平成30年07月02日中野区議会本会議(第2回定例会)
平成30年07月02日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録

.平成30年(2018年)7月2日、中野区議会議事堂において開会された。

.出席議員(41名)

  1番  加  藤  たくま         2番  若  林  しげお

  3番  日  野  たかし         4番  杉  山     司

  5番  ひやま      隆        6番  山  本  たかし

  7番  渡  辺  たけし         8番  細  野  かよこ

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  いでい   良  輔

 11番  高  橋  かずちか       12番  内  川  和  久

 13番  木  村  広 一        14番  甲  田  ゆり子

 15番  小  林  ぜんいち       16番  中  村  延  子

 17番  内  野  大三郎        18番  小宮山   たかし

 19番  広  川  まさのり       20番     欠  員   

 21番  佐  野  れいじ        22番  北  原  ともあき

 23番  伊  東  しんじ        24番  平  山  英  明

 25番  南     かつひこ       26番  白  井  ひでふみ

 27番  森     たかゆき       28番  いながき  じゅん子

 29番  石  坂  わたる        30番  小  杉  一  男

 31番  い  さ  哲  郎       32番  大  内  しんご

 33番  高  橋  ちあき        34番  伊  藤  正  信

 35番  篠     国 昭        36番  小  林  秀  明

 37番  久  保  り  か       38番  酒  井  たくや

 39番  近  藤  さえ子        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席議員

      な  し

.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  本 田 武 志

 政 策 室 長  朝 井 めぐみ      経営室長、新区役所整備担当部長  髙 橋 信 一

 都市政策推進室長 奈 良 浩 二      地域支えあい推進室長 野 村 建 樹

 区民サービス管理部長 上 村 晃 一    子ども教育部長、教育委員会事務局次長 戸 辺   眞

 健康福祉部長   小 田 史 子      保 健 所 長  向 山 晴 子

 環 境 部 長  白 土   純      地域まちづくり推進部長 角   秀 行

 都市基盤部長   豊 川 士 朗      政策室参事(企画担当) 杉 本 兼太郎

 経営室参事(経営担当) 石 濱 良 行

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  吉 村 恒 治      事務局次長    古 本 正 士

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  立 川   衛

 書     記  若 見 元 彦      書     記  井 田 裕 之

 書     記  冨 士 縄  篤      書     記  野 村 理 志

 書     記  鎌 形 聡 美      書     記  遠 藤 良 太

 書     記  松 丸 晃 大      書     記  古 谷 友里香

 書     記  吉 田 光 洋      書     記  有 明 健 人

 

 議事日程(平成30年(2018年)7月2日午後1時開議)

日程第1 第47号議案 中野区職員の給与に関する条例の一部を改正する条例

 

午後1時00分開議

○副議長(南かつひこ) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元に配付の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 6月29日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 いながき じゅん子

 1 施政方針説明について

 2 防災対策について

 3 受動喫煙防止対策について

 4 その他

 

○副議長(南かつひこ) 最初に、いながきじゅん子議員。

〔いながきじゅん子議員登壇〕

○28番(いながきじゅん子) 都民ファーストの会中野区議団の立場から一般質問をいたします。

 さきの中野区長選挙の結果、区では16年ぶりに新しい区長が誕生することとなりました。改めて、新区長の御就任に対しお祝いを申し上げます。定例会初日に区長もおっしゃっていましたが、区長と区議会は車の両輪と言われています。我々の会派は、協力すべきところは協力し、行政のチェック機関として厳しく指摘すべき点はしっかりと指摘しながら、ともに区民福祉の向上に努めてまいりたいと考えております。

 それでは、最初の質問に移ります。今回の一般質問は、初日に他の同僚議員がただされた内容と重なる部分も複数ございますが、どうぞ御了承ください。

 区長は選挙戦の中で、長期政権による区政の停滞や庁内の閉塞感の打破を訴えられました。そして公約の中でも、リーダーが長く居座ると必ず弊害が生まれる、区長の任期は長くとも3期12年までと書かれていました。私も区議会議員として前区政を見つめてきた中で、やはりトップの在任期間が長期化することの弊害を実感しておりました。そこで伺います。区長は御自身の任期について、今後どのような形で区民とのお約束を果たされるのでしょうか。前区長は、自治基本条例の中に努力義務とはいえ、多選自粛規定を御自身で盛り込まれました。区議会の議決を経て自治基本条例からその部分は既に削除されておりますが、区長は御自身の任期について、口頭でのお約束にとどめるのでしょうか。それとも再び条例の中で明文化するなどのお考えがあるのか伺います。選挙戦の大きな争点ともなった長期政権の是非や御自身の任期について、施政方針説明の中で触れられなかったのは少々残念です。改めてお考えをお聞きします。

 次に、区役所・サンプラザ地区再整備について。

 前区政では、いつどこで誰が決定したのかわからないまま、この地区に1万人規模のアリーナと高層の多機能複合施設を整備するとの結論ありきで再整備事業が進められてまいりました。昨年の第4回定例会の一般質問でも申し上げましたが、そもそも区民の資産である区役所・サンプラザの土地に何をつくるのか、何がベストなのかを決めるに当たっては、最も収益性のある最有効使用を判定してから、区民の意向や公益性を勘案した上で資金計画と採算性を考慮し、区民の合意を得ながら進めるべきです。当然、再整備後に区と区民に長期にわたる重い財政的負担が発生する場合は計画の再検討が必要です。中でも我が会派は、区民の資産である中野駅前の超一等地は決して売却せず、定期借地の形で再整備を進めていくべきであると主張してまいりました。区長は当選直後にサンプラザ解体、1万人アリーナの整備計画の見直しを発表されましたが、この地区の土地活用の方針について改めてお考えをお聞きします。

 また現在、区役所新庁舎の整備事業が基本設計の段階まで進んでおります。今回のサンプラザ解体、1万人アリーナ整備計画の見直しにより、5年後に竣工予定の新庁舎整備スケジュールに変更は生じるのでしょうか。また、これまでの計画では、現区役所サンプラザの跡地を最大限活用して新庁舎の財源を生み出すとしていましたが、この方針にも変更が生じるのか、変更されるとすれば財源についてどのようにお考えなのか伺います。

 次に、平和の森公園再整備事業について伺います。

 施政方針説明では、300メートルトラック、バーベキューサイトなどの必要性について、もう一度区民の皆さんの意見をしっかりとお聞きした上で判断するとおっしゃっていました。その第2工区の工事の着工がことし10月に迫っております。もしも中止されるのであれば、それに伴う各方面への影響を最小限に抑えるため、できるだけ早期に御判断すべきだと考えます。いつまでに結論を出されるのでしょうか、伺います。また、区長が必要なしと判断された場合、その後どのような手続を踏んで最終的に決定されることになるのか伺います。

 今回の再整備工事では、これまで進められてきた第一工区と、トラックとバーベキューサイトを含む第二工区の工事を一括契約しております。これから着手されるトラックとバーベキューサイトの工事費用は明らかにされていませんが、もしも中止となった場合、違約金等の区の負担は発生するのか、発生する場合はどのようにその額が決まるのか伺います。

 次に、哲学堂公園について伺います。

 施政方針説明では、利活用のビジョンをもう一度立ちどまって議論し、それに基づいて、駐車場や学習展示施設、管理棟の必要性や規模について判断するとおっしゃっていましたが、それは既に策定済みの哲学堂公園再生整備基本計画と哲学堂公園及び哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画についても内容を議論し直すということなのでしょうか。仮に学習展示施設等の建設を白紙撤回した場合も、哲学堂公園を歴史・文化を生かした新たな都市観光拠点の核とし、国指定の「名勝」を目指すという基本的な方針に変更はないのでしょうか。

 哲学堂公園は既に東京都の名勝指定を受けており、その歴史的、文化的価値が認められているところです。ただ、公園の立地や哲学というテーマ性、わかりやすい庭園美がないことなどを考えますと、都内の数ある歴史的・文化的名所の中から観光客にこの公園を選んで足を向けていただくためには、名勝指定を受け、公園単体の価値、魅力を高めるだけではなく、やはり哲学堂公園及び哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画でうたっているように、周辺地区と一体となった魅力的なまちづくりの視点から事業を進めていかなければならないと考えます。しかし、これまで哲学堂公園の再整備が周辺のまちづくりと連動して進められてきたようには見えません。現時点では、哲学堂公園の区政における位置付けもよくわからない状態です。例えば哲学堂公園のホームページを開きますと、まず健康体操やウォーキング教室の大きな写真が目に飛び込んできます。内容も文化・スポーツ教室やイベントの案内がメインとなっており、世界に類を見ない哲学を表現した歴史的・文化的価値ある公園であるということが伝わってきません。指定管理者が公園だけではなく、併設されている運動施設の管理運営をも同時に担っているのが大きな理由だと思われます。もし観光拠点として本格的に整備していくというのであれば、ハード面だけでなく、運動施設とのすみ分けも含めたPR戦略の見直しが必要です。今の哲学堂公園は、歴史的・文化的価値を持つ観光拠点の核というよりは、区民のための憩いの場、文化・スポーツ公園の色合いが強く、非常に中途半端な状態になってしまっています。利活用のビジョンをこれから議論するとのことですが、まず、哲学堂公園を区政の中で今後どのように位置付けていくのか、区長のお考えをお示しください。

 次に、教育について伺います。

 我々の会派は一貫して教育への投資は未来への投資である、区は公教育にもっと力を入れるべきであると訴えてまいりました。今回、新区長が施政方針説明の中で、公教育の充実に自治体がしっかり取り組まなければならないとおっしゃったことは大変心強く、これからの中野区の教育行政の発展に大いに期待をしているところです。

 さて、私が初当選させていただいた10年以上前から、校長先生方やPTAからは、区の学校教育予算が非常に少ない、何とかしてほしいとの声をいただいており、区はもっとその枠をふやし、子どもたちの教育環境の改善を図っていくべきであると強く感じておりました。東京都教育委員会発行の地方教育費調査報告書の最新の調査結果を見ましても、生徒1人当たりの教育費支出額は小・中学校ともに23区中でも低いほうであり、これから公教育の充実を目指す中で、区の教育予算の拡充が必要だと考えます。

 例えば、学校では校長の裁量で予算執行できる校割予算がありますが、その内訳は固定費的な支出が多く、教育目的に自由に使える余裕がありません。予算額そのものが少ない中で物品購入もままならず、現場ではとうに寿命が過ぎて壊れかけた備品を何度も修理しながらだましだまし使用するなど、涙ぐましい努力をしながらやり繰りをしています。備品といえども円滑な授業運営や児童・生徒の安全を確保する上で問題となる場合も出てきます。この校割予算の拡充について区の考えをお示しください。

 次に、教員の指導環境の改善について。

 現在、ICT教育を推進していくための支援員の配置が強く求められています。タブレット端末が全小学校に配布されていますが、中野区では現場で使用しているソフトウェアの会社がアフターサービスの一環で何か問題が起きたときのみフォローをしている程度で十分とは言えません。タブレットのトラブル対応などの技術的支援だけでなく、授業への活用方法の支援を担う専門のICT支援員が必要とされています。23区で支援員がゼロの区は中野区を入れて数区しかありません。他区で力を入れているところでは、各校に週4回、7時間勤務で支援員を配置しているところもあり、その差に驚かされます。来年、全中学校にタブレットが配布されますが、教員が積極的に授業に活用し充実した指導を行えるよう専門の支援員の確保が必要だと考えますがいかがでしょうか。

 次に、防災対策について伺います。

 まず、先日の大阪北部で発生した大地震により被災者となった方々に、心よりお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた皆様の御冥福をお祈り申し上げます。今回、小学4年生の女児が倒壊した学校プールの外壁の下敷きになって亡くなられたことを受け、早速、学校施設分野のほうで区立小・中学校の安全点検を行ったそうですが、その結果と今後の対応について伺います。また、その他の区有施設についても、保育園や幼稚園など子ども関連施設の安全点検を最優先で行い、危険箇所が発見された場合は早急な対応を行うべきではないでしょうか、伺います。

 次に、通学路の危険箇所への対応について伺います。

 区の地域防災計画には、「通学路沿い等のブロック塀の実態調査を実施し、建築基準法に定める技術的基準を満たすよう、危険性が高いものに対して改善指導を行う」と明記をされています。区は平成21年に幹線道路沿いのブロック塀の安全調査を行ったとのことですが、通学路沿いのブロック塀の実態把握とその対策がこれからの課題です。子どもの命と安全を守るために、早急に取り組むべきだと考えます。また、通学路のみならず、保育園や児童館など子ども関連施設の周辺についても危険性が確認できた場合は同じように早急に改善指導を行うべきと考えます。区の答弁を求めます。

 ブロック塀のブロックの重さは一つ10キロもあり、子どものみならず大人にとっても立派な凶器となります。先日の大阪の地震でも、犠牲者のお一人はブロック塀の下敷きになってお亡くなりになりました。危険性のある塀を放置して、その倒壊による被害者が出た場合、所有者も損害賠償責任を問われる可能性が高くなります。また、狭い道が多い中野区においては、震災時に人命を守るだけでなく、倒壊して通行の妨げとならないようにするためにも危険なブロック塀をなくしていくことが喫緊の課題です。今後は区内全域の実態調査を行った上で、ブロック塀の撤去・改修が進むような制度の新設を検討していくべきではないでしょうか。以前、中野区ではブロック塀を撤去して生け垣にかえた場合に助成金が出ていました。今は生け垣の維持に関する助成が23区で一番になるほど手厚くなっていますが、今後はブロック塀のかわりに生け垣を新設する際の助成金を優先し、復活させてはいかがでしょうか。また、それとは別に、生け垣に限定しないブロック塀の改修や撤去のみに対する助成金の新設も検討し、区内全域において危険なブロック塀をなくす取り組みを行うべきではないでしょうか、区の答弁を求めます。

 阪神・淡路大震災では、地震による直接の死因のおよそ8割は、倒壊家屋や家具による窒息死・圧死でした。1割の死因が焼死ということですが、結局、それも建物や家具の下敷きになって動けないうちに火が回ってきて亡くなられたケースが多かったとのことです。また、犠牲者のほとんどが15分以内に亡くなっていることから、自宅における個人での備えや対策が進むよう区が支援することが必要です。専門家の見解では、家具転倒防止については壁に金具で固定することが一番効果的とのことです。しかし、賃貸住宅では退去時に原状回復義務が発生することから、壁に穴をあけて固定することに二の足を踏んでいる家庭が多くあります。港区では、昨年度から区民向け住宅において、家具転倒防止器具取りつけによるものに限り、この退去時の原状回復義務を免除する取り組みを始めました。条例制定も必要なく、入居のしおりに明記するだけで特に予算も必要ありません。また、空き部屋が出るたびに家具を固定しやすいよう部屋に長押を設置しているとのことです。中野区でもまずは区営住宅でこのような制度を取り入れ、家庭での防災対策を促していくべきではないでしょうか。

 また現在、区では家具転倒防止器具の取りつけ助成制度がありますが、取りつけ作業だけでなく、器具自体を無償化し、妊婦さんやひとり親家庭など助成対象を広げることでさらに利用がふえると考えますがいかがでしょうか。個人が自宅から始める地道な防災対策の積み重ねが結果的には多くの区民の命と財産を守ることにつながります。ぜひ区にその後押しをしていただけるよう要望をいたします。

 最後に、受動喫煙防止対策について伺います。

 先週、東京都の受動喫煙防止条例が都議会にて賛成多数で可決成立いたしました。受動喫煙が健康に悪影響を与えることは科学的に明らかにされており、私は以前から東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止対策に力を入れるべきだと訴えてまいりました。今回、都条例が制定されたことに伴い、中野区も受動喫煙防止対策に本腰を入れて取り組んでいくべきだと考えますが、区として何か新たな取り組みを考えていらっしゃるのでしょうか。今回の都条例は主に屋内での受動喫煙防止に関する内容であり、2020年4月1日までに段階的に施行されることになっています。中野区には現在、吸い殻、空き缶等の散乱及び歩行喫煙の防止等に関する条例が既に存在していますが、これは受動喫煙防止を直接の目的とした条例ではありません。屋内での受動喫煙防止対策は東京都が条例をつくることで大きく前進をしましたが、屋外での受動喫煙防止対策において、区は今後どのような取り組みをされていくのでしょうか。

 都条例の中では、都民の責務として、喫煙及び受動喫煙が健康に及ぼす悪影響について理解を深めるとともに、他人に受動喫煙を生じさせることがないよう努めることとあります。この規定は屋内のみならず屋外でも適用されることを考えますと、現在、中野駅周辺に限定されている路上喫煙禁止地区を速やかに拡大し、区内全域を禁止地区に指定することが必要ではないでしょうか。さきの都議会では屋内も屋外も、区市町村が主体となる公衆喫煙所に対しては都が全額補助するとの知事の答弁がありました。屋外の公衆喫煙所については今後、国からの補助も見込まれます。区はこれまで、禁止地区を新たに設けるに当たっては、公衆喫煙所の設置が不可欠であると主張されてきました。今後は、国や都の補助も活用しながら公衆喫煙所を設置しつつ、区内全域を早急に路上喫煙禁止地区にしていくべきと考えます。

 なお、都条例の中で、都や鉄道事業者は区と協力連携する努力義務があると定められています。公衆喫煙所については、周辺の歩行者等を受動喫煙から守ることができるよう、その設置場所や設備については東京都や鉄道事業者の協力をしっかり得ながら進めていっていただきたいと思います。

 なお、本年4月1日からは、東京都の子どもを受動喫煙から守る条例が施行されています。この条例では、都民は受動喫煙による健康への悪影響に関する理解を深めるとともに、いかなる場所においても、子どもに受動喫煙をさせることのないよう努めなければならないとされています。以前、私は区立公園を全面禁煙化すべきではないかと質問をいたしました。この条例施行に伴い、一般的に子どもが多く集う公園は、やはり速やかに禁煙にすべきだと考えます。改めて区の答弁を求めます。

 また今後、路上喫煙禁止地区を拡大していく場合には、子どもが多く通る通学路には重点的に禁止地区ステッカーを表示してはいかがでしょうか。区にはこの子どもを受動喫煙から守る条例と、今回制定された受動喫煙防止条例の周知徹底をしっかりと図りながら、区民の健康と安全を守るまちづくりに取り組んでいただけるようお願いをし、私の全ての質問を終了いたします。ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) いながきじゅん子議員の御質問にお答えいたします。

 まず最初に、区長の在任期間についてでございます。区長の在任期間は、私は3期12年までが適当だと考えております。この3期12年があるべきと考えております。

 次に、区役所・サンプラザ地区再整備における土地活用についてでございます。区はこれまで、中野駅新北口駅前エリア(区役所・サンプラザ地区)再整備事業において、現在の区役所と中野サンプラザなどの土地建物を活用し、エリア一帯における面的整備とともに新区役所整備の財源を見出す考えを示してきたところでございます。土地保有のあり方については、事業の組み立ての中で改めて検討してまいります。

 次に、新庁舎の整備スケジュールについてでございます。新庁舎については、用地を現体育館周辺に確保していることから、区役所・サンプラザ地区再整備の計画検討を踏まえつつ、スケジュールどおり整備を進めていけるよう調整してまいりたいと思います。

 次に、新庁舎の財源についてでございます。新庁舎の施設整備費については、現区役所、サンプラザの資産を有効活用して生み出すこととしており、その資金の計画の詳細については今後検討してまいります。

 次に、平和の森再整備事業についての、工事内容の変更時期と手続についてでございます。まずは、第二工区の工事内容変更案を複数作成して、区民との意見交換会などを開催する予定でございます。工事内容を変更する場合には、第3回定例会での変更契約議案の提案を目指して進めてまいります。

 次に、平和の森再整備事業について、中止となった場合の違約金等についてでございます。見直しの規模によっては請負者の損害を区が負担することになりますが、それらの影響が最小限に抑えられるように検討してまいりたいと思います。違約金等の決定については、請負者が算定して示す額について協議し、決定することになります。

 次に、哲学堂公園の利活用ビジョンの再議論についてでございます。文化財的価値の活用による観光への寄与について再議論を行い、学習展示施設、管理棟などのあり方を検討してまいります。

 次に、国の名勝指定についてでございます。現在、哲学堂公園は東京都の指定文化財であり、その価値をさらに高めていくことは重要であると考えております。今後、哲学堂公園再生整備計画のスケジュール等を勘案しながら、国の名勝指定を受けることについても検討を進めてまいります。

 続けて、区政における哲学堂公園の位置付けについてでございます。哲学堂公園及びその周辺の地区は、区政における文化・観光及びまちづくりの重要な要素の一つとなるものでございますが、その利活用については再度検討することとし、哲学堂公園周辺のまちづくりのあり方とあわせ、中野のまちの魅力向上に資するものとしてまいりたいと思います。

 次に、公教育の充実について、教育予算の充実についてでございます。公教育の充実には、学校施設の計画的な修繕をはじめとして、ICT活用やICT支援員などの人的配置、また児童・生徒の安全対策等、教育環境の整備が重要であると考えております。良好な教育環境の確保、充実を図るに当たっては、各学校の実情に応じ、学校長の裁量により対応できる校割予算の役割は大きいと認識しております。教育予算全体を検討する中で適切に対応してまいります。

 以上、私からの答弁を終了させていただきます。

〔子ども教育部長、教育委員会事務局次長戸辺眞登壇〕

○子ども教育部長、教育委員会事務局次長(戸辺眞) 私からは、防災対策につきましてお答え申し上げます。

 学校等におけるブロック塀等の安全確認についてでございます。教育委員会では、地震が発生した翌日より、学校等におけるブロック塀等の安全点検を実施し、各施設の状況を確認してございます。その結果、幼稚園1園、小学校14校、中学校7校において学校の校地内にブロック塀等がございました。著しいひび割れや破損、または傾斜により直ちに倒壊等のおそれのあるものはございませんでした。小学校1校におきまして、建築基準法施行令の高さの基準に適合していないブロック塀があり、これについては直ちに撤去等の改修を行ってまいります。

 続きまして、保育園等、子ども教育施設の安全確保についてでございます。区が所有する保育園等の子ども教育施設につきましては、巡回による点検調査を行っているところでございます。今後の対応につきましては、各施設の点検調査結果を踏まえ、全庁的に調整・連携を図りながら検討してまいります。

 続きまして、通学路沿いのブロック塀の実態把握と改善指導でございます。通学路沿いのブロック塀の実態把握等については取り組んでまいります。今後、通学路を含め、私道、公道を問わず、一定の範囲でのサンプリング調査を実施し、その結果等を踏まえ調査範囲の拡充を含めた調査方法について検討してまいります。また、文部科学省から改めて通学路を確認し、地震が起きた際には、児童・生徒等が自分自身の判断で身を守り、迅速に避難できるよう指導を徹底するよう通知がございまして、教育委員会では各学校に対して、児童・生徒の注意喚起の徹底について周知したところでございます。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 私からは、防災対策について、それから受動喫煙防止対策について所管分の答弁をいたします。

 まず、防災対策についての生け垣助成の復活について及びブロック塀の改修撤去の助成制度の新設についてでございます。区といたしましては、これから実施するブロック塀等の調査結果を検証いたしまして、調査範囲の拡大や調査手法について検討いたします。あわせて、通学路などを含む狭隘な道路のブロック塀等の支援制度につきまして、財源確保も含め総合的な対応策を検討してまいります。

 それから、区営住宅における家具転倒防止器具取りつけに伴う原状回復義務の免除についてでございます。区営住宅では、家具転倒防止器具の取りつけにより生じた壁の穴等の修繕に係る費用は、住宅使用者の負担としているところでございます。家具転倒防止器具の普及促進に向けまして、区営住宅を退去する際に住宅使用者に求めております家具転倒防止器具の取りつけにより生じた壁の穴等に関する原状回復義務の免除のあり方につきまして、都営住宅や他区の動向等を踏まえながら検討してまいります。

 それから、家具転倒防止器具取付助成制度の拡大についてでございます。今回の大阪北部地震でも、家具の転倒による被害者等がありましたことから、家具転倒防止器具に対する普及啓発の重要性を改めて認識しているところでございます。これまで器具につきましては、多くの種類がございまして、また金額にも幅があることから個人負担でお願いをしてきたところでございます。今後は、さらなる普及拡充を図るため、これまでよりも利用しやすい助成制度のあり方を検討してまいります。

 それから、受動喫煙防止対策に関連してでございますが、まず、公衆喫煙所の設置と路上喫煙禁止地区の拡大についてでございます。現在、中野区内に3カ所の指定喫煙所がございまして、いずれも設置者は中野区でございますが、設置費用等はJT、日本たばこ産業株式会社より寄附を受けているものでございまして、日常清掃等の維持管理についてもJTが行っているため区の経費負担はないとなってございます。また、東京都が示しております公衆喫煙所の補助につきましては、条件等の詳細が示されておらず未定となってございます。今後、区指定喫煙所の整備に当たりましては、東京都の補助制度の活用等も含め検討してまいります。

 路上喫煙禁止地区の拡大につきましては、区内各駅周辺において、区指定喫煙所の整備状況や路上喫煙率、吸い殻のポイ捨ての実態、駅の乗降客数や通行量、それから地元町会や自治会や商店会の要望などを総合的に考慮した上で検討してまいります。

 それから、公園におけます全面喫煙禁止についてでございます。公園の禁煙化につきましては、区有施設の禁煙方針と同様の措置を行うことを想定してございます。公園における喫煙の規制につきましては、公園条例で定める方法など他区の事例を検証して判断いたしたいと思います。

 それから、路上喫煙禁止地区の表示につきましてですけれども、現在、路上喫煙禁止地区としている中野駅周辺につきましては、道路上に禁止地区を明示するための路面ステッカーを貼付しているところでございます。路上喫煙禁止地区内で、通学路など特に子どもの通行量の多い場所につきまして、さらなる表示等を行っていくことを検討いたします。

〔健康福祉部長小田史子登壇〕

○健康福祉部長(小田史子) 私からは、受動喫煙防止対策に関しまして、受動喫煙防止に関する取り組みにつきましてお答えさせていただきます。

 都条例では受動喫煙が健康に及ぼす悪影響について理解を深めるとともに、他人に受動喫煙を生じさせないことを都民の努力義務というふうに定めているところでございます。受動喫煙を防止していくためには、禁煙及び受動喫煙が健康に与える影響につきまして、区民の皆様の理解が深まるよう啓発を進めることが重要であると考えておりまして、都の取り組みを踏まえながら区としても啓発を進めてまいります。今後、街頭キャンペーンの実施やパネル展示などに加えまして、乳児のいる御家庭への禁煙に関するチラシの送付など普及啓発の強化を図ってまいります。

○副議長(南かつひこ) 以上でいながきじゅん子議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 高 橋 かずちか

 1 施政方針説明について

 2 都市観光施策について

 3 中野駅周辺まちづくりについて

 4 防災・減災まちづくりについて

 5 その他

 

○副議長(南かつひこ) 次に、高橋かずちか議員。

〔高橋かずちか議員登壇〕

○11番(高橋かずちか) 平成30年第2回定例会に当たりまして、自由民主党の立場から一般質問をさせていただきます。質問内容は通告のとおりでございます。

 まずは、このたびの区長選挙におきましての当選、お祝いを申し上げます。ゴールは中野の安全、発展、また区民の幸せだと思いますので、緊張感を持ちながらともに進んでいきたいと思いますし、政策の継続性もある程度、一定程度考えていただきながら取り組んでいただくことを願うものであります。

 では初めに、1番、施政方針説明についてお聞きします。

 区長の施政方針説明を伺っていますと、これまで議会の同意のもと区が取り組んできた重要政策について体系的に触れておらず、選挙の際の争点であった個別テーマを列記しただけの所信表明ではないかと感じざるをえない内容だったと思います。区長は、新基本構想策定を宣言されておりますが、その際に、これまで進めてきた区の重要施策をどのように考えていかれるのか、基本政策に関しての区長の考え、姿勢が全くわからない。施政方針説明全般に関することについては、既に会派代表の議員各位が質疑されておりますので、この区の基本政策のうち、私自身もこれまで質疑し、区の姿勢を伺ってまいりました内容のうちの幾つかを、この後の項も含めまして伺ってまいりたいと思います。また、一定程度重複する内容があると思いますが、御容赦をいただきたいと思います。

 まず初めに、ユニバーサルデザインについてお聞きします。

 まちづくりで展開されるユニバーサルデザインという考え方は、まちづくりの理念であります。一番のポイントは、企画段階から取り組まないと具現化できないということであり、このユニバーサルデザインにおける基本原則は、誰でも、いつでも、自分自身で、安全にということであります。この原則のもと、全ての区民にとって住みやすいまち、生活しやすいまちということになるということであります。ユニバーサルデザインの概念は、インバウンドや区内在住外国人への対応、また新区役所庁舎での設計方針や現区庁舎や区有施設でのサイン計画など、あらゆる行政サービスに展開するものであります。

 施政方針説明では、価値観の多様化等の文言は見受けられますが、推進審議会設置と答申を受けこの3月に条例可決し、推進計画を策定する段階となっていますユニバーサルデザインについて触れられておりませんし、言葉すら出てきてないというのは非常に残念でなりません。取り組むべき区政運営の柱として四つの基本テーマを挙げている区長は、区政運営や計画の策定、また区がさまざまなサービスを行っていく上での上位理念として、このユニバーサルデザインを打ち出していかなければならないのではないかと考えます。強く要望してきた推進のための専門部署も設置したわけですので、ここでお聞きします。区長は、ユニバーサルデザインについて、推進に向けた経緯を踏まえ、区長がおっしゃる区政運営の柱全てにつながる区政運営の上位の理念として取り組むべきであり、また明確に打ち出すべきと考えますが、見解をお示しください。

 また、区長の施政方針説明を伺っていますと、まちづくり、都市計画、住宅政策など、区の将来の都市環境や住環境など重要な施策に直結する基本計画についての記述が全く見受けられません。中野のまちづくりや生活をどう考えていくおつもりなのか、非常に不安を覚えるところであります。区長は、今回新たな基本構想を制定したいということでございますけれども、中野区は本年度住宅マスタープランや都市計画マスタープランの改定を行うとしています。これらマスタープランは、区の都市計画や都市基盤整備の基本方針となり、また、住宅マスタープランは区の住宅政策の基本方針となるものです。既に改定に向けて作業、東京都の上位計画との整合、さらに現在進んでいる各まちづくり事業が円滑に進むための土地利用や都市基盤整備の方針を検討していると伺っております。区長がおっしゃる区政運営の柱を基本としてまちづくりを進めるのであれば、都市政策、住宅政策において子育て世代や高齢者の方々に配慮した地域住環境の視点も必要です。そこでお聞きします。今回新たに基本構想策定作業を行うことで、両マスタープランの改定作業をとめてしまうことになるのでしょうか。両マスタープランの改定作業と新たな基本構想の制定との関係において、区長はどのようなお考えをお持ちかお聞きいたします。

 また、このような重要政策を進めるに当たっては、中野区だけでできるものでないことは御存じのとおりでございます。施策を具体的に展開するには、国や東京都からの助成金獲得が不可欠であり、財政的な裏付けが伴うこと、また、そのためには、区がまちづくりの理念や政策の一貫性をしっかり訴え、相互に信頼関係を構築することが重要ですし、区職員の経験や知恵・創意工夫、年月をかけ築いた人脈、こうしたものに裏付けされているものだということを理解した上で、上位計画、それによる施策展開を図られてほしいと思いますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

 今申し上げてきた都市政策や住宅政策に関する上位計画と同時に、具体的な視点で地域に展開すべきまちづくりがあると考えます。駅を起点としたまちづくりであります。駅を起点とした交流拠点ということで、JRと地下鉄大江戸線が交差する交通結節点である東中野駅の価値、また開発における東西格差についてはたびたび質問していますので、東中野駅を例にとってお話を伺います。

 東中野駅周辺には集客施設や神田川沿いの景観施設もあり、さまざまな関係団体と連携し、エリアマネジメントの考え方を導入したり、地域全体での情報発信を行うことで、さらなる発展が期待できます。ソフト・ハードの連携したまちづくりを進めるべきであり、こうした展開の中で新たな地域の活性化が生まれれば、来街者もふえ、シティセールスにつながると考えます。このように、駅は人の流れを伴って発展すると考えますが、例えば、この東中野駅東口は都市計画マスタープランにおいて交流拠点として位置付けられているものの、駅東口周辺から商店街、地域の景観資源ともなっている神田川方面、駅南北の人の流れがさまざまなバリアによって阻害されており、ユニバーサルデザインのまちづくりを進める必要があると考えます。今後、東中野のまちづくりについて、これらの取り組みには地域やJRとの連携が重要であると考えますが、区としてのお考えと今後の対応についてお示しください。

 2番目といたしまして、都市観光施策についてお聞きします。

 区長の施政方針説明には、哲学堂の利活用のビジョンをもう一度立ちどまって議論し、計画予定施設の必要性や規模について見直す旨の記述がございます。哲学堂が中野区の所有する重要な文化財施設であり、それに連続して続く旧野方配水塔は国の登録文化財であることから、哲学堂公園一帯が都市観光の重要なポイントであるという視点から幾つか伺います。

 中野区で平成24年6月策定の「中野区都市観光ビジョン」には、取り組みの3本柱の一つに、観光資源の発掘・開発が挙げられるなど、中野区のさまざまな地域資源を発掘し、これを磨き上げ、活用する姿勢が見られます。区におけるさまざまな地域資源のうちの一つに歴史的地域資源があります。歴史的資源の磨き上げ、発信事業として、区は平成29年3月に「哲学堂公園及び哲学堂公園周辺都市観光拠点整備計画」を策定し、哲学堂公園・旧野方配水塔の歴史的、文化的価値を高め、これらを核とする観光拠点形成を目指すとしております。

 哲学堂公園は皆様御存じのとおり、区民やたくさんの方々に親しまれる公園であるとともに、文化財としての価値も高いものであります。公園そのものが東京都の指定文化財になっており、哲学堂の建造物も区の指定有形文化財となっており、区では国の名勝指定を目指すという考え方も示されていたかに認識しております。そのような文化財として価値の高い哲学堂公園について、これまで区はその管理者としての責務をしっかり果たしてきたのでしょうか。実際に哲学堂公園に行ってみますと、古い建築物はところどころ老朽化が激しく、区はその修復に今取り組んでいるところであります。また、公園内に点在するモニュメントについては、壊れたり欠けてしまったりするものがあるのも現状です。園路を歩いてみると、路面が荒れてしまっているところや水はけが非常に悪いまま放置されています。雨の日に行けば、起伏のある土地のため高台に降った雨が園路に流れ込み、滝のような状態になったり、低地に巨大な水たまりが大きくでき上がり歩くのも難しい状況であって、これまでの管理状況が不十分であったと感じざるを得ません。そこでお聞きします。貴重な文化財である哲学堂公園について、区はこれまで当該施設をどのように管理し、改善し、現在に至ってきたのでしょうか、教えてください。

 地域資源の発掘や活用、観光拠点化など、区の地域資源の価値を高め、区内外、国内外に情報発信を行うことで、区民の方々にもっと誇りを持ってもらったり、来街者を招いたりするという方針に異論はありませんが、そのような地域資源の発掘や活用などを標榜する前に、区が所有する貴重な地域資源をしっかりと管理をして保存をしていく、修復をしていくということがまず大前提だと思っています。公園としての管理を行き届かせ、園路の改修、樹木の管理を適正に行い、建築物の改修を進め、哲学堂公園を当初の姿に戻し再生することができれば、公園は本来の魅力を取り戻し、これまで以上にたくさんの方々に愛され、訪れられる公園となるのではないでしょうか。

 また、区長は、建設予定であった学習展示施設の建築の見直しを考えているということでございますが、これまで区は国の名勝を目指すという考えを示してございました。先ほど申し上げたとおり、区が公園の管理、保存を適正に行い、再生整備を行った上で、国の名勝に指定されることとなれば公園としての価値も飛躍するのではないかと考えています。そこでお聞きします。哲学堂公園についての国の名勝指定を目指す取り組みについて、区長はどのようにお考えか、先ほども御答弁されておりますけれども、お示しをいただきたいと思います。

 哲学堂再生整備計画においては、みずのとう公園整備計画についても触れております。旧野方配水塔は、近代水道事業の歴史を示す近代土木資産であり、国の登録有形文化財でもあります。特徴的な意匠とともに地域のランドマークとして愛されているものであります。当該計画については、補助26号整備にあわせた配水塔の整備や公園用地拡張などの施策が定められております。配水塔は、哲学堂公園と連携することが来街者を呼び込み観光ネットワークを強化することのできる貴重な地域資源であると考えます。

 また、地元地域にとっては、当該公園は地域の防災活動や地域行事の拠点となっており、都道補助26号の拡幅により削られる敷地の拡張とセットである再整備は、地域生活にとりまして最重要課題であります。そこでお聞きします。みずのとう公園整備計画で描いた旧野方配水塔の整備、また、みずのとう公園用地拡張の取り組みを今後どのようにするのか区長のお考えをお示しください。

 区が策定した整備計画は、区においてほとんど初めてに近い、哲学堂公園を中心とした中野駅から哲学堂公園にかけてのゾーンを指定し、観光ネットワークを形成する観光計画であります。中野駅から中野通りを通り、哲学堂公園に向かうこのゾーンは、サンモールからブロードウェイ、新井薬師周辺の商業集積があり、その先には歴史民俗資料館などの区有施設、さらには拡幅が計画されている沼袋の商店街、そして駅を南に越えれば新体育館と回遊でき、このルートは寺社仏閣など多くの歴史的資源がある非常に個性的な地域ゾーンでもあります。哲学堂公園を適正に維持管理・保存し、再整備を行っていくこと、また、旧野方配水塔を中心とした再整備を行っていくこと、これらの再整備事業を進めるとともに、地域資源をネットワーク化する周辺道路を再整備し、ネットワーク化することにより、国の貴重な観光ゾーンとして発信していくことが可能であると思っていますが、そこで区長は、この哲学堂公園を中心とした面的観光拠点政策についてどう評価し、今後どう取り組むのかお聞きをいたします。

 次に、3番目の中野駅周辺のまちづくりについてお聞きします。

 中野駅周辺まちづくりのゴールとも言うべき中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについては、区長選挙の争点となり、幾つか現実の論議とかけ離れた視点、事実と異なる内容がテーマとなったことが伺えます。これまでの経緯を十分把握した上で提言されているとは言いがたい内容となっています。このようなことから、区長が中野駅周辺まちづくり、当該中野駅新北口駅前エリアのまちづくりを正しく認識されているのか幾つかの疑問があるので確認をさせていただきます。

 まず、アリーナについて。日本国内各地でアリーナ計画が展開されております。中野四丁目新北口地区の中核をなす中野駅新北口駅前エリアに展開される集客交流施設の主要施設としてもアリーナが検討されているわけですが、このアリーナに関しては区長も、選挙中も、就任後の定例会でも、施政方針説明でも所見を述べられております。ここでのアリーナ計画について率直にお聞きします。当該地での主要施設にアリーナが整備される場合、都心に近接し、多摩地区と都心の中間地点に位置しアクセスもよい抜群の立地、駅に直結するアプローチのよさ、駅を起点に東西南北にスムースに回遊できれば周辺商店街への経済波及効果も期待でき、話題性も人気も事業収益性の面からも確実にアドバンテージが得られると考えますし、区のシティセールスにもつながると考えますが、いかがお考えでしょうかお示しください。

 区長は、1万人アリーナは計画ありきで、バスケットボールのプロチームを一から誘致するなど計画性が不透明で、有識者を交えた計画検証委員会を立ち上げるとおっしゃっております。横浜みなとみらい地区で2020年に開業を予定しているぴあアリーナ計画によりますと、ライブエンタテインメント市場は拡大の一途をたどっており、今後も拡大傾向が続く、収益性が高いなどの検討から音楽特化型のアリーナを計画しています。中野区はこれまで、民間の知見を活用すべく民間の事業協力者と検討や議論を重ね、また、平成29年度スポーツ庁委託事業として、「中野駅新北口駅前エリアアリーナ整備官民連携協議会」によってアリーナ整備運営のあり方についての報告書が出されました。そこでお聞きします。このスポーツ庁委託事業の協議会による検討は、アリーナの利用形態について、スポーツを主たる用途としていたのでしょうか。協議会の報告書では、再整備モデルにおけるアリーナのあり方としてどのような提案がなされているのでしょうか、確認のためお示しください。

 その報告書によりますと、当該地でのアリーナのあり方として、コンテンツの要件や動員状況を考えて、スポーツで5,000人、コンサートで通常7,000人、アリーナ部分の椅子をなくして総立ちで1万人ということで、ぴあアリーナで計画されている固定席7,000人、アリーナ土間部分3,000人の計1万人のアリーナとは、同じ1万人規模のアリーナといっても違いがあります。また、アリーナの観客席のレイアウトは、イベント主催者の興業前準備にレイアウト変更に係るコストをかける必要がなくなっているということから、稼働率を上げ、マーケット性を重視しているアリーナとなっています。そこでお聞きします。このように、アリーナの利用形態に応じた収容人員など具体的に示されていますし、最大収容1万人という仮説の中で、実際に興業が成り立つかどうかの検証を行ったのでしょうか教えてください。

 報告書ではさらに、アリーナを起点としたまちづくりとして、まち全体のにぎわい創出まで視野に入れた内容となっています。区民はもちろんのこと、興行主やコンテンツホルダー、イベント事業者やアーティスト、そして施設利用者や観客に喜んでもらい、多くの来場者が見込め、来場者が感動の余韻を周辺商業施設で食事やさらなるエンターテインメントを楽しんでもらい周辺地域も活性化する、そうした効果を期待するものだと考えますが、区長のお考えをお示しください。

 区長は、アリーナの収容規模についてもコメントされております。収容人員が1万人では多いということでしょうか。5,000人ならばいいのでしょうか。適正な収容人数は何人ならよろしいのかというところでございます。

 ここでお聞きします。この適正人員は、リスクを負って当該地に複合施設の主要施設として施設を整備する事業主体、また、同様にリスクを負って施設を運営する運営主体が、整備コスト・運営コスト・市場の将来動向や施設運営マネジメントやプロモーション事業のあり方、収益構造の検討などを専門家やイベント興行主を交えて判断していくもので、現時点で事業主体も運営主体も決定していない中でどう判断するのか疑問を持たざるを得ません。区が事業主体となって当該施設を整備する、または施設を運営するおつもりなのでしょうかお答えください。

 区長は、施政方針説明の中で、1万人アリーナの整備・運営に伴うさまざまなリスクや区の将来負担についてもシミュレーションして示すと述べられていらっしゃいます。このことについて区長のお考えを再度お聞きします。

 中野駅新北口駅前エリアにおいて再開発事業として進められているプロジェクト、またその中核を成す業務商業、特に集客施設の整備・運営をあたかも区が行う、または参画することを前提とした発言が見受けられております。私は、中野区は当該地での一定の発言権、何らかの関与を持ち続けるために、一定程度の土地に係る権利を保有するものの、移転補償費を受け取り、それを新区役所整備費用に充てるという事業スキームが基本であると認識をしておりました。そこで確認をいたします。中野サンプラザを含め当該地に権利を有する中野区は、この再開発にどのようなスタンスでかかわっていくのか教えてください。

 また、検証委員会について。当該地区再整備の推進については、2015年に要綱により設置した、「区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議」があります。ここでの情報共有、意見交換等の議論は何だったのでしょうか。これこそ区民参加だったのではないでしょうか。区長就任記者会見での発言にあった検証委員会の構成と何ら変わらないところもあります。この場で議論をしてはどうでしょうかという提案をするつもりでしたが、検証委員会はどうやらかつての区民委員会をベースに進めるお考えのようです。では、何を検証するのか、その辺をお聞きします。

 これまでに区からは、検討メニューの提示や事業の方向性、比較検討など、施設整備を具体的に進めるための説明はいただいておりますけれども、事業そのものについては何も決まっていないと思います。区長は、集客交流施設としての1万人収容のアリーナについて検証を行うということですが、このことについてお聞きします。事業整備や運営主体や形態などに関して現時点で何も決定していない状況で、事業収益性の検討もできない状況で一体何を検証するのでしょうか。これまで当該地区の開発の経緯を振り返ってみますと、随分多くの過程を経て今日に至っています。ことし3月には中野四丁目新北口地区まちづくり方針を策定し、いよいよ都市計画に入る段階まで来たと認識しております。そこでお聞きします。2011年に区役所・サンプラザ地区整備の基本的方向を示し、ことし3月の方針策定に至るこれまでの打ち合わせ経過を検証するのでしょうか。未来に向かわず、後戻りをするように過去について、区長がおっしゃる今年度いっぱい時間をかけて検証するおつもりなのでしょうか、お示しください。

 区長は、この検討委員会を立ち上げ、今年度内には結論を出すとおっしゃっております。中野サンプラザ解体を伴う面整備を、サンプラザ存続を含め見直すとおっしゃっている区長が、しっかりと説明すると大きくトーンダウン、方向変換をいたしました。選挙中の発言やチラシに書いてあった内容は何だったのかと驚かされる次第であります。

 中野サンプラザを残すということは、街区再編を大きな目玉として進めてきた、JRとの調整に直結する長い年月をかけた都市計画のゼロからのやり直しを意味するのではないでしょうか。過去の検討経過を検証することで、半年近く見込まれるスケジュールの遅延によってさまざまな影響が出てきます。街区再編等を進めてきた都市計画に与える影響、中野駅新北口駅前広場等の都市施設整備に与える影響、基盤整備等土地区画整理事業に与える影響、アリーナ施設や高層棟など中野駅新北口駅前エリアに展開される再開発事業に与える影響、JRと協議が進められている自由通路や駅ビル等に与える影響、また、中野駅新北口駅前広場におけるJR駅ビルの荷さばき施設を含めたJRの設計業務に与える影響です。都市計画そのものが頓挫した場合の中野駅周辺まちづくり推進に係る都市計画策定作業に与える影響も考えられます。私が思いつくだけでも、これだけの影響が考えられます。そこで伺います。当該開発においては、私は、JRとの密接な調整のもと、区の役割、民間の役割、事業の成立性や街区再編に伴う当該都市計画を遅滞なく進め、JRの南北自由通路、新北口橋上駅舎、新北口駅前広場部分の整備との整合性を進めていくことが最重要であると考えますが、区長の御見解をお示しください。

 区長は、中野駅周辺再開発について、区内団体、行政、民間事業者でまちづくりの協議体を設立し、エリアマネジメントを導入、官民一体となってまちづくりを進めるとしています。中野駅周辺地域におけるこのような大規模な開発では、通常、開発地区ごとにエリアマネジメント組織が組成され、それぞれが地域活性化や地区の価値向上などに向けた活動を行うことが一般的なエリアマネジメントの姿だと考えます。そこでお聞きします。まちづくり協議体とはどういう性格をイメージし、区とのかかわりはどのような形になるのでしょうか。エリアマネジメントについては、一般的に地権者や事業者等の民間が主体となって組成されるものですが、協議体がエリアマネジメント団体となる想定か、その場合どのような構成メンバーでどういった活動を想定しているのでしょうか、教えてください。

 一方、中野区では、これまでシティマネジメントを実施していくコンソーシアムとして(仮称)中野区シティマネジメント推進機構を、区と民間事業者が協力して設立し、観光プロモーションやシティセールス、エリアマネジメント支援などを行うとしてきました。区の設立しようとしてきた法人と、区長がおっしゃるまちづくり協議体との役割の違いは何でしょうか、どのようになっていくのか教えてください。

 次に、最後の防災・減災まちづくりについてお聞きします。

 大阪北部地震で犠牲になられた方にお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。

 区長が述べたように、いつ起きてもおかしくない首都直下地震への備えは喫緊の課題であります。今般の区長の施政方針説明では、面整備を主としたまちづくりや都市基盤についての説明に関してはあまり触れられていないという印象を受けました。区長は施政方針説明で、木造住宅の耐震補強工事の助成制度を創設すると述べられましたので伺います。この耐震助成制度について、近隣区の状況、実績、そして現実に効果が上がっているのかどうかをお聞きします。

 震災を含めた防災・減災まちづくりを進めるに当たっては、特に中野区内では火災危険度の解消に着目する必要があります。先般の都の地域危険度においても火災危険度5の地区が目立ちました。区の木造住宅密集地域の改善に向けて、火災危険度の高い地区をどれだけ減らしていくかが鍵となります。すなわち、東京都防災都市づくり推進計画に示される指標であります不燃領域の向上であります。単に木造住宅の耐震補強工事に助成するというものではなく、戦略的に都市政策的な防災・減災まちづくりを進めるべきと考えます。そのためには、火災への危険度の高い木造住宅の建てかえをできる限り促進し、緊急車両が入れる避難道路ネットワークを構築し、沿道を耐震性があり燃えない建物へと建てかえていくまちづくりが必要になります。すなわち狭隘道路、そして避難道路や都市計画道路の拡幅整備や面的整備による防災まちづくりが有効な手法と考えます。大阪北部地震で課題となっている民間ブロック塀の危険の解消にもつながると思います。

 都市計画道路等の拡幅により沿道住宅の空地と建てかえを促し、拡幅により適正な容積率が使えるような誘導を行う、また、接道不良敷地などでは建物の共同化を行うなどで、木造住宅の集積地区を改善するなどの面的整備こそが有効と考えます。区長は木造住宅の耐震助成を主張されますが、防災・減災のまちづくりにおいては、避難道路ネットワーク、延焼遮断帯の形成、木造住宅の積極的な建てかえ促進、街区再編の防災まちづくりにより不燃領域率を高めることが重要であると考えます。お聞きをいたします。このように区が現在進めている防災まちづくりと、区長が今後創設を考える耐震補助とはどのような関係にあるのかお示しください。さらに、冒頭申し上げましたとおり、ユニバーサルデザイン、バリアフリーによるまちづくりの視点がない中で、高齢者や障害のある方々が安心して暮らせるまちの形成や、災害時に安全に避難できるまちづくりには、こうした観点からのまちづくり視点が不可欠であると考えますが区長のお考えを聞かせてください。

 江古田三丁目地域では、現在完成しつつある江古田三丁目合同住宅プロジェクトがあります。UR都市機構、住宅開発事業者と、そして従前から住む住民、そして新たに加わった住民が、防災をキーワードに子育てや地域の支え合いも含む良好な関係づくりを目指し、防災に視点を置いたエリアマネジメントの展開が行われています。こうしたビッグプロジェクトに代表される面的整備が進む地域はもちろんのこと、このような防災エリアマネジメントの視点を持った取り組みを各個別の地域でも推進し、世代や居住の新旧を超えた視点が必要だと考えます。最後にお聞きします。地域まちづくりを進めるには、こうした基盤整備の防災まちづくりに加え、地元町会、防災会、そして商店街や新たに引っ越してこられた住民など、防災エリアマネジメントとして良好な関係を築く視点も重要と考えますが、いかがお考えでしょうか。

 以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 高橋かずちか議員の御質問にお答えいたします。

 まず最初に、区政運営における上位理念としてのユニバーサルデザインについてでございます。施政方針説明では、多様性を認め合う地域社会の実現を目指し、男女共同参画と多文化共生を推進し、差別のない地域社会づくりを進めるとともに、多くの区民の声を反映しながらまちづくりを進めることを明らかにしております。これらの取り組みは、区政運営の基本として定められた「中野区ユニバーサルデザイン推進条例」に基づき実施していかなければならないと考えております。

 次に、都市計画マスタープランと住宅マスタープランの改定についてでございます。都市計画マスタープラン及び住宅マスタープランは、区の都市計画及び住宅施策の基本的な方針を示すものであり、現在、国や東京都の示す上位計画に基づいて現状の課題整理を進めているところでございます。今後、基本構想の策定状況も踏まえて、両マスタープランの改定作業を進めてまいります。

 次に、基盤整備を伴うまちづくり事業への考えということでございます。大規模な基盤整備を伴うまちづくり事業は、計画策定から事業化に至るまでの間に事前調整を含め、国や東京都はもとより、交通管理者や施設管理者など、多くの関係機関との協議・調整を経て進められていることは承知しております。新しい基本構想策定に向けては、このような事業の重要性についても十分踏まえながら慎重に対応してまいります。

 次に、東中野駅周辺のまちづくりについて御質問いただきました。東中野駅東口周辺は、駅舎や周辺の地形的要因によりバリアフリー化が進んでいないこと、そして西口との回遊性など、まちづくりの課題があると認識しております。今後は、地域の意見や要望を検討できる場を設けるとともに、西口を含めた駅周辺の回遊性も視野に、JRとも具体的な意見交換、協議を進め、交流拠点にふさわしいまちづくりへの取り組みを進めていきたいと考えております。

 次に、都市観光施策について、哲学堂公園のこれまでの管理についてでございます。哲学堂公園は東京都の指定文化財であり、その価値を高め活用することが重要であるということから、平成23年度に、学識者や区民委員らで構成する検討委員会で「哲学堂公園保存管理計画」を策定しまして、古建築物の大規模修繕や学習展示室などの整備による文化財活用の取り組みを進めてきたところで現在に至っております。

 哲学堂公園の国の名勝指定についてでございます。現在、哲学堂公園は東京都の指定文化財であり、哲学の世界を視覚的に表現した世界的にも珍しい公園であることから、その価値をさらに高めていくことが重要であると考えております。今後、哲学堂公園再生整備計画のスケジュール等を勘案しながら、国の名勝指定を受けることについても検討を進めてまいります。

 次に、みずのとう公園についてでございます。旧野方配水塔は国の登録有形文化財に指定されており、文化財的価値の保護・活用が求められております。また、東京都の公共事業の景観づくり指針においても、景観的に重要な保全・活用の対象施設に当たるため、哲学堂公園と連携して、文化財的価値を高めながら有効に活用することが必要であると認識しております。補助26号の拡幅による公園への影響でございますが、みずのとう公園は地域コミュニティや地域防災活動の場として貴重な役割を果たしていることは認識しております。旧野方配水塔を生かしたまちづくりなどの取り組みにより、隣接する都有地に継続して協力を求めながら、街路事業後も必要な公園機能が提供できるような方策を検討してまいります。

 次に、哲学堂公園を中心とした面的な観光政策についてでございます。中野駅から哲学堂公園周辺にかけてのエリアは、中野の歴史に触れることのできる歴史民俗資料館、歴史ある寺社仏閣、哲学堂のような他に例のない特徴的な公園など文化的な視点からも見所のある地域であると認識しております。この間、当該エリアにおいては地域の商店街が文化的資源を活用した地域活性化の取り組みを企画しており、区としてもこの取り組みへの支援を行っているところでございます。今後、区は商店街や地域団体との幅広い協力関係を築き、区内外の人々が楽しんでまち歩きができるような取り組みを支援するとともに、情報発信を行うなど、哲学堂公園を中心とした面的な観光政策を展開してまいりたいと考えております。

 次に、中野駅周辺まちづくりについて、まずはアリーナ整備の意義についてでございます。中野駅周辺は中野の顔であり、集客によるにぎわいと、それに伴う地域経済の活性化を図っていくことが求められていると認識しております。中野四季の都市(まち)の開発によってより多くの集客を得ましたが、今後のまちづくりにおいても、中野のまちの魅力をさらに発信していくことが必要であると考えております。その中核となる施設としてアリーナがよいのかどうかについて、改めて区民の声を聞いてまいりたいと考えております。

 次に、アリーナ協議会による検討についてでございます。中野駅新北口駅前エリアアリーナ整備官民連携協議会の報告書によると、「音楽、アート」などの興行とともに、これまでになかった「観るスポーツ」を両立させ、劇場型・体育館型双方の利点を取り入れた「スポーツとカルチャーが融合するアリーナ」というものが提案されております。このアリーナの興行の検証についてでございます。中野駅新北口駅前エリアアリーナ整備官民連携協議会には、学識経験者のほか、コンサートプロモーターやプロスポーツ団体など専門的知見を有する委員も加わって、実際の興行の成立性や経済効果などを議論していただきました。報告書によると、本アリーナは最大収容人数1万人としているが、実際は、コンテンツによって、4,000人程度から1万人程度の幅で使われることが想定されるとされまして、実例に合わせた検討がなされていると認識しております。

 このアリーナを起点としたまちづくりについてでございます。今後のまちづくりにおいては、さらなるにぎわい創出が必要であると考えますが、アリーナに限らず商業機能の拡充やオープンスペースの活用など、どのような機能を複合させることが有効なのか、ふだんから中野のまちで過ごしている人々の視点を十分に取り込んでいきたいと考えております。

 次に、アリーナの事業主体についてでございます。施政方針説明においては、1万人のアリーナの整備・運営に伴うさまざまなリスクや区の将来負担についてもシミュレーションをしてお示ししますと述べたところでございます。アリーナを整備する場合の考え方については検討してまいりたいと思います。

 次に、再開発への区の関与についてでございます。平成28年4月に策定した「区役所・サンプラザ地区再整備実施方針」において、区は地区全体の機能向上を図り、グローバルな都市活動拠点を形成するとともに、区有地を適切に活用することを目的として再整備事業に関与するとしております。再整備事業に当たっては民間活力を活用していく考えでございますが、周辺一帯のまちづくりを進める観点から、区の主体的な関与が不可欠であると考えております。

 次に、アリーナの検証について、対象は何かという御質問でございます。区では今後、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画を策定することとなりますが、具体的な事業化の段階に入る前に、大規模集客交流施設については複数の案を提案するなどして、改めて区民の声を聞きながら集中的に議論を行いたいと考えております。

 次に、区民会議についてでございます。検証に係る会議体についてはさまざまな手法が考えられる中、できるだけ早期に議論を始められるよう、この「区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議」を活用する方向で考えております。

 次に、南北通路、橋上駅舎、駅前広場整備の重要性についてでございます。区とJR東日本では、南北通路、橋上駅舎のできるだけ早期の開業を目指して事業を進めており、現在、準備工事である支障移転工事等に秋ごろから着手できるよう協議、調整を進めているところでございます。中野駅新北口駅前エリアの都市計画変更や事業の成立性については、サンプラザの今後のあり方についての議論を踏まえて進めることとなりますが、南北通路、橋上駅舎の事業計画や整備スケジュールに影響を及ぼすことのないよう適切に判断して進めてまいります。

 まちづくり協議体の性格と区とのかかわりについてでございます。まちづくり協議体は、中野駅周辺地域の区民や商店街、各地域のエリアマネジメント団体等の団体、地権者、開発事業者等が地域のにぎわい創出や、価値向上に係る事項について情報交換や話し合いを行う場として区が主体となって設置するものと考えております。

 次に、この協議体とエリアマネジメントの関係についてでございます。エリアマネジメントは、地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための住民、事業主、地権者等による主体的な取り組みを行う団体と考えております。まちづくり協議体は、これら各地域のエリアマネジメント団体に加えて、商店街などを構成メンバーとして相互の情報共有や話し合い、相互調整を行うことを想定しております。そのほか、まちづくり協議体の具体的な構成メンバーは今後検討してまいります。

 設立予定の法人と協議体の違いについてでございます。これまで区が設立を想定していた法人は、区と民間事業者等が協力し、理事会など運営組織や規約の整備を行い、事業、契約の主体となって、区のにぎわい創出や情報発信事業など、規約に基づいた幅広い活動を行うものとして想定してまいりました。一方、いわゆる協議体は、情報共有などの話し合いや相互の連携を目的とした動きをつくるためのものであって、区が運営主体となって会議を主催するものを想定してございます。

〔都市基盤部長

川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 私からは、防災・減災まちづくりについてのうち、所管分についてお答えをいたします。

 まず、耐震助成の補助要件と実績等についてでございます。現在、区の耐震助成ですが、特定及び一般の緊急輸送道路沿道の建築物に対して行っておりまして、住宅の耐震改修工事については助成を行ってございません。この補助要件といたしましては、原則、特定・一般にかかわらず住民税または法人住民税等を滞納していないこと、既存建築物に係る固定資産税を滞納していないことの2点でございますが、このほかにも建物に対する要件が規定をされてございます。また、住宅の耐震改修助成の近隣区の平成29年度における実績状況でございますが、練馬区が25件、豊島区が4件、板橋区が16件などでございます。

 それから、中野区内で旧耐震木造住宅を建てかえるための建築確認申請は年間800棟前後でございまして、この中には住宅の耐震診断の結果を受けて建てかえしている案件もございます。現在は建てかえを主体とした安全確保に向けた取り組みを進めているところでございますが、今後は建てかえ等が困難な建物に対する支援のあり方を検討することで一定の成果を上げたいと考えているところでございます。

 それから、既存の防災まちづくりと木造住宅耐震助成との関係についてでございます。区では木造住宅密集地域の改善に向けては、東京都の防災都市づくり推進計画に示されます安全なまちの指針である不燃領域率70%を達成目標といたしまして、避難道路ネットワークの形成、不燃建築物への建てかえ促進など、原則として地区計画に基づく安全なまちの形成を目指した面的な整備を進めているところでございまして、ユニバーサルデザインの考え方も当然取り入れるものでございます。一方、いつ起こるかわからない首都直下地震に備えまして、区民の生命を守るため、緊急避難的に耐震助成を行う必要があると考えてございます。建てかえが困難な住宅に関しましては住宅の耐震改修を支援し、建物倒壊による人的被害等の軽減に努めてまいりたいと考えてございます。

〔地域まちづくり推進部長角秀行登壇〕

○地域まちづくり推進部長(角秀行) 私からは、防災まちづくりの進め方について答弁させていただきます。

 地域まちづくり推進部は、都市基盤整備やまちの防災性向上などの施策について、区内全域を一体的に監理することで全体の整合を図り、課題の早期発見と解決策の早期形成に結びつけることで、より高度なまちづくりを推進していくために創設された組織であります。ただいま議員から江古田三丁目での取り組みについて御指摘をいただいた視点につきましても、今後、各地域において新たな防災まちづくりを進めていく上で有効に生かしていけるよう検討してまいります。

〔高橋かずちか議員登壇〕

○11番(高橋かずちか) 1点だけ、時間がないので再質問させていただきます。

 中野駅周辺の検証委員会のところで区長がコメントされておりましたけれども、お聞きしたかったのは、要は、事業を、いわゆる区が権原を持っているということで、新区役所庁舎も建設するということになると、全ての事業が一つのパッケージになっていて全部つながっているということがあります。それともう一つは、都市計画の面からも全ての計画がつながっている。例えば、都市計画がおくれれば、JRの駅ビル用に用意している広場側の荷さばき施設の設計を、都市計画が変わればやり直さなきゃいけなくなると。そうなったときにはJRとの信頼関係もなくなるし、JRはもう一回駅ビル関係の設計をやり直さなければいけなくなる。こうしたことになったときには、もうJRが本当にこのまちづくりに参画していくのかとか、あるいは都市計画の全体のスケジュールがおくれたときには、民間のデベロッパーとかがこの中野を相手にしてくれなくなるんじゃないかと、そういう非常に心配を持っておりまして、もう一度確認ですけれども、区長がこだわられるその検証委員会での検証、また、そこでいろいろ議論をして結論を出す、議論をするという話、先ほど出ましたけれども、都市計画がおくれる、そしてそのJRとの緊密なというか、本当に微妙な、工程も含めて、スケジュールも含めての微妙な調整には影響が出ないで済むのかというところであります。

 今、工事は具体的にちゃんと進んでいますけども、それは今まで信頼関係の中で多少見切り的に先を読んで進んでいるところもあるんじゃないかと思うんですけども、ここで大きく見直す、検証するということになったときに、相手の受け取り方も変わってくると思うので、本当にその都市計画がずれることは間違ってもないのか。そして設計協議に支障を来すことがないのか、その辺だけお聞きして再質問といたします。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 高橋かずちか議員からの再質問にお答えします。

 このまちづくりの進展について、今後の都市計画の影響がないよう集中的に議論をしていく、説明をしていくということで変わりはございません。

 また、JRやその他デベロッパー等とのコミュニケーションもしっかりとりながら影響がないように努めてまいりたいと考えております。

○副議長(南かつひこ) 以上で高橋かずちか議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 小 林 ぜんいち

 1 区長の施政方針説明について

  (1)中野駅周辺のまちづくりについて

  (2)都市基盤とまちづくりについて

  (3)地域支えあい、地域包括ケアシステムについて

  (4)子育て支援について

  (5)その他

 2 その他

 

○副議長(南かつひこ) 次に、小林ぜんいち議員。

〔小林ぜんいち議員登壇〕

○15番(小林ぜんいち) 平成30年度第2回定例会に当たりまして、公明党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。

 質問は、1(2)都市基盤とまちづくりについてと、2、その他については別の機会にさせていただき、1の(5)その他で、首長の責務と持続可能な基礎自治体についてと、中野区パートナーシップ制度についての2問をお伺いし、順番は一部入れかえさせていただきます。

 初めに、施政方針説明について区長にお伺いをいたします。

 6月18日、大阪府北部を中心とした震度6弱の大地震が発生し、学校のブロック塀の倒壊や建物などの下敷きとなった4人の方がお亡くなりになりました。謹んで哀悼の意をあらわすとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 区長の施政方針を聞き、中野区民33万余の行政の長として、区民の先頭に立って安全・安心で区民の生命・財産を守り抜いていく責務・決意が欠落しており、今後10年、30年、その先を見据えた持続可能な中野区を築いていかなければならない今、ビジョン、方針が希薄で、残念な所信と受けとめました。

 川崎前副区長の御挨拶にもありましたが、東日本大震災のときには区内の被災状況の確認に始まって、帰宅困難者対策、救援物資輸送、電力不足や放射能問題への対応などが続き、被災地の支援に全力を、被災地の復興なくして日本の復興はないとの田中前区長の強い信念のもと、被災地支援に全庁を挙げて取り組んでこられました。被災当初の極めて困難な状況の中、今日まで現地で懸命に任務に当たっている職員の働きは中野区の誇りと感じます。

 私が平成26年から提案している感震ブレーカーの普及は評価をしますが、災害対策には帰宅困難者対策のほかにも、初期消火や避難所運営、罹災証明書の発行、河川や道路、がけ地対策、被災地相互支援など取り組むべき課題はたくさんあるはずです。初めに、災害に課題のある区の首長の責務として、本来、重要政策の柱である震災・防災対策をどのようにお考えかお伺いします。

 区長は、「多様な生き方や個性、価値観を受け入れることのできる地域社会を築き、区民の皆さんが将来にわたって暮らし続けていける中野のまちを実現するため、新たな基本構想を制定したい」と述べられましたが、基本構想の中身には触れられていません。これまで区は、将来を見据えた持続可能な行政運営、全員参加型の支え合うまちづくりが根幹にあり、その上で新たな時代に向けた区民サービスの充実、施策を打ち出してきました。これから少子高齢化社会を迎えるというとき、どの自治体も強い信念を持って持続可能な区政運営をし、支え合える社会を築いてこそ全ての区民や将来世代に安全と安心を確保していくことができると考えます。所信表明では、何をなぜ、どこをどう変えていかなければならないと考えているのか全く見えません。区長の考える区政運営上、重要と思われる基本構想の根幹理念についてお伺いします。

 私は、政策形成過程において職員の自由な議論もなく、区民合意もないと言わんばかりの発言には疑問を感じます。また、区民合意について、全ての事項に全員の合意が一致することはあり得ない。合意点を見極めつつ、最後は議会で判断していくという民主的な手続を踏んでいくということが重要と考えています。

 国連は2030年までに貧困に終止符を打ち、持続可能な未来を追求し、世界を変えるため、2015年に17の目標、SDGsを打ち出しました。これは、まさに持続可能な支え合う社会を築くための指標であり、私たち公明党はこの考えを推奨し、この目標理念を基礎とした政治を行うべきであると訴えています。一部自治体では、既にこのSDGsを基盤とした目標を立てながら施策を推進しています。我が会派は、基本構想にはこの考えと重なっている部分が多く、評価できるものと考えています。今後はSDGsの17の目標、すなわち人間の安全保障を反映した「誰一人取り残さない」という概念を根底に据え、これからも地球に住み続けられるように開発・発展していくためには何をなすべきか、世界を変える17の多岐にわたる目標になぞらえ、基礎自治体として施策発展を推進していくことが必要と考えます。区長のSDGsに基づく基本構想に対するお考えをお伺いします。

 中野駅周辺のまちづくりについて区長にお伺いします。区長選挙に当たって公約として示された項目のうち、「大規模開発のまちづくりの将来ビジョンを踏まえて、区民にとってメリットある開発を目指し、必要性を検討します」とおっしゃっています。区は、区内で中野駅周辺のまちづくりのほかに、西武新宿線連続立体交差化や周辺のまちづくり、弥生町や大和町の木造密集地域のまちづくりなどさまざまなまちづくりに取り組んできますが、いずれも大規模開発と言えるものかと思います。区長の大規模開発というのはどこの何を指しているのでしょうか、定義をお伺いします。

 まちの将来ビジョンとは何を指しているのでしょうか、お伺いします。選挙中にマスコミなどの報道により、まちづくりに関して大きく争点化され、一部では「サンプラザ再開発見直し」などと捉えた報道もありました。一方で区長の公約は、「新サンプラザを新たな中野のランドマークへ」という考えがあります。区役所とサンプラザを一体的に整備することは、ユニバーサルデザインを視野に入れた施設への既定路線であると思われますが、公約で掲げたお考えに間違いがないかお伺いします。

 次に、区役所・サンプラザ地区の再整備と新区役所の整備財源のことについて質問を予定しておりましたけれども、同僚議員と重複するため、ここは改めてお伺いをし、ここでは省かせていただきます。

 2番目に、地域支えあいと地域包括ケアシステムについて区長にお伺いします。

 中野区の超高齢社会の現実は加速的に迫っています。特に75歳以上の高齢者の増加が急速であることに着目すると、田中前区長が進めた、区民はもとより町会・自治会をはじめとする公益活動団体、民間事業者、関係機関、そして行政などが一体となって、地域における新たな生活や暮らしの価値観を共有すること、そしてその理念の根本は、一人ひとりにとって尊厳ある生き方の尊重と生活の豊かさを求めつつ、お互いに生活を認め合い、生かし合い、そして支え合う、共感力、実践力、活動力とも言うべきことではないでしょうか。また、誰もが当事者である、誰もが支え手であると同時に、やがては支えられる存在になるという現実を直視しながら、身近な地域の中にあって具体的なサービスをいざというときに受けられる、そのための地域包括ケアの仕組みが整えられていくべきと考えます。そこに全員参加型という区民全体の共通理念、区民同士が互いに共感・共鳴し合う新たな中野の地域包括ケアビジョンがあり、こうした区民共通の理念のもとに、高齢化社会をチャンスと捉え、新たな地域コミュニティを展望し、具体的に再構築してほしいと思います。地域包括ケアにかかわる施政方針には理念が感じられず、残念です。持続可能な社会を構築するため、地域包括ケアの理念についてお伺いします。

 次に、子ども版地域包括ケアシステム構築の取り組みについてお伺いします。

 区長は、「子育て世代に選ばれる中野区を目指してまいります」、「子育て世代に対するきめ細かいサービス、ケア体制を構築してまいります」と言っています。区は、区民の生活の向上を目指し、高齢の方だけでなく、障害のある方や子どもたち、子育て世帯など全ての人が住みなれた地域で暮らすことができる地域包括ケア体制の構築を目指してきましたが、内容や連携の充実が必要な状況にあると考えます。

 私たち公明党議員団では、例えば妊娠・出産・子育てのケアを具体的に提案し、田中前区長は産前・産後・子育てを切れ目なく応援しますと、妊娠・出産・子育てトータルケア事業として取り組んできました。子どもから高齢者まで同じような目線でコーディネートしていくことは、子育て支援の全体像が薄くなり、孤独な育児をされている方に本当の意味で支えにならないと考えます。子育て版地域包括ケアシステムを構築するためには、若い人たちが中野区で安心して子育てをしていただけるよう、目に見えて施設にかわる機能充実を区民に広く示し、現場の声が反映する体制をつくることが重要と思います。区の職員が地域の声や実情を踏まえながらコーディネート役を担うとともに、子どもの虐待の未然防止や養育支援など、子ども家庭支援の役割もしっかりと果たす。地域の力で子どもたちを育み、育てていける子育ての領域における地域包括ケアシステムの構築を進めていくことが重要と考えます。家庭で子育てをしている親子に対するケアを充実するためにも、ぜひ子ども版地域包括ケアシステムの構築を望みます。区長は、きめ細かなサービス、子ども版地域包括ケアシステムの構築について具体的にどのようにお考えでしょうかお伺いします。

 3番目に、子育て支援について区長にお伺いします。

 1点目に、保育園の待機児ゼロ推進と3歳児までの自宅での支援についてお伺いします。区長は、「子育て世帯にとって、子どもへの教育や支援サービスの質は、極めて重要です。特に公教育の充実は、自治体がしっかり取り組まなければなりません。全ての子どもの学びと育ちを支える区政への転換を進めます。保育園の待機児童対策については、さらに職員人員体制を強化するとともに、待機児童の多い地区を中心に保育園の新規開設を促進し、待機児童ゼロを目指します」と言っています。職員人員体制を強化とは、どこへどのように何人の人員をふやし、どのように強化を行うのでしょうかお伺いします。

 区は昨年、新たに待機児童の緊急対策として7園を開設しましたが、開設地域が偏在し、需要地域と合わず待機児童が出ました。マッチングを進めるとともに、遠方からの利用者には、中心駅などから送迎支援などを行ってはいかがでしょうか、お伺いします。

 保育サービスを利用している人たちには十分な公的支援が行われていますが、家庭で保育を行っている人には十分な公的支援が行われていません。税の恩恵に公平性がないと考えます。保育施設などを拡充するだけでなく、家庭で子育てをしている方々への負担感を解消するためにも、3歳児まで自宅で保育する方を支援し、安心して家庭で子育てができることが待機児童解消につながると考えます。区内どこでも使える応援券等で支援をしてはいかがでしょうか、お伺いします。

 2点目に、中野区版子ども宅食サービス事業についてお伺いします。生活困窮世帯の子どもが自宅でしっかり食事ができるよう支援する自治体やNPO法人などがふえてきました。地域の方々が行う子ども食堂の利用をためらう家庭もあり、新たに、自宅へ出向き食品を自宅に届ける取り組みや、調理ボランティアを各家庭に派遣する取り組みなどの支援があります。生活困窮家庭の子どもを対象に、フードバンク等を活用し、食品を配送するサービスや調理ボランティアを各家庭に派遣する取り組みについて見解をお伺いします。

 伺うことで家庭の見守りや困りごとの把握により、子どもとその家庭に必要な支援を行うきっかけにもなり、地域や社会から孤立を防ぐと考えます。地域の方々、民間事業者や支援団体などと区による一体となったきめ細やかな取り組みを始めてはいかがでしょうか、お伺いします。

 3点目に、区立小・中学校児童・生徒へ1人1台のタブレット端末支給と活用についてお伺いします。区では平成31年までに、区立小・中学校1校当たり40台のタブレット端末を全校に導入します。その効果的な活用を具体的に図っていくことが重要と考えますが、いかがお考えでしょうかお伺いします。

 区立小学校の高学年児童で84%、中学生で88%前後の生徒が携帯電話やスマートフォンを持つ時代となっています。そこで、中野区から世界で活躍できる人材を育成する新しい教育環境、ICT教育のためにも、家庭事情にかかわらずタブレット端末や学習ソフトなどを使い、いつでも、どこでも学習できる環境を整えるとともに、情報活用能力を身につけ、知識を使える人材の育成のためにも授業をはじめ日ごろから活用できるタブレット端末を児童・生徒1人1台支給、ICT教育の推進を図ってはいかがでしょうか、お伺いします。

 4点目に、いじめ・悩みごと相談にSNS、LINEの導入についてお伺いします。区では昨年4月から6月に、児童・生徒及び保護者に対してアンケート方式で、いじめ等、児童・生徒間の問題について現状を把握し、問題の未然防止と早期発見、早期対応を図ることを目的に調査を行い、今後の取り組みの体制の充実を行っていきました。自殺やネットトラブルなどの青少年の悩みに応じるため、一部自治体ではSNS、LINEを活用した相談を導入しています。最初に行った長野県では、それまでの電話・メールでの相談が1日平均1.8人だったことに対し、LINEで行ったところ112.7人と飛躍的に伸びました。子どもたちにとっては、電話よりも気軽にコミュニケーションがとれ、相談件数が増加するなど好評です。区では、いじめなどで困ったときの相談窓口は教育相談室をはじめ東京都や警察の電話や窓口を紹介しています。今後は、いじめ・悩みごと相談にSNS、LINEを活用した取り組みを導入してはいかがでしょうかお伺いします。

 5点目に、障害児も安心して通える保育と教育の充実についてお伺いします。医療的ケアが必要な子どもの対応について区は、居宅訪問型保育事業により、集団保育が難しい医療的ケアが必要な児童に対して保育士を派遣し、1対1の保育を開始しました。今後は保育所においても集団保育が可能な、医療的ケアの必要な乳幼児の受け入れを行えるよう体制整備を図っていくべきと考えます。御見解を伺います。

 6点目に、子どもたちの居場所と地域のコミュニティの場として新たな児童館の創出についてお伺いします。区長は、「児童館は、子育てにかかわる多世代が地域で交流する機能として必要と考えます。児童館の全廃についても見直し、区立保育園・区立幼稚園とともに一定程度存続させます。そして、中野における子育て環境がどうあるべきか、しっかりと全体像を定めて、それに必要な施設数や配置を考えてまいります」と述べております。しかし、聞くところによると、地元の北原児童館の存続を聞かれた際に、即答で「北原児童館は残しますよ」と言われたそうですね。児童館全体でなく、個別案件について議会での報告も議論もないうちから言い切ることは、区民どころか、議会をも軽視する発言ではないでしょうか。施政方針以前に児童館、保育園の存続の有無は決まっているのでしょうか。何をもって区長は即答したのでしょうか、お伺いします。

 この4月からU18プラザが閉館になり、上高田と城山の2館は子育てなどの施設に、中央は今年度中に解体された後、仲町保育園の新園舎建設の計画になっています。一定程度残すとは、解体と保育園の移転、民設民営化計画を取りやめ、児童館などとして存続するのでしょうか。地元では区長に直接話せば残るという声が聞こえ始めています。また、区長宛に要望書として自分たちの区立保育園は民設民営化をせず存続を。一方で、U18跡施設は民設民営で開設をと、理解しがたい要望が提出されているとも聞きます。区長は、こうした区民の混乱、不安、そして要望をどのようにお考えでしょうか、お伺いします。

 区は、児童館を小学校区1館から、小学校に一つずつキッズ・プラザを設置し、子育てひろばを、さまざまな身近な施設とすこやか福祉センターなどを使いながら拡充してきました。子ども・子育てを中心とする地域包括ケアシステムの構築を考えていくとき、子どもたちを支える地域活動の民間事業を行う方々を支援し、行政との連携をさらに強化し、子どもたちの多様な活動の交流拠点としていくことが重要と考えます。民間の活力を生かし、地域と行政が、子ども版地域包括ケアシステム体制の中で、子どもから大人、高齢者まで、地域ぐるみで総力を挙げて子どもたちと家庭がつながる新たな支援、中野の子どもたちが中野で育ってよかった、中野をふるさとと思える新たな児童館を創設していくべきと考えます。御見解をお伺いいたします。

 その他で、同性パートナーシップ制度について区長にお伺いします。

 中野区パートナーシップ宣誓の考え方について、田中前区長が、中野基本構想、中野区男女平等基本条例及び中野区ユニバーサルデザイン推進条例の理念に基づき、多様な生き方、個性や価値観を受け入れることができる地域社会を実現することを目指し、当事者の方々から御意見を聞きながら推進してきた施策です。全国七つの自治体が先進的に取り組んできた、いわゆるパートナーシップ制度は、中野区が実施することで8自治体、東京では3自治体となります。しかし、その内容は大きく二つに分かれています。世田谷区などでは、同居して共同生活を行うことを約束した同性パートナーが、パートナーシップにあることを宣誓し、宣誓書等を提出した場合、受領証を交付するという宣誓受領方式です。一方、渋谷区などでは、公正証書などの裏付け資料の確認までを要件としてパートナーシップ証明を交付する方式をとっています。公的な実効性としては渋谷区方式の方が高いと言えますが、広く普及の観点からは簡単に手続が行える世田谷方式がよいという方もいます。中野区では両方の選択ができる方式としたことで、これまで同性パートナーシップ制度を進めてきた他の自治体にはない先進的な制度になり、全国から注目されています。制度の実施に向け、意見交換会ではさまざまな意見が交わされたところです。区長はこの制度をどのように御認識され、今後どのように実施していくのでしょうか。また、ユニバーサルデザイン推進計画にどう位置付けて進めていくのでしょうか、あわせてお伺いします。

 区は、平成30年度、普及啓発冊子の作成、職員向けのガイドラインを作成するとしていますが、具体的にどのように推進していくのでしょうか、お伺いします。

 福岡県では昨年、おもてなしレインボーガイドブックを作成しました。これは、男は青で女はピンクなど固定的概念のサービスをなくし、トイレなどで必要以上に性別を問わないなど、LGBTの方々も快適に過ごせるまちづくりを進めるための配慮事項をまとめたガイドブックです。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、多様性を受け入れる中野のまちづくりを進めるため、観光、おもてなしの視点でLGBT支援ガイドブックを作成してはいかがでしょうか。伺って、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 小林ぜんいち議員の質問にお答えいたします。

 まず最初に、施政方針説明の中の震災防災対策についてでございます。施政方針説明で述べたとおり、政府の地震調査研究推進本部は、首都直下地震の30年以内の発生確率を70%程度と発表しており、いつ起きてもおかしくない状況であることを認識しております。区内においては木造住宅密集地域を中心とした防災上の課題がある地域が多くあることから、大地震のみならず、風水害や各種の災害発生時には災害対策本部長として先頭に立ち、災害対策のあらゆる施策を通して防災関係機関等との連携を図り、区民の生命、身体及び財産を震災等から保護し、その安全を確保するとともに発災後の区民生活の再建及び安定並びに都市の復興を図るため、全身全霊でその責務を担う所存でございます。

 次に、区政運営上の根幹理念でございます。区政運営の基本理念としては、子育て第一の地域社会の構築、支援を必要とする全ての区民を対象とした地域包括ケアシステムの構築、多様な個性と価値観を認める地域社会づくり、活力ある安全・安心のまちづくりなどの取り組みにより、区民の皆さんが将来にわたって安心して暮らし続けていける中野のまちをつくっていくことでございます。区民の皆さんの意見を聞き、それを施策に反映させるボトムアップ型の区政運営をしてまいりたいと考えております。

 次に、持続可能な区政運営でございます。国においてはSDGs推進本部が設置され、アクションプランにより持続可能で強靭、そして誰一人取り残さない経済・社会・環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指すというビジョンが掲げられております。このようなSDGsの目標項目を参考としながら区の取り組みを進めてまいりたいと考えております。

 次に、大規模開発等の定義についてでございます。公約で掲げた大規模開発は、区民の生活に影響のある大規模な都市開発事業のことであり、中野駅周辺のまちづくりのほか、西武新宿線沿線のまちづくりなどを指しております。まちの将来ビジョンは、主に都市開発に係るビジョンとして掲げたものであり、東京都が策定した都市づくりグランドデザインや中野区全域の都市計画の考え方である中野区都市計画マスタープラン、中野駅周辺では中野駅周辺まちづくりグランドデザイン、また、地区ごとに策定しているまちづくりの方針などに描かれた将来像のことを指しております。

 次に、公約に掲げた事項についてということで、新サンプラザを新たな中野のランドマークへという公約で掲げた事項については、現在の中野サンプラザ自体がランドマークとなっているように、区役所サンプラザ地区における新施設は、区民の愛着のあった中野サンプラザのイメージを引き継ぎ、将来にわたってランドマークとなっていることを目指すことを表現したものでございます。

 次に、再整備や関連する事業の進捗についてでございます。区役所サンプラザ地区の再整備については、改めて区民の声を聞き、今後のあり方について議論したいと考えております。新区役所整備や中野駅西口改札、新北口駅前広場など関連する事業の工程と整合を図りながら適切に判断して進めてまいりたいと考えております。

 次に、地域包括ケアシステムの理念についてでございます。中野区地域包括ケアシステム推進プランでは、見守り、支え合いや介護予防、在宅療養・介護連携など自助、互助、共助、公助の目標とするまちの姿を描いております。住みなれた地域で公私の多様なサービスが一体的に提供され、互いに支え、支えられる社会をつくるには全員参加の地域づくりが必要であると考えております。こうした目標を、区民及び関係団体と区が共通理解し、互いに連携しながら安心して地域で暮らし続けられるまちを実現することが地域包括ケアの理念と考えております。

 次に、子ども版地域包括ケアシステム構築の取り組みでございます。子ども版の地域包括ケアシステムには、産前産後支援など、妊娠期から子育て期までのトータルなサポート体制の構築が必要となると考えております。児童館機能の見直しや地域の子ども育成活動団体との連携などを重視しながら、虐待の予防、それから子どもの健やかな育ちを見守る地域づくりを行ってまいります。

 次に、待機児童対策の人員体制強化についてでございます。待機児童解消に向けて、保育園の入園相談担当や運営を支援する担当のほか、幼児施設整備に係る人員の強化が必要であると考えております。今後、具体的な体制等の検討を進め、必要な人員体制の強化を行ってまいります。

 次に、区立保育室、7施設の整備についてでございます。昨年度、待機児童緊急対策として区立保育室、7施設を整備したところでございますが、平成30年4月1日時点で定員に空きが見られたことから、待機児童が多い南部地域から、特に定員に空きが多い区立保育室、2施設と最寄り駅を巡回する送迎バス等の運行を検討いたしました。検討に当たって中央線より南側地域において、4月1日時点で待機児童となっている保護者342人に対し、郵送によるアンケート調査を行い、174人から回答を得ました。回答率は約50%程度ですが、想定した施設の利用を希望すると回答した方は、複数回答でありますが、3人でございました。利用を希望しない主な理由としては、遠くて時間がかかる、通勤経路外、子どもの急なお迎え等に使えない等でございました。この結果から送迎バス等について導入を見合わせているところでございます。

 区立保育室については利用率が上がってきており、年度途中に復職や転入される方の受け皿になると考えていることから、引き続き窓口、ホームページ等において施設の紹介に努め、利用の促進を図ってまいりたいと考えております。

 次に、子育て応援券などについてでございます。区では、安心して子育てができるまちを目指し、全ての子育て家庭が個々の事情に応じて必要なサービスを受けられるよう、さまざまな取り組みを進めております。自宅で保育する方への支援策としては、一時保育やショートステイサービス等を実施しているところでございます。また、産前産後の支援の一環で、すこやかセンターでは、妊娠・出産・子育て期の支援プランを策定した妊婦の方に、妊娠子育て応援ギフト券を配布しているところであります。既存サービスの利用促進を図る中でよりよいあり方を探ってまいります。

 次に、子ども宅食サービスについての御質問がございました。食事を含めて子どもの養育に課題のある家庭については、関係機関の見守りや相談支援等を通じて把握し、養育支援ヘルパー派遣等の育児支援の取り組みを進めているところでございます。食材を届ける等の支援については、子どもの生活実態調査の結果を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

 そして、地域・民間・区の一体的な取り組みについての御質問でございます。宅食サービス事業に限らず、地域の子育て支援や見守り支え合いについては、地域や民間団体と区が協同することは非常に大切と考えております。新たな子育てサービスの展開を行う際は、その視点を大切に検討してまいります。

 次に、医療的ケアが必要な児童の受け入れについてでございます。集団保育が可能で、経管栄養や喀痰吸引など主治医から医療的ケアの指示がある児童の受け入れについては、区立保育園においてケアを行う専用スペース、専任看護師、専任保育士の確保等について調整しているところでございます。また、医療的ケアを適正に行うために設置する審査会や受け入れに関する判断基準等について、中野区医師会と協議しているところでございます。準備が整い次第、事業を開始いたします。

 次に、児童館・保育園の存続についてでございます。児童館、区立保育園、区立幼稚園については、施政方針説明で申し上げたとおり中野における子育て環境の全体像をしっかりと描いた上で、今後、必要な施設や配置を考えていくこととしております。

 次に、U18中央と仲町保育園の民営化についてでございます。仲町保育園の周辺地域は、区内の他の地域と比べて待機児童が多いことから、U18プラザ跡地に仲町保育園の新園舎を建設した後に、現在の仲町保育園の跡地にも保育園を建てるという2園展開の計画として、既に事業者募集を始めたところでございます。保育園の民営化をやめるのかということについては、現在進められている個別の計画の見直しにより、職員の採用や財政負担などの区の後年度負担やさまざまな影響が想定されることから、慎重に検討すべきものと考えております。誤解を招いていることについては丁寧な説明、適切な情報提供に努めてまいります。

 次に、民間活力を生かした新たな児童館の創出についての御質問でございます。今後、児童や子育てなどに係る現状や課題に応じた機能や役割について整理するとともに、あるべき姿を定めた上で必要な施設や配置を考えてまいります。子ども版の地域包括ケアシステムの構築の観点からは、地域の育成活動団体や民間事業者との連携も重要であり、このことも踏まえてあり方を検討してまいります。

 次に、パートナー宣誓の実施及びユニバーサルデザイン推進計画での位置付けについての御質問でございます。現在、このパートナーシップ宣誓について、制度は8月からの実施に向けて準備を進めております。本定例会で実施について報告を予定しているところでございます。ユニバーサルデザイン推進計画については現在検討中でございます。パートナーシップ宣誓などLGBTの方への理解促進等の取り組みについては、計画の中に位置付けていく考えでございます。

 最後に、普及啓発冊子、職員向けガイドライン、LGBT支援ガイドブックの作成についてでございます。ユニバーサルデザイン推進のための区民向け普及啓発冊子や職員向けガイドラインの作成については、来年3月に完成を予定しております。いずれも区民、事業者、そして区の職員が日常の生活や業務の中で気づいたり、考えたり、行動したりするヒントとなる事例などを具体的に紹介できるものとなるよう工夫してまいります。区民向け普及啓発冊子の中で、LGBTへの理解促進の視点を盛り込んでまいります。

〔教育委員会事務局次長戸辺眞登壇〕

○教育委員会事務局次長(戸辺眞) 私からは、子育て支援について、まず、タブレットの効果的な活用及び区立小・中学校全校児童・生徒への1人1台ずつのタブレット端末の支給についてお答えいたします。

 タブレット端末の効果的活用を含むICT教育の推進につきましては、電子黒板やタブレット端末の配備というハード面はもちろん、ICT機器を活用した事業をいかに工夫していくかというソフト面での充実が重要であると認識してございます。教育委員会では教員のICT活用能力や授業力を向上させるため、ICT研修や学校教育向上事業におけます研究校の支援に取り組んでいるところでございます。

 また、児童・生徒1人1台のタブレット端末の配備につきましては、場所を選ばず学習に活用できるという利点がある一方、機器の管理や使用ルールの徹底が難しいなどの課題も挙げられているところでございます。今後、区内小・中学校のタブレット端末を活用した事業展開の状況を効果検証するとともに、先行して実施している自治体の実績や課題を研究し、導入については慎重に検討していくこととしてございます。

 次に、いじめ、悩み相談のためのLINEアプリの導入についてでございます。子どもたちのいじめ等の相談につきましては、現在、いじめ対応担当の教員やスクールカウンセラーを中心とした相談体制を構築するとともに、子ども110番や東京都教育相談センターが行っております電話相談などさまざまな方法で取り組んでいるところでございます。

 SNSアプリを活用した相談につきましても、匿名性が高く手軽に、気軽にアクセスできるなどという利点もありますけれども、その場限りになってしまい継続的な相談につながりにくいことや、虚偽の報告で新たなトラブルが起こる等の課題も指摘されているところでございます。SNSアプリを導入する場合は、いかに継続的な相談や一人ひとりに応じた対応につなげていくのか、その仕組みを工夫していくことが重要でございます。今後は、東京都や既に取り組んでいる自治体の実績や課題を参考に検討してまいります。

○副議長(南かつひこ) 以上で小林ぜんいち議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後2時58分休憩

 

午後3時20分開議

○議長(いでい良輔) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 い さ 哲郎

 1 平和の森公園再整備計画について

 2 哲学堂公園再生整備基本計画について

 3 公契約条例について

 4 民泊について

 5 区民健診等について

 6 差別のない地域社会づくりについて

  (1)中野区パートナーシップ宣誓について

  (2)差別煽動に対する取り組みについて

  (3)その他

 7 その他

  (1)自転車駐車場について

  (2)その他

 

○議長(いでい良輔) いさ哲郎議員。

〔いさ哲郎議員登壇〕

○31番(いさ哲郎) 2018年第2回定例区議会におきまして、日本共産党の立場で質問いたします。

 最初に、平和の森公園再整備計画についてお尋ねします。

 1975年9月に法務大臣が廃止声明を出すまで続いた刑務所移転運動の後、区民と議会からなる区民協議会でこの跡地活用について討議を重ねる中で、今後二度と出現しないであろう貴重な公共空間であるとの認識に至り、みどりと広場の避難場所であるという結論に到達した、これが平和の森公園の出発点です。避難場所としての機能とともに、可能な限り空間として確保し、分割的な利用はせず一体的な活用をする、固定したスポーツ施設は一切設けない、これが20年余りの区民運動の到達点です。この後、1980年の「中野刑務所跡地にみどりの防災公園をつくるために」の基本計画案において、みどりの広場を中心に樹林帯と水辺をできるだけ多く配置して防災に備えること、子どもたちが自由に遊びをつくり出せるような広場や家族でレクリエーションを楽しめる多目的な空間とすること、障害のある人、お年寄り、子どもなど、あらゆる区民が気軽に利用できるよう十分配慮すること、これらの柱が定まりました。1997年の平和の森公園第2期整備地域検討会においても、この公園の基本的な位置付けは、「みどりの防災公園」と「家族を中心としたレクリエーションの場」であることが確認されています。このように区民、中野区、区議会で長年かけて到達した合意の結晶が平和の森公園です。

 酒井直人区長は、施政方針説明で、「平和の森公園については、第2工区の工事内容について、もう一度区民の皆さんの意見をしっかりとお聞きした上で、300メートルトラック、バーベキューサイトなどの必要性についても判断いたします」と述べました。300メートルトラックについては、現状の草地広場の使い方ができなくなってしまうことについて、区民の皆さんから数多く声が寄せられています。競技者が本気で走るそのすぐ横で就学前の子どもを遊ばせるわけにはいかないとの意見もありました。子どもが自由に駆け回ったり、凧揚げをしたり、何でもできる本来の草地広場の価値が損なわれてしまうという懸念もありました。そもそも記録をとるような正式競技ではトラックは400メートルであり、区が説明してきたようなオリンピックを意識した運動施設たり得ない、こういう指摘もありました。どの角度からも300メートルトラックや100メートルの直線を新設する理由、必要性の根拠が乏しいというのが区民の皆さんの結論です。何より平和の森公園の歴史そのものである長年の区民合意にも反しています。第2工区の工事、草地広場への300メートルトラック、100メートルの直線設置については中止の判断をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

 バーベキューサイト設置についても、住宅地の近くで火を扱い煙が出ること、バーベキューに伴う飲酒や喫煙、ごみやにおい、騒音の心配など、少なくない近隣区民の皆さんからの懸念の声があります。バーベキューサイトの設置についても同様に中止の判断をすべきと考えます。いかがでしょうか。

 次に、哲学堂公園再生整備基本計画についてお聞きします。

 区長は施政方針説明において、「哲学堂公園については、利活用のビジョンをもう一度立ちどまって議論し、そのビジョンに基づいて、駐車場や学習展示施設、管理棟の必要性や規模について判断する」としています。この方針を高く評価し、幾つか質問させていただきます。

 哲学堂公園再生整備基本計画については、多くの区民の皆さんから陳情や要望書などさまざま御意見をいただいています。児童遊園をそのまま残してほしいこと、公園全体が樹木、野鳥など貴重な生き物の宝庫であること、計画について近隣住民や公園利用者に十分な説明がなく、合意もないこと、公園の利用状況の調査もなかったこと、学習展示施設建設や管理棟の建てかえは現在の管理棟の位置で検討してほしいということ、観光資源としての利用の検証はされたのかなどです。そして、意見交換会そのものについても、担当者からの一方的な説明であって、これでは意見交換会とは言えないのではないかと厳しい御意見もありました。これまでの名勝指定と一体となった観光拠点化のビジョンを一度立ちどまって議論するとした理由は、こういった区民の皆さんの声にこたえるためであるということでよろしいでしょうか、お答えください。

 また、一度立ちどまるということは、7月末が納期となっている学習展示施設建設の実施設計、既に完了している七十七場を含む公園部分の実施設計、全て見直すということでよろしいでしょうか、これもお答えください。

 利活用のビジョンを再検討する際、どのような住民参加の形式となるでしょうか。近隣住民、公園利用者がどのように加わり、どのように意思決定していくのが望ましいか、区の認識をお伺いします。

 この公園の価値は、他に類を見ない哲学のテーマパークというだけではありません。先日行われた公園観察会に私も参加しましたが、ガイドさんの説明によって、いかにこの公園に多様な生物相が形成されているか、本当に驚きました。公園内に自生するイヌザクラの幹の太さは都内随一であるとのことですし、南方熊楠で有名な変形菌、いわゆる粘菌も見つかりました。キツツキの一種であるコゲラをはじめさまざまな野鳥の鳴き声が響き渡り、あの面積の中によくぞここまでと感心しきりでした。公園もみどりも少ないこの中野区で、このような貴重な自然環境の価値は他にかえがたいものがあります。公園の価値は、地域の皆さんの中で、皆さんの生活とともに歴史を刻んでつくられてきたものです。井上円了が四聖堂を建設した1904年から100年以上の歳月をかけ、地域の皆さんとともに里山として育ってきたのが哲学堂公園です。また、この公園のみどりの価値については、多くの公園利用者の皆さんからさまざまな資料によって示されてもいます。哲学堂公園再生整備基本計画のビジョンを立て直すに当たり、地域の声とともに、みどりと自然に詳しい利用者の皆さんの意見をしっかり聞き取りながら、ヒマラヤ杉を含めた今あるみどりをできる限り手をつけず残す方向で検討するのが望ましいと考えますが、いかがでしょうか、お尋ねします。

 哲学堂公園のみどりは今のままがいい、そのままがいい、うっそうとした樹林こそ哲学の場にふさわしい、建物を建てるより子どもたちのためにみどりを残してほしい、区民の皆さんからみどりの存続を願うたくさんの声が届いています。この声にこたえる計画の転換を重ねて要望します。

 次に、公契約条例についてお聞きします。

 まず、公契約におけるダンピングの原因となっている重層下請問題についてです。既に国交省では、重層下請構造の改善に向けた取り組みを行っています。2016年の中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会基本問題小委員会の中間とりまとめにおいても、重層下請構造が及ぼす影響として、下請対価の減少や労務へのしわ寄せだけでなく、施工管理や品質面に及ぼす悪影響が列記され、この是正に向けた取り組みについても指針が示されているところです。公契約条例の実施により、この重層下請構造の中間搾取業者、つまり中抜きをしている事業者のメリットをなくし、適正な労働環境の維持と事業の品質向上が期待できます。重層下請の実態について、当区で発注している事業について実態調査を検討すべきではないでしょうか、お伺いします。

 公契約条例が求めるものは、労働者の適正な賃金や労働条件の確保です。しかし、目的はそこにはとどまりません。公契約条例の本来の目的は、下請労働者の適正な労働条件を守らせることによって公共サービスの質の向上を図ることではないでしょうか。この点について区の認識をお伺いします。

 区の発注する事業においては、適正な下請賃金を保証する、このことが事業の質を担保する、これは下請業者だけでなく、行政にとっても大きなプラスとなります。公契約条例を制定すべき理由はここにあります。既に公契約条例を実施している他の自治体では、賃金アップがモチベーションとなり、例えば暗渠の清掃事業で質が向上しクレームがなくなったとか、地元の事業者が戻ってきたとか、目に見える変化が起きているところもあります。当区でも、公契約条例の制定を検討すべきではないでしょうか。先行する自治体にも学びながら、実効性のある本気の取り組みとして公契約条例を制定し、推進していただくことを重ねて要望しておきます。

 次に、住宅宿泊事業、いわゆる民泊についてお聞きします。

 6月15日より、住宅宿泊事業法が施行となりました。法施行当日は、新聞各紙はじめ多くのメディアがこのニュースを取り上げました。全国に6万件存在すると言われた民泊物件のうち、6月8日までに届け出を行ったのは2,707件にとどまっていたということです。実数に対し申請数はわずか4.5%ということです。2017年5月時点で中野区が民泊サイトを調査した結果、当区にはおよそ750件の民泊があったと報告を受けています。当区において民泊事業の申請があったのは、条例施行前日の14日までで66件とのことですので、1割に届いていません。こういった数字の乖離についてどう考えればいいでしょうか。ニュースメディアでは、民泊事業を断念したケース以外に、多くがヤミ民泊、つまり違法な民泊として残ったのではないかと指摘されています。当区にも既にヤミ民泊の疑いを含め苦情が88件寄せられていると聞いています。苦情のあった案件について、区として調査に入った件数は何件で、その後、何らかの改善があったのは何件でしょうか。

 民泊仲介サイトの最大手Airbnbは、法施行直前の6月14日には違法物件を削除したとのニュースが各紙に掲載されました。最大時6万件以上掲載されていた物件は一気に4万件削除され、1万件台となったとのことです。しかし現実にはどうだったのか。私のところには、区民の方から、まだ違法物件が掲載されているとの告発がありました。この告発を受け、Airbnbサイト上の区内物件の調査をしてみたところ、事業者登録の申請の際に区から発行される申請番号を記載しない物件、存在しない申請番号を記載した物件に加えて、「この物件は旅館業法でも民泊新法でもなく定期借地である」と明記された物件もありました。これらは全て違法です。区としても、区内の違法物件が法施行後も掲載されていることを認識していると伺いました。民泊仲介業者の管理責任は観光庁にあります。区としては、仲介業者に対し、法令を守り違法物件を削除すること、違法物件を掲載しないことについて指導を強めるよう観光庁に要望を出すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 また、この問題は、管轄が国であるからで済ませられる問題ではありません。区には、区民の福祉の向上を図る責任があります。区民の暮らしがかかっている以上、区でできる努力をすべきです。先ほど伺った点、区民の方からの苦情の対処にせよ、違法物件の調査にせよ、少なくない人的コストがかかります。区内ヤミ民泊の実態、そして違法な物件が放置されている民泊仲介業者の実態からも、現在の体制で全て対処することは困難があるのではないでしょうか。違法物件に対処するための必要な人員の確保を検討すべきです。伺います。

 オリンピックに向け宿泊施設が不足するというのが国の民泊解禁の動機でしたから、今滞っている民泊事業推進のために、今後追加で規制緩和されるような事態も懸念しています。先々、区条例の見直しを検討することも排除せず、住民の生活を守るという毅然とした姿勢で違法民泊に対処いただきたいことを要望し、この質問を終わります。

 次に、区民健診等についてお聞きします。

 初めに、国保特定健診についてです。当区では、国保特定健診は申し込みが不要であるものの、自己負担が500円かかります。しかし、隣接する杉並区、渋谷区、新宿区では負担がかからず無料です。区の境界近くにある医療機関では健診の相互乗り入れができるようになっており、隣接する区の国保特定健診も受診することが可能となっています。ところが、中野区民は窓口で500円支払うが、近隣区の区民は窓口負担がない、このことについて、区民からだけでなく医療機関の側からも疑問の声が聞こえてきます。単なる負担感でなく、なぜ中野区民だけ窓口負担が発生するのかと、明確な隣接区との格差として見られています。

 健診のメニューでは、この4区で比較すると、心電図と胸部エックス線の扱いが多少異なります。杉並区は心電図がなく、胸部エックス線検査は300円の追加検査、渋谷区は心電図と胸部エックス線は医師の判断、新宿区は心電図が医師の判断で、胸部エックス線は希望者であり、中野区ではこのどちらも通常の検査内容に含まれています。この差が500円の窓口負担にあらわれているということになりますが、こうやって比較したときに、区民の理解を得られるかというと簡単ではないように思います。健康にかかわる事業は、その区の住みやすさという指標と直結しています。酒井区長の区政運営の柱の一つである「安心して地域で暮らし続けられるまち、中野」の実現のためにも、隣接3区では実現している国保特定健診の自己負担ゼロを当区でも検討してはいかがでしょうか、お尋ねします。

 続けて、1歳6カ月児歯科健康診査についてお聞きします。現在、この健診はすこやか福祉センターにおける集団健診です。1歳半の健診については、ことしから1歳6カ月児健康診査が集団健診から一般の小児科医院等での個別受診方式に変わりましたが、その評価検証はこれからです。次は歯科健康診査も個別受診方式に変わるのではないかとの懸念から質問させていただきます。

 1歳6カ月児歯科健康診査を集団健診から個別受診方式に変更したのは、23区の中では江東区だけです。2016年度の受診率を比較すると、中野区の87.73%、23区平均の85.35%に対し、江東区は74.38%と大幅に低い数字が出ています。自治体ごとにさまざま事情が異なり単純比較が難しいにせよ、受診率低下についても大きな懸念を抱いています。この点について、区の認識を伺います。

 2016年度版の地域支えあい推進室事業概要には、1歳6カ月児歯科健康診査について、「乳臼歯の萌出が始まり、咀嚼や発音など、口の基本的機能が獲得されてくる時期に、健診、健康教育や個々の生活習慣、食習慣に応じた保健指導を行い、口腔機能の育成、乳歯う蝕予防を目指す」と記載があります。歯の状態から生活習慣の指導をし、子どもの虐待や育児放棄の兆候、そして発達の問題を見つけたり、親御さんの悩みに答えたりと、福祉的な視点で母子を見守ることができる制度であると評価をしているところです。日付の都合がつけにくいことによって、このことについては区民の方からも要望が寄せられていることかと思いますけれども、集団健診は行政が実施しているという安心感があるという声もあります。福祉的な観点から、1歳6カ月児歯科健康診査については現状の集団健診のまま継続すべきではないかと考えますが、区の認識を伺います。

 仮に個別受診へ移行するとしても、この福祉的な視点がなければいけないと考えます。次の歯科健康診査は3歳児です。3歳になるまで福祉的アクセスがないというのは遅すぎはしないでしょうか。

この点はどのような認識でしょうか。

 次に、中野区パートナーシップ宣誓についてお聞きします。

 当区は5月、パートナーシップ宣誓に取り組む方針を発表し、8月から受付を開始するとのことでした。宣誓書だけでなく、希望するカップルには公正証書の受領証も交付するとのことで大きなニュースとして取り上げられました。LGBT施策の大きな前進として評価するところです。中野区パートナーシップ宣誓の考え方についての意見交換会には多くの方が参加されていたと聞いています。時間いっぱい使い切って発言が相次ぎ、さまざまな意見が交わされたとのことですから、この取り組みをめぐって、当事者の皆さんには多くの意見や考え方があるということがうかがえます。中野区パートナーシップ宣誓については、スタートしてからも、引き続き意見交換会を重ねることが重要ではないでしょうか。今後もこういった意見交換会を開催する考えがあるのでしょうか、お伺いします。

 せっかくその宣誓書の受領証が手に入っても、それが何であるのか広く知られていなければ意味をなしません。とりわけ金融機関、医療機関、不動産業界等、生活に直接かかわる業界には真っ先に周知をする必要があります。こうした業界に対しどのように徹底を図るのか、お尋ねします。

 一番肝心なのは、地域の共同体がLGBTカップルを丸ごと認め受け入れることです。LGBTそのものが比較的新しい概念であることから、中高年世帯には用語としても聞きなれないものであるし、若い世代であっても誤解や偏見にまみれていることもあります。全区民的な啓発活動は、パートナーシップ宣誓の大前提です。また、2013年に行われたLGBTの学校生活に関する実態調査では、性別違和のある男子の25%は小学校入学前に自覚があり、50%が小学校卒業までに自覚したと回答しています。子育てや学校教育の場で、早い段階でLGBT教育を進める必要があるのではないでしょうか。子どもも含めた全年代への啓発・教育について、これまで以上の取り組みが必要になると考えます。区の認識をお伺いします。あわせて、今後予定されている具体的な取り組みがあればお示しください。

 次に、差別煽動、いわゆるヘイトスピーチについてお尋ねします。

 外務省のホームページには「差別解消法施行から2年 これからもヘイトスピーチ、許さない」との新たなバナーが貼られています。ヘイトスピーチ解消法施行から2年が経過してどうなったのか、市民的な力で押し返しつつはあるものの、いまだ特定の国籍や民族に対する憎悪表現やヘイトクライムはなくなっていません。2016年の熊本地震では、「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」という関東大震災のときにそのまま使われたものをはじめ、デマに基づくさまざまな差別煽動がSNSで拡散されました。このたびの大阪地震でも同様の民族国籍差別のヘイトデマが複数確認されています。ネット上で再生産される差別煽動にどう対処するのか、これは単なる善悪の問題ではありません。人権や尊厳を踏みつけにし、社会の基盤そのものを揺るがしかねない問題と捉えるべきです。中野区でも、閉店中の店舗が襲撃されるというヘイトクライムが発生したということは2016年9月議会での質問で報告したとおりですが、昨年にも公園で遊んでいた児童に対して、「お前は何人だ。朝鮮半島に帰れ」と罵声を浴びせた男性がいたとの連絡がありました。許しがたいことです。これ以上ヘイトを放置するわけにはいきません。当区でも独自の努力でできることを実践すべきです。

 法務省作成の「ヘイトスピーチ許さない」のポスターは、現在、区役所内では1階ロビーに1カ所だけ張られています。これを区役所の他のフロアや区民活動センターなど他の区有施設にも貼り出すこと、法務省作成の啓発冊子を区役所窓口や区有施設窓口に配置すること、ホームページや区報で啓発活動を行うこと、これらは費用もかからず、すぐに行うことができます。ヘイトスピーチに対する啓発のためにも、これらを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

 法務省ホームページには、2014年の国連自由権規約委員会、そして国連人種差別撤廃委員会の最終見解として、日本政府に対してヘイトスピーチに対処するよう勧告されているとの記載があります。まちづくりにおいてユニバーサルデザインを推進し、オリ・パラに向けてさまざまな取り組みを行おうという中野区ですから、自治体として差別煽動をなくす先頭に立つべきです。大阪市では、本年7月1日より「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」が全面施行となりました。中野区でも、ヘイトスピーチを禁止する条例の制定を検討してはいかがでしょうか、お尋ねします。

 京都市では、「ヘイトスピーチ解消法を踏まえた京都市の公の施設等の使用手続に関するガイドライン」を策定し、昨日より施行されています。川崎市では、「東京五輪・パラリンピックも控え、差別があっては恥ずかしい。そうした姿勢で成立の準備をしたい」と市長が自ら発言し、検討に向かっているとのことです。既にヘイトが持ち込まれている中野区ですから、区長みずからの言葉で、「中野区はヘイトスピーチを許さない」と外に向けて発信することには大きな意味があると考えます。今後のヘイトを許さない実効性のある取り組みと、区長御自身からの発信に期待します。

 その他で、自転車駐車場、いわゆる駐輪場についてお聞きします。

 昨年1月には中野駅周辺自転車駐車場整備計画が策定されました。計画では、中野駅周辺で2011年からの5年間は7,500台程度の自転車を収容する駐輪場を維持しているとし、将来にわたっても、自転車利用率と将来人口推計から20年後の2047年まで、継続的に7,500台程度の利用状況になると需要を推計しています。にもかかわらず、この計画では、中野区での自転車駐車場整備における収容台数を1,500台も削減し、6,000台とする方針となっています。その理由については以下のような記述がありました。「区内外の広範囲から自転車が中野駅に集中することにより、駅周辺の歩道部においては歩行者と自転車の交錯等が生じており、今後の整備台数は中野駅周辺のまちづくりの方針と整合した適切な台数を設定する必要がある」、つまり、自転車と歩行者の錯綜をなくすために自転車利用を減らしたい、そして、駐輪場がなければ自転車利用は減るだろうという論立てです。また、この削減分の1500台分については、丸ノ内線や西武線の近隣駅で吸収する、そちらにとめてほしい、こういうことも特別委員会で説明がありました。この計画は、自転車利用の現実に即しているとは言えないのではないでしょうか、方針を再考すべきと考えます。区の認識をお伺いします。

 自転車駐車場設置における鉄道会社の附置義務について、一昨年の特別委員会において会派で質しました。そのときの答弁では、JR、東京メトロ、西武鉄道各社への申し入れや協議も適宜行っているとのことでした。どんな協議や申し入れを行い、現在はどうなっているのでしょうか、お尋ねします。

 放置自転車については、中野駅周辺では日中300台前後存在することは区も把握しています。その300台は当然1カ所にあるのではありません。点在しています。この現実から考えるべきことは、十数台から数十台規模の小規模な駐輪場を点在させなければ違法駐輪は解決できないということではないでしょうか。例えば、中野駅北口サンクォーレの東面と南面の歩道はどうでしょうか。ここにはスーパーやコンビニ、書店等の利用のために恒常的に放置自転車がありますが、この歩道はもともと幅が広いこともあり、通行に不便を来すほど邪魔になっているとは言えないと見ています。現状に即してここを駐輪スペースとすること、これは現実的な回答の一つであると考えますが、区の認識をお示しください。こういった条件のある場所はほかにもあるかもしれません。民間の駐輪場設置業者の力も活用し、小規模な駐輪場を点在させる施策を新たに進めてみるのはいかがでしょうか。お尋ねします。

 本年6月8日、国交省は自転車利用推進計画を閣議決定しています。この中で、地方版の自転車活用推進計画策定のための手引書を取りまとめるとしています。国を挙げて自転車の活用を推進しよう、自治体でも取り組みを計画しようという動きの中、駐輪場を減らしてよいのか、この判断をすべきと考えます。健康づくりのため、環境のため、そして何より中野区のにぎわいのため、自転車活用を推進すべく駐輪場をふやすべきであることを強調し、全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) いさ議員の御質問にお答えいたします。

 まず最初に、平和の森公園再整備計画について、300メートルトラック等の中止についてでございます。300メートルトラックやバーベキューサイトなど第2工区の工事内容について、複数の変更案を作成して、区民との意見交換会などを開催し判断していきたいと考えております。

 それから、哲学堂公園を一度立ちどまって見直すことについてという御質問でございました。施政方針において、利活用のビジョンをもう一度立ちどまって議論するとしたのは、文化財的価値の活用による観光への寄与について再議論が必要であるとした上で、学習展示施設、管理棟などのあり方について検討するという認識について述べたものでございます。

 次に、住民参加の形態についてでございます。現在、哲学堂公園は東京都の指定文化財であり、文化財的価値をさらに高めていくことも重要であり、専門家たる学識者の意見と住民参加による議論を踏まえて決定することが必要であると考えております。

 次に、哲学堂公園のみどりについての御質問でございます。利活用のビジョンの再議論の中で、既存のみどりについてもしっかりと検討してまいりたいと考えております。

〔経営室長髙橋信一登壇〕

○経営室長(髙橋信一) 私からは、公契約条例についてお答えします。

 初めに、区による重層下請の実態調査についてお答えいたします。区の発注する工事等の業務を直接受注した事業者については、建設業法に基づき施工体制台帳の提出を義務付けていると同時に、下請事業者の社会保険加入状況を記載させ確認しているところでございます。ただし、雇用されている重層下請の現場における労働賃金等をはじめとする労働環境全般について、現状では把握することができてございません。区の発注する事業の品質向上を図るため、重層下請における労働環境について、まずは実態を把握するための調査方法について検討してまいりたいと考えています。

 次に、公契約条例に対する区の認識についてお答えいたします。公契約条例は事業者が公共の事業を受注する場合、自治体が労働報酬下限額を設定することや、受注側で労働賃金台帳の作成を義務付け提出を求めるなどを通じて適正な賃金の支払いを担保するものでございます。公契約条例により労働者への適正な労働条件や処遇を確保し、ダンピングの防止を図ることにより公共サービスや公共工事の質の向上、地域経済の活性化などが図られるものと理解しているところでございます。

 次に、公契約条例の制定の検討についてお答えいたします。区の事業の質の向上を図り、地域経済の活性化のためにも、区の発注する事業に従事する労働者及びその下請契約をしている事業者に雇用される労働者の賃金が適正に支払われるよう、公契約条例の制定を検討する必要があると考えています。

〔環境部長白土純登壇〕

○環境部長(白土純) 私からは、民泊についての御質問にお答えいたします。

 まず、民泊に係る苦情への対応についてでございます。苦情があった施設は全て調査しております。施設の関係者と連絡がとれた場合は、事業をやめるか正規の手続を行うよう指導し、関係者不明の場合は登記を調査し、所有者に文書により指導を行っております。平成29年度までのデータでございますが、指導の結果、7件が民泊をやめ、1件が旅館業法の簡易宿所の許可をとっております。

 次に、官公庁への法令遵守の徹底についての要望についてでございます。現在、観光庁では、Airbnbに法令遵守の徹底を指導していると承知しております。区も虚偽の届出番号の物件については、観光庁と連絡を取り合い対応しているところでございます。このため、現時点で観光庁に対して要望することは考えておりません。

 最後に、従事職員の増員についてでございます。違法民泊への対処のほか、住宅宿泊事業の主な業務であります開設の相談、届け出受付、及び苦情対応等について的確に対応できるよう、さらに体制を強化したいと考えております。

〔区民サービス管理部長上村晃一登壇〕

○区民サービス管理部長(上村晃一) 私からは、区民健診等についてのうち国保特定健診の自己負担ゼロについてお答え申し上げます。

 中野区では、受益者負担の考えから自己負担金500円を徴収しておりますけれども、前年度の住民税非課税世帯に属する方については自己負担金500円を免除しているところでございます。国保特定健診の負担金のあり方につきましては、今後検討していきたいと考えております。

〔地域支えあい推進室長野村建樹登壇〕

○地域支えあい推進室長(野村建樹) 私からは、歯科健診を例にとりました乳幼児健診のあり方についての御質問についてお答えをいたします。

 まず、個別健診と受診率という御質問でございました。区では本年度から、1歳6カ月健診を集団健診から個別健診に転換をいたしましたが、その狙いとするところにつきましては、小児に対するかかりつけ医機能の強化と、働く女性がふえる中で、受診日の日程の選択の自由度を増すということで受診率の向上を図ることにございます。ニーズの多様化、複雑化、専門化等によりまして、今後も乳幼児健診の個別健診化について検討を進めていく方針でございますが、個別健診化により受診率が低下するという認識にはございません。ただ、個別健診では受診可能期間をかなり長く設定してございますので、当該年度の受診率に反映ができていないといったことも想定をされております。いずれにいたしましても、受診率に注視しつつ、受診環境のさらなる整備について検討してまいりたいというふうに思ってございます。

 次に、保健指導ですとか福祉的観点による集団健診の継続という御質問でございました。本年度の1歳6カ月児健診の個別健診化に際しましては、医師会との協議により、健診に関する診察基準、それから健診時の留意事項、こういったことの統一的運用を図るために医師の研修機会を設定したほか、健診後の継続的フォローアップなどについてマニュアルも整備をしたところでございます。また、健診を行ったかかりつけ医と区との間で的確な情報連携が行えるよう、受診票についても工夫を行ったところでございます。すこやか福祉センターでは、こうした情報連携によりまして、発達に課題がある子どもの保護者に対する支援を強化するなど、個別健診化によりましても、必要となります保健指導等の福祉的観点からの配慮が行われる体制としているところでございます。仮に、歯科健診の個別健診化を図る際にもこれと同様の対策が必要になるというふうに考えてございます。

 最後に、1歳6カ月健診から3歳児健診までスパンがあいているといったことの御質問でございます。現在、幼児期の子どもがいる家庭とすこやか福祉センターとのかかわりにつきまして、御質問にありましたように、1歳6カ月を過ぎますと3歳児まで一部事業を除きまして期間があいていることについては、私どもとしても認識をしているところでございます。トータルケアの観点からは、この期間に焦点を当てたプッシュ型の情報発信ですとか、子育て広場あるいは児童館などを活用した育児相談など、さまざまなアプローチを工夫してまいりたいというふうに考えてございます。

〔政策室長朝井めぐみ登壇〕

○政策室長(朝井めぐみ) 私からは、差別のない地域社会づくりについての御質問にお答えいたします。

 まず、パートナーシップ宣誓についての意見交換会の継続的な開催についての御質問でございます。パートナーシップ宣誓の取り組みにつきましては、当事者の方の間にもさまざまな考え方や意見があることを認識しております。引き続き、区民の皆さんと意見交換を行い、区として検討していく必要があると考えております。

 続きまして、さまざまな業界に対する周知徹底についての御質問についてでございます。区といたしまして、宣誓をした方が宣誓書と受領書を提示することが想定されております不動産事業者、医療機関、金融機関などに対しましては、取り組みの目的なども含めて個別にお知らせなどを行うことを検討しております。また、宣誓書と受領証の裏面には、受領証の提示を受けた方にこの取り組みの目的などを御理解いただくための説明文を添えることとしているところでございます。

 続きまして、子どもも含めて広く区民を対象としたLGBT教育や啓発についてでございます。LGBTについて、子どもから大人まで区民の理解が広まることが重要と認識しております。今年度、ユニバーサルデザイン推進のための区民向け啓発冊子を作成する予定でございます。この中でLGBTについても理解が進むよう工夫をしてまいります。各小・中学校では、性同一性障害、性的指向につきまして人権課題として位置付け、道徳、社会科、特別活動の時間で取り上げ理解を深める取り組みを行っております。こうした普及啓発の取り組みを重ねることで、LGBTを含めて多様な生き方、多様な個性や価値観への理解が地域の中で広まっていくというふうに考えているところでございます。

 続きまして、ヘイトスピーチに対する啓発でございます。区では、外国人の人権についての啓発冊子を人権・男女共同参画担当の窓口に設置しているほか、人権イベントに合わせた啓発を行っております。さらに、ホームページにおいてもヘイトスピーチ解消に向けた啓発を行っており、区民の理解促進を図っているところでございます。今後も、ヘイトスピーチ啓発用ポスターの掲示場所の拡充も含め、効果的な人権啓発を検討していきたいと考えております。

 ヘイトスピーチ禁止条例の制定を検討してはどうかという御質問についてでございます。現段階におきましては、東京都が2020東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて検討を進めています条例制定の動向を見ていきたいと考えております。

〔都市政策推進室長奈良浩二登壇〕

○都市政策推進室長(奈良浩二) 私からは、その他の御質問のうち、中野駅周辺自転車駐車場整備計画についての御質問にお答えをいたします。

 中野駅周辺自転車駐車場整備計画は、中野駅周辺中心部を歩行者優先とした公共交通指向のまちとなるよう自転車駐車場の分散配置や駅前広場等の整備を進め、歩行者空間の安全性、快適性及びバス等の公共交通の利便性を向上させていくこととしてございます。また、この計画の中で、中野駅とそれ以外の駅との自転車駐車場の利用バランスを踏まえて、自転車駐車場の定期利用要件である最寄りの駅から職場や学校、居住地の直線距離制限を見直し、中野駅に自転車が集中しないように方策を講じることとしてございます。こうした考え方に基づきまして、中野駅周辺中心部の歩行者優先エリアの外周に自転車駐車場を分散配置し、自転車駐車場利用者を適切に誘導することにより、現況の自転車利用台数は計画目標の6,000台を若干下回る程度となってございます。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 私からは、自転車駐車場のうち所管分についてお答えをいたします。

 まず、鉄道事業者との協議状況についてでございます。現在、中野区自転車等放置防止条例では、鉄道事業者は自転車駐車場設置義務制度に基づく設置義務に該当しておりません。一方、これまで東中野駅西口整備では、東日本旅客鉄道株式会社の協力のもと、駅前広場の地下に自転車駐車場を設置いたしました。また、東京地下鉄株式会社の協力のもと、中野富士見町駅南側敷地の一部を自転車駐車場用地として賃貸借をしております。中野駅や西武新宿線の各駅周辺につきましては、まちづくり計画や連続立体交差事業の進展とあわせまして、それぞれの鉄道事業者と協議していく予定でございます。

 それから、小規模な駐車スペースの確保についてという御質問でございました。中野駅周辺では、中野通り沿いや大型商業施設付近の歩道に駐車スペースを設置することは、放置自転車を誘発する原因になることから、関係商店街等との協議によりまして2カ所、合計265台の買い物客用駐車スペースを設置してございます。引き続き、商店街や店舗が利用者のために確保する駐車スペースと誘導について附置義務要件に該当しない施設も含めまして、放置自転車の防止に向けた協力要請を行ってまいります。

○議長(いでい良輔) 以上でいさ哲郎議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 酒 井 たくや

 1 区長の所信表明について

  (1)区長のリーダーシップと区政運営について

  (2)「中野区を子育て先進区へ」について

  (3)「安心して地域で暮らし続けられるまち、中野」について

  (4)その他

 2 教育について

  (1)中野区立小中学校施設整備計画について

  (2)その他

 3 その他

 

○議長(いでい良輔) 次に、酒井たくや議員。

〔酒井たくや議員登壇〕

○38番(酒井たくや) 平成30年第2回定例会におきまして立憲民主議員団の立場から一般質問いたします。

 質問は通告のとおりでございますが、2番目の教育についてを取り下げさせていいただきます。そして、3点目のその他については、ブロック塀の安全についてお尋ねします。質問は2日目でございます。重なる部分もございますが、立場も違いますので御容赦いただきたいと存じます。

 それでは、区長の所信表明についてお尋ねいたします。

 まず冒頭に、さきの6月10日に執行されました中野区長選挙におきまして、初当選されました酒井直人区長に改めてお祝いを申し上げる次第でございます。持ち前の行動力、発信力、巻き込む力で全員参加の新しい区政を築いていただければなというふうに思っております。選挙戦を通して、実際に区長も地域に出られて、そして多くの地域課題を感じられたことだと思います。区職員時代には経験しなかった、また違った経験をされたことだと思います。ある種、我々議員は、日々の生活を通じて区民のさまざまな課題を肌身で感じております。そしてその課題を解決するために、我々は議会で討議を重ねております。現在、中野区議会には41名の議員がおります。多様な議会の声に真摯に耳を傾け、区政運営のかじ取りを行っていただきたいと思います。

 それでは、区長の所信表明についてお尋ねしますが、6月18日に大阪北部地震が発生しました。

お亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げます。

 首都直下型地震はいつ起こっても不思議ではありません。震災時は、わずかな時間と情報で決断が求められます。新区長には、東日本大震災で被災した相馬市の立谷秀清市長の震災時の手記を紹介させていただきたいと思います。現在、全国市長会の会長さんですね。

 立谷市長は3・11の震災発生直後、津波の危険から、沿岸部の住民を高台に避難させるよう地元の消防団員に指示をされました。沿岸部の9割もの住民を避難させましたが、その代償は大きく、10名の消防団員が殉職しました。殉職した消防団員には小さなお子さんもいました。市長は、子どもたちを残して死んでいった父親の無念のかわりを果たすことなど到底できないが、孤児らに将来を強く生きてもらいたい、十分な学力を身につけてもらいたいと、震災孤児に対しての支援金の支給を即座に決め、その後、奨学金制度も構築されました。改めて、この責任感に敬意を表するものであります。

 また、手記の中には非常に興味深いものがあるので紹介させていただきます。震災から3日後の夜に最大の危機を経験したとあります。恐怖の体験。福島第一原発3号機の水素爆発があった3月14日の夜、100名もの自衛隊員全員がガスマスクを着用し、ただならぬ雰囲気で市役所に入ってきたそうです。部隊のリーダーが、今すぐ相馬市民を避難させてくださいと言ってきたのです。国・県に確認したところ、明確な指示、答えはありませんでした。避難先もなく、夜の9時に避難指示を出せば相当な混乱と不測の事態が予想されます。しかし、国から派遣されていた全職員は庁内におらず引き揚げており、そのことが不安をあおりました。市長の頭の中は、空間線量が上がっておらず、うろたえてはいけない。目的地もなく避難指示は出せず、自衛隊の指示といえども従うわけにはいかないが6割、100名もの自衛隊員のただならぬ様相と毅然とした口調に、ひょっとすると大変な事態になっているのではないかが4割、6対4の狭間で非常に気持ちが揺れ動いたそうです。頭の中で6対4で考えても、口から出るときには10対0になります。結果、自衛隊の指示には従わず、翌日にはそれが誤報だったとわかりました。

 この状況下、新区長はどう判断しますでしょうか。もちろん私のこの説明だけでは到底判断できないものだと思いますが、緊急時は少ない判断材料だけでも決断し、32万区民の命と財産を守る最善の方策をとらなければならないのが行政のトップである区長であります。当然それだけ強い責任、重い責任があります。そこで区長のリーダーシップについてお伺いしますが、災害時や非常事態時にはトップダウンの強いリーダーシップが当然必要です。区長は選挙戦で、全員参加型のボトムアップの区政を訴えられました。超少子高齢社会、高度化し複雑多岐にわたる行政ニーズにこたえるには、リーダーが持つスペシャリティだけではなく、現場のリーダーに裁量を与え、個々が能力を発揮し、目標達成する組織が必要であると私は考えますが、区長の考えるリーダーシップをお聞かせください。

 次に、職員との目標共有について伺います。区長が明確なビジョンを打ち出し、全職員と共有することが肝要です。現状、前区政から踏襲する施策と大きく転換を図る施策があります。現行の10か年計画と今後策定予定の基本計画において、新旧ダブルスタンダードでは職員の判断が難しく、失敗をおそれ伺いを立てる、そこでトップが指示をする、このような形が続けば指示待ちの状況から抜け出せず、区長の考えるボトムアップの区政とはつながりません。大きく転換を図られる政策に関しては早急に方針を打ち出し、職員と共有すべきと考えます。お伺いし、この項の質問を終わります。

 次に、「中野区を子育て先進区へ」についてお尋ねします。

 区長は、選挙戦を通して「中野区を子育て先進区へ」と訴えられました。区立幼稚園、区立保育園の一定数の存続や児童館廃止の見直し、子どもの権利条例の制定など、多くの子育て世代の方々の共感を得られたことが選挙戦勝利の要因の一つであると考えます。そこで、区立幼稚園の存続についてお尋ねします。これまで2園の区立幼稚園は建てかえを経て、民設民営による認定こども園へ転換するという方針でありました。我が会派としては、区として幼児教育の実践の場を持つ必要性、特別な配慮の必要な子どもにとって区立幼稚園が大きな役割を担っている点など、区立幼稚園を存続するべきと訴えてまいりました。区長は、区立幼稚園が今まで担ってきた役割、意義をどのように捉えているのかお聞きします。

 今年度も定員16名の3歳児入園の枠に対し、東中野では93名、上鷺宮では55名の応募があり、現在も十分なニーズもあります。平成28年第3回定例会において、区立幼稚園の存続についての陳情は採択されてもおり、議会の姿勢も示されております。また、区長御自身も、選挙戦において区立幼稚園の存続を訴えられました。当然区民も区立の幼稚園2園が存続するものと期待をしていることと思います。区立幼稚園2園の存続についてどうするのか単刀直入にお尋ねします。

 存続させるに当たり一つの懸念は人事の面が考えられます。幼稚園教諭は、平成12年の都区制度改革により身分が東京都から区へ移管された経緯があります。区内の区立園2園だけでは人事が硬直化すること、園長、副園長といった管理職不足も想像されます。過去には小学校長が幼稚園長を兼務されていたこともあったともお聞きします。23区でも区立幼稚園を運営している区も多数あり、中野と同じような悩みを抱えている、また将来抱え得る可能性もあり、積極的な他区との人事交流のあり方も模索するべきではないでしょうか、お考えをお聞きします。

 次に、児童館の存続についてお尋ねします。児童館はこれまで、乳幼児親子や子どもたちの放課後の居場所はもとより、学校・地域・家庭をつなげコーディネートをする役割を担ってきました。これまでの区の考え方は、キッズ・プラザと子育て広場の整備とあわせて、児童館を順次廃止していくというものです。

 現在国では、7年ぶりに児童館ガイドラインの改正に取り組み、素案が示されております。この間、子どもの貧困対策推進法、いじめ防止対策の推進法、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準等が施行されました。また、平成28年の児童福祉法の改正では、子どもは適切な養育を受け、健やかな成長・発達や自立等を保障される権利を有することの理念が明確化され、子どもの健全育成にかかわる関係法令との整合性を図る必要があります。それを受け素案では、児童館が、これまで以上に子ども・子育て支援に資する施設として機能するよう大幅に加筆されており、子どもの貧困や不登校、児童虐待等、今日的な課題に対応する児童館の役割の拡充が反映されております。改正ガイドラインは9月に取りまとめ、来年4月からの施行を予定しております。

 現在、国が考える新しい児童館はより機能が拡充され、これまでの区が廃止とすると考えていた児童館とはある種、別物であると私は考えます。また、児童館は、これまで多くの地域での担い手づくりを行ってまいりました。乳幼児や子どもたちの放課後の居場所づくりや子ども食堂等、行政が取り組むべき公共性の高い活動が中野のさまざまな地域で展開されております。コミュニティが希薄な都市部において人を掘り起こし、人と人をつなぎ、地域で子どもたちの健やかな成長を見守るネットワークを創造する大きな役割を児童館は担っております。すなわち、児童館の存続というものは未来への種まきであります。児童館とキッズ・プラザと子育て広場との役割が重なる部分は、子どもたちにとって豊かな選択肢があることこそ手厚い子育て支援でもあります。機能面での多少の交通整理は必要かと考えますが、また、惜しまれながら廃止された、中高生の居場所であったU18プラザの機能もあわせた新児童館として、廃止予定であった児童館を再生するべきです。お考えをお聞きします。

 次に、教育についてお尋ねします。「子育て先進区中野」を目指すには、公教育の充実は欠かせません。学力の向上とあわせ、東京オリンピック・パラリンピックに向けた体力向上や国際理解教育の推進、教育環境の向上など課題は山積していると考えます。しかし、所信表明では、教育に関しては余り触れられていないように感じました。区長の公教育の充実についての考え、全ての子どもの学びと育ちを支える区政への展開についての思いをもう少し語られるべきです。お尋ねします。

 次に、児童虐待についてお尋ねします。先日東京目黒区で、5歳の女の子が両親から虐待を受け死亡する痛ましい事件が起こりました。一家は香川県から転居しましたが、県が引き継ぎの直前に指導措置を解除し、児相間の連携に課題を残しました。人口流動が激しい都市部においては、特に児相間の連携強化は必要であります。この件に関しては、引き続き取り組んでいただきたく強く要望します。

 こうした事件は、連携の問題だけではなく、マンパワーの問題が背景にあると私は考えます。現状、都児相も、相談件数は非常に多いにもかかわらず、国基準の人員配置はされておらず、重篤な案件を多く抱えておれば迅速にきめ細かな対応もできません。小池都知事も、児童相談所体制を強化するため専門職の増員の方針を打ち出されました。並行して、児相設置に備える22区においても職員の採用を行っております。将来的には都から区へ児童相談所が移管されるにもかかわらず、職員採用はバラバラに行われております。また、専門職である職員の育成には時間を要します。二度とこのような痛ましい事件を起こさないためにも、都と区の児童相談所職員の人材の確保・育成の共通のビジョンを持つ必要があります。この件に関しては一向に協議が進んでおりません。特別区が一体となって東京都に要望し、大命題として取り組むべきです。お尋ねします。

 この項の最後に、子育て応援都市宣言についてお尋ねします。子育て支援は、区立幼稚園や児童館の存続だけではなく、不妊治療などの産前期からの支援もありますし、魅力ある公園整備なども子育て支援であり、年齢層も乳児から中高生世代と非常に幅が広いものであります。それぞれの生活環境や悩みに寄り添った子育て支援の施策が、点と点でつながり線になって、面になることこそが手厚い子育て支援でありますが、非常に広範で、新区長の「子育て先進区中野」の考え方をすぐにまとめるのは困難ではないかと考えます。冒頭に申し上げましたが、今回の選挙戦、区長は「子育て先進区中野」を全面に押し出され、その姿勢に多くの子育て世代の方々、関係者が夢を抱かれたと私は感じております。その抱かれた夢を、託された思いをしぼませてはなりません。そこで、まずは新区長の姿勢を示し、区民と共有する必要があると私は考えます。それには子育て応援都市宣言などはいかがでしょうか。世田谷区は区民参加のもと、スピード感を持って宣言内容を練り上げました。そしてその宣言文は、児童館で乳幼児親子や地域の方々と一緒になって読み上げたそうです。まずはこのような宣言を行うべきです。お考えをお聞きします。

 姿勢を示し、区民と共有した後には、新区長の子育て先進区への取り組みをまとめたものを示すべきです。策定の過程では、まずは全子育て世帯へのニーズアンケート調査を行う、そして現役子育て中のパパさん、ママさんや子育て関係者と区長が一緒になって、区民参加でプランを策定していくべきです。お考えをお聞きし、「中野区を子育て先進区へ」の質疑を終わります。

 次に、「安心して地域で暮らし続けられるまち、中野」についてお尋ねします。

 「安心して地域で暮らし続けられるまち、中野」を実現させるためには、区長自身も担当副参事としてかかわり策定された地域包括ケア推進プランに基づいて取り組みを進められること、そして特に今後、子どもや障害者等支援を必要とする全ての区民を対象とする包括ケア体制を構築していくことが重要です。施政方針の中では、すこやか福祉センターの機能を強化する一方、すこやか福祉センター8カ所整備の再検討にも触れられております。すこやか福祉センターの8館構想は、10か年計画には記述のなかった点、ファシリティマネジメントの観点からは疑問もありますが、全てのすこやか福祉センターが地域包括支援センターと障害者相談支援事業所を併設することによる、細かな地域課題の把握や解決に取り組める強みもあります。区長が現場で見てきたすこやか福祉センターの課題をどう捉えているのか、機能の強化と見直しは相反するようにも感じます。区長のお考えを具体的にお聞かせさせていただきたいと思います。

 この項の最後に、人員体制についてお尋ねします。前区政の職員2,000人体制の取り組みは私も高く評価をしておりましたが、超少子高齢社会において多種多様な行政課題にこたえるには、必ずしも2,000人体制にこだわる必要はないとも考えます。しかし、退職不補充を基本とした区立保育園、幼稚園、児童館の存続は、今後の職員採用計画、区財政にも大きく影響を及ぼします。早期に考え方を示すべきです。また、財政規律と増加する人件費について区長はどのように取り組まれるのか、お聞きします。

 これまで、民間でできることは民間でという考えが当然でありました。公の責務において、公がやるべきことは公でという新しい公共の形を新区長には築いていただくことを大いに期待し、この項の質問を終わります。

 質問の最後に、その他でブロック塀の安全の問題についてお尋ねします。

 大阪北部地震により高槻市の小学校のブロック塀が倒壊し、4年生の女子児童が下敷きになり亡くなりました。同ブロック塀は建築基準法の基準を満たしておらず、また市は、三度の安全点検で塀の危険性を見逃していました。

 中野区は現在、区内幼稚園小・中学校に関しては教育委員会で調査が行われ、調査の結果、直ちに倒壊の危険性のあるブロック塀はないそうで一安心はしております。それから、区内の保育園、公園、区営住宅などの全ての公共施設を点検中であるともお聞きしておりますが、安全性を鑑みると、将来的に区有施設においてブロック塀を修繕し、維持・保持していく必要があるのか、公共施設全てにおいての外構のあり方も議論しなければなりません。

 あわせて、区民にとっては、通学道路はどうなんだろう、近隣は大丈夫なのかと、突き詰めると区内全てのブロック塀の状況把握が必要になります。また、ブロック塀だけではなく、大谷石も地震の揺れには弱いとも聞いております。私も週末地域を歩いてみました。改めて見てみると相当数のブロック塀があり、これを全て点検するのは大変な労力が必要になるとも感じました。先日も答弁にありましたが、まずは地域を区切り点検し、その結果をもって全区どのように調査していくのかを検討するのが肝要であると私も考えます。例えば、地域を理解されており、コミュニティもある地元事業者を活用するのがブロック塀撤去の進展にも有効ではないかと考えます。全区的な調査とあわせて、ブロック塀の撤去だけではなく、既存不適格な工作物を解消し、沿道の安全を高められる総合的な補助制度も構築する必要があります。お尋ねし、全ての私の質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 酒井たくや議員からの御質問にお答えいたします。

 まず1点目に、区長のリーダーシップについての御質問でございました。これからの区政運営はトップダウン型ではなく、職員提案制度の改善や地域に飛び出し活躍する職員の育成などによってボトムアップ型区政への転換を図る必要があると考えております。区長としてのリーダーシップは、職員や区民と議論を尽くし、現状や検討過程、目標を理解、共有し実現を図るという活気あふれる環境を築いていくことであると考えております。職員に対しては早急に行動指針を作成し、新たな経営方針として示していきたいと考えております。これまでの施策のうち一旦立ちどまって再検証する事業については、区長として早急に検討の方向を示し、組織を挙げて区民との議論などを進めてまいりたいと考えております。

 次に、区立幼稚園についての御質問でございます。中野区においては、私立幼稚園を中心に幼児教育の環境が整備され、地域的偏在の解消を図るため区立幼稚園が配置された経緯があります。区としては幼稚園、保育園等、区立、私立を問わず、就学前教育の充実に向け、保幼小連携による教育の充実を進めているところでございます。例えば、発達に課題のある幼児の保育について、区立幼稚園の持つノウハウを私立幼稚園と共有するなど連携しながら取り組みを進めてまいります。区は、国の方針に基づいて、これまで区立幼稚園2園を認定こども園として整備をしてきた経緯がございます。幼児教育の充実を図りつつ、多様化する保育需要の受け皿として、幼稚園の区立の認定こども園化についても検討をしていくところでございます。区立幼稚園存続に係る陳情が採択されていることも十分踏まえて進めてまいります。

 次に、新しい児童館についての御質問でございます。今後、児童や子育てなどに係る現状や課題に応じた機能や役割について整理する必要があると、御指摘のとおり認識しております。その上で、あるべき姿を定め、必要な施設数や配置を考えてまいります。中高生の活動拠点のあり方については、中高生の参加を得ながら検討をしてまいります。

 次に、公教育の充実、学びと育ちを支える区政への転換ということでございます。変化が激しく予測がつかない時代にあっても、子どもたちが守るべき人としての根幹的な価値を大切にしつつ、時代の変化を適切に受けとめ、よりよい社会に向けてリードしていく、そうした人材を育て世に送り出すことが中野区の公教育の目指すところだと捉えております。そして、全ての子どもの学びと育ちを支える施策について、区政の中での優先順位を転換していく、優先順位を上げて取り組んでいくという意味で、私は転換という言葉を使ってございます。今後、子育て先進区へということで優先順位を変えてまいります。

 次に、児童虐待、人材確保、育成共通ビジョンということでございます。区では、2021年度の児童相談所設置に向けて、専門的な対応をきめ細かく行うことができるよう、国基準や相談実績等を勘案した十分な人員の確保、児童相談所等への派遣や専門研修の拡充等による人材育成を図っているところでございます。限られた人材を子どもたちのために有効に活用していくため、東京都と特別区が人材の確保育成について考え方をすり合わせる必要があると考えており、今後とも働きかけを行ってまいります。

 次に、子育て応援都市宣言について御質問がございました。区が子育て先進区を目指し、区民と協力して取り組みを進めていくことについては、新たな基本構想及び新たな基本計画を策定する中で示していきたいと考えております。また、子どもの権利条例を制定し、子どもの権利を明確にし、子育てに関する区政運営の基本指針として位置付けたいと考えております。その一方、宣言についても検討してまいります。アンケート調査による実態把握、子育て中の保護者や関係者との対話の機会の確保など、多くの区民の声を計画づくりや政策に反映できる方策をあわせて実施してまいります。

 次に、すこやか福祉センターの課題と機能強化の取り組みについての御質問です。すこやか福祉センターは、地域包括ケアシステムの推進拠点として重要な役割を果たしていますが、困難ケースへの対応や地域連携、医療介護連携など、さらに専門性の強化のため人材育成に努めてまいりたいと考えております。今後は、新区役所におけるアウトリーチ業務の考え方、(仮称)総合子どもセンターの相談支援体制とすこやか福祉センターの役割分担や連携のあり方等、総合的な検討を行う中で配置数についても定めていきたいと考えております。

 最後に、職員体制と区財政への影響でございます。今後の児童館については、児童や子育てなどに係る現状や課題に応じた機能や役割について整理するとともに、多世代が地域で交流する施設としてのあるべき姿を定めた上で、必要な施設数や配置を考えてまいります。区立保育園については、職員の採用や財政負担など、区の後年度負担やさまざまな影響が想定されますが、サービスの維持向上のために残してまいります。施設の配置や数については今後検討してまいります。これらの区立施設を運営するための経費については、財源を優先的に振り向けて対応しなければなりません。全体としての財務規律は、これまでどおり確保していくという考えでございます。

〔教育委員会事務局次長戸辺眞登壇〕

○教育委員会事務局次長(戸辺眞) 私からは、「中野区を子育て先進区へ」につきまして、区立幼稚園教諭の人事交流につきましてお答えいたします。

 現在、区立幼稚園の幼稚園教諭は、他の一般職員同様に区の固有職員であるため、区内での異動が原則でございます。ただし、特別区の幼稚園管理職、主任教諭、新規採用教員の選考は、特別区人事厚生事務組合教育委員会事務局が特別区全体でまとめて募集し、実施をしてございます。また、区の垣根を越えた幼稚園教員の人事交流と新規採用職員の配置については、毎年開催される人事交流に係る調整会議を通して実施されております。管理職の配置につきましては、特別区全体で調整する素地が定着しているものの、人事交流につきましては、都の職員である公立小学校教員のように異動年限が決まっていて、他都市への移動に関するルールがあるわけではないため、ある区が新たに望んでいる職層や年齢層と、その人材を放出する区の事情が一致しないと実現がなかなか難しいという状況がございます。幼稚園の数が少ない区にとりましては、御指摘のような人事の膠着といった課題も考えられるところでございますが、中野区だけで解決する問題ではないため、特別区人事厚生事務組合教育委員会事務局を通じて、問題を提起してまいりたいと考えてございます。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 私からは、ブロック塀撤去の補助制度構築についてお答えをいたします。

 区といたしましては、通学路を含め道路沿道の工作物等につきまして、一定の範囲でのサンプリング調査を実施することを検討してございます。その結果等を踏まえて全区的に調査を行い、また、結果を受けて総合的な支援策を検討してまいります。

○議長(いでい良輔) 以上で酒井たくや議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 渡 辺 たけし

 1 「犯罪機会論」を取り入れたまちづくりについて

 2 区民向け行政サービスの推進について

 3 その他

 

○議長(いでい良輔) 次に、渡辺たけし議員。

〔渡辺たけし議員登壇〕

○7番(渡辺たけし) 平成30年第2回定例会におきまして、都民ファーストの会中野区議団の立場から一般質問を行います。

 質問に先立ちまして、6月18日に大阪北部で起きた地震により犠牲となられた皆様に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方、その御家族、関係者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 また、6月10日に行われた中野区長選挙において当選された酒井直人新区長の就任を心よりお祝い申し上げます。自分自身、来年の今ごろどのような状況になっているか皆目見当がつきませんが、残り少ない任期の中で、議会の側から区民の立場に立った発言をしてまいりますので、中野区の発展のために闊達な議論を積み重ねていただくことを希望するところであります。

 それでは、一般質問に入ります。

 まず初めに、「犯罪機会論」を取り入れたまちづくりについてお伺いします。

 先月の6月12日にシンガポールで行われた米朝首脳会談は、トランプ大統領が北朝鮮に対して完全な非核化への道筋をつくることができるかという点で世界から注目を浴びていました。しかし、私たち日本人は、北朝鮮に対して拉致問題を忘れてはいけません。1977年11月15日、新潟市に暮らしていた横田めぐみさんは、クラブ活動を終えて中学校から帰宅する途中で消息を絶ち、北朝鮮に拉致されました。めぐみさんをはじめとした拉致被害者はかけがえのない人生を奪われ、その家族も激しい悲しみの中で、今も大切な人の帰りを待っています。偶発的に起きたと言われている横田めぐみさんの拉致事件でありますが、事件を目撃した人を見つけることはできませんでした。このような犯罪を未然に防ぐために、犯罪の予測を科学的に検証する学問が犯罪機会論であります。海外では防犯の基礎として定着している犯罪機会論ですが、日本ではまだほとんど知られておらず、全国約1,700の自治体の中でも、この考え方を導入しているところは藤沢市と神戸市のみでありました。

 犯罪機会論の第一人者、立正大学の小山教授によりますと、犯罪とは、刑法の範囲内において、加害者と被害者が交わる犯行場所がそろって初めて犯罪は成立する。犯罪機会論は、この犯行場所に焦点を絞り、犯行現場の共通点を探った上で、犯罪者が好む犯行現場の景色を検証していくものであるということでした。このような検証を重ねた結果、導き出されたのが「入りやすい」「見えにくい」という二つのキーワードであります。犯罪が発生する確率の高い場所は、不特定多数が入りやすい場所と不特定多数から見えにくい場所ということになります。「入りやすい」「見えにくい」という防犯キーワードを意識することは、持続的な防犯まちづくりにとっても重要なのではないでしょうか。そこで伺います。これから中野区内で進めていく新たな再開発やまちづくりの構想の中に犯罪機会論の概念を取り入れて、犯罪減少につながるまちづくりのあり方を検討してみてはいかがでしょうか。

区の見解を伺います。

 5月7日に下校中に行方不明となった新潟女児殺害事件において、犯罪機会論の観点から見た幼児が連れ去られた犯行現場は、ガードレールのない線路沿いの道路で、人の目も届きにくい車での犯行が行いやすい、入りやすく見えにくい場所であったと言います。子どもが集まる場所である公園や学校の通学路を重点拠点として、犯罪が行われやすい場所を減らしていくまちづくりを力強く推進していくことは、区長の施政方針説明の中にも記載されている「子育て世帯に選ばれる中野区」につながる政策になるのではないでしょうか。今後、あらゆる視点から子育て世代にとって魅力のある施策を取り入れていただくことを要望いたしまして、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、区民向け行政サービスの推進について伺います。

 さきの第1回定例会の総括質疑におきまして、アウトリーチ型の相談支援業務を行っていく中での問題点を確認したところ、タブレット端末を用いての情報連携の仕組みも課題と認識しているという答弁をいただきました。これは、地域包括支援センターでの活動記録が一部いまだに紙ベースであり、紙ベースでの報告書を電子化しないことには、必要な情報をタブレット端末で見ることができないため、ICT機器を活用し切れていないという部分を指しての答弁であります。思えば、当時の担当理事者にこの点を確認したところ、「現場がそのような状況になっているとは認識していなかった。早急に改善を図り、データベースの電子化を推進していきましょう」という言葉をいただき、前向きに取り組んでいただけると思い、総括質疑の質問項目に加え、打ち合わせを予定していたにもかかわらず突然区役所を退職されたという話を聞いたときの衝撃は、今年度上半期の中で一番記憶に残る出来事でありました。しかし、後任担当者への引き継ぎもきちんと行っていただき、今また区長として区役所へ戻ってこられたわけですので、こちらの課題解決はもちろんですが、行政サービスの質の向上を図っていくためには、現場担当者がどのような事前情報を必要としているのか、現場の声を聞きながら、区民サービスの拡充に向けて大いに力を発揮していただくことを期待しているところであります。

 このような庁内のICT化推進はもちろんでありますが、区民に対してもICTを活用した行政サービスの導入を本格的に検討する時期に来ているのではないでしょうか。10か年計画の持続可能な行政運営戦略の中にも、「ICTを活用した双方向の情報発信を可能とし、区民の利便性の向上、負担の軽減を図ります」と記載されております。新体制となり、施政方針説明の中にも「新たな基本構想を制定したい」ということも記載されておりますが、ICTを活用した区民向け行政サービスの推進については、我が会派としても、より加速させ、実現に向けて積極的に取り組んでいただきたいと要望するところであります。

 そこで伺います。今回の新体制を機に、ICTを活用した区民向けサービスの推進を、より積極的に推し進めてみてはいかがでしょうか。新区役所の整備に向けて、紙の文書や資料を電子化することで、区民サービスの向上や業務の効率化にもつなげることが考えられます。具体的な期限を設け、区民向けICTサービスを考案することで、実現に向けたさまざまな課題も出てくるのではないでしょうか、区の見解を伺います。

 区民目線、区民感覚の部分も取り入れた上で、区民向けの行政サービスは展開させていくべきであります。特に、さきの質問の中でも取り上げましたが、施政方針説明の中に記載されている「子育て世代に選ばれる中野区」を本気で目指すのであれば、具体的にどのような形で実現させていくかということが大変気になるところであります。我が会派も以前から、子育て世代に選ばれる中野区を目指すべきであると主張しております。そのためにも、子育て世代の方々から行政に求める要望をヒアリングし、中野区は他の地域と比べて子育て世代に向けての行政サービスに力を入れていると思わせるための施策を展開する必要があるのではないでしょうか。実際に施政方針説明の中にも、「当事者の声を徹底的に聞き、一人ひとりのニーズを把握してまいります」と記載されております。

 そこで伺います。今後、区は子ども・子育て支援事業計画の改定に当たって、子育て世代のニーズ調査を行うと聞いております。自民党の高橋ちあき議員からも同様の質問がありましたが、3年に一度の、今回で2回目の調査でありますが、子育て先進区を目指すのであれば、毎年ニーズ調査を行うべきではないでしょうか。また、従来どおりの郵送によるアンケートだけではなく、広く意見を集める手段として、回答方法については、ネット経由からも回答が可能となるような方法を検討してみてはいかがでしょうか、区の見解を伺います。

 繰り返しになりますが、インターネットやSNSを利用した行政サービスに利便性を感じてもらうためにも、多くの区民の方々と意見交換を行い、区民目線、区民感覚で利便性の高いICTサービスを提供していくことを強く要望するところであります。

 区内在住の子育て世代の方々が運営している子育て向上委員会で行われたアンケート結果からも、行政サービスに対する要望の一端が垣間見えました。実施方法はwebからのアンケート方式で、区内在住の子育て世代の方々を対象に行われ、回答数は172件でした。この中で、保育園見学をする際のインターネット予約の導入を検討いただきたいという具体的な提案が散見されました。最近行われた別のアンケート結果を見てみますと、対象人数146名の中で90%以上の方々が、保育園見学を申し込む際の予約システムの構築を希望しているという結果も出ております。現状の保育園施設の見学予約は全て電話のみの受け付けになっております。乳幼児を抱えて電話をすることは、お母さんたちにとって大きな負担となり、せっかく寝静まった子どもが電話の声でまた起きてしまう、子育てにかかりっきりの中で、日中の限られた時間でしか予約の申し込みができないのは大変不便であるという声が上がっております。インターネット予約の仕組みが構築できれば、24時間いつでも好きなタイミングで保育園の見学予約を行うことができ、子育ての世代の方たちにとって非常に利便性の上がる行政サービスの提供になるのではないでしょうか。

 世田谷区では、妊娠中の全ての方を対象に、妊娠中や出産後の心配事や支援に関する面接を行っており、こちらの面接を申し込む際にインターネット予約システムを導入しております。自治体が住民に向けて提供しているインターネット予約システムは、公共施設の貸し出し部分についての導入事例は多いのですが、それ以外についてはほとんど事例がありません。今の時代、ホテルやレストランなどでもインターネットからの予約システムを導入しているところが多数あります。区民目線、区民感覚で、電話のみの受け付けしか行っておらずネット予約ができないという状態は、時代おくれと捉えられても致し方ないのではないでしょうか。

 そこで伺います。現在、電話予約のみで対応している保育園の見学予約の仕組みをはじめ、さまざまな区民向け行政サービスの中に、インターネットツールを活用した予約システムの導入などを検討してみてはいかがでしょうか。仮に早期の導入が難しいのであれば、保育園の見学予約の受け付け部分に関しては、例えば利用者が見学できる日にちをホームページで確認できる仕組みなどのサービスを、まずは検討してみてはいかがでしょうか。区の見解を伺います。

 区役所の窓口や区のホームページは、区民が最初に接触する行政の顔となる場所であります。第一印象が全てとまでは言いませんが、行政が区民に対して真剣に向き合おうとしているのかどうかの判断の目安になる部分があるのではないでしょうか。そのような意味でも、行政の窓口となるところの最大限の配慮を行う姿勢を強く要望いたしまして、私の全ての一般質問を終了いたします。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 渡辺たけし議員からの質問にお答えいたします。

 まず一つ目が、「犯罪機会論」を取り入れたまちづくりについてということでございました。区としては、子育て世代はもちろんのこと、全ての区民が安全・安心なまち中野を実感できる環境を構築することは重要であると考えており、さまざまな取り組みを行っているところでございます。安全・安心なまちづくりにとって犯罪機会論も方策の一つであると考えられます。中野区の実態や区の現状の取り組み内容等を総合的に踏まえながら、その効果についても検証してまいりたいと思います。

 次に、ICTを活用した区民向け行政サービスの推進についての御質問でございます。これまでも、住民情報系システムの情報連携強化による事務処理の効率化やマイナンバー対応、インターネットによる電子申請などの取り組みを進めてきたところでございます。今後、新区役所整備のスケジュールなども踏まえた上で、紙文書の電子化によるペーパーレス化のほか、申請からサービス提供までの一貫した電子化によるサービスの向上や情報提供の充実など、さまざまなICTの活用について具体的に検討を進めてまいります。

 次に、子ども・子育てニーズ調査についての御質問でございました。子ども・子育て世代を対象とした無作為抽出によるアンケート調査については、3年に一度、子ども・子育て支援事業計画策定時に実施しているところでございます。子育て先進区を目指して適時的確な政策を打ち出し、幼児教育無償化などの環境変化にスピード感をもって対応することを考えれば、ニーズや意向を把握したい事項について、適宜必要な時期にアンケート調査を行うことが望ましいと考えております。アンケート調査については、実施時期、実施方法について検討してまいります。また、インターネットを活用したアンケート調査については、国勢調査をはじめ他自治体でも導入が進んできておりますので、区として活用を検討してまいります。

 次に、施設見学についての御質問でございます。保育園における施設見学は、入所希望者が施設や保育の様子を事前に確認し、入所希望申請の判断材料としてもらうために実施しております。施設見学においては、保護者から入園後の生活や給食、保健衛生等さまざまな相談を受けることから、電話予約により事前に相談内容を確認し対応しているところでございます。保育園においては、感染症の流行や悪天候など、日々の保育状況により見学可能日が変わることがあるため一律にホームページに公開することは難しいですが、こうした事情も含め、施設見学の案内について十分な周知を図っていくとともに、インターネットを活用したシステムなど利便性向上についても検討してまいります。

○議長(いでい良輔) 以上で渡辺たけし議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 高 橋 ちあき

 1 施政方針説明について

 2 その他

 

○議長(いでい良輔) 次に、高橋ちあき議員。

〔高橋ちあき議員登壇〕

○33番(高橋ちあき) 平成30年第2回定例会において、自由民主党の立場といたしまして、本日最後の一般質問をさせていただきます。

 まず、大阪の地震並びに西日本においては、各地で風水害で本当に大変おつらい思いをしている皆様がいらっしゃいます。心からお見舞いを申し上げます。

 そして、今回選挙で当選されました酒井区長、まことにおめでとうございます。今回の選挙におきましては区民の選択が示されたことではありますが、私が思いますには、区民は決して白紙の委任状を区長に渡しただけではないと思います。今回の選挙でも、他の候補を支持した区民もおります。そして、民意は一つではなく、区民の生活や社会的立場、政治的立場もさまざまにあると考えます。区長はそうした現実を謙虚に受けとめ、区政を進めるに当たっては多くの区民の理解が得られるように、わかりやすく、丁寧に、的確に説明を尽くす義務があると考えます。また、これからの区政運営においては、区民の皆さんが中心となるようですが、私たち議会に対しましても真摯な対応をお願いしたいと思っております。

 では質問に入ります。質問は、施政方針説明について、その他はございません。また、さきに質問をされた方々と重複することもありますが、確認のために、私からもお伺いをさせていただきたいと思います。

 区長は、「今回の区長選挙は、政策決定過程での区民参加のあり方が問われた選挙でした。区政の主役はあくまでも区民の皆さんであり、区政は、住民自治によって進められるべきものという区民の皆さんの強い意志を感じました」と述べられました。自治の本質は住民自治であるというお考え、そのものには誰も異論がないであろうと思います。しかし、中野のまちは人口の流動性が高く、選挙のたびごとにかなりの数の有権者が入れかわり、今回の選挙にしても有権者の3分の1しか投票をしていないというのが現実の姿であるように思います。区政への参加が一層進むように努力をしていきたいとおっしゃっておりましたが、具体的にはどのようなことに取り組むおつもりなのか、その効果をどのように思い描いているのか、ぜひお聞かせください。

 広範な区民参加のもとに、基本構想と基本計画を策定されるとお考えも示されました。基本構想をつくり直すとなると、必要な手順を踏むだけでも大きなエネルギーが必要になります。基本計画は、基本構想と同時にまとめるということはありえないので、日の目を見るのにはその後になると考えます。当然かなりの時間がかかることにもなると思います。いつごろをめどに作業を進めるお考えなのか。課題山積と区長もおっしゃっている中野区にあって、時間をかけてまで基本構想や基本計画を本格的に見直す意義をどうお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。私はその間、区政が停滞してしまうのではないかと懸念をしております。

 区政運営の基本姿勢として、「子育て世代に選ばれる中野区を目指す」と述べられております。子育て世代に対するきめ細かいサービスを構築することが、そのための決め手になるとお考えですか。また、その中身はどういうものなのでしょうか。

 かつて中野区は、37万人から38万人の人口を抱えていた時期があります。新宿に隣接するまちとして、若い単身のサラリーマンや大学生などが数多く暮らしておりました。中野のまちには、母屋に接してアパートや下宿を有する家主さんがいて、そうした方々の提供する住まいが、こうしたサラリーマンや大学生などを引きつけていたように思われます。しかし、そうした住まいは子育て世代には広さが足らず、就職や結婚を機に中野区の外に転居を余儀なくされたという話を聞いております。公務員住宅や企業の社宅なども移転を迫られる時代になり、子育て世代に選択されるまちになるためには、こうした世帯に必要な住宅が、適正な負担で確保できることが必要条件ではないでしょうかと思います。何にしても相当の覚悟とエネルギーと時間が必要だと思いますが、区長の御所見を伺います。そもそも、大都市東京の中で、中野というまちはどういう役割を果たしているのか、また、果たすべきものは何であるのか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。

 次に、地域包括ケアシステムについて伺います。

 区長は、「都市部においては、その完成イメージや構築過程が十分に見えていない。全国のモデルになるような取り組みを目指したい」とも述べられておりました。豊富な御経験を踏まえてのお考えでしょうけれども、関係者の話によれば、決め手は医療と介護の連携をどう進められるのかであり、これがかなりなかなか厄介だとのこと。また、拠点として想定されているのが地域包括支援センターですが、中野区では全て民間の介護事業者に業務委託をされており、中核となるセンターの位置付けもないようです。すこやか福祉センターとの関係も十分整理されていないように伺っております。課題山積という印象もあります。今後どのように進めていくお考えなのでしょうか、お聞かせください。

 また、全ての子どもの学びと育ちを支える区政への転換ということも述べられております。中野の教育を考える際には、教育委員会を外しては成り立ちません。区長は、教育委員会の責任者である教育長をどのような経歴、属性の持ち主を想定しているのでしょうか。私は、属性にこだわるよりも、子どもたちの教育について深い見識と豊富な経験、そして熱意や信念を持っている人物であることが何より大切だと思います。今までも前教育長に前区長が全幅の信頼を寄せ、さまざまな教育政策を進めてきておりました。こうしたことについてどうお考えでしょうか。区長は民間人の方を視野に入れているようでありますが、既に実施されていた自治体でも成功せず、継続されてはおりません。

 関連して、区長は教育委員会とはどういう関係を築こうとされているのか、心ある多くの教育関係者の頑張りをどのように支えるお考えなのかもあわせてお伺いいたします。

 さらに、区長は、公教育の充実は自治体がしっかり取り組まなければなりませんとも言っておられますが、このことについても具体的なお考えがあればお示しください。私たちは、公教育として一番基礎となる幼児教育が最も大事な部分だと今までも説いてまいりました。このことについてもお聞かせください。

 また、中野駅北口地域のまちづくりについては、中核となる施設の姿や手法をめぐり、これまでの取り組みを再検証するとお考えのようですが、私たちは、まちづくりは地元自治体の努力だけでは進まないと考えております。国や東京都の大きな後ろ盾が欠かせません。このため、地元選出の国会議員、都議会議員の助力を受け国や東京都に働きかけるなど、区の取り組みを支え、実績も上がっていると自負をしております。まちづくりの取り組みは、手順や経費の捻出など一貫したストーリーが求められ、四季の森や駅前の歩行者デッキなど、区民の前に具体的な姿をあらわしてきていることもあり、そのストーリーを変えることは慎重にならざるを得ないと考えます。今後予定されている区役所とサンプラザ周辺の一帯再開発はその象徴のようなものであり、何より平和の森公園、体育館、区役所、サンプラとの一体整備、経費の捻出という一連のストーリーを描いた上での取り組みであります。どこかを見直せば、これに続くシナリオに影響が出てくると心配です。区長はこれを、専門家による検討組織を設けて見直すお考えのようですが、既に動き出しているものもあり、どのような見通しに立っておっしゃっているのか、しっかりとした御見解をお聞かせください。

 あわせて、混雑で機能麻痺寸前で、早期の実現をJRに働きかけている中野駅整備との関係や、南口地域を含めた中野駅周辺の再整備との関係については、どのようにお考えなのかお伺いいたします。

 次に、区民と向き合う区役所への転換ということも述べられていますが、その中で、地域に飛び出して活躍する職員の育成やボトムアップ型区政への転換ということをおっしゃっております。まずは、これらについてももう少し詳しく御説明をいただきたいと思います。区民と政策課題について丁々発止とやり合う職員をイメージしているのなら、一方で、区政の実務を担うに足りる人材が十分に育っていないという指摘や、職員集団が疲弊しているという指摘さえある現実をどう捉えておいでなのか、また、現実の問題として、東京都や国に人材の派遣をお願いするということについてはどうお考えなのでしょうか。

 関連して、中野区の行政組織は、他区に例を見ないほど特異なものがあります。例を挙げると、企画部、総務部と言わずに政策室、経営室、課と言わずに分野、区政の目標に組織を合わせるということで行われる毎年のような組織変更などであります。職員の呼び名も、課長とは言わずに副参事、統括管理者と執行責任者という他区には見られない仕組みもあります。組織のわかりやすさもサービスの一つであって、内部組織といえども区民にわかりやすいものである必要があると考えますが、区長の御所見を伺います。

 ここで政策協定に触れたかったんですけれども、私の質問は30分しかございませんので、心配点を一つだけ区長に申し述べると、私たちから見ると、大変に気になる言葉やフレーズが満載に使われておりました。この一般質問ではお伺いしませんけれども、折を見ていろいろとお伺いをさせていただければいいかなっていうふうに思います。

 そこで、今度は議会との関係をお伺いさせていただきます。議会との関係をどう取り結ばれようとしていらっしゃるのか伺っておきます。区長も若手職員の時分に区議会事務局に在籍されていたので十分御承知のことと思います。我が国の自治の仕組みは二元代表制であり、議会を構成する議員も区民から直接選ばれ、区長に対してだけでなく、議員や議会に対しても課題の解決や施策の充実を求めています。当然、議員も会派を中心に努力もするし、主張も繰り広げます。その際には区長とは立場が異なる場面や考えが合わないところも出てくるはずであります。区長は、こうしたことについてどのように考えておいでですか。また、すり合わせをしたりするのをどのようにされるおつもりでしょうか。

 国政においては、我々自民党と友党である公明党が政権を担っており、中野においても、まちづくり施策などを中心に、私たちが国会議員、都議会議員などとともに連携をし、施策の実現を支えてきた現実があると思っております。このことをどのように受けとめていらっしゃいますか。いたずらに対立を持ち込む考えはございません。しかし、主張が異なる場面では、私たちが理解できるように説明を尽くす必要があり、時には区長の側の譲歩も求められる。こうしたことについてはどのようにお考えなのでしょうか。

 さらに、私たちは、区の管理者が議会や職員と情報交換や意見交換が必要な場面において、これを十分に行ってこなかったように感じております。議会と管理職の関係のあり方について、区長はどのように考えられ、今後どう対応されるおつもりなのかお伺いをいたします。

 社会における人間の営みは、どのようなことでもバランスが大切だと考えます。みずからの信念に忠実であるあまり、あくまで主張を貫くというような姿勢は、行政の長でもある区長には似合わないと感じます。真のリーダーは、肩書きによって与えられるものであったり、チームや部下を率いることで得られたりするものでなく、人を成長させたり、何かができるようにしたりすることができる人であり、威嚇や権力によって得られるものではないと私は思います。誠実で高潔な行動がとれ、コミュニケーションにたけ、自信を持ち、勇気ある決断ができ、素早く問題解決に取り組み、人間関係を大事にできる要素を持っている人こそがリーダーにふさわしいと思います。最後に区長の御所見を伺い、全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 高橋ちあき議員の御質問にお答えいたします。

 まず最初に、区民参加に向けた取り組みと効果ということで最初に御質問いただきました。区政の区民参加を進めるために、区は区民へ情報を積極的に公開し、政策について丁寧に説明していく必要があると考えております。具体的には、政策立案から政策決定、政策実施、政策評価に至る過程の公開や、区民と区長の対話の場の設定方法の見直しなどを行い、これまで区政にあまり関心をよせてこなかった方や意見を表明せずにいた方についても区政に参加いただけるよう工夫をしてまいりたいと考えております。

 次に、基本構想等の制定に伴って区政が停滞するのではないかという御指摘がございました。基本構想の制定に当たっては、年度内を目途に審議会を立ち上げ、あわせて区民ワークショップ等の区民主体の検討組織を発足させることなどを考えております。議論の早い段階から区民の参加を積極的に進め、可能な限り早期に制定できるよう取り組んでまいりたいと思います。基本構想の検討中においても、区政が停滞しないよう区の取り組みは進めてまいります。区を取り巻く社会経済情勢の変化、人々の暮らしや価値観の多様化なども踏まえ、多くの区民の皆さんと意見交換を重ねながら、次の時代の中野の姿を改めて描いていきたいと考えております。

 次に、子育て世代に選ばれる中野区となるための方策についての御質問でございます。子育て世代が中野を選び、住み続けてもらうためには、子ども、子育て世代に対する地域包括ケアシステムの構築が重要であると考えております。全ての子どもや子育て中の世代に必要な支援を行うことができるように、すこやか福祉センター、(仮称)総合子どもセンターの連携とあわせ、地域のさまざまな育成団体とのネットワーク構築も必要であると考えております。そのほかにも、保育園の充実、多世代が地域で交流する児童館の確保、親子で楽しめる魅力的な公園の確保などを想定しているところであり、これらを着実に進めてまいります。

 次に、子育て世代に必要な住宅の確保についての御質問でございます。子育て世代が安心して居住できる住宅の誘導や、区内における住宅ストックの適切な活用を促進することなどにより、子育て世代に適した住宅を確保していく必要があると考えております。

 次に、大都市東京の中での中野の役割についての御質問でございます。中野区は、中野駅周辺まちづくりや西武新宿線沿線まちづくりにより、にぎわい創出や安全・安心なまちづくりをこれまで推進してまいりました。大都市東京の中での中野の役割については、改めて基本構想の改定の取り組みの中で議論をしていきたいと考えております。

 次に、地域包括ケアシステムの考え方についてでございます。都市部では人間関係の希薄さが引きこもりや社会的孤立を生み、高齢者においてはフレイル、それから認知症の進行などさまざまな問題を引き起こすと言われております。一方、都市部は、医療や介護など専門職の人材やサービス基盤などの資源が豊富でございます。また、中野区では地域での見守り、支えあい活動など先進的な取り組みがあり、こうした町会・自治会の活動や、住民主体の活動と豊富な人的・物的資源とを協働させながら、社会的孤立を生まない地域包括ケアの都市型モデルをつくり上げていきたいと考えております。

 次に、教育長の任命についての御質問です。教育長は、教育行政に大きな権限と責任を有することとなるため、資質、能力ともに中野の教育向上に強い使命感を持つ人材でなければならないと考えております。その上で、教育行政に民間の経営感覚の視点を取り入れた取り組みや業務改善をさらに進めていくことのできる人材を任命したいと考えております。前教育長がこれまで学校長をはじめとした教育関係者と共に築いてきた中野の教育に対しては評価しているところでございます。その成果をもとに、さらに公教育を発展させてまいりたいと考えております。

 次に、教育委員会との関係、教育関係者についての御質問でございます。教育委員会が教育の政治的中立性の確保、教育の自主性の尊重のために、独立した行政委員会として存在していることを前提としながら、教育委員との十分な意思疎通を図り、中野区の教育の充実のために必要となる施策の展開、予算の確保などについて共通理解を持って進めていける関係を築いていきたいと考えております。今後とも教育関係者、また家庭、地域とともに、中野区の教育理念である「一人ひとりの可能性を伸ばし、未来を切り開く力を育む」の実現に向けて取り組みを進めてまいります。

 次に、公教育の充実、幼児教育についてでございます。変化が激しく予測がつかない時代にあっても、子どもたちが守るべき人としての根幹的な価値を大切にしつつ、時代の変化を適切に受けとめ、よりよい社会に向けてリードする、そうした人材を育て世に送り出すことが、中野区の公教育の目指すところだと考えております。施政方針説明の中には触れておりませんが、幼児期は、遊びや日常生活を通して、基本的な生活習慣や思考力、社会性や規範意識、豊かな心など、生涯にわたる人格形成の基礎を身につける時期だと考えており、幼児期の教育の充実は重要な課題だと考えております。

 次に、中野駅北口のまちづくり、専門家による検討組織についての御質問でございます。中野駅新北口駅前エリア再整備事業は、新区役所整備のほか、中野駅地区整備や周辺地区のまちづくりとも密接に関連していることから、再整備事業の組み立てを変更することによるさまざまな影響が想定されるところでございます。1万人アリーナについては、規模や事業の妥当性、まちにとっての影響など、区民や有識者を交えた会議体で議論したいと考えておりますが、再整備事業の組み立てについては、事業協力者の協力を得ながら事業可能性の検証を行ってきた経緯を踏まえながら、再整備事業計画策定に向けた検討を行ってまいります。

 次に、中野駅北口のまちづくりと中野駅駅周辺整備との関係についての御質問でございます。中野駅新北口駅前エリアのまちづくりは、中野サンプラザのあり方の議論を踏まえたものとする考えでございますが、中野駅西口改札の開設にはおくれが生じないよう取り組んでまいります。また、中野駅整備のみではなく、南口地域を含めた駅周辺まちづくり全体との整合を図り検討してまいります。

 次に、地域に飛び出す、活躍する職員の育成という御質問についてです。区政の最前線で常に区民と接している職員が地域に飛び出して区民と交流する機会をふやしていき、区民の生活実態に触れ、区民の声をよく聞き、その声を区政に反映させていきたい、そのように考えております。また、組織の中でも自由闊達に議論する環境を整え、私を含めて職層を越えて、誰もが遠慮することなく議論する組織風土をつくり上げ、対話の区政を推進していくことで、ボトムアップ型の区政への転換を図ってまいります。

 そして、職員の人材育成、東京都や国からの人材派遣についての御指摘をいただきました。多様な行政需要への対応や若手職員増加による職員年齢構成の偏りにより、業務内容が複雑になって、職員に負担がかかっていることは課題として認識しております。さまざまな行政需要に的確に対応し、区民サービスの向上を図るためには、多様な人材を育成、活用していくことが必要でございます。そのため、国や他自治体との派遣等、人材交流を行っているところでございます。今後それらについては、さらに人材交流を図ってまいりたいと考えております。

 そして、区民にわかりやすい組織についての御質問です。区は区民に、より高い価値を提供するという観点から、目標と成果による区政運営を進め、行政活動、部門、分野及び施策に体系化して、予算、組織、評価、改善を連動させた区政経営を行っており、この体系による組織を編成しておりました。このような組織が複雑化してわかりにくいという課題もあることから、来年度の組織編成に当たっては、区民にとってもわかりやすい組織となるよう改めていきたいと考えております。

 次に、議会との関係構築と二元代表制の意義についての御質問でございます。議決機関である区議会への説明等が不足することにより区政が停滞するようなことはあってはならないと考えております。区議会の皆様との情報共有、意見交換を十分に行い区政を前に進めてまいります。そして、中野のまちづくりの実現の経緯ということで、これまでの区政の中で、財政再建や中野駅周辺のまちづくりによるにぎわいの創出、西武新宿線連続立体交差事業など、区議会や区民と行政が連携し取り組んできたものと認識しております。

 そして、区議会への説明と情報交換という点でございますが、区議会と長とで意見が異なる部分については、区の考えを丁寧に御説明し、議論を深めて、意見の違いを解消するよう努力を尽くしてまいりたいと思います。また、管理職には、区議会への御説明を丁寧に行うよう指導してまいります。

 最後に、真のリーダーシップということでの御質問でございました。区長は、区民の皆様から信託を受けた自治体のリーダーとして、区民の皆様の期待にこたえ、区政をリードしていく重大な責務を負っていると考えております。行政課題がますます多様化、複雑化する中において適切な意思決定を行うためには、トップダウン型ではなく、職員提案制度の改善や地域に飛び出し活躍する職員の育成などによって、ボトムアップ型区政への転換を図る必要があると考えております。このような考えのもと、区民の期待にこたえる政策の実現に向けて、区民の意見をまとめ、判断することでリーダーシップを発揮していこうと考えております。

〔高橋ちあき議員登壇〕

○33番(高橋ちあき) 区長から丁寧な御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。

 リーダーシップのところも、そのように実現していただければありがたいなと思いますけど、2点ほど再質問をさせていただきます。

 教育長に関してのことでありますけれども、民間といいましても、いろいろ民間の種類がございます。でも私が思うには、やはり教育に関係する方であるわけですから、教育長となる者は組織のトップになるわけですから、経営ということよりか、主役は子どもたち、児童・生徒でありますので、そういうことが深くわかっていらっしゃる方を選んでいただきたいなとがあります。これが一つ再質問です。

 それから、大都市の中においての中野をどう考えるんですかということでありましたけれども、基本構想で考えていくっておっしゃっておりましたけれども、やはり区長としての思いを先に述べていただければよかったかなというふうに思います。

 この2点だけよろしくお願いいたします。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 高橋ちあき議員の再質問についてお答えをいたします。

 まず、1点目の教育長に関する御質問、民間の登用ということで私はお話しいたしましたけれども、教育について深く理解している方というのがやっぱり望ましいんではないかということでございます。教育大綱というものがございまして、教育大綱の中で区が目指す教育、人材の像など、そういうものを定めているところでございます。そういうしっかりとした方針を定めた上で、経営者として各学校に対してマネジメントをしていくと、そういうところの手腕を、私は民間の経験者を活用したいと考えた理由でございます。当然教育について深く理解している人ということでも、それが不要であるとは申しておりませんので、そのような人材がいるのであればそういう人材を提案してまいりたいと思っております。

 それから、2点目の大都市の中野の役割ということでございます。これまで中野は住宅地としての発展を遂げていた、そういう振り返りがございますが、当然今後の、新しいこの東京の中での中野の役割というのは考えていかなければなりません。今回にぎわいの創出ということで中野駅周辺の開発の話が出ておりましたけれども、この役割自体、私はこれを見直す必要があるんではないかと考えております。というのも、中野という、この東京の中での位置付け、役割とともに、やはり住んでいる方の、皆さんの、住民の意見も当然尊重していかなければならないということでございます。ですから、中野の役割も踏まえながら、住宅都市としての中野の役割、これをどうバランスをとっていくかっていうところは、もう一度ちょっと議論をしていきたいと考えております。

○議長(いでい良輔) 以上で高橋ちあき議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。

 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(いでい良輔) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時24分延会

 

会議録署名員 議 長 いでい 良輔

       副議長 南 かつひこ

議 員 内野 大三郎

       議 員 森 たかゆき