が必要と考えておりまして、コンサルティング事業者に業務支援を委託して行う予定でございます。

○高橋(ち)委員 なるほど。わかりました。では改めてお伺いをいたしますけれども、区にとって町会・自治会の位置付けというのはどのような存在なんでしょうか。何でも苦情は言わないで請け負う団体というふうに考えていらっしゃるということはないと思いますけれども、どうお考えですか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 区におきましては、基本構想における中野のまちの将来像として、町会・自治会が地域コミュニティの核としてさまざまな活動を行う団体と連携し、自主的に地域の課題を解決していくという姿を描いてございます。区にとりまして、町会・自治会はこれからの地域自治の推進に不可欠な存在であり、区の重要なパートナーであると認識しているところでございます。

○高橋(ち)委員 その重要なパートナーである町会・自治会は現在、担い手が不足していっているというふうに、現状そういう感じであります。だから、この参加促進のこういう検討会をつくるんだと思うんですけれども、現状何とか苦労しながら運営をしているところでありまして、本当に皆さん、人手がいないとか、若い人がなかなか手伝うことができないとかいっている状況は、区はこういうふうなことを認識していらっしゃいますか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 平成23年度に町会・自治会の皆様にアンケートを行っております。その結果では、活動の参加者の減少、それから高齢化、また役員のなり手が少ないと。この3点が最も多くの回答があったものでございます。それから5年以上経過しているわけでございますが、日々さまざまに工夫や努力をされて運営されているということを承知しておりますが、担い手の不足というのは深刻な課題であるというふうに受けとめているところでございます。

○高橋(ち)委員 そのために、この検討会においていろいろと検討されていくんだと思うんですけれども、この検討会の結論に実現性のものがなければ理想論で終わってしまうように考えるんですよね。また、負担を強いるような結論であってもいけないというふうにも思いますし、とても意味あるというか、意義ある検討会にならないとだめだというふうに思っているんですけれども、きちんとした結論を導き出せるんでしょうか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 検討会では、まず町会・自治会から出席された皆様から忌憚のない御意見をいただくことが重要と考えております。御意見を出しやすい雰囲気づくりに努めたいというふうに考えております。そして町会・自治会、区、区民、事業者等、それぞれの主体が今後のよりよいまちづくり、支えあいの推進に向けてとるべき具体的な行動がわかるように結論を導きたいというふうに思っております。

○高橋(ち)委員 ぜひそのようにしてもらいたいと思います。私が日々感じているのは、町連さんや地区町連に対しては結構目配りとか気配りというのはあるんだなというふうに思っているんですけれども、大事なのは単一町会のサポートだというふうに思うんです。このサポート、単一町会に対してのことも検討会で考えていくんでしょうかね。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) まさに町会・自治会の参加促進と申しますのは、区内に109ございます町会・自治会がどうしたら永続的に活動を継続していけるのかということを検討する会でございます。具体的に町会・自治会のみならず、区、区民、事業者などがどのようにそれぞれの役割を果たしていけばよいか、どんな仕組みがあればよいのか、どんな支援が必要なのか。これらのことを検討する場でございます。

○高橋(ち)委員 ぜひそうあっていただきたいと思います。町会・自治会は自治体の主要な団体であるというふうに私もやっぱり認識しています。だからといって、あれもこれも区のサポートをボランティアで行っていくということには限界がありますね。それで、さまざまな形で補助金とか助成金とかも援助はいただいているとは思いますけれども、ほとんどが手弁当で行っている団体だと思います。区と町会・自治会の関係をしっかりと認識した上で検討会を進めていっていただきたいというふうに思います。この検討会の結果が上部団体だけではなくて、各区の町会・自治会にきちんと伝わっていくような、そういう伝達方法も考えてもらいたいと思いますが、いかがですか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 御質疑にございましたようにさまざまに現在も支援を行っておりますが、改めてそれら全ての効果ですとか成果なども検討会における参加者の御意見を踏まえながら検証を行いたいと思います。その上で総合的に検討してまいりたいというふうに思っております。また、検討会の進行状況ですとか、その内容につきまして、わかりやすくそれぞれの単位町会に伝わるように工夫していきたいというふうに思っております。

○高橋(ち)委員 ありがとうございます。ぜひですね、期待しておりますので、いい方向、いい結果が出るようにお願いしておきます。ありがとうございます。

 では、最後になりますけれども、その他で東京都の受動喫煙防止条例について二つお伺いをさせていただきたいと思います。小池都知事は8日の記者会見で、罰則つきの東京都受動喫煙防止条例、仮称ですけれども、の基本的な考え方を公表されました。この基本的な考え方では原則屋内禁煙としておりまして、知事は近年の五輪対策開催都市は屋内を全面禁煙するなど、罰則を伴う対策を講じている。ホストシティの役目とも発言をしていらっしゃいます。2019年のラグビーワールドカップ開催までに条例を施行する考えを示されているわけですけれども、この条例が実施されるとなると、区にはどのような影響があるのでしょうか。また、区はどのような対応をしていかなくてはならないんですか。

○只野健康福祉部副参事(健康推進担当) 東京都受動喫煙防止条例(仮称)の基本的な考え方が公表され、現在、東京都が意見公募を行っていることは認識しております。都の基本的な考え方には、官公庁施設を屋内禁煙とするほか、医療施設や小・中学校等、受動喫煙による健康影響を防ぐ必要性が高い未成年者や患者等が利用する施設については敷地内禁煙にするなど、受動喫煙防止対策をより推進する内容が盛り込まれております。この考え方に沿って都条例が施行された場合には、区としては条例の内容を踏まえ、規定を遵守していくとともに、区民に対して条例遵守について啓発を図っていく必要があると考えているところでございます。

○高橋(ち)委員 これはまだ施行されているわけではありませんから、本当にこれが決まっちゃったら、分煙推進議連の私としては大変だななんて思ったりはしますけれども、それはそれとして、昨今たばこのことを話題にするだけでも嫌悪感をあらわにされる方が本当に大半でありまして、吸わない人たちにとっても受け入れられる分煙対策が必要だと私は考えます。中野の分煙に対する施策はずば抜けてすばらしいと言われるように進めていってほしいんですけれども、この条例が施行されたときにですね。どのようにお考えか、この最後の項の最後の質問になりますので、区長からお答えをいただければありがたいと思います。

○田中区長 現在示されている国の受動喫煙防止対策に係る基本的な考え方、また東京都受動喫煙防止条例(仮称)の基本的な考え方では原則屋内禁煙でありますが、飲食店や娯楽施設など利用者側に他の施設を選択する機会があるものや嗜好性が強い施設については、喫煙専用室の設置を可能としているといったさまざまな内容が出ているところです。公共施設の関連のこともさまざまにあるところなんですけれども、各区それぞれの考え方でいろいろに工夫しているのが現状であります。先日、区長会で各区がそういう形でいろいろ工夫したり、苦慮して、苦慮というか、考えながらやっているという中で、東京都が決めてしまうと全部一律じゃないか、各区の議論や各区がやってきていることなどが全部一律にそこに決められてしまうじゃないかというようなことで、やはりこれは東京都と区長会と一度きちんとお話し合いをして、そういったことについてもどう考えていくのか、我々としてもしっかり確認をしながら対応していきたいと。そんなようなことを申し合わせたところであります。そうした都条例に至る経過の中でも、我々としてもきちんと関心を持って今後の対策につながるような対応をしていきたいというふうに思っております。

○高橋(ち)委員 区長ありがとうございます。やっぱり今、区長がおっしゃってくださったように各区それぞれ、もう対応されているところもあれば、今考えていらっしゃるところもあるというふうに私たちも認識をしております。ですので、区長会挙げていろいろと東京都との話し合いというのはなかなか難しいところがあるかもしれませんけれども、私たちも分煙が大変大事なことは十分承知の上でありますので、今後区長会の動向をきちんと私たち議会にもお知らせしていっていただければありがたいと思いますので、よろしくお願いをいたしまして、私の全ての質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

○高橋(か)委員長 以上で高橋ちあき委員の質疑を終了します。

 次に、木村広一委員、質疑をどうぞ。

○木村委員 平成29年第3回定例会決算特別委員会におきまして、公明党議員団の立場から総括質疑を行わせていただきます。質問は通告のとおりで、8のその他で衆議院選挙の投開票会場についてを行います。会派では2番手でございますが、先輩方に挟まれておりまして、時間調整で説明が少ない箇所もあるかもしれませんが、御理解のほどよろしくお願いします。

 初めに、28年度決算について伺います。総務省が平成28年3月に改定しました統一的な基準による地方公会計マニュアルの財務書類等活用の手引きでは、新地方公会計制度で得られるデータを活用した財務諸表による六つの指標分析の視点を紹介しております。資産形成度、世代間公平性、持続可能性、効率性、弾力性、自律性の六つです。今回は、その指標の中で特に中野区にとって特徴的な数値が出ている指標である資産形成度、将来世代に残る資産はどれぐらいあるのかとしての資産老朽化率、また効率性、行政サービスが効率的に提供されているかとしての住民1人当たりの行政コストの二つを取り上げさせていただきます。財政白書に見られる財政状況とは少し異なる側面も見えてきます。まず資産老朽化率は、財政白書では50ページ、有形固定資産減価償却率という項目で施設の老朽化率が算出できます。有形固定資産減価償却率ですが、昨年までは他区同様、資産老朽化比率と言っていましたが、なぜ名称を変えたのでしょうかお伺いいたします。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 名称の変更についてでございますが、総務省の設置しております地方公会計の活用のあり方に関する研究会、こちらの報告書におきまして、地方公会計の整備によりまして算出される指標の有用性の検証について報告された内容、この内容に沿って名称を変更しているものでございます。なお、算出方法に関しては従来から変更はございません。従来から使用されてきた資産老朽化比率という言葉ですが、これは昭和40年の大蔵省令、耐用年数省令というものでございますが、これによって定められた耐用年数が、老朽化という表現から想起される施設の建て替えの必要性や安全性という問題に必ずしも直結するものではなく、減価償却費により算出しているため、端的に呼称を有形固定資産減価償却率というふうにしたものでございます。

○木村委員 最近のトレンドに機敏に対応されたということになります。平成25年度には大幅に資産老朽化比率が上昇しました。この要因の御説明をお願いします。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 平成24年度以前の比率につきましては、昭和44年度以降の決算統計の普通建設事業費の行政目的別データを積み上げたものでございましたが、平成25年度から固定資産台帳の数値を採用し、昭和44年以前の資産が加わったことなどにより大幅に比率が上昇したものでございます。

○木村委員 中野区では25年度に固定資産台帳の整備を行いましたけども、先ほどの名称変更もそうですけども、中野区では比較的早い段階で固定資産台帳を実施するなど、新公会計制度にはこれまで前向きのように見えます。しかし、昨日の平山委員との質疑を伺っていると、少し不安に感じるところがありますので、しっかりと対応していただければと思います。新公会計制度では正確な減価償却費を出すために固定資産台帳の整備は必須です。中野区を含め23区で固定資産台帳を整備した区は何区になりますか。また、固定資産台帳で使用する耐用年数は同一基準であり、比較可能な数字であるということでしょうかあわせて伺います。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 平成28年度末で固定資産台帳を整備している区は17区でございます。国の手引きにより作成するものでございますので、同一基準であり、比較は可能でございます。

○木村委員 同一基準というのが大変に重要であると思います。平成27年度決算では固定資産台帳を整備し、かつ資産老朽化比率を公表している区は7区ありました。その中で中野区は老朽化が最も進んでいる66.8%で、7区の平均が52.3%、中野区は平均より14.5%老朽化が進んでおります。参考に資産老朽化比率の平均正常値と言われるのは35%から50%です。その老朽化の中身を確認いたします。28年度財政白書の貸借対照表で資産の部にある有形固定資産の建物減価償却累計額、インフラ資産の工作物減価償却累計額が減価償却累計額全体の大半を占めております。有形固定資産の建築減価償却累計額と工作物減価償却累計額の内容の御説明をお願いいたします。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 有形固定資産の建物には庁舎、学校、保健福祉施設などの建物などが含まれております。インフラ資産工作物には道路工作物、こちらは道路の舗装となります。それから、公園の遊具などが含まれております。

○木村委員 特にその中で恐らく小・中学校と道路の減価償却の累計額が大きいかと思います。28年度財政白書では有形固定資産の償却率が示されておりません。道路と小・中学校の償却率を28年度を含め、25年度からの推移を教えてください。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 平成25年度でございますが、道路につきましては97.0%、小学校につきましては65.2%、中学校については49.3%でございます。平成26年度につきましては、道路が96.4%、小学校が67.8%、中学校が50.8%でございます。平成27年度につきましては、道路が95.8%、小学校が69.4%、中学校が52.1%でございます。平成28年度につきましては、道路が92.1%、小学校が72.4%、中学校が55.6%でございます。

○木村委員 小・中学校は年々償却率が上がっておりますけど、一方で道路は下がっているということになります。この要因は何でしょうかお伺いいたします。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 道路につきましては、毎年度舗装の改修等を行っております。その価格、新規資産の取得価格となりますけれども、これが毎年度の減価償却累計額の変動額を上回っているため、償却率が下がっているものでございます。

○木村委員 じゃ、道路に関しては、初期投資はほぼ償却して、整備費が反映されているということになります。28年度財政白書では、それぞれの減価償却累計額が出ていませんので、27年度のを参考にしますけども、有形固定資産の償却率によると、減価償却累計額が多いのは、道路が累計額39億6,000万円余、償却率は95.8%、小学校が累計額206億7,000万円余で償却率は69.4%、中学校が累計額89億9,000万円余で償却率は52.1%、この三つで全累計額の52%となります。よって、道路と小・中学校が区の老朽化比率を上げているということが言えます。今後、この資産老朽化比率というのはどのように推移すると予測できるでしょうか。また、資産老朽化比率を適正にする取り組みが必要ではないでしょうかお伺いいたします。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 今後の推移でございますが、平成25年度以降の資産老朽化比率、有形固定資産減価償却率のことでございますが、こちらは横ばいの傾向を示しております。今後は学校再編計画の推進や学校の改築、新区役所の建設などによりまして、横ばいまたは若干の減少傾向になるというふうに想定をしております。取り組みといたしましては、公共施設総合管理計画建物編の策定をはじめ、中野区橋梁長寿命化修繕計画、中野区道路舗装維持管理計画、中野区道路附属物等維持管理計画等を定めまして、施設の更新に取り組んでいくところでございます。

○木村委員 全体ではそうです。項目別の他区との比較ですけども、固定資産台帳整備を実施してデータを公開している区ですと、27年度決算で有形固定資産の道路に関しては、板橋区は減価償却率が51.7%、目黒区が53.7%です。全体を調べていないので確定的なことは言えませんけども、中野区の道路の減価償却率が95.8%というのはかなり高く、小・中学校でも老朽化が進んでいると言えます。中野区では小学校やインフラ整備が他区より早かったという見方もありますけども、要因はそれだけなのか洗い出すことによって今後の整備計画に生かせるかと考えます。資産老朽化比率は減価償却累計額の割合で算出しますけども、課題は減価償却累計額に相当する基金が積み立てられているのかどうかになります。基金としても積まれていなければ、将来の世代の負担になります。あわせて基金の在り方も問われることになるかと考えます。義務教育基金や道路などのインフラ整備の積み立ては計画的に行おうとしておりますが、積み立てが十分なものか指標が必要と考えます。10か年計画では、ここ10年の基金積み立ての計画を示しておりますけども、さらに長期的な計画が必要です。長期的な財政の見通しを明らかにするために、資産老朽化比率や将来負担比率など公会計の指標を積極的に活用していくべきと考えますが、いかがでしょうかお伺いいたします。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 資産老朽化比率でございますが、耐用年数に対して資産のストックがどの程度低下しているかというものを全体から把握するという指標になってございます。また、将来負担比率につきましては、区が将来負担すべき債務の標準財政規模に占める割合でございまして、現在の負担と将来の負担のバランスを把握するという指標であるというふうに認識をしているところでございます。基金の活用に当たりましては、年度ごと特定目的基金の繰入積立額につきましては10か年計画第3次で示した計画をもとにいたしまして、予算案概要におきまして、今後5年間については繰り入れ、積み立ての数値を示して計画はしているというところでございます。政策の進捗に合わせまして計画的に積み立て、繰り入れを行うことが必要であるというふうに考えているところでございます。今後の基金の活用を進めるに当たりましては、一般財源とのバランスを図りながら対応していくということになるかというふうに思いますが、より長期的な見通しにつきましては、さきに述べた委員御指摘の指標についても参考として活用した上で判断してまいりたいというふうに考えております。

○木村委員 ぜひよろしくお願いいたします。次に、区民1人当たりの行政コストについて伺います。これは行政の効率性を示す指標となりますが、この指標の高低は何を示すのでしょうか。また、指標の意味とあわせてお伺いいたします。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 行政コスト計算書でございますが、行政サービスを提供するため、コストが1年間にどれくらいかかっているかを示したものでございます。高ければ行政サービスに要するコスト、費用が高いこと、低ければ低いコスト、費用で行政サービスが行われているということになります。区民1人当たりの数値をあらわすことで行政活動の効率性を測定することができ、他の団体と比較する際に人口規模等の違いによる影響が考慮され、比較しやすくなり、効率性の度合いを評価することができるものでございます。

○木村委員 それでは、中野区の区民1人当たり行政コストの過去5年間の推移はどのようになっているでしょうかお伺いいたします。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 中野区の区民1人当たりの行政コストでございますが、平成24年度が28万842円、平成25年度が27万3,952円、平成26年度が28万6,862円、平成27年度が28万6,146円、平成28年度が29万5,762円でございます。

○木村委員 28年度は区民1人当たりの行政コストが大幅に上昇しております。この要因と今後の傾向をどういうふうに読むか御説明をお願いします。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 平成28年度につきましては、退職手当引当金繰入額や社会保障給付費などが増となったためでございます。今後の傾向につきましては、経済事情等によりまた変動していくものというふうに考えております。

○木村委員 質問に入っていなかったんですが、退職手当引当金繰入額が要因ということですけども、これは今後そういうのが続くのかどうか。どういうふうにお考えでしょうか。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 現在、職員の年齢構成が比較的高い状況で推移をしております。この推移が続く間においては、この額が一定程度入っていくというふうに考えております。

○木村委員 一定期間恐らくそれが入ってくるかと思うんですけども、経常的ではないかと思いますので、中野区の場合、この区民1人当たりの行政コストを他区と比較した場合ですけども、比較可能な26年度の13区に関してですけど、平均34万4,000円に対して中野区は最も低い28万6,862円です。低いということは、先ほどおっしゃったとおり効率性が高いというふうにも言えますけども、その正確な評価というのは事業別、また施設別のコストパフォーマンスで問われると考えます。例えば一つ事例を挙げますと、施設別のセグメント分析を実施した場合に、指定管理者制度とか保育園の民営化などがコストの面で正確に評価をできます。こういった従来正確なコストが問われなかった事業に対しても的確に検証すべきと考えますが、いかがでしょうかお伺いいたします。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 施設別のセグメント分析によりまして、減価償却費や退職手当引当金繰入額など歳入歳出決算書では計上されないコストを含めた評価が可能になっていくものというふうに考えております。

○木村委員 これらを詳細に分析するためには、事業別、また施設別ごとのデータ分析が必要ですが、本年度の決算では、中野区を含めてそのデータがまだ明らかになっておりません。私もこの質問をつくるのにさまざまな自治体のいろんなところを調べましたけども、それの作業だけで大変で、なかなか質問まで追いつかなかったということもありましたけども、来年度の各区のデータがより明らかになってくると思いますので、それがそろったときにしっかりと詳細に確認したいと思います。以上でこの項目の質問は終わります。

 次に、新公会計制度について伺います。実際の分析は先ほどの項目で触れましたので、また、昨日、平山委員からもさまざま質疑がありました。ここでは運用について確認をさせていただきます。新公会計制度は23区において総務省方式改訂モデルと東京都方式など、どのような財務諸表を採用しているか状況をお伺いいたします。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 平成27年度決算におきましては、総務省方式改訂モデルを採用している区が16区、総務省基準モデルを採用している区が6区、東京都方式を採用している区が1区というふうになっております。

○木村委員 総務省方式改訂モデルと東京都方式が多いんですが、どのような指標の比較が可能か。また、比較のためにはどのような課題が考えられるのかお伺いいたします。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 総務省方式改訂モデルにつきましては、決算統計データを活用して財務書類を作成しております。東京都方式では個別の伝票単位で複式仕訳を実施しております。また、総務省方式改訂モデルでは固定資産台帳の整備が必ずしも前提とされておりませんなど違いがございますので、単純な比較はなかなか難しいというところでございます。平成28年度決算からは、国の要請によりまして統一的な基準で財務書類を作成することになっておりまして、東京都方式でも統一的な基準による財務書類を作成することができるというふうに聞いております。他区との比較の可能性が確保されるということになるというふうに考えております。

○木村委員 まあ、しっかり今後とも、来年度から他区との比較ができるようになるかと思います。また、時系列比較というのは全体の財務諸表の比較よりも事業別、施設別の比較のほうがより効率性、経済性、将来負担の観点から、前期と比べてどう改善されているか評価ができます。確認になりますけども、平成29年度、来年度ですけども、決算で事業別、施設別のセグメント分析を行うのでしょうか。また、その場合、経年比較として28年度の分析も必要となります。28年度のセグメント分析はあわせて公表するのかお伺いいたします。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 平成29年度決算ではセグメント分析を行う予定でございます。そのために今年度分析を行う施設を決める予定でございます。施設等を絞りまして、平成28年度決算値でセグメント分析をして、経年の比較ができるようにしてまいりたいというふうに考えております。

○木村委員 じゃ、しっかりセグメント分析をして、今年度中にはその内容も決めていくということですね。このセグメント分析の経年比較が新公会計制度の本丸と考えます。長期的な分析を行うにはしばらくデータの蓄積は必要ですが、できる限り広範囲な分析を行うように要望いたします。

 最後に、新公会計制度を活用するための職員の意識改革について伺います。新公会計制度導入ロードマップでは、28年度に職員の周知としてニュース発行、説明会実施とあります。これは実施されたのでしょうか。また、実施されたのであれば、どのような内容だったんでしょうかお伺いいたします。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 平成28年度にはニュースの発行、それから説明会、いずれも実施をいたしました。ニュースの発行につきましては、平成28年度決算の概要、普通会計による分析というような内容でございますが、そういったもので発行をいたしました。説明会につきましては、庁議メンバーや各部の部経営の担当の管理職を対象に実施をいたしました。内容としましては、普通会計の決算概要や財務諸表の分析として前年比較と他区比較、連結会計の分析などについて行いました。なお、この説明会に用いました資料につきましては、全職員が見ることができるように庁内で共有をしているところでございます。

○木村委員 28年度は初回ですので管理職のみということなんですが、ボトムアップが今後の課題であると思います。職員の情報提供、また財務諸表を分析して、業務改善や組織マネジメントの活用ができる職員の育成、またスキルアップは今後どのようにしていくのかお伺いいたします。

○石濱経営室副参事(行政監理担当) 財務会計ニュースや財政白書の概要版といったものを通じまして、職員の育成、スキルアップを図ってまいりたいというふうに考えております。

○木村委員 しっかりとよろしくお願いします。職員のスキルアップも大事ですけども、私たち議員のほうも会計のスキルアップが必要と考えられます。総括質疑では今後そういった新公会計制度の分析を当然のように取り上げていく時代になっていくかと思いますので、私もしっかりと勉強してまいりたいと思います。以上でこの項の質問を終わります。

 次に、高齢者施策について伺います。初めに、今年度策定される第7期介護保険事業計画についてお伺いいたします。第7期介護保険事業計画は平成30年度から32年度の3年間の介護保険事業計画であり、基本的記載事項として日常生活圏域、各年度における介護給付等の対象サービスの種類ごと、地域支援事業の量の見込み、介護給付等における費用の適正化への取り組み及び目標設定となっています。また、第6期計画からは団塊世代が後期高齢者となる2025年への対策として、2025年時点での保険料基準額の見込みを示すこととなっています。第6期計画では、第6期保険料基準額は5,660円、2020年には7,220円、2025年は8,800円と示されました。第7期も第7期保険料基準額とともに2025年の推計値を示すこととなっています。そのためにサービス量の推測は大変重要となっております。27年度、28年度のサービス量は第6期計画の想定とどれだけ違っていたのかお伺いいたします。

○古川区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 27、28年度のサービス量の見込みでございますけれども、認定者数の見込みが計画と比べてやや少なかったことですとか、各サービスの給付費の増減の見込みなどが推計とずれることもございまして、給付費で言えば平成27年度で12億円、平成28年度で約19億円の見込み残が出ているところでございます。

○木村委員 見込みより低かったということです。第6期計画で定めた2025年のサービス量、介護保険料の推計値というのは、27年、28年度の結果を踏まえて修正することになるのでしょうかお伺いいたします。

○古川区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 27、28年の結果に加えて29年度直近の実績もあわせまして、平成30年以降、平成37年までのサービスの見込み量を推計して、介護保険料の算出をしていくといったところでございます。

○木村委員 じゃ、当然第6期に示した額と変わってくるということになるかと思います。中野区では今年度より、介護予防・日常生活支援総合事業を開始しました。総合事業の目的は、介護予防の適正化とともに介護給付費の抑制があります。区では23区で最も遅く総合事業が始まり、まだ半年しかたっておりません。総合事業をおくらせた一つのデメリットとしては、総合事業を組み込んだ年間サービス量の実績がない状態で、来年度以降3年間のサービスを推測する第7期計画を推計しなくてはいけないことが挙げられます。第7期計画のサービス量の適切な推測に課題はないのでしょうかお伺いいたします。

○古川区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 総合事業のうち現行相当サービスに関しましては、旧介護予防サービスの実績から動向を見ながら推計をするといったところを予定してございます。またそのほか、緩和基準サービスをはじめといたしました地域支援事業全体につきましても、直近までの結果を踏まえまして、全国共通の推計システムを利用して適切な推計に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

○木村委員 じゃ、見込みにしっかり適切に取り組むということで、第7期及び2025年までの推計が適正に行われるようにお願いいたします。適正にという意味においては、見通しが立つのであれば、第7期計画においても介護給付費準備基金をしっかり活用して、介護保険料の抑制に極力取り組むべきと考えますが、いかがでしょうかお伺いいたします。

○古川区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 介護保険制度では計画期間ごとに必要となる給付費につきましては、各計画期間における保険料で賄うことを原則としてございます。現在、第7期における給付見込み量の試算を行っているところでございまして、その結果において介護給付費準備基金の活用につきましては、3年間を通じての支出及び収入等の状況を勘案して設定していくことと考えてございます。

○木村委員 じゃ、よろしくお願いいたします。次に、インセンティブ加算について伺います。4月から始まった総合事業でございますが、当初は、現行相当サービスは予防給付に係る報酬の95%相当額とし、利用者の状態に維持改善が見られた事業所に対して加算を想定することにより事業所のインセンティブを促し、区民の介護予防を進めることにいたしました。ただし、平成29年度については、この加算は前年の実績に応じて加算するために、訪問型サービス事業所に対して適用できないことから、介護予防訪問介護、介護予防通所介護の報酬を現行と同額として、95%相当の報酬及び新たな加算の適用は平成30年度以降に実施することとしました。インセンティブ加算については、国の動向を注視するとのことでしたが、いつごろ国の具体的な方針が出るのでしょうか。また、それにあわせて区での制度設計をした場合に来年度予算に間に合うのでしょうかお伺いいたします。

○古川区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 国の動向でございますが、国は自立支援に向けた介護事業所への介護報酬につきまして、平成30年度の介護報酬改定で対応するとしているところでございます。このテーマに関しましては、先月8月23日の国の社会保障審議会で議論が行われたところでございまして、結論が示されるのは年度末になるのではないかというふうな受けとめをしてございます。国の制度との整合性を図る必要もございまして、区独自のインセンティブ加算に関しましては、来年度からの実施は難しいのではないかと考えているところでございます。

○木村委員 インセンティブ加算が間に合わないようであれば、来年度も現行相当サービスに係る介護保険を予防給付95%相当額に適用することは見送るべきと考えますが、いかがでしょうかお伺いいたします。

○古川区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 現行相当の報酬額でございますけれども、来年度の現行相当サービスの介護報酬につきましては、平成30年度に改定をされます介護報酬の全体の動向を見ながら検討させていただきたいというふうに考えてございます。

○木村委員 十分なインセンティブ加算があって、95%の適用と考えておりますので、しっかりと検討をお願いいたします。次に、介護人材の確保についてお伺いいたします。介護人材の確保に向けて国は報酬における処遇改善の加算、キャリアパス制度、地域医療介護総合確保基金の創設などを実施、東京都や中野区は人材育成、定着支援のための研修費用助成などを実施し、それぞれ役割に応じて施策を行っています。しかし、区内の介護事業者の最大の懸念は将来の介護人材不足であり、中野区の介護事業所における人材の質、量の確保は今後の大きな課題であります。今年度、国は平均1万円相当の処遇改善を実施しました。区内事業者ではどのように処遇改善が行われたのでしょうかお伺いいたします。

○古川区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 平成29年、ことしの7月に区が実施したアンケート調査では、サービス種別によりましては、ばらつきはございましたけれども、全体では区内の6割の事業所がこの4月からの新しい加算の届け出を行っておりまして、この内容は国の全国的な集計結果でもほぼ同様の結果であることから、処遇改善の効果が出ているというふうに考えてございます。

○木村委員 残りまだ4割は残っているということで、随時その処遇改善がしっかりとできるように取り組んでいただければと思います。処遇改善は国主導で行われていますが、一方、区では実務者研修受講費用助成、初任者研修受講費用助成、中野区認定ヘルパー養成研修、喀痰吸引研修が行われておりますが、実績から見るとまだ十分には活用されていないように思います。初任者研修は、大手企業では独自で開催する事業者が多く、区の介護を支える中小介護事業者からは中野区での初任者研修の実施が要望されております。区内での介護人材確保の対策として区で初任者研修を実施し、区内で勤務してもらうなど、区での初任者研修の実施もしくは助成の拡充を検討してはいかがでしょうかお伺いいたします。

○古川区民サービス管理部副参事(介護保険担当) 介護職員初任者研修でございますが、東京都福祉人材センターが介護職員初任者研修・資格取得支援事業を行ってございまして、その充足率を見る限りでは、同様の事業を区が行う必要性は薄いものというふうに考えてございます。また、現在、区が行っている介護職員初任者研修費用助成につきましては、毎年毎年利用要件の緩和を行いまして、助成制度を活用しやすくなるような改善を行ってきているといったところもございますので、現在の助成を当面続けていきたいというふうに考えるところでございます。

○木村委員 研修の実施が難しいのであれば、その助成の拡充ですね。やはりちょっと利用者がまだ少ないということもありますので、しっかり点検等をしていただきまして、またほかにも人材のマッチングとか、介護のイメージアップなど、さまざま考えられますので、人材の確保のために御努力をお願いしたいと思います。

 次に、若年性認知症対策について伺います。若年性認知症の実態については、平成18年度から20年度に全国規模の調査が実施されてから約10年が経過しており、改めて実態を把握することが求められておりました。このような状況を受けて、中野区では平成29年9月から平成30年2月まで若年性認知症に係る実態調査を実施し、施策検討の基礎となるデータ収集を行うということでございます。区単独で若年性認知症の実態調査をするのは23区内で初めての試みということであり、認知症対策推進として大きく評価をいたします。若年性認知症の当事者、家族、また関係者から大きな期待が寄せられている事業でもありますので、ぜひしっかりと取り組んでいただければと思います。現段階では、区内ではどれぐらいの若年性認知症の対象者がいると想定されているのでしょうかお伺いいたします。

○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 平成18年から20年に実施された国の全国規模の実態調査から算出された年代別の有病率を中野区の人口構成に当てはめると、区内におよそ100人の若年性認知症の患者がいると想定されております。

○木村委員 全国の基準に当てはめたということで、まだまだ正確な数字ではないということが言えます。今回のアンケート調査は区内の関連機関となっておりますけども、対象者というのは勤務者の場合は区外の大学病院などを受診している可能性が高いと推測されます。そういった場合、どのように掌握できるでしょうかお伺いいたします。

○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 区外の医療機関について、中野区民のみを抽出して回答を得るというのは難しいと考えております。介護保険サービスの利用者についてはケアマネジャーへの調査から、介護保険サービス未利用者については地域包括支援センター、すこやか福祉センター、それから東京都の若年性認知症総合支援センター等の相談機関への調査から一部を把握できると考えております。

○木村委員 そういった方も掌握できるようにぜひ工夫をお願いいたします。今回の調査では、一度掌握しても、今後若年性認知症の方をどうやって掌握していけるかが課題であります。また、当事者が鬱病など、ほかの病気と診断されて対応がおくれてしまう場合もあります。アンケート調査の結果を活用して、早期診断、早期対応の体制について検討して、しっかりと周知すべきではないでしょうかお伺いいたします。

○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 今回の調査の項目には、発症時の状況や受診先、発症から診断までの期間、最初の相談先等についての質問が含まれております。こうした発症初期の状況を分析することによって早期に支援に結びつくための方策を検討していきたいと考えております。また、中野区医師会の認知症アドバイザー医研修の中でも調査結果を報告するなど、医師会とも連携し、対応力の向上に努めてまいりたいと考えております。

○木村委員 そういった調査で得られたものをいかに施策に生かしていくかが最も重要であると思います。現段階において具体的に施策として考えられていることはあるでしょうかお伺いいたします。

○酒井地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 具体的な施策の構築は調査結果を分析してからということで考えておりますけれども、本人及び家族などの介護者のニーズに合わせた総合的な支援を考えていきたいと考えております。

○木村委員 できるだけ具体的な施策をしっかりとつくっていただくようにお願いいたします。これでこの項の質問を終わります。

 次に、障害者施策について伺います。まず精神障害者福祉手当について伺います。軽度の精神障害者、2級、3級と軽度の身体障害者、知的障害者、障害者手帳の3級、愛の手帳の3度以下ですけども、医療支援、また手当支給の違いの説明をお願いいたします。

○菅野健康福祉部副参事(障害福祉担当) 精神障害者保健福祉手帳2級、3級の軽度の精神障害者の医療支援といたしまして、精神科への通院を対象にいたしまして、障害者総合支援法に基づきます自立支援医療制度精神通院医療があり、この制度は手帳を持っていなくても適用されるものでございます。それに対しまして、軽度の障害者の医療支援といたしましては、身体障害者手帳の内部障害3級を持っている障害者の方に対しまして、東京都心身障害者医療費助成制度が適用されます。障害者福祉手当につきましては、身体障害者手帳3級の身体障害者、愛の手帳4度の知的障害者の方に対しまして、第2種手当として月額5,000円が支給されますが、精神障害者には支給はございません。

○木村委員 じゃ、次に重度の精神障害者1級と重度の身体障害者、知的障害者、障害者手帳の1級から2級と愛の手帳1から2度の医療支援と手当支給の違いの御説明をお願いいたします。

○菅野健康福祉部副参事(障害福祉担当) 重度、軽度を問わず、精神障害者の医療支援といたしましては、自立支援医療制度精神通院医療が適用されます。また、重度の身体障害者手帳1級、2級の身体障害者、愛の手帳1度、2度の知的障害者には東京都心身障害者医療費助成制度が適用されるとともに、重度の身体障害者手帳1級、2級の身体障害者、愛の手帳1から3度の知的障害者には障害者福祉手当の第一種手当といたしまして、月額1万5,500円が支給されますが、重度の精神障害者には支給はございません。

○木村委員 今、軽度と重度に分けて御説明をいただきましたけども、軽度の場合は精神障害者の場合は医療支援で、身体、知的障害者の場合は手当支給を主に支給して、そういうふうにバランスをとっているということになりますが、重度に関しては、精神障害は医療支援のみ、知的、身体障害は医療支援と手当支給の両方があるということで、重度障害者に関しては、医療支援は精神と知的、身体障害者、全部ありますけども、手当支給は身体と知的のみということになります。そういった意味では、この重度障害に関しては手当支給に精神と、また身体、知的と差があると思うんですが、どのように認識されているでしょうか伺います。

○菅野健康福祉部副参事(障害福祉担当) 障害者福祉手当に限定した場合でございますけれども、限定して比較した場合ですが、心身障害者と身体障害者、知的障害者とは差があると認識をしております。精神障害者につきましては、治療することにより障害の程度が軽度化するという可能性がありますことから、医療に関する支援を重要視してきたものでございまして、各障害の特性に合った支援が必要であると考えております。

○木村委員 精神障害は確かにそういった医療支援はしっかりとしなきゃいけないということですけども、手当支給に関しては明らかに差があるということになります。平成27年度第16号陳情の障害者福祉手当の支給については、精神障害者にも福祉手当を支給してくださいということで平成27年度第4回定例会で採択をされておりまして、また、我が会派でも毎年予算要望させていただいております。精神障害者全般というよりも、やはり1級に関してはしっかりと考えていったほうがいいというふうに思っておりますけども、29年度は、昨年ですけども、予算化されずに引き続き検討しているということですが、その検討状況というのはいかがでしょうかお伺いいたします。

○菅野健康福祉部副参事(障害福祉担当) 今年第1回定例会の一般質問の際に御答弁しておりますけれども、具体的なサービス給付の補完として始まった障害者福祉手当は、支援制度の拡充などの状況を踏まえまして、これまでも見直しを行ってきたところでございます。障害福祉サービスの充実は、一律的な現金給付より質的、量的なサービスの充実という形で進めることが重要であると考えております。障害者福祉手当の在り方につきましては、今後ともそうした視点を堅持しつつ、引き続き検討してまいります。

○木村委員 3障害同一の原則から言えば、こういったある意味では不平等と言えるところもあるということは認識されていると思いますので、引き続き検討ということですが、しっかりと前向きに、議会の意思もございますので、よろしくお願いいたします。

 次に、障害者によるトイレの課題についてお伺いいたします。区役所1階のトイレというのは、視覚障害者にとっては男女の区別が認識されにくいとの声を伺っております。東京都においては、都庁舎や都営地下鉄、都立公園などのトイレに男女の別がわかる音声案内装置が設置をされており、障害者にとって大変利便性が向上しているとのことです。区役所1階のトイレというのは区の顔とも言えます。ユニバーサルデザインの象徴としても音声案内もしくは手すりによる点字案内など、視覚障害者にとってしっかりと区別ができるような工夫をしてはいかがでしょうかお伺いいたします。

○髙田経営室副参事(施設担当) 区役所1階トイレの視覚障害者への案内方法については、音声案内を含め、わかりやすい方法について今後検討していきます。

○木村委員 ぜひよろしくお願いいたします。あともう一つ、障害者が利用する施設でありますスマイルなかのでありますけども、施設内では洋式トイレが12カ所に対して和式トイレが18カ所ということで、和式トイレのほうが多い状況となっております。現在、区では高齢者会館、区民活動センターのトイレの洋式化を計画的に進めておりますが、障害者が利用する機会が多いスマイルなかののトイレこそ優先的に洋式化を急ぐべきではないでしょうかお伺いいたします。

○岩浅健康福祉部副参事(福祉推進担当) スマイルなかのでは、来年度以降幾つかの工事を予定しているところでございます。トイレの洋式化につきましても、他の工事との時期の調整等を行いながら、また東京都の補助金等の活用も考慮しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

○木村委員 東京都の補助金の期限があるかと思いますので、その期限内に改修ができるようにしっかりと進めていただければと思います。また、スマイルなかのでは、いろんなトイレのタイプがございますけども、区役所のように入り口とかエレベーターにも張ってありますが、施設内にどのようなトイレがあるのかという案内表示がスマイルなかののほうではありません。また、ホームページでも案内されておりませんので、これも改善すべきではないでしょうかお伺いいたします。

○岩浅健康福祉部副参事(福祉推進担当) トイレのタイプ別ですとか、その他AEDの場所ですとか自動販売機の場所等を含めました館内の案内を現在、スマイルなかのでは作成中でございます。なるべく早い時期に館内に掲示をしたいと考えております。また、同様のものをホームページにも掲載をしていきたいと考えます。

○木村委員 全ては利用者からの御要望でございます。利用者の視点に立った施設のあり方について要望して、この項の質問を終わります。ありがとうございました。

 次に、商店街の活性化について、まずプレミアム商品券発行について伺います。プレミアム商品券発行については、昨日、長沢委員も質問をしておりました。プレミアム商品券発行には消費喚起だけでなく、商店街の組織の強化の効果もあります。平成27年6月に実施されたプレミアムつき区内共通商品券発行等支援事業は、区内の商店街の活性化、商店街の加盟という点ではどのような効果があったんでしょうかお伺いいたします。

○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 平成27年6月のプレミアム商品券発行事業につきましては、平成26年4月の消費増税に伴う反動に対する緊急経済対策の一環として行うとともに、区商連加盟の促進をするなど、商店街の組織強化についても取り組んでございます。商店街の組織強化としては、当該プレミアム商品券事業の実施前後に当たる平成26年度末から27年度末にかけて区商連加盟店が60店舗、区内共通商品券取扱店が241店舗増加するなど、区商連組織強化や区内共通商品券普及に効果があったということでございます。

○木村委員 大変大きな効果があったと思います。前回のプレミアム商品券事業以降、同様の事業がないために商店街加盟、また共通商品券の利用を再検討する商店がふえてきていると伺っております。区は商店街の加盟や共通商品券利用に対してどのような支援を考えているのでしょうかお伺いいたします。

○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 区はこれまでも商店街街路灯のLED化促進事業や、平成24年から26年にかけて実施した商店会加入促進事業等を通じまして、区商連の加入促進について支援を行ってきたところでございます。また、区内商品券事業に関する支援としましては、商店街連合会事業補助金を通じて、区内共通商品券の制度周知の支援などを助成しているところでございまして、今後もこのような取り組みを継続していく予定でございます。

○木村委員 商店街連合会事業補助について予算立てをしているということですけども、それは決算書のどちらに書いてあるんでしょうか。

○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 決算説明書171ページ中段に商店街連合会事業補助金の記載がございます。この商店街連合会事業補助金の補助対象事業としまして、繰り返しでございますが、区内共通商品券普及啓発に係る取り組みを支援しているところでございます。平成28年度につきましては、普及啓発物品の購入等が対象事業となっているところでございます。

○木村委員 区商連の補助金で共通商品券の支援を行っているということですけども、例えば板橋区では共通商品券の支援のために区商連が発行する商品券が使えるお店の区内マップや共通商品券の印刷料金を助成していると伺っています。前回のプレミアム商品券事業では加盟店マップを全戸配布したために、加盟店の知名度アップに大変効果があったとのことです。中野区においてもそのような支援は可能でしょうかお伺いいたします。

○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 区は先ほどの商店街連合会事業補助金を通じまして、区商連が中野区商店街連合会に加盟する商店会の組織基盤の安定及び強化を図るために行う事業について助成を行っているところでございます。板橋区や前回プレミアム商品券事業の際に行ったような加盟店マップの作成や配布などを区商連が実施すること、こういう事業については補助対象事業でございまして、当該補助金を通じた支援は可能であると考えてございます。

○木村委員 可能ということでしっかり検討を進めていただければと思います。また、27年6月に実施したスケールのプレミアム商品券事業は、経済状況や全国的な施策でないと難しいことでしたが、この区商連の補助金の経費をもとにプレミアム商品券事業というのは可能なのでしょうか。また、区商連は来年度なかのハート商品券事業30周年と伺っております。補助金の増加など商店街活性化のために区商連のさらなる支援を検討してはいかがでしょうかお伺いいたします。

○藤永都市政策推進室副参事(都市観光・地域活性化担当) 商店街連合会事業補助金の補助対象事業は、中野区商店街連合会に加盟する商店街の組織基盤の安定や強化を図るための事業でございまして、補助要綱には対象事業を列挙してございます。商品券のプレミアム分や割引券の割引分などの経費を単に負担するだけの事業につきましては、当該補助金の対象外でございます。ただし、繰り返しでございますが、先ほどの加盟店マップの作成や配布といった商品券事業につきましては、当該補助金の補助対象事業でございます。区はこれまでも商店街の活性化の取り組みを支援してきたところでございまして、今後につきましても商店街に対する新たなニーズを捉えつつ、支援のあり方についても検討していきたいと思ってございます。

○木村委員 プレミアム商品券事業が難しいということですけど、そういった実施も通じて、また現行の区商連の補助金事業を通じても、まだまだ中野区の商店街や商品券の広報など、支援はできる余地はたくさんあると考えます。ぜひとも区商連と相談して、地域商業の活性化を強化していただきたいことを要望しまして、この項の質問を終わります。ありがとうございました。

○高橋(か)委員長 木村委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。

午後2時57分休憩

 

午後3時20分開議

○高橋(か)委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。木村委員、どうぞ。

○木村委員 引き続き総括質疑を行わせていただきます。

 次に、プログラミング教育についてお伺いいたします。インターネットの単なる普及にとどまらず、インターネットを活用したIoTの活用分野の拡大、自動車の自動運転をも可能とするAI、人工知能の開発など、近年におけるIT技術の発展は著しく、第4次産業改革とも呼ばれる大きな転換期を迎えています。新たなニーズに対応し得る人材の確保は世界的にも共通なものとなっており、我が国においてもグローバルに活躍し得る人材を育成する上でITスキルの向上は不可欠なものですが、2016年に経済産業省が発表した資料によると、2015年時点でIT人材不足数は約17万1,000人、2030年には最大で約79万人が不足すると試算されています。そういった背景の中、文部科学省は2020年度から実施する小学校の次期学習指導要領の総則でプログラミング教育の実施を明記し、2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されることになりました。まず、プログラミング教育の概要の御説明をお願いいたします。

○杉山教育委員会事務局指導室長 プログラミング教育とは、コンピュータを活用し、プログラムを操作するという体験を通じて児童・生徒がみずから課題を見つけ、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てるとともに、論理的に考えていく力を育む学習でございます。

○木村委員 緑野小学校、緑野中学校では、デジタル音楽教材を活用したICT教育を実践しているとのことです。どのような目的で実施され、どのような効果が見られるのでしょうかお伺いいたします。

○杉山教育委員会事務局指導室長 中学校区の特色として、ICT教育に積極的に取り組んでいるところであり、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた手だてとして進められています。ICT機器を活用し、今、委員がお話しのようにデジタル音楽教材、こちらは作曲のプログラムでございますが、こちらを操作し、自己の考えをまとめたり、グループで検討したりするなど、協働的な活動や思考を深める学習が展開されているところでございます。

○木村委員 文部科学省の方針がまだ明確にはなっておりませんが、緑野小学校、中学校での実例のように小中連携の教育の中での実践、また企業との連携は大変重要でございます。先行自治体では大学や企業との連携が図られています。プログラミング教育を実践する中で企業、大学との連携はどう考えているのでしょうかお伺いいたします。

○杉山教育委員会事務局指導室長 大学や企業と連携し、専門家を招いての事業は、児童・生徒の関心や意欲を喚起させるとともに、教員にはない専門的知識や技能が学習でき、緑野小学校の取り組みも企業との連携を図って行われているものでございます。今後、各校の取り組み状況を踏まえながらプログラミング教育の取り組みを進めてまいります。

○木村委員 中野区では、さまざまな企業、大学があります。ぜひ活用の検討をお願いいたします。プログラミング教育は科目として独立するものではなく、さまざまな教科の中でプログラミング的思考、自分が求めることを実現するために必要な動作や記号、またそれらの組み合わせを考え、どのように改善すれば、より意図したものに近くなるのか考える論理的思考を活用して、IT社会に適した能力の開発を目指すものです。また、一般家庭におけるIT機器の普及は著しく、児童・生徒たちは幼少期より一定程度IT機器に接することが珍しくない中で、教員に求められる技能はおのずと高いものにならざるを得ません。そういった意味では、全ての教員の研修は必須であると考えますが、いかがでしょうかお伺いいたします。

○杉山教育委員会事務局指導室長 ICT教育に関する研修をこれまでも継続して実施してきたところでございます。本年度は各校からICT教育を推進している教員に対して3回の研修を実施し、その研修を各校において伝達しております。プログラミング教育についても今後取り組んでまいります。

○木村委員 教員は大変多忙でございますので、専門家の力をかりるなど、さまざまな支援体制を検討していただければと思います。今年度から中野区においても中学校でICT環境の充実が実施されています。2020年に向けて計画的にICT教育の環境整備を図るべきではないでしょうかお伺いいたします。

○杉山教育委員会事務局指導室長 ICT教育の環境整備については喫緊の課題であると認識してございます。新学習指導要領の完全実施である2020年に向けて計画的にICT教育の環境整備を図ってまいりたいと考えております。

○木村委員 小・中学校におけるIT機器の整備は主に基礎自治体に委ねられてきましたが、自治体の財政力によって整備状況に大きな差が生じているのが実情です。プログラミング教育において自治体間の格差を是正するためにも、指導上必要となる機器の整備などに対する財政措置を我が会派としてもしっかりと国に求めていきたいと申し上げ、この項の質問を終わります。ありがとうございました。

 次に、交通安全対策のうち、区民交通傷害保険について伺います。平成25年7月から施行された東京都自転車条例に基づき、自転車利用者は自転車事故に備えた保険に加入する努力義務が定められました。平成28年10月には自転車の安全で適正な利用の取り組みをさらに促進するための条例が改正をされました。自転車事故は近年増加傾向にあり、自転車利用者の自転車賠償責任保険への関心は高まっています。近年は高額な賠償費用による被害者、加害者の損害を避けるために、自転車保険の加入を条例で義務付ける動きが広がりつつあります。これまで我が会派からも自転車保険については何度か要望をさせていただきました。区民交通傷害保険は昭和43年に23区共同事業として特別区交通災害共済としてスタートし、平成14年に廃止をされましたが、現在10区が継続して採用を続けています。区民交通傷害保険の概要と特徴をお伺いいたします。

○三原経営室副参事(生活・交通安全担当) 区民交通傷害保険は、損害保険ジャパン日本興亜株式会社が提供するもので、区が窓口となって区民を対象とした交通事故、自転車事故に対応する保険となっております。特徴といたしましては、保険料を低額にしているため、多くの方に自転車事故をはじめとした交通事故への備えとして対応している点でございます。

○木村委員 採用している10区の昨年度の平均加入実績はどうなっているでしょうかお伺いいたします。

○三原経営室副参事(生活・交通安全担当) 平成28年度10区での加入者数は、総数で15万8,031名となっており、1区当たりの平均は1万5,800人になります。

○木村委員 採用した場合、区の役割と負担はどのようになっているでしょうかお伺いいたします。

○三原経営室副参事(生活・交通安全担当) 初めに、区報やホームページなどで加入者を募集いたします。その後、区もしくは区施設に窓口を開設いたしまして、申込者数と保険料を集計して、保険会社に関係書類を提出、保険料の振り込みとなります。次年度からは契約者に対しまして継続申込書を郵送する作業もふえます。また、区には集金事務費といたしまして、保険料の1割プラス消費税が保険会社から支払われます。なお、加入者が事故で負傷した場合につきましては、加入者自身が保険会社と直接やりとりをいたしますので、区が仲介することはございません。

○木村委員 区の負担は年度末に行う受け付け業務だけということであり、加入者が多い区では一時的にはアルバイトを雇っていると伺っております。それに対し、区に保険料の1割が取扱事務費として収入となるということになります。昨年度の平均的な収入はどのようになっているでしょうかお伺いいたします。

○三原経営室副参事(生活・交通安全担当) 昨年度1区当たり平均しますと286万円の収入になります。なお、加入者数が平均に近い練馬区で実例を申し上げますと、練馬区では保険加入者は1万5,865人で、収入は356万円でした。

○木村委員 アルバイトを雇っても費用対効果は十分にあるように思います。一方で、区は自転車保険としてTSマークを奨励しています。TSマークと区民交通傷害保険との違いは何でしょうかお伺いいたします。

○三原経営室副参事(生活・交通安全担当) TSマークにつきましては、自転車安全整備士の点検を受けた自転車に対して保障されるもので、その自転車に乗車している誰もが保障の対象となります。区民交通傷害保険に関しましては加入した人が対象となりますので、加入した方が事故を起こした場合に保障されるものとなります。

○木村委員 TSマークは自転車に掛ける保険で、区民交通傷害保険は自転車利用者に掛ける保険という違いがあります。そのほかに自動車保険とか入院保険、火災保険、またクレジットカードでも個人賠償責任保険に加入している場合は、他者への損害が保障されるという場合もあります。しかし、保険に入っていない、もしくは入れないという人も数多くいると想定され、低額で利用できる自転車保険のニーズは高いと言えます。中野区でもできる限り早く区民交通傷害保険を導入してはどうでしょうか伺います。

○三原経営室副参事(生活・交通安全担当) 中野区におきましても、平成14年まで実施していました特別区交通災害共済事業を廃止した経緯につきまして御説明をいたしますと、他の民間保険に加入している者がふえまして、行政が提供する意味が薄れたということで廃止いたしました。保険会社からは事業費について区の財政負担はないとのことでありましたが、区職員の人件費を含めまして、今後慎重に対応したいと考えております。

○木村委員 ぜひ慎重にというか検討するということですが、前向きに検討していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、区道での占用料免除について伺います。区内のバス停でバスを待つ人たちのために商店街や地域の方が厚意でベンチを設置し、維持管理も責任を持つという要望もありました。区道においてバス停などで待機場所としてベンチを設置した場合、占用料は発生するのでしょうかお伺いいたします。

○鈴木都市基盤部副参事(道路担当) 区道にベンチを設置した場合、占用料が発生するものでございます。

○木村委員 都道の場合はいかがでしょうか。

○鈴木都市基盤部副参事(道路担当) 都道にベンチを設置した場合でございますが、東京都は占用料を免除しております。

○木村委員 今後高齢化が進む中で、バス停に限らず、待機や休憩のためのベンチを設置したいという要望はふえると考えられます。都道が占用料を免除しているのであれば、区道でもベンチの占用料を免除してはいかがでしょうかお伺いいたします。

○鈴木都市基盤部副参事(道路担当) 従来、区はベンチの占用料につきまして2分の1の減額を行ってきたものでございます。今後、東京都や他区のベンチ設置に関する占用料の状況を踏まえつつ、ベンチの適切な維持管理の在り方についても検討を行い、占用料の免除の可否について判断していきたいと考えております。

○木村委員 では、御検討をよろしくお願いいたします。これでこの項の質問を終わります。ありがとうございました。

 最後に、その他で衆議院選挙の投開票会場について伺います。取材は先週末に終了していたんですが、この連休中で国政の状況が一変をいたしました。さまざまな懸案事項を早期に決定を見たほうがいいという趣旨の質問のつもりでございましたが、その必要性はより高くなっていますので、少し趣旨を変えて質問をさせていただきます。中野区の選挙はこれまで区内全域が東京第7区でありましたが、変更後は区内の北部地域が東京第10区になり、区内の南部地域はこれまでどおり東京第7区となります。第7区には従来の渋谷区に加え、目黒区、品川区、杉並区のそれぞれの一部が編入されます。その大きな変更があるために、さまざまな課題が見受けられます。まず投票所に関しては、今回選挙区が変わったとしても、7区でも10区でも投票日当日に行く投票所、学校がメインですけども、が変わることはありません。しかし、期日前投票の場合は、中野区役所は7区に位置して、10区の区民が投票できるかどうかが課題であります。今回同じく7区に入る目黒区、杉並区は既に区役所を二つの選挙区の期日前投票会場として区役所は明らかにしております。中野区では、区役所は7区と10区の期日前投票所にするのかお伺いいたします。

○松原選挙管理委員会事務局長 中野区での期日前投票の利用実態を踏まえまして、区役所では両方の選挙区の期日前投票が行われるよう選挙管理委員会で検討を進めているところでございます。

○木村委員 また、区役所で期日前投票を実施する場合、衆議院選挙は小選挙区のほか比例代表、また最高裁裁判官の国民審査もあり、従前の区役所1階のみでの二つの区の期日前投票は難しいと考えます。利用者の利便性を損なわないように会場設置をどのように考えているのかお伺いいたします。

○松原選挙管理委員会事務局長 区役所におけます他の機能をできる限り阻害しないように各所管との調整を図りながら、また区役所内の他の会場を利用することも踏まえまして、検討をしているところでございます。

○木村委員 まだ確定的なことは当然言えない状況かと思います。二つの選挙区を区役所で期日前投票する場合、区役所以外の期日前投票所は7区で2カ所、10区で3カ所となります。区役所以外の期日前投票所では、確認ですけども、それぞれの選挙区の候補者にしか投票できないのかお伺いいたします。

○松原選挙管理委員会事務局長 過去の期日前投票の利用実態から、区役所につきましては両選挙区の対応ができるように検討しているものでございます。他の期日前投票所につきましては、それぞれの選挙区における候補者に投票していただくという考え方でございます。

○木村委員 次に、開票について伺います。区内では二つの選挙区であれば開票所も2カ所必要となります。人員や作業の効率、ギャラリーなどを考えると、完全に仕切りを入れた上で、中央体育館1カ所で二つの区の開票作業を行えるのがいいと考えますが、可能でしょうかお伺いいたします。

○松原選挙管理委員会事務局長 開票につきましては、作業の正確性、透明性、迅速性、効率性などの観点から比較して、最も適切な方法により設定してまいります。

○木村委員 まだ言えませんよね。決められないということ。また、開票においては、最大の懸念は無効票がふえるということであります。衆議院選挙は通常解散によって行われ、選挙区の変更やそれに伴う候補者名の告知をする期間が短いと推測できます。それによって候補者の名前を間違え、無効票がふえることが懸念をされます。投票所の入場整理券を入れる封筒を色分けするなど、最大限の配慮をすべきではないでしょうかお伺いいたします。

○松原選挙管理委員会事務局長 選挙区ごとに投票すべき候補者を誤らないように、投票所入場整理券の送付をはじめまして、選挙人に対してわかりやすく周知を図ってまいりたいと考えております。

○木村委員 仮に来月中に衆議院選挙が行われた場合、期日前投票会場、開票会場など、いつごろ決定を見る予定でしょうかお伺いいたします。

○松原選挙管理委員会事務局長 選挙期日の決定後、東京都選挙管理委員会の選挙執行計画、これを踏まえまして中野区において決定をいたします。

○木村委員 具体的なスケジュール感というのはまだ言えないという状況でしょうか。

○松原選挙管理委員会事務局長 過去の例でございますけれども、解散宣言、その後の選挙期日の決定後、速やかに開かれているというふうになってございます。

○木村委員 さまざま課題があったとしても、突貫工事でやるしかないと思います。確認ですけども、仮に来月中に衆議院選挙が行われた場合、投開票所の設置とか作業が間に合わないということはないでしょうかお伺いいたします。

○松原選挙管理委員会事務局長 東京第7区及び東京第10区をともに構成いたします他の特別区とも連携を図りまして、総選挙が公正かつ適正に執行できるように万全を尽くしてまいります。

○木村委員 仮に来月中に衆議院選挙が行われる場合、これから一番大変なのが選挙管理委員会の職員の皆様であると思います。職員の皆様の健闘を御祈念申し上げて、私の全ての質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

○高橋(か)委員長 以上で木村広一委員の質疑を終了します。

 次に、いさ哲郎委員、質疑をどうぞ。

○いさ委員 2017年第3回定例会決算特別委員会におきまして、日本共産党議員団の立場で総括質疑を行います。

 最初に、住宅セーフティネット法改正にかかわってお聞きします。住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律、いわゆる住宅セーフティネット法が改正されて、本年10月25日より施行されます。本年第1回定例会の一般質問でもいろいろお聞きしましたが、法施行直前ということで改めて中野区の取り組みを確認させていただきたいと思います。その1定の質問で、法改正に基づく住宅確保要配慮者支援事業を開始すべきと求めました。その答弁は、中野区には既に住み替え支援事業、これと居住安定支援事業があり、これが住宅確保要配慮者支援事業に相当するためやりませんと、こういう回答でした。まずここからお聞きします。それぞれの事業の概要についてお示しください。

○塚本都市基盤部副参事(住宅政策担当) まず住み替え支援事業でございます。こちらは区内の民間賃貸住宅への住み替えを希望されています区民の方の中で、御自身だけではなかなか転居先を見つけられない、そういった方を対象としまして、区が住宅の情報提供を行うものでございます。なお、住宅の情報でございますが、こちらは区との協定によりまして協力をお願いしている不動産店から情報提供を受けているものでございます。もう一点、居住安定支援事業でございますが、こちらは連帯保証人が見つけられない方のために民間賃貸住宅の賃貸借契約ができない。そういった方、例えば高齢者ですとか障害者の方、そういった方々を対象としまして、区が協定を結んでおります民間の家賃債務保証会社、こちらを紹介するものでございます。なお、紹介した家賃債務保証会社と契約をされた際には、初回保証料の2分の1につきまして区が助成を行ってございます。

○いさ委員 その住み替え支援事業の対象としている人なんですけれども、まず高齢者、障害者、二つ目、ひとり親、三つ目にその他住宅確保が困難な人というのがありますけれども、これは具体的にどういう人を想定していますか。

○塚本都市基盤部副参事(住宅政策担当) 高齢者ですとか障害者の方、そういった方々だけではなく、さまざまな御事情によりまして民間の賃貸住宅を探すことができない、そういった方全てを対象として相談を受け付けているものでございます。

○いさ委員 じゃ、それは言葉どおりに、その他全員がくくられるということだと思うんですけれども、だから住宅確保要配慮者と同様であるかどうかということはちょっと疑問がありまして、この事業、実態はどうなのかというところなんです。今回の要求資料、建設の25番には、この住み替え支援事業の実績というのが出ています。2012年は、この住み替え相談、相談件数71件に対して成約が25件、2013年は74件に対し28件、2014年、70件に対し15件、2015年は42件に対し9件、昨年は相談件数36件に対して成約が9件ということですね。ニーズがあるその一方で、成約が4分の1にも達していない。これでいいのかと言わざるを得ないことだと思います。もう一つ聞きます。居住安定支援事業のほうなんですけれども、事業開始からどれだけの期間が経過していて、その間にどれだけの利用の件数がありましたか。

○塚本都市基盤部副参事(住宅政策担当) 居住安定支援事業でございますが、こちらは平成18年度より事業を開始してございます。事業期間につきましては11年たってございまして、その間利用件数は4件となってございます。直近の7年間は利用の実績がございません。

○いさ委員 7年間利用がないということで、利用されていないということですよね。この原因はどこにあると考えていますか。

○塚本都市基盤部副参事(住宅政策担当) 居住安定支援事業でございますが、こちらは家賃債務保証会社との連携に伴って行っているものでございます。こちらの家賃債務保証会社でございますが、これまで法律に基づくような登録制度といったものがございませんで、一部事業者によりまして無理な債権回収が行われる。そういった問題事例があった。そういった背景から、区としましては一定の基準を満たしている家賃債務保証会社3社とのみ協定を結んでいるところでございます。その一方で、賃貸借契約の際に民間賃貸住宅の所有者、オーナー様ですとか仲介を行う不動産会社のほうから、債務保証会社を指定してくるケース、そういったものが多くございまして、区が協定を結んでいる3社、それ以外の保証会社が指定をされてしまうと、こちらの制度が利用できない。そういったことから、この制度がなかなか利用されていない原因となっているのではないかというふうに考えてございます。

○いさ委員 ということで、この住み替え支援事業と居住安定支援事業、この二つがあるから住宅確保要配慮者支援事業の代替になるんだと。区がそういうふうに主張していたこの主張は通用しないんじゃないかということが明らかになったと思います。やはりこれは住宅セーフティネット法改正に基づく住宅確保要配慮者支援事業、これに新たに取り組む必要があるということじゃないかと考えています。

 債務保証のところでもう一つお聞きしておきます。このたびの住宅セーフティネット法改正では、居住支援法人というのをつくることができるとなっています。これ、不動産会社だけではなくて、債務保証会社も対象となっています。この制度を使って、今でも問題があるんですから、区内の不動産業者にも聞き取りを行って、この債務保証会社の登録を広げる。それで、求めがあれば新たにそれを居住支援法人として登録する。そういう道筋をつくっておく。この準備、必要だと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

○塚本都市基盤部副参事(住宅政策担当) 家賃の債務保証会社でございますが、まず今回の住宅セーフティネット法の改正の中では、民間の家賃債務保証会社の登録制度の創設について国のほうから考え方が示されております。この登録基準を満たした保証会社につきましては、今回この区の制度の対象とすること、そういったことについても検討を進めたいというふうに考えてございます。なお、居住支援法人でございますが、こちらの登録につきましては東京都が所管する事務となってございまして、今後は東京都の動向につきまして情報を収集して、その上で必要な対応を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

○いさ委員 もう少しお聞きします。この法改正では、居住の支援活動を行っているNPOの団体などを加えて、居住支援協議会を設立できるとなっています。住宅確保が困難な要支援者に福祉的なアプローチをするということです。今回のこの法改正を受けて、例えば区内のそういう居住支援団体側から意見をもらったりとか、問い合わせとか、そういうのはありましたか。

○塚本都市基盤部副参事(住宅政策担当) 区内で居住支援活動、そういったことを行っております事業者の方、あるいは団体等から、今回の区の住宅セーフティネットに関する取り組みにつきまして御意見や問い合わせは数件寄せられてございます。

○いさ委員 どういう中身ですか。

○塚本都市基盤部副参事(住宅政策担当) やはり居住支援の体制をより強化すべきであろうといったことで御意見を頂戴してございます。

○いさ委員 ということで、この中野区においてはそういう団体も含めて最良のスタートを居住支援団体協議会、居住支援協議会のスタートを切ることができる。そういう条件があるんじゃないかと思うんです。これはほかの委員も質問しておりましたけれども、今後もこの住宅確保が困難な人というのはふえる見込みだと。一方で、民間のほうの空き家も増大しています。ところが、大家さんの中には、この住宅確保要配慮者の入居の拒否感というのがある。また、特に生活保護の受給者だとか高齢者、外国人、こういうところでは家賃の債務保証そのものが断られて、審査を落ちているというケースもふえているそうです。借りるのが大変な人がいて、貸したい人もいて、でも不安がある。ここにアンマッチがあるわけなんですね。これを打開しようというのが居住支援協議会になるかと思うんです。今の中野区の既存の二つの事業の中で足りないのは、こういうコーディネーターのような存在ではないでしょうか。制度をつくっても利用が少ない。こういう状況を打開する一番の近道だと思うんです。また、今回の法改正の中には、居住そのものの支援に加えて、入居を拒まない住宅を登録するその制度、そして、その登録住宅に対して改修の支援をする。そういう貸主にもメリットが用意されています。貸主の不安を解消し、改修というメリットもあれば、さらなる住宅ストックの掘り起こしにもつながるものと考えます。昨年11月に、実は居住支援協議会を設置した杉並区では、この賃貸住宅の供給促進事業と西京信用金庫による空き家・空き室改修ローン商品との連携に関する協定というのを確認しています。他の自治体ではもうどんどん前へ進んでいるわけなんです。中野区でもこういう他の自治体に倣って居住支援協議会を設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○塚本都市基盤部副参事(住宅政策担当) 居住支援協議会の設置についてでございますが、区ではこれまで不動産団体との協定に基づきまして、双方で連携しながらこういった住宅確保要配慮者の方への居住支援を行ってまいりました。こうした取り組みは居住支援協議会の役割も果たしているものというふうに区では考えてございます。今回の住宅セーフティネット法改正の趣旨を十分に踏まえながら、現状のこういった取り組みのより効果的な運用について検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

○いさ委員 今の仕組みの中には、このNPOの団体というのは不在なわけですよね。そこのところを私は言っているわけなんです。ちなみに、この中野区地域包括ケアプランにも住み替え支援事業の目標というのが示されています。区、協力店、入居者の定期的な情報交換の実現だとか、貸し手側の意識改革を促す。こんなふうに書いてあります。これは2016年から2018年の3年の目標なんです。これを実現しないといけない。これを実現するために必要なピースが今回のこの居住支援協議会になると思います。まずは関係各所と調整して、速やかにこの居住支援協議会を設置して、住宅確保要支援事業、これを全面的に取り組むように強く要望しておきます。

 次に、中野区の集合住宅の建築及び管理に関する条例についてお聞きします。一般的にはワンルーム条例と言われているものですけれども、この条例の概要をお示しください。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 本条例で対象となる建築物の規模は、特定集合住宅で階数が3以上かつ住戸数が12戸以上の集合住宅。小規模特定集合住宅では住戸数が6戸以上12戸未満または階数が3未満で住戸数が12戸以上の集合住宅となっております。特に特定集合住宅では住戸の最低面積とファミリータイプ住戸の附置、並びに管理体制等についての基準が定められております。また、この条例でいう集合住宅とは共同住宅、長屋、寮、寄宿舎などを定義しております。なお、この手続については建築確認の申請前に行うものとされております。

○いさ委員 そのファミリー向け住戸の附置のところですけれども、建築主は建築しようとする特定集合住宅の総戸数から11を減じた数に2分の1を乗じて得た数以上の戸数をファミリータイプ住戸としなければいけない。この部分だと思うんですけど、簡単に言うと、マンションを建てるにしても、ワンルームだけはだめだよという話だと思うんですが、そこでお聞きします。そもそもこのワンルームマンションを規制する理由というのは何でしょうか。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 最低居住水準、床面積ですが、未満の住宅の解消や居住環境の悪化を防止することを目的に、1994年4月にまず共同住宅の指導要綱として施行されたものでございます。その後、2008年の住宅統計調査から2010年第3次中野区住宅マスタープランが示され、その中でふえ過ぎたワンルームの抑制とバランスのとれた地域社会とするため、一定戸数のファミリータイプの住戸の附置が求められたものでございます。そこで、より実効性を確保するために条例化したものでございます。

○いさ委員 今、居住環境の悪化とおっしゃった部分というのは、ごみ捨ての問題だとかワンルームに住む方の生活様式の違いなどから地域でトラブルになる。地域のコミュニティを壊しかねないというお話だと思うんですが、それ以外にもオレオレ詐欺の出し子が使っていたとかという話を町内でうわさを聞いたことがあります。犯罪に使われるということもあるのかもしれません。これ、条例の中で、結局ファミリーも含めということでワンルームだけにしないという規制をしておきながら、一方で、ワンルームを建てる、ワンルームだけにすることができる例外規定というのも用意されているかと思うんですが、その条件を教えてください。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 特定集合住宅に該当する規模の建物で、三つの該当する計画であれば、ファミリータイプの住戸の附置の規定が緩和の対象となります。一つ目としては、環境負荷低減に配慮した計画で、CASBEE評価ランクA以上または省エネルギー法の基準を満たし、かつ太陽光発電や緑化などの環境負荷低減の対策を行ったもの、もう一つは高齢者の円滑入居に配慮した計画、もう一つが高齢者、障害者のためにバリアフリー対策を行った計画、このどれかいずれかに該当する場合に附置が免除されます。

○いさ委員 そうですね。高齢者だとか障害者の居住に必要な配慮をして建築したワンルームマンションには、高齢者、障害者は継続的に居住しているのでしょうか。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 緩和を受けた特定集合住宅への高齢者等の居住状況については、現在のところ把握できておりません。

○いさ委員 これですね、建てるときにはそういう住居にするよというチェックをするけれども、実際にはその後はノーチェックとなっているということだと思うんです。すると、本来規制されるべきこのワンルームマンションが、その方法で建設できる抜け穴ということになっていると思うんですが、この点はいかがでしょうか。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 条例における緩和規定は、第3次中野区住宅マスタープランでは高齢者等の居住安定支援が求められており、高齢者等が賃借できる住宅が不足している現状では、住宅のバリアフリー化等、良好な住宅のストックを確保していく上でも、現在の基準は必要であると考えているところでございます。

○いさ委員 目的としてはそうなると思うんですが、事実が伴っているかというところを私は問題にしたいなと思っているんです。要求資料建設の23番を見ますと、住居スペースが40平方未満の住戸、つまりファミリー向けでない、言ってみれば独身用住戸、その住戸がこの5年、6年で急増しているというのが見て取れます。2011年度は611件あった。これが2016年度には3,051件、5年間で5倍になっていると。また、区内不動産業者からも直接私、聞き取りしたんですけれども、やっぱり区内でワンルームはふえているよという情報も得ています。また、都心に通勤する若年独身層のニーズが増大している。こういう中で、不動産投機という別の需要を生み出してしまっているということを指摘する専門家もいます。今のような、言ってみれば抜け穴ですね。これを放置したら、こういう新たなワンルームマンションの需要を掘り起こすことになって、規制どころか、ワンルームマンションを区内でふやしてしまうことになってしまうんじゃないでしょうか。住宅の質の低下や地域コミュニティへの懸念も大きくなっていきます。どうすればいいのかという話なんですが、やはり建設時にチェックしてそれで終わりというふうにするんじゃなくて、その後の高齢者、障害者の安定居住までしっかりひもづける。そういう仕組みがあればいいんじゃないかと思うんです。

 新宿区のワンルーム条例には、ファミリータイプの必要戸数の附置義務、これとあわせて、建築主または所有者等は、入居を希望する高齢者を受け入れるように努めなければならないというふうに高齢者の居住についてただし条項ではなくて、平文で記載が入っています。また、道路から住戸まで手すりその他規則で定める高齢者の配慮をしなさいよ、災害時の配慮として高齢者を低層階に住まわせなさいよという具体的な努力義務についての記載もあります。当区でも条例を見直して、この高齢者や障害者の居住につながる今の新宿区の条例のような仕組みを盛り込むべきではないでしょうか。結果としてこれが、私が勝手に言っているんですけど、抜け穴ワンルームマンション、こういうものを抑制するということになると思うんです。これは直ちに検討に入るべきと考えますが、いかがでしょうか。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 特定集合住宅の工事完了に当たっては、工事完了届の提出を求めており、さらに緩和規定を援用した建物については、それぞれの法律に基づいた評価性能証明書などを完了届とあわせて提出することになっていることから、必要な住戸は確保されていると考えております。また、サービス付き高齢者向け住宅の登録は工事着工までに、高齢者もしくは障害者の居住に配慮した住宅については配慮した住戸がある旨の標識の設置を規則で定めており、今後も周知徹底をするよう指導していきたいというふうに考えております。

○いさ委員 あのね、せっかく高齢者や障害者のためにということでワンルームマンションを建てても、その後どうするかというのは結局事業者任せになっているということだと思うんです。これ、意味がないと思うんです。質問の最初にお聞きした住宅確保要配慮者の対策という点でも、きちんと目的にかなった高齢者や障害者の居住を推進すべきだと考えています。条例の見直し、新たな仕組みづくりを改めて要望しておきます。

 次に、重層長屋の問題についてお聞きします。このことは内川委員も過去に何回か質問されていたようですけれども、この重層長屋が各地で近隣トラブルとなる中、いよいよ国交省でも検討会を立ち上げて、方針というのが示されました。最初に確認しておきます。この重層長屋にはどんな問題があると認識されていますか。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 現在の中野区では長屋に関して特に問題は起きておりませんが、他区で起きた問題について国土交通省でも検討を行ったとは聞いております。結論として国は、長屋についてはこれまでどおり住宅とし、共同住宅や寄宿舎など特殊建築物としては取り扱わないとし、規制は自治体の条例に委ねるとされたところであります。具体的に問題となっているのは、旗竿敷地では共同住宅が建築できませんが、長屋は建築可能であることから、また、住戸面積の規制がないことから、このような敷地の中で多くの住戸が設定されることから、災害時の避難の問題が指摘されているところでございます。

○いさ委員 結局、共同住宅のほうには規制があるけれど、長屋には当てはまらない。建築基準法だとか東京都建築安全条例でも規制がないようなものだということだと思うんですけれども、お聞きします。当区で重層長屋の実態把握というのは行っているんでしょうか。現在区内に重層長屋は何棟ありますか。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 長屋建て方式について区として実態の把握は行っておりませんが、平成25年の総務省住宅・土地統計調査によれば、長屋形式の建物は4,940棟あると報告されているところでございます。

○いさ委員 今の4,940棟、これは区内ではなく全国ということですか。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 中野区内の数でございます。

○いさ委員 失礼しました。このうち、今出てきた旗竿地ですね。路地状敷地もしくは袋状敷地、旗竿地に建設された長屋は何棟あるかというのはわかりますか。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 全体の把握はできておりませんが、平成26年から平成28年までの3年間に集合住宅の建築及び管理に関する条例に基づいて申請された長屋建ては102件ございます。そのうち路地状、袋状などの旗竿敷地に計画された建物は44件ございまして、約43%の割合となっているところでございます。

○いさ委員 結局これ、贈与税対策のために土地を切り売りせざるを得ない。そういう中で旗竿地そのものがふえていく。これで結局、旗竿地に建てた重層長屋がふえていく傾向となっているということだと思うんです。対策を急ぐべきじゃないかと思っています。建築基準法40条にはこんなことが書いてあります。地方公共団体は、条例で建築物の敷地、構造または建築設備に関し、安全上、防火上または衛生上必要な制限を付加することができる。先行してこういう長屋問題が表面化している自治体の中には、この建築基準法40条を根拠にして自治体独自の条例で規制をかけているところもあります。

 それでちょっと、これを使って御説明をさせていただきたいんですが、すみません。時間がないので、ちょっと手書きにしてしまいました。典型的な旗竿地の長屋って、こういうふうになっていると思うんです。道路があって、赤いところが旗竿地ですよね。敷地内通路が一つしかない。一方向しかない。ブルーのところが長屋ということになりますね。この通路については東京都の建築安全条例で2メートルとらなきゃいけない。この通路2メートルというのは、長屋のとびらのある出入り口、ここも2メートルなきゃいけないということで、この2メートルがこうやって続いているのが大体典型的な旗竿地の長屋という格好になると思うんです。これを踏まえてですけど、ここからですけど、世田谷区では条例を使ってこれを規制するという方法を行いました。シンプルなんです。この長屋を建てる場合には、自転車置き場とごみ捨て場を附置しなければいけない。その場所は、幅2メートル以上ないといけない。こういうことですね。ここに戻ると、幅2メートル以上の場所はここしかないわけですね。ところが、もしこういうところに自転車置き場もしくはごみ捨て場をつくってしまうと、その分ここが2メートル未満になってしまうので、東京都建築条例違反になるということですね。物理的にはここにつくるしかないけれど、条例違反になるから、そういう場所がつくれない。事実上、長屋が建てられない。こういう格好になっていくということです。

 それを踏まえてです。こんなふうに当区でも先行事例に学んで、条例でできるんですから、この条例によって規制を検討すべきではないでしょうかお答えください。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 現在23区は、東京都の建築安全条例に基づいて統一見解を持っているところでございます。このたび国の方針を受け、現在23区の建築行政課長会で調査、検証を行っているところでございます。その中で改善すべき課題について整理をし、東京都建築安全条例における長屋の規制について、改正に向けた取り組みを東京都に要望していく予定でございます。

○いさ委員 問題が大きくなる前に、ぜひ実効性のある対策をとるように重ねて要望しておきます。

 次に、住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法についてお聞きします。本年6月16日の公布を受けて、中野区でもこの民泊新法に対する考え方が示されたことから改めて質問させていただきます。最初に確認のためにお聞きします。民泊に対する区の考え方について簡潔にお示しください。

○高橋環境部副参事(生活環境担当) まず区の考え方について御説明いたします。まず、区は区条例により区の実情に応じた適切なルールを設定し、住宅宿泊事業者等に対する適切な監視、指導を行い、住環境の安心・安全を確保していくというものでございます。一方で、区の住宅宿泊施設につきましては、良質なものへ誘導、育成していくため、区独自の施策を検討するとともに、近隣施設や観光コンテンツと連携することで地域活性化への活用も図っていくというものでございます。このため、区では都道府県知事が行うとされております住宅宿泊事業関係行政事務につきまして、法に基づき当該事務を処理する方向で都と協議を行うとともに、住環境の安全・安心を確保するための条例の制定を検討していくというものでございます。

○いさ委員 違法民泊の調査については以前も報告がありましたけれども、その後新たに違法民泊の調査というのは行っていますか。最新の調査結果は区内で何件でしょうか。

○平田都市政策推進室副参事(グローバル戦略推進担当) 民泊の件数の調査でございますが、平成28年度に行った調査につきましては、主な民泊仲介サイトにおける中野区内掲載物件、部屋単位でございますが、その件数を検索して合計したものでございます。ことしも同様の手法による調査を行っておりまして、29年5月現在でおよそ750件でございました。

○いさ委員 民泊に対して今後想定し得る問題はどんなものがあるとお考えですか。

○高橋環境部副参事(生活環境担当) 民泊事業に起因する騒音やごみ出しなどの近隣トラブルや周辺住民に与える不安感などによりまして、周辺の生活環境が悪化するおそれがあると考えておるところでございます。

○いさ委員 それに対してどのような対応を考えていますか。

○高橋環境部副参事(生活環境担当) 区条例により区域を定めて事業の実施期間を制限するほか、区独自の規制を行うことを検討しております。

○いさ委員 区のほうには、その違法民泊または疑わしい物件についての問い合わせが来ていると思うんですが、件数とか内容を報告されたと思いますけれども、区としては民泊に対して問い合わせ対応の窓口を設けるんでしょうか。民泊の苦情にはどう対応するのでしょうか。

○高橋環境部副参事(生活環境担当) 現在、苦情や相談は生活環境担当が受け付けの窓口となっております。今後、区民や事業者からの問い合わせ等が増加すると思われますので、例えば民泊相談窓口などの名称を用いることも含め、わかりやすく周知するよう工夫していきたいと考えております。

○いさ委員 事業者側にはそういう備えというのはないんでしょうか。そういう仕組みといいますか、これはどうでしょうか。

○高橋環境部副参事(生活環境担当) 事業者側からの相談につきましても、生活環境担当のほうが受け付けの窓口となっておりまして、相談等に応じてまいります。

○いさ委員 今後、来街者がふえて民泊がふえることになると、当然苦情のほうもふえることになると考えています。例えば民泊の管理業者が24時間対応してくれるかというと、ちょっとそうでもないと思うんですね。そうなると、警察を呼んだりということになると思います。現状そうなっていますよね。警察を巻き込んだトラブルって現在、全国で起きているわけなんですけど、中には警察の指導に従わないという宿泊者もいるという事例も聞いています。今その場で起きていることをその場で解決できないとなると、これはちょっと非常によくないトラブルのもとになると思うんですね。こういうこと以外にもいろんな懸念があると思うんです。近隣の住民の皆さんにどうやって周知するのか。また、宿泊客にどうやって周知をするのか。トラブルがあった場合、事業者にどうやって指導するのか等々、事前に備えるべきこと、東京都と調整が必要なこと、山積みだと思うんです。また、防災上もこの旅館業法に規定された二方向避難というのが緩和されていたり、火災自動報知器、これ、設置義務はないですよね。つまり、今の民泊新法というのは単なる現状の追認になっているんじゃないかと思うんです。これでいいのかって思っているわけです。そもそもこの民泊は、安倍政権の規制緩和路線の賜物なんですね。しかし、ここで緩和された規制というのは、宿泊客の生命、衛生にかかわる問題であったり、区民の暮らしだったりします。なし崩しに規制緩和の方向で制度設計していくんじゃなくて、命と安全を守る規制をしっかりつくっていくこと、これが求められているんじゃないでしょうか。台東区では、この新法の施行を待たずに先に条例をつくって、事実上の規制をかけました。従業員を常駐させること、そしてフロントの設置、この2点を義務としました。この規制によって問題が起きそうな家主不在型民泊ですね。いわゆるワンルームなどを利用した民泊ができなくなるということです。中野においても台東区の例を参考に、最低限の安全衛生が保てない大きな懸念があって、防災設備も万全と言えない民泊新法にしっかりと歯どめをかけるべきではないでしょうかお答えください。

○高橋環境部副参事(生活環境担当) 今、委員のおっしゃいました台東区の例につきましては、旅館業法に基づく事業の規制でございます。旅館業法に基づく事業の規制と住宅宿泊事業法に基づく事業の規制を同一のレベルで論じることはできないとは考えますけれども、住宅宿泊事業法に基づく区独自の規制につきましては、法の趣旨及び政省令を踏まえて検討してまいりたいと思っております。

○いさ委員 この新法施行前にして、いわゆる民泊仲介業者だとか不動産事業者などが一斉にビジネスチャンスだということで飛びついている。そういう状況ですよね。言ってみれば穴だらけみたいな状況で、トラブルを多発させることになると思うんです。区民の暮らしを第一に考える民泊政策を打ち出すことを求めて、この項の質問を終わります。

 次に、マンション建設にかかわる住民トラブル、これはその他のところでお聞きします。マンション建設にかかわる住民トラブルについてお聞きします。中野区がこういう調停に入る制度、いわゆるあっせん・調停制度ですけれども、正式には中野区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例ですが、過去5年でこの制度を利用し、あっせん・調停を申請した件数、実際に調停になった件数は何件でしょうか。

○辻本都市基盤部副参事(都市計画担当) 過去5年間の実績でございますけども、まずあっせんでございますが、平成24年度に3件、また平成25年度に2件ございました。調停につきましてはゼロでございます。

○いさ委員 本来、このあっせん・調停が少なければ、それはいいことだという話だと思うんです。しかし、そうはいかないと思うんです。ちょっとここで考えたいんです。実際にはマンション建設をめぐるトラブルというのは多数あると思っているんです。私のところにも5月、6月で3件相談がありました。この調停については、実際区民の皆さんから、もう調停なんてやっても無駄だという声を聞いています。また逆に、どうせこのあっせん・調停では何も動かないとたかをくくって、どうぞどうぞ調停をやりましょうと。こういう業者さんがいるのも知っています。そうなるとですよ、この調停の数が少ないというのはどう評価したらいいのか、ちょっとやっぱり考えなきゃいけないことだと思うんです。

 マンションの建設がトラブルになる理由というのはさまざまあろうかと思います。住民側と業者側どっちに問題があるケースもあると思うんです。でも、もし住民側がむちゃを言ってくる、こういうケースは、言ってきたとしても事業者は建設をやることができるんですね。これがもしクレーム、もっと発展してトラブルになったと言ったら、法的に対処して、排除するということだと思います。じゃ、逆に事業者側に問題があるケース、事業者側が住民の意向を酌まずに乱暴なやり方を押しつけるというケース、こういう場合はどうなるかというと、実際もうこの局面では建築許可そのものは出ているわけですから、適法にやっているということでは、これ以上問えない。問われるのは道義的責任だけということになります。極論を言ってしまうと、近隣住民がどんなに困ろうが何とも思わない。そういう事業者には打つ手がないということだと思うんです。つまり、このことで考えなきゃいけないのは、事業者側に問題があるケースじゃないかなと思うんです。本来であれば、この条例の中でも話し合って決める互譲の精神という言葉が出てきます。本来こういうのを発揮してやるべき問題ですけど、これはなかなか難しいですよね。現実にこういう局面でトラブルが発生しているということです。

 このトラブル、どうやって防ぐか。難しいですけど、一つ考えられるのは、行政の場が、両者が真摯に話し合う場所というのを制度として保障することじゃないかと思うんです。例えば建築基準法による確認済みの看板、いわゆるお知らせ看板、現在では建築確認申請を出す1カ月前にこれを掲示するということになっています。この1カ月というのを2カ月とか3カ月延ばす。こういうのはどうでしょうか。その間に住民と事業者、これがしっかり話し合いをするように指導する。こういう機会を設けるように促す。こういう方法も考えられます。今のは例えばなので、この方法にはこだわりませんが、何らか住民と事業者がきちんと話し合い、合意する時間と場所を行政が提供する仕組みが必要ではないでしょうかお答えください。

○辻本都市基盤部副参事(都市計画担当) まず委員から御提案をいただきました点についてでございますけども、現状といたしまして、近隣関係住民の方と建築主側との話し合い、これにつきまして建築確認申請後、あるいは建築確認後も継続して行われるといったケースは数多く見られているところでございます。したがいまして、現在のところ周知期間を延ばすことは考えてございません。区といたしましては、今後とも近隣関係住民の方、また建築主、双方の自主的解決に向けまして、情報提供などに努めてまいりたいと考えているところでございます。

○いさ委員 この条例の4条のところには、建築主は紛争を未然に防止するため、近隣関係住民の了解を得るよう努めなければいけないというふうに書いてあります。ここにこの条例の魂が宿っているんじゃないかと私は思っています。現実に起きているトラブルにどう対処するのかというところで、この区の姿勢が問われることになるんじゃないかと思っています。ちょっとこれは何とかうまいことを考えていただきたいなと思います。

 次の質問に移ります。防災について何点かお聞きします。最初に、急傾斜地についてです。これも本年第1回定例会で質問させていただきましたけれども、東京都の調査が完了したということで所管に報告がありました。そういうことで改めてこの調査結果について御報告いただけますでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 急傾斜地の東京都における基礎調査結果の発表についてお答えいたします。東京都は土砂災害防止法の一部改正、こちらは平成27年の1月に行われました。に基づきまして、土砂災害警戒区域等の指定の前段として、平成27年11月から平成29年3月まで中野区の急傾斜地の基礎調査をまず実施いたしました。これを受けまして、平成29年7月13日に東京都は区内の21カ所が土砂災害警戒区域、内数としまして、11カ所が土砂災害特別警戒区域に指定となる基礎調査結果を公表しております。

○いさ委員 現行の中野区の地域防災計画の中では、急傾斜地崩壊危険箇所として人工斜面、自然斜面合わせて14カ所が指定されています。今回、土砂災害警戒区域21カ所にふえました。前回指定された区域で今回外れたという場所はありますか。また、その理由についてお示しください。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 平成14年度に都建設局河川部が行いました急傾斜地の崩壊危険箇所調査において、今お話がありましたように中野区内の危険箇所としては14カ所指定されておりました。自然斜面3カ所のうち1カ所が、人工斜面11カ所のうち4カ所が、合計5カ所が土砂災害警戒区域に今回整理されておりません。基礎調査に指定されておりません。理由といたしましては、マンション等の建設により宅地開発がありまして、擁壁等が整備されたということです。

○いさ委員 これ、現地を調査したらわかったということですよね。前回、私、区として現地調査すべきとお聞きしたんですけど、やらないということでした。東京都がやったということで、実際に行ってみて、ここは指定する、ここは外すということで判断になったんだと思うんです。これ、災害の危険度を判断するのに現場を見るのは当然だと思うんです。私も求めていたこの現地調査が行われたということで、ここは評価をしたいと思います。今回の調査では、先ほど報告いただいたように土砂災害警戒区域、そして土砂災害特別警戒区域、イエローとレッドの二段構えとなりました。こういうふうにルールが変わった。その中で東京都、中野区それぞれにどんな責務が生じますか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) まず区のほうの責務でございます。区の責務の一つとしましては、警戒避難体制の地域防災計画への記載というのがございます。それから、災害時要配慮者利用施設の避難体制の強化ということが区の施設のことであります。こちらをちょっと詳細に申しますと、指定された区域内に要配慮者が利用する施設があった場合、これを管理者に対しまして避難確保の計画の作成、避難訓練の実施等の義務がございます。こちらがしっかりできているかどうかということを監視するというのが区の責務になっております。さらに建築確認のときに、居室を有する建築物に対する建築主事の確認ということで、構造等の規制をかけるというのが区の責務でございます。次に都の責務でございます。特定の開発行為に対する許可でございます。こちらは土砂災害工事等の計画に対する許認可でございます。さらに東京都は移転等に対する勧告も行う責務が生じております。これは急傾斜地で危険な場所に対します移転等の勧告でございます。

○いさ委員 前回質問のときにもこれは指摘をさせていただきましたけれども、前回の調査よりもきめ細やかではあるものの、結局いわゆるソフト対策ですね。そういうものだけにとどまっているということは問題じゃないかと思うんです。現在の急傾斜地の指定よりも、より詳細な調査を行ったということですから、万が一の被害想定、これも具体的になっているんだと思うんです。当然このことは指定地域に係る住民だけじゃなくて、近隣住民の不安をも増大することになるかと思います。ここは危ないですよという移転を勧告する。それだけでとどめるのじゃなくて、万が一の事態を招かない、その具体的な対策、いわゆるハード的な対策というのが必要ではないでしょうか。崖を補強するだとか建築物を補強するだとか、そういうことで例えばここに補助金を出す。こういう対策は必要です。指定された区域には区有施設があるみたいですけれども、ここはどういう対応になるんでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 今回指定された区域には区有施設等が入っておりました。まず一つ目としまして、土砂災害特別警戒区域の指定範囲に含まれておりますひがしなかの幼稚園ですが、こちらは応急教育計画の改定及び施設補強対策等を検討し、利用者の円滑かつ迅速な避難等を確保しております。また、その他の指定区域内にあります区有施設及び公園においても、状況を再確認し、必要な対策の検討及び措置の実施を進めております。

○いさ委員 区有施設はやるわけですよね。それでは、民間のというか、個人宅敷地壁とか、そういうものですね。個人の私的なものについて、建物だとか、こういうところはどうでしょうか。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 個人宅敷地側について東京都建築安全条例第6条で、崖の上部への敷地に対して建築制限がかかっております。崖下では高さの2倍の距離を離す。崖面側の1階の壁はコンクリートなどで防護壁をつくるとか、擁壁を築造することが求められております。また、崖所有者側は建築の際、崖の安全性についての検証や崖上は建築に当たり、崩落を防ぐ施工をするよう求められているところでございます。

○いさ委員 今のは今ある規制の話だと思うんですけれども、ここに対して今、区有施設はハード的な対策を打つと言った。民間のところでは補強するだとか改修ということの補助金を出すだとか、そういう検討はありませんか。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) まず、これまでは建築基準法第19条第4項で、建築物が崖崩れなどによる被害を受けるおそれがある場合は、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならないとあり、これを受けて建築安全条例第6条が制定されているところでございます。その中で具体的に建築制限を設けております。そして、建築確認に際しては条例に即した対応が必要なことから、建築主及び事業者の責任においてこれまで実施してきたところでございます。このため、今回指定される区域内の建物でも建築安全条例に基づく対応がなされた建物が存在しており、公平性の観点から、崖地の補強助成のあり方については検証が必要であるというふうに考えております。

○いさ委員 行政の側が、ここは危険だという区域の指定をしておきながら、その対策については個人に任せるということでいいのかなと思うわけなんです。土砂災害防止法ができたきっかけというのは、広島の災害ですよね。土砂災害の発生件数が325件、死者24人という甚大な被害でした。また、この連休に台風が来ましたよね。またこれも大変な被害だったと思います。場所によっては110ミリ、120ミリという雨が降っている。そもそも考えたら、九州ってこの間雨が降ったばかりで大きな被害が出たばかりだということでもあると思うんです。災害は待ってくれない。このことを改めて心にとめておかなければいけないということだと思うんです。当区のような都市部では、今、短時間のうちに発生するゲリラ豪雨というのは一番の懸念ですけれども、これも規模が年々大きくなっていると思うんです。ちょっと予測がつきにくいような事態が起きていると思います。これ、7月には、23区北部のほうで巨大なひょうを伴う豪雨というのが発生していますね。また、8月19日の豪雨でも都内でひょうが確認されていますけど、このときは加えて雷が局所的に1,000発落ちるという聞いたことのないような気象現象が起きている。これまでのような考え方が通用しない想定外の事態が起きているということだと思うんです。つまり、スピード感と危機感を持ってこれに当たらないと手おくれになる。そういうことじゃないかと思うんです。実際、今、東京都の豪雨対策って、これから50ミリとか75ミリの対策をすると言っていますけれども、現実にはもう100ミリを超える雨って降っているわけですよね。この時点でちょっともう後手に回っているかもしれないということだと思うんです。

 もう一度お聞きします。結局、ここの対策を打つというのは公共性が大きい問題だと思うんです。その大きさを鑑みて、個人宅であっても建物の補修など必要な手だてをとるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。少なくともレッドのうち土砂災害特別警戒区域、ここについては急ぎ手を打つべきで、個人任せにしてはいけないと思うんですが、いかがでしょうか。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) 繰り返しになりますが、中野区ばかりでなく東京都内では、これまでもいわゆるこういった崖崩れ等に対する対策を住民の方々に求めてきたところでございます。その効果がそれなりにあらわれている。確かに負担は大きいかもしれませんけども、それによって周辺の安全が確保されているというふうに考えておりますので、今現在のところでは検証する余地は十分あると考えておりますが、今すぐここでやりますというようなことはちょっと説得できないというふうに考えております。

○いさ委員 続けてお聞きしますけれども、そのレッドの区域についてですね。何だか警報そのものも特別な警報が必要なんではないでしょうか。特別に警戒が必要だという指定をするわけですから、災害発生時にはこれまでと同様ではない特別な方法で災害の発生を知らせる必要があるかと思います。この点はいかがでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域の違いについては、住民等の生命または身体に生ずるおそれのある危害の程度によるものであり、生命または身体に著しい危害のある場合が土砂災害特別警戒区域です。したがって、気象庁から土砂災害警戒情報が発令するなど、土砂災害の危険性が高まった場合には、土砂災害特別警戒区域を巡回し、監視警戒している区職員から直接住民へ避難勧告や避難指示等を周知するなど、確実な情報伝達に努めてまいります。また、インターネットやメールの文字情報だけではなく、電話による音声を活用して、緊急情報を区民へ提供できるシステムの導入を検討しておりますので、多様な情報伝達手段を整備いたしまして、全ての人へ確実に伝達できる連絡体制の確保に努めてまいります。

○いさ委員 方法は問いません。既存の何らかシステムがあるなら、何か小さい機械があって、それが発光するとか、何かそういうものがあれば使えばいいと思いますし、災害に特化した警報のアプリみたいなものを開発するという手もあると思うんです。方法は問いません。何らかの方法で災害を未然に防いで、区民の命を守るための特別な警報装置、そういうものを設置すべきです。ハード的な補助ですね。こういうところとあわせて具体的な手を打つことを求めて、次の質問に移ります。

 通告で豪雨対策についてというふうにさせていただきましたが、これ、降った豪雨の程度にかかわってお聞きします。中野区の豪雨対策としては、河川の拡幅だとか環七の地下の貯留池などの取り組みが進んでいるところです。確認のためにお聞きします。この豪雨と河川拡幅や貯留池の関係についてお示しください。

○鈴木都市基盤部副参事(道路担当) 河川拡幅等の河川改修によりまして、時間50ミリの豪雨に対応できるようになるものでございます。さらに貯留池等を整備することによりまして、時間75ミリの降雨にも対応でき、現在対策を東京都と協力して推進しているところでございます。

○いさ委員 まあ、あえて聞くことでもなかったかと思うんですけど、雨で河川が氾濫しないように広げたという話ですよね。でも、最初に雨が降って受けとめるのは地面ですね。そこから下水道を通って河川に到達するという、こういうルートになっていると思うんです。最初に雨が到達する地面というのは、建築物の敷地や道路のことですけれども、ここの対策については昨年3定でもお聞きしたところです。しかしながら、この区道の雨水貯留施設の埋設は50年かけるという回答でした。それから、私道のところは手を打たない。建築物敷地の雨水桝事業も再開しないという答弁が続いて、心配しているところです。今回は、この中で登場していない河川に到達する前の下水道についてお聞きします。これ、所管は東京都になると思うんですが、中野区内の下水道における豪雨対策はどうなっているでしょうか。東京都に確認はとれているでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 東京都における豪雨対策を御報告いたします。中野区を含めた区部全域で平成26年6月に示された東京都豪雨対策基本方針により、おおむね30年後の浸水被害解消を目標に1時間50ミリ降雨に対応する下水道施設を整備しています。さらに大規模地下街や甚大な被害の発生が予想される区域に対しましては、整備水準をレベルアップした下水施設を整備しています。中野区内においては、50ミリ拡充対策地区に指定された第二桃園川幹線の整備事業があることを確認しております。

○いさ委員 一つひとつ聞いていきます。まず中野区全体のことについてなんですけれども、対策は30年でやるということなんでしょうか。先ほど指摘をしました区道の豪雨対策が50年計画だというのもかなりびっくりしたんですけれども、毎年のように激しくなるこのゲリラ豪雨の対策を30年の構想で対応できるのか、いささか疑問です。豪雨対策は30年待ってくれません。これはその区道の対策のときでも同じ言い方をしました。東京都にこの計画を少しでも前倒しして具体化するように要望すべきではないでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 今お話がありましたとおり、下水道局は現在50ミリ対策の下水道工事整備を進めております。ただ、多くの浸水被害を経験した区民の安全・安心を守るために、豪雨対策、早期対応を強く申し入れたいと考えております。

○いさ委員 続けてお聞きしますが、桃園第二幹線、これは第二桃園川ですね。この計画、なぜ暗渠のところを第二幹線が必要になっているんでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 先ほどお話が出ましたように台風の大型化やゲリラ豪雨により、1時間当たりの最大雨量が今後増加することが予想されるとともに、都市化の進展による下水道への雨水流入量の増加に伴い、雨水排除能力が不足するため、増設する必要があるためです。

○いさ委員 過去に桃園川って氾濫しているわけなんですよね。そのこともあって、これをやろうという話だと思うんですけれど、すみません。この計画というのはどうなっていますか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 第二桃園川幹線の計画でございますが、こちらの工事はシールド工法でまず現在も行われております。今行われている地点は杉並区側になります。平成33年度までに蚕糸の森公園付近から上流に向かった天沼弁天池公園付近までの工事が行われます。その後、中野区内についてですが、平成36年度までに中央一丁目の末広橋付近の神田川へ合流する約7キロの工事を実施する計画であります。さらにシールド工法を完成した後は、それぞれ下水道をつなげる工事を行いまして、38年度に全ての工事が完了する予定であると聞いております。全国各地で未曽有の豪雨が発生する中、第二桃園川幹線の早期完成に向けて都に協力していきたいと考えております。

○いさ委員 平成38年度に完了する計画だということですよね。さっきの30年計画よりは大分ましなような気もするんですけれど、それにしてもちょっとのんびりしているというか、これでいいのかなという気はしています。洪水ハザードマップ、あれを見ても対策を急がれるのは明らかだと思うんです。ぜひこれは具体化を進めていただきたいと思います。

 次にいきます。今お話しした洪水ハザードマップなんですけれど、区のホームページにもリンクが張られているかと思います。浸水被害の想定の規模を色分けされているわけですね。これを見ますと、区内のほかの地域に比べて相対的に高度が高いという場所でも、浸水の危険性ありで色分けされている。そういう箇所があるんです。例えば青梅街道沿い、新中野駅周辺、そしてその同じ青梅街道の中野坂上に向かって旧中野警察周辺、このあたりは黄色の区域があります。黄色というのは、0.2メートルから0.5メートルの浸水の危険ありということですね。それから、早稲田通り沿いの大妻学園周辺、ここに緑色の地点があります。緑色は0.5メートルから1メートルの浸水の危険がある、そういう場所です。ちなみに、この区役所の周りも黄色のマークがついています。ここも言ってみれば坂の上ですね。こういう坂の上で水害が発生するというのは、下水道そのものを原因とする内水氾濫を想定しているものと考えますが、いかがでしょうかお伺いします。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 洪水ハザードマップの浸水区域は、まず平成14年作成時の河川整備の状況、洪水調整池または下水道の整備状況を勘案いたしまして、被害想定を平成12年9月の東海豪雨が中野区内で降ったことを想定してつくられております。したがいまして、河川から今もお話しありましたようにある程度離れているにもかかわらず、浸水区域になっている場所もございます。降水量が下水道の容量を超えているものと考えます。さらに帯状の浸水区域は昔河川が流れていた場所であり、局地的な浸水区域は同じく昔、沼とか池であったことから、現在も他の地点より水が集まりやすいと考えております。

○いさ委員 その河川があった場所、低い場所はわかるんですけれども、上になっているところですよね。今、水害対策として河川でやっています、貯留池をつくっています。これは大事なことなんですけれども、こういう対策が進む一方で、そこに至る前の日常生活圏の下水道部分が内水氾濫のボトルネックになっているんじゃないか。そういうところを心配しているわけなんです。少なくともこれは下水道局が責任を負っている範囲については早急に対応するように求めるべきではないでしょうかお答えください。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 先ほど申しましたように都下水道局は現在50ミリ対策の下水道整備を進めております。都の事業計画を早期に中野区としても把握しまして、関係分野に情報提供を行うなどをして、下水道の改修が早期に行われるよう協力していきたいと思っております。なお、台風やゲリラ豪雨により内水氾濫や道路冠水が確認された場合は、水道局に対しまして積極的に反対に情報提供をいたしまして、早急に改善等が行われるようお願いしていきたいと考えております。

○いさ委員 ぜひお願いいたします。その豪雨対策のところで最後にもう一つ、これも本年1定でお聞きしたことですが、豪雨対策が立て続いている現状から、雨水浸透桝助成事業、これ、再度お尋ねします。中野区では平成12年度に都の雨水浸透施設助成がなくなったタイミングで、それまで区として行っていた助成事業をやめてしまっています。しかし、東京都の助成事業そのものは平成19年度に復活をしています。そういうことであるならばということで、この雨水浸透枡の区の助成事業を復活させるべきではないでしょうかお尋ねします。

○鈴木都市基盤部副参事(道路担当) 現在、建築主によります雨水浸透桝などの雨水流出抑制施設の設置協力が進んでいるため、助成の再開は考えておりません。なお、雨水流出抑制施設の設置につきましては、今後も指導啓発に努めていきたいと考えております。

○いさ委員 同じお答えになるかなと思うんですけど、私も同じことをちょっと言っておきたいんですけど、せっかく東京都から助成金が出ていて、その財源の裏付けがあるんですから、これはぜひお考え直しいただきたいなと思います。

 次に、木造住宅の耐震化改修助成についてお聞きします。この問題では、会派のほうでも何度も求めてきましたけれども、23区で中野区だけが助成を行わないという状況が続いています。この助成をやらない理由として、区は個人資産の形成になるとの答弁を繰り返してきました。しかし、この理由は成り立たないんじゃないでしょうか。緊急輸送道路等沿道建築物の耐震化支援、これをやっていますね。耐震化助成だけ、このときだけが個人資産の形成につながるからということはできない理由にはならないんだと思うんです。直ちに木造住宅の耐震化改修助成を実施すべきではないでしょうかお尋ねします。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) これまでの繰り返しになりますが、あくまでも公共性の観点から公共に資する内容のもの、特定緊急輸送道路等については助成をしているところでございます。しかしながら、住宅の耐震改修につきましては、耐震診断等がまだあまり進んでいない状況もございます。そういったことから、特定の地区、不燃化特区、そういった整備地区を重点的にまず整備を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

○いさ委員 こういう言い方もなんですけど、23区で中野区だけが取り残された自治体となっているということだと思うんです。木密地域で震災に備え、地震、火災を防ぐ。このことの公共性の大きさというのは言わずもがなだと思います。これはもう引き続き求めていきたいなと思います。

 それに続けてもう一つ、中野区としても耐震診断など耐震対策支援制度の対象を1981年の新耐震以前でなくて、2000年の新々耐震基準以前の建築物へと拡充すべきと考えます。熊本地震では新々耐震でも倒壊した建物があった。このことは既に指摘をしているところです。改めて見解をお伺いします。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) すみません。質問をもう一度お願いします。

○いさ委員 耐震診断など耐震対策支援制度の対象を1981年の新耐震以前の建物じゃなくて、2000年の新々耐震基準以前の建物へと拡充すべきではないかという問いです。

○小山内都市基盤部副参事(建築担当) まず耐震診断の拡充につきましては、現在のところ東京都が旧耐震に絞った形で助成事業を実施しているところでございます。東京都のほうはいまだそこまで拡充する予定はないということですので、それに沿った形で現在、中野区のほうも事業を進めているところでございます。

○高橋(か)委員長 いさ委員の質疑の途中ですが、5時になろうとしておりますので、今後の運営について協議するため理事会を開会します。委員会を休憩します。

午後4時56分休憩

 

午後4時59分開議

○高橋(か)委員長 委員会を再開します。

 理事会の報告をします。

 いさ委員の質疑の途中ですが、本日は終了し、次回いさ委員から始めることを確認いたしました。

 以上が理事会の報告ですが、質疑はありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 それでは、ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 御異議ありませんので、そのように決定し、本日の総括質疑を終了します。

 次回の委員会は、9月21日(木曜日)午前10時から当委員会室にて開会することを口頭をもって通告します。

 以上で本日の決算特別委員会を散会します。

午後5時00分散会