1.平成30年(2018年)9月12日、中野区議会議事堂において開会された。
1.出席議員(41名)
1番 加 藤 たくま 2番 若 林 しげお
3番 日 野 たかし 4番 杉 山 司
5番 ひやま 隆 6番 山 本 たかし
7番 渡 辺 たけし 8番 細 野 かよこ
9番 羽 鳥 だいすけ 10番 いでい 良 輔
11番 高 橋 かずちか 12番 内 川 和 久
13番 木 村 広 一 14番 甲 田 ゆり子
15番 小 林 ぜんいち 16番 中 村 延 子
17番 内 野 大三郎 18番 小宮山 たかし
19番 広 川 まさのり 20番 欠 員
21番 佐 野 れいじ 22番 北 原 ともあき
23番 伊 東 しんじ 24番 平 山 英 明
25番 南 かつひこ 26番 白 井 ひでふみ
27番 森 たかゆき 28番 いながき じゅん子
29番 石 坂 わたる 30番 小 杉 一 男
31番 い さ 哲 郎 32番 大 内 しんご
33番 高 橋 ちあき 34番 伊 藤 正 信
35番 篠 国 昭 36番 小 林 秀 明
37番 久 保 り か 38番 酒 井 たくや
39番 近 藤 さえ子 40番 むとう 有 子
41番 長 沢 和 彦 42番 来 住 和 行
1.欠席議員
な し
1.出席説明員
中 野 区 長 酒 井 直 人 副 区 長 横 山 克 人
政 策 室 長 朝 井 めぐみ 経営室長、新区役所整備担当部長 髙 橋 信 一
都市政策推進室長 奈 良 浩 二 地域支えあい推進室長 野 村 建 樹
区民サービス管理部長 上 村 晃 一 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 戸 辺 眞
健康福祉部長 小 田 史 子 保 健 所 長 向 山 晴 子
環 境 部 長 白 土 純 地域まちづくり推進部長 角 秀 行
都市基盤部長 豊 川 士 朗 政策室副参事(企画担当) 杉 本 兼太郎
経営室副参事(経営担当) 石 濱 良 行
1.本会の書記は下記のとおりである。
事 務 局 長 吉 村 恒 治 事務局次長 古 本 正 士
議事調査担当係長 鳥 居 誠 書 記 立 川 衛
書 記 若 見 元 彦 書 記 井 田 裕 之
書 記 冨 士 縄 篤 書 記 野 村 理 志
書 記 鎌 形 聡 美 書 記 遠 藤 良 太
書 記 松 丸 晃 大 書 記 古 谷 友里香
書 記 吉 田 光 洋 書 記 有 明 健 人
議事日程(平成30年(2018年)9月12日午後1時開議)
日程第1 認定第1号 平成29年度中野区一般会計歳入歳出決算の認定について
午後1時00分開会
○副議長(南かつひこ) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。
昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 大 内 しんご
1 2018「東北復興大祭典なかの」について
2 小中学校の体育館冷房化について
3 子育て先進区に向けた取り組みについて
4 岩井海岸で実施した「海での体験授業」について
5 その他
○副議長(南かつひこ) 最初に、大内しんご議員。
〔大内しんご議員登壇〕
○32番(大内しんご) 平成30年9月12日、中野区議会第3回定例会におきまして、自由民主党の立場から質問をいたします。
一般質問に先立ちまして、9月6日未明に発災した平成30年北海道胆振東部地震、また台風21号でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたします。また、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げると同時に、我が党は、一刻も早く被災地の復旧復興に万全を期して取り組んでまいります。
最初に、2018「東北復興大祭典なかの」について質問をいたします。
東日本大震災及び熊本地震で、被災された地域への継続的な復興支援として、今回で7回目の開催となる「東北復興大祭典なかの」ですが、本年10月27日、28日の開催まで40日余りとなりました。
東日本大震災の発災から7年と半年が経過し、この間、建物や設備などのインフラ関係については復興が進んでいますが、被災された方々の生活再建についてはいまだ道半ばであり、これからも継続して復興支援の取り組みを行っていくことがとても大切であると考えております。
私ども区議会議員も、第1回目の東北復興大祭典から参加しており、第2回目からは超党派の議員からなる東北復興ねぶた振興議員連盟を立ち上げました。今期、第22期区議会においても、復興議員連盟の一人ひとりが、ねぶたの運行パレードや物品販売への参加、広報・PRなどの協力を通して大祭典を盛り上げてまいりました。
その結果、例年ですと2日間で20万人以上の集客がある区内最大級のイベントへと発展してまいりました。ただ、昨年の大祭典は天候に恵まれず、両日ともあいにくの空模様のため、例年より少ない、それでも10万人の来場者がありました。傘の花が咲く中、ねぶたの運行を予定どおり行うなどにぎやかな催しとなりました。大祭典は、回数を重ねるたびに注目度が高まっており、関係自治体からの参加も年々ふえています。ことしについては東北六魂祭の後継イベントである東北絆まつりに関係する全ての自治体からの参加が予定され、青森市のねぶたをはじめ、盛岡市のさんさ踊り、山形市の花笠まつり、仙台市のすずめ踊り、福島市のわらじまつり、秋田市の竿灯に参加をしていただける方向で調整していると聞いています。大祭典の機会を通して関係自治体との交流が更に広がっていくことは非常に意義深いことであり、未来に向けて、更に連携・協力の関係が深まっていくことを期待しております。ことしの大祭典が、例年にも増してより多くの方々に、被災地への継続した復興支援に思いをめぐらせていただくと同時に、さまざまな文化と触れ合い、交流できる貴重な機会となることを強く願っております。
それでは、この項の初めに、今年度の大祭典の実施内容について伺います。
大祭典におけるメインの企画として定着している「ねぶたの運行」や「黒石よされ」のパレードですが、毎年多くの区民に、本場さながらの雰囲気を感じながら楽しめると好評をいただいております。ことしについても、大祭典に来られた多くの方に感動いただけるようなすばらしいパレードとなることを期待しております。そこで伺いますが、ことしのねぶた運行パレードは新たな催しも参加し、更ににぎやかなパレードになると聞いております。どのような内容を予定されているのでしょうか、お伺いをいたします。
本年度については、中野駅新北口駅前エリア再整備事業に伴い、中野駅前の工事が一定程度進んでいます。今年度の会場などについて、前回と変更となる場所を聞いておきます。会場の変更内容、また物品販売、グルメブースの規模や出店内容の特色についてもあわせて伺います。また、さきに述べたように参加自治体の規模がふえてきていることから、大祭典をより多くの方に知っていただくために、更に効果的に広報・PR活動を行っていただきたいと思います。昨年度は、大祭典前の1カ月程度の期間、庁舎1階においてねぶた展示が行われるなど多くの区民の方の関心を引いておりましたが、今年度はどのような広報・PR活動を行うのでしょうか、お伺いをいたします。
次に、大祭典の実施時期について伺います。
この夏、区長、議長が中野区と連携協定を結んでいる青森市を訪れ、青森市長に表敬訪問を行い、今後の連携のあり方や大祭典への協力について協議、意見交換を行ってきたと聞いております。これまでも東北の多方面の関係者の協力のもとで発展させてきました。ことしの実施日、10月28日の日曜日は青森市議会選挙の投票日で重なってしまい、青森市の皆さん、関係者には御迷惑をおかけして大変申しわけなく思っております。東北では、ねぶたのお祭りをはじめ多くの祭りは夏に行われます。大祭典の開催時期も、もう少し暖かい時期のほうがよいとの声もいただきます。来年以降、この時期の実施については、東北の自治体の状況なども十分に考慮に入れて決めていかなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。
次に、東京2020オリンピック・パラリンピックとの関係についてお聞きをします。
昨年は、中野区役所内の会場の一画にオリ・パラコーナーを設けてPRが行われました。東京オリンピック・パラリンピックの重要なコンセプトの一つに「復興五輪」がうたわれていることからも、大祭典と連携して普及、PR活動をやっていくことは非常に効果的だと思いますが、今後はどのような取り組みを考えているのでしょうか、お伺いをいたします。
また、昨年は、「東北復興大祭典なかの」と同時期に、棟方志功画伯ゆかりの五つの自治体である青森市、倉敷市、南砺市、杉並区、中野区が集う「棟方志功サミット IN 中野」が開催され、あわせて特別企画展などが実施されました。中野区の大和町に住んでいた棟方志功画伯の足跡をうかがい知る貴重な機会となったものと感じておりますが、ことしは、棟方志功サミット関連イベントの開催状況はどのような予定となっているのでしょうか。また、昨年度の実績を踏まえ、文化的事業の発信を引き続き行っていくことが重要だと思っておりますが、区としてはどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
この項の最後に、中野駅前の再整備事業との関連について伺います。
今後、中野駅前の再整備事業の進捗によって、工事の範囲も広がっていくことになると聞いておりますが、一方で、できる限り多くの区民が集うイベントなどに活用ができる「駅前の広場」としての機能、スペースを設けておくことも必要と思います。駅前再開発の事業によって文化、にぎわいの発信を途切れさせないためにも重要な視点と考えていますが、今後の駅前のスペースの確保・活用についてどのように考えているのか、見解をお伺いいたします。
2番目に、小・中学校の体育館冷房化について質問いたします。
ことしの夏はかつてない暑さを経験いたしました。気象庁によれば、先週の9月4日までの練馬の観測計で、最高気温30度を超えた真夏日は61日、35度以上の猛暑日は26日と過去最高と言って過言でない暑さが続きました。この猛烈の暑さの中、7月19日、練馬区の高校で体育館にいた生徒25人が体調不良を訴え、消防に通報がありました。生徒たちは熱中症と見られ、10人が病院に運ばれたそうです。当時、体育館では全校生徒およそ700人を集めて、午前9時から約1時間にわたって詐欺被害を防止するための講習会が開かれていました。体育館には大型の扇風機を3台設置し、窓を全てあけていましたが、終了後に生徒たちは気分が悪いなどと訴えたそうです。東京消防庁によりますと、この日だけで129人が熱中症の疑いで病院に運ばれたそうです。前日の7月18日では、都内で熱中症と見られる症状で搬送した人は317人、救急出場件数も全体で3,000件を超えたとのことです。
お隣の練馬区では本年2月、平成31年からおおむね10年間で、全ての小・中学校の体育館に空調設備を設置する計画を発表しました。体育館は教育の場としてはもとより、災害の避難場所としても活用されるために取り組むそうです。中野区でも頻繁に猛暑となる天候が続く中、小・中学校では児童・生徒の健康管理が課題となっています。教育委員会では、気温が35度以上の場合は原則運動禁止、気温プラス水温が65度以上ある場合は原則として水泳は禁止するなどの基準を設け学校に通知をしています。そのかいもあってか、熱中症による事故は発生していないと聞いております。しかし、連日の猛暑が続く中では、いつ熱中症による事故が起こってもおかしくない状況であり、教員による指導だけに頼るには限界があります。そのためにも学校施設における冷房化の推進は欠かせません。現在の中野区の学校施設においては、全ての普通教室が冷房化され、特別教室の冷房化も順次進めているところでありますが、体育館の冷房化は数校にとどまっております。本年の東日本集中豪雨による被害の際にも多くの避難所が開設されましたが、中野区では災害が発生した場合には小・中学校が避難所の拠点として活用されます。避難所となることを想定する体育館の冷房化、空調設備は早急に計画的に整備していくことが求められています。
そこでお聞きしますが、区は現在、平成29年度から31年度までの予定で、体育館の非構造部材耐震対策工事や内装等の改修工事を行っています。この本改修工事にあわせて冷房化工事を行うことはできないのでしょうか。また、既に改修工事が進んでいる学校や終了している学校については、順次計画的に冷房化工事を進めていくべきではないか、お聞きをいたします。
三つ目に、子育て先進区に向けた取り組みについてお伺いいたします。
さきの第2回定例会、施政方針説明の中で、今後、新たな基本構想及び基本計画を策定するとしています。これからの少子・高齢化社会の到来やグローバル化など社会情勢の変化に対応し、将来にわたって安心して暮らし続けることができる中野のまちを実現することは大変重要です。この中で、「中野区を子育て先進区」とするとも述べています。児童虐待や発達に課題のある子どもの増加に加え、保育園に入園できない待機児童の問題など、子どもと家庭を取り巻く環境の改善は待ったなしで喫緊の課題であります。子どもと子育て家庭に対する総合的な支援を進めることはもちろん重要ですが、働き方の多様化や女性の就労がふえる状況にあって、保育園の待機児童解消はぜひなし遂げていただきたいと考えます。都市部においては多くの自治体が待機児童問題を抱えておりますが、隣接する豊島区や杉並区では今年度4月に待機児童ゼロを達成しています。
中野区は、これまで民間保育施設誘致等に加え、昨年度は待機児童緊急対策本部を立ち上げ、区内に7施設の区立保育室を整備しています。これにより今年度4月時点の待機児童数は171人と、昨年度の同時期から200人程度減少するなど取り組みには一定の成果が出ております。一方で、区立保育室を4月に7施設開設しましたが、入所状況は、いまだ空きがあるにもかかわらず、待機児童は171人います。これらの施設は、整備が年度末近くまでかかったことや地域的な偏りにより、開設後定員が埋まらない状況であったと聞いています。北部地域に集中して区立保育室を整備されたために、恐らく南部地域に待機児童が多くなり、入園を希望しないなどが大きな要因だと考えられます。もちろん定員に空きがある保育施設は、年度途中に仕事に復帰する方や区外から転入されてくる方などの受け皿となり得る効果もあると思う一方で、待機児童対策として整備した施設ですからより多くの方に利用していただきたいと考えます。
また、区立保育室はゼロ歳から2歳児を対象とする2年間の時限的施設です。施設整備に当たり区は、平成31年度末で施設を閉鎖する際、在園している子どもたちの転園先については必ず確保するとしていますが、3歳に達したときの転園先や、2年後、保育室に在園する子どもたちが地域性を考えて転園できるのか不安に感じる保護者が多いことも理由にあるのではないでしょうか。現在、区立保育室の2歳児クラスに在園している子どもたちが、来年4月以降も保育を継続することができるよう転園先を確保するとともに、区立保育室を閉鎖する際は、在園時の転園先をしっかり準備するよう改めて要望いたします。
そこで何点かお聞きをいたします。
最初に、4月に開所した区立保育室7施設のそれぞれの入所状況についてお尋ねをいたします。
二つ目に、待機児童解消に向け、平成31年4月に開設する保育施設は地域の状況を考慮した、地域の需要に合った開設になっているのかお聞きをいたします。
三つ目に、今でも待機児童対策は適切な需要見込みに基づき施設整備を進めていると考えますが、今後は、需要見込みの精度を更に高めるために、区内を幾つかのエリアに分け地域ごとに待機児童の状況を分析し、必要性の高い地域に施設を整備していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、園庭を持たない保育施設に関して伺います。
園庭のない保育施設は、園外の遊びの際、公園や児童遊園、学校の校庭等を利用しています。ある保育園では、近くの児童館を利用しているようですが、週末に行われる児童館のイベントには、「保育園児は来ないでほしいと注意された」など多くの相談をいただいております。区の政策として保育園をふやした以上、安心して遊べる広々とした場所を提供できるように取り組み、みんなが楽しく児童館施設を利用できるよう促進を図っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。区民の声を大切にする現区政において、一刻も早くこの区民の声を解決していただきたいと思います。
また、なかのZEROプラネタリウムの入場料ですが、区立園は無料ですが、私立保育園は有料です。このようなことも改善していただくよう要望いたします。
区は、児童相談所の機能を含めた(仮称)総合子どもセンターを平成33年度に開設する予定としています。(仮称)総合子どもセンターと聞くと、子ども・子育てに関して何でも相談できるというイメージを受けます。すばらしい名称であり、それはそれでよい面もありますが、区民は相談があれば、何かあれば全てを(仮称)総合子どもセンターに行けば解決できると理解します。(仮称)総合子どもセンターが開設された際には、身近な地域での相談はすこやか福祉センターが窓口、専門性を要する事例や困難性の高い事例を(仮称)総合子どもセンターが取り扱うということで、それぞれ役割を分担しながら区の相談支援の質を高めていただけるものと期待しております。そこで提案しますが、改めて(仮称)総合子どもセンターが果たす役割を明確に示す名称を検討し使用するようにしたほうが、より区民に対して理解が進むのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
四つ目、海での体験授業についてお聞きいたします。
海での体験授業は、ことしから実施場所を千葉県の岩井海岸に移し、規模も拡大して実施しました。岩井海岸は、平成22年度まで中野区が臨海学園を実施していたところでもあり、実に8年ぶりに岩井海岸に中野の子どもたちの姿が見られるようになったことは大変うれしく思います。最近は家族で海水浴に出かけることも少なくなり、海で泳いだことのない児童も多く、貴重な体験になったと思います。そこで、岩井海岸で実施した海での体験授業の成果について幾つかお伺いいたします。まず、今年度の海での体験授業の参加校数を教えてください。また、区内小学校23校のうち何校の児童が参加したのかあわせて教えていただきたいと思います。
かつて臨海学園では、どの学校もほぼ全員が参加し、メニューも多くの学校で遠泳を実施していました。臨海学園を経験した方は、「臨海学園に行く前には学校で何度も練習し、本番で遠泳を完泳することができ、今でもよい思い出として残っている」と話しています。臨海学園を実施していた当時と今では時代も変わり、必ずしも遠泳がなければならないとは思いません。みんなが楽しい思い出をつくっていただければと願いますが、教育委員会が実施する事業でありますから、海の楽しさと、海の怖さをしっかりと教えていただきたいと思います。ことし、いでい議長の御子息も参加されたということで、写真を拝見させていただきました。参加されている子どもたちの写真は、元気いっぱいでどの子も笑顔がすばらしく思いました。そこでお伺いします。今年度、岩井海岸に移っての事業はどのようなメニューを行ったのか、また、人気のあったメニューなどあわせてお聞きします。参加した児童や保護者からはどのような感想が寄せられていたのかを教えてください。
海での体験授業については、毎年、事業の改善を要望し、区も少しずつではありますが事業を充実させていただいていることは評価をしております。しかし、我々にとっては、この事業を教育委員会が行っている事業として終わらせるのではなく、ぜひ学校を巻き込んで、先生方にも参加していただきたいと思います。昨年からは、同じ学校の児童は同じクールに参加するという学校単位での参加方式になっています。せっかく学校単位で事業を実施しているのですから、そこに学校の先生が行くことでより児童の参加意欲も高まり、この海での体験授業の拡充につながると思います。さらに、先生が海での体験授業に参加することで、この事業と学校での教育活動が連携でき、子どもたちへの教育効果を高めることができると思います。このことについてはこれまでも再三要望してまいりましたが、いまだ実現されておりません。教員の多忙が言われる中、教員が参加しやすい環境づくりをつくっていくことも必要だと思います。ぜひこの点については再度御検討、そして推進していただくことを強く要望し、全ての質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 大内議員の御質問にお答えいたします。
最初に、2018「東北復興大祭典なかの」についての御質問の中で、ねぶた運行パレードの予定でございます。ことしのねぶた運行パレードでは、小型のねぶたを3基、それから中型ねぶた1基、合計4基が運行する予定でございます。一般参加の方も含めた跳人については、小型ねぶたと中型ねぶたに囲まれパレードに参加し、最後尾におはやしや太鼓台車からなる隊列を考えております。
なお、1日目の土曜日については、パレードの先頭に区立小学生の鼓笛隊にも参加していただくよう現在調整しているところでございます。
また、ねぶた運行とあわせて、議員御指摘のとおり、東北絆まつりの盛岡さんさ踊り、仙台すずめ踊り、山形花笠まつり、福島わらじまつり、それに加えて日本三大流し踊りの一つとして有名な青森県黒石市の黒石よされも披露される予定となっており、例年にも増してにぎやかなパレードとなると考えております。
次に、大祭典の会場の規模についての御質問です。昨年、会場として使用した中野駅の北口暫定広場については、駅前エリアの再整備事業により今回は使用できなくなりましたが、そのかわりに現在、中野駅北口中央自転車駐車場として使用しているスペースを大祭典会場として確保いたしました。物品販売、グルメブースの規模については、会場の変更に伴い去年よりブースの数自体は若干減ることになりますが、東北全6県、熊本県の多彩な特産品やグルメブースを各会場にバランスよく配置するとともに、その場で飲食ができる休憩スペースを設けるなど、それぞれの会場において大祭典全体の魅力を十分に味わっていただけるものと考えております。
次に、大祭典の広報・PR活動についてでございます。この広報については区報、ホームページ、Facebookへの掲載に加えて、プログラム、ポスター、チラシ、横断幕などさまざまな広報媒体を活用して積極的に広報・PR活動を行っていく予定でございます。
また、各町会をはじめ区立小・中学校等の区関係機関、中野駅周辺企業、商店街、JRや関東バスなどの協力のもと幅広い層にPRを行うことで、できるだけ多くの方に大祭典を知っていただきたいと考えております。
次に、「東北復興大祭典なかの」の開催時期についてでございます。この大祭典の実施時期については、関係自治体との事前調整を十分に行った上で日程を決めていきたいと考えております。
次に、「東北復興大祭典なかの」の東京オリンピック・パラリンピックとの連携についてでございます。ことしの10月27日から11月4日までの間、東京都及び東京2020組織委員会から中野区に、東京2020オリンピック・パラリンピックのフラッグが貸し出されることになりました。この間に「東北復興大祭典なかの」が開催されることから、開会式の式典後、フラッグを紹介する機会を設けるとともに、「東北復興大祭典なかの」開催期間中、フラッグやパネルの展示を行う予定でございます。復興五輪のコンセプトのもとで、東京2020オリンピック・パラリンピックの気運を更に高めていきたいと考えております。
棟方志功サミット関連イベントの開催状況及び文化的事業の取り組みについての御質問がありました。平成30年度は9月22日及び23日に、棟方志功ゆかりの自治体の一つである富山県南砺市において棟方志功サミットin南砺及び関連事業が実施されます。1日目は棟方志功関連の施設の視察及び棟方志功ゆかりの自治体及び関係者との情報交換会が開催され、2日目に棟方志功サミットが開催されます。サミットでは、「棟方志功が地域に与えたもの」をテーマに基調講演やパネルディスカッションなどが行われる予定です。文化芸術事業の情報発信については、区民の豊かな生活に寄与する重要な要素と認識しておりまして、文化芸術活動の拠点であるなかのZEROや野方区民ホールなどの文化施設において文化芸術事業を発信していきたいと考えております。
中野駅新北口駅前エリア等の駅前スペースの活用についての御質問がございました。中野駅新北口駅前エリア等の駅前スペースの活用については、中野駅西側南北通路・橋上駅舎等整備事業に伴い、10月から支障移転工事等の工事用ヤードとして活用し、その後の本体工事に当たって工事用ヤードの範囲を段階的に拡張していく予定でございます。まちの文化、にぎわいを創出し、活力あるまちづくりを推進していくことは区としても重要なことであると認識しており、今後の工事の進捗を見ながら、工事に影響のないスペースについては有効に活用できるよう調整してまいります。
次に、子育て先進区に向けた取り組みについての項目。まず、区立保育室の入所状況でございます。平成30年9月1日時点の区立保育室7施設の入所状況は、まず定員が54人の上高田五丁目保育室が54人に対して41人、新井二丁目保育室が54人に対して52人でございます。次に、定員が42人の沼袋一丁目保育室が21人、野方三丁目保育室が42人に対して23人、江原町一丁目保育室が42人に対して14人、江古田一丁目保育室が42人に対し4人であり、定員33人の沼袋三丁目保育室は26人となっております。7施設合計では定員309名に対し、在園児数は181人、全体では入所率は59%になります。
次に、適切な保育需要見込みと保育施設整備についての御質問でございます。平成31年4月1日に開設する保育施設は9施設の予定です。30年度中に開設する3施設と合わせて、30年4月時点よりも12施設増加する予定でございます。新規保育施設の誘致については、待機児童が多く発生しているおおむねJR中央線の南側、それから東中野駅周辺地域を重点地域として募集を行っているところでございますが、平成31年4月までに開設する保育園はJR中央線より北側の計画が多い状況にございます。今後は来年度改定する中野区子ども子育て支援事業計画中間の見直しにおける、中野区保育ニーズ調査の結果を十分に踏まえて、区内を幾つかのエリアに分けて保育需要を見込んだ上で、必要性の高い地域に保育施設を誘導できるようにすることを検討しております。
次に、園庭のない保育施設に対する児童館施設の利用の支援についてという御指摘がございました。児童館については、地域の乳幼児親子の交流や活動の拠点であり、園庭のない保育施設が児童館施設を利用する際には、施設ごとに事前調整や申し合わせ事項などを定め実施しているところでございます。個々の児童館施設におけるトラブルの際には区が責任を持って調整し、子どもたちが楽しく、安心して遊べる施設としてまいります。
最後に、(仮称)総合子どもセンターの名称についての御提案がございました。(仮称)総合子どもセンターでは、子ども期から若者期における専門相談、支援、措置、家庭復帰等を総合的に実施していくこととしております。設置に当たっては、その機能にふさわしく区民にとってわかりやすい名称を検討してまいります。
〔教育委員会事務局次長戸辺眞登壇〕
○教育委員会事務局次長(戸辺眞) 私からは、小学校の体育館の冷房化についてお答えいたします。
小学校の体育館の冷房化につきましては、記録的な猛暑が続く現状を踏まえ計画的に進めてまいります。体育館の冷房化に当たっては、冷房効率を向上させるための内外装改修や設備改修などの設計期間が必要でございまして、現在計画的に実施している非構造部材耐震対策工事とは別に年次計画を立てなければならない状況でございます。御提案があったように、内外装改修などの冷房化に必要な工事の一部を非構造部材耐震対策工事とあわせて行うなど、工事を効率的に進める工夫についても検討しているところでございます。
次に、岩井海岸で実施した海での体験授業についての御質問でございます。
まず、参加人数と参加学校数についてでございます。今年度は、区立小学校全23校から262人の児童が参加してございます。
次に、実施メニューについてでございます。今年度は生存泳法、ライフセービング、30分完泳、シュノーケリング、スタンドアップパドルボードなどのほか、岩井海岸の波を利用したメニューとしてボディーボードを行ってございます。
最後に、人気のあったメニューということですが、参加した児童、保護者からの感想でお答えいたします。授業終了時に、児童から授業に参加しての感想を提出してもらっていますが、その中では、海は初めてで海になれたくて参加した。最初は心配したけれど、もっと海に行きたくなった。水が怖くなくなった。次は家族で海に行きたい。また、スタンドアップパドルボードは、波が高く難しかったけれど、3人で乗れてうれしかったなどの、事業を楽しめた感想が多く寄せられてございます。保護者からのアンケート調査からは、実施の様子の写真を見てさまざまな体験を積んだことがよくわかった。家族旅行などではなかなかできないこともあり、貴重な機会をいただいたと思った。とてもよい事業なので更に充実してもらいたいと思うなどの感想を寄せられてございます。
○副議長(南かつひこ) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。
中野区議会議員 木 村 広 一
1 地域包括ケアシステムについて
2 防災対策について
3 福祉施策について
4 AI活用について
5 簡易宿所について
6 自転車保険について
7 その他
○副議長(南かつひこ) 次に、木村広一議員。
〔木村広一議員登壇〕
○13番(木村広一) 平成30年第3回定例会におきまして、公明党議員団の立場で一般質問を行います。質問は通告のとおりで、その他はありません。
初めに、地域包括ケアシステムについて伺います。
8月30日の総務委員会で、(仮称)地域包括ケア推進部長の公募の報告がありました。酒井区長が「地域包括ケアの都市型モデルをつくり上げていきたい」と、地域包括ケアシステムに力を注ぐ意欲は評価できますが、唐突感が否めない報告でもありました。現在区は、昨年策定された「中野区地域包括ケアシステム推進プラン」に取り組み、ステップ1を今年度、30年度を目途とし、さまざまな関係諸団体と連携し推進している状況です。総務委員会の報告では、所管が異なるため、どのような目的で推進部長を公募するのか詳細は明らかにされませんでした。そこで改めて確認いたしますが、地域包括ケア担当部長を公募する目的、それに伴い、区は今後どのように地域包括ケアシステムに取り組んでいくのかお伺いいたします。
また、推進部長の責務に総合計画策定とありました。総合計画とは、現在の地域包括ケアシステム推進プランと内容、位置付けがどのように異なるのか、あわせてお伺いいたします。
推進プランでは、各分野、関係諸団体ごとに30年度までを目標とする姿、数値が示されています。推進プラン、また同時に介護予防・日常生活支援総合事業がスタートし、1年半が経過しました。現段階において、推進プラン、総合事業の推進状況をどのように評価しているのかお伺いいたします。
次に、地域包括ケア強化法について伺います。
地域包括ケア強化法とは、高齢者の自立支援と要介護状態の重度化防止、地域共生社会の実現を図るとともに制度の持続可能性を確保することを目的とし、昨年度改正された法律です。強化法には保険者機能の強化が挙げられ、財政的インセンティブとして保険者機能強化推進交付金が創設されました。この交付金の算定方法は、国が定める評価指標への全区市町村の該当結果に応じ、交付するとされています。現在、区では交付申請に向けた準備を進めていると伺っていますが、指標の該当状況についてどのように評価しているのか、お伺いいたします。
そのインセンティブとなる交付金は、地域支援事業等に活用が求められています。交付金をどのように活用していくのか、確認のためお伺いいたします。
強化法は、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支えあいながら活躍できる地域共生社会の実現を目指しています。その実現のためには、地域を支える担い手づくりが必要で、特に高齢者の活躍の場を求めるニーズもあります。生涯学習大学や介護講座などの卒業生に御協力をいただき、高齢者の新たな担い手づくりとしてシニアボランティア制度などを検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。
次に、フレイルについて伺います。
フレイルとは、「加齢に伴う予備能力の低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」を示す「フレイルティ」(虚弱)の日本語訳として、日本老年医学会が提唱した用語です。フレイルは要介護状態に至る前段階として位置付けられ、身体的脆弱性のみならず精神・心理的脆弱性や社会的脆弱性など多面的な問題を抱えやすく、健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味します。一方で、適切な介入や支援により生活機能の維持向上が可能な状態でもあります。国においては、今年度からフレイル対策を高齢者の特性を踏まえた保健事業として全国展開を図っており、東京都でも平成29年度からフレイル予防に関する冊子を作成、配布するなどし、フレイル予防に対する取り組みを始めています。中野区地域包括ケア推進プランでは、フレイルの同義語として虚弱という言葉を使用していますが、区ではフレイルをどのように捉え、フレイル予防に対しどのような啓発、事業展開を考えているのかお伺いいたします。
フレイル予防を先駆的に取り組んでいる自治体がふえていますが、その事業の核となっているのは、要介護の入り口としてのサルコペニア(筋肉減少症)と口腔機能の低下の兆候をいかに気づかせるかになります。筋肉減少症が簡単にわかるものとして「指輪っかテスト」やフレイルチェックシートがあります。フレイル対策として、さまざまな健康、介護予防の事業の中で指輪っかテストなど体力測定の機会をふやすことの推進が必要と考えますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
フレイル予防のもう一つの特徴は、社会的脆弱性への警鐘です。孤独は高齢者の死亡リスクを高めるとし、運動習慣があっても人とのつながりがある活動をしていない人は、運動習慣がなくても人とのつながりの活動をしている人よりフレイルに対するリスクが3倍近くあるとの調査結果もあります。フレイル対策は単なる身体的脆弱性の克服だけでなく、さまざまな集いの場を提供し、その中で多面的な脆弱性を気づかせる活動です。フレイル予防の着実な実施のためには、身近な地域で自主的な活動を継続していく体制づくりが必要と考えます。区では認知症サポーターリーダーを育成しておりますが、体制づくりのために、認知症に限らず、介護全体での地域での介護予防リーダーが必要であると考えますがいかかでしょうか、お伺いいたします。
次に、認知症について伺います。
厚生労働省はことし6月、認知症の人が意思を決定する上で周囲の人が配慮すべき事項をまとめたガイドラインを公表しました。認知症の人の意思が尊重され、本人の意思に基づく生活を送ることができるようにするためのものです。ガイドラインは、各現場で意思決定支援の質にばらつきが出ないようにする観点から定められ、食事、外出などの生活習慣から介護サービスの利用、財産管理まで生活上の幅広い場面を想定しており、医療・介護関係者、行政職員、家族、成年後見人など、意思決定支援にかかわる全ての人に向けた内容となっています。区においても認知症ガイドラインの普及、研修を図るべきと考えますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
区では、認知症サポーターについて、今年度中に2万人のサポーターを目指すとしています。サポーター数の拡大が、介護や認知症の正確な理解、イメージ向上につながってほしいと思いますが、そのためには教育機関での取り組みが重要と考えます。以前、小・中学校での認知症サポーター養成講座の開催を提案させていただきました。現在、小・中学校での認知症サポーター養成講座の取り組み状況はいかがでしょうか。また、今後更に拡充してはいかがでしょうか、あわせてお伺いいたします。
次に、薬の節約について伺います。
今年度策定された「中野区データヘルス計画」では、レセプトデータを活用した重複服薬に関し分析されています。区の平成28年度重複服薬の患者数は、12カ月の延べ人数で2,207人、患者実人数は715人とのことです。薬の節約を進めるため、レセプトデータを活用した残薬整理、重複・頻回受診者に対する指導事業はどのように考えているのでしょうか。効果的に指導していくためには保健師等のアウトリーチ、電話勧奨も必要と考えますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
残薬対策として、飲み切れなかった古い薬、飲み方がわからない薬、たまってしまった湿布や塗り薬を薬局で確認し、相談をしやすくするために節薬バッグ、「ヤク」というのは「薬」の字ですけれども、活用する自治体がふえてきました。自宅に残っている薬等を節薬バッグに入れ、お薬手帳や薬剤情報とともに薬局に来局しやすくするツールでもありますが、安価なバッグの活用で薬剤費節約効果があるとのことです。区においても節薬バッグの実施を検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。
節薬バッグの活用は、薬剤費削減の効果のみならず、薬局と相談する機会の増加が期待されます。薬剤師会と連携し、地域包括ケアに必要なかかりつけ薬局の推進を図ってはいかがでしょうか、お伺いし、この項の質問を終わります。
次に、防災対策について伺います。
我が会派の白井議員、日野議員とともに、7月の西日本豪雨で最大の浸水被害を受けた岡山県倉敷市真備町の災害支援ボランティアに参加しました。最大浸水が5メートルを超え、多くの建物で1階が全て水没、その傷跡を目の当たりにしました。
西日本豪雨では、自治体から避難勧告・指示が出された広島、岡山、愛媛の3県の60歳以上の住民のうち約97%が自宅などにとどまっており、亡くなられた6割超を60歳以上が占めていたとする調査結果が出ました。また、その場にいた住民のうち、2階など安全な場所へ移動する垂直避難をした割合も、60歳以上は11.3%にとどまったそうです。移動手段を持たず、体が不自由なために避難所に行けない高齢者も多く、高齢者避難の課題が浮き彫りになりました。
区では洪水ハザードマップを更新し、今月から浸水予想区域約4万5,000世帯に配布するとのことです。ハザードマップによると、1階の軒下まで浸水が予想される2メートル以上の浸水予想区域はかなり限定されており、その中でも高齢者や体が不自由な区民は更に絞られます。よって、個別の避難指示や避難支援は可能と考えます。区では災害時避難行動要支援者支援計画作成を進め、要支援者対象約3万3,000人に対し、約8割が支援計画を提出し、そのうち約94%が支援者を確保しているとのことです。しかし、水害時は地震発生時と異なり、発災前に要支援者といかに連絡がとれ、避難指示、避難誘導ができるかになります。支援計画は、今後更新を図っていくとのことですが、浸水想定区域に限定し、計画の更新時には水害時の連絡、避難方法、避難所の確認など水害時の対策も盛り込んではいかがでしょうか、お伺いいたします。
支援計画の活用として、地震、水害などさまざまな防災訓練の中で要支援者と支援者が一緒に避難し合う訓練も取り込んではいかがでしょうか、お伺いいたします。
ことしは西日本豪雨をはじめ河川氾濫、暴風雨、地震などさまざまな天災に見舞われています。防災に対する意識が高まっている中での今回の洪水ハザードマップ更新は、区民に避難や日ごろの備えなど具体的な対策をとっていただく機会となると考えます。特に、浸水想定地域においてハザードマップの活用、ワークショップ開催などハザードマップの浸透を図ってはいかがでしょうか、お伺いいたします。
また、東日本大震災での「釜石の奇跡」に見られるように、地域防災には子どもたちの防災意識向上は大変に重要です。区立小・中学校では、水害に関しての防災教育を実施する機会はほとんどなかったと伺っています。特に浸水想定地域の小・中学校で水害教育を実施するよう検討してはいかがでしょうか。お伺いし、この項の質問を終わります。
次に、福祉施策について伺います。
難聴は認知症のリスク因子の一つとして挙げられています。2017年の国際アルツハイマー病会議でも、認知症のうち約35%は予防・修正が可能な要因によって起こると考えられており、中でも難聴が予防できる要因の中で最も大きいリスク因子であると報告をされました。認知症予防に限らず、聴力機能の低下により御友人や御家族などとコミュニケーションがとりにくくなり、閉じこもりになることも多いとされています。聴力低下による閉じこもりを防ぎ、高齢者の積極的な社会参加や地域交流を促し、高齢者の健康増進、認知症対策にも資する補聴器の購入費助成を検討してはいかかでしょうか、お伺いいたします。
次に、寡婦控除の見直し適用について伺います。
未婚のひとり親に税制上の所得税・住民税の寡婦控除が適用されないために、保育料など所得に応じた軽減策がある福祉・社会保障で、結婚歴のあるひとり親との間に差が生じていました。区においては、保育園料などに寡婦控除があるとみなして所得を計算する、みなし寡婦控除が適用されてきました。国における公明党の要請により、ことしより他の分野も含め全国一律で適用することを厚生労働省が決定しました。残る税制については、今年末の与党税制調査会で結論を得ることになっているとのことです。この適用には御本人の申請が必要になるため、適切な周知が必要となります。区が所管する事業では、特に障害分野の事業が既に9月から適用となっています。遡及措置がないため、対象者が認知しない場合、利用料の減額など受けられる支援が受けられない期間が生じることとなります。対象の事業については早期に告知をする必要があると考えますがいかがでしょうか。お伺いし、この項の質問を終わります。
次に、AI活用について伺います。
自治体が将来の人口減少社会にどう対応すべきかについて、政府は本格的に議論を始めています。自治体の将来像の一つとして、総務省の有識者会議「自治体戦略2040構想研究会」は、「スマート自治体への転換」「公共私によるくらしの維持」をことし7月の報告書で提起し、注目を集めました。スマート自治体とは、人工知能(AI)など先端技術を駆使して事務の自動処理を進め、無駄な重複投資を避けることを目指す構想です。
近年AI活用で業務改善を推進する自治体がふえてきました。さいたま市での保育所入所選考でAIを活用し、30人で50時間の作業が数秒で終了、人手による選考と同等レベルの効果が見られました。また、横浜市ではごみ分別をシステムが案内することに活用しています。AIを複数の事業で活用しているのは港区で、多言語による生活情報案内や行政の会議などの議事録作成に大きな効果を発揮、業務自動化ツールであるRPAも導入し、正確で効率的な事務を実施しています。区では、行政分野におけるAI、RPAの他の自治体の先進事例をどのように評価し、区における導入をどのように考えているのかお伺いいたします。
港区ではICTをめぐる社会情勢の変化に対応し、新たな視点から事業を創出し、今日的かつ実効性の高い計画として港区情報化計画を策定いたしました。AIやRPAもこの計画に基づいて推進されています。技術革新と社会経済情勢の変化は非常に早く、長期計画策定は難しい分野と推測されますが、港区情報化計画のような今後のICT、AI活用を推進する方針、ガイドラインなどの策定を検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。
また、AIの活用は策定が努力義務となっている官民データ活用推進計画でも取り上げられています。官民データ活用推進計画とは、官民データの適正かつ効果的な活用の推進を図る計画ですが、データを活用した新ビジネスの創出や、データに基づく行政、医療介護、教育などの効率化が期待をされています。区では官民データ活用推進計画策定をどのように考えているのかお伺いいたします。
AI活用を推進する中で、AIでできることはAIに任せ、職員は職員にしかできない仕事を行う時代が予測されます。スマート自治体のもう一つの柱「公共私の協力」とは、自治体(公)が医療・介護、子育て支援など全ての住民サービスを提供するのではなく、地域団体(共)と連携や、民間企業(私)等の進出によって実施する体制を目指すことです。そのためには、自治体の指導力で他の自治体、地域、民間団体と合意をつくり、新たな地方行政の姿をつくる必要があります。この作業は事務の自動化とは次元の異なるものであり、知恵や連携など総合的なマネジメント力が要求されます。AIが活用されるようになったとき、職員の求められる資質が異なってくると考えます。このようなマネジメント力をつけた職員の育成をどのように考えているのかお伺いし、この項の質問を終わります。
次に、簡易宿所について伺います。
簡易宿所とは、旅館業法上の施設のことを指します。昨年12月、旅館業法の一部を改正する法律が公布され、ことし6月15日、住宅宿泊事業法と同じ日に施行されました。住宅宿泊事業法、いわゆる民泊については、中野区においても国の規制を上回る制限を加え、一定の住環境を守る状況となっています。しかし最近、簡易宿所などの旅館業法上の施設の増加の動きが見られます。旅館業法に基づく許可を受けた場合、宿泊日数の制限がないため、消防法の規制や建築確認などの手続をクリアすれば、規制の厳しい民泊よりも利益を上げやすいと考えられます。さらに、中野区はフロント設置業務が義務付けられておらず、簡易宿所を比較的容易に開設できると考えます。
そこで課題なのが、民泊での規制と旅館業法上の施設の規制にアンバランスが生じてはいないかということです。民泊開設が難しい理由で簡易宿所を開設していこうとする業者がふえた場合、規制した民泊の抜け穴となり、区の住環境を脅かすことが考えられます。この問題を解決するために条例を改正し、公平に規制をかけるべきと考えますが、それを踏まえて何点か質問をさせていただきます。
1点目は、近隣への周知の義務です。区では住宅宿泊事業の実施に際し、制限区域においては近隣への周知を求めています。しかし、旅館業法上の施設では近隣への周知は義務とされていません。近隣の住民が全く知らず、ある日突然簡易宿所がオープンするということも十分あり得ます。旅館業法上の施設においても近隣への周知の義務化を検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。
2点目に、施設の標識設置の義務付けです。住宅宿泊事業法では届け出住宅に対し、公衆の見やすい場所に標識の設置が義務付けられていますが、旅館業法上ではその規定はありません。近隣住民にとっては、宿泊施設が住宅宿泊事業によるものなのか、旅館業なのか、また違法な民泊なのか非常にわかりにくく、トラブルの原因にもなります。旅館業法上の施設においても施設の標識設置の義務化を検討してはいかがでしょうか、お伺いいたします。
先日、袋小路になっている共同私有地の一角に簡易宿所が開設されることに不安を感じると御相談を受けました。申請は個人で行われ、これまでどのような施設を運営してきた個人なのかさまざま調査しても判明できず、保健所でも掌握していないとのことでした。その個人に対し住民の不信感が高まったことにより、300名を超える施設反対の署名活動となりました。旅館業法による施設開設を個人が申請しようとした場合、旅館業を適正に営む能力があるかどうか、これまでの実績や資産状況などを確認する規定はなく、適正か判断せずに営業許可が出てしまうことは課題であると考えます。個人の場合でも実績を確認できる規定が必要と考えますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
このケースでは、申請された建物は東京都建築安全条例の窓先空地が確保されておらず、建築確認に問題がありました。避難経路が適正に確保されていない施設であっても、旅館業法上問題がなければ営業許可を出さざるを得ないとのことです。旅館業を適正に運営するためにも、建築確認や学校施設などの確認の手続があっても、それに反した場合でも営業許可が出るのは法律の整合性がとれていないと考えます。条例改正を検討するのであれば、こういった建築確認での課題などもあわせて見直しを検討してはいかがでしょうかお伺いし、この項の質問を終わります。
最後に、自転車保険について伺います。
自転車事故は近年増加傾向にあり、自転車利用者の自転車賠償責任保険への関心は高まっています。近年は高額な賠償費用による被害者、加害者の損害を避けるために、自転車保険の加入を条例で義務付ける動きが広がりつつあります。自転車保険については、昨年の決算特別委員会総括質疑で区民交通傷害保険導入を提案させていただきました。保険料の1割が集金事務費として区の収入となりますが、今年度、世田谷区が金融窓口での加入方式で導入し、区の窓口業務負担もない制度となっています。世田谷区を加えて、23区中11区が加入し、来年度もう1区が加入予定となっています。総括質疑では慎重に対応するとの答弁でしたが、その後の検討状況はいかがでしょうか、お伺いいたします。
一方で、東京都はことし4月より自転車点検整備等促進事業を施行しました。これは、自転車整備業者による自転車点検の整備に対し、自転車1台当たり2,500円を上限として、都で2分の1補助をする事業です。その点検の際、TSマーク付帯保険も合わせて加入することができます。TSマーク保険は賠償責任保障の限度額が1億円で、区民交通傷害保険と同額となっています。区も補助をする必要がありますが、自転車整備の推進により自転車事故を未然に防ぐ効果もあります。自転車保険は、車両保険、火災保険等の特約、クレジットカードでの個人賠償責任保険などさまざまなタイプがありますが、選択の幅が大きいほど保険に加入する区民がふえると考えます。東京都の自転車点検整備等促進事業を活用し、自転車整備とTSマーク保険加入を促進する事業を検討してはいかがでしょうかお伺いし、私の全ての質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 木村議員の御質問にお答えいたします。
まず、地域包括ケアシステムについての項でございます。
まず地域包括ケアシステムの推進体制についてということで御質問をいただきました。区では、平成29年3月に中野区地域包括ケアシステム推進プランを策定し、喫緊の課題である高齢者向けの取り組みを進めてきたところでございます。今後は、高齢者向け施策の更なる充実強化を図っていくことはもとより、子ども世帯や障害者に対応した地域包括ケア体制の構築が課題となっております。それには行政、医療介護サービス事業者、地縁団体、事業者団体、公益団体、NPОなど地域包括ケアを担う関係者間のネットワークの強化が重要であり、区はこうした多様な主体間の関係機関調整を進めていくことが不可欠だと考えております。こうしたことから、専門的な見識と豊富な実務経験に基づいて地域包括ケアシステムの構築を更に強力に推進するために、地域包括ケア推進担当部長(仮称)を公募することとしたものでございます。
次に、地域包括ケアにおける総合計画の策定についての御質問でございます。区が平成29年3月に策定した地域包括ケアシステム推進プランは、高齢者向けの対策を中心に取りまとめてきたものでございます。今後、子育て世帯や障害者を含む地域の全世代、全区民へと取り組みを拡大し、発展充実を図っていくことから、子育て世帯や障害者への対応を盛り込んだ総合的な地域包括ケアシステム推進の取り組みについて取りまとめ、総合計画とすることを構想しております。
次に、地域包括ケアシステム全体の推進状況についての御質問でございました。まず、推進プランについては、プランを構成する各施策において平成30年度の目標値を定め、区や関係団体においておのおのの役割に応じた取り組みを進めているところでございます。今後、地域包括ケア推進会議等において検証や評価の手法、更に改善の取り組みなどについて検討協議を進めていく考えでございます。
総合事業の進捗状況では、まず、従前相当のサービスは予防給付からの円滑な移行が行われ、利用実績も安定しているところでございます。緩和基準サービスについては、事業開始後の利用者は増加しているところではありますが、今後とも相談窓口等における周知に努め、利用の拡大を図っていく必要があると認識しております。また、多様な主体による多様なサービスを充実させることを目指して、この間、高齢者会館における通所型住民主体サービスなど新たな取り組みを始めており、引きこもり傾向の人が仲間の声かけで継続的に参加するなどの成果が見られております。こうした取り組みを一つのモデルとしつつ、地域での更なる展開を進めていきたいと考えております。
次に、保険者機能強化推進交付金の指標の該当状況と活用先でございます。交付金の評価結果は、各自治体の申請に基づいて国において審査が行われて、本年11月に内示される予定でございます。現時点においては、他自治体の状況を十分に把握できないため全体の評価結果は未定でございますが、国が保険者に求める取り組みについての当区の該当状況は、おおむね良好と認識しております。本交付金は制度の趣旨を踏まえ、高齢者の自立支援、重度化防止等に向けた取り組みに活用したいと考えており、第7期中野区介護保険事業計画の取り組みの拡充に生かす考えでございます。
次に、シニアボランティア制度の導入の御指摘、御提案でございます。中野生涯学習大学の卒業生や介護予防講座で学んだ高齢者が、新たな担い手として地域での活動に参加できる機会をふやしていくことが重要だと考えております。こうした受講生も含め、これまで地域活動や介護予防に関心のなかった方々でも、仕事で培った経験やスキルを地域団体への支援や課題解決に生かせるような地域参加のあり方などを研究し、新たな担い手づくりを進めてまいります。
次に、フレイル予防の啓発、事業展開についてでございます。フレイルは、健常な状態と要介護状態の中間の状態として日本老年医学会が提唱しているものでございます。フレイル状態の人は健常の人に比べて要介護に至る危険性が高いだけでなく、入院のリスクが高く、転倒する可能性も高いと言われており、こうしたいわゆる虚弱層への対応は喫緊の課題として捉えております。今後、区としては取り組みを強化し、区歌に合わせた元気アップ体操の普及をはじめ、地域での介護予防体操の展開や自宅でできる筋力トレーニングのリーフレットなどによる啓発についても推進してまいります。
次に、フレイル対策、それから体力測定についての御質問でございます。今年度から高齢者を対象とした元気アップ測定会を始めているところでございます。参加者からは自分の弱い部分を知ることができてよかったと、おおむね好評をいただいております。御案内の指輪っかテストは、自分の身体状態を確認する簡便な方法として、区が作成した、なかの元気アップ運動リーフレットでも紹介をしております。今後は、測定結果の説明など具体的な運動習慣の獲得へつながるよう更に取り組みを進めてまいりたいと思います。
次に、介護予防リーダーの必要性について御指摘がございました。現在、介護予防の推進に向け、地域での自主的な活動の立ち上げを目指して地域支援実践講座を行っているところでございます。昨年度からなかの元気アップ体操サポーター講座を実施し、講座修了者のうち既に測定会においてサポーターとしてお手伝い、参加いただいている方もいらっしゃいます。地域において主体的に介護予防に積極的に取り組む高齢者をふやしていくことが重要であり、今後、介護予防リーダーなど、他の自治体での導入事例を含め積極的に研究してまいります。
認知症意思決定ガイドラインの普及啓発についての御質問です。本年6月に厚生労働省が策定した認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定ガイドラインでは、認知症の人がみずからの意思に基づいた日常生活・社会生活を送れることを目指して、認知症の人への意思決定支援の基本的考え方の理念や姿勢、方法、配慮すべき事柄等を示しております。現在区では、認知症の困難事例の対応などにおいて関係機関と連携し、本人の意思を可能な限り確認するなど必要な対応を図っているところでございますが、今後も認知症にかかわるさまざまな機関において、本人を主体とした支援がなされるようガイドラインの適切な周知を図っていこうと考えております。
次に、小・中学生での認知症サポーター養成講座の状況でございます。小・中学校での認知症サポーター養成講座については平成23年度より取り組んでおり、これまで小学校6校、計11回、そして中学校2校、計2回開催しております。今後も開催数の拡大や内容の充実も含め、将来の地域社会を担う子どもたちへの普及啓発を更に強化してまいります。
次に、レセプトを活用した区の節薬対策です。昨年度から重複服薬者に対して、過剰服薬や健康被害等を防ぎ、適正服薬を勧める通知文を送付しているところでございます。国保のデータヘルス計画に基づいて、電話勧奨等による適正受診、適正服薬に関する事業についても今後検討してまいります。
次に、節薬バッグの実施、薬剤師会との連携についての御質問です。節薬バックは飲み残しなど残薬の調整、管理の手法の一つと言われており、重複処方を防止するお薬手帳の普及とともに一定の医療費抑制が期待できると認識しております。今後、こうした残薬調整と服薬管理の推進の手法など、他自治体や薬剤師会での先行事例について情報収集し、研究してまいります。
次に、防災対策の項に移ります。
最初に、水害を想定した個別支援計画の策定についてでございます。災害時個別避難支援計画書には、現在、震災時を想定した避難所を記載しておりますが、風水害時にも対応できるよう今後様式を変更し、必要情報を盛り込んでまいります。
次に、避難行動要支援者の支援についてでございます。既に幾つかの地域防災住民組織で災害時避難行動要支援者に対する安否確認、避難誘導等の訓練を実施しているところでございます。区としては、避難所運営会議やさまざまな防災訓練実施の際に、こうした災害時避難行動要支援者に対する訓練の必要性を訴えるとともに、訓練の先進事例を年に2回開催している防災会連絡会において発表していただき、情報の共有化を図ってまいります。
次に、ハザードマップの活用についてでございます。中野区洪水ハザードマップの作成・配布は、区民等に対して浸水等に対する危険性を周知し、みずから避難等の対策を講じていただくことを目的としております。今回更新したハザードマップでは、洪水時の水の高さである浸水深の表示だけではなく、浸水している時間の地図を掲載するとともに、大雨情報の種別や水平避難、垂直避難の仕方など、洪水に対する準備や行動についても詳しく説明したものとなっております。区ではこのハザードマップの活用を推進し、区民に実効性のある対策や避難計画を計画していただくため、避難所運営会議で活用方法も含め周知徹底し、ワークショップの開催方法等の課題についても協議を行ってまいります。
次に、福祉政策についての項でございます。
補聴器の購入助成についての御質問です。加齢に伴う生理的老化は誰にでも起こるものであり、聴力だけでなく、視力や免疫力などの生理機能全般に衰えが見られるようになります。年齢を問わず聴力が一定基準を下回った場合には身体障害者手帳を取得することができ、必要に応じて補聴器も給付されることから、現時点で高齢により聴力が低下した方に対して補聴器の購入費助成を行うことは考えておりません。
次に、寡婦控除のみなし適用の周知についてでございます。寡婦控除のみなし適用は、未婚の父または母で、合計所得金額が一定以下であり、みなし適用を行うことにより所得区分が変更となる方が対象となるため、該当する方の把握が難しいことから、御案内のポスターやチラシを作成、掲示し、広く制度の周知を図るとともに、各すこやか福祉センターにある障害者相談支援事業所の窓口においても周知を行ったところでございます。今後は区報、ホームページなどに掲載するとともに、障害福祉サービスの更新を勧奨する通知において制度案内を行うなど周知を進めてまいります。
〔教育委員会事務局次長戸辺眞登壇〕
○教育委員会事務局次長(戸辺眞) 私からは、防災対策についての御質問のうち小・中学校の水害教育についてお答えいたします。
昨今の異常気象はもちろんのこと、本区には妙正寺川や神田川などの河川がございまして、過去には洪水による大きな被害があったことから、水害についても学ぶ重要性は強く認識しているところでございます。多くの小学校では、3年生時に区役所の防災センターを見学し、その際に、水害が起こった際の対応の様子を学習しているところでございます。特に川沿いの水害が心配される地域につきましては、学校独自に水害に特化した避難訓練を実施している学校もございます。東京都から配布されております「防災ノート」には風水害について学習する項目がございまして、特に水害が心配される地域の学校では、中野区洪水ハザードマップ等をあわせて活用し、子どもたちが自分の身は自分で守る方法を考えられるよう、教育が一層推進されるよう働きかけてまいります。
〔政策室長朝井めぐみ登壇〕
○政策室長(朝井めぐみ) 私からは、AI活用についての御質問にお答えいたします。
まず、AI、RPAの導入についてでございます。近年、人工知能(AI)やロボットによる業務自動化、RPAの開発や実用化が目覚ましいスピードで進められており、導入した自治体では飛躍的に業務の効率化をされた事例もあると聞いております。区としても、そうした最新の技術を積極的に活用し、より一層の業務の効率化やサービスの向上を図っていきたいと考えております。
次に、情報化推進の方針、官民データ活用推進計画の御質問についてでございます。行政手続のオンライン化やオープンデータの推進などICTの活用を区全体として効果的に推進していくため、情報化についての基本的考え方や指針の策定について検討してまいります。平成28年12月に施行されました官民データ活用推進基本法では、官民データ活用の推進により、国民が安全で安心して暮らせる社会や快適な生活環境の実現に寄与することを目的として、データ利活用の取り組みなどについて定め、区市町村による官民データ活用推進計画策定を努力義務としているところでございます。区といたしましては、情報化についての基本的な考え方や指針の策定について検討する中で、基本計画の策定も見据えつつ、官民データ活用推進計画の策定についても検討していく考えでございます。
〔経営室長髙橋信一登壇〕
○経営室長(髙橋信一) 私からは、AIの活用について、活用が進んだときの職員の育成についてと、自転車保険についてお答えいたします。
初めに、AIの活用が進んだときの職員の育成についてでございます。AIの活用が進みますと、職員にはAIではできない調査・調整能力が必要となります。例えば、地域や区民の状況を察知し、その上で最適なサービスをコーディネートする能力や、区民や関連団体等の連携協力のもと調整力、マネジメント力を発揮することが求められます。これらの能力は業務を通じて培われることが大きく、あわせて職員一人ひとりが、今後求められる能力や役割を理解することが必要であると考えます。職員がこれらを強く意識し、能力向上に努め、必要な経験が積めるよう組織全体で推進していきたいと考えてございます。
次に、自転車保険についてでございます。初めに、区民交通傷害保険の導入についてでございます。区民交通傷害保険は、保険の加入率が年々減少している現状や区の事務処理の煩雑さ、さらに、近年、数多くの民間保険会社が提供している自転車保険の中には、区民交通傷害保険と比較し保険料が割安なもの、補償内容が充実しているもの、申し込みの手続が簡易なものなどがあり、内容が充実していることを踏まえまして、導入に当たっては慎重な判断が必要と考えてございます。
次に、自転車点検整備等促進事業についてでございます。東京都の自転車点検整備等促進事業の活用については、区として自転車整備を促進し、自転車の整備不良状態を改善することによって自転車事故の減少に寄与できる点や、他の自転車保険と異なり、TSマーク付帯保険により整備済みの自転車を利用する全てのものの賠償責任に対応するなど、利用者にとって利点がある事業と認識しているところでございます。今後、同事業の詳細を把握し、導入の是非について検討してまいりたいと考えます。
〔環境部長白土純登壇〕
○環境部長(白土純) 私からは、簡易宿所についての御質問にお答えいたします。
まず、近隣周知及び標識設置の義務化についてでございます。いわゆる民泊の場合、住宅宿泊事業の適正な実施の確保に関する条例に定める制限区域において民泊を営もうとする者に対しては、事前の周知や説明会を義務付けております。また、住宅宿泊事業法では標識の設置を義務付けております。一方、旅館業法ではそのような義務付けはなく、用途地域の制限だけになっておりますが、中野区の場合には、旅館業が実施できる地域であっても、住宅が密集している地域もあるため、区では事業者に対して、近隣住民への事前周知や説明を十分に行うよう指導・助言しているところでございます。民泊との適正な均衡を図るため、旅館業法の営業許可に際し事前の周知や標識の設置等を義務付けるかどうかにつきまして、今後、旅館業法施行条例の改正を検討してまいります。
次に、個人申請の場合の実績確認でございます。旅館業法は3条2項で欠格事由を定めてございますが、申請者に対して事業実績や資産状況の報告は求めてございません。旅館業法の許可申請の際に事業実績等の報告を求めるかどうかにつきましても、今後検討してまいりたいと思います。
それから最後に、条例改正の検討の際の営業許可の課題の検討についてでございます。旅館業法上の基準を満たしている場合には営業許可を行わなければならないものとされております。建築基準法令上の違反のみをもって不許可処分はできないものとされておりますが、宿泊者の安全確保対策に関する事業者への指導につきまして、今後検討してまいります。
○副議長(南かつひこ) 以上で木村広一議員の質問は終わります。
議事の都合により暫時休憩いたします。
午後2時17分休憩
午後2時40分開議
○議長(いでい良輔) 会議を再開いたします。
この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。
一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 羽 鳥 だいすけ
1 職員の働き方について
2 児童館について
3 若年・青年対策について
4 地球温暖化対策について
5 西武新宿線連続立体交差事業について
6 障害者・高齢者施策について
7 国民健康保険について
8 生活保護について
9 その他
○議長(いでい良輔) 羽鳥だいすけ議員。
〔羽鳥だいすけ議員登壇〕
○9番(羽鳥だいすけ) 2018年第3回定例会に当たって、日本共産党議員団の立場から一般質問を行います。質問の項目の3番、若年・青年対策については次回以降で改めてお聞きしたいと思います。
まず、中野区職員の働き方についてです。
ことし6月に行われた中野区安全衛生委員会では、区職員の長時間労働状況について資料が出されています。昨年度の月間超過勤務45時間超の長時間労働者は、一昨年度に比べ選挙事務を除いて59人増加しています。月45時間以上の残業については、1998年に出された労働省告示第154号によって制限がされています。罰則こそありませんが、違反状態を是正する責任を負います。区は、3カ月連続で45時間超の超過勤務を行った職員がいる分野には改善策の提出を求めています。これで是正されればいいのですが、申請時間どおりの超過勤務になっているかということが別個の問題としてあります。超過勤務手当は申請時間に基づいて決まりますが、実際に職員が何時に退勤したかはタイムカードへの打刻時間によってわかります。ここに乖離があれば、サービス残業の疑いが出てくるのではないでしょうか。区職員の出退勤の打刻時間と超過勤務申請時間との差にあらわれるサービス残業が生じないような対策に取り組む必要があると考えますがいかがでしょうか、お答えください。
使用者が労働者に残業を命じる場合、労働基準法第36条に基づいて、労働者と協定、通称36協定を締結する必要がありますが、これまで区は締結をしていませんでした。今、締結に向けて準備されていることは評価いたしますが、区の業務が適法に行われるよう今後注意していただきたいと思います。この協定の締結対象となるのは保育園や児童館、保健所などの施設であり、本庁舎は対象となっていません。しかし、長時間労働による健康や生活への悪影響はどの職場でも等しく存在します。北区では、36協定の対象外となっている本庁舎職員に対しても正式な協定に準じた協定を結び、過度な超過勤務が発生しないような仕組みをつくっています。このような仕組みが中野区でも必要ではないでしょうか、見解をお答えください。
臨時職員の賃金についてお尋ねします。
ことしの最低賃金の引き上げ額は、東京都では27円、10月1日からの最低賃金は時給985円となりました。多くの労働者が求める「今すぐどこでも1,000円、早期に1,500円」という目標は翌年以降に持ち越されてしまいました。時給1,000円では、フルタイムで働いたとしても年収は200万円程度にしかなりません。しかも臨時職員は6カ月ごとの細切れ雇用にされ、社会保障に加入させてすらもらえず、地方公務員ということになるので、繰り返し雇用されても労働契約法による無期転換のルールにも当てはまらないなど悪い労働条件下に置かれています。そのような条件下にありながら、中野区の臨時職員の一般事務職の賃金は現在、時給980円と最低賃金に張りつくような水準です。臨時職員として働いている方の生活を保障するためにも、賃金の大幅な引き上げが必要ではないでしょうか。
今、臨時職員の賃金について触れましたが、本来なら繁忙期や休業対応のはずの臨時職員が恒常的に大量にいないと業務が回らない状況になっているのが、区の人員体制の現状だと思います。例えば、戸籍住民分野の年間の臨時職員は2007年度に延べ17人であったのが、2017年度には190人になっており、今は毎月10人以上の臨時職員がいるとのことです。全庁的に見ても2017年度に延べ人数は3,218人とあり、もはや全体として「繁忙期対応」などという水準を超えています。この背景には「区役所2,000人体制」の掛け声のもと、臨時職員による常用代替が進んだことがあります。今後、児童相談所の移管や民泊、空き家対策といった新たな行政需要がふえる中、職員2,000人体制でやっていくことには無理があるのではないでしょうか。定数をふやすべきと考えますが、いかがでしょうか。
続いて、児童館についてお尋ねします。
これまで中野区では、児童館を次々と廃止する計画が進められてきました。「新しい中野をつくる10か年計画(第2次)」では、児童館は廃止統合を進めた上で9カ所のU18プラザに転換、第3次では転換するとしたU18プラザも廃止するとされました。つまり、中野からきちんと職員を配置した地域の子育ての拠点を全廃するということものでした。児童館全廃は区民の、特に子育てをする保護者に大きな怒りを巻き起こし、区長選の一大争点にもなりました。酒井区長が児童館全廃方針を見直し、「機能を拡充し、一定程度残す」としたことは、こうした声を反映した重要な方針です。
中野区が1993年に発行した「未来へ!児童館25年のあゆみ」では、1973年度からの区政3カ年計画で「児童の日常生活圏を考慮し、1小学校区に1館とする」とされ、各小学校区にあり、身近で来館しやすいということが中野区の児童館の特徴となったと記されています。また、ほとんどの児童館では、児童館利用時間内ならばいつ来ても大丈夫な子育てひろば(乳幼児親子ほっとルーム)を設けており、小さなお子さんを持つ保護者が子育て仲間と気軽におしゃべりをしながら情報交換ができる貴重な居場所になっています。これらの機能は、まさに児童館が身近な生活圏域に存在しているからこそ最大限に発揮できるのではないでしょうか。「地域の身近なところに児童館がある」ということの重要性について区の認識を伺います。
酒井区長は児童館全廃方針の転換を表明されましたが、児童館についての新たな方針が決まるまでこれまでの計画は生き続けることになります。例えば大和西児童館と若宮児童館は、現行の計画のままならば、2年後の美鳩小学校新校舎竣工に伴ってキッズプラザが整備されれば廃止されることになっています。地域では「いつも児童館を利用させてもらっているから、なくなってしまうのは本当に困る」「なんとか廃止をとめられないものだろうか」と、児童館廃止への不安の声を聞いています。大和西児童館と若宮児童館のように施設の廃止が迫っているものについては、一旦「廃止凍結」などの方針表明が必要ではないでしょうか、お答えください。
児童館の機能とは一体何によって担保されるのでしょうか。児童館へ行けば、子どもに関する情報が集まっている、関係機関との連携がとられていて、必要に応じてもっと専門的な機関につなげてもらえる、保護者同士の育児情報の交換ができるためには、そこに館があることはもちろん重要です。しかしそれだけでは機能は十分に発揮できません。さまざまな専門的な知識を持った経験豊かな職員が継続的に配置されてこそ、子どもの微妙な変化に気づき、保護者の相談に乗り、場合によっては関係機関とつなげることが可能になるのです。また、そうであるからこそ、地域との連携もうまくいきます。先日、若宮児童館で行われた「どうぶつ村」を見学させていただきました。1日で約800人もの人たちが押し寄せるこのイベントは、児童館と地域の人々が子どもたちのために労を惜しまず開催し続け、25年以上にもなります。若宮児童館では、ほかにも職員、地域の方と保護者が協力してさまざまな行事を続けています。こういった取り組みは、まさに地域の身近なところに児童館があるからこそできるのではないでしょうか。
先ほど紹介した「未来へ!児童館の25年」では、第4章「これからの課題」の中で、子どもの権利条約に触れながら、親や大人や社会の都合で子どもたちの処遇が決められるのではなく、子どもにとってどうなのかという視点、「子どもの最善の利益」を判断基準にして決めなければいけないと述べています。そしてその上で、このことを児童館に引きつけて見たとき、果たして現在の児童館、学童クラブの運営は、本当に「子どもの最善の利益」という立場で決められているのかという見直しは必要なのではないだろうかと問いかけています。こうした観点は、今でも極めて重要ではないでしょうか。それならば全ての児童館を直営で、必要な人員配置も行い、存続させていくべきではないでしょうか。「子育て先進区・中野」を目指す積極的な答弁を期待します。
次に、地球温暖化対策について質問いたします。
7月には200人以上の死者・行方不明者を出した西日本豪雨が発生し、また8月の熱波は、昨年の2倍近い人が熱中症によって救急搬送されるなど、気象庁が「一つの災害として認識している」と表明するほどでした。さらに、9月には、非常に強い勢力のまま関西に上陸した台風21号が大きな被害を出しました。これらの極端現象と言われる異常気象の増加にはCО2などの温室効果ガスの増加などによる人為的な影響が大きくかかわっています。先週までタイの首都バンコクでは、年末に開かれるCОP24カトヴィツェ会議に向けて、「気温上昇1.5度から2度未満」「実質排出ゼロ」を目指すパリ協定の実施方針を決めるための会合が開かれていました。CО2排出を大幅に減らしていく取り組みが早急に求められています。
さて、これまで私は、住宅向け太陽光発電設備や地中熱利用設備への設置助成を提案してきましたが、区はこれまで「設備が設置できるところが限られている」などとして、助成制度を拒否し続けてきました。しかし、温暖化対策において、「まずできる人からやっていく」ということは非常に重要です。さらに、先日発生した北海道胆振東部地震においては、分散型電源としての家庭用太陽光発電には防災上の利点があることも改めて浮き彫りになりました。23区の多くの区で助成制度がある住宅向け太陽光発電設備や地中熱利用設備など、再生可能エネルギー設備の設置助成を検討すべきと考えますがいかがでしょうか、お答えください。
2015年の決算特別委員会総括質疑において私は、地域住民の声を受けて、白鷺せせらぎ公園多目的広場における「水以外の飲用禁止ルール」の改善について求めました。そのときは「人工芝のゴム劣化を防ぐためには水以外は認められない」ということでした。しかし改めてことしの異常な暑さを受け、そんなことを言っていられる状況なのかという思いを強くしています。日本体育協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」では、熱中症予防運動指針において、水分とともに塩分の補給を求めています。極端な暑さの際には運動中止をすべきですが、スポーツ中にミネラル分の補給は欠かせません。「こぼさないように注意して」などの注意書きをしつつも、白鷺せせらぎ公園多目的広場をはじめ、現在整備が進められている人工芝の運動場について、「水以外の飲用禁止ルール」を改める必要があると考えますがいかがでしょうか、お答えください。
第3次環境基本計画において区は、「大規模事業者としての区の環境配慮率先行動プロジェクト」において、区有施設における再生可能エネルギーによる新電力からの電力調達の推進や、新区役所を含めた区有施設の整備改修に当たり、地球環境への負荷を可能な限り低減することなどをうたっています。新区役所の整備においては、基本計画では建築環境総合性能評価システム(CASBEE)のSランクを目指すとされており、その中で太陽光発電設備の導入も計画されているとのことです。
2013年に竣工した甲府市役所庁舎では、太陽光発電システムのほかにも、地中熱利用システムや外気負荷削減システムなどさまざまな省エネルギー手法を活用して、一次エネルギー消費量45.7%削減、CО2排出量28%削減といった大幅な省エネルギー化と環境負荷削減を実現しています。今後、政府の2050年までにCО2排出を8割削減するといった長期目標を見通せば、CО2排出量の余地は格段に厳しくなっていくことが予想されます。庁舎のように一日のうちに長時間稼働する施設は、空調に大きなエネルギーを消費します。この部分の削減により、導入費用の高さを維持管理費の削減で十分に賄えます。庁舎のように、これから50年近くにわたって使用することが見込まれる施設では、政府の長期目標を先取りできるように、地中熱利用システムや外気負荷削減システムなどの省エネルギー手法の最大限の活用が必要と考えますがいかがでしょうか、お答えください。
将来を生きる人々のまさに生存にかかわる問題として捉え、中野区が他自治体を牽引する積極的な取り組みを求め、次の項に進みます。
続いて、西武新宿線連続立体交差事業について伺います。
現在、区内では西武新宿線の中井・野方駅間での連続立体交差事業が行われています。事業に当たっては新井薬師前駅、沼袋駅それぞれで、地域住民によるまちづくり検討会組織が立ち上げられ、区に対してまちづくり構想を提出、区はこの構想を受けて「西武新宿線沿線まちづくり整備方針(新井薬師前駅及び沼袋駅周辺地区編)」を策定しています。まちづくりに伴い再開発や立ち退きともなれば、立ち退きを迫られる人を中心に、そのまちに住む人々の暮らしに大きく影響することになります。そうした中でみんなが納得できるまちづくりを進めていくためには、どういうまちにしていきたいのかという構想がしっかり共有されていることが必要だと考えます。まず、西武新宿線沿線まちづくりにおいて、住民の意見を取り入れて事業を進めていくことの重要性についての区の認識を伺います。
新井薬師前駅、沼袋駅における検討会のまちづくり構想と、それに基づいた中野区のまちづくり整備方針では、東京都による事業決定後に議論がされたこともあり、当然地下化を前提に検討がなされ、防災まちづくり、交通環境の改善、にぎわい空間の創出、緑化の推進などで鉄道上部空間を活用していくとされています。この検討が遅すぎたという指摘もあるかとは思いますが、鉄道が高架化されるか地下化されるかで将来のまちの姿は大きく変わりますし、事業完了後の鉄道跡地の活用方策も大きく異なります。地下化ということが前提とされた検討となったことにより、住民の意見を取り入れたまちづくりが進めやすくなった面はあるのではないでしょうか。
現在、野方・井荻間の連続立体交差事業については、社会資本総合整備計画に位置付けられた状態であり、鉄道を地下にするのか高架にするのかは決まっていません。その中で、野方・都立家政・鷺ノ宮のそれぞれの駅周辺地区まちづくり検討会の出したまちづくり構想は鉄道については触れず、まちの課題を洗い出しただけのものになっています。これをもとに策定される中野区のまちづくり構想でも同じような構成になることが想定されますが、それでは「まちの人々の意見を聞いた」という体裁だけとって、将来のまちの姿について行政に白紙委任をしてしまうことにもなりかねません。私が東京都の担当者に聞いたところでは、東京都からは、「まちづくり構想において、西武線に触れるな」とは言っておらず、「地下になっても、高架になっても、どちらでも対応できるような検討をしておくこと」と区に対して指示を出しているとのことでした。そうであるならば、中野区としてのまちづくり構想をつくるときは、将来のまちの姿を人々がきちんと共有できるよう、まちの課題を洗い出すだけでなく、地下化あるいは高架化された西武線を入れ込んだ構想をつくることが必要ではないでしょうか、答弁を求めます。
さて、当初は区内全線地下化が目指され、中野区も区民、議会と一体となってそのための期成同盟もつくりましたが、2014年に区は「西武新宿線(野方駅~井荻駅間)連続立体交差化に係る構造形式の調査検討の結果について」を発表、風向きが変わりました。そこでは従来の区内全線地下化ではなく、高架案が最適とされるという事実上の方針変更が行われました。確かに時代や条件の変化により方針が変えられることはあるでしょう。しかし問題は、区民とともに進められてきたはずの連続立体交差事業において、区民に何ら説明もなくこのような方針変更が行われたことにあります。地元では西武線についてさまざまな意見を伺います。「地下化したほうがいい」という方もいれば、「高架化したほうがいい」という方、中には連続立体交差化と言ったら西武線のことだとわからない方もいました。こうした中で全員の意見を採用することは無理とも言えますが、それでもみんなが納得できるまちづくりを進めるためには、丁寧な情報提供と区民が意見を出し合う場、そして将来のまちの姿を共有していく過程が必要です。そのためにも、「西武新宿線連続立体交差と沿線まちづくり」をテーマにした区民と区長のタウンミーティングの開催や、区として住民の意見を聞き、疑問に答える場を設定することが必要ではないでしょうか、伺って次の項に移ります。
続いて、障害者・高齢者施策について伺います。
先日、ある障害者の息子さんを持つお母さんから、中野区の障害者サービスについての相談を受けました。お話の中身は、なかなか息子さんが受けられるサービスは区内にないというものでした。お話を伺ってみますと、提供できるサービスと受けさせたいサービスとの齟齬などで、すぐにこうしましょうとはならないことが多かったのですが、その中で1点、改善できることがあるのではないかと思い、質問いたします。
中野区では現在、介護者がさまざまな理由で日中に障害者(児)を介護することが困難な場合、短期入所の場で見守りや食事提供の支援を行う日中一時支援事業を行っています。区内5カ所の事業所で受け入れを行っていますが、2016年度の実績は2事業所で175人となっています。近隣区を調査してみますと、練馬区では昨年度の延べ支給人数は1,425人と桁違いに多い実績となっています。練馬区では、日中一時支援事業の事業所登録を区内だけでなく区外も対象にしているとのことでした。登録事業所は区内の5カ所に対し、区外で11カ所と倍以上となっていました。豊島区では、延べ利用が193回でしたが、登録事業所4カ所のち2カ所が区外となっています。現状でも日中一時支援事業の事業費は実績払いとなっており、協定を結ぶだけでは新たな費用負担は発生しません。日中一時支援事業について、区民の選択肢を広げるためにも、区外の事業者から申し出があれば、区民が区外の日中一時支援事業を利用できるようすべきと考えますがいかがでしょうか、お答えください。
高齢者施策にかかわって一点お尋ねします。
7月に少子高齢化対策調査特別委員会で、愛知県豊明市に「地域包括ケアシステムの構築」について視察に伺いました。豊明市では、「要支援1」の2人に1人、「要支援2」の4人に1人以上が、わずか1年後に重度化してしまっている現状を打開するために、軽度者を支援し、「普通に暮らせる幸せ」を守り支えるために民間企業の力もかりているということでした。お話も伺い、高齢者がまちに出ていけるように支援することはとても大事な取り組みであると改めて感じたところです。
杉並区では、「長寿応援ポイント」事業というものを実施しています。これは「地域貢献活動」「いきがい活動」への参加にポイントを付与し、一定のポイント以上で杉並区内共通商品券と交換するというものです。対象となる事業は、区が実施する事業だけでなく各種グループ活動もあり、「楽しみながらポイントをためられる」と好評のようで、昨年度は7,000件のポイント引きかえがあったそうです。荻窪にある天沼診療所友の会では、この事業で「いきがい活動」を始めたところ、活動に参加する区民も増加したそうです。例えば、最初は月に1回2人から3人で行っていた「ころばん体操」という事業は、今では週1回、毎回10人近くが参加するようになったそうです。会の活動も月に10回程度、月々のポイント付与総数40ポイント台から、最近は多いときで19回の活動を行い、月々100ポイント以上を付与するようになったとのことでした。もちろんポイントありきではなく、「楽しい」活動でなければ人は集まってきません。しかし、「長寿応援ポイント」事業は高齢者が外に出ていくことへの動機付けとなるのではないでしょうか。中野区でも同様の事業の実施に向け検討してみてはいかかでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。
次に、国民健康保険についてお尋ねします。
昨年当区議団が実施した「2017中野区政アンケート」では国保加入者と推定される方のうち、保険料負担が「非常に高い」と答えた方が25%、「高い」と答えた方が52%と、合わせて77%もの方が保険料を高いと感じていました。これまで会派として国保について再三質問を行ってまいりました。中野区の国保加入世帯の3分の1が保険料を滞納、重い保険料負担が区民生活にのしかかっています。国保加入世帯が社会保険と比べても重い負担を背負っていることについて、区の認識をまず伺います。
さて、国保加入世帯が重い負担を背負っていることの理由としては、加入者に低収入の方が多い一方で、医療を必要とされる方が多いという構造問題とともに、扶養家族にも均等割保険料がかかってしまうという問題があります。これは健康保険にはないものです。特別区長会は、昨年度から東京都及び国に対して、子どもに係る均等割保険料の軽減や多子世帯に対する保険料負担軽減策を講じるよう求めています。この問題は、全国知事会や全国市長会でも政府への要望項目に取り上げられ、特に全国市長会では、今年度は初めて国民健康保険制度についての重点提言に取り入れられました。こうした背景について区はどのように認識していますか、お答えください。
さきの第2回定例会では、多子世帯への減免を求めた長沢議員の質問に対して、「国の制度の問題として解決すべき」というお答えでした。確かに国保制度は国全体の制度ですから、根本的には国によって制度の改善が図られるべきだということには異論はありません。しかし、各自治体の施策が国を動かしてきたこともまた事実です。例えば子ども医療費です。中野区では1973年に乳幼児医療費助成制度を開始、2002年に就学前まで対象を広げ、現在ゼロ歳から15歳までの子ども医療費の自己負担分を公費負担しています。国はその措置について、「医療費が余計にかかる」として、「その費用は自治体が負担せよ」と、国庫負担の減額調整をするという罰則を科してきました。今年度からようやく就学前までの子どもを対象とする医療費無料化について、この罰則は廃止しました。それは子ども医療費無料化の施策が全自治体に広がったためです。
今、多子世帯の減免が広がり始めています。制度は自治体によってまちまちで、第2子からのところもあれば、第3子からのところもあります。こういった取り組みが国を動かす第一歩になるのではないでしょうか。しかも中野区の国保加入世帯に占める第2子、第3子の割合はそう多くはありません。両親が健在とするならば、第2子がいるのは4人世帯と推測されますが、その割合は加入世帯の1.7%、第3子がいると推測される5人世帯は0.3%となります。多子世帯の保険料均等割の減免について中野区は足を踏み出すべきではないでしょうか、改めて実施を求めます。
現在、国保制度の法定減額は、どんなに所得が低くても均等割・所得割の7割減額までの制度しかありません。国保は、国民皆保険の下支えをする制度として、もともと低所得者が加入することを前提としている制度です。そうであるならば、恒常的な低所得者が保険料を支払うことで生活保護基準以下の生活にならないための対策が必要ではないでしょうか。介護保険制度では生活保護境界層にかかわる措置として保険料区分の見直しを行っています。国保制度ではそうした制度がまずないので、生活保護境界層への保険料減額のための新たな措置が必要ではないでしょうか。伺ってこの項の質問を終えます。
最後に、生活保護について質問いたします。
政府は来月から生活保護基準を引き下げます。今回の引き下げは2013年に続く大幅な引き下げであり、最も引き下がった場合、2013年から15%近い引き下げになります。憲法第25条で保障されるべき「健康で文化的な最低限度の生活水準」を侵すものであり、断じて許されるものではありません。生活保護基準の引き下げは制度のみならず、この基準に基づいて構築されているさまざまな制度に影響が及びます。その中の代表的なものに就学援助があります。就学援助の準要保護者の基準は生活扶助基準の1.15倍未満となっており、生活保護基準が引き下がれば自動的に準要保護の基準も下がってしまいます。国からは、今回の生活保護基準の引き下げが就学援助制度に影響を及ぼさないよう通達が出ています。世田谷区では、2013年の基準引き下げの際には経過措置を設け、後に基準を生活扶助基準の1.2倍から1.23倍に引き上げる対策をとりました。2013年の基準引き下げの際に、中野区は経過措置という形で対応していますが、今回も基準引き下げに伴って、就学援助の対象外とならないよう経過措置や基準の引き上げなど対応が必要ではないでしょうか、答弁を求めます。
また、ほかにも生活保護基準引き下げに伴って影響が出る事業は多くあると思います。世田谷区では、2013年の基準引き下げの際に生活保護基準を参照して制度をつくっている事業が10個、生活保護基準見直しにより保護廃止となる人の対象事業は53個あることを把握しています。中野区もどの程度の事業に影響が出るか把握すべきではないでしょうか。また、世田谷区ではこれらの事業についてただ把握しただけではなく、基準引き下げ前に対象者だった方は引き続き同じ条件で事業を受けられるよう対応しています。中野区でも同じように措置を講じるべきではないでしょうか。あわせてお答えください。
生活保護制度の円滑な運営のためには、職員が適正に配置されていることが非常に重要です。職員1人当たりの担当世帯数が多くなればなるほど、相談や訪問などできめ細かく対応することは難しくなってしまいます。現在、中野区では地区担当員数は増員傾向にあるものの、社会福祉法が求める1人当たり80世帯を上回る91.4世帯となっています。今年度から分業体制の構築など業務改善の努力も図られているとお聞きしているところですが、人数不足は否めません。社会福祉法に定められた員数までケースワーカーの増員が必要ではないでしょうか。伺って、私の全ての質問を終わります。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 羽鳥だいすけ議員の質問にお答えいたします。
まず、最初に職員の働き方についてでございます。サービス残業対策について、出退勤打刻時間と超過勤務時間は必ずしも一致するものではありません。例外的に職務外で庁舎に残っている場合もあります。職務終了後は速やかに退庁打刻するとともに、超過勤務を適正に管理するため、超過勤務申請漏れのないよう徹底を図っているところでございます。
なお、超過勤務の縮減に向けた取り組みをこれまでも進めてきており、今後も職員の働き方の見直しや、ワークライフバランスの推進に向けた超過勤務縮減の取り組みは必要であると考えております。
次に、いわゆる36協定に準じた協定の締結についてでございます。労働基準法に基づく、いわゆる36協定について締結に向けて準備を進めているところでございますが、法的拘束力のない労使合意である36協定に準じた協定については、他区の状況を見ながら研究してまいります。
次に、臨時職員の賃金の引き上げについてでございます。臨時職員の賃金については、東京都の最低賃金の見直しに合わせて適切に改定をしております。近接区との比較においても妥当であると判断しているため、更に引き上げることについては考えておりません。
職員2,000人体制の見直しについての御質問でございます。職員定数については、さまざまな行政課題に対応するため、組織体制や業務執行方法などを検討しながら適切な定数管理に努めているところでございます。事業改善等による職員定数の見直しは今後も推進していく一方で、新たな行政需要等に的確に対応するため、適切な定数管理を進めていきたいと考えております。
次に、児童館の今後の方針についての御質問でございます。区では、子どもや家庭で子育て中の親子にとって身近な遊び場や交流の場を確保していくことが必要だと考えております。児童館施設の今後のあり方については、本定例会中に案をお示しし、その後、方針策定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〔環境部長白土純登壇〕
○環境部長(白土純) 私からは、地球温暖化対策についての御質問のうち、太陽光発電設備等の設置助成制度の導入についての御質問にお答えをいたします。
太陽光発電設備につきましては、地球温暖化防止対策に貢献することから、環境基本計画の取り組みの方向性にも掲げられております。このため、設置助成制度の導入に向け現在検討を進めているところでございます。また、地中熱利用設備も含め、再生利用可能エネルギーの活用促進について、今後広く調査研究の対象としたいと考えております。
〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕
○都市基盤部長(豊川士朗) 人工芝の多目的運動場における飲み物のルールについてお答えいたします。
現在、白鷺せせらぎ公園、本郷ふれあい公園及び南台いちょう公園の多目的運動場においては、原則として水による水分補給を除きまして飲食は禁止としているところでございます。また、水以外のスポーツドリンク等の飲み物をとる場合には、人工芝部分以外でお願いしているところでございます。熱中症対策等適切な水分補給のため、10月以降、平和の森公園多目的運動場の供用開始に合わせまして、白鷺せせらぎ公園、本郷ふれあい公園及び南台いちょう公園の各多目的運動場についても、水以外のスポーツドリンク等による水分補給を認めていく方向でございます。
〔経営室長、新区役所整備担当部長髙橋信一登壇〕
○経営室長、新区役所整備担当部長(髙橋信一) 私からは、地球温暖化対策の一つ、環境配慮型区役所の実現とケースワーカーの増員についてお答えいたします。
初めに、環境配慮型区役所の実現についてでございます。新庁舎は環境負荷の低減を目指し、自然換気システムなど自然エネルギーの積極的な活用を検討しているところでございます。省エネルギーの手法の活用については、コスト、効率性、効果などを踏まえながら研究してまいりたいと考えます。
次に、ケースワーカーの増員についてでございます。職員定数については、さまざまな行政課題に対応するため、組織体制や業務執行方法などを検討しながら適切に定数管理に努めているところでございます。ケースワーカーについては、これまでも一定の増員を図っているところでございますが、今後も必要に応じて適切に対応したいと考えています。
〔地域まちづくり推進部長角秀行登壇〕
○地域まちづくり推進部長(角秀行) 私からは、西武新宿線連続立体交差事業についてお答えいたします。
まず、まちづくりにおいて住民の意向を反映することについての認識でございます。西武新宿線沿線地域のまちづくりはこれまでも、まちづくりの協議会や勉強会などで長くまちづくりに携わってこられた方々をはじめ、地域の皆様とともに、望ましいまちの将来像や解決すべき課題とその方向性について認識を共有し、一歩一歩着実に取り組んでまいりました。今後とも引き続き丁寧に合意形成を図りながら、地域の皆さんと協働したまちづくりを進めていくことが必要であると考えております。
次に、まちづくりの整備方針についてでございます。まちづくり整備方針は、連続立体交差事業を契機とした新たなまちづくりについて、地域の皆様から御提案いただきましたまちづくり構想を踏まえ、まちの将来像や実現するための施策、そのスケジュールなどまちづくりの方針をお示しするものです。西武鉄道が所有者であります鉄道敷地の活用方策については、利用可能となる位置やその範囲、スケジュールなどがおおむね明らかになる段階で、適切な時期をとらえて、事業主体である東京都、中野区との三者で検討していくものであります。このことから、整備方針の策定段階では検討することができないと考えております。
なお、鉄道跡地等の活用方策の検討に当たりましては、まちづくり整備方針や駅周辺及び沿線のまちづくりとの整合を図り、地域の御要望や多様なニーズを踏まえて検討してまいります。
続きまして、タウンミーティングの開催についての御質問です。まちづくり整備方針の策定段階で説明会など意見を聞く機会を設けて、丁寧に対話を重ねてまいります。さらに、タウンミーティングにつきましても、その趣旨や目的に従い、西武新宿線連続立体交差化を契機としたまちづくりについて沿線各地域にふさわしいテーマを設定するなどして、適切な時期に開催していく考えであります。
〔健康福祉部長小田史子登壇〕
○健康福祉部長(小田史子) 私からは、障害者・高齢者施策についてのうち、日中一時支援事業の区外の施設利用につきましての御質問にお答えいたします。
日中一時支援事業は、障害のある方を在宅で日常的に介護している家族などが疾病等の理由によりまして介護をすることが困難になったときや、障害のあるひとり暮らしの方が御病気などによりまして日常生活を営むことが困難である場合に、身近な施設で支援を受けることで、自立した生活を送ることを目的といたしまして実施しているサービスでございます。宿泊を伴わない日帰りで一時保護を行います事業でありまして、区内の短期入所施設と委託契約を行いまして実施をしております。平成30年度から新たにコロニーもみじやま支援センターと委託契約を行い、サービスの拡充を図っておりまして、利用される方のニーズに対応しましたサービス量は充足しているため、区外施設に対象施設をふやすことは考えておりません。
〔地域支えあい推進室長野村建樹登壇〕
○地域支えあい推進室長(野村建樹) 私からは、障害者・高齢者施策のうち、高齢者の外出の動機付けになるポイントの御質問についてお答えをいたします。
高齢者が社会と積極的なかかわりを持つことで健康寿命を延ばすことは重要であるというふうに考えてございます。高齢者が引きこもりにならず、健康づくりや介護予防等に積極的に取り組むためにも今後、区といたしまして、高齢者の外出の動機付けとなるインセンティブ策について検討してまいりたいというふうに考えております。
〔区民サービス管理部長上村晃一登壇〕
○区民サービス管理部長(上村晃一) 私からは、国民健康保険について、幾つかの質問についてお答えさせていただきます。
最初に、社会保険加入者と比べ重い負担に対する区の認識でございます。国民健康保険の加入者は高齢者が多く、1人当たりの医療費も年々増加しているため、社会保険加入世帯と比べ保険料が高くなる構造傾向にございます。しかしながら、低所得者の国民健康保険料については、均等割額を7割減額するなど社会保険料よりも低くなる傾向にあります。
続いて、全国市長会の今年度の提言に対する区の認識でございます。国民健康保険料は、世帯の所得に応じてかかる所得割額に加え、加入者一律にかかる均等割額があるため、世帯人数の多い子育て世帯の保険料負担が重くなる傾向がございます。全国市長会は、子育て世帯の保険料負担の軽減を図るため、国への重点提言に入れたものと認識してございます。
次に、多子世帯への保険料均等割減免についてでございます。多子世帯の保険料の減免等については、国が制度として定めることと認識しているので、均等割保険料を減免する考えはございません。
最後に、生活保護境界層の保険料の減額についてでございます。生活保護境界層を含め低所得者世帯には、所得に応じて均等割額を減額しているほか、失業などで一時的に収入が減った世帯には3カ月を限度に保険料を減免する制度もあります。したがいまして、これら保険料の減免制度に加え新たな保険料減額制度を創設する考えはございません。
〔教育委員会事務局次長戸辺眞登壇〕
○教育委員会事務局次長(戸辺眞) 私からは、生活保護についての生活保護基準の見直しに伴う就学援助の影響についてお答えいたします。
平成30年6月25日付で文部科学省から、生活保護基準見直しに伴う就学援助制度に生じる影響についての通知を受けているところでございます。生活保護基準の見直しに伴い、児童・生徒が教育を受ける機会が妨げられないよう対応していく必要があると認識してございます。今後、就学援助対象者に対する対応策について検討し、適切に対応してまいります。
〔政策室長朝井めぐみ登壇〕
○政策室長(朝井めぐみ) 私からは、生活保護についての御質問のうち、生活保護基準の見直しによる影響などについてお答えいたします。
まず、生活保護基準の見直しに連動する事業や保護廃止で非課税扱いとなる事業につきましては、区として把握しているところでございます。
次に、生活保護基準改定に伴う他の制度への影響についてでございます。今回の生活保護基準の見直しに伴う影響は極めて限定的であり、現段階において対応を行うことは考えていないところでございます。
○議長(いでい良輔) 以上で羽鳥だいすけ議員の質問は終わります。
中野区議会議員 山 本 たかし
1 区民と向き合う区役所への転換について
(1)組織の見直しについて
(2)IT推進部門の設立について
(3)中野区の未来を担う若手職員の育成について
(4)四季の森公園の芝生の養生状況の広報について
(5)その他
2 保育の質の向上について
3 学校教育について
(1)学校給食食材費の公会計化について
(2)置き勉について
(3)熱中症対策について
(4)不登校について
(5)その他
4 その他
○議長(いでい良輔) 次に、山本たかし議員。
〔山本たかし議員登壇〕
○6番(山本たかし) 平成30年第3回定例会におきまして、立憲民主議員団の立場から一般質問をさせていただきます。
質問は通告のとおりです。その他はございません。
1番、区民と向き合う区役所について、(1)組織の見直しについて伺います。
平成16年度からこれまで中野区では、「目標と成果による区政運営」や「事業部制」による区政運営を行っておりますが、これまでの運営について現在、区長はどのように総括しておられるのか、また、今後どのように区政運営を行っていくつもりなのかお伺いいたします。
中野区の組織については、区政目標体系に基づき、部門、分野、施策に分類され、課を廃止するとともに課長は副参事としてまいりましたが、区民にとってわかりにくい分野は課に、副参事は課長に今すぐ戻すべきです。また、児童館・学童クラブの所管が子ども教育部と別の部になっていることや、災害発生時に肝となる防災分野と危機管理が別の部になっていることなど、区民にとってわかりにくい組織となっております。区民にわかりやすく、パフォーマンスを上げる組織として見直すべきです。同時に、新組織は「絵に描いた餅」とならぬよう、決めたことをしっかり実行できていく組織とならなければなりません。これらを踏まえて組織の見直しが必要と考えますがいかがでしょうか、伺います。
次に、(2)IT推進部門の設置についてお伺いいたします。
中野区では、情報政策に係る組織と情報システムの運用に係る組織が分かれている状況です。そうした中、中野区地域情報化推進計画は平成20年に策定され、10年が経ち時代の変化に対応できておらず、早急に改定が必要だと感じます。マイナンバーによるマイナポータルの活用やAI、IoTの活用を用いて区民サービスの向上や、タブレットによる効率的なアウトリーチ型業務の発展、事務の効率化などを進めていくなど、ICTの恩恵を享受し、区政という船の推進力としていくためには、明確に組織として位置付けるべきと考えますがいかがでしょうか、伺います。
次に、(3)中野区の未来を担う若手職員の育成について伺います。
中野区の職員構成は、職員2,000人体制を維持した場合、平成37年には30代以下の職員が半数を超える見込みです。そもそも入区した新規職員は、10年間で、窓口サービス部門を基本に、内部管理事務や企画調整事務などを部間異動も含めて約3年ごとに経験するローテーションが組まれておりますが、平成27年度に大人数の採用となった82名の職員の大半が、来年5年目で主任試験を受けられることとなり、昇任試験に受かるとそのローテーションルールから外れ、自己推薦で部間異動の申し立てができる状況になります。
本年3月に策定した中野区人事構想では、適材適所の職員配置を行うためには、業務履歴や資格、評価などの人材情報をデータベース化し、各事業部で職員配置に活用できるようにすることとしております。これまで職員は毎年、職務意向申告シートを紙で提出し、管理職はエクセルの人材活用情報シートに記入しておりますが、各事業部等で活用できるデータベースではありません。50人未満で採用を抑えていた平成26年までと違い、28年は91人、29年は132人と採用しており、データベース化されていなければ各事業部で情報が把握しづらい状況が予想されます。今後、更に若手職員が増加していき、区のボリュームゾーンの年代としていきいきと働いていってもらう中にあって、また、職員の希望や部署のニーズとのマッチングをしやすくすることや、部署間での人材の活性化を高めるためにも、人材情報を早急にデータベース化できる環境を構築し、各事業部においても活用が図られるよう進めるべきと考えますがいかがでしょうか、伺います。
次に、(4)四季の森公園の芝生の養生状況の広報について伺います。
2012年、区は中野四季の森公園を整備し、池流れや噴水も整備され、アベニュー側や拡張用地でイベントが行われるなど、多くの子連れ家族の来園者も多く、注目を浴びている公園としてにぎわいを見せております。しかし、先日、私が子どもと道具を携えてピクニックに訪れた際、全面芝生の養生中で使用ができませんでした。そのまま帰るのもどうかと思い、しばらく鳥のツグミを観察して帰ったところです。携帯で区のホームページのトップページから養生中の情報にすぐにたどりつけず、検索しなくてはなりません。せっかく楽しみに来られたにもかかわらず、知らずに同じ状況に陥る方は年間を通して少なくないのではないかと想像いたします。
そこで伺いますが、昨年度、芝生養生により片面だけでも閉鎖し、利用が制限される期間は年間何日でしたでしょうか。また、現状の周知方法とあわせて、区は今後、人気スポットについては検索をせずとも、トップページから情報が得られるよう工夫すべきと考えますがいかがでしょうか。区民と向き合う区役所へ変えるということは、こうした細かい点も含めて、区民目線に立ち、区民ニーズに対して的確に伝わる広報のあり方が問われていることを指摘いたしまして、この項の質問を終わります。
次に、2番、保育の質の向上について伺います。
区政運営4本柱の一つとして、「子育て先進区」を掲げる酒井新区長にかわったことで、7月30日の子ども文教委員会において、区は区立保育園を一定数残すことで区全体の保育の質を確保していく方針や、保育の質の確保・向上に係るガイドラインの策定について示されました。現状を見れば、保育を取り巻く課題は山積しており、事業者も、働く保育者も、保護者も、民営化を進め支えていく行政にも不安があるのではないでしょうか。従前からの「区立も私立も国の運営指針に基づいているから質に差はない」との方針が転換されたことは高く評価しているところです。あれから一月以上が経ち、検討を進めていることと思いますが、現状における考えについて伺います。
質問の前提として、区がやるべきことは、保育の質の向上に向けた総合的な取り組みであって、ガイドライン策定だけで終わるものでないことにまずもって留意していただきたいと思います。
まず、ガイドライン策定を検討するメンバーについてです。今回の一連の経緯を踏まえれば、これまでの区立保育園の民営化の検証は当然ですが、今後のよりよい保育に向けた実践のあり方に至るまで、ガイドラインは区の保育の最低限のボトムを決めるものだと考えます。策定に当たっては、区の内部だけではなく、外部の学識経験者や保護者などを入れ、意見を反映させるべきと考えますが、どのようなメンバーで検討していくつもりなのかお伺いいたします。
また、民営化の検証については多くの自治体が実施しており、例えば、世田谷区では16回の会合を経て、区立保育園民営化検証結果報告書を出しています。別途、有識者や保護者代表を入れた委員会を設けて議論し、結果を報告すべきことを指摘しておきます。
次に、スケジュールについてです。ガイドラインについては、スケジュールどおりに民営化を進めることとした4園の保護者への不安払拭のためにも、世田谷区や足立区などの策定区を参考に、よりしっかりしたものを策定する必要があると考えます。8月30日の子ども文教委員会で、「現在、区立保育園長会でガイドラインについての検討素材を整理している」との進捗報告がありましたが、今後どのようなスケジュールで進める予定かお伺いいたします。
ガイドライン策定後は、区内全ての保育施設でしっかり運用がなされるよう、活用を図っていくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。現在、民間保育所等の連絡会を月1回行っておりますが、このような機会において、ガイドラインの活用ができると考えますがいかがでしょうか。
また、一旦初版のガイドラインを策定した後も、実務で適用して不足がなかったか検証した後に、更によいものにアップデートが必要であることも指摘しておきます。
次に、保育士の確保・就労継続についてお伺いいたします。ここ数年、区の私立園の就職フェアを実施しておりますが、参加園より参加人数が少ない厳しい保育士不足が続いている現状ですが、解決には保育士の就職支援や、就労中の悩みを相談できる産業カウンセラーなどへの心のケア体制、多数おられるとされる潜在保育士のニーズ調査を行うことにより、保育士として復職することの困難の解明も必要ですし、離職しない就労継続に向けた支援体制づくりも必要です。保育士の処遇改善については、公定価格など国の制度があっても実際の給与の反映されていない実態が、報道により明らかになりつつあります。国の想定より100万円以上低い年収であったり、全産業平均より10万円以上の開きがあることや、長年の経験があるが、キャリアが給与に反映されないのであれば復職する気になれないといった声もよく聞かれます。
国や地方自治体は、保育士に十分な待遇を確保するための人件費割合を7割程度と想定して補助し、保育士の給与は年収380万円程度になると見込んでいるようですが、月刊誌「世界」2018年2月号・3月号での特集記事「職業としての保育園」によれば、東京23区でキャリアアップ補助金を受けた保育所733施設の財務諸表から算出した保育者人件費比率では、4割を切っている施設は社会福祉法人では8.2%、株式会社では41.8%もあったそうです。保育士にお金が届いていない現状が垣間見えます。保育は人の命を扱い、就学前のかかわりが愛着や人格形成など人としての大変重要な基礎となる時期を扱う専門性が求められる尊い職業であり、大変な労働現場です。給与に乖離があり過ぎると考えます。ベースアップやキャリア加算など給与の上乗せ補助を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、周知方法にも課題があると考えます。世田谷区では、区内私立保育園の保育士や調理師確保などを支援するため、「せたがやHoikuWork」という保育人材情報サイトを立ち上げ、区のホームページにも掲載し、求人者へのアピールに活用しております。そこでは、世田谷区の保育の質ガイドラインの紹介や区独自の人材確保事業などを載せており、求人者に行政としてしっかり取り組んでいると認識してもらえるようなサイトになっております。中野区でも、私立保育園の保育士確保支援として保育人材情報サイトを立ち上げ、区のホームページに掲載してはいかがでしょうか、伺います。
最後に、保育所運営充実費について伺います。平成24年度より保育所運営充実費の単価が1,300円から1,000円に引き下げられております。他区と比べると二分の一以下の現状がありますが、引き上げるべきではないでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。
次に、3番、学校教育について、(1)学校給食費の公会計化について伺います。
初当選初質問から継続的にこの課題を問うておりますが、新区長となりましたので、改めて簡潔にお伺いいたします。学校給食食材費を、約60年前の文科省の行政実例による学校現場で管理する私費会計制度ではなく、自治体の歳入・歳出とする公会計であることが基本であり、公会計化することによって会計の透明性が担保されること、さらには、真の未納者数が見え、議会、区民が実態把握できるということ、それによって現状において次の策を考えることができるということです。学校給食食材費の公会計化をすべきと考えますがいかがでしょうか、伺います。
次に、(2)児童・生徒の携行品の重さや量への配慮、いわゆる「置き勉」などに対する弾力的な対応について伺います。このことにつきましては先日、文科省から通知が出され、テレビや新聞などでも報道されたところです。昨今、教科書の大型化や教材の多様化などにより、児童・生徒が持ち運びする学用品の重さや量が増加傾向にある一方、特に小学校低学年児童への体力及び健康への影響が指摘されております。そこで、各学校には、この通知を受けて柔軟な対応を望みたいと思いますがいかがでしょうか、伺います。
また、荷物を置けるスペースがそもそも学校にあるのかどうかという問題があります。区では平成26年度に、既に小学校においてロッカー設備を拡大完了したところです。しかし、中学校においてはロッカーの拡張についていまだ行われておりません。このため、部活の道具を机の両脇に吊り下げたりする状況であり、教室で足の踏み場がないぐらいとの声を近年続けて聞いており深刻です。備え付けのロッカーに関しても何十年も前のもので老朽化している状況であり、施設スペースの都合から難しい現状にあることも理解しておりますが、当時と違い、子どもの発育もよくなっており、集中して勉強ができる伸びやかな学習環境とはとても言えない現状を変えなくてはなりません。進めてきている学校統廃合の影響から更に通学圏が広がり、通学時間が長くなった、あるいは、なる予定の生徒がふえる状況において、今回、国からの通達があったことも考慮すれば、中学校においてもロッカー設備の更新や拡充をすべきと考えますがいかがでしょうか、伺います。
次に、(3)熱中症対策について伺います。
自然災害レベルと評される今年度の暑さの子どもたちへの影響は甚大です。小・中学校の普通教室への冷暖房設備について、区はいち早く取り組み整備をしましたが、耐用年数15年が経ち、既に不具合が出ている学校も出ていると聞いております。老朽化した冷暖房設備が故障したときには、部品交換や部品がない場合は入れかえなどすぐに対応は可能なのかお伺いいたします。
また、特別教室の冷暖房設備は、平成32年度までに順次整備する計画が示されておりますが、体育館には大型扇風機があり、熱風が来るだけでは意味がないとの要望に対して、冷風機を応急的に配備完了したところです。しかし、冷風機1台だけでは広い体育館ではまだまだ役割不足です。冷暖房設備を設置する計画をどのように考えているのか伺います。
さらに、現場では水筒を持参してもすぐに中身がなくなってしまうため、水分補給のための冷水器の設置を望む声が保護者から上がっております。卒業生や地域の方からの寄附によって設置されている学校もあれば、ない学校もあるようです。冷水器を早急に全校に設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、(4)不登校についてお伺いいたします。
ことしの第1回定例会予算総括質疑において、不登校や引きこもり対策として社会的投資収益率、いわゆるSRОIの視点を持つことが重要だと質問させていただきました。例えば、これまでの事業評価は、予算投資として引きこもり者への就労支援費用を計上し、その結果として安定就労の獲得といった考え方ですが、それだけではなくて、就労者が今後生み出す経済活動額や、生活保護等の社会保障費の削減額や納税額などを足したリターン効果も結果として考えることが必要で、これが我が会派が訴えてきた、まさに人への投資の考え方の一つです。
引きこもりになる前に不登校があります。不登校となる前には悩みを抱えた子どもや保護者が大勢おります。子どもたちからのSОSの受けとめと、保護者からのSОSを受けとめる方策が必要だと考えます。2点提案をさせていただきます。
区には、昨年1人拡充がなされ、現在3人のSSW(スクールソーシャルワーカー)がおりますが、家庭にも入っていけるSSWの存在は、子どもを取り巻く状況全体を見通し、かかわる人や関係機関の接着剤のような役割を担っており、子ども本人や保護者、学校現場からのニーズは大変高いものと聞いております。実際、不登校となる原因は多岐の個別ケースにわたり、適応指導教室に通える子が少なく、平成28年度では14.4%の利用状況でしたが、29年度からはSSWによる家庭への巡回指導もあわせたところ26.3%に上がっております。しかし、SSW1人当たりの現在の勤務日数は月8日で、担当する業務量として時間的不足が否めません。SSWの勤務日数をふやし、かかわれる時間をふやすべきと考えますがいかがでしょうか、伺います。
一方、都はこの夏、主に高校生向けにSNSを用いた相談窓口を開設しました。LINE・STOPITなどSNSを用いた、子どもたちからのSОSを受けとめる相談窓口の早急な開設につきましては、我が会派から再三要望を出させていただいたところです。3年後に迫った(仮称)子ども総合センターにおいて、児童相談所を設置し、子育て・子育ちへの相談体制を拡充すべく検討いただいているところですが、特にSNSを身近に活用している子どもたちにとっては必要不可欠と考えます。また、SNSを身近に活用しているのは保護者も同じことです。共働き世帯が圧倒的に多く、核家族化や地域とのつながりの希薄化、親の孤立化、身近に親としてのお手本がいない、ネットなどで子育て情報が氾濫している、共働き世帯が圧倒的に多くなっていることなど、ここ10年で保護者を取り巻く環境やライフスタイルが大きく変化しております。電話相談、窓口相談はそれだけでハードルが上がりますし、実際相談される方は既にある程度課題として表出している段階だと思います。その前段階として、気軽に子育ての悩みを相談できる窓口として期待できます。SNS相談システムの対象者について、児童・生徒のみならず、保護者へも対象を拡大すべきと考えますがいかがでしょうか、伺って、私の全ての質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 山本たかし議員の御質問にお答えいたします。
私からは、区民と向き合う区役所についてでございます。
これまでの区政運営の総括と今後の区政運営についての御質問でございました。目標と成果による区政運営は、常に目標と達成手段の見直しを図る仕組みとして実施してきたものでございますが、行政評価の実施方法の見直しを行い、事業のスクラップ・アンド・ビルドをより推進していく必要があると感じております。事業部制については、資源を部が所有し活用するという民間の事業部制のメリットを十分に生かすことができていないと評価しております。区長の権限を委譲していくという考え方については継承してまいります。今後は、区民とともにつくる区政の実現に向けて、地域に出て区民と対話を行う職員を育成し、区民の声を反映した区政運営を推進してまいります。
次に、組織の見直しについての御質問です。区の施策を着実に推進していくためには、組織が有効に機能していくことが必要であります。また、区民にとってわかりやすい組織となることも求められております。これらを踏まえて、現在使っている副参事を課長に改めるととともに区民にわかりやすい組織名にすること、更に効果的かつ効率的な組織体制を目指すため、組織の見直しの検討を今、進めているところでございます。
次に、IT推進部門の設立についての御提案でございます。現在は、情報政策を所管する部と情報システムの管理運用を所管する部が異なっているため、密接な関係にある両組織間の連携について課題がありました。情報政策の形成とその実現に向けたICTの利活用を効果的に進め、区民サービスの向上や事務の効率化等、ITを更に推進していくための組織の見直しについても今、検討を進めているところでございます。
次に、人材情報のデータベース化についてでございます。現在は、職員の過去の職務経験や職務履歴等を単年度ごとに紙で管理しており、複数年でのデータ管理ができておりません。そのため各部においては、適材適所の職員配置を行う際や人材育成等において課題が生じております。適材適所の職員配置や人材育成等に活用できるよう、人材情報のデータベース化の取り組みを進めてまいります。
次に、四季の森公園の芝生の利用制限についての御質問でございます。まず最初に、使用が制限されている期間について、四季の森公園は、年間を通じて緑の芝を楽しんでいただくために養生期間が長く、平成29年度は6月、それから11月と12月に60日間全面閉鎖といたしました。利用が制限される期間は冬季の1月から4月までの間等、年間185日間制限がございます。
最後に、中野四季の森公園の利用に関する情報発信についての御質問でございました。区民目線に立った情報発信は重要であると考えておりまして、ホームページのトップページ内に直感的に操作することができ、目的とする情報が一目でわかる検索機能であるガイドナビゲーション機能を設けるなど工夫を行ってまいります。
〔子ども教育部長、教育委員会事務局次長戸辺眞登壇〕
○子ども教育部長、教育委員会事務局次長(戸辺眞) 私からは、保育の質の向上についての質問にお答えします。
まず、保育の質ガイドライン策定のメンバー、スケジュールについてでございます。保育の質ガイドラインにつきましては、本年度中に策定委員会を発足し、策定委員会で検討を行い、31年度中に策定する予定でございます。策定委員会につきましては、学識経験者、保育運営事業者などを委員として現在検討しているところでございます。
次に、ガイドラインの活用方法についてでございます。ガイドラインは、区内の全施設に向けて研修会等において周知を図ってまいりたいと考えてございます。区の運営支援担当が民間保育園を巡回し、必要な指導・助言を行う際はもとより、民間保育園等でも十分活用が図れるよう、あらゆる機会をとらえ啓発してまいります。
次に、保育士の処遇改善のための区独自の上乗せ補助についてでございます。現在、処遇改善等加算では、職員の平均勤続年数、経験年数により、経験年数に応じた加算率を乗じて加算して給付し、民間保育園運営事業者に支援しているところでございます。保育園等におけます保育の質の確保・向上には、保育士の確保、適正配置が重要であるということから、今後、具体的な支援策について検討してまいります。
続きまして、保育人材情報サイトの区のホームページへの掲載についてでございます。区におきましても、私立保育園等における保育士不足が課題になっていることは認識してございます。保育士の人材確保につきましては、区の就労求人支援サイト、いわゆる「ぐっJОBなかの」に登録することで保育士を募集することが可能でございます。就労求人支援サイトにつきまして、民間保育所等に周知し、活用を図ってまいります。
次に、保育所運営充実費の単価引き上げについてでございます。保育所運営充実費は、民間保育所の運営を充実させるために区がさまざまな独自加算を行っているものの一つでございますが、民間保育所の保育の質の確保・向上に影響があることから適切に対応するよう検討してまいります。
次に、学校教育についてでございます。
給食費の公会計化という御質問でございます。学校給食の公会計化について、現在、教員の働き方改革を進めていく中で、給食費を含む私費会計の公会計化につきましても検討してまいります。
続きまして、置き勉、教室に置いてある勉強道具のことですが、置き勉への柔軟な対応についてでございます。児童・生徒の携行品の重さや量への配慮につきましては、従来から各学校においてさまざまな対応を行っているところでございます。一方、教科書やその他の教材等は家庭学習も視野に入れた指導を行う上で重要なものでございます。今後も文部科学省からの通知を参考に、児童・生徒の発達段階や学習上の必要性、通学上の負担等を考慮し、学校や学習の実態にあわせて学校に置いていかせたり、持ち帰らせたりするなど、柔軟に対応するよう働きかけてまいります。
次に、大きなサイズの生徒用のロッカーの整備についてでございます。教科書等が以前に比べて大きくなっていることなどの理由から、既存の生徒用ロッカーに教科書や用具等が入り切らない状況になっているため、教育委員会としてもロッカーの大型化に対応してまいりました。普通教室への大きなサイズのロッカー導入は、小学校については平成29年度に全ての学校への設置を完了し、中学校の一部に設置されている状況でございます。中学校のロッカーの大型化につきましては、既存のロッカーの設置場所の関係から、そのままの位置で大きいものに置きかえることが難しい場合もあるなど学校ごとに事情が異なるため、各校と設置場所や設置時期について調整しながら、設置する方向で対応を進めてまいります。
次に、普通教室の冷暖房設備の補修についてでございます。一部の小・中学校の普通教室におきまして冷暖房設備の不具合が生じていることは把握しており、部品の交換や内部洗浄等のメンテナンスを行っております。今のところ大きな支障は生じてございません。
次に、小・中学校体育館の冷暖房設備の設置についてでございます。中野区立小中学校施設整備計画の中で、校舎等の改築が予定されている学校につきましては、改築時に体育館への冷暖房設備を設置してまいります。改築が予定されていない学校や、学校統合により今後仮校舎として使用する予定のある学校につきましては、改築までの想定年数や仮校舎としての使用年数等を考慮しながら計画的な配置について検討してまいります。
次に、冷水器の設置についての御質問です。現在、小学校11校及び全ての中学校におきまして冷水器が設置されてございます。区では改築が予想されている学校や学校統合により使用を終了する学校以外の学校におきまして、比較的冷たく安全な水が飲めるように、平成28年度から平成32年度までの計画で水飲み栓直結給水化工事を進めているところでございます。また、学校の意向を確認した上で、水飲み栓直結給水化工事にあわせ冷水器の設置を行っているところでございます。
次に、不登校にかかわりまして、スクールソーシャルワーカーの勤務日数の拡充についての御質問です。児童・生徒の不登校につきましては、さまざまな要因が複雑に絡み合い、学校だけではなく、学校と家庭、行政とが連携し一体的に対応していくことが求められているところでございます。そのような状況の中で、学校と家庭、行政とをつなげる役割を担うスクールソーシャルワーカーへの学校及び家庭からのニーズは更に高まっております。現在の勤務日数では十分でない状況であることは認識してございまして、勤務日数の増加を含め、その業務がより充実するよう検討してまいります。
最後に、対象者を保護者へ拡大したSNSを活用した相談システムの導入についての御質問です。各学校では、子ども本人はもちろん保護者からの相談につきましても、まずは担任や教育相談、特別支援教育担当の教員、スクールカウンセラー、こころの教室相談員、スクールソーシャルワーカーなどが対応しているところでございます。また、教育相談室では、子どもはもちろん、保護者からの電話相談、面接相談にも応じているところでございます。このほか区教育委員会では、東京都教育相談センターが従来行っている電話相談に加え、試行的に実施しているアプリを活用しての相談窓口を学校に周知をしているところでございます。児童・生徒及び保護者は日常的にSNSを活用している状況がございまして、SNSを相談窓口とすることは相談のきっかけづくりとして一定の効果があると認識してございます。一方で、その導入に向けては、システムの構築や相談を担当する人的配置などの体制を整えていく必要がございます。今後は、先行して実施している各自治体の情報を収集しながら、その成果と課題を分析し、本区におけるSNSを活用した相談システムの導入について検討してまいります。
○議長(いでい良輔) 以上で山本たかし議員の質問は終わります。
中野区議会議員 いながき じゅん子
1 中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについて
(1)区役所サンプラザ地区について
(2)区役所新庁舎について
(3)外部人材登用について
(4)その他
2 東中野駅周辺を路上喫煙禁止地区にすることについて
3 その他
○議長(いでい良輔) 次に、いながきじゅん子議員。
〔いながきじゅん子議員登壇〕
○28番(いながきじゅん子) 第3回定例会に当たり一般質問をいたします。
質問のその他はございませんが、最初に中野駅新北口駅前エリアのまちづくり方針について伺います。
前区政では、このエリアの目指す都市像を「グローバル都市としての中心核を形成する中野のシンボル空間」と位置付け、事業を進めてきました。このエリアが中野のこれからのまちづくりにおいて重要な拠点となることは間違いございません。新区長が誕生したということで、改めて、この新北口駅前エリアで今後どのようなまちづくりを進めていきたいとお考えなのか伺います。
具体的にどのような将来像を目指して、これまで区がグローバル都市と言ってきたのはよくわかりませんが、都心区の再開発で進められているような国際金融都市を中野区が目指すことは難しいと思いますし、私は区民生活に直結する中野らしい特徴を持ったまちづくりを進めていくべきだと考えております。
例えば、中野区は地方から上京した若者が最初に住むまちと言われたことがあります。実際に学生時代、あるいは若いときに中野区に住んでいたという方の声を驚くほど多く聞きます。若者が集まるこのまちで、再開発を通して若者の起業やアーティスト活動の支援拠点をつくり、スタートアップのまち中野を打ち出したまちづくりですとか、昨今はフリーランスや自営で働く方がふえ、テレワークを推進する企業もあらわれ始めていることから、そのような働く場所を選ばない方々のビジネス拠点づくりを通して、多様な働き方を応援するまち中野というコンセプトも区のイメージにふさわしいのではないかと思います。また、お子さんを保育所に入れづらい子育て中の女性もふえて、フリーランスや自営で働く子育て中の女性もふえてきており、託児所つきのコワーキングスペースやシェアオフィスなどの需要も高まってきています。女性の起業支援や再就職支援など、ソフト面とあわせてハード面を整備し、働く女性を応援するまちとして女性たちが集まってくれば経済効果やまちのイメージアップも期待できます。また、区長が掲げている子育て先進区の象徴となるような拠点づくり等を通して、子育てしやすいまちづくりにつなげていくこともできるのではないでしょうか。再開発のその先のまちづくりについて、区長のお考えをお聞きします。
次に、区役所サンプラザ地区について伺います。
区長は6月の就任直後に、サンプラザ解体・1万人アリーナ計画の見直しを発表されました。私は、そのようにおっしゃるからにはこの地区の再整備をゼロベースで見直す、特に1万人アリーナ建設に関しては中止を前提として、計画を一旦ストップされたとばかり思っておりました。しかし、これまでの議会答弁や委員会報告の内容を見る限り、区民の声を聞いて検証するとはいうものの、前区政の計画をそのまま引き継ぐのではないかという印象も拭えず、一体どのようにされたいのだろうというのが率直な感想です。そもそも区長御自身のお考えはなかったのか、区長に就任してから時間をかけて区民の声を聞き、それから方針を決めるというのは少々のんびりし過ぎなのではないかと感じます。区民の声を直接聞くことは大切ですが、そればかりに頼らず、まず区長がリーダーシップを発揮して、方向性を示すことが大切なのではないでしょうか。
前区政でも、区役所・サンプラザ地区再整備、アリーナ建設についてはさまざまな会議体が設置され、議論がされてきたところであり、区が公募した事業協力者も含め、判断材料となる専門家の知見や関連資料もこの間、町内でかなり蓄積されてきているのではないかと思います。それらと区長がこれまで御自身でお聞きになってきた区民の声をベースに、最初の質問で伺いました新北口駅前のまちづくりビジョンを明らかにし、まず区役所・サンプラザ地区再整備事業に関して一定の方向性を示した上で区民や議会の声を聞く、そしてそれを反映させた再整備基本計画案を早期に策定するべきなのではないでしょうか。区役所・サンプラザ地区の再整備は新庁舎の財源問題に直結しているだけではなく、中野駅の混雑緩和、バリアフリー化の実現に向けて急がなければならない中野駅西側南北通路・橋上駅舎の整備とも連動しています。ほかの事業を円滑に進めるためにも、早急にこの区役所・サンプラザ地区再整備の方向性を明確にすることが必要です。昨日の会議での区長答弁をもとに、サンプラザは計画どおり取り壊され、建てかえられることになったと早速、各メディアのニュースに取り上げられていましたが、1万人アリーナはどうなるのでしょうか。サンプラザを解体してアリーナを建設し、そのホール機能をアリーナに移すということなのでしょうか。サンプラザの今後とアリーナ建設について、区長のお考えを我々区民に向けて、わかりやすい言葉で御説明していただくことを改めて求め、次の質問に移ります。
次に、新庁舎について伺います。
私は、せっかく区役所・サンプラザ地区再整備事業の見直しをかけるのであれば、必要に応じてそれと連動する区役所新庁舎建設についても見直しを辞さない姿勢で臨むべきなのではないかと考えています。新庁舎は、設計施工一体方式で進める予定となっています。基本設計は今年度中に終了予定とのことですが、区役所・サンプラザ地区の再整備基本計画も定まらないまま、そのエリアの土地活用から現実的に幾ら新庁舎建設の財源に充てられるのか全く不透明なまま実施設計、施工を進めるのは問題ではないでしょうか。私は時期尚早であると反対いたしましたが、議会の賛成多数で区役所の位置の変更に関する条例は可決され、現中野体育館の位置への庁舎の移転建てかえは決定をしております。しかし私は、区民の貴重な資産である駅前一等地の売却なくしては新庁舎建設の財源が捻出できないというのであれば、現地建てかえやリノベーションも含め、庁舎整備の大幅なコストダウンの可能性や方策を模索し、売却を避けられるような手法も検討すべきだと考えます。新庁舎の移転予定地は形状もよく、民間事業者にとっても活用しやすい場所だとも聞いております。もちろん計画を変更すれば相応の期間や経費が別途発生することにはなりますが、決めたことを決めたとおりに進めることだけが再開発の重要な目的ではないと思います。区民の将来負担を極力減らし、区民の生活をより豊かにするまちづくりと持続可能な区政運営の実現のためにどのような形が最適なのか、改めてこの機会に新庁舎の位置や建設手法についてもさまざまな可能性を比較検討し、区役所・サンプラザ地区の再整備と合わせて最適なプランを導き出す努力をすべきではないでしょうか。区の考えを伺います。
なお、私は、新庁舎建設、区役所サンプラザ地区再整備、西側南北通路・橋上駅舎事業、これらの事業を全て連動させて進めようとしてきたことがさまざまな問題を引き起こしていると考えています。今からでも、これらの事業を一旦切り離して進めることはできないのでしょうか。中野駅の混雑緩和やバリアフリー化を一刻も早く実現すべく、西側橋上駅舎の新設はとにかく急がなければなりませんし、駅利用者の方々もそれを望んでいます。しかし、区役所やサンプラザはまだまだ使えるのではないかというお声を聞くことはあっても、一刻も早く建てかえてくれというお声は聞いたことがありません。西側南北通路・橋上駅舎と新北口広場の整備が、区役所・サンプラザ地区再整備や、新庁舎建設の事業スケジュールやその内容に振り回されることなくスピーディーに進ませることができるよう、また、新庁舎建設の財源も、現庁舎とサンプラザの土地の活用に無理に限定されることなくさまざまな可能性を検討できるよう、連動しているこれらの事業を一旦切り離し、事業の組み立て自体を見直してもよいのではないかと思いますがいかがでしょうか。区のお考えを伺います。
先月開催の総務委員会で、「(仮称)地域包括ケア推進担当部長」として一般任期付職員を公募するとの報告がありました。期間は3年間、組織や部下を持たない部長級の職員ということですが、生え抜きの職員ではなく、わざわざ民間から副区長に次ぐ部長職という重い職責の人材を公募するのですから、ぜひとも自治体が陥りがちな縦割り行政の改善や、役所ではなく区民の視点や利便性を第一に考えた地域包括ケアシステムの体制づくりを実現していただきたいと思います。また、部長職という強い権限のもとに民間のやり方を一方的に押しつけたり、スタンドプレーに走ったりすることなく、職員や現場の最前線で働く人たちがこれまで積み上げてきたものをきちんと理解しながら、ともに事業を進めていこうという意志をお持ちの方を選任していただきたいと思います。
2025年に到来すると言われている超高齢社会に向け、地域包括ケアシステムを強力に推進したいという区長のお考えは理解いたしますが、区政の現状に目を向けますと、それ以上に今後50年、100年の中野のまちづくりに大きな影響を与えるであろう、そして中野区の顔ともなる中野駅周辺再整備事業、特にこれまで伺ってきた新北口駅前エリアのまちづくりを円滑に進めることも、地域包括ケア事業と同じか、それ以上に喫緊の課題と言えるのではないでしょうか。
区長は先月、豊島区の新庁舎の視察に行かれたそうですが、税金投入ゼロという区役所新庁舎建設の事業スキームは、区の職員が中心となってつくり上げたものだそうです。豊島区は財政難で一旦新庁舎整備計画が中断して、時間的な余裕があったことから、素人同然だった区の担当職員たちが、その間、必死で勉強して、「区民に負担をかけない」という区の意向を設計会社やディベロッパーに明確に伝え、意思疎通をしっかりと図りながらスキームを構築し、事業を進めることができたのが大きな成功要因だったと当時の担当部長さんはおっしゃっていました。
一方、中野区はどうでしょう。現時点で、区役所・サンプラザ地区の再整備事業はストップし、民間の協力を得ようにも思うように得られない一方で、中野駅西口橋上駅舎建設工期の更なる短縮や、区役所新庁舎の建設資金の財源捻出といったさまざまな課題があり、お世辞にも事業全体がスムーズに進んでいるとは思えません。今の都市政策推進室と都市基盤部、経営室が縦割り状態で、各分野間の横の連携や情報共有も十分なされているとは言えない状況を打破し、事業を強力に推進していくためのかなめとなる人材招聘が地域包括ケア事業以上に急務なのではないでしょうか。これまでの経緯を見ましても、「区民負担をゼロにする」という豊島区のような明確な方針もないまま、今後50年、100年の中野のまちづくりの重要な拠点となる区役所・サンプラザ地区の再整備を、ファイナンス計画も含め民間の事業協力者にお任せ状態で、JRや民間のディベロッパーに区の要望や主張を的確に伝え、対等に交渉ができるぐらいのノウハウを持つ内部人材の育成も進んでいないように見えます。今からではそれも間に合わないでしょうし、これから新庁舎建設を含め本格的に進んでいく新北口駅前エリアのまちづくりを円滑に進めるための一つの方策として、各方面とのパイプを持つしかるべき経験者を外部から登用してはいかがでしょうか。現在、オリンピック・パラリンピック前ということで、優秀な人材を獲得するのはなかなか困難かもしれませんが、必要なことだと思います。区長のお考えをお聞きします。
次に、東中野駅周辺を路上喫煙禁止地区にすることについて伺います。
先月の建設委員会で、区が予定していた東中野駅西口付近への喫煙所の設置が延期されたとの報告がありました。東中野駅については、JRの駅構内は全面禁煙ですが、西口側自由通路やロータリーなど区が管理している場所が路上喫煙禁止地区に指定されていないため、自由通路やバス停に設置されているベンチで座りながら喫煙し、吸い殻を捨てていく方がいます。禁止地区でないからという理由で注意喚起の表示もできない状況です。受動喫煙防止の観点からも、人が集まる駅周辺での路上喫煙には早急な対策が必要です。区は、駅周辺の歩行喫煙や吸い殻のポイ捨てなどを防止するという理由で、東中野駅西口への喫煙所の設置を決めたとのことですが、東口のほうにはつくらないということで、その効果には疑問を感じます。そもそも喫煙所の設置よりも、駅周辺を路上喫煙禁止地区に指定することのほうが確実に効果はあると思われます。1人の喫煙者が吸ったたばこの煙は、無風の状態で半径7メートルから14メートルの範囲に影響を及ぼします。複数の喫煙者が屋外喫煙所でたばこを吸うと、その煙は何倍もの範囲に広がることになります。
東京都立川市では、JR立川駅及び西国立駅周辺が路上喫煙禁止地区となっていますが、平成28年に禁止地区の指定喫煙所を廃止いたしました。もし区が東中野駅周辺を路上喫煙禁止地区にするための布石としての喫煙所の設置ということであれば、禁止地区にするために喫煙所を設置しなければならないという法的根拠はなく、通行人の受動喫煙を避けられないような、ゆとりのない場所に地元の反対を押し切ってまで無理に設置をする必要もないと考えます。禁止地区にした場合は、喫煙所のかわりに以前区が実施をしていた巡回パトロールを復活してみてはいかかでしょうか。
また、今回の喫煙所設置、管理、運営はJT日本たばこ産業株式会社が行う予定だったとのことですが、日本はたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)の締結国であり、この条約にのっとれば、JTさんから無償で喫煙所の設置、管理、運営をしていただくことは、中野区がJTのスポンサー活動を認めることになり、第13条にある、たばこ産業の広告、販売促進及び後援活動を禁止するという条文の規定に抵触するおそれがあります。以上のことからも東中野駅西口への喫煙所設置計画は中止とし、速やかに駅周辺を路上喫煙禁止地区にするべきだと考えますが、区の見解を伺います。
以上で私の全ての質問を終了いたします。ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) いながき議員の質問にお答えいたします。
まず、中野駅新北口駅前エリアのまちづくりについてでございます。平成30年3月に策定した中野四丁目新北口地区まちづくり方針において、中野駅新北口駅前エリアについては、新たな価値と成熟したライフスタイルを発信する中野のシンボル空間として、集客交流施設や業務、商業、宿泊、住宅などの多機能複合施設によって地域経済の発展を牽引することを目指すこととしております。今後もまちづくりの方針は基本的に変わることはありませんが、区民にとっての誇りや暮らしやすさなど、区民目線のまちづくりを大切にしていきたいと考えております。
次に、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画についての御質問でございます。中野駅新北口駅前エリア再整備については、再整備事業計画を今年度中に策定する予定としておりましたが、区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議などにおける一定の議論を経ながら、並行して計画検討を進めていき、年度内を目途に素案を示せるよう取り組んでまいります。
中野サンプラザやアリーナについての御質問でございます。中野サンプラザについては、区民から施設そのものを残してほしいという声も聞かれましたが、これまでの経緯や、今後存続した場合の課題、中野駅整備との関係など総合的に判断し、再整備を進めていく考えでございます。中野のまちが継続的に発展していくためには、中野サンプラザの後継施設としてのホールやコンベンション機能が必要であると考えておりますが、施設形状はアリーナ型がいいのか、1万人という規模が妥当なのか、どのようなコンテンツを発信していくのがいいのかなどの検討が必要であり、今後は区民会議などを通じて議論してまいります。
新庁舎整備の必要性でございます。新庁舎の整備に当たっては、現庁舎が竣工から50年を経過し、老朽化や災害対策などさまざまな課題を抱えていることから、早期の建てかえが必要だと考えており、計画どおり新庁舎の整備を進めてまいりたいと考えております。
それから、中野駅新北口駅前エリアと関連する事業についての御指摘でございます。中野駅西側南北通路・橋上駅舎整備は、新北口駅前広場に係る都市計画を与条件として進めているものであり、新北口駅前広場整備や周辺の道路ネットワークは、中野駅新北口駅前エリアにおける街区再編によって成り立つものでございます。それぞれの事業を切り離して行うことは難しいと認識しております。
〔経営室長髙橋信一登壇〕
○経営室長(髙橋信一) 私からは、外部の人材の活用についてお答えいたします。
これまでも、さまざまな形で庁内の人材育成をしっかり進めるとともに、専門知識や経験などの人材の活用を行ってきたところでございます。今後も人材育成を進める中でも、必要に応じて民間も含めた人材の活用を検討していきたいと考えております。
〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕
○都市基盤部長(豊川士朗) 東中野駅周辺を路上喫煙禁止地区にすることについてでございます。
東中野駅西口の区指定喫煙所につきましては引き続き検討してまいります。また、シルバー人材センターにおいては、区が実施するマナーキャンペーンの中で御協力をいただいておりまして、今後も引き続き協力して、歩行喫煙やポイ捨て防止の啓発を行ってまいりたいと考えてございます。
それから、路上喫煙禁止地区の指定については、区指定喫煙所の整備状況や路上喫煙率、吸い殻のポイ捨ての実態、駅の乗降客数や通行量、地元町会・自治会や商店会の要望など総合的に考慮した上で検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(いでい良輔) 以上でいながきじゅん子議員の質問は終わります。
中野区議会議員 篠 国 昭
1 中野区の「自治基本条例」の法律的問題点について
2 少子化の危機について
(1)区長の使命について
(2)母を育てる無力なゼロ歳児について
(3)その他
3 教育問題について
(1)総合教育会議について
(2)平成30年度全国学力・学習状況調査について
(3)その他
4 その他
○議長(いでい良輔) 次に、篠国昭議員。
〔篠国昭議員登壇〕
○35番(篠国昭) 第3回定例会に当たり、自由民主党議員団の立場で質問させていただきます。
私の質問は1番目に中野区の「自治基本条例」の法律的問題点について、2番目に少子化の危機について、その中身は、一つ目は区長の使命について、二つ目は母を育てる無力なゼロ歳児について、3番目に教育問題について、その一つは総合教育会議について、2番目は平成30年度全国学力・学習状況調査について、大きな4番として、その他で扶助費と防災について質問させていただきます。
最初に、中野区の「自治基本条例」の法律的問題点についてお伺いします。
「自治基本条例」は、もともと1970年代学生運動が盛んなころ、法政大学の松下圭一教授が提唱したものです。菅直人元首相、仙谷由人元官房長官などの民主党幹部が松下理論の信奉者でした。その理論とは、国家の概念を否定し、個人やグループの存在と発言に重きを置く運動の中で生まれました。市民がやれないことを市町村がやり、さらに、市町村がやれないことを都道府県がやる、都道府県がやれない部分を国がやるという理論が生まれました。いわゆる「補完性の原理」です。そして、国がやれないことを国際機関がやる。「地球市民」などという発想も、こういうところから出てきています。
16年前、田中区長は、「私は頭のてっぺんからつま先までリベラルだ」、このキャッチフレーズのもとに登場しました。そして基本構想の原案では、この「地球市民」という言葉が入っておりました。自民党との激しい議論の末、それを引っ込めた経緯があります。いずれにしろこの理論は、自治体の権限も財源も、議会も行政も、市民からの「信託」にすぎない。国家も地方自治体も、市民の「信託」によって成り立つと理論づけています。これが「複数信託論」です。しかしこれでは、議会も行政も法的根拠が不要になり、市民の総意でどのようにでもなるという理論になり、市民の言いたい放題になって収拾がつかなくなる危険性があります。この考え方は、法律の範囲内で地方自治を認めている憲法の考え方とは大きく異なっています。
かつて民主党のマニフェストは、松下理論の上につくられており、市民中心の「補完性の原理」と「複数信託論」が反映されていました。財源などに責任を持たない、耳に心地よい言葉が並んでいるのも、こうした流れの中から出てきています。酒井新区長におかれましては、財源に思いをいたしている御様子がうかがわれます。必ずしもこの理論の信奉者ではなさそうです。
あらゆる市の基本条例の制定にかかわった市議は、みずからのブログで、「市民参画懇談会の中で、ある委員の方が「この条例をつくらなければ困ることが何かあるのか」と質問したところ、市の執行部から返った答えは「何もない」だったそうです。」こう書いています。自治基本条例制定の必要性について区長はどのようにお考えかお伺いします。
区長は、対話の力を生かす区政への転換を掲げ、基本構想をはじめ自治基本条例の再生、政策づくりなどへの「区民の区政への参加を促す」と、お考えを繰り返し表明されています。大多数の区民は、区政に関心はあっても、日々の生活や家事、育児の中で、実際にそうした余裕はないというのが現実です。PTA活動の参加もままならないというのが現実だと思います。日常的に区政に参加できる区民は、特定のイデオロギーを持って自治体の政策決定に関与しようと運動する「プロ市民」と呼ばれる方に限定されるのではないでしょうか。区政に関心のある方に参加を呼びかける手法は、特定の意見だけが区民大多数の意見として誤解される危険性をはらんでいます。これは、首長と議員をともに直接選挙で相互に牽制・抑制と均衡を保っている二元代表制を軽視しているともとられかねないと考えますが、どのようにお考えなのかお伺いします。
次に、自治基本条例では繰り返し「区民」という言葉が出てきますが、定義が示されておりません。政策立案から政策決定、政策実施、政策の評価及び見直しの全ての過程で参加する権利を有すると規定する自治基本条例がいうところの区民が、6月の定例会での答弁のごとく、区内在住、在学、在勤の方にとどまらず、利害関係のある方も区民の中に含まれると答えられていましたが、このまま条文の中に書き込めば到底議会で承認されるとは思えません。「区民」の定義を条例の中で明確に示すべきだと思いますが、いかがですか。
次に、「憲法」「法律」と「自治基本条例」の関係についてお伺いします。
憲法は国の最高規範です。あらゆる法律は、この憲法に違反することができません。同じように法律の範囲内で条例がつくられます。法律を地方自治体が勝手に解釈することはできませんし、基本的に法律の範囲内で条例はつくらなくてはなりません。また、同じ条例の中で上位に位置付けられる条例などはありません。中野区の自治基本条例の第5章第18条は、「この条例は、区政の基本となる事項を定めるものであり、他の条例、規則等の制定又は改廃に当たっては、この条例の趣旨を尊重し、整合を図るものとする。」とあります。全ての条例の上位に位置するということは、法律的に誤った条例です。いかがお考えかお伺いします。
次に、少子化の危機についてお伺いします。
一つ目は、区長の使命について。
今まさに自民党の総裁選挙の真っただ中です。日本国の首相を決める選挙でもあります。石破氏は、地方創生を少子化問題克服の切り札と考えておられる様子です。地方創生にそのような効果があることは確かでしょう。ただ、今、我が国が直面している少子化の危機は、そんな悠長なレベルではもはやないということです。この急激な出生数減少への決定的対策には到底なり得ないわけで、むしろ、まず国民全体にこの危機の意味するところを知らしめ、国民一人ひとりがこの危機にどう向かい合うかを考えさせるような直接的政策です。もっと言えば、こんなに結婚や出産や家族形成が軽視される社会でいいのかという問題提起です。LGBTの権利に心を向けることも必要なことです。しかし、トップリーダーの使命は、総理大臣にしろ、中野区であれば区長にしろ、与えられた使命は日本社会の基盤を守ることに断固挑戦し続けることであるはずです。間違いなく、野党やメディアから攻撃を受ける課題でもあります。少子化の危機に対する区長の使命をどのように考えておられるかお伺いします。
少子化をストップさせることは容易ではないにしても、出生数増加の機運をつくっていく対策は重要です。ところが今、少子化対策と称して実施されている待機児童の解消策などは、子育て支援策であって、少子化対策とは違うものです。少子化対策の最大のポイントは結婚です。日本は、結婚して初めて子どもが生まれる国です。婚外子は圧倒的に少ない。これはよい悪いという話ではなく、そういう文化なのです。結婚対策をしないと出生数の減少に歯どめをかけることはできません。
世論調査をすると、9割の国民が結婚したいと思っており、その9割が子どもを2人以上欲しいと思っています。中野区の少子高齢化対策特別委員会の議論も、この辺に切り込んでいった内容にはとてもなっていません。保育園で働く方々の仕事だけは仕事とし、親みずからが子育てすることを、その捉え方、親が子育てするのは立派な神聖な仕事とみなす施策展開に舵を切れるのは区長のみです。従来の両立支援を中心とする対策は、大半の典型的家族にはあまり有効ではありませんでした。実際には、我が国の女性の中でキャリア志向の女性は多くて約2割、育児期は子育てに専念したいと再就職志向の女性が約6割、残りの約2割が確信的専業主婦志向です。まず、現状認識を改めることから始めるべきであると思いますが、いかがですか。
次に、母を育てる無力なゼロ歳児についてお伺いします。
最近、役所の人に聞くと、ゼロ歳児の子どもを預けることを躊躇しない親がふえているということです。福祉が充実すればするほど親子関係が崩れていく危険性をはらんではいないでしょうか。最も自然な方法で人間社会に「絆」を生み出してきた子どもとの関係を確認し直すときが来ていると思います。子育ての最初の3年は、そんなに易しいものではありません。必要なのは忍耐力、この3年間で人類は忍耐力を試され、忍耐力をつける、子育ての本質はここにあるはずです。ゼロ歳児はしゃべれません。言葉が通じないコミュニケーションを1年、2年、きっちり要求して我々を育てています。コミュニケーションの深さを教えているのです。このことが希薄になってきたことが、現在の虐待や親子関係が崩れるという状況につながっているのではないかと考えられます。
ゼロ歳児保育は非常にお金がかかります。毎月48万円の経費が必要であるということです。生活保護費に比べてみれば、その大きさがわかります。この現実に目を見据えた施策展開が必要だと思いますがいかがですか。現状の年齢ごとの定員枠を少し変えるだけでかなり改善できます。つまり、ゼロ歳児はなるべく育休で対応し、その枠を1歳児や2歳児に配分するのです。スウェーデンではそれを実施しています。スウェーデンにはゼロ歳児保育はありません。その背景には、やはりゼロ歳児は家庭的環境で育てるのがいいのではないかという考えと、恐らくコストの問題があると思われます。中野区において、こうした施策に切り込むべきであると思いますがいかがでしょうか。目の前のニーズに、ただただ誠実に応じ続けられた歴代の担当副参事の発議の範疇外に思われます。ここに切り込める立場におられるのは区長のみと思われますが、御見解をお伺いします。
保育関係者の間には、健全育成の面からもゼロ歳児保育には疑問の声があります。親の側にも、保育園に子どもを預けて働くことが本当によいことなのかという疑問があるわけです。特にゼロ歳児などの小さい子どもを育てるには家庭的環境がよいというのは衆目の一致するところだろうと思います。集団保育ではなく、可能な限り家庭で育児、難しい場合は保育ママの活用が望ましいと思います。区長がこの分野の先頭に立った施策展開があっていいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、教育問題についてお伺いします。
総合教育会議についてお伺いします。
都の教育の基本方針を話し合う都総合教育会議が8月23日、都庁で開かれました。テーマは読解力の低下についてでした。読解力のある生徒ほど進学できる高校の偏差値が高い事実が示され、小池百合子知事から、「英語教育やプログラミング教育に対する関心が高まっているが、それ以上に読解力を重視すべきか」と質問がなされ、専門家からは、「中学卒業までに教科書が読めて理解できることが公教育の最重要課題だ」と強調されたという流れであったと報じられています。こうした流れは、東京都から中野区に報告されるものなのかどうかお伺いします。
中野区の総合教育会議のテーマは誰が決めているのかお伺いします。中野区における総合教育会議の開催実績について確認させていただきたいと思います。東京都総合教育会議においては、要綱により、専門家の意見聴取ができる旨を定めています。中野区の専門家の意見を聞く場面は実績としてあったのかお伺いします。
次に、教育問題の2番目として、平成30年度全国学力・学習状況調査についてお伺いします。
中野区の小・中学校における学力・学習状況についてですが、ことし4月に実施された全国学力・学習状況調査の結果が、教育委員会や学校に返却されたとお伺いしています。本区の小・中学校では、この全国学力・学習状況調査以外にも、東京都のもの、もう一つ、区独自の学力調査を毎年実施しています。そこで最初に、中野区の中学校の全体的な学力の傾向についてお伺いします。例えば、中学1年生から3年生にかけて学力が伸びているのか、教科によって二極化が起きていないのか、すごくできるグループと置いていかれてしまったグループという二極化が起こっていないのか、全体的な学力の課題認識についてどうとらえていらっしゃるのかお伺いします。さらに、そうした課題を解決していくために、今後、教育委員会や学校はどのようなことを取り組んでいくのかをお伺いします。
その他の最初に、扶助費についてお伺いします。
中野区の財政白書によりますと、大きく伸びている扶助費のうち生活保護費については大きく伸びてなく、高齢化が進んでいるにもかかわらず維持されているように見えます。区が努力した結果、生活保護から抜ける人が増加した結果なのか、求人倍率の上昇を背景にして好景気が影響しているのか、この推移についてどのように分析しているのかお伺いします。
その他の最後で、防災についてお伺いします。
一つ目に、2018年の「防災白書」によると、災害発生時の救助や避難活動について、国や行政に頼らず、一人ひとりの「自助」や助け合いの「共助」に重点を置くべきだとする人が6割を超えるという調査結果があります。15年間で倍増しており、自然災害が多発化する中で防災意識の高まりがうかがわれます。この意識の醸成に対して、区では専門的な立場から、訓練を通して避難所に来なくてよい「自助」の準備について周知すべきではないかと考えますが、区のお考えをお伺いします。
次に、東京都が平成24年に公表した「首都直下地震等による東京の被害想定」のうち、中野区における被害が最も大きく見込まれる東京湾北部地震、マグニチュード7.3では、中野区は震度6強のエリアが47.5%、震度6弱のエリアが52.5%となっていますが、避難所生活者は何人となるのかお伺いします。
最後に、現在、中野区では地震時の避難所として45カ所を指定していますが、総収容者数を把握しておられるのか、また、被災状況により避難所に収容し切れない避難所が出た場合にはどのような対策があるのかお伺いします。
以上で私の全ての質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
〔区長酒井直人登壇〕
○区長(酒井直人) 篠議員の御質問にお答えいたします。
まず、最初に自治基本条例制定の必要性についての御質問でございました。区が抱える多様な課題やさまざまな状況に的確にこたえていくためには、区民の意思を反映させた区政運営や区民の自治活動の推進が不可欠でございます。自治基本条例において区政運営の基本的な事項と区民の参加の手続等を明確に定め、住民の意思を反映した区政運営を行うことが必要であると考えております。
次に、区政への区民参加についての御質問です。区政に関心のある区民のみならず、サイレントマジョリティなど多くの区民が区政に容易に意見表明や提案を行うことのできる仕組みを検討し、導入することが重要であると考えております。区議会の皆様とは情報共有や意見交換を十分に行い、二元代表制の趣旨にのっとり区政を進めていく考えでございます。
次に、自治基本条例における「区民」の定義についてでございます。区民は、第一義的に住所を有する区民と考えておりますけれども、自治の、その条文の場面により、区内の在勤者や在学者、あるいは利害関係者も含まれるという解釈がございます。現段階において区民の定義についての条例改正が必要であるとは考えておりません。
次に、条例の位置付けについてでございます。自治基本条例は、区政運営の基本となる事項を定めていることから、他の条例、規則等の制定または改廃に当たっては、この条例の趣旨を尊重し、整合性を図るよう規定しているものと認識しております。この規定自体が法律的に誤った条文だとは考えておりません。
次に、少子化の危機に対する区長の使命ということでございました。少子化対策は、日本の構造的な問題であり、政府は一億総活躍社会の実現に向けて取り組みを進めているところでございます。結婚や出産は個人の決定に基づくものでありますが、個人の決定を尊重しながら、国全体としての大きなビジョンをしっかりととらえた政策を展開していく必要があると考えております。誰もが生き生きと活躍できる地域社会の実現に向けた取り組みを着実に進めていくことが区長の使命だと考えております。子育て支援、結婚、妊娠、出産支援、働き方改革を柱として、区民の理解や賛同を得ながら具体的な環境整備を進めてまいります。
次に、少子化対策に係る意識改革の必要性の御質問です。少子化対策に係る基本的な捉え方としては、子育てと仕事の両立支援が重要だと考えており、そのための働き方改革や女性が活躍できる環境整備などに取り組んでいきたいと考えております。一方で、育児期に家庭で子育てしたい女性のライフスタイルも同時に尊重されるべきだと考えております。その両立が必要だと考えており、待機児童対策などとあわせて、地域の子育て支援ネットワークなど、在宅で子育てを選択する人が子育てしやすい環境づくりについても取り組みを強化してまいります。
次に、家庭的育児への施策の区長としての切り込みが必要ではないかという御質問でございました。子育てと仕事の両立支援を進めるためには、両立させるため、土台となる保育環境の確保は必須でございます。育児休業制度の見直しなどにより1歳児の保育需要は伸びていますが、さまざまな就労環境の中でゼロ歳児の保育環境の確保も必要だと考えております。子育ての最初の3年間が大切な時期であることについては同感いたします。働きながら保育園に預けて子育てする人も、環境が整えば子どもと接する時間を十分に確保することができるものと考えております。国が進める働き方改革の推進に加え、区としても子育てに関する不安や悩みを解消できる場の確保など必要な環境整備を進めて、安心して子育てできる地域づくりを進めてまいります。子育てしやすい地域づくりのため、区長として先頭を切って、区民、事業者などに働きかけを行い、理解、賛同を得て進めてまいります。
最後に、集団保育から家庭的環境での育児への転換への御提案です。集団保育、それから家庭的な育児環境、双方の受け皿の充実が大切だと考えております。全ての親がライフスタイルに応じて希望する選択ができるよう、区内の施設確保を考えてまいります。
〔経営室長髙橋信一登壇〕
○経営室長(髙橋信一) 私からは、総合教育会議についてお答えいたします。
初めに、都の開催実績の報告についてでございます。総合教育会議は地方公共団体ごとに設置されており、東京都の総合教育会議の開催状況などについては各区に報告されているものではございません。
次に、総合教育会議のテーマについてでございます。総合教育会議のテーマにつきましては、区長と教育委員会で調整の上、区長が決定しているものでございます。
次に、総合教育会議の中野区の開催実績でございます。中野区ではこれまで、平成27年度に5回、平成28年度に2回、平成29年度に1回開催したところでございます。平成27年度及び平成28年度は中野区の教育大綱の策定について、延べ7回にわたって協議したところでございます。また、平成29年度は、学びの連続性について協議したところでございます。
次に、専門家の意見聴取の機会についてでございます。中野区の総合教育会議においては、学識経験者等からの意見の聴取の実績はございません。
なお、総合教育会議の設置に定めている地方教育行政の組織及び運営に関する法律では、協議を行うに当たって必要があると認めるときは学識経験者等からの意見を聞くことができるとされており、区の総合教育会議においても、必要がある場合には協議を行うことに当たって意見を聞くことができるものでございます。今後、意見聴取を必要とする協議事項がある場合には、必要な意見聴取を行うこととなります。
〔教育委員会事務局次長戸辺眞登壇〕
○教育委員会事務局次長(戸辺眞) 私からは、平成30年度全国学力・学習状況調査についてお答えいたします。
まず、小・中学校の全体的な学力の傾向についてでございます。区の小・中学校におけます学力の定着状況についてはおおむね良好でございます。先日返却されました全国学力・学習状況調査では、全ての教科で、区の平均正答率は都の平均及び全国平均を上回っており、東京都「児童・生徒の学力向上を図るための調査」でも同様の傾向が見られます。また、区独自で実施しております学力調査では、経年変化で分析を行っているところでございますが、ここ数年、小・中学校全学年で目標とする学力に到達する児童・生徒の割合が上昇しているところでございます。
次に、全体的な学力の課題認識でございます。中学校では、一般的に学年が上がるごとに学力が低下したり、二極化したりすることが指摘されているところでございますが、区独自の学力調査を見ますと、各教科で中学校の学年が上がるごとに目標とする学力に到達する生徒の割合が増加してございます。一方、区では、学力の二極化についてはほとんど見られておりません。全国的な傾向としては、考えたことを文章にして答えること、また、算数・数学では求められる条件を式であらわすこと、英語では文の大意をつかむことなど、しっかり考えて判断し、文や式で表現していく問題への無回答率が高いことが課題となっておりまして、本区でも同様の状況でございます。今後、学校では考えたことを文章や式などにする学習活動を一層充実させていくことともに、小学校の算数、中学校の数学、英語などで実施しております習熟度別少人数集団での個に応じた丁寧な指導により、失敗を恐れず、自信を持って自分の考えを表現しようとすることを養ってまいります。また、教育委員会は、課題を細かく分析し授業改善の方法を例示するなど、学校の取り組みを支援してまいります。
〔健康福祉部長小田史子登壇〕
○健康福祉部長(小田史子) 私からは、4、その他の扶助費についての御質問にお答えいたします。
生活扶助費の動向とその要因についてでございます。区では従来から、生活保護受給者の年金受給権や各種手当等を含む資産調査を行っております。平成29年8月に年金機能強化法が施行され、年金受給資格期間が25年から10年に短縮されたところでございます。区は年金受給資格のある被保護者に対しまして、年金受給権を調査し、この結果、平成29年度には472人分で約9,000万円の収入認定を行うことができまして、これが生活保護費の伸びの抑制につながったものと認識しております。
〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕
○都市基盤部長(豊川士朗) 防災についてお答えいたします。
まず、「自助」の準備の周知についてでございます。区は避難所生活者に対しまして、災害発生から時間が経過し、余震等の状況を勘案いたしまして、在宅避難が可能な方には自宅等にお戻りいただく方針でございます。最初から在宅非難をしている方を含めまして、「自助」による在宅避難を推進するために、備蓄などの物の備え、家具の転倒防止など屋内の備え、地域の危険度を知るなど屋外の備え、それから家族会議や地域の連携などコミュニケーションの備えを区報や各防災訓練で周知しているところでございますが、区が要請しております防災リーダーや各防災会と連携を図りながら、「自助」の準備が日ごろの地域の取り組みとなるようにしたいと考えてございます。
それから、東京湾北部地震発生時の区の避難所生活者数でございますが、東京都が平成24年に公表いたしました中野区内における避難所生活者数は、最も被害が多く発生すると想定される東京湾北部地震において、中野区内全体で4万9,925名でございます。
それから、避難所の対応についてでございます。区が指定しております45カ所の避難所の、避難所生活が可能な避難所有効面積を把握しておりまして、この面積を、東京都の避難所収容者数の積算基準とする1人分の面積1.65平方メートルで割り返しますと、約11万人分の床面積があることを確認してございます。
また、避難者を収容し切れない避難所や混雑度の高い避難所がある場合には、中野区地域防災計画に基づきまして、災害発生から48時間後をめどに、各避難所の収容状況や周囲の被災状況を勘案して、他の避難所への振り分け方針を定めまして、人命救助の救援・救護活動を最優先とする災害発生から72時間以降に他の避難所へ移動していただくこととする計画でございます。
○議長(いでい良輔) 以上で篠国昭議員の質問は終わります。
お諮りいたします。
議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(いでい良輔) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。
次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。
本日はこれをもって延会いたします。
午後4時57分延会
会議録署名員 議 長 いでい 良輔
副議長 南 かつひこ
議 員 小宮山 たかし
議 員 白井 ひでふみ