令和元年11月27日中野区議会本会議(第4回定例会)
令和元年11月27日中野区議会本会議(第4回定例会)の会議録
23.05.24 中野区議会第2回臨時会(第1号)

1.令和元年(2019年)11月27日、中野区議会議事堂において開会された。

1.出席議員(42名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  5番  間     ひとみ         6番  河  合  り  な

  7番  斉  藤  ゆ  り        8番  立  石  り  お

  9番  羽  鳥  だいすけ       10番  高  橋  かずちか

 11番  加  藤  たくま        12番  吉  田  康一郎

 13番  木  村  広  一       14番  甲  田  ゆり子

 15番  内  野  大三郎        16番  杉  山     司

 17番  ひやま      隆       18番  小宮山   たかし

 19番  い  さ  哲  郎       20番  小  杉  一  男

 21番  若  林  しげお        22番  内  川  和  久

 23番  いでい   良  輔       24番  小  林  ぜんいち

 25番  白  井  ひでふみ       26番  いながき  じゅん子

 27番  山  本  たかし        28番  中  村  延  子

 29番  石  坂  わたる        30番  近  藤  さえ子

 31番  浦  野  さとみ        32番  大  内  しんご

 33番  伊  藤  正  信       34番  高  橋  ちあき

 35番  平  山  英  明       36番  南     かつひこ

 37番  久  保  り  か       38番  森     たかゆき

 39番  酒  井  たくや        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

1.欠席議員

      な  し

1.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  白 土   純

 副  区  長  横 山 克 人      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  高 橋 昭 彦      総 務 部 長  海老沢 憲 一

 危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝 瀬 裕 之    区 民 部 長  青 山 敬一郎

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 戸 辺   眞    子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小 田 史 子

 地域支えあい推進部長 野 村 建 樹    地域包括ケア推進担当部長 藤 井 多希子

 健康福祉部長  朝 井 めぐみ      環 境 部 長   岩 浅 英 樹

 都市基盤部長  奈 良 浩 二      まちづくり推進部長 角   秀 行

 中野駅周辺まちづくり担当部長 豊 川 士 朗 企画部企画課長  杉 本 兼太郎

 総務部総務課長  石 濱 良 行

.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  吉 村 恒 治      事 務 局 次 長  小 堺   充

 議事調査担当係長 鳥 居   誠      書     記  立 川   衛

 書     記  若 見 元 彦      書     記  井 田 裕 之

 書     記  野 村 理 志      書     記  鎌 形 聡 美

 書     記  松 丸 晃 大      書     記  遠 藤 良 太

 書     記  山 口 大 輔      書     記  髙 橋 万 里

 書     記  有 明 健 人      書     記  五十嵐 一 生

 

 議事日程(令和元年(2019年)11月27日午後1時開議)

日程第1 第85号議案 中野区基本構想審議会条例を廃止する条例

 

午後1時00分開議

○副議長(平山英明) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 竹 村 あきひろ

 1 区民からのNHK相談の実態について

 2 相談窓口担当者へのNHK問題に関する研修体制について

 3 その他

 

○副議長(平山英明) 最初に、竹村あきひろ議員。

〔竹村あきひろ議員登壇〕

○2番(竹村あきひろ) 時間に追われないでしゃべれるのはいいですね。

 令和元年第4回定例会に当たりまして、会派、育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会の立場から一般質問いたします。

 質問は通告どおりで、3はありません。

 ことしは元号が変わる記念すべき年であるとともに、私の周辺にも大きな変化がある1年となりました。私の所属する政党、NHKから国民を守る党は、ことし、令和元年7月に行われました第25回参議院選挙において、比例代表で98万票、得票率1.97%、選挙区にて152万票、得票率3.02%を獲得、政党要件である得票率の2%を超え、国会にて1議席を得た上で、公職選挙法による政党要件を満たしました。当然、この中には我が中野区区民の皆様の貴重な票も含まれております。

 結党後およそ6年で政治団体から日本で九つしかない公党になることができました。これは平成6年、1994年に成立したいわゆる政治改革四法、つまり小選挙区比例代表並立制と政党交付金導入を柱とする改正公職選挙法、改正政治資金規制法、政党助成法、衆議院議員選挙区画定審議会設置法が法制化されてから、その他の政治団体が新たに議席を獲得し政党要件を満たしたのは、我がNHKから国民を守る党とれいわが初めてであります。これら選挙の様子はNHKのニュースでも報道され、NHKから国民を守る党は、N国あるいはN国党と紹介され、NHKの受信料制度や放送法の批判などを含む演説内容も放送されました。

 そして選挙中に有権者に訴えていた公約は、ただ一つ、NHK問題のみです。この一つの公約、ワンイシューで国政政党が誕生した事実、これはまさしくNHKに問題意識を持った国民の民意が強く示された結果だと考えられます。そして昭和25年、1950年にできたNHKという日本の公共放送が平成の時を経て令和元年、2019年現在、一定の日本国民にとって現実的な問題を生じさせている実態があり、助けてほしい、解決してほしい、NHKを変えてくれという有権者の皆様の不満や怒りの民意がこれだけあるということを確実に証明しました。

 私も議会に入りましてから、同僚議員より、支援者の方から困っているとの相談があった、どうしたらよいかとのお話をお受けしたことがあります。

 そこでお伺いいたします。本年第2回定例会にて御回答いただきました区民生活相談の実態、中野区に寄せられたNHK関係の相談、被害報告、苦情がある中で、区民の皆様が率直に、おかしい、なぜかと感じるであろう以下のような相談事例の実態があれば、具体例をお教えください。

 一つ、NHK受信料支払いについて。お隣さんは払っていないのに、なぜ私は払わなければいけないのかといったような相談について。一つ、受信料を支払わないと、または受信契約をしないと裁判を起こすと脅されたなど、NHK訪問員の迷惑な言動の実例について。法律的な解釈や政府見解などから模範的な回答例を示すとすれば、一つ目について、ほかの人が払っていないに関しては、受信料の政府見解があります。受信料は見ているから払う、見ていないから払わないというものでなく、NHK事業を維持継続するための特殊な負担金で、放送の対価としていただいているわけではないというものです。

 また、ことしの参議院選挙が終わってすぐの7月23日、当時の石田総務大臣は閣議後の記者会見で、NHKには災害報道や政見放送など公共放送の社会的使命を果たすことが求められる中で、その財源は広く国民、視聴者に公平に負担してもらう受信料で支える制度となっていると答え、菅官房長官は会見で、公共放送の社会的使命を果たすために必要な財源を広く国民、視聴者全体に負担いただくことが適正と発言しております。

 さらに政府は8月15日の閣議にて、NHKと契約を結んだ人は、受信料を支払う義務があるとする旨の答弁書を決定しました。加えて放送法第64条は、テレビなどの受信設備設置による放送受信契約を義務付けています。受信設備を設置の上に未契約であることは、法律違反と解釈できます。それは放送法第64条の条文「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」の文言から導き出されるものです。これらが国民に等しく御負担いただくという理由になろうかと思います。

 ところが、受信料の支払いに対して法的に義務化されている事実はありません。放送受信契約を締結の上で受信料の未払いをする者は法律に違反する者でなく、NHKとの契約における私法上の滞納者にすぎません。例を挙げますと、税金滞納との比較がわかりやすいと思います。税金の滞納整理事務は、督促、催告、財産調査、差し押さえといった流れがあります。では、NHK受信料滞納はどうでしょうか。NHKホームページ掲載「よくある質問」には次のように記載があります。御契約やお支払いいただけない方に対しても、公共放送の意義や受信制度について、誠心誠意丁寧に御説明し、御理解いただけるように努めています。それでもなお御理解いただけない場合には、最後の方法として、民事手続による支払い督促や民事訴訟を活用するなどして、公平負担の徹底に最大限の努力をしていますと、あくまで民事的な手続によるものとなっています。つまり、受信料の支払いは法的に義務付けされておらず、さきの政府答弁書での見解を含め、多くの区民、国民に対し、誤解と混乱を招きかねない実情が放置されたままであると危惧するところであります。

 次に、二つ目について。NHK訪問員の迷惑な言動の実情ですが、大前提として、どのような行為が何という犯罪になる可能性があるのかを知っておくべきと考えます。専門的には犯罪の成立要件を有するのか。これは構成要件該当性、違法性、有責性を含むのかを判断するわけなのですが、ここではわかりやすく、具体的な行為がどのような犯罪になり得るのか、例を幾つか紹介いたします。

 受信料の徴収や受信契約締結の目的で、宅配業者です、ガスの検針ですなどと身分を偽って訪問し、オートロックマンションの扉をあけさせ、NHK職員でないのに「NHKです」と名乗る、刑法246条詐欺罪。インターホンを何度も鳴らす、迷惑防止条例違反。都内では公衆に著しく迷惑をかける、暴力的不良行為などの防止に関する条例。用件が済み、帰れと言っても帰らない、刑法130条後段、不退去罪です。玄関先に足を入れてドアを閉めさせない、刑法130条前段、住居侵入罪。受信料を払わなければ、または契約しなければ裁判を起こすと脅す、刑法249条恐喝罪。他にも無数にありますが、少なくともどのような行為が何の犯罪になり得るのか。犯罪であれば警察に相談することや警察官の臨場を願うこともできるわけですが、被害者自身が犯罪被害に遭っているという認識がなければ訴えようもなく、また相談を受けた区の担当者に正しい知識がなければ、救える犯罪被害を食いとめることも難しくなります。

 NHK訪問員トラブルに対しては、被害の実態、知識の共有が努めて必要になろうかと思います。

 このように現実の被害が生じているにもかかわらず、政府の基本方針は、NHKは必要、受信料は国民負担とするといった従来どおり変化なく、一定の民意が示された選挙結果を得てもなお、改善をみじんも感じ取れないことに驚くばかりです。

 最近になって、現在の高市早苗総務大臣がNHK番組のネット常時同時配信について、業務全体の見直しなど経営改革が必要であり、ネット活用、業務費用の増加拡大を問題視した発言が見られる程度です。このような一連の政府見解や発言、放送法などの条文解釈、最高裁判決などの情報は、実際に受信料を負担する区民、国民にどれほど周知され、さらには理解を得られているのでしょうか。また、区民と接する区職員の皆様にどれだけ知られているのでしょうか。

 そして、これらの実情やNHKに関する諸問題に対し区民、国民の皆様が正確に政府の回答を理解し、加えて我が党が問題提起しているNHKのスクランブル化、NHKを見ないなら受信料を払う必要はない、NHK訪問員の迷惑行為是正などについてさまざまな見解、情報などが飛び交う現状を見ますと、NHK問題の根本対策、理解促進、不安解消にはまだまだ説明と時間を要すること。そして、さらなる活動の必要性を痛烈に感じているところであります。

 次に、相談窓口担当者へのNHK問題に関する研修体制について伺います。

 NHK受信料は真面目に支払っている人が一番損をする制度です。それはなぜかと申しますと、受信料を支払わなくともNHKを見ることができてしまうからです。受信契約をしていなくても視聴できる、契約はしているものの受信料を払っていなくても視聴できる、こんな有料サービスがあるでしょうか。およそ公共の名のつく有料サービスは、電気、ガス、水道など、いずれも料金を支払わなければサービスは停止されます。命に直結する水さえも水道料金を支払わなければとまるのです。

 では、NHKはどうでしょうか。NHKは一方的にNHKの電波を各世帯に送りつけ、NHKを見なくても集金する、いわば送りつけ商法と同じです。視聴したくない区民、国民の見たくない自由を奪い、地域スタッフと称するいわゆる集金人に昼夜を問わず訪問させ契約や支払いを迫る。令和のこの時代に戸別に訪問し、金銭を徴収する企業があるでしょうか。

 放送の黎明期、テレビはNHK放送しかありませんでした。しかし、時代は進み、放送通信技術は飛躍的に向上しました。NHKの役割が変化の時を迎えていることは、国政選挙の結果やパブリック・コメント、国民生活センターなどに寄せられる苦情や相談の数を見ても明らかです。インターネットが普及し、通信環境が充実したこの時代、5Gと呼ばれる第5世代移動通信システムが実用化する現在において、家屋の一軒一軒、人件費を使って訪問させるという非効率な方法を、しかも、その費用は半ば強制的に徴収した受信料であるという実態が、受信料を負担する区民、国民にどれほど周知徹底され、さらには理解を得られていると考えているのでしょうか。民放各局がある中、NHKを見られなければ命の危険があるでしょうか。NHKを見られなければ生活に著しい影響が出るでしょうか。NHKを見られなければ、豊かで平和な暮らしが妨げられるでしょうか。いずれも全く影響はありません。こんな現代の令和の時代に合わない制度があるでしょうか。

 そして、このような現状が放置され、国民的議論が一部でしか交わされない一番の原因は、その実態が知られていないことだと考えられます。NHKの受信契約とは何か、受信料とは何かを知ってもらう。受信契約を結ばないとどうなるのか。受信料を支払わないとどうなるのかを知ってもらう。このような基本的な事柄、疑問に対する答えやこれら諸問題の実態を共有することが極めて大切であると感じます。

 そこで伺います。消費生活相談など、担当者間でのNHK関係についての知識の共有、法律解釈など、実務対応能力の維持向上に向けた研修はどのようになっているでしょうか。区民からNHKに関する問い合わせに関しては、まさに多様な質問が寄せられていることと思います。私の所属する政党、NHKから国民を守る党では、コールセンターを常設し、担当者は法令解釈、裁判状況などの進展、結果などを情報収集・研さんし、NHK関連のいかなる御相談にも応じる体制づくりを整えております。中野区におかれましても、消費生活相談の窓口において適切な助言を行い、問題解決につなげるため、相談に対応する職員のスキルアップ、ブラッシュアップは当然行っているものと考えますが、研修などの現状をお教えください。

 以上伺いまして、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 竹村議員の御質問の1点目、NHKに関する相談の具体的な事例という点でございます。

 1点目のNHKに関する区への相談についてで、支払いに関する相談事例についてです。訪問員から、マンションでは共同アンテナでBSを見られるので、衛星放送受信契約が必要だと言われた。衛星放送は絶対見ないし、見たこともないと言っても、アンテナがある以上、見る見ないは関係ないと言われ、断り切れずに契約してしまったとの相談、そして、自分は障害者のため、受信料免除の手続をし、請求はないことを確認しているにもかかわらず、訪問員が2カ月に一度、未払いがあると言って家に来るとの相談がございます。

 そして2点目、NHK訪問員の言動に関する事例でございます。受信料の請求をされたが、テレビを持っていないと言っても、テレビ以外でも使用履歴がある携帯を所有している場合は該当すると言って、携帯電話の機種やメーカーをしつこく聞こうとし、帰ろうとしなかったという相談というものが寄せられています。

 二つ目、相談窓口の担当者の研修についての御質問でございます。国民生活センターや東京都消費生活総合センターでは、高度かつ専門的な法令等の知識習得や事例検討など実務研修を実施しており、当区の相談員も参加しております。また区では、消費者問題に精通した弁護士を消費生活相談アドバイザーとして委嘱し、研修会や事例検討会を行うとともに、助言等を得る機会を設けております。これら研修会等において、公共放送の受信料契約に特化した研修は実施してはおりませんが、さまざまな契約類型に関する相談への対応等について学習をしているところでございます。

 また、中野区消費生活センターでは、個別の相談業務において問題解決に向けたOJTや、研修会への参加報告などの場面で知識や情報の共有を図り、適切な助言や問題解決につながるよう技術向上に努めているところでございます。

○副議長(平山英明) 以上で竹村あきひろ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 加 藤 たくま

 1 中野区基本構想・基本計画について

  (1)地域包括ケアシステムについて

  (2)子育て先進区というキャッチフレーズの定義について

 2 ドローン実証実験について

 3 旧中野刑務所正門の取り扱いについて

 4 学校のメモリアルアーカイブについて

 5 その他

 

○副議長(平山英明) 次に、加藤たくま議員。

[1]加藤たくま議員登壇

○11番(加藤たくま) 自由民主党議員団の立場から一般質問をさせていただきます。

 通告どおり質問させていただきますが、時間に関しましては、この後の市川しんたろう議員の時間を多少いただいての質問とさせていただきます。

 それでは、一つ目、中野区基本構想・基本計画について質問させていただきます。

 令和元年10月28日に中野区基本構想審議会答申が出されました。さきの定例会決算総括質疑で我が会派のいでい議員と私加藤は、それまでの議論で答申に掲載されるであろう内容に関して、ソフト面に偏り過ぎて、まちづくり、すなわちハード面に関しての検討がほとんどないことについて指摘させていただきました。都市計画マスタープラン、住宅マスタープランの改定時期が来ておりますので、中野区基本構想・基本計画でその方向性をしっかりと打ち出し、足腰が強い自治体運営を目指していただきたいと思っております。

 本質問におきましては、基本構想・基本計画に盛り込むべき二つのソフト面について取り上げさせていただきます。

 それでは、(1)地域包括ケアシステムについて。

 地域包括ケアシステムは、各自治体の裁量で推進するものですが、もとをたどれば、増加し続ける社会保障、特に医療・介護費においては、各自治体で知恵を絞って抑制してくださいと言わんばかりの国から丸投げの制度であります。将来的に財源負担を抑制できるのか、各自治体は試されているわけです。この財源負担を自助・互助・共助・公助といったいろいろな理屈をつけ、支援のあり方をスマートな表現でするわけでありますけれども、予算的に見れば、費用が生じない自助・互助に頼っていかざるを得ない状況であるのは明白であります。つまり、地域包括ケアシステムの構築を検討する上で、自助・互助の力を最大限に引き出せる体制をつくっていくことが一番重要となってくるわけです。増加し続ける社会保障費の増大を防ぐためには、自助・互助を促し、予算を抑制した持続可能な地域包括ケアシステムの設計思想が必要となってきます。

 そこで伺いますが、区は持続的な地域包括ケアシステム構築の推進の上で、特に予算などにおいてどのような点に注意をされていますでしょうか。

 地域包括ケアシステムは、各地域の状況を勘案して、国の一律ではなく、各自治体事情によって構築できるわけですが、中野区全体を見渡して中野区一律ではなく、中野区においても細分化する必要があると思っております。中野区はJR線で南北区切ったところで文化がよく違うなどと言われるくらいですけれども、互助を促す上で、その文化圏が異なる地域を一括してシステムを構築することは困難だと考えられます。最適なエリア分割は何なのかを整理する必要があります。エリア分割のサイズ感はどのぐらいがいいのか。先日、自由民主党議員団有志で、台風15号の風による被害を受けた館山市に災害ボランティアに伺った際に、そのヒントを得られたと思いますので、事例を紹介いたします。

 館山市に着きますと、災害ごみが散乱して電気がなく、信号機も機能が不全しておりまして、ほぼ無政府状態になっていた館山市内は、中野で言う地区町会連合会を中心として秩序を保っておりました。地区町会連合会が中心となりまして、公民館を拠点として地域の方々が集い話し合い、公共スペース、私有地にごみの集積所を定めて、災害ごみの運搬、ブルーシートによる屋根の補強など、みんなで力を合わせて活動しておりました。また、区内外からのボランティアを受け入れるセンターの設置を自主的に行っておりました。有事の際には行政職員の力は当てにすることはできず、地域力が必要となってまいります。

 現地に行って、緊急時は助け合い、やはり御近所さんの信頼関係が重要と改めて感じさせていただきました。地域包括ケアシステムの単位エリアは、日ごろから顔を突き合わせている町会・自治会と、それを束ねる地区町会連合会の規模が妥当であると痛感いたしました。

 そこで伺いますが、現在、すこやか福祉センター圏域ごとに行っている地域包括ケアシステムのエリア単位を地区町会連合会、つまり区民活動センター圏域とするべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。もし地区町会連合会ごと、つまり区民活動センターごとに地域包括ケアに必要な専門員を配置できれば望ましいですけれども、この点におきましては、先ほどの自助・互助の話ではなくて、公助に置く話になってきますので、区の予算との兼ね合いになってまいります。

 そこで伺いますが、現状において、すこやか福祉センター一つを運営する上で必要最低限な予算、職員数はいかほどでしょうか。お伺いいたします。

 さきの定例会において、すこやか福祉センターを主に中部を二つに分割するということで、現在の四つの圏域から五つの圏域にするという報告がありました。中部圏域のJRより北部の方々には非常に不便を強いる状況を緩和するためには、一定程度評価させていただきたいと思っております。しかし、今後五つのすこやか福祉センターからさらに増設するのであれば、その配置等も含めて手戻りになりかねません。

 そこで伺いますが、すこやか福祉センターは地域包括ケアシステムにおいて現在どのような役割を果たしている施設なのでしょうか。そして、今後どのような役割を担っていくべきなのか、お伺いいたします。

 また、すこやか福祉センター、区民活動センターに配置されているアウトリーチの活動が見えてこないという声をよく聞きます。また、アウトリーチを必要とする年代の方々が、アウトリーチという言葉自体を理解できていないという事態も起こっております。そこで、アウトリーチチームとは何をするチームなのか、改めて伺います。また、民生委員、社会福祉協議会職員との役割の差について伺います。人事異動で地域に密着する職員を育てられないのであれば、アウトリーチチームのあり方自体を再検討されたほうがよいのかなと考えております。

 さまざま、るる申し上げてまいりましたけれども、中野区における地域包括ケアシステムは現在の二つの層がある体制から、3階層の組織に変革する必要があると考えております。

 現在、中野区における地域包括ケアシステムは全区レベルで実施する地域包括ケア推進会議を第1階層とし、すこやか福祉センター圏域ごとに年数回実施する地域ケア会議を第2層としております。この二つしか現在ありませんが、私が最も今後強化しなければいけないと思っていますのは、この第2層であるすこやか福祉センターの地域ケア会議につなげるために地区町会連合会、区民活動センター圏域ごとの地域に密着した課題の把握、解決策の検討、区が言うところのアウトリーチの取り組みだと考えておりますけれども、これを第3の層と位置付けることを提案させていただきます。

 第3層の取り組みは、地域事業に詳しく、地域の方々の信頼を得て多種多様な相談を受け、町会・自治会や民生委員などとともに連携し、適切に対応していくことが役割です。この役割は、ほかのさまざまな業務を同時に行わなければならない区の職員より、社会福祉協議会の職員にもっと力を発揮していただいたほうがよいかと思っております。

 そこで、例えば社会福祉協議会の地区担当職員に加えて、すこやか福祉センター圏域ごとに1名ずつ担当をふやすなどすることによって機能強化を図るべきだと考えております。そうすることで、区の職員はデータの収集や分析、町内の関係調整や第2層のすこやか福祉センターとつなぐための準備など、区の職員でなければできない業務に集中できると考えますが、いかがでしょうか。

 この項の最後として、健康寿命、その辺について質問しますけれども、人が亡くなる平均寿命から介護を受け始める健康寿命を差し引いた不健康期間は、ここ数年横ばいです。つまり、健康寿命を延ばしたけれども、死ぬまでの不健康期間、介護を受けている期間が変わらないということです。国の政策として、健康寿命を延ばせば平均寿命との差が縮まって、ぴんぴんころりといった介護期間をゼロに近づけると考えておりましたが、どうやらこの辺の分析、最近厚生労働省はその事実を、改善されていないという事実を隠しているようにも見受けられます。健康寿命延伸政策は介護期間を縮減しないどころか、区の財政と直接にかかわりはないですけれども、年金受給期間を延ばすのみであり、予算抑制の観点からはとてもプラスになるとは考えられません。

 介護費用を縮減できるエビデンスがない健康寿命延伸政策を区が独自でやることに疑義が生じております。メニューを減らす必要はございませんけれども、これ以上、区の税金を使ってまで進める政策でないとも言えます。

 そこで、区は今後、健康寿命延伸施策についてどのような御見解をお持ちなのかを伺いまして、本項目の質問を終えます。

 (2)子育て先進区というキャッチフレーズの定義について。

 酒井区政になりまして、子育て先進区というキャッチフレーズを多用されております。そして、さきの定例会におきまして、区が目指す子育て先進区ということで、次の二つを挙げられております。子育てをする上で必要な環境が整っており、子育て環境の満足度の高いまち、区の子育て環境が区内外に認知されており、多くの子育て家庭から選ばれるまち。一つ目の満足度の評価は非常に難しいですけれども、子育て家庭の満足度が高いことはもちろんいいことです。しかし、「多くの子育て家庭から選ばれるまち」という表現はやめるべきです。人口減少の中、財政を健全化、持続可能なまちをつくっていくために自治体間競争は必要です。しかし、この「多くの子育て家庭から選ばれるまち」という表現は、他の自治体から人口を奪う、つまり転入してもらうことという意味と捉えられますが、それを目標とするのはいかがなものかなと考えるわけです。

 田中区政におきましても、ポスト2020を見据えた中野区の取り組みについて、「多彩な魅力で選ばれるまち」、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)において、「グローバルに展開するビジネスの拠点として選ばれるまちづくりに取り組む」というような文言はありますが、これは来街者や企業をターゲットにしているのであって、子育て世代をターゲットとするものではありません。「多くの子育て家庭から選ばれるまち」というのは、他の自治体から人を奪うということを意味します。

 東京23区という日本の中枢として社会環境のアドバンテージを生かし、人口減少社会にあらがっていく、つまり人口をふやす姿勢こそが必要であり、奪っていくというのはナンセンスだと考えるわけであります。豊島区は日本創成会議が2014年5月に打ち出した、いわゆる消滅可能都市に指定されました。その後、豊島区は努力しまして短期間で結果を出しまして、道半ばでありますが、そのときの最悪な状況は脱しました。

 東京23区、リーディングシティというような状況の中から、他から人口を奪うのでなく、自己増殖で人口増加すべきであり、選ばれるまちを目指すという表現は非常に恥ずかしく感じられるわけであります。結果的に選ばれるまちというふうになるのは構いませんけれども、目標とすべきではありません。自治体間競争から人口、人を奪い合って、結果的に法人住民税の国税化のように、結局簡単に国からその利が奪われるような状況もあるわけであり、奪い合うのではなく、こういったものをつくり出していくということが重要だと考えるわけであります。

 そこで伺いますが、他の自治体から人口を奪うという意味にとられかねない「多くの子育て家庭から選ばれるまち」という目標をやめていただけないのかということを伺います。

 日本全体で少子化に歯どめがかからない状態でありますが、中野区はこの事態を乗り越えられ、初めて子育て先進区と呼ばれるものと考えます。子育て先進区という言葉に振り回され、全国初、23区初などの称号を手に入れたいがために小手先のことをするのではなく、政策の本流、本丸である出生率を向上させることのみが子育て先進区と呼ばれる唯一の道だと考えますが、区はどのようなお考えなのか、お伺いします。

 決算の総括で指摘させていただきましたけれども、中野区はファミリー世帯用の住宅の不足というハード面における欠陥的な問題を解消できない限り、抜本的な解決はなかなか図っていくのは難しいところでありますけれども、基本構想・基本計画、都市計画マスタープラン、住宅マスタープランなどにおいて、そのあたり、力強い中野をつくるための魂を注入していただきたいと考えております。

 一つひとつの子育て政策が出生率の向上に寄与するのか、しっかりと吟味しなければ、いたずらに予算を使うばかりであります。出生率の向上のために何ができるのか。子育ての前段として、結婚ができる環境整備が不可欠であると、街コンなどが全国にはやった時期もありますけれども、プライバシーにかかわる問題であり、行政が主体に行うには限界があるということ。実際、今、民間企業が商売として成立させていることから、わざわざ中野区が手を出す事業ではないと考えます。

 それでは、区が、子どものいない家庭に妊娠・出産を促すということもあり得ないということになります。そうなると、恐らく区民には妊娠・出産に対する安心感を与える以外にはないと考えます。そのためにも、まず一人っ子世帯がもう何人か産みたいと思えるような環境をつくる必要があるのだろうと考えます。中野区の子育て環境はいいという口コミがほかの家庭にも安心感を与えるはずです。区の子育て行政サービスは多岐にわたっており、まずは新しいメニューをつくる前に従前の行政サービスのPDCAサイクルを行うこと、子育て世帯にサービス内容をしっかりと周知していくという地道な作業が必要であります。

 さきの定例会で報告がありました中野区子ども・子育て支援事業計画の達成状況及び評価についてでは、事業評価は非常に甘い目標で、お手盛りの指標が設定されておりまして、マイナス評価になったとしても努力目標が書いてあるだけで、具体的に改善される兆しが全く読み取れません。新しいことをやる前に、これまでのサービスの見直しが必要だと考えますが、今後は子育てサービスをどのようにしていくべきか、お伺いいたします。

 そして、さきの定例会において、地域包括ケアの子どもバージョンをつくるために、その拠点として児童館を中学校圏域9カ所に残すという報告がありました。先ほど地域包括ケア体制として地区町会連合会という単位エリアでの設定が望ましいということを述べさせていただきました。自助・互助を最大限に引き上げることが、地域包括ケアを成功させるためにおいて重要と考えますけれども、子どもバージョンでは、すこやか福祉センター圏域、もしくは我々が自民党として提案させていただきます区民活動センター単位というのと、また新たな地域の設定ということで、その地域が混乱される可能性があるわけです。区の都合、管理しやすい体制で圏域を区切るわけにはいきません。互助の力を最大限に引き出すことを念頭に入れる必要があります。

 地域包括ケアシステムは、全て一つの単位エリアで成り立つべきものと考えますが、区は混乱が生じかねないこの新たな子ども版の地域包括ケアシステムの構築についてどのような御見解をお持ちなのかお伺いいたしまして、この項の質問を終えます。

 二つ目、ドローン実証実験について。

 先般、11月14日に中野区役所において、国立研究開発法人建築研究所が中心となり、ドローンを活用した建物点検調査技術の開発の一環として、ドローンを実際に飛翔させた実証実験を行いました。この実験は国土交通省の許可を得ることがかなり厳しい都市部のいわゆる人口密集地域(DID)において、許可を得て実際にドローンを飛翔させる画期的な実験であり、その実効性を確認できた試みでありました。御協力いただいた区の施設管理担当に感謝申し上げます。

 実験では、安全確保について十分検討し、建物屋上から地上にワイヤーやリールを張るなど創意工夫をして実験に臨みました。建築研究所によるドローンを活用した建物点検調査技術の開発では、ドローンを飛ばして建物周りをドローンで写真のような画像、3Dレーザースキャン、赤外線などさまざまなセンサーで非破壊・非接触検査を行うことです。高層ビルなどで足場を組んで人がチェックするよりもドローンの活用のほうが安全で、簡易的でかつ効率的に検査を実施できることがこの実験で証明されたと言えます。

 構造物の長寿命化をする上で、道路や橋梁を含む公共建造物等の維持管理は非常に重要で、そのために定期的な点検が必要であります。また、有事の際の安全性確保の緊急性が高いときには非常に有用な技術であると考えます。さらに、除去等が予定される歴史的・文化的建造物等の建物外観や、内部意匠などのアーカイブ記録の作成などにも応用が期待できると考え、例えば、中野サンプラザの外観や内装などを映像として記録を残すことなどにも応用が可能と考えます。

 そこで伺いますが、今回のドローンによる建物点検調査技術は非破壊・非接触により建造物の調査が可能であり、公共施設の長寿命化に向けた安全点検や大地震発生時の建物安全診断等に大きく役立つと考えますが、区はどのようにお考えでしょうか。

 また、ドローンの活用は、例えば除去前の中野サンプラザなど、歴史的・文化的施設の建物内外の映像記録を残すことで、貴重なアーカイブ記録の作成にも大きく役立つと考えます。状況によっては、この後に取り上げます旧中野刑務所正門、また小・中学校校舎などにも活用が期待できますが、区としては活用にどのようなお考えをお持ちでしょうか。

 今後、国立研究開発法人建築研究所では、より高層の中野サンプラザでも実証実験を試みたいと考えております。区としてもぜひ御協力いただけるようにお願いいたします。

 この項の最後に、ドローンを活用した公共構造物、老朽化した民間高層マンションなどの安全点検には、今後大きくその有用性が期待されます。今後の建築研究所など専門研究機関と連携し、今後、技術発展が見込めるドローンに関して、国家戦略特区の申請などを踏まえ、建築研究所などとの連携を模索していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

 ドローンが危険だと言われ続け、人口密集地域であるDID地区においては、特に飛行の許可は難しい状況は続いております。今回の中野区における実証実験は、人よりもドローンのほうが安全というキャッチフレーズとイノベーション実現に向けた第一歩になることを主張させていただきまして、この項の質問を終えます。

 3、旧中野刑務所正門の取り扱いについて。

 平成31年1月24日、厚生委員会資料「旧中野刑務所正門の取扱いについて」において、門の取り扱いについては、これまで区にお寄せいただいた区民の皆様方からの意見、議会での議論、文化的観点、費用等を総合的に判断して、旧中野刑務所正門の取扱い(案)として第4回定例会で報告を行いました。結果的には現地保存するということが報告されたわけでありますけれども、さきの区民委員会の旧中野刑務所正門の学術調査結果の報告では、技術的には移築が可能という結果が得られました。平成30年10月5日、厚生委員会の旧中野刑務所正門についての報告における学識者による意見聴取の結果報告(概要)で、学識者3名は東京都指定文化財になり得る、現地保存としない限りは文化財価値は低下する、モニュメント、映像保存は文化的見地からは検討対象にはならないとの見解でした。つまり、移築するという物理的にできるということが出たとしても、移築するということ自体には価値がなくなり、東京都の文化財指定を受けられない可能性が高いという主張となっているということになります。

 そういったところから、改めて伺いますけれども、移築が物理的にできるからといって、学術的な見解が変わることはないのかということを念のために確認いたします。従前に区は、移築した場合、都の文化財指定がとれなくなると報告されておりましたけれども、移築を再検討するということは文化財指定がとれなくなることを意味しますが、どうでしょうか。すなわち、区はもう文化財指定を目指すことをやめるということを意味すると思うんですけれども、それでよろしいでしょうか。

 移築の調査を実施したということは、移築も選択肢の一つであるというエビデンスにほかならないわけでありますけれども、改めて移築、現地保存する場合の期間と経費についてお伺いいたします。

 旧中野刑務所正門については、平和の森小学校開校日と密接にかかわってきます。区長は定例記者会見などにおいて、平和の森小学校の供用開始、2023年にすると明言されております。これに間に合わせるには文化財指定を受けられる可能性が低い、揚家をしない現地保存、もしくは現実的には解体・撤去、この二つに一つになろうかなという感じですけれども、解体・撤去もその選択肢になり得るのか、お伺いいたします。

 また、仮に曳家移築を選択した場合には、平和の森小学校開校日はおくれますが、区としては、学校開校日がおくれたとしてもそういった選択をなさるのか、お伺いいたします。

 また、学校施設であるため、教育委員会に本件について方針を伺うと考えられますが、教育委員会が出した回答に区は100%従うのでしょうか。もし従わないのであれば、時間がない中、諮問する必要性も問われてまいります。はっきり言ってどうするか、判断が既にできる判断材料がそろっていると考えますが、区はどのような見解をお持ちか、お伺いいたします。

 これは私見ですけれども、純粋に考えますけれども、本当に文化的な価値があるのであれば、ふるさと納税だったり、クラウドファンディングなどでそういった資金が集まるのかなというふうに考えるわけですけれども、こういったところに関しては質問を控えさせていただきますけれども、もし残さないという選択肢をするのであれば、ドローンを活用して、そういったデジタルアーカイブをしていったほうがいいのではないかということを要望させていただきまして、この項の質問を終えます。

 最後に四つ目、学校のメモリアルアーカイブについて。

 学校の思い出に関する問い合わせが私のところに幾つかありました。先日、私の母校、仲町小学校の先輩から校歌の歌詞、楽譜、音源を欲しいという御要望をいただき、再編後の桃花小学校にあるのかなと思いましたけれども、最終的には歴史民俗資料館にわら半紙とCDで保存されていたという事例がありました。

 また、昨今の統廃合で、旧中野第十中学校、現中野東中学校のところの敷地に石碑を置きたいというような御要望もいただいたということがあります。小・中学校の時代の思い出は何事にもかえがたいものであります。そこで伺いますけれども、小・中学校再編の中で要望が出てくるそういったモニュメントなどの保存というのは可能なのか、現行のルールをお伺いいたします。

 と言いながらも、校舎、歌詞など、やはり当時を思い出すアイテムはみんな残したいというところではありますけれども、そういったものが延々と残るというのもなかなか、全く違う100年後とかになったときに、無用の産物になってくる可能性もあるということで、葛藤があるところではあります。ばかの一つ覚えで申しわけありませんけれども、こういった問題もデジタルアーカイブで解決するのかなというふうに考えます。

 岡山市においては岡山シティミュージアムというホームページがあります。このホームページでは学校メモリアルというページがあり、再編後の中でなくなった小・中学校の校舎の写真、校章、校歌、航空写真、沿革、レトロ写真などさまざまな情報が詰まっております。中野区においても事実そういった情報を求められている状況がありますので、さきのドローンの質問でも取り扱いましたが、そういった小・中学校をドローンで撮影したものもアーカイブできると考えます。また、区長のおっしゃるシビックプライドの醸成の一助にもなると考えられます。

 そこで伺いますが、今後も再編が続き、なくなっていく小・中学校のデジタルアーカイブを区のホームページに保存することがノスタルジーの成仏となると思いますので、御検討していただきたいということをお伺いいたしまして、私の全ての質問を終了させていただきます。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 加藤議員の御質問で、1番目に中野区基本構想・基本計画について。

 1点目に、地域包括ケアシステム構築推進における予算の考え方についてでございます。区はこれまで介護予防・日常生活支援総合事業における住民主体サービスの創出、アウトリーチチームの配置や地域包括ケア推進会議の設置、情報共有システムの導入による医療介護連携の仕組みづくり、認知症サポーターの養成などについて事業化してまいりました。こうした事業は地域資源の開発、住民主体活動の活性化、地域のネットワークづくり、地域包括ケアの理念の共有などに資するものであり、区民による自助・互助を支援するものでございます。今後も事業効果を検証しつつ、PDCAサイクルによる評価結果を予算に反映させてまいります。

 次に、すこやか福祉センター運営に必要な予算と職員数についての項でございます。すこやか福祉センター運営経費は、平成30年度決算では1所当たりで約3億円でございます。職員数としては、所管する区民活動センターの職員を除いて、常勤職員で1所平均約25名となっております。

 次に、地域包括ケアシステムにおけるすこやか福祉センターの役割についてでございます。すこやか福祉センターは、介護保険サービス基盤の整備単位となる日常生活圏域を所管する地域包括ケアシステムの推進拠点でございます。同センターでは、その圏域の住民のライフステージに応じて、各種の保健福祉サービスを継続的・包括的に提供することを目指しております。このため、専門相談機関である地域包括支援センターや障害者相談支援事業所を置いて、ワンストップ型の相談支援を行うとともに、区民の活動圏域である区民活動センターごとにアウトリーチチームを編成し、区民とともに支えあいのまちづくりを進めているところでございます。

 次に、アウトリーチチームについての御質問でございます。みずから相談窓口にたどり着けない潜在的対象者へのアウトリーチ型支援は、保健福祉の領域で特に重要となっております。このため、区はアウトリーチチームを設置し、個別の相談支援と支援のために必要となる地域資源ネットワークの構築、不足している資源や地域課題の発見と解決に取り組んでいるところであります。一方、民生委員については、住民の最も身近な気軽な相談先として、ボランティアでさまざまな相談を受けるとともに、区と協働して高齢者や子育て世帯の継続的な見守りなども行っております。また、社会福祉協議会は社会福祉法に位置付けられた民間団体で、地域福祉の推進を目的として、住民主体の理念を基本としつつ、多様な事業を展開しております。地域包括ケアにおいては、その理念や情報を共有しながら、それぞれの立場で取り組む重層的な支援のネットワークが必要と考えております。

 次に、地域包括ケアシステムの階層の御質問と社会福祉協議会への支援についてでございます。中野区地域包括ケアシステム推進プランにおきましては、介護サービス基盤を整備する単位としての日常生活圏域、それと地域活動を推進する単位としての日常区民活動圏域の二つの圏域を設定しております。議員御指摘の区民活動センター単位ということで、日常区民活動圏域というものが一番基礎的な単位となっております。見守りや支えのある地域のつながりの再構築は喫緊の課題となっておりまして、今後ますます区民活動センター圏域での取り組みが重要になってくると感じております。中野区では、こうした区民活動センター単位での取り組みや発見した課題をすこやか福祉センターが集約し、地域ケア会議で検討する階層構造としております。区民活動センター圏域を基本とした活動が、地域包括ケアシステムの根幹でございまして、地域福祉推進のパートナーである社会福祉協議会への支援のあり方については、役割や機能を含め総合的に検討して充実してまいります。

 次に、健康寿命の延伸策についての御質問でございます。健康寿命の延伸が介護費用を縮減できるというエビデンスがないことは承知をしております。しかしながら、医療費、介護費への影響を議論する以前の話として、健康づくり、介護予防の取り組みは、個々人のQOLの向上という極めて大きな価値をもたらすものであり、中野区地域包括ケアシステム推進プランや中野区健康福祉総合推進計画においては、65歳以上の健康寿命を重要な指標の一つに掲げております。厚生労働省も、本年6月に健康寿命延伸プランを示して、2040年までに健康寿命を男女ともに3年以上延伸し、75歳以上とすることを目標として、介護予防、フレイル対策などの取り組みを推進するものとしております。区といたしましては、健康寿命延伸プランの考え方も踏まえて、区民による生きがいや介護予防の推進、各種検診の受診促進、検診データを用いたデータヘルスによる病気の早期発見、早期対応などを通じて、健康づくり、ひいては健康寿命の延伸に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、子育て先進区についての御質問でございます。まず、区が目指す子育て先進区と出生率の向上についての御質問にお答えします。少子高齢化、人口減少が進むことによる地域活力の低下は、区政運営にとって大きな課題であると同時に、日本社会全体としても抱える最も大きな課題でございます。一方、区の合計特殊出生率は近年増加傾向にあるものの、1.0前後で推移しておりまして、全国の中でも低い水準である東京都平均、23区平均をも下回っている状態でございます。また、区の人口動態は区民全体では転入超過であるものの、子育て家庭の多くを占める年齢階層においては転出超過の傾向にあります。そのような区の現状を踏まえれば、当然、出生率の向上も目指すわけですが、子育て家庭の転入・定着を狙い、子どもと子育て家庭の満足度と認知度の高いまちを目指すことといたしました。区が子育て先進区を実現して都市型のモデルを示していくことは、これからの日本の社会が向かうべき方向性を考える上で大きな意義のあることだと考えております。これの実現に向けて力を尽くしたいと考えております。

 次に、子育て先進区実現に向けた子育てサービス実施のあり方についてでございます。子育て家庭のニーズは多種多様であるため、区民の声にしっかり耳を傾けて課題を把握して、その課題に向き合い、改善を重ねていくことで、子どもと子育て家庭の満足度を高めていきたいと考えております。それに加えて、子どもと子育て家庭に対して、区の子育て環境について広くわかりやすく情報を届けることによって、認知度を上げていきたいと考えております。もちろんサービスについては評価を行い、スクラップ・アンド・ビルドなど見直しを図っていくつもりでございます。

 次に、子どもと子育て家庭の包括ケアシステムの活動圏域についての御質問でございます。子どもと子育て家庭の地域包括ケアシステムについては、次世代育成委員などの地域での支援、見守り活動や保育園、幼稚園、小学校、中学校、これらの連携教育が中学校区単位で行われていることを踏まえて、中学校区を活動圏域といたしました。中学校区を活動圏域として地域包括ケアシステムの関係者が十分に情報を共有し、連携が図られるよう、ネットワーク体制を検討していきたいと考えております。

 次に、ドローン実証実験について、最初に、ドローンによる建物点検調査についての御質問です。区庁舎を使って行ったドローン実証実験は、国から人口密集地区において安全確保を含む飛行実験の許可を得た上、実際に建物調査を行ったものであり、先駆的な実験であると認識しております。本技術が確立されれば、公共施設等の安全点検や災害時の建物被害状況の把握など、さまざまな応用が期待できるものと考えております。

 次に、アーカイブとしてのドローンの活用についての御質問です。区は中野駅周辺地区の再整備をはじめ、まちの移り変わりなどを画像や映像で記録し、後世に残す貴重な資料として保存し、広く活用できるようにする取り組みを進めていきたいと考えております。諸条件が整い、中野サンプラザをはじめとした文化施設や歴史的建築物などをドローンで撮影することができ、また利用することが可能となれば、区として活用してまいりたいと考えております。

 次に、ドローンを活用した国家戦略特区の申請についての御質問です。現在進めている国立研究開発法人建築研究所における実証実験の推移やその成果等を踏まえ、国家戦略特区に向けた連携等についても研究してまいります。

 次に、旧中野刑務所正門の御質問で、最初に、移築した場合の文化財的価値と東京都の文化財指定についての御質問でございます。昨年9月、学識者3名に対して、旧中野刑務所正門の文化財的価値等について意見聴取を行い、翌10月、第3回定例会において、東京都の指定文化財になり得る、現地保存以外では文化財的価値が低下すると報告したところでございまして、現時点でその学術的見解に変更はございません。東京都の文化財指定については、東京都教育委員会が文化財保護審議会を設置して指定についての諮問を行い、審議会において審議し、教育委員会へ建議を行い、最終的に東京都教育委員会が議決し、指定される制度となっております。したがって、指定されるかどうかは、あくまで東京都の文化財指定制度のもとに判断されるものと考えております。

 次に、移築、現地保存、それぞれの期間と経費についての御質問です。詳細な調査を行わなければ確定はしませんが、曳家移築の場合は基本計画、基本設計、実施設計、曳家移築工事等で5年から5年8カ月の期間が見込まれ、概算経費は4億9,596万円でございます。一方、現地保存の場合は、設計、修理工事で2年半の期間が見込まれ、概算経費は9,339万円でございます。

 次に、解体・撤去の可能性についての御質問でございます。旧中野刑務所正門の取り扱いが決定するまでに、平和の森小学校新校舎整備に関する設計作業には着手しておりません。また、平和の森小学校の用地については、国が地下埋設物等の調査を行った後、売買契約を結ぶことになったことから、用地買収がおくれる見込みでございます。そのため、予定している新校舎の供用開始時期にもおくれが生じるものと現在考えております。学識者の意見や、本年10月の学術調査における文化財的価値の調査結果から、旧中野刑務所正門について文化財的価値はあると区は考えておりまして、現時点では解体・撤去ではなく、現地保存もしくは曳家移築する方向で検討しております。

 最後に、学校や教育委員会との関係と今後の方針についてお答えします。旧中野刑務所正門の保存につきましては、旧矯正管区用地内における平和の森小学校との共存が前提でございます。文化財の保存・活用と良好な教育環境の確保を両立し、できるだけ早く開校を実現したいと考えております。門の保存につきましては、文化財的価値や文化財としての保存・活用だけでなく、学校運営に大きな影響があることから、教育委員会へ意見聴取を行い、その意見を考慮し、区として方針を決定してまいります。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、学校のメモリアルアーカイブについての御質問にお答えいたします。

 小・中学校の記念碑の保存につきましては、学校統合された学校については、地域要望を受け、学校の判断により記念碑の設置を認めてきたという経緯がございます。統合新校は、新たに保護者、地域と連携しながら学校を盛り立てていただきたいという思いの一方で、双方の学校の伝統や歴史を引き継ぐことも大切なことと考えております。校内にメモリアルコーナーを設置して、校旗、校歌、校名板、外壁校章、記念冊子などを保管しております。今後、統合された学校の記録は、石碑、モニュメントという形ではなく、メモリアル品の保管及びデジタル化という形で保存していくことを基本に、学校や地域と調整してまいります。

 次に、ホームページへのデジタルアーカイブ保存についてでございますが、現在、統合された学校の記録については、ホームページが削除されている学校と、統合新校から統合前のホームページにリンクできる学校がございます。今後は統合された学校の記録について、メモリアル品の保管に加え、電子的な記録も保存していきたいと考えております。デジタルアーカイブとしての保存、活用方法について検討してまいります。

[2]加藤たくま議員登壇

○11番(加藤たくま) 2点、再質問させていただきます。

 「多くの子育て家庭から選ばれるまち」という目標はやめていただけませんかという質問に対して、ちょっと直接的な回答をいただけなかったんですけれども、イエスかノーかというところでお答えいただいて、その答えの理由を教えていただきたいと思います。

 二つ目に、旧中野刑務所正門についてです。もう判断ができる材料がそろっているかなというところでしたけれども、2023年の開校よりおくれるというのが先ほど発言で明言されたと思います。そうすると、一つの条件が変わったということで、また判断もいろいろ出てくるんでしょうけれども、はっきり言って現地におきましては、なかなか決まらないというこの不誠実とも言われるような態度に、区の対応について、もうどっちでもいいから早く決めてくれみたいな声もあるわけでありまして、その辺、今後のスケジュールが全然示されないという点におきまして、今後どのようなことを行っていくのかということをお伺いします。よろしくお願いします。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 加藤議員の再質問にお答えします。

 まず、1点目の「多くの子育て家庭から選ばれるまち」という目標を変えられるかという話ですが、これについては、先ほども当然御説明いたしましたけれども、今後、中野区としては子育て家庭の転入・定着を狙っていくということで、これによって都市型のモデルとなる事例をつくっていくということなので、これについては目標として掲げていきたいと考えております。

 そして、もう1点の旧中野刑務所正門の取り扱いについての現地に対する保護者、PTAなど関係者に対する説明について。これについては今後、曳家についての詳細な条件がまだわからない部分もございますけれども、なるべく早く丁寧に情報提供していきたいと考えております。

○副議長(平山英明) 以上で加藤たくま議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 杉 山   司

 1 中野駅南口地区まちづくりについて

 2 子育て世帯や三世帯の住宅政策について

 3 シティプロモーションの在り方について

 4 東中野駅西口線路沿い桜並木の今と未来について

 5 その他

 

○副議長(平山英明) 次に、杉山司議員。

〔杉山司議員登壇〕

○16番(杉山司) 令和元年第4回定例会に当たり、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問を行います。

 質問は通告のとおりで、その他はございません。よろしくお願いします。

 まず初めに、中野駅南口地区のまちづくりについて伺います。

 中野駅南口地区まちづくりとは、主に中野二丁目の公社中野駅前住宅の再編、駅前ロータリー東側のノイビル周辺の市街地再開発、そして中野駅南口ロータリーを含めた駅前広場の整備の三つの事業を指すことは周知の事実でございまして、既に公社住宅がコーシャハイムとして完成しております。現在、公社中野駅前住宅やグリーンビルの取り壊しが進んでいる中、市街地再開発は2024年2月完了予定、駅前広場整備は2026年1月末に完了予定となっております。これは令和元年11月6日に行われました建設委員会で報告がありました中野二丁目地区第一種市街地再開発事業の事業計画変更による事業の延伸を加味した事業施行期間の結果となっております。

 中野駅南口周辺は、これから大きく再開発や改修工事が進んでまいります。時系列で申し上げますと、先ほどお話しした中野二丁目再開発の147メートルの住宅棟ビルと117メートルの業務棟ビルの完成が2024年2月、南口ロータリー改修や拡張の完成が2026年3月末、中野駅西口改札や、ネーミングは暫定と伺っておりますが、レンガ坂上の中野駅西口広場や南北連絡通路は2026年12月に完成予定です。さらには、中野駅南口千光前通りの突き当たり近くにある九中跡地に誘致予定である大型医療拠点は、今から募集をかけるものではございますが、南北連絡通路完成の前の年、2025年の開業予定となっております。

 この時間軸を考えますと、2020年初旬から2026年1月くらいまで、中野駅南口周辺はずっと何かしらの工事をしている状況に陥ります。特に千光前通りやロータリー付近、中野三丁目の街区再編工事や西口広場付近もあわせて、歩行者や歩行弱者の方々が毎日利用する歩行エリアが通行規制などで狭まり、朝のラッシュ時には大変な混雑が予想されます。その間、2024年2月に中野二丁目再開発の大きな建物2棟が完成して、中野駅南口周辺の昼間人口は3,500人から4,000人、夜間人口も1,000人程度ふえるという予測値もあります。そして、中野駅南口を利用するであろう九中跡地の大型医療拠点も2025年に開業予定というスケジュールですね。駅南口改札の利用人口はかなりふえる。改札前やロータリー付近はまだ工事中のため歩道は狭いまま、西口改札もまだ未完成という状態が長く続くわけでございます。

 平成30年9月13日の第3回定例会における一般質問で、中野駅南口周辺まちづくり事業完了後の中野駅南口改札の処理能力は追いつかないのではとお聞きしましたところ、酒井区長は「中野駅の改札の処理能力は現在改札機が5台となっており、事業完了後の駅利用者の増加を加えても、朝のピーク時について改札の処理能力の限界までは至らないと推計しております」との御答弁でございました。改札の処理能力は国が設定した基準値、あくまで1時間でどのぐらい利用者の出入り処理ができるのかの平均値となります。しかしながら、実際に改札を見ているとわかるのですが、平日の朝は改札前が黒山の人だかり状態になることが多々ございますし、雨の日は本当に危険な状態となります。もちろんタイミング的には改札が混雑していない状態のときもあります。

 令和元年の第3回定例会決算特別委員会の総括質疑でも質問させていただきましたが、西口改札ができるのを待って、西口以外の駅構内や改札の改善、バリアフリー化などを検討しても遅いと考えられます。毎日使う駅だからこそ、そして人がふえることが予測できているからこそ、何かしら、今現在の中野駅を少しでも改善していかなければならないと考えます。

 そこで伺います。区として、駅の利用者の想定に関しては、JR東日本と情報を共有しているとのことでしたが、過去に中野駅南口改札の拡張や改善に関して話し合いをされたということはございますでしょうか。また、あるということでしたら、どのような内容だったかもあわせて御回答願います。

 さきの定例会決算特別委員会の総括質疑で、九中跡地に大型医療拠点ができる前に中野駅東側の千光前通りをつくり、4基のエレベーター設置と無人改札をつくるだけで、歩行弱者の人たちを中野駅南口の混雑状態から逃がすことができるはずとお話しさせていただきました。この件は検討を進めていただけると信じて質問にはいたしませんが、利用者がふえ、危険度が増す中野駅南口周辺から歩行者や歩行弱者の方々を守るためにも、4本のホームの東側地下道を利用したバリアフリー化された中野駅、東側千光前通り口改札の設置を強く希望いたします。

 その実現までに時間がかかる、または実現が厳しいということであれば、中野駅南口改札そのものの改修に関してJR東日本と協議し、検討すべきだと思います。現在、中野駅南口の改札は五つの自動改札機が設置されておりますが、みどりの窓口側、または発券機側に2基ふやすだけでも改札の処理能力は改善できるかと思いますが、いかがでしょうか。伺います。

 改札の処理能力を高めること以外にも、さまざまなことを考えなければなりません。駅そのものの改修だけでなく、中野駅南口周辺の環境の改善も必要であると考えます。一連の工事期間中、中野駅南口改札前や千光前通り、ロータリー周辺は工事のために歩道が狭くなったり、場合によっては工事車両などの通行もあるかもしれません。工事期間の前半に中野二丁目再開発のビル2棟が完成し、駅の利用者がふえるにもかかわらず歩行空間が狭くなる。工事をしているので歩行者は不安になりますし、危険も伴うかもしれません。駅改札の処理能力が変わらない状況下で、この状態は二重苦、三重苦、かなりな混雑と混乱を招くこと間違いなしだと考えますが、中野駅南口周辺の工事期間中、中野区として歩行者に対しての安全対策はどのようにお考えでしょうか。伺います。

 駅の改修、安全な歩行空間の担保は必須ですが、さらには人の流れを物理的に分散することも必要であると考えます。平日の朝の時間帯に見ておりますと、中野駅南口改札に入っていく利用者が集中するときとそうでないときのタイミングが分刻みで起こることがわかりました。バスと横断歩道のタイミングでございます。中野通りの車道の信号が青で、直進する車両がいなくなるときに、バスが右折または左折してロータリーに入ってきます。要は、車両の信号が赤になる直前に満員のバスが到着し、バスの利用者がおりて中野駅南口改札に向かって歩いてくるわけです。まさにその直前、今度は中野通りの横断歩道が青に変わるため、歩行者が横断歩道を渡って中野駅南口に向かって歩いてきます。つまり、バスの利用者が中野駅南口の改札に入るタイミングと、中野通りの横断歩道を渡って改札に入るタイミングが同じになっている。そして、バスの利用者、中野通りを渡ってくる歩行者、ロータリーに滞留している歩行者の方々が中野駅南口に同時になだれ込んでしまう時間帯が分刻みで起こる、これが事実でございます。

 駅そのものの改修、改善も当然必要ですが、すぐに手を入れることがなかなか難しいということであれば、特に朝の時間帯に関して周辺の人の流れを調査し、信号の変わるタイミングの調整や車両の右折、左折を先に行わせるなどの手法で、足りていない駅の処理能力を鑑みながら、分単位で人の流れを分散することも可能かと思いますが、いかがでしょうか。伺います。

 何度も言うようですが、中野駅南口の再開発が進み、大型ビルなどが完成しますが、ロータリーを改修しているので歩道は狭いまま利用者は大幅にふえる。西口改札はまだできないが、大型医療機関は開業するかもしれない。そんな状態でございます。そんな状態が続くからこそ、中野駅南口改札を毎日利用する方々の混雑解消や安全な歩行空間の担保は必須ですし、駅改札そのものの改善、そして駅周辺の人の流れの把握や改善はすぐに手を打たなければなりません。本件の早期実現を願いまして、この項の質問を終わります。

 次に、中野区の住宅政策について伺います。

 現在、区では住宅マスタープランの改定を進めており、住宅政策審議会での審議が進められています。これまでの審議会の資料の中で、多様な世帯がともに暮らすまちにおける施策の方向性において、ファミリー世帯のための住環境の整備を大きな課題として挙げています。中野区の転入・転出の人口移動は、平成27年度の住民基本台帳人口移動報告によりますと、20代では転入が転出を上回るが、30代では転出が転入を上回るという数字が示されています。

 また、中野駅周辺の再開発や西武新宿線の連続立体交差事業などが注目されることもあり、中野区の地価は2014年から上昇し続けています。とある土地データ情報収集業者の報告によりますと、坪単価は2013年の213万円ほどだったものが、2014年からは毎年上昇し続け、2019年には275万円程度となったとのことでございます。上昇率が高いのは、駅名で申し上げますと、中野、中野坂上、東中野あたりで、区内の駅全てにおいて路線価は上昇しています。中野駅周辺は1坪433万円程度、中野坂上駅周辺は306万円程度、東中野駅周辺は282万円程度となっているようです。ちなみに、商業地となりますが、参考として、区内で坪単価の高い場所トップスリーは、中野サンモールの一角が1坪平均1,487万円程度、中野駅南口三丁目の一角が1,229万円程度、中野駅北口の中野通り沿いの一角が816万円程度だそうです。

 賃貸マンションに関しましては、子育て世代の利用が多いとされている築10年程度のマンションの場合、2LDKで月額賃料15万円前後、三世代家族が多く住むと言われている3LDKが月額20万円前後という価格帯だそうです。

 先ほどの質問でも登場しました中野二丁目地区第一種市街地再開発事業で、2024年2月に完成予定の住宅棟は地上147メートルで、400戸近い住戸数と聞いています。全て賃貸で、100万円を超える賃料の部屋もあると伺いました。そのほか、旧桃丘小学校跡地や囲町、区役所北側の再開発など、まだ本決まりではありませんが、中野駅周辺には多くの大型マンションが計画されています。地域の価値や不動産価値が上がることは、まちの価値の上昇やにぎわいにもつながります。一方、価格が高騰することで、中野が好きで本当に住みたいと思っていらっしゃる子育て世帯や、おじいさん、おばあさんを含めた三世代家族などが住みにくいまちとなってしまっているのではという懸念が湧いてきます。中野区は、子育て世帯に優しいまちになりたい、子育て世帯にたくさん住んでもらいたいのに、住環境に関してはどんどん離れてしまっているのでは、子育て世帯となったら住みづらいまちになってしまっているのではと思わざるを得ません。区として、このミスマッチをどのような住宅政策で解消されようとしているのか、お示し願います。

 現在、中野区は離職等の理由で経済的に困窮し、住居を失っている方や失うおそれのある方を対象とした住居確保給付金を支給する制度など、住宅に関する補助は幾つかありますが、賃貸マンションを借りる際の家賃補助や引っ越し補助などの助成事業を行っておりません。

 そこで伺います。これまで子育て世帯向けの賃貸住宅に関しまして近隣区の家賃補助制度などを調査し、中野区と比較したことはございますでしょうか。

 例えば、子育て世帯またはファミリー世帯に限った居住助成について、近隣区の状況を見てみますと、新宿区の場合、募集件数に上限はあるものの、新宿区外からの転居の際には、礼金や仲介手数料の合計で最大36万円、引っ越し料金の実費で最大20万円が補助されますし、新宿区内から新宿区内に転居する場合も、件数や年数に上限はあるものの、転居前後の家賃差額として月額最高2万5,000円、引っ越し代の実費で最大20万円が補助されます。ちなみに抽選となりますが、学生や勤労単身者向けにも家賃補助が月額1万円、子育てファミリー世帯向けには月額3万円を最長5年間支給する補助もあります。北区や豊島区、目黒区や千代田区にも同様の制度があります。

 2017年8月に発表された公益社団法人日本都市計画学会の助成金を伴う居住誘導施策の表明選考調査による基礎分析という報告書によりますと、住宅を選択する際に家賃を見た人は、助成金の影響を受けて住みかえ意思を持つことが明らかとなったとあります。つまり、居住誘導に助成金は有効な手段の一つであるということです。

 小さなお子さんがいるお母さんたちは、さまざまな自治体の助成制度や住環境を調べながら、我が子が快適で健やかに過ごせる環境が整っている場所を探しているという声をよく耳にします。他区に比べて住宅補助制度がまさっている、劣っているなど、いろんな項目を調べて居住する場所を選んだ2歳児を育てているママ友は、練馬区から新宿区に引っ越しました。また、障害を抱えている子を育てている友人は、中野区から新宿区に引っ越しをいたしました。子育て先進区を打ち出している中野区として、子育て世帯や三世代世帯、さらにはひとり親世帯、障害を抱えている子どもを育てている世帯に対して、他区から中野に引っ越して中野区に住み続けたい、転出したくないと思える住宅補助制度を早急に検討し、導入すべきだと思います。区の見解をお聞きいたしまして、この項の項目を終わります。

 続きまして、中野区のシティプロモーションについて伺います。

 平成30年度の当初予算で、グローバルビジネス推進として1億円余の予算が計上されていました。当時の内訳は、シティセールスやシティマネジメント推進などとなっており、プロポーザルの結果、一括発注で博報堂に年間契約をしたものです。区長がかわり、シティマネジメント推進の方針の変更があり、新たに提案されたシティプロモーション戦略の中に登場したのは「中野大好きナカノさん」です。目内の予算の使い道が変わったという形でこの報告、正直納得感はありませんが、一応理解はいたします。この博報堂へのシティプロモーションに関する契約、一括で発注だったと思いますが、どのような内容だったのか、まずはお聞きいたします。

 一括発注もよしあしがありますが、本来であれば工程ごとや機能ごとに発注するのと同じように、コンテンツごと、イベントごとに契約を交わす形であれば、手間はかかりますが、内容にもそごがなく、トラブルも少なくなり、区としてのリスクも回避できます。一つのプロジェクトで複数のコンテンツが含まれるようなコンテンツ事業関連などは、そのような手法をとっていただきたいのですが、いかがでしょうか。伺います。

 「中野大好きナカノさん」について、昨年の2月1日に行われた記者会見で、酒井区長は、中野区が多くの人に愛されるまちに育っていくことを目的としたプロジェクトを発表し、中野区のシティプロモーションの新しい仲間、「中野大好きナカノさん」を初披露しました。突然鳴り物入りで登場した「ナカノさん」です。「ナカノさん」に関連する予算は、平成30年度決算では2,041万円、令和元年度には2,573万円を占めており、現在、絶賛執行中でございますね。

 球体関節人形「ナカノさん」を中心に据えた中野区シティプロモーションは、区内で出会うさまざまな日常を「ナカノさん」を通して表現し、SNSを中心に区民とともに地域の魅力を発信し、まちの活力を高めて区民に愛着や誇りを持っていただきながら、多くの人に愛されるまちに育てていくことを目的としています。

 本日現在、「ナカノさん」のインスタグラムのフォロワー数は2,300程度、ツイッターのフォロワー数は3,200程度、フェイスブックの「いいね!」は370程度となっています。自分でもネットメディアを持っていますので、こんなにお金をかけているのにこの程度と正直思うところもありますが、それはさておき、インスタのフォロワー数は中野区の公式SNSとしては突出しています。

 この「中野大好きナカノさん」はどのようなことをつぶやいているかと分析しましたところ、初期は、シナリオのある「ナカノさん」紹介やムービー、中野の商店街などをバックに「ナカノさん」が中心に座る不思議な写真など、最近では、中野区の観光名所と「ナカノさん」や、中野区で活躍するクリエーターと「ナカノさん」、中野区主催や共催のイベントを紹介する「ナカノさん」など、中野区の資源を「ナカノさん」が不思議な感じで紹介してくるようになってまいりました。かねてより、どうせなら「ナカノさん」を中心に据えるのではなく、「ナカノさん」を媒介してほかの人や物、活動にスポットが当たるようにすべきだと思っておりましたので、少しだけほっとしております。

 また、ことしの9月21日から1カ月程度、「中野大好きナカノさん」と中野区内で頑張る人とのコラボ写真展「「中野のひと」ポートレート2019」が中野サンモールの天空ギャラリーで開催されました。これも「ナカノさん」が中心ではなく、中野区内で活躍される人にスポットを当てたもので、そもそも計画されていたのか、それとも「ナカノさん」のあり方などについての方針転換がなされたのかはわかりませんが、予算を執行するのであれば、その方向性は間違っていないとも思います。

 ところで、先日行われた建設委員会におきまして、中野区無電柱化推進計画(案)についてのパブリック・コメント手続の結果が報告されました。区民としてももっと関心を持っていただいてもよさそうな内容ですが、結果、意見提出者はゼロという報告でした。担当は区報やホームページに掲載し、幾つかの場所に紙焼きしたドキュメント写真も設置したそうですが、広報との連携やSNSなどの活用は行っていないとのことでした。

 また、公園遊具の更新につきましても報告がありまして、近隣住民の意見を聞く手法として、現地で直接聞く、または電話やファクス、メールで意見を受け付けるなどで、SNSなどの活用は考えていないとのことでした。今こそ「ナカノさん」の出番です。「ナカノさん」の世界観を損なわない範囲で、「中野の電柱はどんどんなくなっていく。私もおでこをぶつけなくて済むの」などのつぶやきをどんどんやっていけばいいのではと考えます。今までは「ナカノさん」自身のこと、「ナカノさん」と中野の名所、「ナカノさん」が区内の人紹介、「ナカノさん」が中野区主催のイベント紹介などを情報として発信してきたと思いますが、これから中野が大きく変わっていく、そして住みやすいまちになっていくべき区の取り組みや政策なども発信していくべきだと考えます。

 「ナカノさん」の情報発信につきまして、政策や施策など、区に関するものは過去にも一切発信していないことで、発信する際のレギュレーションがあることはわかります。さらには、広報とほかの課には組織の壁やリソース不足の問題などもあり、なかなか連携するものは難しいことは理解できます。しかしながら、やはりシティプロモーションがシビックプライドの醸成や中野愛の底上げであるとするならば、そして、区民の皆様の大切な税金を使って誕生した「ナカノさん」ですので、しっかりと有効活用すべきです。今後、子育ての取り組みやまちづくり関連など各部署と広報や観光・シティプロモーション担当がしっかりと連携して、区政や重立った取り組みについても「ナカノさん」をフル活用すべきだと考えますが、区の見解をお示しください。

 シティプロモーションについてもう一つ。中野区内のアパートで、家族3人で一夏を過ごすことになったアメリカ人フードライターが書いた「米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす」という本が2014年5月26日に発行され、各種メディアでも取り上げられました。その後、映画プロデューサーから連絡があり、この本を原作としたハリウッド映画が制作される方向であることがわかりました。2015年にはおよそ400万ドル、日本円にして約5億円の予算で、脚本や監督は、シアトル映画祭、シカゴ国際映画祭、トライベッカ映画祭など10以上の映画祭で映画賞を総なめにしました、ダウン症の少年とゲイとの愛情や友情を描いた映画「チョコレートドーナツ」を手がけたトラヴィス・ファインさんと決まりました。

 現地視察のために来日し、私も中野駅北口の居酒屋などが建ち並ぶ商店街、中野ブロードウェイ、哲学堂公園、梅若能楽会館、落合斎場などをセッティングして、2週間べったりついて中野区や東京の名所をめぐっていただきました。

 そのトラヴィスさんですが、2015年5月13日には田中大輔前区長にも表敬訪問を果たしました。本の舞台の半分は中野の飲食店などのお話でしたが、当初は、東京の東側、墨田区や葛飾区で撮影を検討する予定だったところ、中野区のよさに感動されたのか、中野を撮影の中心としたいとの意向が伝えられ、中野を舞台としたハリウッド映画が実現に向けて動き出したわけでございます。2015年の東京国際映画祭でも、映画「チョコレートドーナツ」は賞を受賞し、トラヴィスさんが来日、「チョコレートドーナツ」監督の新作は中野区が舞台、斉藤工が出演直訴というニュースが話題をさらいました。

 かつて中野区では、映画「007は二度死ぬ」のワンシーンを中野新橋で撮影したり、アニメの舞台としてレンガ坂などが描かれたりはしましたが、中野を舞台とした本格的なハリウッド映画はもちろん初めてのことで、2017年12月には、本の原作者、マシュー・アムスターバートンさんも田中元区長を表敬訪問し、中野でハリウッド映画誕生かと、区内の商店街や経済界も大いに沸いたわけでございます。中野を舞台としたハリウッド映画が実現すれば、「ナカノさん」よりも大きなシティプロモーション効果が期待できます。

 サンプラザもブロードウェイも、そして中野北口のサンモールに入ってすぐの商店街名で、映画の邦題でもある「ちょっといい一番街」もハリウッド映画の舞台となり、中野のおいしい飲食店や文化が、東京の、そして日本のすばらしい文化や習慣として、今現在の中野がアーカイブされる、ハリウッド映画で切り取られる形となり、シビックプライドの醸成につながるかと思います。

 そこで伺います。シティプロモーションの一環として、中野区がこのハリウッド映画にかかわることについて、区長はどのようにお考えでしょうか。

 中野区のホームページにもフィルムコミッションのページがあります。このハリウッド映画に中野区としてかかわりたいが、予算がない、人が割けない、経験がないなど、ネガティブな考えもわからなくもないですが、来年度は「ナカノさん」も区民や職員主導で自立した自己増幅拡散が期待できますので、シティプロモーションの次の目玉施策としてハリウッド映画は格好の材料です。今現在の中野のよさを世界に発信できますし、映画なので永遠にアーカイブできるというメリットもあります。

 そこで伺います。もしハリウッド映画を実現するために中野区がかかわる方針を示されるのであれば、映画制作資金も中野区主導でクラウドファンディングを活用してみてはいかがでしょうか。ふるさと納税のガバメントクラウドファンディングを利用し、エキストラ出演権やスペシャルサンクスクレジット権などを返礼品として扱うなども検討して、まちという区民の財産も映画という形で残すことができると思うのですが、いかがでしょうか。伺います。

 この項の冒頭に、「ナカノさん」に関するプロモーションの委託、博報堂に一括で発注したことについて伺いました。この一括発注がなければ、分割発注などであれば、シティプロモーションの一環でハリウッド映画を中野で制作することそのものも検討できたのではと悔やまれますが、区民が一緒につくり上げた感が出る。そして、今現在の中野をアーカイブできる。さらにシビックプライドの醸成や中野の文化が日本の誇れる文化として世界に発信できるであろうハリウッド映画「Pretty Good Number One ちょっといい一番街」への中野区参画の実現を願って、この項目の質問を終わります。

 最後の質問となりますが、JR東中野駅西口線路沿い桜並木の今と未来について伺います。

 私が区議会議員を目指したきっかけの一つともなっているJR東中野駅西口線路沿い桜並木の件でございますが、その桜並木は地域の人にも愛され、春になりますと、ソメイヨシノの淡いピンクと、のり面に満開に咲く黄色い菜の花のコントラストが近隣住民や鉄道ファンにも人気のスポットとなっています。この桜並木に引かれてこの場所に移り住んだという方もいらっしゃいます。

 過去に近隣の住民の皆さんとの話し合いもないままに、既に17本が伐採され、区やJR側と近隣住民との溝は深まってしまった経緯があります。そして、本来であれば年数回ののり面の除草、雑草除去や、10月ごろには菜の花の種まきなども例年行われていたはずなのですが、昨年は桜並木周辺の整備はずっと行われず、菜の花の種もまかれないまま、雑草除去のみが3月末に行われたというのが事実でございます。

 今年度も桜並木の整備に関しましては予算化されているにもかかわらず、JRとの契約は締結できていないとの認識ですが、間違いございませんね。都度都度、建設委員会での質問などで何度も整備の実施を打診させていただいております。きょう現在、のり面一面に張りめぐらされた雑草の整備や、10月までにまかなければ来年春に黄色の花をつけない菜の花の種まきなど、作業が進まないのはなぜでしょうか。桜に巻きついている雑草が除去されなければ、桜の栄養が奪われてしまい、寿命は短くなる一方だと思いますし、のり面の雑草が除去されなければ、菜の花の種まきもできません。住民の中には、わざと除草作業を行わないで桜の栄養を奪い、寿命を短くすることを目的としているのではと、うがった見方をされる方もいらっしゃいます。本来であれば、年度の予算が確定したら、すぐにJR側との作業内容を含めた契約を締結すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。伺います。

 また、この桜山通り、中野区としてはこれからどのようにしていきたいとお考えでしょうか。中野の桜の名所の一つとして残し続けたい、桜山通りの道路幅を拡張したい、桜の整備が中野区主導で行えるようにしたいなど、いろんな考えがあると思います。同時に近隣住民の方々にもいろんな考えがあると思います。

 2017年に樹木を伐採した後、住民と中野区との間でこれからの桜並木のことについての話し合いの場を持つことを予定していたはずですが、2年以上もその打ち合わせの場は実現していないと記憶しています。中野区はこの場所をどうしたいのか、住民はこの場所をどのように考えているのかを膝を突き合わせて、まずはざっくばらんに話し合う場をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。伺います。

 多くの近隣住民は、この桜並木が未来につながることを望んでいます。ソメイヨシノの寿命を全うさせ、低木の桜などを時間差で植えていき、桜並木を存続させたい、道が広がってもいいから、桜並木がしっかり整備されるなど、まずは、すぐにでも話し合いの場を持っていただくことを強く希望いたします。中野区はこの東中野駅西口線路沿いの桜並木をこれからどうしたいのかを、ずばり区長にお聞きいたしまして、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 杉山議員の御質問です。

 まず1点目、中野駅南口改札の改修についての御質問です。区では中野駅南口改札について、南口周辺の事業完了後の駅利用者の増加を加えても、改札の処理能力の範囲内であると推定しております。これまでにその増加予測についてJR東日本と共有してきているところでございます。なお、駅改札は駅施設であり、改札の拡張や改修はJR東日本の判断で行うことになっておりますが、区としては引き続き西口改札開業までの駅南口利用者の安全性や利便性の確保について注視するとともに、状況に応じてJR東日本に対して十分な配慮を求めていきます。

 南口市街地開発工事期間中の安全確保策についてでございます。工事期間中の安全確保対策については、施行者である組合が交通管理者のほか、鉄道、バス、タクシー等の交通事業者と事前に十分な協議を行った上で工事を進めていくことになります。区としては、その安全対策が確実に実行されるよう、組合に対して指導監督を行っていく考えでございます。また、工事期間中の迂回ルートやバス停の移設等に関する情報については、組合と連携し、地域や利用者へ事前に掲示するなど、周知を図るための丁寧な広報に努めてまいります。

 次に、信号サイクル変更等による混雑緩和策の検討についての御質問です。朝の時間帯においては、中野駅南口でも改札付近で混雑が生じていることは認識しております。再開発で増加する駅利用者による混雑も含め、長期的には今後の駅前広場の拡張整備において解消していきたいと考えております。一方、現状において今以上に多数の歩行者が南口改札付近に滞留し、歩行者の安全確保に支障が生じるおそれがある場合には、交通管理者と協議の上、交通信号機による規制方法の変更等の可能性も含めて、混雑緩和の方策を検討してまいります。

 次に、子育て世帯や三世帯の住宅政策についての項、子育て世帯に対する住宅政策の御質問です。区では平成23年に中野区集合住宅の建築及び管理に関する条例を制定して、一定規模以上の集合住宅におけるファミリータイプの住戸の供給を促進しております。また、区の協力不動産店との連携によって、民間賃貸住宅住みかえ支援事業の実施や、公営住宅等の建てかえに当たっては、子育て支援施設について誘導整備を行っております。今後は現状の取り組みの政策効果を検証するとともに、現在設置に向け検討を進めている居住支援のための協議会を活用し、ファミリー世帯が区内のさまざまな住宅ストックから適切な物件を探し出し、スムーズに入居につながる新たな仕組みづくりについて、民間事業者と連携して進めていく考えでございます。

 次に、子育て世帯に関する近隣区の補助制度についてでございます。子育て世帯向け家賃補助制度については、他区が中心となって平成29年度に23区全体を対象として調査が行われました。この調査結果では、4区が民間賃貸住宅の子育て世帯向けの家賃助成制度を実施しており、それぞれの制度概要や助成内容などの実施状況について把握しているところでございます。なお、この調査後、新たに2区が同様の事業を実施していることを把握しております。民間賃貸住宅に住む子育て世帯向けの家賃助成制度については、その政策効果や他区の動向を注視しながら、他の居住支援のあり方とあわせ、その必要性について研究してまいります。

 次に、シティプロモーションの在り方についての御質問です。平成30年度の契約内容についてでございます。平成30年度の契約内容は、中野区シティプロモーション推進プランの策定支援をはじめ、PR事業の企画・実施、専用ホームページの開設と運営、SNSによる情報発信の環境整備と運用、マスメディアを介した情報発信の企画・実施などでございます。

 今後の契約方法についてでございます。シティプロモーション事業につきましては、情報発信などの取り組みの基礎が整ってきたところでございます。これまでの取り組みを生かして、区民等による主体的な情報発信を促進できるよう、現在、事業の実施方法や、それに伴う契約方法について検討しているところでございます。

 「ナカノさん」を活用した情報発信についてでございます。「中野大好きナカノさん」プロジェクトは、区民等から共感が得られるよう、日常の中野の魅力を発信しており、区民等からの主体的な情報発信を促しております。このため、SNSについては、行政主体の情報発信になり過ぎないような方向性のもと取り組んでいるところでございます。その一方で、「ナカノさん」プロジェクト開始以降、若い世代を中心に広く認知され、一定の情報発信力を備えてきているとは認識しております。先日発行した「わたしの便利帳」でも活用しており、今後も各施策における効果的な情報発信に役立ててまいりたいと考えております。

 次に、映画制作への区のかかわりとクラウドファンディングの活用についてでございます。中野を舞台としたハリウッド映画の実現は、シティプロモーションに寄与するものであると考えております。民間事業者が制作する映画の経費につきましては、区が主体となってクラウドファンディングにより寄附を募ることは考えておりませんが、撮影場所の使用許可等の調整やエキストラ募集の際の広報など、映画制作に当たっては可能な限り協力していきたいと考えております。

 次に、東中野駅西口線路沿いののり面の維持管理作業についてでございます。東中野駅西口線路沿いののり面の管理状況や地域住民の要望については、区でも把握しているところでございます。のり面の維持管理については、区とJR東日本が協議を行って、その年度の業務内容を定めた協定を締結した上で、JR東日本が作業を行っております。しかしながら、今年度はまだ協議が調っていないため、のり面の十分な維持管理作業ができていない状況でございます。

 維持管理に関する協定の締結についての御質問です。のり面の適正な維持管理と安全を確保するために、JR東日本と年度始めから継続的に協議を行っておりますが、現時点においては協定の締結には至っておりません。引き続き協定締結に向けた協議を進めていく考えでございます。

 住民との話し合いの場の設定についてでございます。平成30年3月に住民と今後の修景整備について意見交換会を実施いたしましたが、のり面の所有者であるJR東日本の協力は得られませんでした。JR東日本の協力が得られないと具体的な検討が進まないため、今後もJR東日本との協議を進めた上で、改めて話し合いの場を設定していきたいと考えております。

 最後に、桜並木の今後についての御質問です。東中野駅西口線路沿いの桜並木については、現状の桜並木の適切な維持管理ができるようJRと粘り強く協議を進めてまいります。また今後、桜山通りの景観のあり方についても検討していきたいと考えております。

○副議長(平山英明) 以上で杉山司議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 甲 田 ゆり子

 1 防災対策について

 2 児童虐待防止について

 3 地域包括ケアシステムについて

 4 ESD(持続可能な開発のための教育)について

 5 その他

 

○副議長(平山英明) 次に、甲田ゆり子議員。

〔甲田ゆり子議員登壇〕

○14番(甲田ゆり子) 令和元年第4回定例会に当たりまして、公明党議員団の立場で一般質問を行います。

 質問の前に、先月の台風19号により犠牲になられた方へお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 質問は通告どおりで、その他はありません。

 1番、防災対策について。

 初めに、高齢者等への情報発信の改善について伺います。

 今回の台風では、特に高齢者等への情報伝達手段について改めて課題が浮き彫りになりました。私の地元の区民活動センターでは、お昼の時点で自主避難されていた3名は、全員20歳代の方だったそうです。若い人がしっかりと情報をキャッチしていた一方で、高齢者の多くは区からの情報を得られていませんでした。ジェイコムの放送や区の広報車で知ったと言っている方もいましたが、ジェイコムを契約していない方は数多くおり、広報車や防災行政無線のスピーカー音が聞こえない場合に対する不安が募ったという声がありました。区は防災会の代表各2名に対し、緊急情報を電話で伝達する5coVoiceという自動音声配信システムを導入しており、対象者の拡大を検討していると聞いています。私は、昨年の一般質問でも5coVoiceシステムの対象者拡大について取り上げましたが、改めて現在の登録者と運用状況を伺います。

 人伝えには限界があると感じます。ホームページやSNSをみずから見ることができない高齢者や障害者に対し、直接的に情報発信を行える何らかの手段が必要です。我が会派では、ポケベル周波280メガヘルツを使った文字情報を含む防災ラジオを配布することも有効であると考え、提案してまいりましたが、その都度、研究するとの答弁でした。

 ことし総務省がまとめた「災害情報伝達手段の整備等に関する手引き」においても、ポケベル周波を使った通信手段については、気密性の高い住宅においても電波を届けやすいため、都市部における有効な災害情報伝達手段などとして紹介されており、現在、23区でも江東区、豊島区など5区が導入しているとのことです。申請した方への有償貸与でもよいと考えます。先行して導入している他自治体の経費など、研究された結果と検討状況はいかがでしょうか。伺います。

 また、防災ラジオに切りかえる前に、5coVoiceシステムの対象者拡大で登録者をふやすことが可能なのであれば、まずは視覚障害者に加え、高齢者等の希望者に対して登録を促し、希望者が多くなった場合の拡充策についても検討しておくべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 いずれにしても、スマートフォンやパソコンなどを使えない高齢者等へ情報伝達手段を真剣に考えてほしいとの区民の声が届いています。今こそ区は責任を持って一人も残らず情報伝達できる何らかのツールを用意すべきと考えますが、この点についての区長の見解をお聞かせください。

 次に、災害弱者の避難について伺います。

 先日、地域の複数の方から福祉避難所について聞かれました。福祉避難所の開設時期や場所、箇所については、二次避難所として地域防災計画の中に明示されておりますが、一般の区民には全くと言っていいほど伝わっていません。そこで、改めて福祉避難所の定義と中野区の福祉避難所の現状を伺います。

 福祉避難所は災害の規模によってはほとんどの災害弱者は頼ることのできない希少な場所であり、全ての一次避難所においてインクルーシブな避難所とすることが求められます。2016年4月の熊本地震の折、熊本学園大学では、建物の一部を障害のある方のための避難所として開放しました。ここは避難所の指定はなく、事前の備えも乏しかったものの、福祉を教える大学であったこともあり、障害者差別解消法などを大前提に、どんな人も受け入れる避難所として45日間、被災者に寄り添った避難所として運営されました。運営の方針は、管理はしない、配慮するとしたそうです。管理をしようとすればルールをつくることになり、それを守るためにかえってエネルギーと時間が必要になるため、一切規制やルールをつくらず、そこにいる学生やボランティアの人たちが、その場、その場で考えて行動したことで、さまざまな個々に合わせた仕事、配慮が自然に生まれ、皆が協力し合った体制ができたというのです。そうした中、この避難所は多くの全国からの支援や官民連携を経て、発災直後急遽開設した一時的な福祉避難所にもかかわらず、最後の1人の行き先が決まるまでの支援を完結しました。このことから、全国の避難所体制に対し、福祉的配慮面での将来課題を提起しています。

 こうしたインクルーシブな避難所運営の経験や取り組みについて、中野区としても避難所運営にかかわる方々を中心に勉強する機会を持ち、全ての避難所が災害弱者を受け入れ可能な体制をつくるために学んでおくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 また、障害者や母子を受け入れる際は、避難ルームと言われる屋内用テントを避難所に幾つか準備しておくべきと考えます。日赤奉仕団では、ことし、各分団から各地区町連にこういったテントが配布されたと聞いていますが、授乳や着がえ、また障害者の方たちを優先に利用することができるよう、区としても各避難所に幾つか準備すべきと考えます。また、町会連合会、地域防災会とも使い道を協議しておくべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 次に、母子避難所について伺います。

 産じょく期の妊婦や母子は特別な配慮が必要です。現在、産前産後の母子に特化した福祉避難所はありません。これまでも我が会派として要望してきたことですが、区として早期にまず1カ所でも母子避難所を新設し、助産師会などに協力を得て開設手順を検討すべきと考えます。また、その中で、妊婦と母子のためのマニュアル作成も検討してはと考えますが、いかがでしょうか。

 初産婦の場合は、家族や本人ですら配慮の仕方がわからない場合もあります。避難所における配慮の仕方や、本人、家族の事前の備えなどを記載した妊婦と母子のための防災ハンドブックもつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。あわせて伺います。

 この項の最後に、都立中野工業高校の建てかえと野方一丁目から野方三丁目の避難所について伺います。都立中野工業高校の改築事業及び妙正寺川の河川改修に関する説明会が8月に開催され、参加しました。高校の建てかえ工事は令和10年度まで、妙正寺川整備事業は令和13年度までかかる予定とのことですが、その間における避難所について、周辺地域からの不安の声が聞かれます。この地域は水害、震災の両面で区内屈指の災害に弱い地域と考えます。中野工業高校建てかえ時において、避難所はどのようになるのでしょうか。地域防災会などに丁寧な説明をすべきと考えますが、見解を伺います。

 説明会では、高校の建てかえ後、現在の実習棟の跡地については東京都としては今後使用しない予定と聞きました。この地域は木造密集地域であることから、区としてこの土地を購入し、公園にしてほしいとの声も出たところです。ぜひ防災に資する公園や道路とすべきと考えますが、区としての将来的な展望を伺い、この項の質問を終わります。

 2番、児童虐待防止について。

 一つ目に、妊娠・出産・子育てトータルケア事業について伺います。

 子育て先進区であるならば、一番困難なところに光を当てる先進的な施策、すなわち児童虐待撲滅のための先進的な取り組みを行うことは最重要と考えます。そのことから、これまでも児童虐待が一番多いとされる産後直後の母親を支える事業の充実を求めてまいりました。核家族が多く、孤立しがちな現代においては、誰もが産後鬱や児童虐待に陥る可能性があることから、中野区の産後ケアについては、心配があると言った人は誰でも受けられるという制度設計になっています。他区では、まだまだ要支援、ハイリスク者に限定した施策となっており、この点が近隣区からもうらやまれています。さらに、家庭に入って母子をケアする専門家の派遣事業があるということも、虐待の芽を摘む最大の強みです。こうした他自治体に誇れる先進的な制度が中野区の産後ケアと考えますが、そのことを酒井区長自身がどのように認識されているのか、また、この事業の拡充についてどう考えられているのか、お考えをお示しください。

 トータルケア事業における多胎児の支援について伺います。

 多胎児支援では、虐待死の発生頻度が単胎児の家庭に比べ4倍にも上ると言われています。昨年1月の愛知県豊田市での三つ子の次男虐待死事件では、市の検証委員会が、多胎児支援の重要性が認識されていなかったと総括しました。事件後、市は、多胎児家庭には月1回保健師が訪問する体制をしき、対応を強化したそうです。これまで我が会派では、産後ケアの多胎児、未熟児、障害児の支援を拡充するよう提案し、時間延長などの拡充もされてきたところですが、多胎児についてはまだまだ支援が必要です。

 産後ケアを受ける際の移動にかかわる支援をするなど、多胎児支援の拡充をすべきと考えますが、見解を伺います。

 また、産後ケア事業は、まだまだ必要なところに届いていないという声が聞かれます。これまでも面接時の説明の強化を求め、期待しているところですが、産後ケア利用者アンケートは継続的に行っているのでしょうか。継続的に利用者の声を聞き、それをわかりやすく公表すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 次に、児童相談所設置準備について伺います。

 令和3年度からの児童相談所設置まで、あと1年4カ月となりました。現状、職員の育成・研修の状況はどうなっているのでしょうか。職員が研修や視察で最新の知見を学ぶことが非常に大事と考えます。毎年行われている虐待防止学会大会等への参加や、先進自治体の視察なども積極的に行うべきです。こうした職員の研修に一層力を入れるべきと思いますが、見解を伺います。

 この項の最後に、児童虐待の中で近年ふえている両親の面前DVなどの被害に対する対応について伺います。

 夫による妻へのDVにより、子どもが虐待され、妻が自立したくても、経済的な理由等で結局は夫と生活し、結果、深刻な事件に発展するケースがあります。母子を分離しない場合にはシェルターへの措置もありますが、施設という場所から普通の生活へ戻った際に失敗し、また同じような状態を繰り返すこともあります。先般、長崎県「こども・女性・障害者支援センター」を視察しました。ここでは、県の児童相談所がNPO法人に委託して、一時保護所等を退所した被害者に県が提供するステップハウスなど、住まいの確保や職探し、子どもの心理的ケアなど、自立支援を行っています。

 母親の自立支援を行いながら、母子ともに地域の中で住み続けられる切れ目ない支援のメニューや、再発防止の施策を整備しておくことは重要と考えますが、DV被害の母子に対する中野区の自立支援の現状と今後の施策を伺い、この項の質問を終わります。

 3番、地域包括ケアシステムについて。

 初めに、在宅介護におけるすき間の支援について伺います。

 地域包括ケアを進めるに当たり、家族が離職をせずに在宅介護を続けるには、サービスのすき間を埋める支援を充実させなければなりません。そこで、三つの角度から伺います。

 まず一つ目に、住宅の改修や福祉用具についてです。現状、がんや難病に罹患していて、住宅に手すりをつける必要があっても、65歳未満で重篤でない場合は介護認定が受けられず、自費で改修、購入せざるを得ません。渋谷区では、年齢や病気の条件なしで住まいの改修工事について助成制度があります。また、賃貸住宅は改修ができず困ることもありますが、福祉用具には賃貸住宅でも使用可能な突っ張り式の手すりがあり、こうしたものを活用して一定の支援ができると考えます。さらにシルバーカーや車椅子など、歩行補助のための福祉用具について、病状回復・維持のために、介護や障害の認定にかかわらずレンタルできるサービスを拡充すべきです。

 このような在宅介護のための住まいの環境整備について、区は具体的な考えを示し、介護保険法外の制度も構築すべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。

 二つ目に、介護保険制度の同一日の重複利用についてです。現行の制度では、同一日にショートステイとリハビリなどの保険サービスを重複して利用することができません。例えばショートステイでは、デイサービスで行うような催しやリハビリなどはほとんど展開されていません。家族のレスパイトケアのためにはショートステイ事業は重要ですが、本人にとっては自由が奪われるだけの退屈な時間となり、リハビリがないために筋力が著しく低下して戻ってきます。また、ショートステイから帰った日にリハビリサービス等を利用することはできないため、リハビリ空白期間がさらに長くなってしまい、家族にとってその後の介護に負担が生じることさえあります。

 家族のレスパイトケアと本人の楽しみ、体力維持を両立できる仕組みを早急に検討すべきと考えますが、見解をお伺いします。

 三つ目に、理美容サービスについて伺います。介護状態の高齢者にとって、理美容は重要なケアであると考えます。身なりをきれいにすることで、たとえ認知症を患っている人であっても、心が前向きになり、その効果は絶大です。今後の高齢化により需要も大きく伸びていくものと思われます。現在、中野区では独自事業として、環境衛生組合との協定により、組合員である理美容院の訪問サービスについて、出張・サービス費用4,500円のうち3,000円を区が負担し、利用者が1,500円を負担することで、要介護3以上の方への助成制度として実施しています。

 この訪問理美容制度については、各区によってさまざまです。杉並区では、要介護1以上の外出困難な方を対象として、訪問出張費3,000円のうち、利用者は所得に応じて無料から640円負担とし、残りを区が負担、施術代金は利用者が負担ですが、その店舗によって施術代金が異なってもよいということと、協定組合と加盟店舗が多いため、毎年、年間800から900件の利用がされているそうです。

 中野区では介護保険特別会計の特別給付費から予算どりをしていますが、本制度の実績はどのぐらいでしょうか。

 在宅ケアの重要なサービスとして、さらに利用しやすい制度への改善を検討してはいかがでしょうか。また、訪問型だけでなく、車椅子などでもサービスを受けられるバリアフリーの店舗がふえることも必要です。現在は選択肢が少なく、苦労されている方も多いと思います。要介護者対応型の理美容院をふやすための支援を創設することも重要と考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 以上、代表的な3点にわたりお聞きしましたが、このほかにも課題があり、在宅でみとるまで介護をする体制にはまだまだ制度のすき間があります。このような視点からも区の施策を検討すべきと考えますが、御見解を伺います。

 次に、障害者の地域包括ケアシステムについて伺います。

 障害者の支援のために、これまで区は四つのすこやか福祉センターの中に一つずつの障害者相談支援事業所を置いてきました。第3回定例会において、将来的にすこやか福祉センターを5カ所にとの方針が示されましたが、障害者相談支援事業所については、2021年に地球温暖化オフィスの施設跡に1カ所、2023年度開設予定の新たな鍋横区民活動センターの同施設内に1カ所ふやすという計画が出されています。そうなると、都合6カ所の障害者相談支援事業所が設置されるということになりますが、幾つまでふやす予定なのでしょうか。将来的に地域包括支援センターと併設して同数にされようとしているのでしょうか。

 現在ですら専門人材の確保が難しく、委託事業を請け負う法人が少ない障害者の事業所について、しっかりとした相談支援を行うためには、窓口業務を含めた現在のような事業所について、数だけふやすよりも、まずは基幹相談支援センターの機能強化を優先すべきと考えます。現状、障害福祉課が担っている基幹相談支援センターは、専門人材が特定の職員だけとなっており、後継者問題が課題となっていると感じます。

 地域の資源とも言える民間の障害福祉法人を最大限活用しつつ、基幹相談支援センターが国の法改正などに対応しながら、委託事業者に指示・助言を行い、総合的なかじ取りを行うことで、かえってサービスの質を高めることができるのではないでしょうか。財政的観点からも効率的な仕組みを検討すべきではないでしょうか。御見解を伺います。

 この項の最後に、子どもの地域包括ケアについて伺います。

 10月7日の子ども文教委員会では、概要、高齢者向けの取り組みの検証を踏まえつつ、子どもと子育て家庭を対象とした地域包括ケアシステムを構築すること。また、新たな児童館は職員によるアウトリーチ活動の拠点とすること。そして、中学校区ごとに地域での子育て支援活動の拠点として、新たな児童館を設置するとの考え方が報告されました。

 児童館の職員がアウトリーチにより見守りを行い、支援が必要な人を発見し、サービスにつなげていくということですが、これまでのすこやか福祉センターの地域子育て支援担当とのすみ分けや連携はどのようになるのでしょうか。あわせて、児童館のアウトリーチは何を目指すのかについて伺います。

 子どもの包括ケアは、高齢者等のそれと根本的に違い、個人のプランを立てるケアマネや支援員などがいません。年齢や障害の有無などに応じ支援期間がありますが、それぞれがどんなサービスをしているのかが見える化され、つながり合っていくことが重要と考えます。そのためのコーディネーターは誰なのかということがいまだ見えていません。それが児童館職員によるアウトリーチとなるのでしょうか。そうであれば、新たな児童館が設置されるまで、子どもの地域包括ケアは進むのかどうか疑問になりました。地域を知り、地域資源を育て、不足するすき間の施策を提案もできる力を持つ職員が最前線にいることで、子どもの地域包括ケアが進むと考えます。

 全ての子どもが家庭で地域で健やかな成長ができるよう、孤立を防いでいくことが重要です。改めて、子どもの地域包括ケアシステムはいつまでに、どのように構築される考えなのか伺って、この項の質問を終わります。

 最後に、4番、持続可能な開発のための教育(ESD)について伺います。

 AIの進化などにより、今の子どもたちが大人になるころには、今ある職業の半分はなくなるかもしれないという変化の速い時代にあって、昔とは違い、一方通行の読み書き知識を得るためだけの教育ではなく、どうしたら社会課題を解決できるのかという考える力や人に伝える表現力などが教育の中でも重要視される時代となりました。そして今、持続可能な世界をつくるための教育であるESDに注目と期待が寄せられています。

 私は、ESDの先進的な実践校である江東区八名川小学校の手島利夫元校長が出版した「学校発・ESDの学び」という本を読みました。ESDは、世界共通の持続可能な開発目標であるSDGsのつくり手、担い手を育てる教育とも言われていますが、このESDとは具体的にどんな教育なのでしょうか。伺います。

 また、中野区では初めて、中野本郷小学校が今年度から2年間、研究校として取り組んでいると聞きました。今後、中野本郷小学校での成果を広く周知すべきと考えますが、現在の取り組み状況についてお伺いいたします。

 平成29年から改訂となっている新学習指導要領には、新たに持続可能な社会のつくり手を育成するということが理念として盛り込まれたと聞いていますが、まずは教員側の取り組みが重要と考えます。例えば、分野の違う授業をつなげるのに効果的と言われるESDカレンダーというツールがあるとも聞いていますが、効果的なツールを活用し、先進的な事例にも学びながら、SDGsにつながっている課題や成果を見える化して取り組みを進めてはいかがでしょうか。

 今の子どもたちに私たちの地球を持続可能にする平和な社会を築いてもらうために、このESD教育を通し、教職員が一体となって人材育成に取り組んでいただくことを期待し、私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 甲田議員の御質問にお答えします。

 1点目、防災対策についての中で、緊急情報電話伝達についての御質問でございます。緊急情報電話伝達システム登録者数は、昨年の11月において207名の方が登録しておりまして、本年11月1日現在では211名でございます。

 次に、防災ラジオの研究結果と検討状況についてでございます。周波数280メガヘルツ帯のいわゆるポケベル波を使用したラジオの導入が他自治体でも散見されるのは認識しております。導入区では、障害者や区有施設などに限定して配布しており、運用効果としては、高層マンションや強風などにより防災行政無線が聞き取りにくい地域の補完ができる等の効果があるとのことでございます。経費は防災ラジオの配布個数で異なりますが、おおむね500基で5,000万円程度の初期費用と、年間600万程度の保守費用が必要となります。費用が高額になることから、他の情報発信ツールの活用も含め、引き続き研究してまいります。

 緊急情報電話伝達システムの登録者の拡大についての御質問です。緊急情報電話伝達システムにつきましては、地域防災会への着実な情報伝達を目的に、各防災会の代表者2名を登録対象としておりますが、文字を音声情報として伝達できるシステムであることから、視覚障害者の登録についても現在検討を進めているところでございます。あわせて、今後は地域の意見などを踏まえ、独居高齢者の希望者に対する登録拡大についても検討してまいります。

 次に、全ての人への情報伝達についての御質問です。高齢者、障害者などを含め、全ての区民が必要な防災情報を得られるよう情報伝達の重要性は認識しているところでございます。これまで文字や音声による情報発信ができるように、中野区防災情報メールシステムや緊急情報電話伝達システムなどのさまざまなツールを整備してまいりました。一方、視覚障害者などへの対応は今後の課題であると認識しております。今後さまざまな方々に対応し得る情報伝達ツールを検討してまいります。

 次に、福祉避難所の定義と中野区の福祉避難所の現状についてでございます。福祉避難所、いわゆる二次避難所は、あらかじめ定められた避難所に避難した高齢者、障害者、乳幼児親子などが避難所生活を続けることが困難となって、十分な救援・救護活動が実施できなくなった場合に開設する高齢者施設、障害者施設、児童施設等のことでございます。区の福祉避難所は15カ所の高齢者対象施設、7カ所の障害者対象施設、22カ所の乳幼児対象施設及び1カ所の病弱者対象施設となっておりまして、中野区防災ハンドブックなどにおいて周知に努めておりますが、避難所運営会議等を通じて、さらに普及に努めてまいります。

 次に、インクルーシブな避難所運営についてでございます。区では避難所運営に携わる職員や防災リーダーを対象に、避難所運営を考えるとして、男女共同参画センターと連携して講習会を年2回開催するなど、障害者や乳幼児といったいわゆる災害弱者の避難所への受け入れについて啓発を進めているところでございます。引き続き地域防災会などへの参加誘導も含めて、適切な避難所運営に向けた講習会の開催を検討してまいります。

 次に、避難ルーム、テントについてでございます。現在、各避難所には、母子の授乳用や更衣用として活用できる屋内用テントを2個配備しております。中野区赤十字奉仕団の各分団が所有する屋内用テントにつきましては、今後、災害時における避難所での利用など、中野区赤十字奉仕団と調整してまいりたいと思います。

 次に、母子避難所についてです。現在、妊産婦の福祉避難所は確保できていないため、区有施設等、場所の確保に向けて検討しているところでございます。助産師会とは今年度中に災害時における救護活動等についての協定が締結できるように準備を進めておりまして、妊産婦の福祉避難所の確保と並行して、母子避難所の開設手順やマニュアル化についても同助産師会などと調整してまいります。また、妊婦と乳児、母子のための防災ハンドブックについては、中野区防災ハンドブック改訂時に必要に応じて盛り込むことを検討したいと考えております。

 次に、中野工業高校の建てかえと野方一丁目から野方三丁目の避難所についてでございます。都立中野工業高校の避難所につきましては、現在、同校の体育館を指定しておりますが、同校の建てかえは、旧第六中学校跡地に仮校舎を建設後、現在の校舎跡地に新校舎及び新体育館を建設し、その後、現在の避難所である体育館を取り壊す予定と聞いております。したがって、都立中野工業高校の建てかえ時は現在の体育館を避難所として利用し、新体育館建設後に避難所を移動させる予定としておりますが、今後こうした状況について、地域防災会などに丁寧に説明してまいります。

 実習棟の跡地利用についての御質問です。実習棟の跡地には、河川に沿って幅員4メートルの河川管理用通路の整備を東京都が実施する予定でございます。その他の跡地利用につきましては、東京都と協議を進め、公園等を含め最適な利用方法を検討したいと考えております。

 次に、児童虐待防止についてでございます。中野区の産後ケア事業への認識及び拡充の考えです。産後ケア事業は、家族等からの十分な援助が受けられない方が安心して育児ができるよう支援することを目的として実施しておりまして、産後鬱や虐待の予防的な取り組みとなっていると認識しているところでございます。今後もサービス事業所数の拡大など、必要な事業について拡充を図ってまいります。

 次に、多胎児への移動支援でございます。多胎児家庭における育児の困難感や支援の必要性は十分認識しており、利用回数や時間数の拡充を行っているところでございます。今後、産後ケアを受ける際の移動支援について、適切な支援方法を検討してまいりたいと考えております。

 次に、産後ケア事業の周知についてでございます。妊娠中期・後期の方へ、出産を迎えるに当たりさまざまな不安解消のサポートをするため、かんがるー面接において、今年度作成したかんがるーブックを活用して、利用できる産後ケアサービスや参加できる事業の説明をしております。産後ケア事業の内容をより具体的に知っていただくために、アンケート結果や利用者の声を紹介するなど、周知方法をさらに検討してまいります。

 次に、児童相談所設置に向けた職員の研修についてでございます。区はこれまでも職員の育成、研修に力を入れてきておりまして、今年度も先進自治体視察を行うとともに、日本子ども虐待防止学会の大会への参加も予定しております。また、今年度から虐待対応専門員として警視庁OBを、法的対応専門員として弁護士を配置し、研修やOJTを通して専門的なスキルの向上を図ってきたところでございます。今後は、さらなる専門性強化のため、医療機関との連携などについても取り組んでまいります。

 次に、DV被害母子に対する区の自立支援についてです。DV被害を受けた母子への支援につきましては、婦人相談員、母子・父子自立支援員、子ども家庭支援センター、警察、児童相談所等、関係機関が連携し対応しているところでございます。母子生活支援施設では、当事者が置かれている生活や心身の状況の把握に努め、当事者の意向も踏まえながら、就労支援、子どもの学習指導、進路相談、養育等の相談・助言、心理カウンセリング等を行い、自立に向けた支援を行っているところでございます。また、母子生活支援施設を特別区の間で広域に活用する仕組みの検討も進めているところでございまして、今後とも、親子ともに安心して自立した生活を送ることができるよう支援を進めてまいります。

 次に、地域包括ケアシステムについての要介護認定前の住宅改修や福祉用具の助成についてでございます。認定前のサービスにつきましては、現行のサービスや制度の枠を超えて取り組む必要がありまして、ニーズの把握方法や、それを支える制度の構築が課題であると認識しております。

 介護保険における同一日の重複利用についてでございます。御指摘のように、現行の介護保険制度では、短期入所療養介護サービスと訪問や通所のリハビリテーションサービスの同一日の利用は認められておりません。家族のレスパイトと本人の楽しみや体力の維持を両立できる仕組みの構築は、現行の制度設計上簡単なものではございませんが、そうした視点も大事にしていきたいと考えております。

 次に、理美容サービスについての御質問です。昨年度の実績につきましては114件、30万7,800円でございました。平成30年度には利用対象者を要介護4以上から要介護3以上に広げ、平成31年度からは利用者自己負担額を下げるなど改善を図ってきたところでございます。今年度はその効果で、既に現時点で昨年度の年間実績を上回ってきております。今後も引き続き利用しやすいサービスの提供に努めてまいりたいと考えております。

 理美容店へのバリアフリー支援についてでございます。理美容店に限らず、中小企業に対する店舗改修費用の助成制度が区にはございます。バリアフリー化を支援しているところでございます。

 次に、制度のすき間についてでございます。今後、地域包括ケアシステムを推進していく中で、地域ケア会議などを通じて高齢者や介護者のニーズを把握し、安心して在宅生活を送るために必要とされるサービスの開発に努めてまいりたいと考えております。

 次に、障害者相談支援事業についてでございます。障害者支援相談事業所のあり方につきましては、その備えるべき機能や配置数なども含めて、現在検討しているところでございまして、基本計画において明らかにする予定でございます。今後、基本的な考え方を取りまとめたところで、議会にもお示しさせていただきたいと考えております。

 児童館のアウトリーチについてでございます。児童館のアウトリーチは、地域の子ども施設において支援が必要な子どもや子育て家庭を把握し、すこやか福祉センターと連携しながら継続的な支援、見守りを行うことを想定しております。また、キッズ・プラザや学童クラブ等の委託事業者に子育てに関する支援や援助を行い、質の確保や向上を図ることも児童館におけるアウトリーチの役割の一つと考えております。日常的に身近な場所で支援が必要な子どもや子育て家庭を早期に発見し、関係機関につなぐことで、課題の未然防止、早期対応の実現を図ることを目指してまいります。

 最後に、子どもの地域包括ケアの構築時期についてでございます。子どもと子育て家庭、障害者などを含む全区民を対象とした地域包括ケアシステムにつきましては、令和3年までに(仮称)地域包括ケア総合計画を策定することを目指して検討を進めているところでございます。総合計画の策定を見据えて、(仮称)総合子どもセンターや、新たな児童館の役割並びに子どもと子育て家庭を取り巻くネットワーク体制などの検討を進めて、地域包括ケアシステムの中核となる相談支援体制の再整備をしていく考えでございます。また、こうした相談支援体制を十分に機能させるためには、地域に精通し、地域資源の発掘、育成、活用を推進するとともに、地域の声を区の施策に反映させる役割が重要であると考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、持続可能な開発のための教育(ESD)についての御質問にお答えいたします。

 まず、ESD(持続可能な開発のための教育)は、環境問題や人権問題などの現代社会のさまざまな問題をみずから考え、行動を起こす学習や取り組みを通して、子どもたちを持続可能な社会をつくる担い手として育成する教育でございます。

 次に、研究校である中野本郷小学校の研究の状況についてでございますが、生活科や社会科、総合的な学習の時間の学習において、地域の人とかかわりながら、学校敷地内のグリーンガーデンを活用した環境教育を中心に実践しており、子どもたちみずからが社会に参画しようとする資質や能力の基礎を養う研究をしているところでございます。

 最後に、SDGsにつながる課題や成果を見える化する取り組みについての御質問でございますが、持続可能な開発目標であるSDGsを実現するために必要なESDの推進は、新しい学習指導要領全体を通しての基盤となる理念であり、教員の意識的な指導がなければ、その目指すところを児童・生徒に伝えることは難しいと考えております。小・中学校新学習指導要領の全面実施に合わせ、ESDの考え方を各校の教育課程に位置付けるとともに、その課題や期待する成果を年間指導計画等に明らかにし、組織的・計画的に実施していくことができるよう指導・助言をしてまいります。

○副議長(平山英明) 以上で甲田ゆり子議員の質問は終わります。

 議事の都合により暫時休憩いたします。

午後3時16分休憩

 

午後3時35分開議

○議長(高橋かずちか) 会議を再開いたします。

 この際申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 い さ 哲 郎

 1 防災の備えについて

 2 学校教育について

 3 介護保険事業について

 4 旧中野刑務所正門について

 5 再開発と地域の住環境について

 6 その他

 

○議長(高橋かずちか) いさ哲郎議員。

〔いさ哲郎議員登壇〕

○19番(いさ哲郎) 2019年第4回定例区議会において、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。

 質問に当たり、台風15号・19号で被害に遭われた皆さんにお見舞い申し上げます。

 まず、防災の備えについて伺います。

 中野区では、台風19号上陸に当たって、前日の10月11日(金曜日)の夕方、気象庁から大雨・強風・雷注意報が発表されたタイミングで夜間休日対応の職員へ連絡を行い、区民活動センターにおける一時避難の準備を開始しています。この台風で区民活動センターへ自主避難された方は320名で、各区民活動センターへおかゆ、水、毛布を50セット配布したと聞いています。他の自治体では、一次避難所への食料の提供などで混乱があったとのニュースもあり、この中野区の対応は評価に値すると考えます。配布については、地域の防災倉庫から車両にて運搬したとのことで、風雨の中、大変な苦労をされたことと思います。今後も同様の対応をする想定であるなら、あらかじめ区民活動センターに食料等を備蓄することも検討が必要ではないでしょうか。伺います。

 中野区から避難情報の発信については、既に防災担当より19号上陸時に中野区ホームページが閲覧できない状況が生まれたことを聞いています。この原因は、東京都セキュリティクラウドへアクセスが集中したためとのことでした。これを回避するため別経路を検討するとのことですが、そうなると今度は、災害時、区役所内に設置されたネットワーク機器がアクセス集中によりダウンすることはないのか懸念が生じます。こういった可能性の検討がされているのか伺います。災害時を想定した機器の増強も検討すべきです。あわせてお答えください。

 場合によっては、地域で事業者が運用するネットワークが物理的なダメージをこうむることもあり得ます。中野区では、地域限定で高速無線通信を行う地域BWA(広帯域移動無線アクセス)を使ったネットワーク環境の整備について、昨年、事業者と契約し協定を交わしています。地域BWAは、災害時のネットワークインフラ確保はもちろん、日常的にも活用が見込めるものと認識しています。区は、この地域BWAの活用についてどのような検討をしているのでしょうか。

 災害時、行政としてどんな情報をどのように提供するかの見直しも必要です。世田谷区では、区ホームページに「災害時の情報収集」というページを設け、雨量や水位、被災時の問い合わせ先、高所カメラ、防災アプリのリンク先など、災害時に必要な情報を1ページに一括して掲載しています。翻って中野区の場合は、「中野区 防災」というキーワードで検索すると、複数の防災関連情報のページが出てきて、どこに欲しい情報があるのか、開いてみないとわからない状況です。世田谷区のようなホームページの構成の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。また、その際、PDFファイルのリンクを張るのでなく、軽量の画像を直接添付するなどで、あえてリンク先に飛ばなくても、そのページで確認できるというレイアウト方法もあるかと思います。災害時にはネットワーク接続が重くなりがちです。アクセシビリティの観点からも、この検討をあわせて伺います。

 長野県では、台風19号での水害発生時に、ツイッターによる県民からの救援要請を見つけ、50件の救助につなげたとのニュースがありました。SNS、とりわけツイッターは、即時性という点から災害時に活用すべきツールとして位置付ける必要があると考えます。中野区では、台風19号上陸の際には、防災担当と広報担当が協力してツイッターの問い合わせ対応をしたと聞きました。兼任であるとか、ついでの業務と考えるのでなく、しっかりと位置付けて災害時の専任者を置くべきと考えます。また、災害時専用のツイッターアカウントを作成し、情報の発信とともに区民からの問い合わせや救援要請に応えていく体制を整えるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 今お聞きした対策はネットありきの話です。ネットワークが生活インフラとして定着し始めた一方、デジタル機器を使えない、持っていないという高齢者や障害者などでデジタルディバイドが命の問題になりかねません。防災無線の放送が聞こえないという声はどの地域でも聞きます。会派でこれまで求めてきたポケットベル電波を利用した防災システムや、地域防災FMなども引き続き検討を要望いたします。災害時に命にかかわる情報が区民にあまねく行き渡るよう、必要な予算措置も講じながら取り組みを強化することを求めて、この項の質問を終えます。

 次に、学校教育について伺います。

 桃園第二小学校と中野本郷小学校の校舎建てかえについては、現地建てかえとするか、他地域の仮校舎を使うかがテーマとなっています。仮校舎の場合は、桃園第二小は上高田小、中野本郷小は旧向台小と、どちらもこれから他校と統合し廃校になる予定の学校を仮校舎とし、学区域を大きく超えて通学路が長くなることが問題とされてきました。この場合、どちらも通学するのに大人の足で20分以上かかる地域もあり、児童にとっては通学そのものが大きな負担となります。

 最初に、桃園第二小の建てかえについてお聞きします。

 11月4日に行われた桃園第二小の意見交換会では、参加された50名近い方から多くの意見が出されました。資料を見る限り、上高田小での仮校舎ありきに見える、通学路として想定されるもみじ山通りは、補助220号線の整備工事でさらに車の往来がふえ、安全確保が難しいのではないか、学校は地域の核であり、これだけの疑問が出ていることを無視すれば区の信頼はなくなる、などです。上高田小はあり得ないとの意見が多数を占める中、旧九中での仮校舎の再検討や、昭和区民活動センター建てかえエリアも含めての検討をとの御意見については、上高田小を仮校舎とする計画にかわる現実的な代案として再検討の余地はないのでしょうか。また、桃園第二小での現地建てかえについてはいかがでしょうか。伺います。

 小学校の建てかえのようなテーマでは、こうした保護者や地域の願いに真摯に応えることが求められていることを強調しておきます。

 次に、中野本郷小の建てかえについてお聞きします。

 本郷小区域にお住まいの未就学児の父母の方から聞き取った内容ですが、越境して桃花小への入学も選択肢として提案されたが、桃花小はもともと児童が多く、転校するにも不安がある、かつ、一度桃花小を選択したら、新校舎完成後の中野本郷小へは転校できないと言われた、こういう訴えです。学区域を超えて遠い距離に通学させるか、本郷小には転校できない前提で桃花小へ入学させるか、難しい判断を迫られています。この父母の方は、仕事が多忙で意見交換会には参加できていません。2回開催された意見交換会について、どちらも条件的に厳しかったという方は、ほかにもいるのではないでしょうか。特に情報が行き届いていない未就学児の父母を取りこぼさないためにも、意見聴取の機会をさらにふやすことが必要です。不安を取り除く丁寧な対応が求められていると考えますが、いかがでしょうか。

 上高田小・新井小の統廃合計画が示された後、廃校となる上高田小を避け、近隣校である白桜小や谷戸小を選ぶ児童がふえたということは、これまでの議会でも委員会でも取り上げられてきました。今回の桃園第二小学校の校舎建てかえで、さらにこの近隣2校で児童がふえることは当然考えられます。本郷小でも事情は同じで、先ほど紹介した父母の例のように桃花小への転校や、新入学の際に初めから桃花小を選ぶという父母がふえることは想定されてしかるべきです。

 その桃花小はというと、今から10年前に桃三小、仲町小、桃丘小の三つの学校が統合された学校で、現年度で児童数が700人に迫る区内で3番目に児童が多いマンモス校です。この桃花小でさらに児童がふえるとなると、今でも教室不足が起きているという状況で、先々深刻な事態が懸念されます。第3回定例会での質問で取り上げたとおり、桃花小では学童クラブもいっぱいです。これまで推進してきた学校統廃合の影響がこういうところに出てきています。20年先の人口減少に今から備えるとなると、この20年の間の子どもはどうなるのか。区の子育て施策の基本姿勢の一つが、今の子どもを大切にするということです。このそごを来しかねません。改めて、中野区が行ってきた小・中学校の統廃合について、学区域と学校の配置の関係、地域とのかかわりなど、区民生活や子どもへの影響を軸に、振り返って検証する時期に来ているのではないでしょうか。伺って、この項の質問を終えます。

 次に、介護保険事業についてお聞きします。

 来年度、介護保険法改定が狙われています。この改定で厚労省は、給付と負担の見直しの検討項目として、要介護1・2、軽度者の生活援助サービスやケアプランの作成費用など8項目を盛り込みました。要介護1・2の人の生活援助サービスについては、介護保険給付から、市町村の裁量で実施する総合事業に移すとしています。この要介護1・2の介護外しについて、区内ヘルパーさんからは「家事支援しているから在宅生活が維持できている。1人でお風呂に入るのは難しい人、身体の状況から食事や掃除などができない人はどうするのか」との懸念のお話をいただきました。また、ある区民の方は「父が要支援から要介護1になり、車椅子レンタル代が安くなり電動ベッドも借りられてよかった。料金が上がると、また家計を切り詰めなければいけない」と心配の声がありました。この法改定をめぐり、事業者、利用者とも不安が広がっています。

 お聞きします。中野区では、要介護度1・2の人は何人いるでしょうか。要介護認定者全体の中で、要介護1・2の割合はどれくらいになるでしょうか。

 全国老人福祉問題研究会は、来年に予定されているこの介護保険法改定についてのアピール文の中で、そもそも要介護1・2は軽度者ではないと指摘しています。「介護認定審査会委員テキスト2009改訂版」では、要介護度判定基準において、「認知症自立度Ⅱ以上であること、認知機能や思考、感情等の障害により十分な説明を行ってもなお、予防給付の利用に係る適切な理解が困難である状態」または「疾病や外傷等により、心身の状態が安定していない状態」のみを要介護1と判定することとされ、やはり軽度者としては扱っていません。この要介護1・2で介護給付が外れ、サービスが低下するならば、介護度が重くなっていくことが懸念されます。万が一、法改定の方向で要介護1・2が介護保険から外れ総合事業へと移行した場合でも、重度化を防ぐため同等のサービスが保障されなければいけないと考えます。この点について区の認識を伺います。

 過去には、2015年の介護保険法改定で、要支援1・2の予防給付を総合事業へと移行していますが、この移行期間終了後に自治体の指定を更新しない事業所が相次ぎました。単価が安く人材が集まらない。結局それまで介護事業を行っていた事業者が安く請け負うこととなったが、継続が難しいなど、財政的支援の途切れがそのまま事業に反映した様相が見てとれます。このたびの要介護1・2の介護外しで同じ轍を踏まないためにも、介護事業者を守り、支援策を拡充させていく必要があります。

 現在、中野区は介護職員初任者研修の受験費用一部助成など事業者支援メニューを用意していますが、これで十分とせず、さらなる支援策を検討すべきです。中野区介護サービス事業所連絡会が本年6月に行った事業所アンケートから、介護職員の人材不足、とりわけ若い世代の不足が見てとれます。他自治体では、資格取得のための助成金の拡充や、介護事業所の離職率を下げる取り組みなど、さまざまな独自施策を持っているところがあります。こういった他の自治体の施策を参考にしながら、中野区でもさらなる事業者支援策の拡充、特に介護職員の人材確保につながる支援策を検討すべきと考えます。この点についてはいかがでしょうか。

 この間の中野区の介護保険事業において、第7期では、基金26億円のうち12億円の取り崩しが行われる方針が示されましたが、1年目、結局取り崩しをせず、この先、この方針がどうなっていくのか懸念があります。また、介護保険料基準額の見込みについても一層の正確さが求められます。医療費、教育費など生活費全般の上昇、賃金の抑制、経済状況の悪化など、国民生活が日々厳しさを増している情勢です。介護が必要な高齢者やその家族にはより一層の経済的な厳しさがあります。介護保険事業8期に向かって、高齢福祉・介護保険意向調査の項目に、高齢者・利用者・ケアマネそれぞれの保険料、利用料の負担の懸念について項目を設ける必要があると考えます。行政が、本来の役割である区民福祉の充実のための力を発揮することが今こそ求められています。介護保険料を少しでも下げるため、あらゆる努力をすべきです。伺って、この項の質問を終えます。

 次に、旧中野刑務所正門について伺います。

 大正4年に建てられた旧中野刑務所正門は、日本の建築史においても大変に高い価値を持つ建築物とされています。昭和58年に刑務所が解体された際にも、日本建築学会等からの要望も受けて現在まで保存されています。区内平和施設の一つにもなっており、また、教育委員会発行の「中野を語る建物たち」にも掲載され、れんがづくり建築として最も成熟した遺構との評も寄せられています。旧中野刑務所正門は、文化財が少ない中野区の得がたい文化資産であると考えます。文化の推進を掲げる中野区としては、この保存について真摯に取り組むべきとの立場から質問いたします。

 最初にお聞きします。旧中野刑務所正門の文化的価値について、中野区はどのような認識でしょうか。

 ことし11月の区民委員会では、新たに門の移設の可能性について、専門家に依頼した調査の結果が報告されました。門の全体を持ち上げ移設する曳家という方法について、技術的には可能であるとの結論とともに、工期に5年、費用はおよそ5億円かかるとのことでした。この調査により、建築当時より地盤面が60センチ上がっていることなど、新たにわかったこともありました。報告資料には、文化財の価値として真正性、オーセンティシティーという観点から、現地保存が望ましいとの指摘とともに、建築当時の姿に戻す必要性についても記述がありました。そして、現地保存であったとしても、建築当時の姿をできるだけ取り戻すために、埋まっている地面から一度引き上げ、地盤を固めた後に門を戻す揚家が必要であるとも記述されています。この建築当時の地盤面に戻すという手法は、文化財として保存するために一般的に必要な前提なのか、それとも、この事業者の独自の判断であるのかどちらでしょうか。伺います。

 続けてお聞きします。もし仮に地盤面を建設当時の高さに戻すことが文化財の価値としての前提だったとしても、その方法は揚家だけではないはずです。私はこの11月の区民委員会にて、門の周辺を掘削し、建築当時の地盤面とする方法についてただしました。その場合には、他に比べ低地になることから、雨水の流入などの対策として排水設備を新たに設けなければいけないとの答弁がありました。しかし、この掘削と排水設備の設置という方法については今回は調査されておらず、したがって、その工期や費用など示されていません。門の現地保存について、この方法も急ぎ調査し、議論のための材料をそろえるべきです。区の見解を伺います。

 区民委員会に示された調査資料では、門と学校との共存についても記述がありました。しかし、門の議論においては、その当初から旧中野刑務所正門と平和の森小学校の共存がテーマの一つとなっていました。校舎の配置をどうするのか、門の公開はどうすべきなのかといった議論の中で、区は、まちづくりの計画のあった隣接する国有地を新たに学校用地として充当するという計画も示しながら、専門家も交えて学校施設との共存を図る努力をしてきたものと認識しています。文化施設も学校も、どちらもが地域の皆さんにとっても、区にとっても重要です。改めて校舎の配置の見直しも排除せず、文化財の専門家にも加わってもらいながら、どちらも生かす最善の策を検討すべきです。伺います。学校施設の移転を考えれば、時間のゆとりはありません。他方、貴重な文化財を損ねるようなことがあってはならないということも強調しておきます。

 次に、再開発と地域の住環境について伺います。

 最初に、中野三丁目地域における工事について。

 この地域の商店の皆さんからは、再開発完了までの間の商店街のにぎわいについて心配する声が聞こえてきます。特にJRの路線に近い地域では、工事に伴う騒音、景観の悪化、工事車両の通行など、商店街の活気への影響が懸念されています。

 伺います。区は、こういった商店の皆さんの声に対し、どのように対応していくのでしょうか。また、隣接する住宅街への工事車両の進入を防ぎ、歩行者の安全をどう確保するのかについてもあわせてお聞きします。

 再開発工事の完了後についてもお聞きします。再開発による商業施設建設と道路の拡幅・新設によって車両の通行が増加することは明らかです。隣接する住宅街への車両の往来を抑制する措置が必要と考えます。近隣に住む皆さんの安全と静謐な住環境を守る具体的な取り組みはあるでしょうか。伺います。

 次に、中野二丁目地域について伺います。

 この地域は、公社住宅跡地の再開発により、120メートル、145メートルと、100メートル超えのビルが2棟建設され、その東側に大久保通りに向かって南北に幅13メートルの道路が新設される計画となっています。現在この地域には、中野南口ファミリーロード商店街へと接続する東西方向の道路があり、朝晩だけでなく、一日通じて少なくない人の流れがあります。新設される予定の13メートル道路とは直角に交差し、通行する車両と歩行者との交錯の危険が懸念されます。この交差点には信号機を設置するなどの対策が必要になるのではないでしょうか。警察との協議などは行っているでしょうか。伺います。

 次に、中野四丁目、特に新北口西エリア周辺についてお聞きします。この地域では165メートルのマンション建設計画が明らかとなり、住環境に大きな影響があることから、近隣の皆さんの中で話題になっていました。最初に伺います。この建設について、その計画用地には地権者はどれだけおり、うち、準備組合に加入したのはどれだけでしょうか。また、世帯数はどれだけになるでしょうか。

 先日行われた区役所建てかえの地域への説明会では、参加された地域にお住まいの皆さんからは厳しい御意見が相次ぎ、近隣に建設予定の二つのマンションについての質問が集中しました。一つは、先ほど述べた新北口西エリアの165メートルのマンション、もう一つは体育館の近隣で建設計画のあるマンションについてです。新区役所新庁舎は、その2棟の大きなマンションに挟まれる格好となり、この立地を考慮しないまま、新区役所の1棟分だけで日影や風害の説明をされても全く意味がない、こういう御指摘もありました。区役所新庁舎についての説明会であったものの、より大きな影響のある建物の計画について何も話されないことが、近隣住民の皆さんの思いとは相入れなかったということだと思っています。

 伺います。区は、議会でも報告されている近隣マンションの建設計画などについて、説明会に参加された近隣住民の皆さんにその場で情報を提供すべきだったのではないでしょうか。

 中野四丁目にお住まいの皆さんは、サンプラザ建てかえで大きく住環境が変わることを余儀なくされています。その上、地域に大きなマンションがさらに2棟建設され、住環境が大きく変わることが懸念されるとなれば、心配するのも当然です。そもそも、この2棟のマンション建設は最近までほとんど情報がなく、隠されてきました。これが区民の皆さんの中に、結論ありき・住民置き去りという懸念を大きくしていることは改めて指摘しておかなければいけません。

 これまで区が、組合施行を理由に情報を出さずに来たことは否定まではできません。しかし、新北口西エリアの165メートルマンションには駅からのペデストリアンデッキが続くことや、2,000台分の公共自転車駐輪場の計画があるなど、区の関与なしにできるものではなく、情報の透明性の観点から疑問が残ります。住民参加を後回しにするまちづくりはあつれきを生みます。インバウンドよりも住環境に力を入れてほしいという地域住民の皆さん、区民の皆さんの声は少なくありません。この声にどう応えていくのか、中野区の姿勢が問われています。伺います。

 6番、その他のところで、図書館についてお聞きいたします。

 図書館については、今後の図書館サービスのあり方検討会がこれまで4回開催され、図書館はどうあるべきか、地域の意向なども酌み取る努力が行われてきました。この検討会にて、地域開放型図書館について見直しの声が相次いでいたとのことです。児童の安全、学校のセキュリティ上の懸念、学校本来の機能上の懸念、これまで地域開放型の議論が地域図書館の統廃合とセットで行われてきたこと、そもそも地域住民の側から地域開放型をつくってほしいというような声はないなどの御意見があったと聞いています。

 お聞きします。区は、こういった検討会での意見を踏まえ、その方向に沿って新たな方針をつくっていくべきではないでしょうか。

 この検討会では、地域図書館の価値についても多くの意見が出されています。図書館は地域の居場所でもあるのだから、近くにあることが大切だ。本町図書館が廃止となると、新しい図書館では保育園児や障害者にとっては遠い、地域図書館を図書館空白地域である大和町や鍋横に新たに設けるのはどうかなど、さまざまな御意見が出されました。いずれも地域図書館の価値、有用性について指摘しており、地域住民の皆さんの思いがはっきりあらわれています。区は検討会でのこの御意見を受け、地域図書館のあり方についても再検討すべきです。伺います。

 この検討会のまとめ資料の中には、学校図書館と区立図書館の連携のため、協議会のようなものを設置したらどうかとの意見もありました。現在は、指定管理者による利用者懇談会が区民の意見を聞く場となっています。しかしながら、利用者懇談会への区民参加は少ないと聞いています。過去には中野区は図書館運営協議会を行っていました。みずからの区の事例ですから、これも大いに参考にしながら、この利用者懇談会をより区民の意向を反映し、中野区の文化を推進し、図書館の活用に資する会議体へと引き上げることを検討してはいかがでしょうか。

 以上で全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) いさ議員の御質問にお答えします。

 最初に、防災の備えについての区民活動センターでの備蓄保管についてでございます。地域防災計画では、一次避難所への備蓄は計画していないため、今回は一次避難所開設後に備蓄倉庫から毛布、食料、水を搬送し、希望する避難者に配布したところでございます。今後、一次避難所への毛布、食料、水の備蓄を検討してまいります。

 次に、災害時のネット環境についての御質問です。台風19号の接近時につきましては、区のホームページにアクセスする際に、経由する東京都のセキュリティクラウドのシステム障害により、区のホームページもつながりにくい状況となりましたが、今後は災害が予想される場合には、一時的に東京都のセキュリティクラウドを迂回するなどの対策を検討しているところでございます。あわせて、区のホームページへのアクセス集中にたえられるよう、サーバーを増強するなどの対策について考えているところでございます。

 次に、地域BWA等の通信システムについてでございます。地域BWAにつきましては、平成30年3月8日に、区とJASPAS株式会社との間で地域BWAシステムの整備及び公共サービスに関する協定を締結し、大規模災害の発生時における通信手段として、地域BWAを活用した通信システム、情報通信端末の提供を事業者から受けることになっておりまして、現在、災害時における避難所での情報収集手段等への活用を検討しているところでございます。

 次に、ホームページ上の防災情報の閲覧方法の改善についての御質問でございます。区のホームページ上から防災情報を閲覧する場合、気象情報や河川情報のコンテンツ、ハザードマップ、避難所などの必要性の高い情報が探しづらいとの指摘が一部あることは認識しております。今後、ホームページ上の防災情報の構成を含めて改善してまいります。

 次に、ハザードマップの画像添付についてでございます。アクセスの集中による通信障害の発生など、災害時におけるインターネット等の状況を踏まえて、区が提供するデータは可能な限り軽くすることが望ましいと考えております。今後提供する素材やデータ形式なども含め、閲覧しやすい情報提供を検討してまいります。

 次に、災害時のSNSによる積極的な情報発信についてのお尋ねです。台風19号の接近時には、ツイッターやフェイスブックでハザードマップの画像や、区内河川水位をはじめとした防災気象情報のリンク先などを、災害対策本部の報道班である広聴・広報課職員が随時発信するとともに、SNS上の情報を確認したところでございます。中野区公式ツイッターのフォロワーが約8,700、公式フェイスブックのフォロワーが約4,000であることから、災害などの緊急時においても、現在の公式SNSを利用して情報発信することが、情報の拡散が期待できて有効であると考えております。今後もツイッターやフェイスブックの特性や利用対象を踏まえつつ、SNSによる適時適切な情報発信と情報確認に努めてまいります。

 続きまして、旧中野刑務所正門についての御質問にお答えします。まず、区の旧中野刑務所正門の文化財的価値に係る認識についてでございます。昨年9月、学識者3名に対し、旧中野刑務所正門の文化財的価値等について意見聴取を行い、翌10月の第3回定例会で結果報告をしたところでございます。当該報告において、意匠面、技術面、歴史的価値、学術的価値などの面についての学識者の意見から、旧中野刑務所正門については、文化財的価値はあるものと認識しております。

 次に、現地保存の場合の手法についてでございます。今回実施した学術調査において、旧中野刑務所正門の地盤面の高さについては、創建時よりも高くなっていることが初めてわかりました。文化財としての真正性を保つためには、当時の地盤面に戻すという方法もございます。しかし、創建時から現在までのどの時代の状態で文化財を保存するかはそれぞれの文化財によるものであって、一律的なものではないと考えております。

 他の現地保存の工法に係る議論についてでございます。旧中野刑務所正門の保存に関しては、保存と活用の面からどの工法が適切かを検討し、議論することになると考えております。

 最後に、学校と門の共存に係る最善案の検討についてでございます。旧中野刑務所正門の保存につきましては、旧法務省矯正管区敷地内における平和の森小学校との共存が前提でございます。門の保存につきましては、文化財的価値や文化財としての保存・活用だけでなく、学校運営に大きな影響があることから、教育委員会へ意見聴取を行い、その意見を考慮し、区として方針を決定してまいります。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、学校教育についての項にお答えいたします。

 まず、桃園第二小学校の改築手法についてでございますが、引き続き検討を行うこととしております。その中で昭和区民活動センターの土地を利用した場合の仮設校舎の配置や、小学校舎と昭和区民活動センターとの一体的な改築についても、あわせて検討してまいります。

 次に、中野本郷小学校の保護者への説明、対応についてでございますが、学校改築に関する意見交換会は、小学校在校生全員の保護者宛てに開催案内を配布したほか、学区内全ての保育園、幼稚園にも開催案内を掲示し、周知を図ったところでございます。意見交換会の資料は区ホームページにも掲載いたしました。未就学児の保護者からも電話やメールによる意見もいただいているところでございます。今後も丁寧に保護者や地域関係者から御意見を聞いてまいります。

 次に、小・中学校の学校再編の検証についてお答えいたします。これからの学校運営に当たっては、地域と連携をさらに深め、地域が学校運営の一翼を担うことも必要であると認識しております。こうしたことから、特に通学区域について、子どもの安全性という側面に加え、いかに地域と連携していくかということも含め、検証していくべきものと考えております。

 続きまして、その他の図書館についてお答えいたします。

 まず、地域開放型学校図書館についてでございますが、今後の図書館サービスのあり方検討会では、児童の安全への配慮や学校図書館の運営との関係、授業への影響などについて御意見をいただいたところでございます。今後、いただいた御意見を参考に検討を進めてまいります。

 次に、地域図書館の価値、有効性についてお答えいたします。図書館全体の施設配置やサービス網のあり方については、情報通信技術の進展など、社会状況の変化や区民ニーズの変化などを踏まえて検討していく必要があると考えております。検討会の意見も踏まえ、区の方針を定めてまいりたいと存じます。

 最後に、図書館運営協議会についてお答えいたします。区立図書館では、現在、全館において利用者懇談会を開催し、利用者の声を聞く機会とするとともに、利用者アンケートを実施しているほか、図書館の管理運営を行う指定管理者が第三者評価を受けることで、運営の改善や事業の見直しの機会としているところでございます。今後も利用者懇談会をはじめ、さまざまな機会を捉えて区民、利用者のニーズを把握し、運営の改善に努めてまいります。

〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、介護保険事業についてお答えいたします。

 まず、要介護1・2の人数と割合の実績についてです。先月の令和元年10月実績で、要介護1が2,338人、要介護2が2,032人であり、合わせて4,370人となっておりました。要介護1から5全体に占める割合は、50.6%となっております。

 次に、要介護1・2の総合事業への移行についてです。厚生労働省の社会保障審議会の中で、要介護1・2の利用者を対象とする訪問介護と通所介護を総合事業へ移すことが取り上げられたことにつきましては、承知しております。区といたしましては、今後の議論や国の動向に注視していきたいと考えております。

 次に、介護人材支援の拡充についてです。介護人材には、確保、定着、育成といったさまざまなアプローチがあり、研修の費用助成といった定着、育成だけでなく、認定ヘルパー養成研修など独自の人材育成確保策にも取り組みを広げているところでございます。他区の事例なども参考にしながら、さまざまな手法について研究してまいりたいと思っております。

 最後に、介護保険料を下げる努力についてでございます。介護保険料基準額を下げるには、準備基金の取り崩しのほか、所得の高い方の保険料率を上げるなどの応能負担をより進める方法がございます。第7期介護保険事業計画におきましては、準備基金の投入や保険料率の見直しにより、保険料基準額を月額400円程度下げております。第8期計画におきましても同様の取り組みを進めてまいる予定でございます。

〔中野駅周辺まちづくり担当部長豊川士朗登壇〕

○中野駅周辺まちづくり担当部長(豊川士朗) 私からは、再開発と地域の住環境についてお答えいたします。

 まず、中野三丁目土地区画整理事業の工事中及び完了後における周辺環境への配慮についてでございます。工事に当たりましては、施行者であるUR都市機構によりまして、説明会の開催を含め、地権者、近隣住民、商店会等への事前の周知及び必要な対応を行っておりまして、説明会には区も参加しているところでございます。

 事業完了後の交通環境につきましては、交通管理者と協議を行った上で、歩行者と車両を分離した道路整備を行うなど、歩行者交通の安全を確保するとともに、周辺地域への影響を軽減するものとしてございます。

 それから、中野二丁目に整備いたします区画道路交差点の安全対策についてでございます。中野二丁目土地区画整理事業で整備されます南北の主要区画道路と東西の区画道路の交差点の形状等につきましては、将来の開発交通量などを踏まえた上で、施行者である組合とともに交通管理者と協議を重ね、計画してございます。今後の整備に当たりましても、標識設置等の安全対策を含めまして、引き続き交通管理者と協議をしていく予定でございます。

 それから、中野四丁目新北口西エリアの地権者数についてでございます。当エリアの地権者数は、これは件数で言っておりますが、土地所有権者35件、借地権者5件、合計41件となってございまして、このうち準備組合員数は29件となってございます。世帯数までの把握はしてございません。

 続きまして、新区役所近隣のマンション建設計画の情報提供についてでございます。さきの近隣住民説明会は新区役所の整備が主題であったため、新北口西エリアにかかわる情報提供は行っておりませんでした。今後、地権者による合意形成が進み、都市計画の変更や決定を行っていく段階で説明等を行っていく予定でございます。

 それから、まちづくりにかかわる区の姿勢についてでございます。区は各地区の特性に応じ、住環境とにぎわいの調和したまちづくりを進めているところでございます。中野駅周辺の市街地再開発事業等、権利者の合意形成が前提となるまちづくり事業では、その状況を踏まえながら正確な情報を適宜適切に提供することが基本でございます。区はこれまでと同様、区民に対して今後も適切な情報提供や説明を行ってまいります。

 それから、先ほどの答弁について訂正させていただきます。中野四丁目新北口西エリアの地権者数でございますが、土地所有者数は35件で、借地権者数は6件でございます。大変失礼いたしました。

〔いさ哲郎議員登壇〕

○19番(いさ哲郎) 再質問させていただきます。

 防災の備えのところで、ツイッターでの配信のことで、専用アカウントじゃないほうがいいというような御答弁があったと思うんですけど、その前に専任者を置くべきではないかということもお聞きしています。やっぱり現場でやっていると、どうしてもほかの業務があって、その中での二次的な作業になっているのではないかという懸念から、それにしっかりと専任者を置くべきではないかということを聞いています。このことをお答えいただきたいのが1点と、学校の建てかえの問題、桃園第二小学校のところで、現地建てかえについてのお考えが出てきませんでした。この点、ちょっとお答えいただきたいんです。この2点、お願いします。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 再質問にお答えいたします。

 SNSの専任者を置いたらどうかという御質問に対してですけれども、今回、台風19号の接近時については、ツイッターやフェイスブックなどのSNS対応というのが非常に重要だということは認識したところでございます。今後の対応につきましては、専従の担当者を配置できるように人員を確保したいと考えております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 失礼いたしました。現地建てかえのことにつきましては、先ほどの答弁の昭和区民活動センターの土地を利用した場合の仮設校舎の配置やということは、現地建てかえを想定してございます。

○議長(高橋かずちか) 以上でいさ哲郎議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 吉 田 康一郎

 1 公共用地取得の原則について

 2 治水対策について

 3 国旗及び国旗に準ずる旗の取扱いについて

 4 中野駅新北口駅前エリア再整備について

 5 桃園第二小学校、昭和区民活動センター建替え及び文園児童館について

 6 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、吉田康一郎議員。

〔吉田康一郎議員登壇〕

○12番(吉田康一郎) 育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会の吉田康一郎です。若干、他の方の質疑とかぶる面が出ましたけれども、論旨の都合上、通告どおり質問させていただきます。

 まず、公共用地取得の原則について伺います。

 先日、しらさぎ親子農園用地と白鷺たんぽぽ広場用地の返還についての報告がありました。数十年にわたり、区に用地を無償貸与してくれた地権者に改めて感謝を申し上げます。

 この親子農園と広場の間の道路は幅4メートル未満の部分があります。多くの区民が利用してきたこの道路は、長期間そのままの状態が続いていたことになります。私も折に触れ通るこの道路は、今も区民にとって重要な路線だと考えます。地先の地権者が区に協力的な、このような4メートル未満の狭隘な道路において、数十年間放置することなく、建築計画がない場合でも道路を拡幅するための用地を取得していく方策はないのか伺います。

 次に、都市計画道路や防災まちづくりといった大きな計画がなくとも、狭隘な道路を改善するために可能な用地を区が先行取得しておくことで、街区の整形化や道路の直線化など、道路計画の自由度は高まり、まちの質と価値が向上すると考えます。例えば、私道の寄附にはいろいろと条件があるようですが、土地所有者が土地を寄附する場合に、測量や分筆等の費用を区が負担することで道路整備はより進むと考えますが、見解を伺います。

 次に、治水対策について伺います。

 先般の台風19号は各地に大きな被害を出しました。被害者に改めてお見舞いを申し上げ、犠牲者に心よりお悔やみを申し上げます。

 中野区内を流れる川の流域の降雨量は比較的少なく、平成17年の豪雨を契機とした激特事業の効果もあり、区内で溢水や氾濫はありませんでしたが、降雨量が多かった地域では、1日の総降雨量が900ミリを超え、1時間に70ミリ以上の豪雨があった地域もあり、甚大な被害が生じました。同規模の豪雨があった場合、神田川や妙正寺川などに溢水や氾濫の危険性はあるのかないのか伺います。

 そして、このような豪雨が我が流域で発生する可能性も十分に考えられ、そして今後、気候変動でさらなる豪雨のおそれもあります。今後の治水対策について区の見解を伺います。

 次に、国旗に準ずる旗である旭日旗の取扱いについて伺います。

 我が国の伝統的意匠として古来親しまれてきた旭日の意匠は、祭り、祝事、祈願、応援等、さまざまな場面で愛用されてきました。スポーツの応援で使用されることも多く、ことしはラグビーワールドカップが日本で開催され、赤と白のジャージに身を包んだ日本代表選手の活躍とともに、各国の応援団が旭日旗で日本チームをも応援してくれたことが印象深い大会でした。中野区内でも、初戦の日本対ロシア戦のパブリックビューイングが開催され、中野体育館では多くの区民が盛り上がったと伺っています。

 来年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。中野区でも平和の森公園内に整備される新総合体育館が卓球競技の公式練習会場となりますが、これまで以上に区内の施設やさまざまな場所で、区民のみならず、さまざまな人々がさまざまな競技を観戦し、声援を送ることになると思います。

 そこで、オリンピックやラグビーワールドカップの競技会場への旭日旗の持ち込みについて、政府、そして東京オリンピック・パラリンピック組織委員会、ラグビーワールドカップ2019組織委員会の見解を伺います。

 そして、次いで国等の見解を踏まえ、区内の施設等に旭日旗を持ち込むことについての区の見解を伺います。

 次に、中野駅新北口駅前エリア再整備について伺います。

 現在の計画では、市街地再開発事業における転出補償により新区役所整備の財源を確保することとしています。豊島区役所跡地や板橋駅前の再開発では、土地を売らず、70年間の定期借地権を設定し、前払い地代を得て事業を行っています。一度売れば、次は売れないからです。我が区では、定借を活用した事業の試算はしているのか、検討しているのであれば示していただきたい。

 次に、民間参画事業者の公募のプロポーザルに当たり、転出補償のみならず、定期借地を活用した提案をしてもらい、比較すべきだと考えます。そのような公募は可能なのか、あるいはそれにかわる比較検討の手段を確保していただきたいですが、見解を伺います。

 最後に、桃園第二小学校、昭和区民活動センター建替え及び文園児童館について伺います。

 桃園第二小学校の建て替えについて、中野区立小中学校施設整備計画では、建て替え期間中は上高田小学校を仮校舎として使用する案が示されましたが、踏切を越えることなど、上高田小学校まで通学することへの安全上の不安などから、桃園第二小学校の保護者や地域から計画の見直しが強く望まれてきました。これを受け、教育委員会は桃園第二小学校の敷地に仮設校舎を設置し、現地に通学しつつ建て替えを行う案も示しましたが、この案は工期が6年かかり、長期間、校庭や体育館などが使えないこともあり、こちらも地域の支持が得られていません。地域では、急遽アンケート調査が行われ、また5町会長・PTA会長・同窓会長連名で区長に対話集会を求め、去る23日、区長に同集会を催していただき、感謝をしているところであります。同集会では、区長より、今後は地域とよく相談しつつ、他の所管も連携して新たな視点を持ちながら検討を進めていく旨の方針を示していただきました。

 そこで、現在、地域では昭和区民活動センターの建て替えも計画されています。区民活動センターは桃園第二小学校と隣接しており、小学校の建て替えと連携させることで、双方のより効果的・効率的な整備は可能となると考えます。現在の区民活動センターの建て替えに向けた作業を一旦とめて、学校改築とあわせて計画を検討すべきと考えます。見解を伺います。

 次に、桃園第二小学校と区民活動センターのすぐ近くに文園児童館があります。児童館は今、再編が検討されていますけれども、文園児童館の今後の取り扱いについて、桃園第二小学校の建て替えとの関係の中でどう考えていくのか伺います。また、改築後の桃園第二小学校内に学童クラブを併設するキッズ・プラザを設置する計画と理解していますが、新校舎の建て替え計画にどのように配慮していただけるのか、伺います。

 最後に、上高田小を仮校舎とする計画ありきではなく、区民活動センターや文園児童館なども含めた形で、桃園第二小学校の改築の進め方について改めて検討していただきたいと考えますが、見解を伺い、質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 吉田議員の御質問で、2番、治水対策について私からお答えいたします。

 河川の溢水や氾濫の危険性についてでございますけれども、想定雨量を超える雨量があった場合、当然溢水の危険性はあると認識しております。これまで時間雨量75ミリの降雨により生じる浸水被害に対して、安全を確保するために、危険性の高い地域を中心に東京都が護岸整備を進めているところでございます。東京都では浸水被害の早期解消を目指し、計画的に護岸整備に取り組んでいると聞いております。

 今後の治水対策についてでございます。中野区では流域対策として、神田川流域関係各市等の協議会で平成30年3月に改定された神田川流域豪雨対策計画で、令和19年度における整備目標としている時間雨量75ミリ対策を達成するために、平成30年7月に中野区豪雨対策実施計画を策定し、道路工事にあわせ、道路の地下に雨水貯留・浸透施設の設置を実施しております。また、300平方メートル以上の敷地での建設工事を行う場合、雨水流出抑制施設の設置を指導しております。東京都では内水氾濫等の防止を目的として、第二桃園川幹線整備事業に着手しております。また、河川の溢水を防止するため、環状7号線の地下に設置している神田川・環状7号線地下調節池を延伸し、白子川地下調節池と連携させる工事に着手しております。このほか、神田川や妙正寺川での護岸改修工事を引き続き進めていく予定であると聞いております。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、桃園第二小学校改築の進め方の検討についてお答えいたします。

 桃園第二小学校の改築手法について、昭和区民活動センターの土地を含めた仮設校舎の設置や、区民活動センターとの一体的な改築も含め、引き続き児童の保護者や地域から十分に意見を聞きながら検討を進めてまいります。

〔都市基盤部長奈良浩二登壇〕

○都市基盤部長(奈良浩二) 私からは、公共用地取得の原則の御質問についてお答えいたします。

 まず、建築を伴わない道路拡幅についての御質問でございます。御質問にございましたしらさぎ親子農園事業用地と白鷺たんぽぽ広場用地の間の区有通路は、建築基準法の道路ではないため、狭隘道路拡幅整備事業の対象外となりますが、一般的には建築基準法42条2項道路に接する敷地については、建築行為が伴わない場合におきましても、地権者等の、権利者の同意があれば、任意のセットバック工事により道路拡幅を行うことは可能でございます。

 次に、土地を道路として寄附する際の費用についての御質問でございます。都市計画道路や地区計画における避難道路等の公益上必要な道路用地につきましては、測量費用の負担を含め、必要な補償を行っているところでございます。それ以外の宅地等の一部を道路として寄附していただく際には、道路部分を分筆するため、土地の境界確定が必要となってまいります。個人等が所有する財産の境界を確定するために、区が測量費等の費用を負担することは適切ではないと考えてございます。

〔健康福祉部長朝井めぐみ登壇〕

○健康福祉部長(朝井めぐみ) 私からは、旭日旗の取り扱いについての御質問にお答えいたします。

 東京2020大会会場及びラグビーワールドカップ2019大会会場への旭日旗の持ち込みにつきましては、持ち込み禁止品に該当しないというのがそれぞれの大会の組織委員会や国の見解というふうに聞いております。区内のスポーツ施設などへの持ち込みにつきましては、国などの見解を踏まえつつ、適切に対応していきたいと考えております。

〔中野駅周辺まちづくり担当部長豊川士朗登壇〕

○中野駅周辺まちづくり担当部長(豊川士朗) 私からは、中野駅新北口駅前エリア再整備につきましてお答えいたします。

 まず、定期借地権方式の試算についてでございます。中野駅新北口駅前エリア再整備の事業手法につきまして、他区の事例も参考に定期借地権を設定した場合の概略の試算を行いましたが、本事業において目指すまちづくりの実現や新区役所整備費の財源を確実に確保するためには、市街地再開発事業は妥当であると考えております。

 定期借地権設定の場合の試算につきましては、今定例会中の中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会においてお示しする予定でございます。

 それから、定期借地権方式の提案についてでございます。中野駅新北口駅前広場再整備における民間参画事業者公募におきましては、再整備事業計画に基づいた提案を審査するため、区が事業手法として示した……

○議長(高橋かずちか) 質問時間終了しておりますので、速やかに答弁を終了願います。

○中野駅周辺まちづくり担当部長(豊川士朗) 市街地再開発事業による提案を求める考えでございます。

○議長(高橋かずちか) 質問時間は終了しておりますので、答弁は結構でございます。

 以上で吉田康一郎議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 市 川 しんたろう

 1 中野駅周辺まちづくりについて

 2 中野区立商工会館跡地の活用について

 3 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、市川しんたろう議員。

〔市川しんたろう議員登壇〕

○1番(市川しんたろう) 令和元年第4回定例会に当たり、中野区議会自由民主党議員団の立場から一般質問を行います。

 質問に先立ちまして、台風19号により被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げ、被災された皆様が一日も早く御回復されることを祈念申し上げます。

 では、質問に入らせていただきます。

 質問は通告どおりで、その他の項目はございません。

 まず最初に、前回の第3回定例会の一般質問において、中野駅周辺のまちづくりのハード面における全体像と今後のスケジュールを区民の皆様にわかりやすく説明する必要があるという観点から質問させていただきました。今回は、その中野駅周辺のまちづくりにおけるエリアマネジメント並びに区内にある鉄道駅を中心にしたエリアマネジメントのあり方について質問を行います。

前回の質問で触れた中野駅周辺のそれぞれの施設は、参加事業者、いわゆるディベロッパー、大手各社がそれぞれに取り組まれているのが現状であります。例えば、渋谷駅の再開発事業に見ることができる東急グループのような1社の取り組みではなく、数社がそれぞれの事業に取り組んでいるのが中野区の現状であります。

 特に中野駅周辺では十数ヘクタールという狭いエリアの中、10年弱という短い期間において、同時並行的に大規模市街地開発事業が展開されていきます。場所と時が隣接する中でのまちづくりとなる中において、当然その課題や資源を共有することになるにもかかわらず、それぞれの開発主体が各エリアや各自の建物の価値向上という考えを最優先に進めていくエリアマネジメントの展開は余りにも非効率で、もったいないのではないかと考えます。今後、各事業の連携、完成後の各施設の組合並びに管理会社などの横の連携、そして、地元中野駅周辺の商店街組織、地元企業との連携が必要不可欠であると考えます。

 特に都内有数の商店街が幾つも存在する中野のまちでは、その力やブランドをエリアマネジメントにどう巻き込み、取り込んでいくのかが大きな課題であり、中野ならではのエリアマネジメント確立の鍵を握るのではないかと考えます。それらを踏まえてのエリアマネジメントを今後、酒井区長はどのようなお考えをお持ちなのか、伺ってまいります。同時に、エリアマネジメントを進めていく上で、先ほど触れました地元中野駅周辺商店街組織や、既に再開発がされて、組織されている管理会社との連携はとられているのか。そして、中野駅周辺商店街や管理会社のかかわり方をどのようにお考えなのか、まず伺います。

 また、先ほど申し上げた中野駅周辺の各事業の全体像を把握し、それぞれの事業に関連性を持たせ、中野区が包括的に監督し、横断的な組織が求められると考えます。

 そこで伺いますが、現在、中野駅周辺のまちづくりの所管であるまちづくり推進部が、今申し上げたような横断的な取り組みが今後できる体制が整えられているのか、お考えを伺います。

 私は、箱物を駅前につくるだけのディベロッパー、ゼネコンのハード面に偏ってしまう20世紀型開発だけで、ソフト面の充実がなければ、実際にそこに住む人々にとって快適な住環境になっていかず、まちの活力が失われ、来街者の減少が進み、まちの魅力が大きく損なわれ、閑散とした廃墟と化していくリスクを抱えているのではないかと考えます。

 また、エリアに最高価格と10年後の世界基準を見据えたスマートシティを構築できなければ、再開発が完成したときがピークになり、まちの劣化が始まっていきます。この再開発が完成するころには、常磐橋、八重洲、麻布台、神宮外苑と大型法定再開発が目白押しです。延べ5万坪以上の中野駅北口再開発が世界標準のスペックを備えた建物、そしてエリアでなければ、単なる低賃料テナントニーズに頼るエリアになるかと考えます。それを防ぐには、まちづくり推進部の横断的な取り組みに加えて、未来のスマートシティを手がけている最先端企業の社会インフラ部門などの担当者との連携をとり、トヨタがソフトバンクとともにクルマづくりを考えるように、我々中野区のまちづくりや再開発も、AIが未来都市をシミュレーションしてスタートするプロジェクトがスタンダードになっていくことによって、中野というまちのブランディングの向上につながり、コンテンツが集積され、来街者の増加に大きく寄与され、まちの回遊性が生まれてくるのではないかと私は思います。

 回遊性を高めるには、まちづくりという中でのハード面での戦略、そしてマーケティングを含めたソフト面での戦術が必要になってきます。その戦略や戦術の仕組みを構築するには、やはりエリアマネジメントの考え方が必要であり、それを実効性、持続性のあるものにするには、中心となるエリアマネジメントの主体が必要であると考えます。

 そこで伺いますが、区長は、前回、私がまちづくり関連の質問をさせていただいた際に、回遊性、誘導というワードをおっしゃっていましたが、その回遊性、誘導を生み出すための方策をどのようにお考えなのか伺います。そして、この一連の流れをモデルとし、また起爆剤とし、中野区全体に波及させていくことが求められております。

 先ほども述べた商店街は、まさにそのモデルを中野区に全面展開する支部としての役割を担う主体となり得る存在だと考えます。商店街自体、まさにエリアマネジメントの考えそのものであるのです。そうした意味でも、商店街活性化、商店会の経営力強化も同時に進めていくことが必要となるでしょう。

 そこで、私は中野区内に点在するそれぞれの鉄道の駅を核としたまちづくりやエリアマネジメントに派生させていく必要があり、それを手がけなければ、中野駅周辺のまちづくりに多大な予算と労力を費やした効果が薄れてしまうと私は思いますが、区長のお考えを伺わせてください。

 まちづくり、エリアマネジメントというものは、まちに活力、新しいパワーを生み出すものでなければなりません。そのまちにいつまでも住んでいたい、そのまちにこれからも住んでみたい、働きたい、そして、そのまちの文化を継承、発展させるものでなければならないと私は考えます。区内全体の活気と安全・安心が将来、必ずや実現させることが我々の責任であるということを申し上げ、次の質問に移ります。

 次に、中野区立商工会館跡地の活用についてお尋ねいたします。

 もともと商工会館には経済団体などが事務所を構えていた施設でありました。しかし、現在クローズされたはずの施設が、令和2年3月から子ども家庭支援センターの仮事務所として使用される予定となっております。その実情を鑑みますと、地域の要望として上層階の会議室の開放を求める声が上がってきております。区有施設は職員のための施設ではなく、区民のためにある施設であり、また同時に財産であります。

 そこで伺いますが、会議室を開放することについてどのようにお考えなのか、理由もあわせて伺います。

 また、旧商工会館用地は利便性の高い立地条件を備えていることから、将来のあるべき姿については、区民を巻き込んで議論を深めることが重要かと考えます。区民の中からは、用地の活用についてはさまざまな声が上がってきております。例えば、地域の商店街などを巻き込んでのエリアとして、文化、芸術、中野特有のコンテンツの発信拠点にするべきとの声がございます。そういった区有施設の活用次第によっては、中野駅北口から中野サンモール商店街、中野ブロードウェイ商店街、薬師あいロード商店街、新井駅前商店街を経て、哲学堂公園につながっていく動線並びに回遊性を誘導する重要な結節点機能を備える施設になる可能性も秘めております。

 先ほど、まちづくりに関する質問をした際にも申し上げたように、中野区全体の回遊性を高めるためにも、今後の商工会館用地の活用方法は重要かと考えます。私は、中野区の財政状況を踏まえますと、自前の財源だけでは賄えない現状であると思います。長期の定期借地権の設定、活用などによる民間と公共の複合型施設を構築していくことが必要であると私は考えます。

 そこで、地元金融機関の参加によるプライベート・ファイナンス・イニシアチブの展開なども視野に入れるべきかと考えますが、お考えはいかがでしょうか。伺います。

 いずれにしましても、これまで中野区は地域住民に最も身近な行政機関として、多種多様な公共施設を整備・運営して住民サービスを提供してきました。そして今、それらの多くが老朽化し、大規模修繕や更新を迫られてきております。しかし、現状下で十分な対応ができていないのが実情であります。公共施設の老朽化は今後さらに深刻化することは明らかであります。こうした公共施設の現在と目指すべき未来にしっかり目を向けて、まちづくり、そういったものをキーワードにして検討していくことが重要なことであり、中野区における公共施設を活用していくことが、地域住民のニーズに対して応えていくとともに、中野区の将来のまちづくりに多角的に大きく寄与するものと申し上げ、私の質問を終了といたします。御清聴まことにありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 市川議員の御質問、1点目、中野駅周辺まちづくりについてです。

 エリアマネジメントにおける地元等のかかわりについての御質問です。これからの中野駅周辺のまちづくりに当たっては、各地区で進展している開発整備とあわせて、まちの価値を高めるエリアマネジメントの取り組みが不可欠であると認識しております。地元の商店街や各地区のステークホルダーの方々と意見交換する機会においても、エリアマネジメントの必要性が語られることがふえております。今後、まちのビジョンを共有することから始める必要があると考えており、そうした場や仕組みを構築してまいります。

 次に、エリアマネジメントに係る庁内体制についての御質問です。中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画(素案)で示したように、それぞれの地区整備における今後のエリアマネジメントの誘導はまちづくり推進部で行っているところであります。商店街などステークホルダーの連携を図っていく広い意味でのエリアマネジメントについては、まちづくり部門だけでなく、産業振興や観光、文化政策なども関連しており、今後庁内体制も含め、エリアマネジメントのあり方について検討してまいります。

 次に、まちの回遊性についての御質問です。中野駅西側南北通路をはじめ、各地区整備を通じて歩行者ネットワークのインフラ整備を図っていきますが、まちの回遊性向上には、人の関心を引きつけるコンテンツが重要であると認識しております。まちの個性や魅力を高めていくために、各地区のステークホルダーの取り組みとともに、さまざまなアイデアやプレーヤーを生み出していく仕掛けが必要であり、今後のエリアマネジメントの取り組みとあわせて検討してまいります。

 最後に、エリアマネジメントの波及についてでございます。同時に幾つもの開発が行われている中野駅周辺まちづくりは他に例を見ないものであり、モデルとなる取り組みと言えると考えております。これを成功させていくためには、ステークホルダーの主体的な関与によって、エリアマネジメントというプラットフォームを構築していくことが重要であります。今後、他の拠点となるまちにおいても当然波及していくことを展望しながら、まちづくりに取り組んでまいります。

 2番目、中野区立商工会館跡地の活用についてでございます。まず、旧商工会館の会議室等の会合についての御質問です。旧商工会館の上層階を使用するためには、電気設備、空調設備などの点検、そして施設利用者の動線確保のためのレイアウト変更などの大規模な改修工事を要することから、会議室を区民利用に供することは考えておりません。

 次に、旧商工会館用地の活用についてでございます。旧商工会館用地につきましては、中野駅周辺地区の再開発等を面的に捉えて検討を進め、活用の方途を定めていくことを考えております。御提案のPFIも含めて検討してまいります。

〔市川しんたろう議員登壇〕

○1番(市川しんたろう) 再質問させていただきます。

 今、区長の御答弁の中で、庁内組織に係る話の中で、まちづくり推進部だけではなく、文化、産業、そういった部門もというような話がございましたが、今後、横断的な組織と私は申し上げましたけども、それは新しい部だったり課だったりとかいうこともつくるということも含めて御検討ということでよろしかったでしょうか。再質問、よろしくお願いいたします。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 市川議員の再質問、庁内体制について、どのような範囲で考えているかということでございます。今のまちづくり推進部門だけではなく、やはり幅広い部門がかかわってまいります。一つにはプロジェクトチームみたいなものをつくって、そこに民間の皆さんも入っていただいて一緒に検討するという体制も一つは考えられますし、当然、組織改正を含めて、横断的な組織を検討するということも視野に入れて検討してまいりたいと考えております。

○議長(高橋かずちか) 以上で市川しんたろう議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 斉 藤 ゆ り

 1 第四中学校・第八中学校統合のスケジュールについて

 2 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、斉藤ゆり議員。

〔斉藤ゆり議員登壇〕

○7番(斉藤ゆり) 令和元年第4回定例会に当たり、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問させていただきます。

 質問項目は通告のとおりで、その他はございません。

 去る11月22日、教育委員会第33回定例会にて、「第四中学校・第八中学校、鷺宮小学校・西中野小学校統合新校の新校舎整備及び統合時期の取り扱いについて」の報告がありました。中学校統合新校の新校舎の工事延伸により、完成が令和7年以降になることが明らかになったため、統合時期の検討が行われましたが、統合時期は変更せず、当初計画どおり四中・八中の統合は令和3年になりました。また、鷺宮小・西中野小の統合も予定どおり令和5年となることになりました。

 中学校新校舎は旧若宮小、現美鳩小位置に建設されますが、工事のおくれは、敷地西側の妙正寺川沿いの擁壁の基礎工事が必要になったためと説明がありました。教育委員会においては、統合時期を変更する場合はどのような影響が出るのか、適正なクラス数について、各校の今後の児童・生徒数推計はどうなるかなどを議論した結果、中野区全体の影響も考え、スケジュールどおり進めるのがよいとの結論に至ったとのことでした。

 しかしながら、新校舎の完成が、統合後、最短でも4年後になるため、新校舎へ通えない生徒であったり、鷺宮地域からは2.2キロ以上、約30分かけて四中位置まで、在学中3年間、遠い距離を歩く生徒が出ることになります。子どもたちには相当な負担となります。通学への配慮について、どのような対策をとられる予定でしょうか。お伺いします。

 このたびの工事延伸の理由としては、擁壁工事の必要が説明されましたが、もう少し早くに対応することはできなかったのでしょうか。さらに、この場所におきましては、近隣の都営住宅の建てかえ、都による妙正寺川の改良工事、それに伴う丸山橋かけかえの工事等により、校舎工事のための大型車両が通行できない時期が出てしまう可能性があるということも聞いています。そのために、令和7年とめどが示されていますが、それよりもさらに完成がおくれる可能性もあるそうです。

 また、このたび南台小学校の新校舎整備においても、同じく擁壁工事のために2年完成がおくれることが明らかになっています。

 このところ、学校施設以外にも工事延伸の報告が多く見られます。オリンピック・パラリンピック関連工事による影響や、国や日本建設業連合会も方針を出しているように、建設作業員の働き方改革のため、現場を週休2日にする流れとなっていることも理由にあるようです。

 子どもたちにとっては、たとえ1年でもかけがえのない時間です。今後実施される他の学校再編計画における新校舎整備及び学校施設整備計画における工事スケジュールはおくれることがないよう、適切な工期で進めていただきたい。いかがでしょうか。お伺いします。

 関連して、鷺宮小学校・西中野小学校の統合についてお伺いします。

 鷺宮小・西中野小は、令和5年に八中跡地に新校舎が建設されて統合します。西中野小通学区域の児童については、本来八中が進学先ですが、中学統合新校が四中位置となり、通学が長距離になることから、指定校変更の特例が設定されています。そのため、今年度、八中に進学する生徒はおらず、北中野中へ進学する生徒が多くなることが予想されます。統合した後、西中野小通学区域の子どもたちは、その翌年度から四中位置の中学校に通学するのでしょうか。それとも、統合校の中で一部の児童には指定校変更を認めるのでしょうか。もしそうなった場合、混乱が起きるのではないかと心配されますが、いかがでしょう。

 この地域では、また学校施設整備計画において、北中野中学校の改築計画があり、統合後の西中野小跡地を仮校舎とすることになっています。この際、鷺宮小と西中野小の統合を中学統合新校の校舎完成時期と合わせておくらせて、その間に北中野中の建てかえを八中跡地で行うことも検討する可能性はないでしょうか。これは地元の久保議員も一案としてお考えのことなのですが、中学校校舎が利用できる利点もあり、上鷺宮地域から踏切を越えて遠方より通うよりふさわしい選択肢の一つではないでしょうか。

 さまざまな考え方があります。しかし、子どもたちにとっての最良な教育環境のために、心を尽くして考えていきたい。鷺宮小・西中野小の入学者数は近年それほど大きな減少なく推移しております。このたび教育委員会で四中・八中の統合時期と鷺宮小・西中野小の統合について同時に検討されましたが、小学校の統合時期は再考も検討されてはいかがでしょうか。

 学校再編は、まちの再編とも言える大きな問題です。子どもはまち全体で見守っていきたい。だからこそ、保護者と子どもたち、地域には丁寧で正確な情報を提供するように要望して、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 斉藤議員の御質問にお答えいたします。

 第四中学校・第八中学校の統合スケジュールについての御質問のうち、通学の安全対策についてでございますが、生徒の通学時の安全対策につきましては、学校、PTA、地域と連携をとり、警察等の関係機関とも協力しながら対応してまいります。また、遠距離通学者への負担軽減策として、公共交通機関の利用等について学校と調整、検討してまいります。

 次に、小中学校施設整備における工事スケジュールについての御質問でございますが、中野区立小中学校再編計画及び中野区立小中学校施設整備計画の策定時から、実際に整備工事に至るまでの間に起こる社会経済情勢の変化や、近隣で行われる他の工事の状況などによっては、小中学校施設整備スケジュールに影響を及ぼすこともあると考えているところでございます。状況を注視し、工事スケジュールについては、そのときに見直していけるのではと考えております。

 最後に、鷺宮小学校・西中野小学校統合時期の変更についての御質問にお答えいたします。さきにお話をしました中野区立小中学校再編計画の第2次では、児童・生徒は一定規模の集団で活動すること、あわせて一定規模の教員集団を確保し、学校教育の充実の実現を図ることとしております。令和元年度の鷺宮・西中野小学校の学級数は、鷺宮小学校12学級、西中野小学校7学級となっており、西中野小学校につきましては、望ましい学級規模としている12学級に届いていない状況でございます。統合がおくれることによりまして、児童にとって大切な適正な学習環境の整備もおくれることになります。これらのことから、統合時期につきましては、現時点では計画のとおり進めてまいりたいと存じます。

〔斉藤ゆり議員登壇〕

○7番(斉藤ゆり) 御答弁ありがとうございました。鷺宮小学校・西中野小学校が統合した後、その翌年、そちらの地域の通学区域の子どもたちが新中学校、四中位置へ通うことになります。そちらにつきましての特例があるのかどうかの質問についてお答えいただければと思います。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 遠距離通学につきましては、中学校の場合は特例はございません、今のところ。再編特例につきましては、もう四中・八中については行われているところでございますけれども、今後どういうふうにしていくかについては検討してまいりたいと思います。

○議長(高橋かずちか) 以上で斉藤ゆり議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。

 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後5時03分延会

 

会議録署名員 議 長 高橋 かずちか

       副議長 平山 英明

議 員 渡辺 たけし

       議 員 森 たかゆき