令和元年11月26日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録 1.令和元年(2019年)11月26日、中野区議会議事堂において開会された。 1.出席議員(42名) 1番 市 川 しんたろう 2番 竹 村 あきひろ 3番 日 野 たかし 4番 渡 辺 たけし 5番 間 ひとみ 6番 河 合 り な 7番 斉 藤 ゆ り 8番 立 石 り お 9番 羽 鳥 だいすけ 10番 高 橋 かずちか 11番 加 藤 たくま 12番 吉 田 康一郎 13番 木 村 広 一 14番 甲 田 ゆり子 15番 内 野 大三郎 16番 杉 山 司 17番 ひやま 隆 18番 小宮山 たかし 19番 い さ 哲 郎 20番 小 杉 一 男 21番 若 林 しげお 22番 内 川 和 久 23番 いでい 良 輔 24番 小 林 ぜんいち 25番 白 井 ひでふみ 26番 いながき じゅん子 27番 山 本 たかし 28番 中 村 延 子 29番 石 坂 わたる 30番 近 藤 さえ子 31番 浦 野 さとみ 32番 大 内 しんご 33番 伊 藤 正 信 34番 高 橋 ちあき 35番 平 山 英 明 36番 南 かつひこ 37番 久 保 り か 38番 森 たかゆき 39番 酒 井 たくや 40番 むとう 有 子 41番 長 沢 和 彦 42番 来 住 和 行 1.欠席議員 な し 1.出席説明員 中 野 区 長 酒 井 直 人 副 区 長 白 土 純 副 区 長 横 山 克 人 教 育 長 入 野 貴美子 企 画 部 長 高 橋 昭 彦 総 務 部 長 海老沢 憲 一 危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝 瀬 裕 之 区 民 部 長 青 山 敬一郎 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 戸 辺 眞 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小 田 史 子 地域支えあい推進部長 野 村 建 樹 地域包括ケア推進担当部長 藤 井 多希子 健康福祉部長 朝 井 めぐみ 保 健 所 長 向 山 晴 子 環 境 部 長 岩 浅 英 樹 都市基盤部長 奈 良 浩 二 まちづくり推進部長 角 秀 行 中野駅周辺まちづくり担当部長 豊 川 士 朗 企画部企画課長 杉 本 兼太郎 総務部総務課長 石 濱 良 行 1.本会の書記は下記のとおりである。 事 務 局 長 吉 村 恒 治 事 務 局 次 長 小 堺 充 議事調査担当係長 鳥 居 誠 書 記 立 川 衛 書 記 若 見 元 彦 書 記 井 田 裕 之 書 記 野 村 理 志 書 記 鎌 形 聡 美 書 記 松 丸 晃 大 書 記 遠 藤 良 太 書 記 山 口 大 輔 書 記 髙 橋 万 里 書 記 有 明 健 人 書 記 五十嵐 一 生
議事日程(令和元年(2019年)11月26日午後1時開議) 日程第1 第83号議案 令和元年度中野区一般会計補正予算 第84号議案 令和元年度中野区用地特別会計補正予算 日程第2 第85号議案 中野区基本構想審議会条例を廃止する条例
午後1時00分開会 ○議長(高橋かずちか) ただいまから令和元年第4回中野区議会定例会を開会いたします。 本日の会議を開きます。 会議録署名員は会議規則第128条の規定に基づき、議長から御指名申し上げます。 4番渡辺たけし議員、38番森たかゆき議員にお願いいたします。 次に、会期についてお諮りいたします。本定例会の会期は、本日から12月10日までの15日間といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。 この際、申し上げます。令和元年10月31日付をもちまして、お手元の文書のとおり、委員会参与に人事異動がありましたので、念のため御報告いたします。
○議長(高橋かずちか) 次に、一般質問の時期の変更についてお諮りいたします。一般質問は、議事に先立って行うことになっておりますが、別な時期に変更し、質問を許可いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、さよう進行いたします。 これより日程に入ります。 ────────────────────────────── 第83号議案 令和元年度中野区一般会計補正予算 第84号議案 令和元年度中野区用地特別会計補正予算
○議長(高橋かずちか) 日程第1、第83号議案及び第84号議案の計2件を一括上程いたします。 理事者の説明を求めます。 〔副区長白土純登壇〕 ○副区長(白土純) ただいま上程されました第83号議案及び第84号議案の2議案につきまして、一括して提案理由の説明をいたします。 第83号議案、令和元年度中野区一般会計補正予算は、歳入歳出にそれぞれ17億4,978万6,000円を追加計上するものです。これにより、既定予算との合計額は1,573億3,113万4,000円となります。 初めに、この補正の歳出予算の内容を説明いたします。 まず、新区役所整備費ですが、新庁舎整備事業の進捗・変更により、実施設計・施工一体整備コンストラクション・マネジメント業務委託に係る経費460万5,000円を減額するものです。 次に、育成活動推進費ですが、事業進捗の見込み差により、U18プラザ上高田跡施設仮設建築物整備費補助に係る経費72万9,000円を追加計上するとともに、親子農園事業用地の返還に伴う委託に係る経費49万5,000円を追加計上するものです。 次に、すこやか福祉センター費ですが、白鷺たんぽぽ広場用地の返還に伴う委託に係る経費45万1,000円を追加計上するものです。 次に、スポーツ振興費ですが、中野区立総合体育館整備工事に係る経費1億6,203万2,000円を追加計上するとともに、哲学堂公園野球場改修工事に係る経費2億4,227万3,000円及び中野区立総合体育館を活用したイベントを開催するための経費148万5,000円を減額するものです。 次に、道路費ですが、橋梁拡幅工事の出来高の見込み差により、負担金4,193万8,000円を減額するものです。 次に、公園緑地費ですが、平和の森公園再整備工事及び用地購入に係る経費16億6,737万7,000円を追加計上するものです。 次に、まちづくり事業費ですが、平和の森公園周辺地区及び南台一・二丁目地区の地区施設道路の用地購入に係る経費2億900万3,000円を追加計上するものです。 この補正の歳入予算といたしましては、国庫支出金10億9,987万3,000円、都支出金2億3,992万7,000円、繰入金6億3,322万9,000円を追加計上する一方、分担金及び負担金124万3,000円、諸収入3,400万円、特別区債1億8,800万円を減額するものです。 続きまして、繰越明許費の補正について説明いたします。 これは、今年度内にその支出が終わらない見込みである中野区平和資料展示室整備に係る経費997万7,000円、新庁舎実施設計・施工一体整備コンストラクション・マネジメント業務委託に係る経費859万5,000円、U18プラザ上高田跡施設擁壁工事に係る経費1,543万円、中野区立総合体育館整備に係る経費51億4,106万7,000円、哲学堂公園野球場改修工事に係る経費3億1,172万円について、翌年度に繰り越しを行うため計上するものです。 続きまして、債務負担行為の補正について説明いたします。 親子農園事業用地原状復旧工事について、期間が2年度にわたるため、令和元年度から令和2年度分経費2,800万1,000円、白鷺たんぽぽ広場用地原状復旧工事について、期間が2年度にわたるため、令和元年度から令和2年度分経費731万円、上の原跨線橋に係る橋梁長寿命化修繕工事について、期間が2年度にわたるため、令和2年度分経費1億8,221万2,000円をそれぞれ計上するものです。 次に、新庁舎実施設計・施工一体整備コンストラクション・マネジメント業務委託について、事業期間の変更等に伴い、債務負担行為の期間を令和6年度まで延長するとともに、その限度額を1億5,035万5,000円に増額するものです。 次に、本郷橋に係る橋梁拡幅整備について、事業の変更に伴い、債務負担行為の限度額を1億4,879万2,000円に増額するものです。 次に、中野駅西側南北通路・橋上駅舎本体工事について、事業の変更に伴い、債務負担行為の期間を令和9年度まで延長するものです。 また、U18プラザ上高田跡施設擁壁工事及び東京2020オリンピック・パラリンピック気運醸成事業については、実施時期の延期により、いずれも債務負担行為を廃止するものです。 なお、特別区債の補正につきましては、新庁舎整備を目的とした総務債300万円、哲学堂公園野球場改修工事を目的とした教育債1億8,500万円を減額するものです。 第84号議案、令和元年度中野区用地特別会計補正予算は、歳入歳出にそれぞれ16億3,000万円を追加計上するものです。これにより、既定予算との合計額は129億700万円となります。 歳入歳出予算の内容は、歳出予算については公債費に、歳入予算については財産収入に16億3,000万円をそれぞれ追加計上するものです。 以上、2議案につきまして、よろしく御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。 ○議長(高橋かずちか) 本件について、御質疑ありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(高橋かずちか) 御質疑なければ、質疑を終結いたします。 上程中の議案は、会議規則に従い、総務委員会に付託いたします。 この際、お手元の一般質問一覧表のとおり、内川和久議員、森たかゆき議員、久保りか議員、長沢和彦議員、内野大三郎議員、竹村あきひろ議員、加藤たくま議員、杉山司議員、甲田ゆり子議員、いさ哲郎議員、吉田康一郎議員、市川しんたろう議員、斉藤ゆり議員、日野たかし議員、大内しんご議員、山本たかし議員、むとう有子議員、近藤さえ子議員、いながきじゅん子議員、石坂わたる議員、小宮山たかし議員、立石りお議員より質問の通告がありますので、これを順次許します。
中野区議会議員 内 川 和 久 1 令和2年度予算編成について 2 区の災害対応について 3 地域医療機関整備について 4 交通管理者と区の関係について 5 その他
○議長(高橋かずちか) 最初に、内川和久議員。 〔[1]内川和久議員登壇 〕 ○22番(内川和久) 令和元年第4回定例会におきまして、自民党の立場で一般質問をさせていただきます。 質問は通告どおりで、1番、令和2年度予算編成について、2番、区の災害対応について、3番、地域医療機関整備について、4番、交通管理者と区の関係について、5番、その他はございません。 1番、令和2年度予算編成について。 現在、中野区においては、令和2年度予算編成に向けた準備を進めている時期と考えます。酒井区長にとっては今後10年後の中野のまちの姿を描くに当たり重要な予算編成となるため、幾つか質問をさせていただきます。 令和元年度予算については、一般会計1,521億7,200万円と、前年度に比べ6.6%増の過去最大の予算規模となりました。その要因としては、雇用情勢や企業収益の改善、調整三税の増加、個人消費も持ち直すなど、緩やかな景気回復がもたらしたものです。しかしながら、この状況はいつまで続くものでしょうか。日本経済の先行きに関しては、幾つかの不安材料が言われています。米中間では制裁関税の打ち合いにより中国景気の低迷が長引くようだと、日本経済への悪影響は避けられません。2020年以降のキャッシュレス決済のポイント還元制度や東京オリンピック・パラリンピックが終了する来夏――来年の夏以降の景気減速を懸念する声も強いとのことです。 中野区においては、今後、小・中学校の改築や中野駅周辺・西武新宿線沿線まちづくりなど大規模なプロジェクトが続くことから、それらが区財政に与える影響が多大であることは指摘をさせていただきました。また、地方消費税の清算基準見直しの実施、法人住民税の一部国税化の拡大、ふるさと納税による減収など予断を許さない状況の中で、確かな財政見通しと後年度負担も考えたバランスのよい資金計画をあわせて求めたところです。 かつて中野区は、未曽有の財政危機を迎えました。その後の徹底的な歳出の見直しを行い回復を果たしましたが、二度と同じ状況に陥らないよう、今から備えることが必要と考えます。先日、総務委員会に示された資料によりますと、中野区の将来人口推計では、2040年まで緩やかに増加するものの、現計画に基づく経常経費は、令和2年度660億円から令和11年度には742億円まで増加し、そのときの一般財源の推計798億円に迫る数字となっています。また、新規事業に充当できる一般財源は、令和2年度の116億円から令和11年度では半分の57億円まで減少するなど、大変ショッキングな数字となっています。今後の予算編成に関しては、既存事業の変更・中止も視野に入れ、歳入歳出の将来動向に注視し、持続可能な財政基盤の構築を強く求めます。 まず、新しい基本構想・基本計画と令和2年度予算の関連についてお聞きします。 区は、基本構想・基本計画は2020年度中の策定を見込んでおりますが、その間は原則として現行の基本構想及び新しい中野をつくる10か年計画(第3次)を継承することとしています。令和2年度予算に関してもこの考えを踏襲するのか、確認の意味も含めてお答えください。 次に、事業見直しについてお聞きします。 従前の行政評価は多くの時間を費やしても事業改善に結びつきづらいとの理由で、区長は、行政評価制度を抜本的に見直すとしました。実施した事業の効果をきめ細かく分析・評価し、課題を浮き彫りにして事業のスクラップ・アンド・ビルドにつなげる効率・効果的な手順を検討するとしました。その結果、新しく行政評価と業務改善を統合して業務改善課を設置しましたが、その成果のほどはどうだったのか、既存事業の中止・見直しについて、区の見解をお答えください。 次に、区の基幹収入である特別区税についてお聞きします。 区は、徴収額及び収納率の目標を定め、これを達成するため、徹底した取り組みを推進するとしています。モバイルレジの導入、業務委託による電話・訪問、滞納整理専門員による財産調査、また、モバイルクレジット収納、ペイジー収納の導入など納付方法の拡大を図り、さらに、区外の滞納者対策として現地調査を業務委託により実施し、区外滞納者の滞納処分を進めています。 令和元年度の徴収率目標は96.8%として達成を目指しておりますが、23区平均値に近づき、追い越すためにはさらなる対策が求められます。令和2年度は徴収率の向上の取り組みをどのように行っていくのか、お答えください。 次に、今後の超高齢化社会や子育て支援等により、扶助費の上昇は抑えることが難しいと考えます。これに対し、区としては、人件費、公債費を削減することで義務的経費の抑制につなげてきましたが、職員2,000人体制は限界に近づいていると思われます。監査委員の指摘にもあるとおり、今後、大規模プロジェクトを抱える区にとって一定の区債発行は避けられず、義務的経費の増は財政の硬直化につながることから、義務的経費の抑制や比率については特に注意を払うべきと考えます。区の見解をお聞きします。 最後に、行政の継続性から考えると、必然的に予算もそれに伴う内容となってきます。酒井区長は、これから令和2年度の予算編成に御自身の思いや区長選挙時の公約の実現に向け取り組まれるものと考えますが、現実はそれほど甘いものではありません。子育て先進区に向けた取り組みは、子育て世代からの声を聞き始めた段階です。18カ所の児童館廃止の方針を撤回し9カ所を残す判断は唐突感があり、どの児童館を残すかはこれから区民の意見を聞く段階で、これがボトムアップと言えるのでしょうか。区役所・中野サンプラザ地区再開発の最大1万人規模アリーナについては、区民会議で多く出た2,000人から3,000人規模という声を覆し、最大7,000人としました。区民会議は徒労に終わった感があります。平和の森公園の300メートルトラックは従前どおり建設が決定され、区長選挙時の公約を守れなかった形です。 区長は、中野区民33万人の生命と財産を守る重要な立場です。選挙公約はそれはそれとして大切かもしれませんが、それにとらわれ過ぎると、本当にやらなければならないことが見えなくなります。確かな財源の裏付けと持続可能な行政に向けた施策展開に基づいた令和2年度予算編成を求めます。区長の見解をお聞かせください。 2番、区の災害対応について。 関東や東北地方を中心に大規模な被害が出た台風19号から1カ月半が経過しました。記録的な豪雨により各地で河川が氾濫し堤防が決壊、住宅等が次々と飲み込まれました。 中野区では、過去、台風や集中豪雨による神田川や妙正寺川など河川の氾濫で大きな被害を受けました。昨今は、都の河川改修や調節池の整備により河川の氾濫はなくなりましたが、下水道からの内水氾濫など排水能力を超えた都市型水害には注意を払わなければなりません。年々局地的な集中豪雨も多発しており、一層の都市型水害の対策が求められます。想定が想定外にならない対応が求められます。 中野区では、台風19号の対応として、10月11日に大雨・強風・雷注意報を発表、12日には洪水・暴風警報発表、13日朝には大雨・洪水注意報が解除されました。今回の台風では、たび重なるマスコミにおいての「命を守る行動をとってください」というせっぱ詰まった報道が大変記憶に残りました。中野区においては一時避難所が開設され、区内15カ所の区民活動センターに最大320名の自主避難者が集まったとのことです。大規模地震による災害対応ももちろん大切ですが、毎年日本列島を通過する台風による災害対策も、安心・安全なまちづくりを目指す区としては、早急な対応と環境整備をするべきと考えます。 そこで幾つかお聞きします。 まず、風水害が発生または発生するおそれがある場合、区長を本部長とする中野区災害対策本部を設置し、迅速な応急対策を実施するため、審議・決定・指示を行うとのことですが、酒井区長は就任後初めての経験として司令塔としての役割を果たしたのか、お聞きいたします。 次に、水害時には区内区民活動センターが一時避難所となりますが、開設の判断と区民への周知はどのように行われたのか、お聞きいたします。 ホームページで災害時の情報発信を行う自治体によってはアクセス集中により見づらくなったとのことですが、中野区では災害モード等の簡易なホームページへの対応はとられているのか、お聞きいたします。 また、SNSを通じた情報発信の強化も必要と考えますが、区の取り組みについてお聞きいたします。 区は常時河川の水位を監視していますが、警戒水位に達するとサイレンが鳴る仕組みをとっております。豪雨により聞こえづらいという意見もありました。自治体によっては、防災行政無線が聞きづらい場合に備え、家庭などに配慮する戸別受信機を利用しているところもあるとのことです。また、他の自治体によっては、自主避難所を開設していますとの音声を録音し、青色パトロールカーを走らせたとのことですが、これは効果的だったとのことです。インターネットや情報ツールがない人にとっては有効だと考えます。これらの取り組みについて、区の見解をお聞かせください。 次に、区民活動センターを避難所として開設する場合、町会や区民活動センター運営委員会、さらに、地域防災会等に情報は正確に伝達されたのか、お聞きいたします。 また、それらの地域関連団体とは今後密接な連携が必要と考えますが、区の見解をお聞きいたします。 また、大規模水害時には広域避難が必要となってきますが、学校等の避難所開設はどのタイミングで判断するのか、また、学校以外にはどのような施設が対象となっているのか、お聞きいたします。 次に、区は、大規模な地震などが発生した場合、区内に発生する帰宅困難者への対策を協議するため、中野区帰宅困難者対策協議会を設置しています。今回の台風19号においては、幾つかの区民活動センターへ中野区外の方が複数人避難されたと聞いています。これは、公共交通機関の運行停止などが理由と考えられます。また、他区では住所不定の方の避難をお断りしたとの報道がありましたが、水害時のこういったケースについて、中野区の基本的な姿勢についてお聞きいたします。ペットの避難についてもあわせてお答えください。 次に、姉妹都市・連携自治体等の被害に対しての姿勢についてお聞きいたします。 福島県田村市や千葉県館山市においては、発災時にどのような対応を区としてとったのか、お聞きいたします。 また、復旧までの間にこれら連携自治体や災害協定を結んでいる自治体には継続的な支援が必要と考えますが、現在の状況についてお聞かせください。 最後に、今後の中野区内の治水対策への取り組みについてお聞きして、この項の質問を終わります。 3番、地域医療機関整備について。 団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降の超高齢社会を迎えるに当たり、さらなる医療需要が増加することは明白です。中野区を含む区西部保健医療圏においては、回復期機能を持つ病床が不足しているとのことから、区民が地域で安心して暮らし続ける医療体制を構築する必要性があるとのことです。新しい中野つくる10か年計画における旧中野中跡地に医療機関を誘致するという計画に基づき、このたび、医療機関、事業者の公募が行われました。旧中野中跡地の区有地を賃貸し、事業者において医療機関の建設及び運営をしていただくという内容です。ただし、東京都保健医療計画により基準病床数が定められており、区西部二次保健医療圏においては既存の病床数が基準病床数を上回っているため、新規の病院開設や既存病院の増床はできないとのことです。現在保有する病床数を上限として旧中野中跡地に病院を建設し、移転することが応募の条件となっています。 そこで幾つかお聞きいたします。 まず、条件とされた限られた病床数の中では、事実上、新規の病院建設は不可能であり、施設の老朽化等により既存の病院が全体として移転してくるか、もしくは既存病院の病床数を分割しての病院建設となります。今回公募するに当たり、この厳しい条件の中で対象となる区西部2次保健医療圏内の病院はどのくらい数があったと考えたのか、区の見解をお聞きいたします。 次に、貸付条件として定期借地設定契約を締結し、貸付期間は50年とされておりますが、旧中野中跡地は売却ではなく定期借地権とした理由をお聞かせください。 また、貸付料としては、中野区行政財産使用料条例に基づき、月額1,696万1,309円としております。ただし、区が実施する事業を受託する場合や提案事業の内容により貸付料を減額する場合があるとしています。中野区では、公有財産使用料の減額・免除基準が設けられております。「国及び地方公共団体や区が設立した法人、社会福祉法人、学校法人、その他の公共的団体などから減免の申し出がある場合は、設けられた基準により減免される」としています。50%から100%の間です。また、「区長が公益上特に必要と認めるときは、これにかかわらず減額率を別に定めることができる」としています。今回の貸付料はこの公有財産使用料の減額・免除基準が適応されるのか、お聞きします。 また、適用されない場合、貸付料の減額の基準は、区が設けた公募施設の条件や区が推奨する各提案項目、また、自主提案項目をどのように評価し、減額額をどのように算定するのでしょうか。明確な基準が必要と考えます。お答えください。 次に、公募施設の条件についてお聞きします。 今回の条件においては、診療科目、回復期医療、緊急医療、災害時医療、地域医療への支援、施設整備など11項目が挙げられています。その中に、地域包括ケア病床もしくは回復期リハビリテーション病床のいずれもしくは両方を有すること、また、区内医療機関との連携、地域医療への支援とありますが、これらが現在区が進めている地域包括ケアシステムに今後どのような効果をもたらすのか、また、どのような効果を期待して条件として挙げたのか、区の見解をお聞かせください。 施設整備の中では、利便性に配慮し病院の立地状況に適応する通院環境を整備することとあります。旧中野中跡地は、中野駅から徒歩で約10分、最寄りのバス停からは坂道を上る地形となっているため、高齢者等にとってはアクセスしづらい立地となっています。通院環境の整備とはどのようなことを想定しているのか、お答えください。 最後に、応募申込書類の提出期間は11月19日までとなっています。現在の応募状況をお聞きして、この項の質問を終わります。 4番、交通管理者と区の関係について。 今、中野区では、中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりが継続的に進められています。まちづくりを進めるに当たり、交通動線や歩行者動線をどう描くのかは、今後の中野区のまちづくりの基本となるところです。そんな中、交通法規は交通管理者――警察に権限が与えられています。信号の設置、通行時間帯、交差点の右左折等、多岐にわたります。今後の中野区のまちづくりを進めるに当たり、交通管理者と区の間で、ふだんからの情報交換・協議が十分に行われているのか、確認の意味も含め、幾つかお聞きします。 このたび中野駅南口に接道する中野三丁目からの区道が終日車両右折禁止となりました。地域には事前に説明はしたものの、地元の反対意見は取り入れられず、終日右折禁止は1月18日に実施されました。この区道が通る中野三丁目地区ではURを施行者として土地区画整理事業が進められており、車両通行の自由度が低くなることは、少なからずこの地域の今後のまちづくりに影響すると考えます。また、中野三丁目地区から中野区南部へ車両で移動するには、環状7号線に出るか、住宅街の生活道路を通るか、どちらにしても狭隘な道路を通行するしかなく、住民や歩行者にとっては危険を伴う状況です。中野三丁目地区のまちづくりが進むにつれ、特にこの区道に接する旧桃丘小跡地の拠点施設整備については、商業や集客施設が誘致された場合、今後の車両、歩行者の増加が見込まれ、対策が必要となってきます。 そこで伺います。 まず、今回の右折禁止の措置についてもそうですが、こういった交通環境の変更について、事前に交通管理者から区へ報告や相談はあったのでしょうか。また、あった場合にはどのように対応したのでしょうか。お聞きいたします。 次に、中野駅周辺や西武新宿線沿線まちづくりを進めるに当たっては、区の描くまちづくりを実現させるとともに、地域生活への影響も十分に配慮しながら、交通管理者との十分な事前の協議・情報交換等が必要と考えます。区の見解をお聞きいたします。 以上で全ての質問を終わります。 御清聴まことにありがとうございました。 〔区長酒井直人登壇〕 ○区長(酒井直人) 内川議員の御質問にお答えいたします。 まず最初に、令和2年度予算編成についての基本的な考え方についての御質問です。新しい基本構想等が策定されるまでの間の財政運営については、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)の行財政運営の基本方針を踏まえておりまして、令和2年度予算編成においてもこの考え方によって作業を進めているところでございます。 次に、本年度の事業見直しの成果についての御質問です。今年度、行政評価を事業の成果に着目したものにシフトさせるなど一部見直しを行い、各施策における主な事業の成果を中心に内部評価を行いました。また、内部評価の結果を事業見直しの視点から確認して、令和2年度予算編成方針における改善の視点を全庁に示して、これによって一定の事業について、廃止や休止、見直しの検討が行われているところでございます。一方で、まだ評価が改善に十分には反映できるものになっていないと認識しておりますから、行政評価手法の見直しを行っているところでありまして、各事業の効果測定に基づく要因分析、評価基準の見直し、専門的な見地に立った外部評価の導入などを検討しております。 次に、令和2年度のさらなる徴収率向上の取り組みの御質問です。これまで収納率向上対策として、口座振替加入の促進やモバイルレジなど納付環境の整備とともに、業務委託による電話納付案内や訪問催告、区外滞納者対策として区外転出者の調査などに取り組んでまいりました。徴収目標を23区平均に近づけて、さらに追い越すためには、令和2年度は、電話及び訪問による納付案内及び財産調査を拡充するとともに、督促状等の発付にあわせ、携帯電話にショートメールを送信するSMSを活用した納付勧奨、区外滞納者に対する状況調査を拡大するなどの対策を講じてまいりたいと考えております。 次に、義務的経費の増による財政の硬直化についてのお尋ねです。義務的経費のうち変動要素が大きい公債費につきましては、中野区方式の公債費負担比率をおおむね10%以内で運用することを基本とし、起債と基金をバランスよく活用して、財政の硬直化につながることのないよう注意を払って健全な財政運営を進めていきたいと考えております。また、人件費や扶助費についても、今後の動向についてしっかりと注視をしてまいります。 次に、財源の裏付けと持続可能な行政に向けた予算編成についての御質問です。来年度予算における財源確保におきましては、国と東京都の補助金の最大限の活用、税や国民健康保険料などの収納対策の推進のほか、その他の歳入についても、あらゆる手法を検証して歳入確保に努めているところでございます。社会経済情勢や将来にわたる区の歳入歳出状況を適切に見きわめて、区民ニーズを的確に捉え、時機を逸することなく必要な事業に選択と集中を図ることが必要であると考えております。中長期的な視点を持って予算編成を進めているところでございます。 次に、区の災害対応についての項でございます。 まず、今回の台風19号の本部長としての対応についての御質問です。今回の台風19号への対応としましては、当初から189人体制による初動配備体制をとりまして災害対策本部を設置し、機動的かつ迅速な応急対策を指示するなど、最善を尽くしたと考えております。 次に、一時避難所の開設判断と区民への周知についての御質問です。開設の判断につきましては、台風19号が大型で非常に強い勢力のまま関東地方に接近していることから、台風が伊豆半島に上陸する前日に決定をして、一時避難所の運営を可能とする体制をとりました。また、区民に対する周知については、開設の決定に合わせて、ホームページやツイッターによって周知を図りました。 災害時の区のホームページの対応についてでございます。台風19号の接近時におきましては、ホームページアクセス時に経由する東京都のセキュリティークラウドのシステム障害によって区ホームページにつながりにくい状態となったため、当日の夕方に災害緊急用のテキスト形式のホームページに切りかえて対応したところでございます。 災害時にSNSによる情報発信の強化が必要というお尋ねでございます。台風19号の接近時に区ホームページがつながりにくい状態になったときには、ツイッターやフェイスブックで、ハザードマップの画像や区内河川水位をはじめとした防災・気象情報のリンク先などを随時発信したところでございます。今後も、ツイッターやフェイスブックの特性や利用対象を踏まえつつ、適時適切な情報発信にさらに努めてまいります。 次に、戸別受信機や青色パトロールカーの有効性についてでございます。災害情報の提供に当たっては、ホームページやSNSでの発信をもとより、インターネットや情報ツールがない人など、誰もが的確に情報を得られる環境の整備が重要であると考えております。今後、他の自治体の状況などを参考に、車両を活用した広報、防災行政無線や緊急情報電話伝達システム等、さまざまなツールを活用した情報発信の強化について検討してまいります。 地域関係団体への情報伝達と連携についての御質問です。今回の台風は、避難勧告等ではなく、住民が予防的に避難する自主避難の受け入れ先として一時避難所を開設いたしました。そのため、避難を呼びかけたものではございませんので、一時避難所の開設については、ホームページ及びツイッター以外では周知をしておりませんでした。今後、区民活動センター運営委員会には区民活動センターから連絡をし、町会、防災会については緊急情報電話伝達システムを活用するなどによって、地域団体等への情報提供について強化していきたいと考えております。あわせて、地域団体とは、引き続き避難所運営会議や各種防災訓練などを通じて緊密な連携を図ってまいります。 次に、避難所の開設判断と学校以外の避難所についてでございます。区の地域防災計画における水害時の避難所等の設置については、自主避難者を収容する一時避難所のほか、大規模水害時に区が行う高齢者等避難開始や避難勧告などの避難情報の発令によって大勢の避難者が予測される場合には、学校等の避難所を開設することとしております。学校以外の避難所としては、南部すこやか福祉センター、中部すこやか福祉センター、中野中学校跡施設、鷺宮体育館を指定しております。 次に、区外居住者、路上生活者、ペットの受け入れについての御質問でございます。区外居住者や路上生活者の受け入れについては、災害対策基本法の基本理念に基づいて行っているところでございます。ペットについては、同行避難として受け入れますが、避難所における滞在スペースは人とペットで振り分けているところでございます。 次に、連携自治体等の支援についての御質問です。台風19号における区の災害対策本部解散後、直ちに里・まち連携自治体や災害協定締結自治体など関係する13の自治体に支援の必要性の有無等の連絡をいたしました。その結果、福島県田村市から土木職の派遣要請を受けまして、10月23日から11月1日までの間に土木職2名を派遣したところでございます。現在のところ継続的な支援の要請はございませんが、継続的な支援が必要となった場合には、区として適切に対応してまいります。 次に、区内の治水対策の取り組みについてでございます。中野区では、流域対策として、神田川流域関係各区市等の協議会で、平成30年3月に改定されました神田川流域豪雨対策計画、これで整備目標としている時間雨量75ミリ対策を達成するために、平成30年7月に中野区豪雨対策実施計画を策定いたしまして、道路工事にあわせ、道路の地下に雨水貯留・浸透施設の設置を実施しております。また、300平方メートル以上の敷地での建設工事を行う場合、雨水流出抑制施設の設置を指導しております。東京都におきましては、内水氾濫等の防止を目的として、第二桃園川幹線整備事業に着手しております。また、河川の溢水を防止するため、環状7号線の地下に設置している神田川・環状7号線地下調節地を延伸し、白子川地下調節池と連結させる工事に着手しております。そのほか、神田川や妙正寺川での護岸改修工事を引き続き進めていく予定であると聞いております。 次に、3番目、地域医療機関整備についての項、最初に、公募対象となる医療機関の数についての御質問です。区が実施している公募では、誘致医療機関は、東京都の地域医療構想で定められている基準病床数を前提として、今後必要性が高まる回復期医療や救急医療、災害時医療を提供することなどを求めているものでございまして、特段厳しい条件を設定したわけではございません。このような条件を満たし得る医療機関は、区西部二次保健医療圏内に17病院ありますが、区は、施設の建てかえ等によって申し込みをする医療機関があるものと想定しておりました。 次に、旧中野中跡地に定期借地権を設定する理由についての御質問でございます。旧中野中跡地につきましては、将来の地域医療をめぐる状況に変化があることも考えられ、地域のニーズについて再度検討することも必要であるため、定期借地権を設定することが適切であると考えたものでございます。また、他区の医療機関の誘致についても定期借地権を設定していると聞いています。 次に、旧中野中跡地の貸付料の減額についての御質問です。貸付料の減額につきましては、公有財産使用料の減額・免除基準を参考にしつつ、誘致医療機関の企画提案事業の内容等を精査した上で、提供される回復期医療の内容やフレイル予防の取り組み、地域医療への支援の程度など、区内における地域包括ケアシステム構築への貢献度を総合的に見きわめて判断したいと考えております。 次に、地域包括ケア病床等が地域包括ケアシステムにもたらす効果についての御質問でございます。地域包括ケアシステムの構築は、区民が住みなれた地域で安心して生活できるような地域社会の実現を目指す取り組みでありまして、医療の提供という観点では、疾病等の治療をするとともに、患者の在宅生活や在宅医療を支えることが重要であると考えております。地域包括ケア病床や回復期リハビリテーション病床は患者のリハビリ治療を行うものでございまして、在宅生活等へ移行するための支援とともに、在宅において身体状況が急性に悪くなった場合、病院に受け入れる機能を有しております。また、区民が安心して生活するためには、医師会や区内医療機関等と連携しまして地域医療の質を向上させることが不可欠であることから、区が誘致病院に求める機能は、地域包括ケアシステムの構築に大きく寄与するものであると考えております。 次に、医療機関誘致に際しての通院環境の整備についての御質問です。旧中野中跡地に医療機関を誘致した場合、患者や家族等の多数の区民が通院をすることが予想されます。そのような状況に対応するために、誘致医療機関に対して通院環境の整備を求めるものでございます。現在、区が想定しているのは、例えば送迎バス等の移動手段の提供でございます。 最後に、現在の応募状況についての御質問です。誘致に関する公募に対して、医療機関からの参加申し込みがあったところでございます。今度、医療機関から提出される企画提案書等の審査を行いまして、令和2年3月に誘致に関する優先交渉事業者を決定する予定でございます。 〔中野駅周辺まちづくり担当部長豊川士朗登壇〕 ○中野駅周辺まちづくり担当部長(豊川士朗) 私からは、中野駅周辺まちづくり等におけます交通管理者協議についてお答えいたします。 今回の中野三丁目の交通規制に係る案件につきましては、交通管理者から区への事前の相談等はなかったものでございます。一方で、中野駅周辺等のまちづくり、とりわけ中野三丁目地区のまちづくりを進めるに当たりましては、地区計画において区画道路を定める都市計画決定を行う上で、交通管理者とは、自動車や歩行者等の安全性や地域の実情等を踏まえた交通計画協議を行っているところでございます。また、今後の区画道路の整備段階におきましては、さらに横断歩道や交通規制標示などにつきまして、交通管理者との協議を重ねていく予定でございます。 ○議長(高橋かずちか) 以上で内川和久議員の質問は終わります。
中野区議会議員 森 たかゆき 1 新しい基本構想・基本計画について (1)基本構想審議会答申と盛り込むべき観点について (2)今後の手続きとスケジュールについて (3)その他 2 令和2年度予算編成について 3 中野駅新北口駅前エリア再整備事業について 4 防災について 5 地域の子ども施設のあり方について 6 その他
○議長(高橋かずちか) 次に、森たかゆき議員。 〔森たかゆき議員登壇〕 ○38番(森たかゆき) 令和元年第4回定例会におきまして、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問を行います。 質問は通告のとおりです。 質問に先立ちまして、さきの台風19号により亡くなられた皆様にお悔やみ申し上げます。また、被災された皆様が一日も早く平穏な日常を取り戻せるようお祈りをいたします。 1、新しい基本構想・基本計画について。 基本構想審議会答申と盛り込むべき観点についてお伺いいたします。 10月28日、中野区基本構想審議会の答申が区長に提出されました。基本構想ではおおむね10年後のまちの姿を示し、基本計画については5年の期間とするとのことです。この期間の設定は妥当であると考えますが、その策定に当たって、トップである区長には、より長期的な視野を持って取り組んでいただきたいと考えております。例えば、基本構想区民アンケートの結果では、子育て・教育が最も大切と回答した人が約37%で最も多かったとのことですが、子育て・教育は、5年、10年のスパンだけで考えられるものではありません。まちづくりについても、次の基本計画に載るであろう都市基盤や施設は、50年、60年、それ以上使われ続けるものとなります。国家百年の計という言葉がありますけれども、区長には自治体百年の計を持って策定作業に当たっていただきたいと考えますが、見解を伺います。 情報技術の発展に伴い、社会が変化するスピードが高まり、非連続的な革新が起こる動きも広がっています。テクノロジー発展の成果を積極的に区政課題の解決に生かす観点、また、そうした時代に求められる資質を子どもたちが身につけられる教育の観点が必要です。ことし――令和元年はガブテック元年とも呼ばれており、2月にはガブテックサミットが開催されました。「ガブテック」とはガバメントとテクノロジーを組み合わせた造語で、政府や自治体がテクノロジーを活用し、市民サービスの向上を目指す取り組みのことを指します。鎌倉市の行政手続電子化の取り組みや神戸市の多様なスタートアップ企業との連携の取り組みなどが注目されています。AIやRPA導入の成果が驚くべき数字とともに喧伝されている例もあります。前定例会で河合議員が提案した一時保育の空き情報提供について、これも既にテクノロジーを活用して解決しようと動き出している企業もございます。区としてこうした動向を常に把握して積極的に取り入れる観点を持つべきと考えますが、いかがでしょうか。 教育については、答申に「自己肯定感」というキーワードが盛り込まれています。自分を大切だと思えるからこそ他者を大切にできる、自分と違う他者を受け入れることができる、自分は基本的に大丈夫だという安心感があるからこそ困難なことにも挑戦できる、そういった意味で、自己肯定感を育むという観点はとても重要です。私は、それに加えて、これからのデータ・IT時代に求められる素養を身につける機会をつくっていく、こうした観点が必要であると考えます。 先日、ヤフーのチーフ・ストラテジー・オフィサーで慶應SFC教授の安宅和人氏にお話を伺う機会を得ました。GAFAから基準を下げないと人を採用できないと言われている人材不足の状況、トップ大学ランキング、科学技術分野の論文数の低迷、R&D投資予算の不足、伸びない最低賃金と正規・非正規労働者の間の大きな賃金格差、女性活躍のおくれ等々の状況に危機感を示された上で、これからの時代に求められるのは、分析的・構造的に物事を理解し課題を洗い出す力、論理的かつ建設的にものを考え組み上げる力、明確かつ力強く考えを伝える力であるというお話をされていました。安宅氏はそのためには国語の刷新が第一とおっしゃっていましたが、実際には、学校教育全体の中でこうした資質を身につけさせていくということが重要なのだろうと思います。答申には社会の変化に対応した教育とありますけれども、そこにはこうした観点も含んでおくべきと考えますが、見解を伺います。 答申には、コミュニティのあり方として「ゆるやかなつながり」という言葉が出てきます。この言葉は、中野のような都市における生活者の、特に若い世代の感性をうまく捉えた表現であると感じています。ただ、中野区の基本構想の中で地域コミュニティと表現をすると、どうしても区内のどこか特定の地域というイメージが強くなってしまいます。区内には、それぞれの興味・関心や抱えている課題を核として、区内全域でつながっているコミュニティが既に多数存在しています。コミュニティ・オブ・インタレストという言葉もありますけれども、物理的な地域ごとのコミュニティに加えて、こうしたコミュニティのあり方を捉え、区民が自分の関心や課題に合った緩やかなつながりを得ることができ、また、その中から自然と強固なつながりが生まれていく、そうしたコミュニティのあり方をデザインするという観点を持つことが重要ではないかと考えます。見解をお伺いいたします。 自治についてお伺いします。 答申にも「自治」という言葉が出てきますが、内容は住民自治に限られていて、団体自治の観点が欠けています。国や東京都との関係で、中野区が自治を体現する独立した主体として、自立した地方政府として、それにふさわしい権限を得て、住民に対してその責任を果たしている姿を描くべきではないでしょうか。三位一体改革以降、国と地方は対等ということになりましたが、国、地方、双方に上下関係の意識が根強く残っており、この払拭は大きな課題です。 この10月から幼児教育・保育の無償化が始まりましたが、これに先立ち行われていた国と地方の協議の場――幹事会では、最終盤になって、保護者負担となる食費の金額4,500円が何の説明もなく国側から5,181円と言いかえられるということがありました。8月29日、制度開始のわずか1カ月前の出来事です。あまりのひどさに、ある市の市長はブログで土壇場のだまし討ちと表現していましたが、その後、市長会からの猛抗議、最後は全国市長会会長である立谷相馬市長が菅官房長官と会談をし、価格上乗せ撤回、当初予定どおり4,500円で決着をいたしました。結果として住民が迷惑をこうむる事態は回避されましたけれども、全国市長会の皆さんの自治を担う責任感や気概といったものがなければ、国に寄り切られていたのではないかと感じます。 特別区のほとんどの自治体で児童相談所設置に向け動いている中でも、なかなか都区財政調整制度の配分割合の変更の議論が盛り上がらない、こうした様子を見ていても、団体自治の観点を盛り込むことが必要であると考えます。見解を伺います。 さまざまな困難や課題を抱えている人たち、いわゆる社会的弱者と言われるような方々との関係で伺います。 私たち立憲民主党は、党の基本政策として、全ての人に居場所と出番のある社会の実現を掲げています。その実現のためには、さまざまな課題や困難を抱えている区民一人ひとりに必要な支援が行き届き、その人なりの幸せ、生きがいを感じられる地域社会の実現を目指す必要があります。答申全体を通して、いわゆる社会的弱者と呼ばれるような方々に対する観点が弱いように見受けられますが、この点についての見解を伺います。 この項で最後に1点、答申全体を通じて、酒井区政のキーワードであるはずの「対話」の文字が見られない点に違和感を覚えます。酒井区長がこれまで述べてきた対話の理念と答申の内容に大きなずれを感じるわけではないのですが、御自身が政治家として打ち出した言葉は言葉として大切に使い続けるべきではないかと考えますが、見解を伺います。 (2)今後の手続とスケジュールについて伺います。 この点については既に総務委員会で議論になったと伺っていますが、基本計画策定のスケジュールはこのままでいくのでしょうか。現在は来年10月策定とされておりますが、他自治体の例を調べてみますと、新しい計画は年度初めからスタートするほうが一般的なようです。意見交換会、パブリックコメントに至る前の段階で区民の聞く機会等を確保し、再来年度4月からの計画スタートとしてもよいのではないかと考えます。ただし、その場合においても、大枠については基本構想議決のタイミングで示していただく、この必要もあろうかと思います。今後の手続とスケジュールについてのお考えを伺います。 2番、令和2年度予算編成について伺います。 まず、予算の位置付けについてであります。今年度予算は酒井区長が初めて編成した予算ではありましたが、前区政からの継続の要素も多く、具体的には、区立認可外保育施設事業が30億円超、予算を圧迫するなどの事情もあり、独自色を出すにも限界があったのだろうと思います。来年度は、より酒井カラーの打ち出しができる予算となることを期待していますが、区長の意気込みを伺います。 一方、来年度に向けて示された予算編成方針や新たな区政運営方針に示されている財政運営の考え方については、従前と大きな変化が見られません。酒井区長は、首長選挙では珍しく現職を破って当選をされました。それはすなわち施策の転換を意味するはずですが、方針や考え方を変えずに施策だけを変えるのにはやはり無理があります。 前区政は、職員の削減、区の事業の民間開放を強力に進めてきました。片方ではそういう時代であったという面もありますけれども、しかし、もう片方では、例えば他区と比較してみても、中野区はかなり極端にそうした方針を進めてきました。酒井区長は、区立幼稚園や保育園、児童館の一定数存続など、前区政よりも財源が必要となる政策を打ち出しましたが、先月発表されたことしのノーベル経済学賞受賞研究も含め、子どもの貧困対策や教育への投資の社会的収益率の高さを示す研究は枚挙にいとまがありません。子育てや教育に投資する区長の基本方針は、20年、30年スパンで見たときには決して間違っていないはずです。 ただし、もちろん財政規律を守っていく必要もあります。極端な緊縮財政の発想ではなく、しかし、決して放漫財政にもさせない、その繊細なバランスシフトのために、今、中野区政に必要なのは、私たちがどういう価値を大切にし、どういうロジックやエビデンスに基づき、どのくらいの時間軸で物事を見て、何に区民から預かった大切な税金を使っていくのか、その問いに答えられる新しい区政の新しい哲学を確立し、予算編成方針や財政運営の考え方に落とし込むことです。この点についての見解を伺います。 大きくは変わっていない予算編成方針ですが、その中でも酒井カラーが出ている部分が客観的な論拠に基づく政策形成、いわゆるエビデンス・ベースド・ポリシー・メーキング――EBPMの考え方の強調です。EBPMの考え方は、霞が関や広く一般でもよく聞かれるようになってきましたが、政策決定はデータに基づいて行われるべきというのはある意味で当然のことで、問題は、それがなぜこれまでできてこなかったのかという点です。この点の理解なくしてEBPMの実現はありません。専門家の間でもさまざまな議論がありますけれども、私は、EBPMと行政の常識との相性の悪さが課題ではないかと考えております。 例えば、ある政策の効果を厳密に測定しようとすると、条件の等しい母集団を二つつくり、片方にはある政策を実施し、もう片方には実施をしない、その上で、経年的な変化を追い、効果を見ていく、こうした必要がありますが、これは、行政の平等性、公平性に反します。また、モデル事業を実施するようなケースでは、場合によっては、実施をしてみたけれども思うような効果が上がらなかったというケースが当然出てくるはずです。しかし、行政がお金と時間をかけて実施した事業を効果がなかったとみずから評価することが果たして本当にできるのでしょうか。 このように考えると、EBPMの考え方そのものには異論が少なくても、実際に成果を上げるためには、これまでの行政の常識に挑戦しなければなりませんし、それをやり遂げるには、区長の強い覚悟とリーダーシップが欠かせないと考えます。私は、EBPMの考え方は極めて重要だと考えていますし、これまでの行政の常識こそが変わっていってほしいと思っていますが、この点についての区長の認識を伺います。 予算編成方針には、PDCAサイクルをより一層機能させるとの記載があります。PDCAの機能不全については、私も含め多くの同僚議員から指摘がされてきたところです。PDCAをさらに機能させることができれば、それは歓迎すべきことですが、一方で、経営の一手法であるPDCAにだけ殊さらにこだわる必要もないのではないかという気もします。PDCAがうまく回らないという悩みを抱えているのは、中野区だけでも行政だけでもなく、民間でも同様です。行政は反省することが苦手だ、だからPDCAの肝であるC――チェックが機能しない、きちんと反省できる組織にならないといけない、こういったことを偉そうに申し上げたこともありますけれども、そもそも私も含めて、人間が自分の失敗に正面から向き合うことに心理的な抵抗を覚えるのはむしろ自然なことです。近年では、人間の心理面に着目した経営手法というものも広がってきています。 例えばFFA――フィード・フォワード・アクションという手法は、過去の振り返りよりも未来志向のゴール設定のほうが人間の脳は活性化するという研究に基づき、ゴール設定と無意識の振り返りによるフィード・フォワードとアクションのサイクルを回す手法です。また、これは経営手法というよりはチームマネジメントの手法ですが、心理的安全性という考え方を取り入れる組織もふえてきています。心理的安全性とは、ハーバード大学の組織行動学者エイミー・エドモンソン氏が初めて提唱した概念だそうですが、世間的には、グーグルが効果的なチームのあり方を研究した中で、他に比べて圧倒的に重要な要素と紹介したことで注目を集めています。簡単に言えば、チームの中でミスをしても、それを理由に非難されることはなく、リスクをとることが安全だと感じ、お互いに対して弱い部分もさらけ出すことができる環境のことで、日本の公官庁でも、金融庁がチームマネジメントや顧客との対話に取り入れているそうです。 これは、PDCAを捨て去れということでありません。事業の性質や進捗に合わせて複数の手法を組み合わせて使うことも通常行われていることです。PDCAをより機能させる取り組みも重要ですが、それとあわせて、人間の心理面に着目したアプローチを取り入れることにも価値があるのではないかと考えます。見解をお伺いいたします。 予算編成方針には、制度変更による一般財源減少のリスクについて書かれています。前定例会でも触れたとおり、消費税10%増税後の影響が平準化した後は、70億円超――リーマンショックを超える減収幅となります。しかし、制度変更による自治体ごとの歳入の増減というのはなかなか区民には伝わりにくいものです。税収減の危機感を区民と共有するためには、わかりやすい広報が欠かせません。近年、世田谷区や杉並区などがふるさと納税にフォーカスした広報を行っていますが、ふるさと納税にとどまらず、こうした全体の税収減を伝えていく広報、これが必要だと考えますが、いかがでしょうか。 また、その際には、地方出身者の共感を得るような工夫も必要であると考えます。世田谷や杉並の取り組みはわかりやすい反面、頑張っている地方に文句を言うより自分たちもふるさと納税を集める努力をするべきといった反応も見られます。中野区民には地方出身者も多く、同じように感じる方も多いのではないかと思われます。制度の趣旨に鑑み、23区はふるさと納税に対して抑制的な対応をしてきた経緯、全国連携や里・まち連携などで独自に都と地方の共存共栄の実現に向けた取り組みを行っていること、こうしたこともあわせて広報が必要であると考えます。見解をお伺いいたします。 3番、中野駅新北口駅前エリア再整備事業についてお伺いいたします。 前定例会に再整備事業計画(素案)が報告をされました。注目されていた多目的ホールについては、着座で5,000、最大7,000人とするとされています。これから公募を経て、この上限で事業者が決まれば、形式の上では区長の1万人アリーナ見直しの公約は実現することとなりますが、この規模感については、区民からさまざまな御意見をいただいています。区民会議では3,000人規模という御意見が多かったようにも伺っております。私たちは、公設にすることで区財政に長期的なリスクを抱えることになるよりは、民設民営として、規模については市場性に一定の配慮をしたほうがよいと考えますけれども、あとは事業者選定の公平性担保と区の資産の活用方法の工夫により、区民の納得感を高めるべきと考えます。 まずは、事業者選定の公平性担保についてお伺いいたします。 区役所・サンプラザ地区再整備事業は、平成28年度に民間の事業協力者を選定し、これまでの間、無償で協力をいただいてきました。そして、その間の区との関係の履歴や、そこで得た情報、知見などを考えると、拠点整備の事業者もどうせその事業協力者に決まるのだろうという空気が、何となくですが、しかし、確実に存在します。こうした状況にあって、結果的に当該事業者が選定されたとしても、選定自体が公平に行われたと思えるためには、公平性の担保は一定の取り組みだけでは不十分で、徹底して取り組まなければいけません。まずは、その必要性の認識についてお伺いいたします。 これまでの経緯を踏まえると、どこまでやれば区民の納得が得られるのか、また、私自身が納得できるのか、正直わかりません。しかし、いずれにしても、素案にある評価基準や審査結果の公開だけでは不十分で、提案内容や事業者プレゼンテーションの公開、事業協力者以外の事業者への積極的な情報提供など、できる限りのことを行うべきです。見解を伺います。 区の資産の活用の考え方についてお伺いいたします。 従前より、区は、現区役所用地及びサンプラザ用地を最大限活用し、新区役所整備の財源を生み出すとしてきましたが、現在示されている新区役所整備に必要な費用と区役所・サンプラザの土地の評価額、また、他区の事業などを見てみますと、土地を売却せず、例えば70年程度の定期借地権の設定により財源を得る方法でも新区役所整備費用は賄えるのではないかという疑問も出てきます。この点については特別委員会で資料要求がされている状況なので、金額の試算結果はその報告を待ちたいと思いますけれども、仮にそうした場合に財政面以外で考えられる課題にはどのようなものがあるのか、お伺いいたします。 素案には、権利変換により保有する資産について、有効活用、公共施設の適正配置の観点から総合的に判断、土地のみでの所有も視野に入れるとあります。第2回定例会一般質問で酒井幹事長からも申し上げましたとおり、我が会派としては、土地として保有すべきと考えております。土地として保有すべきという意味は2点あります。一つは、全てを民間に売却するのではなく区として一定の土地を保有し続けるべきという意味、そして、もう一つは、権利床を得るのではなく土地のみで保有すべきという意味です。 このエリアにつくられる新施設に区として求める事項については、今回の素案の「整備・誘導を図る主な施設・機能」に集約されています。今後、これを前提に民間から提案を募ることになっており、そのほかに区が床を取得して何がしかの機能も持たせる必要性は低いはずです。新施設に床を持てば維持管理費だけでも相当な支出になることも想定されます。この点についての区の考えを伺います。 4、防災について。防災については、後日、山本議員が詳細な議論を行うため、私からは、大枠について幾つかお伺いいたします。 ことしも日本全国で大規模な自然災害が続いています。中野区でも、台風19号の被害を受けました。幸い人命にかかわるような事態は避けられましたが、改めて自然災害の脅威と防災政策推進の重要性を感じたところです。区としても、接近から事後の対応を行う中で、さまざまな気づきや課題が浮き彫りになったのではないかと思いますが、今回の経験からの反省点、気づいた点にはどのようなものがあったのか、そしてまた、今後その改善にどう取り込むお考えか、伺います。 台風19号到達の前夜には、区内の多くのコンビニ、スーパー等で食料や飲料が消えていました。もしかしたら、災害への備えの一番の基本である各家庭での食料・飲料の備蓄が必ずしも十分ではないのではないかと思わされました。区として区民の備蓄の状況の把握、現在どのような状況だと考えておられるのか、お伺いいたします。 いずれにいたしましても、鉄は熱いうちに打てでありまして、記憶が鮮明なうちに改めて備蓄など災害に備える呼びかけを行うべきではないかと考えますが、見解を伺います。 もう一つ基本的なこととして、区民への情報提供の主要な手段の一つであるホームページがつながりづらくなっていたという現象がありました。ウエブサーバーの問題かと思ったのですが、他区での議論、また、先ほども答弁がありましたけれども、東京都の情報セキュリティークラウドに各自治体からのアクセスが集中したことが原因だったようであります。ヤフーとの災害協定に基づくキャッシュサイトも公開をしていただきましたが、SNS等での周知が少しおくれていたように見受けられる点、このキャッシュサイト自体もかなり重くなっていた点、また、これはヤフーとの協定なので仕方がないのかもしれませんが、グーグル等、他の検索エンジンではこのキャッシュサイトが検索結果に表示されない等の課題がありました。ヤフーのほうで何がしか改善が期待できるのか、または、都の情報セキュリティークラウドの外にCDNを展開し負荷分散を図るのか、いずれにしても何がしかの改善が必要と考えますが、いかがでしょうか。 ヤフーとの災害協定に関連して、もう1点、お伺いいたします。 幸い今回中野区はそこまでの被害には至りませんでしたが、災害により大きな被害が出ると、行政があらかじめ想定している避難所以外の場所に多くの人が自然と集まり、自然と避難所のようになる場所が出てきます。隠れ避難所や指定外避難所などと呼ばれるそうですが、東日本大震災や熊本地震の際にも見られた現象です。地域とのつながりが薄い住民も多い中野区においては他の地域以上の発生が予測されますが、公式の避難所ではないため、そもそもそこに多くの人がいるということを行政が把握すること自体に困難があります。今、ヤフーでは、同社が保有する位置情報のデータを解析し、指定外避難所の発生をリアルタイムに把握し、現場に伝えるための研究を進めているそうです。将来的にはそうしたことが協定に盛り込まれることを期待していますが、現時点では、まずは指定外避難所が発生することを想定した上で対応の方策を定めておくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。 5番、地域の子ども施設のあり方について伺います。 前定例会で地域の子ども施設のあり方についての報告がなされました。この中で、区長が存続を公約にしていた児童館については、中学校区ごとに1館の配置とする考え方が示されました。歓迎する声がある一方で、なぜ減らすのか、もっと残してほしいという声もいただいています。運営形態についても、特に民間活力の活用も含め検討という点でさまざま意見をいただいているところです。そうした中で、何館残すにしても、どういう運営形態にするにしても、その前提として、区が目指す子育て先進区の姿がもっとはっきりしないと納得感がないと感じています。この質問は重ね重ねになり恐縮ではありますけれども、区長が思い描く子育て先進区の実現の姿はどのようなもので、そのために具体的に何をされていくおつもりか、お考えを改めてお伺いいたします。 また、私たちは、子育て先進区実現のためには庁内全組織が子育て先進区実現に取り組むことが必要だと訴えてきました。都市基盤部長が子ども教育部参事特命担当兼務となっておりますけれども、なかなか具体的な動きが見えません。組織を動かすためには、基本理念のような明文化されたものを示し、全庁で共有することが必要ではないでしょうか。見解を伺います。 先ほど基本計画については、急ぐよりも区民の声を聞いてよりよいものをつくったほうがよいのではないかと申し上げましたが、それが施策の足踏みにつながってはいません。特に子育て先進区実現のための取り組みについては、区は、子育てカフェや各種アンケート、聞き取り調査などで意見の把握を進めてきており、既に見えている課題も多いのではないかと考えます。基本計画策定前であっても、内容を議会報告した上で、具体的な取り組みをできるところから進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。 ただし、財政的な観点から、子育て先進区実現の取り組みについても、優先順位を明確化することが必要です。今年度、区は、全国最大規模の子どもの生活実態調査を行っています。調査件数が2万6,250件とのことですので、分析には相応の時間がかかることと思いますけれども、その分析結果やこれまで聞いてきた声などに基づいたエビデンスベースの優先順位づけと、そして、来年度以降の新たな事業の構築を進めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。この点をお伺いいたしまして、私の全ての質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。 〔区長酒井直人登壇〕 ○区長(酒井直人) 森議員の御質問にお答えいたします。 まず最初に、新しい基本構想・基本計画について。 最初に、自治体百年の計についてでございます。人口推計では、中野区の人口は、2040年ごろまで増加するものの、その後は減少傾向に転じて、長中期的に見て、一層の少子高齢化、生産年齢人口の減少が進むことは避けられない状況となっております。基本構想は10年後に目指す姿を描くものでございますが、その先の未来を想定して、より長期的な視点を持って策定をする考えでございます。 次に、最先端のテクノロジーの活用についてでございます。テクノロジーの進歩は年々加速度を増しており、最先端の技術が人々の生活に隅々まで行き渡る超スマート社会への移行が進んでおります。こうした劇的な変化に対応して、区としても、ICTを活用することで業務効率を高めて、新しいサービスを生み出していくことをスピード感を持って進めていくことが必要であると考えております。基本構想の改定におきましても、こうした観点を背景としてしっかりと捉えていくことが必要であると考えております。 次に、社会の変化に対応した教育についての御質問です。答申中の「よりよく生きる力」につきましては、これからの時代に必要な課題を発見する力や、それを主体的に解決する力なども含めた、知・徳・体から成る生きる力の育成はもちろんのこと、子どもたちが学校教育を通して獲得した学びをみずからの人生やみずからが所属する社会に生かしていこうとする学びに向かう力や人間性の涵養が不可欠であると捉えております。新しい学習指導要領では、学ぶ内容だけでなく、教科を越えてどんな資質や能力を身につけるのかということが重視されております。中野の子どもたちが自分のよさや課題を見つめて、多面的・多角的な見方・考え方を持ち、自立的に意思決定しながらよりよく生きていく力をしっかりと身につけていけるよう、教育環境を整えていきたいと考えております。 次に、コミュニティのあり方についての御質問でございます。基本構想審議会の答申では、「一人ひとりのライフスタイルや関心・意欲に応じて、誰もが気軽に地域でかかわりを持てるまち」と記載されておりまして、関心や問題認識を核としたつながりも含まれていると考えております。さらには、時代の変化に伴って、コミュニティの姿も変化していくものでございます。区としても、多様な関係性によるつながりを意識して地域づくりに向き合っていきたいと考えております。 次に、団体自治の観点についてでございます。地方自治の本旨は住民自治と団体自治を基本としておりまして、国や東京都との関係におきましても、区が自立した自治体として意思と責任を持って決定する団体自治は、自治の基本的な視点でございます。国や都、区が適切な役割分担のもと、さまざまな行政課題に対応していかなければならないと考えております。基本構想の策定においても、団体自治の観点の記載について検討してまいります。 課題を抱える区民への支援についてでございます。地方公共団体の役割は住民の福祉を増進することを基本としておりまして、さまざまな課題を抱えている区民に対して必要な支援を行うことは行政の責務でございます。その上で、誰もが生涯を通じて自分らしく生きられるまちとして、一人ひとりが社会参画などを通じて幸せや生きがいを感じられる地域社会を目指してまいります。 対話についてでございます。基本構想審議会の答申におきましては、区民の協働、競争する自治体として、区民による主体的な活動や区民同士の交流が活発化するとともに、区民の意思が区政に反映される仕組みが整っている様子が10年後に実現するまちの姿として描かれております。基本構想におきましては、目指すまちの姿を実現するための区政運営の基本姿勢の一つとして、対話の区政について記載したいと考えております。 次に、基本計画のスケジュールについてでございます。基本計画のスケジュールにつきましては、これまでの議会におきまして指摘を受けてきたところでございまして、策定過程における区民意見の聴取の方法も含めて、現在検討を行っているところでございます。本定例会の総務委員会において検討の結果を示す考えでございます。 2番、令和2年度予算編成について。 最初に、令和2年度予算編成に対する姿勢についての御質問です。就任以来、区政運営の柱として掲げてきました、中野区を子育て先進区へ、安心して地域で暮らし続けられるまち中野、区民とともに進めるまちづくり、区民と向き合う区役所への転換、これらの実現に向けて予算編成に臨んでいるところでございます。新しい基本構想や基本計画の策定を視野に入れまして、区民の皆さんが将来にわたって安心して暮らし続けられるように必要な政策を盛り込み、中野のまちや区民の暮らしを守り発展させるための予算としてまいります。 新たな財政運営の方針についてでございます。政策形成に当たりましては、社会経済情勢や将来にわたる区の歳入歳出状況を適切に見きわめて、区民ニーズを的確に捉え、時機を逸することなく必要な事業に選択と集中を図り、長中期的な視点を持って戦略的に取り組んでいくことが必要だと考えております。新しい基本計画においても、そういった考えを盛り込んだ財政運営の方針についてお示しできるように検討してまいります。 エビデンスに基づく政策立案、いわゆるEBPMについてでございます。政策立案においては、政策目的を明確化した上で効果があるかどうかを可能な限り検証して実施することが重要でありまして、区政運営の大きな柱として、エビデンスに基づく政策立案の考え方を位置付けていかなければならないと考えております。現在、行政評価の見直しも進めているところでございます。エビデンスに基づく政策立案とあわせて、実効性のあるPDCAサイクルを確立していきたいと考えております。 さまざまな経営手法の研究と併用についての御提案でございます。中野区の新たな区政運営方針でお示ししたとおり、今後の区政運営においても、計画、実施、評価、改善、これらのプロセスを引き続き進めていくこととしまして、その実効性を向上するために行政評価の見直しなどを進めているところでございます。御提案のフィード・フォワード・アクションについては、人の心理面に着目したものでございます。未来志向という点では理解できるものでございます。区政経営に役立つ手法として、今後も視野を広く持ち、いろいろ研究をしていきたいと考えております。 不合理な税制改正に係る危機感を共有するための広報についてでございます。現在、区の財政状況や予算編成に係る各種情報につきましては、主として区報及び区ホームページに掲載し、区民にお知らせしているところでありますが、不合理な税制改正に伴う情報の詳細については、特別区長会事務局のホームページに誘導することで広報しているところでございます。区民税の減額の状況などふるさと納税の課題や区民と危機意識を共有するための広報について、地方との共存共栄に向けた取り組みも含めて、区独自の情報発信を検討してまいります。 次に、4番、防災について。 台風19号の課題と検討事項についてでございます。台風19号で見えてきた課題は、一時避難所の開設情報など、区民へのきめ細やかな情報伝達の必要性、一時避難所の備蓄の必要性、風水害時のペット同行避難におけるペットの避難スペースの屋内確保についてでございます。また、地域防災計画の改定に伴って平成31年3月に車両避難所を廃止したところでございますが、庁内等での周知が一部不足してしまったことによって、一部の一時避難所で車両の受け入れを行うなど、区の対応が地域によって異なってしまったことがありました。今回の課題の改善に向けて、他の自治体の取り組みや地域の意見を踏まえて検討してまいります。 次に、台風19号の区民の備蓄についてでございます。調査結果では、飲料水の備蓄は60.4%、食料の備蓄は53.6%の方が行っていると回答しております。区民への備蓄の促進につきましては、引き続き中野区民防災ハンドブックやホームページ、防災訓練時などで啓発してまいります。 災害時の区のホームページの対応についてでございます。台風19号の接近時につきましては、ホームページアクセス時に経由する東京都のセキュリティークラウドのシステム障害によって、区ホームページにつながりにくい状態となりました。このため、当日の夕方に災害緊急用のテキスト形式のホームページに切りかえて対応するとともに、災害協定を締結しているヤフーによるキャッシュサイトをSNSを通じて御案内したところでございます。今後もキャッシュサイトを活用するとともに、緊急時の運用として、ホームページに関して、東京都のセキュリティークラウドを経由しない方法が可能であるかどうかを検討してまいります。 次に、指定外避難所についてでございます。指定外避難所とは、数世帯の人々が集団でお寺や民家のガレージ等に身を寄せ合い、避難生活を送っている拠点でありまして、東日本大震災や熊本地震の際には、多くの方が避難生活を送っておりました。指定外避難所は主に私有地が想定されます。区が安全性を確認することが困難なことから、区が避難所として追加で指定することは考えておりません。しかしながら、全ての避難者への着実な情報提供の観点からも、指定外避難所の避難者や在宅避難者等に対しても広報車による広報や防災行政無線など、さまざまなツールを用いて必要な情報提供を図ってまいります。 5番目の地域の子ども施設のあり方について。 最初に、子育て先進区実現後の姿についてでございます。まず、新たな児童館につきましては、日常的な見守り支援の中で支援が必要な子どもと子育て家庭を発見し、さまざまなサービスや関係機関につなぐ役割を担う施設とすることを想定しております。このため、次世代育成委員などの地域での支援・見守り活動や保育園、幼稚園、小学校、中学校の連携教育が中学校区単位で行われていることも踏まえて、新たな児童館は中学校区を活動圏域といたしました。区が目指す子育て先進区は、子どもが健やかに育って、子育てをする上で必要な環境が整っており、子どもと子育て家庭の満足度の高いまちでございます。それとともに、そうした区の子育て環境が区内外に認知されており、多くの子どもと子育て家庭から選ばれるまちでございます。子育て家庭のニーズは多種多様であるため、区民の声にしっかりと耳を傾けて課題を把握し、その課題に向き合い、改善を重ねていくことで、子どもと子育て家庭の満足度を高めていきたいと考えております。それに加えて、子どもと子育て家庭に対して、区の子育て環境について広くわかりやすく情報を届けることによって認知度を上げていきたいと考えております。 次に、子育て先進区の基本理念についての御質問でございます。子育て先進区を実現するためには、子ども・子育て支援の直接的な施策だけではなく、公園や道路整備、住宅、商業振興、地域コミュニティの活性化をはじめ全ての施策を展開する中に「子育てしやすい」という視点を取り入れていくことが必要と考えております。このため、子育て先進区実現に向けた六つの基本姿勢として、一つ目に、まち全体で子どもを見守り、子育てを応援する、二つ目に、子どもの思いを大切にし、子どもの視点で考える、3番目に、子どもを地域の一員として捉え、参画を支援する、4番目に、子ども一人ひとりに向き合い、一人も取り残さない、5番目に、子どもの今を大切にし、よりよい環境を整備する、六つ目に、次の時代をつくる子どもたちの未来に重点的に投資する、これらの6点を定めて、これらを踏まえ、さまざまな施策に取り組んでいきたいと考えております。新たな児童館のあり方についても、これらの基本姿勢のもとに検討を進めてまいります。 次に、子育て先進区実現のための取り組みについてでございます。子どもと子育て家庭の実態調査や子育て家庭と区長のタウンミーティング、インターネットによる意見募集等で聴取した区民の声を踏まえて、早期に改善が図られる課題につきましては、具体的な取り組みを実施していきたいと考えております。一方で、改善に期間を要する課題や新たな施策展開が必要な課題につきましては、新しい基本計画の検討の中で議論を深めるなど、具体化に向けた準備に着手していきたいと考えております。 最後に、取り組みの優先順位の明確化についての御質問でございます。現在、子育て先進区実現に向けた基本方針について検討を進めているところでございます。その中で、実態調査の実施結果等の分析を進め、区の強み・弱み等の特徴、子育て家庭にとっての重要度等を踏まえた上で、優先的に取り組むべき環境整備を明らかにしていきたいと考えております。基本方針に基づいて、効果の高い取り組みを優先的に実施してまいります。 〔中野駅周辺まちづくり担当部長豊川士朗登壇〕 ○中野駅周辺まちづくり担当部長(豊川士朗) 私からは、中野駅新北口駅前エリア再整備事業についてお答えいたします。 まず、事業者選定における公平性の担保についてでございます。中野駅新北口駅前エリア再整備における民間参画事業者募集では、提案書作成にかかわる質問・回答の公表や提出期日の設定、統一様式による評価など、応募、審査の各段階において公平性を担保できるよう努めてまいります。また、審査における透明性や公正性につきましては、応募段階では、評価項目や各項目の配点などの評価基準、審査委員会の構成や審査の進め方を明確に示していくことで担保してまいります。さらに、審査の経過といたしまして、応募者数など提案状況を明らかにするとともに、審査後には、各提案の概要や提案に対する採点公表につきましても明らかにしていく方向で検討してまいります。 続きまして、定期借地方式の課題についてお答えいたします。 中野駅新北口駅前エリア再整備を全て定期借地方式とすることは、区の土地所有を最優先する考え方となりまして、事業を成立させるために収益力のある施設・機能が優先された場合、民間事業者によるホールの整備、所有、運営が成立しない可能性がございます。また、区が本事業で誘致したいホテルや宴会場といった機能についても入らなくなる可能性がございます。さらに、中野区以外の地権者も含めた資産活用の意向の調整が必要になることから、全体のスケジュールへの影響も避けられないと捉えております。 〔企画部長高橋昭彦登壇〕 ○企画部長(高橋昭彦) 私からは、中野駅新北口駅前エリア再整備事業についての御質問のうち、権利変換により区が保有する資産についてお答えいたします。 権利変換により保有する資産については、その一部を権利床として確保し、公的な用途で活用することも視野に入れて検討したいと考えてございます。新北口エリアは駅至近の好立地であり、中野のシンボルとなる施設が整備されることになることから、区民や地域団体による文化芸術活動の多彩な発表・発信の場とするなど、区民の活力とまちのにぎわいに資する用途についても検討していきたい、そのように考えてございます。 ○議長(高橋かずちか) 以上で森たかゆき議員の質問は終わります。
中野区議会議員 久 保 り か 1 災害対策について 2 フレイル予防について 3 がん対策について 4 学童クラブについて 5 食品ロス削減について 6 その他
○議長(高橋かずちか) 次に、久保りか議員。 〔久保りか議員登壇〕 ○37番(久保りか) 令和元年第4回定例会に当たり、公明党議員団の立場で一般質問を行います。 質問は通告どおり、その他はありません。 質問に先立ち、さきの台風19号で被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられた皆様の御冥福を心よりお祈り申し上げます。 初めに、災害対策について伺います。 まず、台風19号の中野区の対応と見えてきた課題について伺います。 台風19号では、自主避難者が一時避難所である区民活動センターに最大320名避難されました。しかし、地域防災会などの役員ですら区民活動センターが一時避難所になっていることを知らず、自主避難された方は、ホームページなどで情報を得た方が多く見られました。風水害の際の自主避難者を受け入れる一時避難所開設について、地域防災会への情報提供はどうなっていたのか、伺います。 また、一時避難所には自主避難者のための備蓄が十分ではありませんでした。防災備蓄について見直す必要はないのでしょうか。お聞きします。 平成30年の地域防災計画改定時に、浸水の危険から車を移動するための駐車場提供が削除になりました。今回の台風でも駐車場に関する問い合わせが多数あったようですが、駐車場対策についてはどうするのでしょうか。伺います。 今回の台風19号で見えてきた中野区の課題とその改善策についてはどのように総括しているのでしょうか。お答えください。 また、相次ぐ風水害や台風19号の対策を踏まえ、地域防災計画を見直す必要があると考えます。国においても、避難勧告などに関するガイドラインが改正され、新たに警戒レベルが導入されました。地域防災計画を改正すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。 風水害警戒レベルと避難について伺います。 風水害の警戒、警戒レベル3について、区市町村が発令することとなっています。警戒レベル3発令の判断基準や対象エリアはどうなっているのでしょうか。情報提供はどのように行われるのか、お聞きします。 また、警戒レベル3の避難と自主避難とは何が違うのでしょうか。避難者の誘導についてはどうなっているのか、伺います。 中野区における風水害を対象とした避難マニュアルはどうなっているのでしょうか。マニュアルについて、区民に対し周知すべきと考えますが、いかがでしょうか。お聞きします。 令和元年7月に内閣府が公表した「市町村のための水害対応の手引き」によると、災害対応の原則として、「準備したものでなければ機能しない、事前の備えが不可欠」、「避難勧告の発令は「空振り」は許されるが「見逃し」は許されない」、「最悪の事態を想定して、疑わしきときは行動せよ」と示されています。我が会派では、風水害を想定した避難訓練について、これまでも必要性を訴えてまいりました。ハザードマップ上で被害が大きいと想定されるエリアの方を中心に、災害時に速やかに行動できるために避難訓練を行うべきと考えます。風水害を想定した避難訓練の実施について、お考えを伺います。 さらに、学校における防災教育、避難訓練についてお聞きします。 水害・土砂災害のリスクのある全ての小学校、中学校などにおいて、毎年、梅雨や台風の時期を迎えるまでを目途に避難訓練とあわせた防災教育を実施しますと内閣府作成の手引には記されています。また、来年度から小学校で実施される新学習指導要領の社会では、相次ぐ自然災害に対応し、内容が充実、特に4年生で自然災害を必修とし、地震や津波など過去に起きたものを取り上げ、行政の働きなどを中心に学ぶよう明記されました。聖徳大学の廣嶋憲一朗教授は、自然災害に関する知識は、教え込むのではなく、教材を有効活用しながら身近なところでも起こり得るとの切実感を持たせ、自分ならどう行動するか考えさせる授業づくりが大事だと指摘しています。区内に水害・土砂災害のリスク対象の小・中学校はあるのでしょうか。水災害に対応した避難訓練を実施するとともに、小・中学生に対し防災教育を推進すべきと考えますが、お考えをお聞きします。 今年度、「東京マイ・タイムライン」が小・中・高等学校でも配布されました。しかし、配布されただけでは無意味であり、各家庭でタイムラインを作成してこそ意味のあるものです。ハザードマップや中野区民のマイ・タイムラインを活用し、東京都のマイ・タイムライン作成を推進すべきと考えますが、いかがでしょうか。お聞きします。 さきに紹介した手引には、避難対策「要配慮者等の避難の実効性の確保」として、「防災と福祉の連携により高齢者の避難行動に対する理解を促進する」ことが示されています。三条市では、災害時要援護者を、避難時に介添えなどの支援が必要である避難要支援者と、避難するための情報を伝達すれば自力で避難できる情報伝達要支援者の二つに分類し、自治会、自主防災組織、民生委員・児童委員、介護サービス事業所、消防団などと協力し、支援を実施しているとのことです。中野区避難行動要支援者個別避難計画では、自力で外出できる、外出する際には介助が必要の二つに分類されています。既に二つに分類していることから、三条市のような取り組みが可能ではないかと考えます。実効性のある個別避難計画に見直しをすべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。 この項の最後に、妙正寺川、神田川の越水のおそれについて伺います。 今回の台風19号では環状7号線地下調節池にどれだけ河川の水が流入したのでしょうか。お聞きします。 鷺宮調節池などの効果を検証し、さらなる調節池の整備についても検討すべきではないでしょうか。お考えを伺います。 また、昨今の水災害で懸念されることは、総雨量が増していることです。連続して台風、豪雨に見舞われ、雨量が100ミリを超える場合の河川対策はどうなっているのかを伺い、この項の質問を終わります。 次に、フレイル予防について伺います。 フレイルとは、加齢によるさまざまな機能低下により健康に支障が生じる状態を言います。転びやすい、うまくかめない、飲み込みが悪い、階段を上れない、入浴できないなど日常生活が困難になるケースもあります。要介護状態と健常との間の中間的な状態であり、適切な対応が行われれば健常近くに戻れる可能性があると考えられています。フレイルは、筋力低下や機敏な動きの喪失で転倒しやすくなるといった身体的問題のみならず、認知症や鬱などの精神・心理的問題、あるいはひとり暮らしによる孤立や経済的困難などの社会的問題を含め、高齢期の問題を広く含んでいます。 厚生労働省は、75歳以上の人を対象に行う健診で活用されている現行の質問票にかわるものとして、フレイルの状態になっているかチェックする後期高齢者の質問票――フレイル健診を2020年度より導入するとしています。質問票では、運動や食生活の習慣、物忘れの有無など15項目を尋ね、後期高齢者の運動能力や栄養状態などを把握し、フレイルの早期発見、また、指導や助言をもとに重症化予防を推進する狙いがあります。後期高齢者に対する健康診査の際に活用することが想定されていますが、市町村の介護予防・日常生活支援総合事業における通いの場やかかりつけ医の医療機関など、さまざまな場面で健康状態が評価されることも期待されています。通いの場などにおいても質問票を用いて健康状態を評価することにより、住民や保健事業・介護予防担当者などが高齢者のフレイルに対する関心を高め、生活改善を促すことも期待されます。 次年度から全ての自治体で質問票を用いたフレイル健診がスタートしますが、中野区のフレイル健診の推進体制はどうなっているのでしょうか。また、通いの場やかかりつけ医など長寿健診以外のフレイル健診の導入についてはどう取り組まれるのか、伺います。 厚生労働省の事務連絡「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の施行に向けた体制整備等について」に即した区の実施体制はいかがお考えでしょうか。お聞きします。 また、フレイル予防の重要性について、区としていかがお考えでしょうか。御見解を伺います。 現在の介護予防事業との整合性を図りながらフレイル予防を強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。お聞きします。 フレイル健診を推進する上で、保健師の存在は非常に重要と考えます。フレイル健診、フレイル予防にかかわる保健師のスキルアップについてはどう取り組まれるのか、お考えをお聞きします。 現在の中野区地域包括ケアシステム推進プランでは、フレイル健診やフレイル予防が示されていません。地域包括ケアシステムの柱としてフレイル予防を位置付けるべきと考えます。御見解を伺い、この項の質問を終わります。 次に、がん対策について伺います。 初めに乳がん検診についてお聞きします。 乳がん検診については、令和元年11月28日から検診車での乳房エックス線検査が始まります。今年度、公明党として求めてきた乳がん対策が前進したことを高く評価しています。 受診票とともに送付されている「区民健診の受け方」には、検診の流れのステップが示されています。ステップ1には、「まずは視触診検査を受診します」と示されています。しかし、厚生労働省では、死亡率減少効果が十分ではなく、精度管理の問題もあることから、視触診は推奨しないと提言されています。2019年度より乳がん検査の視触診は実施しないという医療機関も出てきています。乳がんの死亡率を減少させることが科学的に認められ、乳がん検診として推奨できる検診方法は、乳房エックス線検査――マンモグラフィー単独法です。 これまで乳がん検診では、視触診検査のみ検診を防ぎ、国の推奨するエックス線検査を受診しやすくすることを求めてまいりました。重要なのは、視触診検査ではなく、乳房エックス線検査を推奨することではないでしょうか。乳がん検診の視触診について、その必要性をどのように考えているのでしょうか。乳がん検診の視触診についての区の見解を伺います。 次に、胃がん検診における内視鏡検査の導入について伺います。 我が会派の白井幹事長の決算総括質疑でも胃がん検診の内視鏡検査の重要性を訴え、導入を強く求めてまいりました。区は現在、エックス線による胃がん検査に加え、内視鏡検査の導入を検討されていると思います。 内視鏡検査については、国のがん検診実施のための指針には、検査項目は、問診に加え、胃部エックス線検査または胃内視鏡検査のいずれか、対象年齢は50歳以上、ただし、当分の間、胃部エックス線については40歳代に対し実施可、実施間隔は2年に1回の実施、ただし、当分の間、胃部エックス線検査については年1回実施可と示されています。内視鏡検査導入については国の指針にのっとり実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。御見解を伺います。 次に、大腸がん検診の精密検査の受診率向上について伺います。 先月、大腸がん検診における受診率・精密検査受診率向上事業において、全国初の成果報酬型官民連携モデル事業、いわゆるソーシャル・インパクト・ボンド――SIBモデルを導入している八王子市を視察しました。八王子市では、大腸がん検診結果を、簡便な検査方法であるためがんとの結びつきを想像しにくく、要精密検査となっても精密検査を受診する者は他のがん検診に比べて低い傾向、実際に八王子市でも国が目標値と定める90%以上とは10%以上の乖離があり、この数字には改善の余地がある、取り組むべき喫緊の課題としていました。八王子市の取り組みをお聞きし、精密検査の受診率を向上させることはがんの早期発見において非常に重要であると感じました。国の目標値や他の自治体の受診率と比較して、中野区の大腸がん検診精密検査の受診率はどうなっているのでしょうか。伺います。 中野区における精密検査受診率の課題を明確にし、受診率の向上に取り組むべきと考えます。大腸がん精密検査受診率向上に対しどのように取り組まれるのか、御見解を伺います。 次に、学童クラブについて伺います。 初めに、学童クラブの待機児童への対策について伺います。 平成31年度当初の待機児童数と現在の待機児童の状況はどうなっているのでしょうか。また、待機児童に対する課題認識と次年度に向けた対策はどうなっているのか、お聞きします。 現在の課題を認識した上で、今後ますます増加すると思われる学童クラブ利用希望者のニーズを的確に捉えていく必要があります。現在、9月ごろに一度行われている利用希望調査を年度の早い時期にも行い、新入学が予定される未就学児童の学童クラブ利用希望に応えるために早目の準備を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。 中野区では、1月9日までの受付期間内に申請した場合、審査結果は3月初旬に郵送でお知らせとなっています。杉並区では、12月2日から1月20日までの受付期間で、審査結果の通知は2月20日です。練馬区では、3次募集まで行われ、第1次の申し込みに対する審査結果の通知は2月中旬となっています。保護者の方は、学童グラフの審査結果を一日も早く知りたいと思われていると考えます。審査結果を早期に通知できるよう取り組むべきではないでしょうか。伺います。 区の学童クラブの申し込みでは、現在、1カ所しか学童クラブを申し込むことができません。民設民営も含め、第2希望まで申し込みができるように見直すべきではないでしょうか。伺います。 学童クラブを利用されている1・2年生も、進級に伴い、1年生が優先的に学童クラブを利用することにより、押し出されるように他の学童クラブに移る場合があります。今までとなるべく同じ環境で小学校内の学童クラブを利用したいと考えるのは当然のことであると考えますが、定員には限度があります。例えば校外の民間学童クラブを利用することになった児童が放課後の数時間をキッズ・プラザで過ごし、その後学童クラブに向かうということはできないのでしょうか。伺います。 この項の最後に、キッズ・プラザの整備計画について伺います。 第3回定例会で、地域の子ども施設のあり方についてが議会に示されました。キッズ・プラザの配置の考え方については、校舎改築にあわせ全ての小学校にキッズ・プラザを設置する、現時点で改築計画のない啓明小学校、北原小学校及び上鷺宮小学校については、増築またはプレハブ設置などの手法により早期整備を検討するとなっています。これまでの中野区放課後子ども総合プランの推進では、キッズ・プラザ事業については、統合の予定がない6校の小学校へのキッズ・プラザの整備は平成30年から平成35年の間に整備を計画と示されていました。これまでのプランどおりスケジュールは進んでいるのでしょうか。統合予定のない小学校のキッズ・プラザ整備のスケジュールはどうなっているのかを伺い、この項の質問を終わります。 次に、食品ロス削減の取り組みについて伺います。 食品ロスの削減については、2015年に国連において取りまとめられた持続可能な開発アジェンダ――SDGsに示された、2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させるとの目標を踏まえ、我が国として食品ロスの発生量を2030年度までに2000年度比で半減するとの目標の達成に向け、取り組みを進めています。 令和元年5月、食品ロスの削減の推進に関する法律――略称食品ロス削減推進法が公布され、10月1日に施行されました。推進法は、政府の役割として食品ロス削減に向けた基本方針を策定すると明記し、地方自治体は、基本報酬を踏まえて削減推進計画を策定し、実施することになります。貧困や災害などで必要な食べ物を十分に入手できない人々に提供するフードバンク活動を支援することも盛り込まれました。 先日のなかのエコフェアではフードドライブを実施し、多くの方が関心を寄せ、好評であったとお聞きします。食品ロス削減は誰もが取り組むことのできる地球温暖化対策です。家庭に眠っている食品を持ち寄り、必要とする人に活用してもらうフードドライブについて、豊島区では、集まったものは区内の必要とする団体などにお渡しし、余った食品が区内を循環して必要な方の手に渡る「区内循環型フードドライブ(豊島区方式)」を行っています。中野区でも区内循環型のフードドライブを通年で実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。 かねてから提案し、実施を求めてきた区内飲食店と連携した食品ロス削減の取り組みが「ぱくぱくパートナーズ」としてスタートします。今年度は参加店舗を募る取り組みが開始され、募集ポスターなどのツールが作成されました。「ぱくぱくパートナーズ」を広く区民の参加できる取り組みにしていくためには、PRグッズの充実や参加の仕組みづくりも重要です。また、協力店へのインセンティブとして、区のホームページに紹介する以外にも、SNSなどを通じ、広く区民にPRをすべきと考えます。いかがでしょうか。伺います。 東京都では、食品製造から卸売業、小売業までの各事業者団体、消費者団体、有識者が一堂に会し、協働で取り組んでいく場として、流通段階などで発生する食品ロスの削減策について検討する東京都食品ロス削減パートナーシップ会議を設置しました。現在、食品ロス削減に向けた提言や東京都食品ロス削減推進計画を検討しています。中野区でも、国や東京都の動きにあわせ、食品ロス削減推進計画の策定を準備すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。 以上で私の全ての質問は終了いたします。区長、理事者の皆様には前向きで明快な御答弁をお願いいたします。 御清聴ありがとうございました。 〔区長酒井直人登壇〕 ○区長(酒井直人) 久保議員の御質問にお答えいたします。 最初に、災害対策について。 一時避難所の開設情報についての御質問でございます。今回の台風は、避難勧告等ではなく、住民が予防的に避難する自主避難の受け入れとして一時避難所を開設いたしました。そのため、避難を呼びかけたものではございませんので、一時避難所の開設につきましては、ホームページ及びツイッター以外では周知をしていないところでございます。今度、地域防災会への情報提供につきましては、緊急情報電話伝達システムを活用するなどによって強化をしてまいります。 次に、一時避難所の備蓄についてでございます。地域防災計画では一時避難所への備蓄は計画していないため、今回は、一時避難所開設後に備蓄倉庫から毛布、食料、水を搬送し、希望する避難者に配布をいたしたところでございます。今後、一時避難所への毛布、食料、水の備蓄を検討してまいります。 次に、風水害時の駐車場対策についてでございます。車両避難所については、これまで学校の校庭及び区立公園を活用しておりましたが、車両避難所の開設に係る人員の確保が困難であることに加えて、校庭及び公園使用後の修復工事の間は使用できなくなるなど施設運営に及ぼす影響も大きいなどのことから、平成31年3月より廃止したところでございます。今後、こうした内容について、避難所運営会議などを通じて広く周知を図ってまいります。 台風19号で見えてきた課題と、その改善策についてでございます。台風19号で見えてきた課題は、一時避難所の開設情報など区民へのきめ細やかな情報伝達の必要性や、一時避難所の備蓄の必要性、さらに、風水害時のペットの同行避難におけるペットの避難スペースの確保等でございます。また、地域防災計画の改定に伴って平成31年3月に車両避難所を廃止したところでありますが、庁内等での周知が一部不足していたことによって一部の避難所で車両の受け入れを行うなど、区の対応が異なってしまったことでございます。今後、こうした課題の改善に向けて、他の自治体の取り組みや地域の意見を踏まえて検討してまいります。 次に、新たな警戒レベルでの地域防災計画の改定についてでございます。国において避難勧告等に関するガイドラインが平成30年3月に改定され、水害・土砂災害の避難情報等の伝え方が変わりました。区としては、区民の生命・身体の安全を確保するために、適切な避難勧告等の発令を行う必要があると考えております。来年度、中野区地域防災計画の改定を予定しておりますので、その中で対応してまいります。 警戒レベル3の発令についての御質問です。警戒レベル発令基準は河川によって異なるところでございます。例えば神田川では、洪水警報の発表をもとに、流域雨量の増加が見込まれている場合で、河川上流域等の雨量など、さまざまな要素によって判断をしております。また、発令対象エリアは河川ごとに発表し、情報提供は、防災行政無線、ツイッターやホームページ等によって行っていきます。 避難と自主避難、避難所や誘導についての御質問でございます。警戒レベル3の避難は、避難するのに時間がかかる高齢者や障害のある人、乳幼児等の要配慮者とその支援者が避難を始めることを示しております。一方、自主避難につきましては、警戒レベルに関係なく、避難が必要と判断した方が避難を始めることを示しております。警戒レベル3の避難情報が発令された場合、区民は、区民活動センターなどの一時避難所や小・中学校などの避難所に避難することとなっております。また、誘導は、警察、消防、区が連携して行うことになっております。 次に、風水害を対象とした避難マニュアルについての御質問でございます。避難方法が各家庭・個人でこれは異なっていることから、避難マニュアルは策定していないところでございます。一方、洪水ハザードマップの裏面には、避難情報の収集方法から持ち出し用品等の準備、水平避難や垂直避難についての掲載をしているところでございます。 次に、風水害を想定した避難訓練についての区の考えでございます。平成30年7月に南中野地域で、ゲリラ豪雨を想定した風水害に特化した訓練を行いました。被害想定から訓練参加者がそれぞれ自己の避難ルートの確認ができたなど、訓練の重要性を認識したところでございます。今後、浸水被害の見込まれるエリアの各防災会に対して、風水害を想定した避難訓練の実施について提案をしてまいります。 次に、水害・土砂災害のリスクのある小・中学校についての御質問です。浸水想定区域内に存在し、法に基づいて避難所として地域防災計画に位置付けている施設は、小学校は5校で、中学校は6校でございます。なお、土砂災害警戒区域内には、小・中学校はございません。 次に、東京都のマイ・タイムラインの作成の推進についてでございます。区では、東京都が実施するマイ・タイムラインの講習会に参加した防災リーダーや区職員を活用し、防災リーダーフォローアップ講習会の講習内容に取り入れるなど、作成推進を図っております。また、一部の防災会では、区の職員によるマイ・タイムライン作成講習を実施しております。今後もこうした取り組みを通じて普及を図ってまいります。 次に、個別避難支援計画の見直しについての御質問です。区において災害時避難行動要支援者名簿を作成いたしまして、これに基づく個別避難支援計画作成の取り組みを開始しましてから4年が経過しました。今後、これらを活用した訓練等を実施しまして、計画に記載すべき情報項目を検証しながら、風水害時にも実効性のある個別避難支援計画が作成できるよう見直しを図ってまいります。 次に、環状7号線地下調節池の流入量についてのお尋ねです。台風19号時の神田川・環状7号線地下調節池の流入量は約9割であったと東京都から聞いております。 調節池の整備についてでございます。調節池の整備に関しましては東京都の所管でありまして、荒川水系神田川流域河川整備計画に従って事業を進めているところでございます。東京都では、現在、環状7号線の地下に設置している神田川・環状7号線地下調節池を延伸し、練馬区で整備中の白子川地下調節池と連結させる工事に着手中であると聞いております。 次に、100ミリ超の規模の降雨に対する治水対策についてでございます。中野区では、平成30年3月に改定された神田川流域豪雨対策計画で整備目標としております時間雨量75ミリ対策を達成するため、平成30年7月に中野区豪雨対策実施計画を策定し、道路工事にあわせ、道路の地下に雨水貯留・浸透施設の設置を実施しております。それぞれの流域において1時間当たり75ミリ規模の降雨に対する治水安全度を高めるほか、東京都が整備を進めている環状7号線地下広域調節池が完成いたしますと、洪水調整機能を流域間で融通することで、時間100ミリの局地的かつ短時間の集中豪雨にも効果を発揮すると聞いております。 〔教育長入野貴美子登壇〕 ○教育長(入野貴美子) 私からは、風水害を想定した小・中学校での避難訓練についてお答えいたします。 これまでも、自然災害を想定した避難訓練については、各校が作成した安全指導・避難訓練年間計画、防災教育計画に基づき、各校の状況に応じて実施しているところでございます。中野区には河川に面している学校がありますが、その中には、水害を想定した避難訓練を行っている学校がございます。昨今の気象状況を見ますと、全ての学校で風水害を想定した避難訓練や指導が普及していくことが望まれます。今後、中野区洪水ハザードマップ等を活用した各校における災害想定の見直しや避難訓練の実施内容を再検討するよう働きかけてまいります。 次に、小・中学生に対する防災教育についてでございますが、社会科、理科、特別活動等での指導の中や、水害に限らず、さまざまな状況を想定した避難訓練などを通して行っているところでございます。このようなさまざまな場面を想定した避難訓練を行う中で、一人ひとりの子どもがみずから考え、危険を予測し、回避する能力を身につけられるような指導を一層充実してまいります。 〔保健所長向山晴子登壇〕 ○保健所長(向山晴子) 私からは、まず、フレイル予防につきまして、所管にかかわります2点にお答え申し上げます。 まず、フレイル健診の推進体制についてでございますが、区は、令和元年9月19日付の国通知に基づきまして、令和2年度から、長寿健診の一環として、聞き取り内容を生活習慣や認知機能等に関するものに変更した問診票を活用することにより、フレイル健診を実施することとなります。今後、この新たな取り組みを着実に推進するため、区民への適切な情報提供や健診受託機関との調整、健診システムの改修や受診後の一体的な保健指導のあり方の検討などを行ってまいります。 次に、保健師のスキルアップについてでございますが、フレイル予防のためには、高齢者の特性を踏まえた上で、一人ひとりの心身の状態に応じ、適切な保健指導を行うことが重要であると考えてございます。今年度より区で新たに開始した保健師能力向上プロジェクトの重要な一部分野としてフレイル予防を位置付け、保健師のスキルアップに継続的に取り組んでまいります。 次に、がん対策についての一連の御質問にお答え申し上げます。 まず、乳がんの視触診についてのお尋ねですが、乳がん視触診については、国の指針の中では、自治体が実施をする対策型検診として推奨されているものではなく、区は、乳がんを発見するためには、お話がございましたマンモグラフィー検査の受診が不可欠であると認識してございます。現在実施している乳がん視触診のあり方については、今年度、区が設置いたしましたがん検診精度管理連絡会における今後の検討課題としてまいります。 次に、胃がん検診における内視鏡検査の実施についてでございます。区が実施するがん検診は、区域内の死亡率を減少させることをアウトカム指標とした対策型検診でございます。検診の実施に当たっては、科学的な根拠に基づいて効果的な運営を図ることが必要であり、そのために国が示しているのが、お話のございましたがん検診に関する国指針でございます。現在、区は、胃がん内視鏡検査の導入に向け、がん検診の目的を達成するためにも、国の指針にのっとった実施に向けて検討しております。 最後に、大腸がん検診精密検査の受診率向上についてのお尋ねでございます。区が実施しております大腸がん検診の精密検査受診率は国の目標値を下回っており、近隣区と比較しても低い水準となってございます。精密検査受診率は、エビデンスに基づいて実施する対策型検診の中でも、自治体として向上に努めるべき重要なプロセス指標の一つに位置付けられております。区は、今年度設置したがん検診精度管理連絡会において議論を進め、また、これらの指標の意味を受託医療機関に十分周知し、協力を求めてまいります。また、国の精度管理モデル地域となっております、お話のございました八王子市等の取り組みについても積極的に情報収集を行って、大腸がん検診の精密検査の受診率向上に努めてまいります。 私からは以上でございます。 〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕 ○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、フレイル予防についてのうち、今後のフレイル予防などについてお答えいたします。 まず、フレイル健診で用いられる後期高齢者向けの質問票の活用につきましては、高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドラインを参考にしながら、地域でのサロンなどにおける健康相談など、さまざまな場面での健康評価や医療情報などとの組み合わせによって多面的に健康状態を捉えることが可能になるなどの利点がございますので、その活用を今後十分に検討していきたいと考えております。 次に、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の施行に向けた体制整備等につきましては、高齢者の健康づくりや介護予防が重層的にかかわっていく必要があることから、74歳までの国民健康保険制度の保健事業、75歳以降の後期高齢者医療制度の保健事業、そして、介護保険制度の介護予防を含む地域支援事業の三つの各所管部が連携して一体的に実施できる体制を検討してまいりたいと考えております。 次に、フレイル予防の重要性についてです。フレイルは、健康と要介護の中間に位置する状態でありますが、早期に対策を講じればもとの健康な状態に戻る可逆性がございます。本年6月に示されました健康寿命延伸プランにおきまして、国は、2040年までに健康寿命を男女ともに3年以上延伸し、75歳以上とすることを目標としているものでございます。この目標を達成するために、現行の介護予防の強化を含め、フレイル予防は非常に重要であり、必要不可欠な取り組みであると認識しております。 次に、地域包括ケア推進プランにおけるフレイル予防の位置付けについてのお答えでございます。現行の中野区地域包括ケア推進プランにおきましては、これまであまりなじみのなかった「フレイル予防」という用語では示されておりませんが、「みんなで介護予防に取り組んで健康寿命を延ばしているまち」を目標として掲げているところでございまして、その理念は、柱の3、「健康・社会参加・就労」で、「介護予防事業の実施等」として記載されているところでございます。国でフレイル予防が正式に導入されたのを受けて、今後予定している現行プランの見直しや、仮称でございますが、総合計画の策定におきましても、高齢の虚弱層に対する取り組みを十分な要素として位置付けてまいりたいと考えております。 〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕 ○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、学童クラブについての御質問にお答えさせていただきます。 まず初めに、学童クラブの待機児数と待機児対策についてのお尋ねでございます。今年度4月1日現在の待機児童数は187人で、11月1日現在は114人でございます。待機児童数は年々ふえる傾向でございまして、待機児童の多い学童クラブでは、20人から30人が4月の段階で待機となってございます。待機児対策は喫緊の課題であると認識しておりまして、今年度は、7月から民間学童クラブの誘致を開始したところです。令和2年度に開設が予定されておりますキッズ・プラザに併設される学童クラブは、定員60人を100名に増員いたします。また、キッズ・プラザが設置されていない小学校区の児童館におきましては、待機児対応といたしまして、児童館の空きスペースを活用し、児童の見守りを引き続き来年度も行ってまいる予定でございます。 続きまして、学童クラブの利用希望調査でございます。利用希望調査の時期を早めることによりまして待機児童対策の早期着手が可能になることから、来年度は6月ごろまでに次年度の利用希望調査を行いたいと考えております。 学童クラブの利用者募集についての御質問でございます。中野区では、学童クラブ利用承認ができない方や待機となる可能性がある方には、事前に学童クラブの所長から連絡をいたしまして、他の学童クラブの空き状況などを御案内してございます。審査結果の通知の時期につきましては、現在の事務手続の課題を洗い出すなどして、早期にできるよう今後検討してまいります。民間学童クラブにつきましては、現在は民間事業者ごとの入会審査となっておりまして、区立学童クラブの入会審査とは別となってございます。どのような方法が可能かということを今後検討していきたいと考えております。 次に、民間学童クラブを利用される児童のキッズ・プラザの利用についてでございます。キッズ・プラザは、小学生は誰でも利用できる施設でございます。キッズ・プラザを利用後、民間学童クラブへ移動する場合には、その子どもの居場所の確認が一つの課題であるというふうに考えてございます。今後、民間学童クラブ事業者と移動のルール等につきまして検討してまいります。 最後に、キッズ・プラザ整備の年次計画についてのお尋ねでございます。まず、江原小学校内のキッズ・プラザにつきましては、ことしの4月に開設をいたしました。中野本郷小学校及び桃園第二小学校内のキッズ・プラザにつきましては、現在、学校改築計画を進めておりまして、新校舎の供用開始にあわせてキッズ・プラザを開設する予定となっております。上鷺宮小学校内、江原小学校内、啓明小学校内に設置いたしますキッズ・プラザにつきましての整備の具体的なスケジュールにつきましては現在検討中でございます。 〔環境部長岩浅英樹登壇〕 ○環境部長(岩浅英樹) 私からは、食品ロス削減に関する御質問にお答えいたします。 まず、フードドライブの通年実施についてでございます。フードドライブにつきましては、11月16日に開催いたしましたなかのエコフェア2019におきまして、中野区社会福祉協議会と連携し、1日限定で試行的に実施をいたしました。区民の皆様から提供された食品等につきましては、子ども食堂を中心に、区内の13団体に提供させていただいたところでございます。現在、来年度からの通年実施に向けまして、今回の試行結果も踏まえ、さまざまに検討を進めております。 次に、食品ロス削減協力店登録事業についてでございます。本事業につきましては、区ホームページや区報に掲載したほか、中野区商店街連合会の協力を得まして会報誌に掲載いただき、幅広く周知・PRを行っているところでございます。登録していただいた協力店につきましては、区のホームページでお店のPRを行うこととしております。現在、さらに周知を行っていくため、啓発物品の作成やSNSを活用したPRについても検討してまいります。 続いて、食品ロス削減推進計画策定の準備についてでございます。法律では、地方公共団体の責務といたしまして、食品ロスの削減に関し、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その地域の特性に応じた施策を策定し、実施する責務を有すると定められております。食品ロス削減の取り組みを効率的かつ効果的に進めるためには事業を継続的に展開することが必要であると考えており、国や都の動向を注視しつつ、必要な準備を進めてまいります。 〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕 ○子ども家庭支援担当部長(小田史子) すみません。先ほど答弁させていただきましたキッズ・プラザ整備の年次計画の中で、スケジュールのまだない学校につきまして、北原小学校と申し上げるところ江原小学校と申し上げてしまいました。大変失礼いたしました。北原小学校に訂正させていただきます。申しわけございませんでした。 ○議長(高橋かずちか) 以上で久保りか議員の質問は終わります。 議事の都合により暫時休憩いたします。 午後3時18分休憩
午後3時40分開議 ○議長(高橋かずちか) 会議を再開いたします。 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。 一般質問を続行いたします。
中野区議会議員 長 沢 和 彦 1 区長の政治姿勢と区政運営について (1)政治姿勢について (2)基本構想・基本計画について (3)子ども・高齢者施策について (4)その他 2 生活困窮者自立支援制度について 3 文化芸術活動及び施策について 4 中野駅周辺まちづくりについて 5 その他
○議長(高橋かずちか) 長沢和彦議員。 〔長沢和彦議員登壇〕 ○41番(長沢和彦) 2019年第4回定例会本会議に当たり、日本共産党議員団を代表して一般質問を行います。 初めに、区長の政治姿勢と区政運営について。 最初に、政治姿勢についてお聞きいたします。 桜を見る会による公金支出が公職選挙法及び政治資金規正法違反の疑惑として大きな問題になっています。安倍政権による税金の私物化、モラルハザードは目に余る事態となっています。昨日、国会の全ての野党が参加する、総理主催「桜を見る会」追及本部が発足しました。徹底した真相究明が必要です。 暮らしと経済に目を向けると、10月より消費税が増税となりました。消費が冷え込んでいる時期の増税は初めてであり、深刻な消費不況になりかねません。既に区民からは負担増を嘆く声が聞こえてきますし、零細企業や商店からは憤慨する声も寄せられています。政府の経済指標でも、景気の悪化を招きかねない事態が見てとれます。日本共産党は、消費税を5%に引き下げ、内需を温める経済政策を提案し、その実現に力を尽くします。 そもそも空前の利益を得ている富裕層や大企業への優遇税制を是正し、能力に応じた負担を原則とする税制改革が必要です。大企業で言えば、大幅な賃金アップを避け、設備投資にもお金を回せず、結果、内部留保をためています。規制緩和による非正規労働を改善し、正規雇用を拡大していくことも欠かせません。労働分配を正し、所得の再分配機能をまともに機能させることが今日の日本には必要だと考えます。GDPの6割を占める家計消費を温めることこそ重要です。区長は、今日の日本経済と国民、区民の暮らしの実態をどのように見ているのか、見解を伺います。 二つ目に、基本構想・基本計画について伺います。 10月28日付で中野区基本構想審議会より答申が出されました。区は、この答申を踏まえて、基本構想と基本計画を策定していくことにしています。現状規定や課題抽出は今後の区政運営の指針をつくる上で重要な構成要素になります。同時に、自治体として普遍的な理念や役割については、基本構想・基本計画でしっかりと明記しておくことも大切だと考えます。 その立場から何点か伺います。 日本国憲法と地方自治法における地方自治の本旨である住民自治と団体自治の視点を盛り込むことが必要と考えます。中野区の基本構想に地方自治体の目的である住民福祉の増進を図ることが貫かれていることも大切です。 例えば全国で広がっている子どもの医療費助成、国は制度をつくろうとせず、実施自治体にペナルティまで課しています。窓口での一部負担の軽減に対して、患者の過大需要や医者の過大供給をもたらし、過大な診療が行われるモラルハザードの問題だと言う有識者がいます。しかし、現在ではほとんどの自治体が小児医療費の助成を行い、特に就学前の児童に関しては、窓口での一部負担がないのが通例です。東京都では、2007年10月から、中学卒業までの子どもに関し、一部負担を無償としています。本来ならば、子ども医療費助成は国の制度としてつくることが求められます。自治体での取り組みが国の制度設置に影響を与えることにつながると考えます。 住民自治は、その地域の住民とその代表者によって行われる、つまり、民主主義を徹底することであり、団体自治は、国から相対的に独立した地方自治体がその責任において事務が執行されることを言います。この両者が相まって地方自治が健全に発展していると言われています。また、住民福祉の増進は区民生活総体を意味し、本質的な地方自治の役割と捉えられています。こうした視点をきちんと捉えた基本構想・基本計画になることを求めます。見解を伺います。 2018年に公表された自治体戦略2040構想では、AIやロボティクス、RPAなどを活用して従来の半分の職員で自治体業務を機能化させると提言しています。自治体戦略2040構想の柱の一つである公共私のベストミックスの基礎を支えるスマート自治体は、AI等の積極的活用が前提になっています。AIは情報処理技術であって、情報処理と制御をするソフトウエアです。自治体職員の仕事に何をどのようにAIを道具として使っていくのか、自治体現場での議論が欠かせないと考えます。その意味で、ただでさえ少ない公務員の数を半減させるスマート自治体論は非現実的とも言えます。むしろ公務員の役割を積極的に見直して、憲法で規定された住民の幸福追求と最低限の健康で文化的な生活を保障する、全体の奉仕者としての公務労働者の増員を行い、質の高い行政サービスを充実していくことこそ必要になっていると思われます。 また、自治体行政の標準化・共通化も提言されていますが、これでいけば、効率性・能率性を強めるために自治体の独自性を退けることになりかねません。区職員の専門性を高め、住民からの相談や実情の把握、他部門との連携など、住民の基本的人権を守る自治体の機能、区の役割をしっかりと果たしていくことが大切ではないでしょうか。見解を求めます。 参加と自治についてもお聞きします。 参加と自治については、中野区自治基本条例でうたっていることではありますが、基本構想・基本計画の中でも改めて記す必要があると考えます。普遍的なテーマであるがゆえに、ともすれば行政都合によってなおざりにされかねません。参加と自治は区政運営全体を貫くものであり、同時に、地域における課題解決や要求実現のプロセスとしても欠かせないものです。触れておくべきだと考えます。見解を伺います。 現状規定とそのもとでの課題抽出については、今日の社会経済情勢を捉えたとき、貧困と格差の広がりのもとで、区民の多くが豊かさを実感できず、安心感を持てずにいます。区民生活の実態から出発し、そこでの課題抽出とその解消・解決の方向性及び政策については、新しい基本構想のもとで描くことが必要ではないでしょうか。いかに中野区として貧困と格差の問題に向き合うのかが問われています。見解を求めます。 今日、個人の尊厳とジェンダー平等は極めて重要です。差別や分断をなくし、誰もが自分らしく生きられる社会の実現が待たれているところです。働く場で、また、政策・意思決定の場での女性登用の促進、性暴力・DVなど女性に対する暴力を許さず、ハラスメントに苦しむ人をなくしていくこと、LGBT、SOGIに関する差別のない社会、国籍や民族の多様性を認め合い共生する社会の実現など、基本構想・基本計画の改定の機会を捉え、中野区からジェンダー平等社会を推進・発信していくことが大事だと考えます。 基本構想審議会の答申では、多様性を受け入れ、誰もが輝ける社会として、それぞれの個性や意思が尊重され、誰もが生涯を通じて自分らしく暮らすことができるまちになっていると将来の姿を描いています。答申で言及しているこのような視点を基本構想・基本計画の中できちんと位置付けて盛り込むことを求めますが、見解を伺います。 3番目に、子ども・高齢者の施策について伺います。 基本構想審議会の答申では、子育て・教育のところで、子どもの命と権利の保護をうたっています。児童相談所等の設置に当たってはもちろんのこと、子どもにかかわる部署をはじめ地域全体で育むことを位置付け、子どもの最善の利益を守り、子どもの意見表明権を生かした区政運営となることを要望します。教育・保育においては、自己肯定感を狭く捉えることなく、自分が自分であってよい、ありのままの自分の存在を認める保育・教育の現場であってほしいと願っています。 中野区では子育て先進区を表明していることから、子育ち・子育ての分野で、区民、子育て世帯が実感できる施策を行っていくことが必要と考えます。子育て実態調査を実施した中で、子どもの貧困の解消を国や都に求めると同時に、中野区としても実施を図ることが大切です。例えば、第2子、第3子への給食費の軽減や国保の均等割の減免などは子育て世帯から歓迎されるでしょう。他の自治体や国と東京都への波及的な効果も期待されます。とかく財政問題が言われがちですが、中長期的に見れば、健康増進や食文化の推進など、相乗的な取り組みとしての効果も期待できると考えます。実態調査の結果も踏まえて、より建設的・重層的な子育て施策の検討を求めます。御答弁ください。 高齢者施策に関して伺います。 自治体戦略2040構想研究会による報告書では、2040年ごろに我が国の内政上の危機が迫ってくるとしています。これは、日本の高齢者人口が2040年ごろにピークを迎えることを受けての捉え方です。では、これから高齢者数が最も伸びる地域はどこかといえば、大都市圏、しかも東京圏、そして東京都が断トツです。その上、高齢者の中でも年齢の高い層が急速に増加することになります。このことに伴い、東京中心とした大都市圏では、入院・介護のニーズが全国で最も高くなり、絶対量として膨大な医療・介護サービスの需要が発生すると言われています。東京圏の後期高齢者収容能力は、2015年時点で、東京23区において既に介護施設とサービスが不足している状況です。それが10年後の2025年になれば、周辺3県を含む東京圏全体として大幅に介護施設・サービスが足りなくなり、2040年になるとさらに悪化することになります。 こうした状況に対して、2040構想は、圏域内の自治体が連携して長期にわたる医療・介護サービス供給体制を構築する必要があると述べるだけで、その具体的な解決策は全く示していません。2040構想では、人口減少・高齢化に伴って、自治体、住民組織、市場の三つがそれぞれ機能低下していかざるを得ないため、公共私間の協力関係を新たに構築しなければならないとしています。この協力関係をプラットホームと呼んで、東京圏のプラットホームが必要と説いています。 しかし、行政を広域化するのではなく、狭域でまちづくりに取り組む区市町村を補完・支援していくことが都道府県の役割です。区市町村や住民に身近な地域単位での高齢社会のまちづくりを進めるというのが地域包括ケアの理念でもあります。区は、自治体戦略2040構造で想定している事態をどのように捉えていますか。見解を伺います。 また、ひとり暮らし高齢者についてはどうでしょうか。65歳以上の高齢者のいる世帯中のひとり暮らし高齢者世帯の割合のことを指すひとり暮らし高齢者の出現率を都道府県別で見ると、東京都は、2015年には65歳以上の割合が24.6%、出現率は35.8%と全国1位です。 これまで基礎自治体単位で、高齢者、とりわけひとり暮らし高齢者を主な対象とする多くの調査を実施してきた明治学院大学の河合克義名誉教授は、東京都港区と山形県を対象とした調査について述べています。第1に、共通点として、生活保護基準相当額以下のひとり暮らし高齢者は、大都市と農村という地域の違いを超えて、5割半いることが挙げられています。参加している社会活動の実態については、社会参加している高齢者の割合に差異は見られません。相違点として、住宅の種類を比較すると、山形県では持ち家率が約9割と高く、港区は5割です。港区では、ひとり暮らし高齢者の4分の1が公営賃貸住宅に住んでいます。また、緊急時の支援の有無は、山形県では支援者がいない人が5.7%に対し、港区では16.7%と割合に違いがあります。 では、中野区ではどうでしょうか。今後、ひとり暮らし高齢者の増加が想定されています。課題への認識と、高齢者への政策・施策の検討・実施を急がなければならないと考えます。特に高齢者の住まい確保、中でもひとり暮らし高齢者の住まいの確保は喫緊の課題であると認識しています。区は地域包括ケアの推進を言いますが、その目的や現状に照らせば、現在は緒についたばかりと言えます。見解を伺います。 1番の(4)その他で、哲学堂公園の国の名勝指定について伺います。 11月15日、文部科学大臣が諮問した文化審議会による答申で、哲学堂公園が新たに国の名勝に指定されました。来年の2月に、国の告示により、名勝指定認可されることになります。哲学堂公園については、区長は、公約どおり、昨年より再生整備計画の見直しを行い、インバウンドを目指した周辺エリアの整備と施設整備を優先した考え方を改め、歴史・文化を守り、区民や外来者が憩い、楽しむ利活用を目指した整備とするとしました。このたびの国の名勝指定は中野区では初めてのことであり、それゆえに、名勝指定にふさわしく保存がなされ、区民はもとより訪れる人々誰もが親しめる文化財となることを期待します。国の名勝指定を受けた文化財として区は今後どのように哲学堂公園の保存・活用計画を作成していくのか、伺います。 2番目に、生活困窮者自立支援制度について伺います。 2018年に改正生活自立支援法が成立し、目的に人の尊厳を掲げ、これまでの経済的事情による困窮に加えて社会的に孤立が定義に入れられました。人の生活上の困難は複合的で折り重なっており、同時に孤立を伴っているという社会的背景があることから、法律で定められました。 区の就労支援事業プログラムによる実績を見ると、2017年度は支援者数497人に対し、就労者261人、2018年度は支援者数417人に対し、就労者数236人と、支援者中5割強の人が就労に結びついています。しかし、中にはすぐにやめてしまうなど長く続かず、安定的な就労につながっていないとも言われています。当然、支援事業を繰り返し受ける方もいると聞きます。 現在、区では、生活保護受給者の就労支援プログラムと一体的に就労準備支援事業を実施しています。この事業は、就労意欲が未形成であったり、生活習慣上の問題等から直ちに一般就労を目指すことが困難な者に対して、就労に必要な知識や能力向上を行うものです。区では現在どういった訓練を行っているのか、伺います。 就労準備支援事業は、人によっては就労自立のハードルが高く感じられると言われています。したがって、すぐには就労自立につながらなくても、日常生活自立や社会生活自立を目指すための訓練プログラムの充実を図ることはできないでしょうか。見解を伺います。 家計改善支援事業についても伺います。 生活困窮者自立支援法制度の任意事業であった家計相談支援事業は、家計の状況を見える化し、利用者の家計管理の意欲を引き出す相談支援事業であり、貸し付けのあっせんなども含むとしていました。ただし、制度施行以来、中野区では実施していませんでした。家計相談支援事業については、支出の節約に関する指導その他の指導と定義されていましたが、自治体における実践での一方的な指導ではない支援が効果的といった現場の声が強く、また、実施の中で、自立支援とは異なる家計改善支援の専門性が明確になってきています。 これらを踏まえ、昨年の法改正で、家庭改善支援事業に改めるとともに、生活困窮者が自身で家計の把握を行い、その改善に取り組む力を育てる支援との位置付けを明確化しました。そして、支援の効果として、この事業を通じて自力で家計を管理できるようになり、世帯の家計基盤が整った結果として、再び困窮状態になることの予防や、滞納している税・公共料金等や債務の解消、就職活動の円滑化、効果的な貸し付けの実施などが期待されています。法改正では、家計改善支援事業の実施は努力義務となりました。 そこで伺います。家計改善支援事業に対する区の認識と本事業の実施についての検討を求めますが、いかがですか。お答えください。 3番目に、文化芸術活動及び施策について伺います。 2017年6月に文化芸術基本法が制定されました。2001年に文化芸術振興基本法として議員立法により制定されたものが16年ぶりに改正されました。この改正で法律前文に、「我が国の文化芸術の振興を図るためには、文化芸術の礎たる表現の自由の重要性を深く認識し、文化芸術活動を行う者の自主性を尊重することを旨としつつ」と表現の自由が加えられました。表現の自由は、人々の自由な創造活動を促し、文化芸術の発展に大きく寄与するものです。 改正された基本法では、第2条の基本理念のところの文化芸術の創造と享受について、旧法では「国民がその居住する地域にかかわらず等しく」となっていたのを、「国民がその年齢、障害の有無、経済的な状況又は居住する地域にかかわらず等しく」と追加・変更されました。さらに、「文化技術の施策推進に当たっては、乳幼児、児童、生徒に対する文化芸術に関する教育の重要性に鑑み、学校等、文化芸術活動を行う団体、家庭及び地域における活動の相互の連携が図られるよう配慮されなければならない」と基本理念の条文に新たに加わりました。未来ある子どもたちが本物の芸術に触れることの大切さをうたった条文が新設された意義は大きく、関係者からも注目されています。 その上で、第2条第10項で総括的に、「文化芸術に関する施策の推進に当たっては、文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用することが重要であることに鑑み、文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつつ、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の各関連分野における施策と有機的な連携が図られるよう配慮されなければならない」と改正の趣旨を述べています。 文化芸術基本法の目指すところの理解を深め、中野区での文化芸術施策に生かすべきと考えますが、いかがですか。伺います。 文化芸術基本法では、文化芸術団体の役割を明記し、さらに、関係者相互の連携及び協働として、国や地方自治体、芸術団体などの連携を求めています。同時に、国などとの連携はあり得ますが、創造活動、文化芸術の享受は本来国の施策とは関係なく行われるものです。文化芸術基本法の審査の際には、議案提案者から、国への協力を得ないと支援が受けられない、こういうことがあってはならないとの答弁を得て、国会での共通認識となりました。 ところが国際芸術祭・あいちトリエンナーレ2019での「表現の不自由展・その後」展示が脅迫などで一旦中止となり、その後再開となりましたが、文化庁は、あいちトリエンナーレへの補助金の全額不交付を、補助金の審査委員会にも諮らずに決めました。不交付理由に、展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識しながらその事実を申告しなかったことなどを挙げています。しかし、文化庁には暴力から表現の自由を守る責任があります。それを放棄した決定は悪しき前例となりかねません。「表現の不自由展・その後」を前後して、さいたま市大宮区での公民館だよりへの不掲載、川崎市での映画祭、三重県伊勢市での市の展覧会など、全国至るところで同様のことが起きています。 本来自由であるはずの文化芸術活動が、芸術家、専門家はもとより多くの国民の創造活動が萎縮してしまいかねません。表現の自由が脅かされれば、民主主義の土台が崩れます。中野区においては、文化芸術活動における表現の自由を尊重し、区民公益活動に対する政策助成の支給、区の後援申請許可などが公正・公平に行われることが必要です。見解を伺います。 文化芸術基本法の第2章では、文化芸術推進基本計画等が述べられています。その第7条の2では、地方文化芸術推進基本計画を努力義務により定めるものとしています。その際、国の文化芸術推進基本計画を参酌して、その地方の実情に即した文化芸術の推進に関する計画の策定を求めています。また、2018年には、国際文化交流の祭典の実施の推進に関する法律、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律が成立しました。これらの法律は、地方自治体に施策の実施や基本計画をつくるよう求めています。 一方で、地方自治体の文化分野の職員が少ない中で計画ばかり作成することになって、本来の現場の仕事に力が割けなくなるということが懸念されています。そうなると、国がつくった計画を少々手直ししたような、どこの自治体も似たような計画になってしまわないかと専門家も危惧を表明しています。個々の計画を次々とつくるのではなく、新たにつくる基本計画で定めるべきと考えますが、いかがですか。伺います。 中野区として予算をきちんと確保しつつ、住民が文化芸術をつくり、楽しむことができるように、区の文化芸術に関する条例の制定が必要であると考えます。 2016年の文化庁の調査では、文化振興に関する条例が設置されているのは、23区では13区です。文化芸術基本法第35条は、地方自治体による文化芸術の施策の推進を求めています。条例の設置は、中野区での文化芸術の活動等施策に安定的・継続的に取り組む基盤になると考えます。検討を求めます。 4番目に、中野駅周辺まちづくりについてお伺いします。 初めに、中野駅新北口駅前エリア――区役所・サンプラザ地区について伺います。 中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画(素案)では、区有地等資産活用の考え方の中で、「公的資産の有効活用や公共施設の適正配置の観点から総合的に判断、土地のみでの所有も視野に入れて検討する」としています。権利変換により権利床として床と共有の土地として持つのか、それとも、跡地は土地単独で持つのか、定期借地権を設定することで、土地は手放さずに持つべきなのか、現在こうした議論が見られます。 先般の区民会議をはじめ区民の中では、区がサンプラザ跡地に整備する集客・交流施設の規模等について、いまだ納得していない状況が見られます。このエリアの区民財産の活用等についても慎重に合意形成を図ることが欠かせないと考えます。 会派としては、貴重な区民財産を全て転出・売却することは避けるべきであることを主張してきました。前提として、事業計画素案で示された新区役所整備費用を254億円と借入金返済43億円などはここの再開発事業で工面しなければなりませんが、権利床を持つことで将来に生じかねないリスクが懸念されています。 そこで伺いますが、権利床を持つことにどのような目的があるのか、また、土地のみでの所有も視野に検討とは何を想定している記述なのか、お聞きします。 中野駅周辺の再開発による人口増における他の分野・施策への影響について伺います。 中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会で、中野駅周辺で新たに昼間人口2万人増、夜間人口1万人増を想定している旨の話がありました。夜間人口がこの地域で1万人もふえれば、新たな行政需要が生まれることになります。あるいは行政サービス量の拡大が求められることになります。例えば、学校の教室は足りるのか、保育園には入れるのか、子ども関連施設や公園を利用できるのか、子育て世代だけ見ても、認識を共有し、対応・対策を検討しておかなければならないのではないでしょうか。 さいたま市の副都心開発として進められてきた武蔵浦和駅周辺再開発では、開発地区面積30ヘクタールのうち、六つの街区、計13ヘクタールで再開発が完了していますが、開発地区周辺の小・中学校が全てマンモス校となり、校庭面積は県平均の3分の1以下、全国平均の5分の1以下です。教室不足が深刻で、部活動では校庭での走り込みができない、1棟のマンションで下層階と上層階で学区が違うなどの問題も出ています。公園が不足し、児童センターや子育て支援センターは人があふれ、子どもや親子が安全に遊べる場所がない、保育所は10希望まで申し込んでも入れないなど、採算優先の再開発の弊害が広がっていると聞いています。中野区でも同様のことが起こりかねません。他の分野・施策への影響をどのように捉えていますか。庁内で情報を共有した議論を行っているのか、伺います。 以上で全ての質問を終わります。 〔区長酒井直人登壇〕 ○区長(酒井直人) 長沢議員の御質問にお答えいたします。 まず最初に、日本経済と区民の暮らしに関する見解ということでございます。政府が今月発表した月例経済報告において、景気は緩やかに回復していると判断しています。区としては、日本経済の先行きは不透明であると捉えておりまして、引き続き消費税率引き上げに伴う区内経済の影響や区民生活への影響について注視をしてまいります。 次に、住民自治、団体自治と住民福祉の増進についての御質問です。住民自治と団体自治は地方自治の本旨であり、区は当然に、まちづくりの主体である住民、地域とともに、自立した自治体としての責任を持ちながら、住民の福祉の増進を図っていく役割を担っております。そのことを踏まえて、区と区民がともにより豊かな暮らしを実現するための共通目標として基本構想を定めてまいります。 次に、職員の専門性の向上等による区の役割の遂行についてでございます。AIやRPA等の活用を積極的に進めて、自治体行政の標準化や共通化を行うことによって業務効率を高めて事務の省力化を図るとともに、区民の利便性を向上させていきたいと考えております。一方で、それらによって生み出されたマンパワーを、より専門性の高い業務や地域に出て区民と接する業務、関係者との連携を進める業務等に充て、自治体が担うべき役割を果たしてまいります。 住民参加と自治についてでございます。基本構想審議会の答申においては、10年後に実現するまちの姿を示す中で、区民と協働、共創する自治体を掲げ、区民の意思が区政に反映する仕組みが整っている姿を描いております。区政の区民参加は自治の基本であり、新しい基本構想においても、区政運営の基本姿勢の一つとして位置付けてまいります。 次に、区民生活の実態を捉えた基本構想についての御質問でございます。変化する社会経済状況においても区民が安心して暮らせるよう、必要な支援を行うことは行政の責務でございます。基本構想の検討に当たっても、重要な視点として捉えてきたところでございます。今後はさらに区民生活の実態の把握に努めるとともに、現状と課題を分析した上で政策として実行していくことが必要であり、基本構想・基本計画の中で方向性を示していく考えでございます。 次に、多様性の視点を踏まえた基本構想・基本計画の策定についてでございます。多様な国籍や文化、年齢、障害の有無、性自認や性的指向を持つ人々が暮らし訪れている中野区において、あらゆる個性や価値観を受け入れ、互いに尊重される地域社会を築いていくことが必要でございます。基本構想・基本計画にもその視点を盛り込み、実現を図っていきたいと考えております。 次に、子どもの貧困対策についてでございます。子どもの貧困は、さまざまな要因が複合しているため、学習支援など子どもに対する支援とあわせて保護者に対する支援を組み合わせるなど、総合的なアプローチが必要になると考えております。子どもと子育て家庭の実態調査の分析を進めて、区における子どもの生活実態を把握した上で、全ての子どもが夢や希望を持って成長していくことができるよう、新たな施策について検討してまいります。 次に、長期的な医療・介護サービス体制の供給体制についてでございます。中野区地域包括ケアシステム推進プランにおきましては、団塊の世代が75歳以上となる2025年時点での医療・介護サービス等の必要量を見積もり、その確保のための取り組みの方向性などを示しているところでございます。人口推計では、中野区の人口は2040年ごろまで増加するものの、その後は減少傾向に転じて、中長期的に見て、一層の少子高齢化、生産年齢人口の減少が進むことは避けられない状況となっております。医療・介護サービスを中心とした地域における資源の確保、担い手の養成が重要な課題であることは認識をしているところでございます。このようなことから、今後策定する(仮称)地域包括ケア総合計画においては、2025年以降の高齢社会を見据え、区や関係団体の取り組みの方向性を示してまいりたいと考えております。 次に、高齢者の住まい確保についてでございます。地域包括ケアシステムにおいては、生活基盤となる住まいの確保、そして、その前提としての本人の尊厳に基づく選択と権利擁護が不可欠であると認識をしております。このため、中野区地域包括ケアシステム推進プランにおきましても柱の一つとして住まい・住まい方を挙げ、区と関係団体がともに取り組みを進めているところであります。特に身体機能の低下や認知症罹患率の高まる後期高齢者のひとり暮らしは課題が大きいと認識しております。地域包括ケアシステムの目的に照らせば、年齢や障害の有無にかかわらず、多様な住まい方を実現する選択肢をふやすべきだと考えています。 最後に、哲学堂公園保存・活用計画の策定についての御質問でございます。哲学堂公園は、平成21年に東京都の名勝に指定され、平成24年には哲学堂公園を歴史的文化遺産として適切に保存、復元、管理、活用するとともに、区民及び国民の共有財産としてその価値を後世に継承していくために、東京都指定名勝哲学堂公園保存・管理計画を策定して、古建築物等の補修や修復を進めてまいりました。 国の名勝指定後においても、学識経験者や東京都教育庁等の助言も受けながら、別途文化庁と協議して、新たな保存・活用計画を策定する予定でございます。この保存・活用計画では、これまでの保存・管理計画を継承するとともに、歴史・文化を守り、区民や来街者が憩い、楽しむ利活用、これを目指した計画とすることを考えております。 〔健康福祉部長朝井めぐみ登壇〕 ○健康福祉部長(朝井めぐみ) 私からは、生活困窮者自立支援制度についての御質問にお答えいたします。 初めに、就労準備支援事業の訓練についての御質問でございます。就労準備支援事業では、具体的には、対人能力アップ講座、パソコン講座、電話対応講座、仕事体験講座などを行い、基本的な生活習慣の習得、コミュニケーション能力の向上、就職に必要な知識やマナーの習得のための支援など、個別に丁寧な支援を行っているところでございます。 次に、訓練プログラムの充実についての御質問でございます。日常生活や社会生活を送る上で課題のある利用者につきましては、就労準備支援事業を利用してもすぐには就労に結びつかない方もいらっしゃいます。利用者それぞれの状況、ニーズ、目標などに応じた支援が必要と考えており、段階的にレベルアップをすることができるよう、カウンセリングをはじめ生活習慣の改善、コミュニケーション能力の開発、具体的な就労相談などのプログラムの充実を図っていく考えでございます。 最後に、家計改善支援事業についての御質問でございます。家計改善支援事業につきましては、生活困窮世帯が家計表、キャッシュフロー表などを活用し家計の見える化を図ることによりまして、現在の家計の収支の均衡を図るだけではなく、その先の家計の状況を見通すことによりまして、将来設計も立てやすくなる効果があると考えております。生活困窮者への自立に向けた支援策を充実することは必要であると考えておりまして、家計改善支援事業の実施について検討しているところでございます。 〔区民部長青山敬一郎登壇〕 ○区民部長(青山敬一郎) 私からは、文化芸術活動及び施策についてお答えいたします。 最初に、区の関連分野と連携した文化芸術施策についてでございます。文化芸術施策につきましては、法律にありますように、区のさまざまな施策との連携が重要であると認識しております。 これらさまざまな施策との連携につきましては、今後策定する基本計画において、文化芸術施策を推進していく中で検討してまいります。 次に、公正・公平な文化芸術支援についてでございます。区は、区民や区内団体の文化芸術活動の支援として、これまで区民公益活動に対する政策助成や区の後援名義の使用許可などを行ってきたところでございます。これらの支援制度の実施の際には、庁内の審査会で審議したり関係部署との協議を行うなど、公正・公平な判断を行う体制を整備しているところでございます。 次に、文化芸術施策の計画についてでございます。区は、本年度、新たに区民や区内団体に向けた文化芸術活動の実態調査を行っているところでございます。これらのデータをもとに、地域の実情に沿った文化技術施策を推進していきたいと考えております。具体的な施策の推進方法につきましては、基本構想・基本計画の策定状況を踏まえ、考え方を整理してまいります。 最後に、文化芸術施策推進条例についてでございます。区の文化芸術施策推進に係る条例につきましては、制定の要否を含め、今後の基本構想・基本計画を進めていく中で検討してまいります。 〔中野駅周辺まちづくり担当部長豊川士朗登壇〕 ○中野駅周辺まちづくり担当部長(豊川士朗) 私からは、中野駅新北口駅前エリア再整備事業におけます区有地等資産活用の考え方についてお答えいたします。 市街地再開発事業による権利変換後においても区として資産保有することにより、事業への一定の関与を保持し、事業の着実な推進を図っていく考えでございます。権利変換により区が保有する資産につきましては、新たな基本構想を踏まえた機能配置を検討する中で、床としての活用や土地のみでの所有など、あり方を整理していくものでございます。 〔企画部長高橋昭彦登壇〕 ○企画部長(高橋昭彦) 私からは、中野駅周辺の再開発に伴う行政サービス等への影響についてお答えいたします。 中野駅周辺地区の再開発によって昼間人口、夜間人口ともに大きな増加が見込まれているため、学校、子ども施設等の環境確保、住みやすく利用しやすい行政サービスを維持し、向上させるためのソフト面での対応などについて、人口推計をもとに検討を進めているところでございます。今後、基本計画の策定に向けまして全庁横断的な検討を進め、施策を具体化していく考えでございます。 ○議長(高橋かずちか) 以上で長沢和彦議員の質問は終わります。
中野区議会議員 内 野 大三郎 1 中野区基本構想・基本計画について 2 被災自治体との職員間交流について 3 介護保険の保険外サービスについて 4 中野二丁目23番地区・千光前通り沿道のまちづくりについて 5 その他
○議長(高橋かずちか) 次に、内野大三郎議員。 ○15番(内野大三郎) 令和元年第4回定例会に当たり、都民ファーストの会中野区議団を代表し、一般質問いたします。 質問に先立ち、先般の台風15号・19号によりお亡くなりになりました方々へ御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々へのお見舞いと一日も早い復旧を心から祈っております。 全国災害ボランティア議員連盟の一員として、今回の被災地である千葉県館山市と宮城県丸森町に出かけてまいりましたが、犠牲者数や被災者数こそ東日本大震災ほどではなかったものの、被災規模で言えば恐らく東日本大震災を上回っているかと感じました。中野にできる復興支援を進めてまいりたいと思います。 それでは質問に入ります。 質問は通告どおりで、6、その他の項目で、指定管理者の労働環境モニタリングについてお尋ねします。 中野区基本構想・基本計画について。 中野区基本構想改定に当たり、中野区基本構想審議会に諮問した答申が先日の総務委員会で報告されました。この答申を踏まえて進められる新しい中野区の基本構想・基本計画について質問します。 小池都政が誕生した際に、「東京大改革」という大きな理念のもとに、「セーフ・スマート・ダイバー」という三つのシティー施策のイメージをつくってから、その具体策を展開してきました。その上で、「都市力の強化」、「稼ぐ東京」、「人と人をつなぐ」として、東京の持続的な発展の土台を固める三つの柱を明確にしました。 同様に、酒井新区政誕生時の施政方針説明では、「中野区を子育て先進区へ」、「安心して地域で暮らし続けられるまち中野」、「区民とともに進めるまちづくり」、「区民と向き合う区役所への転換」という四つの基本姿勢を区政運営の柱として位置付けました。しかし、その柱の上に乗る大きな理念は何なのか、語られておりません。 近隣区では、例えば豊島区の基本構想において、「未来へひびきあう 人 まち・としま」として、その上で四つの基本方針が語られています。練馬区においても、「ともに築き未来へつなぐ 人とみどりが輝く わがまち練馬」として、その区政運営の基本姿勢として三つの施策を掲げています。まずは、東京都の「東京大改革」に匹敵する中野区の理念としてのキャッチコピーを早急に打ち出すべきであると考えますが、いかがでしょうか。 次に、先ほど申し上げました都政での三つの柱のうち「都市力の強化」というのは、中野だけで完結できるものもありますが、広域的に東京都が担ってやるべきこともあると考えているところであります。そして、3の「人と人をつなぐ」ことについては、中野区が基本構想をつくった昭和56年当時から、また、田中区政が誕生してからも繰り返し言われ続けてきており、ことしの酒井区長の施政方針説明においてもかなりの部分が人にフォーカスをしているように、今後も十分に基本構想や基本計画に盛り込まれることが想定されます。ところが、稼ぐ中野という視点が今まであまり強調されてきませんでした。民業とのバランスもあれば、住民から税を搾り取るという悪いイメージにもつながりかねないので、施策の表現や方法にはかなりの工夫が必要ですが、稼ぐ力というのは、自治体間競争を勝ち抜くために必死で各自治体が力を入れている分野でもあります。 私たちの生活は、戦後の焼け野原からの経済復興の歴史でもあり、御承知のとおり、壮絶な先人の努力によって成し遂げられたものです。その復興の一つの手段として傾斜生産方式というのがありました。これは、石炭火力に国策として集中的に投資をし、鉄鋼産業を育成し、さまざまなインフラの立て直しを図ってきたのです。その後、第3次産業へと投資の比重を移していくというロングスパンでの国家による投資計画です。現在の中野の財政に適しているかどうかは慎重に検討すべきことではありますが、考え方の一つとして、大きな理念のもと、目指すべき「子育て先進区」というイメージ戦略の中で、例えば、子育て環境にふさわしい事業や企業に期限を切りながら徹底的に予算配分をしていき、産業として、また、区のイメージ戦略として定着してきたら、次の戦略分野に予算を振りかえていく、区長の言葉で言えば選択と集中という言葉でしょうか。また、そのことによって、子育て世代の一定の所得層にも中野区に定着してもらい、税収が上がっていく仕組みを構築できるのではないかと考えられます。 こうした過去の傾斜生産方式のような考え方を検証しながら、基本計画に緻密な戦略を練り上げた財政運営を確立していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お尋ねいたします。 次に、PDCAサイクルについてです。 前区政が意識していたPDCAサイクルについては、本年2月7日に出された中野区の新たな区政運営方針に記載があり、今後の基本構想等に継承されることになっています。ただ、小池都政がスタートしたときに最初に着手したのは、全ての事業に終期を設けることでした。今まで当然のように行われてきた事業の中には、毎年恒例のものでも、一定の成果が上がっていても上がっていなくても継続しているものなどもあろうかと思います。東京都では、事業評価の取り組みとして、事業の効率性や実効性を高める取り組みを一層推進し、さらに、エビデンスベース――客観的指標による評価を新たに実施するなど、施策の効率性や実効性の向上に向け、事業評価の深化を図っているところです。特に終期を設けて事業評価をすることを徹底し、PDCAサイクルの一層の強化を図った結果、終期設定前の平成28年度と比較をして平成30年度は1,086件の評価結果を公表するとともに、こうした評価の結果を通じた事業廃止による財源確保額は約870億円にも上りました。 事業終期を強く意識した事後検証を徹底し、PDCAサイクルの一層の強化を図ることにより、今まで以上の財源確保に邁進していただきたいと考えますが、区の見解をお示しください。 ことあるたびに都の助成や補助を求めてきた区政から、都政と向かうべき方向性に統一感を持ち、新たな施策を区から積極的に示すなど、都政と一体感を持った施策展開をしていただきたくお願い申し上げて、次の質問へ移ります。 被災自治体との職員間交流について。 平成16年5月に、杉並区と新潟県小千谷市とが災害時相互援助に関する協定を結びました。その約半年後に新潟県中越地震が発災、都市災害の危険性が高まっていた時期でもあり、災害協定を結んで小千谷市から杉並区を支援してもらおうと思ったところ、杉並区から小千谷市への力強い支援をしたとのことです。当時の山田宏杉並区長は、防災備蓄倉庫にあるものは国内の災害を想定して必要な物資をそろえているはずであるため、災害協定を結んだ小千谷市での災害については杉並区同様に必要なものがあるはずだとの判断により、先方の被害状況が判明する前に、ありったけのトラックを集め、区内の備蓄品をその日の夜には現地に届けたということです。深夜のテレビのニュース番組で、「支援物資が来ました。杉並区からです」という生中継のレポートを見ながら山田前区長は涙したと聞きました。これが災害時の政治決断だと私は高く評価しています。 今回の台風被害で火災に見舞われた、里・まち連携をしている館山市の場合と小千谷市の地震の場合とで、必要な物資等、置かれた状況の違いはあろうかと思いますが、中野区とさまざまな連携を組んでいる自治体が被災をした際には、できる限り迅速に人的・物的支援ができるように体制を整えておくべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、被災自治体の職員と人的交流や講演、ワークショップ、研究発表などについて伺います。 被災した自治体の職員や市民の経験は、災害予防にも減災にも寄与するものと考えられます。そこで、被災地に支援に行った中野区職員の経験を庁内の他の職員や区民と共有すべきであると考えます。被災した自治体職員や支援に行った区職員との間で、人的交流や講演、また、ワークショップ、研究発表など、区民に共有できる形で開催してはいかがでしょうか。被災した側と支援する側とのお互いの経験を生かしてこそ、支え合う絆の大切さを再認識するものと考えますが、区の見解をお尋ねします。 次に、退職自衛官の防災担当配置についてお尋ねします。 この件は、この場でも再三提案をしてまいりました。その後の検討状況を教えていただけますでしょうか。 先日、豊島区の危機管理監のお話を伺うことができました。イラクの復興事業支援でサマワに派遣され、福島第一原発での災害派遣の現場指揮官も務めた方です。陸上自衛隊では化学学校長も務められ、生物化学兵器も非常に造詣の深い方でした。1日26万人が利用する池袋駅を擁する豊島区は、大塚駅までのエリアに数え切れないほどの民泊施設や外国人居住者がいることから、テロリストの協力者を得やすいという判断から、テロ対策にも注力しておられました。例えば洗剤の日常生活品の組み合わせによって劇薬物や爆発物か簡単につくれることから、清掃事務所と連携をし、通常以上の空きボトルなどがあった場合には通報する体制を整えているとのことです。こうした日常の危機管理にとどまらず、経験則上、災害時の部隊派遣などにも精通しており、簡便な移動式の給水システムを備蓄していたり、避難所の柔軟かつ慎重な運用方法を確立していたりと、とにかく危機管理に対しての日常業務が非常に濃密でありました。いずれ中野区にも招聘して御講演をいただきたい卓越した人材でありました。 こうした方が1名いるだけで、報道にあらわれるさまざまな脅威に対して、中野区民に安心と安全を提供できるものと考えています。採用方法などはさまざまな手法があると思っていますが、防災担当という役職名にこだわることなく、中野区に1人でもいいので、自衛官経験者を配置するべきだと考えますが、いかがでしょうか。 介護保険の保険外サービスについてお尋ねします。 介護事業者の方から、中野区には在宅介護中の家族に対する施策がないのかという問い合わせがありました。在宅介護をしている家族は、ヘルパーさんに本人を病院へ連れていってもらう際に、自宅から病院までと病院から自宅までの介助については介護保険が適用され、ヘルパーさんの料金は減額されます。しかし、病院の待合室にいる間や診療中においては、医療保険の適用により介護保険が使えず、ヘルパーさんの費用は実費がかかるとのこと、制度上、医療保険と介護保険を同時に使うことができないため、どうしても家族に負担がかかってしまうようです。 他区の事例を紐解くと、このような制度のはざまに落ちている部分を救済することにも使えそうな事業が散見されます。例えば杉並区の「ほっと一息、介護者ヘルプ」事業であったり、新宿区の「介護者リフレッシュ支援事業」であったりです。その点についてインターネットで調べただけでも、似たり寄ったりのサービスは各自治体や社会福祉協議会において実施しているところが多々ありました。 子育ては一定期間の負担を乗り切ることで、その先に自分の負担の軽重が見通すことができます。しかし、介護を受ける側もさることながら、介護をしている家族などは、先の見えない介護の負担を常に負っており、どこにも助けの声を上げられないまま、凄惨な事件を引き起こしてしまう例もあります。小さな負担の積み重ねでストレスが膨張・暴発する前に、小さな負担が積み重ならないように行政の側が常に考え、行動する姿勢を示すべきであると考えています。 介護の現場から届く、小さな声ではありますが、来年度予算に間に合わないながらも、同様の事業を中野区で構築してはいかがでしょうか。このような制度のはざまというのは、立法過程ではなかなか気がつかないものであり、法律や条例の施行後に現場から数多く問題意識として挙げられ、改正のための立法事実の基礎になるものです。ぜひとも前向きに検討していただき、この点についての区の見解を伺います。 中野二丁目23番地区・千光前通り沿道のまちづくりについて。 もみじ山文化の森整備計画区民会議の設置運営に関する要綱というものが昭和56年9月26日に制定され、もみじ山文化の森整備計画区民会議が設立され、昭和56年11月から2年間かけて作成された「もみじ山文化の森提言」が昭和58年10月末に区長へ提出されました。これは、旧中野公会堂と図書館の建てかえに当たり、その後の施設をめぐっての提言と思われるものです。しかし、この提言の内容をよく見ると、もみじ山文化の森整備構想として、できたばかりの当時の中野区基本構想の理念に沿って、区制施行50周年記念事業の一つとして提起されたものであることがわかります。 「提言にあたって」の部分から引用すると、「これは文化施設の機能的な老朽化にともなう個別の建物の建て替えにとどまらず、緑と建物のすぐれた調和によって、周辺市街地の環境整備を誘発しようとする総合的で文化的な空間の創出を目指して、『文化の森』と名付けられた」とその定義をしています。また、終わりの部分ではこのようにも述べられております。「『もみじ山文化の森』の整備は、中野にとって初めてといってよいほど大きな文化的事業である」、昭和後期のこの提言が実は今の時代にも通有性があることがわかります。つまり、公共施設の更新に当たっては、その拠点だけではなく、周辺との文化的つながりのある調和を目指すべきであるという点において、非常に先人の言葉を重く受けとめられるものであると思います。 さて、中野駅南口からゼロホールまでの千光前通りについてはたびたびこの場でも取り上げさせていただいておりますが、区外からの来街者数について、北口の中野サンプラザと競い合う通行者数があるのがこの千光前通りです。駅から歩いてすぐの中野サンプラザと違って、この千光前通りこそがまさに区外からの来街者に対し中野の文化を感じ取ってもらう最良の通りだと言っても過言ではありません。 私なりの定義になりますが、文化というのは生活様式です。人々の生活様式は、その時代や文明としての道具によって、さまざまに変容を遂げていくものです。また、その土地の風土や歴史などにも強い影響を受けるものです。都市化した中野駅周辺というのは、生活圏でありながらも、文化的な視点での開発の統一感が見られません。先ほど来取り上げておりますこの提言については、区民会議という、専門家を交えた区民の集合体による提言であり、このまちで暮らしてきた方々の文化の集大成でもあります。この中に、「地域の文化生活と暮らし」という項目があり、今まさに基本構想で中野区が取り入れようとしている考えがふんだんに見受けられます。少し長いのですが、引用いたします。 「文化は人々の生き生きとした暮らしの中にある。人々の関心は物質的な豊かさや便利さに移ってきている。とくに都市的な生活の便利さを、ある程度満たしている中野区の場合には、このような気持ちが人びとの間に広がっている。そのあらわれとして文化に対する関心や文化活動への欲求がますます高まっている。私たち区民は、文化活動を美術、音楽、演劇、文芸といった芸術活動に限らず、スポーツや各種のものづくりをはじめ、日々を心豊かに生活してゆくためのさまざまな活動と考えたい。そして文化活動の中で多様な人々が出合い、新しい交流や活動を生み出し、楽しく美しいまちをつくりあげてゆくことは、とりもなおさず文化をはぐくむことにほかならない。」、「文化的なまちとはこんなまち。いろいろな催しや出来事を通じて、『このまちには、こんな魅力的な生き方をしている人たちがいるのだ』という新鮮な発見や出会いがあるまち。年齢や職業や障害の有無などを越えて、異なる立場の人びとと、知恵や体験を通じて交流し、暮らしや心が豊かにできるまち。日頃やりたいと思っていても、勤めや家庭の制約があって、なかなかできないことを、仲間を集めて試みることができるまち。美しい景観をもち、緑あふれる快適な生活ができるまち。こんなまちこそ、『文化的』なまちといえるのではないだろうか」 以上が昭和後期に提案された当時の中野区民の文化に対する考え方です。 そして、中野に新しい文化をつくるためにとして、ゼロホールを指し、「文化施設に至る道も、文化施設の一部と考えてゆきたい」とのくだりが出てまいります。また、潤いのある環境をつくり、美しい景観を生み出そうという趣旨で、「その手始めとして、公共施設をはじめとするまちの建物や施設を機能やデザイン、周辺環境との調和といった観点から見直してはどうか」と緑の重要性を説きながら提案されています。 こうした区民からの提言は、施設ができ上がった今でも脈々と生き続けているものと考えますが、区の今後のまちづくりの中でこうした視点をどのように扱っていかれるのか、また、さまざまな計画に取り入れていくのか、見解を伺います。 その他の項目として、労働環境モニタリングについて伺います。 指定管理者の労働環境のモニタリングについては、各会派からの長年の要望がかない、昨年度から実施をしているところです。5施設、4事業者について、社会保険労務士による現地調査ヒアリング並びに本部調査ヒアリングを実施したと本年1月の総務委員会で報告がありました。このモニタリングの結果、6つの評価項目において11の指摘事項が報告されました。結果として、指定管理者としての指定取り消しに該当する重大な指摘もなく、指摘以外の労働条件は良好であったと評価されています。しかし、この調査は半年間にも及び、4事業者の5施設について、現地調査ヒアリングと本部調査ヒアリングというとてつもない作業量を経て指摘事項をまとめられたものです。調査に当たった社会保険労務士は、個人事業主としてモニタリングを専業としていないため、本来業務をとめてまで公益的な調査に協力をしたものです。今後、他区の予算計上の額や規模、また、積算根拠などを参考にしながら、来年度予算には間に合わないと思うので、今年、来年と検証を重ね、作業量と報酬のバランスを検討していただきたいと思いますが、区の見解を伺いまして、私の全ての質問を終了します。 〔区長酒井直人登壇〕 ○区長(酒井直人) 内野議員の御質問にお答えいたします。 最初に、基本構想・基本計画についての中で、区政のキャッチコピーについてという御質問でございました。今後の区政の方向性や考え方を端的に示す言葉を用いて区民に示すことは、区政の重点を伝え、区民の関心を高める効果があると考えております。策定中の基本構想においても、区民の力や人と人とのつながりを表現する中野区らしいキャッチコピーを掲げられるよう検討してまいりたいと考えております。 次に、緻密な戦略に基づく財政運営についての御質問です。新しい基本構想・基本計画の検討にあわせ、社会経済情勢や将来にわたる区の歳入歳出状況を適切に見きわめ、区民ニーズを的確に捉え、時機を逸することなく必要な事業に選択と集中を図って、中長期的な視点を持って戦略的に取り組んでいくための財政運営の方針について検討してまいります。 次に、PDCAの一層の強化による財源確保についてでございます。区政運営における評価を、見直し・改善、そして予算により反映するため、行政評価手法の見直しを検討しているところでございます。具体的には、事業の効果を事業の実績とコスト等により測定するとともに、事業の種別や性質によって評価基準を異なるものにすることや、外部評価を専門的見地から行うものにすることを考えております。これらによって事業の成果が明確化することで、事業の継続、拡充、廃止、休止などを判断して予算に反映することができ、持続可能な財政運用に寄与するものになると考えております。 〔総務部長海老沢憲一登壇〕 ○総務部長(海老沢憲一) 私からは、被災自治体との派遣職員間交流についてお答えいたします。 まず、プッシュ型の被災地支援についてでございます。区の備蓄物資は中野区が被災した場合に備えて備蓄しているところから、被災自治体の支援物資として提供する場合は、本来の用途に支障のない範囲で行う必要があるというふうに考えてございます。その上で、実際に大規模な災害により他の自治体が被災した場合には、迅速に必要な支援を調査し、実施に移すことが必要であるというふうに考えてございます。プッシュ型の支援体制につきましては、迅速な支援を実施する視点から検討してまいりたいというふうに考えてございます。 次に、被災自治体の職員や被災地派遣職員等の区民との交流についてのお答えをいたします。 被災地に派遣した職員の体験談などは、全庁の職員に対してフィードバックをしているほか、区のホームページや東北復興大祭典などで区民に周知しているところでございます。そのほか被災地での経験を避難所の運営方法の改善、支援物資等の受け入れ体制の検討などに生かしているほか、区の地域防災計画の改定の際にも生かしていきたいというふうに考えてございます。被災自治体の職員の体験など区民に伝えていく方法については、被災自治体の負担にならない方法で工夫ができないか検討してみたいというふうに考えてございます。 次に、自衛官経験者の配置についてでございます。大規模災害時における被害者の救助や復旧作業を円滑に行うために、警察、消防、自衛隊との連携を強化する必要があると認識しているところでございます。自衛隊との連携強化のために効果的な手法については、自衛官経験者を区の職員として採用することや派遣の受け入れをすることの必要性や効果を見定めているところでございまして、他の方法も含めて検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。 〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕 ○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、介護保険の保険外サービスについての御質問にお答えいたします。 高齢者の在宅生活を支えるための各種サービスは、有償ボランティアや民間のサービスなど、さまざまに開発されてきているところでございますけれども、まだまだ家族のレスパイトを含む制度のはざまにある多様なニーズを包括的にカバーできるような仕組みが整っているとは言えないと感じています。地域ケア会議など関係団体間での情報交換の場を通じた新たなサービスの開発や施策の提言、ケアマネジメントによる隙間のないサービスの提供体制の構築などについて検討してまいりたいと考えています。 〔中野駅周辺まちづくり担当部長豊川士朗登壇〕 ○中野駅周辺まちづくり担当部長(豊川士朗) 私からは、中野二丁目23番地区・千光前通り沿道まちづくりについて、文化的視点を取り入れたまちづくりの観点からお答えいたします。 中野のまちの将来像を描くに当たりまして、文化的な視点は重要な要素の一つであると認識をしてございます。とりわけゼロホールは中野を代表する文化施設として、千光前通り周辺地域の文化的なイメージやブランドを形成する機能を有しておりまして、今後のまちづくりを検討する上で重要な資源であると考えてございます。現在検討中の基本構想・基本計画、都市計画マスタープランや各地区のまちづくり方針などの策定・改定におきましても、地域の歴史や資源を含めた文化的特徴に留意したまちづくりの重要性を認識しながら検討を進めてまいります。 〔企画部長高橋昭彦登壇〕 ○企画部長(高橋昭彦) 労働環境モニタリングの作業量と報酬についてお答えいたします。 労働環境モニタリングにつきましては、指定管理者施設を対象に平成30年度から開始し、毎年度5施設程度実施していくこととしております。今後の実施に当たりましては、これまでの経験も踏まえ、受託者となる専門家とも相談しながら、効率的なモニタリングの実施方法、内容について検討していきたい、そのように考えてございます。 ○議長(高橋かずちか) 以上で内野大三郎議員の質問は終わります。 お諮りいたします。議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。 本日はこれをもって延会いたします。 午後4時48分延会
会議録署名員 議 長 高橋 かずちか 議 員 渡辺 たけし 議 員 森 たかゆき
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