令和2年02月18日中野区議会本会議(第1回定例会)
令和2年02月18日中野区議会本会議(第1回定例会)の会議録

.令和2年(2020年)2月18日、中野区議会議事堂において開会された。

1.出席議員(39名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  6番  河  合  り  な        7番  斉  藤  ゆ  り

  8番  立  石  り  お        9番  羽  鳥  だいすけ

 10番  高  橋  かずちか       11番  加  藤  たくま

 12番  吉  田  康一郎        13番  木  村  広  一

 14番  甲  田  ゆり子        15番  内  野  大三郎

 16番  杉  山     司       17番  ひやま      隆

 18番  小宮山   たかし        19番  い  さ  哲  郎

 20番  小  杉  一  男       21番  若  林  しげお

 22番  内  川  和  久       23番  いでい   良  輔

 24番  小  林  ぜんいち       25番  白  井  ひでふみ

 26番  いながき  じゅん子       27番  山  本  たかし

 29番  石  坂  わたる        30番  近  藤  さえ子

 31番  浦  野  さとみ        32番  大  内  しんご

 33番  伊  藤  正  信       34番  高  橋  ちあき

 35番  平  山  英  明       36番  南     かつひこ

 37番  久  保  り  か       38番  森     たかゆき

 39番  酒  井  たくや        40番  むとう   有  子

 42番  来  住  和  行

1.欠席議員(3名)

  5番  間     ひとみ        28番  中  村  延  子

 41番  長  沢  和  彦

1.出席説明員

 中 野 区 長  酒 井 直 人      副  区  長  白 土   純

 副  区  長  横 山 克 人      教  育  長  入 野 貴美子

 企 画 部 長  高 橋 昭 彦      総 務 部 長  海老沢 憲 一

 危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝 瀬 裕 之    区 民 部 長  青 山 敬一郎

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長 戸 辺   眞    子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小 田 史 子

 地域支えあい推進部長 野 村 建 樹    地域包括ケア推進担当部長 藤 井 多希子

 健康福祉部長  朝 井 めぐみ      保 健 所 長  向 山 晴 子

 環 境 部 長  岩 浅 英 樹      都市基盤部長  奈 良 浩 二

 まちづくり推進部長 角   秀 行     中野駅周辺まちづくり担当部長 豊 川 士 朗

 企画部企画課長  杉 本 兼太郎      総務部総務課長  石 濱 良 行

1.本会の書記は下記のとおりである。

 事 務 局 長  吉 村 恒 治      事務局次長  小 堺   充

 議事調査担当係長  鳥 居   誠      書     記  立 川   衛

 書     記  若 見 元 彦      書     記  井 田 裕 之

 書     記  野 村 理 志      書     記  鎌 形 聡 美

 書     記  松 丸 晃 大      書     記  遠 藤 良 太

 書     記  山 口 大 輔      書     記  髙 橋 万 里

 書     記  有 明 健 人      書     記  五十嵐 一 生

 

 議事日程(令和2年(2020年)2月18日午後1時開議)

日程第1 第6号議案 令和2年度中野区一般会計予算

 

午後1時00分開議

○副議長(平山英明) 定足数に達しましたので、本日の会議を開きます。

 本日の議事日程は、お手元の議事日程表のとおりでありますので、さよう御了承願います。

 昨日の会議に引き続き、一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 いでい 良 輔

 1 災害から区民の暮らしを守る防災・減災の取り組みについて

  (1)中野区地域防災計画について

  (2)自助・共助・公助の実効力向上について

  (3)災害時業務継続地区(BCD)の構築について

  (4)マンション再生まちづくり計画について

  (5)西武新宿線連続立体交差事業と補助第220号線の取り組みについて

  (6)中野区無電柱化推進計画の確実な前進について

  (7)その他

 2 未来を作る中野区の教育政策について

  (1)教育大綱について

  (2)教育環境の充実について

  (3)その他

 3 その他

 

○副議長(平山英明) 最初に、いでい良輔議員。

〔いでい良輔議員登壇〕

○23番(いでい良輔) 令和2年第1回定例会におきまして、自由民主党議員団の立場から一般質問をいたします。

 私の質問は通告のとおりですが、1の(5)西武新宿線連続立体交差事業と補助第220号線の取り組みにつきましては、我が会派の大内幹事長から質問をいたしますので、私からは割愛させていただきます。

 それでは質問に移ります。

 我が国では、ここ10数年振り返ってみても、各地で発生する大規模な地震、台風に伴う想定外の洪水や風害などの災害、新型コロナウイルスなどの新たな病気など、区民生活に深刻な影響を与えるおそれのある、区民を取り巻く様々な危険やリスクが見られます。これらは、あらかじめ想定、危険予測がつくものから、ほとんど予想もつかない危機や災害まで、区民生活の安全や健康を守るために、区は幅広く様々なリスク対応、危険回避等に関する重要な職責を担っていると言えます。

 ここ数年の災害を振り返ってみても、昨年の台風15号・19号に伴う千葉、長野、東北における風水害、異常気象による集中豪雨や、おおむね数年ごとに日本のどこかで起こっている震災被害など、枚挙にいとまがありません。さらに最近では新型コロナウイルスや鳥インフルエンザ、数年前だとデング熱など、区民生活を脅かす健康被害リスクが海外から我が国に流入し、リスク管理も一層複雑化しております。

 また、自然災害や健康リスク以外にも、区政を動かしているITシステムに過度に依存している行政サービスに関するリスクも顕在化いたしました。昨年12月4日に区のクラウドサーバーが全く機能しなくなり、ホームページやメール、戸籍や介護保険などのシステムが全く使用できない状態が続き、区の継続的な行政システムに大きな課題があることが判明しました。

 すなわち、災害やリスクなどが生じるようないざというときに、実践論、実効論として、区としてどれだけ危険回避や危機対応ができるかが問われていると言えます。

 区民生活の安全・安心を守ることは、区の業務の一番の根幹をなすものであると言えます。

 また、こういった状況を鑑みるとき、区としての危機管理、リスク管理及び防災対応の在り方や、被害や危険性に陥ったときに区の行政機能は持続し得るのか、いわゆるBCP――中野区事業継続計画の実効性についても問われていると言えます。

 ここでは、こうした観点から質問いたします。

 初めに、災害時に関する民間企業等の各団体や他自治体等との相互協力や相互支援について伺います。

 東京都は、昨年7月に、地域防災計画のうち震災編の修正を令和元年修正として行いました。それを受けて、中野区も来年度中に中野区地域防災計画の第42次修正を行うことと思います。区の地域防災計画では、現在、災害時に対して相互の連携・協力に関する協定書を民間企業などや他自治体などの団体と取り交わしていますが、現在どのくらいの数の協定を締結しているのか伺います。

 また、これら協定は、災害時に本当に実効性のあるものとして現実に機能できるよう、定期的な協定内容の確認や見直しなどについて情報交換を行っているのか伺います。

 私が知り得る中で一番古くから協定を結んでいるのは、昭和61年に災害時における消毒業務に関する協定、次に、平成3年、東京都公衆浴場業環境衛生同業組合中野支部との協定、同じく平成3年に東京都トラック協会中野支部と結んだ協定はこのたび改正されましたが、このように、30年以上前に結んだ協定を現在の中野区の地域防災計画に即した形態に変えていく、なおかつ、多くの想定外の事態を想定し、中野区総合防災訓練をはじめ中野区震災図上訓練、それぞれの地域で行われる防災訓練に落とし込み、実効性を高めていく作業が不可欠と考えています。定期的に協定内容の見直しを行うのと同時に、多くの協力関係団体の皆様のお力をおかりして、区民の皆様と防災・減災のレベルを順次上げていくことが、いつ発生するか分からない自然災害・健康被害災害対策に必要だと考えています。答弁を求めます。

 続いて、自助・共助・公助の実効力向上について伺います。特に防災士など防災リーダーの方々の活躍の場について伺います。

 区では、地域住民が防災士の専門知識や技術を習得し、地域で防災リーダーとして活躍できるよう支援を行っています。高橋かずちか議長をはじめ多くの同僚議員も防災士として活動しています。我が会派では、私を含め、防災士として、消防団員として、または全員が地域防災会の役員として、日夜活動をしております。

 防災士の資格を持つ方々は、町会や防災会などの方々と、災害時に地域で中心となって活躍することが期待され、重要な役割を担っております。例えば首都直下地震など、被災直後は、時間帯や状況によっては、公助のみに助けを期待することは難しい場合もあります。このようなときに頼れるのは地域の防災組織であり、区民自らの生命を守るための共助・自助の活動であると言えます。

 災害が多く発生する日本では、地域に密着して防災対応を行う町会・自治会・防災会の活動が特に重要ということは、行政だけでなく、多くの区民の皆様も共通の認識を持っておられます。特に災害に特化した専門知識や技術を有する防災士、防災リーダーの活躍が大きく期待されています。

 そこで質問をいたします。

 先ほども、地域防災計画の見直しの際に災害協定を結んでいる団体の皆様に協力を仰ぎ、各種訓練に参加してもらうスキームの構築をすべきと申し上げましたけれども、改めて防災士など防災リーダーが地域で活躍できるような訓練はされていないようにも思います。実際に防災士が地域で活躍できるような防災訓練や、職員が年に1度行っている震災図上訓練などに参加してもらうような実践的な訓練を実施すべきと考えます。いかがでしょうか。

 次に、中野区事業継続拠点――BCDについて伺います。

 中野四季の都市(まち)はオープンしてから8年が経過し、区民の憩いの場として定着した感があります。今後は、新区役所が整備され、隣接する新北口地区においても新たな拠点施設が整備されようとしています。

 最近では、フェーズフリーという、日常的に使われている物や空間が災害時においても機能するよう整えておく考え方もあり、日常的に親しまれている中野四季の都市(まち)が災害時防災拠点として機能するよう整備することが必要だと考えています。この中野四季の都市(まち)を含む中野四丁目地区を災害時においても業務継続できる地区、いわゆるBCDとして構築していく考え方は、平成29年に策定されたスマートな環境・防災都市づくり戦略に示されています。

 北海道や千葉県で起きた大規模なブラックアウトは記憶に新しいところですが、災害時にエネルギーが絶えることなく機能するような設備を整えることは不可欠です。特に新区役所が立地し、防災拠点となる中野四丁目地区の機能強化は喫緊の課題と言えます。新区役所内の防災センターはもちろんのこと、ボランティアセンターやロジスティックセンター機能も動かなければ、2次被害、3次被害へと拡大していくことも容易に想像ができます。

 今後の新区役所整備に併せて中野駅周辺の防災機能をどのように強化していくのか、お答えをください。

 今後、中野区役所新庁舎が完成し、中野駅新北口駅前エリアとして再開発で様々な企業や組織が参入する中で、相互に連携し、協力体制がとれる拠点の整備が期待できると考えます。そのときに区が主導的立場でBCDを構築するためにどのようなお考えを持って臨まれるのか、お聞かせください。

 次に、マンション再生まちづくり計画について伺います。

 さきの建設委員会におきまして、中野四丁目におけるマンション再生まちづくり計画の策定を令和2年度に行うことが報告されました。

 これは、東京都がまちづくりと連携してマンションの建て替えを促進するマンション再生まちづくり制度を創設し、また、中野四季の都市(まち)北東エリア整備方針では、中野駅北口のまちづくりと連携して、旧耐震基準の年代に建築された民間共同住宅の建て替えを誘導していくことを示していることから、この制度に基づき、中野四丁目全域を対象としたマンション再生まちづくり計画を策定するとのことです。区域内のマンション再生を図る必要性が特に高い地区として都が指定するマンション再生まちづくり推進地区に対し、必要な支援を行うことで、安全で良質なマンションストックの形成とともに、安全・安心な都市の実現及び良好な市街地環境の形成を図る制度です。区市町村がマンション再生まちづくり計画を取りまとめ、都による計画の認定とマンション再生まちづくり推進地区の指定が行われる流れであり、指定された区域内の老朽マンションについて、建て替えに係る支援や容積率の緩和などが図られるものです。

 私は、昨年の第3回定例会決算特別委員会総括質疑におきまして、東京都が昨年策定した都市開発諸制度活用方針に基づき、オープンスペースやバリアフリー、無電柱化などの公共貢献に応じた様々な建築緩和策を利用し、民間活力による再開発事業や総合設計等に対して、容積率の緩和をするための考え方を用いて、区の基本構想の改定や都市計画マスタープランの改定においても、こうした東京都の上位計画や方針を踏まえ、活力と魅力あるまちづくりに取り組むべきと指摘をいたしました。

 今までは、環状6号線の内側についてはセンターコア構想として位置付けられ、新たに、環状7号線の内側については中枢広域拠点域と位置付けられ、さらなる民間集合住宅の建て替え促進について、大きな規制緩和策がとられることとなりました。様々な手法でさらなる集合住宅の建て替えが進むことになると思います。

 しかし、区は、今まで環状6号線の内側――東中野駅周辺や中野坂上駅周辺について、センターコア構想に位置付けられているのにも関わらず、新宿区と同様なまちづくりの検討もされてこなかったのではないかと私は感じています。東京都の都市開発諸制度活用方針が策定されても、それを施策として取り入れていかなくては、環状7号線の内側の中枢広域拠点域に指定された地域もそのままになってしまうのではないかと危惧しております。

 区内には、中野四丁目だけではなく、マンション再生まちづくり推進地区の指定要件を満たす地区が多数あります。指定される要件は、例えば東京都住宅マスタープランに定める重点供給地域、区域内に旧耐震マンションがあること、都市計画区域の整備開発及び保全の方針に定める中核拠点または生活拠点の形成、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例により指定する特定輸送道路の機能確保、都震災対策条例の規定に基づき定める防災都市づくり推進計画において指定する整備地域における安全な市街地の形成などです。ここに都が定める事項を記載したマンション再生まちづくり計画が作成されていることが加わると、中野四丁目以外の地域でも、この制度を活用することが可能になります。

 区は、中野四丁目以外にも目を向けて、計画策定のために民間と協力し、さらに耐震化、耐火化、不燃化の機能を備えた良質な住宅建て替えへ向けた方針を、区が改定を予定している都市計画マスタープラン、住宅マスタープランにしっかりと位置付けていくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。

 東京都防災都市づくり推進計画では、本町一丁目地域は、南台や弥生町地区と併せて、老朽化した木造住宅建築物が特に集積するなど、震災時に特に甚大な被害が想定される整備地域に指定されています。

 神田川の対岸の西新宿五丁目地区も、整備地域に位置付けられています。新宿区は、この地区に防災街区整備事業という制度を使い、木造住宅の密集地域に街区再編による避難道路整備や土地の高度利用による再開発事業を導入し、地域の安全性を高める事業を進めております。この地区は、新宿副都心として高いポテンシャルを生かし、民間活力の導入と都市開発諸制度による容積率緩和などにより、集中的、効果的に防災まちづくり事業を展開しております。

 私は、区内環状6号線内側――センターコア構想として位置付けられているエリアも、地区のポテンシャルを生かして、隣接する新宿区と同様な、地区の安全性を高める防災まちづくりが十分可能であると考えています。都の都市づくりグランドデザインや、現在、都が改定中の都市計画区域マスタープラン、都市計画区域の整備、開発及び保全の方針においても、このエリアは都心エリアとして、高密な道路交通ネットワークを生かして、国際・ビジネス交流機能や業務・商業などの複合機能を有する中核的な拠点が形成されると示されています。

 中野駅周辺エリアだけではなく、もっと幅広く、中野区のそれぞれの地域でも様々な諸制度を活用し、ポテンシャルを生かした都市政策を防災まちづくりと併せて進めるべきと考えます。答弁を求めます。

 次に、中野区無電柱化推進計画の着実な前進について質問します。

 昨年11月に中野区無電柱化推進計画を策定し、この中で優先整備路線を指定していますが、私は、無電柱化をしやすい路線から進めているように感じています。中野区の特性でもある狭隘道路を含めた生活道路こそ無電柱化が求められているのではないでしょうか。

 優先整備路線は都道と接道する区道がほとんどですが、そういった幹線道路のみならず、生活道路、狭隘道路で無電柱化が進めば、道路幅はそのままでも実質道路幅が拡幅され、生活利便性は格段にアップするであろう地域が中野区には多くあります。先ほども申し上げましたが、無電柱化などの公共貢献に応じた建築緩和などのインセンティブを得られる制度を用いて、中野区は狭い道路こそ無電柱化の着実な前進を図るべきと考えています。

 現在、中野区の区道の無電柱化率は0.7%ですが、今後10年間で3.2%を目指していると聞いています。その目標に向かって具体的にどのように進めていくのか伺います。

 私は、目標としている無電柱化率3.2%のうち、真に防災力向上に資すると思われる生活道路の無電柱化を積極的に推進するべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 次に、未来を作る中野区の教育大綱について伺います。

 区長は、就任されて以来、繰り返し、中野区を子育て先進区へということを発信されてきました。また、子育て先進区に向けた取組と基本構想を合わせて教育大綱としてまとめていくお考えを示されています。平成30年第2回定例会において、我が会派の高橋ちあき議員の質問にもそうお答えになっています。

 教育大綱は、平成27年4月に、地方公共団体の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律により、地方公共団体の長に策定が義務づけられたものです。そして、教育大綱は、中野区の教育・学術及び文化の振興に関する総合的な施策について、その目標や、施策の根本となる方針を定めるものです。子育て先進区の実現を目指すのであれば、早期に改定するべきと私は考えています。

 区長は、施政方針説明においても、総合教育会議の場で教育委員会と十分議論・検討し、新たな基本構想を踏まえつつ、教育大綱としてまとめていくお考えを示されています。しかし、総合教育会議は昨年6月と10月の2回開催したようですが、いまだ具体的な検討は進んでいないように見えます。今後、いつ、どのようにお示しになるのか、お考えを伺います。

 次に、教育環境の充実について伺います。

 昨年12月4日に発生したシステム障害では、中野区で使用する多くのシステムが影響を受け、その結果、多くの区民の皆様に御不便をおかけすることになりました。先日の子ども文教委員会でも、このときの障害により、区立小・中学校で教育系ファイルサーバーシステムに障害が発生し、その結果、中学校においては、現在も、このシステムを使ったインターネットへの接続や教員が作成したICT教材等を活用した学習活動ができない状況にあるとの報告を受けました。

 Society5.0時代を迎え、予測困難な変化の激しい社会を生きる子どもたちに必要な資質・能力を育むためには、教育におけるICTの活用が不可欠です。区は、教育のICTの環境整備を進めていくと言っています。このようなことが二度と起きないようにしていただきたいと要望いたします。

 一方で、国は、12月に、安心と成長の未来を拓く総合経済対策を閣議決定し、学校における高速大容量のネットワーク環境、校内LANの整備を推進するとともに、特に義務教育段階において、令和5年度までに全学年の児童・生徒一人ひとりがそれぞれ端末を持ち、十分に活用できる環境の実現を目指すこととし、事業を実施する地方自治体に対して、国として継続的に財源を確保し、必要な支援を講じることとするとしています。

 この方針に基づき、文部科学省の令和元年度予算案において、GIGAスクール構想の実現として、校内通信ネットワークの整備と義務教育段階の児童・生徒1人1台端末の整備を目的として、総額約2,318億円が計上されました。この事業は全国一律の学校ICT環境整備を国策として早急に行うものであり、中野区においても、この機を絶対に逃すことなく、教育委員会のみならず、区長をはじめとする区長部局、特に財政、情報システム担当などが一丸となって学校ICT環境の抜本的改善に取り組んでいくことが求められます。

 現在、中野区立学校における児童・生徒の端末整備状況は、都の平均である1台当たり5.2人にも及んでいない状況にあります。

 そこで伺います。区長は子育て先進区を目指すと発信していますが、学校におけるICT環境の抜本的改善についてどのようにお考えか、お聞かせください。

 また、国が令和5年度までに1人1台を目標としている中で、教育委員会では、この方針を踏まえ、計画的に整備していくお考えはあるのでしょうか。

 また、端末を1人1台配備し、それを活用していくためには、学校においてその負荷に耐え得る通信環境が必要です。現在の区立学校での通信環境はどの程度のものなのでしょうか。今後、端末を計画的に整備した場合、その負荷に耐え得るものになっているのでしょうか。お答えください。

 来年度からは小学校で、再来年度からは中学校で新学習指導要領が全面実施されます。この新学習指導要領においては、情報活用能力が、言語能力、問題発見・解決能力と同様に学習の基盤となる資質・能力と位置付けられ、各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に課した学習活動の充実を図ることが明記されています。

 これに従い教育活動を実施していくには、教える側、すなわち教職員のスキルも必要になります。情報通信技術は日進月歩であり、忙しい教員が自力でスキルを身につけていくことは大変なことだと思います。文部科学省が定めた教育のICT化へ向けた環境5カ年計画では、4校当たり1人のICT支援員を配置するとしています。

 そこで伺いますが、中野区においては、学校に対するICTの支援体制はどのようになっているのでしょうか。ICTを活用した学びや教員へのフォローアップが十分になされている体制となっているのでしょうか。御答弁を求めます。

 以上で私の質問の全てを終了します。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) いでい議員の御質問にお答えいたします。

 まず1点目、災害から国民の暮らしを守る防災・減災の取り組みについて、最初に、実効性のある災害協定についてのお尋ねでございます。災害協定については、自治体間の相互協力・応援協定や避難所等の施設の利用に関する協定など、全体で110件の協定を締結しております。協定内容につきましては、災害協定に基づく中野区への支援内容や協定に関する意見等について、毎年度、協定締結団体等に対する現況調査において確認しているほか、会議等において情報交換を行っているところでございます。今度、協定締結団体が参加している総合防災訓練や帰宅困難者対策訓練において参加団体を増やしていくよう働きかけを強めるとともに、時勢に沿った訓練となるよう内容の見直しを行うなど、協定の趣旨が生かされ、災害時により実効性のあるものとして機能できるように取り組んでまいります。

 次に、地域で活躍できる防災リーダーの育成についての御質問です。区では、各種防災講座の開催や様々な訓練を通じて、地域で活躍できる防災リーダーの育成を進めてまいりました。現在、防災リーダーとしての知見を生かし、地域の防災訓練や避難所運営訓練に積極的に参加されている方がいる一方で、時間に制約があるなどにより訓練に参加できていない方もいるところでございます。今後は、区が行う避難所運営訓練のアドバイザーや職員震災図上訓練のオブザーバーとして参加いただくなど、区が防災リーダーと地域をつなぐ取り組みを強化し、防災リーダーの活性化を図ってまいります。

 次に、災害時業務継続地区――BCDの構築における防災機能強化についてでございます。中野駅周辺におけるスマートな環境・防災都市づくり戦略においては、持続可能な環境性と防災性に優れた持続可能な中心拠点として、中野四季の都市(まち)と新たなまちづくりを行う中野四丁目、新北口地区等との機能的連携により、災害時の事業継続性が確保される業務継続地区――BCDの構築を図っていくこととしております。こうした中にあって、新区役所整備におきましては、災害対策本部機能を充実するほか、社会福祉協議会が新庁舎内に設置されることによって、緊密な連携や協力体制の整備が可能となりますので、災害ボランティアセンターが円滑に設置・運営できるなど、防災機能の強化に資するものになると考えております。また、現在、中野四季の都市(まち)の企業や大学と備蓄倉庫や施設提供等の災害協定を締結しておりますが、再開発などにより今後新たに整備される施設などについても、防災機能強化に向けた連携を進めてまいります。

 次に、災害時業務継続地区の構築についてでございます。中野四丁目地区における災害時業務継続地区の構築に向けて、区は、関係者に対して防災や減災を視野に入れたエリアマネジメントの取り組みを働きかけるとともに、連携体制を構築してまいります。また、災害時においても業務が継続できるよう、自立・分散型のエネルギー設備の導入が望まれるところでございます。今後計画されている再開発では、そうした設備や機能を誘導してまいります。

 マンション再生まちづくり計画についての御質問です。本制度は、防災性向上などマンションの再生を図る必要性が特に高い地区を都が指定し、都と区が必要な支援を行うことで、安全で良質なマンションストックの形成とともに、安全・安心な都市の実現や良好な市街地環境形成を目指すものでございます。民間マンションの建て替えに伴って公的補助や容積率等の緩和が可能となるため、本制度を有効に活用し、安全で良好な市街地形成を図ることは重要であると考えております。都市計画マスタープランや住宅マスタープランの中で一定の考え方を示してまいります。

 環状6号線内側への都市再開発諸制度等の活用についてでございます。環状6号線内側の東中野駅や中野坂上駅のエリアは、現行都市計画マスタープランの中でも、新宿副都心と連携する交流拠点として、商業・業務の活性化に向け取り組むことを示しております。現行都市計画マスタープランの策定以降、東京都は都市づくりのグランドデザイン等の上位計画の中で、中枢広域拠点域等の新たな位置付けや都市再開発に関する各支援制度が示されたことから、都市計画マスタープランの改定においてもこれを踏まえた考え方を示し、取り組みを進めてまいります。

 次に、生活道路も含めた無電柱化の推進についてでございます。無電柱化はまちの魅力向上にもつながるものであり、区では既に、都のチャレンジ支援事業により取り組んでいるところでございます。また、2月5日には、無電柱化を推進するため、道路法第37条に基づいて、電柱新設を禁止する路線の指定も行ったところであります。生活道路での無電柱化は、沿道や地域の方の理解と協力が必須である上、限られたスペースでの地上機器の設置場所の確保や埋設事業者との十分な調整が必要になるなど、技術的な課題は多いものと認識しております。昨年策定した中野区無電柱化推進計画の優先整備路線について、計画的に無電柱化していきたいと考えております。

 次に、無電柱化の推進による防災性の向上についてでございます。無電柱化はまちの防災性の向上に大きく寄与すると考えておりまして、特に生活道路においてより効果が高いことから、今後は、パイロット事業として実施しているチャレンジ支援事業での知見をもとに、最新技術の導入や他事例も参考にしながら、歩道のない道路も含めて、目標達成に向けて展開していきたいと考えております。

 次に、未来を作る中野区の教育政策についてのうち、教育大綱の改定時期についてでございます。良好な教育環境のもとで子どもたちが学べるようにしていくためには、社会の変化に対応した質の高い教育を実現することが必要であり、基本構想検討素案にも、その内容を盛り込んでいるところでございます。教育大綱につきましては、中野の教育が目指すべき姿などについて、総合教育会議において教育委員会との議論を進めているところでございまして、基本構想の策定後速やかに改定したいと考えております。

 最後に、学校におけるICT環境の抜本的改善についてでございます。ICTの活用が生活のあらゆる場面で広がりを見せている中、学校においてもICT環境を充実させて、それを最大限活用させていく能力を身につけさせることは、これからを生きる子どもたちにとって不可欠なことだと考えております。区としても、教育委員会でのICTを活用した教育の充実についての議論の内容を踏まえ、適切に対応してまいります。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、GIGAスクール構想を踏まえたICT機器の整備の考え方についてお答えいたします。

 教育委員会では、国が進めるGIGAスクール構想を踏まえ、情報化の推進を計画的・総合的に進めていくために、来年度、中野区教育情報化推進計画を策定し、各学校におけるICT機器の効果的な導入や整備について計画的に進めてまいります。

 次に、区立学校の通信環境についてでございますが、現在、児童・生徒用のタブレットは、小学校に40台、中学校には80台が配置されておりまして、そのタブレットを各教室で活用できる通信環境となってございます。一方で、デジタル教材等の導入が進み、多くの教室で同時に使用された場合、つながりにくくなったり、動作が遅くなったりすることが予想されております。今後の学校での教材の使用方法を踏まえ、必要なネットワーク回線の環境整備を行ってまいります。

 最後に、学校に対するICTの支援体制についてお答えいたします。

 今年度は、教員のICT活用能力及び指導力の向上のため、委託により支援員を配置したところでございます。ICT機器の操作や学校ホームページの作成に関する支援を行ってきた一方で、ICTを活用した授業に関する支援については、支援員が授業そのものに対する理解が不十分なところがあり、改善が必要な状況でございました。来年度は、ICTの知見を有するとともに、授業での活用についても熟知している教育情報化専門員を教育委員会に配置して、教員に対する授業支援、教材活用の支援や提案、ICT教育に係る研修などを行い、学校への支援の充実を図ってまいります。

○副議長(平山英明) 以上でいでい良輔議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 河 合 り な

 1 命を守るための子育て支援について

  (1)虐待にいたる前の取り組みについて

  (2)ひとり親家庭への支援の拡充について

  (3)障がいを持った方との共生社会実現に向けた取り組みについて

  (4)保育の質の充実について

  (5)その他

 2 命を守る観点からの広報の重要性について

  (1)広報の充実について

  (2)新しいアウトリーチとしてのSNSの活用について

  (3)その他

 3 南台地域のまちづくりについて

  (1)南台小学校の新校舎整備について

  (2)旧新山小学校の跡地利用について

  (3)その他

 4 その他

 

○副議長(平山英明) 次に、河合りな議員。

〔河合りな議員登壇〕

○6番(河合りな) 令和2年度第1回定例会に当たり、立憲民主党・無所属議員団の立場から一般質問を行います。

 質問は通告どおり、その他はありません。

 1、命を守るための子育て支援について、(1)虐待にいたる前の取り組みについて。

 令和2年度予算において子育て先進区に向けた取り組みの数々が進んだことを大いに評価いたします。しかし、年末に他区で新生児を放置し死なせてしまった痛ましい事件は、皆様の記憶にも新しいかと思います。幾ら行政が制度を用意しても、本当に必要としている人の手に届かなくては意味がありません。

 区では、令和3年度に、児童相談所を含む総合子どもセンターの設置準備を進めていますが、児童相談所は虐待における最後のとりでであり、その機能を十分に生かすためにも、虐待に至る前の支援の充実が重要です。問題が深刻化する前に、誰もが気軽に手助けを得られる環境が必要ではないでしょうか。例えば一時保育は、事業化された当初は緊急的な子どもの預かり場でしたが、今では孤立や子育て不安を払拭するためのレスパイト機能としての必要性が高まっており、柔軟性の高い一時保育を要望する声は今も大変多く届いています。

 厚生労働省の「子ども虐待対応の手引き」を要約しますと、子ども虐待はどこにでも起こり得るという認識に立ち、一般子育て支援サービスを充実させることが重要とあります。現在、区では、支援の必要な子育て世帯の早期洗い出しはできているようですが、一層支援の手をめぐらせ、子育て世帯を社会的孤立から救っていくべきです。それこそが基本構想でうたわれる「未来ある子どもの育ちを地域全体で支えるまち」につながっていくでしょう。

 流入世帯、核家族化の増加でサポートがなくなってしまった多くの子育て世帯へ、産前産後は言うまでもなく、小学校入学や反抗期などのどの成長段階でも寄り添い、子育てについて新たな視点や気づきを得られるよう取り組みを拡充すべきです。

 質問です。すこやか福祉センターは切れ目のない子育て支援をうたっています。講演会や講座の充実をして、集いの場を担えれば、身近な相談拠点となります。今後、フィンランドのネウボラのような、子が成長していくまで寄り添い、身近に子育てを支える考え方として、今よりもさらに親しみを感じていける場を目指してはいかがでしょうか。

 しかしながら、つい先日、すこやか福祉センターでの子育て相談の予約を1か月以上待たされたという話を聞きました。現在、枠に対して相談件数は余裕がないようです。予約の電話をくださった方々は、今、子育てをしている、切実に困っている方々でしょう。特に小さな子どもは、1か月でもどんどん成長し、状況が変化します。勇気を持って相談くださった方へしっかり対応すべきです。

 質問です。各すこやか福祉センターの子育て相談は、即時受けられるよう枠や人員の拡充をしてください。また、緊急度が高そうなものは枠外でも対応するそうですが、さらなる徹底を求めます。

 さて、厚生労働省の発表にて、心中以外の虐待死事例で死亡した子どもの年齢は、ゼロ歳が28人、53.8%と最も多く、生まれたての子どもがいる生活は、喜びが大きい反面、心も体も負担を感じる場面が多々あります。妊娠期間中は病院からの手厚いフォローがありますが、産後のこんにちは赤ちゃん訪問後は次の3か月健診まで2か月ほど開き、特に初産婦は新生児連れの外出に気を使う時期で、必要最低限、外に出ない生活を送る方もいます。また、現在、区の産後ケアは大変手厚くなっておりますが、利用条件に該当せず、潜在的に孤立しがちな産後の家庭をもっと地域につなげていくべきです。

 ホームスタートという考え方があります。未就学児がいる家庭に研修を受けた地域の子育て経験者が尋ねる家庭訪問型子育て支援ボランティアです。親子とともに過ごし、家庭支援や傾聴、時には一緒に公園や子育てひろばに外出するなど、地域の支援や人々とつながるきっかけづくりを応援します。都内で12か所、全国105か所の自治体でも取り入れられており、杉並区でも、子育てよりそい訪問事業という近しい施策があります。

 質問です。ぜひ区でもホームスタートなどの訪問支援をすべきです。いかがでしょうか。

 ところで、産後ケア事業ですが、来年度から、中部と南部すこやか福祉センターの産後デイケアが廃止になるという話を伺いました。中野区は国に先んじて産後ケアの取り組みを進めてきましたが、今回はサービスの縮小ということでしょうか。

 質問です。廃止の根拠を教えてください。

 今後、区は、利用していた方々へどのような対応をしていくのかも併せてお示しください。

 次に、在宅で育児をしている家庭への支援について、保育園や幼稚園に入園させているよりも孤立しがちで、さらには施設利用による税の恩恵も受けていません。それぞれの子育て環境の選択を尊重し、整えていくのが行政の責務です。区の幼稚園と保育園施設の利用状況により、在宅育児家庭は3歳未満で53%となっております。

 区は、現在、地域向け支援として保育園の園庭開放をしています。それを登録制にして、継続的に遊びの紹介や身体測定など、在宅育児家庭のパートナーとなるマイ保育園事業が全国的にも広がりを見せています。また、世田谷区では、児童館での登録制サークルや自主保育グループの活動支援も行っています。

 質問です。在宅育児家庭へも支援の手を広げ、活動支援や孤立を防ぐ取り組みを進めるべきです。いかがでしょうか。

 さて、昨今、社会的にも困難な育児環境と認識が高まっているのが多胎児育児――双子や三つ子を持つ家庭です。晩婚化と不妊治療で出生割合は増加していますが、実は、多胎児の虐待死は、単体児の2.5から4倍で起きています。同時に2人以上の妊娠・出産・育児に伴う身体的・精神的な負担や経済的な問題、多胎児ならではの困難さに直面する家庭も少なくありません。

 特に問題になっているのが移動困難で、保育園に入れるまで家から出られなかったという声もありました。区では、今予算で多胎児支援を拡充、産後ケア利用時に使用できる移動補助サービスが始まるとのこと、大いに評価いたします。そして、都では、移動経費と家庭サポーター事業としての外出時補助が始まります。

 質問です。都補助を導入して、さらに使いやすい多胎児育児の移動支援拡充に取り組んではいかがでしょうか。

 多胎児育児に関しては、もう一つ大きな問題は情報不足です。認識は高まっているものの、理解は進んでいません。当事者である保護者自身も、妊娠期間中の不安や産前に想像していた以上の産後の大変さ、知識不足があるようです。

 産前のこんにちは赤ちゃん学級を多胎児向けに行うには対象者は少ないですが、例えば動画やDVDでの講座を用意することはできるでしょう。また、現在の多胎児の会は年に各1回ずつ、北部と中部すこやか福祉センターにて行われておりますが、参加者から、多胎児同士でしか分からない悩みが共有でき、大変よい機会で、もっと参加したかったとの声もありました。今後、移動支援ができれば、より訪ねやすくなるでしょう。

 質問です。子育て支援の職員の方には、多胎児の家庭の困難をより一層理解して御対応いただくよう求めます。

 また、多胎児の会の回数や参加できる場所と人数を拡充し、情報交換、交流会にプラスして、多胎児育児経験者による相談支援会へと発展させてはいかがでしょうか。

 次に、今後大きな問題になってくるのがダブルケア――育児と介護など複数の課題を担う家庭です。団塊の世代全員が75歳以上になる2025年以降、団塊ジュニア世代がダブルケア家庭として大きなボリュームとなるでしょう。

 複数の問題に対応し切れず、どちらに対しても後悔するという話を聞きました。仕事への制約、精神的な負担、金銭的な問題も絡み、新たな社会リスクと言われています。本腰を入れて取り組んでいかねば間に合いません。例えば子育てに配慮したケアプランを作成できるなど、職員の認知や連携は進んでいるのでしょうか。

 質問です。地域包括ケアの考えの中にダブルケア対策をしっかり位置付けてください。

 今後、育児と介護の両方の知識を持った人材が必要となると考えますが、いかがでしょうか。

 育児困難な環境要因を多く有しているからといって、必ずしも虐待につながるわけではありません。しかし、区でも虐待問題を発生予防の観点で捉え、支援拡充することを求め、この項を終わります。

 (2)ひとり親家庭への支援の拡充について。

 平成30年11月、兵庫県明石市が市独自の養育費不払い立替え制度の方針を示し、大変大きな反響を呼びました。厚生労働省の調査にて、ひとり親家庭の約8割が離婚家庭、そのうち養育費の支払いを受けているのは約25%、4人に1人の割合だからです。

 都では、我が立憲民主党都議の所属する会派が要望し続け、令和2年度予算にて明石と同様の養育費確保支援事業が始まることとなりました。

 養育費をもらうのは、親権者の権利ではなく、健やかな成長のための子どもの権利です。海外では、国で養育費を給与から天引きして強制徴収、支払いを立て替えるなどの制度があります。養育費が支払われることは世界的な常識です。

 質問です。貧困の連鎖を断ち切るためにも、ぜひ都の補助を導入すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 これを機に、ひとり親家庭へしっかりとした相談体制が現在もあることを示して支援につなげ、さらに一層の拡充を検討してはいかがでしょうか。

 次に、自立に必要なのは就労と居住と言われています。平成30年度母子家庭の母及び父子家庭の父の自立支援施策の実施状況にて、ひとり親の世帯人員1人当たり平均所得金額は107.3万円、児童のいる世帯180.7万円を大きく下回ります。子育てしながら働ける職探しやライフステージに合わせた就労形態の変更は困難です。ひとり親は、困窮、子育て、女性、就職氷河期世代と、要因が複合的に重なることが多い状況です。

 困難を抱える一人ひとりに寄り添った就労支援にユニバーサル就労があります。

 平成29年に導入した静岡県富士市へ視察に行ってまいりました。様々な理由で働きたくても働けない全ての人が、その個性や意欲に応じて能力を発揮し、社会を構成する一員として社会経済活動に参加することが基本理念です。既存の就労支援窓口と必要があれば連携、仕事の切り出しをすることで、既存支援の対象外の方でも、相談に来た方に合わせてオーダーメードの支援を実現しています。

 また、令和元年12月、東京都産業労働局、都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例が制定されました。

 質問です。今後、ユニバーサル就労の考え方を参考に、ひとり親家庭などの一般就労が難しい方へ踏み込んだ支援の検討をしてはいかがでしょうか。

 ひとり親家庭の住居支援について、こちらもまだ不足している状況です。公営住宅への入居は倍率が高く、区ではほかに居住関連で金銭的補助はなく、安全で手頃な住居を確保するのは、経済的制限、入居を拒まれる事例などもあり困難です。しかし、母子生活寮へはより状況が深刻な方が入るため、自分は該当しない、敷居が高く抵抗を感じるという方もいます。また、一定の収入があっても、公的補助が減って税金などが高くなるため、生活が苦しくなりがちです。

 NPO法人全国ひとり親居住支援機構では、空き家を活用したシングルマザー向けシェアハウスを全国に広げる支援活動をしており、豊島区の物件を見学してまいりましたが、居住者同士の見守りや助け合いが成り立ち、子育てに安心・安全な環境が提供されていました。また、杉並区ではリノベーション空き家の提供と居住に関してのトータルな伴奏型支援、千葉県流山市では洗濯代行店を併設して、職まで提供しています。

 質問です。ぜひNPOとの連携を視野に入れ、ひとり親家庭向けシェアハウスの誘致や初期費用の補助や空き家活用など、孤立を防ぐ居住支援の拡充をしてはいかがでしょうか。

 ところで、ひとり親家庭にて、家族の中に自分以外の大人がいれば気軽に相談できたことも1人で思い悩んでしまうことがあると聞きました。子ども心にも大きな影響を与えます。相談してくる家庭を待つのではなく、虐待対応と同様、深刻になる前から支援の手を伸ばしていくべきです。

 質問です。ひとり親家庭へのサポートをもっと拡充していくべきです。託児つきで参加ハードルを下げたグループ相談会や子どものケア講座などを開催すれば、自分と同じ立場の方々との交流を通して、それぞれが抱えている思いや悩みを共有し、ひとり親が背負ってしまいがちな責任感・孤独感を共有できるのではないでしょうか。

 私自身も、ひとり親家庭で育った当事者の1人です。区が今後、子どもの権利条例の検討を進めることは大変評価しております。子どもを取り残すことなく、寄り添い、心と権利が守られる社会を目指すことをお約束して、この項を終わります。

 (3)障がいを持った方との共生社会実現に向けた取り組みについて。

 本年は、オリンピック・パラリンピックが開催されます。特にパラリンピックは障害の有無に関わらず楽しめ、共生社会への大きな希望であり、その機運は維持継承していくべきです。

 都では、インクルーシブ公園整備を進めることが話題に、区でもユニバーサルデザインの考え方が浸透し、区有施設のバリアフリーの環境整備は少しずつ進んでいますが、ハード面はもちろんソフト面の支援拡充もさらに進めていくべきです。当事者や興味のある方を対象にした講座ばかりではなく、普通に暮らしている方が参加しやすい形態を目指すことで、自然と共生社会が広がるのではないでしょうか。

 先日の地域の勉強会にて、ダイアログ・イン・ザ・ダークという視覚障害の方が先頭で白杖をついて暗闇の中で様々な体験をするイベントの紹介がありました。私も、10年以上前に参加したことがあります。光ひとつない暗闇の中、一般的に健常者と言われる私たちは一歩も動けなくなりますが、視覚に障害を持った方はすいすい歩けます。

 障害とは生きるのに困難がある状態を指し、暗闇の中では私たちが障害者となるのです。逆を言えば、困難を抱えた方がともに過ごせる環境を進めていけば、世の中から障害者と呼ばれる方は減っていくのです。

 また、東村山では、一般の方の電動車椅子体験や脳波でドローンを飛ばすなどが行われるなど、魅力的なイベントは皆が関心を持ちます。

 質問です。障害の有無を越えた関係づくり、機会を区でも持つべきです。ぜひ区でもインクルーシブなイベントを開催してはいかがでしょうか。

 次に、障害児の一時保護に関して。

 疲れているときに休みたい要望がいまだ多く、特に未就学児を預かれる場所は限られており、支援する家族が笑顔でいられる環境構築をさらに進めていく必要があります。突き進めていくと、少子高齢化の進展とともに福祉サービスに対するニーズが急増、福祉人材不足にたどり着きます。喫緊の課題に対し、就職支援金、継続勤務手当などの導入も視野に入れていくべきです。

 また、石川県金沢市では、職場のお墨つきという、一定基準をクリアした職場を市が証明し、安心して働ける環境を提供しています。

 質問です。障害児の一時保護を拡充すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 今後、利用しやすい制度を整えるためにも、地の利を生かし、大学との連携も視野に入れ、福祉人材確保や定着支援を充実してはいかがでしょうか。

 次に、障害児を持った方の家族は、介護や就労などの合間に、自分たちに必要なサービスを探し、自分たちで申し込んでいると聞きました。介護保険のケアマネジャーのような動きができる相談支援員は大変少なく、サービスのコーディネートには専門の知識が必要なため、家族の大きな負担となっています。長野県上田市の障害者総合支援センターでは、家庭への訪問相談、各種サービス提供に係る援助調整まで行っています。

 質問です。申込みまで支援できる相談支援員を増やし、家族の負担を軽減できる施策の充実をしてはいかがでしょうか。

 さて、昨年の制度改正により、障害があってもできる限り同じ教室で学びを提供するという考え方が進んでまいりました。子どもの時期より相互に人格と個性を尊重し合い、多様な在り方を認め合える環境が進むことを心から歓迎します。

 現在、特別支援教育支援員は学校規模によりおよそ1校に1人ですが、特別支援教室巡回指導の児童数は年々増加しています。先生方の働き方改革の視点から見ても、現場の荷重は大きく、また、より重い障害の子に対応を集中すると軽度の子が取り残され、幼児期に認められてきた自己肯定感が下がるとの声も聞きました。

 質問です。特別支援教育支援員の拡充はすぐにでも行うべきですが、いかがでしょうか。

 どんな方も望むように生きる権利があります。自らの意思で決められるよう行政は整備していく必要があり、環境がそれを許さないことは権利を奪っていることと同様です。いち早く誰もが安心・安全に過ごせる環境整備を要望し、今後も共生社会実現に向けて取り組んでいくことをお約束して、この項を終わります。

 (4)保育の質の充実について。

 昨年、幼児教育・保育の無償化が始まりましたが、子どもたちの健やかな育ちのためには、同時に保育の質の担保を進めていく必要があります。

 人件費において、2019年9月21日号東洋経済で、都内保育園低賃金ワースト80のランクインが区でも4園ありました。もともとの公定価格の低さに加え、本来委託費の8割が人件費とされていたのが、国は、待機児童対策のため、企業参入とともに委託費の弾力運用を認め、ほか施設への流用が可能となったことが大きな理由とされています。

 賃金の高低だけで一概によしあしの判断はできませんが、子どもの命を預かり育ちを支える保育士が大事にされなくて安心できる保育が成り立つでしょうか。

 こうした問題を受け、補助金が保育士の給与アップにつながるよう調査しようという動きが広まっています。足立区では保育士が実際に受け取った給与額の調査、千代田では保育士の賃金台帳の提出を義務づけ、世田谷区では保育士の待遇に関する規定を補助金の交付要綱に追加しました。

 質問です。区でも補助金が保育士の待遇改善につながるよう踏み込んだ政策が必要と考えますが、いかがでしょうか。

 区では、昨年、保育の質ガイドライン案が示されました。前回一般質問でも申し上げましたが、保育の質ガイドラインは、作って終わりではなく、理念を浸透し、活用していくことが重要です。保護者や地域の方、区の未来に関わる大切な子どもたちの話だからです。

 質問です。社会全体で子どもを育てていく視点で、保育士と事業者だけにとどめない保育の質ガイドラインの活用をする取り組みを検討してはいかがでしょうか。

 さて、保育においては、昨年、もう一つすばらしい報告がありました。区では、医療的ケアが必要な子どもへ適切な保育環境を整えて、医療的ケア児の保育を推進する方針を出しました。全国的に社会の制度が追いついていないため、対応できる施設は不足、動けても集団の場に通わせてもらえない、保護者などが常に介助する状態が続いてきました。現在対象となるのは区立保育園2園、区立としての責務を果たし、できる限り集団の保育を認めた区の姿勢を評価いたします。

 しかし、入園希望を出したくても、どちらも北部のため通えないという声がありました。

 質問です。どんな子どもも地域で成長していける環境構築をさらに進めるべきです。区の中央と南部での医療的ケア児の受入れを早期に実現すべきと考えます。いかがでしょうか。

 幼児教育の有用性が世界的にも認められている中、いつ、どのように生まれても、集団の保育を受ける権利が子どもにはあります。職場復帰と子育てのバランスを自分で決められるよう保育ニーズを的確に把握し、保育の質ガイドラインに沿った運営をしていただける事業者を選定、一層の待機児童の解消を進める努力を要望いたしまして、この項を終わります。

 2、命を守る観点からの広報の重要性について。

 (1)広報の充実について。

 令和2年賀詞交歓会の区長挨拶にて、広報の重要性を語っていらっしゃいました。また、総務委員会にて、発信力強化の取り組みについてと広報アドバイザーの導入の報告がありました。

 情報は命を救えます。冒頭にお話しさせていただいた年末の事件は、制度が幾つもあった中で、情報を届かせる重要性について心から認識し直させるものでした。

 私は、前職、デザイン業に就いておりました。装飾することと捉えられがちですが、大きな意味でデザインとは、目的を達成するため問題を解決する手段であり、広報はデザインの中の一つです。PRや活動紹介などが浸透すれば、区民への情報伝達度が上がり、シビックプライド醸成にも寄与するでしょう。広報に経験値の高い専門家を登用することは大変有効な手段です。

 質問です。チラシやイベントの周知、広報戦略、頑張っていただきたいところはたくさんあります。まずは広報アドバイザーを生かすためにも、ぜひ多くの人の目に触れるホームページを利用者目線で改修してはいかがでしょうか。

 次に、ICT教育やGIGAスクール構想など、子どもにもコンピュータが身近に広がっています。情報技術を手段として活用する世代となっていく彼らのためにも、区のホームページも子どもに開かれたものにするべきです。練馬区や港区にも、公式ホームページの中に親子向けページがあります。例えば児童館や公園マップに、ボール遊びなど何ができるか特性を明確にすれば、遊びに行く幅が広がるでしょう。そこに目立つよう子ども向け相談窓口を明記しておけば、いざ困ったときに連絡する先を覚えてもらえます。

 質問です。ぜひ親子向けページを作成していただきたいと考えます。いかがでしょうか。

 さて、情報発信を見直していく中で、職員の方の考え方もさらにアップデートしていく必要があります。行政サービスが多様化している中、発生した問題や課題に対し、本当は何を求めているのか、両者目線を大切にしたアプローチが重要です。

 総務省の令和元年版情報通信白書にてデータの流通量が爆発的に拡大していることが報告される中、多くの人は、自分に必要な情報だけが届いてほしい、速やかに情報へたどり着きたいと感じています。ホームページにおいて掲載されていればいいではなく、見る側の視点で情報を整理することが重要です。

 杉並区では、すぎラボという、子育て情報発信、イベントを取材、参加団体、区政の疑問解消などの記事を利用者目線でホームページに掲載しています。

 このように、徹底的に利用者を中心に据えるのがユーザビリティーという考え方です。浸透すれば、利用者側の評価、サービスの質が高まります。問題発見・解決を、内勤や窓口に関わらず全ての職員の方が日常から利用者の視点、声を意識していくことで、やるべきことが見えてきます。窓口のレイアウト、チラシの置き方なども該当します。

 質問です。ぜひ全ての場所で利用者目線を意識させるために、区の研修内容にユーザビリティーの考え方を取り入れるべきですが、いかがでしょうか。

 (2)新しいアウトリーチとしてのSNSの活用について。

 総務委員会ではSNSによる情報発信の強化も報告され、広報が一層充実することを評価、歓迎いたします。LINE公式アカウントを取得すれば、日常的に使う若い世代へ情報が届きやすくなります。ウエブサイトやメール、電話と並んで、LINEを情報発信や問い合わせ窓口に活用する自治体は増加中で、2019年4月時点で累計約400件に上る地方公共団体のアカウントが開設されています。子育て層や若年層と相性のよい気軽なSNS相談窓口は開設するべきです。

 また、LINEには、子育てや福祉など欲しい情報に合わせたセグメント配信機能があります。これは一種の有効のアウトリーチになるのではないでしょうか。ツイッターにおいても、一つのアカウントで全て発信するのではなく、防災やイベントなど、複数を活用することで、受け手が自分で必要な情報を選ぶことができます。

 質問です。SNS特性と対象者に合わせた有効な発信方法や使い方をしっかり検討してはいかがでしょうか。

 3、南台地域まちづくりについて。

 (1)南台小学校の新校舎整備について。

 南台小学校の新校舎整備では、昨年の12月に既存の擁壁を解体し、新たな擁壁を整備する必要があることから、整備期間が当初予定していた2年から最長4年になることが突然示されました。児童も含めた学校関係者や地域からも多くの驚きの声が聞かれました。

 学校は、防災拠点、祭りなどコミュニティの中心として地域からも愛され、地域と子どもをつなげる場所でもあります。新校舎整備期間の延長は、生徒にも地域にも大きな影響があります。紙面上だけではなく、地域の実情を把握して計画していくことを取り組んでいくべきです。再編計画を決める段階でしっかりと調査しておけば、工期の変更は防げたのではないでしょうか。再延伸だけは絶対にないようお願いいたします。

 質問です。整備期間中の児童、本来新校舎で卒業できるはずだった児童、そして、整備に御理解いただいていた地域へ最大限の配慮をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 (2)旧新山小学校の跡地利用について。

 前回の一般質問でも旧新山小学校の跡地活用についてを尋ね、基本計画において活用の方向性を示すと回答をいただきました。2021年より南台小学校の仮校舎として使用される予定ですが、新校舎整備期間の延長により、仮校舎として使う期間も延長されることとなりました。

 また、今後の区立学校の跡地について、総務委員会にて活用の方策が報告されました。未利用地の少ない中野区において区が示す学校の跡地活用方策は一定理解できますが、学校は地域でも親しまれ、住民を守り、まちの中心となる場所です。学校跡地がどう使われていくかは、まち全体に大きく影響します。旧新山小学校跡地は9割が国有地のため、どのような使い方をしていくかを早めに検討しないと、土地の購入にも関わります。

 大阪市生野区のリノベーションまちづくりは、今あるまちの強みや資源、潜在力を生かした環境を創出し、まちのイメージをよりよい方向に変え、魅力を高めるという考え方です。視察で話を聞いてきましたが、まちの強みを知っているのは、地域で暮らす住民です。地域から愛される場所にしていくためには、区の方針を示しながらも、早い段階から住民に計画参加していただくことが地域の最大利益につながります。

 質問です。幸い旧新山小学校は、新校舎整備期間の延長で検討にかける時間があります。ぜひそこで暮らす一般の住民の声を広く集めるワークショップなどを取り入れ、仮校舎としての使用が終わる前からの跡地活用を検討してはいかがでしょうか。

 また、今後も、再編が行われる学校にはこの考え方を取り入れてはいかがでしょうか。

 スケジュール感を持って跡地利用の考え方に取り組んでいくことが、統合を理解していただいた地域の皆様のためにもなりますので、ぜひよろしくお願いします。

 以上で私の全ての質問を終わります。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 河合議員の御質問にお答えいたします。

 1点目、命を守るための子育て支援についてのうち、子育て世帯の相談拠点のすこやか福祉センターの充実についてでございます。すこやか福祉センターが妊娠期から子育て期まで常に身近にあって、子育ての楽しさや子どもの成長への気づきなどを提供する場となるよう、妊婦や父親が参加しやすい講演会や講座を設定するほか、子育て期にも対応する相談拠点としての充実を図ってまいりたいと考えております。

 次に、すこやか福祉センターでの子育て相談の充実についてです。母親のメンタルヘルスや子どもの発達に関わる予約制の子育て専門相談については、月2回実施しておりまして、ばらつきはありますが、1か月以上お待ちいただく場合があることは認識をしております。すこやか福祉センターでは、これまでの雇い上げによる相談体制のほか、常勤心理職の配置を進めてきております。こうした体制強化によって、適時適切な相談対応を図っていきたいと考えております。

 次に、訪問支援の実施についてでございます。区では、現在、家族などからの十分な援助が受けられず、心身の不調や育児不安のある産婦を対象として、訪問して母子のケアや育児のサポート等を行うケア支援者派遣事業を行っております。比較的リスクの高い要支援者以外であっても、誰にでも子育て不安や孤立のリスクがあることは承知をしております。訪問型の子育て支援策の充実について、他自治体での実施方法なども参考にして研究してまいります。

 次に、すこやか福祉センターを会場とする産後デイケアの一部見直しについてでございます。母親の身体的回復、心理的な回復の促進、育児支援を目的とする産後デイケア事業として実施しているすこやか福祉センターにおける利用者アンケートを分析したところ、本来のデイケア事業のほか、子育ての仲間づくりについての期待も大きかったと把握しております。こうした利用者のニーズ等を踏まえて、すこやか福祉センター分のデイケア事業を整理し、助産師へ相談ができる助産院等の委託型産後デイケアの拡充と、仲間づくりや子育て支援を行う地域育児相談会等の回数増を図ることとして見直しを行ったものでございます。現在の利用者については、個々の状況に応じて適切な事業を案内してまいります。

 次に、在宅育児家庭への支援についてでございます。身近に頼れる人がいない孤独な子育てを解消することは重要な課題であると認識しております。保育園では、在宅乳幼児親子を対象に、子育て支援事業として、園児と遊んだり行事に参加したりする保育体験や育児相談、身体測定等を行っております。児童館では、乳幼児専用の部屋やホールを利用して、親子体操や絵本の読み聞かせなどで乳幼児親子が楽しく遊び、交流できる時間を設けております。また、子育てひろばは、子育て中の親子同士の交流の場となっています。保育園や児童館では、区のホームページや御案内のパンフレットで周知しているところでございますが、今後も在宅乳幼児親子の孤立を防ぐ取り組みや、より効果的な周知方法などについて検討してまいります。

 次に、多胎児の育児に関わる都の補助事業についてでございます。区では、多胎児支援として産後ケア事業を利用する際の家から施設までの移動時に補助者が同行する移動補助サービスを開始する予定でございます。東京都の移動経費補助事業につきましては、3歳未満の多胎児について、健診、予防接種等に関わる移動経費支援をするもの、また、外出時補助事業は付き添いに関わる経費支援と聞いておりまして、今後、補助要件などを確認し、区での活用を検討してまいります。

 次に、多胎児育児の情報共有、相談会についてでございます。妊産婦の出産・育児支援に当たる専門職につきましては、研修会への参加や情報収集を行うなど、多胎児育児への理解を深めるように努めており、今後も情報収集や共有化を図ってまいります。すこやか福祉センターで開催する多胎児の会は、1回につき10から15組ぐらいが参加し、お子さんの年齢もゼロ歳から2歳児であるため、経験交流も一定程度できていると考えておりますが、今後は、多胎児の育児経験者によるピア相談等についても実施できるよう検討してまいります。

 次に、ダブルケアについてでございます。いわゆるダブルケアは、複合的・分野横断的な課題の典型例の一つと考えており、全世代型地域包括ケアにおいて適切に位置付けてまいりたいと考えております。複合的・分野横断的な相談に対して、必要に応じて専門部署と連携することなども含め、適切に対応していくためには、職員の専門分野に加え、関連分野の知識も必要でございます。職員のさらなるスキルアップに努めてまいります。

 次に、ひとり親家庭への支援の拡充についてで、ひとり親家庭の養育費の確保についてでございます。区は、子ども総合相談窓口に専任の母子・父子自立支援員を配置し、ひとり親に係る経済支援、住まい、資格取得等の相談を総合的に受け付け、必要に応じて専門機関を紹介するなどの支援を行っております。こうした相談体制について、一層の周知を図ってまいります。また、今後、区において専門家を講師とする養育費等に係るセミナーや相談会の開催を予定しており、そうした中でニーズを把握して、養育費に関わることも含め、よりきめ細かいひとり親支援の拡充について検討してまいります。

 次に、就労困難者への支援についてでございます。ひとり親家庭など就労の難しい方に対しては、それぞれの所管において、実態やニーズに沿った就労支援を行っているところでございます。基本構想検討素案にも掲げているとおり、誰もが自分らしく輝けるための就労を実現できている状況をつくり出すことは大切なことと考えております。このたび制定された東京都の都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例等を参考にしてまいります。

 次に、ひとり親家庭の居住支援についてでございます。ひとり親相談での居住支援につきましては、母子生活支援施設における住まいの確保や公営住宅の申込み、住み替え支援制度などの情報提供や専門窓口の案内を行っております。民間事業者などと連携した居住支援の拡充については、住宅確保に関して配慮を要する区民等への支援などとも連携し、よりよい対応方策について研究してまいります。

 次に、ひとり親家庭の交流の場についてでございます。ひとり親家庭を対象とする交流会や子育て相談会については、来年度実施することを予定しております。交流会や相談会を通じてひとり親家庭相互の関わりを育み、精神的な負担の軽減につながる事業展開を進めてまいります。

 次に障害の有無を越えた関係づくりの機会でございます。これまでも、区立小・中学校では、都立特別支援学校や区立の特別支援学級の児童・生徒との交流を行っております。また、パラリンピックの開催を契機として障害者スポーツの体験イベントを開催し、交流や理解促進に努めているところでございます。障害特性の理解促進のための活動を行っている障害者関係団体があり、団体への支援や連携も含め、これまで興味や関心がなかった方々にも参加いただけるような取り組みを検討してまいります。

 次に、障害児の一時保護の充実及び人材確保でございます。区立障害児通所施設で実施している一時保護事業につきましては、施設上の制約から直ちに拡充することは困難でございますが、何らかの手立てが必要であると認識しております。工夫してまいります。また、区立障害児施設以外での障害児の一時保護については、事業者等との協力を得ながら実施できる方策を研究してまいります。福祉に関わる人材の確保につきましては、十分な人数の雇用や定着の課題があることは認識しておりまして、大学や関係機関、団体と連携しつつ、区としてできることを検討してまいります。

 次に、障害児を支援する相談支援専門員の拡充についてでございます。相談支援専門員は、福祉や医療系の基礎資格を持った人が現場での実務経験を経た後に、都道府県の講習を経て任用資格を取得するものであって、育成には長い年月を要するものでございます。相談支援専門員任用資格は、障害児、障害者共通ではございますが、実際の相談や支援に当たっては、障害児の幼年期や成長期における課題や対応策、療育など障害児に特化した専門知識が必要でございます。また、障害児の支援は親支援の側面も大きいため、障害者支援とは異なるスキルを必要とするものであると認識しております。障害児の支援ができる相談支援専門員につきましては、長期的な視点で育成を支援する方策を研究してまいります。

 次に、保育の質の充実についてで、保育士の処遇改善に向けた取り組みについてでございます。区は、保育士等キャリアアップ補助金等の審査書類として賃金台帳や財務情報等の公表データの提出を求め、給与額や人件費率の把握を行っているところでございます。人件費率の低い事業者に対しましては、今年度、保育士等の給与に関する調査を実施したところでございますが、来年度におきましては、賃金改善の見込み等を確認するとともに、改善が不十分な事業者に対しては処遇改善計画書の提出を求め、進捗管理を徹底してまいります。

 次に、保育の質ガイドラインを活用する取り組みについてでございます。保育の質ガイドラインにつきましては、来年度、保育士等を対象とした研修会において年間13回開催し、保育施設への周知・活用を図っていく予定でございます。保護者、地域に対して、区立保育園において保育の質ガイドラインの活用事例や取り組みの成果等を報告・周知する機会を検討します。

 次に、医療的ケアが必要な子どもの受入れについてでございます。区立保育園における医療的ケアが必要な子どもの受入れについては、医療的ケアを行うスペースやバリアフリー化など施設環境の確保が必要なことから、来年度、白鷺保育園と沼袋保育園の2園で受入れを開始します。区の中部・南部地域の区立保育園で施設環境を整え、令和3年度以降、受入れ施設拡充を図っていく予定でございます。

 次に、広報の充実についてで、利用者目線に立った区ホームページの改善、親子向けページの作成についてでございます。中野区ホームページにつきましては、標準的であるといった評価が多い一方、トップページの分類が分かりづらい、防災や子育てに関するページに一覧性がなく情報検索がしづらいといった意見が寄せられているところでございます。区政情報の内容によってホームページの主たる閲覧者が異なることを踏まえた上で、令和2年度から導入する広報アドバイザーの助言や提案を受けながら利用者視点で防災や子育てに関するページを見直すとともに、トップページの分類についても改善してまいりたいと考えております。また、他自治体の良例も参考にしながら、親子向けに分かりやすいページの作成にも取り組んでまいります。

 次に、職員のユーザビリティーへの理解についてでございます。今年度も外部講師を招いて、若手職員を対象に、ユーザビリティーも含めたデザイン講座や広報マインド研修を実施したところでございます。令和2年度に導入する広報アドバイザーには、職員のデザイン力向上や広報マインドの醸成に寄与する研修等の企画・実施に参画してもらうことを想定しており、充実を図っていきたいと考えております。

 最後に、SNSの新たな活用の検討についてでございます。現在も、ユーザー数や年齢層、情報の拡散性などを考慮して、ツイッターやフェイスブック、ユーチューブによる情報発信を行っているところでございまして、また、今後、LINE公式アカウントによる情報発信も行う予定でございます。5G時代の到来を見据えて、区政情報の発信において、各SNSの特徴を踏まえたより有効な活用ができる余地が大きいと考えておりまして、効果的で効率的な情報の発信を工夫してまいります。また、LINEにつきましては、業務改善の視点から、各種手続などにおける活用についても今後検討してまいります。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、学校における特別支援教育支援員の拡充についてお答えをいたします。

 支援員の配置につきましては、学校現場での現状や今後の見通しを踏まえながら検討していきたいと存じます。また、支援員の人員確保策については、外部の団体の協力を得ることも含め、他区の取り組みも参考にしながら研究してまいります。

 次に、南台小学校の新校舎整備についての御質問でございますが、新校舎の整備期間中、南台小学校の児童は旧新山小学校校舎に通学することとなります。その期間中における良好な学習環境を確保するため、学校と丁寧に協議を行いながら校舎の改修工事を進めるほか、通学安全指導員を増員するなど、通学時の安全対策等も行ってまいります。また、南台小学校で進めております地域との連携についても、旧新山小学校の校庭や体育館の利用など、整備期間中においても、学校と連携しながら必要なサポートを丁寧に行ってまいります。

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

○企画部長(高橋昭彦) 南台地域のまちづくりについての御質問のうち、学校跡地の活用検討における住民参加についてでございます。区有施設整備計画策定の過程におきましては、基本計画との整合を図りながら、施設配置の概要をお示しする段階からの区民意見の聴取、素案に対する区民意見交換会、パブリックコメント手続の実施を考えているところでございます。個別施設の整備に当たっては、住民との合意形成の手法として他自治体においても様々な手法を用いておりますので、区における住民との合意形成の手法につきましても、より幅広い主体の声を反映できるよう工夫していきたい、そのように考えてございます。

○副議長(平山英明) 以上で河合りな議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 南 かつひこ

 1 区長の施政方針について

  (1)中野区都市計画マスタープランの改定について

  (2)(仮称)地域包括ケアシステム総合計画の策定について

  (3)その他

 2 西武新宿線連続立体交差事業と沼袋駅周辺まちづくりについて

 3 高齢者施策について

  (1)認知症対策について

  (2)8050問題について

  (3)その他

 4 小児初期救急医療体制と医療的ケア児者への支援について

 5 日常生活用具給付等事業について

 6 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、南かつひこ議員。

〔南かつひこ議員登壇〕

○36番(南かつひこ) 令和2年第1回定例会において、公明党の立場より一般質問を行います。区長並びに理事者におかれましては、明快で前向きな御答弁をお願いいたします。

 初めに、区長の施政方針について伺います。

 施政方針説明で、中野区都市計画マスタープランは前回の改定から10年が経過しており、新しい中野区基本構想との整合性を図りながら、令和3年度の改定に向けて検討を進めるとありました。改定を予定されている中野区都市計画マスタープランは、昨今の社会状況の変化や都市形成の変化を考慮して将来を見据えたときに、区内の全ての都市計画事業や都市基盤整備のベースとなる重要な位置付けとなってきます。その上で、これまで区として具体的な施策を示してこなかった交通政策や環境負荷の少ない住環境の形成など、区として具体的な施策に向けてどのように進めていくのかとの指針も盛り込む必要があると考えます。

 そこで伺いますが、先般の各常任委員会で中野区基本構想検討素案が報告されましたが、中野区基本構想の改定と中野区都市計画マスタープランの改定は本当に整合性がとれるように改定に取り組んでいるのかをまず伺います。

 次に、交通政策の必要性を思えば、交通空白地域や不便地域の解消、さらには移動困難者の交通支援など、区民の誰もが安全で快適に出かけられる交通環境の形成が重要と考えます。区はこのような交通施策に関する方針を改定する中野区都市計画マスタープランに盛り込むべきと考えますが、区の見解を伺います。

 さらに、区は交通政策に関する基本方針を策定するとのことですが、改定する中野区都市計画マスタープランとどのような関係にあるのかを伺います。

 また、国連の持続可能な開発目標であるSDGsには、13番目の目標として、気候変動に具体的な対策とあります。現在、地球上の温室効果ガスの排出量は史上最高水準にあると言われています。区としても環境負荷を低減させる施策も欠かせないと考えます。中野区都市計画マスタープランにも環境負荷の少ない快適な生活環境のまちづくりも盛り込むべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 次に、(仮称)地域包括ケアシステム総合計画の策定について伺います。

 中野区は、平成29年3月に策定した中野区地域包括ケアシステム推進プランに基づき、地域包括ケアシステムの構築に当たって、全世代向けへと拡大するために基本的な考え方を示すとしました。その中で、区と関係団体等が地域包括ケアシステムに関する理念を共有し、目指すまちの姿の実現に向けて実施・協働していくための施策として、地域包括ケアシステム総合計画を策定するとしています。

 過日の厚生委員会で報告のあった全世代向け地域包括ケアシステムの基本的な考え方で区の役割が示され、その一つには、誰もが制度の隙間に落ちることなく必要な支援を受けられるよう、地域のセーフティーネット及びコーディネーターの役割を果たすとありました。しかし、地域包括ケアシステム推進プランの達成状況には、地域住民相互で見守り・支え合い活動している割合が平成30年で25.2%と、低調かつ低下傾向にあるとの結果が出ています。

 そこで伺いますが、地域のネットワークが希薄な状況を踏まえて、地域のセーフティーネット及びコーディネーターの役割を果たすためにどのような施策を考えられているのか、区の見解を伺います。

 また、区の役割として権利擁護の推進とあります。地域包括ケアシステム推進プランの達成状況の中で、成年後見制度の認知度の平成30年の目標設定が38%、実績値が35.4%と非常に低い状況となっています。また、成年後見制度の認知度だけでなく、実際に利用している現状の把握にも努めるべきであると考えます。

 このような状況を踏まえる中で、権利擁護の推進を図っていく区の役割を示す具体的な施策をどのように考えているのか伺います。

 次に、全世代向け地域包括ケアシステムにおける目指すべきまちの姿(案)が示されている中に、産学公民の多様なサービスが常に生み出され、最先端の支援が提供されるまちとあります。これは、具体的にどのようなまちの姿を言うのか、最先端の支援の提供よりも個々人の様々な状況のニーズに合ったサービスの提供がより重要と考えますが、区の見解を伺います。

 また、それぞれの人が望む形で支援を受けることができ、誰もが生き生きと暮らし続けるまちとありますが、高齢者をはじめ子どもや障害者を含む全世代向け地域包括ケアシステムの構築をしていくに当たって、介護、医療、住宅支援などの様々な制度の隙間に陥りやすい生活困窮者への支援も重要であると考えますが、各機関との連携などをどのように考えられているのか、区の見解を伺ってこの項の質問は終わります。

 次に、西武新宿線連続立体交差事業と沼袋駅周辺まちづくりについて伺います。

 中井駅-野方駅間の連続立体交差事業の地下化事業の完成予定年度は令和2年度となっていますが、あと1年余りで完成するとは到底思えない状況です。その要因の大きなものとして事業用地の取得状況があると思いますが、いまだに協力を得られていない箇所が残っていると聞きます。沼袋駅及び新井薬師前駅の駅部に係る用地取得状況はどのような状況にあるのか、区の見解を伺います。

 中井駅-野方駅間の地下化事業は、事業認可期間内に完了することはまずもって難しい状況にあることは一目瞭然であります。そんな中、東京都は事業認可期間の延伸に伴う変更について手続を行う方向であると聞いているところです。地域の方々からは、現状どうなっていくのかといった声をたくさん聞いており、中野区としても区民の方に詳細な日程を伝える必要があると思いますが、東京都に詳細な日程を一日も早く聞き出すべきと考えます。いかがでしょうか。伺います。

 沼袋駅及び新井薬師前駅の地下ホームの整備については開削工法により進められていると聞いていますが、駅部においていまだに用地の取得が完了していない箇所もある中で、沼袋駅及び新井薬師前駅の駅部ではどのような工事が行われているのか。また、沼袋駅及び新井薬師前駅の各駅の開削工事を行う範囲について、具体的な場所はどこなのかを伺います。

 2,800平米の面積で整備予定の沼袋駅の交通広場は、前段階として、連続立体交差事業の地下化事業の作業ヤードとしての活躍を活用が予定されていると聞いていますが、現在の用地取得の状況について伺います。

 次に、区画街路第4号線の道路基本構造について伺います。

 区画街路第4号線の整備に当たっては、沿道の地権者からすれば、どのような道路になるのか分からなければ生活再建に関わる補償交渉も進まないこととなります。拡幅された道路の全体像を示すことで地権者の方々も安心感が持て、用地の取得交渉も進むのではないかと考えますが、道路基本構造の警察との協議は現在どの程度進んでいるのか伺います。

 次に、区画街路第4号線の沿道の地権者の方々は、将来的な生活再建に対して、先行きの不透明感から不安感を募らせている状況にあります。道路整備を進めるための用地の取得交渉を加速させるためには、相談の窓口の設置は欠かすことができません。個々の相談内容に応じて、弁護士、司法書士、ファイナンシャルプランナー、土地家屋調査士などとつなげる相談体制が必要と考えますが、区の見解を伺います。

 地権者の方々からは、区画街路第4号線の整備予定期限内までに完了させる姿勢が問われています。沿道の地権者の方々に区としての本気度を示すためにも、区の用地取得交渉の体制強化が必要であります。具体的な取り組みとしてまちづくり部署の充実・強化が求められますが、来年度の執行体制について伺って、この項の質問は終わります。

 次に、高齢者施策について伺います。

 初めに、認知症対策について伺います。

 認知症の対策においては、各自治体でも様々な取り組みが行われているところです。埼玉県の草加市では認知症の無料検診を実施しており、60歳の方と65歳以上の方に対して、精密検査を受診される場合以外は無料で行っています。また、神戸市では、認知症神戸モデルとして、認知症診断助成制度と認知症事故救済制度を組み合わせて実施しており、認知症診断では65歳以上の方が対象で、精密検査を含めて原則費用も無料となっています。

 認知症の無料検診については、草加市や神戸市の取り組みを参考として、中野区としても実施に向けて踏み切るべきではないかと考えます。認知症の無料検診については、我が会派としてもこれまで強く求めてきたところです。現在の検討状況はどのようになっているのか、区の見解を伺います。

 次に、徘回高齢者探索サービスについて伺います。

 これは、認知症による徘回行動のある高齢者を在宅で介護している方に対して、GPSを活用した位置情報専用探索機器を貸し出す取り組みです。徘回高齢者を探索するには有効なシステムであると思いますが、昨年度の実人員は37名と非常に利用者が少ないのが現状です。その要因はどこにあるのか、区としての見解を伺います。

 次に、徘回高齢者の探索ツールとして、QRコードの活用について伺います。

 認知症高齢者の徘回が深刻な社会問題となる中、埼玉県入間市が全国に先駆けて導入した利用者の爪に直接張りつけて使う身元確認用シールが注目を集めています。入間市が平成28年11月から配布を始めており、QRコード付きのシールに登録されているのは、入間市役所の電話番号と利用者に割り当てられる身元特定番号だけで、自宅の電話番号などの個人情報は表示されないために、第三者に悪用される危険性もありません。最近では、QRコードつきのシールを高齢者の杖や衣服の後ろに張るなどの取り組みも増えてきています。中野区としても認知症高齢者の徘回探索ツールとしてQRコードつきのシールの取り組みを実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 認知症対策については、区民の方に分かりやすい包括的な認知症対策事業が必要と考えます。先ほど紹介した認知症神戸モデルでは、認知症と診断された場合には無料で受けられる四つの認知症事故救済制度がパッケージ化されています。賠償責任保険と24時間365日対応するコールセンター、GPSによる駆けつけサービス、さらに見舞金支給の四つをパッケージ化した取り組みで、認知症の御本人や家族にとっては安心のできる制度になっています。中野区としても、徘回高齢者探索サービスや、2月1日から事業をスタートさせた認知症高齢者等個人賠償責任保険事業、そして、QRコードつきシールの提案事業などを、区民の方にも分かりやすく、包括的にそろっていると思えるパッケージ化した事業の取り組みをすべきと考えますが、いかがでしょうか伺います。

 次に、8050問題について伺います。

 中野区では、昨年の第2回定例会での厚生委員会で8050問題の所管報告がありましたが、それには、問題解決への取り組みとして、アウトリーチチームによる支援と相談窓口の周知などを進めていくとありました。

 中野区での8050問題への取り組みとしてのアウトリーチチームによる支援と相談窓口の周知についてどのような取り組みを検討されているのか、具体的な内容を伺います。

 兵庫県明石市では、ひきこもり相談支援課を昨年の7月より開設しており、保健所内に専門組織をつくり、親が80代、子どもが50代になって生活が困窮する8050問題などの解決を図っていくとしています。支援課では、保健師3人、精神保健福祉士2人、弁護士1人の計6人で構成、当事者や家族らの相談を受け、介護や就職、病気など、ひきこもりの要因に対して臨機応変に対応しています。窓口や電話、ホームページなどで相談を受け付けることに加え、職員が積極的に自宅を訪問し、長期的な視点で当事者に接していく取り組みを行っています。

 中野区としても、8050問題の明石市の取り組みのように、専門職で構成された実働部隊の専門組織の設置を検討していくべきと考えますが、伺って、この項の質問を終わります。

 次に、小児初期救急医療体制と医療的ケア児者への支援について伺います。

 過日の2月4日の厚生委員会で、医療法人財団健貢会が総合東京病院で実施している小児初期救急診療が令和2年3月末をもって中止となるとの報告がありました。

 総合東京病院で小児初期救急医療体制が実施される前までは中野総合病院でのみ実施されており、平成26年頃に、中野区の北部にも小児初期救急医療体制の誘致を求める声が高まっておりました。そういった背景から、中野区として、江古田三丁目の当時の国家公務員宿舎跡地に小児初期救急医療施設を整備する協定を医療法人財団健貢会と協定を結び、平成29年6月に小児初期救急診療の開設に至りました。

 その際には、我が会派としても全力で支援、推進してきたところです。それだけに、今回の総合東京病院での小児初期救急診療が中止となることは、残念の極みとしか言いようがありません。

 中止の理由としては、利用者の少ないことと小児科医師の確保の難しさがあったとの報告がありました。しかし、平成26年の中野区と医療法人財団健貢会との協定では、小児初期救急診療とともに病児・病後児保育の事業も実施要綱に盛り込まれており、病児保育については、中野区の委託事業として今後とも実施されることになっています。

 総合東京病院での小児初期救急診療は病院事業者独自の取り組みであり、そこに課題があったのであれば、中野区として事業を継続させるためにも、区の委託事業とすべきではなかったかと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 平成26年11月に締結した医療法人財団健貢会と中野区との協定書には、小児初期救急新診療の診療時間を、平日、土曜日、日曜日、祝・休日、年末年始の日を含む全日の午後7時から午前0時までの間を確保するものと規定されています。

 総合東京病院での小児初期救急診療を中止するのであれば、現在、新渡戸記念中野総合病院の実施している小児初期救急診療の開設時間を午前0時まで拡充すべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

 次に、同じく2月4日の厚生委員会で、小児初期救急診療の中止とともに、医療的ケアを必要とする障害児者への短期入所の実施についても報告がありました。

 令和2年度から、社会福祉法人南東北福祉事業団が経営している障害者支援施設江古田の森において、経営母体が同じである医療法人財団健貢会の総合東京病院との医療連携をして、医療的ケアを必要とする障害児者への短期入所の事業を中野区の助成を受けて実施することになっていると聞いていますが、具体的な事業内容について伺います。

 また、新年度から実施予定の医療的ケアを必要とする障害児者への短期入所の事業は、開始当初は18歳以上が対象と聞いていますが、18歳未満の医療的ケアを必要とする障害児も多く、レスパイト機能の充実をとの要望も聞いているところです。

 乳幼児を含めた障害児も対象とすべきと考えますが、いかがでしょうか。伺って、この頃の質問は終わります。

 次に、日常生活用具給付等事業について伺います。

 日常生活用具給付等事業については、厚生労働省告示第529号には、日常生活上の便宜を図るための用具を次のように定め、用具の要件、用具の用途及び形状が規定されています。

 用具の要件では三つの条件があり、一つには、障害者等が安全かつ容易に使用でき、実用性があるもの、二つには、日常生活上の困難を改善し、社会参加を促進するもの、三つには、用具の製作、改良、開発には、障害に関する専門的な知識や技術を要して、日常生活品として一般に普及していないものと規定されています。

 また、用具の用途・形状については、様々な用具について、障害者等及び介助者が容易に使用できるものであって、実用性のあるもの、また、障害者等の居宅生活動作等を円滑にする用具であって、設置に小規模な住宅改修を伴うものと定められています。

 日常生活用具の対象品目については各自治体で決めることができると聞いていますが、対象品目を追加する基準とはどのようになっているのか、その基準内容を伺います。

 厚生労働省の日常生活用具給付等事業の概要では、当事業に対する補助金の負担金が、国では100分の50以内、都道府県では100分の25以内となっています。しかし、中野区の日常生活用具給付等事業への補助金の補助率は、平成30年度決算では、実際にかかった経費に対して国から約42%、東京都から約14%の交付となっており、全体としては4割余りの補助率となっています。

 日常生活用具給付等事業の補助金の負担割合が国や都の補助率の限度額より低く、その分を一般財源で補助している要因として、当事業が地域生活支援事業の必須事業となっているとのことですが、その具体的な仕組みはどのようになっているのかを伺います。

 日常生活用具給付等事業を利用されている方の中には、難病患者の方々も多くいらっしゃいます。難病指定された病名の中に網膜色素変性症という難病がありますが、病状としては、暗いところで物が見えづらくなったり、視野が狭くなったりする難病で、視力が少しずつ低下し、失明することもある進行性の病気です。

 網膜色素変性症の病状を補完するための用具として暗所視支援眼鏡があります。この眼鏡を装着すると、薄暗い場所でも対象を自然な明るさで見ることができます。暗所視支援眼鏡は、ディスプレイの映像の拡大や縮小、明るさの調整もでき、昼間でも使える眼鏡です。網膜色素変性症の方々にとってはなくてはならない用具であります。ただ、価格が約40万円と高価なもので、個人で購入するには負担が大きいことが難点です。

 熊本県の天草市では、昨年の7月から、暗所視支援眼鏡が日常生活用具給付等事業の対象品目に追加されました。そのことで、昨年の9月末には5人の方への給付が決まりました。対象品目の追加については、熊本県網膜色素変性症協会の山本悟会長からの依頼を公明党の秋野公造参議院議員が天草市に橋渡しをして、地元の県会議員や市議会議員とともに要請をした結果、暗所視支援眼鏡を対象品目として追加することになりました。また、お隣の新宿区でも、公明党区議からの要請を受けて、昨年の9月に対象品目として認められました。

 網膜色素変性症の難病患者にとっては、暗所視支援眼鏡が日常生活用具給付等事業の対象品目に追加されることは、利用者負担を軽減できるだけでなく、日常生活に安心感が生み出せることにつながってきます。

 現在、中野区で網膜色素変性症の難病患者の方を把握する方法があるのかを伺うとともに、網膜色素変性症の方々にとって欠かすことのできない暗所視支援眼鏡を日常生活用具給付等事業の対象品目に加えるべきであると考えますが、いかがでしょうか。伺って、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 南議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、区長の施政方針についての中で、基本構想と都市計画マスタープランの整合性についてのお尋ねでございます。都市計画マスタープランの上位計画となる基本構想の検討素案では、10年後に目指すまちの姿が示されております。都市計画マスタープランの改定におきましては、基本構想が描くまちの姿が実現できるよう、土地利用や都市整備に関する各方針等の中で具体的に位置付けをしていくこととして整合性を持つよう進めております。

 次に、都市計画マスタープランと交通政策に関する基本方針でございます。改定する都市計画マスタープランでは、誰もが安全・安心、快適で利便性の高い交通環境の実現に向けた基本的考えを示すこととしております。交通政策に関する基本方針では、これを具体化するための道路や交通環境の整備、自転車の利活用、バリアフリーやユニバーサルデザイン等に関する方針を示し、各事業を進めていくこととしております。

 次に、SDGsと都市計画マスタープランの関係でございます。改定する都市計画マスタープランでは、地球環境と共生する都市づくりの方針を示す予定でございます。この中では、環境負荷の少ない交通手段への転換促進、各施設整備における脱炭素化の取り組みなど、環境負荷の少ない持続可能なまちづくりや住環境形成についての考え方を盛り込む予定でございます。

 次に、セーフティーネットとコーディネートについてでございます。地域活動の担い手の確保・育成は重要な課題であると認識しております。一方で、区は公的責任としてセーフティーネットの役割を果たしていくことが必要であります。具体的には、アウトリーチ活動などにより支援が必要な区民を1人も取りこぼさずサービス等の支援につなげること、虐待等を防止し、権利を擁護すること、また、必要なサービス基盤を整備するとともに、その質の維持・向上を図ることのほか、住環境や就労などについて、全庁的な取り組みとして進めてまいります。コーディネートは、地域包括ケアが行政や関係団体等、様々な担い手によって進めていくネットワーク型の取り組みであることから、区の役割として重要であると考えております。具体的には、地域ケア会議等を通じて関係団体等の関係を構築すること、そして、情報共有、協働等を進め、地域課題の解決を図る役割を担ってまいります。

 次に、成年後見制度における具体的な取り組みについてでございます。平成30年12月末現在、中野区における成年後見制度の利用者数は、東京家庭裁判所の調べによれば、約630人となっております。成年後見制度の利用促進に向けては、これまでも中野区社会福祉協議会に運営を委託している成年後見支援センターにおいて、区民対象の制度説明会や各種講演会、また、区内事業所や団体へ出張しての説明会のほか、市民後見人の養成等も行っているところでございます。今後は、国の成年後見制度利用促進基本計画をもとに、区としての利用促進計画の策定に向けて取り組んでいくこととしております。さらなる成年後見制度の啓発等も積極的に行いながら、区民の権利擁護の拡充に向けた取り組みを強化してまいりたいと考えております。

 次に、地域包括ケアシステム総合計画の中での最先端の支援についての御質問です。具体的なまちの姿としては、区内の事業者や企業、商店、教育機関、各種団体等がそれぞれの強みを生かし、ニーズに合ったサービスを提供していくことができるまちを表しております。最先端としたのは、制度の隙間など、必要であるけれども、これまでなかったサービスを新たに生み出すという意味を込めたものでございます。

 生活困窮者に対するアプローチの仕方や支援についての御質問でございます。生活困窮者の抱える課題は多様であり、複合的であります。このため、庁内の関連部署や関係機関が連携を密にして、包括的かつ継続的な支援につなげる必要があると考えております。また、各部署や関係機関は、民生委員、地域団体等から得た情報をもとに、それぞれの専門性を生かしつつアプローチし、連携して支援することが重要であると考えております。

 次に、西武新宿線連続立体交差事業と沼袋駅周辺まちづくりについて、初めに、沼袋駅、新井薬師前駅の駅部の用地取得状況についてでございます。西武新宿線中井-野方間の連続立体交差事業の円滑な進捗を図るには、先行して工事を進める駅部に係る用地の早期取得は欠かせません。駅部の用地取得につきましては、沼袋、新井薬師前ともに9割を超えており、残る用地についても取得完了を目指して力を注いでいると聞いております。

 次に、事業認可の変更についてでございます。連続立体交差事業に係る進行管理のための会議などを通じ、東京都に対し、事業認可の変更に係る内容や公表時期について確認をしているところでございますが、現在、国と調整中であって、具体的な日程は決まっていないと聞いております。西武新宿線沿線にお住まいの方をはじめ多くの区民が連続立体交差事業の進捗状況について関心をお持ちであることは承知しております。引き続き東京都に対して、でき得る限り早期に変更時期等に関する情報提供をするよう要請してまいります。

 次に、開削工事を行う範囲についての御質問です。駅部においては可能な箇所から工事を進めておりまして、地下構造物を構築するための仮設土留め工事や線路を借り受けするための工事桁の架設工事、一部で掘削工事などを実施していると聞いております。なお、開削工事を行う範囲は、沼袋の駅部では沼袋第1号踏切の西側から氷川神社の東側までであり、新井薬師前の駅部では駅西側の哲学堂通り付近から駅東側の上高田中通り付近までであると聞いております。

 次に、交通広場部分の用地取得の状況についてでございます。交通広場部分の用地取得の対象となる画地数は全部で13画地がございます。このうち交通広場部分の約3分の1の面積を所有する1件の地権者と契約し、地権者側で解体・更地化に向けて準備をしているところでございます。その他の画地につきましては、地権者との用地取得交渉に鋭意取り組んでいるところでございます。

 次に、道路基本構造に係る警察との協議進捗についてでございます。警察との協議につきましては、昨年10月末に行われた現地実査を踏まえて、各交差点の検証作業などを行っているところでございます。今年度中には計画協議を終わらせたいと考えております。

 次に、相談窓口の設置と来年度の執行体制についてでございます。用地取得交渉を円滑かつ迅速に行うためには、関係権利者の不安を解消し、生活再建に必要な情報や移転先の確保など、生活再建に向けたサポートが必要でございます。このため、来年度から現地に相談窓口を開設し、生活再建相談を通じて早期移転につなげてまいります。また、来年度の執行体制につきましては、部内の配置転換に加えて、組織改正により道路の用地担当部門をまちづくり推進部内に設置し、用地測量から建物等調査、用地取得交渉、契約へと一連の作業を担える組織に強化・再編する考えでございます。このことによって、区画街路第4号線をはじめ都市計画道路の整備促進を図ってまいります。

 次に、3番目、高齢者施策についてのうち、認知症無料検診の実施についてでございます。区では、認知機能検診につきまして、令和3年度実施に向けて、専門医療機関を交えて検討を始めたところでございます。今後、他の自治体の動向も注視して、費用負担を含む詳細な制度設計を行ってまいります。

 次に、徘回高齢者探索サービスの登録者が少ない要因についてでございます。直接区民のサービス利用相談に当たっている地域包括支援センターからは、徘回行動のある高齢者にGPS端末を持たせることの難しさやサービス自体の認知度などの意見を聞いております。今後も、介護に当たっている家族等のニーズを把握しながら、サービスの改善に努めてまいります。

 次に、2次元コード等による徘回高齢者サービスについての御質問です。区では高齢者が携帯しやすいツールを利用した見守り活動を試行的に実施する予定でございまして、この結果を見ながら、2次元コードを含め、効果的なツールの選択をしてまいります。

 認知症事業のパッケージ化についてでございます。認知証高齢者等個人賠償責任保険事業につきましては、事業を開始したばかりでございまして、今後、認知機能検診をはじめとした認知症施策全体の検討を進める中で、他のサービスとの組合せやパッケージ方式の導入などの工夫と改善を図ってまいります。

 8050問題についてで、アウトリーチチームによる支援等についてでございます。8050問題のような社会的孤立事例につきましては、民生委員や町会などからの情報に基づいたすこやか福祉センターのアウトリーチによる相談支援が有効と考えております。身近な相談窓口としてのすこやか福祉センターにつきましては、積極的に周知を図ってまいります。

 次に、相談窓口の一本化についてでございます。窓口の一本化は、当事者にとって認識されやすいという点ではメリットでございますが、一方で、当事者の抱える課題の原因や経過は様々であるため、その窓口では対応できないケースが多く存在することも考えられます。区としては、すこやか福祉センター、生活援護課の生活困窮者自立支援、地域包括支援センターなど複数の窓口で相談を受け、それぞれが専門性を生かしつつ連携し、社会福祉協議会とも協力しながら、当事者にとって最適な支援を包括的に行うことで対応してまいりたいと考えております。

〔保健所長向山晴子登壇〕

○保健所長(向山晴子) まず、総合東京病院におけます小児初期救急診療の委託管理についてのお尋ねでございます。平成29年6月から実施をしてまいりました総合東京病院での小児初期救急診療につきましては、区ホームページと毎号の区報に掲載するとともに、平成30年には区立小・中学校、保育園、幼稚園等の全児童及び隣接の練馬区の保健センターを通じてチラシの配布等を行い、周知を重ねてまいりました。しかしながら、平成29年度と平成30年度の利用実績は1日1件未満であることや、新渡戸記念中野総合病院でも類似事業を実施していることなどから、総合東京病院における小児初期救急診療を継続するために委託事業とするよりも、ニーズの高い他の事業に取り組むことが適切であると判断したものでございます。

 次に、新渡戸記念中野総合病院の小児初期救急医療の開設時間延長についての御提案でございますが、現在、中野総合病院においては、午後7時から午後10時まで小児初期救急医療を実施しております。小児医療を取り巻く環境は、御案内のように、医療の集約化や医師の働き方改革の動向などから、転換期を迎えてございます。開設時間の延長につきましては、これまでの受診実績や受診動向等に基づき、中野区医師会や新渡戸記念中野総合病院の医師などを構成メンバーとしております小児初期救急医療事業推進協議会などの場で議論を深めてまいります。

〔健康福祉部長朝井めぐみ登壇〕

○健康福祉部長(朝井めぐみ) 私からは、まず、小児救急医療体制と医療的ケア児者への支援についての御質問のうち、医療的ケアを必要とする障害者の短期入所についての御質問にお答えいたします。障害者支援施設江古田の森の短期入所4床のうちの1床を、週1回、医療的ケアを必要とする障害者への短期入所として活用するものであり、区は、看護師の配置に対しまして補助を行うことを考えております。

 次に、日常生活用具給付事業についての御質問にお答えいたします。

 初めに、日常生活用具給付事業の対象品目の基準についての御質問でございます。御指摘のとおり、厚生労働省は、障害者等が安全かつ容易に使用できるもので、実用性が認められるもの、障害者等の日常生活上の困難を改善し、自立を支援し、かつ社会参加を促進すると認められるもの、用具の製作、改良または開発に当たって障害に関する専門的な知識や技術を要するもので、日常生活品として一般に普及していないものを対象品目の要件としています。区は、この要件により対象品目を選定し、要綱に定め、給付をしているところでございます。

 次に、地域生活支援事業の補助率についての御質問でございます。国は、予算の範囲内において、区が支出する地域生活支援事業の費用の100分の50以内を補助できることとし、都道府県は、予算の範囲内において、区市町村が支出する地域生活支援事業の費用の100分の25以内を補助することができるとしております。国及び都の補助金の実際の補助率は年度によって異なっておりまして、御指摘のとおり、平成30年度決算額では、事業執行に係る費用の4割程度の補助となっているところでございます。

 最後に、暗所視支援眼鏡の給付についての御質問でございます。現在、都が発行しています身体障害者福祉手帳には疾病名が記載されていないため、網膜色素変性症の方を把握することは難しい状況でございます。暗所視支援眼鏡につきましては、他自治体の給付状況も参考といたしまして、日常生活用具給付事業の商品目とすることも検討してまいりたいと考えております。

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、小児救急医療体制と医療的ケア児者への支援についての御質問のうち、短期入所における18歳未満の医療的ケア児の対応の御質問についてお答えいたします。

 心身の成長過程にある障害児と成長期を過ぎた障害者では、必要な設備や対応する看護師に求められる専門性が大きく異なってございます。そのため、医療的ケアを必要とする乳幼児を含めた障害児の対応を直ちに行う体制の整備を整えることが難しかったというところでございます。しかしながら、医療的ケアを必要とする障害児の短期入所の必要性が高いことは認識しておりまして、今後、事業者との協議の中で、受入れが可能となる年齢の拡大に向けて検討していきたいと考えております。

○副議長(平山英明) 以上で南かつひこ議員の質問は終わります。

 議事の都合により、暫時休憩いたします。

午後2時58分休憩

 

午後3時21分開議

○議長(高橋かずちか) 会議を再開いたします。

 この際、申し上げます。議事の都合上、会議時間を延長いたします。

 一般質問を続行いたします。

 

 中野区議会議員 小 杉 一 男

 1 学校教育と子どもの人権について

  (1)学校生活での環境について

  (2)子どもの権利条例の検討準備について

  (3)教職員の労働環境の改善について

  (4)その他

 2 学童クラブの待機児童の解消について

 3 国民健康保険について

 4 介護保険の運営について

 5 アルコールによる健康障害への対策について

 6 その他

 

〔小杉一男議員登壇〕

○20番(小杉一男) 2020年第1回定例会本会議において、日本共産党議員団の立場で一般質問を行います。

 質問内容は通告どおりで、その他の項は、失語症者向け意思疎通支援者の派遣について取り上げます。

 初めに、学校教育と子どもの人権について伺います。

 まずは、学校生活での環境についてです。昨年10月に文科省が発表した児童・生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果についてによると、年間30日以上欠席する不登校児童・生徒が小・中学校で2013年から上昇し続けています。中学校で12万人、小学校で4万5,000人、中野区においても200人ほどの児童・生徒が不登校となっており、年々増加しています。

 そこで伺います。中野区において不登校児童・生徒が上昇傾向にある状況についてどのようにお考えですか。

 適応指導教室が2か所の分室でも運営され、登録児童数も上がっていることは喜ばしいところです。しかし、それでも登校できない児童・生徒はおられます。

 不登校に対する法律や国の基本方針では、個々の不登校児童・生徒の多様な学習の実情を踏まえ、状況に応じた支援が行われること、登校という結果のみを目標とするのではなく、児童・生徒が自らの進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指すなど、大きく変わりました。児童・生徒の才能や能力に応じてそれぞれの可能性が伸ばせるように、本人の希望を尊重した上で、様々な機関を活用し、自立支援を行うことが掲げられています。

 不登校の児童・生徒を身近で支える保護者たちが孤立するのではなく、保護者同士が交流しながら子どもに向き合うことが必要です。そのためにも、2017年3月の文科省の通知にあるように、不登校の児童・生徒の保護者らから、同じ立場同士で意見交換ができる交流の場所、機会をつくってほしいと強く求められています。不登校の児童・生徒の保護者間の交流機会の提供を行うよう、早急に支援の充実を行うべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 不登校のほかに、いじめ認知件数や暴力行為、自殺率などの上昇もあり、こうした数字は小・中学生からの警鐘と思われます。子どもたちの様子や保護者の声によると、学校生活における子どもたちをめぐるストレスやプレッシャーは以前に比べて強いものになっています。授業時間は増加し続けています。国連の子どもの権利委員会は、1998年から度重なり日本の教育分野の過度な受験競争への懸念を示してきました。競争主義を脱却することや、子どもを学びの主体として捉えること、個に寄り添う教育など、未来の教育を考えていく必要があります。

 そこで伺います。国連の子どもの権利委員会からも勧告されている子どもたちの学校生活におけるストレスフルな環境についてどのように認識し、改善を目指そうとしていますか。答弁を求めます。

 続いて、子どもの権利条例の検討準備についてです。

 新年度予算案で、子どもの権利条例の検討準備を行う提案がされました。

 中野区内の不登校児童・生徒のある保護者の方は、学校の理解ない対応に疲弊させられている保護者は大勢います、しかも、理解ある先生との会話ならまだしも、理解のない先生複数人とのやりとりの多くは母親1人で背負っていますと言われていました。

 現在のいじめ防止対策推進法のいじめの定義にある「児童等と一定の人的関係にある他の児童等」の「等」には、教職員は残念ながら入っていません。教職員の対応により精神的苦痛を受け、不登校になった児童も少なからずおられるし、不登校児童・生徒や保護者への差別や偏見もあると聞いています。この方は、子どもの権利条例というものがあったなら、どれほど早くに親子の精神的苦痛が和らいだものかと思います、ぜひその条例は必要だと思いますと期待を込められていました。子どもに関するいじめ、虐待、自殺など深刻な事態が広がる中だからこそ、今子どもの権利条例の制定が求められています。

 そこで伺います。子どもの権利条例の制定の意義や必要性について改めて伺います。

 全国40以上の自治体では、既に子ども条例が制定されています。毎年開催されている「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウムに私は参加いたしました。条例設置の自治体の多くは、選任されたオンブズパーソン、いわゆる権利擁護委員が子どもからの苦情を聞き、助言、支援及び関係機関への協力依頼などを行っています。相談で解決しない場合は、救済申立てにより関係者への調査に入ったり、その過程で事実関係の確認や、必要と認める場合は勧告や意見表明、是正要請などを行ったりもできます。

 議論になっていたのは、その機関の独立性や中立性についてです。独立した立場でないと子どもの立場を貫くことができないなどと、行政から独立した機関の構成員として選任されないと職務が全うできない場面もあると語られていました。子どもの人権救済を子ども主体で行っていくために、同条例の制定に向けて、児童・生徒や教員、保護者、行政、地域それぞれが十分な議論をしていくことが求められます。

 中野区には教育行政における区民参加に関する条例が制定されており、第4条では、「区民参加においては、権利の主体としての子どもの参加と意見表明の機会が保障されるよう配慮されなければならない」と掲げられています。こうした条例も踏まえて、より一層前に踏み出すべきです。

 そこで伺います。新年度においては審議会の設置が予定され、検討が進められるようですが、そこでの審議は公開とし、子どもの意見を聞く機会についても検討してはいかがでしょうか。答弁を求めます。

 加えて、教職員の労働環境の改善についてです。一昨年10月に実施した学校教員勤務実態調査でも、平日の教員の勤務時間が11時間を超える長時間となっていることが明らかとなりました。区においては、学校における働き方改革推進プランを策定し、2018年度から3年間の期間で取り組みが進められています。これらは、子どもたちにとってもゆとりのある教育を受けるために必要なことです。

 そこで伺います。同プランは四つの取り組みの方向性の下で準備されてきています。その進捗状況をお示しください。

 勤務時間管理は、この4月から我が会派も求めてきた庶務事務システム――いわゆる静脈認証です――で行われます。しかし、国会でも文科大臣が、実際にはタイムカードを押した後に引き続き職場に残って働いている方がいる実態も承知していますとの答弁もしています。業務内容が変わらなければ、持ち帰り残業を行うだけになります。4月からの勤務時間管理を行うに当たっては、厳格な運用を行うよう求めたいと考えます。

 同プランでは、週当たりの在校時間が60時間を超えないようにするのが当面の目標とされていますが、勤務実態調査では、小学校で41.9%、中学校で52.3%の教員が60時間を超えていました。

 そこで伺います。現時点では、教員の週当たりの平均在校時間は何時間となっていますか。

 教職員の長時間労働の是正は労働条件の改善として緊急であり、子どもの教育条件として極めて大切な課題となっています。

 昨年12月に、公立学校の教員に、1年単位の変形労働時間制の導入を可能とする法律が成立しました。この法案の審議に当たっては、多くの教員が、長期休暇中の休日を増やしても業務が多く消化ができない、平日の勤務時間が増えると仕事もさらに増えるのではないか、学期中に体調を壊す教員がさらに増えるなどと訴え、反対の意思を表明されていました。

 法改定によって、教員の時間外在校等時間を1か月45時間以内、1年間360時間以内にする指針が告示されました。中野区の小・中学校の教員の時間外労働が1日当たり4時間近くあるものを半分に減らさなくてはいけなくなります。本当にできるのか疑問です。

 教員の負担が非常に大きくなっています。今後は、道徳の所見や小学校英語、プログラミング教育など新学習指導要領の実施で業務量が増えていき、本来業務の指導や児童・生徒に向き合う時間がより一層確保できなくなる懸念があります。

 そもそも学校現場の矛盾は、授業数に比して2割も少ない教員定数で以前より膨大な業務をこなしているのが現状にあります。教員1人当たりの授業負担は、長い間、1日4コマ、週24コマとされてきましたが、国はその基準を投げ捨てて授業負担を増やしてきました。週5日制の後も、授業が教員増なしに増やされてきました。1日5コマ、6コマの授業をすれば、残る時間は25分だけです。その中で授業準備や採点、各種打合わせ、報告書づくりなど校務が終わるはずがありません。中学では部活動指導のために長時間労働になっています。

 こうした教員の長時間勤務の実情を顧みず、指針という上限を押し付け、1年単位の変形労働制の定着を教育現場に図ろうとしているのは許されません。

 そこで伺います。政府や東京都に抜本的な教員の大幅定員増を求めるべきです。また、区としても教員の増員を検討すべきではないでしょうか。この見解を伺いまして、この項の質問を終えます。

 続きまして、学童クラブの待機児童の解消についてです。

 共働き世帯などの小学生が過ごす学童保育を利用する子どもは1,500人余りです。この5年で120人余りが増加しています。今後も増加していくことが予想されています。こうした区民要望を受け止め、学童クラブを必要とされる地域にしっかりと区の責任で整備をしていくことを求めてきました。

 学童クラブは、保育園と異なり、学校と自宅の間の通学路にあることが望ましく、学童クラブの誘致には十分な配慮が求められてきました。4月から3か所の新規の民間学童クラブの運営が開始します。区も必要な地域に民間学童クラブを誘致してきましたが、通学路から外れているなど、必ずしも待機児童の解消につながらない困難さがあると感じています。

 そこで伺います。民間学童クラブを誘致しても、残念ながらなかなか定員を上回らないところもあります。こうした定員が充足しない理由はどのようなものと把握をしていますか。

 昨年4月現在の待機児童数は185人でしたが、今年1月の時点では70名に減っています。学童の空きがあるのに活用されないのではと残念に思います。学童クラブを利用する児童や保護者のニーズをしっかりと把握し、それに基づいた区の対応を検討する必要があるのではないでしょうか。答弁を求めます。

 加えて、新年度の学童クラブ利用案内では、利用待機になった場合の取扱いが変わるとされています。公立学童クラブの利用待機になった場合、区が保護者に連絡をし、利用希望の変更などを確認しています。その際、民間学童クラブを利用する場合、一部の民間学童クラブにおいて、区立の辞退をする必要がなくなり、より利用しやすくなります。区民がより利用しやすくなるように一層の改善を求め、この項を終えます。

 続きまして、国民健康保険について伺います。

 まずは、多子世帯への均等割保険料の減免についてです。国民健康保険は被保険者ごとに保険料がかかり、世帯に配偶者や子どもがいれば均等割保険料が賦課されますが、この仕組みは、他の保険種別にはありません。

 我が党は、国と都道府県の公費負担4.6兆円に1兆円の財源を投入し、均等割や平等割の保険料を廃止するなどの提案をしています。それが実現するまでの間、自治体の努力で、保険料の減免、徴収猶予を行う自治体が広がってきています。これは、国保法第77条に基づくもので、決算補?以外の目的と言われるもので、東京都の国保運営方針でも解消・削減すべき赤字とされていないものです。

 東京都内では、東大和、昭島、清瀬、あきる野各市で条例附則や取扱要綱で規定し、18歳未満の子どもに対し、均等割保険料の減免を行っています。東大和市では18歳未満の3人目以降は均等割保険料を不徴収に、昭島市では18歳以上の2人目の均等割保険料を半額にし、3人目以降を9割軽減にしています。

 中野区の場合、2人目以降は5割軽減ではおおよそ4,500万円、3人目以降9割軽減では6,000万円で実現できます。

 そこで伺います。子育て世代の支援として、18歳未満の子どもに対し、被保険者の均等割を減免することを検討すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 続きまして、短期保険証、資格証の発行についてです。中野区では、国保における滞納繰越世帯の割合は、2014年26.8%であったものが、18年度には29.6%に上昇してきています。滞納世帯に短期保険証や資格証明書を発行するに当たっては、納付相談、指導を通じて滞納者の実情等を十分に把握し、その実情を勘案するとなっています。納付相談、指導に一向に応じようとしない、十分な負担能力があるなどと認められる場合に発行するとされていますが、多くの自治体では、資格証、短期証の発行を機械的に行っています。

 中野区では、2018年度には、短期保険証が5,117世帯に、資格証が942世帯に発行されましたが、区の窓口に来て納付相談を経て一般保険証に切り替えられた方は僅か144件でした。資格証も、一般証や短期証に切り替わったのは45件にすぎませんでした。

 横浜市は、事務取扱要綱を改定し、行政側が悪徳滞納者と証明できない限り、短期証の発行は行わないように変更し、資格証明書や短期保険証の交付をゼロにしました。これらの発行によって滞納世帯と接触を増やしたからといって保険料の収納が可能という実態は少なく、その反対に、発行のコストや手間がかかり、行政効果が薄いと判断し、発行を取りやめたそうです。

 また、正規の保険証を取り上げ、その代わりに渡す資格証明書は、医療機関の窓口で一旦10割負担をしなければならない、事実上の無保険の制度で、お金がなければ医療にかかれないという制裁措置そのものです。

 そこで伺います。短期証や資格証の交付について、発行コストや手間など経済効率性の観点や、医療の受診抑制防止の観点から、短期保険証、資格証の発行を見直すことを検討すべきではないでしょうか。

 長年の国庫負担割合の削減に続き、都道府県化による一般会計からの法定外繰入れの停止が目指されています。しかし、国保加入世帯の平均所得は約136万円、約70%の世帯所得は100万円以下です。これが国保世帯の生活実態です。政府も、国保制度に構造的な問題があると認識しながら放置してきました。現在、住民の福祉の増進を図る地方自治体の役割が問われていることを述べて、この項を終えます。

 続きまして、介護保険の運営について伺います。

 まずは、介護保険事業計画の進捗についてです。現在は、3年間の第7期介護保険事業計画の2年目の19年度が終わる時期です。この1年半余りの間では、計画期ごとのサービス実績値が計画値を下回る状況となり、予定されていた介護給付費準備基金の取崩しが行われずに、2018年度末で27億6,800万円余となっています。

 厚労省は、2018年7月に介護保険事業支援計画の進捗管理の手引きを作成し、計画に掲げたサービスごとの見込み量と実際の事業状況が乖離していた場合、新たな取り組みを行わないと乖離が広がり、計画が形骸化するおそれがあるため、区市町村は、計画年度の途中でも取り組みや目標の修正を検討する必要があるとしています。

 そこで伺います。2018年度の介護給付費の見込みよりも4.8億円下回っています。見込み差の要因はどのようなものがあると考えていますか。

 現在、地域包括ケア見える化システムが導入されています。都道府県、市町村における計画策定・実行を支えるために、介護・医療の現状分析、課題抽出支援、取り組み事例の共有、施策検討支援などの機能が提供されています。こうした指標を用いて地域間や時系列で比較し、地域の課題を把握することが目指されています。

 そこで伺います。認定率や受給率、受給者1人当たりの給付費の指標に焦点を置いた観点から、中野区の特徴点についてどのように把握されていますか。

 先ほどの手引きでは、受給率に関わって事業者の公募過程で問題が生じていることについて、想定したサービスが利用されない理由として、サービス提供事業者が想定どおり開設できない場合があることを示し、参入しない理由を参入が期待できる法人等に聞き、その理由に応じて保険者として対応・協力すべきことの有無を検討する必要があるとしています。第7期計画における介護施設の整備目標の多くは、残念ながら達成していません。

 そこで伺います。参入が期待できる法人に参入しない理由を聞き取り、それに応じた対応や協力すべきことを検討すべきではないでしょうか。

 高齢者やその家族から必要とされる介護保険施設の整備は待ったなしです。介護保険施設整備における土地所有者からの提供を進めるために、区報、ホームページにとどまらず、区民に対し、土地提供のメリットを含め、土地提供を一層呼びかけるべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 次に、介護人材確保に向けた取り組みです。団塊の世代が75歳を迎える2025年に向け、介護人材を量と質の両面から確保するために、国と地域が協働し、取り組みが進められています。国の事業として介護に関する入門的研修が実施されています。中野区では、認定ヘルパー養成研修を2016年から実施しています。

 そこで伺います。中野区の認定ヘルパー研修はどれくらいの人が受講し、事業者への紹介につながっているのでしょうか。

 東京都が進めているTOKYO働きやすい福祉の職場宣言は、高齢・児童・障害分野の施設、事業所が、働きやすさの指標となる項目を明示した都独自の働きやすい福祉の職場ガイドラインを踏まえた人材育成、キャリアアップ、ライフ・ワーク・バランスなど、働く人に優しい職場づくりに取り組んでいることを申請し、それが公表される仕組みとなっています。東京都内で940事業所が宣言事業所として公表されています。中野区内では、1月末現在、34事業所にとどまっています。これらには、施設や通所介護の事業所など、一定規模のところが目立ちます。高齢・児童・障害分野のどの施設、事業所でも働きやすくなるように推進していくべきです。

 そこで伺います。宣言に至らない介護事業者や小規模事業者などへの支援について、区としてどのように行っていくおつもりですか。

 続きまして、アルコールによる健康障害への対策について伺います。

 国は、アルコール健康障害対策推進基本計画を2016年に策定し、東京都も推進計画を定めました。中野区は、昨年、自殺対策計画を策定しましたが、アルコール健康障害対策計画はありません。

 少量のアルコールは大脳皮質の機能を抑え、短期的には不安を和らげますが、中等量以上になると衝撃性や攻撃性を強め、自己破壊的な考えが生じてしまいやすいのです。アルコール依存症に罹患していない健康な状態の人にも出現すると言われています。自殺者の9割以上が何らかの精神障害を罹患していますが、働き盛りの男性の自殺では、アルコール摂取が影響している事例が多いと統計も出ています。

 そこで伺います。アルコールや鬱と自殺の関係についてどのように認識されていますか。

 自殺の中でアルコール問題に関係する方はどれほどおられましたか。

 アルコール依存症とは、寝つくためや憂さ晴らしで飲み始めたつもりが、いつしか飲む量も増え、歯止めが利かなくなってしまい、やがては身体を壊し、仕事で失敗をしたり、人間関係でトラブルを起こしたりするようになります。依存症という病気は、自分が病気であるという自覚がない、病識が欠如したまま症状の重症化が進む方が多いと言われています。

 内閣府実施の調査によると、アルコール依存症の相談場所として最も多いのが医療機関79%で、公的機関は36%にとどまっています。中野区では、すこやか福祉センターで、精神保健相談として専門医や保健師が応対し、アルコール関連の相談を行っています。その中では、家族が相談に来て、本人をアルコール専門機関に受診させたいや、本人の酒の量が多く、このままでは死んでしまうのではという心配されているなどの相談が寄せられているそうです。

 相談件数の中でアルコール関連の相談は、2018年から112件のうち8件、2019年度は101件のうち14件で、7%から14%ですから、少ないとも言えません。アルコール健康障害を有している方やその家族が相談拠点であるすこやか福祉センターで適切な相談を受けられるよう、一層周知していくべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 自治体として積極的に取り組んでいるのが板橋区です。同区では、保健所でアルコール依存からの回復をサポートするために、看護師や臨床心理士などの専門家とともに本人ミーティングや家族ミーティングを開催しています。昨年度の実績は、家族が100名、本人が44名でした。アルコール依存症の専門機関への受診勧奨も行われています。

 そこで伺います。本人や家族のミーティングの開催とアルコール専門医療機関や自助グループの連携も強化していくべきではないでしょうか。

 警視庁の調べによると、少年の飲酒による補導件数が近年増加傾向にあります。未成年者に飲酒をさせない取り組みを進める必要があります。中野区主催の成人式で、毎年、飲酒メーカーが飲酒との付き合い方を説明していますが、公的な場で特定企業が成人を迎えた若者に飲酒を誘引することは不適切と言わざるを得ません。本来ならば、医師などの専門家に依存対象についての話題提供をいただくほうがふさわしいと思います。いずれにしても、実行委員会の皆さんが創意工夫で公的な場にふさわしい演者を選定すべきです。

 そこで伺います。成人式では、公的な場にふさわしい演者を選定すべきではないでしょうか。

 そして、最後に、その他として、失語症者向け意思疎通支援者の派遣について伺います。

 新年度案では、地域生活支援事業の意思疎通支援事業として、代筆・代読支援の実施が見通されています。我が会派として求めてきており、多くの視覚障害者からも喜びの声を伺っています。

 しかし、その中でも、失語症者を支援する方から制度拡充の要望が寄せられています。失語症者は、高次脳機能障害の一種であり、主には、脳出血、脳梗塞などの脳血管障害によって脳の言語機能の中枢が損傷されることにより、獲得した言語機能が障害された状態と言われています。失語症者は、全国で20万人から50万人と言われています。失語症になると、生活のあらゆる場面で意思の疎通ができなくなります。よって、失語症の症状や対応を理解して会話の支援ができる支援者が必要なのです。2018年度から、東京都は、失語症者向け意思疎通支援者の養成を開始しています。

 そこで伺います。東京都において意思疎通支援者の養成はどれぐらい進んでいますか。

 障害福祉サービスの同行援護には、視覚障害により移動に著しい困難を有する方等と限定されており、失語症者は対象外となっています。そして、厚労省が地域生活支援事業の意思疎通事業の中で、失語症者も対象であることを明確化させました。

 そこで伺います。中野区においても、地域生活支援事業の意思疎通支援事業として失語症者向け意思疎通支援者を派遣することを実施する検討を行うべきではないでしょうか。伺いまして、私からの質問を終了させていただきます。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 小杉委員の御質問の1番目、学校教育と子どもの人権についてで、子どもの権利条例の検討について、まずお答えいたします。

 児童相談所における児童虐待相談対応件数が年々増加するなど、子どもの権利が脅かされる状況は深刻化しています。こうした中、国は児童福祉法を改正し、子どもの権利の明確化や体罰の禁止などを位置付けたところであります。子どもの健康と健やかな成長は全ての区民の共通の願いであって、そのためには、子どもの権利を理解し、あらゆる活動に子どもの権利の視点を生かしていくことが重要と考えております。全ての子どもたちが生き生きと成長していける中野のまちを実現していくためには、区民共通の理念と様々な活動主体の役割を定める子どもの権利条例の制定が必要であると考えております。

 次に、審議会の公開及び子どもの意見聴取についてでございます。子どもの権利条例の検討に当たりましては、幅広い意見や専門的な見地からの提言を受けるため、区民、有識者などにより構成される原則公開の審議会を設置することを考えております。また、検討の過程で子どもの意見を聞く機会を確保することは重要であると考えておりまして、その方法について検討してまいります。

 次に、2番目、学童クラブの待機児童の解消についてで、入会希望の少ない民間学童クラブの理由についてのお尋ねでございます。民間学童クラブの定員が充足しない理由としては、民間学童クラブの開設場所が学校から遠いなどの地理的な要因が大きいと考えております。

 次に、学童クラブ利用者のニーズに合った区の対応についてでございます。待機児童を解消して学童クラブの利用を促進するためには、学童クラブが通いやすい場所にあることや習い事などのプログラムを持つ学童クラブを誘致していくことが重要だと考えておりまして、保護者ニーズに合った学童クラブの誘致を進めてまいります。

〔教育長入野貴美子登壇〕

○教育長(入野貴美子) 私からは、学校教育と子どもの人権についての御質問のうち、まず、学校生活での環境についてお答えいたします。

 不登校児童・生徒数の傾向についてでございますが、不登校児童・生徒数の増加は、解決しなければならない区の最重要課題の一つであると認識しております。教育委員会は、これまで、適応指導教室における相談員等が各家庭等へ訪問する巡回支援の実施や、区の南部・北部にある分室の開室、スクールソーシャルワーカーの増員など、不登校児童・生徒一人ひとりの状況に応じた柔軟な支援体制を構築し、充実させてまいりました。こうした取り組みにより、自宅を出られなかった児童・生徒が面接や分室指導につながるなど、一定の成果を上げてきたところでございますが、近年、不登校の要因はますます複雑化・多様化し、不登校児童・生徒数も減少するには至っていない現状もございます。本区においては、学校復帰という結果のみを目標にするのではなく、子どもたちが自らの進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指して取り組んできております。今後も、不登校児童・生徒一人ひとりに寄り添った支援策を講じてまいります。

 次に、不登校児童・生徒の保護者間の交流機会の提供についてでございますが、不登校児童・生徒の保護者の方々は、子どもの社会的な自立に向けての対応について模索し、不安に感じていると認識しております。学校は、保護者との信頼関係を築きながら、学習支援や進学など幅広い情報提供を行い、支えてきております。お話の保護者間の交流機会の提供につきましては、支援の方法の一つであると認識しておりますが、不登校児童・生徒やその保護者の状況は様々でございますので、学校や教育委員会は、それぞれの状況やニーズを見極めながら慎重に対応してまいります。

 次に、学校生活におけるストレスフルな環境への認識についてでございます。学校生活において子どもたちがストレスを感じてしまうことは課題であると認識しております。一方、成長の過程にある児童・生徒におきましては、互いに切磋琢磨しながら解決し、自らの力を伸ばし、高め合っていくことは大切なことであります。学校教育の果たす大きな役割の一つであると考えております。

 次に、教職員の労働環境の改善についての御質問にお答えいたします。

 中野区立学校における働き方改革推進プランの取り組みの方向性の進捗状況についてでございます。四つの柱の第1、教員の働き方に係る意識改革の推進については、まずは教職員が自らの在校時間を客観的に把握するところから取り組むべきとの考えから、教職員庶務事務システムをこの4月から稼働いたします。第2の業務改善及び業務の効率化については、これまでも校務支援システムの導入や全教員への指導用タブレット端末の配備等、対応してきたところでございますが、留守番電話及び校内インターホン、多機能印刷機の配備などを予定しております。第3の学校・教員を支援する環境整備につきましては、スクール・サポート・スタッフ及び副校長補佐の配置を拡充してまいります。第4の学校を支える教育委員会体制の構築につきましては、教育に関するICTの活用について専門性のある教育情報化専門員を配置し、学校のニーズに応じて巡回指導を行う予定でございます。現在、中野区立学校における働き方改革推進プランに基づき、着実に実施しているところでございます。

 次に、現時点の教員の週当たりの平均在校時間についての御質問でございますが、今年度10月に抽出校で行った教員勤務実態調査における1週間当たりの在校状況は、小学校は56時間50分、中学校は63時間26分でございました。

 最後に、国や都への教員定数増の要望及び区における教員の増員についてでございますが、区独自に平成30年度から任期付短時間勤務教員を各校に1名配置しております。子どもたちの学力向上を第一の目的としながらも、校務分掌や学校行事なども担当するなど、教員の働き方改革の一端を担い、成果を上げてきているところでございます。教員の定数増につきましては、区の取り組みだけでは実現させることが難しいところでございます。引き続き国や都に要望してまいります。

〔区民部長青山敬一郎登壇〕

○区民部長(青山敬一郎) 私からは、国民健康保険についての御質問にお答えいたします。

 まず、多子世帯への均等割保険料の減免についてでございます。国は、所得金額や子どもの人数といった画一的な基準による減免は適当とは考えられないとの見解を示しております。子どもに係る均等割保険料の軽減措置などにつきましては、特別区長会として国に要望しているところでございます。

 次に、短期証、資格証明書の発行についてでございます。短期証及び資格証明書の交付は、被保険者の負担の公平を図る観点から、国民健康保険法等の規定に基づき行っているものでございます。資格証明書の被保険者が医療を受ける必要が生じ、かつ医療機関への一時払いが困難な場合などは、緊急的な対応として、国の通知に基づき、短期証を交付してございます。

〔地域包括ケア推進担当部長藤井多希子登壇〕

○地域包括ケア推進担当部長(藤井多希子) 私からは、介護保険の運営についてお答えいたします。

 まず、介護給付の見込み差についてですが、介護保険事業計画では前期の中途までの実績を踏まえて推計をするため、見込み差が生じてしまいますが、その主な要因の一つは、要介護または要支援の構成比や規模の見込みの差です。もう一つの要因は、入所施設系サービス基盤の整備の進捗状況にあると考えております。

 次に、介護保険の見える化システムの指標における区の特徴でございますが、要支援の認定率は国や都の平均と比べて高い一方、要介護の認定率は国や都の平均を下回っております。その結果、サービスの受給率では、施設サービスに係る受給率が、国は2.8%、都は2.4%でございますが、中野区はそれよりも低い2.1%、また、居住系サービスの受給率につきましては、中野区は2.6%でございますが、国は1.3%、そして、都は1.9%よりも高いということが特徴でございます。

 次に、施設整備に係る法人の参入の阻害要因についてでございます。事業者の公募に当たりまして、参入を希望する法人からは、用地の確保や人材確保の難しさについてのお声を聞いております。これまでの経緯を踏まえて、区といたしましても、こうした阻害要因につきましてはさらに詳しく調査する必要があると考えております。今後、その調査手法等につきましては検討してまいります。

 次に、介護保険施設整備のための土地の提供についてでございます。区では、これまでも土地活用を推進するためのセミナーや、土地所有者と土地を探している事業者を結びつけるための説明会を定期的に開催しております。今後、土地取引仲介事業者からの情報も活用しつつ、土地の所有者への働きかけも行ってまいりたいと考えております。

 次に、認定ヘルパー養成研修の受講者等の数についてでございます。認定ヘルパー養成研修の受講修了者は大体年間40名程度でございまして、そのうち雇用につながっていますのは年間10名程度となっております。

 最後に、東京都の人材確保推進事業を利用していない介護事業者への支援についてでございます。TOKYO働きやすい福祉の職場宣言事業、これは、東京都の外郭団体である東京都福祉保健財団に直接事業者が申請をして公表される事業でございまして、今まで区は直接関与しておりませんでした。しかし、区内事業者の人材確保にも一定の効果が期待できることから、今後、区としましても制度の周知に協力をしてまいりたいと考えております。

〔保健所長向山晴子登壇〕

○保健所長(向山晴子) アルコール健康障害の関連につきましての一連の御質問のうち、アルコールや鬱と自殺との関連についてお答え申し上げます。

 アルコール、鬱、自殺は、一般に死のトライアングルと言われ、重要な関連性があると認識をしてございます。アルコール問題については相談や医療につながっていない方が多く、死因統計の記載事項にもなっていませんが、自殺者の3人に1人の割合で直前の飲酒が認められたという東邦大学医学の調査報告がございます。中野区の自殺者の中にアルコール問題のある方の占める割合についてはデータがございませんが、アルコール依存症の方は、そうでない方に比べて自殺の危険性が約6倍高いとされている研究がございます。

〔地域支えあい推進部長野村建樹登壇〕

○地域支えあい推進部長(野村建樹) アルコールによる健康障害の関係で、すこやか福祉センターに関係する二つの御質問にお答えをいたします。

 まず、相談拠点としての周知ということでございます。すこやか福祉センターでは、アルコール依存症からの回復を支援するため、医療機関での治療やリハビリテーション、自助グループへの参加等につなげるとともに、家族問題へも対応してございます。こうしたすこやか福祉センターが果たしている機能につきまして、より広く認識されるよう、機会を捉えて周知に努めてまいります。

 続きまして、自助グループを区が開催してはという御質問でございます。現在、様々な自助グループ等によるミーティングが各所で開催されており、区が直接主催するという考えは現在のところ持ってございません。今後も、アルコール依存症の方への支援を適切に行えるよう、医療機関や自助グループに関する情報収集や連携も含めまして取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

〔子ども家庭支援担当部長小田史子登壇〕

○子ども家庭支援担当部長(小田史子) 私からは、アルコールによる健康障害への対策についての御質問のうち、成人式での飲酒の指導・助言についての御質問にお答えさせていただきます。

 適正飲酒の普及啓発を目的に、平成28年1月から、地元企業の社会貢献事業として、成人のつどいで正しいお酒の飲み方を新成人に伝えているところでございます。これから飲酒する場に接する機会が増える新成人にとりまして、飲酒のプラス面、マイナス面を認識してもらう貴重な機会であると捉えております。実行委員会が新成人の視点で構成した内容でありまして、新成人に分かりやすく伝えるという点では十分な内容であると考えております

〔健康福祉部長朝井めぐみ登壇〕

○健康福祉部長(朝井めぐみ) 私からは、失語症者向け意思疎通支援者の派遣についての御質問にお答えいたします。

 初めに、東京都における失語症者向け意思疎通支援者の養成状況でございます。東京都では、失語症者とのコミュニケーション手法等の指導を行いまして、意思疎通支援者を養成することを目的として、平成30年度より講習会を実施しています。平成30年度におけます講習会修了者は39名でございます。

 次に、失語症者向け意思疎通支援者の派遣についての御質問でございます。失語症の方が意思疎通を図るための支援については必要なものと認識しておりまして、今後は、意思疎通支援者の派遣も含め、支援の在り方等について検討してまいります。

○議長(高橋かずちか) 以上で小杉一男議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 竹 村 あきひろ

 1 中野区の情報発信とその施策について

 2 中野区の動画発信について

 3 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、竹村あきひろ議員。

〔竹村あきひろ議員登壇〕

○2番(竹村あきひろ) 今回は、受信ではなく、発信の質問であります。

 令和2年第1回定例会に当たりまして、会派、育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会の立場から一般質問をいたします。

 質問は通告どおりで、その他はございません。

 初めに、中野区の情報発信とその施策について伺います。

 我が国では、2000年代において、ブロードバンド通信と言われる大容量通信可能な高速インターネット回線と、それらを活用し得る第3世代以降の携帯通話機器の急激な普及により、世界でも有数の情報通信ネットワーク基盤を有する国となりました。今後は、IoT――Internet of Things、つまり、物のインターネットと言われる技術革新の基盤となる5G――第5世代移動通信システムサービス開始に向け、情報通信ネットワークはさらなる進化を遂げることが期待されております。

 では、我が中野区での情報インフラ活用の現状はどうでしょうか。平成30年度の主要施策の成果(別冊)行政評価結果の政策室広報分野において、情報発信の評価がなされております。自己評価は、各指標の目標達成していないとして「C」の評価となっておりますが、過日の総務委員会において評価方法を含めた各種変更が予定されている旨の報告があり、今後の情報発信、事業改善が期待されます。

 ネットによる情報発信は、中野区ホームページのほか、SNSのフェイスブック、ツイッター、そして、動画共有サイト――ユーチューブがあります。ホームページに設けられたボタンを押すと、それぞれのウエブサイトがホームページとは別に開いて閲覧できる仕組みとなっています。

 そこで伺います。中野区が発信に使用する各種SNS、ソーシャルメディアの特徴をどのように認識しておりますでしょうか。具体事例を挙げ、お示しください。

 また、一般的に使用されているSNSは幾つかの種類がありますが、区が情報発信ツールとして選ぶSNSの選定基準をお示しください。

 次に、中野区の動画サイトに関して伺います。

 一般的な情報発信は、新聞などの紙媒体のほかに、動画、すなわち動く映像と音声によって視聴覚に訴えることに一部秀でたテレビジョン放送が主流と言える状況です。近年では、政府広報や政党広報などにも利用されていることは御存じのとおりかと思います。

 では、インターネットによる動画視聴の現状はどうでしょうか。総務省情報通信政策研究所、令和元年9月公表の平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書による動画共有・配信サービスなどの利用率によれば、オンデマンド型の動画共有サービスが全年代で増加、全体でも、前回調査と比較し、68.5%から71.8%と推移しています。

 オンデマンド型とは、利用者の要求があった場合に、その要求に応じてサービスを提供する形式のことで、主なものでは、オンデマンド型動画共有サービスは、ユーチューブやニコニコ動画、オンデマンド型動画配信サービスは、WOWOWやスカパー、ケーブルテレビなどがあります。

 また、間接的なデータですが、総務省平成30年度版情報白書や大手広告代理店の公表データによれば、インターネット広告費は、平成29年1兆5,094億円、平成30年1兆7,589億円と、前年比116.5%の伸びとなっています。もちろんこの広告費全てが動画CMに費やされているわけではありませんが、視聴者がインターネット動画視聴にも相当数移行し、それに追従してコマーシャル宣伝がインターネット動画に進出している実態を、宣伝費増加が間接的にではありますが、裏付ける形となっています。

 各種データ、統計により、動画視聴が一般的になりつつある現状を一定程度証明できるものと思われます。

 さて、我が中野区の動画発信は、米国に本社を置く企業――ユーチューブを利用されていますが、その現状はどうでしょうか。令和2年2月17日現在、中野区ホームページから視聴可能な公式ユーチューブチャンネル「中野区広報」のチャンネル登録者数は68人、掲載動画総数46本、総視聴回数7,227回、登録年月日は平成24年1月23日となっています。掲載動画のうち最大再生回数は1,483回、題名「なかの元気アップ体操」、約2年前の動画です。

 ここで、比較対象として、ある動画ユーチューブチャンネルを紹介いたします。令和2年2月17日現在、某チャンネルの登録者数は1,520人、掲載動画総数134本、総視聴回数26万5,000回、総再生時間2万7,000時間、登録年月日平成30年10月27日です。区公式チャンネルと比較し、短期間にて、登録者数、視聴回数が爆発的に増加していることが対照的と思われます。

 また、特筆すべきは動画本数です。動画の掲載頻度は、登録年月日から求めますと、おおむね3日から4日で1本の計算となります。

 さて、その某サイトとは。私のユーチューブチャンネル、名称は、「NHKから国民を守る党 竹村あきひろ「人生号外」」です。掲載動画のうち最大再生回数は5万6,259回、題名は「NHK、来襲310226」という、実際にNHK委託訪問員が私の自宅を訪れた際、私とNHK訪問員とのリアルな会話を録画した昨年2月頃の動画です。

 比較対象としては、区と個人では条件が相当に異なり単純比較はできないと考えますが、動画の内容、掲載頻度、動画プラットフォーム機能の活用など、工夫次第で動画での情報発信の可能性は、電波を使った放送と異なりほぼ無限と考えられ、その可能性を引き出すものは、この事業に携わる区職員の発想と行動力と考えます。

 そこで伺います。中野区としてホームページより視聴できる公式ユーチューブチャンネル「中野区広報」の評価はどのようになりますでしょうか。

 フェイスブック、ツイッターと比較し、動画発信に関してはなおざりと思える現状と感じますが、区の見解をお答えください。

 また、今後、このチャンネルをどのように活用していくのか、展望をお聞かせください。

 なお、今回取り上げましたユーチューブチャンネルとは別に区公式チャンネルが見受けられますが、別の機会に伺うこととします。

 日本は世界有数の情報通信ネットワーク基盤を有する国となりましたが、その基盤を利用する個々人の持つ携帯通話機器の現状を見ますと、NTTドコモモバイル研究所、令和元年6月12日レポートによれば、70歳代のスマホ比率が5割突破との報告があります。また、前述の総務省平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書によりますと、全年代においてスマホ利用率が前回調査から増加し、87.0%、全年齢がおおむねスマホを持ち、情報を自由に入手できる環境が確認でき、したがって、区からの情報発信も、SNSや動画サイトをはじめとするインターネット活用促進は社会情勢に即したものと考えられます。

 そこで伺います。中野区が行っている情報発信のうちSNSや動画発信をより活性化させる施策で御回答できるものがありましたらお示しください。

 将来的には、独自動画サイトを立ち上げてのホームページ掲載など、特定企業に依存しない情報発信ツールの確立を期待するところであります。

 中野区の積極的な答弁を期待し、以上を伺いまして私の質問を終わります。ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 竹村議員の御質問のうち1番目、中野区情報発信とその施策について、一つ目、中野区が情報発信しているSNSの特徴についてでございます。中野区では、即時性、手軽さ、情報の拡散力に優れることから、SNSによる情報発信として、フェイスブック、ツイッター、ユーチューブを利用しており、今後、新たにLINEによる情報発信も行っていく考えでございます。各サービスにおいて、ユーザー数、年代層や機能が異なると認識をしております。例えばフェイスブックでは、30代から40代の利用割合が高く、実名が基本です。一方、ツイッターは、10代から20代の利用割合が高く、リツイートによる拡散性が高いと考えております。また、ツイッターは実名登録が少なく、投稿は短文でございます。さらに、LINEは、国内におけるユーザー数が多く、幅広い年代で利用されており、登録者に対する一斉送信などが可能であると認識しております。

 次に、情報発信するSNSの選定基準についてでございます。明確な設定基準は定めておりませんが、ユーザー数や年齢層、情報の拡散性などを考慮して情報発信するツールを選定しています。また、実際の情報発信においては、特定の手段に偏ることのないよう、各SNSの特徴を踏まえつつ、区政情報の緊急度や内容などに応じて、区報やプレスリリースを含め、複数の手段により情報を発信することに努めているところでございます。

〔企画部長高橋昭彦登壇〕

○企画部長(高橋昭彦) 中野区の動画配信についての御質問でございます。中野区公式ユーチューブチャンネルの評価、また、今後の活用についてでございます。中野区では、中野区公式ユーチューブチャンネルにおきまして、中野区長の定例記者会見の様子や中野の歴史や文化及び伝承を紹介する広報番組「ピックアップなかの」を配信しているところでございます。現時点では、動画総数、視聴回数ともに少ない状況でございますが、動画につきましては、視聴者に対して多くの情報量を効果的に伝えることができる手段であることから、今後、さらなる活用を図っていきたいと考えております。また5G時代の到来を見据えまして、例えばLINEの一斉配信メッセージに動画のURL記載をするなど、配信方法についても工夫をしてまいりたいと考えてございます。

 また、SNSや動画配信をより活性化させる施策についてでございますが、区の広報につきましては、区民が必要とする情報や区の考えなどを分かりやすく伝えることが基本であると認識しているところでございます。そのためには、広報媒体の高度なIT化やサービスの多様化などを捉えながら、情報の発信方法を工夫していくことが必要だと考えております。次年度につきましては、区の情報収集力……

○議長(高橋かずちか) 質問時間は終了しておりますので、答弁は結構でございます。

 以上で竹村あきひろ議員の質問は終わります。

 

 中野区議会議員 大 内 しんご

 1 令和2年所信表明について

 2 野方駅周辺地区まちづくりについて

 3 上高田地域の都市計画道路補助線街路第220号線について

 4 区役所新庁舎について

 5 その他

 

○議長(高橋かずちか) 次に、大内しんご議員。

〔大内しんご議員登壇〕

○32番(大内しんご) 令和2年中野区議会第1回定例会におきまして、自民党の立場から質問をいたします。

 区長は、施政方針説明の中で、令和2年度の区政運営の方向について、「子育て先進区に向けた取組」、「安心して地域で暮らし続けられるための取組」、「区民とともに進めるまちづくりのための取組」とともに、「3つの取組を支え、推進する行財政運営」の四つを重点項目に置き、区政を進めていくとしています。

 このうち今回は、区長が特に重点を置いていると思われる、「子育て先進区に向けた取組」、「安心して地域で暮らし続けられるための取組」、及び「3つの取組を支え、推進する行財政運営」の三つについてお伺いをいたします。

 「子育て先進区に向けた取組」についてについてですが、令和2年度、(仮称)子どもの権利条約の制定や、妊娠期から出産・子育て期までの切れ目のない支援、双子・三つ子などの家庭、ひとり親家庭へのトータルケア事業、3歳児内科健診と歯科健診についての委託化、かかりつけ医の推進、待機児童対策、子育て支援施設としてのキッズ・プラザや子育てひろばの整備など、具体的な施策を並べ、一見すると、事業のラインナップは豊富に見えます。

 しかし、いまだに子育て先進区としての基本方針が示されておりません。基本方針の全体像なくして個々の施策を並べてみても、いかにも場当たり的であり、他区と比較して何をもって子育て先進区と言えるのか見えてきません。

 区長として考える子育て先進区とは一体どのようなものか、これまでも様々な場面で質問されて、お答えされておりますが、改めてお尋ねをいたします。

 また、子育て先進区に向けて、区では既に子育て環境に対する子どもと子育て家庭の満足度と認知度を高める子育て先進区の基本方針の策定に取り組んでいると述べています。この方針は、区として最重要課題、いわば一丁目一番地の施策として銘打っております。

 そこで伺います。この基本方針は、現在策定中の基本構想や基本計画との関係や位置付けはどうなるのでしょうか。一丁目一番地の施策というのなら、基本計画と同様の手続で策定すべきです。既に令和2年度の予算案においても様々な子育て先進区に向けた取り組みの内容が示されていますが、こうした基本方針や基本計画との整合性をどのように説明するのか、お伺いをいたします。

 「安心して地域で暮らし続けるための取組」のうち、地域包括ケアシステムについて伺います。

 区は、平成30年12月に地域包括ケアシステム総合計画の策定のための担当部長を公募で選定し、その計画の策定・推進を進めているところです。しかし、その取り組み内容や進捗状況にも若干の疑問を感じています。

 この地域包括ケアシステム総合計画については、さきの地域包括ケア特別委員会や厚生委員会においては、その基本的な考え方が示されました。この中で、現在の高齢者向けの推進プランを子どもや子育て家庭、障害者等も含めた全世代へと拡大していくということにしています。地域包括ケアの推進については、誰もが、年をとっても、体が不自由になっても、可能な限り住み慣れた中野区で尊厳を持って最後まで生活ができるよう推進していくというものであり、その理念は大いに賛同するところです。

 しかしながら、これまでの区の取り組みを見ても、この地域包括ケアシステムが円滑に推進されているとは言い難い状況ではないかと感じています。また、地域における高齢者の方々に意見を聞いても、言葉自体になじみが薄く、また、どのように取り組みを行おうとしているのか分からないとの声をよくお聞きをいたします。

 このように、高齢者版においてもまだまだその理念や取り組み内容が区民にも職員にも浸透していないと思われる中、さらに子どもや障害のある方に裾野を広げていくことは、さらなる混乱を招くのではないかと不安に感じています。

 こうした声に区長はどのように説得力ある説明をしていくのか、明確にお答えください。

 さらに、スケジュール感を見ても拙速感は否めません。今回のスケジュールを見ると、令和2年10月に総合計画の骨子を作成し、令和3年11月に計画案を策定するとしていますが、この実施スケジュールで大丈夫でしょうか。これまでよりさらに範囲を広げる中、庁内関係部署間の合意形成はもとより、関係団体との連携の仕組みづくりや支援の方策など、区民の理解を得ながら進めるには非常に短か過ぎる工程に思えます。

 単なる付け焼き刃の計画策定にならぬよう、現在の計画をじっくりと検証しながら、区民の理解を十分に得ることのほうが最優先だと思います。部長の御見解をお伺いいたします。

 3番目に、「3つの取組を支え、推進する行財政運営」について伺います。

 この項では、区長が示した「子育て先進区に向けた取組」、「安心して地域で暮らし続けられるための取組」、「区民とともに進めるまちづくりのための取組」の三つの取り組みを円滑かつ確実に進めていくために行財政運営についての取り組みを示しています。

 内容は、ホームページにユニバーサルデザインフォントを導入したり、多言語対応の質の向上、また、歴史的情報資産の充実と利活用を一層図るため、変わりゆく中野のまちや人のよさなどを映像や画像に記録、収集、発信するなどです。

 また、収納率向上に向けた取り組み、新区役所の整備、中野体育館の解体工事、新たな業務プロセスの改善など、個々の事業紹介にとどまっている感は否めません。しかしながら、各種区政の取り組みを支える根本的な行財政運営を行うのであれば、単年度の視点ではなく、将来を見据えた中長期的な視点での、行財政運営としての舵を取るべきではないでしょうか。

 例えば当初予算の内容によると、学校再編等による学校施設の更新、区役所新庁舎の建設、中野駅周辺や西武新宿線沿線まちづくりなど、今後は、年間の事業ベースで年200億円から300億円程度を見込んでおります。

 今後の区の行財政指標を見ても、全体の基金残高は、令和2年で549億円、令和3年582億円、令和4年で620億円、令和5年で647億円、令和6年653億円と一定程度は保たれますが、起債残高は、令和2年184億円、令和3年で420億円、令和4年499億円、令和5年604億円、令和6年においては726億円と増加傾向にあります。さらに、公債費負担比率は、令和2年2.0%、令和3年で2.4%、令和4年に4.4%、令和5年に5.9%、令和6年には7.4%と、こちらも増加傾向となっています。

 全市町村レベルでの指標の公債費負担比率、普通会計では、中野区は平成30年5.5%で、23区平均の2.2%を大きく上回っております。しかも、この基金残高、起債残高、公債費負担比率の推移の指標のもとは歳入を令和2年の収入見込みベースとしているため、現在の新型コロナウイルスの影響による景気変動も加味しておりません。ひとたび景気の後退が起きると、区の歳入減少は、区民税、特別区民税にとどまらず、利用者の所得減による保育料の歳入減、扶助費の増加など、区政運営を加速度的に厳しいものにしていきます。

 区政を安定的かつ発展的に進めるには、こうした視点をしっかりと踏まえた行財政運営が欠かせません。残念ながら、区長の施政方針説明の中では、中長期的な行財政運営には触れられておりません。中長期的な行政運営について、区はどのような計画を考えているのか、お伺いいたします。

 区長は常々、生駒市が提唱する、自治体職員がまちへ飛び出し、住民と一緒にまちづくりを積極的に行っていく「自治体3.0」の概念を中野区も見習うべきとしております。

 この理念を簡単に説明すると、行政の都合により施策を住民へ押しつけるのを「自治体1.0」とし、次に、住民の意向をやニーズを十分に把握し、行政施策へ反映するのが「自治体2.0」、そして、「自治体3.0」は、自治体職員がまちへ飛び出し、住民と一緒になってまちづくり等の施策をともに積極的に行っていくことだと述べています。

 これは、現在、区が行っているアウトリーチ活動に関連するものと想像します。区長はこれまで、「地域に飛び出す職員」という言葉を使いながら職員のアウトリーチ活動を進めておりますが、区民活動センターを中心にした、このアウトリーチ活動は、民生・児童委員の地域包括支援センターの方々が行っている高齢者を中心とした支援の必要な方々への相談や助言などと同様のものに思います。

 生駒市の理念を見ると、「自治体3.0」の職員は、まちづくりや子育て支援など様々な行政場面において、区民の意向を酌み取る職員をイメージしているのではないかと思います。私は、この「自治体3.0」の概念自体を否定するものではありません。むしろそうなってほしいと切に願います。しかしながら、区長が進めるアウトリーチチームの活動内容はいま一つ地域に伝わっていないような気がします。現在、区が提唱するアウトリーチチームの仕事やその成果についてどのようなことになっているのか、改めてお伺いいたします。

 来年度は、基本構想や基本計画の策定、また、中野駅周辺整備など区政の方向を左右する課題が山積みしております。区民の意向を酌み取る職員、それが目指す姿なのであれば、まずは区民に信託された区民の代表である議会と十分に腰を据えた議論を活発に行い、お互いに理解し合った中で力を合わせ施策を展開すべきと考えます。お考えをお聞きします。

 以上、区政と議会が今後とも円滑に進むことを切に願いまして、この項の質問を終わります。

 2番目に、野方駅周辺地区まちづくりについてお伺いいたします。

 野方駅以西の連続立体交差事業の早期実現が望まれる中、昨年、野方駅以西のまちづくりで進展が見られました。10月に都立家政駅及び鷺ノ宮駅周辺地区においてまちづくり整備方針の素案が公表され、地域の皆様との意見交換会が開催されました。また、今月からは、この整備方針の案についてパブリックコメントが開始され、その説明会も予定されていると聞いています。

 一方、野方駅周辺については、野方駅直近の野方第1号踏切除却は、地域はもちろん区としてもまちづくりの生命線と認識しております。平成31年度第1回定例会における私の質問においては、その踏切除却については、技術的な実現可能性の検証や、どのような事業の枠組みが適切であるかなどについて東京都と意見交換会を行っているとのことでした。また、令和元年第2回定例会における同じく私の質問においては、「野方駅周辺地域については、駅周辺地域の発展や駅から提案されたまちづくり構想を実現するためにも、野方駅直近の踏切除却は必要だと認識しており、事業主体である東京都と意見交換を続けている。今後、その内容を踏まえ、来年度をめどにまちづくり整備方針の素案を地域に示す」とお答えをしています。

 地域から野方駅直近の踏切除却を望む声が多くあることから、区としてはここでいま一度、気を引き締めて野方駅周辺のまちづくりを進めていただきたいと思います。

 そこでお伺いをいたします。区は、鉄道による地域分断が野方駅周辺地区のまちづくりを検討していくに当たり大きな課題あると認識していると思いますが、この鉄道について、地域分断を解消するための野方駅直近の踏切除却について、現在の検討状況をお聞きします。

 また、区は、野方駅周辺地区においてほかにどのようなまちの課題があると認識しているのか、お伺いをいたします。

 3番目に、上高田地区の都市計画道路補助線街路第220号線についてお聞きをいたします。

 連続立体交差事業は、踏切渋滞の解消を図るだけではなく、交差する都市計画道路や交通広場等を整備することにより、交通基盤の強化や新たなにぎわいの創出、延焼遮断帯の形成による防災性の向上など、まちへの波及効果が期待される事業であります。常に連続立体交差事業が事業化されている中井から野方駅間における新井薬師前駅駅前周辺地区においては、駅前の区画街路第3号線の交通広場の整備や補助第220号線の第Ⅱ期区間――早稲田通りから五中つつじ通りの整備に合わせて、商店街の活性化や木造住宅が密集する上高田地域における延焼遮断帯を形成することなど、地区の防災性向上に向けたまちづくりの取り組みが進んでいると思います。

 ところが、昨年12月の建設委員会において、区から、交通広場を含む街路整備が最優先の課題になっていることから、新井薬師前駅の区画街路第3号線の交通広場の整備促進を図るに当たり、補助第220号線の第Ⅱ期区間――早稲田通りから五中つつじ通りの整備を延期する計画が示されました。連続立体交差事業の推進と、鉄道と交差する都市計画道路や交通広場の整備を含む駅周辺のまちづくりは、いわば両輪の事業であると思います。ここで補助第220号線の第Ⅱ期区間の整備を延期することで、上高田地区の防災まちづくりが遅れてしまうことを大変危惧しております。

 そこでお伺いいたします。上高田地区の避難路や延焼遮断帯として重要な役割を果たす補助第220号線の整備について、現在事業中の第Ⅰ期区間――五中つつじ通りから線路北側付近に引き続き、第Ⅱ期区間も他の事業中の路線と同じく早期に事業化し、一日も早く地域の防災性向上に取り組むべきと考えますが、区の考えをお聞きいたします。

 4番目に、新庁舎整備について質問をいたします。

 新庁舎については、災害時における災害本部の拠点としての防災機能の強化や、目まぐるしく変わる行政需要の変化や情報化社会の進展に的確に対応しながら区民サービスを向上させていくために、しっかりと検討を進めていくことが重要と認識しています。

 新庁舎の整備スケジュールについてお聞きをいたします。

 新庁舎の整備士スケジュールについては、昨年の第2回定例会での報告によりますと、令和元年8月にプロポーザル方式による契約の発注・公告が行われ、本定例会において契約議案の議決後、実施設計に着手するとされております。その後、本年12月には新庁舎建設予定地である現中野体育館の解体工事に入り、新庁舎の竣工予定は令和6年6月とされております。

 先般、新庁舎プロポーザルの事業者選定結果が区のホームページに掲載され、優先交渉権を決定したとの公表がありました。資料によりますと、各事業者から様々な提案があり、その中で、工期の短縮の提案について、優先交渉権者に決定した事業者からは、地盤改良の合理化などにより工期を4か月短縮する提案がなされたとあります。

 その提案を踏まえた新庁舎の竣工時期や開設時期について、現時点でお考えを伺います。

 関連して、東京オリンピック・パラリンピック終了後に予定されている中野体育館の閉鎖後、解体工事に着手する時期について、現時点での予定についても併せてお聞きをいたします。

 新庁舎プロポーザルの公表結果によりますと、優先交渉権者の高く評価された提案として、エレベーターコアの合理化により区民スペースや執務空間を拡張できることとあります。本提案を踏まえて具体的にどのような影響があり、今後どのように検討していくのか、お伺いいたします。

 次に、新庁舎に実現する機能の検討状況について伺います。

 昨年、区から示されました森林環境譲与税活用の考え方では、区有施設の新築などの施設整備事業について木材利用を推進するとされており、その活用に当たっては、一定程度積み立てた上で、制度の趣旨に合った効果的な活用を図るとされています。また、中野区公共建築物等における木材利用推進方針においては、公共建築物等の整備において木材を積極的に使用することにより、区民へ木材利用の意義を広くPRし、森林の適正な整備、環境保全醸成に役立てていくとされております。

 新庁舎のコンセプトに挙げられている区民活動の推進や環境への配慮を踏まえた新庁舎としてのプレゼンスを発揮していくためにも、庁舎の顔となる1階のイベントスペースや議場など、区民に身近なスペースについては、森林環境譲与税の活用も視野に入れながら、積極的に木材を活用していくべきだと思います。検討状況をお伺いします。

 また、区民から長く愛着を持っていただける庁舎として多くの方に利用していただくスペースとして使用を想定しているイベントスペースや多目的スペースには、区民の健康に十分配慮したしつらえ、例えばアレルギー体質の方にも優しく快適な湿度環境を整える機能がある、漆喰の壁を採用するなどの検討をしてみてはいかがでしょうか。お聞きをいたします。

 最後に、新庁舎の防災計画関連についてお伺いします。

 庁舎は、災害応急活動の拠点として、発災時において、事業継続計画の下、継続して活動し続けることが求められます。新庁舎に入る予定の社会福祉協議会については、現在の社会福祉協議会、通称スマイルなかのの位置では、ボランティアの受入れ対応を実施するスペースの確保などに問題があります。新庁舎では、区と社会福祉協議会双方が連携・協力することで、災害対応をより効果的に展開することができると思います。その検討状況をお聞きをいたしまして、全ての質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。

〔区長酒井直人登壇〕

○区長(酒井直人) 大内議員の御質問にお答えいたします。

 最初に、令和2年所信表明についてで、最初に、子育て先進区の目指す姿についてでございます。区が目指す子育て先進区は、子どもが健やかに育ち、子育てをする上で必要な環境が整っており、子どもと子育て家庭の満足度の高いまちであると考えております。それとともに、そうした区の子育て環境が区内外に認知されており、多くの子どもと子育て家庭から選ばれるまちであります。区の子育て環境に対する子どもと子育て家庭の満足度、それから、認知度の向上を図って、出生率を向上させるとともに、子どもと子育て家庭の区内定住の促進などを実現していくという考えでございます。

 次に、子育て先進区の取り組みについての御質問です。子育て先進区実現に向けた基本方針、これは、子育て先進区を実現するための基本的な考え方を示すものであって、具体的な取り組みを示すものではございません。具体的な取り組みについては、子育て先進区実現に向けた基本方針を踏まえた上で、新しい基本計画の重点プロジェクト等に位置付けるなど、一体的に検討を進めていくこととしております。

 次に、地域包括ケアの対象拡大についての御質問でございます。現在、国は、地域包括ケアの理念を普遍化して、生活上の困難を抱える全ての方への包括的支援体制を構築することにより、地域共生社会の実現を目指しているところでございます。一方、区では、国に先駆けて、中野区健康福祉総合推進計画2015において、高齢者、子育て世帯、障害者などを含む全ての人にとっての総合的・包括的な地域ケアの仕組みを構築することを掲げ、この理念は、中野区地域包括ケアシステム推進プランに引き継がれております。全ての人が住み慣れたまちで安心して暮らすことのできる地域づくりのためには地域包括ケア体制が必要だという考え方を、あらゆる機会を捉えて区民の皆様にも丁寧に説明してまいりたいと考えております。

 次に、地域包括ケア総合計画についての御質問です。現在行っております中野区地域包括ケアシステム推進プランのステップ1、2016年度から2019年度の検証結果を踏まえて、対象を拡大した(仮称)地域包括ケアシステム総合計画につきまして、スケジュールどおりの策定を目指して取り組んでまいりたいと考えております。その際、地域包括ケアの担い手である関係団体等と十分な調整を図るとともに、区民の皆様の理解を得ることが非常に重要であると考えております。

 次に、中長期的視点に立った行財政運営についての御質問です。持続可能な行財政運営を確保するために、社会経済情勢や将来にわたる区の歳入歳出状況を適切に見極め、区民ニーズを的確に捉え、時機を逸することなく必要な事業に選択と集中を図ることが必要であると考えております。今後、これまでの財政運営手法について検証し、新しく策定する基本計画の中で、持続可能な行財政運営の進め方について明らかにし、財政基盤をさらに確かなものにした上で、諸課題の解決にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

 次に、地域に飛び出す職員についての御質問でございます。議員御指摘のとおり、生駒市の例がありますけれども、私の考える「自治体3.0」については、やっぱり職員があらゆる場面で区の職員が地域の人と協働して課題を解決する、その姿を私も思い描いているところでございます。その一環としての仕事がアウトリーチチームということだと考えております。アウトリーチチームは、各区民活動センター単位で、区活の事務職、すこやか福祉センターの福祉職、保健師で設置をし、潜在的な要支援者の発見と継続的な見守りなど、個別相談支援活動、地域資源の発見や住民主体団体の活性化支援など、地域社会資源ネットワーク活動、さらに、そうした活動を通じて見いだしていく潜在ニーズ、課題発見活動であると考えております。活動の中心である個別相談支援は、支援が必要であるにも関わらず、適切な制度やサービスにつながっていない等の方々を民生委員や町会等、地域の関係者や社会福祉協議会等と連携し、必要な支援につなげて、一人ひとりの課題解決に向けた取り組みを行っているところでございます。なお、平成30年度の個別相談支援の実績としては、アウトリーチチームが把握した要支援者数は399人、そのうち支援につなげられた人数は285人となっております。

 次に、区議会との相互理解に基づく施策の展開についてでございます。区民のよりよい暮らしと未来に向けて区政を進めていくためには、区民の代表である議会と、執行機関である区、そして、区職員が、緊張感を保ちながらも、相互理解に基づき、政策形成に向けた議論を活発に交わして結論を導き出していくことが重要であると認識しております。そのため、執行機関として、適時適切な情報提供と十分な説明に努めてまいります。

 次に、野方駅周辺地区まちづくりについての御質問で、野方駅直近の踏切除去についての検討状況でございます。野方駅直近の踏切除却は、野方駅周辺地区のまちづくりの生命線であると私どもも考えております。現在、区は、鉄道立体化による除却に向けた検討を進めております。具体的には、区が過去に行った検討において優位であった高架形式を前提とし、技術的な踏切除去の可能性について、鉄道事業者に依頼をし、調査・検討を進めているところでございます。

 次に、野方駅周辺地区のまちづくりの課題についてでございます。野方駅周辺のまちづくりを進めていく上での主な課題としては、鉄道による地域分断のほか、鉄道とバスやタクシーへの乗換えが不便であることや、駅前の交流空間が不足していることなどと認識しております。現在、区は、これら課題解決の実現に向けたまちづくりの方向性を示すまちづくり整備方針の策定に向けた検討を進めているところでございます。

 次に、上高田地域の都市計画道路補助線街路第220号線について、まず、事業化についての御質問です。都市計画道路補助第220号線の第Ⅱ期区間――早稲田通りから五中つつじ通りの整備につきましては、区画街路第3号線の交通広場部分の整備促進を図るため、現時点においては事業認可の取得時期をおおむね2年程度延期したものであり、併せて、道路整備と一対である沿道まちづくりについても延期をしております。これまで、上高田で一・二丁目及び三丁目周辺地区の防災まちづくりの会では、沿道のまちづくりのルールの検討をⅡ期区間の事業認可の取得に合わせ導入できるよう先行して進めてまいりましたが、現在では、Ⅱ期区間の事業化を踏まえた地区全体のまちづくりの検討を進めており、区は、防災まちづくりの支援を行っているところであります。補助220号線につきましては、その整備が災害時における危険度が高い上高田地域の防災性の向上に寄与すると考えておりまして、用地取得交渉に係る執行体制の強化を図って、他の事業中路線の事業促進を図る中で、できる限り早期に事業化を果たしてまいりたいと考えております。

 次に、区役所新庁舎についての御質問で、整備スケジュールについてでございます。新庁舎整備に当たりましては、本定例会において実施設計、施工業務の契約議案の提出を考えておりまして、議決をいただいた後、実施設計に着手する予定となっております。整備スケジュールにつきましては、事業者からの提案を踏まえ、現時点では、竣工時期を当初予定した令和6年6月から4か月短縮して、同年2月、開設時期は同年5月の大型連休明けを想定しております。現中野体育館の閉鎖は本年9月末を予定しておりまして、その後、備品の移設・処分等を行った後、速やかに地質調査や解体工事の準備に移行できるよう、閉鎖管理を行う予定でございます。

 次に、優先交渉権者の提案についてでございます。優先交渉権者からは、階段やエレベーター周辺のスペースをコンパクトにすることによって、執務室などの面積を広げることができるという提案がございました。この提案が実現した場合、各フロアで使用できる面積が増えるとともに、エスカレーターの配置をさらに工夫することで、区民が多く利用する低層階などの使い勝手がより向上するものと考えております。今後、実施設計を進めていく中で詳細を検討してまいります。

 次に、木材活用、利用者の健康配慮についてでございます。新庁舎への木造活用に当たっては、中野区公共建築物等における木材利用推進方針に基づいて、森林環境譲与税の活用検討も踏まえながら、区民が利用するスペースを中心に、なかの里・まち連携自治体などの国産木材を一定程度活用していく考えでございます。新庁舎は、お子様連れの方や高齢者、障害のある方など様々な方が利用する施設であることから、内装材などについては、健康に優しい素材の採用を検討してまいりたいと考えております。

 最後に、発災時の社会福祉協議会との連携についてでございます。区と社会福祉協議会は災害時における相互支援に関する協定を結んでおり、社会福祉協議会は、発災時において、主に災害ボランティアセンターの設置・運営機能を担うとされております。新庁舎に社会福祉協議会が設置されることで、区との緊密な連携や相互支援の強化が図られるなどの効果が期待できると考えておりまして、災害ボランティアセンターの円滑な運営など、効率的に災害対応が実施できるよう、設置場所等についても協議・検討しているところでございます。

○議長(高橋かずちか) 以上で大内しんご議員の質問は終わります。

 お諮りいたします。

 議事の都合により、本日の会議はこれをもって延会したいと思いますが、これに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(高橋かずちか) 御異議ありませんので、さよう決定いたします。

 次の会議は、明日午後1時より本会議場において開会することを口頭をもって通告いたします。

 本日はこれをもって延会いたします。

午後4時54分延会

 

 

 

会議録署名員 議 長 高橋 かずちか

       副議長 平山 英明

       議 員 間 ひとみ

議 員 久保 りか