平成30年09月20日中野区議会決算特別委員会
平成30年09月20日中野区議会決算特別委員会の会議録

.平成30年(2018年)9月20日、中野区議会第一・第二委員会室において開会された。

.出席委員(41名)

  1番  加  藤  たくま         2番  若  林  しげお

  3番  日  野  たかし         4番  杉  山     司

  5番  ひやま      隆        6番  山  本  たかし

  7番  渡  辺  たけし         8番  細  野  かよこ

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  いでい   良  輔

 11番  高  橋  かずちか       12番  内  川  和  久

 13番  木  村  広  一       14番  甲  田  ゆり子

 15番  小  林  ぜんいち       16番  中  村  延  子

 17番  内  野  大三郎        18番  小宮山   たかし

 19番  広  川  まさのり       20番     欠  員   

 21番  佐  野  れいじ        22番  北  原  ともあき

 23番  伊  東  しんじ        24番  平  山  英  明

 25番  南     かつひこ       26番  白  井  ひでふみ

 27番  森     たかゆき       28番  いながき  じゅん子

 29番  石  坂  わたる        30番  小  杉  一  男

 31番  い  さ  哲  郎       32番  大  内  しんご

 33番  高  橋  ちあき        34番  伊  藤  正  信

 35番  篠     国  昭       36番  小  林  秀  明

 37番  久  保  り  か       38番  酒  井  たくや

 39番  近  藤  さえ子        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席委員

      な  し

.出席説明員

 中野区長    酒井 直人

 副区長     横山 克人

 政策室長    朝井 めぐみ

 政策室副参事(企画担当)        杉本 兼太郎

 政策室副参事(ユニバーサルデザイン推進担当、

オリンピック・パラリンピック担当)   宇田川 直子

 政策室副参事(基本構想担当)      永見 英光

 政策室副参事(予算担当)        海老沢 憲一

 政策室副参事(広報担当)        堀越 恵美子

 経営室長、新区役所整備担当部長     髙橋 信一

 危機管理担当部長志村 和彦

 経営室副参事(経営担当)        石濱 良行

 経営室副参事(人事担当)        田中 謙一

 経営室副参事(人材育成担当)      桜井 安名

 経営室副参事(施設担当)        髙田 班

 経営室副参事(行政監理担当)      森 克久

 経営室副参事(経理担当)        波多江 貴代美

 経営室副参事(用地担当)        吉沢 健一

 経営室副参事(用地調整担当)      小倉 洋

 経営室副参事(生活・交通安全担当)   佐々木 和夫

 都市政策推進室長奈良 浩二

 都市政策推進室副参事(産業振興担当)  浅川 靖

 都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 石井 大輔

 地域支えあい推進室長          野村 建樹

 地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 伊藤 政子

 地域支えあい推進室副参事(区民活動センター調整担当、

地域包括ケア推進担当)         滝瀬 裕之

 地域支えあい推進室副参事(地域子ども施設調整担当、

北部すこやか福祉センター所長)     小山 真実

 地域支えあい推進室副参事(中部すこやか福祉センター所長) 志賀 聡

 地域支えあい推進室副参事(中部すこやか福祉センター地域支援担当) 長﨑 武史

 地域支えあい推進室副参事(北部すこやか福祉センター地域支援担当) 鈴木 宣広

 地域支えあい推進室副参事(南部すこやか福祉センター所長) 石濱 照子

 地域支えあい推進室副参事(南部すこやか福祉センター地域支援担当) 荒井 弘巳

 地域支えあい推進室副参事(鷺宮すこやか福祉センター所長) 青山 敬一郎

 区民サービス管理部長          上村 晃一

 区民サービス管理部副参事(区民サービス担当) 古屋 勉

 区民サービス管理部副参事(情報システム担当) 中谷 博

 区民サービス管理部副参事(税務担当)  矢島 久美子

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長  戸辺 眞

 子ども教育部副参事(子ども教育経営担当、学校・地域連携担当)、

教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当、学校地域連携担当) 高橋 昭彦

 子ども教育部副参事(学校教育担当)、

教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 石崎 公一

 教育委員会事務局指導室長        宮崎 宏明

 子ども教育部副参事(保育園・幼稚園担当)、

教育委員会事務局副参事(保育園・幼稚園担当) 濱口 求

 子ども教育部副参事(幼児施設整備担当)、

教育委員会事務局副参事(幼児施設整備担当) 板垣 淑子

 子ども教育部副参事(子ども教育施設担当)、

教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 石原 千鶴

 健康福祉部長  小田 史子

 保健所長    向山 晴子

 健康福祉部副参事(福祉推進担当)    岩浅 英樹

 健康福祉部副参事(健康推進担当)    只野 孝子

 健康福祉部副参事(文化・スポーツ担当) 平田 祐子

 健康福祉部副参事(障害福祉担当)    菅野 多身子

 環境部長    白土 純

 環境部副参事(地球温暖化対策担当)   高橋 均

 地域まちづくり推進部長         角 秀行

 地域まちづくり推進部副参事(まちづくり企画担当、

西武新宿線沿線まちづくり企画担当)   荒井 大介

 都市基盤部長  豊川 士朗

 都市基盤部副参事(都市計画担当)    安田 道孝

 都市基盤部副参事(道路担当)      井上 雄城

 都市基盤部副参事(公園担当)      細野 修一

 都市基盤部副参事(建築担当)      小山内 秀樹

 都市基盤部副参事(防災担当)      中川 秀夫

 会計室長    鳥井 文哉

.本会の書記は下記のとおりである。

 事務局長     吉村 恒治

 事務局次長    古本 正士

 議事調査担当係長 鳥居 誠

 書  記     立川 衛

 書  記     若見 元彦

 書  記     井田 裕之

 書  記     冨士縄 篤

 書  記     野村 理志

 書  記     鎌形 聡美

 書  記     遠藤 良太

 書  記     松丸 晃大

 書  記     古谷 友里香

 書  記     吉田 光洋

 書  記     有明 健人

1.委員長署名


前1000分開会

○高橋(か)委員長 定足数に達しましたので、ただいまから決算特別委員会を開会します。

 認定第1号から認定第5号までの計5件を一括して議題に供します。

 昨日、9月19日の理事会の報告をいたします。

 本日の委員会運営について、本日の総括質疑は、1番、酒井たくや委員、2番、渡辺たけし委員、3番、高橋ちあき委員、4番、日野たかし委員、5番、小杉一男委員の順に5名の質疑を行うことを確認しました。

 以上が理事会の報告ですが、質疑はありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 御異議ありませんので、そのように運営します。

 ただいまから総括質疑を行いますが、答弁される理事者は答弁前に大きな声で職名を述べるようにお願いいたします。

 それでは質疑に入ります。昨日に引き続きまして、酒井たくや委員、質疑をどうぞ。

○酒井委員 おはようございます。昨日に引き続きよろしくお願いします。質問は決算のほうに移ります。1点目、特別区民税から見る公的説明責任についてお尋ねします。

 先日、東松島市、それから亘理町のほうに視察に行ってまいりました。その際に、東日本大震災後に復興交付金により財政規模は9倍ほどにも膨れ上がったというふうなお話をお聞きして、大変驚きました。そしてその際に、当区における東日本大震災にかかわった際の均等割の増額分、その使途はどうなっているんだろうというふうに思い出しました。地方公共団体が実施する防災対策の施策の財源を確保するため、均等割分が500円増額されましたね。平成26年度から35年度までの10年間。そこでお尋ねしたいのですけれども、平成29年度決算における現年収入分の均等割額と増額分はどれくらいなのか。そしてまた、10年間の増額ですので、10年間でどれぐらいになるのかお尋ねします。

○矢島区民サービス管理部副参事(税務担当) 特別区民税現年課税分収入済額のうち、均等割額は6億5,800万円余となっております。また、500円の増額分につきまして、年間約9,000万、10年間で約9億円となる見込みでございます。

○酒井委員 均等割の年間増額分が約9,000万円で、10年間でざっと9億円くらい。これが地方公共団体が実施する防災対策の施策に要する費用の財源を確保するための増額ですが、これまで防災対策のためのこの増額分の使途についてお尋ねします。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 均等割500円増額の、増税の使途でございますが、具体的な使途を決めた特定財源とはなってございません。そのことから使途については特定な事業ではなく、区の防災対策に広く充当しているというところでございます。

○酒井委員 特定財源ではありませんので、使途のところをなかなか説明できないということなんですけれども、例えば地方消費税交付金に関しては、決算の資料の中でこういうふうに使ったって示されているじゃないですか。すると、この増額分の使途は区民にこれまで示されたことはありますか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 一般財源で広く充当しているということから、使途の明示は難しいということでこれまで示してはございませんが、今後どのように周知すればいいのかについては検討したいというふうに考えます。

○酒井委員 今後そういったところも説明できるようにしていただきたいと思います。どうしてかといいますと、負担はお願いしましたが、使途がなかなか見えないんですね。増税をお願いした役所、議決をした議会、それから納税者が共有できるように公の説明責任を果たさなければなりません。区民に均等割の増額が防災力の向上にどのようにつながったのかを理解してもらう。こういう姿勢が大切です。

 関連して、例えば中野区の税金は他区と比べて高いとよく言われますが、同僚議員の皆さんも言われたことはあるのかなと思いますが、そういうことはありますか。

○矢島区民サービス管理部副参事(税務担当) 中野区の税金が他区に比べ高いというお話があるということでございますが、各区のホームページを見ますと、自分の税金は他区に比べて高いのではないかというQ&Aが掲載されておりまして、各区ともそうした誤解に苦慮しているところでございます。住民税は地方税法に基づき納税者が均等の額により負担する均等割と、前年中の所得金額に応じて負担する所得割で構成されてございます。特別区23区は、均等割額は年間5,000円、所得割は10%の標準税率と同一基準で賦課しており、中野区が他区に比べて高いということはございません。

○酒井委員 そうですね。全国共通の標準税率ですね。調べると、均等割で3自治体、所得割で3自治体ほど違いますが、ほぼそれ以外は押し並べて一緒。じゃ、どうして区の基幹収入でありますこの特別区民税に対して、こういった間違った認識がされるのか。お答えは難しいかもわかりませんが、担当さんはどうお考えですか。

○矢島区民サービス管理部副参事(税務担当) 委員御紹介のとおり、一部の自治体で若干の違いはございますけれども、特別区23区を含め東京都全体では住民税の課税方式に違いはございません。税制度については毎年度行われる税制改正の内容を中心に、納税者の視点に立ちました内容により税の広報を適宜適切に行ってまいりました。自治体によって住民税額は違いがあるというような認識を持たれないよう、引き続き工夫しながらわかりやすい広報に努めてまいりたいと考えております。

○酒井委員 先ほどの住民税の均等割の話にも通ずるのですが、やっぱりこういったところが区民に届いていないんじゃないかと思うんですよ。そう考えると、基本のキの部分をわかりやすく区民に広報することも住民サービスの一つであると考えます。税の理解が進むよう、従来どおりではない、みんなの区税もやっぱりリニューアルしなければならないかもしれません。従来どおりではない新しい取り組みを行っていただきたいと思いますが、いかがですか。

○矢島区民サービス管理部副参事(税務担当) 税に関する広報につきましては、区報、ホームページ、ケーブルテレビなどさまざまな広報媒体を活用し、税務署及び都税事務所と連携を図りながら、税を考える週間の御案内や申告特集号の区報への掲載、ケーブルテレビでの啓発番組の放映、中野駅前での街頭キャンペーンなど、計画的に広報活動を実施してございます。引き続き税に関する専門的な用語や言い回しなどの改善、表現の工夫などに取り組みまして、わかりやすい広報に努めてまいりたいと考えております。

○酒井委員 ありがとうございます。それでは次、平成29年度決算と10か年計画についてお尋ねします。10か年計画のステップ1が当該する年度が平成28年度と平成29年度であります。平成29年度決算の審査とあわせて、10か年計画のステップ1はどうだったのか。こういったところも議論することが今後の基本計画の策定に意義深いのかなと思っております。そこで、まず基金についてお尋ねします。平成29年度末基金残高が725億円という状況です。平成12年の基金残高42億円だったころを考えると、よくここまで来たなと率直な感想ですが、平成28年4月に策定した区の最上位計画である10か年計画において、ステップ1終了時の基金残高は、見込みはどれくらいだったのか。実際に平成29年度末の基金残高と差額もあわせてお答えください。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 現在の10か年計画策定時に想定していた財政フレームでございますが、ステップ1である平成29年度末の主要な基金の残高見込みでございますが、財政調整基金が222億円、義務教育施設整備基金が171億円、社会福祉施設整備基金が31億円、道路公園整備基金が21億円、まちづくり基金が49億円ということで、合計いたしまして495億円ということになります。一方で、実際平成29年度末におけます同主要な基金の残高でございますが、683億円でございまして、10か年計画との乖離でございますけども、188億円ということになります。

○酒井委員 それでは、間近の平成29年度当初予算時に見込んでいた基金残高との乖離はどうですか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 平成29年度当初予算時に見込んでいた基金残高でございますが、財政調整基金が242億円、義務教育施設整備基金が189億円、社会福祉施設整備基金が37億円、道路公園整備基金が25億円、まちづくり基金が70億円で、合計いたしまして563億円でございました。実際の乖離といたしましては120億円ということでございます。

○酒井委員 最上位計画における基金積み立て計画においては2年間で188億円の差があって、間近の平成29年度当初予算の基金残高では120億円の差がある。ここまで上振れしているようにも見えると思うんですけど、これはかなりの乖離だと思うんですが、どのような見解をお持ちですか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 計画値と決算額との乖離の理由でございますが、歳入では特別区民税や特別交付金などが景気の動向等も反映して伸びておりまして、一般財源が充足したことによるというふうに考えています。歳出面におきましては、事業の進捗の影響ですとか執行管理を徹底するなど、内部管理の徹底を行ったことによりまして経費節減が図れたということによりまして、基金の繰り入れを抑制できたことが理由であるというふうに考えています。今後本格化する学校施設など老朽化した公共施設の更新、改修やまちづくりの進展など、基金を活用する需要が高まるということでございまして、基金の積み立てをできるだけふやしていく方向性を持って財政運営を現在進めているというところでございます。

○酒井委員 学校の建てかえやまちづくりに備えなければならず、基金が725億円まで積み立てられたことは高く評価しますが、実際上振れもしており、それだけ今の世代の皆さんに還元されていない現実も認識していただきたいと思います。基金は年度当初に計画的に積み立てているわけですね。しかし、平成29年度単年度では120億円の乖離があった。これは歳入歳出規模と基準となる一般財源規模が合っていないように見えると思います。もちろん執行残との兼ね合いもありますが、それで区長は区政運営の考え方として、前区政の財政運営の考え方を踏襲するとおっしゃっていました。それはいいんです。それより中身なんですね。この基準となる一般財源規模の設定の仕方と、後ほどお聞きしますが、基金と起債の活用の考え方をどうするかが区政運営に大きく影響を及ぼすと考えます。区政運営において基準となる一般財源規模の設定は極めて重要であります。このような乖離を鑑みると、基準となる一般財源規模が現状に見合っていないように感じますが、いかがですか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 一般財源規模の考え方なんですが、基準となる一般財源規模は決算値のほか、景気動向などを踏まえて総合的に判断し、見直しを行っているところでございまして、来年度予算になりますが、平成31年度予算編成におきまして、過去5年の決算値が平均710億円を超えているというところから、現在見直しを検討しているというところでございます。今後も安定した財政運営を行うために、適切な基準となる一般財源規模を定めまして、財政調整基金等の積み立てや繰り入れによる財源調整を通じて歳入規模を一定に保っていくという財政運営の進め方をしていきたいというふうに考えています。

○酒井委員 ここ数年を見ると、基準となる一般財源規模は平成21年度670億、22年度650億、26年度657億、27年度672億、29年度690億と、10年間で5回変動しております。基準となっていないようにも見えるんですね。また、これまで税制改正などの際には基準となる一般財源規模の見直しを行ってまいりましたが、今年度は地方消費税交付金の清算基準の見直しがされ、歳入に影響があるにもかかわらず、基準となる一般財源規模の考え方には変更はありませんでした。今後はこの基準となる一般財源規模の設定に対する考え方を整理し、精査していかなければならないと私は考えています。

 次に、基金と起債についてお尋ねします。起債計画に関しては、一時期に多額の費用を必要とする施設の改築、改修、用地の取得などの事業においては、財政負担の平準化と世代間負担の公平化を図ってきたところであります。それでは、現在起債を起こしている事業の償還期間、どういったものが一番多いですか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 平成29年度末に残高がございます一般会計分の償還期間でございますが、10年ないし20年物が多いということでございます。

○酒井委員 10年、20年物が多いということですよね。地方財政法5条の2にあるとおり、地方債の償還年限は耐用年数を超えてはなりませんが、償還期間はほとんど20年なんです。けど、施設の耐用年数は60年と合っていないんですね。それだけ厳しく起債に関してはされているということだと思います。償還期間が20年と耐用年数60年で、世代間負担の公平化というのは若干違和感もありますが、それは置いておいて、また5条の1には地方債の制限もうたわれており、起債には厳しい制約が当然あるわけです。だからこそ基金と起債のバランスを考えた活用が当然必要であります。平成30年度当初予算の財政運営の考え方、学校施設改築に向けた取り組みでは、学校の建てかえは平成39年度までに14校の改築を集中的に行っていく予定となっており、平成30年度がピークとなるため、今後の財政フレームの計画に当たっては、平成34年度までは起債を活用せずに建てかえを進めることを目標として財源計画を立てられました。学校の建てかえの考え方に、5年間だけは唐突に無借金でやるという考えが出てきました。将来にツケを回さない。この考え方は当然私も歓迎するところでありますが、この計画では平成34年度末には基金残高が71億円となります。今年度の上振れ分は入っていませんけど。それで、この71億円には150億円必要とされる年度間調整分、施設改修分、退職手当分が含まれていますね。内訳をお聞きしませんが、区のこれまでの考え方とは違うわけですね。どのような見解をお持ちですか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 不測の事態に備えるために財政調整基金には100億から150億程度は常時確保するという方針を持っているところでございます。平成30年度当初予算案の概要、これを作成した時点でございますが、財政調整基金の平成34年度の残高でございますが、100億円を割り込む基金計画となっているところでございますが、今後の景気の動向等を踏まえまして、100から150億円程度確保できるような計画を修正することを考えて、検討していきたいというふうに考えています。

○酒井委員 平成30年度の当初予算で考えた計画をもう見直さなきゃということはちょっと無理があるのかなというふうに感じました。急激な経済状況の悪化に備えた年度間調整分、先ほどおっしゃられました。それから、平成34年度以降の平成39年度までの学校の建てかえの考え方が見えておりません。借金をせず、次世代にツケを回さない取り組みは必要である。これは私も考えます。他方、学校施設の改修が今後集中する時期と西武線のまちづくり、それから中野駅周辺のまちづくりも並行して控えており、当然基金と起債をバランスよく活用しなければなりません。これまでの財政運営の考え方を踏襲されるという方向性はわかりますが、先ほどの基準となる一般財源規模の設定とあわせて、やはり学校施設建てかえに関しての基金、起債の活用の考え方、これが大変重要になってくると考えております。どのようにお考えですか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 学校の建てかえに当たりましては、計画的に基金の積み立てを行っていくとともに、起債を活用して一定程度、世代間負担を確保し、事業を進めていくということでございます。今回の財政運営の考え方で起債部分を基金により賄っていくという考え方を示したわけでございますが、平成34年度がピークになる学校建てかえに対しまして、将来の影響を極力防ぐ、抑えるために起債発行を抑制することが必要であるということから、5年間は起債の充当する部分につきまして、財政調整基金への積み立て財源から一時的に調達するというような考え方をお示ししたところでございます。起債をできる限り抑制いたしまして、一般財源と基金を活用していく進め方、この進め方につきましてはこれまでも行ってきたところでございまして、今後も変わりなくこの考え方に基づきまして学校施設の建てかえを進めてまいりたいというふうに考えています。

○酒井委員 教育施設の起債の充当率の90%の中でフルに見るのかなとか、10年間スパンでどうするかだとか、いろんな考え方があると思いますので、しっかり検討していただきたいと思います。

 この項の最後に10か年計画においての施策についてお尋ねします。平成28年度、29年度に当たるステップ1で未達成の事業を拾ってみると、東中野駅東口まちづくり計画の策定、公園利用方針の策定、九中跡地への医療機関誘致、鷺宮スポーツコミュニティプラザの開設等々、そのほかにもありますが、平成28年4月に策定した10か年計画で、2年間たっただけにもかかわらず幾つか未達成が生じていることを担当さんはどう捉えておりますか。

○永見政策室副参事(基本構想担当) 新しい中野をつくる10か年計画(第3次)のステップ1は、おおむね2年の間の取り組みを記載したものでございますが、各担当におきまして実施に向けた検討を行った結果、平成29年度までに実施ができなかった取り組みがあるということは認識をしてございます。10か年計画は中長期的な目標と戦略を示す計画でございまして、個々の取り組みについては常にその状況を把握しながら実施するとともに、状況に応じて見直しや変更を行っていくものであるというふうに考えてございます。ステップ1において実施できなかった取り組みにつきましては、見直さざるを得ない状況の変化が生じたものというふうに考えてございます。

○酒井委員 政策を練り上げ、計画に落とし込んでいくプロセスなどを見直す必要性があるのか、もしくは現場のリアルな声というものを拾うことができていなかった。もしくは、そういう声が現場から上がらなかった組織風土があったのかもしれません。このような点を踏まえ、今後の基本計画策定にどのように生かしてまいりますか。

○永見政策室副参事(基本構想担当) ステップ1に記載された取り組みが平成29年度までに実施をできなかったことにつきましては、状況の変化など取り組みごとに理由があるとは思いますが、このような結果を踏まえまして、策定プロセスの改善についても検討をしてまいります。新しい基本計画の策定に当たっては、各担当との意見交換を十分に行うことによりまして、より実効性の高い計画としてまとめていきたいと、そのように考えてございます。

○酒井委員 これまでの10か年計画を総括、検証し、よいところはしっかり引き継いで、改善すべき点は改善し、酒井新区長カラーの夢のある中野の新基本計画を築いていただきたいと思います。

 次に、決算剰余金についてお尋ねします。平成29年度決算剰余金は20億7,337万円となります。決算剰余金は地方自治法と地方財政法において翌年度予算に繰り越す、基金に積む、もしくは償還財源にするとありますが、それでは区の剰余金に対する考え方をお聞かせください。

○海老沢政策室副参事(予算担当) これまでの財政運営におきまして、決算剰余金が生じた場合には財政調整基金に積み立て、もしくは今後の施設更新等に対応するため、特定目的基金に積み立てを行っているというところでございます。

○酒井委員 現状、決算剰余金は恐らくほとんどが財政調整基金に積み立てられていると思うんですね。他方、基金は当初予算から計画的に積み立てられていると。基金は上振れもあったと。先ほど現役世代に還元されていない。そんなことも申し上げました。例えば区債には減税補てん債や減収補てん債がありますね。その中には利率2.1%なんかの高いものもある。これこそ当時の財政が厳しいときに起債したもので、世代間負担の公平化ではなく、当時のツケがまさに今、回っていると考えるんですよ。そう考えると、決算剰余金を減税補てん債や減収補てん債などへ繰り上げ償還を考え、今世代の負担を軽減することも考えるべきではないですか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 景気の変動等を考えますと、今後の施設更新など事業スケジュールを踏まえますと、計画的に基金を積み立てていくことが必要であるというふうに考えてございます。その中で今後の施設更新などの行政需要を踏まえまして、基金の積み立てをふやしていくという必要がございますので、起債の償還を早めるよりも起債の発行を抑えることによって対応していきたいというふうに考えているところでございます。

○酒井委員 決算剰余金は大体が財調基金に積むような感じだと思うんですよ。そうじゃなく、決算剰余金が出たときに、その時々で判断するような考え方を持っていただきたくて質疑をさせていただきました。

 次に、歳計外現金について伺います。歳計外現金、これはどういうものですか。

○鳥井会計室長 歳計外現金でございますが、これは地方自治体が債権の担保として徴し、または法令の規定によりまして一時保管する現金でございます。

○酒井委員 この歳計外現金の平成29年度末残高をお聞きします。

○鳥井会計室長 39億8,200万8,433円でございます。

○酒井委員 簡単な内訳もお聞きできますか。それから、その内容は決算資料で確認できますか。

○鳥井会計室長 内訳でございますが、歳計外現金の科目でございますが、七つの款がございます。1款保証金、2款保管金、3款都民税、4款公売代金、5款遺留金、6款特別区民税・都民税一時仮受金、それから最後に7款その他雑部金でございます。決算資料の中では、中野区の財政白書の23ページに(3)歳計現金等残高の推移という項目がございまして、その中で歳計現金等の一部といたしまして、歳計外現金の月別の推移が記載をされてございます。

○酒井委員 歳計外現金等なんですよ。見られないんですよ、ほとんどね。それで、歳計外現金に関しては、所得税の源泉徴収や住民税の特別徴収、それから土地建物の保証金であったりだと思います。一時保管金、一時預かり金というふうなものだと思います。すぐに入っては出ていくものがほとんどだと思うんですけれども、他方、先ほど保証金というふうなこともありました。保証金はどういうもので、平成29年度末残高もお聞かせください。

○鳥井会計室長 保証金でございますが、区の債権の担保として保管をしている現金にございます。平成29年度末の残高は7,122万4,219円でございました。

○酒井委員 7,000万円もの保証金がありますと。建物を貸した際の保証金なので、公営住宅に係るものが多いのかなと思うんですが、それ以外はどういうものがありますか。

○鳥井会計室長 第1款保証金の科目の項で見ますと、おっしゃった公営住宅以外のものになりますと、入札保証金、契約保証金、また公売保証金がございます。さらに財産の貸し付け関係では、温暖化対策推進オフィス権利金、産業振興拠点保証金、最後に東中野小学校跡地活用事業保証金といったものがございます。

○酒井委員 財産の貸し付けの保証金がありますよということですが、普通財産の貸し付けなど財産の貸し付けは多数あると思うんですけれども、この保証金に関する基準というものはありますか。

○波多江経営室副参事(経理担当) 中野区公有財産規則に区有財産を貸し付ける場合の保証金についての規定は設けていないため、現状では保証金を算定するための共通の基準はありません。各所管において事業の実施要綱等において定めているのが現状でございます。

○酒井委員 保証金に関しての基準はありません。よって各所管でばらばらに判断しているということですが、他区ではこの保証金に関してはどうされていますか。

○波多江経営室副参事(経理担当) 特別区におきましては、保証金に関する何らかの定めを公有財産規則に定めている区が18区ございます。

○酒井委員 東京都もあったかと思うんですけど、共通の基準を設けるべきではないですか。

○波多江経営室副参事(経理担当) 現行においては、区の公有財産規則で建物を貸し付ける場合と、建物所有の目的で土地を貸し付ける場合に、権利金を徴収する規定のみを定めてございます。ほかの自治体の規定を参考に区有財産を貸し付ける場合の保証金等の考え方や、共通の基準のあり方について検討をしてまいりたいと思います。

○酒井委員 最後に、この歳計外現金は歳計外なので、先ほどお聞きしましたが、見えないんですね。決算議会でございますので、今後はこの歳計外現金も決算時の財政白書において見える化すべきと考えますが、いかがですか。

○森経営室副参事(行政監理担当) 先ほども会計室長がお答えしていましたように、財政白書におきましても残高については記載しているところでございます。ただ、委員の御指摘もありましたので、他区の事例も参考にしながら、さらなる見える化につきまして検討を進めてまいりたいと考えております。

○酒井委員 ありがとうございます。次に、教育費についてお尋ねします。人口減少時代、自治体の魅力を発信し、住みたい、住み続けたいと選ばれる中野を目指すには、手厚い子育て支援と公教育の充実が不可欠です。決算議会でございますので、普通会計における教育費についてお尋ねしてまいります。当区でも子ども教育費というものがありますが、なかなか他区では中身が違いますので、比べづらいところがありますよね。そう考えると、総務省の地方財政状況調査の際に用いる決算カード、これが一番比較できるんだろうと思っております。平成29年度決算カードでは、目的別歳出、教育費の構成比は9.6%ですね、全体の中で。この数字への見解をお聞きします。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 平成29年度におきましても必要な事業に適切に予算措置を行っているところでございまして、今後も必要な経費は予算化していく方針でございます。

○酒井委員 9.6%への見解をお聞きしたんですね。また後ほどお聞きします。昨年の決算では、この教育費の割合を5年間さかのぼって23区の平均値を調査しました。今回も懲りずに平成19年度から28年度の10年間、長くやればやるほど平準化されるんだろうと、数字が見えるんだろうと、そういう意味で10年間の23区の教育費の割合を調べてまいりました。中野は10年間の教育費の平均値は10.27%です。これは23区中21位でありました。ワースト3なんですね。1位はちなみに17.9%、これだけ予算の組み方が違うんだって感じたところなんですけれども、ここまで違うと。10年間で平均値は10.27%で、23区中21位、ワースト3という現実への率直な感想を教育経営担当さんと予算担当さんに手短にお尋ねします。予算担当さんからどうぞ。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 学校施設を増設していくなど各区それぞれの行政需要がございまして予算編成をしているところでございまして、それによりまして構成比は上下するというところでございます。今後、我が区におきましても学校施設の改築が本格化すると、構成比も大きく上昇すると考えているところでございます。

○高橋子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 教育費の割合が23区中で21位という低い状況にあることにつきましては、認識しているところでございます。しかしながら、教育費の大小がそのまま区の教育レベルをあらわすわけではなく、どの区も限られた予算の中で子どもたちの教育環境の向上、また最大限の教育成果が出せるように工夫をしているところでございまして、中野区においてもICTを活用した教育環境の整備など重点化をしながら、より良好な環境を整えてきているところでございます。結果として教育費割合は低いとしても、中野の学校教育のレベルにつきましては他区に負けない状況であると自負しているところでございます。

○酒井委員 それでは、個別でお尋ねしますね。後で丸めて全て総括して聞きますから。まずは普通教室と体育館へのエアコン設置についてお尋ねします。普通教室にエアコンを設置し、15年が経過し、耐用年数を超えております。学校現場に行くと、エアコンの故障などの話もよく聞き、普通教室のエアコン設備の更新の要望を私も数件耳にしました。また、体育館への冷房設置に対して求められているところです。普通教室のエアコンの更新と体育館への導入、来年度から進めていくべきと考えますが、確認させてください。

○石原子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 普通教室の冷房設備につきましては、耐用年数が経過した機器の計画的な更新の実施について検討しているところでございます。体育館の冷房設備の設置につきましては、中野区立小・中学校施設整備計画の中で校舎等の改築が予定されている学校については改築時に体育館への冷房設備を設置してまいります。改築が予定されていない学校や、学校統合により今後仮校舎として使用する予定のある学校につきましては、改築までの想定年数や仮校舎としての使用年数等を考慮しながら、計画的な設置について検討してまいります。

○酒井委員 ありがとうございます。次に校庭についてお尋ねします。初夏の日に中野東中の運動会にお邪魔しました。観覧席から校庭がぼこぼこになっているのが見えるんですね。子どもたちが本当によく転びました。この件に関しましては、すぐに対応してくださり感謝申し上げますが、そもそも校庭の維持管理に関してはどう対応されていますか。

○石原子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 校庭の維持管理につきましては、安全点検等により各学校施設の状況を把握した上で優先度を決めて、校庭整備工事や部分的な改修を行っているところでございます。

○酒井委員 いえ、やっていないから中野東中は年度途中で対応しているわけだと僕は思うんですよ。それでは、ここ10年間で校庭整備工事もしくはメンテナンスが一度も行われていない学校はありますか。

○石原子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) ここ10年間で校庭整備工事もしくはメンテナンスを行っていない学校につきましては、小学校9校、中学校6校でございます。

○酒井委員 他区では年1回もしくは2回の校庭のメンテナンスを行っているところもあると聞いています。中野区では、これまでほとんど行っていなかった状況です。むしろ、校舎の部分が見えていたのかもわかりません。児童・生徒が安心・安全に運動ができる環境のため、それから校庭の維持保全という観点から、定期的なメンテナンス、こういうことも考えていくべきではないですか。

○石原子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 安全で安心な教育環境を整備するためにも、各学校の校庭の状況について調査を行いまして、定期的なメンテナンスや修理について検討してまいりたいと考えてございます。

○酒井委員 ありがとうございます。次に、細かい点ではありますが、東京都小学校校長会、中学校校長会、こちらについてお尋ねします。どのようなもので、負担金はどうなっているのか。他区との比較もあわせてお聞かせください。

○高橋子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 小学校長会、中学校長会はそれぞれ学校運営等の課題等について情報を共有し、協議する場となってございます。中野区では、東京都校長会、全国校長会等の運営に係る経費について負担金を支払っておりまして、区の負担割合が6割、残り4割は各校長の私費負担としてございます。他区との比較につきましては、公費負担分10割の市区町村が東京都内では多数を占める状況となってございます。

○酒井委員 その校長会というのはやっぱり意見交換したりだとか、さまざま公共性が高いものだと思うんですよ。それを校長先生に4割分実費負担させるというのは、ちょっと改めるべきではないのかなと思いますが、いかがですか。

○高橋子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 校長会を含め中野区教育委員会として参加すべきものと判断した研究会等の負担額につきましては、今後適切に対応していく考えでございます。

○酒井委員 ありがとうございます。それでは最後に、校割予算についてお尋ねします。校割予算、内容をお聞かせください。

○高橋子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 校割予算の内容でございますが、校割予算につきましては学校運営に必要な経費、これを学校の裁量により執行できるように確保している予算でございます。

○酒井委員 決算資料の子ども文教の4ですね。校割予算の推移がありますが、これを見ると、平成22年に校割予算がどんと落ちている、減少しているんですけれども、これはどういう理由からでしょうか。

○高橋子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 平成22年度の予算につきましては、リーマンショック以降の経済状況の悪化等による税収の減少を踏まえまして、区として持続可能な区政運営を行っていくための基準となる一般財源規模を設定し、その規模の中で予算編成を行うこととしました。このことによりまして、各部の経常経費につきましても一律に前年度経費に削減率を乗じた規模での予算編成となりまして、校割予算につきましても同様に削減したものでございます。

○酒井委員 リーマンの際の財政状況が厳しくて、どんと落ちましたよと。ただ、今、財政状況はいいと思うんですよ。ここ3年間なんかは23区空前の決算なんて言われているような状況じゃないですか。そう考えると、しっかりとこういったところを見直していただきたいと思うんですよ。未来への投資、公教育の充実を考え、こういった教育分野に対してしっかりと手当てしていただきたいと思います。そして現状、リーマンの際に抑えられた上に配当保留もありますよね。それじゃ、ちょっと学校現場は大変だなと僕は思うんです。来年度予算でこの校割予算についてはどう対応してくださいますか。

○高橋子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(子ども教育経営担当) 校割予算につきましては、各部のフレーム内で積算すべき経費であるため、デジタル教科書の導入、また理科備品の充実など、全学校統一的な対応を必要とする経費とのバランスも考えねばなりません。その上で必要な校割予算の確保にも努めていきたいと考えてございます。

○酒井委員 平成22年のときに落ち込んだ際からは、財政状況は改善されていると思いますので、その点はしっかりと取り組んでいただきたいと思います。中学校PTA連合会の要望の結びには、私たちの要望はあったらいいねというぜいたくなものではなく、なくてはならない必要な事項だけですと締めくくられております。切実かつ謙虚なお声、ぜひお聞きになっていただきたいと思います。先ほど教育費の23区との比較の中で十分にあるというふうなお答え、もしくは全体で見ると構成が上下したりするというふうなことをおっしゃっていましたが、私は10年間の平均値でも出しておりましたので、今回のこの教育費の予算組み、これね、やっぱり抜本的に変えていくというのを考えていく、それが子育て先進区へとつながると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

 最後に、保育園・幼稚園分野の組織についてお尋ねをします。今、さまざま保育の質の問題が問われております。そして、保育施設もかなりふえており、現場は大変なのかなというふうに思っておりますが、まずお尋ねしたいんですが、子ども・子育て支援新制度が始まる前の平成26年度と平成30年度の保育園などの定員はどれぐらい違うのか。また、この間の施設数、どれぐらいふえましたか。

○濱口子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(保育園・幼稚園担当) 保育施設の保育定員の合計でございますが、平成26年度が5,013人、平成30年度が6,276人でございます。また、保育施設につきましては認可保育所、地域型保育事業、認証保育所を合わせまして、平成26年度が72施設、平成30年度は区立保育室も含めまして108施設となってございます。

○酒井委員 定員数で1,200名強、施設数で36施設増加している状況下、現場も非常に大変なのかなというふうに思います。今年度から幼児施設整備分野も新設されました。その業務である民間施設整備、民間施設調整を除いた保育園・幼稚園分野の職員数は、同じ業務を担当している職員数で比較をした場合、どれぐらいふえていますか。

○濱口子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(保育園・幼稚園担当) 平成26年度、保育園・幼稚園分野の担当職員のうち、現在と同じ業務を担当していた職員は31名でございます。平成30年度は34名となっておりまして、3人増という状況でございます。

○酒井委員 3名はふやしてくださっているんですけれども、それ以上に定員数や施設数はふえ、それからまた、さまざまな複雑多岐にわたる保育のニーズもあるのかなというふうに思っております。業務が増加したのは容易に予想できますが、入園相談、巡回、給付と、改めて現場の皆さんは御苦労されているのかなと思いますが、相談窓口は現在一部民間委託もされていると思います。保育の相談窓口の現況をお聞かせください。

○濱口子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(保育園・幼稚園担当) 平成28年10月より子ども総合相談窓口の一部を委託を開始してございます。保育につきましても、入園の案内ですとか受け付け事務を委託しているところでございますが、窓口にいらっしゃる方は入園に関する個別相談など、委託内容にそぐわないような案件もふえておりまして、区職員が対応するケースもふえている状況でございます。

○酒井委員 簡易なものは民間事業者が窓口で受け付けてくださるんですよね。それで、相談は区の職員が対応していると思いますが、入園相談担当の職員さんが受け持つケース、これはどれぐらいで、他区と比べるとどうですか。

○濱口子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(保育園・幼稚園担当) 入園相談担当のケースワーカーといたしましては、新規利用者の利用調整ですとか保育料の決定のほか、在園児の状況確認を行っております。中野区の担当の受け持つケースといたしましては1人当たり約800人、近隣の5区、他区の平均ですと1人当たり500人という状況でございます。

○酒井委員 300件も持つケースが違うということですよね、他区と比べると。それだけ大変なんだろうと思います。また、入園相談だけではなく、保育園・幼稚園分野には民間保育所へ巡回などによる運営を支援する担当さんもいらっしゃいますね。業務の内容を確認していいですか。

○濱口子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(保育園・幼稚園担当) 巡回支援の担当の業務でございますが、元区立保育園の園長や看護師、栄養士等が民営化した保育園や新規開設園、保護者から要望等があった施設を重点的に巡回いたしまして、必要な助言指導を行っておりまして、保育の質確保・向上を図っているところでございます。

○酒井委員 施設が増加して、新規園もふえ、重点的に循環しなければならない園がふえていると思うんですよ。そう考えると、十分な巡回指導というのはなかなか難しいんじゃないのかなと思っています。それからまた、平成28年度から29年度において保育園・幼稚園分野においては超過勤務も増加しているとも聞いております。現在、保育の質が議論されております。それは大変重要なことですが、保育にかかわる組織の充実を図らなければ、全体の保育サービスの向上にもつながらないのではないかと考えます。世田谷区では、保育の組織には三つの課を設置しています。また、足立区では子ども施設入園課、入園に特化する課も設置しているんですね。入園相談、給付、巡回機能を高め、全体の保育サービスの向上につなげるため、現状の体制を見直し、組織体制を強化するべきと考えますが、いかがですか。

○田中経営室副参事(人事担当) 本年度につきましては、区の最重要課題である待機児童対策強化のために幼児施設整備分野も新たに設置し、強化をしたところでございます。また、保育園・幼稚園分野にかかわる職員につきましても、これまで一定の定数増を図っているところではございますが、今後も民間活用等の改善や工夫、こういうことを進めていく一方で、必要な職員定数につきましては適切に対応してまいりたいと考えてございます。また、組織につきましても現在、全庁的な組織の見直しの検討を行っているところでございまして、保育に係る組織についても検討しているところでございます。

○酒井委員 ありがとうございました。ちょうど時間となりました。以上で私の全ての質問を終わります。取材をしていただいた皆さん、時間の都合上、幾つか質問を割愛させてもいただきました。柔軟に御対応いただき、皆さんありがとうございました。

○高橋(か)委員長 以上で酒井たくや委員の質疑を終了します。

 次に、渡辺たけし委員、質疑をどうぞ。

○渡辺委員 第3回定例会決算特別委員会におきまして、都民ファースト・無所属の会の立場から総括質疑を行います。質問は通告どおりでありますが、その他の項目に中野駅北口駅前エリアの再整備について伺ってまいります。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、平成29年度の決算状況について伺います。中野区の財政白書によりますと、歳入総額は昨年度から1.0%減の1,252億4,007万1,000円となりましたが、財政の弾力性を図る指標である経常収支比率が78.6%となっており、前年度と同様に23区平均を下回る数値となっております。また、実質収支比率も3.3%となっており、昨年度の3.8%に続き、一般的に言われている3%から5%内の適正な数値におさまっており、私個人としては、中野区は健全な財政運営を引き続き努めていると判断いたしまして、一定の評価をしているところであります。

 歳出決算額の推移を見てみますと、扶助費の増加が懸念する点として挙げられますが、扶助費の推移を見ていますと、生活保護費に係る費用は横ばい傾向であり、児童福祉費と社会福祉費については平成24年から毎年増加傾向になっております。直近の過去3年間では、児童福祉費については毎年22億、12億、そして12億円、2桁の伸びが続いているところであります。まず最初にお聞きするところなんですけども、この児童福祉費が増加している主な要因、改めてお伺いいたします。

○森経営室副参事(行政監理担当) 児童福祉費につきましては、今、委員も御紹介いただきましたが、平成28年度と比較いたしまして12億円増加しているというところでございます。主な要因でございますが、保育施設の給付が増加しているためと考えているところでございます。

○渡辺委員 今年度の中野区の待機児童数は171名であるということを考えますと、保育所は今後もふやしていかなくてはなりません。保育利用率は今後上昇したり、来年度以降もし教育の無償化が実現されるということになるのであれば、ますます保育所に子どもを預けるという親御さんがふえていくのではないだろうかということも考えられます。待機児童ゼロを目指し、仮に待機児童がゼロになった場合も、近隣から引っ越しをしてくるという話も、他区で待機児童ゼロにした自治体のほうではそういった話もあるということも伺っております。こういったことも踏まえて、児童福祉費の今後の伸び率、こういったものについての区の見解を伺います。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 今後も区は待機児童対策の推進をしていくことから、保育給付等につきまして増加をいたしまして、児童福祉費全体の伸びが見込まれる状況にあるというところでございます。児童福祉費の今後の伸び率につきましては、平成27年度から3カ年で見ますと前年度比で10%前後増加しているところでございまして、今後も伸びは予想されるというところでございます。

○渡辺委員 今後の予測として税収全体の増減、これはどのように推移するのか、こちらの見解を教えてください。

○矢島区民サービス管理部副参事(税務担当) 平成29年度の特別区税収入は前年度比1.9%増の338億円となり、その9割を占める特別区民税では、納税義務者が前年度比で4,440人増加したことや、景気の緩やかな回復基調によりまして就労環境の改善などにより、前年度比2.5%増の317億円となりました。今後も納税義務者数の増加や就労環境の改善により税収がふえるものと見込んでおるところでございますが、経済情勢や景気動向に注視し、税収予測をしてまいりたいと考えております。

○渡辺委員 税収は伸び続けるという見解ではありましたけれども、やはり児童福祉費、こちらの伸びが非常に多くなっている。その分、やはりコストを削減していかなくてはならないという考えを持っていったほうがいいかと思っております。ただ、やはり子育て先進区を目指す区としては、この児童福祉費の伸び率に関しては、私は特にいたし方ないのかなと思っておりますので、コスト削減の部分で力を入れていくというふうな意識を持っていったほうがいいのかと考えているところであります。

 この扶助費が毎年伸び続けていくのであれば、かわりに公債費負担比率、こちらを減らしていくことが、安定した財政につながる一つの施策ではないだろうかということを昨年の第3回定例会での一般質問、決算特別委員会などで提案をしてまいりました。この公債費負担比率について改めて伺っていきたいと思います。平成29年度の区債残高は約198億円と、昨年度の258億円から60億円の減少となり、財政調整基金329億円を大きく下回ったことは大きな成果をなし遂げたと思っております。ただ、一般財源の推移を見ていますと、年々増加している扶助費の部分や、数多くの区有施設の建てかえを控えているという状況からも、まだまだ財政に余裕がある状況であるとは言えないとも考えております。中野区公共施設総合管理計画によりますと、区が所有している約270カ所の施設を今後60年間で全て維持すると仮定した場合の経費総額が3,236億円と試算されております。また、財政白書の48ページにある有形固定資産減価償却率を見てみますと、中野区は67.4%と、他の地域と比べても高い数値になっており、近い将来に大規模修繕、改築、改修の必要性が高まる可能性があるということも言える状況であります。

 昨年度の決算特別委員会において歳入についての今後の見込みについて質問したところ、特別交付金の減、消費税10%段階における法人住民税の一部国税化の拡大、あるいはふるさと納税の影響の拡大ということもあり、今後も大変厳しい財政状況が続くと言わざるを得ない状況であるという答弁をいただきました。今後は地方消費税清算基準の見直しも図られ、楽観視できない状況が続いております。前回の総括質疑で経費削減を区としてどのように考えているかと伺ったところ、事業の見直しにおいて区民サービスや効率性、事業の効果など、改善の視点から点検を行うとともに、全ての事業についての事業の廃止、統合、執行方法の検討など、改めて具体的に検討することを進めていく。一般財源充当事業の経費削減、経費抑制を行うとともに、時期を逸することのできない事業に選択と集中を図っていき、財政状況に見合った事業構築を行うというような財政運営を考えているところであるという答弁をいただいたのですが、昨年度から1年たったわけですけども、具体的にこういった経費の削減、抑制につながる施策を実行したものがあれば教えてください。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 具体的な改善事例ということでお尋ねですが、平成29年度に行った社会福祉会館の施設改修事業をESCO事業として実施をいたしまして、光熱水費の削減が図られた事例、それからもう一つ、システムに係るネットワークの統合によりまして、回線使用料が削減された事例等がございます。

○渡辺委員 システムのネットワークの回線は、おととしぐらいにできたと思うんですけども。とりあえず、こういった削減効果、こういったものを強く意識していって、取り組んでいただきたいと思っておりますし、私もそういった提案があればしていきたいと思っておりますので、引き続き財政運営に関しては健全な運営を心がけていただきたいと思います。

 続きまして、公債費の部分についてお尋ねします。財政白書20ページの図28を見ますと、中野区の区債残高は23区平均の216億円を下回る198億円となっているのですが、13ページの図19に記載されている公債費負担比率が23区平均2.6%を大きく上回る8.2%となっています。これは単に一般財源の分母が他区より低いのか、それとも何か別の理由があるのか、区はこの数字をどのように解釈しているんでしょうか。

○森経営室副参事(行政監理担当) 今の公債費負担比率、23区平均を上回っているということでございますが、歳入であります一般財源総額と比較いたしまして、公債費に充当する一般財源の額が他区より大きいといったことでございます。普通会計でございますので、一般会計と用地特別会計で構成されているんですが、これらの会計において過去に発行した多くの区債の償還時期が到来しているということでございます。

○渡辺委員 用地特別会計が多分今回大きく償還の部分があったということで、23区平均と比べてはね上がったというふうに私は解釈しているんですよ。中野区方式のほうで見ますと、前年度と比べて横ばいというか、そういった状況で、中野区方式というのは用地特別会計も入っていないし、さらに減債基金も上積みされているということで、そこの差が大きいのではないかなというふうに考えております。この用地特別会計、中野区にとってやはり必要なものなんでしょうか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 用地特別会計でございますが、公共用地を円滑に取得いたしまして、施設の整備の促進を図るために設置をしているものでございます。施設整備等に先立ちまして用地を取得する必要がある場合に、起債を活用して先行して用地を取得することが可能なため、区にとっては必要な会計であるというふうに考えております。

○渡辺委員 この用地特別会計を他区で利用しているところは、中野区以外でどこがありますでしょうか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 杉並区において用地特別会計を設置しているというところでございます。

○渡辺委員 要は杉並と中野以外使っていないということなんですよ。用地特別会計を使うことで公債費負担比率が上がるというんであれば、そういったものをやはりなるべく使わずに基金を積み立てて購入するなり、そういうのが難しいから起債しているとは思うんですけれども、ちょっとその辺、そういう考え方もあるかと思うんですが、いかがでしょうか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 施設整備を効率的、効果的に進めていくに当たりまして、機を逸することなく、一般財源への影響を少ない形で先行して用地を取得するということができることから、今後も必要に応じて活用してまいりたいというふうに考えております。

○渡辺委員 必要であれば、それはいたし方ないかとは思うんですが、では、財政白書の13ページに中野区方式の公債費負担比率がおおむね10%以内となるよう目標を定めて、公債費の抑制を図っていると記載されています。この用地特別会計を活用している区というのは、23区の中で中野と杉並だけということであるんであれば、この際、中野区方式という公債費負担比率の表記は削除して、23区方式の公債費負担比率でおおむね10%以内となるような目標に変更したほうがいいんじゃないかと思うんですけども、いかがでしょうか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 今後、学校施設の更新や区役所の整備、あるいは中野駅周辺まちづくりなど行政需要の増加が予想される中で、起債の活用の必要性は増してくるというふうに考えているところでございます。一方で、事業実施によりまして、公債費負担が今後の財政運営に支障を来さぬよう、起債の発行はできるだけ抑えていくと。少なくしていくこととなるように慎重に判断していきたいというふうに考えているところでございます。一般財源のおおむね10%の範囲内で起債を活用していくという目標につきましては、区の財政体力に見合ったものであるというふうに考えておりまして、一般財源への影響度がより把握しやすい中野区方式の公債費負担比率を従来どおり活用して、管理を行っていきたいというふうに考えているところでございます。

○渡辺委員 どこかと比較して、うちの中野区の公債費負担比率はどういうものかという指標という意味では、やはり23区と比較したほうが見やすいわけですし、ずっと私も財政白書を見て、中野区方式って何なんだというのはすごく疑問に思っているところがあるんですよ。それは純粋に本来中野区が支払う借金を示すものであるから、それはそれで必要だという説明を受けてきたんですけれども、私はやっぱり正直見る分にはややこしいと思いますし、調べていけば用地特別会計を今後も使っていくというんであるならば、そこも意識したようなところで公債費負担比率は考えていくべきであると思うんですね。これからやはり公債費負担比率を減らしていくというふうなところで扶助費がふえていくというところを、かわりにそこを抑止していくことで財政バランスを整えていくというのであれば、そういった目標数値を変えて起債に対する意識をもうちょっと強く考えて持っていったほうがいいのかなと私は個人的には思いました。はい、以上です。そう思ったんです。そうすべきなんじゃないかと。

 世代間負担の公平化という考え方についても確認していきます。財政白書の18ページ、特別区債の発行額と残高の推移のところで、まちづくり事業や大規模公園整備、学校改修、区有施設の整備、改修等、一時的に多額の資産形成資金を必要とする事業がふえています。こうした経費は世代間負担の公平性も考慮し、特別区債の発行により資金調達を行うことによって将来世代にも負担を求めていますと記載されております。この将来の建てかえに向けて、そういった考え方もあるとは思うんですが、さっき酒井委員もおっしゃっていましたが、やっぱりしっくりこないんですよ、私も。現役世代の方々が基金を積み立てていくということも世代間負担の公平化になると思うのですが、いかがでしょうか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 基金への積み立てでございますが、歳出の年度間での調整機能も果たしているというふうに考えておりまして、世代間で負担するということにもつながっているというふうに考えているところでございます。

○渡辺委員 例えば家を建てましたと。家を建てたら父親が、子どもにおまえもずっと一緒に住むんだから、おまえも借金を払い続けろというふうなのは、ちょっと感覚としてはやっぱり納得いかないわけであって、子どもにまで借金を引き継がせるというような、何かそういうふうなことと一緒に考えちゃうんですよね。そうじゃなくて、将来の子どものためにやっぱり基金を積み立てていって、おまえが何かそのときに必要なものに使ってくれよと。そういうほうがやっぱり大事なのかなと。私はそういうふうにちょっと思っています。何かどよめいていますけど、すみません。ちょっと個人的な考え方なので、これは。

 あらゆる区有施設、区役所や学校の建てかえなど、大きな費用負担となる建物などについては、新しく建てかえた翌年から、要は60年後に向けてこつこつと次の建てかえ時期に向けての基金の積み立て、こういったことも意識していくことが健全な財政運営につながる一つの方法だと思うんですけども、区の見解はいかがでしょうか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 施設の改築、大規模改修に必要な経費に備えまして、財政調整基金の施設改修に対する財源調整分、あるいは特定目的基金であります義務教育施設整備基金や社会福祉施設整備基金などへの計画的な積み立てを行っているところでございます。新築の翌年から施設の減価償却分を全額積み立てていく場合、建設時の前の世代が全てを負担するということになるというふうに考えています。将来的にも施設用途等が変更されてしまうということもあり得ることを考えると、個別の施設ごとに新しく建てかえた翌年から積み立てをしていくということは現時点では考えてございません。

○渡辺委員 ただ、そういう意識を持ってもらいたいということでこの質問をした次第です。区債発行を極力減らし、公債費負担比率を減らすことにやはり力を注いでいくということが必要だと思っております。基金の積み立てについては、財政調整基金ではなく特定目的基金を中心に、これからは積み立てていくべきであると考えますが、区の見解をお聞かせください。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 今後の施設更新など財政需要に備えまして、起債の発行を抑えていくということとともに、今後の財政需要の予測に基づき、適切に財政調整基金及び各特定目的基金のほうに積み立てて行っていきたいというふうに考えています。

○渡辺委員 今後扶助費がふえ続けていく。あと、児童館や区立の幼稚園・保育園の存続をしていくというふうなことも明言しているわけですので、そこに係る維持管理費も今後ふえてくるわけですので、財源確保をどのようにするのかということは本当に考えていかなくてはいけないところだと思います。公債費負担比率を極力下げていく努力を今後も引き続き行っていただきたいですし、さまざまな分野で試行錯誤を繰り返しながら、子育て先進区と言われるような中野区になることを期待して、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、中野区の土地開発公社について伺います。財政白書の20ページに土地開発公社の土地保有面積と借り入れ総額の推移が記載されておりますが、昨年度とほぼ変わらない状況であります。去年の質問で中野区土地開発公社の保有土地について確認したところ、総面積にして3,204.5平米、総額にして28億8,082万3,359円。内訳として、中野駅南口市街地整備事業用地が812平米程度、中野駅北口広場整備事業用地が1,355平米程度、八成公園拡張用地が838平米程度、その他は全て道路用地で198平米程度ということでありました。この道路用地以外の三つの土地の何が問題かというと、10年以上保有している状況というのが問題であります。その点を確認するため、昨年質問を行ったのですが、中野駅南口市街地再整備事業用地及び北口広場整備事業用地については、昨年度に中野駅周辺の再整備事業の進捗に合わせて買い戻しをする予定であるという答弁をいただいておりましたが、買い戻しの時期、明確にわかる範囲で教えてください。

○吉沢経営副参事(用地担当) 中野駅南口市街地整備事業用地につきましては、中野二丁目地区市街地再開発事業におけます再開発建築物が竣工します予定の平成34年度までに買い戻しをする必要がございます。また、中野駅北口広場整備事業用地につきましては、買い戻し時期はまだ未定なところではございますけれども、中野駅新北口駅前エリア及び囲町地区におけるまちづくり事業の進捗に合わせまして、適切な時期に買い戻しをする予定になってございます。

○渡辺委員 この二つの用地については、補助金が入ってくるそのタイミングに合わせて買い取るということで一定のめどはついているので、そこはそれでいいのかと思うんですけども、八成公園がちょっと問題なのかなと思っていまして、こちらは今後の売却予定について確認したところ、前回隣接する都市計画道路の整備計画の状況を踏まえ、買い戻しのタイミングを検討している状況であるという答弁をいただいております。都市計画道路補助第215号線は、平成28年3月に策定された東京における都市計画道路の整備方針(第4次事業化計画)において見直し候補路線区間としても位置付けられております。今後、地域の視点から改めて路線の必要性について検証していくということでしたが、検証した結果どのようになりましたでしょうか。

○安田都市基盤部副参事(都市計画担当) 上鷺宮地域の補助215号線につきましては、委員御指摘のとおり第4次事業化計画の中で、広域的な視点で東京都とともにネットワークを所管する所管の関係から検討を進めているところでございます。また、改定を進めている中野区都市計画マスタープランの中で取り扱いを検討しているところでございます。西武新宿線の野方以西の連続立体交差化に伴うまちづくりや、上鷺宮地域の土地区画整理事業をすべき区域の動向などを踏まえ、総合的な観点からさらなる検証が必要と考えてございます。

○渡辺委員 拡張用地部分が、平成21年11月19日に公園として区域変更告知を行っており、高齢者農園などで今活用しているところなんですけども、全体改修や再整備など具体的な公園整備計画は検討しているんでしょうか。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 八成公園の拡張部分につきましては、平成21年に公園としての区域決定を行い、現在に至っているところでございます。現在は御指摘のとおり高齢者農業事業用地として活用されており、公園の整備については具体化していない状況でございます。

○渡辺委員 道路も今後どうなるかわからないし、公園としての整備もちょっと考えていないということであれば、この八成公園の部分については補助金がつく形にしてから、土地開発公社から土地を買い取るのが理想なんでしょうけども、そのめどがついていないという状況なんですよね。これ、やっぱり一生懸命頑張ってほしいんですけども、計画公園にするなり、地形的にそれが難しいなら何らかの補助金がつく事業スキームを考えて、対策を練るべきだと思うんですけれども、今後についての区の見解を改めてお聞かせください。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 現時点では、繰り返しで恐縮ですが、高齢者農業事業用地としての活用をされているところでございますので、公園整備につきましては今のところは具体化していない状況でございます。

○渡辺委員 総務省のホームページに記載されている土地開発公社事業実績調査結果概要というのが毎年更新されておりまして、全国の自治体で土地開発公社が持っている土地の一覧というのが出るところがあって、23区も当然比較して見られるようになっているんですけども、23区で10年以上土地を保有している区というのが6区ありまして、保有額の数字を見ていきますと、板橋区の41億9,400万円に次いで2番目に多い中野区が23億2,200万円となっているんですね。単純に見栄えが悪いと。できればやっぱり10年以上持っているというのは本当に何なんだというところもあるので、早急に買い取って、区のほうに引き取ってもらいたいんですけど、八成公園ももう何かずっとそのままですし、土地開発公社において利子の部分も全部払ったみたいな話も聞いていますので、できればどこかのタイミングでとりあえず区の名義にちょっと変えてもらいたいなというのが自分の要望であります。土地開発公社で持っている意味がちょっと今ないんじゃないかと。補助金の当てもないし。だったら、一回区のほうで引き取るというふうな、そういったことをしたほうがいいのではないかと思いますので、そういったことを要望したいと思います。

 続きまして、施設整備の方向性についてお尋ねいたします。こちらも昨年の決算特別委員会で質問したのですが、未利用施設となっている旧常盤少年自然の家、こちらは10か年計画の中で売却予定と書いております。当時は東京電力の発注事業である震災関連の減容化処理施設建設事業の従事者、いわゆる除染作業者の方々の宿泊施設として貸し付けを行っており、月額35万円の家賃収入が入っておりましたが、その貸し付け期間が終わると施設の維持管理費が年間およそ200万円程度となり、貸し付けが終了した後の維持管理費が気になるところであります。去年も聞いたんですけども、現在の貸し付け状況について教えてください。

○波多江経営室副参事(経理担当) 現在、こちらの施設の駐車場の一部について、汚染土壌を中間処理施設へ運搬する輸送車両の旋回場及び現場管理従事者の通勤用車両の駐車場として貸し付けをしております。期間は平成30年8月1日から9月30日までの2カ月間としてございます。また、建物についても今年度において震災関連の減容化処理施設建設に従事する職員の宿泊施設として借り受けたい旨の要望も聞いているため、そうした事業者への貸し付けも視野に入れているところでございます。

○渡辺委員 こちら、去年も同じような除染作業員が基本的に使っているということなんですけども、まだまだちょっと除染作業が続いているようで、ニーズはあるかと思うんですけども、この作業が終了した時点で貸し付けというのは、なくなるのではないかという可能性も考えられます。除染作業終了時期は大体いつぐらいになるかというのも調べていけばわかるかと思うんですけども、そこをリミットと考え、それまでに売却先を探さなくてはいけないのではないでしょうか。区は売却先を探す作業は今のところしているのでしょうかお答えください。

○吉沢経営副参事(用地担当) 現在は、除染作業に伴います駐車場用地として貸し付けを行っているため、今後もそうした貸し付けのニーズに応えながら、除染作業などの完了する時期を踏まえつつ、適切な売却時期を見きわめていきたいと考えております。ただ、現状としましては、買い取り希望、要望がない状況になっておりまして、売却が難しいということも認識しているところでございます。

○渡辺委員 借り手がもし見つからなければ、200万円程度の年間の維持管理費をこちらはかかり続けるということにもなります。除染作業が終わるまでこういった借り手はあるようなんですけども、それまでに売却先を探したり、それができなければ、例えば田村市に譲渡するなり、解体も視野に入れて検討しなくてはいけない政治的判断があるのではないかと思います。こういった明確な指針を設けて、しっかりと対応していただきたいと思います。

 続きまして、官民一体型のPFI事業方式について伺います。前回、鍋横区民活動センターの建てかえ用地となっている土地を官民一体となった複合施設の建てかえができないかというような提案をしたところ、前向きに検討するという答弁をいただいておりました。実際に民間事業者に簡単なシミュレーションを依頼したところ、鍋横商店街通りの裏手の土地の部分が住居地域エリアとなっており、高層階の建物を部分的に建てたとしても床面積が足りず、採算が合わないということで官民連携の複合施設をつくることは難しいという結論になっているところであります。ほかにも区内の商業地域エリアにある区有施設で官民一体型のPFI事業方式について検討してみてはいかがだろうかという提案をしていたのですが、そちらの状況についても改めて確認してまいりたいと思います。他の議員からも同様の質問がありましたが、早稲田通り沿いにある商工会館、こちらは商業地域エリアにあり、高層ビルに建てかえることが可能であります。10か年計画では土地を売却予定と記載されておりますが、官民一体となったPFI方式の複合施設、こういったことをつくることを計画してみてはいかがでしょうか。

○杉本政策室副参事(企画担当) 商工会館用地は中野駅に近く、早稲田通りに面する区民にとって利用価値の高い土地であるというふうに認識をしてございます。今後、跡地の活用につきましては、区民の御意見を聞いた上で活用の方策を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○渡辺委員 区は土地を民間に貸し出す、民間施設はそこに民間事業者がお金を出して建物をつくって、事務所代、テナント代とかで収益を得ていくような形にしていく。近くに住んでいる人たちは利便性の高い、そういったお店ができることで生活の質も向上していくというような、そういった形での方式というのがこれから主流になるのではないのかなと思っております。まだ中野区内にはそういった事例というものもないんですけども、一つでもいいから、まずはそういった事例をつくって、行政が私たちの税金を区有施設にそのままつぎ込むというふうな形ではない、新たなこういった民間事業者が一枚加わって、全て税金の削減にもつながるものだと思いますので、こういった事業の実現、どれか一つでもいいから目指していっていただきたいと思います。

 続きまして、地域包括ケアについて伺います。第1回定例会の総括質疑の中で、アウトリーチ型の相談機能を高めるための計画を作成していくに当たり、現状の課題と改善部分についてお尋ねしたところ、区のさまざまな個人情報を活用して、アウトリーチによる相談支援業務を充実させていくために情報連携の仕組みを整えていく必要があると考えているという答弁をいただいております。このことを踏まえて何点か質問させていただきます。

 まず確認したいのが、区が目指すアウトリーチによる相談支援業務、これはどういったものなのか教えてください。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 区民一人ひとりが抱えます、区の部署を横断するなどの課題をワンストップで受けとめまして、解決に向けまして個別ケース検討会議などの開催や、介護医療、健康予防、見守り、生活支援等のサービスをトータルで提供できるように適切にコーディネートしていくものでございます。例えば客観的な生活上の問題を抱えているにもかかわらず、すこやか福祉センターなどの公的な相談窓口に容易に結びつかない。あるいは訪れることをためらう潜在的な要支援者に対しまして、その自宅などへ訪問型の相談支援を行うといったこと。またニーズなどを的確に把握いたしまして、ケアマネジャー等の専門機関につなげ、必要となる公的サービスや民間のサービス、地域の見守りなどの提供体制をコーディネートすることで、一人も取りこぼすことなく地域での自立生活を確保するなどが挙げられるものでございます。

○渡辺委員 区の職員が積極的に地域に飛び込んでいく。そして質の高いサービスを提供していく。そのためにも事前情報を少しでも多く持って対応することも一つの手段であると思いますが、いかがでしょうか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) アウトリーチチームが潜在的対象者の効率的な発見のために、行政が保有いたしますデータの活用といったことは有効と考えてございます。要支援者を適切な支援につなぐため、さまざま情報を収集いたしまして、常に最新の情報に基づいて行動し得る環境を整備するといったことにつきましては重要と考えてございます。

○渡辺委員 情報連携の仕組みを整えていくに当たり、まず初めに行うことは、やはり働いている現場の職員の皆さんにどういった情報が事前に手元にあれば、要支援者によりよい支援を行うことができるのかということをヒアリングすることだと思います。その点についてどのように考えていますでしょうか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) すこやか福祉センターのアウトリーチ業務につきまして、平成29年度の実践を踏まえ、今年度は業務の平準化、統一様式によるデータ集計、業務のハンドブックの作成などに取り組んでいるところでございます。次のステップといたしまして、平成29年度発足以来積み重ねました実践を踏まえ、相談支援業務に必要となる情報など業務分析を行いつつ、現行の要支援者情報台帳システムの機能や使用状況等の検証を行うことが必要でございますので、現場の声を踏まえて取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

○渡辺委員 ヒアリングする時期、これも明言してもらいたいんですけども、どれぐらいの時期までに現場の職員の方々にヒアリングすることを考えていますでしょうか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 新たな要支援者情報台帳システムの構築に当たりまして、利用状況や課題、相談支援を行う上で必要な情報等について適宜ヒアリングを行うことを予定しております。

○渡辺委員 要支援者台帳システムの構築時期をめどというふうに捉えます。さまざまな部署で取り扱っている個人情報、これを連携させて情報共有を行うことが可能かという質問も以前したところ、技術的には可能であるという答弁もいただいております。ヒアリングの結果をもとに現在、各部署にあるシステムを連携させていくのか、それとも新たなシステムを一から構築していくのか。さまざまなことが考えられると思うんですけども、具体的な今後の方針について教えてください。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 現時点で具体的な方針は定めておりません。現在利用しております要支援者情報台帳システムにおきまして、情報システム、介護保険システム、生活保護システム、高齢障害福祉業務管理システムと連携しておりまして、高齢者、障害者、介護認定者等、要支援者の基本的な情報は一覧できるようになってございます。今後、子育て家庭や障害者等、支援を必要とする全ての区民を対象とする包括ケアシステムを構築していくこと、また、新区役所において展開されるアウトリーチ業務との整合なども踏まえて、具体的な方針を定めてまいりたいと考えております。

○渡辺委員 ちょっとこの質問をつくるに当たり、いろいろ取材をしたんですけども、現在、例えば一人の要支援者が見つかった場合、家族構成はどうなっているんだろうとか、例えばどういった今まで区の職員が対応してきたのかという履歴を見たりとか、どんな行政サービスを使っているのか、いろんなシステムを一つひとつ見ていくということで、場合によっては紙ベースでためているような、そういったデータもあったりとかして、やっぱり非常に効率的によろしくないのかなというのは話を聞いていて思いました。それを一つの画面で、こういう人がいたというのを打ち込むことで、本当にその人がどういったサービスを区から受けているのかとか、どういった支援を行っていくのか、見やすい画面というのをつくることで非常に効率も上がると思います。これは業務効率の改善にもつながることだと思いますので、取り組んでいただきたいと思います。

 現在、70歳以上の単身高齢者、75歳以上の高齢者のみの世帯に対しては、民生委員さんが全戸訪問を行い、日々の生活状況を把握することに努めていますが、対応拒否、訪問拒否をされている方々へのアプローチがその後できていない状況であります。また、最近では80代の親御さんと50代の子どもが社会から孤立する8050問題が深刻化しているという報道もされており、実際、中野区内でもカタルーベの会という引きこもりの子どもを持った親御さんが集まって、それぞれが抱えている家族の問題を語り合うという定期的なイベントも開かれております。ちなみに、内閣府が公表した調査、平成30年度版子ども若者白書によりますと、16歳から39歳の引きこもり当事者は全国に約54万人いると推計されていますが、40歳以上に関しては調査から外れておりました。国は秋以降に調査すると発表しておりますが、40代以上の引きこもりも多数存在していると考えられております。現場で日々奔走している何人かの職員さんにお話を伺ったところ、今の仕組みのままではこういった方々になかなか手を差し伸べることができないということを申しております。区はこのような、例えば高齢者で訪問拒否、対応拒否をされている方々や、中高年の引きこもりの方々にどのように手を差し伸べていくか、こういった手段を考えているでしょうか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 民生児童委員の方が行っております高齢者調査におきまして、3回訪問してもお会いできなかった方、また訪問を拒否される方につきましては、その後アウトリーチチームが状況の把握に努めているところでございます。また、若年性認知症の方や中高年引きこもりの方につきましては、すこやか福祉センターが相談窓口となっているほか、地域の見守り支え合いの活動からの発見や認知症カフェなどへの参加も専門機関につながるきっかけとなっているというふうに考えてございます。しかし、相談できない方、御自身や家族の困難な状況に気づいていない方がいらっしゃるということは想定できるところでございますので、こうした方々への効果的な情報発信等について研究してまいりたいと考えてございます。

○渡辺委員 例えば区が持っているさまざまな個人情報を分析することで、今まで捕捉できなかった引きこもりの方ですとか、そういった人を見つけることというのは可能と考えますか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 要支援者の早期発見につきましては、事例の集積、分析を積み重ねた上で共通の要素を抽出し、それらの要素を含む情報を突合させることによりまして、何らかの課題を抱えているかもしれないと想定される一定程度の絞り込みができる可能性はあるというふうに考えてございます。

○渡辺委員 例えば家族構成の情報を見て、ここに80代と50代の二人の人たちが住んでいる。税情報を見てみて、その50代の方がずっと非課税であったりとかというようなことを見ることで、もしかしたらこの人は引きこもりなのではないのかなとか、いろんな仮定の話ではありますけれども、そういったことは推測できるのかなと私は思ったんですね。区の個人情報を扱うことというのは非常に慎重にしていかなくてはならないですし、これは本当に区の職員じゃなきゃできない仕事でもありますし、そういうふうに法則があるかどうかもわからないんですけれども、さまざまな区の個人情報をいろんな角度から分析をすることで、ここの家庭には今まで高齢者が住んでいるだけかと思ったけど、実は引きこもりの方もいるのではないのかとか、そういったことというのが見えるのではないのかなという気がします。ただ、もちろん個人情報保護審議会とか、いろんな形でのそういった情報をどこまで開示するか、そういった部分は慎重にしていかなくてはいけないんですけども、今後の可能性としてそういった姿勢もまたアウトリーチというマインドだと思いますので、取り組んでいただければと思います。

 続きまして、アウトリーチチームと民間事業者の連携について伺います。平成27年4月に介護保険制度の改正が行われ、総合事業という名のもと、市町村が中心となって地域の実情に応じて要支援者等の方々に対する効果的かつ効率的な支援をすることが可能となりました。中野区でも平成29年4月から介護予防を目的としたアウトリーチチームをつくり、区の職員が地域に積極的に飛び込んでいくという姿勢を打ち出しているところであります。アウトリーチチームが発足して1年以上が経過しておりますが、ここで改めてアウトリーチチームが具体的にどのような活動を地域で行ってきたのかを伺いたいと思います。

 まず改めて伺いますが、アウトリーチチームが地域で行う具体的な活動内容を教えてください。

○鈴木地域支えあい推進室副参事(北部すこやか福祉センター地域支援担当) アウトリーチチームの活動内容についてでございますが、アウトリーチの活動には、支援の必要な人を適切な支援機関につなげる個別相談支援活動、社会資源の把握等を行い、ネットワークを形成する活動、さらに潜在的なニーズや課題を発見する活動がございます。

○渡辺委員 昨年度の活動内容別の実績があれば教えてください。

○鈴木地域支えあい推進室副参事(北部すこやか福祉センター地域支援担当) 平成29年度のアウトリーチチームの活動の実績でございますが、まず個別相談支援活動の対応件数は147件でございました。潜在的なニーズや課題の発見件数は21件でございました。社会資源ネットワーク活動を継続してまいりましたが、地域の社会資源を公表する取り組みを平成30年4月から開始をしておりまして、現時点で83件の公表をしているところでございます。

○渡辺委員 アウトリーチチームは、区の職員、保健師、そして児童館館長で構成されておりますが、それぞれの職員さんに与えられている役割を教えてください。また、アウトリーチチームとして何を期待されているのかというのもあわせて教えてください。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) アウトリーチチーム3職種の役割ということでございます。保健師等の医療職でございますが、精神保健、母子保健などの専門知識を持って、個別支援や地域課題に対応しているところでございます。また、福祉職でございますが、児童館業務で培いました子育てに関する相談支援能力や、社会福祉士としての福祉的援助技術などを活用いたしまして、ソーシャルワークを行っているところでございます。また、アウトリーチチームの事務職でございますけれども、各区民活動センターに配置をしてございまして、区の窓口として地域との連絡調整、チーム全体の調整などを果たすことを期待しているといったものでございます。

○渡辺委員 アウトリーチチームが実際に行った事業を伺っていったところなんですけども、潜在的な要支援者の発見というものがやはり突出した数字となっておりまして、そういったものが主になっているのではないのかなと思われます。さまざまな支援活動を発足時はやはり、今も想定して動いているのかと思うんですけども、今度はやはり実際の現場に出てみて、個別相談の業務、こういったところが主流となっていることを踏まえ、ここに焦点を絞ってアウトリーチチーム活動を行っていくんでしょうか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) アウトリーチチームでございますが、平成29年度に設置をいたしまして、この間、個別相談支援活動、それから潜在ニーズ課題発見活動並びに地域社会資源ネットワーク活動といった活動領域を区分いたしまして、展開してきたところでございます。1年半を経過いたしまして、さまざまな対応事例が積み上がってきたところでございます。現在活動のためのハンドブックなどを編集中でございます。今後さらに支援活動を進めていく考えでございます。

○渡辺委員 地域に密着した活動を行っている団体が別でございます。事業者の代表格としては、社会福祉協議会、地域包括支援センターなどがあります。実際にアウトリーチチームもこちらの方々と一緒になって地域活動を行っていると聞いております。そこで伺いますが、社会福祉協議会の行っている高齢者に対する支援業務、どのようなものがありますでしょうか。

○岩浅健康福祉部副参事(福祉推進担当) 社会福祉協議会では、高齢者も含めました支援が必要な方に対しまして、有料の在宅福祉サービスを提供いたしますほほえみサービス事業ですとか、福祉なんでも相談を行っております。特に高齢者を対象にしたものといたしましては、電球の交換や荷物の上げおろしなどを援助する高齢者困りごと相談支援事業のほか、単身高齢者を対象に定期的な見守りを行う安心サポート事業、判断能力が低下した方を対象とした日常生活自立支援事業や成年後見支援事業を行っております。また、各地域に15名の担当職員を配置いたしまして、まちなかサロンへの支援や個別相談への対応のほか、民生児童委員や町会・自治会の会議への出席や相談など、地域での居場所づくり、地域活動のコーディネートなどを行っているところでございます。

○渡辺委員 さまざまな事業を行っているんですけども、こちらの事業も今お話しした区がやっているアウトリーチチームの仕事とちょっとかぶっているところがあるのかなというのが見受けられます。地域包括支援センター、こちらの実施している業務、どのようなものがあるのか教えてください。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 地域包括支援センターでございますが、介護保険法に基づきます包括的支援事業や介護予防支援事業、また高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に関する支援等に関する法律に基づきます相談、安全確認等の権利擁護に関する業務などがございまして、区が運営を委託しているものでございます。

○渡辺委員 こちらも高齢者の見守りという仕事が主なものであるかと思いますので、これもやはりアウトリーチチームがやっている業務とも重なっているのかな。実際連携して動いているというところなので、そこが今、アウトリーチチームが行っている主な仕事のものなのではないかということが見て取れます。実際、アウトリーチチームがかかわるケースについても、地域包括支援センターや社会福祉協議会さんのほうにつなぐケースが多いんではないでしょうか。

○鈴木地域支えあい推進室副参事(北部すこやか福祉センター地域支援担当) アウトリーチ活動における支援のつなぎ先についてでございます。アウトリーチ活動におきましては、要支援者、支援が必要な方ですけれども、要支援者の課題を解決するために適切な関係機関につないで支援を行うものでございまして、地域包括支援センターや社会福祉協議会につなぐケースもございます。

○渡辺委員 実際の現場の人たち、これも私、いろいろ聞いたんですけども、アウトリーチチームが実際じゃ何をやっているのかということについて、アウトリーチチームしかできない仕事って何なのかと言われたら、いや、特にないんじゃないかという声は結構複数の方からいただいております。実際業務もかぶっているわけですし、一緒に連携して動いているわけですから、ここからこの先どうやっていくかというのが本当に大きな課題だと思うんですよ。民間に任せるところは民間に任せていっていいと思うんですけれども、区の仕事というのは民間事業者の御用聞きという形で、いろんな要望とか意見を聞いて、そういった民間の事業者がやりやすいような環境を整えていく、もしくは制度設計、そういったものを行っていくことが本来のアウトリーチチームの仕事なのではないのかなと私は考えております。今後のアウトリーチチームの活動内容、こういった現実を受け入れて見直しを図り、新たな指針、いわゆる民間事業者のサポートに徹するというような、そういった考え方を示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 平成29年度に区が設置をいたしましたアウトリーチチームでございます。地域包括支援センター、社会福祉協議会はもとより、町会・自治会、民生児童委員、医療機関、介護サービス事業所等の関係機関と対話による関係の構築を進めまして、地域のさまざまの課題に協働して取り組むといったネットワークの構築を行ってきたところでございます。地域包括ケアシステムの構築に当たりましては、さまざまな機関や団体がさらに活動しやすい地域環境づくりといったようなことも必要と考えてございまして、今後、地域ケア会議などでの協議を踏まえまして、引き続き支援を図っていきたいと考えております。

○渡辺委員 本当に民間のサポートというものをしていってもらいたいと思います。第1回定例会において現場の課題として、アウトリーチチームが社協さんと連携しながら地域活動を行っていく中で、個人情報保護法の観点から社協さんと個人情報の共有ができないため、社会福祉協議会へ事業を委託して、個人情報の共有を行った上でアウトリーチ施策を連携してみてはいかがだろうかという提案をいたしました。社協さんのほうでも地域活動を行う中で見守りが必要な人ではないかという情報が入った際に、区の情報をもとに行動することができれば素早い対応が可能となるので、ぜひとも情報を共有したいという要望もいただいております。社協さんに対して区の情報を共有して活動してもらうことは、区民サービスの向上にもつながるかと思うのですが、区の情報を社協さんへ共有することについて前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 社会福祉協議会とは、制度のはざまにあるケースや何らかの事情について支援に結びついていないケースといったことの対応につきまして、連携協力しながら支援を行ってきているというものでございます。今後こうした連携協力の中で必要となる個人情報の取り扱いにつきましては、法令等の規定に基づきまして適切に対応していきたいと考えております。

○渡辺委員 杉並区、練馬区、豊島区、板橋区などでは、既に社会福祉協議会が区の情報を活用して地域活動を行っております。中野区だけができないという理由もないと思いますので、同じような活動をしている地域包括支援センターさん、区の情報をこちらは見ることができて、社会福祉協議会のほうで見ることができないというのもちょっとおかしい話なのかなと思います。社会福祉協議会が地域活動の質の向上を目的とした情報提供を区に求めていくのであれば、積極的に協力することを要望いたします。

 今回取材を進めていく中で地域包括支援センターの現場の方々から人員をふやしてもらえるとありがたいという声を複数の方からいただきました。毎年、高齢者の人口がふえていく中で、人員をふやしていくことは当然考えていかなくてはならないことであります。区は地域包括支援センターで働いている職員の数をふやすために、委託費を増額するようなことを検討したことはありますでしょうか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 介護保険法の施行規則でございますが、担当地域におけます介護保険第1号被保険者数おおむね6,000人ごとに職員3人を配置するよう規定されております。これを受けて、区では中野区地域包括支援センターの職員及び運営に関する基準を定める条例におきまして、担当地域の介護保険第1号被保険者が6,000人以上の場合、さらに1人を加えた4人とするように定めているところでございます。こうしたことに加えまして、担当地域の第1号被保険者数が一定数、1,000人ごと増加するごとに加算するなど、担当すべき人数や業務量によりまして委託料の加算をしてきたところでございます。

○渡辺委員 現場でまだまだ人が足りないという声も聞こえております。適宜そういった声を聞いていきながら、もし必要であれば人員の増加というのも引き続き検討していただければと思います。

 私は今回の地域包括ケアの中で、民間に任せるものはやっぱりどんどん民間に任していくべきであるという考えがすごく大事なのではないかなと改めて思いました。もちろんそれはアウトリーチチームを別に否定しているわけではなくて、これからもっともっと現場のほうに入り込んでいって、アウトリーチというマインドというのがすごく大事だと思います。私も最初、区の職員がみずからアウトリーチという言葉を使って地域に飛び込んでいくという姿勢というのは、すばらしい、すごいことだなと思ったし、それもすごく期待をしておりましたが、実際、やっぱり現場の方々も一生懸命ふだんお仕事をされているわけですので、そこのサポート、ここも本来改めて見直していくべきではないのかなと思います。

 最後の質問になりますけども、区は民間への支援、ここを積極的に行っていく意思というのはありますでしょうか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 区が設置いたしましたアウトリーチチームでございますけれども、潜在的に要支援者の発見、地域課題の分析、地域包括ケアのコーディネート機能ということでございまして、すこやか福祉センターが直接担うものといたしまして、アウトリーチチームを置いてきたところでございます。委員御案内のとおり、民間活用や民間との連携というものにつきましては今後も積極的に進めていきたいと考えてございます。

○渡辺委員 積極的に行っていただきたいと思います。

 続きまして、地域包括ケアにおける民間事業者の参入について伺います。先々月の7月27日に少子高齢化対策調査特別委員会において愛知県豊明市へ出向き、豊明モデルと呼ばれる地域包括ケアの視察へ行ってまいりました。こちらの豊明モデルは未来投資会議でも優良事例として紹介されております。未来投資会議とは、未来への投資の拡大に向けた成長戦略と構造改革の加速化を図るための司令塔として位置付けられている会議で、内閣総理大臣が議長を務めている会議体であります。豊明市が全国的に注目されるようになったのは、行政が民間事業者と積極的に連携し、保険外サービスの開発に取り組み、高齢者の生活支援をサポートするサービスメニューをふやし、自宅に引きこもりがちな高齢者を外出させるための仕組みを構築し、結果お年寄りが積極的に外出するようになったことで介護給付費の伸び率が下がり、社会保障費の削減につながったという成果が出ているところにあります。超高齢社会の中で年々社会保障費がふえていく傾向がある中で、社会保障費の削減効果が出たという事例は稀有なことであり、中野区としても豊明モデルを参考にするべきところが多々あるのではないでしょうか。そこで幾つか確認をしていきます。

 中野区では今まで地域包括の分野において民間事業者と提携した事業を何か行ったことはありますでしょうか。もしくは検討したことはあるでしょうか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 民間事業者との連携でございますが、介護予防事業におきまして、区内の大学との連携でプログラムの開発やデータ検証を行っているケースはございます。それから、介護予防事業でございます「なかの元気アップ体操ひろば」でございますが、商店街の集会所などの民間施設を無償で提供していただくなどを実施しているところでございます。

○渡辺委員 例えば特定の民間事業者を区が区民に紹介するという行為に対して、区はどのような見解を持っていますでしょうか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 区が協定などに基づきまして、民間事業者と協働して行う事業、例えば民間事業者が主体となって施設やさまざまなサービスなどの介護情報を取りまとめた出版物の作成、発行につきまして、区が情報提供などの協力を行いまして、区がホームページ等で周知するといった支援はこれまでも行ってきているところでございます。また、一般的に民間事業者の特定のサービスを区が紹介することにつきましては、公平性の観点から難しいものと考えているところでございますけれども、ケアプランの作成などに当たりましては、フォーマルのほか、さまざまなインフォーマルサービスも取り入れることが望ましいとされているところがございまして、この中で市場の生活支援サービスについても情報提供されることがあると承知しているところでございます。

○渡辺委員 基本難しいとは思うんですけれども、豊明市は全ての事業者に門戸を開いて、一定の条件をクリアすれば、全ての事業者を受け入れるというスタンスをとっております。公平性の確保についてここでクリアしているという見解を豊明市は示しているところですが、区もこのようなスタンスで対応してみてはいかがでしょうか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 介護保険外のサービスにつきまして、特定の民間事業者のサービスを区が区民に周知するといったことが想定される場合につきましては、当然その根拠が必要になるものと考えてございまして、そのようなことを踏まえまして対応していきたいと考えております。

○渡辺委員 介護保険サービスより割高な保険外サービスであっても、例えばマッサージとか1時間6,000円とか3,000円か今わからないですけども、それを例えば高齢者の方であれば1,000円にしますよとか、そういうのは保険外サービスとして喜ばれることでもあるし、そういったものを区がこういうところをやっていますよというふうに紹介していくというのは、私はすごくいいことだと思います。ただ、やっぱりあらゆる業種が入ってくるということを前提で考えた場合、例えば夜のお店で何か座って1時間5,000円のところを75歳の人は1,000円でいいですよみたいな、そんなサービスをやるので、ちょっと自治体に紹介してくださいみたいのは、それはちょっとどうかなと思うので、そういった基準をきちんと明確にすることで、自治体としてふさわしい保険外サービスというものは展開していけるのではないのかなと思います。こういったところをちょっと区も積極的に取り組んで、ぜひ前向きに検討していただければと思います。

 ちょっと質問を飛ばします。中野区でもこれから民間事業者と積極的に連携していく仕組みを構築して、一定の基準を満たした事業者が提供する高齢者向けの保険外サービスメニューをこういった形で中野区内に在住している方々に展開していく方針としてはいかがでしょうか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 保険外サービスの展開ということでございますが、保険外サービスの活用につきまして、高齢者が抱えます多様なニーズに対応したサービスが充実することは重要なことと考えているところでございます。今後もさまざまなメリット、デメリットを踏まえまして、調査研究を重ねていきたいと考えております。

○渡辺委員 健康寿命促進につながる行政サービスを民間事業者と連携して展開していくための制度設計をつくるためにも、早急にこういった事業に着手していただくことを要望いたしまして、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、犯罪機会論について伺います。第2回定例会において犯罪を未然に防ぐために、犯罪の予測を科学的に検証する学問である犯罪機会論をまちづくりのあり方の中に取り入れてみてはいかがだろうかという提案をしたところ、中野区の実態や区の現状の取り組み内容等を総合的に踏まえながら、その効果についても検証してまいりたいと思いますという答弁をいただきました。まだ日本ではなじみのない学問でもありますので、このような答弁はいたし方ないところもありますが、海外では防犯の基礎として定着しており、犯行場所に焦点を絞り、犯行現場の共通点を探った上で、犯罪者が好む犯行現場の景色を検証していくものであります。このような検証を重ねた結果、導き出されたのが入りやすい、見えにくいという二つのキーワードであり、犯罪が発生する確率の高い場所は誰もが入りやすい場所であり、周りから見えにくい場所という共通した傾向があるという結論が出ているところであります。

 ここで、ちょっと言葉で説明してもわかりづらいと思うので、パネルを用意しまして、これが2018年の5月15日に新潟市で小学校2年の女児が下校中に殺害され、遺体が線路に遺棄された事件があったんですけども、この写真は被害女児が下校時に友達と別れた踏切付近から自宅へ向かう線路沿いの生活道路ということで、写真です。犯罪心理学者の第一人者である小宮教授によりますと、この道は、まずガードレールがないということで、車から引き込むという場合、ガードレールがあれば、そういうのは防止できるんだけども、そういったものがまずないであろうと。それから、車に乗せるのがたやすい道だというふうな、そういったことを言いたいんですね。この道は線路がこうあって、全然こちらからの目撃ができるような視線が全くない状態で、横も壁がすごく高いところがあって、いわゆる目撃者がなかなか見づらいだろうという景色ではないかということを分析しております。これは小宮教授がそういった解説をしております。

 ここにちょっと窓があって、ここから誰か人が見るんじゃないかというふうな、そういったもちろん警戒もされるんだろうけども、一つだけだったら、ここだけ見ていればいい話であって、複数見られているわけではないと。だから、こういったところというのは非常に犯罪者の目線から見て、入りやすく見えづらい、そういった場所ではないかというふうなことを解説しているところであります。

 これは被害女児が歩いていた幹線道路沿いのコンビニなんですけれども、不特定多数の車が出入りするような場所というのは、犯罪者がいわゆる女の子、どんな子が好みかみたいな物色をするような、そういったところでよく使われると言われております。ですので、地域パトロールとかをして、犯罪機会論の知識を入れた人がパトロールする際、こういった不特定多数の車が出入りするような、そういった場所で1人で例えば男性が車中に座っているとか、そういった場合は声をかけるようにしましょうというふうな、そういったこともやっていきましょうということが言われております。中野区内でもこういった場所は多数あるかと思いますので、もしこういったコンビニとか車の出入りが自由にできるところでちょっと怪しい、何やっているんですかみたいな、そういうふうな声かけは大事であるというふうな、そういったことです。

 これは海外の町並みの風景なんですけども、オランダ北部のまちなんですけども、集合住宅になっておりまして、いろんな窓がたくさんあって、この中で子どもが遊んでいるということなんですけど、たくさんの窓があるということはたくさんの人が見ているかもしれないということで、犯罪者の心理としては非常に入りづらい場所であるというふうな、そういった入りづらく、周りから見えやすい場所ということで、こういった場所は非常に犯罪発生率を減少させることができるのではないかということが小宮教授の解説で出ているところであります。

 こういった犯罪機会論の考え方がどのような場面で発揮することができるかを幾つかの項目に分けて検証していきたいと思います。

○高橋(か)委員長 渡辺委員の質疑の途中ですが、12時が近づいておりますので、ここで休憩をとりたいと思います。再開を13時といたします。休憩いたします。

午前11時57分休憩

 

午後1時00分開議

○高橋(か)委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。

○渡辺委員 もう一回別のパネルを、犯罪を起こしにくくするための工夫の一例として、これは神奈川県の藤沢市で行っていることなんですけど、玄関はこちらですよという誘導ラインを引いているんですね。これはどういうことかというと、不審者というか、そういう人が学校に入っていっても、何をしているんですかと言われても、ちょっと受付を探していますというような言いわけとかをしちゃったりして逃げていくと。うまく言い逃れをしていく。そういうのを防止するために、こういった誘導ラインを引いていますと。この誘導ラインから外れている人というのは受付に向かっているわけじゃないから、ちょっと危ない人なんじゃないかというふうなことで、心理的に入りづらくするような、そういった工夫を神奈川県の藤沢市では小学校のほうでこういうラインを引いているというふうなことをしています。これも犯罪機会論に基づいた防犯の一つのやり方ですという事例です。(「効果はあるんですか」と呼ぶ者あり)さあ。でも、データが出るわけじゃないので、これはちょっとすみません。何とも言えないんですけど、なるほどなとは思います。

 こういった犯罪機会論の考え方がどういった場面で発揮することができるかを幾つかの項目に分けて検証していきたいと思います。最初に地域安全マップについて伺います。地域安全マップとは、犯罪が起こりやすい場所を風景写真を使って解説した地図であります。誰でも楽しみながら犯罪機会論を学ぶことができ、その過程で危険予測能力が自然に高まる防犯手法といたしまして、2002年に犯罪機会論の第一人者である小宮信夫教授が考案したものです。こちらの地域安全マップの作成を中野区の区立小学校の授業でも実施をされているということなんですけども、授業内容について教えてください。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 地域安全マップにつきましては、主に小学校三、四年生の社会科の学習で扱っております。事前に自分たちの住む地域について把握し、グループごとに地域の防犯、防災、交通安全上の危険な箇所について話し合うとともに、実際に地域に出て、自分たちの目で確かめたことを地図にまとめ、発表するという授業内容でございます。

○渡辺委員 地域安全マップづくりの目的というのは、そもそも景色を見て、その景色が安全か、危険かを察知する能力を向上させるために行い、マップづくりを通して子どもたちの危機察知能力を向上させるところにあります。今まで行ってきた地域安全マップづくりというのももちろん大事なことではありますので、継続して行うべきだと思うのですが、そこにもこの犯罪機会論の概念を取り入れた地域マップづくりを行うことで、さらに防犯意識が高まるものになるのではないでしょうか。ただ、そもそも子どもたちを指導する学校の先生がこの犯罪機会論に基づいた地域安全マップづくりができないと、子どもたちに教えることもできないわけなのですが、学校の先生を対象とした犯罪機会論の研修機会、こういったものを設けることを検討してみてはいかがでしょうか。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 犯罪が起こりやすい場所をみずから判断し、危険な場所には近づかないなど、子どもに危機予測能力や危機回避能力を身につけさせるためには、指導する教員自身が指導のポイントをしっかり理解する必要があると思っております。今後は子どもたちみずからが体験的に危機を察知する能力を育む指導などについて生活指導主任会などで取り上げるなど、教員が学ぶ機会をつくってまいりたいと思っております。

○渡辺委員 ぜひ御検討ください。続きまして、ホットスポット・パトロールと防犯カメラの設置基準について伺います。地域住民が行う防犯活動の中で最も一般的なのがパトロールであります。パトロールの手法については、主に地域全体を満遍なく順番を変えてパトロールするランダムパトロールと、人気のない駐車場や公園、空き地など地域内において犯罪者や不審者が入りやすくて見えにくい場所を探し、そこに15分程度滞留し、犯罪多発地域を重点に回るパトロール法があります。中野区でも青色パトロールを巡回させておりますけれども、どのようなパトロール法を行っているのでしょうか。

○佐々木経営室副参事(生活・交通安全担当) 平日は3台の車両をそれぞれ北地区、南地区、全域に地区指定を行い、パトロール開始前に乗務員が野方、中野両警察署に赴き、警察側が重点的にパトロールを必要と認める地域についての情報提供や、前日の犯罪発生状況、不審者目撃情報、子どもに対する声かけ事案等の発生情報等の提供を受けた上、情報に基づきましてパトロールを行っております。また、パトロール以外にも犯罪の未然防止に資する広報活動として、都内同様増加傾向にある特殊詐欺の注意喚起広報等を実施しているところであります。

○渡辺委員 中野区でもホットスポット・パトロールの導入について具体的に検討してみてはいかがでしょうか。

○佐々木経営室副参事(生活・交通安全担当) ホットスポット・パトロールは、犯罪が多発している場所、環境や場所的に犯罪が起こりやすい場所に対するパトロールであると認識しておりますが、当区の青色灯防犯パトロールカーについては、警察から日々犯罪情勢に関する情報の提供を受けながら、その情報に基づきパトロールを行っている点においては、既にホットスポット・パトロールの手法を導入しているものと認識しております。

○渡辺委員 次の質問はちょっと割愛します。本来あるべき地域パトロールは、犯罪抑止を効果的に行うことを目的として、明確な目的を持って地域の女性や子どもたちの安全を守るところにあると思います。地域パトロールの方々が目的意識を持って効率的にホットスポット・パトロールをもう既に導入しているということではありますけれども、もっと取り組みを行っていきまして、このホットスポット・パトロールが主流になれば、人材不足もカバーするということが言われております。ランダムに回るよりかは、目的を決めて場所を設定してやっていく。そういうことで時間効率的にできるということもあるので、人材不足というところも解消できるはずです。ぜひ積極的に導入していっていただければと思います。

 続きまして、防犯カメラの設置方法について伺います。犯罪抑止の効果的手法の一つに防犯カメラの設置があります。政策研究大学院大学でも大阪市を事例として防犯カメラの設置による犯罪抑止効果を分析して、エリアごとの犯罪発生件数のパネルデータを用いて固定効果分析を行った結果、防犯カメラの設置は窃盗犯罪発生件数を減少させていたということを明らかにしております。中野区でも防犯カメラの設置数を年々ふやしており、区内の犯罪発生率が減少してきているのも防犯カメラの設置数をふやしたことが一因ではないかと考えられるのではないでしょうか。現在の中野区内における防犯カメラの設置基準について教えてください。

○佐々木経営室副参事(生活・交通安全担当) これまで中野区が主体となった防犯カメラの設置事業につきましては、通学路防犯カメラと本年度設置予定の交差点防犯カメラ事業等がございます。設置場所の基準につきましては、それぞれの事業の目的に沿った効果的な場所を選定して設置しているところであります。

○渡辺委員 犯罪機会論に基づいた、誰もが入りやすく周囲から見えにくい場所に該当する箇所に区が防犯カメラを設置していくということも検討してみてはいかがでしょうか。

○佐々木経営室副参事(生活・交通安全担当) 地域団体や商店街等が設置する防犯カメラについて、東京都及び区における助成金制度が設けられており、平成29年度からは助成制度が拡充され、地域団体等の自己負担率が大幅に下がり、本年度も多数の団体からの助成制度を活用した設置申請を受け付けているところでございます。区といたしましては、防犯カメラの設置を行う地域団体等の皆様との情報共有に努めながら、犯罪機会論の概念についても視野に入れつつ、犯罪の未然防止に寄与する防犯カメラの設置促進に努めていくとともに、区が主体となる新たな防犯カメラ設置事業についても必要に応じて検討してまいりたいと考えております。

○渡辺委員 ぜひ前向きに検討してください。続きまして、犯罪機会論を取り入れたまちづくりについてお伺いします。まちづくりを進めるに当たり、何を一番に考えていかなくてはならないのか、さまざまな考え方があるかと思いますが、最終的にはその地域に住み続ける方たちが安心して日々の生活を生き生きと暮らしていける環境を地域の実情に合わせてどのように構築していくか。この点を抜きにして、まちづくりを進めることはできないと思います。犯罪機会論の観点から見たまちづくりは、誰もが入りやすく誰からも見えづらい場所を空間からなくしていくという考え方も取り入れて、地域に住み続ける方たちが安心して日々の生活を生き生きと暮らしていける環境をつくり出していくということになるのかと思われますが、区ではこのような考え方を取り入れたまちづくりについてどのような見解をお持ちでしょうか。

○安田都市基盤部副参事(都市計画担当) 安全・安心なまちづくりを進めるに当たっては、犯罪機会論もその方策の一つとして参考となると考えてございます。現行の都市計画マスタープラン57ページにおきまして、安全・安心の都市づくり方針を定めておりますが、この方針の中で、地域における親密な近隣関係、地域で取り組む子どもや高齢者等の見守り活動を通じて、犯罪のない誰もが安心して暮らすことができるまちの育成について、若干でありますが、触れているところでございます。区の実態や現状を総合的に勘案し、ハード、ソフトの観点から委員御指摘の視点も踏まえ、犯罪リスクの軽減、抑止に向けた取り組みの方向性について検討していきたいと考えてございます。

○渡辺委員 ちょっと次の質問を割愛して、中野区はこれから中野駅の南口、北口の再開発、西武新宿線地下化に伴う新井薬師駅前、沼袋駅前のまちづくり計画、さらに東中野駅東口の再開発も今後計画していくと聞いております。これらの事業に犯罪機会論の概念を取り入れて、まちづくりをしていくということを検討してみてはいかがでしょうか。

○安田都市基盤部副参事(都市計画担当) 防災、犯罪抑止の視点に立つまちづくりを進めるに当たっては、警察、地元町会、商店会、PTAなどの地域コミュニティと密な連携をとり、犯罪防止や抑止の視点等を地域の関係部署と議論しながら、まちづくりを進めていくことが重要であると考えてございます。また、各地区のハードの都市基盤整備におきましても、委員御指摘の視点を参考としまして、中野区の実態や地区の特性等も総合的に踏まえ、安全・安心のまちづくりを進めていくことは重要であると考えてございます。

○渡辺委員 犯罪機会論の概念を取り入れたまちづくりというフレーズは、中野区が防犯対策を強く意識しているということにもなるかと思いますので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

 続きまして、公園整備の部分についてもお尋ねします。まちづくりを進めていく上で、公園整備もまちづくりの根幹にかかわる重要な部分であると思われます。かつて中野区は公園の敷地面積が23区の中でも少ないと言われてまいりましたが、ことしに開園予定の本町二丁目公園、弥生町六丁目公園、平和の森公園など大規模公園の開園準備が着々と進んでいるところであります。犯罪機会論の観点から見ますと、海外の公園は子どもが遊ぶスペースにフェンスというような物理的な仕切りを設けるやり方と、舗装路や芝生を境界変わりにしたり、地面を色分けしたりするやり方をして、心理的に入りにくいつくりになっています。また、ベンチの向きは犯罪を企てている人間に気づけるように遊具を背にした配置になっているところもあります。

 ここでもパネルを。これが、遊具の周りにフェンスを置いております。子どもが連れ去られるケースのほとんどが、子どもがだまされて自分からついていくパターンということで、フェンスに囲まれている形でこうやってゾーニングされている公園は、子ども専用のスペースに入るだけで子どもも周りの大人も警戒するということで、こういうつくりになっているということです。ベンチを背にしているというのが、外周に置いておけば物色中の犯人にいち早く目線が合って気づけるということで、こういったベンチの配置をしている。これはニュージーランドの首都ウエリントンの公園です。

 あと、これはパリの公園なんですけども、遊具に向かうルートの両側にベンチを置いておりまして、こういった場合、子どもを連れ去ろうとする者がいたとしても、行きか帰りにベンチに座っている人にはっきり見られますよというリスクを感じさせるという心理的に入りにくい場所という公園設計をしている事例です。

 日本の公園の場合なんですけども、一般的なつくりは利用者ごとにエリアを分けるという発想がほとんどないのが実情ということで、こういった公園設計というのは全国的にも事例はないということであります。全ての公園スペースがあらゆる人に開放され、遊具も集中することなく点在しているため、大人と子どもが入り混じって公園を利用している状況であります。こういう公園は心理的に入りやすい公園であり、子どもの目の前に大人がいても不自然に感じる第三者はいないというふうに見て取られますし、そこに犯罪者のつけ入る隙があるということを言われているところでございます。中野区でもこれからつくる区内の公園に犯罪機会論の考え方を取り入れた公園整備、こういったものを行ってみてはいかがでしょうか。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) これまでの公園についても、安全で安心な公園を目指して地域の意見も取り入れながら整備を進めているところでございます。今後整備する公園につきましては、犯罪機会論の考え方も研究させていただいて、取り入れられるものは取り入れていきたいというふうに考えてございます。

○渡辺委員 反映できる余地のあるところがありましたら、ぜひこういった考え方を導入していただければと思います。このように犯罪機会論は防犯カメラの設置方法、再開発の絡んだまちづくり、公園整備、学校教育の現場に至るまで、あらゆる場面で応用が効く汎用性の高い学問であります。各部署が連携をとりながら、あらゆるところに犯罪機会論を取り入れた事業に取り組んでいただくことで、中野区全体がハード面においては防犯に強い町並みが形成されるのではないでしょうか。そのような中野区を実現させるためにも、中野のまちづくりに犯罪機会論の概念を取り入れるということを中野区都市計画マスタープランや10か年計画に盛り込むことを検討してみてはいかがでしょうか。

○安田都市基盤部副参事(都市計画担当) 都市計画マスタープランの改定におきましても、安全・安心のまちづくりの基本方針の中に防災・減災の視点のみならず、犯罪の予防や抑止に向けたまちづくりの方針を盛り込むことは重要と考えてございます。委員御指摘の犯罪機会論の視点も参考とし、区の実態や現状の取り組み内容等を総合的に踏まえ、都市計画マスタープランの改定や、それに基づく各まちづくり計画の策定等において安全・安心のまちづくりに向け、検討を進めてまいりたいと考えてございます。

○渡辺委員 まちづくりを進めていく中で犯罪機会論の概念を取り入れていくことで、中野区は他の自治体と比べて防犯対策について高い意識を持って取り組んでいるということをアピールできると思います。そのような防犯意識の高い場所は子育て世帯にとっても安心して暮らすことのできるまちであり、子育て先進区という名にふさわしい町並みになるのではないでしょうか。犯罪機会論という学問を取り上げて、防犯意識の高い中野区になることを要望いたしまして、この項の質問を終了します。

 最後に、人材育成の部分について伺います。犯罪機会論の考え方を浸透させていくためには、そもそも犯罪機会論という学問をある程度理解していかなくてはなりません。中野区内の学校で行われている地域安全マップの作成がなぜ犯罪機会論に基づいた教え方をしていないかというと、そもそも犯罪機会論という学問を先生が学んだことがなく、生徒に教えることができないからであります。この学問を体系的に教えることができる第一人者というのが立正大学の小宮信夫教授であります。小宮教授は、内閣府から指導が来たブロック塀の一斉点検調査のマニュアルをつくる際に、内閣府から助言を求められたこともある方であります。藤沢市では、小宮教授を年に3回招いて、学校の先生たちに地域安全マップのつくり方を教える会、町会・自治会などの地域の防犯パトロールを担っている方々へホットスポット・パトロールのやり方を指導する会、そして実際にまちなかを歩き、犯罪機会論に基づいた入りやすく見えづらい風景を探すコツというものをフィールドワークを通して学ぶ会、年3回設けております。小宮教授も犯罪機会論という概念を国内に広めていきたいという思いを強く持っている方なので、中野区から正式な要請があれば、いつでも出向いて知っている限りのことをお伝えするということを申してくれております。最後の質問になりますが、区は一度小宮教授をお招きして、犯罪機会論とはどのような学問であるのかということを区全体で学んでみてはいかがでしょうか。

○佐々木経営室副参事(生活・交通安全担当) 区といたしましては、それぞれの所管が安全・安心なまちづくりに関する事業を推進するに当たり、それぞれの所管の状況に応じて犯罪機会論に限らず、さまざまな効果的な手法を活用していくことが重要であると考えているところでございます。これを前提とした上で、犯罪機会論に関する研修も含め、個別具体的な研修の必要性について慎重に判断すべきものと認識しております。

○渡辺委員 防犯に強い中野を実現することを希望いたしまして、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、インターネットを使った区の予約システムについて伺います。区では施設設備の予約方法として、ないせすネットを開設しており、体育館、公園施設、文化施設、運動施設、学校開放の施設予約をインターネット上で行うことができます。それぞれの利用目的別に合わせて画面を進めていくつくりになっており、区民の皆さんからも大変使いやすくて便利だという声もいただいております。私も実際使っております。すごくわかりやすくて便利なシステムだと思います。一方、区民活動センターや高齢者施設はまだインターネットからの予約ができない状況となっており、毎月決まった日にちの決まった時間に施設予約を希望する団体の代表者が現地施設に出向き、抽選を行って予約をとっております。この区民活動センターや高齢者施設の予約もないせすネットに組み込んで、インターネットから申し込み予約をすることはできないものなのでしょうか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(区民活動センター調整担当) 区民活動センター及び高齢者会館の集会室などにつきまして、インターネットからの予約でございますが、本年3月に稼働いたしました公園・文化・スポーツ施設予約システムへの追加の可能性、それから他の予約システムとの比較、費用など、導入の前提となる条件につきまして現在調査を行っているところでございます。

○渡辺委員 具体的なタイムスケジュールが決まっているのであれば、教えてください。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(区民活動センター調整担当) 具体的なスケジュールにつきましては未定でございますけれども、今後の調査の結果でございますとか、課題の整理等を通じまして、予約システムの概要を検討したいと考えております。

○渡辺委員 できることなら区が所有している施設は全てインターネットで予約できるような、そういった仕組みの構築に向けて動いていっていただきたいと思います。

 続きまして、保育園見学の申し込み方法について伺います。昨今、待機児童解消のために中野区でも保育園の数はふえ続けており、保護者の方々からも保育園の事前見学を行いたいという要望がふえてきております。自分の大切な子どもをよりよい環境に預けたいという思いは当たり前のことであり、そのために希望園に入れる保証があるわけではないのですが、入園申し込みの前に幾つかの保育園見学を行い、保育園ごとの子どもに対する接し方を見比べ、自分の子どもを預けたいと思える保育園を探しております。多い方は10園近い保育園を見学されているそうです。現在、中野区内の保育園の見学予約は全て電話で行われております。日中の限られた時間内でしか電話ができない中で、複数の園に電話をかける作業は負担であり、また、0歳児の乳幼児を抱えながら電話をしていると、せっかく寝かしつけた赤ちゃんがまた泣き出してしまうということなどもあり、24時間いつでも使えるインターネットから保育園の見学予約ができないものだろうかという要望が乳幼児を抱えているお母さん方からの一部から上がっているところであります。さきの一般質問の際に区長答弁で、施設見学においては保護者から入園後の生活や給食、保健等さまざまな相談を受けるということなどもあり、なかなか難しいということではあるんだけれども、インターネットを活用したシステムなど、利便性向上についても検討してまいりますという答弁をいただいておりましたが、その後の検討状況についてお聞かせください。

○濱口子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(保育園・幼稚園担当) 現在、区立保育園園長会におきまして、インターネットによる予約システムを導入する場合の運用方法、課題について協議をしているところでございます。区立保育園におきましては、施設ごとに予約可能日の設定に違いがあるため、これらを見直すことが必要であると考えているところでございます。

○渡辺委員 施設見学においては、保護者から入園後の生活や給食、保健衛生等さまざまな相談を受けることから、電話予約により事前に相談内容を確認して対応しているというところではあるんですけれども、さまざまな意見を取り入れて、インターネットからの保育園見学予約システムを構築していくということは、姿勢としては必要ではないかと思います。電話をかける前に、いつ保育園で見学を受け付けているのかがわかるだけでもありがたいという声もいただいております。つまり、電話をかける前になるべく多くの事前情報を入れておいたほうが、電話をかける際に事前情報がいっぱいあったほうが確認する内容も違ってくるわけですし、電話をかけるお母さん方にとっても、保育園側にとっても、より詳細な話が効率よくできると思われます。すぐに実現するのは難しいのかもしれませんが、まずは区立保育園だけでも構わないので、翌月の見学可能日やお母さん方が電話で保育園側によく確認する内容などをまとめてホームページ上に公開することから始めてみてはいかがでしょうか。

○濱口子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(保育園・幼稚園担当) 委員の提案にございました施設見学を希望する方についての可能日のホームページ上のアップということでございますけども、正確な情報をわかりやすく知らせるということは重要であると認識してございます。施設ごとの見学可能な日程、それから変更等について、リアルタイムに更新することが求められることもありますので、各施設の体制整備も含めて引き続き検討してまいりたいと考えてございます。

○渡辺委員 保育園見学予約の部分でウエブ上のサービスを始めている自治体というのはまだありません。このサービスが実現すれば、子育て先進区の名にふさわしいサービスとしても全国的に注目されるかもしれませんので、まずはできるところから取り組んでいただくことを要望いたしまして、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、その他の項目で中野駅新北口駅前エリアの再整備について伺います。区役所・サンプラザ地区再整備事業について、野村不動産株式会社を代表企業とする事業者グループが事業協力者として選定され、その提案概要書が平成28年の秋に公開されました。しかし、その内容は1万人アリーナ建設を前提とする前区政の方針に沿ったものであります。区長が変わり、1万人アリーナ建設も見直されることになりましたが、今の事業協力者との関係は今後どのようになるのでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 事業協力者との関係は特段変わることがなく、引き続き協力をしてもらいます。

○渡辺委員 事業の実施段階における民間参画事業者の選定は別途行うとのことでしたが、事業協力者をプロポーザル方式で公募したのと同じ方式で行うのでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 事業手法として市街地再開発事業を想定しておりまして、どのような立場で民間に参画してもらうかは検討しているところでございます。したがいまして、選定方法は未定でありますが、企画提案を求めるものと考えております。

○渡辺委員 野村不動産グループも参加できるということではもう聞いているんですけども、これがちょっとやっぱり問題じゃないかと思うところがありまして、そもそも事業スキームの構築などコンサル的な役割を果たす事業協力者というのは、事前に区のさまざまな非公開情報を知り得る立場でもあり、正式な事業者公募の際にも手を挙げるということができる立場の野村グループ事業者が選定されているということは適切ではないというふうに言わざるを得ません。仮に同グループが正式な事業者として選定された場合、これは利益相反を疑われても仕方がないことなのではないかと思われます。正式な事業者選定の際に余計な疑義を生じさせないためにも、事業協力者は本来事業者として応募できない中立な立場の団体が務めるべきであり、区役所・サンプラザ地区再整備の方針見直しが決定した今、今の事業協力者との関係は一旦リセットするべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○石井都市政策推進室副参事(中野駅周辺計画担当) 平成28年5月に行いました事業協力者の公募は、市街地再開発事業の事業化に向けて一般的に行われている事業協力者方式を参考にして実施したものでございます。応募者の基本的要件として、事業協力者に求める役割分担に基づいて計画検討に取り組む意欲を有する者、また、事業が実施に至った際に民間参画事業者への応募の意思を有する者と募集要項に規定しており、適切適正に選定した上で協力協定を平成28年9月に締結したものでございます。協定では解除の項目もございまして、本事業の中止または事業内容の大幅な変更が決定した場合など、やむを得ない事情等により本協定の継続が困難になった場合に解除できるとしており、現在はそのような状況にあるとは言えないと認識をしております。

○渡辺委員 客観的に見て、私もちょっときのう、町会の鉢洗いとかでいろいろ聞いたんですけど、普通の感覚でもやっぱりもう既にコンサルで事業グループに入っているところが決まるでしょうというのは、大体の人はみんなわかっている話というか、そうじゃないということになるのであれば、それは違ったんだねということですけども、野村グループ事業者さんがそのまま決まっちゃったら、もともとも入り込んでいるところがやったんだねと。競争も何も公平性も中立もあったものじゃないんじゃないのと疑われても自分はいたし方ないと思うんですね。前の区長がそのまま今もやっていくのであれば、事業の継続性というところで今のような話もそのとおりなのかなと思うんですけど、区長が今変わったというところで、ここは一回断ち切ることもできるんではないかということで、こういった質問をしているところであります。ちょっとその辺は普通に疑義が生じるようなところでもありますので、本当に中立な、次の公募へ入らないような中立的な事業者がコンサルをするというような形にしたほうがいいということをここで改めて強く申し上げておきたいと思います。

○高橋(か)委員長 総括質疑の途中ですが、質疑時間が超過しておりますので、ここで渡辺委員の総括質疑は終了いたします。

 以上で渡辺たけし委員の質疑を終了します。

 次に、[1]高橋ちあき委員、質疑をどうぞ。

○高橋(ち)委員 皆さん、お疲れさまでございます。渡辺委員のユニークな質疑の後でございますので、若干ちょっと皆さん眠くなってしまうかなとも思いますし、パネルもございませんし、刺激ある質問でもないかもしれませんけれども、よろしくよい答弁をいただければと思います。

 ことしは、日本だけではなくて世界各国でも台風とか土砂崩れとか大きな今までにない被害、災害が起きていたわけでございます。本当に亡くなられた皆様には心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されている皆様、被災地の皆さんには本当に頑張っていただきたいという気持ちを私たちもずっと持ち続けていかなくてはいけないかなというふうに改めて感じているところであります。

 そして、きょうからお彼岸でございまして、私たちが現在ここにいるのも先祖の皆さんのおかげだということも改めて感謝しながら、質問に入らせていただきたいと思います。

 質問は通告のとおりでございまして、1番が29年度の決算、2番が中野区の人事構想について、3番は地域包括ケアシステム、4番は防災対策について、5番が議会と行政の関係について、その他はございませんので、よろしくお願いいたします。

 それでは、1番目の平成29年度の決算についてお伺いをいたします。これは、うちのトップバッッターであります内川委員が詳細にお伺いをさせていただいておりましたので、私からは簡単に監査委員会からの意見についてお伺いをさせていただければと思います。健全性を示す財政指数は、普通会計決算においては歳入総額で前年度比1.0%の減、歳出総額で0.7%の減と、前年度に引き続き減となり、健全な状況にあることを示しています。しかし、債務負担行為は147億円の増、197億円となり、大きなマイナス要因であることに留意する必要があると指摘をされております。このことに対しまして、まずお考えがあればお知らせください。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 債務負担行為につきましての御質問でございますが、複数年度にわたります契約を締結する場合、地方自治法第214条によりまして、債務負担行為を設定しなければならないという形になってございます。債務負担行為に基づき契約を行った場合、後年度への財政負担が生じるということから、債務負担行為を設定する場合には以後の財政運営に支障を来さないように行わなければならないというふうに考えているところでございます。今後も施設更新やまちづくりなど複数年にわたる事業を実施していかなければならないということから、事業の必要性、効果等を精査いたしまして、慎重に債務負担行為の設定を行ってまいりたいというふうに考えております。

○高橋(ち)委員 ぜひそのように行っていただきたいと思います。まちづくりだけではなくて、施設改修とか、いろいろさまざまなことが起きてまいりますので、きちんと進めていっていただければと思います。

 また、都政新報の記事を読み取ると、特別区は歳入歳出とも7年連続の増でありまして、経常収支比率は3年連続で70%を維持し、区財政の底力を見せつけているという記事が載っておりました。中野区では基幹収入への影響については、特別区税は納税義務者1人当たりの総所得額は前年度比0.4%増とはなっているんですが、23区の平均との差は0.7%の増でありまして、このことについて区としてはどのように受けとめ、そしてまたどのような対応をされていくおつもりなんでしょうか。

○杉本政策室副参事(企画担当) 中野区は相対的に担税力の低い若年層が23区平均と比べて高いことから、納税義務者1人当たりの総所得金額が他区に比べ低くなっているというようなことが考えられるというふうに考えてございます。このため、子育て世代を含む各年齢層が中野区に住み続けたい、あるいは区外の方が中野区に住みたいと思うような選ばれる区となることが必要であると考えてございます。まちづくり事業の推進や中野区に対する愛着を醸成する取り組み、行政サービスの充実など、安心して暮らせるまちづくりを進め、まちの魅力を高めていく取り組みを着実に行うことが重要であるというふうに考えてございます。

○高橋(ち)委員 ぜひですね、今おっしゃったことは忘れることなく、そのように進めていっていただきたいと思います。やっぱり定住される方がふえて、中間所得層がふえて、中野区は魅力があるんだというような評判といいましょうか、口コミといいましょうか、選んでもらえる区になるような努力をしていただきたいというふうに思います。

 さらにふるさと納税、これは前の委員の皆さんも聞いておりましたけれども、ふるさと納税制度については、寄附金税額控除額が6億4,000万ぐらいでありまして、一方、中野区への納税寄附金は2,333万2,000円というふうになっております。中野区への寄附の増額のための取り組みということが大変重要であると思っております。今、ふるさと納税の損している自治体というのが発表されているのはご存じだと思いますけれども、一番損をしているのは横浜市だそうでございます。横浜市とか、市はいわゆる損失が出ると、地方交付税で75%も見てもらえると。でも、東京都の23区というのは不交付になっておりますから、全く損しちゃうという状況にありますから、ぜひとも今中野区とあと2区ぐらいが返礼品も指摘されているというような話も聞いておりますので、この取り組みは重要な課題だと思いますけど、いま一度伺いますけど、いかがお考えですか。

○杉本政策室副参事(企画担当) ふるさと納税事業につきましては、これまでも寄附金の使い道の追加、明確化や返礼品の工夫など、寄附金額増額のための取り組みを行ってまいりました。今後より多くの方から御寄附いただけるように中野区の特徴を生かしたメニューの検討を進めまして、寄附金額増額を目指してまいりたいというふうに考えてございます。

○高橋(ち)委員 ぜひ努力していただきたいと思います。また、特別区税では特別区民税、軽自動車税、中野区たばこ税があります。たばこ税は、前年よりか7.8%も減っているんですけれども、これは区にとって大事な財源であるとも思います。この税金は一般財源に入ってしまうって、いつもそのような説明を受けるんですけれども、どのように使われているか全く見えてこない。そうすると、一生懸命私たちは中野でたばこを買ってください。中野で買わないと、ほかのところに税金が行っちゃうから、絶対中野で買ってくださいというふうにお願いをしているんですけれども、この税金を区民に見えるように使うことも唯一の活用じゃないかなというふうに思いますけど、現在どのようにお考えですか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 特別区たばこ税についてでございますが、特別区たばこ税は先ほども委員がおっしゃられましたように、区民税や軽自動車税、特別区交付金などと同様に一般財源でございまして、具体的に使途を定めてといった特定財源とはなっていないということから、区の事業に広く充当されているということでございます。したがいまして、特定の使い道というのを明示するのは大変難しいというふうに考えております。

 一方、区の分煙事業でございますけれども、国や都の補助金やたばこ税を含む一般財源等を活用して推進をしていきたいというふうに考えているところでございます。

○高橋(ち)委員 ぜひともですね、区民の皆さんに、これはたばこ税でやっているんですよって、そういうことではなくて、区民の皆さんがたばこ税がどれだけ入っていて、どれだけ役に立っているか、または分煙事業に一役買っているんだというようなわかりやすいPRというんでしょうかね、お知らせをしていっていただければと、まずは第一段階はそのように考えております。どうですか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 税の使い道というところでございますので、わかりやすい広報に努めてまいりたいというふうに考えます。

○高橋(ち)委員 ぜひお願いしたいと思います。もうたばこは悪のような取り扱いをされているところでありますので、ぜひとも貴重な税金であるということを皆さんに知っていただくことも行政の役割かと思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、財政調整交付金については、これも何度も皆さんお伺いしているようですけれども、今後の法人住民税の一部国税化の拡大によりさらなる影響が懸念されるところであるとの指摘もされております。この件についてどのようなお考えをお持ちなんでしょうか。

○海老沢政策室副参事(予算担当) 特別区長会の事務局の推計でございますが、消費税10%段階における中野区の影響額でございますが、34億円の減収ということになります。8%、現在の段階の21億円の減収からさらに拡大するということが想定されておりまして、区の財政運営に与える影響は大変大きいものがあるというふうに考えております。

○高橋(ち)委員 影響が大きくなっていくのは本当にあり得るというか、これからそうなっていくわけでありますので、しっかりとした財政を考えていっていただきたいと思います。そして、持続可能な行財政運営を行うためには、制度改正に限らず景気変動による歳入減や新たな行政ニーズの出現など、区政はさまざまな状況の変化にも的確に対応し、区民福祉の向上を常に実現していかなければならない。より一層の行財政改革に努め、最少の経費で最大の効果を上げるよう取り組まれたいとの締めくくりとなっております。

 監査委員からの指摘は大変重要なことであると私は思います。中野の未来に向けての考え方は、これから二、三年をかけて新しい基本構想をつくりあげますというような悠長な状況ではないと考えておりますが、いかがお考えでしょうか。

○永見政策室副参事(基本構想担当) 新しい基本構想につきましては、可能な限り早期に策定をしたいというふうに考えてございますが、審議会での審議や広範な区民意見を反映する、そういったプロセス等を考慮いたしますと、約2年間は要するものというふうに想定をしてございます。新しい基本構想及び基本計画を策定するまでの間の区政運営方針といたしまして、新しい区政運営の基本的な視点や重点課題として注力すべき主な事項について取りまとめた案を本定例会でお示しをする予定でございます。

○高橋(ち)委員 ぜひですね、今定例会に報告される中においての基本構想を考えていくんでしょうけれども、できる限り新しい区長の考え方を取りまとめた内容になるかと思いますけれども、お示しできるように努力をしていっていただきたいというふうに思っております。

 では、中野区の人事構想についてお伺いをいたします。主要施策の中において、経営室では人事構想の策定があります。10年後の区役所の姿や、これまで以上に職員に求められる能力を踏まえまして、今後10年間の組織運営や人材育成に関する基本方針として中野区人事構想を策定しましたと、うたっております。そこで、人事構想の考え方、取り組みの中で多くの課題があるようでありますが、現状を見ますと2,000人体制を維持していくためには、さまざまな対応が求められると考えます。これは、2,000人体制にしていくのかどうかはこれから変わっていくのかもしれませんが、10年後の具体的な取り組みの方針は構想の中にありますが、まずは目先のことを優先的に考え、取り組むことが必須だと考えますが、この構想のもとで最も課題となっていることはどのようなことなのでしょうか。

○田中経営室副参事(人事担当) 職員2,000人体制を維持した場合でございますが、平成37年度の職員年齢構成、こちらが30代以下の職員が半数以上を占めるような見込みとなってございます。こうした中、区職員の基本となるスキル、また専門的な知識、経験の継承等に対応するための若手職員の人材育成、これが大きな課題となっているというふうに認識してございます。

○高橋(ち)委員 本当にそうだと思うんですよね。若い人が大勢いるということは大変いいことかもしれませんけれども、やっぱり知識の豊富な方とか、そういう経験数がある方もいないといけないというふうには思います。また、今、問題視をされている障害者雇用について、この構想では見受けることができません。どのように考えておられるのですか。

○田中経営室副参事(人事担当) 障害者雇用につきましては法定雇用率がございます。平成30年4月1日以降、地方公共団体は2.5%となっているところでございます。今般報道を受けまして、東京労働局から再度の調査依頼がございまして現在調査中ではございますが、平成30年9月10日現在の中野区の障害者雇用率は2.1%となってございます。区は、継続的に障害を持つ職員の採用を行っているところでございますが、法定雇用率を達成するために、引き続き計画的に行ってまいりたいというふうに考えてございます。

○高橋(ち)委員 これも大切なことでありますので、人事構想の中においても貴重な課題だと思っておりますので、常に頭の中に入れておいていただきたいと思います。現在の定年年齢は60歳が主で、65歳まで再任用するという、区もそうですけれども、企業もそうであります。中野区では65歳までが再任用可能となっているわけであります。国では定年を段階的に65歳に引き上げるという意見もあるようでありますが、今や人生100年という時代に入ってきており、年齢よりも元気で仕事をしたいという人もおられると思います。区独自でいろいろ考えることは、これは難しいことかもしれませんけれども、区としてはどのようなお考えを持っているんでしょうか。

○田中経営室副参事(人事担当) 本年、人事院は国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申し出を行ったところでございます。その中では少子高齢化の進展、若年労働力人口の減少により、高齢者の活躍の場をつくることが社会全体の課題となる中、行政課題へ的確に対応し、質の高い行政サービスを維持していくためには、高齢層職員の能力及び経験を活用することが不可欠であり、定年を段階的に65歳まで引き上げることが必要であるとしてございます。現在、区におきましては退職共済年金の支給開始年齢が段階的に60歳から65歳へ引き上げられることに伴いまして、これは特別区で統一的に行っていることでございますが、65歳まで再任用を行ってございます。今後の制度変更につきましては、特別区での統一的な対応となりますけれども、国、また他団体の動向等を注視してまいりたいと考えてございます。

○高橋(ち)委員 37年度には30歳以下が半数以上というふうな予想になっているわけですから、これも大事に考えていってほしいと思います。10年後を見据えての構想だとは思うんですけれども、人事という大事な問題ですので、毎年検証していくことが必要だと考えますが、どのようにお考えですか。

○田中経営室副参事(人事担当) 中野区人事構想につきましては、10年後に目指すべき職員像や組織像、今後の職員人材育成方針、職員定数計画等の基本的な方針でございます。したがいまして、毎年度改定をするようなことは考えてはございませんが、職員定数であるとか人材育成計画等、こちらにつきましては適宜毎年検証してまいりたいと考えてございます。

○高橋(ち)委員 ぜひそのようにお願いしたいと思います。この項の最後になりますけれども、中野区では専門的な知識を持つ職員をもっとふやしていかなければいけないというふうに思っています。技術職はとても必要だと私は考えているんですけれども、入札、契約、設備、営繕等、知識にたけた職員がいるといないのでは大変大きく違うと思いますが、どのようにお考えですか。

○田中経営室副参事(人事担当) 専門的な知識を持つ職員をふやしていくために効果的なジョブローテーション、適材適所の職員配置によりまして、業務の特性に応じた専門性を高めていくこととしてございます。また、専門的な知識経験を持つ職員をふやすための人材育成に今後も努めるとともに、まちづくりの進展や、施設の大規模修繕、建てかえ等に対応するため、建築職や土木職などの専門的な知識を持った民間での職務経験のある職員の採用も引き続き行っていきたいというふうに考えてございます。

○高橋(ち)委員 ぜひですね、技術を持っている人たちは、一、二年で、はい、習得というわけにもいかないでしょうから、そこのところもしっかりとお考えになって進めていっていただければと思います。よろしくお願いします。

 では、3番目の地域包括ケアシステムについてお伺いをします。この項についても、私の前の渡辺委員が幾つか質問をしていらっしゃいましたけれども、違う視点からお伺いをさせていただきます。平成30年度の第1回定例会の一般質問においては、我が会派の幹事長がすこやか福祉センター圏域を含めた質問をさせていただきましたけれども、今も私としてはどのように進んでいるのか全く状況が見えないというふうに理解をしております。ですので、改めてお伺いをさせていただきます。このプランの位置付け、こうやって中野区地域包括ケアシステム、こういうすばらしいプランの冊子ができているんですけれども、この冊子を見てもよくわからないというところがございまして、このプランの位置付けは平成27年4月、介護保険制度の改定から始まりまして、団塊の世代が75歳以上になる平成31年を目途として、中野区の目指す姿に向けて区、町会・自治会、民生児童委員、医療関係者、介護事業者及び地域の関係団体等がみずから実施し、協働していくための区と区民のアクションプランとして策定しますとうたっています。まず区の目指す姿に向けてとありますが、目指す姿とはどのようなものなのか、いま一度確認をいたします。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) プランにおきます区の目指す姿でございます。一つ目は、見守り支え合い活動で支援が必要な人が把握されているまち、それから、本人の意思が尊重され、権利が守られているまち、それから、みんなで介護予防に取り組んで健康寿命を延ばしているまち、最後でございますが、在宅でも安心して医療を受けられるまちということでございます。

○高橋(ち)委員 本当に理想に向けた目指す姿になっていると思うんですけれども、プランはステップ1から4までとなっておりまして、ステップ1は平成28年度から平成30年度として、高齢者が可能な限り住み続けられる地域づくりに向けた整備を行うとなっており、ケアを必要とする全ての人を支援する視点も盛り込んだものとするとうたっております。どのような整備を進めているのか見えません。私にはどのように進んでいるのか本当によくわかっていないんですけど、私だけかもしれませんけど、いま一度確認をいたします。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) ステップ1における取り組みでございます。主に理念の共有や機運の醸成、サービス基盤の拡充及び質の向上、さらに医療介護連携の推進、地域資源の開発等に取り組むこととしてございます。具体的には平成29年4月より介護予防・日常生活支援総合事業を開始いたしまして、高齢者自身の能力を最大限に生かしまして、要介護状態になることを防止するために従来の介護サービス事業に加えまして、住民主体サービスなど多様な主体による事業も進めているところでございます。また同時に、アウトリーチチームを設置いたしまして、医療、介護、町会・自治会をはじめといたしますさまざまな関係団体の連携により、地域課題の解決に向けた体制を整備してきているところでございます。また、プランの進捗管理に当たりまして、地域包括ケア推進会議及び部会の設置をいたしまして、区や関係機関、団体との協議体制を整備いたしまして、さまざまな情報共有や取り組みの進捗の報告、地域課題に対する協議などを定期的に行っているというところでございます。

○高橋(ち)委員 たくさんのことを課題、うたって、進めているというふうなことなんですけれども、平成29年度は健康福祉審議会における健康福祉総合推進計画の検討において、子どもと障害者の地域包括ケアを議論し、これを受けて、平成30年度に中野区地域包括ケア推進会議にて関係団体とともにプランの見直しを行い、平成31年度から拡大できるよう取り組みますともうたっております。そこで確認いたしますけれども、推進計画においての検討内容と、その検討の結果どのような見直しを行うことになったんですか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 本年2月の中野区健康福祉審議会最終答申でございますが、子どもにつきましては公的な子育て支援環境の充実、地域全体で子育て支援のネットワークの強化が必要であるということでございます。障害者につきましては、日ごろから地域交流を深めるとともに障害の種類や状況に応じた、きめ細やかな支援に向けて地域団体と区の役割を明確にすることなどが挙げられているところでございます。この答申を踏まえまして、今後は区や関係団体の取り組みの進捗状況や平成30年度の目標値の実績や成果、それからこの間に発生をいたしました新たな地域課題やそれに対する対応などを踏まえまして、プランの見直しを進めていくこととしたところでございます。

○高橋(ち)委員 そうすると、プランの見直しは31年度に発表できるという理解でいいんですか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) そのような方向に向けまして、現在検討を進めているところでございます。

○高橋(ち)委員 地域包括ケアシステムは、先ほども述べましたけれども、四つのプランで進めることになっているようです。ステップ2では、基盤・機運の充実を背景とした地域包括ケアの全世代、全区民への発展、そしてステップ3では、全世代、全区民に発展させた新しい地域包括支援体制の進展、4では高齢者、子育て世帯、障害者など地域の全ての人が地域で支え合い、安心して暮らせるまちの実現と、支える側、支えられる側という垣根のない全員参加型の社会の実現という体制となっております。長い10年間というスパンで体制づくりをしていくことになっているわけなんですけれども、地域の関係団体がこの計画を当初から理解していないと、進めていくのは大変困難じゃないかなというふうに私は心配しています。担当者としてはどのような認識をお持ちですか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) プランの策定に当たりましては、平成27年度より医療介護関係者、町会・自治会、民生児童委員、商店街、事業者団体、シルバー人材センター、社会福祉協議会、ボランティア団体などプランに関係する多くの関係団体をお招きいたしまして、御説明や意見をお伺いしていたところでございますので、一定の御理解はいただけているものと考えてございます。一方で、関係団体におけます人員交代なども踏まえまして、各団体に対しましては今後、適宜丁寧な説明や協力依頼なども含めまして、周知に努めてまいりたいと考えております。

○高橋(ち)委員 かかわっている団体さんの長の方といいましょうか、そういう方たちはやっぱりそういうところに出ていらっしゃって、話を聞いているからわかっていると思います。でも、それが下までおりてきて、地域にわかられているかなというところが心配かなというふうに私は感じていると言っているところでありますので、全体的にわかるようなお知らせの仕方を考えてほしいなというふうには思っております。

 次に、区の推進体制についても改めて伺います。地域包括ケアシステムにおけるすこやか福祉センターの役割についても確認をいたします。四つの拠点が中心として役割を担っていると思いますけれども、この四つの圏域の中に地域包括支援センターと区民活動センターがそれぞれ入っています。この連携は必ずしもきちんととれているのか、いないのかというふうに感じていますが、現状はどのように把握をされていらっしゃいますか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 高齢者に関する相談支援業務におきましては、すこやか福祉センター、地域包括支援センター、区民活動センター、それからまた場合によっては障害者相談支援事業所、これらの連携が非常に重要でございます。現在でも各種の相談事例、また特に困難度が高い複合ケースなどにつきましては密接に連携をとりながら対応を図っているというふうに認識しているところでございます。地域包括ケアシステムを推進していくためには関係機関の連携が非常に重要でございますので、今後もしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

○高橋(ち)委員 わかりました。また、この四つのすこやかで、八つの包括支援センター、15の活動センターを束ねていくということが、今は大丈夫という話でありますけれども、今後可能なんですか、御意見をお伺いいたします。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) これから、先ほど来出ておりますように子育て世代ですとか障害者等、支援を必要とする全ての区民の方を対象とする包括ケアシステムを構築していくということでございます。一人ひとりの課題を世帯の課題として捉えまして、ライフステージを通じて一貫して包括的に支援を継続する、相談支援業務を継続するというのがすこやか福祉センターの特徴的な機能でございます。この部分を、対象者が広がっていくということの中でさらに強化していく必要があるというふうに考えてございます。そのためには、すこやか福祉センターはさまざまな関係機関のネットワークのかなめとして、より積極的な実践の積み重ね、人材育成、コーディネート力の向上に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。

○高橋(ち)委員 大変課題が多く感じるんですけれども、一応四つのすこやかが中心となって、その四つの中において八つが振り分けられるわけですよね。包括支援センターが。その包括支援センターのところに15のまた活動センターが入っていくということであって、これをネットワークでつなげていくということは非常に綿密にしないと、情報が入ってきたり入ってこなかったりってすごく大変なことだと思うんです。まして八つの包括支援センターは委託しているわけですよね、事業者を。ですから、その委託先の人たちの信頼も必要でしょうし、活動センターにいる職員も大変だろうなというふうに思うんですけれども、このすこやかの圏域はこれからまた検討していくんだという話でありますけれども、やっぱり今八つの包括支援センターが頑張ってくださっていると私は思っているんです。なので、上手に回っているんじゃないかなというふうな自分なりの理解をしているんですけど、さらに情報共有は綿密に行っていただきたいと思いますが、いかがですか。

○伊藤地域支えあい推進室副参事(地域活動推進担当) 御質疑ございましたように一定の圏域の中で情報を共有することによって、非常に難しい複雑で困難な課題というふうなものの解決口が見えるというふうなこともございますし、一定の多種多様な地域資源をうまく組み合わせてということもすこやかの役割でございますので、そのためにもしっかりとした情報共有は必要というふうに考えております。ますます研鑽、人材育成能力向上に努めてまいりたいというふうに思っております。

○高橋(ち)委員 すこやかが担う課題は大変重く、そして重要なことだと思いますので、さらに今、副参事がおっしゃったように研鑽を重ねていっていただきたいなというふうに思います。また、すこやかの圏域も少し頭に入れて見直してみたらどうかなというのは要望しておきたいなというふうに思います。

 次に、地区担当アウトリーチチームと言われている方々の活動について幾つか伺います。先ほども渡辺委員から出ておりましたけれども、このアウトリーチと言われている方々の活動が私にはまたよく理解できていないところがあるんですけれども、各活動センターに配置されているようでありまして、メンバーもこの人、この人、この人って決まっているようでありますけれども、活動センターを利用されている方々や地域の方々は、どの人がどの役割をしているのか、また、アウトリーチって一体何っていつも聞かれるんですけど、決して地域の人たちは十分に理解していると思えないんですけど、どのように捉えていらっしゃいますか。

○鈴木地域支えあい推進室副参事(北部すこやか福祉センター地域支援担当) アウトリーチの活動の地域への浸透についてでございますが、アウトリーチの活動はアウトリーチの担当者が区民と顔なじみになりまして、地域の支援の必要な方についての情報を区民の方から提供していただくことが支援の端緒となっております。したがいまして、区民の皆さんにアウトリーチの活動の内容や役割についてご理解をいただくことは重要なことでございます。今後もアウトリーチの活動に関する周知を行っていきたいと考えております。

○高橋(ち)委員 ぜひそのようにしてもらいたいと思います。各活動センターとかには地区町連がありまして、町会長さんたちは話を聞いたり、それから、いわゆる役を持っている方たち、民生委員さんはよくわかっております。しかし、地域に住んでいる人たちこそが、この人がそうなんだという、今副参事がおっしゃったように顔なじみになるということは、ああ、この人は何を話しても大丈夫なんだという、そういう親しい関係にもならないといけないというふうに思いますので、ぜひわかりやすいような行動をというか、対応を考えてもらいたいと思いますけど、いかがですか。

○鈴木地域支えあい推進室副参事(北部すこやか福祉センター地域支援担当) 今、御指摘もありましたように、あくまでもアウトリーチの活動といいますのは、地域の皆様との御協力が一体となって取り組んでいくものであると考えております。したがいまして、地域の皆さんに御理解いただけるように今後も努力をしていきたい、このように考えております。

○高橋(ち)委員 ぜひよろしくお願いします。目指す姿の実現には区民の役割が必要です。健康づくり、介護予防に取り組む、町会・自治会、民生児童委員、ボランティア団体の社会活動の参加と協力と理解なくして進むことは大変難しいと思います。基本的に区民に知っておいてほしいこと、または役割等、周知は今までどのように行ってきていたんですか。

○鈴木地域支えあい推進室副参事(北部すこやか福祉センター地域支援担当) アウトリーチ活動の周知についてでございます。この周知につきましては、アウトリーチチームの担当者が町会長会議や民生児童委員協議会、また地域行事等に参加をしまして、アウトリーチに関するPRを行ってきたものでございます。

○高橋(ち)委員 そうすると、町会長会議はわかります。でも、地域の行事というのはまさしく今チャンスだったのは、お祭りとか、いろんな行事が盛りだくさんなときに、やっぱりそこにも土日になっちゃいますけれども、顔を出してもらいたかったなというのは私の個人的な感想でありますけれども、そうすると、この人がこういう感じよって紹介もしてさし上げられますし、もったいない時期を過ごしちゃったかなというふうには思っておりますけど、ぜひ周知徹底をしていただきたいというふうに思います。

 さらに、地域ケア会議についてもいま一度確認をさせていただきます。目標の実現に向け、今もおっしゃっていましたけれども、顔の見える関係をつくる中で連携し、地域の課題について話し合い、解決に向けて行動していくとうたっていらっしゃいますが、現在までこの会議はそれぞれがどれくらい行いまして、解決につなげていける行動がとれるような事例があったのでしょうか。議会でも所管では報告があったのかもしれませんけれども、地域の中ではそのような話が話題になったことはあまり聞いておりませんので、どのような御見解をお持ちですか。

○鈴木地域支えあい推進室副参事(北部すこやか福祉センター地域支援担当) 地域ケア会議でございますが、これは平成27年度から実施をしておりまして、各すこやか福祉センターにおいて年4回程度開催をしてきたものでございます。この会議には町会・自治会や民生児童委員の代表の方、また、医療機関の関係者など、さまざまな分野で活躍されている方が御参加いただいておりまして、さまざまな地域の課題の解決に向けた話し合いを行ってきたものでございます。その結果、町会・自治会や民生児童委員、また医療関係者等において課題解決に向けたネットワークの構築を進めることができたと考えております。

○高橋(ち)委員 それは大変よかったことかもしれませんけれども、そのことについてもやっぱり協力をしていただく地域の皆さんにも、こういうことでネットワークができましたとかいうお知らせは必要なことではなかったかなというふうに思います。地域包括ケアシステムには八つの柱が示されております。これは行政が行動をとるための柱だと考えますけれども、この柱に対しても区民、関係団体が行政の手助けをしなくては成り立ちません。このことも区民の皆さんにどのように周知をしているんですか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 八つの柱の周知でございます。推進プランでございますが、委員御案内のとおり八つの柱につきまして、区民や関係団体及び区の役割を明記いたしまして、それぞれの役割についての目標値を定めまして取り組んでいくこととしてございます。こうした取り組みを担います区民や関係団体への周知は重要と考えてございます。この間、関係団体の会合や各種協議会の説明、報告などに加えまして、区報掲載、区のホームページなどでの周知を図ってきたところでございます。今後も、進捗状況等の報告も含めまして適切に周知を行っていきたいと考えてございます。

○高橋(ち)委員 そうですね。これはやっぱりいろんな形で皆さんにお知らせしていくことが必要だと思うんです。ケア会議もそうですけれども、その集まっていただいた方だけでネットワークがとれるというだけの課題じゃないと思うんですよね。ですので、この八つの柱のことに関しても、もっと区民の皆さんに周知していく必要があると私は思います。

 地域包括ケアシステムを実現充実していくためには、区民、関係団体が深い理解を持ち、行政とともに取り組んでいこうと思うように導いていくことが大切なんじゃないかなと思います。単に参加してください。自助、共助、公助と、互いに負担し合い、中野区全体として地域包括ケアの充実が図られるよう必要な条件整備、連携した取り組みを行っていきますと行政が言っても、協力し続けていくのは関係団体や区民やボランティア団体または医療関係、そういう人たちだと私は思います。どのような御見解をお持ちですか。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 区の地域包括ケアシステム推進に当たりましては、区民や関係団体等との信頼関係に基づきます強力かつ緊密な連携協力体制が不可欠であると考えているところでございます。今後の展開に当たりましては、こうした観点のもと、プランの適切な進捗管理はもとより、取り組みの成果をデータで見える化するなども含め、十分な周知や説明、意見聴取などに努めていきたいと考えております。

○高橋(ち)委員 どんどん本当にアピールまたは周知というか、広報活動をしていって、知っていただくということをしていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 区長は、全国のモデルになるような取り組みを目指したいと述べられておりました。それをなし遂げるには、この施策にこそ行政がいつもおっしゃいます、いわゆる関係団体の区民の意見が必要となるのではないかと私は思います。単に専門的立場の部長級職員の方を公募して、その部署を任せるということが施策を進め、充実していくことにつながるとはとても思えません。お考えがあればお示しください。

○滝瀬地域支えあい推進室副参事(地域包括ケア推進担当) 地域包括ケアシステムにつきましては、今後は高齢者向けの施策のさらなる充実強化を図っていくことはもとより、子育て世帯や障害者に対応いたしました体制の構築が課題であると考えてございます。それには地域の医療介護、地縁団体、事業者団体など、地域包括ケアを担う関係者間のネットワークの強化が重要であると考えてございます。また、こうした主体との関係調整を区が進めていくことも不可欠と考えてございます。こうしたことから専門的な見識と豊富な実務経験に基づきまして、地域包括ケアシステムの構築をさらに強力に推進するために部長を公募することとしたところでございますけれども、今後の新たな取り組みを含めた関係機関との調整や施策展開におきましては、区民や関係団体の意見のもと、適切に行っていきたいと考えております。

○高橋(ち)委員 ぜひ適切に行っていただきたいと思います。

 では、次の項目に移ります。まだまだ包括ケアシステムには質問をしたかったんですけど、これで終わりまして防災に移ります。防災対策について質問をいたします。本当に先ほどもお話をいたしましたけれども、毎年以上にことしは台風の風水害、そして地震で災害が相次ぎ、毎日心が痛む報道が絶えないようであります。東京においても同様の災害がいつ来るかわかりません。そのためにも区として毎年、総合防災訓練を行ってはいると思いますけれども、この訓練に対してもそろそろ見直しをする必要があるのではと感じるときがあります。まず確認のためにお伺いをいたしますが、区として行っている防災訓練を挙げてください。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) まず、区が主催するものは総合防災訓練をはじめ、水防訓練や震災時の帰宅困難者対策訓練を行っております。

○高橋(ち)委員 では各地域で行っている訓練はどのような訓練が行われているんですか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 各地域の防災会で行われている訓練は、初期消火訓練、起震車の震度体験訓練、AEDの操作訓練、避難所の開設資機材操作訓練などがあります。

○高橋(ち)委員 それでは、区内の小・中学校の訓練ではどのような形で行われているのでしょうか。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 区内小・中学校では、さまざまな災害を想定した避難訓練を全校月1回実施しております。また、授業などあらゆる機会を捉え、区や都が配布した資料を活用するなどをして、災害に関する安全指導も行っております。避難訓練の具体的実施例としましては、火災や不審者からの避難、地震を想定したものとしましては、校舎の内外での避難、登下校中や休み時間等での実施、引き渡し訓練など、日常で起こり得るさまざまな状況に応じられるよう工夫しているところでございます。

○高橋(ち)委員 ありがとうございます。では、さらに幼稚園・保育園では、訓練はどのようなことを行っているんですか。

○濱口子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(保育園・幼稚園担当) 幼稚園・保育園におきましては、施設ごとに年間計画を立てまして、明確な目的を持って毎月1回訓練を実施してございます。保育施設におきましては、お子様を預かる時間が長いことから、夕方の時間帯、プール遊び、散歩時の発生など、さまざまな時間、場所、場面を想定して、常勤職員のほか非常勤職員、調理職員等を含め、訓練を行っているところでございます。

○高橋(ち)委員 ありがとうございます。小・中学校や幼稚園・保育園では月1回いろいろな訓練を行っているということが確信できました。また、各地域でも防災会が初期消火などを行っているということで、本当にたくさんの訓練が行われている状況なんですけれども、この各それぞれが訓練を行っているということを危機管理部長並びに防災分野は全て把握しているという認識でよいんですか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 区へ訓練の計画通知書の提出や訓練内容についての相談があった防災訓練については把握しております。また、危機管理担当部長への報告は必要に応じて行っております。

○高橋(ち)委員 必要に応じて行っているというのはいかがなものかなというふうには思いますけれども、では、把握しているところは支援も必ず行っているという理解でいいですか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 支援は要請されました訓練について、可能な限りの範囲で支援を行っております。

○高橋(ち)委員 わかりました。要請をされたら行くということですね。地域総合防災訓練においては北と南で毎年1回実施をしている状況だと思うんですけれども、私が思うには、本来であればその訓練のときに地域の方々と保育園・幼稚園、小学校、中学校の児童・生徒、関係者の顔が見えて、連携のとれる訓練ができれば一番いいなと思うんですけど、それは不可能なことなんでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 現在、総合防災訓練を実施する際には、近隣の小・中学校に声をかけさせていただきまして、かつチラシ、ポスターを配布して参加を強く呼びかけております。さらに各年代の顔が見える連携がとれる訓練となるよう、毎年度訓練内容や実施方法を精査しているところでございます。

○高橋(ち)委員 私が感じるのは、防災訓練を行うのは学校を使わせていただくわけですから、関係する学校の校長先生、副校長先生はおいでになります。そしてPTA関係の人もいらっしゃいます。しかし、全員をそこに参加させるということは決して可能じゃないんですね。なかなかお休みの日だったりするので、全員参加してくださいという強制的なことはできないというふうによく伺います。だけど、改めてやはりそこの会場となる近隣校または会場校の関係者または地域の人はもちろん出ていらっしゃいますけれども、そういう取り組みが働きかけによってはできるんじゃないかなというふうには考えるので、ぜひ検討していただきたいなというふうに思いますけど、いかがですか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 今、委員がおっしゃられましたことは真摯に受けとめて、今後の防災訓練に生かしていきたいと思います。

○高橋(ち)委員 ありがとうございます。主要施策の成果では、避難所等において要配慮者や女性などが安心して避難生活が過ごせるよう、物資や資機材の充実を図りましたとありますが、詳細をまず教えてください。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 女性の授乳行為ができる屋内用のテントを各避難所にまず配備しております。さらにミルクアレルギーの対応の粉乳や咀嚼が困難な方用の流動食やおかゆ、紙おむつ等の備蓄物資を配備したところです。

○高橋(ち)委員 じゃ、備蓄物資はふえたという理解でよろしいですね。また、物資のほかに、救護用に柔道整復師会からは災害医療セット、柔整材料があると、より手当が素早く行えるとの御意見もありましたが、現在どのような対応になっていらっしゃいますか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 医療救護所で使用する今申し上げられました医療資機材等につきましては、中野区の災害医療連携会議にて決定していることとなっております。医療資機材の追加についても、この中野区医療連携会議において医師会等の皆さんと調整が必要と考えております。

○高橋(ち)委員 ぜひ調整をしていただければと思います。そして、災害対策の強化推進の中でさまざまな強化を図っているようでありますけれども、防災リーダー養成では養成後も平時は訓練など防災活動を指導し、災害時には地域の災害対応リーダーとして役割が担えるよう、フォローアップ講座を充実させたともうたっております。そこで確認をしますけれども、この防災リーダーの方々はどのような方々なんですか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 区の防災力の向上に寄与する意思を持った各防災会からの推薦者、PTAの関係者、土建業界の方、郵便局員、学校の先生、さらには区議・都議の方など多種多様な方々が防災リーダーになっていただいております。

○高橋(ち)委員 うちの中にも防災リーダーはいらっしゃいますけれども、多種多様な方々がこのリーダーを目指して、いろいろと受講されているということだと思います。防災リーダー養成講座は毎年行っているという理解でよろしいですか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 平成28年から防災リーダーを養成いたしまして、32年までの5カ年の事業を計画しております。

○高橋(ち)委員 そうすると、この平成28年から32年までは毎年行うという理解でいいんですか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) はい、そのとおりでございます。

○高橋(ち)委員 防災リーダーの人数というのは決まっていらっしゃるんですか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 特に定員は、決まりはございません。ただ、各防災会の活動に防災リーダーが参画して動ける人数となる2名から3名を目標とし、毎年50人を新たに養成し、確保しているところです。

○高橋(ち)委員 そうすると、平成28年から始まりまして、現在平成30年ですので、何人いらっしゃいまして、その方々の地域はばらけていらっしゃるのかを教えてください。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 現在122名の方が中野区防災リーダーに登録していただいております。そして、各区民活動センターエリア別に考えますと、3名から10名の防災リーダーが存在し、ある程度分散はしております。

○高橋(ち)委員 わかりました。では、防災リーダーの訓練はどのようなものを行っているのか確認をいたします。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 平成29年度の実績でございますが、防災リーダーの養成時には中野区の災害特性や防災リーダーの必要性などの座学、防災士の養成講座などを実施しました。また、フォローアップ講座は避難所の資機材の使用訓練、外部講師による座学や総合防災訓練への参加など、年ごとに内容を変えて行っております。

○高橋(ち)委員 リーダーの方々には役に立っている講座なんだなというふうには理解してよろしいということだと思うんですけれども、このリーダーの方々が災害時はどのような行動ができて、どこまで活動が委ねられるのか確認をいたします。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 防災リーダー養成講座とフォローアップ講座で講義や実習を行っている避難所の立ち上げ運営、それから避難所資機材の組み立て設置、さらに初期消火活動、消防団員や消防職員の不在のときに救出救命活動などの行動を期待しております。

○高橋(ち)委員 わかりました。リーダーの養成はとても必要だと思っております。ですけど、この方々の立ち位置というものをしっかりと明記していかないと、いざ災害が起きて対応しようと行動されたときに、地域に分散をされているという今確認をさせていただきましたけれども、地域に面識がなかったり、リーダーとわかっていても何だか頼られなかったりとかって混乱のないように取り組んでいかなければならないと思うんですけど、どのようなお考えをお持ちですか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 中野区防災リーダーの養成は3年目となり、今年度から養成した防災リーダーの立ち位置を明確にし、地域に根付かせるための事業を二つ行っております。まず一つ目ですが、防災リーダーの名簿を作成いたしまして、各防災会と防災リーダー自身に配布し、相互の連携、連絡をとれる環境をつくりました。さらに中野区防災リーダー事務局をつくり、防災リーダー、防災会、この区役所の三者のパイプ役になることを期待しております。これらの事業を推進しまして、平常時から防災リーダーの存在を明確にし、災害時に混乱がないように努めていきたいと考えております。

○高橋(ち)委員 それはよかったと思います。今までは講習を受けてもどのような対応をされているのかなというふうには心配していたんですけど、事務局ができたということも伺いまして安心をしました。多くの災害対策に対応していかなくてはならないこの防災分野が、中野区では危機管理と防災分野が別々の部署にあります。毎回私は質問して、答弁は現状で大丈夫というような答弁しか返ってこないんですけども、私は全く大丈夫じゃないというふうに思います。お隣の杉並区では、総務部の中に危機管理室があり、その下に危機管理対策課、地域安全対策課、防災課という組織になっております。他の自治体を見ても、ほとんどがそのような組織体制になっているのに今も変わらない中野区の組織はあり得ないと思っております。

 そこで幾つかお伺いをいたします。区の防災分野の職員数は適正な人数であると思いますか。

○田中経営室副参事(人事担当) 防災分野につきましては、本年度1名の定数増を図ったところでございまして、現在は17名体制となってございます。今後の人員配置につきましても、業務量等を勘案しながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。

○高橋(ち)委員 17名が適正かどうかというのは私もわからないわけでありますけれども、かなり広範囲な活動が必要かなというふうに思いますので、検討していただければと思います。区長は毎回、区民の皆さんの意見を聞いて検討しますというようなお話が多いんですけれども、この現状の組織は区民が求めている組織と理解してもいいんですかね。

○田中経営室副参事(人事担当) 現在、組織の名称に付された分野、一般的には組織名称としてはなじみがなく、区民や外部の人にはどの程度の規模の組織か理解できないため、区民にはわかりにくい組織の名称になっているかなという認識はございます。また、副参事という名称も責任者の名称としては非常にわかりにくいため、分野を課に、副参事は課長に改めることを今現在考えているところでございます。現在、全庁的な組織の見直しも検討を行っているところでございまして、区民にとってわかりやすく、効率的、効果的な組織としてまいりたいと考えてございます。

○高橋(ち)委員 大分答弁が変わってきたなというふうに思っておりますけれども、現在の防災分野において東京都や各省庁から指示される施策を実現できているという聞き方は大変だと思いますけれども、その人数の中において必ず実現できますよというふうに理解してよろしいんでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 地震や風水害の発生が多く、被害も拡大していることから、防災関係法令の改正や各種の指針が定められることが多くなっております。防災分野はこれらに対しまして、改正された法令を遵守するとともに、区内に河川が流れるなどの地域特性と日ごろの防災訓練参加者からお聞きする区に対する意見や要望などを勘案いたしまして、推進する業務の優先順位を決めて全力で職務に当たっております。

○高橋(ち)委員 たくさんのことがあって、本当に大丈夫なのかなというふうに私は心配をしているところであります。先日の都政新報に北海道の胆振東部地震においては学ぶべき点があると東京都が言っているわけですけれども、問題点は患者受け入れ、電源確保、外国人対応、情報発信等、その中でも電源確保や外国人対応、情報発信は全国的に区市町村となっており、今の組織でこのような対応が可能であるのかとても心配です。本当に大丈夫と理解してよろしいんでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 北海道胆振東部地震では、大規模停電や外国人に対する対応の問題が報道されたことから認識しております。区における現組織体制では、中野区地域防災計画に記載されているとおり区の単独による対応ではなく、携帯電話の充電などについては携帯電話の販売会社や自主電源をお持ちの事業所など、関係機関と連携協力することになります。また、外国人への対応は中野区国際交流協会との協定に基づき支援を受けるほか、避難所等においては避難者の中から語学ボランティアを募るなど、臨機応変な対応をとることとなっております。

○高橋(ち)委員 連携がとれているという理解をしておきます。さらに感じることは、危機管理部長がいらっしゃいますけれども、私はこの管理部長の職は本来であればプロパーの職員が当たるべきと思っております。本当に今お受けになってくださっている管理部長は大変いろいろな指示をしてくださっていらっしゃるんですけれども、ずっといらっしゃるわけではありませんので、大事な立場としては区の職員がやるのが一番いいんではないかというふうに思っておりますけれども、いかがお考えでしょうか。

○田中経営室副参事(人事担当) 現在、危機管理担当部長の職は、専門的な知識経験を生かし、さまざまな視点で区の危機管理を担っていただけるよう、一般任期付き職員として警視庁のOBを採用しているところでございます。より地域に密着した危機管理という視点では、区の職員としての経験が生きる場面も考えられることから今後検討してまいりたいと考えてございます。

○高橋(ち)委員 この質問の最後にしておきますけれども、区の組織はやっぱり東京23区の標準的な組織体制であるべきと私は思います。組織の名称や内容を変えても仕事の内容は変わらないわけですから、区民を大切にしている現区長であるのですから、早急に組織体制を変えるべきと考えるんですけど、防災分野だけではなくて他の分野についても、その組織が生かされる検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○田中経営室副参事(人事担当) 組織体制につきましては、他の自治体の組織体制も参考に検討を行っているところでございます。防災・危機管理に関する組織のほか、全庁的な組織の見直しについて検討を行いまして、区民にわかりやすく効率的、効果的な組織を構築したいというふうに考えてございます。

○高橋(ち)委員 ありがとうございます。ぜひ考えておりますじゃなくて、進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、私の最後の質問になりますけれども、議会と行政の関係ですけれども、簡潔にお伺いをいたしますけれども、これも初日の内川委員も伺ったような気がいたしますけれども、新区長になられてから2回目の定例会になるわけでございますが、御答弁を伺っていると、常に最初に発せられるのが、区長だけではなくて役所の皆さんの答弁が、区民の皆さんの御意見を伺ってからとか、区民の皆さんとの検討とか、本当に区民に対しての対応を大切にしているんだなというふうに感じ取っております。しかし、私たち議会と行政は車の両輪と言われております。我が国の地方自治制度においては、主権者である区民が執行機関の長である区長と議決機関である区議会の議員を直接選挙で選び、区民が間接的に行政運営に参画することになっています。区民から選ばれた区長と区議会はともに区民の代表として、それぞれの職務について区民に対する責任を背負っており、区長と区議会は協力するとともに相互に牽制し合うことによって、独断や専行を防止し、公正、公平、民主的な行政運営を行うことが期待されていると私は思います。このように改めて考えますと、私たち議会も区民であります。区民の代表でもあります。確認をいたしますが、その関係はもちろん御承知だと思います。そのことは認識されていらっしゃいますよね。確認のために御答弁をお願いいたします。

○石濱経営室副参事(経営担当) 委員御質問の中にもございましたように、執行機関である首長と議決機関である区議会は、ともに区民の信託を得て区民に対する責任を負っているというふうに考えてございます。

○高橋(ち)委員 そう思ってくださっているということを聞いて安心しました。しかし、今の行政との関係は、議会は常に何だか後回しと申しましょうか、何のアプローチもなく、物事が進み決まっていくような気がしております。これは私だけでしょうかね。例を挙げると、仲町、大和東保育園の事業者募集の一時停止とか、鍋横区民活動センターの建てかえ一時休止とか、旧中野刑務所正門の件などを挙げれば切りがないほど、この3カ月間にさまざまなことが起きているように私は感じます。区長が公約として挙げてきたことを実行していきたいということは理解はいたします。しかし、何かを変えたいと考えたとき、今まで決めてきた方向をとめることになるわけであります。ですので、そういうときは事前に議会に情報提供を行うことは忘れてはならないことなのではと考えますが、いかがお考えでしょうか。

○石濱経営室副参事(経営担当) 区政を進めていく上では、区民の代表である議会の理解を得ることが必要であると認識しております。行政と区議会との協力関係を円滑に進め、公正、公平、民主的な行政運営を行うためにも、これまでも情報提供に努めたところでございますが、これからも適切な時期に適切に情報提供を行っていくことが必要であるというふうに考えております。

○高橋(ち)委員 ぜひそのように進めていっていただきたいと思います。私たちには議決権というのがありますので、その議決したものまでをとめようというときは、やっぱりこちらに何かアプローチが必要じゃないかなというふうには常に思います。中野区政を今まで以上に前進させていくためには、私たち議会と行政が本当に今おっしゃったように、ともに力を合わせていくことが最も大切だと思います。しかし、きのうまでの質疑応答でも、決算を質疑している中においても、平成29年度ですよ、決算を反映しながら継続的に進めていくことも中にはあるわけですよ。それについても区民の意見を伺いますとか、区民の皆さんと検討してとか、または行政で進めていかなくてはならない施策、政策についても、これから検討していきます、ただいま検討中ですなど曖昧な御答弁が多かったように感じます。我が区を、中野を前に進めていかなくてはならない行政運営の責任者である区長として、きちんと御答弁をいただければと思います。

○酒井区長 二元代表制のもとでは、執行機関である首長と議決機関である区議会は、ともに区民の代表として区民に対する責任を負っていると認識しております。区長就任以来、タウンミーティングなどにより、さまざまな区民の声を聞く活動を続けているのは、立場を超えてともに考え、互いを理解し合い、新たな気づきを得て、皆で課題解決に取り組む対話の文化が根付くことで、中野のまちの地域力が向上するものと考えているからでございます。この活動は今後も続けていきたいと考えております。他方、これまで以上の区政の発展のためには当然、区議会の皆様の協力が不可欠であることは言うまでもないことでありまして、適時適切な情報提供と情報交換を行ってまいります。

○高橋(ち)委員 ありがとうございます。区長がそのようにおっしゃっていただいたということを理解いたしまして、さらに突っ込みたい話はありますけれども、これ以上の質問は避けたいかなというふうに思います。区民との対話は本当に大切だと思いますけれども、まずその区民の代表である私たち議会があるんだということを常に頭に入れておいていただきたい。そのことをお願いいたしまして、私の全ての質問を終わりにさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

○高橋(か)委員長 以上で高橋ちあき委員の質疑を終了いたします。

 次に、日野たかし委員、質疑をどうぞ。

○日野委員 平成30年第3回定例会決算特別委員会におきまして、公明党議員団の立場で総括質疑を行います。久しぶりの総括質疑で大変緊張しておりますが、持ち時間98分の中で委員、理事者の皆様には、最後までおつき合いをどうぞよろしくお願いいたします。

 質問は通告のとおりで、1番、(仮称)弥生町六丁目公園について、2番、災害対策について、3番、児童・生徒の安全対策について、4番、がん対策について、5番、就労支援について、6番、その他はございません。

 初めに、(仮称)弥生町六丁目公園について伺います。弥生町六丁目公園は、南台いちょう公園、本五ふれあい公園、本二東郷やすらぎ公園に続いて、南部地域に整備される四つ目の大規模公園として地域の皆様に期待されている公園です。いよいよ来年度開園を迎えるということになりましたので、これまでの公園用地取得から公園整備、運営手法に至るまでの経緯を一つずつ確認させていただきたいと思います。

 初めに、公園の用地取得について伺います。(仮称)弥生町六丁目公園の整備については、中野区南部地区都市再生整備計画策定のもと、弥生町六丁目公園の用地費、設計費、整備費、区道12-290号線、弥生町六丁目公園の西側道路の用地部分、本町二丁目公園、現本二東郷やすらぎ公園の設計整備、本一公園の設計整備、南台四丁目公園、現南台さくら公園の設計整備、南中野区民活動センター、南部すこやか福祉センター等をパッケージとして、国からの補助金を受けるというものであったと認識しています。まずは、(仮称)弥生町六丁目公園単独ではなく、パッケージとして補助金の申請をした理由について伺います。

○杉本政策室副参事(企画担当) 中野区南部地区都市再生整備計画は、エリア全体の再整備を目指す観点から、(仮称)弥生町六丁目公園などの公園整備事業を中心としまして、南部すこやか福祉センターや南中野区民活動センターなどと一体的に整備することで地域交流の推進を図るとともに、安心・安全な市街地を形成することを目標とした計画でございます。この計画を策定することによりまして、通常では補助金の確保が困難である南部すこやか福祉センターや南中野区民活動センターについても交付金を獲得でき、(仮称)弥生町六丁目公園につきましても同計画に位置付けることで、より多くの国費の交付が見込まれ、効果的な国費活用が可能となることから、パッケージとして補助金の申請をしたものでございます。

○日野委員 弥生町六丁目公園の公園用地については、平成26年に用地特別会計で取得していますが、買い戻し5年間の計画とこれまでの実績についてお伺いいたします。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 平成27年度より買い戻しを始めまして、平成31年度までに終える予定でございます。平成29年度までに全体の1万562平方メートル余りのうち、6,435平米分、約6割の買い戻しを終えてございます。

○日野委員 平成29年度は、(仮称)弥生町六丁目公園の用地取得に28億9,197万円余支払っています。残りの買い取り面積と金額について幾らなのか伺います。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 残りということですが、平成30年度と31年度で買い戻しをする面積は4,127.54平方メートルでございます。金額につきましては25億6,156万190円でございます。

○日野委員 この5年間の計画の中で平成28年度に公園用地の取得を見送っていますが、それはどういった理由だったんでしょうか。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 当初27年度、28年度に用地を取得する予定でございましたが、用地取得のシミュレーションを行い、実際に整備工事を行う平成平成29年度、30年度、31年度に用地を購入したほうが区の単独費が少なくなるとの試算を行いまして、そのことに基づきまして、平成28年度を見送ったものでございます。

○日野委員 そうすると、今お答えしていただきましたけど、4年間でも補助金というのは十分に獲得できるということでよろしいでしょうか。確認のためもう一度お伺いいたします。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 整備計画どおり補助金を獲得できてございます。

○日野委員 弥生町六丁目公園に対しての最終的な国庫補助金、それから都市計画交付金で賄われた割合というのはどの程度になるか伺います。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 最終的には国庫補助金が39%、都市計画交付金のほうが14%というふうに試算してございます。

○日野委員 公園以外の部分で、先ほどありました南中野区民活動センターと南部すこやか福祉センター等の複合施設のこの施設部分の補助金としては、それぞれどの程度になるでしょうか。

○杉本政策室副参事(企画担当) 南中野区民活動センターにつきましては、総工事費約10億7,700万円に対しまして、社会資本整備総合交付金の額は約2億20万円となってございます。また、南部すこやか福祉センターにつきましては、総工事費約24億5,600万円に対しまして、社会資本整備総合交付金の額は約7億7,000万円となってございます。

○日野委員 本来であれば、この施設整備には拠出されない補助金をパッケージとして獲得して、活用できているということは高く評価できる事業であると思います。こうした補助金の活用によって整備された南中野区民活動センター、それから複合施設の愛称の「みなみらいず」では、現在では地域の方の憩いの場、活発にスポーツのできる場、そして子育て支援の場、高齢者や障害者の支援の場として皆さんに大変喜ばれております。こうした補助金活用により、さらに区民の方の有益な場が供されることを望みます。

 続きまして、公園整備についてお伺いいたします。(仮称)弥生町六丁目公園の公園整備においては、区内のほかの公園には見られない体験学習センターが設置されることになっております。基本計画案の時点では多目的施設となっており、当初からこの公園内にこのような施設ありきで計画されておりましたが、もともとどういう目的からこの施設の計画が盛り込まれたのかお伺いいたします。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 体験学習センターにつきましては、公園を利用した地域イベントや地域交流等に活用できる施設の整備を目的として計画したものでございます。

○日野委員 (仮称)弥生町六丁目公園整備は1回目の入札で不調となり、それから約半年後に再度入札が行われることとなりました。またこの後、分離発注により再度入札が行われましたが、建築工事等で再度不調となりました。たびたびの不調が続いたことで公園開園へはどのような影響があったのか伺います。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 当初の開園予定は平成30年度末を予定してございました。公園整備工事の入札の不調により開園が平成31年9月ごろということになりまして、約半年おくれとなってございます。なお、その後、建築工事等の不調がまたございましたが、その後の工期については影響がないというふうに考えてございます。

○日野委員 半年おくれたということですが、そうしますと、現在の公園整備工事というのは順調に進んでいますでしょうか。現状の工事の進捗についてもお伺いいたします。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 整備工事にかかわる全ての請負業者が決定いたしまして、現時点では予定どおり進んでございます。

○日野委員 現在は公園の名称について仮称となっており、公園名称は他の公園などと同様に開園に合わせて愛称を募集したほうがいいと思いますが、この辺はどのようにお考えでしょうか。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 他の公園と同様に、広く区民の方から愛称を募集したいというふうに考えてございます。

○日野委員 不調が続いたこともありまして、公園の開園というのが延びることになって、整備計画においても、また地域の住民が待ち望んでいる公園ですから、こういった方々にとっても延期というのはマイナスになりますけども、まずは公園開園までの準備において、それから、愛称の募集においてもしっかりと丁寧に対応をお願いできればというふうに思っております。

 続きまして、公園の運営手法についてお伺いいたします。弥生町六丁目公園については、区で初めてサウンディング型市場調査が行われ、民間事業者の意見、提案を聞き取り、これを参考にもした上で募集条件を策定していくものと認識しております。区で初めてとなるサウンディング調査を実施されましたが、これまでの公園整備計画と比較して、この調査について区はどのような評価をしているでしょうか。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) サウンディング調査には8社参加をいただきました。さまざまな意見や提案を頂戴いたしまして、大変有意義な取り組みであったというふうに評価してございます。

○日野委員 それでは、昨年11月にサウンディング調査を実施した際、弥生町六丁目公園を含め、南台いちょう公園、本五ふれあい公園の三つの公園を含めた公園管理を視野に入れて調査を行ったとのことですが、区で検討した結果、今回パッケージでの管理ではなく、弥生町六丁目公園単独の管理で募集をすることになったと伺いました。サウンディング調査でさまざまな意見があった中、今回単独管理で募集をすることになった理由について伺います。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 南台いちょう公園、本五ふれあい公園とともにパッケージとした公園の運営企画、それから管理運営体制に対する意見もいただきました。スケールメリットによって維持管理費の低減が期待できるという意見もございましたが、一つの公園に専念することで、より地域に密着した連携が図りやすいこと、また、事務所常駐というふうになりますので、より細かなサービスや迅速な対応が可能となるといった御意見もいただきました。このため、より(仮称)弥生町六丁目公園につきましては、その公園の特色とポテンシャルを最大限生かした運営を行っていくために、単独での募集をすることにしたということでございます。

○日野委員 先ほども申し上げましたけども、公園整備の入札で不調になっていることから、開園時期も半年延期となっております。公園の完成を楽しみにしている区民のためにも、今回の募集で運営事業者が決まらないということはあってはならないことです。サウンディング調査を行った上での単独募集の判断なので、抜かりはないと思いますけども、万が一のことがないよう事業者募集に当たってはしっかり対応をお願いしたいと思います。

 開園を現在のところ来年の9月として、今後のスケジュールについてはどのようになっておりますでしょうか伺います。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 今後の予定でございますが、10月に募集要項を発表いたしまして、12月から審査を行わせていただきます。来年の1月下旬に指定管理者候補者を選定いたしまして、9月開園時からの業務開始を目指しております。

○日野委員 それともう一つ、昨年11月に入札が不調となって以降、区は地域住民に対してどのような説明を行ってきたのでしょうか。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 入札が不調になった際と、あと業者が決まった際に、地元町会連合会へ御報告いたしました。また、公園開園延期のお知らせを掲示いたしまして、このことにつきまして区ホームページでもお知らせしたところでございます。

○日野委員 公園開園もそうですし、また事業者募集の募集要項、これはまだ示されておりませんけども、公園を利用される区民の方にとっては、どのような公園になっていくのか、公園運営になっていくのか、これは早く情報提示というのを望まれていることだと思います。今後のスケジュールで平成31年の3月から8月にかけて事前協議準備とありますが、これは具体的にどのようなことを行うのでしょうか。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 具体的に公園や体験学習センターを活用した運営事業、それから指定事業者がみずから行う自主事業の内容について、指定管理者と区でその内容の協議を行うというものでございます。

○日野委員 この公園に関して、特に地元の方に対しては公園運営の説明というのを、先ほど申し上げましたとおり、より丁寧に行う必要があると思っております。また、地元の要望なども直接事業者が聞ける場というのもあったほうが望ましいと思います。私は平成29年第4回定例会の一般質問において、具体的に公園がどのように活用されるのかを区と事業者から近隣住民や関係者等に対して説明会を行ってもらうことが望ましいと思いますが、いかがでしょうかと質問をしました。その答弁は、開園後どのような具体的活用をするかについては事業者が説明することになっていますというものでした。開園がおくれた原因は区のほうにあります。公園の運営に関する説明については事業者任せとするのではなく、区が主導してなるべく早い段階で行い、事前協議準備においては地元の要望なども含めて協議できるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 指定管理者と協議をし、具体的な運営方法や事業内容が決まり次第、なるべく早い段階で地域と調整を図らせていただきまして、また御要望等も取り入れていきたいというふうに考えてございます。

○日野委員 私はこれまで弥生町六丁目公園に関して一般質問で3度にわたり質問を重ねてきました。その中で、きのう共産党の広川委員が弥生町六丁目公園のプレーパークについて質問をされましたが、私も平成29年第1回定例会の一般質問において、弥生町六丁目公園において区で初めてプレーパークエリアの設置について、また、プレーリーダーの導入についても質問をしてきたところであります。公園は高齢者や親子の憩いの場であったり、子どもたちが自由に遊べる場であったり、あるいはスポーツができる公園など、公園の魅力はさまざまあるかと思いますが、私が考える魅力ある公園の一つには、いつも大勢の子どもたちが元気に遊ぶ公園というものです。元気に遊ぶ子どもたちがいる公園はそれだけで魅力ある公園に見えます。募集要項の開示、それから事業者募集はこれからになりますが、子どもたちが自由に思い切り遊べることが大事な視点であると思います。事業者募集に当たって、この点はどのようにお考えでしょうか。

○細野都市基盤部副参事(公園担当) 事業者募集に当たっては、指定管理者が行う運営事業として、公園を活用した自然体験事業等について提案を受けることになっております。これまで御指摘いただいた点も踏まえまして、区からそのことも提案していきたいというふうに考えてございます。

○日野委員 弥生町六丁目公園は、景色を一望できる立地にしても、また公園整備内容としても非常に楽しみな公園です。皆さんが大変期待する公園だけに、事業者選定においても、また開園までの準備においても丁寧に行っていただき、誰からも喜ばれるような公園にしていただくことを期待して、この項の質問を終わります。

○高橋(か)委員長 質疑の途中ですけれども、3時を過ぎておりますので、ここで休憩を入れたいと思います。3時25分再開ということで、それまで委員会を休憩します。

午後3時02分休憩

 

午後3時25分開議

○高橋(か)委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。

○日野委員 先ほどに続きまして、続いて項目の2番、災害対策について伺います。今回の定例会では、既に一般質問や総括質疑において、他の議員、委員の皆さんからさまざま災害対策について質問されておりますので、多少重なる部分があるかもしれませんが、近年のたび重なる災害を見るに、災害対策というのは本当に大事な取り組みであると思いますので、確認も含めて細かい点についても質問させていただきます。

 また、先日、北海道胆振東部で地震が発生しましたが、私の実家も北海道胆振地域であります。この胆振東部、そして私の実家が胆振西部なんですが、この距離が直線で100キロほど離れております。これほど広い北海道の中で、あの地震によって北海道全域が停電になる。こういうことは誰も想像していなかったことであると思います。近年ではこうした誰も想像しないような災害というのがいつ起きてもわからないという状況にあると思っています。また一方で、想定できる備えというものもまだまだあるのかと思っておりますので、この辺も含めまして質問をさせていただきたいと思っております。

 先月の初めに、私たち公明党議員団有志で平成30年7月豪雨災害で特に被害の大きかった岡山県倉敷市真備町に災害支援ボランティアに行ってまいりました。真備町は町の4分の1以上が浸水し、一番深いところでは5メートル近くも浸水被害があった地域です。被災地では被災から1カ月が経過しても、まだ多くの災害廃棄物が道路わきに高く積まれており、電気が不通の地域もまだありました。この地域では多くの住民の方がボランティアの支援を必要とされており、家の床に積もった泥の除去や使用できなくなった家財道具、家電製品などの撤去、また家の敷地に流れ込んできた瓦れきの撤去など、住民の方だけでは困難な作業が手をつけられないほどあふれておりました。この猛暑の中、泥と汗にまみれながらボランティア活動を行い、実際に現地で支援活動をしてきたことで気づいたことなどを中心に質問いたします。

 初めに、災害時のボランティアの受け入れについて伺います。実際に被災地に赴いて、災害に遭われた方が復旧復興に向けて作業するに当たり、ボランティアの方の力がいかに必要とされているかを実感いたしました。そこで、まずは中野区が被災した場合のボランティアの受け入れについての確認と質問をいたします。現状では、区が災害ボランティアを受け入れる際、ボランティアセンターを運営するのは社会福祉協議会となっていますが、ボランティアセンターの設置場所はどこを想定されているのでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 中野区社会福祉協議会によると、中野区ボランティアセンターは中野五丁目にあります社協が入るスマイルなかので設置する予定と聞いております。

○日野委員 災害ボランティア活動に参加される方の中には、支援活動に使用するための機材を持ち込むため、あるいは現地で移動しやすいようにと車で来られる方もいるかと思います。実際に私たちも岡山まで車で向かいました。片道10時間以上かかりまして、これほどかかるとは想定していませんでしたけども、向こうで被災地で使うための機材、それから着がえ等を多く持ち込んでいました。そして、向こうで移動できるように車で向かいました。このように車で来られる方の受け入れについては現在想定されているのでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 区では災害ボランティアの活動時、衣食住の全てを自己完結することが原則であることから、車両の受け入れに関し、現時点では想定しておりません。しかしながら、最近の被災地におけるボランティア活動を見ると、車で駆けつける場合が多いことは認識しております。

○日野委員 中野区を含め近隣区も被災するような大規模災害の場合、近県から車で来られることもやはり想定されます。とめられる台数に限りがあったとしても、車を受け入れる場所は事前に検討されるべきだと思いますが、改めて伺います。いかがでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 中野区ボランティアセンターを運営する中野区社会福祉協議会に必要性を確認し、協議事項として今後の方向性を検討していきたいと考えております。

○日野委員 また、公共交通機関で来られた方を含め、災害支援ボランティアの方が区内を移動する際、人の輸送については災害協定を結んだところが行い、無償で乗車できるようにするなどと、こういったことも必要かと思いますが、この辺はどのようにお考えでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 社協から要請があった場合には、区と緊急輸送に関する協定を締結している各協定先団体との協力業務内容として、区が必要とする輸送に関することという項目があることから、これに基づき協力要請を行うことになります。

○日野委員 先ほどの答弁において、ボランティアセンターはスマイルということをおっしゃっておりましたけども、平成28年第2回定例会の一般質問において、我が会派の木村委員よりボランティアセンターを四季の森公園に設置すべきとの質問に対し、答弁では社協と十分に協議するとのことでしたが、それから十分な協議は行われたのでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 社協との協議は継続的に毎年度おおむね2回実施しております。協議内容は、四季の森公園で100人単位のボランティアに対応できる中野区ボランティアセンターの設置や、その資機材等の調達までさまざまな内容を協議しております。

○日野委員 協議中とのことですけども、災害ボランティアの受け入れについては、多くの人や先ほど申し上げましたとおり車を受け入れる。こういったことを想定して、四季の森公園のようなオープンスペースがある場所など、こういった場所が適切であると考えます。改めて伺いますが、いかがでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 四季の森公園は敷地面積も広く、オープンスペースもあることは十分認識しておりますが、震災発生時には帰宅困難者の一時滞在施設や広域避難場所に指定されることになっております。ボランティアセンターの設置場所としての活用も一つの選択肢であることは間違いございませんが、被害の状況や区民の活用ニーズを勘案して、災害からの復旧復興に有効に活用していかなければならないと考えております。

○日野委員 災害発生直後であれば、広域避難場所としてさまざまな利用があり、また、災害発生からしばらく時間が経過した後の使い方、こういったことも考えられると思いますので、幅広く柔軟な研究、検討をしていただければというふうに思っております。

 そしてまた、サテライト拠点の運営について、これも社協が行うことになるのでしょうか。また、災害の規模にもよると思いますが、サテライト拠点が複数箇所となった場合、この辺の運用等についてもどのような体制で行うのかもあわせて伺います。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) サテライト拠点の運営もボランティアセンターと同様に社協が運営主体となります。その運営体制にあっては、中野区社会福祉協議会が開催しております中野災害ボランティアセンター運営スタッフ養成講座を受講したボランティアが運営支援すると聞いております。

○日野委員 地域防災計画、この中には災害時のボランティアセンターのサテライト拠点の設置についての記載については見当たりませんでした。設置場所などの想定はされているのでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 震災発生時には、被災地域が広く、災害ボランティアのサテライト拠点が必須であることは認識しております。社協との協議事項の一つとして今後協議していきたいと考えております。

○日野委員 検討されているとのことですが、このサテライト拠点の設置についても今後、地域防災計画に記載すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) サテライト拠点につきましては、社協と協議いたしまして、記載が必要と判断した場合には、次回の中野区地域防災計画の修正に反映したいと考えております。

○日野委員 社協のほうでは、災害時に社協のネットワークによる広域の連携による支援を受け入れたり、また、スムーズなボランティアセンター運営のためのボランティアセンター運営計画を作成していると思いますが、このボランティアセンター運営計画について区は共有されているのでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 社協作成の中野区ボランティアセンター運営計画を情報提供していただいております。その情報は共有しております。

○日野委員 ボランティアの受け入れについては、以前、区と社協が十分な連携をとるとおっしゃっていたわけですから、情報の共有だけではなく、計画書自体もしっかりと共有されて、さらに連携を強化していただきたいというふうに思います。これは要望としておきます。

 それから、ボランティアの受け入れから少し質問はそれますけども、中野区地域防災計画の受援計画、これには受援期間中の職員の宿泊場所について、宿泊スペースがある区所有施設とされています。ここに書かれている宿泊スペースがある区所有施設とは具体的にどこのことでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 震災時の区内の被災状況、区職員の被災状況、区有施設の被災状況等を勘案し、支援職員の方の宿泊場所を選定することとなります。区役所本庁舎での業務支援が中心となることから、会議室等が候補の一つであることと考えております。

○日野委員 区が直接災害協定を結んでいる自治体から派遣される職員は、受援計画で派遣される職員は最大でどの程度を想定されているのでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 災害発生の時期により各自治体の行政需要は異なることから、支援をしていただける職員の人数はその都度決まると考えております。また、都内の各自治体間や全国知事会において受援の調整計画もあり、多くの支援職員が中野区を支援していただけると考えております。

○日野委員 今、受援計画についての宿泊のことをお伺いしましたが、何でこの宿泊のことを伺ったかといいますと、真備町に行った際、各地でボランティア活動を行っていた方々が被災地で野宿、それから車中泊をしながら何日もボランティア活動をしているという実態がありました。実際に現場で被災者の支援要請を受けたり、ボランティアを振り分けたりする作業というのも、こうしたボランティアの方々が社協と連携をとりながら行っており、重要な役割を担っている現状を目の当たりにしました。こうした方々が野宿をしたり、車中泊をしていると、こういう状況を見ましたので、今の質問をさせていただきましたが、ボランティアに来られた全ての方を宿泊させることは難しいとは思いますが、例えばサテライト拠点を運営しているような、数日間ボランティア活動をされる方のために宿泊、休憩できる場所を確保してはいかがでしょうか。一例として挙げると、区役所であれば地下のシャワー室なども利用してもらうこともでき、中野区の災害支援のために労力を使っていただくボランティアの方のためにもなると考えますが、いかがでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 長期間のボランティア活動は、精神的、肉体的に負担が多いことは認識しておりますが、多くの災害ボランティアの方々に不公平感が生じないよう、社協と協議していきたいと考えております。

○日野委員 ボランティアの方が来やすい、また、安心して作業できるというのが中野区の災害復興にとっても非常に重要であると思いますので、協議についてはしっかりと行っていただきたいと思います。それから、災害時には災害状況の発信や、区としてボランティアの受け入れ体制、こういったことを広く情報伝達することで、より多くのボランティアの方に災害支援に来てもらえると考えます。私たちもメディアで真備町の情報が多く流れていたことから、支援場所として真備町を選択しました。区では災害時の情報発信について計画はお持ちでしょうか。

○堀越政策室副参事(広報担当) 災害時における情報発信につきましては、情報の収集から提供までの対応手順を想定いたしました広報活動計画のマニュアルを策定しておりまして、このマニュアルにはボランティア関連情報の提供についても盛り込んでいるところでございます。

○日野委員 災害発生時に区内の皆さんに向けた情報、それから区外に向けた情報、どちらも大事であると思います。そしてまた、ボランティアの皆さんに送る情報というのも必要であると思っております。ボランティアの方に向けたあしたの受け入れ状況を確認できるような情報発信もするべきだと思いますが、中野区のホームページやSNSを活用した情報発信はどのような活用を考えていますでしょうか。

○堀越政策室副参事(広報担当) ボランティア関連の情報発信でございますが、募集の内容ですとか、受け入れ体制の情報等につきまして、関係機関とも十分に調整を行った上で、被災や復旧の状況等、他の情報ともあわせまして、ホームページやSNS等、適切な広報媒体によりまして、より広く情報が伝わるように発信をしてまいりたいと考えております。

○日野委員 今の時代は、やはり情報がどの程度伝わるかというのが非常に重要であると思います。日常の情報もそうですけども、災害が発生したときの情報というのは、より明確に、また広く伝わるということが中野区の災害支援のためのボランティアの皆様がどれだけ集まるかということにもつながると思いますし、また復興のためにも重要であると思っておりますので、今後しっかりとこの情報発信についても、より内部での検討協議を行っていただきたいというふうに思います。

 続きまして、災害への備えについて伺ってまいります。東京都災害廃棄物処理計画には、災害廃棄物は一般廃棄物に位置付けられるものであり、区市町村が包括的な処理責任を負うとされています。また、中野区地域防災計画では、災害廃棄物について区民等の協力を得て分別を行い、収集可能な場所に設けられた公有地等を利用して設置した臨時集積所に排出するよう指導する。また、ごみの収集運搬について、臨時雇い上げの人員並びに機材などを活用し、可能な限り速やかに処理を行うとあります。災害廃棄物の運搬は、通常使用されている清掃車では賄えないと思いますが、災害廃棄物を運搬する車両は別途あるのでしょうか。また、どの程度用意できるのでしょうか伺います。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 区では、災害時の緊急輸送に関する協定を締結している協定先団体に対し、災害廃棄物を輸送する車両の提供を要請する計画となっております。緊急輸送の中心となる東京都トラック協会中野支部からは、4トン車3台、2トン車9台が提供可能と計画されております。

○日野委員 私たちが真備町でのボランティアに参加した際には、浸水により廃棄せざるを得なくなった家庭からの災害廃棄物や倒壊した建物、樹木など人手が幾らあっても足りないほどの災害廃棄物であふれておりました。各サテライト拠点では、社協と連携しているボランティアの方々が複数台のトラックをみずから運転し、災害廃棄物の運搬を行っておりました。実際ここにいる木村委員も、マニュアルのダンプカーを運転し、ダンプ機能を使ってごみの処理をするなど、積み込みから処理場までの廃棄作業を全て自分たちで行いました。ダンプ機能というのは、ダンプに積まれた災害廃棄ごみをダンプの機能でがーっと、わかりますかね、斜めにして捨てる。そういうものを使って処理をした。こういうことを行いました。災害廃棄物の処理能力は、ダンプやトラックの数、運搬力で決まります。ボランティアが多数参加しても処理能力は変わらないことを身をもって実感いたしました。

 西日本豪雨でも被害の大きかった岡山県、広島県のレンタカーが全て貸し出してなくなり、車両不足が処理能力の限界にもなりました。中野区は狭隘道路も多く、大きなトラックが路地に入ることが困難な箇所も多くあります。先ほども4トントラックと2トントラックとありました。そこで、災害時にさまざまな用途で多くの利用ができるよう、トラック協会とは別に、例えば既に災害協定を結んでいる自治体と軽トラックなどの借り入れについても協定を結んではいかがでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 災害時の相互応援に関する協定の応援内容に、応急復旧等に必要な資機材等の提供及び貸与と規定されていることから、軽トラックが必要な場合は要請したいと考えております。

○日野委員 昨日の久保委員からの質疑にもありましたが、災害協定を結んだ後のその後の確認というのもしっかりと行っていただきたいと思っております。

 それから、阪神淡路大震災後、オストメイトのストーマ装具の保管について、内閣府による災害時要援護者の支援ガイドラインや厚生労働省の災害救助事務取扱要領に、災害時要支援者の備えについても指針として盛り込まれました。特にオストメイトのストーマ装具は絶対になくてはならない装備として公的に保管をする自治体も多くあります。区内でストーマ装具を使用されている方がどの程度いらっしゃるか把握されていますでしょうか。

○菅野健康福祉部副参事(障害福祉担当) ストーマ装具を使用されている方は、平成29年度の実績で363人でございます。

○日野委員 このようなストーマ装具など、避難行動要支援者が災害時に必要だとされる備蓄品などについては、障害者団体などと十分協議を行っていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 避難行動要支援者のための備蓄物資としては、おかゆや流動食をはじめ、紙おむつや簡易ベッドなどを備蓄しております。障害者団体からは福祉対策連絡会を通して、来年度予算に係る要望書が提出されていることから、要望内容を参考に誰もが過ごしやすい避難所を目指して備蓄品目を検討していきたいと考えております。

○日野委員 こうした災害時に備えたところで、まだ目が向けられていなかった部分についても、しっかりと検討していただきたいというふうに思っております。

 最後に、この災害への備えについての項目で1点伺う予定であったんですが、先ほど高橋(ち)委員のほうから柔整材料について質問がありましたので、私のほうからは改めて伺いませんが、災害時の支援に対して積極的に協力をしていただく、こういった団体に対しては、区のほうも十分に協議をしていただいた上で対応していただければというふうに思っております。

 続きまして、災害対策の見える化についてお伺いいたします。このたび洪水ハザードマップの更新が行われ、浸水予想区域が一目でわかるものが完成しました。これも見える化の一つだと思います。この災害ハザードマップ、真備町におきましては、浸水した地域が洪水ハザードマップで想定されていた地域とほぼ重なる形で洪水被害が発生しました。改めて洪水ハザードマップの重要性と、事前に浸水予想区域を区民が認識しているということが災害リスクの軽減になることを痛感いたしました。まずはこの洪水ハザードマップについて伺います。今回作成されたハザードマップはどういった方法で区民に周知されるのでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 中野区洪水ハザードマップは、まず区役所、区民活動センターで配布しております。またホームページにも掲載しております。区民の方に対しましては、河川が氾濫した場合の浸水区域内の地域については全戸配布をしているところです。

○日野委員 区役所、それから区民活動センター等での配布、それから浸水予想区域の範囲に含まれる住居について全戸配布するとのことでしたが、洪水ハザードマップを見ると、浸水予想区域には小学校や中学校、それから保育園、高齢者会館、特養など、児童や高齢者が利用する施設が多く見られます。こうした施設に対してはどのような周知を行うのでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 中野区洪水ハザードマップの河川が氾濫した場合の浸水区域内にある児童、高齢者、障害者等の社会福祉施設、学校や医療施設等の要配慮者施設に対しても洪水ハザードマップを配布するとともに、水防法に基づく要配慮者施設の避難確保計画作成について働きかけていきたいと考えております。

○日野委員 例えば保育園や小学校の場合、保護者に対しても周知する必要があるかと思いますが、そこはどのようにお考えでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 要配慮者施設が作成した避難確保計画の内容は、職員、児童、利用者、保護者にも周知されることが望ましいことから、各施設に働きかけていきたいと考えております。

○日野委員 再度ハザードマップの配布について伺いますが、今回配布した後、改めて周知や配布し直すことはお考えでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 中野区においては、過去には四、五年置きに配布をしております。今後も効果的な時期を見計らって再配布をしていきたいと考えております。

○日野委員 例えば浸水予想区域内で居住者の入れかわりがあるアパートなどの集合住宅、それから民泊などを行っているような一時的に宿泊をするようなところ、こういったところにはどのような対応をされるのでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 今回、中野区洪水ハザードマップにおいて、河川が氾濫した場合の浸水区域内の地域については全戸配布しているところですが、集合住宅や民泊施設のみへの配布は困難であると考えております。ただし、中野区ホームページへの掲載や中野区役所、区民活動センターの配布は継続していきますので、御利用していただきたいと考えております。

○日野委員 確かに中野区の場合は、単身で住まわれている方が多く、こうしたアパート等に毎回配布するというのはなかなか困難であるとは思っております。ただ、効果的に伝える必要もあると思っております。この洪水ハザードマップですね、地図上ではわかりやすいものであっても、洪水ハザードマップは日ごろから常に目にする性質のものではないため、浸水予想区域の方が日ごろから意識できる対策というのも必要であると考えます。国土交通省では、地域の洪水に関する情報の普及を目的として、生活空間である市街地の電柱等に実績や想定の浸水深、浸水の深さなどを標識として表示する「まるごとまちごとハザードマップ」を推進しており、東京都では北区でも導入されております。近年では民泊などで住宅街にも外国人観光客がよく見られますが、図で表示することにより、外国人や子どもでも水害の危険性を実感できるよう、洪水の浸水深情報や避難行動に関する情報を表示する取り組みとされています。浸水予想区域において「まるごとまちごとハザードマップ」を導入してはいかがでしょうか伺います。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 「まるごとまちごとハザードマップ」の導入実績がある北区などの自治体の事例を参考にするなど、どのような効果があるか研究し、設置方法等について考えていきたいと思います。

○日野委員 こうした災害情報の見える化というのは、被害を最小限に抑えるための重要な要素の一つであると考えます。ハザードマップや「まるごとまちごとハザードマップ」は、災害が発生する前、事前の備えですが、災害発生直前、災害発生時の見える化についても対策が必要ではないかと考えます。現在、河川氾濫の危険が迫った場合、防災行政無線やサイレンでの情報伝達、また河川監視カメラから状況を確認することが可能となっています。しかし、集中豪雨などにより、雨の音で防災行政無線やサイレンの音が聞こえにくい場合などもあります。大雨洪水注意報や警報が出た際に、私は消防団としても地域の河川の状況を確認しに行くことがあるのですが、その際に河川近隣にお住まいの方が直接河川の状況を見に出てこられる場合がよくあります。こうした河川の氾濫危険水位の情報を音だけではなく、見える化することが必要ではないでしょうか。例えば横浜市では河川氾濫の危険がある場合、サイレンや防災行政無線のほかに光る回転灯で危険を知らせるようにしています。注意報の場合は黄色、警報の場合は赤色の回転灯というように、音が聞こえにくい場合でも見た目でわかる情報というものも有効な手段の一つであると思います。洪水ハザードマップに基づく浸水予想区域において、河川付近においては避難準備、避難勧告、避難指示を視認できるような回転灯などによる情報伝達を行ってはいかがでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 区では、避難勧告等の発令情報の伝達手段として、防災行政無線や区有車での広報をはじめ、ホームページやエリアメールの緊急速報などで周知徹底を図ることとなっております。視認できる回転灯での情報伝達について、どのような課題があるかについてまずは研究していきたいと考えております。

○日野委員 ここまでは主に水害について、そして災害発生前の情報の見える化と災害発生時の情報の見える化について質問をさせていただきました。もう一つ、災害の見える化対策として、これは水害に限らないんですけども、災害が発生した後、避難者の見える化について質問いたします。災害発生時の避難場所は主に小学校や中学校となっており、避難所運営は区や施設管理者、地域防災会が行うことになっています。区では、障害のある方など避難先を二次避難所として指定されていますが、災害発生時はまず小・中学校の一次避難所に避難することになっています。避難行動要支援者の中には、聴覚障害により情報を得にくい方などがいらっしゃいます。このような支援を必要とする方が災害時の避難所においても一目でわかるように、自治体によっては災害バンダナを導入しているところが幾つかあります。このバンダナには、耳が聞こえませんとか、手話ができますなど、本人の状況が一目でわかるような具体的なメッセージを書いているところもあります。災害という非日常の混乱が想定される中で適切な支援が受けられるよう、事前に障害者団体の方など災害時に支援を必要とされる方のために、災害バンダナ等の必要なものについても協議を行っておくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○中川都市基盤部副参事(防災担当) 支援が必要な方に適切な支援がなされ、相互理解が促進されるように災害バンダナの導入について障害者団体の方に意見を聞き、検討をしていきたいと考えております。

○日野委員 今回、災害支援ボランティアへ行ったことで気づかされたことは多くありました。ことしは西日本から北海道に至るまで大きな災害が立て続けに発生しており、いつ東京に大災害が発生するかもわかりませんし、災害への備えはまだまだ不十分であるとも感じました。あわせて、先ほど高橋(ち)委員のほうからも、防災分野の組織の体制についても質問があり、また、昨日の総括質疑の中で久保委員のほうからも防災分野に対して、この体制強化という質問もありました。防災分野に関しては、非常に多くの重要な役割を担っており、いざ災害となったときにも、この今のままの体制ではなかなか大変であるというふうにも感じております。この体制強化については私も同感しております。以上のことを申し上げまして、この項の質問を終わります。

 次に、項目の3番、児童・生徒の安全対策についてのうち、初めに通学路における児童の安全対策について伺います。ことしの6月18日に発生した大阪北部を震源とした地震では、小学校のブロック塀倒壊により小学校4年生の女児が亡くなるという痛ましい事故が発生しました。この事故を受け、文部科学省では6月19日に全国の学校設置者に対してブロック塀等の安全点検等の要請を出しています。また、同じく私たち公明党議員団としても中野区に対し、ブロック塀等の安全点検及び通学路の総点検を行うよう緊急要望を提出しました。まずは確認のためにお伺いいたします。大阪北部地震の直後、区では要請のとおり学校施設などの子ども関連施設においてブロック塀の調査を行っていますが、どのような調査内容で、調査結果とその対応はどのようなものだったのでしょうか。

○石原子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 子ども関連施設におけるブロック塀等の状況につきましては、区立小・中学校と幼稚園は地震直後の6月19日から、区立保育園やその他の子ども施設等につきましては7月2日から調査を行い、目視、打診、触診によりひび等の状況、また建築基準法施行令の適合状況などを確認いたしました。その結果、13施設で建築基準法施行令の規定に適合しないものや改修が必要なものを確認し、うち小学校1校におきましては既に撤去を行っており、保育園1園の道路沿いに存在するものについても撤去を手配しているところでございます。また、敷地境界沿いのものにつきましても、平成31年度に適宜改修を予定してございます。

○日野委員 危険なブロック塀については迅速に撤去していただいたということですけども、今後この基準を満たしているブロックについても、これらの管理というのはどのように行われるのでしょうか。

○石原子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 建築基準法施行令の規定に適合しているブロック塀等につきましても、今後劣化や破損等により状況が変わることが考えられますため、安全点検などとあわせて定期的に点検を行い、適宜補修等を行ってまいります。

○日野委員 今回のこの調査は、ブロック塀などの安全点検が主な目的で実施されたものですけども、もう一方で政府は登下校時における子どもの安全確保について、関係省庁が横断的に取り組むべき課題であるという認識のもと、平成30年6月22日、登下校時の子どもの安全確保に関する関係閣僚会議を開催し、登下校防犯プランとして対策を取りまとめています。このプランには、1、地域における連携の強化、2、通学路の合同点検の徹底及び環境の整備改善、3、不審者情報等の共有及び迅速な対応、4、多様な担い手による見守りの活性化、5、子どもの危険回避に関する対策の促進の5項目について取り組みが示されています。この登下校防犯プランについて何点かお伺いいたします。このプランのうち、2番目の通学路の合同点検の徹底及び環境の整備改善においては、7月11日付で文科省、警察庁、厚生労働省、国土交通省から、防犯の観点から安全点検通知が出され、それに基づいて現在、区内の小学校で通学路の合同点検が実施されていると認識しています。この合同点検については、平成24年にも通学路の緊急合同点検が行われていますが、まずはこのときの平成24年時の点検の目的と点検後の対応状況について伺います。

○石崎子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 平成24年度の緊急点検につきましては、登下校中の児童の列に自動車が突入し、多くの死傷者が発生する交通事故が相次いで発生したことを受けまして、通学路の安全点検、安全対策を講じるために実施したものでございます。当時の区立小学校25校の通学路を対象といたしまして、平成24年7月19日から8月8日までの期間に小学校、PTA、教育委員会、警察署、道路管理者が合同で現地点検を行い、危険箇所の確認を行いました。この点検結果に基づきまして効果的な対策を検討いたしまして、路面標示、標識設置、注意喚起看板設置などの対策を行いました。

○日野委員 続けて、今回実施された通学路の合同点検の目的と現在までの実施状況について伺います。

○石崎子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 今回の合同点検につきましては、ことし5月、新潟市におきまして下校中の児童が殺害されるという痛ましい事件を受けて、関係閣僚会議でまとめた登下校防犯プランに基づき実施をしたものでございます。中野区におきましては、防犯に加え、防災、交通安全の観点から、学校、PTA、教育委員会、警察署、道路管理者が連携協力して通学路を点検し、必要な安全対策を講じるための合同点検を行いました。9月11日までに小学校全23校で点検を行いまして、現在、点検結果を取りまとめております。今後、学校、PTA、教育委員会で情報を共有するとともに、関係者と連携協力いたしまして、必要な安全対策を講じてまいります。

○日野委員 平成24年のときは交通安全対策について点検を行い、それで児童の安全を守るための標識等の整備を行ったとのことです。今回のメインは防犯を観点とした点検ということで今、御報告をいただきました。区はこれまでにも児童・生徒の安全対策としてさまざまな取り組みをされていますが、防犯を観点として実施された対策としてはどのようなものがあったのかお伺いいたします。

○石崎子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 通学路における防犯カメラの設置、また、危険箇所における注意喚起のための看板設置、そして青色灯防犯パトロールカーによるパトロールや広報活動などを行ってございます。

○日野委員 平成27年に中野区が作成した中野区通学路交通安全プログラムを確認すると、平成24年度に実施された合同点検では、先ほどもおっしゃられておりましたけども、中野区教育委員会、学校、PTA、道路管理者、交通管理者が連携協力して実施し、以降、同様に合同点検の実施が行われてきたとあります。この合同点検をもとに、必要とされる安全対策として整備が行われてきたと認識しております。今御説明があった中で、例えば防犯カメラに関しても、平成27年、28年に当時の小学校数25校に対して5台ずつ、計125台の防犯カメラを設置されています。この防犯カメラの管理責任者はどこになりますでしょうか。

○石崎子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 教育委員会事務局学校教育分野の統括管理者が管理責任者となってございます。

○日野委員 現状、これらの防犯カメラについて、区ではどのような管理がされているのでしょうか。

○石崎子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 125カ所につきましては、年1回、動作確認、システムの検証、記録媒体の交換等の保守点検を行いますとともに、その他故障など必要に応じた緊急点検等を専門事業者に委託して実施してございます。

○日野委員 先日ある場所で、この通学路に設置された防犯カメラを見たところ、傍らにある木の葉が生い茂って、カメラのレンズを塞いでいる状態になっているのを見つけました。すぐに区のほうには伝えさせていただきましたが、ほかにもこれまで対応していただいた標識が劣化したり、見えづらくなっているというものもありました。今回の合同点検では、新たな危険箇所のチェックや過去に設置した安全対策、防犯対策も含めて点検されているとは思いますが、全ての通学路を回り切れているものではないと思っています。少なくとも過去に安全対策や防犯対策で設置したものについて、設置の目的どおりに機能している必要があると思いますが、この点についてはどう維持管理を行っていくのか伺います。

○石崎子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 御指摘のようなことにつきましては把握に努めているところでございますが、今後、保守点検や通学路合同点検を活用するなど、より適切な方法について検討してまいりたいと思ってございます。

○日野委員 今回も含めた合同点検で上がった課題については、十分にそれは検討していただいた上でしっかり対策を行っていただきたいと思います。また、せっかく過去に実施していただいた対策、そしてこれから取り組まれる対策というのがそのとき限りとならないようにお願いいたします。また、カメラについてお伺いしますが、現在設置されている防犯カメラはそのうち耐用年数を迎えることになりますが、時期はいつごろになるでしょうか。また、そのときはどのような対応になるでしょうか。

○石崎子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(学校教育担当) 防犯カメラの耐用年数につきましては、メーカー等による定めがございません。現在行っている保守点検の結果を勘案し、その機能が維持できるよう適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

○日野委員 次に、登下校防犯プランの1番、順番が前後しますが、地域における連携の強化について伺います。登下校防犯プランには、登下校時における防犯対策の推進に当たっては、警察、教育委員会、学校、自治体の三者に加え、学童クラブ、キッズプラザ、地域住民、保護者等の関係者が連携することが不可欠とされています。現状においても学校を中心として関係者との連携は行われており、町会などからも安全対策のために登校時や下校時に通学路に立っていただくなど、さまざま御協力をいただいている状況も伺っています。この中で学童クラブについて、平成29年第2回定例会において我が会派の白井委員の一般質問で、学童クラブを利用する全ての児童、保護者の方々への安心・安全のため、入退室メール配信サービスの導入を含め、取り組みを進めるべきと質問をしています。答弁では、安全対策全体のあり方を検証する中で、その有効性や必要な機能などについて検討していきたいとありましたが、その後の対応はどのようになっているのでしょうか。

○小山地域支えあい推進室副参事(地域子ども施設調整担当) 入退室管理システムにつきましては、昨年の7月から区内8カ所のキッズプラザに導入をしているところでございます。希望する保護者へのメール配信サービスの登録率は9割でございまして、保護者の方々の要望の高いサービスになってございます。この1年間の運用状況の検証や他区の実施状況を踏まえまして、学校外の学童クラブへの導入につきましては検討を進めたいというふうに考えております。

○日野委員 9割というところからも、いかに安全対策で保護者の方が求められているかというのがわかるかと思います。今後の検討はしっかりと行っていただきたいと思います。ほかに学童クラブにおいて、これまでどのような安全対策が行われてきたのかもお伺いいたします。

○小山地域支えあい推進室副参事(地域子ども施設調整担当) 安全に関する対応といたしましては、同一方向に帰宅するお子さんにつきましては集団帰宅の指導を行ってございます。また、保護者とお子様の間では帰宅経路の確認をしていただいているところでございます。また、延長保育児は児童の保護者への引き渡しを原則としているところでございます。先日発生しました大阪府での地震の際には、児童館、学童クラブ、キッズプラザ利用児童が通行が想定されます道沿いのブロック等の有無について確認をいたしまして、帰宅時には注意喚起を行うなど、状況に応じた対応も行っているところでございます。安全対策につきましては、今後もさらに工夫をしてまいりたいと考えております。

○日野委員 この地域における連携の強化というところは、学童クラブには限らないと思いますけども、警察庁の調査によると、犯罪に遭う小学生以下の児童のうち、ほとんどが下校後に発生している。こういったデータもあります。地域との連携というのはしっかりと今後も行っていただいた上で、学童クラブ等においても安全対策をしっかり行っていただきたいというふうに思っております。

 次に、登下校防犯プランの3番目の不審者情報等の共有及び迅速な対応について伺います。不審者情報については、最近でも私の地元で不審者情報が安心・安全メールでたびたび流れています。7月ごろから現在に至るまで、たびたび情報は送られてくるのですが、地域も学校もメールで流れてくる以上の情報は得られていません。また、安心・安全メールや警視庁から送られてくる「メールけいしちょう」などに登録していない方については、こうした情報も得られていないのが現状です。登下校防犯プランでは、今後より綿密な情報提供のあり方、情報共有の工夫を警察、学校、教育委員会でも連携をとっていく必要について取り上げられています。この連携について、区としてはこれまでどのような対応をされてきたのか伺います。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 教育委員会といたしましては、各学校、幼稚園、関係諸機関から受けた連絡や、「メールけいしちょう」、中野区安心・安全メールで受信した内容につきましては、区役所内の生活・交通安全分野や区内所轄警察署と連携しながら、個人情報等にも配慮し、精査した上で、各学校、幼稚園に電話やメール等で配信しているところでございます。また、伝達後も学校との情報交換を密にし、対応を助言したり、学校からの通知を点検したり、関係機関との連携や橋渡しをするなどの支援をしているところでございます。

○日野委員 現在運用されている安心・安全メールは、事案発生後のタイムリーな発信がされていません。また、現状では概要を知らせるにとどまり、受信者側の具体的な対応に資するような効果的な情報提供とはなっていないという面もあります。今御答弁されたように個人情報というところもあるのかもしれません。今後はより迅速な情報発信と効果的な情報提供ができるような対策が必要であると思いますが、いかがでしょうか伺います。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 これまでも重大な事件等があった場合は、夜間や休日であっても教育委員会から学校に情報を伝え、対応を促してきたところでございます。さらに平成30年8月23日付の東京都からの依頼を受け、学校と警察が不審者情報等を迅速かつ確実に共有するために、全区立小・中学校の管理職を緊急連絡担当者に指定し、その電話番号やメールアドレスを所轄警察に伝えているところでございます。これにより、学校は夜間休日を問わず、迅速に緊急情報を受けられるようになったところでございます。

○日野委員 もう既に緊急時の対応というのは、学校側、教育委員会側、警察側とで連携をされているとのことですが、一番は子どもたちの安心・安全のためでもありますので、今後もしっかりと連携を密にしていただいて、対策を講じていただきたいというふうに思っております。

 次に、学校での熱中症対策について伺います。ことしの7月、愛知県の小学校において小学校1年生の児童が校外学習後に熱中症によって死亡するという痛ましい事故が発生しました。総務省によると、ことし5月以降の熱中症による救急搬送数は全国で9万3,000人以上、都内だけでも7,800人ほどにも上っています。特に7月16日からの1週間では、全国で2万3,000人以上の方が熱中症で救急搬送されました。まだこの時期は子どもたちが夏休みに入る直前の段階です。私の地元でも、ことしの祭りで熱中症になられた方が何人かいらっしゃいましたが、本当にことしの猛暑によって熱中症になられる方は非常に多い状況が見られております。都内の学校では屋外にプールがある学校のプールについては中止とした学校も多くあったようです。このような猛暑の中での運動や水泳指導の授業に対して区としてはどのような対応をされたのでしょうか伺います。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 熱中症事故防止につきましては、6月ごろから9月にかけまして、各幼稚園長及び小・中学校長宛ての通知や定例校長会で安全への配慮についてお願いしたところでございます。具体的には気温摂氏35度を超えた場合は運動にかかわる活動を自粛すること、特に水泳指導につきましては、気温と水温を加算しまして、65度を超える場合は活動を自粛することなどの目安を示したところでございます。

○日野委員 屋外にプールがある学校において、今夏の学校での水泳指導の状況はどのようなものだったのでしょうか伺います。

○宮崎教育委員会事務局指導室長 屋外にプールがある学校のうち、猛暑と熱中症防止を理由に水泳指導を1日から数日中止にした学校は全部で8校ありました。また、1日に3回設定されている指導のうち、気温、水温が上昇する午後の回を中止にしたり、短縮したりするなどの状況に応じた対応をした学校が多かったと把握しております。

○日野委員 同じく屋外にプールがある学校のうち、プールサイドに日よけが設置されていない学校はどの程度あるでしょうか。

○石原子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) 屋外にプールがある学校につきましては、常設のひさしのほか、プールサイドに遮光ネットやよしず等を取りつけて、日陰を確保できるスペースを全ての学校に設けてございます。ただし、見学者やぐあいの悪くなった児童等が使用することを想定したものであり、授業を受けている全ての児童等が日陰に入ることを想定したものではございません。

○日野委員 先ほど指導室長が答弁されたように、区の通知では気温プラス水温が65度を超える場合は原則中止とされていたとのことですが、実際の中止の判断は学校側で可否を決めていた状況だったとも聞いております。プールを楽しみにしている子どもたちもいるでしょうから、判断に苦慮された学校もあったと思います。また、区の基準を下回る温度の場合でも熱中症の危険がないわけではなく、特にプールサイドは日よけのない場合が多く、今、ひさしでともありましたけども、全ての児童が日陰に入れるわけではなく、熱中症対策を講じる必要があると考えます。屋外にプールがある区立学校のうち、日よけがない学校については日よけの整備をするべきです。いかがでしょうか伺います。

○石原子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) プールサイドへ日よけを新たに整備するには建築に係る届け出が必要であり、現時点では考えてはおりません。ただし、熱中症対策につきましては、パラソルの利用などソフト面での対応を含めながら検討してまいりたいと考えてございます。

○日野委員 ことしは例年になく猛暑が続いた年でありましたが、来年以降も恐らくこうした猛暑が続く日が多くあると考えられます。こうした中で、プールというのは屋上にある場合も多く、また、統合により新校ができた学校においても、設置場所の問題からやはり屋上に設置するしかない。こういう学校もあります。こうしたことを考え、しっかり子どもたちの安全を守るため、日よけ対策というものはぜひ行っていただきたいと思っております。

 それから、外の運動におきましては、気温35度以上の場合は原則禁止と先ほど答弁がありましたけども、ことし東京で最高気温35度を超えた日は7月と8月で25日ありました。安全のために運動においても一定の判断基準があったほうが望ましいですが、基準以下の気温の日については、せめて安全に運動ができるような対策が必要ではないでしょうか。例えばミストシャワーは水を霧状にして噴射し、水が蒸発する際の気化熱の吸収により周辺温度の冷却を行う装置です。ミストシャワーを使用することで周辺温度を二、三度低下させることができ、この効果は家庭で使用するエアコンの20分の1程度のエネルギーで済むことから、省エネルギーな熱中症対策と言われています。昭島市では全ての小・中学校にミストシャワーを設置したとのことです。中野区においても外での運動の際、子どもたちがより安全な環境の中で教育を受けられるよう、区内の小・中学校の校庭等にミストシャワーを設置してはいかがでしょうか。

○石原子ども教育部副参事、教育委員会事務局副参事(子ども教育施設担当) ミストシャワーの設置につきましては、設置した場合の効果等について他自治体での導入事例を参考にしながら、今後検証してまいりたいと考えております。

○日野委員 この夏、学校が終わってから夏休みの間、キッズプラザ、学童クラブで遊ぶ子どもたちもなかなか外で遊べないという状況も聞いております。そうした中、子どもたちに霧吹きで水をかけながら遊ばせたという話も聞いております。先ほども申し上げましたように、こうした猛暑がこれから先も続くことは考えられますので、しっかりと子どもたちの有意義な運動の環境と安全対策のために、ぜひ前向きな検討をお願いします。以上でこの項の質問を終わります。

 続いて、項目の4番、がん対策について伺います。国立がん研究センターはことし9月、専門的ながん医療を行う全国のがん診療連携拠点病院等から収集した院内がん情報を用いて、2011年の1年間に診断された患者さんの3年を経過した生存率と、2008年、2009年に診断された患者さんについて、治療の目安とされる5年を経過した生存率について報告書を公開しました。日本のがん統計は、罹患データは4年から5年、死亡データは1年から2年おくれて公表されていますが、これまでのデータに基づいて2018年のがん罹患数予測及び死亡数予測が出されています。これを見ると、がんの罹患数、死亡数ともに年々増加している傾向がわかります。がん対策として有効な方法の一つはがん検診です。厚生労働省では、がん検診の受診率を50%以上とすることを目標にがん検診を推進しています。区では現在、大腸がん検診、胃がんハイリスク診査、胃がん検診、子宮がん検診、乳がん検診を実施していますが、平成29年度の平均受診率はどうなっていますでしょうか。また、ここ数年の傾向として中野区での受診率がふえているのか、減っているのか伺います。

○只野健康福祉部副参事(健康推進担当) 胃がんハイリスク診査を含めた平成29年度の平均受診率は19.3%でございます。いずれの検診も過去5年間で比較すると、ほぼ横ばいで推移しております。

○日野委員 これまで区は受診率向上のため、どのような対策を行ってきたのでしょうか伺います。

○只野健康福祉部副参事(健康推進担当) がん検診の受診率向上のため、特に女性のがんを中心に受診勧奨を実施しております。平成29年度からは、乳がん検診、子宮頚がん検診の未受診者に受診券を送付し、受診を促しております。また、がん検診の普及啓発及び受診率向上に関する協定を企業や学校と締結し、がん検診受診啓発を行っております。9月のがん征圧月間、10月のピンクリボン月間においては、がん啓発事業を協定企業等と行っております。また、今年度は東京都が実施する大腸がん検診普及啓発事業に協力する予定となっています。さらに今年度は、小学校PTA連合会の協力を得まして、PTA連合会主催イベントにがん検診啓発チラシを配布いたしました。さまざまな機会を捉えて、がん検診受診率向上に向けた啓発を実施してまいります。

○日野委員 がん検診の啓発においては、これまでさまざま行ってきていただいているところであります。そして、平成27年度から31年度までの中野区健康福祉総合推進計画2015では、平成29年度のがん検診の平均受診率目標値は22%となっていますが、受診率向上のためにはさらなる施策を重ねなくてはなりません。先ほど19点幾つと出ていましたけども、まだ目標には達しておりません。区ではこれまで5歳刻みで受診が可能だった胃がんハイリスク診査について、今年度、平成30年度より40歳以上全員が対象となり、受診率向上につながるものと期待されます。しかしながら、受診券の送付については40歳から75歳までの5歳刻みとなったままです。せっかく5歳刻みの年齢制限がなくなったのですから、受診率向上のためにも胃がんハイリスク診査を受けていない40歳以上全ての対象者に対して毎年受診券を送付すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○只野健康福祉部副参事(健康推進担当) 胃がんハイリスク診査は、がん検診でございませんが、将来胃がんを発生する人の割合を低減することを目的としまして、40歳から75歳の5歳刻みの年齢の方を対象者として実施してきました。実施から5年を経過し、対象者が一巡したため、平成30年度からは40歳以上の未受診の全区民を対象とした申し込み制に変更いたしました。また、5歳刻みの未受診者には引き続き受診勧奨として受診券を送付しております。今後、受診者数の推移を見ながら受診率向上や胃がんハイリスク診査の評価につながる方策を研究してまいります。

○日野委員 今年度から40歳以上全員が対象となったわけですから、また今年度の結果をしっかりと検証しながら、さらにがん対策に向けて受診券の配布を行っていただきたいというふうに思っております。

 先日、我が会派としまして、中野区医師会と懇談会を行い、がん検診の受診率向上のための施策として、がん検診対象者全員に受診券の送付をとの要望を伺いました。医師会としても受診率向上のためには、やはり受診券の送付が有効であると言われています。中野区においても、がんの死亡率が高くなっている状況ですので、さらなる受診率向上の対策を要望いたします。

 また、同じく今月の初めには、会派で歯科医師会との懇談会を行いました。ここでは歯科医師会の要望をもとに、次に口腔がん検診について伺います。がん検診は、胃がんハイリスク診査、これはがん検診ではありませんが、このように血液検査だけである程度のリスク判定が可能となるような簡易な検査であることが受診率の向上にもつながるかと思います。口腔がん検診は国が推奨するがん検診には該当しませんが、肉眼で直視できる数少ないがんであり、早期発見の可能性が高いがんです。また、口腔がんは罹患率が増加傾向にあり、国立がん研究センターのデータでは、口腔がんと咽頭がんを合わせたものになりますが、4年前の2014年では全国で罹患者数1万8,872名に対し、2018年の罹患推定数は2万3,000名となっており、推定値ながら122%の増加率が見込まれています。特別区では、既に江戸川区、港区、世田谷区などで口腔がん検診が行われております。こうした直視で確認できるような比較的発見しやすいがんへの対策として、中野区でもがん患者の早期発見、早期治療に結びつけられるよう口腔がん検診の実施を検討してはいかがでしょうか。

○只野健康福祉部副参事(健康推進担当) 国は、科学的に死亡率減少効果の明らかながん検診の実施を求めており、がん検診実施のための指針を定めております。また、区は東京都からも同様の通知を受け取っております。がん検診の実施は市区町村の努力義務でございますが、中野区は国の指針を参考に、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの検診を実施しております。口腔がんは、高齢化や生活習慣により発生は増加しております。しかし、罹患率は希少であることから、住民全体の死亡率を下げる科学的根拠が明らかではないとして、国は自治体による検診を推奨しておりません。口腔がん検診の実施については、国の指針やガイドラインを注視するとともに、他の自治体の動向などを研究してまいります。

○日野委員 確かに、いきなりやってくださいと言っても、これまでのエビデンスもありませんし、こういったものをすぐにできるとは思ってはおりませんが、ただ、中野区としても国の推奨ではない胃がんハイリスク診査等も行っております。これは中野区の中で研究調査をして実施しているものでもありますので、今後こうしたさまざまな区でも取り組んでいる、こういう状況を研究調査しながら、中野区としてもしっかりとがんによる死亡を少なくする、こういった対策も行っていただきたいというふうに思っております。

 近年、がん患者の方の就業継続の問題がクローズアップされています。国は平成24年度から第2期がん対策推進基本計画の重点課題に働く世代のがん対策の充実を加え、翌25年度には、がん患者の就労に関する総合支援事業を開始しました。その一環として、がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターに社労士や産業カウンセラー、キャリアコンサルタントなど、院外の就労の専門家による相談窓口を設置するということが行われました。この相談窓口では、例えばがんと診断された後、仕事をしながら治療していく場合、労働条件や労働保険、社会保険、関連する法律や各種手続など、社労士がアドバイスや相談に乗りながら仕事をやめずに治療していくといったケースが挙げられます。新たにがんと診断された人のうち、約3分の1は働く世代と言われています。厚生労働省によるがん患者の離職時期の調査結果では、がん診断時に離職する人は31.7%、診断から治療に至るまでに離職する人は8.5%と、およそ4割の方が治療開始前に離職しているということがわかりました。病院だけではがんの治療は受けられても、就労の問題、サポートについては専門外です。また、現在、厚生労働省の委託を受け、がん対策推進企業アクションとして企業に対してがん対策の推進に取り組まれているものもあります。このがん対策推進企業アクションでは、がん検診の推進や企業としてがんに罹患した労働者の職場復帰支援などについて、労働者を守る企業側の取り組みというものも行われています。区内にある企業、事業者、そして病院に対してこのような取り組みの周知を行っていくことも自治体の重要な役割であると思いますが、いかがでしょうか。

○只野健康福祉部副参事(健康推進担当) 医療の進歩により、がん罹患患者の就労継続ニーズが高まっていることは承知しております。がん罹患患者の就労継続支援に関する周知につきましては、区の役割や企業、医療機関などとの連携方策も含めて研究していきたいと考えております。

○日野委員 がんは死亡原因1位の病気です。だからこそ、がんに対する取り組みの充実は中野区で安心して暮らせるための大きな施策であると考えます。より一層のがん対策を要望し、この項の質問を終わります。

 最後の項目として、就労支援について伺います。区では、平成28年にセブン-イレブン・ジャパンとの包括連携協定を結びました。この包括連携事項は、商業及び観光の振興に関すること、区民の健康増進及び食育及び食の安全に関すること、高齢者の見守り活動の支援と中高齢者の雇用に関すること、子育て支援及び青少年の健全育成に関すること、障害者の支援に関すること、災害対策に関すること、地域や暮らしの安全・安心に関すること、環境対策に関すること、その他地域社会活性化、区民サービスの向上に関することとして多岐にわたります。この中で、昨年度と今年度、一般就労を希望する元気な高齢者の就労支援への取り組みとして、高齢者シニア向けお仕事相談会が行われました。中野区では100歳以上の方が200人以上いらっしゃるとのことで、人生100歳時代の到来を実感します。その中で、元気な高齢者の就労支援の取り組みは、時代のニーズに即した大事な取り組みであると評価いたします。まずは、このシニア向けお仕事説明会の実施内容について伺います。

○浅川都市政策推進室副参事(産業振興担当) このシニア向けお仕事説明会の目的でございますけれども、就労意欲のあるおおむね60歳以上の方を対象にして、働き手を求める同社系列の区内店舗とのマッチングを図りまして、就労支援を促進することでございます。事業の枠組みでございますが、中野区とセブン-イレブン・ジャパンが共催しまして、中野区を管轄するハローワーク新宿の共催を得て実施しております。事業内容ということでございますけれども、シニア従業員が店舗や近所への商品の配達などで活躍しているビデオの上映を含めまして、セブン-イレブン・ジャパンから仕事の内容の説明を行い、その後、就労希望者の個別相談を行うほか、実際のレジ打ち体験の時間も設定しております。その後、就労を希望する参加者はハローワークのブースで紹介状の発行を受け、後日各店舗での採用面接に臨むというものでございます。

○日野委員 これまでの説明会に参加された方は計何名で、うち就職まで至った方はどのぐらいでしょうか。

○浅川都市政策推進室副参事(産業振興担当) 2カ年の合計で説明会の参加者は194名、面接者は66名、採用に至った方は合計で29名となってございます。

○日野委員 多くの方が説明会に来られていたようですが、就労に結びつかなかった方について、原因などについてはどのように捉えられているでしょうか。

○浅川都市政策推進室副参事(産業振興担当) セブン-イレブン・ジャパンによりますと、採用に至らなかった理由として、求人側と求職側との勤務時間、曜日等の条件が折り合わなかったものが約半数、複数の店舗に希望を出しているため、他の店舗に採用が決まったというものが約2割ということでございます。

○日野委員 昨年度と今年度、このシニア向けお仕事説明会を実施したことにより、区としても高齢者の就労のニーズの把握にもつながったのではないかと思っております。特に高齢者就労に関しては、就労したくても企業が求めるニーズとマッチしないということが就労になかなか結びつかない大きな原因でもあるかと思っております。区としては、こうした高齢者の就労希望者と企業とのマッチングについて今後どのような取り組みをお考えでしょうか伺います。

○浅川都市政策推進室副参事(産業振興担当) 今年度新たに元気な高齢者の区内企業への就労を促進するためのシニア向け就職相談、面接会を11月に実施する予定でございます。この事業では、高齢者の雇用を計画する区内事業者と、地域での就労を希望するおおむね60歳以上の高齢者の就労マッチングを行うものでございます。事業の内容としまして、ハローワーク職員による高齢者の就労促進の意義や面接指導を内容とするセミナー、それから参加企業による自社の概要や仕事内容の紹介の後、企業ごとのブースにおける相談、採用面接を考えてございます。求人側事業者の募集においては、区内経済団体の協力を得て行うほか、就労希望者の参加につきましては区報、ホームページ、区のお知らせ版に加えまして、さらに町会・自治会の御協力も得て周知を行うものでございます。

○日野委員 区としてこれまでになかったすばらしい取り組みであると私も思います。高齢化が進む我が国においては、既に65歳以上の人口が全体の4分の1近くに達し、2060年には人口の約4割は65歳以上になると推計されています。現在の国が定める高年齢者雇用安定法により、65歳までは企業で雇用が確保されるようになっています。65歳を超えた後は本人の意欲や経験、能力、年金収入、保有財産等の個人差から、社会参加のあり方が多様化していくものと考えます。一方では、地域包括ケアシステムの構築を進めていく中で、地域で活躍する高齢者が必要とされてもおり、また地域支え合いの担い手としての高齢者も必要とされており、既に区が取り組まれているところでもあります。さらに一般就労を望む高齢者もおり、いずれもこれから取り組まなければならない大事な課題であると思います。

 私が考える高齢者の就労支援について、今後の課題としては、これまでに専門的なスキルを身につけた高齢者が継続して社会で活躍するための就労と、生活のために働かなくてはならない高齢者の就労、この二つについてどう取り組むかということです。最後の質問となりますが、この高齢者の一般就労について、今後区が取り組まなければならないと考える課題はどういったものがありますでしょうか。

○浅川都市政策推進室副参事(産業振興担当) 就労意欲のある元気な高齢者に対しまして、地域企業への就労支援を行うことは、売り手市場と言われる昨今の雇用状況の中、働き手を見出すのがなかなか困難であると言われる区内中小企業に対する経営支援にもつながるものであると思ってございます。就職を希望する高齢者に対しまして、区内経済団体とも連携を強化し、もっと地元の中小企業の存在をアピールする。また一方で、求人側の区内企業に対しても地域の高齢者が貴重な人材になり得るということを考えていただく。そのための啓発活動や、きっかけづくりとなる事業を行うこと等を通しまして、区内産業全体の活性化につなげていくことが大切だと考えております。

○日野委員 人生100歳時代のライフプランを設計する上で、高齢者の生きがい、それから健康とともに高齢者の就労というのは同じく大きく大事な課題だと思います。生涯安心して暮らせる中野区を目指して、高齢者の就労についてもさらに力を入れていただきたいと思います。

 以上で私の全ての質問を終わります。取材に応じていただいた理事者の方、大変にありがとうございました。

○高橋(か)委員長 以上で日野たかし委員の質疑を終了します。

 次に、小杉一男委員、質疑をどうぞ。

○小杉委員 2018年第3回定例会決算特別委員会において日本共産党議員団の立場で総括質疑を行います。質問の内容は通告どおりですが、順を変えて4、5から進めさせていただきます。その他の項はございません。

 まず冒頭に、北海道胆振東部地震でお亡くなりになられた方、お悔やみ申し上げるとともに、被災された方に対しお見舞い申し上げます。

 四つ目、障害者施策の拡充について取り上げさせていただきます。重度障害者グループホームの施策についてです。江古田三丁目区有地、旧アポロ園跡地ですけれども、そこに重度障害者グループホーム短期入所、地域生活支援拠点を合わせた施設の準備を進めていますが、しかし、1回目の募集では1法人の募集がありましたが、辞退により選定することができず、2回目の募集では応募がありましたが、選定には至らなかったそうです。今度は3度目です。そもそもどういった施設なのでしょうか御説明ください。

○菅野健康福祉部副参事(障害福祉担当) 江古田三丁目の区有地を貸し付け、医療的ケアのある重度の障害のある方も利用可能なグループホームや短期入所、いわゆるショートステイ施設を整備するとともに、相談支援や自立生活の体験の機会の提供などを行う地域生活支援拠点をあわせて整備するものでございます。重度の障害があり、医療的ケアが必要な方のグループホームが区内にはないという状況でございます。

○小杉委員 親亡き後でも重度障害者が地域の中で暮らしていくことが本当にできる。こういったことを目指す施設で、家族から強い要望がある施設です。再々募集を行うに当たり、聞き取り調査をしたそうですけれども、どのようなものでしたでしょうか。

○菅野健康福祉部副参事(障害福祉担当) 再々募集に向けまして応募要件などの検討を行う中で、医療的ケアを実施しております17の社会福祉法人などに聞き取り調査を行いまして、課題の把握、分析等を行いました。その中でいただきました御意見として、障害者福祉施設におきましては看護師や生活支援員など、福祉人材の確保が大変難しいという声を多くいただきました。

○小杉委員 この調査を受けて、今回募集内容はどのように変更したのでしょうか。

○菅野健康福祉部副参事(障害福祉担当) 再募集から変更いたしました内容としまして、事業者の応募要件を緩和しますとともに、整備費補助及び運営費補助の増額を行いました。応募要件の緩和といたしまして、事業者の応募資格を介護保険の入所施設で医療的ケアを1年以上実施している事業者なども申し込めるようにいたしました。また、医療的ケアの対応としては、訪問看護サービスなど、外部サービスの利用も可能といたしました。整備費の補助といたしまして、開設当初の法人の負担を軽減するため、開設準備資金など約4,000万円を増額いたしました。運営費の補助といたしまして、看護師のほかに喀痰吸引等ができる介護職員を配置した場合の人件費や、介護職員が喀痰吸引等の研修に参加する機会を確保するため、代替要員を配置した場合の人件費など約400万円を増額いたしました。

○小杉委員 重度障害者の家族から強く求められている施設ですが、早期に開設させることを本当に強く求めるものです。そして、医療や介護の専門職の養成が大きな課題であると改めて実感をいたしました。今回は整備費とか運営費の補助、上乗せとかということ、もしくは体制の基準をちょっと広げているというところであります。これからも行政のそういった課題も踏まえて、ぜひ見据えながら、引き続き開設に向けて努力していただくことをお願いしたいと思います。こちらの質問はこれで終わりです。

 次に、精神障害者手当の創設についてですが、2015年12月に中野区議会で障害者福祉手当の支給対象に精神障害者も加える陳情について、全会派が賛成し、採択されています。議会の総意を区がしっかりと受けとめていただくことはうれしく思うものであります。他区の実施状況は広がっていると伺いましたが、今、現段階でどのようになっているでしょうか。

○菅野健康福祉部副参事(障害福祉担当) 精神障害者保健福祉手帳1級の精神障害のある方に障害者福祉手当を支給している区は8区となっております。具体的には、文京区、品川区、大田区、世田谷区、杉並区、北区、練馬区、足立区でございます。

○小杉委員 3年前は3自治体でしたので、実施の自治体が広がっているということだと思います。検討状況は現段階でどのようになっているでしょうか。

○菅野健康福祉部副参事(障害福祉担当) 精神障害のある方への障害福祉手当の支給につきましては、他区の状況を調査するなど検討を行ってきたところでございます。現在、来年度の実施に向けまして検討を進めているところでございます。

○小杉委員 ぜひ精神障害者の暮らしを支えるためにお願いをしたいと思います。検討している対象者をどうするのかというのも今検討中ということでございますかね。

○菅野健康福祉部副参事(障害福祉担当) 対象者ですとか支給金額ですとか、そういったことも含めまして、現在検討中というところでございます。

○小杉委員 引き続き、実施に向けて準備のほうをよろしくお願いいたします。

 続いて、障害者のスポーツの普及についてということを取り上げます。2020年にはオリンピック・パラリンピックが開催をされます。中野区内には1万2,000人ぐらいの障害者がおられます。どのような形でそういった障害者がスポーツに参加しているのでしょうか。

○平田健康福祉部副参事(文化・スポーツ担当) 障害者の方のスポーツ参加の方法についてでございます。障害者の方のスポーツ参加につきましては、区民ふれあい運動会、区内社会体育団体の行う障害者児水泳教室、また、わくわくスポーツクラブや体育館、指定管理者の委託により実施しております、みんなで楽しむスポーツ教室など区主催の各種スポーツ教室、またスポーツコミュニティプラザでの障害者スポーツ普及啓発事業、そのほかスポーツ施設利用や学校開放などがございます。

○小杉委員 限られた環境の中で、今、障害者がスポーツを実施されているんだということだと思います。障害者手帳を持っている方の家族の方から、鷺宮体育館でプールの使用料は無料なのに、中野区体育館ではパドルテニスをしたら有料になった。おかしいのではないかと申し出を受けました。これはどういったことなんでしょうか。

○平田健康福祉部副参事(文化・スポーツ担当) 現在、鷺宮体育館やスポーツコミュニティプラザのプール、また中学校の温水プールの開放につきましては、身体障害者手帳等を所持している方が個人で利用する場合には、事前に登録をいただき、本人及び介護者の利用料金を免除しております。ただ、プール以外の利用では免除の規定がないためとなってございます。

○小杉委員 内閣府の調査では、オリンピック・パラリンピックにおいて障害者への理解の向上や障害者スポーツを含めたスポーツの方針、バリアフリーのまちづくりなどを期待しているという方が多いという結果が出ております。障害者スポーツが普及することは、障害者自身の自己実現のみではないということです。テニス場などを障害者が利用する場合も含め、ぜひ早急に障害者のスポーツ施設の個人利用は無料にする対応を求めますが、いかがでしょうか。

○平田健康福祉部副参事(文化・スポーツ担当) プール以外の施設の利用料免除につきましては、他区の状況や指定管理等への影響を勘案しながら検討してまいりたいと存じます。

○小杉委員 障害者差別解消法もできていますので、ぜひそういった観点で検討をしていただければと思います。要望とさせていただきます。

○高橋(か)委員長 小杉委員の質疑の途中ですが、5時に近づきましたので、今後の運営について協議するため理事会を開会します。委員会を休憩します。

午後4時58分休憩

 

午後5時01分開議

○高橋(か)委員長 委員会を再開します。

 理事会の報告をいたします。

 小杉委員の質疑の途中ですが、本日は終了し、次回小杉委員から始めることを確認しました。

 以上が理事会の報告ですが、質疑はございますか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 それでは、ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 御異議ありませんので、そのように決定し、本日の総括質疑を終了します。

 次回の委員会は、9月21日(金曜日)午前10時から当委員会室において開会することを口頭をもって通告します。

 以上で本日の決算特別委員会を散会します。

午後5時02分散会