令和元年09月20日中野区議会決算特別委員会

.令和元年(2019年)9月20日、中野区議会第一・第二委員会室において開会された。

.出席委員(42名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  5番  間     ひとみ         6番  河  合  り  な

  7番  斉  藤  ゆ  り        8番  立  石  り  お

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  高  橋  かずちか

 11番  加  藤  たくま        12番  吉  田  康一郎

 13番  木  村  広  一       14番  甲  田  ゆり子

 15番  内  野  大三郎        16番  杉  山     司

 17番  ひやま      隆       18番  小宮山   たかし

 19番  い  さ  哲  郎       20番  小  杉  一  男

 21番  若  林  しげお        22番  内  川  和  久

 23番  いでい   良  輔       24番  小  林  ぜんいち

 25番  白  井  ひでふみ       26番  いながき  じゅん子

 27番  山  本  たかし        28番  中  村  延  子

 29番  石  坂  わたる        30番  近  藤  さえ子

 31番  浦  野  さとみ        32番  大  内  しんご

 33番  伊  藤  正  信       34番  高  橋  ちあき

 35番  平  山  英  明       36番  南     かつひこ

 37番  久  保  り  か       38番  森     たかゆき

 39番  酒  井  たくや        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席議員

      な  し

.出席説明員

 中野区長    酒井 直人

 副区長     白土 純

 副区長     横山 克人

 教育長     入野 貴美子

 企画部長    高橋 昭彦

 企画課長    杉本 兼太郎

 基本構想担当課長永見 英光

 財政課長    森 克久

 広聴・広聴課長、業務改善課長      高村 和哉

 情報システム課長平田 祐子

 総務部長    海老沢 憲一

 危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝瀬 裕之

 総務課長    石濱 良行

 職員課長    中谷 博

 施設課長    髙田 班

 用地経理課長  吉沢 健一

 用地担当課長  小倉 洋

 危機管理課長  田中 謙一

 防災担当課長  山田 健二

 新区役所整備課長中村 洋

 区民部長    青山 敬一郎

 区民生活課長  古屋 勉 

 戸籍住民課長  辻本 将紀

 保険医療課長  渡邊 健治

 産業観光課長  堀越 恵美子

 観光・シティプロモーション担当課長   桜井 安名

 文化・国際交流課長           藤永 益次

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長  戸辺 眞

 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小田 史子

 子ども・教育政策課長          永田 純一

 保育園・幼稚園課長           濵口 求

 教育委員会事務局指導室長        宮崎 宏明

 子ども教育施設課長           塚本 剛史

 育成活動推進課長伊藤 正秀

 子ども特別支援課長           中村 誠

 地域支えあい推進部長          野村 建樹

 地域包括ケア推進担当部長        藤井 多希子

 地域活動推進課長伊藤 政子

 トータルケア調整担当課長、北部すこやか福祉センター所長 小山 真実

 アウトリーチ調整担当課長、南部すこやか福祉センター所長 石濱 照子

 地域保健福祉調整担当課長、中部すこやか福祉センター所長 志賀 聡

 区民活動推進担当課長          宇田川 直子

 地域包括ケア推進課長          高橋 英昭

 介護・高齢者支援課長、高齢者支援担当課長 葉山 義彦

 健康福祉部長  朝井 めぐみ

 保健所長    向山 晴子

 福祉推進課長  長﨑 武史

 生活援護課長  林 健

 生活保護担当課長只野 孝子

 保健企画課長  鈴木 宣広

 生活衛生課長  菅野 多身子

 環境部長    岩浅 英樹

 環境課長    波多江 貴代美

 ごみゼロ推進課長伊東 知秀

 清掃事務所長  川本 将史

 都市基盤部長  奈良 浩二

 都市計画課長、交通政策課長       安田 道孝

 道路課長    井上 雄城

 公園緑地課長  細野 修一

 建築課長    小山内 秀樹

 住宅課長    三王 徹哉

 まちづくり推進部長           角 秀行

 中野駅周辺まちづくり担当部長      豊川 士朗

 まちづくり計画課長           千田 真史

 野方以西担当課長狩野 純一

 まちづくり事業課長、大和町まちづくり担当課長 菊地 利幸

 弥生町・平和の森周辺防災まちづくり担当課長 森 眞一郎

 新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 荒井 弘巳

 中野駅周辺まちづくり課長        松前 友香子

 中野駅新北口駅前エリア担当課長     石井 大輔

 中野駅地区担当課長           小幡 一隆

 中野駅周辺地区担当課長         石橋 一彦

 中野駅周辺基盤整備担当課長       石原 千鶴

 会計室長    浅川 靖

.本会の書記は下記のとおりである。

 事務局長     吉村 恒治

 事務局次長    小堺 充

 議事調査担当係長 鳥居 誠

 書  記     立川 衛

 書  記     若見 元彦

 書  記     井田 裕之

 書  記     野村 理志

 書  記     鎌形 聡美

 書  記     遠藤 良太

 書  記     松丸 晃大

 書  記     高橋 万里

 書  記     山口 大輔

 書  記     有明 健人

 書  記     五十嵐 一生


午前10時00分開議

○山本委員長 定足数に達しましたので、ただいまから決算特別委員会を開会します。

 認定第1号から認定第5号までの計5件を一括して議題に供します。

 昨日、9月19日の理事会の報告を行います。

 初めに、本日の委員会運営について、総括質疑は、1番目にいさ哲郎委員、2番目に渡辺たけし委員、3番目に吉田康一郎委員、4番目に大内しんご委員、5番目に杉山司委員、6番目に南かつひこ委員の順に6名の質疑を行うことを確認しました。

 次に、資料の訂正について理事者より申し出があり、要求資料の厚生23及び厚生52について、データを差しかえることを確認しました。

 以上が理事会の報告ですが、質疑はありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 なければ、ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 御異議ありませんので、そのように運営します。

 ただいまから総括質疑を行いますが、答弁される理事者は答弁前に大きな声で職名を述べるようにお願いをいたします。

 それでは、質疑に入ります。いさ哲郎委員、質疑をどうぞ。

○いさ委員 皆さん、おはようございます。昨日に続きまして、私の質問、ちょっと続きます。おつき合いください。

 今、最新の資料では、子ども文教49というところが学童クラブの定員と登録児童数、待機児童数などが入っている資料となっています。ついでといいますか、ここで改めてちょっと気になっているのは、昨日、学童クラブの待機児童数、最新の数字をお示しいただいて、144名となっていました。これは9月1日時点の数字だったんですが、4月の頭の時点では185名になっているんですね。昨年から比べると100名ぐらいふえているということでは、これ、過去5年、こんなことはないわけですよね。この間も理事者のほうからは、定員をふやすとかという努力をしてきたというお話があった中でも、こういうふうに待機児童がふえているということを改めてちょっと確認をしておきたいなというふうに思います。やっぱり子育て先進区を掲げる中野区ですから、待機児童も発生しているこの学童クラブの問題は、ぜひ優先順位を上げて取り組んでいただきたいなと、重ねて要望としておきます。

 それでは、質問に入ります。

 5番、区立施設についてお伺いいたします。

 まず、区民活動センターの利用についてお聞きをいたします。

 団体登録についてなんですけれども、現在は、区民活動センターなどで会議室を利用するには団体登録が必要となっています。そのために、今は複数の書類に手書きで記載をしないといけません。しかし、記載内容は氏名、住所など、かなりの重複があります。この書類というのは統一ができないものでしょうか、伺います。

〇伊藤地域活動推進課長 お答えします。御質疑のとおり、現在、団体登録時には、集会室使用団体登録申請書、緊急時連絡先確認簿、会員名簿の3種類の提出を必要としております。今後、様式の見直しですとか、様式をホームページからダウンロードして記入できるようにするなど、区民の方の記入の負担を軽減できるよう改善してまいりたいと思います。

○いさ委員 ぜひ取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 もう一つ、それで団体登録して登録カードというのをつくってもらいます。これについてなんですけれども、現在の登録カード、これはカードという名前ながら、一般的なカードサイズではないんですよね。A6だかですよね、A7、その半分か。大きいことについては、それなりの理由があって、そうなっていて、意味もあるのかもしれませんけれども、保管をしたり利用をしたりすることを考えると、普通のカードサイズでお財布に入る、それぐらいのものがいいんではないかなと個人的に思っています。図書館のカードもたしかそういうサイズでやっていたと思うんですが。これも御検討いただきたいんですが、いかがでしょうか。

〇伊藤地域活動推進課長 カードにつきましては、さまざまな御意見がございまして、あまり小さいと紛失するというふうな声も聞いているところもございますが、改めてどのような改善が図れるか、利用者の声を聞きながら検討してみたいと思います。

○いさ委員 御高齢の方の利用が多いですから、多分そういうこともあって大きくしているんじゃないかなと想像はしていますけれども、しばらくの間、併存させるみたいなことも含めて、ちょっと御検討いただければと思います。

 それで、これは区民の方から聞いたお話なんですが、とある団体に入っている方が、9月の会議室の予約をしました。それを開催が難しくなってキャンセルをしました。そのときに利用料が半額だけ返ってくることになったと。それで、そのときに、銀行振り込みで返却ですよ、返却は1カ月後ですよと言われたと。キャンセル料自身が数百円なのに、何でこんな大変なことになるのかというようなお話を伺いました。不思議がっておられました。これ、現在の仕組みでは、これは何か改善といいますか、スピードを上げるというのは難しいものなんでしょうか。

〇伊藤地域活動推進課長 現在、区民活動センターの集会室の貸出業務等に関しましては、事業者に委託をしているというところでございます。使用料の返金につきましては、会計事務規則に基づきまして、現金ではなく口座振り込みで行うということとしております。1件ごと調定の減額ですとか、過誤納登録ですとか、さまざまな段階を踏みまして、最終的には口座振替依頼書を各区民活動センターから会計室に交換便で送付して、それからの処理というふうなことになりますので、どうしても最長で1カ月はいただいているというふうな状況でございます。御理解をいただきたいというふうに思っております。

○いさ委員 会計の手続上どうしても仕方がないというお話だったと思います。その方は窓口でどう言われたかというと、それは規則だからということで言われたということなんですね。もしそれが、そういう都合があってこうなっているんですよと丁寧に御説明いただければ、全部納得はできなくても理解はできるとは思うんです。住民サービスに直結している窓口の対応については、改めてそういう丁寧さが求められると思うんですが、この点はいかがでしょうか。

〇伊藤地域活動推進課長 窓口で一定の説明はしているというふうに承知しておりますけれども、このようなことに関して、もう少しわかりやすく御理解を得られるよう、説明方法等工夫して、委託事業者ですとか、そこにおります区の職員にも徹底してまいりたいと思います。

○いさ委員 キャンセルで半額返ってくるということ自身が、もしかしたらイレギュラーなことなのかもしれませんけれども、事業者さん自身がそういう詳しい、中のことをあまり御存じなくてやっていらしたのかなともちょっと想像しながら質問しています。ぜひ事業者さん向けのアナウンスについても、そういう聞かれそうなことについては、これまで以上に丁寧にお願いをしたいなと思います。

 それで、返金のところは手続上難しいところがあるというお話なんですけれども、例えば最初のお金のやりとりであったり、何らか、住民サービスにつながるような改善というのはできないかなと。具体的には、今全庁挙げてICTを活用すると取り組んでいるわけですよね。こういう住民サービス、目に見えるところほど、そういう活用というのはちょっと考えられないかなというふうに思っているんです。少なくとも、最初のお金のやりとりについては、それこそネットバンキングであったり、Suica決済であったりということは何かできそうなのかなと思っています。実際、住民税の支払いについてはペイジー収納の検討、これからやるということになっていますよね。この点について、つまり区活など、区民が利用するところでのICT活用についてはどのようなお考えでしょうか。

〇伊藤地域活動推進課長 現在、区民活動センターの集会室の利用につきまして、システムの導入について検討しております。その中で、支払いに関しましても、現金を取り扱わない方法についてぜひ導入したいということで、あわせて検討を進めているところでございます。

○いさ委員 このテーマというのは、今後、議会の中でも何名かの方から質問があったかと思うんです。小宮山委員からもありましたけれども。

 ICT活用という点で、少し提案をさせていただけないでしょうか。やっぱり一番問題になっている、会議室の空き状況の確認、ここだと思うんです。現在、これをネットで公開しているのは、新井区民活動センターだけです。これはほかの区民活動センターでも同じことはできないでしょうか。

〇伊藤地域活動推進課長 現在、御承知のように、施設予約がシステム化されておりませんので、日々変化いたします予約状況をデータ化して公開するということにつきまして、運営委員会への委託業務には含んでおりません。新井区民活動センターにおける取り組みにつきましては、新井区民活動センター運営委員会独自の方針として行っていただいているものでございます。大変いい事例として、他の運営委員会にも情報提供してまいりたいと思います。

○いさ委員 運営委託に入っていないということで、お金に絡んでくる話でもあると思うんですが、ここは思い切って区もICTを活用することで支援するということも検討いただけるんじゃないかなと思うんです。これにとどまらず、ここから先想像できるのは、例えば単に予約状況、空き状況がわかるんじゃなくて、そこをポチッとすれば予約まで進める、これ、ホテルなんかでよくある仕組みだと思うんですけど、こういうこともできるんじゃないかなと思うんです。スマホ側で、例えばアプリを用意しておいて、そこにバーコードが表示されて、それでピッとやったら終わるみたいなことも考えられると思うんです。バーコードの読み取りということであれば、別にスマホアプリじゃなくても、カードのところにバーコードを記載しておいて、それでピッとやって終わりますよね。

 これって、今実証実験をやっていたと思うんですけど、高齢者会館のところで、入退館の管理システムの実証実験をやりましたよね。こういうことも区民活動センターのところでも活用をぜひ検討をいただきたいなと。これ、例えばICカードになったら、またもっと次の使い方なんていうことも考えられると思うんですよね。御高齢者の方とか、こういうことを苦手の方もいらっしゃいますから、今の仕組み、がらっと変えるというわけにはいかないと思うんですけれども、ぜひ目に見える形で、先々見据えた検討を期待したいなと思います。

 次です。産業振興センター1階の体育室のことを少しお聞きします。

 ここは、1階に入ると体育室という、運動できる、体育館相当の場所がありますね。ここ、屋内スポーツ団体などが利用されています。このロッカーは、それと別に男女の更衣室があって、その中にそれぞれ設置をされています。実は、ロッカーはもう1カ所、ここ、小体育館というもう一つの体育館があるんですが、そこの入り口にもロッカーが設置されています。

 先日、ある団体の方からお話を聞いたんですけれども、この体育館入り口のロッカーは今使われていないぞと。もし使っていないのならば、ここを定期利用する団体向けに、お金を払ってもいいから利用できるようにしてもらえないか、そういう御要望をいただいたんです。その団体さんは、卓球の団体なんですけれども、毎回、自分たちで複数のネットとボールが200個ぐらい、持ち込みをしているそうです。毎回なんで、結構大変だということなんですね。

 そういう荷物の持ち込みをしないで済むなら、利用している団体にとってもありがたいことですし、それでわずかでも収入が出るということであれば、貸すほうもメリットになると思うんです。このこと、検討に値するというふうに思うんです。少なくとも、そのロッカーが本当にどの団体にも使われていないのか、ほかにもそういう月決めのような貸出制度があったら利用したいという団体があるのか、この調査はしてもいいと思うんですが、いかがでしょうか。

〇堀越産業観光課長 産業振興センターは、区内産業活性化のための施設でありまして、原則的には中小企業などに勤める勤労者等の福利厚生などでの利用を目的としてございます。その他の区民の皆さんには、一般利用といたしまして、目的外での使用を認めているものでございます。

 当該施設には、100件以上の目的内利用の団体の登録がございますため、まずは当該施設の管理者と相談いたしまして、現状を確認したいと考えております。

○いさ委員 ぜひお願いいたします。

 次のところに行きます。区内の公園利用の今後のあり方について、ちょっとお聞きをいたします。

 昨年、私、一般質問で、公園の利用ルールについて、それぞれの公園で、その地域の皆さんとともに話し合って決めるのがよいと思うけど、どうか、そういう御質問をしています。その答弁は、公園ごとに機能や利用方法などが異なるために、今後利用ルールの見直しは必要と考えておりますので、その際は町会などの協力も得てまいります、こういう中身です。この利用ルールの作成の検討については、今どうなっているでしょうか。

〇細野公園緑地課長 公園の利用ルールの作成については、地域との合意が不可欠であると考えています。今、その仕組みづくりを検討しているところでございます。

 また、今後、公園再整備計画の検討の中で、基本的な考え方を取りまとめる予定でございます。

○いさ委員 ありがとうございます。ぜひお願いします。

 さてですけれども、閉会中の建設委員会で、2018年度に実施した公園遊具の法定点検の結果を受けて、補修や更新などの緊急対策の案が示されました。81公園、162施設については調査をし、54公園、76施設については露出したコンクリ基礎の被膜工事を行う、50公園、68施設については撤去し、今後の設置に向けては、地域の意見を聞きながら検討、9公園、18施設については2年かけて同等の施設へ更新する、こういう中身でした。

 区民の皆さんの多くの関心は、撤去後にどうするのか。これから検討するという50公園、68施設、ここに集まっているんじゃないかと思っています。施設を撤去するにしても、新たな設置までは時間が空いてしまってはいけないと考えます。この点はいかがでしょうか。

〇細野公園緑地課長 一斉に遊具を撤去してしまうのではなく、撤去から新たな遊具の設置までの期間ができるだけ短くなるように進めてまいります。また、具体的な工程が決まり次第、地域にお知らせしていきたいと考えてございます。

○いさ委員 ぜひそういったことで、利用者の皆さんに影響がなるべく出ないように進めていただきたいなと思います。

 公園については、来年度に公園整備計画を策定するという方針が示されました。この整備計画検討の際には、住民参加とともにぜひ専門家を交えて、現在の公園のリニューアルについて検討すべきと考えます。公園というものを考えるに当たって、費用対効果のような経済的視点だけではなくて、地域の特性や住民にとっての価値を基礎としたその公園の意味、位置付けから、今の公園をどう使いやすく、役立つ施設としてリニューアルしていくのか、こういった方針を持っておくべきではないでしょうか。この点での区の見解をお示しください。

〇細野公園緑地課長 公園再整備計画につきましては、今年度基本的な考え方を取りまとめる予定でございます。その検討の中で、必要があれば専門家の意見を聞くことも考えていきたいというように進めてまいります。

○いさ委員 ぜひ検討、お願いしたいなと思います。公園の質問はこれで終わります。

 7番、その他のところで、地域猫事業についてお聞きをいたします。

 現在、この制度は、町会ごとに補助金が出る仕組みとなっています。過去5年の実績はどうなっているでしょうか。町会の数と全体の件数とでお示しください。

〇菅野生活衛生課長 助成金の交付を開始いたしました平成26年度は4団体、60万円、平成27年度は7団体、97万6,000円、平成28年度は7団体、100万円、平成29年度は6団体、99万6,000円、平成30年度は6団体、70万円でございます。

○いさ委員 今現在、中野区内、町会は107あったと思うので、町会の数からしても、実績としては多いとは言いがたいかなというふうに思います。地域を回っていると、相変わらず猫をめぐるトラブル、耳にします。一番多いのは、餌やりをめぐるトラブルです。この間も、警察に通報するというような事例も何件もありました。猫の餌への毒の混入の話もいまだにあちこちで絶えません。猫の虐殺ということについても、地域で新たにお聞きしていることもあります。これまでも議会で取り上げてきたこういう状況、あまり変わっていないと思うんです。

 私は、猫をめぐるトラブルの本質は二つだと思っています。一つには、命の問題ということ。猫は愛護動物ですから、駆除、つまり猫に対する暴力や殺害といった行為はそのまま犯罪だということですね。これ自体が許されるものではありませんが、これ、何度も指摘してきたように、猫の虐待の次は人間をターゲットとした凶悪な犯罪に発展する可能性もあるということです。こういうことを放置するわけにはいかないと思うんです。二つには、地域住民同士のトラブルであるということ。猫好きにも、猫嫌いにも極端な方がいます。どちらか一方が対立の中に入っていると、かなり激しい対立になります。つまり命を守り犯罪を抑制すること、地域住民のトラブルを解決すること、そのためにあるのが地域猫事業ではないでしょうか。区の認識をお伺いいたします。

〇菅野生活衛生課長 区は、動物の愛護及び管理に関する法律及び東京都動物の愛護及び管理に関する条例の趣旨に基づきまして、人と愛護動物が共生できる地域社会を実現するため、現在、地域活動の核となる町会・自治会が行う飼い主のいない猫に対する不妊去勢手術や普及啓発などの費用の一部を助成しております。また、動物愛護に関する各種事業を推進しております公益社団法人東京都獣医師会中野支部と連携しながら行っております。

 助成事業が活用されることによりまして、町会・自治会を中心に、餌やりや周辺美化など、地域のルールを決め、地域全体の理解、協力のもとに飼い主のいない猫を取り巻く地域の問題解決が図られていくものと考えております。

○いさ委員 この事業のかなめは、不妊去勢手術の費用助成になっていると思います。このことをちょっとお聞きします。

 中野区は、町会への助成という事業となっています。町会だけではなく、個人や団体も助成の対象とすべきだと求めてきたところですが、近隣区の状況はどうなっているでしょうか。

〇菅野生活衛生課長 中野区と隣接いたします新宿区、渋谷区、杉並区、豊島区、練馬区では、具体的な実施方法に違いはございますが、個人、またはボランティア団体に何らかの不妊去勢手術費用の助成を行っております。

○いさ委員 ということですね。私はやっぱりこれ、個人や団体向けの助成というのはなきゃいけないなと思っていますが、今回はここを掘り下げるのはここまでとして、別の方法でちょっと提案をさせていただきたいなと思います。

 この事業に取り組んでいる町会が多いとは言えないのは、そもそもこの事業そのものについてほとんど理解されていないからではないでしょうか。これも過去の議会でも取り上げてきたことなんですけれども、地元の幾つかの町会で、町会の町会長や役員さんとお話をして、この事業のことを聞いたことがあるんですが、詳しいことを御存じな方はまずいらっしゃいませんでした。そういうことで、町会を経由するんですから、町会長や役員さんへの説明、これ回数をふやすとともに、事業の目的についてしっかり理解していただくために必要な資料も用意して、必要性を感じ取っていただく、そういう熱意ある訴えをお願いしたいなというふうに思っています。

 先ほども述べましたが、猫の問題はどこでもトラブルの種になっていると思うんです。正直言えば触りたくない、面倒なことに巻き込まれたくないと思っている方がいるやもしれません。逆に、そのトラブル解消にこそ、この事業が役に立つんだと、このことをしっかり理解いただいて、町会の皆さんにも理解を深めていただくという努力が必要かと思いますが、いかがでしょうか。

〇菅野生活衛生課長 区は例年、助成事業につきまして、中野区町会連合会への御説明や希望する町会等を対象に説明会を実施いたしまして周知を行っております。また、今年度は、事業開始から5年が経過したことを踏まえまして、事業の検証を行うため、各町会・自治会を対象にアンケート調査を実施し、改めて事業の周知を行うとともに、御意見等を聴取しているところでございます。

 今後もこの取り組みにつきまして、町会・自治会の皆様にさらに理解していただけるよう、周知方法等の工夫を行いまして、飼い主のいない猫の問題解決につなげていきたいと考えております。

○いさ委員 今までもやってきたとは思うんですけど、年に1回ではやっぱり少ないのかなというふうに思います。地域猫事業を広めていかなきゃいけないと思うんですけど、そのためにはほかにもやるべきことはあると思っています。そもそも区民の皆さんも、この事業についてちゃんと理解しているという方は多くないと思っています。区民の皆さんにお知らせする、その啓発のためにポスターや区報等で知らせるということをもっとやってもいいんじゃないかなと思っています。過去にもポスターをつくっていますけど、これ、動物愛護ポスターなんですね。この中にも一部書いてありますけど、そういうことじゃなくて、トラブルの種になっている地域猫事業、これに絞って、この事業、どんなものであるのか、この中身をお知らせすることに特化したポスターの作成、掲示、それから区報での取り上げをやるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

〇菅野生活衛生課長 区民を対象といたしました事業の周知につきましては、ホームページや動物愛護のポスターの一部に掲載して行っているところでございます。今後は、他区で成果を上げている事例も参考に、区報を積極的に活用するなど、区民への周知も充実していきたいと考えております。

○いさ委員 ぜひ取り組んでいただきたいなと思います。

 以上をもちまして私の全ての質問を終了いたします。ありがとうございました。

〇山本委員長 以上でいさ哲郎委員の質疑を終了いたします。

 次に、渡辺たけし委員、質疑をどうぞ。

〇渡辺委員 令和元年第3回定例会決算特別委員会におきまして、都民ファーストの会中野区議団の立場から総括質疑を行います。

 私、今回、60分の時間をいただいて、1万2,000文字程度の原稿をつくったんですけど、最後の平和の門についての質問はちょっとどうしてもやりたいところがありますので、もし時間、足りなくなった場合は、質問を最後、7番と6番、ちょっと入れかえて行いたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、平成30年度決算について伺います。

 平成30年度の歳入決算額は約1,408億円、歳出決算額は約1,358億円でした。実質収支率は3.4%、計上収支比率は77.7%、公債費負担比率は前年度の8.2%から5.5%まで下がり、基金残高の総額は700億円、区債残高は前年度の198億円から51億円減らして147億円となり、これらの数字を見た限りにおいては、健全な財政運営を行っていると判断されるところであります。

 ところが、第1回定例会において区が示した財政運営の考え方では、平成31年度から令和5年度にかけて起債総額が878億円に達する起債計画が示されておりました。令和5年度の起債残高の推計は791億円、土地開発公社、金融機関借入残高の46億円と合わせると837億円となり、これは中野区政として過去最大の起債残高を抱えることとなります。その兆しは、平成31年度予算の中で既に出てきており、新区役所整備の実施設計・施工一体整備費として、令和5年までの債務負担行為限度額が270億円余と巨額の経費が計上されました。整備工事費の金額については、基本計画策定時に示された約221億円から総工費約280億円となり、実施設計が行われた際に、また金額がはね上がるのではないかという不安を私個人としては抱えております。

 このような予断を許さない今後の財政状況を見ていった場合、今年度の決算状況について安心するのではなく、先々の財政運営を見据え、本当に必要なところに必要な予算を投入するような財政運営を行っていくべきではないかという観点からの質問を幾つか行ってまいります。

 まず、扶助費について伺います。

 以前から、こちらの扶助費については年々増加傾向にあることが指摘されています。過去10年間の推移をグラフで見てみますと、実際に増加傾向にあるわけですが、ここ最近は特に待機児童対策のために、保育園増設に伴って児童福祉費の伸びが顕著にあらわれているところです。待機児童ゼロを実現させるためには、保育園の数をふやし、そこに係る補助金の保育園の数をふやした分までかかってきます。

 ここでお伺いしますが、扶助費の中の児童福祉費の伸びについて、区はどのような見解をお持ちでしょうか、伺います。

〇森財政課長 児童福祉についてでございますが、今後も子育て支援の充実のための保育関係等の経費の伸びのほか、児童相談所の設置に伴う経費なども想定されているところでございまして、今後も増要因が見込まれていると考えているところでございます。

〇渡辺委員 待機児童がゼロにならない限りは児童福祉費の予算の伸びはふえていく、これはもう当たり前のことでありますが、ここは削ってはいけないところであるということを改めてここで申し上げておきます。

 続きまして、教育費について伺います。

 子育て先進区を掲げる中野区にとって、教育環境の質の向上も大事な取り組みであると認識しております。財政白書9ページの図11、目的別の歳出決算額の推移を見ていますと、教育費の割合が昨年と比べて大きく伸びております。教育費が前年度の117億円から210億円にふえた主な理由について教えていただけますでしょうか。

〇森財政課長 教育費が増加した主な要因でございますが、義務教育施設整備基金への積み立てや小・中学校の施設整備の経費、そういったものの増加によるというふうに考えているところでございます。

〇渡辺委員 学校再編に伴う建てかえというのがこれからも続いていくわけで、この施設整備費、ある程度また費用がかかってくるかと思うんですけれども、教育費の今後の費用、今年度並みの金額に今後もなっていくんでしょうか、伺います。

〇森財政課長 今後数年は学校施設整備が継続していくということでございます。また、新体育館の整備などの学校以外の施設整備に係る経費ですとか、先ほども触れました義務教育施設整備基金の積立金なども教育費に入ってきます。ということですので、今年度並みの水準で推移していくだろうと考えているところでございます。

〇渡辺委員 ちなみに、この教育費210億円というのが決算全体の構成比率で見ると約15.5%となっておりまして、平成29年度の23区における教育費の構成比率の平均値が13.7%なんですけども、こちらを超えている構成比率となっております。この部分においては、子育て先進区にふさわしい数値なのかなというのを思っているところなんですけれども、この校舎建てかえの時期が終わりましたら、また教育費の比率が下がってくるというようなことになるのかと思うんですけども。今後は学校運営費などの部分にも宛てがっていくというようなやっぱり予算措置をとっていってもらいたい、このように考えているんですけれども、区の見解はいかがでしょうか。

〇森財政課長 今後も、必要な経費については予算化をしていきたいと考えておるところでございます。

〇渡辺委員 コミュニティスクールの導入の検討というふうなことも行われているわけでありますし、今後、地域ごとの魅力ある学校運営というものを行っていく上に当たっては、やっぱり学校運営経費、校割予算の増額も含めて、学校運営に係る経費というものをふやしていくということを目標としてもらいたいと思っております。少なくとも23区平均値の13.7%をせめて基準として、これを同等か、それ以上の教育費の構成比率の割合にしてもらえたらなということを要望するところであります。

 次に、企業会計的手法から見る財務状況について伺います。

 中野区では、発生主義をベースとした企業会計的手法による分析も行われております。こちらの財務処理から、未払いの退職金の額や減価償却の部分から建物の経年劣化の度合いなどが見え、今までの決算書から見えなかった部分を見ることができます。財政白書、41ページの貸借対照表を見ますと、資産合計が約5,529億円、一方で負債合計が約363億円、純資産合計が約5,166億円となっています。こうしてみると、中野区の財政的に見ますと、非常に資産があって余裕があるように見えるわけですけども、区はこういった貸借対照表を見て財政運営についての見解、どのような見解をお持ちでしょうか、伺います。

〇森財政課長 財政白書におきまして、貸借対照表とともに、それをもとにしました各種の分析の指標を記載しているところであります。他団体と比較しましても、健全性は保たれていると認識しているところでございます。

〇渡辺委員 46ページ以降からいろいろな、さまざまな角度から分析をしているというのが見て取れるんですけども、私はもう正直言ってちょっとこれを見ても、どう評価していいのかわからないというところがあったんですね。それはなぜかというと、やっぱり適正値とか基準値って、じゃ何なのかというところが書かれていないですし、区としての総括といいますか、見解というものも載っかっていないわけであって、こういった分析をして何かしら導き出そうとしているというのはわかるんですけれども、やっぱり減価償却の部分を見たりとかそういうところで、じゃ、経年劣化はどうなのかなというふうなところを判断するぐらいしか、ちょっと見えなかったんですよ。

 例えば基準値はどこにあるのかってふうなことですとか、あとほかと比較してどうなのかっていうことで、事例がやっぱりちょっと4区だけだと、見比べてもどうなのかなと。練馬区とかだと、やっぱり人口の違いもあるわけですし、どういうふうに判断すればいいのかっていうのがちょっとわからなかったというのが正直な印象でした。

 この4区以外でも同じ手法をとっている区があるというふうに聞いております。比較する自治体の数をもう少しふやすなり、総務省の新統一基準を導入している区の、例えば基準になるかどうかわかりませんけども、平均値、こういったものを一つの指標として掲載してみてはいかがでしょうか、伺います。

〇森財政課長 比較する団体につきましては、近隣区で同一的基準を導入している区を掲載したところでございます。掲載する区のそういう事例をふやすということですとか、平均値を掲載していくといったことについては、今後検討していきたいと考えております。

〇渡辺委員 下のスペースもちょっと空いているんで、入れられると思いますので、ぜひ努力してもう少し数をふやしてもらえたらなと思います。

 あと今回、76ページから施設別の財務書類を新たに追加しております。こちらを見てみますと、今回子育て関係の施設を中心に各建物別で掲載しているわけなんですけども、こちらを見ていきますと、建物の経年劣化の割合が減価償却の部分からも見えてくるわけであります。例えば、82ページ、83ページのキッズプラザ、あとすこやか福祉センター、84ページ、こういったところの減価償却率を見てみますと、比較的新しい施設なんだなというのがわかりますし、児童館を見てみますと、結構古い建物になっているなと。区立の幼稚園に至っては、これはもう子育て先進区としては完全にアウトなんじゃないかというような、そういった数字の部分がより見えてきているのかなというふうに感じております。

 本来は、ここでもうちょっと細分化していって、保育園だったら、一園一園どうなんだとか、図書館だったら、こっちの図書館とあっちの図書館はどうなんだというふうな、そういったふうにしていってもらえればいいのかなとも思ったんですけども、それはそれで業務量がふえてくる話でもありますので、今後はそういったところも見据えて、ちょっと検討していってもらえばいいかなというふうに思っているところなんですけども。

 あともう一つ、やっぱり私が気になるところは、事業の見直しの部分について、こういった指標を使えないかなということをちょっと考えました、きのうの総括質疑でも出ていましたけども、事業の見直し、廃止といういうのが非常に難しい、こういった答弁も聞こえてきているところであります。こういった新たな企業的手法を用いまして、財務書類、それも見直しの作成しやすい、客観的なデータが見えるような事業の見直し、廃止ということができるような、そういった書類も作成する必要があるかと思うんですが、いかがでしょうか、伺います。

〇森財政課長 施設ごと、また事業ごとに、このような財務書類を作成することによりまして、それぞれのセグメント単位での財政上の課題が浮き彫りになってくるだろうと考えているところでございます。今年度は施設別の財務書類を作成したところでございますが、今後は事業別の財務書類の作成にも取り組んでいきたいと考えておりまして、将来的にはこの財務書類の情報を行政評価にも活用して、事業改善につなげていきたいと考えているところでございます。

〇渡辺委員 これ私、言ってはいるんですけども、多分すごい難しいことだと思うんですよ。というのが、企業の組織というのは利益を追求する団体なわけであって、そういった意味では、コストカットをどうすればいいかとか、例えば自治体で言えば、東北復興祭の事業をやりますと言った場合、じゃ、どれぐらいお金をかけて、どれぐらいの人が集まって、利益がどれぐらいあったか、それはわかりやすいんですけども、基本的に自治体って、福祉の向上を追求する組織でもあるのかなという一面も持っていると思います。こういったものを数値で出すというのは非常に難しいところもある。でも、そんな中でもやっぱり何かしらの形で客観的な数値を出していくという工夫をやっていってもらいたいということを考えております。

 ちょっと私も、こういった何か使えないのかなということをやりながら、決算の分析に関していろいろと勉強していきたいということを申し上げまして、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、地域包括支援センターの職場環境について伺います。

 現在、中野区では8カ所の地域包括支援センターを持っており、各地域におけるさまざまな個別案件に取り組んでおります。年々ひとり暮らしや夫婦だけで暮らす高齢者がふえてきている中で、自分1人では日常生活を送ることが困難になり、どうしようもなくなったときに相談する行政の窓口として、地域包括支援センターはさまざまな地域の高齢者の方々の相談を受けており、今後も地域の高齢者と行政のつなぎ役としての役割を期待されているところです。

 日本の総人口は減っていくと予測されている中、高齢者人口は年々ふえ、中野区内の人口予測においても総人口はふえていく傾向にありますが、高齢者人口の割合が増大する傾向にあるという報告を受けております。当然、高齢者人口の数が中野区内でふえていく中において、地域包括支援センターへの相談件数もふえてくるわけでありますし、その分の職員数をふやしていかなくては、労働環境が年々悪化していくということが客観的なデータからも予測できるわけでありますが、区がそのようなところにどのような対応を行っているのか、何点か確認してまいります。

 まず確認したいのですが、地域包括支援センターへの相談件数、これの相談件数の数の傾向、どのようになっているか、お聞かせください。

〇高橋地域包括ケア推進課長 お答えいたします。今回、資料で御提示しているところでございますけども、過去5年間につきまして、相談件数は増加傾向にあります。

〇渡辺委員 増加傾向にあるということであれば、当然職場環境、気になるところでありますが、職員の数が適切に配置されているのかどうかというところも気になるところでありますが、職員の離職率、こちらについて確認させてください。

〇高橋地域包括ケア推進課長 お答えいたします。地域包括支援センター職員の離職率については、把握はしていないところでございます。

 一方、区としましては、地域包括支援センターのみならず、医療福祉関係の専門職を中心として、地域人材や支援の担い手の定着や確保は重要な課題として認識しているところでございます。

〇渡辺委員 ちょっともう一回聞くんですけど、離職率は出していないということでいいんですか。

〇高橋地域包括ケア推進課長 こちらでは、区では把握してございません。

〇渡辺委員 把握していないということなんですけども、これはぜひ把握してもらうように努めてもらいたいと思います。職場環境の良し悪しを客観的に判断することができるデータとなりますので、今後はその辺の調査をよろしくお願いをいたします。

 私が今回この質問を取り上げたのが、やっぱりいろんな地域包括支援センターの方々から、1カ所ではなく、あちこちでやっぱり人員をふやしてほしいというような要望というか、声というのが聞こえてきているところなんですけれども。そういった声というのは、区で認識していますでしょうか。

〇高橋地域包括ケア推進課長 お答えいたします。具体的なそのような要望につきましては、区としては把握していないところでございます。

 一方で、区としては、地域包括支援センターにおける適切な職員配置につきましては、高齢者人口の増加及び相談件数の増加等も踏まえまして、今後とも引き続き適切に配慮してまいりたいと考えております。

〇渡辺委員 把握していないということが、声を上げづらいのか、それともきちんと調べて聞いていないのか、ちょっとそこはよくわからないところですけども、少なくとも私の耳にも入っている話なので、きちんとヒアリングというか、調査してもらいたいと思います。

 区の方から、2021年度に開設予定の温暖化オフィス跡施設に新たな9カ所目の地域包括支援センターを立ち上げることが報告されておりますが、こちらの立ち上げ、運営の予算は特別会計の範囲内で賄わなくてはなりません。拠点をふやすということは、その分、当然コストがかかります。

 改めて確認なんですけども、この新たな地域包括支援センターを立ち上げる予算、特別会計の範囲内で確保できているんでしょうか、伺います。

〇高橋地域包括ケア推進課長 お答えいたします。現時点における試算でございますけれども、介護保険特別会計における地域支援事業費の枠内におさまる見込みでございます。

〇渡辺委員 ちょっと距離の問題とか、相談者の数が各包括支援センター、中部がやっぱり一番多いというふうなことで、それを分割させるということで、それは適切な措置ではないのかなと思っております。

 相談件数を、今後高齢者がふえてくるということが予測されるわけなんですけども、やっぱりその前の段階で、要支援介護を受ける前のような段階で、いかに健康寿命を延ばしていくかというふうな施策、こういったものも考えていかなくてはならないのかなと思っております。

 例えば荒川区ですと、高齢者見守り相談窓口設置事業という都の補助金などを活用して、要介護を受ける前の健康な状態を維持していくための事業に既に取り組んでいるところであります。以前、私が愛知県豊明市が行っている事例を紹介したこともありますけれども、こちらはそういった役割を民間事業者と協力して行っているという事例でもあります。

 改めて伺いますが、中野区の介護認定を受ける前の健康な状態を維持していくための行政サービス、積極的に展開していくべきだと思うんですが、区の見解をお聞かせください。

〇高橋地域包括ケア推進課長 お答えいたします。健康寿命の延伸は、地域包括ケアシステム推進におきましても目標の一つとしているところであり、他の自治体の取り組み事例を参考に施策展開を研究してまいりたいと考えております。

〇渡辺委員 病気にならない、寝たきりにならない、認知症にならないといったような、そういった健康寿命をいかに促進させていくか、こういったところを今後テーマとして、そういった状態を維持していけるような、そういった施策をしていただくことを要望いたしまして、この項の質問を終わります。

 続きまして、介護予防事業の広報について質問いたします。

 区では、健康寿命促進のため区内で行われているさまざまな介護予防事業の案内を区報やSNS、町会の掲示板などを使って参加を呼びかけております。さまざまな媒体を使って周知を行い、参加を呼びかけることは大いにこれからも行っていただきたいところなのですが、少々気になる点がありますので、伺ってまいりたいと思います。

 区が推進している介護予防事業ですが、課題として以前から男性の参加者が少ない、決まった人ばかりが継続して参加をしていて、新規の参加者がなかなかふえないといった課題が担当者から出ているところであります。こちらをどのように改善していくかが健康寿命を促進させていくために取り組む施策の大事な部分であるかなというふうに思っているんですが、区報やチラシ、こういったものを見ていますと、毎回さまざまなシニア向けの催し、講座の案内、掲載しているんですけれども、こちらに掲載しているチラシ、おおむね何か「介護予防事業」というお題目がついているわけであります。この介護予防講座という枠組みの中での案内になっているので、自分はまだ元気なんだ、そんなの必要ないよという人って、その時点で何か間口を閉じてしまっているのかなというような、そういった印象を受けてしまうところがあります。些細なことなんですけれども、そこは結構大事なところなのかなというふうに思っておりまして、そこで伺いますが、「介護予防」という文言、これ、使用しなくてはならない理由があるのでしょうか。もしあるのであれば、具体的な理由を教えてください。

〇葉山介護・高齢者支援課長 お答えします。「介護予防」という文言を使用しなければならないという理由はございません。

〇渡辺委員 ありがとうございます。先ごろ区内の高齢者施設で、「退職後の男の生き方を考える」というタイトルで、対象年齢60歳から75歳までの年齢制限をかけて募集したところ、区内在住の30人程度の男性がこちらの講座に参加をしておりました。私も実際にこの講座に取材を兼ねて、一緒に受けたわけなんですけれども、本当にすごい、男性だらけの高齢者会館の姿ってあまり見なくて――集まるんですよ、要は、ちゃんとやれば。ちゃんとやればというか、やり方をちゃんと工夫してやれば集まるんだなということを、ちょっと感動しました、本当に。やっぱりいろんな仕組み、仕掛けをしていて、講座を受ける際は、グループごとに分けてワークショップをやったりとか、ディスカッションするような形にして、地域ごとの、近くに住んでいる人同士でグループを組んだりとか、終わった後にちょっと反省会をやったりとか、いろいろなコミュニケーションをとるような、そういったことをやっていって、5回講座をシリーズでやったんですけど、終わった後はみんなで打ち上げということでお酒を飲んで、連絡を取り合って、また今後もやっていこうというふうな、そういったコミュニティというものがしっかりとでき上っている流れがあったんですね。

 この企画の講座を担当した方に話を聞いたところ、まずはやっぱり「介護予防」という文言を入れずに募集をかけようというところに結構こだわっていたんですよ。そうしないと、やっぱり自分はそんなんじゃないというふうなことで間口を閉じてしまうと。そうじゃなくて、僕はこれからまだまだ地域で一生懸命やっていくんだと、働いていくんだと。働きたいんだけども、ちょっとやることがないからどうしようと、そうした人が結構集まっていて、その人たちは、町会の存在も知らないし、高齢者会館の、こんなのがあるんだということも知らなくて、地域のこと、何もわからなかった、でも、こういうのを知ってよかったみたいな声も聞こえてまいりました。

 実際、こういった成功事例もあるわけですので、区もさまざまな介護予防事業講座の案内を出す際に、まずはちょっと一つのやり方として、「介護予防」という文言を極力外して募集を呼びかける手法をとってみてはいかがでしょうか、伺います。

〇葉山介護・高齢者支援課長 「介護予防」という文言にこだわらず、効果的な案内方法について研究していきたいと考えます。

〇渡辺委員 ありがとうございます。予算もかけずにできることなんで、ぜひ実現させていただきたいと思います。

 以上で私のこの項の質問を終了いたします。

 続きまして、区有施設の予約方法について伺います。ちょっと先ほどのいさ委員の質問と若干かぶるとこもあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

 中野区では、体育館、運動場などのスポーツ施設、なかのZERO、野方区民ホールなど文化施設は、パソコンやスマートフォンから予約をとることができるのですが、区民活動センターや高齢者会館など一部の施設はいまだにパソコンなどからの予約ができない状況であります。現在、区民活動センターや高齢者会館の予約方法は、月に一度、代表者の方々が各地域の区民活動センターに集まり、そこで抽せん会を行って日程を決めているという仕組みとなっております。現状の課題として、抽せん会の日に来れない、特に日中仕事をしている若いグループの方々が施設の予約をしづらい、抽せん会が行われた後に空いている部屋を予約する際に、一度、区民活動センターにまた出向いて手続を行う必要があるため、手間がかかってしまうという課題があります。

 まず、改めて区の方針を確認したいのですが、区民活動センターや高齢者会館の予約方法、こちら、ネットからの予約方法に切りかえることを検討しているのでしょうか、伺います。

〇伊藤地域活動推進課長 区民活動センター、また高齢者会館につきましても、集会室の予約システムの導入について検討をしているところでございます。

〇渡辺委員 ネット予約が可能となった場合、毎月集まって抽せん会されている方々も、ネットからの予約という方法に切りかわるのでしょうか。

〇伊藤地域活動推進課長 参加者が集まる抽せん会は行わずに、全ての方にインターネットで申し込みいただくことを想定して検討しております。

〇渡辺委員 今までのやり方になれた方たち、高齢者が当然、非常に多く、いきなりネット予約に切りかえると当然混乱が生じるであろうということが予測されるわけですけども、その辺の対応策、どのように考えているのか、伺います。

〇伊藤地域活動推進課長 導入するということが決まりました場合は、わかりやすい操作手順書の準備を行うほか、事前の説明、また稼動後の問い合わせへの対応等、丁寧に行うことが必要というふうに考えております。

〇渡辺委員 その丁寧さというのがどの程度までかというのがとても大事なことだと思います。例えばパソコンが家にないよという人もいるわけですし、スマホを使っていないよっていう人もいるわけですし、そういう人もいきなり、そういう操作できるかっていうと、当然できないわけですから。

 これ、ちょっと質問通告になかったんですけど、区民活動センターに、そういうかわりに、何ですか、今までどおり来た人がパソコンとかを例えば置いたりとかして、そこで一緒に伴走型で、こういうふうに予約していくんですよみたいな、そういうことも考えていますか。

〇伊藤地域活動推進課長 速やかに導入していくためにどのような体制を整えればいいかということについて、今御質疑にございましたような手法も含めて検討をしているところでございます。

〇渡辺委員 多分、ちょっと2年後ぐらいになるのかなと思うんですけれども、まだ期間はありますので、丁寧な説明、あと安心して、切りかわっても大丈夫だというような、そこのところもあわせて行いながら、ネット予約の方に変換していってもらえればなと思っております。

 仮にネット予約の方法、実現した場合のちょっと話になるんですけども、新たにネット予約を希望している団体というのも一定数あるかと思います。そういった団体との競合というものが新たに生じると思われるんですけども、その点を区はどのように考えているのでしょうか。

〇伊藤地域活動推進課長 インターネット予約の導入の一つの目的として、集会室の稼働率が上がるということを期待しているところでございます。したがいまして、申込者がふえるということで、希望どおりの予約が今までのようにできないということも発生するというふうには想定しておりますが、御理解いただけるように御説明をしてまいりたいというふうに考えております。

〇渡辺委員 今までの予約日って第3月曜日の朝の9時からということで、基本的にやっぱりネット予約を希望する方はその時間に行けない団体の方だと思うんですね。要は社会人であったりとか、土日休みの人であったりとか。そうすると、高齢者の人って、やっぱり平日の日中使う傾向がありますので、社会人の人は、例えば仕事が終わった夜の時間とか、土日だったりとかということで、全くかぶらないということはないと思うんですけど、それほど今の利用者とかぶることもないかとは思っております。

 実はちょっと前向きに考えると、これは一つのチャンスなのかなと思っていまして、地域の担い手というのがやっぱり現在不足している。そこで地域の施設を利用するという新たな団体という人たちがあらわれましたと。恐らく結構若い年代の人なのかな。こういう人たちをいかに地域に巻き込んでいくかという、そういったつながりというものを、工夫というか、取り込んでいく、そういったこともやっていく必要があるのではないかなと思っているところであります。こういった取り組みについて検討してみたらいいのかなと思うんですけども、区の見解をお聞かせください。

〇伊藤地域活動推進課長 ネット予約が実現いたしましたら、新たな団体や地域住民が集会室を利用するという機会がふえますので、これを契機としまして、新しい地域人材の掘り起こしや地域ネットワークの広がりにつながりますよう、例えば地域祭りへの参加への声かけですとか、各種地域事業の案内など、区民活動センター運営委員会と連携しながら、積極的に取り組んでまいりたいと思います。

〇渡辺委員 各運営委員会の判断にもよるところだとは思うんですけれども、例えば他の自治体ですと、地域のお祭りやイベントを手伝ったら施設予約費、お金いただきませんよっていうような、そういった取り組みをしているような話も聞いております。本当に何か地域にせっかく何らかの形でかかわっている若い団体・グループ、ぜひ地域の担い手として取り込んでいけるような、そういった工夫を行っていくというようなことも考えながら、このネット予約の切りかえ、やっていただきたいということを要望いたしまして、この項の質問を終わります。

 続きまして、区が所有している個人情報の活用について伺います。

 内閣府は2019年3月、40歳から64歳のひきこもりの数が推計で61.3万人と発表しました。今回の調査で、全国規模のひきこもりの中高年の数が初めて明らかとなり、8050問題が深刻な社会問題であることが示されたわけであります。

 中高年のひきこもりは制度のはざまにあり、ひきこもりの当事者と家族が社会から孤立してきたとも言えます。ひきこもりは障害ではないため、障害者認定を受けられず、65歳未満は公的な支援もありません。親が年金受給者であったり、収入や持ち家などの資産があったりした場合は、ひきこもり支援の法的根拠となる生活困窮者自立支援法の対象外とみなされるなど、年齢の壁に当たることも多いようです。このような社会情勢の中、さきの厚生委員会で8050問題について相談事例を分析するとともに、区保有データの活用による対象世帯の把握方法について検討を行い、アウトリーチチームによる支援、相談窓口の周知などを進めていくという報告を受けました。

 課題として認識していながら潜在化している問題を積極的に顕在化させていく区の姿勢は、私自身は高く評価しているところであります。例えば、住民基本台帳で家族構成を確認して、税務情報で世帯収入がどの程度か調べる。そのほか、年金情報や国民健康保険の支払い状況などを調べることで、世帯ごとの収入状況も見ることが可能となるわけですが、個人情報を取り扱うことは昨今の風潮からも気をつけていかなくてはならないことが多々あるかと思われます。

 まず、この区が所有している個人情報、どのように分析して8050問題を抱えているであろう世帯を顕在化させようとしているのか、区の見解をお示しください。

〇伊藤地域活動推進課長 今、御質疑にございましたように、内閣府の調査の結果を見ますと、中高年のひきこもりの特徴としては、無職、それから家族の同居というふうな傾向にございました。中野区におきまして、当該世帯を把握するためには、個人の所得状況や世帯の状況、その他の複数の情報から分析することが必要というふうに考えております。例えば住民基本台帳上は別世帯となっていても、実際には同居している場合も多く、これら情報だけではなく、職員や民生委員、地域包括支援センター等が把握しております情報との連携が必要であるというふうに考えております。

〇渡辺委員 庁内の連携も必要ということですので、ぜひ連携をとっていただきたいと思います。

 今回の施策、庁内の個人情報保護審議会に諮られることになるかと思われますが、この個人情報審議会の中で懸念される事項、どういったことが想定されるでしょうか、伺います。

〇伊藤地域活動推進課長 個人情報保護審議会では、情報の活用の目的ですとかその効果などの妥当性等について御審議いただくことになるというふうに考えております。了承いただけますように、準備をしっかりしてまいりたいと考えております。

〇渡辺委員 この施策は、区が能動的に個人情報を分析していくということで、庁内の個人情報の取り扱いについても検討していく必要があると思います。その点について、区の見解をお聞かせください。

〇伊藤地域活動推進課長 中野区個人情報保護条例及び中野区におけるISMS基本方針にのっとりまして、庁内関係各課とも連携しながら、個人情報を活用してまいりたいと考えております。

〇渡辺委員 法令遵守というか、それは当然のことでありますけど、それをしていたとしても、やはり一般的な感覚で言うと、自分の何か生活状況をのぞかれているような、そういった気持ちになる部分もどうしても出てくるところが、私個人もちょっと考えると思うところがあります。そういった不安といいますか、そういうものをどのように払拭していくか、わかりやすい形で見せていく、こういうふうにちゃんとやってますよっていうのをいかに見せていくかっていう、そういった部分も、工夫をしていく必要があるのかなと思っているところであります。

 ちょっと提案になりますけども、こういった個人情報を分析するやはり部署というものをちゃんと設置をして、はたから見ても、限られた人しかそういったことをしてませんよというような、そういった専門家チームみたいなものをつくったりして対応してみてはいかがでしょうか、伺います。

〇伊藤地域活動推進課長 各種の個人情報を活用しまして、みずから発信できず、制度のはざまにいる要支援者を発見する役割は、現時点では地域活動推進課が担っております。現在でも個人情報を取り扱う業務につきましては、限られた職員のみで行い、情報安全の徹底を図っているところでございます。今後実践を積み重ねまして、データを収集する中で、分析の手法や体制なども研究してまいりたいと思います。

〇渡辺委員 多分、全国的にもない事例だと思いますので、本当にその辺を慎重にしながら進めていってもらいたいと思います。

 こちらの施策、実現するに当たり、やはり見つけた後、どうしますかというふうな問題も同時に考えていかなくてはいけないと思います。ひきこもりの世帯がさまざまな手法を使って、そういった問題を抱えているのではなかろうかというような、そういった家族が見つかった場合、区はどういった支援を行っていくことができるか、これも本当に同時進行に考えていかなくてはならないものである。現在、区がこの8050問題を抱えている世帯に対しての対応、現状、どういった形で行っているのか、お聞かせください。

〇高橋地域包括ケア推進課長 お答えいたします。相談への対応となりますけれども、すこやか福祉センター、生活援護課の生活困窮者自立支援、地域包括支援センターなどが窓口となってございます。

 また、東京都のひきこもりサポートネットや社会福祉協議会のカタルーべの会事業、ひきこもり家族会、中野わの会などとも連携を強めながら対応しているところでございます。

〇渡辺委員 そうですね。まずは親子だけで閉じこもっている問題ではないと、とにかくいろんな間口、窓口を設けて、少しでもアプローチすることができるような対応を行ってもらいたいなと思っております。

 8050問題の本質的な問題というのは、やはり高齢者の親御さんが亡くなった後に、今までひきこもりで生活していた中高年の40代、50代の方々がどのように生きていくことができるかというライフプランをつくることというのが重要であり、そこが解決されない限りは、多分永遠に解決できない問題ではないのかなというふうに思っています。その点を区はどのように考えているんでしょうか、伺います。

〇高橋地域包括ケア推進課長 お答えいたします。高齢者の親が亡くなった後の当事者支援につきましては、当事者が求める支援の形もさまざまであると考えられるため、一人ひとりの状況に応じた丁寧な対応が求められているところでございます。区では、当事者に寄り添いながら、地域での継続的で包括的な支援につなげることが重要であると考えております。

〇渡辺委員 結局最後、本人のやる気じゃないかっていうところにもなっちゃうんですけども、頑張れば何とかサポートはしていきますよという、そういった姿勢だけでも区は示してもらいたいなということを期待いたしまして、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、中野駅新北口駅前再整備事業計画について伺います。

 平成28年、こちらの再整備事業計画について事業協力者を募集したところ、住友グループ、三菱グループ、野村グループの3社が名乗りを上げました。最終的に、三菱グループ、野村グループが最終候補になり、野村グループが選ばれたわけですが、このときの募集要項に絡めて何点か伺います。

 まず、募集要項の中にある応募者に関する事項で、基本的要件として、事業が実施に至った際の民間参画事業者への応募の意思を有するものとするという条件で公募をかけております。一方で、費用負担については事業協力に要する費用は、原則として事業協力者の負担としますと明記されております。要は、事業をやりたいというふうな気持ちを持っている事業者に対して、お金は払わないけど、ボランティアでやってねという、そういった条件を出しているわけなんです。これって、一般の企業からしたら、通常はただで動くわけはないんですよ。もちろん選ばれたことによって、そのまま横滑りで確定なんでしょっていうふうに当然思うし、私、はたから見てもそう思うわけなんですけども、これ、事業協力者募集というのは、そうすると実質的な再整備担当事業者という認識でいいのかなというふうに思ってしまうんですが、そういった見解でよろしいんでしょうか。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 現在の事業協力者でございますが、この事業協力の期間というのが再整備事業計画の策定までということとしております。今後、事業の実施に係る民間参画事業者の公募は、また別途行うものと考えております。

〇渡辺委員 別々だというふうに言うしかないと思うんですけども、ただ、事業協力者はやっぱり区とさまざまな協議を重ねて、事業協力者からのアイディア、あと区からの要望、他の事業者と比べてやっぱり多くの情報を仕入れてしまっている状況なわけなんですけども、この大きなアドバンテージを持って事業者選定の場に応募するわけですよ。そうすると、当然、公平性の担保ってどうなるのという意味で、明らかに大きな差が出ているわけなんですけども、その辺については、区はどのように考えているでしょうか。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 事業協力者は、区へ提案を行うに当たってさまざまな検討を行ってきております。その分のアドバンテージはあるという認識はございます。今後公表する再整備事業計画や募集要項に基づき、改めて条件を付して事業者の公募を行いますので、その点で一定の公平性は確保していると考えております。

〇渡辺委員 どう考えても公平性の担保はないと思いますし、これ、マスコミに知れたら結構問題なんじゃないかと私は思いますよ、本当に。完全な平等ってないとは思うんですよ。本来だったら、やっぱり事業協力者に参入するような事業者を事業協力者に選んじゃいけないと思うんですね。今さら言ってもしようがないんですけども。これ、スタートからこの事業って違っているじゃないのっていうふうなことをこの場をかりてちょっと申し上げておきたいと思います。

 続きまして、来年1月以降に行われる事業者選定のプロセス、こちらについて伺います。

 公平性の担保を確保する意味でも、事業者選定の過程をオープンにして行うべきであると考えておりますが、いかがでしょうか。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 事業者の選定に当たりましては、公平性、透明性を確保するプロセスを検討しているところでございます。

〇渡辺委員 何社か入ることを期待していますけども、プレゼン内容、各事業者、リアルタイムで一般公開するというようなことは考えていますでしょうか、伺います。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 応募事業者からの提案方法も含め、公平性、透明性の観点から検討をしていきます。

〇渡辺委員 少なくとも、例えばどこまでオープンにするかというのは、それはなるべく情報公開してもらいたいと思うんですけども、事業者選定後、選定過程の内容、議事録や各位の名前や評定など、事業者選定の一応の流れがわかるような資料、こういったものも公開したほうがよいかと思うんですが、そんなことは可能でしょうか、伺います。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 事業者選定に係る評価基準につきましては、事前の公表を考えておりますし、また審査の結果につきましても、事後の公表ということを検討しているところでございます。

〇渡辺委員 ――――(発言取り消し)――――  例えば野村グループにお金を出しましたっていうんだったら、まだいいんですよ、働いた分。何のために、じゃあ、ボランティアでやっているのかっていったら、それは当然取るためにやるわけじゃないですか。情報も持っている、そういったことも、区とさまざまな情報ももらっている。それで、平等性、公平性の担保があるというのは、それは通用しないですよ、これは。今さら言ってもしようがない話なんですけども、そこだけは、私はこの場をかりてきちんと申し上げておきます。これは意見です。

 続いて、土地の所有権の問題についても確認します。

 区は、区役所の建設費を転出補償金で賄うという考えを以前から示しております。また、再開発事業者が保留床の売却処分によって資金を調達することを想定しているわけですけども、分譲マンションとして個人に売却することも選択の中に入っているんでしょうか、伺います。(発言する者あり)

〇山本委員長 静かにしてください。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 今回の再整備につきましては、職住近接を実現する高品質なレジデンス――住宅ですね――こういった住宅の誘導の用途も、用途の一つとして考えておりますけれども、分譲、賃貸といった所有権に関しての条件は付さないと考えております。

〇渡辺委員 その際、土地の所有権は誰のものになるのでしょうか、伺います。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 市街地再開発事業を行う場合、土地や建物の権利関係はさまざまな設定が考えられますけれども、一般に分譲マンションといった場合につきましては、住宅の購入者が持ち分割合に応じた土地の所有権を持つことになります。

〇渡辺委員 やっぱりここも、なぜ私が、自分がこだわっているのか、ちょっといろいろ考えたんですけども、中野区の未来の発展のために、そういった理由とかですね、本当に中野区のためになるということでやむを得ずというふうなところであるならばまだわかるんですけど、やっぱり区役所を建てるための資金を調達するという側面というところがあるというのがどうしても納得ができないところなんですね。

 基本は、基金を積み立てていって区役所をつくるという、そうした説明会も行っていないわけなんですけども、ここの土地を分割して売却するような形で資金調達をして、新しい区役所を建てますという理屈というのが、やっぱりどうしても納得できない。そこはやっぱり土地はせめて定期借地でこだわってやってもらいたいというふうな思いがあります。

 今、区の土地じゃないですか。それを手放しちゃうと、次の100年後とかの再開発のときに、民間事業者がそこの土地を持っている、個人がそれぞれ土地を持っている、そうなると、また再開発というものがおくれをなしてしまうんじゃないか。また、どういった協議でどうやっていくかというふうな話が、一人ひとりがやっぱり土地を分割していっちゃうと問題が出てくると思うんですね。その辺も考えて、ちょっと応募要項については検討してもらいたい。こういったことを要望いたしまして、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、旧中野刑務所正門について伺います。

 平成30年第4回定例会の報告で、旧中野刑務所正門を現地保存するという報告を受け、我が会派としては、解体か、せめて学校運営に支障のない形で移築にすべきだというスタンスで区と対応してまいりました。ところが、今年の1月31日に行われた子ども文教委員会で、区は現地保存を前提とした校舎の設計案を出してまいりました。その資料によりますと、刑務所の門を囲むように校舎が配置されており、素人が見ても学校運営に支障を来すようなつくりとなっております。何とかならないものかという思いを持っていたところ、さきの一般質問で公明党の木村委員から門の取り扱いついての質問があった際に、移築の可能性も視野に入れた再検討をしているという答弁がありました。一体、庁内でどのようなことが起こったのか確認したく、幾つか質問をしてまいります。

 まず、平和の森小学校建設予定地となっている矯正研修所の土地取得に向けての現状についてお聞かせください。

〇吉沢用地経理課長 お答えします。国有財産関東地方審議会を経まして、売却先は中野区に決定されました。関東財務局が平成30年9月18日付財務省理財局通達の普通財産の処分価格等の明確化に係る手続についてに基づきまして、地下埋設物等調査の試掘調査、ボーリング調査をしたところ、コンクリート殻や瓦礫類等が出土したため、掘削調査、本調査を本年10月から来年1月にかけて行うとの報告があったところでございます。

 用地取得につきましては、その結果を受けまして、手続を進めていくことになります。

〇渡辺委員 そうなりますと、国からの調査報告によっては、土地の取得について大幅におくれる可能性も出てくるということでしょうか、伺います。

〇吉沢用地経理課長 売買契約の締結につきましては、関東財務局が行います掘削調査、本調査の結果次第でおくれることも見込まれています。地下埋設物等調査の掘削調査の結果、地下埋設物等の対策費用の見積額が3,000万円以上の場合、対策費用及び鑑定価格につきまして、財務本省による第三者チェックが実施されるとのことでございまして、現在のところ、どれぐらいおくれるかにつきましては未定でございます。

〇渡辺委員 とりあえずちょっとおくれるということがもう見えてきているということなので、その辺の説明もいずれしていく必要があるかと思います。いつの間にか、移築の可能性ということが出てきているわけであるんですけども、移築も視野に入った理由、教えてもらえますでしょうか、伺います。

〇藤永文化・国際交流課長 旧中野刑務所正門の取り扱いにつきましては、議会において曳家を含めた多角的な検討をすべきではないかという御議論がございました。これを受けまして、本年度区は曳家調査を含めた旧中野刑務所正門の学術調査を進めているところでございます。

〇渡辺委員 改めて確認しますが、移築の可能性はあるんでしょうか、伺います。

〇藤永文化・国際交流課長 一般質問でも回答させていただきましたが、現在実施している学術調査結果と議会での御議論を経まして、旧中野刑務所正門の取り扱いにつきましては、区として現地保存か移築かについて再検討を行い、区の方針を決定する予定でございます。検討によっては、門の移築という可能性もあるというところでございます。

〇渡辺委員 移築も検討しているということですが、門の移築場所はどこを想定していますでしょうか。

〇藤永文化・国際交流課長 現在実施している学術調査における曳家の想定場所は、区画道路の西側の用地でございます。

〇渡辺委員 門を例えば現地保存にすると、学校建設の観点から支障が出るという話も子ども文教委員会の中で出ておりました。一般的にどのような支障が出ることが予測されるのか、改めて具体的に教えてください。

〇塚本子ども教育施設課長 旧中野刑務所正門でございますが、現在、学校建設予定敷地のほぼ中心に門が存在している状況でございます。平和の森小学校校舎等整備基本構想・基本計画(案)の検討の際におきましては、こちらの門の外観を見学できるようにするための見学通路、あるいはそれに伴う空間を門の周囲に確保した上で、学校施設の配置や形状を考える必要がございました。

 また、学校施設の建設時におきましても、門を保護した上で工事を進める必要がございますので、作業の効率性にも影響が生じるものと考えてございます。

〇渡辺委員 当然支障は出るということになるかと思います、現地保存ということになった場合は。仮に例えば、門を移築した場合、それと今現地保存というふうな方針がまだ示されているわけですけども、そちらと比べて、平和の森小学校の開校時期に差は出ますか。

〇塚本子ども教育施設課長 実際に門を移築するための時間が新たに必要となりますので、その分については開校時期がおくれるものと考えてございます。

〇渡辺委員 開校時期がおくれるということも、非常に問題なわけですから、そうなるとやっぱり解体するのが一番いいというふうな、そういった選択肢も出てくるのかなと思います。ただ、それもなかなか難しい判断はあるかと思いますけど。学校の建てかえ期間、新築からまた建てかえるまで50年から60年ぐらいあると考えた場合、門を現地保存して、60年間、いびつな土地に校舎を建てるというふうなことにするのか、開校を多少おくらせてでも門を移築し、より健全な学校運営を行う方がよいか、そういった判断というものも検討する必要があるかと思います。

 私個人としては、長い目で見た場合、移築というのも選択肢の一つではあるのかなと考えますけども、区の見解はいかがでしょうか、伺います。

〇塚本子ども教育施設課長 建築敷地条件におけるいわゆる制約というものがなくなるのであれば、実際には、より良好な学校施設整備は可能となるものと考えてございます。ただし、教育委員会といたしまして、与えられた敷地条件の中で、児童にとって安全で良好な学習環境を最大限に確保できる学校施設を早期に整備することが教育委員会の役割であると考えてございます。

〇渡辺委員 これは、私はやっぱり、現地保存というふうに最初は決めていたわけなんですけども……(発言する者あり)最初は解体か。解体だったのが、いつの間にか現地保存になりましたと。その後、いろんな、多様な意見を聞いた上でちょっと曳家も視野に入れて検討するというようなことになってきている流れがあるのかなというふうに思っております。

 私は、やっぱり少なくとも学校の敷地内に門は残すべきではない、少なくとも残すべきではないという考え方なんですね。通称、平和の門と呼ばれている旧中野刑務所正門なんですけども、一般的に文化財指定が受けられるときに、慣例として名称というのは通称ではなく、昔の名前がつけられるという慣例があるわけなんですよ。そうすると、旧中野刑務所正門という文化財の名前が残る。もしくは旧豊多摩監獄正門というような、そういった名称のついた文化財が、学校敷地のど真ん中にあって、その周りを囲むように校舎がある。学校敷地の横では、何か刑務所グッズも販売しているとか、どういうような学校環境を提供するのかっていうような、これが子育て先進区が提供する学校施設ですかというのは、ちょっとそれはやっぱりそぐわないと思うんですね。

 本当にきちんと、50年、60年というふうな教育環境というものを考えた場合、現地保存というのは本当にあまりにもちょっと子どもたちがかわいそうだ。監獄という名前のついた、刑務所とかってついた門があって、何が平和の森小学校だって話なんですよ。これはちょっとやっぱり区全体を挙げて、まず門をなくすということからスタートして、改めて再検討していただきたい。そして、解体、曳家でも、どっちでも私はいいと思っているんです。一応、私どもの会派といたしましては、一部同僚委員からも、やっぱり解体があるべきだと、それを前提で考えるべきだというような意見もありましたので、我々はまず解体ありきであると。最低限、曳家で、まずは学校敷地から門をなくすというふうな、そういったことを改めてこの場をかりまして宣言いたしまして、私の総括質疑を終了いたします。どうもありがとうございました。

〇山本委員長 以上で渡辺たけし委員の質疑を終了します。

 次に、吉田康一郎委員、質疑をどうぞ。

〇吉田委員 吉田康一郎でございます。育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会の立場で、この第3回定例会、決算特別委員会総括質疑をやらせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず、人権教育行政について伺います。

 我が国の国民が直面する最も深刻な人権侵害問題であり、我が国の主権に対する重大な侵害でもある北朝鮮の日本人拉致問題について伺います。

 北朝鮮当局により、1960年代から1980年代にかけて、多くの日本人が拉致され、いまだにそのほとんどが拉致され続けています。平成14年9月の日朝首脳会談において、北朝鮮は初めて拉致を認め、謝罪し、翌10月には拉致被害者のうち5名が帰国をいたしました。しかし、その後、例えば横田めぐみさんの遺骨と偽って、わけのわからないにせものの遺骨のようなものを出してきて、めぐみさんが死んだと言ってみたり、甚だ不誠実な北朝鮮の対応、拉致問題の解決が少しも進まないことから、国は平成18年に、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関するいわゆる北朝鮮人権法、これを制定いたしました。この法律では、拉致問題に関する国民世論の啓発を図るよう努めるなど、国及び地方公共団体の責務等が定められています。

 そこで、まず、お伺いをいたします。この拉致問題について、区民に対してどのような啓発事業を行っているか、伺います。

〇杉本企画課長 昨年度は、人権啓発事業におきまして啓発冊子を配布したほか、12月の人権週間パネル展でのポスター掲示、北朝鮮人権侵害問題啓発週間でのホームページ周知を行ったところでございます。

〇吉田委員 ありがとうございます。今お伺いをした取り組みなんですけれども、若干、やはり事の深刻さ、日本全体にかかわる問題だというにもかかわらず、取り組みが弱いような気がいたします。私は、拉致問題の解決に向けた取り組みとして、例えば拉致被害者の家族の方々、あるいは拉致問題に取り組む学識経験者の方々などを講師として招聘する講座を開催するなど、今までの例えばポスターとか、あるいはパネル展示とか、こういうことよりもさらに踏み込んだ啓発事業を区民に対して行うべきだと考えますけれども、見解をお伺いします。

〇杉本企画課長 北朝鮮による日本人拉致問題は、国民の生命と安全にかかわる重大な問題でございまして、拉致問題の一日も早い解決に向けまして、国や都の取り組みに注視するとともに、区としても工夫をしながら啓発に努めてまいりたいと考えてございます。

〇吉田委員 ありがとうございます。ぜひ進めていただきたいんですね。嫌味ではなく、今回の決算の資料を読ませていただいても、例えば決算の要約みたいなものを見ても、人権とかのところの項目、取り組みの項目を見ても、北朝鮮拉致という言葉が出てこないんですよ、あの分厚い資料の中に。ぜひ一言でも、人権の部分で、北朝鮮拉致問題に取り組みましたと、こういうふうに、決算の中に言葉が出てくるぐらいにお取り組みを、ぜひ重きを置いて取り組んでいただけたらと思います。これは要望です。

 次に、指導室長にお伺いをいたします。

 政府の拉致問題対策本部は、拉致問題の解決には幅広い国民各層の理解と支持が不可欠であり、その関心と認識を深めることが大切と考え、啓発資料として、拉致被害者の横田めぐみさんを取り上げたアニメ「めぐみ」のDVDを平成20年、作製いたしました。このDVDは、拉致問題の理解促進や人権教育等に活用されるよう、平成20年以降、全国の学校に送付されました。しかし、最近の新聞報道では、あまり活用されていないという情報もあります。

 これは今年6月24日の産経新聞でありますけれども、「アニメ『めぐみ』の授業活用進まず 上映高校15% 未把握自治体も半数」というアンケート結果を報じたものであります。全体として、小・中・高校、全部合わせても、例えば14%とか、15%とか、こういう実施の状況であったと。しかし、例えば大阪府、長崎県、熊本県、それから仙台市、新潟市などでは、4割、5割、6割、7割、8割と、このような小・中・高校、それぞれの実施状況もあると、非常に濃淡があるという状況ということが報じられております。

 そこで、中野区の最近の小・中学校でのこのアニメ「めぐみ」のDVDの活用状況についてお伺いします。

〇宮崎教育委員会事務局指導室長 ここ一、二年では、小・中学校全体で70%を超える学校で活用されております。その内訳は、小学校では22校中16校、中学校では10校中7校でございます。

〇吉田委員 全国の傾向に比べて、今の御答弁、大変高い実施状況であったと、このように本当に心強く思います。中野はすばらしいなと、本当に率直に思います。

 しかし、逆に言えば、さらに欲を言えば、実施されていない学校もあるということでありまして、政府、国民全体の思いの中で、さらに、事件を直接知らない、そういう若い世代についても理解が深まり、そして国民一致団結して、北朝鮮から拉致された国民を最後の1人まで取り戻すんだと、そのところまで一致団結して取り組んでいく、そういう一員の中野であってほしいと、このように思います。そこで、この拉致問題について、教育委員会としてどのように考えていくのか、そして指導について考えているのか、このDVD「めぐみ」を活用した人権教育のみならず、どのように北朝鮮による拉致問題を取り上げているのか、お伺いをします。

〇宮崎教育委員会事務局指導室長 人権教育は、学校教育全体で推進すべき最優先事項であると考えております。北朝鮮による日本人拉致問題につきましては、その一つであると考えております。各学校は学習指導要領に従い、計画的に人権教育を進めております。

 教科等の学習では、小学校第6学年、社会科の、現代の日本は解決すべきさまざまな問題があることを調べる学習の中で、北朝鮮による日本人拉致問題を取り上げる実践例がございます。中学校第3学年の社会科、公民では、基本的人権の保障が国境を越えた人類共通の課題であることを理解する単元の中で、この拉致問題を取り上げる事例が、実践例がございます。

 このほか、主に小学校高学年や中学校での特別の教科、道徳におきまして、家族愛などをテーマとした授業を行う際に、DVD教材「めぐみ」を活用している実践例がございます。

〇吉田委員 ありがとうございます。今後とも、今御答弁いただいたような方針で、若い人たちにこの問題について伝えていただいて、そして、この北朝鮮拉致の問題というのは、たくさんある人権問題の中でも、実際に国民が普通に暮らしている中で、子どもも含めて突然異国に連れ去られて、死ぬか生きるかわからないというおびえる状況の中で何十年も、身体と自由とそして生命の危機におびえながら暮らし続けている、最も深刻な日本の人権問題の一つであると思います。ぜひ子どもたちがこのような人権問題をしっかりと考えていくように、考える力、それから人権を守る意識や感覚を磨かれることを期待いたしまして、この項についての質問を終わります。

 次に、国民健康保険行政についてお伺いします。

 外国人の被保険者の資格の管理の適正化ということの切り口で、お伺いをしてまいります。

 昨今、外国の方がふえている中、外国人の方の日本の保険証の使い方について、社会問題となっております。例えば、NHK、昨年7月23日のクローズアップ現代では、「日本の保険証が狙われる~外国人急増の陰で~」と、こういう報道をいたしまして、この中で、例えば――赤ペンを引いたのがどこかに行っちゃったんですけど――とにかく内容は、医療を目的に日本に入国してきた人は国民健康保険を使ってはいけないんですけれども、目的を変えて入国して、国民健康保険をとって、そして健康保険を使ってしまって帰国する、このようなことが起こっていて、しかもそれをツアー業者が事業として行っている。中国の国内では、「日本の保険料を使って病気を治しましょう」と、こういう広告、こういうものがたくさんあるんだと。そして、それを利用して日本に来て、さまざまな高額な治療を受けたケースが、例えば2017年では、国民健康保険に加入して半年以内に80万円以上の高額な治療を受けたケースが1年間に約1,600件あったことがわかっているなど、NHKが社会問題として取り上げております。そして……(発言する者あり)

〇山本委員長 静かにしてください。

〇吉田委員 NHKですらと言ってもいいかもしれませんが、取り上げているわけです。

 そして、FNNも、これは昨年の11月12日の報道プライムサンデーという番組で、「健康保険が狙われる――外国人受け入れで懸念される“穴だらけ"の実態」として、やはり同じような問題について取り上げています。

 日経新聞は、昨年12月13日の報道で、「健康保険の不正使用を許さぬ仕組みに」と、このように取り上げておりますし、各紙、このように取り上げております。

 これ、さまざまな問題があるんですけれども、そもそもどのように言い繕っても、これは不正であるというものの一つが外国人による健康保険証の使い回しであります。中野区において、この使い回しというような事例を把握したことはあるでしょうか。

〇渡邊保険医療課長 外国人による健康保険証の使い回しについての御質問でございますけれども、中野区においてそのような事例を把握したことはございませんが、他の自治体で同様の事例が報道されたことは承知しております。

〇吉田委員 実は中野区の医師会の先生方にもお伺いしたんですけれども、保険証の使い回しは見破れないと、このように断言をされました。保険証は写真がついていませんので、その保険証を持ってきた人が、「これは私の保険証です」と言われたときに、これを違うと断定する手段がないんですね。免許証の提示とか、あるいは在留カードの提示を義務付けていませんので、それを持っていません、持ってきていませんと言われたら、それはそのまま医師は医療をしなければいけない、日本は応招義務がありますので、そういうことになっています。

 そこでお聞きします。そもそも保険証の使い回しを区は防ぐことができるんでしょうか。

〇渡邊保険医療課長 健康保険証を確認して、医療を提供するのは医療機関であり、健康保険証の使い回しを区が事前に防ぐことは難しいと考えております。しかし、区は、国民健康保険団体連合会とともに、診療報酬明細書の点検を行っており、不正な請求が判明した場合は、本人に保険給付費の返還請求を行っているところでございます。

〇吉田委員 つまり非常に目立つ、不適切なレセプトが出てきたようなときだけは、ちょっと突っ込んで調べてみることができるので、不正を把握することができることもあるかもしれない。けれども、理屈上はそういうことはほとんどないので見破れないと、こういうのが現実だと認識しております。

 私が勉強させていただいている中で、元刑事で中国語を警視庁の中で勉強をして中国語捜査官というものになった坂東忠信という方がいらっしゃいます。この方は東京都内の外国人犯罪があったときに、普通の日本語しか使えない刑事さんたちと一緒に捜査に入るわけですけれども、例えばオーバーステイなどで留学生、あるいは留学の期限が切れて学校に行っていないけれども、日本にいるような中国人の方などの、例えばアパートとか住んでいるところに踏み込みますと、ほとんど全て必ず他人名義の保険証を持っていると、このように著書に書いておられます。こういう実態なんですね。

 そこで、私は、保険料を払っている、まじめに、そして医療を受けるために日々きちんと努力をしている被保険者のために、区は国に対して保険証の使い回しができないように、保険証に例えば顔写真をつけるなど、厳格な対策を講じるように要望するべきではないかと思うんですが、見解を伺います。

〇渡邊保険医療課長 国籍を問わず、国民健康保険の資格の適正な管理は大切なことであるとは認識しております。国は、令和3年から顔写真つきのマイナンバーカードを健康保険証として利用できる仕組みを構築しているところであり、国の動向を注視しながら、引き続き適正な管理に努めていく考えでございます。

〇吉田委員 今、国がマイナンバーカードを、これ、令和3年から健康保険証として利用できるオンライン資格確認の運用開始を目指していると、このお話だと思うんですけれども、これ、オンライン資格確認の運用が開始されると、すなわちすぐに区は国民健康保険証、顔写真のないやつを発行しなくなるということでしょうか。スケジュールを含めて、もう少し具体的に御説明ください。

〇渡邊保険医療課長 オンライン資格確認というのは、医療保険の被保険者番号を個人単位化し、転職や退職などで加入する医療保険が変わっても、個人単位で資格情報等のデータを一元管理することで、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるものでございます。大きなメリットといたしましては、医療機関がオンラインで被保険者の医療保険の資格情報をリアルタイムで確認するため、確実な本人確認と失効した保険証の誤った請求が減少することで、保険者や医療機関の事務の負担軽減が期待されております。

 しかし、このためには、マイナンバーカードの普及と医療機関においてマイナンバーカードの電子証明書のシリアル番号を読み取る端末等が整備されることが前提となるため、オンライン資格確認の運用開始後も健康保険証の発行は継続されることが想定されております。国は、マイナンバーカードの健康保険利用の仕組みを令和3年3月から運用を開始し、令和4年度中におおむね全ての医療機関にマイナンバーカードを読み取る端末の導入を目指しているところでございます。

〇吉田委員 ありがとうございます。大病院はすぐにマイナンバーに対応できると思うんですけども、中小の小さな医院、診療所、こういうところまで、マイナンバーで健康保険証のかわりに使えるようになるまでには数年かかる、あるいは事によってはもっとかかる可能性があると思います。高速道路でも、いまだにバーがなくて直接お金を払うような通行するレーンがあるように、やはり一番最後の利用者が困らなくなるまで、こういう保険証しか持っていないからということに対応できるように、この保険証は使われ続けるんだと思います。つまり、この保険証が使われ続ける間は、本人確認ができないで、今起きている問題がずっと続くということであります。

 そこで、オンライン資格の運用開始後も国民健康保険証も発行するということであれば、やはりこの資格管理の適正化、先ほど申し上げたようなマイナンバーカードができるからいいじゃないかではなくて、例えば健康保険証に写真の掲載を制度化するとか、別にそれにこだわりませんが、何か要するに本人確認をもっと厳格にできるように、我々が知恵を出す必要はない、国がちゃんと知恵を出せと要望するべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

〇渡邊保険医療課長 被保険者の資格の適正な管理につきましては、特別区長会として、国保制度や運用の改善を東京都などに要望しているところでございます。国等に対する要望につきましては、研究してまいりたいと考えております。

〇吉田委員 ありがとうございます。

 それでは次に、海外出産における出産育児一時金について伺ってまいります。

 本年8月、ボリビア人の方が、ボリビアで三つ子が生まれたなどと出生証明書を偽造し、出産一時金を申請し、計2,000万円を不正に詐取した容疑で逮捕をされた事件がありました。

 そこでお伺いをいたします。昨年度、中野区に請求された海外での出産育児一時金について、双子や三つ子などの支給の申請はあったでしょうか。

〇渡邊保険医療課長 昨年度、海外出産に伴う双子や三つ子の出産育児一時金の請求はございませんでした。

〇吉田委員 ありがとうございます。これ、ボリビアの方が2,000万円詐取したやつは、自治体をころころ変えて、千葉市で3人産んだ、大田市で3人産んだ、どこで4人産んだ、こういうのを毎年毎年申請をした。しかも、その申請が非常に怪しげであって、そして通訳の方を同行させようとしたら、その同行を拒否したとか、さまざまな怪しいことがあったのでこれを見つけることができて、逮捕に至ったわけであります。ですから、1人とか2人とか、1回、2回のことであれば、これはなかなか見つけ出すことができないわけであります。そして、このボリビア人の方の例の場合は、出産証明書をそのボリビアの病院で偽造をいたした、これが逮捕の一番の原因になったわけであります。

 そこでお伺いいたしますけれども、中野区では、海外出産の事実について、どのように確認の仕事をしていますか、お伺いします。

〇渡邊保険医療課長 海外出産の確認は、被保険者証のほか、渡航中の出産であることを確認するパスポート、出生証明書の原本とその和訳を求め、出産の事実を確認しているところでございます。

〇吉田委員 これは、つまり書類審査を行っているということでしょうか。書類審査だけでは、偽造などの不正を見抜くことは難しいのではないかと思うんですが、もう一度御答弁を求めます。

〇渡邊保険医療課長 仮に海外の出生証明書の偽造などが行われた場合は、不正を見抜くことは難しいと考えております。

〇吉田委員 そうですね、難しいです。実際、これ公知の、周知の事実なので、別に議会で言って問題ないんですが、もう日本のパスポートとか、あるいはさまざまな出産証明書も何もかにも、もうお金を払えばネットでどんどん捏造できるんですよ。そういう商売もあるぐらいです。海外検索すれば、日本のパスポートなら、今5万円とか、簡単に捏造する。海外の病院であれば、出産証明書をちょっとお金を払えば、ぱっと出してくれます、産んでも、産んでなくても。そして場合によっては、例えば中国などでは、地方政府そのものが汚職にまみれていて、政府がもう適当な書類をどんどんつくります。こういう国が、こういう地方政府が、真正の政府が偽の証明書を出してくるので、多分見つけようはないんですね。

 そして、難しいという御答弁いただいたので、海外出産に伴う出産育児一時金の支給については、より厳格な審査を行うとともに、要するに書類審査だけではなく、もう少し現場に、例えば電話とかで確認するとかですね、その病院に、「こういうお子さんを見ましたか」と聞くとか、そういうこととともに、やっぱりこれ国の制度の穴でもあるので、適正に執行できるように国に要望すべきと考えますが、見解を伺います。

〇渡邊保険医療課長 中野区では、今年度から海外療養費の支給については、より厳格な審査を行うため、専門事業者へ書類審査や現地の医療機関への照会を委託しております。海外出産に伴う出産育児一時金の支給につきましても、厳格な審査等を行うため、国への要望を含め、研究していきたいと考えております。

〇吉田委員 前向きな御答弁ありがとうございます。この項についての御質問はこれで終わります。

 次に、住民登録行政についてお伺いをいたします。

 平成24年に外国人登録証明書が廃止をされ、新たな在留カード制度に移行をいたしました。その際、国籍、地域欄が設けられまして、台湾出身者は、「中国」ではなく「台湾」と表記をすることとなりました。そして、これを受けて東京都では、既に「台湾」の項目を載せた外国人人口の資料を公表しております。ホームページで閲覧できます。

 そして、これを見ますと、我が中野区の欄も、東京都内全部の自治体について欄があるんですが、我が中野区についても、「中国」と「台湾」が別の項目を立てて外国人人口の資料が公開されている。お聞きをしましたところ、中野区が都に対しては、中国と台湾と分けた住民情報を提出しているということが確認できました。

 そこで、今回の決特で、外国人の住民についていただいた一覧表、「台湾」の欄がなくて、「中国(台湾を含む)」と、このような取り扱いになっていますけれども、国、東京都に準じて、今後、区も決算や予算の特別委員会の資料の提出に当たって、「台湾」の項目を載せるべきではないかと考えますが、見解を伺います。

〇辻本戸籍住民課長 お答えいたします。決算特別委員会及び予算特別委員会の資料作成に当たりましては、引き続き要求内容を十分に確認するとともに、関連する法制度等の趣旨や国や都の動向などを十分踏まえまして、的確に対応するようにしてまいりたいと考えるところであります。

〇吉田委員 御答弁ありがとうございます。今の東アジアの情勢、見ますと、やっぱりまた香港で、もう中国の独裁体制に自由が奪われることは嫌だと、本当に命がけでデモが連日起きています。デモのやり方とか、いろいろな批判もありますけれども、本当に命と自由を守るための必死の行動なんだろうなと、そして、それを我が事のように台湾は見ているわけであります。香港が中国の独裁体制に飲み込まれたら、次は中国が武力でも台湾を統一すると、既にもう何十年も前から宣言をしていますので、台湾人の思いというのは本当に切実なものがあります。日本は台湾を承認していませんけれども、台湾は人口2,000万、そして、OECD諸国に匹敵する経済規模、1人当たりの経済、そして選挙をきちんと行った民主主義の自由を大切するいわゆる国家であります。この台湾の人たちが今も、我々をチャイニーズと呼ばないでくれ、タイワニーズと呼んでくれ、中国と呼ばないでくれ、台湾と呼んでくれと、こういう運動を全世界で一生懸命に訴えております。

 国も、東京都も、こういう国際情勢も勘案して、在留カード、あるいは都の公表資料、こういうものについて、独裁中国と台湾を分ける、このようなことをやっておりますので、ぜひ、今後、区が作成する国籍別の資料については、予特、決特の資料だけでなく、基本的に全て台湾というものをきちんと分けて、中野にいる台湾の方がしっかりとわかるように資料を作成し、それをあるいは公開すべきだと考えますけれども、区長の御見解を伺います。

〇酒井区長 「台湾」と分けて表記することとされた法制度の趣旨等を踏まえて、適切に対処してまいりたいと考えております。

〇吉田委員 ありがとうございます。ぜひ適切に御対応いただきたいと思います。

 これをもってこの項の質問を終わります。

〇山本委員長 吉田委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。

午前11時58分休憩

 

午後1時00分開議

○山本委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。

 吉田委員、質疑をどうぞ。

○吉田委員 午前中に引き続きまして、よろしくお願いいたします。

 ちょっとおわびを申し上げます。ちょっと上がっておりまして、通告の順番を間違えて、一つ戻って、生活保護行政についてお伺いをいたします。

 今回の質疑に先立ちまして、我が国における生活保護の実施状況について、国民と外国人それぞれについて資料をお願いいたしました。この中で、外国人に対する生活保護費の支給額については提出をいただいておりませんので、この場で過去3年分についてお伺いをいたします。

〇只野生活保護担当課長 生活保護の措置を行っている外国人に対し、過去3年間において給付している金額は、概算で平成28年度は4億7,000万円、平成29年度は4億5,000万円、平成30年度は4億1,000万円でございます。

○吉田委員 ありがとうございます。大体4億から5億の間ということがわかりました。

 去る11日、本定例会の一般質問において、本件について質問いたしまして、昭和29年5月8日厚生省社会局長通知、平成24年7月4日一部改正、生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置についてにおいて示されている国の認識及び区の認識について伺ったところ、区は、生活保護法では、生活保護の対象を日本国民としており、外国人は生活保護法に基づく保護の対象ではない。区は、国の通知に基づき、生活保護の決定実施の取り扱いに準じて、一定の範囲の外国人が要保護状態にあると認めた場合には、生活保護法と同様の保護を実施している。国は、外国人の保護、または援護といった生存権保障の責任は、第一義的にはその属する国が負うべきであるとしており、区もそのように認識しているとの答弁でありました。まことにもっともな答弁であります。

 そして、この同通知には、生活に困窮する外国人で保護を受けようとする者は、中略、当該生活困窮者の住居地を管轄する保護の実施機関に対し、申請者及び保護を必要とする者の国籍を明記した保護の申請書を提出する、中略、要保護状態にあると認めた場合には、保護の実施機関は、速やかにその申請書の写し、中略、書面を添えて、都道府県知事に報告すること、保護の実施機関より報告を受けた都道府県知事は、当該要保護者がその属する国の代表部、もしくは領事館、またはそれらの斡旋による団体等から必要な保護または援護を受けることができないことを確認し、その結果を保護の実施機関に通知することとありますので、これまでに区がこの報告を行った実績と、これに対する都の通知の実績を伺ったところ、過去5年間においては、区から都へ報告した実績はないとの答弁でありました。

 そこで伺います。報告実績がない理由はなぜでしょうか。

〇只野生活保護担当課長 東京都からは、この1年間、都内の全ての自治体から報告を受けていないと聞いているところでございます。区としても報告をしていないことについて、都から指摘を受けていない状況でございます。確認を行っても回答が全くない領事館等もあることから、この仕組みが行われなくなったものと推測しております。

○吉田委員 国の通知で、区のやるべきことと都のやるべきこと、これ、定まっているわけで、都がやらないから区もやらなくていいということにはなりません。あるいは、大使館が返事をしてこないからこの責務を区が果たさなくていいということにはなりません。

 過去5年間、生活に困窮する外国人に対して生活保護の措置を行った実績はあるのでしょうか、あればお伺いします。

〇只野生活保護担当課長 平成26年度から平成30年度までの5年間で、生活に困窮する外国人に対して生活保護の措置を開始した数は80件でございます。

○吉田委員 80件あったけれども、都に、厚労省の通知にある、やってくれということをやっていないと、これは私は由々しき問題だと思います。今後、この通知に基づく区から都への報告は通知どおりに行うのか、お伺いします。

〇只野生活保護担当課長 今年3月末に、厚生労働省から都道府県宛てに、「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置における地方公共団体から領事館等への確認の手続について」という事務連絡が発出されたところでございまして、区から都への報告については、都と相談の上、検討してまいります。

○吉田委員 定められたとおりにやっていただく必要があるんです。厚生省の通知では、区は外国人が要保護状態にあると認めた場合には、都に報告し、都が当該外国人の属する国の領事館等に必要な保護、または援護を受けることができないかどうか確認するということになっているんですよ。それはその国、その人の属する国に、その人の生存権をきちんと保障する責務があると、国と都と、そして区もそういう認識をしているので、そういう要保護の人については、その国にこういう人が日本に来ていますよ、見知らぬ国で心配な状況ですよということをお知らせする必要があるんです。

 そして、私が国と都と両方に確認をしたところでは、この大使館、領事館等への確認は、別に区が直接行うことを禁じているわけではないという回答を得ました。それであれば、都に連絡するのが何か嫌なんだったら、区が直接、要保護状態の人、その当該属する国の大使館、領事館に、こういう人がいますよ、保護が必要ですよと御連絡をしたらいいかと思うんですが、見解を伺います。

〇只野生活保護担当課長 生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置については、昭和29年厚生省通知に基づいて行っているところでございまして、このことから、都道府県の役割である領事館等への確認について、区が都にかわり直接行うことは考えておりません。

○吉田委員 都がやることになっているから区はやらないというんであれば、ちゃんと都に連絡をしてください。区民の税金でもって、国民のための税金が、国民の中で要保護状態にある人のためにやることなんです、この生活保護事業というのは、御答弁をるるいただいているとおり。そして、戦後焼け野原からアジアの中で日本だけが先進国となって、ほかの国はなかなか苦しい状況であったという、30年、40年前とは全然状況が違うんです。

 ここでちょっとお聞きしますが、都からの通知、または区の確認によって、当該外国人を保護する必要がないと判断して保護の措置を行った場合に、国による罰則の規定はあるのか、お伺いをします。

〇只野生活保護担当課長 生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置については、国通知に基づくものでございまして、罰則は設けられておりません。

○吉田委員 そのとおりであって、これ、衆議院の質問趣意書も出ています。平成23年12月16日、内閣、衆議院質問趣意書、第102号、これは野田内閣のときです。佐藤夕子衆議院議員からの質問に答えて、お尋ねの通知、つまり――通知を言ったほうがいいですね。「外国人に対する生活保護は、実施機関である地方自治体の自治事務として実施されていると承知している。その通知に従う必要があるのか、実施機関の判断によって、外国人に対する生活保護の準用を行わないことは可能か、右質問する」と、こういう質問に対して、野田内閣のときに、政府は、「地方公共団体に法的な義務を課するものではない」と、このように答弁しているんですね。だけれども、かわいそうだから取り扱いしていただきたいというふうに後が続くんですけれども、義務はないと、このように内閣、あるいは質問趣意書でも、閣議決定でこう答えているんです。

 先ほど途中まで述べましたけれども、日本を取り巻く周囲の国々、もう立派に経済大国に成長しております。中国は日本の3倍以上というGDP、軍事費が表向きだけでも20兆円、実質的には、世界のシンクタンクは30兆円の軍事費を費やしていると、毎年。日本は5兆円ですよね。韓国も生活保護制度がある上に、軍事費を今、急速にふやしていて、4兆円を超えていて、数年以内に我が国の防衛費を超えると、このようにも推測されている、こういう近隣諸国の状況なんです。

 ですから、例えばOECD加盟国だとか、あるいは核保有国だとか、こういう自国民を十分に保護できる、責任もあるし、その力もある、こういう国については、その国にちゃんと自分の国の国民を保護しなさいと、このように、ある一定の基準を定めて、措置についてやめるという考え方もしてはどうかと思いますが、これはもう答弁は求めません。これについて質問は終わります。

 次に、地籍調査行政について伺います。

 法務局に備えられている土地に関する図面は、土地の形や境界が実態と合っていない場合が多くある状況にあります。土地の区画、境界や権利関係が正確、明確でないところでは、隣地、隣の土地との境界争いになったり、売買が円滑にできなかったり、行政としても公共事業が進まなかったりと、土地にかかわる行政活動や民間の経済活動に実際に支障を来し、また将来に向かって多くの問題を内包し続けることになります。

 そのため、国土調査法に基づく地籍調査が昭和26年に開始されております。土地をめぐる行政活動、経済活動、全ての基礎データを築くものであり、いずれは全国全ての地域で完了されるべきものであります。特に、我が中野区を含む東京は、首都直下型地震をはじめとする地震などの大規模災害の発生を現実的な課題として想定し、対応しなければなりませんが、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの経験からも、震災後の復興に当たっては、地籍調査を実施していたか否かが復旧・復興事業を実際に進める上で大きな影響を及ぼしたことが教訓となっています。

 平時、通常時の行政活動の円滑な遂行、民間の活発な経済活動とまちづくりの推進のためのみならず、震災対応としても、地籍調査事業は重要であります。

 そこで伺います。中野区でも、国土調査法に基づき、地籍調査を行っています。区ではいつから着手をしているのか、またこれまでの進捗状況はどの程度なのか、伺います。

〇井上道路課長 中野区の地籍調査の進捗状況についてですが、平成19年度から実施をしております。途中、東日本大震災の影響で2年間中断しましたが、平成30年度末現在で、区内の10町丁が完了しております。実施面積は1.59平方キロメートルで、進捗率は10%となってございます。

○吉田委員 10%の進捗状況ですと、今後、完了までにどれだけかかるか、ちょっと心配なんですが、地籍調査は全国規模ではどの程度の進捗状況であるのか、あるいは東京都の状況はどうであるのか、あわせていただきます。

〇井上道路課長 平成30年度末で、全国規模では52%、東京都の進捗率は23%でございます。

 なお、23区内では11%でございます。

○吉田委員 区部ではほかと引けをとらないけれども、東京都の中では半分ぐらい、全国と比べると5分の1と、こういう状況であります。国土の適正な利用、あるいは災害時の早期復旧のためにも、地籍調査の早期完了が望まれます。震災は30年以内に80%以上の確率で来るかもしれないと、このようにも予測されているので、本当であれば30年以内に完了していただきたいと思うんですけれども、区は今後どのように取り組んでいく御意向なのか、伺います。

〇井上道路課長 現在行っております官民境界等先行調査、これを着実に進めるとともに、可能な限り早期に終わらせる方策を検討している状況でございます。

○吉田委員 これに関連して、中野区では、道路管理者として道路法に基づく道路台帳が未整備だと伺っております。そういう区は少ないというか、正確には非常に古い道路台帳があるんだけれども、現況と異なっていることが多いので、区の窓口では「ない」と答えている状況にあると、このように伺っております。地籍調査が進めば支障なく利用できる、道路台帳の整備につながると考えますが、見解を伺います。

〇井上道路課長 地籍調査の成果を活用することで道路台帳を整備することができるというふうに考えてございます。地籍調査が完了した地区におきましては、地域調査にあわせて作成しました管理区域図を道路台帳の付図として窓口で提供をしてございます。道路台帳整備のためにも、地籍調査を着実に進めていきたいと考えてございます。

○吉田委員 他の自治体では、道路台帳を電子化して、それをホームページで公開しているところも多いです。私が少し調べさせていただいた範囲では、文京区、府中市などの道路台帳がホームページ上、閲覧しやすく使いやすいと評価をされているようであります。中野区では、このIT化の時代に道路台帳が電子化されていないということは非常に残念に思います。

 政府では、地理空間情報活用推進基本法を制定し、位置や土地に関するさまざまな情報、土地利用図、地質図、ハザードマップなどの主題図――テーマのある図ですね――都市計画図、地形図、地名情報、台帳情報、統計情報、空中写真、衛星画像などの多様な情報を重ね合わせて活用していく地理情報システム、GIS――ジオグラフィック・インフォメーション・システムの構築を推進していますが、地籍調査の成果は、同法で定められたGISのベースとなる基盤地図情報となるものであります。

 そこで、区は地籍調査の成果、道路台帳の電子化と公開にどのように取り組んでいくお考えなのか、伺います。

〇井上道路課長 現在中野区では、道路の管理種別と路線番号を中野区のホームページにあります「なかの便利地図」上で公開をしてございます。そのほかの情報をインターネット等を通じてどのように公開していくか、今後研究をしていきたいと考えてございます。

○吉田委員 地理情報システムの構築のためにも、地籍調査、あるいは道路台帳の電子化は大変重要な――地道ですけれども、これがあるのとないのではさまざまな事業が、あるいは民間の方が、本当に楽に土地利用をできる、費用をかけずに土地利用を考えられる、このための本当に土台でありますので、ぜひ積極的な推進をしていただきたいと思います。この項の質問を終わります。

 次に、住宅運営行政について――ちょっと座り悪い言葉で失礼いたしました。伺います。

 今、全国の空き家の状況、総務省の統計局、平成30年住宅・土地統計調査によりますと、日本全体では、空き家は846万戸、空き家率は13.6%、そして東京都の平成30年住宅・土地統計調査によりますと、空き家は81万戸、空き家率は10.6%となっております。

 そして、これは不動産関係の不動産ジャパンという団体がホームページで公開しているんですが、この団体は、不動産流通4団体から提供される不動産物件情報、不動産情報の提供などを行っている公益財団法人不動産流通推進センターのサイトでございますけれども、住宅の除却などが進まない場合、平成45年の空き家率は30.2%、空き家数は約2,150万戸にふえていくと、このように推計をいたしております。こういう住宅余りという状況の中でありますけれども、区は住宅困窮者に対して区営住宅を提供する事業をしているわけですが、この区の住宅運営にはやっぱり多くの税金が使われているわけでございます。

 そこで、平成30年度において、区営住宅の使用料及び共益費の歳入、それと、区営住宅の歳出、それぞれの1世帯当たりの負担額をお伺いします。

〇三王住宅課長 まず、区営住宅使用料及び共益費等収入済額おおよそ1億2,000万を区営住宅総戸数453戸で割り返した場合は、年間1世帯当たりの額はおよそ26万円でございます。また、区営住宅歳出はおおよそ1億4,000万かかっておりまして、区営住宅総戸数453戸で割り返した場合は、年間1世帯当たりの額はおおよそ31万円でございます。

○吉田委員 当然のことながら、家賃と共益費だけ払っていただいている状況でも、区の負担は大きい、赤字という状況であります。これにさらに土地、中野区が土地を買った場合の購入費、あるいは建設費、こういうものを加えれば、赤字額はもっと大きくなるわけでありますけれども、この中野区の区営住宅は、都がつくった都営住宅を譲渡していただいたものですので、そこについては実額は計算できません。しかし、これが建てかえとかさまざまな局面において、区が自前で土地、そして建物を建設する、破却まで含めて、この事業を継続していくとなると、区が負担する額は過大となってしまうわけであります。

 区は、実際に現物で住宅を提供する施策のほかにも、住宅困窮者に対しては、他の事業も行っているわけですけれども、この限られた財源の中で、住宅困窮者に対して、また抽せんに当たった人、当たらなかった人、こういう不平等が生じないような、同じぐらいの困窮度の方には同じような支援の手が差し伸べられる、このような政策がこれからは必要だと思うんです。

 先ほど、戦後の焼け野原の中と、こういう状況では、とにかくいろいろファイナンスとか、人手とか、後々の保障とかいろんなことも含めて、民間ではやり切れないので公共が一生懸命に建物を――国民が焼け野原の中で住める人をどんどん住めるようにつくっていく、こういう施策が必要であったわけですけども、冒頭申し上げたとおり、もう住宅余りという状況の中で、政策が、官がつくって供給するところから、民につくらせて供給する、このような側面を、重心を移していく必要があるのでないかと、このようにも考えるわけですが、今後の区営住宅の運営方法として、どのような政策で進めていくお考えなのか、お伺いをいたします。

〇三王住宅課長 現在、住宅マスタープランの改定に当たりまして、中野区住宅政策審議会において諮問を行い、新たな住宅マスタープランに盛り込むべき事項について議論を進めているところでございます。今後は、区営住宅の運営方法につきましても、当審議会による議論を踏まえ、よりよい運営方法のあり方について検討してまいりたいと考えております。

○吉田委員 ありがとうございます。ぜひまたいろいろと御意見申し上げますので、酌み取れるところは酌み取っていただきたいと思います。

 本当はもう一つ質問を残しているんですけれども、ちょっと時間が残りがありませんので、土地開発公社についての質問は次の機会に回させていただいて、今回の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

○山本委員長 以上で吉田康一郎委員の質疑を終了します。

 次に、大内しんご委員、質疑をどうぞ。

〇大内委員 自由民主党議員団、2ラウンド目といいますか、2回、一巡いたしまして、質問をさせていただきます。

 まず初めに、1のシティプロモーションの前に2の決算について、基本計画・起債残高・基金残高等についてお伺いをいたします。

 中野区の財政白書によりますと、一般質問でも述べましたけれども、平成30年度起債残高は、昨年度よりも51億円減少し、147億円となりました。また、基金残高も昨年度より減となったものの、700億円を維持しています。特別区税や特別区交付金といった一般財源の伸びを受け、数字上は健全な財政運営を行っているように見受けられます。しかしながら、一般質問の際にも指摘したように、平成30年度決算は、事業の肥大化が至るところに散見され、平成11年度当時、起債残高631億円、基金残高491億円という、財政再建団体一歩手前までいきました。この財政状況に逆戻りをすることを懸念しております。

 平成31年度当初予算の概要では、起債残高は平成35年度、令和5年度には791億円まで膨れ上がる推計となっております。また、基金残高も、例えば財政調整基金は4年後には166億円まで減少する見込みです。

 ここで、まず基金残高なんですけれども、その他、財政調整基金等ございますけれども、中野区における基金、財政調整基金についての定義といいますか、ちょっとお聞きしたいと思います。

〇森財政課長 財政調整基金でございますが、財政の年度間の調整を図っていくということで設置をしておりまして、急激な歳入等のぶれにしっかり対応していくために、財政の年度間の調整を図っていくということで設置をしているものでございます。

〇大内委員 これ、都の財政用語辞典で言わせていただきますと、大幅な税の税収があった場合などに積み立て、経済事情の著しい変動等によって財源が一時著しく不足する場合などに取り崩すことによって、年度間の財源を調整し、長期的視点から財政の健全運営を図ることを目的とした財政調整基金とありますけれども、中野区の場合、この財政調整金が1の年度間調整分、これに当たると思うんですけど、それと2、施設改修部分、そして退職手当分ということなんですけれども、この施設改修分というものはどういったものを対象にしているんでしょう。

〇森財政課長 区有施設の施設改修経費に充てて対応していくためということで、積み立てをしているところでございまして、義務教育施設ですとか、社会福祉施設等、そういう目的にかなったものについてはそちらの基金のほうで対応していると、それ以外の施設についてこちらのほうで対応しているということになります。

〇大内委員 今回、新区役所の財源として、190億を起債、60億を基金を取り崩すということで間違いないですか。

〇森財政課長 区役所の新庁舎の、一時的な中野区の負担分として254億ほど予定しておるところなんですが、それについて起債を制限いっぱい充当したといったようなところで、起債が約190億、残りが基金で64億というようなことで、現在そういうスキームを想定しているところでございます。

〇大内委員 それで、今回、新区役所に当たって、財政調整基金の施設改修分というところからお金を出すというような御説明なんですけれども、本来、この施設改修分が新区役所の基金を使っていいものなのか、そういったところはどうお考えですか。

〇森財政課長 一時的に施設整備については多額の財政負担が生じるといったようなことで、これまでも財政調整基金の一定部分について、施設整備の財源として活用してきたという過去の経緯がございます。新庁舎整備についても、一時的ではございますが、多額の財政負担が必要となってくるというようなことでございますので、財政調整基金の施設改修分を活用していきたいと考えているところでございます。

〇大内委員 だから、本来、施設改修分という部分で、新区役所に充当するのはちょっと筋が違うのかなと。普通、新区役所を建設する際には、新区役所の基金なり、そういったものを一応ためるんですよね、何十億か。そういったものを一切、今回ためていない。当然、サンプラザや中野区役所を売却することによってその財源に充てようということなのかもしれませんけれども、一時的にしろ、出るのと入るのでタイムラグがある。そういったことを考えたときに、施設改修――文言も施設改修ですからね。施設改修分が何で新区役所の建設費に充てられるのかなと。その辺のところはちょっと腑に落ちませんけれども、今後、まだ新区役所の建設費、これから5年先ぐらいから少しずつ発生していくと思うんで、今から――年度間の本来、調整をするための基金ですから、新区役所整備基金なりなんなりを新しくつくることを提案しておきます。それでもやるかどうかは別ですけども。要は本来で言う施設改修分というのは、やはり学校が改修するだとか、そういったときに使うものであって、新区役所の整備基金にこの施設改修分を充てるというのはちょっと違うのかなと。

 そうしないと、例えばこれから5年先まで、これから財政がどうなっていくか、オリンピック後、景気が後退した場合に、この年度間調整分、かなり吐き出すことになる。そうした場合に、新区役所の60億を財政調整基金から生み出すのはきつくなる可能性もあるんで、別にやっぱり何十億かをちゃんと積み立てておくとふうにしたほうがよろしいと思いますが、いかがですか。

〇森財政課長 新庁舎の一時的な財政負担の部分につきましては、ちょっとくり返し、重なるところもございますが、現時点では財政調整基金のところで見ていくというところで、おっしゃられるとおり、今後の景気動向によっての不安定さというところは残されるところなんですが、しっかり先を見て、現状もしっかり把握しながら、必要な基金積み立て、財源確保に努めていきたいと考えております。

〇大内委員 あともう一つ、財政調整基金、大まかに年度間調整分というのは、どのぐらい基金があればこの役目を果たすと考えていますか。

〇森財政課長 年度間調整分につきましては、過去に一般財源が1年間で50億ほど過去の景気の状況によって減少したといったようなこと、例がございましたので、最低3年程度はしっかり区民サービスを維持していくといったような想定のもと、50億円掛ける3年、計150億円は維持していきたいと考えているところでございます。

〇大内委員 そうすると、例えばこの当初予算概要の、31年度の、16ページに、主な基金の積立、繰入金と出ているんですけれども、平成35年、令和5年でいいのかな、そのときに、財政調整基金の残高が166億円になっているんですよね。ここから、この時点で166億円残高なんですが、このときには、新区役所の整備費というのは、これ、出た後なんですか。それとも、ここから出すんですか。

〇森財政課長 令和5年、平成35年の段階においても、一定程度、区役所については支出が基金からの取り崩しということも想定はしておりまして、この時点では50億円ほど、35年度の段階ではもう取り崩しているといったような計画をしております。

〇大内委員 じゃ、令和4年度に取り崩す予定という計算でよろしいんですか、これは。

〇森財政課長 それぞれ、区役所の庁舎の建設が始まっていく段階段階において、それぞれ基金、起債の活用をしていくといったようなことでございまして、この31年度の当初予算、概要の考え方、概要の計画においては、新庁舎、新区役所整備に充てる基金ということでいいますと、34年は19億円取り崩し、35年――令和5年ですね、50億ということで計画をしているところでございます。

〇大内委員 だから、要は令和5年のときには、もう一応計算上は166億円しかない。そうすると、年度間調整分しか、もうほとんど残っていない、150億の、残り16億円しか、新しい施設改修費の充てる基金は残っていないということになるんで、やっぱりその辺はしっかりと考えながらやっていただきたいと思います。

 もちろんサンプラザの、あるいは今の区役所の売却のお金はまだ計算されていないということなので、当然変わってくると思うんですけれども、やはりこういう数字が出てしまうと、そういったことを危惧させていただきます。

 それで、平成33年度と令和3年度以降、起債残高がふえて、基金残高が当然今に減っていくんですけども、その大きな要因というのはどういったものが考えられますか。

〇森財政課長 平成31年度当初予算案の概要でお示ししたこの基金、起債の状況で、おっしゃられる令和3年以降の状況なんですけれども、起債及び基金の活用額が大きいのは先ほど御説明、触れました新区役所整備の一時的な財政負担、それから学校再編による施設整備ということになってございます。

 新区役所整備の一時的財政負担については、全体でこの3年間、3年、4年、5年で見ますと、起債は181億円、基金は76億円を見込む。それから、学校再編による施設整備については、その3年間では、起債が254億円、基金が80億円を見込んでいると。このあたりで、この額が大きいというようなことで、令和3年度以降、起債残高がふえて、基金残高が減少していくというような状況になってございます。

〇大内委員 昨日というんですか、土地の評価が発表されて、中野駅周辺、また1年前より1割ぐらい、たしか評価額が上がっていますよね。そういうのを考えていくと、売却するとき幾らぐらいになっているのか。オリンピックが終了した場合に、土地の価格が下がっていくと、当然そのときの売却の金額も変わってくるんで、なかなか正確なものが今出せないとは思いますけれども、例えばサンプラザ――違ったら言ってくださいね――大体、この間の総務委員会の資料で310億円、そして、それから、当初中野が支出した、銀行から借り入れている約50億円余の金、260億円、それに土地の所得の税金かかる、40%、約100億円引いていくと、約150億円か160億円、もし売却した場合ですよ、サンプラザの部分で購入が考えられると。また、区役所で約200億円。合わせて350億円近い、そういったお金が――全部売却したらの話ですよ――見込めると、今の段階でね。5年後、売却するときに、土地の相場がどうなっているか、ちょっとわかりませんから、正確なものは当然言えないけども、ただ、そういったものを今回の資料にはまだ入っていないんですよね。5年先、総務委員会でもちょっと出ましたけども、そういった資料には、ぜひ、予定ですから正確な数字じゃないかもしれないけども、そういったものを入れてくれないと、ただやみくもに財政が破綻してしまうんではないかというような、数字だけ追っていると、そういうふうに思えるんでね。それ今後はちゃんと、今の予定で結構ですので、入れていただいて、財政フレームを作成していただきたいと思いますが、いかがですか。

〇森財政課長 区役所やサンプラザに係る転出の補償費等、そのあたりについては、現在のところは時期や金額については未定であるところでございます。そのため、現段階での財政フレームには算入していないところでございますが、今後、中野駅周辺まちづくりの進捗状況に合わせて、そのあたりがしっかり固まって、定まってきた際には、フレームのほうにもしっかり盛り込んでいきたいと考えております。

〇大内委員 そのときに190億円の起債をするのか、一時的に起債を起こして、土地が売却費が入ったら、すぐそれを返却するのかと、そのときのまた財政運営ですから、そのとき考えていただくということで、とりあえず、そういったものが入ってくるということを言っていただかないと、ちょっと先の見通しはかなり厳しい目で見てしまいますので、よろしくお願いします。

 次に、平成11年のその危機的な財政状況からV字回復を果たしてきた今の財政状況、歳入確保に努めてきたんですけども、今後検討が進められる施設の再配置において、売却や貸し付けも含めた遊休地の有効活用、施設の統廃合による維持管理経費の削減など、財政運営上の視点を十分に踏まえて検討すべきと思いますが、どうですか。

〇杉本企画課長 今後の施設の更新、再配置に当たりましては、民間活力の導入や施設のライフサイクルコストを踏まえた施設の更新、区有施設の集約化、複合化、施設の長寿命化の推進など、施設維持管理費を抑制し、効率的な施設運営に努めていきたいと考えてございます。

 また、財源の確保につきましては、起債や基金、特定財源の有効活用を図るほか、資産の売却や貸し付けなどについても検討していきたいというふうに考えてございます。

〇大内委員 当然なんで、よくやってください。もうそれ以上、結構です。聞いても、前に進みません。

 最後に、今度、基本計画が来年秋口に出されますけれども、これは5年間、今回、基本計画、5年間ということで策定するということでございますが、その先の状況、今のお話のように、サンプラザ、あるいは中野区役所の売却益が入ったとしてもかなり厳しい財政状況に追い込まれるんではないかと思います。10年先、20年先を見据えてやはり計画を進めていく。財政状況が厳しくなっていくことが今後予想されるという中で、どのような基本計画、そういったものを策定していくお考えなのか、最後にお聞きをしておきます。

〇永見基本構想担当課長 新しい基本計画につきましては、計画期間を5年間としているところではございますが、基本構想で描く、10年後に目指すべきまちの姿を実現するための総合計画でございまして、今後予想される財政状況を鑑みても、計画期間の終了後の一定の方向性についても記載をする必要があると考えてございます。

 また、策定に当たりましては、持続可能な区政運営を実現するために、中長期的な財政見通しを踏まえ、歳入の着実な確保に努めるほか、施策の必要性や効果について十分に検証するなど、計画に記載する内容について精査をしていきたいと、そのように考えてございます。

〇大内委員 教科書に書いてあるようなことを一生懸命しゃべられても、それは当たり前のことであって、今の中野区のこの財政状況、これから先のことをよく考えて、当然やっていただきたいと思います。

 この項、最後に、流用について先に伺っておきたいと思います。

 流用というのは、原則禁止というか、やってはいけないということで、これもやはり財政用語辞典を見ると、かなり厳しく書いてある。目、節の金額といえども、議決予算の内容を構成するものであり、これをいたずらに変更することは、予算それ自体を混乱させることにもなるので――いろいろ書いてあります。東京都では、目、節についても、流用は禁止を原則としているといったことは御存じですか。

〇森財政課長 基本的に、流用については原則禁止だということについては、そのように認識しております。

〇大内委員 結構です。

 また、次に移ります。シティプロモーションについてお伺いをしたいと思います。

 まず、グローバルビジネス推進費では、シティマネジメント推進として、平成30年度の当初予算で約1億46万7,000円がつきました。しかしながら、平成30年度決算を見ると、予算現額は3,295万であり、約7,100万円余の減額補正を行っています。それはどうしてでしょうか。減額補正の時期についてもお伺いをいたします。

〇桜井観光・シティプロモーション担当課長 グローバル都市戦略を見直しまして、シティマネジメントの推進を目的とした法人は設立せず、区の事業としてシティプロモーション推進を行うこととしたため、法人が行う予定であった情報プラットフォーム事業としてのデジタルサイネージの設置等の経費について減額補正を行ったものでございます。時期としましては、今年の2月に減額補正をさせていただいております。

〇大内委員 そして、シティマネジメントの法人は設立せずに、区の事業としてシティプロモーションを推進するという方向、方針転換をしていますが、その時期についてはいつごろですか。

〇桜井観光・シティプロモーション担当課長 当初の計画では、シティセールス事業は、区が実施するものと法人設立後に法人が実施するものがございました。区が実施するシティセールス事業としましては、平成30年4月より委託事業者の選定準備等を進め、6月に契約し、推進プランの策定の検討を進めていました。その後、平成30年8月にシティプロモーションの指針とともに、方針変更について建設委員会で御報告させていただきまして、シティマネジメント推進としては、法人の設立、情報プラットフォーム事業としてのデジタルサイネージ設置はやめて、区の行う事業として、区への愛着と誇りの醸成と、定住・昼間人口の増加を目的とし、まちの活力を高めていくシティプロモーション事業として行うことにしました。

〇大内委員 昨年8月に、法人の設立をやめると方針転換しましたが、昨年の1月――それはまたいでの1月ですね――建設委員会でシティマネジメント推進の考え方について報告し、2月の予算特別委員会においても法人の設立のための予算が計上されていました。それが8月には法人を設立しないといったことでございます。これ、当時の予算特別委員会の議事録を読ませていただくと、情報プラットフォームをぜひやりたいんだと、デジタルサイネージもやりたいんだと。それについて、私たちも疑問を呈しておりましたけれども、結果的に早い時期にやはり断念したということだと思います。

 それで、シティマネジメントの事業として予算化がされており、事業の中心である法人設立をやめたということであるならば、それは大きな方針転換であり、現在のシティプロモーションは新規事業だと思われます。当時の議事録も、酒井委員も、中身は大きく異なるように見える、そのあたりはどうなんですかということで、担当課長は、当時、区政の転換という――これは酒井区政に変わったということだと思うんですけれども――区政の転換ということもありまして、シビックプライドというものを活性化させ、その二つを挙げて、まちの活力を活性化しようというふうに変わってきたということ。また、他の委員、小林ぜんいち委員からも出ておりました。全く新しい事業じゃないかとか、いろいろそういったことも述べられております。

 そういったことで、なかなかこれは見解が分かれるところなんですけれども、私としては新規事業だというふうに思われるんですけれども。当然、違うと答えますよね。どうぞ、一応答弁をいただきます。

〇桜井観光・シティプロモーション担当課長 まちの活力を高めるという目的というのは、シティプロモーションの事業の目的であり、またシティマネジメントを推進する中でも、その部分は目的として挙げていました。現在行っているシティプロモーション事業は、このシティマネジメントの推進の一部を継承する形で進めているものでございます。したがって、同一事業というふうに捉えてございます。

〇大内委員 当時、この案件に関する予算を積み立てた方、執行された方、それを今受けている方と、毎年人が変わっているんで、ちょっとこれ取材するのに非常に大変だったんですけれども。要するに、つくった方は、最初、情報プラットフォーム、デジタルサイネージをやりたい。次の年になって、新しい課長になったら、いや、区政が変わって、8月に新しいものをやります。それの説明を今度は新しい人がまたやっているということで、ちょっとなかなかお答えづらいと思うんですけれども。

 決算特別委員会の要求資料総務8の予算流用事業の一覧の中で、都市政策費のシティプロモーション事業委託で880万円の流用がなされておりますが、法人を設立しないという方針転換を行い、また、「ナカノさん」というキャラクターを活用している点など、当初のシティセールス事業で実施しようとしていたこと、現在のシティプロモーション事業では目的が違うように、もう一度申し上げますが、そのような中で、予算の流用を行って事業を進めてよいとお考えですか。

〇桜井観光・シティプロモーション担当課長 手段とか手法というのは、当初御説明していたシティマネジメント推進のところからは、状況は変わっておりますけども、目的としては、まちの活力を高めるというところは変わりないというふうに考えてございまして、またシティマネジメントの、法人でシティプロモーションの具体的な取り組みを行う予定でございました。それが法人設立を行わずに区の事業として実施することとしましたので、執行方法の変更ということで流用したものでございます。

〇大内委員 幾ら言っても、これは意見が合わないんですけど、執行方法と、新しい事業と新しい考え方に私たちは変えたように思えるんでね。これは当時も、節間流用ということなんですけれども、果たして880万円という大きな金額のものを当該委員会にも報告、全くしなかったとは言いませんけども、金額については報告をされていません。結果的に、質疑の中で、節流用ですという言葉が出てきて、委員会報告、当時の資料を見ましたけども、節間流用するということは述べられていない。これも酒井委員が述べておりましたけれども、確認をされている。

 ただ、再三申し上げますけれども、この節間流用、あるいは目間流用について、議会の議決は要らないにしても、当該委員会ではしっかりとそういったことについて報告するべきではないかと、以前、この場でも私申し上げた記憶がありますけれども、当時の担当課長もよく御存じだと思います。今その方が責任者で、部長になっていますけども。どうですか、今回のこれは。あまり関係ないのかもしれない――関係ないというか、あなたも部長になったのがこの後ですから……。

 資料で、節の流用に関しての手続も、たしか流用通知書も11月20日になっている。ということで、いきなり流用が決まったわけではないと思います、この。ただ、流用というのは、先ほども確認しましたけれども、当然、財政担当も承知の上で、880万もの流用を行っている。それについてもう一度お聞きしますけれども、この流用のやり方についてどう思われますか。

〇森財政課長 本件につきましては、事業の執行方法の変更だというようなことでございまして、おっしゃられるように、流用については財政課の、財政課長の協議が必要なんですけれども、流用で対応したことについては問題なかったというふうに考えておるところでございます。

〇大内委員 とにかく8月に方針転換が行われて、11月の建設委員会の報告で、キャラクターを活用した情報発信については少し触れられている。当時の委員会議事録を読むと、キャラクターを使ったものという程度です。ただ、そのキャラクターを使うことによって、実質「ナカノさん」の人形部分で言うと、細かく言うと、200万円余かな。800万のうち200万ぐらいがそれに当たるのかな――違ったら言ってください――なんですけれども、そして2月にいきなり、建設委員会、当時、戦略的とはいえ、やはりいきなり発表したのを狙ったといったことを当時の議事録、書いてあります。ということは、その以前に、基本的に当該委員会でその流用について詳しく述べていなかったということだと思うんですけれども、それはどうですか。

〇桜井観光・シティプロモーション担当課長 このシティプロモーション事業につきましては、8月に方向転換の報告、また11月にはキャラクターの活用について触れておりました。戦略ということで御報告させていただいたのが、2月にはもう「ナカノさん」のプロジェクトが始まっていた中での報告となってしまって、そのあたりの説明は、大変丁寧さに欠けていたと、申しわけなく思ってございます。事業の執行方法について疑義を生じさせてしまいました点は、今後丁寧な説明をして対応してまいりたいと考えてございます。

〇大内委員 これは流用一覧表で、当該のところでは、やはり都市観光情報発信事業実施に係る流用で、やはり850万円ほどされている。これは目を変えたというのを何か説明を受けたんですけれども、あなたの所管したところでそういった流用が非常に目立つということなんですね。あえて言えば、前任者のところで目立ったということなんですけれども。大変厳しい意見を言う方もいらっしゃいますけれども、私はいろいろ取材している中で、あなたに対してあまり言いたくはないんですけども、ただ所管、担当は担当だから。

ただ、やはり戦略的とはいえ、突然出した。それが売りなんですよ。でも、それは本来の、当初予算に組まれていればいいですけど、流用してそれをやっていいのかなというのは本当に疑問に思うし、当時の財政担当もハンコを押したと、認めたということで、今回流用を行っているんですけれども。笑っている場合じゃないんだよ。それはやはりしっかりやっていただきたいと思います。

 特に、ことしの夏、非常に暑かったということで、各会派、議員のところには流用を行ってミストの設置をしたいといった報告というか、案内もありました。でも、それも契約落差で設置をすると、それは果たして新規事業じゃないのかと。流用するならば、当該4月の頭の委員会で報告をするべきじゃないか。でも、流用だからいいんですというような、ちょっと説明を受けたりしてね。それは違うんじゃないのかなと思いましたけども、結果的には時期を逸して、ミストの設置をしなかったということで、何も表面上はなかったんですけれども。ただ、そういったやり方というのが果たしていいのかなと、予算の。契約落差が出たから、流用するのは結構――悪いとは言いません。ただ、それを当該委員会にしっかりと報告をして行わないと、いつの間にか予算を勝手に執行されて、予算審議をしている意味がなくなる。まるで10万、20万の審議をしているのがばからしくなってしまうと。100万、800万、このように流用されると、非常に、そういったことが出てきますんで、ぜひとも今後は気をつけていただきたいと思いますけど。改めて財政担当に聞きますけど、いかがですか。

〇森財政課長 流用については原則禁止だと、やむを得ない場合について、情勢が変化した場合については、基本的にはよく審査をして対応していると。今お話があった契約落差についても、基本的には使用しないというような形で、財政課のほうで管理をしているといいますか、しっかりと状況を見ているところでございます。

 議会報告についても、情勢が大きくやり方が変わったとか、その際の財源はどうするのかといったようなことについて、そういったことについて、必要な部分についてはしっかり報告をしていきたいと思っておりますし、財政担当としても、しっかりその辺とかは管理したいと思っております。

〇大内委員 もとに戻りまして、一般質問の答弁の中で、「ナカノさん」関連事業、本来、「ナカノさん」のことをたくさん聞きたかったんですけども、流用のほうに今ちょっとずれちゃったんですけども。平成30年度決算では2,041万、31年度予算では当初予算では2,573万円ということだと言いますが、その費用の内訳についてお伺いします。

〇桜井観光・シティプロモーション担当課長 「ナカノさん」関連事業の経費でございますけれども、平成30年度は人形の制作に約369万円余、PR動画の作成に約676万円余、ポスターの制作費に約313万円余、広報活動――駅前の仮囲いですね、こちらに約395万円余、SNSの発信費用として約286万円余の経費となってございます。また、平成31年度はキーホルダーの会員証やPR用の掲示物などのPR制作物に約854万円余、またSNS発信費用として約1,718万円余の経費がかかってございます。

〇大内委員 もう一度聞きます。要するに、平成30年度で約2,000万、31年度で2,600万円弱を使っているということなんですけども、ことしPR活動、夏使ったうちわ――目が開いているうちわ、あれですよね。ああいうのがPR制作物、約850万円。うちわ以外に何かありますか。

〇桜井観光・シティプロモーション担当課長 「ちびナカノさん」のキーホルダーを制作しまして、そちらと、あとPR用の掲示物がございまして、あすからサンモールの上のところにまたプロモーションのバナーが掲示されるんですけれども、そういった費用がPR制作物というふうにあります。

〇大内委員 わかりました。それで、31年度予算は、シティプロモーション事業に約7,500万円計上されております。「ナカノさん」の関連事業としては約2,570万円です。このことですが、他の費用はどのようなものがあるのか、お伺いいたします。

〇桜井観光・シティプロモーション担当課長 平成31年度の予算ですけれども、ワークショップに約1,723万円、シティプロモーションのウェブサイトの運営費に約1,287万円、イベントの実施、マスメディアを介した情報発信などのPR活動費に約1,863万円の経費がかかってございます。

〇大内委員 ワークショップ、これについて、どのようなものか、お聞きいたします。

〇桜井観光・シティプロモーション担当課長 ワークショップ「ナカノミライプロジェクト」としていますけれども、中野の未来でチャレンジしたいことをテーマに実施し、今年度は区民連携、企業連携、大学連携の三つのワークショップを展開してございます。

 区民連携は、子育て層を対象に、中野の未来を考える機会となるよう実施する予定でございます。

 企業連携でございますけれども、こちらは昨年度のワークショップの成果として提案された事業を実施するために、新たに商店街と連携し、進めているところでございます。

 大学連携につきましては、明治大学と連携し、まちの魅力を高めるプロモーションづくりを進めているところでございます。

 すみません、あと一点。先ほど経費の内訳をお伝えしましたけれども、予算の分科会の答弁では、ちょっと内訳の金額はもう少し変わっております。契約の段階で、全体の金額は変わらないんですけど、ちょっと内訳の変更がございましたので、先ほど申し上げたのは契約段階の内訳ということで申し添えさせていただきます。申しわけありません。

〇大内委員 次に、PR活動費についてお聞きをいたします。

〇桜井観光・シティプロモーション担当課長 PR活動費は、施策の成果を向上させるために、対外的な広報活動費等というもので、テレビや新聞、ウェブメディア、雑誌などの各メディアに対する情報発信リリース、あとマスコミからの取材対応を専門的な知見を活用して対応しているのと、あと区民の方などにこのプロモーションを深く理解していただくためにイベントを実施してございまして、中野区のシティプロモーションの周知、理解を深めるとともに、そこに参加していただいた皆さんから自発的にPRしていただくような機会をつくってございます。

〇大内委員 次に、シティプロモーションは3カ年の計画で進めておりますけれども、来年度、確立期にということが再三委員会でも報告をされています。今年度どのような効果が出ているのか、出そうとしているのか、あるいはどのように来年度進めていくのか、今後の進め方についてお聞きをいたします。

〇桜井観光・シティプロモーション担当課長 今年度は、発信の強化期として、「ナカノさん」を通じて、区民の方などから情報発信がされるよう、発信の仕組みの基礎が整ったところでございます。また、ワークショップの参加者の拡充や、区のプロモーションにつながる民間主体の事業、活動に区が支援するシティプロモーションの事業助成を実施するなど、より多くの区民の方などから情報発信がされたり、参加意識を醸成するように進めてございます。

 これまでの効果としましては、「ナカノさん」プロジェクトやワークショップを通じて、区内の学校や商店街との連携が生まれ、区民の方などが主体的に情報発信をしてくださることが広がっているところです。そのような取り組みの中で、多くのメディアにも取り上げられてございまして、区にとって高いPR効果は上がっているかと思います。

 また、来年、令和2年度は確立期として、これまでの成果を生かしながら、展開してきた施策を検証し、区民の方などから主体的な情報発信及び区への参加意識をさらに促していきたいと考えてございます。

〇大内委員 ありがとうございます。先ほど、少し戻りますけれども、決特区民33の資料で、シティプロモーション推進支援業務委託、博報堂と6月27日から3月31日までということで、約2,160万の契約がされています。そしてその次に、キャラクターによるシティプロモーションキャンペーン業務委託ということで約879万1,200円、これが先ほど流用された880万円の部分だと思いますけども、間違いありませんか。

〇桜井観光・シティプロモーション担当課長 間違いございません。

〇大内委員 それで、先ほどの流用のところで、こういった12月12日に流用されて、新しく新規契約を行ったということは間違いありませんか。

〇桜井観光・シティプロモーション担当課長 流用を行った後に、新しく契約を行ったものでございます。間違いございません。

〇大内委員 もう一度聞きます。当該委員会では、この報告をされたんですか。

〇桜井観光・シティプロモーション担当課長 新たにこの契約を結んだということの報告はしておりません。

〇大内委員 だから、そうすると、もう一度戻りますけども、流用というものに関して決して悪い、やってはいけないとか言っているんじゃなくて、高額な場合は、事前にそのような旨をしっかりと当該委員会で報告をしてやっていただかなければ、議会がまるで認めたものみたいな形になってしまうんでね。今後、それはあなただけじゃなくて、ほかのところも、財政課、よくそうところを見ておいていただきたいなと思います。

 それと、あと今回は、最初に申し上げましたけれども、財政調整基金、これについて、施設改修部分があの中に入っているんですけども、普通、他区でそういったものが財政調整基金の中に大きな要素として入っているところはないんですよね。やはり新区役所をつくるのであれば、そういった新区役所整備基金なり何なり積み立てていかないと、後々財政調整基金、これから本当にオリンピック後、景気が悪化した場合に、そういったものを繰り出していった場合に、新区役所の施設改修部分の基金がなくなってしまうということも想定できるので、ぜひとも新区役所の基金というものはつくっておいたほうがよろしいかと提案をさせていただきまして、また途中、他の会派の小林ぜんいち議員、そして酒井議員の引用をさせていただいたことをおわび申し上げまして、失礼をさせていただきます。ありがとうございました。

○山本委員長 以上で大内しんご委員の質疑を終了します。

 次に、杉山司委員、質疑をどうぞ。

〇杉山委員 令和元年第3回定例会決算特別委員会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から総括質疑をさせていただきます。

 質疑の前に、先日の台風15号による被害に遭われました皆様に、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興をお祈りいたしております。

 質問は通告のとおりです。その他はございません。どうぞよろしくお願いします。

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 1点目は、マイナンバー関連について伺います。

 住基カードとの違いを打ち出し、平成27年に総務省が開始したマイナンバー制度、住民一人ひとりには既にマイナンバーが振られておりまして、皆さん御存じのとおり、各種証明の発行などが便利に行えますし、区民がマイナポータルに登録してくれさえすれば、行政機関と直接つながることができて、手厚い区民サービスを受けることができる、そんなサービスでございます。

 認可保育園の入所申請や児童手当、児童扶養手当なども申請が行えます。税金に関する税額や控除額、年金、医療や健康福祉関連、子育てや子ども関連、雇用労働関連、防災関連の情報なども入手できたりしますし、お知らせやアンケートなど、行政機関側からプッシュ通知なども受けられるようになります。例えば子どもの予防接種の案内や、受診時間などの通達、電子マネーでも決済もできる地方税などの納付案内なども区側から行えるようになります。

 しかしながら、区民サービスのさらなる向上が大いに期待できるマイナンバーカードを交付された人、なかなかふえていないのが現状だと思います。杉山家も、実は自分だけは必要に駆られてつくりましたけども、妻と子どもはつくっていないのが現状でございます。申しわけございません。

 平成30年度の決算説明資料によりますと、マイナンバーカード交付件数は、平成28年には3万1,559件、平成29年には1万2,854件、昨年度は1万2,290件ということで、ここ2年で件数的には横ばいと報告されています。

 また、マイナンバーカード交付委託等のうち、地方公共団体情報システム機構、以下、J-LISと言いますが、そこへの交付金実績は2,548万2,800円、J-LISへの交付金の不用額として、1,230万3,200円となっております。これを合算しますと、もともとの交付金予定額は3,800万円ぐらいだと思いますが、そこで伺います。

 昨年度のマイナンバーカード交付数の目標値は何件だったのでしょうか。達成率や23区内での順位などもあわせてお示しいただければと思います。

〇辻本戸籍住民課長 お答えいたします。昨年度のマイナンバーカードの交付目標数でございますが、2万枚でございます。目標に対する達成率でございますが、約62%、23区におけます順位は13位でございました。

〇杉山委員 2万件という目標値のことですが、ちょっと数字が丸まっているように見えますが、どのような算出方法でその数値にしたのかを教えていただければと思います。

〇辻本戸籍住民課長 平成27年度からマイナンバーカードが始まりまして、その後の交付数の動き、さらには住民基本台帳カードからの切りかえの動向等を分析したとともに、平成30年度に予定しておりました施策の効果等を勘案し、設定したものでございます。

〇杉山委員 さまざまな切り口があるということですが、ぴったり2万枚ということで、大体、目標値を決める際には、企業でもそうなんですが、こういうタイミングでこのような手法で獲得する件数が何件、別の手法で何件、さらに別の手法で何件と積み上げて、さらに、過去の実績などから目標値を決めていくというような積み上げ方式を採用しているところ多いと考えております。

 では、今回、目標値達成のための戦略として、施策についても教えていただけますでしょうか。お願いします。

〇辻本戸籍住民課長 昨年度につきましては、区報によりまして隔月で、マイナンバーカードを利用したコンビニでの住民票等の取得のPRとあわせまして、住民基本台帳カードからマイナンバーカードへの切りかえ勧奨を行いましたほか、住民基本台帳カード保持者全員の方に勧奨通知を送付したところでございます。

 また、これとあわせまして、ホームページ、ポスター、チラシなどにより広報に努めたほか、マイナンバーカードの交付申請を行ったにもかかわらず、受け取りに来られない方などに対しまして、個別に勧奨通知を送付したところでございます。

〇杉山委員 いろいろ手を尽くされたというお話なんですが、目標達成は、やっぱりこうやって決算で最後に結果が出てしまいます。それを報告するだけでなく、四半期ごとあたりで、途中途中で戦略を変えてみたり手法を変えたりして、てこ入れしながら目標を達成するという強い意志が必要かなと思っております。到達できないであろうと思ったタイミングで、何かもし手を入れたことがあれば教えていただけますでしょうか。

〇辻本戸籍住民課長 先ほどお答えさせていただきました施策等につきましては、年度当初に立てました計画に基づき、着実に実施したところでございます。また、これらを実施するに当たりましては、課内で定期的に達成状況などを確認いたしまして、必要に応じて補強策を講じるなど、進捗管理を行ってきたところでございます。具体的には、マイナンバーカードの広告入りの封筒などを作成し、窓口で配付いたしましたほか、窓口での個別の勧奨などを強化したところでございまして、一定の効果があったものと認識しているところでございます。

 今後も目標達成に向けまして、取り組み内容を工夫してまいりたいと考えてございます。

〇杉山委員 達成率62%で、手を入れて一定の効果が出たというお話だったんですが、先日、ついこの間、1階で行っておりましたシルバーパス等の発行と同時にマイナンバーカードをつくっていただくなどの手法は、私としては大変よい戦術だと思いました。これでさらにシルバーパスと一緒にマイナンバーカードを発行するから、何件獲得するみたいな目標値があったら、なおよしかなと思いますが、これは評価をさせていただきたいと思いますが、今後の目標値は、ぜひ途中途中のチェック機能も入れながら、しっかりとした戦略、戦術を検討して、ぜひとも目標達成に御尽力いただきたいと思います。

 役所側から見たら、既に個人にマイナンバーが振られている関係で、区役所内の業務効率化は、国民がマイナンバーカードをつくろうが、つくるまいが、あまり関係なく、効率化は庁舎内では図られていると思います。ですが、区民のサービスの満足度向上は、ここからがスタートでございまして、本来受けられるであろう行政からのサービスを受けるには、マイナンバーカードをつくっていただく人をふやすだけではだめで、マイナポータルに登録する、そんなところまでを見据えていかなければならないと思います。

 冒頭でもお話ししましたけども、マイナポータルは行政機関との架け橋となる大事な入り口でございますので、行政側は区民サービス向上のための第一歩、これを踏んでいかなければならないと思っております。

 そこで伺います。マイナポータルへの登録件数などは把握されていらっしゃいますでしょうか。

〇平田情報システム課長 マイナポータルの登録件数の把握についてでございますが、マイナポータルのシステムそのものにつきましては、個人につながる情報を持たない仕組みでございます。そのため、個人の利用状況等については把握していない状況でございます。

〇杉山委員 わかりました。確かに個人情報を持たないという手法で、分散管理ということだと思いますけど、それでは所管である内閣官房に対して、中野区のマイナポータルへの登録件数について、一度でも問い合わせてみられたことはございますでしょうか、伺います。

〇平田情報システム課長 直接の問い合わせにつきましては、中野区から行ったことはございませんが、マイナポータルに関しまして、自治体から国に問い合わせをした結果は、内閣官房の番号制度管理室の専用ページで公開されてございます。その中で、マイナポータルにアカウントを作成している市民の数を把握することはできないという回答が掲載してございます。

〇杉山委員 マイナンバーカードの交付数を目標値に設定すること、大事なことですが、そのカードを使ってマイナポータルに登録していただいて、先ほども言いましたけども、初めて手厚い区民サービスが受けられるようになるわけですから、いろいろ教えていただかないと把握できない、中でもマイナポータルの登録までの戦略やその戦術を立てて、そして実施していかなければならないと思います。数値が把握できなく、目標設定も困難であっても、例えばぴったりサービスの利用者や庁舎内で登録イベントなどから数値を把握して、暫定的な目標設定もできるかなと思います。

 ちなみに、先日自分もマイナポータルに登録しようと思ったら、愕然としました。ICカードリーダーをまず買わなきゃいけない。それじゃなくて、スマホでアプリが用意されているんで、それをやろうと思ったんですけども、Andrоid版のみで、まだiOS版が出ていないということで、結局、私はマイナポータルに登録をまだしていないんです。すみません、頑張ります。

 ただ、総務省として、マイナンバーカードの交付やマイナポータル登録の起爆剤として、この秋、まずはiOSアプリ提供されます。そして、マイナポイントになるポイントシステムの導入を進めておりますので、あと9月3日のデジタルガバメント閣僚会議におきまして、交付円滑化計画というのも発表されています。このタイミングだからこそ、マイナンバーカード交付件数を上げるのと同時に、マイナポータルへの登録件数も上げるというような施策も考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

〇平田情報システム課長 マイナポータルへの登録促進につきましては、マイナンバーカードの普及促進策とあわせまして、積極的に広報等を行ってまいりたいと考えてございます。

〇杉山委員 これからしっかりとした目標値を設定していって手を打っていただくことは、マイナポータルに登録する区民に対する新サービスや、一元管理ではなく分散管理手法であるというような、個人情報取り扱いの安全性に関しても理解をしていただきながら、必要性などをしっかりと区民に伝えていかれることは当然なんですが、例えば、マイナンバーカードを受け取りに来たために、来庁した際に、先ほどのシルバーパスの件と同じなんですが、隣でマイナポータルも同時に登録していただけるような仕掛けとか、それから、せっかくアウトリーチチームがあるわけですから、アウトリーチチームと合同でマイナポータル登録を推進してみるとか、区報で特集を組んだり、区の独自のマイナポータル紹介サイトをつくってみるなど、さまざまな切り口で登録の推進をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。既に手法などを考えているようでしたら、それもあわせて教えていただけますでしょうか。

〇平田情報システム課長 マイナポータルの登録促進策につきましては、委員御提案の内容ですとか、あと他先進自治体の事例等も参考としまして、登録促進のための効果的な方策について検討してまいりたいと考えてございます。

〇杉山委員 中野区は、この秋、国が行うマイナンバーカード発行の起爆剤が発表されるこのタイミングで、ぜひともマイナポータルへの登録件数も他区に比べて飛躍的に向上させ、必要な人に必要なサービスを届けるために、いち早く手厚い区民サービスが行える状態に持っていけるように本件を進めていただければと思います。これでこの項目の質問を終わります。

 次に、中野駅南口地区のまちづくりに関して伺います。

 中野駅南口地区まちづくりとは、主に中野二丁目の公社中野駅前住宅の再編、駅前ロータリー、東側のノイビル周辺の市街地再開発、そして中野駅南口ロータリーを含めた駅前広場の整備の三つの事業を指すことは周知の事実でございまして、既にコーシャハイムが完成しております。市街地再開発や駅前広場整備は2024年までに完成予定となっています。

 ことし、甲武鉄道開業と同時に誕生して、130周年を迎えている歴史のある中野駅でございますが、残念ながら中央線のターミナル駅としては最後のエレベーターのない駅となってしまったわけでございます。

 そこで伺います。中野駅のバリアフリー化、どのような計画となっておりますか。

〇小幡中野駅地区担当課長 中野駅につきましては、鉄道事業者との協定に基づきまして、西側南北通路橋上駅舎等事業を進めておりまして、駅のエレベーターを使用したバリアフリールートの確保も含めました西口改札の開業につきましては、令和8年、2026年度末と想定しているところでございます。

〇杉山委員 一応、御説明ありがとうございます。令和8年ということで、工期おくれが心配でしたので、念のため確認させていただいたわけでございます。

 平成30年度の3定の質問でも少し触れさせていただきましたが、中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3では、中野駅周辺の回遊性を高めるために、中野駅西口の南北連絡通路と同じように、中野駅の東側には中野二丁目と中野五丁目が南北につながるような歩行者ネットワークが点線ではありますが、記載されております。中野駅を中心として、回遊できるような構想ですね。

 そこで伺います。中野二丁目と中野五丁目の歩行者ネットワークの検討が進んでおりませんのは、なぜでしょうか。

〇小幡中野駅地区担当課長 区としましては、中野駅周辺の四つの地区への導入動線を強化し、地区相互の回遊動線を形成することを目指しております。駅東側の南北通路につきましては、現時点では構想線ではございますが、今後の二丁目、五丁目のまちづくりとあわせて、通路の降り口の確保等も含めて検討することとしております。

〇杉山委員 御説明ありがとうございます。その東側の回遊の歩行者ネットワーク、改札とかではなく、あくまで歩行者ネットワークということだと思います。回遊性をうたっていても、実際は中野駅東側の歩行者ネットワークの実現までには相当時間がかかると聞いたことがございます。かなり長い間、住民の方々も熱望しておりますが、でしたら、今回、質問の切り口をちょっと変えたいと思います。

 現在、中野駅南口の東側、千光前通りの突き当たり近くにある九中跡地に、中野区は地域の医療拠点となる病院の誘致を計画していると伺っております。開業のもし見込みがわかれば、予定時期もあわせて伺います。

〇鈴木保健企画課長 お答えいたします。現在、区は地域包括ケアシステムの構築に資する医療機関の誘致を計画しておりまして、今年度、企画提案公募型事業者選定方式によりまして事業者を選定してまいります。誘致する医療機関には、圏域内で不足している回復期医療の提供とともに、地域医療への支援などの役割を期待しているところでございます。今後、10月に公募要項を発表しまして、来年3月には医療機関の選定を行い、2025年度までに開設をする予定でございます。

〇杉山委員 いろいろあると思います。誘致予定の、医療機関を誘致したいという中野区の意思があると思います。来る来ないは別にして、あると思うんですが、もし医療機関を誘致しようとしている場合、高齢化に対応した科や機能、病気回復期の病床不足を解消するための医療機関と、いろいろお話ありました。地元の高齢者だけじゃなくて、電車を利用して、中野駅南口からも多くの方がその医療機関を利用される目的でいらっしゃると思いますし、鉄道を利用してくる方は足腰が健全ではなく、車いすの方も、つえの方もきっと多くいらっしゃいます。2026年の中野駅西口改札でバリアフリー化が実現したとしても、医療機関のあるもみじ山通りから新しい西口改札まで、相当な距離があります。医療機関を誘致するのでもしあれば、中野駅の東側にもエレベーターなどのバリアフリーに対応した改札をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか、伺います。

〇小幡中野駅地区担当課長 中野駅のエレベーターを使用しましたバリアフリールートの確保につきましては、西口改札での経路確保に加えまして、引き続きほかの経路でも検討が必要というふうに認識をしております。

 西口開業後は、北口、南口改札の混雑も緩和されることが予想されまして、中野通りの東側におきましても、東口の改札ということではございませんけれども、混雑が緩和した北口、南口を結ぶ現在の構内通路を活用した経路確保の方策について、今後鉄道事業者と検討をしていく必要があると考えております。

〇杉山委員 今ですね、先ほどの答弁で2025年に開業予定の医療機関があると言いまして、西口が令和8年、2026年度ということになります。そうしますと、医療機関のほうが今の中野区の目論見であると早くなりますね。

 ちなみに、令和元年、7月19日の都政新報にも、東京都の都市整備局が、来年度、駅のバリアフリー化に関する補助を拡大するという準備を始めたとありますし、令和元年の第3回都議会定例会の小池都知事の所信表明でも、鉄道のさらなるバリアフリー化に向けて、障害のある方や学識経験者等からの意見を伺いながら、駅の構内や周辺の特性等を考慮した優先整備の考え方の検討を進めておりまして、補助の拡大を図りますと御発言されております。

 さらには、先日、令和元年9月9日の東京都議会でも、鉄道駅のバリアフリーについて質問が出まして、東京都の技官がこのように回答しております。駅のバリアフリー化を促進するには、鉄道業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。都はこれまで鉄道事業者に対する補助を行ってきており、これにより利用者数10万人以上の駅のうち半数を超える駅でホームドアが設置されるなど、整備が進みつつあります。さらなるバリアフリー化に向けて、現在ホームの形状などの駅の特性や、駅周辺における病院などの立地状況を考慮したという優先整備の考え方を検討しております。今月末をめどに取りまとめ、これに基づき、鉄道事業者に整備計画の策定を求めてまいります。この計画の実現を支援するため、ホームドアは利用者10万人未満の駅にエレベーターは複数のルート等の整備に補助の拡大を図ってまいります。今後、駅のバリアフリー化を積極的に促進してまいりますとのことでございました。

 東京都のこの取り組みに関しまして、区としてはもちろん御存じだとは思いますが、中野駅東側新改札に生かせそうですか、伺います。

〇小幡中野駅地区担当課長 東京都では、現在、鉄道駅のバリアフリーに関する優先整備の考え方を取りまとめているところというふうに聞いております。区としましては、新たなバリアフリールート確保に当たりまして、特に東口の改札ということではございませんけれども、その補助金の活用につきまして、今後、東京都の優先整備の考え方の公表ですとか、補助要綱の内容を確認した上で、事業の進捗とあわせてその活用を検討していきたいと考えております。

〇杉山委員 先ほどもお話ししましたけど、医療機関の誘致をする、したいということは、東側にも何とかバリアフリー化した改札が必要だなと感じております。中野駅構内は、各ホームに通ずる中央コンコース以外にも、ホーム東側にもホーム間を移動するため地下道があることは周知の事実でございますが、先ほどの回答で、この中央コンコースに将来的には考えていきたいというお話だったと思いますが、この千光前通り、この地下道、先ほどのホーム間の移動する地下道を利用する形で、南側の千光前通り側のみの改札をつくって、この場所に簡易エレベーターのみを設置するという形はいかがでしょうか。

 昨年11月に、JR御茶ノ水駅の二つのエスカレーターがホームにつきまして、バリアフリー化が完了したエレベーターが設置されたということになりまして、中野駅が取り残されているわけでございます。4本ホームがありますから、コンパクトに4基のエレベーターの設置と、東中野駅東口のような無人の改札を設置するという簡易的な実現方法もあるかと思います。この案、どのように思われますでしょうか、伺います。

〇小幡中野駅地区担当課長 区としましては、現在、鉄道事業者と連携しまして、西口改札のできるだけ早期の開業を目指して取り組んでいるところでございます。東口改札の設置につきましては、現在、特に位置付けはございませんで、出入り口としての外部空間の確保ですとか、新たな区の費用負担というところも想定されまして、現時点では設置は考えてございません。

〇杉山委員 JR東日本、東南側、中野二丁目エリアに関しましては、中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3では、新たな業務、商業の集積と生活コミュニティの核という位置付けとなっておりますが、これからその九中跡地に医療機関がもし来たとして、もともとある中野総合病院とか中野区医師会、それから中野区歯科医師会などもありまして、医療の広域拠点的な位置付けという新たな顔も見え隠れしております。

 西口改札の完成で中野駅のバリアフリー化が完了しましたということにとどまらず、エレベーター設置を含んだ中野駅東側の千光前通り口改札の整備や、それから中野二丁目地区市街地再開発事業エリアから先の千光前通りの歩道の整備などで、車いすや松葉づえの方、ベビーカーなどの歩行弱者に優しい中野駅南口周辺に生まれ変わるような改善を求めていきたいと思っております。

 中野駅は、中野駅南口を再開発したら、昼間人口3,500人から4,000人ふえると言われております。特に朝の時間帯に関しましては、幅の狭い中野駅南口に人が集中しております。西口ができたら解消できるかもしれませんが、現在のところ集中しており、もし医療機関できましたら、医療機関に向かう方々を含む歩行弱者の方々、なだれ込んでくるホームの、改札の中になだれ込んでくる人から守るためにも、ぜひとも東側に抜け道的な改札をつくっていただけたらなと思っております。ぜひ実現していただきたく思っております。強く願っておりまして、この項目の質問を終わります。

 次に、中野区産業振興拠点のあり方について伺います。

 平成31年2月の予算特別委員会で、中野区の重点産業について伺いました。平成24年10月に策定された中野区産業振興ビジョンで、ICTコンテンツの活用とライフサポートサービスの充実で経済が活性化するまちとして、中野区の重点産業と定義されたとのことで、平成25年7月には中野区産業振興推進機構が立ち上がりまして、中野セントラルパークのイースト棟1階の一等地に産業振興拠点ICTCO(イクトコ)が誕生しております。現在、会社の登記もできるプラチナ会員、その他さまざまなサービスを受けられるゴールド会員、打ち合わせなどの場所として拠点が使えるシルバー会員のほか、パーテーションで区切られているブースを特別に利用しているプレミアム会員というものが、それぞれの目的に合わせて利用されていると把握しております。

 1定の予算特別委員会で、年間○○社の融資あっせん目標値を達成するために、区役所に定期的に窓口をつくって、西武信金さんなどに相談できる機会をつくってみるなど、目標達成のため、対策や戦術をその都度中野区側が強い意思を持ってICTCO(イクトコ)に対して仕掛けなければならないのではという内容の質問をさせていただきました。これからは会議などにも参加して、中野区側からも要望や意思を伝えていくとの答弁をいただいております。

 そこでお伺いします。8月末に、中野区産業振興推進機構との契約を更新したと思いますが、その際に中野区が示した方針などあれば教えていただきたいと思います。

〇堀越産業観光課長 今回の協定に当たりましては、地域経済の活性化や子育て、介護、医療など区民生活を支え、豊かにするサービスの関連など、区政課題の解決につながる事業を企画支援していくことを明文化いたしまして、改めて方針として定めてございます。

〇杉山委員 区政課題の解決など指示をされたということですが、1定の予算特別委員会で私からお願いをさせていただきましたのは、目標を立て、結果を検証しながら、成果があれば、単年度で契約を更新していったほうがよいのではという、成果検証にひもづいた単年度契約案だったんですが、今回の契約はどうされましたでしょうか。

〇堀越産業観光課長 今回の協定の期間は、従来と同じく3年としておりますが、6カ月前に更新しない旨を伝えまして、承認を得てではございますが、区の方からも解約できることとしたところでございます。

〇杉山委員 単年度更新すべきであるとお伝えしたんですが、なぜ単年度でなく、3年契約とされたのか、その理由をお聞かせ願えますでしょうか。

〇堀越産業観光課長 一般的な考え方といたしまして、事業を行う場合には、少なくとも1年先は見通せる必要があると考えられますこと、また、あと区といたしましては、産業振興拠点の機能等について、新たな基本構想や基本計画の内容を踏まえまして、再度検証を行っていきたいと考えましたため、3年間が適切であると判断したものでございます。

〇杉山委員 過去にずっとそういう感じで、中野区がすごく介在して見ていれば、きっと単年度でもできたかもしれないなっていうことで、今回、単年度更新にならなかったことは非常に残念ではございますが、解約条件、新たに入れていただいたということは大変大きなことだと思っております。そのことで、ICTCO(イクトコ)側はしっかりと結果を出さなければならないという意識でちゃんと戦略を立ててくると思います。ICTCO(イクトコ)は、中野区が定めた重点産業の拠点となりますので、これからしっかりと目標を進捗、検証しながら、事業拡大に向けて進めていっていただきたいと思います。

 ちなみに、中野区のICTCO(イクトコ)に対する評価検証項目、どのような項目をお考えでしょうか。

〇堀越産業観光課長 評価項目の詳細については、これから決定をしていくところでございますが、区で実施しております委託事業などの評価方法を参考にしながら、今回、方向として示しました区政課題の解決に資する事業の展開の状況などを区民の皆様にもわかりやすい視点からの評価が必要と考えているところでございます。

〇杉山委員 評価項目、教えていただきました。先ほどのマイナポータルのお話も、マイナンバーのお話もそうなんですが、せめて四半期単位でその内容を検証していただいて、軌道修正をしながら進めていただきたいところでございます。

 現在のICTCO(イクトコ)の会員は、起業したばかりのICTやコンテンツ業者、過去に開催されたビジネスプランコンテストの入賞をきっかけに会員となった業者のほか、士業――侍業ですね――や歯科医など、幅広い業種がいらっしゃいます。身体障害者向け支援サービスを行っている業者など、注目企業もあると聞いております。中野区としても、このICTCO(イクトコ)の会員がどんな会員で、どんなテクノロジーを保有しているのか、どんな得意分野を持っているのか、そのあたりの情報の把握までもしっかりとしていただきたいと思っております。

 ところで、近くにある某巨大飲料メーカーの企業関連ウェブサイトを制作していた会社とか、東京都の革新的サービス特別賞やそのビジネスコンテストのファイナリストの会社、それから中野駅北口周辺で野外アニソンレイブをやっていた会社とかですね、いろいろICTCO(イクトコ)を利用していた、結構有名になりそうな会社がみんな退去してしまった。ICTコンテンツ業者がいます。退去したコンテンツ業者がいます。ICTCO(イクトコ)で力をつけて、日本へ、世界へ羽ばたいていったと考えたら美談となりますが、立地もよく、安く利用でき、さらに利用期限が無期限であるICTCO(イクトコ)からその会社がなぜ退去したのか、理由など把握されておりますでしょうか。

〇堀越産業観光課長 ICTCO(イクトコ)におきまして、退去時に理由は確認しているとのことでございまして、理由として、区のほうでは、新たに事業所を構えるための移転が多いと聞いてはいるところでございます。

〇杉山委員 さっき出した3社のうち、何社かは中野からも既に出ちゃっているわけでございまして、自分のところには、使い勝手やインフラの脆弱性、そして中野区産業振興推進機構執行部との確執など、さまざまな理由があると伺っておりますが、今となっては後の祭りだと思っています。

 中野区は、ICTCO(イクトコ)運営側とさらなるコミュニケーション機会を持って、環境などの改善に努めていかなければ、ダイヤの原石はどんどん流出してしまう、中野で生まれた原石に磨きをかけるお手伝いを、これから世界に羽ばたく企業となっていただけるようなバックアップを、インフラ整備も含めて、ぜひサポートをお願いしたいと思っております。

 ところで、東京都が弥生町に構えている東京コンテンツインキュベーションセンター、通称TCICと言いますが、コンテンツに特化した起業家支援施設で、入居には将来性や独創性などを加味した厳しい審査で、審査を通っても入居期間は3年間限定となっております。現在40ぐらいの企業が3年間で地力をつけ、羽ばたいていけるような事業計画をしっかりと遂行し、頑張っております。TCICには常駐の事業コンサルタントが在籍し、事業収支報告書や、それから戦略会議なども行いながら、3年間でひとり立ちするために、事業の相談などを頻繁にコンサルと行っている、そんな環境でございます。

 そこで伺います。ICTCO(イクトコ)の新会員となるには、どのような内容で審査が行われておりますでしょうか。また、契約更新時にはどのようなことが行われておりますでしょうか。独自ブースのプレミアム会員や、登記も可能で一つの席が与えられるプラチナ会員の入居に関しまして、契約期限は決められておりますでしょうか、伺います。

〇堀越産業観光課長 さまざま会員ございますが、プラチナ会員に限らず、全ての会員におきまして、契約日より2年間の入居期間となっております。双方の協議によって延長することができるものとなっているところでございます。

〇杉山委員 基本理念ですが、どういう形で延長されるかという内容は、今お伺いはできなかったですが、延長できて、基本的には何となく無限大な感じだという回答だと思います。自分も、過去の仕事柄、弥生町のTCICの入居者と何度か交流させていただきました。感覚的ではございますが、TCICの入居者は、独自技術、それから独自発想が豊かで、将来性もある。ICTCO(イクトコ)の入居者の方々ももちろん独自技術を保有する企業もあるかもしれませんが、立地もよくて使える、安く使えるコワーキングスペースとして利用している、そういう人たちがほとんどでございます。社長が1人、社員をふやすわけでもなく、ずっといる。全部が全部ではないと思いますけども、そのように感じられます。

 TCICの企業は、3年で退去する際には、企業としても自立して、中には1人で入って、出るときは5人、現在、新宿オフィスに100人のオフィスを構えている企業もあります。どんどん大きくなる企業もあります。やはり厳しい審査、そして厳しい継続評価、数年間で退去しなければならないという時間軸を大事にした経営戦略の立案など行っていくことで、入居企業の発展、さらには中野区の産業の発展に寄与していくという流れができるのではないでしょうかと思います。

 ぜひともいま一度、中野区としての意思表示をして、入居選定や入居期限、それから会員規約の見直しなどを進めていただきたく思いますが、いかがでしょうか、伺います。

〇堀越産業観光課長 事業者が産業振興拠点においてその力を十分に発揮でき、引き続き区内における事業の継続や拡大につながりますよう、現状確認の上、必要があれば規約の見直し等についてICTCO(イクトコ)と調整してまいりたいと考えております。

〇杉山委員 平成31年2月の予算特別委員会でも要望としてお伝えしましたが、ICTCO(イクトコ)の場所というのは、中野セントラルパーク棟の1階にあり、中野四季の森公園に面していて、立地としては大変すばらしい場所です。目の前にある公園と、そしてICTやコンテンツをコラボさせて、ICTやコンテンツの切り口から、中野区の公園のあり方や夢のある公園をつくっていくための実証実験などを行っていく場所、子どもたちがICTコンテンツに気軽に触れられる場所など、ベンチャーの集合体であるICTCO(イクトコ)の特徴を生かした、さらなる可能性も今後考えていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

〇堀越産業観光課長 今後、区内の産業関連団体などとのさらなる連携も図りまして、産業振興拠点の特徴を最大限に生かすことのできます可能性について検討してまいりたいと考えております。

〇杉山委員 ありがとうございます。これから本当に中野区として重点産業をさらに加速させて、区内の重点産業関連零細企業の強力なバックアップ、そして産業振興拠点として、ICTCO(イクトコ)ももし継続していきたいのであれば、しっかりとした目標を掲げて、ICTCO(イクトコ)と共有し、はっきりと意思表示をしながら事業を推進していくべきです。そして、そろそろ中野区の考えがダイレクトに反映されるようなスキームにする時期かもしれないと感じておりますが、今後ICTCO(イクトコ)の直営の可能性も視野に入れた拠点の戦略を立ててみることに関しまして、中野区はどのようにお考えでしょうか、伺います。

〇堀越産業観光課長 産業振興拠点のあり方につきましては、基本構想や基本計画の内容を踏まえつつ、産業振興センターや、区内の経済団体の役割や機能など、さまざま整理をいたしながら検討を進めてまいりたいと考えてございます。

〇杉山委員 ぜひいま一度、このすばらしい立地で、区内重点産業拠点として継続して進めていくのであれば、強い意思を持って、中野区と一心同体のつもりでコラボしていっていただければと思います。ビジョン策定などもしっかりと行っていただきたく思います。

 もし、それができないのであれば、産業拠点の四季の森公園側に出入り口を設置するなどして、子どものための施設に使うなど、ほかの用途に使うことも、これからは視野に入れていていただいたほうがいいかもしれないなと思いながら、子育て先進区ですし、夢が膨らんでまいりますということで、この項の質問を終わります。

 最後に、自転車シェアリングの導入について伺います。

 最近、中野坂上や東中野あたりの山手通りで、池袋方面に向かうシェアサイクル集団、それから渋谷方面に向かう集団など、頻繁にシェアサイクルに乗る外国人グループに遭遇しております。よほど便利なのか、外国人利用者はますますふえているように見受けられます。

 ネットなどで調べてみますと、自転車シェアリング、以下シェアサイクルと言いますが、シェアサイクルは、都市部を中心にドコモやソフトバンクさんなどのさまざまなサービサーが群雄割拠している状況でございます。レンタサイクルと違いまして、そもそもレンタサイクル、一般質問で他の議員の皆様もお話しされていましたが、シェアサイクルとは、使いたい時間だけ料金を払って自転車を利用することができ、点在しているポートと言われる専用の自転車置きに置くだけでもとの場所に戻さなくてもよいのが特徴、事前に会員登録してスマホなどを使って利用する点とか、自転車を保有しなくとも使える点が人気のため、若者や外国人観光客に人気だと言われております。

 一方、中野区は南北に長く、東西に電車は走っているものの、南北交通の公共交通機関はバスに頼らざるを得ない状況、さらには、中野駅の北側と南側のバス路線がほぼ分断されている状況でございます。そして、まだ自分も議員になる前に、東京商工会議所中野の産業活性化委員会におりまして、シェアサイクルの必要性などを中野区の観光分野に提案させていただいておりましたが、なかなか前向きな回答を得られていないのが現状でございました。

 2020年、オリパラ開催、そして中野でもふえ続ける外国人観光客、そして、再開発が進む中野駅周辺の自転車駐車場の確保問題や、区内の南北交通問題など、さまざまな問題の突破口の一つとして、シェアサイクルの導入は魅力的に感じられます。

 そこで伺います。中野区は、シェアサイクル導入に関しての検討をここ数年されたことはございますでしょうか。

〇安田交通政策課長 お答えします。シェアサイクルの導入については、その利便性から観光目的や環境に優しく身近な移動手段であることから、区はこれまでも各事業者へのヒアリングや先進区の運用実態等の調査を進めていたところでございます。

〇杉山委員 ちなみに、いつぐらいからこのシェアサイクルに関しての調査を始められましたでしょうか。

〇安田交通政策課長 数年前からですね。シェアサイクルが普及したころですから、2016年ぐらいからです。

〇山本委員長 杉山委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。

午後2時58分休憩

 

午後3時20分開議

○山本委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。

 杉山委員、質疑をどうぞ。

○杉山委員 質疑を続けさせていただきます。

 先ほどの答弁で、2016年ごろにシェアサイクルに関する調査検討を始められたとのことで、区としてもさまざまな問題解決のために可能性を感じられての調査検討だと理解しております。ありがとうございます。

 ここへ来てのシェアサイクルの調査や検討を始めたのは、判断としてどのような内容だったんでしょうか。どのような御判断でこの検討を始められたのか、もしよろしければ、お伺いします。

〇安田交通政策課長 お答えいたします。これまでも区はその利便性、有用性について理解しており、調査を行ってございました。特に最近、近接区を含む多くの都心区が広域連携で運用を始めており、中野区がこれに加わることで、さらに利便性が高まると認識したことでございます。

 先ほど2016年から調査を始めたと申し上げましたが、2016年には100万回のリース数、ある業者ですけれども、ある事業者によりますと、2016年100万回のレンタル数が2017年に入り220万回、2018年に入り810万回と大幅に飛躍しておりまして、これらが広域連携の結果というふうに認識してございます。

〇杉山委員 御回答ありがとうございます。かなりな利用者の利用数が拡大されているということで、これもシェアサイクルを導入することによって、インバウンドによる産業活性化、そして、南北交通の手段として、また中野駅周辺の自転車駐車場の確保やCO削減という切り口など、さまざまなことがこのシェアサイクル導入によって解消できると感じております。

 そこで伺います。現在調査中だとは思いますが、もしわかれば教えてください。観光や環境、オリンピックなどをキーワードとして、国や東京都が行っているシェアサイクルの自治体導入の助成金などは把握されていらっしゃいますでしょうか。

〇安田交通政策課長 各事業者へのヒアリングや実施区への調査等を行う中で、観光施策関係、環境施策関係の各補助金の情報を得ており、現在、東京都の所管課に補助金の対象項目や申請要件等に関する相談を行っているところでございます。

〇杉山委員 ありがとうございます。全体にかかる費用、それから助成金、費用に関しましても、どの程度抑えられるのかだけではなく、これから中野区はシェアサイクルをどのように戦略的にさまざまな場面で使っていくのかにもよると思いますので、ぜひ引き続き、シェアサイクル導入のためのさらなる調査や検討を慎重かつスピーディーに行っていただきたいと思います。

 ちなみに、ずばり、さまざまシェアサイクルのサービスがある中で、どこがよいと思われますかと言ってもお答えいただけないと思いますので……(「聞いてみてよ」と呼ぶ者あり)いや、だめです。例えば、ドコモやソフトバンクのさまざまなシェアサイクル、各社のサービスを導入する場合の各社の要件や条件などを含め、今後検討する際に、特別な技術や拡張性、そして企業規模、何か着眼すべき点があれば、参考までに教えていただけますでしょうか。

〇安田交通政策課長 この点につきましても、現在各事業者へのヒアリングなど情報収集を進めているところでございます。初期費用の導入、あるいは設置台数、ポートの設置場所の確保、区有地等の貸し出しのあり方など、導入費や要件等について、それぞれ比較検討しているところでございます。

〇杉山委員 ありがとうございます。中野区内には、既に企業が独自で導入しているシェアサイクルもいろいろございます。もし導入の方向で検討を進めるのであれば、どのサービスを利用するのかをさまざまな視点で吟味して、早期導入に向けて、来年度の予算化を強く希望いたします。

 さらに、中野区の区内、区外に対するプロモーション施策としてもいろいろ利用できるかもしれないと思っております。中野区に自転車が入ってくる。そして、中野区から近隣区外に自転車が出て行く機会が、このシェアサイクルを導入することによってふえていくということは、運転している人も行き来するということでございます。そして、そのレンタサイクル、シェアサイクルには、車輪カバーのところに広告がついていたり、GPSが内蔵されている場合が多い。それを観光にうまく利用できないかなど、サービスを提供するサービサーとともに考えてみてはいかがでしょうか、伺います。

〇桜井観光・シティプロモーション担当課長 シェアサイクルを区が導入した場合に、これを区や区の観光資源のPRに活用することについては、その可能性について検討していきたいと考えてございます。

〇杉山委員 非常にあっさりした答えで、ちょっとショックを受けておりますが。単に、車輪のカバーの広告に中野区の名所やQRコードなどを出す、GPSデータから走行ルートを把握して、そこに何らかの看板をつけるなどの物理的な中野区のプロモーション、そして、さらに踏み込んで、ICTを駆使して、名所や人気のスポット情報などをスマホにアラートを出すようなアプリを開発するなどして、前出のICTCO(イクトコ)の会員らと実証実験を行ったりしてもおもしろいと思いますし、シェアサイクル業者と中野区との初のコラボシステムなどができると、なおよしだと思っております。

 外国人観光客を含む観光ツールの一つとして、自転車駐車場対策として、CO削減などの環境対策も含め、さらにはシティプロモーションにしっかりと役立てられるよう、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。

 シェアというキーワードですね、近隣区の公共施設などの共有利用の可能性促進についても、本来は伺いたいところでございますが、またの機会に質問させていただきます。

 以上をもちまして全ての質問を終わります。ありがとうございました。

〇山本委員長 以上で杉山司委員の質疑を終了します。

 次に、南かつひこ委員、質疑をどうぞ。

〇南委員 皆さん、お疲れさまでございます。南かつひこでございます。令和元年第3回定例会決算特別委員会におきまして、公明党の立場から総括質疑をさせていただきます。

 第2回定例会の一般質問では、2年ぶりの一般質問で、非常にちょっと緊張しましたけれども、この総括質疑は平成28年の決算以来3年ぶりとなりまして、ますます何かきょうは元気いっぱいにやっていこうかなというふうに思っておるんですけども、緊張しないように、日ごろ使っておりますきれいな標準語で進めていきたいと思いますので、理事者の皆様におかれましては、明快で前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。

 それでは、まず初めに、1番目としまして、平成30年度決算について伺います。

 最初に、繰出金と不用額等について伺います。

 平成30年度の決算説明書によると、国民健康保険事業特別会計繰出金について、予算現額52億9,029万1,000円に対して、支出済額は46億1,797万9,000円余で、不用額は6億7,231万1,000円余となっています。それに対して、前年度の繰出金の支出済額は47億9,015万8,000円余、また、不用額は10億6,330万1,000円余となっており、支出済額は1億7,217万9,000円余の減、不用額は3億9,099万円余の減となっています。支出済額及び不用額がともに減となっておりますが、その要因を伺います。

〇渡邊保険医療課長 国民健康保険事業特別会計への繰出金が約1億7,000万円減少した主な理由でございますけれども、国民健康保険の保険給付費が減少しために、国民健康保険の財源不足を補うためのその他繰出金が減少したためでございます。

 また、繰出金の不用額が約4億円減少した理由でございますけれども、保険給付費及び保険料収入の見込みの差でございます。

〇南委員 次に、繰出金の支出済額は、この5年間においては約50億円前後で推移してきていますが、国保事業の不足分を一般会計から支出して補っているのが現状であります。それにはさまざまな要因があったとしても、繰出金の抑制を図っていくことが必要であり、そのためには収入の確保として、保険料の収納率の向上策や給付の抑制対策として、レセプト点検の強化やジェネリック医薬品の促進などを関係所管と連携を図っていくことが必要と考えますが、区の見解を伺います。

〇渡邊保険医療課長 保険料の収納率につきましては、未納者に対する早期の滞納処分のほか、収納環境の整備を行い、収納率の向上を図っていきたいと考えております。また、保険給付費の適正化を図るため、レセプト点検のほか、ジェネリック医薬品につきましても、関連部署と連携しながらPRを行うなど、引き続き使用促進に努めていく考えでございます。

〇南委員 平成27年5月に持続可能な社会保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律が成立し、公布されました。この法律は、持続可能な社会保険制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、持続可能な医療保険制度を構築するため、国民健康保険をはじめとする、医療保険制度の財政基盤の安定化、負担の公平化、医療費適正化の措置を行っていくものです。これにより、平成30年4月から制度改革が実施されることになり、都道府県が国保の安定的な財政運営や効率的な事業運営の確保等において中心的な役割を果たすこととなりました。

 東京都では、都が財政運営の責任主体となり、市町村ごとの国保事業費納付金を決定することや、財政安定化基金の設置、運営をする役割を果たすこととなりました。

 また、毎年、国の責任として約3,400億円の財政支援の拡充により、国保会計の赤字解消や保険料の伸び幅の抑制が期待できるようになってきていますが、今回の制度改正によって、国民健康保険事業特別会計繰出金の抑制効果が期待できると考えますが、区としてどのように分析されているのかを伺います。

〇渡邊保険医療課長 国は、国民健康保険の財政基盤の強化を図るため、平成30年度は国民健康保険に対して3,400億円を投入しておりまして、そのうち165億円が東京都に投入されております。この公費の拡充分は、各区市町村が東京に納付する保険事業費納付金に反映されるため、区の一般会計からの繰出金の抑制につながっております。

 また、財政安定化基金は、区市町村が保険給付費の急増や保険料収納不足となった場合に、一般財源からの補?等を行う必要がないように、東京都が設置した基金でございますけれども、現時点ではこの基金からの貸し付け等を受ける予定はございません。

〇南委員 今回の制度改革により、都道府県が各市町村に対して、それぞれの標準保険料率を提示することになるため、市町村はこれを参考に保険料を賦課徴収することになりました。こういったことも考えていけば、さらなる保険料の収納率の向上対策の強化が重要となってまいりますので、こちらの方もしっかりとした対応策をお願いしたいと思います。

 次に、不用額の執行について伺います。

 保育園・幼稚園費において、私立幼稚園支援補助の事業メニューでは、採用内定者への就業準備金事業の未執行が540万円、教諭の宿舎借り上げ補助事業の未執行が504万円と、全額未執行となっていますが、その理由を伺います。

〇濱口保育園・幼稚園課長 就職内定者への就職準備金及び教諭の宿舎借り上げ補助につきましては、私立幼稚園における人材確保を支援し、主に待機児童解消に向け、長時間子どもを預かる幼稚園型一時預かり事業への誘導を目的とした補助でございます。

 就職準備金宿舎借り上げ補助制度は、保育所に対する補助制度をベースにしておりまして、補助金の使途を明らかにするために、領収書等の提出など、私立幼稚園に一定の事務負担が生じること、また、宿舎借り上げ事業は私立幼稚園設置者が宿舎を借り上げる必要があり、保育所に比べ、採用人数が少ない私立幼稚園では、職員の途中退職時のリスクなど課題がございました。こうした課題を解消するために補助制度の練り直しを試みてございましたが、改正案をまとめ切れず、年度内の事業実施に至らなかったものでございます。

〇南委員 これらの補助事業、私立幼稚園を支援する上では必要であると考えますけれども、次年度以降もこの補助を継続していくべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

〇濱口保育園・幼稚園課長 今年度、これらの補助を私立幼稚園に活用していただけるよう、補助制度の仕組みを抜本的に見直してございます。就職準備金につきましては、教育環境整備補助の一部に組みかえ、私立幼稚園が活用しやすい補助制度へ変更してございます。

 また、宿舎借り上げ事業につきましては、私立幼稚園が教諭に住宅手当を支給している場合を補助対象とし、宿舎の借り上げを前提としない補助制度へ見直したところでございます。次年度以降につきましても、これらの補助について継続していく予定でございます。

〇南委員 就職準備金や宿舎借り上げの補助事業については、以前から私立幼稚園からの要望でもあり、さらなる拡充、しっかりとした事業、これを執行できるようお願いしたいと思います。

 次に、預かり保育推進等の事業メニューで、幼稚園2歳児預かり事業の未執行が5,906万円余となっていますが、幼稚園での預かり事業が2歳児に限定した理由を伺います。

〇濱口保育園・幼稚園課長 2歳児預かり事業につきましては、待機児童対策として国が進めている一時預かり事業の一つでございまして、国の制度に基づき、対象を2歳児としたものでございます。

〇南委員 わかりました。これもしっかりと今後ともできるようにお願いをしたいと思います。

 次に、幼稚園2歳児預かり事業の未執行になった理由を伺うとともに、今年度予算には幼稚園2歳児預かり事業は計上されておりませんが、次年度以降のこの事業の実施についてどのように考えられているのかを伺います。

〇濱口保育園・幼稚園課長 2歳児預かり事業につきましては、待機児童対策として、私立幼稚園で既に実施しております幼稚園型一時預かり事業において、新たに2歳児の受け入れを行うというものでございます。幼稚園型一時預かり事業を実施している私立幼稚園3園のうち、希望のありました1園について、2歳児預かり事業の実施について具体的な検討を依頼したところ、2歳児預かりに係る専用室の増築が法令上の基準を満たすことができないことが明らかとなったため、事業開始に至らなかったものでございます。

 私立幼稚園からは、2歳児預かり事業実施の意向が示されていないことから、今年度は予算計上しておりませんで、次年度以降についても、事業開始は難しいと判断してございます。

〇南委員 次年度以降もなかなか事業が難しいということなんですけれども、待機児童のこと、解消を思えば、実情からなかなか難しいところがあると思いますけど、組み立てやスキームをまたちょっと考えながら挑戦していただければなと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、予算流用について伺います。

 中野区監査委員の意見書によると、沼袋駅前生活拠点の整備において1億9,822万円の予算流用があったと指摘されていますが、この経緯と内容を伺います。

〇菊地まちづくり事業課長 この予算流用については、年度当初、沼袋駅前生活拠点整備に係る区画街路第4号線整備の経費として事業用地を取得する目的で、繰越明許費として、13節委託料1億9,927万円を計上したものでございます。これを予算の執行時点で、区画街路第4号線事業用地として、17節公有財産購入費4,644万7,000円と区画街路第4号線事業費にかかわる補償費として、19節負担金1億5,283万円に節の変更、そして予算の流用を行ったものでございます。

〇南委員 漠とした答えだったんですけども、要は、沼袋駅前にありました、いわゆるみずほ銀行の用地のところのことだと思うんですけども、本来は全て連続立体交差事業者、いわゆる西武鉄道の方で、委託でもって購入する、また補償もやっていくといったことが、それが区と連立事業者の方で協議をされて、それで最終的に区画街路第4号線の用地については中野区が購入することになった。連立事業者の用地も、その連立事業者が買うことになり、あとそのほかのいわゆる銀行の建物解体であるとか、補償とかいったことも、それぞれの面積に応じて案分をして、それが委託費から――区画街路4号線についてはこういう公有財産の購入費、またそのほかの補償については、負担金のほうに流用していったということになるかと思うんですが。ちょっとここは通告ではなかったんですけども、この協議が決定したというのはいつか、わかりますか。

〇菊地まちづくり事業課長 事業者側と覚書を交わしたのが5月1日でございます。

〇南委員 もう一度、ちょっと聞こえなかったので、すみません。

〇菊地まちづくり事業課長 事業側と事業の覚書を交わしたのは、平成30年5月1日でございます。

〇南委員 平成30年5月1日に覚書を交わしたということで、平成29年度の歳入歳出決算書、先ほど言われた金額1億9,927万7,000円が委託料として、繰越明許費として明記されております。その中で今回流用があったわけですけれども、同じ節内での流用とはいえ、予算の流用の金額が2億円近いということを考えれば、予算流用ではなく、補正予算を組むべきではなかったのかと考えるところではありますが、しかし、今回の流用部分については、全額平成29年度からの繰越明許費になっているために、行政実例からは補正予算を組むことができないことになっております。また、区が購入した土地は、およそ50平米あたりというふうに聞いておりますけれども、これは議決案件の要件としての5,000平米以上にも該当がしないということがあって、議決案件にもならないということであります。しかし、流用額の大きさを考えれば、ほかに方法はとれなかったのか、また、議会への報告もすべきではなかったかと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

〇菊地まちづくり事業課長 この件については、当初、東京都が行う連続立体交差事業と区が行う区画街路第4号線との競合する用地は、委託により連続立体交差事業側が物件調査及び用地取得し、区は当該敷地の一部について取得する予定としており、一括して13節委託料で予算計上したものでございます。

 先ほども説明しましたが、平成30年5月に事業者側である西武鉄道と覚書締結の協議の際に、事業用地の購入は各事業者が実施することになり、区画街路第4号線の事業用地は中野区が購入することになりました。また、当該敷地内の事業面積に応じて補償金を負担することも、あわせて決定いたしました。

 事業の目的である事業用地に関する経費であることの変更はありませんでしたが、覚書締結による役割の変更を踏まえて、13節委託料から17節の公有財産購入費及び19節の負担金に、使用目的と予算の整合を図るために節の変更を行ったものでございます。連続立体交差事業と区画街路4号線の事業を円滑に進めるため、西武鉄道と連携して事業を進めたものでありますが、1億9,882万円と流用額が多額であります。

 議会の議決をいただいている予算の執行に当たり、今回のような事業に進展が見られた際には、議会報告に努めるなど、今後さらに道路整備を進めるに当たっては、十分注意を払いながら進めてまいりたいと考えております。

〇南委員 今回の突然の覚書によって、委託料を使用目的と整合性を図るために変えていかなければならなかった、これは事実であります。今御答弁いただいたように、金額が金額ということもありますので、また、これから区画街路第4号、さらにまた連続立体交差事業、これをしっかりと推進していかなければなりませんので、ちょっとしたことで、いろんな足踏み状態にならないように、何かあればやはり議会の方への報告もしっかりとお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、新交通システムについて伺います。

 決算説明書の事業メニューの交通企画では、新公共サービス検討業務委託等に1,001万7,000円余の執行額とあります。区民意識調査と明記されていますが、どのような業務委託であるのか、その具体的な内容を伺います。

〇安田交通政策課長 お答えいたします。区は、公共交通サービスのあり方を検討するため、無作為抽出した18歳以上の区民3,000名に対して区民移動実態調査に関するアンケートを行ってございます。約1,200名、40%の回答を得てございます。アンケートでは、区内交通の利便性、日常の移動手段、外出目的、外出先の目的地、移動時間帯、交通手段の満足度や、町丁目別の不満を感じる理由などの移動ニーズの調査等を実施してございます。

〇南委員 この区民意識調査、先ほど1,200名で40%の回答率ということでしたけれども、おおむねどのような傾向と課題が把握できたのか、その検証結果について伺います。

〇安田交通政策課長 アンケートに回答した約66%の方が、区内交通に対しては満足度が高い傾向が見られる一方、約14%の方が不満があるという傾向を示してございます。地区別では、大和町、若宮、江原町の順で高いことがわかりました。調査から把握できた主な課題は、狭い道路が多く、路線バス等が入ってこられない木造住宅密集地域内で、比較的高齢者の割合が高い住宅地において、交通に不満を感じている方が多い傾向が見られたということがわかりました。

〇南委員 ことしの7月に我が会派の久保議員と甲田議員とともに、西東京市で行っている移動支援の実証実験の視察に行ってまいりました。タクシー事業者2社が協力をして、通常のタクシーで行い、実証実験中はドアに「実験中」のステッカーを貼って運行します。運行ルートは、3ルートと設定されており、1ルート2日ずつ、午後2時から4時の運行時間内に、決められた乗車場所をタクシーが巡回する仕組みです。利用ができるのは、対象地域に在住の方で65歳以上の方や妊娠中の方、世帯に3歳未満の子どもがいる方、さらには介護や出産の関係で対象地域に一時的に住んでいる方となっています。

 利用者は、市庁舎で申請すると、利用者カードが発行され、タクシーに乗車するときに利用者カードを提示して、ルートにより運賃が150円か300円を支払い、希望する降車場所を伝えるという仕組みです。実施期間は6月17日から9月28日まで行い、その後、実証実験の結果を検証して、より地域に適した移動支援のあり方を引き続き検討していくことになっています。また、経常予算でもタクシーの運行代として1時間約6,000円程度で低予算での実証実験を行っております

 今月、9月10日付の日経新聞の朝刊で、このような西東京市や小平市、東大和市などの新交通システムの取り組み状況が掲載されていましたが、区はこのような取り組みを承知されているのでしょうか、伺います。

〇安田交通政策課長 区は、既に西東京市におけるコミュニティタクシーの社会実験については情報を得てございます。具体的な運行方法や条件等について、市の担当課に問い合わせるなど、調査を行っていたところで、承知してございました。

〇南委員 西東京市での移動支援の取り組みは、通常のタクシーを活用するなど、実用的で大変に興味深い内容でありました。中野区でも高齢者などの移動支援は大きな課題の一つです。特に、南北交通の課題とともに、狭隘道路での交通手段を考えれば、タクシーやワゴンタイプの乗用車による移動支援が必要であると考えます。と同時に、仕組みとしては、簡易な取り組みで、周辺の公共施設や病院などを小回りする循環型の移動支援が最適と考えます。中野区としても新公共交通サービスの取り組みを本格的に実施してはいかがでしょうか、伺います。

〇安田交通政策課長 西東京市などでコミュニティタクシーの実験は、住民参加でルートを提案し、1路線、1日70人と利用目標を定め、市は一定の運行補助金を出す、そういった仕組みでございます。利用状況によってはルートを見直すなどの独自の支援を行っていると聞いてございまして、大変参考になると思います。

 区としても、こうした先進事例のメリット・デメリット、費用対効果などを十分検証し、導入可能性について検討を進めてまいりたいと考えてございます。

〇南委員 アンケート調査では、14%の方が交通に不便を感じている、不満があるということですので、一日も早く取り組みを実現できるよう努力をしていただきたいと思います。

 次に、粗大ごみの収集事業について伺います。

 決算説明書では、事業メニューのごみの収集・運搬では、粗大ごみ収集及び中継業務委託として、1億8,074万4,000円余の執行額とあります。現在、粗大ごみの収集において問題となっているのが、粗大ごみの排出量の増加です。一概には言えないのですが、引っ越しをされる際に、ほとんどのものを粗大ごみとして出す傾向にあることも、要因の一因であるとの見方もございます。

 粗大ごみも年々増加傾向にあるため、粗大ごみの申し込みをされても、1カ月以上回収を待たされる地域もふえてきています。粗大ごみの収集には、委託事業者が専門に行っておりますが、粗大ごみの排出量の増加に伴い、収集回数も契約上は1日5回となっていますが、現状では1日6回から7回でも収集し切れない状況であります。さらに、粗大ごみ収集の対応車の運行が、予算上では年間50台となっていますが、8月現在では既に25台の稼動となり、このままでは年末及び年度末の粗大ごみ収集の対応車の確保が危ぶまれかねない状況です。この状況が続くとなれば、来年度へ粗大ごみ収集が繰り越しとなり、来年度への影響が免れなくなり、区民サービスへの低下につながってまいります。このように、粗大ごみの排出量の増加と、区民が粗大ごみの予約をした際に回収までに1カ月以上かかるような現状があると聞いていますが、中野区としてその実態をどのように把握しているのか、伺います。

〇川本清掃事務所長 粗大ごみについては、インターネット受付の増加等により、受付件数が増加しております。時期によって1カ月で約4,000件の差があり、受け付けから収集までにこれまで以上の期間を要している時期があることは把握しております。

〇南委員 また、金属の収集でも、分別に要する手間など、さまざまな課題があると聞いているところですが、粗大ごみの受け付けから収集までの期間の短縮を図るために、収集体制をさらに充実させる必要があると考えますが、中野区としてどのように考えているのか、伺います。

〇川本清掃事務所長 区では、粗大ごみの受け付けから収集までの期間短縮を図るために、粗大ごみの収集業務を受託する事業者と、収集エリア見直しによる収集方法の工夫や収集車両の台数を含めた収集体制の充実等について協議しているところであり、費用対効果を考慮しながら、期間短縮に向けた対策を引き続き検討していきたいと考えております。

〇南委員 粗大ごみの、申し込みしてもかなり待たされるという、こういった区民サービスの低下、これをやはり一日も早く回収できるよう、全力で取り組んでいただきたいと思いますので、お願いをいたします。

 次に、小児初期救急医療体制について伺います。

 決算説明書では、小児初期救急医療事業委託として1,566万9,000円余の執行額となっていますが、その内容と利用人数を伺います。

〇鈴木保健企画課長 お答えいたします。小児初期救急医療事業は、一般診療所等の診療時間終了後における小児救急医療体制の整備を図るために、新渡戸記念中野総合病院に委託をして実施をしているものでございます。対象者は、原則として満15歳以下の小児であり、診療時間は午後7時から午後10時まででございます。平成30年度の延べ患者数は、1,069人でございました。

〇南委員 中野区は、旧中野中学校跡地において地域医療機関の誘致を計画し、地域医療機関開設者の公募をして、事業者の選定を行っていく予定であります。現在、小児初期救急医療体制は、子ども救急診療として中野総合病院と総合東京病院で行っておりますが、さらなる充実を図るためにも、今回、旧中野中学校跡地に誘致する地域医療機関に小児初期救急医療の提供を求めていくのかどうか伺って、この項の質問は終わります。

〇鈴木保健企画課長 旧中野中跡地に誘致する医療機関には、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けた医療体制を構築するために、内科、外科などの一般的な診療科目のほか、回復期医療や救急医療、災害時医療、さらに区内医療機関と連携した地域医療への支援の機能などを求めているものでございます。小児初期救急医療につきましては、区が求める必須提供医療としては考えておりません。

〇南委員 考えていないということですけれども、小児の初期救急の問題、非常に、これからも充実を図っていただきたいということを要望としておきます。

 2番目として、沼袋駅周辺まちづくりについて伺います。

 初めに、区画街路第4号線の整備に伴う課題について伺います。

 まずは、区画街路第4号線の道路基本構造について伺います。道路基本構造については、警察との協議を行っていると聞いていますが、道路基本構造の具体的な内容や手法とはどのようなものなのか、道路線形や交通島、ハンプ手法など、車の速度抑制や歩行者の安全確保などをどのように考えているのか、現段階での区の見解を伺います。

〇菊地まちづくり事業課長 区画街路第4号線の整備については、商店街通りの拡幅であり、相互交通と商店街のにぎわいをどのように両立させていくかが重要な視点となっております。これらの道路特性や地域の実情、ニーズを踏まえて、本路線が重視すべき機能を明確にした上で、速度抑制対策や歩行者の安全対策を取り入れた道路基本構造を検討しております。

 具体的には、歩道と横断歩道の高さをそろえたスムース横断歩道であり、歩行者には安全に渡りやすく、車の運転手には段差となるハンプ構造をとるため、注意を促すとともに、速度抑制対策となることのようなものを考えております。

〇南委員 区は用地取得の交渉については、第2回定例会の私の一般質問や、8月29日の建設委員会で明確に答弁されているように、新青梅街道から南側に向かって段階的に実施していくとありました。用地取得交渉にあっては、道路基本構造は重要であると考えますが、道路基本構造を決定する目的とはどのようなものなのか、伺います。

〇菊地まちづくり事業課長 区画街路第4号線のような道路拡幅事業においては、まず道路基本構造を決めて、事業の内容をより丁寧に説明することによって、権利者の方々の理解や御協力を得る必要があります。次に、権利者の方々の生活再建をより円滑に進められるよう、建てかえ時に必要となる敷地前面のおおむねの道路の高さを示すことができるということで必要と考えております。

〇南委員 現在、道路基本構造の作成は着実に進まれているところでありますが、警察との協議が進んでいないと聞きますが、どのような課題があるかを伺うとともに、それに対してどのように対処していくのか、伺います。

〇菊地まちづくり事業課長 近年、交差点付近で幼稚園児が自動車事故に巻き込まれた事例や、高齢者ドライバーの誤操作による事故などが起きていることから、警視庁内では安全に対する慎重な議論が進んでおります。これらの調整に時間がかかっていると聞いております。区としては、警視庁と密に連絡をとり、積極的に情報入手や情報共有などを図りながら、道路管理者として行える安全対策を検討していきたいと考えております。

〇南委員 この道路基本構造につきましては、警察や商店街、地権者の皆さんと、今も御答弁ありましたけど、協議をさらに重ねていただいて、商店街の活性化や安全性がさらに確保できるものにしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、用地取得交渉の手続保留区間の解除について伺います。

 先ほども述べましたが、区は手続保留区間の解除を新青梅街道から南側に向かって段階的に行っていくとしていますが、商店街の地権者の方の中には全面解除をすべきとの声もありますが、これについての区の見解を伺います。

〇菊地まちづくり事業課長 商店街部分を全面的に手続を開始していくには、円滑に各権利者に対応できる執行体制を整えていくことが必要だと考えております。現在、用地取得交渉を進めている交通島部分の進捗や、今回手続を開始した約105メートルの区間の進捗を踏まえて、手続を保留している残りの区間についても、早い時期に手続を開始できるよう、執行体制を整えてまいりたいと考えております。

〇南委員 用地取得交渉の手続保留区間の解除においては、具体的には、第1段階として、新青梅街道から南に向かって105メートルまでとなっています。ただし、引き続き、手続を保留している区間についても、区としては順次、用地取得交渉を進める考えを示されていますが、全ての交渉に応じるとなると、商店街通りが虫食い状態になりかねないと考えますが、そのような場合の用地取得交渉の基準や条件はどのように考えているのか、伺います。

〇菊地まちづくり事業課長 用地取得交渉では、土地と建物の補償金額を算定していかなければいけないことから、既存道路との官民境界と当該敷地の隣接地との民民の境界を定めて面積を確定すること、そして、土地と建物に関する権利者や権利関係が明確になっていることが必要であり、これらのめどが立ったものから建物等の調査を進めてまいります。そして、手続保留している区間については、現在、用地取得交渉を進めている区間の進捗状況を踏まえながら、現組織体制と予算で対応可能な範囲において、商店街の再生や部分的な欠落防止などに配慮しつつ、権利者からの早期契約の意向、建物等調査を進める前の準備状況などを考慮し、できる限り個別に対応していく考えでございます。

〇南委員 次に、区間街路第4号線の整備に伴う区有施設の再編について伺います。

 平成29年5月策定の西武新宿線沿線まちづくり推進プランは、障害者福祉会館、沼袋区民活動センターは築37年、現在は築約40年が経過しており、また、施設の使い勝手も十分でないことから、周辺区有施設の再編も踏まえながら、将来の建てかえや改修の検討を進め、沼袋北部拠点として有効活用を図るとあります。現在、北部すこやか福祉センターの整備については、さまざまな課題があり、明確な方向性が決まっておらず、宙に浮いている状況です。これまでの方針では、旧沼袋小学校跡地での整備が示されてきていましたが、高齢者や子育て世帯の方々にとっては、交通の利便性に欠けることや、当用地で建てかえるには用途地域が第一種低層住居専用地域になっており、用途地域の変更をしなければならないというハードルの高い課題があるため、当用地での整備方針を変更せざるを得ない状況があります。

 これらの課題の解決に当たっては、交通の利便性や近隣商業地域の用途地域となっており、高層階の建物の整備も可能であるため、現在の沼袋障害者会館を建てかえ、北部すこやかや障害者福祉会館、包括支援センターなどの複合施設として整備していくべきと考えますが、区の見解を伺います。

〇杉本企画課長 障害者福祉会館は、委員御案内のとおり、建築後40年を経過しておりますが、長期保全計画に基づく改修や保全を行っておりまして、現時点では建てかえの予定はございません。今後、施設更新を検討する際には、敷地の容積率を有効活用するとともに、区有施設等の集約化、複合化を進め、施設更新経費の縮減や区民サービスの向上を図ってまいりたいと考えてございます。

〇南委員 次に、防災まちづくりについて伺います。

 区は、防災まちづくりを進めていく上で、災害時における危険度や消防活動困難区域の広さや沼袋駅周辺地区におけるまちづくりの動向を勘案して、(仮称)沼袋四丁目周辺地区から着手していくとありますが、当地区を先行されている理由はどのようなものか、区の見解を伺います。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 区画街路第4号線の後背地につきましては、東西を問わず、避難経路の確保や消防困難区域の解消、建物の不燃化の促進などの防災まちづくりを進めていくべき地域であるというふうに考えてございます。

 今、委員のおっしゃったとおり、(仮称)沼袋四丁目地区の防災まちづくりの着手につきましては、災害時におけます危険度の高さ、消防困難区域の広さや駅前のまちづくりの動向、こういったものを総合的に勘案いたしまして、先行して防災まちづくりを進めるべきというふうに考えたものでございます。

 今後、(仮称)沼袋四丁目周辺地区での防災まちづくりの進捗状況や駅前のまちづくりの動向等を見ながら、区画街路4号線の東側の地区につきましても、適切な時期に防災まちづくりを進めていきたいというふうに考えてございます。

〇南委員 また、防災まちづくりを推進するために、地区内の地権者などによる地元検討組織を立ち上げ、区との協働により具体的なまちづくりのルール等の検討を行い、その成果を踏まえて、地区計画の策定を進めるとありますが、具体的なまちづくりのルールとはどのようなことなのかを伺うとともに、また決定済みの区画街路第4号線の街並み誘導型地区計画との整合性はどのように考えているのか、区の見解を伺って、この項の質問は終わります。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 区との協働によります地元住民組織に御検討いただきます予定の具体的なまちづくりのルールにつきましては、建てかえ時の建築制限の内容、また避難経路の整備などについてでございます。その内容を住民組織の案として取りまとめていただきたいというふうに考えているところでございます。区は、その内容を踏まえまして、地区計画の素案を策定し、区民への説明と必要な都市計画の手続を経て、地区計画として決定していきたいというふうに考えてございます。

 また、当防災まちづくりにおきましては、区画街路第4号線沿道地区の地区計画に既に規定してございます、閑静な居住環境を保ちながらゆとりある低層住宅地を形成するといった、土地利用の方針との整合を図りながら進めていきたいというふうに考えてございます。

〇南委員 沼袋防災まちづくりも非常にこれから大きな課題になってまいりますので、着実に進めていただけるようお願いをいたします。

 次に、3番目として成年後見制度の充実について伺います。

 初めに、市民後見人の養成について伺います。

 市民後見人の養成講座については、平成28年7月より中野区独自として実施してきました。そこで伺いますが、平成28年度の実施より平成30年度までの市民後見人の養成講座の受講者数と市民後見人候補者である基礎講習修了者数を伺います。

〇長﨑福祉推進課長 お答え申し上げます。中野区社会福祉協議会で実施しております社会貢献型後見人の養成講習でございますけど、2年間で後見人に必要とされますさまざまな講座を受講いただきまして、修了された方の中から後見人の候補者としてメンバー登録されるというものでございます。

 これまでの実績といたしましては、平成28から29年度の2年間で12名が受講されました。平成30から31年度で14名が受講という形になっております。このうち登録された人数でございますが、平成28から29年度で4名、平成30年度から31年度で8名というふうな形で登録をされています。それ以前の登録というのもございまして、それ以前の登録では11名ということで、現在合計23名が市民後見人として登録をされていると、そういう状況でございます。

〇南委員 現在、市民後見人として家庭裁判所から受任をされた受任数を伺います。

〇長﨑福祉推進課長 現在、メンバー登録されております23名の方がこれまで受任した件数でございますけれども、13件でございます。死亡等がありまして、現時点において受任している件数は5件という状況になっております。

〇南委員 受任された市民後見人の方々は、弁護士などの専門職の資格をお持ちでなく、一般職経験者とかであるため、後見人活動をする中でさまざまな問題に直面する場合もあると思いますが、そのためのサポートとして、中野区社会福祉協議会が法人監督人となることが重要と考えますが、受任された市民後見人のサポートの状況はどのようにされているのか、伺います。

〇長﨑福祉推進課長 社会貢献型後見人のサポート体制ということにつきましては、メンバーとして登録された後も、後見人として必要とされます知識等の向上を目的といたしました講演会の開催、それから、権利擁護関係を中心としたフォロー研修といったようなものもございます。また、メンバー相互の情報交換会ですとか、福祉施設での実習啓発活動への参加といったようなことで、市民後見人として必要とされる取り組みを継続して行っていると、こんな状況でございます。

〇南委員 さらなる養成をしっかりとやっていただきたいと思います。また、後見人に受任されなかった市民後見人候補者である基礎講習修了者の活用方法はどのように考えられているのか。毎年市民後見人の養成講座を実施していく中で、基礎講習修了者がふえていくわけですので、その活用方法を伺います。

〇長﨑福祉推進課長 登録メンバー、また登録されていない方につきましても、社協の中で成年後見支援センター、これが行いました権利擁護事業、いわゆるアシスト中野といったような生活支援員として登録をいただきまして、認知症等の方々への福祉サービス利用の援助、こういったものにも活躍をしていただいているといったところでございます。

 そのほか、登録メンバーの中では、後見人活動へ同行するといったことで、いい意味での先輩後輩という立場から指導育成といったようなことを行いながら、市民後見人としての知識、経験を積み重ね、社会貢献をいただいている、そんな状況でございます。

〇南委員 次に、成年後見制度利用促進基本計画の策定について伺います。

 平成28年5月に施行された成年後見制度の利用の促進に関する法律において、平成29年3月に閣議決定した国の成年後見制度利用促進基本計画を勘案して、成年後見制度利用促進基本計画の策定が市町村に対して努力義務となりました。中野区での成年後見制度利用促進基本計画の策定は、成年後見制度を広く周知させるためにも、単独での計画として策定すべきと考えます。

 以前、区は、成年後見制度利用促進基本計画を中野区健康福祉総合計画の中の一部として盛り込むようなことを考えていた経緯もありますが、港区では単独の計画として、成年後見利用促進基本計画を平成30年度から5年間の計画期間を定めて、総合的かつ計画的に成年後見制度の推進に努めております。また、埼玉県志木市では、平成29年4月に全国初となる成年後見制度の利用促進するための条例を策定し、この条例に基づき志木市成年後見制度利用促進基本計画を策定しています。中野区でも、単独計画として成年後見制度利用促進計画を策定すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

〇長﨑福祉推進課長 今、お話がありましたとおり、区市町村に対しましては、基本法的な計画を定めるように努めるという明記がなされました。区では、来年度中野区健康福祉の総合推進計画、この改定も控えているところでございます。この計画の策定ともすり合わせながら、区としての成年後見制度に対する取り組みの姿勢、こういったものは明確にあらわしてまいりたいな、こんなふうに考えているところでございます。

〇南委員 また、平成29年3月に閣議決定した国の成年後見制度利用促進基本計画では、成年後見制度の利用促進を図るために、中核機関の整備に関する必要な措置をとることも市町村の努力義務としています。国の成年後見制度利用促進基本計画では、中核機関の業務範囲については、地域連携ネットワークの関係団体と分担するなど、一つの機関で全ての機能を満たさなくてもよいとされており、地域の実情に応じて調整されるものとしています。ただし、市町村での成年後見制度利用促進基本計画では、この中核機関についての整備運営方針について記述することとなっています。現在、中野区として、成年後見制度の利用促進を図っていくための中核機関の整備をどのように考えているのか、伺います。

〇長﨑福祉推進課長 成年後見制度の利用促進に向けまして、弁護士会等の専門団体と連携をしながら、相談対応ですとか、後見人候補の調整、こういったものを担う中核機関、これを全区市町村に設置するといったようなことがうたわれております。こうした流れも踏まえまして、現在区では、社会福祉協議会とともに、弁護士会ですとか、司法書士会、社会福祉士会、そういった方々と成年後見制度に精通する専門職の方々と一緒に、今後の利用促進に向けての協議を行っているところでございます。こうした議論を踏まえながら、区としてさらに利用しやすい制度の構築、これに努めてまいりたいなというふうに考えております。

〇南委員 ぜひしっかりと進めていただきたいと思います。

 今年の3月19日の朝日新聞の朝刊に、「成年後見『親族望ましい』選任対象 最高裁、家裁に通知」との見出しで、認知症などでの判断能力が十分でない人の生活を支える成年後見制度をめぐり、最高裁判所は同月18日、後見人は身近な親族を選任することが望ましいとの考えを示したとの記事が掲載されました。この記事の中では、最高裁は、基本的な考え方として、後見人にふさわしい親族など身近な支援者がいる場合は、本人の利益保護の観点から親族らを後見人に選任することが望ましいと提示とありましたが、これは本来の最高裁の考え方を捉えたものではなく、成年後見制度の利用において、複雑な問題などを除外した記述であり、全体的な見方でなく、一面的な捉え方を記述したにすぎないと私は思います。このような記事が新聞報道で掲載されたことは非常に残念であり、遺憾であります。

 日本司法書士会連合会もこの記事に対して素早く反応して、「専門職後見人の果たす役割は変わらない」との見出しで、会長声明を出しています。この声明によると、最高裁の通知は、その親族等を後見人に選任することが相当でない事情の有無や、課題の専門性、候補者の能力、適性、不正防止の必要性などを勘案した上で、成年後見利用促進基本計画に定める中核機関等の継続的な支援があって、適切な後見事務が期待されるときは、単独でその親族等を後見人に選任し、中核機関等の継続的な支援が期待することができないときは、専門職の関与のもとに選任するという趣旨であり、これをもって最高裁の方針変更と捉えるべきではないと新聞記事の内容を否定しております。

 また、同記事中には、見知らぬ専門職が後見人に選任されることへの反発は強く、財産管理だけでほとんど本人の生活支援がないまま、高い報酬を取られることへの懸念も制度利用を妨げる壁となっていたとの記述があります。これも一面的な捉え方であり、実情とは異なった見方と言わざるを得ません。私が心配することは、このような一面的な捉え方の記事が掲載されることによって、成年後見制度の利用促進が阻まれることが心配であり、弁護士や司法書士、行政書士、そして社会保険労務士などの専門職員への信頼の低下を招くとともに、中野区で実施している市民後見人の養成にも悪影響が出ると思われます。

 区として、今回の新聞記事の内容についてどのような見解を持たれたのか、伺って、この項の質問は終わります。

〇長﨑福祉推進課長 成年後見人の選任につきましては、最終的には家庭裁判所が本人にとって最も適任だと思われる方を選任する、そういった仕組みになっておりますけれども、何より本人の生活面における不安要素はないかだとか、財産面における複雑さはないかだとか、さまざまな事情によりまして、後見人の適任者、こういうのは断れぬものだというふうに考えているところでございます。こうした観点から、親族後見人ですとか、市民後見人が適任であるというケースがある一方で、財産だとか、相続関係が複雑な場合においては、やはり弁護士さんですとか、司法書士さん、そうした専門的な知見にたけた方がなるべきだというところも一方ではあるというふうに思っております。

 そうした状況も踏まえまして、いずれにしても中野区としては、成年後見制度の促進に向けて関係団体等と連携をしながら、しっかりと周知徹底に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

〇南委員 成年後見制度の報酬のあり方についても、後見人の報酬が、家庭裁判所より決定した後に、被後見人の財産より支弁されることで誤解を生む課題もあることから、公費による後見人報酬の制度設計の充実も重要ではありますが、後見人報酬は被後見人の財産から賄うべきものであるとする仕組みの見直しも必要であると改めて考えさせられました。

 区としても、区民の皆様に、成年後見制度の正しい認識を持ってもらえるよう、これからもさらに広報、周知に努めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 4番目として、防災・減災対策について伺います。

 初めに、水害対策について伺います。

 決算説明書で、土のう配備委託として、205万6,000円余の執行額とあります。その委託先と具体的な事業内容を伺います。

〇井上道路課長 土のう配備委託についてですが、本委託の主な事業内容は、区内に26カ所あります土のう倉庫への補充や点検管理、梅雨、または台風の多い時期である出水期に備え、8カ所の路上一時配備を行っております。今年度、委託先なんですが、契約の受託者は、中野土木防災協力会でございます。

〇南委員 土のう配備場所は、神田川区域には16カ所、妙正寺川、江古田川区域には18カ所あります。区民の方が台風の接近で土のうを設置したい場合は、基本的に個人で土のう配備場所に取りに行って、使い終わったら返却するか、処分するという仕組みになっています。高齢者にとっては大変な作業となるため、近隣の協力が必要となりますが、協力が得られない場合は大変厳しい状況となりかねません。

 そんなときに簡単に用意できるものが吸水性土のうでございます。こちら、今、持ってまいりました。これに真水をかけると、あっという間に20倍ぐらいに膨れ上がるというもので、土のうとしての機能もしっかりとしているということであります。(「水は」と呼ぶ者あり)用意しようと思ったんですけど、ここがびちょびちょになると思うので、きょうはやめておきます。終わったら、これまた天日干し、ちょっと時間がかかるんですけど、二、三週間天日干しすると、また元に戻る、で、また使えるという優れものでございます。

 通常の土のうは、土のう袋に土や砂を袋詰めにしてつくらなければならず、労力がかかることと、持ち運びが重くて力仕事となり、不便であります。また、配備場所にする能力的にも、かさばるという課題があります。この吸水性土のうは、通常の状態では袋状になっているだけで軽くて、かさばることも軽減できます。使用する際は、先ほども言いましたように、真水をかければ、袋内にある吸水ポリマーが水を吸収しまして、数分で、3分から5分程度で素早く膨らんで、20倍ほどの大きさに膨れ上がる、土のうとしても本来の機能を発揮することができるというものです。これ、実証したいんですが、この持ち物自体は、我が会派の小林委員の私物でありますので、許可をもらっていませんので、このままにしておきます。

 またもとに戻る、再利用もできるということで、もし利用ができない、実際に水害が来て、においがついて、乾かしてもにおいが残る場合は、一般ごみとしても排出、捨てられるという、そういう利点があります。

 中野区としても、水害対策として、砂や土の要らない、水だけで膨らむ、緊急用の吸水性の土のうを配備してはいかがでしょうか、伺います。

〇井上道路課長 吸水性土のうの導入についてですが、通常の土のうと比べ、持ち運びが容易であって、省スペースで保管できるということは区でも認識をしてございます。吸水性土のうの導入については、今後研究していきたいと考えております。

〇南委員 ぜひ、少しでもまずは配備していただければというふうに思います。

 次に、ポケットベル電波を使用した情報提供の活用について伺います。

 ポケベル電波は、建物内や地下でもつながりやすい特性があり、東日本大震災後にポケベル電波を使用した情報提供システムを導入する自治体がふえてきております。現在、中野区では、台風などによる災害情報を伝達するのに、防災行政無線を使用しています。防災行政無線のデジタル化を進めて、2次避難所である乳幼児施設や高齢者施設、障害者施設などにデジタル化が進み、戸別受信無線機が設置されています。しかし、一般家庭において、台風時などの豪雨時には、区内の小・中学校や公園などに設置されている行政防災無線のスピーカーから流れてくる内容を入手することになりますが、スピーカーの向きや音量の調整を行っても、聞こえなかったり、聞き取りにくいという課題があります。

 そういった課題を解消するのに、西日本豪雨の被災地でもある岡山県高梁市では、従来の無線より整備費用が安いことや、屋内での受信力が高いことから、ポケットベル電波を使った戸別受信機を1,500台購入して、希望する世帯に1台を限度として無償で貸与する取り組みをしています。現在、中野区が使用している防災行政無線のシステムでは、ポケットベル電波システムの違いから、ポケットベル防災ラジオに電波を送ることができませんが、防災行政無線システムと併用させながら、ポケットベル電波システムを導入し、神田川や妙正寺川、江古田川の、過去に水害の被害の地域に限定に、ポケットベル電波を使った戸別受信機の配布をする取り組みを実施してはいかがでしょうか、伺います。

〇山田防災担当課長 お答えします。ポケットベル周波数帯の活用については、280メガヘルツ帯、いわゆるポケベル波を利用していることから、到達性、受信性、建物への浸透性にすぐれ、屋内や地下などで受信できるなど、利便性が高いものと認識しております。しかし、区が現在整備している防災行政無線システムは、ポケットベル防災ラジオシステムとの互換性がないことから、今後、他自治体の導入実績等を調査し、活用について研究していきたいと考えております。

〇南委員 このポケットベル電波システムの整備については、2022年まで国の補助金がつくということでありますけれども、そういったこともちょっと調査しながら、前向きに検討していただければと思います。

 次に、停電対策について伺います。

 今回の台風15号により、千葉県における大規模停電においては、今も復旧が進められ、急がれているところです。被災をされました方々に心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧を心より祈念をいたします。

 今日の災害はどのような形で起こるか、全く予測ができない現状があります。平成30年9月に発生した北海道胆振東部地震による影響で、一時北海道全域が停電となり、いわゆるブラックアウト状態となりました。中野区でも、いつ何どき災害で大規模停電を起こし、ブラックアウト状態にならないとも限りません。災害で被災をされた方々が、防災公園や避難所に向かう際、夜ともなれば真っ暗で方向が全くわからなくなってしまいます。そうした場合に、避難所や防災公園への避難路に、一定区間ごとにソーラー発電型の街路灯や自動点滅、発光する道路に埋め込み式のスマートソーラーライトの誘導灯が設置されていれば、迷うことなく安全に避難所や防災公園にたどり着くことができます。我が会派の日野議員が、平成30年の第4回定例会で避難路の自家発電型街路灯について質問をしましたが、私からも重要性を鑑み、質問をさせていただきます。

 区としてぜひ停電対策として、避難路にソーラー発電型の街路灯や自動点滅、発光する道路に埋め込み式のスマートソーラーライトなどを避難所までの誘導灯として整備していくべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

〇井上道路課長 避難路の誘導照明についてですが、中野区では平成21年から25年にかけて、区内の全街路灯をLED照明に取りかえてございます。LED灯の耐用年数が約10年であることから、照明器具の取りかえについて検討していきますが、ソーラー型の街路灯には蓄電池が附属するため、支柱部分が大きくなり、交通の障害となることから、別の方法での避難路への誘導を含めて、総合的に検討してまいりたいと考えてございます。

〇南委員 さまざまないろんなことが想定されるので、ぜひ考えていっていただきたいと思います。

 次に、中野区のほとんどの防災公園には、自家発電型の街路灯が設置されていますが、広域避難所である江古田の森公園の多目的広場には、自家発電型の街路灯がいまだに設置されておりません。多目的広場では、中野区合同水防訓練や消防団の操法大会などが常に行われている広場です。ぜひとも自家発電型の街路灯を設置すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

〇細野公園緑地課長 ソーラー型の園内灯ということで、ソーラー型の園内灯は、費用に対して一定の性能が確保できた時期より、避難時における公園の入り口の目印となるように、防災機能を有する公園に順次設置をしてきたところでございます。今後、ソーラー型の園内灯の計画的な導入について検討していきたいというふうに考えてございます。

〇南委員 ぜひ、もう早急にお願いをしたいと思いますので、強く要望しておきます。よろしくお願いします。

 次に、仮想発電所、バーチャル・パワー・プラント、VPP技術の活用について伺います。

 仮想発電所、VPPとは、太陽光などの再生エネルギー発電などの供給側と家庭や企業などの需要側をインターネットで結び、主力電源による供給がとまったときに、他の電源が瞬時に穴埋めをする技術です。新潟市では東北電力と仮想発電所、VPP技術を活用した再生エネルギーの有効利用に関する協定をことしの4月17日に締結しています。今回の取り組みで、太陽光発電設備と蓄電池が設置されている新潟市内の小・中学校5カ所において、東北電力が仮想発電所技術を活用した遠隔監視及び最適制御を行い、環境負荷の抑制と地域防災機能の一層の強化に努めていくというものです。

 中野区には、中野中学校などの学校施設や、南中野区民活動センターや、南部すこやか福祉センターなどの区有施設では太陽光発電機が設置されています。中野区としても、太陽光発電機が設置されている施設を中心に活用して仮想発電所、VPPの取り組みを積極的に検討していくべきと考えますが、区の見解を伺います。

〇山田防災担当課長 仮想発電所は、事業所などが所有する太陽光発電設備や蓄電池設備などをネットワーク化し、電力需要をコーディネートすることで、効率的な電力使用や停電時の電力確保が可能となるなど有用であると考えているところでございます。

 現在、新潟市や横浜市が電力事業者と協力し、実証検証を行っていることから、検証結果を踏まえつつ、有効性や効果などを研究していきたいと考えております。

〇南委員 この仮想発電所、VPPは、地域に分散している太陽光発電や蓄電池などを遠隔制御して集約することで、あたかも一つの発電所のように機能させる仕組みで、大手電力会社との提携、協力が必要となるため、課題はありますが、検討に値する取り組みであります。ぜひとも前向きにこれからも検討していただきたいと思います。

 次に、エレベーター用防災キャビネットについて伺います。

 防災用キャビネットは、震災発生時にエレベーター内に閉じ込められた際にパニックを起こさず、安心して救助を待てるよう、飲料水、懐中電灯、簡易トイレ、トイレットペーパーなどの備品を配備してある三角コーナー型の非常用備蓄キャビネットのことです。この防災用キャビネットが、本庁舎のエレベーター4基には設置されております。本庁舎以外の区有施設にはエレベーターが約79台だと思いますが、ありますが、社会福祉会館などの高層階の区有施設や、高齢者が多く利用する区有施設などで、この防災用キャビネットを設置すべきであると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

〇田中危機管理課長 庁外施設のエレベーターへの防災用キャビネットの設置についてでございますが、現在、利用の多いもみじ山文化センター等の幾つかの庁外施設におきましては、エレベーターに防災用キャビネットを設置しているところでございます。他の施設のエレベーターへの設置につきましては、利用状況等を踏まえながら検討してまいりたいと考えてございます。

〇南委員 ぜひ検討のほう、進めていっていただいて、今のエレベーターは振動を受けると最寄りの階にすぐとまるんですけど、とまって開くんですけども、しばらくしたらこれがまた閉まってしまう。閉まってしまうと、今度開かなくなってしまうという、そういうことがありますので、ぜひ早急に整備のほう、お願いしたいと思います。

 次に、乳幼児液体ミルクの災害時の備蓄について伺います。

 液体ミルクは、粉ミルクに比べて単価が割高になるものの、お湯の確保が難しい発災時に乳幼児に飲ませることができることから、災害時用の備蓄品として注目が高まっています。日本でも、平成28年4月14日に起きた熊本地震の際に、フィンランドからの救援物資の中に液体ミルクがあり、避難所での乳幼児の母親たちから大変喜ばれました。こうした経緯を踏まえ、国産の液体ミルクの製造販売を求める声が上がり、日本での製造販売の法的な基準を定めた改正厚生労働省令が平成30年8月に施行されました。

 このような動向から、大阪府箕面市では、乳幼児の液体ミルクを災害時の備蓄品として今年度導入することになり、国産の液体ミルク600本を市役所と公立保育園4園に分配して配備することになり、災害発生時には避難所などで使用することとしています。

 中野区としても、備蓄品として液体ミルクの導入をすべきと考えますが、粉ミルクとの併用とあわせて、本庁舎をはじめ区立保育園、すこやか福祉センターに備蓄をすべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

〇山田防災担当課長 液体ミルクについては、保存期限や保管方法等、備蓄の管理方法に一定の課題があります。先行自治体の実例等を踏まえつつ、動向を見きわめながら、導入に向けて検討していきたいと考えております。

〇南委員 ぜひ導入のほう、よろしくお願いいたします。

 次に、避難所におけますスフィア基準について伺います。

 スフィア基準とは、国際的な避難所の環境基準であり、人道的支援の最低基準です。具体的には、1人当たりの居住空間は最低3.5平米、トイレは20人に1基、男性1に対し、女性3の割合での設置、体育館内にはテントを張るなど、プライバシーの保護にも厳しい条件が課せられています。平成28年4月に内閣府は避難所運営ガイドラインの中で参考にすべき国際基準としてスフィア基準を紹介しています。また、徳島県は、平成29年4月に徳島県避難所運営マニュアル作成指針を改定し、スフィア基準を盛り込んでおります。

 中野区には、避難所ごとに中野区避難所運営管理マニュアルがありますが、人権保護の観点や備蓄品の状況など、国際基準からはほど遠い環境となっています。中野区として、避難所運営管理マニュアルに国際基準であるスフィア基準を盛り込むべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

〇山田防災担当課長 お答えします。区では、東京都が示す避難所管理運営指針を踏まえ、避難所運営マニュアルを作成し、運営しているところでございます。都市部など人口密集地域において、スフィア基準をそのまま準用することは難しいと考えております。今後、こうした基準を踏まえつつ、避難所生活が快適になるよう、避難所運営について研究、検討していきたいと考えております。

〇南委員 5番目、高齢者対策についてということで取材をしていただいたんですが、私の持ち時間がこれで終わりますので、大変申しわけありませんが、以上で私の質問を全て終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。

〇山本委員長 以上で南かつひこ委員の質疑を終了します。

 以上で本日の総括質疑を終了します。

 次回の委員会は、9月24日(火曜日)午前10時から当委員会室で開催することを口頭をもって通告します。

 以上で本日の決算特別委員会を散会します。

午後4時50分散会