令和2年02月26日中野区議会予算特別委員会
令和2年02月26日中野区議会予算特別委員会の会議録

.令和2年(2020年)2月26日、中野区議会第一・第二委員会室において開会された。

.出席委員(40名)

  1番  市  川  しんたろう       2番  竹  村  あきひろ

  3番  日  野  たかし         4番  渡  辺  たけし

  6番  河  合  り  な        7番  斉  藤  ゆ  り

  8番  立  石  り  お        9番  羽  鳥  だいすけ

 10番  高  橋  かずちか       11番  加  藤  たくま

 12番  吉  田  康一郎        13番  木  村  広  一

 14番  甲  田  ゆり子        15番  内  野  大三郎

 16番  杉  山     司       17番  ひやま      隆

 18番  小宮山   たかし        19番  い  さ  哲  郎

 20番  小  杉  一  男       21番  若  林  しげお

 22番  内  川  和  久       23番  いでい   良  輔

 24番  小  林  ぜんいち       25番  白  井  ひでふみ

 26番  いながき  じゅん子       27番  山  本  たかし

 29番  石  坂  わたる        30番  近  藤  さえ子

 31番  浦  野  さとみ        32番  大  内  しんご

 33番  伊  藤  正  信       34番  高  橋  ちあき

 35番  平  山  英  明       36番  南     かつひこ

 37番  久  保  り  か       38番  森     たかゆき

 39番  酒  井  たくや        40番  むとう   有  子

 41番  長  沢  和  彦       42番  来  住  和  行

.欠席議員(2名)

  5番  間     ひとみ        28番  中  村  延  子

.出席説明員

 中野区長    酒井 直人

 副区長     白土 純

 副区長     横山 克人

 教育長     入野 貴美子

 企画部長    高橋 昭彦

 企画課長    杉本 兼太郎

 基本構想担当課長永見 英光

 財政課長    森 克久

 広聴・広報課長、業務改善課長      高村 和哉

 総務部長    海老沢 憲一

 危機管理担当部長、新区役所整備担当部長 滝瀬 裕之

 危機管理監   志村 和彦

 総務課長    石濱 良行

 職員課長    中谷 博

 施設課長    髙田 班

 用地経理課長  吉沢 健一

 用地担当課長  小倉 洋

 危機管理課長  田中 謙一

 区民部長    青山 敬一郎

 区民生活課長  古屋 勉 

 保険医療課長  渡邊 健治

 文化・国際交流課長           藤永 益次

 子ども教育部長、教育委員会事務局次長  戸辺 眞

 子ども家庭支援担当部長、教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当) 小田 史子

 子ども・教育政策課長          永田 純一

 学校再編・地域連携担当課長       伊藤 廣昭

 教育委員会事務局指導室長        宮崎 宏明

 学校教育課長  石崎 公一

 子ども教育施設課長           塚本 剛史

 児童相談所設置調整担当課長       半田 浩之

 子ども特別支援課長           中村 誠

 地域支えあい推進部長          野村 建樹

 地域包括ケア推進担当部長        藤井 多希子

 地域活動推進課長伊藤 政子

 トータルケア調整担当課長、北部すこやか福祉センター所長 小山 真実

 アウトリーチ調整担当課長、南部すこやか福祉センター所長 石濱 照子

 地域保健福祉調整担当課長、中部すこやか福祉センター所長 志賀 聡

 システム活用調整担当課長、鷺宮すこやか福祉センター所長 鳥井 文哉

 地域包括ケア推進課長          高橋 英昭

 介護・高齢者支援課長、高齢者支援担当課長 葉山 義彦

 北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 滝浪 亜未

 南部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 村田 佳生

 鷺宮すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 大場 大輔

 健康福祉部長  朝井 めぐみ

 保健所長    向山 晴子

 福祉推進課長  長﨑 武史

 スポーツ振興課長古本 正士

 障害福祉課長  河村 陽子

 生活援護課長  林 健

 生活保護担当課長只野 孝子

 保健企画課長  鈴木 宣広

 環境部長    岩浅 英樹

 環境課長    波多江 貴代美

 ごみゼロ推進課長伊東 知秀

 清掃事務所長  川本 将史

 都市基盤部長  奈良 浩二

 都市計画課長、交通政策課長       安田 道孝

 道路課長    井上 雄城

 公園緑地課長  細野 修一

 まちづくり推進部長           角 秀行

 中野駅周辺まちづくり担当部長      豊川 士朗

 まちづくり計画課長           千田 真史

 野方以西担当課長狩野 純一

 まちづくり事業課長、大和町まちづくり担当課長 菊地 利幸

 弥生町・平和の森周辺防災まちづくり担当課長 森 眞一郎

 新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 荒井 弘巳

 中野駅周辺まちづくり課長        松前 友香子

 中野駅新北口駅前エリア担当課長     石井 大輔

 中野駅地区担当課長           小幡 一隆

 中野駅周辺地区担当課長         石橋 一彦

 中野駅周辺基盤整備担当課長       石原 千鶴

.本会の書記は下記のとおりである。

 事務局長     吉村 恒治

 事務局次長    小堺 充

 議事調査担当係長 鳥居 誠

 書  記     立川 衛

 書  記     若見 元彦

 書  記     井田 裕之

 書  記     野村 理志

 書  記     鎌形 聡美

 書  記     遠藤 良太

 書  記     松丸 晃大

 書  記     高橋 万里

 書  記     山口 大輔

 書  記     有明 健人

 書  記     五十嵐 一生


午前10時00分開議

〇山本委員長 定足数に達しましたので、ただいまから予算特別委員会を開会します。

 第6号議案から第10号議案まで計5件を一括して議題に供します。

 前回、2月25日(火曜日)の理事会の報告を行います。

 初めに、本日の委員会運営についてです。本日の総括質疑の順番は、1番目に渡辺たけし委員、2番目に吉田康一郎委員、3番目に若林しげお委員、4番目にひやま隆委員、5番目に小林ぜんいち委員、6番目に長沢和彦委員の順で6名の総括質疑を行うことを確認しました。

 次に、2月25日の総括質疑における発言について、伊藤委員より発言の一部を取り消したい旨の申出があり、取扱いを協議した結果、これを了承し、委員会で取消し許可についてお諮りすることを確認しました。

 以上が理事会の報告ですが、質疑はありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇山本委員長 なければ、ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇山本委員長 御異議ありませんので、そのように運営します。

 それでは、先ほどの理事会の報告のとおり、発言の取消しについてお諮りします。

 伊藤委員から、2月25日の総括質疑における発言について、その一部を取り消したい旨の申出がありました。この取消しを申出のとおり許可することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇山本委員長 御異議ありませんので、そのように決定します。

 ただいまから総括質疑を行いますが、答弁される理事者は答弁前に大きな声で職名を述べるようお願いいたします。

 それでは、質疑に入ります。渡辺たけし委員、質疑をどうぞ。

〇渡辺委員 おはようございます。令和2年の第1回定例会予算特別委員会におきまして、都民ファーストの会中野区議団の立場から総括質疑を行います。

 本日は山本委員長のお誕生日ということで、誕生日にふさわしい総括質疑をするため、一番手として頑張っていきたい、こういった思いで臨んでいきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、令和2年度予算について御質問いたします。

 本年度の予算規模ですが、一般会計は1,468億2,300万円、前年度に比べ3.5%減、特別会計は645億1,300万円、前年度に比べ13.7%減、全会計総計では、2,113億3,600万円、前年度に比べ156億1,900万円、6.9%の減となりました。

 前年度と比べ、表面上大きな違いがあった部分としては、繰入金と特別区債が大幅に減となったところでありますが、今後も、繰入金、特別区債の部分を増やすことなく、限られた予算の中で区民にとって必要な事業をしっかり精査していきながら、行政サービスの質の向上を図っていただくことを期待しております。

 また、令和6年度までの財政フレームを見てみますと、特別区税に関しては納税義務者数が増えていくことを見込み、今後も微増の予測を立てておりますが、起債残高の推計を見てみますと、再編計画に基づく学校建設の建て替え等の影響で、令和6年度の起債残高は約726億円となっており、今後の財政運営に大きな影響を及ぼすことが予測されます。

 区は、行政評価制度を抜本的に見直す手法として、スクラップ・アンド・ビルドという言葉を様々な場面で使っておりますが、これまでの説明を聞いておりますと、古い事業や利用者の少なくなった事業を見直し、新たな事業として再構築していくということであると理解をしております。例えば東京都は、今年度の予算案の概要の中で、総事業数約5,200事業のうち、今年度1,266件の評価結果を公表し、評価の結果を通じて約1,030億円を財源確保につなげるとともに、施策の新陳代謝を促進することで884件の見直し、再構築を行い、過去最大となる420件の新規事業を構築しております。まさに東京都は事業のスクラップ・アンド・ビルドを実践しているわけですが、こういった財源確保の手法を中野区は目指しているという理解でよろしいのでしょうか、伺います。

〇高村業務改善課長 東京都は、予算編成の一環として事業評価を実施しており、事業のマネジメントサイクルの中で、効率性、実効性、専門的視点から多面的に事業を評価検証し、改善を予算編成につなげる取組をしていると認識してございます。

 令和2年度から実施する中野区の行政評価におきましても、事業の効果を測定し、事業の継続、改善、統廃合等を判断し、翌年度予算に反映するものとしており、そういった意味では、東京都と同様に改善を予算編成につなげるものになると考えてございます。

〇渡辺委員 そういたしましたら、今年度スクラップ・アンド・ビルドをした中野区の事業、ありましたら教えてください。

〇高村業務改善課長 例えば、企画費の広報事業におきまして、外国人向け広報を廃止するとともに、区の広報番組のピックアップなかのを休止する一方、区報について10か国語対応アプリを導入し、また点字版を発行するなどしております。

 地域支えあい推進費としては、妊娠出産トータル支援事業におきまして、マタニティケアクラス事業を統合するとともに、マタニティヨガ事業も統合し、さらに委託型の産後デイケアの拡充や育児相談会の回数増を行うことにより、すこやか福祉センターにおけるデイケアを終了する一方、保健師による妊産婦のフォローの強化、産後ショートステイ及び産後デイケアの多胎児の移動補助サービスの実施などにより、全体として妊産婦への支援体制の充実を図ったところであります。

 これらがスクラップ・アンド・ビルドを行った事業の一例ではございますが、予算編成方針に掲げた新規拡充事業の経費をスクラップにより生み出す状態には至っておらず、区全体としては評価し、見直し、改善した結果が十分に予算に反映できていないものと認識しているところでございます。

〇渡辺委員 今いろいろ挙げていただいたんですけど、そうですね、やはりコスト削減がどれだけできるかという成果指標というものを出していただかないと、このスクラップ・アンド・ビルドの達成というふうなことは言えないのではないかというふうに考えているところです。

 事業を廃止する、縮小するというだけじゃなく、見直し、廃止する事業を統合、集約していかないと、コスト削減というのは実現できないわけですし、廃止した事業を新たな事業で補填するというような考え方も、行政の連続性としては必要なものかと思っているところであります。そういった新陳代謝というものを行っていただきたいと考えているわけなんですけれども、1月31日の総務委員会での報告で行政評価を見直し、令和2年度から新たな仕組みで評価、改善を行ったのはそういった目的があるものだと思っているところであります。これにより、評価案見直し、改善につながる予算に反映できるようになるのでしょうか、伺います。

〇高村業務改善課長 令和2年度からの行政評価では、先ほども申しましたが、事業について、実績とコストにより効果を測定し、有効性、効率性、適正性の観点から総合的に点検、評価するものとしてございます。また、外部評価を行う事業については、専門的見地から評価を行うものとしております。これらにより事業を多面的に評価、点検することができ、これに基づく見直し、改善がより適切に行われ、予算に反映できるようになると考えてございます。

〇渡辺委員 難しいところはあるかと思いますが、とにかく成果といったものが一番の説得材料になるかと思いますので、そういったものを出していただくことを期待しております。

 令和6年度に起債残高が726億円となることについて、我が会派としては大きな危機感を持っているところであります。安定した財政運営を行っていく上で、計画的な編成計画を示していくとともに、区債を積み上げていくということであるならば、基金の積立てもそれ以上にしていくべきではないか、こういったことについても検討していく必要があるかと思っているところであります。

 内閣府は、平成28年12月22日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2016改訂版)」に基づき、地方の平均所得の向上を図る観点から、地方都市における稼げるまちづくりの有望事例の概要を整理し、「地域のチャレンジ100」として取りまとめております。

 稼げるまちづくり取組事例集を見ていく中で、関東近郊や中野区と似た都心部分での取組を幾つか抜粋してみました。八王子市、店舗オーナーのマインド改革を中心とした官民連携の空き店舗対策。金沢市、官民が連携した町家・空きビル流通の仕組みづくりによる移住・起業の拡大。京都市、京町家の保全・活用に向けた官民連携による改修資金調達の仕組みづくり。取手市、起業家タウン取手の実現を目指す官民協働による街ぐるみでの起業促進。ほかにも、こちらの事例集には載っていませんでしたが、千代田区では、ちよだプラットフォームスクエアという、官民連携によるまちづくり拠点施設の企画運営を行っているという事例があります。このように、主に都市部での稼げるまちづくり取組では、官民連携の事業スキームが多くを占めていました。

 中野区が今まで行ってきた官民連携事業、何か、どういったものかありましたでしょうか、お聞かせください。

〇杉本企画課長 区は、これまでもがん検診受診率向上を目指した民間企業や短期大学との協定に基づく取組をはじめとしまして、包括連携協定に基づきまして、教育、産業、環境などの領域での官民連携事業実施しております。その他、PFIによる江古田の森保健福祉推進施設の整備や、総合体育館におけるネーミングライツの導入など、歳入の確保を目的とした官民連携の手法についても実施をしているところでございます。

〇渡辺委員 私が今言っている官民連携というのは、自治体も収入につながるような、そういった事業を目指すべきではないかということではあるんですけど、そこまではまだ至っていないのかなというふうに聞いていて思いました。中野区も民間事業者と連携して、税収以外の確保を目的とした稼げる自治体を目指すことについても検討すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

〇杉本企画課長 委員御案内の「地域のチャレンジ100」は、観光資源や地場産業を生かしたにぎわいづくりなど、ハードとソフトが連携し、地域資源を生かしたまちづくりの事例であると認識しているところでございます。

 区におきましても、他自治体の事例を参考にしながら、官民連携による税外収入の確保策についても研究してまいりたいと考えてございます。

〇渡辺委員 一応前向きな答弁をありがとうございます。民間に任せられるものは民間に任せるという考え方から、さらに一歩踏み込んだ考え方になりますが、民間事業者も自治体と連携するというだけで世間から信頼を得られるというメリットがあります。区から見て信頼に足る民間事業者のガイドラインを作成した上で、様々な事業を行っていく上での民間との連携についても検討していただくことを期待しております。

 ここで気をつけなくてはならないのが、民間事業者と事業スキームを構築していく際に、民間事業者の言いなりになってしまっては、区は大きな損失をかぶることにもなりかねません。民間業者と連携する際、区が民間事業者の暴走を抑え、しっかりとコントロールしていくことが求められます。そのような人材育成を若手職員のときからしっかりと行っていくか、もしくは民間事業者と対等に交渉することができる人材登用を行うことも検討すべきと思うのですが、いかがでしょうか、伺います。

〇中谷職員課長 民間にできることや、民間のほうがよりよいサービスを提供できるようなことは民間に任せて、区の職員には制度管理や指導など、サービスレベルの維持向上や新しい政策を立案する役割などが求められているというふうに認識をしてございます。委託先の事業者や指定管理者などの管理監督を行う能力を向上させていくような研修を実施していくとともに、実際の業務を通じたOJTにより経験を積んでいく必要があるというふうに考えてございます。

 また、特に情報システムの調達に関して、IT性能支援員や情報政策官を外部から採用するなど、外部人材も登用して、民間事業者と対等に交渉できるようなノウハウを取り入れているところでございます。

〇渡辺委員 やっぱりこれから本当に専門性のある事業というものがどんどん出てきている中で、対等に渡り合える、同じような知識を持っている、そういった人でないと、自治体が民間事業者にいろんな意味で食い潰されてしまうというような、そういったことになることもある話なので、そういった人材育成をしっかり行っていただいて、健全な財政運営を行っていくためにも、稼ぐ自治体ということについて、庁内で真剣に議論していただくことを要望いたしまして、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、児童相談所の設置について伺います。

 この項については、他の委員からも一般質問、酒井委員から、同様の質問がありました。

 令和3年11月から、中野区でも児童相談所の運営が開始されます。直近の児童相談所への児童虐待相談対応件数では、平成29年の時点で全国の相談件数13万3,778件のうち1万3,707件と全体の1割に上る件数が東京都内に集中しており、このようなデータからも児童虐待というのは、地方より都心部の課題であると言えます。

 今回、東京都は、都区財政調整交付金の現在の配分割合、55%から0.1%増やすことが決定されました。主な理由として、児童相談所の運営に関する都区の連携協力を一層円滑に進める観点から、特例的な対応として特別区の配分割合を増やすというものです。都は、児童相談所の設置とは関係ない特例的な措置ということを強調しておりますが、区側としては、児童相談所の設置以外で動く理由はないと発言しており、以前から対立が指摘されている児童相談所の件に関しては、都と区の溝はまだ深いということをうかがわせております。

 このことにより、23区は毎年約18億円の歳入増が見込まれることになるわけですが、区側が当初見積もった需要額57億円、変更配分割合に関して約0.26%にも届かず、都の財政支援についてもまだまだ足りないという状況が続いております。

 ここで、まず伺いますが、区が試算した中野区が設置する児童相談所の運営費についてお聞かせください。

〇森財政課長 平年度化した、年間でということでお答えいたしますが、都区財政調整制度の基準財政需要額における試算でございますが、年間約8億5,000万円ということでございます。

〇渡辺委員 先行3区で0.1%の18億円を配分するわけですから、ここに中野区が入る、8.5億円の運営費が入るということで、さらに各区の配分割合が減るということになります。足りないということですね。子どもの命を守るという観点からも、財源の確保は必須事項なので、私も今後、他区の都民ファーストの会の区議とともに、都議会の側から配分割合を増やしてもらうように要望していきたいと考えているところであります。児童相談所を安定的に運営していくために必要なことは、財源以外にも人材の確保が必須であります。

 先月の1月24日に荒川区の児童相談所へ視察に行った際に、担当課長は、立ち上げで一番苦労したことは人材の確保であると、はっきり明言しておりました。これから23区は順次児童相談所を開設していく中で、人材の奪い合いが激化していくことは明白であり、その前に対応策を考えていかなくてはなりません。子どもの命を守るという観点から、人材の確保、育成は継続的に行っていく必要性があります。児童福祉司の適正人数について、1人当たりの相談件数は何名で、そのためには中野区で何名の職員を配置すればよいと考えていますか、伺います。

〇半田児童相談所設置調整担当課長 国では、児童虐待防止対策体制総合強化プランにおきまして、児童福祉司1人当たりの業務量が40件相当となるよう、児童相談所の管轄地域の人口を4万人から3万人に見直しました。区ではこの基準に加えまして、虐待件数による加算なども加えて20人の児童福祉司を確保する計画でございます。

〇渡辺委員 継続的に安定した人材の確保、育成していくために、区はどのような人材確保を考えていますか。

〇半田児童相談所設置調整担当課長 区では、児童福祉司及び児童心理司の任用資格を有する者につきまして、人事異動や新規採用などにより計画的に確保して、子ども家庭支援センターに配置してきたところでございます。今後は、今年度から特別区で開始した児童相談所に勤務経験のある者の採用試験なども活用しながら人材確保に努めてまいりたいと考えてございます。

〇渡辺委員 人材の確保についてはこれからますます激化していきますので、継続した課題として、これからもきちんと人材の育成の部分も特に強化してやっていただければなと思っております。

 児童相談所を都から区に移設することへの一番の大きな違いは、一時保護の判断を区が行うことになるというところです。この判断するためには、そのような判断をしてきた経験豊富な人材を確保していくことも区の重要な取組になります。児童相談所の立ち上げ時などは、特に一時保護の判断などをしてきた経験豊富な人材を配置する必要があるかと思うんですが、区はそのような人材を確保することはできているのでしょうか、伺います。

〇半田児童相談所設置調整担当課長 区では、これまで児童相談所に勤務経験のある者を非常勤職員として配置し、相談支援スキルの専門性強化を図ってきたところでございます。令和2年度からは、現行の体制に加えまして、新たに児童相談業務指導員を配置し、子ども家庭支援センター職員のさらなるスキル向上を図ってまいります。今後も経験者採用や非常勤職員の増員を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

〇渡辺委員 都の児童相談所の職員も一時的に区の児童相談所へ配置するということを都へ申し入れてみてはいかがでしょうか、伺います。

〇半田児童相談所設置調整担当課長 令和元年度に児童相談所を開設する世田谷区、江戸川区、荒川区につきましては、都から区へ職員を派遣するよう協議を行っているというふうに聞いてございます。本区といたしましても、都から職員を派遣することができないか、協議を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

〇渡辺委員 ここがまさに都と区の連携が必要なところなんではないかと私も感じているところであります。対立するのではなく、お互い協力し合うというような、そういった体制をつくっていく、そのためにも、こういった人材交流といいますか、人材の一時的な派遣、こういったものは私たちも議会の側から、都民ファーストの会、要望していくように申し伝えておきますので、区のほうからも引き続き要望し続けていってもらいたいと考えているところであります。

 この項の最後に、都の補助制度の活用について伺います。

 区は、虐待予防の取組を様々な形で行っておりますが、産前産後のトータルケアの一環として、「ゆりかご・とうきょう事業」の補助制度を活用して、かんがるー面接に来る方々と面談を行い、虐待につながる要素を持っている妊婦さんへのサポートを行い、未然の予防に努めております。

 東京都は今年度、「ゆりかご・とうきょう事業」の発展版として、「とうきょうママパパ応援事業」をつくり、産後の家事、育児への支援メニュー等を新たに追加するとともに、1歳を目安に子育て支援情報の提供や状況把握等を行い、切れ目ない支援を一層強化することを明言しております。

 また、新たに1歳の誕生日を迎えた子に1万円を渡すファーストバースデーサポートという新事業を創設し、こちらは都が10分の10の割合で行う事業となっております。この事業を区に導入すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

〇滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 ファーストバースデーサポートについては、今後示される予定の東京都の補助要綱等を踏まえて、導入を検討してまいりたいと考えております。

〇渡辺委員 まだ制度設計が固まっていないというところで、検討しているということだと思うんですけれども、1万円をただ渡すだけというのだと、ただのばらまきになってしまうわけですから、当然意味を持たせる形にしていかないといけない、その制度を区がどのように構築するか、ここが問われているところだと思います。例えば今の時代、子育ては女性だけではなく、男性も一緒に行うことが当たり前となってきております。1歳の子どもを持つ父親が子育てにどのように関わっているかを調査するよい機会と考え、1万円を渡す代わりに、男性側の意見や考え方を集めるアンケート調査などを行ってみてはいかがでしょうか。さらに、そこから子育て世代のニーズを拾い、要望に見合った新たな事業をつくるためのデータを蓄積していってはいかがでしょうか、伺います。

〇滝浪北部すこやか福祉センターアウトリーチ推進担当課長 父親を対象とするアンケートの実施については、配慮の必要な家庭もございますので、配布方法と併せて検討してまいりたいと考えております。

〇渡辺委員 かんがるー面接、あと、こういったファーストバースデーサポート、妊婦さんなり、子育て世代の方が区と接触をする機会、こういった機会を利用して、様々な声を拾い集めてデータを蓄積していく、こういった考え方をしていけばいいということなので、その機会と捉えて、今回の都の新事業をぜひ取り入れて、制度として実現してもらうよう要望いたしまして、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、インクルーシブ社会の実現についてお尋ねします。

 東京オリンピック・パラリンピックは、今年の夏、いよいよ開幕します。3月には、全国を巡るオリンピックの聖火リレーが始まり、中野区でも、7月18日、14時45分に中野四季の森公園をスタートし、中野通りから青梅街道、山手通りを東中野方面へ進み、15時34分に氷川神社近くの山手通り路上をゴールに聖火リレーが行われます。

 この2020東京オリンピック・パラリンピックのレガシーを未来に向けてどのような形で残していくのか。日本においては、1964年東京大会の際に、東海道新幹線や首都高速道路の整備、体育の日の制定がなされたことなどが有名なレガシーとして挙げられますが、今大会においても、未来に向けて持続可能なレガシーをどのように残していくかということが様々な場所で議論されています。交通インフラ整備やバリアフリー対策、訪日観光客の増加、競技会場の活用、スポーツ人口やイベントの拡大などがもたらす様々な社会的遺産、いわゆるオリンピックレガシーと言われるもので、約27兆1,000億円の経済効果が見込まれると推計されています。

 そして、このオリンピックレガシーの鍵を握るのは、パラリンピックの成功にかかっていると言われています。小池都知事も、様々な場面で、パラリンピックの成功なくして東京2020大会の成功はないという発言をしております。オリンピックとパラリンピックがセットで開催されたのは、1964年の東京大会が初めてであり、世界で初めて2度目のパラリンピックを開催する都市として、東京2020大会では、特にパラリンピックの契機として、東京をよりグレードアップさせていくことも都知事は明言しております。

 中野区も、今回東京都の一員として東京オリンピック・パラリンピックを迎えるわけですが、中野区における2020東京オリンピック・パラリンピックのレガシーを未来に向けてどのような形で残していこうと考えているでしょうか、伺います。

〇古本スポーツ振興課長 令和2年6月に開所いたします中野区立総合体育館は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の卓球の公式練習会場となります。さらに、本年8月には、パラリンピックの聖火リレーが区内で実施される予定でございます。これらのことを契機といたしまして、障害の有無、年齢、性別等に関わらず、区民の多様性が尊重される社会の実現を競技大会のレガシーとして後世に残していきたいと考えてございます。

〇渡辺委員 壮大なビジョンをありがとうございます。私も今回の東京オリンピック・パラリンピックを契機に、健常者と障害者の心の距離が近くなっていくことを期待しているところであります。

 競技会場や周辺の駅、ターミナル、空港、道路、交通機関、公園、公衆トイレなど、さらには全国の観光地などでもバリアフリー化が進んでおり、日本という国が大きく生まれ変わりつつある中、東京五輪のホストシティの中で生活をしている私たちもインクルーシブ社会の実現に向けて一人ひとりが真剣に考えていく時期に来ているのではないでしょうか。

 区長の施政方針説明の中にも、パラリンピック大会終了後を見据え、障害者への理解促進を含めたインクルーシブ社会の実現にも取り組んでいくと明記されておりますが、区はインクルーシブ社会の実現に向けてどのような取組が重要であると考えていますか、伺います。

〇河村障害福祉課長 インクルーシブ社会の実現につきましては、障害の有無により分け隔てられることのないよう、地域社会を実現できるように、理解啓発事業や差別の解消を推進するほか、成年後見制度の利用促進、虐待防止等へ取り組んでいくことが重要であると考えているところでございます。

〇渡辺委員 そうですね、多様性のあるユニバーサルデザインとか、多様性、ダイバーシティという言葉とともに、こういったインクルーシブという言葉も最近出てきているところでありますが、ハードの設備、そういったものも重要ではありますが、私はソフト面、やっぱりインクルーシブの教育、こういったところの、導入促進が必要不可欠であると考えているところであります。

 インクルーシブ教育とは、障害のある子どもと障害のない子どもが共に教育を受けることで、共生社会の実現に貢献しようという考え方です。世界に目を向けると1994年、スペインで開催された特別なニーズ教育に関する世界会議に、92か国の政府及び25の国際組織の代表者が話し合い、批准されたサラマンカ宣言をきっかけとして、インクルーシブ教育が潮流となっております。

 日本国内では、文部科学省が平成17年に特別支援教育を推進するための制度の在り方についての答申の中で、特別支援教育の制度が検討され始め、インクルーシブ教育が提唱されるようになりましたが、特別支援学校、特別支援教育も、インクルーシブ教育と定めており、世界が目指すインクルージョンとは違った形で定着をしております。

 国内でのこのような状況の中、東京都は2019年3月末に発表された東京都教育ビジョンに、インクルーシブ教育システムの調査研究の実施が明記されました。インクルーシブ教育の調査のため、東京都教育委員会はドイツ、フランス、アメリカの教育現場を視察し、国内では大阪箕面市の取組とインクルーシブ教育を進めている神奈川県立高校を視察しております。また、2019年12月に発表された東京の未来戦略ビジョンでは、目指す2040年代の東京の姿の中に、「障害の有無に関わらず、一人ひとりの学びのニーズに応えるインクルーシブな教育が実現」と記載されており、世界が目指すフルインクルージョンを提唱しております。その上で、今後10年の長期戦略が発表され、「多様な学びの場を備えたインクルーシブな教育の促進」をすること、「卒業後の自立した生活までをサポートするため、医療、保健、福祉、労働などと接続した教育の展開や支援体制を構築」と明記しております。つまり東京都は、明確に世界が目指すインクルーシブな教育を積極的に導入していこうという意思表示を示し、実現に向けての調査研究も既に始めております。

 このように、共生社会の実現に向けて進んでいく中で、中野区のインクルーシブ教育の見解について伺っていきたいと思います。

 私は、幼稚園、小学校、中学校のときから、様々な個性を持っている特別な支援を必要とする同級生たちとクラスの中で共に学び、話し合い、助け合っていく体験をすることがインクルーシブ社会の実現に向けて重要なところであると考えておるのですが、区の見解をお聞かせください。

〇宮崎教育委員会事務局指導室長 共生社会の実現に向けて、インクルーシブ教育は非常に重要なものであると考えており、国や都の制度や方針にのっとり、学校と教育委員会が連携して取り組んでいるところでございます。

〇渡辺委員 ここでポイントになるのが、国が考えているインクルーシブ制度と都がこれから示すインクルーシブ制度が違ってくるというところが非常に難しいところだと思っております。区がどういった判断をしていくかというところがすごく大事になってくると思いますので、その辺をしっかり見比べながら検討していってもらいたいと思います。

 インクルーシブ教育のよさについて、ハーバード教育大学大学院で2016年8月に、インクルーシブ教育に関するエビデンスの要約という論文が発表されました。論文によりますと、インクルーシブ教育を受けた障害児のほうが、卒業した後の自立や一般就労でより成功することが明らかにされています。障害のある子が、自分が何をどのように助けてもらえばよいのか、周囲の人に説明して、必要とする助けを得るスキルを身につけることができます。また、逆に助けてもらうばかりではなく、自分なりにどうすれば社会の一員として参加し、力を発揮できるのか、学ぶこともできます。通常の生徒たちも、勉強に悪い影響はないことが記されております。

 特別な支援を必要とすることの、違いを受け入れ、自然な形で手助けをしたり、一緒に活動することを学び、双方で一緒に生きることを学ぶことで、本当の意味でのダイバーシティ、インクルージョンを実現する大人を育てることがインクルーシブ教育の真の目的であると言えます。区は、これからどのように区内で行っているインクルーシブ教育をさらに発展させていきたいと考えていますか、伺います。

〇宮崎教育委員会事務局指導室長 特別支援学級でも、通常学級でも、違いのある一人ひとりの人間を尊重しようとする人権教育を推進することにより、違いを超えて、一人ひとりの個性や特性が輝く共生社会の実現を目指すところでございます。

 その際、障害のあるなしに関わらず、柔軟であり、誰にとっても使いやすく認識しやすいユニバーサルデザインの視点からの授業や環境整備を進めていくことが大切であると考えます。

 区といたしましては、様々な職層研修等の機会を捉えて、インクルーシブ教育の意義や理念を教員に啓発するとともに、施設整備を行う際などには、ユニバーサルデザインの視点を大切にしていこうと考えております。

〇渡辺委員 前向きな答弁をありがとうございます。学校は、勉強を学ぶ場所だけではなく、社会の一員として生活していくための訓練をする場でもあります。子ども時代に様々な個性を持っている同級生たちとクラスの中で共に学び、話し合い、助け合い、成長していくことで、相互理解を深め、それぞれの個性を受け入れる寛容さやコミュニケーション能力を養うことで、社会生活を円滑に営んでいく生きる力を育んでいくことにもつながっていくのではないでしょうか。

 大人になって急に手を取り合って、インクルージョンを実践しましょうというのは無理があり、実際に障害者雇用を行っている現場でも、障害者に対してどのような仕事を与えればよいのか、どのようなサポートをすればよいのか分からずに戸惑っている企業が多く、そのような課題に対して専門にコンサルタントをしている企業が右肩上がりで成長しているという実態があります。

 区が公立学校の普通学級において、特別な支援を必要とする生徒と一般の児童生徒が一緒に学ぶ環境を構築、実現していくことで、中野区内で学校に通う全ての子どもたちにインクルーシブ社会の実現に向けての素地が養われていくことを期待します。

 続きまして、インクルーシブ公園について伺います。

 こちらについては、他の委員からも同じような質問が出ておりました。河合委員と間委員も前回の一般質問で言っておりましたが、私も同じ、都と区の連携の部分の観点から、何点か伺っていきたいと思います。

 現在、障害のある子もない子も一緒に遊べる公園が東京都内で次々と誕生しようとしています。都は現在、都立の砧公園や府中の森公園で、障害のある子もない子も使える遊具のある広場づくりを進めています。また、渋谷区では、令和2年の予算に、インクルーシブ公園が具体的に盛り込まれ、豊島区や品川区でも、インクルーシブな公園や遊具の導入について具体的に検討されている状況です。区は、このような障害がある子もない子も一緒に遊べる公園を設置する流れが起きていることに対してどのような見解を持っていますか、伺います。

〇細野公園緑地課長 御紹介いただきました都立の砧公園や府中の森公園など、インクルーシブ遊具が設置される公園が整備されることについては、その進捗状況を注視しているところでございます。インクルーシブ遊具の導入については、地域の意見も踏まえながら、設置の可能性を検討していく考えでございます。

〇渡辺委員 ありがとうございます。都は、今後、利用者ニーズや障害児が安全に使用できる遊具等に関し、公園に携わる担当者の連絡会で情報提供するとともに、区市町村職員も参加できる研修を開催し、技術の共有化を図っていくことを明言しております。都は、これまで得たノウハウを関心のある自治体に提供しようと、今後ガイドラインも作成するということですが、区はこのような都の支援を受けることを検討していますか、伺います。

〇細野公園緑地課長 都が今後作成するというふうにおっしゃっているガイドラインについては、その詳細を確認し、活用できるところは活用していきたいと考えてございます。

〇渡辺委員 ぜひ活用していただければと思います。遊具自体は、インクルーシブでも、通常の遊具でも、金額的に大差はないということですが、主に舗装部分で改修費は、通常整備と比べるとやや割高になるそうです。

 東京都は、明確にインクルーシブな社会の実現に向けて具体的な施策を出してきておりますので、今後予算面においても、都民ファーストの会の要望を受けて、インクルーシブ公園の実現のために、ガイドラインの設置と補助金の創設の検討に入る見込みです。我が会派からも、補助金の創設が実現された際は、区へ積極的に情報提供を行ってまいりますので、区も都の動向を注視し、素早い対応を行っていただくことを要望いたします。

 子どものときから様々な多様性を受け入れることができる環境に身を置いて、様々な体験をしていくことが、インクルーシブな社会の実現における重要なことの一つとして考えられますが、区も子育て先進区としてインクルーシブ社会の実現に向けて明確なビジョンを持って取り組んでみてはいかがでしょうか。

 中野区は、子どもと子育て家庭の満足度が高く、多くの子育て家庭から選ばれる子育て先進区の実現に向けた基礎づくりを着実に進めていくと、施政方針説明に記載されていましたが、多様な在り方を相互に認められる全員参加型の社会を目指していくことを目的とした子育て支援や教育を行っていくことも基本構想・基本計画に盛り込んでいくことを検討してみてはいかがでしょうか、伺います。

〇永見基本構想担当課長 基本構想の検討素案におきましては、10年後に目指すまちの姿といたしまして、多様性により新たな価値をつくりますというふうに掲げているとともに、未来ある子どもの育ちを地域全体で支えるまちという、そういったまちの姿を描いておりまして、その中で多様性を受け入れ合う教育の考え方についても盛り込んでいるところでございます。

 基本計画の策定におきましても、検討すべき課題というふうに認識をしておりまして、教育委員会と調整をしながら、具体的な施策や取組内容について検討を進めていきたいと考えてございます。

〇渡辺委員 ぜひそういった社会の実現に向けての基本構想にしてもらえたらと思います。

 最後に、区長にお聞きしますが、インクルーシブな社会の実現に向けての教育の在り方、またインクルーシブ遊具を公園などに設置し、共生社会の実現を目指している先行自治体としての子育て先進区というものも目指していくべきではないかと思いますが、区長のお考えをお聞かせください。

〇酒井区長 区が目指す子育て先進区は、子どもが健やかに育ち、子育てをする上で必要な環境が整っており、子どもと子育て家庭の満足度の高いまちであると考えております。それとともに、そうした区の子育て環境が区内外に認知されており、多くの子どもと子育て家庭から選ばれるまちであります。

 インクルーシブな社会の実現は、私としても極めて重要であると考えております。子ども一人ひとりに向き合い、一人も取り残さないということを子育て先進区の基本姿勢として考えているところでございまして、この視点を踏まえ、取組を推進していきたいと考えております。

〇渡辺委員 前向きな答弁、ありがとうございます。今回、インクルーシブというテーマで質問を作成したところ、様々な部署からの方々の答弁をいただくこととなりました。横の連携を調整していく役割は区長部局になるかと思います。明確なビジョンを示し、インクルーシブな社会の実現に向けた取組を行っていくことを期待いたしまして、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、コミュニティ・スクールの導入について伺います。

 文部科学省のコミュニティ・スクールの導入推進状況によりますと、コミュニティ・スクールの数が、平成29年4月1日の時点で3,600校から平成30年4月1日には1,832校増の5,432校となり、1年間で1.5倍になりました。コミュニティ・スクールを設置している自治体は、平成30年度の時点で532市区町村及び18道府県の教育委員会が導入しており、こちらも前年の367市区町村及び11道府県から約1.5倍に増加しています。

 ただし、これは自治体全体の3割程度であり、残り7割の自治体はまだコミュニティ・スクールの制度を導入しておりません。今後もコミュニティ・スクールの導入は、全国的に進んでいくのではないかと考えられますが、導入されていない自治体が7割ということを考えると、まだまだ先進的な取組という見方もできる制度です。

 子育て先進区を掲げる中野区でも前向きに検討してもらいたく、平成31年第1回定例会の本会議において、コミュニティ・スクールの導入について提案したところ、教育長から、地域の実情や制度を実際に導入している他自治体の取組などを踏まえながら、まずはモデルケースから導入に向けて検討してまいりたいという答弁をいただきました。導入を前提とした非常に前向きな答弁と受け止めているところであります。現在の進捗状況についてお聞かせください。

〇伊藤学校再編・地域連携担当課長 学校運営協議会制度、いわゆるコミュニティ・スクールは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に定められた学校運営の制度であり、学校運営協議会が学校と協働して運営する仕組みでございます。

 学校運営協議会について、昨年度、コミュニティ・スクールについて、中野区での導入についてをテーマに、教育委員会として勉強会を開催したところでございます。今年度は、学校運営協議会制度を実際に導入している品川区に出向き、導入された仕組み、あるいは導入及び運営に係る課題などについて聞き取り調査を実施したところでございます。

〇渡辺委員 元全国コミュニティ・スクール連絡協議会会長、現在、同協議会の顧問を務め、コミュニティ・スクールの設置にスタート当初から三鷹市の教育委員長として携わってきた貝ノ瀬滋氏は、コミュニティ・スクールは共通のビジョン、思いを持つことからスタートすると様々な場面で話をしておりますが、根底にある発想は、先生方の負担を軽減しながら、子どもたちに前向きなチャレンジ精神を持たせたい、様々な仕事や暮らし方をしている地域の人たちと触れ合うことで、子どもたちに多様な物の考え方を伝えていきたいというものです。

 私は、地域の人が地域の子どもを育てるということを理念に掲げるべきだと考えるのですが、区が目指すコミュニティ・スクールのビジョンをお聞かせください。

〇伊藤学校再編・地域連携担当課長 学校運営協議会の導入を図り、学校運営協議会が学校を支援するような、ボランティアなどと協力、連携し、多様な学習支援を実現し、子どもたちの学習意欲を高めることにつなげてまいりたいと考えてございます。また、教員の負担軽減による働き方改革につなげていくことを想定してございます。

〇渡辺委員 ぜひ実現を目指して進めていってもらいたいと思います。もともとコミュニティ・スクールとは、PTAや地域住民の学校教育への参加を促すために始められた取組です。このような取組が行われることで、地域の声を学校教育に反映することができ、地域全体で子どもを育てていくという意識が芽生えていきます。また、地域ボランティアの方々が学校運営に関わることで、教師の負担も軽減することが可能であります。

 例えば、登別市では、コミュニティ・スクールの導入によって放課後学習が実施されたり、地域見守り隊が設置されたり、地域住民が先生としてクラブ活動に参加することで、生徒の学びの場が広がったり、教師の負担が軽減されたという実績が出ております。また、避難訓練や町内会行事を合同で開催することにより、地域の活性化にもつながったとのことで、コミュニティ・スクール導入による検証結果として、学力向上、不登校減少、いじめ等問題行動減少が挙げられております。

 23区でも、目黒区、品川区、文京区、様々な――北区も含め、コミュニティ・スクールを導入しており、地域とのつながり、お祭りなどへの子どもの参加率が増えたとか、地域の方々がボランティアに参加することによって、本当に教師の――雑用というか、掲示板、校内に貼ったり、そういうふうなことも地域の方が行ってくれることで、とても教師の負担が軽減になったということを伝え聞いているところであります。

 ただ、新しい制度を導入するに当たり、現場の意見は重要なものになってきます。事前の周知をしっかりしておかないと、現場から反発される可能性もありますので、その辺の調整をしっかり行っていく必要があるかと思うんですが、校長会など、学校関係者等へのヒアリングなどを行う予定はありますか、伺います。

〇伊藤学校再編・地域連携担当課長 学校運営協議会制度の導入の検討に当たっては、校長など学校関係者からのヒアリングも実施するなど、現場の意見も反映させながら、実効性のある仕組みとしてまいりたいと考えてございます。

〇渡辺委員 現場の意見こそがとても大事だと思いますので、その意見をぜひ必ず反映させるような取組でやってもらいたいと思います。

 コミュニティ・スクールの制度の現場の最前線で、そういった方々の意見を反映してもらう、その中において、コミュニティ・スクールといっても、運用方法は各自治体によって制度のつくり方というのは違いがあります。大きな違いとしては、教育委員会が主導してコミュニティ・スクールの運用をコントロールしていくか、それとも各学校長の裁量に任せてコミュニティ・スクールの運用を行っていくか、それぞれ一長一短あるところなんですけれども、制度設計をしていく中でどのような方式で導入を進めていくのか、区の見解をお聞かせください。

〇伊藤学校再編・地域連携担当課長 国の学校運営協議会の基本的なコンセプトを踏まえて、教育委員会で中野区の地域の特性などを勘案して制度設計をしていくことになります。まずは数校をモデルケースとして、地域性や学校の実情を踏まえ、試行していくことを想定してございます。

〇渡辺委員 各学校の校長先生に任せますと、校長先生が転任した後に持続的に制度が続くかどうかというような課題が出てきます。教育委員会がコントロールする形ですと、そのようなことはなくなりますが、何か新しい試みを行う際に教育委員会に諮っていくという形になるため、スピード感がなくなったり、本来その地域でやりたいことが思うようにできなくなる可能性も出てきます。それぞれの方式についてしっかり議論を行い、目指すゴールに向かって、どのようなものが中野区にとってよりよいものなのかということをしっかり議論した上で決断していただくことを要望いたします。

 続きまして、人材確保の手段についてお聞きします。

 コミュニティ・スクールの制度を導入していくことで、ハード面以上に重要な部分がソフト面の部分であります。子どもたちの未来を真剣に考えて議論を交わし、行動していく人材を確保することがこの制度の一番の肝となる部分であるとも思います。他の自治体の事例を見てみますと、学校運営協議会のメンバーには、主に学識経験者、地域住民、保護者、民生委員、卒業生などが名を連ねております。区は、中野区立学校学校評議員設置要綱に沿って、学校評議員を各区立の小・中学校に置いておりますが、この方々を学校運営協議会のメンバーにスライドさせていくことも選択肢としてあると考えますが、いかがでしょうか、伺います。

〇伊藤学校再編・地域連携担当課長 学校評議員制度と学校運営協議会制度は別の制度でございますけれども、学校評議員制度と学校運営協議会制度をおのおの別の取組として運営することも想定できることでございます。

 学校運営協議会の組織、人員につきましては、今後、制度設計と併せて具体的に検討してまいりたいと考えてございます。

〇渡辺委員 学校評議員と学校運営委員会を一緒にしてしまうと、同じ人がメンバーになってしまうということもあって、それだとメンバーになりたがる人がいないんじゃないかというふうな問題もあるかと思うんですね。それで評議員を運営委員会のほうにスライドしているというふうな事例というのが結構多いのかなと思っております。地域の人たちがどれだけ――人材がたくさんいれば問題はないと思うんですけれども、そういったところも地域性を踏まえた上で、ちょっと汎用性というか、そういった考慮しながら臨機応変に対応していただければなと思いました。

 コミュニティ・スクールを導入すると、放課後学習支援、本の読み聞かせ、キャリア教育、フィールドワークの引率補助など、様々な形で学校を支援するボランティア活動が地域で活発化していく傾向が見てとれます。地域に眠っている人材を掘り起こしていく作業を行っていくことが、この制度をよりよいものにしていくと考えられます。学校に通う子どもたちの成長に資するコミュニティ・スクールの制度となるのはもちろん、地域交流、多世代交流につながる仕組みを考えながら、さらには教師の負担軽減となる制度設計を目指してしていただくことを期待いたしまして、この項の質問を終了いたします。

 続きまして、中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画について伺います。

 私は、区が進めてきた区役所・サンプラザの土地を権利変換方式で手放したお金で新区役所を建設するのではなく、定期借地権方式を活用して、土地を手放すことなく、区有地を活用した形で新区役所の費用を捻出すべきであるという主張を繰り返し議会の側から訴えてまいりました。

 中野区の超一等地である土地を民間へ手放したら、二度と取り戻すことはできず、50年、100年後の世代の人たちのまちづくりの選択肢を狭めてしまうのではないか。そもそも土地を手放すというのは、最終最後の手段であり、その前に土地を手放すことなく利活用できないかという議論がきちんとされないまま、権利変換方式ありきで進められてきた今回の事業を通して、区は区有地に対しての執着をあまり持っていないのではないかということを改めて強く感じているところです。

 一般質問で、我が会派の内野議員の質問で、区有地利活用及び処分についての区の基本的方針等を早急に取りまとめるべきではないかという質問に対して、個別案件によって中身が違うため対応できないというような答弁が返ってきましたが、本来の質問の趣旨と違った答えが返ってきたので、改めて伺います。

 我が会派としては、区内にある区有地をなるべく手放さず、土地を手放すのは最後の手段であると考えているのですが、区に対してもそのような認識を持っていただきたいと考えております。区の見解をお聞かせください。

〇杉本企画課長 利活用の想定のない区有地の保有につきましては、用途地域など条件がそれぞれ異なることから、個別に資産の有効活用を図るための内容の精査や具体的方策の検討が必要でございまして、一概に利活用や処分についての考え方を定めることは難しいと考えてございます。

〇渡辺委員 個別案件というのは、もちろんそれぞれで、違う条件があるから、それはもちろん条件は違うんです。そうじゃなくて、土地をなるべく手放さず、どう利活用するかという、そういったところからスタートをしてほしいという、そういった思いを共有したいと私は考えているんですけども、その点に関しての答弁をお願いいたします。

〇杉本企画課長 繰り返しになりますが、利活用の想定のない区有地の保有につきましては、用途地域などの条件がそれぞれ異なるということから、個別に、内容の精査や具体的方策の検討が必要となりますが、一律に考え方を定めるということは難しいと考えてございます。

〇渡辺委員 だから、考え方を定めるのではなくて、プロセスとして、結果、売却になっても致し方ないと思うんですね、それは、その土地の条件によって。ただ、そのプロセスの中において、土地を手放すか、手放さないかという議論をきちんと入れてもらいたい、そこを共有したいと言っているんですけども、そういった議論は、それも個別によって議論はされないというような認識でよろしいんですか。

〇杉本企画課長 区有施設総合管理計画に基づきまして、様々、区として施設管理の方針等を定めてございます。こうした考えにのっとりまして、個別に有効活用を図るための精査ですとか、具体的方策というのは定めてまいりますが、一律に基準を設けるということは難しいというふうに考えてございます。

〇渡辺委員 もう何度聞いても同じ答弁だと思うんです。プロセスをせめて明確にしてもらいたいと思います。どういった議論をしてきたのか。どういった議論を経た上でこういった決断に至ったのか、せめてそういったものは公開していってもらいたいと思います。

 ただ、これは、この思いは私、強く持っているところでもありますので、繰り返し、また別の機会で聞いていきたいと思います。

 2018年の段階で、190か国中、人口密度が世界中で25位、国土の7割程度が山間部を占める日本の中で育ってきた日本人は、土地に対する執着心が他国と比べて非常に強い民族ではないかと思っております。区有地の利活用については、区民の利益に資するあらゆる可能性を調査研究し、可視化できるデータを作成して、しっかりとした説明責任を果たすことを強く要望いたします。

 中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画は、市街地再開発事業の方式を採用して進められておりますが、この手法は事業促進のために交付金、融資制度、税制優遇などの助成制度が設けられております。土地の取扱いのところで、権利変換方式か定期借地権方式かという比較検討の議論をしていく中で、定期借地権方式を採用すると補助金がもらえなくなるという話が一部で出ていたのですが、市街地再開発事業の範囲の中で定期借地権方式を行うのであれば、従前どおり補助金は入ってくると思うんですが、そのような認識でよろしいでしょうか、伺います。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 市街地再開発事業におきまして、土地のみに権利変換した場合は、借地権を設定することになります。ただ、権利の持ち方に関わらず、市街地再開発事業に対しては国の補助金を見込むことができるものと考えております。

〇渡辺委員 要は、市街地再開発の範疇であれば、定期借地権方式でも補助金は入るというようなことであります。定期借地権方式だと、どの程度の価格が算定されるか、不動産調査会社へ依頼をしたところ、アリーナ等のサンプラザDNA機能は考慮せず、一定の条件のもとで調査した内容を踏まえると、様々な諸費用を差し引いても、土地を売却することなく、新区役所の建設費は十分に確保できるという可能性があるという結果を得ることができました。

 残念ながら、このようなデータをもとに議論することができないまま、区は事業者募集に踏み切ったわけですが、募集要項を見てみますと、今回の事業の中で一番リスクが高いと思われる民設民営を条件とした多目的ホールについてのリスクヘッジがされていないように見受けられます。区は、民間事業者が多目的ホールの運営がうまくいかなかった場合の補填をどのように考えていますか、伺います。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 多目的ホールは民設民営でございますので、区が補填することはございません。

〇渡辺委員 仮に、民間事業者が多目的ホールの経営が軌道に乗らなくなった、運営を放棄した、こういった場合、区が運営継続のためにサポートするようなことは考えていますか、伺います。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 区が運営のサポートをするという考えもございません。

〇渡辺委員 プロポーザル審査の過程の中における質疑応答で、多目的ホールの運営についてのリスクヘッジ、これをどのように考えているのか、区が全くサポートしないというのであれば、応募事業者に確認すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 多目的ホールにつきましては、安定的、継続的な施設運営ということも評価項目でございます。そうしたリスク管理も提案に含まれるものと考えております。

〇渡辺委員 うまくいくことができれば何も問題はないんですけども、今回私が調査依頼をした土地、鑑定会社のほうからも言われたことは、このホールこそが一番不安定要素であって、ここがしっかり考慮されないと、きちんとした算定をすることができないということを言われている。それだけホール運営というのは非常に不確定要素が高いものなわけなんですよ。そこについて、事業者に対して、場合によっては、景気の動向や何かしらの要因によってうまくいかなくなってしまったといった場合、そこで区がコントロールしなかった場合、そのまま逃げちゃった、土地をそのまま転売しちゃいますよみたいな、そういったことだって起こり得るわけで、その非常にリスクが高いところに対して、区は何もサポートしません、何の補填もしません、全く関知しませんと、事前の質問を特に考えておりませんというのは、あまりにも無責任なんじゃないかなというようなところを私は強く感じます。

 仕組み上、法律上、それはもうそうなんだって言われたら、それまでかもしれませんけれども、中野区のやはり駅前一等地を民間の事業者に全部手放して、全部任せるというようなことというのは、やっぱり非常にリスクの高いことを行っているのかなと。先の一般質問で、定期借地権方式にすべきじゃないかという質問に対して、リスクが高い、リスクが高いと言っていたようですけれども、このアリーナ運営に関して、本当にそのリスクの面では一番高いところだということをせめて認識をして、対応についても、しっかり区が何らかのサポート、もしくは補填、そういったものも検討していってもらいたい。取りあえずは、ここまでは要望としたいと思っております。

 続きまして、権利床の保有について伺います。

 権利床を土地として持つか、床として持つか、どのように考えているのか、区の見解をお聞かせください。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画におきましては、権利変換により保有する資産につきましては、今後の計画、調整の過程で、公的資産の有効活用や公共施設の適正配置の観点から総合的に判断するものとし、土地のみでの所有も視野に入れて検討するとしてございます。

〇渡辺委員 今後のプロポーザル事業者との話し合いによって決まるのかなというふうに考えておりますけども。例えば、権利床を持った場合、第三セクターなり、デベロッパーに又貸しをして賃料を取るというのは、税収以外のそういった収入確保のために使うなら私はいいと思うんですけれども、区有施設などにして使うんであれば、ランニングコストがどんどん毎年かさんでいって、非常に区にとっては大きなマイナス要因になると考えております。

 もし権利床を持つのであるならば、きちんとした税収以外の収入確保というふうな明確な目的を持って超一等地、せめて土地を売却したんであれば、その土地の上で区がきちんと安定的な収入が得られるような、そういったやり方ということを行ってもらいたい、こういったことを強く要望いたします。

 最後の中野駅新北口エリア駅前再整備事業計画なんですが、トータルで見ると、最初私は、官民連携をきちんとやっていったほうがいいんじゃないかと言ったんですけれども、事業者の言いなりになっているとしか思えないところが多々あるんですよ。それは区がコントロールしているんじゃなくて、やっぱり中野区が民間事業者に利益を取られていってしまっている、そういった形になっているのかなというところが見受けられます。

 今後目指すところというのは、もちろん民間事業者も黒字できちんと運営していくために連携していくのは必要ですけども、中野区もそれなりの利益というものをきちんと得られないと、福祉の向上を図っていくことはできないと思っております。そういったことも踏まえて、今後きちんと事業者と対等に交渉ができる人材育成、そういったものをやっていってもらいたいと、こういったことを強く要望いたしまして、私の総括質疑を終了いたします。どうもありがとうございました。

〇山本委員長 以上で渡辺たけし委員の質疑を終了します。

 次に、吉田康一郎委員、質疑をどうぞ。

〇吉田委員 育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会の吉田康一郎です。よろしくお願いいたします。

 まず、私からは、中野区基本構想・基本計画、男女平等基本条約等について伺います。

 区長は、2018年第2回定例会の施政方針説明において、他の事項に続けて、国籍等によって分け隔てられることなく、多文化共生を推進する、差別のない地域社会づくりを進めますと述べています。

 区は、中野区基本構想・基本計画、男女平等基本条例の改正案について検討を進めており、本年1月31日には、男女共同参画、多文化共生等の推進に向けた今後の取組についてが出され、この中で、国籍等を理由とする差別や偏見等は根強く、「国籍等を理由とする差別的取扱いや、あらゆるハラスメント等を根絶し」と記載され、中野区男女平等基本条例の改正の項で、多文化共生等の推進における指針として位置付け、国籍等を理由とした差別的取扱いの禁止について新たに規定するとし、さらに、(仮称)男女共同参画多文化共生推進審議会を設置する等としています。

 そこで、国籍という点について、絞って伺ってまいります。

 今から10年前の2010年10月16日、今も首相を務めるアンゲラ・メルケルドイツ首相は、ドイツの多文化主義は完全な失敗だったと講演で断言しました。ポーランド系の先祖を持ち、移民の受入れに寛容で、国際協調を重んじ、リベラルな政治姿勢で国内外をリードしたメルケル氏と、朝日新聞に評されるメルケル氏でありますが、ドイツに多文化社会を建設するという試みは完全な失敗だった、そして、この30から40年の失敗は、すぐには穴埋めできないと訴え、その上で、移民はドイツ語を学び、ドイツ社会に融合しなければならない、すぐにドイツ語を話せない人は誰一人歓迎されない、ドイツ社会で生きていくなら、法に従うだけでなく、私たちの言語を習得しなければならないと言い、世界に大きな反響を呼びました。

 ドイツでは、この発言に先立つ2005年に移民法を制定しました。それまでにドイツ社会から遊離した移民による並行社会が形成されつつあり、これが将来のドイツ社会に脅威を与えるおそれがあることから、移民をドイツ社会に統合することが不可欠であるとの認識の下、移民にドイツ語教育やドイツの社会、歴史などを学ぶ市民教育を統合講習として受講を義務化し、移民の社会統合を目指し始めました。これを統合政策と呼びます。

 同時に、この移民法には、特別な危険、またはテロの疑いがある外国人に対する入国制限と退去強制令が盛り込まれました。これにより、既に入国している外国人に対し、事実に基づく危険予測に基づいて国外退去を命じることができるようになりました。多文化共生政策から統合政策への転換、しかし、これでドイツ社会の深刻な分断が簡単に解決されたわけではないことを後に述べます。

 次に、2011年2月6日、イギリスの当時の首相であったキャメロン首相は、ミュンヘン安全保障会議において、国内の若いイスラム教徒が過激思想に走るケースが相次いでいることを念頭に、イギリスでの多文化主義は失敗したと述べました。多文化主義国家のドクトリンは、様々な文化が互いに干渉せず、主流文化からも距離を置いて存在することを推奨してきました。そうしたいわば隔離されたコミュニティが我々の価値観と正反対の行動をとることすら許容してきましたとし、異なる価値観を無批判に受け入れる受動的な寛容社会であってはならないとしました。これをTBSは、多文化主義は同化を妨げてきたとの認識に立ったものですと報じています。

 イギリスの一つの現実を示す事例として、CNNが報じたのが、アンジェム・チャウダリーというロンドンを拠点に活動するイスラム教の指導者が率いるイスラム系移民たちが、イギリス、ひいては世界中にイスラム国家を樹立することを目的に、イスラム法シャーリアをイギリスで施行するよう要求し、バッキンガム宮殿をモスクに変えるよう主張し、エリザベス女王はイスラム教に改宗するか、イギリスを去るかどちらかだという活動をしています。

 本年1月31日、イギリスは正式にEUを離脱しましたけれども、多くの専門家が、この離脱の理由は、他国からの移民の急増が大きな要因として挙げられるとしています。

 次に、最も早くから多文化主義政策を進めてきたオランダです。例えば、ヒンズー教やイスラム教系宗教学校など、マイノリティたちによる言語や文化の民族教育は、国が全額補助しました。国営放送のテレビやラジオの放送時間の20%は、民族マイノリティ向けの番組に充てることが法律で義務付けられるなどしていました。さらに、民族コミュニティ内の自治を認め、国は一切干渉しないこととしていました。しかし、それらの多文化共生政策がもたらしたものは、国の中に移民の別のルールの国がたくさんできるという結果でありました。オランダで移民について批判的な言論がタブーであった2000年、大きな反響を呼んだ記事、多文化のドラマというものを書いたアムステルダム大学教授のポール・シェファー氏は、移民政策の失敗が社会不安を引き起こす最大の脅威となっていると指摘し、多文化主義は完敗したと結論づけました。人口構成の大きな変化の結果、オランダの最大都市アムステルダムや第2の都市ロッテルダムでは、人口の半分が移民出身となっていて、アムステルダムの学校の子どもの3分の2が移民家庭の出身です。イスラム教はオランダ第2の宗教になり、異なる価値観や文化を持つムスリムコミュニティをホスト社会にどう融合させるのか、どうやって共に生きていくのか、多くの人が懸念しています。

 パリ、ブリュッセル、ベルリン、ロンドンなど欧州中で、イスラム系テロが発生するので、その懸念が強まるばかりだとしています。ホーム・グロウン・テロリズムの温床になっているというわけです。

 かつてアムステルダムが同性愛者に対して非常に寛容であった、しかし、今は、まちじゅうでこれまでどおりに同性愛者であることをオープンにはできなくなったと言います。同性愛者への暴力事件が発生するからだ。これは、英国のロンドンやバーミンガムでも発生している。学校ではホロコースト、ユダヤ人大虐殺について教えることが難しくなっている。ムスリムの子どもたちが、ホロコーストは起きなかったと言うからだ。起きたということを認める子どもも、非常によいことだったと言ってしまう。生物を教えることも難しくなった。ムスリムの子どもたちは進化論を否定するからだ。性教育も同様だ。親が性教育の教科書の一部を破り捨てるからだ。男女共学も嫌がる親がいる。中東やアフリカの伝統的社会から来た移民たちの中には、個人の自由や人権よりも、グループの伝統を重んじて、彼らの慣習が法的に問題となっている。一夫多妻や、女性性器の割礼、名誉のための殺人、これはすなわち家族や地域の名誉を傷つけたとして、レイプ被害者などを殺害してしまう、こういったものです。

 また、LGBTなど性的マイノリティへの暴力も起きている。パレスチナ、イスラエルの紛争の国際問題に触発されて、露骨な反ユダヤ主義を唱え、殺傷事件を起こすイスラム教徒も後を絶たない。こうした異文化は、一般市民の反発を買い、そして過激なマイノリティに対して弱腰な政府への不信、国としての結束、信頼と文化の違いという二つの理念のバランスがとれなくなってしまった。

 さらに続きます。

 カリスマ的政治家、リム・フォルタインは、オープンなゲイで、元は左派の大学教授だったけれども、反イスラム活動家に転向した直接の原因は、イスラム系移民によるゲイへのハラスメントだったと言われています。彼の政党は、2002年に総選挙で政権奪取することが予想されていましたが、党首自身が熱狂的動物愛護者によって暗殺され、実現しませんでした。このフォルタインの暗殺と、2004年の映画監督、テオ・ファン・ゴッホの2人の殺害事件を契機に、オランダ世論は決定的に転換しました。

 ありのままでという多文化主義が行き詰まり、オランダ政府も方向転換を余儀なくされました。国としての結束を重視し、移民に対してシビック、公民としての自覚を持たせるように、政策はシフトしています。例えば、市民権取得テストに、オランダ国憲法や政治制度、歴史など、公民基礎知識の問題が加わりました。また、生活保護を申請する移民や外国人には、オランダ語や文化についての集中講義を義務付けました。永住を希望する移民、入国後3年以内にオランダ文化についての有料の試験に合格しなければならない。一方、マイノリティの社会統合を阻害していると批判の多かった民族教育への助成金普及制度も、2004年に打ち切られました。小学校でのバイリンガル授業も全廃されました。また、2011年には、ブルカの禁止を閣議決定しました。フランスと一緒です。マイノリティの文化や宗教の自由を規制する方向に転換していることが明らかです。

 次に、デンマークの事例、これは時間の関係で省略します。

 政治学者の施光恒九州大学教授が、欧州が移民受入れで国が壊れた4ステップが、認識の甘い日本にもこれから同じことが起きると指摘しています。

 以下、欧州が大量の移民受入れによってどのような深刻な社会問題が生じたかを描いたイギリスのジャーナリスト、ダグラス・マレー氏の「西洋の自死、移民・アイデンティティ・イスラム」の施教授による解説を紹介します。

 欧州諸国は、戦後、移民を大量に受け入れた。そのため、欧州各国の国の形が大きく変わり、私たちの知る欧州という文明が自死の過程にある――自死というのは、自ら死ぬですね――とマレー氏は警鐘を鳴らします。イギリスで出版された原書は350ページを超える大著であるにもかかわらず、ベストセラーとなった。その後、欧州を中心に23か国語に翻訳され、話題を巻き起こしている。

 著者は、同書の冒頭に、次のように記します。欧州は自死を遂げつつある。少なくとも欧州の指導者たちは自死することを決意した。結果として、現在欧州に住む人の大半が、まだ生きているうちに欧州は欧州でなくなり、欧州人が家、ホームと呼ぶべき世界で唯一の場所を失っているだろう。

 この書では、イギリスをはじめとする欧州諸国が、どのように外国人労働者、移民を受け入れ始め、そしてそこから抜け出せなくなったのか。その結果、欧州や文化がいかに変容しつつあるか。マスコミや評論家、政治家などのインテリの世界で、移民受入れへの懸念を表明することがどうして半ばタブー視されるようになったか。彼らがどのような論法で、一般庶民から生じる大規模な移民政策への疑問や懸念を脇にそらしてきたかなどを詳細に論じています。

 イギリスをはじめとする欧州各国では、大量移民の影響で、民族構成が大きく変わっています。各国のもともとの国民、典型的には白人のキリスト教徒ですが、これは少数派に転落していっています。2011年のイギリス国勢調査で、ロンドンの住人のうち、白人のイギリス人が占める割合は44.9%、ロンドン33地区のうち23地区で白人は少数派です。2014年にイギリス国内で生まれた赤ん坊の33%は、少なくとも両親のどちらかが移民です。オックスフォード大学のある研究者の予測では、2060年までには、イギリス全体でも白人のイギリス人は少数派になると指摘されています。

 スウェーデンでも、今後30年以内に、主要都市で全てスウェーデン民族は少数派になると予測されています。国全体としても、スウェーデン民族は、現在生きている人の寿命が尽きる前に少数派になると推測されています。

 民族構成が変わるだけでなく、欧州諸国の文化的、宗教的性格も変容します。イギリスのキリスト教徒の割合は、過去10年間で72%から59%に減少し、2050年までには国民の3分の1に減る見込みです。2016年にイギリスで生まれた男児のうち、最も多かった名前がモハメッドでした。

 同様に、ウイーン人口問題研究所は、今世紀半ばまでに15歳未満のオーストリア人の過半数がイスラム教徒であろうと予測しています。それ以降、オーストリアはイスラム国家になる可能性が高いということであります。

 欧州諸国でイスラム教徒の影響が増大することは、宗教や文化が大きく変容するだけでなく、政治文化が変わることも懸念されます。欧州が伝統的に育んできた言論の自由や寛容さが失われるという懸念です。従来、欧州の知識人は、移民出身者であっても、欧州で長年暮らすうちに自由民主主義的価値観になじみ、それを受容すると想定しました。しかし、そうはならなかった。そして、欧州では、イスラム教徒に対する批判を行うことは既にかなりハードルが高くなっています。批判者は人種差別主義者、排外主義者などのレッテルを貼られ、社会的地位を失いかねない状況になっている。イスラム教徒の利害を守る圧力団体が欧州各地で数多く組織化されていると言います。あるいはシャルリー・エブド事件など、イスラム教に不敬を働いたという理由で襲撃される事件も、さほど珍しいことでなくなりました。

 本書を読むと、移民の大規模受入れに至った欧州の状況は、現在や近い将来の日本によく似ているのではないかと感じざるを得ないと、この施教授は言います。そして、欧州諸国の移民大量受入れの推進をした者たちの論拠は、次のようなものでした。移民受入れは経済成長にプラスである、少子高齢化では受け入れるしかない、社会の多様性が増すのでよい、グローバル化が進むので仕方がない、止められない。著者は、これらの論拠について一つひとつ証拠を挙げながら反駁し、どれも説得力がないものだと示しています。

 そして……

〇山本委員長 吉田委員、質疑をどうぞ。

〇吉田委員 質疑、やりますよ。

 説明をはしょりますけれども――この施教授の指摘、四つの指摘というのは、次のようなものです。

 学者やマスコミは、政治的な正しさ、ポリティカルコレクトネスに過敏になり、移民受入れに肯定的な見解や調査結果は積極的に報じる一方、否定的なものは報じない。そして、移民の受入れは財政的に大きなマイナスだなどという研究結果は報道されない。そして、移民の犯罪についても、人種差別だというレッテル貼りを恐れて、警察もマスコミもはっきりと犯人の社会的属性や事件の背景などを発表しなくなる。そして、移民受入れを懸念する動きが一般国民に広がると、ことごとく極右排外主義、人種差別など攻撃する。問題そのものではなく、問題が引き起こす症状のほうを攻撃するようになる。こうしたことが続く結果、エリートと一般国民の間の意識のずれがますます大きくなり、国民の分断が生じるというわけであります。

 そして、この施教授の指摘は、現実に日本にも懸念がされるんですけれども、日本が学ぶべき事件を二つ確認したいと思います。

 英国のロザラム児童性的搾取事件とドイツのケルン大みそか集団性暴行事件です。この二つの事件を中野区が把握、理解しているか、伺います。

〇杉本企画課長 委員が指摘する二つの事件は、児童や女性に対する人権侵害が行われた事件であるというふうに認識をしております。

〇吉田委員 大変短い把握ですけれども、このロザラム児童性的搾取事件というのは、1997年から2013年という16年にわたって――16年間ですよ――イギリスのサウスヨークシャー州ロザラム及び近郊都市において広範に組織化された児童性的虐待事件です。主にイギリスに住むパキスタン系住民の男性たちの集団により、少なくとも1,400名の児童が性的虐待を受け続けていたと推定されている事件です。報告された虐待には、児童に対する強姦、集団強姦、誘拐、拉致、拷問、人身売買が含まれていました。この事件は、白人の少女への虐待が問題となりましたけれども、アジア系の少女たちに行った性的暴行はほとんど表沙汰にならず、泣き寝入りし、問題はより大きいと見られています。

 そして問題なのは、この問題を人種差別だと批判されることを恐れた地元の警察当局や、問題を把握しながら、長年問題を放置し続けてきた同州の政府の怠慢があり、さらに同州の議会議長を含むパキスタン系地方議員らが、人種差別や反移民などの分断を招くとして、問題の解決を妨げてきたと指摘されていることです。

 そして、ケルン大みそか集団暴行事件というのは、2015年の大みそか、ドイツのハンブルグ、ケルンその他において、アラブ人、北アフリカ人を主体とした1,000名による、女性に対する強姦を含む集団性的暴行、強盗、そして被害者のほとんどが10代から20代前半の女性であったという事件であります。この事件についても問題なのは、事件があった翌日の1月1日元旦、ケルン警察は、おおむね平安であったと発表し、そして翌週になるまで事件についてメディアに公表をしなかった。そして、ドイツ当局は、4日間にわたり事件を隠蔽しようとした。そして、ドイツ公共放送、第2ドイツテレビは、事件から5日たってやっと取り上げた。そして、数百人が抗議を行っているにもかかわらず、事件について速やかに報じなかったことを後に謝罪しました。

 そして、ケルンのイスラム教イマーム、指導者であるサミ・アブ・ユスフという人は、女性は半裸で香水をつけていたのだから、男たちが襲おうとすることは驚くべきことではないという見解を表明しました。まさに文明の衝突であります。

 ここで、先ほど申し上げた移民の犯罪について、人種差別だというレッテル貼りを恐れて、警察もマスコミも、当局もはっきりと捜査をすることを遅らせたり、発表することを遅らせたりして、事件を拡大してしまったという点であります。

 そして、日本でも既にその障害は起きています。例えば、2019年8月27日、朝鮮学校を高校の授業料無償化の対象から除外した国の処分が適法だったかどうかを争われた訴訟で、適法とした判決が最高裁で確定しました。しかし、例えば在日朝鮮人の人が主催する反レイシズム情報センターなる団体は、私のことを、吉田氏自身が誇る仕事として吹聴しているが、朝鮮学校に対する補助金の打切りであった。吉田氏が誇る朝鮮学校補助金削減は国連勧告に真っ向から反するものであり、社会的に強い差別扇動効果を発揮する極めて憂慮すべきものだった等と主張し、私を差別主義者と断定し、誹謗中傷しています。

 平成29年9月の一審、東京地裁判決は、文部科学大臣が無償化の適用対象に指定するかどうかの判断に当たり、朝鮮総連が朝鮮学校と密接な関係にあり、教育内容に影響を及ぼしているとする公安調査庁の長官の国会答弁などを考慮したことを不合理とは言えないと指摘し、就学支援金が授業料に確実に充てられるという十分な確証が得られないとして、不指定とした判断に裁量権の逸脱濫用があったとは認められないとしました。

 30年10月の二審、東京高裁判決も、教育内容や人事に朝鮮総連が影響を及ぼしているなどとした公安調査庁の調査を根拠に、無償化の対象外とした判断は裁量権の範囲を逸脱したものとは言えない、朝鮮学校の資金が朝鮮総連に流れている疑いが報じられていると指摘、一審判決を支持し、原告の控訴を棄却したというものであります。

 私には、いまだに「死ね死ね」と書き連ねられたはがきやファクス、メールなども来ることがありますけれども、ここで伺います。朝鮮学校を補助金の対象外とすることは差別でしょうか。社会的に強い差別を扇動するような憂慮すべきことでしょうか。

〇杉本企画課長 東京都は、朝鮮学校の教育内容や学校運営に係る実態調査の結果等を総合的に勘案して、運営費補助金を交付していないものと認識しておりまして、この判断自体につきましては差別に当たるとは考えてございません。

〇吉田委員 ありがとうございます。外務省のホームページの人種差別撤廃条約のQ&Aには、国籍による区別はこの条約の対象となるのですかという質問に対し、この条約上、人種差別とは、人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づく差別と定義されていることにより、国籍による区別は対象としていないと解されます。この点については、第1条第2項において、締約国が市民として法的地位に基づいて行う区別等については、本条約の適用外であるとの趣旨の規定が置かれたことにより、締約国が行う国籍の有無という法的地位に基づく異なる取扱いは、この条約の対象とはならないことが明確にされていますとあります。国籍による区別は差別でないということです。

 ここで、今、国際社会全体の大きな問題となっている武漢で発生した新型コロナウイルス肺炎、中国でも台湾でも香港でも、メディアは武漢肺炎と呼んでいるので、そう呼びますが、中国国家移民管理局によると、13日時点で世界130国が、中国人の入国停止や健康状態の申告義務付けなどの入国制限措置を実施しています。入国禁止は、これは外務省、ジェトロ、中東調査会などで調べたんですが、アメリカ、ロシア、インド、モンゴル、北朝鮮、ベトナム、シンガポール、フィリピン、インドネシア、パプアニューギニア、オーストラリア、ニュージーランド、キルギス、イラクなど、40か国、それから航空便の停止をした国、イタリア、トルコ、イラン、タジキスタン、ウズベキスタンなど11か国、そしてビザの発給停止をした国、チェコ、カザフスタン、ミャンマー、ラオス、パラグアイなど5か国、中国人の隔離を行った国、ヨルダン、チュニジア、アンゴラ、コンゴ、ジャマイカなど、全部で130か国になるんですけれども、このような中国にいた人、あるいは中国に滞在した外国人の入国を規制する、あるいは例えば14日間はほかのところにいて、状況を見てから入国させる、このような措置は差別でしょうか。

〇杉本企画課長 新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐために、中国国籍の方や中国に渡航歴のある外国人への入国制限措置を行っている国や地域があるとは聞いておりますが、他国の取った措置につきまして詳細を把握してございませんので、判断できません。

〇吉田委員 資料要求が間に合わなかったので、そのような回答は結構です。

 日本政府も、湖北省と浙江省に限って、これは閣議了解によって、出入国管理法及び難民認定法第5条第1項、第14項の運用を変更し、湖北省及び浙江省に対象を拡大して、上陸を拒否することとしました。この措置は差別でしょうか。

〇杉本企画課長 日本政府の取った措置につきましては、国内への感染症拡大を防ぐことを目的としたものでございまして、この措置が差別に当たるとは考えてございません。

〇吉田委員 一つ質問を飛ばしますけれども、武漢肺炎は中国全土に猛威を広げており、そして24日には、韓国の中央防疫対策本部が、韓国での感染者数が833人となったと説明し、日本を超えて世界第2の感染者数となりました。韓国政府は、危機レベルを最高の「深刻」に引き上げました。これらを受けて、中国全土と韓国を出入国規制の対象として拡大しなければ、武漢肺炎制圧に向けた全世界の取組を日本が阻害することになってはいけないと議論をしている人たちがいますけれども、このように議論することも差別でしょうか。

〇杉本企画課長 新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐことを目的としたものと認識しておりますが、詳細につきましては把握しておりませんので、判断はできません。

〇吉田委員 似たような事例で、国籍には関わらないですけれども、インフルエンザが広がったときに、学校が学級閉鎖、学年閉鎖、全学級閉鎖――全校閉鎖のことですね――を行うことがあります。これはどのような法と基準に基づき実施するのか。これは、感染していない児童・生徒の教育を受ける権利を奪う措置でありますけれども、これは差別かどうか、伺います。

〇石崎学校教育課長 インフルエンザ等感染症の予防上必要があるときは、学校保健安全法第20条で学校の全部、または一部の休業を行うことができるとされてございます。感染症の蔓延防止のため、必要な措置と認識してございます。

〇吉田委員 当然の御認識だと思います。差別でないものを差別と言い募る人がいます。これは非常に問題です。

 似たような事例として、同和問題に関連して、えせ同和問題、えせ同和対策というものがあります。これはどういうものなのか。中野区はどのように対応しているのか、お聞きします。

〇杉本企画課長 えせ同和行為は、同和問題の解決を阻む大きな要因となってございます。このため、当区におきましても、職員に対する研修を実施しているほか、人権啓発等におきまして、区民への周知を図っているほか、人権施策に関する法務局や東京都などの関係機関との情報共有に努めているところでございます。

〇吉田委員 るるお聞きをしてまいりました。多文化共生の推進とは、深く考えないと、非常によいことなんだと、そのように考えてしまうだけかもしれません。しかし、これまで示したとおり、十数年前からこれを実施推進してきた欧州では、一生懸命やってきたけど、失敗だったと、このように理解をされ、統合政策に転換を既にしています。欧州でも誰も成し遂げたことのない多文化共生推進という政策、欧州の失敗を繰り返さずにどうやるのか。私は今からでも統合政策のほうに、欧州と同じようにかじを切るべきだと思いますけれども、ロザラム事件やケルン事件のような事件をこの中野で起こさないために、どのように多文化共生の推進というのを行うのか、お聞きをしたいと思います。

 そして、差別でないことを差別として攻撃して、区民の思想、言論、行動を抑圧しようとする勢力に加担することもあってはなりません。

 ここで設置をするとしている審議会なるものには、偏った立場、偏った思想、偏ったイデオロギーではない者で構成される必要があります。区別と差別の誤解を招きやすい、「国籍による」という部分を私はこれは除外すべきだと考えますけれども、この点も含めて見解を伺います。

 社会主義や共産主義の実験も、いいことだと思ってやってみたら大失敗だった、後に大きな悲惨な結果を残しました。これと同じように、後に大きな混迷と、区民の分断、不利益、あるいは被害、損失を引き起こすことのないよう、慎重に考えてもらいたいと思いますが、区長のお考えを伺います。

〇酒井区長 中野区は、地域における人と人とのつながり、そして温かみがあるまちであり、国籍や出身国の違いによって差別することなく、互いに尊重しながら個性や能力を発揮している地域社会を実現できるまちだと捉えております。

 中野区男女平等基本条例の改正を議論する中で、多文化共生に係る問題についても、考え方を整理していきたいと考えております。そのため、審議会の検討対象として、国籍等を理由とした差別的取扱いの禁止についても盛り込んだところであります。

 審議会設置につきましては、男女共同参画、性的指向、性自認、多文化共生への学識経験者4名に委員をお願いする予定でございまして、中立的な立場による議論、運営を確保する考えです。

〇吉田委員 最後に、いい期待できる御答弁をいただいたと思います。

 次に、道路のバリアフリー化について伺います。

 中野区バリアフリー基本構想についてです。これまでバリアフリーに関する法律は、交通バリアフリー法、ハートビル法の時代から、バリアフリー法となり、高齢者、障害者などの移動等の円滑化を促進するため、生活環境の整備が求められています。誰もが利用しやすく、安全で快適な道を実現するため、中野区バリアフリー基本構想では、どういったところを整備していく考えなのか、伺います。

〇安田交通政策課長 中野区バリアフリー基本構想では、鉄道駅など不特定多数の利用する公共施設等が集まる地区を重点整備地区に設定して、その地区の駅や道路、公園、公共施設などをバリアフリー化していくこととなっております。

〇吉田委員 バリアフリーを包括する形でユニバーサルデザインのまちづくりの考え方があります。中野区ユニバーサル推進計画では、中野区バリアフリー基本構想で設定した歩道の整備率は、目標に対して現在どの程度進んでいるのか、伺います。

〇安田交通政策課長 ユニバーサルデザイン推進計画では、バリアフリー基本構想で示す公共施設等の整備の考え方を踏襲しているところでございます。

 ユニバーサルデザイン推進計画では、バリアフリー基本構想で示す公共施設等の整備の中で、そこで示される歩道の整備目標は、2023年までに69.7%整備する目標に対して、昨年度行政評価で示された2018年度時点の整備達成率は51.7%でございます。

〇吉田委員 ありがとうございます。2023年度の目標値は69.7%です。これ、達成できる見通しはございますでしょうか。

〇安田交通政策課長 歩道のバリアフリー化は、重点整備地区内の公共施設等の整備や、これに関係する道路の維持、補修工事に併せて計画的に整備しているものでございます。公共施設等の整備の進捗に影響を受けるものでございますけれども、現在のところ目標達成に向けて計画的に進んでいると考えてございます。

〇吉田委員 中野区ユニバーサル推進計画にある目標値は、区内の歩道全てが対象とはなっていません。重点整備地区以外のバリアフリー化はどのように考えているのか、伺います。

〇安田交通政策課長 バリアフリー基本構想では、重点整備地区以外のバリアフリー化についても規定してございます。道路や不特定多数が利用する建物、建築物等の整備の際に、バリアフリー法や東京都の福祉のまちづくり条例等に基づき、基準に適合するよう整備することが求められており、こうした個々の施設のバリアフリー化に併せ、できる限り関連する施設のバリアフリー化も行い、それらを連続することにより、区全体のバリアフリー化を推進していくことが示されてございます。

〇吉田委員 よろしくお願いします。

 次に、区道のバリアフリー化に関して、中野区ユニバーサル推進計画のハードの施策では、安全で快適に通行できる道路、歩行空間の整備が主な取組にあります。区は、これまで具体的にどの路線の整備を行ってきましたでしょうか。

〇井上道路課長 これまでの道路のバリアフリー化整備についてですが、新井の薬師柳通りや南台の神田橋の通りなどを舗装の改修と併せて整備を行ってきました。

〇吉田委員 私の地元、最初にやっていただいて、大変感謝をしております。このバリアフリー化を実施してきた箇所を選んだ理由を伺います。

〇井上道路課長 これまでバリアフリー化を整備してきた路線の選定理由についてについてですが、バリアフリー化では、歩道と車道の段差を解消する必要があるため、車道をかさ上げして歩道のレベルにそろえるように施工するのが一般的であります。このため、舗装と排水施設などの改修も必要となることから、これらの改修が必要な路線から順次整備を進めていっております。

〇吉田委員 来年度はどこを整備する予定か、伺っていいでしょうか。

〇井上道路課長 来年度バリアフリー整備を行う路線についてですが、中野坂上駅周辺地区として、宝仙寺入り口から青梅街道までの約80メートルについてバリアフリー化整備を予定しております。

〇吉田委員 ありがとうございます。ユニバーサルデザイン推進計画の目標値に向けて、バリアフリー化の推進を加速していくためにどのような方策を考えていただいているのか、お伺いします。

〇井上道路課長 バリアフリー化の推進についてですが、既存の区道のバリアフリー化は、道路の全面的な改修が必要となることから、通常、舗装改修工事よりも経費を要する工事でございます。このため、国費や都・区費を活用しながら、道路の補修工事と併せて、計画的に推進していく考えでございます。

〇吉田委員 ぜひ加速していっていただきたいと思います。

 次に、都施行の都市計画道路のバリアフリー化について伺います。

 方南通りは、途中でバリアフリー化が終わっているというか、止まっているように思いますけれども、中野通りから杉並区界の整備は今後どのように進捗していくのか、伺います。

〇安田交通政策課長 中野通り以西の方南通りに関しましては、2016年3月に策定されました東京における都市計画道路の整備方針(第4次事業化計画)において、おおむね10年後に優先的に整備する都市計画道路の優先整備路線に位置付けられているところでございます。

 東京都はこの目標に従い、計画的に整備を進めていく予定と聞いてございます。

〇吉田委員 ありがとうございます。そして、中杉通りなんですけれども、杉並区側はバリアフリー化が進んでいるように思いますが、中野区側はいまだに歩道が狭く、段差があって、地元の人たちは非常に困っておられます。車椅子が通れないどころか、車道に落下する危険のあるところや、歩道の真ん中に電柱があるところもございます。今後のバリアフリー化はどのようにしていくのか、伺います。

〇安田交通政策課長 都道中杉通り、補助133号線の妙正寺川以南の区域につきまして、東京都は、方南通りと同様に第4次事業化計画で優先整備路線に位置付けてございまして、この区間、新設道路でございます。これにつきましては、都市計画道路の整備に併せて、歩道のバリアフリー化も計画的に進めていく予定となってございます。

 なお、現在の中杉通りの段差解消やバリアフリー化に関しましては、現状については東京都に伝えてございます。現段階では、維持補修は除いて、すぐに全部路線を整備するとは、予定はないと聞いてございます。

 今後、西武新宿線沿線まちづくり整備方針(鷺ノ宮駅周辺地区編)(案)で示されるとおり、中杉通り現道の、沿道のまちづくりルールの導入を検討する中で、バリアフリーや無電柱化を含めた沿道整備に対応していくものと考えてございます。

〇吉田委員 この項最後に、区は都に対してどのように働きかけをしていくのか、お伺いします。

〇安田交通政策課長 整備を推進するように働きかけてまいりたいと思います。

〇吉田委員 次に、区施行の都市計画道路のバリアフリー化について伺います。

 そもそも中野区内で、東京における第4次事業化計画の優先整備路線にしている路線はどこか、伺います。

〇安田都市計画課長 区施行の都市計画道路の優先整備路線でございます。現在、西武新宿線沿線まちづくりに伴って進めている新井薬師駅前の区画街路第3号、沼袋駅周辺の区画街路第4号及び補助220号もみじ山通りの3路線でございます。

〇吉田委員 それらの路線は、いつ優先整備路線に選定したのか。そしてもう一つ、具体的にこの優先整備路線の進捗状況について、併せてお聞きします。

〇安田都市計画課長 東京における都市計画道路の整備方針2016年3月策定の第4次事業化計画において定められているものでございます。区画街路第3号及び第4号、また補助220号の五中つつじ通りから線路北側付近に関しましては、都市計画事業の認可を受け、現在は各用地取得交渉を進めているところでございます。

〇吉田委員 それらの具体的形状ですが、セミフラット化すると思うんですが、ちょっと道路の構造について伺います。

〇安田交通政策課長 区施行の都市計画道路のバリアフリー化でございます。道路構造は、まちづくり事業の中で詳細設計を検討していくこととなってございます。一般的には、歩道のセミフラット化によるバリアフリー化を行うのが通常と考えてございます。

〇吉田委員 今後の具体的な展開について、最後に伺わせてください。

〇安田交通政策課長 区施行の都市計画道路に関しましても、まず道路用地取得を行うことが先決でございます。一定程度用地取得が進んだところで、順次整備を進めていくこととなってございます。

〇吉田委員 ありがとうございます。

 では次に、廃棄物処理について伺います。

 一般質問でもお聞きしましたが、区民から排出される廃棄物は、大別してどのようなものがあるのか、まず伺います。

〇伊東ごみゼロ推進課長 まず、燃やすごみ及び陶器、ガラス、金属といった不燃ごみをごみに、次に、瓶、缶、ペットボトルやプラスチック製容器包装及び古紙、古布などを資源に主に大別してございます。

 なお、現在は、陶器、ガラス、金属ごみは、ごみとして収集しますが、収集後、資源化を行ってございます。

〇吉田委員 それらのごみの廃棄物の全体の量と、その内訳を伺います。

〇伊東ごみゼロ推進課長 まず、廃棄物の全体量でございますけども、昨年度の年間全体量でございますが、7万8,792トンでございました。その内訳は、まず、ごみが5万7,196トン、資源が2万1,596トンとなってございます。

〇吉田委員 資源は、文字どおり資源化していると思うんですが、ごみについてはどのように処理をしていますか。

〇伊東ごみゼロ推進課長 まず、燃やすごみでございますけども、清掃工場に運びまして、そちらで焼却処理を行い、そこで発生します熱エネルギーを発電や熱供給に有効利用してございます。そこでつくられた電気や高温水などは、清掃工場を稼働するために施設内で利用し、電力購入量や燃料費の削減に寄与してございます。さらに、余った電気は、電気事業者に売却をしてございます。

 次に、陶器、ガラス、金属ごみでございますけども、ごみとして収集ますが、平成29年10月から、収集した3分の1を資源化する事業を開始しまして、現在、今年度からは収集した全量を資源化施設において分別資源化をしてございます。

 そして、全量、資源化施設に持っていきますが、約9割は品目別に資源化され、残りの約1割、例えば細かく砕かれたプラスチックですとか、ゴム、金属、木片、あと水分を含んだ土や砂、ホコリとなってございまして、こちらの1割の資源化は非常に難しい状況となってございます。

〇吉田委員 燃えるごみのほうは、サーマルリサイクルというのが、今の時代、当然予想できたことなんですが、厄介な陶、ガラ、金というやつですね、これについても100%の資源化に向けて進捗していると、これは非常にすばらしいことだと思います。そして、そのうち約10%の残渣が発生するとのことですが、これ、何とか100%にする、向けた方策はありますでしょうか。

〇伊東ごみゼロ推進課長 なかなか難しい問題ですけども、現在のやり方の精度を高めるために、例えば事業者において新たに設備投資していただくとか、あと、分別にかかわる人手を多くかけることでその比率の割合を高めることは可能だと考えてございますが、それには相応の経費がかかるものと認識してございます。

 また一方、入り口の議論としましては、区民の皆様などに、ごみや資源の分別や出し方のルールをきちんと周知、啓発を行っていきまして、きちんと守っていただくことによって、きちんと分別されて排出されることによって、ごみの適正な処理、資源化がさらに可能になるというふうに考えてございます。

〇吉田委員 区は、ごみゼロの実現を掲げていらっしゃるわけです。この趣旨を確認するとともに、ごみゼロに向けた決意をお伺いします。

〇伊東ごみゼロ推進課長 まず1点目、ごみゼロの趣旨でございますけども、積極的にごみの発生抑制や資源の回収を行った上で、それでも残ったごみを焼却、あと熱回収ですね、サーマルリサイクルでございますけども、そういったことを行って、さらに最後、焼却して灰が出ますけども、灰も有効利用することにより、埋め立てるごみをゼロにするという趣旨でございます。

 最後に、ごみゼロに向けましては、区民の皆様、事業者などの協力を得ながら、これまでの取組を粘り強く行うとともに、さらに、どういった取組が効果的かなど、特に来年度は、中野区一般廃棄物処理基本計画を改定する時期でございますので、その中で様々に検討してまいりたいと考えてございます。

〇吉田委員 ごみゼロというのは、最終的には、最終処分場に持ち込むものをゼロにすると、全て再資源化、あるいはエネルギー回収をすると、これ、システム的には可能であります。これ、何とか経済的にも成り立たせて、その方向に行くように、またお知恵を絞っていただきたいなと期待をします。

 そして、区は事業者として廃棄物を出している事業者でもあります。区自身については、ごみゼロの理念をどのように考えていますでしょうか。

〇髙田施設課長 区は、区有施設における環境政策として、中野区地球温暖化対策地方公共団体実行計画(事務事業編)を策定し、温室効果ガスの削減、ごみ排出量の抑制及びリサイクルの推進の取組を行っています。

 ごみゼロの理念は、ごみの排出抑制とリサイクルの推進でありますが、今後もごみゼロの取組を推進するとともに、温室効果ガスの削減に取り組んでいきます。

〇吉田委員 ありがとうございます。区の排出するごみは、事業系ごみの許可業者に委託して処理しているはずでありますが、これ、可能な限りリサイクルするなどの適切な処理をする事業者を選定すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

〇髙田施設課長 業者の選定に当たっては、許可を有する業者から選定し、最終処分場所の所在地、処分方法などリサイクル状況について確認しています。今後も、可能な限りリサイクルの向上に努めるよう求めていきます。

〇吉田委員 心強い答弁です。そして最後に、区役所内のごみの分別の表記なんですが、私もこの議会棟を歩いていて、プラスチックを燃やさないごみ、紙くずなどは燃やすごみとなっています。家庭で出すときは、プラスチックも燃やすごみで出していますが、ちょっと区役所でのこの記載について、これ、ごみを捨てる人にとって非常に誤解を生じかねないと思うんですけども、いかがでしょうか。

〇髙田施設課長 家庭ごみと区役所などの事業系ごみは分類方法が異なるため、ごみの分別表記にイラストを活用するなど工夫してまいります。併せて、再資源化の取組も推進していきます。

〇吉田委員 ありがとうございます。

 では、次の項に移ります。生活保護についてです。

 昭和29年、厚生省通知、生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置についてで、外国人が要保護状態にあると認めたときに、保護の実施機関は都道府県知事に報告することとなっています。

 令和元年第3回定例会一般質問で、このことについて質問したところ、過去5年間のこの通知に基づく区から都への報告実績はなかったとの回答をいただきました。このことについて、令和元年決算特別委員会で担当課長に質問したところ、東京都からこの1年、都内の全ての自治体から報告を受けていないと聞いているとしながらも、平成31年3月末に厚生労働省から都道府県宛てに、生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置における地方公共団体から領事館等への確認の手続についてという事務連絡が発出されたことを受け、区から都への報告については、都と相談の上検討していくとの答弁がありました。

 その後、国の通知に基づき、東京都に報告を行った自治体はあったのか、伺います。

〇只野生活保護担当課長 東京都からは、今年度、都内の福祉事務所から保護措置を行った外国人についての報告があり、該当する各領事館等へ問合せをしたとの情報を得ているところでございます。

〇吉田委員 東京都が領事館等へ照会した結果はどうだったんでしょうか。

〇只野生活保護担当課長 東京都からは、報告を行った福祉事務所に対し、照会結果を回答したと聞いております。

〇吉田委員 なかなか教えてもらっていないわけですね。区から東京都への報告について、都との検討の進捗状況についてお伺いします。

〇只野生活保護担当課長 報告については、都と相談を行ってきたところでございますが、今後は、昭和29年厚生省通知、令和元年3月の国通知に基づきまして、保護措置を行った外国人について、都に報告を行っていく予定でございます。

〇吉田委員 ありがとうございます。非常に前向きで。

 報告はいつから実施するのか、また報告の頻度はどの程度を予定しているんでしょうか。

〇只野生活保護担当課長 今年度の3月末には都へ報告を行うと考えております。

 また、報告の頻度でございますが、新たに外国人に保護措置を行う事案は、年間20世帯以下と想定されることから、年1回の報告が適切であると考えております。

〇吉田委員 中野区からも都に報告すれば、領事館と照会した結果、中野区も理解できるということで、また楽しみにしております。

 次の項に移ります。子育て先進区について伺います。

 私は、今定例会の一般質問において、子育て先進区を進めていくためには、今後の人口減少社会を見据え、子どもの出生率を増やすための具体的な施策に取り組むことが求められているのだから、合計特殊出生率など、子どもの出生数に関する客観的な指標と目標値を設定すべきである。また、基本計画など、区の総合計画においても、合計特殊出生率の目標を示していくべきではないかと質問をさせていただきました。これに対し、企画部長からは、少子化対策を進めるに当たっては、出生率を上げていくことが必要であり、どのような目標の設定が適切であるのか、基本計画の施策を具体化していく過程で検討していくと答弁をいただきました。よい答弁であります。

 しかし、子育て先進区の担当部長からは、定住意向と認知度を必要とする考えであり、合計特殊出生率を子育て先進区の指標として設定することについては今のところ考えていないという、ちょっと肩透かしのような御答弁でありました。

 子育て先進区を進めていく立場にある担当部長として、どのようなお考えであるのかを改めて伺います。

〇小田子ども家庭支援担当部長 区が目指す子育て先進区は、子どもが健やかに育ち、子育てをする上で必要な環境が整っており、子どもと子育て家庭の満足度の高いまちであり、それとともに、そうした区の子育て環境が区内外に認知され、多くの子どもと子育て家庭から選ばれるまちであると考えております。

 区の現状では、子育て家庭の多くを占める年代については、転出超過となっておりますため、子育て家庭に住み続けてもらえる満足度の高い環境の整備が必要と認識しております。そのため、子ども自身と子どもの保護者の定住意向を指標とするとともに、併せて都内における子どもの保護者の認知度についても指標としたところでございます。

 区といたしましては、子育て家庭が区内に住み続けてもらうことを目指し、安心して子どもを産み育てることができるよう、子育て環境の整備を進め、出生率の向上にもつなげていきたいと考えております。

〇吉田委員 出生率の向上につなげていくということで、目の前の課題だけでなくて、客観的な指標についても積極的に考えていっていただきたいと思います。

 国立社会保障人口問題研究所では、夫婦の理想子ども数、予定子ども数についての調査を行っています。2015年の調査では、夫婦に尋ねた理想的な子どもの数の平均値は、5年前より0.1人低下し、2.32人となりました。そして、夫婦が実際に持つつもりの子どもの数、予定子ども数の平均値も2.01人と過去最低になっています。こうした数値も客観的な指標の一つと考えられますので、中野区でもこうした調査を独自に行い、これを指標とすることも考えられると思いますが、お考えを伺います。

〇小田子ども家庭支援担当部長 国立社会保障人口問題研究所の出生動向基本調査は、夫婦の出生力に関する実情や独身者の希望の結婚像などを調査しているものでございます。この調査は、昭和15年に第1回の調査が実施され、戦後は昭和27年から5年ごとに実施されているものでございまして、これまで15回の調査で蓄積されたデータを基に、経年の変化や現在の情勢などを把握することができるものとなってございます。

 夫婦の理想の子ども数、予定子ども数につきましては、過去の調査結果を把握いたしまして、その活用法などを研究してまいりたいと考えております。

〇吉田委員 いい御答弁、ありがとうございます。

 最後の項です。国民健康保険について伺います。

 先日の一般質問において、私は外国人の資格管理の適正化や保険料の収納率に関する質問をいたしました。これに対して区は、東京都に対して、外国人の資格の適正な管理が行えるよう必要な措置を講じるよう要望している。そしてまた国に対しては、在留期間の更新及び出国時の審査において、保険料の完納を要件とするよう要望しているとの答弁をいただきました。

 しかし、今、医療目的で来日し、本来であれば国民健康保険の加入資格のない外国人が留学などと偽って国民健康保険を使う事例があると聞いております。

 そこで伺います。国に対して、在留期間の更新や出国時の審査だけでなく、入国時における在留資格の審査を強化するよう要望することを検討してはいかがかと思いますが、区の見解を伺います。

〇渡邊保険医療課長 国は、昨年1月、医療を受けることを目的とした外国人が、在留資格を偽装し、国民健康保険に加入して高額な医療などを受ける可能性が高い場合の不正対策として、入国管理局への通知制度を創設したところでございます。具体的には、国保の資格取得1年以内の外国人被保険者が、限度額適用認定証の交付申請を行った場合などに、就労状況などを聞き取り、本来活動を行っていない可能性が高いと考えられる場合には、市区町村が入国管理局に通知し、入国管理局が事実調査を行い、在留資格取消し事由に該当していると判断した場合は在留資格の取消しを行うものでございます。

 区としては、国の動向を注視しつつ、特別区長会として、引き続き資格管理の適正化を要望していきたいと考えているところでございます。

〇吉田委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 区長をはじめ皆様には、限られた時間、精力的に私の質問に対して対応していただきまして、心より感謝を申し上げます。区民のために今後も尽力していただくことを念願し、私も少しでも区民の役に立つよう働いてまいることをお誓いをして、本日の質疑を終了いたします。ありがとうございました。

〇山本委員長 以上で吉田委員の質疑を終了します。

 ここで休憩にしたいと思います。

 1時まで委員会を休憩いたします。

午後0時01分休憩

 

午後0時59分開議

〇山本委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き、総括質疑を行います。

 若林しげお委員、質疑をどうぞ。

〇若林委員 令和2年第1回定例会予算特別委員会において、自由民主党の立場から総括質疑をさせていただきます。質問は通告のとおりです。

 まず初めに、区内の交通環境整備について質問をさせていただきます。

 区は、都市計画マスタープランの改定を進めており、この中で、道路や公共交通ネットワークの整備、移動困難者の交通支援、区内南北交通の課題等に対応するため、交通対策調査特別委員会を設置し、議論を展開しております。中でも重要課題は、交通空白地における移動支援対策、高齢者や障害者の方が気軽に健康増進のために外出できる環境整備だと私は考えております。

 当初予算概要によりますと、区内の交通環境整備に向けた基本方針を策定しますとあります。区内交通環境整備拡充推進で5,641万5,000円の予算が計上されています。その中で、公共交通空白地域等における移動支援についての予算と内容をお聞かせください。

〇安田交通政策課長 来年度の予算でございますけれども、公共交通空白地域等における移動支援につきましては、昨年度行いました区民移動実態把握に関するアンケート調査を踏まえ、大和町や若宮のところの公共交通がない地域におきまして、先進自治体を例としてコミュニティタクシー等の実証実験を行う検討を進めることとしてございます。

〇若林委員 南台にも空白地域があるんで、ぜひ検討も含めていただきたいんですが、その実証実験というものに関してなんですが、以前、日常走行しているタクシーのアプリを活用して、公共交通の空白地域の解消を提案させていただきましたが、検討状況ってありますでしょうか。

〇安田交通政策課長 来年度、交通政策に関する基本方針の検討を進めていきます。ここの中で、委員の御指摘がありました情報機器を使ったタクシーアプリとか、情報機器を使った公共交通のネットワーク、いわゆるモビリティ・アズ・ア・サービス――MaaSですね――こういったことも検討素材に入れることを考えております。そういった中で、交通政策全体としてどういうふうに進めていくかも検討をしていく予定でございます。

〇若林委員 ぜひよろしくお願いします。

 そのほかに、区は、公共交通の補完を目的とした自治体間連携によるシェアサイクルの導入も予算計上されています。これについて伺います。

 シェアサイクルは、誰もが料金を支払い、電動自転車を借り受け、誰もが気軽に移動できる便利な乗り物と言えますが、その利便性だけでなく、課題や弊害についても検討しておく必要があると考えます。例えば、中野駅周辺の交通状況を考えた場合、路線バスやタクシー、宅配便等の運送、一般乗用車やバイクなど、多く通行をしております。中野通りや中野駅周辺は、朝晩特にひどく、多くの自転車や歩行者が錯綜し、危険を感じることがあります。

 特に今後、中野駅周辺では、橋上駅舎の工事に加え、新区役所庁舎の建設、囲町や中野四季の都市(まち)などの様々な再開発事業等が予定され、工事期間中は通勤通学の歩行者と自転車や車の通行など、どのように安全・円滑にさばいていくか、非常に重要な問題と思っております。その中で、シェアサイクル導入により、歩行者の空間が脅かされるのではないかという懸念もあります。

 中野駅周辺地区総合交通戦略においては、歩行者の安全な通行を第一優先としますと書いてあります。

 そこで質問いたします。中野駅周辺地区総合交通戦略や中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3では、自転車やシェアサイクルについてどのような位置付けを持たせておりますでしょうか。

〇小幡中野駅地区担当課長 中野駅周辺まちづくりグランドデザインVer.3、中野駅周辺地区総合交通戦略では、歩行者優先、公共交通指向のまちづくりを掲げておりまして、中野駅周辺中心部を歩行者優先エリアと位置付けているところでございます。

 自転車につきましては、自転車走行空間の確保や自転車駐車場の分散配置といった記載をしてございます。

 シェアサイクルにつきましては、特に位置付けはしてございません。

〇若林委員 シェアサイクルですからね、自転車は自転車なんで。以前もやはり歩行者と自転車のやはり区別をすべきだという質問もさせていただきました。しっかりとそういうのを検証しながら、もし入れるんであれば考えていただきたいなと思っております。

 現事業者のポート設置場所を見ると、利用しやすい場所で台数を確保できていないような感じを受けております。シェアサイクルのポート設置により、一般の方々の駐車スペースが減るのではないかとも考えております。どのようにお考えですか。

〇安田交通政策課長 現在、区が予定しておりますシェアサイクルにつきましては、都心10区との広域連携を考えてございます。こういった中で、ポートの適正配置、公共交通を補完する観点からの適正配置を考えてございまして、既存の駐輪場等を動かすようなことはない方向で検討してございます。

〇若林委員 駐車スペース、駐輪場が足りないという場所もありますし、そういったところはしっかり考えていただきたいと思いますし、もし中野区でシェアサイクルを利用される方のことを考えた場合、中野区のことを考えた場合、例えば哲学堂公園とか、そういった文化芸術、そんな場所も巡るというのもまた考えていただければなと思います。

 区がシェアサイクル事業を導入するにあたっては、先進区や近隣区の事例をちゃんと検証をされていますでしょうか。

〇安田交通政策課長 区が導入を考えてございます都心部の広域連携におけるシェアサイクルの導入は、都心10区が行っています先進区の事例をヒアリングしたり、調査、検討しているところでございます。それを利用して進めていくことを考えてございます。

〇若林委員 区内公共交通環境整備に関する予算におけるシェアサイクル事業費はどのような経費を盛り込まれていますか。

〇安田交通政策課長 区内公共交通環境整備に関しては、都心区との広域連携に参加するための初期費用投入、約200台の自転車機材と附属システムの初期費用と10か所以上のサイクルポート設置場所の確保を予定してございます。

〇若林委員 今ちょっと答弁しかけましたけど、国や東京都の補助金もそれに活用されるのかなと思いますけど、どのような活用を……。

〇安田交通政策課長 失礼いたしました。補助金に関しましては、東京都が進める地域間協力活性化事業、すなわちICT技術を活用した自転車シェアリング普及促進事業の補助金を活用する予定でございます。

〇若林委員 それは今お話があった初期投資というか、シェアサイクル、電動自転車200台分の補助金ということですか。

〇安田交通政策課長 そのとおりでございます。自転車とともに、それに必要なICTを活用した情報機器ネットワークシステムでございます。

〇若林委員 シェアサイクル導入に当たって、いろんな活用の仕方があるとは考えておりますが、通勤通学で使われるという可能性も秘めてはおりますが、じゃ中野区内の方々が通勤通学に使うかというのもまたどうかな。いろんな使い方があると思うんですが、シェアサイクルが朝晩通勤通学、一般に使われる場合は、朝は駅前に集結し、夜は住宅内に集結することが懸念されております。また、区が事業に着手した場合、ポート間のシェアサイクルの運搬や充電、パンク修理、自転車のメンテナンス等の事業管理はどのように行う予定ですか。

〇安田交通政策課長 区におきますシェアサイクルの導入は、区内南北交通や公共交通の補完、都心区との広域連携を目的としておりまして、この観点より、ポートの設置も各交通結節点周辺に分散して配置する予定でございます。

 利用と返却は、ポートからポートでございまして、自宅に自転車を持ち帰って置くことは想定しておらず、通勤通学という利用には基本的にはならないと解してございます。

 また、ポート間の移動、充電、パンク修理等の事業運営に関しましては、全て事業者が対応することとなってございます。

〇若林委員 やはり設置場所、要はポートですね、ポートがどこに設置されるかということですけれども、向こうから提示されているというか、200台を置くポートの数というのは分かりますか。

〇安田交通政策課長 東京都との広域連携に参加するために、約10か所程度を初年度は予定してございます。

〇若林委員 予算に計上されている、今後進めようとしているものですから、その10か所って大体どこら辺、どういうものをどういう場所に設置するかというのはお考えですか。

〇安田交通政策課長 区の公共交通の課題であります区内南北交通の課題解消、さらに、現在の公共交通を補完する機能、そして都心区との広域連携を考えてございまして、そういった観点から、既存の交通結節点、駅周辺のところにポートを配置することを予定しています。1ポート当たり、大体10台から20台ということで、そんなに負荷がかかることは考えてございません。

〇若林委員 そういった中で、初期投資として、200台の自転車を購入して、それで区がそのポートの設置場所を指定して貸し出す。例えばこの事業の状況が中野区内の交通に適していないと判断した場合、その購入した自転車はどのようになりますか。また、シェアサイクル事業の課題として改めてお聞かせいただけますか。

〇安田交通政策課長 本事業は、東京都の広域連携を使いまして、実証実験という形で行うものでございます。そういったことから、効果を検証して、次年度以降進めていくか、考えてございます。

 初期投資の自転車機材につきましては、全て事業者の管理の中で行うものですから、事業者に引き渡すものでございます。

〇若林委員 分かりました。シェアサイクル、便利で、今、はやりというわけではないですけれども、そんな中でもやはり課題をしっかりと考えて、中野区に適すかどうかというのをもう一度検証しながらも進めていっていただければなと思います。

 最後に、シェアサイクル導入のスケジュールを伺いますが、着手に当たっては、効果を十分検証して慎重に対応することを強く求めます。しかし、先ほど述べたとおり、区内交通の環境整備の課題であるものに対しても、シェアサイクルが当てはまっているかどうかというのも検討していただきたいんですが、スケジュールをお聞かせいただけますか。

〇安田交通政策課長 スケジュールでございます。来年度は、初期投資で広域連携に参加することとして着手します。その初年度の効果を見まして、次年度以降に拡大するか、決めていきたいと考えてございます。

〇若林委員 ごめんなさい。じゃあ、来年度以降ということで、ランニングコストというのは、基本初期投資と、あと区の場所を提供するということだけですけれども、来年度以降に予想されるランニングコストというのは、自転車の修理とか、自転車を増やすとか、そういうことですかね。

〇安田交通政策課長 本広域連携事業は、初期投資として自転車機材の購入、システムを含めて、それで、あと冒頭の設置場所の確保、こちらの二つになります。次年度以降、どういうふうに進めていくかにつきましては、中野区内で最適なポート数は広域連携の上で大体20ポートぐらいが最適と聞いてございます。そうしますと、今後進めていく、拡大する上で、20ポートを目指していくということは、機材も倍に増やしていく、そこまでがまず目安として考えてございます。

〇若林委員 すみません。シェアサイクルはシェアサイクル。ただ、やはり中野区の交通環境を整える上では、先ほどお話ししたとおり、高齢者や障害者の方々が気軽に健康増進のために外出できる環境、こういうものが必要である。シェアサイクルは、それに全部当てはまるわけではないので、そこら辺はカバーしていかなきゃいけないんですが、改めて交通政策基本方針策定を、こういった内容をどのように盛り込んでいくか、お聞かせいただけますか。

〇安田交通政策課長 来年度は、シェアサイクルもそうなんですけども、交通政策に関する基本方針、これまで中野区に交通政策をどういうふうに進めていくか、公共交通をどういうふうに考えていくかということはありませんでした。都市計画マスタープランの中で、現在こういったことも分析してございますけれども、これをさらに具体化させて、中野区における公共交通、交通政策の在り方を具体的に総合的に統一するためにどういうふうに進めていくかを検討していくこととしています。こういった考え方をこの中に盛り込んでいくことを考えています。

〇若林委員 ありがとうございます。

 ところで、交通政策基本方針策定のことだけではないんですけれども、基本構想・基本計画を策定する前に、個別のこういった基本方針というのは決められるのですかね。整合性とか取れるんですか。疑問に感じていますが、いかがですか。

〇安田交通政策課長 都市計画マスタープランもそうですけれども、上位計画に基本構想はございます。こういった考え方、今改定を進めていますけれども、全部できてから進めるということはではなくて、同時にこういった考え方を都市計画マスタープランや交通施策基本方針にも盛り込んでいく。で、整合させていく。今後、具体的に基本計画、どういった事業を進めていくか、そういったところに具体的な考えを盛り込むための方針と考えてございますので、整合性は取りながら進めていきたいと考えてございます。

〇若林委員 個別の基本方針とか基本計画を先に決めて、上位計画が決まっていないのに、そちらの方向に合わせていく上位計画になるような気がするんです。我々議員が質問をいろいろさせていただいた中の答弁の中に、基本構想・基本計画に示していきますという答弁がものすごい多いんですよ。そういった我々が疑問をかけていることに関しての答弁がそれであって、しかも個別の計画が先に進んでいくというのが、果たして正しいのかな。個別の計画には補助金を獲得するための計画を策定しなきゃいけないとか、恐らく想像にあるんですけれども、そういったものも、上位計画がない中で進めていって、後付けで上位計画を決めるのが果たしていいのかなと思うんですけど。いかがですかね。聞くのも、違う方かもしれないんですけど。

〇安田交通政策課長 繰り返しになりますけれども、既に進んでいる事業を止めるということはないと思います。ただし、新しい考え方については、そういったところも整合させていくということになります。ということで、具体的に整合性を取りながら進めていきたいと考えております。

〇若林委員 安田さんの答弁じゃないような気がするんですよ、基本構想・基本計画に対しては。後から付け足していいものなんですかね。何でこんなに遅れたんですか。

 遅れたことによって、全て計画がずれているような気がするんです。でも、もう既にそういう状態であるんですが。ものすごい、我々の――答弁に対して全部それに盛り込んでいくというのが実は納得がいっていないところであります。これは言わせてもらうだけ言わしてもらって、答弁は結構なんで、そんな思いがあるので、よろしくお願いします。

 今、議会に対して、そういう対応を区が取ってくださいよというお話をしたんですが――疲れたからって役職逃げる人には言われたくないんですけど。

 次に、中野区総合体育館への巡回車両の試験運行について伺います。

 令和2年、当初予算案の概要、説明書37ページにおいて、中野区総合体育館への開設、拡充3億1,712万円余の予算が計上してあります。開設に向けた準備、指定管理者による管理運営を開始すると示しておりますが、この中で、区役所と総合体育館を往復する巡回車両の試験運転を行い、需要を調査しますとありますが、これについて質問いたします。

 巡回車両の試験運行なら、どのような目的で、内容はどのように行うのか、具体的にお聞かせいただけますか。

〇古本スポーツ振興課長 この事業でございますが、区役所から総合体育館の間で車両を走らせることによりまして、需要を調査するものでございます。具体的には、まず期間でございますが、令和2年10月頃より3か月間、区役所から総合体育館の間を1日当たり17往復程度車両を走らせるということを考えてございます。

〇若林委員 その車両って、どんな車両ですか。

〇古本スポーツ振興課長 今想定しておるのは、10人乗りの車両を考えてございます。

〇若林委員 10人乗りということは、運転手を抜くと9人。9人の運搬、運行の需要を調べてどうなのかなというのもありますけれども。

 体育館利用者限定の方という想定ですか。

〇古本スポーツ振興課長 基本的には、総合体育館の利用者を想定してございますが、今後、需要調査の方法を検討する中で考えていきたいと思ってございます。

〇若林委員 検討する中で考える――要するに中野区役所と体育館の往復ということなんですけど、要は、体育館を利用しないで公園を利用する方だとかね。沼袋駅を利用する方とかね。そういった方も乗ってしまう可能性はないですかね。

〇古本スポーツ振興課長 基本的には、利用者は総合体育館の利用者を想定しております。これは何らかの形で対象者を周知して限定するような方向で考えてございます。

〇若林委員 どうやってそれを見分けるんですかって。だから、中野区体育館を利用した人にチケットを配るとか、そういう話ですか。

 いや、これ一緒になっちゃうと思うんですよ。この巡回の実証実験をやっても、それが体育館利用者か分からないと思うんです。どうですかね。

〇古本スポーツ振興課長 周知の方法などはこれから工夫をさせていただきまして、試験運行の効果というんでしょうか、需要がはっきり分かるような形で進めたいと思います。

〇若林委員 何か、この調査の目的というのもはっきり分かんないような気がするんですよ。はっきり、これでエビデンスをそろえるために多分やるんでしょうけど、エビデンスがこれで成り立つのか、体育館の利用者のことに関して。どうですか。

〇古本スポーツ振興課長 一定の需要はあると考えてございますが、時間や曜日によって利用者数は異なるというふうに考えておりまして、この調査によって明らかにしたいというふうに考えてございます。

〇若林委員 そういった話をしっかりと議論できる場があるべきだと思っているんです。そもそもこれ、巡回シャトルバスの予算化や運行計画の導入に関して、これまで所管委員会や議会へ考え方や事業の報告というのは行われましたか。

〇古本スポーツ振興課長 所管の委員会の報告は行ってございません。

 ただし、令和2年度当初予算案に盛り込みをさせていただきまして、当初予算案の概要に記載をさせていただいたところでございます。

〇若林委員 議会から要望しているのは、巡回バスということじゃなくて、南の地域の方々の体育館の利用とか、そういった話をさせていただいていたり、そういうことです。考え方というものをやはり委員会とかで説明をしていただきたい。予算に説明もなく載って、そこを分科会でもめろというか、分科会で議論をしなさいということなんですか。いや、私はやはり委員会に対して、議員に対して、しっかりと考え方を説明した上で予算に載せるべきと思うんですが、いかがですかね。

〇古本スポーツ振興課長 繰り返しになりますが、所管の委員会への報告はしておりません。この総括質疑の場とか、分科会の場が議論の場になろうかと思います。

〇若林委員 繰り返しのまた――ありがとうございました。内川議員のこの前の質問に対して、令和2年度予算編成に当たり、議会への十分な説明、報告がなく進められた施策、事業が散見されますと。区政運営に当たっては、議会への十分な情報提供をした上で計画的に進めるべきと思いますが、いかがですかという質問に対して、区長答弁で、区政運営に当たっては、区民の代表である議会の理解を得ることが重要であると認識している。予算審議の時期を踏まえ、新規事業や大きな変更に伴う見直しなどについては、第4回定例会までに報告するなど、執行機関として適時適切な情報提供を十分に努めていきたい。そういう答弁をいただいているんですけど、それ、どうですかね。

〇古本スポーツ振興課長 申し訳ありませんでしたが、所管の委員会への報告はしておりません。内容につきましては、当初予算案の概要というところで御説明をしているところでございます。

〇若林委員 今度、古本さんがそういう答弁に回っちゃっているんですけど、これ、委員会に考え方を報告しないで予算に上げていく、我々に対してどう思われているのかなというのが疑問でならないんですけど。

 これ、要は区長答弁をいただいたということは、今回のシャトルバスだけじゃなくて、ほかにも今回の予算に関しては、そういったものが散見されるんです。委員会、議員に報告しないで、考え方を説明しないで、予算にどんと乗っかっている。それっていうのがいいかなという内川議員の答弁に対して、第4回定例会で説明していきます。じゃあ、今回の予算はどうなんですかという話です。

 説明を十分しなかった。今度から説明します。じゃあ、今回の予算はどうなんですかというのが疑問に思えます。

 これを古本さんに聞いても、恐らく違うのかなと思いますので、そんな今回の予算であることをちょっと疑問である、不安に思っておりますということで、これまで公式に議会へ報告もなく、予算を計上するための事業や方針も示されていない。この質問の最初に述べましたとおり、基本構想や基本計画で示されないまま、現区長の下ではこのような事業が唐突に現れていくことが多いような気がします。このような区政運営の進め方でよいかどうかということの課題を提示して、この項の質問を終わらせていただきます。

 受動喫煙防止対策について伺います。

 改正健康増進法及び東京都受動喫煙防止条例が2020年4月に全面施行されます。望まない受動喫煙を防止するため、取組はマナーからルールへと変わることになります。受動喫煙防止対策に関する取組として、2,147万円の予算計上をされています。その内訳をお聞かせください。

〇鈴木保健企画課長 予算の内訳でございますが、まずコールセンターの業務委託に1,707万円、また普及啓発、周知等の取組に440万円計上しているものでございます。

〇若林委員 施行直前の現在の対応状況を教えていただけますか。

〇鈴木保健企画課長 対応状況についてでございますが、令和2年4月から、改正健康増進法が全面施行されるとともに、東京都受動喫煙防止条例も施行されるために、従業員を雇用している飲食店では、原則として禁煙となります。区は、これまで改正健康増進法や都条例の施行の段階に応じまして、受動喫煙防止に関する制度の周知を進めてきましたが、来年度も継続をして周知を行うとともに、コールセンターを設置しまして、事業者からの相談や、区民からの情報提供等に対して、適切に対応をしてまいります。

 なお、区有施設は、一部を除きまして、原則として敷地内禁煙となります。改正健康増進法の適用に伴う対応については、既に完了しているものでございます。

〇若林委員 まだ周知が足りないというアンケート調査も、ニュースで見たことがあります。いろんな意味で周知をしていただければと思います。

 次に、公園における公衆喫煙所の対応状況をお聞かせください。

〇細野公園緑地課長 公園は、不特定多数の区民等が様々な目的で利用する施設でございます。喫煙者と非喫煙者、それぞれが利用しやすい環境を整える必要があると考えてございます。

 望まない受動喫煙の防止を推進するために、区立公園等の禁煙化と分煙化について、本定例会において考え方を報告できるように検討を進めているところでございます。

 具体的には、厚生労働省令で定める特定屋外喫煙場所の考え方に基づいて、喫煙場所を設置できる大規模公園においては分煙化を進める、そんな考えでございます。

〇若林委員 大規模公園だけじゃなくて、やはりパーテーションとかをしっかり組んで、いろんな場所に設置可能だと思います。受動喫煙防止のために、やはり完全に受動喫煙を受けないようにするために、やはり吸う人の場所というのは確保が必要だと思いますので、ぜひ検討を続けていただければと思います。

 次に、駅周辺について伺います。

 区内全ての駅周辺の路上喫煙禁止地区にするとともに、適切な位置の喫煙所整備をすべきと以前に質問させていただきましたが、検討状況をお聞かせいただけますか。

〇井上道路課長 路上喫煙禁止地区内には、指定喫煙場所があることによって分煙化を進めております。引き続き、区指定喫煙所の整備状況や路上の喫煙率、吸い殻のポイ捨て等の実態、通行量、地元町会・自治会や商店会などの要望を総合的に考慮した上で、駅周辺など人通りの多い地区での路上喫煙禁止地区の指定を検討していきたいと考えております。

〇若林委員 その中にも、東中野に関しても、喫煙所整備を少し延期するということで、賛否両論、もちろんありますけれども、やはり喫煙者の方々もいらっしゃるのが現状であります。4月から全面施行されて、屋内から間違いなく屋外に喫煙者が流れていくと思います。やはり屋内の禁煙場所で吸う人はさすがにいないと思うんですけど、屋外となったら、そういったものがルール、マナーが守れるかどうか、私、不安でならないんです。

 様々お伺いしてきましたが、健康増進法、公衆喫煙所設置など、所管が各部各課に渡っております。デリケートな課題であることも十分承知しておりますが、なかなか進まないのは、所管がまたがっていることではないかなと思っております。

 そこで、こうした課題こそ、企画部による全庁的な調整や、総合的かつ包括的な方針作成が必要であると考えておりますが、いかがでしょうか。

〇山本委員長 委員会を休憩します。

午後1時37分休憩

 

午後1時37分開議

〇山本委員長 委員会を再開します。

〇杉本企画課長 受動喫煙防止対策につきましては、部を横断する取組を早急にまとめていく必要があることから、企画部が主体的に関わりながら調整してまいりたいというふうに考えてございます。

〇若林委員 今までこういった、各部各所に分かれていたがゆえに、そういったものが進んでいないと思いますけど、今企画の方が旗振りを少し――少しというか、旗振りをやっていただけるというお話ですが、中野区として区長はどのように考えていらっしゃいますか、ちょっと伺えればと思います。

〇酒井区長 受動喫煙対策につきましては、他の自治体の実態も調査しつつ、組織の在り方も含めて、区全体としての取組を早急に検討していく必要があると考えております。

 また、主要駅周辺など、道路上の喫煙所の設置につきましても、地元町会・自治会や商店会からの要望も踏まえながら、引き続き検討を進めていく必要があると認識をしております。

 区では、こうした点を勘案しながら、総合的に取り組んでまいります。

〇若林委員 4月から始まることなんです。今まで私もしつこいように質問をしてきましたけど、実際、今この状況であります。4月から施行のもの、この中野区民の方々に対して、やはりよくないと思っております。今さらながらですけれども、早急に進めていただければと思います。

 次に、公園再整備計画についてお伺いをいたします。

 令和元年9月23日、弥生町六丁目に四つ目の大規模公園ができました。待望の中野区立広町みらい公園であります。時間はかかりましたが、連日、今多くの方々でにぎわって、大変すばらしい公園だと私は思っております。

 中野区で初の公園の指定管理による維持管理が行われている公園であります。指定管理における現在までの成果をお聞かせいただけますか。

〇細野公園緑地課長 広町みらい公園における指定管理は、昨年9月から始まり、この3月で半年を迎えようとしております。指定管理者による自主事業なども行われており、幅広い利用者から御好評をいただいているところでございます。

 また、維持管理についても、施設に管理者が常駐しているという点が大変大きく、より適切な管理がなされているというふうに認識してございます。

〇若林委員 キャッチボールができる公園ということで、川沿いにちゃんとキャッチボールができるスペースをつくっていただいて、大変にぎわっているんですけども、ただ課題というかね、何か問題点というか、これから進めていく上で、自転車で皆さん多く見えていて、駐輪場に関して、たまにキャッチボールスペース、あそこの場所に自転車を置くようなぐらいのものがあるんですけれども、そういった現在考えていらっしゃる課題をお聞かせいただけますか。

〇細野公園緑地課長 開園後、おかげさまでたくさんの方に利用していただいて、想像以上に多くの方に来ていただいています。計画していた駐輪スペースでは足りなかったため、現在は方南通り沿いのスペースを仮設駐輪場として開放いたしまして、それでも不足した場合には、委員おっしゃるように神田川沿いの多目的広場の一部を臨時駐車スペースとして駐車していただいている現状でございます。

 課題というと、この駐輪の課題が第一なんですが、今後もほかの歩行者の妨げとならないように、引き続き指導、注意を徹底していきたいと考えてございます。

〇若林委員 ありがとうございます。広町みらい公園にも、大変立派な遊具があるんですけれども、区内の公園の遊具の更新について、次に伺います。

 遊具の更新は、緊急補正も行われており、また公園遊具の安全確保に係る緊急対策として予算計上もされております。安全性の確保はもちろん理解はできるんですけれども、遊具の設置に計画性があるととても思えません。まして、これから公園整備計画を策定する上で、場当たり的に遊具を整備することになっているんではないかと疑問を感じております。公園整備計画策定前に遊具更新を始めた根拠をお聞かせいただけますか。

〇細野公園緑地課長 都市公園法の改正により、国が取りまとめた遊具の安全確保に関する指針に基づく点検を行った結果、補修や更新等の必要があると判断された遊具について、安全性を速やかに確保するために緊急対策事業としてやらせていただきました。

〇若林委員 公園再整備計画策定前に遊具の更新を行ってしまうと、今後、再整備の足かせになってしまうんではないかと考えております。このことに関しても、基本構想・基本計画を作成していない中で、また個別の計画を進めていくような感じですけれども、どういった予定を組んでおりますか。

〇細野公園緑地課長 今後の再整備については、更新した遊具、耐用年数が残っている遊具についてはそれを有効に活用していきたいと考えております。

 また、今後、公園再整備計画策定に向けた考え方を取りまとめてまいりますが、基本計画と整合を図りながら、そごのないように考え方を取りまとめていきたいと考えてございます。

〇若林委員 基本構想・基本計画と整合性を持たせるというのは大変な作業なのかなと思いますけど、本日の産経新聞の都内版に、公園、禁止看板乱立から脱却、にぎわいと安らぎで役割分担という足立区の取組も掲載されていました。公園によっては、禁止看板からできる看板に変えていく。また、公園によっては目的別に利用できるようにするというものです。

 中野区のような公園環境に適しているのではないかと思いますけど、いかがですか。

〇細野公園緑地課長 利用状況の変化などから、確かに中野区においても、168の公園のほぼ全てにおいて禁止行為に関する看板が設置されている実情はあります。現時点では、そういった多様化する苦情等に対して、適切な周知、啓発を行うために掲示しているところでございます。

 利用ルールの今後については、地域等、または利用者、双方が理解し合えるルールについて検討を重ねていきたいと考えてございます。

〇若林委員 こういった公園の整備というものも参考にしていただきながら、これから中野区の公園を改めて整備していくんですが、その計画策定の際にアンケートなどをまた行う予定ですか。

〇細野公園緑地課長 本定例会に、公園再整備計画策定に向けた考え方を報告できるように検討を進めているところでございますが、その検討の中で、区民の声などを聞くために、既に2,000人を対象にアンケート調査を実施しております。これを取りまとめて計画策定に生かしていきたいと考えてございます。

〇若林委員 2,000人の区民の声ということですけど、区として、区民の声って、どういう定義を持たれていますか。

〇高村広報・広聴課長 区民の声の定義につきましては、中野区広聴事務処理要綱において定めがございます。区民の声とは、区政に関する区民からの意見、要望、苦情、提案及びこれらに準ずるものとして区長が認めたものとしておりまして、誹謗中傷や広告宣伝、これらに類するものですとか、調査、こういったものを除くものとしております。区としては、この定義に基づいて、様々な機会、または方法を通じて、区民の声を受け、対応しているところでございます。

〇若林委員 その区民の声の中に、議会の声って含まれていますか。

〇高村広報・広聴課長 今のその要綱の中で言うところの区民というところですので、各議員の皆さんもそれぞれ区民の方ですので、各議員の皆様から受ける意見というのは、この中に含まれると考えていますが、自治基本条例のほうを見ますと、区民の役割とは別に区議会の役割が明らかになっていまして、意思決定機関で議決する、重要な意思決定をする議決機関である議会は、ここの要綱で言うところの議会そのものは区民というところでは違うのかなと認識しております。

〇若林委員 要綱とか、そういうのは分かりますけど、何でこんなことを言い始めたかというと、この議会というものは、やはり区民の声が集まっている場所だと、私は思っているんです。各会派、各議員、いろんな考え方がある。その代表者が集まってくるこの議会の声というのが、一番大きい声じゃないかなと私は思っているんですけど、その議会に対して説明がなかったり、議会、委員会で報告する前に区報に載っちゃったり、あと事後報告があったり、議会に対して少し手順というか、説明不足、情報不足、我々に対しての扱いという言い方が失礼かもしれないですけど、私たちに対しての対応が少し感じられないんですけど、いかがですかね。

〇山本委員長 委員会を休憩します。

午後1時49分休憩

 

午後1時49分開議

〇山本委員長 委員会を再開します。

〇高村広報・広聴課長 先ほどの一般質問での区長からの答弁の御紹介がありましたけれども、当然、区民の代表ということで、先ほど私も言いましたが、重要な意思決定をする議決機関だというふうに思っていますので、適時適切な情報提供と意見交換が必要だというふうに考えております。

〇若林委員 全然それが感じられないんですよ、今。先ほど話したとおり、一人ひとり、皆さん支持を受けて、ここに立っています。いろんな意見があるんです。片方の意見だけじゃないんです。だから、ここで議論が行われるんです。でも、それに対して情報がなくて、勝手に区のほうが、行政側が進めていることが見られるから、こうやってお話をさせてもらっているんです。

 伊藤正信委員の質疑にあったように、区側の決定事項を押し付けてくるだけで、議会の声を聞き、議論をする姿勢が見られていません。ですから、どうしたらいいんでしょうね。

 中野区は、委員会ですから、委員会軽視も甚だしい。そういったものが、今、この区議会の中で感じているんですよ。じゃ、どうしたらいいかって、答弁がまた難しいかもしれないですけど。

 こういった事態をどうしていくかって、答弁できますかね。

〇山本委員長 委員会を休憩します。

午後1時51分休憩

 

午後1時51分開議

〇山本委員長 委員会を再開します。

〇海老沢総務部長 区長と議会は、区政の両輪ということを強く認識しているところでございまして、やはり区民の代表である議会の理解を得るということが重要な要素でございます。そういったところで、議会の様々な意見を聞くというところはすれ違いが発生しているということの御指摘でございますので、今後襟を正してしっかりやっていきたいというところで答弁させていただきたいと思います。

〇若林委員 車の両輪という言葉をよく使いますけど、実際それが行われているのかなというのは疑問に思います。しっかりと、それこそ、襟を正してという言葉をいただきましたので、取り組んでいただきたいと思います。

 ごめんなさい。話を公園に戻します。

 公園に関して、これから整備を行っていく上で、外部の人材を活用も進めていく考えがあるのかな。公園アドバイザー的な人材の導入って考えていらっしゃいますか。

〇中谷職員課長 外部の人材を任期付き職員として採用できないか、現在検討しているところでございます。

〇若林委員 来年度は採用しないということですかね。

〇中谷職員課長 来年度中の採用を目指して、今検討を進めているところでございます。

〇若林委員 予算というのは、そういうのは計上されているんですか。

〇中谷職員課長 任期付き職員としての採用で今検討しているんですけれども、任期付き職員の場合は、常勤の職員になりますので、職員全体の人件費の中に含まれているというものでございます。

〇若林委員 ということは、人件費の中に含まれているので、広報アドバイザーみたいな、そういった予算計上はされていないが、そういったことも考えているということですか。

〇中谷職員課長 広報アドバイザーのような場合には、会計年度任用職員になるので、報酬の額を別途計上する必要があるのですが、任期付き職員の場合は、職員全体の人件費の中に含まれますので、その中で検討しているということでございます。

〇若林委員 今回の資料で出してもらいましたけれども、その人件費、任期付き職員の人件費は、どこの部の予算の中に含まれているんですか。

〇中谷職員課長 現在検討中の職員をどこに配置するかにもよるので、具体的にどことまで、まだ確定的ではないんですけれども、子ども教育部、ないしは都市基盤部の中で見ているというふうに考えてございます。

〇若林委員 では、ほかのアドバイザー ――アドバイザーという言い方が果たしていいのか、分からないけど、ほかのいろんなアドバイザーをこれから急につくったりとか、急に備えつけたりというのは可能なんですか。

〇中谷職員課長 どういった形で任用するかによるんですけれども、例えば会計年度任用職員として採用する場合には、予算の計上が必要になりますので、当然年度途中であれば補正予算であったり、予算の流用であったり、予算措置が必要ということになります。また、任期付き職員の採用に当たりましては、特別区人事委員会の承認が必要となりますので、客観的に見て、その必要性などが認められるといったことが必要となってくるものでございまして、現時点で特にほかに何か、そういった同種のものを検討しているというものはございません。

〇山本委員長 休憩します。

午後1時56分休憩

 

午後1時57分開議

〇山本委員長 委員会を再開いたします。

〇若林委員 それで、先ほど出た公園アドバイザーとは、どんな業務を行うために導入するのですか。

〇中谷職員課長 公園の管理に区民協働の仕組みを導入したり、また指定管理者などの民間活用を推進していくために導入を検討しているものでございます。

〇若林委員 それに関して資格や経験など、応募要件というものは考えていらっしゃいますか。

〇中谷職員課長 国や地方公共団体での公園の管理運営における市民協働の推進や官民連携の活用に関する実務経験などを考えてございます。

〇若林委員 それに見合うような候補者の方っていらっしゃるんですか。

〇中谷職員課長 他の自治体で、公園の管理運用に市民協働の仕組みを取り入れた実績のある方などがいらっしゃいますので、そういった方が想定されるものでございます。

〇若林委員 他の自治体の公園の管理運用に市民協働の仕組みを取り入れた実績、これってどういうことですか。要は、中野区は、今、公園に対して何をしていきたいのか。アドバイザーを何で導入しなきゃいけないのかということ。

〇中谷職員課長 他の自治体の例えば成功事例ですと、通常、区側は、行政は公園の管理をしていて、利用者の方、市民の方は利用者、立場が相対するような部分があるんですけれども、成功事例の中では、実際の利用される市民の方が中心となって、その公園をどういうふうに管理運用していくのか、ルールの見直し等を行って、より地域のニーズに根差した管理運営の仕組みを設けているといったところがございまして、そういったところの成功事例を中野区でも取り入れていきたいといったものでございます。

〇若林委員 他自治体の公園の実績がある。中野区の公園を知らないのに、そういった事情が分からないのに、大丈夫なんですかね。

〇中谷職員課長 もちろん中野区の公園の実情に詳しい方のほうが望ましい部分があると思うんですけれども、そうでないとしても、他の自治体の成功事例であったとしても、その際の手法ですとか、その際の経験などは中野区の中でも生かせるものというふうに考えてございます。

〇若林委員 ほかに候補者っていらっしゃるんですか。

〇中谷職員課長 実際、応募していただけるかどうかというのは、また分からないんですけれども、広く公募をいたしますので、要件に該当する方というのは、全国的に見れば複数いらっしゃるのではないかなというふうに思っております。

〇若林委員 今までるる質問をさせていただきましたけど、以前にも、外部人材採用の際に、うわさが若干流れたりしたことがありました。公園アドバイザーも、あらかじめ候補者を特定して、その人を採用しているのではないかなという疑念を感じてしまいますが、そのようなことはないですよね。

〇中谷職員課長 当然、今回の特別区人事委員会に事前相談したときにも、公募によることが必須というふうにも聞いておりますので、広く公募して人材を募りまして、その中から公平公正な選考を経て採用していく必要があるというふうに考えてございます。

〇若林委員 外部の人材を導入するに当たって、職員採用に当たっては、公平かつ公正に行われなければならないと思います。しかし、私は、外部の人材を活用するよりも、区の内部の人材育成が急務であると思っております。区の職員も中野区の宝であり、財産です。外部の人材を活用が本当に有効なものなのか、疑問を感じております。むしろ職員のモチベーションダウンやスキルダウンにつながるのではないかとも考えています。

 質問はこれで終わりますが、以上で(「答弁を求めて」と呼ぶ者あり)――と思いますが、いかがお考えですか。

〇中谷職員課長 確かに、人材育成も非常に大事だとは考えておりまして、例えば今回のようなケースで、公園の管理運営に市民協働の仕組みを取り入れるといった場合でも、セミナーですとか、研修などで、そういった成功事例を学んだり、また先進自治体があるならば、そこに職員を研修派遣をしてノウハウを学んで、それを中野区に還元するといった手法も考えられるというふうに思っております。ただ、そうした方法で職員を育成していくのには、また相当の期間が、やはり一定の期間が必要となるというものでございます。緊急の課題を速やかに解決していくためには、外部人材を任期付き職員として採用して活用していく手法も有効なのではないかというふうに考えてございます。

〇若林委員 やはり区の職員、宝だと、本当に思うんです。このアドバイザーの件、伺いましたけど、区の職員でできないんですか、これ。私ね、しっかりできている、やれると思うんですよ、私は。それを信じていないものというのは、存在するというのは、私は残念でならないと思っています。区の職員をぜひ大切にしていただいて、区の職員のレベルアップ、育成をしっかりとやっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきますが、来年度予算に計上されているものに報告をされていないものもある。また、不透明なものも含まれているのではないかと疑いを感じざるを得ないものが予算に入っているんではないかという課題を提示させていただいて、私の全ての質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

〇山本委員長 以上で若林委員の質疑を終了します。

 ストップウオッチでも計測しております。カウンターは止まっておりましたが、若林議員の実績時間は63分10秒となります。

 次に、ひやま隆委員、質疑をどうぞ。

〇ひやま委員 令和2年第1回定例会、予算特別委員会におきまして、立憲民主党無所属議員団の立場から総括質疑をさせていただきます。

 質問は通告のとおりです。その他はございません。

 初めに、全世代向け地域包括ケアシステムについて質問させていただきます。

 世界に例を見ない超高齢化を迎えつつある日本において、団塊の世代が後期高齢期に入る2025年に向けて地域包括ケアシステムの構築が急務の政策課題となっていることは、今さら言うまでもありません。現在、多くの自治体において、その具現化に向けた制度や事業が展開しつつありますが、俯瞰してみると、これらの多くは試行錯誤の段階にあり、必ずしも地域包括ケアシステムの構築が円滑に進んでいるとは言えない状況にあります。

 そうした中で、中野区では、平成29年に地域包括ケアシステム推進プランを策定し、2025年に向けて喫緊の課題である高齢者向けの取組を主に進めてこられましたが、酒井新区政が誕生し、今後は地域包括ケアシステムの対象を高齢者のみならず、子どもや子育て家庭、障害者など全世代へ拡大していくとのお考えを示されております。

 酒井区長は、区の職員時代に、当時の地域包括ケア推進担当の副参事として、この政策課題に最前線で取り組んでこられましたが、今度は区長として、地域包括ケアシステムの大きな変革に取り組まれようとしておられます。

 そこで、地域包括ケアに関わる区を取り巻く状況と課題、そして今後の展望について質問をさせていただきます。

 まず、我が国における高齢者の現状について簡単にお聞きをいたします。

 一般論として、日本人の高齢者の自立度の各種のデータから見ると、男性で90歳までほぼ完全に自立を維持しているパターンは約1割程度、それ以外は70歳前後に急激に自立度が落ちるパターン、そして70歳代半ばから徐々に自立度が下がっていくパターンという、二つの傾向が多く見受けられますが、これらについて区はどのように認識しておりますでしょうか。

〇高橋地域包括ケア推進課長 中野区の統計データといたしましては、御指摘の傾向を客観的に判断できるものは保有していないところでございますけれども、一般的な傾向としては、御指摘のとおりであると認識しております。

〇ひやま委員 一般的に急激に自立度が下がるパターンとしては、心疾患、脳血管疾患、糖尿病をはじめとする生活習慣病の急性憎悪を中心とする病気などが原因として挙げられます。一方で、徐々に自立度の下がるパターンとしては、加齢に伴うフレイルといった要因が考えられますが、中野区としてはこれらの傾向についてどのようにお考えでしょうか。

〇高橋地域包括ケア推進課長 自立度という観点ではございませんけれども、区が平成29年度に行った高齢者調査におきまして、介護、介助が必要になった主な原因を調査したデータがございます。それによりますと、一番多かった回答が高齢による衰弱、次いで骨折転倒、脳卒中、認知症となっております。このことから、フレイルが要介護状態を招く大きな要因であると認識してございます。

〇ひやま委員 そうすると、やはり生活習慣病などを予防し、フレイルを遅らせることにより健康寿命を延ばすことが今後の高齢者の地域包括ケアを考える上で重要であることは改めて分かります。

 そして、もう一つ重要なポイントとしては、いわゆる「ピンピンコロリ」はまれであるという事実です。厚生労働省のデータによりますと、平均寿命と健康寿命の差、つまり病気やけがなどにより日常生活に何かしらの制限のある期間は、平均して男性で約9年、女性で約13年となっております。中野区の現状について御答弁をお願いします。

〇高橋地域包括ケア推進課長 健康寿命の考え方には様々なものがございまして、御指摘のありました男性9年、女性12年というデータは、国が用いている健康寿命の考え方に基づいて算出されたものと認識しております。

 一方、中野区地域包括ケア推進プラン全体の達成指標におきましては、健康寿命を要支援1、もしくは要介護2の認定を受けるまでの期間とし、その健康寿命と平均寿命との差を平均障害期間、つまり亡くなるまでの期間とする東京保健所長方式を採用しております。

 この方式によりますと、最新の数値である平成29年の平均障害期間は、要支援1の場合、男性が3.14年、女性が6.62年、要介護2の場合は、男性が1.43年、女性が3.12年となっております。

〇ひやま委員 ずっと元気で、あまり苦しまずに亡くなる「ピンコロ」は理想ではありますが、多くの人は年を重ねていく中で様々なケアが必要となるフレイルの期間を経て死に至ります。当然、その過程においては様々な病気と向き合わなくてはなりません。そうした状況においても、住み慣れた地域でQOLを下げることなく、生きていてよかったと思えるような生活を送るための仕組みづくり、これこそが地域包括ケアです。そこに地域包括ケアの原点があると私は思います。その点について区のお考えはどのようになっておりますでしょうか。

〇高橋地域包括ケア推進課長 中野区地域包括ケア推進プランにおきましては、誰もが年を取っても、仮に体が不自由になったとしても、尊厳を保って、可能な限り住み慣れた地域で最後まで暮らし続けることができるようにすることを地域包括ケアシステム構築の意義としているところでございます。

 今後は、このような考え方を全世代、全区民に対象を拡大することで、全ての区民が生きていてよかった、中野区に住んでいてよかったと思えるよう仕組みづくりに全力で取り組んでまいりたいと考えております。

〇ひやま委員 そもそも地域包括ケアシステムとは、法的には次のように定義されております。

 地域の実情に応じて、高齢者が可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保できる体制とあります。

 まず、ポイントとしては、地域の実情においてという点です。地域包括ケアシステムを考える上で、各地域の実情と歴史的経緯により、その具体的姿がそれぞれ異なってくることは当然のことだと思います。では、中野区においてはどのような特性が挙げられるのでしょうか。

〇高橋地域包括ケア推進課長 中野区は都心に位置し、人口密度が高く、若年層の割合が多いまちでございます。医療機関、介護事業所共に多く、鉄道やバスなど利用可能な公共交通が多いなど、都市としての利便性が高いまちでございます。

 一方で、狭隘道路が多いなどの課題も抱えてございます。また、独り暮らしの世帯が多いということも特徴でございまして、このことに起因する問題への対応は、地域包括ケアシステム推進において重点的に取り組む必要があると考えております。

 このような地域特性を踏まえまして、都市型の地域包括ケアシステムのモデルとなるような仕組みを構築してまいりたいと考えております。

〇ひやま委員 今、都市型というお話もありましたけれども、地域包括ケアは、建前としては全国全ての地域を対象としていますが、主たる対象地域は、やはり今後、高齢人口が急増する都市部、特に東京都を中心とする首都圏であると言われております。都市部は、現在でも人口当たりの病院数や高齢者の入所施設数が不足しておりますが、今後の高齢人口の急増に応じて、それらを大幅に増やすことは困難で、そうなるとやはり在宅を中心とした地域包括ケアへの期待が高まっていく、こういった状況にあると考えます。

 中野区における今後の高齢人口の増加の見込みと、それに起因する諸課題について、区はどのような想定をされ、それらはこれまでの地域包括ケアの考えの中にどのように反映されてこられたのでしょうか、御答弁をお願いします。

〇高橋地域包括ケア推進課長 中野区の高齢人口は、現在約7万人であり、団塊の世代が後期高齢者となる2025年頃までは横ばいでございますけれども、現在40代である団塊ジュニア世代の高齢化により、2035年以降、急激に増加する見通しでございます。これに伴い、独り暮らし高齢者、認知症高齢者も増加の見込みでございます。

 これを受けまして、地域ケア会議に特に重要と考える課題につきまして専門部会を設置してきたところでございます。具体的には、在宅利用介護連携部会、生活支援・介護予防・就労・健康づくり部会、認知症等対策部会、住まい・住まい方部会でございます。

 今後、特に生涯未婚率の上昇に伴い、子どものいない独り暮らし高齢者が増加することを想定しております。区関係団体が共に参画するこれら専門部会におきまして議論を深め、新たな取組等を進めてまいります。

〇ひやま委員 介護保険法の場合と同じく、地域包括ケアシステムの法律上の対象は、原則として65歳以上の高齢者に限定されております。しかし、一方で政府は、平成29年以降、従来の高齢者中心の社会保障制度から全世代型への転換を進めており、これに伴い、地域包括ケアシステムの対象も、これまでの高齢者から全世代へとシフトする動きが見受けられます。こうした中で、中野区においても、このたび全世代向けの地域包括ケアシステムの推進に関する基本的な考え方をまとめられました。

 まずは、この考えに至るまでの経過について簡単にお答えください。

〇高橋地域包括ケア推進課長 現行の地域包括ケアシステムで定めておりますとおり、地域包括ケアシステムが目指すものは、支える側、支えられる側という垣根のない全員参加型の社会の実現でございます。このような考えの下、昨年8月に庁内会議を設置し、全世代向け地域包括ケアシステムの考え方について議論したところでございます。

 先般報告をいたしました基本的な考え方の特徴といたしまして、これまで重きを置いてきた支える側だけの要素ではなく、担い手となる支える側の要素など盛り込んだところでございます。住民一人ひとりが、時には支え、時には支えられ、共に生きていく社会の実現を目指すものでございます。

〇ひやま委員 いわゆる8050問題やダブルケア、貧困、孤立、こうした新たな社会問題が表面化する中で、高齢者を主な対象としてきた地域包括ケアシステムの対象者を拡大し、社会情勢の変化にも対応できるシステムに転換をしていく、これ自体は重要な政策課題であり、今回の区の姿勢を評価いたします。しかしながら、それらを実施していく上では、多くの課題があることもまた事実で、全世代向け地域包括ケアシステムが絵に描いた餅にならないためにも、一つひとつ課題を精査し、課題解決を図っていく必要があると考えます。

 中野区として、これまで地域包括ケアを進めてこられた中で、区はその課題をどのように総括しておりますでしょうか。

〇高橋地域包括ケア推進課長 現在、地域包括ケアシステム推進プランの検証を進めているところでございますが、プラン全体の成果指標につきましては、健康寿命の延伸は目標の数値に達したものの、長期療養の際、在宅で過ごしたい区民の割合の指標は、数値に大きな変化が見られなかったところでございます。

 区におけるこれまでの総括と今後の方向性につきまして、本定例会中に報告する予定でございますが、現時点におきましては、周知、広報の充実、協働のさらなる推進、人材確保育成などが課題であると認識しております。

〇ひやま委員 先の厚生委員会において、区がお示しをされた全世代向けの地域包括ケアシステムの推進に関する基本的な考え方では、現在はステップ1の高齢者が可能な限り住み続けられる地域づくりに向けた基盤整備を終え、ステップ2、基盤、機運の充実を背景とした地域包括ケアの全世代、全区民への発展・充実の段階に進んでいるとあります。基盤整備を終えたということですが、何をもって終えたとお考えなのか、その根拠が気になるところです。

 例えば、高齢者を主たる対象とした現行のシステムの中で、重要課題として考えられる、例えば、先ほどおっしゃった人材の確保、あるいは育成、医療と介護の連携、ケアマネジメントの機能強化など、これらの多くは、多くの自治体において課題が山積しており、試行錯誤の段階にあります。中野区としては、これらの課題についても基盤整備を終えたという認識なのでしょうか。これらの現状を鑑みれば、基盤整備を終えたという表現は適当ではなく、むしろ他の自治体と同様に、道半ばというのが現状ではないかと思います。区の見解をお示しください。

〇高橋地域包括ケア推進課長 現行の地域包括ケア推進プランは、2016年度からの10年を計画期間とし、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて、高齢社会への対応を主眼として策定されたものでございます。当初の3年間で全ての基盤整備を終了したという認識はございません。今後も、2025年に向けて、御指摘のあったような諸課題についても、引き続き着実に取り組んでまいります。

〇ひやま委員 高齢者に対する医療、介護、生活支援に至るまでの一連のサービスを地域において切れ目なく、総合的に確保しながら、8050問題やダブルケア、貧困、孤立といった新たな社会問題にも対応できるシステムに転換をしていく。これらを同時並行で進めていかなくてはならないわけですので、相当なエネルギーを要することは明らかです。課題を挙げれば切りがありませんが、大きな課題として挙げられるのは、やはり人材をはじめとした資源確保の問題であると思います。住み慣れた地域で生活を支えるサービスや支援が、24時間365日切れ間なく提供されることは、地域包括ケアシステム構築の重要なポイントとなります。

 こうしたことから、平成17年の改正介護保険法では、地域密着型サービスの6種類が創設され、2011年の改正では、これらに定期巡回・随時対応型訪問介護看護と複合型サービスが加わりました。しかし、全国的に見て、これらのサービスは当初の想定よりも事業所数が伸びておらず、地域包括ケアシステムが基本圏域とする中学校区の数と比べて、あまりにも少ない状況が指摘されております。中野区における現状について御答弁をお願いします。

〇葉山介護・高齢者支援課長 区内の地域密着型サービス事業所数の推移を見ますと、この5年間で定期巡回・随時対応型訪問介護看護がプラス1、認知症対応型共同生活介護がプラス3、その他は横ばいとなっております。こうした状況から、地域密着型サービス事業所数の伸びにつきましては、中野区も全国的な傾向の中にあると考えます。

〇ひやま委員 さらに、平成26年の改正介護保険法では、介護予防、日常生活支援総合事業の中に、住民主体のサービスが制度化されました。しかし、民生委員をはじめとする既存の地域活動の担い手さえも確保が難しい中で、国が意図する住民主体サービスが十分に行き届いていないという問題は、多くの自治体の共通の悩みでもあります。中野区における現状について御答弁をお願いします。

〇葉山介護・高齢者支援課長 中野区では、平成29年度から介護予防、日常生活支援総合事業を開始し、住民主体サービスにつきましては、委託のほかにも、担い手養成講座や運営費の補助等の支援によりまして、自主的な活動を尊重しながら拡充を図っているところですが、サービスとして地域に行き渡るまでにはまだ時間がかかる状況です。

〇ひやま委員 現状の地域包括ケアシステムにおける資源確保については、やはり財政的な困難を背景に、NPOをはじめとする地域の事業体を中心とした資源の動員を想定している一方で、やはりこれらを確保できる地域というのは極めて限定されているというのが現状です。中野区においても、御答弁がありますとおり例外ではありません。

 こうした中で、地域包括ケアシステムの対象を高齢者のみならず、全世代に拡大し、それらの方々の地域生活を支えるだけの資源を量的に、そしてもちろん質的に確保するということは非常に困難なことが予想されます。しかし、それを確保することが全世代向け地域包括ケアシステムを展開していく上での最低条件とも言えます。こうした資源確保に関わる課題について、区はどのような認識なのでしょうか。それらを十分に確保するためにも、今後はサービス事業者のインセンティブが働く仕組みづくりや財政的な措置も検討する必要があると考えます。区の見解をお示しください。

〇高橋地域包括ケア推進課長 全世代を対象とした地域包括ケア推進に当たりまして、区内、区外のあらゆる社会資源を活用するとともに、不足する資源につきましては、開発、誘導するなどの取組も必要であると認識しております。インセンティブが働く仕組みづくりや財政的な措置などについては、今後研究してまいります。

〇ひやま委員 資源確保のほかに、大きな課題として挙げられるのは推進体制です。平成29年、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律では、多くの法律が改正されましたが、その一つとして社会福祉法が改正されました。

 この改正では、包括的支援体制のさらなる強化に向けて、地域に身近な圏域で、分野を超えた課題に総合的に相談に応じる体制づくりと、関係機関が協働して課題を解決するための体制づくりが、自治体の努力義務として定められましたが、中野区としては、これらの改正を受けて、これまでどのような対応をとってこられたのか、御答弁をお願いします。

〇高橋地域包括ケア推進課長 社会福祉法改正以前から、中野区では包括的支援体制構築に取り組んできたところでございます。具体的には、すこやか福祉センターを拠点施設とし、区内全域を対象とする地域包括ケア推進会議と日常生活圏域におけるすこやか地域ケア会議という二層構造による地域ケア会議におきまして、区、区民関係団体等が集い、顔の見える関係の中で連携し、話し合い、課題解決を図る仕組みを推進してきたところでございます。

〇ひやま委員 高齢者のみならず、全世代を対象とした地域包括ケアを展開していく上では、地域包括支援センター、すこやか福祉センター、社会福祉協議会、地域の子育て拠点といった関係機関が縦割りに陥ることなく、分野を超えた総合的な相談体制や連絡調整を行える体制を確立する必要があると考えます。区は、分野を超えた課題に総合的に相談に応じる体制づくりに向けて、今後どのような施策をお考えなのか、見解をお示しください。

〇高橋地域包括ケア推進課長 区には、すこやか福祉センター、地域包括支援センターをはじめ、各種の相談窓口がございますが、どこの窓口で相談を受けても、その人に最適な支援に結びつけることができる体制づくりが必要であると認識しております。今後、全世代を対象とした地域包括ケアを展開していく中で、庁内各課、関係機関の連携強化に努めてまいります。

〇ひやま委員 特に高齢者の地域包括ケアの要として、介護保険法に基づき設置されている地域包括支援センターは、従来の高齢者の総合相談や地域づくりだけを、介護保険の範囲内で対応していればいいというものではなく、さらなる機能強化による強い地域包括支援センターの実現が必要となると考えます。全世代向け地域包括ケアシステムを展開していくに当たり、今後の地域包括支援センターの在り方をどのように考えておりますでしょうか。区の見解をお示しください。

〇高橋地域包括ケア推進課長 地域包括支援センターは、介護保険法に基づき設置され、地域の高齢者の心身の健康維持、保健福祉、医療の向上、生活の安定のための必要な援助など、これらの支援を包括的に行う中核機関としての役割を担っております。

 国からは、地域共生社会を実現するため、地域包括支援センターに対し、地域の課題を包括的に受け止める場としての役割を担わせる考え方も示されているところではございますが、区としましては、従来からすこやか福祉センター等との連携により、総合的に相談支援を行う体制づくりを担ってきており、その体制強化により全世代向け地域包括ケアシステムを構築してまいりたいと考えております。

〇ひやま委員 さらには、庁内の推進体制も構築していかなくてはいけません。中野区では、昨年8月に地域支えあい推進部が主催する庁内会議を設置し、全世代を対象とした地域包括ケアシステムの全庁的な推進方策について協議を行っていると聞いておりますが、この会議の概要と、これまでどのような御議論をされてこられたのか、簡単に御説明をお願いします。

〇高橋地域包括ケア推進課長 昨年設置いたしました庁内会議は、地域支えあい推進部が主宰し、区長ほか、関係する副区長及び部長で構成され、地域包括ケア推進に係る基本方針、施策の方向性及び諸施策の総合的な調整を目的とするものでございます。

 この会議では、先般委員会報告いたしました、全世代向け地域包括ケアシステムの基本的な考えとなる目指すべきまちの姿や、地域包括ケアシステムの構成要素となる柱、重点的取組事項等について議論をしてきたところでございます。

〇ひやま委員 中野区と同様に、全世代を対象とした地域包括ケアシステムを目指して取組を進めている自治体は様々存在します。例えば千葉県松戸市では、庁内に高齢者分野のほか、障害分野、子ども分野、生活困窮分野など、分野を横断した福祉相談機関連絡会を設立し、お互いの制度の範囲の確認や制度の狭間の問題についての共通認識を持ち、途切れのない支援の実現に向けて連携を図っています。さらに、基幹型地域包括支援センターの高齢者総合相談窓口の機能を拡充し、複雑に絡み合った問題を丸ごと受け止めるワンストップの窓口、福祉まるごと相談窓口を設置し、必要なサービスの紹介や関係機関につなぐ体制をつくっています。

 全世代向け地域包括ケアシステムを展開していく上では、医療、福祉、子育てといった様々な分野を横断した相談支援体制を構築していくことが不可欠であると考えます。庁内における横断的な組織体制づくりに関わる今後の展開について、区の見解をお示しください。

〇高橋地域包括ケア推進課長 これまで区では、包括的な支援を行うため、各所管や関係機関における情報共有、連携を進めてきたところでございます。今後、他の自治体の事例なども参考にしながら、組織横断的な取組をさらに強化してまいりたいと考えております。

〇ひやま委員 今後、区が地域包括ケアの中で重点事項として取り組まれようとされている8050問題やダブルケア、貧困、孤立といった新たな社会問題は、様々な課題が複合的に絡み合った問題です。だからこそ、庁内においては縦割り行政に陥ることなく、これらの課題を人ごとではなく、我が事として、そして丸ごと受け止める体制づくり、そして何よりも職員の皆さんの意識改革が重要です。全世代を対象とした地域包括ケアシステムを進めるに当たっては、これらのソフトとハードの両面での包括的サービス推進体制の構築が不可欠であると考えますが、それらは今後の(仮称)地域包括ケアシステム総合計画の中にどのように反映されていくのか、区の見解をお示しください。

〇高橋地域包括ケア推進課長 地域包括ケアは、行政のあらゆる分野に関連するものであるため、包括的な推進体制構築のためには、職員一人ひとりの意識改革が重要であることは認識しているところでございます。

 今後、徹底した庁内論議を行うことで、全世代向けの地域包括ケアを区全体の取組として進め、その成果を(仮称)地域包括ケアシステム総合計画に反映してまいりたいと考えております。

〇ひやま委員 地域包括ケアに関して、現在、区では、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けた取組を進めておられます。いわゆる2025年問題とも呼ばれますが、他の自治体の地域包括ケアも同様に、2025年を主眼に置いているものがほとんどです。

 しかし、高齢者ケアをめぐっては、既に2040年を見据えた議論も始まっております。2040年は団塊ジュニア世代が65歳以上となり、人口の高齢化がさらに進展することに加え、単身高齢者、要介護者数も増加し、中・重度者やみとりニーズといった新たな問題への対応も必要となることが予想されます。このように、2025年を入り口として、我が国の高齢者ケアを取り巻く環境がより厳しくなる中で、中野区としても地域包括ケアシステムの構築を着実に進めていかなくてはなりません。改めて、全世代向け地域包括ケアシステムを推進していくに当たっての区長のビジョン、思いを御答弁をお願いします。

〇酒井区長 高齢化が進み、中野の人口構造が変わっていく中で、地域社会の転換が迫られていると感じております。区民のニーズに合わせた地域包括ケアシステムを確立することが急務であると考えております。

 そのためには、庁内において職員一人ひとりが、区内においてはより多くの区民、関係団体が地域包括ケア体制の確立という課題を我が事として共有していく必要があると考えております。中野の財産である、人と人とが協働し、誰もが暮らしやすいまちをつくり上げていく中で、中野区が都市部の特性を踏まえた地域包括ケアシステムの全国的モデルとなっていきたいと考えております。

〇ひやま委員 地域包括ケアシステムは全国一律のシステムではなく、各自治体が地域の実情を踏まえて構築していくべきものでありまして、それぞれの地域によって具体的姿が異なるものです。やはり都市部には都市部の、そして中野区には中野区の特性があり、地域のことを最もよく知る区が、地域の主体性や自主性、特性に基づいてつくり上げていくことが重要であると考えます。

 そして、地域包括ケアシステムの構築は、決して行政だけの取組で完結できるものではありません。分野を超えた多職種連携の取組でもあり、言い換えれば、新しいまちづくり、地域づくりとも言えます。地域包括ケアシステムのさらなる進化に向けて、今後も試行錯誤の状況が続くものと予想されますが、ぜひ区長におかれましては、誰一人取り残さない、全ての人に居場所と出番と生きがいのある中野区を実現する、そのような気概を持って、このテーマに挑戦していただきたいと思います。

 以上でこの項の質問を終えます。

 次に、西武新宿線沿線まちづくりについて質問をいたします。

 開かずの踏切問題についてです。この問題については、昨年の議会の場でも取り上げさせていただきましたが、事業認可期間が迫る中で、やはり多くの地域の皆様から御意見や御質問をいただく問題でありますので、再度質問いたします。

 開かずの踏切について、国土交通省は、ピーク時間の遮断時間が1時間当たり40分以上の踏切と定義づけています。開かずの踏切の問題点については、改めて申し上げるまでもありませんが、慢性的な交通渋滞や地域の分断、環境問題など、様々な点が挙げられ、中野区においても長年の懸案となっていることは言うまでもありません。

 平成28年、国交省は、踏切安全通行カルテとして喫緊の対策が必要な踏切1,479か所を公表しました。それによりますと、開かずの踏み切りは、平成26年末時点で全国に532か所存在し、そのうちの約5割の245か所が東京都内の踏切であることが分かりました。この国交省の踏切安全通行カルテでは、中野区内の何か所の踏切が開かずの踏切として指定されているのでしょうか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 中野区内では18か所が指定されてございます。

〇ひやま委員 現在区内には何か所の踏切がありますか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 20か所になります。

〇ひやま委員 ということは、中野区内に存在する20か所の踏切のうち、2か所を除く全てが開かずの踏切であると。改めて一刻も早い解消が求められるわけでありますが、このうち中井駅-野方駅間については、平成23年8月に東京都により地下化方式で連続立体交差事業が都市計画決定され、平成25年4月には都市計画事業認可を東京都が国から取得し、平成26年1月から工事が進められています。

 そうした中で地域の皆様が最も注目しているのは、事業の進捗状況です。地域の皆様からは、様々な場面で、踏切はいつなくなるのかという御質問をいただきます。当初は、令和2年度の事業完了という計画でありましたが、昨年6月の第2回定例会一般質問において、事業の進捗状況についてただしたところ、現在の事業期間内に事業を完了することは難しい状況であるという答弁でありました。

 改めてお聞きをいたしますが、令和2年度の事業完了は実現できるのでしょうか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 委員御指摘のとおり、現在の事業認可期間内に事業を完了することは難しい状況であるというふうに聞いてございます。

〇ひやま委員 では、どれくらい事業の完了が遅れる見込みなのでしょうか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 現在、東京都が事業に必要な期間を精査しまして、国と調整するだろうというふうに聞いてございます。事業完了の見込みについてお答えできる段階に至っていないというところでございます。

〇ひやま委員 令和2年度中の開かずの踏切除却は難しい状況であるということでありますが、ではその事実を区民の皆様に御説明はされましたか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 事業期間に係るお尋ねに際しましては、当議会で御答弁申し上げているとおり、現在の事業認可期間に事業を完了することは難しい状況であるというようなお答えはしてございます。ただし、区民全体へのお知らせについては、現在のところ行ってございません。

〇ひやま委員 事業認可期間内に事業を完了することが難しい状況であるにもかかわらず、区民の皆様全体に御説明をされない理由というのは何ですか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 事業の延伸期間、これについてはっきり現在のところしてございません。このような状況の中で区民に対する広報等についてはなかなか難しいというふうに考えてございます。変更内容等が明らかになった段階で行っていきたいというふうに考えているところでございます。

〇ひやま委員 昨年6月に私が質問した際にも、事業認可が変更された際には、事業主体である東京都と調整を行った上で、速やかに区民への周知を図っていくという御答弁でありましたが、では、いつ事業認可は変更される見込みなのでしょうか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 連続立体交差事業に係ります進行管理、これについての会議体を持ってございます。東京都に対しましては、変更時期等の確認をしているところでございますが、現在、国と調整中であるということでございまして、具体的な日程等もまだ決まっていないというような状況でございます。

〇ひやま委員 事業期間内に事業を完了することが難しい状況であると。しかも、どれくらい遅れるかも分からないということでありますが、確かに事業主体は東京都でありますが、こうした事実を都が何も言わないから、区としても何も言わないという姿勢では、私は区民の理解は得られないと思います。

 前回の質問の際にも御紹介させていただきましたが、後藤田正晴元官房長官が公務員としての心得を説いた「後藤田五訓」の中には、「悪い事実こそ報告せよ」という教えがあります。区民の皆様に速やかに説明責任を果たしていくべきであると考えますが、区の見解をお示しください。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 事業認可の変更がされた際には、速やかに区民への周知を図っていきたいというふうに考えてございます。

〇ひやま委員 そして、区民への説明責任を果たすと同時に、東京都に対しても今後の事業スケジュールについて速やかに明らかにするよう求めていくべきであると考えますが、区の見解をお示しください。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 でき得る限り早期に事業認可の変更時期と、これに関する情報を提供するように、引き続き東京都へ要請していく考えでございます。

〇ひやま委員 事業期間内に事業を完了することが難しい理由についてお聞きいたします。

 昨年の私の質問への御答弁では、事業に必要な用地で、いまだ御協力を得られない箇所が残っているとのことでした。要するに用地取得が計画どおりに進んでいないという理解でよろしいんでしょうか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 用地交渉に応じていただけない方もいるなど、事業認可取得当時の計画どおりには進んでいないというふうに認識してございます。

〇ひやま委員 開かずの踏切の解消は、地域の長年の悲願でもあります。しかし、一方で、権利者の皆様は自らの土地を手放さなくてはならないことに様々な思いを抱えておられます。交渉に当たっては、そうした心情に寄り添いながら、誠意を持って丁寧に進めていかなくてはいけないと思います。改めて区の姿勢をお聞かせください。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 公共事業に係りますこういった用地取得交渉に際しましては、関係権利者の理解と協力を得られるように、事業の必要性を丁寧に説明させていただきますとともに、誠意を持って交渉に当たることが重要であるというふうに考えてございます。

〇ひやま委員 連続立体交差事業の他の事例をお調べしますと、やはり用地取得が大きな課題となっていることが分かります。国交省の踏切改善懇談会で座長を務めた高橋洋二氏によると、平成元年以降に完成した3大都市圏における連続立体交差事業の事業期間は平均で約13年、そのうち約7年を用地買収に要していると指摘しています。他の事例を見ても、用地取得に相当なエネルギーを要することが分かりますが、区の認識を伺います。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 区が他に進めてございます都市計画道路の整備事業、こういった用地取得の進捗状況から見ましても、用地取得交渉につきましては、委員御指摘のとおり相当なエネルギーを要するものというふうに考えてございます。

〇ひやま委員 連続立体交差事業の事業実施に長期間を要する背景には、こうした課題があるということは改めて認識しておかなくてはなりません。

 その上で、今回の事業スケジュールについて改めてお聞きしていたします。

 国交省によると、連続立体交差事業の場合、踏切除却までに要する期間の平均は約16年となっております。では、中井駅-野方駅間については、何年の事業期間で計画されていますか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 事業認可におけます事業期間につきましては、平成25年4月から令和3年3月までの8か年でございます。

〇ひやま委員 もちろん環境や状況も異なるわけですから、一概に比較はできない部分もありますが、平均で約16年かかるところを、中井駅-野方駅間についてはその半分の8年の事業期間で実現されようとしているわけであります。この8年という事業期間の根拠について、さきの議会でただしたところ、区からは、事業規模等を勘案して、用地取得や工事に必要な期間を設定したものとの御答弁がありましたが、この認識はお変わりないということですね。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 委員御指摘のとおり、事業規模等を勘案いたしまして、用地取得や工事に必要な期間、これらを設定した上で認可期間について設定したものというふうに東京都から聞いてございます。

〇ひやま委員 しかし、実際には、他の連続立体交差事業の事例と同様に、やはり用地取得が進まず、事業期間内に事業を完了することは難しい状況であるということから考えると、そもそもの事業スケジュール自体に無理があったのではないか。見通しが甘かったのではないか。こうしたことも考えられますが、区の見解をお示しください。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 先ほども申し上げましたが、用地取得交渉に際しましては、関係権利者の理解、協力が得られるように丁寧に説明に努めますとともに、誠意を持って折衝を進めてございます。いまだに御協力を得られない箇所が残っているということもございます。事業認可取得当時の計画どおりには、そういった意味で進んでいないというふうに認識をしているところでございます。

〇ひやま委員 開かずの踏切の対策としては、大きく抜本対策と速効対策の二つに区分されます。このうち抜本対策は、連続立体交差事業等により、踏切そのものを除却し、踏切問題を抜本的に解決する対策で、効果が大きい反面、その事業費が多大で、事業完了に長期間を要することが課題として挙げられます。

 一方、速効対策は、踏切自体は存在したまま行う各種の安全対策で、抜本対策と比較して、大きな効果は期待できないものの、はるかな低廉な事業費と短い工期で事業を完了することができます。昨年の一般質問において、この抜本対策と速効対策をセットで進めるべきであると申し上げましたが、連続立体交差事業が事業期間内に完了することが難しい現状を鑑みれば、今後は速効対策により一層力を入れていかなくてはいけないと考えます。区の見解をお示しください。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 連続立体交差事業が、先ほどから申し上げているとおり、現在の事業期間内に完了することが難しいという現状を踏まえまして、委員の御指摘の速効対策としてでき得ることがないか、検討していく必要があるというふうに考えてございます。

〇ひやま委員 速効対策とは、具体的には、幅員が狭い踏切の歩道の拡幅、あるいは設置、それと踏切に隣接した交差点の改良等の構造改良、踏切警報時間制御装置、いわゆる賢い踏切の導入による踏切遮断時間の短縮化などが挙げられます。これまで開かずの踏切の速効対策として、中野区としてどのような対策を実施してこられたのでしょうか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 今、委員おっしゃった内容につきましては、基本的に西武鉄道等が行う内容が非常に多くございます。

 まず、西武鉄道におきましては、必要に応じて踏切道の道路改良、構造改良ですね、こういうのを随時実施してきているというふうに聞いてございますが、近々では、幅員の狭い踏切への歩道の設置や拡幅、こういうのは行っていないというふうに聞いてございます。

 踏切警報時間制御装置、いわゆる賢い踏切の導入につきましては、踏切遮断時間の短縮化について実施してきたと西武鉄道から聞いているところでございます。

 中野区自体での基本的な、委員の申し上げた三つの中での対策というのは、基本的には行われてこなかったというふうに認識してございます。

〇ひやま委員 専門家の中でも、踏切に問題があっても、将来、抜本対策を行う計画がある場合は、速効対策は行わないというのが半ば常識となってしまったという指摘もありますが、これまでの区の速効対策で不十分であると考えます。工期の延伸が濃厚な状況を鑑みれば、区としても、開かずの踏切の改善に向けたさらなる速効対策が必要です。

 具体的に申し上げます。一つは、踏切道の改良です。例えば新井薬師前駅のケースでは、周辺に学校施設が存在するという土地柄、ピーク時に踏切が長時間遮断されると、通勤通学の利用者で、踏切周辺には多くの人が滞留します。踏切が開くと、歩行者、自転車、自動車の動線が入り乱れ、非常に危険な状態になります。しかも、歩道の幅員が狭隘なことにより、歩行者、自転車の動線が車両にも広がり、自動車がなかなか踏切を渡れません。そうこうしているうちに、踏切が再び遮断し、結果として慢性的な渋滞が発生する、こうした負の連鎖が毎日繰り返されています。他の踏切においても同様の現象が見受けられるところがあります。

 まずは、現在ある踏切道を精査した上で、危険性の高いものについては、幅員の拡幅や修繕といった速効対策を速やかに実施する必要があると考えます。区の見解をお示しください。

〇安田都市計画課長 速効対策としての踏切道の拡幅でございます。現在、西武新宿線連続立体交差化事業やこれに伴う沿線まちづくりの中で、関係の踏切を除却することは承知してございます。これに合わせて、都市計画事業として、道路を拡幅するには、新たに都市計画を入れなくてはなりません。さらに、新たに拡幅するために用地買収等を進めなくてはいけません。そういったことから、都市計画事業として入れる場合には、関係機関、西武鉄道との調整、鉄道事業者をはじめ関係機関との調整、あるいは踏切渋滞に向けて二重に―補助金ですね、連続立体交差等の合わせた都市計画事業としての資金確保等ができるか、そういった問題を含めて検討しなければなりません。速効対策として道路拡幅事業はなかなか難しいと考えてございます。

〇ひやま委員 速効対策と必要性の高いものとして、もう一つは、踏切に隣接した信号等の改良といった交差点の構造改良です。先ほどの新井薬師前駅のケースでは、踏切を渡った先にある交差点の存在も、慢性的な踏切渋滞に拍車をかけています。踏切が開いても信号灯が赤で、自動車がなかなか前に進めない。しかも、踏切と交差点の間隔も狭く、バスなどの大型車両は容易に踏切を越えることができません。こうしたことからも、警察をはじめとする関係機関と連携し、信号と交差点の改良といった、構造的な改良を進める必要があると考えます。区の見解をお示しください。

〇安田都市計画課長 二つ御質問でございます。交差点改良と信号の円滑な連続ということでございます。

 まず、交差点改良でございますけれども、同様に既存道路の拡幅や隅切り用地の取得など、新たな都市計画事業の導入が必要と考えてございます。こうしたことから、先ほどと同じく、関係機関との調整や事業費の確保、あるいは関係権利者の合意形成など様々な対応が必要であり、交差点改良は速効対策としてはなかなか難しいと考えてございます。

 さらに、信号機の円滑な連続を目的とした信号機の自動制御についてでございます。こちらにつきましては、区内の主要な道路では、既に円滑な信号の連続は実施していることと聞いてございます。

 なお、区としても、現地の通行状況の把握に努め、交通安全対策上必要な場合は、警察等に協議を申し入れるなどの対応をしていきたいと考えてございます。

〇ひやま委員 そして三つ目は、踏切警報時間制御装置、いわゆる賢い踏切の導入です。これについては、さきの議会での質問において、既に西武鉄道のほうで導入されているという御答弁でありました。

 そもそも賢い踏切とは、列車の速度に合わせて踏切の遮断時間を最適化するというものです。その方法としては、列車種別を識別するもの、そして二つ目は走行速度を識別するもの、三つ目は信号などの鉄道運行と連動するもの、3種類があり、いずれも列車ごとの警報の開始時間を制御することを目的としています。西武鉄道で導入している装置は、これらのどれに当たるものなのでしょうか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 西武鉄道が導入してございます装置は、列車種別を識別するものと、信号などの鉄道運行と連動するものに当たるというふうに聞いてございます。

〇ひやま委員 列車種別を識別するものということでありますが、お調べしたところ、JR東日本でも、列車種別による踏切制御が行われています。具体的には、通過列車と停車列車にそれぞれの列車種別情報を付与し、列車種別により、踏切の警報開始時間を変えるというものです。西武鉄道で導入されている装置は、同様の仕組みであるということでよろしいですか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 同様の仕組みであるというふうに聞いてございます。

〇ひやま委員 この装置は、区内の開かずの踏切全てに導入されているという理解でよろしいんでしょうか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 必要とされる全ての踏切に設置されているというふうに聞いてございます。

〇ひやま委員 それで、気になるのが性能の部分です。いわゆる賢い踏切は、平成17年に国交省が踏切問題の速効対策として取り上げ、注目されました。ところが、区内の賢い踏切がいつ導入されたのか、お調べすると、例えば新井薬師前第1号踏切は、昭和42年となっております。これは事実ですか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 先ほどのカルテ等には、42年という記載になってございます。昭和39年頃から順次導入をしてきたというふうに西武鉄道には聞いてございます。

〇ひやま委員 今から50年以上も前に導入されています。他の装置も同様ですか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 他の箇所においても同様であるというふうに聞いてございます。

〇ひやま委員 当然ですが、50年もたてば、性能も向上し、現在ではさらなる踏切警報時間の短縮と、より安心して渡れるような性能を持ち合わせている賢い踏切が存在します。この点について、区の認識をお聞かせください。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 一般的に考えれば、時間の経過によりまして技術革新などによる性能の向上があることは想定できるというふうに考えてございます。

 なお、西武鉄道からは、現行システムについては、一定の機能更新を行ってきている旨、また引き続き新たなシステムの動向に注視し、他のシステムが西武鉄道の運行状況に有効なのかどうかを含め、適合の可否を検討しているというふうに聞いてございます。

〇ひやま委員 例えば先ほどのJR東日本の賢い踏切では、万が一、設定の誤りが発生し、踏切の警報時間が短くなる場合には、列車に自動ブレーキ制御をかけることができる保安装置なども搭載されています。西武鉄道の装置にはこうした機能はありますか。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 万が一の誤りが発生した場合には、安全側に働くような設定になっているというふうに聞いてございます。

〇ひやま委員 西武鉄道が導入している賢い踏切は、50年以上も前の装置ですので、当然これ以外にも様々な部分で性能の遅れや劣化があると思います。もはや賢い踏切とは言い難い、賢くない踏切と言わざるを得ません。こうしたことからも、最新の性能を持ち合わせた、新たな賢い踏切の速やかな導入を西武鉄道に強く求めていくべきであると考えます。区の見解をお示しください。

〇荒井新井薬師前・沼袋駅周辺まちづくり担当課長 さきの答弁で申し上げましたとおり、西武鉄道のほうからは、引き続き新たなシステムの動向に注視しまして適合の可否を検討しているというふうに聞いてございます。連続立体交差事業に係る、進行管理に係る会議などを通じまして、その検討状況について共有をまずは図っていきたいというふうに考えてございます。

〇ひやま委員 ここまで中井駅-野方駅間の連続立体交差事業の事業スケジュール、速効対策についてお聞きしてまいりました。本来の計画では、来年の3月までには開かずの踏切がなくなるということで、地元の皆さんの期待は大変大きいものがあります。しかし、事業の完了の遅れのほぼ間違いない中で、やはり誠意を持って速やかに区民への説明責任を果たすべきです。そして、地下化が実現するまでの間、開かずの踏切の改善を目指した速効対策を早急に実施するべきであると考えます。これは繰り返し強く要望をいたします。

 そして、今後は、野方以西についても、連続立体交差事業が進んでいきますが、今回の中井駅-野方駅間の事業からは、事業スケジュールをはじめ、教訓にしなければならない点が多くあると思います。そうした教訓をしっかりと生かしながら、今後の野方以西の連続立体交差事業を進めていかなければならないと考えます。区の見解をお示しください。

〇狩野野方以西担当課長 野方以西の連続立体交差事業につきましては、区といたしまして、より一層東京都や西武鉄道などと連携、協力の上、関係権利者や近隣の皆様に丁寧な対応を行っていくことが必要であると考えてございます。

〇ひやま委員 必ず教訓を生かしていただきたいと思います。中野区の長年の悲願である開かずの踏切解消に向けた多くの先人の皆様の取組に、改めて敬意を表するとともに、連続立体交差事業の早期実現を心から祈念をいたしまして、この項の質問を終わります。

〇山本委員長 ひやま委員の質疑の途中ですが、ここで休憩にしたいと思います。

 15時20分まで委員会を休憩いたします。

午後2時58分休憩

 

午後3時20分開議

〇山本委員長 委員会を再開します。

 休憩前に引き続き総括質疑を行います。

 ひやま委員、質疑をどうぞ。

〇ひやま委員 次に、感染症対策について質問いたします。

 令和元年12月に中国武漢市に端を発した新型コロナウイルス感染症は、急速な勢いで感染者数が増加し、海外にも広がっています。我が国においても、2月13日に国内で初めて新型コロナウイルス感染者の死亡が確認され、その後、各地で感染症が広がりつつある状況にあります。

 改めて、犠牲となられた方にお悔やみを申し上げるとともに、被害の拡大防止に向けて日々奮闘されている職員をはじめとする関係者の皆様に深い敬意を表します。

 事態は日々刻々と変化し、予断を許さない状況にあります。こうした状況を踏まえ、改めて中野区の健康危機管理体制の現状と今後の課題について質問をいたします。

 健康危機管理に関して、我が国においては、平成9年に健康危機管理対策室が設置され、従来、部局ごとに対応していたものを、部局横断的に大臣官房で一括的に調整する体制がつくられました。さらに、当時の厚生省は、感染症健康危機管理実施要領などを策定し、国の健康危機管理に対する基本方針を示すとともに、自治体に対する健康危機管理体制の確保を求める法令等の改正が行われました。

 そこで、まず、これまでの中野区における健康危機管理対策の経緯について簡単に御説明ください。

〇長﨑福祉推進課長 平成初期におきましては、地下鉄サリン事件など、地域住民の生命ですとか健康、こういったものを脅かす事態が相次いで発生をいたしました。こうした状況の中、国は地域保健対策の推進に関する基本的な指針、この中で、地域における危機管理体制を確保する必要があるというふうに述べております。

 これを受けまして、中野区では、平成13年、中野区健康危機管理対策基本指針、これを策定するとともに、その実効性を確保するといった意味で、健康危機管理マニュアルを整備いたしまして、その後に発生いたしましたいわゆるSARS、こういったものに対応したほか、平成26年には毎年発生いたします新型インフルエンザ、これに対する区としての役割分担ですとか対策方針などを盛り込んだ中野区新型インフルエンザ等対策行動計画、こうしたものを策定しながら、これまで区民の健康危機管理に当たってまいりました。

〇ひやま委員 自治体における感染症対策の法的な位置付けとなる代表的なものに、感染症法、検疫法、予防接種法などが挙げられます。これらの法律に基づき、感染症の蔓延防止、予防を目的とした業務が行われます。具体的には、感染症に関する情報の収集及び公表、健康診断、就業制限及び入院、消毒、医療といった措置を都道府県知事が行うこととされています。

 また、感染症法第64条では、これらの都道府県業務について、保健所を設置する市または特別区が都道府県と同等の措置を行うこととされていますが、中野区はこれに該当するということでよろしいでしょうか。

〇長﨑福祉推進課長 感染症予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第64条に基づきまして、保健所のある中野区では、委員御指摘のような、感染症の蔓延防止、予防についての業務を担っていると、このように認識しているところでございます。

〇ひやま委員 これは中野区が東京都と同等の役割を担うということであり、健康危機管理の実施主体を考える上で重要なポイントであると考えます。他の自治体の事例を見ると、先ほど申し上げた、感染症法に基づく各種措置の権限を保健所長に委任しているケースが多く見られますが、中野区においてはどのようになっておりますでしょうか。

〇長﨑福祉推進課長 中野区におきましては、地方自治法及び地域保健法、これに基づきまして、中野区保健所長委任規則、これによりまして、一部を保健所長が委任によりその責務を担っているというふうな形になっておるところでございます。

〇ひやま委員 例えば、入院、移送、退院などの人の移動の制限を伴う人権に関わる措置や、交通の遮断、または制限など、区民生活に重大な影響を及ぼす内容についても、それに含まれているということなんでしょうか。

〇長﨑福祉推進課長 入院、移送、退院につきましては、しっかりと明記をされているところでございます。

 今、委員からお尋ねの交通の制限ですとか遮断につきましては、一般的にエボラ出血熱等の一類の感染症の蔓延、こういったものを防止するために緊急の必要がある場合には、区長の権限により実施できるものというふうに認識をしているところでございます。

〇ひやま委員 感染症発生時の具体的な措置を実施するに当たっては、健康福祉部及び保健所の役割が非常に大きいことが分かります。感染症法や地域保健法においては、健康危機管理は現場レベルで保健所や保健衛生部局が中心となって実施するとされております。しかし一方で、健康危機発生時には、学校や保育所等の休業、施設の使用制限、患者の隔離や入院、情報の収集発信など、分野横断的な総合的な危機管理体制が求められます。

 平成21年に発生した新型インフルエンザH1N1では、部局横断的な対応がうまく進まず、国及び自治体共に混乱した点が課題として残りましたが、中野区ではそれらの課題についてどのように認識しているのでしょうか。

 また、これらの課題は、区の健康危機管理にどのように反映されているのか、御答弁をお願いします。

〇長﨑福祉推進課長 中野区では、平成20年3月に策定をいたしました新型インフルエンザ対応マニュアル、これにおきまして庁内各部の主な対応ですとか役割を定めていたところではあったんですけれども、このマニュアルの中では、縦割り的な役割分担にとどまったというところで、組織横断的な調整を迅速に行うことができなかったというのが課題として認識をされていました。その後、こうした点を改めるべく、新型インフルエンザ等対策行動計画、これを策定したことで、各部共通の事項として、例えば情報の提供であったりだとか、他の部に応援に関する事務を定めるといったようなことで、健康福祉部内に情報収集ですとか、提供等の事務を集約いたしまして、横断的な連携、調整、こういったものを行うことが可能になったというふうに認識をしております。

〇ひやま委員 健康危機発生時に講じられる様々な措置は、迅速に行うことで、感染拡大を防ぐ効果が期待されており、初動における体制が重要となります。当然ながら、健康危機発生時における意思決定や判断を迅速に行うための危機管理部局と保健衛生部局との連携が非常に重要であると考えますが、区では、横断的な危機対応を行う危機管理課と事業部門である健康福祉部とのそれぞれの役割分担及び連携は、具体的にどのようになっておりますでしょうか、御答弁をお願いします。

〇長﨑福祉推進課長 中野区におきましては、中野区健康危機管理対策基本指針、これに基づきまして、感染症等により区民の生命だとか健康を脅かすような重大な事態が発生した場合には、区長を本部長、また各部の部長を本部員といたします中野区健康危機管理対策本部、これを設置することとしております。

 その中の所管事項には、関係各部の役割分担に関することというのも明記をされておりまして、今回の新型コロナウイルス感染症に対しましても、本部を立ち上げまして、危機管理部門とも密接に連携を図りながら対応に当たっているというところでございます。

〇ひやま委員 この危機管理体制に関して、各自治体の事例を見ると、都道府県では独立した危機管理部局が設置されるケースが多く、政令市などでは総務部の一部に位置付けられるケースが多く見受けられます。確認ですが、中野区においてはどのようになっておりますでしょうか。

〇田中危機管理課長 中野区の組織における危機管理部局の位置付けでございますけれども、独立した部とはせずに、総務部に位置付けているものでございます。

〇ひやま委員 危機管理組織の組織上の位置付けとしては、独立型、あるいは総務部所管のほかに、首長直轄生活衛生部局に所属する例などが挙げられます。総務省の調査では、危機管理部局が独立している事例が増加している傾向が見られますが、中野区において、総務部の一部に位置付けられた理由についてお答えください。

〇田中危機管理課長 昨年度の組織改正におきまして、災害時など緊急時の取組、それから平常時の取組、これを一体的に行うために、防災関係も含め、危機管理課を総務部に設置をいたしました。

 危機管理部局につきましては、職員の応援体制等、いわゆる全庁的な対応を図る必要がございますので、独立はさせずに、総務部に位置付けるとともに、部の組織スパンの関係から、危機管理担当部長を配置しているところでございます。

〇ひやま委員 自治体においては、危機管理部局の設置が進められる一方で、その中には、危機管理部局で大規模感染症を所管していない、または危機管理部で大規模感染症を所管していないというような事例も見受けられます。中野区において大規模感染症は危機管理部局に含まれておりますでしょうか。

〇田中危機管理課長 区では、中野区危機管理ガイドラインにおきまして、想定する危機の分類に応じた緊急時の危機管理体制を定めているところでございます。

 健康被害につきましては、健康福祉部を事務局といたしまして、健康危機管理対策本部、または新型インフルエンザ等対策本部を設置し、対応することとしておりますけれども、危機管理部局である総務部につきましては、情報収集や必要な支援を行うこととしているところでございます。

〇ひやま委員 自然災害と大規模感染症が発生した場合の行政の体制について、専門家によると、自然災害では、危機管理部局が発生当初から第一義的に対応する自治体が多く見受けられますが、一方で、大規模感染症のケースでは、事業担当部局が一義的に対応し、必要に応じて危機管理部局が対応するという傾向が見られます。中野区における体制について御答弁をお願いします。

〇田中危機管理課長 危機管理ガイドラインでは、今般の新型コロナウイルスのような、いわゆる新興感染症でございますけれども、健康危機管理対策本部、または新型インフルエンザ等対策本部におきまして対応するということとしてございまして、総務におきましても必要な支援を行うこととしてございます。

 現在でも、東京都が開催する新型コロナウイルスに関する会議の出席や必要な情報収集など、健康福祉部とは緊密な連携を図っているところでございます。今後も適切に対応していきたいと考えてございます。

〇ひやま委員 危機管理部局と事業担当部局との役割分担については、過去の健康危機発生時の各自治体の対応から様々な教訓を得ることができると思います。例えば、平成21年の新型インフルエンザのケースでは、大阪府は保健衛生部局が第一義的に対応したとされています。しかし、平時の業務を継続しながら、危機対応が求められたために、長期の危機管理対応に無理が生じた点や、学校休業や施設の自粛要請など、庁内の組織を横断した対応に際して、他の部局を動かすことが難しかった点などが課題として挙げられました。そうした過去の健康危機の教訓を区はどのように分析し、区の健康危機管理にどのように反映されているのか、御答弁をお願いします。

〇長﨑福祉推進課長 危機管理につきましては、全庁体制で迅速に対応することが何より大切であるというふうに認識をしております。今回のこの新型コロナウイルス感染症に対しましては、2月3日に中野区健康危機管理対策本部、これを設置いたしまして、その中では対応に当たっての基本的な方針というのを定めまして、区の組織を挙げて感染の予防に努め、早期に必要な対応を行うことといったようなことの方針、これを確認するほか、各部において対応すべき内容というのを示したところでございます。

 今回の事態に対しましては、様々な過去の教訓、こういったものを生かしながら、各部の役割といった点をしっかりと認識して、全庁の組織体制を駆使して対応に当たってまいりたいというふうに考えているところでございます。

〇ひやま委員 こうした過去の教訓は、しっかりと区の健康危機管理に反映させていかなくてはいけないと思います。そもそも、緊急時への備えに関してですが、現在の中野区の危機管理部局では24時間体制で365日、職員さんを危機管理課に配置し、緊急時に備えられていると聞いておりますが、現在の緊急時対応の体制について御答弁をお願いします。

〇田中危機管理課長 危機管理課におきましては、災害に関する情報収集及び連絡のために、24時間365日、非常勤職員を配置させていただきまして、緊急時に必要な連絡体制を取っているところでございます。

 また、夜間等に区民から区役所に非常の連絡があった際、宿直の職員から各部の緊急連絡先へ連絡するとともに、状況に応じまして、危機管理課へも連絡を受け、必要な対応を行うこととなっているところでございます。

〇ひやま委員 一方で、事業担当部局である健康福祉部では、平時から24時間体制で人の配置も含めた緊急時対応の体制を取られていますか。

〇長﨑福祉推進課長 健康福祉部におきましては、24時間の体制の人員配置は行っておりませんが、平時から緊急時の対応としての連絡体制、これを整えております。今回の新型コロナウイルスの感染症に関しましても、緊急時における夜間・休日の連絡網、これをしきながら、状況によっては夜間・休日においても健康危機管理対策本部、これを開催する、招集する旨、確認をしているところということでございます。

〇ひやま委員 平成21年の新型インフルエンザ発生時に、市長として対応に当たった野村宣一大阪府の元茨木市長は、新型インフルエンザは自然災害と比較して被害が時間とともに拡大することから、社会機能の回復ではなく、それを維持することが重要であり、それが非常に難しかったと述べています。危機管理部局は24時間体制で緊急時に備えられていますが、保健衛生部局は、本来の業務を継続しながら緊急時の対応が求められ、現実的に大規模感染症のような長期的な危機への対応は、体制的に課題が多いのではないかと考えますが、これらの課題について、区の見解を伺います。

〇長﨑福祉推進課長 今回の新型コロナウイルス感染症に対しましては、これまで保健所とともに健康福祉部、これが中心となって、平常業務も行いながら、関係各部への情報共有、それから連絡調整等を行ってきたところでありまして、区の組織を挙げて感染の予防に努めるという確認の下、既に保健師等の応援を含めまして、兼務体制もしきながら、機動力を発揮できる体制を整えたというところでございます。

 しかしながら、今回の感染症に関しましては、今後も感染が蔓延しまして長期化するといったようなことも懸念をされているということで、引き続き全庁を挙げた体制構築により何とか乗り切りたいというふうに考えているところでございます。

〇ひやま委員 大規模感染症といった健康危機発生時は、対応が求められる関係機関が多数に上るため、関係部局間の連携が重要であることは言うまでもありません。とりわけ保健衛生部局と危機管理部局の役割分担については、緊急時に移行する際の切れ目のない対応のために、平時から緊急時の体制を十分検討する必要があります。医療や公衆衛生といった専門的な知見を有する保健衛生部局は、技術的な判断に特化し、部局横断的な対応や判断は危機管理部局が行うといった、それぞれの強みを生かした体制を構築する必要があると考えます。区の見解をお示しください。

〇長﨑福祉推進課長 今、委員からもありましたとおり、やはりそれぞれの所管が持つ強み、こうした体制づくりを生かしながら対応しなければならないというふうに感じているところでございます。今後さらに感染が拡大しまして、区役所の様々な業務体制にも影響を及ぼす、そのような事態になった場合におきましては、中野区事業継続計画、こういったものに基づきまして、危機管理を中心とした体制になるといったようなことも想定しなければならないというふうに考えております。

〇ひやま委員 また、それに加えて、平時からの関係機関との情報共有や連携体制の構築、そして実効性のある訓練も重要です。平成30年第1回定例会本会議において、我が会派の酒井たくや議員から、熊本地震における震災対応の教訓を取り上げ、実効性のある防災体制の構築を求めました。熊本地震の際に、現場で陣頭指揮を取られた井上学危機管理監は、震災発生時に防災計画、災害マニュアル、BCPが全く機能しなかった経験から、災害時においてマニュアルを生かすも殺すも訓練あるのみと、実効性のある訓練を繰り返し実施することの重要性を強調します。これは自然災害時における危機管理だけではなくて、健康危機管理においても全く同じことが言えるのではないでしょうか。

 健康危機においても、中野区、消防、警察、自衛隊をはじめとする関係機関との平時からのガイドライン、BCP等の共有、実効性のある訓練を実施する必要があると考えます。区の見解をお示しください。

〇長﨑福祉推進課長 これまで健康福祉部では、災害時を想定した研修につきましては、保健所長を講師に都度都度行ってきたところではございます。委員御指摘のとおり、自然災害だけではなく、今回のような危機管理の体制、これに備えて職員がどのような行動を取らなければならないのか、こうしたことを習得することは非常に極めて重要だなというのを認識しております。

 今回、この状況を乗り越えた後には、機を逸することなく、次の危機管理に生かせるような様々な検証とともに、職員に対する意識高揚を目指した研修、マニュアルの整備、そういったものをしっかりと行ってまいりたいというふうに考えております。

〇ひやま委員 この項の最後に、感染症のサーベイランスシステムと情報の収集、公表についてお聞きします。

 感染症対策の法的根拠となる感染症法では、情報の収集と公表についてどのように定められておりますか。

〇向山保健所長 お尋ねの感染症法の中での感染症の情報収集、公表は、法の12条から16条の中に規定がございます。

 まず、12条につきましては、省令に定めました疾患につきましての医師からの届出、これをもって様々な防疫活動のスタートになるという条項でございまして、13条は同様に獣医師から届出の規定でございます。また、法14条では、感染症の発生状況、動向などにつきましての把握を定めたものでございまして、私ども、定点医療機関と申しますが、あらかじめ御協力いただいていて、選定をしてあります医療機関でのインフルエンザ、あるいはウイルス性肝炎等、国民の健康影響に一定のインパクトを与える疾患、溶連菌感染症を中心にとなってございますが、この発生動向を保健所は集約をし、季節性ですとか、流行状況ですとか、そういったものを分析、還元をしていくという一連のシステムの根拠になってございます。

 なお、15条は、現在ちょっとコロナで話題になってございますが、保健所職員が感染症の原因調査、拡大防止に関する質問などをいたします積極的疫学調査と言われる条項、また法16条は、特別区長、都道府県知事、国等が個人情報に十分配慮した上ということにはなってございますが、把握されたこれらの一連の感染症の情報を積極的に公表する、こういったものを規定した条項になってございます。

〇ひやま委員 第16条では、積極的にこういった情報を公表しなければならないとありますが、サーベイランスシステム等、情報の発信に関して先進的な事例としては、岐阜県の取組が挙げられます。岐阜県では、行政機関と医師会等が連携し、感染症対策に関わる情報をタイムラグなく発信するためのサーベイランスシステムを独自に構築しています。感染症に関わる情報をこのように独自に収集し、発信するシステムを構築しているのは岐阜県のみと聞いておりますが、区はこのシステムを把握しておりますでしょうか。

〇向山保健所長 岐阜県方式と呼ばれておりますお尋ねのリアルタイムサーベイランス、これ、本当にまさに岐阜県オリジナルの取組でございまして、現在まで国や都などの公式なルートでの情報提供というのは受けてございません。ただ、私も含めまして、区の保健所では、日本環境感染学会などの学会活動、または日本医師会のレポートなどを通じて把握をしてございます。

〇ひやま委員 感染症に関わる情報の発信については、やはり情報のタイムラグが課題として挙げられますが、中野区においては、感染症対策に関するサーベイランスと発信については現在どのようになっておりますでしょうか。

〇向山保健所長 区の感染症サーベイランスにつきましては、これ、都内23区、多摩地区も同様の保健所と同じ方式を取ってございまして、中野区で申しますと、10か所の定点医療機関、これをあらかじめ選定をいたしまして、1週間の上で診察した四類感染症の発生状況を週明けに保健所に通信をして報告をいただいてございます。これを集計いたしまして、翌々日のおおむね水曜日にはホームページでの公開、あるいは医師会でございますとか、保育園でございますとか、庁内関係部局等にメールなどでその結果を配信してございます。

 あと、あわせまして、こういった区からの情報をさらに東京都は、健康安全研究センターの疫学情報部で解析を加えまして、これをまた数日以内にコメントを付与する形で、東京都医師会でございますとか、各保健所にフィードバックをされている、こういった仕組みになってございます。

〇ひやま委員 岐阜県のシステムでは、新型インフルエンザといった感染症に関する情報に関して、医療機関や学校といった行政機関から毎日送られてくる情報を集計し、その日のうちにウェブ上で、地域別の流行レベルや各学校での児童の欠席状況などを公表しています。情報更新の迅速さや、住民が日々の生活の中で役立てるという点で画期的なシステムであり、平成21年に一般公開されて以来、多くの住民が利用しています。中野区においても、感染症の蔓延防止、予防に向けた、タイムラグのない情報発信、そのためのサーベイランスシステムの構築が必要であると考えます。区の見解をお示しください。

〇向山保健所長 区におきましても、学校、それから幼稚園、保育園のサーベイランスシステムというものを早期に導入はしてきてございますが、理想的には今お話しいただきましたように、より詳細な分析、それからより広域、そして迅速性の高い、また信頼性の高いサーベイランスシステムの構築といったものが極めて有用ではないかというようには考えてございます。

 また、岐阜県の仕組みにつきましては、県の医師会の中で、先ほど申し上げた定点医療機関をボランティアで登録をされる医療機関がございましたり、あるいは人事異動に左右されるようなことなく、学校の先生が非常に早い段階で自ら入力をされる、これを全校で実現をされている、あるいは大学や県の地方衛生研究所の研究者たちがこういった仕組みの解析、こういったものにも非常に熱意を持って取り組んでいらっしゃる、こういうことが全てそろった中での実現なのかな、これは私も強く感銘を受けながら、ぜひ見習っていきたいというふうに考えてございます。

 今、コロナの関係もございます。また、今後、インフルエンザの流行ということもございます。なかなかにわかに全都の仕組みということには持っていけない部分もございますが、今後、保健所長会ですとか、予防課長会での議論、さらに、今回コロナ対策の関連も含めまして、東京都も感染症予防計画など、様々な意見照会の機関があると思ってございますので、こういう場面を通じながら、システムの構築に向けた働きかけをしてまいりたい、このように思ってございます。

〇ひやま委員 ぜひ前向きに御検討をお願いします。新型コロナウイルス感染症は、国内においても感染の広がりを見せており、新たな局面を迎えています。状況が日々刻々と変化する中で、今後も中野区の総力を結集した総合的な危機管理体制が求められるものと予想されますが、一刻も早い事態の収束に向けて、引き続き関係機関と緊密に連携をとりながら取組を進めていただくことを強く要望いたします。

 以上で私の全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

〇山本委員長 以上でひやま委員の質疑を終了します。

 次に、小林ぜんいち委員、質疑をどうぞ。

〇小林委員 令和2年第1回定例会予算特別委員会におきまして、公明党議員団の立場から総括質疑をさせていただきます。

 質問は通告どおりですけれども、その他5番はありません。それから、一般質問もあり、そして総括質疑も2日目最終となってきましたので、これまでの方々と重複する質疑も一部あるかとは思いますけれども、質問の都合上、お聞きすることがありますので、よろしくお願いいたします。

 初めに1番、令和2年度の予算について、(1)として、財政運営の考え方についてお伺いをいたします。

 新型コロナウイルス感染が世界的な大問題となり、日本でも発症者、お亡くなりになられた方々が出るなど、深刻な状況になってきています。お見舞いを申し上げます。

 政府は、昨夜、新型コロナウイルス感染対策の基本方針を発表しました。区内でも地域行事の中止や、区民生活、そして地域経済にも多くの影響が見られ始めています。

財政運営を考えるに当たり、基準となる一般財源規模は、将来にわたって持続可能な区政運営を行う上で、極めて重要な財政規律の基になるものと考えます。単なる単年度の収入見込みでなく、政策的な財政支出のベースラインを決めるものである以上、中長期の手堅い予測に基づいて策定されるべきものだと思います。この財源規模を課題に見れば、一般財源充当の経常事業が上回り、財政不安の原因となるとも考えます。

 昨年8月の総務委員会に報告された資料、中野区基本構想審議会の検討状況についてを見返してみますと、基本構想を検討する資料として、10年後の令和11年に新規事業が57億円と、令和元年と比較すると、半減する数値が示されています。令和2年度予算案で、基本構想や基本計画の議論も定まらないうちから、各種の個別、分野計画について、調査検討のコンサルタント委託が多数見込まれています。財政的に何の責任もないコンサルのつくる計画は、区政全体の長期的な展望や政策的な整合性には配慮されていないと考えます。令和2年度、今回の予算編成は、何をもって編成されているのでしょうか。

 当初予算案の概要によると、令和2年度においても、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)の行財政運営の基本方針に基づき、区の歳入状況から、基準となる一般財源規模を定め、これを歳出の基準として、将来の安定的な財政運営を見据えて編成したと。一方、まだ策定されていない新しい基本構想及び基本計画が形になっていない現段階で、今後の財政運営手法については、令和2年度は新しい基本構想及び基本計画が形になっていく年です、新しい基本構想で描く中野のまちの実現に向けて新しい基本計画の取組を着実に進めていくため、これまでの財政運営手法を検証し、持続可能な区政運営に向けた考え方について、新しい基本計画において明らかにしたいと考えているとあります。これは基本構想の素案の中で示されている、最少の経費で最大の効果を上げる持続可能な財政運営の考え方になっているのでしょうか。整合性がないように思います。

 新しい基本構想及び基本計画が未策定の段階で、本予算は、基本姿勢は何をもって積み上げているのでしょうか、伺います。

〇森財政課長 令和2年度予算編成に当たっての積算の根拠というか、考え方でございますが、中野区の新たな区政運営方針におきまして、新しい基本構想等を策定するまでの間の区政への基本的な考え方というのを方針のほうで示しているということでございます。

 その中で、新しい基本構想等が策定されるまでの間の財政運営については、新しい中野をつくる10か年計画(第3次)の行財政運営の基本方針を継承し、財務規律を明確にした運営を行うとしておりまして、これにのっとった形で予算編成に取り組んだところでございます。

〇小林委員 10か年計画を基にというんですけれども、あまりにもその思想とはかけ離れているのかなというふうに思います。

 基金の残高があるから心配ないという考え方は取れないし、そして歳入の年度間調整に対応できる基金は財政調整基金です。特定目的基金は、20年、30年先を見通して、安定的に区民の生活基盤やサービスを守り、向上するための蓄えであり、慎重かつ着実な基金の運用が求められています。概要の基金残高の推計から、主な基金の積立て、繰入れ計画の残高合計を差し引くと、令和3年度には162億円、令和5年度には43億円、そして令和6年度には基金と起債が逆転し、マイナス73億円となります。起債残高は726億円と非常に大きくなっています。これを負担する世代間負担の公平化、実質負担増をどのようにお考えでしょうか、伺います。

〇森財政課長 世代間負担の公平化につきましては、公共施設等について長期にわたって使用をしていくものでございまして、その施設等により便益を受けることとなる将来世代と現役世代との間の負担の公平化を図るというものでございまして、起債がその目的、役割を一定果たしているというところでございます。

 区におきましては、起債発行に当たっては、公債費が区民サービスに影響を及ぼさないように、公債費負担比率をおおむね10%以内で運用をすることとしておりまして、適切な財政運営を進めているところでございますし、また今後もそのように取り組んでいく考えでございます。

〇小林委員 聞かれれば、そう答えざるを得ないというふうに思うんですけども。今の状況って、すごく危うい話を私は先ほどしたつもりなんですけども、これでは財政規模をいたずらに膨らませた結果、最終的に財政破綻寸前の状態となった20年前の某区政と一緒になってしまうと思います。

 新型コロナウイルスによる世界規模の社会的混乱やリーマンショック以来の経済危機が発生するといった、持続可能性を視野に入れたとき、2年度の予算案を、歳入は本当に大丈夫なのでしょうか、議論は尽くされていたのでしょうか、伺います。

〇森財政課長 新型コロナウイルスも含め、また海外の経済状況等、社会情勢は区の財政に大きく影響するものと認識をしております。国の動向、また社会情勢による歳入の変動についても、当然、最大限注視していく、そういうことが必要と考えておりまして、それに応じた形でしっかり対応し、安定した財政運営に努めていきたいと考えております。

〇小林委員 当初予算を作成したとき、また概要を策定したときから比べると、今の中野区の情勢も大きく変わってきていると思います。そうした中で、議論が十分尽くされて、この概要が作成されたというふうには私は思っていないです。

 一般財政ベースの財政フレームを見ると、令和6年には、歳入では、特別区税、特別区交付金は現在とあまり変わりませんけれども、特別区債は伸びる一方で、歳出で義務的経費、特に公債費と新規・拡充、基金積立ても大きく伸びています。令和7年、2025年には、教育のほかに、子育てのほかに、医療、介護などの社会保障費の増大が見込まれ、区の財政負担は増すことは避けられないと思います。

 こうした財政計画で、公債費負担比率、先ほどおっしゃっていましたけれども、10%以下に抑えていこうとしても、財政全体の歳入歳出、事業内容を見るとき、本当に将来にわたってできるのでしょうか。10%以下に抑えていくことができるんでしょうか。事業などを考えたときに、お伺いします。

〇森財政課長 今後、社会経済状況の大きな環境変化があった場合でも、財政規律として一つ定めております公債費負担比率をおおむね10%以内に維持するということは必要だと考えております。

 将来の財政見通しもしっかり踏まえながら、その考えに沿った形、その考えに沿った取組を財政運営の手法も含めて、基本計画の中で定めていく考えでございます。

〇小林委員 財政的な見通しも顧みずに、様々な計画を動かして、財政規模をいたずらに膨らませた結果、先ほど言いましたけれども、最終的に財政破綻寸前の状態となった20年前の中野区政の再現にほかならない。20年前のようなことが起こっていかないとした見通しは、きちっとした根拠はあるんでしょうか、保証はあるんでしょうか、伺います。

〇森財政課長 中長期的な財政見通しを踏まえまして、基本構想・基本計画を策定していくとともに、これまでの財政運営手法を検証しまして、持続可能な行政運営の考え方を定め、必要な改善を行って、かつてのような形にならないように、財政規律の徹底を図っていく考えでございます。

〇小林委員 大事なことは、計画的な積立てと、どの事業を行い、何を切り詰めていくのか。スクラップ・アンド・ビルドというふうに区ではおっしゃっていますけど、これを反映させることが大事な今時期というふうに考えています。

 基本計画は、財政的な裏づけが示され、持続可能性を十分検証しながらつくっていくべきものであり、その上で、その計画を前提として、各種の分野計画の検討が進められるべきである。基本計画を縛るような個別計画の策定、先につくってしまうことによって基本計画を縛るような個別計画の策定が多数見込まれた予算案には納得できない点が多いと考えています。

 (2)の基本構想・基本計画等の作成については、総務分科会のほうでさせていただきたいと思います。

 (3)その他で、初めに、自治基本条例の再生についてお伺いいたします。

 区長は、平成30年6月、第2回定例会の施政方針説明で、中野区は自治基本条例を制定し、区民の区政への参加の権利を保障し、参加の仕組みをつくってきましたと述べ、公約などでも、区民参加の在り方、区のトップの姿勢について問い、有名無実化してしまった自治基本条例の再生を目指して、区民参加による自治基本条例再生会議を設置しますと言われています。自治基本条例は、区の憲法と言われるほど重要な議決事項であると考えます。

 初めに、再生を目指した区民参加による自治基本条例再生会議の設置の状況の進捗状況を教えていただけますでしょうか。

〇杉本企画課長 区民の区政への参加の権利を保障し、対話と参加の区政を実現するために、これまでタウンミーティングや子育てカフェ、基本計画策定における概要段階での意見交換、予算編成過程の公開などの運用面での工夫に取り組んでいるところでございます。

 こうした取組を踏まえまして、区民参加による会議におきまして、自治基本条例の改正が必要かどうかを含めた議論をしていただきたいというふうに考えてございます。会議の開催時期、検討内容等につきましては、基本計画の策定過程を踏まえ、今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。

〇小林委員 いやいや、取り組むんじゃなかったんですか。これからって、話が違うなっていうふうに思うんですけれども。

 そもそも自治基本条例については、どのような位置付けを考えていたんでしょうか。

〇杉本企画課長 自治基本条例は、中野区の自治の原則や区政運営の基本となる事項を定めていることから、他の条例、規則等の制定、改廃に当たっては、自治基本条例の趣旨を尊重し、整合性を図るものと位置付けているものでございます。

〇小林委員 区長は、自治基本条例の再生を目指して、区民参加による自治基本条例再生会議を設置しますというふうに言っているんですよ。だからこれを基にして、今ある自治基本条例をじゃなくて、新しいもの、再生会議をつくってやっていきますよって言っているんですよ。本来、自治基本条例の再生を行い、その上で中野区基本構想を策定し、その上で中野区基本計画の策定を行っていく。自治基本条例、そして基本構想があって基本計画、そして各部各課からの事業構想、分野計画が定まっていくものではないでしょうか。

 自治基本条例と中野区基本構想・基本計画等の整合性をどのようにお考えでしょうか、伺います。

 要するに、今、一連にして、一緒にやっていくという話が出ていますけれども、本来は別々のものである。別々って言い方が誤解されるといけませんけれども、それぞれがきちんと上位からなってきて――さっき、若林委員も言っていましたかね。そうしたものが出来上がっていく中で、一つひとつの計画が実行されていく。それが自治基本条例を再生していくということを考えたときに、この整合性、どのように考えますか。

〇杉本企画課長 現在検討中の基本構想・基本計画につきましては、策定過程における区民参加を確保するため、タウンミーティングの実施など、運用面の工夫をしているところでございます。

 自治基本条例の改正の必要性ですとか、具体的な区民参加の在り方の具体的手法等につきましては、今後設置する会議で議論していただき、区としての考えをまとめていく考えでございます。

 検討の結果、自治基本条例と今後策定する基本構想・基本計画との整合を図る必要がある場合には、必要な手続を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

〇小林委員 いや、ちょっとかみ合っていないんですけど、再生会議を設置しますと、再生を目指して設置していきます――いえいえ、タウンミーティングなど、やっていくからいいでしょうという話ではなくて、そして、これから必要があるかないか、やってみて考えますというのは、そもそも出だしが違っているんじゃないの。基本構想・基本計画をつくるんだったら、自治基本条例を一番最初に取りかからなくちゃいけなかったんじゃないのというふうに私は考えています。整合性を求めて、この項の質問を終わります。

 もう一点、別な角度からお伺いいたします。

 SDGsの視点に関わる予算についてお伺いします。

 区長は、施政方針説明で、2015年の国連サミットで、持続可能な開発目標として採択されたSDGsは、2030年までに達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されておりと、SDGsについてはほんの少し触れています。

 SDGsには、貧困、飢餓、保健衛生、教育、また地球温暖化、生物多様性、持続可能なまちづくり、雇用と経済成長、クリーンなエネルギーなど、区としても率先して取り組むべき目標が多数含まれています。

 基本構想で、10年後に目指す姿として、誰一人取り残されることのないというのであれば、SDGsの視点、言うなれば、今一番大事なバックキャスト、未来のあるべき形から今やるべきことを考えることをもっと明確に示し、力強い事業の予算化があってよかったと考えます。いかがお考えでしょうか、伺います。

〇森財政課長 基本構想・基本計画の策定におきましては、SDGsの視点を踏まえながら検討しているところでありまして、パートナーシップによる目標の達成など、SDGsの大きな理念に沿った内容とする予定でございます。

 今後、新しい基本構想で描くまちの姿の実現に向けまして、基本計画の取組を具体化していくことに併せまして、必要な予算化につきましても検討していきたいと考えております。

〇小林委員 なぜSDGsかといいますと、2030年までの目標なんですね。今、2020年。この10年間なんです。2025年という大きな課題がある。それから5年後の30年。そして、その先には2045年とか50年とか、いろんな課題がある。今一番大事な、私たちの生活に及ぼす岐路に立っているんです。なので、SDGsが一番私たちが身をもって感じ、そしてそれを私たちの区政の中に生かしていかなきゃならないと考えているからであります。表題だけで終わらないように求めます。

 次に、施設マネジメント事業についてお伺いいたします。

 施設マネジメントは、今後、廃止する施設をどのように利用し、新設する施設をどのように整備していくのか。区の財政運営と区有財産全体を視野に入れて、具体的に決めていくアセットマネジメントだと思います。区有施設は、政策の現れであり、具体的な政策展開が明確にならなければ、必要な施設も不要な施設も決まらないと思います。政策展開を基本構想に基づいてどのようにお考えでしょうか、伺います。

〇杉本企画課長 区有施設配置につきましては、基本構想及び基本計画において検討しております政策体系と整合を図るものと考えてございまして、こうした考えに基づきまして、今後5年間の具体的な施設の新設、更新の内容や、今後10年間の施設整備の方向性などを施設整備計画としてまとめていきたいと考えてございます。

〇小林委員 政治的な判断で、前提がころころ変わってしまうものがあります。例えば、新児童館など、施設の考え方も規模感も決まっていない施設も多くあります。その時々の政策判断で、施設の在り方や使い方が変化することは止めようがありません。施設の規模や配置だけ固定して、全てその範囲で賄うというのも難しいと考えます。少なくとも基本計画も定まっていない段階で、どこまで計画ができるか、疑問があります。そのような検討をどうコンサルタントにさせるのでしょうか、伺います。

〇杉本企画課長 施設配置計画と策定支援業務委託におきましては、区職員が作成する計画案に基づきまして、跡地活用における建築可能規模の精査や、区が作成する計画案に関する冊子作成検討資料の情報収集などにつきまして、専門的な知見を有する事業者から支援を受けることを考えているものでございます。

〇小林委員 もうできていて、それを示す、その上で、何と何をコンサルにというのなら分かりますけども、まだ示されてもいない中で、来年度、コンサルにやってもらいます、それってないんじゃないの。今おっしゃったような基礎的なことは、職員でみんなできるはずですよね。職員、優秀な方々いっぱいいらっしゃるんだから。何かで忙しいとか、こっちがということではなくて、これまでの1年間の中で、少なくともできてきたはずですし、そうしたことを施設マネジメントとしてきちっと、コンサルに委託していくんであれば、そのベースができていなければならない。それも議会側には報告がない中で行っていく。これからやりますって言ったら、コンサルに委託するときには、来年の今頃になっちゃうんじゃないのというふうにも思うわけです。

 施設の廃止や新設など、区の財産運営を区有財産全体を視野に入れたアセットマネジメントを要望して、この項の質問を終わります。

 2番目に、教育施設整備について。初めに学校施設整備についてお伺いいたします。

 区は、学校の建て替えの財源について、起債するとのことですが、私はできる限り基金で対応すべきと考えています。起債する理由について、世代間の負担の公平化、さっきも挙げましたけれども、理由に挙げていますが、区が起債するということは、これから30年以上も続く建て替えの中で、それを支える世代、プラス、その後の世代は、当該年度の一般財源と利子分を含む後年度の公債費を負担することになると考えます。前世代の多くの人や現世代、これまでの人たちや私たちは、既にある学校を使うだけで、これまで学校建設経費をほとんど負担してきていません。都区財政調整制度では、施設建設費の償却は、一律50年で需要額算定されていると聞きます。本来、施設の更新費用は、基金の積立てや資産活用で基本的な部分を賄うべきではないでしょうか、伺います。

〇森財政課長 平成30年度から中野区立小・中学校再編計画(第2次)に基づきまして、学校施設の建て替えが本格的に進められているところでございます。令和2年度、来年度以降、5年間の歳出事業費ベースでは約500億円が予定されておりまして、財政負担が大きなものとなるものでございます。

 区民サービスを停滞させることなく事業を進めるために、基金と起債を計画的にバランスよく活用し、後年度に大きな影響を及ぼさないように取り組んでいくことが必要だと考えているところでございます。

〇小林委員 後年度に影響を及ぼさないと言いながらも、公債費、負担比率の10%の中で抑えていくと言いながらも、最大になっていく、そうした状況をどのように本当に考えているのかな。起債を起こしていく、安易に起債を起こしていくということに対する懸念を払拭できないのは私だけでしょうか。

 今後、高齢化の進行で、医療、介護、福祉など固定的な経費は膨らみ続けます。また、満足度を追求する子育て先進区も、お金はかかることは目に見えています。少子化に伴い、負担する就労人口は減り、高齢者の割合が増えれば、担税力も下がっていきます。将来の世代は、現世代のケアのための経費も新たに増え、子育て支援の経費も負担する、学校の建て替え経費も負担させられる、これは世代間の負担の不公平化ではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか、伺います。

〇森財政課長 先ほどの御答弁と少し重なるところもございますが、公共施設等は長期にわたって使用するものでございまして、その施設等により便益を受けることとなる将来世代と現世代との間の負担の公平化を図るという世代間負担の公平化、この役割、目的を起債が果たしているところでございまして、起債につきましては、公債費負担比率10%の範囲に収まるような形で、慎重に進めるとともに、基金についても適切に活用していきたいと考えているところでございます。

〇小林委員 私たちはこれまで経験していないんですよね、世代間の負担、公平化ということについて。だからここで言っているんです。これまでの私たちは、つくることについて負担をしてなかった。しかしながら、今現在、行われている新たな施設には、これまでの計画と違って、起債を起こしていくということになると、その分も負担もこれから先に増えていく。今言いましたように、少子高齢化になり、就労人口は減り、そして高齢化が進んでいく。そうした中で私たちは、これからの世代は、子や孫の世代のことですけれども、税に転嫁されてまで、子育て世代は子どもの代までこんな中野に住み続けていきたいでしょうか。今さえよければよいのではということはないのではないでしょうか。学校建て替えのように、30年以上先まで需要が見えている経費、負担の先送りは避けるべきと考えます。

 区長は、公約で、基金の使い道は区民参加で決めますとしています。学校建設に関わる義務教育施設整備基金も、区民参加で決めたのでしょうか、伺います。

〇森財政課長 基金の活用も含め、財政一般につきましては、広く区民の意見を聞き、予算編成を進めていく必要があると、そう捉えておりまして、また予算編成過程の公表もしているところでございます。

 起債活用や基金活用につきましては、今後検討していきます、策定していきます基本計画の中で、財政運営の考え方を示していくということでございますので、その策定過程においても、区民の意見を聞きながら進めていきたいと考えております。

〇小林委員 広く一般、区民の皆さんに聞いたと言うけど、私、聞かれていないなというふうに思っているんですけど。特定目的基金の現在高では足りないとしても、規律ある財政運営を行えば、毎年度、3から5%の収支差額が残っていく。そして基金の積立原資に回ります。利子を払う、借金である起債と、利息がつく基金の活用を比べれば、起債先行で利子分をプラスして負担するより、利子分の負担のない基金を計画的に積立て、そこから繰入れを先行するほうがよいと考えますが、いかがお考えでしょうか。

〇森財政課長 繰り返しになるところもございますが、一時的に多額の費用を必要とする施設建設などについては、財政負担の平準化と世代間負担の公平化を図る観点から、起債を活用する考えでございます。

 起債発行につきましては、公債費が区民サービスに影響を及ぼさないよう、慎重に取り扱いまして、公債費負担比率おおむね10%以内で運用することといたしまして、起債と基金をバランスよく活用して、適切な財政運営に努めていきたいと考えております。

〇小林委員 さっき言いましたけど、令和6年には、起債残高は726億円になる計画が示されているわけですよね。700億ですよ。700億の借金を抱えた中野区の状況って、今じゃないんですよ。20年前なんですよ。これまで私たちはどんな区政に対する思いがあったのかということは、それを見ずとも分かると思います。学校の建て替え終了と同時に、建て替えのための区民の負担は終わらせることができる、これが将来の人口減少時代に向けた備えではないでしょうか。

 先ほども述べましたが、様々な計画を動かし、財政規模をいたずらに膨らませた結果、最終的に財政破綻寸前の状態となった20年前の某区政の再現にほかならなく、これを取り戻すために区民には大きな負担を強いることになりました。書いてありましたけど、今の答弁を聞いて、同じことを今言ってしまいました。

 基本計画は、財政的な裏づけが示され、持続可能性を十分検証しながらつくっていくべきものであり、その上で、その計画を前提として各種の分野計画の検討が進められるべきであると考えます。学校施設についても、財政的負担軽減を求め、次の質問に移ります。

 次に、平和の森小学校の移転、供用開始についてお伺いします。

 1月31日の総務委員会で、旧法務省矯正管区敷地の取扱いについて報告がありました。報告では、旧法務省矯正管区敷地の取扱いについては、区は、令和元年度予算に用地特別会計で購入する――中野区へ売却予定となっていましたが、コンクリート等の瓦礫類が出土したため、掘削調査の本調査を令和2年1月まで実施することになり、売買契約の締結が困難になったとのことでした。

 財務省から通知文、普通財産の処分価格等の明確化に係る手続については、いつ届いたのでしょうか、伺います。

〇吉沢用地経理課長 平成30年9月18日付、財務省理財局通達の普通財産の処分価格等の明確化に係る手続についてに基づき、関東財務局が地下埋設物等の試掘調査、いわゆるボーリング調査をしたところ、コンクリート等の瓦礫類が出土したため、その報告が昨年7月25日にありました。その後の、昨年10月から本年1月にかけまして、同じく関東財務局におきまして、掘削調査、本調査を行い、その結果、地下埋設物等の撤去対策費用の見積額が3,000万円以上になるということが見込まれたため、その撤去対策費用及び不動産鑑定価格につきまして、財務本省による第三者チェックが実施されることということになったものであります。

〇小林委員 たしか購入契約は、令和3年4月以降になるようですけれども、平成31年度予算に計上され、補正減額された約100億円余については、次回はいつ予算化される予定でしょうか。

〇吉沢用地経理課長 現状では、売買契約締結を令和3年4月以降に予定させていただいているため、用地購入経費につきましては、令和3年度当初予算に計上する予定であります。

 ただし、売買契約締結が早まるようでありましたら、令和2年度中の補正予算での対応とさせていただきたいと考えております。

〇小林委員 私は、昨年のこの予算特別委員会総括質疑の中で、売買契約をされるという予定になっている敷地、学校用地、そして都市計画道路というか、避難道路、そしてまちづくり用地ということで、三つの種類の敷地があることについてお聞きしました。

 その確認ですけれども、地区施設道路が学校敷地内の間に挟まれる形で購入することでしたけれども、そのことの変更はありませんか。

〇吉沢用地経理課長 委員御紹介のとおり、変更はございません。区は財務省に対しまして、平成30年8月に取得要望を行いましたが、昨年6月の国有財産関東地方審議会への諮問を経まして、中野区が売却処分の相手方ということで決定をされたところでございます。

〇小林委員 今回の用地取得の遅れで、今後どのような形で購入することになるのでしょうか。

〇吉沢用地経理課長 こちらも特に変更はございません。区は、財務省から公共用途に供する一団の土地としまして、用地特別会計で購入するものであります。取得した後、事業化する際に、各所管におきまして、事業に合わせて一般会計で買い取るということになるものでございます。

〇小林委員 分かりました。きちっとした買取りができることを望むところです。

 旧法務省矯正管区敷地には、旧中野刑務所の表門があります。表門のこれまでの経緯、現在の状況、取扱いについてお伺いいたします。

〇藤永文化・国際交流課長 区は、昨年1月に旧中野刑務所正門の現地保存方針を決定したところでございます。その後、昨年5月から10月にかけて実施した旧中野刑務所正門学術調査において、門の曳家については技術的に可能であることが分かりました。このことにより、当初の区の方針決定に係る前提の一部に変更が生じたため、区は現在、門の取扱いについて再検討を行っているところでございます。

 昨年12月に区は、教育委員会に対して、旧中野刑務所正門に係る文化財的価値並びに保存及び公開について意見を聴取しました。区の意見聴取を受け、教育委員会は本年1月、文化財保護審議会に対して諮問を行ったところでございます。

〇小林委員 中野区文化財保護審議会でこれから審議していくということかと思いますけれども、その状況についてお伺いいたします。

〇藤永文化・国際交流課長 本年3月10日に文化財保護審議会が開催する予定でありまして、この会において教育委員会からの諮問を報告し、旧中野刑務所正門の文化財的価値並びに保存及び公開についての審議が始まるところでございます。

〇小林委員 これから審議されるということですけれども。現在の表門、今ある、そのままになっている表門は、中野区の指定文化財に値するのでしょうか。国の重要文化財や東京都の指定文化財に値するのでしょうか、伺います。

〇藤永文化・国際交流課長 文化財指定に値するかどうかについてでございますが、繰り返しになりますが、旧中野刑務所正門の文化財的価値については、まさに本年3月10日よりのこの文化財保護審議会において審議される予定でございます。

 国の重要文化財や東京都の指定文化財に値するものなのかどうかについては、まず区の指定文化財になっていることが前提であり、その上で国や東京都の審議会で審議され、判断されるものでございます。

〇小林委員 それからもう一つ、門の曳家について、要するに移動していく、引っ張っていくって単純には言えないんですけども、曳家について、技術的に可能であることの報告が、令和元年11月の区民委員会でありました。具体的に検討はいつから、どのように始まったのでしょうか。

〇藤永文化・国際交流課長 具体的な曳家検討の始まりについてでございますが、議会において曳家を含めた多角的な検討をすべきではないかという御議論がございました。これを受け、本年度、実際に現地に立ち入った上で、専門業者の調査を実施するなどの具体的な検討については、この旧中野刑務所正門学術調査において実施したところでございます。

〇小林委員 その曳家になった場合、門の文化財的価値はどのようになるとお考えでしょうか。

〇藤永文化・国際交流課長 建物の保存については、文化財保存の原則である真正性の視点から現地で保存されることが望ましいものでございます。建物を保存するということは、その建物が建てられた経緯や、土地の履歴といった歴史も継承し残すということであり、現地保存を原則とする考え方が前提であるためでございます。このため、曳家を行った場合は、真正性の視点から、現地保存により一定程度文化財的価値は低下することになると考えてございます。

〇小林委員 そうすると、曳家の場合に、曳家をするための財源は、特定財源はあるのでしょうか。ない場合は一般財源だけになるのでしょうか。あわせて、活用できる基金はあるのでしょうか、伺います。

〇藤永文化・国際交流課長 曳家の財源についてでございますが、曳家を行う経費につきましては、特定財源や活用できる基金は見当たりません。全て一般財源であると見込んでいるところでございます。

〇小林委員 曳家にすることによって文化財的価値も下がり、一般財源で区民の税金をかけて行うならば、技術的、工法的に、もっと早く安くできる方法も早急に検討すべきだと思います。

 曳家といっても、ただ単にはできない。あれだけの重量物を移動していくということは、それなりの補強をしなければならないし、地盤面もそれなりの、高速道路以上のような荷重のかかる地盤面をつくって引いていかなければならない、数億かかるとも言われています。果たして、それがいいのかどうか。あわせて、ほかの方法もあるんではないかというふうにも考えます。

 平和の森小学校の施設整備計画は、これまでどのような経過だったのでしょうか、お伺いします。

〇塚本子ども教育施設課長 平和の森小学校の校舎につきましては、平成17年に策定いたしました中野区立小・中学校再編計画におきまして、野方小学校、沼袋小学校が統合する平成23年4月までに、野方小学校校舎を改築し、現在の平和の森小学校の敷地に新校舎を整備する、そういった計画でございました。

 その後、平和の森小学校に隣接いたします法務省矯正研修所、こちらが平成25年度までに移転をする、そういった計画を受けまして、平成20年度に新校舎の整備方針を変更し、法務省矯正研修所跡地に平成28年度の供用開始をめどとして新校舎を整備する、そういった変更を行いました。

 その後、法務省矯正研修所の移転計画が伸びまして、最終的には平成29年度に移転が完了したことを受け、平成30年度から用地購入の手続、そして新校舎整備の基本構想・基本計画の検討に着手をしたものでございます。

 新校舎整備予定地内に存する旧中野刑務所正門は、現地保存する、そういった方針の下、新校舎整備基本構想・基本計画案を作成したところでございますが、現在、門の保存方針につきましての再検討作業が続いていることから、新校舎整備の設計作業等につきましては、一時的に中断をし、門の取扱い方針が定まった上で進めていくこととしてございます。

〇小林委員 平和の森小学校移転、供用開始に向けて、今、遅れていますけれども、今後どのように進めていく予定でしょうか、伺います。

〇塚本子ども教育施設課長 旧中野刑務所正門の取扱方針が定まり次第、その方針に基づいて、速やかに新校舎の基本構想・基本計画の策定に向けた作業を進めてまいります。その後、基本設計、そして実施設計を策定した上で、新校舎の着工といったところで見込んでいるところでございます。

〇小林委員 まだまだ先になるということですよね。これだけ遅れるのであれば、私は現地建て替えの案についても考えてよかったんではないかというふうに思います。

 平和の森小学校の移転、供用開始には、これからもかなりの時間がかかる。今後区の財政も厳しくなっていく。そうした中で、児童を通わす保護者からは、再編時から見ると、児童数も大きく増え、増築にも税金が使われ、一体いつになったら校舎ができるの、不信が募りますといったお声も聞いています。

 現在の平和の森小学校敷地には、この間、事情変更により、敷地の今後について白紙状態かと思います。施設マネジメントの観点から、現在の平和の小学校敷地はどのように考えているのでしょうか、伺います。

〇山本委員長 委員会を休憩します。

午後4時35分休憩

 

午後4時35分開議

〇山本委員長 委員会を再開します。

 

〇杉本企画課長 1月に総務委員会に御報告いたしました今後の区有施設の整備の考え方についてにおきまして、区立学校の跡地活用の方策についてお示ししたところでございます。

 平和の森小学校を含む学校の跡地活用につきましても、この方策に基づきまして、学校建て替え用地、大規模施設の整備誘導、公共施設の移転、集約化、複合化、防災まちづくり、公園などのほか、貸与や売却も含め、検討していく考えでございます。

〇小林委員 学校もかなり遅れ、敷地についてはこれからマネジメントの中で考えていく。そして、学校はまだまだ、いつ建つか分からないという中で、いずれにしても、旧中野刑務所の表門の問題については、少なくとも考えていかなければならない大きな課題だというふうに思います。早急に判断をして、平和の森小学校の建て替えはどんどん遅れていかないように、地に足のついた、真っ当な検討を急ぐことを、早期に供用開始のできるだけ最大限の工夫を強く求めて、次の質問に移ります。

 3番目に、中野駅新北口駅前エリア再整備について、初めに中野駅新北口駅前エリア再整備についてお伺いいたします。

 中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画については、この1月に策定され、2月7日から民間事業者の募集が始まったと聞いています。酒井区長が就任された平成30年6月以降、中野サンプラザの在り方やアリーナの見直し、民設民営や定期借地権など、様々な議論が行われてきましたが、基本的な方向性は変わらなかったようですが、私は結構委縮したな、小ぢんまりしてしまったなという印象を持っています。

 中野駅周辺のまちづくりについては、歩みを止めることなく進めることが大事だと思っていますので、そういったスタンスから質問をさせていただきます。

 2月6日に行われた区長の記者会見では、新年度予算の概要とともに、民間事業者の募集について取り上げられていました。その記者会見資料を見ますと、募集の概要とFAQ、よくある質問と回答があり、今回の募集に関してだけでなく、事業全般の内容も入れられています。

 「中野サンプラザはどうなるのですか。区民が使える施設はあるのですか」などの質問に対し、区長はできるだけ分かりやすく答えるようになさっているのは分かりますけれども、その中で私は、「中野区役所や中野サンプラザの土地はどうなるのですか」という問いと、「定期借地権方式はできないのですか」、この二つの問いに目が止まりました。

 初めに、「土地はどうなるのですか」という問いにどのようにお答えしたのでしょうか、伺います。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 ただいま御紹介いただきました、よくある質問の回答そのままを読ませていただきます。

 第一種市街地再開発事業は、権利者が所有する土地や建物の権利を等価で新しい土地や建物の権利に置き換える権利変換方式を基本とし、権利を残さない場合は転出補償金として等価で金銭に換えることができます。新区役所整備の財源を生み出すため、中野区役所、中野サンプラザの権利を一部転出して金銭を得ることを考えています。土地や建物の権利は、中野区役所分はできる限り残すものとし、中野サンプラザの転出分で必要とする金額を得るものとしたいと考えています。今後、必要とする金額や地価の動向などを見極めていきます。事業後も土地や建物の権利を残すことで、資産を適切に活用するとともに、将来の建物の更新の際にも権利者として関わっていきます。

〇小林委員 今お答えをしていただきましたけれども、中野区役所分については、土地そのものでなく、土地や建物の権利をできる限り残したいということで間違いないでしょうか。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 権利変換方式は、土地は建物の権利を等価で置き換えるものでありまして、土地は共有、建物の床は区分所有が原則となります。

 なお、エリア全体の街区再編を行うため、地権者それぞれの土地も現在の位置そのままではなくなるものでございます。

〇小林委員 原則とのことですので。区分所有となる床についてはどのようにお考えでしょうか。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 中野駅新北口駅前エリアの再整備事業計画、これは権利変換により保有する資産につきましては、今後の計画、調整の過程で、公的資産の有効活用や公共施設の適正配置の観点から総合的に判断するものとし、土地のみの所有も視野に入れて検討するとしているものでございます。

〇小林委員 区長の一般質問の答弁の中で、事業者に土地のみに権利変換する場合の考え方を提示することを求めているとしていましたけれども、この提案をどう扱うつもりなんでしょうか、伺います。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 民間業者の募集に当たりまして、再整備事業計画に基づく提案書に加え、土地のみに権利変換する場合の考え方を提示してもらうことにしております。これは審査の対象外としているものでございますが、今後、資産の活用の在り方を検討していく上での参考にしたいと考えております。

〇小林委員 参考にしていくということですけれども、先ほどの件なんですけども、民間事業者の提案に上がってくることを想定しているのでしょうか。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 権利床の活用は地権者の意向次第でございまして、具体的な提案が上がってくるということは考えにくいと考えています。それぞれの地権者が、自らの資産活用を検討していくことが必要になります。

〇小林委員 民間が公共公益的な機能を提案することも考えられますし、区が床を活用することになると、ランニングコストの負担も気になるところであります。床の活用については慎重に検討することを要望しておきます。

 次に、定期借地権の回答を教えてください。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 同様に、回答そのままを読ませていただきます。

 定期借地権とは、借地借家法に定められた期限付の借地権のことで、近年、定期借地権を活用した開発事例が見られます。土地を保有しながら、地代を一括前払いでも受け取れることがメリットと言われています。しかしながら、定期借地権の設定のみで事業を進めることは、①開発条件によって地代金額が変動すること。②複数いる地権者の合意形成に時間を要すること。③任意の事業となるため、都市計画事業に位置付けられないこと。④国や都の交付金が見込めず、事業収支が厳しくなることなどにより、結果的にまちづくりや都市計画の在り方、関連事業を含む全体のスケジュールなどを見直すことになり、区が総合的に進めている中野駅周辺まちづくりの実現が困難になると考えられるためです。

 その点、第一種市街地再開発事業ですと、①従前の資産に応じた金額を確保できる。②各地権者の意向が反映され、全員の合意に基づく計画となる。③都市計画手続を経ることで、公的に認められた事業となる。④第一種市街地再開発事業に係る国や都の交付金を見込め、事業が安定することから、まちづくりを着実に推進することができると考えています。

〇小林委員 定借について、私の認識では、建物の用途に応じた収益によって地代が決まってくるものであって、用途もボリュームも決まっていない段階では、地代の金額も出しようもないと思うのですが、いかがでしょうか。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 同様の認識でございます。

〇小林委員 私は、地代を資産活用にと、高額に設定することは、その地代が賃貸料にも大きく跳ね返ってくることになり、必ずしも中野のまちづくりによい影響を及ぼすとは限らず、むしろ事業の継続性によくない影響を及ぼすと考えます。

 都市計画に位置付けられないということですけれども、これはどういうことを意味しているのでしょうか、伺います。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 都市計画を定めるということは、都市施設や市街地の開発を公的に位置付けるものとなります。規制や事業に対する法的な拘束力を持つものとなります。そのため、都市計画案に係る公聴会や縦覧、都市計画審議会の諮問・答申などの手続を経て決定するものとされておりますけれども、位置付けないとすると、それらの手続は不要となり、任意の開発計画で進めることになります。

〇小林委員 つまり、定借の設定のみで行う任意の事業だと、民間の利益が優先され、公共公益性は二の次になると考えてよいのでしょうか。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 区として、まちづくりの指導はしていきますけれども、公的な強制力は弱くなると考えております。

〇小林委員 土地は有効に活用されなければ意味をなさず、どのような土地利用をもって都市の健全な発展と秩序ある整備を図るか、まさに都市計画が重要であると考えます。現在、民間事業者は、提案に向け、知恵を絞っていることだろうと思いますけれども、単に建物を建てるのではなく、中野駅周辺のまちづくり、もっと言えば東京の都市づくりの一端を担っていることを認識して、提案に臨んでほしいものと思っています。

 策定した再整備事業計画を否定するつもりはありませんけれども、国際協力の強化の視点、グローバル都市にふさわしい拠点づくりの視点、多様な機能によってスパイラルアップしていく視点、これまで私が主張してきたことが、ことごとく委縮しています。

 今、勢いある池袋や新宿、渋谷に飲み込まれてしまい、それこそ、どこにでもある再開発になってしまわないかと懸念を抱いています。国や都からも信頼されるまちづくりを目指していってほしいと願っています。提案する民間事業者に再整備計画以上のアイデアに満ちあふれた、よりよいまちづくりの提案を求めます。

 そうした観点からすると、事業協力者も、そのほかの業者もスタートラインは同じであって、再整備事業計画を上回る、よりよい提案でないと選ばれないということでよろしいでしょうか。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 事業協力者には、再整備事業計画策定に当たって提案をしてもらいましたけれども、これにより基礎的な条件が整ったところでございます。実際の事業レベルの提案はこれからとなりますので、よりよい提案となることを期待したいと考えております。

〇小林委員 今回の民間事業者の提案では、どのような事項の提案を求めているのでしょうか、伺います。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 提案項目は、開発コンセプト、施設計画、管理運営計画、推進計画といった基本的な事項に加え、重点提案項目として、中野のシンボルとなる新たな文化・芸術等発信拠点の形成、公共公益性の向上につながる空間構成、環境性向上、防災性強化、エリアマネジメントの4点を設定しているところでございます。

〇小林委員 民間事業者募集要項を見てみますと、重点提案項目の評価点は、全体で200点、200点のうちの100点としていますけれども、今回の審査員はどのような専門の方々で構成されているんでしょうか。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 今回の審査員ですが、6名の方に委員をお願いしております。そのうち4名の方が学識経験者でございまして、それぞれ都市計画、公共空間やエリアマネジメント、ホール建築、防災を専門としている方々でございます。

 また、そのほかお二人、再開発の知見を有する会計士と不動産鑑定士の方でお願いしているところでございます。

〇小林委員 様々な知見を有する方々が審査員ということですけれども、実際に事業を構築していく上で、どのような企業と安定的な運営をするためのコンソーシアムを組むかが重要だと思います。そういったところも評価されるのでしょうか、伺います。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 提案の審査は匿名で行いますので、具体の企業名は分からないようになっておりますけれども、事業を着実に進めるために、どのような体制を組み、どのような進捗管理をしていくかといった、プロジェクトマネジメントについても評価をすることになります。

〇小林委員 長期にわたるプロジェクトであり、今回はエリアマネジメントも重要であると考えています。拠点施設の整備をしたからおしまいではなく、しっかりと腰を据えてまちづくりに取り組んでいく事業者が選ばれることを願っています。

 エリアマネジメントについては、一般質問でも取り上げられておりましたが、この中野駅周辺全体で一体性のあるまちづくりが大事であり、中野駅新北口駅前エリアでは、エリアマネジメントを誘導することになっております。それも提案のうちとなっていますが、そのほかの地区、中野二丁目、三丁目、四丁目はどのようになっているのでしょうか。

 中野四季の都市(まち)がオープンした頃には、エリアマネジメントの話がありましたけれども、結局、形になりませんでした。それぞれのデベロッパー任せだとなかなかうまく進まないのがエリアマネジメントだと考えます。大手デベロッパーがまちを丸ごと取り組んでくる例もありますけれども、中野の場合、そうはならないわけで、誰かしらが音頭を取っていく必要があります。その誰かは区が担うべきではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

〇石井中野駅新北口駅前エリア担当課長 中野駅周辺の各地区整備の道筋が見えてきたところでございます。まちのこれからの目標を共有し、価値の維持向上を図っていくためのプラットホームが必要であると考えております。今後、そうした推進体制の構築を検討してまいりたいと考えております。

〇小林委員 しっかりと構築をしていただいて、まちづくりは様々な利害を生むのが常です。中立かつ公正な立場で、区が主体的に取り組むことを願い、次の質問に移ります。

 関連して、まちづくり計画の中で、公共交通についてお伺いいたします。

 中野区は、これまで整合性のなかった交通施策を改め、基本指針策定のために、バスや自動車、自転車など、全ての交通について、都心区と広域連携の実証実験を東京都の補助金を活用して行う事業を計画しています。その中で、中野駅周辺での自転車駐車場の考え方についてお伺いします。

 初めに、中野二丁目、三丁目、四丁目など、中野駅周辺の区としての自転車駐車場の計画台数と、現在の設置台数についてお伺いします。

〇安田交通政策課長 中野駅周辺の自転車駐車場の計画台数は、中野四季の森地下約1,500台、区役所・サンプラザ地区約1,500台、囲町地区約1,500台、中野二丁目500台、中野三丁目約1,000台の合計約6,000台となっております。

 現在の自転車駐車場台数は、中野四丁目では、四季の森公園地下約1,500台、けやき通り約1,500台、中野西約1,500台と、南口側には、中野南約700台の5,300台となってございます。現在のところ、自転車駐車場の台数は充足している状況にございます。

〇小林委員 計画よりも700台ぐらい少ないということですかね。

 中野駅周辺に来る自転車の目的は、何によっているとお考えでしょうか。

〇安田交通政策課長 区が昨年度実施しました区民移動実態把握に関するアンケート調査結果では、区民の主要な日常の移動実態は、多くは通勤通学でございまして、次いで、昼間の時間帯は買い物が多く、習い事、レジャー、通院等が目的であると把握してございます。

〇小林委員 区は、令和2年度、シェアサイクル事業の導入を予算化していますが、シェアサイクルは、民間事業者が区内でも既にかなりの台数を取り組んでいます。他区では行政が関わって事業化するところも出てきています。民間は、区の事業とどのように異なっているのでしょうか、伺います。

〇安田交通政策課長 来年度、区が導入を予定しているシェアサイクルは、区内の南北交通の課題対応や公共交通の補完を目的として、都心10区が参加する広域連携事業に参加する予定でございます。

 既存事業者よりポートの設置台数や自治体間のネットワーク性において、区民の移動の利便性を考えた場合、広域連携事業が優れていると判断した結果、導入するものでございます。

〇小林委員 そうすると、シェアサイクル事業は、今、一種流行のようになってきていますけれども、事業の採算性、有効性などについて、先行事例をどのように調査、分析されたのでしょうか。

〇安田交通政策課長 区は、都心区の広域連携事業に参加する予定であり、既に実施している新宿区に対してヒアリングや調査を実施してございます。この結果、利用者としての区民の立場からは、利便性が高い広域連携事業と判断してございます。

 事業の採算性、有効性に関しましては、都心区が実施しているポートの設置台数や利用可能台数において、圧倒的に広域連携事業が優れていると判断してございます。

 例えば2018年度の利用者数は約64万人で、回数では800万回以上の利用がされており、安定した運営が確保できると考えてございます。

〇小林委員 シェアサイクルでの目的施設が駅に偏っていますし、朝と夕方ではそれぞれ方向が一方で違いますね。朝は駅に向かって、帰りは駅から離れていく。その一方に偏っていますけれども、自転車通行の双方の流れがないところ、双方の行き来がないところでは難しいと思いますが、いかがお考えでしょうか。

〇安田交通政策課長 区が予定するシェアサイクルの導入は、南北間交通の課題の対応や、公共交通を補完することを目的としてございます。このため、ポートの設置は、交通結節点となる主な駅周辺を予定してございます。例えば中野駅から沼袋駅間など、交通機関相互のスムーズな移動に利用することなどを想定してございます。

 利用開始と返却はポート設置場所でしか行えないため、例えば住宅地内の自宅から中野駅への通勤通学を主に利用することはほとんど想定していないと考えてございます。

〇小林委員 自宅と駅の間を行き来するということは考えていないということですけれども、シェアサイクルは公共交通を補完すると言いますけれども、駅前にポートを設置することは、通学や通勤がメインになり、公共交通を補完することにはならないのではないでしょうか、伺います。

〇安田交通政策課長 繰り返しになりますが、ポートの設置は、南北交通の交通結節点周辺や都心区との広域連携を踏まえ、設置を予定しているものでございます。したがって、通勤通学の各自宅から利用を想定してございません。シェアサイクルは区内から都心区等への移動や、区内公共交通機関等の駅間のスムーズな移動を目的とし、ITCを活用した新たな移動手段として活用を考えてございます。

〇小林委員 新たな交通手段ということで、通勤通学に使うのではなくて、新たな交通手段ということで、まちの回遊性を高めていくのかということだと思いますけれども、シェアサイクルの実証実験をまた行うに当たっては、利便性のみならず、それに伴う課題や利用可能性も十分精査し、課題となっている、南北の交通もありますけれども、東西交通など、区の交通政策全体の中でよくよく効果を見極めてほしいと要望し、次の質問に移ります。

〇山本委員長 小林委員の質疑の途中ですが、5時になりましたので、今後の運営について協議するため、理事会を開会いたします。

 委員会を暫時休憩いたします。

午後4時59分休憩

 

午後5時03分開議

〇山本委員長 委員会を再開します。

 理事会の報告をします。

 午後5時を過ぎましたが、小林委員の質疑時間はあと数分とのことですので、質疑を続行することを確認しました。

 以上が理事会の報告ですが、質疑はありませんか。

〔「なし」と呼ぶ者あり〕

〇山本委員長 それでは、ただいまの報告のとおり委員会を運営することに御異議ありませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇山本委員長 御異議ありませんので、そのように決定します。

 それでは、休憩前に引き続き総括質疑を行います。

 小林委員、質疑をどうぞ。

〇小林委員 様々すみません、御配慮ありがとうございます。

 最後の質問とさせていただきます。

 4番目の高齢者の健康づくり、見守り体制についてお伺いいたします。

 中野区では、急速な少子高齢化の社会の進展などの状況を鑑み、単身高齢者等要援護者の早期発見や地域の支えあい活動の推進のため、全国に先駆けて、地域支えあい活動の推進に関する条例を定め、区民が安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指してきました。条例の制定から8年が経過し、今日までに名簿の提供を受けた町会数は107町会のうち87町会あり、見守り・支えあい活動に活用されています。

 初めに、名簿を基にした活動は地域差があると思いますが、地域での支えあい活動を区はどのように検証、評価、分析されているのでしょうか、お伺いいたします。

〇伊藤地域活動推進課長 今、御質疑で御紹介いただきましたように、107町会のうち87町会に提供ということで、一定の成果は出ているというふうに考えているところでございます。

 昨年、全107町会に対する見守り・支えあい活動に関する聞き取り調査を行っております。詳細な統計分析は現在やっているところでございますけれども、名簿の活用方法といたしましては、町会の行事のときですとか、巡回パトロールなどで、要支援者に対して訪問をしたり、声をかけたり、面談の時間を取ったり等の活動に活用しているという調査結果が一番多かったです。その次に多いのが、異変の発見ですとか、通報の必要があるというふうな事例のときに活用したというものでございました。

 要支援者と面談を重ねるうちに心が通じて、感謝の言葉が聞けてやりがいがあるという声がある一方で、役員の高齢化に伴って、名簿を活用した巡回等が難しくなってきたという切実な声も聞かれております。区としては、無理のない形で、緩やかな見守り・支えあいが継続していくことも望ましいというふうに考えてございますが、名簿の活用の具体的な手法については、今後、町会の皆様とも意見交換などを行いながら、見守り・支えあい活動をいまもう一歩進めていく方向で検討してまいりたいというふうに考えております。

〇小林委員 ありがとうございます。たしか昨年の暮れに、町会活動についてということで、各町会に様々な視点からアンケートをされたというふうに思っています。見守り活動は、地域の特性もありますが、地域で支えあう活動を継続していくことが重要だと思います。

 区は、令和元年度、北部の区内2か所の高齢者会館で、高齢者の入館の際に提示する紙ベースの利用者証のカード化や、利用者実態を把握するため、高齢者会館入退館管理システムの実証実験を行っています。この実証実験の内容と効果など、検証結果を教えてください。

〇小山北部すこやか福祉センター所長 今年度行いました実証実験でございますけれども、バーコードのついているカードを高齢者会館利用者へ配布し、入退館の際に読み取り機を使用し記録をする方法により実施をいたしました。

 高齢者会館利用証のカード化のために、高齢者にとって機器の操作性の確認をいたしました。あわせて、利用者の性別、年齢層、居住地区、利用傾向等のデータの収集と分析、入退館時の記録を希望する利用家族へメール配信をするなどを行いました。

 結果といたしましては、利用者の居住範囲ですとか、高齢者会館ごとの利用年代の差異、個人の利用参加傾向、それからメール配信についての家族の御要望を把握することができました。

 実証実験に参加された方の利用者アンケートからは、携帯をするならば、カードがよいですとか、キーホルダーがよいですとか、あと、機器は操作しやすいもの、慣れれば便利であるというような御意見をいただいております。今後の事業に生かしてまいりたいと考えております。

〇小林委員 令和2年度は、高齢者会館などで見守り体制等の調査研究費を計上しています。この事業の目的と具体的な内容をお伺いします。

〇小山北部すこやか福祉センター所長 今年度の実証実験を踏まえまして、高齢者の健康づくり等事業及び見守り体制の調査研究ということで実施する予定でございます。

 調査の研究目的につきましては、区民の健康寿命の延伸を大きな目標といたしまして、実現に向け、中野区の高齢者の健康づくりや介護予防等に関する総合的な施策を構築するために実施するものでございます。

 内容につきましては、ICTを活用し、集い、通いの場の利用状況をはじめとする高齢者の日常的な生活の実態に係るデータを収集し、区で保有する高齢者の健康状態や介護状態を合わせて、関連性を分析する手法について調査研究を行う予定でございます。

 さらに、調査研究で使用するICTを高齢者が携帯しやすいものにし、モデル地区による見守り活動を試行的に行いたいと考えております。

〇小林委員 今年2か所で行うということですけれども、高齢者の見守りについては、大田区で始まり、今多くの区、市で行政と専門職、民間、地域が手をつなぎ、まちなかでサロンの開催やキーホルダーを活用した活動を行っています。特に、見守りキーホルダーを活用した見守りは、65歳以上の高齢者が緊急連絡先や医療情報等を区に登録し、登録番号が入ったキーホルダーを常に身につけておくことで、外出先の突然の異変により、救急搬送されたり、保護されたりした場合に、医療機関や警察からの照会に対し、24時間体制で迅速に情報提供を行う仕組みです。見守りキーホルダーを活用の最大のポイントは、65歳以上の全員が対象で、地域包括支援センターで、年に1度、誕生月に更新を対面で行い、そのときに変化を読み取って、関わる方々と情報を共有する仕組みです。

 私たちの町会では、8年前に名簿閲覧者として、見守る側でいた方の中に、見守られる側になりつつある方もいます。今日、必要とされる次の世代による新たな見守り体制づくりと、新たな支えあい仕組みづくり、近隣で集い合える拠点の整備も、喫緊の課題になってきています。

 条例をつくって終わりではなく、町会・自治会での見守り・支えあい活動、健康で介護予防に資するさらなる体制支援を期待し、私の全ての質問を終了いたします。ありがとうございました。

〇山本委員長 これで小林委員の質疑を終了します。

 本日、冒頭申し上げた予定では、長沢委員の質疑までとしていましたが、以上で本日の総括質疑を全て終了したいと思いますが、よろしいでしょうか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

〇山本委員長 次回の委員会は明日、2月27日(木曜日)午前10時から当委員会室において開催することを口頭をもって通告します。

 以上で本日の予算特別委員会を散会します。

午後5時11分散会