令和元年06月28日中野区議会本会議(第2回定例会)
令和元年06月28日中野区議会本会議(第2回定例会)の会議録

.令和元年(2019年)6月28日、中野区議会議事堂において開会された。

1.出席議員(42名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  5番  間     ひとみ         6番  河  合  り  な

  7番  斉  藤  ゆ  り        8番  立  石  り  お

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  高  橋  かずちか

 11番  加  藤  たくま        12番  吉  田  康一郎

 13番  木  村  広  一       14番  甲  田  ゆり子

 15番  内  野  大三郎        16番  杉  山     司

 17番  ひやま      隆       18番  小宮山   たかし

 19番  い  さ  哲  郎       20番  小  杉  一  男

 21番  若  林  しげお        22番  内  川  和  久

 23番  いでい   良  輔       24番  小  林  ぜんいち

 25番  白  井  ひでふみ       26番  いながき  じゅん子

 27番  山  本  たかし        28番  中  村  延  子

 29番  石  坂  わたる        30番  近  藤  さえ子

 31番  浦  野  さとみ        32番  大  内  しんご

 33番  伊  藤  正  信       34番  高  橋  ちあき

 35番  平  山  英  明       36番  南     かつひこ

 37番  久  保  り  か       38番  森     たかゆき

 39番  酒  井  たくや        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

1.欠席議員

      な  し

1.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  白 土   純

 副  区  長  横 山 克 人      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  高 橋 昭 彦      総 務 部 長  髙 橋 信 一

 危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝 瀬 裕 之    区 民 部 長  青 山 敬一郎

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 戸 辺   眞    子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小 田 史 子

 地域支えあい推進部長 野 村 建 樹    地域包括ケア推進担当部長 藤 井 多希子

 健康福祉部長  朝 井 めぐみ       保 健 所 長  向 山 晴 子

 環 境 部 長  岩 浅 英 樹      都市基盤部長  豊 川 士 朗

 まちづくり推進部長 角   秀 行     中野駅周辺まちづくり担当部長 奈 良 浩 二

 企画部企画課長  杉 本 兼太郎      総務部総務課長  石 濱 良 行

1.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  吉 村 恒 治      事務局次長    小 堺   充

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  立 川   衛

 書     記  若 見 元 彦      書     記  野 村 理 志

 書     記  井 田 裕 之      書     記  鎌 形 聡 美

 書     記  遠 藤 良 太      書     記  松 丸 晃 大

 書     記  髙 橋 万 里      書     記  山 口 大 輔

 書     記  有 明 健 人      書     記  五十嵐 一 生

 

 議事日程(令和元年(2019年)6月28日午後1時開議)

日程第1 第42号議案 元号を改める政令の施行に伴う関係条例の整備に関する条例

 

午後1時00分開議

○副議長(平山英明) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表どおりでありますので、さよう御了承ください。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 内 川 和 久

 1 行政報告について

  (1)「子育て先進区実現に向けた取り組み」について

  (2)「見守り・支えあい活動の推進」について

  (3)その他

 2 その他

 

○副議長(平山英明) 最初に、内川和久議員。

〔内川和久議員登壇〕

○22番(内川和久) 令和元年第2回定例会におきまして、自由民主党の立場で一般質問をさせていただきます。質問は通告どおり、1番、行政報告について、(1)「子育て先進区実現に向けた取り組み」について、(2)「見守り・支えあい活動の推進」について、(3)その他はありません。2番のその他として、3点お聞きいたします。(1)旧中野中跡地の利活用について、(2)高齢者の交通安全について、(3)中野三丁目地区のまちづくりについて、お聞きいたします。

 初めに、さきの統一地方選挙におきまして第23期中野区議会議員42名の顔ぶれが決まりました。現職、新人議員問わず、それぞれの立場こそ違いますが、33万中野区民の幸福と区民生活の向上を目指し、これからの区政運営に携わってまいります。区長においても、目的は同様だと考えます。私たち自民党は、これから予測される諸課題に対しては安定した財政の裏付けをもとに区民サービスの充実を目指しており、引き続き信頼される責任政党として議会に臨んでいく所存です。区政を着実に前へ進めてまいります。

 それでは、質問に入ります。

 今定例会におきまして行政報告が行われました。行政報告とは、事業の経過等を議会へ報告するものと私は理解しておりますが、酒井区長が誕生してから約1年、平成31年2月15日、第1回定例会におきまして酒井区長の施政方針説明が行われてから既に4カ月たち、行政がやるべきことにスピード感を持ち、質の高い行政サービスを提供できるよう全力で取り組むと区長も述べられておりましたので、この間に何がどう進められ、今後どのように取り組んでいくのか、お聞きしたいと思います。

 施政方針説明においては、区政運営を進めるに当たり四つの基本が示されました。「中野区を子育て先進区へ」、「安心して地域で暮らし続けられるまち、中野」、「区民とともに進めるまちづくり」、「区民と向き合う区役所への転換」です。行政報告においては、この四つの基本をベースに組み立てられたものと考えます。行政報告における新しい基本構想と基本計画の策定では、「区民の皆さんとの協働により」、「区民の皆さんによる」、「広く区民の声を反映する」、「区民の皆さんの視点から」、「多くの区民の皆さんの声を聞く」など、ところどころに「区民」というフレーズを実に区長は多用されていますが、区民に丸投げするのかという印象を強く受けます。

 基本構想審議会においては、1「自治・共生・活力」、2「子育て・教育」、3「健康・医療・福祉」、4「都市・防災・環境」など四つの部会を設置し、調査・審議を行うとのことですが、前向きで建設的な議論をするためには、区長がまず改定の具体的方向性を示すべきと考えます。区長の見解をお聞きいたします。

 次に、「子育て先進区実現に向けた取り組み」について、お聞きします。

 これは、区長の区政運営の柱として掲げられております。区内で子育てをしている人の満足度が高く、多くの子育て家庭から選ばれるまちにするには今後どのように取り組んでいかれるのか、幾つかお聞きします。

 まず、公立幼稚園廃止、全公立保育園民営化、児童館など子育て施設の統廃合などの計画見直しについては、公立の持つ運営ノウハウを保持し、民間事業者の指導・評価を行うためということですが、民間は競争原理に基づいた民間ならではのよさというものを持ち合わせています。逆に、民間から教わるノウハウも多いのではないかと考えます。また、幼稚園、保育園の評価は、第三者評価が監督官庁によって求められ、評価基準も示されます。公立施設を存続させる根拠について、改めて区長にお聞きいたします。

 また、今後の児童館においては、児童や子育てなどにかかわる現状や課題に応じた機能や役割についてしっかり議論し整理するとともに必要な施設数や配置を考えるとのことですが、児童館によって行われてきた放課後の児童の居場所と学童クラブはキッズ・プラザとともに既に学校内へその機能は移されています。新たに児童館にどのような機能を持たせ、学童クラブ、キッズ・プラザとどうすみ分けをしていくのか、区長が就任されてから今までの間具体的に議論はどこまで進められたのか、お聞きいたします。

 次に、本年10月より実施予定の幼児教育無償化は、幼稚園や認定こども園の教育費、保育園の保育料が補助される国の施策であります。ただ、幾つか指摘されている部分もあります。まず、無償化は認可外保育園に通う子どもも支給対象なので、認可、認可外保育園ともに入園希望者がふえると予測をされていることです。これにより待機児童が増加するのではないかという点です。区では、喫緊の課題として待機児童ゼロに向けた取り組みを加速させています。ただ、この4月時の中野区の待機児童数は前年に比べ多少減ったものの、157名でした。今後、子ども・子育て家庭の生活実態を把握するための調査を実施するとのことですが、幼児教育無償化に伴い入園希望者はどのように推移していくのかと区では考えているのでしょうか。お答えをください。

 また、来年4月に向けた待機児童ゼロに向けた計画は現行のままで目標を達成できるのか。子育て先進区に向け、さらなる取り組みの強化が必要と考えます。区のお考えをお聞かせください。

 区長は、さまざまな観点から子育て支援を充実させることが重要としています。

 次に、子どもの安全確保について、お聞きします。このことは、安心・安全な社会の要と考えます。登下校防犯プランでは、1、地域における連携の強化、2、通学路の合同点検の徹底及び環境の整備・改善、3、不審者情報等の共有及び迅速な対応、4、多様な担い手による見守り活性化、5、子どもの危険回避に関する対策の促進、これらの取り組みが現在行われています。

 それでは、園児に対する安全確保はどのようになっているのでしょうか。大津市で、歩道に乗り上げた車により散歩中の園児16人が死傷した事故は記憶に新しいところです。これを受け、警視庁では、都内で園児らが散歩する道路などの点検を進めているとのことです。園児が散歩に利用する道路の安全などに不安がある場合、最寄りの警察署に相談するよう呼びかけを行い、5月末までに約170件相談が寄せられたとのことです。これを受け、警視庁や東京都などが道路などの点検を進めました。園児らが通う危険な道路に関しては、中野区としても何らかの対応をとるべきと考えます。文部科学、厚生労働、国土交通、警察など、省庁横断的な作業チームがスクールゾーンに準じたキッズゾーンの創設を検討しているとのことです。これは、未就学児が集団で移動する時間帯に車の通行を制限するものです。今年度中の結論を目指しています。

 また、施設外を集団で散歩中の子どもを見守るキッズガードのモデル事業も予定をされています。元警察官のほか、地域住民に委嘱することを想定しているとのことです。現在、区内の保育園は増加しています。保育園の安全対策として、中野区では、区内106カ所の保育施設を対象に、過去に起きた交通人身事故の発生状況を示したマップを作成したとのことです。それをもとに、園児が散歩等に利用する道路の安全対策への取り組み、民間や地域への協力依頼など、安全確保を今後どのようにしていくのか、お考えをお聞かせください。

 次に、地域包括ケアシステムの推進について、お聞きします。

 団塊の世代が後期高齢者へ到達する2025年以降の超高齢化社会に向けて、都市型の地域包括ケアシステムのモデル構築の必要性、ひとり暮らし世帯への支援、見守り・支えあい活動の推進は急務です。このたび、地域包括ケア推進担当部長まで新設されましたが、具体的な進捗状況がいまだ見えてきません。すこやか福祉センター整備の再検討については、地域包括ケアシステムの推進拠点として機能強化が求められます。区長は、総合子どもセンターの相談支援体制とすこやか福祉センターの役割分担など総合的な検討を行い、すこやか福祉センターの設置数について見定めるとのことですが、現在のすこやか福祉センター4館は圏域が広過ぎること、また対象人口が多過ぎること、この圏域の格差という問題には解消に早急に取り組んでいただきたいと考えます。区長の見解をお聞かせください。

 次に、見守りについて、お聞きします。

 認知症の行方不明者が6年連続増との警察庁のまとめが発表されました。全国で1万6,927人、残念ながら事故により死亡が確認されたケースもあります。都道府県では、大阪が最多で1,782人、東京では1,246人、今後増加傾向にあるとのことです。全国の警察は、自治体と協力して、認知症高齢者の顔写真を家族の同意を得た上でデータベース化したり、行方不明時にメールで配信して情報提供を呼びかけるなど、取り組みを進めています。地域社会全体で取り組むことが重要と考えます。

 私も、先日、キャリーカートに座ったまま立ち往生している高齢者の方を見かけました。身分を証明するものもなく、たまたま通りかかった近所の方がその方を知っていたため無事に自宅へ送り届けることができました。このように、外出先で身分を証明するものを何も持っていないケースは多いと言われています。

 群馬県警は、行方不明者を発見した際、身元を確認するため、手のひらの静脈の形状を読み取り、氏名や連絡先などを照会する装置を導入したとのことです。県警では、このシステムへの事前登録を呼びかけています。また、大田区など10区では、個人情報に対応する個人番号の入ったキーホルダーを対象者へ渡しています。

 そこで、お聞きいたします。現在、中野区において、このような取り組みに関する調査・研究は進められているのでしょうか。

 現在、顔認証技術の発展は日進月歩であり、区内主要交差点に設置された116台の防犯カメラや通学路、地域の防犯カメラとも連動させ、事前に登録された対象者の顔データにより行方を追うシステムなど、IoT技術を取り入れ、これからの超高齢化社会を迎えるに当たり、区として区民の安心・安全の確保に取りかかる必要があると考えます。区のお考えをお聞かせください。

 その他で、まず1番目、旧中野中跡地の利活用について。

 旧中野中跡地は、本年3月7日の厚生委員会において報告があったとおり、10か年計画に基づいた地域医療機関誘致に向けての計画が進められております。本年10月には公募要項を発表、2021年には旧中野中解体、2025年には地域医療機関竣工というスケジュールとなっています。まず、旧中野中跡地は、選挙時の投票所、また地域の避難所であることから、なるべくこれらに影響が及ばないよう計画を進めるべきです。区の見解をお聞きします。

 地域医療機関の誘致、それ自体は超高齢化社会を迎えるに当たり医療需要の増加に向け大変重要であります。中野区を含む区西部保健医療圏においては、回復期機能を持つ病床が不足をしており、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けた医療体制の構築が必要とされているようですが、回復期機能を持つ病床がふえることにより具体的にどのような効果が期待できるでしょうか。お聞きいたします。

 次に、医療機関募集要件には、東京都災害拠点病院などの指定を受けることとあります。また、地域住民への対応として、施設の整備に当たっては近隣住民に対し十分な説明を行い、要望に対しては誠実に対応することとあります。旧中野中跡地の防災避難所機能に関して近隣住民から強い要望が出ることは今から安易に予想されます。行政報告にもあるとおり、災害に強いまちづくりと地域防災力の向上は喫緊の課題と考えます。旧中野中跡地の避難所機能においては、現在旧中野中跡地を避難所としている三つの防災会の地域内の区有施設へ移動を考えているとのことですが、おのずと場所は限られてしまいます。誘致予定の医療機関に避難所や物資の備蓄に関しての機能を持たせることも視野に入れるべきと考えます。お考えをお聞かせください。

 次に、旧中野中跡地は、災害時の備蓄物資が集中的に置かれています。その他にも、保管スペースが足りない、他の避難所に物資を保管している避難所は現在6カ所あるとのことでした。いざという大規模災害時には道路の寸断も考えられます。協定を締結している団体のトラックなどを使えないことも想定できます。区としては直営班を使うなどして迅速に運ぶとのことですが、その内容についてお答えをください。

 次に、現在23カ所の避難所において備蓄物資の全部または一部を他の施設に保管しているとのことでした。本来の配置先が確保できた際には順次移動することになっているとのことですが、いつまでに完了するのか、進捗状況をお答えください。

 学校再編に伴い、避難所の数は減少します。区全体の課題として、地域の避難所のあり方、避難所物資をどこにどう備蓄するのか、区民の生命・財産をどのように守っていくのか、明確な計画を持つべきです。区の見解をお聞かせください。

 (2)高齢者の交通安全について、お聞きいたします。

 75歳以上の高齢者が2018年に起こした交通死亡事故は、75歳未満の約2.4倍だったことが交通安全白書により明らかにされました。ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故は75歳未満の約5倍であります。交通死亡事故者数は、統計をとり始めた1948年以降では最少とのことですが、65歳以上の割合は過去最高とのことです。今後より一層高齢化が進むに伴い、高齢者の交通安全は運転者としても歩行者としても重要な課題になっていくとの指摘がされています。こういったことを背景に、運転適性の見きわめは厳しくなっており、75歳以上では高齢者講習受講に加え認知機能検査受検が義務付けられています。また、運転免許の自主返納が進められ、本人確認書類として運転経歴証明書が発行されています。ただ、自主返納は浸透してきたとはいえ、まだ75歳以上の免許保有者の5%とのことです。自由な移動は高齢者の自立した生活に欠かせないものであり、子どもでも親に自主返納を説得するのは難しいと言われています。また、運転をやめると、歩行や自転車など、高齢者にとってより危険な方法で移動せざるを得なく、これも課題とされています。

 そこでお聞きします。ここ数年の高齢者の歩行や自転車による交通事故死傷者数はどのように推移しているのでしょうか。お聞きいたします。また、中野区としてどのような対策をとっているのか、あわせてお答えください。

 次に、現在多くの自治体で運転経歴証明書を提示することでバスや電車など公共交通機関やタクシーの運賃割引が受けられるなど、運転にかわる移動手段が提供をされています。渋谷区では、区内循環バスの乗車券を贈る事業を昨年10月から始めました。高齢者の自由な移動の確保は大切なことから、中野区として現在どのような取り組みがされているのか、お答えください。

 また、自治体によっては運転経歴証明書の発行手数料の支援を行っているとのことです。中野区としても取り入れてはいかがでしょうか。お聞きいたします。

 次に、民間でも自主返納者の外出を後押しするようなサービスを導入しているケースがあります。中野区としても、区内の民間事業者や各種団体に広く協力を呼びかけてはいかがでしょうか。お聞きいたします。

 高齢者の交通安全について、区としてインセンティブを与え、運転免許自主返納を後押しするとともに、自由な移動手段の提供と安全対策を構築すべきです。区のお考えをお聞かせください。

 最後に、中野三丁目地区のまちづくりについて、お聞きいたします。

 中野三丁目地区のまちづくりについては、2015年に土地区画整理事業が都市計画決定されて以降、UR都市機構を施行者として現在も事業が進められているところであります。見た限りでは、旧桃丘小学校や西口広場予定地にあった建物が解体されたほか、区域内にある幾つかの建物の解体も進められているのがわかります。一方で、土地区画整理事業は、地権者の生活再建への意向や合意が前提となるものであり、予定どおりに事業が進むかについての不確実性を有しているものとも考えられ、事業の進捗状況が気になるところであります。

 そこでお聞きいたします。事業計画では、2023年までが事業施行期間とされていますが、現在の土地区画整理事業の進捗状況と今後の見通しについて、お答えをください。

 次に、土地区画整理事業地区内にある旧桃丘小学校跡地の活用について、お聞きいたします。

 旧桃丘小学校跡地については、2015年に区とUR都市機構との間で締結された中野三丁目地区の整備に関する事業実施協定に基づき、土地区画整理事業における駅前広場や区画道路等の公共施設整備、また権利者の換地先として活用するほか、利便性の向上及びにぎわい創出のための拠点施設を整備することとしています。ここでいう拠点施設ですが、今後、UR都市機構が民間事業者に用地を売却し、その民間事業者によって拠点施設が整備されると聞いています。拠点施設が整備されるエリアは、新たに開設される中野駅西口改札及び西口広場からの近接性を考えると、さまざまな可能性を秘めた立地であるのは異論のないところであります。まさに、中野三丁目地区の新たな交流拠点になり得るものとして期待され、地域からもさまざまな要望が出されていると聞いています。

 そこでお聞きいたします。拠点施設について、UR都市機構に対しどのような機能を中野区の意向として要望していくのか。見解を伺いまして、私の全ての質問を終えます。御清聴まことにありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 内川議員の御質問にお答えいたします。

 行政報告について。まずは、基本構想の方向性についてでございます。基本構想審議会の設置に当たっては、中野に住み、訪れ、活動する多様な人々が中野のまちのために活躍し、行政とともにまちを築いている姿を10年後に目指す姿とし、「多様性」、「協働」、「スタートアップ」という三つのキーワードをお示しいたしました。行政報告で述べた「子育て先進区の実現」や「地域包括ケアシステムの推進」は新しい基本構想の核として考えておりまして、多様な区民が主体となって行政との協働により形づくられる新しい自治体の形を描きたいと考えております。現在、審議会においては、区の現状や将来推計等の各種データをもとに活発に御審議いただいているところでありまして、審議内容を踏まえた上で、区の考え方を改めてお示し、さらに審議を深めていただきたいと考えております。

 次に、公立施設の存続の理由についての御質問でございます。民間事業者のよさを生かしていく、よさについては認識をしておりますけれども、区としては民間事業者を支援するとともに施設の運営状況などを検査等により確認・指導していく責任があります。そのためにも、公立施設として培ってきた運営ノウハウ、スキルを保持・継承していく必要があると考えております。看護師の配置や保育環境の整備など対応が求められる医療的ケアが必要な子どもの受け入れ等、民間保育施設で対応が難しい保育サービスを区立保育園において一定確保する必要もございます。児童館については、乳幼児親子への支援や子育てネットワーク形成など、地域の子育て支援拠点として必要な施設であると考えております。

 次に、児童館とキッズ・プラザ等のすみ分けについての御質問です。キッズ・プラザと併設する学童クラブは、小学校低学年の利用が現在中心となっております。児童館は、小学校の高学年から中・高生の居場所であるとともに、地域の子育てネットワークを推進するための拠点としても重要であると考えております。今後、児童館にどのような機能を持たせるかについては現在検討を行っているところでございます。

 次に、幼児教育の無償化を視野に入れた待機児童対策についてでございます。子ども・子育て支援事業計画改定に際して、昨年9月から10月にかけて実施した子ども・子育てアンケート結果、こちらによりますと、ゼロ歳から5歳児で定期的に教育・保育事業を利用していないと回答したのは全体の14.8%でありました。そのうち3歳児については2.2%でありまして、3歳児のほとんどのお子さんが既に教育・保育事業を利用している状況でございます。来年度の3歳児の人口はほぼ今年度と同程度と推計しておりますので、仮に二、三パーセントの入園希望者が増加したとしても、来年の3歳児の受け入れは十分対応できると考えております。現在、来年4月に向けて待機児童の多い地域に新園の誘致を進めているところでございまして、児童の定員増にも対応できる見込みでございます。

 次に、保育園の安全対策についてでございます。区内の保育園等に対し、園ごとに周辺で発生した過去3年間の交通人身事故の発生状況を示す地図を区から配付し、注意喚起を行ったところでございます。また、各保育園等では、近隣の公園へ散歩に出る際のルートを図示したお散歩マップを作成しており、このお散歩マップの中に園児を引率する際の注意や対応が必要と思われる箇所を記入し、区へ提出してもらったところであります。今後、各保育園等から提供された情報について関係機関と確認・共有をし、対応について協議するとともに、危険と思われる箇所などの情報を保護者や地域に周知してまいります。また、区内全ての保育園等に対し、散歩などの戸外活動における安全を確保するため、区職員が各保育園等を巡回し、助言などを行っていく予定でございます。

 次に、地域包括ケアの進捗とすこやか福祉センターの圏域についての御質問でございます。現在、過去3年間の高齢者版地域包括ケアシステムの評価を行っているところでございます。その中ですこやか福祉センター、地域包括支援センターは連携しながら地域包括ケアを進めてまいりました。今進めている評価をもとに、すこやか福祉センター、地域包括支援センター、そして区民活動センター、高齢者会館、これらの機能を整理しつつ、圏域を検討してまいります。

 次に、「見守り・支えあい活動の推進」について。安心・安全な地域社会づくりの取り組みについてでございます。区としては、認知症サポーター、サポートリーダーの養成や認知症の家族や当事者が集えるオレンジカフェの支援のほか、各種講座の開催、またGPSを利用した探索サービス事業等を実施し、認知症の方も安心して外出できるまちづくりに取り組んでおります。認知症高齢者の見守り探索システムについては、国や自治体と企業、大学との連携による実証実験が各地で行われており、ICTを活用した取り組みについて調査・研究し、効果的なシステムの早期の導入に努めてまいります。

〔保健所長向山晴子登壇〕

○保健所長(向山晴子) 私からは、旧中野中跡地の利活用についての一連の御質問のうち、回復期機能を持つ病床の増加による効果について、お答えを申し上げます。

 回復期には、急性期の後、集中的なリハビリなどを行うことにより身体機能を回復・維持させるための専門的な医療が提供されます。区内の医療機関の回復期医療機能が充実することにより、区民の居宅生活への円滑な移行や地域医療機関の在宅医療への支援を強化することが可能となります。加えて、急性期医療と回復期医療のバランスのとれた役割分担が可能となるため、中野区を含む区西部保健医療圏の医療機関の機能が総体として向上いたします。

 私からは以上です。

〔危機管理担当部長滝瀬裕之登壇〕

○危機管理担当部長(滝瀬裕之) 私からは、内川議員の2番目、その他、一つ目の旧中野中跡地の利活用についてのうち、旧中野中跡地の避難所工事について、災害時の備蓄物資運搬について、それから避難所や備蓄物資のあり方について、それから2番目の高齢者の交通安全についてのうち、高齢者の歩行・自転車事故の死傷者の推移等について、それから運転経歴証明書の発行手数料の支援について、民間との協力による免許返納後の高齢者の外出時について、インセンティブ導入による高齢者の運転免許自主返納の後押し等について、お答えいたします。

 まず、旧中野中跡地の避難所工事についてでございます。誘致予定の医療機関でございますが、こちらは東京都から災害拠点病院等の指定を受けることになってございます。このため、この医療機関に災害拠点病院の機能と避難所や物資の備蓄等の機能を並立させることは難しいと考えております。避難所や物資の備蓄等の機能を含めまして、旧中野中跡施設の避難所の代替となる他の施設の確保について、現在調査・検討を行っているところでございます。

 それから、災害時の備蓄物資の運搬についてでございます。道路が寸断された場合などは、区職員による直営班において、優先順位を踏まえつつ、迅速に物資を避難所へ運ぶこととしておりまして、その際、地域住民の皆様などと連携をしながらマンパワーの活用等によりまして迅速に対応してまいりたいと考えております。

 それから、避難所や備蓄物資のあり方についてでございます。現在45カ所ある避難所のうち、学校再編等の影響から、現在、23カ所の避難所においてその備蓄物資の全部または一部を分散して他の施設に保管せざるを得ない状況となっているところでございますが、学校施設の改築終了後には順次移動することとしておりまして、学校再編終了後には完了したいと考えてございます。

 また、大規模災害時においても区民の生命や財産を守っていくことは区の重要課題でございます。地域の避難所等のあり方についても、区有施設の更新計画等の動向を踏まえながら、また基本計画の改定とあわせまして検討してまいります。

 それから、高齢者の歩行・自転車事故の死傷者数の推移等でございます。区内の過去3年における交通事故による高齢者の死傷者数は年々増加傾向にありまして、昨年は死亡事故の発生はなかったものの、95名の高齢者の方が負傷されてございます。負傷された95名中72名の方が歩行中もしくは自転車乗車中の事故で負傷されている実態がございます。区では、従前から危険箇所への交通安全啓発幕の設置を行っているところでございまして、さらに本年度から新たに区または警察署が開催する交通安全講習会参加者への自転車点検整備費用を助成する自転車点検等整備促進事業を開始したところでございまして、高齢者を含む歩行者や自転車利用者を事故から守る取り組みを行っているところでございます。今後も取り組みの状況を踏まえながらよりよい対策を検討してまいります。

 それから、運転経歴証明書の発行手数料の支援についてでございます。運転経歴証明書の発行手数料助成を導入している実例や助成制度による運転免許証の自主返納促進効果など、他の自治体の実施状況について調査・研究してまいります。

 それから、民間との協力による免許返納後の高齢者外出支援についてでございます。免許証の自主返納を行った高齢者を対象とした店舗での買い物割引などの特典制度を設けている民間団体はさまざまな業態の民間企業や商店街等が加盟する「高齢者運転免許自主返納サポート協議会」というものがございます。区としても、区内事業者等に対しまして同協議会の活動を広く周知するとともに、同協議会への加入を働きかけることなどについて今後検討してまいります。

 インセンティブ導入による高齢者の運転免許自主返納の後押し等についてでございます。区としては、今後、運転免許証自主返納制度等の周知を徹底することにより免許証自主返納の促進を図ることが重要であると考えております。その上で、委員御指摘のインセンティブの導入を含め、他の自治体の事例や効果、さらなる区の実態に即した事業のあり方等について調査・研究してまいります。

 また、こうした取り組みを踏まえつつ、高齢者等の移動環境の改善に向けた区内の公共交通サービスのあり方の検討などを通じまして、区内全体の高齢者の安全対策に取り組んでまいりたいと考えております。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 私からは、高齢者の交通安全に関連いたしまして高齢者の自由な移動の確保について、お答えいたします。現在、区では、高齢者等の移動環境の改善に向けまして、区内の公共交通サービスのあり方につきまして検討を始めているところでございます。また、運転免許証の返納に伴い受けられるサービスにつきましては、他の自治体での取り組みなどを参考に検討してまいります。

〔中野駅周辺まちづくり担当部長奈良浩二登壇〕

○中野駅周辺まちづくり担当部長(奈良浩二) 私からは、中野三丁目地区のまちづくりについての御質問にお答えいたします。

 まず初めに、土地区画整理事業の進捗状況についてでございます。中野三丁目の土地区画整理事業につきましては、2015年の都市計画決定以降、UR都市機構により事業が進められております。現在は、移転交渉の整った権利者の建物解体や下水道などの地下埋設物工事等を進めているところでございます。今後予定されている権利者の換地先への移転や区画道路等公共施設の整備につきましても着実な事業の推進が図られるよう、施行者であるUR都市機構を引き続き支援してまいります。

 次に、旧桃丘小学校跡地の拠点施設についての御質問でございます。旧桃丘小跡地の一部につきましては、中野駅西口地区まちづくり基本方針において、にぎわいを創出する拠点施設として商業施設や自転車駐車場などを整備していくこととしてございます。その具体的内容につきましては、中野三丁目地区の整備に関する事業実施協定の中で区の意向を踏まえてUR都市機構が立地可能な計画を策定することとしてございます。今後、UR都市機構が土地区画整理事業の進捗を見ながら拠点施設の機能等の条件を付して当該用地の売却を進める予定であり、その際区として区民や議会の意見を踏まえながら拠点施設の機能等に係る区の考え方をとりまとめましてUR都市機構に提案し、協議をしていく予定でございます。

○22番(内川和久) 1点だけ再質問をさせていただきます。

 先ほど児童館に新たな機能をどう持たせていくのか、キッズ・プラザや学童とどうすみ分けをしていくのか、まだ検討中であるとの御答弁があったと思いますけれども、区長がまず掲げております、「子育て先進区に向けた取り組み」という中で、「先進」という言葉は他よりも一歩進んだですとか、そういったイメージを私は持つのですが、昨日からの答弁を聞いていても他区より少しおくれているかのようなことも感じました。区長の言うところの「先進区」というものは、何をもって先進なのか、ちょっとそこの見解だけ、もう1回お聞きしたいと思います。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 内川議員の再質問にお答えします。

 子育て先進区についての定義というか、意義についての御質問だと思います。先日も答弁いたしましたけれども、子育て先進区というのは、子育て世帯に選ばれるべく、それから住んでいる人たちがここで育ってよかった、ここで子育ち・子育てをしてよかったという、それを感じてもらえる区ということで、これについてはそれを目指していくというふうに考えております。現在、中野区が、じゃあ、そのどこの位置にいるかというのは、なかなか見方はございますけれども、今、少なくとも中野区は子育て先進区ではないということなので、ここを目指していくということでございます。また、それについては、箱物だけではなくて、施策の中で他区にはない取り組みなどに力を入れることによって際立たせていくと、そのような考えでございます。

○副議長(平山英明) 以上で内川和久議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 ひやま   隆

 1 西武新宿線沿線まちづくりについて

  (1)踏切事故防止に向けた施策について

  (2)「開かずの踏切」問題について

  (3)連続立体交差化に伴い生じる鉄道上部の利用について

  (4)その他

 2 旧中野刑務所正門の取扱いについて

  (1)門の価値について

  (2)門の保存の方法について

  (3)門の活用の方法について

  (4)その他

 3 「不快害虫」対策について

 4 その他

 

○副議長(平山英明) 次に、ひやま隆議員。

〔ひやま隆議員登壇〕

○17番(ひやま隆) 令和元年第2回定例会に当たりまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問をいたします。

 質問に先立ちまして、本定例会は改元後初の定例会となります。改めて、新天皇の御即位を心よりお祝い申し上げます。新たな天皇陛下とともに迎えた「令和」という時代が、国民一人ひとりにとって幸せを実感できる、平和で穏やかな時代となることを心から祈念いたしまして、質問に移らせていただきます。

 質問は、3の「不快害虫」対策については次の機会に質問いたします。その他はございません。

 初めに、西武新宿線沿線まちづくりについて、質問いたします。

 中野区北部を東西約5キロメートルにわたり横断する西武新宿線は、区内に五つの駅を要し、区民の重要な交通手段となっています。しかしながら、区内には20カ所の踏切があり、踏切事故の危険性や長時間にわたる踏切遮断による慢性的な交通渋滞、地域の分断など、まちづくりを進める上でも深刻な問題となっています。このテーマにつきましては、これまでも中野区議会においてさまざまな議論が積み重ねられてまいりましたが、新しい期を迎え、取り巻く環境も変化をしていることから、改めて取り上げます。

 まず、踏切事故についてです。

 国土交通省の「鉄軌道輸送の安全に関わる情報(平成29年度)」によれば、同年度に発生した鉄道運転事故の総件数は670件であり、そのうちの約3分の1が踏切における事故によって占められております。過去約30年間における踏切事故の発生件数の推移を見ますとほぼ一貫して減少しており、踏切事故による死傷者もおおむね漸減傾向にあります。しかし、近年において死傷者はほぼ横ばいであり、平成29年度においても依然として250件の踏切事故が発生し、111人の犠牲者が出ているという事実は重く受けとめなくてはいけないと考えます。

 そこでまず、これまで区が実施してきた踏切事故防止対策について、お示しください。

 踏切事故の発生状況に関して年齢別に見てみると、70歳代が62件、60歳代が36件と多く、これに80歳以上の25件を加えると、60歳以上が占める比率がおよそ半数、また70歳代及び80歳代以上の合計は87件に上り、踏切事故のうち3件に1件は70歳以上の高齢者が関係しています。ことしに入ってからも1月に、横浜市鶴見区のJR線古市場踏切で、歩いて横断していた71歳の女性が踏切を渡り切ることができずに電車にはねられて死亡するという痛ましい事故が発生しました。また近年では、電動車椅子が踏切内で立ち往生し、高齢者が電車にはねられ死亡する事故が急増しているというデータも報告されています。

 このような状況を受けて、平成27年10月、学識経験者、鉄道事業者、道路管理者、警視庁、国土交通省から成る「高齢者等による踏切事故防止対策検討会」が報告書を取りまとめました。この報告書では、高齢者の踏切事故の原因について、「踏切を渡り切れない」、「遮断かんに阻まれて踏切から出ることができない」、「警報鳴動後に侵入してしまう」という三つのパターンに整理し、その原因として、踏切内の段差やレールと路面とのすき間、歩道幅員が狭い、遮断かんを持ち上げることやくぐることができない、警報機が見えづらい等により踏切を認識できないといった理由が挙げられています。これらの視点から区内の踏切を見た場合、中野区においても改善が必要とされる箇所が幾つも見受けられます。「踏切内の段差やレールと路面とのすき間に歩行者の足やシルバーカー、ベビーカーの車輪が引っかかり危険」、「歩道幅員が狭く、歩行者と自転車と車の動線が入り乱れて危険」といった踏切の環境改善を求める声はこれまで高齢者の方のみならず多くの区民から寄せられてきました。

 そこで伺いますが、踏切の危険箇所については改めて調査を実施し、段差とすき間の解消、踏切道の拡幅、歩道・車道の分離の検討等の対策を進める必要があると考えますが、区の見解をお示しください。

 そして、高齢者の踏切事故防止については、非常押しボタンを多方向から認識できる表示の工夫や増設、脱出が容易となる遮断かんの設置、検知能力の高い障害物検知装置の設置などの対策を進めるべきであると考えます。さらには、高齢者施設や医療機関への踏切事故防止パンフレットの配布や区報を活用した広報、地域ぐるみの啓発活動など、ソフト面での対策も検討する必要があると考えますが、これまでの高齢者の踏切事故防止に向けた取り組みとあわせて区の見解をお示しください。

 次に、「開かずの踏切」問題について、伺います。

 そもそも、開かずの踏切の定義について、国土交通省は、ピーク時間の遮断時間が1時間当たり40分以上の踏切と定義付けています。また、ボトルネック踏切は、自動車や歩行者の交通量が多く、渋滞や歩行者の滞留が多く発生している踏切であり、いずれも事故のリスクが高い踏切であるとされています。国交省は、平成28年6月に踏切安全通行カルテとして緊急の対策が必要な踏切1,479カ所を公表しました。それによると、開かずの踏切は、平成26年度末時点で全国に532カ所存在し、そのうち245カ所、46%は東京都内の踏切です。このカルテによれば、中野区内にある20カ所の踏切のうち18カ所が開かずの踏切であり、そのうち8カ所は歩行者ボトルネック踏切にも指定されています。さらに、中杉通りと西武新宿線が交差する鷺ノ宮駅鷺宮第1号踏切にいたっては、開かずの踏切のみならず、自動車ボトルネック踏切、歩行者ボトルネック踏切、事故多発踏切にも指定されており、地域にとっての長年の懸案となっています。改めて指摘するまでもありませんが、開かずの踏切の問題点としては、慢性的な交通渋滞による自動車交通の阻害、渋滞による排気ガス・騒音等の環境問題、地域の分断による生活の不便やまちづくりの遅れなど、さまざまな点が指摘されており、一刻も早い解消が求められます。改めて、開かずの踏切の解消に向けた区の決意をお聞かせください。

 開かずの踏切の対策は、大きく「抜本対策」と「速効対策」と呼ばれるものに区分されます。このうち抜本対策とは、連続立体交差事業等により道路と鉄道を立体交差させること等により踏切を除去し、開かずの踏切を抜本的に解決する対策です。一方、速効対策は、踏切自体は存置したままで行う対策です。中野区においては、平成20年5月に中井駅・野方駅間が連続立体交差事業の新規着工準備箇所として採択され、平成26年1月に工事に着工し、令和2年度の事業完了に向けて工事が進められております。この間の中野区を挙げてのさまざまな取り組みや働きかけに区民の一人として改めて深い敬意を表します。来年度の事業完了、開かずの踏切の除去に地元の期待は非常に大きいものがあります。そうした中で気になるのが、事業の進捗状況です。

 単刀直入にお聞きします。当初の計画では令和2年度の事業完了となっておりますが、実現できるのでしょうか。

 国土交通省の緊急対策踏切の取り組み状況によると、平成19年度から平成21年度までの間に竣工した連続立体交差事業の場合、全体事業費の平均額は約500億円、踏切除去までに要した期間は平均約16年でありました。さまざまな環境や条件も違う中で一概には言えませんが、この国交省の数字を中井駅から野方駅間の連続立体交差事業に当てはめれば、到底令和2年度の事業完了は実現できる見込みはありません。そもそもこの令和2年度の事業完了という事業スケジュールはどのような根拠を持ってつくられたのでしょうか。区民にとって期待の大きい事業であるからこそ、その動向に区民は大きな関心を持っています。

 後藤田正晴元官房長官が公務員としての心得を説いた「後藤田五訓」の中には、「悪い、本当の事実こそ報告せよ」という教えがあります。当初の事業スケジュールどおりの事業完了を目指すことは当然のことではありますが、仮に実現できる見込みがない場合でも、現状と今後の見通しについて速やかにかつ誠実に区民への説明責任を果たされるべきです。区の見解をお示しください。

 連続立体交差等の抜本対策は、踏切対策としての効果が大きい反面、その事業費が多大で、事業完了に長期間を要することが課題として挙げられます。一方、速効対策は、踏切自体は存置したまま行う対策であり、連続立体交差事業に代表される抜本対策と比較して、大きな効果は期待できないものの、はるかに低廉な事業費と短い工期で事業を完了することができます。具体的には、1、幅員が狭隘な踏切道の拡幅や踏切に近接した道路信号の連動等の構造改良、2、歩行者や自転車のための跨線橋等の整備、3、非常ボタン、踏切障害物検知装置等の踏切保安設備の改善、踏切警報時間制御装置の導入改善による踏切遮断時間の短縮化等により踏切交通の円滑化、安全性向上を図る対策です。

 そこで伺いますが、現在区内の開かずの踏切の対策として、こうした速攻対策はどこまで進んでいるのか、現状をお示しください。

 有識者の中では、改善が必要な踏切であっても抜本対策を行う計画がある場合には速効対策は行わないというのが半ば常識となってしまったという指摘がありますが、連続立体交差事業が容易に進まない状況を鑑みれば抜本対策と速効対策をセットで進める必要があると考えますが、区の見解をお示しください。

 この項の最後に、連続立体交差化に伴い生じる鉄道上部の利用について、質問いたします。

 連続立体交差化がもたらす効果は、踏切の除去による道路渋滞の緩和や踏切事故の発生防止、生活の利便性向上といった直接的な効果にとどまらず、事業完了後には新たに地上の空間や高架下空間が創出されます。中井駅から野方駅間の連続立体交差事業によって新たに創出される鉄道上部の総面積については、平成29年決算特別委員会建設分科会において、我が会派の酒井議員との質疑の中で、詳細は明らかになっていないものの、2万平米以上の新たな空間が生み出され、そのうちの15%相当分、単純に計算しますと3,000平米以上を都市側が利用できるルールになっているとの答弁がありました。鉄道上部の利用に関して、区のこれまでの考え方は、平成27年9月に策定した西武新宿線沿線まちづくり整備方針の中で、「防災まちづくりの推進」、「交通環境の改善」、「にぎわいの空間の創出」、「緑化の推進」の四つの視点からエリアごとに整理し、基本方針を作成し、地域の意見等を聞きながら関係機関と調整を図っていくとしています。しかし、そもそも中野区が利用できる面積等の詳細が明らかになっていない段階で鉄道上部の利用を検討することも困難を伴う作業であると考えます。当初の計画どおり来年度に地下化が実現できるのであれば、本来はそれらの詳細についても明らかになっていなければならないものと考えますが、現在、東京都と西武鉄道との協議はどのようになっておりますでしょうか。お示しください。

 他の自治体では、立体交差化によって生み出された空間を活用し、駅前広場、緑地、防災施設等の整備など、さまざまな取り組みが実施されています。中野区においても、区民参加によるさまざまな機会を通じて区民ニーズ・社会的ニーズを的確に捉え、区民の利便性向上や地域振興に資する活用を求めますが、今後のスケジュールとあわせて鉄道上部の利用に関する区の見解をお示しください。

 地域の分断の象徴であった開かずの踏切の跡地が人と人、地域と地域を結ぶ結節点に生まれ変わることを切に願いまして、この項の質問を終わります。

 次に、旧中野刑務所正門の取扱いについて、質問します。

 旧法務省矯正管区敷地内にある旧中野刑務所は、大正期の建築家後藤慶二氏によって設計され、大正4年に完成し、レンガづくりの姿が今なお良好な状態で保存されています。一方、当該敷地は平和の森小学校の移転用地でもあり、良好な教育環境の確保と門の取り扱い、この二つのどのようなバランスをとっていくのかが区に問われています。

 この門の取り扱いについて、我が会派では保存に賛成の立場で議論を重ねてまいりましたが、平成31年度予算では門の保存に関して附帯意見が可決され、現在その保存にかかわる調査が実施されているなど状況が変化をしていることから、改めて区の見解をお聞きします。

 まず、門の価値についてです。区が門の取り扱いについての参考とするために行った学識者への意見聴取では、学識者全員が文化財としての価値が十分認められるという結論でした。また、日本建築学会は、建築物的価値の高い貴重な建築遺構として建築物としての価値も評価しています。一方、もう一つ忘れてはならないのは、その歴史的価値です。そもそも中野刑務所は、そのルーツをたどれば、幕末、安政の大獄にて吉田松陰らの処刑が執行されたことで名高い、かの小伝馬町牢屋敷にその端を発します。その後、明治8年に市ヶ谷に移転され、これが旧式となったために、明治政府は首都にふさわしい東洋一の近代的監獄をつくろうと明治42年に中野に移転させることを決定し、大正4年、豊多摩監獄として完成しました。当時、監獄の建設が急務となった背景にあるのは、不平等条約の改正です。明治27年、日英通商航海条約が結ばれ、領事裁判権の撤廃が実現し、一般の外国人にも日本の裁判権、警察権が及ぶこととなりました。これにより外国人の犯罪者も日本の刑務所に収監されることとなり、日本が人権にも配慮した近代的な法治国家であることを諸外国に示すために牢屋敷の改善は外交上の観点からも急務となりました。こうした時代の流れの中で、明治政府は日本各地で新たな監獄を建設し、近代的法治国家としての対応を条約諸国に示そうとしたのです。旧中野刑務所というと、ことさらさきの戦争における思想弾圧の歴史がクローズアップされがちですが、明治維新以来の我が国の近代的法治国家としての歩みの中で、その象徴としての歴史がこの門にはあり、それこそが歴史的価値であると考えます。

 そこで伺います。区では、この門の歴史的価値をどのようにお考えなのでしょうか。

 これまで区は、この門の取り扱いを検討する際に東京都の文化財指定に重心を置いていたような印象を受けますが、その歴史的価値からも十分に保存する価値があると考えますが、区の見解をお示しください。

 次に、門の保存の方法について、お聞きします。

 旧中野刑務所正門の取り扱いについては、酒井区政発足以来、学識者への意見聴取や意見交換会、タウンミーティング、平和の森小学校に通う児童の保護者、教職員へのアンケートなど広く意見を聴取した上で検討を進めてきました。そして、ことし1月、区民の意見、議会での議論、文化財的観点、費用等を総合的に判断し、区として現地での保存という方針を示されました。

 そこでまず、文化財的観点について伺います。

 平成30年第3回定例会での御報告では、学識者からの意見聴取の結果(概要)の中で、現地保存としない限り文化財価値は低下する、現地保存以外では文化財的価値は低下する、現地保存が一番良いとありますが、ここでいう文化財的価値が低下するとしている根拠についてお示しください。

 今後、区としては、中野区としての文化財指定を行った後に、東京都の文化財指定も目指すとのことですが、都が行う文化財指定において、この現地性という要素はどこまで勘案されるものなのでしょうか。お示しください。

 また、保存に係る経費についてですが、平成30年第3回定例会の厚生委員会での御報告では、外観からの見学に限定する形で現地保存する場合8,500万円とのことでした。しかしその後、旧法務省矯正管区敷地のうち、道路用地とまちづくり用地として活用することを検討していた土地についても学校用地として活用する方針を示されました。結果として、門を現地保存するために新たに道路用地とまちづくり用地が必要とされ、その経費、具体的には用地費が現地保存のために供されたのではないでしょうか。

 平成30年第3回定例会において、区は現地保存と移築の経費をお示しされました。そして、ことし1月に現地保存の決定を行いましたが、その際に比較すべき現地保存の経費として、これらまちづくり用地と道路用地の用地費は考慮されたのでしょうか。

 そこで改めてお聞きしますが、門の現地保存の保存経費とまちづくり用地と道路用地の用地費の三つが現地保存のための必要経費と考えますが、その合計経費は幾らになるのか、お示しください。

 平成31年度予算では、区民費中、旧中野刑務所正門学術調査について附帯意見が可決されました。これを受けて、区は現在多角的な調査・検討を実施しているとのことですが、具体的な調査の中身と期間についてお示しください。

 調査の結果次第では、その保存の方法についても改めて検討する必要があると考えますが、調査結果はどのように反映されるのか、区の見解をお示しください。

 次に、門の活用の方法について、お聞きします。

 文化財保護法第1条では、文化財を保護し、かつ、その活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とするとあります。文化財保護は文化振興の一つであります。区長は、今回の行政報告においても文化・芸術の振興を上げておりますが、旧中野刑務所正門の保存も区の文化振興の一端を担っていると考えます。文化財保護は、その保存と同じくらい活用が重要です。そのためには、誰もがいつでもさまざまな角度で観覧できることが重要であると考えます。一方で、現在の区の方針では、門の活用については、周囲が柵で囲われ、平日は閉鎖され、近づくことができません。ただし、学校の開かれていない土日のみ入り口は開けられ、門を観覧することはできるものの、門自体は建築基準法上の工作物扱いとされ、内部は観覧することができません。このように非常に限定された公開になってしまうことを憂慮しています。現在の想定する現地保存について、文化財保護法第1条に定める活用の観点から、区の見解をお示しください。

 酒井区政が誕生し、門の保存を決定したことは高く評価いたします。後世の評価に耐え得る判断であると確信をしています。今後は、良好な学校環境の確保と開かれた形での門の活用の両立を実現するべく、取り扱いについても改めて検討していただきたいと要望いたします。

 以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) ひやま議員の御質問にお答えいたします。

 まず最初に、西武新宿線沿線まちづくりについてでございます。

 踏切事故防止に向けた施策についてでございます。踏切道の維持管理は、原則として鉄道事業者が行うことになっているものであります。これまで区では、踏切事故対策として、鉄道事業者と協議の上、歩車道を分離するための歩道部分のカラー化などを実施しております。また、国土交通省の基準に基づいて踏切道の現状調査を実施しております。高齢者の踏切事故防止は重要であると認識しておりますので、区としてはこれまでも西武鉄道株式会社に対して踏切事故防止の対策を要望してまいりました。今後も引き続き西武鉄道株式会社と連携をしながら、踏切事故防止の対策について検討を進めていきたいと考えております。

 次に、開かずの踏切の解消に向けた区の決意についてでございます。開かずの踏切に起因するさまざまな問題の解決を図るとともに、沿線地域をより住みやすく魅力あるまちとしていくためにも、区民と区議会、区が一体となって活動を行ってきた結果、連続立体交差事業や各駅周辺のまちづくりの推進が図られているものと認識しております。区は、今後、沿線住民を含む多くの区民の期待に応えるため、中井・野方駅間の連続立体交差事業推進への協力支援と野方・井荻駅間の早期事業化への働きかけを強めるとともに、各駅周辺のまちづくりがより加速されるよう全力で取り組んでいく考えでございます。

 中井・野方駅間の連続立体交差事業のスケジュールについての御質問でございます。中井・野方駅間の連続立体交差事業に係る認可期間は、事業規模等を勘案して用地取得や工事に必要な期間を設定したものでございます。本事業は、駅部等で工事が進められておりますが、事業に必要な用地でいまだ御協力を得られない箇所が残っておりまして、用地取得後に駅の地下部分を構築する工事やシールドマシンによるトンネル工事を進めていくことを考慮いたしますと、現在の事業認可期間内に事業を完了することは難しい状況であると聞いております。このため、現在、東京都と鉄道事業者で事業工程についての精査を行っているところでございまして、今後、精査した結果を踏まえ、東京都が事業認可の変更など必要な手続を行っていくと聞いております。なお、事業認可が変更された際には、事業主体である東京都とその広報の方法等について調整を行った上で速やかに区民への周知を図っていく考えでございます。

 開かずの踏切の速効対策についてでございます。西武鉄道株式会社では、西武新宿線中井・野方駅間の連続立体交差事業に伴い、新井薬師前駅付近で通学路の確保を目的とした跨線橋の整備、それから踏切の警報時間の均一化等のために列車種別選別方式による列車情報装置を設置するなどの開かずの踏切に対する速効対策を行っております。

 次に、開かずの踏切の抜本対策と速効対策についてでございます。開かずの踏切等の踏切問題の抜本的な解決策は鉄道の立体交差化でございます。しかし、連続立体交差事業は完成までに一定の事業期間がかかることから、完成までの間、引き続き速効対策やソフト対策でできることがないか、検討を進めてまいります。

 次に、鉄道上部の利用についてでございます。鉄道上部の利用については、まず東京都と西武鉄道と中野区の3者で検討会を設けて利用計画の検討を行っていくこととなりますが、現在のところ検討会はまだ始まっておりません。鉄道上部利用の検討に当たっては、駅周辺や沿線まちづくりとの整合を図りながら地域の要望と社会ニーズを十分に踏まえていくことが重要であると考えております。社会ニーズは多様でございます。また、変化し続けていることから、検討会については、連続立体交差事業の進捗状況を見据えつつ、時期を逸することなく適切なタイミングで開催していきたいと考えております。

 次に、旧中野刑務所正門の取り扱いについて。門の歴史的価値についてでございます。旧刑務所正門は、大正期を代表する建築家後藤慶二の現存する唯一の作品でございます。レンガ建築としての学術的価値、建築史的価値は高いと認識しております。また、当該旧刑務所正門は、江戸時代、小伝馬町牢屋敷の流れをくむ市ヶ谷監獄が中野へ移され豊多摩監獄となり、その表門として建造されたものでございます。豊多摩監獄は、豊多摩刑務所、中野刑務所と名称を変え、職業訓練の実施など先駆的な取り組みが行われた刑務所でございます。日本の行刑制度、近代史の一端を象徴する歴史的遺産であると考えております。

 文化財的価値低下の根拠についてでございます。現地保存以外では文化財的価値が低下するという根拠については、今回意見聴取を行った学識経験者の方々の専門的知見によるものであると認識しております。

 次に、東京都文化財指定についての御質問です。東京都の文化財指定については、東京都教育委員会が文化財保護審議会を設置し、指定についての諮問を行い、審議会において審議し、教育委員会へ建議を行い、最終的には東京都教育委員会が議決し、指定される制度となっております。東京都の文化財指定には東京都文化財指定基準があり、建物、建造物については、①意匠的または技術的に優秀なもの、②歴史的または学術的価値の高いもの、③流派的または地域的特色において顕著なものという基準が示されております。東京都の文化財指定において、現地性という要素は指定基準のうち歴史的または学術的価値の高いものという項目の一つの要素であると聞いております。しかし、その現地性がどこまで勘案されるかについては東京都の文化財指定制度のもとに判断されるものであると考えております。

 次に、旧刑務所正門の現地保存経費についてでございます。門の現地保存経費については、調査・設計及び補強工事等などの概算経費で約8,500万円でございます。旧法務省矯正研修所跡地は、今年度中に区が約1万5,584平方メートル、全体を用地特別会計で先行取得することとしておりまして、予算額は101億2,000万円余りでございます。これをまちづくり用地として活用することを検討していた部分約1,894平方メートルと、当分の間学校用地として暫定利用する道路予定地約345平方メートルで案分いたしますと、それぞれ12億3,000万円余、2億2,000万円余となり、仮に門の現地保存経費と合算すると合計15億3,500万円となります。

 旧刑務所正門の調査についてでございます。区が現在行っている旧刑務所正門の調査内容については、実測調査、建物の外観目視による外部劣化調査、構造形式等の確認を行う構造調査、各種調査結果をもとにした保存活用検討、建物を引き家する場合に必要となる方法、想定期間、概算経費及び文化財価値への影響について調査する移築活用調査でございます。調査期間については、5月末から10月末までの約5カ月間になります。

 次に、旧刑務所正門の調査結果の反映についてでございます。旧刑務所正門の取り扱いについては、区の現在の方針は現地保存ではございますが、現在調査を行っているところであり、今後、当該調査結果を踏まえて判断することになります。

 次に、門の活用についてでございます。仮に制約条件がなければ文化財はできるだけ多くの人々が観覧でき、建築物であれば内部も観覧できるような環境を整えることが文化財活用の観点から望ましいと認識しております。旧中野刑務所正門につきましては、同一敷地において小学校との併存という状況においても常に敷地外から門の外観を観覧できるものでございます。門の活用方法については、今後引き続き検討してまいります。

○副議長(平山英明) 以上でひやま隆議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 甲 田 ゆり子

 1 地域包括ケアシステムについて

  (1)中野区の今後の人口推計における少子高齢化の課題について

  (2)地域見守り・支えあいについて

  (3)在宅介護におけるサービスの充実について

  (4)その他

 2 子育て支援について

  (1)子どもの権利条例について

  (2)里親支援機関について

  (3)トータルケア(産後ケア)事業の充実について

  (4)その他

 3 障がい者施策について

 4 その他

 

○副議長(平山英明) 次に、甲田ゆり子議員。

〔甲田ゆり子議員登壇〕

○14番(甲田ゆり子) 令和元年第2回定例会におきまして、公明党議員団の立場で一般質問を行わせていただきます。質問は通告どおりで、その他はありません。

 初めに、地域包括ケアシステムについて、幾つかお伺いいたします。

 (1)中野区の今後の人口推計における少子高齢化の課題について、伺います。

 今、日本の最大の課題は、少子高齢化、人口減少であります。日本の出生数は、連続3年にわたり100万人を割り込みました。また、高齢者の割合は昨年28.1%で過去最高となり、増加の一途、人口は2008年をピークに減少し続けています。一方、中野区を含めた東京23区の人口は近年増加傾向にあります。中野区は、一時人口30万5,000人まで下がりましたが、現在は約33万4,000人となりました。子どもの数も微増していますが、高齢者数は大きくふえ続けており、65歳以上の人口は約6万7,000人で、高齢化率はいよいよ20%に達しました。このことから、中野区としての喫緊の課題も今後の超高齢化社会による多岐にわたる問題と言えます。中でも単身高齢者が半数近くを占め、老々のみ世帯も多い中野区では、今後、要介護者、認知症、生活習慣病の重症化、障害、ひきこもり、生活困窮、孤立死などなど、家族も含めて重たい問題を抱えた世帯がこれまで以上にふえることが予想されます。また、核家族では、要介護者がいれば先の見えない不安定な生活となり、介護離職を余儀なくされてもおかしくないということを私自身の親の介護経験からも実感しているところであります。

 平成27年より始まった地域包括ケアシステムの構築は、高齢者が住みなれた地域で尊厳を持って最後まで生活をすることを目的として国を挙げて展開されてきました。中野区においては、地域ケア会議を中心に広く地域の見守り・支えあいの活動も進められてきましたが、地域包括ケアシステムの目標に対する現在の進捗状況を伺います。

 本年3月、改選前最後の少子高齢化対策調査特別委員会で、中野区の推計人口と現在人口の比較についてとの資料が示され、概略、これまでの計画では人口推計にかなり誤差が生じてきていることから、もっと精度の高い推計を活用して計画を見直すこととするという内容の報告が示されました。区は、中野区の人口数のピーク、また高齢化率のピークがいつごろになると予測しているのでしょうか。また、3人に1人が認知症となると言われている85歳以上の高齢者率がピークになるのはいつごろと予測しているのか、伺います。

 高齢化については避けられません。現在、区は、すこやか福祉センターや地域包括支援センターの目指すべき数や位置について、一度御破算にした後まだ決めていないようですが、高齢者数は将来傾向がほぼつかめていると思います。高齢化ピークを前に地域包括支援センターの数や配置などを早急に検討する必要があり、そのためには地域別の人口動態も算出し分析をしておくべきと考えますが、区の見解を伺います。

 一方、子どもの数に関しては、20代、30代の単身未婚者が多い中野区では出産や結婚を機に転入・転出をされ入れかわることが多い現状で、たとえ出生率が高くなっても、それによって子育て世帯がふえるとは限りません。よって、出生率が上がること自体を追求してもあまり意味がなく、指標とはならないのではないでしょうか。それよりも子育て世代が転入し定着することを目標とすべきです。区長は、子育て世帯に選ばれる区を目指していますが、選ばれる理由が本当に多いのはどんなことでしょうか。全ての方の転入・転出の理由はわかっていません。一部の人の声だけではなく、こうしたデータをとり、分析した上で定住策を検討しなければ効果も図られないのではないでしょうか。よって、今後は転入・転出の理由を窓口手続時点で聞き取るなど、実態を把握して検証していくべきと考えますが、御見解を伺います。

 さらに、保育園待機児童の解消と適正配置のため、妊娠届の段階から入園意向などを把握する努力が必要ではということがこれまでも議論となっておりましたが、現在どのように推進されているのでしょうか。

 また、今後は、各所管が共通の課題認識を持ち、エビデンスに基づいた目標が持てるよう、これまで各分野がそれぞれに持っていたデータも改めて精度の高い分析をし、総合的な分析結果と課題の優先順位を区民にわかりやすく示すべきではないでしょうか。そのためにもっと専門的にデータを集計・分析する担当を明確にしていくべきと考えます。そのことにより、超高齢化社会にあって持続可能な中野区の目標を区民に説得力をもって示すことができると考えますが、区長の見解をお聞かせください。

 次に、(2)地域見守り・支えあいについて伺います。

 中野区の高齢化率のピークや課題を再認識したとき、現状、見守り・支えあいは、町会・自治会、民生・児童委員等の団体だけでは既に限界があります。新聞配達事業者の方などによる緩い見守りも依頼してきましたが、区がかつてネットワーク化するとしてきた「元気でねっと」も結局しぼんでしまっています。また、地域包括支援センターの存在すら知らない一般区民の方も少なくないと感じます。一人も置き去りにしない体制をつくるため、まずは65歳時点で全員が地域包括支援センターにつながり、地域包括のメンバーとなることにより介護保険制度や地域を知ることが見守り・支えあいの意識を持つ人の裾野を広げる上で重要と考えますが、区の見解を伺います。

 そのためのツールとして、65歳時に全員に配布されている介護保険制度のパンフレットをわかりやすく改定し、それとともに全員にメンバーカードなどをお渡しし、これを広く周知することで、支えあい推進の一助にしてはいかがでしょうか。

 ツールには、カード、キーホルダー、シールなど選択肢はいろいろあります。例えば見守りキーホルダーを活用した「みま~も」の地域活動については、第1回定例会で我が会派の小林ぜんいち議員が紹介し、質問をしましたが、この活動は現在多くの自治体で次々に始まっています。新宿区では現在約3,000人が登録し、見守りキーホルダーを持っているそうです。新宿区では、キーホルダーを持つ人は認知症に特化せず、外出中に万が一倒れたときなどにも安心できるツールとして希望者に配付をしています。ことし2月には1カ月だけで17件の利用があり、そのうち半分は認知症の方が家に帰れなくなって迷った際に助かった案件、半分はバッグなどの忘れ物がこのキーホルダーや同時配布のシールのおかげで見つかった案件で大変好評とのことでした。発祥の地の大田区では、キーホルダーを起爆剤にして見守りサロンなども活発になり、見守り活動が広く地域に根付いています。地域包括支援センターに全員がつながることで、その家族にも認識・周知され、活動者もふえ、安心が広がります。また、町会や民生委員さんの活躍だけでは難しい超高齢化社会の見守り活動の大きなうねりとなると考えます。このような施策を進め、全区民を巻き込んだ見守り体制の強化を図ってはどうかと考えますが、区長の御見解をお聞かせください。

 また、町会・自治会の担い手の方たちの負担を軽減する支援をさらに検討すべきです。現在、町会が一番大変さを感じているのは、回覧板と掲示板への張り紙、そして町会費の集金であります。スマホやPCが高齢者にまで普及してきている時代です。近い将来、回覧板の情報発信はウエブで完全に見ることができるようアプリを開発すべきと考えます。会費集金の負担軽減においては、今やアプリによってのキャッシュレスの支払いやコンビニ払いなどが簡単に行えます。このような仕組みを区として後押ししていくことが必要と考えますが、区の御見解をお聞かせください。

 次に、(3)在宅介護における介護サービスの拡充について、伺います。

 昨年の報酬改定もあり、脳卒中等で入院し、急性期を終えて転院する回復期リハビリ病院は2カ月程度で退院のケースがふえています。退院後に必要とされるリハビリ型のデイサービスはまだまだ少ないのが現状です。中野区にはリハビリ専門のデイサービスは幾つあるのでしょうか。需要が増しているリハビリデイサービスは高齢者向けだけではなく、社会復帰を目指す人を支援する高い質と継続して通いたくなる場も必要です。リハビリデイと生活困窮者自立支援の就労支援事業などと組み合わせ、新たな通所の選択肢をふやすべきと考えますが、区の見解を伺います。

 また、介護制度のサービスにはまだまだすき間と矛盾が多くあります。そこで、実際に介護をしている方やケアマネジャーに対する徹底調査をすべきと考えます。もう一度課題を洗い出し、保険外サービスや民間サービスも含めてすき間を埋め、要介護・要支援に限らず利用者に届くよう周知を図っていくことが今後重要と考えますが、区の見解を伺います。

 例えば、単身高齢者には日々の買い物支援は重要です。介護認定が下がったことにより買い物支援が使えなくなり困っているという声もよく聞きます。全国の自治体でも多くなっている生協との協定による見守り支援の事例があります。中野区でも生協との協定は結んでいたはずですが、内容はどうなっているのでしょうか。この協定を柔軟に生かし、補完の施策を追加して介護制度のすき間を埋めるように展開してはいかがでしょうか。高齢者が活用しやすいよう、契約書や注文書の代理記入を行う支援、家計のやりくりをする支援、さらには食生活の偏りにアドバイスをする支援など、社協とも連携し、総合的な支援の仕組みとすることが重要と考えますが、区の見解を伺います。

 地域包括ケアシステムの構築にはまだまだ見落とされている点が多く、さらにきめ細かい調査をもとにした課題解決を要望して、この項の質問を終わります。

 次に、2番、子育て支援について。

 (1)子どもの権利条例について、伺います。

 30年前に国連で採択され、日本が批准しており、ことしで25年を迎えた子どもの権利条約は、18歳未満の子どもも一人の人間としての人権を認めることをうたっています。区長は、子どもの権利条例を制定することを公約として掲げられましたが、いつまでにどのようなことを根幹とした条例をつくるお考えかは具体的には語られていないように思います。子どもの権利条約締結以降、子どもの最善の利益とは何かが論じられてきました。また、平成28年の改正児童福祉法には、子どもの権利、子どもの意見尊重との文言が規定されました。児童社会福祉学者の網野武博氏は、生命が守られる、保護される等の受身の存在としての権利はオーソドックスに極めて重要であるが、もう一つ常に考慮されなければならないのは主体的な自由な願い、意見等を述べ、行使する権利であり、それはメジャーが往々にして軽視しがちな観点だが重要なものであるという趣旨の研究論文を記されています。区として条例をつくるに当たっては、オーソドックスな権利よりも軽視されがちな子どもの意見尊重を念頭に置き、制定すべきと考えます。意見を述べる権利が一番剥奪されているのはどの子どもなのか。それは、児童養護施設等に措置された社会的養護の子どもたち、またそれに準ずる虐待を受けている子どもたちであると考えます。社会福祉学者の栄留美里氏は、全国里親だよりの巻頭エッセイに、養護施設の子どもたちに聞けば、一方的に決めるのではなく、子どもの意見も聞いた上でともに考えてほしいというのが共通する声であるとつづっています。さらに新しい社会的養育ビジョンや都道府県の社会的養育推進計画にも意見聴取・アドボカシーということが実質一番上に掲げられていること、子どもの権利擁護を地域社会で考え、子どもたちとともにつくっていく姿勢が望まれていると語っています。いよいよ2年後の児童相談所設置運営に当たって、子どもの権利を守り切るため、権利擁護や意見表明権を浮き彫りにした条例を制定することが望ましいと考えますが、区の見解を伺います。

 次に、(2)里親の支援機関をつくることについて、伺います。

 現在、社会的養護を必要とする児童は4万5,000人、うち9割が児童養護施設等に入所、約1割が里親に預けられています。里親に委託されている子どものうち約3割は虐待を受けていた子だそうです。現状、児相から里親に対してはその子の養育歴など情報が全く示されないケースも多いと聞きます。大切なことは子どもが家庭の中で生活することで愛着障害の修復や自立できる生活力を身につけることです。そのためには、里親が子どもの過去の生育歴やトラウマなどを多少知った上で自信を持って養育できるよう支援をしていくことが重要です。

 5年ほど前より、私は、里親制度の周知や支援、子どもショートステイ事業の創設などを提案してきました。その結果、中野区においては、家庭養護に重点を置き、施設偏重ではなく親子支援ができる体制を進めてきたことを高く評価しています。先日、一時保護所で働く方からもお話を伺い、一様に愛着障害を持って入所してくる子どもが施設の生活で自由と希望を失い、さらに壊れていくさまを見るのがつらいとの実感をお聞きしました。そうなる前段階からの予防も含めて、地域とのつながりや中野区の強みを生かし、里親を支援するため、他自治体に先駆けて、児相の立ち上げと同時に里親の支援機関をつくり、その機関が中心となってさらに家庭的養育の向上に力を入れてはいかがでしょうか。区の見解を伺います。

 次に、(3)トータルケア(産後ケア)事業の充実について、伺います。

 2015年より公明党の提案により始まったこの事業では、当時影も形もなかった産後ケア事業の必要性というところから訴えてまいりました。制度設計のときに何度も確認したことは大きく二つです。一つは、産褥期の専門家が母親を丸ごと支援することで育児疲れを癒やし、産後鬱や虐待予防に資するものにしてほしいということ。そしてもう一つは、これまでのような要支援者に絞った支援ではなく、対象者全員に面談をし、希望すれば何らかの産後ケアが受けられるようにすべきであるということでした。そして、始まったトータルケア事業は、まさに妊娠期から切れ目のないトータルな支援の大きな一歩として画期的な施策となりました。その後も双子や早産の加算、上の子の一時保育のサービスなどを拡充していただきました。特に他自治体からも先駆的と言われる一つは、産後ドゥーラによる家庭への派遣制度であります。産後、睡眠不足と不安でいっぱいの母親へかゆいところに手が届く支援で、「安心して眠ることができた」、「つくってくれる御飯がおいしい」等と評判です。ことし3月の厚生委員会で報告された利用者アンケートの結果でも、100%全員の方が「大変役に立った」または「役に立った」と回答しています。区は、ことし4月より産後ケアの充実ということで家事支援事業を始めました。しかし、私は少し危惧していることを予算特別委員会でも申し上げました。以前、育児支援ヘルパーという同じスキームの事業がありましたが、利用が少なく、予算執行率も悪い状態が続いていました。そのため、トータルケア制度の開始により、この事業を産後ケアにシフトしてきた経緯があります。請け負いは、前回同様、主に介護事業者が担っていると聞いています。産後ドゥーラは、70時間の講習を受けて現代の子育てを学んだ人たちです。家事援助だけを行うというのは普段の主婦にとっては助かりますが、産後の時期、鬱状態になっている母親にとってやってほしい家事の指示を出すことすらできない場合があると聞きます。産後鬱をなくすための事業がかえってストレスになることを避けるため、利用者の状況に十分な配慮が必要です。また、せっかく誰でも使える事業をつくったにもかかわらず、自分は利用できないと思い込んで利用に至らず、孤独な育児を余儀なくされているという声も多く聞いております。産後鬱や児童虐待の未然防止のためには、ここの問題点を見逃してはならないと考えます。それには、利用の采配をする妊娠期の「かんがるー面接」時の事業者の理解や区の保健師の産後のフォローなどが重要と考えますが、区としてこのようなコーディネート機能の向上についてどのようにお考えでしょうか、伺います。

 トータルケアに携わっていただいている産後ドゥーラや助産師、民間事業者の方たちも含め、実際に産後鬱から虐待になりかけていた事態を乗り越えたケース事例をたくさん持っていると伺っています。今後、子ども版の地域包括ケアシステムをつくろうというときにこのような情報共有は重要です。家庭の中に直接継続的に入るということの効果などをしっかりと検証すべく、まずは職員がこの担い手の方たちとの定期的な連絡会を開催し、現状を把握すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この項の質問を終わります。

 3番、障がい者施策について、伺います。

 知的障害者生活寮と緊急一時保護事業を行ってきたやよい荘、やまと荘の件について、伺います。

 昨年第4回定例会において出されたこの事業の廃止条例案には反対し、否決とさせていただきました。理由は、そのとき反対討論で述べたとおりであります。その後、区は、再度予算をつけて事業継続に努力をされてきたと思います。

 まず、生活寮と緊急一時保護事業を分けて委託することにしたと聞いていますが、生活寮はどのように継続することになったのか、伺います。

 指定管理事業者が見つからないといって廃止しようとした事業でありましたが、議会には事業者を公募して10月から再開する予定と報告されました。その後、公募したと聞いておりますが、どのように条件を変えて公募をしたのでしょうか。また、その結果に対しての今後の予定をあわせてお答えください。

 今回のことで、重度心身障害児・者の連絡会などを中心に当事者団体などからさまざまな声が上がってまいりました。障害者の事業は現在全て指定管理や委託となっていることから、区は日ごろより利用者の声や当事者の声をきちんと聞く仕組みが重要であることを申し上げ、これを機に検討するよう要望してきましたが、検討状況はいかがでしょうか。

 障害者の御家族などが集会に集うことは困難な場合もありますので、ウエブサイトや直接担当へのメールなどで容易に意見を発信できるような仕組みも検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 具体的な仕組みをつくり、早急に示すべきと強く要望して、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 甲田議員の御質問にお答えいたします。

 地域包括ケアシステムについての項でございます。

 まずは、地域包括ケアシステムの目標と進捗状況についての御質問です。平成29年3月に、区と区内関係団体が一体となって地域包括ケアシステム推進プランを策定し、それぞれの具体的な取り組みと、平成30年度、それから令和7年度における達成目標を定めたところでございます。プランでは、平成28年度から30年度までをステップ1とし、主に高齢者を対象とした取り組みを進めてまいりました。区の取り組みとしては、介護予防・日常生活支援総合事業の展開をはじめ、アウトリーチチームや地域包括ケア推進会議の設置、在宅医療・介護連携の仕組みづくり、認知症に関する正しい知識の普及等を行ってまいりました。今年度、これまでの取り組み実績などに基づいてプランの検証を行ってまいります。今後は、令和2年までのステップ2において検証結果を踏まえたプランの見直しを行うとともに、全世代、全区民に地域包括ケアの対象を拡大し、発展・充実を図ってまいります。

 次に、人口動態についての御質問です。国立社会保障人口問題研究所の平成27年国勢調査結果による人口推計をもとに中野区で作成した2045年までの人口推計によりますと、区の総人口は2040年に34万1,934人でピークとなっております。中野区の65歳以上人口の割合は、推計の最終年となる2045年まで上昇傾向が続き、2045年時点で24.9%となっております。なお、国立社会保障人口問題研究所が公表している日本の人口推計によりますと、2065年の38.4%をピークに、その後ほぼ横ばいの傾向となっており、中野区においても同様の傾向が見込まれると思っております。また、中野区の85歳以上人口の割合については、2040年がピークで5.1%となっております。

 次に、地域別の人口の分析についての御質問です。現在は、区全体の人口動態のほか、すこやか福祉センター圏域におおむね準じた、中部、南部、北部、鷺宮の4地域別の10年間の年少・生産年齢・老齢別の人口割合も推計し公表しているところでございます。今後の施設配置等の検討にも対応できるよう、基礎データの分析、活用方策についてさらに研究をしてまいります。

 次に、区への転出・転入理由の把握についての御質問です。転出・転入手続の際は、住民基本台帳法に基づいて迅速かつ正確に大量の届け出を処理する必要がありまして、この際に子育て世帯のみを対象に転入・転出理由の聴取を行うことは、これに要する時間や代理人による申請もあることなどを考慮すると非常に困難であると考えております。しかし、転入・転出の理由を把握することは、今後区が子育て世代支援を含む地域包括ケアシステムをさらに発展させ、その効果を検証するために重要であるため、今後、効率的な調査方法を検討してまいります。

 妊娠届け出時の入園意向把握活用についての御質問です。区では、平成30年10月から、妊娠届け出書提出の際に保育施設や教育施設の利用意向や仕事の継続予定等についてアンケートを実施しているところでございます。今後このデータを分析し、年齢や地域バランス等の傾向を把握するなど活用していく予定でございます。

 次に、基礎データの一元的な管理・分析についてでございます。これまでも全庁における施策の基礎となる統計調査の結果や人口推計等については企画課において管理・分析し、主な数値については中野区統計書としてホームページ等で広く公表しているところでございます。今後もエビデンスベースに基づく政策形成や区民サービスの向上に向けたデータの分析の手法について研究を進め、さらなる充実・強化を図ってまいります。

 次に、全ての高齢者が地域包括支援センターとつながり、見守り活動を強化することについての御質問でございます。区は、これまで町会・自治会の地縁の区域を基本として見守り・支えあい活動を進めてきております。このため、地域包括支援センターの担当区域についてもこれに重ね合わせることとして、地域の区民活動センターや高齢者会館などの集いの場所に積極的に出向き、地域密着型の活動を展開し、地域の高齢者とのかかわりを強めてまいりました。担当の地域包括支援センターの認知度をさらに高めるためにも、65歳など節目を捉えるとともに、カードやキーホルダーなどを活用した周知方法についても今後検討してまいります。

 町会・自治会の負担軽減についての御質問です。回覧板、掲示板については、昨年度から依頼物の精査や依頼時期のルール化等、一定の改善を図ってきたところでございます。また、SNSマチマチなど、インターネットによる情報発信は若い世代には有効であり、どのような負担軽減ができるか、今後も検討を進めてまいります。対面による町会費の集金には安否の確認や会話の機会としてのメリットもありますが、キャッシュレス化の時代の流れの中で、町会・自治会とも相談しつつ、今後の負担軽減策について検討してまいります。

 次に、通所リハビリと就労支援についてでございます。現在、区内には5カ所の通所リハビリテーション事業所がございます。若年層における脳血管疾患からの回復者、高次脳機能障害者や若年性認知症の方々にとって就労は大きな課題であります。現在の制度では、障害者自立支援や生活困窮者自立支援による就労支援で対応しております。今後、介護保険制度と他制度とのスムーズな連携や新たな通所サービスのあり方などについて調査・研究してまいりたいと思います。

 次に、介護サービスのすき間を埋めるサービスの展開でございます。次期介護保険事業計画の策定に向けて、来年度には介護サービス等に関するニーズ調査を行う予定でございます。その中で、御指摘のようなすき間のニーズについても調査を工夫してみたいと考えております。生活支援のほか、すき間を埋めるための各種サービスは有償ボランティアや民間のサービスなどさまざまに開発されてきております。こうしたサービスを含めてケアマネジメントによってニーズにすき間なくサービスを提供できるよう、サービス情報データベースの活用など、関係者間での情報共有のあり方を検討してまいります。

 次に、さまざまなサービスを組み合わせた総合的な支援についてでございます。平成30年3月に四つの生活協同組合と高齢者等の見守りに関する協定を締結いたしました。内容は、日常の業務の中で高齢者等に関して見守りを行い、何らかの異変に気づいた場合に区に連絡するというものでございます。生協に限らず、書類の作成や家計管理、低栄養等を予防する食生活管理など、高齢者の居宅生活を支える多様な支援が必要と考えており、区としてはこうした生活支援のあり方についての検討をしていきます。

 次に、子育て支援について。

 子どもの権利条例についてでございます。子どもの権利が守られ、子どもが意見を表明できる地域社会であることは、将来を担う子どもたちが健やかに成長するために欠かすことのできない重要な要素であると考えております。こうした地域社会を実現するためには、保護者だけではなく、行政、区民、地域団体、事業者、学校など、子どもを取り巻くさまざまな関係者が協力し合いながらまち全体で子どもの育ちを支えていくことが重要となります。このため、子どもの権利条例については、子育て先進区としての目標や理念を広く共有し、子どもの育ちを支えていくための指針とするとともに、区が児童相談所、一時保護所を含む(仮称)総合子どもセンターを設置することを契機として、子どもの権利擁護・意見表明という視点からも実効性のある条例となるよう検討を進めてまいります。

 次に、里親の開拓及び支援についてでございます。区は、社会的養護について、より家庭に近い環境で養育される方策を拡充していくことを基本と考えております。里親の普及・啓発については、これまでも東京都や里親の方々とともに養育家庭体験発表会などを実施してきたところでございますが、今後は地域ごとのPRなども行っていきたいと考えております。区が設置する児童相談所に里親担当の職員を配置するとともに、研修などによるサポート、子どもと里親家庭のマッチング、委託後のフォローアップなども含めた包括的な支援体制について検討してまいります。

 次に、産後ケア事業のコーディネート機能の向上についてでございます。妊娠中期に実施する「かんがるー面接」従事者には妊産婦支援に経験を持つ専門職を当てており、妊婦やその家族のニーズを踏まえた支援プランを作成し、必要なコーディネートを行うよう指示をしております。また、こんにちは赤ちゃん訪問事業や保健指導訪問などの母子保健事業の機会を捉えて、産後の状況変化を保健師が把握しながら産後ケア事業をコーディネートし、産後鬱や児童虐待の予防と早期発見に努めているところでございます。なお、事業利用者アンケート等で寄せられた意見は、委託事業者とも共有し、コーディネート機能の向上に取り組んでいるところでございます。

 産後ケア事業者との定期的な連絡会の開催についてでございます。ケア事業の従事者が肌で感じている利用者のニーズ動向の変化や新たな課題などの情報は事業の分析や検証に欠かせないものと考えております。これまでも事業者との情報交換を行ってきておりますが、情報連絡会の定期化についても検討してまいります。

〔健康福祉部長朝井めぐみ登壇〕

○健康福祉部長(朝井めぐみ) 私からは、障がい者施策についての御質問にお答えいたします。

 まず、生活寮についての御質問でございますが、ことし4月からはやよい荘、やまと荘の生活寮事業と緊急一時保護事業をそれぞれ分けて委託する方針といたしました。やまと荘の生活寮事業は社会福祉法人に委託をし、実施しています。やよい荘の生活寮事業は休止の状態でございますが、やよい荘を利用していた方は現在やまと荘を利用している状況でございます。

 続きまして、公募の条件と今後の予定についてでございます。緊急一時保護事業の委託先につきましては、ことしの3月20日から企画提案公募型事業者選定の方式により公募をいたしましたが、やよい荘、やまと荘ともに4月3日までに応募がございませんでした。応募資格は、東京都及び近接県において、障害者総合支援法に規定する短期入所について継続して1年以上の運営実績のある社会福祉法人または特定非営利活動法人等の法人格を有する事業所としたものであり、応募資格の変更は行っておりません。今後は、応募資格要件や委託料のあり方も含めて再検討し、事業者募集を行う予定としてございます。

 次に、当事者、家族の声を聞く場の確保についてでございます。障害者福祉の施策をきめ細かく進めていくためには当事者やその御家族の実情を区が十分に把握することが不可欠であると考えており、これまでもさまざまな関係団体の御意見を伺ってきたところでございます。今後は、当事者や御家族の団体や連絡会と定期的に意見交換会を実施するなど、御要望や御意見をさらにしっかりと伺っていきたいと考えております。また、当事者や御家族がメールなどで御意見を寄せられるように、ホームページやさまざまな機会に周知をしていきたいと考えております。

○副議長(平山英明) 以上で甲田ゆり子議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後2時54分休憩

 

午後3時15分開議

○議長(高橋かずちか) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 長 沢 和 彦

 1 中野四丁目新北口地区のまちづくりについて

 2 公共施設のあり方について

 3 震災対策について

 4 児童虐待防止対策について

 5 地域公共交通について

 6 都立中野工業高校改築工事と妙正寺川における河川整備について

 7 その他

 

○議長(高橋かずちか) 長沢和彦議員。

〔長沢和彦議員登壇〕

○41番(長沢和彦) 2019年第2回定例会本会議に当たり、日本共産党議員団の立場から一般質問を行います。

 初めに、中野四丁目新北口地区のまちづくりについて、伺います。

 中野駅新北口駅前エリア再整備(区役所・サンプラザ地区)について、最初に伺います。

 ことし3月に、このエリアを含めた基盤整備に係る都市計画決定がされました。この都市計画決定をもとに、今後、区役所・サンプラザ地区の再整備が行われることになります。区は、市街地再開発の手法による再整備を検討し、転出・処分により新区役所整備に係る財源を生み出すことにしています。当該地区は、約2ヘクタールもある広大な区及び区が実質的な権利を持つ土地、区民財産です。区役所整備の財源に充てることにしてはいますが、全てを今後選定されるデベロッパー、ゼネコングループの事業者に転出・処分してもよいのかが問われています。再三述べてきたように、土地に定期借地権をつけることによって将来における区の活用を視野に検討すべきではないですか。伺います。

 全国では、市街地再開発事業による駅前の開発事業で、保留床処分のダブつきや撤退により、公益施設、つまり都市開発法でいう公共施設以外のいろいろな用途の施設を地元自治体が税金を投入しながら獲得している例を散見します。本来、そうした公益施設がその場所に必要であるか否かの判断より、事業者の採算ベースに配慮して保留床を得ているというものです。しかし、区役所・サンプラザ地区は、さきに触れたように、区が実質的に大半の権利を持っています。今後決められていく事業者であるデベロッパー等グループ企業に転出・処分をすることで、単に儲けさせてあげるだけの事業であってはなりません。選定される事業者に対しては、文化・芸術や人権・ジェンダー平等などの発信の場など、区民が納得のできる公共貢献を引き出すべきではないですか。伺います。

 最大1万人規模の大型集客交流施設の見直しについてもお聞きします。

 大型集客交流施設については、区民の間でも規模感については違和感を持つなどの声を聞きます。また、サンプラザに愛着を持つ区民からは、サンプラザのレガシーを受け継ぐ施設をという要望も聞かれます。区民会議などの議論を踏まえ、1万人規模の大型集客交流施設はつくらないとの結論を出すべきであると考えます。改めて規模や施設形状などを検討して示すことが必要ではないですか。伺います。

 次に、中野四丁目新北口西エリアにおける市街地再開発について、伺います。

 2017年3月に中野四丁目新北口西エリアの市街地再開発準備組合が設立されました。昨年の第4回定例会の委員会で報告された資料によれば、権利者数41件に対して準備組合員数は29件、発足時の27件から2件しかふえていません。組合設立の認可には3分の2以上の同意などが必要とされています。現在7割を超える権利者が準備組合員となっていますが、組合員の中でもこの再開発事業に納得しているわけではないようです。ほかに反対だという方も相当数いるとも聞きます。準備組合員に示された事業スケジュールでは来年早々に都市計画手続に着手していくようです。しかし、何ゆえに急ぐのか。区役所・サンプラザ地区の再開発はまだ先です。新区役所の整備についても竣工は2023年度、新区役所2階につながる歩行者デッキが整備されていなくても1階から出入りはできます。デベロッパー主導の準備組合が計画と開発を急がせる例は枚挙にいとまがないですが、そういうことなのでしょうか。区は、今後オブザーバーとして、準備組合の全体会のみならず、理事会にも参加するようです。組合施行での市街地再開発事業である以上、権利者の合意を得ることが基本であると考えます。乱暴に進めてはなりません。区の見解を伺います。

 一方、区は、ここ、新北口西エリアについての議会への報告が不十分です。都市計画決定の事業であることは言うに及ばず、当該エリアの整備方針では、観光バス乗降施設、新区役所2階へつながる歩行者デッキ、公共駐輪場の三つの施設を整備することにしています。中野駅新北口地区まちづくり方針に沿った計画です。準備組合のニュースによれば、このような施設を整備することで、ここの容積率を緩和させ高度利用が図られるよう、用途地域の変更と高度利用地区の決定を進めていくことにしています。区の方針で示しているからといって地権者全てに周知されているわけではなく、まして丁寧な説明を受けないと理解も難しいです。区は中野駅新北口地区のまちづくりに必要であると考えていても、地権者が同様の考えであるとは限りません。また、中野駅新北口地区にとどまらず、新井二丁目や中野五丁目の地域にも影響を及ぼします。既に新井など周辺地域からは風害や電波障害は心配ないのかといった声も聞かれます。本事業については、権利者はもちろん、地域住民をはじめ、区民にもかかわる再開発であると考えます。区はきちんと議会に報告すべきではないですか。伺います。

 次に、公共施設のあり方について伺います。

 ことし2月に新たな中野区施設白書が作成されました。2018年度版である今回の施設白書は、今後の基本構想・基本計画の策定に向けた検討と公共施設のあり方の検討のための基礎データとして活用が図られることになります。また、基本構想・基本計画の策定とあわせて公共施設総合管理計画の改定も必要になってくると思います。公共施設総合管理計画の改定に当たっては、総務省のソフトによる延べ床面積の削減や更新に係る経費といった行政側のマネジメントにとどまらず、住民の権利、地域コミュニティの視点も踏まえた改定計画となることを求めておきます。

 ここでは、初めに児童館施設について伺います。

 区長の選挙公約でもあった児童館の全廃計画の見直しの考えをもとに、ことし1月につくられた中野区の新たな区政運営方針で、新たな児童館施設等の配置計画は2020年度に基本計画で示すことにしています。また、今年度中に統合新校の開設に伴う児童館施設等の配置計画案の作成についてが記されました。現在、児童館は16館、城山とみずの塔を加えると18館の子どもの施設が存在します。児童館施設については、区内で子育ち・子育てへの不安や要望が強く出されている昨今、子育ち・子育てのネットワークの拠点として残していくことを基本とすべきであると考えます。今、地域で心配されていることは、身近にある児童館の存続がどうなるのかということです。例えば、来年度に美鳩小学校が新校に移転となります。若宮児童館と大和西児童館の双方の利用者、児童や保護者、乳幼児親子からは存廃を心配する声が聞こえてきます。旧若宮小・旧大和小をはじめとした児童の遊び場、居場所であり、周辺の乳幼児親子の交流や相談の場、次世代交流の場として利用されています。どちらかにあればよいというものではありません。児童館でのさまざまな事業は学校や地域住民と一緒に活発に行われています。区内の児童館の中で利用者数が一番多いのが若宮児童館です。大和西児童館についても魅力ある事業を展開しています。キッズ・プラザは、小学生の安全・安心の居場所にはなっていますが、小学校低学年の利用が中心で、高学年になると利用は少なくなっています。キッズ・プラザでは部屋と校庭、体育館でしか遊べない、居場所がないのでは、子どもの願いを満たすことにはなりません。その点でも児童館施設は欠かせないと考えます。大切なことは、親や大人や社会の都合で子どもの処遇が決められるのではなく、その子どもにとってどうなのかという視点で決められなくてはならないはずです。加えて、専門性のある職員の助言・支援が重要です。児童館職員の知識・経験や地域とのつながりは直接対応のできる現場と人員体制があってこそです。中野区で新規採用がされてこなかったことが大きな課題となっています。

 そこで伺います。一つ目に、今日における児童館施設の機能・役割をどのように捉えていますか。二つ目に、キッズ・プラザや子育て広場で子育ち・子育てを補うことはできても、児童館が地域の子育ち・子育て支援の場であり、ネットワークの拠点、その機能・役割が何ら薄まることはありません。今日、子どもの成長発達と親の子育て不安が強まっているときにますます必要な施設であると考えますが、区の見解を伺います。

 現行の平和の森小学校の跡地活用についても伺います。

 新しい中野をつくる10か年計画(第3次)では、施設整備の方向性の中で、法務省矯正研修所東京支所の跡に移転後の平和の森小学校跡地については、民間等の活力を活用しながら周辺の住環境に配慮した都市基盤整備を進めるとともに防災まちづくり等への活用を図るとされています。民間への売却を基本に戸建て住宅やマンションの建設を進めていくことになるのでしょうか。現行の平和の森小学校での統合で生じた学級数増と普通教室不足という事態が移転した先の統合新校でも生まれかねないことを懸念します。民間への売却中心の方向では跡地活用をきちんと検討したとは言いがたいと考えます。そもそも学校跡地という区有施設の中で広大な面積を持つ施設・土地は有効に活用すべきではないでしょうか。中野区のように容易に広い土地を手に入れることができないのであれば、なおのこと真摯な検討が必要です。区民の参加を得ながら、跡地活用についてはしっかりと検討すべきではないですか。伺います。

 旧北部教育相談分室の跡地活用についても伺います。

 野方五丁目33番地には、2015年度末で廃止となった北部教育相談分室の跡施設があります。かつて野方ベビー保育園として使用されていた建物です。建物は築44年が経過し、老朽化した施設のためそのままでの活用は難しいと思われます。地元地域からは認可保育園や学童クラブの整備、あるいは高齢者の認知症グループホームや小規模多機能、軽費老人ホームなどの整備を求める声を聞きます。地域の住民の声が生きる施設・土地の活用を図ることを検討すべきではないですか。お聞きします。

 次に、震災対策について伺います。

 6月18日夜に山形県沖を震源地とした地震が発生し、新潟県村上市では震度6強が観測されました。この日は、大阪北部地震の発生からちょうど1年目の日でもありました。昨年は日本列島が大きな災害に相次いで見舞われた1年でもありました。地震や豪雨などで住まいを失った方々も大勢いました。災害列島とも言われる日本列島の地震活動が新たに活発化しているとの指摘があります。温暖化など地球規模での気候変動の影響も懸念されています。首都直下や南海トラフなどの大地震、台風や豪雨への備えを求める世論も強まっています。従来の延長でない防災対策の抜本的な転換が求められていると考えます。

 ここでは、中野区の震災対策について、すぐにでも取り組むべき点、木造住宅の耐震化に限って伺います。

 今年度に木造住宅の建てかえ助成が拡充されたことは歓迎するものです。これまで活用があまり図られなかった木造住宅の建てかえが進むことを期待します。同時に、区はこの間、木造住宅の耐震改修についても支援の方向に言及しています。建てかえ等による狭隘道路の解消などはもちろん大事ですが、地震による建物の倒壊を防ぐことで区民の命及び財産を守り、道路の閉塞をもたらすことなく避難や消火、救援が行われることが必要であります。区は、耐震改修、感震ブレーカーの設置、家具転倒防止器具の取りつけ助成をパッケージ化により進めていくとしています。既に今年度よりブロック塀除去と家具転倒防止器具の費用助成の実施を始めたところです。木造住宅の耐震改修の助成制度については、中野区は23区では後発となっているだけに、効果のある制度として同時に迅速に実施をすべきではないですか。伺います。

 2016年の熊本地震での被害状況を踏まえ、2000年5月以前に建てられた木造住宅に対する耐震化の支援についても求めてきました。昨年の第1回定例会での一般質問の際に、2000年5月までに建築された区内の木造住宅は戸建て、長屋建て、共同の住宅の合計で1万5,250棟あるとの答弁がありました。その後1年以上が経過し、建てかえなどにより減少しているとは思いますが、2000年の法改正以前の新耐震基準住宅も視野に入れた、耐震化に係る普及啓発活動は必要との認識を持たれていたと承知しています。昨年度より杉並区では、新耐震基準の木造住宅についても診断並びに改修助成を始めています。参考にしつつ、まずは耐震診断への助成を検討してはいかがでしょうか。伺います。

 熊本地震での木造住宅の被害状況を踏まえ、国土交通省の社会資本整備審議会で出された方針は、木造住宅の耐震性に関して重要な内容を示唆しています。新耐震基準の建築物について、2000年以前のものを中心にリフォーム等の機会を捉え接合部などの状況を確認することを推奨するとしています。ただし、推奨としているのであって、制度として確立されているものではありません。区では、こうした方針を踏まえ、どのような形で接合部等の状況を把握し、実質的な耐震性の向上に結びつけているのでしょうか。伺います。

 次に、児童虐待防止対策について、伺います。

 児童虐待をめぐる報道が相次いでいます。児童虐待によって命まで失われる事態が後を絶ちません。国会では児童虐待防止法等改正案が、与野党協議が整い、全会一致で修正可決されました。求められる水準から遠いとはいえ、大変意義ある出来事だったと思います。最大の論点は、親権者による体罰の禁止を明文化したことです。今後、親権者の懲戒権を認めた民法822条の規定の削除が必要になると考えます。児童虐待相談件数は毎年ふえ続けています。児童相談所での児童虐待相談対応件数は、2017年度では13万3,000件を超え、5年前と比べて倍増しています。にもかかわらず、児童福祉士は1.2倍増の3,240人にとどまっています。虐待で死亡した可能性がある子どもは、厚生労働省の発表では年間約80人、日本小児科学会の推計では350人にも上るとされており、極めて深刻です。区では、子ども家庭支援センターに寄せられた虐待についての相談実績は、2013年度198件が2018年度には541件と2.7倍にふえています。中野区で2021年度中に設置を予定している児童相談所は、今般の法改正を踏まえて人員体制、配置など、どのような準備をしているのか、伺います。

 さきに触れた法改正では、家庭内暴力などDVと児童虐待対応の連携強化が明記されました。DV被害者が加害者になることがないよう、関係機関の情報共有、連携強化が欠かせません。現在中野区においては、生活援護課の婦人相談と子ども家庭支援センター及びすこやか福祉センター等が連携して対応し、事例検討会等も適宜開いていると聞きます。児童虐待防止に当たっては、児童相談所が設置されるまでの間においても十分な体制と連携強化が必要です。複数の職員を研修に出していることは大切です。同時に区の現場が手薄となってもいけません。厚生労働省の子ども虐待対応の手引きでは、児童相談所が虐待対応の中核機関であるのに対し、保健所や保健福祉センターを虐待予防の中核機関と位置付けています。中野区では、すこやか福祉センターが虐待予防の中核機関としての機能を有していると思います。保健師は、母子保健事業を通じて全ての母子にかかわることができます。親の育児不安や孤立、子どもの健全な育ちを阻害する要因に気づき、虐待予防、支援につなぐことができる存在です。児童虐待防止対策は、児童虐待の対応とともに予防についての取り組みが重要です。区ではどのような取り組みをされているのか、伺います。

 子ども虐待の背景に貧困があることも各方面から指摘されています。2009年7月の全国児童相談所長会による「児童虐待相談のケース分析等に関する調査」の虐待と貧困の関係を整理した調査結果を見ると、虐待者の就労状況では正規就労が29.6%という実態にあること、家族形態としてはひとり親家庭が多いことも特徴です。特に母子世帯が貧困と直結し、半数を超える現状にあること、さらに虐待につながる要因として、経済的な困難、虐待者の心身の状況、ひとり親家庭、夫婦間不和、不安定な就労などの実態があることが見てとれます。また、個々の保護者が抱える問題は複合的な生活問題を抱えている点にも特徴を見出すことができます。支えやサポートがない状態が世代を超えて連鎖しているという暮らしの実態があるのではないでしょうか。10年前の調査報告ではありますが、今日ますます厳しい状況にあると考えます。中野区での虐待要因の傾向について、また貧困の現実とのかかわりについてどのように認識をされているのか、伺います。

 次に、地域公共交通について伺います。

 ことしの第1回定例会の委員会で区民移動実態把握に関するアンケート調査結果(速報)についての報告がされました。アンケートの回答者は18歳から64歳までが67%、65歳以上の高齢者が33%、高齢者は区内移動が多く50%を占めています。区内の交通手段の満足度の問いに、回答者の約66%が現在の交通手段に満足、一方不満と回答した人は14%存在し、大和町、若宮の順に不満と回答しています。また、これらの地域は、鉄道駅、バス停からの距離が半径250メートルの範囲を外れる地域が広い傾向がある、いわゆる公共交通不便地域としています。若宮、大和町地域ではコミュニティバス、ミニバスなどの地域公共交通の実施による中野駅などへの交通アクセスの要望が強まっています。また、調査結果で触れているように、大和町や若宮などの狭い道路が入り組んだ木造住宅密集地域などでは、路線バス等の利便性に課題が見られる状況にあります。さらに、超高齢化社会のもとで通院や買い物、公共施設へのアクセスなど、高齢者の生活と健康の維持、社会参加等を促すために外出の機会と移動手段の確保は切実となっています。

 そこで伺います。一つ目に、今年度の予算で「交通不便地域公共交通実現可能性」の検討を行うとしていますが、具体的にどのような検討をしようとしているのですか、伺います。

 二つ目に、利用者の求める行き先や時間に応じて運行するデマンド型交通の導入についても検討されるのか、お聞きいたします。

 次に、都立中野工業高校改築工事と妙正寺川における河川整備について、伺います。

 妙正寺川を挟んで野方二丁目、三丁目にある都立中野工業高校の改築工事が計画されています。昨年度に委託事業者による基本設計が行われ、今年の夏ごろに学校改築工事計画及び河川事業説明会として住民への説明をすることにしています。工事については、妙正寺川の三谷橋から新昭栄橋までの間に仮設構台を設置し、中野工業高校改築工事と河川整備工事に用いることにしています。建通新聞によれば、「今年度から2021年度で実施設計を進める。2020年度に既存校舎等の解体工事を始め、2021年度に仮設校舎の設置。2022年度に実習棟とアリーナ施設の新築工事に着手し、2024年度に完成させ、同年度中に既存の新実習棟と体育施設棟を解体。さらに校舎棟と体育施設棟の新築工事を2024年から2026年度で実施をする。2027年度に既存の実習棟を解体し、旧第六中学校跡地をグラウンドとして再整備して事業を完了させる。飛び地となっている敷地の利用は廃止」、つまり野方二丁目の実習棟の敷地は中野工業高校として利用しないことにしています。

 まずは、東京都に問い合わせて基本設計の内容を区として把握することを求めます。お答えください。

 都市計画決定がされている管理通路の整備にかかわって伺います。

 現在の野方三丁目の中野工業高校敷地内に管理通路の整備が必要となります。実習棟のある野方二丁目側の管理通路については、さきに触れたように、実習棟を現地で建てかえるのでなく校舎とともに野方三丁目側に移して建てかえるのであれば、実習棟跡地は緑地の公園・広場として活用することができます。また、災害時においては避難路として活用できるよう整備することを東京都と交渉していただきたいと思いますが、いかがですか。伺います。

 さらに、中野工業高校が野方三丁目側だけで整備された場合、野方二丁目と三丁目をつなぐ河川橋梁をきちんと確保することを求めます。御答弁ください。

 以上で私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 長沢議員の御質問にお答えいたします。

 中野四丁目新北口地区のまちづくりについて。

 まず、1点目の区の資産の活用についてでございます。現在所有している資産から新区役所整備の財源などを確保した上で残る資産については、市街地再開発事業において権利変換し、事業後の資産を保有する考えでございます。保有する資産のあり方については、将来にわたり区民の負担とならないよう配慮しながら土地の所有を含めて今後検討してまいります。

 次に、民間の公共貢献についての御質問です。今後策定する中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画では、再整備によって目指すべき目標や整備誘導を図る施設、機能、公共公益性の向上につながる空間整備などの方針を示してまいります。民間参画事業者の公募に当たっては、こうした再整備事業計画を踏まえた施設、機能などの提案に加えて、民間の創意工夫による公共貢献の提案を求めてまいります。

 次に、集客交流施設についてでございます。今定例会の委員会において報告をする予定でございます中野駅新北口駅前エリア再整備の考え方では、民設民営を前提とした集客交流施設にかかわる規模別のケーススタディを提示する予定でございます。今後、区議会における議論や区役所・サンプラザ地区再整備推進区民会議などにおける意見集約を踏まえて区としての方針を定め、再整備事業計画を策定してまいります。

 中野四丁目新北口西エリアの再開発事業スケジュールについてでございます。中野四丁目新北口西エリアでは、市街地再開発準備組合が設立され、都市計画決定に向けて関係機関と協議を行っているところでございます。都市計画手続は、区が権利者の合意形成や関係機関との協議の状況に応じて開始するものでございます。今後も準備組合の会合にオブザーバーとして参加するなど、関係権利者の合意形成の状況を把握しながら適切な対応を図ってまいります。

 次に、中野四丁目新北口西エリアの区議会報告についてでございます。市街地再開発事業は、地権者の合意形成を図りながら敷地の共同化による公共施設整備など市街地環境の改善を目指す公共事業でございます。中野四丁目新北口西エリアの市街地再開発事業については、再開発協議会の発足、準備組合の設立、準備組合での検討状況など、これまでも状況に応じて適宜議会へ報告をしているところでございます。今後も事業検討の進捗に合わせて区議会への適切な報告を行ってまいります。

 次に、公共施設のあり方についての項で、児童館施設の機能、役割及びその必要性についてでございます。児童館には、地域の子どもの遊び場としての機能のほか、乳幼児親子への支援や子育てネットワーク形成などの役割があると考えております。児童館は地域の子育て支援の場であり、ネットワークの拠点であることから地域に必要な施設と考えておりますが、配置を含め、その機能・役割については現在検討を行っているところでございます。

 平和の森小学校等跡地の活用についての御質問でございます。平和の森小学校の移転後の跡地及び旧北部教育相談分室の跡地活用については、財政状況を踏まえて区民ニーズや将来の行政需要を見据えながら検討してまいりたいと考えております。また、活用の方策については、基本計画の策定などの過程において区議会や区民の声を聞いた上で定めてまいります。

〔都市基盤部長豊川士朗登壇〕

○都市基盤部長(豊川士朗) 私からは、まず震災対策について、お答えいたします。

 旧耐震基準の木造住宅耐震改修助成についてでございます。今年度から都が定めた防災都市づくり推進計画に基づく整備地域のほか、防火地域の対象区域として助成事業の拡充を図っているところでございます。現在、対象区域を区内全域とした取り組みを検討しておりまして、その中で除却、建てかえ及び耐震補強並びにブロック塀対策などの各事業をパッケージ化し、区民にとって利用しやすい制度の創設の準備に向けて進めているところでございます。

 それから、新耐震基準住宅の耐震診断等の助成についてでございます。新耐震基準住宅に対する助成につきましては、区としても認識はしてございますが、現在、国や東京都の助成事業を中心は旧耐震基準住宅の耐震化でございまして、区としても耐震化率95%以上を目指した取り組みの拡充を優先させることが重要であると考えてございます。国土交通省の指示により日本建築防災協会が作成いたしました「新耐震木造住宅検証法」が公表されましたが、現時点では東京都から具体的な取り組み方針などは示されておりません。区といたしましては、今後の東京都の動向を見極めつつ、新耐震基準木造住宅に関しても耐震フォーラムや住宅相談会、窓口相談などを通じまして検証法について周知を図ってまいります。

 次に、地域公共交通についてでございます。今年度の具体的な検討内容でございますが、今年度実施する公共交通不便地域公共交通実現可能性の検討につきましては、新たな公共交通サービスについての運行条件の整理や既存の他の交通機関との連携の検討などを行う予定でございまして、デマンド型交通も含めてさまざまな可能性を検討するものでございます。

 それから、都立中野工業高校改築工事と妙正寺川における河川整備についてございます。

 まず、校舎改築工事の基本設計の内容についてでございます。これまでも東京都教育庁とは都立中野工業高校の改修工事のスケジュール等について打ち合わせを行っておりまして、必要に応じて改築工事の情報提供を求めているところでございます。今後も教育庁と連絡を密にとり、情報交換を行っていきたいと考えてございます。

 それから、河川管理用通路と実習棟跡地の活用についてでございます。今回の河川改修を実施する範囲は、都立中野工業高校の敷地内を含め、全て都市計画河川として都市計画決定されておりまして、左右両岸とも幅員4メートル程度の避難路としても活用できる河川管理用通路を整備すると聞いてございます。実習棟が現地再建されない場合は、東京都と跡地利用について協議を進め、公園等を含め、最適な利用方法を検討したいと考えてございます。

 それから、野方二丁目と三丁目をつなぐ橋についてでございます。都立中野工業高校は、震災時の避難所に指定されておりまして、防災性の向上を目的とした避難路が必要であると考えますので、実習棟敷地の利用方法にかかわらず、都立中野工業高校校舎の改築工事と河川改修工事にあわせた橋の新設につきまして、今後東京都と協議を進めたいと考えてございます。

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、児童虐待防止対策についての御質問にお答えさせていただきます。

 初めに、児童相談所の人員体制についてでございます。平成30年12月に国が決定いたしました児童虐待防止対策体制総合強化プランでは、児童相談所の体制強化といたしまして、児童福祉士、児童心理士などの増員がうたわれております。区では、この国の強化プランを踏まえまして人員体制につきまして準備を進めているところでございます。また、さきの国会で成立いたしました児童福祉法等の一部を改正する法律で配置が義務化されました、医師、保健師や弁護士につきましても適切に配置したいと考えてございます。

 次に、児童虐待の発生予防についての御質問でございます。児童虐待の発生を予防するためには、さまざまな関係機関における家庭と子どもを支援する取り組みの積み重ねが最も重要であるというふうに考えてございます。すこやか福祉センターでは、その中核といたしまして、産前・産後、子育てを切れ目なく支援するトータルケア事業、乳幼児健診フォロー、子育て専門相談など、育児の不安解消や適切な子育てを支援する事業を展開しているところでございます。子どもの虐待防止におきまして発生予防の取り組みは非常に重要であり、児童相談所設置に当たりまして虐待対応力を強化するとともに、発生予防につきましても関係機関連携のもと対応の充実を図ってまいります。

 最後に、児童虐待の要因の傾向、貧困とのかかわりの御質問でございます。子ども家庭支援センターにおいて児童虐待対応を行った家庭の状況といたしましては、家事能力の不足、精神的な疾患、不規則な就業時間、DV、経済的困窮など、さまざまな課題が複数生じている傾向がございます。経済的困窮が虐待の要因に直接結びついているということは断定はできませんけれども、リスクの一つとして捉えました上で家庭の状況を総合的に把握し、適切な支援を行ってまいります。

○議長(高橋かずちか) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 内 野 大三郎

 1 受動喫煙対策について

 2 交通安全対策について

 3 教育現場の職員採用について

 4 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、内野大三郎議員。

〔内野大三郎議員登壇〕

○15番(内野大三郎) 令和元年第2回定例会におきまして、会派を代表して質問します。

 質問に先立ちまして、4月の区議会議員選挙におきまして都民ファーストの会中野区議団全員の当選をさせていただき、前回よりも235票の御期待を上乗せしていただきました。区政の信頼を取り戻すため、小池都政と連携をして区民の負託に応えてまいりたいと存じます。

 質問は通告のとおりで、その他の項目はありません。

 初めに、受動喫煙対策についてです。

 屋外喫煙所廃止について。

 まず、そもそも論として、喫煙所の設置はかえって路上喫煙を誘発しているのではないでしょうか。中野駅北口の喫煙所は全て撤去し、路上喫煙防止対策を強化すべきではないでしょうか。中野区に限らず、喫煙所を設置してもその外部で喫煙する人が多数おり、全く意味をなしていない例が多数見られます。特に駅前の公共用地に喫煙所が散見されていますが、中野駅南口にかつてあった喫煙所は環境や美観の点から地元では非常に評判が悪く、再設置をしない要望書を出した結果、喫煙所は現在も設置しておらず、路上規制の問題は北口ほど深刻ではありません。

 日本禁煙学会は、以下の知見を挙げて屋外喫煙所の設置自体に反対しています。無風という理想状態下で一人の喫煙者によるたばこ煙の到達距離は直径14メートルの円周内、複数の喫煙者が同時に喫煙する場合はこの直径が2倍から3倍になる。条例等で屋外喫煙を規制する場合、最低直径14メートルの非喫煙者通行禁止区域円が確保できている場合を除いて屋外に灰皿を設置するべきではない。以上により、中野駅北口の喫煙所の撤去と路上喫煙防止対策の強化を行うべきではないでしょうか。区民の健康増進にも資する上、費用も一番かからないのではないでしょうか。お尋ねします。

 また、もしどうしても北口喫煙所を残す必要があるならば、中野区が既に定めた以下のルールに従うべきと考えます。北口屋外喫煙所が従うべき基準を整理し、その上で質問いたします。

 区は、既に区における受動喫煙の防止推進の考え方(平成31年3月7日)を発出し、改正健康増進法、東京都受動喫煙防止条例の施行に伴う受動喫煙防止対策を講ずること、及び東京都子どもを受動喫煙から守る条例の趣旨に基づき、子どもの受動喫煙防止について定めたところです。そこでは、「3、公衆喫煙所(指定喫煙所)について」で、「不特定多数の区民が利用する公共的な施設や屋外における受動喫煙防止を図るため、公衆喫煙所の設置(指定喫煙所)にあたっては、『屋外分煙施設の技術的留意事項について(通知)』(平成30年11月9日厚生労働省健康局長通知)の基準を準用し、人通りの多い方向に対し、たばこの煙が容易に漏れ出ないよう配慮する」と定めている。ここで準用される厚労省通知では、屋外喫煙所について、人通りの多い方向に対したばこの煙が容易に漏れ出ないようにするための具体的な基準を以下のように定めています。1、コンテナ型として、排気口は天井高い位置とし、人通りの少ない場所に向いていること。給気口(出入り口と兼ねることも考えられる)は、排気口の反対側に設置されていること。また、2、パーテーション型、壁については一定程度の高さ(2~3メートル)があること、出入り口には方向転換のためのクランクがあること(2回以上のクランクがあることが望ましい)、四方の壁の下部に給気用のすき間(10~20センチメートル程度)があること。以上が、改正健康増進法及び二つの都条例の施行に当たり、区がみずから厚労省通知によって行うと定めた屋外喫煙所の満たすべき基準です。現状では、北口喫煙所は、区がみずから定めた受動喫煙対策において準用する厚労省通知の基準は全く満たしていないと言ってよいでしょう。中野駅北口周辺は、最も多くの区民が昼夜利用し、区役所にも至近で、区民は必ず利用せざるを得ず、当然子どもや弱者の利用も多く、中野サンプラザと北口商店街を擁する区のまさに顔となる地域です。このような場所において受動喫煙がほぼ野放しの現状は極めて重く受けとめるべきです。区は、平成31年3月7日の常任委員会で、区における受動喫煙防止推進の考え方について報告を行っています。この報告書の項目3、公衆喫煙所(指定喫煙所)についての中で厚労省通知の基準を準用すると記載してありますが、中野駅北口の喫煙所はこの基準に合致していると言えるのか、区の認識を伺います。

 やむを得ず中野駅北口に喫煙所を設置するのであれば、コンテナ型かパーテーション型にするべきではないでしょうか。受動喫煙の対策をするのであればコンテナ型を設置するべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 千代田区では、移動できる喫煙所としてコンテナ型のトレーラーハウスを全額都の予算で導入しています。道路や公園に固定式のコンテナの設置が困難であれば、移動できるコンテナ型のトレーラーハウスを導入してみてはいかがでしょうか。区の認識を伺います。

 日本経済新聞の5月23日付の記事によると、仕事中は全面禁煙という企業がふえているようです。生産性損失は年間130時間とも言われています。社員の喫煙を減らす取り組みを民間企業で先を争っている世相を見誤ってしまったら、せっかく駅周辺の再開発で優良企業が中野に集積するはずが、うっかり周辺環境の分煙が徹底されていないことにより逃してしまう可能性もあります。

 また、先日の行政報告において、初めて子育て先進区の定義が出されました。子育て先進区として区外の親から選ばれるためには、物件を下見に来て駅をおりたときの空気がきれいであることは必須の条件であると思いませんでしょうか。子どもを持つ親は、生まれたての無垢の赤ちゃんを初めて見たとき、「この子にはきれいな空気と水と食べ物をしっかり与えるのだ」と決意するものです。きれいな空気で気持ちいい子育て、ぜひとも受動喫煙防止の精神を忘れなきよう御対応いただきたいとお願い申し上げ、次の質問に移ります。

 次に、交通安全対策についてです。この項目では道路の安全対策と高齢者の安全対策について、伺います。

 初めに、道路の安全対策についてです。

 平成26年9月に世田谷区北沢署管内で下校時の小学3年生3名を死傷させる痛ましい交通事故が発生しました。その結果、学校、町会、保護者などで登下校時間帯に通行する車両運転手に安全運転を呼びかける「通学路安全運転呼びかけ隊」を組織しました。世田谷区での事故を受け、警視庁が全都での呼びかけをした結果、中野警察署内の全ての小学校区で呼びかけ隊が組織されました。もちろん地元の町会や保護者などにも多大な負担があることは承知しているところでありますが、野方署管内においてははるか以前からこうした地道な活動を組織的に継続しているともお聞きしています。中野署、野方署ともに、交通安全意識の高い皆様が警察や安全協会と協働して小・中学校の児童・生徒をお守りいただいていることに感謝申し上げます。

 一方、先月17日に大津市で右折車と直進車との事故により園児ら16名が死傷した悲しい事故が起こりました。幼児の交通安全対策については、登下校時間帯とは違い、通勤時間帯とは違った運転手による事故がこの中野でいつ起こっても不思議ではありません。幼稚園や保育園の子どもたちが引率の先生らと一緒にお散歩する時間帯やコースについても徹底的な安全対策を講じる必要があると考えますが、区の見解を伺います。

 「想定外」という言いわけによる死亡事故が起きてしまってからでは遅く、亡くなった命は二度と戻ってきません。遺族の悲しみに思いをはせながら、対策を講じていただきたく要望いたします。

 次に、高齢者の交通安全対策です。

 近年、高齢者の自動車事故が多発していることは御案内のとおりです。特にアクセルとブレーキの踏み間違いは、平成20年以降全国で毎年6,000件以上発生しております。多くが駐車場内で発生し、そのほとんどが高齢ドライバーであるという統計も出ています。東京都が9割の補助を出す、アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置の購入助成の補助についての周知をしていただいた上で、装置を設置するモチベーションを上げるための工夫を考えて実施してもらいたいと思います。例えば、日用品を買いに来るスーパーの駐車場などで週末にデモンストレーション車に試乗してもらえるようにするなど、また運転免許返納を促す施策も区独自で考案してみてはいかがでしょうか。

 東京都は、交通安全対策のためにあらゆる施策を検討するプロジェクトチームを発足させました。こうした東京都のチームとの連携や情報交換を通じて中野区内の事故ゼロ日数の記録を打ち立ててもらいたいと思います。

 最後に、教育現場の職員採用についてです。

 全国では、毎年200人以上の教職員が性犯罪により処分されている実態を御存じでしょうか。長崎県の教育委員会では、本年4月の入学シーズンに先立って「非違行為防止に向けて」という自己を振り返るチェックリストを作成し、教育公務員としてのモラルや体罰、飲酒、わいせつ行為といった自己採点型の個人診断シートを作成しました。こうした取り組みは既に採用された公務員を対象にしているかと思われますが、中野区では職員の採用の際に一般的なモラルを啓発、または特定の犯罪性向や賞罰以外の処分歴などを事前に覚知できるフィルターのようなものはあるのでしょうか。お尋ねします。

 また、職員の人員配置に当たって、少なくとも児童を相手にする小・中学校や児童館、保育園などにおいて職員による児童・幼児に対する性犯罪が起きないようにする体制などは整っているのでしょうか。お尋ねして、私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 内野議員の御質問にお答えします。

 私からは、受動喫煙対策についてでございます。路上喫煙防止対策の強化についての御質問です。路上喫煙禁止地区内には指定喫煙場所があることにより分煙化を進めております。喫煙者と非喫煙者の共存を目指し、区では喫煙マナー向上の啓発活動を町会・自治会、商店街、たばこ事業者等の皆さんと協力して定期的に美化清掃活動を行っているところでございます。

 次に、屋外分煙施設の技術的な留意事項照合についての御質問でございます。平成30年11月9日付の厚生労働省健康局長通知、屋外分煙施設の技術的留意事項において、パーテーションの壁は二、三メートル程度の高さがあると望ましいとされており、区も基本的にはその考え方を準用しております。なお、中野駅北口の東西連絡路の下、喫煙所のパーテーションは、厚生労働省からの通知以前に設置しているため、高さが1.8メートルであるということでございます。中野駅周辺について、屋外分煙の環境整備の観点から早期の改善を検討してまいります。

 次に、中野駅北口喫煙所についてで、密閉型の喫煙所の御提案でございます。密閉型の喫煙所については建築物の扱いとなるため、建築基準法が適用されるなど課題があることがあります。設置については、今後検討してまいります。

 最後に、道路や公園へのトレーラー型公衆喫煙所の導入についての御質問でございます。トレーラー型公衆喫煙所については、イベントなどでの喫煙者の利用状況、これらを見ながら設置できる場所や条件を研究してまいりたいと考えております。

〔子ども教育部長戸辺眞登壇〕

○子ども教育部長(戸辺眞) 私からは、交通安全対策に係る園児の交通安全対策について、お答えいたします。区内の保育園等に対して、園ごとに周辺で発生した過去3年間の交通人身事故の発生状況を示す地図を配付し、注意喚起を行ったところでございます。また、各保育園等では、近隣の公園へ散歩に出る際のルートを図示したお散歩マップを作成しておりまして、このお散歩マップの中に園児を引率する際の注意や対応が必要と思われる箇所を記入し、区へ提出してもらったところでございます。今後、各園等から提出された情報につきまして関係機関と確認・共有、対応について協議するとともに、危険と思われる箇所などの情報を保護者、地域に周知してまいります。また、区内の全ての保育園等に対して、散歩などの戸外活動における安全を確保するため、区職員が各保育園等を巡回し、助言などを行っていく予定でございます。

〔危機管理担当部長滝瀬裕之登壇〕

○危機管理担当部長(滝瀬裕之) 私からは、高齢者の交通安全対策について。

 まず、ブレーキ踏み間違い防止装置の購入補助制度について、御答弁申し上げます。現時点で東京都がブレーキ踏み間違い防止装置の購入費補助制度の導入を検討していることにつきましては承知をしているところでございます。今後、都や他の自治体の動向などを踏まえつつ、区として必要な施策について検討したいと考えております。

 続きまして、運転免許証の返納を促す区独自の施策の考案についてでございます。区や警察が開催いたします各種交通安全講習会におきまして運転免許証自主返納制度の周知を徹底するとともに、加齢による運転リスクの講話を取り入れるなどの啓発活動を強化し、運転に不安を覚える高齢者の運転免許証自主返納の促進を働きかけたいと考えております。また、こうしたこととあわせまして、他の自治体の取り組みについて調査等を行い、区の実態に即した施策のあり方等について研究したいと考えております。

〔総務部長髙橋信一登壇〕

○総務部長(髙橋信一) 私からは、教育現場の職員採用について、お答えいたします。

 初めに、採用時における性犯罪性向等の把握についてでございます。職員の採用選考に当たっては、受験者の職務遂行能力や適性を基準として判定することや基本的人権の尊重が必要とされており、思想・信条に関することなど能力や適性と関係のないことを把握することは行っておらず、特定の性犯罪性向などを事前に把握するような仕組みは導入されてございません。

 次に、児童等に対する性犯罪防止のための職員配置上の対応についてでございます。職員の配置に当たっては、過去に児童等に対する性犯罪の発生を予見させるような行動があった場合には児童等と接する機会の多い職場に配属させないようにするなど、対応が必要であると認識しているところでございます。また、職員の不祥事を未然に防ぐために、職員に対する研修や各職場におけるOJTなどを通じて注意・監督を徹底しているところでございます。

○議長(高橋かずちか) 以上で内野大三郎議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 竹 村 あきひろ

 1 庁舎内に於けるNHK(日本放送協会)との契約について

 2 NHK関係の相談に対する区の対応について

 3 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、竹村あきひろ議員。

〔竹村あきひろ議員登壇〕

○2番(竹村あきひろ) 大変緊張しておりますが、新人らしく元気よく質問したいと思います。

 令和元年第2回定例会に当たりまして、会派、育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会の立場から一般質問をいたします。

 質問に先立ちまして、本年4月に行われました中野区議員選挙について、一言申し上げます。

 私は、NHK(日本放送協会)に関する諸問題解決を主な政策としている政治団体「NHKから国民を守る党」の公認候補として立候補、当選させていただきました。中野区の皆様をNHKの被害からお守りするという公約のみで区民の皆様より票をお預けいただき、議員として活動する機会を賜りましたことは、NHK問題の深刻さを如実に表すものと私自身再確認した次第です。区政の中ででき得るNHK問題解決への政策提言、また区政の課題に対し建設的な政策提案を行い、これをもって有権者、区民の皆様からの負託に応えていく所存です。

 さて、一般質問の内容を深く御理解いただく上でも、NHK問題の真因は何であるのか、また区民の皆様が救いを求める現在進行形の問題につきまして、以下、若干の事実確認をいたします。なお、専門的な文言や事項を含みますことを御承知おきください。

 主題として取り上げます、日本放送協会、以下NHKと称しますが、NHKは放送法の規定により設立された法人です。その出発は、大正14年3月22日に我が国で初めて放送を行った社団法人東京放送局などが母体となっており、昭和25年5月2日に公布された放送法に基づき、前述の社団法人を継承した特殊法人として成立し、現在に至ります。その目的は、放送法第15条、公共の福祉のために全国あまねく放送を普及させ、豊かでよい放送サービスを行うこととされております。この目的達成のため、NHKは他社からの干渉を受けることがないよう自主性が入念に保障されており、その財源を実現しているものがNHK放送受信料制度と言えます。NHK受信料は、その根拠が放送法第64条に、運用詳細は日本放送協会放送受信規約によって定められています。NHKの公表では、平成30年度決算における事業収入総額は7,332億円、うち受信料収入は7,122億円、率にして97%となっております。受信料がNHKの自主・自律性を財政面から支える大変大きなものになっていることがうかがえます。

 さて、このNHK受信料は、あくまでも契約によるものであることが、放送法はもとより、判例より明らかになっています。放送法では第64条、条文内に示される文言、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」、ほか、最高裁判決事件番号平成26(オ)1130、事件名、受信契約締結承諾等請求事件、以下、判決文から引用いたします。放送法は、受信料の支払い義務、受信設備を設置することのみによって発生させたり、原告──これはNHKを指します──から受信設備設置者への一方的な申し込みによって発生させたりするのでなく、受信契約の締結、すなわち原告と受信設備設置者との合意によって発生させることとしたものであることは明らかと言える、との記述どおり、最高裁判所大法廷においてもNHK受信料は契約に基づくものであることが再度確認されています。そして、契約である以上、その成立は当事者双方の合意が必要であり、街角などで耳にする国民の義務であることは事実でないと考えられます。

 そこでお伺いいたします。区庁舎内におけるNHKとの契約について、区庁舎内の受信設備、設置台数及び契約数など、中野区がNHKと契約しております放送受信契約の現状をお聞かせください。

 次に、NHK関係の相談に対する区の対応について、お伺いいたします。

 NHKは、昨今、その動向が非常に注目される放送事業体です。具体例を挙げますと、放送受信料金や契約要不要の条件、番組内容、経営状況及び予算執行、また職員及び関連団体の不祥事、最近では法改正、NHK放送番組のインターネット同時配信を可能とした放送法改正など、多岐にわたります。その中でも、区民の皆様にとって最も深刻で急を要する現在進行形の問題が、放送受信料の契約収納業務を請け負っておりますNHK訪問員、いわゆる集金人の迷惑行為です。私は、活動の一環として、NHK受信料などでお困りの皆様よりさまざまな相談をお受けしております。その中で訪問員の迷惑行為の具体例を挙げますと、早朝・深夜に訪問された、頻繁な訪問を受けた、自宅前で待ち伏せされた、身分を偽り訪問し住居に侵入された、呼び鈴を連打された、うそをついて強引に家に上がろうとした、閉めようとするドアに足やバインダーを挟み込んで閉めさせない、なかなか帰らない、大声を上げる、乱暴な言葉づかいで契約を迫られた、誹謗中傷を受けた、ドアを蹴られた、自転車のサドルにたばこの火をつけられた、植木に排泄されたなど、常軌を逸した言動の苦情・相談を数多くお受けいたします。

 そこで、お伺いいたします。NHK関係の相談に対する区の対応について、区民の皆様がNHK関係の相談や被害を訴える窓口、相談体制はどのようになっておりますでしょうか。

 また、中野区に寄せられたNHK関係の相談や被害報告、苦情などがありましたら、近年の状況をお聞かせください。

 以上、伺いまして、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 竹村議員の御質問にお答えいたします。

 1点目、庁舎内の受信機台数及び放送受信契約数についてでございます。現在庁舎内における受信設備台数は全部で43台、NHKと契約している放送受信契約は43件でございます。

 次に、NHKに関する相談についての御質問でございます。区では、区民の消費生活における被害を防止し、安全で安心して豊かな消費生活を営むことができるよう消費生活センターを設置し、専門相談員を配置しまして苦情等の相談に対応しております。放送受信契約に関する苦情など、NHKに関する相談についても消費生活センターを窓口として対応しているところでございます。消費生活センターに寄せられたNHKに関する相談件数については、平成30年度が31件、平成29年度が32件、平成28年度は24件でございました。主な相談内容は、受信契約の強引・乱暴な勧誘や契約の内容に関するもの、夜間の訪問についてなどでございます。

 以上でございます。

○議長(高橋かずちか) 以上で竹村あきひろ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 1 8050問題について

 2 国家戦略特別区域法の活用について

  (1)世界最先端浸水予測システムについて

  (2)ドローンについて

 3 森林環境譲与税の活用について

 4 海洋プラスチックごみ問題について

 5 中野駅新北口駅前エリア(区役所・サンプラザ地区)再整備について

 6 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、加藤たくま議員。

[1]加藤たくま議員登壇

○11番(加藤たくま) 令和元年第2回定例会におきまして、自民党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。

 まず1番目、8050問題におきまして、ことしの5月28日に神奈川県川崎市、登戸で通り魔殺傷事件が発生しまして、被害者のうち、二人がお亡くなりになりまして、18名が負傷し、犯行の直後、加害者はみずから首を刺し、その後死亡いたしました。また、その事件の後、6月1日、練馬区におきまして自分の息子を刺し殺すという痛ましい事件が発生いたしました。これらの事件におきまして関係各位の皆様に対して哀悼の意を表します。

 これらの事件において、いわゆる8050問題が指摘されています。ひきこもりが長期化し、親も高齢となり、収入や介護などに関して問題が発生することです。80代の親と50代の子の親子関係でのことが多いということから8050問題と呼ばれております。ひきこもりと犯罪率に相関は認められませんが、8050問題が要因として大惨事が引き起こされている可能性は否めません。また、中野区自殺対策審議会において8050問題が自殺につながっていくとの指摘をしており、ひきこもりが大きな問題となっております。プライバシーの問題もあり、一個人や民間、第三者が入り込むことは容易ではありません。現状を考えると、行政、公共機関がやるしかないという結論になっていくわけであります。8050問題といっても、ひきこもり、就業支援、生活保護、自殺対策のさまざまな行政の対応の形がありますが、当事者としてはどうすればいいのかわからないことだらけとなります。

 そこで伺いますが、区は、ひきこもり問題、8050問題などに対してどのように対応されているのでしょうか。もしくは、これからどうしていくのかということをお伺いいたします。

 中野区社会福祉協議会では、事業を進める中で、行政や介護保険等、既存のサービスの対象にならない制度のはざまにある人、またそれらサービスの対象になるにもかかわらずサービスを利用しない・利用できない、いわゆるSOSを出せない人たちの存在が課題であると認識しています。そこで、社協は、平成27年より福祉なんでも相談事業を開始し、年々利用者がふえているということです。福祉なんでも相談でひきこもりの相談は年々増加し、特に40代、50代の相談が多いということです。相談内容に中高年のひきこもりが多かったことをきっかけに、平成27年に民生・児童委員をはじめ、各すこやか福祉センターや地域包括支援センターなどに対してアンケート調査を実施し、167名の方が何らかの理由によりひきこもり状態であることがわかっております。社協としまして8050について事業内容に盛り込んでおりまして、ひきこもりの当事者とその御家族が語り合う場所としてカタルーベの会を毎月行っており、これも参加者が徐々に増加しているということであります。すこやか福祉センターなどからの紹介で参加されることもあります。これらの事業は社会福祉協議会の自主財源となっております。今後、さらなる深刻化が予想されるこの問題に対して、区は社会福祉協議会などとのより一層の連携支援、役割分担が必要になると考えますが、どのようにお考えでしょうか。

 OECDによりますと、ひきこもりの原因の多くの精神疾患は児童・青年期に発症するということです。中野区は、令和3年に児童相談所機能を含む(仮称)総合子どもセンターを開所する予定ですが、その役割は重要となってきます。また、私たち1970年代生まれの世代はロストジェネレーションとも呼ばれ、バブル崩壊で就職が思うようにできなかった世代であり、ニート、ひきこもりの方々が多いとも言われております。ひきこもりの潜在性は各世代にあります。ひきこもり対策として、短期観点からの対症療法と中・長期的な観点からの根本療法、双方の環境を拡充していくべきと考えますが、区は今後どのような対策を講じていくのか、お伺いいたします。

 しかし、財源、人工(にんく)、プライバシーの問題など行政の対応には限りがあります。最悪な事態にならない最低限度のセーフティネットとして区は何ができるのかということをしっかりと熟考していただきたいと要望を申し上げまして、この項の質問を終了させていただきます。

 2番目、国家戦略特別区域法の活用について、自治体間競争の中、魅力ある自治体であるために中野区で特徴ある産業を育てていただきたいと思っております。自治体間競争とはいえ、他の自治体からヒト・モノ・カネを奪うような発想はゼロサムゲームになるため、何もないところからモノ・カネを生み出して選ばれる、正々堂々とした戦いを中野区にはしていっていただきたいと思っております。私は、再三御提案しておりますが、国家戦略特別区域法を活用いたしまして規制緩和を行い、イノベーション、そして新たなビジネスが始まる、そんなわくわくする区政をつくっていきたいと切に思っております。

 ことし3月に、私が所属しております東京青年会議所中野区委員会から区長宛てに二つの提言を提出させていただきました。それについて取り上げさせていただきます。

 一つ目、世界最先端浸水予測システムについて。

 3年前から、国土交通省国土技術政策総合研究所は、ゲリラ豪雨のような突発的な大雨にも対応可能な浸水予測システムを社会実装するために中野区の一部地域で特定の方々を対象に社会実験を行ってきました。このシステムは、河川の外水だけではなく下水道管の水の流れも考慮されておりまして、マンホールなどからの浸水、つまり内水においてもその計算予測がされております。また、東京青年会議所では、その国交省のシステムと早稲田大学関根研究室のシステム二つを活用した水防訓練を南中野中学校で実施させていただきまして、テレビ・新聞にも取り上げられまして、その成果はマニフェスト大賞の政策提言賞のノミネートをいただきました。中野区地域防災計画の風水害対策計画では、台風性豪雨、線状降水帯豪雨、ゲリラ豪雨の降水種別ごとの避難対応が明記されたタイムラインが作成されました。また、東京都は、ことしより「東京マイ・タイムライン」という水害時の個人の行動パターンをまとめるツールを作成いたしました。リアルタイムの浸水予測システムとタイムラインを使うことで防災関係者と住民それぞれの動き方が明確になっていきます。さまざまな水害対策が進む中、国土交通省では、先ほど言っておりました、浸水予測システムのバージョンアップを図っていくということで、その実用性を検証するために中野区とさらなる連携を深めたいということでありますけれども、区のお考えをお伺いいたします。

 しかし、この予測システムが完成しても、現行の気象業務法の解釈の仕方ではシステムの不特定多数に情報発信ができません。気象業務法では、気象庁、気象予報士、気象業務許可事業者のみが気象情報、災害予測情報を出せるわけでありますが、国土交通省とはいえその情報を勝手に出すことができません。今回の浸水予測システムのさらなる技術発展のサポートすることを奇貨といたしまして、中野区のソフト対策としての防災力の強化が望めると考えます。

 そこで、国家戦略特別区域法によって、気象業務法の規制緩和をし、気象関連研究機関、事業者が予測技術を競争し合うことで浸水予測システムを含む新たな災害予測技術のイノベーションを推進していくべきと考えますが、区としてはいかがお考えでしょうか。

 二つ目、ドローンについて。

 第1次はパソコン、第2次はインターネットやメールアドレス等の普及、そして第3次はスマートフォンの登場で、IT革命はどんどん進んでおります。そして、第4次のイノベーションとして、ドローンの誕生にそれが期待されているところでございます。しかし、法律によってドローンの飛行の規制は厳しいものであります。千葉県千葉市では、国家戦略特区を使って宅配ドローンの社会実験により実用性の検証を行っております。東京青年会議所では、中野区においても同特区法に申請しまして、ドローンを利活用したシティプロモーション、防犯・防災、メンテナンス等の技術向上に資する実証実験を行い、イノベーションが想像できる環境づくりについて提言をさせていただきました。区としても、哲学堂公園のプロモーションビデオ撮影でドローンを使用されており、ドローンの活用にお考えがあることはうかがいしれます。

 私個人的には、中野区内にあります都立富士高校のグラウンドをお借りいたしまして、密集市街地におけるドローンの飛行実験を2回実施させていただきました。1回目は、アメリカンフットボールの試合を真上から撮影いたしまして、戦略的に非常に参考になる映像をおさめることができました。2回目は富士高校で、文化祭の後夜祭で打ち上げ花火を中野区内で上げるということを毎年やっておりますので、その様子を上空からおさめようとしましたが、その日は風が強くて撮影を断念いたしました。ドローンパイロットの技術やモラル、風の状況から飛行をやめる判断などを見て、あくまで安全・安心は人間がつくるものということの確証もいたしました。

 ドローンによるイノベーションを創造するためには、まずは飛行できるフィールドを用意する必要があります。以前にも取り上げましたけれども、有事を踏まえ、まずは河川上で飛行できないかと考えます。河川は、区の管理であるために区の許可があれば飛行可能と思いますけれども、飛行させるために必要な諸手続について、伺います。

 また、小・中学校の周年行事などで行われる人文字などはヘリコプターで撮影するよりもドローンの方が低価格でさまざまな角度から撮影が可能であり有用と考えますが、こういった場合の諸手続についてもお伺いいたします。

 ところで、国立研究開発法人建築研究所では、ドローンを活用した建物点検調査技術の開発をしております。建物の周りをドローンで写真のような画像データ、ほかにも3Dレーザースキャン、赤外線など、さまざまなセンサーで非破壊・非接触検査を行う開発をしております。高層ビルなどで人が直接検査するよりもドローンのほうが安全であります。構造物の長寿命化をする上で維持管理は非常に重要で、そのために定期的な検査・点検が必要となってまいります。また、有事の緊急性が高いときに有用な技術であります。建築研究所は、人口集中地区、DIDと呼ばれるエリアであります自治体と連携をしていきたいということであります。そういった社会実験は中野区でも求められているということで、今後、技術発展が見込めるドローンに関しても国家戦略特区の申請などを踏まえ建築研究所などとの連携を模索していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 人よりもドローンのほうが安全というキャッチフレーズでイノベーションが起こることを期待して、この項の質問を終えます。

 3番目、森林環境譲与税について。

 平成31年3月27日に森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律が成立しました。森林環境譲与税は、令和6年度から個人住民税に上乗せして一人当たり1,000円を徴収します。徴収された森林環境税は、森林環境譲与税として配分されます。配分に関しては先行的に行われまして、ことしから始まりました。森林環境譲与税は復興税からの切りかえとなり、実質負担は感じませんが、区民に納めていただいた森林環境税は区民に還元されなければなりません。そもそも、この森林環境税は、国土の森林を推進するために、平成18年の森林・林業基本計画、そして平成22年の木材利用促進法がこの法体系のルーツとなります。私もその現場にいたんですけど、国土交通省の実物大の実験で木造3階建ての小学校の火災実験というものをやっていました。その3階建ての小学校に火をつけてそのまま燃やしてしまうという実験なんですけども、そういった実験などを踏まえて、平成26年には木造3階建て、学校大規模建設などができる建築基準法が改定されていきました。そして、今回の森林環境譲与税ができました。このような国の大きな動きから、国や東京都は木造の公共施設を建設するための補助制度を創設しておりますが、区は把握されているのか、お伺いいたします。

 これから区役所、小学校の建てかえが進む中、財源が非常に厳しくなっていきます。森林環境譲与税と国・東京都の補助金を活用することで区の持ち出しを最小限に抑えつつ、小・中学校の建てかえであれば、2年前に山本議員が取り上げておりましたけれども、木育にも資するものとなっていくと考えます。木造を含む前提で施設整備計画をすることで多くのメリットが生まれてきます。

 そこで、森林環境譲与税をまずは環境基金に積み立て、施設整備に対して投資すべきと考えますが、区はどのように活用するのか、お伺いして、この項の質問を終えます。

 4番目、海洋プラスチックごみ問題につきまして、海洋プラスチックごみ問題は、人間生活から廃棄されるプラスチックごみが沿岸部や海に流出し、生態系破壊や人体への健康被害、沿岸部の経済社会のダメージ等を引き起こしている問題です。

 2018年6月カナダで開催されましたG7シャルルボワサミットで、海洋プラスチック問題等に対応するために世界各国に具体的な対策を促す「健康な海洋、海、レジリエントな沿岸地域社会のためのシャルルボワ・ブループリント」を採択いたしました。プラごみは、本日と明日開催しておりますG20の主要なテーマの一つとなっております。プラスチックは紫外線に弱く、洗濯ばさみがよくぼろぼろになっていくということから、紫外線によってぼろぼろになり、さらに細かくなっていきますと5ミリ以下のマイクロプラスチックとか生態系を破壊してまいります。洗顔料や歯磨き粉のスクラブ剤等にも利用されているマイクロビーズも同様であります。排出抑制よりもプラスチックを製造させない根本的な対策が必要となってきますけれども、まずは可能なところから実施していかなければなりません。

 そこで伺いますが、区は、家庭から排出されるプラスチックごみをどのように回収しているのか、お伺いいたします。

 プラスチックのリサイクルは、物理的に形を変えるマテリアルリサイクル、化学変化をさせるケミカルリサイクル、プラスチックが原油由来ということで熱処理に使われるサーマルリサイクルがあります。区として収集したプラスチックごみはどのように処理されているのか、お伺いいたします。

 また、中野区の家庭から排出されるプラスチックごみと世界的に問題となっております海洋プラスチックごみとの関連性についてどのようになっているのか、お伺いいたします。

 中野区として海洋プラスチックごみ問題として、御答弁の中で、もし不作為がなかったとしても、個人のポイ捨てや無許可業者の不法投棄などモラル・法律にかかわるところもあります。持続可能な世界をつくっていくためにも、行政、そして各個人で御努力していただくことを切に要望させていただきまして、この項の質問を終えます。

 最後、5番目、中野駅新北口駅前エリア(区役所・サンプラザ地区)再整備について、質問させていただきます。

 本定例会一般質問において、新サンプラザにおきましては民設民営で行うとの御答弁がありましたが、それについて深掘りさせていただきます。区役所の建設費用に254億円かかりまして、64億円を財調で、190億円程度が起債と想定されているというような御答弁があったと思いますけれども、区債については早期に償還しなければ年々利子返済分だけでも数億円かかっていくというものになっております。サンプラザ再開発から生まれる転出補償は区運営において非常に重要な財源となります。サンプラザ再開発が民間によるものになると、最終的には土地を所有する事業者に好き勝手な開発をされるのではないかということの懸念も出てまいります。中野区、そして中野区民にとってみんなが描く理想に近付けたいという思いもありますし、事業者としてはできるだけ収益が高いものにしたいと双方の思いが出てくると思いますけれども、権利を持っている事業者の意見が通るのではないかということが不安になってまいります。

 そこで伺いますけれども、区は、民間によるサンプラザの再整備について一定の発言権を維持し、事業者に好き勝手な開発をさせないための方法について、お伺いいたします。

 続いて、民設民営の大規模集客交流施設、いわゆるアリーナについて、お伺いいたします。

 現段階において客席数の規模感は決まっていないということであります。3月の予算特別委員会で、私は、現在の中野サンプラザホールがそもそも中野区民のために役立っているのかということに疑問を呈させていただきました。一般区民にとってはコンサートとかに行かない限り中野サンプラザホールへ入ることはありません。行くとしたら、成人式のみでございます。幾ら区民のための施設とうたっても、今と同規模のホールをつくるのであると同じようなことがまた起こる、区外の方々ばかりが還元されるというような施設になるのかなというふうにも考えるわけであります。ある程度の規模がある平土間型のアリーナであれば、北海道物産展みたいなイベント、最近では規模が拡大し細分化されているコミケ、バスケ、卓球、フットサルなどのプロスポーツなどにも使え、区民がわくわくできる可能性があると指摘させていただきました。むしろ区民に還元されない規模、今と同じような規模であれば区がホール、アリーナを間接的であろうと立地させる必要があるのかということも疑問になってまいります。ということで、最大の集客規模の平土間型の施設がよいということを提案させていただきます。

 第22期、前期4年間で自民党会派委員会視察におきまして、これも予算特別委員会で言いましたけども、函館アリーナ、ゼビオアリーナ仙台、浜松アリーナ、大阪城ホール、愛知県武道館、マリンメッセ福岡などの全国のアリーナ施設に伺いましてその成功と失敗を視察してまいりました。設計思想、それらの成功事例を見て、最先端にすることで1回当たりの興行の使用料、年間の維持管理等の費用の抑制を図ることができるわけであります。

 ポイントは、大きく分けて四つだと思っております。

 一つ目は、舞台装置・照明。今、舞台というのは、ワイヤーでつり下げるのが基本ということで、地上から組み立てると非常に危ないというものもあるということで、ワイヤーでつり下げる、そういった施設にするということです。大阪城ホールでは、最大39トンつり下げることができるということでありますが、後からそういったつり下げもつくったということで、やはり定期的なメンテナンスが必要だということで最初からある必要があると考えます。また、LED照明を最初からしっかりとすることによりまして、もちろん軽いということでありますし、またすばらしい演出を今LEDの照明ですることができます。

 二つ目は、搬入です。興行用装置の荷さばきのためにトラックがアリーナに直接入ることによりましていろいろ荷さばきをする時間が短縮されるということで、人件費の抑制ができますし、トラックをアリーナの脇に駐車するというような、そのスペースも必要ありません。これはホールではできないということであります。

 3番目、ウェイティングスペースでありますが、興行開始前の利用者の待機スペース、四季の森公園、そして幾らでも時間を費やしたくなる中野駅周辺地区がありまして、それもまた地域に還元されるということになります。

 そして、四つ目、IoT活用をすることです。スマートフォンなどで管理される出入り口でこれをすることによりまして人件費の抑制ができますし、そういった入退場がスムーズになることで、スマートアリーナと呼ばれるものですが、こういったものの活用もしていくべきだと考えます。

 区民が楽しめる施設とするために平土間型施設、つまりアリーナにしていただきたいと考えます。この新しいサンプラザにおけるアリーナのあり方について区長はどのようにお考えなのか、お伺いして、私の全ての質問を終えます。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 加藤議員の御質問です。

 まず最初に、ひきこもりや8050問題への対応です。区では、ひきこもり者や家族からの相談はすこやか福祉センターが地域のワンストップ総合相談窓口として相談支援を行っているほか、生活援護課の生活困窮者自立支援や地域包括支援センターでも相談を受けているところでございます。また、東京都のひきこもりサポートネットとも連携して個別事例に対応しているところであります。一方、社会福祉協議会は、以前から中高年のひきこもりについて家族支援などの取り組みを進めているということで認識をしております。区や社会福祉協議会をはじめとする関係団体がそれぞれの専門性を生かして包括的な支援体制を構築していくために、適切な役割分担と連携の強化に努めてまいります。

 次に、今後のひきこもり対策についてでございます。ひきこもりの状態に至るまでの原因や経過、また当事者や家族が求める支援の形もさまざまであると考えられます。このため、一人ひとりの状況とニーズに応じた丁寧な対応が求められていると認識しております。区では、当事者・家族に寄り添いながら地域での継続的で包括的な支援につながることが重要であると考えておりまして、関連部署、関係団体が一体となって進める地域包括ケア体制を構築して支援を行ってまいりたいと考えております。

 次に、国家戦略特別区域法の活用について。

 まずは、各研究機関との連携と国家戦略特区の申請についてでございます。本システムでは、降雨量等から河川の氾濫やマンホール等からの内水判断による浸水を事前に予測し、携帯電話等に警報アラートとしてメール配信をすることで区民の避難行動を促すことができると聞いております。一方、区では、現在、河川判断にかかわる情報は、降雨量、河川の水位、洪水予報等を総合的に判断して避難情報として区民に提供する体制を整えておりますが、内水判断は浸水予測が困難な状況でございます。内水判断による浸水予測が可能となって必要な避難情報等を区民に提供できる場合には効果は高いと考えられることから、委員御案内の各研究機関との連携、それから国家戦略特区の申請等について検討してまいります。

 次に、ドローンについて。河川におけるドローンの飛行手続についてのお尋ねでございます。中野区は人口集中地区なので、ドローンを飛行させる場合にはあらかじめ国土交通大臣の許可を受ける必要がございます。また、ドローンの飛行に当たっては、国土交通省が定めた無人航空機飛行マニュアルを順守することや、飛行目的や日時等について東京都や区をはじめとした関係機関との情報共有、周辺住民への周知等が必要と考えております。

 次に、学校行事等へのドローンの活用でございます。学校行事等を含む多数の人々に影響が生じる催し物の上空飛行の場合は、航空法に基づく所定の審査手続に加えて、学校関係や警察等を含む各行政機関との調整を含め、より厳しい安全性確保や保安上の措置が求められていると認識をしております。

 次に、国の研究機関と連携したドローン活用でございます。都市計画法に基づく土地建物現況調査並びに構造物、建造物の安全点検など、国の研究機関と連携したドローンの活用は有用だと考えております。ドローン飛行に当たっての安全性や保安上の課題も十分検証し、可能性について検討してまいります。

 次は、森林環境譲与税の活用についての木造公共施設建設への補助制度についての御質問でございます。国は、公共建築物等木材利用促進法に基づく木材利用方針を策定している地方公共団体に対して、地域材利用のモデルとなるような公共建築物の木造化、内装木質化を行った場合などに補助しております。また、東京都には多摩産材利用促進プロジェクトの一環として、木材利用推進方針を策定している市区町村が多摩産材を使用したモデル的な木造、内装木質化、木製什器による施設整備を行う場合の補助制度があることなどを承知しております。

 次に、森林環境譲与税の有効な活用についてでございます。今後の施設整備における財源として、森林環境譲与税や国や都の補助制度を有効に活用することも必要となってくると考えております。施設整備における木材利用はそのコストを勘案しながら促進すべきと考えており、今後、区の木材利用の考え方を整理してまいります。森林環境譲与税は毎年譲与されるものであって、施設整備のスケジュールを踏まえて、最も有効に活用するために一時的に環境基金に積み立てることも想定をしております。

 次に、中野駅新北口駅前エリア再整備についてでございます。

 まず、再整備における発言権についての御質問です。中野駅新北口駅前エリア再整備は、今後策定する再整備事業計画に基づいて民間参画事業者の公募を行うこととしております。この再整備事業計画や上位計画となる中野四丁目新北口まちづくり方針、都市計画としての中野四丁目新北口地区地区計画などにおける方針に沿った開発を誘導していくため、民間の完全な自由ということにはならず、むしろ公共貢献を引き出していく考えでございます。また、市街地再開発事業への一定の関与を保持し、事業の着実な推進を図るため、現在の資産の一部を市街地再開発事業において権利変換し、事業後の資産を保有する考えでございます。

 最後に、大規模集客交流施設のあり方についてでございます。中野駅新北口駅前エリア再整備における大規模集客交流施設は、中野サンプラザのDNAの一つであるポピュラー音楽の公演を主体とした民設民営の多目的ホールとして整備・誘導を図る考えでございます。また、中野の文化がさらに豊かになるよう多様なエンターテイメントに対応できるホールとするため、民間事業者からの提案を求めていく考えでございます。

〔環境部長岩浅英樹登壇〕

○環境部長(岩浅英樹) 私からは、海洋プラスチックごみ問題について、お答えいたします。

 まず、プラスチックごみの収集と処理についてでございます。プラスチック製容器包装及びペットボトルは資源として回収し、それ以外のプラスチックでできた製品は燃やすごみとして収集をしているところでございます。資源として回収いたしましたプラスチック製容器包装及びペットボトルは中間処理施設に運搬し、そこで選別をした後に圧縮・保管し、容器包装リサイクル法に基づく指定法人ルートに乗せて再商品化事業者によりリサイクルが行われておりますけれども、今年度区が回収したものにつきましてはマテリアルリサイクルが行われております。燃やすごみとして収集いたしましたプラスチックごみは清掃工場に搬入し、適正に焼却処理を行っております。なお、焼却により発生する熱エネルギーはサーマルリサイクルとして発電や熱供給に有効利用され、焼却灰も埋め立て処分以外にセメントの原材料である粘土の代替材料としても利用されているところでございます。

 次に、海洋プラスチックごみと家庭ごみとの関連でございます。海洋プラスチックは、その多くが陸から運ばれたものであるとされておりまして、例えばポイ捨てされたレジ袋やペットボトル、使い捨ての食器等が屋外に放置され、それらが雨や風によって流され、最終的に海に流れてしまったことにより発生しているものでございます。分け方や出し方のルールがきちんと守られて家庭から排出されたプラスチックは、リサイクルや焼却処理等を確実に行っているため、海へ流出することはございません。今後とも3Rの推進や資源ごみの適正排出につきましては、海洋プラスチックごみの問題に関することも含め、区民等に対し周知・啓発を行ってまいりたいと考えております。

○議長(高橋かずちか) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 斉 藤 ゆ り

 1 公教育について

  (1)子育て先進区における教育施策について

  (2)幼児教育について

  (3)鷺宮小学校・西中野小学校統合新校の新校舎整備と通学路について

  (4)新小学校学習指導要領における外国語活動と外国語科について

  (5)その他

 2 再犯防止推進計画策定について

  (1)策定準備について

  (2)計画内容について

  (3)その他

 3 西武新宿線野方駅以西の駅周辺まちづくりについて

  (1)連続立体交差事業の今後の見通しについて

  (2)区民とすすめるまちづくりについて

  (3)その他

 4 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、斉藤ゆり議員。

〔斉藤ゆり議員登壇〕

○7番(斉藤ゆり) 今期より中野区議会議員として仕事をさせていただくことになりました。令和元年第2回定例会に当たり、これまでの地域での活動をもとに、私が感じてきたこと、皆様から聞いてきた声をもとに、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問いたします。質問項目は通告のとおりで、4、その他はありませんが、1の(3)と(4)の順番を変えて質問いたします。

 最初に、公教育について、質問します。区長に、教育施策の理念についてお伺いいたします。

 区長は、就任以来、「中野区を子育て先進区へ」を区政運営の柱として掲げてこられ、この言葉は今や広く区内に浸透しています。今後、中野区が多くの方々に子育てしたいまちとして選ばれるためには、中野区ではどんな子育てができるのか、子どもたちはどんな教育が受けられるのかを示していくことが必要です。そうした理念をもとに、必要な子育て支援策や関連施設の設置、望ましい学校や教育のあり方が考えられていくことになります。これから基本構想・基本計画、そして教育大綱を丁寧にまとめていかれると思いますが、現時点で子どもたちの育ちと学びに対してどのようなことを大事に考えていらっしゃるのか。子育て先進区中野の実現を目指し、区長の考える中野らしさとはどのようなことなのか、区長メッセージとしてぜひアピールしていただきたい。区長のお考えをお聞かせください。

 次に、幼児教育についてのお伺いです。

 幼児期の体験は、人として豊かに生きる基礎となるものです。幼児は、家庭や地域社会での学びとともに、保育園・幼稚園等就学前施設においては、教師との信頼関係に支えられながら、集団生活の中で友達とかかわって社会性を身につけ、興味や関心に基づいた体験や遊びを通じてさまざまなことを学んでいきます。真に質の高い幼児教育とは、教科としての学習を先取りする小学校教育課程の前倒しではなく、体験的であること、主体的であることが重要だと考えます。区の見解をお聞かせください。

 子どもたちが小学校1年生として入学後スムーズに学校生活がスタートできるように、またそれまでに体得してきたことを小学校で十分に発展させていけるように、良好な接続が図られなければなりません。保育園・幼稚園等と小学校とは互いのカリキュラムの理解を進め、保・幼・小連携の一層の充実が図られ、アプローチカリキュラム、スタートカリキュラムを設定いただきたいと考えます。

 また、幼児一人ひとりの特性に応じた思慮が行われる中で、特別な支援を必要とする子どもたちについては十分配慮されなければなりません。現在、私立幼稚園でのこうしたお子さんの受け入れに補助金が支出されるなど制度整備が進められ、また園での御努力もいただいているところながら、区立幼稚園が大変多くの要支援児を受け入れているという現状があります。この状況はしっかりと認識していかなければなりません。現在、中野区立幼稚園としてひがしなかの幼稚園とかみさぎ幼稚園があります。この2園は地域に根付いた歴史のある園で、通園する園児の保護者からも厚い信頼を得ています。私は、中野区の質の高い幼児教育実現のために、区として幼稚園を幼児教育の実践研究のための施設として持っていることが大変重要だと考えています。区立園と私立園では互いのよさを生かしつつ、教育研究を合同で行うのも大切です。区立園は現在多様な保育ニーズの受け皿となっているという現状もあります。こうした理由からも、区立幼稚園を今後も存続させるべきだと考えております。いかがでしょうか。

 次は、通告と順番を変えて、新小学校学習指導要領における外国語活動と外国語科について、質問いたします。

 グローバルな世界で生きる子どもたちにとって、2020年度からの外国語科における学びは大きな意味を持つでしょう。中野の子どもたちにはぜひ広い世界を見渡して活躍する人材として育ってほしいと願います。ところが、指導に当たる現場の教員は、大学教職課程において外国語指導について学ぶ機会がなかった方々がほとんどです。指導への不安はとても大きいと聞いています。中野区では、これまで外国語活動において、ALT(アシスタント・ランゲージ・ティーチャー)として多くの児童英語指導にたけた日本人指導者がTT(ティーム・ティーチング)と呼ばれる担任教諭と役割分担した複数指導の形態で各教室に指導に入っていました。このALTが果たしてきた役割はとても大きかったという経緯があります。来年度教科化になる5・6年生については、今年度より比べて年間時数が20時間ふえて70時間となります。これはおおむね週2時間授業がある計算になります。ALTの配置時間数は可能な限りふやしていただきたい。また、配置予定時間数は各学校にできるだけ早く連絡をし、対応が速やかにできるよう配慮いただきたいと思います。

 さらに、ALTの配置がスムーズにいくよう、例えば教育委員会が調整役となった人材ネットワークを立ち上げるなど工夫をされてはいかがでしょう。教員の指導力を向上させるためには学びの場が必要です。指導に精通し、身近に相談に乗ることができるスーパーバイザーのような方を置き、必要に応じて各校を回っていただいてはどうでしょうか。

 中野区では、小・中連携が進められており、乗り入れ事業や協議会等を通じて教員同士の交流が活発に行われています。一方で、小学校での外国語活動の実際の内容までは中学校の教員に十分周知されていないようです。前項で保育園・幼稚園との小学校の連携について触れたように、小・中連携においても、外国語に限らず、教員同士が相互にカリキュラムの内容を理解し合うことが学びの連続性にとって大切なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 外国語は、英語だけではありません。子どもたちが多くの外国を身近に捉え、関心を持つことが大切です。来年はオリンピック・パラリンピック開催の年でもあります。ぜひ英語圏に限らない、各国さまざまな地域、国々の書籍などを学校図書館に積極的に導入し、国際理解につなげてはいかがでしょう。これは、在籍する外国籍の子どもたちにとっても日本での生活になじむためのよいきっかけになるのではないでしょうか。

 鷺宮小学校と西中野小学校の統合新校についての質問です。

 この統合新校は、学校敷地の間を公道が通っている第八中学校位置に置かれる計画となっています。現在の基本設計案によると、児童が教室のある北側敷地から南側の校庭へ移動する場合は道路上空通路を使うことになります。通常時も災害時にも危険がないように移動ができるよう、小学校校舎として安全に十分に配慮した設計にしていただきたいと考えます。現在の検討状況をお聞かせください。

 西武新宿線の線路を越して通学する児童のために、西武新宿線立体交差事業が終了するまでの期間、危険のないように跨線橋の設置を検討すると聞いていますが、現在の検討状況をお聞かせください。

 設置場所、費用、立体交差工事中の対応についてなど課題は多いと思います。跨線橋の設置が難しい場合はどう対応するのかも同時並行で検討する必要があると思われますが、いかがでしょうか。

 統合新校へ通学予定の児童を持つ保護者の不安が少しでも少なくなるよう丁寧な説明が必要だと思われますが、対応についてお聞かせください。

 この項、その他としての質問です。前項に関連することではございますが、現在数校で学校再編による統合新校の校舎設計が進められているところです。区として、新しい試みとなる一足制導入も含めて、設計に当たっては現場の先生方としっかり連携をとって進めていただきたいと考えます。現在の連携状況についてお聞かせください。

 2番目、再犯防止推進計画策定について、お伺いします。

 平成14年をピークに刑法犯検挙者の数が減少し、平成29年には戦後最少を更新しました。一方で、再犯者の占める割合が増加傾向で推移し、平成29年においては48.7%という高い数字となりました。これは、検挙者の半数弱が初犯ではないということを意味しています。今、犯罪を減らすために、犯罪を犯した人の再犯を防止することが大変重要な取り組みとなっています。犯罪を犯した人もいずれ社会に戻ります。そのとき住む場所や仕事がなく、社会で孤立していると再び犯罪を犯してしまうケースが多く見られます。再犯防止には地域社会全体で取り組むことが必要不可欠です。こうした中、平成28年に再犯防止の推進に関する法律が施行され、この法律に基づき、国の再犯防止推進計画が策定されました。地方自治体でも同様に計画策定が努力義務として課せられました。中野区ではどのようなスケジュールで計画を策定されるのか、お尋ねします。

 策定においては、地域の中で活動している保護司や民間協力者の意見を取り入れてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

 再犯防止の計画には、例えば居住場所の確保、就労については、雇用主をふやすことが項目として挙げられます。犯罪を犯した人やその家族に関しては、高齢だったり、心身の障害を持っていたり、貧困の問題を抱えているなど、福祉的支援の必要なケースもあります。窃盗を繰り返すクレプトマニア、性犯罪、また覚せい剤取締法違反による検挙者は薬物依存症の患者である場合が多く、その場合は医療など専門的な対応も必要になります。このように、行政と地域協力者やさまざまな関係機関との連携が必要です。さらに、再犯防止には犯罪予防の視点も必要です。刑事施設入所受刑者の教育程度は、平成27年の統計によると37.4%が中卒までという数字となっています。必要に応じて学校不適応の子どもたちに対し小・中学校と連携した取り組みをすることが必要です。そのほかにも、民間団体による薬物乱用防止教室が実施されたり、警察からは特殊詐欺の被害に遭わないようにというだけではなく、犯罪に手を染めないようにという呼びかけも行われています。また、悩みがあるときにそれを気軽に打ち明けられるカフェや子ども食堂など集いの場所や相談窓口が地域にあれば、薬物に逃避せずに済む人もいるかもしれません。再犯防止推進計画においては、犯罪予防の視点を持った関係機関団体との連携の仕組みが明記されたアウトリーチの中野らしい内容となるよう願いますが、いかがでしょうか。

 毎年7月は、「社会を明るくする運動」の強調月間です。この期間は、同時に再犯防止啓発月間でもあります。ぜひ啓発活動にも取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょう。

 こうした更生保護への取り組みについて、現在、区役所では地域支えあい推進部区民活動推進担当が担当されています。この取り組みをどこの部署で担当されているか、部署の名称を一目でわかるよう工夫されてはいかがでしょう。

 最後に、西武新宿線野方駅以西の駅周辺まちづくりについて、お伺いします。

 野方駅以西の西武新宿線連続立体交差事業においては、平成28年に野方駅から井荻駅、井荻駅から西武柳沢駅の区間は国からの着工準備採択を受けて事業化を前提とした位置付けとなっています。井荻駅から西武柳沢駅間の構造形式は高架として都市計画素案が作成され、事業化に向けて次の段階に進んでいますが、一方で野方駅から井荻駅間についてはまだその段階にありません。地域からは、踏切渋滞解消は鉄道地下化による立体交差を望むという要望が挙げられております。まちづくりにおいても鉄道の構造形式が大きく影響のあるものです。この区間について、現在区は西武鉄道と東京都の間でどのような調整を行っているのか、今の状況をお聞かせください。

 また、鷺宮地域は、主体が異なるさまざまな事業課題があり、一般住民からすると大変にわかりにくい状況となっています。連続立体交差の工事は西武鉄道が行いますが、構造形式を決める事業主体は東京都、さらに中杉通り都道補助第133号線や妙正寺川の整備についても東京都が事業主体です。建設年数が間もなく60年となる公社鷺宮西住宅の建てかえはJKK東京(東京都住宅供給公社)となります。駅周辺や中杉通り沿道、学校再編後の鷺宮小学校跡地利用などのまちづくりは中野区で取り組むことになります。このような状況下、平成28年に立ち上げられた鷺ノ宮駅、野方駅、都立家政駅における駅周辺地区まちづくり検討会では、各団体の代表者と公募によって選ばれた方々が会員となり、まちづくり構想が検討されました。平成30年に2年間の集大成としての検討結果が区へ提出されております。また、踏切対策については、西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟を通じて関係機関に要請活動を行っております。区民の意見としては、このような形で集約され、関係機関へと届けられていますが、一般住民がこうした活動や関係機関の取り組みについての情報を十分得ているとは言えません。さきに述べたようにわかりにくい地域事情があり、事業主体についても十分理解されているとは言えないのが実情です。区長は、自治体3.0の取り組みを目指すと話されていました。区民の不安が不満にならないよう、みんなのまちをみんなでつくっていけるよう、区民に向けて状況説明が定期的に行われることを望みます。新たなまちづくりは数十年かかる長い計画となります。特にそのまちに暮らすだろう次代を担う子どもたちと子育て世代に意見を聞いてほしいと思います。こうした経験はシビックプライドの醸成にもつながることでしょう。このまちが子どもたちにとって夢のあるよきふるさととなってほしいと願います。

 これから区は、行政計画であるまちづくり整備方針を策定していくところだと聞いていますが、まちづくりを進めていく上で地域の意見を吸い上げ、住民との合意形成を図っていくことが不可欠だと考えております。今後の西武新宿線野方駅以西のまちづくりについて、区の見解を伺います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 斉藤議員の御質問にお答えいたします。

 私からは、まず1点目は公教育について。

 子育て先進区における教育施策についての御質問にまずお答えいたします。10年から20年後には半数近くの仕事が自動化される可能性があると言われております。子どもたちがこのような急激な時代の変化の中で持続可能な社会のつくり手となるために必要なコミュニケーション力、論理的思考力、協働する力、人間性などの新しい時代を生き抜く資質、能力を身につけ、中野で教育を受けてよかったと言ってもらえる、中野らしい特色のある教育の実現を目指していきたいと考えております。総合教育会議で教育委員会とともに議論を進める中で、中野の教育が目指すべき姿や具体的な目標を教育大綱として明らかにし、これらの公教育についての私の考え方については、子育て先進区における教育施策としても区民が共有できるようアピールしていきたいと考えております。

 次に、2番の再犯防止推進計画策定についてでございます。

 計画策定スケジュールと保護司等の意見の聴取についてでございます。当初の予定では、本年度中の策定を想定したところでございますが、東京都の計画案がようやく示された段階でございまして、これとの整合を図りつつ策定作業を進めていきたいと考えております。いずれにしても、議会の御意見も伺いながらできるだけ早い時期の策定を目指してまいります。計画の策定に際しては、東京保護観察所など関係機関と連携を図るとともに、保護司の皆さんや民間協力機関のほか、地域の関係団体などとの意見交換を予定しております。

 次に、中野区の再犯防止推進計画の内容についてでございます。再犯防止の取り組みは、就労や住宅等の生活支援、認知症や薬物依存などの保健・医療・福祉の支援、学業を中断した方の継続的な学びや学び直しの支援など、多岐にわたると認識しております。これらを、犯罪防止の視点を含め、全庁的な取り組みとして位置付ける計画内容としてまいります。

 最後に、啓発の取り組みと担当部署をわかりやすくするという工夫についてでございます。再犯防止推進計画の策定に先立ち、再犯防止の取り組みの必要性などについて理解を広めるための啓発活動が大切であると認識しております。今年度、保護司の皆さんのほか、地域で活動する関係団体にも参加いただき、再犯防止の取り組みの大切さの理解を深めるためのシンポジウムの開催を予定しております。また、区報やホームページなどを活用した情報提供なども行ってまいります。計画策定やこれと合わせた啓発活動などを通して、担当部署名とともに、更生保護や再犯防止といった言葉を広く知っていただく取り組みを進めてまいります。また、職員の名刺に担当業務内容を明記するなどわかりやすくするための工夫をしてまいります。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、まず幼児教育についての御質問にお答えいたします。幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を養う重要なものであります。それは決して小学校教育の前倒しではなく、幼児期の特性や発達段階を踏まえ環境を通して行われるべきものであると捉えております。

 そして、区立幼稚園の存続についての御質問でございますが、区立幼稚園は私立幼稚園等とともに教育研究を合同で行い、幼児教育並びに就学前教育の充実に取り組んできた歴史がございます。区立幼稚園の存続につきましては、これまでの経緯を踏まえ、今後、区立幼稚園が果たす役割、存続した場合の財政負担などを検証し、今後の区立幼稚園のあり方を検討しているところでございます。

 次に、新小学校学習指導要領における外国語活動と外国語科についての御質問にお答えいたします。小学校では、来年度の新学習指導要領完全実施により外国語活動と新設される外国語科の授業時数が増加いたします。それに伴い、ALTの配置時間数の拡充について検討してまいりたいと存じます。ALTの配置時間数などはできるだけ速やかに学校にも伝えてまいります。また、教育委員会として、今年度ALTを含む学校サポーターの登録制度をつくったところでございます。ALTも含め登録を諸方面に働きかけているところでございます。あわせて、こうした人材を紹介する外部の情報なども学校に提供してまいりたいと思っております。

 ALTの学びの確保とスーパーバイザーの配置についてでございますが、今年度これまで小・中学校教員が対象でありました夏期強化等集中研修の中の外国語活動や外国語の教育マイスターによる長期授業公開にALTの参加も認めるなど、学びの場を確保しております。小学校・中学校教員も希望して参加できるような研修でございます。また、ALTのスーパーバイザーについては課題と考えておりまして、他地域での導入事例がありますので情報を収集して検討してまいりたいと存じます。

 次に、総合カリキュラム理解についてでございますが、今年度は7年間の計画で推進してきた小・中連携教育の最終年度に当たります。これまでの中学校区を中心とした小学校と中学校の連携教育の総まとめを行うとともに、来年度からは新しい保育園・幼稚園・小学校・中学校の連携教育の骨子を検討してまいります。新しい保・幼・小・中連携教育では、これまで重点を置いて行ってきた保育園・幼稚園と小学校、小学校と中学校の接続や連携を見直し発展させていくだけではなく、外国語を含めた教科等の指導や行事等の教育活動の連携など、保育園・幼稚園の幼児教育から小・中学校を通した学びの連続性を重視したカリキュラム研究を構想しているところでございます。

 次に、学校図書館への外国書籍の積極的な導入についてでございますが、グローバル化が進展する社会では、異なる文化や習慣を尊重していく態度の育成が大切です。外国の書籍は、その国の文化や習慣、考え方などを理解する上でとても有効な手段の一つであると考えております。また、外国籍の子どもたちにとっても日本の学校の図書室に親しむきっかけになると存じます。こうしたことを踏まえ、区立図書館では、昨年度、英語の絵本や書籍を購入し、全小・中学校へ期限を定めない団体貸し出しを実施いたしました。また、来年度、区立小・中学校全校に配備される学校図書館システムも十分に活用してまいりたいと存じております。

 次に、鷺宮小学校・西中野小学校統合新校の新校舎整備と通学路についての御質問にお答えいたします。

 統合新校の道路上空通路についてです。新校舎の整備に当たっては、職員室、保健室とともに出入り口や階段の配置等にも留意し、道路上空通路だけでなく新校舎全体について児童の安全が確保できるよう検討を進めてきたところでございます。また、道路上空通路は建築基準法上特例的な扱いとなりますことから、今後進めていく基本設計の中で上空通路の幅や構造等について法令上の要件整理や関係機関との調整を行うこととしております。その上で、最大限に子どもの安全性や快適性を確保できるよう、上空通路並びに新校舎全体の具体的な設計作業を進めてまいります。

 跨線橋の検討状況、通学路の安全対策についてでございます。鷺宮小学校・西中野小学校の学校統合に当たっては、児童が西武新宿線の踏切を渡って登下校することになるなど、通学路の安全確保が課題となっております。跨線橋を設置すれば踏切の除去が実現するまでの間の通学路の児童の安全性を向上することができますが、踏切を除去する事業の支障となる懸念もあることから、事業との整合性を精査しながら設置の可能性について、引き続き西武鉄道と協議してまいります。一方で、別の通学ルートの選択の検討や踏切に誘導員を配置することなど、児童が安心して登下校できるよう最善の安全対策を講じてまいります。今後、保護者はもちろんのこと、地域に対しても十分説明をしてまいりたいと思います。

 次に、その他の御質問の基本設計の進め方について、お答えいたします。新校の基本設計を行う際には、実際に学校の運用を行う学校長や教職員等からの意見を十分に反映しながら作業を進めているところでございます。

〔まちづくり推進部長角秀行登壇〕

○まちづくり推進部長(角秀行) 私からは、西武新宿線野方駅以西の駅周辺まちづくりについて、お答えいたします。

 初めに、連続立体交差事業の今後の見通しについてです。連続立体交差事業は、駅周辺のまちづくりと一体となって進めることでその効果がより一層高まるものでございます。現在、連続立体交差事業の事業主体である東京都は構造形式や施工方法などの検討を進め事業化に向けた取り組みを行い、中野区は区のまちづくりの方向性や都市基盤整備の考え方を示すまちづくり整備方針の策定に向けて検討を進めてございます。そのうち、都立家政駅、鷺ノ宮駅の2駅につきましては、夏から秋ごろを目途に地域の皆様にまちづくり整備方針の素案をお示しできるように、現在、東京都などの関係機関と調整を行っております。また、野方駅につきましては、東京都から、駅直近の踏切は環状七号線が既に鉄道と立体交差していることを踏まえて区間設定しているため、野方駅から井荻駅間の連続立体交差事業で除却することにさまざまな課題があると聞いております。そのため、現在、区は野方駅直近の踏切除却について東京都と意見交換を進めており、その内容を踏まえて野方駅周辺地区のまちづくり整備方針の素案を来年度目途に地域の皆様にお示ししたいと考えております。

 次に、区民と進めるまちづくりについてでございます。今後、区は、検討会から御提案いただきましたまちづくり構想を踏まえた各駅周辺地区のまちづくり整備方針を策定し、まちづくりを進めてまいります。まちづくり整備方針の策定に当たりましては、意見交換会などを通じて広く地元の意見を聞く機会を設けるなど、丁寧に合意形成を図ってまいります。その上で区が主体的となり、さまざまな関係機関と協力しながら地域の皆様と協働したまちづくりを進めてまいります。

○議長(高橋かずちか) 以上で斉藤ゆり議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。

 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、7月1日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時22分延会

 

会議録署名員 議 長 高橋 かずちか

副議長 平山 英明

議 員 竹村 あきひろ

       議 員 むとう 有子