平成29年11月29日中野区議会本会議(第4回定例会)
平成29年11月29日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録

.平成29年(2017年)11月29日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(41名)

  1番  加  藤  たくま         2番  若  林  しげお

  3番  日  野  たかし         4番  木  村  広  一

  5番  ひやま      隆        6番  山  本  たかし

  7番  渡  辺  たけし         8番  細  野  かよこ

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  いでい   良  輔

 11番  高  橋  かずちか       12番  内  川  和  久

 13番  甲  田  ゆり子        14番  小  林  ぜんいち

 15番  白  井  ひでふみ       16番  中  村  延  子

 17番  内  野  大三郎        18番  小宮山   たかし

 19番  広  川  まさのり       20番     欠  員

 21番  佐  野  れいじ        22番  北  原  ともあき

 23番  伊  東  しんじ        24番  平  山  英  明

 25番  南     かつひこ       26番  小  林  秀  明

 27番  森     たかゆき       28番  いながき  じゅん子

 29番  石  坂  わたる        30番  小  杉  一  男

 31番  い  さ  哲  郎       32番  大  内  しんご

 33番  高  橋  ちあき        34番  伊  藤  正  信

 35番  市  川  みのる        36番  篠     国  昭

 37番  久  保  り  か       38番  酒  井  たくや 

 39番  近  藤  さえ子        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席議員

      な  し

.出席説明員

 中 野 区 長  田 中 大 輔      副  区  長  川 崎   亨

 副  区  長  本 田 武 志      教  育  長  田 辺 裕 子

 政 策 室 長  髙 橋 信 一      経 営 室 長  篠 原 文 彦

 新区役所整備担当部長 相 澤 明 郎    都市政策推進室長 奈 良 浩 二

 西武新宿線沿線まちづくり担当部長 角   秀 行      地域支えあい推進室長 野 村 建 樹

 区民サービス管理部長 戸 辺   眞    子ども教育部長、教育委員会事務局次長 横 山   俊

 健康福祉部長   小 田 史 子      保 健 所 長  木 村 博 子

 環 境 部 長  白 土   純      都市基盤部長   豊 川 士 朗

 政策室参事(企画担当) 青 山 敬一郎   経営室参事(経営担当) 朝 井 めぐみ

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  吉 村 恒 治      事務局次長    古 本 正 士

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  関 村 英 希

 書     記  立 川   衛      書     記  若 見 元 彦

 書     記  井 田 裕 之      書     記  冨士縄   篤

 書     記  野 村 理 志      書     記  鎌 形 聡 美

 書     記  遠 藤 良 太      書     記  松 丸 晃 大

 書     記  香 月 俊 介      書     記  古 谷 友里香

 

 議事日程(平成29年(2017年)11月29日午後1時開議)

日程第1 第59号議案 中野区個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例

 

午後1時00分開議

○議長(いでい良輔) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 高 橋 かずちか

 1 教育課題について

  (1)幼児教育の重要性について

  (2)英語教育の充実について

  (3)その他

 2 都市計画マスタープランについて

 3 シティセールスに繋がる広報戦略について

 4 その他

 

○副議長(南かつひこ) 最初に、高橋かずちか議員。

[1]高橋かずちか議員登壇

○11番(高橋かずちか) 平成29年第4回定例会に当たりまして、自由民主党の立場から一般質問をさせていただきます。

 質問内容は、その他の項目で、防犯カメラの設置拡充とIoT施策の推進についても取り上げます。

 まず初めに、教育課題について、幼児教育の重要性についてお聞きします。ここでは、未来を担う子どもたちにとって、人格形成の基礎を培うために重要な幼児教育について、区の考えを伺います。

 平成30年4月1日より施行される文部科学省幼稚園教育要領を見てみますと、地方公共団体の幼児教育環境整備に関する責務が述べられています。また、ここでは、この幼稚園教育要領が果たす役割として、公の性質を有する幼稚園における教育水準を全国的に確保することであり、幼稚園がその特色を生かして創意工夫を重ね、長年にわたり積み重ねられてきた教育実践や学術研究の蓄積を生かしながら、幼児や地域の現状や課題を捉え、家庭や地域社会と協力して幼児教育活動のさらなる充実を図っていくことも重要であると述べております。

 ここで確認のために改めてお聞きします。中野区は幼児教育について、また、その充実と具体的展開についてどのような見解をお持ちでしょうか。子育て支援施策の展開、認定こども園の法制化など、待機児童対策と同時にその実効性を担保するために、保育士の給与面、また住宅補助などの環境面の改善がなされています。一方で、私立幼稚園で働く先生との格差が生まれているのが実情です。幼稚園の教師と保育園で働く保育士との間での給与や住宅関係の補助の格差などについて、区はどのように考えているのか教えてください。

 幼稚園教育要領によりますと、幼稚園教師には、幼児の主体的な活動を促し、自発的な活動としての遊びを通じて教育目標が総合的に達成されるよう、教材の工夫や、幼児の個々の活動の場面に応じてさまざまな役割を果たすことが求められています。このように幼児教育を担う教師には、子どもたちと接するコア時間帯以外に多くの課題に囲まれています。こうした幼児教育を担う教師の素養は、若いまだ経験の浅い先生方を、園長を筆頭に園が育てていくものだと考えております。幼稚園の先生を目指した新任の教師が、東京の親元から通う事例が多いとは思えません。保育士のような給与面、住宅面での支援がなければ、幼稚園に先生が集まらなくなってしまうのではないでしょうか。一番恐れることは、今まで幼児教育をリードしてきた私立幼稚園の質が低下してしまうことであります。若い先生が集まらなければ、いい中堅リーダーを育成することはできません。中堅リーダーが育たなければ、幼児教育の質は確保できません。幼児教育と保育の充実のために、保育園と幼稚園など全ての子育て環境に私立幼稚園の存在と幼児教育水準の向上は不可欠だと考えております。

 幼児教育施策については、中野区では私立幼稚園が、中野区私立幼稚園連合会結成以来一貫して先頭に立って幼児教育の充実に取り組んできたことは紛れもない事実であります。また、保育園と幼稚園と小学校との連絡協議会の場でも、中野区の幼児教育・保育の充実のための重要な役割を果たしております。昭和43年に、中野区は私立幼稚園に対して、国の政策を待たず全国に先駆けて保護者補助金を実現した誇らしい実績もあります。

 そこで、お聞きいたします。保育園に就労する保育士さんの給与や補助手当等が進み、一方で幼児教育をつかさどる幼稚園(私立幼稚園)に対するサポートとの間で格差が決定的にならないように、中野区として幼児教育重視の姿勢を打ち出すべく独自の支援策拡充を進めてもいいのではないでしょうか。区の見解をお聞きします。

 次に、保育園・幼稚園分野の組織体制についてお聞きします。このたび行われる待機児童解消緊急対策やその後の対応、また本来の待機児童対策で展開する区内における保育園整備、こうしたことを考えると、保育園部門の体制充実が急務であることは当然のことであります。同時に、幼児教育を展開する幼稚園担当の組織体制も当然充実していかなければなりません。幼児教育の重要性を認識した上で、保育園・幼稚園分野と指導室を担当する教育委員会が、人や体制、またノウハウなどについてしっかりと連携をとりながら進めていくことが何より重要であると考えます。

 そこでお聞きします。こうした保育施策や幼児教育をつなぎ結ぶ組織の連携体制は十分にとれているのでしょうか、お示しください。

 次に、二つ目としまして英語教育の充実についてお聞きします。

 グローバル化の進展の中、英語教育については新しい動きがあります。新学習指導要領には、特に小学校での外国語が重視されております。平成32年度からは、小学校5・6年生に導入されていた外国語活動が小学校3・4年生に、そして、小学校5・6年生には、教科である英語が導入されます。これまでも小学校では、外国語活動として、外国語で聞く・話すを中心にした活動に取り組み、コミュニケーション力の育成に力を入れてきました。今回の学習指導要領の改定で、さらに、中学校で実施している外国語・英語と同様に、聞く・話すに加えて、読む・書くの活動も加わります。これらのことは、英語の学習を小学校の段階から導入し、より実践的な学習を展開していくものです。また、文部科学省の今年7月の発表によると、現在行われている大学入試センター試験は2019年度の実施を最後に廃止され、かわって、新たに2020年度より大学入学共通テストが実施されることとなります。まだ先の話で、中野区の教育行政には関係ないと思われるかもしれませんが、今の中学3年生から、この共通テストを受験するということになります。英語は、現行の読む・聞くに話す・書くを加えた4技能を評価するということで、英語の評価の視点が変わってまいります。

 そこでお聞きします。中野区は、英語教育についての新たな動きをどのように捉えているのでしょうか、教えていただきます。

 このような時代の動きに対して、学校での授業は大きく変わろうとしております。中学校の英語の授業においても、教員が授業を全て英語で行う、いわゆるオールイングリッシュの授業が展開されていると聞いています。そのような中、子どもたちが意欲的に学ぶことは大変重要であります。新学習指導要領でも、主体的で対話的な深い学びと言われるような、みずから考え、課題解決していく学習が進んでいきます。その中で特に重要なことは学ぶ意欲であると感じております。また、学習は学校だけで行うものではなく家庭での学習も重要であります。その際、学校の授業に自分の目標や目的を定めて学習することも大切ですが、より意欲的に、例えば英語検定などの外部の検定試験を受けることを目標に学習することも学力の向上につながると考えます。英検など一般的に普及している外部試験を受験することは、学習する意欲を高めると同時に成果を求めて挑戦する習慣を身につけ、結果的に習熟度の向上につながる取り組みとして歓迎するものではないでしょうか。さらには、受験結果の効果として、区立中学校の生徒が私立高校を受験する場合に加点が見込める学校もあるというメリットもあります。先ほど述べましたように、既に大学入試には、実用技能英語検定(英検)やTOEICなどの民間試験の活用が示されております。既に区内の中学校でも英検に取り組んでいる事例があると聞いております。

 そこでお聞きします。中野区立中学校の英検受験の取り組み状況はどのようになっているのでしょうか。義務教育の際は、学校での学習に取り組むことが大切であると考えますが、年齢が進むにつれ、また社会人となったら、みずから資格試験等を受験し、キャリアアップすることも大切で、早い時期からそのような習慣を身につけることにもつながります。既にほかの自治体では英検等の受験を推奨し、受験料の一部を補助していると聞いていますが、他区の状況は把握しているのでしょうか、教えてください。現状では、英検受験を学校で奨励する場合、問題となるのが受験日の曜日であります。通常英検は年3回行われますが、日曜日開催が通例となっております。区内中学校の生徒の多くは、何らかの部活にかかわっていて、試験の開催曜日が土日では現実的には受験は不可能となってしまいます。その解決策としては、自分の学校を準会場にし、受験を行わせることが考えられます。受験する生徒の学校を試験会場にすれば、金曜日での開催が可能とのことです。生徒は部活とのバッティングがなくなり、受験機会が生まれ、試験会場まで通う交通費や労力を省くことができます。また、なれた会場であれば力も発揮しやすいと考えます。しかし、この場合、試験実施に伴うマンパワーをどうするかという課題があります。職員としては放課後一定時刻を過ぎた時刻帯でやることになり、教師の負担も考えられます。しかし、英検等民間団体の資格試験を区が英語教育の充実のため積極的に推進すれば、PTA等関係団体の理解や協力を得られ、現在、自主的に取り組んでいる教師の負担軽減とともに、開催実績にもつながるのではないかと考えております。

 そこでお聞きします。英語教育の充実を目指す視点からも、生徒の学習意欲向上につながり、達成感とさらにその先の挑戦につながる英語検定等に代表される外部試験の受験の奨励と受験費用の補助について積極的に推進すべきと考えますが、区の見解を伺います。

 グローバル化の中、先ほども触れましたように、英語教育の比重は高まるばかりであります。中学校での英語教科の授業時数は国語と並び最多で、中学3年生では国語よりも多い最多授業時数となります。このように英語教育の充実は重要で、具体的にも教育の現場に展開されておりますが、一方、英語教師のキャパシティを超えるものとなってはいないか。それが生徒の習熟度をケアする余裕がなくなっているのではないか心配です。生徒は、学校のみならず地域社会で育てるものであるならば、外部からの英語教師招聘を考えてもいいのではないでしょうか。区立中学校の授業をサポートしてもらえば、より習熟度の向上につながりますし、高校進学に向けての学習支援にもつながることで、生徒の進路指導にも活用できると考えます。区立小学校であれば、英語の教科が取り入れられ、3・4年生には外国語活動が取り入れられるということですから、英語に触れる機会の増加につながると考えます。教師資格を持つ企業退職者、地域住民、また主婦など、広く社会に、区立小・中学校の英語教育のサポートをしてもらう人材を求めてはいかがでしょうか、お聞きします。子どもたちがグローバル化する社会を生き抜くには英語教育の充実が不可欠と考えております。さまざまな取り組みを通じて子どもたちの力を伸ばしたいと願っているものであります。

 次に、三つ目としましてその他のところで、区有施設・公有地活用による待機児童解消緊急対策について一言触れておきたいと思います。

 待機児童解消緊急対策として、7カ所で予定では321名受け入れの保育施設が平成30年4月1日に開設することになります。この整備に際しては、旧小学校施設や都有地活用などのほかに、公園に設置する施設もあり、緊急対策とはいえ、その整備箇所や進め方については近隣住民から多くの要望が寄せられている状態です。

 そこでお聞きします。緊急対策による保育施設の設置・運営期間2年という年限が本当に守られるのか。平成32年度に入れば施設の解体撤去が確実になされていくのか。これについては明確な回答、担保が必要であると考えますが、いかがでしょうか。

 また、そのためには、地域住民の懸念を払拭するために、施設の運営が終了する平成31年度末で、入所している保育園園児の行き先、それについて明確な受け入れ計画を示すべきであり、それに向けて中野区の待機児童と保育施設整備計画を定期的に適宜説明すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 保育施設整備によって、万が一にも、地域住民同士の関係に不協和音が生まれることがないように、地域の連帯に支障を来すことがないようにしなければなりません。施設整備の工事期間、その後の施設運営期間の間は御理解、御協力をいただけるよう、待機児童対策の現況や今後の見通し報告など連絡を密にしていく必要があると考えます。

 そこでお聞きします。施設整備のための工事期間中の安全対策とさらに稼働後の近隣住民への配慮はどのように考えているのでしょうか。また、施設運営期間終了後、保育施設解体後の復旧時には、十分に時間をかけて近隣住民や利用者の意見を聞き取り、環境を整備して戻さなければなりません。公園であればよりよい公園として、地域の連帯の進展につながるような公園再整備と位置付けた形での取り組みを進めるべきと考えますが、区の見解を教えてください。

 2番目の項としまして、都市計画マスタープランについてお聞きいたします。

 平成29年9月に、東京都が都市づくりのグランドデザインを発表いたしました。これは、目指すべき東京の都市の姿とその実現に向けた都市づくりの基本的な方針と具体的な方策を示すものとされています。2009年7月に出された東京の都市づくりビジョン改定版との関係についてお聞きします。この違いは何なんでしょうか。また、新たなグラウンドデザインの狙いは何か。また、東京都の都市計画との関係はどのようになっていくのか教えてください。

 まちづくりには、積極的な用途容積見直しなどの建築規制緩和が不可欠と考えておりますが、駅周辺まちづくりや不燃化特区、また木密事業や再開発など、面的開発での展開以外、実際は難しいのが現状であります。現在の地区計画による用途容積見直しは、地区計画自体は区が決定するものとはいえ、決定に至るまでには一定の広さの区域において、道路の地区内の公共施設の整備や土地利用の制限に関する地域の十分な理解や協力、またさらには、東京都との調整などが必要になり取りまとめに数年間の時間を要しております。比較的広い区域での土地利用の高度化に向けては好ましいかもしれませんが、建てかえが早急かつ真に必要な個別のゾーンにおける規制緩和等には結びつきにくいものと懸念しているところであります。かつての見直しと現在の見直し状況との違い、また、その課題について区はどのように捉えているのでしょうか。

 現在中野区では、2009年4月に策定した都市計画マスタープランの改定作業に入っているとのことでございます。まずは、確認のために策定に向けてのスケジュールを教えてください。また、今回の東京都の都市づくりのグランドデザインを受けて中野区の都市計画マスタープラン改定作業にどのように関係していくのでしょうか。

 空地が少なく、道路幅員も狭く、木造密集過密都市として防災上脆弱と言われている中野区のまちの現状を改善するためには、建てかえ促進しかないのではないか。また、そのためにはインセンティブを付与する建築基準法上の建築規制の緩和が有効だと考えております。地域の生活や交流の拠点、歴史・文化的な町並みや川や木々の景観を生かしたまちづくりや経済産業を支える中枢機能など、個々の地域について用途容積の緩和、さらには容積移転の発想など、めり張りのきいた都市づくりを進める必要があると考えます。

 そこでお聞きします。今回の東京都の都市づくりのグランドデザインを受け進められる中野区の都市計画マスタープランの見直し、これについて用途容積緩和による建てかえ促進につながる戦略を打ち立てることはできないのか、施策の展開は考えられないのか、お示しください。

 次に、シティセールスに繋がる広報戦略についてお聞きします。

 グローバル化の進展、インバウンドと都市観光戦略に海外向け対応は欠かせないと考えております。では、中野区のことを知らない人に中野区のことを知ってもらい理解してもらうにはどうしたらいいのかと。例えば、海外の都市と交流を始めようと思ったときに興味を持ってもらうための中野区の情報が一つにまとまった営業ツールとして使えるものが、はっきり言って見当たらないと考えております。民間の企業であれば、営業マンは自社PR用の営業ツールとし会社概要をよく利用します。そこには企業理念や組織などの概要、沿革、実績、製品情報など、企業を知って興味を持ってもらいたいこと、訴えたいことや売り込むための情報がコンパクトに体裁よくまとまっていて、それを見せて会社を理解してもらう、いわば名刺がわりのようなものでございます。中野区でいえば、まず、中野区を知ってもらうための情報。例えば、基本的情報である歴史、人口、交通、産業、区の取り組む事業など掲載し、観光資源である寺社仏閣や名所、お祭り、グルメなどをまとめ、営業ツールとして作成すべきと考えます。編集には、興味を引くような工夫をしつつ、コンパクトに作成して中野区の名刺がわりになるようなものをつくるべきではないでしょうか。

 中野区は、シティセールス、シティプロモーションにつながるような広報戦略を持つことが必要です。そのためには、まず今申し上げた、中野区の情報が一つにまとまった資料、中野区の魅力がすぐに伝わる資料を作成すべきです。例えば、中野区のホームページの外国語版を見てみますと、全て個別にアプローチしていかなければならず、情報もイベント情報であったり、トピックスであったりと断片的な情報となります。区政概要という事業実績中心のものや観光用の個別情報などはありますが、区全体をPRするようなパンフレットなどの資料がないのが現状です。

 そこでお聞きします。中野区の情報が一つにまとまった資料、それを区が作成し、中野区内に来街者を呼び込むためのにぎわいづくり、または都市間交流、地域連携を推進するための営業ツールとして活用してはいかがでしょうか。さらには、多言語で作成すれば、いわゆるインバウンド、海外からの訪問客等にも効果的に中野の魅力を紹介でき、国際交流や海外都市との交流を進める際にも中野区を積極的にPRする有効なツールとなり得ると考えますが、いかがお考えでしょうか。

 次に、四つ目の項目としまして、防犯カメラの設置拡充とIoT施策の推進についてお聞きします。

 防犯カメラの設置の重要性については、空白地域の把握と対策、また維持管理費への補助、さらにはIoT活用の有効性について、本会議や総括質疑でたびたび申し上げてきたところでありますが、自民党の同僚議員も幾度となく質疑し、自民党の最重要施策となっているところであります。

 まず初めに、防犯カメラを区が設置することについて伺います。防犯カメラの設置については、プライバシー保護の観点から慎重に行うべきという意見がある一方で、犯罪抑止や犯人検挙等の側面での効果が得られることから、今後、防犯カメラの設置拡充は避けて通れないと考えております。

 そこでお聞きします。現在区では、空白ゾーンの解消のため、中野区内の防犯カメラ設置状況について調査中であり、調査結果をもとに地図情報システムで把握していくということですが、いつ地図情報システムができ上がるのでしょうか。また、防犯カメラの設置状況を把握したならば、早急に空白ゾーンを解消していく必要があり、そのためには区が独自で防犯カメラの設置を進めるべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。

 さらには、区の独自設置の際には、犯罪者や事故当事者が通過する可能性が高い主要交差点に防犯カメラを設置することで、子どもや高齢者、女性など、特に積極的に守っていく方々の安全確保にもつながると考えますが、いかがお考えでしょうか。

 次に、防犯カメラの維持経費の補助についてお聞きします。現在区では、町会や自治会、商店街が防犯カメラを設置する際、補助金を交付しておりますが、設置後の維持経費については補助しておりません。来街者の少ない商店街や商業・業務集積のない一般住宅地を抱える町会では、防犯カメラを設置したくても、その後の維持ができないという理由から防犯カメラの設置について前向きに検討できないのが実情です。区内全域に犯罪抑止に効果がある防犯カメラを設置するためには、町会・自治会、商店街に対して防犯カメラを設置促進していくことが重要であり、そのためには、設置にかかるイニシャルコストのみではなく、維持管理にかかるランニングコストの両面から区が補助していかないと、さらなる設置拡充にはつながらないと考えます。区は、この点についてどのように考え、今後対応をしていくつもりなのかお聞きいたします。

 次に、IoT施策の推進についてお聞きします。IoT技術を活用した新たな展開がありますので、そのことについて再びお伺いします。

 本年5月、渋谷区では、民間企業との連携によるIoT技術を活用した見守りに関する社会実証を開始いたしました。渋谷区内に設置されているキリン清涼飲料自動販売機に基地局端末を取りつけ、ビーコンを搭載したキーホルダーなどの専用端末を持つ高齢者や子どもの位置情報履歴を、家族や保護者がスマートフォンやパソコンで把握できるというものであります。このようなサービスは平成28年3月の総括質疑でも御紹介いたしましたけれども、兵庫県伊丹市において、市が設置した防犯カメラ1,000台に基地局端末を取りつけ、子どもの見守り対策や認知症高齢者の徘徊対策など、官民の協働事業として展開しているというところで御紹介をいたしました。

 そこでお聞きします。今後、IoT技術を活用した子どもの見守り対策、高齢者徘徊対策、震災時の避難対策、防犯対策など、さまざまな行政課題にも対応していく、そのことを考えると、今後区や町会が設置する防犯カメラはネットワーク対応型カメラを推進していくべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。

 以上で全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 高橋議員の御質問にお答えをいたします。

 教育課題につきまして、幼児教育に関する区の見解についてということであります。私立幼稚園においては、これまでも幼稚園教育要領に基づいた幼児教育を実践することはもとより、園独自の創意工夫により、それぞれが特色ある園運営を行い、幼児教育の充実に取り組まれてきたと認識をしているところであります。区としては、保育園、幼稚園、小学校の連携を通じ、こうした取り組みの成果について共有し、就学前教育プログラムの作成や合同研修等の企画などに取り組んできたところであります。今後もこうした私立幼稚園との連携をさらに強化させながら、就学前教育の充実に向けより一層推進をしていきたいと考えております。

 次に、私立幼稚園に対する支援策の拡充についてということであります。保育士への待遇改善等について、幼稚園教諭等にも及ぶべきではないかといったようなことの御指摘もありました。区では、待機児童対策が喫緊の重要課題であることから、その対策の一環として必要な保育士人材の確保への支援として宿舎借り上げ補助などの施策を展開してきたところであります。こうした保育園・幼稚園の運営の中で、私立幼稚園のあり方、これについても今後さまざまな変容が見られるものと考えております。私立幼稚園においては、預かり保育や幼稚園型一時預かり保育などについても充実を図ってきていただいており、そうした観点からの促進策について検討してまいりたいと考えております。

 保育施策と幼児教育にかかわる連携体制についてであります。就学前教育の充実に向けては保育園・幼稚園、さらに小学校への接続などを含め対応するべきことから、区では、福祉と教育とを一体的に捉えて取り組むため子ども教育部を設置しているところであります。具体的には、子ども教育部と教育委員会の双方に籍を置く担当副参事を配置し、ここが一元的に保育、幼児教育を担う体制としているところであります。今後もこうした体制を有効に機能させながら、就学前教育の充実に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、都市計画マスタープランに関する御質問にお答えをいたします。東京都が発表した都市づくりのグランドデザインの狙いと都市計画自体との関係などについてであります。東京都が作成した都市づくりのグランドデザインは、2040年代に東京が目指すべき都市の姿とその実現に向けた都市づくりの基本的な方針と具体的な方策を示す行政計画であります。また、このグランドデザインでは、共通的な地域特性等を踏まえた新たな地域区分を設定し、その区分ごとの将来イメージを示しており、これまでのセンターコア再生ゾーン等五つの地域区分から、中枢広域拠点域等四つの新しい地域区分に再編するとともに、国際ビジネス交流ゾーン等、日本と東京の活力を牽引するエンジンとなる二つのゾーンを設定していることなどが主な相違点となっております。東京都では、今後、このグランドデザインを踏まえ、都市計画区域マスタープランやその他の都市計画等の運用を図っていくものと認識をしております。

 次に、区が用途容積の見直し等について行っていく、そうした際の質問であります。かつての用途容積見直しと現状との差異、また課題についてということであります。用途容積の見直しにつきましては、東京都がおおむね8年ごとに一斉見直しを行っていた、そういったときと比べて、現在では用途容積を見直す区域の地区計画の策定、これが原則化されているところであります。これによって区のまちづくりの進捗に合わせた見直しができる反面、見直しの検討着手から実現に至るまでに比較的長時間を要することに加えて、見直しの区域についても比較的広範囲としなければならないことから、個別にあらわれる具体的な課題の解決には結びつきにくいという課題もあると認識をしております。特別区長会では、用途地域等の都市計画権限の特別区への移譲、これを求めておりますが、移譲されるまでの間におきましても、区の個別の要望を受けとめ、定期的な一斉見直しをするよう求めているところであります。

 中野区都市計画マスタープランの改定スケジュールについてであります。区では、現行の都市計画マスタープランを平成21年4月に策定しましたが、その後、中野区基本構想などを改定するとともに、中野駅周辺など区のまちづくりは大きく進展を見たものであります。また、東京都におきましては、都市計画区域マスタープランなどが改定されるとともに、先ほどの都市づくりのグランドデザインが策定されました。これらの状況を踏まえ、次代に向けた個性豊かで魅力あるまちを実現させるために都市計画マスタープランの改定を行うことといたしました。現在、現行の都市計画マスタープランの評価・検証等を行っており、これを踏まえて来年3月には改定骨子を作成いたします。その後、(仮称)有識者会議の知見を得る等をして、11月に改定素案を作成いたします。続いて区民意見交換会を行い、平成31年3月に改定案を作成し、パブリックコメント手続を経て31年6月に決定をしていきたい、このように考えているところであります。

 東京都の都市づくりのグランドデザインと中野区都市計画マスタープラン、この関係であります。中野区都市計画マスタープランの改定に当たりましては、東京都の都市づくりのグランドデザインで示された方向性を十分勘案していくものとしております。

 都市マス改定による建てかえ促進及び施策の展開についてであります。用途容積の緩和などによる土地利用の増進は、木造密集地域の改善や拠点地区の機能強化などにおいて、建築物の建てかえを促進する上で効果があると考えております。一方、建築物の建てかえ促進や容積の拡大のためには、道路拡幅など基盤整備も進める必要があり、それらを総合的に推進するまちづくりのあり方について、現行の都市計画マスタープランの評価・検証や(仮称)有識者会議での意見などを踏まえながら検討をしていきたいと考えております。また、この都市計画マスタープランで示された内容に沿ってまちづくり施策を展開していきたいと考えております。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 教育課題について、英語教育の充実についての御質問でした。

 初めに、英語教育についての新たな動きに対しての区の見解です。中野区では、今年度5月に作成された中野区教育大綱において、取り組みの一つとして、「未来を拓く力を育む教育」を掲げ、多様な人々との交流や相互理解のための語学、コミュニケーション能力を着実に身につけることとしてございます。また、教育ビジョン(第3次)におきましても、取り組みの方向性の一つに、外国語活動・英語教育の充実を掲げているところでございまして、来年度から5・6年生の外国語活動を15時間ふやすなど国が示す新たな動きに合わせ適切に対応することとしてございます。

 続きまして、区立中学校の英検受験の取り組み状況です。区立中学校全校において英検受験については生徒に勧めているほか、そのうちの9校においては、学校を準会場として学校自体で自主的に取り組んでいるところでございます。

 他区における英検の補助の状況についてです。今年度23区におきましては、5区で実施をしていると把握をしております。

 英検の受験の奨励と受験費用の補助についてです。英語検定等の各種検定試験を受験することは、児童・生徒が進んで学習に取り組んだり目標を持って努力をしたりする姿勢を養うとともに、学力向上や自己肯定感を育むことにつながり有効であると考えており、今後も積極的に推奨をしてまいりたいと考えています。学校教育における学習では、教科書における基礎的・基本的な事項を踏まえ、発展的に学ぶことが重要であると考えてございまして、検定はそうした学びの発展に向け、多様に考えられる選択肢の一つと認識しています。したがいまして、公的な費用負担については慎重に検討してまいりたいと考えてございます。

 次に、教員資格を持つ人材による英語教育のサポートについてです。現在学校支援ボランティアや大学生等によるボランティアなどで小・中学校への支援を英語教育等をはじめとして行っているところでございます。今後も学校のニーズを地域に発信することにより、より多くの支援を受ける体制を整えてまいりたいと考えています。

〔子ども教育部長横山俊登壇〕

○子ども教育部長(横山俊) 私からは、教育課題のうちの御質問の中で、その他のうち3点ほどお答えを差し上げたいと思います。

 初めに、緊急対策で整備をいたします区保育室の運用、設置期間についてのお尋ねでございました。平成30年4月時点におけます待機児童の解消に向けました緊急対策といたしまして暫定的に公園等を利用し、区立の保育室を整備するというものでございます。これら施設の運用期間につきましては2年と限定をしておりまして、平成32年4月以降解体撤去し、公園につきましては原状回復を行うという計画としたものでございます。こうした対策につきましては、区議会への御報告をはじめとしまして区報に掲載しているほか、整備用地周辺住民を対象とした説明会を通じまして、設置期間等も含めて明らかにしているところでございます。

 次に、これらの施設の運用が終了するときの園児の受け皿についてのお尋ねでございます。今回の緊急対策によりまして整備される保育室において、平成31年4月に3歳児として接続を要する平成30年度の2歳児の数は48人でございます。この48人を含む平成30年度の区全体の2歳児の保育需要見込みは1,266人でございます。今般中間の見直しを進めております子ども・子育て支援事業計画、これの検討の中におきましては、平成31年における3歳児の保育定員を1,276人と見ておりまして、この中で緊急対策による保育室の園児の接続を図ることとしております。同様に平成32年4月につきましては、この中間見直しの後に改定を行います次期の子ども・子育て支援事業計画の中で確保していく考えでございます。対象となる利用者の方々に対しましては、新園の開設や近隣保育所の空き状況などを適宜把握いたしまして、必要な情報提供を行ってまいります。

 次に、整備工事期間中の安全対策、それから運営開始後の近隣への配慮についてでございます。工事期間中におきましては、周辺道路での工事車両の駐車を行わないこととするほか、交通誘導員を配置し、歩行者、一般車両、工事関係車両の誘導を行いまして周囲の安全管理に努めることとしております。また、園内には、駐輪等のスペースを設けまして、園児の送迎時における出入り口付近での滞留や交通の妨げとなる自転車やベビーカーなどが路上へ駐車することと等を行わないようにするなど配慮することとしております。保育室の運営開始後におきましては、保育事業者から必要に応じて運営内容などの説明を行うほか、保育室に対する御意見等につきましては、区や保育事業者の施設長などが窓口となり責任を持って対応することとしております。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 私からは、緊急対策により整備いたしました保育園施設解体後の公園などの復旧工事についてお答えをいたします。

 保育園施設解体後の復旧工事につきましては、原状回復を主眼とはいたしますが、その際に、他に整備改良が必要な場合には考慮したいと考えております。

〔都市政策推進室長奈良浩二登壇〕

○都市政策推進室長(奈良浩二) 私からは、シティセールスにつながる広報戦略についての御質問にお答えをいたします。中野区の情報が一つにまとまった資料を作成し活用してはどうかといった御質問でございます。

 区の概要や観光情報などを一つにまとめた資料は、さまざまな場面において中野区を総合的に紹介する有効なツールと考えられ、これを多言語で作成することも海外向けの情報発信として効果的であると考えてございます。他自治体の事例なども参考にしながら、効果的でわかりやすい情報発信のあり方について研究してまいりたいと考えてございます。

〔経営室長篠原文彦登壇〕

○経営室長(篠原文彦) その他の項目で防犯カメラに関する質問にお答えをいたします。

 初めに、防犯カメラの調査結果、それから区主体の防犯カメラの設置についての御質問でございます。現在調査結果を地図情報に登載する作業を進めておりまして12月中には完成する予定でございます。その結果、どの地域が空白ゾーンになっているかを把握いたしまして、その地域への防犯カメラの設置について関係する町会・自治会に働きかけるなど、網羅的、面的な防犯カメラの配置に結びつけていきたいと考えてございます。

 また、区内の交差点などの重要ポイントで未設置の箇所につきましては、空白ゾーンとのバランスを考えながら区独自の防犯カメラの設置についても行っていきたいと考えているところでございます。

 続きまして、防犯カメラの維持経費についての御質問でございます。町会・自治会・商店街が独自に防犯カメラを設置していくことは地域の安全・安心のために大変重要であると考えてございます。防犯カメラのイニシャルコストのみではなく、維持管理にかかるランニングコストを補助することについては、その負担に応じた適切な支援のあり方について検討してまいります。

 最後に、IoT施策の推進についてでございます。今後設置していく防犯カメラにつきましては、ビーコン受信機能を搭載するなど、見守りや犯罪抑止に活用できるものを推進していきたいと考えてございます。

[2]高橋かずちか議員登壇

○11番(高橋かずちか) 英語教育推進の中での英検実施に際しての補助について再質問をさせていただきます。

 先ほど教育長から中学で9校実施しているところがあるという話がありました。その前段でグローバル化の中で英語教育をさらに進めていく。そしてそのレベルもどんどん、社会も、あるいは高校や大学も上がっていくという中で、教育長の御答弁ですと、多様なメニューの中で英語教育をブラッシュアップしていくという話があったんですけども、そういう実績、あるいはさらにその生徒の学ぶ力を育てるためにも、5区の自治体が実施しているというところを参考にしていただいて、慎重な検討ということはやらないような受けとめ方を私はしたものですから、ぜひ積極的に子どもの英語、グローバル化に向けて大きく展開できるように前向きな御答弁を期待したいと思います。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 再質問にお答えをさせていただきたいと思います。

 先ほども御答弁申し上げましたように、外国語科教育、英語教育は非常に重要だというふうに認識をしております。他区の状況も踏まえながら、十分検討してまいりたいというふうに思っています。

○副議長(南かつひこ) 以上で高橋かずちか議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 甲 田 ゆり子

 1 子育て支援について

  (1)子どもの貧困対策について

  (2)児童相談所の設置について

  (3)その他

 2 相談窓口のワンストップ体制について

  (1)在宅療養支援について

  (2)子どもの発達支援について

  (3)その他

 3 防災・震災対策について

  (1)避難所運営について

  (2)コンポスト型トイレについて

  (3)生活再建情報の備えについて

  (4)その他

 4 哲学堂公園の再生整備計画について

 5 その他

 

○副議長(南かつひこ) 次に、甲田ゆり子議員。

〔甲田ゆり子議員登壇〕

○13番(甲田ゆり子) 平成29年第4回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告どおりで、5番のその他はありません。

 初めに1番、子育て支援について伺います。

 (1)子どもの貧困対策について伺います。子どもの貧困という言葉は、昨今よく耳にするものとなってきました。子どもの貧困といっても子どもが貧困なのではなく、その率の出し方は平均的な所得の半分に満たない世帯で暮らす17歳以下の子どもの割合であります。厚生労働省がことし6月に公表した調査によると、いわゆる子どもの貧困率は12.7%で、12年ぶりに改善したとはいえ、7人に一人と依然高い水準であります。日本財団の子どもの貧困対策チームがまとめ、昨年9月に発刊した著書「子供の貧困が日本を滅ぼす 社会的損失40兆円の衝撃」によれば、教育格差を解消することによって進学できる子どもたちがふえれば、社会に支えられる側から支える側に回ってくれるようになり、将来的には財政収入を生み出してくれるとあります。しっかりと対策を打てば、将来、確実に効果があらわれることは間違いないものと考えます。経済力が乏しく十分な教育が受けられないことによる貧困の連鎖は問題であり、何としても解消に努めなければなりません。しかし、子どもの貧困率は相対的な貧困率であります。両親の共働き世帯が急増し、高所得世帯が多くなっていることで水準は上がるため、相対的な貧困世帯は当然多くなりますし、貧困の連鎖が起きる原因は、必ずしも経済状況だけではありません。現代においては、心の貧困、関係性の貧困、すなわち孤立していることが問題であるとも言われています。学校、家庭、地域のいずれにおいても孤立する子どもたちは、強く生きる力や自尊心が育っていないために健全な仕事や生活がままならず、支える側に回ることが難しくなります。そう考えていきますと、子どもの貧困対策には、教育費負担の軽減などの経済的支援に加えて、この関係性の貧困と連鎖の解消に対してどう支援していくかであると思います。区としてまずは、子どもの貧困の連鎖に対する効果的な対策と明確な目標を打ち出していただきたいと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 現在、その対策として中野区が行っている事業には、主には保育料の負担軽減、生活保護、就学援助、学習支援、妊娠期からの支援、入院助産、産前産後ケア、母子家庭等自立支援給付、母子生活支援施設、各種手当などなどがあります。これらの事業が子どもの成長過程や状態に応じた切れ目ない支援となっているかどうか一覧化し、見える化してみることが対策の一つの入り口となっていくのではないでしょうか。地域包括ケアシステムの体制づくりの中で、区や関係機関だけでなく、広く地域の見守り体制を整えて支援の裾野を広げていくことで、関係性の貧困対策や虐待予防にも実効的な施策になると考えますが、区の見解を伺います。

 その上で、子育て支援の担い手の方々にも共有し、コーディネートできる人をしっかりと配置していくべきではないでしょうか。あわせて伺います。

 次に、特に貧困率の高いひとり親家庭についてお聞きします。ひとり親世帯の貧困率は50.8%であり、経済的には二人に一人が貧困状態です。東京都保健福祉局が、ひとり親世帯向けに公的制度についてアンケートをとったところ、母子福祉資金など七つの制度で、「制度自体を知らなかったので利用したことがない」と答えた人が4割を超えていました。ひとり親家庭の支援を項出ししてわかりやすく提示している自治体も多くありますが、中野区では、ホームページ等を見ても、事業メニューが一通り羅列してあるものの、どういうときにどのように使えるものかわかりにくいと感じます。相談先がわからず、友人に相談し、間接的に相談してくるケースも多々あります。ひとり親世帯の支援制度の情報を整理し直し、誰が見てもわかりやすいパンフレットを作成して、ホームページ上でも情報発信をすべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 また、ひとり親世帯に対する支援、事業の効果を検証・分析し、例えば、親の就労や子どもの進学、生活保護受給からの自立など一元的に把握すべきと考えますが、御見解を伺います。

 また、中でも深刻なのは、望まれない妊娠、親に言うことができずに苦しんでいる未成年の妊娠です。緊急事態となっても役所の窓口に行くことができないような相談を24時間体制で受けている支援団体、一般社団法人にんしんSOS東京は、これまで800名を超える方からの相談を受けてきました。相談現場からの事実に基づき、ことし10月に、この団体の代表、中島かおり氏が著書「漂流女子」を発刊されました。虐待や性暴力、性風俗などで苦しむ女性を数多く救い、孤立状態から地域社会につなげてきたエピソードが衝撃的に書かれています。公的制度では救えなかった事例にも多数対応しており、志ある専門家集団の知恵の結集により、解決の道はあるという希望の光を放っています。最近では、高校卒業ができなかった場合の学び直しの支援も拡充されてきており、そのような支援の結びつけ等も行っています。今後、子どもの貧困の連鎖を断ち切るためには、このような団体とも協力をして、親にも相談できず苦しんでいる少女たちを漂流させない支援を検討していくべきではないでしょうか。

 世田谷区では、ホームページにもアップしているひとり親向けのパンフレットに、「未婚で母親になるあなたへ」という見出しをつけています。ひとり親世帯の支援パンフレット等で情報発信をする際には、そのような入り口を設け、さきの団体のような伴走型の寄り添う支援があるということも明記していくベきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 さらに、ひとり親世帯やそれに準ずる養育困難家庭の支援としては、家庭へのアウトリーチ型支援を拡充すべきと考えます。現在区では、以前からあった育児支援へルパー制度を産後ケア事業の一つである産後ドゥーラによる家庭派遣支援制度に切りかえ、養育支援へルパー制度は残しています。この養育支援へルパー制度は、家事・育児の支援を行うヘルパー事業所などから派遣されますが、養育困難家庭、特に小・中学生、または高校生になった課題のある子どもに対して、年齢の近い若いワーカーが勉強を教えてくれたり話し相手になったりする支援が今後重要であると考えます。このようなことを得意とする事業所からも支援者派遣ができるよう、この制度に組み込んではいかがでしょうか、伺います。

 情報の整理・発信・支援の拡充により、子どもの貧困対策をさらに前に進める施策を打ち出すことで、中野区の子どもを守る姿勢をあらわすべきと申し上げ、区長の子ども・子育て施策全般に対する今後の展望を伺って、この項の質問を終わります。

 次に(2)児童相談所の設置について伺います。児童相談所設置については、都内でいち早く事務移管を決めたのが中野区であり、区長の英断を高く評価いたします。実際には先行実施の3区に続き、3年後の移管が予定されています。目下一番に整えなければならないのは、児童福祉司の人材確保であり、育成を加速させなければなりませんが、東京都の児相に年間1名ずつ派遣している職員だけでは十分ではありません。今後どのように人材育成をしていくお考えなのか伺います。

 ことし7月、厚生労働省は、児童虐待などにより親元で暮らせない子どもの受け皿について、就学前の子どもの75%以上、就学後の50%以上を里親に担ってもらう新たな目標を公表しました。多くの子どもがより家庭に近い状況で暮らせる環境づくりを促すためですが、里親自体がいまだ中野区では13家庭しかおりません。

 そこで、改めて参考に伺いますが、現在中野区の子どもで一時保護所、乳児院、児童養護施設で暮らしているいわゆる社会的養護の子どもは何人いるのでしょうか。その子どもたちは全て中野区民であります。最低でもその子どもたちの半数分は里親家庭があることが理想です。里親同士のピアサポートの観点からも、この3年間の里親家庭の増加目標とそのためのロードマップを定めるべきではないでしょうか、お考えを伺います。

 この項の最後に、一時保護所について伺います。区は、一時保護所の中で子どもの扱いに大きな全国格差があることは認識されていますでしょうか。一時保護所の実態を取材した慎泰俊氏は、ことし1月に発刊した著書「ルポ 児童相談所 一時保護所から考える子ども支援」の中で、全国の一時保護所を回り、時には泊まり込み取材する中で、非常にその運営に格差が生じていることを報告しています。特にキャパを超えているような都市部の保護所では、子どもは24時間監視され、日常全てのことに対して許可を得なければならず、自由のない状況に閉じ込められており、経験者は後に本当に地獄だったと明かしているそうです。虐待などで親から引き離され、いつ、どこへ措置されるのか全くわからずに生活をする苦しさは、経験した人でなければわからないのかもしれません。どんな子どもも愛情のある家庭で育つ権利があるとともに、自由と希望、尊厳を持った生活を送る権利は奪ってはならないと考えます。中野区に新たに一時保護所を設置していく場合には、将来にわたりどこまでも子どもの人権を守り、子どもの安心・安全地帯となるよう、子どもの権利を追求する理念を確立すべきであると考えますが、区の見解を伺います。

 中野区は、地域の皆で中野の子どもを育てるという機運を広げるためにも、今回の児童相談所の移管を契機に、その理念を中野区全体の子育て支援の骨格に据えて、学校、家庭、地域においても子どもたちの安心できる心の居場所が失われることのない中野区を目指して取り組んでいただきたいことを要望し、この項の質問を終わります。

 次に2番、相談窓口のワンストップ体制について伺います。

 中野区では、身近な地域ですこやか福祉センターが中心となり、その中での連携により、区民の保健福祉に関する相談をワンストップで受けられる体制づくりを目指していますが、多種多様な相談がある中で、専門性の高い相談にも十分に応えることが求められています。

 そこで、まず1点目に、在宅療養の相談について伺います。高齢者が退院後の行き先に困っている御相談をよくお受けいたします。病院入院期間短縮に伴い、短期間のうちに在宅療養の準備を整えなければならないことが多いのが現状です。在宅療養生活を支援するための基盤整備は進められてきていますが、周知や情報提供が重要です。現状の窓口は地域包括支援センターとなっておりますが、専門の相談窓口を設けている区もあると聞いています。中野区としても、医療の専門性を持った在宅療養に関する相談支援窓口を開設すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、子どもの発達支援について伺います。私は以前より、子どもの発達相談に関して、入り口の問題、関係機関への切れ目ない連携の問題、親に対する配慮の問題を課題として取り上げてまいりました。子ども・子育てに関する相談を受けることができるとしているすこやか福祉センターには、児童発達支援を専門とする資格や役割を与えられた人の配置がないことが課題であります。障害者相談支援事業が初めからかかわることもあるようですが、初期の見立ては、児童発達の専門家がまず受けとめて、親の気持ちにも配慮した上で、適切な関係機関につなぐことが大切であると考えます。先日の厚生委員会で報告をされた中野区健康福祉総合推進計画2018(素案)の中でも、「すこやか福祉センターにおいて、発達心理などの専門性を持った人員体制の確保をすることにより、保護者への相談支援の充実を図る」とあります。よって、すこやか福祉センターの中に、入り口のかなめなる発達全般や情緒的な問題、集団への適応などの相談もできる心理士等の専門相談員を配置し、ミニ児童発達支援室という形で位置付けてはいかがでしょうか、見解を伺います。

 近隣区では、子ども発達相談センターを開設し、発達や育児の不安について相談できる窓口を開設しています。心理士、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、保健師などを置いてトータルに相談が受けられる体制をしいている区もあります。このような専門的相談が一貫して受けられるよう、子育て支援担当が中核となってしっかりと状況を把握して調整していくべきと考えますが、区の見解を伺います。

 この項の(3)その他で、区の目指すワンストップのあり方についてお伺いします。そもそもワンストップとは、一つの場所で何でもそろっているというときに使われる言葉ですが、福祉や生活の相談が身近な地域でたらい回しされずに何でもできるというのは理想的です。しかし、希少なケースや複雑・困難ケースにおいては、身近なすこやか福祉センターに全てがそろえられない場合も当然あると考えます。身近な場所で相談を受けられますと言いながらも、比較的単純で一般的な対応しかできずに相談者の思いに応えられず終わってしまうなど、不十分な対応になるのであれば、それはワンストップとはなりません。現在そのような課題があり、特に障害や難病、子どもの発達相談に関しては、専門的な拠点が区内に1カ所でもあることによって目的が達せられるのであれば、むしろそちらのほうを望まれる区民の方も多いものと考えます。そのような観点から、区の目指すすこやか福祉センターでのワンストップは、身近な場所でということと、専門性と質の高いという両面を備えた福祉の相談サービス体制を真に構築していくお考えなのかどうか伺います。この両面を追求した真のワンストップの構築を目指し、さらに取り組みを前進させていただきたいことを要望し、この項の質問を終わります。

 次に3番、防災・震災対策について伺います。

 (1)避難所運営について伺います。現在、中野区には48カ所の避難所があり、それぞれ複数の地域防災会が一緒に避難をすることになっています。避難所ごとに避難所運営会議を設け、マニュアルをつくり、震度5強以上の地震が発生した場合の対応について確認し合っています。この会議は、各避難所に属する地域防災会の自主性を重んじ、年一、二回程度、区の防災担当分野の援助を受けて区民活動センターの職員が連絡調整役となって開催されていますが、場所によっては、地区町連など日ごろの活動をともにしていない地域の方々と同じ避難所になっているところもあり、連絡体制も弱くなる場合や、運営会議によってその体制に温度差があり、支援の強化が急務と感じます。その一つは、机上の会議や会場見学だけでなく、より現実的な避難所開設訓練を全ての避難所で行うべきであると考えますが、開設訓練の実施状況はいかがでしょうか、伺います。

 諸事情によりうまく進んでいないところには、会議の推進役となるコーディネーターの派遣など支援を強化すべきと考えます。区は現在、地域の中に、自助・共助について深い知識と技術を有し、災害時に地域防災会の指揮のもと、現場の調整等を任せられる人材として各地域に防災リーダーを養成しています。また、支援の強化として、養成した防災リーダー、または防災会の幹部がその地域の運営会議体制づくりの推進のためのコーディネーター役となれるよう育成してはいかがでしょうか、伺います。

 さらに、避難所運営会議においても、開設訓練に加えて避難所運営ゲーム(HUG)などの図上訓練も強化すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、生活再建情報の備えについて伺います。避難所には、物資だけでなく知識・情報も備蓄しておくことが必要と考えます。第1回定例会で我が会派の久保議員も取り上げましたが、災害復興法学を提唱する弁護士の岡本正氏は、災害後の暮らしにどんな法的支援制度があるのか、また必要なのかを教えています。岡本氏は、2011年の東日本大震災で、弁護士が受けた約4万件に及ぶ法律相談の記録をデータベース化したことから、それをもとに国に要望をした結果、住宅ローン減免制度や相続放棄の期間延長などを実現したそうです。私も一度直接講義を受け感銘しましたが、避難所で暮らす人たちが、家も仕事も失ってこれからどう暮らしていけるのか途方に暮れることがあります。そういったときのために情報をまとめたフリーペーパーをいただきました。生活再建に一歩踏み出す公的支援はどんなものがあるのか明解に掲載しているものです。罹災証明書から始まり、支援金、見舞金、義援金、住宅ローンの免除・減額、損害保険の照会先についてなど、わかりやすく記載されています。情報の有無によってどれだけ早く再建の一歩を踏み出せるかに影響があると考えます。このような情報チラシを避難所に備えておき、場合によっては帰宅困難ステーションなどの情報も掲載し、また、避難所の開設、避難所収容対象者の原則、近隣の医療施設や福祉避難所の情報なども加えて、避難してくる方に取り急ぎお渡しするというペーパーをあらかじめ備えておくことも必要であると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 また、このような考え方をまずは学んでみる場として、防災会の幹部や防災リーダー、民生委員などの研修に災害復興法学の講座を取り入れてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。また、さらに、区の職員に対しても、被災者の生活再建に向け、災害復興法学など法的支援制度を習得する研修を取り入れてはいかがでしょうか、伺います。

 次に(3)コンポストトイレについて伺います。大地震の際には、排水管に亀裂が入り上下水道が使用できないこともあり、マンション等の防災予備知識としては、お風呂にためた水をトイレに流すのは大変危険であるということは、今や常識になりつつあります。避難所にはマンホールトイレの設置がされますが、普通の水洗トイレは上下水道が復旧するまで使用できなくなります。そこで行政は、住民の皆さんに日ごろから、凝固剤入りの災害用の携帯・簡易トイレを備えておくようお勧めをしています。しかし、いざ震災が起きた場合、区では上下水道が復旧するまでの間、自宅が住める状態であってもトイレが使えない住民の皆さまへどのようなアナウンスをすることになっていますでしょうか。簡易トイレを何枚かは備蓄しているお宅も多いと思いますが、実際に使ってみると、ビニールを何重に縛ってもにおいは消えず、置き場所にも困ります。ごみの収集日でない日に外へ出してしまうお宅も多くなることと思います。夏であれば、一気にまち中が最悪の環境となります。また、簡易トイレを、例えば復旧までの1カ月分用意するとなるとかなりの金額がかかってしまいます。生ごみを土にまぜて微生物で分解させる生ごみ処理のコンポストは、我が家でも経験がありますが、毎日軽くまぜるだけで2週間で生ごみが土と変わり、肥料たっぷりの質のよい土となります。このコンポストを応用したコンポスト型トイレを提案している中野区の上高田住民フォーラムの方たちの講演を先日じっくりとお聞きする機会がありました。排泄物は90%が水であるため、生ごみよりも分解が早く、三日もすれば跡形もなく消えてしまうとのことです。1年近くかけてさまざまな方法で実証実験もしてみたそうですが、特ににおいも気にならず問題がなかったとのことでした。このトイレの知識があれば、震災時すぐに、自宅内にある衣装ケースや段ボール箱の中に花壇や植木鉢の土を入れるだけで簡単につくれます。あとは土をまぜるためのシャベルは、台所にあるフライ返しでも代用できます。お金がかからず、ごみもにおいも出ないこのトイレのことを学び、知識の備えとして普及しておくことは、住民の環境衛生を守る上でも有益であると考えます。

 そこで、集合住宅や各家庭に大災害時にはこのようなコンポストトイレにすることを勧める方法も検討してはどうかと考えますが、いかがでしょうか、伺います。例えば、防災リーダー研修、防災訓練等に取り入れ、区報、ホームページなどで紹介、周知してはいかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 最後に4番、哲学堂公園の再生整備計画について伺います。

 哲学堂公園を中心とする周辺都市観光拠点整備計画については、私が初当選した最初の質問である平成23年第3回定例会で伺った、歩きたくなる道の構想にも近いものがあり、今後の中野区の発展に寄与するものと歓迎しているところです。しかし、一方で、一般公園部分として長年使われてきた児童遊園では、特に毎朝ラジオ体操の方々が100人程度集ってきています。ことし9月の半ば、このたびの計画案を聞かれた区民の皆様から私は直接要望を受け、すぐに現地視察をさせていただきました。その後、10月5日に出された、哲学堂公園再生整備基本計画(案)では、児童遊園の計画イメージ図が出されました。この計画案がそのまま実行されてしまうと、ラジオ体操の会場としてはとても狭くなってしまうという計画でした。10月18日・19日に行われた区の説明会にも出席をさせていただきましたが、そのときの案では、広場機能として、現在の1,600平方メートルのうち700平方メートルしか残らないとのことでした。昨日の自民党伊東しんじ議員からの「再考を求める」との質問により、区長から「要望を踏まえ、施設配置についてさらに検討していきたい」という旨の答弁がありました。

 そこで、私からも伺います。例えば、駐車場などの施設配置を見直すことによって、現状と変わらない場所で、100人規模のラジオ体操ができる程度の広場面積がとれるものと考えます。できる限りの広場面積を残し、その中で、人気のある遊具等も新たに設置をして、ラジオ体操の皆様の健康増進の場の継続、乳幼児親子なども楽しめる児童遊園としてのさらなる機能向上を検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 そして、今後も長く健康増進の場として継続できるよう、計画のコンセプトにしっかりと位置付けもしておくべきと考えますが、区の見解を伺います。

 また、この哲学堂公園は、井上円了氏の哲学を広めるというよりも、その哲学を表現した文化財としての価値を継続させ、哲学堂創設のときに立ち返る再生整備をするものと捉えております。そうであるならば、その内容を教え伝える学習のための施設はあってもよいものと考えますが、本当にこの施設へ人を呼び込むつもりがあるのならば、哲学堂通りから児童遊園に至るアプローチは、人がわくわくしながら歩けるプロムナードとして整備すべきではないでしょうか。その沿道に整然と樹木を植えて、季節を楽しめる一つの名所として整備してはいかがでしょうか、伺います。

 そして、そのプロムナードを経由して入場してきたときに見えてくる施設は、自然豊かな公園、そして哲学堂77場の古建築と融合し、存在感をあまり感じさせないデザインの建物で、かつ木造のような仕立てにしてはいかがでしょうか、伺います。

 四季の森公園、平和の森公園と同様に、樹木の伐採に対する嫌悪感をあらわす方々も多いとは思いますが、都会の中の公園である限り自然林ではありません。一度人間が手を入れたものは、当然のことながら一定の手入れをすることや、限られた資源をより有効に生かす観光拠点整備等も必要であると考えます。しかし、一方で、何も整備をせずにそのままの状態を残すべきと主張されている方もおり、どちらがより区民の利益に供するのか、区民の意見も分かれていると感じます。区はどのようにお考えでしょうか。そのことへの見解を伺い、計画の再生整備に当たっては、緑豊かで、地域住民の思いを大切にした憩いの空間をつくり上げていただきたいことを切に要望いたしまして、私の全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 甲田議員の御質問にお答えいたします。

 子育て支援についての御質問の中で、子どもの貧困の連鎖に対する効果的な対策と目標の設定をという御質問でした。区としては、経済的支援に限らず、妊娠・出産から子育て期にわたってトータルに養育や子どもの育ちを支えるサービスを展開することによって、孤立や子育て不安などさまざまな課題のある子育て家庭を総合的に支援しているところであります。こうしたきめ細かい支援の積み重ねによって、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会づくりを進めていきたいと考えております。子育て支援策の展開に当たりましては、さまざまな状況を捉え、目標を設定し、対策を講じ、より効果的な支援につなげてまいりたいと考えております。

 関連施策の情報共有、またコーディネートをする人材の配置といった御質問がありました。区関係機関、地域等の連携によって子育て家庭の課題の発見、予防の裾野を広げていくためには、区の担当をはじめ、全ての関係者がそれぞれの行っている施策、事業等についてきめ細かく情報を整理、そして共有する必要があります。区としては、地域における子育て支援の裾野を広げていくコーディネートの役割を地区担当職員、すこやか福祉センターを中心とするアウトリーチチームに担わせることとし、区民活動センターごとに配置をしたところであります。今後、十分にこの役割が果たせるよう、職員の育成や業務の充実に努めていきたいと考えております。

 ひとり親支援の情報発信についてであります。ひとり親世帯の支援制度に係る情報発信については、これまでも子育て支援ハンドブックやホームページで取りまとめて案内をしているところであります。今後ホームページの画面での見出しの立て方や構成、わかりやすい文章表現等、情報の質の向上に努めてまいりたいと考えております。

 ひとり親世帯に対する支援、事業の効果の検証・分析、一元的な把握についてです。ひとり親世帯に対する支援に当たっては、それまでの経過や適用している施策、事業の内容やその効果などを時系列に沿って網羅的に把握していくことが非常に重要であります。(仮称)総合子どもセンターでは、子育て支援、虐待内容等に係る対応事例の分析・検証、ノウハウの蓄積を行い、一人ひとりの状況に即した対応方針の確立や施策の立案を行う機能を確保していく予定であります。

 望まれない妊娠への対応に係る情報発信について。ひとり親世帯の情報発信については、子育て支援ハンドブックにおいて、改めてひとり親世帯等への支援として項目立てをするなどの改善を図ってきたところであります。望まれない妊娠にかかわる情報発信のあり方については、今後他区の取り組みも参考にしながら検討してまいりたいと考えております。

 養育困難家庭の子どもへの支援についてであります。養育支援ヘルパー派遣制度では、家族等の援助が受けられず、児童の養育について支援を必要とする家庭に訪問し、家事、子どもの世話、登園登校の支援、育児への助言、関係機関への連絡等を行っております。親の養育を支えることが支援の中心となっているところですが、子どもの成長に寄り添った、子ども自身への支えとなる事業展開についても留意をしていくことが必要であると認識をしております。学習支援等、他の関連する事業との関連も含め研究をしてまいります。

 子ども・子育て施策の今後の展望について。経済的支援や学習支援、虐待防止などの対策以外にも産前産後のケア事業、家庭状況に応じて利用できる育児サービスなど、発達段階に応じた支援や心理職などを含む各種の専門相談等を総合的に展開していくことが必要だと考えております。情報の共有、支援の充実により、区、関係機関、地域が有機的につながり、子どもと家庭への支援の輪を広げていけるよう努力をしてまいります。

 児童相談所の設置に関連して児童福祉司の人材の確保・育成についてであります。児童福祉司の確保・育成については、児童相談所への派遣研修のほか、人事ローテーションにより、子ども家庭支援センターのワーカー経験者を確保するとともに、援助スキル向上、面接技法等にかかわる専門研修の積極的な受講や児童相談所派遣を経験した職員等によるOJTの充実等によって多角的にスキルの向上を図るほか、必要な人材確保に計画的に取り組んでいくこととしております。また、児童相談所への職員派遣については、東京都以外の児童相談所も視野に入れ準備を行っているところであります。

 現在、社会的養護に置かれている子どもの人数ということであります。平成29年11月現在、一時保護所、児童養護施設、乳児院へ措置している中野区の子どもの数は、一時保護所が4人、児童養護施設が69人、乳児院9人となっております。

 こうした中での里親推進の増加目標とロードマップについてであります。現在、中野区の登録養育家庭、いわゆる里親は13家庭であります。区としてもより多くの子どもが家庭に近い状況で暮らすことのできる環境づくりを進めていきたいと考えており、里親制度の推進は、大きな課題の一つであると認識をしております。今年度から新たな取り組みとして中野区内の里親の方々と連携した普及啓発の取り組みを始めたところであります。他の自治体の例なども参考にしながら、効果的な推進のあり方について検討し、目標設定や施策の展開につなげてまいりたいと考えております。

 一時保護所を設置するに当たって、一時保護所の理念について。一時保護所については、児童福祉法の改正により児童の安全の迅速な確保、適正な保護といった緊急一時保護的な目的と児童の心身の状況、置かれている環境などの状況把握といったアセスメントの目的が明確に位置付けられたところであります。区としては、こうした双方の目的をしっかり果たすとともに、子どもの権利が保障された一時保護、そうした施設に向けて整備のあり方を検討しているところであります。

 相談窓口のワンストップ体制についてという御質問であります。在宅療養支援について、在宅医療・介護連携に関する相談支援窓口の開設について。高齢者に限らず、障害者や子どもなど、在宅で医療的ケアを必要としている区民からの相談や医療・介護連携のための相談支援は、地域包括ケア体制を構築していく上での課題であると認識をしております。こうした在宅医療・介護に関する相談支援は、各地域ですこやか福祉センターが担うべき機能と考えておりますが、窓口のあり方について他自治体の取り組みなども参考としながら検討をしてまいります。

 すこやか福祉センターにおける児童発達相談について。すこやか福祉センターでは、乳幼児健診等の機会を捉え子どもの発達相談を実施しておりますが、近年こうした個別相談を求める保護者のニーズが増加傾向にあります。こうした状況を踏まえ、今後は心理職等を活用した専門相談を強化し、発達に課題がある子どもと保護者への支援を充実させる方向で検討を進めてまいります。

 子どもの発達支援にかかわる中核的役割についてであります。子どもの発達相談を実施するすこやか福祉センターや専門療育機関等がそれぞれの機能を十分に発揮するとともに、しっかりと連携を図り、子どもや家庭への一貫した支援を地域で展開することができる体制を整えていくことが重要であります。子育て支援担当は、子どもの発達支援にかかわる総合調整の役割を担っております。地域における展開が円滑に行われるよう、専門性を持った助言を行ったり、関係機関連携の仕組みの構築を図るなど、体制の強化を図ってまいりたいと考えております。

 区が目指すワンストップについて、身近という観点と専門性と質の高いという両面を備えたサービス体制を構築していくべきではないかということでありました。すこやか福祉センターのワンストップサービスは、区民が抱える保健福祉や介護等の問題を身近な地域で総合的に捉え、また、その人の家庭状況の変化やライフステージに合わせた継続的で一貫した相談支援を目指したものであります。ここで求められるスキルは、不安を持って訪れた区民の訴えを受けとめ、援助や解決すべき課題を明らかにしながら利用可能なサービスを提示し、医療や介護、療育などさまざまな機関が提供するサービスの利用に確実に結びつけていくための専門的な知識と技術であります。今後ともすこやか福祉センターの機能充実のため、職員育成に計画的に取り組んでまいりたいと考えております。

 私からは以上です。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 防災・震災対策について、それから哲学堂公園の再生整備計画についてお答えを申し上げます。

 まず、防災・震災対策についてでございます。避難所における避難所開設訓練の現状でございます。これまで避難所ごとに年1回以上の避難所運営会議を開催するとともに、多くの避難所で毎年、または隔年で避難所開設訓練を実施してございます。訓練が行われていない地域につきましては、区として実施を働きかけてまいります。

 それから防災リーダーの活用についてでございます。現在区で養成した防災リーダーは、各防災会の推薦を受けた人や地域防災力向上を志として持つ方などさまざまな方がおり、既に防災会の運営会議体制づくりのためのコーディネーター役や実際に訓練計画作成の推進に当たっておられます。防災リーダーの養成は、5カ年間、毎年約50人程度を養成する計画でございます。今後防災リーダーの人数がふえることによりまして、一人のリーダーに負担がかからない体制をつくり、避難所運営会議への参加を促していきたいと考えてございます。

 それから、避難所への生活再建情報チラシの備えでございます。震災など、大規模な災害発生時の行政等からの各種支援情報などの時系列に対応した住民への周知につきましては、内容を十分に確認をした上で確実に住民に届ける必要があり、その方法につきましては今後検討してまいります。

 それから、災害復興法学の御提案がありましたが、この講座の取り入れについてでございます。被災者への罹災証明書に基づく各種の税の減免など、法律に基づく公的支援を被災者に正しく把握してもらい活用していただくことは重要でございます。災害に関する法的支援措置等につきまして、防災会の幹部などに各種制度を知っていただき、多くの被災者に対して周知することは、生活再建に向けた大きな一歩となることから、防災講演会など研修機会を検討してまいります。

 それから、断水、下水使用不能時のトイレに関する住民へのアナウンスについてでございます。震災時に上下水道が使えなくなった場合のトイレ使用につきましては、区の防災パンフレット等で簡易トイレや便袋の使用を推奨しており、簡易なし尿の処理方法や避難所の災害用トイレの利用を周知してございます。

 それから、コンポスト型トイレの普及について御提案がございました。災害による断水時にバクテリアが排泄物を分解する委員御提案のコンポスト型トイレにつきましては、その特性や効果を検証してみたいと考えております。

 続きまして、哲学堂公園の再生整備計画についてでございます。まず、児童遊園の機能向上についてです。区といたしましても、現在の児童遊園は、ラジオ体操等の健康増進活動や親子で楽しめる空間として利用されていることは認識をしてございます。今後、公園再整備基本設計、学習展示施設基本設計を行う予定でありますが、寄せられた意見を踏まえまして、ラジオ体操等の健康増進活動で利用できる空間をより確保できるよう検討を行います。

 それから、健康増進活動の計画コンセプトへの反映についてでございます。公園を利用したラジオ体操などの健康増進活動は、大規模公園が担うスポーツ、健康増進機能に当たるものであることから、健康増進機能の継続を整備コンセプトに位置付けることを検討いたします。

 それから、哲学堂通りからのアプローチについてでございます。哲学堂通りからの入り口は、植栽や舗装の整備による快適で魅力的な公園アプローチ空間として、また文化財ゾーンへいざなう格調を有した空間として整備をし、哲学堂公園全体の価値と魅力が高まる整備を行ってまいります。

 それから、学習展示施設のデザインについてでございます。学習展示施設は、有識者の意見も参考にしながら、哲学堂内の木造古建築物と一体性のある外観デザインを施し、前庭空間や文化財ゾーンと調和した建物となるように検討してまいります。

 それから、樹木の管理、整理についてでございます。中野のような都市化が進んだ空間では、自然物の人為的な管理なくしては良好な環境は保てません。樹木等につきましても、自然のよさは可能な限り守りながら、人間の生活や文化、安全性、利便性など総合的な調和の中で管理していくものでございます。公園における緑の存在は重要であり、とりわけ名勝としてのすぐれた景観を形成するために、剪定や間伐、植えかえなど一定の手入れは必要でございます。再生整備に伴い手入れすべき樹木は整理するとともに、植えかえなども行い、緑豊かな公園として憩いの空間を提供してまいります。哲学堂公園の再生整備で、世界に類を見ない哲学を表現した造園としての価値、魅力を高めることにより、国の名勝指定、新たな都市観光拠点の核へと発展するものと考えてございます。

〔経営室長篠原文彦登壇〕

○経営室長(篠原文彦) 防災・震災対策の質問の中で、法的支援施策に関する職員研修の実施についての質問にお答えをいたします。

 現在、職員向けの防災研修といたしまして、新規採用職員に対します研修であるとか、避難所運営に関する研修等を実施しておりまして、職員の防災に関する意識を高めているところでございます。今後、法的支援施策のような災害復興時に必要な知識が養われるよう、職員研修の実施について検討してまいります。

○副議長(南かつひこ) 以上で甲田ゆり子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 広 川 まさのり

 1 民泊について

 2 空家対策について

 3 学校施策について

  (1)教員の長時間労働について

  (2)医療的ケア児の対応について

  (3)2学期制について

 4 その他

 

○副議長(南かつひこ) 次に、広川まさのり議員。

〔広川まさのり議員登壇〕

○19番(広川まさのり) 2017年、第4回定例会におきまして、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。

 まず、初めに民泊について伺います。インターネットの仲介サイトなどを通じて、観光客に個人宅や投資用に所有している部屋を貸し出す民泊が全国で急増しています。民泊の市場調査を手がけるメトロエンジン株式会社のメトロデータによると、日本全国の民泊物件数は5万件に及んでいます。また、観光庁がことし7月から9月に調査した訪日外国人旅行者の日本滞在中に利用する宿泊施設の利用動向では、民泊利用率は12.4%となり、観光・レジャー目的では15%に上りました。民泊物件とその利用者が急増するもとで民泊をめぐるトラブルは後を絶ちません。

 そんな中、民泊を事実上解禁する住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が6月の国会で成立しました。民泊新法は、届け出さえすれば民泊の営業を認めることを基本原則にしています。従来宿泊業には、消防設備や衛生基準など最低限の基準を満たし、旅館業法上の許可が必要でしたが、許可がないままの違法民泊が新法により認められるというものであり、不安と懸念が広がっています。政府は新法の施行日を来年6月15日に設定しています。現状では、旅館業法の許可を受けずに宿泊営業を行うことは法律違反であり、違法行為を続ける場合は警察と協力して厳格に対応すべきと考えます。

 そこで伺います。民泊新法施行を前に、まず緊急に必要なのは、区内の民泊の実態を把握するとともに、悪質なものについては厳しく取り締まることではないでしょうか。現行の旅館業法に違反している仲介業者も厳格に取り締まるとともに、違法物件については、仲介業者のサイトから取り消すように指導すべきと考えますが、区の見解を伺います。

 区内でもマンションなど集合住宅の空室を利用した民泊が多数確認されています。一部では、深夜の騒音、ごみ出しルール・マナー違反、オートロック機能が意味をなさない実態などを引き起こしています。マンションには管理規約が設けられており、多くの管理組合は、国土交通省によって作成されたマンション標準管理規約をそのまま採用しています。ことし8月、国土交通省がマンション標準管理規約を変更し、住宅宿泊事業法に基づく民泊を可能とする場合と禁止とする場合の双方の規定例を示しました。民泊を許容するか否かを管理規約に明文化することでトラブルを防ぐというのが目的です。

 そこで、中野区として区内のマンション管理者や住人に対して、マンション標準管理規約の変更について広く周知するとともに、積極的に変更を促していくべきではないでしょうか、伺います。

 民泊が犯罪者や犯罪グループの滞在拠点に悪用されるケースも確認されています。ことし4月には、新宿のマンション民泊を利用した台湾の犯罪グループが、偽造したキャッシュカードを使い、ATMから金銭を不正に引き出すという事件がありました。また、民泊で借りた目黒区のマンションを使い、覚醒剤の密輸を行う事件も発生しています。2020年東京オリンピック・パラリンピックが近づく中、テロリストが民泊を悪用する危険性を指摘する声もあります。一昨年11月に発生したパリ同時多発テロは、実行犯が襲撃前、身元申告が求められるホテルなどを避け、民泊を利用し潜伏していたと見られています。身元確認の不十分な民泊が今後さらに犯罪やテロの温床となることが懸念されています。

 そこで伺います。国は民泊新法において身元確認の強化を求めていますが、今後、区が条例で、対面による本人確認や旅券の確認などを義務付けたとしても、全ての民泊が適切に実施していることを確認・指導することには限界があるのではないでしょうか。区の認識を伺います。

 民泊新法第18条、条例による住宅宿泊事業の実施の制限では、それぞれの自治体が定める条例により、生活環境の悪化防止を理由に、区域、期間を定めて民泊を制限することができるとされています。現在文京区では条例を制定するに当たり、規制の範囲を住居専用地域とともに住居地域や準工業地域などホテルが建設可能な地域とし、営業可能期間を土日の週二日間に制限することを検討しており、規制区域は区面積の7割を占めると言います。文京区アカデミー推進部は、民泊の適正な運営には生活環境の悪化を防ぐ取り組みが不可欠と指摘し、区民の生活を優先する姿勢が見受けられます。

 そこで、今後作成するとしている区の民泊条例において、生活環境の悪化防止に当たる区域、期間の制限についてどのように想定しているのでしょうか。また、それが区民の生活環境を優先したものとなっているのでしょうか、答弁を求めます。

 民泊新法は大幅な規制緩和となります。最低限の安全、衛生、防災設備が万全と言えない民泊を認めることは、宿泊者の安全を保障できないばかりか、これまで以上の近隣トラブルなどを生み出しかねません。そこで、民泊については届出制ではなく、旅館業法の諸法規に適合した許可制を堅持したルールを設けることを国に対し求めるべきではないでしょうか。伺いまして、この項の質問を終わります。

 次に、空家対策について伺います。高齢化や人口減少の影響で空き家は増加し続けています。マンションやアパートを含めた全国の空き家率は、2013年時点で13.5%、約820万戸に上り、2023年には21%に上昇すると推計されています。適切な管理が行われていない空き家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、生活環境の保全、空き家の利活用等に対応することを目的に、2015年5月、空家対策特別措置法が全面施行されました。空き家問題が全国的に深刻となるもとで、自治体の空き家対策に法的根拠を与えるものとなっています。これを受け、中野区でも区内における空き家の棟数、地理的分布、建物状態等の把握を目的として区内全域調査が実施されました。その結果、852棟の空き家が確認され、一部で老朽化による破損や傾斜が見つかっています。

 そこでお聞きします。現在区内において特定空家に相当する状態の空き家は何棟確認されているのでしょうか。

 先日、調査で最も多くの空き家が確認された南台にお住いの方から、「長年、空き家となっている隣の家の老朽化が激しく、時々、庭や道路に瓦が落ちてきて怖い」という声があり、現地を確認したところ、2階建ての空き家の敷地には落下した瓦の破片があり、建物自体も道路に向け若干傾斜しているということを確認しました。敷地からは木が伸び、道路の通行に影響が出ることから、近所に住む方が伸びるたびに剪定をしていると伺いました。近隣の住民からは、「地震が来ると不安」、「放火が怖い」などの声が寄せられています。この空き家の問題について対応するように区に求めたところ、「管理者に問い合わせる」とのことだったが、改善された形跡は見られません。空き家前の道路は通学路にもなっており、早急な対応が求められていますが、区として修繕や解体といった直接的な対応は難しいのが実情です。今後区は空き家対策に向けて条例を策定するとしております。この条例の中で、老朽化や破損により近隣住民や通行人の安全を脅かす空き家に対して、区が迅速かつ主体的に問題を解消できるよう緊急安全措置を定めるべきではないでしょうか。区の認識を伺います。

 使われない空き家が解体されない背景の一つに固定資産税の問題があります。建物がある土地は、土地の固定資産税が最大で6分の1まで優遇される特例がありますが、解体すれば固定資産税が最大4.2倍にはね上がります。解体にも莫大な費用がかかるため、放置せざるを得ないという状況もあります。こうした空き家の除去に対して、さまざまな助成制度を設け取り組む自治体がふえています。中野区でも不燃化特区補助制度の中で、解体除去などに補助金を出す制度があるものの、不燃化特区に限られており、全区的に存在する空き家に対応した制度の創設が求められます。文京区では、2014年度より空き家等対策事業として、特定空家の条件に当てはまる管理不全の空き家等を、除去後に区が原則10年間無償で借り上げるという名目で、上限200万円の解体費用助成を行っています。跡地は地域の安全・安心やコミュニティ形成に貢献するよう活用するとし、実際に、消火器具や防災倉庫の設置、ベンチ等を配置した憩いの広場などとして利用されています。

 そこで伺います。中野区としても、解体費の助成と解体後の跡地無償借り上げにより、地域の安全・安心、コミュニティの形成に資する利活用を検討してはいかがでしょうか。区の見解を伺います。

 世田谷区では2013年度から、区内にある空き家や空き室等の地域貢献活用を目的とした空き家等地域貢献活用相談窓口を開設し、事業は区が設立した財団、世田谷トラストまちづくりに委託しています。相談窓口では、空き家等を保有するオーナーとNPOなどの利用団体とのマッチングに取り組んでおり、2013年度の窓口開設以来、昨年度までに2,044件の問い合わせがあり、マッチングにも成功しています。中野区としても、マッチングによる空き家等の利活用を進めるための窓口の設置を検討してはいかがでしょうか、伺います。

 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律、いわゆる住宅セーフティネット法の改正法がことし10月25日に施行されました。改正法には、全国の空き家の一部を活用する住宅登録制度が盛り込まれました。低額所得者、被災者、高齢者、障害者など、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として登録することで、改修費の補助や家賃債務保証料と家賃の低廉化の補助を国と地方自治体が行うことを可能とする制度です。政府は2020年度末までに、全国で17万5,000戸の登録を目指しています。高齢化や貧困の広がる中、住生活の安定の確保に抜本的に取り組んでいかなくてはなりません。今月示された「健康福祉都市なかの」を実現する基本計画(素案)には、住宅確保要配慮者が賃貸住宅等へ円滑に入居できるよう居住支援を行うとし、居住支援協議会を設立する方針を示しました。

 そこで、今後、中野区としても、空き家を住宅確保要配慮者のために活用するための具体的な支援策を検討すべきと考えます。区の認識を伺いまして、この項の質問を終わります。

 次に、教員の長時間労働について伺います。東京都教育委員会はことし6月から7月、都内105校の公立学校における教員の在校時間について調査を行い、今月9日に結果を発表しました。それによると、公立中学校教員の68.2%が過労死ラインとされる週60時間を超える在校状況であったことが明らかになりました。小学校の教員も37.4%が過労死ラインに達しており、文科省が昨年秋に行った全国調査と比較すると、小学校では約4%、中学校では約11%、全国平均を上回る結果です。東京都教育委員会は、調査結果発表の同日に、「学校における働き方改革推進プラン(仮称)」中間のまとめを発表し、働き方改革の目的として、「教員の長時間労働の実態が明らかとなっており、教員の心身の健康に少なからず影響を及ぼすとともに、日々の教育活動の質にも関わる重大な問題となっている」とし、教員の長時間労働の改善に早急に取り組んでいく考えを示しました。また、当面の目標として、週当たりの在校時間が60時間を超える教員をゼロにすることを掲げ、平日は、1日当たりの在校時間を11時間以内とするよう取り組んでいくとしています。

 そこで、中野区として、公立小・中学校において在校時間が60時間を超える教員の人数を把握しているのでしょうか。把握しているのであれば、その割合を伺います。

 これまでも会派として、区立小・中学校における教員の長時間労働について、実態の把握と改善の必要性を訴えるとともに、在校時間を記録するICカードシステムの導入を求めてきました。都立学校においては、ことし10月から開始したカードシステムによる在校時間の記録が行われており、東京都教育委員会は、この都立学校での取り組みを参考に、小・中学校においてもICカード等で在校時間を把握することを促進するよう、各自治体の教育委員会に対し検討を求めています。そこで、中野区でもICカードシステムを導入し、区立小・中学校教員の客観的な勤務時間を把握できるようにするべきではないでしょうか、見解を伺います。

 中学校において教員の在校時間が長い理由の一つとして部活動が挙げられています。東京都教育委員会は、部活動のあり方を見直し、その適正化を図るとともに、顧問業務に従事する教員の負担軽減を図るとし、練習時間や休養日の設定、適切な指導体制のあり方等についてガイドラインの作成を検討するとともに、週休日である土曜日・日曜日については、どちらか一方は必ず休養できるよう取り組んでいくとしています。

 また、文科省はことし1月、中学校の運動部の部活について、休養日を適切に設定するよう求める通知を全国の教育委員会、都道府県知事などに出しました。2016年度に行った調査で、2割を超える中学校が休養日を設けていなかったためで、通知では、適切な休養を伴わない行き過ぎた活動は、教員、生徒ともにさまざまな無理や弊害を生むと改めて指摘しています。

 そこで伺います。中野区においてガイドラインを設けるなどして、東京都教育委員会や文科省の示す部活動の練習時間や休養日の設定、週末日の連続業務の是正を明確に定め、区内全校での徹底に努めるべきと考えます。区の認識を伺います。

 このたび示された「学校における働き方改革推進プラン(仮称)」中間のまとめでは、「学校における働き方改革を進めるためには、各学校がその実態に応じた取組ができるよう、服務監督権者である教育委員会が、改善目標を含む実施計画を策定することが必要である」としています。教員は労働者として健全な心身を保障されてこそ、初めて子どもたちとじっくりと向き合うことができます。中野区として教員の負担軽減と労働環境を抜本的に改善する策を盛り込んだ実施計画を策定するべきと考えます。見解を伺います。

 これまでも教員の負担軽減につながり、学習面や児童・生徒とのつながりの形成、いじめ対策にも資する少人数学級の実施を求めてきました。しかし、区は、学級編制基準は国により定められているとし、背を向けています。ことし3月の衆議院文部科学委員会において、文科大臣は、少人数学級についての認識について問われ、「よりきめ細やかな指導が可能となり、有効な施策だ」と述べています。教員に対する各種アンケートでも、少人数学級を求める声は根強く、全国でも少人数学級の導入によるさまざまな効果が確認されており、広がりを見せつつあります。

 そこで伺います。中野区として、国・都に対し少人数学級の実現に向け、財政的に保障する制度を確立し、学級編制基準を見直すよう求めるべきと考えます。見解を伺います。

 次に、区立学校における医療的ケア児対応について伺います。近年の新生児医療の発達により、超未熟児や先天的な疾病を持つ子どもなど、以前なら出産直後に亡くなっていたケースであっても助かる子どもがふえ、たんの吸引や経管栄養など日常的に医療的ケアを必要とする子どもの数も大幅に増加傾向にあります。厚生労働省の研究班によると、医療的ケアが必要な19歳以下の子どもは、2015年度の推計で1万7,000人に上り、10年前と比べて8,000人近くふえています。

 まず、伺います。区内で医療的ケアが必要な18歳以下の子どもは何人いるのでしょうか。また、そのうち未就学児は何人でしょうか。

 今月11日、文科省の専門家会議、学校における医療的ケアの実施に関する検討会議(第1回)が開かれました。教育現場と医療現場との連携のあり方などを話し合い、学校現場での安全体制の整備や医療的ケア児の教育機会の確保についても議論され、自治体ごとに学校の医療的ケアに関する役割分担の理解が異なっているという課題も挙げられました。

 ことし4月横浜市で、気管を切開し、たんの吸引という医療的ケアが必要な児童が、地域の小学校に保護者の付き添いなしで通学できることになりました。当初、本人と保護者は、地域の小学校への入学を望んだものの、市は、親が付き添うか、特別支援学校に入学するかという選択肢を提示しました。しかし、保護者は、付き添いなしで伸び伸びと学校生活を送ってほしいと、2年前から看護師の配置を市に要望し、話し合いを経て、市は学校生活における医療的ケアを行う看護師を配置するとして約600万円を今年度予算に計上しました。医療的ケア児を受け入れる特別支援学校や公立小・中学校に自治体が看護師を配置する場合、国が人件費を1人当たり年70万円を限度に3分の1を補助する制度を活用しています。ほかにもこの制度の活用で医療的ケア児が地域の学校で学ぶ選択肢を明確に設けている自治体もあります。

 そこで伺います。現在、中野区において、医療的ケアを必要とする児童・生徒が区立学校で学ぶことを希望した場合、区として看護師を配置できるのでしょうか。できるのであれば、明確に周知をすべきではないでしょうか。

 今月示された「健康福祉都市なかの」を実現する基本計画(素案)の中の「障害や発達に課題のある子どもへの支援」に対する「現状と課題」の項目において、「医療的ケアのある子どもが、保育園や幼稚園、区立小中学校を希望する場合に、受入に必要な対応ができる体制を整えておく必要があります」との記載があります。2016年の児童福祉法改正で、各自治体に保育や教育を支援する努力義務が課せられたことや、障害者差別解消法における合理的配慮の考え方も踏まえ、中野区としても、医療的ケア児が学校生活を送るにふさわしい環境の整備を早急に進めていくべきだと考えます。区として今後、具体的にどのように、医療的ケア児の受け入れに必要な体制を整えていくのでしょうか。また、そのために、当事者家庭や事業者に対するニーズ調査を行うベきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

 次に、2学期制について伺います。中野区では、2006年度から全区立中学校において、また、2008年度から全区立小学校において2学期制が導入されました。しかし、学期の区別がわかりにくいことや学習に対しての評価回数が少ないことなど、2学期制に対する疑問の声があり、2015年、2学期制についてのアンケート調査を保護者及び教員を対象に実施しました。教員188名と保護者7,501名から調査回答を得ています。その後、2016年度に教育課程検討委員会が設置され、アンケート結果についての分析、2学期制の成果と課題、今後の方向性などが検討されました。

まず区として、このアンケートを行った理由と目的について改めて伺います。

 アンケートの設問1では、教育課程や学力向上について9項目の質問が設けられています。教員の回答に着目すると、小学校では一定、2学期制に肯定的な回答があるものの、中学校では軒並み否定的な回答が肯定的な回答を上回っています。特に、「2学期制により、増えた授業時数を利用して、子どもたち一人ひとりの実態に応じた学習に取り組む時間が増えた」との質問では、「思う」、「ややそう思う」を合わせても8%にとどまり、「あまり思わない」、「思わない」は合わせて80%に達しています。

 そこで、まず伺います。区は2学期制を導入するに当たり、2学期制により時間的なゆとりを確保する、中学校で20から30時間程度の授業時数増が期待できると繰り返し説明をしています。しかし、中学校教員の実感として否定的な回答が8割となっている結果についてどのように認識しているのでしょうか。

 アンケートの設問2では、「総合的にみて2学期制についてどのように思いますか」として、「2学期制は、学期の区切りや長期休業日などが分かりやすいか」や「生活リズムに合っているか」という、まさに今後の方向性が問われる根幹的な質問が設けられていますが、教員では小・中学校ともに否定的な回答が肯定的な回答を上回っている状況です。さらに、中学校に至っては肯定的な回答がともに10%にも達していません。中野区とほぼ同時期に2学期制を導入した京都市では、学期の途中に夏休みや冬休みを挟んだり、学期の間に長期の休みがないことから、区切りがつかないといった批判が相次ぎ、2011年度からは校長の裁量で学期の区分をなくすことができる通年制を認め、中学校では73校のうち61校が通年制へ変更し、市内で2学期制と通年制の学校が混在する事態となっています。保護者や現場の教員の双方から3学期制に戻すことを求める声が高まり、京都市教育委員会は、京都市立の全小・中学校で来年度から3学期制に統一する方針を決めました。

 そこで伺います。区が行ったアンケートでは、保護者の回答においても、小・中学校ともにほぼ全ての質問で2学期制に否定的な回答が肯定的な意見を上回りました。しかし、教育課程検討委員会の報告書は、「2学期制を生かし、これまで以上に、児童・生徒に合った学期制、保護者や地域の理解と協力を得ることができる学期制を構築していくことが必要」と締めくくられ、あくまで2学期制の継続を理解してもらうという姿勢です。これは、教員、保護者アンケートで示された実感とはほど遠い報告であると考えますが、区の見解を伺います。

 学習面での難しさが生まれる、めり張りがないというのは、学期の区切りと長期休暇が一致しない2学期制の根本的な問題点であり、これを解決するためには、3学期制に戻した上で、授業時数確保等の工夫を行うことが現実的だと考えます。区の認識を伺い、この項の質問を終わります。

 最後にその他の項で、旧中野刑務所正門について伺います。

 法務省矯正研修所の敷地内には、旧中野刑務所の正門があり、地域の方からは平和の門として愛されています。1910年4月、司法技師であり建築家・後藤慶二の設計により建築が始まり、1915年3月に豊多摩監獄、後の豊多摩刑務所として竣工しました。1925年の治安維持法制定以後は思想犯が多数収監され、歴史の生き証人とも言われています。関東大震災や戦災によって建物は被害に遭いましたが、正門は無傷で残りました。現存するれんが建築では最高峰と言われ、大正期の日本のモダニズム建築の代表的な作品として評価されています。区が出版した書籍「中野のまちと刑務所」では、この建築を素通りして近代建設の歩みは語れないと評しています。1983年、刑務所が解体された際には、日本建築学会や住民から保存を求める声が上がり、跡地に整備された法務省矯正研修所東京支部内に残されました。昨年の第4回定例会本会議において、浦野議員が旧中野刑務所正門の活用を検討することを求めた際、区は正門について、「歴史的、文化的、観光的価値や教育的価値など、さまざまな価値を有する」と答弁しています。

 そこで伺います。それぞれ具体的にどのような価値を旧中野刑務所正門が有していると認識されているのでしょうか。また、さまざまな価値を有する正門を、土地を購入した暁には、中野区指定文化財とすることを検討してはいかがでしょうか。

 法務省矯正研修所はことし8月、昭島市への移転が完了しました。跡地には、区立平和の森小学校の移転が計画されています。先日、法務省矯正局施設係の補佐官に会い、今後の行程についてお聞きしました。法務局としては、矯正研修所の土地について、旧中野刑務所正門を存置したままで、今年度中に財務省へ移管すること。そして財務省も正門を存置した状態で売却することを検討しているとの話を伺いました。今後、区が矯正研修所跡地を購入すれば、正門の扱いについては、所有者である中野区が判断することとなります。ことし9月5日、東京新聞において「正門 撤去の可能性」が報じられました。区や教育委員会が今後の正門の取り扱いについて姿勢を明らかにしないことが懸念を生んでおり、住民や建築士等からは再び保存を求める声が上がっています。

 そこで中野区としては、旧中野刑務所正門を残し、平和の森小学校の整備に当たっても、この歴史的な構造物を学校施設の一部として有効に活用できるよう工夫するなど、保存に向け検討すべきと考えます。

 区の認識を伺いまして、全ての質問を終わります。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 広川議員の御質問にお答えいたします。

 民泊についての御質問でした。悪質な民泊の取り締まりと民泊の仲介業者のサイトには、所在地などの詳細情報がなく、民泊の実態の把握が困難であるため、違法行為の取り締まりも困難な状況にあります。こうした違法民泊の実態を明らかにするとともに、適正な規制のもとに健全な民泊を普及させるために住宅宿泊事業法が制定されたものと理解をしております。また、現行の旅館業法では、無許可営業者に対する行政の報告徴収及び立ち入り検査権限等が認められていないため、それらの権限を創設し、罰金を増額する等の旅館業法の改正が予定されております。区は今後、違法民泊に対して、これらの法令に基づいて、警察等の関係機関と連携して厳格な対応を行っていきたいと考えております。また、仲介サイトを運営する住宅宿泊仲介業者は、観光庁への登録が義務付けられ、違法行為のあっせん等が禁止されていることから、届け出を欠く違法な物件の仲介サイトへの掲載は、住宅宿泊事業法の施行後は観光庁等の指導により是正されていくものと考えております。

 マンション管理規約について。民泊に関する情報提供及びマンション標準管理規約の周知を進めることにより、各マンションにおける民泊事業の可否について、管理組合による適切な判断及びそれに伴う管理規約の変更を促してまいりたいと考えております。

 本人確認等の適切な実施の確認。区は、届け出の際などあらゆる機会を通じて事業者に対し、区条例の周知徹底を図るとともに法令遵守を呼びかけてまいります。また、区は、警察等の関係機関と連携して、住宅宿泊事業法に基づく業務改善命令や報告徴取及び立ち入り検査等の権限を行使して事業者を指導監督することにより、事業の適正な運営を確保してまいります。

 条例による規制。区としても生活環境悪化の防止は重要であると認識をしていますが、他方で、適正な規制のもとに行われる健全な民泊により地域活性化を図ることも重要であると考えております。このため、条例においては、特に生活環境の悪化を未然に防止する必要がある住居専用地域において、祝日を除く月曜日の正午から金曜日の正午までの期間は事業の実施を禁止する考えであります。ただし、鉄道の駅の出口から一定の範囲は、住居系の地域と商業系の地域が混在しており、交通利便性の高い地域であることから、宿泊需要と地域活性化の要請に応えるため、住居専用地域であっても条例による規制の対象外とすることを考えております。

 民泊の許可制について。これまで把握できなかった違法民泊を行っている事業者について、許可制ではなく届出制にすることにより実態把握を容認した上で適正な規制のもとに健全な民泊を普及させることが住宅宿泊事業法の立法趣旨の一つであると理解をしております。したがって、住宅宿泊事業を許可制にするよう国に対して求める考えはありません。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 学校施策について。初めに教員の長時間労働についての御質問です。在校時間が週60時間を超える教員の人数把握についての御質問です。現在、教員の勤務につきましては、学校管理職が教員からの自己申告などにより把握をしており、教育委員会としても校長から状況の報告を受けてございます。在校時間が週60時間を超える教員の人数については把握していないところでございますが、適正な勤務時間となるよう、教員の意識改革や勤務環境の改善等に取り組んでいるところでございます。

 次に、ICカードシステムによる教員の勤務時間の把握についての御質問です。今後のカードシステムによる勤務時間の把握については現在検討しているところでございます。

 運動部活動ガイドラインの策定による勤務状況の是正についてです。運動部活動ガイドラインにつきましては、平成29年度中に国及び東京都から示される予定でございます。これらのガイドラインを踏まえて区の対応についても検討していくこととしてございます。

 学校における業務改善を目指した実施計画の策定についてです。これまでも教員の勤務時間の軽減等につきましては、夏季休業日に教育活動休止日を設けたり、管理職の自己申告においてライフ・ワーク・バランスの内容を必ず盛り込み、取り組んだりするなど対応してきているところでございます。学校における業務改善の実施計画につきましては、今後東京都教育委員会から最終報告として示される学校における働き方改革推進プランを踏まえ検討する予定でございます。

 続きまして、学級編制基準を見直すことについてです。中野区としては学級の編制については、東京都の学級編制基準にのっとり進めていく考えでございます。

 次に、医療的ケア児の対応について。初めに、区立学校受け入れに伴う看護師の配置及び周知についてです。看護師につきましては、児童・生徒の個々の状況等に応じて、必要であれば配置をしていきたいと考えています。医療的ケア児の就学につきましては、就学相談の中で対応しておりまして、周知についてもあわせて行っているところでございます。

 次に、受け入れに必要な体制整備についてです。現在策定中の障害児福祉計画を踏まえ、特別支援教育のあり方を検討する中で医療機関との連携や、安全に医療的ケアを実施するための体制についても考えていく予定でございます。

 次に、ニーズ調査についてです。医療的ケア児については、就学相談の中で個々のニーズを把握しておりまして、画一的なニーズ調査を行うことは考えてございません。

 次に、2学期制についてです。2学期制に係るアンケートを実施した理由等でございます。実施後8年が経過する2学期制につきましては、その成果等を検証し、改善・充実の参考資料とするため実施したものでございます。

 次に、2学期制への中学校教員の回答等についてです。2学期制についてのアンケート調査における中学校の教員の回答は、中学校における進路指導等との関連があるというふうに認識をしてございます。学期制のあり方につきましては、小学校及び中学校の両側面からの成果と課題を踏まえ、慎重に検討していく必要があると認識をしております。

 教育課程検討委員会の報告についてです。平成28年度教育課程検討委員会での検討は、2学期制と3学期制のどちらがよいかとの是非を問うものではなく、現行の学期制の運用をどう改善していくか検討したものでございます。今後の学期制のあり方につきましては、小・中学校のそれぞれにおける成果と課題及び次期学習指導要領の方向を踏まえ総合的に検討を進めていくことにしてございます。

 最後にその他として、旧中野刑務所正門について、私からは平和の森小学校の整備に当たって学校施設として一部活用できるのではないかという御質問にお答えをいたします。平和の森小学校の新校舎整備におきまして、旧中野刑務所正門を学校施設内に配置することは考えてございません。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 空家対策についてお答えをいたします。

 まず、特定空家となる可能性のある建物の数についてでございます。平成28年度に実施いたしました空家等実態調査におきましては、区内の少なくとも70棟以上の空き家につきまして、そのまま放置をすれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態にあり、空家特措法で定義される特定空家に該当する可能性があるものと認識をしてございます。

 それから、空家対策条例における緊急安全措置についてでございます。空き家は個人資産でありまして、所有者の責任により改善が図られることが原則でございます。しかしながら、危険性が高く、早急な対応が求められる際には、区が応急措置を講じる必要性も認識をしているところでございます。こうした緊急安全措置の考え方を含めまして、空家等対策審議会での議論等を踏まえながら、空家対策条例の検討を進めているところでございます。

 それから空き家の解体費助成等についてでございます。原則として空き家は所有者の責任において管理されるべきものでありまして、空き家の解体費助成や区による跡地の借り上げ等は現在のところは考えておりません。地域の安全・安心やコミュニティ形成につながるような空き家活用のあり方につきましては、今後も空家等対策審議会の議論を踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 それから、空き家活用の相談窓口についてでございます。空き家活用に関しまして、所有者から相談対応やマッチング等の提案を効果的に実施することができる体制のあり方につきまして、民間事業者等と連携を図りながら、また空家等対策審議会からの意見も踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 それから、住宅確保要配慮者のための空き家活用についてでございます。住宅セーフティネット法の改正を踏まえまして、空き家を含めた住宅ストック全体の活用のあり方やその支援策につきまして検討を進めてまいりたいと考えてございます。

〔子ども教育部長横山俊登壇〕

○子ども教育部長(横山俊) 私からは、医療的ケアを要する子どもの人数についてお答えいたします。

 平成29年度当初におきまして、すこやか福祉センターにおける相談や訪問看護等の利用状況等から、区が医療的ケアが必要な状況として把握している18歳以下の子どもの数は25人です。そのうち未就学児は12人となっております。

〔健康福祉部長小田史子登壇〕

○健康福祉部長(小田史子) 私からは、その他の旧中野刑務所正門についての価値に関連しました御質問についてお答えいたします。

 旧中野刑務所正門は、日本建築学会関東支部の見解など建築的価値の高いものとされていることを認識しているところでございます。旧中野刑務所正門の取り扱いにつきましては、設置者であり、所有者である国に対しまして何らかの対応を求めていきたいと考えております。

○副議長(南かつひこ) 以上で広川まさのり議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後3時21分休憩

 

午後3時41分開議

○議長(いでい良輔) 会議を再開いたします。

 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 森 たかゆき

 1 施設使用料の改定について

 2 子育て支援・教育について

  (1)教育無償化に係る諸課題について

  (2)子どもの安全を守る施策について

  (3)その他

 3 文化施策について

  (1)中野サンプラザの文化的価値の活用について

  (2)中野×杉並アニメフェス2017について

  (3)旧中野刑務所正門について

  (4)その他

 4 その他

 

○議長(いでい良輔) 森たかゆき議員。

〔森たかゆき議員登壇〕

○27番(森たかゆき) 平成29年第4回定例会本会議におきまして、民進党議員団の立場から一般質問を行います。

 まずは、施設使用料の改定についてお伺いをいたします。

 今回の施設使用料の改定では、スポーツ施設について、改定後6年間、算出した使用料の半額とするお考えとのことです。区有スポ一ツ施設が安価で使えるようになること自体は悪い話ではありませんが、単にオリンピックがあり、その前後で半額にすれば区民の健康づくりになるだろうというだけではあまりに安直です。

 そこで、幾つかお伺いをいたします。1点目は、今回の措置とこれまでの考え方との関係についてです。施設使用料の算定に当たって、区はこれまで受益者負担という点を重視してきたように思います。時に、中野区は使用料が高いという御意見をいただきながらも、利用される方にその分より多く御負担いただこうという姿勢を貫いてきました。私としては、その点は評価すべきことと考えてきておりましたが、そうしたこれまでの考え方と今回の軽減策との整合性はどのようにお考えでしょうか、お伺いをいたします。

 今回の改定では、スポーツ施設は負担割合7割、集会室は5割という現在の性質別負担割合は変更せずに計算結果を半額にするとのことです。そうすると、スポーツ施設は集会室よりも個人の選択性が高い、この考え方が残ることになるのではないでしょうか。スポーツ振興、健康づくり推進といった政策的観点からスポーツ施設の使用料を半額とするのであれば、性質別負担割合を変える方法をとることが筋と考えますが、なぜ計算結果を半額とする方法をとるのでしょうか、説明を求めます。

 財政面に関連してお伺いをいたします。今回の措置で年間9,000万円程度の区の負担が生じると伺っております。単純計算ですが、6年で5億4,000万円になります。この分の財源はどのように賄うおつもりなのか、お伺いをいたします。

 期間を6年としている点に関連してお伺いをいたします。6年というと、仮にですけれども、区長がもう一期、万が一務められたとしても、さらにその後の話になります。6年後に継続実施の可否を検討するということですけれども、一度大きく下げた使用料を再度上げるというのは至難のわざではないかと考えます。大きな政治的課題を将来に残すことにならないか懸念をいたしますが、区長としてその責任をどのようにお考えでしょうか、お答えを求めます。

 施策効果の検証は当然必要です。しかし、この施策がなくても、オリンピック・パラリンピックが近づけば、一定程度スポーツ機運は高まるものと考えられます。他方、高齢化の進行状況を考えますと、医療費の上昇傾向は続くであろうと思われます。施策単独での効果検証が難しいように思われますが、検証方法やその内容についてどのようなことを考えているのでしょうか。また、実施3年後、中間のタイミングなどでの検証も必要と考えますが、その点はいかがでしょうか、あわせてお答えください。

 スポーツ機運醸成、健康づくり推進という点で成果を上げるためには、単に今利用されている方々が安く使えるようになるというだけでは不十分です。これまで施設を利用されていなかった方、スポーツをあまりしてこなかった方々、こうした方々の利用を促すような施策もあわせて実施する必要があると考えますが、区としてそういった戦略は考えているのでしょうか、お伺いをいたします。

 そうした戦略が必要な一方で、スポーツ施設は区有施設の中でも人気のある施設であり、既に多くの区民の方が利用されております。これまで利用率といった数字は伺ったことがありませんでしたけれども、決算特別委員会に提出いただいている要求資料で利用人数を見ますと、例えば、中野体育館運動施設は年間30万人近く、上高田運動施設が9万3,000人以上、哲学堂運動施設が12万6,000人以上といった状況とのことです。これ以上利用者数を伸ばすといっても、現在の利用状況と各施設のキャパシティから考えて、その余地は大きくないのではないかと思われます。この点について、主な施設の利用率の数値とあわせて見解をお伺いいたします。

 今回の軽減策は、東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機とした機運醸成の取り組みの一環という位置付けもされております。しかし、オリンピック憲章は幅広い内容を含んでおり、私自身は、スポーツにとどまらず、その幅広い理念を日本社会により深く定着させていくことこそが、この成熟都市東京でオリンピック・パラリンピックを開催することの意義だと理解をしております。オリンピック憲章には、文化・芸術振興の重要性もうたわれており、開催国には複数の文化プログラムの実施も義務付けられております。オリンピック・パラリンピックの開催を一つの契機とするというのであれば、オリンピック憲章の理念を尊重し、文化施設についても何らかの軽減策を今後検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 最後に、施設使用料の算出方法全体について1点お伺いをいたします。今回の改定では、算定の基本方針及び算定基準の考え方には変更がありませんでした。しかし、現在の考え方では、例えば施設が古くなると使用料は高くなっていくといったような状況も生じており、何らか考え方の変更が必要ではないかと考えます。今後の検討の方向性についてのお考えをお伺いいたします。

 続いて2、子育て支援・教育について、(1)教育無償化に係る諸課題についてお伺いをいたします。

 将来の消費税増税分を主な財源とする教育無償化をめぐる議論が国会で続いております。教育への公的支出割合がOECD諸国中最低レベルという状況の改善、親がどういった状況にあろうと子は子としてひとしく受益者とするといった普遍主義的理念の具体化に近づくのであれば歓迎をしたいと思います。他方、政府は財政健全化の旗はおろさないとする一方で、具体的な歳出削減策には乏しい状況です。私自身は、子育て・教育への財源投入は未来への投資であるとの立場から、この点をもって教育無償化を必ずしも否定しようとは考えませんが、プライマリーバランスの黒字化目標はどうなるのか気にかかることは確かです。議論の対象は、保育や幼児教育から高等教育までと幅広く、具体的な制度設計はこれからという状況ではございますが、教育無償化をめぐる議論について、現時点で区長がどのようにごらんになっておられるのか見解をお伺いいたします。

 特に、こうした行政サービスの拡充が行われる際の常ですが、中野区のような不交付団体にとっては、国の施策であっても今後一般財源からの負担が求められる部分が出てくるであろうと想定されますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか、あわせてお答えください。

 先ほど、普遍主義的理念の具体化であれば望ましいと述べましたが、実際にはさまざまな観点からの線引きがされる可能性が高いと思われます。保育の分野では、認可外施設を含めるのか否かという点が議論の対象になりました。現在は含めるという方向で検討が進んでいるようでありますが、出てきている金額を見ると、中野区内の認可外施設の保育料から考えて無償化にはほど遠いものであります。本当に認可外も無償化の対象にすべきか否かという点も本来は重要な争点ですが、認可外施設を無償化の対象から外してしまうと、認可園に入れなかった方は無償化の恩恵も受けられないということで、二重の不利益をこうむることになってしまいます。無償化は、無料で利用できるなら保育園を利用したいというニーズも掘り起こすのではないでしょうか。いわゆる保活のさらなる激化が懸念されます。中野区では、保育料の算定に当たっては、所得階層を細かく分けて保育料を決定しており、低所得者層に対する配慮も既に相当程度行われていると考えます。これらの点を踏まえてお伺いをいたします。今でさえ急増する保育需要に対して施設整備が追いついていない中、無償化によるさらなるニーズ掘り起こしに区として対応ができるとお考えでしょうか。また、保育については、無償化よりも待機児童解消の実現が先行すべきと考えますが、この点はいかがでしょうか、お伺いいたします。

 続いて、(2)子どもの安全を守る施策についてお伺いをいたします。この項では2点お伺いをいたします。

 まずは、いじめ対策についてです。本年第3回定例会決算特別委員会総括質疑において、我が会派の酒井議員から、生徒が匿名でいじめを通報できるいじめ相談報告スマートフォンアプリ、STOPit(ストップイット)の導入を行った柏市教育委員会の事例を紹介し、同様の取り組みを行うよう求めました。ほかにも、長野県教育委員会が導入したLINEを活用したいじめ相談事業の例などもありますが、これら先行事例を見ると、いずれも前年度の電話相談の件数を年度途中で大幅に上回る相談を受けつけています。チャットツールやSNSを使った相談事業に、これまでの相談事業では拾えなかった声を拾える効果があるのは明らかであると考えます。文部科学省もこの効果に着目し、SNSを活用したいじめ等に関する相談体制の構築に係るワーキンググループを立ち上げ、将来の全国展開を見据えたモデル事業を来年度実施予定とのことです。中野区としてもできる限り早くこうした相談事業を開始していただきたく、来年度予算での対応を求めます。いかがでしょうか。

 もう1点は、子育て中の危険に関する注意喚起についてお伺いをいたします。私事で恐縮ですが、先日子どもが3歳になりました。うれしいことも大変なこともありますが、日ごろ感じるのは、子育てというのは常に危険と隣り合わせであるということです。子どもの事故は取り返しのつかない重大な結果を招いてしまう場合もあり、予防対策は非常に重要です。予防対策としてまず思い浮かぶのは、机の角に頭をぶつけないようにしているかとか子どもの手の届く範囲に危ないものを置いていないかなどといった一般的な注意事項をまとめて周知するもので、中野区では子育て支援ハンドブック「おひるね」の「子どもの事故の予防」といったページなどにまとめられております。

 こうしたまとまった注意喚起とは別に、何らかの事件や事故が起きてしまった後に同様の事象を防ぐために行われる注意喚起もあります。ことしの例でいえば、都内で0歳児にはちみつを与えたことによる死亡事故が発生してしまった。このことを受けて、中野区保健所が「1歳未満の乳児にはちみつを与えないでください」という注意喚起の文章を発出しました。数年前にだっこひもの利用時の事故が問題となった際には、東京都が「抱っこひもからの転落事故に気を付けて!」という啓発リーフレットをつくりました。このような形で、既にさまざま周知・PRに努めていただいているところではありますが、そうした情報が実際にどれだけ当事者の皆さんに届いているでしょうか。また、何かが起こった後に緊急的な形で発せられる注意喚起の内容は、その後も継続して伝わるようになっているでしょうか。個別の事象であっても、そこから一般的な教訓を得られるケースも多く、少し時間がたったら注意事項が伝わらなくなってしまうのでは問題です。

 情報発信の方法についても、タイミングやツールなど、もう一工夫していただきたいと思います。最近は区のツイッターやフェイスブックの活用も定着をしてきました。こうした親世代に届きやすいツールを活用すること、また、例えば親子が一緒にいる時間が長くなる長期休暇前の時期を狙うなど、タイミングも考えて、よりインパクトのある啓発活動を行っていただきたいと考えます。子どもの事故予防という点について、区としてどのように認識し対応されているのか、お伺いをいたします。

 (3)その他で1件お伺いをいたします。大変残念なことでありますが、保育園の運営事業者による不正がしばしば起こっております。先週も中野区内でも保育施設を運営する事業者が不正を行い、東京都から改善指導を受けたとの報道がありました。さまざま確認すべきこと、考えるべきことがありますが、今回は1点だけお伺いをいたします。保育園は施設の性質上、不安や不信があっても、その施設を利用し続けるしかないという保護者の方がほとんどであると考えられます。臨時監査など、保護者の不安を払拭するための対応が必要と考えますが、いかがでしょうか。

 続いて3、文化施策についてお伺いをいたします。

 私は先日、サブカルチャーを中心に自治体の文化施策を考える超党派のオタク議員集団「ニュージェネレーション」として、早稲田大学マニフェスト研究所主催のマニフェスト大賞に応募し、応募総数2,597件から選ばれた108件に与えられるノミネート認定をいただきました。残念ながら大賞受賞とはなりませんでしたが、この活動の中で他地域の議員の活動からさまざま示唆をいただきましたので、その成果を区政に還元したく質問をいたします。

 まずは、中野サンプラザの文化的価値の活用についてお伺いをいたします。中野サンプラザは、これまで中野区民はもちろんですが、それにとどまらず多くの人々に愛されてきました。その中には、いわゆる文化人・アーティストといった人たちも含まれます。特に音楽の世界では、中野サンプラザは日本武道館などを目指すアーティストにとって一つの登竜門のような位置付けがされていると聞きます。サンプラザを「聖地」と呼んで頻繁にコンサートを開催するアイドルグループもあります。先日は、ある大物声優さんがデビューから30年以上たって初めて行ったコンサートの会場に中野サンプラザを選び、そのチケットはプラチナ化しておりました。公演では中野ブロードウェイの映像も登場し、いわゆるサブカルチャーとの相性のよさも改めて感じました。特別な想いを持って中野サンプラザの舞台に立った文化人・アーティストも多く、またその想いは、観客としてサンプラザを訪れた多くのファンとも共有されてきました。開業から約45年ですが、この間に音楽史・芸能史・サブカルチャー史の中で中野サンプラザが果たしてきた役割は決して小さくないのではないかと考えます。

 区役所・サンプラザ地区再整備事業の議論が進んでいます。内容の是非はともかく、中野サンプラザが解体されるということであれば、単に中野サンプラザの名前を新施設に引き継ぐ、引き継がない、こういった話ではなくて、これまで中野サンプラザが果たしてきた文化的役割を何がしか形としてまとめ、歴史として残しておく必要があるのではないかと考えます。例えば、これは一つのアイディアですが、中野サンプラザを活用してきた文化人・アーティストにサンプラザへの想いを語っていただき、それと公演の様子などをあわせて冊子や動画集としてまとめるなどの形をとれば、文化の保存にとどまらず、ふるさと納税の返礼品として活用するといったことも考えられるのではないでしょうか。こういった点について区の見解をお聞かせください。

 次に、中野×杉並アニメフェス2017についてお伺いをいたします。本年第1回定例会の一般質問ではこの事業の予算について取り上げましたが、まずは実施しての結果がどうだったのかというところをお伺いしたいと思います。

 ことしはアニメ100年というわかりやすい節目の年でありましたし、東京都の補助金を活用しての事業でもありましたが、来年度以降の展開はどのようにお考えでしょうか。近隣には、杉並区のほかにも、「銀河鉄道999」のイラスト入り住民票を発行する練馬区、トキワ荘や乙女ロードのある豊島区、ジブリ美術館の三鷹市、タツノコプロなどとコラボイベントを実施し、また、アニメ・漫画文化に大変理解の深い松下玲子新市長の誕生した武蔵野市などもあります。継続していくのであれば、こうした自治体との連携も考えられますが、その点はどうお考えでしょうか。あわせてお答えください。

 オタク議員の私としては、行政がアニメや漫画といった分野に理解があることは大変喜ばしいと思っておりますが、一方で、行政はイベント会社ではありません。単なる集客事業を行政が継続的に主催していく、それであれば賛同しかねます。行政がかかわることでさまざまなアクターをつなぐ役割が担える、こういう利点はあると考えます。こうした事業を継続していくのであれば、そうしたつなぎの役割を果たしつつ、将来的には民間主導のイベントとして実施されるようなところを目指していくべきと、このように考えますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。

 続いて、(3)旧中野刑務所正門についてお伺いをいたします。法務省矯正研修所東京支所跡地にある旧中野刑務所正門については、その建築文化的、歴史的価値から、これまでにも同僚議員から保存・活用を求める議論がされてきました。先ほども広川議員が取り上げておられましたけれども、旧中野刑務所には治安維持法によって思想弾圧を受けた思想家らが収監されていたと聞きます。この門が背負っている歴史は決して明るいものではありませんが、しかし、そうした歴史を次世代へと引き継いでいく、語り継いでいくことも今を生きる我々に課された使命なのではないかと考えております。我が会派としてもこの門を保存し、また今後、学校施設の中で活用していくことの可能性を検討していっていただきたいと考えております。矯正研修所跡地は、これから法務省から財務省へ移管されるところであると聞いています。両省の考え方は漏れ伝わってきてはおりますが、公式な発表は何もなされておりません。この移管のタイミングなどで解体されることのないよう国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。見解を求めます。

 最後に(4)その他で哲学堂公園再生整備事業についてお伺いをいたします。先日、哲学堂公園再生整備基本計画(案)の議会報告がありました。計画の実施には15億から20億円規模の費用がかかるとのことです。文化財の修復・復元に一定の費用をかけることは必要であると考えますが、当該計画案は、それにとどまらない幅広い内容を含んでおります。既に多くの同僚議員が触れておりますが、特に現在の児童遊園のスペースに学習展示施設や駐車場の設置が予定されており、自由に利用できるスペースが縮小されてしまうのではないかと懸念をいたします。観光拠点としての期待も語られておりますけれども、その可能性がどれほどあるのか、私にははかりかねます。率直に言って、当該計画案の全体の合理性、遊び場の活用といった部分も含めて費用対効果を理解しかねます。この点について区はどのように説明されますか。(4)その他がこの質問で、大項目の4、その他はございません。この点をお伺いいたしまして、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 森議員の御質問にお答えいたします。

 施設利用料の改定についてであります。軽減策と受益者負担の整合性についてという御質問です。今回の軽減策は、スポーツ振興、健康づくり推進を図る方策の一つとして、スポーツ施設においてのみ適用するものであります。施設使用料の基本方針や算定基準については従前のとおりであり、適正な受益者負担という考え方についても変更はありません。

 本来であれば、こうした軽減は性質別負担割合を変更する、それが本筋ではないかという御質問でありました。スポーツ施設については、個人による選択性が高く、専ら利用者の便益に資する施設として全額利用者負担を原則とするものであるが、スポーツ振興の必要性という政策的な観点から3割を公費負担としているところであります。性質別負担割合の考えは、施設の設置目的や区民負担の公平性などを考慮して設定したものですが、他の多くの自治体でも同様の事例があるなど、妥当なものと考えており、この考え方に変更はないわけであります。今回の軽減策については、時限的な対応として実施するものであり、使用料を直接的に半額といたしました。

 負担増に対する財源についてというところです。スポーツ施設の大半は、指定管理者による運営であります。今回の軽減策によって指定管理者の収入が減少することになりますが、その減少分について区が指定管理料を増加することで対応することになります。これらはスポーツ振興、健康づくり推進を進めていくための必要なコストとして一般財源の中から捻出をしていくことになります。

 6年後という時期に継続の可否を判断するといった政治的な課題を残してしまう、このことの責任についてという御質問でした。区は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機とした「スポーツ・健康づくりムーブメント」を中野のまちに発展・定着をさせていくと考えておりまして、今回の軽減策は、その実現のために区として取り組んでいくべきものと考えているところです。スポーツ施設を含めた使用料の改定は3年ごとに実施をしており、6年というサイクルはこれに対応したものであります。

 効果の検証方法についてであります。毎年度協定に基づいて実施する指定管理者による利用者アンケート等を活用して、必要なデータの収集・分析を行う予定であります。次回3年後の改定期において、中間の経過を取りまとめていきたいと考えております。

 新たな施設利用者を増加させる取り組みについてであります。今回の軽減策の狙いは、これまで施設を利用していた人たちが今後も継続してスポーツに取り組めること、またこれまでスポーツに取り組んでこなかった人やこれまで経験してこなかったスポーツに新たに挑戦しようとしている人々、これらの人々に対してのきっかけづくりとすることであります。施設の指定管理者と連携をしながら、潜在的な需要の掘り起こし、取り込みを進めていきたいと考えております。

 現状でも施設利用率の高いところでは、あまり効果がないのではといったような御質問もありました。主な施設における団体利用の平成28年度利用率は、中野体育館のアリーナで96%、上高田野球場は60%、同じく上高田のテニスコートのほうは99%、哲学堂弓道場では100%となっております。利用率が上限に近づいている施設は多く、これを維持していくとともに、新たな事業者の需要も掘り起こしていきたいと考えております。

 文化・芸術の重要性についても着目し、文化施設への軽減策の適用も行うべきではないかといった御質問でありました。今回、スポーツ施設に着目したのは、効果の側面から鑑みて、スポーツは対象者の裾野が広いことのほか、コミュニティ形成による地域の支えあいの基盤強化、それからこちらも大きいと思いますが、健康寿命の延伸による医療費等、社会福祉介護費の削減、それからイベント開催や企業連携による区内経済の活性化など、その波及効果が高いところにあります。文化施設の使用料のあり方については、文化・芸術等の施策展開の動向を見ながら、必要があれば対応を考えていきたいと考えております。

 使用料算定の基本方針及び算定基準の見直しについて、今後の考え方であります。施設使用料については、平成19年度に算定の考え方に大きな見直しを行い、その施行から10年が経過をいたしました。10年が経過した現在では、この考え方が定着したものと認識をしております。今後、新たな大規模施設の建設や老朽化に伴うさまざまな施設修繕が多く予定される中、使用料に対するその影響を見きわめ、今回の軽減策の検証も踏まえながら、最適な使用料算定のあり方について引き続き検討してまいりたいと考えております。

 子育て支援・教育に関連して教育無償化に係る諸課題についてであります。教育の無償化についてどう考えるかということであります。国において現在、保育・幼児教育をはじめとする教育費の無償化について議論を行っているところであります。私も、国が支出する社会保障費のうち、年金や医療などにかかる経費がほとんどを占めていて、子育て支援や他の福祉についての支出が少ないこと、これはOECD諸国などとの比較を見ても、今後日本の方向として是正されていくべきと考えていることは同じであります。しかしながら、国民負担率のうち、潜在的な負担率、赤字国債によって賄われている部分も多い我が国において、こうした無償化などによって社会保障支出の増大を先にふやすということは、なかなか勇気の要る判断だろうというふうに思います。何よりも大切なのは、こうした施策を行いながらも経済成長を促していく成長戦略の実行、そしてそこが効果を上げていくということだと思います。教育無償化においても、国の成長潜在能力、こうしたものを高めていく、そういうことにつながっていくものであるべきだろうと、このように思っております。

 国の考え方ですが、無償化の対象となる施設や年齢、補助金の支給条件など、制度の具体的な内容はいまだ定まっていないと思います。今後、その動向を注視していきたいと考えております。

 教育無償化による区の財政負担について。政府は消費税増税分を財源として3歳から5歳の全ての子どもについて幼稚園・保育園の無償化を検討するとしており、その対象範囲や内容は予算編成で明らかにすると聞いているところであります。特別区は、東京都とともに地方交付税不交付団体でありますことから、仮に教育無償化が一般財源化という形で実施されることになった場合には、財源の保障はなく、区の財政運営に少なからず影響を及ぼすものと考えており、この点、注視をしていきたいと考えております。

 それから、保育の無償化と保育ニーズについてであります。幼児教育の無償化による保育ニーズへの影響は想定されるところでありますが、保育に欠ける児童に対する対策として、必要とされる保育施設のニーズにしっかりと対応していくこと、待機児の解消をまず考えていく、これが重要だと考えております。また、今後、こうした幼児教育・保育の無償化が行われることによって保育へのニーズが変わっていく中で、幼稚園で提供される保育のあり方についても、さらに進んだ議論がされることになっていくと考えております。幼児教育・保育の無償化は、現行の教育・保育の枠組みにもかかわる大きな転換につながることも考えられると認識をしております。国の取り組みについてその動向に十分注視をしながら対応してまいりたいと考えております。

 私からは以上です。

〔教育長田辺裕子登壇〕

○教育長(田辺裕子) 子育て支援・教育について。初めに、アプリを活用した相談窓口についてです。子どもたちのいじめ等の相談については、現在いじめ対応担当の教員やスクールカウンセラーを中心とした相談体制を構築するとともに、現在の電話相談、子ども110番や東京都教育相談センターが行っているアプリからの電話相談の周知など、さまざまな方法で取り組んでいるところでございます。相談のきっかけづくりとして、御提案のような匿名の報告相談アプリを活用することは、一定の効果があると考えますが、相談者との継続的な対応は難しいという点もあり、その後の対応も含めた実効性のある相談体制の中で進めていくことが重要であると考えております。今後も東京都教育相談センターなどの事例を参考に相談事業のあり方について検討してまいります。

 次に、旧中野刑務所の正門についてです。旧中野刑務所正門の取り扱いについては、設置者であり所有者である国に対して何らかの対応をするよう求めていきたいと考えています。平和の森小学校の新校舎整備におきましては、旧中野刑務所正門を学校施設内に設置することは考えてございません。

〔子ども教育部長横山俊登壇〕

○子ども教育部長(横山俊) 私から、子育て支援教育のお尋ねのうち、子どもの事故予防、その他についてお答えいたします。

 初めに、子どもの事故予防についてです。子どもの事故予防につきましては、母子手帳交付時に子育て支援ハンドブックを、また乳幼児健診時には、子どもの事故予防啓発冊子をそれぞれ配布し、周知を図っているところであります。また、すこやか福祉センターの各種事業では、家庭内で子どもの事故が起こりやすい風呂、ベランダ、台所等の場所に危険箇所を表示したパネルを使用した注意喚起を行うといった内容を取り入れるなど、さまざまな場面を通じて啓発を行ってきたところでございます。こうした取り組みを継続するとともに、発信の時期、媒体、内容など、効果的な発信方法についても工夫してまいりたいと考えてございます。

 その他の項目で、保育所における検査体制の充実についてでございます。区では、平成28年度から検査担当を配置いたしまして計画的な検査を進めているところであります。また、保育施設の運営につきましても各園を訪問しながら必要となる助言等を行っているところでございます。検査等で不正や基準を満たしていないことが確認された施設に対しましては、こうした状況が改善されるまで継続的に指導を行っているところでございます。今後も保育の質の確保に向け、対応できるよう取り組んでまいります。

〔経営室長篠原文彦登壇〕

○経営室長(篠原文彦) 文化施設の質問の中で、中野サンプラザの質問がございました。中野サンプラザは、昭和48年に全国勤労青少年会館として地方出身の若者の憩いの場として開設をされました。その後、大ホールでは数多くの著名人のコンサートが開かれるなど、全国的に有名になったという経緯がございます。このような中野サンプラザの歴史を記録にとどめることについて検討したいというふうに考えてございます。

〔都市政策推進室長奈良浩二登壇〕

○都市政策推進室長(奈良浩二) 私からは、文化施策についての御質問のうち、中野×杉並アニメフェスについての御質問にお答えをいたします。

 まず、実施結果についてでございます。本事業は、中野区及び杉並区の連携により大きな情報発信を行うことで誘客促進を図るとともに、地域のブランド化やにぎわい創出につなげることを目的としたものでございます。事業実施に当たりましては、中野区、杉並区、東京商工会議所中野支部、杉並支部が実行委員会を組織し、中野区、杉並区に集積するアニメ関連企業と協力体制を築き取り組んだものでございます。こうした体制を築き事業を行った結果、中野区、杉並区において行われたイベントでは、区外からも多くの方が参加し、子どもから大人まで計3日間で約2,500人と多くの方に御来場いただいたところでございます。

 次に、来年度以降についてでございます。中央線沿線や近隣自治体の中には、アニメ産業が集積していたり、アニメをテーマとしたまちづくりを進めている自治体がございます。来年度以降につきましては、こうした自治体間の連携を広げ、地域ブランドの確立や地域のにぎわい創出ができるよう事業を継続していきたいと考えてございます。

○議長(いでい良輔) 予定時間を超過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

○都市政策推進室長(奈良浩二) では、最後に、民間団体が中心となったイベントの実施についてでございます。当該事業におきましては、中野区、杉並区、東京商工会議所中野支部、杉並支部及びアニメ関連企業が協力体制を構築して実施したものでございます。行政は関係団体との連携体制の構築や商工会議所はアニメ関連企業との調整など、それぞれが強みを生かしながら取り組みをしてきたところでございます。

○副議長(いでい良輔) 質問時間は終了しております。答弁は結構です。

 以上で森たかゆき議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 市 川 みのる

 1 哲学堂公園周辺都市観光拠点整備について

 2 中野区無電柱化推進方針について

 3 中野駅周辺まちづくりについて

 4 その他

 

○議長(いでい良輔) 次に、市川みのる議員。

〔市川みのる議員登壇〕

○35番(市川みのる) 第4回定例会に当たりまして、自由民主党議員団の一員として一般質問をいたします。ちょっと風邪をこじらせまして、日ごろから声はあまりよくないんですが、ますます聞きづらい声できょうは大変恐縮でございますが、我慢して聞いてください。

 それから今、本会議中に、私も思い起こしたことなんですが、大体常任委員会にみずからが所属しておりますと、私の場合は建設委員会でございますが、その建設委員会所管の質問は本会議ではしないという暗黙のルールが以前の中野区議会にはありました。あえて区長に聞いてみたいということについては、会派の幹事長のお許しをいただいて、それでこの場で質問をしますといったようなことがあったやに記憶をしておりますが、最近はそこいらが大分崩れておりまして、常任委員会で質問ができることについては常任委員会で質問しなきゃいかん。そういうことをみずからの質問を顧みますと、きょうの1番も2番も3番も、これは全部建設委員会の所管なんですね。自分がみずから顧みて、皆さんにそういった今までの中野区議会の歴史、先人が築かれた中野区議会の歴史にもう1回立ち返ってこの場で質問させていただきたいと思いますので、どうか御容赦いただきたいと思います。

 それでは、まず初めに、うちの自民党の伊東しんじ幹事長も質問で取り上げましたけども、哲学堂公園の周辺の都市観光拠点整備、こういった観点から私は質問させていただきたいと思います。

 哲学堂公園の再生整備計画と連携した都市観光拠点整備における道路ネットワークについてまず質問をいたします。

 東京都の名勝指定を受けている哲学堂公園の周辺は、国の登録有形文化財に登録されている旧野方配水塔、これをはじめ、蓮華寺とか新井薬師といった寺社仏閣、それから歴史民俗資料館、これは名誉都民の山崎喜作先生のお宅のテニスコートを開放していただいて中野区がつくった歴史民俗資料館など、歴史的・文化的資源の名所が数多く哲学堂の周辺には存在しています。平成24年度に策定されました中野区都市観光ビジョンでは、「歴史的資源を活かした観光スポットの拡充」とか、また「サブカルチャーや食文化など多様な地域資源を組み合わせたまち歩きルートの開発」などが示されておりました。また、平成28年度に策定された哲学堂公園及び哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画においても、歴史・文化資源をネットワークするまち歩き・回遊ルート、これも整備方針が示されているんですね。

 そうした中、本年第3回定例区議会で、哲学堂公園再生整備基本計画(案)が報告をされました。この計画案では、哲学堂本来の価値を磨いて向上させること、それから、観光資源としての価値を高めること、この二つが主な整備コンセプトに掲げられています。さまざまな整備方針や整備内容が示されておりますけども、本事業では、国や都の文化財関係者や学識経験者、それから東洋大学などとさらに連携・調整を進めて国の名勝指定を目指すとのことでありますから、哲学堂本来の価値、それから観光資源としての価値は大幅に向上されるものと、これは期待をしています。そこで、再生整備される哲学堂公園を十二分に生かしたまち歩き・回遊ルートに関する道路整備について、まず1点伺います。

 哲学堂公園を核にして都市観光拠点を形成して来街者の増進を図って、地域やまちのにぎわいと活性化につなげていく。そのためには、中野駅と歴史的・文化的な資源、それと地域資源・地域産業、これを結ぶ有効な道路ネットワーク整備が重要になってくるんですね。札幌市の創成川通、これは旧態依然とした道路整備や道路管理から脱却しまして、後でこれはネットで調べておいてください。河川区域の道路空間への活用とか兼用工作物による管理手法の導入、それから北海道れんがによる札幌駅前通りからの一体的な道路景観整備などによって魅力ある道路空間づくりを行いまして、まちのネットワーク強化を図ったんです。これにより、まちの連携が強化され、歩行者交通量はおよそ17%、これは増加しました。それとともに、散策や休憩・休息を目的とした新しい人の流れができるんですね。それで、まちの滞在時間も増加して、憩いの場・にぎわいの場としての機能が向上するんです。

 そこで伺いますが、哲学堂公園の再生整備と連携し、中野駅と哲学堂公園を核とした道路ネットワークをまず整備するためには、歩道・車道の景観整備と、それに伴う一体感のある道路附属物の整備が必要であると考えますが、どのような道路景観整備を行うのか、これを伺います。

 また、都市観光拠点の形成に伴う公共交通についても伺いたいと思います。哲学堂公園と中野駅は最短ルートでもおよそ2キロあります。この距離が適度な散策距離と感じる人もいますが、そういう人は多いと思いますが、一方で、この距離が負担になる人もいると思います。哲学堂公園及び哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画の対象区域には、先ほども申し上げましたけども、新井薬師梅照院とか歴史民俗資料館をはじめ複数の歴史・文化資源が点在しているほか、2年後に完成予定の新中野区立体育館、それから平和の森公園ですね。先ほど来お話が出ているような旧刑務所のれんがづくりの正門、そういったものも含まれています。さらに、この区域には、西武新宿線新井薬師前駅、沼袋駅、地下鉄大江戸線新江古田駅など、近距離にこれは立地していますし、これらを回遊性のある交通ルートで結ぶことができれば、観光客だけじゃなくて、地域、地元の区民にとっても大変有益であるとともに、将来、中野区内の南部地域も含めた区内全域にわたり点在をする豊富な歴史や文化資源、これを回遊ルートの整備計画の策定につなげていくことができるんじゃないかと私は思っています。

 そこで伺いますが、まず、哲学堂公園を核とした歴史的・文化的資源をより多くの人たちに享受してもらうために、オンデマンド交通やシャトルバス等による新たな公共交通機関の整備、それとか、近年手軽な移動手段として注目をされている、他区でも採用されている区があるんですけども、運用が進められている区もあるんだけども、シェアサイクルですね。そういったものの導入が将来有効であると思います。それらについて区の考えを伺いたいと思います。

 もう1点、中野駅と哲学堂公園を中心とした歴史的・文化的な資源、地域資源や地域産業、これを結びつける回遊ルートは、既に平成28年度に策定された哲学堂公園及び哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画でも示されています。しかし、回遊ルートを実際に人々が歩いてもらうためには、単にルートを定めるだけでなくて、何らかの仕掛けが必要になってくると思います。例えば、東洋大学と連携をした創立者の井上円了博士の没後100周年を記念するイベントとか、芝の増上寺とか新宿御苑、近隣では練馬の石神井松の風文化公園というところで開かれている薪能。御存じですか、薪能。能を野外でやってもらう。夜の空間にかがり火をたいて能を舞ってもらう。そのようなイベントを練馬は、練馬の名誉区民で野村万作先生という方がいらっしゃるんですね。この万作先生のプロデュースとして開催をした松の風文化公園で行った練馬薪能、これが昨年大成功をおさめて、これが練馬の貴重な、今後の地域文化資源として成長することを願うということを練馬区長の前川さんはおっしゃっているんですね。今、中野区にも、中野区の名誉区民に選ばれました人間国宝の梅若玄祥先生がいらっしゃいますよね。こういった先生方のプロデュースなどを受けて、哲学堂公園内で薪能、これを行ってみるなど、哲学堂公園再生整備に合わせたにぎわいづくりの施策が必要と思いますけども、区の考えをまず伺います。これが最初の項目です。

 次の項目は、無電柱化の推進について質問をします。

 道路の無電柱化については、まちの防災性の向上や都市景観、歩行空間の確保等の観点からその必要性が叫ばれておりますけども、中野区の区道の無電柱化率は0.7%。これは23区平均の7.5%を大きく下回っている状況なんです。このような状況を受け、このたび中野区では、中野区無電柱化推進方針(案)を取りまとめ、さきの建設委員会で報告がありました。今後この方針を定めることにより、無電柱化に関する区の考え方を明らかにするとともに、関係事業者や東京都との円滑な協議、協力体制の構築を図り、効果的に無電柱化を推進するとのことであります。

 そこで、伺います。まず、中野区内の区道の現在の無電柱化率が、先ほど述べたように23区の平均と比較して著しく低い。10分の1ですからね。これはなぜでしょうかと。その原因は何なのか。無電柱化には相当な費用が必要とは聞いておりますが、そういった費用面での課題があったのか。あるいは、何らか物理的な地理的な問題、中野区特有の課題があって無電柱化の推進ができなかったのか、これをお答えください。

 次に、無電柱化の推進については、新しい中野をつくる10か年計画に三つの方向性が既に示されております。一つ目として、都市計画道路及び土地区画整理事業における区画道路の整備に合わせて無電柱化を推進していくこと。二つ目として、木造住宅密集地域における無電柱化の検討を踏まえ、災害時の道路閉塞を防ぐとともに、消防活動の円滑化を図るために、避難道路等を中心に無電柱化を推進すること。それから三つ目として、主要幹線や駅周辺については、今後の区道修繕計画との整合性をとりながら無電柱化の推進を図ることとあります。しかし、今回示された中野区無電柱化推進方針(案)を見ますと、これら三つの方向性をさらに拡大しまして、中野区内の全域が無電柱化推進の区域として示されているんです。23区の平均と比べても大きくおくれをとっている中野区が、本当にこの方針に示されたような無電柱化の実現が果たして可能なのかということがまず最初に出てきます。膨大な費用はもちろんのこと、庁内組織体制の整備増強、さらには実際に無電柱化工事の実施に当たっての道路沿道にお住まいの方々の十分な理解等も必要になってきます。このような状況を踏まえるならば、もう少し現実的な方針として、具体的に事業着手をしている地区の都市計画道路とか、これに接続する主要路線を選定して、例えば、西武新宿線沿線まちづくりであれば、五中つつじ通りなど、あの道路は区画街路第3号と区画街路第4号、これに接続する路線ですよね。そういった主要路線など、これを進行中の事業に合わせて着実にまず無電柱化を推進するべきであると考えますが、そのような形を区民の皆さんに見える形の中で長期的な無電柱化推進方針というものを掲げていくということが私は大事だと思いますが、区の考えはいかがでしょうか、これを伺います。

 それから、実際に無電柱化を進めるには、道路を掘削して電線類を収容する空間を道路の下に構築するのが一般的な方法です。道路の下には上下水道とかガス管、既に多くの管路が埋設されており、この管路が支障となる場合には移設をする必要が生じます。ところが、例えば下水道、これは一定の水の勾配をとりながら敷設されているために容易に移設することはできないと聞いています。ほかの管路についても、さまざまな要因により移設は容易でないかもしれません。さらには、電柱の上に設置されているトランス、これについても無電柱化された場合にはトランスの置き場所を地上に確保する必要が出てきます。道路の際まで建物が建ち並んでいる中野区の状況を見ますと、トランスの置き場所の確保が相当に困難なのではないかと思います。また、これらの工事は長期間にわたることが予想されて、沿道住民の通行への不便が生ずることも懸念されます。これらの課題について区はどのように解決をしていくのでしょうか。弥生町のまちづくりでは、東京都の技術支援を受けて、浅層埋設や小型管路など新技術の導入も検討していると聞いております。この点も含めてお答えください。

 今るる申しましたように、無電柱化の推進には多額の費用と乗り越えなければならない課題が山積しておりまして、ほかの区に大きく水をあけられている中野区にとっては、相当に困難な事業であると思います。しかし、グローバル社会における先進国にふさわしい、また、今後の新しい時代のまちづくり、都市づくりに向けてぜひ取り組まなければならない。災害時にその電線電柱が倒れて道路が歩けないという状態になることはもう既に現象としては皆が共有している現象であります。そういったことがないそういったまちづくり、災害に強い観点からのまちづくりというものも望まれますが、この項の質問はそれで終わります。

 最後に3番目、中野駅周辺のまちづくりについてであります。地域の住民のコンセンサスを得なければまちづくりは進まない。このことは、私が事あるごとに訴えてきたことでありまして、まちづくりはこれが基本中の基本だと思います。いわゆる一丁目一番地です。今回質問で取り上げる中野駅周辺まちづくりもしかりであります。都市計画道路の整備によって商店街の再生が必須となる沼袋のバス通りや大和町中央通り沿道のまちづくりもしかりであります。過去の例から見ても、地域住民の理解を得てうまく進んだ例もあれば、逆に理解を得ることかできずに進まなかった例も数多くあるんです。私自身の経験においても、中野四丁目東地区の再開発、これにおいては、地域の皆さんの理解を得て合意を得るまでに、そしてそれが竣工されるまでに20年間の時間を要したということを今思い起こしますと、相当これは地域の地権者の皆さんの苦労というものが思い出されます。地域住民の理解を得るために、区はさまざまな取り組みをしている話は聞いていますけども、実際にそれがどれだけ地域に伝わって理解されているか。地元の方々に直接話を聞いてみますと、必ずしもそれがうまく伝わっていないということがあるんですね。そういったところで、まちづくりの勉強会などに参加する方々は、正確な情報も伝わって、区が何をやろうかとしていることについても、ある一定の理解は示してくれます。一方、なかなかそういった機会に恵まれない、そういった機会に参加できない方々は、情報が伝わっておらず、これからどうなるか不安になって反対するしかないといったようなことから、こういった一つの構図ができてしまうということも頭に置いておくことが必要だと私は思います。

 中野駅周辺のまちづくりですが、対象となる中野駅周辺にはどのくらいの住民がいるのか統計書で調べてみました。中野二丁目にはおおよそ2,500人います。中野三丁目には6,000人います。四丁目には2,000人います。五丁目には6,500人いて、合わせて1万7,000人余りの方が暮らしているんですね。このほか昼間人口が四季の都市が完成したことによって2万人ふえているわけですね。こういった就業・就学者を入れると相当な数になっている。いろいろな考え方をお持ちの方がいるので、全てとは言いませんけども、より多くの人々の理解を得ていくには、マス、いわゆる大衆の働きかけだけでなくて、地域住民とのきめ細やかなコミュニケーションが大変重要だと私は思うんです。中野駅周辺まちづくりの中で肝となるのが、中野駅西側の南北の通路、橋上駅舎、駅ビルの整備、これが肝だと思います。これについては、JRとの協議を進めて、平成39年度ころの竣工。さらに前倒しをしたいとの報告は伺っていますけども、地元の商店街にも情報提供があったとのことですし、大多数の人はまだ状況をつかんでいないという状態でもあると思うし、さらに情報を発信していくことを求めておきたいと思います。

 そちらのほうが肝ならば、区役所・サンプラザ地区、これは中野駅の新北口駅前エリアとなりますが、ここの再整備は目玉になります。中野サンプラザが中野の文化を育んで、そこのまちをつくって、区民の誇りになっているランドマークになっていること、これはことしの第1回定例会で、私は一般質問においても述べたところであります。まちの中でサンプラザの再整備を期待する声を聞く一方で、そうとも思っていない方々がいるもの事実です。ここで、これは理解を求めていく努力が必要だということなんですね。この再整備の中でも、中心になる施設がアリーナであります。このアリーナについては、先日、スポーツ庁鈴木大地長官の記者懇談会において、スタジアム・アリーナ改革推進事業に中野区や京都、秋田を採択したことが公表されました。また、それを受けて、引き続いて、田中区長も定例記者会見を開いて、この事業に採択され、区として取り組んでいくことを公表されました。この事業は、スポーツ産業の活性化を目指して、多機能型のスタジアムやアリーナの推進に向けて、地域版の官民連携協議会を支援するものと聞いておりますけども、まずこの事業の概略について伺いたいと思います。

 それから、この官民連携協議会における民の部分、特に地元との関係なんですけど、これまで述べてきたように大変重要な部分だと思っています。アリーナ計画を進めるにしても、地域住民のコンセンサスが得られなければうまく進まない。しっかりとコミュニケーションをとっていくことが必要だと思うんだけど、具体的にどのようにしていくのか、これも伺います。

 こうした国のスポーツ庁の事業を活用していくことは、中野のまちづくりの取り組みが日本全国に広まっていくことにつながるわけで期待したいとは思います。この中野のように商業や飲食の店舗が建ち並ぶ、まちの中心に立地するアリーナというのは国内では希有な例なんです。今後の持続可能なまちづくりを導くものと確信するものだと私も思っておりますけども、それだけに周辺地域、要するにまちの中心に立地する希有な例なんだから、それだけ周辺地域の理解と協力を得て地域一体で進めるものとなっていかなければ、これは全国のお手本にもなりません。と思うんですね。この事業の期間だけでなく、継続して議論ができるよう、これをさらに継続していくように、地域に対しても継続的に発信できるよう取り組んでもらいたいと思いますが、来年度以降はどのようにしていくのか、この点を伺います。

 地域住民の理解を得ることの次に求められるのが、協力してもらうこと、そして動いてもらうことであります。そうした取り組みを組織的、継続的に行っていくものをエリアマネジメントと称して展開している事例が全国に数多くあります。この中野駅周辺は、元気で活気ある商店街も多いですが、将来のまちの姿が見えずに足踏みをしているところも少なくありません。各地区の再開発によって自分たちがどうなるのか不安に思っているようでもあります。自分たちがどうなるのか不安になっているこれからの再開発と地元をつなぐ取り組みとして、エリアマネジメントといった取り組みが、これはどうしても必要になってくるんじゃないのか。このまちの経営をどうするのかということを、やはり理解しながら、地権者の再開発やまちづくりに対しての理解を促していくといったことが必要なんではないかと考えています。

 中野駅周辺地域の再整備をはじめとしたハードのまちづくりが目に見えて進んでいく一方で、どうやってまちの魅力を高めて、まちを活性していくのかといったソフト面でのまちづくりとの一体性が見えてこないと、地域の皆さんが将来のまちの姿を生き生きと、自分ごととして思い描いて、そして積極的にまちづくりに参加して行動に移していくということが困難になってくると思います。来街者が中野のまちへの魅力を感じ、リピーターをふやしていくためには、官民が一体となり、協働してまちのマネジメント、すなわちエリアマネジメントに取り組んでいくことが重要だと思います。

 そこで、商店街をはじめとした区民の皆さんが、みずから地域の将来を思い描き、積極的にまちづくりに参加していくソフトとしてのまちづくりへの取り組みが今後重要になってくると思いますけども、区としてエリアマネジメントについてどのように考えているのか、この御見解を伺います。

 いずれにせよ、今後、中野駅周辺のまちは大きく動いていきます。将来を夢見るのは必要なことでありますけども、そのプロセスは、あちらこちらで行われる工事でありますから、また、まちづくりに取り残されていく地域があることも、こういったことも視野に入れていかなければなりません。まちの課題の一つひとつをしっかりと捉え、それらを受けとめていく場であり、エリアマネジメントの出発点になる場が必要なのではないかと考えますが、御見解を伺います。

 私からの一般質問は、この3項目できょうは終わります。その他の項はございません。どうも皆さん御清聴ありがとうございました。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) 市川議員の御質問にお答えいたします。

 まず、哲学堂公園周辺都市観光拠点の整備についてであります。哲学堂公園の再生整備と連携した道路景観の整備についての御質問がありました。道路景観整備の目的は、地域に根差した歴史的・文化的資源を生かしつつ、これらの景観や印象と調和したまちの維持形成を図ることにあるわけであります。哲学堂公園の再生整備と連携した道路整備におきましても、景観整備の目的を達成するため、周辺の地域特性や周辺環境とバランスのとれたデザインを基調とした整備を検討してまいります。

 次に、新たな公共交通機関の整備についての御質問がありました。哲学堂公園周辺が都市観光拠点としてより多くの方が訪れやすくなるよう、新たな公共交通機関のあり方について今後研究していきたいと考えております。あわせて、既存のバス路線が哲学堂公園を核とした回遊ルートの中でより一層活用されるようバス事業者等との連携協力を深めていきたいと考えております。また、シェアサイクルの導入については、広域実証実験を行っている先行区の動向等を踏まえて、幅広く検証を行ってまいります。

 哲学堂公園周辺の回遊ルートの振興策についてであります。区は、哲学堂周辺を取り上げた民間雑誌、月刊「東京人」やこれをもとにした哲学堂公園周辺ガイドや都市観光サイトなどにおいて周辺の商店街や飲食店、寺社仏閣なども含めた哲学堂周辺の周遊ルートを周知してきているところであります。今後、哲学堂公園再生整備に合わせて、哲学堂公園の魅力を取り上げるイベントの開催やホームページやSNSなどを活用した情報発信を行って回遊性を高め、地域全体のにぎわいにつなげていきたいと考えております。

 次に、中野区無電柱化推進方針に関連する御質問です。区の無電柱化率についてであります。23区平均の無電柱化率が高い理由は、千代田区等の都心区が区道の無電柱化を幅広く実施しているからであります。都心区では、大規模再開発に伴って無電柱化される場合があることに加えて、広幅員、幅の広い区道が多く、技術的に無電柱化が容易であると言えるところがあります。都心部に比べて狭隘道路の割合が非常に高い区内の道路では、地下埋設物の移設や電線共同溝の設置が、技術的、あるいは法律的に困難であったために区の無電柱化率が低くなっております。

 無電柱化の着実な推進についてということです。無電柱化推進法は、国や地方公共団体等に対して無電柱化の推進に一定の責務を課していることから、中野区無電柱化推進方針では、区域を限定することなく対象を区内全域としたものであります。今後、優先的に無電柱化する路線の選定に際しては、道路整備及びまちづくり事業等の実施時期や整備効果を考慮しつつ、新設の道路整備や拡幅などといった整備と一体的に実施することで区内の無電柱化を着実に推進をしてまいります。

 無電柱化のための課題の解決についてであります。無電柱化の実施においては、既存埋設物の移設等が困難な場合には、関係事業者のより一層の協力が必要であり、区は無電柱化実施の初期段階から事業者への設計説明やヒアリング等を充実させることで工事調整を丁寧に行い、事業者との円滑的な協議・協力体制を構築してまいります。また、地上機器の設置場所の確保につきましては、公園等の公共施設や道路整備等による残地の活用などに努めてまいります。さらに、弥生町まちづくり事業において、技術的に無電柱化が困難な狭隘道路を対象とした東京都のチャレンジ支援事業であります。このチャレンジ支援事業による都の技術的・財政的支援を受け、工期の短縮等を可能にする浅層埋設や施設の小型化などの新技術の検討を行ってまいります。

 私からは以上です。

〔都市政策推進室長奈良浩二登壇〕

○都市政策推進室長(奈良浩二) 私からは、中野駅周辺まちづくりについての御質問にお答えをいたします。

 まず初めに、スタジアム・アリーナ改革推進事業の概要についてでございます。スポーツ庁が平成29年度に創設したスタジアム・アリーナ改革推進事業は、スポーツ産業インフラであるスタジアムやアリーナの改革推進に向けて地域特性に応じた多機能型・複合型などによる収益性の高いスタジアム・アリーナの整備手法の検討を進めることを目的とした事業でございます。本年9月に第2期の公募が行われ、中野駅新北口駅前エリアにおけるアリーナ整備に係る企画提案として応募したところ採択されたものでございます。

 区では、事業協力者、学識経験者、スポーツ団体、音楽関係団体、経済団体及び関連企業などからなる官民連携協議会を設置いたしまして、来年3月までの間、中野駅新北口駅前エリア、区役所・サンプラザ地区再整備事業における主要な施設となりますアリーナをモデルとした検討を行ってまいります。また、協議会における検討成果を踏まえ、アリーナを起点としたまちづくりのあり方を幅広く議論するため、来年3月にフォーラムを開催し、区民などの理解促進と期待醸成を図るものとしていきたいと考えてございます。

 次に、住民のコンセンサスを得ることについてということでございます。このたび官民連携協議会には、地元の経済団体から委員を選出いただくことを考えておりまして、区民の視点で中野の立地特性を生かした収益性の高いアリーナの議論をしていただきたいと考えてございます。また、フォーラムの参加を幅広く呼びかけることなどを行いまして区民の理解を得るとともに、将来のまちづくりへの期待を醸成していきたいと考えてございます。

 次に、地域に対する継続的な発信についての御質問がございました。スタジアム・アリーナ改革推進事業は、来年3月までの事業でございます。官民連携協議会もその時点で終了となります。その後は、検討成果を参考にしながら、中野駅新北口駅前エリア、区役所・サンプラザ地区再整備事業計画の策定に向けて検討を進めていきたいと考えてございます。この地区の計画検討に当たっては、区民意見交換会や区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議の開催、各種団体からの要請に応じた意見交換会などを行ってきたところでございます。今後もこうした場を通じまして、地域への情報発信や意見を伺う機会を設けていきたいと考えてございます。

 最後に、エリアマネジメントについての御質問でございます。良好なまちの環境の誘導や地域の価値を維持・増進するために、地権者や開発事業者、地元企業、住民等が一体となって地域の将来像の共有化や地域のルールづくり、地域の魅力に関する情報発信など、主にソフト面でのまちづくりに取り組んでいくエリアマネジメントなどの仕組みが重要であると考えてございます。エリアマネジメントの形態には一定の決まった形があるものではなく、また、行う取り組みも地域の実情によりさまざまであることから、中野駅周辺地域におけるエリアマネジメントにつきましても、まちづくりの進捗や地域の実情により適切な形で整備運営をしていくことが求められていると考えてございます。そういったハード・ソフトのまちづくりが一体となって進んでいくことで、中野のまちの魅力を高め、にぎわいと活力あるまちが生み出されていくことから、行政と民間が協力をして、ソフトのまちづくりに取り組んでいくエリアマネジメントの仕組みが必要であると考えてございまして、できるだけ早く構築していきたいと考えてございます。

〔市川みのる議員登壇〕

○35番(市川みのる) 再質問なんですが、官民連携協議会は地元の経済界が地元で入っていますからという答弁なんだけど、地元というのは、私が言いたいのは、例えば、中野区商店街連合会の第7ブロックとか、具体的に言うと、地元のそういった商店街、地場の、経済界の代表といえば、中野区全般を見渡している方が多いのかもしれないけども、実際この中野駅の周辺で生業を営んで、また暮らしている。そういった方の中からの代表者というものを構成員の中に一人加える必要があるんじゃないかと思って質問をしたんだけども、その点は、都市政策推進室長に聞いているところ建設委員会でやっているのと同じになっちゃうんです。だから、区長に改めてこれは聞きたい。いいですか。お願いします。

〔区長田中大輔登壇〕

○区長(田中大輔) アリーナの事業、またそれに引き続くというか、それと関連する中野駅北口周辺のさまざまなまちづくり、地域の課題でもありますが、すぐれて全区的な課題であると、このように思っております。そういう意味で、具体的な協議会の人選についてこの場で触れることはできないと思いますが、ここに参加をしていただく区民の方ということにつきましても、全区的な課題、これに対して対応していただくという観点から団体にお願いをしていくということになっていくと思います。その団体の中でとのような人選が行われるかといったようなことにも関連してくるかということでありまして、そういう中で地域の視点も生かした全区的な代表が参画をしていただくということが肝要かと思っております。

○議長(いでい良輔) 以上で市川みのる議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。

 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(いでい良輔) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時00分延会

 

会議録署名員 議 長 いでい 良輔

       副議長 南 かつひこ

       議 員 白井 ひでふみ

       議 員 石坂 わたる